衆議院

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第6号 平成28年11月1日(火曜日)

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平成二十八年十一月一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 井上 信治君 理事 土井  亨君

   理事 藤丸  敏君 理事 宮下 一郎君

   理事 山田 賢司君 理事 木内 孝胤君

   理事 伴野  豊君 理事 伊藤  渉君

      池田 佳隆君    石崎  徹君

      尾身 朝子君    大岡 敏孝君

      大隈 和英君    大野敬太郎君

      大見  正君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    神田 憲次君

      工藤 彰三君    國場幸之助君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      助田 重義君    鈴木 隼人君

      竹本 直一君    津島  淳君

      中山 展宏君    古田 圭一君

      牧島かれん君    宗清 皇一君

      村井 英樹君    山田 美樹君

      和田 義明君    重徳 和彦君

      古川 元久君    古本伸一郎君

      前原 誠司君    本村賢太郎君

      横山 博幸君    上田  勇君

      浜地 雅一君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    丸山 穂高君

      小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        木原  稔君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   可部 哲生君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   藤井 健志君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    佐川 宣寿君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月一日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     工藤 彰三君

  斎藤 洋明君     尾身 朝子君

  竹本 直一君     國場幸之助君

  津島  淳君     池田 佳隆君

  福田 達夫君     和田 義明君

  宗清 皇一君     古田 圭一君

  今井 雅人君     横山 博幸君

  鷲尾英一郎君     本村賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     津島  淳君

  尾身 朝子君     大隈 和英君

  工藤 彰三君     大見  正君

  國場幸之助君     竹本 直一君

  古田 圭一君     宗清 皇一君

  和田 義明君     牧島かれん君

  本村賢太郎君     鷲尾英一郎君

  横山 博幸君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     斎藤 洋明君

  牧島かれん君     福田 達夫君

    ―――――――――――――

十一月一日

 金融資本市場をめぐる情勢の変化に対応して金融の機能の安定を確保するための金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長可部哲生君、主計局次長藤井健志君、主税局長星野次彦君、理財局長佐川宣寿君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川元久君。

古川(元)委員 おはようございます。民進党の古川元久でございます。

 きょうは、法案についての議論と同時に、来年度税制改正に向けての議論もちょっとさせていただきたいと思っております。

 まず麻生大臣、大臣も去年の今ごろは、こんな制度をやっていかがかというふうに各所で発言しておられました消費税の軽減税率、この問題についてちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、大臣は、最後、急転直下、この軽減税率が決まる直前まで、これはいかがなものかということをおっしゃっておられたというふうに記憶をいたしております。

 また、国会でも何度も大臣とも議論をさせていただきました。そういう中で、さまざまな課題や問題というものが浮かび上がってきたと思います。私どもも、消費税の逆進性対策、低所得者対策としては給付つき税額控除というものを導入してはどうかということで、法案なども提案もさせていただいております。

 今回のこの消費税の一〇%の引き上げの再延期で、議論をする時間ができたわけです。ですから、時間の余裕ができたんですから、大臣もあれだけいかがかと言っていた制度であります。そしてまた、国会の議論の中でもさまざまな問題点も明らかになってきたわけでありますから、あの三党合意の、三党合意を大臣は大変評価もしていただいておりますから、その精神に立ち戻れば、もう一度議論するのがあるべき姿だというふうに私どもは思っております。

 ただ、この間の議論を聞いていても、その気はないようでありますので、私どもの立場をまずはっきり最初に申し上げさせていただきたいと思いますが、その上でまずきょうお伺いしたいのは、この軽減税率、議論するに当たって最後まで、対象範囲をどこにするのかというのは相当ぎりぎりもめましたです。最終的に決まったところが、食料品と、そしてなぜか宅配される新聞、そういう形に決まったわけでありますけれども、この対象選定には多くの方面から疑問が呈されてきたわけであります。今回のその決まった範囲については、これが軽減であれば、なぜ自分たちが軽減にならないんだという声も随分あるわけであります。

 延びたことによって、今決まっている軽減税率の適用範囲、この対象について見直しの議論とか、そういうことが行われる可能性は全くないのか。あるいは、議論自体はそれはやることがあるのか。その点についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

麻生国務大臣 この軽減税率の適用対象品目につきましては、これは、消費税率引き上げに伴いまして、低所得者層へのいわゆる配慮というそういった趣旨を踏まえて、幾つかに分けて、日々の生活の中で、消費、利活用の状況、また、消費税の逆進性の緩和、それから、合理的な明確な線引き、そして、社会保障財源になるわけなので、この消費税収への影響などなどの点を総合的に勘案をして、酒類、外食を除く食料品及び一定の新聞の定期購読料等々としたところであって、今の段階で見直すつもりはありません。

 軽減税率の対象品目やその適用の判断については、これまでの国会審議でいろいろ御指摘の内容を踏まえまして、この四月でしたか、事例をまとめたQアンドAのかなりのものをつくらせていただいて公表しておりますほか、いろいろなところで説明会やら何やらを開催させていただいて、いろいろな事業者、特に小規模事業者などからいろいろな相談等々を受けて、それに対しましての周知、広報等々を今行っているところでありまして、引き続きこうした取り組みを丁寧に行ってまいりたい、今からそういうふうに考えておるところであります。

古川(元)委員 次に聞く話まで読んでしまわれたようなんですけれども、もう一度簡潔にお答えいただきたいと思います。

 今の大臣のお話を聞いたら、適用品目については見直しはあり得ない、そういう議論もしない、そういうことでよろしいですか。

麻生国務大臣 あれだけ長い時間をかけて審議をさせていただきましたので、今の段階で見直すつもりはございません。

古川(元)委員 議論もしないというふうに考えていいですか。

麻生国務大臣 御存じのように、二年半もありますので、いろいろなものが考えられるかもしれません、特殊な事情が起きるかもしれませんから。そういった意味で、絶対に何もさわらぬ、これはもうよく申し上げますように、経済は生き物でありますから、そういったものは常に何か起こり得るということは十分に可能性があろうと思いますが、今ただいまその状況にあるかといえば、今の段階ではない、そう申し上げております。

古川(元)委員 今の段階ではそうじゃないけれども、では、例えば世の中的に、これが軽減税率の対象に入っていないのはおかしいじゃないかとか、そういう世論でももし沸き起こったら、そのときには議論する可能性はあるということですね。

麻生国務大臣 これもたびたび申し上げておりますように、経済は生き物でありますから、いろいろな状況というのは我々の想像を超える話が起きるかもしれませんし、我々はこれまで随分丁寧にいろいろ審議をさせていただきましたけれども、我々が抜かっているところもあるかもしらぬし、全然別の御意見とかいうものも出てくるかもしらぬし、また、我々の想像を超える事態が起きる等々も考えられないわけではありませんので、私どもとしては、今後、今日ただいまの状況ならともかくも、そういった状態が起きた場合はその時点で考えざるを得ないという事態になり得るというのは、常にあり得るものだと思っております。

古川(元)委員 今の大臣のお話を聞くと、多分あしたから自民党の方に、うちも軽減に入れてくれという陳情がどっと噴き出すと思いますよ、今回の範囲に対しては非常におかしいんじゃないかと不満を持っているところもたくさんありますので。

 そういった意味で大変大きな御答弁じゃなかったかと思いますが、もう一点、さっき私が聞く前にお話もされてしまいましたけれども、どういう場合に適用するか。例えば、ここでも議論になりましたテークアウトとイートインのときに扱いが異なる。

 この軽減税率を含めた税制改正法案のときの議論の最後の締め総のときには、安倍総理は、テークアウトだと言って買って、そして店の中で食べている人がいたら、例えば子供がそうやって食べていたら、自分がそこに客としていたら、それはだめだと言って注意をする、大人はそうすべきだということまで安倍総理は言われたんです。でも、それを店の人には要求はしないけれどもと。

 ただ、そうなると、これは現場で混乱が起きるんじゃないか。テークアウトだと言って持ち帰り用の袋にもらった人が、そこで、店の中で食べ始めたら、イートインだと言って食べていたほかの人が、あれはだめなんじゃないか、ちゃんと注意しろとか、そういうふうに店員に文句を言うということになったりして現場で混乱が起きるんじゃないかということは、私は、そういう状況は今でも変わっていないと思うんです。

 ですから、そういった意味での適用のあり方については、先ほどいろいろ聞いていらっしゃるというふうに言われましたけれども、やはりもっと本当に、この消費税というのは、これは消費者の皆さん方から事業者の皆さん方が税務署のかわりにお預かりして国に納めるというものでありますから、そういった意味では、一番末端でそういうトラブルに巻き込まれかねない納税義務者である事業者の立場に立った適用のあり方の見直しというものは柔軟にやっていくべきだと思いますが、その点はそういう認識でよろしいですか。

麻生国務大臣 このテークアウト、イートインの話は随分いろいろさせていただいたんですが、いわゆる適正な課税の確保というものが重要なのであってということは言うまでもないんですが、現実問題として、今古川先生言われるように、現場で事業者による運用の可能性についても配慮しろという話なんだと思っておりますし、これは十分配慮する必要があるんだと思っておりますので、私どもとしては、酒類及び外食を除く飲食料品といって法律上これは明確に定めてはおりません。具体的な事例については、これはQアンドAというのを、この厚いのをつくらせていただいておりますので、いろいろなところで配らせていただいてもおりますが、ぜひとも事業者にとってもわかりやすいようにしておかぬといろいろな今言われたような問題になるんだと思っておりますので、私どもとしては、これはもう可能な限りいろいろな方々にこれを説明させていただいて、そして、いろいろな問題が現場で起きたときに対応できるようなことに対して、私どもとしては、これは基本的には税の確保ということでもありますし、そういったところに当たっては、今言ったような話が絶対起きないと言うつもりもありませんけれども、基本的に消費者の方々のモラルという点が非常に大きいと思っておりますけれども、私どもは、その点に関して極めて高いモラルを日本人は持っておるんだ、そのように理解しておりますし、そういったものに関しまして少々混乱が一時期起こるかもしれませんけれども、基本的には私どもは、そういった話に関しては、何となく不正なことはしないという態度、そういった倫理、そういったモラルというものは極めて高い国民性があるんだ、私はそう思っております。

古川(元)委員 大臣、モラルとか、私も基本的にはそういう方々が多いと思いますよ。しかし、そうじゃない人もいるのは事実ですよね。だからこそマル査もあるわけだし、新聞報道なんかを見ていますと、そういう調査とかをかなり厳しくするという話もある。それは、モラルのない人、守っていない人がいるからでしょう。ですから、そういう人たちがいることも残念ながら事実なんですよ。

 しかし、そういう中で見ると、やはり税というのは公平性というのが最も大事で、ちゃんと真面目に税を納めている人と、そうじゃない人、文句を言う人とか声の大きい人とかが得をするということではやはりおかしいと思います。

 特に、先ほど申し上げましたけれども、この消費税を現場でお預かりする事業者の皆さん方というのは、税務署の職員が調査に行って何だといって怒られるのは、まあ仕方がないといえば仕方ないかもしれません。税務署の職員を、よくいらっしゃいましたというふうに喜んで受ける経営者の人はまずいないと思いますから。しかし、事業者の皆さん方は、税務署の職員でもない、きちんと徴収することを仕事としているわけでもない方が、今おっしゃられたような、少々の問題、トラブルはあるかもしれないけれどもというのは、ちょっとこれは、納税義務者である事業者の皆さん方に寄り添っているとは言えないんじゃないかと私は思うんです。

 やはりそういった意味では、現場の中で混乱が起きないようなやり方にきちんとそれは声を聞いてやっていく。それができないのであれば、そもそも私はこれはできないと思うんですけれども、だからこそこの制度は問題があると思うんですが、見直すということがあるべき姿だと思いますけれども、そこで大臣、まさに政治家として、そして経営者でもいらっしゃるわけですから、多くの従業員の人たちの立場に立ったら、やはりそういう人たちが現場でこの軽減税率のためにそういうトラブルに巻き込まれないような、ちゃんとそこは責任を持ってやる、それくらい言ってもらえませんか。

麻生国務大臣 これはよく、地域性もある、場所によって生活水準の差が出る等々いろいろな意見があのときも出ていた。この議論をいたしているときも、いろいろな御意見がいろいろな方面から、あちこちから出ていたのは確かです。

 私どもといたしましても、事業者の方々がそういったささいなことからトラブルに巻き込まれるのを避けたいというお気持ちもわかりますし、私らの方としてもそういったものがないにこしたことはありませんし、そういったものを十分に避けねばならぬと思って我々としてはいろいろやらせていただいているんですけれども、ぜひそういった意味で私どもは、実際に今からさらにいろいろな御意見が出されるんだと思いますので、そういったものも十分に拝聴させていただいて、いざスタートした段階でまた我々が想像はしていなかったような事態というのが仮に起きた場合は、その場合その場合においてしかるべき対応を考えねばならぬということになるのかもしれません。

 これまでの間、この数年にわたっていろいろ御議論をさせていただき、意見を拝聴もさせていただき、多くの事業者の方々から意見も聞かせていただきましたけれども、今の段階で私どもとしてはこの方法でまずはやらせていただく。その結果、私どもとしては、思わぬ事態になったというのであれば、法律として極めて合わないというのであれば、その段階で考えねばならぬことになるということは私も否定はしませんけれども、しかし、この問題に関してこれまでの間十分に議論をさせていただいた上での話でありますので、古川先生の御意見、まことにごもっともだと思いますけれども、今の段階でそれを変えるという気が今の段階であるわけではございません。

古川(元)委員 数年にわたって議論されたと言うんですけれども、一年も議論していないんです。最初に申し上げたように、大臣は今ごろは、こんな軽減税率なんかとんでもないとおっしゃっていたんですから。ですから、この議論、範囲が決まって運用が決まって、どうするんだと不安が広がったのはことしに入ってからなんです。しかも、最初は来年の四月からやるというふうなものだったものですから、間に合うのかと言って、そういう大変な状況だったんです。

 ですから、そういった意味では、別に長く議論して決まったわけではなくて、もうどたばたで決まって、急にやるぞ、現場は対応できるか、そういう状況にあるわけなんですから、時間ができたからこそ、ちゃんと腰を落ちつけて、納税義務者である事業者の皆さん方の立場に立った制度設計でなければ、とにかく消費税というのは、やはりこれは預かり金なわけですから、そういった意味での納税義務者である事業者の皆さん方の協力がなければ適正な徴収というのはやはりできないわけですから。現実に消費税の徴収漏れはたくさんあるわけですよ。ですから、やはりそういう点から考えても、この点は極めて重要な問題だ。

 ですから、始まってみないと、まあそのときに考えるというんじゃなくて、時間があるんですからやはりちょっと考えて、問題があれば、制度の根本も含めて見直す柔軟な姿勢というものを持っていただきたいと思います。

 結局、消費税の引き上げが延期されたことによって、これだけ大変だ大変だと言って慌てていた軽減税率の導入そしてインボイスの導入、これも延期になりました。確認ですが、軽減税率の導入やインボイスの導入というのは、一〇%に上がることが大前提ですね。もし万々が一上がらないということになったら、そのときに、上がらないけれども軽減税率だけ導入するとか、あるいはインボイスだけ導入する、そういうことはないですね。そこを確認ですけれども。

麻生国務大臣 ありません。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 大臣、昔から、二度あることは三度あると言うんですよ。今は正直、大臣だって、本当にちゃんと二〇一九年に一〇%に必ず上がると確信を持って言えますか。多分言えないでしょう。私は、実はもう去年の年末ぐらいから、絶対に延期すると思っていました。多分大臣もそういうふうに思っていた。ひょっとしたら安倍総理も、安倍総理自身は多分そういう考えだったんでしょうけれども。だからこそ、あんな強引な形で軽減税率を決めたんじゃないかと思うんですよ。

 だから、年が明けて軽減税率がああいう形で決まって、事業者の皆さんからよく聞かれました。これは決まっちゃったから準備した方がいいのか。私は言いました。サミットまでは待っていた方がいいですよ。多分そのころまでには、延期するという話になったら、軽減税率が決まったからそれに向けて設備投資をしろ。結構小売とかなんか大変なんですよ、レジをかえたりとかいろいろ。そうやって投資しちゃったら、延期になったら無駄な投資になりますから。やらない方がいいですよ、聞かれた人に私はこう言いました。そういう人たちから私はえらい感謝されました。古川さんの言うとおりで、やらなくてよかったわと。

 政府の言うことを信じて、来年から軽減税率が始まりますから早く、補助金も出しますから、補助金を出すといっても全額じゃないですから、自己負担もあるんですから。そうやって投資しちゃった人たちからしたら、多分、おいこれはどうしてくれるんだというふうな思いがあると思いますよ。

 大臣、経営者であればそう思いませんか。どうですか、大臣。

麻生国務大臣 経営者としては無駄なコストは避ける、当然のことです。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 そうなりますと、では、時間ができたからこの間にちゃんと投資してやろうかといったら、多分、ほとんどの経営者はやらないと思います。私がもし聞かれても、いや、また延期する可能性は十分ありますからねと。そこで投資しちゃったら、結局、今の話で、上がらなければ軽減税率もインボイスも導入にならない。であれば、投資しても無駄な投資になる可能性があるわけです。私が経営者だったら、私だってやりませんよ。本当に直前のところまで見て、本当にどうなるかという。

 そう考えると、結局、延期しても、軽減税率導入やあるいはインボイス導入に向けての準備はほとんど進まないのではないかというふうに思いますけれども、どうですか、大臣の感覚的には。

麻生国務大臣 これはそれこそ古川さん、経営者によっていろいろ判断が違ってくる可能性は十分にあるとは思います。

 二年半という時間がありますので、その間の経済情勢を見て、ああ、世の中は株価が少し上がってきたし、景気もよくなってきたからこれは確実になるなと判断される方もいらっしゃるでしょうし、自分の商売がそうでもないので、いや、世の中はそう言っても、俺のところの商売を見てもとてもそうじゃないからと判断される方もいらっしゃるでしょうし、これは実にいろいろ出てくるんだとは思います。

 いずれにしても、私どもから見ますと、基本的には、社会保障と税の一体改革というのを三党で合意して我々はいろいろなことを考えてスタートさせていただいたという経緯でもありますので、我々としては、消費税を上げる、それに当たっては低所得者層への配慮というところからこれを考えていたわけですから、いろいろな意味で御意見等々があるのは十分に承知しておりますけれども、少なくとも二〇一九年までというのは、基礎的財政収支をチャラにしておかないと、後世のためということを考えますと、やはりそこまではきちんと財政再建というのをしておく必要があろうと思っておりますので、そのためにはこの消費税というのは避けて通れぬ、そういうように理解をしておりますから、私どもとしては、二〇一九年までにそういったことが引き上げられるような経済情勢というものを持っていくために、万全の体制で臨んでいかねばならぬということだと思っております。

古川(元)委員 安倍政権発足からずっとそうやっておっしゃっていて、ちゃんときちんとやれるようにと言いながら、二回も結局上げられないような経済状況で来ているわけです。

 さっき申し上げたように、こんな二回も延期されて、これから先、では、今やっていることで本当に景気は立ち上がっていくのか、最近はそこに対しての疑問を持つ人がかなりふえています。

 ですから、そういう状況の中ではなかなかこの準備も進まなくて、結局、そうなればまた混乱も起きるという今は悪循環に入ってしまっているんじゃないかなと。そういう認識を持っているということを申し上げて、ちょっと次の課題に行きたいと思います。

 そういった中では、消費税の引き上げが二回も延期されて、一〇%に本当に上がるかどうかということも極めて疑問な状況の中において、私自身、大蔵省に入省したときに消費税導入の議論が真っ最中で行われている主税局に配属になって、私は消費税に対しては思い入れがあります。これはやはりこれからの社会の中で重要な役割を果たしていって、むしろ消費税というのは、仕組みさえきちんとすれば、公平な税制で、人々の生活あるいは働き方にも中立的なもので、特に、高齢化社会の中で、社会保障などの必要な財源を賄う主要な財源としては大事なことだというふうに思っております。

 しかし、ここまで、そのためにということでお願いをしたはずの引き上げもできない。また、やはり国民の皆さん方の消費税に対するアレルギーというのは極めて大きいということも考えてみますと、今になって思いますと、この間、消費税導入からそして引き上げに至るまでは、消費税を上げて、一方で所得税は下げる、常にそういうことが繰り返されてきた。この前の社会保障・税一体改革は、ある種、純増税という形で初めて国民の皆さん方に負担をお願いして、そのかわり、その負担はきちんと、後世の借金を減らすことと社会保障充実に充てますよということでお願いをさせていただいたわけなんですけれども、ただ、ちょっとやはり国民の皆さんからすると、今、格差もどんどんと拡大しているということが世界的にも日本の中でも問題になる中で、余りに国民負担というところで消費税に議論が集中し過ぎ、注目というか関心が集まり過ぎていたんじゃないかなというふうに思っております。

 ちょっと資料をお配りさせていただきましたけれども、OECDの、ちょっと古い二〇〇八年の調査なんですけれども、税による所得格差の是正効果は、日本はOECDの中で一番低いような状況になっているんです。ですから、こういう状況を見ても、所得課税というもののあり方について、もう少しここでしっかりと見直すべきときに来ているんじゃないかなと思うわけであります。

 そこで、基本的なことでありますが、大臣、税制の中で所得税の果たすべき役割そして機能というものについては、どのように認識されていらっしゃいますでしょうか。

麻生国務大臣 所得税につきましては、これは租税の中で最も基本的な機能というものを有しております。いわゆる公的サービスというものの財源を調達する機能を有しておるというのが、多分これは所得税というところになるんだと思っているんですが、個々の納税者が稼得されましたそういった所得に税のいわゆる負担能力というのを見つけて、その上で、累進税率とか控除の仕組みなどなどいろいろなものを通じまして、所得再分配機能というものにつきましても重要な役割を担っているという意味で、非常に基本的な意味でも大きな税の根幹をなすところがこの所得税と、私はそう理解しております。

古川(元)委員 私もその認識は共有するんですけれども、そういう中でいいますと、先ほど申し上げているように、ここのところずっと所得課税は、社会保障・税一体改革では少し高所得者の負担をふやすという改革をしましたけれども、基本的な流れはずっと、消費税導入以降、その以前からも少しあったと思うんですけれども、所得税を軽減していくという方向。

 ですから、そういった意味で財源調達機能、また、昔のような累進税率がいいとは思いませんけれども、昔は、それこそ稼いだ分の九割方を取られちゃうみたいな、よくそこで真面目に払っていた日本人というのは、そういう点はお金持ちの人たちも本当に真面目だなと思いますけれども、そういう意味では非常に所得再分配機能も働いていたんですが、このブラケットもずっと今はシンプルになって、そういった意味では所得再配分の機能というものも、ちょっと以前に比べると弱ってきているんじゃないか。

 ですから、今大臣がおっしゃられた所得税に求められる機能というものが今現在ちょっと弱ってきている状況にあるんじゃないかというふうに私は思うんですが、その点についての御見解はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 これはこの前のときの政府税制調査会等々におきましても言われておりましたけれども、昭和六十年代以降だったと記憶しますけれども、税率構造について大幅な累進の緩和が行われたというのは先ほど古川先生言われたとおりなんですが、それ以降、所得再分配の機能としているものはかなり低下したということは否めないのではないか、これは昭和六十年代以降で見ますと。

 そうした中にあって、近年の税制改正の中においては、いわゆる所得再分配機能の回復というのを図らないかぬのではないかという御意見がいろいろ出て、所得税の最高税率を四〇から四五というのに引き上げさせていただいて、また、給与所得控除の見直しというのもやらないかぬということで、控除の頭打ちとなる給与所得の引き下げをやらせていただいて、千五百万円から千二百万円にして一千万円にしたんだと思いますが、そういうのをやらせていただいたり、また、いわゆる金融所得課税の見直しということで、一〇%だったものを倍の二〇%に引き上げたりなんかして今取り組んでいるところでありまして、我々としては、改正の効果というのを、今はやったばかりですから少し見きわめないかぬところだと思っておりますけれども。

 いずれにいたしましても我々としては、最高税率の推移というのは、昔に比べれば確かに、昔は七〇、八〇というような時代でしたから、そういったものに比べれば少し下げるような努力をさせていただいて、また、いきまして、それでまた少しずつ上がってきているというのが今の状況でありますので、一時期、平成十一年ぐらいのときが三七、八だったと思うんですけれども、それが今四〇になり四五というところで少しずつ上がってきてはいると思いますけれども、この所得の再分配というのはどの程度というものの感じは、これは極めて重要な判断のもとになりますので、私どもとしては、慎重に対応していかねばならぬところだと思っております。

古川(元)委員 私も大臣と基本的な認識は同じなんです。我々の改革の中で、一定の負担を上げる、また、特に高所得者の人あるいは資産を多く持っている人たちの負担を多くしていく方向、負担増をお願いしたところでありますから、そういった意味でその推移は見ていかなきゃいけないと思うんですけれども、しかし、私、税調なんかの議論でちょっと気になるのは、そうやって財源調達機能が低下しているとか、あるいは、所得再分配機能をもっと強化させていかないと格差が拡大している中で問題だという話がある中で、その議論はやはり税収中立を前提にして、基本にしてという、そういうふうになっているんですね。

 所得格差の是正というのは、税だけじゃなくて、給付によって、社会保障などの給付、あるいは子育てとか教育とか、そういうところの給付によってもこれは是正ができるわけであって、そういった意味では、そういう本当に今必要な、特に子育て世代、あるいは、給付型の奨学金の話もありますけれども、教育とか、そういうところにかかる費用を本当に公的サービスとして出していかなきゃいけない財源を賄うということであれば、必ずしもこの税収中立というところにこだわらず、きちんとこういう形のところに、それこそ消費税の御負担をお願いするときに、これをちゃんと社会保障に全て充てますということを前提にしたように、こうした部分は子育てあるいは教育の部分に充てます、だからその部分は所得税の中での負担増になるかもしれませんが、こういう形で皆さんにお返ししますから御理解してくださいという議論もやっていくべきではないか。

 あくまで税収中立を前提の所得税改革というそこに余りこだわり過ぎるべきではないと思うんですけれども、いかがですか。

麻生国務大臣 これは骨太の二〇一五だったと記憶しますけれども、その中で、個人の所得課税について、いわゆる税制中立の考え方を基本として云々と書いてあるあれがもとのもとだったと思いますけれども、税負担構造の見直しをそれによって行っていくべきだということがここに記されているんですが、この所得税の改革については、これは御存じのように、今は厳しい財政にありますのが一点と、必要な財源というものをある程度負担増に配慮しながら確保する必要があるというのは私も確かだと思っておりますが、やはり基本的なところは、税制中立と言いながらも、今言われましたように、これまでの中で見ると、高齢者の方に少し優遇が偏り過ぎていて若い人の方が無視されていたんじゃないかとか、子育て世代とか、そういった若い人への配慮がいま一つ、主計的に見れば配慮が少しその点が足りていなかったのではないか等々いろいろな意見が出て、今、御存じのように、学費の話とかいろいろな話がずっと出てきているのはその背景なんだと思っております。

 いずれにしても、どういったものにきちんともう少し配慮をすべきか、そのためには税というものの使われ方、使い方に関しましては、いろいろもっと工夫があっていい、今までの同じ流れの上に乗っていればいいというものではないのではないかという御意見だと思いますけれども、私ども、それは全く同じ思いがありますので、基本的にこういったような流れの中にあって、今の人口構成を見ましても、我々としては、今までの勤労者だけに偏り過ぎている税のあり方というのは少々問題があるというのもはっきりしていますので、その意味でこの消費税というものが出てきたんだと思っております。

 いずれにしてもこういったものは、税制中立という今の財政再建のところをまずやるという姿勢をきちんと示しておかないと、これは、日本の財政、また、日本の金利だ、日本の国債だ、いろいろな意味のもの全てに影響してまいりますので、私どもとしては、そこはきちんとした姿勢は持っておかないといかぬのではないかという思いもあります。

古川(元)委員 財政再建、財政再建というだけだと、もちろんそれは結果的には財政健全化にも資さなきゃいけないんですけれども、国民の皆さん方が負担を御理解するのはやはり難しいところもあるんじゃないかと思うんです。ちゃんと負担したものがきちんと自分たちの中に返ってくる、北欧などで高い税負担に対して理解があるのは、税金は払うけれどもちゃんと返ってくるよねというそういう実感があるからこそ、負担していいというそういうことにつながっていると思うんです。

 日本の場合、どうもそこの部分が欠けている。やはり、そこのつながりというものをもう一回きちんとつなげていくということが大事じゃないかと思うんです。

 ですから、繰り返しになりますけれども、今は日本社会でも問題になってきている格差の拡大、特に子供の貧困とか、教育費が非常にかかるとか、そういうところの子育てとか教育とか、そこにはきちんと手当てしていかなきゃいけない。

 しかし、これをまた借金というだけでは、やはり子供たち、次の世代に結局ツケ送りになってしまいますから、そういった意味でも、そこは今働いている世代で、消費税だけじゃなくて、所得税も含めて、改革の中でその財源としてお願いをしていく、そういう姿勢が必要じゃないかなということで申し上げさせていただいているわけであります。

 その上で、ちょっと時間もなくなってまいりましたが、来年度税制改正の本当は一番の目玉になりそうだったのが、いつの間にやら大きくばあっと膨らんで、いつの間にやらしゅっとしぼんじゃった、風船のような、配偶者控除の見直しについてちょっとお伺いしたいと思うんです。

 けさもちょっと我々の党の税調でヒアリングを役所の方からさせていただきましたけれども、世の中的には、配偶者控除の税制が、百三万円の壁が女性の働き方とかそういうものに影響を与えているというふうに言われているんですが、税制は壁じゃないんです、百三万の壁はないんです、そういうお話がありました。

 大臣も、百三万の壁というのは、これは税の問題じゃない、そういう認識ですか。どうですか。

麻生国務大臣 アンケート調査を見るとこれは実にさまざまな意見があって、私どもが思っていたより百三万の壁は、経営者側も、また、その恩恵を受け取っておられる、働いておられる方々にとりましても、それを意識している人、意識していない人、半々ぐらいなので、もう少し僕は百三万円という壁は大きなものとして前に立っているのかと思っておったら、そうでもないというアンケート調査が出たのは、正直私どもとしても、へえという感じがないわけではありません。

 ないわけではありませんけれども、少なくともこの配偶者控除の話というのは、就労を百三万のところで抑制するという点があるのではないか、そういう面があるのではないかという指摘がある一方、反対側で、これは配偶者の貢献というものに関してもっと積極的に評価すべきだという御意見もあって、なかなかさまざまな立場からこれまでも議論をされてきたというのがこの配偶者に関する意見だと思うんですが、いずれにしても、働き方に関するこれは国民的な価値観の話につながってきますので、そういった意味では、これは丁寧な国民的な論議というのがさらに必要になってくるんだと思っているんですけれども、今の段階としては、少なくとも百三万円というのを、どれくらい上にずらしていくかは別にして、何らかの形で、百三万というのがもう定着していっているイメージがありますので、これを少し変えていくという方向は、そちらの方向にやっていかないかぬのではないかという意識があります。

古川(元)委員 私が聞いたのは、イメージはそうかもしれませんけれども、税制上としては百三万の壁はない、それが役所の説明でしたけれども、大臣も、税制の問題ではないんだ、今のイメージはそういう認識でよろしいですか。

麻生国務大臣 基本的に、税制の問題として法律的にこれが問題になっているわけではないと理解しております。

古川(元)委員 そうであれば、イメージでそういうことがあるからといって、では、とにかく百三万を百三十万だとか百五十万に上げれば、それで何か問題が解決するという話じゃないですよね。

 ですから、そういった意味では、今何か議論されているのは、では、そのイメージがあるから、そのイメージを変えるために、今さっき大臣がおっしゃったような百三万を百三十万とか百五十万に引き上げるとか、そういうことですか。そういう議論をしようということなんですか。

麻生国務大臣 少なくとも、今いきなり百三万を百五十万とか百六十万にするようなつもりはありませんけれども、私どもとしては、今言われておりますような状況を考えたときに、少なくともこの百三万円という意識というのは、これはかなり広く広まっている、事実でありますから、そういったものをある程度きちんと払拭していくということを考えると、やはり、そこで働き方が抑制されるわけではない、週五日労働、六時間なら六時間というので千円で計算してもとか、いろいろな計算の方法がありますので、そういったものをやっていきますと、我々としては、どれくらいのものがいいのかというのをまだ決めているわけではありませんけれども、今後、こういったような問題を、何もしないでそのまま百三万円というと多分意識は変わらないというのではちょっといかがなものかと。

 効果が抑制されているという事実があるとするのであれば、半分はそういう意見ですから、そういった方々のことも考えて、幾らにするかは別にして、何らかの形でそれを一応百三万円から動かすという方向は考えていかないかぬのかなと思っております。

古川(元)委員 むしろ、税よりも多分この百三万の方が現実的に問題になるのは、配偶者手当の方ですよ。御存じのように、配偶者手当に収入制限を設けている割合が、人事院の調査によりますと約八五%で、さらに、収入制限の額として七割が百三万となっている。

 ですから、この事実を前提にして、では、今その百三万、そのイメージを変えるためにということで百三十万とか何かにもし上げた場合に、配偶者手当の方の百三万というのは、まさに今、それは壁じゃないと言っても、そういう形でメルクマールになっている。これが混乱をするといいますか、この配偶者手当が場合によってなくなったりとか、いろいろそういった意味では思わぬ影響を与えることになりませんか。そういうところの影響はどのように考えていますか。

麻生国務大臣 このいわゆる百三万円の壁ということに関しましては、政府の税制調査会のレポートを見ましても、これは配偶者控除における配偶者の収入基準というのが百三万円なんですが、企業の配偶者手当の支給基準として援用されているという御指摘は、全く、かなりの企業がそうなっているのは事実です。

 こうした中で、配偶者控除とか被用者保険というのの適用となるというのが、いわゆる収入基準が変更になった場合には、配偶者手当の方の支給基準の変更も検討するという企業はかなりあります。それはもう事実だと思っております。

 したがいまして、我々としては、働きたい人が働きやすい環境の整備というのに当たりましては、今申し上げたような状況というものを十分に踏まえながら、我々としては、税制とか社会保障制度とか配偶者手当とか、そういったものの見直しについて検討を進めていくことが重要ではないかなと考えております。

古川(元)委員 時間が来たので終わりますが、やはり税でありますから、イメージだとかそういうことだけで、そして思わぬところまでいろいろな影響も与えかねない話ですから、しっかりそこは慎重な議論をした上で物事を進めていただきたいということを最後にお願いして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 現在の個人消費が冷え込んだ経済状況で消費税の増税など、もちろんやめるべきであります。しかし、単なる延期では、やがて消費税増税を行うことに変わりはなく、その逆進性により国民の所得格差は拡大をする。結局、個人消費を停滞させることになると思います。

 我が党は、消費税の増税は、延期ではなくきっぱり中止すべきだ、こう考えております。

 本法案では、消費税一〇%の引き上げ時期を三十カ月延期して、二〇一九年十月一日といたしました。安倍首相は六月一日の記者会見で、二〇二〇年度の財政健全化目標を堅持する上でこれがぎりぎりのタイミングだと述べております。

 そこで、改めて大臣に確認いたしますけれども、消費税率の引き上げは、財政健全化のために行うのか、それとも社会保障の充実のために行うのか。大臣、どちらですか。

麻生国務大臣 我々は、消費税率の一〇%の引き上げは、御記憶かと思いますが、社会保障と税の一体改革というのを三党合意のときに申し上げたとおりなんであって、少子高齢化がさらに進んでいく昨今の状況の中にあって、少なくとも、社会保障の伸びというものが引き続き今後とも見込まれます。

 そういった中にあって、社会保障の充実によって、いわゆる安定財源というのを確保しておくというのは、これは絶対に必要なことだと思いますし、また同時に、我々は今、プライマリーバランス、基礎的財政収支の半減目標というのを一応達成するということになりますが、我々としては、二〇二〇年度までに基礎的財政収支をきちんとゼロにしておくというところまではしておかないと、基本的に今後とも日本の国として、国の社会保障はもちろんのこと、安全保障を含めましていろいろなことができなくなりますので、消費税は、御存じのように、税収としては法人税とか所得税と違ってかなり安定したものでもありますので、また、勤労世代とかそういった特定の世代に対して負担が集中していないといった特徴もありますので、そういった意味からして、我々としては、広く受益する社会保障の費用が、あらゆる局面で広く公平に分かち合うという観点からこの財源を必要とすることであって、この社会保障の充実が一丁目一番地というのが今回の消費税率の引き上げの最大の目的というふうに理解しております。

宮本(岳)委員 財政健全化目標のタイミングに合わせて増税する、こういうわけですから、同時にとかいろいろ言いましたけれども、消費税の増税で赤字国債の発行を減らすのだと語っているのも同然であります。

 これまで政府は、先ほどの大臣のように、消費税増税による税収は全額社会保障財源化すると説明をしてまいりました。しかし、実際は、赤字国債の発行を削減したいというのが本音だと言わなければなりません。

 そこで聞くんですけれども、延期された消費税増税二%相当の税収、約五・六兆円でありますけれども、これの使い道です。

 社会保障審議会に提示された資料、きょうは資料一につけておきました。これによれば、五・六兆円のうち、社会保障充実分は一・二から一・三兆円であります。これは役所でいいんですけれども、残りの約四・四兆円を何に使うんですか。

可部政府参考人 お答えいたします。

 消費税率を八%から一〇%に引き上げることで得られる国、地方の消費税収のうち、社会保障の充実に充てられるものを除いた分は、後代の負担のツケ回しの軽減や消費税率引き上げに伴う社会保障四経費の増などの社会保障の安定化に充てられることとなっております。

宮本(岳)委員 配付資料の二を見ていただきたい。消費税二%増のうち、社会保障の充実を除いた約四・四兆円のほとんどが、薄緑の部分、後代への負担のツケ回しの軽減に使われます。

 後代への負担のツケ回しの軽減というのは、具体的に何を意味しているのか。これは結局のところ、赤字国債の発行を減らすという意味ではないですか。

可部政府参考人 御指摘の後代への負担のツケ回しの軽減とは、社会保障四経費に係る国、地方の歳出のうちで、国、地方の消費税収では不足している部分で赤字公債が充てられている部分を削減することによりまして、公債発行額を減らし、将来世代の債務負担を軽減するということを意味しております。

宮本(岳)委員 結局、消費税増収分を全て社会保障財源にすると言うんですけれども、今度の二%増税による税収約五・六兆円のうち、四・三兆円、約七七%を赤字国債発行の埋め合わせに使うということであります。

 ことし十月四日の財政制度審議会財政制度分科会に財務省が出した資料、配付資料の三を見ていただきたい。

 社会保障・税一体改革を織り込んだ姿で社会保障四経費は、国と地方合わせて四十四・五兆円となります。消費税増税後に全て社会保障財源化したとしても、十九・三兆円の差額が残る。右上に赤く囲んで「差額十九・三兆円」とありますね。この十九・三兆円も後代への負担のツケ回しになるんですか。

可部政府参考人 今御指摘のございました差額十九・三兆円、これは、平成二十五年度におきまして平成二十九年度の社会保障四経費等を推計したものでございます。

 社会保障四経費と社会保障四経費に充てられる消費税収との差額は十九・三兆円となっておりますけれども、この十九・三兆円をどのように手当てするかということにつきましては、まずは、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化を目指して、経済・財政再生計画の枠組みのもと、改革工程表に基づき、社会保障の改革を含め、徹底的な重点化、効率化など歳出改革を継続していくこと、また、二〇一九年十月に消費税率を一〇%に確実に引き上げることによりその実現の目標に向けて取り組むこととしておりまして、まずは、二〇一九年十月の消費税率の一〇%への引き上げが可能な環境を確実に整えることに万全を期すことが重要と考えております。

宮本(岳)委員 現在、この十九・三兆円はどこから財源を充てておりますか。

可部政府参考人 現時点では、ただいま申し上げましたように、社会保障四経費の歳出と社会保障四経費に充てられる消費税収との差額というのは、財源的な手当てが税収等ではなされていないということになります。

宮本(岳)委員 結局、赤字国債、こういうことになるんですね。

 社会保障と税の一体改革では、消費税増税により社会保障制度の持続可能性を高めると言ってまいりました。消費税は税収のぶれが少ない安定財源だと大臣が答弁されたとおりでありますよ。その政府の言い分に照らせば、いずれこの十九・三兆円の不足分も消費税増税によって穴埋めできなければ、社会保障制度は維持できないということになります。つまり、消費税一〇%への増税後もさらに消費税率を上げる必要がある、こういうことですか。

可部政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、政府といたしましては、まずは、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化を目指しており、その後の点につきましては、その後検討すべきことと考えております。

宮本(岳)委員 まずは、二〇二〇年のプライマリーバランスの黒字化だ、その後はさまざまな検討をする。まあ、さまざまな財源を検討するんでしょう。

 一体改革における消費税一〇%時の後代への負担のツケ回しの軽減分七・三兆円程度は、今回、消費税を財源としなければならない、こう言って、七・三兆円は是が非でも上げなきゃならないと言うわけですね。そう言っておきながら、残りの十九・三兆円の後代への負担のツケ回しの軽減分については、さまざまな財源をまた検討するとおっしゃる。それなら、今回の七・三兆円も残りの十九・三兆円も、同じ後代への負担のツケ回しの軽減なわけですから、違いはありません。ならば、今回も消費税増税だけに求めず、所得税や法人税などさまざまな財源で対処すべきではありませんか。

可部政府参考人 先ほど大臣から答弁がございましたように、社会保障と税の一体改革とは、社会保障の充実と安定化を図ることで、社会保障の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成しようとするものでございます。

 そのための財源としては、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定していること、特定の人に負担が集中しないことといった特徴を有しております消費税が、国民が広く受益する社会保障の費用、あらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点からふさわしいと考えております。

 しかしながら、社会保障と税の一体改革における社会保障の充実につきましても、消費税財源に加えまして、社会保障改革プログラム法に基づく重点化、効率化による財源も充てることとされております。

 また、社会保障と税の一体改革とは別の、一億総活躍プランにおける保育士、介護職員などの処遇改善などの取り組みについては、アベノミクスの成果の活用を含め、財源を確保することとしております。

 そのような観点から、可能な財源を検討しているところでございます。

宮本(岳)委員 今の答弁は、社会保障の削減をこれからやって経費を減らすことは考えるが、いずれにせよ、後代へのツケ回しを解決しようと思えば、消費税は一〇%でとどまらず、消費税率はますます引き上げざるを得なくなる。十九・三兆を消費税で手当てすれば七%ですよ。一七%まで引き上げる計算になりかねません。消費税増税ありきでこういうふうに進めることには断固反対です。根本から考え方を改めることを強く求めておきたいと思います。

 財源問題について、政府の主張はさらに混乱をいたしております。そもそも安倍首相は、アベノミクスにより二十一兆円もの財源を新たに生み出したと、参議院選挙でもその成果を語りました。アベノミクスの二十一兆円の成果について、財務大臣も同じ認識でありますか。

麻生国務大臣 御存じのように、平成二十八年度の予算というのを、国、地方というのの税収を見ますと、政権交代前の平成二十四年度の予算に比べて約二十一兆円増加をしておるというのは事実であります。このうち、消費税率の値上げ三%による値上げは約八兆円あったと存じますので、所得税、個人住民税の税収が約五兆円、また、法人税、地方法人の二税というのの税収が約五兆というように、それぞれ増加をしておるというのが事実であります。そのほかにも相続税とか固定資産税とか約一兆円ぐらいある、いろいろ足しますが。

 いずれにいたしましても、少なくともGDPが名目で三十三兆円ぐらいふえましたし、企業収益は過去最高となってみたり、また、有効求人倍率が一・三八とかいうようなものになってきておりますので、投資や消費というものがいろいろな意味でそういったものに結びついていくと、これがさらに経済の好循環というものに結びついていく、そういったものの拡大が大いに反映されたものの結果だと思っております。

宮本(岳)委員 仮にそれだけの成果が生み出されていると言うのであれば、消費税のさらなる増税はやめて、その成果を社会保障の充実分の財源に回してくれればいいではないかと国民はみんな思うのは当たり前であります。

 七月十一日の記者会見で安倍首相は、これまでの成長の果実を子育て支援など必要な分配政策に大胆に投入することにより、次なる成長を確かなものとする、成長と分配の好循環をつくり上げるために一億総活躍社会に向けた未来への投資を加速していく、こう述べました。

 八月二日に閣議決定された未来への投資を実現する経済対策には、子育て、介護などの環境整備、当然必要な内容が含まれておりますけれども、これらの措置も恒久財源が当然必要なものであります。

 未来への投資に位置づけた社会保障制度には二十一兆円の果実を分配する一方で、今議論になっている一体改革では、安定財源である消費税増税がなければ社会保障制度の充実は実施しない、しかも、その増税の税収のほとんどは結局赤字国債発行を削減するために活用するというものであります。

 社会保障制度の充実、改善のためだと言うなら、どちらも、成長の果実、二十一兆円の分配で実施すればいいではありませんか。大臣、そうじゃありませんか。

麻生国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、消費税率一〇%への引き上げというものは、そもそも社会保障と税の一体改革の中において、日本の人口構成が少子高齢化に進んでいくのを背景にして社会保障費の伸びというものが今後とも見込まれる、そういった中にあって、社会保障の充実とか安定化といったもののためには安定財源というものを確保しておく必要があります。

 加えて、二〇二〇年度に基礎的財政収支の黒字化を実現するという財政健全化目標というのをきちんと掲げて進んでいかないと、我々はこういった今のような状況を後世に引き継げないということになろうと存じます。

 したがいまして、今御指摘のありましたように、安倍総理の話の中にもありましたように、三本の矢等々の政策によって、少なくとも国、地方の税収は約二十一兆円ぐらい増加をしておりますが、これらの税収増のほかに、消費税率一〇%の引き上げ分も織り込んだ、足元の内閣府のいわゆる中長期試算では、経済再生ケースでも二〇二〇年度には五・五兆円の基礎的財政収支がまだバランスしない、赤字が残るという見込みになっております。

 したがって、これは強い経済の実現を目指した取り組みをするとともに、同時に、歳出を削減するとか歳入等々、両面から財政健全化というものに取り組んでいかなきゃならぬ必要がありますので、社会保障制度という、これは世界に冠たるものだと思いますが、この保障制度を次世代に引き渡していくというためには、私どもとしては国に対する信頼というものをきちんと確保しておく必要があろうと存じます。そのためにも、財政の健全化というのは避けて通れないところでありまして、そういった意味では消費税率一〇%という引き上げは極めて必要不可欠なものではないか、そのように考えております。

宮本(岳)委員 プライマリーバランス黒字化の話をされればされるほど、結局、赤字国債の発行を削減する必要があるから上げなきゃならないという議論を繰り返しているにすぎないわけですよ。社会保障財源の話じゃないんですよ。今回一〇%に上げて、社会保障財源で充実に使われるのは一・二兆から一・三兆ですから。だから、二十一兆円の果実があるんだったらやれるんですよ、これぐらいのことは。そこを私は指摘しているわけです。

 もう一つ、重大な財源問題を問いましょう。それは軽減税率導入のための財源であります。

 今回の増税延期法案では、やはり、消費税率の一〇%への増税時期に合わせて軽減税率制度の導入時期も延期をいたしました。前回の法案審議の際に、この軽減税率導入に係る減収分一兆円をどうするかという議論を随分やりましたけれども、財務省、この財源はどうなっておりますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 軽減税率制度の財源確保につきましては、与党及び政府の平成二十八年度税制改正大綱におきまして、「財政健全化目標を堅持するとともに、「社会保障と税の一体改革」の原点に立って安定的な恒久財源を確保する」こととされまして、これを踏まえて、平成二十八年度税制改正法において、「歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずる」と明記したところでございます。

 政府としては、こうした方針のもと、与党とも御相談しながら、歳入歳出両面にわたって検討を行い、安定的な恒久財源の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 一兆円の恒久財源の確保に取り組むんですね。

 先ほども指摘しました、消費税率一〇%段階で実施する予定の社会保障充実分は一・二兆から一・三兆円なんですよ。軽減税率制度のために約一兆円の財源がつくれる、安定財源が。今、つくれるという答弁ですよ。つくれるのならば、その財源を使えば、一〇%に上げたときに充てるべき一・二兆や一・三兆はやれるんですよ。そして、上げなければ、軽減税率を導入する必要はないんです。その一兆円を使ってやればいいんじゃないですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 軽減税率の財源確保を図っていくということは必要だと考えておりまして、平成三十一年十月の消費税率一〇%引き上げの際に制度が導入されることを踏まえれば、平成三十一年度予算編成の際に結論を得れば、消費税率一〇%引き上げ以降の社会保障の充実の財源に不足が生じることがないように、平成三十年度末を期限とし、この一兆円の財源の確保を検討していきたいということでございまして、軽減税率制度の財源確保は確保として行っていく必要があると考えております。

宮本(岳)委員 答弁になっていないじゃないですか。一兆円の財源確保ができると。恒久財源の確保ができるという答弁なんですよ。だったら、その一兆円で社会保障充実分に充てればいいじゃないですか。そうしたら上げなくて済むんですから、上げなければ軽減税率は必要ないんですから。

 そうじゃないですか。大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 充実させる分と安定させる分と両方考えないかぬのだと思いますけれども、今の言われた話で、一兆円を、そのとおりかもしれませんが、少なくとも軽減税率というような形で、きちんと安定させたものと充実させたもの、両方考えねばならぬということでしょう。

 したがいまして、今のようなことになっているんだと思います。

宮本(岳)委員 充実と安定と両方考える。つまり、安定と言う方は今赤字国債で充てているものを減らしたいということであって、結局、赤字国債の削減のために増税していると言っているようなものなんですよ。とんでもない御都合主義だと言わなければなりません。

 不公平税制を是正してきちんと取るべきところから取れば、消費税増税は、延期するのではなくきっぱり中止できる、このことをはっきり指摘しておきたいというふうに思っております。

 では次に、二次補正で約三兆円の追加を行った財政投融資について質問いたします。

 二〇〇一年の財投改革以降、財投の規模は毎年大きく引き下げてまいりました。小泉内閣最後の基本方針二〇〇六、いわゆる骨太方針では、財政融資資金貸付金について、財投改革の継続に加えて、今後十年以内で合わせて百三十兆円超の圧縮を実現する、こういう方針を掲げました。

 その二〇〇六年九月に第一次安倍内閣が誕生いたしました。麻生さんもこの内閣の外務大臣だったと思います。もちろん、この第一次安倍内閣はこの基本方針二〇〇六を引き継いだと思うんですが、間違いないですね、大臣。

麻生国務大臣 御指摘の話は、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六、これは平成十八年の七月に閣議決定をされておりますけれども、財政融資資金貸付金というものは、今後十年以内で合わせて百三十兆円超の圧縮を実現する、そういうお話ですね。

 この内容につきましては、その後、変更などの閣議決定はされておりません。したがいまして、現内閣においても当然のこととして引き継がれておると考えるのが筋だと思っております。

 財政投融資につきましては、平成十三年度の財政投融資改革以降どうなっているかといえば、間違いなく、負債の圧縮を図るということで、民業補完の原則のもとで、対象事業の重点化、効率化に取り組んでおりまして、その結果、財政投融資貸付残高は、平成十七年度末から二十七年度末にかけて約百二十七兆円圧縮をされております。したがって、おおむね百三十兆円の圧縮というのはなされていたというように理解しております。

宮本(岳)委員 二〇〇六年度末の財投の残高は二百七十五・五兆であります。二〇一五年度末では百五十四・三兆。手元に、配付資料四にグラフをつけております。なるほど、この九年間で百二十一・二兆、ちょっと先ほどの数字と食い違いますが、このグラフで読みますと、百二十一兆二千億圧縮したことになります。

 今年度末でちょうど十年目を迎えると思うんですが、残りの八・八兆円は今年度中に圧縮されることになりますか、理財局。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず冒頭、大臣のお答えは、骨太の方針に従うと十七年度末から二十七年度末の十年間ということでございまして、約百二十七兆円の縮減ということでお答えさせていただいてございます。

 それから、今御質問のありました本年度の年度末の残高でございますが、二十七年度末時点、これは財政融資だけではなくて財投全体でございますが、百五十四兆円でございます、二十七年度で。

 今年度末につきましては、毎年実は貸付金の回収金の額等いろいろ不明な点もございますので、現在、確たること、増減についてはお答えできない状況でございます。

宮本(岳)委員 既に八・八兆、あるいは今の三兆でも、ことし減る見通しはないんですよ。今年度の財投債発行額は補正後で既に十九・六兆円です。昨年は十四兆円でしたから。それはいろいろまだ未確定な面があるでしょうが、ふえこそすれ、そんな何兆円も減るということはもうないんです。

 ということは、今日の安倍内閣は、これまではやってきたけれども、いよいよことしからこの方針は投げ捨てる、放棄する、大臣、そういうことですか。

麻生国務大臣 基本的に、今理財局長の方から答弁がありましたように、この十年間の間に、リーマン・ショックの話が一つ、もう一つは東日本大震災と、二つ大きな予想外の話があったという点もこれは考慮しておかないとならぬというのが、我々財政を運営する立場からいえば当然です。

 もう一点、これは私どもとしていろいろな意味で、金利がこれだけ安いという状況にあります。御存じ、ほぼゼロですから。そういった状況の中において私どもとしては、少なくとも、税金ではなくて、国債というものを調達するにかかります必要経費、簡単に言えば金利ですけれども、必要経費を上回るリターンが期待できる公共工事というようなものに関しましては、これは一切納税者に負担はかかりませんから、そういった意味では、金利が低いという状況は大いに活用されてしかるべきものだ、基本的にはその考え方はあります。

宮本(岳)委員 リーマン・ショックも東日本大震災も既に何年も前のことでありまして、順調にその間も減ってきているわけです。

 我が党は、決して財投計画は単純に減ればいいと考えるものではありません。中小企業融資や奨学金など、国民生活を支援するものはより充実するべきだと考えております。ただ、大企業の支援や無駄な公共事業のための財源とすることには断固反対だと申し上げなくてはなりません。

 二〇〇一年財投改革を受けてみずから決めた基本方針二〇〇六の量の面からの財投圧縮目標について、既に安倍内閣は捨て去って、いよいよこれからふやすということははっきりしたと思います。

 もう一つ、財投改革では、過去の反省を踏まえて、民業の補完性、償還の確実性、そして政策的必要性、大臣が先ほど答弁された。これを原則として強調いたしました。現在の財投計画に反映されております。

 本日は、とりわけ重視される償還確実性の精査について取り上げたいと思うんです。

 これは理財局でいいんですが、財務省理財局発行の財政投融資リポート二〇一六には償還確実性の精査についてどのように書いてあるか、紹介していただけますか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねの財投リポートのコラムの話でございますが、償還確実性の精査の件、先生おっしゃいましたこの三パラだとございます。

  ただ、中小企業に対する政策金融のように、個々の財投機関が貸倒れなどの各種の事業リスクを抱えていることは事実です。この点については、毎年度の財政投融資編成の際に、財投機関において、信用リスクなどを勘案した金利設定を行っているか、財政投融資対象事業の収益性がきちんと確保されているか、貸付先の財務状況を適切にモニタリングしているか、などを精査し、政策コスト分析の手法も活用しながら、財投機関の償還確実性の精査に努めています。

宮本(岳)委員 つまり、償還確実性の精査とは、財政投融資対象事業の収益性がきちんと確保されているか等を精査することだと書かれてあります。理財局のこの冊子の中にそう書いてあります。

 二次補正で、リニア事業への三兆円のうち一・五兆円を財投計画に追加することが決まりました。財政審の財政投融資分科会で償還確実性の精査を行ったとされるんですけれども、急を要するということで持ち回り審査で済まし、議事録すら残されておりません。それでも持ち回り審査会でこの事業には償還確実性があると判断をした、こういうことでいいんですね。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃいましたように、八月二日の対策の閣議決定から二十四日の補正予算の閣議決定まで、お盆も挟みまして、大変期間が短うございます。委員が一堂に会することは日程的に困難でございましたので、議事規則にのっとりまして持ち回りにより分科会を開催し、全委員の意見聴取を行ったところでございます。

 意見聴取に当たりましては、補正額の案などをお示しした上で、全国新幹線鉄道整備法、いわゆる全幹法に基づきまして、交通政策審議会において、JR東海が収益力の高い東海道新幹線と一体的に経営を行うことで、経営の安定性を維持しながら事業を遂行することが可能であるとの答申がなされたことなどから、償還確実性に問題がないと考えることなどにつきまして、必要に応じまして委員に説明を行いまして、意見聴取を行ったところでございます。

 なお、先生、議事要旨もないとおっしゃられましたが、その後、我々、ホームページに議事概要というものは載せておりまして、それぞれ委員の先生方から、「ALMに留意してほしい。」等々の御意見は載せているところでございます。

宮本(岳)委員 知っているんですよ。議事録がない。議事概要しか出ていないんです。

 では、確実性を確認したと言うんですから改めて確認しますけれども、理財局の職員は、リニア事業に関してどのような資料をもって審議委員に説明したんですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員に対する説明は、リニアも含めた今回の財投の補正追加全体の説明をしてございます。

 その中で、今先生リニアの資料だということだと思いますが、リニアにつきましては、具体的には、二十八年度二次補正予算における財投の活用により全線開業を最大八年間前倒しするとの目的、あるいは、財投の追加規模一・五兆円、鉄道・運輸機構を通じた財投の融資スキームといった内容を含む資料を提示しておりまして、それらに加えまして、先ほど答弁申し上げましたが、全幹法に基づく交通政策審議会における償還確実性に問題がないという答申につきまして必要に応じ委員に対しまして御説明を申し上げ、御意見を聴取したところでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、八年間前倒しする目的等々が説明されていることは重々わかっているわけですけれども、このリニア事業は、単体で見るならば、JR東海の社長みずからがリニアだけでは絶対にペイしないと記者会見で二〇一三年九月に公言しているわけです。ですから、財政投融資の対象事業、つまり、リニア事業単体の収益性が確保されているかをきちんと判断できる資料を示さなくてはなりません。

 配付資料五につけましたけれども、財務省のホームページに掲載されているこのときの財投分科会の配付資料一覧には、そのような資料は何ら含まれておりません。それを提示せずに、財政審の財投分科会は一体何を判断したんですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたように、我々は、基本的には、法律、全幹法に基づきます交通政策審議会における答申、いわゆる事業の収益性があって償還確実性があるということを踏まえた上で、償還確実性の議論を委員に御説明したわけでございますが、その審議会の中で、JR東海が収益力の高い東海道新幹線と一体的に経営を行うことで、経営の安定性を維持しながら事業を遂行することが可能であるとの答申がなされておりますので、そういう御説明をしております。

宮本(岳)委員 要するに、リニアについて、それ自身の収益の確実性というのは議論されていないと。漫然と、JR東海が優良企業だからとりあえず金を貸そうという話じゃないんですよ。財政投融資の対象事業はあくまでリニア事業なんですよ。

 麻生大臣は、二言目には、JR東海は利益も潤沢にある企業だから償還確実だと繰り返し答弁をされます。しかし、これまた財投分科会の持ち回り審査では、JR東海の財務諸表も含め、今後四十年間にわたる企業収益や将来見込みなどが判断できる資料は何一つ配付されておりません。償還確実性を精査すると言いながら、なぜ企業の収益構造を判断する資料が一切配付されていないんですか。

佐川政府参考人 リニア新幹線の収益性のお話でございますが、今先生おっしゃいましたように、JR東海個社の財務諸表や企業収益などの資料を提示しているわけではございません。

 ただ、リニア中央新幹線につきましては、先ほど申しました交通政策審議会におきまして詳細な需要予測等もしておりまして、例えば、将来の推計人口におきましては、国立社会保障・人口問題研究所の推計に基づきまして、中央新幹線開業後も人口が減少することを前提として行いながら需要拡大が見込まれる。あるいは、JR東海の経営状況に関する長期試算見通しの検証でございますが、経済成長率がゼロ%という最も厳しい状況での需要予測に基づいて試算を行っておる。そういう中で、大阪開業後のリニア中央新幹線及び東海道新幹線による営業収益で着実に返済ができることが確認されたということでございますので、そうした答申を踏まえた上で議論させていただいております。

宮本(岳)委員 いやいや、そもそも、JR東海に三兆円の財投融資を行えば最大八年間前倒しできるというその根拠、それについての説明資料もこの中には見当たらないんですよ。三兆円を超長期、低利、固定融資の好条件で資金調達できれば、それはJRの資金調達はかなり良好になるでしょう。しかし、事業の収益性を精査するというのであれば、具体的に、三兆円の投融資でJR東海の資金繰りがどう改善して、どれくらい負担が軽減され、最大八年間前倒しできるのかを推計し、審議会で検討するのが当然の話ですよ。そういう資料は示されているんですか。

佐川政府参考人 最大八年間の前倒しの話でございますが、それは先ほど申しましたように、交通政策審議会でずっと議論したときには、JR東海自身は、そもそも財投を入れる前であれば、財投なしのケースでは、名古屋開業後八年間の経営体力回復期間を置いて、みずから資金調達をして大阪開業に入る、こういうことでございました。そういうことでございましたが、今回、我々財政投融資を三兆円入れることによりまして、この八年間の経営体力回復期間をなくして大阪開業を早めるということが全体の政策でございます。

 そういう中で、そういう経緯につきましてはもちろん財投の委員の先生方にも説明しておるところでございますが、そもそも、その八年前倒しにつきましては、平成二十三年の交通政策審議会答申の「付帯意見」におきまして、「名古屋・大阪間の整備については、」「早期整備・開業のための具体策を検討すべき」というふうにされておりまして、こうしたことも踏まえまして、国土交通省におきましては、沿線地域の要望あるいは国会における御議論なども踏まえながら、全線早期開業のための検討はずっと行ってきたものというふうに承知してございます。

 今般の財投の活用でございますが、そうした全線開業前倒しの方針につきまして、六月二日に閣議決定されましたいわゆる骨太の方針を踏まえまして、国交省を中心に関係者間で具体的な調整を進めて、八月に閣議決定されたものでございます。

宮本(岳)委員 そういう検討をやっていないんですよ。

 二〇一〇年十一月二十四日開催された国土交通省交通政策審議会中央新幹線小委員会に提出された資料というものを、きょう皆さん方のお手元、資料六におつけしておきました。これは、JR東海独自の試算と国土交通省の試算が比較されております。しかし、これは、三兆円財投を投入する前の二〇一〇年の試算なんです。

 ですから、三兆円入れればこれがどういうふうになるのか。例えば、名古屋開業前年で四・九三兆円の長期債務になる、大阪開業年には四・四五兆円になる。これが三兆円の投融資をすればどう変化するのかというそんな試算すらしていないではないかということが問題になってきたんですが、昨日、我が党の本村伸子議員のところへシミュレーションなるものが出てまいりまして、やっと今ごろその計算をやったようであります。

 財投の金利を〇・六%と仮定して、民間借り入れ金利を三・〇%として、先ほどの配付資料につけたものに加味して改めてシミュレーションをした。JR東海はこれまで、五兆円超の長期債務を抱えるのは困難だとしてきたんですが、私の手元に来た資料によると、大阪開業時には五・五兆円の債務を背負うということになります。ただ、それが財投の金ですから、五・五兆背負っても大丈夫だという判断のようでありますが。

 きのう出てきているんですから、こんなものは全然検討していないですね。そうでしょう。

佐川政府参考人 先生今お示しの資料につきましては、多分国交省がお出しになったものだと思いますが、先ほど申しましたように、ずっと全線開業については国交省の方で議論をしていたわけでございまして、そういう意味では、閣議決定以降、そういうJR東海あるいは鉄運機構、国土交通省の間の関係機関の調整によって、八年間の前倒しが最大限できるということをもって閣議決定に至ったということだと思います。

宮本(岳)委員 国土交通省が言うんだから大丈夫だという判断をしたというだけのことじゃないですか、それは。

 例えば、日本政策金融公庫が中小企業に融資する際には、融資が本当に収益性向上につながるのか、資金繰りがどの程度改善されるのかなど、何度も何度も資料提出を求められる。中小企業のオーナーは、資料作成に困るほどですよ。大臣、大臣も経営者だった。

 三兆円もの財投を融資するのにその程度の検証をするのは当たり前だと私は思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 御指摘の財投のリポートなんだと思いますけれども、基本的には、財政投融資というのを行う場合におきましては、対象事業というのに対する収益性とかいろいろなことを言うんですが、今般のリニアに係る貸し付けの場合は、これはもう宮本先生よくおわかりのとおり、我々は、鉄道・運輸機構からJR東海のリニア新幹線事業への貸し付けということになります。

 収益性ということにつきましては、これは、JR東海から鉄道・運輸機構に対して、貸し付けた資金について金利を付して償還されるということを指しております。JR東海とこっちと直接やるわけじゃありませんから。

 そういった意味で、今般のリニア中央新幹線に係る貸し付けというのは、これはJR東海というものは、東海道新幹線を含みます会社全体の収益から償還を行うというのは当然のことだと思いますが、財務省としては、交通政策審議会等々の答申に加えまして、JR東海の高い格付、たしかJR東海の会社の格付は、ムーディーズなんかは日本の国債の格付より高いと思いますけれども、そういった高い格付なので、私ども、償還確実性というものを考えた場合に、やはり、JRの場合は去年平成二十七年の経常は四千九百億ぐらい出ていたと思いますし、純利益でも三千五、六百億円出ていたと思いますので、そういった意味では極めて償還というものに関しては、鉄道・運輸機構もその点に関しては、全体で考えるのであれば当然という意識を持ってやっているんだと理解しております。

宮本(岳)委員 四千九百億、四千九百億と言うんですけれども、それだけ優良で格付も高いんだったら、民間で調達すればいいんですよ。金を幾らでも借りられるでしょうよ。そこに財投を入れる議論になっているから私は言っている。結局は、国交省、機構が大丈夫だと言ったから大丈夫なんだろう、それだけの話なんですよ。

 八月十八日―二十三日の持ち回り財政投融資分科会の議事要旨によれば、「財政規律の維持が重要な現在において財投計画の編成・執行には十分慎重にのぞむべき。」「今回の補正追加のうち、特に新しいスキームのものについては、財投の償還確実性の観点から厳格な執行管理に努めて頂きたい。」との意見が出されております。

 これだけではリニア事業のことかどうかはわかりませんけれども、精査したという審議委員ですら確証を持てていないということであります。余りにもずさんな償還確実性の精査であったことは明白です。

 このような無責任な財政投融資計画は今からでも中止すべきであり、少なくとももう一度、財政審で真面目に審査すべきだと指摘して、私の質問を終わります。

御法川委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも、この法案について引き続き質疑させていただきたいというふうに思います。

 前回の最後に大臣にお伺いしました、いわゆるプライマリーバランスの黒字化を二〇二〇年度までに目指すということで、財政健全化目標達成を堅持するんだ、今回の消費税増税が延期されるということは、財源が減るわけで、しかも、かなり大きな財源だと思いますが、これが減って、非常にプライマリーバランスの二〇二〇年度黒字化の達成目標というのは厳しくなっているというのが正直なところだと思います。しかし、これは堅持されると政府はおっしゃっているわけです。

 前回の御答弁だと全然具体的じゃなくて、どういうふうにして二〇二〇年度まで、もうあと四年、二〇二〇年に入るまでだと三年、二〇二〇年度も入れれば四年しかない中で、普通、四年後であれば大体のスケジュール感、そして具体的な、まだ決まっていないのであればどういうふうに検討していくのか、そういうのも含めてあってしかるべきだと思うんですけれども、全く具体的じゃなかったというふうに思うんですが、いま一度お伺いしたいと思います。

 この財政健全化目標の達成に向けて、堅持されるということで、具体的な方策をいま一度お伺いできますでしょうか。

木原副大臣 丸山委員にお答えいたします。

 前回、同様の質問をいただきましたけれども、そこから一歩進むといいますか、二〇一六年度から二〇二〇年度までの五年間を対象とした経済・財政再生計画におきましては、当初の三年間、これは二〇一六年度から二〇一八年度を集中改革期間として位置づけるとともに、二〇一八年度時点で目標達成に向けた歳出改革時の進捗状況を評価し、必要な場合には歳出歳入の追加措置等を検討することとしております。

 この中で、これは前回も申し上げたとおりでございますが、改革工程表に基づく歳出改革の継続や二〇一九年十月に予定されている消費税率の一〇%引き上げ等を通じて、この二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化を実現する方針であります。

丸山委員 全く答えになっていないと思いますね。

 一六年から一八年を集中改革期間にします。一八年度にチェックをして、歳出と歳入の追加の措置をする。具体的かどうかというのは、聞いていただいている皆さん、具体的じゃないなと思われると思います。

 集中改革期間、一六年、つまりことし、集中改革期間とおっしゃいながら二次補正まで組まれているわけで、非常に莫大な国家予算がかかっているわけですよ。景気の状況もある、震災等もある、仕方がない部分もあるかもしれません。しかし、集中改革期間なわけですよね。その一六年度が今こういう状況です。そして、一七年、一八年の集中改革期間でやって、一八年に出す。そうすると、一八年に出たら、もう二〇年度まで、一九、二〇、あと二年しかないじゃないですか。

 今、内閣府の試算では、前回も申し上げましたけれども、景気によっていろいろなシミュレーションができますので一概には言えないんですけれども、しかし、同じ政府の内閣府でも、最大九兆円ぐらいから、そして最低五兆円から六兆円ぐらいの、プライマリーバランスが赤字化だと言っているんですよ。

 前回、大臣にもお伺いしたら、大臣は、前回のプライマリーバランスの目標のときはみんなだめだと言って、だけれどもいけたでしょう、しっかり頑張りますというお答えでありましたし、その意気込みは大事なんですが、しかし、国民の皆さんが知りたいものは、その意気込みをどう具体化していくのかというところで、今スケジュール感については、一六年から一八年にやる、一八年度にチェックをして、一九、二〇で、最後、必要であれば歳出歳入の追加措置をするということなんですが、今まさに集中改革期間なんですよね、一六―一八というのは。

 では、これは何を具体的にやられているんですか。事務方でも構いません。

    〔委員長退席、土井委員長代理着席〕

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 集中改革期間におきましては、経済・財政再生計画におきます歳出改革の目安を定めて、それに沿って改革を進めることとしております。

 具体的には、目安の一といたしまして、プライマリーバランス赤字対GDP比を二〇一八年度マイナス一%程度とするということで、毎年の国の一般歳出の水準といたしましては、安倍内閣のこれまでの三年間では一般歳出の総額の実質的な増加が一・六兆円程度となっていること、経済、物価動向等を踏まえ、その基調を二〇一八年度まで継続する、こういうことを目安として定めて、それに沿って予算編成を行うということとしております。

 また、社会保障関係費の水準についても目安を定めております。

 若干長くなりますが、「安倍内閣のこれまで三年間の経済再生や改革の成果と合わせ、社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(一・五兆円程度)となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を二〇一八年度まで継続していくことを目安とし、効率化、予防等や制度改革に取り組む。この点も含め、二〇二〇年度に向けて、社会保障関係費の伸びを、高齢化による増加分と消費税率引上げとあわせ行う充実等に相当する水準におさめることを目指す。」

 地方の歳出水準につきましては、「国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、二〇一八年度までにおいて、二〇一五年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する。」

 具体的には、こういう目安に沿って予算編成をしていくということとしております。

丸山委員 経済の状況をすごく甘く試算されているというふうに思うんですよ。

 内閣府の試算なんかはまさしくそうなんですけれども、実質のGDP二%、名目三%程度で二〇年まで推移するという予想で立てられている。でも、今般、経済は危機的状況にあると前回の質疑でも大臣がおっしゃっている中で、果たしてそううまくいくのかどうか。もっと抜本的な歳出歳入の改革をもう早目に手を打っていかないと、最後に必要であれば一八年度から追加で措置をやりますでは間に合わないというふうに思うんですよ。しっかりやっていただきたいとしか言えないですが、しかし、しっかりやっていただきたいと本当に思います。

 それは、やはり議員の一人としてもそうですけれども、若い世代の一人としても、ツケが回ってくるのはまさしく我々の世代であって、もっと言えば今の子供たちであって、まだ生まれ見ぬ将来の日本国民だと思いますので、ぜひ、強い決意を持ってやると大臣は前回おっしゃっていただいていましたので、具体的に、国民が見てなるほどなと思える指標も示していっていただきたいというふうに思います。

 そういった意味で、二〇二〇年度までの今後の経済状況、どういう経済状況になっていくかが、今回の延期の件もそうですし、財政健全化の点においても非常に大事な部分になると思うんですけれども、今回の延期によって、もちろん日本経済に影響を与えるからこそ、逆に、裏返せば、延期しなければ日本経済に影響を与えるからこそ延期をされたんだということですけれども、今回延期したことが果たして経済にどういう影響を与えるのかというのは、もちろん財務省さんの方で研究されているとは思うんですけれども、これはどういう感じになっているんでしょうか。

木原副大臣 お答えします。

 今回の消費税率の引き上げ延期が本年度、二十八年度の実質GDPの成長率に与える影響として、内閣府からは、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要による実質GDPの押し上げ効果が見込まれなくなると聞いております。これは約〇・三%程度だというふうに聞いております。

 なお、来年度、二十九年度につきましては、この駆け込み需要の反動減等による実質GDPの押し下げ効果が見込まれなくなると聞いております。

 以上です。

丸山委員 数字が出てきましたけれども、消費税増税前の駆け込み需要がなくなることによって、GDPがマイナス〇・三%ぐらい下がるんじゃないかというのが一つの政府の試算。

 そして、もう一つおっしゃったのは、逆に、消費税が上がった後の消費の冷え込みの話だと思うんですけれども、ここが非常に重要だからこそ今回の消費税増税を延期するわけですよね。これによって景気が冷え込むとまずいので、世界的なリスクに対応するために、大臣の方は消費の低迷に拍車がかからないようにするために今回の増税を延期するんだと思うんですが、こちらの後半の方は具体的な研究というのはどうなっているんですか、細かいところまで教えていただきたいんですけれども。

木原副大臣 お答えします。

 二〇一七年度の実質GDP成長率については、消費税率引き上げ延期によって、駆け込み需要の反動減及び消費税率引き上げによる実質所得の押し下げ効果が生じない中で、雇用・所得環境が引き続き改善をし、景気回復が見込まれることから、一・二%というふうに私どもは見込んでいるところです。

    〔土井委員長代理退席、委員長着席〕

丸山委員 さっきの内閣府の試算も、GDPは実質で二%、名目で三%という予想なんですけれども、今の財務省だと、一七年度は一・二%程度になるという御答弁でした。要は、財政健全化に対する目標の設定では経済成長率を非常に高く見積もっている。二%、三%と言っているにもかかわらず、今のお話だと一・二%、一七年度。

 とすると、実は、この財政健全化の内閣の試算は平均の話なので、つまり、一七年度が一・二%だと、その分、一八、一九と、平均をとるんですから、平均をとって二、三%なんですから、かなり高くなっていかないと、どんどん後ろが苦しくなるんです。つまり、財務省の、政府の試算としては平均二から三%と言っているんですから、後半、一八年度、一九年度はより上がっていくという予想をされているということなんですか。

木原副大臣 今おっしゃったことを目指してやっていくということになると思います。

丸山委員 目指されるのは大事です。ぜひ目指していただきたいですし、我々としてはお願い申し上げます。しかし、お聞きになった皆さんは同じように思われています、かなり厳しいんじゃないかと。やはりここはごまかさずにやっていただきたいんです。

 そういった意味で、ごまかしがないように、もうちょっとちゃんと試算もしてほしいし研究もしてほしいというふうに思うんですが、もっともっとここの部分をやっていくべきなんじゃないですか。もっと細かいところまで研究をした上で、多分、歳出をもっと削らなきゃいけないと思うんですよ。歳出削減をもっとしなきゃいけないと思うんですけれども、歳出削減の改革、歳入の改革もそうです、しっかり、もっと具体的にやってほしいんです。その点はどうお考えになりますか。

 今質疑をしてお答えいただいて、それは誠実さがないとは言いません、すごく誠実にお答えいただいていると思う。しかし、お聞きをしていて無理があるし、具体性がやはり薄いなというふうに感じるんですけれども、もっと深掘りして国民の皆さんに説明する責任があるとは思われませんか。お願いできますか。

木原副大臣 目標の達成に向けて、歳出歳入改革、これは一体となって、しっかりと研究、また深掘りを積み重ねて、国民にしっかり説明ができるように頑張っていく所存でございます。

丸山委員 また引き続き、この委員会は続きますので、この辺の二〇二〇年度までの長期的な話はたびたび出ると思います。しっかりやっていただいて、質疑にたえるような御答弁をぜひいただきたいというふうに思います。

 細かいところを聞いておきたいんですが、ちょっと、閑話休題と言ったら怒られますけれども、地元を回っていていつも言われることがありまして、消費税に関連すると、大体、五%とか一〇%は切りがいいから、カウントもしやすいし小銭もたまらないから、一〇%がいいとは言わないけれども、五パーのときはまあよかったよねと。

 でも、八%というのは、結構、消費税が一円単位になって、どういう数字でも一円単位になるので、財布がぱんぱんになるし計算も大変だし、ちょっとこれは何とかならないのというか、これが逆に経済的にはマイナスになっているんじゃないのみたいな御質問もいただくときがあるんです。

 確かにそうだなというのは、正直実感として思うんですが、果たしてそれが本当にそうなのかどうかとか、税率がなぜ八かというと、やはり一%上がると何兆円という単位で変わるので、それは、その辺も含めた上での国民にどういう御負担をお願いするかという意味で八なんですけれども、しかして、その効率性だとか数字が持っている計算の複雑さとか、そういった部分というのは余り議論したことがなかったなと思うんです。

 そういった部分、財務省は研究だとかされているのか、それをどう考えていらっしゃるのか、その点をお答えいただけますでしょうか。

木原副大臣 丸山委員の問題意識、私も個人的に同じように持っておりまして、五とか一〇と比べると非常に切りが悪いというその御指摘は感じております。

 財務省としまして、消費税の税率の切りのよし悪しの影響について研究を行っているかということですが、確認いたしましたが、研究はしていないということでございます。

 特にそういったことは行っておりませんが、しかしながら、諸外国のそういった付加価値税率の例というものを、これは実際に調べればわかることでございまして、そういったことを見てみますと、ポルトガルやポーランドなどは二三%、オランダ、ベルギーなどは二一%、ドイツ、チリなどは一九%、スイスは八%などと、スイスなどは同じ八%、そういった、税率はさまざまに設定されているようでございます。

 なお、消費税率を八%に引き上げた際、どういうふうに影響が出るか、こういったことも以前調査したことがありますが、財布の小銭がふえたというのは、確かにそういう御意見がありましたし、あとは、自動販売機等の価格設定が非常に困難である、無人の販売施設などでは小銭の取り扱いが非常に難しいということもございましたし、そういったことがあったことはしっかりと省としては把握しているようでございますが、大きな問題が生じているとは現時点では考えていない、そういう状況でございます。

丸山委員 また、今ややこしいのは、時期的に税抜きと税込みの価格が併用されているわけで、その点でも、税がどうなっている、細かい計算はどうするのというのは非常に国民の皆さんは思っていらっしゃるところだと思います。

 しっかりこの点は、税を管理されている財務省としても、引き続き頭の中には置いておいていただいて、計算しやすい、国民にとってわかりやすい税というのをしっかりやっていただきたいと思います。

 二点目、これも地元を回っていてお聞きすることなんですけれども、贈与税の非課税措置が今かなり広がっていまして、例えば子供さんの教育の一括の贈与だとか、あとは住宅もそうですね、非常に今枠が広がっていて、最大五千五百万まで贈与税非課税措置があるわけですよ。

 これは非常に我々若い世代に、今まだ財産がない中で、年配の方々から若い世代に移転をされるという意味では悪くない、若い世代にはありがたい制度であるという側面はあると思います。

 でも一方で、お金がある人はいいですけれども、麻生大臣の麻生家はいいですけれども、うちの丸山家だと残念ながらそんなに財産がないので、そうすると、逆にお金持ちが固定化していく、お金がある人だけそういう措置は受けられるけれども、そんなないよという人は結局受けられない、格差が固定化したり貧富の差が出てくるんじゃないのというのは、正直、地元を回っていて税の話でいつも言われるんですけれども、これに対して財務省としてどうお答えになりますか。

木原副大臣 委員御指摘のとおり、贈与税の非課税措置については、格差の固定化といった批判があることは自分としても認識をしているところでありますが、一方で、これらの措置というものは、高齢者層から消費意欲の高い若年層への資産の早期移転を促して消費を拡大し、需要を安定的に拡大させることを通じて経済再生を早期に実現するために、あくまで時限的に、ここがポイントでございまして、時限的に導入しているということであります。

 しかしながら、税制というのは、公平性などを確保する観点から不断の見直しを行うことが重要であるということであり、これらの時限措置が適用期限を迎える際に、再分配機能が大きく損なわれることがないよう、その適用状況や影響をよく見ながら見直しを不断に行っていくということが大事だろうと思っております。

丸山委員 しっかりそれはやっていただきたいと思います。

 もう一つ、地元を回っていてよく言われる、消費税も関連する税の話といえば、たばこの税金です。たばこ税がかかっていて、そして消費税もかかっていると思います。このデマーケーションがどうなっているのという話はよく聞かれるんです。二重課税じゃないのという御質問もあるんですが、基本的にはそこは分けていますので、厳密に言うと二重課税じゃないんですが、恐らく消費者の方からすれば、二重にかかっているぐらい重い税を払っているというのがあります。

 また、昨今ニュースで、東京オリンピックに向けて一箱千円になるんじゃないか、議連の皆さんがそういう要望をされたみたいなものが出ていて、よく地元を回る中で、喫煙家の皆さんからそういう話が言われます。確かに、マナーの問題だとか健康の問題だとか、非常にいろいろな側面もあるので一概には言えないんですけれども、一方で、非常に高額の納税をしてくださっている納税者でもあるというのが事実だと思います。

 大臣、よく葉巻をお吸いになるということだったと思うんですけれども、こうしたたばこ税、たばこの税のあり方について、よく地元を回っていると聞かれますので、大臣、お答えが何かありましたらいただけますでしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 これはもう昔からある話でして、たばこ税と消費税と課税させているんですが、たばこの場合は御存じのように極めて嗜好性の高い種類の消費物なので、この嗜好品であるというところに着目して課税しているというのが税であるのに対して、消費税というのは、これはいわゆる財貨・サービスの消費一般に広く課税されておりますので、課税の根拠が全く異なっているんだという点がまず第一点だと思っております。

 また、たばこ税と消費税の関係を見ましても、これはヨーロッパ、アメリカもそうですけれども、付加価値税、VATですか、VATと称する例の標準でいきますと、この中には間接税も含まれておりますので、個別間接税を含む価格に対して消費税が課税されるということに関しては、これは国際的にある程度確立されたルールになっておりまして、日本のほかを見ましても、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、いずれも皆この制度をとっておりますので、特段に問題があるというわけではないというように考えております。

丸山委員 どういうふうに税金が自分にかかっているかというのは、なかなか詳しい方というのはいないと思いますので、広報しろとまでは言いませんが、きちんとした説明が必要だと思いますので、ぜひこれはお願いしていきたいと思います。

 ちょっと閑話休題的になりましたけれども、日ごろ私が地元を回っていて聞かれる税関連の、聞いてみたいなと思っていたことですので、三つほど聞かせていただきました。

 最後に、時間もなくなってきましたので、お伺いしていきたいと思います。

 消費税を増税する、ふやすといったときに、いわゆるあの三党合意もそうですし、国民の皆さんは覚えていらっしゃると思います。テレビで、そのときの野田総理と、今は総理になられていますけれども安倍自民党総裁が議論をされて、その場で、きちんと改革をやるから国民の皆さんに消費税の御負担をお願いするという約束をしました。

 その後、議員定数の削減、やるやると言ってずっと先送りになって、結局、ようやくことしですか、十、定数が削減されました。しかし、十できちんとやっているとおっしゃっている国民の皆さんはほとんどいないと思います。

 財政が厳しいという中で、我々自身の身を切る改革というのは、維新の会は耳にたこができるぐらい申し上げていますけれども、しかし、足りていたら言わないんです。何も、半分にしろだとか、三分の一にしろだとか、百人にしろとか、そういうことを言っているわけじゃなくて、しかし、国民の皆さんがやはりやってないよねと思っている中で、お約束した三割だとか、それぐらいのことはきちんと、各党いろいろな選挙のときに、マニフェストを見ましたけれども、自民党さんも数字を具体的に出されているときもあります。

 そういった意味で、しっかりとこの議員定数の削減の話をやっていただきたいというふうに思うんですけれども、麻生大臣、党人でもいらっしゃると思いますし、この議員定数の削減というのはどうお考えになっていらっしゃいますか。

麻生国務大臣 中選挙区から小選挙区に変わるときにここで議員をやっていた人というのは、ほとんど今はいません。みんな、小選挙区になってから出られた方が圧倒的に多い、そういう時代になりましたので、あの中から小に変えるときの騒ぎというのにそのままにいた方からしますと、正直申し上げて、小になってよかったのかと多くの新聞は書くけれども、おたくらがあおったんじゃないの。あおった人は自分だろう。署名入りで書いていたじゃないか。おまえ偉くなって部長なんかになっているけれども、あれは悪かったとどの面下げて言えるのと正直思っていますよ。私は正直に言いますから、そういう人たちには。

 しかし、これは大論議をした割には、よかったのかと言われると、なかなかそうも言えないんじゃないかと皆さんそうおっしゃるから。私らは中選挙区の方がいいんじゃないですかと申し上げた方ですから。どのみち、どっちをやっても強いというやつ以外の話は聞けないですよ。小選挙区になったら強くなる、中選挙区の方だったら弱くなる。偏りますから。両方、どっちでやっても通るやつの意見を聞けということを当時随分やり合った記憶があるんですが、大論議をした結果が今です。

 したがって、人数を減らすということに関しましては、これはもう各党各会派いろいろな意見があるのに加えて、そのまた会派の中の御自分の選挙区事情によってまた意見が違いますので、これはなかなか簡単な話じゃありませんから、これに関しては、ぜひ多くの方々の意見を集めて聞くというのは、思いついたような話じゃなくて、よっぽど盛り上がっていくというのができないとなかなか難しいというのが、自分の経験からそう思います。

丸山委員 大臣のお答えもそうなんですけれども、総理のお答えも大体いつもは、議会でお決めになることなのでしっかり議会で議論してほしいとお答えになって、そこで終わっちゃうんですよ。結局、それで終わるからこそ、国民の思いに私は合っていないというふうに思っていて、時間がないので答弁はいただかないんですけれども、公務員人件費と、あと議員歳費もまた戻っているんですよ、削減していた分が。戻っているのに、今回消費税は、延期と言いながらも結局一九年には上がるわけで、しっかりこの辺の、国民の負担と公務員、議員の負担のバランスというのはもっと考えなきゃいけないと思いますので、答弁は求めませんが、これはしっかり考えていただきたいというふうに切に申し上げます。

 最後、最後の最後になります、お答えいただきたいのは、やはり前回の質疑でもお話ししたんですけれども、今回の景気条項をつけないというのはおかしいと思うんです。景気が世界的なリスクがあるから今回やらない、延期するんだという経験があるわけですから、しっかりと景気条項をつけないと矛盾するんですよ。

 でも、麻生大臣にきちんと御答弁いただきました。麻生大臣の進言で総理に対して、不退転の決意でやるんだ、だからこそこれは抜いてくれ、そうしたら総理がわかったとおっしゃった。それで抜かれていると思うんです。しかし、そこが論理的に実は法案としては矛盾しかねないところだと我々はずっと指摘しております。

 また、今回の法改正をもってしても、つまりその御答弁を裏返せば、再々延期の可能性は排除されないとまで前回おっしゃいました。ということであれば、どんな場合に延期されて、どんな場合にそのままされるのかが非常に不透明で、不安定になってしまうんです。その不安定さを増したら、そのこと自体が税全体の安定性だとか、もっといけば経済の先行きの透明性を損ねちゃうんですよ。

 これに対して政府としてどうお考えなのか、最後に聞いて終わりたいと思います。

麻生国務大臣 これは前回も申し上げましたように、経済は生き物なので、基本的には常にそういった可能性がありますよということを申し上げたので、今の段階で経済情勢というものを見通すというのは極めて難しいというのは、この前のときも申し上げたとおりであります。

 したがいまして、この間のときも、前の前のときだったかな、申し上げたんですが、私どもとしては、プライマリーバランス、いわゆる基礎的財政収支の堅持という目標を達成するために、また、社会保障と税の一体改革等々、いろいろなものを抱えております問題がいっぱいありますから、それをきちっとやっていくためには、必ず一部の勤労者に偏るというのではなくて、一般に広くという消費税というものの値上げというものでお願いをさせていただくということで、私どもはそれができるような状況にする、そういった景気の好循環に持っていくということを我々としては目標としてやる、それが我々に与えられた使命だと思っておりますので、そういった方向で事を進めていくというのが、今の内閣なり、どなたがやられても同じようなことだと思いますけれども、どの内閣になっても同じような方向できちんと経済の状況を好循環に持っていくというのが我々に与えられている使命、そういうように理解しております。

丸山委員 時間がないので終わりますけれども、大臣がおっしゃる、経済が不透明だというのはわかります。でも、今回の法案自体、景気条項がないこと自体がその不透明さをさらに増していくということを御指摘申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。重徳和彦君。

重徳委員 私は、民進党・無所属クラブを代表して、政府提出、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 社会保障と税の一体改革については、平成二十四年六月のいわゆる三党合意以来、与野党の立場を超え、この問題を政局や政争の具にすることなく、国民の立場に立って、将来の我が国の国家像を見据えた政治家、政党間の堂々たる信念に基づき進められてきたところであります。

 三党合意は、世界に誇るべき、成熟した民主主義の成果であることは、麻生財務大臣の答弁でも認めるとおりであり、この合意の重要性、必要性は、いまだ全く変わりありません。

 自公政権下における日銀の金融緩和の成果として、為替相場は円安に振れ、輸出型産業の増益が主導する形で株価は上昇する一方、マイナス金利政策に踏み込んでもなお、二%の物価安定目標の達成は全く見通せません。

 また、金融緩和と財政出動を実施する間に断行すべき肝心の経済構造改革も手つかずのまま、企業の設備投資や実質賃金は増加せず、GDPの六割を占める個人消費も伸びることなく、アベノミクスは効き目がないのではないかとの評価が国民の間で広がる中で、このたび、消費税の引き上げは再延期せざるを得ない状況になりました。

 本年六月、参議院選挙を前に安倍総理は、再延期の理由について、世界経済のリスク等の曖昧な根拠を並べた上で、再延期するという私の判断は、これまでのお約束とは異なる新しい判断であると述べました。

 政策の失敗を反省するそぶりも見せず、国会審議においてもすれ違いの議論に終始していては、アベノミクスの実態は一向に国民に伝わることがありません。

 こうした状況下で政府・与党は、消費税率引き上げの今後の取り扱いについて、三党合意の精神を踏まえて野党に協議を呼びかけることもなく、無責任な政策対応を継続することを前提に、再延期の方針を打ち出しました。このまま漫然とアベノミクスと称する際限なき金融緩和と財政出動を続けるしか策がないのであれば、経済の復活、国民経済の向上は望み薄、さらなる政策の失敗を呼び込むだけです。

 以下、本法律案に反対する理由を具体的に申し述べます。

 第一に、一兆円もの税源を失う上に、逆進性対策として問題が多く、痛税感の緩和のみを主たる目的とする軽減税率の導入を単純に二年半先送りする点です。政府は、今後のマイナンバー制度の普及等を視野に入れた給付つき税額控除という、より適切な政策への変更を求める国会での健全なる主張を全く取り上げようともしません。

 第二に、今回の再延期の判断は、前回の延期のように景気判断条項という法的根拠に基づくものでなく、根拠の乏しい新しい判断に基づくものとしか説明されていない点です。今回の法改正において景気判断条項を復活させないのですから、次の引き上げ時期である平成三十一年十月に確実に実施されるかどうかは時の政権の恣意的な判断によることとなるのであり、何らの担保もありません。

 第三に、地方自治体への配慮がない点です。地方は、国民生活を守る最前線として社会保障の充実のために政策を推進してきましたが、今回の再延期により大きなしわ寄せを受けています。そうした地方への配慮もない上、地方法人課税の偏在是正措置も単純に先送りにしています。

 我々は、既に通常国会において、対案として、消費税率の引上げの期日の延期及び給付付き税額控除の導入等に関する法律案を国会に提出しております。問題の多い政府案を否決し、速やかに対案を審議し、可決することを求め、私の討論を終わります。

御法川委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 私は、日本共産党を代表して、消費税増税延期法案に反対討論を行います。

 本法案は、日本経済に甚大な打撃を与えている消費税のさらなる増税を三十カ月延期し、二〇一九年十月に実施するものです。

 そもそも消費税は、所得が少ない人ほど負担が重い、逆進性があります。税は応能負担で集めるべきであり、逆進性があり、格差拡大を促進する消費税の増税は反対であります。

 そして、逆進性が強いからこそ、二〇一四年四月に実施された消費税八%への増税は、実質可処分所得を奪ったことで、全国の消費を長期にわたって冷え込ませ、二〇一四年度、二〇一五年度、戦後初めて個人消費が二年連続マイナスという甚大な打撃を日本経済に与えております。政府が二度も増税実施を延期せざるを得なくなっていることからしても、問題点は明白です。

 本委員会の審議の中でも、消費税増税が消費に悪影響を与えたことは麻生大臣も認められました。日本銀行も認めるように、消費税増税の影響は想定以上に長引いております。消費税を一〇%に引き上げるならば、国民の暮らしと日本経済に深刻な打撃を与えることは明らかであります。

 政府が、脱デフレを掲げながら、物価を下押しする消費税増税を進めるのも支離滅裂です。破綻した消費税増税路線はきっぱり断念すべきです。

 中小零細業者の消費税の新規滞納の発生も深刻な状況であることが明らかになりました。消費税は、一〇〇%価格に転嫁できないにもかかわらず、自腹を切ってでも納税を強いるという根本的欠陥があります。

 本法案の根底にある消費税増税は、二〇一二年に三党合意により決定した税・社会保障一体改革にあります。政府は、一体改革により得た消費税率五%から一〇%への増税分を社会保障に全額回すとします。しかし、社会保障の充実に利用されるのはたった一%分相当の二・八兆円だけで、その他多くが財政赤字の穴埋めに使うものです。きょうの審議でも、これからの二%増は、事実上、専ら赤字の穴埋めのものであることが明らかになりました。その一方で国民には、年金、介護、医療の負担増、給付減のオンパレードであります。

 税・社会保障一体改革に固執して消費税増税を延期実施するのではなく、大企業優遇を拡大させてきた法人税減税と研究開発減税、資産家優遇の証券優遇税制、タックスヘイブンへの税逃れなど、不公平税制を正すことで社会保障財源を確保するべきであることを申し上げ、反対討論とします。

御法川委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高です。

 私は、ただいま議題となりました税制抜本改革法改正案について、反対の立場から討論いたします。

 まず、我が党は、消費税率引き上げの期限を決めて実施することには明確に反対です。

 あす、我が党は消費増税凍結法案を提出します。この法案の内容は、消費税引き上げのためには、国会議員の身を切る改革、公務員人件費削減等の徹底行革、そして何より、景気回復が必要であるというものでございます。

 内閣提出の法案は消費増税延期法案であり、我が党の法案は消費増税凍結法案です。延期とは期限を延ばすことで、凍結とは一旦決まったことの実行を差し控えることで、似て非なるものです。内閣提出の延期法案は、消費税率を平成三十一年十月一日に一〇%に引き上げるというものです。我が党の凍結法案は、税率引き上げは「別に法律で定める日」に行うことにしておりまして、それがいつになるかは、経済状況や、国会議員の定数や歳費の削減、公務員人件費の削減等の成果によって決めるというものです。

 この消費増税凍結法案は日本維新の会の政策を反映したものです。我が党の政策は、まず身を切る改革と徹底行革、民営化を初めとする官から民への政策を推し進め、規制緩和、地方分権、金融緩和、財政政策といったあらゆる手段で経済を活性化させて税収を上げ、それでも足らなければ消費税を増税するというものです。

 これに対し、自民党など他党の政策は、まず消費増税を行い、その他の政策はその後にというものです。社会保障と税の一体改革でも、消費税率の引き上げだけをまず決めて、社会保障充実政策の内容は後で決められたものです。

 特に我が党が問題と考えるのは、議員定数の削減です。議員定数の大幅削減は、自民党総裁と当時の民主党政権の総理大臣が党首討論の場で国民に約束したはずです。ことし、ようやく衆議院で定数を十のみ減らすと決まりましたが、この際に我が党が要求した国会改革すら実現しておりません。

 税は国の基本中の基本であります。その変更は本来慎重に行うべきところを、何の歳出削減の努力もなしに引き上げだけを決める、また、次は延期する、そのような法案には賛成できません。

 以上の理由から、我が党は、今回の税制改正法案には反対であります。

 以上です。

御法川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより採決に入ります。

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 次回は、明二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十三分散会


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