衆議院

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第13号 平成30年5月11日(金曜日)

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平成三十年五月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小里 泰弘君

   理事 あべ 俊子君 理事 井林 辰憲君

   理事 津島  淳君 理事 三ッ矢憲生君

   理事 義家 弘介君 理事 海江田万里君

   理事 岸本 周平君 理事 竹内  譲君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      大西 宏幸君    勝俣 孝明君

      神田 憲次君    木村 弥生君

      国光あやの君    小泉 龍司君

      斎藤 洋明君    柴山 昌彦君

      鈴木 隼人君    田畑  毅君

      武井 俊輔君    中山 展宏君

      藤丸  敏君    本田 太郎君

      牧島かれん君    御法川信英君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      山田 美樹君    尾辻かな子君

      川内 博史君    末松 義規君

      高木錬太郎君    吉良 州司君

      近藤 和也君    野田 佳彦君

      宮本  徹君    杉本 和巳君

      青山 雅幸君    佐藤 公治君

      鷲尾英一郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   財務大臣政務官      今枝宗一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   矢野 康治君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    武内 良樹君

   政府参考人

   (国税庁次長)      藤井 健志君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 和田 浩一君

   参考人

   (株式会社国際協力銀行代表取締役専務取締役)   林  信光君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  青山 大人君     佐藤 公治君

同月十一日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     国光あやの君

  本田 太郎君     木村 弥生君

  宗清 皇一君     大西 宏幸君

  末松 義規君     尾辻かな子君

  前原 誠司君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     宗清 皇一君

  木村 弥生君     本田 太郎君

  国光あやの君     斎藤 洋明君

  尾辻かな子君     末松 義規君

  吉良 州司君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

四月十九日

 消費税一〇%への増税中止を求めることに関する請願(村上史好君紹介)(第九七八号)

 同(村上史好君紹介)(第九九三号)

 消費税増税の中止に関する請願(志位和夫君紹介)(第九九〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇三六号)

 消費税増税を中止して五%に戻し、生活費非課税・応能負担の税制を求めることに関する請願(藤野保史君紹介)(第九九一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇三七号)

 消費税一〇%の中止、減税に関する請願(藤野保史君紹介)(第九九二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融に関する件(破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

小里委員長 これより会議を開きます。

 金融に関する件について調査を進めます。

 去る平成二十九年六月二十日及び十二月八日、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づき、それぞれ国会に提出されました破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告につきまして、概要の説明を求めます。金融担当大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 昨年六月二十日及び十二月八日に、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容に関する報告書を国会に提出いたしております。

 報告対象期間は、通算して、平成二十八年十月一日以降平成二十九年九月三十日までとなっております。

 これらの報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、その概要を御説明申し上げます。

 初めに、処理を命ずる処分の状況につきまして申し上げます。

 今回の報告対象期間中に、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分は行われておりません。

 平成二十四年九月十日に解散をいたしました日本振興銀行の清算法人である日本振興清算は、平成二十九年五月二日に清算手続を結了いたしております。

 次に、預金保険機構による主な資金援助等の実施状況及び政府保証つき借入れ等の残高につきまして申し上げます。

 預金保険機構によります資金援助のうち、救済金融機関に対する金銭の贈与は、今回の報告対象期間中に日本振興清算に対する七十億円の減額が生じたことなどにより、これまでの累計で十九兆三百十九億円となっております。

 預金保険機構による破綻金融機関等からの資産の買取りは、今回の報告対象期間中にはなく、これまでの累計で六兆五千百九十二億円となっております。

 また、預金保険機構の政府保証つき借入れ等の残高は、平成二十九年九月三十日現在、各勘定合計で二兆八百七十七億円となっております。

 ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理等に関しましては、これまでも適時適切に所要の措置を講じることに努めてきたところであります。

 金融庁といたしましては、今後とも、金融システム等の安定確保に向けて万全を期してまいる所存であります。

 御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

小里委員長 これにて概要の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

小里委員長 次に、財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として株式会社国際協力銀行代表取締役専務取締役林信光君、日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、財務省大臣官房長矢野康治君、理財局長太田充君、国際局長武内良樹君、国税庁次長藤井健志君、国土交通省航空局次長和田浩一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田賢司君。

山田(賢)委員 私は、自由民主党の山田賢司でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 時間が十五分と限られておりますので、早速質問に移らせていただきます。

 このところ、東アジア情勢というのは大きな動きが出てきております。朝鮮半島では南北会談が開催され、六月には米朝会談も予定されているというところでございます。

 こうした中、東京におきまして、一昨日、日中韓サミットが二年半ぶりに開催されまして、麻生大臣も御同席されたと承知しております。

 財務金融分野に限らず幅広い議題があったかと思いますが、副総理として、むしろ、今回の日中韓首脳会談の意義についての御所見をお聞かせください。

麻生国務大臣 おっしゃるとおり、二年半ぶりになりますこの日中韓のいわゆる首脳会談というのは、いろいろこの間ありましたけれども、未来志向の協力をいわゆる総括するという意味においては、この日中韓協力の、金融面に限らず、新たなスタートになるものだと思っております。

 金融協力につきましては、二千億ですから、三兆四千億ぐらいになりましょうか、それのRQFII、例の、人民元の適格外国通貨機構という、RQFIIというものに関する、これを付与することの合意などについて進展があったと思っております。

 今般の場合は、これは、日本の機関投資家によります中国内の投資の機会が拡大できるようにということで、前々からいろいろ話がしてあったものがうまく進みましたし、東京市場がマーケットとして発展することにもなりましょうし、日系の金融機関、大きな銀行等々ありますけれども、こういった中国ビジネスの環境の整備というものが、いろんな意味で、引き出したり、またスワップ等々の話も、これは日銀との話ですけれども、そういったものの話も、いろんなものができやすくなるようなものが大枠できたところもありますので、そういった意味では、作業を更に進めていくことになろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、全体としては、これまでに比べまして、長いことたまっておった案件がかなり前向きに進んだというように考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 今大臣おっしゃられたのは、日中韓首脳会談に続く日中会談において金融協力なんかも合意されたというふうにお伺いをしております。

 そのほか、日中韓首脳会談では、拉致問題の解決なんかについても共同宣言に盛り込まれたりしております。折しも、きのうは、北朝鮮に拘束されていた三人の米国人が解放されたということです。率直によかったと思いますが、我が国の拉致被害者についても速やかに全員一括して帰国が実現できるように、政府においても全力で取り組んでいただきたいと思っております。

 こういったこと、もっと重要な案件がいっぱいあるんですが、時間も限られておりますので、次の質問に移らせていただきます。

 当委員会におきましては、森友学園の土地売却に関連して八億円の値引き、これが、公有地という国民の財産を不当に安く処分したんじゃないか、若しくは、そうではないのかといった点で、さまざまな御議論が続けられてまいりました。

 ところで、国民の財産、国民の血税、この使われ方という意味でいうと、余り触れられていないんですけれども、最近、政党が新しくできては消え、できては消えということが繰り返されている中で、その政党に交付された血税の行方、これについても大変重要なことだと思っております。最近では、昨年できたばかりの希望の党さんが、新しい党に分かれて、消えたと聞いております。

 ここで総務省にお伺いしたいんですが、五月七日に解散された希望の党が、解散直前の四月二十日に受領した政党交付金の金額は幾らでしょうか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 まず、政党助成法第十条第一項の規定に基づきまして、希望の党に対する平成三十年分の政党交付金としまして、四月二日に三十億四千二百九十五万四千円の交付決定をしたところでございまして、政党交付金の交付は年四回に分けて行われることとなっておりますことから、四月には、その四分の一である七億六千七十三万八千五百円を四月二十日に希望の党に対して交付したところでございます。

山田(賢)委員 それは、ルールでそう決まっているので、近々解散するからといってその政党には出さないということにはならないんだろうと思います。偶然にも、八億の値引きの話をしているときに七億六千と、近い数字になっているんですけれども。

 続きまして、党の移動の仕方ということで、今回、旧希望の党さんは二つに分かれて、新しい党をつくって合流されたということなんですけれども、例えば、旧希望の党の一部の議員さんが民進党さんに合流する際に、五月七日付で一旦、国民党という政党をつくられて、旧希望の党を二つに分割した上で、同日に民進党と合併して、党名を国民民主党に変えられました。

 分割という、新たな政党を一個つくって、分割せずに直接離党して、いわゆる分派というんでしょうか、こうやって合流した場合、政党交付金の扱いは何か違うのでしょうか。教えていただけますでしょうか。

大泉政府参考人 政党助成法におきましては、政党がまず解散した上で、分割協議書というものを作成し、二以上の政党を設立する分割と、それから、二以上の政党が合流する合併という制度が設けられておりまして、その合併の中の一つの類型として、一つの政党が存続して、他の政党が解散して、その存続した政党に合流する存続合併という制度が定められております。

 先ほど申しました分割の場合、所定の手続を行うことによりまして、その年分における政党交付金の未交付分につきましては、各分割政党の設立時の所属議員数に応じて案分して交付されるということとなっております。また、次回以降の政党交付金の算定においては、得票数の引継ぎ等の特例が適用されます。

 さらに、この政党が解散して存続合併をした場合には、政党交付金は、その存続政党に対しまして合算して交付されるというようなルールになっております。

 一方で、政党助成法の分割の手続を経ないで、政党から所属国会議員が離党した上で新たな政党を設立する場合、いわゆる分派というように言われておりますが、これにつきましては、政党交付金の交付に係る特例はございません。次の基準日、国政選挙がない限り来年の一月一日になりますけれども、それの現在の届出をしない限り、政党交付金は交付されず、また、得票数等の引継ぎもございません。

 また、次の基準日前に分派されて設立された政党が他の政党と存続合併をしたとしても、特例はないということとなっておりますので、存続政党に交付される政党交付金の金額は従前のままということとなります。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 聞いていてもなかなか難しい話なんですけれども、要するに、新しい政党をつくって、分割せずに議員だけが移る場合は、政党交付金はその人数に応じて移った先でもらえないということだとすると、政党交付金を受け取るためのトンネル政党みたいなものを一回つくってそれを合併しているということで、ある意味、これは脱法行為ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

大泉政府参考人 総務省といたしましては、実質的な調査権、実質調査権がございませんので、具体的な事実等について把握する立場ではないので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、政党助成法の所定の届出がございました場合には、総務省としては、形式的審査をした上で、法にのっとって処理するということとなると考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 政党の活動というのは政党の自由ですので、よその党からああだこうだ言うことではないんですけれども、いろいろな考えがあって二つに分かれられて、その後一緒になるというんだったらわかるんですけれども、五月七日に新しい政党をつくって、五月七日に次に行っている。一日も存在しなかったというか、一日ももたないところにお金を入れて持っていくというのは、法律上、今の現行法がそうなっているから、これはそれでしようがないんでしょうけれども。

 皆さん方よく、法律上問題なくても、道義上問題だということをおっしゃる方がいらっしゃるんですけれども、だけれども、それを言うんだったら、これも道義上いかがなものかと思うんですが、これは法律がそうなっていますので、これ以上は私は申し上げずに、次の問題に移らせていただきたいと思います。

 公文書の管理問題でございます。これも我々与党としても触れざるを得ません。

 森友学園との交渉記録に関して、最近、五百ページにわたる文書が存在することが新たにわかって、報道されました。お尋ねしたところ、現時点では、地検に資料を押収されていたり、いろいろなこと、事実関係の把握、確認も困難な状況であるとは思うんですけれども、そもそも、破棄したと言っていた文書が存在したということで、今までずっと一連の批判を受けているんですね。なのに、次々とまた新しいものが出てくる。これは、隠す意図がなかったとしても、結果的に隠していたんじゃないかと思われてしまうのではないか。全部、後手後手なんですね。

 与党だとか野党だということではなくて、政府と国会の関係でいうと、国会に対してないと言っていたものが、あったということがわかったのであれば、わかった時点で、やはりありましたと言わないと、報道されてから事実関係を確認中というのでは、いかにもやはり対応がまずいと思っております。

 いつ、どのような文書を作成して、どこに保管していて、そしてどこに提出したかというのを把握するというのは、文書管理の基本中の基本だと思うんですね。

 文書管理に対する意識というものをやはり根本的に見直していただく必要があると思うんですが、理財局の方ではどのようにお考えでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 三月十二日に、書換えの文書という、書換えを行ったということを御報告を申し上げました。

 それ以降、当時三月でしたので、参議院の予算委員会が主な場でございましたけれども、今委員から御指摘をいただいたような、何で書換え前の文書がわかったかというと、書換え前のものが個人的な手控えとして、紙の状態であったりあるいは個人のパソコンであったり、ある意味で正規のところではないんですが、そういうところにあるというのを発見して、最終的には地検の協力もお願いをして、書換え前というのが判明して御提出を申し上げたわけですが、そういうことがあるのであれば、森友学園との面談記録のようなものもあるはずではないかという御指摘をいただきました。本委員会でも、たしか四月の頭のころだったと思いますが、そういう御指摘をいただきました。

 書換えの前の文書を発見する過程においてそういうことでございましたので、委員からお話がいただきましたように、ルールとしては、保存期間一年未満で、事案終了後廃棄というルールでございますが、手控えみたいな形で残っているのではないかということは調べなければいけないということで、三月以降、私どもは調べますというふうに御答弁を申し上げてまいりました。

 まずは書換え文書ということで、そこに、それをやった上で、あるいは一段落した上でということを申し上げておりましたが、書換え文書の方、結構分量が多くて時間がかかっております。それは大変申しわけないと思っておりますが、ここまで至っておりますので、この報道があったからということではなくて、もともと、三月以降、そういう御指摘をいただいていて、やると申し上げておりますので、そこはきちんと調べて、できるだけ速やかに、あるのであれば、そのあるもの、それがどういう経緯であり、どういうものであるか、物そのものも御提出をさせていただくように、至急、至急といいますか、できるだけ速やかにやらせていただきたい、で、きちんと御報告を申し上げたいというふうに思ってございます。

山田(賢)委員 今の点で、ちょっともう一回お聞きしたいんですけれども。

 三月時点で五百ページぐらいのものがあるとわかったんだったら、こういうものがありますと国会に言ってくれるのが、親切というか、信頼関係ですからね。

 今までこの話が全然話題になっていなかったんならまだいいんですけれども、ないと言っているものがあったじゃないかということがさんざん議論になって、話題になっているんだから、新たなものがあるかもしれないということがわかったら、今事実関係は確認中ですけれども、こういうものが出てきそうです、あるみたいですということぐらいを言ってくれないと、報道の方が先に行って、報道で、何だそれはと我々が言って聞いて、いや、事実関係は確認中ですというのは、いかにも、文書の中身そのものより、危機管理体制としてまずいと思うんですね。

 ミスというのは誰でも犯すことなので、ミスを、犯しちゃいけないんだけれども、ミスを犯したことそのものよりも、ミスを犯してそれを黙っているということが、ここの、これはもう本当に、リスクマネジメントというか危機管理としてまずいので、ここの意識をぜひ変えていただきたいと思います。

 本当は、このことも、原因の究明をしっかりやって、今後の再発防止をどうするんだということを言おうと思ったんですけれども、そういう質問をしても、原因をしっかり究明して今後の再発防止に努めてまいりたいみたいな答弁で終わってしまうので、これだと何かしゃくし定規にこの話を言って終わってしまうので、もうちょっと意識を変えて、危機管理という観点から、こういうことが起こったときに、きちんと、みずから、悪いことほど先に報告するというような、こういう考え方をとっていただきたいと思います。

 これは、理財局だけじゃなくて財務省全体、もっと言うと、政府、役所全体にあるのかもしれない。誰しもそういうミスは犯すんですね。我々も、サラリーマンをやっていましたから、まずい情報というのは上司に上げにくいんですけれども、そういうものこそ、まずい情報こそ先に上げろということをよく言われたものです。こういうことも、役所の中でも意識を改革していっていただきたいと思います。

 これは、理財局というよりも財務省全体のことですから、官房長、お答えいただけますか。この点を踏まえた再発防止についての決意をお聞かせください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 決裁を一たび終えた文書につきまして、後になって書換えを行い、それを国会その他に提出するというようなことはあってはならないことでありまして、深くおわびを申し上げます。

 現在、書換えの詳しい経緯や目的等を明らかにするべく、個別具体的に、どの職員がどの程度関与したかの調査を進めております。処分にもつながる調査でございますので、官房長であります私のもと、大臣官房を中心として調査を行っております。

 委員が御指摘のとおり、この調査によって、なぜこのようなことが起きたのかということを明らかにした上で、責任の所在を明確にして、厳正な処分を行う必要がございますけれども、二度とこうしたことが起こらないように、今委員から危機管理意識の問題でもあると御指摘いただきましたけれども、文書管理の徹底など、必要な取組をきちんとやって、本当に二度とこのようなことが起こらないようにしていきたいと思います。そのためにも、しっかりとした調査を行って、速やかに御報告をさせていただきたいと思っております。

小里委員長 山田賢司君、閉じてください。

山田(賢)委員 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきますが、今、厳正な処分とおっしゃいましたけれども、私も厳正な処分を求めようと思ったんですが、よくよく話を聞いていると、皆さん一生懸命やっている。悪意を持ってやったんなら厳正な処分なんだけれども、むしろ、現場の皆さんにはこんなこと、こんなことと言ったらだめですね、しっかりとルールは守る、それから文書管理は徹底した上で、しっかりと本来の業務に頑張っていただけるように、私からもエールを送らせていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

小里委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブの尾辻かな子です。

 財務金融委員会、二回目の質問となります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 先ほどの山田委員の質問の中で、森友、国有地売却をめぐる文書が五百ページ分あるということであります。これは、一年間、私たちがずっと文書を出してほしいと言ってきたことに対して、ないと言い続けて、そして、五百ページ分も出てくる。一枚や二枚じゃないですよ、五百ページですよ。これをミスと言うんですか。私は、これは隠蔽だというふうに言わざるを得ない、そして、一年以上にわたって立法府に隠蔽をしてきた、この責任は非常に重いと思っております。このことについても冒頭申し上げておきたいと思います。

 きょうは、麻生大臣に、この間の発言についてお伺いをしたいということで思っております。大臣、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず、四月二十七日に、財務省として、福田前事務次官のセクハラについては認定をする、そして、退職金から、百四十一万円でしたっけ、を引くということで、懲戒処分相当ということになりました。

 財務省としてセクシュアルハラスメントを認定をしたということですから、これは、麻生大臣としても福田前事務次官のセクシュアルハラスメントを認定されたということでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 福田次官への処分につきましては、これは四月の二十七日に公表を既にいたしておりますので、セクハラ行為があったと判断したことを理由にするということを申し上げておりまして、そのとおりであります。

尾辻委員 そのとおりであるということです。

 では、このとき、四月二十七日に記者会見をされたのは、矢野官房長ともうお一方、秘書課長が記者会見をされております。ここで矢野官房長が謝罪をされているわけですけれども、ここまで大きなセクシュアルハラスメント事件になり、騒がしているわけです。麻生大臣として、ここは大臣の口から今回のセクハラ騒動について謝罪をしなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 このことに関しましては、文書をもってきちっとした対応を御本人にさせていただいておりますし、御本人の方からも、それに対して、深く受けとめておりますというお答えをいただいておりますというように理解をしておりますが。

尾辻委員 そうではなくて、今回の事件というのは、既に、福田前事務次官、それも、謝罪したといっても、福田前事務次官はいまだに否認しているんですよ。そういうことで、大臣もいろいろな発言をされております。

 大臣から、このセクハラのことについて、セクシュアルハラスメントについて、申しわけなかったという謝罪の言葉がないかと聞いています。

麻生国務大臣 これは、たびたび申し上げておりますように、福田前次官本人は否定をされておられますから。私はそうした覚えはないと言っておられる。片っ方は、あったと言っておられるというんですが、こういった話は、この種の話というのは、御存じのように、申告されて初めて成り立つということでありますので、今の段階では、片っ方は否定して、片っ方はと言っておられる段階で、どちらの話をとるわけにもまいりませんから。

 私どもとしては、役所の処分のお話は申し上げさせていただきました。ただ、本人は今、ないと言って、今これから係争されるということになるんだと思いますが、その段階で私どもの方から、福田の方が一方的に悪かったということを申し上げるというのは、少々、この種の判断としてはいかがなものかという御意見をいろいろな方から伺いましたものですから、私の方としては、役所としての処分に関してきちんとした対応をさせていただいたということであります。

尾辻委員 福田が一方的に悪かったということではないという意見を周りから聞いた。誰から聞いたんですか。

麻生国務大臣 私の弁護士関係の方からも、この種の話は、簡単に、片っ方の話は否認をされておられる、片っ方は肯定されておられるという段階で、状況としては判断は極めて難しいですよという話を二人から伺っております。

尾辻委員 では、なぜ財務省はセクハラを認めたんですか。

麻生国務大臣 福田自身の方から反論として出てきた反証というのを私ども役所の方で調査をさせていただいた反論では、向こう側の言い分に対してこちらからの反証というものは、福田次官からの反証というものははっきりしたものが出てきておりませんでしたので、その段階で、私どもとしては、長引く、少々時間をかけてやるというのは、御本人に対しての、個人の尊厳等とかいろいろプライバシーの問題もありますので、なるべく早くということから、私どもとしては、福田、二十四日の日に、辞任を申し出ておりましたので、それに対応して私どもとしては処分をして対応するということで、その問題に関しましてのお話をさせていただいたということであります。

尾辻委員 もう一度確認します。イエスかノーでお答えください。

 大臣として、福田前事務次官のセクハラを認めますか、認めませんか。

麻生国務大臣 これはかかって個人の話になりますので、今の段階として、本人がないと言っている以上、これはなかなか、私どもとしては、あるとはなかなか言えぬということだと存じます。

尾辻委員 いや、もうびっくりする御答弁なんですけれども。

 だって、財務省は認めて処分しているわけでしょう。懲戒処分に相当していた。そして、百四十万円が、五千三百万の退職金の二・六%ですから、これは私、処分として重いとは全然思えませんけれども、財務省が処方をしたのに、そのトップは、いや、まだ違うんですとおっしゃっているというのはおかしくないですか。

麻生国務大臣 今、個人としていかがかと聞かれたのでお答え申し上げたところであって、財務省としてはきちんとした対応を既にさせていただいたと申し上げておりまして、財務省としては、役所としては、私どもとしては、福田次官によるセクハラ行為があったと判断して処分を行ったと申し上げておりますが。

尾辻委員 ですから、その財務省のトップである大臣はそれをお認めになりますかと聞いております。

麻生国務大臣 個人の話として言われましたので、私としては。財務大臣として認めたのかと言われたら、財務省として認めておりますから、そのとおりです。

尾辻委員 財務大臣としては認めた。では、財務大臣として認めたでいいですか。もう一度確認します。

麻生国務大臣 財務省の責任で文書を出しておりますので、財務大臣として認めたというふうに御理解いただければというふうに思いますが。

尾辻委員 では、財務大臣として認めたのであれば、今回、もう福田前事務次官のセクシュアルハラスメントじゃないんですよ。そうではなくて、その後に麻生大臣がいろいろ言われた言葉によって、麻生大臣による二次被害、財務省によるセクシュアルハラスメントに変わっているんですね。

 私は、まず、自分の部下であります福田前事務次官が起こされたセクシュアルハラスメントを認定されたのであれば、そのトップであります麻生大臣が謝罪をしなければいけない、そう思っております。いかがですか。

麻生国務大臣 何をもって隠蔽と言っておられるのか。今、隠蔽と言われました。何を隠蔽したのでしょうか。(発言する者あり)

小里委員長 では、尾辻かな子君、もう一度お願いします。

尾辻委員 どこに私が隠蔽したと言っているんですか。

麻生国務大臣 私どもとしては、紙を出して、きちんと対応させていただいたと理解をしておるんですけれどもね。きちんとしていて、向こうからその御返答もいただいておりますが。

尾辻委員 勝手に人のことを、隠蔽したとかいう発言をつくらないでください。聞いてください。もう一度言います。

 ですから、財務省として認めたということは、財務大臣として認めたと先ほど御答弁されました。そうしたら、しなければいけないのは、財務大臣として、事務次官が起こしてしまったセクシュアルハラスメントについて謝罪をすべきでないですか、責任者として謝罪をすべきではないですかと聞いております。

麻生国務大臣 これも先ほど申し上げましたけれども、被害を受けた女性へのおわびというものは、ちゃんと書面で、単に申し上げるだけではなくて、きちんとした書面で提出をさせていただいておりまして、私としては、財務省としてその方におわびをしたということだと理解しておりますが。

尾辻委員 どうしても、大臣は御自分の口からは謝罪の言葉を言われない。これが本当に謝罪したと国民の皆さんが思うかどうかですよね。書面でやった、でも、御本人、その責任者はおっしゃらないわけですよ。記者会見でおっしゃったのは官房長です。いわば、福田前事務次官の部下が、上司がやったことを謝っているんですよ。これは一般常識としてありますか。普通、何か不祥事があったとき、現場で対応できなければ、その責任を持っている人が出てきて、話を聞いて、それは申しわけなかったと謝る、これが一般常識の中の謝罪だと私は思っております。

 ですから、今回、私、何度ももう聞きました、謝罪されませんかと。それでも謝罪の言葉がないということは、何が悪かったのかということを大臣はわかっておられないのではないか。そして、更に危惧するのは、謝罪がないということは何が悪かったかということを大臣がわかっておられない。そういうことは、再発防止を大臣の手では、私、できないと思いますよ。まず自分が、自分たちの組織が起こしたことを謝罪できなくて、どうやって再発防止ができるんですか。私は非常に疑問です。

 もう一つお聞きしますが、今回の財務省の調査のやり方、最初に福田前事務次官の調書を発表して、そして被害者に名乗り出ろと言って、こういうやり方、そして名乗り出るのがそんなに苦痛なのかといったやり方について、これは適切だったと思われますか。イエスかノーでお答えください。

麻生国務大臣 私どもといたしましては、少なくとも、今回のセクハラ問題というのが持ち上がった当初、これは本人が否定をしておられましたので、そういった中で、週刊誌の報道のみをもって事実を認定して処分を行うことは困難、これはよろしいですね、そこのところは。これは、報道各社に、そう考えて、協力をお願いしたということです、協力をお願いさせていただいた。

 その際、作業をお願いをするに当たっては、役所のルールでは、これは人事院のルールがありますので、それに基づいてやった場合は省内だけで調査ということになっておりますから。それは御存じですね、人事院でそういうルールになっておりますから。しかし、それだけではいかがなものかということで、私どもとしては、弁護士に、被害女性の人権に十分配慮することを前提に、弁護士や上司を経由した協力や匿名での協力でもいいことなどを明確にしておりますよ、この点に関しましては。報道はそうされていませんけれども、事実はそうなっております。

 したがいまして、財務省は被害女性本人が実名で名乗り出てこなければセクハラを認めないという態度だという批判というのがよく書かれておりましたけれども、事実は違います。きちんとした形で、匿名でも結構ですよということを申し上げた上でやらせていただいております。

 そういった意味で、批判と今事実は異なるんだと思いますので、本来の趣旨が伝わっていなかったように思われますのは甚だ残念なところです。

尾辻委員 つまり、やり方は間違っていなかったとおっしゃっているわけですか。調査のやり方は間違っていなかったとおっしゃっているわけですか。

麻生国務大臣 財務省の職員についてのこういった場合の調査方法というのは、これは財務省の話ですから、財務省が責任を持って行うべきものだと思っておるんですが、その上で、今回の事案というのは、事務方のトップであります次官に関する事案であり、かつ被害女性が外部の女性、内部の女性じゃありませんから、外部の女性であったということを踏まえて、これは財務省の職員だけで対応するというのではなくて、専門的な知識を持った弁護士をもって当たられるべきものだ、私どもはそう判断をいたしております。

 委託された弁護士というのは被害女性の人権に配慮することを前提と今申し上げてきたとおりで、守秘義務もあって、中立的な立場を貫くのはこれは当たり前の話ですけれども、そういった姿勢を明確にするというのは、これは当然のことなんだと思っておりますので、財務省の責任だけで調査を進めるのではなくて、完全な第三者の調査ということを考えて委ねるとするならば、調査は極めて長期化してくることになりかねませんから、私どもとしては、被害者の保護の観点からも望ましいものではないのではないかと考えたということでありまして、いろいろな意味でいろいろな批判があることは承知しておりますが、いずれにいたしましても、参考とすべき視点があるのであれば、今後の教訓としていかねばならぬところだと考えておりますが。

尾辻委員 私は、イエスかノーかで聞いているんですね。長い答弁をされると、申しわけないですけれども、時間も食いますので、今後簡潔にお答えいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 私が聞いたのは、調査のやり方。では、これはよかったのか、反省はないのかということでしたけれども、今聞いた御答弁でいくと前と全然変わっておりませんので、今回の財務省の調査のやり方自身を、責任者である麻生大臣は反省も何もしておられない。そして、やり方がまずかったということを全く認めておられないということがわかりました。先ほどから申し上げるように、悪いことをした、まずいことをしたと思っていない人が立て直すのは無理ですからねということはよくわかったと思います。

 次に、ほかの発言も聞きたいんですけれども、何で私がここまで言っているかというと、大臣が、全くセクシュアルハラスメントということ、そして、そのセクシュアルハラスメントの調査が実は不適切であるということをわかっておられないのではないかという疑義があるからです。

 まず、発言をされたという報道があることについてお伺いしたいと思います。

 次官のセクハラ、さすがに辞職なんじゃないですかねと記者に聞かれて、だったらすぐに男の番記者にかえればいいだけじゃないか、なあそうだろ、ネタをもらえるかもってそれでついていったんだろ、さわられてもいないんじゃないの、だから次官の番を、番記者をみんな男にすれば解決する話なんだよ。これは、四月十二日、ホテルでそういうふうに記者に発言されたという報道があります。

 こういう発言をされましたか。

麻生国務大臣 何ですって。今、ぶつぶつ言っておられるので、よく聞こえないのであれですけれども。

 質問主意書において、セクハラ防止策として、担当記者から女性を排除し、男性のみとすることが妥当なことであると考えているかと御質問でしたので、四月の二十七日に、政府としては妥当なことであるとは考えていないとお答えをしておりますとおりでありまして、私どものことに関しましては、当然同じ認識であります。

尾辻委員 私が聞いていることとお答えが違うんですよ。男の番記者にかえればいいだけじゃないかと発言しましたかと聞いています。イエスかノーでお答えください。

麻生国務大臣 正直申し上げて、余り記憶がないないんです、その種の話は、正直。余り記憶がありません。言ったと申し上げたのかもしれませんけれども、私は、番記者を男性にすることは現実的に当然あり得ない話なんですから、少なくとも、働きやすい場所、環境を考えないかぬということを申し上げてきておりますので、私どもとしては、そう申し上げたのかもしれませんけれども。

 そういったことで、ちょっと正直、私自身としては、今現在、記憶がありませんし、誰のためにそう言われているのかと言われれば、テープがきっとおありなんでしょうから、そういうのを聞かせていただくしかほかにないと思いますけれども、私は余り、正直言って記憶がはっきりしておりません。

尾辻委員 記憶がないということですけれども、では、この報道をした社に対して、訂正を求めたり、抗議をされていますか。

麻生国務大臣 私どもも、こういう立場になりますと、新聞に書かれていることは大体半分以上は違っておりますので、それをたびたび抗議していたら、とてもじゃないけれどももちませんので、今回もいたしておりません。

尾辻委員 これは非常に問題な発言なんですよ。それの記憶がないというのは、私から見たら、大した発言じゃないと思っておられたということだと思います。番記者を全部男にすればいいというようなのはセクハラの解決策には全くなりませんということを申し上げて、非常に不適切な発言であるということであります。

 そして、大臣は、福田前事務次官がはめられた可能性もあるというふうにおっしゃっておられました。今もまだ福田前事務次官ははめられたと思っていますか。

麻生国務大臣 これは福田前事務次官がこれから裁判でいろいろされていかれるんでしょうから、その段階でははっきりされることだと思いますが、そういう可能性もあるということはよく言われている話ですから、そういう可能性が否定はできません。本当に事実かもしれませんから、よくわかりませんので。裁判でこの決着がきちんとされていくんだと思いますが。

尾辻委員 大臣はいまだに福田前事務次官がはめられた可能性があるとおっしゃっていて、私はちょっとわけがわからないんですよ。財務省としてセクハラを認めているのに、まだ麻生大臣は、セクシュアルハラスメントが相手側がはめたかもしれないという可能性があるというのは、二次被害を、大臣、生んでいるんですよ。

 被害者が今まではずっと泣き寝入りして言えなかった、それを勇気を出して言った。そうしたら、そっちの責任者が、そして副総理が、はめられたというふうに、加害者、バッシングというふうにもとれる発言をしているんです。これはすごい悪い前例になりましたよ。これから、セクシュアルハラスメントがあったんですと女性が勇気を持って言う、次の人たちに同じような目に遭わせないように自分が声を上げる。そうしたら、いや、これははめられたかもしれませんからということで逃げてしまう。こういう前例をつくった。

 ですから、はめられた発言、特に今回もう財務省は認定しているんです。はめられたかもしれない、そういう意見をあのときに言ってしまったこと、今の時点で撤回していただきたいと思います。

麻生国務大臣 はめられたかもしれないということも言う方がいらっしゃる。これはネットなんか見てもよく出てくる話だと思いますので、そのことに関して申し上げたんだと思いますが。あの場で言ったのは不適切というのであれば、そうなるかもしれません。

 これはいずれ裁判できちんとされていかれるんだと思いますけれども、私どもとしては、役所としては福田前次官の発言に関しては認めておりますので、そういった意味では、私どもとしては、これから先は個人の裁判を受ける話だと思いますが、その意味で、タイミングはいかがなものかという御指摘があるのは、それはそれなりに認めるにやぶさかではありません。

尾辻委員 それだけじゃないんですよ。更にまたひどい発言があるんですね。セクハラという罪はない。これは、今でもセクハラという罪はないというふうに思われていますか。

麻生国務大臣 セクハラ罪はない。間違えないでくださいね、ここのところは。大事なところですよ。セクハラという罪はないなんて言ったことはありませんからね。間違えないでください。

 セクハラ罪はない。悪意で切れば、セクハラ、罪はないと読めますからね。アサ・ナマタロウみたいな読み方ですよ。麻生太郎とは言わずにアサ・ナマタロウと言われたことがあるから。切り方の問題ですよ。

 セクハラ罪はないということを申し上げております。これは刑事罰として存在しておりませんから。これは訴える、訴えられる、そういったもので、これは両方で話し合われるということを正確に、法律用語としては正しく申し上げたんですけれども、悪意を持って途中で切られると、セクハラという罪はないというふうに言いかえておられますから。セクハラ罪はないと一つのセンテンスで読んでください。

尾辻委員 では、もう一度。

 セクハラ罪という罪はないということについては自信を持っておっしゃっているわけですけれども、これはあたかもセクハラが悪いことではないという開き直りにしか聞こえないんですよ、本当に。いじめという罪はない、こうやって開き直って、また加害者を、バッシングしているわけですよ。

 このセクハラ罪という罪はない、これで何が言いたかったんですか。普通であれば、セクハラ罪という罪はないとおっしゃった後に言わなければいけないのは、これは法律の不備であると言わなければいけないんじゃないんですか。今までセクハラ罪という確かに明確な定義がなかった。男女雇用機会均等法は事業者に義務づけているだけですから、ないんですよ。だから、こういう人たちは泣き寝入りしてきたわけでしょう。少数の頑張っている人たちが何とか裁判に訴えて、そしてやっと判例が積み上がっている。

 セクハラ罪という罪はない、その後におっしゃりたかったことは何なんですか。申し開きですか。

麻生国務大臣 法令として、私どもは法律の話を申し上げております。法治国家ですので。法律の話として、セクハラ罪と称する犯罪はないという事実を申し上げております。

 しかし、セクハラというのは一般に捜査機関が捜査を行うわけじゃありませんから、御存じのように。これは双方の主張が異なる場合は事実関係を認定することがなかなか難しいという問題意識が私どもの発言なんですけれども、その発言の一部が切り取られたということなんだと思っておりますが。

 私どもは、セクハラの被害の女性の尊厳とか、これは決して許されるものではないという、はなからセクハラというような事実は、これはアウトだと、一番最初から、冒頭から申し上げておりますよね、この話は。アウトだということを最初から言っている、言ったと思いますが。そこのところは全然取り上げられていただけないのは残念ですけれども、セクハラが事実とするならアウトだということを、もう一番最初に、冒頭に申し上げたと記憶していますが。

尾辻委員 ですから、セクハラ罪はないからという言い方は、まるでそれが許される、そして開き直っているようにしか聞こえないんですね。

 そこは、十分、大臣の発言として、いまだに、そのことが、そうやって被害者に対してまたバッシングになっているということ。そして、国民の皆さんに、セクハラは、セクハラ罪というものはないですから、裁判にならない限り大丈夫ですととられかねないんですよ。こういう発言だということを申し上げておきます。

 一点だけ確認をします。

 今回の福田前事務次官のセクハラについて、弁護士事務所の方に調査を依頼した。報道では、概要と最終的に報告書を提出ということなんですが、報告書を出すか出さないか、イエスかノーかだけ。もうちょっと時間ないので、出すか出さないかだけ、イエスかノーかで答えてください。

麻生国務大臣 担当の矢野官房長に答弁させていただければと思います。

尾辻委員 いや、私は大臣が出すか出さないか。じゃ、大臣の中ではわからないということですか。

麻生国務大臣 今の段階で、まだ、きちんとした段階で、出す出さないを申し上げられる段階にはないと思っておりますが。

尾辻委員 これは、報道によると、概要はもう出されているようなんですね。私たちもぜひ、弁護士事務所の概要を知りたいと思いますし、報告書が財務省に来たらぜひ見たいと思います。

 ぜひ、委員長、この辺、開示を求めたいと思いますので、後刻理事会でお取り計らいをお願いしたいと思います。

小里委員長 理事会にて協議いたします。

尾辻委員 今いろいろ話を聞いてきましたけれども、大臣は、全く御自分が、もうこれは福田前事務次官のセクシュアルハラスメントじゃないんです、麻生大臣の発言によるセクシュアルハラスメントに変わっているんですよ。でも、今、ずっと発言を聞いてきましたけれども、大臣、どう見ても、発言、セクハラ容認をしているとしか思えない。これでは、女性の活躍推進と言っていますけれども、女性を活躍させない、こういう政権だと思うんですね。そして、余りにセクシュアルハラスメントに無自覚であり、セクハラだったらアウトと言いますけれども、この麻生大臣の発言でもアウトだと思います。

 もう一つだけ、最後、大臣の発言についてお聞きします。文書改ざんです。

 おとといですかね、文書改ざんは個人の問題だ、組織の問題ではない、こういうふうに記者会見でおっしゃった、ぶら下がりでおっしゃったというのが報道であります。これは事実ですか。

麻生国務大臣 文書の改ざんというのは、これも最初から申し上げてきておりますけれども、決裁を得た行政文書を書き換えるなどという話の大方はゆゆしきことなんだということは最初から申し上げてきております、この話は。そこのところもはしょっていただかずに、ぜひ、そこのところもよろしくお願い申し上げます。その上で、私どもとしては、甚だ遺憾なことであって、深くおわび申し上げなければならぬということを申し上げております。

 今回の話に関しましては、全ての文書書換えが全省挙げてやっているかのようにとられかねませんけれども、通常の職員はきちんと真面目にやっておられるというのが、私どもの見た範囲では、極めて真面目に、職員としては、個々の文書、決裁等々については対応していると思っておりますので、こういった文書は組織挙げて改ざんをしているかのごときにとられかねないようなよく話が聞かされますけれども、この問題に関しましては、担当したのが、私は、個々の職員の間で厳正な処分を行っているということなのであって、人事担当部局において、調査の結果を踏まえまして、書換えに関与した個々の職員、これは全省挙げてやっているわけじゃありませんから、個々の職員に対して厳正な処分を行っていく必要があるということを申し上げております。

 したがって、その局課挙げてやったというようなことではないということを申し上げているのであって、その上で、それでも、個々の職員でこういった問題が起きないようにするためにどういうことをするかというのが今後考えなければならぬ大事な点だと思っております。

尾辻委員 この改ざん文書では、その担当者だった近畿財務局の職員が自殺をされているんですよ。亡くなっておられるんですよ。それに対して、個人の問題だと言う。本人の責任にしてしまう。これはむちゃくちゃ不適切であり、そして遺族に対して失礼だと思いませんか。これはこの人が悪いということですか。これは発言を撤回して謝罪をしてください。

麻生国務大臣 これもたびたび申し上げてきたと思いますが、近畿財務局の職員というものは亡くなられたということは事実であります。したがいまして、大変残念で悲しい話だという話も、これは何度か申し上げてきたと思っております。したがいまして、御遺族のことを思うと言う言葉がないということも、これもたびたび申し上げてきていると思いますが。

 その上で、今進行中の捜査にこれは協力するというようなことをやっていかないかぬのは当然のことなんですが、かつ、二度とこういったことが起こらないようにするためには、財務省としてさらなる対応をせねばならぬ。

 担当した職員だけではなくて、それを命令した人がいるはずですから、そこが問題だと今言われているところだと思いますので、そういった意味では、私どもは、その人がまことに残念なことになっておりますけれども、それを命令して書き換えさせた人がいるはず、そこのところがきちんとされていかないといかぬところなんだ、私どもはそう思っておりますが。

小里委員長 時間が来ております。閉じてください。

尾辻委員 最後に。

 これは、話を聞いていると、個人の問題にすりかえているし、特定の人たちや特定の局だけの問題にすりかえているようにしか私は思えません。そして、非常にこれは御遺族に対して失礼な発言である。こういうことをおっしゃる大臣に、財務大臣を務める、そして副総理を務める資格は私はないと思います。ぜひ辞任をしていただきたいということを強く申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。川内博史でございます。よろしくお願いをいたします。

 今の尾辻先生のお話を聞いておりまして、麻生大臣がおっしゃられることも私はわからなくはない。

 例えば文書改ざんの問題について言えば、最終的に犯罪として問われるのは個人である。財務省を逮捕、起訴するとか、組織を逮捕して、組織を起訴して、組織を処罰するなんということはないわけですから、犯罪という意味においては、個人がその犯罪の事実を認定され、そして処罰されていくという意味においては、個人の問題であるということも言えるのかもしれない。

 他方で、組織犯罪という言葉もあるとおり、組織的にそれが行われたのではないかということが今問われているわけでありまして、そういう意味で、麻生大臣の御発言が世間に対して誤解を私は与えているのではないかと。組織的に行われた可能性があるよと、だから、その末端でそれを押しつけられた方が、これも報道ですから本当かどうかはわかりませんが、無理やり改ざんに加担させられたとする趣旨の遺書を残されて自殺をされたというように報道されているわけですが、そういう組織的に行われていたからこそ、そういう末端で苦しまれて、大変痛ましい結果にもつながっているのではないかというふうに思います。

 ですから、組織全体でやっているというような感じはありませんけれどもというふうに会見で大臣述べられているんですけれども、組織全体、すなわち財務省全体として改ざんをしたとは私も思いません。しかし、組織的にそれが行われたであろうというのは間違いないことだというふうに思います。

 そういう意味で、私が大臣の発言を補足するのは甚だ僣越ではございますが、組織全体でやっているとは思わないが、組織的に行われていたであろう、だからこそ今調査をしているのだという理解でよろしいかということを、ちょっと大臣に、冒頭、一言御発言をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今、補足していただいて大変恐縮ですけれども、私どもとしては、財務省を挙げてやっているという意味で組織ということを使わせていただいたんですけれども、局とか課とかいうのも組織というのであれば、大きな組織の一部の組織の中でそういったことが行われたのではないかということを前提にして私ども調査をさせていただいているということに御理解いただければと存じます。

川内委員 そういう意味で、組織全体、あるいは組織の中の一部の組織、まあ、組織的に行われたであろうかもしれないです、まだ、かもしれないこの文書の改ざんについて、それこそ麻生大臣は、財務省全体を統括するお立場として、政治的な責任あるいは民主主義を擁護する内閣の一員として責任を持っているということも確認をさせていただきたいと思います。

 私、麻生大臣に、辞任すべきだとか今すぐやめていただきたいとかまでは言いません。なぜなら、まだ全ての結果が出ていないから。ただし、きちんと調査をしていただき、御報告をいただき、そして麻生大臣がそのときに、政治家の責任なんというものは人に言われるものじゃなくて自分自身で判断するものだと私も思います。だからこそ、しかし確認をしておかなければならないのは、そういう財務省の中の出来事について、セクハラのこともありますけれども、全ての出来事について、麻生大臣は政治的な責任を持っているんだということをちょっと確認をさせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 役所の一部の話とはいえ、それは間違いなく、役所の中で起こったことに関しまして、責任という点においては、最終的な責任は、その省の長、すなわち大臣ということになろう、私どもそう自覚いたしております。

川内委員 じゃ、ちょっと別な質問をさせていただきたいと思います。全く毛色が変わって、国税庁さんに来ていただいているので、国税庁さんに答えていただきたいんですけれども。

 国税庁、佐川さんでえらいクローズアップされましたけれども、所得税の確定申告時期において各地の税理士会は独自に土日に外国人労働者向けの無料申告相談を実施しているということを、国税庁としてはその実態を把握をされていらっしゃいますでしょうか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、各税理士会におきましては、確定申告期において独自に納税者への無料相談会を全国で実施して、税務行政に御協力いただいております。国税庁が把握する限りでは、直近の平成二十九年分所得税の確定申告期に全国で約二千三百の会場で無料相談を実施されております。

 先生から御指摘がありましたとおり、外国人労働者が多い一部の地域では外国人労働者向けの無料申告相談会も実施しているというふうに承知しております。

川内委員 外国人の方がいきなり税務署に行くと、言葉も全くわからなかったりして、物すごい窓口が混乱するらしいんですけれども、税理士会がそういうことを避けるために独自に外国人労働者向けの無料申告相談を継続するに当たり、税理士会から国税庁あるいは地元の税務署に対して支援要請があった場合、国税庁としてしっかり御対応いただけるかということを教えていただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 税理士会独自の外国人労働者向け無料申告相談の実施について、支援要請などの相談があった場合には、積極的に相談に応じてまいりたいと思います。

 要請を踏まえまして、具体的には、税務署における税理士の先生方に対する研修、これは、外国人の居住者の方に特有の配慮すべき制度もあるものですから、そういうものについて研修を行うとか、あるいは、外国語で記載された申告書作成手引の提供、これは、各局の実情を踏まえて、例えば名古屋の国税局ではポルトガル語とスペイン語の手引書をつくっております。そういうものを提供していくといったことなど、できる限りの支援をやっておるところでございますし、今後も検討してまいりたいと考えております。

川内委員 よろしくお願いします。

 それでは、森友学園の問題を議論させていただきたいと思います。

 昨年、平成二十九年の二月二十二日に、首相官邸そして菅官房長官の議員会館事務所で行われた、安倍総理大臣が官房長官に対して、私の家内の名前も出たので徹底的に調査せよと強く指示をして、官房長官が財務省並びに国土交通省両省を呼んで、どうだったのという説明を受けたわけでございます。

 その説明会合の後、菅官房長官は、安倍総理大臣に対して、いや、問題なかったですよという御報告を、問題なかったですよというのは、官房長官が総理大臣にそういうふうに恐らく報告をされたんだろうというふうに思います。で、その説明にはいろんな説明がついていたと思いますが、一言で要約すれば、そういう御説明をされたというふうに聞いております。

 官房長官が安倍総理大臣に報告をしたその席に同席をした安倍総理側の秘書官というのはどなたがいらっしゃったのかということを、そのとき同席していた、財務省から官房長官の秘書官に出向していた寺岡さんに確認してほしいと先日の委員会でお願いをし、理財局長、太田さんが、確認します、そして報告しますというお約束をいただいております。

 まず、その御報告をいただきたいと思います。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘いただきましたように、先般、一カ月ほど前の委員会で委員からそういう宿題をいただきましたので、官邸の中での話でございますので基本的に我々が承知している話ではないんですが、おっしゃられたように、確認をせよという御指示でございましたので、確認をいたしましたので、御報告を申し上げます。

 官房長官は、本件土地の売却の経緯について、特に問題はない旨を総理に口頭で報告をされたということでございますが、会議のような形式で報告をしたということでもございませんでしたので、同席者、総理の秘書官が誰が同席をしていたかといえば、そういう同席者はいなかったというふうに承ってございます。

川内委員 私、きのう、柳瀬元総理秘書官の参考人質疑を拝見しておりまして、いやあ、勉強になったなというふうに思ったのは、総理の秘書官は、時間があるときは、お昼、総理を囲んでランチをするんだ、そして、そこでいろいろな情報交換あるいは報告というものがなされるのだということをお聞きしまして、ああ、なるほどねと。私みたいな、官邸に入ったことも余りなければ、そういう経験もない人間にとっては、首相官邸の中でどんなことが行われているんだろうなというのは非常に興味があったんですけれども、その一端をちょっと教えていただいて、ああ、勉強になったなというふうに思ったんですが。

 それでは、寺岡秘書官に、寺岡秘書官は財務省からの御出向者で、そして首相秘書官にも財務省からの御出向者がいらっしゃるわけでございますが、その財務省からの首相秘書官は、御出向者ですね、そういうランチの場で、森友学園の問題等について話題になり、安倍昭恵さんの名前が谷査恵子さんのファクスなどで出ていたんだよというような御報告をそのランチの場なんかで受けていたんだろうかということも、きのう、ちょっと聞いておいてくださいというふうに申し上げたんですけれども、いかがでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 基本的に、今委員御指摘の点は、要するに官邸の中でどういうことが行われていたか、あるいは、いるかということでございますので、財務省として承知をすることは基本的にできない話だと思っております。

 ただ、委員からは再三にわたっていろいろ御指摘もいただいていますし、先ほどの御質問の件は、昨日、丁寧に、それを確認せよという御指示をいただきましたので、私どもの方から出向している中江という者が今総理秘書官で行っておりますが、確認をさせていただきました。

 基本的に、私が、委員から私どもの人間が確認をせよと言われたことと承知をしているのは、総理との間で、昼にランチをするときに、その谷査恵子さんのお話について、特にファクスについて話題にしたのかというようなことだということで、そういうことで中江秘書官に確認をいたしましたが、そういう場で、夫人付からのファクスの話について、中江秘書官の方から話をしたこともないし、そういう話題が上ったこともないということでございます。

 きのうの江田委員の御質問の件は、もちろん、江田委員が橋本内閣において総理秘書官をしていらっしゃったときにそういうことだったんだということだと思ってお聞きしていましたが、恐らく、官邸の内閣が全て同じようにされているわけではないんだと思いますので、時の総理のやり方に応じていろんなやり方があるんだろうと思って私はお聞きをしておったということでございます。

川内委員 そうすると、安倍総理大臣は、今井総理秘書官が谷査恵子さんの件で財務省に確認をしているよということを総理自身の御答弁の中でおっしゃられていらっしゃるんですけれども、そうすると、今井秘書官が、谷査恵子さんのファクスのことを、あるいは谷査恵子さんの財務省への問合せを、何をきっかけにお知りになられたのか、そして、安倍総理大臣が、今井秘書官が財務省に問合せをしていたということを、何を端緒にお知りになられたのかということがよくわからないんですよね。

 ここでそのことをわからないと言ったって、それこそ、財務省、いや、私たちもわかりませんという話なのかもしれませんが、もうちょっと細かく聞いていきたいと思いますので、おつき合いをいただきたいと思います。

 昨年二月二十二日の官房長官への説明会合で、森友学園への国有地売却事案の説明の際、総理夫人付内閣事務官の谷査恵子さんからの財務省への問合せの件も話題になったというふうに官房長官が御答弁になられています。

 谷査恵子さんから問合せが来たんですよということを官房長官に説明した人は誰なのか、そのとき資料をお示しになられたのか、官房長官は会見でファクスなどもお示しになられているんですけれども、その谷査恵子さんのファクスなるものは財務省が提供したものなのかということを教えていただきたいと思います。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 事実関係の確認でございますので、きのう私どもが承っておったのは、財務省がそのファクスを提供したのかということは、大変申しわけありません、あるいは、委員から御指摘あったのに、我々の聞いた者が私に伝え切れていなかったのかもしれませんが、それを実は承っておりませんので、大変申しわけありません、そこは再度確認をさせていただいてと思います。

 ただ、恐らくこうであろうということは私なりには想像できるので、そこは確認した上で、間違っていれば違っているということを後で訂正させていただいてもいいということであればお答えを申し上げさせていただきたいと思います。

 官房長官に、今委員がお話のありました昨年の二月二十二日に御説明をした。それは、官房長官もお答えになられていますし、私も答えさせていただいているつもりですが、二回あって、夕刻に官邸において、それから夜に議員会館においてということでございます。

 今おっしゃられた総理夫人付から問合せがあったということについては、夜の議員会館の場において、佐川前理財局長から、総理夫人付から当時の国有財産審理室長に電話で問合せがあって回答を行いました、ただ、特段問題になるようなことはございませんでしたという旨を御説明をした。紙を持って説明したかということですが、紙はございませんですので、そういう説明はしてございません。

 その上ででございますが、今おっしゃられた夫人付からのファクスというのを財務省が当時持っているわけではございませんので、こちらからそれを提供して御説明するということは物理的にあり得なかったと思いますが、先ほど申し上げたように、事前に通告をしていませんので、確認した上で、もし間違っておれば後で訂正をさせていただければと思います。

 ただ、私の知り得る限り、基本的に、その時点において、我々財務省の方がそのものは持っておりませんので、そういうことではなかったというふうに承知をしてございます。

川内委員 ありがとうございます。

 それでは、太田理財局長は、前半の官邸での説明会合には御出席をされていて、夜の官房長官の議員会館での説明会合には同席をされておらなかったということでございます。

 当時、理財局長は官房総括審議官というお役でいらっしゃったわけでございますが、昨年二月以降、決裁文書の中に安倍昭恵夫人の名前が記載されているということを、太田さん御自身はいつお知りになられましたでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私が、書換え前の文書にこういう記述がある、総理夫人の話が出てくるのは基本的には特例承認というところがメーンというか、そういうことになるわけですが、それを知ったのは、書換えが生じているという報道があり、それについての作業をして、その最終的な結果を承知したという時点、ことしの三月の時点ということでございます。それまでは承知をしてございませんでした。

川内委員 田村理財局国有財産審理室長は、決裁文書に安倍昭恵夫人の名前が記載されていることに決裁時に気づかなかったのか、また、改めて決裁文書に安倍昭恵夫人の名前が記載されていることを確認したのは、田村審理室長はいつでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 これもきのう夜御指導いただきましたので、確認をさせていただきました。その上でお答えを申し上げます。

 基本的に、以前も御答弁を申し上げたことがあると思いますが、当時の田村国有財産審理室長は、特例承認の決裁をするときに、その特例承認決裁の重要な点は、通常三年という期間を十年の特例にする、そうすることによって、定期借地ということになることによって、逆に言えば、十年後には基本的には買っていただけるようにするということがポイントだというふうに思っていたので、その部分はきちんと当然把握をしておったんだけれども、そこについている調書で総理夫人あるいは政治家の方が出ているということは、記載されていることは、決裁の時点で特に意識はしていなかったということでございまして、かつてもそういう御答弁を申し上げたことがあると思いますが、それをもう一度確認いたしましたけれども、そういうことでございました。

 その上で、委員の御質問は、では、田村前室長はいつの時点で明確に政治家の先生なりあるいは総理夫人なりが決裁に書いてあるということを認識したかということでございますが、そこは彼自身ややあやふやで、基本的には、最終的に、書換えを誰がやって、どういう経緯でということを今調査をしておって、その調査を最終的に速やかに出さないといけないんですが、それと極めて密接にかかわっているところだというふうに思ってございます。

 その調査結果の中でといいますか、彼がそれを認識して、それが書換えにどういうふうに関与したかというところにかかわりますので、その調査結果の中でその部分も基本的にきちんと明らかにしないといけない、そういう意味で、ある意味できちんと追及をしないといけない、そういう状況だというふうに認識をしております。

川内委員 ことし三月十二日に、書換え、改ざんされた決裁文書を公表した財務省さんの、新旧対照表というか、改ざん前、改ざん後の資料が公表されたわけですが、その表紙に、「昨年二月下旬から四月にかけて、」「書き換えが行われていたことを確認した。」というふうに記載がございます。

 二月下旬という日時をどのようにして特定をされたのかということについて教えていただきたいと思います。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 基本的に、関与していたと思われる、あるいは、関与した、しているという人間から聴取をして、それで基本的に日時は確認をしております。

 特例承認というのは本省の決裁でございますので、そこのところの最終的な日にちがいつだったかというのは御報告を申し上げているとおりですが、そこは四月四日というのが最終的な、電子決裁という形のはそうですが、いつから、どういうことをやったかというのは、最初に報告する時点で、そこぐらいまではきちんと御報告できないと報告できない、公表というか、報告もできないと思っておりましたので、確認した上で、それは二月下旬だと。

 何日とまではだけれども、少なくともそのころだということで、それは複数確認をいたしましたので、そういうふうに御報告を申し上げているということでございます。

川内委員 ありがとうございます。

 きょうは国土交通省にも来ていただいておりますので。

 ごみの処分費について、財務省、財務局側から、増量してほしいとか、増額してほしいとか、トラック四千台分運んだことにしてほしいとか、いろいろな報道が出ているわけですが、基本的に、この値引きの根拠となった地下埋設物撤去処分費用八億一千九百万、これは、去年の国会で航空局長が、この地下埋設物の処分費用、撤去費用というのは値引き額です、値引き額を算定したんですというふうに御答弁されていらっしゃるんですが、じゃ、この八億一千九百万円の決裁をしたのは補償課長さんです、大阪航空局の。課長さんが八億一千九百万の値引き額を決裁しているわけですが、補償課長に八億一千九百万の値引き額を見積もることが可能となる権限規定が国土交通省の中に、あるいは大阪航空局に、そういう権限規定があったんでしょうか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 八・二億円の見積りの決裁を補償課長が行うことを定めた内部規定のようなものはございませんが、本件土地の処分依頼につきましては、大阪航空局長までの決裁によって行っておりますし、この見積りは、この処分依頼に付随する省庁間のやりとりでありましたので、担当部署である補償課長までの決裁によって行ったものと承知をしております。

川内委員 そもそも土地を処分することは両省で了解しているから、値引き額は幾らであろうが課長に決裁させたんだ、そんなばかな話はないですよね。

 大阪航空局発注の廃棄物処理を含む空港土木建築工事は、平成二十七年度四十八件、平成二十八年度四十九件、合計九十七件の工事がある、廃棄物処理を含む工事がですね。これらは全て航空局土木建築課が起案をして、決裁は、航空局長が四十七件、総務部長が三十四件、経理課長が十六件決裁しています。経理課長の決裁というのは一千万円までですよ。課長さんの決裁は一千万円までです。

 廃棄物処理を含む九十七件、二十七年度、二十八年度のこの九十七件のうち、全部、航空局土木建築課が起案しているんです。補償課が起案したものは一件もない、補償課が起案したものは一件もないということでよろしいですか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の工事件数の合計九十七件について申し上げれば、補償課が直接実施したものではございませんが、大阪航空局という組織として対応したものでございまして、大阪航空局に十分な知見、能力があるということを御紹介するために以前御答弁を申し上げたものというふうに承知をしております。

 補償課のことでございますけれども、補償課は、平成二十一年から二十四年にかけて、外部の専門業者による地下構造物状況調査ですとか、土壌汚染調査ですとか、土地履歴等調査などを行うことで、本件土地の状況を詳しく把握しており、また、土木職の職員につきましても、そのほとんどで、産業廃棄物の処分を含むさまざまな工事の積算を行ってきておりますので、土木工事の発注を行う知見、経験については十分有しているということでございまして、補償課は見積りを行う知見や実務能力を十分有しているというふうに考えてございます。

川内委員 時間が来たのでこれで終わりにしますが、あくまでも適正な見積りであると言い張られるのであれば、月曜日に私は予算委員会でまた質疑に立ちますから、その九十七件の、航空局土木建築課が起案している廃棄物処理を含む空港土木建築工事の廃棄物の処理費用の見積りを、きょうの夕方までに全部一覧表にして下さい。適正だと言い張ったんですからね、この場で。補償課の起案は一件もないんですからね。一件もないということはお認めになられたわけですから。それで更に予算委員会で議論させていただきます。

 終わります。

小里委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時二十九分開議

小里委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉良州司君。

吉良委員 国民民主党の吉良州司です。

 きょうは、財務委員会での質問の機会を与えていただいて、感謝をいたします。

 この機会をいただこうとしたのは、実は、先日、四月十九日の衆議院本会議で、国交省案件であったんですけれども、インフラ海外展開についての代表質問を私にさせていただきました。その際、麻生副総理はG20に出ていかれたということで、麻生副総理なら前向きな答弁をいただけると思っていたんですが、かなりそっけない答弁が返ってまいりまして、これではさすがに困ったと。

 私自身は、国益の観点から、どうしても、提案した内容について政府として採用してもらいたい、実行していただきたい、こういう思いがあったものですから、きょう、この場で、代表質問と重複するんですけれども、再度、麻生副総理の胸をかりながら、提案をさせていただきたい、このように思っています。

 ちなみに、私、個人的には、大事な国際会議があるときに大臣が出席する、まあ国会日程もありますけれども、私自身は重要な国際会議を優先するということを了としておりますので、そのことで恨みつらみを言っているわけではありません。

 ただ、野党議員といえども、やはり常に国益のことを考え、国としていかにあるべきかということは提案したい。その場は、残念ながら、野党の場合はこういう質問の場でしかありませんので、この質問の機会に提案をし、そして前向きな答弁を得る、そして大臣から省庁に対して指示が出る、又は与党にぱくってもらう、これによって国益に貢献できるというふうに思っていますので、この場をおかりする次第であります。

 あと、きょう、委員の皆さん、また特に与党の皆さんには、離席することなく、また失礼ながら居眠りすることなく、ぜひ耳を傾けていただきたいというふうに思っています。

 といいますのは、きょう質問、提案する内容は、先日の代表質問でもやりましたように、海外インフラ展開の具体的な提案です。そして、与党の皆さんは、現在、政務三役の立場にあるか、今後、政務三役の立場になっていきます。その際、仮に直接的な外務担当だとか経済産業の政務三役でなかったとしても、例えば、法務の副大臣、政務官であったとしても、海外に出張に行った場合には、日本企業が推進しているインフラプロジェクトについて、その担当大臣と実際に面談して交渉するというような機会が多々あります。

 その際に、やはり、ただ単にお願いしますというようなことではなくて、プロジェクトの仕組み、そしてプロジェクトを支えるファイナンスの仕組み、そういうようなこともある程度御理解いただいた上で、きちっと、つぼといいますかポイントを突いた要求、質問をしていただければな、このように思っておりますので、途中、多少、専門的な話になる可能性はありますけれども、ぜひ耳を傾けていただければというふうに思っています。

 こういうふうに与党の議員の皆さんにもお願いする背景には、私自身が、インフラ海外展開には極めて強い思い入れがあります。

 資料の一番最後につけてあります四を見ていただきたいと思うんですが、二ページになっていまして、実は、これは、民主党政権時代に、私が外務大臣政務官に就任いたしまして、そのときにつくった、プロジェクトとは何ぞや、そして、インフラ海外展開支援のために役立ててもらおうという思いでつくった、ある種教科書的なものであります。

 資料としては、目次と「はじめに」という文章しかつけておりませんけれども、インフラ海外展開というものが成長戦略の重要な柱であるという位置づけは民主党政権も同じでありました。というより、民主党政権が言い出したわけであります。

 そして、これを国を挙げて支援をしていくためには、先ほど言いました政務三役のみならず、外務省の在外公館長も、プロトコル的に、ぜひ日本の企業のこのプロジェクトをお願いしますというようなことではなくて、プロジェクトをきちっと理解をして、何が課題で、何を押さえて、何を相手大臣に解決してもらえればプロジェクトが前に進むのかというような具体的な手段を相手に提示できる、そのためのある種基本知識、必須知識としてこのような教科書をつくらせてもらいました。

 幸い、全在外公館長に配られ、かなりの公館長に読んでもらったと思います。中には、アンゴラで大使をやっていた方から、アンゴラあたりはプロジェクトが非常に多うございますので非常に役立ったと、ちょっと手前みそではありますけれども、そういう御好評もいただきました。

 かてて加えて、インフラ担当官というのが現在もあります。これも手前みそになりますけれども、私自身が外務大臣政務官のときに、このインフラ担当官、そして資源担当官というものを創設させてもらいました。それは、在外公館長に加えて、担当する担当官も極めて高い専門性とそして責任感を持ってもらいたい、そして、その方々にもこのプロジェクトとは何ぞやということを理解してもらいたいということでつくったものであります。

 そういう意味で、ちょっと紹介をさせてもらって、ぜひ、後で「はじめに」と書いた文章でも読んでいただければというふうに思います。

 前置きの最後として、資料の二、これは衆議院本会議での議事録を掲載しているものでありますけれども、その中で、1と書いたところをさっと目を通していただきたいんですが、ここで私が申し上げたことは、閣議決定、骨太の方針二〇〇七において、次のような記述があります、インフラシステム輸出戦略を推進し、アジア地域を含む世界全体の成長のためのインフラ整備を図ると、この大局的視点を共有します、なぜなら、世界経済と日本経済の関係は、世界がよければ日本もよくなり、世界が低迷すれば日本も低迷する、極めて強い連動関係があるからです、このことはデータが証明しています。こういうことを本会議で言っております。

 その意味で、資料一をごらんいただければと思います。

 これは、本会議で指摘したデータそのものであります、世界主要国の実質GDP成長率の推移。主要国といいましても、中国、米国、そしてBRICS、OECD、ASEAN、そして日本。これらの実質GDPの成長率の推移をグラフにしたものです。

 これを見ていただければおわかりいただけるとおり、太い青線の世界と太い赤線の日本とはほとんど同じ形をしている。もちろん、八七、九、九一ぐらいまでは日本の赤い線の方が上にある。これはバブルの時期でありましたから、世界のそれよりも日本の方がはるかにいい時期ではありましたけれども、それ以降については、同じ形をしながら日本の方がやや低い位置にある。これが日本経済と世界経済の関係です。

 一つ注意しなければいけないのは、九七年のところにありますASEAN、ぐっと落ち込んでいる。これは御承知のとおりアジア経済危機。そして、〇九年のところで世界も日本も、ほとんど全ての国が落ち込んでいる。これは言うまでもなくリーマン・ショックであります。

 これを見てもおわかりいただけるとおり、日本経済というのは世界経済と連動しているんだけれども、世界的な大きなショックがあったときは日本経済が一番痛手をこうむる、こういう経済構造にもあるということは把握しておかなければならないと思っています。

 そういう意味で、本会議でも申し上げましたけれども、骨太の一七で書かれている大局的な視点、日本経済をよくせんとすれば、世界経済がよくなるように日本が貢献する。世界経済がよくなるためには、先進国においては乗数効果が小さくなってはいますけれども、途上国においてはインフラ整備による乗数効果が極めて高い。

 それを考えますと、日本が途上国への支援、インフラ支援を中心に世界経済に貢献することこそが日本経済の成長に貢献する、こういう観点で、このインフラ海外展開、そしてそれを政府、官民一体となって推進することは極めて重要である、このように思っているところでございます。

 前置きが長くなりましたけれども、ようやく質問であります。

 今申し上げたインフラ輸出、特に、今後政府として、今までのメニューに加えて新たなメニューも用意しながら支援をしていかなければいけないのは、事業型インフラプロジェクトに対する支援だというふうに思っていますが、現在、このインフラ輸出、特に事業型インフラプロジェクトに対する支援をする上で課題になっていることは何でしょうか。お聞きしたいと思います。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、インフラ輸出につきましては、資金、コスト、人材、市場開拓など、さまざまな面で取り組むべき課題がございます。特に、事業型インフラプロジェクトにつきましては、当該プロジェクトから資金を回収することとなるために、そのプロジェクト固有の建設リスク、操業リスクがあり、加えて、現地通貨での収入が外貨にかえられ代金が回収できるかというリスク、その外貨を国外に送金できるかというリスクといったものがございます。

 事業型インフラプロジェクトの推進に当たっては、こうしたリスクを適切に軽減、分担することが課題となるところでございます。

吉良委員 今、何点かのリスクについての言及がございました。ちょっとそのことについては、後段でその内容についてもう少し詳しく議論をしていきたいというふうに思っていますけれども。

 現在、今言った事業型インフラプロジェクトに対して、政府として支援をしている具体的なメニューというのがどういうものがあるのか。それについて、財務省からでも結構ですし、中心はJBICになろうかと思いますのでJBICからでも、どちらからでも結構です。お聞きしたいと思います。

武内政府参考人 お答えを申し上げます。

 途上国におけるインフラプロジェクトにつきましては、事業リスク等のさまざまなリスクがあるところでございますけれども、そのリスクをどのように軽減して関係者間で分担するかということが非常に重要でございます。事業主や投資家などが本来負担すべきリスクを負担した上で、政府が必要な政策的な手当てをしていくことが望ましいと考えております。

 具体的にどのようなことかという御質問を頂戴しました。

 まずは、現地国の政府との対話や協議を通じまして、投資環境に関する日本の企業や投資家の要望を伝え、事業リスクの分散や軽減などの環境整備を行うとともに、プロジェクト組成、調達等に係る能力構築、支援なども行い、その上で、民間企業だけでは対応できないリスクや資金需要につきまして、JBIC等の政府系金融機関において必要な手当てを行うよう努めているところでございます。

吉良委員 質問レクがいい意味で徹底しているのか、後段でやりとりしたいことも含めて答弁をいただいておりますが。いや、それはそれでいいことなんです。

 今の御指摘の中で非常に重要な点は、リスクの分散を図るということと、それとも関連するんですけれども、役割分担をするということなんですね。

 私もずっと民間でインフラプロジェクトにもかかわっておりましたので、一方で、民間企業というのは、どうしても、国が助けてくれるんなら国に頼りたい、そういう思いが強くなってしまう。何でもかんでも国が支援してくれ、JBICにリスクをとってくれというふうになりがちでありますけれども、私自身、それをやっている限りでは、本当の意味での国際競争に勝ち抜ける日本企業にはならないというふうに思っていまして、そういう意味では、官民、民の中には実際のプロジェクトの実施者、それからリスクマネーの提供者がいますけれども、それぞれの役割分担、リスク分担が非常に重要だというふうに思っています。

 その観点から、実は昨年もこの財務金融委員会で提案をさせてもらった、米国の証券市場、SECにおけるルール百四十四Aというものを紹介させてもらいました。

 これは本会議でも少し述べたところではありますけれども、米国の証券市場というのは社債を誰が発行するのか、その社債の内容そのものについての情報開示基準というのは非常にハードルが高いんですけれども、それでは途上国のプロジェクトにおいて資金調達ができない。

 それを克服するためにその開示基準をぐっと下げて、ただし、情報が足りなくなるわけですから、その資金を、資金というか、そのリスクマネーを引き受けてくれる人たちはクオリファイド・インスティテューショナル・バイヤーといいまして、それ相応の資産を持ったプロの投資家、その人たちに買い手を限るという条件で開示基準をぐっと下げて、そして、途上国におけるプロジェクトの社債を米国の市場において、そして世界じゅうの投資家に買ってもらうことができる、こういう仕組みでありまして、去年この財務金融委員会でも紹介させてもらったときに、麻生副総理からも前向きな御答弁をいただきました。

 私自身がこのルール百四十四Aに基づく起債というのにこだわることは、先ほども言いましたが、どうしても日本企業が途上国においてプロジェクトを遂行したいと思うと、何でもかんでもJBICに頼ってしまう。そして、これは申しわけないですけれども、国も政府も、何か国がリスクを負って助けてあげることが企業支援だというふうにどうしても思ってしまう。

 けれども、税金を使ったりする、税を使ってリスクを負うよりは、リスクというものは、他人のふんどしではないですけれども、途上国のそういう多少は危ないプロジェクトの社債を引き受ける人というのが、ある意味では、ポートフォリオマネジメントの中で一〇%ぐらいは、多少危なっかしくても、見返りが、リターンが大きいということで、ちょっと山気を持ってそういう社債を引き受けようとする、もともとリスクは承知の上で引き受けようという、そういう投資家がいるわけなんです。

 ということであれば、リスクはその人たちがとってくれるのであればとってもらえばいい。日本企業としてはおいしいところだけとっていく、受注する。そして、さっきも出ましたけれども、操業リスクはとりながら操業はする。その事業収益は得る。けれども、万が一何かあったときのリスクについては、今言った高いリターンを狙った投資家にとってもらう。それで十分じゃないかというふうに思っています。そういう意味で、前回のこの財務金融委員会で麻生副総理には前向きな御答弁をいただきました。

 そして、JBICがJBIC法改正によりボンドを引き受けることができるようになった。前回も、そのボンド引受けの中にはこのルール百四十四Aに基づく社債もその対象になりますねということで質問させてもらいまして、前向きな答弁をいただきましたけれども、今現在もその立場は変わっていないということでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 これはこの前のときでしたかね、通称プロジェクトボンドですけれども、このプロジェクトボンドにつきましては、今までこういったのはなかなかなじみがなかったこともあるんですが、御指摘のありましたように、私どもとしては、これをJBICでやれるようにということで、法改正をさせていただく等々やらせていただきましたけれども。

 現状を今見ますと、これは欧米、まあ南米もそうかな、欧米におられたら南米の方がまだいっているかなと思わないでもありませんけれども、欧米に比べて、アジアの中においては、このプロジェクトボンドに対するなじみが薄いというのが正しい表現ですか、何となくそういうものに対しての理解が余りないということが事実だと思いますね。

 したがいまして、今、可能にはなりましたけれども、絶対量で見れば少ないですよ。これはもうちょっとふえてもおかしくないんだと思うんですが、発行がそれほど行われていないというのが実態なんだと私どもは理解をいたしておりますので、したがいまして、これをもっと、JBICによるボンドの取得の実質的というのも今後はやっていかないかぬなと思いますけれども、選択肢をもうちょっといろいろ出して支援を実施していくことだと思っております。

 今言われましたように、やはり外国で仕事をして、今いろいろな意味で日本のGDPの話ばかりしか日本の新聞というのはしないんですけれども、今、やはり海外から入ってくる、いわゆるネットインカムというんですか。そういった、GDPにかわってグロス・ナショナル・インカムという認識が少し出てきつつあるのかなとは思えないでもありませんけれども。GNIの比率は物すごい上がってきていまして、GDPに比べてGNI、海外でのそういった、金貸した、特許料が入ってくる、仕事のあれ、MアンドA、いろいろなもので返ってくるインカムの多さというのは極めて大きなものになってきているんですけれども。

 そういったものの中で、やはり最初に武内局長の方から申し上げましたように、ちょっとした国でも、話ができ上がった話じゃない。その金を売って、できました、はい送金、送金ストップとやられるんですよ。外貨をかえてはだめですとか、その金でやれとかいうような話というのは、途端に、そのプロジェクトはうまくいってても、そこの段階でスタック、とまっちゃう。それで、まあ、どこの国を言っているかおわかりだと思いますけれども、大きな国でもそれをやられるわけです。

 そういったときのリスクは誰がとるのかと言われると、それは企業にしてみては、いきなりそれをとめられたら、ちょっと待ってくれという話になって、泣きつく先は政府ということになるという話です。これは小さな面も含めていっぱいあります。そういったのを含めて、リスクをある程度考えてやるというのを、我々としてはかなりの部分をやってやらないかぬ。

 ところが、ボンドになりますと、そこのところは随分変わったことになるということなんだと思いますので、アジアの中で、この種の話は今後間違いなくふえてくると思っております。欧米に比べて、そういったプロジェクトの中でも、インフラストラクチャーに対するプロジェクトというのは絶対量が不足していますので、当然のこととして、つくろうとする人の欲しがる金も多い。

 しかし、その金は、ローンでやったら返さないけませんから、その金の返す金利が、まあスリランカなんかに六%で貸したりなんかして、とにかく完全にうまくいかなくなって、極めていい港はある国の租借地にさせられて、結果としてその金は租借地で代替払いというような形になるというのは極めてゆゆしき話なのであって、開かれたものでないといかぬというような意味でも、このプロジェクトボンドというのは、もう少しいろいろな意味で、金がない日本としても、また、アジア会議、ADBにいたしましても、そういったところがやっていく部分というのをいろいろな意味でみんなでやっていかないかぬところに、プロジェクトボンドというのは、一つの資金需要をカバーしてくれる意味では大きなものになり得ると思っておりますので。

 私どもとしては、こういったものは、今後とも、アジアが伸びていけばいくほど、投資する人たちも、リスクは少々あっても、今、金利がほとんどつかないこの時代に、二だ三だついてくればちょっとしたものですから、それは日本で金を借りてそこで金を貸したら三%もうかるということになれば大きいですから、そういった意味ではいろいろなことが考えられると思っております。

吉良委員 前向きな答弁、ありがとうございます。

 またいずれ、この財務金融委員会、出張させてもらって、今副総理がおっしゃったGNIとGDPの関係というんですか、やはり、日本国内における日本の姿と、全世界まで俯瞰した日本また日本企業の姿というものについて、また一度議論をさせていただきたいというふうに思っています。

 そして、今御指摘があったように、アジアにおいてこういうボンドのなじみがないということと、これに加えて、先ほど、課題の中では、どちらかというとプロジェクト実施側のリスク等についての言及がありましたけれども、やはり途上国政府がまだまだよちよち歩きで、一つは、そこの信頼度というものがまだまだ足りない。

 また、それであるがゆえに、例えばベトナム、私、ことしの一月にベトナムに行ってきて、インフラを取り上げなきゃいけないと思ったきっかけは実はそこなんですけれども、ベトナムは、やはり日本の重要な支援先、友好国として、もっともっと支援していかなきゃいけない。特に、チャイナ・プラスワンという戦略からすると、やはり、TPPにも加盟している、そして、中国と仲よくしているけれども、いい意味で課題も抱えていて、プロ日本であり、プロアメリカに今なっているベトナムとうまくやっていかなければいけない、そこの発展を助けなければいけない。

 けれども、ベトナムは今何で困っているかというと、やはりこれまで借入れで債務が積み上がってしまっていて、もうこれ以上の債務積み上げは無理だ。したがって、プロジェクトの需要はあるけれども、新たに政府が債務保証して借り入れるということができない、こういう問題が生じてきているというふうに認識をしていますし、そう聞いてきました。

 私も元商社マンですので、何か課題があれば、ありとあらゆる手を使って何とかそれを克服しようという性格なんですけれども、そこで、こうできないか、ああできないかということを考えました。

 これはまた後で提案をさせてもらいますが、今言いました、政府としていわゆる返済保証はできない、であれば、返済保証ではないけれども、先ほど政府参考人からの言及がありました、例えば外貨への兌換保証また外貨の送金保証、こういうものでいいから出せないか、こういう持っていき方をしたいんですけれども。

 ちょっとお聞きしますが、途上国政府によるいわゆる返済保証と、それから、プロジェクトに対しての外貨兌換保証、送金保証、この違いは何でしょうか。

林参考人 お答えいたします。

 途上国政府による返済保証と外貨兌換、送金保証の違いという点でございます。

 途上国政府による返済保証と申しますのは、融資の返済が滞った場合に、理由のいかんを問わず、保証人たる途上国政府が当該債務を返済するというものでございます。

 これに対しまして、途上国政府による外貨兌換、送金保証でございますが、これは、事業者が現地通貨で得た収入を米ドル等のハードカレンシーに交換あるいは送金することを保証するというものでございます。

 より具体的に後者について申し上げますと、途上国におけますインフラプロジェクトにおきましては、プロジェクトの収入は原則として現地通貨建てということになります。他方で、プロジェクトに必要となる資金の調達や返済は、米ドル等のハードカレンシー建てとなることが一般的でございます。途上国におけるプロジェクトに出資者として参加するスポンサー、あるいは貸付けを行う金融機関にとりましては、配当や融資返済の原資となるハードカレンシーが確保されること、これは出資や融資の判断において重要な要素となります。

 途上国におきましては、政府が外貨の流通をコントロールしている、あるいは外貨準備高が十分でないといった理由によりまして、現地の金融機関がプロジェクトに関連する外貨交換や送金を円滑に実施できないという懸念が生ずるケースがございます。このような場合に、事業者等からの要望を踏まえて、現地国政府が保証差し入れの形で円滑な外貨交換、送金を支援し、もってプロジェクト実現を後押しする場合がある、これが外貨兌換、送金保証の仕組みでございます。

吉良委員 詳細な説明、ありがとうございます。

 もうちょっと平たく私言いますと、政府による返済保証というのは、例えば電力でもいいですけれども、タービンだ、発電機だ、発電所一式買います、融資を受けます、返済保証します。仮にこのプラントが全然動かなくても、返済義務が生じているわけなんですよね。もちろん、動かなかったときどうするああするというのは契約上はありますけれども、政府においては動かないものを買ったとしても返済義務が生じる、これが今言った返済保証ですけれども、外貨兌換、送金保証だけに限るということになれば、少なくとも、プラントを建設するリスク、それから創業するリスクというのは全部事業者で、そこは政府フリーなんですよね。政府はそこを負う必要がない。

 もうちょっとわかりやすく言えば、電力であれば現地通貨での収入しかない場合がほとんどですから、現地通貨建てであればプロジェクトは成り立っている。ただ、それを、リスクを負って社債を買ってくれた人、リスクを負って融資してくれた人に返済しようとするときにハードカレンシーでなければいけない、そこを外貨準備不足等で足りない場合に政府が保証するということになりますので。

 そういう意味では、さっきの私が言った役割分担、リスク分担ではないですけれども、その当該国政府が丸抱えするのではなくて、建設リスク、事業リスクは全部事業者ですよ、そして、実際上がってきた収益から本来ハードカレンシーで返済しなければいけない、この部分についてだけ政府が保証しなければ投資家はとてもそのリスクは負えないというのが実態だと思います。

 麻生副総理が先ほど、アジアでのなじみが薄いということと同時に、やはりアジアはまだまだよちよち歩きなので、そこに対する不安があると思います。ですから、世界の投資家がなかなかそこに踏み込めないんだろうと思います。

 資料の三を見ていただきたいんですけれども、これは、ルール百四十四Aを使った主な発行事例ですけれども、上の方の日本、三井不動産とか日本生命とかありますけれども、ここはほとんどが、コーポレートリスクといいますか、会社与信に基づく起債ですが、下の方はほとんどがプロジェクトファイナンスをボンドの形で引き受けるというものです。つまり、投資家が事業リスクを負うという形のプロジェクト例になります。

 それで、時間が限られてきましたけれども、私が今回提案したいことは、JBICが、実質的に、現在外貨不足、また将来外貨をきちっと調達できるかどうかわからない国、けれども日本として投資をしなければならない国、日本企業にとって利益も見込めるし国益になると思える国、例えばベトナムがそうだと思っていますけれども、そういう国に対して外貨供給保証をする、JBICが。

 ですから、その国が順調に、外貨準備もあり、まさに外貨があり、そこの、日本の昔でいう外為銀行があって、ハードカレンシーにかえられる間は政府は何もする必要ないですよね。けれども、その外貨、ハードカレンシーに対しての不足が起こった、起こりそうな場合にJBICがその外貨を供給しますという保証をすることによって、その裏づけがあるから当該国政府は、さっき言った外貨兌換保証と送金保証ができる。これがあれば海外の投資家は、さっき言いました、現地通貨だけでいえばプロジェクトは成り立つ、採算性は成り立っている、プロジェクトとして回っている、このリスクは引き受けますと。

 ただ、外貨に転換できないかもしれない、外貨で送ってもらえないかもしれない、このリスクは引き受けられません、だからボンドを引き受けられない。こういう投資家に対しては、私は、今言った、JBICが外貨供給保証をすることによって、当該国政府が外貨兌換保証を出せる。これによって、需要旺盛なプロジェクトを日本企業がとりに行くことができる、こういうふうに思っているわけでありまして。

 最後に言いますと、JBICは、やはりJBIC法改正によって現地通貨によるファイナンスができるようになりました。現地通貨によるファイナンスをするということは、現地通貨を調達するということです。

 ということは、先ほど言いました、JBICによる外貨供給保証は、ベトナムにおいてはそのプロジェクトから上がるドンを、現地通貨を担保とする。ということになれば、ドンとJBICが保証をする外貨供給保証、この為替リスク分だけを、実は最終的にはJBICもリスクを負えばいいということになるんですが、為替リスク分だけであれば、JBICがリスクを負うというよりは、それぐらいならベトナム政府、リスク負えるでしょうと。その為替リスクについては、ベトナム政府がJBICに対して、保証します、一筆出してくださいと。それを裏づけとしてJBICは外貨保証をしますと。

 そうすると、さっき言った、ルール百四十四Aを売ったりするときの、外貨に転換する、送金する、外貨の保証はどうなっているというときに、ちゃんと仕様書の中にそのことも書き込めるんですよね。そうすると、プロジェクト適格という可能性がぐっと高まってくる、プロジェクトの実現性が高まる、このように思っているところでありまして。

 そういう意味で、JBICによるそういう外貨供給保証というものを前向きに検討していただけないかというのが私の提案でもあり、お願いであります。麻生副総理、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 なかなかおもしろいですよ。野党の方の質問の中で最も未来性と危なっかしさと両方があって、なかなかちょっとおもしれえなと思って聞いていたんですけれども。財務大臣じゃなかったらおもしれえからやれ、やったらいいとすぐ言いそうなところですけれども、財務大臣の立場としてはちょっと。

 吉良先生、今のはなかなかいいところです、正直なところを言って。リスクヘッジを負うところが極めて小さく済みますからね、向こう側も。こちら側も、今、今度中国とやりますけれども、中国との間のレンミンビ、人民元と円とのスワップというのも向こうは、何だか知らないけれども、今までは言ったのに向こうはやらねえって、今回はやってやるみたいなことを言ってきたので、何を言ってんだ、そっちにとって都合のいい話じゃねえかといって、言い返したりなんかしながら今やらせていただきつつあるんですけれども。今、私どもとして、今の話はちょっと検討させていただきます、正直言って。

 これはちょっと、どんなリスク、この話だけを聞いていると、商社の口車に乗せられた哀れな業者という目も私は昔遭ったことがありますので、仕事しているときに。そういった意味で、ちょっとよく検討させていただきますけれども、考え方としてはおもしろいと思います。

吉良委員 ありがとうございます。

 なかなかすぱっとやるとは言えないのはよくわかりますけれども、前向きに検討いただいて、JBICと一緒になって、ベトナムを始めとして、途上国の本当にインフラプロジェクトへの支援をお願いをしたいと思いますし、冒頭言いましたように、それが積もり積もって必ず日本の経済の成長に返ってくる、そういう思いの中で、官民一体となってインフラプロジェクトを支援するということを確認をさせてもらって、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小里委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十九分開議

小里委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 きょうは、初めて黒田日銀総裁にお越しをいただきました。ずっと恋い焦がれておりました。五年間浪人をしておりまして、白川総裁から黒田総裁にかわられて、いかがなものかというところと、あとは、当初の、マーケットに働きかける腕力、こういったことも含めて、私も市場関係者の一人でありましたので、確かに喜ばれている方もたくさんいらっしゃることは事実は事実ではありますが、ただ、やはり今、アベノミクスの現状ということを考えてみれば、私は、しっかりと黒田総裁とは解決策、今後の策は話し合っていく必要があるんだろうなというふうに思っています。

 私の出身は、能登半島、もう本当に地方になります。企業も少ないです。働く場所も少ない。そして、金融機関も幾つかございますけれども、特にマイナス金利ということに至っては大きな心配をしています。そもそも論として大きな金融機関はなかなか入ってきていない、少ないというところもありますから、地方の金融機関に万々が一ということが起きてしまえば、地方の金融機関しか貸出しをしてくれないような地方の小さな中小零細、小規模事業者の方々は大変なことになってしまう。これを一日も早く改善をしていかなくてはいけないなと思っています。

 今の株式市場しかり、国債市場しかりです。

 私の経験から言わせていただければ、二〇〇〇年の当初、ペイオフ解禁ということで、各企業、そして自治体も含めて、お金の置き場所に大変苦慮をされていました。いろんなところを私は外交して、お金を国債に置きかえていただくということもしていましたけれども、今は国債の長期的な信認といったところもいかがなものかといったところも心配をしています。

 そしてまた、その数年後には金融危機ということで、特に地方の金融機関、自己資本比率の問題もありまして、いかに仲間の融資先の企業の方々に自分たちの株式を累積投資、大きな金額で買いますと、マーケットが薄いですから、株価がはね上がってしまいますので、少量ずつ株式を買い支えていただいて、一蓮託生、金融機関と地方の企業が一蓮託生で、いざというときにどうするんだ、そういった現場も見てきました。

 私は、そういった同じような困難な状況になるのを防いでいくために、今の経済金融政策を見直していかなくてはいけないと思っています。

 もちろん、アベノミクスについては、評価をされる方がいらっしゃることは間違いないと思っています。ただ、私はきょうはそれを長く申し上げるつもりはありませんけれども、アベノミクスからの解決、第二の解決策を探っていくためには、私は、日本銀行というのがアベノミクスの、悪い言い方ですけれども加担者であり、そしてある意味被害者でもあるのかなと思っています。

 こういったことも含めて、きょうは時間が短いですから、総裁の思いを少しヒアリングという形で質疑をさせていただきながら、これからの質問をしていきたいなというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 その前に、麻生大臣、午前中の質疑にもありました、公文書改ざんについて、どの組織だってあり得る、個人の問題だ、個人の資質によるところが大きかった、こういったことを発言されておられたようですけれども、今、その真意をお聞かせいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 これは私どもも最初からたびたび申し上げておりますように、決裁を終わった文書を書き換えるとか、また、いわゆる、公文書ですから、そういったものを勝手に変更するというのは極めてゆゆしきことなのであって、私どもとしては、そういったことはとんでもないということはたびたび申し上げてきたところでありますし、おわびを申し上げねばならぬということもたびたび申し上げてきたところです。

 その上で、私の申し上げた、議員の御指摘のありました発言に関しましては、これは、財務省において今回のこのような問題が毎日のように財務省全体でじゃんじゃん行われているわけでは全くありませんから、そういった意味では、私どもは、今回の事件というものにつきましては、進めている調査結果というのを踏まえねばなりませんけれども、書換えに関与した職員と全然関係ないところ、局によっても課によっても違いますので、そういった職員に対して厳正な処罰をしていく必要がある。

 その上で、いわゆる個々の職員の手によってこういうようなことができるということですから、できちゃっていますから、そういった意味では、財務省の組織としては、職員による、個人によって、もしくは、全体というと財務省全体、局課いろいろありますから、課としてという言い方もできるかもしれませんが。

 そういった意味で、組織としてそういったようなことが行われるということがないようにしておかないかぬ、個でできるということができないようにしておかないかぬということを、再発防止を取り組んでいかねばいかぬという問題意識から、あの発言をさせていただいたというように御理解いただければと存じます。

近藤(和)委員 局課であっても組織です。そして、個人だけ、まあ百万歩譲って、本当に一人、二人だけが今回かかわっていたということであったとしても、組織の一員であることは間違いありません。

 やはり、普通の企業であれば、不祥事を起こした場合にはトップはやはり前面に立たなければいけない。その場合に、私はやはり、どういった理由があったとしても、個人の問題だ、個人の資質だというふうに、力のある副総理でありそして財務大臣である麻生大臣がそう発言されることによって、結果として、ごくごく少数の人に罪、いわれなきとは言うつもりはないですが、凝縮されてしまうということを恐れてしまっています。

 本当に、民間企業が、いや、個人の問題でどこでも起き得るんだという不祥事のことで、もしそういった答弁をされるのであれば、私は、それを言っちゃおしまいよというふうに思っています。真摯な態度で、こういうことが二度と起きないように、まだ正式な結果はわかっていないですが、五人でも十人でも組織は組織です。万が一の一人でも組織は組織ですから、ここの自覚をしっかりと持っていただきたいなと思います。

 そして、その上で、私どもの方でも、新しくできた国民民主党の方でも、公文書改ざん防止法案、正式名称は違いますけれども、これを今検討しているところでもあります。自民党さん、公明党さん、その他の政党さんはどのような動きになるのかははっきりはわかっていないですけれども、今回のことは、やはり、悪かったな、これはもう二度と起こしちゃいけないなと。

 それは、財務大臣としての再発防止ということも大変重要な役割だと思いますけれども、もう一つの役割としては、一国会議員として、再発防止、公文書改ざんはもう二度と起こさないんだという姿勢もぜひとも見せていただければと思いますし、我が党が出す予定の、今検討しているところですけれども、公文書改ざん防止法についても、前向きに見て、そして行動していただければなと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、黒田日銀総裁、どうかよろしくお願いいたします。

 この四月で二期目を迎えられることになりました。二期目を迎えられるに当たっての、前任者、白川日銀総裁のときに政府そして日銀との共同声明が結ばれて、もう五年半の月日がたちました。それで現在に至るわけですけれども、この部分についての評価を黒田日銀総裁からお願いいたします。

黒田参考人 御指摘のように、二〇一三年の一月、白川前総裁の時代に、政策委員会において、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということを決めまして、政府との共同声明にそれが明確に盛り込まれております。

 この共同声明の中では、デフレから脱却し、日本経済を持続的な成長経路に乗せるという共通のいわば目標に向けて、日本銀行と政府の役割分担を明確にしております。

 日本銀行は、あくまでも二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために大胆な金融緩和政策をとるということでありますし、政府は、財政政策については、機動的な財政運営を行うとともに、中長期的な財政の持続可能性を高める方策をとる。さらに、共同声明で最も重要だと言われておりました、いわゆる成長戦略と申しますか、規制緩和その他によって、民間主導で持続的な成長が達成できるようないわゆる成長戦略をとる。

 この三つの考え方、三つのいわば役割分担がかなり明確に示されており、そのもとで日本銀行として最大限の努力をしてまいりましたし、今回の私の再任に当たりましても、政府の方から、この共同声明を再確認し、堅持するという考え方が示されましたけれども、私どもも全く同感でございます。

近藤(和)委員 政府との役割分担ということをおっしゃっていただきました。

 改めて、日銀としては最大限の努力をしてきたということを答弁をいただきましたが、それでは、共同責任者として、日本銀行から見て、政府の、先ほど言われました財政政策、成長戦略、こちらについての評価をお聞かせください。

黒田参考人 日本銀行から政府の政策を評価するというのはやや僣越かもしれませんが、二番目の、機動的な財政運営を行いつつ、中長期的な財政の持続可能性を高めていくという観点は、相当程度実現しているのではないか。

 もちろん、いわゆるプライマリーバランスを二〇二〇年度までに回復する、プライマリー赤字を解消するという目標は、いろいろな理由から若干先送りになりそうでありますけれども、プライマリーバランスが大幅に、半分以上削減され、プライマリーバランスの回復に向けて前進が見られているということは確かではあります。

 成長戦略の方は、構造改革でありますので、さまざまな法律改正等も伴いますし、それから、実際に行っても、それが経済に影響してくるまでに若干のタイムラグがあると思いますので、その点は考慮しないといけないと思いますけれども、私どもから見ますと、構造改革、成長戦略については、まだやるべきことが残っているのではないかというふうに思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 それでは、同じ質問を、麻生財務大臣、政府、日銀共同声明についての現状認識をお願いいたします。

麻生国務大臣 五年前に白川日銀総裁とこの協定をさせていただいたものであって、これは黒田日銀総裁と最初に協定を結ばせていただいたわけではありません。

 その上で、去る四月の九日でしたか、総理、それから菅官房長官、茂木大臣、私と黒田総裁との間で、平成二十五年、二〇一三年になりますか、一三年一月に公表させていただきました共同声明を堅持するということを改めて確認をさせていただいたところなんですが。

 我々としては、引き続き日銀がいわゆるインフレターゲットというか目標を、五年前のとき約二%というのは世界的にはみんな二%というのを一応目標に掲げておられましたんで私どもも二%という目標を掲げさせていただきましたが、あのころ、石油が百何十ドルだったか、バレルで百何十ドルだったと思うんですが、それが一時三十五ドル、六ドルまで落ちておりますんで。

 そういった意味では、それは物価にもろに、一〇〇%ほとんど輸入している国ですのでその影響が出ますので、なかなかそういった影響がインフレの方にはむしろマイナスで働く方なので、そういったものがなかなか難しいという状況になりましたけれども、今七十ドルぐらいまで上がってきたという状況にもありますので。

 そういったことを考えますと、いわゆる二%の物価安定目標というものの実現に向けて引き続き日本銀行としては、これまでやっていただいた大胆な金融緩和やらイールドカーブやら、いろいろなことをしていただいているんですが、そういったことを引き続き推進していただいて。

 私どもとしては、共同声明というものも、やらせていただきましたものをきちんと堅持した形で、我々としては、あらゆる政策を総動員して、いわゆるデフレ、正確には資産のデフレーションからの脱却、デフレ不況からの脱却というものについて更に力強い成長を目指していけるように、日本銀行と財務省、政府一体となって頑張っていかねばならぬところだと思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 原油価格のことも言及していただきました。私は、改めて二%とは何ぞやということ、そして、まだ二%には一度も届いていないですが、かわられてから。そして、二%にタッチするだけではなくて、それが継続的にといったところから、じゃ出口だというふうに総裁は何度もお話しされています。

 ただし、先ほど、くしくも麻生大臣が言われたような原油価格、一バレル百ドル、百十、百二十、百三十になって、そして物価が安定的に二%を超えるような状況が果たして日本経済に幸せなのかといったところも、やはり私は想定をしていかなくてはいけないなと感じています。

 デフレはもちろん抜け出していかなくてはいけませんが、むやみやたらなインフレ化、物の値段上昇ありきというところは、やはりこれは、生活者の視点であれば、かなり困る、迷惑な状況だということもこれからの質疑の中で一緒にお話ししていきたいなと思いますのでよろしくお願いいたします。

 そしてその上で、私は、何も黒田総裁とただ対峙をして、やっつけてやろう、そういう思いでいるのではないということはぜひとも御理解いただきたいなと。私は、むしろ日銀の応援団でありたい、そう思っています。

 特に、二〇〇九年、一〇年、一一年、一二年、私は財務金融委員会にほとんど在籍させていただきましたが、当時はデフレ脱却議連というのがありました。山本幸三前大臣が中心となられて、当時の自民党にも、そして民主党にも、デフレ脱却のためには金融緩和が何よりも大事なんだと、そして、今の経済が悪いのは日銀のせいなんだと。全て日銀のせいにしているかのような議論は、私は違うという立場をとっていました。ですから、私は今の経済状況を全て日銀のせいにするつもりは全くありません。

 その上で、先ほど、くしくも役割分担ということを言われましたので、日銀さんの少なくとも上げた拳を少しでもおろしていけるような、正常化へ向けてというところで協力していきたいと思いますので、どうか以後よろしくお願いいたします。

 それでは、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小里委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 野田佳彦でございます。

 まず、大臣にお尋ねをしたいと思いますが、三月に佐川宣寿氏が国税庁長官を辞任をするということになりました。これは、いわゆる森友の問題、公文書改ざんに係る問題、こういう一連の問題での責任をとったというふうに理解をしています。

 そして、一月たって、そういう森友の問題や公文書改ざんの問題がまだ何もおさまっていない、むしろ激しい議論が行われている渦中にあったときに、福田淳一次官のいわゆるセクハラ問題が発生をし、そして福田次官も辞任をせざるを得なくなったということになったわけですね。

 徴税機関のトップと日本財政をつかさどる組織の事務方のトップ二人が現在不在という状況であります。異常事態だと思いますよね。この異常事態が生じている現状について、どのように御認識をされ、どういう責任を感じていらっしゃるのか、まずお尋ねをしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 今御指摘ありましたように、佐川前長官につきましては、これは今御指摘にありましたように、決裁文書の国会提出時の担当局長ということもありまして、国有財産行政に関する、もしくは対する信頼というものを著しく損なったと言わざるを得ないということから、辞職の申出がありました三月の九日に、懲戒処分を行った上で辞職を認めさせていただいたということであります。

 福田前次官につきましては、これは、セクハラ問題が取り沙汰されている中、事務次官として職責を果たすことは困難であるといって、御自分から辞職の申出があったものでありますが、私としては、福田前次官が四月の二十四日に辞職をした後も引き続き調査を進めさせていただいて、四月の二十七日に処分を公表したものであります。

 私としては、行政官としての能力が全て否定されたものではないというように考えておりますが、このような事態に至ってしまったということ、これは極めて遺憾なことだと思っております。

 こうした状況を受けまして、私どもとしては、役所の局長クラスを大臣室に呼んだ上で、少なくともセクハラとかパワハラというのは、これは許されない話なんだと。また、こういった一連の騒ぎによって職員の士気というものに極めて影響が出ることもおそれないかぬところでありますし、信頼回復というものに向けて、原因究明と同時に信頼回復に向けて、きちんとした、地道な対応というものに取り組まにゃならぬということで、私としては、きちんとした原因究明と再発防止というものに向けて、今調査を尽くしました上で、二度とこうした事態が至らないように、きちんとした体制を立て直していかねばならぬと思っております。

野田(佳)委員 財務省という組織としてどういう対応をしているかというお話は今ございました。私がお尋ねをしたのは、責任をどう感じているか、組織のトップとして責任をどう感じているかということなんですね。

 というのは、適材適所で選んだ人たちではないんですか。適材適所で選んだ人たちが、残念ながら辞任をせざるを得なくなった、二人もです、二人も。現在は、国税庁は、次長を先頭に今仕事をしていますよね。そして、財務省は、官房長がいわゆる束ね役をやっているという状況じゃありませんか。

 前代未聞の私は醜態だと思うんです。その前代未聞の醜態を、組織として、今再発防止をどうするか、それはそれでやらなければいけませんけれども、任命権者として、監督責任は私はあると思いますよ。二人も、これだけの、まさに事務方のトップがやめざるを得なくなったことについての責任をどう感じているかということでございます。

麻生国務大臣 今御指摘ありましたように、佐川長官を辞任させました後は、国税庁の長官の職務というものは藤井次長によって、いわゆる代行というものをさせております。特にこれで混乱が生じているというわけではないというように聞いております。

 また、福田前次官の辞職を受けて、業務に支障というものが起きないように、四月の二十四日付で矢野官房長に事務次官のいわゆる事務代理というものを発令をさせていただいたところですが、両名ともに不在となるというのはこれは極めて異常な事態でありまして、私どもは、個々の職員それぞれの職責を果たしていくということだと思いますが、私自身としては、こういった体制が、原因の究明であり、かつ、これの再発防止というものをきちんと組織し、体制を整える、信頼回復に当てるということをもって責任を果たしてまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 今の体制についてのまた御説明もありましたけれども、例えば、事務次官代行として官房長が務めているとおっしゃいましたが、官房自体が、依然として森友の問題や公文書の改ざん問題やその他、官房はいっぱい仕事がありますよね。その上に、財務省は、例えば主計局があり主税局があり国際局があり関税局があり、さまざまな局がありますね。みんな局長は、官房長より年次が二年ぐらい上なんじゃないですか。二年ぐらい年次が上な人たちを束ねながらというような仕事というのは、やり切れるんでしょうか。私は悪影響が出てくるんじゃないかと。

 私は、財務省、間もなく六月に骨太の方針なんかをまとめるときに、財政これからどうするかという中で、もっと鬼のように仕事をしてほしいです、一丸となって。そのときに、忙しい官房長が、局長たちがいっぱいいる中で、そういう人たちを束ねて、一丸となった体制をつくっていけるととても思えないんですね。悪影響がどんどん出てくるような気がします。

 その点はどう思いますか。

麻生国務大臣 確かに、年次でいきますと、五十八年の入省とか、六十年の入省とか、六十一年とかいろいろなその世代の、二、三年の差がありますので、そういった意味では、御心配の点というのは、年功序列とかいろいろな表現がありますけれども、そういった点は常に考えておかねばならぬ。これは役所に限った話じゃなく、どこの会社でも組織でも、日本の場合はそういった年次、年齢というのは極めて大きな影響があるというのは、私どももそう思っております。

 しかし、この場合は、今の状態に合わせて、非常事態になっておりますので、そういったときに当たっては、各省庁の、今の局長は今抱えている仕事をきちんとやってもらった上で、今申し上げたような、矢野という次官代行、事務代理をいたしておりますので、大臣と一緒になってここのところをきちんとやっていくということで、まあ、本人にはきついかもしれませんが、やってもらわにゃしゃあないと思っています。

野田(佳)委員 危機的な状態であるという御認識を持っていらっしゃるということなんですね。そのために、今、必死に体制をつくりながら、再発防止に努めて、そして本来業務をちゃんとやっていこうということだと思うんですが、そういう大事な時期に、午前中からもいろいろと御指摘がありましたけれども、私は、ちょっと余りにも大臣御自身の不用意な発言が続き過ぎているんではないですか。

 これまでは財務省の起こした不祥事ですね。だけれども、それに対する説明が、逆に、不用意であればあるほど、財務省の信頼を失墜させることを、大臣みずからが今やってしまっているような気がしてならないんです。

 そういう観点から、改めてお聞きをしたいと思いますが、きょう午前中でも御指摘ありましたが、セクハラ罪という罪はないというこの発言の真意、これはどういうことをおっしゃりたかったのか、改めてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 野田先生の御指摘は、御指摘の発言というものは、セクハラ罪という罪はないということを申し上げておりまして、これは刑事罰の話であって、セクハラ、罪はないと読まれた方もいらっしゃるようですけれども、セクハラ罪はないということを申し上げております。

 言葉が足りなかったかもしれませんが、基本的に、刑事訴訟法とか刑事法とか、刑罰の対象としてはないということを、事実を申し上げたのであって、セクハラというのは、御存じのように、一般的ないわゆる捜査機関が捜査を行うというわけではありませんので、傷害罪とか窃盗とかそういうのと全然違う話なので、双方の主張が異なるという場合においては事実関係をきちっと断定をすることはなかなか難しいということになっておりますという問題意識から申し上げた発言の一部が切り取られて、セクハラ、罪はないとかいうような読み方をされたりしておりますけれども、私としては大変残念に思っておりますが、誤解されるような形で報道になっているというのは私どもとしても甚だ残念で、言葉が足りなかったかなという感じがいたしますけれども。私は、この話は最初に、もしこれが事実とすればアウト、一番最初にこの話は申し上げたと思っております。

 したがいまして、セクハラは、被害を受けた女性の尊厳とか人権とかいろいろな問題にかかわりますので、決して許されるものではないと考えておりますので、被害を受けた女性を傷つけるとか、また、加害者側の方を擁護するとかいう意図は全くありませんので、最初から申し上げたように、事実とすればアウトということを申し上げてきたので、私としては、言葉の意味はそういうふうに御理解いただければ幸いであります。

野田(佳)委員 私も、報道を見たとき別に、セクハラは罪がないなんてことは言っているはずはないと思っていました。セクハラ罪という罪はないと。それは正確に理解しているつもりなんですが。でも、何であえてそんなことをおっしゃるのかなというところがわからないんですよ。

 もともと、セクハラがあったらアウトだとおっしゃっていました。おっしゃっていますよ。これは基本だと思います。その後にいろいろなことを言うから、セクハラ問題を矮小化しようとしているんじゃないかとか、セクハラの問題を軽視しているんじゃないかという反論を生むような発言につながっているんです。そこは私は、あえて言うと、不用意過ぎると思いますよ。

 例えば、サッカーをやっていて、相手のチームが間違いなくオフサイドをしかけようとしているなとわかるじゃないですか。わかっているときに、オフサイドトラップにかかっちゃった、何回もかかっちゃった。それは、トラップにかかる人はやはり問題ですよ。今、大臣の、いろいろやはり言質をとろうという人たちもいるかもしれません。余り被害妄想にかかっちゃいけないと思うんですけれども、そういう人もいるかもしれない。あるいは、報道で一部の切取りがあるのかもしれない。だけれども、そういうときに、あえていろいろなことを言っちゃうと、どう見たって、セクハラを軽視しているんだとか、あるいは矮小化しようとしているんじゃないかと、みんな思っちゃうんです。

 そこは私、猛省してほしいと思うんですね、発言として。もう麻生節でいいという状況じゃないんですよ、今、危機的な状況ですから。省内で一生懸命頑張っても、例えばこの間セクハラの講習会とかやっていたじゃないですか、省内でいろいろやったって、大臣がいろいろ波紋を呼ぶような発言をすると、全部そのイメージを打ち消しにするんですよ。

 そのことを自覚してもらわなければいけないなと強く強く私は思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘をいただきまして、ありがとうございました。

 私ども、そういう意図はなかったので、基本的に、どういう前後であの話になったかちょっと正確に記憶をしておりませんけれども、単純に、刑事罰はないんですよという話から申し上げてきたんだと記憶をいたしておりますので、そういったのが、不用意に話して、更にほかのところに行って、セクハラを妙に軽んじているんじゃないかとかいうような話に、疑われるような発言につながるという御指摘をいただきましたので、以後、注意したいと思います。

野田(佳)委員 まあ、反省の弁を述べられたので、これ以上このことは追及しないというふうに思いたいんですけれども。

 最初、私は、部下をかばう気持ちから、いろいろな意味から、セクハラについての問題を矮小化しようと、これは何かひいきの引き倒しになっているなと思っていたんですよ。でも、最近、せっかく財務省が、四月二十七日に調査をした結果としてセクハラを認定し、福田氏に処分を課した後までこの種の発言をやってしまうと、もう部下をかばう気持ちというよりも、やはり大臣の本音として、そういうものが心の中にいっぱいあるんじゃないかというところで尾を引くことに今なっているんですね。ということだけ、付言をさせていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、きょうこれも問題のある発言として取り上げられておりましたけれども、どの組織だって改ざんはあり得る話だ、会社だってどこだって、ああいうことをやろうと思えば個人の問題でしょうからと言ったという、このいわゆる改ざんの問題を個人の問題とか個人の資質として発言をしたということ。

 これも、改めて、もともと、改ざんというのはゆゆしき問題だと私とのやりとりで最初に答えられたんですね。私はこれは基本認識だと思っています。基本認識だと思っていますが、これもまた、ゆゆしき問題だと言いながら、改ざんについていろいろ云々やっていると、これも、きょうも川内さんとのやりとりかな、組織全体の問題でやっているのではないと。それはもう誰だってわかっていますよ。だけれども、何人かが関与していたら組織的な関与ですよね。単なる個人の資質や個人の問題と言い切っちゃうと、自殺者まで出ているのにという議論に必ずなるじゃないですか。そういう議論を惹起している発言なんです、この問題も。

 そういうことも含めて、改めて真意を確認をさせていただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 今の御質問ですけれども、最初に申し上げましたように、これは、書換えなんというのはふざけた話と最初に申し上げたので、ゆゆしき問題と申し上げましたが、書換えを行うというのは極めてゆゆしきことであって、甚だ遺憾ということを申し上げて、おわびを申し上げなきゃならないとたびたび申し上げたと記憶をいたします。

 その上で、今、野田先生が御指摘の発言というのは、これは、財務省において、日常的に今回のような問題が全省で行われているというようなわけではないということが一点。

 そして、今回の件については、これは今、人事担当というか、あそこで調査をさせていただいておりますけれども、書換えに関与した職員というものに関しては、これは厳正な処分を行っていく必要があるということが一点。

 その上で、これは個々の職員というものの手による問題が起きているわけで、私が組織と申し上げているのは全省でありまして、今、野田先生おっしゃるように、局とか課とかいうのも全体ではないかということになると、そうだと思いますが、そういった意味ではなくて、私は、全省的にやっているわけではないというので、その一部で起きるということが問題なんだから、そういったところに起きないようにするということで、組織としてこれは再発防止に取り組んでいかなければならぬということを申し上げた、問題意識の中からの発言の一部がクローズアップされて誤解を受けたんだと思いますし、まことに残念だと思っておりますけれども。

 いずれにいたしましても、今御指摘をいただいたように、真意はそういうところでありまして、私どもとしては、役所として、こういったことが起きないようにするシステムというものをきちっとつくり上げていくということが今後一番求められている、これは再発防止、信頼回復ということにつながっていくんだと思って、その点を重々踏まえて対処をしてまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 ですから、私がこんなアドバイスをするのも変ですけれども、簡潔に深い反省をしっかりとお話をされて、そして、もし不用意な発言があったらきちっと謝罪をするということの繰り返しだと思いますよ。余り開き直っていっぱいしゃべると、また逆に、やはりこういう問題が噴出しているんじゃないかなとなっちゃうんですよ。

 さっきの話に少し戻っちゃいますけれども、セクハラ罪という罪名はないです。パワハラ罪もないです、いじめ罪もないです、放言罪も失言罪もないです。でも、罪名はないけれども、社会的には、嫌がらせはいけない、あるいは、人権侵害はいけない、そして、しゃべったことに責任を持たなきゃいけない。罪名はないけれども、それが一つの、ある種の大きな今ルールになってきていますよね。そこをわきまえているかどうかが今問われているんだということを申し上げたいというふうに思います。

 その上で、だから、一連のこういう、さっきの、セクハラ罪という罪はないというのがマニラでの会見ですよね、五月の四日の。そして、個人の問題云々というのは五月八日の会見ですね、閣議後の会見。ということなので、一生懸命、財務省自体が懸命に頑張ろう、再生しようとしているときに、せっかく火が鎮火してきたと思ったら、また火を燃やしてしまっているのが、私は、今大臣が犯しているあえて罪と申し上げたいと思います。それで本当に財務省の再生ができるかどうか、非常に憂慮せざるを得ないんですね。

 私も、かつて財務副大臣、財務大臣を務めさせていただきましたけれども、そのときに極めて印象に残っているある光景があるんです。

 政務三役と、あのときは多分、予算編成だったのか事業仕分けの仕込みの会議だったのかわかりませんが、財務省の主計局のメンバーとの日曜日の、休日中に来てもらっての会議だったんです。夕方になって、会議が長引いて、小腹がすいてきたので、テーブル席に大皿に盛ったサンドイッチが用意されたんですね。テーブル席を囲んで座っているのは、政務三役と、それと事務次官と主計局長と主計局次長だったんですよ。大皿に出てきたサンドイッチを、我々はおなかがすいたからばくばく食べ始めたんですが、財務省の幹部は食べないんですよね。食べないので、後ろにいる、椅子席の、単なる椅子席だけの、テーブルのない席に座っている、陪席をしている十人ほどの主計官に大皿を回すんです。そうすると、公共担当の主計官が一つとって食べる、厚労担当の主計官がとって食べる、ずっと一巡して、残ったやつを主計局次長がとって食べ、主計局長がとって食べ、次官がとって食べる。

 ここが、財務省の最強官庁たるゆえんはこういうところじゃないかと思いましたね。そういう、ある種、統治原理、規律を持っているんですよ。それぐらいのことをやらないと、厳しい査定をすれば、いろいろな人に恨まれるし、友達も失うわけですよ。そのためにも、味方が団結していなきゃいけないじゃないですか。その団結をしているための組織原理を私は見た思いだったんです。これが強さであり、よさであったはずです。それは隅々の財務省の職員たちが誇りを持って仕事していますよね。していましたね、今まで。

 国会連絡室だって、多分、役所の中の国会連絡室で一番すぐれているのは財務省じゃないですか。あのカレンダーをつくったりする力なんてすばらしかったですよ。OBになった人を民主党の国対で雇いたいと思ったぐらいですよ。すばらしい力を持っている。

 なぜ力を持っているかというと、最終日、国会の閉会日に打ち上げをやるんです。財務省の国会連絡室のところに私もお礼に行って、一緒にちょっと打ち上げで一杯やったりすると、各省から来るんです、各省から。それだけ感謝されているんです。それは、飯より国会が好きだというプロたちがいるからできることなんですね。

 そういう役所のよさが、今自信を失い、プライドを失い、どのセクションの人たちも今自信を失っている、士気が下がっている。それを守り立てるのがトップの役割じゃないですか。その守り立てる役をしなければいけないのに、盛り下げてどうするんですか、今。

 せっかく頑張っているときに、何だ、財務省と、不祥事で嫌われる財務省になっちゃだめなんですよ。本来業務で嫌われる財務省になってほしいと私は思います。査定で嫌われまくる役所になってほしい。本来業務じゃない、その以前のところで、厳しい世の中の批判を受けなければいけないということは、私は極めて残念であります。

 という所感について、改めて大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 今おっしゃられましたけれども、少なくとも、私も、総務省とか外務省とか経企庁とか、いろいろ大臣をやらせていただきましたけれども、今言われましたように、組織としてやはりすぐれているのは財務省かなという感じがいたします。総務省、かつての自治省からちょっといろいろくっつきましたので、中の統制がなかなか難しくなってきているというのが今の総務省だとは思いますけれども。少なくとも財務省の場合はきちんとして、ずっと、大蔵省ができてこの方、長いこと、少なくとも財務省という役所は、組織として、きちっとした体制をつくるという文化が定着していると、私、今、全く野田先生と同じように、この役所、ほかの役所と比べても、見えます。

 そういった役所の結束が乱れるような形、もしくは士気が低下するような形になっているというのはゆゆしき事態であるというのはまことにおっしゃるとおりなのであって、私どもも最も危惧しなければならぬところなのであって、それに当たって、私の発言がその一因を、足を引っ張っておるという結果になっておりはせぬかという御指摘は真摯に受けとめねばならぬと思っております。

野田(佳)委員 真摯に受けとめるということでございましたから、これ以上申し上げられませんが、最終的には、それはどこかの段階で、やはり大臣が、言いにくいですけれども辞任をされて、新しい方のもとでそういう組織の再生を果たさなければならなくなるのではないかなというふうに私は思います。

 その上で、もう麻生大臣は宮沢喜一氏を抜いて戦後最長の記録になりましたよね。五年間半という大臣在任記録は戦後最長です。

 調べてみたら、松平慶永が大蔵卿になって以来、大蔵省、財務省という日本の財政をつかさどるトップは約三十人いるんですが、麻生大臣を超える人は松方正義と、そしてあの高橋財政ですよね、高橋是清。松方さんも高橋さんも、松方財政、高橋財政と評されます。

 麻生財政とは、どう自分なりに自己評価をされていますか。麻生財政とは、自分なりの自己評価をどうされておりますか。

麻生国務大臣 余り先が長くありませんので、亡くなってから評価していただけますので。ちょっと生きている間は何とも申し上げられないので。自分のことですので、後世の歴史の評価にまたねばならぬところだと思っております。

野田(佳)委員 放言だらけの放漫財政と言われないようにしてください。

 以上です。

小里委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、福田前事務次官のセクハラについて質問いたします。

 一昨日、財務省幹部のセクハラ防止の研修を行われるということになりました。講師の菅谷弁護士からは、冒頭で、財務省の一連の対応について、財務省の感覚と世の中の常識が非常にずれていると、大変厳しい指摘がありました。

 きょうは、研修に参加した代表として太田理財局長にお伺いしたいと思いますが、研修に参加して認識を新たにしたことというのはございますか。

太田政府参考人 委員御指摘いただきましたように、おととい、そういう研修がございました。

 で、認識を新たにしたことは何かという御質問でございましたが、基本的に、こういう話は、その場で認識を新たにするというか、新しいことを教わったという状況では本当はいけない話で、そういう話は全てわかっていて、それが全部頭の中に入り、あるいは体の中にしみ込んだ上で行動しないといけないということだと思いますので、新たに認識したことがあるということ自体が恥ずかしいことだとは思いますが、正直に申し上げれば、再認識したことは多かったので、そのことを御報告申し上げます。

 基本的には、組織としての視点のお話と、それから、個人といいますか、当事者としての視点の話ということで整理をしてお話を賜りました。

 また、実例として、ビデオ、それは本当はもっと長かったんだと思いますが、時間の関係もあって、多分その一部だと思いますけれども、一部を見させていただいて、基本的には、多分、中堅企業なんだと思いますが、その社長の方、それは男性であって、それから、もう一方は秘書の方、それは女性でございましたが、それぞれの視点からのビデオを拝聴して、勉強するというか、頭を働かせるということをやらせていただきました。

 その上で、やや、どういう認識かというのは、受けた幹部職員それぞれ認識はあると思いますが、御質問いただいたのは私ですので、私なりの個人的なことを申し上げさせていただくと、大きく言うと二つほど、再確認というか、やはりいけないなと思ったことがありまして、一つは、基本的には、自分の考えている認識とそれから相手方、私は男性ですのでそういう意味では女性ということかもしれませんが、その認識、それは、恐らくセクハラとかいうことに限らず、およそ仕事をする上でも、あるいは、いろいろな、社会で生活する上で、全てなんだろうと思いますが、自分の考え方なり認識だけではなくて、基本的に、相手方がどう思うか、相手方の認識なりを考えるということが大事だということが一つだったと思います。

 それから、もう一つは、それは、私どもやはり国家公務員でございますので、基本的には、私人か公人かといえば公人だということになります。で、公私のけじめという話がありましたが、我々こういう仕事であるので、仕事の部分以外も、基本的には、公、公人の部分だという部分が多いんだと。それはわかっているつもりではありましたけれども、それを再認識というか、余りかたいことを言ってはつまらない人生になりそうですが、プライベートの部分は基本的に余りないと。基本的に、職場を離れても公人であるという意識で生活をしなきゃいけないということが、もう一つ、再認識をさせられたことだというふうに思ってございます。

宮本(徹)委員 太田理財局長も再認識されたことがたくさんあるということです。

 麻生大臣は、記者会見で問われて、みずからのセクハラの認識は高いかと言われて、そうですというふうに答えられているわけですが、麻生大臣は、みずからのセクハラに対する認識は何をもって高いと考えられているんでしょうか。

麻生国務大臣 ふだんの生活を見ていて、海外が長かったせいもあろうかと思いますけれども、少なくとも、女性に対する対応とかなんとかいうものは、セクハラというような感じの話になるという点は、私としては極めて高い方ではないかなとよく思っておりましたので、それ言ったらまずいよという話はときどきしたこともありますぐらいですから、そういった意味では結構高い方かなという意識がありましたので、そう申し上げたということであります。

宮本(徹)委員 麻生大臣御自身は、みずから、セクハラについての自分の認識は高いというお考えのようですが、この間の麻生大臣の発言、あるいは財務省の対応を見ている国民というのは、およそ高いとは言えないと。先ほど紹介しましたけれども、財務省の研修会の講師の方も、財務省の感覚と世の中の常識は非常にずれていると。これが世間の見方だという点をよく認識していただきたいというふうに思います。

 とりわけ、きょう午前中の質疑の中で、尾辻さんが質問されました。それに対して、きょうも麻生大臣は、福田事務次官のことについて、はめられたという可能性は否定できないという発言を行われたんですね。私、驚きましたよ。財務省自身は、セクハラ行為があったというふうに断定したわけですよね。だからこそ処分した、こういうことだと思うんですね。

 財務省自身が、セクハラ行為があった、そして処分をしたということと、はめられたという可能性も否定できないという麻生大臣のきょうの御発言というのは、全く相反すると思いますが、そういう認識はございますか。

麻生国務大臣 はめられたはめられなかったという話は、これは多分下村さんの発言のときだったと思うんですね。違いますか。大体そうだったでしょう。(発言する者あり)でしょう。質問している方がわかってないんじゃ話になりませんよ、あなた。そうだったでしょうが、あのとき。だから、私、あのときまではそう申し上げましたよ。

 だけれども、この話が終わった後は、私どもとしては、四月の二十七日にこの話が出ましてからは、その種の発言をしたとするならば、それは違っているんじゃないでしょうか。私どもとしてはきちんとした対応をしてきていると思っておりますが。

宮本(徹)委員 麻生大臣、午前中に発言されたこともお忘れのようですけれども、きょう午前中に、立憲民主党の尾辻さんが質問された際に、大臣は、福田事務次官の問題について、はめられたという可能性も否定できないという答弁を午前中されているわけですよ。これは、今そういうふうにおっしゃるんだったら、間違いだったと撤回していただかなきゃ困りますよ。

麻生国務大臣 午前中の話だとそうですけれども、私としては、四月の二十七日ですか、二十七日の私どもの役所の処分、あの段階をもちまして、この福田前次官のことに関しましては、セクハラという行為に関してはあったという前提に立って処分をしておりますので、その意味では、今言われた話は、私は下村発言のところまでその種の発言をしたと記憶はしますけれども、それ以後はしていなかったと思いますが、もししたとすれば訂正します。

宮本(徹)委員 いや、きょうの午前中しています。ですから、今、各紙の報道でも、本日も麻生大臣ははめられたという可能性否定できないということで、流れているわけですよ、そういう発言をされたということで。

 じゃ、それは、今訂正するということですから、きょうの午前中の発言は撤回すると明言してください。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたとおりとするならば、撤回させていただきます。

宮本(徹)委員 自分自身でそう認識しないままそういう発言がぽろっと出てきているというところが、本当に国民の多くは、麻生大臣のセクハラに対する認識というのは本当に大丈夫なのかなということを思っている点だというふうに思います。

 それから、先ほど野田元総理からも、セクハラ罪という罪はないという発言をめぐってのやりとりもございました。講師の弁護士の方は、研修会で、セクハラは刑事事件にもなり得る大きな不祥事であることを認識してほしいということをおっしゃっています。

 さらに、研修会の後ですか、メディアに問われて、麻生大臣の発言をめぐって、今このタイミングでああいう発言をされるというのは、セクハラ問題の重要性についてどこまで認識されているのかな、日本を代表する大臣なので、セクハラに対する認識を強く持っていただきたい、こう述べられているんですよね。

 私は、太田理財局長も、セクハラ防止の研修を受けて、認識を新たにしたことがたくさんあったというお話、再認識されたことがあったというお話もありましたけれども、麻生大臣もセクハラ防止について改めて学ばれるという場を持たれた方がいいと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 今回の研修というのは、被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であり、これは決して許されるものではない、この考え方のもとに、私の方から、許さない組織文化というのを醸成していく、つくっていくという必要があるということで、私が指示をして、今回、幹部職員を中心にいわゆる研修というかそういったものを行うことにさせていただいております。

 私自身が研修に参加することを考えておりませんけれども、参加をされた方々に配られた資料というのをいろいろ読ませていただきましたので、自分の感覚が当てにならないことを肝に銘じ等々いろいろ書いてありましたので、私どもとしては、大変参考になったと思って、勉強させていただきたいと思っております。

宮本(徹)委員 いろんな資料も手に入れて、改めて、セクハラとは何なのか、なぜやってはならないのか、大臣の役割が何なのかというのをぜひ学んでいきたいというふうに思います。

 そして、セクハラ防止についての研修の中で、講師の方から、福田前事務次官のセクハラ事案について、財務省の調査方法、これについての批判がありました。これはどういう批判があったのか、紹介していただけますか。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 おとといの研修におきましては、外部の講師の先生からは、セクハラに対する認識と事後対応において省内の常識と世間の常識とのずれが露呈した形になった、それから、連日のマスコミ報道の中で、講師御自身も、財務省の対応に疑問を持ったといった御指摘がございました。

 こうした御指摘も真摯に受けとめながら、財務省全体として、セクハラ、パワハラは、大臣も御指示しておられますように、決して許さないんだという組織文化を徹底するように、再発防止に努めてまいりたいと思っております。

宮本(徹)委員 菅谷弁護士の使ったパワーポイントの資料をいただきました。被害者側の視点、立場に立った調査方法に対する配慮の欠如、大きく見出しを立てて書いてあります。客観的視点の欠如、これも大きな見出しを立てて書いてあります。顧問弁護士による調査や記者クラブへの呼びかけ方法がどう見えるかという視点が必要であるということで、今回の財務省が福田前事務次官のセクハラ行為を調査するに当たってやった方法、顧問弁護士に名乗り出なさいというやり方について、これは問題だという指摘をされたわけですよね。

 官房長、違いますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 調査手法について、講師の先生からも御批判、御指摘を頂戴いたしました。幾つかございましたけれども、調査において、人事院においてはセクハラ担当官がする云々といったこととはそもそも根底から違うわけですけれども、第三者的な形をとるべきという御批判などなどございました。

 私ども、顧問弁護士にお願いをしてというふうにしてしまいましたけれども、それについて、今後どのような対応が、本来、あるいはベストの対応としてあるべきか、あるのかということについてはしっかり考えていきたいと思いますし、今、霞が関の中に、そういう省の中と外との間のセクハラ問題については職員が対応することになっておりますけれども、本当にそれでよいのかといったことを含めて、これは財務省のみならず、霞が関全体であり、また官民挙げての問題ではあろうと思いますけれども、まず私ども、主体的に考えていきたいと思っております。

宮本(徹)委員 調査方法について、これからについては考えていきたいということですけれども、今回とった調査方法については誤りがあった、被害者の側に立った視点が欠如していた、配慮が欠如していた、その点はお認めになった方がいいんじゃないですか。せっかく研修を行って、お話も聞いて学んだわけですから。その点、いかがですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 万全では決してなかったと思います。

 ただ、先ほども、余り言いわけがましいことを言うつもりはありませんけれども、人事院の規則にのっとりますと、職員が中心となってやることになっておりますところを、それではさすがによくないであろうということで、顧問弁護士というところにとどまってしまったわけですけれども、顧問弁護士さんの名誉のためにも申しますけれども、人権に物すごく意のある弁護士事務所でございますし、それを、上司、あるいは連れ添われた弁護士の方、あるいは会社の方、匿名でも電話でもといったことをした上で、名乗り出ろと言ったわけではなくて、協力をお願いするという形をとらせていただきました。

 世の中から、多く、そんなやり方で名乗り出てくるはずないじゃないかという御叱責も賜りましたけれども、結果的には、テレビ局の方から手が挙がって、御本人ではありませんけれども、上司といいますか、会社の形で手が挙がって、その後、顧問弁護士同士で水面下の話が進んで、ただ、やはり、女性の記者の方のプライバシーといったものについての問題があるので、なかなか話が進まない中で、ぎりぎりの事実認定をさせていただいたというのが現実ですけれども。

 したがって、認定に至らなかったわけではないんですけれども、もっと深みのある調査ができたはず云々という御叱責が残るところについては、反省をいたします。

宮本(徹)委員 万全ではなかった、反省はするというのがありますけれども、被害者側の視点、立場に立った調査方法に対する配慮の欠如があった、この点もお認めになりますね。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 決して万全ではなかったと思います。

 ただ、先ほど少しその点についてクリアにお答えできなかったのは、多くの方から、第三者、第三者と言われていたんですけれども、第三者調査の形をとるとなりますと、そこをまた選んで、そしてその方がもう一回ほじくり返してということになって、それはそれでもう、お名前も世の中に、本当かうそかわかりませんけれども、出始めたりしていた中で、プライバシーを侵害するぞと物すごい叱責は別途ありました。

 第三者、第三者というと聞こえはいいですけれども、それをやることには物すごく時間がかかります。時間がかかることによる二次被害というのか、新しい被害ということがあるということもよく考えろという御指摘を多々、別途いただきました。自分の名前を出すなという御指摘も含めて、御叱責をいただきました。すごく難しいと思います。

 第三者でやるなら第三者でやるで、時間との競争も含めて、トレードオフもあると思いますけれども、決まった形をつくって、最初から短時間で第三者の調査に入れるような仕組みをつくらないといけないんだと思います。

 今回、途中から第三者に切りかえるということは、当該女性記者の方のプライバシーを傷つけることになったと思っていますので、あのやり方自体が決してベストだったとは思いませんけれども、途中から切りかえるということは無理だったと思います。

宮本(徹)委員 初めから間違っていたわけですよ、顧問弁護士に名乗り出てくださいと。

 矢野官房長は、この委員会で、名を伏せて弁護士に話すのがそんなに苦痛なことなのか、こうまで言ったわけですよ。

 こういう調査の仕方が間違いだった、万全でなかったということじゃないんです、間違いだったというところをはっきり認めていっていただきたいというふうに思います。

 あともう一点、麻生大臣にお伺いしたいんですが、人事院規則一〇―一〇では、セクハラ防止のための各省の長の責務というのを記しております。セクハラ防止の具体的な対策を取りまとめる、セクハラ防止のための研修を行う、セクハラのおそれがないか勤務環境に十分な注意を払う、などなど書いてあります。つまり、財務大臣には、セクハラを防止する責任があるわけですね。

 そういう点でいえば、麻生大臣御自身は、福田前事務次官によるセクハラが防止できなかった、防止できなかった財務省の長としての責任、どう自覚されているんでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘になりましたけれども、私どもとして、福田前次官の話に関して言わせていただければ、そういった事実を事前に防止できなかったという点に関しましては、私どもとしても、今後、こういったようなことがないような対応をしていかねばならぬと考えております。

 その上で、先ほど矢野官房長と話をされておりましたけれども、これは今後の話としてちょっと真剣に考えておかないけませんのは、人事院の規則でやってもだめなわけでしょう、宮本先生。人事院の規則でやっても公平さを欠いておると言っておられるわけでしょう。弁護士を使っても、公平を欠くと言っておられるわけですよね。

 したがって、それであるならば、少なくとも、人事院にセクハラを担当する弁護士を常日ごろからある程度持っておいてもらうということにしないと、急に第三者と言われたってできませんよ、多分。

 だから、そういったものをあらかじめプールしておいてもらってやるようなシステムをつくるとか何か考えない限りは、なかなか、対応としては、迅速を欠くとか公平を欠くという指摘にお応えすることはできぬのじゃないかなと。

 これは私の腹づもりですよ。こういうところで言ったから、それを、おまえ、あのとき言ったじゃねえかとかなんとか言われても困りますからね。あらかじめきちんとした形をとっておく必要がありますというような対応が必要なんじゃないかなという感じが、この一連の対応を見ながら、私の正直な実感なんです。

 だから、正直、どういう対応をやっていけばいいかというのは、今後、これは弁護士の方々が考えるにしても、その弁護士の、第三者の公平な弁護士をあらかじめ持っておかなけりゃ、その場でいきなり集めたって、いやいや、ちょっと私は忙しくてできませんなんということになりますので、ある程度持っておく必要があるんじゃないかなというのが、正直な今のところの考え方です。

宮本(徹)委員 いや、今後の対応について真剣に考えていかなきゃいけないのは当然そのとおりなんですけれども、私が先ほどお聞きしたのは、セクハラを防止できなかったことについての大臣の監督責任についてお伺いしたわけですよ。事務次官が起こしたセクハラですから、事務次官を監督できるのは麻生大臣しかいないと思いますよ、これは。部下が監督するという立場にはないですから。

 そういう点でいえば、人事院規則でもセクハラ防止は長の責務というふうになっているわけですから、その点は、防止できなかったことについて、責任をどうお感じになっているのか、そこをはっきりと述べていただきたいと思います。

麻生国務大臣 次官のセクハラを防止できなかったということに関しては、ちょっと正直、次官のふだんの行動を全部細かくチェックできているわけではないというのが率直なところです。

 しかし、そういった、常日ごろからそういう行為があるかないか、ちょっと正直、私ども、仕事が終わった後の席までつき合っているわけではありませんので、なかなか監督もできかねるというのが正直なところでありますけれども、こういったようなことを境に、こういったようなことが二度と起きないような文化なり何かの体制というものをつくり上げていかねばならぬと思っております。

宮本(徹)委員 今後の対応は当然考えなきゃいけないわけですけれども、起きてしまったことに対して、先ほど私、人事院の規則を紹介しましたけれども、ちゃんとたくさん研修しなさいということだとか、人事院規則には書かれているわけですよ。

 今回は事態が起きてから幹部の皆さんに対する研修ということをやられましたけれども、本来であれば、立場が上であればあるほど、権限が大きくなればなるほど、こういうハラスメントは絶対やってはならないんだという教育がやられていなければならなかったと思うんですよね。

 そういう点では、やるべきことをやらなかったことによって起きているということなわけですから、その点についての責任、反省というのをはっきり述べていただきたいと思います。

麻生国務大臣 今回慌ててセクハラに対する研修をやったというような御発言だと思いますけれども、財務省の場合は、この種のセクハラに関する研修はふだんからある程度やっていると思っております。そういう研修の実績もあろうと存じますので、そういったものの効果は、一番上の人には至っていなかったという点かなという点だと思いますけれども、研修やら何やらいろいろなことをさせていただいているんだと理解しておりますが。

宮本(徹)委員 ですから、もう時間になりましたから終わりますけれども、これまでの研修では足りなかったから福田事務次官のセクハラ行為が防げなかったわけですから、それはもう監督責任が果たせなかったという点ははっきりお認めになった方がいいというふうに思うんですよね。

 それを踏まえた、本来、おわびなり謝罪の言葉が、私は、被害を受けた女性に対して大臣からなされるべきだということを強く求めまして、質問を終わります。

小里委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 最後の質問者、毎度でございますが、杉本でございます。日本維新の会、どうぞよろしくお願いいたします。

 急遽、きょう一般質疑という設営になったので、テーマはセクハラ問題なのかなというふうに拝察しておりますけれども、先ほど前総理と元総理が重たい質疑を私はやりとりされておられるということで、そこでの御発言等をかたく信じて、特段取り上げたくはありません。

 あと、改ざん問題、書換えと言われている問題については、今まで速やかに報告をまとめたいというような答弁を何度かこの委員会でもいただいていますけれども、さすがにゴールデンウイークも明けまして、そろそろ御報告をいただいてもいいのではないかなということだけ付言をさせていただきます。

 さきの予算委員会の集中審議、野党のほかの党の方々は御参加いただけなかったですが、その際にも申し上げましたけれども、いろんな問題は起きていますけれども、真相究明、そしてうみを出し切る、総理の言葉がありましたけれども、それに私はスピード感をぜひ加えていただきたいし、地球は順回転で回っていますので、ぜひ日本国も順回転で前にということで、きょうも質疑をさせていただきたく存じます。

 きょうは、財政健全化目標、骨太の方針、六月ごろとか夏とかいろいろ言葉が出ていますけれども、新聞の記事も躍り出しました。そのことについての質疑をさせていただきたいというのと、四月の三日の私の質疑それから十八日に安住元大臣からありましたけれども、地方銀行の経営の問題、この点について、商工中金の経営を中心に、ちょっと質問をさせていただきたい。それと、三つ目は、きょうは国税庁の次長の藤井次長にお運びいただいていますけれども、庶民感覚というかで、相続税の物納の状況等について確認をさせていただきたいと思っております。

 さて、時間もないんですけれども、財政の健全化目標についてなんですが、本予算を通すに当たって、それに関連法ということで、この部屋で安倍総理と質疑をさせていただいたときに、私は、財政収支均衡がやはり目標の一つにあるべきではないかということを申し上げました。

 それで、総理の答弁をちょっと先ほどインターネットTVで確認しましたけれども、財政収支の均衡とは言わずに、財政収支動向に注意ないし注視をしていきたいという発言をされておられました。

 私は、あくまでも、やはり諸外国というか、厳し目に財務省さんが見ているんですよという諸外国の例に倣って、やはり財政健全化の目標については財政収支均衡といったものも必ず、ターゲットは遠いかもしれないけれども、一つに入れておいていただく必要があるという思いの中で、ちょっと質疑を、副大臣、大臣に御答弁いただきたいと思いますけれども。

 現状、財政収支の黒字化に対してのプライマリーバランスと言われる基礎的財政収支並びにGDP比の赤字幅の目標の現在の状況、目標値との乖離状況と、それと、現在、GDP比の問題とPB黒字化の問題、どっちが優先されて考えられているのか、あるいは並列なのか。このあたりを、副大臣、御答弁いただけますでしょうか。

うえの副大臣 お答えいたします。

 現政権におきましては、二〇一五年度のプライマリーバランスの赤字半減目標を達成をしました。その後、二〇二〇年度の黒字化に向け、経済・財政再生計画のもと、三年間の集中改革期間を設定をし、一般歳出の目安を設けるとともに、各歳出分野における改革の具体的な中身や期限を盛り込んだ改革工程表を定め、徹底した歳出改革を行ってきたところであります。

 三月の二十九日の諮問会議で議論されました改革の中間評価におきましては、三年間の一般歳出の目安に沿った歳出効率化を実現をする一方で、プライマリーバランスの改善の進捗がおくれ、二〇一八年度のPB対GDP比につきましてはマイナス二・九%と、目安を達成をするには至っておりません。あるいは、債務残高対GDP比についても緩やかな上昇基調が続く、そのような見込みとなっているところでありますとの評価がなされました。

 消費税率引上げ分の使い道の見直しによりまして、二〇二〇年度の目標達成というものは困難となりましたけれども、プライマリーバランスを黒字化するとの目標は堅持をし、これと同時に、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すこととしているところであります。

杉本委員 今副大臣の御答弁は同時にということなので、並列という解釈で現在は走っているという解釈をさせていただきます。

 それで、今度、大臣にお伺いしたいんですが、この夏に向けて作成予定に入られていると思うんですけれども、新聞紙上ですと、GDP比の三%以内とすることを新たな財政再建目標として掲げていると、読売なんかそう書いていましたけれども、そんなような数字がひょっとすると優先されるのかなというような、私も推察をしてしまったところなのでよくわかりませんけれども、PBの黒字化、対GDP比の赤字幅の目標設定、ここはどんな優先順位で、今副大臣が言われたとおり、また同時というような並列の目標の置き方なのか、そこはちょっと順番をつけて今後設定をしていかれるのか。

 それと、もし御答弁いただければですけれども、財政収支均衡についての、安倍総理は、財政収支の動向に注意をしていくというふうに御答弁を二月二十八日にいただいているんですけれども、そこのところは同じお考えなのか、もう少し突っ込んで御答弁いただけるのか、お答えいただければと思います。

麻生国務大臣 政府としては、いわゆる基礎的財政収支の黒字化を目指すという話を申し上げて、これは二〇二〇年というのを最初の目的で掲げて、それまでの段階として、まず二〇一八年までにそこのバランスを半分までということを言わせていただいて、その目標は達成させていただきました。

 その後、二〇二〇年までにプライマリーバランスをゼロにしたいという、御存じのように、これは財政収支と基礎的財政収支と、金利が入っている入っていないで違いますので、財政収支の方ではなくて基礎的財政収支としてそういった形のものをやらせていただきたいというので、これをやるためには消費税というものが必要ということを申し上げてきましたけれども、その消費税の増税というのを二度延期を政府としていたしておりますので、基本的に二〇二〇年までの達成は難しい。

 加えて、今の世の中を見ますと、社会福祉に関するところでは、高齢者に少々社会福祉の分が偏り過ぎていて、若い人に対する、介護もそうですね、いわゆる幼児教育等々いろいろありますけれども、教育費等々の部分についてももっとという話になりまして、その分の半分そっちに持っていくという方向になっておりますので。野田政権のときに、いわゆる税と社会福祉のバランス、一体改革ということの中に沿って、税の部分から社会福祉に回す部分が多くなっておりますので、返済の部分はそのうち減りますので、その分だけプライマリーバランスのバランスする時期がずれるということになりました。

 それはある程度わかるところなんですが、それによって、ある程度景気というものが持続的に上がっていくということを私どもも考えて、今、財政諮問会議、昔で言う経企庁等々でやらせていただいているところだとは思っておりますけれども、その内容でいきますと、二〇二〇年を二〇二五年とか、いろいろな説がよく出ておりますけれども、その内容がどの程度になっているのかを私どもは知っているわけではございません。

 しかし、その上で、経済成長を何%に見るかという、その前提条件によって全く数字が変わりますので、私どもとしては、高い数字になるかならないかというのが、ちょっと正直、今の段階で、本当に三%行きますかというのは、幸いにして、今のところ景気が、アメリカもいいし、ほかのところもそこそこいいし、石油の値段もそこそこ上がってきておりますから、いろいろな条件はよくなってきておりますが。

 ではイランで、もしなったら、いきなりどういうことになるのとか、それは、予測不能な事態というのは、これは朝鮮半島しかり、もちろん中近東しかり。いろいろなところにそういうことになっておりますので、私どもとしては、その点に関しましては、前提条件がある程度きちんとしておかないと、そういったものがあるんであればGDPはこれだけ行くし、その結果として二〇二五年にはバランスシートがということになるんだと思いますが。

 そういったものを全て前提の上に置いておいて、加えて、こちら側の方は、歳出の抑制とか、そういった面につきましては、きちんとした、これまでもやらせていただきました。三年間で社会保障の伸び率は一兆五千億とかいうのをやらせていただいた。そういったものをきちんと目標を立ててやっていくというのを両々相まっていかねばならぬところだと思っておりますので、大前提が一番肝心なところ、次が歳出のところがどれくらいに抑えられるかというところが大きなところかなという感じが率直な実感であります。

杉本委員 ありがとうございます。

 状況は確認させていただきましたけれども、大臣が基礎的財政収支と財政収支というお言葉をはっきり言っていただいて、私が財政収支均衡と言っているのは財政収支という言葉だと思いますけれども。なかなか目標にはしがたいかもしれないんですが、やはり常々、ここのところは、総理も言われていますけれども、やはり注視、注意をいただいて、その中での目標設定ということで、前提条件、いろいろあるしということでありますけれども。

 達成が視野に入る、次回はまた延期というようなことがないような目標設定を何とかしていただきたいなと思いますので、そういった意味では、社会保障費の抑制、これは役所とのやりとりということで財務省も大変だと思いますけれども、努力をいただきたいとお願いをしておきます。

 次に、商工中金の点について一点だけ、大臣に御答弁をいただいて恐縮ですけれども、四六%の株式を所有するのが財務大臣、財務相ということでありますけれども。新たな経営の布陣になって、新聞紙上にも新社長のインタビュー等も掲載され、原点回帰だみたいなことを関根氏は言っておられるんですけれども、今のお立場で、四年後民営化という話もあったりするんですけれども、現状、どんな形で商工中金を大臣は注視していこうというか、見ていこうと思っていらっしゃるか、確認させてください。

麻生国務大臣 これは杉本先生御存じのように、いわゆる金融機関が貸し渋り、貸し剥がしをやっていた、やらざるを得なかった、いろいろな表現はあろうかと思いますが、少なくとも金融機関が、一九九五年、六年、もうはっきりしてきましたけれども、そういう時代に突入して、多くの金融機関が御存じのように倒産、先生のところでは、東海銀行なんて今何銀行だかわからぬようになっておりますし。もうりそなかぱそなかわからぬように名前が全部変わって、何が何だかわかりませんでしょうが、東海銀行は今何と言うのって。興銀と言われて、いや、何ですと言われて、みずほと言えたり、富士銀行、ああ、それもみずほですなんて言える人の方が少ないですよ。もう、昔の名前で出ていますのは、三井、住友と三菱ですかね、その三つぐらいで、あとは全部もう、東海銀行も何ももうなくなってきておりますので。そういった時代、銀行が全く食えなくなってきたというのになったときは、最大の理由は、みんな借金返したからですから、あれは。銀行が金を貸す相手がなくなって、銀行の預金は銀行にとっては借金ですから、そういった意味では、銀行としては極めて立ち行かなくなった状態の金融。

 あのときは、貸し剥がしを逆に食らった中小零細企業にとっては、中小企業金融公庫というか、この商工中金というのは極めて大きな値打ちがあったんだと思っておりますが、今は逆に、状況は変わって、世界じゅう金は余っておるという状況になっておりますので、商工中金の本来としてのあれは随分変わってきたものになってきております。

 したがって、新しいビジネスモデルを真剣に考えないかぬのであって、少なくとも、地域に根差しているのであれば、その地域の信金やら何やらがやるのに対して、どこか新しい会社が出てきたときに対して、その会社に対してのサポートというものを、信金としてはちょっと、あと一億はしんどいなというときに、商工中金はそのリスクをとり切って、そこのところにやれる。商工中金が貸し込んでいるというのであれば、それなりの信用というのが大きくなって、それは結果としてそのビジネスを助けていくというような形のビジネスモデル。

 目ききが商工中金に出てこない限りは、商工中金は極めて厳しいことになるだろうと思いますので、そういった目ききを、むしろ商工中金は、地域の中に根差している信金とか信組とか第二地銀とか、いろいろあります中の人たちで退職された方でも、その地域に根差している地ごろの人がいっぱいいますので、そういった人たちをむしろ引き抜いてやったらどうですかというようなビジネスモデルを考えられるべきなのではないか。

 これは、この間話をした内容の一部を申し上げておりますけれども、そういったことを考えていかないと、今までと同じような形ではなかなか、状況としてはしばらくの間、金余りの状況は続くと思われますので、そういったことを考えるべきではないかと思っております。

杉本委員 ありがとうございます。

 目きき力というか信用力というか、確かに必要であって、なかなか本当に地銀さんも経営が厳しい状況ですし、午前中、PFIの質疑に立たせていただいたんですけれども、やはりちょっとおいしいところはメガが持っていっちゃうみたいな、そんなコンセッション方式の話があったんですけれども。そんなところで、本当に銀行経営というのは全体厳しくなっていますので、大変なかじ取りでもあると思いますけれども、商工中金についても厳しく、あるいは温かく、両面で見ていただければと思っています。

 最後、時間がなくなってしまったので、相続税のことを幾つかだけ藤井次長に確認させていただいて質問を終わりたいと思いますけれども。

 相続税の現状として、物納が占める比率はいかようにあるか、直近年度で教えていただきたいし、その中での不動産というか土地建物等での物納といったものがどのぐらいのウエートを占めているかという、これを二つまとめて御答弁をいただければありがたく存じます。

藤井政府参考人 御説明いたします。

 直近でデータがとれる数字ということで申し上げますと、相続税の税額につきましては、二十八暦年の徴収決定済み額が一兆八千六百七十九億円でございます。物納額は、これは会計年度ベースの数字になりますけれども、平成二十八年度分の金額、これで六十四億円でございます。ちょっと年度と暦年でずれておりますけれども、この数字をもとに割合を計算いたしますと、〇・三四%ということになります。

 物納の中の土地建物の比率でございますけれども、二十八年度、先ほどの会計年度で相続税の物納を許可した件数は全部で三百二十六件でございます。そのうち、土地については百七十四件、全体に占める比率は五三・四%、建物については四件、全体に占める比率は一・二%でございます。

杉本委員 相続税、基本的には金銭で一括納付することが原則ということでありますけれども、やはり、今伺ってみると意外と、六十四億と少ないのかなという感じがいたします。

 ちょっと問題意識として恥ずかしながら感じたのは、先般、松山刑務所から受刑者が脱走をして、広島の尾道の向島に潜伏していて、あそこに空き家がいっぱいあってみたいな、ああいう空き家は物納できないような対象なのかなというふうにちょっと問題意識があった中で、空き家問題と絡めて物納といったものをどう考えたらいいのかみたいなところを感じて、質問をさせていただきました。

 先般は、相続税の絡みで、いわゆるたんす預金みたいなのが相続でなかなか相続税をいただけないような対象になってしまうので、現金主義から変えていく方向感というのも必要ではないかみたいな議論もさせていただきましたけれども、ちょっと漠然とした問題意識で恐縮でございますけれども、我が国の急速な少子化、高齢化という中で相続税をいかに確保していくかということで、私も問題意識を持ってまた質疑に立たせていただきたいと思うので、また徴税の方で頑張っていただければというお願いをして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小里委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十一分散会


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