衆議院

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第14号 令和7年5月8日(木曜日)

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令和七年五月八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 あかま二郎君 理事 塩崎 彰久君

   理事 島尻安伊子君 理事 おおつき紅葉君

   理事 岡島 一正君 理事 吉川  元君

   理事 黒田 征樹君 理事 向山 好一君

      石橋林太郎君    上田 英俊君

      大西 洋平君    加藤 竜祥君

      川崎ひでと君    小寺 裕雄君

      小森 卓郎君    坂本竜太郎君

      佐藤  勉君    田所 嘉徳君

      中野 英幸君    福原 淳嗣君

      古川 直季君    山口 俊一君

      若山 慎司君   おおたけりえ君

      岡本あき子君    奥野総一郎君

      酒井なつみ君    杉村 慎治君

      高松 智之君    武正 公一君

      西川 厚志君    福田 昭夫君

      松尾 明弘君    道下 大樹君

      山花 郁夫君    藤巻 健太君

      守島  正君    福田  玄君

      中川 康洋君    上村 英明君

      高井 崇志君    山川  仁君

      辰巳孝太郎君

    …………………………………

   総務大臣         村上誠一郎君

   総務副大臣        阿達 雅志君

   総務大臣政務官      川崎ひでと君

   総務大臣政務官      古川 直季君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         江口 有隣君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           玉田 康人君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       牛山 智弘君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            湯本 博信君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 森田  稔君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     坂本竜太郎君

  高市 早苗君     上田 英俊君

  奥野総一郎君     酒井なつみ君

  山川  仁君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     高市 早苗君

  坂本竜太郎君     石橋林太郎君

  酒井なつみ君     奥野総一郎君

  高井 崇志君     上村 英明君

同日

 辞任         補欠選任

  上村 英明君     山川  仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長江口有隣君、総務省大臣官房総括審議官玉田康人君、自治行政局長阿部知明君、国際戦略局長竹村晃一君、情報流通行政局郵政行政部長牛山智弘君、総合通信基盤局長湯本博信君、財務省大臣官房審議官森田稔君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福原淳嗣君。

福原委員 おはようございます。自由民主党の福原淳嗣です。

 まずもって、委員長を始め理事、そして全ての委員の皆様方に、発言の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。

 それでは、早速、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 私の今回の質問は、大きい項目で二つであります。一つは、地方創生二・〇を実現するのは私はDXだと思っていますが、DXを進めていく中核はNTTだと。そのNTTの経営の方向性について。そして、大きい項目の二つ目は、我が国の経済力を高めるGX二〇四〇ビジョンとNTTの事業戦略との整合性について聞きたいと思います。

 まず、我が国におきまして急速に少子高齢化が進んでいて労働人口も減っているので労働生産性を高めなければならない、これは周知の事実であります。そして、生産性を高める一つのツールとしてDXが注目をされている、これも周知の事実であります。大切なのは、どのように進めていくのか、いかにして進めていけばそれが我が国の経済力の維持向上に資するのかという国家戦略が非常に私は重要だなと思っております。

 実は、ちょっと調べてみました。NTT法ができた頃の企業の世界の時価総額のトップフィフティー、一九八九年なんですが、一位が何とNTTなんですね、千六百三十八億ドル。次が日本興業、住友、富士、第一勧業、銀行がずっと続いて、ようやく六位にIBM、また三菱銀行、そしてエクソン、東京電力、ロイヤル・ダッチ・シェルで、十一位にトヨタ自動車が来ています。これが、三十年後の二〇一九年、平成三十一年になりますと、一位がアップル、何と九千六百四十四億ドル。次がマイクロソフト、次がアマゾン・ドット・コム、次がアルファベット、これはグーグルです、ロイヤル・ダッチ・シェル、バークシャー・ハサウェイ、アリババ、テンセント、何と一から四位までがITサービスの会社となっています。

 失われた三十年という言い方をよくしますが、まさにこの分野で私たちはもしかしたら間違えたのかもしれない。そういうふうな過ちを二度としないためにもNTTのありようをどうやっていくのか、経営の方向性を私は確認したいと思います。

 ちなみに、一九八九年の段階でアメリカを代表する電気通信会社、AT&Tは十六位、二〇一九年のAT&Tは二十六位でありますが、この間にAT&Tは分割したものを合併しています。そして、競争力をつけて再び上昇というトレンドにあります。

 そうした中において私がまず第一に確認をしたいことは、地方創生二・〇を実現するためにはブロードバンドは絶対に必要だと思います。それを含めて今回はユニバーサルサービスの制度を見直しておりますが、内容と目的について、そして地方創生にかなうNTTの経営の自由度について、この二点について政府参考人にお伺いをしたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘がございましたとおり、地方創生二・〇におきましては、デジタルまた新技術を活用した地方経済の活性化、また、例えばの例で申し上げますと、オンライン診療などによる情報格差のない地方の創出等が掲げられておりまして、これらにブロードバンドは欠かせないものであるため、地方においてもブロードバンドを利用できる環境といったものを確保することは大変重要であると考えているところでございます。

 このため、本法案におきましては、電話に加えてブロードバンドについてもあまねく日本全国における提供を確保するため、NTTを含む複数の事業者が連携してサービスの提供を確保する最終保障提供責務という規定を新設することとし、誰もが取り残されずに利用できる環境を確保することとしているところでございます。

 また、今回の見直しにおきましては、今申し上げました最終保障提供責務を新設することで他事業者が提供している地域ではNTTが責務を負わなくなること、また、モバイル網を活用したサービスをユニバーサルサービスとして位置づけることとしており、これによりNTTは責務を負う地域においてもモバイル網を積極的に活用したより効率的な提供が可能となることから、NTTのユニバーサルサービスの提供に関する負担は軽減されると考えたところでございます。

 これらにより、NTTの負担を軽減しつつ、地方においてもブロードバンドが利用できる環境を確保することにより、地方創生二・〇の推進に資すると考えているところでございます。

 続きまして、経営の自由化に関する御質問がありましたので、お答えさせていただきます。

 今申し上げたとおり、まさに地方創生二・〇においては付加価値の創出による地方経済の活性化等が重要であると考えているところでございますが、NTTグループにおきましては、例えばの例でございますけれども、情報通信技術を活用した陸上養殖であるとか、農薬散布におけるドローン派遣、廃棄食品をリサイクルして堆肥化する地域資源循環などに取り組んでおりまして、情報通信審議会におきましても、地域産業の活性化また地方の創生に向けて、DX支援であったり地域の一次産業の活性化などを通じて地域の課題に対して包括的なソリューションを提供していきたいということをNTTの方は表明しているところでございます。

 これを踏まえ、本法案におきましては、より機動的な事業運営を可能とするため、NTT東西が経営資源を活用して本来業務以外の業務を行う場合の手続を事前届出から事後検証に見直すとともに、合併による機動的な事業拡大を可能とするため本来業務や公正競争に影響を及ぼさない範囲内で合併の認可を緩和するなど、NTTの経営の自由度を高めるための措置を講ずることとしているところでございます。

 これによりましてNTTが地方経済の活性化に向けた機動的な事業展開等を行うことが可能となり、結果として地方創生二・〇に資することを期待しているところでございます。

福原委員 湯本局長、ありがとうございました。

 湯本局長の答弁の中にもありましたが、実は私たちは、NTTというと電気通信、電話だけ、あるいは光だけと思われがちですが、首長時代に私はNTTさんから本当に多くのアドバイスを受けました。農業関係、あと地元ではアウトドア、NTTランドスケープというところが大館市をサポートする動きもしていまして、是非そういう意味でも地方創生の特に地方公共団体のよきパートナーであるという部分をしっかりと持っていただきたいというふうに思います。

 それでは、大きい項目の二点目、我が国の経済競争力を高めるGX二〇四〇ビジョンとの連携についてお伺いしたいと思います。

 先ほど申し上げました失われた三十年の中で、私たちはNTTに過分な規制をさせてしまったのではないのかなと思っています。端的に申し上げると、日本の場合は技術はあるのですがスピード感を持って商業化、ビジネスとさせることが十分にできていない、ある意味で不得手という言い方が言えると思います。まさに技術を社会に実装していく、あるいは技術をグローバルな基準として展開していくということを進めていかなければならない、そうした中においてこうした取組を効率的に最大化していくためには、規制と支援を一体化して進めていく必要があるのではないのかというふうに私は思っています、国際競争力を持った展開をこれからしていく上で。そうした意味でも、NTTが開発しておりますイノベーティブ・オプティカル・アンド・ワイヤレス・ネットワーク、通称IOWN、これは非常に重要だというふうに私は考えています。

 失われた三十年間で日本の経済競争力は衰えていると言われている一方、実はレイヤーマスターという言葉があるんですが、ある部品、あるいはパーツが集まった中間財あるいはモジュール、そして製品という分野においては、日本が圧倒的にシェアを持っている部分がたくさんあります。むしろこういう部分をこれから世界規格にしていく、特にこれが電気通信の場合は求められていて、その一つの切り札として私はIOWNを捉えてもいいのではないだろうかと考えています。

 IOWNは、オール光ネットワーク、APNでつなぐとすれば、その上の計算資源としてのデータセンター、その下の例えば湯本局長がおっしゃっていたドローンでスマート農業をしたり自動運転をしたりという、三層の中でのいろいろな支援の仕方があるだろうと私は考えています。そうした意味におきまして、一つはIOWNへの支援、二つ目が、データセンターの地方分散、海底ケーブル網の構築に向けて総務省としてどのように捉えているのか、あるいはNTTへの支援策があるならば是非教えていただきたいと思います。

竹村政府参考人 お答えいたします。

 まず、IOWNへの支援についてお答えをいたします。

 IOWN構想が目指すオール光ネットワーク技術は、次世代情報通信基盤、ビヨンド5Gの中核となる技術であり、我が国が強みを持つ分野です。

 総務省では、その早期実現と国際競争力の強化を目指し、ビヨンド5G基金事業を活用した研究開発を積極的に進めており、関連する研究開発プロジェクトについて、これまで約五百七十億円の支援をしております。

 現在、主要な通信事業者の基幹的な通信網において二地点間を結ぶ通信が実装されておりますが、昨年度からは、複数の事業者が運用するオール光ネットワークを相互に接続し、多地点間での通信を可能とするための技術の研究開発に取り組んでおります。

 また、研究開発と並行しまして、オール光ネットワークが面的に実装されることを目指して、ユーザーを含む多様な主体の参加を募り、実サービスの提供に当たっての課題の確認、検証ができるテストベッドの段階的な整備にも取り組んでおり、今年度から運用を開始し、順次拡張をしてまいります。

 これらを通じ、オール光ネットワークが各地域のより広範な分野で活用されるよう、研究開発及び社会実装の支援に取り組んでまいります。

湯本政府参考人 続きまして、データセンターの地方分散、海底ケーブル網の構築に向けた支援について御説明させていただきます。

 社会のあらゆる活動をつなぐ神経系として重要な役割を果たすデジタルインフラの中でも、データセンター、海底ケーブルにつきましては、その需要が近年急速に拡大しておりまして、その整備の推進は我が国において非常に重要であると認識しているところでございます。

 他方で、データセンターや海底ケーブルの陸揚げ局につきましては、主に経済合理性また地理的条件等の観点から特定の地域に集中する現状にございます。

 このため、総務省におきましては、AIの開発や利活用の促進、国土強靱化や地方創生、脱炭素社会の実現、国民の利便性向上を図るため、特定地域に集中するデジタルインフラの地方分散を進める施策を推進し、必要な支援を実施してきたところでございます。

 具体的には、これまで地方におけるデータセンターの整備や海底ケーブルの多ルート化の支援に取り組んできたところでございまして、さらに、デジタルインフラ整備基金等を活用し、追加の支援に向けた準備を進めているというところでございます。

 今後とも、データセンター、海底ケーブル等のデジタルインフラ整備の取組の支援に取り組んでまいります。

福原委員 竹村局長、そして湯本局長、ありがとうございました。

 私がIOWNを非常に評価しておりますのが、今局長のお言葉の中にありましたAIであります。生産効率性を高めるためにAIは絶対に必要なんですが、圧倒的に電力を消費いたします。そうすると、電力をどうするのかという議論が必要になってくると思います。電力と通信の連携、いわゆるワット・ビット連携であります。この点に鑑みると、まさに昨年改訂版を発表しましたGX二〇四〇ビジョン、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略との整合性をきちっと図っていく必要があるだろうというふうに考えています。

 ドイツの事例を申し上げます。ドイツは安価な電気を供給できないということで、鉄鋼業がどんどんどんどん国外に進出してしまったということがあります。そして、GAFAMです。トランプ大統領は初日にパリ協定から出ます、脱退しますといって署名をしたのはいいんですが、その足下でGAFAMは、私たちが造るデータセンターは全て脱炭素エネルギーで造りますと。

 こういったことを考えていくと、ワット・ビット連携のGX二〇四〇ビジョンとの整合性をどうするか、それを含む地域への展開、地域を巻き込んだインフラの整備、これにはやはりNTTグループがフル稼働する必要があるというふうに考えています。是非その点につきまして、あと四十五秒になりましたので、お答えをいただければというふうに思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘がございましたとおり、新たなデータセンターの整備によって、将来的に電力需要の一層の増加が見込まれる中で、脱炭素社会の実現とDXによる成長の両立を図っていくことが大変重要になります。

 このため、政府としても、委員から御指摘がございましたとおり、本年二月に閣議決定したGX二〇四〇ビジョンを踏まえつつ、電力と通信の効果的な連携、いわゆるワット・ビット連携を進めることがますます重要になってございます。

 総務省におきましては、経産省と連携をして、ワット・ビット連携を進めるため、産業界と政府の関係者が一堂に会したワット・ビット連携官民懇談会といったものを本年三月より開催し、関係者の方々の考え方の共有、課題の整理、効果的な方策の検討を進めているところでございまして、今後もこういったワット・ビット連携を進めることによってAIの活用を通じたDXを加速させるとともに、成長と脱炭素社会実現の両立を図ってまいりたいと考えているところでございます。

福原委員 湯本局長、ありがとうございました。

 質問を終わります。

竹内委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党の岡本あき子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 今、福原議員からるるございましたNTTフル稼働という御意見、非常に賛同したいと思いますし、日本のこれからの国力を高めるためにも、本法案の改正ということには期待をさせていただきたいと思っております。

 今朝も日経の一面に、NTTデータを子会社化するという報道がございました。日本を代表するデジタル産業としてしっかり力を発揮していただきたいということと、一方で、国民の皆さんがサービスを享受する、この保障もしっかり使命として担っていただきたいという思いで質問させていただきます。

 最初に、ヒアリングのときに伺ったんですが、素朴な疑問にも答えていただければと思います。

 本株主総会で日本電信電話株式会社という社名が変わるのではないかという話題で持ち切りでございます。そうしますと、今審議をしております日本電信電話株式会社等に関する法律、法律の名前も変わることになるのではないかと思います。この点について、まず法律の名前というのはどうなるのかという点。

 それから、ユニバーサルサービスの在り方。連絡や情報を得る手段というのはネット、モバイルが当たり前の時代になって必需品になっている中、今回改正されますが、メタル回線の固定電話であまねく提供という時代は終えて、むしろブロードバンドのユニバーサルサービス。それから、電話ではありますけれども、いろいろな手段を使っての最終提供はNTT東西になるという流れになっていると思います。この提供の流れの中で、一方でモバイルとか必ずしも固定に限らないということもブロードバンドの中では必要なのではないかと思いますが、この考え方について今後の方向性を伺いたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一点目にお話のございました、今回、NTTが仮に社名を変更した場合に法律の名称が変わるかということでございますが、この点については特に変更することなく可能でございます。したがいまして、NTTが仮に社名を変更したとしても法律の名称はこのままということでございます。これが一点目でございます。

 それから、次にお話がありましたユニバーサルサービスについてでございます。

 今回、法案におきましては、ユニバーサルサービスということといたしまして、最終保障提供責務ということを新たに設けているところでございます。今までは電話につきましてはNTTのみがあまねく責務というのを負っていた仕組みを変えまして、複数の事業者が連携して提供責務を負うということでございます。その際、従来はこういったあまねく責務というのが電話のみに課せられているものをブロードバンドにも拡大する、したがいましてブロードバンド、電話共に最終保障提供責務ということを新設することで、ユニバーサルサービスの交付金を受ける者についてはその方が、そういう方が誰もいない場合につきましてはNTT東西がその責務を負うというような仕組みにしているところでございます。

 続きまして、モバイルサービスについてお話がございましたのでお答えさせていただきます。

 移動して利用する携帯電話というのは、現在の普及状況また利用実態等を踏まえれば、委員からもモバイルという話が今ございましたが、ユニバーサルサービスに位置づけるといったようなことも考えられるというふうに思います。

 移動して利用する携帯電話をユニバーサルサービスの一つに位置づけるということは、情報通信審議会においても御議論をいただきました。その際の議論といたしましては、現時点では事業者間の競争的、協調的な整備、維持が進みエリアの縮小の動き等は見られないこと、事業者の現在の経営状況に鑑みると交付金の対象とし国民負担を生じさせてまで事業者に対して保障する必要性が認められないこと、また、技術の特性上、屋内の一部やビル陰などどうしても技術上カバー困難な地域が残存することなどといった理由によりまして、情報通信審議会の本年二月の最終答申におきましては現時点ではユニバーサルサービスの対象とすることは適当でないと提言されたところでございます。

 これを踏まえまして、今回は移動して利用する携帯電話につきましてはユニバーサルサービスに位置づけるということはしておりませんが、ユニバーサルサービスそのものにつきましては市場環境の変化に応じて適時適切に見直すことが必要であると考えられるため、今後の技術の進展また利用実態等を踏まえて引き続き検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

岡本(あ)委員 ユニバーサルサービスの検討は続くということで伺いました。

 今法律の改正で、実は電報事業が電気通信事業法の規律の廃止となります。なので、必ずしももう電報はやらなくてもいいということも可能性としては残るのかなと思います。もう一つ衝撃的だったのが、デンマークで郵便サービスそのものがユニバーサルサービスから対象外となったことをもって、郵便が今年末でデンマークでは廃止になるというニュースが流れておりました。デジタル化が進む流れとはいえ、サービスがなくなると、受益者の負担が増えたりサービスを断られるということも起こり得ると思います。

 ユニバーサルサービスの検討、情報通信については続くと思いますけれども、取り残される方がいないということ、受益者負担が過度に大きくなるということがない前提でのユニバーサルサービスの検討を続けていただきたいと思います。大臣、この点もお答えください。

村上国務大臣 お答えいたします。

 岡本委員お尋ねの固定電話につきましては、離島や過疎地域を始めとして、携帯電話を持っていない方々のライフラインとして重要なサービスであります。このため、引き続きユニバーサルサービスとして保障することが必要であるというふうに考えております。

 一方で、固定電話の利用者は減少しまして、NTT東西の固定電話サービスの収支が悪化している状況にはあります。

 その点に関しまして、固定電話をユニバーサルサービスとして引き続き安定的、効率的に維持する観点から、今回の法案では、NTTのみに課されているあまねく提供責務を、NTT以外の事業者も含めた複数事業者が連携してサービス提供を確保する最終保障提供責務に見直すこととしております。

 また、固定電話の利用料金につきましては、地方の利用者負担が過度に大きくならないようにする観点から、地方の料金だけを高くすることなどを制限することとしております。

 総務省としましては、引き続き、誰もが取り残されずに固定電話のユニバーサルサービスを適切な料金で利用できる環境の確保に取り組んでまいりたい、そのように考えております。

岡本(あ)委員 固定電話にこだわらずという方向性はあり得るのかなと思いつつも、ただ、やはり固定電話でなければならない方がいらっしゃるということで、先ほど大臣から離島とかそういう御答弁をいただいたと思います。誰も置き去りにしないということを念頭に置いた取組を是非進めていただければと思います。

 次に移りたいと思います。

 今回、外資規制、政府保有株の規制は変わりませんでした。ここはちょっと言いっ放しにしますが、通信インフラというのは経済安全保障上の重要設備であり、外資規制は今後も必要だと私は思っております。資料を提供させていただきましたけれども、ここの中でも経済安全保障の確保の在り方というテーマが残っておりますので、是非これは維持していただければと思います。そして、NTT株の政府保有により経営の安定と通信環境の安定も担保されていると思っております。配当金も大変期待できるところではないかと思っています。配当金の推移はどうなっているのか、そしてNTT株の配当金はどう使われてきたのか、伺いたいと思います。

森田政府参考人 民営化に伴いまして、昭和六十年度にNTTの発行済株式総数のうち三分の一の政府保有株式が財政投融資特別会計投資勘定の帰属となってございます。

 その部分の配当収入の推移を申し上げますと、民営化直後の昭和六十一年度が三百九十億円、民営化から三十年目になりますが、平成二十六年度がおよそ倍の七百二十九億円、直近、令和五年度の数字が千四百三十億円、更に倍という形になって推移をしてございます。

 それから、後半の御質問でございますNTT株式の配当金がどのように使われてきたかということでございますが、委員配付の資料の二にあると思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、三分の一の政府保有株式が投資勘定の帰属となってございます。

 投資勘定の行う業務は、この資料にもございますとおり、政策的必要性が高くリターンが期待できるものの、リスクが高く民間だけでは十分に資金が供給されない事業へのリスクマネー供給に活用されてきているところでございます。

 対象となる分野につきまして、特に特定の産業などに限定しているものではございませんで、一部は情報通信分野におきましても総務省所管の産業投資機関などを通じまして、例えば光海底ケーブル、あるいはデータセンターの整備、運営といったプロジェクト支援にも活用されてきているところでございます。

岡本(あ)委員 資料二を見ていただければと思います。NTT株の配当金収入は一千四百億ということで、非常に貴重な財源になっていると思います。本来であれば、投資勘定ということで出資や貸付けを行って産業化、あるいは事業として収益があったら回収するという見込みだと思います。

 今通常国会では、特別会計の法律改正によって、要は回収を期待する投資ではなくてエネルギー特会に渡して、もしかしたら半導体業界にも使うかもしれない、でも回収をしないという形で使われると伺っております。この法律改正については私たち立憲民主党は反対をさせていただきました。今御説明があったとおり、情報通信、デジタル、こういう分野で期待される産業にしっかり投資して、産業を伸ばしてそこを回収するという本来の投資勘定の目的のためにこそ使っていただきたいですし、NTT株を使うということの趣旨にも合致するのではないかと思っております。この後、高松議員も質問されると思いますので、法律改正の中身については指摘だけにさせていただきますけれども、こういうお金を原資としてビヨンド5Gとか次世代情報通信基盤に使われるということが本来あるべきだと思っています。

 先ほどの福原議員の質問でも、政府としてこういう分野をどういうふうに支援するのかとありました。重複する部分もありますけれども、私は、例えば衛星利用によるモバイルサービスの拡大ですとかあるいは海底ケーブル、データセンター、IOWNはもちろんですけれども、様々政府として支援すべき内容があると思います。この点について、政府としての支援の考え方、副大臣、よろしくお願いしたいと思います。

阿達副大臣 お答えいたします。

 DXやGXによる社会全体のデジタル化が進展する中で、情報通信分野は、国際競争力強化等の観点から我が国の経済成長を牽引する分野であり、情報通信インフラの整備や研究開発に対する支援は極めて重要であると認識しております。

 このため、総務省としては、地方における光ファイバーや5Gの整備、データセンターの地域分散、非地上系ネットワークに関する技術開発等に対する支援を行っているところです。

 先ほど財務省から説明があったとおり、データセンターや海底ケーブルの整備、運営など情報通信分野のプロジェクト支援に産業投資を通じてNTT株式の配当金が活用されている実績もあるところです。

 総務省としては、引き続き次世代のインフラや情報通信技術について社会実装や海外展開を見据えた戦略的な支援に取り組んでいく方針であり、そのために必要な予算の確保に努めてまいります。

岡本(あ)委員 本来であれば、特別会計の投資勘定でNTT株の配当がかなり収入のウェートを占めているということを考えれば、日本として伸ばすべき産業分野に投資してちゃんと結果として回収できるという期待を込めた使い方をしてほしいと思っております。今回の特別会計の法律改正は、お金は出してエネルギー特会に渡すけれども回収しないという、本来の目的を逸脱した形で投資勘定、特別会計を改正しているという点については強く抗議したいと思っております。

 さて、次のテーマに移りたいと思います。

 四月から情報プラットフォーム法が施行されております。SNS等による誹謗中傷に対しては速やかに対処するという状況が始まったと思っております。

 一方で、この間、総務委員会の中でありました、誹謗中傷によって追い込まれる方がいらっしゃる、異常なぐらいまで誹謗中傷が重なっている、もう一つ、子供たちがネットを見ているとちょっと不適切な性的描写の広告が子供が見るようなサイトでも表れてくる、こういう問題が様々言われております。

 実際に今始まったばかりとはいえ、現状、どういう状況なのか、相談がどのくらい来て、対処ができているのか、この点をお答えいただきたいことと、更なる強化が必要だと思います。この点、大臣にお答えいただきたいと思います。

村上国務大臣 本年四月一日に施行されました情報流通プラットフォーム対処法は、インターネット上の違法、有害情報に対応するため、大規模なプラットフォーム事業者に対し削除対応の迅速化及び運用状況の透明化を求めることを内容としております。

 同法の規律対象である大規模なプラットフォーム事業者について、総務省では先月三十日にSNSを運営する主要な五つの事業者を指定したところであり、同法の適切な運用にしっかり取り組んでいきたいと考えております。

 特に、岡本委員の御指摘どおり、SNS上の誹謗中傷といった違法、有害情報は、短時間で広範に流通、拡散し、現実の国民生活や社会経済活動に重大な影響を及ぼし得る深刻な課題であると認識しております。

 総務省としましては、情報流通プラットフォーム対処法の削除対応の迅速化等の規律の効果を検証するとともに、更なる対策について不断に努力していきたい、そういうふうに考えております。

岡本(あ)委員 今始まったばかりではありますけれども、非常に期待が大きいものですし、やはり実効が上がらないとこの法律を作った意味がございませんので、是非これは総務省を挙げて、あるいは各省庁に協力いただきながら徹底して解決に結びつけていただきたいと思います。

 先ほども触れましたけれども、誹謗中傷ではないにしろ、子供たちが見るサイトに性的広告が出てくる、こういう問題についても、ネットを健全に活用していただくという意味で是非この点についてもあるべき対応というのは検討していただきたいですし、必要があれば私たちも法律という面でサポートをしていきたいと思っております。加えて、ファクトチェックというところ、この点も是非御協力をお願いしたいと思います。

 もう一つ、喫緊の課題と私は受け止めたので触れさせていただきたいと思います。資料三を御覧いただきたいと思います。

 三月からマイナンバーカードに免許証が記載できるというサービスが始まりました。直近で十一万人の方が登録をされているという報道がございます。私は利便性を向上するということについては賛同いたしますが、一方で、報道にありますとおり、資料三にありますとおり、マイナンバーカードを更新するときに免許証を登録したデータが消えてしまうという、ちょっと、普通、システムを組む上では考えられないようなことが起こるということで、注意喚起という話になっております。マイナンバーカードを発行しておりますので総務省に伺いますが、市役所、区役所窓口等にこれに対する問合せ、苦情等はないのでしょうか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 マイナ免許証、今もお話がございましたけれども、三月二十四日から運転免許センターでの一体化が開始されております。本年秋頃からは、マイナ免許証の保有者がカードの更新時に新しいカードと運転免許証が再一体化されるようなシステム改修が図られるものと承知してございます。

 本年秋のシステム改修までにカードの有効期限を迎える方が一体化を希望する場合は、免許センターにおきましてカードの更新後に一体化を行うよう推奨するほか、それでも一体化を希望する場合は従来の運転免許証との二枚持ちを推奨する等の取組がなされており、また、警察庁においてホームページや免許センター等を通じて周知、注意喚起がなされていると承知してございます。

 総務省としましては、こうした点も含めて市区町村への情報提供を行ってきたところでございまして、現時点で御指摘のような苦情等について直接報告は受けておりませんけれども、今後も状況を注視しつつ必要な周知等に努めてまいります。

岡本(あ)委員 マイナ免許証を登録するにも手数料、お金がかかるんですね。普通、デジタルでデータを登録するのに、お金をかけて登録したのに行政側の理由で登録が消えるということ、これは本来、システム、デジタルのサービスを提供する上では論外だと私は思うんです。お金をいただいてサービスを提供しているのに、勝手にデータが消えるんです。こんなことは普通あり得ないと思うんですが。免許証データが、マイナンバーカードを更新するときですよ、免許証の更新とかじゃなくてマイナンバーカードを更新するときに消えるシステムだということは総務省はいつ知ったんでしょうか、お答えください。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 お話に上がっておりますようなマイナンバーカードと運転免許証の一体化の運用につきまして二段階としているということにつきましては、警察庁が令和五年度補正予算要求に際しシステム改修の詳細を検討する中で明らかとなり、総務省としても把握したところでございます。警察庁として本年秋までにカードの有効期限を迎えない方の利便性の向上が期待されるということからこのような運用で開始されたものと承知してございまして、私どもとしましても引き続き連携して更新環境の構築に努めてまいりたいと考えてございます。

岡本(あ)委員 令和五年度の予算要求をした時点で総務省としても把握していた。

 今年、マイナンバーカードの更新が大変多い年なんですね。これは再三、総務委員会でもずっと指摘をしておりました、更新は混乱がないようにということはずっと言っていたんですけれども、何でまた更新の対象者が多いこの年に半年間も利用者さんに不利益を生ずるこんなサービスを提供するということについて、総務省は違和感はなかったんですか。せめてシステムが直ってから提供するべきだというのが、普通はデジタルサービスを提供する発想。

 早く出したいというのは分かりますよ。ただ、お客様からお金を取って提供しているのに、そのサービスが途中で消えてしまう、だから二枚持ちを推奨される。二枚持ちというのは、手数料が二倍とは言わないですけれども、二種類分のお金を払ってくださいというのを運転免許センターあるいは警察がおっしゃるんです。

 私は、総務省としては、マイナンバーカードの信頼性ということを考えると、本来であれば、ちゃんとシステムが整って、こんなエラーが起きないようにということをやるべきだと思っています。総務省は助言をされなかったのか、この点、お答えいただきたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの繰り返しになる部分もございますけれども、令和五年度の時点で私どもも把握いたしました。

 警察庁としては本年秋までにカードの有効期限を迎えない方については先行的に利便性は向上するということがあり、これについて今やりたいというお話があったものですから、私どもとしましては、先ほど周知についてお話がございましたけれども、秋までであれば待ってほしいという周知であったり、場合によっては二枚持ちということも選択できます、どうしても欲しいという方であれば二枚持ちというのも選択できますという周知について警察庁はしていただいていますけれども、私どもとしましては警察庁に働きかけをしまして、こういう周知がないと混乱するということでやってきたところでございますので、私どもとしましてはこういう形で、実現するためにはこういう周知が要るということで、助言といいますか、警察庁と調整していたというところでございます。

岡本(あ)委員 私は、総務省の発想としては本来あり得ないと思います。大臣も心に留めておいていただきたいと思います。

 何度も申し上げますけれども、運転免許センターに行って初めて知る方が多いんですね、周知に努力しているとおっしゃっていますけれども。ダブル持ちは手数料が、二倍とは言わないですが、一・五倍ぐらいかかるんです。万が一消えたときにもう一度警察や運転免許センターに行って、千五百円なりの手数料を自分で払って再度登録してください、全部自己責任、自己負担、これがデジタルなのかと私は疑いたくなります。

 マイナンバーカードの信頼性を高める上でも本来、マイナンバーカードの更新をするときにデータが消えるなんて、まるでマイナンバーカードの方に問題があるような在り方ということについてはやはり総務省としては毅然としていただきたいということを指摘させていただきますし、周知に努力していると言っていますが、少なくとも私を含め、私の周りの方でこうなっているというのを知っている方はほぼほぼいませんでしたので、混乱がないようにすることをしっかり求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 まず、大臣に。そもそも、二年前でしたか、NTT法を廃止して株を売却してそれを防衛費に充てるというような議論があって、そこからスタートしているという。もちろん適時の見直しはあるんですが、そこがスタート地点だったような気がします。そこは今回はなくなって、安全保障上の観点から株はしっかり持つということになっているんですが。そういう意味で、今回のNTT法改正では東西の業務範囲の見直し等を行うことになっていますが、今回の法改正の背景や目的は何でしょうか。

村上国務大臣 奥野委員にお答えします。

 NTTの在り方を含む通信政策の在り方につきましては、情報通信審議会におきまして、ユニバーサルサービス、公正競争、経済安全保障の確保等を図るとともに、NTTの経営の自由度を確保する観点から検討が行われました。そして、本年の二月に最終答申が取りまとめられました。

 本法案は、これを踏まえて時代に即した見直しを行うものであります。

 NTTは、電電公社から承継しました全国津々浦々の通信インフラにより、我が国の通信全体を支える公共的役割を果たしております。しかしながら、近年、固定電話の赤字傾向が続くなど、その経営環境は非常に厳しくなっております。

 こうした中で、公正競争や経済安全保障等を確保しつつ、我が国の通信全体を支えるNTTの公共的役割を安定的に確保することが重要であると考えております。このため、本法案は、NTTの業務範囲の見直しや、NTTが他の事業者と合併する場合の認可の緩和を行うなど、NTTの経営の自由度を高めることを内容としているものであります。

 以上であります。

奥野委員 なかなか難しいところがありまして、メタルとかいわゆる固定のユニバというようなところはなかなか収益が上がりづらくなってきている、一方で海外に攻めていくとかそういうところもある、余り経営を自由にし過ぎると公正競争上問題が出てくるとか、いろいろなバランスを取りながらの苦心の法案だと思うんですが。ユニバーサルサービスというのはこれまでは特にNTTに課された重要な責務だったんですが、ユニバーサルサービス制度について、これまでNTTに課されてきた電話のあまねく日本全国における提供の責務を廃止することとされている、責務の廃止になっていますが、どのように見直していくんでしょうか。これまではNTTの責務ということですから、これは重要な役目だったと思うんですが、いかがでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 情報通信分野におきましては、技術の進展により、ブロードバンドまたモバイルサービスの普及が進む一方で、従来サービスの中心であった固定電話の利用は大きく減少し、NTT東西の固定電話の収支の悪化が見込まれるなど、市場環境が大きく変化しているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、今回の見直しにおきましては、無線の積極的な活用を図るとともに、電話についてはNTTのみに課せられている電話のあまねく提供責務を複数事業者が連携して全国におけるサービス提供を確保する最終保障提供責務に見直し、また、ブロードバンドについては電話のような責務はそもそも存在しない状況を踏まえ最終保障提供責務を新設するということとしておるところでございます。

 これらによって、誰もが取り残されずに電話やブロードバンドのユニバーサルサービスを利用できる環境の効率的な確保を図ってまいりたいと考えているところでございます。

奥野委員 NTTだけではなくて他の事業者にもユニバーサルサービスを担ってもらう、ブロードバンドも含めてということですが、NTT東西以外に、いわゆる最終保障提供責務、今まではNTT一社が担ってきたもの、あるいはこれからはブロードバンドが加わるんですが、どのような事業者が想定されるのでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 最終保障提供責務の担い手につきましては、電話、ブロードバンド共に、自ら申請して交付金を受ける事業者がいる地域ではその事業者、交付金を受ける事業者がいない地域におきましてはNTT東西としているところでございます。

 お尋ねのNTT東西以外の最終保障提供責務の担い手につきましては、例えばでございますが、地域のケーブルテレビ事業者等が想定されるところでございます。

 総務省といたしましては、こうした地域に密着した事業者等にもその一翼を担っていただき、誰もが取り残されずにユニバーサルサービスを利用できる環境を確保してまいります。

奥野委員 それって多分、あったとしても全体として割合は非常に低いと思われるんですよね。であれば、これまでどおりNTTの責務として残しておいてもいいようには思うんですが。何のためかというと、さっき言った経営の自由度というか、負担の軽減が背景にあると思われます。これを入れることによって、NTTの電話サービスの提供に関する、あるいはブロードバンドでもいいんですけれども、両方ですね、負担の軽減をどのように見込んでいるんでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答え申し上げましたとおり、今回の見直しにおきましては、NTTのみで全国のサービス提供を確保するあまねく提供責務を複数の事業者が連携して全国のサービス提供を確保する最終保障提供責務に見直すとともに、モバイル網を活用した固定利用の電話につきましてもユニバーサルサービスとして位置づけることとしております。

 今回の見直しによるNTTの電話の提供に関する負担の軽減の効果は、他事業者のサービス展開や代替サービスへの移行状況等に大きく左右されるため、総務省におきまして現時点で具体的な見込みを示すことは難しいと考えているところでございます。

 しかしながら、NTT自身は、先ほど申し上げたとおり、あまねく提供責務を最終保障提供責務に見直すことで他事業者が提供している地域では責務を負わなくなるとともに、モバイル網を活用した固定利用の電話につきましてユニバーサルサービスとして位置づけることで、責任を負う地域においても無線を積極的に活用したより効率的な提供が可能となります。

 これらにより、NTTの電話の提供に関する負担が軽減されることになるものと考えているところでございます。

奥野委員 最終保障提供責務を入れることで他事業者が担う部分というのが出てくるということですが、今の話だと、その部分というのはそれほど、負担の軽減、数字は分からないということのようですが、そんなに大きくないような話だと思うんですね。そうすると、あえてこの責務規定を削除する必要が本当にあるのかというふうに思います。特に電話のところは思います。

 そもそも、NTTによる電話のユニバは大きな柱の一つだったわけですよ、これまではずっと。電電公社の頃からだったわけですが。これを廃止するのであれば、NTT法は一体どういう規律が中心になっていくか、何のための法律かというところを改めて問われると思うんですが、ほかにどのようなNTT法を維持するための規律というのがあるんでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 現行のNTT法は、NTT持ち株会社と電電公社から承継した全国津々浦々の通信インフラを保有するNTT東西について、その業務範囲、責務等を規定しております。

 今委員から御指摘がございましたとおり、本法案におきまして電話のあまねく日本全国における提供の責務は廃止し、電気通信事業法におきましてNTT以外の事業者も含めた複数の事業者が連携してサービス提供を確保する最終保障提供責務に見直すこととしているところでございます。

 しかしながら、NTT法におきましては、今もおっしゃいましたあまねく提供責務以外にも、公正競争の確保等を図る観点からNTTの業務範囲に関する規律、また、NTTの経営の安定や経済安全保障の確保を図る観点から政府による株式の保有義務や外資規制の規律などが定められているところでございまして、これらの規律は引き続き必要であるためNTT法を維持するということにしているということでございます。

奥野委員 議論の出発点では、そもそも株式は政府保有をやめて全部売り払ってもいいというような議論の出発点だったような気がしますが、そこは議論の結果、経済安全保障上の観点から必要だということになったということはよく分かります。

 通告していなかったんですが、ユニバを最終保障提供責務として他の事業者に担わせるとした場合に、その事業者に対しても外資規制とかそういうのをかけなくていいんですか。ごめんなさい、通告していないんですが、NTTだけに外資規制がかかっているというのはどういうことでしたか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 NTTに対する外資規制につきましては、NTTが通信インフラというのを非常に日本の中で広範に持っておりまして、日本の通信インフラの安定的な提供また経済安全保障の確保を図る観点から外資規制を設けているところでございまして、今委員から御質問がございました最終保障提供責務のNTT東西以外の事業者につきましては、そこまでの必要性はないということで外資規制は設けていないということでございます。

奥野委員 逆に言うとそれほど影響がないということなんでしょうから、わざわざ責務規定を削除する必要があったのかなという気はいたします。もちろん立て方としていろいろなやり方があると思いますし、海外の制度を見ても、外資規制を一切設けていない国もあれば、あらゆる基幹事業者に設けている国もありますから、いろいろな立て方がある中での判断だとは思いますけれども、外資規制自体は私は必要だと思っていますので、このぐらいにしておきたいと思います。

 その上で、インフラの話が今出てきましたけれども、NTTの重要な電気通信設備は従来から総務大臣の認可対象とされていましたが、今回、電柱、管路等の線路敷設基盤も新たに認可対象とするのはなぜか。何か事情の変更が起きたのかということなんですが、これまではなかったわけですから。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 NTT東西が全国津々浦々に保有する電柱、管路等のいわゆる線路敷設基盤につきましては、他事業者による同様の規模の構築が事実上不可能である中で、我が国の通信インフラ全体を支え、通信サービスの安定的な提供を確保する上で重要な役割を果たしているところでございます。

 特に、近年のAIの普及またデジタル化の進展等により、これらを支える全国の光ファイバー網やデータセンター、さらには国際海底ケーブルの重要性が一層高まる中で、我が国の通信インフラ全体を支えるNTT東西の線路敷設基盤の重要性も高まっているところでございます。

 このため、NTT東西の線路敷設基盤の適切な維持を図り、今後も我が国の通信インフラ全体を支える公共的な役割を安定的に確保するため、今法案におきましては、その譲渡に対して認可制を導入することとしているところでございます。

奥野委員 外国の事業者あるいは外国政府の介入を許さないという意味での規制だというふうに理解しますが、これは規制を強化していく部分ですね。先ほどは経営の自由度と言っていました。やはりどうしても東西についてはそういう部分が出てくるということだと思いますが。

 それでは、規制緩和という意味では合併ですね。これまでNTT東西と他の事業者との合併は全て認可が必要とされていましたが、今回緩和する理由。そして、どのような範囲まで緩和するのか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 NTTは、地域産業の活性化や地方創生に向けて、DX支援や地域の一次産業の活性化等を通じて地域の課題に対して包括的なソリューションを提供していきたいと表明しているところでございます。

 このような中、本法案におきましては、より機動的な事業運営を可能とするためNTT東西が経営資源を活用して本来業務以外の業務を行う場合の手続を事前届出から事後検証に見直すとともに、合併による機動的な事業拡大を可能とするため本来業務や公正競争に影響を及ぼさない範囲内で合併の認可を緩和することとしております。

 具体的には、電気通信事業を営まない小規模な事業者との合併等であれば本来業務への支障は小さく公正競争に影響しないと考えられることから、そのような合併を認可不要とすることとしております。

奥野委員 これで少しでも東西の収益に寄与していこうということだと思うんですが、具体的に通信関係以外ではどのような企業との合併が想定されているんでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、NTTは、地域産業の活性化や地方創生に向けて、地域の課題に対して包括的なソリューションを提供していきたいと表明しております。

 仮に合併等の認可が緩和された場合にどのような会社と合併をするかはNTT東西の経営判断によりますが、NTTグループは、例えばの例で申し上げますと、情報通信技術を活用した陸上養殖、農薬散布におけるドローン派遣、廃棄食品をリサイクルして堆肥化する地域資源循環などに取り組んでおりまして、例えばでございますが、これらの事業に関連する企業との合併等が考えられるところであり、総務省といたしましても地域産業の活性化、地方創生に向けた取組が進展するところを期待しているところでございます。

奥野委員 規制緩和自体は私はいいと思うんですが、無理やり地方創生に関連づけているような気がするんですね。もちろん政府の方針だからいいのかもしれませんが、逆にそれによってNTT東西の経営の足を引っ張るんじゃないかというような。今ちょっと伺った話で養殖とかいろいろなもの、元々採算がなかなか取れないからこそ合併するんでしょうから、そういったところに手を差し伸べるということ自体が本当にいいのかというふうにちょっと感じました。

 もちろん規制緩和自体はいいと思うんですが、政府の意向として地方創生とそれを関連づけていく、地方創生のソリューションとしていろいろなものを提供するという業務自体は全然いいと思うんですけれども、経営責任まで合併によって引き受けてしまうというのは、ぴんとこないというか、やり過ぎじゃないかという気はしますよね。だからこそ特殊会社だと言うのかもしれないけれども、言っていることと、ユニバーサルサービスというか最終保障提供責務を維持するために経営をよくしていく、経営の自由度を付与していくということと若干今の答弁は矛盾するように私は思いました。

 ここまでの流れとして、東西がなかなか、利益も落ちてきている、もちろん固定電話はそれなりにまだ必要性があるとはいえ、IPに切り替わっている形でやっていますが、だんだんモバイルに置き換わっていったりしてなかなか厳しい、メタルの巻き取りもあるという中で経営が厳しくなっていくであろう、それに向けて経営の自由度を付与していく、あるいは少しでも負担を減らそうということがこれまでの答弁だったように思います。

 その上で、もう一回伺いたいんですが、東西に分けておく必要性なんですが、一九九九年になるんですかね、再編によってNTTを東西に分割しました。あのときは私もまだ役所にいましたが、長年の懸案が解決した後、分割するしないという話でずっとやっていましたから懸案が解決したように思ったんですが、当時、なぜ東西に分割したんでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 NTT東西の分離は、今委員からもお話がございましたとおり、平成十一年、一九九九年のNTT再編当時、地域通信市場で競争が十分に進展していない状況等を踏まえたものでございます。

 すなわち、具体的には、NTT東西の間のコスト構造や収益構造の比較、検証等による非効率性の排除、いわゆる比較競争と、NTT東西が相互参入し得る市場構造にすることによる各地域における独占の弊害の抑止、いわゆる直接競争を図る観点からNTT東西が分離されたということでございます。

奥野委員 そうなんですね、当時、相互参入みたいな、そもそもアメリカを、さっきAT&Tの話が出ていましたけれども、アメリカをモデルに分割をやった。当時、分割・民営化と言っていて、そのときに地域会社についてはできなくて、アメリカモデルがそのままできなかったのを、周回遅れぐらいで実現したということだったように思います。そのときに言われていたのは、相互参入で競争していくんだ、こういう話だったんですが、やはりそれは現実的じゃなかったんじゃないかと思います。実際に東西が相互に参入しているかというとそういうこともないわけですし、アメリカも結局、分割したけれども、さっきありましたけれども、合併して元に戻っているということだったんですね。だから、地域分割を後で見たときに果たして日本に持ち込んでよかったのかという検証も恐らく必要だと思うんですが。

 そうしたときに、大臣に伺いたいんですが、今いろいろな話があって、経営が厳しくなっていくんだろう、だから経営の自由度が必要だ、いろいろな合併とかもしていくんだみたいな話がありましたけれども、今、二社で置いておく必要があるのか、より大きな一社として規律をしていけばより経営の効率化も図れるんじゃないかというように思いますが、東西の在り方について大臣はどのようにお考えでしょうか。

村上国務大臣 個人的見解は、あの当時は全く同じ考えでした。

 NTT東西を分離することによって、現在も、NTT東西の料金やコスト構造の比較等を踏まえ、効率化の検証が可能となっています。また、NTT東西の分離は、ケーブルテレビ事業者等が各地域で競争できる環境を下支えする効果を有しております。こうした点に鑑み、今回、NTT東西の分離は維持することといたしております。

 ただし、奥野委員の御指摘どおり、NTT東西の経営環境は厳しさを増しています。このため、NTT東西の分離の在り方については、その経営状況等を注視しつつ、NTT東西の統合が公正競争に与える影響、事業成長、コスト改革のために他に取り得る手段等を踏まえながら引き続き検討していきたいと考えております。

 特に、ここはあえて私見なんですけれども、JRの分割でしたね。あれは今思うと、私の私見ですけれども、あれは四国、北海道、貨物が置き去りにされているんですね。いろいろな面があってやったと思うんですけれども、あれは私は失敗だったと思っております。

奥野委員 そうなんですね、鉄道も同じインフラですから、経営が立ち行かなくなったら全部廃線にしてしまえという話じゃないわけですよ。郵便局もそうですけれども、どうやって経営を支えていくかというのは非常に大事なことだと思います。

 今大臣も私見で全く同じだとおっしゃっていただいたんですが、今日の質疑を通じて明らかになったのは、インフラとしての東西ということですね。電柱、管路等の規制もありますし、インフラとしての東西をどう守っていくかということであれば、私は、一社の方がより効率的だし、責務規定も残しておいた方がよかったんじゃないかというふうに思います。

 時間が来て、一問余らせてしまいましたが、三年後の見直しというのがあるようですから、そこでまたこういった議論を踏まえて現実的に直していただければと思います。

 私の質問は以上です。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、高松智之君。

高松委員 立憲民主党の高松智之です。

 電気通信事業法及びNTT法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 私は、大学を卒業後、今から二十八年前になりますが、平成九年にNTTに入社をいたしました。その後、平成十一年の旧NTTの分離分割によって、長距離通信事業を担うNTTコミュニケーションズに所属となりました。私はその後退職をしましたが、今でも多くの同僚がNTTグループで働いています。

 情報通信分野の技術革新は日進月歩であり、NTTも時代の進歩に伴い様々な変化を遂げてきました。NTTは、かつての電電公社から承継した技術力や人材をベースとした優れた研究開発基盤を有しており、我が国の情報通信分野における先導的、中核的な役割を求められていると思います。今回の法改正が日本の情報通信分野の更なる発展につながることを期待して、質疑をしたいと思います。

 初めに、ユニバーサルサービスの確保に関連して、固定電話、いわゆるメタル回線の設備の縮退の在り方について伺います。

 かつては、自宅に電話を引く際には、初期費用として施設設置負担金を支払って電話加入権を得て固定電話を引き込んでいました。昭和四十年代には、電話を引くには順番待ちなども相当生じておりました。今日のように携帯電話を購入すればすぐに電話がかけられるというのは、この数十年での電信電話技術の進歩によるものだと思います。

 固定電話の契約数のピークは平成九年、まさに私がNTTに入社したときでありまして、このときが六千三百二十二万件、その後、現在ではその五分の一程度にまで低下をしています。その後、インターネットプロトコル、いわゆるIP電話に移行が進みました。

 固定電話は銅線などのケーブルを敷設したことからメタル回線と呼ばれますが、現在はその設備コストの維持がNTT東西会社の経営に大きく負担になっているとのことです。現在、メタル回線設備の維持にどの程度のコストがかかっているのか、また今後のコスト増大の見込みをお伺いしたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年二月の情報通信審議会におきまして、NTTは、二〇二二年度末において固定電話の提供のためのメタル回線設備の維持に係る赤字額が三百億円程度であると示しております。

 また、今後のコストについては、現行制度に基づき固定電話の提供を続けた場合には、契約者数が減少する一方でメタル回線設備の維持コストは引き続き必要となることから、メタル回線設備が維持限界を迎える二〇三五年頃以降には九百億円程度になると見込んでいるということでございます。

高松委員 現在で約三百億円程度、そして将来的には約九百億円程度にまで膨らむとのことでありました。そして、このメタル回線設備はそのサービス維持の限界が、今お答えがありましたが二〇三五年、令和十七年ですので、あと十年後ということであります。その令和十七年にもメタル回線設備を約五百万の利用者が使用するという推計がされています。メタル回線設備の終了に向け、移行についての円滑な計画、利用者に不便を伴わないことが求められますが、総務省としてNTTに対し移行計画の推進をどのように求めていくのか、お伺いをいたします。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 メタル固定電話の契約数は、情報通信審議会におけるNTTの発表によれば、現状のトレンドで減少した場合、メタル回線設備が維持限界を迎える二〇三五年頃にも、まさにお話がございましたとおり、約五百万程度残存すると見込まれているということでございます。

 仮に約五百万の利用者が残存する状態でサービスを終了する場合、社会的な混乱が生じるおそれがあることから、メタル回線設備の円滑な縮退を図るためには、まずはNTTにおいてメタル回線設備の縮退と既存利用者の移行に関する具体的な計画を策定する必要があると考えます。

 総務省といたしましては、NTTが策定する移行計画について、有識者また関係事業者等の意見も伺いながら、移行の時期、方法また移行先サービスの案内等も含め、その内容を検証し、必要な対応を行ってまいります。

高松委員 移行に伴っては代替のサービスをしっかりと提供し、取り残される方が出ないことを要望したいと思います。

 そして、このメタル回線の廃止に向けての意見ですが、設備を廃止するとなれば、既存の電柱、管路、銅線、そして局舎など、これまでの通信インフラを適切に撤去、廃棄し、そして売却できるものは売却し、NTTの資産としていくべきだと考えます。現在、銅の相場は高騰していますし、メタル回線の銅の資産価値も十分にあるかと考えます。メタル回線設備を負の遺産とするのではなく、資産として活用していく発想を持っていただきたいと考えています。

 経済安全保障の強化が国家の課題となる中で、NTTの保有する設備、資産、情報は日本にとって大きな資産価値であります。今後のメタル回線廃止に向け緻密な計画を立てていただくこと、そして適切な資産化を進め、メタル回線の廃止がNTTの経営におもしとなることがないように、総務省におかれては、今後も適切にNTTに対し移行の促進をお願いすることを要望して、この質問を終わります。

 条件不利地域への考えについてお伺いをいたします。

 日本は御存じのとおり島国でありまして、離島が多くあります。また、昨年元旦の能登半島地震からの復旧はいまだ道半ばであり、こうした条件不利地域こそがICT教育や遠隔医療、地域行政のデジタルサービス化など通信インフラを必要としているわけであります。事前に総務省にお伺いしたところ、現在、条件不利地域として携帯電話の利用が困難な方が全国で約六千人、光ファイバーの利用ができない世帯が約十万世帯とのことでありました。今回の改正案でこうした条件不利地域に対してどのような考えで臨まれたのか、お伺いをいたします。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ICT教育や遠隔医療等に当たりまして通信インフラは欠かせないものであり、条件不利地域におきましても通信インフラが利用できる環境を確保するといったことは大変重要であると考えております。

 このため、本法案では、電話に加えましてブロードバンドについてもあまねく日本全国における提供を確保するための責務を新設することとし、誰もが取り残されずに利用できる環境を確保することとしております。

 これにより、条件不利地域におきましてもブロードバンドを利用できる環境が確保されることとなり、都市部と同様にこれを活用したICT教育、遠隔医療等の恩恵を享受することが可能になるものと考えているところでございます。

高松委員 山間部や離島など、工事が困難なエリアがあることは仕方がないことでありますが、今後は衛星などの利用が進めばこうした条件不利地域の解消も見込まれることになると思います。是非、国民が誰一人取り残されない通信インフラの整備促進とデジタルデバイド解消を政府にお願いして、この質問を終わります。

 次に、電気通信番号制度の見直しについてお伺いをいたします。

 相次ぐ特殊詐欺は社会的に大きな問題となっており、その撲滅が求められております。今回の見直しで、卸先事業者の認定欠格事由に特殊詐欺犯を追加し、また、認定基準の厳格化を行いました。この改正に当たり、特殊詐欺でどのような形で電話番号が悪用されていたのか、また、この改正でどのような悪質事業者を締め出すことができると考えているのか、お伺いをいたします。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 電気通信番号使用計画の認定を受けている事業者の中には、特殊詐欺グループに電話番号を提供するなど、特殊詐欺に関与して役員が逮捕、起訴され、判決に至った事業者も存在します。

 このような電話番号の特殊詐欺への利用では、総務大臣から番号の指定を直接受けた事業者が関与する例はほとんどなく、他の電気通信事業者から卸電気通信役務の提供と同時に電話番号の提供を受けた卸先事業者が特殊詐欺グループに電話番号を提供しているケースが一般的でございます。

 また、このような事業者の中には、犯罪捜査から免れるため数か月程度で休業状態になるような者も存在します。

 このため、本法案におきましては、認定の欠格事由に特殊詐欺犯を追加し、また、認定の基準に電気通信役務の継続性の見込みを追加する厳格化を行うことで、このような者を電気通信番号使用計画の認定から排除することを可能にしております。

 さらに、本法案では電話番号の卸元事業者に対して卸先事業者が電気通信番号使用計画の認定を受けていること等を確認させる義務づけを追加しており、特殊詐欺への利用を企てる者に電話番号が流通することを防ぐ効果があると考えているところでございます。

高松委員 ありがとうございます。

 特殊詐欺を行うトクリュウ、いわゆる匿名・流動型の犯罪グループとの対抗策はまさにイタチごっこでありまして、法改正後にまたその法律の網をくぐり抜けようとするようなことも予想されます。今後も法改正の効果を注視しながら、必要であれば更なる対応も速やかに行っていただくことを要望します。

 そして、特殊詐欺には様々な手口がある中で、このところ目立っているのが警察をかたる詐欺であります。いわゆる警察署の電話番号の下四桁が〇一一〇であることから、下四桁を〇一一〇に偽った番号を表示させて、被害者に警察であることを思い込ませて金銭等を搾取する手口であります。政府においてはこのような手口を把握しているのか、予防策を講じているかなど、お伺いをいたします。

江口政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、昨年下半期以降、警察官等をかたり捜査名目で現金等をだまし取る手口の被害が増加しており、本年一月から三月末までの特殊詐欺の被害額約二百七十六億円のうち六割強、約百七十一・七億円を占めているところでございます。

 こうした警察官等をかたる特殊詐欺においては、SNSのビデオ通話等で偽物の警察手帳や逮捕状の画像を送信したりするほか、実在する警察署等の電話番号を被害者の携帯電話の画面に表示させるなどして警察官であると誤信させる巧妙な手口も確認されているところでございます。

 警察では、取締りはもとより、刻々と変化する手口についてタイムリーに情報発信し国民の皆様に対する注意喚起を行うなどの抑止対策を講じているところであり、発信者番号を偽装する手口についても、本年三月以降、警察庁や関係都道府県警察においてSNS等を通じて注意喚起を行っているところでございます。

 また、四月二十二日に犯罪対策閣僚会議で決定されました国民を詐欺から守るための総合対策二・〇におきましても、発信者番号偽装への対策を含め関係事業者等と連携し各種対策を推進することが盛り込まれたところでございまして、引き続き関係省庁や関係事業者と連携し取組を強化してまいります。

高松委員 御答弁ありがとうございます。

 引き続きの取組をお願いし、特殊詐欺の撲滅を目指していただくことを繰り返しお願いして、この質問を終わります。

 次に、電報事業についてお伺いをいたします。

 今回の改正案において、電報事業が電気通信事業法に基づく規律から信書便法に基づく規律となりました。

 電報の利用はピーク時の昭和三十八年には九千四百六十一万通、この頃は電話が普及していなかったので電報がよく利用されたんだと思います。令和四年には三百七十七万通、ピーク時と比較すると九六%の減であります。インターネット、電子メール、各種SNSサービスが進んだ現在において電報の利用が大きく減少していくのは理解するところです。

 今回の改正に当たりNTT側からの規制緩和の要求もあったということでありますが、NTT側からは電報事業の現況についてどのような意見が寄せられていたのか、御教示をいただきたいと思います。あわせて、電報事業の売上げの状況、赤字の有無についても御教示ください。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 電報の事業につきまして、NTTからは情報通信審議会の場におきまして、電報の利用が大幅に減少し赤字であることを踏まえ、機動的に事業を見直し効率化を図るため提供条件を自由に変更できるよう、規制緩和の要望があったところでございます。

 なお、電報の事業についてですが、令和四年度におきましてNTT東西で営業収益が約百二十五・二億円、営業費用が約百四十一・七億円となっており、約十六・五億円の赤字が発生したというところでございます。

高松委員 なかなか厳しい事業運営であるということは理解しました。

 今回、信書便法に基づく規律に変更となるわけでありますが、このことによって電報事業は今後どのような方向性で進んでいくのか、御教示いただきたいと思います。

牛山政府参考人 お答えいたします。

 信書便法に基づきまして、これまで電報類似サービスを提供する事業者は、料金の額が八百円を超えるいわゆる高付加価値サービスを提供する特定信書便事業者としてサービスを提供しているところでございます。

 電報の事業が、これまでの電報類似サービスと同様に信書便法に基づく枠組みの下で特定信書便事業となりましたら、料金について八百円を超えれば自由に設定できるようになるなど、より柔軟な事業運営が可能になると考えております。

高松委員 経済原理的に考えると、電報を配達するにはコストがかかるエリア、先ほど申し上げたような離島などの条件不利地域には今後電報を届けるのは難しいことも出てくるのかなとは思います。

 私個人の電報への思い出を語ると、高校に合格した電報が人生で初めていただいた電報でありまして、とてもうれしかったことを覚えています。直近では、衆議院選挙の当選に当たり多くの電報をいただきました。

 ユニバーサルサービスの義務づけまでは難しいことは理解をするものの、電報ならではのよさというものはこのデジタルの時代でも確実にあるのだろうと私は思います。電報について、村上誠一郎大臣の御所見を是非お伺いしたいと思います。

村上国務大臣 高松委員にお答えします。

 私も、電報で一番印象があるのは「サクラサク」でありました。要するに一浪しておりましてね。また、父が病床に伏していたので、あのときほどうれしい電報はありませんでした。二番目の記憶は、今は廃止になっていますけれども、昭和四十年代は解散になると候補者がそれぞれの支持者の幹部に電報を打っておりました。それも、まさに、コンバットレディーじゃないですけれども、非常に緊張感のある思い出があります。

 それから、何といっても、昨日も利用させてもらったんですが、やはり弔電であります。四十年もやっておりますと、昔からお世話になった方が次々と亡くなってまいります。なかなか忙しくて帰れませんもので、そういう面で弔電はありがたいなと思っております。

 そういう面において、電報については、現在も慶弔目的を中心に利用されておりまして、私も今申し上げたようによく利用しております。電報は、受け取った方にとって、温かみのある心に残るメッセージにより思いをつなぎ形を残せるといったよさがあると思います。

 今後、長年提供されてきた電報ならではのよさを受け継ぎながら、信書便制度の枠組みの下で、事業者の創意工夫により、利用者のニーズに応じた様々なサービスが展開されることを期待しております。

高松委員 大臣、ありがとうございます。

 電報はNTTでは赤字ということでありましたが、是非電報のよさを私は後世にまで残していければなというふうに考えています。

 最後に、NTT株の配当を原資とした財政投融資特別会計の投資勘定についてお伺いいたします。先ほど岡本あき子委員の質疑にも取り上げられておりましたが、NTT株の配当は財政投融資特別会計の投資勘定に使用されているという認識でよいのか、改めてお伺いをいたします。

森田政府参考人 お答えいたします。

 NTT株式のうち三分の一の政府保有分につきましては、財政投融資特別会計投資勘定の帰属となってございまして、その配当金収入は同勘定が行う産業投資の原資として、政策的必要性が高くリターンが期待できるものの、リスクが高く民間だけでは十分に資金が供給されない事業へのリスクマネー供給に活用されてございます。

高松委員 今回、昨年十一月二十二日に閣議決定したAI・半導体産業基盤強化フレームで財政投融資特別会計からエネルギー対策特別会計に複数年度繰り入れられているということで、本年三月二十五日の本会議にて我が党の池田真紀議員からも質疑を行いました。NTT株の配当という国民の資産が生み出した果実を、財政投融資特別会計の本来目的である出資、貸付け以外の他の特別会計に繰り入れていくことの妥当性をどのように御説明されるのか、改めてお伺いをしたいと思います。

森田政府参考人 お答えいたします。

 今般の財政投融資特別会計投資勘定からエネルギー特別会計への繰入れにつきましては、投資勘定の業務である産業投資とは異なるものですが、財務省、経済産業省において議論を重ね、昨年十一月に政府として策定いたしましたAI・半導体産業基盤強化フレームに基づき、次世代半導体生産を行う産業の育成等を支援し、将来の投資勘定からの出資、収益確保につなげていく観点から行われるものと整理してございます。

 また、投資勘定からエネルギー特別会計への繰入れを可能とするために、経済産業省から今国会に提出され、過日成立いたしました情報処理促進法等の一部改正法により必要な規定の整備が行われているところでございます。

 なお、これまでも、投資勘定は産業投資として必要なリスクマネー供給をするという役割をしっかりと果たした上で、投資勘定の歳入の状況なども勘案し、例えば復興財源や防衛財源の一部とするものも含め、他の会計への繰入れを行ってきた実績があるところでございます。

高松委員 本件に関しては経済産業委員会又は財務金融委員会でも議論が重ねられておりますが、立憲民主党としては財政投融資特別会計の投資勘定は本来目的である出資、貸付けのみに使用されるべきであると考えます。今後も国民に理解を得られる説明をいただくことをお願いしたいと思います。

 では、若干時間が余りましたが、以上で私、高松智之からの質疑を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、黒田征樹君。

黒田委員 おはようございます。日本維新の会、黒田征樹でございます。

 本日は、電気通信事業法及び日本電信電話株式会社法、いわゆるNTT法について質問をさせていただきます。

 まず、NTTに関する現状認識でありますけれども、令和二年末にNTT持ち株会社がNTTドコモの全株式を保有して完全子会社となりました。また、先ほどもありましたけれども、実行されなかったもののNTT東西の合併の議論もありまして、NTTの一体化方針が継続をされているということで、今朝のニュースでは、もう一つNTTデータだったかの子会社化も決定をしていくというような状況であります。

 NTTはいわゆる特別な資産として土地や局舎、管路や電柱などの線路敷設基盤、メタル回線や光ファイバーなどの通信回線といったインフラを保有しておりまして、固定通信と移動通信の双方において重要な公共的役割を担っております。これらの資産が公正かつ公平に提供されることが公正競争の確保のために重要であるということは言うまでもありませんが、その上で、我が党は東京メトロや商工中金、郵政の金融二社などと同様にNTTも原則として完全民営化を目指すべきだというふうに訴えてまいりました。

 また、自民党の方でもNTT法の在り方をめぐって、令和五年六月に防衛関連費の財源検討に関する特命委員会が政府に提出した提言を踏まえて同年八月に設置されたNTT法の在り方に関する検討プロジェクトチームが中心となって議論を行い、同年十二月に取りまとめられた提言では、段階的に必要な整備を行った上で政府によるNTT持ち株会社の保有義務の撤廃や令和七年を目途にNTT法を廃止することを求めたところであります。防衛予算捻出でというのも少し短絡的な議論かなというふうには思いますけれども、一度は具体的な期限まで切ってNTT法廃止に動いています。

 附則の規定にも、昨年はNTT法の廃止を含めて検討するとされておりましたけれども、今回はNTT法の改廃を含めということで文言が後ろ向きになったように感じておりますけれども、昨年と異なってNTT法の廃止から改廃としたその意図についてお聞かせいただきたいというふうに思います。

村上国務大臣 黒田委員の御質問にお答えいたします。多少テクニカルタームなので、ちょっと細かくなりますけれども、許していただきたいと思います。

 昨年の改正NTT法の附則については、今国会に法案を提出することを前提としたものでありまして、そのため、提出する法案は改正に限られず廃止もあり得ることを明確にするよう、NTT法の廃止を含めと規定したものであります。

 他方、今回の法案の附則は、施行後三年を目途として制度の在り方について検討することを規定するものでありまして、法案を提出するか否かを含めて幅広く検討することになります。その検討の結果として、法案を提出する場合にはNTT法の改正と廃止のいずれもあり得るということを明確にするよう、NTT法の改廃を含めと規定しております。

 このように、規定の文言は異なりますが、両者ともNTT法の改正や廃止を含めて検討するという趣旨は同じであります。

 いずれにしましても、本案が成立した場合には、附則の検討規定に基づきまして、NTT法の改正や廃止を含めて電気通信事業に関する制度やNTTに関する制度の在り方について適切に検討を行ってまいりたい、このように考えております。

黒田委員 廃止から改廃という文言にはなったものの、引き続き廃止も含めて検討していくということでありますけれども、他の企業、事業者が参入しにくい、若しくは公正ではない、そういうような状態は一刻も早く解消していただいて、より競争力のある企業が育つように、そういう背景を見据えながら議論を進めていっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、現状のままであってもインフラ独占による競争の阻害といった問題も生じてまいります。現在NTTは通信インフラと伝送を供給していますけれども、インフラについてはNTT自身で使用しながら他の事業者にも供給されている、その中で、インフラ自体はNTTによって独占されたまま、伝送業務はNTTと他の事業者との競争状態ということで、NTTは自身の利益のために競争相手の事業者に対してインフラ利用料を課しているわけであります。その利益によって伝送についても他の事業者よりも安く供給できるというような状態にもありまして、こういう状態によって競争が阻害されてシェアの独占が実際に起こっておりまして、結果、ユーザーは高い料金を支払うという不利益にもつながってくるわけであります。民営化に後ろ向きであったとしても、少なくともこういった状態は改善する必要があるというふうに考えます。

 NTTの通信インフラについて、他の事業者と公平な競争環境を整えるという観点からNTTから分離して国有化する、そして全ての事業者にひとしく提供するという方策も考えられるところでありますけれども、そうすればNTTは他の事業者と同様に純粋な民間企業として活動ができて、NTT法は廃止に向かっていくのではないかというふうに考えます。その点の見解についてお聞かせいただきたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 電電公社時代から承継されたNTTの通信インフラは、NTTのみならず他の事業者を含め、我が国の通信サービスの安定的な提供に大変重要な公共的な役割を果たしているというところでございます。

 こうしたNTTの通信インフラの在り方につきましては、情報通信審議会におきましても、NTT東西のアクセス部門の運営主体の在り方として、NTTから資本分離する案も含めて検討されたところでございます。

 その結果、本年二月の最終答申におきましては、NTTから資本分離することは設備投資のインセンティブが働かず、競争を通じた設備の高度化やコスト効率化が確保されない懸念があること、また、資本分離に伴い相当のコストを要し、相応の対価がなければ株式価値を毀損することなどから、現時点では最善と言い切れないとされたところでございます。

 これを踏まえ、本法案におきましては、NTTの通信インフラについてNTTから資本分離することはせず、引き続きNTTが保有することとしております。

 総務省といたしましては、直ちにアクセス部門を分離するのではなく、まずはネットワークの開放ルール等の見直しを適宜行いつつ、さらに公正競争の確保のための措置を講じながらその効果を見極めるというようなことが必要だと考えておりまして、さらに、先ほども大臣から御答弁申し上げました本法案の附則に基づきまして、NTTの通信インフラの在り方も含め、NTTに関する制度の在り方について検討を行い必要な対応を行ってまいりたいと考えているところでございます。

黒田委員 今お答えいただきましたように、他の事業者も含めて日本の重要なインフラの一部であるということは当然認識をしておるわけでありますけれども、一社独占体制というような中で、本当にこの形でいいのかというところをしっかりと検討していただきながら、インフラの維持と発展に向けて力を尽くしていただきたいというふうに思います。

 続いて、NTTのインフラについて現時点において考えないといけないのは経済安全保障でありまして、先ほども言いましたように重要なインフラで、それをどのように守っていくのかというところでありますけれども、現在総務省で進めている、また本改正案でも、インフラシェアリングを更に促進しよう、そういう目的を感じます。

 令和三年から四年にかけてNTT東西及びNTTドコモから六千本以上の鉄塔を取得したJTOWERですが、昨年、令和六年十月にアメリカのインフラ投資会社、デジタルブリッジによる株式公開買い付けが成立して、JTOWERは非上場企業となりました。日本における代表的なインフラシェアリングの事業者とも言えるJTOWERが米国資本に買収された、まずそれについて受け止めをお聞かせいただきたいというふうに思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 インフラシェアリング事業につきましては、今後も外資系の会社が参入する可能性というのはあるというふうに考えているところでございます。そのような場合も含めまして、重要なことは、電気通信事業者が適正かつ公平な条件で安心して鉄塔等の提供を受けられることが重要であるというふうに認識しているところでございます。

 このため、本法案におきましては、インフラシェアリング事業者に公益事業特権を付与するに当たりまして、料金等の提供条件の適正性や鉄塔等の利用の公平性、こういったものを確保する規律を新たに課すこととしております。

 これにより、経済安全保障上の懸念が顕在化しないようにしたいと考えているところでございます。

 なお、外資規制についてでございますが、インフラシェアリング事業者につきましては、WTO協定、CPTPP、EPA等での約束内容も踏まえまして特段の外資規制は設けておりませんが、総務省といたしましては、インフラシェアリング事業に関する制度の在り方につきましては、今後のインフラシェアリング事業の進展状況また諸外国の動向等を踏まえて適時適切に検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

黒田委員 ありがとうございます。

 事前にいろいろ総務省の方にもお話を聞くと、インフラ事業者が更に買収されるというようなところというのは余り想定をされていなかったと仄聞しておりますので、しっかりと日本の重要なインフラを守っていくという意味においては、余り規制、規制と言うのも我々としては望ましいところではありませんが、自由に開放する部分としっかりと規制していくという両輪を進めていただいて、電気通信事業そのものの安全、安心を確保していただくようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会の守島です。

 早速質問に入らせていただきます。

 今回の法改正案ですが、NTT東西の県域業務を撤廃することやNTT東西が行う合併の認可を緩和することとしておりまして、経営の自由度を増すということは重要で、方向性自体には賛同していますが、経営の自由度を増やすとともに規模の経済とか範囲の経済といった改革効果を発揮させようと思うと、多くの委員からもありましたが、選択肢としてNTT東西の統合というのはあり得るんじゃないかと思っていまして。ユニバーサルサービスに関しては、東も西も同じ基準を求められるのであればNTT東西の経営の裁量の範囲において統合を目指すことを可能とすることも選択肢と感じているんですけれども、分離を維持する理由をまず教えてください。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 NTT東西の分離は、NTT東西の間のコスト構造や収益構造の比較、検証等による非効率性の排除、いわゆる比較競争と、NTT東西が相互参入し得る市場構造にすることによる各地域における独占の弊害の抑止、いわゆる直接競争を図る観点から行われたものでございます。

 NTT東西の分離により、現在もNTT東西の料金やコスト構造の比較等を踏まえた効率化の検証が可能となっているほか、NTT東西の分離はケーブルテレビ事業者等が各地域で競争できる環境を下支えする効果を有しております。

 こうした点に鑑み、今回、NTT東西の分離は維持することとしております。

 ただし、NTT東西の経営環境は厳しさを増しているというのも現状でございます。NTT東西の分離の在り方につきましては、その経営状況等を注視しつつ、NTT東西の統合が公正競争に与える影響、事業成長、コスト改革のために他に取り得る手段等を踏まえながら引き続き検討してまいりたいと考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 もちろん、おっしゃるように比較競争があることで適正な料金とかサービスというのが維持されてきたと思うんですけれども、元々NTT東西はエリアがすみ分けられていたので地域独占的になっていたというのも事実でありまして、そうしたことを踏まえれば、相互参入という言葉がありましたけれども、それを強化するというのも重要と思いますが、もう一つ、やはり統合による合理化の追求も厳しい環境下では道筋としてあるんじゃないかというふうに思っていて。であれば、国がNTT株を保有する理由として独占による弊害があるじゃないですか、価格が上がったりサービスが劣化したり、そういうことを牽制するためにも国が株を持つ意義というのを見出せるんじゃないかなというふうに思っていたりします。

 その点はNTT法の改廃とも関連するので、一旦次の質問に移ります。

 今回の改正案はNTT東西の活用業務に係る手続の緩和も含まれておりまして、これに関しても経営の自由度のためには評価されるべきと思いますが、県域事業の撤廃や活用業務の実施など、規制緩和を進める方向ではありながら、モバイル事業等への参入禁止の明確化を本法案で整備されています。NTT持ち株会社によりドコモを完全子会社化している中で、経営の範囲の中で事業のすみ分けはできるんじゃないかなと思いますし、完全にコントロール下だと思うんですけれども、あえてここで明確化する理由を教えてほしいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 NTT東西は、固定アクセス回線で独占的なシェアを有しているため、公正競争を確保する観点から、その業務範囲に関する規律などを課しているところでございます。

 具体的には、NTT法におきまして、本来業務について県内通信の業務に限定する県域業務規制を課すとともに、経営資源を活用して行う本来業務以外の業務、いわゆる活用業務につきまして公正競争の確保に影響を及ぼさない範囲内に限定しているところでございます。

 本法案におきましては、公正競争の確保に影響を及ぼさない範囲内でNTT東西の経営の自由度を高める観点から、本来業務については県域業務規制を撤廃するとともに、活用業務について実施基準に従って行う限り個別の業務ごとの届出を不要とする規制緩和を行うこととしております。

 また、本法案については、これらの規制緩和を行う一方で、依然として固定アクセス回線で独占的なシェアを有しているNTT東西が新たに移動通信業務などを営む場合には公正競争の確保に重大な影響を及ぼすことが懸念されるため、NTT東西が本来業務や活用業務として移動通信業務などを営むことができないことを明確化することとしているところでございます。

守島委員 今の回答のように、本業以外の業務に関しては公正市場であったり公正競争を毀損させないことという理由は分かります。しかし、同じホールディングスの中にあって政府も株を保有しているということで経営の範囲内で事業のすみ分けはできるとは感じているんですけれども、あえて規制するのであれば、そもそもNTTドコモを子会社化せずにそれぞれの事業主体が本業に注力すればよかったんじゃないかという疑問が湧くんですね。

 今回、電気通信事業法においてもNTTの禁止行為規制が追加されて、NTT東西とかドコモが卸役務の提供業務に関して知り得た情報の目的外使用とか提供の禁止がされることであったり、またNTT東西とそのグループ内の電気通信事業者の兼職、取引に関わる規制が整備されることなんかも含まれていることを考えると、規制緩和をするという流れの中で、むしろ同一グループ内では行動は規制強化を図る必要が出てしまっているというのがこの法案に表れているのかなというふうに思っていまして。というのは、やはり同一資本で経営されること自体が健全ではない状況なのかなというふうにちょっと映ったりするんですね。なので、ドコモがNTT持ち株会社の完全子会社になったことが公平性に欠ける市場環境をつくり出す素地になったんじゃないかという危惧をしていまして。

 川崎政務官、元々ドコモ出身ということで直接聞くのは本当に忍びないんですけれども、せっかくですのでそもそもの令和二年のドコモ完全子会社化の意図というのを、政府側から答弁するのは難しいかもしれませんが、知る範囲で教えていただけたらと思います。

川崎大臣政務官 守島委員の御質問にお答えいたします。

 現在私も総務省の立場でございますので、当時NTTが発表した内容についてお伝えしたいと思います。

 NTT持ち株会社は、株式公開買い付け手続を経て二〇二〇年十二月にNTTドコモを完全子会社化しており、その意図について総務省の有識者会議において説明をしております。

 その当時の説明によりますと、NTTの中期的な成長、発展に向けグループ横断での経営資源の戦略的活用と意思決定の迅速化が不可欠であるとして、このためにNTTドコモの競争力の強化と成長及びグループ全体の成長を目的としてNTTドコモを完全子会社化するものであったと承知しております。

守島委員 川崎政務官は同い年でありまして、当選も同期ということで是非頑張ってほしいと期待しているんですが、この点は別にしまして。

 もちろん、政府ではなくNTTの意図としてグループ内の意思決定の迅速化とか強化というところが含まれていたというのは今聞いたとおりなんですが、意思決定の迅速化も踏まえて、政府の意図としては別かもしれないんですけれども、個人的にはNTT的には政府であったり総務省の方を見ているのかなというふうに思いますし、結果的に料金値下げのときの意思決定も早かったということも含めて、NTTやドコモに対する政府の影響力というのは大きくなってきたんじゃないかなというふうに思っています。

 今朝のニュースでも、黒田委員からもあったんですけれども、NTTデータをNTTの完全子会社化するとあったように、どんどんどんどんNTTホールディングスが大きくなり過ぎて、政府が株式を保有して影響力を高いままにするということに関しては私はいかがかなというふうな思いがあります。ちょっと公正な市場とは乖離してきたんじゃないかなというふうに思っています。本法律でNTTの経営の自由度を高めるとしているんですけれども、NTTに対する政府のバイアスというのは外形的にはやはり高いというふうに思っていまして、それは公平な市場とか競争環境、自由な経営というものとはベクトルは違うのかなと感じています。

 そこで改めて、重複しますが、前回の改正の附則に廃止を含めとあったものが、廃止を見送り引き続き今回NTT法の中で様々な規定をすることになった理由、大臣の見解をお聞かせください。

村上国務大臣 守島委員の御質問に答えます。

 NTTは、電電公社から承継しました全国津々浦々の通信インフラにより、我が国の通信全体を支える公共的役割を果たしていると思っております。

 このようなNTTの公共的役割を安定的に確保するため、現行のNTT法ではその業務範囲や責務等を規定しております。

 近年、社会全体のデジタル化が進展する中で、これを支えるNTTの通信インフラの重要性が更に高まっており、今後もNTTの公共的役割を安定的に確保する必要があると考えております。

 このため、本年二月の情報通信審議会の最終答申では、NTTの業務範囲に関する規律や外資規制などは引き続き必要とされたところであります。

 NTTが公共的な役割を果たす上で今後も必要となるこれらの規律は、これまでどおりNTT法で規定することが自然であるというふうに考えられると思います。このため、本法案においてはNTT法を維持することとしているものであります。

 以上であります。

守島委員 大臣のおっしゃる公共的役割を果たすこととか通信の安定性も含めて今回はNTT法を維持したという理由はそのとおりだと思うんですけれども、法の枠内でユニバーサル維持とかを前提として考えているので、政府関与を続けること自体がやはり目的化しているんじゃないかなというふうに思っています。

 もちろん、今回の法改正でユニバーサルサービスの最終役務提供者を拡充することとかは今後の地域電気通信事業の維持のためには必要だというふうに思っているんですが、そうしたセーフティーネット的なものの維持を一般事業者に門戸を広げていくということは、必ずしもさっき大臣がおっしゃった公的役割に関してはNTTが担わなくてもいいんじゃないかということの証左だと僕は思っているんですね。経営の自由度を上げることとかセーフティーネットの構築とか維持というのは完全に一緒に考えなくても、それこそ別途、セーフティーネットに関しては民間企業にお願いしたり、交付金であったり補助金の在り方をやって維持するものというのを検討するというのもそれは道筋の一つだというふうに思っているんですが。

 そうしたことを踏まえると、NTTの裁量をどんどんどんどん大きくして成長させることとユニバーサルサービスの提供、社会インフラの維持ということを別に考えてそれぞれ適正化した方が、経済の発展とかセーフティーネットの構築という点では結果効率的じゃないかというふうに思っているんですが、こういう見方に対する大臣の見解を教えていただけたらと思います。

村上国務大臣 守島委員の御指摘どおり、本法案では、電話、ブロードバンド共に、複数の事業者が連携してあまねく日本全国におけるサービス提供を確保する最終保障提供責務を設けることとしております。これは、NTT以外の事業者も含めまして電話、ブロードバンドをユニバーサルサービスとして安定的、効率的に提供する役割を担っていただくものであります。

 ただし、NTT以外の事業者がこの責務を担うのは自ら申請して指定を受けた場合に限られるため、そのような事業者がいない地域における責務の担い手を確保することが必要であります。

 この点、NTTは電柱や管路など全国規模の線路敷設基盤を保有しておりまして、不採算地域へのサービス展開が容易であります。このため、本法案では、最終保障提供責務を担う事業者がいない地域につきましてはNTTにその責務を担っていただくということになっております。

 また、NTTの通信インフラは、他の事業者のサービスにも利用されるなど、我が国の通信全体を支える重要な役割も担っております。

 これらの公共的役割を担ってもらうためには、NTTに対しまして業務範囲の規律や外資規制などを課すことによって経営の安定と適正な事業運営を確保する必要があることから、今回、NTT法を維持することとしております。

 総務省としましては、NTTに公共的役割を果たしていただくことでユニバーサルサービスをしっかりと確保しつつ、守島委員御指摘の経営の自由度についても高めることができるよう適時適切に検討を行ってまいりたい、そのように考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 もちろん、公共的役割であったり、これまで社会的なインフラをNTTが担ってくれていて、そうしたインフラを持つという点ではNTTに依存するところが大変多いというふうに思っていますが、例えば交付金の宛先になっている公衆電話とかを考えても、維持に対してしんどいというのは皆さんの認識のとおりだと思いますし、ユニバーサルサービスとかセーフティーネットというところを改めて見直して、維持、持続可能なものというものの再定義をしないとこれは難しいのかなというふうに思っているので、そうしたところも踏まえて、経営効率の在り方とセーフティーネットの構築、維持という観点でしっかりとシビアに見ていただいて、いろいろな選択肢を取ってほしいなというふうに思っております。

 維新の会は、黒田委員からもありましたように民営化を目指すべきという立ち位置なんですが、例えばNTT法の枠組みから外れれば法の四条にあるような政府の株式保有率を維持せず売却することもできます、全部とは言わず。それが、先ほど来防衛費の財源に充てるという指摘もあるんですけれども、政府の利益であったり事業者の裁量向上にとっては有益な選択肢というふうに思っているんですが、NTT法改廃の前に、政府の株式保有率であったり株式の売却ということに関する検討状況をお聞かせください。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 政府によるNTT株式の保有義務は、NTTの通信インフラが公共的な役割を担っていることから、政府が安定株主となることで特定の者による経営の支配や株主権の濫用を回避し、NTTの経営の安定と適正な事業運営を確保するために設けられているものでございます。

 近年、AIの普及やDXの進展等によりこれらを支えるNTTの通信インフラの重要性が高まる中で、本年二月の情報通信審議会の最終答申では、引き続きNTTの経営の安定と適正な事業運営を確保する必要があることから政府の株式保有義務は維持することが適当とされているところでございます。

守島委員 NTTの経営の安定と保有義務がどうマッチするのかが今は余りぴんとこなかったんですが、NTT法で規定しているという意義は分かりました。

 続いて、先ほど来質疑の中でも出てきた外国人役員の規制に関してなんですが、こうしたこともNTT法で縛っているから安全だという認識だというふうに思っているものの、これまで役員の規制緩和なんかは進められてきました。外国人の議決割合を今NTT持ち株の株式全体の三分の一未満というふうに定められているんですが、これもNTTが情報通信インフラを担うという前提でのことで、さきにも話したようにユニバーサルサービスの担い手が変わってくる中で、NTTだけが拘束されるものなのかという質問はほかの方もされていたと思います。

 例えば、NTT法でわざわざ縛らなくても、今問題はあると思いますけれども、外為法を強化することなど一般的な規制強化につなげることで対応し得るんじゃないかというふうに思ったりもするんですけれども、外資も含めてやはり資本が参入した方が企業のためにはなるという側面も踏まえて、より成長するNTTを目指していくにはそうした規制緩和ということも選択肢の一つかなというふうに思っているんですが、こういう見方に対する見解も教えていただければと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 NTTの通信インフラは、他の事業者の携帯電話サービスにも利用されるなど、我が国の通信全体を支える公共的な役割を担っており、外国の影響力に対する経営の自主性を確保することは、NTTだけではなく、我が国の通信事業者全体の通信サービスの安定的な提供を確保する上で極めて重要であると認識しているところでございます。

 このため、NTT法におきましては、外国人の議決権保有割合を三分の一未満に制限するいわゆる外資規制が設けられているところでございます。

 委員御指摘の外為法でございますが、外為法は外国投資家による個々の株式取得について個別投資審査を行うものですが、例えば日本に居住する外国人による投資は審査対象外になるなど、居住地を問わず外国人による投資を全て対象とするNTT法の外資規制を完全に代替することは困難だと考えられるところでございます。

 こうした点を踏まえると、NTT法において引き続きNTTに対する外資規制を規定することが適当と考えているところでございます。

守島委員 もちろん今の外為法では厳しいと思いますので、その強化ということですが、一般法でくくるのは難しいということも理解しました。

 時間が来ました。今回、NTT法、廃止ではなく改正ということで、改善はしていく予定なものの、やはり公正な市場環境とか経営の自由度ということでは物足りないというか、抜本的な構造改革には至っていないのかなというふうに思っていまして、大臣はその可能性も示唆してくれていますので、そうしたことも今後検討することをお願いしまして、私の質問とします。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、向山好一君。

向山(好)委員 国民民主党の向山好一でございます。

 そもそもNTT法の改正は、二年ほど前に自民党内で防衛財源確保のためにNTT株を売却できないかといったことから議論が起こって、去年と今年の二段階に分けて、いろいろな法的措置を講じてNTT法を廃止する、そういった自民党内のPTの提言を受け、それに対応した改正案というふうに私は認識しておるんですけれども、しかし、今回の改正案は廃止どころか、外資規制が強化される等、NTT法は維持をされるというような内容になっています。この二年間近くで一体何の議論があったのかというふうに疑問を抱かざるを得ない点もございます。

 そこで、総務省はどのような議論を経て今回の法案の提出に至ったのか、その辺りをまず確認させていただきたいと思います。

    〔委員長退席、あかま委員長代理着席〕

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 NTTの在り方を含む通信政策の在り方につきましては、令和二年改正法の附則の見直し規定に基づき、令和五年八月、情報通信審議会に市場環境の変化に対応した通信政策の在り方を諮問し、昨年二月に第一次答申が取りまとめられたところでございます。

 第一次答申におきまして、国際競争力の強化の観点から速やかに実施すべき事項と提言されたものに基づき、NTTの研究開発に関する責務の見直し等を行う改正NTT法案を昨年の通常国会に提出し、成立、施行されたところでございます。

 その改正NTT法の附則におきましては、NTTに係る制度の在り方について検討した結果に基づいて、令和七年の通常国会を目途として法案を提出するものとされたところでございます。

 これも踏まえ、情報通信審議会におきましては、第一次答申において今後更に検討を深めていくべき事項と提言されたユニバーサルサービスや公正競争、経済安全保障の確保の在り方等について引き続き検討を行ってきたところでございます。

 その結果、本年二月に取りまとめられました最終答申におきましては、NTTの公共的な役割を踏まえるとNTTの業務範囲に関する規律や外資規制などは引き続き必要とされたところでございます。

 総務省といたしましては、これらを踏まえ、NTT法を維持しながらユニバーサルサービスや公正競争、経済安全保障を確保する観点から、時代に即した見直しを行うため、本法案を今通常国会に提出したものでございます。

向山(好)委員 今の御答弁からも、総務省がしっかり軌道修正されて適切に対応されていらっしゃるような印象があるんですね。ですから、自民党内の一部の強い御意見があって振り回されたというような感覚も否めません。しかし、こういう議論があったことを教訓としまして、我が国の情報通信インフラに対して一回検証したいというか確認していきたいというふうに私は思っているんですけれども、この改正案、今回の附則にも施行後三年を目途に改廃を含め検討するということになっています。

 そこで、確認したいんですが、仮に今後NTT法が廃止された場合、NTTは通常の民間会社と同様の扱いとなって、株式市場での買収リスクにもさらされる状況になります。特に、外資による買収が行われ、我が国の重要な通信インフラが外国資本の影響下に置かれるリスクというのがあることになります。そうした事態になった場合、どのような具体的対応策、規制措置あるいは安全保障上の措置が現在の法体系で用意されておるのか。具体的な観点から国民の皆さんに説明する責任があると思いますから、お聞きいたしたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 NTTの通信インフラは、他の事業者の携帯電話サービスにも利用されるなど、我が国の通信全体を支える公共的な役割を担っており、外国の影響力に対する経営の自主性を確保することは極めて重要だと認識しているところでございます。

 このため、NTT法におきましては、政府によるNTT株式の三分の一以上の保有義務や外国人の議決権保有割合を三分の一未満に制限する外資規制が設けられており、経済安全保障の重要性が高まる中、NTTの経営の安定と適正な事業運営を確保するため、これを維持することが適当であると考えているところでございます。

 NTT法の外資規制以外にも、一般的に、我が国の企業に対する外国の影響力の懸念に対応する観点から、外為法における個別投資審査の制度が設けられているところでございます。

 また、基幹的なインフラサービスの安定的な提供を確保する観点から、経済安全保障推進法における重要設備の導入等に関する事前届出制による審査に関する制度も設けられているところでございます。

 NTTの通信インフラにつきましては、我が国の通信全体を支える公共的な役割を踏まえれば、これらの制度とNTT法の外資規制が相まって外国の影響力の排除を図ることが適当であると考えておりまして、総務省といたしましては、経済安全保障上の懸念が生じないよう、関係省庁とも連携しながら適時適切に必要な対応を行ってまいりたいと考えているところでございます。

向山(好)委員 今の御答弁を受けて、大臣に確認したいんですけれども、去年の総務委員会でも、外為法の強化ではNTT法の総量規制を代替できないという、その当時の松本大臣の御答弁がありました。今の答弁も同じようなことなんですけれども。結局、非常に重要な我が国の情報通信インフラを安全保障上の観点からしっかりと守っていく上でNTT法というのは非常に重要な役割を担っているし、これからも担わなければならない、そういう認識でよろしいんでしょうか。大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

    〔あかま委員長代理退席、委員長着席〕

村上国務大臣 今局長が答弁したように、NTTの通信インフラにつきましては、我が国の通信全体を支える公共的な役割を踏まえれば、これらの制度とNTT法の外資規制が相まって外国の影響力の排除を図ることが適当であると考えております。総務省としましては、経済安全保障上の懸念が生じないよう関係省庁とも連携しながら適時適切な対応を行ってまいりたい、そのように考えております。

向山(好)委員 御答弁ありがとうございます。是非ともそういった観点でこれからも、三年後の見直しについてもそういう姿勢を守っていただきたい、このように思います。

 その前提で、次はユニバーサルサービスの概念についてお伺いいたします。

 今回の改正では、メタルだけじゃなくてモバイルもユニバーサルサービスに組み込むということになっております。さらに、モバイル通信についてですけれども、カバーエリアが全国の九九%、ほぼ全国をカバーしている状況にありまして、既に国民の通信手段は固定電話からモバイル通信へと置き換わっています。二〇一六年の熊本地震のときでも、あるいは去年の能登半島地震のときでも、災害で非常に重要な役割を担う通信は固定じゃなくて既にモバイルになっているということも明らかになっています。今や多くの国民にとって、通信インフラはスマートフォンや携帯電話に置き換わっていると言っても過言ではありません。

 そのような状況の下で、なお固定電話事業者のみがユニバーサルサービスの提供義務を負い、モバイル事業者はこれを負わないという現行制度は果たして現状あるいは将来に即したものかどうか疑問です。また、国民の視点から見れば、いつでも、どこでも、誰でも利用できる通信サービスの確保は、どちらかといったらモバイルに求められていると言ってもいいんじゃないかと思っています。

 そこで、総務省として、今後モバイル事業者を含めてユニバーサルサービスを提供する、そういった観点というのはどのような検討をされていらっしゃるのか、その辺を確認させてください。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 移動して利用する携帯電話は、現在の普及状況また利用実態等を踏まえれば、委員からも御指摘がございましたとおり、ユニバーサルサービスに位置づけて、携帯電話サービスを提供する事業者についてもユニバーサルサービスの提供に係る義務を課すといったことも考えられると思います。

 移動して利用する携帯電話をユニバーサルサービスに位置づけることにつきましては、情報通信審議会におきましても御議論をいただきました。その中の議論におきましては、現時点では事業者間の競争的、協調的な整備、維持が進みエリアの縮小の動き等は見られないこと、事業者の現在の経営状況に鑑みると交付金の対象とし新たに国民負担を生じさせてまで事業者に対して保障する必要性が認められないこと、また、屋内の一部やビル陰など技術上カバー困難な地域が残存せざるを得ないことなどの理由から、本年二月の最終答申におきましては現時点ではユニバーサルサービスの対象とすることは適当ではないと提言されたところでございます。

 これを踏まえまして、今回は移動して利用する携帯電話をユニバーサルサービスに位置づけることはしておりませんが、ユニバーサルサービスは市場環境の変化に応じて適時適切に見直すことが必要であると考えているところでございます。今後の技術の進展や利用実態を踏まえて、総務省としても引き続き検討を行ってまいります。

向山(好)委員 今御答弁があったとおり、時代は変わります、そうしたら対応も変えなきゃいけませんし、技術の進歩ということにも法整備で対応していかなきゃいけませんので、今後そういったことはしっかりと検討していただきたいと思います。

 その上で、先ほどNTTの安全保障の話はしましたけれども、モバイル事業者の安全保障、こういったことも非常に重要な視点になってくるんじゃないかと思いますので、その辺りを質問させていただきます。

 特に最近、国際紛争のとき一番狙われるのがモバイルを中心とした情報インフラなんですね。ウクライナ紛争のときでも、ロシアからサイバー攻撃をしかけられて、ウクライナの最大の通信事業者、キーウスターのサービスが一時停止して、国内でも大混乱に陥りました。イスラエルがハマスの通信ネットワークを電子的に攻撃したことも既に明らかになっています。このように通信基盤というのは国際紛争のときの最大の標的になっている、これは世間の常識です。

 しかし、モバイル事業者が提供する通信サービスというのがそれに対応しているかどうか甚だ疑問なんですが、今や国家の安全保障、国民の生活、経済活動に直結する重要インフラとなっているモバイル事業者に対して、外資規制や経営支配のリスクに関する監視、規制体制、このようなことが必要ではないかと思いますが、総務省はどのような課題認識を今持っていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話事業者の通信サービスが国民生活や経済活動を支える基盤となる中で、5Gなどモバイルの通信インフラの重要性がますます高まっているというのは御指摘のとおりでございます。

 このため、主要な携帯電話事業者につきましても、外国の影響力に対する経営の自主性を確保し、サービスの安定的な提供を図る必要性がますます高まっているものと認識しております。

 したがいまして、携帯電話事業者に対しまして外資規制を設けるといったことも考えられますが、情報通信審議会でも御指摘がございましたが、資金調達面での経営への影響や株主権の侵害、対日直接投資促進政策への影響、こういったものが懸念されるほか、日本が締結済みの国際約束との整合性の問題が生じることなども踏まえ、これを設けることとはしておりません。

 その一方で、一般的に、我が国の企業に対する外国の影響力の懸念に対応する観点から外為法における個別投資審査の実施や、基幹的なインフラサービスの安定的な提供を確保する観点から経済安全保障推進法における重要設備の導入等に関する事前届出制による審査が行われることとされております。

 携帯電話事業者に関する外国資本への対応につきましては、これらの制度を含めた検討が必要になるため、総務省といたしましては、今後の国際的な規制動向等も踏まえつつ、経済安全保障上の懸念が生じないよう、関係省庁とも連携しながら必要な対応を行ってまいりたいと考えているところでございます。

向山(好)委員 今の御答弁の中でも、また外為法の話が出てきたんですけれども。

 先ほども言いましたとおり、外為法は個別案件の審査ということでして、通信の総括的ないろいろな規制というのとはたてつけが違うからそれに対応できないというようなことになっているんですね。国会の審議でも明らかになっているんですけれども。そういった法整備ということの現状と、一方、海外に目を向けますと、例えばアメリカには外国投資委員会というものがありまして、事前審査排除権限を持ってリスクのある事業者というのを排除できるような法整備が今できています。イギリスも通信セキュリティー法でこういうことが規定されていまして、同じようにリスクのあるいわゆるプレーヤーを指定して排除する権限を持っています。オーストラリアも同じです。

 このように、諸外国はいろいろな、モバイル事業者を含めた経済安全保障に対してのリスクヘッジをやはりしっかりと用意しているんですね。こうした国際的な動きに対して日本は体制が明らかに遅れているというふうに私は認識しておりますけれども、政府として諸外国の動きと比べて日本はどういう状況なのかという認識はいかがなものなのでしょうか、お伺いいたします。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からもお話がありましたように、諸外国におきましては、一般的な外資規制のほか、いわゆる経済安全保障等の観点からいろいろな枠組みを設けているというふうに承知しているところでございます。

 先ほども御答弁申し上げましたとおり、我が国におきましても、外為法に加えまして経済安全保障推進法における事前届出制による審査等を行っているところでございますが、今後の国際的な規制動向、そういったものを十分に参考にしつつ、何が必要なのかといったことを、総務省一省庁だけの話ではございませんので、関係省庁とも適時適切に連携しながら必要な対応を取っていきたいと考えているところでございます。

向山(好)委員 是非とも適切に対応していただきたい、このように思います。

 次の質問に移ります。次は、先ほども議論がありましたけれども、IOWNの技術開発について伺いたいと思います。

 現在NTTが推進するIOWN構想は、光電融合技術という画期的な技術であって、超高速で超省電力、日本企業の技術が世界の情報通信のゲームチェンジを起こす可能性を秘めた、極めて我が国にとっても重要な取組だと認識しております。

 しかし、今後の技術開発はもちろんですけれども、重要なのは、その技術の社会への普及、セキュリティー、そして海外との競合、世界標準化ができるかどうかという大きな課題も抱えております。技術は一流、しかし世の中の普及に失敗する、ビジネス化に失敗する、いわゆるガラパゴス化というのは過去にも何度も日本で経験しております。その典型が情報通信分野でもNTTのiモードですね、これが本当に典型的な例だと思いますけれども、このようなことがIOWNでは起こらないようにしないといけないんじゃないか、このように強く思っています。

 そこで、まず村上大臣にお聞きしたいんですけれども、IOWN技術、日本の通信技術の未来を左右するこの技術にどのような普及支援をやっていこうと思っておられるのか、お伺いいたします。

村上国務大臣 向山委員御指摘のとおり、IOWN構想が目指すオール光ネットワークが世界で普及するためには、広く海外で受け入れられる技術を開発するとともに、その技術の国際標準化に取り組むことが重要だと思います。まさにおっしゃるとおりで、これが成功した暁には日本が世界でリードできるんじゃないかと思います。

 こうした問題意識の下、総務省では、ビヨンド5G基金事業におきまして、グローバル市場の将来展望や顧客ニーズを踏まえた技術開発への支援を行うとともに、戦略的な国際標準化活動への支援を行っています。

 NTTなどの企業は、こうした国の方針も踏まえて、民間標準化団体において把握した海外の顧客のニーズに合わせ技術開発を進めるとともに、その技術を広めるための標準化活動に取り組んでおります。

 総務省では今後もオール光ネットワーク技術が国際標準となり世界で広く普及するよう支援を全面的に行ってまいりたい、そのように考えています。

向山(好)委員 全面的に支援していきたいという話を伺っておりますので、その全面的な支援の具体的な内容、このことについて確認というか質問させていただきたいと思います。

 まず、それを標準化していこうと思ったら、成功例をアピールしていかなきゃいけない。これは非常に重要だと思いますし、国内でそういった成功事例を積み上げていくということから始めることが必要じゃないかと思っています。そこで、IOWN技術を実際に都市だけでなく地方に展開するために、大規模なフィールド実証というのがこれから不可欠になってくるんじゃないかと思います。それを目的とした地方自治体と連携した推進プログラムのような制度の創設が必要になってくるんじゃないかと感じております。総務省として自治体と連携した支援体制を構築される御予定があるのか、あるいはそういったことに対する取組の方向性、こういった辺りを確認させていただきたいと思います。

竹村政府参考人 お答えいたします。

 IOWN構想が目指すオール光ネットワーク技術については、現在、主要な通信事業者の基幹的な通信網において二地点間を結ぶ通信が実装されております。

 さらに、昨年度からは、複数の事業者が運用するオール光ネットワークを相互に接続し、多地点間での通信を可能とするための技術の研究開発に取り組んでおります。

 また、研究開発と並行しまして、オール光ネットワークが面的に実装されることを目指しまして、ユーザーを含む多様な主体の参加を募り、実サービスの提供に当たっての課題の確認、検証ができるテストベッドの段階的な整備にも取り組んでおり、今年度から運用を開始し、順次拡張してまいります。

 これらを通じオール光ネットワークが各地域のより広範な分野で活用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

向山(好)委員 広範囲で活用できるようにしっかりと確認していただきたいと思います。

 最終的には、先ほど冒頭で大臣の決意を話されておられますけれども、海外のライバル企業はいっぱいありますから、負けない競争力の強化、最終的には標準化、こういったことへの取組、これに命運が懸かっていると思うんですけれども。

 その上で、日本以外でもビヨンド5G、6G技術の開発は国を挙げて競争しております。それはアメリカであり、中国であり、ヨーロッパ。これは同じです。IOWN技術を国際標準に押し上げるためには、これまでの教訓を生かして、技術だけでなく政治的、戦略的な交渉力というのも問われます。総務省主導で専門人材を集めた専門チームみたいなものをつくって、特に、国際電気通信連合といった国際機関へのプレゼンスを強化したり、外交交渉を行ったり、そういったロビー活動を支援する仕組みというのが非常に重要になってくるというふうに思います。

 先ほど決意を述べられた大臣にお聞きしますけれども、今申し上げたような国際標準化戦略に対しては具体的にどういう支援をして国内技術の優位性を確保していくお考えなのか、この辺りをお聞きしたいと思います。

村上国務大臣 総務省におきましては、昨年八月、ビヨンド5G推進戦略を改訂しまして、IOWN構想が目指すオール光ネットワークを我が国の戦略分野の一つとして位置づけました。

 同推進戦略におきましては、オール光ネットワークにつきまして、産学官が緊密に連携して研究開発、国際標準化、社会実装、海外展開などの推進に総合的に取り組むこととしております。

 国際標準化に関しましては、産学官の有識者が参画するビヨンド5G新経営戦略センターにおきまして、企業の経営層に国際標準の意義や役割を理解してもらうためのワークショップやセミナーを開催しております。

 また、標準化に関わる人材が標準化交渉において求められるスキルや知識を体系的に習得できる講座や研修の支援に取り組んでおります。

 そういう取組を通じまして、IOWN構想が目指すオール光ネットワーク技術が国際標準となり世界に広く普及するよう支援を行っていきたい、そのように考えております。

向山(好)委員 私、IOWNの中で一番驚愕したのは超高速ということよりも省電力なんですね。通常の百分の一というふうにも技術的には言われています。これ、ほんまに驚愕的です。

 今、データセンターとかAI開発で一番の課題が電力が足りないということなんですね。それに対するソリューション、ばっちりIOWNはいけているんじゃないかというふうに思うんですけれども。ほかの技術にない特異性というのは世界に誇れると思うんです。そういったことを焦点とした取組というのは一体具体的にどういうことがあるのか、それは本当に大切な観点だと思いますけれども、その辺の認識というか方向性というか、それをどういうふうに生かそうと思っていらっしゃるのかということを確認させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

竹村政府参考人 向山委員御指摘のとおり、IOWNは、電力効率百倍、伝送容量百二十五倍、低遅延、エンドエンド遅延が二百分の一といった様々な特徴を有しております。これは通信ネットワークの低遅延化、高速化ということではなくてコンピューティング、チップの省電力化にも大いに役立つものと考えております。

 我々総務省といたしましては、こういったコンピューティングを担当する経済産業省とも密接に連携して国家戦略としてIOWN構想というのを推進していきたいというふうに考えておりまして、両者連携して取り組んでいるところでございます。

向山(好)委員 時間が来ましたのでまとめますけれども、今御答弁があったとおり、これは世界でもIOWNにしかないんじゃないかというふうな技術なので、ガラパゴス化するのはもったいない。是非ともこれを世界標準に押し上げていただくために、総務省、特に大臣は得意の外交手腕をしっかり発揮されて、これが世界標準になるために押し上げていただきたい。このことを強く要望させていただいて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 今日も質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 今日は電気通信事業法並びにNTT法の改正ということで、その点について、重なるところもあるんですが、何点かお伺いをさせていただきたいと思っております。

 私が今日午前中の最後の質問でございますので、おなかがすいていると思いますので、皆さんゆったりとした気持ちでお聞きいただきまして、そういった流れで質問させていただきたいと思います。

 予定しておりました一つ目を飛ばしまして、二つ目から質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 ユニバーサルサービス提供責務の見直しについてお伺いをいたします。

 ブロードバンドのユニバーサルサービスにつきましては令和四年の電気通信事業法の改正によって新設をされておるわけでございますが、ブロードバンドサービスの整備状況を見ますと、NTT東西の光回線のシェアは今のところ約七三%という形でとどまっており、それ以外は電力系事業者とかいわゆるケーブルテレビの事業者のみが提供する地域もあるなど、現在多様な事業者によって提供されている、こういった状況がございます。

 そこで、本改正案では、全国におけるユニバーサルサービスの効率的な提供を確保する観点から、ブロードバンドについても今回、電気通信事業法において最終保障電気通信事業者に係る規定を整備し、適格電気通信事業者がいる地域については第二種適格電気通信事業者に、また適格通信事業者がいない地域についてはNTT東西がその責務を担うこと、このように整理をされているところでございます。

 そこで、総務省に伺いますが、本改正案に示されましたユニバーサルサービスの提供責務の見直しの中で、今回新たにブロードバンドのユニバーサルサービスの提供責務を新設した意義、これについて御答弁を願いたいと思います。また、このような見直しが行われる中で、今後新たにケーブルテレビ事業者等が担う役割、この点についても併せて御見解を賜りたいと思います。よろしくお願いします。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 ブロードバンドは、インターネットアクセスや動画視聴のみならず、テレワーク、遠隔教育、遠隔医療等のデジタル技術の活用に欠かせないものであり、現在、国民の日常生活や社会経済活動にとって必要不可欠な基盤となっております。

 このため、本法案では、ブロードバンドについてあまねく日本全国における提供を確保するための責務を新設することとし、誰もが取り残されずにブロードバンドを利用できる環境を確保することとしております。

 この新たな責務は、ブロードバンドのユニバーサルサービスの効率的な提供を確保するために誰も提供していない地域でのみ提供する責務である最終保障提供責務として複数の事業者が連携して担う制度としており、地域のケーブルテレビ事業者等にもその一翼を担っていただくことを想定しております。

 総務省といたしましては、地域のケーブルテレビ事業者等は地域に密着した事業者であることから、引き続き、ブロードバンドを含め、地域のニーズを踏まえたサービス提供に取り組んでいただくことを期待しております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今回の改正の中で、私は、ユニバーサルサービス提供責務にブロードバンドも入れた、これは非常に大きいと思います。そして、NTT東西ではなかなかカバーし切れていないところはあると思うんですね。例えば、私は三重県の北西部ですけれども、CTYさんは九割以上のカバー率を持っているんですね。そういったところはケーブルテレビ会社なんかに任せていいんじゃないか、こういった状況もあると思いますので、これを責務にし、今後、離島であるとか山間僻地、こういったところにもしっかりとしたブロードバンドをユニバーサルサービスとして提供し切っていく、この体制をおつくりいただきたいというふうにも思います。

 関連して、もう一点、まさしく第一種及び第二種適格電気通信事業者の指定を受けることができるというふうになりましたけれども、このメリットについてお伺いしたいと思います。

 本改正案では、NTT東西に代わる新たなユニバーサルサービス提供責務の担い手として、電話においては第一種適格電気通信事業者が、またブロードバンドにおいては第二種適格電気通信事業者がその指定を受けることができるというふうにされております。ちなみに、電話におきましてはこの指定を受けた事業者はいまだおりません。また、ブロードバンドにおいては、私の地元の三重県に本社を置く株式会社ZTVが本年三月三十一日にまさしく第二種適格電気通信事業者の指定を第一号として受けておる状況でございます。

 そこで、総務省に伺いますが、第一種及び第二種適格電気通信事業者の指定を受けた事業者については不採算地域の維持費用の支援のための交付金も含めて今後どのようなメリットがあると考えるのか、この点について御答弁いただきたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の適格電気通信事業者は、その指定を受けた場合には、法令の規定に基づきまして不採算地域におけるサービスの提供を維持するための交付金の交付を受けることができるようになります。

 したがいまして、適格電気通信事業者は、これまで採算性が乏しいことなどを理由にサービスの提供をしていなかったエリアにおいても、交付金の交付を受けることによって地域住民のニーズに応じたサービスの提供を進めやすくなるものと考えているところでございます。

 総務省としては、指定を受けた適格電気通信事業者において積極的にブロードバンドの整備、維持に取り組んでいただき、引き続き地域社会を支える役割を果たしていただくことを期待しているところでございます。

中川(康)委員 具体的なメリットがあればお伺いしたいと思ったんですが、現状においてはまだそこまでのお話ではなかったのかなと思っています。

 電話においてはなかなか手を挙げるところは引き続きいないんじゃないかと私は思っているんですが、ブロードバンドにおいては、第二種適格電気通信事業者の指定を受けるというところが出てきてもいいんじゃないかなというふうに思っています。そして、その第一号が、まさしく私の地元、また川崎政務官の地元でもあります三重県のZTVが手を挙げた。私、これは非常にうれしく感じていますし、今後も広がっていってもらいたいなと思います。

 そのためには、何が何でもインセンティブというわけじゃないんですけれども、まず不採算地域については交付金がしっかりとつけられる、こういった部分においては、社会的責任で貢献しているんだ、こういったイメージなんかもしっかりとつけていただくことが必要だと思うし、具体的なインセンティブを設けていくことも今後検討していただきたいというふうに思いますので、そのことも要望しながらこの点についての御質問をさせていただいたところでございます。

 そうしましたら、三点目、ちょっと観点を変えまして、電気通信番号制度の見直しによる特殊詐欺防止への効果について、これも今回の本改正案に出ていますので、お伺いをしたいと思います。

 今回の特殊詐欺防止というのは大変に重要な課題でありまして、これによって国際的にも関わる大きな犯罪等が出ております。本改正案では、不正に売り渡された携帯電話による特殊詐欺防止の対策として、電気通信番号使用計画の認定の厳格化においては、欠格事由への詐欺罪等の追加や認定基準の厳格化の規定を整備するのとともに、事業者による卸先事業者の認定状況の確認義務の追加、これは私は結構効果があるんじゃないかと思っていますが、こういったことが明記されるなど、今後は特殊詐欺に関与する悪質事業者に電気通信番号を流通させないようにするための措置が改正案の中で施されております。

 そこで、この点について総務省にお伺いしますが、今回の措置は、例えば欠格事由に窃盗罪が入っていなかったりとか、確認方法についても書面による誓約のみにとどまっている、こういった点はあるわけでありますが、今回の改正案が実行された場合、近年国際的にも大きな問題となっておる特殊詐欺防止に対してどれくらいの効果があるのか、この具体的な効果について、総務省のお考え、見解を述べていただきたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 電話番号の特殊詐欺への利用については、総務大臣から番号の指定を直接受けた事業者が関与する例といったことはほとんどなく、他の電気通信事業者から卸電気通信役務の提供と同時に電話番号の提供を受けた卸先事業者が特殊詐欺グループに電話番号を提供しているケースが一般的と承知しております。

 卸先事業者の中には、犯罪捜査から免れるため数か月程度で休業状態になる例も多く、また、そもそも認定を受けずに電話番号を特殊詐欺グループに提供する者もいるというところでございます。

 本法案によりまして、卸元事業者に対して、卸先事業者が番号使用計画の認定を受けていること、また卸先事業者に一定の事業継続性があることの確認を行うことを義務づけることで、特殊詐欺への利用を企てる者に電話番号が流通することを防ぐ効果があると考えております。

 また、このような確認を義務づけることは卸先事業者の実態確認を強化するものであり、例えば身元や用途を偽って電話番号を取得するといった行為、こういったことが困難になるといった効果もあると考えているところでございます。

 本制度を電気通信事業者が遵守することで、電話番号を特殊詐欺に使用しにくい環境が醸成されることを期待しているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今回、特に事業者による卸先事業者の認定状況を確認するという、これによって安易にどんどんどんどん下に卸していかないという部分、これは結構効果があるんじゃないかというふうに私も感じております。この内容を見たときに、私は政治改革も担当していますけれども、政治資金規正法の連座制の適用に似ているなというふうにも思ったわけですけれども、そういった状況の中で効果ある内容にしていただければというふうにも思っております。

 そうしましたら、次に、この点についても何点かお伺いが出ておりますが、本改正案附則の検討規定について、私もお伺いをさせていただきたいと思います。

 本改正案では、その附則第十三条の検討規定において、政府は、この法律の施行後三年を目途として、ユニバーサルサービスの確保等の観点から、電気通信事業に係る制度の在り方について検討を加えるのとともに、NTT法の改廃を含め、NTTに係る制度の在り方について検討を加え、それらの結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると規定されておりますが、昨年の通常国会に提出された改正法の附則第四条の検討規定では、政府は、NTT法の廃止を含め、NTT、NTT東西に係る制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて、NTT等に対する規制の見直しを含む電気通信事業法の改正等必要な措置を講ずるための法律案を国会に提出するものとすると書かれておりました。

 昨年から本年にかかるこのNTT法の在り方をめぐる議論において、昨年の改正案附則では廃止を含めと言っていた検討規定が、本年提出の改正案では改廃を含めと表現が変更された点については本改正案の重要なポイントの一つというふうに私は捉えておりますが、この検討規定ではどのような理由で昨年の廃止を含めから本年の改廃を含めに表現が変わったのか、その理由について、総務省の見解を私としてもお伺いしたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の改正NTT法の附則におきましては、今国会への法案提出を前提としたものであったため、改正だけではなく廃止も含めて幅広く検討する趣旨を明らかにするため、NTT法の廃止を含めと規定したものでございます。

 他方、今回の法案の附則は法案提出に直接言及したものではないため、法案の提出もその対象として、NTT法の改正や廃止も含めて幅広く検討する趣旨を明らかにするため、NTT法の改廃を含めと規定したものでございます。

 このように、規定の文言は昨年と異なりますが、両方ともNTT法の改正や廃止も含めて幅広く検討する趣旨で規定したものでございます。

 いずれにいたしましても、本法案が成立した場合におきましては、附則の検討規定に基づき、NTT法の改正や廃止も含め、電気通信事業に関する制度やNTTに関する制度の在り方について適切に検討を行ってまいります。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 局長からは非常に事務的な答弁をいただいたわけでありますけれども、私も昨年から党の総務部会長としてこの問題に関わってまいりました。経緯は痛いほど分かっておるわけでありますけれども。そういった状況の中においてまさしく、今日もいろいろな議論の中で出てきましたけれども、通信インフラの経済安全保障上の問題、これをどう守っていくかということ、これは大事でありますし、さらには、私ども公明党としては、特に離島とか山間僻地も含めたユニバーサルサービスをどう確保していくのか、維持していくのか、これも重要な視点だと思っています。

 そういった意味においてはNTT法の維持というのは私は重要であるというふうに認識をしておりますので、その立場で今回こういった状況の変化というのを聞かせていただいたというところを、今日は大臣には答弁を求めませんけれども、お酌み取りをいただければというふうにも思いますので、よろしくお願いします。

 一つ目を飛ばしましたけれども、最後、一発目のところの質問をさせていただきます。

 メタル回線の将来的な終了による今後の対応ということで、メタル固定電話の契約数、これはもう本当に、ピーク時から五分の一まで減少しておりまして、まさしくNTT東西においては赤字が非常に多くなっている、ゆえに令和十七年頃にはサービスをメタルについては終了せざるを得ないというような、そういった状況でございます。しかし、先ほど何点かありましたけれども、令和十七年にもいまだ五百万件の利用者が残るというふうに推計されておりまして、そのままでいくと社会的に大きな混乱が生じることは間違いないと思っております。

 総務省としては、NTTと連携を図りながら、またNTTにしかるべき指示を出しながら社会的に大きな混乱を生じないような形で、仮に終了していくのであればメタル回線の将来的な終了を行っていくことが必要だと思いますが、この辺のところ、いわゆる最終答申にも示された内容も含めて具体的にどのような対応を図っていくのか、この点、総務省に最後に確認をさせていただきたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 メタル固定電話の契約数は、現状のトレンドで減少した場合、二〇三五年頃にも約五百万程度は残存すると見込まれているところでございます。

 仮に、約五百万の利用者が残存する状態でサービスを終了する場合、社会的な混乱が生じるおそれがあることから、まずはNTTにおきましてメタル回線設備の縮退と既存利用者の移行に関する具体的な計画を策定する必要があると考えます。

 総務省といたしましては、NTTが策定する移行計画について、有識者や関係事業者等の意見も伺いながら、移行の時期、方法や移行先サービスの案内等も含め、その内容を検証し、利用者への影響を最小限に抑えるため必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今後も山間僻地、離島等で電話とかブロードバンドのユニバーサルサービスがしっかりと維持、確保されること、このことを願い、質問を終わらせていただきます。

 大変にありがとうございました。

竹内委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十三分開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高井崇志君。

高井委員 れいわ新選組の高井崇志でございます。

 今日は山川委員に代わって、私は総務省出身で、しかも電気通信事業法をずっと総務省時代に担当して湯本局長の部下として働いてきたので、進んで今日はやらせてほしいということで、差し替えで代わらせてもらいました。

 ただ、法案の審議に入る前に、私はどうしても聞きたいことがございます。それはSNSの誹謗中傷あるいは虚偽情報の問題です。

 これは実は私の友人の話なんです。私の友人は全くの私人です。百歩譲ってというか、私なんかはしょっちゅうSNSで誹謗中傷の嵐でして、慣れてしまって、何を書かれても平気になってしまったんですが、やはり公人と私人は分けて考えるべきで。

 一般の私人の方に虚偽の情報が書き込まれていて、しかもそれは明らかに事実誤認なんですね、間違っている情報です。それは幾らでもすぐに証明書とかを出せます。しかも、誤った情報によって私の友人は仕事を失いかねないような危機に陥り、書き込まれた当初はちょっと精神的に不安定になって、私は、大丈夫かな、命まで失うんじゃないかというぐらいの危機感を覚え、相談を受け、私の知り合いの弁護士にも相談をして、事業者名も言いますけれどもXです、X社に対して削除要請をしました。弁護士からもしました。

 ところが、削除する要件がいろいろあってですね。プライバシーとか誹謗中傷をクリックして、そこに書き込むんですけれども、虚偽の情報というのはないんですね。偽りの、うその情報という項目はないので仕方ない、でも、その虚偽の情報によって仕事を失いかねないわけですから、プライバシーであったり権利侵害であるということで、弁護士もそういうふうに削除要請したんですけれども、削除してもらえないんですよ。

 それで、私は一応こういう仕事もしていますから総務省に相談をしました。総務省からXの担当者の方も紹介していただいて話をしましたけれども、Xの利用規約上、間違った情報では削除できないんだというわけです。でも明らかに間違っていることを証明できるし、しかも仕事を失いかねない、命まで失いかねない、そんな危機なのに対応しないんですかと言っても、いやもう無理ですと。裁判してくださいというか、仮処分をやれば、要するに虚偽かどうかの判断を第三者、裁判所がしないと対応できないというわけです。私も弁護士に聞きましたけれども、仮処分申請でも最低で三、四十万ぐらい弁護士の費用、裁判の費用がかかって、削除するのに二、三週間かかるんですよ。そんなことをしているうちに、どんどん情報は拡散されていくわけです。

 情報流通プラットフォーム対処法というのがこの四月から施行されていますけれども、やはりまだ不十分。この法案はいろいろな問題が表現の自由との関連で確かにあるけれども、こういう一般の私人が、しかも明らかに間違った情報で仕事も命も失いかねない、こういう状況が分かっていながら何も対応できないというのは明らかに法律もおかしいし、法律が追いつかないんだったら総務省に対応していただきたいですよ。一人の人が命まで失いかねない問題なんです。

 今、川崎でストーカー事件が結構ニュースになって、あれを見たらみんな、警察の対応はひどいと思うじゃないですか。私はそれを見たときに桶川ストーカー事件というのを思い出して、過去の記録を全部読んでみました。ひどいですよ、警察の対応は、人の命を何だと思っているんだ。

 申し訳ないけれども、今の総務省だって、今や刑事事件じゃなくてSNSで命を失いかねない問題がたくさん発生しているんですから、私は本気で総務省はこの問題に取り組んでいただきたいと思います。大臣ならこの気持ちを分かっていただけると思うので、是非、大臣、前向きに考えていただけませんか。

村上国務大臣 高井委員のお気持ちは、この資料を全部読ませてもらって、お気持ちはよく分かります。

 難しいのは、法律というのは全ての事象に全部対応できるとは限らないわけで、ある程度表現の自由とかいろいろなものとの兼ね合いで、限界事例をどこで引くかというのは非常に難しいかと思います。この事例を皆さんに教える必要はないんだけれども、難しいのは、多分、この会社が言っているのは、具体的事実の摘示であった場合にはあえてそれを削除するに当たらないという判断をしたんじゃないかなという気がします。

 これについては、私は共産党さんの御質問のときに、兵庫県の県会議員が亡くなられたときには本当に大変な事態になっているなと思いました。ただ、問題は、法律でどう縛るかよりも、国民全体が選挙を含めSNSに対してどう立ち向かうかということをみんなで考えないと、最終的には結論は難しいかなと感じています。そういう前段階を置いて、一応答弁はしてみます。

 SNS上の誹謗中傷といった違法、有害情報は、短時間で広範に流通、拡散し、現実の国民生活や社会経済活動にも重大な影響を及ぼし得る深刻な課題であると認識しております。

 本年四月一日に施行された情報流通プラットフォーム対処法は、インターネット上の違法、有害情報に対応するため、大規模なプラットフォーム事業者に対し削除対応の迅速化及び運用状況の透明化を求めることを内容としております。

 同法の規律対象である大規模なプラットフォーム事業者については、総務省において先月三十日にSNSを運営する主要な五事業者を指定したところであります。

 総務省としましては、情報流通プラットフォーム対処法の削除対応の迅速化等の規律の効果を検証するとともに、更なる対策についても不断に検討していきたいと考えております。

 これが一般の答弁であるんですけれども、先ほど申し上げたように、例えば委員の具体的な問題に言わせていただくと、本当の誹謗中傷に当たるのかどうかという判断があると思います。もう一点は、どう言ったらいいのかな、それを法によってどこまで制約できるか、それはやはり刑法でもあるんですけれども。例えば、この間の兵庫県知事選挙では、ある候補が外国人参政権について賛成じゃないのに流布された、それを打ち消している間に選挙が終わってしまった。だけれども、書いてある、書いてないでは誹謗中傷にならないんですね。それを法律で取り締まれということになると、なかなか難しい面があるんじゃないかな。

 ただ、委員の気持ちはよく分かりますので、総務省としましても今後具体的にもっと的確に対応できるいい方法が何かないかということは引き続き検討していきたい、そういうふうに考えています。

高井委員 法の限界をおっしゃるのは分かります。ただ、例えばストーカー規制法だって、なかったときは何もできなかったんですよ。だけれども、ああいう法律ができて、しかも何度も事件が起きて何度も改正されて何十年もかかって、それでもああいう川崎のような事件が起こっている。私は、法律は不断に見直していくべきだから法改正も求めたいと思います。

 ただ、今の時点で私の友人が受けている、いまだに削除されていないんですよ、こういうようなことは行政の運用としてやるべきじゃないですか。偽りの情報、単なる偽り、しかもそれは、どっちが正しいか分からないというようなものを全部削除なんかできるわけがないけれども、明らかに証明できて、しかもそれが仕事や命まで失いかねない、そういう状況がちゃんと伝わったときには本来はX社が対応すべきだし、それに対応しないのであれば総務省が国民、利用者の側に立って寄り添っていただく。

 私は国会議員だから、総務省出身だから総務省の担当者と話ができたけれども、本来であれば、一般の利用者であれば利用者相談センターというのがあるんですよね、こういうところをもっとちゃんと。でも、ここが相談して何か対応してくれるとは思えませんよね。だって、国会議員が言って総務省の課長から連絡してもXは対応してくれないんですから。だけれどもそんなことで本当にいいんですか、個々の事象を見てください。確かにいろいろな申請が来るから全部をさばけないし一律にできないかもしれないけれども、誤情報や偽情報は一切削除できないんだみたいな、そういう紋切り型の基準じゃなくて、個別の状況を見て、本当にその人が困っていて命まで失いかねない、そういう状況なのであれば対応していただきたいと私は思います。

 総務省の玉田総括審議官、事務方の責任者だと思うので、こういう声を受けたら総務省として何らか対応していただけませんか、お願いします。

玉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今大臣からも御答弁申し上げましたように、本年四月一日施行の情報流通プラットフォーム対処法では削除対応の迅速化、運用状況の透明化を求めておるところでございます。

 総務省としましては、情プラ法の削除対応の迅速化等の規律等の効果を検証するということは非常に大事なことだと思っております。あわせまして、更なる対策についても不断に検討してまいりたいと考えております。

高井委員 ここまで国会で取り上げて、もし削除されなかったら、同じような被害に遭っている方は絶望しかないですよ。総務省の電気通信相談センターなんか、電話したって絶対に解決しないと思うじゃないですか。まず隗より始めよというか、この一個からやってください。本当にお願いします。

 申し訳ないですけれども、来週政治改革特別委員会が開かれることがさっき決まりましたので、総務大臣も出席いただけるようですので、選挙の誹謗中傷問題もありますから、引き続き取り上げますので、是非。

 ここは見逃しちゃいけないところだと思います、大臣、本当に。本当に人の命が何人もこれで失われているんですから。著名人が自殺したらニュースになるけれども、一般の人は亡くなったってニュースになっていないかもしれませんよ。私の友人が亡くなったって、多分ニュースにならないですよ。だけれども、こんなことは絶対に起きていますから、ストーカー規制法並みのことを、いや、それ以上ですよ、恐らくそれ以上に影響が大きい、本気でこれはもう。私は、総務省の最大の課題だと。NTT法の話よりも全然こっちの方が影響は大きいですから是非本気で考えていただきたいということをお願いして、NTT法の話に移りたいと思います。でも、引き続き取り上げますので、よろしくお願いします。

 それで、NTT法なんですが、私はもう一つちょっと苦言を申し上げたいのは、今日はNTT社長が来てください、あるいは社長じゃなくても忙しければ副社長でも誰でもいいですよと、NTTさんに聞かないと分からない質問をしようと思って五問ぐらい通告しているのに来れないというんですよ。理事会で合意がないと来れない。だけれども、政府が株を三分の一持っているんですよ、そしてNTT法という法律があるんですよ。この間、財務金融委員会では政策投資銀行法の改正をやりましたけれども、政策投資銀行の社長が来てほとんど全部答弁していましたよ。何でNTTが来れないんですかね、おかしいですよ。こんな、国会がどんどん腑抜けた形になっていっているのは極めて問題だと私は思います。

 NTT社長が来てくれないんだから、申し訳ないけれども、湯本さん、先輩ですけれども、お聞きします。NTTはNTT法廃止に向けてどんなロビー活動をしているんですか、教えてください。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の事項につきましてNTTに確認したところ、NTTとしては、NTT法の廃止ありきということではなくて、市場の変化や技術革新等を踏まえれば、約四十年前に制定されたNTT法の規律について、例えば固定電話だけを対象としたユニバーサルサービスや研究開発の開示義務等は時代や市場の実態に合わなくなってきていることからそれらについて見直しが必要だという主張をしてきたとのことでございます。

 その上で、こうしたNTTの考え方につきましては、総務省の審議会等の場での説明だけではなく、マスコミを通じた情報発信のほか、議員や有識者等に対しても機会を捉えて御説明しているとのことです。

高井委員 何で記者会見で言えたり審議会で言えて、国会で言えないんですかね。何で国会に出てきて、NTT法の審議ですよ、しかも附則に、NTT法の改廃が附則に入っているんですよ、三年後の見直しが。何でNTTが出てきてその主張をしないんですか、全くおかしいですよ。

 ロビー活動を湯本局長に聞いても答えられないでしょう。だから、NTTに来ていただいて、ちゃんと議事録も残る公式の場で答えてほしいんですよ。幾ら政治献金を自民党にしているんですかと質問しようと思ったんですよ、選挙部長にも来てもらって。NTTグループで一・五億円、だけれどもNTTと書いてある会社しか調べられないというんですよ。そうじゃない関連会社はいっぱいありますからね。NTT自体は献金できないけれども、そうやって子会社を通じて既に一・五億円は自民党さんの団体に献金しているし、こういうことがあるわけです。

 それから、二〇二一年に接待事件というのがあったんですよ、NTTが。これもなぜか、総務省の幹部の方は五年間で二十九件接待があったというのをNTT自らが特別調査委員会というのを開いて公表しているんですけれども、こんなのを何で総務省だけやるんですか。自民党の皆さんだって必ず何人かは、既に報道であるように接待されているんですよ。こういったことも何であのとき併せてやらなかったのかと、本当に私は憤りを感じます。

 NTT法を廃止なんかしちゃ駄目ですよ。NTTは電電公社のときからの資産を引き継いでいるんですよ。電柱、管路、洞道、立派な局舎、光ファイバー、メタル回線、こういったものを全部引き継いで、ユニバーサルサービスの義務を負って今やっているんですよ。GAFAMが出てきたからとかいって、それに対抗するためだとか、落選しちゃったけれども、自民党の甘利さんあたりを中心に、そういった人たちがそれを主張してやろうとしているんですよ、そこにNTTが間違いなくロビー活動をやっているわけですよ。こういったことを見過ごしちゃいけない。

 大臣も、何で今回の法律に、附則にこんなことを入れたんですか。大臣がいるうちはいいけれども、大臣が替わって、もしNTT民営化派の人が、萩生田さんとか、甘利さんの息のかかった小林鷹之さんとか、そういう人が総務大臣になったら大変ですよ、すぐ民営化されちゃいますよ。大臣、何でこれを入れちゃったんですか、附則に。是非大臣の考えを聞かせてください。

湯本政府参考人 まずは事務方の方でお答えを申し上げます。

 附則の検討の規定につきましては、昨年はNTT法の廃止を含めとございましたが、今回はNTT法の改廃を含めという規定がございますが、いずれもNTT法の改正や廃止も含めて幅広く検討するということでございます。特に、施行後三年を目途としてと今回は附則の規定がございますが、いずれにしましても、そういった法の改正や廃止も含めて予断なく様々な幅広い観点からあくまでも検討する趣旨で規定が入っているというところでございます。

高井委員 時間がなくなりそうなので大臣に聞きますけれども、私は、大臣はNTT法は廃止しちゃいけないという立場だと信じています。今回も総務省はそういう立場であれを守ってくれたと私は思いますが、絶対に廃止はいかぬと、大臣、ここで言っていただけませんか。

村上国務大臣 それぞれ考え方があると思いますが。

 NTTの在り方を含む通信政策の在り方につきましては、情報通信審議会において議論されているところであります。NTTの通信インフラは、近年、社会全体のデジタル化が進展する中で重要性が更に高まっており、今後もNTTの公共的な役割を安定的に確保する必要があります。

 このため、本年二月に取りまとめられました情報通信審議会の最終答申においては、NTTの業務に関する規律や外資規制など、現在NTT法が規定されている主な規律はNTTが担う公共的な役割に鑑み引き続き必要とされているところであります。

 NTTが公共的な役割を果たす上で今後も必要となるこれらの規律は、これまでどおりNTT法で規定することが自然であると考えております。

 このため、本法案においてはNTT法を維持することとしたものであります。

高井委員 言葉に語気があってうれしいんですけれども。

 是非、NTTのロビーの力というのを私はずっと総務省にいて目の当たりにしてきましたから、自民党の議員を巻き込んで物すごい政治力なんですよ、絶対に負けないでいただきたい。総務省にもエールを送って、質問を終わります。

 なお、この法案は我々は反対します。ここに附則があるから反対します。

 ありがとうございます。

竹内委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎です。

 さて、NTTは電電公社時代に国民負担でつくられてきました。国民生活を支える上で必要不可欠な通信インフラを引き継いでおります。ですので、現行のNTT法では、国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な確保に寄与し、もって公共の福祉の増進に資するように努めなければならないと規定しております。つまり、全国どこでも利用者が電話を使いたいと言えば電話回線をNTTが敷設しなければならないという責務を規律しているわけですけれども、本改定案ではあまねく提供責務というものが削除されるということになります。

 まず、総務省に確認をしますけれども、あまねく提供責務をNTT法から削除し、その代わり電気通信事業法において最終保障提供責務を規定するということでありますけれども、これで一体何が変わるんでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 情報通信分野では、従来サービスの中心であった固定電話の利用が大きく減少し、NTT東西の固定電話の収支の悪化が見込まれるなど、市場環境が大きく変化しているところでございます。

 このような状況を踏まえ、電話をユニバーサルサービスとして引き続き安定的に利用できる環境を効率的に維持する観点から、NTTに課せられているあまねく提供責務を最終保障提供責務に見直すこととしております。

 具体的には、NTTにおきましては、現行の制度上、利用者から提供の求めがあった場合には他の事業者が提供しているか否かにかかわらず電話を提供する責務を負う仕組みとなっておりますが、本法案をお認めいただいた場合には他の事業者が提供している地域では電話を提供する責務を負わなくなります。

 しかしながら、この場合も最終保障提供責務は複数事業者が連携してサービス提供を確保するものであるため、あまねく日本全国における電話のユニバーサルサービスの提供が確保されることには変わりはございません。

 総務省としては、引き続き誰もが取り残されずに電話のユニバーサルサービスを利用できる環境の確保を図ってまいります。

辰巳委員 改めて確認をしますけれども、NTT以外に最終保障提供責務を担う事業者がいれば、NTTがこれまで全国あまねく敷設してきた有線の固定電話を撤去して提供をやめることができる、やめてもよいということ、そういう解釈でよろしいでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案において新たに設けることとしている最終保障提供責務は、他事業者が電話のユニバーサルサービスを提供していない地域においてこれを提供する責務でございます。

 したがって、NTT東西は他に電話のユニバーサルサービスを提供する事業者がいる地域におきましてはこの責務を負わないこととなるため、このような地域におきましてはNTT東西がサービスを終了することも可能となります。

 そのような場合におきましても、繰り返しの答弁になりますが、その地域には他にユニバーサルサービスを提供する事業者がいるため、引き続き電話のユニバーサルサービスの提供は確保されることとなります。

辰巳委員 そういうことですわね。

 では、仮に、最終保障提供責務を担っていたNTT以外の指定事業者が種々の事情により電話の提供を止めることは可能ということですか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、最終保障提供責務の担い手について、自ら申請して指定を受ける事業者がいる地域ではその事業者、そのような事業者がいない地域ではNTT東西としているところでございます。

 自ら申請して指定を受ける事業者は、最終保障提供責務を担う地域において自ら申請して指定の取消しを受けることなどによって電話のサービスを終了することも可能となります。

 ただし、そのような場合におきましても、その地域ではNTT東西が最終保障提供責務を担うこととなるため、引き続き電話のユニバーサルサービスの提供は確保されることとなります。

辰巳委員 分かりました。

 ところで、あまねく提供責務の対象とされてきたのは、主に、銅線であるメタル固定電話と、〇AB―J番号、いわゆる従来の市外局番を使用した光固定電話、被災地や極端に不採算な地域で限定的に認められてきたワイヤレス固定電話ということになりますけれども、今回の最終保障提供責務の仕組みでは何が対象になるんでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、電話のユニバーサルサービスについては、有線により提供される固定電話に加えまして、NTT東西自らが不採算地域に限って例外的にモバイル網を利用して提供するいわゆるワイヤレス固定電話が位置づけられているところでございます。

 本年二月の情報通信審議会の最終答申では、NTT東西の電話のユニバーサルサービスの効率的な提供を確保する観点から、このワイヤレス固定電話について提供地域を不採算地域に限定する規律を見直すとともに、携帯電話事業者が自らのモバイル網を通じて提供する固定電話についてもユニバーサルサービスに位置づけることが適当であるとされております。

 総務省としましては、最終答申を踏まえまして、モバイル網の更なる活用を図る観点からユニバーサルサービスに位置づけるサービスの見直しを行うとともに、今後もその対象について適切に見直しを行ってまいりたいと考えているところでございます。

辰巳委員 携帯事業者が担うモバイル固定電話なども対象になってくるということでありました。

 本案は、ワイヤレス固定電話については今後、今は地域限定となっているものを緩和していくんだと。NTT東西が携帯電話網を使って行うワイヤレス固定電話に加えて、携帯会社が行うモバイル固定電話も追加するということになれば、通信の安定性やあるいは速度の面、電話の機能がこれまでのメタルなどの有線の固定電話と比べて劣る部分が出てくるんじゃないか、こういう懸念があるんですけれども、これはいかがですか。

湯本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げたとおり、本年二月の情報通信審議会の最終答申におきましては、電話のユニバーサルサービスの効率的な提供を図る観点から携帯電話事業者のモバイル網を利用した固定電話をユニバーサルサービスに位置づけることが適当とされているところでございます。

 今申し上げました携帯電話事業者のモバイル網を活用した固定電話につきましては、全ての区間を有線により提供するメタル固定電話とは設備の仕組みに起因する品質に差異があるものの、メタル固定電話の利用者が減少していること等を勘案すると、これと同じ技術基準を課す必要性は低下しつつあるとの指摘がなされているところでございます。

 その上で、最終答申におきましては、このモバイル網を利用した固定電話につきまして、通常の利用に支障を来さない一定の安定性や通話品質等を確保できる水準を検討することが適当とされているところでございます。総務省といたしましては、この点を踏まえまして、モバイル網を利用した固定電話について、ユニバーサルサービスとして利用者が支障なく利用できるよう、必要な検討を今後も進めてまいります。

辰巳委員 今の答弁だと、差は生じるんだということを認めた上で、しかし数が少ないから差は生じるのも仕方がないというような、ちょっと一見正当化するような答弁があったと思うんですけれども。ユニバーサルサービスとしての技術基準そのものがまだ課されていないということですよね。ないということですね、今現在は。

湯本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど答弁しましたとおり、今後、携帯電話事業者のモバイル網を利用した固定電話、こういったものをユニバーサルサービスとして検討するに当たりまして、技術基準も含めて必要な検討を行っていくということでございます。

辰巳委員 だから、まだ検討の段階なんですよね。これは非常に懸念されるところではないかと思うんです。

 モバイル固定電話については、ガス安心システム、お年寄りの見守りなどにも使われる緊急通報システム、ホームエレベーターやホームセキュリティー、二人以上が同時に通話できるホームテレホンや、一部のドアホンのシステムなどへの利用はできない可能性があります。また、一一〇番、一一九番といった緊急時の発信者情報通信機能が備わっていないなどの問題もあるわけなんですね。

 NTTが提供するワイヤレス固定電話の方は、確かに今はメタル回線の代替として技術基準が定められております。しかし、NTTの島田社長はコスト削減のために技術基準の緩和というものを求めているわけなんですね。その上、NTTは、これからの全国一律の通信の保障は携帯電話網を使った通信を主力にしたいという主張も行っているわけなんですね。

 問題は、メタル固定電話の回線が巻き取られて撤去された後は、採算性などの問題、事業者側の経営上の理由だけで、経営上といっても、メタルは赤字や赤字や言うけれども、全体で見ればNTTグループというのは大黒字を上げていますからね、これでどうこう言うのはどうかと思いますけれども、水準の劣るモバイル固定電話しか選択肢がなくなる地域が出て、増えていくのではないかということなんですね。ここが非常に懸念される問題ではないかということなんです。そうすると、通信の安定性あるいは必要なサービスに住んでいる地域によって格差が生じかねないということになるんじゃないかと思いますけれども、総務省、いかがですか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 本年二月の情報通信審議会の最終答申におきましては、電話のユニバーサルサービスの効率的な提供を確保するため、NTTに課せられているあまねく提供責務を最終保障提供責務に見直すとともに、モバイル網を利用した固定電話についてもユニバーサルサービスに位置づけることとしております。

 電話のユニバーサルサービスとしましては、これに該当するメタル固定電話やモバイル網を利用した固定電話などのいずれかが提供されればよいため、二〇三五年に向けて仮にメタル回線の縮退が進むということになれば、モバイル網を利用した固定電話のみが提供される地域が生じる可能性というのは確かにあるというふうに考えるところでございます。

 先ほども申し上げましたとおり、モバイル網を利用した固定電話につきましては、最終答申において、通常の利用に支障を来さない一定の安定性又は通話品質を確保できる水準を検討することが適当とされてございます。

 この最終答申も踏まえながら総務省としてはモバイル網を利用した固定電話の品質等について今後検討していくことになりますが、どのような地域であっても利用者にとって支障なく電話のユニバーサルサービスが利用できるというのは大前提でございますので、しっかりと対応してまいりたいと考えているところでございます。

辰巳委員 非常にそこが懸念されるところですよね。今は技術基準もない。問題ないと言うんだったら、今でも問題はないわけですけれども、問題があるから技術基準が必要だ、そこを満たす必要があるという議論をこれからしていくということですから、このまま進めていいのかということが非常に懸念されるというふうに思います。

 メタル回線の縮退に関わって、もう一点確認したいと思うんですね。メタル回線を撤去した場合の公衆電話についてであります。

 総務省も、公衆電話は、社会生活上の安全及び戸外での最低限の通信手段を確保する観点から、災害時優先電話であることも考慮し、電話のユニバーサルサービスに位置づけられているとしているわけですね。全国の自治体の避難所として予定されている公共施設など、約四万六千五百か所に設置されている災害時用の公衆電話もメタル回線を利用しているわけであります。大臣、公衆電話はメタル回線が撤去されてしまったらなくなってしまうんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。

村上国務大臣 辰巳委員御承知のように、公衆電話は、その利用は減少しているものの、屋外などにおきまして携帯電話を利用できない場合もあることから、社会生活上の安全及び最低限の通信手段として重要であり必要なサービスである、そういうふうに認識しております。

 そういうために、情報通信審議会の最終答申におきましても引き続きユニバーサルサービスに位置づけることが適当とされております。

 一方で、NTTは、公衆電話に用いられるメタル回線設備について、設備の維持限界を迎える二〇三五年頃を目途に縮退する考えを表明しております。

 これを踏まえまして、情報通信審議会の最終答申では、今後の公衆電話の在り方について、公衆電話を維持するためのコスト負担の在り方、携帯電話の普及の状況等の市場の環境変化、諸外国における公衆電話の位置づけなども踏まえつつ早急に検討を行うことが適当とされております。

 総務省としましては、最終答申を踏まえまして利用者にとって支障が生じることがないように丁寧に検討していきたい、そのように考えております。

辰巳委員 社会生活上の安全ということは非常に大事なもので、携帯電話が普及しようがそんなに変わるものではないと思うんですね。東日本大震災のときにも公衆電話の前に長蛇の列ができたりもしましたし、ちょうど十年ぐらい前でしょうか、誘拐された少女が公衆電話を使って一一〇番した、そういうこともありましたので、公衆電話は必ず必要ですので残す方向できちっとしていただきたいというふうに思っています。

 さて、最後になりますが、法案の附則十三条に、政府はこの法律の施行後三年を目途として、電気通信事業に係る制度の在り方について検討を加えるとともに日本電信電話株式会社等に関する法律の改廃を含めということで規定されております。大臣、改めて確認しますけれども、先ほど来ありましたけれども、今後もNTT法の廃止を含めて検討していくということなんですか。

村上国務大臣 先ほどもお答えしましたが、本法案の附則の検討規定は、本法案をお認めいただいた場合、施行後三年を目途に、そのときの電気通信技術の進展状況や利用動向等を勘案して、電気通信事業に係る制度の在り方や、NTT法の改正や廃止を含むNTTに係る制度の在り方について幅広く検討を行う旨を規定したものであります。

 本法案が成立した場合にはこれに基づき適切に検討していきたい、そのように考えております。

辰巳委員 廃止を諦めていないということだと思うんですけれども。

 昨年の法改正では附則に今国会でのNTT法の廃止を盛り込んだわけなんですが、これは結局、与党自民党の中で巻き起こったNTT株の売却、完全民営化の議論にNTTも悪乗りしたというふうに言えると思うんですね。今回は廃止については見送ったということになっているわけですが、NTTの島田社長は、残った課題もあり今の段階で廃止は無理としつつも、あまねく提供責務規定の削除は大きな一歩だというふうに評価をしているわけですね。

 NTTは、公社時代から引き継いだインフラを保有する公共性のある特殊企業であります。そのインフラは、国民生活に欠かせない電話や通信のためのものであります。昨年の法改正では、国民生活に欠くことのできない通信事業の提供のために定められた研究開発の公表の責務を削除いたしました。本法案では、電話のあまねく提供責務を廃止する。また、減少したとはいえ、国民に広く浸透し、いまだに年間で三百七十七万通も利用がある電報事業の撤退も自由に行えるようにするというのが今法改定に盛り込まれております。結局は、この間の法改正を振り返れば、課せられた責務から解放されたいという利益優先の姿勢をあらわにするNTTの要求に沿った内容と言わざるを得ないというふうに思います。

 国民生活に不利益を及ぼすような法改悪には反対ということを述べて、私の質問といたします。

 以上です。

竹内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎です。

 私は、日本共産党を代表し、電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部改正法案に対する反対討論を行います。

 NTT法は、国民の共有財産である通信インフラを承継したNTTに対し、その果たすべき業務と責務を定め、その実行に必要な担保措置を定めた法律です。ところが、昨年の法改正に続き、本法案は附則で改廃の検討を規定し、法の廃止を盛り込んでいます。

 本法案は、NTTに国民生活に不可欠な電話の役務を適切、公平かつ安定的に確保させるためのあまねく提供責務規定の削除を行います。政府は、削除の理由について、メタル固定電話の契約者数の減少と、二〇三五年に維持限界を迎え縮退するためとし、代わりに最終保障提供責務にブロードバンドとワイヤレス固定電話等を追加し、複数事業者に担わせるとしています。しかし、NTT東西が提供してきた光電話は堅調に契約数を伸ばし、メタル固定電話の契約数と合わせれば、その需要は減少したとまでは言えません。NTTは、コストを理由に有線のブロードバンドについてはカバー率を一〇〇%とはせず、ワイヤレス固定電話等についても技術基準の見直しを迫っています。総務省の最終報告書でもNTTの主張を容認しています。結果的に通信品質が劣ることになれば、電話を公平かつ安定的に提供できなくなり、国民、利用者に地域格差を押しつけることになりかねません。

 さらに、NTTの電報事業は、電気通信事業法の規定を削除し信書便法に基づく事業とすることで、撤退する自由を許すことも問題です。民営化の際に提供を義務づけてきた国内の電報事業は、減少したとはいえ、いまだ三百七十七万通の利用があります。電報事業は歴史も長く、国民に広く浸透しており、NTTの経営判断のみで自由に撤退できるようにすれば、国民の利便性に影響を及ぼすことになりかねません。

 二〇二三年度のNTTグループ全体の営業収益は十三兆円を超え、営業利益も約二兆円で、毎年連続で増加しています。NTTに課せられた電話のあまねく提供責務を削除し、電報事業からの撤退を認めることは、利益優先のNTTの姿勢に追随するものであり、許されません。

 NTTの完全民営化への布石になる本法案には反対することを述べて、討論といたします。

竹内委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより採決に入ります。

 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十八分散会


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