第4号 令和7年2月20日(木曜日)
令和七年二月二十日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 竹内 譲君
理事 あかま二郎君 理事 塩崎 彰久君
理事 島尻安伊子君 理事 おおつき紅葉君
理事 岡島 一正君 理事 吉川 元君
理事 黒田 征樹君 理事 向山 好一君
石橋林太郎君 大西 洋平君
加藤 竜祥君 川崎ひでと君
栗原 渉君 小寺 裕雄君
小森 卓郎君 佐藤 勉君
島田 智明君 田所 嘉徳君
中野 英幸君 福原 淳嗣君
古川 直季君 山口 俊一君
若山 慎司君 おおたけりえ君
杉村 慎治君 宗野 創君
高松 智之君 武正 公一君
西川 厚志君 福田 昭夫君
松尾 明弘君 道下 大樹君
山花 郁夫君 藤巻 健太君
守島 正君 福田 玄君
中川 康洋君 山川 仁君
辰巳孝太郎君
…………………………………
総務大臣 村上誠一郎君
総務副大臣 冨樫 博之君
総務大臣政務官 川崎ひでと君
総務大臣政務官 古川 直季君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 北尾 昌也君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 恩田 馨君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 玉田 康人君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 望月 明雄君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 阿部 知明君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 大沢 博君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 寺崎 秀俊君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 日向 信和君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 高橋 正史君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
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委員の異動
二月二十日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 島田 智明君
中野 英幸君 栗原 渉君
岡本あき子君 宗野 創君
同日
辞任 補欠選任
栗原 渉君 中野 英幸君
島田 智明君 石橋林太郎君
宗野 創君 岡本あき子君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)
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○竹内委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官岩間浩君外十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○竹内委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西洋平君。
○大西(洋)委員 自民党、東京十六区選出の大西洋平でございます。
昨年の十月の衆議院選挙で初当選をさせていただき、今回、このような貴重な質問の場をいただきました。理事の先生方を始め関係者様に感謝申し上げます。
私は、学生時代はラグビーに打ち込みまして、サラリーマン生活十一年を経て、江戸川区議会議員三期を務め、地方自治にも携わってまいりました。今日までの経験を生かして、日本を前にしっかり押し上げていけるように尽力してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、質問に入らせていただきます。
個人住民税の見直しにおける今回の地方税法改正による影響額について。百三万円の壁の解消に伴う個人住民税の基礎控除、給与所得控除の引上げについてお伺いをいたします。
本国会において大きなテーマになっている百三万円の壁の解消ですが、私たち与党も物価高騰の中で国民の皆様の手取り収入を増やす施策には大いに賛成であり、前向きに検討しています。一方で、与党として財源の確保を並行して行っていかなくてはいけないという責務も負っています。
議題となっている地方税法改正案においても、百三万円の壁の解消に伴う個人住民税の給与所得控除について、国民一人当たり十万円の引上げを行っています。改めて、この引上げによって地方自治体に与える影響額についてお伺いをさせていただきます。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
今般の給与所得控除の引上げ及び特定親族特別控除の創設等に係る個人住民税の減収額については、平年度で七百五十億円程度と見込んでおります。
これらの対応につきましては、全国知事会から地方税財源への配慮について深く感謝を申し上げるとの声明が出されるなど、地方からも一定の評価をいただいたものと考えております。
○大西(洋)委員 御答弁をいただきました。
今回の改正での地方自治体の事務処理負担についても、併せてお伺いをさせていただきたいと思います。
今回の改正において、約七百五十億円の個人住民税の減額となります。今回の百三万円の壁の解消において、所得税においては給与所得控除だけではなく基礎控除額も国民一人当たり十万円引き上げられ、合計二十万円の引上げで、その影響額は約六千億円の減税となっています。
これまでの所得税の基礎控除と個人住民税の基礎控除の引上げの経緯、推移についてお聞かせください。また、今回、所得税と個人住民税の基礎控除が乖離することとなりますが、これにより地方自治体の事務作業量が増えるようなことがないのか、確認させていただきたいと思います。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
個人住民税における基礎控除については、昭和三十六年以前におきましては所得税と同一としてまいりました。その後、地方財政への影響等を考慮し、所得税減税による影響を遮断するため、昭和三十七年度から地方税独自に基礎控除額を創設した経緯がございます。
そのため、創設以降、控除額につきましては個人住民税の地域社会の会費的な性格等を踏まえて所得税よりも低く独自に設定してきており、現在でも五万円の控除差となっております。
自治体の事務作業量についてのお尋ねでございますが、まず、個人住民税は翌年度課税であること、また、控除対象者の要件は所得税と一致させていること、さらに、各自治体におきましては所得税で提出された申告資料等を基に控除対象者の判定等を行っていることなどによりまして、控除額が異なっておりましても円滑に課税事務が行われているものと考えております。
○大西(洋)委員 ありがとうございました。地方自治体の事務作業量については増えないということを改めて確認させていただきました。引き続き丁寧な御対応をお願いしたいと思います。
次に、一昨日の本会議でも質疑がありました、地方自治体の自主財源に関する観点からお伺いをさせていただきます。
今回、約七百五十億円の減税が行われる中で、その財源については、デフレからの脱却局面に鑑みての基礎控除や給与所得控除の最低保障額が定額であることに対して物価調整を行うものであることを踏まえて、特段の財源確保措置を要しないものと伺っております。
今まさに、自民党、公明党、国民民主党の三党による協議が進められています。仮に百七十八万円まで控除額を引き上げた場合の地方財政への影響額は約四兆から五兆円と言われています。
この場合の私の地元江戸川区での影響額は区民税で約百六十一億円であり、この額は老朽化等に伴う学校改築の経費の約二校分に相当します。なお、東京二十三区、特別区全体の影響額は区民税で約二千三百九十一億円です。これは学校改築で約三十校に相当します。
江戸川区において毎年度行われる老朽化等に伴う学校改築はおおむね二校程度ですので、百七十八万円まで控除額を引き上げるということは、極端な話でいえば、今後の学校改築を諦めるか、それに相当する江戸川区としての事業を削減していくしかありません。
もちろん、こうした影響は江戸川区に限ったことではなく、日本全国の地方自治体に及ぶこととなり、例えば給食費無償化など、それぞれの自治体においての重点施策、看板施策を失うことになりかねない財政的な欠損が生じることとなります。こうしたことからも、仮に、所得税とともに個人住民税についても基礎控除額及び給与所得控除などが引き上げられ、個人住民税による税収が減額となる場合、地方自治体に対し一方的に負担を押しつけるのではなく、減収額を何らかの形で補填することは必要であると考えます。さらに、減収となった額をただ補填するだけではなく、しっかりとした代替財源を確保することで補填すべきと考えます。
先日の本会議では、地方税収入が減ったとしても地方交付税措置により基礎財政需要額は担保されるので地方自治体の財政は痛まないという趣旨の御意見がありましたが、地方交付税不交付団体においては減収に至ります。また、仮に基礎財政需要額が担保されるとしても、地方自治体の自主財源である個人住民税を減額することは地方自治体の自主性を損ないかねません。
国の施策により地方に減収が生じる場合には、財源の補填をすることも重要です。一方、自治体の成長努力を評価する観点からは、自治体の努力が税収増につながるように、補助金などの依存財源ではなく、自主財源である地方税をしっかりと確保していくことが重要と考えておりますが、大臣の御所見をお伺いさせていただきます。
○村上国務大臣 大西委員の御質問にお答えします。
委員の御指摘のように、一般論としましては、地方の自立を促し、責任を持った行政運営を行っていただくためには、国から地方への財源移転になるべく依存せず、自主財源である地方税によることが理想であるというふうに考えております。
今後も、総務省としましては、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方税の充実確保に努めてまいりたいと考えております。
なお、いわゆる百三万円の壁に関する今後の対応につきましては、三党の幹事長間で誠実に協議を進められることが確認されておりますので、政党間で協議が進められるものと承知していますので、総務省としましても誠実に対応していきたい、そのように考えております。
○大西(洋)委員 大臣から御答弁をいただきました。ありがとうございます。今後も三党間の協議をしっかり注視してまいりたいと思っております。
埼玉県八潮市の下水道管の例を挙げるまでもなく、地方自治体が管理するインフラの老朽化への対応は急務でございます。インフラの更新だけではなく、時代に対応した行政サービスを提供するには、地方自治体の安定した財政状況が必要でございます。さらには、真の地方活性化を目指すのであれば、地方自治体の努力に応じて税収が増える自主財源の確保も重要でございます。
私も、地方自治に携わってきた人間として、仮に百三万円の壁の解消について更に控除額を引き上げていく場合には、国税の分野で行うべきではないかと考えております。何とぞ、国民の手取り収入の増加と地方自治体の安定した税収の確保の両立を重ねてお願いしたいと思います。
ここからは、個別の税制措置についてお伺いをしたいと思います。
今回、適用期限延長がなされる災害ハザードエリアからの移転促進のための課税標準の特例措置について、施策実行の際の配慮の必要性についてお伺いをしていきたいと思っております。まず、令和三年度からスタートしたこの特例措置の目的については災害ハザードエリアからの移転促進などが挙げられると考えますが、改めて、この特例措置の重要性についてお伺いをさせていただきます。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
近年、災害が頻発化、激甚化している中で、これまで行ってきた個別のハード対策に加えまして、様々な施策を総合的に組み合わせた安全で災害に強い町づくりを通じて被害を未然に防止していくということが重要となっております。
お尋ねの災害ハザードエリアからの移転促進のための不動産取得税の特例措置につきましては、課税標準を五分の四に軽減するものでありまして、市町村が作成します立地適正化計画におきまして、防災対策それから安全確保策を定める防災指針に基づいて関係権利者の合意により作成された計画により、市町村によるコーディネートの下で、災害ハザードエリアからの移転をする際の負担を軽減する、そういったものでございます。
昨年も、能登半島地震、それから南海トラフ地震の臨時情報の発表がありまして、災害に強い町づくりに対する必要性、こうした認識が高まっているというところでございます。住民や市町村による移転に向けた検討がそうしたことを受けてなされているところでもございまして、本税制の延長が必要と考えているところでございます。
○大西(洋)委員 御答弁をいただきました。
今御答弁であったように、この特例措置の重要性は理解できる一方で、本来、災害から身を守る手段としては、国と地方自治体が一丸となって防災、減災に取り組むべきと考えます。その土地に愛着を持って暮らしている住民の方々がいる中で、危険だから移転を求めるというのは行政としての最終手段と言っても過言ではありません。そして、いたずらに災害レッドゾーン等を強調し、そこからの移転にインセンティブを与えることは、その土地に住んではいけないという印象を強く与えることになりかねず、配慮が必要と考えます。
この災害ハザードエリアからの移転促進のための課税標準の特例措置を実施するに当たっての配慮の必要性について、政府の御見解をお伺いいたします。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
災害ハザードエリアからの移転の促進のための不動産取得税の特例措置でございますけれども、例えば、災害レッドゾーンの一つでございます浸水被害防止区域につきましては、住民等への周知それから理解の醸成のための必要な機会を経た上で設定されるということでございます。御指摘の特例措置につきましては、そうした区域などからの移転を促進するための措置ということとなっております。
その上で、本特例措置を活用する場合に当たりましては、住民等の意見を踏まえながら、立地適正化計画及び防災指針を作成した上で、市町村によるコーディネートの下で、移転先地の選定それから移転先地の権利者の意向など、具体的な地域の実情それから意向といったものを把握しながら、既存の住宅それから施設、そういったものの移転の促進を図る仕組みとなってございます。
国土交通省といたしましては、市町村において、引き続き、住民等の意見を十分に踏まえた上で、移転に係る合意形成が慎重かつ丁寧に行われるように、地方公共団体に対してしっかりと周知をしてまいりたいと考えております。
○大西(洋)委員 御答弁をいただきました。
災害ハザードエリアの設定に当たっては、お話しのとおり、地方自治体や地域住民の方々の合意を得ながら丁寧に行っていくという旨をお聞きしまして、改めて確認をさせていただきました。
私自身、不動産会社で勤務をしていたことがありまして、一生に一度の大きな買物である不動産購入に当たっては、購入者の皆様はその土地の状況について大変敏感になっておられます。災害ハザードエリアの設定により、その土地の危険性を注意喚起することはとても重要ですが、一方で風評被害を生み出すようなことがないように、今後も引き続き丁寧に地域の方々との合意形成をお願いしたいと思います。
次に、今回延長される企業版ふるさと納税を行うに当たって、企業の所在地自治体への配慮の必要性についてお伺いをさせていただきます。
平成二十八年度からスタートし、令和二年度に拡充された企業版ふるさと納税は、企業による地方創生、地域活性化を促す点で、大変意義深い制度であると考えております。一方で、地方自治体への寄附によって、寄附の一部が損金算入されるとともに、法人の負う国税と法人の所在地自治体に納められる地方税が控除されるという点から、法人の所在地自治体においては税収が減るという側面を有しています。
企業は個人よりも更に地方自治体のインフラ、行政サービスを利用するという点で行政コストがかかることから、国税はともかく、地方税において企業版ふるさと納税に伴う控除を行うに当たっては企業の所在地自治体への配慮が必要と考えますが、政府のお考えをお願いいたします。
○北尾政府参考人 お答えいたします。
企業版ふるさと納税は、地方公共団体が行う地方創生の取組に対する企業の寄附について、法人関係税の軽減が受けられる制度です。
本税制を活用した場合、寄附企業が所在する地方公共団体では減収となりますが、地方税の税額控除の対象となる法人住民税、法人事業税共に税額等の二割を控除の上限とすることで、企業が所在する地方公共団体の減収に過度な影響を与えないような仕組みとしてございます。また、その減収額の七五%については、地方交付税の基準財政収入額に反映されるため、地方交付税の交付団体にあっては、地方交付税によって補填されることとなります。
このため、企業が所在する地方公共団体にも配慮をした制度として設計しているものでございます。
○大西(洋)委員 御答弁をいただきました。
今日取り上げたのは企業のふるさと納税でございましたけれども、個人版でもいろいろ課題があるということは、るる本会議でも議論がありました。以前は返礼品に商品券であるとか地域に関係のないiPodを充てるなど、いろいろ課題があった制度でございます。大変すばらしい制度でございますので、本来の趣旨に沿った形で引き続き推進をしていっていただきたいと思っております。
最後でございますけれども、石破総理は、地方創生を起動し、東京の一極集中を是正し、多様な国民の幸せが実現できる日本を目指すとし、新たな地方創生を掲げています。
東京の一極集中の是正は、東京にとっても居住環境の改善、災害時のリスク分散の観点からも有意義であり、リモートワークの普及等により光明が見えてきたとも言えます。一方で、東京が日本の経済を牽引していることも事実でございます。令和三年度決算ベースで、東京都民が納めた国税の還元率は一四%とも言われています。
日本は、多様な地方の魅力とともに、東京のエネルギーが両輪となって発展していくことが大切ということを意見を申し述べて、質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、松尾明弘君。
○松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。
本日は、このような質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速ですが、質問に移らせていただきます。
まず、給与所得控除額の引上げ、これの地方税制に対する影響といったものについてお伺いします。
今、令和七年度の税制改正について予算委員会を中心に議論が進められており、基礎控除及び給与所得控除の引上げが決められています。これにより、いわゆる百三万円の壁が百二十三万円の壁となりまして、年収百二十三万円までの給与所得者は所得税の課税対象とはならない、こういったことになっています。この改正によりまして、先ほども質問でありましたけれども、所得税の減収額が約六千億円に上る見込みとされております。
そして、所得税収の約三分の一が地方交付税の財源として充当されておりますので、この税制改正による減収が直接的に地方財政へと影響を及ぼす、こういった可能性が挙げられます。地方住民税も減収することになりますし、所得税の減収も六千億円と大きな額になりますと、地方交付税の原資は単純計算で二千億円減収することにもなります。この百二十三万円の壁への引上げによる地方財政への影響、これは大きなものなのか、それとも僅少なものにとどまると言えるのか。総務省の地方財政白書によれば、地方交付税というものは地方自治体における基幹的な財源であって、特に小規模の自治体においては歳入の多くを占めるとされています。そのため、地方交付税の減少というものが自治体運営に本当に大きな影響を及ぼす可能性というものが指摘されています。
また、仮に地方交付税の減少がそのまま地方自治体に影響を及ぼす場合には、公共サービスの削減であったり地方自治体職員の人件費を圧縮せざるを得ないといった形で様々波及するおそれがあります。特に、先ほど挙げたような財政基盤が脆弱な自治体においては、医療、福祉、教育といった住民サービスへの影響、こういったものも懸念されています。行政による住民サービスが低下をすれば、医療や福祉のニーズそのものが社会から消滅するわけじゃありませんから、これは市場を通じて個人が負担しなければいけなくなって、お金がある人は受けられるけれども、そうでない人は受けられないという、様々な格差の拡大にも通じることになっていきます。
一方、現時点では、地方交付税総額の調整であったりとか特別交付税の措置など、地方交付税の減額が見込まれることに対して政府からの何らかの補填策ということについては具体的には何ら明らかにはされていません。
地方財政の観点から、政府としてはこの百三万円の壁の引上げについてどのように認識をして今後の対応について検討しているのか、大臣の方から御見解を教えてください。
○村上国務大臣 松尾委員の御質問にお答えします。
御高承のように、令和七年度与党税制改正大綱におきましては、所得税の基礎控除の引上げ等について令和七年分の所得税から対応することとされ、これによる令和七年度の地方交付税の法定率分の減収は、松尾委員御指摘のとおり、約二千億円程度と見込まれております。
同大綱におきまして、所得税及び個人住民税の見直しにつきましては、デフレからの脱却局面に鑑み、物価調整を行うものであることを踏まえて、特段の財源確保措置を要しないものと整理されたと考えております。
その上で、令和七年度地方財政計画では、今回の見直しによる影響分を含めても、前年度に比べ、交付団体ベースの一般財源総額は一・一兆円増の六十三・八兆円、地方交付税総額は〇・三兆円増の十九兆円となっており、適切に地方財源を確保することができたというふうに認識しております。
以上であります。
○松尾委員 今の答弁ですと、トータルでは税収が増えているので大きな影響はないのではないか、特段の措置をする必要はないというような認識であるというふうに理解しています。しかし、一方で、今は先ほど述べたように百二十三万円の壁と言われていますが、更に与党と国民民主党さんとの間の協議が重ねられていて、この百二十三万円の壁が更に変動し得るのではないか、更に引き上げられるのではないかというようにも言われております。
今大臣がおっしゃったとおり、現時点で百二十三万円まで引き上げるということであれば地方交付税そして地方財政には大きな影響がなかったとしても、今後更なる引上げがなされることになれば更にその分所得税が減収いたしますし、それに伴って地方交付税の減少というものも生じることも当然可能性としては考えられるわけです。地方交付税の減額が進めば、繰り返しになりますけれども、財政基盤が脆弱な自治体においてはサービスの縮小、公共事業の見直しといったものが不可避になりまして、地方経済への影響というものも当然懸念されるわけです。
このように、今後、仮定の話で恐縮ですが、百二十三万円の壁が更に引き上げられることになった場合に、政府としては何らかの措置を行うお考えはあるのでしょうか。特別交付税を増額したり、交付税の原資といったものを別途確保するといった措置を行っていくのでしょうか。地方自治体が安定的な財源を確保できるための措置、こういったものについて教えてください。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
いわゆる百三万円の壁の引上げにつきましては、三党の幹事長間で誠実に協議を進めることが確認されております。
御指摘の交付税額を始めとする地方財政への影響も含めまして、様々な論点について政党間で協議が進められるものと承知をしているところでございまして、総務省として、それを踏まえて誠実に対応してまいります。
○松尾委員 誠実に対応していただくのはもちろん大切なんですけれども、今具体的に、百二十三万円から更に、いろいろな条件付ではあるけれども引き上げるという話がもう出ておりますし、そこから更に一定の交渉がされるというふうにも言われておりますので、実際に引き上がる可能性、蓋然性が非常に高い状況ですから、具体的に検討を早く進めていただきまして、速やかに対応できるように是非考えていただきたいと思っております。
実際、多くの自治体からは、百二十三万円まで壁が引き上がったことに対しては、そこまではいいかもしれないけれども、更なる引上げがなされた場合には地方財政に対して大きな影響が及ぶので慎重に検討してほしい、こういった声が本当に多くの自治体から寄せられている状況です。これらの地方交付税の減少がもっと進むことによって、繰り返しになりますけれども、地域の行政サービスの低下、様々な公共事業の縮減、こういったものは避けられなくなってしまいますから、是非早急に検討をお願いしたいと思います。
話は変わりまして、地方財政健全化、これについての評価と今後の取組についてお伺いします。
令和七年度の地方財政計画によれば、臨時財政対策債の新規発行額が平成十三年度の制度開始以来初めてゼロになった、交付税特別会計借入金も令和七年度内には償還できる、こういった見込みであるとされており、これは地方財政の健全化が一定程度進んでいるということを示唆しております。総務省としては、財政の健全化が進んでいる要因について今どのように分析をされているのでしょうか。
これまで、地方財政を健全化するための取組として、地方交付税の制度の見直しであったりとか地方債の適正管理等々をなさってきたというふうに理解しています。こういった施策が奏功したというふうに考えられる一方で、地方財政の健全化が、昨今の景気の動向、それに伴う税収の増加、こういった影響、こういう外的な要因によって形式的には健全化が進んでいる、こういった見方も一方でされているところでもあります。総務省といたしましては、様々な要因がある中でどういったものが大きく影響を与えて健全化に進んでいるというふうに考えているのか、その考えを教えてください。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、令和七年度は、臨時財政対策債の発行額がゼロになりましたし、交付税特別会計借入金については償還の先送りをしてきたものを償還するというようなこともできているところでございます。
これらの要因でございますが、堅調な税収動向を反映して地方税収や地方交付税の法定率分が増加していることや、必要な歳出を適切に計上した上で国の取組と基調を合わせた歳出改革に取り組んできたことなどを踏まえたものと考えておりまして、前年度を上回る一般財源総額と交付税総額を確保しつつ健全化に取り組むことができたものと考えております。
○松尾委員 大分ちょっとふわっとした話で、具体的によく分からなかったところもあるんですけれども。
税収増というものはもちろん望ましいところである一方で、景気に左右されます。さらには、先日GDPが伸びたと言われていますけれども、やはり物価高の影響が非常にGDPの伸びに、税収の伸びとも基本的にはリンクをしていますけれども影響していて、物価が上がることによって税収が伸びているだけであれば当然支出も増えていきますから、これはやはり本質的には財政の健全化にはなかなかつながっていないんじゃないかというふうにも考えられるわけです。
税収増というものが地方財政健全化が進んでいる主たる原因であるとすれば、今後の税制改正によって、例えば先ほど来お話をしております百三万円の壁を百二十三万円から更なる引上げをする、これによって所得税であったり地方交付税が減収をしてしまうであったりですね、それは景気の変動で、今、景気がいいというよりはインフレかもしれないんですけれども、またそれが、景気動向というものは当然大きく左右されますので、それによって財政状況が悪化をするというリスクが当然考えられるわけです。こういった税収については変動し得るというリスクに対して、地方の財政健全化という観点からはどのような対応をこれから行っていくのでしょうか。
私は、先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、地方財政が健全化をしていくこと、地方自治体が自立をして、そして持続可能性を高めていって、さらには自分たちの自主財源で地方の魅力を、独自性を発揮して魅力を発揮していけるような、そういった地方にしていくためには、これは地方自治の本旨にも沿うものでもありますし、私は東京選出の国会議員ですけれども、東京選出の国会議員であっても地方が輝くことというのは日本全体にとって望ましいことだというふうに思っています。ですから、令和八年度以降も令和七年度の財政健全化、地方財政が健全化している流れというものは絶対に維持して、地方自治体の財政運営の更なる安定化というものを進めていきたいというふうに思っております。
それについて、総務省といたしましてはどのように具体的に、地方財政の健全化のいい流れをこのまま維持していく、このように考えているのか。地方自治体の財政の自立、こういったものを促進するための新たな財源確保策であったりとか制度改正の可能性、検討、こういったものについて今の状況を教えてください。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げたとおり、地方財政の健全化が進んでおりますけれども、地方財政はかなり巨額の特例的な債務残高を抱えておりますし、今後も、社会保障関係費でありますとか物価高、人件費の増加などによりまして厳しい財政状況が続くのではないかと見込んでいるところでございます。
今後も、地域経済の好循環の実現を通じた地方税などの歳入の増加に努めますとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことなどによりまして、必要な財源を確保した上で、特例的な債務残高の縮減など、地方財政の健全化に取り組み、地方財政の持続可能性の確保に努めてまいりたいと考えております。
○松尾委員 総論として地方財政の健全化に取り組んでいくのはそのとおりだと思うんですが、具体的に何かそれに対して有効な手だて、方法論、こういったものが今検討されているんですかというのが質問だったんです。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
地方財政の健全化に向けた様々な手段、そういったものについては、我々も不断に検討を進めなければいけないと考えておりまして、今具体的な内容について申し上げられるものはございませんけれども、我々としても引き続き丁寧に議論を続けていきたいと考えております。
○松尾委員 ありがとうございます。
こういったところで具体的な答弁がいただけないということが私は結構根本的な問題じゃないかというふうに思っていまして、先ほどの健全化の要因についてもふわっとした答弁しかいただけていないですし、これを維持するためにどうするんですかという方法論についてもやはりふわっとした答弁しかいただけていないということが私は非常に残念だなというふうに思っております。
今年の施政方針演説もされていましたけれども、地方創生二・〇ということで、地方の活性化、魅力ある地方をつくりましょうということが今の政権の大きな柱の一つだというふうに認識しております。その中で、地方経済を活性化させていきましょうというのは当然なんですけれども、地方創生二・〇の中では、定量的なKPIを設定して進捗をきちんと管理していく、こういったことも発表されているわけです。その中で、是非、地方財政の健全化がどのくらい進んでいるかということについても、きちんと目標を設定して、KPIで指標を設定して管理していっていただきたいというふうに思っております。
例えば、先ほどおっしゃっていた地方債の残高が非常に大きいということであれば、それがどのぐらい償還されているか、新たな発行がどうなっているかとか、あとは地方交付税の不交付団体の数がどうなっているか、そういった定量的な指標というものを取り入れることは考え得るというふうに思っていますので、是非、地方経済の好循環と併せて進めていただきたいというふうに思っております。
話は変わりまして、地方財政計画の内容について質問させてください。
今発表されております令和七年度の地方財政計画によると、給与関係経費について、令和七年度は令和六年度に比べまして約七千億円増加しているとされています。この増加額の内訳、何を積み上げていって七千億円になっているのかということについて、地方公務員の給与水準の改定であったり人員増加とかかなとは思うんですけれども、どのような費目であったり要素、こういったものが影響しているのかというものを細かく教えてください。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
令和七年度の地方財政計画における給与関係経費の総額は二十兆九千七百八十四億円でございます。令和六年度に比べまして七千四百九十二億円増加をしております。
この内訳ですけれども、給与費について、定年引上げに伴う一時的な職員数の増員の解消、これは減要因でありまして、その減を見込む一方で、令和六年の人事院勧告を踏まえた給与改定等によりまして七千六十六億円増加しているというものであります。それから、退職手当でございますが、こちらは令和六年人事院勧告を踏まえた給与改定や地方公務員の定年引上げを踏まえまして令和七年度と八年度の所要額を平準化する必要がありまして、こちらについて四百三十一億円増加しているということがございます。三点目に、教職調整額の率の引上げがなされることに伴います令和七年度の地方負担、百十三億円ございますが、これを計上したことなどによるものと考えております。
○松尾委員 ありがとうございます。
今御説明いただきました給与関係経費、この中には、会計年度任用職員、こういったものが今非常に増えていると言われていますけれども、会計年度任用職員の給与というものは含まれているのでしょうか。含まれていないのであればどこに含まれていて、会計年度任用職員の給与水準の改定といったものはどのように行われているのか教えてください。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
会計年度任用職員の人件費につきましては、地方財政計画において、従来から一般行政経費の中で計上しております。
令和七年度の会計年度任用職員の給与改定に要する経費についても、一般行政経費の中で千四百七十二億円を計上しているところでございます。
○松尾委員 今話題に取り上げました会計年度任用職員の処遇について、全般的な質問をさせてください。
先ほども言いましたけれども、地方創生二・〇の基本構想の五本柱の一番目に、安心して働き暮らせる地方の創生というものが挙げられています。具体的な施策が幾つか並べられているんですけれども、その中に会計年度任用職員の処遇改善及び在り方の見直しというものが取り上げられています。一方で、これが取り上げられていることと裏表だと思うんですけれども、現時点では会計年度任用職員の身分が非常に不安定である、処遇が正職員と比べて十分ではないということが、会計年度任用職員の制度が設けられた当初からずっと継続的に指摘されてきていると認識をしています。
今、会計年度任用職員が全国で大体六十六万人程度いるというふうにされておりますけれども、会計年度任用というだけあって原則として契約は一年ごとに更新するということですし、契約の更新回数は事実上二回とか三回までと制限されているような、そういった自治体も、いまだに少なくない自治体がそのような運用をしているというふうにも言われております。会計年度任用職員の毎年毎年更新をしていくというやり方が雇用の安定性を欠いているのではないかという声が上げられていますし、一年ごとに原則として契約更新をすると言ってはいても、毎年毎年更新をするのであればそのタイミングで、不当な雇い止めであったりとか、あとは妊娠、出産を契機とする雇い止め、マタハラ的なものにもつながっているのではないかといった懸念も指摘をされているところです。
民間では雇い止めというものは労働契約法で非常に厳しく規制、制限されておりますし、場合によっては解雇濫用法理が適用される場面すらあると言われている中で、会計年度任用職員には民間と同じような保護が適用されないということは、民間と公務員との間の公平性の観点からも大きな課題が残されているのではないかと思っています。今、人手不足が非常に深刻だと日本中で言われていて、特に地方に行くと人手不足が深刻である。地方自治体と民間企業との間で優秀な人材の取り合いというものは当然生じているわけで、地方自治体が地方公務員として優秀な人材、有能な人材を確保するためにも、会計年度任用職員を含めた公務員の処遇改善というものはやはり急務であるというふうに考えています。
この雇い止めの問題を含みます地方自治体における会計年度任用職員の処遇の改善について、総務省として今どのように認識をして今後どのように取り組んでいくのか、具体的な内容について教えてください。
○小池政府参考人 会計年度任用職員につきましては、制度上、一会計年度を超えない範囲で任用する必要がありまして、その任用に当たっては、地方公務員法に定める平等取扱いの原則や成績主義を踏まえできる限り広く募集を行うことが望ましいと考えておりますけれども、昨年六月、人事院が国の期間業務職員について、公募によらず従前の勤務実績に基づく能力の実証により再度の任用を行うことができるのは同一の者について連続二回を限度とするよう努めるものとするという取扱いを廃止したことを踏まえまして、総務省におきましても、会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルにおきまして、国の取扱いを例示していた箇所を削除するなどの改正を行い、その旨自治体に通知をしたところでございます。
また、会計年度任用職員の任用に当たって公募を行う場合であっても、客観的な能力の実証を経て同じ人が再度任用されることがあり得ること、選考において前の任期における勤務実績を考慮することも可能であることなどにつきましてこれまでも自治体に通知をしておりまして、丁寧な情報提供に努めているところでございます。
会計年度任用職員の適切な任用が確保されるよう、引き続き必要な対応をしてまいりたいと考えております。
○松尾委員 今、会計年度任用職員の採用の場面であったりとか、あとは雇い止めの場面について一定対応がされているというふうな答弁をなされました。
それ以外にも、端的に給与水準ですよね、この給与の水準が正職員と比べて会計年度任用職員が非常に安価であるといった指摘もされています。実際に、会計年度任用職員の給与水準が地方交付税の算定の根拠となる積算の資料に基づいてなされているケースも多々あるというふうに言われておりまして、国の方でも給与面での待遇改善というものは直接対応し得る場面ではないかというふうに考えておりますが、その点について総務省の見解を教えてください。
○小池政府参考人 お答えいたします。
会計年度任用職員の給与水準につきましては、各自治体におきまして、それぞれ、同じような仕事をしている職員の方との均衡ですとか、そういったことを踏まえまして設定をされているものと承知をしております。
会計年度任用職員の処遇についての御質問がございましたけれども、これまで、会計年度任用職員の制度を導入した令和二年四月から期末手当を支給することができること、それから勤勉手当を支給することが令和六年の四月からできるようになっていること等の改善をしてきているところでございまして、それぞれ、各自治体の中でこういった手当を支給することによりまして処遇の改善は進んでいるものと認識しております。
○松尾委員 それらの改善がなされて、実際の給与水準は、正職員に比べて会計年度任用職員は同じぐらいの同水準に今はなっているんでしょうか。総務省の認識を教えてもらっていいですか。
○小池政府参考人 今数字は持ち合わせておりませんけれども、当然、例えば平均値を取れば会計年度任用職員の方が低い数字にはなると思いまして、それは仕事の内容によって給料が決まっていることによるものと考えております。
○松尾委員 仕事の内容によって給料が違うのはある意味当たり前だと思いますが、同じ仕事をしていてもやはり給与水準が低いのではないかといった指摘はずっと行われているわけです。
会計年度任用職員が導入された平成二十九年地方公務員法改正に際しても、附帯決議の中で、「人材確保及び雇用の安定を図る観点から、公務の運営は任期の定めのない常勤職員を中心としていることに鑑み、会計年度任用職員についても、その趣旨に沿った任用の在り方の検討を引き続き行うこと。」であったりですとか、「本法施行後、施行の状況について調査・検討を行い、その結果を踏まえて必要な措置を講ずること。その際、民間部門における同一労働同一賃金の議論の動向を注視しつつ、短時間勤務の会計年度任用職員に係る給付の在り方や臨時的任用職員及び非常勤職員に係る公務における同一労働同一賃金の在り方に重点を置いた対応に努めること。」というような附帯決議がなされているわけです。
しかし、会計年度任用職員には、先ほど述べたとおり、公務員ですから労働契約法等の適用が今直接はなされていないですし、正規職員と会計年度任用職員との間の処遇格差といったものがやはりいまだに大きく残っているというふうに言われております。この処遇格差の原因は、先ほど改定されたとおっしゃってはいますけれども、総務省が作成された会計年度任用職員の再度の任用についてのマニュアルの記載、先ほどおっしゃっていたとおり、かつては二回までをめどにというふうな記載がされていて、それが削除されたとしても同じような慣行的な運用がそのまま引き続き行われている、こういった自治体が残っているですとか、先ほど私が指摘した地方交付税の算定根拠の積算の資料、こういったものにあるというふうにも考えられ、総務省の対応によって一定改善を図ることは可能であるというふうに考えています。一方で、このマニュアル、先ほど言ったとおり、マニュアルは作っているけれども、その水準にすら達していないような自治体も一定数存在していることも指摘がされているところです。
先ほども述べたとおり、地方も人手不足といったものが進んでおりまして、有為な人材を民間企業と地方自治体の間で獲得合戦しているという状況ですから、きちんと有為な人材を獲得するという観点からも、無期への転換であったりとか、雇い止めをもう少しきちんと制限する、直接地方自治体の運営にタッチできなかったとしても一定のアドバイス等々をしていく、さらには不合理な待遇格差はないかというものをきちんと都度都度確認していって是正していく、こういった更なる処遇改善が必要と考えておりますけれども、これらの点について大臣の考えをお聞かせください。
○村上国務大臣 松尾委員のおっしゃるとおりで、複雑化、多様化する行政需要に対応するために、常勤職員に加えまして非常勤職員も地方行政の重要な担い手になっているというふうに認識しております。
このため、会計年度任用職員につきましては、期末手当に加え、勤勉手当の支給を可能とする法改正を行うなど、これまでも適正な処遇の確保、改善に取り組んでまいりました。
また、先ほど部長からも答弁したとおり、客観的な能力の実証を経た再度の任用や、選考において前の任期における勤務実績を考慮することも可能であることなどについて、自治体に対してこれまでも通知しております。
会計年度任用職員が十分力が発揮できるよう、今後とも環境や制度の整備に一生懸命取り組んでまいりたい、そのように考えております。
○松尾委員 環境や制度の整備に一生懸命取り組むというお言葉ですので、是非実行していただきますよう改めてお願いをいたします。
話はがらっと変わりまして、自動車税についてお話を聞かせてください。
現在、自動車税はエンジンの排気量に応じて課税額が決定されています。例えば自家用車の場合は、令和元年十月以降に登録された車両では、総排気量千五百ccを超えて二千cc以下であれば年額で三万六千円、二千ccを超えて二千五百cc以下であれば年額四万三千五百円というふうに定められています。
一方で、電気自動車、特にBEV、バッテリー式の電気自動車はエンジンを搭載していませんから、そもそも排気量というものは当然想定することができず、現行の制度では一番低いランク、総排気量一千cc以下の自動車と同じ安価な税額が適用されています。今のこの状況に対して応益負担等の観点から、電気自動車も当然道を走りますから道の補修にはお金がかかりますし、重量が重い分アスファルトを多く損耗するというような指摘もされていますので、こういう応益負担等の観点から電気自動車の自動車税を引き上げるべきではないかというような意見も出されております。
しかし、政府の方では、二〇五〇年にはカーボンニュートラルを実現しよう、そして、その手前の二〇三〇年までには温室効果ガスを二〇一三年度比で四六%削減する、こういう野心的な目標を掲げておりまして、この目標の達成に向けては電気自動車の普及促進というものは不可欠だというふうに言われています。電気自動車の普及を後押しするにはやはり税制上の優遇措置といったものが重要になってきますし、電気自動車の自動車税の引上げといったものがカーボンニュートラルを目指していく政策と、一見すると、矛盾することになるわけです。
総務省といたしましては、電気自動車の普及促進と自動車税制、応益負担等を含めてどのように整合性を取っていこうと考えているのか、今後の税制改正において電気自動車の課税水準をどのように設定することが望ましいと考えているのか、見解を教えてください。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘がございましたように、電気自動車等は、エンジンを持たず総排気量の値がないということで、自動車税種別割におきましては、最も低い税率でございます二万五千円を一律で適用している現状にございます。
一方、近年、高級な電気自動車等の商品展開が進んでおりますし、価格の高い車両、さらには重量がかなり重い車両も発売されております。こういった中で、電気自動車等に対して一律で最低の税率が適用されていることは税負担の公平性の観点から問題があるのではないかといった指摘が地方団体などからされているところと承知しております。
令和七年度におきます与党税制改正大綱におきましては、これら車体課税の見直しに関しまして、カーボンニュートラルの実現に積極的に貢献するものとすべく、国、地方の税収中立の下で、取得時における負担軽減等課税の在り方を見直すとともに、自動車の重量及び環境性能に応じた保有時の公平、中立、簡素な税負担の在り方等について、関係者の意見を聴取しつつ検討し、令和八年度税制改正において結論を得るとされているところでございます。
総務省といたしましては、この趣旨も踏まえまして、関係者の意見を丁寧にお伺いしながらしっかりと検討してまいりたいと考えております。
○松尾委員 今参考人がおっしゃっていた与党の税制大綱の中で、お話にはなかったんですけれども、我が国のマルチパスウェー戦略の下で多様な動力源(パワートレイン)が併存していくことを踏まえた税制とするというふうな記載がされております。
この多様な動力源が併存していく、ガソリン車であったりハイブリッド、プラグインハイブリッド、あとは純粋な電気自動車、こういったものの動力源が併存していくということだと思いますけれども、この点については具体的にどのようなイメージを持たれているのでしょうか。
世界の自動車市場のトレンドが今急激に変化をしておりまして、一時的にはEVの推進というものが非常にトレンドだったんですけれども、最近はその流れに揺り戻しが見られているところです。アメリカも、トランプ政権になって電気自動車に対する向き合い方というものが変わってきていますし、自動車政策であったり気候変動対策、こういったものも大きく変わってくる可能性もあります。
一方で、日本の産業全体の中で自動車産業というものが非常に大きな位置を占めているということは皆さん認識は一致されていると思いますし、関連する部品製造であったりとか物流など、多岐にわたる、本当に裾野が広い産業になっております。トランプ政権が二五%に関税を引き上げるということで今大騒ぎになっていることからも分かると思っています。一方で、自動車産業のみならず、脱炭素であったりGX、グリーントランスフォーメーションが今後世界の産業において非常に大きな産業に成長していくだろう、重要な役割を果たすだろうといったことも言われています。
このような状況の下で日本の自動車産業を維持発展させるためには、国内の税制であったり政策が世界の市場動向と調和しながら競争力を高めていくといった必要があります。日本として自動車産業の持続可能な成長と国際市場での競争力強化をどのように図っていくのか、脱炭素市場における日本の技術力や企業のプレゼンスを高めるためにはどのような方策を講じるのかといった観点から、自動車の点について教えてください。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
自動車分野のカーボンニュートラルの実現に向けましては、様々な解決策がある中で、技術の課題、我が国の強みなどを踏まえてその道筋を検討することが重要でございます。このため、特定の技術に限定せず、EV、BEVや、ハイブリッド車などの電動車、あと水素、合成燃料、こういった多様な選択肢を追求するマルチパスウェー戦略を我が国の自動車政策の基本方針としております。
我が国が強みを有します内燃機関はもとより、今後市場が拡大していくと見込まれますEVでも勝つべく、蓄電池の国内製造基盤強化、購入補助、充電インフラ整備支援、こうした取組に総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
○松尾委員 そういった総合的な取組に自動車税の税制も是非併せて、地方税の観点からも後押しをしていけるよう改めてお願い申し上げたいと思っております。
るる質問してまいりましたが、先ほど述べたとおり、私自身はさっき言ったとおり港区と渋谷区という東京都心選出の国会議員ではありますけれども、地方の活性化が進んでいって東京の一極集中が是正をされることは東京で暮らす私たちにとっても非常に大きな意義がありますし、日本全体の持続可能性を高めていくことにつながっていくと考えていますので、この総務委員会での議論を通じて地方創生活性化についてこれからも議論していきたいと意見を申し述べまして、私からの質問を終了とさせていただきます。
ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、黒田征樹君。
○黒田委員 日本維新の会、黒田征樹でございます。
今日も自治体における老朽化対策ということで、前回の委員会、そして本会議に続いて、何回やるねんというふうに思われるかもしれませんけれども。先ほども御答弁でもありました、自治体における財政が今後も厳しくなっていく、そういう認識は総務省の方も持っておられるということも分かりましたけれども、でもまだまだ認識として薄いんじゃないかなというところがありますので、その辺を今日は少し追いかけさせていただきたいなというふうに思っております。
先日、総務委員会の質疑において、地方財政計画における維持補修費の伸びが一・二%、そして投資的経費の伸びについては一%というところで、見込み自体が甘いんじゃないですかというお話をさせていただきました。そのときの答弁について、もう一度お答えいただきたいなというふうに思います。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
そのときの答弁と全く同じかどうかは分かりませんが、同じような御趣旨のものをお答えしたいと思います。
地方財政計画の維持補修費でございますけれども、これについては直近の決算の伸び率を用いて積算しております。投資的経費については、国の投資的経費の伸び率を参考に計上している、こういう考え方でございます。
○黒田委員 それをお答えいただいたときにも少し話をさせていただきましたけれども、時間がなかったので次に行っちゃいました。今日はそこについてなんですけれども、今のお答えでは、直近の決算ベースによる、要は実績をもってそれを一%伸ばしているというようなことだろうなというふうに思いますけれども、それはそれでいいですよね。
○大沢政府参考人 正確に申しますと、直近の決算の伸び率をもって前年度の地方財政計画の額に乗じて積算しているというものであります。
○黒田委員 済みません、正確にお答えいただきまして、ありがとうございます。ただ、前年度と比較しての伸び率というものをもって本当に自治体が必要としている需要と合っているのかというところが僕は非常に疑問に思っておりまして。
要は、財政が厳しい中で、先日も述べさせていただきましたけれども、今地方自治体の方では都市間競争があるという中で住民サービスにも軸足を置いていく、堺市におきましては財政危機宣言も発出するというような状況の中で、投資的経費、そしてまた維持補修費、そういったところも総量管理をしていく、要は抑制をしているというような状況でございまして、これはうちだけに限った話じゃなくて全国的にも、財政が厳しいと言われるところはやはりそういったハード事業全体について抑制をしている、そういう傾向があるという中での数字を見て、それが必ずしも本当に必要な需要に沿っていないんじゃないですかというところが自分が考えるところなんですけれども、その辺の認識についてお聞かせいただきたいと思います。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
まず、維持補修費については、先ほど申し上げたように決算の伸び率を用いて積算しているわけでございますけれども、我々も、日本全体の財政需要を測りますときに、個別の団体の翌年度の見込みを全部集めて集計するというのはなかなか難しいことである以上、大きな制度設計がない限りは一定の統計的手法によらざるを得ないだろうということでこのようなことになっているというのをまず御理解いただきたいと思います。その上で、直近の維持補修の決算額は地方財政計画を若干下回っているような状況にございまして、その点からも計画額だけをぐんぐん伸ばしていくということがなかなか難しい、そういう状況にあるということもまた御理解をいただきたいと思います。
それから、投資的経費の方につきましては、投資的経費はもちろん地方財政計画で先ほど申し上げたような形で計上しておるわけでございますが、各地方団体におきましては、投資的経費の財源は主に地方債でございますので各地方団体は地方財計画の計上に縛られるわけではありません、地方財政計画を上回る場合であっても各地方団体は地方債を発行して事業を実施することは可能となっております。
総務省としては、このため、各団体が作っている公共施設総合管理計画であるとか、その下にある個別の具体的な今後の方針を定めている個別施設計画であるとか、そういった施設計画をしっかり実施していただくように地方団体に要請している、こういうことでございます。
○黒田委員 それはそのとおりなんです、おっしゃるように。
堺市でも、堺市公共施設等総合管理計画というものが平成二十八年に制定されて、そこから改訂改訂を加えて今に至るわけですけれども、結局こういった計画があっても実際に置かれている財政状況によって果たしてこのとおり進んでいくのかというところがあるわけです、実態として。堺市の話ばかりですが、自分が堺市議会議員として十三年間の中で堺市の財政について恐らく一番質疑をしてきたというところがありますので、堺市の財政状況については網羅的に熟知をしている上で例に出させていただきたいんですけれども。
前市政のときに様々な、出口のない補助金とか大型の箱物、それに加えて住民サービスを拡充していくといった財政を続けてきた結果、今の現市政、永藤市政になってから蓋を開けてみたら、基金が枯渇して二年後の予算も組めない、そういった危機的な状況でもありました。そんな中で様々な改革を繰り返していく。一般会計で四千八百億円ぐらいあるんですけれども、その中で経常収支が今は一〇〇を超えちゃっています。そういう状況の中で何とか立て直していかなあかんということで、十万円単位での様々な事業の見直し等もやっているというような、そういういっぱいいっぱいな状況でありまして。
今、地方債を発行してというようなお話もありましたけれども、先日も言いましたけれども、指定都市で経常収支が九六%を超えている、一般市町村でも九三%を超えているといった中で、市債を発行しても償還がだんだんやはり重たくなっていく。今、総務省の方は、五割から三割の交付税措置を後でして還元するというか、そういう措置はしていただいていますけれども、それでもまだまだ不十分だというところがあるんです。今、経常収支が九六とか九三とかいっている状況で市債の発行でもって維持補修費、そしてまた投資的経費を賄っていく、そういう実態について、認識をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
委員の御指摘のとおり、非常に厳しい財政運営を行っている自治体もございますし、安定的な財政運営をしている自治体もございます。全体としては経常収支比率は上昇傾向にありますけれども、一方では基金残高は全体としては若干の上昇傾向にあるということもあって、我々としては、日本全国の状況をある程度見ながら地方財政計画を策定して今後の財政運営を見通していくということが必要かなと思っております。
その上で、公共施設等適正管理推進事業債の元利償還金の措置率の件だと思いますけれども、今現在、おおむね三〇から五〇%の措置率ということで運営をされております。これは恐らく引き上げるべきじゃないかという御指摘なのかなと思ってお伺いをいたしましたが、交付税の措置率については、他の地方債であるとかあるいは国庫補助事業等とのバランスも踏まえて慎重に検討する必要があると思います。
現行の措置率でも、公共施設適正管理推進事業債自体は数年前からかなり急激に自治体の方は活用量を増やしておりまして、そういう意味では財政措置でもかなり適正管理に資する役割を果たしているのではないかなというふうに考えております。
○黒田委員 今お答えいただいたように、確かに助からないわけじゃないんです。あってありがたいことは間違いがないというふうには思いますけれども。
何度も繰り返しになりますけれども、経常収支も上昇傾向にある。今、基金の話もされましたけれども、これは結構、コロナの中で打たれた施策の中でだぶついている部分というのもまだ自治体としてはありまして、傾向としてどう見るのかというのはまだちょっと時期尚早じゃないかなというふうにも思っておりますので、基金の状況が今後どうなるかというところはもうちょっと長い目で見る必要もあるのかなというふうにも思いますし、あわせて、今、八潮市の件がありましたから、更に老朽化対策というところは各自治体が力を入れていくのかなというふうに思うんですけれども、そうなると、より経常収支が圧迫をしていくというような状況になっていくわけですね。
だから、今おっしゃられました三割から五割の補助率を上げるというのも一つですし、検討していただいている来年度からの統廃合による除却の補助ですか、そういったところも自治体にとっては非常にありがたいという声も聞いております。ありがたいということは、それだけ困っているという裏返しでもあるというふうに思うんですね。
ですから、そもそもの地方財政計画におけるパーセンテージを上げるのか、また、今おっしゃられた公適債の三割から五割の割合を増やすのか、それとも新たなメニューを創設するのか、およそできることといえばその三点かなというふうに思いますけれども、今置かれている現状を踏まえた上で今後そういうことに対して何か進めていくようなお考えというのはあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
我々も、公共施設の老朽化対策、今後の施設の適正管理は極めて重要な課題だと認識をしておりますので、毎年度、いろいろ地方団体からの意見も聞きながら様々な改善策を講じるべきじゃないかという議論を内部でもさせていただいております。そういった議論の結果として、来年度は、先ほど委員も御指摘されました統廃合に伴う除却、これに財政措置を講じるということを判断させていただいたところでございます。
今後も、我々もこれは極めて今後の人口減少社会の中で重要な課題だと思っておりますので、財政措置の在り方、あるいは公共施設総合管理計画をどういうふうに見直しながら推進していくかということも含めて総合的にまた検討させていただきたいと思いますので、引き続き御指導等をお願いしたいと思います。
○黒田委員 老朽化対策というのは待ったなしでありますし、これから全国的に加速度的に増えていくわけです。だから、しっかりと自治体の実態をより把握していただきながら、自治体に寄り添ったというか、そういう支援を今後も検討していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。また、自分自身も、自治体から聞こえてくる声がありましたら、そういったところは平場においてもお伝えさせていただいて、新たな支援策というものは、一緒に考えると言えばおこがましいですけれども、そういった努力も自分自身もさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、統治機構の改革についてということで、先般、村上総務大臣から、個人的な考え方ということで、市町村の数についての言及がありました。
我々自身も、そもそも道州制というものを掲げさせていただいております。その理由は、明治時代に廃藩置県によって設置された今の都道府県制度でこのまま維持できるのか、それが果たして適正な枠組みなのかというところがあります。当時、電話もなければ車もない、交通手段もない、そういったところでつくられた制度と今の令和におけるこの制度、さらに人口が減少していくという中で行政の効率化というものもしっかりと図っていかないといけない、今の都道府県制度の在り方、そしてまた市町村の在り方というところは見直していかないといけない時期に入っているという中で、村上大臣のあの発言については、このままじゃいけない、そういう認識について私は同じだなというふうに思っているんですけれども。
まず、そもそもの在り方についてなんですけれども、地方行政、財政も厳しくなっていく、でも、千七百四十一の市区町村、都道府県がある、今のこの制度自体がどうなのかなというところがあるんですけれども、そういったところ、市町村の在り方あるいは都道府県の在り方について大臣としてどのような課題認識を持っておられるのかというところをお聞かせいただきたいと思います。
○村上国務大臣 黒田委員御高承のように、この間申し上げたのは今日、あしたの問題ではなくて、五、六十年先の長期的なスパンを見て、今世紀末の人口が急激に減少した状況においては今のシステムが続くんだろうか、そういう意味で様々な自治の在り方を考えていくことが必要じゃないかという意味で提起したつもりです。
現在、我が国は急激な人口減少と少子高齢化に直面しておりまして、その中でも住民に必要な行政サービスを提供していくため、自治体の行財政を持続可能なものにしていくことが重要だと考えています。
昨日でしたか、ある市が二〇二四年問題に直面しまして、市営バスの運転士さんを確保することができなくなったと。
御承知のように、このような観点からしますと、総務省としましては、高齢者人口がピークを迎える二〇四〇年から二〇五〇年頃の人口構造を念頭に置きつつ、現在の国、都道府県、市町村のシステムを前提に、必要なサービスの提供の在り方を模索しています。
これも私の個人的な見解なんですが、例えば愛媛県を考えていただきたいのは、今、松山が四、五十万です。愛媛二区が今、三、四十万です。そして、南予。そうしますと、これが今申し上げたように今世紀末に五、六千万になれば、松山が四十万前後、東予地域が三十万前後。そうすると、愛媛県は簡単に言えば三つの市でくくられることになるんですね。私が今考えていますのは、ある程度の人口の固まりがないと行政組織ができないんですね。
それで、もっと極端なことを言わせてもらいますと、例えば世田谷のように大きな区は、政治家は、区長さん、都会議員、区会議員で四、五十名なんですね。ところが、ある県は、市町村議員、市町村長、それから県会議員が三百人いるんですね。そういうことも考えたときにも、行政機構のスリム化、そういうこともやっていく必要があるんじゃないかと。
それから、私が一番重要に考えているのは、それぞれの市が、今は県とかいろいろ通してやるんですけれども、やはり国と市が直接対話できる方がもっとスムーズに地方の意見が反映できるんじゃないかということで申し上げたわけです。だから、これはあくまで私の個人的見解ですけれども、あらゆる行政のスリム化やシステムをどうしたらいいかと。私は、二〇四〇年問題はちょっと先のように見えますけれども、今申し上げたように、ある市の市営バスの運転士さんもたちまち足りなくなっているということで、二〇四〇年になって考えては遅過ぎるんじゃないかという問題意識です。
具体的には、研究会において、自治体間の連携やデジタル技術を活用した事務の効率化、国、都道府県、市町村の役割の在り方を含めどのような方策が考えられるか、自治体の皆さんの声をよく聞きながら今後早急にやっていけたら、そういうふうに考えております。
以上であります。
○黒田委員 大臣、丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございます。
我々もその課題認識というのは全く一緒でして、先ほど、市と国が直接という、一層制というか、そういうようなお話だったのかなと思いますけれども、我々としては、ある程度の固まりを持って道州の枠組みというものも創設した上で、そういう制度の方がいいんじゃないかなと。考え方はいろいろあると思いますし、何が正解かというのは様々研究をしていかないと、どちらがいいとは今現時点では僕自身も判断できませんけれども、いずれにしても、今のままの制度でいいのかというその問題意識については一緒です。
その上で、先ほども、今の市町村の枠組みを維持した上でというようなお話もありました。地方創生の今の取組自体が、多極分散型を目指すと。その多極分散は、今の一極集中から千七百四十一極化をするわけじゃないと僕は思っているんですね。だから、ある程度各拠点となる枠組みを持った上で分散型の社会というものを構築する必要があるんじゃないかなというふうに考えているんですけれども、この辺について見解をお聞かせいただきたいと思います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
御指摘がございましたとおり、地方創生を推進していく上でも、地方圏におきまして活力ある社会経済を維持するための拠点でありますとか定住の受皿を形成することは重要であるというふうに考えてございます。
総務省としましては、核となる都市と近隣の市町村が連携しまして、コンパクト化とネットワーク化により経済成長の牽引などに取り組みます連携中枢都市圏構想でございますとか、圏域全体として必要な生活機能を確保する定住自立圏構想などの連携施策を推進してございます。
今後とも、広域連携を推進することで地方圏における拠点づくりを進めるなど、持続可能な地域社会の実現に向けて取り組んでまいります。
○黒田委員 広域的な連携は、例えば関西だと関西広域連合というものがありますけれども、各都道府県が集まってとか市町村が集まってとかということで物事を進めていこうと思うと、全員にとってメリットがある、そういうことしか進めていけないわけですね。だから、意思決定の在り方としてどうしていくのかというところは連携だけでは進められない、そういったところもあるということは認識していただいた上で連携の更なる深化の仕方についても研究をしていただきたいなというふうに思います。
最後にお聞きします。
これも何度も言っていますけれども、東京に一極集中するというのは構造的な課題があると先日も述べさせていただきました。そういった中で、千七百四十一、全ての市町村に対しての支援、これはこれで僕は否定するものじゃないんです。ないんですけれども、構造的な問題に着目をして、そこの課題解決というものを図っていくということを同時にしていかないと、幾ら各市町村にお金を流していっても、この十年間の取組を見ても、一極集中も打破できていない、人口減少も止まらないという状況でありますから、我々がずっと言っています副首都制定は一つの手段でありますけれども、まずはどこかに二極化していく。これは国家体制の維持にとっても危機管理の面においても非常に重要なところじゃないかなというふうに我々は考えているんですけれども、最後に大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○村上国務大臣 委員御指摘のように、過度な東京一極集中は、地方における地域社会の担い手不足とともに、災害リスクなどの観点からも大きな問題であると考えております。その是正は我が国全体にとって喫緊の課題と認識しております。
加えて、人口減少が進む中でも、経済を持続可能なものとして、人々が全国で安心して快適な暮らしを営んでいけるようにするためには、大都市や大都市圏域の果たす役割が重要だと考えております。
総務省におきましては、現在、ワーキンググループを設けて大都市における行政課題への対応について議論を行っております。この中で、大阪府、大阪市で取り組んでいる大都市政策の内容を伺ったところであります。
大都市や大都市圏域が今後果たすべき役割、そのために必要な制度の在り方について様々な意見がある中、自治体の皆さんの声も伺いながら議論を深めてまいりたい、そのように考えております。
○黒田委員 ここは、大臣のいつもの御自身の話し方でお答えいただきたかったところなんですけれども。
とにかく、今の市町村の枠組み、都道府県の枠組み、そしてまた今の一極集中が止まらないというような状況を打ち破っていくためには何らか構造的なところの改革への着手というものに挑戦していく必要性があるということを再度訴えさせていただきまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、福田玄君。
○福田(玄)委員 国民民主党、福田玄でございます。
早速質疑に入らせていただきます。
今日も、先ほど来、地方創生など、るる質問が行われておりますが、まずは地方創生の質問から入らせていただきたいと思います。
そもそも、この地方創生という言葉が、もう十年以上たっておりますが、キャッチフレーズとしては地方創生という言葉が躍っているのですが、具体的なゴールが見えにくくなっているのではないかというふうに感じています。例えば持続可能な行政体制構築に向けた在り方の見直し、これは、自由民主党政務調査会の地方創生二・〇の起動に向けた提言というのが令和六年の十二月の二十日にありました。その結果、どのような地方自治体の在り方が望ましいのかなどについてはそもそも示されていないように見えます。
地方創生により目指しているものはどのような社会、行政の体制なのか、その姿は現在既に存在するものなのか、もし現状議論されているということであれば、検討の状況、時間軸も含めて、どのタイミングで結果が出るのか、それはますます厳しくなる地方の現状を反映したものになるのかということについてお教えください。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
内閣官房という立場で、全体的なお話になりますけれども、地方創生二・〇ということで、まさに新しいものということであります。
ただいま、まさに、有識者会議ですとか地方創生の本部で御議論いただいておりますけれども、そういう意味では、地方創生、これまでの十年の成果と反省を踏まえるという点と、まさにどういう社会を目指すのかという部分では、一極集中の是正、これにつきましても、要因としては、進学、就職を契機として、十代後半、二十代の若い方、特に今、女性の転入超過が東京で続いているということがデータ上あるということでありますので、そういう意味では、若者、女性が安心して働き暮らせる環境づくりですとか、まさに地域資源を活用する、それから半導体、こうした戦略分野での大規模投資を含む日本全体の活力を取り戻す、そうした社会を目指すということでございます。
実際にあるのかということで、個別のお話になりますが、例えば山形の鶴岡市、こちらの方では、サイエンスパークというものを造りまして、企業、ベンチャー企業、それから研究機関を誘致して、地域全体で地元雇用を創出するですとか経済波及効果を生んでいるような事例。それからあと、社会という部分では、例えば地域、人口が減少する中で買物支援ですとか交通、医療、こうしたものがだんだん厳しくなってくる、そうした中でデジタルも使いながら地域の住民サービスを維持向上している長野の伊那市ですとか、そうしたところは把握しているということでございます。
検討の時間軸ということでありますが、ただいままさに伊東良孝大臣の下で新しい地方経済・生活環境創生会議、それから政府の本部というところで今後の方向性を御議論いただいておりまして、政府といたしましては、今後十年間集中的に取り組む地方創生二・〇、これの基本構想を本年夏に策定すべく、現場の声を丁寧に伺いながら議論を進めてまいりたいと考えております。
○福田(玄)委員 お答えありがとうございます。
幾つか成功事例もあるということでございましたが、やはり全体、総体的に考えると、この十年の結果を見ると、人口はどんどんどんどん減り続けていますし、一極集中は止まっていないという状況でございます。こういった厳しい状況も踏まえて、まさに人口が減っていく、そして働ける世代が減っていくということの現実を更に厳しく捉えて、その計画に反映させていただきたいなと思います。
大臣にお聞きしますが、地方創生が始まって十数年、経済の活性化は地方からということでございます。この考え方自体は本当にすばらしいものだと思います。
しかし、これまでの地方創生の評価、検証の文献も読ませていただきましたが、個別の自治体の政策のKPIの評価はあるんですね。個別の自治体のKPIはあるんですけれども、包括的、全体的なKPIの効果、政策の評価、検証がされていないのではないかと思います。総体として当初の理念が実現したのか、つまりは地方は自主性を発揮して行政をきちんと今行えているのかという点に対して明確になっていないのではないかというふうに思いますが、大臣の肌感覚も含めてお答えください。
○村上国務大臣 福田委員の御質問にお答えします。
昨年六月に、いわば地方創生一・〇の十年の振り返りとしまして、地方創生十年の取組と今後の推進方向というのを取りまとめております。
その中におきまして、地域の課題を自ら把握し、その解決に向けて行政と民間、住民等が連携した取組が行われ、地方創生の取組の成果と言えるものが一定数あると評価されております。その一方で、国全体で見たときに人口減少や東京への一極集中などの大きな流れを変えるには至っていないという総括もされております。
その中で、私自身も、実はかつて地域再生担当大臣を務めました。そのときに、今でも御健在なんですが、藻谷さんという方が全国を回られておりまして、私自身も、全国各地にある宝を各地域が自主的に伸ばしていくことが地域活性化につながるんじゃないかということで、いろいろな、例えば行政のツールをまとめた本を出したりしておりました。そのときに、スローガンとしては、自主、自立、自考というのをスローガンとして言ったのは、自分たちの宝を自主的に、やはり自立を持って、そして自分で考えながら発展させていこう、それが一番いいんじゃないかということで、そういう面におきましては、それは地域はいろいろ差はありますけれども、結構それでぐんと伸ばした地域もあったと思います。
こうした考え方は今日に至っても重要な精神と考えていますけれども、私の肌感覚としましては、各自治体において、地域のステークホルダーと連携して課題に正面から向き合い、自主的な取組が進められたかといえば、残念ながら十分ではなかった側面もあるように感じております。
現在、我が国では、人口減少、少子高齢化、過疎化、地域の担い手不足の顕在化など、待ったなしの課題が山積しております。今後とも、地方こそ成長の主役との発想に基づき、地方創生二・〇の推進に向けて、これまでの経験も十分に生かしながら、総務省としましても議論に貢献してまいりたい、そのように考えております。
○福田(玄)委員 ありがとうございます。
里山資本主義の藻谷さんだと思いますけれども。確かに、地域に宝はたくさん眠っているんだと思います。しかし、地方分権一括法ができてから、地方がしっかりと自主性を持ってというスローガンもございますが、なかなかまだお上頼みのところがあるのではないかというところが実際あるんだろうなというふうに思っています。
その中で、今日も、総務委員会ですから、地方議員の経験者の皆様、首長の御経験のある皆様がいらっしゃいますが、自治体の総合計画などを含めて、計画策定など、結構コンサルタントに丸投げになってしまっているのではないかというような状況があると承知をしております。私も地方議員を経験しておりますので、総合計画が出てくるときに他の自治体のものを見比べたり研究をしたりするんですけれども、これはどこの業者ということを指定するわけではありませんが、表紙を替えたらほとんど一緒じゃないかというような、そんな計画が出てきているような状況があると思います。
しかし、これには多額の予算が使われているわけであります。ある意味では、そういったコンサルティングビジネスの一助に国の税金が垂れ流されているのではないかといったような状況があるのではないかと思うんですが、片やそうではない自治体もあります。例えば、岐阜県の多治見市なんかは、いわゆる産官学金労言というものがしっかりと手を携えてそういった計画を策定していたというような好事例も見させていただいたことがございました。
そういった意味では、まずは、コンサルタントに丸投げになっているような状況があるのではないかということを総務省として認識をされているのか。そして、同時に、先ほど言ったような、ちゃんと、コンサル丸投げじゃないというような事例があると思うんですけれども、こういったものの横展開がしっかりとされるような施策が必要だと思いますが、お答えをお願いいたします。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
一般論としまして、御指摘がございましたように、自治体の総合計画の策定の際に、住民の皆様や経済団体など様々な方々の意見を取り入れる方法のほか、コンサルティング企業等の提案を活用する方法など、各自治体において多様な手法が取られていると承知してございます。
一定の知見を得るためにコンサルティング企業等による提案の活用が必要な場面もあると思いますけれども、御指摘のように、その提案を全面的に受け入れて、地域の実情を反映しない計画となることは必ずしも好ましいものではないと考えてございます。
産官学金労言、あるいは様々な現場の方々の参加、協力を得ながら、各自治体が自主的に取り組んでいただくことが重要だと考えてございます。
総務省としましては、例えばですけれども、自治体がDXの推進計画を策定するに当たりましては、参考となる自治体の主体的な取組事例というのがありまして、それを事例集としまして横展開してございます。引き続き、地域の実情に沿った計画の策定に取り組んでいただけるよう、我々としても取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
○福田(玄)委員 そういった例もあるというふうな認識ということでございましたが、これは一度ちゃんと調べてみる必要があるんじゃないかなと。私は、日本の、これは自治体だけじゃなくてビジネス界もそうかもしれないんですけれども、やはりちょっとコンサルティング業というのが余りに多くなり過ぎていて、実行する人たちではなくて助言をする人たちが大きく力を持ったり予算を持ったりというような状況があるのではないかということを、少し思うところがございます。その辺りの、調査をするようなことも含めて、大臣、いかがお考えでしょうか。
○村上国務大臣 一般論としまして、御指摘のように、自治体の総合計画の策定の際には、住民の皆様や経済団体など様々な方々の意見を取り入れる方法のほか、コンサルティング企業等の提案を活用する方法など、各自治体において多様な手法を取られているというふうに感じております。
一定の知見を得るためにコンサルティング企業等による提案の活用が必要な場面もありますが、御指摘のように、その提案を全面的に受け入れて、地域の実情を反映しない計画となることは必ずしも好ましいものではないというふうに考えております。
産官学金労言、あるいは様々な現場の方々の参加、協力を得ながら、各自治体が主体的に取り組んでいただくことが重要だと考えております。
総務省としては、自治体がDXの推進計画を策定するに当たって、参考となる取組の事例集を展開して、自治体の主体的な計画策定のための支援を行ってきております。地域の実情に沿った計画の策定に取り組んでいただけたら、そういうふうに考えております。
○福田(玄)委員 是非、各自治体、本当に人もいなくて計画策定の業務が負担だということも分からなくはないんですが、しっかり自主性を持った、きちんと血の通った計画ができて、それで地域が元気になるという姿を目指していただきたいというふうに思います。
次の質問に移らせていただきます。地方への人の流れの創出ということでございます。
東京一極集中の是正という言葉が多く聞かれますが、私も人の親ですので、地方に住んでいて、子供たちが大きくなって、では一回東京へ出てとか、町に出て何か勉強したいとか経験したい、これは止められるものではないと思います、人として止められるものではないと思います。片や、東京で就職をして、ある程度の経験を重ねられて、地方に帰りたいんだけれども帰れないという声も確かにあるんだと思います。
その中で、全体として、いつ、どの程度の流れ、東京圏から地方へ、一極集中の是正ということであれば、大体何人ぐらいの規模で東京圏から地方へ帰していくのかという、こういった数値の目標が必要ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
今おっしゃられました東京圏一極集中の是正という数値の目標なんですけれども、二〇一四年、初めに、まち・ひと・しごと創生総合戦略というものができまして、その中で、まさに地方と東京圏の転入転出の均衡という目標を掲げてございます。これが、第二期ですとか、それから二〇二二年のデジタル田園都市国家構想総合戦略、まさに当時の地方創生の戦略でありますけれども、その中でも同じ、地方と東京圏の転入転出の均衡と目標を掲げられておりまして、そういう意味では、今おっしゃられましたような、直近の二〇二四年、東京圏への転入超過は十一・九万人ということで、そういう流れは変えるに至っていないということでございます。
この要因ということで、先ほども少し触れさせていただきましたが、転入超過の要因、特に若い方、女性が多いということで、今まさに地方創生二・〇ということで我々が考えておりますのが、地方の人口流出の抑制ですとか、それから東京一極集中の是正ということで、いかに若者、女性にも選ばれる地方をつくるかというのが課題というふうに考えております。
そういう意味では、この問題はなかなか、いろいろな要因があると思いますが、例えば、男女間、地域間の賃金格差ですとか、性別役割分担意識による就労継続、管理職の登用への妨げ、それから、よく言われます地方におけるアンコンシャスバイアス、無意識の思い込み、こうした様々な課題を解決しなきゃいけないというふうに考えてございます。
今後、その目標という意味では、今まさに地方創生二・〇の具体化に向けた議論を進めさせていただいておりまして、その中で、今後の目標の在り方についても、地方創生の成果、反省、それから、昨年末、今申し上げました基本的な考え方というのを少し整理しておりますけれども、そうしたものを踏まえて、本年夏の基本構想の策定に向け、しっかり議論してまいりたいということでございます。
○福田(玄)委員 しっかりとその点について目標を持ってやっていくということであると思うんですけれども、私はもう少しターゲットを絞ればいいんじゃないかなと思っていまして。例えば、高校を卒業して、若しくは大学を卒業して、その後、東京で就職をして、よく聞く声としては、大体五十代に入ったあたりぐらいから親のことも気になる、そろそろ地元に帰りたい、けれども地方に帰っても仕事がないというような話も聞くことがあります。そういった世代が帰りたいと思ったときに帰れる選ばれる地域、まず何がないかというと仕事がないという話が出てくるんですね。やはりそういった部分にある意味では的を絞って、地域との交流が必要だということで登録制度をつくったり、いろいろなことを努力されているとは思うんですけれども、もう少し明確にというか、スコープを狭めて、こういった世代をこれぐらい移るんじゃないかと。
例えば、地域おこし協力隊、一万人というような数字が出てきたりもしますけれども、なかなかこれも、一万人採用したところで、そこに残っていく人たちがいるかというと、まだまだそこまでは至っていないというケースが多く散見されると思っていますので、まずは、そういった部分で仕事をつくっていくということが重要ではないかなと思いますので、そのこともしっかりと含んでやっていただきたいというふうに思います。
続きまして、先ほど松尾議員からの質疑の中にもございましたが、会計年度任用職員、先日少し触れさせていただきましたが、質問をさせていただきたいと思います。
前回、会計年度任用職員の産休、育休を理由にした不利益な扱いがあってはいけないということを質疑させていただきました。前回、不利益な扱いはできないということになっているという御回答をいただきました。一方、先日もお配りした資料、中国新聞の二月十二日の記事にも、朝刊に、実態としては不利益が疑われるケースも耳に入っているところでございます。
今年の一月十五日に、NPOからの訴え、ディスカッションに総務省さん、厚労省さん含めて参加をされているということでございますが、その内容について総務省の皆さんはどのように把握をされているのか。また、この件について、表面にはなかなか出てこない事項であるわけでありますが、詳細な実態把握のための調査をするべきと考えますが、総務省としては調査をするお考えはございますでしょうか。
○小池政府参考人 委員御指摘のとおり、先月十五日に、総務省などの職員と関係団体の方々との間で、会計年度任用職員をめぐる課題について意見交換をさせていただきました。
その際に、産前産後休暇や育児休業の取得を理由に雇い止めに遭ったと訴える会計年度任用職員の方の声があったことについては承知しております。
調査をするかどうかという御質問でございますけれども、会計年度任用職員につきましては、令和六年度も公募によらない再度の任用回数の運用状況などを詳細に調査しているところでございますが、育児休業取得者など特定の属性の人が再度任用されたかどうかについては、各自治体の具体的な任用に関わることでもありますので、総務省において調査することは考えておりません。
他方、御指摘がございましたように、産休や育休を理由とする不利益な取扱いは地方公務員法や地方公務員育児休業法によりまして禁止されておりまして、制度上、不利益な取扱いはできないことになっております。
この取扱いについては会計年度任用職員であっても同じでございますので、地方自治体に対してもQアンドAによりお示しするとともに、令和四年に作成をして自治体に提供した地方公務員両立支援パスポートの中でも、育児休業の取得を理由とした不利益取扱いの禁止について記載をしております。
自治体の中には、この取扱いを明記した冊子を作成して職員へ周知している団体もあり、職員が安心して育児休業を取得できる環境づくりにつながる先進的な取組事例として周知を図っているところでございます。
総務省としましては、各自治体において育児休業の適正な運用が行われるよう、今後とも情報提供や助言をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
○福田(玄)委員 状況は把握をされて、そういう声があるということを把握されているということでございますが、やはり不利益な取扱いをしてはならないということになっていますので、退職の理由としては出てこないわけですよね。出てこないんだけれども実際にあるということで、雇い止めをしている、雇い止めている方も悪意があってやっているかどうかということではないんだとは思うんですけれども、やはりこれだけ人が足りない、人が足りないと言っている中で、そういった理由で雇い止めが実際に起こっている状況がある、実際にあるのかどうかということは、妊娠中に契約が変わらなかったという実態自体は把握する必要があるのではないかと思います。
と同時に、もうちょっと制度を周知徹底していただいて、中には、まだまだ行き渡っていなくて、会計年度任用職員には産休、育休で休みを取らせちゃいけないと思い込んでいらっしゃる、そんな管理職の方もいるやに聞いております。ちゃんと実態を把握した上で取組は進めていかなければいけないと思います。
今、御答弁の中では調査する予定はないということでしたが、もう一度、どうでしょう、是非、調査、何とかならないかなと思いますけれども。
○小池政府参考人 個別の任用に関しまして、お一人お一人がどういう理由で任期が延長されなかったかとか、そういったことについて、総務省としてなかなかお一人お一人の状況まで把握するのは困難でございますけれども、育休を理由として雇い止めをしてはいけない、任期を切ってはいけないということはとにかく大原則でございますので、その点がしっかり周知されるように我々としては取り組んでまいりたいと考えております。
○福田(玄)委員 是非、産休、育休が取れるのであるということも周知をしていただいて、そのことが実際に現場でしっかりと行われるような状況が生まれるということが必要だと思っていますので、是非よろしくお願いを申し上げます。
最後の質問に入らせていただきたいと思います。子供の貧困にちょっと関わる話をさせていただきたいと思っております。
地方交付税の措置の中で、学校教材の整備につくお金が、令和二年度から十年にわたり、単年度で八百億円の措置がされています。学校で使われる教材の整備に使うことができるということになっております。
子供の貧困対策の面からも、この整備の資金が有効に活用されるべきだというふうに思いますが、例えば、昔は入学するときに、書道のセットであるとか、それから裁縫道具のセットとか鍵盤ハーモニカとか、小学校に入ったり中学校に入るときに買わされていたと思うんですけれども、こういったものも含めて千七百品目ぐらいのメニュー、これは一年八百億円ですから、十年やったら八千億になるわけです。こういったものがメニューに含まれている、教材の整備ができるという予算があるわけであります。
こういったメニューがそろっているにもかかわらず、例えば整備資金が大きいものにしか使えない、プロジェクターを買ったりとかパソコンを買ったりとか、そういったものにしか使えないというふうに、これも思い込まれているような教育委員会や学校現場があるというふうに聞いておりますが、総務省としてはこの実態を把握されていますでしょうか。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
学校教材の整備につきましては、文部科学省が策定しておられる教材整備指針でありますとか教材整備計画を踏まえて、各自治体の判断で整備を実施されているというふうに承知しております。
地方交付税は使途の定めのない一般財源でございまして、各自治体の個別の整備状況については総務省としては把握をしておりませんけれども、文部科学省におきまして教材費の全国の決算額を調査して自治体に通知しているというふうに承知しております。
○福田(玄)委員 これは文科省さんの管轄であるので、詳細を把握していないということで、それは仕方ない部分はあると思いますが、生活者の暮らしがだんだんだんだん厳しくなっているという中で、買ったけれども使い回していいんじゃないのというものは結構学校の教材の中にあると思うんですよね。
しっかりと予算もこうやって措置をされているということです。あとは、しっかり使われて家計が、そして子供を持っている家庭が少しでも楽になるということが大切だと思いますが、周知の状況が現場レベルでばらばらであるということでは、せっかくの資金が活用されないという状況があると思います。これを再度周知徹底するように、これは文科省さんとも連携してだと思いますが、お考えはいかがでしょうか。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
制度の周知の徹底が重要であるというのは、委員御指摘のとおりかと思います。教材整備指針及び教材整備計画の内容でありますとか、これに基づく地方財政措置につきまして、文部科学省から各都道府県の教育委員会に対して事務連絡を発出するほか、自治体向けの説明会においても周知をしているというふうに承知しておりますが、総務省としてもこうした文部科学省の取組に引き続き協力をしていきたいと考えております。
○福田(玄)委員 是非、いいことをやっていただいているので、そのことが実行されていくように各省庁連携をして取り組んでいただきたいなというふうに思います。
少し時間が残っていますので、質問ではありませんが、昨日、私、国民民主党の有志の議員と北海道の千歳市に、ラピダス、最先端の半導体の工場が今建設をされています、この視察に伺わせていただきました。いろいろなところで話を聞くと、厳しい厳しいという話ばかりしか聞こえてこない今の日本ではありますが、非常に前向きな、明るい、政府としても大きな投資をしている案件でございました。北海道自体は経済が本当に厳しい状況であると思っておりますが、その中で、このラピダスを中心にして新しい雇用が生まれて、そして新産業が生まれるというような、そういったお話を伺ってきたところでございます。
そして、熊本では、TSMCという台湾の企業が半導体の工場を今整備されて稼働していますが、渋滞対策が非常に大切だということですね。すごく熊本はいろいろなところが渋滞して、地域住民は困っていたんですね。
ラピダスはこれを見て何をやったかというと、一日三百便バスを出して、車で通わせない、工場には。地域の拠点を決めて、そこからバスでずっと往復させるから、地域に渋滞も発生していなくて、非常に地域の活性化に役立っているということだったんですが、同時に、先ほど大臣からもありました、バスの運転手、バスを回そうと思って探したときに、公共交通のバスがいないから、タクシー会社さんにバスを出してもらうようなことになっているということです。そういったところにまさに需要があって、そこに仕事が生まれて人が帰っていける、地方創生につながる部分があると思いますので、こういった状況もしっかりと認識をしていただいて、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
貴重な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、山川仁君。
○山川委員 れいわ新選組の山川仁です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回は、基地交付金及び調整交付金についての質疑を時間の許す限り行いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
沖縄県には、御承知のとおり、米軍だけが使っている基地、米軍専用施設は、日本にあるうちの約七〇%が沖縄に集中をしています。その規模は、東京二十三区のうちの十三区を覆ってしまうほどの広大な面積だと言われているところです。
これまで、沖縄に寄り添う、沖縄の負担軽減に努めるという言葉もむなしく、米軍関連の事件、事故が後を絶たないどころか、沖縄県民の大半を不安に陥れている現状を是非知っていただきたいなと思っております。また、再発防止策や沖縄県民の声を真摯に受け止めるように、その言葉がありますが、到底そのような姿勢にはなっていないというふうに私は受け止めているところです。
しかし、村上総務大臣におかれましては、所信演説において、国民が安全で安心な生活を送るためには日本の最後のとりでと言える総務省の果たす役割はますます重要になると国民へ伝えた言葉を私たちも重く受け止め、この最後のとりでが真の国民の思いへしっかりと向いていることを期待しながら今回質疑を行いたいと思いますので、大臣、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
まず一つ目に、基地交付金及び調整交付金が昭和何年に施行され、これまで何回の改正を行いながら、どのような内容が修正、追加されてきたのか。そして、基地交付金及び調整交付金は、性格上、固定資産税の代替的な財政補給金として市町村に交付されるとしておりますが、なぜそのような代替的なルールを設けたのか、根拠を分かりやすく端的に説明いただきたいと思います。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の基地交付金につきましては、米軍や自衛隊の施設といった国有資産が非課税とされている一方で、これらの施設が市町村の区域内に広大な面積を占め、市町村の財政に大きな影響を及ぼしていることを考慮し、昭和三十二年に創設されたものでございます。
また、調整交付金につきましては、米軍が建設し又は設置する資産につきまして、基地交付金が交付されていないこととの均衡等を考慮いたしまして、昭和四十五年に創設されたものでございます。
お尋ねの基地交付金等の性格でございますが、これら施設等が所在することによる市町村の財政需要に対処するために、固定資産税の代替的性格を基本としながら、使途の制限のない一般財源として、施設等所在市町村に対して毎年度交付されるものでございます。
基地交付金に係る主な改正といたしましては、対象資産の追加を順次行ってきたところでございます。昭和三十四年に自衛隊が使用する弾薬庫及び燃料庫、昭和四十九年に飛行場及び演習場に係る建物及び工作物、平成十七年に自衛隊が使用する通信施設が追加されたところでございます。
○山川委員 ありがとうございます。
次に、この基地交付金、調整交付金を受けた自治体、それ以外の自治体がどのような算定式になっているのかという、今、根拠をお伝えしたと思いますが、算定的な、どういうふうな基準で交付金を措置されているのかというところがなかなか見えづらいと思います。全国の基地交付金若しくは調整交付金に対しての、北海道から沖縄県までの全ての都道府県において、是非、調整交付金、基地交付金、この二つの交付金で、自治体の普通交付税への影響に対して、プラスもあればマイナスもあるところもあると思います。そういったところを、再三申し上げて申し訳ないのですが、この基地交付金、調整交付金の算出根拠などを示してほしいなと思っておるところです。
それに伴う、全国の全てのというふうになると大変ですので、沖縄県内の四十一市町村のデータの資料だけでも、今日の答弁ではなくて、後ほど資料の提供、データを出していただきたいと思いますが、総務省としてその対応ができるのかどうか、確認をお願いします。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
まず、基地交付金及び調整交付金の配分方法でございますが、資産価格による按分を基本としつつ、建物等の種類、用途や財政状況等を考慮しながら、一定のルールに基づいて配分しているところでございます。
なお、固定資産税につきましては、普通交付税の算定上、基準財政収入額に算入されますが、基地交付金及び調整交付金は、標準的な税収入とみなされず、基準財政収入額に算入されません。
したがいまして、基地所在の市町村の普通交付税の交付額への影響はございません。
お尋ねの沖縄県の市町村の交付額等につきましては、また別途、御相談させていただきたいと考えております。
○山川委員 ありがとうございます。是非お願いしたいと思います。
なぜそのような話をしたかといいますと、基地交付金の関連法令等々を見ていますと、やはりどうしても様々なところが見え隠れしているような状況がありますので、しっかりとデータを示して、どのような算出方法になっているのかというのはちょっと根拠を知りたいということです。是非お願いしたいと思います。
固定資産税の代替的な財政補給金というものが、過重な基地を全国の約七〇%も押しつけている沖縄県とほかの都道府県とどのような交付金の割合となっているのか、少し私なりに調べさせてもらいましたが、令和六年度の国有提供施設等所在市町村助成金及び施設等所在市町村調整交付金というものから調べさせてもらいました。交付金一覧から全国と沖縄を比較した数字を調べさせてもらいますと、まず例として、政府がよく言葉にする、普天間基地は世界一危険な飛行場であるという宜野湾市が、基地交付金においては一億九千二百万円余り、調整交付金は四億七千九百万円余り。そして、全国、北海道から九州、鹿児島までの合計がどうなっているのか。基地交付金が全国で二百七十一億一千七百二十万六千円で、沖縄の場合は、基地交付金だけを沖縄全体でくくると、沖縄は二十八億二千二百七十九万六千円、約一割ですね。調整交付金においては全国は、北海道から鹿児島まで、全国でいうと二十八億八千三百十七万三千円、沖縄だけの調整交付金というと四十七億一千六百八十二万七千円という、約六割程度となっています。
全国で七〇%近くも基地負担を押しつけて、その一割しか基地交付金の按分しかないという、その状況のバランス、この内容について、当然、総務大臣も御存じかと思いますけれども、そういったことを踏まえて、沖縄県の過重なこの基地負担について、公平な交付税の措置が取られているのか、そうでないのか、総務大臣の見解を伺いたいと思います。
○寺崎政府参考人 事実関係についてお答え申し上げます。
沖縄を含む基地負担、大変御負担をかけていること、政府の一員として十分認識をしておるところでございますが、この配分方法につきましては、基地交付金、調整交付金、先ほど申しましたように、資産価格による按分を基本として、対象となる建物等の種類、用途や財政状況等を考慮しながら一定のルールに基づいて配分させていただいておるところでございまして、このような形で毎年の交付額を決定しているところでございます。
○村上国務大臣 今、局長さんが答えたとおりで、私自身としては、法令上においてはそんなに大きなあれはないような気がします。
○山川委員 法令上は確かに、今の置かれている法令上の中ではそのような按分で、基地負担の過重な負担だけを押しつけながら、交付税の措置はこういったアンバランスな措置だと言わざるを得ないと思います。
ただ、大臣として、先ほど私が冒頭で言ったように、最後のとりでですよ、最後のとりでの大臣として、今の見解、先ほどるる各委員に個人的な見解でありますがという表現も使っていましたので、個人的な見解でどのように考えますか、この辺り。
○村上国務大臣 私は、野中さんや橋本さんと非常に懇意にさせていただいたので、野中さんや橋本さんは非常に惻隠の情のある方でした。だから、沖縄の基地の負担軽減については、私の所管外でありますけれども、政府の一員として、外務省や防衛省等の関係省庁と連携して一生懸命努めてまいりたい、そのように考えております。
○山川委員 ありがとうございます。
過重な基地負担を押しつけながら、固定資産税の代替的な財政補給金という不平等なルールを設けて、設け続け、施行から約六十八年間も負担軽減の財源すら搾取するような、差別的な愚策ではないか、私は沖縄県民の一人としてそのように今思っているところです。
そういった中で、固定資産税の代替的な財政補給金としていること、例えば東京の土地価格が沖縄県の土地価格とは当然大きな差があるわけです、固定資産税の配分をするということは。その中で、直近を調べましたけれども、東京の土地価格、一坪三百八十九万ですよ、しかし沖縄は一坪三十五万程度、この開きがあるわけですね。
それを、当然、今の固定資産税の代替的な対応という形になると、それだけやはり開きが出てくるわけですよね。ただ、でも、押しつけている負担、沖縄特殊事情、皆さん方、歴史も御存じですよね、その中で、政府が一体となって、日米安保の、沖縄の県民が防波堤となっているからこそ日本が安全で日米同盟が組まれているという、その中でこのような対応のルールで本当にいいんですかという話です。
そういったことを踏まえて、これまで、この負担は比例するものではありませんが、固定資産税の代替的な財政補給金という性格の交付金は、沖縄へ負担を押しつけておいて、昭和三十二年、一九五七年から基地交付金が施行され、調整交付金は昭和四十五年、一九七〇年でありますが、交付金制度のルールでそれを公平な根拠とするのはおかしな話だと考えております。
皆さん方はそのルールで運用をずっとしているかもしれませんけれども、それを、本当に沖縄を、負担軽減に努めますという本当の真摯な気持ちがありますか、皆さん方。全くそれが伝わらないんですよね、そういったところからも。その中で、省庁別で縦割り行政をしても国民には、また沖縄県民にも理解もされるわけではありませんので、是非しっかりと公平な対応をしていただければと思っています。
戦後八十年、これまで全国で公平な基地負担を享受せずに、日本の安全保障という防波堤、重い負担だけを沖縄に背負わせるような、他人事のような対応はよしていただきたいと思いますが、是非これからそのような思いを、今大臣もるる歴史ある沖縄を思っていただいた方々のお話をされていましたが、その中で、村上大臣、是非、沖縄の現状、また、どのような環境にあるのか、国民が安全で安心な生活を送るため、日本の最後のとりでと言える総務省の果たす担当大臣として、今年度中の沖縄視察を是非求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○村上国務大臣 今年度中ですか。(山川委員「是非検討してください」と呼ぶ)
御高承のように、今の現時点では本予算をどうしたら一日も早く通すかということと、それから、それに伴う法改正ですね、いろいろあります。ただ、六月が終わってすぐ参議院選挙があるので、勝たせていただければ行けますけれども。だから、要するにそのときの状況によって変わると思いますけれども、気持ち的にはなるべく早く行きたいなとは考えております。
○山川委員 ありがとうございます。
是非、選挙もあるかもしれませんけれども、大臣、国民を守る、また、沖縄県民に寄り添っていただくという意味で一日も早く沖縄の現状を知っていただいて、その現状を知るとともに、基地負担の在り方、税の在り方をまた、沖縄にも還元をしていただければと思っていますので、よろしくお願いします。
今回、少し、時間もありませんが、ちょっと駆け足で、大和市と厚木基地の課題というのがありまして、大和市の方からいろいろな提案がされています。今回、基地交付金が固定資産税の代替的性格を有する交付金とされておりますが、その額について、固定資産税相当額に見合っていませんという大和市の見解。また、航空機の安全な運航のため、航空法に基づいて建物の高さが制限されるエリアが大和市では市域の約六割にも及ぶことにより、町づくりへの支障や経済的損失が生じています。基地交付金等の算定の対象は基地施設の資産に限定されているため、航空機の運用に伴い基地施設外に及ぶ影響は考慮されておりませんとされています。
その中で、米軍基地が所在する自治体のみが影響を受けることではないのは御承知のとおりですが、隣接する自治体も昼夜問わず、これは沖縄県もそうですが、昼夜問わずルールを無視した戦闘機が爆音を鳴らしながら、オスプレイが飛んだり、すごいんですよね、沖縄も。
そういったことで是非、パラシュート訓練もしています、地元が歓迎していない日米の合同訓練等々も様々ありますが、このような施設、資産というくくりで交付税措置があるのが今現時点で間違いであり、沖縄県内全域の市町村に戦闘機の爆音、それも深夜もあり、事件、事故などの悪影響、被害をもたらしていることを考えれば、県民の未来への資産に大きな影響を及ぼしていて、直ちに関係法令を改正し、幅広く沖縄の基地負担軽減に取り組むべきだと考えます。
例えば、東京に合わせた固定資産税の一律の算定で交付をするとか、若しくは米軍属の人数を加えた調整交付金の在り方をするとか、米軍がルールを無視したら交付金措置のインセンティブの措置を行うとか、負担軽減とはまずそういうことから始めてもらいたいが、できない理由を探す前に、どうしたら沖縄県民に寄り添うことができるのか、これまでの不公平な措置も併せた遡及も検討し、財政措置を行うべきだと考えますが、大臣の見解を伺います、時間がありませんので。
○寺崎政府参考人 恐縮でございます、お答え申し上げます。
先ほどから申し上げているとおり、基地交付金、調整交付金は、米軍や自衛隊施設等が所在することによる固定資産税の代替的性格を有するものでございますので、これらの施設が所在しない市町村に基地交付金等を交付することは困難であることについて御理解賜りたいと考えております。
○村上国務大臣 今の局長の答弁でございますけれども、沖縄の基地負担軽減については、先ほど申し上げたように所管外になるんですけれども、沖縄に今なお多くの米軍施設等が存在して大きな御負担をかけているということはおっしゃるとおりだと思います。沖縄の皆さんの御理解を得る努力を継続しながら、基地負担軽減に全力で取り組むことが政府の方針だと考えております。政府の一員として、外務省や防衛省等の関係省庁と連携しつつ、沖縄の基地負担の軽減に努めてまいりたいと考えております。
以上であります。
○山川委員 ありがとうございます。
大臣、基地問題は所管外ではなくて、基地問題から地方自治が壊されているんです、沖縄県は。地方自治ということは総務省の管轄。そういった意味では、省庁別に考えると、基地という表現でそのような話をするのではなくて、国民を守る総務省の最後のとりでの大臣として私は期待して、村上大臣に今お願いをしているんですね。
そういった意味で、是非、地方自治を壊されないように、そして、しっかりと交付税、交付金の今の、昭和三十二年、昭和四十五年に施行された、あのときの時代と今の時代と全く違いますので、その運用を改善しながら、沖縄県民に寄り添う、そういった大臣であってほしいなと強く思っています。
その中で、基地問題が私たちは一番の人権の問題であり、総務大臣として沖縄県民と認識の開きがないように沖縄に寄り添う、そして、令和という時代の中で国民を守り、最後のとりでとして基地交付金、調整交付金が沖縄県民を始め多くの交付団体の新たな時代に即した制度となるよう、もう一度、大臣、是非とも個人的見解も踏まえて答弁をお願いします。
○村上国務大臣 翁長元知事さんとはいろいろありましたもので、地方自治を所管する総務大臣としましても、国民生活に密着した総務行政の推進に全力で取り組んでいく姿勢で、沖縄についても寄り添った考えを持って頑張っていきたいと思っています。
○山川委員 ありがとうございます。
では、以上で終わります。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日も、地方の問題、兵庫を発端にした問題を取り上げてまいります。SNSにおけるデマや誹謗中傷の拡散について、今日は、プラットフォームの責任を問う、そういう質問をやりたいと思います。
十八日の質疑でも取り上げた兵庫県知事選挙では、脅迫とも言える行為も行われていました。NHKから国民を守る党党首である立花孝志氏は、わざわざ百条委員会の委員長の自宅の前で、聴衆の前で演説をして、出てこいとインターホンを鳴らして、余り脅しても、自死されたら困るので、このくらいにしておきますと述べました。また、委員長は、大変強い恐怖心を覚え、家族にも避難をしてもらった、日常とは違う生活をせざるを得なくなり、いろいろな業務に支障が出たと語っております。
また、先日取り上げた、亡くなった竹内英明元兵庫県県議に対しても、家に行くぞと立花氏が配信したところからSNSでの誹謗中傷がひどくなったと伝えられております。立花氏は、要は一人狙い撃ち、いじめの原則、いじめるときはいっぱいいじめたら駄目、誰か一人にいく、周りがびびってひっくり返るとも語っています。
昨年の知事選挙において選挙結果に大きな影響を及ぼしたと考えられるこの立花氏のユーチューブ投稿は百本以上、再生回数は一千五百万回。また、立花孝志氏の公認の切取りチャンネルは一千三百万回。芸能人やジャーナリストの投稿も注目を集めたということであります。
その中で、真偽不明のデマも流されて、誹謗中傷も行われました。亡くなった元県民局長に対しては十人との不貞行為があったと言いながら、選挙が終われば、根拠は薄いと、平然と撤回をしております。余りにもひどい言動だと言わなければならないと思います。立花氏は、竹内元県議が亡くなった後も、港湾利権がある、元県議が何らかの犯罪で任意の取調べを受けていたことは間違いないなどとした、陰謀論の類いの根拠のないデマを発信して冒涜しております。
警察庁に聞きますけれども、兵庫県警の本部長は一月二十日の県議会で、これらの発信は事実無根と、立花氏の発言を否定しております。どのような判断でこういう発言を行ったんでしょうか。
○松田政府参考人 お答えいたします。
本年一月二十日に行われた兵庫県議会警察常任委員会において、兵庫県警察本部長がお尋ねの答弁をしたことは承知しております。
一般論として申し上げれば、警察においては、事件に係る情報の公表ということにつきまして、公表することによって得られる公益と関係者のプライバシー等の権利利益、公表が捜査に与える影響等を個別の事案ごとに総合的に勘案して、公表の適否、公表の内容を判断しております。
お尋ねの警察本部長の答弁につきましては、議会での質問に対しまして兵庫県警察本部長としての考えを述べたものと承知しておりますが、これは今申し上げた諸事情を総合的に勘案した上でのものと認識しております。
○辰巳委員 今ありましたように、公益性などを勘案してという話でございましたので、つまり立花氏の発言を否定することは社会全体にとって有益であり、逆に放置することは社会にとって有害である、看過できないということだったということだと思います。
県警の本部長は、県警幹部が否定したというようなことでは拡散は止まらず、トップである自分が議会の中で答弁する方が効果的、合理的だと考えたということで、今日おつけしている資料でもメディアのインタビューにも答えております。しかし、同時に、そこまでしなければこういったデマ、誹謗中傷の類いの拡散を止められなかったということも言えると思うんですね。
大臣は、十八日の質疑の中で、正論や本音が言えなくなるんだ、民主主義の危機だ、こう答弁されたわけです。私もそのとおりだと思うんですね。
議会制民主主義は、選挙の際、国民が投票する際に判断材料とするための情報を自由かつ均等に取得して選挙権が行使できる、これが大前提だと思います。だからこそ、二馬力選挙というのが問題になるわけです。デマやフェイクというのは、選挙権を適切に行使するための判断材料を与えるどころか、それをゆがめて、そしてそれが選挙結果にも影響し得るという意味において民主主義の脅威となると私は思います。あるいは、民主主義の土台となる選挙プロセスそのものが破壊をされてしまう、ここに問題があるというふうに思います。
本来SNSは人々がつながり合えるツールのはずなんですが、人々を傷つけて分断するツールにもなっております。立花氏の言動は絶対に許されない。しかし、同時に、立花氏の発信を信じ込み、あるいは彼の犬笛に反応してネットリンチに参加をしてしまうユーザーもいるわけです。その責任も問われるべきだと思います。だけれども、ではなぜこういうことが起きるのか、そのようなデマやフェイクや誹謗中傷の舞台を提供しているプラットフォームに責任はないのか、私はここを問いたいんですね。
総務省に確認しますけれども、情報通信白書二〇二三年版ですけれども、今日資料にもおつけしております。アテンションエコノミーが広がり、それに伴いフィルターバブル、エコーチェンバーといった現象が起きる、それが社会の分断を誘引して民主主義を危険にさらす可能性もあり得るという記述があるんですけれども、これは一体どういう記述なのか、詳しく説明していただけますか。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、アテンションエコノミーと申しますと、情報過多の社会におきまして、供給される情報量に比して人々が支払えるアテンションないし消費時間が希少となることから、それらが経済的価値を持って市場で流通するような経済モデルを意味すると承知いたしております。
次に、フィルターバブルですけれども、アルゴリズムによってインターネット上で利用者個人のクリック履歴に基づく情報が優先的に表示されるという結果、自身の考え方や価値観に近い情報ばかりに囲まれる、いわば泡の中に包まれるような状態を意味すると承知しております。
さらに、エコーチェンバーとは、自分と似た興味、関心を持つユーザーが集まる場でコミュニケーションする結果、自分が発信した意見に似た意見が返ってきて、特定の意見や思想が増幅していく状態を意味すると承知しております。
社会的分断や民主主義を危険にさらすという記述がございますけれども、これは、先ほど申し上げた現象を背景としまして、人々が多様な情報を受信できずに適切な判断を下すことが困難となり、インターネット上で集団の分極化が進み、結果として社会経済の混乱や民主主義への悪影響をもたらす可能性があるということを意味するものと承知しております。
○辰巳委員 アテンションエコノミーが前提となったSNSの空間において、ファクトよりも刺激的な打ち出しが優先をされる、フィルターバブルでそれに対抗する言論は入ってこずに、エコーチェンバーでデマや虚偽が固定化されてしまう。今回は、立花氏だけではなくて、同様の主張をいわゆるインフルエンサーや地上波テレビでも目にするジャーナリストが行って、デマや真偽不明の事柄を信じ込んでしまう人が出たということだと思います。
もちろん、言論そのものに権力、政府が立ち入ることは許されません。同時に、アテンションエコノミーが支配するネット空間において言論の自由、思想の自由、知る権利が保持されるために、有効なルールも必要になってきているのではないか。虚偽の情報の方は、そうではない情報と比較して速く拡散されるという研究もあります。つまり、アテンションエコノミーが前提となるネット空間においては、広告収入目的で事実は二の次、虚偽あるいは刺激的な内容のものがより確信犯的に発信をされるということになるわけです。
大臣にお伺いするんですけれども、利用者の広告効果を最大化させるというアテンションエコノミーによるアルゴリズム、利用者の行動データに基づいてどういうコンテンツを配信するのか決定するルールのことをアルゴリズムといいますけれども、これがフェイクニュースや誹謗中傷をする投稿が拡散されてしまう根底にあるということであれば、SNSの収益構造、ビジネスモデルそのものが被害拡大の一端を担っている、こういうことが言えるんじゃないですか。
○村上国務大臣 私も辰巳委員と同じような認識を感じております。
クリック数に応じて収益が発生するSNSのビジネスモデルは、情報通信白書で指摘しているように、その負の側面として、過激なタイトルや内容の記事等を生み出し、偽・誤情報の拡散等を助長させる構造を有しているというふうに考えております。その危険性は非常に大きいと心配しております。
○辰巳委員 危険性が大きいということなんですけれども、だとすればですよ、大臣、だとすれば、こういったフェイクやデマを拡散させてしまう土台をつくっているプラットフォーム自身にフェイクの拡散を防止する責任があるんじゃないでしょうか。
○村上国務大臣 おっしゃるとおりで、偽・誤情報の中には、明らかに他人の権利を侵害するような情報もあれば、直ちに偽かどうかが分からない情報も含まれていると思います。
憲法上、今委員も申されたように表現の自由が保障されておりますので、そもそも利用者が投稿したどのような情報に対してプラットフォーム事業者がどう対応すべきかは、事業者側の情報の真偽の判断能力も含め、大変難しい課題であるというふうに認識しております。
一方、私としましては、デジタル空間における情報流通の主要な場であるSNS等を提供するプラットフォーム事業者には偽・誤情報等の低減に向けて社会的責任があり、各事業者が実効性のある取組を進めていくことは重要である、そのように考えております。
例えば、国民一人一人のリテラシーの向上のため本年一月に立ち上げた官民連携プロジェクトでは、プラットフォーム事業者が、意識啓発に加え、信頼性の高い情報をSNS等のサービス上で優先表示するといった工夫を実施するなど、主体的な取組を行うことが期待されております。
総務省としましては、インターネットの偽・誤情報について、引き続き、国際的な動向も踏まえつつ、表現の自由に十分配慮しながら、総合的な対応を積極的に進めていきたいと考えております。
○辰巳委員 本当に実効性があるのかということが問われると思うんですね。社会的責任がある、そのとおりだし、自主的な取組、しかし、自主的な取組で誹謗中傷やデマやフェイクというのがなくなっていないから問題になっているわけですよね。ここにどう取組を強化させていくかということが問題になるというふうに思うんです。
海外での規制や対策というのはどうなっているのかということなんですが、EUは大規模なオンラインプラットフォームなどに対して、偽・誤情報を含む違法で有害なコンテンツを拡散する際に生じる重大な社会的リスクに応じて、より厳しい対応を求めています。例えば、違法コンテンツの拡散や人権などの基本的権利、表現の自由等への悪影響に関するリスクの分析と評価、そしてそのリスクの軽減措置というのをEUでは求めているんですけれども、日本には今、現行法上、同様の規定はあるんでしょうか。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
EUにおきましては、委員から御指摘がありましたように、利用者の保護あるいは安全なオンライン環境の構築を図ることを目的に、デジタルサービス法が昨年二月から本格実施となっております。
この法律は、オンラインプラットフォーム事業者による違法コンテンツの削除要請に対する受付体制の整備、あるいは削除等の基準、その運用状況に関する公表を含めたルールを幅広く定めておりまして、このような規律につきましては、昨年我が国で成立した情報流通プラットフォーム対処法においても類似の制度が定められております。
一方で、EUのデジタルサービス法では、超大規模オンラインプラットフォーム事業者や超大規模検索エンジン事業者に対し、委員御指摘のようにリスク評価、軽減措置を義務づけております。リスク評価は、これらの事業者のサービス、アルゴリズム等の関連のシステムの設計、機能等に起因するリスクを自ら特定、分析、評価するものであって、このリスクには違法コンテンツの拡散や表現の自由に対する悪影響なども含まれるというのは御指摘のとおりと承知しております。また、軽減措置につきましては、このような特定されたリスクに応じて、例えばサービス設計や機能の調整、利用規約とその実施方法の調整などを行うことが求められております。
このようなリスク評価、軽減措置につきましては、日本では類似の制度がないものと承知をしております。
○辰巳委員 ですから、EUは一歩踏み込んでいる部分がやはり日本よりはあるということなんですね。しかも、EUは、DSA、デジタル・サービス・アクトという法律ですけれども、違反をすればそのプラットフォームの全世界の売上げの最大六%を課徴金として支払わなければならない。全世界の売上げですからね、物すごい金額になる、それだけのものをやっているということなんですね。
罰則だけではないんです。例えば、透明性の確保、あるいは意識、規制が強いのもEUの特徴なんですね。EUのレコメンダーシステムについての規制がどのようなものか、どう把握しているかをお答えください。
○玉田政府参考人 お答えいたします。
利用者の行動履歴などに応じて、その利用者に最適な情報を推奨するレコメンダーシステムは、多くのプラットフォーム事業者が導入しているものと承知をしております。
デジタルサービス法におきましては、プラットフォーム事業者に対しまして、自社のレコメンダーシステムで使用される主な基準、すなわちパラメーター、また、この主なパラメーターを利用者が変更できる選択肢などを平易かつ分かりやすい言葉で利用規約に定めることを義務づけております。
また、超大規模オンラインプラットフォーム事業者や超大規模検索エンジン事業者に対しては、自社のレコメンダーシステムについて、利用者の行動履歴などを分析するいわゆるプロファイリングに基づかない選択肢を用意するよう義務づけていると承知しております。
日本では類似の制度はないと認識をしております。
○辰巳委員 つまり、フィルターバブルやエコーチェンバーの作用を弱める、そういう選択肢を利用者に提供しているというのがEUなんですね。これは非常に参考になると思います。
いま一つ重要になってくるのが、やはりリテラシーの問題だと思うんですね。
白書の中に、日本とアメリカとドイツと中国の四か国の調査を行っているんですね。そこで、検索結果やSNS等で表示される情報が利用者自身に最適化、パーソナライズされていることを認識しているかどうかを聞いたところ、日本では知っていると回答した割合が四四・七%、他国は八割から九割に上るんですね。あるいは、お勧めされるアカウントやコンテンツはサービスの提供者が見てほしいアカウントやコンテンツが提示される場合があるということについて、日本では知っているという回答が四割弱、他国は七割超なんですね。自分に近い意見や考え方に近い情報が表示されることについても、日本では知っていると回答した割合が四割弱、他国では七割から八割。これらの点で、圧倒的に日本のデジタルリテラシーは諸外国に比べて低いということが分かると思います。
今日は文科省にも来ていただいているんですけれども、これについて、情報リテラシーをどうやって高めていくのか、答弁いただけますか。
○日向政府参考人 お答えいたします。
学校教育における情報モラルの指導に当たっては、情報技術やサービスの変化等に対応できるよう、情報技術の特性についての理解に基づく情報モラルを身につけさせることが重要と考えております。
このため、情報技術の特性として、例えば、エコーチェンバーやフィルターバブルといった現象の理解、インターネット等で得た情報の真偽を確かめることの大切さを学ぶ動画コンテンツの提供や、教師を対象としたオンラインセミナーの実施により、学校における指導の支援に努めているところです。
○辰巳委員 SNSを利用した誹謗中傷や扇動は、社会を揺るがして分断して、民主主義の土台を掘り崩すおそれがあります。本来SNSが持つ、人とつながれる、ネットワークを広げられる、あるいは新しい情報に触れられる、そのような機能がより享受できる環境整備がされることを期待して、私の質問を終わります。
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○竹内委員長 この際、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し、山花郁夫君外一名から、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山花郁夫君。
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地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○山花委員 ただいま議題となりました地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。
現下の物価高騰が家計を直撃しています。そうした中、国民が納得できる説明が十分になされていないまま、いわゆる防衛増税の一環として、たばこ税の引上げ等が実施されようとしています。国民の負担を軽減するためにも数字ありきの防衛増税を中止すべきであり、道府県たばこ税及び市町村たばこ税においても、課税の混乱を招かないよう見直しを中止する必要があります。
また、原油価格の高騰や円安の影響等によるガソリン、軽油価格の高騰に対し政府が支給していた補助金が段階的に縮小され、今後も大幅な値上がりが見込まれています。事業者の負担を軽減するとともに、国民の皆さんの生活を守るために、当分の間税率を廃止し、軽油の価格を引き下げる必要があります。
次に、本修正案の内容を御説明申し上げます。
第一に、加熱式たばこに関する道府県たばこ税及び市町村たばこ税の課税方式の見直しに係る規定を削除することとしております。
第二に、軽油引取税の当分の間税率は令和七年四月一日から廃止するものとし、これに関連する規定を削除することとしています。また、現下の軽油を燃料とする自動車を用いて行われる運輸事業をめぐる状況に鑑み、引き続き運輸事業振興助成交付金を交付することとしております。このほか、政府は、軽油引取税の収入の減少が地方公共団体の財政に悪影響を及ぼすことがないよう、当該収入の減少に伴う地方公共団体の減収を補填するために必要な措置を講ずるものとしております。
以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十四分散会