第4号 令和8年3月12日(木曜日)
令和八年三月十二日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 古川 康君
理事 上杉謙太郎君 理事 鈴木 英敬君
理事 橘 慶一郎君 理事 福原 淳嗣君
理事 渡辺 孝一君 理事 田嶋 要君
理事 岩谷 良平君 理事 許斐亮太郎君
浅田眞澄美君 伊藤 聡君
今岡 植君 遠藤 寛明君
岡本 康宏君 神田 潤一君
坂井 学君 坂本竜太郎君
島尻安伊子君 谷 公一君
辻 由布子君 中野 英幸君
新田 章文君 東田 淳平君
古井 康介君 前川 恵君
松下 英樹君 向山 淳君
村上誠一郎君 森原紀代子君
吉田 有理君 米内 紘正君
神谷 裕君 金城 泰邦君
中川 宏昌君 平林 晃君
うるま譲司君 高見 亮君
高沢 一基君 青木ひとみ君
武藤かず子君
…………………………………
総務大臣 林 芳正君
総務副大臣 堀内 詔子君
総務大臣政務官 中野 英幸君
総務大臣政務官 向山 淳君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 河合 宏一君
政府参考人
(総務省情報流通行政局長) 豊嶋 基暢君
政府参考人
(消防庁次長) 田辺 康彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 江浪 武志君
政府参考人
(国土交通省航空局安全部長) 石井 靖男君
参考人
(日本放送協会会長) 井上 樹彦君
参考人
(日本放送協会副会長) 山名 啓雄君
参考人
(日本放送協会専務理事) 小池 英夫君
参考人
(日本放送協会理事) 根本 拓也君
参考人
(日本放送協会理事) 中嶋 太一君
参考人
(日本放送協会理事・技師長) 寺田 健二君
参考人
(日本放送協会理事) 黒崎めぐみ君
総務委員会専門員 山本 麻美君
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委員の異動
三月十二日
辞任 補欠選任
伊藤 聡君 岡本 康宏君
谷 公一君 坂本竜太郎君
中川 宏昌君 金城 泰邦君
同日
辞任 補欠選任
岡本 康宏君 辻 由布子君
坂本竜太郎君 谷 公一君
金城 泰邦君 中川 宏昌君
同日
辞任 補欠選任
辻 由布子君 東田 淳平君
同日
辞任 補欠選任
東田 淳平君 伊藤 聡君
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三月十一日
放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
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○古川委員長 これより会議を開きます。
放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。
この際、お諮りいたします。
本件審査のため、お手元に配付いたしておりますとおり、本日、参考人として日本放送協会会長井上樹彦君外六名の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官河合宏一君外四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○古川委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。林総務大臣。
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放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
〔本号末尾に掲載〕
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○林国務大臣 日本放送協会の令和八年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要の御説明を申し上げます。
この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第七十条第二項の規定に基づき、総務大臣の意見を付すとともに、中期経営計画を添えて国会に提出するものであります。
まず、収支予算について、その概要の御説明を申し上げます。
事業収支につきましては、事業収入が六千百八十億円、事業支出が六千八百七十一億円となっており、事業収支差金六百九十億円の赤字につきましては、還元目的積立金をもって充てることとしております。
事業計画につきましては、放送及びインターネットによる情報空間の参照点となる正確で信頼できる情報の提供、コンテンツの質と量の確保、受信料の公平負担の徹底、ガバナンスの強化等に取り組むこととなっております。
総務大臣としては、中期経営計画の最終年度として受信料の適正かつ公平な負担の徹底に向けた取組を着実に進め、令和九年度以降の受信料収入と事業規模が均衡するよう、引き続き合理化に向けて取り組むこと、放送という手段に加え、インターネットを通じて放送番組を国民・視聴者に提供すること、健全な民主主義の発達に資するため、正確で信頼できる社会の基本的な情報を提供すること等を求めております。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○古川委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長井上樹彦君。
○井上参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の令和八年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明を申し上げます。
令和八年度は、経営計画の最終年度に当たります。健全な民主主義の発達に資するため、情報空間の参照点となる正確で信頼できる情報を放送及びインターネットで提供すること、そして、信頼できる多元性確保へ貢献することを基軸といたしまして、経営計画の確実な達成に向けた事業運営を推進いたします。
事業運営に当たりましては、構造改革を進めながら適切な資源配分を行い、コンテンツの質と量を確保いたします。東京渋谷の放送センターにおける新たな報道、情報発信拠点となる情報棟の本格運用を開始するなど、命と暮らしを守る報道の深化に取り組んでまいります。多様で質の高いコンテンツで公共的価値を創造するほか、国際発信の質的充実を進めてまいります。全国ネットワークを生かして地域の課題や魅力を伝えるとともに、人に優しい放送・サービスの充実にも取り組んでまいります。
受信料の公平負担の徹底を図るため、新たな営業アプローチを一層強化いたしまして、受信料収入を確保するとともに、副次収入など受信料外収入の増収確保にも取り組みます。
NHKグループ全体でガバナンスの強化を図り、アカウンタブルな経営を徹底するなど、視聴者・国民から信頼される組織運営に努めます。
また、二元体制による放送ネットワーク効率化に向けて、基幹放送局提供子会社による中継局の共同利用事業や基金による中継局共同整備への助成事業、さらにメディア産業全体の多元性の確保に貢献するための助成事業に還元目的積立金を活用いたします。
次に、建設計画につきましては、緊急報道設備や番組制作設備の整備を進めるとともに、いかなる災害時等にも安定的に放送・サービスを継続するための設備整備等を実施いたします。最新技術を導入した次世代地域放送会館を整備していく考え方に基づきまして、老朽化した地域放送会館建て替えの検討を進めていきます。
以上の事業計画に対応する収支予算は、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入六千百八十億円、国内放送費などの支出六千八百七十一億円を計上しております。事業収支における不足分六百九十億円につきましては、還元目的積立金を取り崩して補填いたします。
また、資本収支は、収入として、減価償却資金など総額千八十一億円を計上し、支出には建設費など千八十一億円を計上しております。
最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。
以上、令和八年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その概要を申し述べました。協会運営に当たりましては、公共放送の原点を堅持し、事実に基づく公平公正で正確、迅速な放送をお届けしてまいります。また、役職員一丸となりまして、事業計画の一つ一つの施策を着実に実行し、公共メディアとして視聴者の皆様の期待に応えてまいりたいと存じます。
委員各位の御理解と御支援をお願いいたします。あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
○古川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○古川委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。田嶋要君。
○田嶋委員 おはようございます。
中道改革連合・無所属の田嶋要でございます。どうぞよろしくお願いします。
NHK予算ということでございますが、私は、「映像の世紀」を始め大変好きな番組がございまして、「バタフライエフェクト」、始まる音楽から最後の音楽まで大好きでありまして、ああいうのを見ていると、本当にこれはお金を払う価値もあるし、是非頑張ってもらいたい。相当な情報収集力というか映像力、本当にすごいなと思っております。
だから、そういう価値を本当に大事にしていただきたいし、是非NHKの皆さんは頑張っていただきたいと、まずはエールを送りたいというふうに思っております。楽しみにしておりますので、毎回。
と申し上げながら、質問に入らせていただきますが、ちょっと通告なしで二点ほどお伺いしたいと思います。
昨日も私どもの部会で話題になりました。ワールド・ベースボール・クラシックですか、WBCがNHKで見られないというテーマがございまして、これは通告なしでもお答えは十分いただけると思うんですが、まず一点目は、これは今年のみの事象なのでしょうか。多くの方々が、NHKとかで大谷選手、何も見られない、ええっということになっているわけでございますが、これは今年のみなんでしょうか、それとも、来年以降も余り希望が持てないんでしょうか。いかがでしょうか。
○山名参考人 お答えいたします。
今回の事案に関しまして、基本的に今年に関してはということでございまして、この後どうなるかというのはまたこれからのことということだと思います。
○田嶋委員 もちろんそれはそうなんですけれども、お金で独占放送権をネットフリックスさんが取られたということになると、来年以降も、結局はお金の戦いという理解になるんでしょうか。そうなると、余りNHKには、勝てる見込みがあるのかどうか、どうですか、見通しはどう考えていらっしゃるんですか。
○山名参考人 お答えいたします。
NHKとしましては、スポーツ文化の振興に貢献していくため、あるいは国民の皆様の関心の高いスポーツイベントを何とか広く視聴できる環境の整備というものに取り組んでまいりたいと思っておりますし、当然それにはコストのかかることですので、限られた予算の中で努力していくということかと思います。
○田嶋委員 国民的な番組というか、みんなが楽しみにして、それこそこの間のオリンピックも一緒ですけれども、今後、結局、お金をいっぱい払えるところがどんどん独占権を持ってしまう、こんなことになるのが本当にいいのかなという感じがしておりますので。
そこで、大臣にお尋ねしたいのは、そういう事象が発生して、これは私は、ある意味、放送対配信ということの大きな分水嶺のような事件だというふうに感じているので、後の質問につながるんですが、UA権というか、ユニバーサルアクセス権というのがあるそうで、イギリスなどは、そういった権利を守るために、国民的な人気の番組とか、それこそオリンピックやWBCのようなものは、誰でもアクセスができるように担保するような世界もあるそうなんですね。そうなってくると独占権をネットフリックスが持てないみたいな、そういうことが保障されるのかなと思っておるんです。
こういう事態は、恐らく、私がかつて総務委員会にいた二十年前も、放送と通信の融合みたいなことを言われていましたよね。だから、配信の世界にだんだん世界は移ってきているし、私はNHKは結構見るんですけれども、私の子供たちは一切見ないんですよ。そういう世代断絶というのもあるような気がする中で、またここも後手に回り過ぎているんじゃないかなと思うんですが、このユニバーサルアクセス権みたいなことに関しての議論というのは、総務省の中で始まっているんですか。
○林国務大臣 今委員がおっしゃったように、放送分野は、テレビ離れ、広告料の収入減少ということに直面をしております。
我が家も、テレビはもう見ないんですね、子供は。テレビに向かって見ているなと思ったら、ユーチューブから飛ばしていた、こういうことでございまして、やはり、若い方は余りテレビを見なくなったというのはよく聞く話でございまして、こうした社会環境の変化に直面しておるのは事実でございます。
やはり、放送メディアの収入も、二〇〇七年度に四兆七百四十億円とピークだったんですが、その後、直近、そこから十七年たって、二〇二四年度ですが、三兆五千八百九十八億円と減少傾向。これは恐らく今後も続くんだろうというふうに思っております。
WBCは、たしか四年ぐらいに一回ですから、来年は少し、準備とか、いろいろ考える時間はあるのかなとは思いますけれども、ユニバーサルアクセスというものがヨーロッパではあるということでございますが、総務省では、有識者会議を開催いたしまして、放送制度の将来像について検討してきております。有識者間で御議論をしっかりいただいて、必要な取組を進めてまいりたいと思っております。
○田嶋委員 WBCは、来年はまだ一年ありますので、是非こういうことが繰り返されないようにお願いしたいと本当に切に願いますし、ボクシングの、有名な井上さんなんかの番組も独占権があるみたいなので、だんだんこういう世界が当たり前になってくるんじゃないか。そうなると、放送って何だろうというふうになってくるような気がします。
先ほど、UA権というのをメモを取っておられたようでございますが、是非、まだ盛んに総務省の中で御議論がないのなら、やはり遅れてしまっている。
常日頃から、今日全体に通じるんですが、こういう放送の厳しい状況というのは、私が総務委員会にいた二十年前もいろいろ議論があったので、この二十年間で何をやっていたのかなという感じも少しするんですね。大変厳しい状況にもう既に追い込まれてる。今日の六百億、四百億のテーマも、その中で出てきた一つの苦肉の策ではないのかな、そんな印象がございますので、是非、ユニバーサルアクセス権も含めて、それだけが唯一の正解ではないと思いますが、御検討をお願いしたい。
それで、質問通告を大臣にしておりましたが、今後の放送というビジネスモデルそのものが、要するに、リアルタイムは大事なんですが、日本中が同じタイミングでしか見られないというのと配信だと、私はどう考えても、それがコマーシャルに基づこうが受信料に基づこうが関係なく、明らかに配信ビジネスの方が付加価値が高いというような印象を持つわけでありますね。それは二十年前からそう思っていました。だから、この先も余り希望が見えないというか、苦しいなと。「映像の世紀」は見たいけれども、配信で見ちゃうんじゃないかというふうな感じが、私よりも若い世代になるともうそれが当たり前。ブロードキャスティングって何ですかという、そんな感じもしてくるんですが、大臣はどう見ていますか。
○林国務大臣 まさに今委員がおっしゃったように、ブロードキャスティング、放送ということでありまして、有識者会議で御議論していただいておりますので、余り私から、こちらがこうだああだと言うつもりはございませんが、やはり、同時にみんなが見るということは、例えばニュースなんかにおいては、後でこのニュースを配信で見ておこうかなというのは余りないと思うんですね。
したがって、ニュースのような、同時に皆さんが見るということに非常に意味があるようなことと、それから、「バタフライエフェクト」のような、ああした、多少、一週間後で見ても、いいものはいいという、いわゆるコンテンツといいましょうか、そういうものとか、いろいろ中身によって区々なんだろうなというふうに思っております。
少なくとも、報道のようなものについて、放送がなくなっていいということにはならないということの一つの、ある意味でコンテンツじゃないか、そういうふうに思っておりますが、そういうことも含めて、しっかり有識者会議で議論していただきたいと思っております。
委員がこちらにおられた頃は、まだ配信よりはスマホですね、こっちとどうなのかという議論があって、いろいろなことが新しく出てくる、どんどん新しいものが出てくる。こうしたことも、少し将来を見通して、しっかり議論をしていただければと思っております。
○田嶋委員 役所や有識者の検討はもちろん大事なんですけれども、私が常日頃思うのは、こういうことを大体日本は、欧米で動きが出てから相当タイムラグを持って日本にもやってくる話が多いので、これは、それこそ大使館にいろいろな役所の人、総務省の人も大勢いらっしゃっていると思うんですね。そういう方々の世界の動きを察知するアンテナが僕は非常に大事だと思います。
こういう動きが起きているぞ、ユニバーサルアクセス権なんという権利がヨーロッパではあるそうだぞ、そういうところをやはり速やかにキャッチして、それを本省に上げて、日本でもやがてはこういうウェーブが来るなということで議論をしないと、何かやっていることが全部後手後手に回っているような、そんな感じをいたします。
もう一点大臣に、これも答弁はしにくいかもしれませんが、放送の世界の地上波のチャンネルの数も、今後今のような体制がずっと続けられるのか。今回もいわゆる民放を応援するような内容でありますけれども、共に、応援する方もされる側も一緒に沈んでいくような風景が私は見えるんですけれども、チャンネル数に関してはやはり死守ですか。どういうふうに考えているんですか。これも何も言えないですか。
○林国務大臣 なかなか厳しい御質問でありますが、地上波の民間テレビ放送事業者の数、百二十七社でございます。これは一九九九年以降変わっておらず、放送の多元性、多様性、地域性の確保にもつながっていると考えております。
放送を取り巻く環境については、先ほど御議論させていただいたとおりでございます。有識者会議を開催して、放送制度の将来像についてしっかりと検討してもらいたいと思いますし、その議論、お願いしますというだけではなくて、今委員からございましたけれども、諸外国でどういうことが起きているのか、それにどう対応しているのか、現地に人がいなくても、昨今はいろいろ情報の取り方がございますので、逐一、有識者の方もそういうことはよく御存じだと思いますけれども、情報がきちっと補完できますように努力をしてまいりたいと思っております。
○田嶋委員 私も、ローカルな情報というのは結構面白いなと思っていて、全国紙と比べたローカル新聞、全国ネットと比べたローカルチャンネルというのも、やはり非常にミクロな、面白い番組とか記事がいろいろ出ているので、評価をしているんですね。
ただ、今の大きな流れ、今回のワールド・ベースボールを契機とした一つの象徴的な事件、この流れは僕は止まらない、だからこそ、本当に世界にもう少しアンテナを張って、ほかの国はどういうふうにして放送から配信への流れを、対応しているのかということに、もう少しタイムリーな動きを取っていただかないと、じり貧になるのかなということを懸念をいたしております。
次に、御質問ですが、総務省ですが、大事な背景として、今回のようなNHKの動きの背景として、二二年の法改正で努力義務になった、二四年の法改正では協力義務として強化をされたということですが、民放が難視聴解消の措置に関する協議を求めた場合の、その協議に応じる義務がNHKにはあるということなんですが、これはあくまで協議に応じる義務であって、協議に応じた結果、協力しないということはあり得るという理解でいいんですね。
○豊嶋政府参考人 お答えを申し上げます。
令和六年の放送法の改正におきまして、NHKは、国内放送の業務を行うに当たっては、業務の円滑な遂行に支障のない範囲内において、民間放送事業者が行う難視聴解消措置の円滑な実施に必要な協力をしなければならないことというふうに改正をされました。
あわせまして、その協力内容を具体化する観点から、NHKは、民間放送事業者から難視聴解消措置に関する具体的な内容に関する協議の求めがあった場合については、当該協議に応じなければならないということが規定をされております。
最後の御質問のあった点につきましては、その協議の結果、NHK及び民間放送事業者との間で、協議内容の結果に応じて、その範囲内において必要な措置を実施するということになっておりますので、あくまでも協議の結果でございます。
○田嶋委員 十分理解されていればいい、私なんかのような外の者じゃなくて、皆さんの間でね。時々、書かれていることが曲解されて独り歩きするということは過去にもあったわけでありますが、これはあくまで、義務は、協議にちゃんと応ずる義務であって、協議の結果、何か民放をNHKが救済する義務があるとか、そういうことでは全くないということを改めて確認をしたいというふうに思います。
続きまして、今回、具体的な策として、いわゆる小規模中継局というのがあるわけでございますが、一個飛ばしまして、要は、四百億円という大きなお金をNHK財団というところに入れる。これは、言ってみれば寄附ですね、出捐という、余り聞かない言葉ですが、これは寄附だということでありますけれども、この財団に四百億寄附をすると。その寄附が、民放やNHKの小規模中継局に関して、何か共有化をしていく、共通化をしていくことで双方にとってコスト削減につながるようなメリットがあるということのように今回理解をいたしております。
四百億円はNHKから出ていきます。その後、具体的にどこかの地域の中継局に関してどのような支出を伴う行為が発生する場合に、今度は四百億円を受け取ったNHK財団は、例えばどういう金額をどういう比率で、そうした小規模中継局の、建設なのか保守、運営なのか分かりませんけれども、どういうふうにやるのか。民放側はどういうお金を出すのか。その辺の具体的なイメージをお知らせください。
○小池参考人 お答えいたします。
財団に出捐する四百億円でございますが、NHK財団に設立します基金に出捐して、中継局共同整備に経費助成することを想定しております。
助成率につきましては、このNHK予算の国会での承認を受けた後に、総務大臣の認可を得て確定することになりますが、今のところ、この中継局の共同整備、更新に当たる経費の五分の二を助成することを想定しております。
あわせて、将来にわたる放送ネットワークの維持に向けて、ブロードバンド等代替などの新たな伝送技術の開発、導入促進などについても助成することを見込んでおります。
○田嶋委員 それはいいんですけれども、私がお伺いしているのは、五分の二は助成しますと。残りの五分の三は誰が負担するのかというところを具体的に教えてくださいということです。
○小池参考人 お答えいたします。
これは、小規模中継局の共同整備の場合、各放送局が更新していきます。ですから、五分の二はこのNHK財団に設立する基金から助成しますが、残りの五分の三につきましては、各放送局がそれぞれの予算で負担するということを想定しております。
○田嶋委員 ということは、NHKの小規模中継局だったら残りの五分の三はNHKが出すし、民放の中継局だったら残りの五分の三は民放が出す、そういうことを言っているんですね。
ということは、あくまで、中継局は独立してそれぞれ存在し続けるという意味ですか。それとも、共同中継局という、物理的に共同中継局という形で、五分の二は財団から来るけれども、残りの五分の三をNHKとどこかの民放の系列の親会社がぼんと出す、そういうスキームはあり得るんですか。
○小池参考人 お答えいたします。
小規模中継局の場合は、それぞれの放送局が更新していきますので、更新時期を迎えたときに更新する際には、五分の三というのはそれぞれの放送局が負担する、そういう枠組みは想定しております。
○田嶋委員 だから、それぞれが負担するのはいいんです。五分の三をNHKが全部出す場合、民放が全部出す場合もあるけれども、一つの物理的な小規模中継局自体を両方が共有して活用するというのは、技術的にできるのかどうかは知りませんよ、だけれども、そういうやり方があり得るのか。その場合には、残りの五分の三は、民放も例えば半分出すけれどもNHKも半分出す、そういう形で今後使われていく部分もあるんですかという質問です。
○寺田参考人 お答えします。
今回のスキームの助成の対象は、民放とNHKが共同で建てている放送所、送信機が共同で、造っている、そういうものを対象にして助成しますので、全体にかかる額の五分の二は基金が出すけれども、五分の三はNHKと民放でそれぞれの波数で分担するという形……(田嶋委員「それぞれの何」と呼ぶ)波数です。チャンネル数です。NHKは総合テレビとEテレがありますが、民放は一波一波ですので、そこで分担するという考えです。(田嶋委員「按分」と呼ぶ)按分です。
○田嶋委員 では、最初の答弁はちょっと変ですよね。NHKだけの中継局とかそういう話をしていなくて、今回、財団が五分の二を出すのは、今の御答弁だと、民放とNHKが共同で利用するケースのみという理解でいいんですか。何かおかしいですよね。
○小池参考人 お答えいたします。
今、寺田からお答えしましたけれども、助成するのは共同で整備している小規模中継局でありますけれども、その更新を、五分の二はNHK財団から基金として助成しますけれども、五分の三の残りにつきましては波の数においてそれぞれの放送局が分担する、そういうふうな枠組みを想定しております。(田嶋委員「NHKも含めてですね」と呼ぶ)ええ、もちろんでございます。
○田嶋委員 最初からそういう答弁をいただきたかったと思います。
その意味では、民放だけで所有している中継局に五分の二を財団が出すということはないということで、常にその中継局は、民放とNHKが、波の数は違いますけれども一緒に使うということで、その一緒に使うというのは、今でも一緒に使っているという意味ですか、そこは。それはそういうことなんですね。
○寺田参考人 お答えします。
小規模中継局の大部分は一緒に建てているものなんですが、地上デジタル放送が始まったときに共同で建てられなかったものもありますので、その部分で、仮に共同で建て直すことになったら、そこには助成が入ります。
○田嶋委員 NHK自身にもメリットがあるんだなということは理解をいたしましたけれども、しかし、冒頭申し上げたとおり、特に若い世代になればなるほど余りテレビを見ない、大臣もそのようにおっしゃいました、そういう大変大きな社会の流れの中で、お金を四百億出す方も、お金を四百億もらう方も、何かどっちも沈んでいくような、申し訳ないですけれども、非常に懸念もあるということを申し上げさせていただき、引き続きこれはウォッチしていかなきゃいけない。国民の受信料から原資があるわけでございますので、非常にそこは心配な部分もあります。やはり配信に関しての打ち手が遅過ぎたというのが、私は根本的な失敗ではないかなというふうに思っております。
次に、こういった設備の共有化というのは、普通、よくコスト削減につながるというわけでございますが、私は今回、一問質問を飛ばしますけれども、少し提案をさせていただきたいと思うんですね。
それは、ドクターヘリというのがございまして、最近新聞で、ドクターヘリが飛ばなくなった地域、東京都なんかもそうだと思うんですが、ヘリの整備ができなくて飛ばないと。人命に関わるようなこういういい制度が残念ながら運用できないというのは衝撃的な話でありました。
そこで、私はちょっと思ったのは、ドクターヘリは人命に関わるけれども、総務省の所管である消防もやはりヘリコプターを飛ばしているわけで、これは仕事が重なる部分はないのかな、ヘリコプターの運用として無駄はないのかなと思ったわけでありますが、その中で連想したのが、NHKという公共のブロードキャスティングも取材でヘリコプターをいろいろ飛ばしているということで、私は、この中継の今回の問題、双方にメリットがある形でコストの合理化を行えるのであれば、ほかの分野に関してもやはりいろいろと考える必要があるのではないかというふうな問題意識を持っております。
物の本によりますと、統合コスト、統合していくことで十年間で三百八十億円ぐらい節約できるという話もあります。もっと言えば、例えば警察のヘリ、それから海上保安庁のヘリまで含めると、今の三百八十億円は十年間ですが、十年間で一千五百億円ぐらい、国民の税金なんでしょうか、あるいは受信料かもしれませんが、節約できるというような説もあるんですね。
これは私は検討しない理由はないと思っておるんですが、今どのぐらいのヘリコプターをNHKさんは所有されているか、そして消防は保有されているか、そしてドクターヘリは厚生労働省、その三つ、続けて御答弁ください。
○山名参考人 お答えいたします。
NHKの取材ヘリコプターにつきましては、十二基地、十四機の体制で全国をカバーしているところでございます。十二基地とは、札幌、仙台、新潟、東京、静岡、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、鹿児島、沖縄となります。
NHKの取材ヘリの運航は、民間の航空運送事業会社に整備も含めて委託しているところでございます。十四の機体全てが委託先の所有となっております。
○田辺政府参考人 消防防災ヘリコプターについては、令和七年四月一日現在、全国に七十七機が配備されております。
○江浪政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省の補助事業で支援をしておりますドクターヘリは、現在、四十六都道府県で五十七機が配置をされております。
○田嶋委員 人命に関わるドクターヘリが飛ばせなくなった東京都はこれからどうするのかなという心配もあるんですね。だから、これは最初はドクターヘリで起きたけれども、やがては消防のヘリコプターも、整備ができないとか、そういうことがあり得るのかなというふうに感じたわけでありまして、私は、こういうときは一つの契機としてアクションを取るべきだと思いますね。そうしないと、また後手に回って、本当に、あらゆるヘリコプターが整備不良というようなことになっちゃいけないというふうに思っております。
そういう意味では、大臣にお尋ねしたいんですが、これは、やって無駄かもしれませんよ、検討した結果無理だという結論、恐らく、既存の、それぞれの縦割りですからね、できない理由がいっぱい返ってくるから、政治家も頑張っていただきたい、大臣も頑張っていただきたいと思うんですが、民放と中継の共有化ができるなら、例えば報道のヘリだって、私が調べたところ、民放には大体五十から六十機飛んでいるんです、ヘリが。NHKより多いですね。だから、まず、民放とは一緒にできる部分はないのか。
そして、今申し上げた消防やドクターヘリや、一緒に統合することができる部分がないのか。整備も、重整備という、何か、聞くところによると、一年間の間に三か月ぐらい、ドックに入る整備らしいのですね。そういう重整備もあって、重整備と定期整備と、一番軽い日々の整備と、三段階か何かあると言われておりますが、こういった部分に関しても、やはり例外なく検証していただいて、どうなんだという結論を出すようなことをされた方が。
どちらにしたって、民放だってNHKだって財政は苦しいですから、これはやらない理由はないと私は思っておりますが、最後、大臣、御答弁をお願いします。
○林国務大臣 ちょっと御通告もなかったので、今聞いておりまして、なるほどなと思うところもあって、今委員がおっしゃっていただいたように、それぞれ運転する人は要るし、それから整備の体制も要るしということで、それだけ、じゃ、今空いているから、消防の方がドクターヘリに行ってくれ、そういうふうに、空いているところがどれぐらいあるのかということも多分あるんだろうなというふうに思っております。
特に逼迫しているようなところ、地域的に偏りがないのかとか、いろいろなことを考えてみる必要があると思いますけれども、せっかくヘリコプターはあるんだけれども、これは人のなので格納庫にありました、人もいたのに、なるべくそういうことがないように、いろいろな横串を通すことをちょっと勉強しなきゃいけないな、そういうふうに聞いておりました。
○田嶋委員 ありがとうございます。
終わりにしますけれども、一説には、日本は先進国でヘリコプター整備の分散度が世界一高いという話もあるんですよ。縦割り国日本ですからね、十分想像に難くない。こういうこともやはり一個一個検証して、現場の仕事の方々は、面倒になりますから、やりたくないという理由をいっぱい並べてくると思うんですよ。
だから、それはやはり政務三役が入っていただいて、本当にこれはできないのか、安全性を犠牲にすることなくと。ただ、片っ方で、ドクターヘリが止まっているんですから、人の命が脅かされているという面もあるから、だから私は検討する価値はあるのではないかと最後に申し上げまして、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○古川委員長 次に、神谷裕君。
○神谷委員 中道改革連合・無所属の神谷裕でございます。
本日も質問の時間をいただき、本当にありがとうございます。
今ほどの質問を聞いておりまして、私も御通告していないのですけれども、一問だけ聞かせていただきたいと思います。
井上会長にちょっとお伺いをしたいのですが、先ほど、ワールド・ベースボール・クラシック、WBCについて、次回は果たしてNHKで見られるのかというお話がございました。
先ほどの答弁では、分からないような、そんなお話でございましたけれども、今の田嶋理事のお話を聞いていても、この先の放送、NHKのことを考えたときに、果たしてこれが見られるか見られないかというのは一つの大きな事象じゃないかなと思っていまして、いわば放送、テレビと、インターネットというのか配信の世界、今、この世界の競合の中で、NHKがしっかり残っていくんだ、勝っていくんだとなったときに、このWBCが次回見られるかどうかというのは、本当に、実は大きな象徴のような気がするんです。
会長から、是非この辺の、意気込みというと変ですけれども、絶対見られるようにするんだみたいなお言葉をいただけたらありがたいのですけれども、いかがでしょうか。
○井上参考人 お答えいたします。
NHKとしては、スポーツの文化に貢献していくということは非常に重要な、これまた役割だと思っています。先日のミラノ・コルティナ・オリンピックも、まさに、国民の期待と希望を集めたような大会になりまして、大変よく見られました。
ただ、放送権料というのがありまして、これは一方で相当高騰しております。この放送権料に係る経費を抑制しながら、今申し上げましたように、スポーツ文化、あるいはそれを期待する国民の皆さんの声に貢献していくために、国民の関心の高い、今度のWBCもそうですけれども、スポーツイベントを広く視聴できる環境の整備に取り組んでいきたいというのが私の決意でございます。
○神谷委員 率直に申し上げて、もう少し意気込みを聞きたかったなという思いがいたしています。
NHKはしっかりと頑張っていくんだという一つの象徴みたいなものだと思って、その辺の心意気を聞きたかったというのが本音でございまして。
どうですか、もう一言言われますか。
○井上参考人 お答えいたします。
六月にサッカーのワールドカップがあります。これについては、先ほど申しました放送権の問題はクリアしていまして、これはBS4Kも含めて全試合放送する、日本の試合については地上波でも放送するということで、今準備を進めているところなんですね。
WBCとは違いますけれども、アメリカ大リーグ、MLBの関心も選手の活躍で非常に高くて、これも四月から相当力を入れてやってまいりますし、次の夏季五輪、冬季五輪についても放送は確実にできるような体制になっています。
ただ、その後の、将来にわたってというところになると、先ほどから議論ありますように、このお金をどこがどれだけ賄うのか、しかも、ネットフリックスなど配信系のそういった拡張がこのところ激しいものですから、これとの競争の中で、受信料の使い道としてどれぐらいの経費が出せるのかも含めて検討していくことになろうかと思いますけれども、私個人というか、NHKとして、こうしたスポーツのビッグイベントというのは、スポーツの振興に限らず、冒頭申し上げましたけれども、NHKの使命である、国民のためというか、国民の生きる力になるというイベント、コンテンツであると思っていますので、何とか努力していきたいというふうに思っております。
よろしくお願いします。
○神谷委員 是非、NHKとして国民の期待に応えていただけるように、重ねて、これはお願いというよりは激励を申し上げたい、このように思いますので、よろしくお願い申し上げます。
さて、質問に入りたいと思います。
今回のNHKの収支予算についてなんでございますけれども、まず確認をしたいのは、決算の状況ということなのかなと思っています。
昨年の十一月に、四から九の、上半期のというか、中間決算を公表されておりましたけれども、これは厳しい数字じゃないかなと私自身は思っていました。
そういう状況の中で、二〇二六年度NHK予算、これを審議するに当たって、昨年、二〇二五年度の決算の見通しについてまずは伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○中嶋参考人 お答えさせていただきます。
二〇二五年度の予算は、事業収支差金の四百億円の不足を想定いたしまして、経営計画に基づいて、還元目的積立金で補填する計画といたしております。
今御質問の中にありました二〇二五年度中間決算における事業収支差金なんですけれども、これは八十四億円となっておりますが、事業支出は年度後半に進捗する事項もございます。通年では事業支出が事業収入を上回る見込みでありまして、その結果として、二〇二五年度の事業収支差金は四百億円の不足になるということを想定しておりまして、当初の予算の計画どおりの着地となる見通しであります。
このうち、受信料収入につきましては、現在、下げ止まりを目指して取り組んでおります。受信料を長期にわたってお支払いいただいていない未収の世帯や事業所に対する支払い督促を強化しておりまして、御質問のありました二〇二五年度の決算に向けて、こうした取組を役職員が一体となって進めているところであります。
○神谷委員 ありがとうございます。
当初から赤字決算というか赤字で収支を見ているということは十分承知をしているんですけれども、その中で、やはり本業の部分、一番メインの収入であるところのいわば受信料、この受信料収入というところがやはり気になるわけでございます。
事業収入については、今回、受信料収入を五千九百十億円と見積もっておられます。これは昨年に比して百九億円の増となっておりますけれども、この間、今おっしゃっていただいた訪問によらない営業、そういった、営業というのか収受というのかが成果を上げているのかどうか。これは前田会長の頃からだったかなと思うんですけれども、果たしてもうこれが成果を上げているのかどうか。まずは評価を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○小池参考人 お答えいたします。
従来の巡回型訪問営業を廃止しまして、デジタル、書面、対面、外部企業等との連携など様々な施策を組み合わせた新たな営業アプローチへ営業手法を転換したことで、営業経費が削減され、視聴者からの苦情も大幅に減少しております。さらに、自主的な契約が増えたことで、請求に対する収納率が向上するなどの効果も出てきております。
百九億円の増収は、継続してお支払いいただける方を増やすことで受信料の請求に対する収納率を改善するとともに、長期にわたって受信料をお支払いいただいていない未収の世帯や事業所の対策を強化することで確保する計画でございます。
書面、対面、デジタルなど様々な接点を通じて受信料制度の意義や公共放送の役割を丁寧に説明して、受信料の公平負担を徹底してまいりたいと考えております。
○神谷委員 やはり本業のところの受信料をどうやって集めるか、これは非常に重要な問題だと思うんです。
今、いろいろな手段で理解を得てということでございましたけれども、こういった皆様方の努力によって、果たして実際に収受率というのか徴収率というのかが上がったのかどうか、やはりここは気になるところでございます。
ただ、昨年の中間決算のときの会長のコメントですけれども、受信料収入そのものは底打ちが確認できないみたいなコメントもあったというふうに実は記憶をしております。
そんなこともあるものですから、改めて、そういったこれまでの改編というのか改革が成果をきちっと上げているのかどうか、ここについてもう一度確認させてください。いかがですか。
○小池参考人 お答えいたします。
現在、NHKでは、本部に受信料特別対策センターを設置して、支払い督促による民事手続を含めた未収対策を強化しているところでございます。
昨年十一月に民事手続を強化することを報道発表してから、長期にわたって受信料をお支払いいただいていない方々からの支払いに加えて、インターネットを通じた新規契約の申出も、前年度の同時期と比べて二倍近くの実績となっており、着実に効果が表れていると認識しております。
最終的には決算でお示しすることになりますが、支払い督促による民事対策の強化が支払い率の向上にプラスの影響を与えていると認識しております。
○神谷委員 ちょっと意地悪な見方をしますと、この間、徴収率というんですかね、支払っている方々は大体七七%だというふうに聞いております。実は、この七七%というのはそんなに動いていないですよね。昨年、一昨年、あるいは今回を含めてほとんど変わっていないというのが現状だと思うんです。
今のお言葉を聞きますと、確実に上がっているんだという評価なんですけれども、でも、この七七%というのは変わっていないということになるわけです。では、上がっているのか、この七七%を見ていると現状維持なのか、どっちなんですか。いかがでしょうか。
○小池参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げました未収の方々への対策、これを講じていることで、今、支払い率の向上につなげたいと考えておりまして、最終的な数字というものは決算でお示ししたいと考えております。
○神谷委員 それでは困るんです。今日実際に審議をしているわけですから、決算見るまで分かりませんというのではちょっと困るので。
実際、七七%というのは変わっていないです。今ほどお話しいただいたのは、確実に上がっているんですというお話です。実際、この本業の部分がどうなっているのか、いわば一番屋台骨の部分がどうなっているか、ここをお知らせくださいということです。
○小池参考人 お答えいたします。
支払い率につきましては最終的な数字を見ないとお示しすることはできないのですが、先ほど申し上げました、例えば未収の方々、一年以上契約をしているけれども支払っていただけていない方々の払込額を見ますと、二〇二四年度は七・六億円だったのに対して、今二〇二五年度の一月末までの実績で申し上げますと十四・八億円と、対前年比で二倍の数字になっております。また、インターネットの取次ぎに関しても、一月末での業績というものは、二五年度は四・五万件ということで、対前年比一七八%になっているという数字を今お示ししたいと考えております。
○神谷委員 私は、別にここはごねるところでもないと正直思っているんですけれども、未収の部分が上がっているんだということでございましたので、本来であれば、それを今までの率に加えて、上がってこなきゃいけない、いわばオンされなきゃいけないわけですが、現状で見ていると維持なわけですよね。ですから、ある意味、一方で上がっている部分があるとすれば、どこかでダウンしている部分がなきゃいけない、だから維持なわけですから。
ということは、徴収率が上がっているという状況でも決してないのかなと思っておりまして、そこをやはりちゃんと見ていかないと、この先、何せ本業の部分が、屋台骨が崩れかけてしまうと大変なことになりますので、そこは正確に分析をしていただいて、そして、しっかりやっていただかなきゃいけないものですから。
かつ、今七七%ですけれども、やはり最終的には一〇〇%を目指さなきゃいけないというふうに当然のことながら思うんです。とするならば、七七から、ここから一〇〇に持っていくために次はどういう施策を打っていく考えがあるのか、それについて伺いたいと思います。
○小池参考人 お答えいたします。
受信料の支払い率を向上させていくためには、多くの方々にNHKの放送サービスに触れていただき、納得して受信料をお支払いしていただくことが重要だと考えております。
昨年十月から始まりましたNHK ONEは、テレビを持たない方でもインターネット上でNHKの正確な情報や豊かな番組コンテンツに触れていただけるサービスでございます。このNHK ONEやNHKオンデマンドなどのインターネットサービスを含めて、NHKの公共的価値を視聴者の皆様にお届けしていくことが新たな契約の増加につながっていくものと考えております。
これに加えて、デジタル接点の拡大やインフラ企業等との連携、外部データを活用した文書対策を強化することで自主的な契約の届出を増やしていき、支払い率の向上に努めていきたいと考えております。
○神谷委員 ありがとうございます。
先ほどからやり取りをしておりまして、現状で七七%、ほぼ変わらないという状況の中で、今、一応、未収の部分を、取り立てると言うと変な言い方かもしれないですけれども、お支払いをいただくことで、いわば現状維持を何とかやっているというような状況じゃないかなというふうに正直思いました。だとするならば、この先だんだんだんだんその未収の部分も減っていくわけでございますから、そうだとすると、この後しっかり手を打たないと、七七%から上がるどころか下がることしか想定できないと思うんです。
今、やはりNHKの本業というか一番の屋台骨は受信料でございますから、今のうちからどうやったら向上できるかという具体的な手段をしっかり考えていかなきゃいけないんじゃないかと改めて思ったところでございますし、その上では、当然、コンテンツの魅力であるとか、あるいはNHKの意義、これを説明していただくということは重要なことだと思いますけれども、いかんせん、それであっても、現状で今この数字であることは間違いないと思います。
皆さんの努力が足りないとは決して思っていません。むしろ、皆さんはしっかりと努力をされているけれども、結果として今の受信料、七七%でもある意味立派なものかもしれません。そういう中において、この受信料で果たしてどう考えていくのか。この先、上がっていくのか下がっていくのかもそうなんですけれども、本業の部分が、屋台骨が崩れてくると大変なことになりますので、今のうちからやはりしっかりと考えていただくこと、このことを改めて申し添えたい、このように思います。
その上で、次の質問に移りますけれども、物価やコストの上昇は、当然にしてNHKの収支予算においても影響があるんじゃないかと推測をされるところでございます。予算や事業計画を拝見しますと、コスト削減で令和八年度はしのぐおつもりのようですけれども、早晩何らかの措置が必要になるのではと考えます。
その場合、受信料の改定、いわば本業の部分で稼ぐのか、あるいは、ほかの副次的な事業で稼ぐのか、そういったことがやはり考えられると思うんですけれども、そういった収入拡大の施策について、もう既に検討がなされているのかどうか。
あわせて、昨今の物価上昇について、こういった物価上昇が何らかNHKの経営に影響を与えているかどうか、これについて伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○小池参考人 お答えいたします。
長期的な視点で物価高騰の影響を見越した経営は重要だと考えておりまして、現在の経営計画においても、NHKを取り巻く環境の変化やインフレ影響などに機動的に対応することを考慮して、業務の運営に当たっては、修正も加えて実行してきております。
NHKには、放送法に基づいた公共的な使命、役割があり、それを果たし続けることが求められております。そのためには、経営資源が限られる中、受信料収入を確保するとともに、コンテンツの利活用による副次収入なども含めて、受信料以外の事業収入も確保して、効率的、効果的な業務運営を行っていく考えでございます。
社会や経済の状況が変化していく中でも、視聴者・国民の皆様の期待に応え、NHKの使命、役割を果たし続けていくためには、従来のやり方にとらわれない、幅広な検討が必要だと考えております。放送サービスを持続可能なものにすることが重要だと考えておりまして、次期経営計画の中でしっかり検討してまいりたいと思います。
○神谷委員 先ほどの田嶋理事のお話にもありましたけれども、今からもう次の収入というか、やはりしっかり考えていかなきゃいけないんだろうと思いますので。そういった意味で、先ほど、本業の部分の受信料についてはちょっと厳しいのかなという感じもあります。副次収入のところをどうやって充実させていくのかについても、先ほどお話があったとおりでございますので、しっかり考えていただきたいと思います。
ただ、もう一方、事業支出を拝見しますと、給与費が十七億円の削減となっております。普通に考えれば、賃金上昇のこの局面で、増加することはあるけれども減るということはなかなか考えにくいんじゃないかなということなんですが、どういう事情なのか伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○黒崎参考人 お答えいたします。
給与費の予算額につきましては、要員数の減少に伴って減少傾向にあります。二〇二六年度においても、要員数を二〇二五年度比で四十五人減少で見込んでおります。また、自然災害などによる緊急報道対応の長期化、頻発化といった状況を踏まえまして、予算上、基準外賃金などを予備的に確保しておりましたが、直近の予算の施行状況などを考慮して精査したところでございます。
そしてさらに、働き方改革を推進することで効率的な業務遂行を一層進めていくことによりまして、処遇を切り下げる見直しを行わなくても、総額として、二〇二五年度比で十七億円の減と見込んでおります。
○神谷委員 今ほど四十五人の削減という話がありました。実際、一万六十八人を一万二十三人ということでございまして、この部分もあるかもしれませんが、四十五人の削減で十七億というのも考えにくいというところが本音でございます。
実際に働いている方の声を聞くと、決して処遇が悪くなっているわけではないし、ベアも獲得されているということですので、そこは少し安心をして見てはおりますけれども、ただ、もう一方で見ますと、かつて残念な過労死事案がNHKではございました。ましてや、今回、事業の方は少し緊縮予算みたいな形で、かつコンテンツは充実させろという話でございますから、そうなりますと、当然現場にしわ寄せが来るんじゃないか、そこをやはり懸念するわけです。そういう意味におきまして、かつて過労死事案があったということもありますので、そういった無理を絶対かけてはいけないと思うんです。
改めて、そういった危惧に対してどういうふうにお答えになるか、NHKの説明を求めたいと思います。いかがでしょうか。
○井上参考人 お答えいたします。
公共メディアでありますNHKは、二十四時間三百六十五日、突発的な事件、事故、災害等に対応し続ける必要があります。限られた資源の中でこうした公共メディアの使命を達成するためには、職員に質と生産性の向上に取り組んでもらう必要があるんですけれども、あくまでもそれは職員の生命、健康、安全の確保が大前提であります。決して職員一人一人の使命感ばかりに頼るということがあってはならないというふうに考えております。
二〇二四年度から二年連続でベアを実施するなど処遇の改善に取り組みますとともに、働き方改革と、質と生産性の向上を両立させるために、昨年来、労使間で議論を重ねておりまして、健康確保に資する取組を試行、制度化してまいりました。さらに、役員全員で毎月の勤務状況について共有、確認しまして、必要があれば注意を促しております。こうした繁忙期における業務体制の見直しなども進めております。長時間労働の改善は進んでいるというふうに思っております。
業務に携わる全ての人の健康を最優先に考えること、そして、これまでの慣行を打破して働き方を抜本的に見直すという理念の下、現場の状況を十分に踏まえながら、今後も働き方改革の取組を着実に進めていきたいというふうに考えております。
○神谷委員 現場を知っている会長でございますので、そこは是非よく見ていただいて、もちろん、NHK内部もそうですけれども、関連会社も含めて、決して、二度と悲しい事件が起こらないように目くばせをしていただきたいのと同時に、働きやすい職場が何よりもいいコンテンツを生み出すと私は思いますので、引き続きよろしくお願いをしたい、このように思います。
次の質問でございますが、NHKの出捐四百四十一億円についてでございます。
先ほど、また田嶋理事からもありましたけれども、公的目的のために出捐することは理解するんですけれども、現在のNHKの財務状況を見ていると、やや四百四十一億というのは過大だったんじゃないかなと私自身は思うんですけれども、この点について総務省に伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○豊嶋政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘をいただきました出捐に関する取組でございますが、先ほどありましたとおり、出捐の中には、例えば中継局の共同利用など、二元体制の放送視聴環境を維持しながらNHKの設備維持管理コストの低減にも結びつくという取組で、非常に重要なものであるというふうに認識をしております。
この取組につきましては、NHKの中期経営計画におきまして、視聴者の将来の負担軽減につながる先行支出として、その主な内容、金額の規模が既に示されているものでございまして、その計画に沿った支出であるというふうに認識をしております。
また、同じ中期経営計画の中では、令和六年度から令和八年度の事業収支差金の見込みも公表されておりますが、各年度、実際の予算におきましてもおおむね計画どおりに推移しておりまして、御指摘の出捐経費の規模につきましても中期経営計画に沿った予算計上をしているものというふうに認識をしております。
○神谷委員 そのとおりです。予算計上はしっかりそのとおりでございますけれども、現在の事業の様子から見て、やや、出捐ではなく、例えば投資であるとか、何らか別の形が取れなかったのかなというふうに私自身は思っておりますので、付言させていただきます。
次に、インターネットサービスについてはNHKの必須業務とされたわけでございますが、この分野を拡大させていくためには、やはり専門的な人材が必要不可欠だと思うんですけれども、この辺の育成、登用というのはどんな状況なんでしょうか。NHKに伺いたいと思います。
○黒崎参考人 お答えいたします。
現在、NHKのインターネットサービスを支える専門的な人材は、主に本部でサービスの開発、基盤整備、プロジェクト管理などの業務を行うとともに、放送との連携ですとかサービスの企画、実行を牽引しております。
デジタル分野の人材は専門部局に配置しまして、開発、運用など日々の業務を担当する中で育成をしております。さらに、部局が行う実践的な研修プログラムを通じて、専門的なデジタルスキルの向上を図っております。
デジタル分野の人材は、今後のNHKを支える重要な戦力だと見ております。採用そして育成をこれまで以上に強化していきたいと考えております。
○神谷委員 是非この辺の将来投資を行ってください。
その上で、最後でございますけれども、NHKの公共放送としての役割は極めて重要なのは論をまたないところでございますけれども、テレビ、新聞媒体離れからSNSやネット等への、情報入手が大きな変革期を迎えているという状況でございますけれども、今申し上げたように、受信料収入もなかなか厳しくなっていく状況の中で、今の体力のあるうちにやはり変革していく必要があるんじゃないかというふうに思います。
NHK御自身にもお考えをいただかなければなりませんけれども、民間放送事業者の皆さんも含めて、放送の未来について改めてどう考えていくのか、これについてはまず総務大臣に伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○林国務大臣 大事な問題でございますし、先ほども田嶋委員ともやり取りさせていただいたところでございますが、やはり、人口が減少したり、デジタル化が進展したり、テレビ離れがあったり、放送分野で社会環境の変化に直面している、こう言ってもいいと思います。
先ほども申し上げましたが、有識者会議、これはもうずっと前からやっているものをまた今回新しく、再スタートといいますか、議論を始めていただいているわけでございまして、直近の状況を踏まえて、NHKを始め、民間の放送事業者の皆様の御意見もよく聞きながら、継続的に放送制度の将来像について今までも議論してきましたし、これからも議論していこうと思っております。
ちなみに、NHKのインターネット配信業務の必須業務化ですとか、今御議論いただいた中継局の共同利用、こうしたものも有識者会議の検討を踏まえて行ってきたところでございます。
時代の変化、社会環境の変化、これにしっかり対応していけますように、この有識者での御議論も踏まえて、必要な取組を進めていきたいと思っております。
○神谷委員 是非早期におまとめをいただきたいと思いますし、先ほども申しましたけれども、体力のあるうちにやっていただきたいと思います。陳腐化するとは言いませんけれども、見られなくなってからでは遅いということでございまして、是非早急に、方向性を含めて頑張っていただきたい、このように思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○古川委員長 次に、平林晃君。
○平林委員 中道改革連合、平林晃でございます。本日もどうぞよろしくお願いを申し上げます。
では、NHK予算案に関しまして、関連も含めた質問をさせていただきます。
言うまでもなく、放送には民間、国営、公共、三種類があるわけでございます。我が国に国営はありませんので、民間と公共、この二種類ということになります。公共放送唯一の実施主体は、言うまでもなく、これも日本放送協会、NHKでございまして、その使命というのは本当に極めて重要なものがある、このように考えています。その使命を果たすために全力を傾けていただきたい、このように思うわけでございます。
そして、企業などのスポンサーに依存しない公共放送ゆえに、NHKは視聴者から公平に負担をされる受信料によって支えられている、だからこそ、それを支払う視聴者の信頼、これがNHKがよって立つ本当の基盤という言い方もできるのではないかというふうに思います。
であるにもかかわらず、それを大きく損なうような事案が、なぜだか頻発をしているように感じております。
今月の五日ですけれども、貴協会の職員が、通行中の女性にわいせつな行為をしたとして、不同意性交等の疑いで逮捕されている。警視庁によると、事件は年頭一月四日に起きたようでございました。渋谷区の路上で歩いていた二十代女性に、危ない物を持っていると脅して、近くのビルに連れ込んで、人目につきにくい階段付近で暴行を加えたと。読んでいるだけでも嫌になってまいりますけれども。その後、犯人は自転車で現場から逃走して、被害女性は直後に近くの交番に駆け込んで被害を申告した。本当に、どれだけの恐怖を感じたことかというふうに思うわけでございます。
警察は、現場周辺の防犯カメラ映像などを分析して容疑者を特定して、今月五日に逮捕したと、冒頭申し上げたことでございまして、ちょうど一週間前です。
渋谷ですよね、職場エリアで事件を起こして、そのまま仕事に向かったのではないか、こんな報道もあるし、携帯電話の解析なんかからすると、余罪があるかもしれない、こんなふうにも言われていることでございまして、本当に考えられないことだと思っております。
本件に限らず、NHK本体及びグループ関連会社においては、これまでも、セクハラ、性暴力事件が相当数起きていると認識をさせていただいております。そうした中で起きた今回の事案でございます。受け止めと、今後どう再発防止を図っていくのか、井上会長に伺います。
○井上参考人 お答えさせていただきます。
職員が逮捕されましたことは誠に遺憾でありまして、被害に遭われた方、それから視聴者の皆様に深くおわびいたします。
警察の捜査には全面的に協力してまいります。詳細は調査中ですけれども、事実関係を早急に確認した上で、厳正に対処してまいります。
今回の行為は、社会の安心、安全を守るという協会の使命に反して、報道機関として最も大切な信頼を揺るがすものでありまして、言語道断であり、極めて深く、重く受け止めております。
NHKでは、全役職員が、NHK倫理・行動憲章、行動指針にのっとって、人権を第一に考え、公私において、法令を遵守するとともに、高い倫理観に基づく、責任ある行動を取るということを視聴者の皆様に約束してきました。
逮捕を公表しました三月の六日、コンプライアンス統括の理事より、本件の重大性を受け止めるとともに、職員一人一人が、改めて、公私共に自らを律し、人権の尊重、コンプライアンスの意識を徹底して行動することを強く求めるメッセージを発出いたしました。
事件を受けまして、報道局では、コンプライアンス意識の徹底を図るために、改めてNHK倫理・行動憲章、行動指針について、勉強会を実施することにしております。また、NHK全体においても、本件の重大性を受け止め、二度と同様の事案を発生させないための研修、勉強会を強化してまいります。
○平林委員 様々確認をされ、また勉強会もやられるということでございます。本当に、こういうことが二度と起きないように努めていただかなくてはいけないと思っているところでございます。
ほとんどの職員の方は真面目に働いていらっしゃるのは、これはよくよく存じ上げております。でも、やはりこういうことが出てきてしまいますと、協会全体の信頼を揺るがせてしまうということになります。改めて、改めて再発防止を強く強く求めまして、次の質問に行かせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、予算案の中身について質問させていただきます。重複する部分がございますけれども、お許しいただけたらというふうに思います。
この度、予算案におきましては、六百九十億円の赤字見通しとなっているわけですけれども、これは想定どおりといいますか、経営改革を進めて、二〇二七年度には収支均衡を目指す、こういうふうに述べられているということでございます。
ここも経営計画の中での話というふうに思いますけれども、ただ、私、感じますことは、原材料、エネルギー価格の高騰でありますとか、歴史的な円安、あるいは人手不足もあり、人件費が上昇をしている、そういった中で、米国、イスラエルによるイランへの大規模攻撃があり、ガソリンもリッター二百円を超える、こういうような試算が提示をされて、昨日も石油備蓄放出が表明されたところでございます。
こういう支出の大きな要素がメジロ押しの中で、受信料の値下げも実施をしてこられているところでございます。こういう厳しい要素ばかりの中で、予定どおりの収支均衡は本当に可能になるのかどうか、この点、再び井上会長に伺います。
○井上参考人 お答えを申し上げます。
御指摘のように、二〇二六年度予算では、事業収支差金六百九十億円の不足分を還元目的積立金で補填しております。これは、二〇二三年十月から一割値下げした受信料額で事業継続をしていくために必要な、放送法に基づく処理でありまして、一般企業における赤字とは意味合いが異なるということも御理解いただければと存じます。
二〇二六年度は、現経営計画の最終年度となりまして、二〇二七年度の収支均衡を実現するために、収入の確保とともに、千三百億円規模の支出の削減に向けた取組については、これは緩めることなく確実に実施してまいります。
今後も、経営資源の有効活用を進めるため、設備投資の大幅な縮減を行うほか、既存業務の大胆な見直しを行い、経常的収支の削減などによる支出の見直しを実行してまいります。業務全般にわたるこうした経費の削減で生み出した原資の一部を質と生産性向上につながる投資に充てまして、コンテンツの質と量は確保してまいります。
また、事業支出の削減だけではなくて、更なる増収を確保するための努力も必要でございます。課題となっている受信料の未収数の増加に歯止めをかけるための対策を強化し、公平負担の徹底と収入の確保を図ってまいります。
これも御指摘されましたけれども、当初想定されない様々な事象も発生しておるところでございますけれども、今後も、公共放送、公共メディアとしての役割を果たし続けていくために、これらはいずれも必要な取組と考えておりまして、業務の効率化及び構造改革を着実に進め、収支均衡を実現してまいりたいというふうに考えております。
○平林委員 効率化、構造改革、しっかりやって収支均衡を図っていくということでございました。しっかりとこの部分も注視をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
続きまして、関連ですけれども、二〇二四年の放送法改正に伴いまして、NHKのインターネット配信が昨年、二〇二五年十月一日より必須業務化され、これによりネット専用契約も開始されることとなっております。それまでは、同時配信と見逃し配信はNHKプラスで、ニュースや文字情報はウェブなどで提供されていましたが、これらが一つのアプリ、サイトで完結されるために、NHK ONEサービスが提供されるようになってございます。
この乗換えで、一部のユーザーにおいては、入力したメールアドレスに確認メールが届かないとか、あるいは、結局、何か登録しなくても見られちゃったみたいな、こんなようなことが報告をされているところでございまして、こういったことにおきましても、国民の信頼が損なわれかねないというところもございます。
一年以上前から準備も重ねてきたと思いますけれども、なぜこのような不具合が起きたのかということを確認させていただきたいとともに、インターネット専用契約が開始されてから半年程度が経過したところですけれども、現状どんな状況にあるのか、今後の見通しと併せて見解を伺います。
○小池参考人 お答えいたします。
新規の受信契約を結んでいただく際に、テレビを持たずに配信のみを受信していると申出のあった方の数につきましては、去年十月から今年一月の四か月間で約五千件となっております。
二六年度予算では、この配信のみを受信している方からの新規契約は二万四千件を見込んでおり、受信料収入は二億円を計上しております。
インターネットにおいてもNHKならではの正確で信頼できる情報をお届けすることで、新たなNHKの公共的価値を実感していただき、より多くの方にサービスを御利用いただきたいと考えております。
○平林委員 NHK ONEへの移行の混乱に関してはちょっと御答弁がなかったわけですけれども、四か月で五千件というお話、また来年度は二万四千件を見込んでいるという御答弁で、予算的には二億円を見込んでおられるということでございました。新たな転換としてインターネット専用契約が発足したわけでございまして、ここもしっかりと力を入れていくということも大事ではないかなというふうに思っているところでございます。
その上で、受信料の確保、先ほど議論もございましたけれども、最重要になってくると考えているところでございます。二〇二四年度の決算は五千九百一億円、二〇二五年度の見込みが五千九百億円となる中、二〇二六年度予算では五千九百十億円とされているところでございます。地上波、年間契約が一万二千円ですので、この十億円プラスというのが、八万人とか、そういう話になってくるのかなと勝手な試算をさせていただきました。
営業活動、これからしっかりまた頑張られると思いますけれども、二年前から新たな営業アプローチに取り組んでおられる。これは従来の訪問営業ではなくて、インターネット広告であるとかダイレクトメール、あるいは放送での告知といった新たな方法を活用しながら、しっかりと理解をしていただいて徴収をしていく、こういう取組。でも、一方で未収数が増加しているということで、これも先ほど議論がありましたけれども、受信料特別対策センターを設置された、こんなことも伺っているところでございます。
受信料を増やす、増やしていこうというこの取組、効果が表れてきているのかどうか、NHKの見解を伺います。
○小池参考人 お答えいたします。
新たな営業アプローチへ営業手法を転換したことで、営業経費が削減され、視聴者からの苦情も大幅に減少いたしました。さらに、自主的な契約が増えたことで、請求に対する収納率が向上するなどの効果も出てきております。
その一方で、コロナ禍の影響などもありまして、受信契約を結んでいるものの、長期にわたって受信料をお支払いいただけていない未収の世帯や事業所が増えている点は重く受け止めております。支払い督促による民事手続を更に強化するなど、未収数の増加に歯止めをかけ、受信料の公平負担を徹底してまいりたいと考えております。
○平林委員 新たな取組、劇的に功を奏してきているというお話でございましたが、こういったやり方が若干視聴者の反発を買っているようなところも、ネット等を見ていると示されているところでございます。こういったところも十分見定めながら、考慮しながら進めていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
続きまして、多元性確保の取組について伺います。
冒頭申し上げましたとおり、民間と公共の二種類で、日本は二種類の放送で成り立っている。だからこそ、現在の経営計画に掲げられた多元性を確保するという意味におきまして二本の基軸がありましたけれども、第二の基軸は、信頼できる多元性確保への貢献、こういうふうに言っておられるわけでございます。
私は、この確保ということは大事なことである、このように認識をしているところでございまして、二年前、この予算審議に立たせていただきましたけれども、そのときに稲葉会長に伺ったところ、多角的な視点を提供するということはNHKだけで実現できるものではなく、高い水準での多元性を地域を含めて確保していく、こういう認識が示されたところでございます。
この考えを具体化するために、還元目的積立金の、受信料引下げで使って、残った部分の七百億円を多元性確保に使っていくとされてきたところでございます。その七百のうちの六百、これを共同利用会社に出資するという形で活用すると二年前の段階ではされていたところでございます。これによって、人口が減少し、民間放送局で設備維持が厳しいエリアで設備を維持していく、こういったことが考えられていたわけでございます。これは先ほど様々な議論がありました。
それから二年が経過したわけでございますけれども、その中で、事業内容について大幅な見直しが行われたようでございまして、共同利用会社への出資規模は、当初想定から三分の一へ縮小されることになっているようでございます。このようになった経緯に関しまして、NHKの認識を伺います。
○小池参考人 お答えいたします。
当初検討していた共同利用型モデルでは、還元目的積立金六百億円の全額を共同利用会社に出資して、全国の小規模中継局や、ミニサテと呼ばれる出力の小さい中継局を所有するモデルとなっておりました。
こうした中、去年九月に共同利用会社から概算料金の提示があり、分析したところ、想定していたコストメリットが得られないということが判明したわけでございます。具体的には、共同利用会社が一括管理する小規模中継局の鉄塔、局舎の維持管理コストが想定より増加する見込みとなったことなどが主な要因でございます。
こうしたコスト増の要因などを改善するため、共同利用会社に二百億円を出資して、ミニサテ局の共同利用を行うこととしました。また、残る四百億円を基金による中継局共同整備に経費助成するスキームに見直しを行いました。このため、還元目的積立金六百億円を活用して共同利用型モデルを推進する方針に変わりはないということは御理解いただきたいと考えております。
見直しした後の内容につきましては、去年十二月五日、総務省が事務局を務めます共同利用推進全国協議会において、基本的な考え方、事業スキームにつきまして民間放送事業者とNHKとの間で合意いたしました。民放とNHKの二元体制による放送ネットワークを維持するため、積極的に対応して、放送業界全体の発展に貢献していきたいと考えております。
○平林委員 様々状況変化があって、特にコスト増ですかね、この部分があって、このような見直しがなされたということでございます。
見直しを決して否定するものではありませんので、それに基づいてしっかりやっていただけたらというふうに思いますけれども、現状においては、こういった様々な見通しの立たない要素というものが起きてくることは本当にあるんだというふうに思いますので、そこにしっかりと対応していくということが重要になろうかというふうに思います。
続いて、残りの百億ですけれども、こちらはメディア産業全体への貢献に支出することとされています。具体的な取組として、人材育成でありますとか技術開発、調査研究の支援を総務省に設置される官民協議会で策定予定の実行計画を踏まえて執り行っていくとされているところでございますけれども、より詳細な内容を確認をさせていただきます。
○小池参考人 お答えいたします。
二六年度予算では、メディア産業全体の多元性確保へ貢献する観点で、還元目的積立金から百億円を拠出して、NHK財団に設立予定の基金に出捐いたします。基金は、総務省に設置された官民協議会で策定予定の実行計画、アクションプランを踏まえ、三つの領域、人材育成支援、技術開発支援、調査研究の支援によってメディア産業全体の底上げに貢献したいと考えております。
具体的な取組としましては、世界に通用するコンテンツを制作するプロデューサーや脚本家、エンジニアの育成、体系的な人材育成プログラムの整備、関連する技術開発の支援、調査研究への助成などを想定しております。
○平林委員 中身はこれからというような感じでございましたけれども、ここもやはり公共放送としてのNHKのリーダーシップ、これをしっかりと発揮をしていただいて、民放に対してもこの百億円が波及していくようにしっかり取組を進めていただきたい、このように思っているところでございます。
済みません、順番を変えさせていただきまして、先に調査研究費に関してお伺いをさせていただきたいと思います。
私は大学教員の出身でして、しかも、音声とか画像関連の技術を専門としてまいりました。前職当時からNHKのこの技術には興味と敬意を持っておりまして、議員にならせていただいてからは、二〇二四年七月には、世田谷砧にございます放送技術研究所を訪問させていただきました。五月にいつも一般公開をしておられますけれども、これに伺うことができずに、本当に御迷惑をおかけしたかもしれませんけれども、単独での訪問になってしまったのですけれども、私の研究者時代の論文をわざわざ掘り起こしてくださって、それに基づいたプレゼンなども見せていただき、深く感謝をさせていただいているところでございます。
拝見した研究事例の中で、没入型の映像制作技術など、こういった映像そのものに関するお話は、想定どおり、こういったことをやっておられるんだなと思ったわけでございますけれども、意外だったのが、デバイスとか半導体チップ、こういったことに関しても研究しておられるのを拝見いたしまして、本当に私にとっては意外でありましたし、非常に幅広く研究に取り組んでおられるんだな、こんな印象を抱かせていただいたところでございます。
「技研だより」の三月号も事務所に置いてありまして、拝見させていただきましたけれども、AIを活用した視覚障害者向けの解説音声配信技術なんかが紹介されておりまして、NHKが取り組むべき研究のフィールド、広がってきているな、こんなように感じているところでございます。
しかしながらですけれども、現在議論している予算案におきまして、調査研究費は、二〇二五年度からマイナス五・四億円の六十億円となっているんですね。マイナスの要因は、調査研究内容の見直しや実用段階に達した研究の終了等となっているんですけれども、撮影現場の課題、幾らでもあるというふうに思います。研究テーマ、枚挙にいとまはないというのが研究者にとっての感覚でございます。この減額でいいのか、NHKの見解を伺います。
○寺田参考人 お答えします。
調査研究費は、公共メディアとしてより豊かな放送文化の創造に資する調査研究や、新たな放送サービスの創造に資する研究開発に取り組みまして、その成果を広く社会に還元するため、毎年必要な予算を確保しております。
技術進展の動向を踏まえまして、二〇二六年度は、AIを活用した制作であったり取材を支援する技術、ドローンを用いた緊急報道、それと人に優しい放送など、新たな放送サービスの創造に資する研究開発に重点的に取り組む計画としております。
一方で、AIを活用した映像解析技術、機械翻訳技術などを始めまして、実用段階に達した研究については、順次、現場への導入を進めまして、一部終了を含め、研究規模の見直しを行っています。この結果、二〇二六年度は、全体として約五億円の削減につなげております。
引き続き、NHKは、多様な放送サービスを視聴者の皆さんに届けるため、研究開発に取り組んでいきたいと考えております。
○平林委員 計画書どおりの御答弁だったというふうに思うわけですけれども、やはり私としては、非常に寂しい気がしておりまして、今回はこうかもしれませんけれども、本当に研究はしっかりとやっていただいて、さっきおっしゃられましたとおり、社会に波及していく、こういう効果を期待をしたい、このように思っているところでございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
続きまして、著作権に関してお伺いをさせていただきたいというふうに思います。これは総務省に関してお聞きすることになろうかというふうに思います。
先ほどからずっと放送のインターネット配信ということで言われているわけですけれども、この中で、著作権の問題は非常に複雑であるということでございます。そもそもインターネットは通信の技術である、一方で、放送は、単一の情報発信者から不特定多数の受信者に情報を一方向で送信する。通信は双方向に対して、放送は一方向で、なおかつ単一から不特定多数、こういう違いがあるというか、通信の一形態が放送である、このように認識をさせていただいております。
その上で、放送は、社会的影響力が非常に大きい、あるいは、電波という希少資源、これを活用している、その意味においてはやはり公平性が必要である、こういった観点から、通信よりも厳しい規律を受けることとされていると理解をしております。
その上で、著作権という意味においては、通信における規律よりも緩和された規律が適用される。そもそも厳しい放送なので、著作権という意味においてはその分少し緩和されている、こんなふうに理解をしております。
このことは、あるコンテンツをインターネットで利用しようとすると、放送で利用しようとする場合よりも厳しい規律が適用されるということになり、この規律をクリアしなければ放送コンテンツをインターネットにおいては配信できないということになることを意味しているわけでございます。NHKプラスを見ているときにスポーツの場面なんかでよく現れる、放送では見えているのにネットでは見えていない、この蓋かぶせという現象はこのことから起きているということでございます。
この問題を解決するためには、令和三年、著作権法の改正で、放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化として、許諾推定規定や事前許諾の不要化、事後対応などが創設をされ、令和四年一月から施行されていると認識をしております。
こうした取組が行われてきていて、体感としても減ってきているな、こんなふうに感じてはいますけれども、それでもまだ、なくなったかというとそうではないという状況でございます。
こうした状況を改善していくために今後どんな対応が必要と考えておられるのか、総務省の見解を伺います。
○豊嶋政府参考人 委員御指摘のとおり、放送番組をインターネットで同時配信する際に、放送とは別にいわゆる権利処理を行う必要がありまして、様々な事情でやむを得ず映像を差し替えること、いわゆるこれは蓋かぶせというふうに呼ばれております。委員御指摘のとおり、このような蓋かぶせというのは、視聴者の利益を図る観点から、可能な限り避けるべきというふうに考えております。
これまで放送番組のインターネット配信に係る権利処理の円滑化に向けましては、文化庁とも連携をして取り組んできておりまして、先ほど委員から御指摘がありましたとおり、令和三年の著作権法改正におきまして、許諾推定規定、これは、権利者が別段の意思表示をしていなければ、放送だけではなく、同時配信などでの利用も許諾したと推定するという規定を導入をしてきているなどの取組を進めてきているところでございます。
総務省としましては、多様で質の高いコンテンツがこれまで以上に視聴者に届けられるよう、放送事業者において、このような規定も活用しながら、権利処理を含めて適切に対応をしていただくということを期待をしております。
○平林委員 時間になりましたので、終わります。大変にありがとうございました。
○古川委員長 次に、青木ひとみ君。
○青木委員 参政党の青木ひとみです。
本日も貴重な質疑の時間をいただき、ありがとうございます。
本日は、いただいた時間いっぱい御質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
NHKは、一九二五年のラジオ放送開始から昨年の二〇二五年でちょうど百年を迎え、長きにわたって国内における報道、教育、文化の発信を担ってまいりました。
しかし、今、曲がり角に立っていると感じます。冒頭から御意見が飛び交いましたが、若い世代にとって情報は、受動的に受け取るテレビから能動的に選ぶスマートフォンへと決定的に移行しております。そのような社会状況において、受信料制度や業務の枠組みは、まだテレビが家庭の中心であった時代の設計図で動いているように思えてなりません。
二〇二五年の改正放送法施行に伴いインターネット配信が必須業務化となりましたが、これは単にテレビをネットに移行すれば解決するという話ではないと考えます。
国民の皆様が本当に知りたいのは、ネット時代においてNHKが提供できる唯一無二の価値は何か、そして、コストを、どのように公平かつ納得感のある形で負担するのかという点だと考えます。
その価値を測る一つの大きな指標として、まずは、日本の視点を世界に発信する海外展開の在り方についてお伺いいたします。
先ほど多くの委員からありましたように、今、人口減少とテレビ離れが進む中で、受信料制度だけに頼るのはやはり現実的ではございません。特に、現在は多くの国民の皆様が物価高騰という厳しい経済環境の中にありますから、安易に受信料を引き上げるということは公共放送に対する信頼を損なうものであり、賢明な判断とは言えません。
だからこそ、これまでの枠組みの延長ではなく、NHKが持つ優れたコンテンツの海外発信による新たな収入の柱を構築させることが、持続可能な組織にする鍵であると考えております。
そこで、NHKの直近の事業収入の総額、そのうちの海外への番組コンテンツの販売による収入額とその割合についてお伺いさせてください。
○中嶋参考人 お答えいたします。
直近の数字ということでございましたので、二〇二四年度の決算における事業収入の総額は六千百二十五億円であります。
このうち、今御質問のありました海外への番組コンテンツの提供による収入でございますけれども、これは九億円でありまして、事業収入全体に対する割合は〇・一%というふうになっております。
○青木委員 やはり海外販売の収入の割合は少ないと考えております。
今や世界中で日本への関心は非常に高く、中でも、漫画、アニメ、ゲームといった日本関連のコンテンツの需要は拡大しております。こういった追い風がある中で、なぜコンテンツの海外販売に大きく踏み出せていないのか、その理由をお聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
世界に向けて豊かなコンテンツですとか日本の視座を発信していくということは、NHKが果たすべき重要な役割だということでございまして、海外で日本コンテンツの需要が高まっている現在の状況というのは絶好の機会だというふうに我々も認識してございます。
一方で、コンテンツの海外展開を図る上では課題もございます。日本国内の視聴者から評価をいただいているドラマが海外でも需要があるかというと、必ずしもそうではないということも多い。また、テーマ、ストーリー、尺などの点で海外のニーズを的確につかむということも肝要となっております。
新たな海外市場のニーズを探り、参入するために、海外の放送局や事業者との共同制作に加えまして、配信事業者との協業の在り方、こちらを模索するなどしておりまして、世界で競えるコンテンツの制作と展開に今後更に力を入れていきたいと考えております。
○青木委員 ありがとうございました。
現状維持の防衛ではなくて、あえて海外市場という攻めの防衛策が必要だと考えますので、是非前向きな御検討をお願い申し上げます。
公共放送の使命を守り抜くために、今後は受信料だけに頼らない持続可能な在り方が求められておりますので、海外にコンテンツを拡大することは、公共放送の精神を損なうことではなくて、むしろその価値を未来へつなぐための生命線になり得ると考えます。
経営危機を打開するための選択肢として、海外へのコンテンツの販売、先ほどの質問とかぶるところがございますが、今後の展望について、お考えを改めてお聞かせください。
○井上参考人 お答えいたします。
コンテンツの力、このことがNHKの競争力の源泉であります。公共メディアとしての存在価値にも直結します。私は、NHKの持続可能性の鍵は、コンテンツの開発力、発信力、国際展開力の抜本的な強化にあると考えています。グローバルな視点での番組展開にも従来以上に攻めの姿勢で取り組みたいというふうに考えております。
NHKは、主に関連団体を通しまして、海外の放送事業者、配信事業者に番組コンテンツを販売、展開しております。二〇二五年度、今年度は、連続テレビ小説、いわゆる朝ドラ、それから大河ドラマを始めとするドラマコンテンツを中心に、グローバルプラットフォームへの展開をこれまで以上に強化いたしました。
御指摘のように、こうしたコンテンツの海外展開によりまして副次収入の増収につなげていくことができれば、視聴者の負担増を抑制することにつながります。世界中のコンテンツと競い合う時代において、NHKは、従来の前提にとらわれずに発想を転換して、柔軟かつ俊敏に行動できる組織へと進化していきたいというふうに考えております。
○青木委員 力強い御回答をいただきました。ありがとうございます。
私たち日本が世界に誇る漫画、アニメ、ゲーム、その根幹には、代々私たちに受け継がれてきた日本独自の精神性や伝統文化が息づいております。これらを海外へ発信することは、諸外国からの憧れをつくり出すだけにとどまらずに、私たち自身が日本の価値を再認識する貴重な機会となるはずです。
国民の皆様が、NHKの番組を通じて歴史や文化の深みに触れ、日本に生まれてよかったという誇り、そうした精神的な豊かさを育むことこそが公共放送が果たすべき本来の義務ではないでしょうか。日本人が自信と誇りを持って未来を歩むための礎となるために、今後も質の高い番組制作を強く求めると同時に、日本の魅力を世界に発信するコンテンツを通じて、副次収入の拡大についても是非前向きに御検討をいただくことを申し上げて、次の質問に移ります。
続いて、NHK ONEについてお伺いいたします。
先ほども討論にありましたけれども、インターネットサービスのNHK ONEが開始されてから約半年がたちました。まずは、現状をお伺いいたします。現在までの登録数、そしてNHKとして設定した目標値に対して、現状をどう評価しているのか。あわせて、配信のみの利用を希望する層の割合など、利用者の内訳についても可能な範囲でお答えください。
○山名参考人 お答えいたします。
NHK ONEを御利用いただく際に作成していただくNHK ONEのアカウント数でお答えしますと、受信契約の確認が済んでいるNHK ONEのアカウント数は、二月二十七日時点で二百九十九万件というふうになっております。必須業務化前のサービスでございます旧NHKプラスの利用状況を踏まえますと、十月以降に登録された数としては堅調に推移しているというふうに認識してございます。
一方で、旧NHKプラスの登録者数はおよそ六百六十八万件であったということを踏まえますと、旧NHKプラスからまだ移行を済ませていただけていない方も含めまして、利用者をこれから増やすことができるというふうに考えており、より多くの方に御利用登録をいただけるよう取り組んでいるところでございます。
そして、お尋ねのインターネットのみの利用を希望する利用者の数字、こちらなんですけれども、持ち合わせてはおりませんけれども、受信契約を新たに結んでいただく際に、テレビを持たずに配信のみを受信しているというふうに申出のあった方の数、こちらは二〇二五年十月から二〇二六年一月の四か月間でおよそ五千件というふうになっております。
○青木委員 御丁寧な御回答、ありがとうございました。
実は先日、私、実際にNHK ONEの利用登録を試みてみました。しかし、その操作は決して簡単とは言えなくて、高齢者の方、スマホ操作に不慣れな方にとっては、非常に高いハードルを感じてしまいました。本件には二百五億円の予算が組まれておりますので、これだけの投資をしながら、肝腎の入口で利用を遠ざけてしまっては、本末転倒ではないでしょうか。
この複雑な現状をどう認識して、今後、特にスマホ操作が苦手な方でも迷わず登録できるような簡素化、分かりやすさについて、どのように進めていくのか、御見解をお聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
実際にNHK ONEを御利用いただいたということで、本当に感謝を申し上げます。
手続に関する御指摘ですけれども、一般の方からも多く寄せられておりまして、早急に改善すべき点だというふうに認識してございます。
NHK ONEはどなたでも御利用いただけるのですけれども、利用している方の受信契約状況、こちらを確認させていただくために、受信契約情報の登録、そして連携、この手続をお願いしております。
現在の手続は、スマートフォンなどの操作に不慣れな方にとりまして御負担になり得るものでございます。特に御高齢の方から、メールアドレスの登録がしにくいとか、パスワードが登録しにくいですとか、手順が多過ぎるなど、様々な御意見をいただいているところでございます。
サービス開始より、全国各地のNHKの放送局、あるいはイベント会場で、NHKの全職員が中心となりまして、対面で、利用方法ですとか登録方法を御説明する登録サポートというものを実施してまいりました。あわせて、登録手続に関する電話でのお問合せ窓口ですとか、手順を画像などで丁寧にまとめたインフォメーションサイトなども御用意しております。また、放送でもダウンロードや登録の案内を行うなど、分かりやすい周知に努めているところでございます。
登録が御負担となって利用を諦めてしまうということがないよう、手続の方法ですとか、画面、文章など、様々な観点から検討を行いまして、改善を続けているところでございます。
加えまして、登録手続自体の簡素化、こちらにつきましても現在検討を進めておりまして、具体化ができたものから段階的に実施していきたいというふうに考えております。
○青木委員 ありがとうございました。
是非、よりよいサービス向上のために御検討ください。
NHK ONEは、スマホで情報を得るための重要な災害インフラと今後なっていくと思います。しかし、平時に登録を済ませていない被災者が、有事の際に複雑な登録作業を強いられることは、避難の妨げにもなりかねません。
例えば、災害時には登録なしで即座に情報にアクセスできる特例措置を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。あるいは、防災アプリと連携し、登録の手間を最小化するような仕組みなど、有事における利便性向上に向けた具体的な対策について、お聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
NHK ONEの地上波テレビの同時・見逃し配信、それに、番組関連情報のサービスにつきまして、平常時は受信契約が必要であるということを確認いただいた上で御利用いただくことになっております。
ただし、災害時、緊急時の公衆の生命又は身体の安全の確保のために必要な情報、これにつきましては、受信契約の必要のない形でお届けできるという趣旨が法令で規定されております。このため、大規模災害などの際には、受信契約の有無にかかわらず、NHK ONEのサイトなどで緊急報道を実施しているというところでございます。
災害時を含めまして、命と暮らしを守る正確な情報をお届けするということは、NHKの重要な使命だと考えております。自然災害の頻発化、激甚化が進む中、緊急報道の重要性はこれまで以上に増しておりますので、命綱としての役割をしっかり果たしてまいりたいというふうに考えております。
○青木委員 是非、災害の激甚化する日本において、NHK ONEが国民の命綱になっていくことを私も期待しております。
本日お伝えいたしました登録の煩雑さは、公共放送がデジタル時代において国民お一人お一人に寄り添えているかという姿勢の問題と考えます。皆様の受信料をシステムという形に変えるだけではなくて、どんなときでも迷わず情報にたどり着けるという安心へと是非変えてください。特定の層だけが使いこなせるツールではなくて、先ほどおっしゃっていただきましたが、命と暮らしを守る公共インフラとして、今後もより機能するよう是非前向きに御検討してくださることを求めまして、次の質問に移ります。
続いて、偏向報道と公共放送の責務についてお伺いさせていただきます。放送法第四条が定める政治的公平及び不偏不党の原則についてです。
昨今、メディアによる断片的な切取りや特定のレッテル貼り、真実の一部のみを強調する偏向報道が国民の健全な意思決定を阻害しているとの懸念が広がっております。特に、受信料制度に支えられている公共放送には、民放以上に厳格な中立性が求められます。
事実に反する印象操作や文脈を無視した編集を排除するため、現在どのような具体的なガイドラインを運用しているのか、また、その実効性をどう担保されているのか、お聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
放送法の規定を踏まえて定めております国内番組基準では、「政治上の諸問題は、公正に取り扱う。」「意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱う。」というふうに定めております。
基準にのっとりまして、NHKは、原則として、個々のニュースや番組において、対立する意見の双方を伝えるよう努めております。また、企画や番組の演出によりニュースや番組が複数回にわたる場合は、同一のシリーズの中などで公平に取り扱うよう努め、NHKの放送全体として公平性を確保するようにしております。
また、取材、制作に当たっての基本姿勢を記しました放送ガイドライン、こちらでも、「編集にあたっては、全体の趣旨を的確に伝えるように努める。事実をゆがめたり、誤解を与えたりするようなことがあってはならない。」というふうに明記してございまして、インタビューなどは全体の文脈を尊重した編集を行うように努めております。
今後も、不偏不党の立場を守りながら、公平公正を貫いて、視聴者・国民の皆様の判断のよりどころとなる情報を提供してまいります。
○青木委員 ありがとうございました。
私たちは、日々流れる膨大な情報の中で、何が真実であるかを見極めようとしています。だからこそ、情報の入口に立つNHKには、どうか今後とも、公平公正、多角的な視点を持っていただきたいと切に願います。
さて、NHKの番組には、NHK職員が制作する番組と外部の制作会社に委託して制作される番組があると承知しております。例えば、NHKスペシャルやドキュメンタリー、情報番組、教養番組など、多くの番組において外部の制作会社が関与していると指摘されています。
そこで、現在、NHKの番組制作の全体のうち、外部の制作会社に委託している割合はどの程度でしょうか。また、NHKの年間予算のうち、番組制作費として外部の制作会社に支払われている金額及び予算の中での割合を教えてください。
○山名参考人 お答えいたします。
放送番組のうち、NHK及び子会社、関連団体以外の外部制作事業者に制作を委託した番組の放送時間の割合、こちらは、二〇二四年度の実績で、総合テレビが二・八%、Eテレが六・六%、BSが一八・三%、BSプレミアム4Kが一九・七%というふうになっております。
なお、放送番組は、外部制作かNHK本体制作かといったその制作形態ごとに予算化をしているということではないので、金額あるいは割合をお示しするのはちょっと難しいということを御理解ください。
また、外部の番組制作会社は公共放送を支える上で欠かせないパートナーでございまして、NHKは、番組制作会社に制作業務を委託することで日本全体のコンテンツ制作力の向上に貢献したいというふうに考えております。
○青木委員 ありがとうございます。外部の制作会社はよきパートナーということでした。
しかし、近年、欧米諸国では、外国政府によるメディアへの影響工作が安全保障上の重大な課題となっています。例えば、英国におきましては、保安局、MI5が議会に対して、外国勢力が研究者やメディア関係者とのネットワークを通じて自国に有利な影響力を行使しようとしていると強く警告しております。
我が国においても、公安調査庁の報告書の中では同様の動きが指摘されています。具体的には、中国による統一戦線工作など、外国勢力が政治、学術、メディアといった幅広い分野に深く入り込み影響を及ぼそうとする活動に警鐘を鳴らしております。
こうした状況を踏まえると、公共放送であるNHKが番組制作を外部に委託する場合、外国勢力による影響工作などが入り込まないよう、スタッフや関係者に対してどのようなチェック体制を取っているのでしょうか。安全保障の観点からリスクを未然に防ぐため、どのような工夫や管理が行われているのか、お聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
先ほどちょっとお話ししましたが、NHKは不偏不党、こちらの立場を守りながら公平公正を貫いておりまして、放送内容につきましては、外部の制作会社だけに委ねず、本体の職員が必ず確認するということを行ってございます。
特に、国際放送に当たっては、おととしのラジオ国際放送の事案を踏まえまして、外国籍を含む外部スタッフに委託する際には、NHK国際番組基準あるいは放送ガイドライン、こちらを遵守することなど、国際放送の業務を担う上でのルール、そして方針を伝え、理解していただいた上で契約を結んでおりまして、リスク管理を徹底しているところでございます。
また、関連団体を介して契約を行ってまいりました中国語など十一言語の業務に当たる外国籍などの外部スタッフにつきましては、去年十一月からNHK本体との直接契約に変更し、より緊密なコミュニケーションとリスク管理を行える体制にいたしました。
NHKでは、今後もガバナンスを強化し、リスク管理を徹底してまいります。
○青木委員 ありがとうございます。管理体制をしっかり強化していただけるという御発言をいただきました。
やはり、公共放送である以上、制作会社の関与の実態とか管理体制の在り方について、今後もより明確な情報公開、説明を進めていく必要があるのではないかと考えます。
続いて、同様の件なんですが、政府としての御見解もお伺いさせてください。
先ほどありました、二〇二四年に発生したNHKの中国語放送における原稿外発言事案、これは日本の公共放送の脆弱性を露呈させたと考えます。どんどん我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、諸外国による影響工作への防衛は喫緊の課題です。
こうした対策、公共放送とはいえ、NHKの自主的取組に委ねることは、安全保障上のリスク管理としては不十分ではないでしょうか。メディア影響工作に対する政府の現状の認識と、国家としての防衛策の在り方についてお聞かせください。
○豊嶋政府参考人 まず、放送法におきましては、第三条におきまして、放送番組編集の自由について規律をされておりまして、放送事業者の自主自律を基本とする枠組みになっております。したがいまして、放送事業者は、自らの責任において放送番組の編集を全うしていただくということが非常に重要かというふうに認識をしております。
この考え方の下で、各放送事業者が真摯に取り組んでいただくということが非常に重要でございまして、先ほど指摘もございましたけれども、NHKのラジオ国際放送の事案につきましても、NHKにおきましては、令和六年九月に再発防止策を公表し、令和七年七月にはその取組状況を公表しているというふうに承知をしております。
改めて、NHKには、国際放送を担う公共放送としての使命を改めて深く認識をしていただいて、再発防止の徹底に取り組んでいただきたいというふうに考えております。
○青木委員 ありがとうございました。
放送法の規定ということの御答弁がありましたけれども、その必要性に応じて、法制度を今後適宜見直してアップデートをしていくこと、それこそが私たち立法府の責務でないかと考えております。
九月に公表していただけたということもありますが、是非、今後とも強い危機感を持って対応していただくように強く求めまして、次の質問に移らせていただきます。
続いて、教育コンテンツについてお伺いいたします。
現在、全国の小中学校において、NHK・フォー・スクール、これは、タブレット端末やパソコンを活用したICT教育の中核を担う標準的な教材として広く浸透しており、教育デジタルインフラとしての役割を確立しております。このNHK・フォー・スクールが、現在どの程度の教育機関で利活用されているのか、その実態と、今後、同コンテンツが教育現場においていかなる役割を果たすべきか、御見解をお聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
御指摘のNHK・フォー・スクールでは、NHKが制作する、幼稚園、保育所、小学校、中学校、高校向けの番組をおよそ二千五百本、そして学習のエッセンスを簡潔にまとめた動画クリップをおよそ五千五百本、NHK ONEで配信するサービスを行っております。また、動画だけでなく、教材・資料ですとか授業プランなど、学習に役立つコンテンツも併せて提供しております。
こうしたNHK・フォー・スクールのサービスは、国が進めておりますGIGAスクール構想の下、全国の児童生徒に一人一台の学習用端末が配備されたこともありまして、利用率が伸びております。最も高い小学校でのサービス利用率は九四%に上っております。
NHKとしましては、学習指導要領の改訂に向けて中央教育審議会で行われている議論、こういったことなども踏まえまして、今後、学校や家庭でより一層利用していただけるよう、サービスの更なる拡充に努めてまいります。
○青木委員 ありがとうございます。
多くの教育機関で活用されているということですが、コンテンツの作成過程において、以下二つの点について御質問させてください。
歴史認識や家族観、国家観、ジェンダーといった、社会的に多様な見解が存在するテーマにおいて、特定の価値観に偏ることなく、中立的かつ多角的な視点を担保するため、どのような制作、検証がなされているのでしょうか。また、アイデンティティーの形成途上にある児童生徒が触れるコンテンツであるからこそ、特定の思想的な偏向が生じないように、客観性を維持するための具体的な評価基準、第三者によるチェック機能が必要だと思いますが、これについてお聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
NHK・フォー・スクールでは、学習指導要領や教科書に準拠した内容を提供することが放送法で定められております。その上で、学校放送番組の制作に当たりましては、NHKは、文部科学省の担当官、大学教授、それに幼稚園、保育所や小中高等学校の教師など、様々な立場の方々から教育コンテンツについての御意見をいただく教育放送企画検討会議、こちらを毎年定期的に開いております。
また、教育番組を活用して授業を改善しようという教師による自主組織、全国放送教育研究会連盟というものが毎年開かれておりまして、全国の研究会や各県の研究会にNHKの担当者を派遣し、実際に教育コンテンツを使っている先生方から番組の評価ですとか効果などについて御意見を伺っております。
こうした機会を通じまして、NHKの教育コンテンツが学習指導要領ですとか教科書に準拠していることを確認、検証しているところでございます。
○青木委員 ありがとうございます。
いろいろな方々の知見を、意見をいろいろ吟味して作ってくださっているということです。
それでも、仮に、教育的配慮としてこれは見直しが必要だと思われるような、保護者の方とか先生からの声が上がった場合、その懸念をどのようなルートでNHKに伝えて改善を促すことができるのでしょうか。国民の皆様の声を受け止める丁寧な対話の窓口があるのかどうか、お尋ねいたします。
○山名参考人 お答えいたします。
教育番組につきましては、先ほども御紹介しました教育放送企画検討会議ですとか、外部団体の全国放送教育研究会連盟などから意見が寄せられるケースも多く、番組の改善ですとか新規企画の立案に生かしております。
また、放送や経営などにつきましての視聴者の皆様からの意見や問合せについては、NHKふれあいセンター、こちらを通じて、電話やメールなどで受け付けてございます。
視聴者の声は、豊かでよい放送を実現するための糧であるというふうに考えておりまして、いただいた御意見は様々な形で番組作りに生かしてまいります。
○青木委員 ありがとうございました。窓口があるということで安心いたしました。
教育は、子供たちに日本の未来を手渡す大切な営みでございます。ですから、NHK・フォー・スクールというとても優れた便利なデジタル教材があるからこそ、そこにどんな思いと価値観を込めるのか、その重みを考える必要があるのではないでしょうか。
時間が近づいてまいりました。
NHKという公共放送が、私たち日本人の心を豊かにして、明日への希望を照らす存在、NHKにはそんなすばらしい放送局であってほしいと願います。
来年の大河ドラマの主人公、小栗上野介忠順公は終えん地、群馬県が私のふるさとでございます。日本の発展をさせたすばらしい彼の功績を全国の方々に知っていただくよい番組になることを期待、お願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○古川委員長 次に、武藤かず子君。
○武藤(か)委員 チームみらいの武藤かず子です。
本日も、NHK予算審議のため、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
NHKといえば、私自身、学生時代には全く興味のなかった歴史の扉を開いてくれたのが大河ドラマでございました。そして、私、現在五歳と三歳になる子供を育てており、彼らも、保育園から帰った後、Eテレを見ることをとても楽しみにしております。保育園からなかなか帰ろうとしないときには、「からだ☆ダンダン」始まるよと言って、急いで家に連れて帰るということ、そういう日常もございます。
このように、NHKは、多くの家庭の日常に自然に入り込み、教育や文化に大きな役割を果たしてきた存在であるというふうに感じております。これは、公共放送、いわば公益のための放送を担っていただいているNHKだからこそ果たせる役割であると認識をしております。
一方で、現在、テレビ業界を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。これまでの議論にもございましたとおり、インターネットの発展により、私たちが情報や映像コンテンツに触れる手段は急速に多様化いたしました。例えば、ネットフリックスのような動画配信プラットフォームや、ユーチューブのような個人が情報発信できるメディアの広がりにより、一昔前とはメディアの種類も構造も大きく変わってきております。
こうした中で、公共放送として、NHKがどのような役割を担い、どのような形で国民に価値を提供していくのか、改めて問われているかと思います。是非、会長より、この時代に求められる役割をお話しいただきたく存じます。
○井上参考人 ありがとうございます。お答えいたします。
時代が激しく変化し、情報の信頼性が揺らぐ中で、正確で公正な報道を届けることはもちろん、自然災害、国際情勢、生活情報など、人々の安全と安心に直結する情報を提供し、国民の知る権利に応えるという公共放送、公共メディアとしての役割、使命はかつてなく重要になっていると認識しております。さらに、オリンピックなどの国民的なスポーツイベント、エンターテインメントや教養など、多様なジャンルで人々の暮らしに寄り添うコンテンツを届けることも公共放送、公共メディアの大切な役割だと考えております。
私は、就任以来、NHKの放送や配信を通じて人々の役に立ち、励まし、勇気づけ、時に命を救う、そうした人々の生きる力となる存在でありたいというふうに話しております。引き続き、放送でもインターネットでも正確な情報や豊かな番組コンテンツをお届けするという変わらぬ使命を今後も果たし続けてまいります。
○武藤(か)委員 知る権利、それをしっかりと提供していくというお話もございました。
既に議論にもございましたけれども、例えば、最近の事例として、ネットフリックスがWBCの独占配信権を獲得したと報じられております。これは、誰もが重要なコンテンツや情報にアクセスできるべきというユニバーサルアクセスの観点から見ても、非常に象徴的な事例になるというふうに考えております。様々な事情によって有料サービスに加入できない方々、例えば高齢者、低所得者、あるいはデジタル機器に不慣れな方々にとっては、こうした配信形態は大きな壁となります。
こうした問題に対して、既に田嶋理事からも御紹介がございましたけれども、ヨーロッパでは法的な対応が取られている状況でございます。
例えばEUでは、AVMSD、視聴覚メディアサービス指令第十四条によって社会的重要イベントの独占放送権が定められております。この制度では、加盟国が社会的に重要なイベントのリストを作成し、そうしたイベントについては、独占放送権の施行によって国民の多数が視聴できなくなることを防ぐ措置を講じております。
また、イギリスでも、一九九六年放送法に基づき、国民的なイベントは有料放送、スカイなどに独占されず、地上波テレビで多くがアクセス可能であることが法律で保護されております。
規制当局は、この制度の目的を、主要なスポーツイベントの放送ができるだけ多くの視聴者に無料で届くようにするための制度と説明しています。また、BBCも、この制度の意義を、これらのイベントは国民を結びつける共通体験であり、国民が広く無料で視聴できることが公共放送の重要な役割であると説明しています。
その対象は、クラウンジュエルと呼ばれるリストに対象のイベントが定義されており、オリンピック・パラリンピック競技大会、また、FIFAワールドカップ決勝戦、グランドナショナル、ラグビーワールドカップ決勝戦などが含まれております。
このように、EUやイギリスでは、国民的イベントを単なる市場取引の対象ではなく、社会が共有すべき公共的資産として位置づけ、制度としてアクセスを確保しております。
一方で、日本には、このように社会的重要なイベントへのアクセスを制度として担保するという枠組みは存在しておりません。
こうした中で、インターネット時代においても国民が重要なスポーツや文化的コンテンツにアクセスできなくなる可能性、つまり情報格差の拡大のリスクについて、NHKの受け止めを是非お聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
御指摘のように、大型スポーツイベントの放送権料は、世界的に高騰する傾向にございます。一般的な話になりますけれども、いたずらに放送権料が高騰して、国民的関心の高いスポーツイベントを視聴する機会が限られてくるということであれば、好ましいことではないというふうに考えております。
受信料で運営されておりますNHKとしましては、放送権料を無制限に支払うということはできませんけれども、関心の高いスポーツイベントを合理的なコストでお伝えできるように努め、公共放送にふさわしい、多様で良質なスポーツコンテンツを広くあまねく視聴者にお届けしていくことが役割というふうに考えております。
○武藤(か)委員 合理的なコストでできる限りそういった放送権を獲得していきたいというお言葉、大変心強く思います。しかしながら、こういった、できる限りというベストエフォートよりも、やはり制度をもって手当てしていくことが、私自身、近道で確実であるとも考えております。
そこで、総務省にお尋ねいたします。
政府として、イギリスやEUのように、制度的な枠組みについて、是非、その必要性について検討いただきたく存じます。今後、こうした社会的に重要なイベントへのアクセスをどのように確保していくか、現時点の状況や今後の対応について、是非お伺いさせてください。
○豊嶋政府参考人 一般に、スポーツ放映権につきましては、権利保有者と放送事業者のビジネス上の契約交渉によって取得されるものでございまして、個別のスポーツ番組の放送については放送事業者が判断するというのが基本であるというふうに考えております。
その一方で、委員御指摘のとおり、EUの一部加盟国あるいはイギリス等におきましては、例えば、オリンピックあるいはサッカーのワールドカップなど特定のスポーツイベントについて、有料放送事業者による生放送の独占を制限するといった制限が設けられているということは承知をしております。
一方で、ただし、そうした制度が導入されている各国におきましてもスポーツ放映権そのもの自体の価格の高騰が生じているということも承知をしておりまして、この制度が今後、スポーツ放映権の高騰に対して効果を持続できるのかどうかという点につきましてもよく見極めていく必要があるかというふうに考えております。
また、我が国においてこうした制度を導入するに当たっては、放送番組の編集の自由を基本としております放送法の枠組みとの整合性、あるいは、スポーツ団体のビジネスの制約など、検討すべき課題が存在するものというふうに考えております。
こうしたことから、総務省としましては、まずは、諸外国における制度、そしてその効果並びに関係者への影響等についてしっかり把握をしてまいりたいと思っておりますし、必要に応じまして関係省庁とも連携をしまして取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
○武藤(か)委員 ありがとうございます。
各国の事例の調査が開始されていることを認識いたしました。また、調査の結果により今後の対応方針が策定されるというふうに期待をいたします。
そんな中で、一つ私から要望を申し上げさせていただきますと、やはりこういったスポーツの国際大会は、単なる娯楽にとどまらず、日本を応援する体験を通じて、世代や地域を超えて人々を結びつける、社会の一体感やアイデンティティーの形成にも関わる非常に重要な機会でもございます。誰もがこうした国民的なイベントにアクセスできる環境が整えられることを強く願っております。
続きまして、次の質問に移らせていただきます。
アーカイブ映像の公開と活用についてでございます。
NHKは、長年にわたり、膨大な歴史的映像や文化的資料を蓄積してこられました。これらは、日本社会の歩みや文化を記録した、極めて貴重な公共的資産でございます。そして同時に、受信料を財源として日本国民のために作成された、また蓄積されたものでもございます。
こうした現状の中で、映像の多くが、一般の国民にとって十分にアクセス可能な形で活用されているとは言い難いのではないでしょうか。デジタル技術が発展する今だからこそ、歴史的な映像や資料をより広く公開し、教育や研究、さらには国民一人一人が自らの歴史や社会を理解するための資源として活用していくことが重要であると考えております。
公共放送であるNHKが保有する映像アーカイブは、単なる放送素材ではなく、社会全体で共有されるべき知的、文化的資産であり、誰もがアクセスできる形で積極的に活用していくことこそ、公共放送としての使命にもかなうものと考えます。
そこで、NHKが保有する映像資料について、今後どのように公開、活用を進め、国民がより広くアクセスできる環境を整えていくのか、また現時点で認識している課題、その対応方針、今後の方針について是非お聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
NHKは、埼玉県川口市のNHKアーカイブスというところで、番組ですとか番組関連素材、こちらを保存、管理しておりまして、現在、およそ一万本の過去の番組などをこちらで無償で御覧いただくことができるというふうになっております。
そのほかに、インターネットサイトでは、およそ三万一千本の映像資料あるいは音源、こちらを公開してございます。
このほかにも、学校向けに番組のDVDを貸し出す事業、ティーチャーズ・ライブラリーというものや、大学などの研究者を対象にしまして番組を学術研究に利用していただく学術利用、あるいは、高齢者の方々が昔の映像を見て思い出を語り合うことで認知症の予防に活用していただくという回想法ライブラリーといった形、そのような様々な形でこのアーカイブス放送資産を活用しているところでございます。
今後もNHKの持つ放送資産の価値を適切に視聴者に還元してまいりたいというふうに考えております。
○武藤(か)委員 御答弁ありがとうございます。
そうしたアーカイブ資料を、今の時代に即した形、デジタル、インターネットを活用して公開されることを是非御検討いただけるとありがたいというふうに思います。
続きまして、次の質問でございます。
選挙報道における公平性の在り方についてお伺いいたしたく存じます。
これまで、日本のテレビ報道においては、選挙期間中、政党や候補者に関する報道について、公平性の確保という観点から、取扱いに慎重な対応が取られてきた面があるのではないかと認識をしております。
この背景には、放送法第四条において、放送事業者に対して政治的公平であることが求められているからであると理解をしております。結果として、候補者の政策や人物像、あるいは選挙戦の動きについて十分に踏み込んだ報道が行われにくいという状況もあったのではないでしょうか。
また、こうした政治的公平が、実務上は、放送時間の均等という形で運用されていることが多く、結果として、候補者や政策の違いを比較するような報道が行われにくくなっているのではないかという指摘もあります。
一方で、日本新聞協会は、二〇二五年六月、インターネットと選挙報道をめぐる声明を公表し、選挙の公平を過度に意識して報道を控えるのではなく、有権者の判断材料となるような情報を積極的に提供することが重要であるという趣旨を示しております。
これは近年、SNSなどで偽・誤情報が拡散し、有権者の判断がゆがめられる懸念が指摘される中で、事実に基づく情報を積極的に提供していくことの重要性を改めて示したものとして、大変意義のある提起であると受け止めております。
例えば、海外の公共放送の事例を挙げますと、イギリスのBBCだけではなく、ドイツのARD、ZDF、カナダのCBC、オーストラリアのABCなどの公共放送では、選挙期間中に候補者討論や政策比較の番組を積極的に放送し、有権者が政策や主張を比較できる情報を提供しておられます。
こうした違いは投票率の数字にも一定程度表れているのではないかと考えます。さきの衆議院議員選挙では、投票率は五五・七%ほどでした。一方、海外事例として挙げた国の投票率は日本よりも高く、例えば、二〇二五年に実施されたドイツ連邦議会選挙では八二・五%にもなります。
もちろん、こうした差は様々な要因があると考えますが、有権者が候補者や政策について十分な情報を得られる環境が整っているかどうか、有権者が比較し判断できる情報環境を整えるという点において、メディアの果たす役割も大きいのではないかと考えております。
こうした点を踏まえると、単なる時間配分の均等だけではなく、有権者が比較し判断できる情報環境を整えること、これが公共放送に期待される役割の一つではないかと考えております。
そこで、NHKにお尋ねいたします。
現在の選挙期間中の運用は、NHKの使命である、健全な民主主義の発達に資するに則しておられるか、是非会長のお考えをお聞かせください。
○井上参考人 お答え申し上げます。
選挙は民主主義を支える国民最大の政治参加の機会でありまして、NHKは、選挙報道を、災害報道と並ぶ、公共放送、公共メディアの重要な使命と位置づけております。
メディアを取り巻く環境が大きく変化する中で、選挙報道におきましても、国民の知る権利に応え、情報空間の参照点となる情報を提供しますことはこれまで以上に重要になっているというふうに考えております。放送法や公職選挙法の規定に基づいて、正確かつ公平公正な情報の提供に努めているところであります。
ただ、SNSなどで発信された情報が選挙結果にも大きく影響すると指摘されている中、デジタル空間での偽情報、誤情報への対策もまた重要な使命だと考えております。NHKとしても、こうした選挙報道の改革に取り組んでいるところでございます。
今後も、正確かつ公平公正で多角的な情報を発信することで、有権者が投票先を決める際の判断材料を提供し、健全な民主主義の発展に貢献してまいりたいと考えております。
○武藤(か)委員 ありがとうございます。
私が期待することは、候補者や政党に対してひとしく質の高い発信の機会が提供されることでございます。
公共放送であるNHKが新たな報道の在り方を先駆けて示し、民放各局にも広げていく形を取って、有権者が政策や主張を比較して判断できる環境を整えていくことが重要であると考えます。NHKとして、こうした役割をどのように果たしていこうとされているか、是非見解をお示しください。
○山名参考人 お答えいたします。
選挙報道に当たりましては、有権者の方が投票先を決める際の判断材料として、候補者、政党の情報を正確かつ公平公正に伝えるということが極めて重要だというふうに考えております。
二月の衆議院選挙では、衆議院解散から投票日まで日程が短く、準備期間が限られる中ではありましたけれども、できるだけ多くの選挙区の特徴ですとか候補者の訴えを紹介することに取り組みまして、候補者の第一声を始めとする演説を多数、また、放送で紹介するとともに、演説の要約ですとか全文、こちらをウェブサイト上に掲載いたしました。
今後とも、有権者の方が投票する際の判断材料となる事前報道の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
○武藤(か)委員 御答弁ありがとうございます。
より多くの国民が政治に参加し、意思を持って投票していただくことこそが今後の日本の民主主義の発展を支える力になると考えております。
公共放送としてのリーダーシップが発揮され、民主主義を支える情報環境の充実につながる取組が進められることを是非期待したいところでございます。
続きまして、次の質問です。
AI技術の活用についてお尋ねいたします。
NHK放送技術研究所では、約四十年分、約二千万文に及ぶ放送データを学習させた独自の大規模言語モデルを開発し、二〇二六年、今年の実用化を目指していると承知をしております。
こうした研究開発は受信料を財源として行われているものであり、公共放送として、その成果が国民にどのような形で還元されるのかという観点では非常に重要であると考えております。また、技術研究所が長年にわたり蓄積してきた技術また知見、そういったものは国民の共有財産とも言えるというふうに考えております。
そこでお伺いをいたします。
この大規模言語モデルについて、NHKとしてどのような業務で活用されることを想定されているか、具体的にお示しください。
例えば、ニュースの原稿の作成、また、過去の放送の検索、翻訳や要約など様々な用途が想定されるところですが、実際の番組制作や報道のプロセスの中でどのように位置づけていくことを考えておられるか、お聞かせいただきたく思います。
それと同時に、このようなAI技術の導入によって、現場の働いている方々、記者ですとか職員の方々の働き方にはどのような変化をもたらすことを想定されているのかについても併せてお聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
急速に進歩しているAIにつきましては、NHKでも適切に活用して、既存のワークフローを改革するといったことで、業務の高度化ですとか生産性の向上、こういったものにつなげまして成果を上げていくことが大切だと考えております。
先ほど御指摘いただいた大規模言語モデルをどういうふうに生かしていくかという話に関しては、今まだ進めているところなので、詳細は控えさせていただきたいというふうに思います。
これまでも、限られた要員の中で放送サービスの充実を進めるため、国内ニュースの一部でAIアナウンスを利用するなど、AIを活用してまいりました。今後は、この活用を段階的に拡大して、これは先ほどおっしゃった、技研の開発しているAIも含めて、業務の高度化ですとか効率化を進めていく方針でございまして、去年十月に協会内でAIの利活用を促進するための体制、こちらも新たに立ち上げました。
とはいえ、生成AIなどは、その利用の仕方によって権利侵害あるいは情報漏えい、誤った情報の発信、こういったものにつながる課題があるということも認識しておりますので、制作、取材での生成AIの利用については、利用範囲ですとか遵守事項、こういったものをしっかり定めて実施していきたいというふうに思います。
いずれにしても、生成AIの利用方法につきましては、技術変化のスピード、そして信頼性の検証、あるいは社会の受け止め、利用実態、こういったものを総合的に判断して不断に見直していきたいというふうに考えております。
○武藤(か)委員 御答弁ありがとうございます。
是非、NHK技術研究所も含めまして、開発されましたこうした技術については、NHKの内部の活用にとどめるのではなく、民放も含めた放送業界全体での活用というところを目指していただきたく思います。そして、それ自体が日本のジャーナリズムの全体の質にも、向上されると思いますし、それが行く行くは国民に還元されていくというふうに思いますので、是非、御答弁にもありましたとおり、広く社会に還元されていくことを公共放送として期待をするところであります。
続きまして、労働環境の問題についてお伺いをいたします。
二〇一三年七月、首都圏放送センターに勤務されておられました佐戸未和記者が、亡くなる直前の月に二百九時間の時間外労働を行った末、三十一歳という若さで亡くなられました。その翌年五月には過労死であったという労災認定がされたにもかかわらず、その公表は二〇一七年十月であったというふうに認識をしております。
さらに、その二年後には、同じ首都圏放送センターにおいて二件目の過労死が発生したと認識をしております。
こうした、二度にわたって同じ職場で過労死が発生してしまったことを会長はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。是非お聞かせください。
○井上参考人 お答えいたします。
公共メディアを共に支える職員が亡くなり、二度にわたって労災認定を受けたことは痛恨の極みでありまして、大変重く受け止めております。今後このようなことを起こしてはならないと強く決意しております。
「NHKグループ 働き方改革宣言」で掲げておりますけれども、業務に携わる全ての人の健康を最優先に考えること、そして、これまでの慣行を打破して、働き方を抜本的に見直すという理念の下、現場の状況を十分に踏まえながら、今後も働き方改革の取組を着実に進めていきたいというふうに決意しております。
○武藤(か)委員 御答弁ありがとうございます。
続きましてですけれども、最新の状況については十分に把握し切れていない部分もございますけれども、二〇二二年の三月に公開されました東洋経済オンラインの記事によれば、御遺族の方々が原因究明の調査報告が存在しないと訴えておられたという指摘があることを認識をしております。
NHKは、これまで、ほかの企業や組織における過労死問題についても報道を行い、社会に問題提起をされてこられました。こうした公共放送であるからこそ、自らの組織で発生した問題についても、第三者視点、また透明性が高い形で、これまでの経緯を含めた調査、検証を行い、その結果を社会に対して公表していくことが重要なのではないかと考えております。
そこでお伺いをいたします。
これまで発生した事案の経緯について、第三者の視点など、透明性を担保した形で調査、検証を行う、また、あわせて、現在の労働環境の検証を実施し、その結果を公表する考えはございますでしょうか。
○黒崎参考人 お答えいたします。
職員の命と健康を守ることは、事業主としての責務でもあり、協会が主体的に責任を持って取り組むべきものだと考えております。
協会では、二度目の事案を受けまして、これまで、健康確保の施策を再点検するとともに、外部の有識者を交えてより実効性のある健康確保施策の検討を行いまして、再発防止策を策定しました。この一連の取組に関しましてはNHKのホームページでも公開しております。
また、二〇二四年には、東京労働局より、行政指導として、過労死等防止計画指導を受けました。これを受けて、労働時間の状況や健康上のリスクなど注意が必要な人に向けた施策に重点的に取り組みまして、東京労働局にもその結果を報告しております。
職員一人一人にしっかりと目を配り、健康確保に努め、それぞれの能力を十分に発揮して、質と生産性の高い業務を遂行するということが大事であります。
今後も、引き続き、長時間労働に頼らない組織風土づくりや、業務改革などの働き方の改善に責任を持って取り組んでまいりたいと思います。
○武藤(か)委員 ありがとうございます。
是非、全ての人の健康を第一に考えるということ、この問題に真摯に向き合っていただき、検証の状況を社会に示していくこと、公共放送としての信頼を支える上で重要であると考えますので、引き続き、どうかお願いいたします。
続きまして、全ての働く方々の健康を第一にというお話の下で、ワークバランスや、子育てを始めとした様々なライフイベントへの支援についてもお伺いをさせてください。
報道の仕事は、事件や災害が発生すれば、深夜を問わず、また休日も問わず対応しなければならない、本質的に不規則な側面を持っている職種であると認識をしております。
その一方で、子育てや介護など、様々な事情でケアを必要とされる職員がキャリアを諦めることなく働き続けられる環境を整えることは、職員個人の問題にとどまらず、組織の持続可能性という観点からも重要な課題ではないかと考えております。
そこでお伺いをいたします。
NHKでは、現在、職員に対してどのような支援制度を実施されておられますでしょうか。また、その制度が、単なる制度ではなく、現場で実際に利用しやすいものとなっておるか、制度の運用状況についてお聞かせください。
○黒崎参考人 お答えいたします。
少子化や女性の社会進出が進む中で、働きながら育児を可能にする環境を整備して、仕事と子育ての両立の負担を軽減していくということは重要な課題であると認識しています。
NHKは、これまでも、育児・介護休業法の改正の趣旨等を踏まえまして、性別を問わず仕事と子育てが両立できるように様々な施策を積極的に講じてまいりました。
例えば、育児休業につきましては、二〇二四年度の取得率が、女性職員一〇〇%、男性職員でも八〇%以上となっております。平均取得日数を見ましても、女性職員が三百二十七日、男性職員七十三日となっております。
育児休職以外にも、業務や個人の予定に合わせて勤務開始時間や終了時間を選択することができるフレックス勤務制度ですとか、職場に出勤せずに自宅などで業務を行うことが可能なリモートワーク制度もございます。
また、育児などを理由にして、一日最大一時間三十分を限度に勤務時間を短縮できる短時間勤務制度は、法による基準を超えて、小学校三年生の年度末まで利用することができます。この育児短時間勤務を利用している職員からは、効率的に仕事を進める方法を考える習慣がつき、取得後もその経験が生きているという好意的な声も上がっております。
引き続き、多様な人材による貢献が公共放送の使命達成に不可欠であるという観点から、性別を問わず仕事と子育てが両立できる取組を進めてまいりたいと思います。
○武藤(か)委員 御答弁ありがとうございます。
働きやすい環境で業務に従事してもらえるよう、それが行く行くは良質なコンテンツを生み出していただくことにつながると思いますので、是非継続して運用いただければと思います。どうもありがとうございます。
以上で私からの質問とさせていただきます。お時間いただき、ありがとうございました。
○古川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十八分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○古川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。中川宏昌君。
○中川(宏)委員 中道改革連合の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。
二〇二五年に、日本のラジオ放送開始から百年という節目を迎えました。フェイクニュースが氾濫する現代におきまして、情報空間の参照点となる正確で信頼できる情報を提供する公共放送の役割、これはますます重要になってくるというふうに思っております。本日は、そうした視点から、令和八年度NHK予算案について質疑をさせていただきたいと思います。
まず、NHKの財務諸表を時系列で比較をしますと、令和二年度決算では六千八百九十五億円あった受信料収入が、令和六年度には約五千九百一億円へと減少をしております。これに伴い、事業収支差金も、令和四年度までは黒字でありましたが、令和六年度には四百四十九億円の赤字となっております。
今回提出をされました令和八年度予算案を見ましても、事業収入六千百八十億円に対しまして、事業支出は前年度比で四百三十六億円増加の六千八百七十一億円となり、マイナス六百九十億円の赤字予算であります。
二〇二七年度の収支均衡を目標に掲げておられますけれども、残り僅か一年で、この目標に向けた具体的な道筋についてどのようにお考えかということについてお伺いをさせていただきたいと思います。
○小池参考人 お答えいたします。
御指摘のように、二〇二六年度予算では、事業収支差金六百九十億円の不足を還元目的積立金で補填しております。これは、二〇二三年十月から受信料の一割値下げをした下で事業を継続していくために必要な、放送法に基づく処理でありまして、一般企業における赤字とは意味合いが異なることを御理解いただきたいと思います。
二〇二六年度は今の経営計画の最終年度となり、二七年度の収支均衡を実現するため、収入の確保とともに、一千三百億円規模の支出削減に向けた取組については緩めることなく確実に実施していきます。今後も、経営資源の有効活用を進めるため、設備投資の大幅な縮減を行うほか、既存業務の大胆な見直しを行って、経常的な支出の見直しを実行してまいります。
一方で、事業支出の削減だけでなく、更なる増収を確保するための努力も必要でございます。課題となっている受信料の未収の数の増加に歯止めをかけるための対策を強化し、公平負担の徹底と収入確保を図ってまいります。
今後も公共放送としての役割を果たし続けていくため、これらはいずれも必要な取組だと考えており、業務の効率化及び生産性向上につながる構造改革を着実に進めて、収支均衡を実現したいと考えております。
○中川(宏)委員 御答弁いただきまして、収入の確保に努めていくということでございましたけれども、例えば、総支出の過半を占めるものは何かといいますと、国内放送費、約三千四百八十二億円ございますけれども、こういったものを見ましても、過去のアーカイブの再利用ですとか、またAIによる番組制作の自動化、こういったものを進めていって、抜本的なコスト構造の転換を図るためにしっかりとやっていくべきではないかというふうに思っておりますけれども、こういったものについて、具体的にこうやっていくというものを、今あれば、お示しいただきたいというふうに思っております。
○山名参考人 お答えいたします。
NHKが放送した番組を有料でインターネット配信するNHKオンデマンドでは、現在、ドラマやエンターテインメント、ドキュメンタリーや教養番組など二万本以上の番組を配信しております。二〇二六年度は更に五千本増やす予定でして、ジャンルの多様化を進め、スポーツ、アニメ、幼児・子供番組、ラジオ番組などに加えまして、大人の学びにつながる番組なども増やす予定でございます。ラインナップを充実させまして、より多くの方に利用いただけるようにしていきたいというふうに考えております。
NHKオンデマンドは、外部のコンテンツ配信事業者にも展開しておりまして、今後も、国内外の配信事業者に幅広く展開することによって、NHKが培ってきた映像資産の価値を最大限活用したいというふうに考えております。
また、NHKは、埼玉県川口市のNHKアーカイブスで、番組関連素材、こちらを保存管理しておりまして、現在、およそ一万本の過去の番組などを無償で御覧いただくことができるほか、インターネットサイトでは、およそ三万一千本の映像資料や音源を公開しております。
○中川(宏)委員 そういったものを是非再活用しまして、国内放送費の、総支出、これを減らしていくということ、それから、二〇二七年に向けまして、先ほど御答弁いただいた様々なやり方がありますけれども、是非、絵に描いた餅にならないように、一つ一つ、具体的な工程表、これをしっかりと作っていきながらやっていただきたいというふうに思っております。
続いて、令和八年度予算案では、受信料収入が七年ぶりに増収の見込みとされておりますけれども、そのための営業経費は前年度から十七億円増加をしまして、約五百九十一億円に上っております。受信料収入に対する営業経費率、これは九・九%と上昇傾向にあります。
経費が膨らみ続けては、視聴者の皆様からの御理解を得るのがなかなか難しくなってくると考えるところであります。この新たな営業アプローチを含めた営業活動の費用対効果につきまして、現在、どのように検証をして、今後の効率化につなげていくのか、この点につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。
○小池参考人 お答えいたします。
受信料の公平負担と営業経費の抑制を両立させていくことは重要なテーマでございます。
NHKでは、従来の巡回型訪問営業から新たな営業アプローチへ営業手法を転換したことで、この六年間で百九十億円規模の経費の削減を行いました。また、自主的な契約が増えたことで、請求に対する収納率が向上するなどの効果も出てきております。
その一方で、対面による接点が減ったことなどから、受信契約を結んでいるものの、長期にわたって受信料をお支払いいただいていない未収の世帯や事業所が増加している点は重く受け止めております。このため、昨年十月より本部に受信料特別対策センターを設置し、こうした未収の世帯や事業所への対策を強化しているところでございます。
新たな営業アプローチの強化に当たっては一定程度の経費が必要ではございますが、施策効果の最大化等に向けて取り組むとともに、既存業務の見直しといった間接費の削減にも努めて、可能な限り効率的な営業活動を目指していきます。
○中川(宏)委員 ありがとうございました。
続きまして、井上会長にお伺いをさせていただきたいと思います。
経営改革と組織のスリム化について伺いたいと思いますけれども、NHKは、二〇二七年度の収支均衡を目指して、累計で一千億円規模の事業支出削減、これを進められております。徹底した経費削減は当然でありますけれども、現場の制作費が削られまして、コンテンツの質が低下してしまっては本末転倒だというふうに思っております。
私が少し気になっておりますのは、組織の構造についてであります。
NHKでは、職員約一万人に対しまして、管理的立場の職員が四割を超えるとの指摘があります。一般企業の平均を大きく上回っている、こんな現状ではないかというふうに思っております。また、会計検査院からも、子会社等との取引における随意契約比率の高さについても繰り返し指摘があるかと存じております。
現場の努力もさることながら、まずはこうした管理部門の適正化でありますとか、また調達の透明性向上、これに一層取り組むべきではないかというふうに思いますが、この点について、会長、お伺いさせていただきたいと思います。
○井上参考人 お答えいたします。
委員御指摘の経営改革と組織のスリム化、それから調達の透明性向上については、経営上の非常に大きな課題として認識しております。
NHKの人事制度では、職員を基幹職と業務職に区別しておりまして、基幹職、まあ管理職ということに近いんですけれども、基幹職は、マネジメントを担うマネジメント職群、いわゆる管理職、それから高度な専門能力を有するシニアプロフェッショナル職群ということで構成しております。
このうち、管理職は、緊急報道や災害対応等におきまして取材の指揮や安全管理を担っておりまして、緊急報道や災害対応を含め、二十四時間三百六十五日、放送、配信を止めることなく提供するためには、こうした管理職の役割、責任体制が必要でありまして、この点が一般企業の組織構造とは一概に比較できないのではないかというふうに考えておるところであります。
NHKにおいても、意思決定の遅れや組織の硬直化があってはならず、責任と権限を明確にし、業務実態を踏まえて、管理職の適切な配置に取り組んでまいります。
また、調達の透明性の向上については、これは御指摘のとおりでありまして、一層取り組むべき課題だと認識しております。
NHKから子会社等への業務の委託につきましては、放送法第二十三条の規定に基づく業務委託基準にのっとり実施しているところであります。
二〇二三年度からは、子会社等の随意契約比率の引下げを目的としまして、調達改革のための部局横断のプロジェクトを立ち上げました。契約の一つ一つの仕様を詳細に見直して、着実に競争契約化を進めております。実績も上がっているところでございます。二〇二六年度以降も、この取組を更に強化しまして、調達の透明性を一層向上させていく方針です。
○中川(宏)委員 御答弁ありがとうございました。
一般企業と比べては、非常に、危機管理の対応もあるとか、なかなか数字では表せない、こういった現状もあるということはお伺いしたところでございますけれども、是非、会長のリーダーシップの下で、実に筋肉質的な組織をしっかりとつくっていっていただきたい、このようにお願いを申し上げたいというふうに思います。
次に、NHKから子会社への出向や発注の在り方について。
これは様々な御意見があるかと存じます。出向者の削減を進められている現状、これは理解をしているところでございますけれども、一方で、本年度の総務大臣意見では、子会社に適切に配当を行わせるよう徹底すること等により、利益剰余金が協会に適切に還元されるようより一層努めることと指摘をされているところであります。
NHK本体が事業支出の削減に苦心をする中で、子会社等に内部留保、利益剰余金が過度に滞留をしていないか、国民の皆様の目線から事業運営の適正性や保有資産の効率性を随時検証していく、こういった必要があるかと思いますが、今後の取組につきまして、お伺いをさせていただきます。
○根本参考人 お答えいたします。
NHKでは、総務省が策定しました日本放送協会の子会社等の事業運営の在り方に関するガイドラインを踏まえまして、関連団体運営基準を設けて、関連団体との取引の透明性、適正性の確保や剰余金からの配当などに取り組んでいます。
子会社の配当につきましては、関連団体運営基準に定めた配当方針に基づきまして、財務状況、事業計画等を勘案した上で計画的な配当を行うこととしております。
具体的には、関連事業持ち株会社の傘下子会社を除き、原則としまして、当期純利益の五〇%相当額を下限とし、事業計画上の純利益を上回る場合はその八〇%を配当に充てることとしております。
さらに、経営、資金両面が比較的安定しております子会社につきましては、特例的な配当を実施することがあると規定しております。特例的な配当は、関連団体の維持発展に必要な内部留保を除いた剰余金を原資としまして、計画的に実行することとしております。
子会社の財務の健全性の確保を前提にしまして、今後とも、NHKの収支状況を踏まえて、子会社に配当を要請してまいります。
○中川(宏)委員 総務大臣意見や会計検査院からも繰り返し指摘をされているとおり、子会社等との間で高止まりしている随意契約比率の引下げ、これが不透明な資金滞留を防ぐ根本的な解決策であるかというふうに思っております。
競争性の高い調達への移行につきまして、今後、いつまでに、どの程度の比率までに引き下げるのかということを、具体的な数値目標をしっかり立てて履行していただきたいというふうに思っております。
次に、井上会長にお伺いをさせていただきたいと思います。
それは、国際放送におけるガバナンスの徹底についてであります。
令和六年八月、ラジオ国際放送の中国語ニュースにおきまして、外部スタッフが、原稿にない、日本政府の公式見解とは異なる発言を行うという重大な事案が発生をいたしました。
分断が進んでいる国際社会におきまして、日本の正しい見解や魅力を発信する国際放送の役割は極めて重要だと思っております。それゆえに、この事案は公共放送としての信頼を大きく揺るがすものでありまして、社会的責任の再確認と再発防止策、これが強く求められると思っております。
外部スタッフの管理ですとか、また番組制作の現場におけるチェック体制を含めまして、NHKグループ全体としましてのガバナンス強化につきまして、現状の取組を井上会長にお伺いをさせていただきます。
○井上参考人 お答えいたします。
NHKでは、この事案は極めて深く、重く受け止めておりまして、おととし、二〇二四年の九月に公表しました調査報告書で短期と中期的な再発防止策をお示ししたところでございます。
まず、事案の発生直後から、英語を除く十六の外国語全てで、生放送から事前に収録して放送する方式に変更いたしました。中国語ニュースでは、今年度の放送から全てをAIによる音声読み上げに切り替えるなど、対策を強化しました。さらに、関連団体を介して契約を行ってきた中国語など十一の言語の業務に当たっている外国籍などの外部スタッフにつきましては、NHK本体とのコミュニケーション不足が事態の背景の一つと指摘されたことを踏まえ、昨年、二〇二五年十一月から国際放送局との直接契約に変更いたしました。NHK国際番組基準や放送ガイドラインを遵守することなど、国際放送の業務を担う上でのルールや方針を改めて伝えた上で契約を結んでおりまして、リスク管理を徹底しています。
NHKは、今回の事案を教訓として、グループ全体でガバナンスの強化に継続的に取り組んで、今後も、信頼される国際放送の確立に全力を尽くしてまいります。
○中川(宏)委員 今会長からは、例えば、事前収録ですとか、AIを使った、またコミュニケーションを図っていく、そして直接契約もしていっている、こういうような対策を聞いたところでございますけれども、こういった技術的、手続的な対策にとどまらず、現場の職員また外部スタッフ一人一人のジャーナリズムと国益に対する責任感、これをしっかりと組織のDNAとしてどう根づかせていくのかということが非常に大事だと私は思っておりますけれども、この点につきまして、会長の御見解をお伺いしたいと思います。
○井上参考人 お答えいたします。
御指摘のように、今回の事案も含めて、NHKあるいはNHKグループ全体として、公平で公正な、かつ、国際放送においては日本の視座を国際的に発信する、この原則を改めて、職員あるいはスタッフに一層周知させまして、こうした事案の再発を防いでまいりたいというふうに決意しております。
○中川(宏)委員 ありがとうございました。
これは、国際社会における日本のプレゼンスと信頼に関わる重要な問題であるというふうに私は思っておりますので、二度とこのような事態が起こらぬよう、不断の努力をお願いしたいと思います。
次に、先ほどの話とちょっとかぶりますけれども、過去の放送番組の積極的な利活用であります。
先ほどからお話があったとおり、NHKがこれまで制作し、蓄積してきた膨大な数の放送番組や映像資料、これは国民の皆様の受信料で生み出された貴重な知的財産だというふうに思っております。総務大臣意見におきましても、多様なメディアを通じてその積極的な利活用を図ること、これが求められているところであります。
歴史的、また文化的にも価値の高いこのアーカイブスを国民の皆様に更に広く身近に還元していくために、今後どのような展開を考えていらっしゃいますか。その点につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。
○山名参考人 お答えいたします。
先ほどの答弁と、ちょっと繰り返しになるかもしれませんけれども、NHKが放送した番組を有料でインターネット配信するNHKオンデマンド、こちらは、二〇二四年度からは、4K番組ですとかスポーツ、アニメなど、より多様なジャンルにサービスを広げておりまして、また、過去のコンテンツの配信の拡充、こちらに努めております。
ただ、過去のコンテンツの配信を増やす上で課題もございまして、配信についての出演者ですとか脚本家といった方々の許諾を得る必要があり、権料だけではなくてその権利処理作業にもシステムですとかマンパワーなどのコストが発生するということもございます。
ドラマとかドキュメンタリー、スポーツなど、番組ジャンルごとに、許諾先ですとか許諾の取り方、こちらも異なっておりまして、また、映像や音楽など著作権処理が必要な要素の洗い出し、こういったことにもコストや時間がかかっているところでございます。
いずれにせよ、こうした課題解決の道筋を探りながら、配信の充実に加え、また、外部プラットフォームとの連携なども進めて、NHK ONEあるいはNHKオンデマンド、こういったものの連携などを推し進めて、NHKの価値の高いアーカイブスを、しっかり魅力を高めていきたいというふうに考えております。
○中川(宏)委員 利用に当たっては様々な課題もあるというお話でございましたけれども、私は、一つ提案させていただきたいのは、この膨大な映像資産というのは、単に公開するだけではなくて、地域の歴史とか文化の継承、また教育現場で活用するなど、より能動的な利活用も考えてみてはどうかというふうに思っております。
例えば、自治体や教育機関が地域のアーカイブス映像を二次利用するために、オープンデータ化ですとか、また、利用規約の大幅な緩和、利便性向上のためにこういったことも考えていくことは非常に大事かと思いますが、この点につきまして見解をお伺いさせていただきます。
○山名参考人 お答えいたします。
我々が持っているアーカイブスをそういう形で利用していただくということは、いろいろな形でできるかと思っておりますが、先ほど申し上げたとおり、必ずしもそれを、無償の形で提供できるのかとか、そういったことに関しては、様々な権利の処理ですとか、そういったことをかける必要がございまして、もちろんできるものとできないものというふうな形がありますので、できるものはしっかりそういう提供の可能性もお示ししたいというふうに考えております。
○中川(宏)委員 続きまして、地方に目を向けてみたいというふうに思っております。
総務大臣意見では、地方向け番組の配信充実や地域活性化への寄与が求められているところであります。人口減少や地元メディアの衰退など、地方の環境が厳しくなっている中で、NHKの地域放送局が果たす役割、これは今後も極めて大事になってくるんじゃないか、このように思っております。
地方発のコンテンツ強化についてはどのようにこれからお取り組みされるでしょうか、お伺いをさせていただきます。
○山名参考人 お答えいたします。
地域放送局の放送サービスの役割、こちらも重要でございまして、経営計画におきましても、取材、制作の基盤的資源に投資して、災害対応ですとか地域取材を基軸に、それぞれの地域に合った形態でサービスを展開していくというような方針をお示ししております。
二〇二六年度の事業支出予算で、収支均衡を目指す予算削減を行っておりますけれども、国内放送費の予算自体は六・三%減少ということに対しまして、地域の放送サービスの費用は一・四%減という形で減少幅を抑えております。地域向け放送時間、こちらは前年度とテレビ、ラジオとも変更はございません。
今後も、地域放送局と本部が連携して、地域の活性化に貢献する多彩な番組を編成していくということにしておりまして、各地域の放送局は、地域の人の目線で、暮らしに役立つ情報ですとか関心の高いテーマ、課題、こういったものを積極的に取り上げて、全国放送でも放送していきたいというふうに考えております。
また、NHK ONEでも地域の番組の配信を実施しておりまして、見逃し配信につきましては、平日の十八時台のニュース番組に加えまして、去年の十月一日以降は、新たに平日の二十時台のニュース、さらには土日祝日の十八時台、二十時台のニュースも配信を開始してございます。このほか、データ放送ですとかホームページなども活用しまして、防災、減災のための情報ですとかライフラインの情報、こういった安全、安心に役立つ情報も発信してまいります。
○中川(宏)委員 ありがとうございました。
NHKの地域放送局は、単なるニュースの出し手にはとどまらず、先ほども御答弁にありましたけれども、まさにそのとおりだと思っておりまして、地域の課題ですとか、またコミュニティー形成のハブとなる役割、これが求められているんじゃないかというふうに思っております。今、各地域も地方創生ということでしっかりやっている中で、そういった使命もあるということを、是非ともお願いしたいなというふうに思っております。
続きまして、障害者や高齢者に向けたユニバーサルサービスの拡充についてお伺いをします。
総務大臣意見では、字幕放送、解説放送、手話放送の拡充、これが求められております。特に、災害時におきましては、視覚や聴覚に障害のある方々へ確実に行動を促す情報を届けていくこと、これはまさに命に関わる重要な課題であります。
現在、音声認識技術による自動字幕ですとか、生放送にも対応可能な解説放送、また、CGを用いた手話アニメーション等の研究、これが進められていると承知をしているところでございますけれども、こうした新技術の早期実用化に向けた現状の進捗についてお伺いをさせていただきます。
○寺田参考人 お答えします。
NHKでは人間の視覚や聴覚に関する研究に長年取り組んでおりまして、高齢者や障害のある方を含めた誰もが豊かな放送サービスを楽しめるように、人に優しい放送の研究開発を進めております。
その中で、字幕放送につきましては、音声認識技術を用いて生放送番組にリアルタイムで字幕を付与する研究を進め、その成果をニュースやスポーツ中継などで実用化してきました。現在は、様々なジャンルの番組においてより高い認識精度が得られるよう、継続的に技術改良に取り組んでおります。
また、解説放送については、映像の内容を合成音声で補足する自動解説音声技術の研究を進めておりまして、スポーツ中継や音楽番組を対象にしたインターネット配信で実証実験を重ねてきております。生放送におきましても、多様な形で、より多様な番組へ展開を目指して研究開発を進めております。
さらに、手話放送の分野では、CGを用いた手話アニメーションを自動生成する技術の研究を行っておりまして、気象情報や災害情報など定型的な情報については、既にサービス提供を開始しております。現在は、ニュース速報などの定型化されていない文章を手話に翻訳して表現する技術や、手話の自然さや伝わりやすさを高めるための表現制御技術の研究を進めておりまして、今回のミラノ・コルティナ・オリンピックではハイライト番組などで活用しております。
今後も、障害のある当事者の方々の評価を踏まえながら、これらの技術の早期実用化と、より多くの番組やサービスへの展開に向けて研究開発を着実に進めていきたいと考えております。
○中川(宏)委員 ありがとうございます。
AI技術を活用してユニバーサルサービスを早期実現化する姿勢、これは大変重要だというふうに思っております。
そうした中で、私も能登半島地震の被災地にこれで五十五回ほど訪問させていただいておりますけれども、現地に行って非常に感じますのは、技術開発が進んでも、いざというとき、そのときに稼働しなければ命綱とは言えないというふうに思っております。
特に、深夜ですとか休日、あるいは地方局発のローカルな緊急報道におきまして、自動字幕、また手話CGの生成が遅延なく、極めて高い精度で提供されるためのシステム面での強靱化、それを補完する人的なバックアップ体制、この構築を是非ともお願いしたいというふうに思っております。
その上で、有事におきましては、情報の空白、これが決して生じないよう、万全の体制整備を求めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、必須業務化に伴い、新たに提供されるサービス等を通じて、テレビを持たず、パソコンやスマートフォン、あるいはチューナーレステレビでネット配信のみを利用される方にも、地上契約と同額の負担を求めることになりました。
既にテレビで契約される方は追加負担はないものでございますけれども、新たに配信のみで契約を求められる方々に対しまして、この費用負担の妥当性や公共放送の意義についてどのように国民の皆様の理解を得ていくお考えか、お伺いをさせていただきます。
○小池参考人 お答えいたします。
インターネット配信の必須業務化に伴い、NHKの配信の受信を開始した方についても受信契約の対象となりました。テレビを持たずにNHKのインターネット配信のみを利用される方の受信契約は、新たな契約種別を設けずに、地上契約として取り扱うこととしております。これは、放送とインターネットのサービスは、それぞれのメディアの特性に応じて同一の情報内容と価値を提供しているものであるという考えに基づいております。
受信料制度は、NHKが公共放送としての業務を行うために必要な経費について、受信機を設置した方やNHKの配信の受信を開始した方に公平に負担していただくという考えに基づいている制度でございます。
NHKとしては、文書、電話、訪問に加えて、デジタルの接点も活用しながら、受信料制度の意義や公共放送の役割について広く周知、広報して、視聴者の皆様の御理解が得られるように努めてまいります。
○中川(宏)委員 時間が参りましたので終わりにしますが、引き続き、国民の皆様の信頼に応える改革、これを進めていただきたい、このように申し上げまして、終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。
○古川委員長 次に、許斐亮太郎君。
○許斐委員 国民民主党の許斐亮太郎です。
本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。会派を代表いたしまして、質問させていただきます。
私からは、まず、井上会長に、来年度の予算案に込めた思いをお尋ねしたいと思っています。
井上会長は、久しぶりのNHK内部出身の会長、いわゆる現場を知った生え抜きの会長です。私も、御案内のとおり、元NHK職員です。一九九九年に映像取材職として入局して以来二十五年間、報道カメラマン一筋で協会人生を送ってまいりました。その中で生え抜きの会長は、海老沢会長、橋本会長だけでした。改めまして、御就任おめでとうございます。
井上会長は、就任会見で、コンテンツ強化やデジタルの高度化などの事業構造と収支構造に課題があると述べられていました。それは、NHKが、今後、公共メディアとしての価値の向上と持続可能な財政基盤の確立を目指すと宣言したと私は受け止めています。
収支の均衡への取組や、これから視聴者・国民の皆様にどういう情報あるいは番組を提供していこうと思っていらっしゃるのか、それらを含めて、来年度の予算に対してどのような思いを込めて予算編成をされたのか、お答えをいただきたいと思います。
○井上参考人 お答え申し上げます。
二〇二六年度は、現経営計画の最終年度に当たります。この経営計画の着実な達成に向けて事業運営を推進し、還元原資を含め、経営資源の有効活用を図りまして、二〇二七年度の収支均衡に道筋をつけるという予算にいたしました。
時代が激しく変化し、情報の信頼性が揺らぐ中でも、正確で公正な報道を届けることはもちろん、自然災害、国際情勢、生活情報など、人々の安全と安心に直結する情報を提供するNHKの役割、使命は重要になっております。エンターテインメントや教養、スポーツなど、多様なジャンルで人々の暮らしに寄り添うコンテンツを届けることもまたNHKの大切な役割だというふうに考えております。
ただ、こうした取組を持続的に進めるためには、その根幹を支える受信料制度を将来にわたって維持し、持続可能なものとする必要がございます。構造改革を着実に進めるとともに、受信料収入の下げ止まりの実現に不退転の決意で取り組んでいきます。
NHKの価値の源泉は、何よりも、コンテンツ、番組そのものにあります。私は、NHKがいつでも、どこでも、誰にでもコンテンツの価値を届ける、そういった新しい公共メディアに進化させるため、チームNHK一体となって、想像力と実行力の両輪を一層強化したいというふうに考えております。
○許斐委員 ありがとうございます。
是非強い実行力で結果を出していただきたいと思っております。
続きまして、緊迫する中東情勢に関連してお伺いいたします。
茂木外務大臣は、さきの外務委員会の質疑において、イラン国内で二名の日本人が拘束されていることを明らかにした上で、現時点では安全であることを確認しているとしています。また、国際NPOによりますと、そのうち一人はNHKのテヘラン支局長だとのことですが、それは事実でしょうか。事実ならば、経緯の説明と、現状を教えてください。
○山名参考人 お答えいたします。
NHKとしましては、取材に当たりまして、人命の尊重そして安全の確保を第一に報道しております。そして、安全管理者を置いて、安全に関わる情報収集に当たっております。テヘラン支局長をめぐる報道につきまして、現段階でお答えすることはできませんけれども、引き続き、職員、スタッフの安全確保に万全を期しつつ、平和の実現に寄与するという報道の使命を果たしてまいります。
○許斐委員 ありがとうございます。
答えられないということが分かりました。
国際情勢も厳しくなるにつれて、おっしゃったように、海外取材の環境も厳しくなっていることは十分に理解しています。身柄を拘束されたり、取材した素材の提供を求められたり、さらには、パスポートの押収などの事案も容易に想像できます。だからこそ、改めて、海外において、安全管理の徹底や取材方法、さらには、身を守る方法などの研修の強化が必要なのではないでしょうか。
今後の懸念と意見を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
続いて、NHKの財源の根幹である受信料についてお伺いいたします。
事業収入六千百八十億円の中のうち、受信料収入が五千九百十億円となっています。これは、前年度と比べて、およそ百九億円のプラスです。これまで、受信料収入は、平成三十年の決算の七千百二十二億円をピークにどんどん下がって、一度も上がることなく、令和七年度予算では五千八百億円まで落ち込んでいます。
令和八年度でなぜプラスに転じることができるのか、お答えください。
○小池参考人 お答えいたします。
まず、二五年度、令和七年度の受信料収入でございますが、予算の五千八百億円に対して百億円を上回る五千九百億円を見込んでおります。増収の内訳は、支払い数の改善で十億円、未収対策の強化で九十億円と算定しております。これは、未収の数がこの五年間で百万件増加している現状を踏まえて、受信契約を結んでいるにもかかわらず受信料をお支払いいただいていない方への対策を最優先に取り組んだことによるものでございます。
二六年度、令和八年度の受信料収入については、今年度の見込み五千九百億円を元に、十億円の増収を計画しております。令和八年度は、今年度に取り組んだ未収対策を継続するとともに、デジタル接点の拡大やインフラ企業等との連携、外部データを活用した文書対策の強化などにより、新規契約も増加させて、七年ぶりの増収を確保してまいりたいと考えております。
○許斐委員 ありがとうございます。
受信料収入の新たな営業アプローチの成果だということを認識しています。しかし、これが本当にうまくいくのか。令和八年度の事業計画が、この受信料増が前提であれば、僅かな低下でも厳しい状況だと言わざるを得ません。
そのような中、昨年十一月に、本部に受信料特別対策センターを設置して、支払い督促による民事手続を強化するとの方針が出されました。ちょっとどきっとする発表ですが、なぜ民事手続を強化する必要があるのか、また、その強化の取組は世帯だけなのか、それとも事業所も含めるのか。内容をお聞かせください。
○小池参考人 お答えいたします。
受信料の公平負担を徹底し、不公平感を解消することは、NHKの重要な責務であると考えております。
従来の巡回型訪問営業の廃止、さらにはコロナなど社会環境の変化によりまして、受信契約を結んでいるにもかかわらず長期にわたって受信料をお支払いいただけていない方が、この五年間で約百万件増え、二〇一九年度の約二・五倍となっております。受信料収入の確保や支払い率の維持向上には、未収の数の増加に歯止めをかけて減少に転じさせることが必要だと考えており、支払い督促による民事手続の実施規模の拡大など未収対策を強化する必要があると考えております。
なお、事業所に対しても、この五年間で未収の事業所というものは二〇一九年度の倍となる二万件となっておりますので、こちらの方も支払い督促の対象としております。
○許斐委員 重ねて質問ですが、これまでの民事手続によって業績や収入への影響はどれくらいあったのか、改めてお聞かせください。よろしくお願いします。
○小池参考人 お答えいたします。
支払い督促による民事手続を強化したことを受けて、受信料を自主的にお支払いいただける方が増えてきております。昨年十一月の報道発表から一月末までに、長期にわたって受信料をお支払いいただけていない方からの支払いに加えて、インターネットを通じた新規契約の申出も、前年度の同じ時期と比べて二倍近くの実績となっており、着実に効果が表れていると受け止めております。
○許斐委員 ありがとうございます。
先ほどの御答弁にもありましたように、やはり重要なのは不公平感の払拭だと思います。支払い率を上げていく、受信料の負担を公平なものにしていくことがNHKの存在に関わってきます。
そこで、受信料の公平負担を徹底するために今後どのような取組を進めていくのかも、目標も含めてお答えください。
○小池参考人 お答えいたします。
受信料の公平負担の観点から、まずは未収の数の増加に歯止めをかけて、減少に転じさせていきたいと考えております。受信料制度の意義や公共放送の役割について、誠心誠意、丁寧に御説明してもなお受信料の契約、支払いに応じていただけない場合には、受信料特別対策センターが中心となって、未収の世帯や事業所に対して、支払い督促による民事手続を強化してまいります。二〇二六年度は、二千件を超える規模の支払い督促の申立てを全ての都道府県で実施する予定でございます。不公平感の解消に向けて、できることは全てやるという強い覚悟を持って、受信料の公平負担に全力で取り組んでまいります。
受信料制度への理解を得るため最大限努力して、引き続き受信料の公平負担に努めてまいります。
○許斐委員 丁寧な御説明、誠にありがとうございます。
渋谷の新しい放送センターにある情報棟の建設に関しても、当初の計画を縮小、ダウンサイジングしていると伺っています。物価高などの様々な影響もありますが、やはりこれまでの受信料収入の減収が響いているふうにも私は思います。事業計画をしっかりと行う、国民の生命と財産を守る放送を行うためにも、公平負担をしっかりと徹底していただきたいと思います。
続いての質問に移ります。
率直に申し上げます。視聴者からは、NHKは不祥事が多い、そんなNHKに受信料は払いたくないという声が聞かれます。当然のことだと思います。職場でのセクハラやパワハラなど、公表されていない不祥事もあります。このような、今まで公表されていない事案もきちんと発表するべきではないでしょうか。
そこで、二点質問です。
去年の不祥事の件数と、その公表、公開の基準を教えてください。よろしくお願いします。
○黒崎参考人 お答えいたします。
職員の不祥事による懲戒処分の公表につきましては、NHKの二〇一六年度収支予算事業計画に対する衆参両院の附帯決議を重く受け止めまして、懲戒処分の公表基準として規定化し、公表のルールを明確にしております。
公表する懲戒処分は、懲戒免職と諭旨免職の処分、公判請求された刑事事件に関する処分、公金の着服などの不正に関する処分、重大なコンプライアンス違反に関する処分です。
懲戒処分を行った後に、事案の概要、処分内容、所属、役職などを、個人が識別されない内容のものとすることを基本としまして、速やかに公表することを原則としております。
○許斐委員 ちょっと嫌な言い方をすると、基準というフィルターに隠れた、埋もれた不祥事がたくさんあると私は思っています。
そこで、角度を変えて質問です。
転勤には多くの費用がかかっています。一件当たり平均で五十万円と伺っています。それを踏まえて、さきの質問でお答えいただいた公表されている不祥事は当然として、加えて、埋もれた不祥事で転勤させる費用の考え方について、これは会長にお伺いしたいと思います。
前提として、人事異動には様々な意味があるのは理解します。しかし、本来ならしなくていい、なかった異動もあると思います。不祥事やハラスメントで異動をさせなければいけないという事案はその最たるものではないでしょうか。
私が懸念に思うのは、その場合の、先ほどの転勤に係る費用のことです。これは受信料の使い方として正しいのでしょうか。私は疑問に思っています。不祥事を起こした職員の転勤費用を受信料から賄うのは、これは受信料の毀損に当たるのではないでしょうか。御見解を井上会長にお伺いいたします。
○井上参考人 お答えいたします。
NHKにおきましては、懲戒処分としての異動や配置転換は行っておりません。
一方で、懲戒処分とは切り分けて、幾つかの理由から、処分対象者などを異動させる場合はございます。例えば、ハラスメント対応のため、いわゆる引き離しや職場環境の整備を行う場合、あるいは、懲戒処分を受けた職員本人の能力を再度伸長させる目的などで行っております。
このような異動であっても、業務上の必要性によりますことから、これらの異動や転勤に係る経費についてはNHKが負担するものと考えているところでございます。
○許斐委員 お答えにありました。まさにこれは、玉突きの異動も発生するおそれがあります。一件では済まない場合があります。だから、私はこの受信料の使い方はおかしいと改めて申し上げたいと思います。
重ねて、NHKの信頼なくして受信料制度はあり得ません。コンプライアンスの徹底、不祥事をなくす努力を最大限行っていただきたいと重ねて申し上げたいと思います。
次に、受信料の使い方、処遇改善のための使い方の質問です。
社会的に賃上げの機運が高まっている中、これは放送業界全体の課題でもありますが、賃上げに対する価格転嫁が進んでいないとの調査があります。NHKにおいても、これまで中小企業庁の調査で、NHK取引先での価格転嫁の評価が低かったとの指摘もあります。
今日の議論の中でも、外部のパートナーはよきパートナーとの答弁がありました。そこで、質問です。
NHKとして、番組制作会社などの外部事業者との適正な取引への取組と進捗状況をお答えください。よろしくお願いします。
○山名参考人 お答えいたします。
NHKでは、価格交渉、価格転嫁の促進についてグループ全体として取り組んでまいりました。全局的な説明会を継続的に開催しておりまして、公正取引委員会の指針について周知しているほか、価格転嫁の状況に関する自主点検を行い、課題が確認された場合には、その都度、改善に向けた対応を指示しております。
御指摘の中小企業庁による価格交渉促進月間のフォローアップ調査結果につきましては、結果を真摯に受け止めまして、直ちに協会内で共有しており、改めて、適切な価格交渉、価格転嫁を進めることを指示しております。
また、今年一月には、協議に応じない形での一方的な代金決定を禁止することなどが定められております取適法、こちらが施行されまして、NHKも適用の対象となりました。既にNHK内で繰り返し説明会を行っておりますが、番組制作会社を始めとする全ての取引先は、公共放送を共に支える大切なパートナーでございまして、今後も適正な取引が行われるよう対応に万全を期したいというふうに考えております。
○許斐委員 ありがとうございます。
処遇が上がり、人材が確保され、コンテンツの中身が充実することがNHKの信頼につながり、それが受信料やNHKオンデマンドなどの配信事業の収益の確保につながる好循環を生み出すと思いますので、放送業界のため、ひいては視聴者の皆様のために、価格転嫁の推進を是非率先してお願いしたいと思います。
次に、先ほど少し触れた情報棟についてお伺いいたします。大げさかもしれませんが、日本の放送をリードする拠点となることを期待しています。
まず、今までの放送と何が大きく変わるのか、放送の出し方や働き方、さらには、番組制作の在り方も含めて、教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○山名参考人 お答えいたします。
情報棟は、NHKの報道そして情報発信を行う新しい拠点として、高い耐震性を備えまして、首都直下地震などの大規模災害時にも着実に情報を届け、視聴者や国民の皆様の命と暮らしを守るというような役割を担っております。また、放送やデジタルコンテンツを発信する最先端の設備が備えられておりまして、インターネット必須業務化を踏まえた放送とデジタルの一体的な制作、こちらの推進などが可能となります。
今後、情報棟への移転を円滑に進めまして、コンテンツの高度化、そして効率的な業務運営による生産性の向上を図ってまいります。
○許斐委員 ありがとうございます。
情報棟ではこれからAIなどの新技術も導入されると思いますが、もしその場合は、AIはどこで作られたものを使用するのでしょうか。以前、NHKの国際放送で尖閣諸島の魚釣島を中国側の呼び方で表示されて、それは外部AIの誤変換が原因とされました。誤った放送への対策も含めてお答えください。
○山名参考人 お答えいたします。
国際放送では、公式のウェブサイトやアプリ上で、AIの自動翻訳機能を使った多言語字幕が表示されるサービスを提供しておりましたけれども、委員御指摘のとおり、NHKのサービスとしては適さない翻訳の字幕が見つかりましたために、去年二月に終了をいたしました。これはNHKが独自に開発したAIではございませんで、民間業者が提供する自動翻訳機能を活用したものでございました。
現在、国際放送で使用しているAI翻訳、こちらはNHKの放送技術研究所と共同開発しているものでして、NHKの過去のニュース原稿を学習させまして、正確性の向上に継続的に努めており、同様の事態が生じることはないというふうに考えております。
自動翻訳以外にも外部のAIサービスを利用するということはございますけれども、使う際には必ず職員が責任を持って内容を確認するということを原則としておりまして、引き続きこうした運用を徹底してまいります。
○許斐委員 どうもありがとうございます。
続きまして、災害時の対応についてお伺いいたします。
NHKの大きな使命として、国民の生命と財産を守る災害報道はNHKの重大な使命です。私も、そのことを心の中心に置いて取材をしてきました。東日本大震災でも、私は発災直後から仙台に入って、その後は石巻赤十字病院で三か月、番組の取材をしながら被災地の各地を回りました。今年も震災関連の示唆に富む番組がNHKから発信されていることを心強く思っています。
その一方で、災害報道に対応するには、今後も災害に対する、局舎や放送設備を強くすることが重要です。最近では、また、フェイク情報や誤情報への対応も必要です。これらの対策が今回の予算にどのように盛り込まれているのか、説明を求めたいと思います。
○山名参考人 お答えいたします。
首都直下地震などに備えまして、NHKは全国放送発信の業務継続計画を定めております。
東京渋谷の放送センターは、震度七の激しい揺れでも機能を確保できる耐震性はございますけれども、万が一放送を出せなくなったという場合には、大阪放送局から衛星放送を使ってバックアップの放送を発信し、その放送を、各地の放送局そして放送所を通じまして、テレビ、ラジオなどに流すことにしております。
情報棟への移転後は、耐震性がより向上しまして、首都直下地震の被災地である関東地方へのテレビやラジオの放送を出し続けることができるというような想定になっております。
地域の放送局につきましても、全ての局舎で震度七の揺れに耐えられる強度を確認してございます。南海トラフ巨大地震などの津波で浸水するおそれがある局舎、こちらには屋上に自家発電設備を設置しているほか、被災地での取材や映像伝送を継続できるよう、浸水が想定されるエリアの外に報道拠点を整備したりしております。
このほか、ロボットカメラについては、首都直下地震や南海トラフの巨大地震、日本海溝・千島海溝の巨大地震で被害が想定される地域、こちらを中心に増強しているところでございます。
二〇二六年度の予算では、こうしたロボットカメラの電源の強化ですとか、放送会館の無停電電源装置の更新、取材ヘリ搭載機器の更新、こういったものをしっかり計上してございます。引き続き、必要な対策を進めてまいります。
また、災害時の偽の情報や誤った情報、こちらへの対策ですけれども、こちらもNHKの重要な使命だと考えております。
NHKでは、報道局にあります専門チーム、ソーシャルリスニングチームと呼んでおりますけれども、こちらがインターネット上の投稿などを二十四時間体制で確認しておりまして、能登半島地震で偽の救助要請の投稿などが相次いだ際には、確認、検証を行った上で、偽の情報であるという、打ち消す報道を行いました。
今後も、真偽不明の情報の確認、検証に努めまして、正確な情報の発信に取り組んでまいります。
○許斐委員 続きまして、災害に関して、災害時の民放との協力の観点で質問です。
私は、二十五年の協会人生の中で、取材で数え切れないくらいヘリコプターに乗りました。ヘリコプターからの映像は、災害時に大きな役割を果たします。
そこで、質問です。
大規模災害において、ヘリコプターの映像をNHKと民放が共同で使用する試みが九州を皮切りにスタートしていると思いますが、その協力体制の進捗状況を教えてください。
○山名参考人 お答えいたします。
災害時の民放との協力関係につきましては、広範囲に被害が出る津波などの際により広い地域をきめ細かくカバーするということを目的としまして、二〇二五年度までに、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、沖縄で、各地の民放と航空取材の映像を共有する協定を締結しました。津波警報や大規模な地震など、地域ごとの実情に応じて発動条件を定めております。津波警報や大津波警報が発表されるなど、協定が発動している間は、NHKと民放が地域を分担しまして、それぞれのヘリコプターで撮影した映像をリアルタイムで共有することにしております。
広域に及ぶ大規模災害時に上空からリアルタイムで被害の映像を伝えることは放送事業者ならではの情報発信でございまして、命と暮らしを守るという使命を果たす上で、NHKと民放が連携する意義は大きいと考えております。
○許斐委員 ありがとうございます。
広いエリアを手分けして報道する、さらに、タイムラグなく、切れ目なく放送がつながることを非常に期待しています。
そこで、内閣府に質問です。
防災庁に向けた取組で、八年度予算、内閣府の防災DXの推進で、発災時に速やかに官民が所有する人工衛星、航空機、ドローンなどのあらゆる手段をマルチモーダルに用いて被害の全体像を把握して関係機関に共有する仕組みを構築する鳥の目プロジェクトの推進が掲げてありますが、NHKや民放各局に対してこれは参加を呼びかけていくのでしょうか。内閣府にお尋ねいたします。
○河合政府参考人 お答えいたします。
災害発生時に的確な災害応急対策を行うためには、被害の全体像を概括的に把握し、関係機関で共有することが必要不可欠でありまして、そのためには、空撮画像を活用することは効果的な方法の一つと認識しております。
このような認識の下、発災直後から被災状況を迅速に共有できるよう、官民の衛星、航空写真やドローン画像を一元的に集約する鳥の目プロジェクト事業について、必要な調査、制度検討のための経費を令和八年度当初予算として新たに盛り込んでいるところでございます。
議員御指摘のNHKを含む報道機関が災害時に撮影する映像、画像についても、被害状況の把握に資する可能性があるものと認識しておりまして、今後、事業を進めていく中で、報道機関との連携についても検討してまいります。
以上です。
○許斐委員 非常に前向きな答弁、ありがとうございます。
NHKが運用するヘリコプター、ドローンも、その費用の出どころは受信料です。ヘリでは民放との協力も行うとのことでした。それならば、国民の生命と財産を守る報道という観点からも、大規模災害においては、官民そしてNHKが一体となって情報共有することは、国民にとって非常にこれは頼もしいことだと思います。
自主独立性の担保という大きな課題もありますが、是非NHKにも鳥の目プロジェクトに入っていただきたいと思います。前向きな検討をお願いして、次の質問に移ります。
話題をがらっと変えまして、大河ドラマについてお伺いいたします。
地元からよくこんな質問をいただきます。最近の大河ドラマにはローテーションがあるのではないかとの質問です。以前の大河ドラマは、戦国時代をテーマにしたものが多く、二年連続して戦国物ということもありました。しかし、最近は、満遍なく、近代、鎌倉、平安、戦国、江戸、幕末など、様々な時代の主人公になっています。そこで、戦国時代は三年に一回になってしまったのではないかと地元の声がありましたので、質問いたします。
大河ドラマはどのような採用基準があるのでしょうか。ローテーションの有無も含めて、お答えください。よろしくお願いします。
○山名参考人 お答えいたします。
大河ドラマの題材の選定に当たりましては、その都度、視聴者のニーズですとか時代の動き、こちらを酌み取りまして、一年にわたって幅広い視聴者の皆様の興味を引きつけられるテーマですとか、主人公は誰かといった点を考慮して決めております。
御質問のように、時代でのローテーションという考え方は取っておりませんけれども、時代設定が偏り過ぎることのないよう、長期的な視点も踏まえて企画は決定してございます。
○許斐委員 答えにくかったでしょうが、丁寧なお答え、ありがとうございます。
やはり大河は重要なコンテンツだと思います。私は、新たな視聴者層を取り込む呼び水の役割になるとも期待しています。平安時代の紫式部の人生を描いた「光る君へ」では、ふだんNHKを見ない女性層も取り込んだとお伺いしています。
その観点から、御提案と要望です。
私の地元の福岡県は、今、戦国最強武将、無敗の武将と言われている立花宗茂ゆかりの地です。実は今、小中高生の間で一番人気のある武将とも言われています。いわゆる戦国時代を舞台にしたゲームの中で強いキャラクターなので、これをゲットするとゲームが進みやすいという理由です。
NHKさんも、新たなこれからの視聴者層をゲットするという観点から、立花宗茂を大河ドラマにしませんか。会長も福岡出身ですので、是非御検討いただけませんでしょうか。会長にお伺いいたします。
○井上参考人 お答え申し上げます。
御質問いただいた立花宗茂を始め、様々な歴史上の人物について、大河ドラマで取り上げてほしいという御要望を多くの自治体などからいただいております。
先ほどもお答えしましたけれども、大河ドラマの題材の選定に当たりましては、その都度、視聴者のニーズや時代の動きというものを酌み取りまして、一年間にわたって幅広い視聴者の皆様の興味を引きつけられるテーマか、主人公は誰かといった点を配慮して判断しておりまして、皆様から頂戴した御要望なども含めて、総合的に判断してまいっておる次第であります。
御指摘のように、新たな視聴者層にも御覧いただける番組となりますよう、毎年新しい試みに取り組むなどして挑戦しております。引き続き、より満足度の高い、見応えのある番組制作に努めてまいります。
○許斐委員 これまた答えにくい質問で誠に恐縮でした。ありがとうございます。
立花宗茂とこれまた妻のぎんちよと、ダブル主演も考えられますので、是非前向きに御検討ください。
またがらっとテーマを変えます。情報棟についてです。
新しいNHK報道の幕開けだと思います。しかし、これは実は緊急報道や4K、8Kを考えていない設備になっているのではないでしょうか。理由は、映像を取り込むサーバー容量の縮小です。編集や放送のサーバー化が進んで、報道局や首都圏局にとどまらず、従来の放送センターでは使用していなかった国際放送局やデジタル部署もこのサーバーを使用することになっています。
一方で、そのサーバーの容量が従来よりおよそ三分の二以下になっていると伺っています。データ量の多い4K、8Kの映像素材を取り込む余裕はないと推察されます。
そこで、二点質問です。
一つは、映像サーバーの容量が少ないことで、災害発生など緊急報道に影響が出ると懸念されますが、その場合どのように対応するのでしょうか。二つ目は、今後、情報棟からの4K、8K放送の割合をどの程度考えているのか、お答えください。
○山名参考人 お答えいたします。
情報棟のサーバー容量につきましては、取材、制作体制の詳細に関わることですので、ちょっとお答えしかねますが、情報棟で利用するサーバーは長時間の映像を効率よく保存できるようになっているほか、保存期限も柔軟に見直すことができるようにしております。このため、情報棟のサーバーの容量が原因で、大規模災害など緊急報道への影響が出るという懸念はないというふうに考えております。
あと、情報棟からの4K、8K放送の割合という御質問でしたけれども、こちらも今の時点で決まったものがあるということではございませんので、そのような形でお答えさせていただきます。
○許斐委員 分かりました。視聴者サービスに、そして制作や取材現場に影響が出ないような御対応をよろしくお願いします。
次に、4K、8Kに関して、これも少し変化球みたいな質問で恐縮なんですが、昔といいますか、3Dというのもありました。これは委員の皆さんは覚えていらっしゃるかどうか分かりませんが、3Dテレビというのもありました。この3Dテレビを買った人は当然います。今、そしてVRの取組というのもあります。これらは今どうなっているんでしょうか、NHKで。それらのコンテンツの制作状況と出し口、教えてください、お願いします。
○山名参考人 お答えいたします。
3Dテレビ向けのコンテンツについてのお尋ねでございますけれども、現在、NHKの方で番組の制作などは行ってございません。
一方、VRにつきましては、歴史番組で戦国時代の城を再現するといった形で、コンテンツで活用してございます。そのほかにも、社会への還元を目的としまして、番組で制作した3DCG、こちらをVR空間で体験するイベント、こういったものを開催しております。
映像表現技術はこれまで以上に進化、そして多様化していくことが予想されまして、NHKにおきましても、様々なジャンルで新しいコンテンツを制作、発信することに取り組んでまいります。
○許斐委員 ありがとうございます。
コンテンツを進めると言っておきながら、逆にコンテンツが作れない、若しくは、ごくごく一部のサービスならば、これまで積み重ねたといいますか、機材とかいろいろあります、そういうサンクコストを恐れずに、取りやめたらいいのではないかと私は思います。
4K、8Kへの機材の設備への投資も大きな金額です。視聴者の世帯数が減少して、今後受信料収入も厳しくなると予想される中、取りあえずやってみようの大風呂敷の経営はもう一度見直した方がいいと意見を申し上げまして、時間が参りましたので、ここで質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○古川委員長 次に、高沢一基君。
○高沢委員 本日もどうぞよろしくお願いいたします。国民民主党の高沢一基です。
まず最初は、ネットワークの効率化に向けた取組についてからお伺いをしたいというふうに思います。
これも本日も様々議論されてまいりましたけれども、ちょうど令和六年二月に、地上波の中継局を共同利用していこうということで、株式会社日本ブロードキャストネットワークが立ち上げ、設立をされまして、この共同利用会社を、NHKと民放各社が共同で中継局を利用することで進めていこうという取組をされるという御説明を今いただいております。
今回の予算の中では、還元目的積立金の中から六百億円をこのネットワークの効率化に向けた共同利用型モデルということで支出をして進めていこう。その六百億円の仕訳としては、二百億円は出資という形でこの共同利用会社に出資をいたしまして、ミニサテライト局の共同利用についての手続を進めていこう。もう一点、六百億円のうちの残り四百億円については、NHK財団が設立する基金に対して四百億円を出捐をするという形で、これも共同利用型の推進を進めていこうというふうに御説明をいただいています。
そこで、まず最初に伺いたいのは、このミニサテライト局が造られるとなりますと、そこを民放さんも利用する。この還元目的積立金は、受信料でお支払いいただいたものの中からNHKが行ってきた、剰余金を積み立てたものであります。それを民放さんにも使っていただくという形になるんですけれども、その辺りの関係を最初確認をさせていただきたいというふうに思っております。
今回支出をするわけではありますけれども、このミニサテライト局が造られますと、民放さんもそこを利用する、利用料を支払って、それを受け取る形になるというふうに伺いました。
そこで、まず最初に伺いたいのは、今回出資をしますこの共同利用会社の年間の事業収入の見通しと、あと、二百億円出資をするわけでありますが、その回収目途についてはどのようにお考えになっているか、NHKの御見解をお聞かせください。
○根本参考人 お答えいたします。
共同利用会社の年間事業収入につきましては、全国の約四百八十局のミニサテと呼ばれます出力の小さい中継局につきまして、放送事業者からの利用料、これを主な財源として運営することを想定してございます。
年間収入の具体的な金額でありますけれども、現時点では関係者との協議が継続しておりますため、示す段階にはございませんけれども、全国の放送ネットワークの効率的な維持管理に必要な事業規模を確保する計画でございます。
出資金の回収のめどにつきましては、設備整備の完了後からおおむね十五年程度として見込んでおります。
出資は、収益性の確保を目的とした投資ではなくて、放送法の趣旨に基づき、民間放送とNHKの二元体制による効率的な放送ネットワークの維持に必要な公共的役割を果たすための拠出でございます。
この共同利用スキームの全体の持続可能性を確保することによりまして、視聴者や国民の皆様の将来負担の軽減に寄与してまいりたいと考えてございます。
○高沢委員 ありがとうございます。
民間のいわゆる出資とは違うものである、利益を目的とするわけではない、それは承知の上で聞かせていただいたわけでありますが、ただ、この出資二百億円、共同利用会社に出すとともに、先ほどお話しさせていただいていましたように、残りの四百億円は、今度は出捐ということで、寄附のような形でNHK財団にお金を四百億円出して、そこが基金を設立をする。その基金からミニサテ局や、あるいは条件不利地域における小規模中継局などの共同整備に助成をしたりとか、あとその他のものにも充てていくという御説明をいただいています。
次には、この基金に関するところで、基金による様々な、ミニサテ局や小規模中継局の整備をされるというふうに伺っているんですけれども、基金による整備経費の助成の計画については現時点でどのようになっているか、お聞かせください。
○寺田参考人 お答えします。
中継局の共同整備に係る経費助成につきましては、将来にわたる放送ネットワーク維持と視聴者保護を目的に放送ネットワークインフラの整備基金を設立しまして、ミニサテと言われます出力の小さい中継局、あとは条件不利地域の小規模中継局の共同整備、加えて、ブロードバンド等代替など新たな伝送技術開発支援事業などを対象に助成を計画しております。これらの助成は、全国あまねく放送を届けるという公共的使命を果たすものであり、視聴者・国民の将来負担の軽減に資するものと考えております。
二元体制による放送ネットワークを安定的かつ効率的に維持するために、民放各社と連携し、取り組んでまいりたいと思います。
○高沢委員 ありがとうございます。
今の御答弁でも、これらの事業は視聴者の皆様の将来負担の軽減を図るためにというお答えをいただきましたけれども、今回の共同利用型モデルで中継局やミニサテライト局を整備をしていこうというところで、今お話しさせていただいたように、出資の部分で直接出す部分と、基金の運用で四百億円出捐をする部分というのがあるということでありますけれども、ミニサテ共同利用と基金による共同整備による将来負担、皆さんのコスト負担の軽減の見通しというのはどのように考えて今回の六百億円を出すというお考えになったのか、お聞かせください。
○寺田参考人 お答えします。
御指摘のミニサテ共同利用と基金による共同整備は、基幹となる二元体制による放送ネットワークの効率化をNHKと民間放送事業者が協力して実施し、視聴者の将来負担の軽減を図るものです。
現段階では、関係者との協議を継続していることから、具体的な数字をお示しすることはできませんが、ミニサテ共同利用については、全国の放送ネットワークの効率的な維持管理に必要な事業規模が確保できましたら、NHK、民放とも、ミニサテの維持費をおよそ二割程度低減を図れると想定しております。
基金による共同整備の対象となる小規模中継局につきましては、経費助成により早期に設備の更新が実現しますので、放送ネットワークの維持、安定的な視聴環境の確保の実現が期待されます。
この取組によりまして、各地域の民放とNHKが送信機を共通の仕様で共同発注することで、およそ一割程度の発注コストの低減を見込んでおります。また、送信機以外の設備を共有化して、各社が保有する複数の設備を一つにまとめることで、およそ二割程度の発注コストの低減を見込んでおります。
こうした取組を通じまして、放送業界全体の発展に貢献してまいりたいと考えています。
○高沢委員 ありがとうございます。
様々な発注コストが軽減されて、NHKだけではなく、民放を含めた放送業界のコストも下げていけるというような御答弁を今いただいたようにお聞きをしました。
そこで、今お話しさせていただいている基金、四百億円の出捐の中には、先ほども御答弁ありましたけれども、こういった中継局の整備だけではなくて、伝送技術の開発、導入促進という形で、資料の中でも、ブロードバンド等代替など新たな伝送技術の開発、導入促進等と書かれておりますが、これらの具体的な活用計画についてはどのようになっているか、お聞かせください。
○寺田参考人 お答えします。
将来の放送ネットワークの検討につきましては、まずは、改正放送法の趣旨を踏まえまして、共同利用会社によるミニサテ共同利用事業と基金による中継局共同整備への助成事業を着実に実施しまして、効率的で持続可能な放送ネットワークの構築を進めていきます。あわせて、将来の伝送路の在り方について、ブロードバンド等の代替技術の進展を踏まえまして、多様な選択肢を視野に入れながら検討を継続していきます。
また、総務省や民放を始めとした関係者の皆様との協議を丁寧に重ねつつ、将来の放送ネットワーク維持に向けた取組を段階的に進めていく考えであります。
具体的には、ブロードバンド等代替に必要な技術開発、経済合理性を含む課題の解消を目指したトライアルの検討を行っているところであり、基金の活用も含めて引き続き検討してまいります。
○高沢委員 ありがとうございます。
今回のNHK予算の中では、還元目的積立金の活用をするということで、全体としては七百億円のもののうち、今御質問させていただいてまいりましたミニサテ局の共同利用や基金による共同整備等で計六百億円、残りの百億円については、メディア産業全体への貢献という形で、外部との協調連携とも資料に書かれておりますけれども、人材育成支援や技術開発支援、調査研究支援などを行うために百億円を、これもNHK財団が設立する基金に対して出捐をするということで御説明をいただいているんです。
この還元目的積立金に関しましては、これも、資料を見ますと、視聴者の将来負担の軽減につながる先行支出等というために還元目的積立金が今までの剰余金で積み立てられているというふうに理解をしているところであります。共同利用型モデルは、先ほどお話がありましたように、視聴者の皆さんの将来負担の軽減にもつながるという御説明もいただきました。
この残りの百億円のメディア産業全体への貢献、これについて、還元目的積立金から出捐をするというふうに決めた理由についてはどのようにお考えか、お聞かせください。
○小池参考人 お答えいたします。
NHKは、今の経営計画において、情報空間全体の健全性確保、多元性確保を目指しまして還元目的積立金百億円を拠出して、メディア産業全体のために貢献することを掲げております。
良質なコンテンツを視聴者に広く提供する環境を整備するためには、メディア産業全体の発展、底上げが不可欠で、その取組に積極的に関与していくものでございます。
具体的には、総務省に設置されました官民協議会が策定予定の実行計画、アクションプランを踏まえて、百億円を活用して、三つの領域、人材育成支援、技術開発支援、調査研究支援、これによってメディア産業全体に貢献していきたいと考えております。
○高沢委員 ありがとうございます。
メディア産業の発展や支援というのも大切かと思うんですが、それをこの視聴者の将来負担の軽減につながる先行支出等である還元目的積立金から出すことなのか、あるいは違うところからその支援を出すのかというのは、議論、見解の分かれるところもあるのかなというふうに思っております。
この視聴者の将来負担の軽減につながる先行支出等というのは、簡単に考えると、受信料の軽減等に使われるんじゃないかと、今までの余剰金が、皆さんからお支払いいただいた受信料の余剰金があるわけでありますから、それを将来下げるために。現に、前回行われた受信料の値下げのときもこの基金から活用して行われたというふうに伺っております。
今回、この百億円の方なんですが、メディア産業の方に使われたわけでありますけれども、これを決定するに当たって、今すぐという意味ではなくて、将来もしも受信料を値下げするというふうになったときのために、この百億円を還元目的積立金の中に残すという判断はなかったのでしょうか。その辺の検討状況についてもお聞かせください。
○小池参考人 お答えいたします。
放送法では、決算においてプラスの収支差額が生じたときは、財政安定のために留保する一定額などを除いて還元目的積立金として積み立てなければならず、積み立てられた還元目的積立金は、原則として、経営計画の期間内に取り崩して受信料の値下げ原資に充てなければならないこととされております。
今の経営計画では、二三年度末に組み替えた還元目的積立金一千九百二十億円のうち一千二百二十億円については、二三年度に実施した受信料値下げを継続するため、二四年度以降の収支の不足に充当することとしました。残る七百億円については、視聴者の将来負担の軽減につながる先行支出等として、情報空間全体の多元性確保に向けた放送ネットワーク維持に六百億円、メディア産業全体の貢献のために百億円を支出することとしました。
放送法の趣旨を踏まえて、受信料の値下げを実施しつつ、将来の視聴者の利益を最大化するために、総合的な観点から見て最も合理的な選択肢としまして百億円の拠出を判断したものでございます。
○高沢委員 ありがとうございます。
先ほど言った六百億円の中の中継局の共同利用については、将来受信料が値上がりしないようにとか負担軽減という意味はすごく簡単に理解できるんですけれども、メディア産業全体への貢献となると、私、それだけで、今ので、それが本当に値下げにつながるのかなというのは、漠然としている印象は否めません。
その辺について、受信料の制度を守っていくためにも、視聴者の皆様にしっかり説明できる体制を、今も御答弁はいただいているんですけれども、示していく必要があるのかなというふうに感じた次第であります。
続いて、国際放送費について伺いたいと思います。
国際放送費の中のラジオ国際放送につきましては、令和八年度の予算におきましては、二十五億九千万円ということで、前年度比二千万円増、〇・九%増ということで、資料には、その備考に、送信所保守費の増等と書いてありますが、具体的に、この送信所保守費の増というのはどのようなところの保守に使われるのか、お聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
NHKの短波によるラジオ国際放送は、国内ではKDDI八俣送信所から送信しておりまして、送信所の安定的な運用を確保するため、日常的、定期的な保守作業が不可欠となっております。
近年、保守に必要な部品、資材等の価格や、作業に関わる要員の人件費などが上昇傾向にありまして、送信所の保守に要する経費が増加しているところでございます。
○高沢委員 先般の大臣所信に対する質疑でも、「しおかぜ」の放送に絡めまして八俣送信所のお話をさせていただいたところでありますけれども、今御説明いただいたところではあるんですが、この八俣送信所、前回も指摘しましたが、昨年までは七台の送信機があったけれども、二台廃止をされて、現在五台になっていると。しかも、今年に入ってからも故障が続いて、「しおかぜ」については停波が実際起こってしまっていて、設備の老朽化も進んでいるということで指摘をされています。
このラジオ国際放送を担っていますKDDI八俣送信所の送信機の整備計画については、今現時点、どのようになっているか、お聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
KDDI八俣送信所につきましては、ラジオ国際放送を担う短波放送を安定的に継続できるよう、KDDIと連携しながら整備計画を検討しまして、毎年必要な送信機などの整備を進めているところでございます。
NHKは、今後も設備の維持補修に係る費用の必要性を適切に検討いたしまして、八俣送信所の効率的かつ安定的な運用の確保に努めてまいります。
○高沢委員 ありがとうございます。
具体的な整備計画はないというような感じで受け取ったんですけれども、是非、その辺についてはしっかりと整備を進めていく必要があるというふうに思っています。これは、NHKが国際放送を行うために、それに付随して、範囲内でということで「しおかぜ」の支援も行うということであると思います。
今年の予算に対します総務大臣意見を拝見させていただきますと、国際放送については、我が国に対する正しい認識、理解、関心を培い、普及させるとともに、国際交流、親善の増進、経済交流の発展、地方創生の推進、在外邦人の安全確保、国際社会における我が国のプレゼンス向上等に資するよう国際放送のより一層の充実強化に努めることというふうに述べられております。
そこを受けてNHKの井上会長にお伺いしたいと思いますが、NHKワールド・ラジオ日本や「しおかぜ」の機能を拡充していくためにも、八俣送信所の送信機等の増設が必要であるというふうに考えますが、御見解をお聞かせください。
○井上参考人 お答えいたします。
NHKワールド・ラジオ日本を始めとするラジオ国際放送につきましては、メディア環境の変化に応じて、衛星による送信やインターネット配信の拡充を進める一方で、八俣送信所を含む短波放送につきましては、段階的に見直して、現在の規模になっております。
一方、紛争や政変、大規模な災害などにより、他のメディアへのアクセスが制限される地域に向けた情報発信におきましては、短波放送が引き続き有用な手段であると認識しております。
こうした考えの下、現時点では、限られた資源を有効に活用しながら、現有の送信体制を適切に維持、運用していく方針であります。昨年の一月から十月にかけまして、送信設備の大規模な改修工事を行いました。これは、今後も国際放送を安定的に継続していくために必要な作業として行ったものでございます。
また、特定失踪者問題調査会が送信します「しおかぜ」についても、その人道的な意義を踏まえ、NHKの業務に支障が生じないことを条件として、今後も可能な範囲で協力していく方針です。
○高沢委員 是非よろしくお願いしたいと思います。
「しおかぜ」ももちろん大事なんですが、今回、イランの件もあって、同時多発的に様々な紛争等が起こる可能性もありますので、国際放送の体制を整えるというのは大切だと思いますので、八俣送信所の機能拡充等につきまして、しっかりと御検討して進めていただきたいと思います。
最後に、放送法第四条、政治的公平の適合性判断についてお伺いしたいと思います。
平成二十七年の国会で、今総理大臣をお務めの高市総務大臣が、この政治的公平性を判断するときに、一つの番組のみでも判断するという発言をして、様々な議論がされています。その後、平成二十八年には、総務省の見解として、政府の統一見解が発表されております。
その中で、まず最初にお聞きしますが、政治的公平の適合性については、政府統一見解で、一つの番組のみでも判断するというふうにありますけれども、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体から判断するとそれまでの政府解釈が積み重ねられております。
この歴代の解釈が今もあるということで間違いないのか、総務省の御見解をお聞かせください。
○豊嶋政府参考人 お答えいたします。
放送法における政治的公平の解釈につきましては、放送法制定時から現在に至るまで、一貫して変わっていないと承知をしております。
議員御指摘のありました政府統一見解におきましては、政治的に公平であることの解釈について、従来から、政治的問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、不偏不党の立場から、特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてのバランスのとれたものであることとしており、その適合性の判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するとしてきたとされております。
その際、番組全体を見て判断するとしても、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て、全体を判断することは当然のことであるとされております。
その上で、一つの番組のみでも、例えばとして二つの事例を例示しつつ、極端な場合においては、一般論として政治的に公平であることを確保しているとは認められないとの考え方を示しております。
これは、番組全体を見て判断するというこれまでの解釈を補充的に説明し、より明確にしたものであります。
○高沢委員 一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体で判断するということで解釈をさせていただきました。
そこで伺います。
この政府統一見解を受けた後、番組編集上の政治的公平の配慮に関しまして、NHKの中で何か変化は生じているんでしょうか。NHK会長、お答えください。
○井上参考人 お答えいたします。
政治的公平性につきましては、NHKは、不偏不党の立場を守りながら、公平公正、自主自律を貫いて放送に当たっており、この姿勢は全く変わりはございません。
放送法の規定を踏まえて定めております国内番組基準では、「全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保」することを明記しているほか、「政治上の諸問題は、公正に取り扱う。」「意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱う。」と定めております。
基準にのっとり、NHKは、原則として、個々のニュースや番組において、対立する意見の双方を伝えるよう努めています。また、企画や番組の演出によりニュースや番組が複数回にわたる場合には、同一のシリーズの中などで公平に取り扱うよう努め、NHKの放送全体として公平性を確保するようにしております。
○高沢委員 ありがとうございます。
昨年九月、アメリカの話ですけれども、「ジミー・キンメル・ライブ!」という番組が、政治的発言をしたことによって、番組の無期限中止を発表したけれども、批判を受けてすぐにまた復活をしたということがありました。
この問題については、法的に規制をするというだけじゃなくて、政治はしっかりと配慮をしていかないと、やはり放送業界自体が萎縮をしてしまって自粛をしてしまうおそれが出てくるかと思います。この問題、言論の自由や報道の自由を守っていくためには、政治の側のしっかりとした気の引締めというのは大事なんだろうというふうに思っております。
以上で私の質疑を終了させていただきます。
○古川委員長 次に、うるま譲司君。
○うるま委員 日本維新の会のうるま譲司です。
まず、関連で、NHKのBCPについてお伺いさせていただきたいと思います。
NHKでは、首都圏で大規模な災害が発生した場合などに、東京の本社に代わり、緊急性の高い業務を首都圏以外の場所で行うことをあらかじめ定めているとお聞きしております。その仕組みについて詳細をお聞かせいただければと思います。
○山名参考人 お答えいたします。
東京渋谷の放送センターは、阪神・淡路大震災クラスの震度七、こちらの激しい揺れでも機能を確保できる耐震性がございますけれども、万が一放送センターから放送を出せなくなった場合、大阪放送局から衛星放送を使ってバックアップ放送を発信しまして、その放送を、各地の放送局そして放送所を通じまして、テレビやラジオなどに流すということにしております。
二十四時間災害報道を続けるために、大阪放送局には、現行のホストコンピューターのバックアップ設備ですとか、生字幕放送、副音声英語放送の機能、こちらを整備しております。
また、デジタル発信につきましては、平時から東京と大阪で制作、発信をしていることから、仮に東京から出せなくなっても大阪から出すということが可能になっております。
情報棟への移転後は、耐震性がより向上しまして、首都圏で大きな被害が出るような地震であっても、被災地域へテレビやラジオによる放送を出し続けることができるというような想定になっております。それでも、万が一に備えまして、大阪放送局のバックアップ機能は維持するということにしてございます。
○うるま委員 大阪にバックアップ機能があるということで、詳細をお聞かせいただきました。非常に参考になります。
今、国会では、バックアップを目的の一つとした副首都法案が与党内で議論されております。また、今、予算案が審議されておりますけれども、予算案や法案では防災庁の設置も議論されておりまして、この防災庁の役割の中には、首都中枢機能のバックアップというところの強化もあるところでございますので、是非、このNHKの事例も参考にしながら議論を進めていかせていただきたいと思います。
それでは、NHK予算の審議の方に入らせていただきます。
まず、今年の一月にNHKの会長に就任されました井上会長は、就任会見の中で、事業構造と収支構造を変えてしっかり結果を出していくということをおっしゃっておられます。
まず、予算の審議に当たりまして、井上新会長に今後の抱負を改めてお伺いいたします。
○井上参考人 お答えいたします。
NHKの価値の源泉は、コンテンツ、番組そのものにあります。
私は、NHKの放送や配信を通じまして人々の役に立ち、励まし、時に命を救う、そうした人々の命の力になる存在でありたいというふうに考えております。社会環境やメディア状況が大きく変わろうとも、放送でもインターネットでも正確な情報や豊かな番組をお届けするという変わらぬ使命を果たし続けていきたい、とりわけ、コンテンツの開発力、発信力、国際展開力を抜本的に強化していきたいというふうに考えております。
そのために、経営基盤の確立が不可欠ということで、構造改革を着実に進めますとともに、受信料収入の下げ止まりの実現に不退転の決意で臨みたいと考えます。今の経営計画の最終年度となります二〇二六年度予算事業計画の編成に当たりましては、こうした思いを込めつつ、二〇二七年度の収支均衡に円滑につなげる予算といたしました。チームNHKとしてグループ全体の総合力を結集して、この予算、事業計画を着実に実行してまいりたいと思っております。
○うるま委員 今、決意をお伺いいたしました。
特に、我々維新の会としては、経費削減計画、こちら、三百九十億円ということで計画されております。コンテンツの選択と集中や、保守、運用費の削減の積み上げなどでこれをやっていくということでありますが、これをしっかりと実行していただきたいと思います。
続きまして、堀内総務副大臣に、井上新会長への期待についてお伺いしたいと思います。
○堀内副大臣 うるま委員にお答え申し上げます。
我が国の放送は、公共放送であるNHKと民間放送の二元体制の下で互いに切磋琢磨することで発展してきたものと認識しております。
昨今、放送をめぐる視聴環境が急速に変化している中で、公共放送としての機能が十分発揮され、取材に裏打ちされた信頼性の高い情報や、国民・視聴者の相互利用の促進に資する情報が届けられていくことがNHKに求められているものというふうに思っております。
新たにNHK会長に就任された井上会長には、視聴率にとらわれることなく、報道や教養を始めとする幅広く豊かでよい番組を放送するという公共放送としての役割を十分に発揮できるよう御尽力いただくことを期待しております。
○うるま委員 特に公共放送ということですので、経営の透明性、これがすごく重要だと思いますので、その点もしっかり見ていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続いて、近年は動画配信サービスが普及するなど、メディア環境は急速に変化しています。井上会長は、NHKの持続可能性はコンテンツの開発力、発信力、国際展開力の抜本的な強化にあると先ほど述べてもおられますけれども、NHKが公共メディアとして果たすべき役割についてどのように考えているのか、改めてお伺いいたします。
○井上参考人 お答えさせていただきます。
国内外のメディア環境は急速に変化しておりまして、質の高いコンテンツを安定的に生み出せるかどうかが公共メディアとしての存在価値に直結するというふうに考えております。
私は、NHKの持続可能性の鍵は、コンテンツの開発力、発信力、国際展開力の抜本的な強化にあると考えておりまして、グローバルな視点での番組展開にも従来以上に攻めの姿勢で臨みたいというふうに考えております。
NHKは、主に関連団体を通じまして、海外の放送事業者や配信事業者に番組を販売、展開しております。二〇二五年度は、連続テレビ小説や大河ドラマを始めとするドラマコンテンツを中心に、グローバルプラットフォームへの展開をこれまで以上に強化しました。
御指摘のように、コンテンツの海外展開によりまして副次収入の増収につなげていくことができれば、視聴者の負担増を抑制することにもつながります。
世界中のコンテンツと競い合う時代におきまして、NHKは従来の前提にとらわれずに発想を転換して、柔軟かつ俊敏に行動できる組織へと進化していきたいというふうに考えております。
○うるま委員 コンテンツの海外展開についてはまた後ほど聞かせていただきたいと思います。
我が党の部会では、特に共用、ミニサテの共同利用について意見もあったところであります。これは国民や視聴者の皆様からしっかり納得を得られる説明をしていただきたいと思います。その上で、効率的で持続的なネットワーク構築を公共メディアとして主導していただきたいと思います。
続きまして、NHKは、情報空間の参照点として、信頼できる基本的な情報を提供すること、信頼できる多元性の確保として、民主主義の基盤である多角的な視点を提供することを掲げております。これらについて、八年度予算により具体的にどのような取組を行うのか、お伺いいたします。
○山名参考人 お答えいたします。
デジタル空間での偽の情報ですとか誤った情報、こちらへの対策はNHKの重要な使命だと考えております。
信頼性の高い情報を提供するため、NHKでは、報道局にあります専門チーム、ソーシャルリスニングチームいうのがインターネット上の投稿などを二十四時間体制で確認しているほか、去年から、本部と地域放送局にファクトチェックの担当者を置きまして、真偽不明の情報の確認、検証、こちらに連携して対応しております。正確な情報の発信に取り組んでいるところであります。
選挙報道におきましても対策を強化しておりまして、二月の衆議院選挙では、特に、ニュースですとか街頭インタビューを装って特定の政党や候補者をおとしめる内容の生成AIを使った偽の動画、画像、こちらの拡散が目立ったことから、注意を呼びかけるニュースを発信するなどいたしました。
また、インターネット上の有害な偽の情報、誤った情報に対処するため、今年から、映像素材の出どころや改ざんの有無、こちらを自動で判別する映像管理システムの運用を始めているところであります。
取材による情報の確認、これを技術開発と併せて進めることで、情報空間の参照点となる正確で信頼できる情報を提供してまいりたいというふうに考えております。
○うるま委員 今、ファクトチェックのお話などありましたが、やはり大切なのは、NHK自身のコンテンツの信頼性だと思っております。その意味で、制作過程における規律の確保も信頼に直結する話だと思いますので、その点もしっかりやっていただきたいと思います。
続きまして、令和九年度の収支均衡に向けた取組についてお伺いさせていただきます。
令和八年度は中期経営計画の最終年度に当たり、NHKは令和九年度の収支均衡を目指していると承知しておりますが、支出も赤字幅も拡大する中で収支均衡は達成できそうか、また、次期中期経営計画の大きな方向性や、どういった点に注力したいのか、お伺いをいたします。
○小池参考人 お答えいたします。
二〇二六年度、令和八年度は、現経営計画の最終年度となりますが、令和九年度の収支均衡を実現するため、収入の確保とともに、一千三百億円規模の支出削減に向けた取組については緩めることなく確実に実施していきます。
今後も、経営資源の有効活用を進めるため、設備投資の大幅な縮減を行うほか、既存業務の大胆な見直しを行い、経常的経費の削減などによる支出の見直しを実行していきます。業務全般にわたる経費の削減で生み出した原資の一部を質と生産性向上につながる投資に充て、コンテンツの質と量を確保してまいります。
また、事業支出の削減だけでなく、更なる増収を確保するための努力も必要だと考えております。課題となっている受信料の未収の数の増加に歯止めをかけるための対策を強化し、公平負担の徹底と収入の確保を図ってまいります。
今後も、公共放送としての役割を果たし続けていくため、これらはいずれも必要な取組だと考えており、業務の効率化及び生産性向上につながる構造改革を着実に進め、収支均衡を実現させてまいります。
二〇二七年度からの次期中期経営計画については、大きく変わりつつある環境変化、構造変化にNHKとしてどう対応していくのか、今後の事業運営や組織運営の在り方などをお示ししなければならないと考えております。
○うるま委員 受信料の支払い率は七七%となっており、支払い率の向上に向けて一層の取組が必要と考えます。今後、NHKが抱える新たな営業アプローチや未収対策の強化など、公平負担の徹底に向けてどのように取り組むのか、お伺いいたします。
○小池参考人 お答えいたします。
受信料の支払い率を向上させていくためには、多くの方にNHKの放送サービスに触れていただき、納得して受信料をお支払いいただくことが重要だと考えております。
昨年十月から始まったNHK ONEは、テレビを持たない方でもインターネット上でNHKの正確な情報や豊かな番組コンテンツに触れていただけるサービスです。委員御指摘のようにテレビ離れが進むと言われる中、このNHK ONEやNHKオンデマンドなどのインターネットサービスを含め、NHKの公共的価値を視聴者の皆様にお届けしていくことが新たな契約の増加につながっていくものだと考えています。
また、受信契約は結んでいるものの、受信料を長期にわたってお支払いいただけていない未収の世帯や事業所への対応も課題となっています。これに対しては、支払い督促による民事手続を強化してまいります。
新規契約の増加と未収の削減を通じて、支払い率の向上への道筋を立てて、公平負担を徹底してまいります。
○うるま委員 未収対策の強化と併せて、カーナビの受信料徴収に関しては私もちょっと違和感を感じているところでありますので、この点は課題の解決をよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、配信サービスの強化についてお伺いいたします。
昨年十月に放送法が改正され、NHKの配信サービスが必須業務化されたと承知しております。今後、NHKとしてネットサービスをどのように強化していくのか、お伺いいたします。
○山名参考人 お答えいたします。
インターネット配信がNHKの必須業務となったことは、インターネットにおきましても公共メディアとしての責務を果たすことになったという大きな転換点であると受け止めておりまして、NHKとしては、より多くの方に御利用いただけるようサービスを発展させていきたいと考えております。
具体的には、使い勝手の向上、こちらが挙げられます。利用開始ですとか登録プロセスの分かりにくさといったことに御意見をいただいていることから、問合せ対応の改善なども含めまして、より使いやすいサービスとなるよう改善を重ねてまいります。コンテンツの充実、そして体験の深化、こちらを両輪としまして、放送とネットを通じて公共的価値を確実に届けていく考えであります。
また、NHKが必須業務として受信料財源で行っているNHK ONE、こちらと、任意業務として有料で過去の放送番組を提供しているNHKオンデマンド、こちらを一体的に御利用いただけるよう、サービス間の連携ですとか表示の工夫を段階的に進めていく考えであります。
○うるま委員 先ほど御答弁の中にもありましたNHK ONE、これはアプリがダウンロードしにくいといったようなお声もちょっといただいておりますので、是非改善の方をよろしくお願いします。
最後に、井上会長は、コンテンツの開発力、発信力、国際展開力の抜本的強化が持続可能性の鍵だと述べられております。NHKは質の高いコンテンツを多く持っており、こうしたコンテンツを海外などに提供することにより受信料以外の収入を確保することもできると考えますが、NHKとしての取組についてお伺いいたします。
○井上参考人 今御指摘ありましたように、NHKの持続可能性の鍵は、コンテンツの開発力、発信力、展開力の強化にあるというふうに考えております。グローバルな視点での番組展開にも、従来以上に攻めの姿勢で臨みたいというふうに考えております。
こうしたコンテンツの海外展開によって副次収入の増収につなげていくことができれば、視聴者の負担増を抑えることができるということにつながると考えております。
従来の前提等にとらわれずに、柔軟かつ俊敏にこうした取組ができる組織へと変えていきたいというふうに考えております。よろしくお願いします。
○うるま委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
○古川委員長 次に、神田潤一君。
○神田委員 自由民主党・無所属の会、青森二区選出の神田潤一です。
本日最後の質問ということになります。実は私、一番最初の質問だろうということで準備をしておりまして、予算の全体的な話を中心に質問通告をしたんですが、蓋を開けてみたところ、一番最後ということになりました。皆さん方、大変細かいところも含めて、大分論点は出尽くしていると思いますので、重複する部分もあると思いますが、質問をさせていただきたいと思います。
まずは、NHKの新会長に就任いたしました井上樹彦会長、御就任おめでとうございます。私は、自称テレビっ子でございまして、小学校の頃は、学校から帰るとテレビをつけて相撲を見ながら遊ぶ、それから夏休みは、高校野球にかじりつく、あるいは、日曜八時には、家族全員が居間のテレビの前に集まって大河ドラマを見るという家庭で育ちまして、「徳川家康」とか「独眼竜政宗」とか、最近では、家族と「龍馬伝」や「真田丸」、「光る君へ」と、その頃の思い出も含めて大河ドラマにはいろいろな思いがあります。やはり、NHKならではのコンテンツということで私は大好きであります。
一方で、私の子供たちも含めて、今の若い人たちは、地上波のニュースを見たり、あるいは地上波から情報を得るということは余りないようでして、やはり、インターネットを中心に情報を得る、ユーチューブを見ながら、動画を見るということが中心になってきています。そういう意味では大きな転換点にある時期に新会長に御就任されたということだと思っています。
また、今回の予算は、こういう大きな時代の転換点に差しかかっていることが大きく反映された予算になっているというふうに思っております。経営委員会の古賀信行会長は、昨年、新会長の人選中のインタビューの中で、経営課題山積の会長職を受ける人がいるのだろうかというようなコメントもされておりました。その当時は、稲葉前会長が去年の五月に肺がんの初期の段階にあるということを公表され、非常に体調が優れない中での職務を続けておられた時期というふうに認識しております。
実は、稲葉前会長は、私が二十年以上前に前職の日本銀行で部下として仕えた当時の上司でありました。前例にとらわれずに本質を追求する、非常に厳しい上司ではありましたが、その稲葉会長らしい三年間のお務めだったのではないかというふうに拝見しておりました。
そこで、まず一つ目、井上会長に伺いたいんですが、井上会長が副会長として支えましたこの稲葉延雄前会長の三年間をどのように評価をされているのか。また、この厳しい状況の中で、十八年ぶりの内部昇格、会長になられましたことについて、私は大きな意義があるのではないか。稲葉会長の後を受けてどのように考えていらっしゃるのか、まずは伺いたいと思います。
○井上参考人 お答えいたします。
稲葉前会長が就任されました三年前は、受信料の一割値下げに伴う大幅な減収局面となるなど、厳しい経営環境下にありました。様々な工夫をすることによりまして、二〇二七年度の収支均衡に向けた道筋をつけていただいたというふうに考えております。
また、稲葉会長は、アカウンタブルな経営と称しまして、対外的な説明責任をしっかり果たしていくという基本方針を掲げられました。それを確実に実行されてきたことも大きな功績だというふうに受け止めております。稲葉前会長の下で進めてきた一連の施策は着実に成果が上がっていると考えております。
ただ、今御指摘のありましたネット対応、あるいは国際展開、そして受信料収入の確実な下げ止まりの実現など、残された課題があるのも事実であります。
私は、NHKに長く勤めた経験があり、同時に、この三年間は副会長として共に経営を担ってまいりました。こうした残課題については十分把握できておるつもりであります。連続性や継続性を生かしながら、迅速に手を打って、確実に成果を上げていきたいというふうに考えております。
○神田委員 井上会長、ありがとうございます。稲葉前会長の思いを受け継ぎながら、そしてその改革の精神も受け継ぎながら、進んでいただければというふうに思います。
それでは、具体的な質問に参りますが、これも井上会長に伺いたいと思いますが、今もお話がありましたけれども、やはり、NHK始まって以来の大きな転機なのではないかと私が先ほど申し上げた一つ目の要素としましては、昨年十月に改正放送法が施行されまして、インターネット配信が必須業務化されたことが大きな事象としてあると思います。私は、その議論の中で、自民党の部会などでも参加をしておりましたが、これによって民業が圧迫されるのではないか、あるいはNHKの業務が肥大化していくのではないかというような反対意見もありつつ、一方で、やはりインターネットの配信というところを放送業務と融合させていかなければ今後の公共放送の使命は達成できないのではないかという議論もした記憶がございます。
改めて、井上会長から、インターネット配信が必須業務化されたことの、公共放送としてのNHKにとっての意義と、今後の取組の方向性について御説明いただければと思います。
○井上参考人 お答え申し上げます。
昨年十月からの、インターネット配信、これがNHKの必須業務となったことにつきまして、NHKが、テレビ、ラジオの放送に加えて、人々の情報取得の主要な経路となりましたインターネットにおきましても公共メディアとしての責務を果たすことになったという、大きな転換点というふうに受け止めております。
この必須業務化の意義は、第一に、放送でもネットでも同等の価値、同一の受益を安定的に届けるというNHKの役割が制度として明確に位置づけられたという点にあります。
繰り返しになりますけれども、私は、NHKの価値の源泉は何よりコンテンツそのものだというふうに考えております。放送だけでなく配信を通じて人々の役に立ち、励まし、時に命を救う、そうした人々の生きる力になる存在でありたいと思っております。
ネット空間に真偽不明の情報が拡散し、対立をあおる情報も増える中、NHKが、取材に裏打ちされた確かな情報を継続的に提示し、情報空間の参照点としての役割をネットの世界でも果たしていくことを明確にした点も必須業務化の重要な意義だというふうに考えております。
今後は、現在実施できておりません南関東圏以外の地上波放送の同時配信と衛星放送の同時・見逃し配信についても、実現に向けた検討を進めてまいります。
また、受信料財源で行っておりますNHK ONEと、任意業務として有料で過去の放送番組を提供しておりますNHKオンデマンドを一体的に御利用いただけるよう、サービス間の連携や表示の工夫を段階的に進めてまいります。
さらに、利用開始や登録プロセスの分かりにくさなどにも様々な御意見をいただいておりますことから、より使いやすいサービスとなるよう改善を重ねて、コンテンツの充実と利便性の向上を更に図りまして、放送とネットを通じて公共的価値を確実に届けてまいりたいというふうに考えております。
○神田委員 ありがとうございます。
これから、インターネット配信を含めて、NHKがしっかりと公共放送としての使命を果たしていく、非常に大事な業務が必須業務化されたということになると思います。是非とも、今おっしゃっていただいた方向でしっかりと進めていただければと思います。
次の質問としては、先ほどからもテーマになっていますが、還元目的積立金から六百億円あるいは百億円という大きな拠出の数字があります。これらについては、先ほどの高沢委員の御質問でかなり深掘りされたのではないかというふうに思っております。
六百億円については、ネットワーク効率化に向けた取組、共同利用型モデル、ミニサテなどへの拠出、あるいは基金への拠出ということ、そして百億円については、メディア産業全体への貢献ということで、NHK財団に設立する基金に拠出した上で、官民で人材育成や技術開発などに取り組んでいくということ、これから具体的に進めていくというようなお話もありましたので、ここでは深掘りは私としてはいたしません。
ただ、私、最初にテレビっ子であるというふうに申し上げまして、NHKの番組を幾つか挙げたんですが、NHKの番組だけではなくて、歌の「ベストテン」とか「トップテン」とか、ドリフの「八時だヨ!全員集合」とか「オレたちひょうきん族」とか、民放も私は大好きでよく見ておりました。
そういう意味では、情報空間全体の多元性確保への貢献という言い方はなかなか抽象的で難しい言い方ですが、私なりには、やはりなかなか民放の皆さんも、非常に、インターネットが台頭していく中で経営が厳しい、あるいは、充実したコンテンツを継続的に発信していくことの困難さを感じているのではないか。
あるいは、地方局、地方の民放はもっと、自前で設備を維持したり整備したりしていくことがなかなか難しい中で、やはりNHKと一緒に放送事業を守っていく、発展させていく、そして、そこには単一的ではない多様な情報を盛り込んでいける、いろいろな価値観でいろいろなコンテンツを発信していける、そういったものを支えていく取組としてこの六百億円と百億円ということについては理解をいたしましたので、これについても、これから具体化していくということではありますが、しっかりと進めていっていただきたいというふうに思います。
また、次の質問として、中期計画について、今年度が、令和八年度が最終年度ということになりますが、令和九年度に収支均衡を目指して回復をしていくというお話もありました。新たな営業アプローチということで、これについても何人かの委員の先生から御質問があった点になります。収支均衡の見込みについても既に触れられておりますので、私から質問は割愛させていただきたいというふうに思います。
ただ、今回、こういう形で、受信料を一〇%下げ、また赤字経営の中で収支均衡を目指していく、いろいろな経費の節減、効率化を図っていくという中で一つ気になりましたのは、国際放送についてであります。
皆さん御存じのとおり、ウクライナ紛争が継続したり、トランプ大統領が就任して関税政策などで様々な影響が出ている、あるいは、東アジアの安全保障環境も厳しくなり、イランへの米国やイスラエルの攻撃もある、非常に国際情勢が厳しさを増す中にありまして、我が国として、日本としての立場や考え方、あるいは他国からの情報操作に負けないナラティブをしっかりと発信していく、そうしたことの重要性も高まっているというふうに思います。
こういう状況の中にありまして、国際放送について見ますと、予算の中で国際放送費というのがあります。令和七年度が二百二・六億円、これが令和八年度は百九十五・三億円ということで、七億円ちょっとの減額になっています。また、国際放送番組等配信費、これはインターネットの方だと思いますが、二十九・五億円から二十二・四億円と、これもやはり七億円少し減額になっています。
国際放送が非常に重要性を増しているという中にありまして、こうした国際放送関連の予算が減額になっている理由と、また、あわせて、国際放送の使命をどのように達成しようとしているのか。これは担当の役員の方で構いませんので、御説明いただければと思います。
○山名参考人 お答えいたします。
国際情勢が不透明感を増す中で、国際放送の重要性が高まっているという御指摘は私どもも強く認識しているところでございます。
令和八年度予算において、全体として経費削減を進めるという中でありますけれども、国際放送費に関しては、前年度比でおよそ三・六%の減というふうにとどめておりまして、国内放送に比べて減額幅を抑えているところでございます。
この国際放送費の削減につきましては、国内放送との連携強化ですとか、コンテンツの選択と集中による制作の効率化、さらには、衛星ですとか短波といった従来型の送信とインターネット配信、こちらを組み合わせた送信網の最適化、こういったことを進めることで、コスト構造を見直した結果ということでございます。
また、国際放送番組等配信費につきましても、インターネット必須業務化に向けた準備経費の減少というのがございまして、事業の進捗に応じた予算の平準化によるものでございます。国際放送の縮小ですとか、サービスを低下したということではございません。
NHKの国際放送の使命は、公平公正な情報を世界に発信することで、健全な民主主義の一翼を担うとともに、国際社会における相互理解を深め、平和で持続可能な世界の構築に貢献することであるというふうに考えております。引き続き、限られた財源の中でも質的充実と効率化を図りながら、国際放送の使命を果たしてまいりたいと考えております。
○神田委員 ありがとうございます。
NHKの公共放送としての国際放送の重要性という点についてはしっかりと御認識いただいているようですし、また、減額の理由も今御説明をいただいたところです。
政府としても、日本の立場、そして、日本の、我々としてのナラティブをしっかり発信していくということで、広報あるいはSNSなどでの発信も強化をしているところです。是非とも、NHKとしても、日本の立場あるいは国際的な情報発信にしっかりと努めていただければというふうに思います。
先ほど、一番最初に稲葉前会長が私の上司だという話をさせていただきましたが、実は、井上樹彦新会長とも御縁が少しございまして、井上会長は、私が尊敬する青森二区の先輩の大島理森前衆議院議長の番記者でいらっしゃったというふうに伺っております。長い間、そういう意味では、大島理森前衆議院議長ともいろいろな対話をされてきた政治部の記者としての経歴、あるいは、政治部長、編成局長などを御経験の上で新会長に就任されたということになると思います。
一方で、先ほどからも話題になっておりますが、災害の頻発や激甚化、あるいは国際紛争の勃発、継続、信頼できる情報空間の参照点としての公共放送の重要性が非常に高まっているという中、一方で、インターネットやSNSの台頭、生成AIでの偽情報の生成、拡散、世論の分断など、非常にメディアやジャーナリズムにとって困難な時代ともいうべき中での新会長の御就任ということになると思います。
ジャーナリストとして、政治部の記者としての御経験などを踏まえて、最後に、公共放送としての、新会長を担っていく意気込みについて伺えればと思います。
○井上参考人 ありがとうございます。お答えさせていただきます。
委員御指摘のとおり、時代が激しく変化し、情報の信頼性が揺らぐ中で、正確で公正な報道を届けることはもちろん、自然災害、国際情勢、生活情報など、人々の安全と安心に直結する情報を提供する役割、使命はかつてなく重要になっていると認識しております。
昨日で東日本大震災の発生から十五年がたちました。この震災を教訓に、NHKでは、アナウンサーによる強い口調での避難の呼びかけ、それから、ロボットカメラを始めとする災害報道の設備面の強化など、災害報道を充実強化、進化させてまいりました。
NHKが担う災害報道での役割は変わることはございません。これからも重要な使命として取り組んでいきたいというふうに考えております。
そして、中東やウクライナなど、国際情勢が不安定になる中、現地の状況や日本への影響なども力を入れて報道しているところであります。偽情報、誤情報が蔓延する中でも、正確で信頼性の高い情報発信に記者出身としても努めてまいりたいというふうに思っております。
そして、こうした取組を将来も持続的に進めるために、その根幹を支える受信料制度を将来にわたって維持して持続可能なものにするということも私の責任だと思っております。その実現に向けて、不退転の決意で取り組んでまいります。
よろしくお願い申し上げます。
○神田委員 力強い御決意をありがとうございました。
今日、様々な皆さんから質問がありましたが、もちろん厳しい質問もございましたが、おおむね、やはりNHKの公共放送としての使命が非常に重要だということ、そして、その使命をしっかりと果たしていただくことが、我々政治家、国会議員にとっても非常に大事なことだという認識を共有できたのではないかと思います。是非とも、井上新会長のリーダーシップでNHKを引っ張っていっていただければと思います。
以上、質問を終わります。
○古川委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。
この際、休憩いたします。
午後三時二十二分休憩
――――◇―――――
〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

