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第5号 令和7年2月25日(火曜日)

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令和七年二月二十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 あかま二郎君 理事 塩崎 彰久君

   理事 島尻安伊子君 理事 おおつき紅葉君

   理事 岡島 一正君 理事 吉川  元君

   理事 黒田 征樹君 理事 向山 好一君

      石橋林太郎君    大西 洋平君

      加藤 竜祥君    川崎ひでと君

      草間  剛君    小池 正昭君

      小寺 裕雄君    小森 卓郎君

      佐藤  勉君    田所 嘉徳君

      中野 英幸君    古川 直季君

      松本  尚君    向山  淳君

      山口 俊一君    若山 慎司君

      阿部祐美子君   おおたけりえ君

      杉村 慎治君    宗野  創君

      高松 智之君    武正 公一君

      西川 厚志君    福田 昭夫君

      松尾 明弘君    眞野  哲君

      道下 大樹君    柳沢  剛君

      山花 郁夫君    藤巻 健太君

      守島  正君    福田  玄君

      中川 康洋君    沼崎 満子君

      山川  仁君    辰巳孝太郎君

    …………………………………

   総務大臣         村上誠一郎君

   総務副大臣        冨樫 博之君

   総務大臣政務官      川崎ひでと君

   総務大臣政務官      古川 直季君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   文部科学大臣政務官    金城 泰邦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (内閣府大臣官房審議官) 河合 宏一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中澤 信吾君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        北尾 昌也君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   出口 和宏君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           玉田 康人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        望月 明雄君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       牛山 智弘君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            湯本 博信君

   政府参考人

   (消防庁次長)      田辺 康彦君

   政府参考人

   (財務省主税局国際租税総括官)          細田 修一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       日向 信和君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           金光謙一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡本 利久君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           関村 静雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        和久田 肇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           高橋 正史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         岸谷 克己君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       井崎 信也君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木俊一君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     松本  尚君

  福原 淳嗣君     向山  淳君

  岡本あき子君     柳沢  剛君

  奥野総一郎君     阿部祐美子君

  中川 康洋君     沼崎 満子君

同日

 辞任         補欠選任

  松本  尚君     小森 卓郎君

  向山  淳君     草間  剛君

  阿部祐美子君     宗野  創君

  柳沢  剛君     眞野  哲君

  沼崎 満子君     中川 康洋君

同日

 辞任         補欠選任

  草間  剛君     小池 正昭君

  宗野  創君     奥野総一郎君

  眞野  哲君     岡本あき子君

同日

 辞任         補欠選任

  小池 正昭君     福原 淳嗣君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する山花郁夫君外一名提出の修正案並びに内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官、内閣府大臣官房審議官河合宏一君外二十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 今日は質問順を一番にしていただきまして、両筆頭並びに理事の皆様に御配慮いただきましたことを心より感謝申し上げます。

 また、今日は、地方税法、交付税法、さらには修正案が出ておるということでございますので、この修正案に対しても何点か質問をさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最初に、学校体育館の空調設備の光熱費への措置に関連をいたしまして、何点かお伺いをいたします。

 来年度の地方財政計画には、公立小中学校の体育館への空調設備が進められていることを踏まえ、その光熱費につきまして地方交付税措置を講じること、これが示されております。そこで、まず初めに、今日は文科省にも来ていただいていますが、文科省に伺いますが、公立小中学校の学校体育館における空調設備の最新の設置状況、どれぐらいまで進んでいるのか、さらには今後の整備計画について答弁をいただきたいと思います。

金光政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年九月一日現在における公立小中学校体育館等への空調の設置率は一八・九%と、全国的に低い状況にございます。近年の自然災害の激甚化、頻発化を踏まえると、その整備率の向上が喫緊の課題でございます。

 このため、今年度補正予算において、その整備の加速化を図るため、新たに臨時特例交付金を創設いたしました。現在、各自治体に対し、積極的に本交付金を活用して空調整備を行っていただくようお願いしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、こうした取組を通じ、整備のペースの加速化を図り、目標である令和十七年度までに空調設置率九五%の達成を図りたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 六年の九月段階で、まだ一八・九%と。自治体によっては、例えば東京都なんかはすごく進んでいるところがあるんですが、やはり地方においてはまだまだ進んでいない状況がございます。さらには、補正予算で加速化を進めるということで、十七年には九五%にいくという、こういったお話もいただいたところでございます。そこに対して光熱費において地方財政措置をするというのが今回の財政計画にあるということでございます。

 引き続き伺いますが、文科省の臨時特例交付金の対象となる公立の小中学校の体育館、これは実はそのほとんどが避難所に指定をされておる施設でございます。また、当然のことながら、避難所における空調設備や、今では重要なライフラインとなっておるスマホなどの充電などには、全て実は電源というのが必要となってまいります。しかしながら、これまでの能登半島地震や東日本大震災などの大規模災害では、電源そのものが確保をされずに長期にわたって停電が発生した、こういった事例もあったわけでございます。

 そのような意味からも、私は、災害時に避難所となる学校体育館については、現在まさしく整備が進められている空調設備とともに非常用電源の整備が必須であり、具体的には再エネ、太陽光等、さらには蓄電池を整備していくことが重要であるというふうに考えております。

 ちなみに、スフィア基準の中では、避難所における環境の持続可能性についても記載がされているところでございます。

 少し古い調査になって恐縮ですが、内閣府、消防庁の令和四年十二月時点の調査によりますと、全国で約八万二千ある指定避難所で、非常用発電設備のある施設は約六四%でございます。そのうち再エネ設備を整えているものは約五千四百施設、全体のまだ実は七%にとどまっております。この数字の上からも、その整備を加速すること、これが必要であるというふうに私は認識をいたしております。

 実は、私は環境省の大臣政務官をしておった時期がありますが、環境省では脱炭素とレジリエンス強化の同時実現の観点から指定避難所等への太陽光発電設備や蓄電池等の導入支援を行っております。

 この導入支援については、実は環境省だけではなく、まさしく事前防災の強化の観点から、防災を統括する内閣府、そして今後の防災庁、総理の主導していく中で今進めているものでございますけれども、こういったことを主導して、避難所の生活環境改善を下支えする基盤とも言える非常用電源としての再エネさらには蓄電池等の整備をまさしく国土強靱化の次期中期計画にしっかりと位置づけた上で大胆に加速化していくこと、これが私は必要であるというふうに強く感じておりますが、内閣府の見解をここで求めたいと思います。

河合政府参考人 委員の御質問にお答えいたします。

 小中学校を始めとした避難所における太陽光発電設備等の再エネ設備と蓄電池の確保は重要であると考えておりまして、防災基本計画においては、再生可能エネルギーの活用を含めた非常用発電設備等の整備に努めるものとしております。また、昨年十二月に改定した避難所に関する取組指針等においては、再生可能エネルギー設備を含む非常用発電機の確保について自治体に周知を図っております。

 これまでも、例えば、公立学校施設の太陽光発電等の整備に関する事業や公共施設の自立型のエネルギー設備導入事業、緊急防災・減災事業債において、再エネ設備と蓄電池の設置に係る支援をしてきております。

 今後とも、再エネ設備と蓄電池の導入に向けて、国土強靱化実施中期計画での位置づけを検討するなど、引き続き、関係省庁と連携の上、しっかりと取組を加速させてまいります。

 以上です。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今日は、地方財政計画に、学校体育館の空調設備、そしてこのランニングコストをしっかりと位置づけていくというお話がありました。これは非常に大事なことであります。まだまだこれから加速化していくわけですけれども。しかし、災害が激甚化していく中で体育館の施設等をどうしていくかということで、空調等を造っても、その元となる電源が大事だ、そこでやはり大事になるのが再エネと蓄電池だというふうに私は強く思っております。

 今、個人宅でも、再エネと蓄電池を入れておる個人宅というのは結構増えてきておるんですね。そこに対していろいろな補助金を使って、環境省等も含めて自治体が申請したところに対して支援をしていくという、こういった内容でありますが、私は、もう一歩大きな視点で、次期中期計画にしっかりと位置づけて、国土強靱化でしっかりと進めていく、そういった意味においては、次期中期計画の位置づけへの検討というお話もいただきましたので、そのことに期待をしながら、今後もこの議論については継続をさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、郵便局のユニバーサルサービスの確保及び公共サービスとの連携についてお伺いをいたします。

 全国に約二万四千局あり、山間僻地や離島も含め、国内あまねくユニバーサルサービスを提供しておるこの郵便局の維持並びに活用は、今後の地域課題の解決における具体的方向性として私は大変重要な取組であるというふうに感じております。

 これまで、総務省としては、人口減少などに伴う地域の課題解決に向けて、郵便局と地方の公共サービスが連携して地域課題を解決するためのまさしく実証事業、モデル事業として、令和元年度からの三年間は郵便局活性化推進事業、さらには令和四年度からは郵便局等の公的地域基盤連携推進事業、これを展開いたしております。私は、この推進事業に基づく実証事業は、その地域にとりましてどれも意味のある事業ばかりだと思いますが、これら実証事業はその実施期間が、見ますと、どれも三か月程度であったために、その後は自治体の財政事情などもあって継続できていないところが実はほとんどであります。大変にもったいない話でございます。

 この実証事業については令和七年度においても予算化されておりますが、今回はその実証事業に加え、令和七年度の地方財政計画の中で、まずは過疎地からではあるんですが、市町村が窓口業務などの行政サービスや住民支援生活サービスを郵便局に委託する際の初期経費について特交措置がされる、こういったことが明記をされました。私は、今後も郵便局が持つユニバーサルサービスの維持、活用をするためにも、市町村の行政サービスを郵便局に委託し、初期経費について特交措置されるこの事業については今後も確実に拡充をされていくこと、これが大事だと思いますし、できれば、その後の経費についても、例えば他省庁が持つ補助制度や手数料収入等、独自の財源確保も含めて柔軟かつ積極的に検討していく必要があるんじゃないか、このように思うわけでございますが、総務省の見解を是非伺いたいと思います。

牛山政府参考人 お答えいたします。

 全国約二万四千局のネットワークを持つ郵便局は、地域の重要な生活インフラとしての役割を担っており、郵便、貯金、保険の三事業のユニバーサルサービスの提供に加えまして、地域の実情やニーズに合わせた取組への期待もますます大きくなっております。

 委員御指摘がございましたとおり、総務省としても、これまで、郵便局の利活用に係る実証事業を行ってきておりまして、令和七年度予算案におきましても、コミュニティーハブとしての郵便局活用に関する実証事業を行うべく、必要な経費を計上しております。

 また、実証事業に加えまして、令和七年度より、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律に基づき窓口事務を受託する過疎地の郵便局に対して市町村が行政サービスや住民生活支援サービスを委託することに伴う初期経費につきまして特別交付税措置を講じることとしております。

 こうした取組を着実に実施してまいりますとともに、今後とも郵便局が住民に身近な存在として地域を支え、その活性化に貢献する役割を果たせるよう、関係省庁とも連携しつつ検討を進めてまいります。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 全国二万四千あるユニバーサルサービスをどう維持、活用していくか、これは大変に重要な課題であって、特に山間僻地とか離島なんかで郵便局がなくなると、そういった公共施設等で行うところがなくなってしまうというところも出てくるんじゃないかなと思っています。

 そういった意味においては、地方公共団体との連携による活用というのはすごく大事でありまして、これまで確かに実証事業をやっていただいているんですね。しかし、実証事業は一か月半とか三か月だから、その後、なかなか続かないところがあるんです。そんな中で、今回は、自治体がいろいろな設備を置くときの初期経費について特交措置をするという一歩進んでいただいた内容を、総務省も理解をいただいてつくっていただきました。

 これが活用されていくこと、更に継続していくことが大事でありますので、特交措置はしたけれども結局続かなかったというふうにならないように、その後のランニングコスト等も含めて、手数料収入等も取れるわけですので、いかにして郵便局をその地域において維持させていくのか、そこに知恵をお絞りいただきながら、この事業の継続を期待したいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 ここからは、今回、立憲民主党さんが提出された修正案について何点かお伺いをいたします。

 今日は、法案提出者の方もお越しいただきまして、本当にありがとうございます。

 軽油引取税の当分の間税率の廃止について何点か伺います。

 修正案では軽油引取税の当分の間税率を廃止するものとしておりますが、この当分の間税率を仮に廃止すれば、恒久的に地方財源が失われることとなります。修正案では地方公共団体の減収を補填するために必要な措置を講ずるものというふうにされておりますが、国費で補填することというふうにしておりますけれども、具体的にはどのように補填をしようとしているのか、この点、まず冒頭に伺いたいと思います。

山花委員 修正案の改正附則二十条に関わる御質問と思います。

 立憲民主党が別途提出する予算修正案でも、軽油引取税及び地方揮発油税の減収による地方への影響額を繰り入れることにより国費で補填していくことといたしております。

 具体的には、来年度の減収額については地方特例交付金のスキームを活用することを想定しており、本修正案成立後速やかに法制上の措置を講ずるよう政府に求めてまいります。令和八年度以降においては、今後一年間かけて検討を行い、令和八年度予算及び令和八年度地方財政対策において地方の不安が払拭できるよう必要な措置を講じてまいります。

中川(康)委員 ありがとうございました。本年度については地方特例交付金を考えていく、その後については今後検討していくという話でありました。

 この後も聞きますけれども、今回は基金等も活用しながら多分交付金をつくるんだと思うんですけれども、当分の間税率を廃止するということは、特に軽油引取税なんかは四千億を超えてくるということで、地方に大変に影響が出るわけなんですね。だから、そこにやはり不安を与えてしまうんじゃないかという意味で、ここに具体性をどう持たせるのか、それも、令和七年度だけじゃなくてそれ以降も、しっかりと先の見える話、こういったところが私は大事かというふうにも思っています。

 ここで、もう一点お伺いするんですが、その点に関して、トリガー条項と今回は結構同じような雰囲気だと思うんですね。全国知事会会長の宮城県の村井知事や、同じく全国知事会の地方税財政常任委員会委員長の宮崎県の河野知事など、地方団体からは、トリガー条項の見直しのときの要望ではあったんですが、今回と同じ構造、問題でありますので聞きますけれども、これをいわゆる恒久的な措置として行うのであれば恒久的な財源をと、今後は検討していくという話があったわけですけれども、こういった要望も出ておるわけなんですね。

 この点、立憲の修正案では一時的な歳出削減等によって財源を確保するようには見えますが、これはあくまでも一時的、特例交付金というのは一年限りですので、そういった意味においては、地方の恒久的な財源を確保してからこういった措置はしていただきたいという、この地方の声にはどう応えていくのか、もう一歩深掘りした答弁をいただければと思います。

山花委員 委員御指摘のとおり、今年度に関しては、歳出改革の成果ということでワンショットの財源となりますが、私どもといたしましては、国民生活の窮状に鑑み、直ちに当分の間税率を廃止し、軽油引取税の減税を実現することによって軽油の価格を引き下げ、事業者の負担を軽減するとともに国民の生活を守ろうとしたものでございます。

 今後の恒久財源については別途、所得税法改正案に対する修正案というのも提出しておりますけれども、その中でも示しているように、再分配機能の強化に資する抜本的な税制改革により取り組むことで確保を試みたいと思っております。

 なお、自民、公明、国民民主の三党も、昨年十二月十一日にいわゆる暫定税率廃止で幹事長同士が合意をし、十二月二十七日に閣議決定された令和七年度税制改正大綱にもいわゆるガソリンの暫定税率を廃止すると明記されているところでございますので、この問題については与野党を超えていい知恵を出し合えればと思っております。

中川(康)委員 自民、公明、国民の申合せは、当然これは恒久財源をしっかりと見定めながら考えていくというところがありますので、そういった意味においては、同じように見えて、少し違うんじゃないかなというふうに思うわけですけれども。

 加えて、今、住民生活の窮状を鑑みてというお話をいただきました。当然大事な視点でございます。

 この視点から見ると、今日は地方税の話ですので、軽油引取税に限って議論をもう少しさせていただきたいと思うんですが、軽油引取税の当分の間税率というのは十七・一円でございます。これは皆さん御承知のところでございます。一方で、この間の燃料油補助金ですね、今政府が行っている、この価格引下げ効果は平均で二十一・七円でございます。さらには、制度見直し後の一月中旬以降二月十七日まで、直近までの平均でも十八・二円となっております。当分の間税率は十七・一円、燃料油補助金による引下げ効果は全体としては二十一・七円、制度見直し後の一月中旬以降二月十七日までは十八・二円であります。

 単純比較でありますけれども、燃料油補助金の方が平均して価格引下げ効果が実は大きいんですね。加えて、価格変動に対しても弾力的に対応できるというふうに私は考えるわけでございますが、この点について、ここは地方税の議論ですから、軽油引取税の部分においては補助金の対応の方が額は低いんじゃないか、こんなふうに思うところ、法案提出者はどのように考えるか、ここを答弁してください。

道下委員 中川委員の御質問にお答えいたします。

 御指摘のように、税制改正によるよりも燃料油補助金の方が平均して価格引下げ効果が大きく、価格変動に対し弾力的に対応できるという面がありますけれども、そうであるのであれば、なぜ政府・与党はガソリンや軽油の価格高騰にもかかわらず燃料油価格激変緩和措置を縮小し、出口に向かおうとされているのかということになるかと思います。

 国民生活の窮状に鑑みれば、来年度税制改正を審議し決定する今だからこそ、直ちに当分の間税率を廃止して新年度から軽油引取税の減税を実現することにより軽油の価格を下げ、事業者の負担を軽減するとともに国民の生活を守ろうとしたものでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今後の議論というのは更に進めるところがあるわけでございますけれども、これまでの数字を見ると、私は、この当分の間税率よりも今までの引下げ効果の方が高かったというところ、ここはどう考えていくのかというところ、ここの必要性があるのであれば、様々な議論がこれからもされるわけでございますけれども、何が一番いいのかというところをしっかりと議論していくこと、この必要性があるのではないか、さらには価格変動に対しての弾力性、こういったところも考えていく必要があるのじゃないか、このようにも思うわけでございます。

 最後、一問、運輸事業振興助成交付金について伺います。

 立憲案では、運輸事業振興助成交付金について、当分の間国費で継続するというふうにしておりますが、いつまで継続し、具体的にどのように国費で継続すると考えているのか伺います。

 さらには、この運輸交付金の根拠となる法律では、軽油引取税の当分の間税率が設けられていることに鑑みて交付金が講じられているわけですけれども、立憲案では当分の間税率を廃止するというふうにしているわけですので、法の趣旨とたがうところがあるんじゃないか、このように思いますが、ここのところ、御答弁いただきたいと思います。

道下委員 運輸事業振興助成交付金は、都道府県などの道路整備に充てる道路特定財源として軽油引取税が三〇%増税されたことを受け、一九七六年に創設され、安全や環境、適正化等の公益的事業を展開する財源として、トラックやバス業界の活動を支えてきました。

 その後、運輸事業の振興の助成に関する法律によって法定化されましたが、同法では、軽油引取税の税率について特例が設けられていることが軽油を燃料とする自動車を用いて行われる運輸事業に与える影響に鑑みて交付金を交付することとしております。

 したがって、当分の間税率の廃止によって運輸事業振興助成交付金の存廃に関わることは法律論的には御指摘のとおりでございますが、とはいえ、軽油価格の高止まりや車両価格等の物価高騰、運転手不足等、現下の軽油を燃料とする自動車を用いて行われる運輸事業をめぐる厳しい状況に鑑み、附則第十九条で法の趣旨を改め、運輸事業振興助成交付金を当分の間存続することといたしました。

 修正案では、現行法の当分の間の措置は改正せずに踏襲しており、現時点でいつまでの時限措置とは規定しておりません。また、交付金のスキームも現行を踏襲しております。具体的な対応については政府が必要な措置を講じるものとしております。交付金の趣旨や在り方については、不断の見直しを行っていくべきことは当然でございます。

中川(康)委員 今後も議論を深めたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、岡島一正君。

岡島委員 立憲民主党の岡島一正であります。

 本日は、地方税そして交付税に関して質疑に当たりたいと思っております。

 まず最初に、立憲民主党の修正案についての確認をした後、政府案については主に防災の観点から確認させていただきたい。私は災害をずっとやってまいりましたので、そういった意味で、防災の観点から地方税、交付税の改正についてという切り口でいきたいと思っております。

 最後に、能登半島が昨年ありましたことも大きなきっかけですが、半島振興法が改正されなきゃならない年に当たりますので、そういった観点からまたお聞きしていきたいというふうに考えております。

 最初に、立憲民主党が今回、私が所属している立憲民主党でありますけれども、地方たばこ税について修正案を出しているということで、このことについて、今、中川先生がお聞きになったことと重複するところもあるかもしれませんが、しっかりと国民とほかの政治家の皆さんに御説明いただきたい。

 修正案では、加熱式たばこに関する道府県たばこ税及び市町村たばこ税の課税方式の見直しに係る規定を削除することとしているわけでありますが、国のたばこ税に関してはよく防衛増税の穴埋めのような言い方もされているという視点もありますが、立憲民主党は防衛増税の中止を求めているという中にありまして、そういった関連もあるのか、どうして地方のたばこ税について見直し規定を削除するのか、その理由を明確に教えていただきたいと思います。

道下委員 岡島委員の御質問にお答えいたします。

 岡島委員御指摘のとおり、防衛増税については、そもそも前提となる総額四十三兆円規模の巨額防衛費自体が数字ありきであり、その必要性について国民が納得できる説明が十分になされたとは言い難い状況でございます。

 物価高で疲弊する国民生活の現状に鑑みれば、このような不合理な増税を認めることは到底できないことから、立憲民主党はいわゆる防衛増税の中止を求めております。したがって、所得税法改正案に対する修正案において、たばこ税の関連規定を削除することとしております。

 地方たばこ税は防衛増税のために行われるものではありませんけれども、国のたばこ税と地方のたばこ税はこれまで同じ方式で課税されてきておりまして、国と地方の課税方式の違いによる混乱を防ぐため、地方のたばこ税についても見直し規定を削除することとしております。

 以上です。

岡島委員 そういった混乱を防ぐためということがあるというふうにお答えになりましたけれども、総務省の方にも確認させていただきたいと思うわけでありますが、地方のたばこ税について、どのようなことを目的として今回増税ということになるのか。これを、総務省、教えていただきたいと思います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地方のたばこ税は、従来から、申告実務を行う事業者の負担を踏まえ、国のたばこ税と課税標準を統一しているところでございます。

 今回、国のたばこ税におきまして、課税の適正化の観点から、加熱式たばこと紙巻きたばこの税負担差を解消するため、加熱式たばこに係る課税標準の算定方法を見直すこととしております。

 このため、国のたばこ税同様、地方のたばこ税におきましても見直しを行うこととしているものでございます。

岡島委員 国税の方のたばこ税と地方税の市町村たばこ税など、基本的に課税方式が同じ中で混乱してはならないということもあるでしょうけれども、そうすると、地方税ということの市町村たばこ税などの単体として増税しなきゃならない理由というのは特にあるんですか。課税形態が近いということじゃなくて、地方税として上げなきゃいけない理由というのは財源的にあるんでしょうか。その辺がちょっと腑に落ちないなというふうに思うわけでありますけれども、これはいいです。そういうふうに何となく腑に落ちないなと思うのは、国民も思うと思いますね。地方税として何か増税の目的があるんだろうかというところが十分な説明になっていないんじゃないかとは思いますが。

 続きまして、軽油引取税、これについて、修正案の方について提出者にまたお伺いします。修正案では、軽油引取税の当分の間税率を廃止することとしています。これは中川先生もお聞きになったので一度説明されていますが、その狙いについて、もう一度、国民に分かりやすい視点から御答弁いただきたいと思います。

道下委員 原油価格の高騰や円安の影響等によるガソリン、軽油価格の高騰に対し政府が支給していた補助金が段階的に縮小され、今後も大幅な値上がりが見込まれております。

 いわゆる暫定税率の廃止により、軽油についても一リットル当たり約十七・一円の値下げが期待され、運送業の燃料費負担の軽減や物流コストの削減につながり、結果として配送料や商品価格の安定化も期待できます。

 軽油引取税の当分の間税率は、課税根拠が合理性を欠き、物価高に苦しむ国民の納得を得られないため、軽油の価格を下げ、事業者の負担を軽減するとともに、国民の生活を守るために、国税のガソリン税と併せて当分の間税率を廃止することとしております。

 以上です。

岡島委員 原油価格の高騰という中で、ずっと円安の中でこの数年、特に二年ぐらい続いているわけでありますが、そうした中で軽油価格が高騰してきていたという事実があります。私の地元は千葉県の京葉工業地帯、市原市とか千葉市でありますけれども、運送業がたくさんあります。そういった中で、軽油価格が高騰してきた中で本当に運送業はトラック業界も含めて困っていらっしゃるということもありますので、そういった意味におきまして、今回の修正案は、トラックなどを含めて軽油を使って仕事をされている業界の皆さんにとっては、ひいては国民生活を守るということにつながることで、評価したいというふうに私は思っているわけであります。

 続いて、また修正案についてお伺いしますが、軽油引取税の当分の間税率の廃止に伴う、これをやると当然、自治体への税源という意味で影響が出てくるだろうと。その辺はどのぐらいのことを具体的に想定しているのか、まず教えていただきたいと思います。

山花委員 岡島委員の御質問にお答えいたします。

 先ほど中川委員からも、四千億円程度の穴が空くではないかという御指摘をいただきましたけれども、試算をいたしますと、令和七年度においては地方財政計画上の軽油引取税の税収というのが八千九百九十七億円とされています。本則税率と上乗せ税率の比率から試算いたしますと、減収は四千七百九十二億円程度と見込んでおります。

岡島委員 その分については、答弁がありましたけれども、税収が半減してしまうということになるわけですね。半減というのはとんでもない数字だと思うわけでありますが。事業者や家計を預かる者にとっては負担の軽減になりますが、自治体にとっては、ある意味半分ですから、とても想像できなかったような負担が逆に増えるということになります。

 ここで総務省にも確認したいと思いますが、仮に軽油引取税の当分の間税率を廃止した場合、どのような影響が想定をされると総務省はお考えでしょうか。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁がございましたように、仮に軽油引取税の当分の間税率が廃止された場合、四千七百九十億円余りの減収が行われる、すなわち地方財源が恒久的に失われると見込まれているところでございます。

 全国知事会などからは、恒久的減税となるのであれば、地方の減収分については恒久的な財源で対応し、地方財政への影響に十分配慮するよう要請されているものと承知しております。

岡島委員 今、修正案に関して、少なくなるという部分について、立憲民主党の方からも四千七百九十億円余りと、また、総務省からも説明がありましたけれども、いわば大きな影響なわけですから、そうした場合、実際に半減してしまう税収について、財政を支える意味で、これにどういうふうに代替財源の確保を始め財政運営に支障が生じないように立憲民主党の案で対応していくのか、それについて、地方への影響にどう対応するかをしっかりと御説明ください。お願いします。

山花委員 今回の修正案では、改正法附則二十条により、政府は、軽油引取税の税率の特例の廃止に伴う軽油引取税の収入の減少が地方公共団体の財政に悪影響を及ぼすことのないよう、当該収入の減少に伴う地方公共団体の減収を補填するために必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 元々、当分の間の税率でありましたので、どこかのタイミングで廃止をするということについては検討されなければいけなかったことだと思いますし、また、今回、立憲民主党が別途提出する予算の修正案でも軽油引取税及び地方揮発油税の減収による地方への影響額を繰り入れることとしており、国費でしっかり補填していくことといたしております。

 具体的には、来年度の減収額については地方特例交付金のスキームを活用することを想定しておりまして、本修正案成立後速やかに法制上の措置を講ずるよう政府に求めてまいりたいと考えております。

 令和八年度以降については、今後一年間かけて検討を行って、令和八年度予算及び令和八年度地方財政対策において、地方の不安が払拭されるように、必要な措置を講じていく所存でございます。

岡島委員 税収の落ち込みについても、今のような説明をしっかり与党の皆さんに説明して、そして現実に対応していただきたいということで、もちろん私もそういった後押しをする意味で進めていきたいと思っております。ありがとうございました。

 続きまして、地方税、交付税について御質問させていただきます。

 今回の政府改正案の防災対策、災害対策関係としまして、地方税法に、鉄道の豪雨対策の不動産取得税に関するものや、令和二年七月豪雨に係る特例措置の固定資産税とか都市計画税の延長の話、災害ハザードエリアからの移転を促進するために不動産取得税の特例を認めるということや、あるいは交付税法の中には、河川のしゅんせつ事業、これの特例期間を五年間延長するというようなことが盛り込まれております。

 日本は、私が述べるまでもなく、地理的にも、あるいは地形的にも災害が大変発生しやすい。悪い言い方ですけれども、災害が多い意味での災害大国といった意味で、災害を常時我々は意識しなきゃいけない国にいるわけであります。さらに、最近では温暖化による豪雨が増えてきたり、あるいは多発化したりといったことも起きているわけであります。そういった中で、災害対策というのは、例えば、崖崩れがあったらどうしようとか、あるいは鉄道の線路が破壊されたり崩れたらどうしようとかいう単体で考えるのではなく、常に、例えば、鉄道の線路の下が土砂が流れ込んだり使えなくなったら迂回路はどうしておくんだとか、あるいは迂回路も寸断されたときの物資輸送はどうするんだとか、様々なことを想定した、セットで物を考えていくというようなことがこれからどんどん必要になってくる。

 私は放送業界に長くいましたので、いろいろな視点から思うには、災害が起きたときに何が大変かというと、災害現場に行けないことが一番大変であります。災害現場に行けないときに何をするかというと、総務省の所管でありますが通信、放送もありますが、通信といったもののインフラがとても大切になってくるわけであります。単に物理的な、物理的というのは見える形での道路とか橋とか、そういったインフラといったものに対する対策だけではなくて、何かがあって現場に行けないことを全て想定した危機の想定が必要だ、それこそ通信だ。そういった意味では、総務省が日本の危機を本当に下支えしているところだというふうに私は思っているわけです。

 そういった意味におきまして、ある意味いろいろなことをセットで想定して危機対策、災害対策に当たる。ある意味では、起きていなくても、あるいは起きるかもしれないという視点のいろいろな意味での想定ですね。それを事前防災だとか、あるいは事前に事前復興計画を作る、そういう言葉もありますので、そういった視点からしっかりと地方税法とか交付税法の災害対策関係のことも見直していくべきだろうという視点を私は持っております。

 そこで、初めに、総務大臣、我が国の地理的な状況、あるいは温暖化など、先ほども申し上げましたが、こういった、単に地形的に災害が起こる可能性が高いこの国なんだよということ以上に、以上にというか、加えて様々な状況が変化しているという中で、想定外の想定を当然とする国のありようとか災害対策、それには税制も絡んでくるだろう、そういった意味で大臣の所見をお伺いしたいと思います。

村上国務大臣 岡島委員の御指摘は、災害に備える上で重要な視点であるというふうに考えております。

 御指摘のように、我が国の国土は、地震、津波、そしてまた豪雨、豪雪など、様々な災害が発生しやすい自然状況の下にあります。

 こうした災害による社会経済活動への影響を最小限にとどめるためには、これまでの災害の教訓を踏まえ、国、自治体、通信事業者などの指定公共機関が相互に密接に連携し、それぞれの対策を適切に組み合わせて災害に備える必要があると考えております。

 総務省におきましては、緊急消防援助隊や常備消防の体制強化、消防団を中核とした地域防災力の向上などにより、消防防災力の一層の強化に取り組んでおります。

 あわせて、被災自治体への応援職員の派遣体制の整備、通信・放送設備の強靱化や応急復旧体制の強化、災害時の特別行政相談活動の充実など、防災対策の強化に取り組んでおります。

 また、防災、減災、災害復旧事業の地方負担に対し、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じております。

 今後とも、様々な被災状況を想定しながら、防災対策を総合的かつ計画的に推進してまいりたいと考えております。

岡島委員 今御説明がありましたけれども、後でまた質問しようと思っていますけれども、財政的な支えでいくと、私も落選中、地方の自治体の議員の方とよく話しましたけれども、国の持っている財源措置とか総務省の所管するものが、地方から見ると分かりにくいということはたくさんあります。実は、五年ぐらい前ですか、私は総務委員会でそういったことを言ったことがありますが、そういったこともあるでしょうし、まだまだ改正しなきゃならないところがあるんだろうと思っていますが。

 今回、河川のしゅんせつ事業の五年間の延長が盛り込まれているわけでありますが、私の地元でいえば、養老川という二級河川がありますけれども、これは、子供の頃から見ていると、川の河口の近くになってくる大きなカーブのところが何年かに一回、水面が陸上のように砂がたまってしまう。あるいは、養老渓谷というところでは去年、豪雨によって川のカーブのところが川の中に堆積した土砂によって水があふれて、喜代元さんといったかな、旅館が一個水浸しになってしまうようなことがありました。

 つまり、私が言いたいのは、しゅんせつ事業が今回も盛り込まれている中で、恒常的という言葉を使っていいぐらい、川は必ず土がたまるんですね。そうすると、特例特例で数年を切ってやるということじゃなくて、恒久化してきちんと定期的に、維持管理イコール砂を取るんだというようなぐらいの恒久化的な視点が大事だと思いますが、総務省はいかがお考えでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 自治体が実施をいたします河川などのしゅんせつですけれども、これは一応たてつけとしては維持管理ということでございますので、財政論的には、本来、地方債ではなくて一般財源で対応すべきものでございます。

 しかしながら、五年前は、土砂等がかなり大量に堆積をし、しゅんせつを緊急に実施すべき箇所が多数に上る一方で豪雨等の災害が頻発をしておりまして、これを防ぐためにも早急にしゅんせつを進める必要が生じておりました。

 また、箇所が多数に上っておりますから、必要な事業量が多額となっている中で、これらのしゅんせつを全て自治体が一般財源で対応することが困難な状況であること、その防災面、減災面での効果が将来世代に及ぶことなども踏まえまして、地方財政法を改正して、令和二年度から地方債を特例的に発行できるようにしたものでございます。

 このように、緊急浚渫推進事業債は特例的な措置であることを踏まえまして期限を区切っているわけでございますが、今般、依然として緊急にしゅんせつすべき箇所が多く残っていることを踏まえまして、特例措置の期間を延長することとしたものでございます。

 自治体におきましては、令和十一年度までに危険箇所のしゅんせつ事業を完了することができるよう、本事業債を積極的に活用していただきたいと考えているところでございます。

岡島委員 基本的にしゅんせつは維持管理の中でできればいいわけで、しかし自治体がその財源を含めて対応し切れないという事情を総務省も把握されているわけですから、そういった意味においては、財源の地方への移譲というのが必要という根本的な問題にも、きっかけとなる話だろうと思っているわけであります。

 実は、今回のしゅんせつ事業の対象に農業用排水路というものが加わりました。この農業用排水路に関しましては、地元を歩いていますと、川というのは一般市民の生活の中で日常で目にしますから、わあ、これはすごい、早くしゅんせつしてほしいなとみんなが言いますから誰でも気づくというところがありますが、農業用排水路は、なかなか一般の多くの方が、これはしゅんせつしなきゃ大変だよということを、農業に関わらない人たちからするとなかなか気づかないことも間々あると言っても過言ではないわけであります。

 そういった意味において、これを対象に加えていただくということは私は評価しているわけでありますが、これを追加した理由について、その根拠を総務省はどう把握しているのか、きちんと説明していただければと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 緊急浚渫推進事業債は、越水した場合に甚大な人的被害でありますとか家屋被害が生じる危険性のある河川などを対象としてまいりました。

 農業用排水路は、小規模なものが存在する一方で、河川に匹敵する流域面積を有する大規模なものも整備されております。

 こうした農業用排水路については、越水した場合に家屋等に甚大な被害が生じる危険性がありますことから、自治体の要望も踏まえまして、令和七年度より対象施設に追加することとしているところでございます。

 自治体におきましては、本事業債を活用いたしまして、農業用排水路に係るしゅんせつについても積極的に活用していただきたいと考えているところでございます。

岡島委員 是非、農業用排水路、これは私たちも地域できちっと説明して、農業を再興する上でも進めていきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいと思っております。

 川に関して言いますと、豪雨などがありますと洪水の心配があるということで、五年前でしたかね、六年前ぐらいに多摩川の方で氾濫があったといった事象がありました、あのときに私は質疑いたしました。大臣が高市さんだったかもしれないですね、そのときに質疑いたしましたけれども。

 河川の水位の管理というものが、国とか県とか都とか、自治体とそれぞれが関わっているというようなことになると、これは国土交通省の所管だということは分かっているわけでありますけれども、そういった中で、しかし自治体関連ということでいえば総務省の所管でもあるといった意味において、各省庁の連携がないと、本流の方を閉めた開けたということと、支流の方の閉めた開けたということで、まちまちであると混乱してしまうというようなことも起こり得るわけですから、そういったことに関して、私は五年前から連携というものはどうなっているかというのがすごく気になっていました。

 これは国土交通省に聞いた方がいいのかもしれませんが、河川の管理、そういったものについて何かお答えできる方がいらっしゃれば教えていただきたいと思います。

井崎政府参考人 お答えいたします。

 五年前、令和二年の本委員会におきまして、委員より、河川管理者間の連携の重要性について御指摘をいただいたと承知しております。

 私ども国土交通省といたしましても、委員御指摘の河川管理者間の連携が重要と認識しており、令和三年三月には、国が音頭を取って、全ての一級水系において流域治水プロジェクトを取りまとめ、流域のあらゆる関係者が協働した水害対策を推進しているところでございます。

 また、令和四年度から、流域内の都道府県や市区町村と協働して、水害時の行動計画、流域タイムラインを作成するとともに、それを用いた訓練も行っております。

 さらに、同じく令和四年度から、実際の水害時には関係者が一堂に会して、リアルタイムで情報共有できるウェブ会議を開催するなど、水害時の関係者間の連携強化も進めているところでございます。

 引き続き、国が旗振り役として、流域のあらゆる関係者と協働し、安全、安心な国民生活の実現に向けた取組を推進してまいります。

岡島委員 そうした国土交通省だけじゃできないこと、あるいは総務省の管轄ではないとか、そういった省庁の壁とか国と地方の壁とかいったものを、災害も、やはり乗り越えて対応しなきゃならないことの一つの事例だと思います。是非その辺をしっかりとやっていただきたいと思います。

 もう一問だけ地方税関係でいうと、先ほどから、地方のしゅんせつ事業などを含めていろいろな財政支援で地方債という言葉が出てきておりましたけれども、今回の措置についてよく見ていくと、やはり名前が分かりにくいですね、前にも私は問うたんですけれども。防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債とか、緊急防災・減災事業債とか、緊急自然災害防止対策事業債とか、緊急浚渫推進事業債。一回聞いても分からないですね。一回見ても分かりません。

 こんなことは調べればいいじゃないかと答えるかもしれませんが、でも、地方で私は議員の方とかあるいは自治体の方と話していると、分かりにくければ国に聞くしかないです、毎回聞かれたら手間じゃないですか、分かりやすくしましょうよという。分かりにくい方が都合がいいという、いろいろな状況もありますよね、多分。分かりにくい方がいいなということもあるのかもしれない。しかし災害は一刻を争います、だから分かりやすい方がいいに決まっているという意味において、こういう自治体の方がいろいろ活用するため、地方債の活用のためで、もっと分かりやすい周知、名前のありようとか中身の説明、総務省はどうお考えでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘のありましたように、緊急浚渫推進事業債のほかに様々な事業債がございますけれども、これらの地方債については、事業効果や活用事例を掲載した活用事例集を作成いたしまして、現在は総務省のホームページ等において周知を図ってきております。

 また、例年一月に全国財政課長会議がございますけれども、この中で自治体の財政課長さんでありますとか市町村担当課長さんに対しましてこれらの地方債の周知を行うほか、農林水産省などの関係省庁からも自治体の担当部局に対して周知を図っていただいているということでございます。

 総務省としては、引き続きこうした取組を通じまして活用促進をしっかりと図っていきたいと考えております。

岡島委員 よろしくお願いしたいと思います。

 次に、鉄道の豪雨対策について質問も通告してありましたけれども、ちょっと時間の関係がありますので、災害ハザードエリアからの移転に関して不動産取得税などを特例措置で見ていこうという話についてお伺いしたいと思っています。

 災害ハザードエリアから居住移転地域だとかあるいは都市機能誘導区域へ移転ということをするに当たっては不動産取得税を減免するという対応があるわけですが、実際の利用者は今のところ余りないというふうに聞いておりますけれども、根本的に、総務省が対応しようとしても、元々の計画、立地適正化計画というのが進んでいなければ進めようがないわけであります。これについて、国土交通省の方で、立地適正化計画、どのような状況なのか、どう進めているのかをちょっと御説明願います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年度に都市再生特別措置法を改正しまして、コンパクトそれからネットワークの町づくりを進める、そのための計画として、立地適正化計画制度を創設したところでございます。

 以来、令和六年、昨年七月末時点でございますけれども、全国八百三十五市町村において立地適正化計画を作成済み、あるいは作成に向けた具体的な取組を進めているという状況でございます。

 立地適正化計画につきまして、市町村における策定、順次進んでいるところではございますけれども、課題がございます。専門人材の育成、それから予算の確保とか、そういった状況から、特に人口規模が小さい市町村において作成が進んでいないという状況がありまして、私どもも認識しておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、そうした自治体、市町村におきましてもこの計画の作成が進みますように、作成に必要なデータの提供、それから技術的な援助、そうしたものを進めることで、まず立地適正化計画の裾野を広げるという取組を進めてまいりたいと考えております。

岡島委員 そういった意味におきましては、立地適正化計画がきちんと進んでいない。進めていくといっても、この間にも災害は起きるかもしれません。また、人口など規模が小さい自治体こそ、あるいは地域こそ、何かあったときに救助が必要だったり様々なことが望まれるわけですから、その適正化計画をしっかりと早急に進めて全国的な措置が取れるようにお願いしたい。でないとこういう特例措置を幾ら設けても生かせないわけですから、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、総務大臣に、能登半島地震の地方税に関しては令和八年までは特例措置があると思うんですけれども、この能登半島の状況を見てそういったものを見越して、二年たってもどうなのだろう、あと一年どうなのだろう、そういった意味での将来を見通した地方税の在り方などについて、お考えがあれば教えてください。

村上国務大臣 能登半島地震で被災した住宅用地等に対しては、固定資産税の特例措置が適用されております。

 過去の災害におきましては、復興状況等に鑑みまして特例措置の適用期限を延長しております。

 特例措置の適用期限の延長につきましては、被災地の復興状況を踏まえ、また、被災自治体の御意見をしっかり受け止めつつ適切に対応してまいりたい、そのように考えております。

岡島委員 是非、先を見通してしっかり対応していただきたいと思っているわけです。

 最後に、能登半島のこともありましたし、今年は半島振興法を延長する年に当たるわけでありますので、今与野党を含めてワーキングチームなどで議論されているでしょうから、そういったものについてちょっとお伺いしたい。

 私は、災害対策、特に半島防災とか、有事のときには半島防災と言いますが、平時においては地方創生をどうするか、与党の皆さんがよくお使いになる言葉を使えば、そういったことの視点から見ていかなきゃいけないと。有事の半島防災というのは、半島というのは実は過疎化であったり、日本が抱える地域の問題を象徴的に持っている地域だというのが半島とすると、半島振興法といったものを見たときに、情報通信インフラがとても大事だと私は思うわけですね。想定外の想定という言葉が先ほどありましたけれども、現場に行けないのが災害なんです。そのときを含めて、情報通信インフラなどを含めた想定外の想定、そういったことについて総務省はどういうふうに対応しようとしているのか、通信基盤をいかに守ろうとしているのか、是非教えていただきたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 災害時には、被災者の方々に災害関連情報が確実に届けられる環境の確保が必要不可欠でございまして、通信の果たすべき役割は大変大きいと認識しているところでございます。

 総務省におきましては、これまで、地域の声を丁寧に伺いながら、条件不利地域における光ファイバーや5G等の未整備地域の解消に努めてまいりました。

 また、災害時に通信サービスを維持し、早期に復旧させるため、重要な拠点をカバーする携帯電話基地局における停電対策また伝送路の多重化等を推進するとともに、関係者間の連携体制の構築を進めてきたところでございます。

 昨年一月の能登半島地震におきましては、半島部のため、陸路での迅速な駆けつけが難しく、結果として携帯電話基地局の一部が機能を停止するといった支障が生じました。通信事業者による移動電源車等の応急復旧機材の設置により、通信サービスの維持、復旧が進められたところでございます。

 総務省におきましては、今回の対応を通じて得られた教訓を踏まえて、大容量化した蓄電池や衛星回線設備等の設置による携帯電話基地局の更なる強靱化、移動電源車の配備等による応急復旧体制の強化などの通信インフラの強靱化を支援するほか、引き続き光ファイバーや5Gといった通信インフラの整備を推進することにより、災害時を含め国民が安心して通信を利用できる環境整備に取り組んでまいります。

岡島委員 特に、私は、通信というのは、想定外の想定を救う最終手段に近いものが通信であると思っています。私は取材で二十年以上、災害の担当もしていたこともありますけれども、現場に行けないことが、何よりも防がなきゃならないことだけれども、一番起こることなんです。救えるのは通信しかありません。是非よろしくお願いしたいと思います。

 平時の地方創生、今のは有事の際の半島防災ですよね、仮想防災です。しかし、平時の地方創生という視点でいうと、実は、先ほど中川先生がおっしゃった郵便局のユニバーサルサービスをまさにコミュニティーハブとして使うということが災害の視点からもとても重要なことであります。そういったことについてきちんと質問したかったのでありますが、時間もありますので。地方創生と総理などもおっしゃっているでしょうから、そういった意味においてこそ、ユニバーサルサービスを地方創生のためにコミュニティーハブとして使うという視点でしっかり取り組んでいただきたいと総務省には思うわけであります。

 そういったことを踏まえて、有事の半島防災や平時の地方創生を進めるための地方の財政や地方税の優遇措置、こういったこと、半島振興法の延長という大事な節目の年に当たりまして、総務省として、国土交通省の所管であるものをどういった意味で地方自治体への財政支援を進めるのか。総務大臣、よろしくお願いいたします。

村上国務大臣 岡島委員の御指摘どおり、半島地域の自治体への財政支援等は非常に重要と考えております。

 これまでも、半島地域に対する施策につきましては、半島振興法等に基づき着実に推進してきたところでございます。

 総務省におきましては、半島地域の自治体が半島振興計画に基づき実施する道路整備事業に充当された地方債の元利償還金の一部を交付税措置しております。

 また、固定資産税等の地方税は不均一課税ができることになっていますが、それを行った場合には、その減収分について地方交付税で補填する減収補填措置を行っております。

 本年度末に期限切れとなる半島振興法の延長を含む法改正については、議員立法として、現在与野党の皆さんにおいて議論されているものと承知しております。

 総務省としましては、このような動向を踏まえながら関係省庁と密接な連携の下に引き続き半島振興に取り組んでまいりたい、そのように考えております。

岡島委員 もう時間ですから終わりますが、是非、半島振興問題、私は、房総半島は半島振興法の対象と全部が言えるかというと非常に難しいですが、ただ、半島と言われる地域が二十三ぐらい指定されているんですかね、そういった地域は半島じゃない過疎地域と同じテーマ、課題を抱えていると。まさに、日本の災害、防災、あるいは自治体のありようを含めたものの象徴的な地域です。その半島振興法の改正に当たって是非、国土交通省の所管とはいえ総務省の下支えがなければ半島振興はできません、想定外の想定の下、地方創生の上でも防災の上でも、有事の半島防災、平時の地方創生という視点から、総務大臣、是非よろしくお願いいたします。

 以上です。

竹内委員長 次に、おおたけりえ君。

おおたけ委員 立憲民主党、おおたけりえでございます。

 本日は、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案に関連しまして、七テーマ、時間が許されます限り伺ってまいりたいと思っております。

 まずは、臨時財政対策債の発行について伺ってまいります。

 私が県議をさせていただいておりました愛知県の借金残高の大半は臨時財政対策債でございました。令和六年九月三十日時点では、債務残高の四一・一%となっております。年々増えて、このように借金の大部分を占めるようになってしまいました。

 この臨時財政対策債は、二〇〇一年に初めて発行をされました。元をただせばどういう経緯でこのような地方債が発行されるようになったのか、伺います。また、当初は三年間の時限措置であったはずです。しかし、終わることなく延長され続けました。この間、地方自治体側の意見を代弁する団体であります地方六団体は一貫して臨時財政対策債の廃止を言い続けてまいりました。それにもかかわらず二十四年間、ここまで延長され続けた理由は何か、伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方の財源不足につきましては、平成十二年度までは交付税特別会計借入金により対応して交付税を増額してまいりました。この借入金の償還金を国と地方で折半して負担する、そういう扱いでございます。しかしながら、国と地方の責任分担の明確化、財政の一層の透明化等を図る観点から、平成十三年度からはこの特別会計借入金方式を見直しまして、国は一般会計からの交付税の特例加算、地方は臨時財政対策債の発行により財源不足を補填することといたしました。

 本来的には、臨時財政対策債のような特例債に頼らない財務体質を確立することが重要でございますが、長期にわたる景気低迷のために税収が落ち込んだことなどによりまして、巨額の財源不足が継続をしましたことから、臨時財政対策債による財源不足の補填が継続することになったということでございます。

おおたけ委員 地方にも借金の負担感を感じてほしいということで続けられてきたということだと思います。

 今回の予算案の中で、私は、一番すばらしいのは、この臨時財政対策債を廃止してくださったことではないかと思っております。これまでずっと、地方側はやめてほしくても国としてはやめられなかったこの臨時財政対策債、今回、二〇〇一年以来初の発行額ゼロです。本当にすばらしい御英断であると思っております。このように判断した理由は何か、伺います。今回の判断に当たり、これまでの地方自治体からの要望についてどのように認識されたのか、伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 令和七年度の地方財政計画の策定に当たりまして、地方側からは、人件費の増加や物価高が見込まれる中で様々な行政課題に対応できるよう一般財源総額を確保してほしいということと、臨時財政対策債をできる限り抑制してほしい、そういった要望をいただいておりました。

 令和七年度の地方財政計画については、このような地方の意見を踏まえまして、また、堅調な地方税収を反映して税収が増加することが見込まれましたことや、社会保障関係費や人件費などの必要な歳出を確保した上で国と基調を合わせた歳出改革に取り組んできたことなどにより、前年度を上回る一般財源総額を確保した上で、制度創設以来初めて臨時財政対策債の発行額をゼロにすることができたというふうに考えております。

おおたけ委員 ただ、ほかにも懸念事項はあると思っております。財源対策債の発行が七千六百億円計上されております。財源不足を補うため地方に借入をさせるという点では、臨時財政対策債と構造が同じで、同様の課題がございます。

 財源不足の補填措置としての財源対策債と臨時財政対策債についてメリット、デメリットを含めどのような相違点があると考えてみえるのか、伺います。そして、臨時財政対策債の新規発行ゼロを継続するとともに財源対策債の縮減を目指す考えについて伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 財源対策債と臨時財政対策債は、いずれも地方の財源不足に対処するための地方債でございます。この違いでございますが、財源対策債は地方財政法第五条に基づく建設地方債でございますが、特別に地方債の充当率等を引き上げて措置している部分、これが財源対策債でございます。一方、臨時財政対策債は、投資的経費以外の経費にも充当可能な、地方財政法第五条の特例として発行されるいわゆる赤字地方債ということでございます。

 令和八年度以降の財源不足に対応するためのこれらの地方債の扱いにつきましては、地方財政の収支の状況を踏まえつつ、自治体が安定的な財政運営を行えるよう、令和八年度地方財政対策に向けて適切に検討してまいりたいと考えております。

おおたけ委員 是非とも、国が地方に借金をさせるという仕組みは改善していっていただきたいと思っております。今回の臨時財政対策債新規発行額ゼロは、臨時財政対策債に頼らない交付税制度への改善を求め続けていた地方自治体側から見ると、これが本来の姿であると感じていると思います。今回が根本的な見直しの絶好の機会であると思います。再来年度から臨時財政対策債が復活することのないように、地方交付税制度の見直しを図っていただきたいと要望いたします。

 そもそも、国と地方の税源の割合は、国税と地方税の比率が約三対二であるのに対し、国と地方の支出の比率は約二対三と逆転していることが根本的な課題でありまして、それを補正する地方交付税額が地方が必要としている金額に見合っていないことが問題であると思います。

 今後、法定率の見直しなど、地方交付税の総額を確保し、臨時財政対策債に頼らない地方財政の構造とすべきだと思いますが、認識を大臣に伺います。

村上国務大臣 おおたけ委員の御質問にお答えします。

 地方財政の健全化のためには、法定率の引上げなどにより、臨時財政対策債になるべく頼らない財務体質を確立することが重要と考えております。

 令和七年度の概算要求におきましては、交付税率の引上げを事項要求しましたが、国も極めて厳しい財政状況にあること、令和七年度は臨時財政対策債をゼロにした上で必要な地方交付税総額を確保することができたこと等により、引上げを行わないこととしております。

 今後につきましても、国と地方共に厳しい財政状況にあることから交付税率の引上げはなかなか容易ではありませんが、地方財政の収支の状況を見極めつつ地方交付税総額を安定的に確保できるよう政府部内で十分に議論してまいりたい、そのように考えております。

おおたけ委員 次に、百三万円の壁の引上げに伴う地方税収減少への対応について伺います。

 各地方自治体から、減収分について補填してほしい旨、要望が出ていると思います。今回は、交付税原資の減少に対しどのように補填するのか、伺います。また、予算修正で壁となる額が引き上がり今回の所得税の減収が更に増えた場合、交付税原資が更に減収する懸念がございます。これにはどう対処する考えか、伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる百三万円の壁の今回の見直し、百二十三万円への引上げの部分でございますが、こちらにつきましては、令和七年度与党税制改正大綱におきまして、デフレからの脱却局面に鑑み、物価調整を行うものであることを踏まえて、特段の財源確保措置を要しないものと整理されたところでございます。

 その上で、令和七年度の地方財政計画におきましては、今回の見直しによる影響分を含めても、前年度に比べ、一般財源総額は交付団体ベースで一・一兆円の増、交付税総額は〇・三兆円の増と、適切に地方財源を確保することができたというふうに考えております。

 また、百三万円の壁の更なる引上げでございますが、現在、三党の幹事長間で誠実に協議を進めることが確認されております。

 この中で、様々な論点について政党間で協議が進められるものと承知をしているところでございますが、総務省として誠実に対応してまいりたいと考えております。

おおたけ委員 まだ今後次第ということだと思います。地方自治体の行うサービスに影響がないように、地方財源はしっかり確保していただくようお願いいたします。

 また、恒久的な取組であることを考えて、先ほどの繰り返しになりますが、国と地方の税源配分の変更をして地方税の充実を図るなど、根本的な改善が必要だと考えます。再来年度以降についてのお考えを伺います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の給与所得控除の引上げ及び特定親族特別控除の創設等に係る個人住民税の減収額につきましては、平年度で七百五十億円程度と見込んでおります。

 その上で、今回の所得税及び個人住民税の見直しにつきましては、デフレからの脱却局面に鑑み、基礎控除や給与所得控除の最低保障額が定額であることに対して物価調整を行うものであることを踏まえて、特段の財源措置を要しないものと整理されたものと承知しております。

 委員御提案のような国から地方への税源移譲につきましては、国、地方とも厳しい財政状況にあることや、税源に偏在がございますと、地方税を充実しますと自治体間の財政力格差が拡大するといったことにも配慮する必要があることなども踏まえて検討することが必要であると考えております。

 今後とも、総務省といたしましては、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方税の充実確保に努めてまいります。

おおたけ委員 では、これまでの二つのテーマの観点からも、是非、税源配分の見直しに着手していただきたいと要望しておきたいと思います。

 次に、自治体DXの推進について伺います。

 特に小規模の市町村において、DX推進を担う人材確保に苦労されております。総務省では、令和五年度から都道府県等が市町村支援を行うデジタル人材を確保した場合の経費、人件費、民間事業者への委託費、募集経費等について特別交付税措置、措置率〇・七を講じてきておりますが、令和七年度地方財政対策では、市町村支援業務を行うデジタル人材のうち、一定の経験や資格を有する都道府県が確保した常勤職員のうち総務省が任命した常勤職員については、普通交付税措置、単価七百八十万円程度掛ける人数が創設をされます。

 そこで、まず、現時点でどの程度の都道府県においてこの特別交付税措置の制度を利用されているのか、また、都道府県において職員の派遣、委託等どのような形で市町村支援業務を行っているところが多いのか、伺います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の都道府県等が市町村支援のためにデジタル人材を活用する場合の経費に対します特別交付税措置でございますが、こちらの方、昨年度は二十五団体が対象となってございます。

 デジタル人材を活用した市町村支援の形態でございますけれども、こちらは、各都道府県の実情に応じて様々ではございますが、人材を直接雇用するケースに加えまして、外部事業者に市町村支援業務を委託するケース、こちらの方が多くあるものと承知してございます。

おおたけ委員 IT技術者の六割が東京圏に集中しており、民間企業においても七割以上がデジタル人材の質、量共に不足している状況下にあって、地方自治体としては、委託や外部から雇おうとしてもなかなか人材がいなくて困っている状況でございます。このような中では、外部から人材を確保するよりも、中から育てる発想がもっと必要ではないかと考えます。総務省として、県庁や市町村職員のデジタル人材育成をどのように推進していかれるお考えか、伺います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省といたしましても、デジタル人材の育成は大変重要な課題であるというふうに考えております。DXの取組の中核を担う職員、これをDX推進リーダーとして指定していただき、その育成に必要な経費につきまして特別交付税措置を講じてきたところでございます。今年度からは、IPAが実施します高度試験など、一定の資格試験の受験料につきましても対象経費となるように拡充をしているところでございます。

 また、デジタル人材育成のノウハウを分かりやすくまとめましたガイドブックを作成いたしております。さらには、自治大学校や関係機関等と連携をいたしまして地方公務員向けの研修の充実にも取り組んでいるところでございます。

 今後とも、都道府県が市町村と連携して合同研修を行うなどの広域的な対応も含めまして、デジタル人材育成の取組を支援してまいりたいと考えております。

おおたけ委員 是非、その制度をしっかり活用していただいて、職員の中から育てることに力を入れていっていただきたいと要望させていただきます。

 次に、地方公務員の人件費等への対応と地方自治体の人材不足対策について伺います。

 令和七年度地方財政計画では、令和六年人事院勧告に伴う給与改定に要する経費の地方負担分として七千六百五十一億円を増額計上されております。

 近年、自治体においては、職員の人材確保に関して多くの自治体が課題を感じているところです。特に、技術職の受験者数が採用予定者数に満たない、また、応募があっても採用予定者数を確保できないという状況が生じております。私の選挙区内の自治体では、人手不足のため、建築系の募集を二級建築士の資格でもよいとするなど要件を下げて募集しましたが、それでもなかなか思うように応募が来なかったようです。

 今後、インフラの老朽化への対応など、技術職員数の維持は重要です。そこで、自治体における技術職員の確保状況をどう認識してみえるのか、また、その要因について見解を伺います。また、技術職員の確保に向けて総務省としてどのように取り組まれるのか、伺います。

小池政府参考人 公共施設等の老朽化対策に加え、大規模災害からの復旧復興に対応するためにも、地方公共団体における技術職員の確保は重要な課題と認識をしております。

 一方で、地方公共団体における技術職員の採用に当たっては、民間との競合等により必要な人材の確保は厳しい状況にあるとの声も伺っております。

 このため、都道府県等が技術職員を確保し、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、大規模災害時の中長期派遣要員を確保する復旧・復興支援技術職員派遣制度を令和二年度に創設し、登録された職員に係る人件費に対して地方交付税措置を講じているところでございます。

 引き続き、地方公共団体の技術職員の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

おおたけ委員 県に市区町村への応援を促す制度を交付税措置を通じて推進していかれるとのこと、是非更に進めていただきたいと思っております。

 また、過疎地の自治体では人手不足はより深刻であります。技術職員にとどまらず、正職員を新規募集しても採用に至らない、また、すぐに辞めてしまうという課題が深刻となっており、小規模自治体では人手不足に伴い事務の執行に課題が生じております。

 私の地元における水道事業を例にして挙げさせていただきます。水道事業における有収率とは、浄水場や配水場から市内、町内に送り出した給水量に対して料金など水道部局の収入として計上される水量の割合で、数値が高いほど、水漏れなどが少なく効率よく浄水場から利用者へ水が届けることができていることを示す数値です。

 人口十八万である豊川市は有収率九割台ですが、新城市は令和四年度約七七%、設楽町は令和五年度約四六%、東栄町は令和五年度約三九%と、人口減少が進む地域ほど有収率が低くなってしまっております。これは、人手が足らず、十分な点検、補修ができていないことを表す数値だと思っております。

 改善するための対策としては、広域化とDXだと考えます。新しい技術であるAIで管の劣化度を判定して漏水のリスクを検知したり、人工衛星から電磁波を放射し、跳ね返ってきた電磁波を分析して漏水部分を特定する技術もあるようです。上下水道の状況を可視化した3Dマップを作成して、どこに管が走っているかを一目で分かるようにすることも有効です。このような新技術を活用して、広域でメンテナンスの合理化を図る必要があると思います。同じくインフラの老朽化が原因である埼玉県八潮市での陥没事故の衝撃は大きいものでした。しっかりと改善していかなければなりません。

 そこで、小規模自治体の人材不足に対し、小規模自治体に対する県の果たす役割を見直して、県からの人材派遣も含め、県が補完、支援を行うことや、上下水道等インフラの点検、維持管理に関することなど、広域的に行うことで効率的に行える事務を、広域連合等、広域で行うよう促すこと、デジタル化を進めて少人数でも対応可能な体制にするなど、様々な手段を通じて、少子高齢化の進む中で人口が減少する自治体が周りと連携しながら賢く縮むことを促していけるよう取り組むべきだと考えますが、総務省の認識を伺います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、過疎地などの小規模自治体を中心に、人材の確保が困難な状況が生じていると承知してございます。

 こうした中、持続可能な行政サービスを提供していくためには、都道府県が広域自治体としてより一層きめ細やかに市町村の補完、支援の役割を果たしていくとともに、市町村間の水平連携によりまして事務の共同処理を推進していく必要があると考えております。

 こうしたことから、総務省におきましては、市町村が必要とする専門人材を都道府県等が確保し派遣する取組に対しまして特別交付税措置を講じておりますほか、インフラの維持管理などの個別の行政分野につきましても、関係省庁と連携しまして、広域連携による事務の共同実施を行うモデル事業を実施することとしてございます。

 また、現在、持続可能な地方行財政の在り方に関する研究会を開催してございまして、自治体間の連携でございますとかデジタル技術を活用した事務の効率化、さらには国、都道府県、市町村の役割の在り方を含めどのような方策が考えられるか、自治体の声を聞きながら更に検討を進めてまいります。

おおたけ委員 次に伺いたいと思います。災害ハザードエリアからの移転促進のための特例措置の延長について、岡島議員からもありましたけれども、私からも少し触れさせていただきたいと思います。

 近年の頻発化、激甚化する災害に対応し、人的、物的被害の軽減を図るため、災害の危険性の高いエリアから比較的安全性の高いエリアへの移転促進を図ることが喫緊の課題となっております。このため、不動産取得税の課税標準について、移転した方の当該不動産の価格の五分の一に相当する額を控除する特例措置が令和三年度から行われており、今回、それを二年延長しようとする改正ですが、これまでにこの制度を利用した方はいまだいないとのことであります。今回、二年延長するに当たり、この制度を今後利用しようとする見込みがどのくらいと考えてみえるのか、その根拠も含めて伺います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今お話のございました不動産取得税の特例措置の適用につきましては、市町村が作成する立地適正化計画、これが前提となっておりまして、その計画の中の防災指針を定めていただきまして、そこに移転の支援のための事業を位置づけていただく必要がございます。

 現在、この事業を防災指針に位置づけている市町村が十一ございます。したがいまして、こうした市町村におきまして、今後、この特例措置が活用されることが見込まれると考えてございます。

 また、昨年におきましても能登半島地震がございました、それから南海トラフ地震の臨時情報の発表もあり、災害に強い町づくりの必要性に関する認識が高まっているところというふうに認識しております。

 国土交通省といたしましても、この税制上の特例措置をしっかり周知していく、これを引き続き進めまして、この特例措置が活用されますように取り組んでいきたいというふうに考えております。

おおたけ委員 移転促進は、短期的なものではなくて、長期的視点で取り組むものではないかと考えております。例えば、今は難しいけれども次の建て替えのときに移転しようかと考えるようなこともあるかと思います。移転を促進するため、市町村の計画策定を条件としないことや、この制度の延長期間を十年など長期のスパンとすることなど、もっと踏み込んだ制度設計に改善すべきではと思いますが、お考えを伺います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 この税制上の特例措置につきましては、市町村がコーディネートをいたしまして、移転先地の選定、それから移転先地の権利者の意向、そうした具体的な地域の実情ですとか、あとは住民の方々の意向、そういったものを反映しながら計画を作成されるということ、それによりまして、その効果として、既存の住宅あるいは施設に関する権限の移転がなされるといったような制度でございます。また、市町村が権利者に代わって一括で登記ができるといった効果も生まれるということでございます。

 したがいまして、こうしたことを通じて住民の負担軽減につながるということもございますものですから、市町村、それから策定する計画の意義、役割というものが非常に大きいというふうに考えております。

 ただ、いずれにしましても、国土交通省といたしまして、この税制上の特例措置の必要性が高いと考えた上で、地方公共団体の御要望なども踏まえて今回延長をしたところでございますけれども、今後とも、地方公共団体あるいは住民のニーズ、そうしたものを丁寧に把握していきながら、制度の適切な在り方について検討してまいりたいと考えております。

おおたけ委員 住民のニーズを聞きながら検討していきたいという御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 災害ハザードエリアからの移転促進、今後、人口減少で住居に利用する土地の面積も減ってくる中で、災害のおそれの低い場所に住んでいただくことは大変重要です。せっかくよい趣旨の制度でも、使われない制度ではいけませんので、是非改善を図っていただけるよう要望いたします。

 次に、eLTAXの充実による地方自治体の事務効率化について伺います。

 今回、固定資産税、都市計画税、自動車税種別割、軽自動車税種別割の納税通知書等について、納税者の求めに応じて、地方自治体がeLTAXを経由して電子的に副本を送付できるようにしていくとのことです。今回の改正では、電子納税通知と紙媒体の納税通知書と併存をさせるそうです。今年度から、個人住民税の特別徴収税額通知については、データで正本が送られてくるように改正をされました。なぜ今回の改正では電子納税通知書のデータを正本とできないのか、その理由について伺います。

 また、デジタル化は地方自治体の事務負担減にきちんとつなげていかなければならないと思いますが、より手間が増えたりしないのか、どの辺りが事務の効率化につながっていくのか、また、今後、電子納税通知書のデータ正本化に向けてどのように取り組むのか、伺います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、電子納税通知書の対象といたします固定資産税などの税目は、課税庁でございます地方団体側が税額を決定して、納税者に直接通知することで賦課を行うものでございます。このため、納税通知書はこの賦課の際に送られる通知でございまして、賦課を行政処分として確定させる効果がございます。

 このため、万が一納税通知書が到達しなかった場合には賦課が成立せず、税の徴収ができなくなってしまうおそれがあることから、今回、電子納税通知書は副本とさせていただいたものでございます。

 なお、委員御指摘のございました特別徴収税額通知は、納税者個人に直接送るものではない点で納税通知書とは異なるものでございます。

 今回、地方団体の事務の効率化につながるよう、納税通知書に同封されております納付書につきましては、申出の翌年度以降、郵便での送付を不要とするということを考えております。電子データのみを送付することになるわけでございますが、納税者にとりましても、固定資産や車両等のデータ管理が容易になること、電子納付をより簡便に行うことが可能となるといったメリットがあるものと考えております。

 御指摘の電子納税通知書の将来的な正本化につきましては、こういった副本での運用実績を積み重ね検証しつつ、納税者や地方団体の御意見を伺いながら今後検討してまいりたいと考えております。

おおたけ委員 段階的に軽減につながっていくということ、理解をいたしました。

 eLTAXは今後、対象業務の拡大などどのように取り組まれるのか、スケジュールも含めて伺います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 eLTAXにつきましては、法令上、全ての申告等や納付の手続について既に利用可能な状態となっておりまして、利用実績も年々拡大しているところでございます。

 令和八年九月からは、国民健康保険料や道路占用料などの地方税以外の公金につきましても、地方税統一QRコードの活用によりまして、eLTAX経由での収納を可能とする予定でございます。必要なシステム改修を進めますとともに、地方団体に対し助言を行ってまいりたいと考えております。

 さらに、納税者や地方団体のニーズ、地方団体の事務負担を考慮しながら、納税証明書を電子的に送付する仕組みについても今後検討してまいります。

 引き続き、納税者等の利便性向上を図るとともに、地方団体の業務効率化にもつなげられるよう、eLTAXを活用した地方税務手続のデジタル化を推進してまいります。

おおたけ委員 それでは、最後のテーマに入ります。

 緊急浚渫事業について各議員さん方が触れられておりますが、私からも、重要だと思っておりますので、少しだけ伺いたいと思います。

 私の住む豊川市を始めとした周辺地域は、一昨年の六月二日に豪雨による水害で家屋や農作物等に大きな被害がありました。河川のしゅんせつは、このような水害を防ぐために有効な手段の一つです。この河川のしゅんせつは、先ほどもありましたとおり定期的に行うべきものでありますが、今回、緊急という形態になっているということです。そして、この事業は、水害を危惧する住民からの要望が多く、自治体としても大変ニーズが大きいと思います。ここで、これまでこの制度を使った自治体の数などの活用実績と、継続、延長した理由について伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 緊急浚渫推進事業債の、まず創設の理由について申し上げますと、五年前にこの制度を創設させていただいたわけですが、当時、河川等にかなりの土砂等が堆積をしておりまして、しゅんせつを早急に実施すべき箇所が多数に上っておりました。その一方で豪雨等の災害が頻発をしており、これを防ぐためにも早急にしゅんせつを進める必要があると判断したところでございます。

 このため、本来、しゅんせつは地方債ではなく一般財源で対応すべきものではありますけれども、緊急的な対応を図るために地方財政法を改正いたしまして、地方債を発行できる形に改正した上で、令和二年度より緊急浚渫推進事業債として特例的な措置を講じさせていただいたというものでございます。

 同事業債の活用実績でございますが、直近の令和五年度は七百九団体となっております。

 また、令和二年度の創設時から令和五年度にかけて、これは延べ数でございますけれども、延べで二千四百三十団体に活用されるなど、多くの自治体で活用され、短い事業期間と少ない経費で効果的、効率的な水害の未然防止を図ることができているものと考えております。

 一方で、緊急的にしゅんせつを実施すべき箇所がまだ数多く残っていると認識しておりまして、自治体の要望も踏まえまして、この事業債について特例措置の期間を五年間延長することとしたものでございます。

おおたけ委員 自治体側の制度の利用も大変多く七百九団体、そして要望も多く出ているということを理解いたしました。

 今後、自治体の要望をしっかり聞き取っていただいて、要望する自治体がきちんと事業を行えるようお願いしたいと思いますが、お考えを伺います。

大沢政府参考人 私どもといたしましても、この事業債が多くの自治体に効果的に使われるように、今般、対象事業も拡充をさせていただきましたので、そうした情報も各地方団体に周知を徹底いたしまして、この事業の活用を促進してまいりたいと考えております。

おおたけ委員 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

竹内委員長 次に、西川厚志君。

西川(厚)委員 立憲民主党の西川厚志でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速でありますけれども、まずは、地方交付税が交付されていない、いわゆる不交付団体の皆さんが抱える悩み、苦悩について何点か御紹介をさせていただきながら、質問させていただきたいと思います。

 先日、私の地元の愛知県内の不交付団体の首長の皆さんと意見交換の場を持ちました。おかげさまで、愛知県内には、令和七年一月現在、十六の市町村が不交付団体でありまして、これは全国でも最多の数になります。ただし、今日ここで私が申し上げるのは、財政力指数が一・〇を僅かに超える、一・〇幾つか、言ってみればぎりぎり不交付の自治体が抱える苦悩だということをあらかじめ押さえていただければと存じます。

 また、先週の予算委員会におきまして愛知県選出の他党の議員もこのことについて触れていらっしゃるそうでありますが、一部重複をするかもしれませんけれども、よろしくお取り計らいをいただければと思います。

 そこで、まずは基準財政需要額の算定方法について、人口の測定を何ゆえ国勢調査の結果に求めるのかということでありまして、なぜ住民基本台帳では駄目なのかという苦悩です。

 というのも、御承知のとおり、愛知県では自動車産業を始めとする製造業が盛んでありまして、そこで従事する外国人の数も近年著しく増えてきております。よって、比較的財政力の高い自治体ほどこうした外国人の方も多くなるという相関関係も見受けられるんだと思いますが、やはりどうしても外国人の彼らはなかなか国勢調査に協力的ではない、そんな傾向があるようです。何となく分かるような気もします。だとすると、むしろ外国人の数を正確につかもうとするのであれば住民基本台帳を使用すべきではないのかという声であります。これについてまずお尋ねをしたいと思います。

大沢政府参考人 お答えをいたします。

 普通交付税の基準財政需要額は、各地方公共団体の財政需要を合理的に測定するものであり、その基礎を成す測定単位につきましては、地方行政の種類ごとに、その経費の多寡を最も的確かつ合理的に反映するものを用いる必要がございます。

 そうした観点から、その数値が各地方団体ごとに客観的に把握ができ、かつ国の基幹統計等の一定の公信力を有する資料に基づくものが適当と考えております。

 このような考え方の下で、基準財政需要額の測定単位に用いる人口につきましては、我が国に居住している者に関する全数調査であり、統計法上の基幹統計と位置づけられ、高い公信力を有する国勢調査の人口を過去から用いてきているということでございます。

 なお、御指摘の外国人人口につきましても、この国勢調査において捕捉に努めていると認識をしております。

 また、住民基本台帳人口は、住所の変更をせずに転居する者の居住実態を捕捉できないなどの課題があるものと考えております。

 今後とも、各地方団体の財政需要を適切に捕捉する観点から、測定単位の在り方について不断に検討してまいりたいと考えております。

西川(厚)委員 少し事の本質をつかんでいないような気もいたしますけれども。

 実は、平成十二年四月施行の地方交付税法第十七条の四によりますと、地方交付税の算定について、地方公共団体から意見を申し出ることができる制度が創設されております。

 かつて、とある自治体から直近の人口増を正確につかむためには国勢調査ではなく住基台帳を基に算定をとの要望が出されたことがありますけれども、これに対して時の総務大臣はきっぱりと住基台帳は採用しないと処理されております。その際、公信力を担保する観点から国勢調査を用いるんだと記録にありますが、ただ、公信力という意味においていえば、今回の外国人の数をつかもうとする場合は、国勢調査を嫌がる一定の外国人がいる以上、住基台帳こそ公信力を担保するんだと私は思います。

 そして、もっと言えば、もしも正確な外国人の数が出たとしても、需要額全体にはそれほど大きな影響はないかもしれません。ただ、それでもこうした声を伝えたいという不交付団体の願いを、是非皆様には彼らの抱える苦悩だとして捉えていただきたいというふうに思います。

 そして、次の苦悩は国庫支出金の割り落としについてです。

 そもそも我が国では、地方自治体間の税財源の不均衡を調整するとともに、国内における全ての自治体の住民に標準的な行政サービスを提供し得るだけの財源を保障することを目的に地方交付税制度が採用されております。この制度の運営に当たっては、地方交付税法第三条第一項に、総務大臣において各地方団体の財政状況の的確な把握に努めることとされており、毎年度の普通交付税及び特別交付税の配分を通じて各団体間の財源の不均衡の調整がなされておるところであります。

 しかしながら、各省庁が所管する国庫支出金に関して、財政力指数に基づく交付額の割り落としなどの不合理な取扱いがかねてより続けられておりまして、近年では新型コロナウイルス感染症や物価高騰に対応するための交付金においてさえ同様の取扱いがなされているとの指摘があります。こうした国庫支出金の割り落としなどによる財源調整については、地方交付税による財源調整に加えたいわば二重の調整であり、国民に対する公平と平等の観点から極めて問題があると言わざるを得ないとあります。こうした彼らの思いをどう受け止めるのか、御所見をお伺いしたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 国庫補助金等の趣旨や目的については様々でございますことから、その補助率等の在り方について一概に申し上げることは困難な面がございます。

 所管省庁において、個別の国庫補助金等の趣旨や目的に応じて適切に対応いただいているものと考えております。

 総務省としては、不交付団体も含む地方自治体の声をよくお伺いしながら、地方財政措置を所管する立場から、地方の財政運営に支障が生じることのないよう適切に対応してまいりたいと考えております。

西川(厚)委員 それでは、もう一つ、地方財政の運営や国との関係に関する基本原則を定めた地方財政法の第二条第二項では「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」と定められております。

 にもかかわらず、彼らが痛切に負担感を感じているのは、例えば法人住民税法人税割の税率の引下げ、あるいは会計年度任用職員の期末・勤勉手当の支給、幼児教育・保育の無償化、GIGAスクール構想の前倒しに伴う教育環境の整備、新型コロナウイルスワクチン接種の定期接種化などなど、言ってみれば国による十分な財源の保障がないままに地方団体の負担を伴う制度改正が行われている、こうした訴えであります。そして、これらの制度改正に伴う財源の多くが交付税措置とされており、まさにこの取扱いは不交付団体に対する国からの財政負担の転嫁に当たるのではないのか、国の制度改正等により減収や地方負担を伴う場合には、地方財政法の趣旨にのっとり、地方交付税ではなく全額国費による財政措置を講じ、さらに、少子化対策や教育環境の整備等、本来国の責任において全国一律に実施すべき事業については全ての団体に対して必要な財源を確実に保障されたしという叫びであります。

 これらの声に対してはどのように受け止められるのか、これについてもお聞かせいただきたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方財政法上、自治体の事務に要する経費は自治体が負担することが原則とされております。その上で、国が経費を負担する場合には、国と地方の役割分担や責任の度合い等を勘案して、法令等で国の負担率が定められているものと承知をしております。なお、多くの場合、自治体に対する国庫負担率は全額とはされていないところでございます。

 その上で、標準的な行政サービスを提供するために必要な地方負担については、不交付団体についても交付団体と同様に適切に交付税算定を行っておりまして、結果として基準財政需要額を基準財政収入額が上回る場合に不交付団体となるわけでございますが、不交付団体においても必要な行政サービスを提供するための財源が確保されているものと認識しております。

 また、税制改正等におきまして自治体の財政運営に大きな影響が生じると見込まれる場合には、これまでも必要に応じて地方債の発行ができるように特例を設けてきたところでございます。これらは主に不交付団体を念頭に置いた措置でございます。

 今後とも、不交付団体においても財政運営に支障が生じないよう、交付団体との公平性も念頭に置きながら適切に対処してまいりたいと考えております。

西川(厚)委員 一応受け止めておきます。

 それでは、次にふるさと納税制度についてです。

 この制度が抱える問題につきましては、この場で一つ一つ取り上げることは控えますけれども、個人住民税の流出は基準財政収入額に算定されているとはいうものの、ぎりぎりの不交付団体にとっては、それでも一言、物を申したい気持ちは痛いほど私もよく分かります。

 制度の抜本的な見直しこそが解決に向かうわけでありますけれども、現状はそうではなくて、解決に近づくどころか、むしろ逆にワンストップ特例を認めるがゆえに所得税控除相当額の個人住民税が更に減収となっておりまして、もはや彼らにとっては国による嫌がらせとしか映ってはいないようです。ワンストップ特例制度による減収分だけでも地方特例交付金などで補填をしていただきたい、こうした要望が出されておりますけれども、こうした声についてはどう受け止められるのか、御所見をお伺いしたいと思います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のふるさと納税につきましては、個人住民税の一部を実質的に自治体間で移転させる仕組みでありますが、結果として、御指摘の不交付団体を含め、住民税の控除額、いわゆる流出額が寄附受入額を上回る自治体は生じ得るものと考えております。

 ただいま御指摘のございましたワンストップ特例制度は、ふるさと納税の手続の簡素化につきまして地方六団体から要望されたことも踏まえ、導入したものでございます。

 なお、この制度におきましては、高額所得者など確定申告が必要な方や、五を超える自治体に寄附した方はワンストップ特例制度の対象外となっております。

 地方交付税の算定上、寄附金の税額控除による減収分の七五%は不交付団体を含む全ての自治体について基準財政収入額に反映され、自治体の財政運営に支障が生じないような仕組みになっておるところでございます。

 今後とも、自治体や納税者の皆様の御理解をいただきながら、ふるさと納税の本来の趣旨に沿って制度が適正に運用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

西川(厚)委員 分かりました。

 それでは、二つ目のテーマに移りますけれども、二つ目は個人住民税の利子割の問題についてであります。実は、ここでも東京一極集中の芽が伸びようといたしております。

 そもそも、この個人住民税利子割は、預貯金の利子などの支払いの際、利子の額に税率五%で課税されておりまして、口座名義人に代わって金融機関が利子からその税額を差し引いて納税する仕組みとなるわけでありますけれども、その納税先が、実は、口座名義人、預金者の住所地ではなくて、例外的に口座の所在地都道府県となっております。

 なお、利子割と同様に、金融機関が徴収、納付を行う配当割や株式等譲渡所得割は納税者の住所地に納付されておりまして、この利子割が所在地課税の例外となった理由としましては、昭和六十三年度の制度創設時においては預金は預金者の住所地に近い金融機関に預けられることが通常でありまして、都道府県単位での住所地とのずれは極めてまれだと考えられていたことや、金融機関の事務負担等が考慮されたと説明がなされております。

 確かに、令和二年までは東京都が全国に占めるシェアは配当割や株式等譲渡所得割と大体同じ水準で、利子割も二〇%を僅かに超える程度でありました。しかしながら、ほかのこれら二つの個人住民税の東京都シェアがその後も同水準で推移しているのに対して、利子割だけは、令和三年で二四・七%、令和四年で四一・五%、そして令和五年には四七・二%と、東京への一極集中が明らかに進んできていることが見て取れます。

 その背景は、インターネット銀行の目覚ましい台頭です。インターネット専業であるために、実在の店舗は全くない、あるいは最小限に抑えられておりまして、その分、人件費や店舗運営コストもかなり抑制できることとなり、手数料を安くしたり預金金利を高く設定することが可能となるわけです。その上、今日では、新しく法人を立ち上げて金融機関に口座を開設しようとする場合、マネーロンダリングなどの悪さをもくろんでいない、そんな証明をするために普通銀行などではとても厳しく審査を受ける、そんな面倒を避けるためにも、手軽に開設ができるこうしたインターネット銀行が選ばれてもいるようであります。結果、直近の預金残高はインターネット銀行全体で三十五兆円超とも言われております。

 ただ、ここで問題となるのが口座住所地です。もちろん、インターネット空間の口座に都道府県の線引きができるはずはありません。この場合、インターネット銀行の本社所在地が口座住所地としてみなされることになります。すると、やはりこれらの口座で課税される利子割の行方はどうしても東京に集中するということになるわけです。ただ、幸い、令和五年度の決算見込みで見ても利子割の税収総額は二百二十二億円程度でありますが、あるべき税収帰属との乖離が拡大しているということには間違いがありません。

 そこで、まずお尋ねするのは、ここまで私が申し上げてきた利子割の東京一極集中に対してどう皆さんが問題意識を持っていらっしゃるのか、これについてお聞かせをいただきたいと思います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のございました利子割税収につきましては、令和五年度決算において、全国で二百二十二億円、東京都で百五億円となっておりまして、全国に占める東京都のシェアは約四七%でございます。

 所得割などその他の個人住民税においては東京都の全国に占めるシェアが二〇%程度であることと比較しますと高い水準となっておりまして、その背景には、委員御指摘のようなインターネット銀行の伸長といったものが考えられているところでございます。

 令和七年度地方財政計画におきましては、さらに足下の金利動向を踏まえ四百四十九億円と見込んでおりまして、対前年比約二百二十八億円となっているところでございます。

 これらの状況につきまして、令和七年度の与党税制改正大綱におきましては、インターネット銀行等の伸長など金融機関を取り巻く経済社会の構造変化により、あるべき税収帰属との乖離が拡大していると考えられると指摘されていると承知しております。

西川(厚)委員 この問題について、次に村上大臣にもお伺いしたいと思います。

 実は、この問題については令和七年度の与党税制改正大綱でも触れられておりまして、地方公共団体の意見を踏まえつつ、税収帰属の適正化のための抜本的な方策を検討し、令和八年度税制改正において結論を得るとあります。そこで、この問題について、今後進めるべき取組についてどうお考えか、是非お聞かせをいただきたいと思います。

村上国務大臣 西川委員の御質問にお答えいたします。

 まさに御指摘のとおり、金融機関などから支払いを受ける預貯金の利子等に課される税金は、東京への一極集中がますます進んでいるように思っております。

 先ほど税務局長からもお話がございましたけれども、道府県民税の利子割については、非常にあるべき税収帰属との乖離が拡大していると与党の税制改正大綱でも記されているとおりであります。

 今後については、金融機関等の事務負担等に配慮しつつ、税収帰属の適正化のための抜本的な方策を検討して、令和八年度の税制改正において結論を得るというふうになっております。

 自治体の皆さんからは、その方策について高く評価するということでございますので、総務省としてもこの方針に沿ってやっていきたい、そのように考えております。

西川(厚)委員 ありがとうございました。

 それでは、最後の質問になりますけれども、私の地元名古屋市が続ける市民税の五%減税について、事実関係だけ確認させていただきたいと思います。

 ちなみに、名古屋市は交付団体と不交付団体を行ったり来たりしておりまして、直近の財政力指数は〇・九九だと聞いております。現在、全国でも名古屋市のみが継続する市民税減税は、平成二十二年度以降、十六年にわたり、毎年度およそ百億円ずつ納税者に戻されてまいりました。結果、累計で三千八百億円の市税増収を達成したとも言われております。

 ただ、その一方で、住民税が非課税であったり控除対象となる配偶者や扶養親族などの、市民の約半数、百十万人には当然何の恩恵もありません。かつ、モデルケースとして公表されている例えば年収七百万円の四人世帯では年間九千百円というように、減税額一万円以下の方が市民の四割でありまして、やはりごくごく一部の金持ち減税制度である、他方からそんな指摘が寄せられております。確かに市税の増収につながったのかもしれませんが、全国の同じ政令指定都市とその伸び率で比較してみると、トップの福岡、そして川崎、さいたまと続いて、名古屋市はようやく八番目に位置する、そんな統計も出ております。

 そこで、確認をさせていただきたいと思います。

 地方財政法によりますと、ざっくり言いますと、例えば名古屋市が市民税を標準税率未満に下げる場合、建設地方債の起債には総務大臣の許可が必要となるとあり、同時に、その審査は、減税による減収額を上回る行政改革の取組が予定されているかどうか、また、地方税収の確保の状況についてほかの政令市の徴収率を上回っているかどうか、これらの観点から精査がなされるとの取決めが定められております。今、名古屋市が、市民税減税による減収分がおよそ大体一年百億円と言われております。だとすれば、それを上回る名古屋市の行革メニューとそれぞれのもたらす効果額、そして直近の名古屋市が申し出た建設地方債の額についてお示しをいただきたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 標準税率未満の地方公共団体の建設地方債に係る許可に際しましては、減税の所要財源について、地方債による将来世代への負担の転嫁ではなく行政改革の取組等により自ら財源を捻出している点や、地方税収の確保の状況等を確認し、判断することとしております。

 令和六年度の地方債の協議等手続第一次分におきまして、名古屋市の許可申請額は九百九十一億円となっております。また、減税による減収額は約百億円、行政改革の取組等の効果額は約百五十億円、地方税の徴収率は第一次分申請時点で九九・三%でありまして、類似団体である政令市の平均、九八・六%を上回っております。

 なお、先ほど私から答弁申し上げた際に、基準財政需要額が基準財政収入額を上回る場合に不交付団体というふうに申し上げたかと思いますが、逆でございまして、基準財政需要額を基準財政収入額が上回る場合に不交付団体になるの誤りでございますので、訂正をさせていただきます。

西川(厚)委員 最後の質問といたしますが、昨年十一月、名古屋市長選挙が行われました。当選されたのは前市長が後継指名をした候補者の方でありまして、その方の公約の柱が、市民税減税を五%から更に一〇%へ引き上げるんだ、こんな内容であります。

 そうすると、前提として、名古屋市を取り巻く財政状況が現在と全く、今と同じだとして、減収額も倍の二百億円になる、まずそんな考え方でいいのかどうか。そして、今の答弁を踏まえますと、建設地方債の起債を引き続き認めてもらうためにはあと五十億円分の行革が必要だ、そんな解釈でよろしいのかどうか。これについてお答えをお願いいたします。

大沢政府参考人 お答え申し上げます。

 名古屋市から現時点でそのような税率の、減税の関係の申請はございませんので、個別の解釈についての答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、名古屋市から許可申請がありましたら、世代間の負担の公平への影響について、減税による減収額、先ほど百億円というふうに申し上げましたが、その減税による減収額を上回る行革効果額が見込まれるかどうか、地方税収の確保の状況について、地方税の徴収率が政令指定都市の平均を上回っているかどうかを中心に精査し、判断をすることになると考えております。

西川(厚)委員 ありがとうございました。

 終わります。

寺崎政府参考人 申し訳ございません、先ほど私の答弁で、利子割の税収につきまして対前年度比約二百二十八億と申しましたが、正しくは対前年度比約二二八%の誤りでございました。訂正させていただきます。

竹内委員長 次に、杉村慎治君。

杉村委員 昨年十二月、臨時会の総務委員会にて初めて質問の機会をいただきました、立憲民主党の杉村慎治でございます。

 村上大臣、二〇二五年、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について質疑させていただきます。

 私のふるさとであり、心から愛する地元埼玉県第九区、狭山茶の香りが広がる入間市、狭山市、ムーミンバレーパークで笑顔があふれる飯能市、マンジュシャゲが燃えるように咲き誇る日高市、日本最古のユズの産地として誇り高い毛呂山町、そして関東一の梅の恵みを育む越生町、自然と歴史に抱かれた、かけがえのない地域です。しかし、その美しさの裏で人口減少や高齢化という大きな波が押し寄せています。それでも、この地を愛し、未来を信じる人々がいます。市長、町長の強いリーダーシップの下、各自治体は地域の力を結集し、自主財源の確保を始めとする様々な挑戦を続けています。

 本日は、このふるさとを守り、次の世代へと誇れる形で受け継いでいくために、五つのテーマについて質問させていただきます。

 まず、一つ目は地方税制のあるべき姿です。

 昨年五月、私の地元埼玉県の大野元裕知事、千葉県の熊谷俊人知事、そして神奈川県の黒岩祐治知事が政府に対し、居住する地域にとらわれない子供施策の実現及び財源の偏在是正について強く申入れを行いました。三知事が訴えたのは、住む場所によって行政サービスに大きな差が生じないよう、税源の偏在を是正し、安定した税収を確保できる地方税体系の構築を急ぐべきだという切実な要望でした。

 私は、地元を歩く中で何度も何度も住民の皆さんの悔しい声を聞いてきました。お隣の東京では受けられるサービスがなぜ埼玉県では受けられないのか、同じ日本に生まれ同じ税金を納めているのにこんなにも違うのはおかしい、この言葉にどれほどの思いが詰まっているのか、地方に生きる人々がただ黙って受け入れるだけの社会であってはなりません。政府として、行政サービスの地域格差を解消し、どこに住んでいても安心して暮らせる国をつくるために、税源の偏在を是正し、安定した税収を確保する地方税体系の改革に本気で取り組むべきではないでしょうか。住む場所が違うだけで受けられる支援が変わる、この不条理を未来の世代にまで残してはなりません。

 そこで、村上大臣にお伺いします。どうか、この現実に向き合い、国民一人一人が納得できる答えを示していただきたい。村上大臣、よろしくお願いいたします。

村上国務大臣 杉村委員の御質問にお答えします。

 言われるように、東京一極集中が続く中、既に地方に居住している人の流出を防止するとともに、都市部から地方への移住を拡大する観点から、若者、女性にも選ばれる地方をつくることが重要であると考えております。

 加えて、様々な自治体から、行政サービスの地域間格差が過度に生じないよう、地方税の偏在の是正について御意見を伺っております。

 総務省としましては、拡大しつつある自治体間の税収の偏在や財政力格差の状況について原因、課題の分析を進め、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組んでまいりたい、そのように考えております。

杉村委員 村上総務大臣、御回答、誠にありがとうございました。

 自治体が輝き、住民の皆さんが誇りを持って暮らせる社会を築くために、自主財源の確保が不可欠です。財源がなければ、どれほどすばらしい政策も、どれほど熱意ある挑戦も実現できません。どうか、大臣御自身が先頭に立ち、税源の偏在を是正し、自治体が安定した税収を確保できる制度の確立に向け、確かな一歩を踏み出していただきたい。生まれた場所で未来が変わる社会を終わらせるために、村上大臣のリーダーシップに心から期待しております。

 続きまして、二つ目のテーマは企業版ふるさと納税についてです。先ほど西川委員からもありましたが、私からも質疑させていただきます。

 今国会に提出された地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案により、企業版ふるさと納税の延長が定められています。この制度は、令和二年度の税制改正による税額控除の拡充を受け、全国的に寄附企業数、寄附額共に急増し、私の地元六市町でもそれぞれの魅力を発信しながら自主財源確保に取り組んでいます。地方創生の大きな力となるこの制度を私も強く注目しております。

 そこで、お伺いします。今回の改正案では、税額控除の特例措置を令和六年度までから三年間の延長としています。しかし、地方が真に安定した財源を確保し、企業との継続的な関係を築くには、五年、十年といった長期的な視点こそ必要ではないでしょうか。なぜたった三年にとどめたのか、その理由を是非御説明ください。総務省、政府参考人、よろしくお願いいたします。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 企業版ふるさと納税は、制度創設以降、各地方団体の地方創生の取組を後押ししてきたほか、政府における地方創生二・〇の取組を税制面でも後押しする観点から、今回、特例措置の適用期限を延長することとしたものでございます。

 一方、先般、地域再生計画の認定が取り消される不適切事案が発生したことを踏まえ、制度を所管する内閣府において、制度の健全な発展の観点から、必要な制度改善策を講ずることとしております。

 この制度改善策に係る効果検証を行う必要があることから、本税制の延長期間については令和九年度末までの三年間としたところでございます。

杉村委員 御回答、誠にありがとうございました。

 今政府からは、特例措置として三年という期間が設定されたとの御説明をいただきました。しかし、企業版ふるさと納税については、これまでの期間に今のお話だと不適正な事案が発生しているとの報告もあります。この制度は、地方創生の大きな力となるべきものです。しかし、その信頼が揺らぐような事案が存在するのであれば、正すべきは正し、より透明性の高い制度へと進化させることが求められます。

 そこで、お伺いします。政府が把握している不適正な事案は現時点で何件あるのでしょうか。また、それらの事案はどのような内容なのか。この制度が本来の目的を果たし、地方に希望を届ける仕組みとして機能するために、政府の明確な御説明をお願いいたします。参考人、よろしくお願いいたします。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 内閣府が把握している不適切事案の状況ということでございますが、企業版ふるさと納税につきましては、昨年十一月、寄附を活用した事業において、契約手続の公正性等に問題があると認め、福島県国見町の地域再生計画の認定を取り消したところでございます。

 同様の事案があるかにつきましては、令和五年度に寄附を受領した全自治体に対して、寄附を活用した事業の契約手続等の実態調査を行ったところでございます。調査の結果、寄附活用事業において、一者応札による契約先や補助金の交付先等に寄附企業等が含まれているケースは全体の約一%、三十事業ございました。また、該当する三十事業につきまして、国において聞き取りを行いまして、各自治体において契約手続の公正性等を確保した上で行われたことを確認しております。

杉村委員 御回答、誠にありがとうございます。

 政府としては、不適正な事案の発生を防ぎ、制度の健全性を検証するために三年間という期間が最適だと判断されたという理解でよろしいでしょうか。

 しかし、この制度は、地方の未来を支える重要な柱です。不適正な事案が発生すれば、その信頼は揺らぎ、本来の目的を果たせなくなってしまいます。だからこそ、問題の再発を防ぐための確かな対策が求められます。そこで、お伺いします。政府として現時点で、不適正な事案を防ぐためにどのような対策を講じているのか。この制度が真に地方の発展を支え、未来へとつながる確かな仕組みとなるよう、政府の決意をお聞かせください。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 企業版ふるさと納税につきましては、令和七年度税制改正大綱におきまして適用期限を三年間延長することとしておりますが、認定を取り消しました事案なども踏まえまして、制度の健全な発展の観点から見直しを行うこととしております。

 具体的には、寄附活用事業の実施に当たりまして、自治体に自発的な確認を促すためのチェックリストの導入、寄附企業が一者応札で受託した場合等における寄附企業名の公表、地域再生計画の取消しを受けた場合における二年間の再申請の欠格期間の創設等の措置を新たに設けまして、改善策を講じることで、抑止力の大幅な強化につなげ、適切に対応してまいる所存でございます。

杉村委員 御回答、誠にありがとうございます。

 企業版ふるさと納税が適正に運用され、地方の発展に真に寄与する制度となることを強く願います。そして、この制度こそ、自治体が独自性を生かし、自らの力で未来を切り開くための大きな原動力であると確信しております。

 だからこそ、村上総務大臣にお伺いします。この制度を、一時的な特例ではなく、地方の持続可能な発展を支える恒久的な財源として位置づけるべきではないでしょうか。三年という期限に縛られるのではなく、地方が安心して長期的なビジョンを描ける仕組みこそ、今、求められています。私は、この制度の恒久化こそが地方の未来に確かな希望をもたらすと信じています。どうか、地方創生の旗を掲げ、この改革を力強く推し進めてください。大臣の確固たる御決意をお聞かせください。

村上国務大臣 今御説明がありましたように、いろいろ対策がなされております。

 制度として恒久化すべきとの御意見につきましては、一般論としましては、税負担軽減措置については、その適用実績や政策効果を定期的に検証して、必要に応じて見直しを行うものと考えております。

 本税制を通じた企業による地方への資金の流れの実現は委員と同じく重要と考えておりまして、今後、適用期限の到来に合わせ、関係省庁と特例措置及び制度改善策の効果検証を行ってまいりたい、そのように考えております。

杉村委員 村上総務大臣、御回答、誠にありがとうございます。

 私の地元埼玉県第九区でも、各自治体が企業版ふるさと納税を活用し、地域の未来を切り開こうと懸命に取り組んでいます。この制度は、単なる税制優遇ではなく、地方経済の活性化を支え、人々の暮らしに希望をもたらす大きな力です。この制度を、一時的なものではなく、自治体が自立し持続可能な未来を築くための安定した恒久財源として位置づけるべきではないでしょうか。地方に生きる人々が誇りと希望を持てる社会のために、この制度が真に地方の力となるよう、政府の確かな決断を強く求めます。

 引き続きまして、三つ目のテーマは物価の高騰における税負担上の問題についてです。個人住民税についてお伺いします。

 令和七年度税制改正では、物価高騰による負担増を考慮し、所得税の基礎控除は引き上げられる一方、地方財源への影響を理由に個人の住民税の基礎控除は据え置かれました。

 確かに、個人住民税は地域社会の会費としての役割を担っています。しかし、今、多くの人々が物価高騰の中で生きることに精いっぱいになっています。この厳しい現実の中で、住民の暮らしを守るために個人住民税の基礎控除引上げを検討すべきではないでしょうか。政府はこの声にどう応えるのか、どうか真摯な御答弁をお願いいたします。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 個人住民税における基礎控除につきましては、昭和三十六年以前におきましては所得税と同一でございました。その後、地方財政への影響等を考慮して、所得税減税による影響を遮断するために、昭和三十七年度から地方税独自に基礎控除額を創設した経緯がございます。

 この基礎控除の引上げについて今御質問がございましたが、地方の首長などからは個人住民税の減収による地方財源や行政サービスへの影響を懸念する声がある中、仮に基礎控除額を十万円引き上げた場合、地方で約五千五百億円程度の減収が生ずることとなります。

 このような状況等も踏まえまして、個人住民税におきましては、できるだけ多くの住民の皆様に広く負担を分かち合っていただくという地域社会の会費的な性格や、ただいま申しました地方税財源への影響等を総合的に考慮し、所得税と同様の措置として、給与所得控除の見直し等については対応する一方で、個人住民税の基礎控除額については据え置くという判断をさせていただいたところでございます。

杉村委員 御回答ありがとうございます。

 今回の法改正では、物価高騰への対応として、所得税の基礎控除額は四十八万円から五十八万円へ、そして給与所得控除額は五十五万円から六十五万円へと、それぞれ十万円引き上げられます。これは、生活に苦しむ国民への支援の一歩かもしれません。しかし、給与所得控除の上限は見直されず、いまだに給与収入八百五十万円で頭打ちのままです。物価が上がり続ける中で、これでは十分とは言えません。

 今必要なのは、限られた支援ではなく、国民の暮らしを本当に守る政策です。物価高騰対策として法改正を行うのであれば、給与所得控除の上限も引き上げるべきではないでしょうか。政府の力強い決断を求めます。どうか、この声に応えてください。政府参考人、よろしくお願いいたします。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 個人所得課税における所得とは、収入金額から収入を得るために要した経費を差し引いたものでございまして、政策判断を伴う所得控除等とは異なり、所得税、個人住民税において同一であるものでございます。

 お尋ねの給与所得控除は、サラリーマン等に対して勤務に伴う経費を概算的に控除するものでございまして、所得計算上の必要経費に当たるものでございますことから、これまでも所得税、個人住民税で同一の取扱いとしてきたところでございます。

 今般の所得税における改正案におきましては給与所得控除の上限額は据置きとされていることから、これまでの取扱いを踏まえ、個人住民税においても同様の対応とさせていただいたところでございます。

杉村委員 御回答、誠にありがとうございました。

 総務省の家計調査によれば、二〇二四年の消費支出は実質で前年比一・一%減少、そしてエンゲル係数は二八・三%と、四十三年ぶりの高水準に達しました。物価高が続く中、国民は生きることに必死です。

 この厳しい現実の中で、個人住民税の基礎控除についても、たとえ所得税と同様に十万円の引上げでなくとも、負担を軽減する措置を講じるべきではないでしょうか。国民が安心して暮らせる社会のために、村上総務大臣の御見解をお聞かせください。

村上国務大臣 杉村委員のお気持ちは非常によく分かります。

 ただ、先ほど来局長から説明がありましたように、個人住民税においては、地域社会の会費的な性格や地方税財源への影響を総合的に考慮して、基礎控除を据え置くこととしております。

 今般の対応については、一応、地方からも一定の評価をいただいているものと考えております。

 今後につきましては、三党幹事長確認書に基づき政党間での協議が進められるものと考えておりますので、総務省としてはその行方を見守りながら誠実に対応していきたい、そういうふうに考えております。

杉村委員 村上総務大臣、ありがとうございました。

 しかしながら、税の公平性という観点から考えると、政府の御回答には論理的な一貫性があるとは言い難いというのが率直な思いです。国民の暮らしに深く関わる重要な問題だからこそ、より納得のいく説明が求められるのではないでしょうか。残念ながら、私はその確信を持てません。この思いを胸に、次の議論へと進ませていただきます。

 四つ目のテーマは、固定資産税における生産性向上や賃上げに資する中小企業の設備投資に係る特例措置の拡充、延長についてです。

 固定資産税は、市町村の財源を支え、地域の未来を築くために欠かせない基幹税目です。私の地元の各自治体にとっても、地域の発展と持続可能な成長を支える重要な柱となっています。

 政府は、厳しい経済環境の中で中小企業の投資や賃上げを後押しするため、令和五年度税制改正で固定資産税の特例措置を創設しました。そして、今回の法改正により、その適用期限が二年間延長され、令和九年三月三十一日までとなります。この制度が延長されることで企業が挑戦しやすくなり、地域経済の活性化につながることを強く願っています。

 しかし、なぜ延長期間は二年なのか。中小企業が中長期的な投資計画を立てるには、より安定した制度が必要ではないでしょうか。そこで、お伺いします。特例措置の延長期間を二年とした理由を御説明ください。政府参考人、よろしくお願いいたします。

寺崎政府参考人 ただいま御指摘がございました特例措置につきましては、令和五年度に二年間の時限的な措置として創設されたものでございます。

 今回の適用期限の延長に当たりましては、経済産業省から二年間の延長要望がございましたので、令和七年度税制改正におきまして二年間に限り延長することとしたものでございます。

杉村委員 御回答ありがとうございます。

 この特例措置は、中小企業の投資が経済の好循環を生むとの考えに基づき設けられました。しかし、たった二年間の延長で本当に中小企業が活力を取り戻せるのでしょうか。成長には安定した環境と長期的な視野が必要です。二年という短期間で未来への確かな足がかりを築けるのか、政府参考人、お答えください。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、二年といたしましたのは、要望に基づいて二年間としたわけでございますが、固定資産税は市町村の行政サービスを支える基幹税でございます。特例措置は、政策目的などを十分に勘案し、真に必要なものに限るべきと考えているところでございます。

 さらに、一般論といたしまして、税負担軽減措置につきましては、その適用実績や政策効果を定期的に検証し、必要に応じて見直しを行うべきものと考えております。

 そのため、今回、二年間に限る延長とし、不断の見直しをしてまいりたいと考えております。

杉村委員 ありがとうございます。

 今回の改正案では、機械、装置に係る課税標準の要件として賃上げが必須とされています。しかし、事業の成長を目指す中小企業にとって、この条件が大きな負担となるのではないでしょうか。厳しい経済環境の中、賃上げが難しい企業も少なくありません。そうした企業に対し、政府はどのような支援策や緩和措置を講じるのでしょうか。村上大臣、中小企業の未来のためにどのようなお考えをお持ちか、お聞かせください。

村上国務大臣 杉村委員御指摘の特例措置は、令和五年度に二年間の時限的な措置として創設されたものであります。

 延長に当たっては、固定資産税が市町村の基幹税であることから、地方からは期限の到来をもって終了すべきとの意見もあったところでございます。

 他方、物価上昇に負けない賃上げを定着させていくためには、多くの中小企業に賃上げに取り組んでいただく必要がございます。

 このため、令和七年度税制改正では、賃上げを後押しするよう見直しを行った上、二年に限り延長することとしています。

 この特例を活用することで多くの中小企業が賃上げに取り組んでいただければ、そういうふうに考えております。

杉村委員 村上大臣、ありがとうございました。

 我が国の企業数の九九・七%を占めると言われている中小企業の発展は、日本経済の成長にとって必要不可欠です。中小企業の皆さんの事業発展を通じて日本経済の活性化が実現されるよう、今回の施策が効果的になることを期待しております。是非とも政府一体となって取り組んでいただけるよう、強くお願い申し上げます。

 最後のテーマは、災害ハザードエリアからの移転促進のための特例措置の延長についてです。先ほど岡島委員より質問がありましたが、私からも質疑をさせていただきます。

 まず、災害ハザードエリアの現状について端的に御説明ください。また、国民の皆さんが自分の住んでいる地域が災害ハザードエリアに該当するかどうかを知るにはどのような方法があるのか。国土交通省の政府参考人、よろしくお願いいたします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 災害ハザードエリアからの移転を促進するためには災害ハザードエリアの設定条件を把握することが必要でございますけれども、そのために、各災害ハザードエリアの設定条件につきまして、パンフレットあるいはホームページ、そういった手段を通じて住民に対して積極的に情報提供がなされているところでございます。

 また、国土交通省におきましても、そうした自治体におけるハザードエリアの設定について、それを重ね合わせて見ることができるようなポータルサイトを設けております。そういったものを通じまして住民に対する情報提供というものに努めているというところでございます。

 引き続き、災害ハザードエリアに関する情報提供、住民への周知、そういったものをしっかり進めてまいりたいと考えております。

杉村委員 御回答ありがとうございました。

 今回の法改正では、不動産取得税の特例措置の適用期限を二年間延長し、令和九年三月三十一日までとすることが盛り込まれています。しかし、本当にこの制度は必要とする方々に届いているのでしょうか。政府参考人にお伺いします。これまでの移転実績はどの程度あり、もし十分に進んでいないとすれば、その原因をどう分析されているのでしょうか。この制度が災害の不安を抱える方々にとって未来への一歩となるよう、政府の真摯な御見解をお聞かせください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のありました災害ハザードエリアからの移転促進を図るための税制の特例措置でございますけれども、今のところ適用実績がございません。

 先ほど、おおたけ議員から御質問がありましたときにお答えしましたように、この制度を適用するに当たって立地適正化計画を策定いたしまして、その上で防災指針を定め、その中に移転の支援のための事業を位置づける必要がありますけれども、そうした事業を位置づけていただいている市町村が十一、今のところございます。こうした市町村が、まずはこの制度を活用していただく上での候補数というふうになっていくものというふうに考えております。

 ただ、いずれにしましても、私どもといたしまして、この制度を十分に活用いただけますように、引き続き制度の周知徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。

杉村委員 御回答ありがとうございました。

 移転には時間がかかります。たった二年の延長で、本当に救われる人がどれだけいるのでしょうか。村上総務大臣、本制度を必要とする方々の立場に立ち、彼らが安心して未来を築けるよう、五年、十年といった十分な期間を設けるべきではないでしょうか。命と暮らしを守る制度は、計画の都合ではなく、人々の人生に寄り添うものであるべきです。どうか、真の救済となる決断をお願いいたします。村上大臣は、この点についてどのようにお考えでしょうか。

村上国務大臣 委員御指摘の特例措置は、災害ハザードエリアからより安全な区域への移転を促進するため、令和三年度に創設されたものです。

 一方で、地方税の特例措置については、政策目的などを十分に勘案しまして真に必要なものに限るべきでありまして、また、その適用実績や政策効果を定期的に検証し、必要に応じて見直しを行うものと考えております。肯定的には考えておりません。

杉村委員 村上大臣、御回答ありがとうございました。

 災害ハザードエリアからの移転は、ただの政策ではありません。それは、大切な命を守り、未来をつなぐ希望の道です。自然災害の脅威と隣り合わせのこの国で一人でも多くの命が救われるように、本制度が本当に必要な人に必要なときに届くものでなければなりません。住民の皆さんが安心して新たな一歩を踏み出せるよう、より長いスパンで事情に応じた適用が可能となることを強く願います。この制度が単なる延長ではなく国民の命を守る確かな約束となることを信じ、私の質問を終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

竹内委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会の守島です。

 早速質問に入ります。

 地方財政のことはこれまでいろいろ要望してきましたが、税収増の影響もありまして、令和七年度の地方財政計画で、一般財源総額が前年比増で確保され、法定率を変えずとも臨財債の新規発行がゼロとなったことは喜ばしいことと思っていますが、とはいえ、これは経済状況のおかげという一過性の可能性もあります。

 地方債残高のトレンドを見ると、臨財債以外の部分は長期的に減ってきておりまして、臨財債の残高も令和以降は縮減しておりまして、今回は大きく三兆五千億円下げる見通しとなっていますが、これまでの地方債の伸び率は臨財債の影響というのが大きかったと思うので、今年のように臨財債の発行が抑制されれば、おのずとマクロの地方財政は健全化すると思っているんですが。

 地方公共団体における地方債のうち市場公募資金比率、つまり自治体独自の起債比率というのは近年高まってきておりまして、ちなみに今年も臨財債以外の地方債は約一千億円の微増なんですが増額があったということで、この点をマクロで評価するのも難しいと思うんですけれども、臨財債の新規発行の抑制が続けばおのずと地方債の総額も減って地方財政は健全化に向かうとみなしていいのか、その認識を問います。

    〔委員長退席、島尻委員長代理着席〕

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方財政の健全化の状況につきまして、委員からも御指摘がありましたように、地方の借入金残高は、ピークが平成十六年の二百一兆ですが、令和七年度末は百七十一兆まで減少する見込みとなっております。このうち、臨時財政対策債と交付税特別会計借入金、この二つの特例的な借入金残高は、平成三十年度の八十六兆から、令和七年度末は六十八兆まで減少する見込みとなっております。

 また、財源不足も、リーマン・ショック発生直後は平成二十二年度に十八・二兆でございましたが、令和七年度は一・一兆まで縮減をしております。

 こうしたことから、地方財政の健全化は一定程度進んでいると認識をしておりますが、他方で、地方財政は依然として巨額の特例的な借入金残高を抱えておりますほか、社会保障関係費や人件費の増加、物価高などにより厳しい財政状況が続くと見込んでおります。

 なお、臨時財政対策債を縮減していくとその残高は減少してまいりますが、そうすればほかの地方債は増えないのかという部分ですが、これについては、建設地方債もこれから老朽化対策がかなり必要になってきますので予断を許さないと思っておりまして、そういったことも総合的に踏まえながら地方財政の健全化に努めてまいりたいと考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 マクロでは地方財政は健全化しているけれども、昨今の状況を見据えて予断は許さないということなんですが、先ほど私が話したように、自治体独自の起債の比率、割合が高まっているということを考えると、自治体の経営次第でばらつきとかが大きくなっているのかどうかというのが気になっていまして、こういう偏差みたいなものは増してきたりしているのかだけ教えてください。

大沢政府参考人 個々の地方団体の財政の健全化に関しましては、平成十九年度決算から地方公共団体財政健全化法に基づく健全化判断比率というものがございます。

 御指摘の財政の健全化の格差については、いろいろな見方がございますので一概には言えませんけれども、例えば一つの例として、先ほどの標準偏差ではありませんけれども、単純な例として御紹介をいたしますと、平成十九年度決算と直近の令和五年度決算の健全化判断比率を財政再生団体である北海道の夕張市を除いて団体種類別に比較いたしますと、実質公債費比率の最も高い団体と最も低い団体の指標の差について、市区町村では、平成十九年度決算は四一・七ポイント差、令和五年度決算では二四・五ポイント差と縮小をし、将来負担比率においても、平成十九年度決算では四〇九・四ポイント、令和五年度決算では二五六・一ポイントと差は縮小しています。

 ただ、同じように都道府県を比較いたしますと逆の結果になっておりまして、その場合には若干差が拡大をしているというふうに出てまいります。

 また、個別の団体の動きについては、税収の動向や建設投資のタイミングなどで指標が上下することはありますが、全体的に見れば地方財政の健全化は進んできているものと考えております。

    〔島尻委員長代理退席、委員長着席〕

守島委員 ありがとうございます。

 夕張は外れ値みたいになっているので、おっしゃるとおりだと思うので、幅が狭まっているということは偏差も一応落ち着いてはきているんじゃないかなというふうにみなしています。

 参考資料をつけさせていただきました。なので、ちょっとマクロで語るのは難しいんですけれども、三角の一番下の市区が最も実質公債費比率が低いわけですけれども、一般的に、三十万から四十万という人口規模が統計的に財政的には優良ということはよく使われていまして、実際にそのような実態になっていると思っています。自治体の人口的な適正規模から離れたところに関しては、政令市は近年は健全化に向かっていますが、町村のような小さい自治体は直近も横ばいで、相対的に財政健全化度合いが低いので、そこはしっかり見ていかないといけないと考えています。

 僕も総務省が発表している市町村別決算状況調ベをたまに見るんですけれども、特に町村においては実質公債費比率も一八%に近いところもありますし、将来負担比率が一〇〇%を超えている自治体というのはたくさんあるので、そうしたところは個々に見ていかないといけないと思っているので、マクロが順調な分、厳しい自治体に対して個々に注目していかなければならないというふうに今思っている次第です。

 質問を次に移ります。次に、都道府県における市町村支援のデジタル人材確保について伺います。

 都道府県が市町村支援を行うデジタル人材を確保した場合の交付税措置の引上げを行うという今回の内容なんですけれども、小規模市町村で人材確保が困難という課題に直接的に対応するというよりかはあくまで都道府県を支援するということですが、五百人程度の人材が集められるのかということと、さきの委員会でも都道府県への事務移管の話なんかもさせていただきましたが、自治体標準化システムが構築できても市町村単位でのデジタル人員確保というのは難しいと思っている中で、デジタル人員を自治体ごとにプロパーで採用するということは難しいという理解でよろしいでしょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 自治体におけますDXの推進につきましては、これを担う人材の確保、これは全国共通の課題だろうというふうにまず基本的には認識をしております。その上ででございますが、特に小規模な市町村からは、独力で専門的な人材を確保することは困難である、このような声を多く伺っているところでございます。

 そのため、総務省では、全ての都道府県で市町村と連携したDX推進体制を来年度中に構築し、その中で都道府県に専門人材のプール機能を確保していただきまして、市町村支援を行っていただきたいというふうに考えているところでございます。

守島委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、デジタル人材自体が不足している中で、かつ特に小規模団体では採用困難な状況であるということで、こういう制度を使っているということです。

 引き続き自治体DX関連で聞きたいんですけれども、今回、デジタル活用推進事業債、一千億円積まれているんですが、この事業債の活用要件であるデジタル活用推進計画の作成なども含めて、結局、デジタル人材不足のところこそこういう制度の活用も難しいんじゃないかと思ってしまうんですが、その点はいかがでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 デジタル活用推進事業債は、各自治体が策定する情報技術の活用の推進に関する計画に基づく事業を対象とすることとしております。

 本計画の記載事項については必要最小限のものとし、デジタル活用推進に関する基本的な方針、情報システム等の整備の内容、事業の効果等について記載いただく方向で検討しております。

 また、これらの内容については、既に約半数の自治体で策定しておりますDX推進に関する計画の内容をそのまま活用することができるようにしてまいりたいと考えております。

 また、加えて、既に一部お示しをしているところですが、対象となる事業の具体的なイメージについても、更に内容を拡充の上、周知してまいりたいと考えております。

 こうした取組を通じて、小規模団体においてもこの事業債が活用しやすいものとなるようにしてまいりたいと考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 そうですね、やはり簡便なものにしないと、なかなか小規模、人材がいないところこそ活用できないという矛盾が生じてしまうので、それは本当にお願いしたいんですが、そういう小規模自治体で独自で人材採用であったり各種制度の利用というのが難しいというのは共通の認識かなというふうに思っています。なので、結局、都道府県の支援をするのであったらシステムの一元化とか都道府県への事務移譲とかが合理的で、DX関連業務を抜本的に考えたらということをこの委員会でも申し上げてきました。

 先日の総務委員会で、大臣に建前論なしで国と地方の在り方を話をさせていただいたところ、今世紀末には三百から四百の市町村に集約して県庁も要らないという個人的見解を聞かせていただきました。これは大きくニュースに取り上げられてしまい、揚げ足も取られたようで、それは本当に僕が迷惑をかけたかもしれないんですが、申し訳ないと思っていますが、私自身は大臣の発言は評価しております。

 もちろん、自治体のあるべき姿というのは当然賛否がありますし、統治機構において二層制がいいのか三層制がいいのかという議論もあって、私自身が大臣とは見ている将来像が異なるところはあるんですけれども、反発の声があるからといって将来的な地方自治の衰退とか持続可能性の問題に目を背けずに未来を見据えた統治機構の話をしてくれた大臣は、私は誠実な対応だったというふうに思っております。

 なので、今のデジタル人員の確保の話も含めて、大臣の案のように市町村をまとめるなり、都道府県に事務移譲するなり、そうした話はやはり政治家としては切り込んでいかないといけないと考えるので、求める結果は違ったとしても、本音で語っていただけるのは本当にありがたいと思っております。

 先日の本会議でも、さきの発言を批判されていたときに大臣に私は応援するやじを飛ばさせていただいたんですけれども、大臣が壇上からありがとうと答えてくれたので、すごくうれしかったです。こうした姿勢を崩さないでいただきたいなというふうに思っております。

 ところで、先日の総務委員会で、元地制調会長の西尾勝先生の西尾私案という言葉をちょっと意図せず使ってしまったんですが、この西尾私案というのは、二〇〇二年、西尾先生が地制調の副会長のときに提出された、今後の基礎的自治体の在り方について(私案)。通称西尾私案と呼ばれているものでして、今後の基礎自治体の在り方や基礎自治体の再編成の進め方などが書かれた地制調の小委員会における討議資料なんですが、その内容の中には、一定の人口規模未満の団体は法令により基礎的自治体に義務づけられた事務のうち窓口サービス等は行うものの、ほかの事務は都道府県に処理を義務づける案、つまり、小規模団体は組織を極力スリム化し、専門性を有する事務については都道府県が代行するという特例町村制度のようなものや、小規模自治体は他の基礎的自治体に編入され、その内部団体に移行するというような案が含まれていました。

 そのことから多くの地方からの反発を招き、全国町村会などから反対の意見書なんかが調査会に届き、日の目を見ることはありませんでした。その当時としては苛烈な私案だったというふうに思っています。

 ちなみに、先日、私、公益財団法人後藤・安田東京都市研究所、旧東京市政調査会に伺わせていただく機会がありました。西尾勝先生がかつてここで理事長を務めていましたので、ここには、今の研究所にも主任研究員としてICUで西尾先生から直接指導を受けた川手さんという最後の教え子が務められておりまして、縁があって知り合わせていただく中で何度か話をさせていただいたんですが、川手氏からも、小さな自治の仕組みを再考するという意味で改めて西尾私案を見直してもいいのではないかというような考えを伺いました。

 西尾先生は東大法学部出身で村上大臣の先輩、かつ、大臣が東大在学中は法学部の教授だったと思います。直接つながりがあるかどうかは私は存じ上げないんですが、村上大臣が総務大臣となられたこの機会にこうした話をさせていただきたく、取り上げさせていただきました。

 西尾先生が亡くなられてもうすぐ三年となりますが、西尾私案から二十年の時を経て、私案に対する再評価は総務省として行うのは難しいとしても、地方自治体の持続性や小さな自治の仕組みを考えるに当たり、こうした抜本的な自治体のあるべき姿を設計することに対する大臣の見解であったり、個人的に西尾先生に対する思いがあればお聞かせいただきたいと思います。お願いします。

村上国務大臣 守島委員の御質問、本当に西尾先生は立派な方だったんですが、やはり早過ぎたんでしょうね。あのときは残念ながら批判の方が多くて受け入れられなかった。ただ、その思想というのは、やはり私は今でも重要じゃないかと思っております。

 そういう面で、急激な人口減少や若者の流出などが進む中で、地方が置かれている状況は非常に厳しいものだと考えております。

 総務省としましては、これまでも、地域の実情に応じた行政サービスの提供が行われるよう、自治体DXの推進、他の自治体や地域の多様な主体との連携等の取組を進めてまいりました。

 しかしながら、地方行政の現状を見ていますと、委員御指摘のとおり、引き続き、技術職やIT人材などの専門人材を始めとする資源不足や偏在が深刻化しております、自治体の行財政を持続可能なものとしていく上で大きな課題となっていると考えております。

 このため、総務省としましては、高齢者人口がピークを迎える二〇四〇年から二〇五〇年頃の人口構造を念頭に置きつつ、現在の国、都道府県、市町村のシステムを前提に、必要な行政サービスの提供の在り方を今模索しております。

 具体的には、研究会において、自治体間の水平連携や垂直補完、国、都道府県の市町村の役割の在り方を含めどのような方策が考えられるか、自治体の皆さんの声を聞きながら検討を今していただいているところであります。

守島委員 ありがとうございます。

 大臣、早過ぎたんじゃないかということで、時代が進んで人口減少も更に進み、問題が顕在化している中で、研究会等で抜本的な考え、設計をしていただきたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

 私も、社会人大学院の時代、修論を書くに当たって西尾先生の著書を参考にさせていただいたことがあるという経緯があるのと、あと、第三十次の西尾会長の下での地方制度調査会の答申においては、都道府県と大都市、指定都市における対立、いわゆる二重行政や、大都市における住民自治の不足、これは起こっているというふうに明記されまして、それらを解消するための具体的な方策の一つとして特区制度を答申に盛り込んでいただき、それが後の都構想の住民投票につながっていったわけなので、とても自分の人生に影響を与えていただけた行政学者ということもあり、今回は議題にさせていただきました。

 より人口減少が進み、自治体の持続可能性を再評価しないといけない今だからこそこういう抜本的な行政の在り方へ言及してくれた先人の評価をまた改めてして、今後の日本の姿を描いていければいいかなというふうに思っております。我々も研究会の議論をこれから追いかけさせていただきますし、次の地制調に向けて政党自身もやはり考えを示していかなければならないというふうに思っていますので、我々もしっかりと案を考えていきたいというふうに思っております。

 公立病院の質問を残しておりましたが、次の機会でまた質問の時間がありますので、そのときに回させていただき、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太でございます。

 それでは、早速質問の方に入らせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 令和七年度は、臨時財政対策債が制度創設以来初めて新規発行がゼロになるということでございます。地方交付税特別会計借入金も減少傾向にあるところでございます。

 しかし、その一方で、地方債残高は、財務省資料によりますと、令和五年で百八十三兆円となっています。この巨額な債務は普通会計が将来にわたって負担すべき借入金残高であり、地方財政が単年度ベースで健全であっても、地方財政から返済が必要な巨額な債務が存在するということになります。この巨額な債務が地方財政に与えるであろう影響、今後どのような方策で返済をしていくのか。改めて、総合的な方向性についてどのようにお考えになられているのでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 令和七年度の地方財政計画は、委員から御指摘もありましたように、臨時財政対策債をゼロとすることなどによりまして地方財政の健全化に取り組むこととしております。

 こうした取組の結果、残高も、先ほど御指摘のあった百八十一兆という、令和五年度末の御指摘がありましたけれども、かなり減少していく見込みになっていまして、令和七年度末には百七十一兆になる見込みというふうに考えております。

 しかしながら、地方財政は今後かなり、物価高の影響とか、人件費が高くなる影響、あるいは金利が高くなる影響というのを受けていくと思っております。これまで続いてきた社会保障関係費の影響も今後も続くということも考えますと、かなり厳しい状況にあると考えておりますので、財政全体、歳入の確保と歳出の見直し等を通じて財源不足の縮小に努めて、全体としての借入金残高、この抑制に努めていきたいと考えております。

藤巻委員 一般財源総額実質同水準ルールというのがありますが、このルールは、平成二十二年六月の財政運営戦略の閣議決定によって平成二十三年度から始まり、平成二十六年度、平成二十八年度、令和元年度、令和四年度と引き継がれ、昨年七月の地方財政審議会において令和七年度から三年間維持とされております。これは、地方歳出について、国の歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源の総額については、対象期間中、その期間の前年に当たる基準年の水準を下回らないように同水準を確保するというものでございます。

 しかし、このルール、地方財政の安定を担保する一方で、機動的な財政出動を阻み、結果として、地方財政の硬直化、ひいては地方創生やあるいは地方活性化を阻んでいる側面もあるとは思うんですけれども、御見解をお答えください。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方の一般財源総額については、閣議決定をされました基本方針二〇二四に基づきまして、令和七年度から九年度までの三年間、実質的に同水準を確保するということとされております。

 この一般財源総額実質同水準ルールでございますが、自治体が予見可能性を持ちながら必要な行政サービスを提供しつつ安定的な財政運営を行っていけるよう、必要な一般財源総額を確保するためのものであると考えております。

 このルールの下におきましても一般財源総額が増額されないということではなく、令和七年度も、社会保障関係費や人件費、公債費などの増減要因を総合的に勘案して、交付団体ベースで前年度を一・一兆円上回る額を確保しております。

 令和九年度までの三年間はこのルールに沿って対応してまいりますが、いずれにしても、地方団体が必要な行政サービスを適切に提供できるよう、一般財源総額をしっかりと確保してまいりたいと考えております。

藤巻委員 そこはしっかりやっていっていただければと思うんですけれども、地方の持続的な発展のためには、行政効率を上げるなどして支出面を削減していくことも当然ながら重要でございます。そういった歳出改革の道筋はどのような方向性で考えられているのでしょうか。具体的にお答えいただければと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体は、これまで、厳しい財政状況の中で行政改革に取り組まれたものと承知してございます。

 今後も、人口減少が進む一方で、行政需要が多様化、複雑化する中、行政課題に適切に対応して質の高い行政サービスを効率的に提供していくことが重要だと考えてございます。

 このため、現在、持続可能な地方行財政の在り方に関する研究会を開催しまして、自治体間の連携や、デジタル技術を活用した事務の効率化、国、都道府県、市町村の役割の在り方を含めどのような方策が考えられるか、自治体の声を聞きながら議論を行ってございます。

 また、従来からも取り組んでまいりましたけれども、民間委託でございますとか指定管理者制度、あるいは窓口業務のデジタル化など、事務の効率化の取組については事例集として取りまとめて、横展開なども図っているところでございます。

 各自治体において地域の実情を踏まえ自主的、主体的に取組を進めていただけるよう、引き続き支援していきたいというふうに考えてございます。

藤巻委員 地方行政において歳出削減に大きな役割を果たすであろうものが、私はDXもその一つだというふうに考えております。自治体DXは、単に行政手続をオンライン化したり役所の内部の業務を効率化したりするだけの表面的な取組ではなく、その本質は、デジタル技術を最大限に活用することで住民サービスの質を根本から変革し、行政運営の効率化、高度化を実現し、最終的には地域全体の活性化、ひいては山積する社会課題の解決につなげていく、地方創生実現のための不可欠な取組であるというふうに私は考えているところでございます。

 地方自治体のDX推進についての方向性又は課題等、お答えいただければと考えております。

古川大臣政務官 お答えいたします。

 今後、急速な人口減少が見込まれる中、自治体が持続可能な形で行政サービスを提供していくためには、デジタル技術を活用したDXの取組推進により、住民の利便性を向上させるとともに、業務の効率化を進めることが重要です。

 総務省においては、自治体が重点的に取り組むべき事項等を盛り込んだ自治体DX推進計画を策定するとともに、実務の参考となる手順書や事例集の公表、専門的な知見を有するアドバイザーの派遣など、自治体への様々な支援を行っています。

 今後とも、デジタルの力を最大限に活用しながら、全国の自治体が地域の実情や行政課題に応じて住民に必要な行政サービスを提供していけるよう取り組んでまいります。

藤巻委員 特に過疎化が急速に進み、厳しい現実に直面している小規模自治体こそ、DXを強く推し進めていく必要性が高いというふうに私は考えております。なぜなら、小規模自治体は、限られた資源の中で住民サービスを維持し、地域を活性化していかなければならないからです。DXは、この厳しい条件下で生産性を向上させ、持続可能な地域社会を実現するための最も有効な手段の一つとなり得るというふうに考えております。そう考えますと、小規模自治体におきましてもしっかりとDXを進めていくことが極めて重要であるというふうに考えるところでありますが、そんな中、自治体の規模によってDX化の進捗に格差は生じていないのでしょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 DXにも様々な取組がございますが、例えば、DXを推進するための全体方針の作成状況、こちらの方でございますけれども、令和五年四月一日時点の総務省調査によりますと、全国では五一・五%となっておりますが、町村につきましては二九・六%ということで、未策定の団体が多い状況になっております。

 また、同調査におきましては、人口五万人以下の小規模自治体のうち二百十一団体につきまして、DX、情報関係業務の担当者がゼロ又は一人、いわゆる一人情シスでございますが、そういった状態になっておりまして、小規模自治体においては、こうした体制を背景としまして、DXの推進に課題を抱える団体が多いものというふうに認識しております。

藤巻委員 自治体の規模が小さくなればなるほどDXの進捗に遅れが見て取れるという厳しい現実があるとは思います。大都市や一部の先進的な自治体ではDXが着実に進展している一方で、地方の小規模自治体、特に町村部では、先ほどもありましたように、DXの取組が遅れている、あるいは停滞しているような傾向が顕著であるところでございます。しかし、この格差、放置すれば地域間格差が更に拡大して、地方創生は遠のくばかりではないのでしょうか。

 政府は自治体DX推進に関しては基本的には各自治体の自主的な取組を尊重するスタンスを取っているのではないかと思うんですけれども、もはや自治体DXは各自治体の裁量に任せるべき段階は過ぎて、自治体にとって、やらなければならない、やらざるを得ない、そういった事業になっているのではないかというふうに考えるところでございます。そういった観点から、地方自治体におけるDX推進は、各自治体の裁量に任せるだけではなく、より積極的に総務省が関与していく、あるいはサポートしていく必要があるというふうに考えますが、御見解をお聞かせ願えればと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 体制に課題を抱えます小規模自治体も含めまして、DXの取組を着実に推進していくためには、広域的な連携体制が重要であるというふうに考えております。

 このため、来年度中に全ての都道府県で市町村と連携したDX推進体制を構築いただき、その中で、都道府県において市町村が求めるデジタル人材のプール機能を確保していただくことにつきまして、総務省としても支援を強化してまいりたいというふうに考えております。

 また、こうした推進体制の下で、システムの共同調達や共同利用、こういった共通するテーマ、課題につきましても連携して対応していただきたいというふうに考えておりまして、DXの恩恵を全国に広めていきたいというふうに考えているところでございます。

藤巻委員 先ほど守島委員との話でも将来的な地方自治体の在り方等々が議論されておりましたが、今後、一定規模に自治体は統合していく方向に進むことも、私もあり得るとは思っております。自治体が統合すれば、当然、システムも統合することになるかと思います。各自治体が各々で推進したDXなんですけれども、もし自治体が統合するとなったら、問題なくシステムの統合を進めることはできるのでしょうか。自治体同士のシステム統合についてはどうお考えでしょうか。

村上国務大臣 藤巻委員の御質問にお答えします。

 持続可能な行政サービスの提供体制を構築するために、行財政基盤の維持強化を図る手法の一つとして、自主的な市町村合併を選択することも考えられております。その場合には、藤巻委員御指摘のように、市町村間のシステム統合などが必要になると考えております。

 総務省では、合併の円滑化のために、市町村からの求めに応じて、システム統合などを含めて、随時、必要な助言や情報提供を行ってきたところでございます。

 また、電算システムの統合や、合併の円滑化や一体性の速やかな確立を図るための経費については、交付税措置のある地域活性化事業債や特別交付税による地方財政措置を講じることとしております。引き続き、自らの判断により合併を進めようとする市町村に対して必要な援助を行っていきたい、そのように考えております。

藤巻委員 企業合併の際にも、システム統合、これは非常に難しい問題があって、多くのトラブルが発生しているところでございます。ましてや、自治体のシステムは住民の生活に直結するものであり、トラブルは許されません。住民生活に深刻な影響を及ぼす事態だけは絶対に避けなければならないというところでございます。

 DXとかシステム統合に限った話ではないんですけれども、地方自治体の行政はやはりより広域的に広く考えていくべきだとは思うんですけれども、総合的に御見解を伺えればと思っております。

村上国務大臣 今御指摘のように、自治体DXに限らず様々な分野において地方行政の効率化を図っていく必要があると考えております。

 人口減少や高齢化等の人口構造の変化が進み、地域社会の様々な課題が顕在化する中で、自治体が持続可能な形で行政サービスを提供していくために、地域や組織の枠を超えた連携が必要になると考えております。

 このため、事務の委託や機関等の共同設置など、多様な事務の共同処理の手法を設け、この中から市町村が最も適したものを自ら選択できる環境を整えてきているところであります。また、自治体が柔軟に連携し、地域の実情に応じた行政サービスを提供するため、連携中枢都市圏や定住自立圏等の広域連携を推進しているところであります。

 今後の広域連携の推進策や、デジタル技術を活用した事務の効率化の方策については、研究会において自治体の皆さんの声を聞きながら検討を進めてまいりたい、そのように考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 また、急速に進むデジタル社会においては、先ほども質問がちょっとあったと思うんですけれども、官民問わず、デジタル人材の奪い合いの様相を呈しているところでございます。民間が相当に高い報酬を提示している中で、小規模自治体はどのようにデジタル人材を確保していけばいいのでしょうか。その部分のお考えをお聞かせください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは、小規模な市町村が単体で体制を維持するというのは大変難しいというふうな声を多くいただいている状況でございます。そういった中で、都道府県と市町村で連携して推進体制を組んでいただきたいという形で進めさせていただいているところでございます。

 そういった中、デジタル人材のスキルとか経験、これは様々なものがあるわけでございますが、市町村の現場からは、職員と一緒に手を動かしていただけるような実務型の人材、これが欲しいんだということで、ニーズが非常に強うございます。実際に市町村のDX支援を行っております都道府県、こちらにおきましてもこのような人材を活用しているケースが多いというふうに伺っております。

 来年度より、更なる推進に向けまして、都道府県が一定のスキル、経験を有するデジタル人材を常勤職員として確保いたしまして市町村のDXを支援するということを考えているわけでございますが、その普通交付税措置をするに当たりまして、その単価につきましては、実際に都道府県が確保しているデジタル人材に係る人件費の実態、これを踏まえて設定させていただいているところでございます。

 総務省といたしましても、採用ノウハウの提供また全国的な人材の掘り起こし等を通じまして各団体を支援してまいりたいというふうに考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間も少なくなってきていますので、一問飛ばさせていただきます。

 いずれにせよ、地方自治体のDX推進は、行政効率化における歳出削減の観点から、ひいては地方活性化、地方創生に必須の取組であります。総務省としても、やるべきことにしっかりと取り組んでいただければと思っております。

 続いてですけれども、本法案には公営競技納付金制度の延長があります。前々回の延長時には運営団体からこの納付金制度の廃止要望が出されている一方で、地方公共団体は延長を要望されています。公営競技を通じて利益を生み出しその地域の活性化につなげていくためには、公営競技の収益はそのままその地域に還元すべきという考え方もあるとは思います。改めて、公営競技納付金制度の意義、目的をお聞かせください。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 公営競技納付金制度は、公営競技施行団体のうち、一定の黒字団体が収益の一部を地方公共団体金融機構に納付いたしまして、機構において地方公共団体健全化基金に積み立て、その運用益等を活用することにより自治体向け貸付けの金利を引き下げる、そういう仕組みとなっております。

 本制度は、施行団体に偏在する収益を全国的に均てん化することを目的とするものでございまして、この低利貸付けは財政状況の厳しい自治体にとって必要不可欠なものと考えております。

藤巻委員 公営競技は地方公共団体にとって貴重な財源であり、娯楽としても重要な存在というふうに考えているんですけれども、一方で、現在、公営競技が開催されている場所は都市近郊に集中しており、全く行われていない県も十ほどあります。公営競技における地域格差、これは地域財政格差へとつながってしまう可能性、側面もあって、解消していく必要もあるのかなというふうに感じるところでありますが、そのための方策等、何か検討されているのでしょうか。

大沢政府参考人 公営競技の競技場の設置につきましては地理的、社会的な制約もございますことから、施行団体は一部に限られておりまして、また、多くの施行団体がいわゆる都市部に所在していると承知をしております。

 また、近年では、インターネットによる投票の拡大によりまして、施行団体やその周辺のみならず、全国から売上げを上げているものと承知しております。

 こうしたことからも、施行団体に偏在する収益については、全国的に均てん化することが求められるのだろうというふうに考えております。

 先ほど申し上げました公営競技納付金制度はまさにそういう全国的な収益の均てん化機能を果たしているものでございますので、この制度を延長することが必要ではないか、このように考えているところであります。

藤巻委員 公営競技納付金は、近年、どのように推移しているのでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 公営競技納付金の令和元年度から令和五年度までの各年度の納付額でございますが、それぞれ、七十億円、九十億円、百三十七億円、二百億円、百九十六億円となっておりまして、近年、増加傾向となっております。

藤巻委員 増加傾向というところで。

 私、競馬は一回しか行ったことがないんですけれども、数年前、初めて中山競馬場に行きました。競馬というと、ベテランの男性が赤鉛筆を耳に挟んで競馬新聞片手に、差せみたいな、叫んでいる人だらけで、ビギナーの人や女性は参加しづらいというイメージがあったんですけれども、いざ競馬場へ行ってみると、もちろんそういったベテランの男性もたくさんいるんですけれども、思ったよりも女性だったり家族連れだったりがたくさんいて、思ったよりも和やかな雰囲気だったなというのを感じたところであります。テレビCMの効果などもあると思うんですけれども、今後、公営競技、例えば競馬において、幅広い層に見てもらうためにどのような方策を考えているのでしょうか。

関村政府参考人 お答えします。

 幅広い層の方々に実際に参加していただくことが、競馬を始めとする公営競技に対する理解を醸成する上で重要と考えております。

 このため、地方競馬を例に申し上げれば、地元の農畜産物の販売施設の併設、地元グルメの出店や家族向けイベントの実施、観光ツアーの訪問先としての競馬場の活用等、来場促進策を実施しているところでございます。

 また、競馬場への来場者の増加により、競馬の売上げの向上のみならず、競馬開催に関連する雇用の確保や競馬場周辺の商店街のにぎわいをもたらすなど、地域経済活性化にもつながるものと考えております。

 今後とも、入場しやすい親しみのある競馬場づくり、ファンサービスの向上、競馬場周辺の観光との連携等、競馬が地域経済の一つの核として貢献するような来場促進の取組がなされるよう、農林水産省としましても各主催者の取組を促してまいります。

藤巻委員 そういった前向きな取組は是非やって、続けていっていただければと思っているところでございます。

 関連して、オンラインカジノの問題も質問させていただきます。

 近年、オンラインカジノの利用が急速に拡大し、大きな社会問題となっています。元オリンピックメダリストがオンラインカジノを利用したとして書類送検され、また最近では著名お笑い芸人が事情聴取を受けるなど、その問題はもはや一部の限られた人々の問題ではなくなっています。

 総務省を始めとする関係省庁は、これまでもオンラインカジノの違法性や危険性について様々な広報啓発活動を展開してきたかと思います。それでも、報道によると、国内でオンラインカジノの利用者は三百万人以上いるとの推計もあります。近年、日本国内における違法オンラインカジノの利用者の推移は分かりますでしょうか。

玉田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありましたオンラインカジノに関する推移等につきまして、現状、我々の方では数字は持っておりませんけれども、関係省庁におきまして実態把握に努めているというふうに承知しております。

藤巻委員 数字はないということで。ただ、急速に普及してしまっているというところは恐らく事実だとは思うんですけれども、その背景には、やはり近年のスマートフォンの急速な普及とインターネット環境の劇的な変化があるのかなというふうに推測するところでございます。

 かつて、オンラインカジノは、特定の店舗に設置されたパソコンを通じて利用されることが多かったそうです。繁華街の路地裏にある地下のお店の奥に行くとパソコンがあって、そこでオンラインカジノをやるような感じだったのでしょうか。しかし、現在は、スマートフォン一つあれば、時間や場所を問わず、誰でも手軽にオンラインカジノにアクセスできてしまう時代です。そういった環境の中、どうしたらオンラインカジノに手を出してしまう人を減らせるのか。どのようにお考えでしょうか。

玉田政府参考人 お答えいたします。

 総務省としましても、オンラインカジノは大きな社会問題であるというふうに認識をしております。

 まずは、オンラインカジノへのアクセス対策としまして、携帯電話事業者などが提供します青少年向けのフィルタリングサービスが有効であるというふうに考えております。これは、利用者や保護者の申出によりまして閲覧できるウェブサイトや利用できるアプリを制限するものでございまして、オンラインカジノ関連のサイトも制限の対象となっております。

 総務省としましては、携帯電話事業者などが青少年に対し、青少年インターネット環境整備法上の義務の履行としまして、フィルタリングの必要性を説明することですとか、携帯電話端末の販売時にフィルタリング機能を提供し設定することなどを徹底することによりまして対策の推進を図っております。

 加えて、日本国内からオンラインカジノを利用することは違法であるとの認識を持っていただくためには、国民一般への周知啓発が重要と考えてございます。本年四月をめどに改訂予定のインターネットトラブル事例集におきまして、オンラインカジノを利用して賭博を行うことが違法である旨の注意喚起を追加することを通じてこれを推進してまいります。

 今後とも、各省庁と連携しながらオンラインカジノへの対策を進めてまいります。

藤巻委員 そういう状況は分かりましたけれども、一方で、先ほど申し上げたように、オンラインカジノをやってしまう人の多くが違法性の認識も余りなく、本当に気軽な気持ちでやってしまったパターンが多いのかなというふうにも思います。

 特に、デジタルネイティブ世代とも呼ばれる若年層は、一歳や二歳の頃から、うちのめいっ子とかもそうなんですけれども、iPadとかでゲームをやっている世代でございます。スマホで面白そうなゲームにアクセスしてやってみるということは日常茶飯事なわけです。オンラインカジノも、悪いことをやってやろうという気持ちではなく、面白いゲームを探していた、その延長でやってしまう人がほとんどではないのでしょうか。もちろんオンラインカジノは違法であり、やってはいけないのですけれども、それでも、オンラインカジノをやってしまったがゆえに強い社会的制裁を受け、未来を閉ざされてしまう若者の報道を見るたびに複雑な気持ちになってしまうというところも事実でございます。

 特に若年層でオンラインカジノの利用が急速に増えている現状と併せ、大臣のお考えをお聞かせください。

村上国務大臣 御高承のように、オンラインカジノは、日本国内から利用すると刑法の賭博罪が成立する違法なものであり、その手軽さゆえにギャンブル依存症を招くおそれが指摘されております。

 このため、オンラインカジノへの対策は極めて重要な課題であると認識しております。私としましても、若者などが安易な気持ちでオンラインカジノを利用する事態に心を大変痛めております。

 このような事態がこれ以上広がらないようにするためには、たとえ安全、合法がうたわれていても日本国内からオンラインカジノを利用することは違法であるといった認識を若者を含む国民の皆さんに持っていただくことが重要で、啓蒙活動が必要だと考えております。総務省としましては、関係省庁と連携して周知啓発活動についてしっかり取り組んでいきたい、そのように考えております。

藤巻委員 総務省さんの方で啓蒙活動をしっかりとやっているというところなんですけれども。

 質問通告していないんですけれども、オンラインカジノの広告にはそういった一方で著名な芸能人やスポーツ選手が起用されています。その多くは、無料版を宣伝して、その後、有料版へ移行を促す仕組みとなっています。有料版は、つまり賭博に当たる行為で、違法でございます。よく知っている芸能人あるいはスポーツ選手がサイトの広告に出ていれば、そのサイトにアクセスする抵抗感が薄れてしまうのはある意味で当然です。そういったオンラインカジノのサイトの広告に出てしまう芸能人やスポーツ選手に社会的、道義的責任はないのでしょうか。大臣、どうお考えでしょうか。

村上国務大臣 本人が意思を持ってやるとしたらあれですけれども、よくあるように、最近の詐欺は、本人の承諾を得ないで、要するに有名人を使って株の投資やそういうことをやるケースが多いので、やはりそこら辺はしっかり事実関係を見てみないと私は分からないんじゃないかなと思います。

藤巻委員 その辺の事実関係みたいなものもしっかりと調べていって、しかるべき対策がやはり必要な状況になってしまっていると思いますので、そこはしっかりと総務省としても意識していただければと考えております。

 もろもろの状況を考えますと、オンラインカジノ対策において最も効果的だと思われるのは、先ほどフィルタリングの話はあったんですけれども、ブロッキング、つまりオンラインカジノへのアクセスを遮断することかと思います。法律上の問題ももちろんあるのは認識しているんですけれども、総務省としてどのように考えているのか、お考えをお聞かせください。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のいわゆるサイトブロッキングにつきましては、全てのインターネット利用者に対しまして全ての通信の宛先を網羅的に確認する行為であるため、電気通信事業法が定める通信の秘密の侵害に該当するなど、克服すべき法的課題があるものと認識しているところでございます。

 一方で、オンラインカジノへの対策は極めて重要な課題であると認識しておりますので、法的な課題も含めまして、ブロッキングにつきましてしっかりと検討する必要があると考えているところでございます。

 現在、私どもの方では、有識者から意見を伺うとともに、ブロッキングに関する諸外国の取組状況などについて調査を行っている段階でございまして、これらを踏まえまして、総務省といたしましても、早急に検討の場を設け、ブロッキングを含むアクセス抑止の在り方に関する法的、技術的な課題について検討してまいりたいと考えているところでございます。

藤巻委員 ここまで利用者が急速に増加している違法オンラインカジノに対しては、やはり啓発だけではなく一定ドラスチックな対策が必要かなというふうに考えております。オンラインカジノの収益は犯罪組織の収益源となっているという話もあります。表現の自由、通信の自由を守りつつも、確かな対策の実行をお願いいたします。

 最後に一問、ちょっと自動運転についてお考えをお聞かせください。

 本法案には先進安全技術を搭載したトラック、バスに係る特例措置の延長がありますが、公共交通の維持は全国各地で喫緊の課題となっているところでございます。特に、過疎化が進む地域では運転手不足が深刻化し、路線バスの廃止や減便が相次いでいます。そんな中、長野県塩尻市でレベル4の自動運転バスの実証運行が開始されたというニュースを見ました。歩行者と一般車両が混在する環境下の一般道において、車両最大時速三十五キロでの走行によるレベル4認可は全国で初めてということです。

 自動運転技術は、単に移動手段を提供するだけではなく、地域経済の活性化にも貢献することが期待されるところであります。例えば、自動運転バスが観光地を巡回することで観光客の利便性を向上させ、新たな観光需要を創出する可能性があります。また、自動運転タクシーが高齢者や交通弱者の移動をサポートすることで、地域住民の生活の質を向上させるとともに、地域経済の活性化につながる可能性も十分にあるわけです。

 地域交通における自動運転技術の導入、これをどのように捉えられていますでしょうか。

村上国務大臣 御高承のように、人口減少や少子高齢化が進む中で、高齢者などの住民の日々の足として、バスなどの公共交通をどう維持するかは地域社会において大きな課題になっております。自動運転サービスの実現は、その維持のための重要な手段と認識しております。

 この自動運転サービスについては、デジタル田園都市国家構想総合戦略において、二〇二七年度までに百か所以上の地域で実現することを目指し、政府全体で取り組むこととしております。

 総務省としましても、地域における自動運転サービスの実現に向け、実証事業の実施を通じ、自治体や民間の取組を支援しているところであります。今後とも引き続き、地域の声に耳を傾けつつ、関係各省とも連携をしながらしっかりと取り組んでまいりたい、そのように考えております。

藤巻委員 地域交通における自動運転技術の導入を是非前向きに進めていっていただければと思います。

 これで私の質問を終わります。本日はありがとうございました。

竹内委員長 次に、福田玄君。

福田(玄)委員 国民民主党、福田玄でございます。

 早速質問に移らせていただきたいと思います。

 今日、午前中からデジタル人材についてるる質疑が続いております。おおたけ委員、守島委員、そして先ほどの藤巻委員の質問の中でもございましたが、もう少し細かいところまで突っ込んでお伺いをさせていただきたいと思います。

 地方のデジタル人材の確保についてでございます。

 地方の大きな、地方だけではない、日本の大きな問題は人材不足、特にデジタル人材についてはなかなか採用、育成が進まないという状況がございます。経済産業省の調べでは、二〇三〇年、あと五年ですが、デジタル人材の不足が七十八・九万人にまで及ぶというような統計のデータもございます。

 そのような中、令和七年度地方財政計画の概要にある都道府県における市町村支援のデジタル人材確保についてお伺いをしたいと思います。

 これは、普通交付税を使って一定の経験、資格を有する者について都道府県と市町村が連携して人材を確保するという政策であると今日も何度も御答弁をいただいておりますが、デジタル人材を単体で抱えられない地方自治体には非常にありがたい政策であると私も認識しております。

 しかし、現状デジタル人材は大都市部に集中をしているという、これも先ほど来の質問でありましたが、デジタル業界の感覚からすると、常勤職員、アクセラレーターと記載がございましたが、これが七百八十万円程度の予算で措置をされておりますが、本当にこの金額でその人材が集まってくるのかという点が心配でございます。この点について、御見解はどうか。

 また、あわせて、デジタル人材、DXといっても、必要とされるスキル、人材は様々であると思っています。市町村のニーズに応じるというふうになっております。一緒に手を動かしてくれる人材が欲しいというニーズがあるというふうに先ほども御答弁がありましたが、そもそもデジタル人材、どういう人材が欲しいですかといったときに、どんな人材が欲しいか分からないことが分からないというレベルも既に存在するのではないかと思っております。例えば、例示でもいいので、要件のようなものがあればそれも御教示いただいて、人材ニーズに対して市町村の状況を把握することと、その把握をどのように行うのかということを併せて御教示いただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、デジタル人材のスキルと経験につきまして、七百八十万円で大丈夫かというふうな御質問をいただきました。これにつきましては、市町村の現場からは、職員と一緒に手を動かしてくれるような実務型の人材のニーズが強いということでございます。先ほども御答弁申し上げた次第でございます。実際に市町村のDX支援を行っております都道府県側におきましても、そのような人材を活用しているというふうな実態でございます。

 来年度から、更なる推進ということで、都道府県に一定のスキル、経験を有するデジタル人材を常勤職員として確保して市町村のDXを支援するといった場合につきまして、御指摘のとおり一人当たり七百八十万円程度を措置するということで、普通交付税措置を考えているところでございます。この単価につきましては、先ほど申し上げました、実際に市町村のDX支援をしております都道府県が確保しているデジタル人材に係る人件費の実態等を踏まえて設定させていただいたものでございまして、総務省といたしましても、全国的な人材の掘り起こし、これはリスト化とか情報提供とかそういったことでございますが、そういったことを通じまして各団体の取組をしっかりと支援してまいりたいというふうに考えております。

 次に、スキル、人材は様々ですけれども、ニーズに応じる場合に市町村の具体のニーズをどのように把握していくのかという御質問でございますけれども、委員御指摘のとおり、デジタル人材に必要とされます経験とかスキルは様々なものがあるわけですけれども、例えば普通交付税措置の対象となります自治体DXアクセラレーター、こちらにつきましては、民間企業や自治体におけるデジタル分野での五年以上の実務経験、そういったことを想定しております。また、IPAが実施する高度試験に合格していること、こういった要件を考えているところでございます。

 市町村のニーズの把握につきましては、都道府県と市町村で推進体制を組んでくれと言っておりますので、各都道府県において、市町村が抱える課題や必要とするデジタル人材像などにつきまして丁寧にヒアリング等を実施していただくようにお願いしているところでございます。

 都道府県によるニーズの把握や、それを踏まえた人材の確保に当たりましては、総務省としましても、ノウハウの共有とか伴走支援、こちらの方を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

福田(玄)委員 御答弁ありがとうございます。

 人材確保について都道府県に確認をされたということなんですけれども、これも経済産業省の資料でございますが、外資系のIT技術者の平均年収というのが一千二十三万円という数字がございます。

 そして、それ以外の部分で、外資系の営業職も含めてですが、これは公表されている資料なのでお伝えしますが、日本マイクロソフト、平均年齢四十・九歳で平均年収が一千四百八十四万円、グーグル合同会社、平均年齢三十五・一歳で一千百五十万円と、非常にIT人材というのは国を超えて人材争奪合戦になっているわけであります。

 あわせて、東京一極集中の解消ということもございます。地方でこれに見合う、それに近しいレベルのそういった予算も確保して、しっかりと優秀に働ける人材を確保することが必要ではないかと思っております。

 午前中のおおたけ委員の質問の中で、現場の職員を育ててやっていくことも必要ではないかというお話がありました。これも大切な視点だと思っておりますが、残念なことに、育った上で、育っちゃった後に、やはり外資で一千万あったらそっちに転職しちゃうなんということが間々あるわけでありますから、そういった状況にならないように、しっかりと予算を確保して来年度以降は取り組んでいただきたいということを御要望として申し伝えさせていただきたいと思います。

 あわせて、次の質問を伺いますが、デジタル活用推進事業。

 今、確保していただいた人材を、特に過疎地では生活インフラの担い手までもが不足しているという状況があります。そのような中で、令和七年度地方財政計画の概要にあるデジタル活用推進事業、先ほど藤巻委員の質問の中にもありましたが、インフラの点検用のドローンであるとかオンライン診療、さらにはスマート農業など、地方の経済や社会に密接に関わっており、地方の過疎地域にとって大変重要な政策であると思っております。実施に当たっては、事業の進行、活用度合いなどを適切なKPIの設定で測っていくことも必要であるというふうに思っております。一方、市町村ごとに大きくニーズは異なるため、KPIの設定も多様になり、フォローが行き届くかというところに懸念があります。この事業においてどのようなKPIを設定する御予定か、お答えください。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 担い手不足が急速に深刻化するおそれがある中、デジタル技術を活用して住民の利便性向上や行政運営の効率化、地域の課題解決に向けた取組を加速していくことが重要であると考えておりまして、このためにデジタル活用推進事業費一千億円を計上して、地方債を発行できるような形に地方財政法を改正するという法案を出させていただいております。

 このデジタル活用推進事業債は、デジタル活用推進計画に基づく事業を対象とすることとしておりまして、この計画におきまして、デジタル活用推進に関する基本的な方針、情報システム等の整備の内容等のほかに、事業の効果についても記載をいただく方向としております。実際の事業の着手後に、当初想定していた効果の検証等も重要でございますので、その旨を助言する方向で検討しております。

 各自治体においては、団体ごとの課題やニーズを踏まえながらデジタル活用推進事業債を有効に活用いただきたいと考えているところでございます。

福田(玄)委員 今、しっかりとKPIも置いてという話をさせていただきましたが、ちょっと矛盾するようなことを言って大変申し訳ないんですけれども、このKPIの置き方が、例えば説明会を何回やりましたとか、非常に、数をこなすだけのようなKPIになっている部分もあるのではないかという懸念がございます。その意味では、使用者の満足度や中長期での費用対効果など、より広い視点で捉えることも必要ではないかと思いますが、その点、御見解をお伺いしたいと思います。

大沢政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル活用推進事業債は、地方団体が自ら発想して行う地方単独事業の財源でございますので、国がこのKPIを設定しろといったような形で指定するのはふさわしくないのではないかと考えておりまして、自治体が計画の中で自らその効果なりを検証していく、設定しながら事後に検証していくというのがふさわしいのではないかと考えておりますが、我々としても、いろいろな形で、自治体が実際にどういう形で効果測定等をしているのかというのが出てくると思いますので、そういった事例を各団体に周知しながら、地方団体が自ら一番ふさわしいKPI等の設定ができるようサポートしていきたいというふうに考えております。

福田(玄)委員 先ほど、藤巻委員の質問の中でも地方任せにしておいては間に合わないのではないかというような危機感も共有されたところであると思いますので、しっかりとその点も踏まえていただいて取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次の質問に移ります。自動車関係諸税の抜本的な見直しについてお聞きいたします。

 円安などからくるガソリン、軽油高に加えて、CASEなど新技術分野での競争や、直近でのトランプ大統領の関税大幅引上げの可能性など、日本の自動車ユーザーと自動車業界は非常に苦しい状況にあるということがございます。

 一方、日本国内の自動車に係る税体系は、購入から維持、走行の段階まで、消費税、自動車重量税、自動車税、石油ガス税など多種の税金が存在し、非常に負担が重くなっております。また、国税と地方税の両方があり、さらにタックス・オン・タックスの状況になっているなど、複雑で分かりにくい、そういった税の状況がございます。しかし、地方では車なしでは生活ができないため、都市部に比べても非常に不利な状況で不満が大きくなっている、そういった声が多く聞かれております。また、走れば走るほど税金がかかり、自動車ユーザーの生活を圧迫するレベルに達しているのではないでしょうか。

 平成二十一年からは道路特定財源が一般財源化され、その時点では一定の意義があったとは思いますけれども、現時点では、自動車のユーザーが支払った税金が、その大部分が自身に還元されていないという状況であるのではないでしょうか。

 税の大原則は、公平、中立、簡素です。大きく環境が変わる現在において、自動車関係諸税を抜本的に見直すタイミングであると思いますが、まずは過重な負担を減らし、複雑過ぎる体系を大幅にシンプルにすることが必要ではないか。また、見直しに当たっては自動車ユーザーへの還元や日本の自動車業界の次世代の競争力の観点も必要であると思いますが、例えば次世代モビリティー、CASEなどの次世代開発に活用されるようなものにすることが考えられるのではないかというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車関係諸税の総合的な見直しにつきましては、令和七年度与党税制改正大綱におきまして、国、地方を通じた安定的な財源確保を前提に、中長期的な視点から、公平、中立、簡素な課税の在り方について車体課税、燃料課税を含め総合的に検討するという基本的な考え方が示されているところでございます。

 ただいま、次世代モビリティーの開発支援に税収を還元してはというような御指摘もございましたが、地方団体からは、道路、橋梁等の更新、老朽化対策の財政需要が今後も増加していく中、地方財源をしっかり確保していくべきという要望がございます。自動車税を始めとする自動車関係諸税はこうした地方団体の行政サービスを支える貴重な地方の税財源となっていることにも留意が必要と考えております。

 いずれにいたしましても、総務省といたしましては、与党大綱の趣旨を踏まえ、関係者の意見を丁寧にお聞きしながら鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

福田(玄)委員 大臣、これはちょっと通告していないのであれなんですけれども、財政について非常に深い御所見をお持ちの大臣ですが、今、我々は国民民主党ですから百三万の壁の議論も与党とさせていただいておりまして、様々な案が出てきているところでございます。税の大原則、公平、中立、簡素について、皆さんのいろいろな苦労の上で税の制度ができているとは思うんですけれども、やはりちょっと公平、中立、簡素という部分でいうと失われつつあるものがあるのではないかと思うんですが、大臣、その辺りの御所見、どのようにお考えでしょうか。

村上国務大臣 私の世代は、山中貞則さんという税の大家がおりまして、税は理論だと、我々若手に向かって常に勉強しろというのが口癖でありました。ただ、山中貞則さんが常におっしゃっていたのは、公平、公正、簡素、大原則であるんだけれども、税というのは、要するに、財政が潤沢なときはいいんだけれども、潤沢じゃないときはある程度、例えば本当に生活の苦しい方だとか、向学心に燃えているんだけれども残念ながら家庭が貧しいのでなかなか授業料とかそういうことを払えない人を救済すべきだというのが、山中先生の根底にある価値観だったんじゃないかな、そういう気がしております。だから、おっしゃるとおり、税が非常に公平で公正で簡単であることにこしたことはないんですけれども、やはりそれぞれの立場の収入によっていろいろ考えることも一つの考え方じゃなかったかなというふうに、今、三十年前のことを、山中先生の顔を見ながら思い出しているところであります。

 以上であります。

福田(玄)委員 ありがとうございます。

 通告外でお聞きしましたが、是非、国民が納得を持って納税をしようと思えるような状況をつくるのが政治の責任でもあると思いますので、是非共に前に進めていきたいと思います。

 最後の質問に移ります。郵便局についてお伺いいたします。

 全国約二万四千ある郵便局の拠点を有し、地方に最も入り込んだネットワークで、地方の生活には欠かせない。過疎地の集落においては郵便局が唯一の社会インフラ的な拠点というところもございます。

 一方、地方にある郵便局に対しては、収益性の観点から、このままの数を維持できないのではないかという声も聞こえてまいります。これに対し、郵便局側も、一部の自治体業務の委託や空き家対策、買物支援サービス、オンライン診療支援などを行うなど、各種の施策が行われていると承知をしております。

 しかし、郵便局に求める地域貢献に係るアンケート調査結果、令和四年十一月二十一日公表によれば、委託のための初期費用が重い、委託後の維持費用の負担が厳しいなどの意見が出ているとの認識でございます。

 総務省としては、人口減少地域の郵便局等を活用した行政サービス等の確保の推進についてにあるように特別交付税措置を使い支援していくという認識でございますが、そもそも論として総務省としては、人口減少地域、もっと言ってしまえば過疎地域における行政サービス、住民サービスの担い手として郵便局にどのような、またどこまでの役割を期待しているのか、お考えをお聞きしたいと思います。

 また、あわせて、現状の取組を見る限りでは、そのような附帯サービスを加えたとしても人口減少地域の郵便局の収益が黒字化し持続可能なレベルにまでなるとは考えにくいのではないかと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。

牛山政府参考人 お答えいたします。

 全国約二万四千局のネットワークを持つ郵便局は、地域の重要な生活インフラとしての役割を担っており、郵便、貯金、保険の三事業のユニバーサルサービスの提供に加えまして、住民票の交付などの証明書発行事務といった自治体窓口事務やオンライン診療、買物支援など、地域の実情やニーズに合わせた取組への期待もますます大きくなっているところでございまして、こうした期待にお応えしていくことが重要であると考えております。

 総務省といたしましても、これまで、離島の郵便局でのオンライン診療、服薬指導や、共助型買物サービスと組み合わせた地産品配送の実証事業を行うなど、郵便局の利活用による地域活性化を後押ししてきたところでございまして、令和七年度政府予算案におきましても、行政サービスと住民生活支援サービスを一体的に提供するコミュニティーハブとして郵便局を活用するための実証事業を行うべく、必要な経費を計上しているところでございます。

 また、こうした実証事業に加えまして、令和七年度より、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律に基づきまして窓口事務を受託する過疎地の郵便局等に対しまして市町村が行政サービスや住民生活支援サービスを委託することに伴う初期経費につきまして、特別交付税措置を講じることとしているところでございます。

 また、ユニバーサルサービスの確保につきましては、こちらは日本郵政及び日本郵便の重要な責務でございまして、その責務を果たすために、現在、両社におきまして郵便、貯金、保険の三事業を着実に実施していくことに加えまして、成長分野である物流や不動産事業への経営資源の配分など、収益力の強化に取り組んでいるものと承知してございます。

 総務省といたしましても、このような取組が着実に行われますよう、日本郵政及び日本郵便を監督いたしますとともに、郵便局ネットワークの維持に向けましては、交付金、拠出金制度、こちらの方を適切に運用しているところでございます。

 今後も郵便局のユニバーサルサービスが確保され、郵便局が住民に身近な存在として地域を支え、その活性化に貢献する役割が果たせるよう、引き続き検討の方を進めてまいります。

福田(玄)委員 しっかりと事業性を持って、もうかるように、続けていけるように、よろしくお願いをいたします。

 以上で終わります。

竹内委員長 次に、向山好一君。

向山(好)委員 国民民主党の向山好一でございます。

 立憲民主党さんから、軽油引取税の当分の間税率、いわゆる暫定税率の廃止を中心とした修正案が出されております。その部分の内容は私たちの主張に沿っているものなので、基本的に賛同したい、このように思っているところです。

 その上で、軽油引取税について数点質問させていただきます。まず、軽油の価格のことです。

 全国の軽油の価格の平均が去年は非常に安定しまして、大体百五十四円から五円程度でずっと推移をしていました。しかし、去年の暮れから二段階で急激に上がりまして、現在は百六十五円程度に値上がりをしております。これは要因は補助金の減額ということですけれども、この値上げが直撃しているのが要するにバスあるいはトラックの輸送業者にほかなりません。それと、やはり補助金との関係から、これからも価格は下がることは余りなくて、高止まりするんじゃないかというような見通しが立っています。そこで、一つお伺いしたいのは、政府として、軽油価格というのは今後どういうふうな推移をたどっていこうとするか、そういった見通しについてどう捉えているかをお伺いいたしたいと思います。

和久田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、軽油の小売価格でございますけれども、一般的には、原油価格のほか、為替動向、それから競争環境などの複合的な影響で決まるものと認識をしてございます。このため、今後の価格推移について、なかなか予断を持ってお答えすることは難しいものと認識をしてございます。

 ただし、先生からも御指摘がございましたように、現在は、燃料油価格の激変緩和事業、これによりまして小売価格の上昇を抑制しているところでございます。

 本事業に関する範囲で申し上げますと、現在、ガソリンの小売価格が全国平均でリッター当たり百八十五円程度となるよう支援を継続してございます。軽油につきましてはガソリンと同額の支援を継続するということでございます。現行制度の下では、軽油の小売価格は全国平均でリッター当たり百六十五円程度ということで推移すると見込まれております。

 今後の本事業の取扱いにつきましては、原油価格の状況などを丁寧に見定めながら適切に対応していくこととしておるところでございます。

向山(好)委員 今の御答弁は、いろいろな要因があるので予測はなかなか難しいのですけれども、今、補助金も百六十五円というのが基準になっているので、そのぐらいで推移したとしても、やはり過去から比べたら相当に高騰しているわけですから、物価に与える影響というのは非常に大きいんじゃないかというふうに言わざるを得ないんですね。

 そこで、配付資料を御参照いただけたらと思うんですけれども、資料一は、私は本会議でも指摘をいたしましたけれども、データバンクの去年の暮れの報告書、そこの中に明記している数字ですけれども、物流費というのが価格値上げ要因の八割程度を占めているということは本会議でも言いました。

 あわせて、推移なんですね。二〇二三年から今年の予想にずっと右から左へ数字が移ると、どんどん上がっているんですね。ですから、今年の上昇というのは、軽油がやはり高止まりしている、これは当然ほかの要因もありますけれども、そういうことを前提とせざるを得ないということになっているんじゃないかというふうに思うんですね。ということは、軽油価格というのが物価を押し上げている非常に大きな要因の一つになっているということは明らかじゃないかというふうに思います。

 もう一つ指摘しておきたいのは、資料二なんですね。これは、石油連盟さんがずっと速報で発表している軽油の販売量を都道府県別に集計しています。それを世帯数で割ったいわゆる一世帯当たりの販売量、要するに購入量ですね、これがどう全国で分散化しているかといえば、例えば、一番買っていないというんですか、少なくて済んでいるのが京都府ですね、年間で二百八十五リッター。一方、一番大きいのが三重県の千二百七十三リッター。これは四倍から五倍、四倍以上になっているんですね。

 大体、傾向で申せば、当たり前かもしれませんけれども、都心部では購入が少ない、地方へ行けば行くほど購入が増えていく。これはやはり一家一台というんじゃなくて二台も三台もあるということもあるんでしょうけれども、どっちにしましても地方の方が購入の比率が高くなっているということが言えるんですね。そうなれば、地方へ行けば行くほど物価高に軽油が与えている影響というのが大きいというふうに言わざるを得ないんですね。

 村上大臣も、当然総務省の大臣として地方の暮らしを重視するということが大きな方針だというふうに思いますけれども、大臣として、軽油の暫定税率、いわゆる当分の間税率というのを、この表を見て早く手当てしなきゃいけないというふうに思われないかということなんですね。三党の誠実な協議を見守るといういつもの答弁ではなくて、是非とも私にも個人的な見解として大臣の本音をお話しいただけたらと思います。よろしくお願いします。

村上国務大臣 委員と同じで、個人的にはいろいろな思いがあります。ただ、税というのは我が党のシステムでは税調で一応決めることになっておりまして、我が方としましては、その税調の結果によって対応するしかないのが現状であります。

 そういうことで、お気持ちはよく分かりますけれども、令和七年度の与党税制改正大綱においても引き続き政党間で議論を行うというふうにされておりますので、その推移を見守りたい、そういうふうに考えております。

向山(好)委員 推移を見守ってもらうだけではなくて、もっと積極的に提言していただきたいというふうに思います。

 それで、百三万もそうなんですけれども、ガソリン税もそうですけれども、いつも恒久財源の話が出てくるんですね。私は、恒久財源なんか無視しろということは申し上げませんけれども。一方で、これもよく言われていますけれども、二〇二三年の決算で二・三兆円税収が上振れしていますし、二〇二四年もほぼ同じような傾向なんですね。五年間税収は過去最高益を更新している、このような好調な税収が一方であるのに何でそこで党で恒久財源の話になって止まっていくんだというのは、納税者からいったら当たり前の論理なんですよ。ですから、まずもう一歩踏み込んでいただけたらなというふうに思います。

 もう一つ、軽油引取税で質問したいことがあるんですけれども、それは、昭和五十一年の四月に暫定税率が導入されました。そのときには四・五円からスタートしているんですね。その後、昭和五十四年に九・三円に上がり、そして平成五年に現在の十七・一円まで、要するに三段階で引き上げられているんですね。当分の間の税収というのをどんどん引き上げる、これは一体何のためにやったのか。それは当然その中には根拠があるはずなんですけれども、三段階で引き上げている理由というのをお教えいただければと思います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 軽油引取税は、地方団体における道路財源を確保するために昭和三十一年度に創設されたものでございます。

 その後、昭和五十一年度税制改正において、一リットル当たりでございますが、十九・五円のいわゆる暫定税率が設けられました。これは、当時、自動車交通の普及に伴いまして地方道の整備が強く要請される一方で、地方道路事業費に占める道路目的財源の比率が低い状況に鑑み、地方道路財源の充実を図る必要があると考えられたためでございます。

 その後も同様な状況が続きましたために、昭和五十四年度に一リットル当たり二十四・三円に、平成五年度税制改正において一リットル当たり三十二・一円にそれぞれ引き上げられております。

 なお、平成二十一年度に一般財源化された際、平成二十二年度の税制改正において、地球温暖化対策の観点や厳しい財政事情等を踏まえ、期限のない当分の間税率として税率水準を維持することとされたところでございます。

向山(好)委員 ですから、最初は当分の間税率というか暫定税率は明確な目的があったんですね。それが地方道路の整備と地方の財源不足ということからスタートして、平成五年の最後からもう三十年以上がたっているんです。その間に、平成二十一年に一般財源化されたということの変化はあるでしょうけれども、本来の上乗せ分という性質というのは、やはりユーザーからしてみたら、国の都合によって勝手に変えられて、そして状況の変化もあったにもかかわらず、取れるところから取ったらええやないかという発想からやられているじゃないかという思いを持っているのは仕方ないというふうに思うんですね。ですから、やはり上乗せ分というのはある程度受益と負担というのを明確にしなければいけないんじゃないかというふうに思っているんです。

 先ほどから四千七百九十億円というお金の話が出ていますけれども、そうしたら、四千七百九十億円を負担した、この負担に対してどういった受益があったのか。これは、一般財源化したとはいえ、ある程度政府は説明責任があると思うんですけれども、その辺り、どういうふうにお答えいただけるでしょうか。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 現在は、これらの税金につきましては、一般財源でございますけれども、自動車のユーザーに御負担いただいている税でございます。

 現時点で、自動車に関する地方の行政サービス、これは、道路や橋梁、トンネルなどの更新、老朽化、防災、減災事業が確実に実施されるような社会インフラの財源でございますけれども、地方の歳出トータルが直近のデータでは五・七兆円となっております。一方で、今御議論になっております軽油引取税も含みます歳入全体が三・四兆円となっております。

 このため、あくまでも一般財源ではございますが、これらの両者の比較をもちましても、自動車のユーザーの方々に御負担いただいている財源だけではこれらの歳出が十分賄われていない現状にあるということも十分御理解いただいた上で、今後ともの議論が必要であろうかと考えているところでございます。

向山(好)委員 繰り返しですわ。それは、今局長がおっしゃったことは、税金を集めて、そしてそれを使っていく側はそういう論理になるかもしれませんけれども、私たちが常々言っているのは税金を納める側なんですよ、納税者から見た景色というのはそうはならないんですね。これだけ物価が上がって、物価が上がる要因の大きなものが軽油引取税の暫定税率、当分の間税率となったら、そこを少し削ったらどうですかという話なんですよ。三段階で引き上げたんだったら、一気に廃止が無理であったら、段階的に引き下げる方法もあるじゃないですか。そういったことをしっかりと議論していただけたらというふうに思います。これは今日で終わりじゃないので、これからもいろいろ議論していきたいと思います。

 次の質問に移らさせていただきますけれども、次は消防署の職員数の話なんです。

 消防白書によりますと、全国の救急出動件数は年々増加して、十年前の平成二十五年度が約五百九十二万件の出動件数があったということです。それに対して令和五年度が約七百六十四万件。十年間で約三〇%、救急出動が増えています。一方、全国の消防職員は、平成二十六年度には十六万一千二百四十四人だったものが、令和六年度は十六万八千八百九十八人。十年間で四・七%増にとどまっているということです。

 出動件数が三割増えているのに人員が五%しか増えていなければ、そのしわ寄せは当然ですけれども現場の消防隊員にかかってきます。それが影響したのかどうかはいろいろ分析があるでしょうけれども、令和四年度では現場への到着時間が十・三分と、過去最長になってしまっています。

 国民の命と暮らしを守るという重要な役割を担っておられる救急隊員の人員が、現在、適正に確保されているのでしょうか。その辺りの御見解をお伺いいたします。

田辺政府参考人 近年増加している救急需要や、激甚化、頻発化する災害等に対応するため、消防職員の確保は大変重要と考えております。

 そのため、救急隊員を含む消防職員数につきましては近年一貫して増加を続けており、こうした状況を踏まえて、地方財政計画においても適切に職員数が計上されているところでございます。

 消防庁といたしましては、必要な職員数確保のため、各消防本部の採用情報をまとめたサイトをホームページで公表し、各消防本部における採用を支援するとともに、今年度から全消防本部の幹部職員を対象に離職防止を目的とした研修会を開催するなど、職員の離職防止対策も新たに講じたところでございます。

 また、増大する救急需要への対応については、住民が急病時などに救急車を呼ぶべきか否かなどについて電話で相談することができる救急安心センター事業、シャープ七一一九の全国的な展開などの取組を進めていくことも重要と考えております。

 引き続き、各地域の実情に応じ、救急需要の増加等に対して適正な体制の整備が図られるよう取り組んでまいります。

向山(好)委員 御答弁ありがとうございます。

 適正な配置になるように努めてまいりたいということで、今、離職率の話をされましたけれども、確かに若い人たちが職場のいろいろな問題で離職するということはもったいない話なので、その対策は進めていただきたいと思いますし、最近、やはりちょっとお聞きしたいのは、人手不足というのがいろいろな業種で言われています。救急隊員というのも本当に特殊な技術が必要なので、その辺りの、人手不足の影響を受けているかどうかというのをちょっとお聞きしたいんですけれども。募集したものに対して応募がちゃんとあるのか、あるいは全然来てくれないのか、その辺りはどんなことになっているんでしょうか。

田辺政府参考人 消防吏員の令和五年度における応募者数は四万六千四百五十二人、受験者数は三万七千七百三十八人、採用者数は五千八百三十六人となっており、採用者数に対する応募者数の倍率は約八・〇倍、採用者数に対する受験者数の倍率は約六・五倍となってございます。

 消防庁といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、各消防本部の採用情報をまとめたサイトをホームページで公表し、各消防本部における採用を支援するほか、今後特に女性消防吏員の確保が重要だと考えておりますので、SNSや電車広告を活用した採用広報、女性消防吏員活躍推進アドバイザーの派遣、消防本部の優良取組事例をまとめた消防庁女性活躍ガイドブックの横展開など、女性消防吏員の更なる活躍推進に向け、消防本部を支援する取組を行っているところでございます。

 引き続き、消防吏員の魅力を発信し、多くの方々が消防吏員になってみたいと思っていただけるような取組を進めてまいります。

向山(好)委員 四万人に対して三万人ということなので、だけれども一生懸命やっていらっしゃるというのはよく分かりました。

 だけれども、消防庁が発表した数字で、二〇三五年ですから十年後に搬送者数というのが今よりも一割増えると消防庁が分析されていらっしゃるんですね。ということは、やはりもっと救急隊員の数が必要になってくるということですので、内部のいろいろな改善をして、魅力ある職場も含めてしっかり人員確保をしていただくことを要望いたします。

 最後に、余り時間はないですけれども、外国人の対応についてちょっとお聞きしたいんです。

 最近、御存じのとおり、外国人の訪日観光客というのがどんどん増えているし、一方で外国人就労者数というのも過去最高をずっと更新しているんですね。ということになったら、緊急出動の現場で言語の壁というのにぶち当たっていっているんじゃないかと思いますけれども、こういった外国人との言語でのコミュニケーションには今どういうふうに対応されていらっしゃるんでしょうか。

田辺政府参考人 消防では、外国人傷病者の方に対して救急業務を円滑に行えるようにするための各種の取組を進めています。

 具体的には、消防庁のホームページにおいて、救急車の利用方法のほか、熱中症予防のポイントや応急手当て等も記載した訪日外国人のための救急車利用ガイドを十五言語で掲載し周知を図っているほか、多くの消防本部において、外国人から一一九番通報を受けた際に、電話通訳センターを介した三者間同時通訳を実施しているところです。

 また、救急現場では、消防研究センターや情報通信研究機構等により研究開発された多言語音声翻訳アプリ、救急ボイストラが導入されており、救急隊員が外国人傷病者に対して円滑なコミュニケーションを図るといった取組を行っているところです。

 今後とも、こうした取組を通じ、外国人傷病者の方に対して救急業務を円滑に行える体制の整備に取り組んでまいります。

向山(好)委員 ありがとうございます。

 外国人は更に増える傾向ですし、外国人就労者数は一番がベトナムで、二番が中国で、三番がフィリピンということなので、言語の幅も結構広くなってくると思いますので、しっかりと対応していただきたいと思います。

 救急ドローンの話は、時間が参りましたので、次のときに議論させていただきたいと思います。

 これで質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、若山慎司君。

若山委員 自由民主党の若山でございます。

 今日は、地方税法等の一部を改正する法律案についての質疑に立たせていただきました。前半、後半に分けて、大きく二つに分けて質問をさせていただきたいと思いますが、前半部分で、今般、立憲の出されました軽油引取税の当分の間税率の廃止についてまずはお伺いをさせていただきたいと思います。

 この点に関して、私、質問を作って原稿にしてとも思ったんですが、今朝からのいろいろな質疑の内容を拝見しておりまして、原稿でおざなりなやり取りというのも国民の皆さんには受け止めとしてなかなか分かりにくいところもあろうかという感じがしましたので、前半部分、自分の経験を交えながらやってまいりたいと思います。数字等で誤りがございましたときには、どうぞ御指摘をいただければと思います。

 私、この質問に入ります前に、少し自分の経歴を申し上げた方がよろしいかと思いますが、二〇〇九年の総選挙の折には、私は自由民主党の先生の下で秘書をしておりました。大変厳しい、自民党が政権を失う選挙戦を戦ったわけであります。そのとき政権交代をした民主党が掲げた政策というのが、ガソリン値下げ隊による暫定税率の廃止であったり、また子供手当であったり、高速道路の無償化というような、こういった政策を掲げられた民主党と対峙する中で政権交代があった。ただ、その後、私は民主党の先生に三年ほどお預かりをいただきまして、三年間民主党の先生方とともに一秘書としてお仕事をさせていただきました。

 そのときの経験で、二〇一二年、自民党が政権を取り戻したときの選挙は、私は民主党の一員として街頭でビラを配っておりましたが、そのとき、一有権者の方が私からビラを受け取ってくれた次の瞬間、目の前で真っ二つにそのビラを破って、それを地面にたたきつけ、そして足で踏みにじって言った言葉があります。うそつきと。私は生涯この言葉を忘れませんし、政治に携わる人間はそういうことを言われる身であってはならないと思って、これまで秘書を続けながら、昨年の十月、こうして議席をいただいて、この仕事に就かせていただいております。

 その身から申し上げさせていただきます。今般の当分の間税率の廃止ということで、これにより地方は四千八百億円ほどの税収入を失うことになる、この財源をどこに求めるのか、改めてお伺いしたいと思います。

山花委員 若山委員からは、御経験も踏まえての御質問をいただきました。

 元々いただいていたのが減収の見込額と財源ということでございますけれども、令和七年度におきましては、地方財政計画上の軽油引取税収というのが八千九百九十七億円とされていることから、本則の税率と上乗せ税率の比率から試算いたしますと、減収は、今約四千八百億円と御指摘いただきましたけれども、ちょっと細かく申し上げますと、四千七百九十二億円程度と見込んでおります。

 修正案では、改正法附則二十条により、政府は、軽油引取税の税率の特例の廃止に伴う軽油引取税の収入の減少が地方公共団体の財政に悪影響を及ぼすことがないよう、当該収入の減少に伴う地方公共団体の減収を補填するため必要な措置を講ずるものとしております。

 立憲民主党が別途提出する予算修正案でも、軽油引取税及び地方揮発油税の減収による地方への影響額を繰り入れることにしており、国費でしっかりと補填していきたいと考えております。

 先ほど、午前中の議論でもお答えしたんですけれども、来年度の減収額においては地方特例交付金のスキームを活用することを想定しておりまして、本修正案成立後速やかに法制上の措置を講ずるよう政府に求めてまいりたいというのが用意しておいたお答えなんですけれども、今、いろいろ御経験もあってということで、大変貴重な御意見をいただきました。

 私どもといたしましては、かつて財源の確保がなかなか難しかったという経験もございますので、そう簡単なことではないということもよく承知をいたしております。ただ、当分の間、暫定といいながらこれまで長期にわたってというのはなかなか一般の方には、先ほども向山委員からも御指摘がありましたけれども、ちょっと理解がし難いことではないかということと、これだけ国民生活が大変厳しい状況になっているという中で、廃止をということで提案させていただいております。

 午前中も申し上げましたけれども、この課題については政党間での合意もあるようですので、与野党の枠を超えて、どういう財源があるのかということをこれから真摯に議論していければと思っております。

若山委員 というお答えよりほかはないとは重々承知をしながらも、これを言っていい側と悪い側というものもあるのではないかと思います。というのは、二〇〇九年に暫定税率から当分の間税率というものに変えていって、二〇一〇年にはマニフェストから削除をしておられるわけですね、当時の民主党はですけれども。そのときには、でも、先生も当時の民主党に御所属でいらっしゃったと思いますし、この中にもその先生方は多数おられるわけです。

 という中で、あのとき、もし、財政収支の問題をクリアできないかもしれないけれども、事業仕分もやっていて、単年度でも予算が確保できていて、当時はリーマン・ショックからまだ明け切れない状態、大変厳しい経済状況であったことは、当時の先生方にもよくお分かりの話であります。当時でもできなくて、断念をして、マニフェストから削った。その結果として多くの仲間を失う。私も、二〇一二年にはその一員として厳しい選挙に関わらせていただいた。あのときのことを思ったら、そんな、来年以降のことは来年、政府に対して求めていく、こういうような形で、こんな大事なことを法案として出せるんでしょうか。

 私は、それをお出しになるということであれば、しっかりお聞きしなければならないことは、当時、リーマン・ショック、それから株価も七千円台まで落ち込みました。今、上がっているのは株価ぐらい。まだ、今回の燃油高という問題もどこに原因があるかといえば、為替の問題、円安の問題、それからヨーロッパでの戦いの問題、戦争の問題に起因するところが大きいわけでありますけれども、こうした問題について、当時も今も厳しい経済状況であることに変わりはないかと思いますけれども、そんな中で、来年度以降、令和八年度以降は改めて議論するという形でこの法案をお出しになっているという理解でよろしいんでしょうか。

道下委員 若山委員の御質問にお答えいたします。

 今、いろいろと民主党政権時代のマニフェストについてお話がありました。我々としても、私はそのときには国会議員ではございませんけれども、私もその当時、北海道議会議員として横路孝弘衆議院議員の選挙活動をしましたけれども、同様の冷たい視線などを感じながら活動したところでございます。

 ただ、今回は、若山委員も所属されております自民党さん、そして公明党さん、国民民主党さんの三党も、昨年十二月十一日、いわゆる暫定税率廃止で幹事長同士が合意されまして、十二月二十七日に閣議決定された令和七年度の税制改正大綱にもいわゆるガソリンの暫定税率を廃止すると明記されております。

 我々も、ただ単に減税だとか暫定税率廃止だということではなくて、今国会においても本気の歳出改革というものをしっかりと行うということでチームを結成して、今予算委員会から設定されました省庁別審査におきまして様々な無駄な予算というものを見つけ出し、掘り出して、それらを様々な政策に充てていく、そういうような取組をさせていただいております。

 今回の軽油引取税の補填分も、まず一年間はそれで行っていく、そして地方の減収額に見合う財源を確保しているということで、この一年間は十分実現可能というふうに思います。その後の令和八年度以降についてはしっかりと与野党一緒になって、考え方、方向性は同じだと思いますので、財源確保に向けて、是非課題があれば一緒に知恵を絞りたいという考え方で法案を出させていただいています。どうぞ御理解をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

若山委員 これをこれ以上続けても、多分同じことの繰り返しだと思いますので。財源があったということであれば、これを補助金でしっかりと、運送事業者さんたちに対して、しのいでもらうために出すというやり方もあるというお話は午前中にも出ておりましたけれども、いろいろな方法がある中で、それはどれがいいのかということは議論の中で決めていかれるべきことになるのかと思います。

 本来であれば、財政のお話ですので、大臣から私も秘書時代にいろいろと御指南を賜っておりましたが、このお話を大臣にお聞きすると私の質問時間が終わってしまうといけませんので、またの機会に、また財政について伺えればと存じます。

 さて、二つ目に入らせていただきます。地方交付税についてでございます。

 こちらにつきましては、既にさきの委員会でも、令和七年度の地方交付税総額が前年度を二千九百億円ほど上回って、臨時財政対策債も制度創設以降発行ゼロ、交付税特別会計借入金の償還も前倒せる、少しずつ状況としての改善が成ったというようなことを伺っております。ただ、これを好機に制度のひずみともいうべき状況の改善について取り組めたらということで、この後、質問をさせていただきたいと思います。

 物価の高騰を始め様々な経済的要因も加味された改正であるとは存じますけれども、地方の財政は非常にまだ厳しい状況であり、交付税交付金を頼って回しているというような自治体も多くあります。

 そうした自治体からの声の中で、例えば、子供医療費の助成をしました、子育てに係る経済的な不安を解消したい、人口減少に資する施策をやっているということで、各首長さんたちも地方議会も苦労して取り組んでいるというような自治体もございます。また、こうした一般的な施策になりつつあるものについては、もう少し国の方で見てもらえないかというようなお声も同時にいただくところでございます。

 このほかにも、心身障害を持たれる方の歯科診療費の経費を持つだとか、あとガバメントクラウドの関連経費をちゃんと国は持ってくれるのかとか、あるいは合併特例債で、合併はしたけれども、面積は大きくなったけれども、その分、老朽化施設の改築件数は増えて、そのお金がなかなか交付税交付金で追いついていない、財政が追いついていないというようなお声も上がります。

 また、公務員の給与改定においては、地方公務員の給与改定に係る人件費の増額分が需要額に反映されていないのではないか、こういった様々な地方からのお声を伺います。

 算定項目やこうしたものの解釈について国と地方の間でいささかのすれ違いがある実感を私自身持っておりますが、そこで、お伺いいたします。普通交付税の算定基準となる単位費用の額等の見直しについて、どのような検討がなされているかということをお伺いさせていただきます。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 普通交付税の算定に用いる単位費用でございますが、行政項目ごとに地方団体が標準的な行政を行う場合に必要な経費を積算しているものでございまして、地方公務員の給与改定、国庫補助事業の規模、物価の上昇などを踏まえて、地方団体の財政需要を適切に見込み、毎年度、単位費用の改正等を行っております。

 令和七年度の改正に当たりましては、令和六年人事院勧告に伴う給与改定の増加、ごみ収集とか学校給食などの地方団体のサービス、維持管理等の委託料の増加、子供、子育て施策等の社会保障関係経費の増加などを反映いたしまして、多くの費目で単位費用を増加させるなど、適切に設定をしていると考えております。

 普通交付税の算定に当たっては、地方団体から数多くの御意見もいただいて必要な見直しを随時行っているところでございまして、地方団体の財政運営に支障が生じないよう、引き続き適切な算定に努めてまいりたいと考えております。

若山委員 またこれと同じ流れにはなるんですけれども、今、交付団体の方もなかなか厳しい財政状況の中で今のようなお声があるんですが、他方で不交付団体からも様々な声が上がっています。先ほど別の方の御質問の中でも出ていましたけれども、本当にぎりぎりのところで不交付団体となっているというような自治体からは、そこに実際的な財政状況の厳しさにはさほどの違いがないのだけれども、結果として回していく財政状況というのは天国と地獄というぐらいの差があるのはどうしてだ、幼児教育、保育の無償化など国の責任において進めている事業については、不交付団体には届かない交付税措置ではなく全体としてちゃんと支えてもらわないと何ともならないというような、厳しい御指摘もいただいております。

 地方交付税の財源の不均衡の調整と保障という観点からももう少し、不交付団体が深刻な状況にならないようにどこかで軌道の補正が行われてしかるべきと考えますが、地方交付税の交付、不交付の境界線上にある団体について国としてどのようにお考えか、お聞かせください。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 普通交付税の算定に用います基準財政需要額と基準財政収入額につきましては、交付団体と不交付団体の区別なく、同じ算式により公平に算定をしておりまして、その結果として交付団体又は不交付団体が決定をされるものでございます。

 このため、委員御承知のとおりかと思いますが、不交付団体においても、地方交付税制度を通じまして標準的な行政サービスの提供に必要な財源が確保されているものと考えております。

 なお、委員御指摘のような、交付と不交付を行ったり来たりしている団体においては税収の動向が財政運営に与える影響が大きいことから、円滑な財政運営に非常に苦労しているケースもあるのではないかと推察をいたしますけれども、今後とも我々としても、適切に財政運営ができるよう助言等をしながら、不交付団体についてもよく注視させていただきたいと考えております。

若山委員 時間が限られておりますので、もう一問、済みません、手短に質問して、もし御答弁いただければ。今のお話の延長線上でもありますけれども、公立病院への支援についてもお伺いしたいと思います。

 実は、コロナの間は公立病院は様々な形で、ベッドの補助が出ていたりということで黒字化したところもあったのですが、残念ながら補助金が打ち切られた段階で赤字に転落をする、コロナ前の状況よりも大変厳しい状況になっている病院も多々ございます。こうした病院を抱える自治体は繰り出し金を財政の中から支出して何とか支えているというところもありますが、これについて国として何か取り組んでいったり、これから助成していける、助けていけるような場面があればと思いますので、これについてももしお答えいただけるようでしたらお願いできますでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 公立病院におきましては、今現在非常に厳しい経営環境にあると認識をしておりまして、我々としても、公立病院が地域医療にとって重要な役割を継続的に担っていけるように様々な形で財政措置を行っているところでございます。

 また、令和四年に公立病院経営強化ガイドラインを策定して、様々な経営強化策を講じていただくよう要請もさせていただいております。

 今後とも、自治体が持続可能な地域医療提供体制が確保できるよう、総務省としてもしっかり支援していきたいと考えております。

若山委員 これで終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、山川仁君。

山川委員 れいわ新選組の山川仁です。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日、まず、令和七年度の地方財政計画の方からスタートをして、後ほど修正案のことをさせていただければと思います。

 今日、ちょっとうれしい出来事がありまして、この質問をするに当たって、文科省からの参考人ということで、副大臣若しくは政務官をお願いしますと言ったところ、地元の沖縄選出の金城政務官が来ていただきまして、本当にありがとうございます。先日も、沖縄北方特別委員会の方でもいろいろと沖縄の情報共有をしながら、思いを共有していただいて、今日のお話も是非ともまた地元に持ち帰り、一つでも課題を解決できるように是非お力添えいただければと思います。

 まず、今回の地方財政計画につきましては、教師の処遇改善、教職調整額の引上げ等の概要説明を受けておりますが、令和八年の一月から現状の四%から一%ずつ上げていき五%に、毎年、令和十二年度までに一〇%に上げるというような計画のようです。その中で、大事な地方財政計画も現場の声とはまだまだ開きがあるというふうに私は感じておるところで、地方交付税の財源保障機能をクリアしていないと見ているところです。

 今回の令和七年度の所信表明、石破総理の演説の中で、人財尊重社会とは全ての人が幸せを実感できる社会のことを指していました。新しい日本をつくる上でサステーナブルでインディペンデントであること、すなわち持続可能で自立することを重視しなければなりませんと冒頭で演説しておりました。新しい日本をつくると言われている中で、日本の三大義務、勤労、納税、教育、そのうちのすなわち教育は社会にとっても最重要な位置づけ、地方創生もまずは教育環境を重点に置いた人口減少対策を進めていかなければと私は常々思っているところです。そこで、まず、質問ですが、給与の四%というものの根拠をまずお聞かせいただきたいと思います。

日向政府参考人 お答えいたします。

 教職調整額については、勤務時間の内外を包括的に評価し支給するものであることから、必ずしも時間外勤務の状況等に対応するものではありませんが、現行の四%という支給率は、昭和四十一年度に行った教師の勤務状況調査の結果も踏まえ、総合的に考慮して設定されたものと承知しております。

山川委員 ありがとうございます。

 この処遇改善の計画は、現場とかけ離れた処遇ではないのかというふうな声をよく聞きます。現場の教職員がどのような働き方改革をこれによって見出せると皆さん方は思っているのか、見解を聞かせていただきたいと思います。

日向政府参考人 お答えいたします。

 教師を取り巻く環境整備は喫緊の課題であり、教師の処遇改善のみならず、学校における働き方改革の更なる加速化、学校の指導、運営体制の充実、これを一体的に進めることが必要と考えております。

 学校における働き方改革の更なる加速化については、教師の業務の仕分を行った学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる厳選、見直しや、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化に引き続き取り組むことに加え、全ての教育委員会における取組状況の見える化等を通じたPDCAサイクルの構築等に取り組んでまいります。

山川委員 ありがとうございます。

 総務大臣も御承知かと思いますが、人材確保法、一九七四年頃ですか、法が設置され、その当時の田中内閣で設置をされたというふうに伺っておりますが、そのときには大胆な政策として教職員がほかの一般公務員よりすばらしく優遇を受けて、しっかりと確保して、その中で環境整備をしながら、教職員が不足しないような状況がずっと続いたと言われています。

 今この状況では、現場とかけ離れた処遇の、余りにもみみっちいというか、けちくさいというか、そういった状況なのかなと思っています。皆さん方が総理の所信をしっかりと受け止めて職務に励んでいられるのかというのがちょっと疑問であって。総理の演説、第一の柱に、第一の柱ですよ、若者や女性にも選ばれる地方と強く訴えています。アンコンシャスバイアス、無意識の思い込みが強く残っているのは皆さん方じゃないのかなというふうにちょっと少し危惧をするところなんですよね。総理はそれをなくしていきましょうと言っているのにもかかわらず、その無意識の思い込みが、今の処遇改善に全く見合っていないような、時代遅れのものになっていないのか。そういったところを見直さないとずっと続くんですよ。

 次の質問に行きたいんですが、その前に現場からの今の、これから読み上げる声を文科省や総務省また総務大臣に是非聞いてほしいと切望されましたので、是非、生の声を真摯に、今から読み上げるものを受け止めていただき、真の処遇改善に努めていただきたいと思います。

 とある沖縄県内の小学校の現場からの声です。その方の勤務校を例えにすると、三年生で通常の児童が各クラス三十三名、特別支援学級の児童が各クラスに三名ずついて、国語と算数の授業以外はほとんど一緒に授業しています。実質三十六名の子供を担任一人で受けていて、通常にも支援が必要な児童がいる上に、特別に支援が必要な児童が三名もいるということ。担任一人で授業と支援をしなければならない、しかし、現状の教職員数では、その支援が必要な生徒の支援まで十分に手は届かず学級経営が日々悪化していると、悲痛の声をそれぞれの教職員が言っています。

 やはり少人数だとその割合が減るので、その分、より支援が行き届きやすいと思います、学級編制については国の法律で決められているから国のレベルなんだよねと、嘆きの声です。学級編制は一クラス三十六名で、クラス増になりますけれども、今、特別支援の児童が増えていて、その児童をクラスに入れても学級数にカウントしません。だから、実質は四十人近くになるクラスもあって、特別に支援が必要なのに、担任一人で見ないといけない状況。

 さらに、疲れたなという感じですが、教員も一人減り二人減り、でも臨任も来てくれない恐ろしい悪循環です、現場の方はと。支援が行き届かないどころか、学級経営も難しくなることもあり、子供たちにとってもマイナスだなと思っています。また、担当は一日六時間の授業をし、放課後は保護者対応、学校の校務分掌の仕事、授業の準備や計画、授業後の児童の評価、振り返り、ノートチェックやテストの丸つけなどを行っているそうです。休憩時間という時間は設定されていますが、トイレに行く時間も惜しんで仕事をしても終わらない日々を過ごしている、そして疲労がたまり、やがて精神的にもきつくなっているという感じです。

 メンタルヘルスの研修や産業医の配置などがあってサポートしているように見えますが、余裕を持てる時間の確保ができる改善が行われない限り変わらないと思います。メンタルヘルスによい休息、運動、余暇の過ごし方など、時間が確保されていないと実施できません。インクルーシブ教育と言いつつ、その環境を全然国は整えてくれない。

 そして、特別支援学級の児童は年々増え、通常学級に協力学級として入る人数が増えていくのが要因としてあり、国はカウントしないので学級数は増えません。これってインクルーシブ教育を本当に進めようとしているのか、甚だ疑問に思います。学校は何のためにつくったんでしょう。学校はなぜ必要なんでしょう。国を存続させるため、子孫を育てる必要があるという原点を見詰め直してほしいと思いますと。

 つづられたことを少し現場の声としてお話しさせていただきました。この内容について、総務大臣、そしてまた文科大臣政務官、今日は出席していただきましたので、是非見解を伺いたいと思います。

金城大臣政務官 ただいま山川議員から御指摘がありましたように、非常に教育環境は厳しい状況であるということでございます。

 文科省としても、教育は人なりと言われるように、学校教育の成否は教師に懸かっている、そのため、教職の方々の魅力を向上させて、教師に優れた人材を確保することは大変に重要であります。

 具体的には、先ほどもありましたように、学校の働き方改革の加速化、教職員定数の改善、そしてまた処遇の改善、こういった三つの柱を、文部科学省としてもしっかりと取組を推進して、一体的、総合的にこれに取り組んでいって、教師の皆さんの取り巻く環境を改善していくつもりでございます。しっかり現場も一つ一つ回っていきますので、今後ともしっかりと頑張っていきます。

 以上です。

村上国務大臣 おっしゃるとおりで、教職の魅力を向上させて、教師に優れた人材を確保するというのは非常に重要なことだと考えております。ただ、そのためにどれだけの財政措置が必要なのか、また、どういうようなシチュエーションにしたらいいのか、文科省共々もう一回考える時期に来ているのかなという感じはしています。

 我々の時代と違って、我々の頃の先生というのは非常に教育に熱を持って、今から思うと、授業の後も特別な枠でやってくれたりして、感謝の気持ちでいっぱいなんですけれどもね。今の時代になかなかそれを要求するのは難しいと思うので、予算的な、いろいろな面の環境づくりをもう一回考える必要があるのかなという気がしています。

山川委員 ありがとうございます。

 この質問をする際に、各省庁の職員に来ていただきまして、どういう話をしますかといういろいろなやり取りをさせていただきましたが、その際に、文科省、総務省としては各都道府県にある一定の座布団は用意しています、そこに座る座らないは各自治体の裁量がいろいろ働いてくるのでということを言っていました。ただ、座布団を用意しても、綿のない段ボールのような座布団を用意されても困るんですよ。しっかりと、先生たちが、ここだったら座ってもいいな、これだけ気持ちいい座椅子だったら私たちは座りたいんだというような、集まってこられるような座布団を用意していただかないと。

 今言っているように、毎年一%ずつ増やして一〇%までと言っていますけれども、その状況が本当に処遇改善なのかというような環境。そこを今総務大臣が前もって前向きな答弁をしたと私は認識しておりますので、是非とも文科省を挙げて、また総務省と連携を取りながら、地方税の在り方も踏まえながら、財源確保にしっかり努め、本来の処遇改善をしていただければと思います。よろしくお願いします。

 それでは、時間もありませんので、済みません、立憲の修正案、少し御質問させていただきたいと思います。ありがとうございます。

 今回、まず、防衛増税の一環としてたばこ税の引上げのお話をされておりましたが、地元からはたばこ税を上げないでほしいという声もたくさんあるんですよ。その中で、たばこ一箱、幾ら引上げをする予定なのか、それに伴う予算見込みの総額。現在もたばこ税は防衛予算の一部に組み入れられていると思いますが、充てられているのならば、その予算額もお願いしたいと思います。まず一つ目で、お願いします。

細田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のたばこ税の見直しは、加熱式たばこの課税方式の適正化により紙巻きたばことの税負担差を解消した上で、たばこ税率を一本当たり一・五円引き上げるものでございます。

 この見直しにより増加する一箱当たりの税負担額については、紙巻きたばこは一箱二十本入りの製品であれば三十円引き上がることになりますし、加熱式たばこは、製品ごとに増加する税負担額が異なるため一概に申し上げることはできませんが、課税方式の適正化と税率の引上げにより約六十円から百二十円程度増加すると見込んでおります。

 また、今回のたばこ税の見直しによる増収額については、平年度において国分で二千百五十億円を見込んでおります。

 また、たばこ税の使途が防衛予算の一部に組み込まれているのかという点につきましては、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置の施行後においてはたばこ税の一部が防衛力強化のための財源に充てられることになりますが、現在、たばこ税は防衛予算に使途が限定されるものではございません。

山川委員 ありがとうございます。

 次に行きたいと思います。当分の間税率についてですが、離島地域について、輸送コストのデメリットが当然あるんですが、更なる上乗せの高騰助成措置を取らなければ物価高騰対策にはならないと考えておりますが、その点についてはいかがお考えですか。

山花委員 山川委員にお答え申し上げます。

 私、東京の議員なんですけれども、東京も、青ケ島村とか非常に小さな離島を抱えている地域です。離島は海上輸送費の発生であるとか販売規模などの要因から物価が本土に比べて一割から三割程度高い傾向にあるということなども承知しておりますし、また、特に沖縄ですと本土との十分な格差の解消というのはまだまだ道半ばだということも認識しております。

 そこで、今回の当分の間税率の廃止とは別に、また別途対策が必要なのではないかと思うところでありまして、二〇二二年の離島振興法改正の際の国土交通委員会の決議において、離島の物価が本土に比べて高い傾向にあることなどからガソリン小売価格を引き下げることとされており、公共交通機関が脆弱な島での暮らしを支えるためにも更なる財政出動が必要であると私どもも認識しております。

 離島振興法第十九条に、離島振興対策実施地域の振興に必要な税制上の措置その他の措置を講ずるものとするとあることを踏まえ、本土との格差是正を図る観点から、離島の税制上の措置についても別途検討してまいりたいと私どもとしても考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 最後に、運輸事業振興助成交付金についてです。減収補填はありがたい措置だとも考えておりますが、しかしながら、助成交付金が毎年減額をされている状況だと思います。その中で、物価高対策へ、現状、補填措置のみでは支援にはならないと思いますが、ガソリン高騰、物価高、減収分の対策、そして経済を底上げするための本来の総合的な高騰対策をこの修正で更なる追加提案をしたらどうかと考えておりますが、どのような認識をお持ちでしょうか。

道下委員 山川委員の御質問にお答えいたします。

 認識は同じだというふうに思いますが、今回の修正によりまして、軽油を燃料とする自動車を用いて行われる運輸事業者は、軽油価格自体の引下げと運輸事業振興助成交付金の二重のメリットを受けることになります。

 物価高で苦しむ国民生活を何とかしたいという思いは皆様が共有しているもの、我々も同じだというふうに思いますけれども、その具体的な手段をどうするかということについては、減税や給付など様々な議論があっていいと考えております。いろいろな御意見を伺いながら、ベストな政策を練り上げてまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 以上です。

山川委員 ありがとうございます。立憲の修正案につきましては、この三点で質疑は私は終了です。

 先ほどの教師の処遇改善につきましては、是非、政務官、地元の現場の声もまずしっかりと受け止めながら、全国の教職員のために是非汗をかいていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 また、総務大臣、いつもいろいろな忌憚のない御意見もいただきながら、腹を割って答弁もしていただきまして、本当にありがとうございます。これから更なる、総務省の最後のとりでと私はうそ偽りなく総務大臣には期待をしていますので、是非とも今後ともまたいろいろな議論を深めながら、しっかりと国民のために、国民を向いた村上大臣であることを更なる期待をして、私の質問を今日は終わりたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 光熱費の高騰、円安の影響による物価高など、国民の暮らしはますます苦しくなっています。エンゲル係数が四十三年ぶりの高水準になったと報道もされておりました。

 総務省の家計調査でも、二〇二四年の世帯当たりの消費支出の内訳の品目分類を見ますと、いわゆる物価の影響を除いた実質というのがあるんですけれども、実質では、生鮮野菜は一一・五%のマイナス、果物は七・九%のマイナス、つまり買い控えているわけですね。スーパーに行っても本当に高いのでそういったものに手が伸びない、野菜や果物が食べられないということであります。こうなると、栄養面でも非常に心配になってくるわけなんですけれども。

 さて、この間、何万円の壁という議論がされてきているわけなんですね。これは所得税及び住民税の非課税限度額を引き上げるというものであります。私たちは引上げそのものにもちろん賛成するものなんですが、ただ、今回、所得税でいうと百三万から百二十三万円。こうなりますと、年収二百万円の方で五千円ほどの減税にしかならないということであります。

 私は、今日委員の皆さんからも生活がこれだけ苦しいとか物価高だという話がるるあるわけなんですけれども、これだけ苦しいときにはやはり消費税の減税こそ最も効果的な対策ではないかと。

 総選挙でも、消費税の減税と掲げていた政党もたくさんあったわけですよ。途端に、選挙が終わったら言わなくなったというふうにも思うんですけれども。ただ、この何万円の壁ということをあえて議論するならば、やはり引上げの根拠ですね。物価高に応じてとか最低賃金が上がっているとかいろいろ出てくるわけなんですけれども、私は大前提として、生活費には税金をかけない、いわゆる生計費非課税の原則というやつですね、ここに基づくことが大事ではないかというふうに考えております。

 今日は財務省にも来ていただいているんですけれども、今回、基礎控除を上げるには上げるんですけれども、基礎控除の引上げはやはり最低生活を保障する水準まで引き上げることが必要だと思いますけれども、いかがですか。

東大臣政務官 基礎控除等から成る所得税の課税最低限については、生計費の観点や、公的サービスを賄うための費用を国民が広く分かち合う必要性などを踏まえて、総合的に検討をされてきたところであります。

 このうち、生計費の観点については、昭和三十年代後半から四十年代前半においては、委員御指摘のとおり、マーケットバスケット方式により物価を勘案し、近年は、消費者物価の総合指数が勘案されて基礎控除等の額が引き上げられてきたところでありまして、今般の基礎控除等の引上げ幅に関しましては、消費者物価指数が最後に基礎控除を引き上げた平成七年以降一〇%程度上昇し、今後も一定の上昇が見込まれるところであります。また、生活必需品を多く含む基礎的支出項目の消費者物価が二〇%程度上昇していることを勘案すれば、生活実感も踏まえた調整になっているものと考えているところでございます。

 その上で、更なる引上げについては、昨年十二月二十日、自民党、公明党、国民民主党の三党の幹事長間で、十二月十一日に合意した内容について、引き続き関係者間で誠実に協議を進めることが確認されているものと承知しているところでございます。

 以上でございます。

辰巳委員 今答弁がありましたとおり、かつての大蔵省は、マーケットバスケット方式といいまして、いわゆる生計費非課税の原則に一応準じて、それを大前提に非課税のラインというのを決めていたことがあったということなんですね。今は、いろいろそれも含めて総合的にという答弁だったと思うんですね。アメリカあるいはドイツも、実はこの生計費非課税の原則というものを取って非課税ラインというのを決めております。

 今紹介がありました、昭和四十年代初めまでそういう立場で大蔵省はやっていたということなんですが、今日資料におつけいたしましたのが、一九六五年、今からちょうど六十年前ということになりますね、二月二十五日付の読売新聞の資料なんですけれども、これは所得税のかからぬ最低のお献立として大蔵省が発表したものであります。当時の報道では、国立栄養研究所に依頼して最も質素で最近の食生活の実態に合った献立を作ってもらい、その食費から世帯の規模に応じた生計費をはじき出し、四十年度税制改正案による所得税の課税最低限と比較したものとしているんですね。

 見ていただくと、例えば春のメニュー、一番上の方は春のメニューなんですけれども、朝、御飯、大根のみそ汁、ウズラ煮豆、たくあん。昼、御飯、イカの刺身、里芋とイカの煮つけ、さつま揚げと菜っぱのすまし汁、京菜、これは水菜の塩漬けということになっていますね。あるいは、冬のメニューで夜というのがありますけれども、ギョーザ、野菜炒め、はんぺんのすまし汁、たくあん。野菜を結構取っているんですよね、この当時、昭和四十年。

 大臣、昭和四十年の大蔵省の献立なんですけれども、これを改めて見ていただいて、何か感じるものはありますか。

村上国務大臣 昭和四十年で、今から六十年前で、伯父の村上孝太郎が大蔵省に在籍した当時で、この献立を見て非常に懐かしく思いました。

辰巳委員 当時の大蔵省も生計費非課税の原則を基にこういう献立を考えていたということです。もちろん、当時の国民は、これできちんと栄養が取れるかとか、これはあくまで食費だけであって、生活するためにはもっと必要じゃないかとか、いろいろな批判はあったんですけれども、当時としては少なくとも最低限の食費には税金はかけないという考えには立っていたということなんですよね。

 非課税限度額というのを幾らの水準で考えるべきなのかということなんですが、私はやはり指標として考えるべきなのが生活保護基準だと思うんですね。厚労省に確認しますけれども、そもそも生活保護費は税金が免除されております。その理由はどういったものでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護制度におきましては、資産、能力その他あらゆるものを最低限度の生活の維持のために活用することが受給の要件とされており、保護費につきましては、厚生労働大臣が定める基準により算定される最低生活費のうち、その者の金銭で満たすことができない不足分を補う程度において支給するものでございます。

 この保護費につきましては、生活保護法第五十七条の規定により、租税その他の公課が課されないこととされております。これにつきましては、仮に保護費へ課税がなされた場合、受給者が最低生活費を割り込む生活を余儀なくされ、法の目的が達成されないため、受給者の権利を保障する趣旨であるというふうに承知しております。

辰巳委員 公租公課の禁止なんですね。もし生活保護費に税金などをかけてしまうと、憲法二十五条に根差した最低限度の生活というものが困難になるので生活保護費には税金をかけない、こういう理屈になっているわけなんです。これは非常に明確だと思うんですよ。暮らしていく最低限度の所得に税金はかけないということなんですね。人間らしい暮らしのために、衣食住がもちろん充足しているだけではなくて、健康で文化的な活動に要する費用ももちろん考慮されるべきだというふうに思うんですね。

 そこで、生活保護基準といわゆる非課税限度額との比較を考えたいと思うんですよ。

 生活保護費は、いわゆる可処分所得ということになります。手取りですよね。税金も引かれませんし、基本的には社会保険料というのも免除されますので、入ってきたお金というのは使えるお金ですから、可処分所得、手取りということになります。では、生活保護を受給されている夫婦、これは四十歳未満の夫婦と子供一人の三人世帯で、生活保護基準は幾らになるか。大阪市の場合でいいますと月額二十一万五千九十円、これが可処分所得としての生活保護費なんですよね。

 では、同額の可処分所得、手取りを受け取るためには一般的な給与収入で額面で幾らになるかといいますと、月額で、額面ですよ、二十六万円ぐらいになるんですね。年収でいったら、大体三百万円を超えるぐらいの年収なんですよ。そこで初めて手取りとして、可処分所得として生活保護基準と大体同等になるということなんですね。これくらいの年収の方というのは、もちろん厚生年金保険料もかかりますし、健康保険料あるいは雇用保険料、所得税がかかりますね、住民税は次年度からもかかっていくということになるわけですね。

 改めて財務省に聞きますけれども、生活保護基準の所得であるにもかかわらずこれだけの税負担、最低限度の生活需要を満たせないんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

東大臣政務官 所得税の課税最低限は、生計費だけではなく公的サービスを賄う費用を広く分かち合う必要性も含めて、総合的に検討して定められているものと承知をしております。一方、生活保護制度は、憲法二十五条の理念に基づき、生活困窮者に対し必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とするものであります。

 こうした観点から、例えば保有資産については、課税最低限は保有状況を考慮せず適用されている一方、生活保護制度は、その目的に鑑み、資産、能力その他あらゆるものを最低限度の生活の維持のために活用することが受給の要件とされております。

 また、地域差についても、課税最低限は全国一律に定められている一方、生活保護制度は所在地域等に応じて必要な事情を考慮して基準が設定されております。

 このように、両者はその趣旨、目的、仕組みが大きく異なるものであるため、生活保護費と課税最低限の額を単純に比較することは適切ではないものと考えております。

 以上です。

辰巳委員 税金をどこから取っていくのか、どういう公平な税制が大事なのか、もちろんそれはあるんですね。だけれども、最低生活費と非課税基準に乖離があると、やはり制度そのもの全体にとって矛盾が出てくるというふうに思うんですよね。

 個人住民税についてもやはり議論をしたいと思うんですね。今回、個人住民税は非課税限度額も設定されています。所得税は二十万円引き上げるということなんですけれども、住民税は今回、給与所得控除の引上げということにとどまっております。これでは、年金所得者や個人事業主、これは基礎控除が上がりませんので、恩恵はありません。なぜ給与所得控除だけの引上げになったのか、お答えいただけますか、大臣。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 個人住民税におきましては、地域社会の会費的な性格や地方税財源への影響等を総合的に勘案し、今回、基礎控除額を据え置くこととしております。

 今般の対応につきましては、地方からも一定の評価をいただいたものと考えているところでございます。

 なお、給与所得控除については、十万円の引上げの効果が住民税にも適用になるものでございます。

辰巳委員 ですから、基礎控除が引き上がっていませんので、基礎控除が引き上がっていないと、個人事業主あるいは年金所得者は全く恩恵がないということなんですよね。

 いろいろ財政事情をという話をやはりされるんですけれども、政府全体の今年度の予算の中身を見ても、社会保障費や文教科学、中小企業対策費などのいわゆる暮らしの予算というのは物価の上昇に追いつかない、実質マイナスになっているわけですね。ところが、防衛関係費だけは前年比九・五%の伸び率で突出をしているわけなんですよね。財源ということでいうのならば、ここにメスを入れる必要があるというふうに私は思います。防衛関係費というと思考停止になってしまうのが、残念ながら今の政府の立場かなというふうに思います。

 住民税について、私は非常に、所得税よりももっと住民サービスの関連において着目すべきではないかなというふうに思っているんです。私は、この二十年で生活相談を八千件やってきました。住民サービスの関係において、実は非課税限度額は所得税よりも住民税の方が着目すべきものであるということを実感しております。なぜならば、住民サービス利用料などは住民税の額あるいは非課税か課税かで決められることが多いからであります。

 介護保険料、国民健康保険の医療費の自己負担限度額、今、国会でも議論されています、後期高齢者の医療の自己負担限度額、障害者の福祉サービス、高等教育の修学支援制度等々、各自治体で実施しているこういう市民サービスというのは、課税か非課税か、課税がどれぐらいされているのか、ここがむちゃくちゃ大きいわけですね。

 大阪で実際に起こったことを紹介したいと思います。我が党の豊中市会議員のところに来た相談なんですね。

 八十八歳の夫、八十四歳の妻、御夫婦で特別養護老人ホームに入所されております。年金は、夫が月十五万円、妻が三万円、合わせて十八万円の世帯の年金です。補足給付、高額介護サービス費の限度額などが適用されまして、介護サービスや食費、部屋代を含めた施設の入所費用は、夫が十二万円、妻が六万円、合わせて十八万円。つまり、このお二人の年金額と同額の特別養護老人ホームのサービス料。同額なんですね。

 ところが、今年度から夫が住民税の課税世帯になりました。つまり、世帯全員が非課税が条件の負担限度額の認定証の発行がありました。そうしますと、夫、妻共に請求が、一人ですよ、月二十万八千円来たんです。合わせて四十二万円来たんですね。施設に相談するも、市役所に相談するも、どうにもならない。何とか特例減額を受けることができて、夫婦それぞれの負担が十三万円、合わせて二十六万円。年金を合わせて月十八万円ですから、残りは離れて暮らす子供さんが負担をしなければならなくなったということなんですね。

 何でこんなことが起きたのか。年金の名目金額が上がったからなんですね。どれぐらい上がったか。夫は年間四万円、つまり月にして三千三百円の年金の引上げで非課税から課税になって、二人の利用料に甚大な影響が出たわけであります。これだけの急激な値上がりにも激変緩和というのはありません。このケースでも、年金が上がっても基礎控除も上がれば、もし上がっていれば非課税世帯のままということになる、利用料は上がらないということも考えられます。控除という名前は一緒ですけれども、基礎控除を上げるのか、それ以外で上げるのか、これで全然違うわけなんです。今回、年金所得者ですから恩恵がないわけです。

 大臣、こんな理不尽なことはないと思うんですけれども、今のケースを聞いてどう思いますか。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 年金所得者につきましては、受給者が経済的稼得力が通常減衰する局面にあるということで、高齢者である理由に基づきまして公的年金等控除が設けられております。この公的年金等控除の最低保障額は給与所得控除の最低保障額と比べて高い水準となっておりまして、具体的には、公的年金控除の最低保障額が百十万円、給与所得控除の最低保障額が六十五万円となっているところでございます。

 委員御指摘のとおり、個人住民税額を参照している各種制度は多々ございます。これらの給付や負担の決定水準の在り方につきましては、所管省庁において検討し、その結果を踏まえ必要な対応を行うとされたものと承知しております。

辰巳委員 ひどい答弁だと思うんですよね。年金控除は給与所得控除よりも高い、当たり前じゃないですか。何で高くそもそも設定されているのか。今回はそれを据え置いているわけですよね。ですから、あくまで基礎控除を引き上げて、全体の非課税の限度額、このラインというのを引き上げていくということを私は求めていきたいというふうに思います。

 質問を終わります。

竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十二分散会


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