衆議院

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第2号 平成28年10月19日(水曜日)

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平成二十八年十月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 井上 信治君 理事 土井  亨君

   理事 藤丸  敏君 理事 宮下 一郎君

   理事 山田 賢司君 理事 木内 孝胤君

   理事 伴野  豊君 理事 伊藤  渉君

   理事 上田  勇君

      穴見 陽一君    石崎  徹君

      大野敬太郎君    大見  正君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      助田 重義君    鈴木 隼人君

      高木 宏壽君    竹本 直一君

      津島  淳君    中山 展宏君

      宗清 皇一君    村井 英樹君

      山田 美樹君    今井 雅人君

      重徳 和彦君    田嶋  要君

      古川 元久君    浜地 雅一君

      宮本 岳志君    宮本  徹君

      丸山 穂高君    小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   財務副大臣        木原  稔君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十九日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     穴見 陽一君

  神田 憲次君     高木 宏壽君

  前原 誠司君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     大岡 敏孝君

  高木 宏壽君     神田 憲次君

  田嶋  要君     前原 誠司君

同日

 理事上田勇君同日理事辞任につき、その補欠として伊藤渉君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事上田勇君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に伊藤渉君を指名いたします。

     ――――◇―――――

御法川委員長 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮下一郎君。

宮下委員 自由民主党の宮下一郎でございます。

 麻生大臣には、昨年は財務副大臣として、また、本年の通常国会では財務金融委員長の立場で大変お世話になり、また、御指導もいただきました。この場をおかりして、改めて御礼を申し上げます。

 本日は、昨日お伺いをしました大臣所信を踏まえまして、できるだけ大局的な見地から大臣のお考えをお聞かせいただければと考えております。

 まず、平成二十九年度の予算編成並びに税制改正に向けた大臣のお考えを伺いたいと考えております。

 昨日の御発言にもありましたように、日本経済は、安倍内閣の取り組みによりまして雇用・所得環境が大きく改善するなど、確実に成果が生まれている。一方で、地方経済の現状を見ますと、元気な企業はふえてきたものの、業種や地域によってはいまだアベノミクスの恩恵を実感できないという声があるのも事実でございます。まさに、グローバル企業を中心に上場企業は史上空前の好決算が続いてきたわけですけれども、これを広く均てんするため、さまざまな取り組みを安倍内閣としてもやってまいりました。

 一つは、政労使合意をして、そのアベノミクスの成果を広く賃金の引き上げということで行き渡らせてほしい、こういうことも経済界に働きかけてきましたし、また、下請企業との取引条件の改善、ガイドラインの見直し、徹底等も含めて、多くの企業がその恩恵に浴するようにという観点での取り組みもしてまいりました。

 また、それぞれの産業分野、例えば企業であれば、研究開発や生産性向上の取り組み、予算や税制でしっかり支援をしたり、また、農業でも、産地パワーアップ事業、畜産クラスター事業の充実等々で所得を拡大できるようにという前向きな取り組みを後押しする。そうした予算や税制の取り組みをしております。

 また、これも税制改正の中で、賃金を引き上げると減税となる所得拡大促進税制、また、本社機能の移転や地方での雇用を増加させると減税となる地方拠点強化税制、そして、生産設備に対する投資減税、こういったことで、いろいろな主体が、前向きに頑張る地域や主体が恩恵が得られるようなそうした観点から、また、イノベーションを通じてデフレマインドから脱却する、そのことを後押しするような予算編成方針でこれまでもやってきました。

 こうしたことを考えますと、平成二十九年度につきましても、引き続き、成長と分配の好循環を実現するための未来志向の予算編成と税制改正を実現すべきだと考えます。

 大臣のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

麻生国務大臣 政権交代後かれこれ四年ということになろうかと存じますが、経済の好循環が始まっていることは、これは間違いなく、学校を出た人が百人、昔は八十何社からしか求人広告がなかったものが今百三十七社までふえてきている等々が一つの例ですけれども、有効求人倍率の数字を申し上げればそういうことになりますし、経常利益は史上空前を行っておりますから、そういった意味でも非常に大きく伸びていると思いますが、必然的にデフレ不況ではない。しかし、デフレも好不況、インフレも好不況ありますように、不況ではありませんけれども、まだデフレから完全に脱却しているというわけではない。

 世界じゅうも、ディスインフレとかいろいろな言葉を使っていますけれども、基本的にデフレになりつつあるヨーロッパを初め、いろいろな問題がありますので、私どもとしては、このデフレ不況というものから脱却した上で、かつ、インフレターゲット二%というのを目指してまだ道半ばだと思っておりますので、これからさらに脱却をしていくためには、今あります中で、個人消費が伸びていないというとこらからいきますと、やはり、給与等々を引き続き上げていくという方向を進めねばならぬと思っております。

 いわゆる勤労者の賃金引き上げというのは、主たる仕事は労働組合の仕事なので、これは、労働組合に支援されていない自由民主党としてはこれを支援するのはいかがなものかと随分御意見もありましたけれども、我々としては、給料は上がるということをやらない限りは個人消費がふえませんので、そういった意味では、これをきちんとやっていくという点を踏まえて、今後とも企業との間では、いわゆる内部留保が年間大体二十四、五兆、この三年間たまっておりますので、賃金に回っている分がこの三年間では三兆数千億しか回っておりませんから、その分、また、設備投資をとっても八兆、九兆ぐらいしか回っておりませんので、そういったものも全部というようなことをやって民需主導の主導的な経済成長というものにつなげていっていただかないかぬと思って、我々としては、この二十九年度の予算につきましても、補正予算を含めまして、こういったものをきちんとやっていかないかぬと思っておるところであります。

 いずれにしても、成長と分配の好循環というのを実現してまいりたいと思っておりますが、グローバル経済とか自由競争にすれば当然格差というのが、成功したところ、しないところ、地域間格差、世代間格差、企業間格差、業種間格差というのは必ず出てくるものだとは思いますけれども、そういった中において、いろいろ企業に対してもいわゆる前向きな設備投資とか、いろいろなものもさらにやっていけるようなことができる法人税改革というのに取り組んでおりまして、法人実効税率も二〇%前倒しをさせていただきましたけれども、その分だけ外形標準課税等々は、大企業に対しては外形標準課税を適用しますとかいろいろな形をさせていただいておるところなので、今後とも、税制改正におきましても、どういった結果が出てくるかをよく踏まえた上でさらにこれを進めていかねばならぬものと考えております。

宮下委員 きのうのお話にもありました。今回の消費税率一〇%引き上げの延期の背景は、やはり、少子高齢化、潜在成長率の低迷、個人消費、民間投資が力強さを欠いていること、新興国経済の陰りとか、英国のEU離脱とか、世界経済の成長の減速のリスクが懸念されるということ、こういったことを総合的に判断して総理が決断されたものと認識しております。

 一方で、増大する社会保障費を支えて我が国の財政を持続可能なものとしていくためには、来るべき平成三十一年十月に消費税率を確実に引き上げることも非常に重要だと考えております。

 そう考えますと、この三年間をどのように我々が頑張っていくか、そこが勝負だなという思いを強くしております。

 よく成長戦略と言うけれども、何をやればいいのかよくわかんないねと言われる方もいるんですが、政府としましては、六月に日本再興戦略二〇一六、八月には未来への投資を実現する経済対策、こうしたものを決定しまして、実現すべき社会の姿とか成長分野はこれだと、しっかり戦略は打ち出しております。

 例えば日本再興戦略では、第四次産業革命、健康立国の実現、環境・エネルギー制約の克服、スポーツの成長産業化、既存住宅市場の活性化、サービス産業の生産性向上、中小・小規模事業者の革新、農林水産業の体質強化、観光立国の実現、こういったことを戦略プロジェクトとしてやるんだということを打ち上げておりますし、また、未来への投資を実現する経済対策では、一億総活躍社会実現のための子育て・介護の環境整備、若者、女性活躍の推進、また、二十一世紀型のインフラ整備として、観光や農業の強化、リニア新幹線や整備新幹線の整備加速、世界経済リスクへの対応と中小企業・小規模事業者、また、地方への支援、熊本地震や東日本大震災からの復興や防災対策の強化、こういったことが打ち出されておりまして、こうした方向でみんなで頑張ろうというスローガンをしっかり打ち出している状況だと思います。

 まさにこれからの三年間は、経済を前向きに体質改善するための重要な期間と位置づけまして、こうした方針を国民みんなで共有して、官民一体となって経済を体質強化していく、そして、消費税率が引き上げられるような環境をつくっていくべきだと考えますが、大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘ありましたように、基本的に日本の人口構成というものを考えたときにおいて、今後とも勤労者の所得に対する税に頼るという所得税に偏ったものではなくて、高齢者等々、広く薄く消費税を頂戴することによって社会福祉関係も広く薄くということをきちっと行き渡るようにしていかないと、私どものように、やはり中福祉・低負担というのではとてももたなくなってきているのではないかというのが基本的な考え方のベースにあろうと思っております。

 したがいまして、私どもとしては、消費税一〇%というのを掲げておりますけれども、ここになれるようにするための経済環境というものをつくり上げないと、一〇%を頂戴できる、また、一〇%払ってもいいじゃないかという一般納税者の方々の気持ちというものになりませんと、なかなか事は前に進んでいかないと思っております。

 これから先、いわゆる未来への投資ということを言っておりますけれども、少なくとも、目先の金がふえてきた、インバウンドなんか最たる例かもしれませんけれども、これが未来永劫、毎年千万ずつふえていくなんというのがずっと先まで予想できるはずもありませんので、そういったことを考えますと、私どもとしては、やはり未来投資会議においても、基本的に、今宮下先生が述べられたようないろいろな項目について長期的な視野に立ってきちんとした対応を今のうちからやっておくという意味で、ハードルとしては結構高い目標を掲げておりますけれども、こういったものを、アベノミクスを一層加速していく上でも、私どもとしては、この財政運営、経済運営というものに力を注いでまいりたいと考えております。

宮下委員 ありがとうございました。

 次に、金融行政のあり方についても質問させていただきたいと存じます。

 昨日は、大臣から、デフレ不況からの脱却、経済再生を後押しするために、金融仲介機能をさらに強化する観点から、金融機関に対する検査監督のあり方を見直して、いわゆる金融処分庁の印象から金融育成庁への転換を一層進めるとの御発言がございました。

 特に、地方の中小企業が新たな商品開発や市場開発、生産性向上などさまざまな体質強化に取り組む際には、それをサポートする地域金融機関の果たすべき役割がこれまで以上に重要でありまして、コンサルティング機能を強化して経営支援を行ったり、個人保証に頼らずに、企業の事業性を評価した融資を行うなど、企業に寄り添った対応が必要であると考えます。そうした取り組みは金融機関自身の体質強化にもつながるものだと思います。

 先月出されました金融仲介機能のベンチマークは、まさにそうした観点から地方金融機関とのコミュニケーションを図るツールでありまして、金融庁としての姿勢を示す意味でも大変意義のある取り組みであると思います。

 このベンチマークも活用しながら金融機関の取り組み状況をフォローしていくことは、地方の企業の前向きな取り組みを後押しすることにもつながると考えますが、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のとおり、これは今から人口が減っていくという前提に立ちましたときには、少なくとも、地方銀行の中において、対象とされる県民の数の絶対量が減るということを意味しておろうと思っております。

 したがいまして、金融制度というものを考えたら、金融機関のあり方として、従来みたいに担保をとってという、質屋をやってんじゃないんだから、少なくとも、その企業というものは伸びるか伸びないかというのをよく見きわめるというのは、転勤もなく地元に一番定着している金融機関、これは何と言ったって中小の地方金融機関ですから、そこが一番幅広く、よく企業を見ているはずだし、深くもつき合っているはずだから、そこらの人たちがもう少し考え方を変えてということを少なくともやらない限りは、処分庁のイメージは、やはり九七年の、アジア通貨危機という名前で言われていますけれども、多くの都市銀行、北海道拓殖銀行倒産、三洋証券倒産、山一証券倒産、長銀が翌年倒産し、日債銀が倒産し、都市銀行で昔の名前で出ていますなんという銀行はもう二つぐらいしかなくなりましたので、そういった意味では明らかに金融機関というのは、猛烈な勢いでこの十数年間、変化せざるを得なかったということは確かであろうと思いますが、今改めて、この四年間、状況が間違いなく変わってきているんだから、それに合わせて金融機関も、時代に合わせて対応を変えていかないと、金融機関自体の存続が危ぶまれることになるし、金融機関が地元の企業側から見て、まだ貸し出し態度というのは金融庁が言っているほど変わっていないという調査が出てきておりますので、アンケート等の結果ですけれども、その上で私どもは金融仲介機能のベンチマークというのをつくらせていただいて、この方向でという話を今私どもとしては、金融庁として、銀行、中小、特に零細金融機関等の間の関係を私どもとしてはきちっとした機能するものにさせていきたいと思って、今やらせ始めたところであります。

宮下委員 時間が参りましたので、きょうはこの辺にさせていただきます。越智副大臣には、ちょっと、お時間の関係で失礼いたしました。またの機会に質問させていただきます。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 私、本委員会で、初めて財務金融委員会に所属をさせていただきますので、委員長及び委員の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 そして、麻生大臣、これから質疑をさせていただきますが、よろしくお願いいたします。大臣に質問できることを楽しみにしておりました。

 きのう所信を聞きまして、早速、与党の質問ということで、私も超特急で準備をしました。今回から与党は特に早く通告をし、我が党もしっかり役人の皆様方に、残業しないでやるということでございますので、きのうも何とか早目に通告をしたつもりでおりますけれども、御迷惑をかけたのではないかというふうに思っております。

 きのうの大臣の所信の中で、日本経済の現状と財政政策の基本的な考え方、これに関しましては、雇用、所得の環境は大きく改善している、しかし、少子化や潜在成長率の低迷といった構造的要因もあり、個人消費や民間投資は力強さを欠いた状態にあるという認識を示されました。しかし、その後に、「また、」ということで、世界経済の減速のリスクの懸念ということが記されております。

 その世界経済のリスクにも対応するために、二十八年度の第二次補正予算三・二兆円が成立した、また、消費税一〇%への延期をしたということでございまして、この世界経済へのリスクという言葉が出てきたのは、たしか、五カ月前のG7の伊勢志摩サミットのときだったと思っております。このときに、消費税をやはり足元の景気を見て延期をすべきかすべきでないかといった議論がございまして、私の記憶では、国際金融経済分析会合を何度も開かれまして、世界の経済学者でありますとか識者をお呼びして、さまざま意見を聞かれたところでございます。

 結果、G7では、この世界経済の減速のリスクに対応するために、さまざま各国が自分たちができる総合的な政策をやっていくんだということで一致をさせていただきました。

 この国際金融経済分析会合に出ている方々の中で、OECDのグリア事務総長がいらっしゃいます。また、IEAのビロル事務局長もいらっしゃったと思っています。私はこのときちょうど外務政務官の任にございまして、お二人にお会いをしましてさまざま意見交換をさせていただきました。その中で特にグリアさんは、OECDという立場もあると思うんですが、日本はしっかり消費税増税を実行すべきだという意見を表明されまして、意見が分かれたところでございます。

 その後、六月一日に実際に安倍総理より消費税延期の記者会見が行われまして、私はその翌日に、実はパリで行われましたOECDの理事会の会合に参加をしました。日本はOECDの開発センターに、離脱をしておりましたが、この日をもって復活をするということで、ですので、少し特別扱いを、特別扱いではないんですけれども、日本が来ましたのでセレモニーをしていただきまして、グリアさんと話す機会がございました。

 私は、やはりグリアさんが非常に消費税延期への懸念を示されましたので、ぜひ理解を求めたい、同意を求めたいということで、さまざま、日本の現在の個人消費の状況でありますとか、また、消費税を延期したとしても、日本の今の国債の買い入れ状況からしますと金利はそう大きく上がらないということを説明しまして、グリアさんからは、アイ・アンダースタンド、アグリーとは言われずに、理解するという言葉をいただきました。そして、それに続いて、日本はG7の議長国として世界経済の減速のリスクという認識をしたんだから、日本としては率先をしてそのリスクに立ち向かう政策を打たなきゃだめだなというふうにおっしゃいましたので、そのとおりでございますというお話をしました。

 そこで、きのうの所信を見ますと、やはり世界経済のリスクに立ち向かうために、一つは消費税の二年半の延期ということでございます。そして、二十八年度の三・二兆円規模の補正ということでございますが、当然、日本の構造変化、または、もう少し力強い成長のためにはさまざま政策を動員する必要はあるかと思いますが、まずやはり、世界に向けてG7議長国として世界経済の減速のリスクに立ち向かうという点において、この消費税の二年半の延期、それに三・二兆円の今回の補正予算においてその対策は十分とお考えか。大臣の御認識をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは浜地先生、経済というのは基本的に生き物ですから、今から約一年の間に、例えばイギリスがブレグジットというのをやると言って本当にやるんですか、議会で否決されたらどうされるんですと言うと、イギリス人でもみんな黙る。また、中国の上海の暴落が去年の十月ですけれども、こういったようなことが起こらないという保証はありませんよね。

 というようなことを考えましたときに、我々、実にいろいろなことを考えておかないと、世界経済によってこれだけ世界じゅうがいろいろ複雑に、輸出したりされたり、輸入やら何やらでいろいろかんでいますので、日本の場合は、GDPの中に占める輸出の比率というか貿易比率の数は、中国やら西ドイツやら韓国みたいに高くありませんから、そういった意味では、影響力としてはアメリカ、日本というところは少ないところだとは思いますけれども、それでも影響を受ける等々のことをいろいろ考えますと、これはちょっと対応を考えておかないかぬと私ども思っております。

 もう一つは、これだけ三年間の間になってきたんですが、やはりデフレーションというのが、まあ歴史家は、一九九〇年から株が暴落し始めていますが、三万八千九百円がつけたのが一九八九年十二月二十九日ですから、翌年から株がずっと下がり始めていったので、そういった意味では、多分あれと言うか、土地の値段が下がり始めた九二年と言うかは別にして、いずれもあのころからデフレーションという傾向が出始めたと記憶しております。

 そういった意味からいくと、長く続いておりますので、デフレマインドというのはこれはなかなかしつこくなっていて、今これだけ金融業界が零コンマ何%でも金を借りないという状況は、昔六%、七%で金を借りた時代とは全く違っている状況にあろうと思いますので、やはり、経営者のそこらのいわゆる気持ち、マインドが変わるということがすごく大事なので、いろいろな意味で積極的に海外にとか、人口が減っていくんですから、当然海外に出ていくというのは当たり前の話ですけれども、そういった意味で、海外からこちらに、設備、技術、教育水準、治安等々いずれも進んだところですから、そういった国に投資が入ってくる、また、こちらからも海外に出ていくというようなことが今後とも必要になることははっきりしていますので、そういったものを考えながら、私どもとしてはしばらく、どういった危険をほかの国の状況を見ながらやりませんと、治安が日本みたいに世界的にはと思ったら大きな間違いですから、きちんとそこらのところを考えながらやらぬといかぬところなんだと思っています。

 いずれにいたしましても、企業のそういった民間の方々が積極的にという行動が出てくるまでの間は、いましばらく我々としては、いろいろな意味でインセンティブを出していくということを継続する必要があろうと思っております。

浜地委員 麻生大臣の、現下の日本経済、世界経済のリスクに対応する日本の対応という意味で今お聞きをいたしたわけでございますが、G7のときは五月ですから、もうあれから五カ月たちます。先ほど大臣からもお話しありましたとおり、イギリスのEU離脱はあのときはまだ決定しておりませんし、現在もまだ国民投票が終わったばかりですからしておりませんが、あのときには結果はまだ出ていない状況でございます。

 中国につきましても、やはり、リーマン・ショック以降、四兆元の公共投資をやり、重厚長大産業を中心に公共事業をばんばん打って、その整理に苦慮しているということはもう言われておりますし、二日前の日経新聞にも掲載をされているところでございます。

 そうなりますと、あのときG7で世界経済のリスクに国際社会で対応しようと言ってから五カ月たつわけでございますが、現在のこの世界経済のリスクの状況を、これは日本ではなく、現下の世界経済に対する状況について大臣がどのようにお考えかを所感をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは全体として、ヨーロッパとかアジアとかそういうのじゃなくて、全体として、緩やかではあるけれども回復しているという現状認識というのは現在も変わらないと思っております。

 しかし、リスク要因としては、減速が続き始めました中国経済というものを見ましたときやら、それに影響を与えられる可能性の高い隣国、アジアの国々ですけれども、そういった国々の新興国の経済の陰りとか、EUの話というのによって、次第によっては、イギリスのシティーから出ていってどこかに移らないかぬ、オランダに移ろう、ドイツに移ろう、いろいろな話が進出している企業の間で話に出ておりますので、これがやはり中長期的には、ちょっと世界経済としてはおもしになる、おもしというのは、足を引っ張る重い石になるという可能性もあろうなどと思っておりますので、これはちょっとしっかりよく見ておかぬと、イギリスの場合は、エリザベス女王ですら入ってくるのにはロンドンのシティーの市長の許可が要るなんというぐらいお高くとまって、シティーというのは、運営しているのはイギリスのシティーの力ですから、そういったものがどうなるのかねというのは、ちょっと正直、我々から見ていて、外からいま一つよく見えないところではあるんですけれども、今、我々としては、ポンドが急激に下がったりいろいろしていますし、いろいろな意味で私どもとしては注視をしておかないかぬものがいろいろあるんだと思っております。

浜地委員 世界経済の減速のリスクへの日本の対応や現下の経済情勢ということでちょっと大きな質問をいたしましたが、大臣の所感を聞きたいなという思いで今質問をさせていただきましたが、いきなり、少しミクロの質問に移らさせていただきます。

 消費税が延期をされまして、今回も、さまざまな消費税転嫁対策への施策も延期するような法案が出されております。その一つに消費税の総額表示がございまして、当然、消費税の円滑な転嫁、そして事業者の負担を考えて、今回は消費税の総額表示の例外をさまざま認めていこうという政策がとられております。

 私のところには、小売業者の皆様方含めて、何とか、総額表示じゃなくて、本体価格で税別表示を継続してほしいというような御意見が多々ありまして、それを受けるたびに、一応特措法でございますので、期限が来ると戻るのが原則ですと言いながら、余りそれだけむげに答えるとこいつ何をやっているんだというふうになりますので、苦慮するわけですね。

 消費者庁が出した消費税の価格表示についてのモニターを見ますと、五七・三%で、大体過半数以上の方が税抜き価格と税込み価格を書くのが望ましいというのが大半を占めるようでございます。

 私のところに来られましたその小売業者さんは税抜きにしてほしいとおっしゃるんですが、どうやって表示しているんですかと言いましたら、千円のものを、本体価格千円、括弧して税込み価格千八十円で、税抜き価格でやっていますとおっしゃるんですね。それを聞いて私自身は、この陳情はもしかしたら楽に終われるかなと一瞬思ったんですが、それだけ業者の方々の中に、総額表示というのは全て税込み価格だけを書かなきゃいけないというふうに思われていると思います。

 そこで、大変大臣には簡単な質問で申しわけないんですが、さっき私が言いました、本体価格千円、括弧税込み価格千八十円というのは、これは総額表示ということでよろしゅうございますかということを答弁していただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは浜地さん、昔、例がありまして、税抜きか総額かというのは、最初に消費税が導入されたときにすごい騒ぎだった。自民党の税制調査会の中でえらい騒ぎになって、税抜きに、別々にしろという方の方が陳情が多かったと思います。

 忘れもしませんが、失礼ですけれども、ビール、あれを税抜きで表示した場合に誰が買うでしょうかと。しいんとなって、当時私は財務省にはおりませんでしたので、財務省がえらい慌てるんですけれども、あれは半分以上が税金であって、こんな高い税金を取ってふざけろということになって、多分ビールはみんな飲まないようにしようとかという話になりかねませんよと言って、結論はあっちは税込みという話になって、まあいろいろなことになるんですよ。

 要は、私どもとしては、これは無理やりどこかに統一しちゃおうという意味がどれだけあるのかというところが一番問題でして、例えば、特定の業者の名前を言うのは問題かもしれませんけれども、ドン・キホーテなんというところに行ったらわかりますが、うわっと、あれを全部一枚一枚張りかえるという話は、これはとてもじゃない。それだけでコストがかかりますので、だったら、その価格そのままにして、税込みで別にして、さっきみたいに括弧して、はい十円、百円だったら十円足すようなやり方にすれば手間はかかりませんし、そういった意味ではコストはそのまま維持される。

 というように、いろいろなことを考えてこれは対応していかなきゃいかぬ問題だと思っていますので、今の言われたような方式を含めて、いろいろこれは柔軟に考えた方がいいかなとは思っております。

浜地委員 ありがとうございます。

 私がかなり失礼な質問をしたのは、以前、財務省の方で、税込み価格のみでやるのが総額表示なんだという指導をされていて、業者の皆さんの中には、本体価格にプラスして、括弧して税込み価格を書くことが、そうじゃないというふうに認識をされている方がいらっしゃったものですから、そこはしっかり徹底させていただきながら、また、今後、この特措法を続けるのかどうかの議論については、我が党もまださまざまな方の意見を聞いておりますので、また意見をぶつけたいと思いますので、どうぞよろしくお願いできればと思います。

 少し長くなりまして申しわけございません。ありがとうございました。

御法川委員長 次回は、来る二十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時三十三分散会


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