衆議院

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第4号 平成31年2月27日(水曜日)

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平成三十一年二月二十七日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 坂井  学君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 武部  新君 理事 寺田  稔君

   理事 藤丸  敏君 理事 川内 博史君

   理事 緑川 貴士君 理事 竹内  譲君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井上 貴博君    今枝宗一郎君

      加藤 寛治君    神田 憲次君

      小泉 龍司君    斎藤 洋明君

      繁本  護君    鈴木 隼人君

      武井 俊輔君    津島  淳君

      土井  亨君    中山 展宏君

      鳩山 二郎君    百武 公親君

      古川  康君    本田 太郎君

      牧島かれん君    三ッ矢憲生君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      義家 弘介君    今井 雅人君

      末松 義規君    高木錬太郎君

      長谷川嘉一君    古本伸一郎君

      前原 誠司君    伊佐 進一君

      宮本  徹君    丸山 穂高君

      野田 佳彦君    青山 雅幸君

      佐藤 公治君    鷲尾英一郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   厚生労働副大臣      高階恵美子君

   財務大臣政務官      伊佐 進一君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局総括審議官)          中島 淳一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          高田  潔君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   神田 眞人君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    中江 元哉君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    可部 哲生君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    武内 良樹君

   政府参考人

   (国税庁次長)      並木  稔君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           度山  徹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 岩崎 俊一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     久保田雅晴君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     高科  淳君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       和田 篤也君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        斉藤 和重君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行理事)     前田 栄治君

   参考人

   (日本銀行理事)     内田 眞一君

   参考人

   (年金積立金管理運用独立行政法人理事長)     高橋 則広君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     鳩山 二郎君

  小泉 龍司君     繁本  護君

  國場幸之助君     八木 哲也君

  本田 太郎君     百武 公親君

  高木錬太郎君     長谷川嘉一君

同日

 辞任         補欠選任

  繁本  護君     小泉 龍司君

  鳩山 二郎君     安藤 高夫君

  百武 公親君     本田 太郎君

  八木 哲也君     加藤 寛治君

  長谷川嘉一君     高木錬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     古川  康君

  加藤 寛治君     務台 俊介君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     石崎  徹君

  務台 俊介君     國場幸之助君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

坂井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、理事前田栄治君、理事内田眞一君、年金積立金管理運用独立行政法人理事長高橋則広君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総合政策局総括審議官中島淳一君、監督局長栗田照久君、消費者庁政策立案総括審議官高田潔君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、財務省主計局次長神田眞人君、主税局長星野次彦君、関税局長中江元哉君、理財局長可部哲生君、国際局長武内良樹君、国税庁次長並木稔君、厚生労働省大臣官房審議官度山徹君、農林水産省大臣官房審議官小川良介君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光君、国土交通省航空局次長岩崎俊一君、航空局航空ネットワーク部長久保田雅晴君、観光庁審議官高科淳君、環境省大臣官房政策立案総括審議官和田篤也君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官辰己昌良君、防衛装備庁プロジェクト管理部長斉藤和重君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂井委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 きょうは一時間を与えられているということで、順次質問をさせていただきます。

 一番最初に、ちょっと質問の順序を入れかえまして、せっかく所得税法の一部を改正するということでございますので、個人事業者の事業承継税制を創設したということでございますけれども、これは、私、個人的には大いに評価しております。

 個人事業者の特性を考慮した緩和措置というものが言及されていますけれども、大臣としては、どのようなものがあるのか、これを簡潔に御説明いただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、末松先生御存じのように、昨年の税制改正の中において法人の事業承継税制の拡充をやらせていただいたんですが、引き続きまして、個人の、もう百何十万者とございますので、そういった事業承継を促進するという意味での贈与税、相続税の新たな納税猶予制度というものを創設させていただくことにしております。

 いわゆる法人という組織ではなくて、個人がみずから事業をやっておられる、そういった個人事業者の特性も考慮して、後継者の死亡とか、また交通事故だとか、そういった一定の事故、災害等々の場合は猶予税額を免除、そして、経営環境の変化や身体のいわゆる故障等々によって適用対象資産というものが譲渡というようなこと、又は廃業という場合には、その時点の資産価額で猶予税額を再計算させた上で差額を免除するという緩和措置というのを講ずることとさせていただいております。

末松委員 所得税法一般に対しての我が党の対応はまた別途考慮しますけれども、この個人事業者の特性、今大臣さまざま言われたように、ぜひそこは個人事業者に寄り添った形で、今後ともしっかり進めていただきたいと思っております。

 さて、きょうは日銀の総裁にも来ていただいておりますので、ETFについて質問をさせていただきます。

 まず、最初、のっけから質問なんですけれども、ETFですけれども、いつまで買い続けるのか、どこまで買い続けるのか、それについて、総裁の方から御認識を伺いたいと思います。

黒田参考人 このETFの買入れにつきましては、株式市場におけるリスクプレミアムの拡大を防止するということによって経済や物価に対してプラスの影響をもたらすという観点から行っておりまして、いわゆる長短金利操作つき量的・質的金融緩和という政策パッケージの中の一つの要素として行っているわけでございます。

 現状、年間六兆円程度ということで行っておりますが、昨年、現在行っている金融緩和全体について、より持久性を高めるという観点から、フレキシブルな資産買入れということにしておりまして、このETFにつきましても、年間六兆円のペースということではありますけれども、月々、それから年間全体としても、六兆円を上回ることも、あるいは下回ることもあるということで、よりフレキシブルな形で行って、機動的にリスクプレミアムの拡大を防ぎ、圧縮をするということでやっておりまして、現状、こういった政策が必要であるというふうに考えております。

末松委員 今、リスクプレミアムのお話が出ました。

 これは後でも私、問題にするんですけれども、このリスクプレミアム、上がったり下がったりするんですね。そのたびに日銀が買入れをやっているという話なんですけれども、まだ総裁がお答えいただいていないということは、いつまでやるんだということは、リスクプレミアムに働きかけるということですけれども、それの期限というものは全く示していない、こういう理解でよろしいですか。

黒田参考人 先ほど申し上げましたように、このETFの買入れも、現在行っております長短金利操作つき量的・質的金融緩和という全体の金融緩和の枠組みの中で行っているわけでありまして、それは二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するという観点から行っておりますので、当然のことながら、二%の物価安定目標が実現されるような状況のもとにおいては、全体について、出口、正常化ということになろうかと思います。

末松委員 これはあらかじめ質問は言っていなかったんですけれども、今のお答えの中で、物価が二%になれば、出口を示す必要があるなという話も伺いました。

 今、ことし消費増税という話になっていますけれども、これで消費増税分というものが二%という形で一気に押し上げていった場合、これもそういうことにカウントしてやっていくということですか。ということは、つまり、出口戦略が、二%近くに上がっていけば、それは早まっていくという話を言われているのかどうか、そこをお尋ねします。

黒田参考人 最新のいわゆる展望レポートで政策委員の大勢見通しを示しておりますけれども、それによりますと、消費者物価指数(除く生鮮食品)で、二〇一九年度がプラス一・一%、二〇二〇年度がプラス一・五%という見通しでありまして、二〇二〇年度においてもまだ二%に達する可能性は薄くて、その先になろうかというふうに思っております。

末松委員 二%になるまではずうっと続ける、こういうことが日本国にとっていいのかどうか、これは私もこれからちょっとチェックをさせていただきたいと思いますけれども。

 資料の一に、「意外に高い日銀保有ETFの簿価 株価一五%下落で赤字決算も」と書かれた、週刊ダイヤモンドというところがことしの二月二十三日に出しているのがございます。

 これをちょっとかいつまんで申せば、この記事はモルガンというところの方が出しておられるそうですけれども、海外証券会社の試算によれば、二月二十五日現在、TOPIXで一六二〇だったのが、TOPIXが一四〇〇を割り込むあたりで、保有ETF全体の時価が簿価を下回るんだ、そして、一三五〇を割り込むと必要な引当金が年度ベースの剰余金を上回って、日銀決算上の赤字になると書いてございます。

 そうなると、これは仮定の話ですけれども、そういった場合には、今、政府に国庫納付金、昨年あたりは七千二百六十五億円ですか、これを納めているのが納められなくなって、歳入減にもなると。また、この記事が書いているのは、現在のTOPIXで計算すると、日銀が赤字になる一三五〇までは一七%安にすぎず、変動の激しい昨今の相場では、短期でも下がり得る水準、例えば、昨年十二月二十五日が一四一五ポイントまで下がった、こういうこともあるということが書かれていますけれども。

 この記事を見ながら、日銀が含み益を失う、ETF全体の時価が簿価を下回る水準というのは、TOPIXでどのあたりの水準なのか、そこは教えていただけますでしょうか。

黒田参考人 御案内のとおり、日本銀行は、上半期末及び事業年度末について、ETFを含む保有有価証券の含み損益を公表しております。直近の二〇一八年九月末時点で日本銀行の保有するETFには約七・二兆円の含み益がありました。また、同時点のETFの保有状況を前提として、TOPIXが一〇〇ポイント下落した場合の影響を試算しますと、ETFの含み益は一・六兆円程度減少する計算となります。

 こうしたもとで、二〇一八年九月末時点のETFの保有状況を前提として機械的に計算しますと、TOPIXが一三五〇ポイント程度を下回ると、保有ETFの時価が簿価を下回る計算となります。

末松委員 一三五〇ポイントですね。

 では、日銀決算上の赤字となるのは、TOPIXでどのあたりの水準になりますでしょうか。

黒田参考人 御案内のとおり、日本銀行の損益といいますと、国債の利息収入あるいはETFの分配金等の収益がある一方で、補完当座預金制度利息等の費用がありまして、これらさまざまな要因によって決まってまいります。

 したがいまして、ETFの要因のみを取り出して、赤字になる水準というのをお答えすることはできないということを御理解いただきたいと思います。

末松委員 確かに、ETFだけでどうかというのは、なかなか難しいところはあるというのは理解はできます。

 ただ、今、昨年の十月から十二月に経験したように、株価がかなり急落をしていく、場合によっては暴落をしていくような、そういうふうな状況があり得る可能性も否定はできないわけです。そうして株価が暴落すれば、市場の方が日銀の財務リスクというものを意識せざるを得なくなってくる。つまり、日銀が保有するETFの存在が市場のリスク要因になるのではないかというふうな識者の見方がございます。またこの記事にも書いていますけれども。

 こういった場合に、更に日銀がETFを、今度は購入をふやしていくような形になるのか、それとも日銀のバランス・オブ・ペイメントを勘案しながらまたやっていくのか、その辺についてはいかがなんでしょうか。

黒田参考人 これも委員御存じのとおり、ETFの保有につきまして、保有ETFの時価が簿価を下回りますと、その際には引当金を計上するということになっております。したがいまして、これによって日本銀行の財務の健全性は確保されていくというふうに考えております。

 なお、仮に日本銀行が保有しているETFの時価が簿価を下回って引当金を積むということになった場合でも、それ自体が何か、先ほど申し上げたように、日本銀行の財務の健全性云々について問題になるわけではありませんし、まして、それがマーケットの、ETFとか株価に何かマイナスの影響を与えるということは想定しがたいと思っております。

 ただ、いずれにいたしましても、この政策は長短金利操作つき量的・質的金融緩和という全体の政策の中の一環でありますので、そういうものとして、現時点では必要な措置であるというふうに考えておりますが、この措置に関する効果と想定される副作用といったものについても、今後とも十分検討を続けてまいりたいというふうに思っております。

末松委員 引当金が、それが引き当てられるお金があればいいんですけれども、それを超えるような損失が起こった場合は、ある関係者から聞くと、日銀の帳簿上は、総資産の四兆円、そこから削られていくという話もございますけれども、そういうふうに帳簿上は手順として踏んでいく、そういう理解でよろしいですか。

黒田参考人 中央銀行が全体として赤字になるということは比較的まれでありますけれども、欧州の銀行でも赤字になったことがございます。スイスの中央銀行が最近の例ですし、それから、FRB自身も、出口に至って、大量に買い入れた資産を売却していく中で赤字になる可能性があるということを述べておりました。

 したがいまして、御指摘のような、赤字になる可能性があるかと言われると、絶対にありませんとは言えませんが、ただ、現在考えておりますような規模で長短金利操作つき量的・質的金融緩和を行っていき、二%の物価安定目標が実現するという状況のもとで出口に差しかかり、正常化を進めていくという場合も、米国の例を見てもわかりますように、極めて緩やかに正常化を進めてまいりますので。

 米国の場合も恐らく赤字になる可能性は少ないと思いますし、我が国の場合も緩やかに正常化を進めていくという中で赤字になる可能性は少ないというふうに思いますけれども、絶対になりませんと言うことは、先例がありますので、ブンデスバンクもスイス中央銀行も赤字になったことがありますので、絶対にないということは申し上げられませんけれども、ただ、恐らくそういうふうにならないだろうということと、そうなったからといってブンデスバンクやスイス中央銀行の信認が失墜したということもなかったというふうに思います。

末松委員 わかりました。そこは非常に注意深くやられてなければいけないので、よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと目先を変えて、日銀保有のETFの管理手数料についてお聞きします。

 今、日銀保有のETFの残高が、例えば今約二十六兆円程度であれば四百億円程度の毎年手数料を払っているかと思うんですけれども、それはどのくらい払っているんでしょうか、直近のやつで。

前田参考人 お答えいたします。

 日本銀行では、ETFの買入れ事務を信託銀行に委託しており、信託銀行に対しては信託報酬を支払うこととしております。

 この信託報酬の金額につきましては、昨年十二月七日の本委員会の質疑において、丸山穂高委員にも御質問いただいたものでございます。その際は、金額の開示について委託先との調整が整っておらず、お答えを差し控えさせていただきましたけれども、丸山委員の御質問を契機に調整を行いまして、本日まで、委託先の了承を得られましたので、お答えさせていただきます。

 日本銀行が信託銀行に支払った二〇一七年度の信託報酬は、一千二十一万円ということになります。

 年四百億円程度ではないかというような御指摘が今ございましたけれども、これは、恐らくは、ETFを運用する投資信託委託会社、信託銀行じゃなくて投資信託委託会社の手数料のことではないかというふうに推察されるわけでありますが、この手数料はETFの保有者であればひとしく負担するものでございます。

 もっとも、投資信託委託会社等の手数料については、ETFの保有者がそれだけを取り上げて支払うものではございませんで、ETFを構成する株式から生じた配当などの収益から手数料などの費用を控除した金額を私ども分配金として受け取っております。

 具体的に申し上げますと、日本銀行が受け取ったETFの分配金でございますが、二〇一七年度で約二千八百億円、これは配当等から手数料等を差し引いたものということになりますけれども、手数料の金額のみについては私どもとしては把握していないということとなります。

末松委員 直接払っていなくても、日銀保有のETFの残高が減少するとか、そういう形でたしか払われているんじゃないですか。手数料というのは、手数料という言い方ではないかもしれませんけれども、何らかの形のサービス料は払わざるを得ないし、払うというのは、むしろ減少額で、それが投信の方でやっていることなんじゃないですか。

前田参考人 なかなか技術的な話になるわけですが、基本的に、株式を保有していますと、ETFの原資産となるのは株式でございますけれども、通常であれば配当金というものがございまして、それが通常であれば一つ一つの手数料を大きく上回っているということでございますので、これまでのところも配当金の方が手数料を大きく上回るという状況でありましたので、何か私どもの保有しているETFが手数料の支払いでマイナスになっているということは、全体としては生じていないと。

末松委員 私が言っているのは、配当金は来るでしょう、大量に買っているんだから。それに対して、その全額が配当金ではなくて、さっきあなたが言ったように、その中で手数料分を取り除いて、そしてもらっているわけでしょう。だから、そこの手数料分の額は幾らかというのが私の質問ですよ。

前田参考人 繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げたとおり、私どもいただいているものにつきましては、その内訳というのはわかっておりません。したがいまして、ネットでの私ども分配金を受け取っているということになりますが。

 恐らく、委員御指摘の件は、私どもの保有しているETFの金額と一般的な手数料、TOPIX等の手数料については一般的には残高の〇・一から〇・二%というふうに言われておりますけれども、私どもも残高二十兆円台半ばほど保有しておりますが、これに機械的に〇・一から〇・二を掛ければ四百億円ぐらいになるということかと思いますが、これもあくまでも機械的な試算ということでありまして、その金額等については私どもとしては把握していないということでございます。

末松委員 把握していなくていいんですか。そこのところは、やはり手数料というのはきちっと、ただで四百億円という話にならないわけですから。

 それで、ちょっとこれは業界の専門家から聞いたんですけれども、四百億円、仮に払っているとしたら、二十五年間で一兆円近くなるわけですよ。これって大きな話ですよね。それまでに払ってきている分もあるわけですよ。

 これというのは、国民の負担とは全く関係ないんですか。これは日銀の負担だけですか。

前田参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、ETFの買入れに伴って、手数料なり費用、私ども直接には信託銀行に信託報酬を払っておりますし、委員御指摘のように資産運用会社に対しては手数料をコストとして払っていることは事実ではありますけれども、繰り返しになりますけれども、分配金そのものは、手数料を差し引いた後でも、例えば一七年度の例に即して言えば二千八百億円あるということでございますので、逆に言えば、やはりこういうビジネスに関連するものというのは収益とコストのネットのものだと思いますので、私どもが運用していることによって収益も得られているということは事実でありますので、ネットとして毎年数千億の利益が生じているということかと思います。

 また、そもそも、ETFの買入れでございますけれども、今の金融政策の枠組みの一つの要素として経済、物価にプラスの影響を及ぼしているという観点から実施していることもどうぞ御理解いただければと思います。

末松委員 いや、別に、やっていることを全て否定しているわけじゃないんですよ。政策をやる場合、コストとパフォーマンスでやっているわけでしょう。あなたが言っているのは、コストは余り関係しなくて、我々は知りません、パフォーマンスが結構いいでしょう、だから理解してくださいねと。片方の議論を吹っ飛ばしているんですよ。

 例えば黒田日銀総裁が記者会見で、二〇一八年六月十五日に、特にETFの場合、株式市場のリスクプレミアムに働きかけることを通じて経済、物価にプラスの影響を及ぼしていく観点から実施している、私どもの見るところETF買入れを通じたリスクプレミアムへの働きかけはやはり一定の役割を果たしている、効果を持ったと思っている。さらに、リスクプレミアムのはかり方はいろいろあるがこれまでのETFの買入れあるいは増額のときの影響を見るとそれなりに大きな役割を果たしてきたのではないか。こういうふうに言っておられるわけですね。

 そこで、資料の二を見ていただきたいんですけれども、これは三井住友アセットマネジメントが「日銀のETF購入とリバーサルレート」という記事を書いて、そこで、それを出典としてやっているわけですけれども、例えば、二〇一三年の四月に日銀の量的緩和が始まった、異次元緩和が始まった、これを一兆円に拡大した、そこでリスクプレミアムが大いに下がった。でも、またちょっとして上がっていくわけですね、どんどんリスクプレミアムが。そして、二〇一四年の十月に日銀が追加措置をやって、年三兆円増額していく。そうすると、つり上がっていたリスクプレミアムが下がっていくわけですよ。このときは、GPIFの国内株式を五〇%というのも同時に行っていますね。でもまた上がっていくんですね、このリスクプレミアムが。

 そこで、今度は、二〇一六年の七月二十九日から日銀のETFが年六兆円の買入れにまた倍増するわけですよ。そうすると、また下がっていくわけですね。でもまた、例えば一八年、ちょっと調べられる限りでは、一八年の七月は、リスクプレミアムが七・六六五までまた上がってきている。

 つまり、私が言いたいのは手数料という話。当然、サービスをやってもらったら手数料を払うのは当たり前だ。だから、どんどん買入れをふやしていっても、結局またリスクプレミアムが上がっていって、効果がほとんどなくなってきているじゃないか。手数料だけは、さっき言った、業界関係の方が四百億円という、これをどんどんどんどん払っていく、そういうことは、結局、効果がなくても払っていかざるを得ない。

 こういうのは少しおかしいのじゃないか。本当にリスクと、あるいはコストとパフォーマンスが釣り合っているのか。見たら、数カ月後には必ずリスクプレミアムがまた上がっているんですね。おかしいじゃないか。そのたびに日銀は三兆だ、六兆だといってどんどん買入れを進めていて、泥沼にはまっているように見えるわけですよ。

 その辺について、どう説明されますか。

黒田参考人 まず、リスクプレミアムにつきましてはさまざまな指標がありまして、市場関係者もそれらの指標を組み合わせて見ておられるんだと思います。我々も、さまざまな指標を見ながらリスクプレミアムを考慮しているわけでございます。

 そうした上で、こうしたETFの買入れにつきましては、国際金融市場の不安定な動きなどを背景に、我が国の株式市場において、日本銀行の買入れなかりせばリスクプレミアムが大きく拡大した可能性があるような場合に、これを抑制する効果を発揮してきたというふうに考えております。

 例えば、最近では、昨年秋から年末年始にかけて、米国株価の大幅下落などを背景に、我が国の株価も大きく変動いたしましたが、足元にかけて株式市場は落ちつきを取り戻してきております。この間、日本銀行によるETFの買入れのペースは一時的にかなり増加したわけですけれども、現在また減少しておりますけれども、こうした柔軟な買入れが市場の不安定な動きを緩和する効果があったのではないかというふうに考えております。

末松委員 コストの話は、もうちょっとこれは続けてまたさせていただきます。

 今言われたリスクプレミアムでも、幾つかの指標があるという話で、それは幾つかの指標を見ながらやっておられるわけですけれども、何か、黒田バズーカと言われるようなものでどんどんやっていけば一時的にはおさまるけれども、またリスクプレミアムが上がっていく。またそれを大量に買い入れて、またしばらくすると上がっていく。こういう繰り返しになって、本当に、ただ日銀がどんどんどんどん買い入れ、今、時価で二十九兆円ぐらいですか、買い入れるという話がありますけれども、これはひょっとしたらGPIFを超えるんじゃないかと言う専門家もいるぐらいですね。その効果とコスト、これに関して、やはり中立的な第三者の専門家ということも検証していくべきじゃないですかね。

黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、ETFの買入れに当たりましては、当然、その効果のみならず、副作用の点についても点検する必要があることはそのとおりでありまして、この点、日本銀行では、これまでも丁寧な点検を実施して、それを踏まえて、具体的な買入れ方法や金額等についてさまざまな工夫を行ってきております。日本銀行としては、今後ともこうした努力を続けてまいりたいというふうに思っております。

 また、このETF買入れは、先ほど来申し上げているとおり、長短金利操作つき量的・質的金融緩和の枠組みの一つの要素として、物価安定の目標を実現するために必要な措置であると考えております。

 日本銀行といたしましては、こうした買入れの必要性、さらには効果や副作用などについて、国会を始め金融市場や広く国民に対して説明し、その理解を得るよう努めていくということも大事なことであるというふうに考えております。

末松委員 そういう御意思を示されるのは、それはまあいいですけれどもね。例えば、海外の中央銀行で、日銀のETFのような、株価つり上げ操作というような、こういうことをやっているのは、ほぼそういうものは見られない、みんな慎み深くてやっていないと私は認識しているんですね。こんな麻薬のような、私から言わせればちょっと金融政策としては邪道のような気がするんですけれども、そういうものにはやはり限界があるんじゃないかなと。

 もうちょっと見方を変えれば、今度、株価下落が怖くなって、ETF資金を市場から日銀が引き揚げるといったときに、これは例えば安倍政権以降の政権ではできなくなってくるんじゃないか。一旦資金を入れたら、もう出口とか何とかいったって無理じゃないか、そもそも出口論の出口がなくなってくるんじゃないか、そういう危機感をあらわにしている識者もいるんですけれども、最後にそこを、ETFについてお伺いします。

黒田参考人 これも先ほど来申し上げておりますとおり、二%の物価安定の目標の実現、これが大前提でありまして、その実現になお時間がかかることを踏まえますと、ETF買入れを含む金融緩和からの出口のタイミング、あるいはその際の対応を検討する局面にはまだ至っていないというふうに思っております。

 なお、政策委員会が定めた基本要領では、仮に、将来、ETFの処分を行う場合には、新たな処分の指針を策定するということにされておりまして、その考え方としては、市場等の情勢を勘案した適切な対価によること、市場等に攪乱的な影響を与えることを極力回避すること、損失発生を極力回避することといった方針が既に明らかになっております。

 いずれにいたしましても、現在保有しているETFの今後の取扱いについては、その時々の情勢を踏まえて適切に判断してまいりたいというふうに考えております。

末松委員 これはまた、継続的に私もチェックさせていただきたいと思います。

 次に、GPIFの運用について質問させていただきます。

 今、よく言われているのが、累積の収益額がGPIFは五十六・七兆円になっているんだ、これだけもうけているんだということを非常によく強調されていますけれども、その前の民主党政権の場合とかその前の政権を差っ引くと、安倍政権になってからは幾ら累積収益額になっていると言えますか。

高橋参考人 委員御指摘の、二〇一三年一月から二〇一八年十二月末までの累積収益額に直しますと、三十九兆一千億円になるかと思います。

末松委員 三十九・一兆円が、安倍第二次政権ができてからの累積収益額だということがわかりました。

 この三十九・一兆円のうち、含み益というのは幾らになるんでしょうか。逆に言えば、それ以外の、利益確定売りとか、あるいは利息とか配当金、こういったものを足すと幾らになるんでしょうか。

高橋参考人 当該期間の累積収益額三十九兆一千億円のうち、利子、配当収入、現金でいただいた部分は十五兆二千億円、売買損益は八兆四千億円、したがいまして、残りの十五兆五千億円が評価損益等になるかと思います。

末松委員 わかりました。これについてまた、ちょっと分析をさせていただきますが。もとが回答できないという話だったものですから、ちょっと、そこのところ、また更に分析してきます。

 では、手数料についてお伺いします。

 百五十兆円の運用というのは、手数料を年間幾らぐらい払っていますか。

度山政府参考人 お答え申し上げます。

 GPIFから毎年、業務概況書が報告をされておりまして、そこに管理運用委託手数料の記述がございます。直近の二〇一七年度で申しますと、四百八十七億円という数字になってございます。

末松委員 では、それでいくと、例えば二〇〇一年度からそういう手数料、もし四百八十七億円、多少、当然違うのかもしれませんけれども、これまでに累積で、約十八年間払ってきたということであれば、約九千億円ぐらいは払ってきているというふうに認識していいですか。

度山政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと、暦年の手数料が幾らで、累積で幾らになるかという、今数字は持ち合わせておりませんが、GPIFは基本、委託をして運用ということをしておりますので、委託する際には当然手数料がかかるということで、あとは、資産規模で、委託をする額の大体何%ぐらい、そういうことになりますので、累積で資産額がふえると多少手数料はふえる、そういう関係にはあると思います。

末松委員 この手数料というのは海外と比べて安いということを事務方の人は強調していましたけれども、実際そうなんですか。

度山政府参考人 お答え申し上げます。

 通常、運用資産額に対してどれぐらいの比率かということで手数料の水準というのは比較することが多いので、それで申し上げますと、この二〇一七年度の四百八十七億円という数字は、百五十五・七兆円という運用資産額に対しては約〇・〇三%という数字になります。

 例えば、海外の公的年金あるいは職域年金で代表的な幾つか大きなファンドがございますが、それの平均を出してみますと、〇・二九%という数字になってございますので、比較をしても、かなりそこはコストを抑えて運用をしていただいているというふうに認識をしております。

末松委員 今のものが、例えばカリフォルニアの職員退職制度なんかは三十七兆円、カナダは二十九兆円。これに対して、GPIFは百五十一兆円という、本当に鯨のような強烈なでかさですから、スケールメリットでいけば、それは安くならないとおかしいんですね。

 ただ、コストとか常に考えていないと、四百八十七億円、例えば二十年続けたら、これもやはり八千億円とか、一兆円近くになっていくわけですから、これはちょっと、やはりこれは当然国民の年金から払っている話ですから、これは常に意識していただきたいと思います。

 ちなみに、海外の資産運用はいかがですか。例えばアメリカは、三百二十六兆円という、断トツに年金の資金は高いんですけれども、国の法律によって一切株式には回していない。イギリスとかドイツとかフランス、イタリアは、年金資金というものをどの程度運用しているのか、していないのか、そこをお聞きしたいと思います。

度山政府参考人 お答え申し上げます。

 先進国の公的年金の多くは、いわゆる賦課方式という形で運営されている国が多いというふうに承知をしております。

 我が国は、これまでの保険料の累積がありまして、給付費の数年分の積立金を保有しているわけですが、我が国並みに給付費の数年分の積立金を保有している国としては、代表的にはカナダとかスウェーデンが挙げられます。これらの国では、我が国同様、市場運用もされておりまして、大体四割から六割ぐらいの割合が内外の株式に投資をされているというふうに承知しております。

 それで、御質問のあった五カ国では、アメリカを除く国においては、これはOECDの報告書で確認をしたんですが、いわゆる市場運用のアセットの報告がありませんので、基本的には年金の支払い準備金的な程度の額しか保有しておらず、一般的に言われる市場運用はしていないというふうに認識をしております。

 アメリカは、今御質問にありましたように、給付費の大体三年分に当たる比較的大きな積立金を保有しておりますが、よく知られておりますように、非市場性の国債という形で資産が管理されているというふうに承知をしております。

末松委員 GPIFも本当に、断トツに高いということで、これも株式市場ですね。もし株式が下がっていくと大変な状況になるわけですね。例えば、二〇一八年の十月から十二月の三カ月間だけで十四・八兆円の赤字が出たと報告に書いていました。

 こういうのは、先ほど三十九・一兆円の中で、多分、株式の含み益が十数兆円と言っていましたっけ。ちょっとそこは私もなかなか書き取っていなかったんですけれども。これで、たった三カ月だけで十四・八兆円ががくっとそれだけ傷つけられる。これから更に株価が下がってきたら、もう目も当てられない状況。特に年金ですからね、この原資が。これはとんでもなくなると思うんですけれども。

 含み損となってしまうというようなところの日経平均の株価というのは、大体どういうふうに推量していますか。

高階副大臣 今、どのぐらいの水準かというお尋ねでございますけれども、年金積立金の運用につきましては、厚生年金保険法等の規定に基づきまして、年金事業の運営の安定に資することを狙いとして、長期的な観点から行うとされているところでございます。

 こうしたことから、将来の年金給付の財源となる積立金を確保するため、長期的に、資産全体としての収益の変動を抑えるよう、国内、国外の債券、そして株式への分散投資という形で運用を行っているものでございます。

 御指摘の代表的な指標、例えば日経平均株価あるいはTOPIX等の指標の変動がそのまま運用結果に反映されるものではないということでございまして、委員御指摘の御質問に直接的にお答えすることは困難でございますが、厚生労働省といたしましては、今後とも、年金が国民の老後を支える極めて重要なものであることを踏まえまして、将来にわたって安定的に確保されるよう、長期的な観点から、安全かつ効率的な運用に努めてまいりたく存じます。

末松委員 さっき日銀の総裁も同じようなことを言われていて、まあ、それは実態上はそうだと思いますよ。ただ、日経平均がどんどん下がってくればくるほど、これはとんでもないことになるので、そこのときの責任と、それから対策というのを常に考えておいてほしいと思います。

 では、次に、日本国の金の保有問題に移ります。

 まず、財務省と日銀の金の保有について。大体、日本として何トンぐらい持っているのか。今、外為勘定の方で七百六十五トンというのが出ているわけですけれども、この内訳はどうなっているんですか。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、外貨準備における金の合計額でございますけれども、これにつきましては、毎月発表してございます外貨準備等の状況に記されておるとおり、平成三十一年の一月末時点で、金額にして約三百二十六億ドル、重量にしまして約七百六十五トンでございます。

 そのうち、外為特会、財務省で持っている分については幾らかという御質問でございましたけれども、特別会計の資産及び負債の状況等の財務情報を開示することを目的といたしました特別会計財務書類をベースに計算しますと、平成二十九年度末時点の保有量は約三十五トンでございます。

末松委員 日銀はどうですか。

黒田参考人 ただいま答えがありましたように、我が国の外貨準備に計上されている金は七百六十五トンでありまして、そのうち、日本銀行が保有するのが約七百三十トンということで、残りの三十五トン程度が財務省の保有ということでございます。

末松委員 これはなかなか実際に数字が明らかにならなくて、いろいろな推量が飛んでいたわけですけれども、そういう形で一応しっかりと数字を言っていただいて、そこは評価をいたします。

 この金はどこに保管されているんですか。

武内政府参考人 財務省の外為特会が保有する金につきましてでございますけれども、ニューヨーク連邦準備銀行において保管されてございます。

末松委員 日銀はどうですか。

内田参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行が保有する金の過半につきましては、同じくニューヨーク連銀に寄託をしております。残りは日本銀行自身が保管しておりますほか、ごく少額でございますが、イングランド銀行及び国際決済銀行に寄託している分もございます。

末松委員 これは資料の四なんですけれども、昭和四十年の八月三十一日、参議院の大蔵委員会の会議の議事録で、一番上の方に、中尾博之政府委員が、日銀全体で今保有しておるのはどのくらいございますか、トータルでと聞いているのに対して、このように述べています。資料がございますので申し上げます、日銀が手に持っておりまするのは全部で二百六十三トンでございます、このうち百八十七トンは海外、これはニューヨークの連銀でありますが云々と書いていますけれども、これは、財務省の方はIMFの関係で得たものが三十五トンあるというのは私も確認したんですけれども、日銀は、その当時で二百六十三トンというんですけれども、これが先ほど言っていた七百三十トンまで上げられているというのは、これはニューヨークの方で日銀の方で市場から買い入れた、こういうふうに理解してよろしいですか。

内田参考人 日本銀行の金の保有でございますが、古くは明治時代の兌換銀行券制度のもとで買入れを始めまして、その後も、金準備の充実等を目的に買入れをしてきたというものでございます。

末松委員 ニューヨーク連銀の保管料というのはあるんですか、ないんですか。財務省と日銀、両方答えてください。

武内政府参考人 ニューヨーク連邦準備銀行の保管につきましては、手数料はかかってございません。

内田参考人 ニューヨーク連銀分につきましては、無料でございます。

末松委員 日銀の金なんですけれども、これは日本国の所有の金だと言ってよろしいですか。

内田参考人 これは日本銀行が保有しておりますので、日本銀行の資産として計上しております。ただ、中央銀行が保有します金は、IMFの基準で外貨準備に計上するということでございますので、外貨準備に計上しているということでございます。

末松委員 所有権は日銀にあるけれども、外貨準備等で必要な場合は、それは国民のため、日本国のために使うんだ、こういうことでよろしいですか。

内田参考人 日本銀行の目的に沿ってやるということだろうと思います。

末松委員 なぜこんなことを言うかというと、今、二〇一二年でしたか、たしか、ドイツがアメリカの連銀に対してドイツが保管している金を返してくれということで、それで交渉を行って、ドイツは二〇二〇年までに三百トンの金をドイツに移送するということ、また、オランダは百二十二トンを移送するということが決まっているということでございます。

 一説によると、幾つかいろいろな報道はあるんですけれども、本当にニューヨーク連銀の方に、実際にそこに日本国の金が、財務省と日銀の方が持っているものがあるのかどうか、そこを疑問視をするというような、こういった意見もあるものですから、それは、もしなくなっていたら大変だねというのは誰でも思うわけでございます。

 ですから、そこはちゃんと調査をしてやっているのかどうかをお聞きしたいと思います。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、毎年一回、私ども、外為特会の場合につきましても管理の方は日銀にお願いしているところでございますけれども、ニューヨーク連邦準備銀行の方から、帳簿上幾らが日本のものであるというもの、数字が来ておりまして、その数字が私どもの数字と合致しているかをチェックしているところでございます。

 それから、実際に、では、ニューヨーク連銀がどのように金を管理しているかでございますけれども、これはニューヨーク連銀のホームページからでございますけれども、国ごとあるいは国際機関ごと、中央銀行ごとに百二十以上の区分けをしまして、この部分はどこどこの国の金だということで管理しておるということで、その小区分に入るためには必ず三人の立会いのもとで入らなければいけない等々、非常に厳格に金の延べ棒を管理しているというふうに承知してございます。実際、ニューヨーク連銀の地下に行きまして、その小区分のところを職員が見たこともございます。

末松委員 こういういろいろな、紙幣がやたら乱発されて、非常に紙幣そのものに価値がなくなってくる危険性も高まってきているところでございますから、そういったのは、日本政府としても、自分のところに金を保管する。ニューヨークの利便性を考えて、それは全部とは当然言わないまでも、きちんとそこは、日本の金は日本国でしっかりと保管をしていくということを私は考えるべきではないかと思うんですが、財務大臣と日銀総裁から、その点についてのお考えをお伺いします。

麻生国務大臣 これは、末松先生、いわゆる私どもの言う外為特会、外国為替資金特別会計の保有する金につきましては、やはりニューヨークでの取扱いの幅が厚いということもありまして、金の非常に厚い市場を有しているというのが一点。それから、金を売却するときの候補地というのがあるんですけれども、大体、各国の政府、中央銀行も、金の保管先としてはニューヨークというものを、連邦準備銀行を利用しておりますので、仮に、移送するということを言っておられるんだと思いますけれども、移送するというふうになった場合に、保険料を含みますコスト、また輸送の安全性を考えたリスクを考えますと、私どもとしては、国内に移管をするより、引き続きニューヨーク連邦準備銀行で保管する方が、いろいろ取引をする場合においても妥当性があるというように考えております。

黒田参考人 先ほど申し上げましたとおり、日本銀行が保有する金の主な海外寄託先はニューヨーク連邦準備銀行でありまして、保管手数料もかからない中、輸送コストや輸送に係る安全面なども考慮いたしますと、海外で寄託している金を国内に移送する必要性はないのではないかというふうに考えております。

末松委員 質問を終わりますけれども、あとちょっと海面上昇の件で空港のことを聞きたかったんですが、集われた皆さんにおわびを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

坂井委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。よろしくお願いいたします。

 七百六十五トンの金の延べ棒を私も一度見てみたいなと思いながら末松先生のお話を聞かせていただいておりましたけれども、そういう夢のような世界ではなく、私たち庶民は現実の生活の中で四苦八苦しているわけですけれども。

 ことしの十月から消費税増税が始まる、八から一〇になるということで、政府的には、逆進性対策である、そして低所得者対策であるということで、軽減税率を導入される、複数税率にするということで、この軽減税率による減税額、平成三十一年度の予算案の中で約一兆一千億を見込んでいらっしゃるわけでございますけれども、昨日、この一兆一千億の財源についてさまざまな議論があったわけでございますが、この一兆一千億が、どのように恩恵が所得階層別に行くのかということについて政府として責任ある説明をされるべきであるということを申し上げたらば、主計局長さんから、要望に基づいて計算することを検討するからねということでございました。計算は進んでおりますでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日の委員会におきまして、消費税の軽減税率の各所得階層への減税額を示すべきだという委員からの御要請に対しまして、一定の収入階級別のデータを用いて、軽減税率による減収見込み額、三十一年度で約一・一兆円でございますけれども、これを割り振るという、大胆な仮定を委員が置いていただければ計算は可能である旨答弁を申し上げまして、その上で、昨日、委員会後、御相談を申し上げて、一定の仮定を置いた試算の作成の指示をいただきまして、それに基づいて現在計数を精査中でございまして、できるだけ早くお示ししたいと考えております。

川内委員 鋭意作業をお進めいただいて、教えていただきたいというふうに思います。

 さらにもう一つ、昨日、経済産業省の方から、これは麻生大臣からも、これは大丈夫かよという御発言が図らずもあったポイント還元についてなんですけれども、事務費が六百八十三億円ということで、そのうちの三百億円が、御答弁をいただいたときは、私はいろいろな言葉を知らないものですからよくわからなかったんですけれども、速記録を見たら、ハンズオン支援として三百億という御答弁がございました。このハンズオン支援とは何ですか。ちょっとそれを教えていただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のこのポイント還元の事業に関しましては、できるだけ多くの中小・小規模事業者の方に御参加いただくということが重要だというふうに考えてございます。

 このために、我々、通常の方法で、例えばホームページとか新聞広告等を使いまして制度のPRはするわけでございますが、なかなか中小・小規模事業の皆さんに行き渡らないということがございますので、我々としては、この際、徹底的に一つ一つのお店を掘り起こして、そこを、例えば直接訪問するというような形で制度の説明、それから、この事業への参加、そして必要な手続を行ったり、あるいは機器のセッティングを行ったりというようなことを、一つ一つのお店の御要望に応じて対応していきたいというふうに考えておりまして、これが、申し上げたハンズオン支援ということの中身でございます。

川内委員 人を派遣して一つ一つのお店をサポートするよ、それがハンズオン支援という言葉の意味だよと。それが三百億ということなので、具体的な事業のスキームというか、どこか業者さんに委託してそこがやるのか、国が直接やるのか、多分、どこかに委託されるんだろうと思うんですけれども、ちょっとその辺、イメージを説明してください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、各店舗へのそういった形での個別の周知活動でございますとか、あるいはそういった必要な手続のサポート、それから機器の入れかえとかそういったセットアップ、それから開始後のフォローアップというようなことについて、それぞれ専門の知識を持った方にお願いしたいというふうに思ってございます。

 専門の知識を持った方といいますと、おおむねの場合、決済事業者の中にそういった方がいらっしゃるということが多うございますので、決済事業者の方でそういったチームをつくっていただいて、そこにお願いするという形で事業を進めるということを想定してございます。

川内委員 そうすると、決済事業者それぞれのお会社に、このハンズオン支援の業務を委託してやっていただくということになるんですね。

藤木政府参考人 対象となる店舗は非常に数多くございますので、全部が全部かということはありますけれども、おおむねそういったような形になるのではないかというふうに思っております。

川内委員 この決済事業者に委託する発注者は、国が直接、決済事業者に発注することを考えているんですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 この事業全般でございますが、この事業全般に関して、それを執行するための管理団体、管理法人のようなものを募集しようと思っておりまして、そこに一回我々から仕事をお願いしまして、そこを通じて募るという形にさせていただこうと思っております。

川内委員 ある管理法人、一社を国としては選んで、その管理法人から発注していくということなんですね。

 ああ、だから。わかりました。一部報道で、何かポイント還元で広報に四百億使うんだという記事が出たわけですけれども、きのう説明していただいた広報の六十億、それからこのハンズオン支援三百億、足して大体四百億、それを一社に委託する、そういうことですね。

藤木政府参考人 私も、新聞を見て、四百億、中身はどういうことだと思ったわけでございますが、大体、今先生、御理解のとおりではないかというふうに思っております。

川内委員 これは予算が通っていないのに、そんなことはないと思うんですけれども、新聞の記事、あるいはいろんなネットのニュースなどでは、D社という個社名まで出ていたんですけれども。ここで固有名詞は挙げないです、アルファベットDですけれども。そんなことは全然決まっていないですよね。

藤木政府参考人 当然、公募を経て決まることでございます。

 厳密に申し上げますと、予算成立を前提として、四月からできるだけ速やかに事業を開始したいということで、今、公募作業を行っている最中でございますが、それは予算成立を条件として公募をしている段階でございまして、まだ決まったという事実はございません。

川内委員 今、公募期間中なんですか。もう公募の締切りは終わったと。

藤木政府参考人 済みません。公募は当然締め切ってございません。

川内委員 今のところ、じゃ、申し込んでいるのは一社ということなんですかね。今のところ何社申し込んできているんですか。

藤木政府参考人 本日現在、お申込みはゼロでございます。

川内委員 三百六十億の仕事ですからね。ゼロなんですね。わかりました。

 では、くれぐれも、ポイント還元、めちゃめちゃ、きのうも藤木さんも聞かれていたように、みんなが心配していますので、公正公平を期していただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、さらに、きょう、厚労省の統計不正問題での特別監察委員会の第二弾の報告書も出たようでございますけれども、行政の信頼というものが問われている中において、国民の皆さんから税金を集めて、百兆円を超える予算を政府としてお組みになられるわけですけれども、これも、二年前からずっと課題になっている、懸案になっている、行政の信頼にかかわる問題、森友学園問題について若干聞かせていただきたいというふうに思います。

 政府が、大臣、国有財産を大幅に値引きして、九億五千万円の土地を八億二千万円値引きして一億三千四百万円として、更にこれを十年間分割払いにした、一年間の支払い額は千三百四十万円で、それまでの賃貸料二千七百三十万円の半分にしたわけですね。

 事実関係だけちょっと確認をしておきたいんですけれども、瑕疵担保免除特約をつけて大幅な値引きをした事例というのは、財務省史上、この森友学園案件のみであると、安倍総理大臣や、去年、麻生大臣も、いやいや、訴訟のリスクを避けるためにこれだけ値引きはしたけれども、安全サイドをとったんだ、だから瑕疵担保免除特約はいいことなんだ、こうおっしゃったんですけれども、実はそんなことをして値引いた事例はこの森友学園案件しかないんだということを、まず、財務省理財局長に事実として確定させていただきたいと思います。

可部政府参考人 お答えいたします。

 川内委員御指摘の瑕疵担保免除特約につきまして、これまでの御審議の中でお尋ねがございましたので、確認をいたしました。

 過去五年間、平成二十四年度から平成二十八年度でございますけれども、財務局における財務省一般会計及び国土交通省自動車安全特別会計空港整備勘定に所属いたします普通財産を公共随契により売り払った事例を調査いたしましたところ、森友学園への国有地売却のように、瑕疵担保責任を一切免除する特約を付して、多額のと今先生おっしゃいましたけれども、一億円を超える値引きをして売払いを行った事例は、本件一件のみでございました。

川内委員 それで、その八億二千万円の値引きの唯一の根拠文書というのが、先生方のお手元に配付してございます参考資料についております、平成二十八年四月の、工事業者による試掘調査報告書という文書なんです。この試掘調査報告書に、三・八メートルまでごみがあるよという記載がある。しかし、会計検査院は、そう書いてあるけれども、深さを確認できないということを指摘したわけですけれども、ただ、三・八という数字がある唯一の書類なんです、この試掘調査報告書は。

 一枚目に、どこに穴を掘ったかというプロット図がありますけれども、この試掘調査報告書の中の二十一枚の写真のうち、七番、十番、十一番の写真が同じ写真じゃないのか、同じ試掘穴なんじゃないかということがずっと指摘をされていたんですけれども、今般、この工事業者からやっと報告書が出てきたわけですね。それで、同じ穴だと思いますとその報告書に書いてあるんですけれども、国土交通省さんもこの七番、十番、十一番の写真は同じ試掘穴であるということをお認めになられるかというのを、まず御答弁いただきたいと思います。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十一年一月三十一日に設計業者から、本件土地に関して大阪航空局から行っていた問合せについての回答書を受領しております。

 御指摘の工事写真七番と十番、十一番が同じ試掘穴の工事写真ではないかという点につきましては、試掘報告書において、工事写真七番は試掘穴三番を、工事写真十番と十一番は試掘穴四番を写した写真であるとされておりますが、今般の回答書におきまして、これら三枚の写真につきまして同一の試掘穴の写真と思われます、撮影者と資料の作成者が別の者であったこと、当初の試掘の資料が未整理であったことなどから、写真の引用を誤ってしまい、御迷惑をおかけしたと思っておりますなどと説明されております。

 ただし、同回答書では、試掘穴三番と試掘穴四番の写真の選定は間違えたものの、試掘穴三番と試掘穴四番の掘削深度やごみの層を記載した説明内容については誤りはないとされております。

 なお、約八・二億円の見積りの参考資料の一つとして用いられたのは、深さ三・八メートルまでごみが確認されたとされる試掘報告書における試掘穴一番ですが、これらについては今般の回答書においても、試掘穴一番について、この試掘坑についてはミスはありませんなどとされていると承知しております。

 いずれにいたしましても、平成二十八年当時、地下埋設物の撤去、処分費用の見積りに用いるために設計業者から入手した資料の一部に誤りがあったことは大変遺憾であると考えております。

 ただ、先ほど申し上げたとおり、御指摘の三枚の写真が写した試掘穴である試掘穴三番と試掘穴四番については、写真の選定は間違えたものの、掘削深度やごみの層を記載した説明内容については誤りはないとされており、また、三・八メートルの深度までごみが確認されたとされる試掘穴一番については、この試掘坑についてミスはありませんなどとされていることから、当該試掘報告書を見積りの材料としたことに問題があるとは言えないと考えております。

川内委員 この試掘調査報告書、これは国交省が見積りの書類に添付している、三・八の根拠となる唯一の資料なんですね。ただ一つの大事な資料なんです。それが、同じ穴を違う穴として書いているけれども、それはまあ間違いましたわ、だけれども三・八は本当なんですと業者が言っています、だから私たちもそれを維持します、こうおっしゃられたわけですけれども、この試掘調査報告書自体の信用性というものが、私は、同じ試掘穴を違う試掘穴として報告書が作成されているという点、一点をもっても、おかしなことだなというふうに思うわけですけれども。

 そこで、この配付資料の一枚目ですね、これはその試掘調査報告書についていた試掘穴のプロット図です。国交省、間違いないですね。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございます。

川内委員 それで、国交省に出された業者からの回答書、それを国交省がクレジットをつけて私どもにも見せていただいているわけでございますけれども、この報告書の中に、当初の試掘は二十カ所程度でした、その後、半分程度埋め戻したため、試掘調査結果資料を作成したときには八カ所程度の試掘を対象としましたと。

 最初二十カ所ぐらい試掘したんですよ、そのうち半分程度埋めて、残り八カ所を調査したんですよということが国交省クレジットの回答書に出ております。

 そこで、航空局次長さん、二枚目の資料を見ていただきたいんですけれども、これは二〇一七年の五月十六日、民進党森友問題PT会議に森友学園側から提出をされた、当初掘った二十カ所の試掘穴をプロットしたものです。二十カ所をプロットしたものです。だから、二十カ所を最初試掘して、半分程度埋めて、八カ所残ったところを調査したんですよというふうに回答書に書いてあるわけですが、この二十カ所のプロット図と一枚目の八カ所のプロット図を見比べると、全然位置が違うんですよ。二十カ所と八カ所の位置が全然違うんです。

 まず、二十カ所程度を最初試掘していたんだということを国交省は知っていましたか。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年三月以降、工事事業者が試掘を行ったことは把握しておりましたが、四月の五日に見積りに必要な資料の提供を依頼し、これに基づき提出された試掘報告書に記載されていた試掘穴以外の試掘穴については把握をしておりませんでした。

 平成三十年九月の十八日に工事事業者から参議院予算委員会理事会に対して提出のありました地層地質状況調査検討報告書において、初めて認識いたしました。

川内委員 この二十カ所を国交省は知らなかったわけですけれども、最初、二十カ所試掘したというわけですね。その後それを埋めて、残った八カ所を調査した。しかし、そのプロットをそれぞれ見比べると、全然位置が違いますよね。次長、どうですか。違うでしょう、位置が。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の二十カ所のプロットにつきましては、当省として工事関係者から提供を受けた資料ではなく、どのような資料であるかを承知しておりませんので、その資料についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

川内委員 ただ、次長さん、この二十カ所と八カ所の関係については、国土交通省がクレジットをつけている、回答書の提出についてとする立派な公文書ですね、行政文書、国交省の公文書の中に書かれている記述であります。

 森友学園側から、要するにこの問題の当事者ですよね、当事者から提出されている二十カ所のプロット図、それと八カ所のプロット図が、位置が違うというのは、この回答書の中にある供述とそごを来しているわけですから、回答書の説明責任を果たす上で、いや、その二十カ所は私たちは知りません、関係ありませんということは言えないですね。その二十カ所と八カ所の関係について、国交省として再度、工事業者なり設計業者なりに確認を求めるという作業をすべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今回提出されました回答書では、二十カ所の試掘穴については、当初の試掘が二十カ所程度でした、その後、半分程度埋め戻したため、試掘調査結果資料を作成したときには八カ所程度の試掘を対象としましたとの説明がなされております。

 一方、実際に大阪航空局に提出され試掘報告書に記載された八カ所の試掘穴につきましては、その位置図は同報告書に記載されているものと承知しております。

川内委員 今、何を答弁したんですか。二十カ所と八カ所の関係について説明をすべきであるということに関して、国土交通省はそうしますというふうにおっしゃるんですねということを確認しているんですけれども。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、事業者側から提出されました回答書におきましては、試掘に係る調査報告書の作成の経過といたしまして事実関係の説明がなされておりまして、その要点を申し上げますと、平成二十八年四月五日に、近畿財務局あるいは航空局から、推定埋蔵廃棄物の量や撤去処分のための費用を算定するための資料が必要であるとの話が出され、設計事務所から、ごみの層がわかる資料の作成について具体的な指示があった、この指示を受けて工事事業者において写真を撮り直し、メジャーを当ててごみのある層を意識してはかり、ホワイトボードにも表記して、試掘調査報告書を作成した、この際の再調査はしっかり行われ、調査報告書の本文の説明書きは実際に試掘を現認した社員によって書かれたものであったなどと説明されております。

 また、約八・二億円の見積りの参考資料の一つとして用いられましたのは、深さ三・八メートルまでごみが確認されたとされる試掘報告書におきます試掘穴一番ですが、これらについては、設計業者から提出された回答書におきましても、試掘穴一番につきましては、この試掘坑についてはミスはありませんなどとされていると承知しております。

 こうしたことから、実際に大阪航空局に提出され試掘調査報告書に記載された八カ所の試掘穴の位置図は同報告書に記載されたものと承知しておりまして、二十カ所の試掘穴の位置図の確認や提出を求める必要はないものと考えております。

川内委員 国土交通省さんのその説明はとても納得できるものではないですよということを私は申し上げているんです。

 次長、余り、ちょっとよくわからなくて、ずっと答弁書を読んでいるだけですけれども、二十カ所、当初掘った穴というもののプロット図を私たちは持っているわけです、森友学園から提出を受けて、過去に。その二十カ所の残りの八カ所と位置が違うからそれについては説明してくださいね、業者さんに聞いてくださいねということをこちらは申し上げているわけですね。それは、国の説明責任の果たし方として、聞きます、説明させます、再度説明を求めますということを言わなきゃ、説明したことにならぬでしょう。自分たちの勝手な解釈を述べるのが国会ではないですから。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しで恐縮でございますが、御指摘いただいたプロット図につきましては、どのような資料であるかを承知しておりませんので、その資料についてのコメントは差し控えさせていただきます。

 その上で……(川内委員「もうわかったから。もう時間ないから。もういいから」と呼ぶ)

川内委員 どのような資料かわからないというのは、それはそうでしょう、国土交通省さんは持っていないから。これは、キアラ設計という森友学園を設計した業者の名前の入った、そして森友学園側から提供を受けた資料です。そして、公党の会議に提出されている資料です。その資料を我々は持っています。それと違うので聞いてくれということを言っているわけです。

 行政の恣意的解釈を我々は押しつけられる立場じゃないんですよ。聞いてくれということに関しては、聞きますと言わなきゃだめでしょう、説明責任を果たすために。

 何なんですか、今までの答弁は。十分も私をずっと待たせているんですよ。説明するのがあなた方の責任なんですよ。これは行政の信頼にかかわる問題なんだから。確認しますと言わなきゃだめなんですよ。確認しますと言わないと委員会は終わらないですよ。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 誰がいつどのような目的で作成したのかといった点について私ども承知しておりませんので、コメントを差し控えさせていただいているところでございます。

坂井委員長 では、ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

坂井委員長 速記を起こしてください。

 川内君。

川内委員 委員長の御配慮で、今の私の質問に対する答弁は、きょうの質疑の一番最後にもう一度聞きますので、それまで留保します。

坂井委員長 ということで、国交省、一回相談をしていただいて、きょう、野田佳彦君の質疑の後に、この答弁だけ、また岩崎次長にしていただきたいと思いますので、そのときにしっかり答弁ができるようにしてきてください。ということで、次の質疑者に移りたいと思います。

 次に、緑川貴士君。

緑川委員 連日の質疑、大変お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 引き続き、所得税改正についての議題で進めさせていただきます。私からは、きのうもお尋ねした教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直しについて、引き続きということです。

 働き手が今減少する中で、日本経済に欠かせない労働生産性を高めていく上での技術革新への対応とあわせて、今後の成長がしぼむことがないように、現状においても雇用の不安定化に直面している中間層の暮らしの底支え、特に、就職氷河期にぶつかった団塊ジュニア世代を含む、経済の支え手としてのボリュームゾーンである三十代半ばから四十代、働き方の安定に向けた教育訓練の投資の観点から質疑をいたしました。この点、きょうは質問ではないんですが、重要であるのでお話をさせてください。

 政府としては、企業における人材投資に対して、きのう麻生大臣から、支援をしていく方向というふうにお答えをいただきました。

 きのう調べていましたけれども、昨年の税制改正で、法人税額を控除する賃上げ及び投資の促進に係る税制が昨年創設されています。これは、社会人が必要に応じて学校や教育訓練機関に戻って再教育を受ける、いわゆるリカレント教育も対象になっていますが、継続雇用者の給与などのトータルの支給額が、これは要件があります。前の年度よりも三%以上賃金が増加していなければならないこと、そして国内の設備投資額が一定以上の場合にようやく適用ということですが、やはり大きな企業向けの税制ということになります。

 一方で、中小企業に対してもこの税制は適用されるんですが、設備投資の要件がない、そして、給与の支給額も前年から一・五%以上増加ということで、緩和されている面は確かにあります。

 一方で、国内全体での賃上げの動きがなかなか弱い中で、適用されてくる企業、例えば、今地域で何とか踏ん張って経営しているけれども、なかなか黒字に行きにくい、数字がついてこない、利益が十分に上がっていかない、こういう企業が、これから人口減少、働き手不足の中で、一層人材というのが宝になっていくという観点で、ぜひこうした投資ができるように、融通のきいた税制であってほしいというふうに思います。

 来年度から適用が始まるということで、まだ実績がないんですけれども、今後の動きはしっかり見ていきたいというふうに思います。

 この中小企業において人材投資が難しいところが、特に地方ですね、たくさんある中で、個々人による教育訓練、学び直しのいい機会の確保として、教育資金の一括贈与の非課税措置、働き盛り世代のちょうどど真ん中の三十代半ば、四十代、ここに四十歳でくさびを打ってしまうということが、やはり、私にはどうしても違和感があってならないんですね。

 着実な経済成長に向けて、財政の健全化に向けての計画も前に質疑をいたしました。生産年齢人口、働き世代のちょうど真ん中であるこの年代に対しての対応がますます求められる時代になっていくと思います。この非課税措置の年齢要件の引上げの検討を強く求めてまいりたいというふうに思います。

 きょうで、この質問、次に入りたいと思いますが、この教育資金とあわせて、結婚・子育て資金の一括贈与、この非課税措置も今回見直されています。評価できる点もあるんですけれども、この課題としての二点目、私が考えたいのは、地域経済への影響です。子や孫が資金として受け取る金融機関の受入れ口座が変わっていくことに対しての地域経済への影響についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、このお配りした資料一枚目をごらんいただきたいというふうに思います。棒グラフと折れ線グラフのデータの資料、調査統計局の都道府県別預金、現金、貸出金というものなんですが、このデータをもとにつくったグラフ、全国の銀行の預金額のトータルが上の図ですけれども、左の目盛りの単位、まずちょっと説明ですが、ゼロが六つ並んでいます。単位が億なので、これは済みません、百兆円から九百兆円の目盛りが振られています。オレンジの折れ線は前年比でありまして、二〇一三年の三月からの前年がそれぞれ書いてあります。前年比で、右の目盛りが対応しています。

 二〇一三年からの五年間で見ますと、この間の日銀の大規模な金融緩和などもありました。各都道府県のそもそもの預金額、総じて増加傾向にあるんですが、中でも特に、下のグラフ、東京都の預金額を見ていただくと、二〇一三年三月、これは二百兆に迫っているんですが、百八十六兆円なんですね。昨年三月は幾らかというと、二百七十兆円です。これは八十四兆円以上ふえています。

 戻っていただいて、上の全国の銀行預金額の合計、この五年間で実は百四十五兆円ふえていますが、その増加分、百四十五兆円のうちの八十四兆円が東京ということになります。これは、全国の増加した分の実に五八%を東京都の増加分が占めていることになります。

 この五年間の東京の預金額の伸び率は、計算すると一・六九倍です。本当にはね上がっているんですね、東京では。一方で、地域でも、今申し上げました、金融緩和の影響で預金額は伸びているんですが、例えば東北、岩手県を見ると、ここ五年前に比べれば、預金額の伸びは一・〇四倍なんです。都心以外の多くの地域では、増加傾向にはありながらも、その伸びは伸び悩んでいるという状況です。金融緩和で伸びた分が、結局、圧倒的に東京に流れ込んでいることがわかります。

 さらに、これは今後ですけれども、仮に、亡くなった人が地方銀行を利用していた場合、これはこれまでのデータですが、そのまま同じ金融機関に預けていた人は、地方ですね、四割ほどにとどまっているという試算があります。残りの六割はどこへ行くかというと、やはりその地銀の口座から預金が移動して、他県に移っているケースが大半です。

 こうした傾向を考えれば、親元を離れて都市部に暮らす子や孫の資金の受取の利便性も考えれば、住んでいる都市部の金融機関で受入れ口座を開設するのは、やはり目に見えています。

 眠れる金融資産の若い世代の資金活用、とても重要な視点です。今回、見直しで、三十歳から四十歳に上限が上がった、これも一歩前進だと思うんですが、データから見ると、教育資金の非課税措置を講じた場合、教育資金の受入れ口座を開設した場合には、その開設先がやはり都市部中心になって、預金の大半が都心集中化を招いてしまうのではないかという懸念があるのですが、麻生大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは、御指摘の数字がありましたように、地域金融機関の預金残高というのは間違いなく伸びておりますから。ただ、伸びていくぐあいが東京に比べて少ないというお話ですよね。減っているような感じを言われますが、預金も伸びておる、だけれども東京だけが特に伸びておるという話ですね。

 御指摘のとおりで、地方の人口減少というのを踏まえまして、これは、教育資金とか結婚とか子育て資金のいわゆる受取口座というものが都市部の金融機関で開設される傾向が強まるということになるということだと思うんですが。

 地方から都市部の銀行に一部の預金が流出する可能性、これはもう間違いないと思いますが、こうした中でどういうことをやっておられるかというと、多くの地域金融機関において、教育資金については、いわゆる贈与税非課税措置の対象となる専用口座というのを設けられておられるのは御存じだと思うんですが。先生のところのあれはどうか知りませんけれども、少なくとも、地銀は百四行ありますかね、そのうち七十五、六行は専用口座を既に設けておられるので。私どもが知っているのでは、福岡とか、そういうのを皆やっておるんですけれども。そういった専用口座をPRするなどで預金流出というのをとめておるということを進めているんですが。

 いずれにしても、こういった創意工夫というものを私どもは期待しつつ、預金残高というものを含めまして、経営状態というか、やり方、経営の手法というか、そういったものについて、私どもとしては、引き続き注視をしてまいらないかぬと思っております。

緑川委員 やはり、現場への専用口座の開設の周知そして徹底、この現場指導をしっかり、波及できるように政府からしっかりとお願いをしてほしいというふうに思います。

 私、ちょっと資料を請求しようと思ったんですけれども、地域の金融機関ごとの、どのぐらいの開設の状況があるのかというのを政府に求めたんですが、そういう資料がなかったんですけれども、国税局単位での資料を拝見しました。それだけいただいたんですが、おととしの六月末時点ですけれども、東京国税局では、全体が、その年、四万三千七百件の非課税措置を受けた人がいらっしゃったということです。そのうちの、東京では一万九千二百五十一人が教育資金の非課税措置を受けている。つまり、四万三千七百件のうちの半数近く、四割ほどが東京に住んでいるということになります。

 結局、資金の受取の利便性を考えますと、これまでの実績、やはり四割ほどは東京、特にそれ以外を考えたら、それ以上の割合が都心の金融機関の受入れということになると思います。

 こういう教育資金の一括贈与に係る非課税措置の見直しについて、やはり、契約件数がこれから伸びていくことを期待したいですし、ふえていきます。でも、このトレンドを何とか地方寄りに、東京目線でなく、都心目線でなくて地方目線での契約件数の伸びに結びつけていただきたいというふうに考えています。

 ちなみに、教育資金の今の非課税措置の見直しは、政府のデータでは、昨年の三月末時点で十九万四千三百三十六件、そして信託された財産の額が一兆三千七百三十五億円ということで、今後伸びていくんですね。済みません、今、直近の新しいデータがあればお知らせいただきたいんですが、なければないで結構です。

    〔委員長退席、越智委員長代理着席〕

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど議員が引用されました国税庁のデータによりますと、平成二十五年から二十八年までの贈与を受けた人数及び金額を合計すると、それぞれ、約二十八万人、約一・八兆円となっております。

 それから、ただいま紹介のありました信託協会によりますデータによりますと、これは信託財産の設定額ということで、この一部にはなってしまいますけれども、それによりますと、昨年十二月末現在で、二十・四万件、一・五兆円という状況になっております。

緑川委員 私が申し上げた四万三千件、補足ですけれども、二十九年六月時点での年間という数字ですので。今は二十五年からの累計をお話しいただきました。

 教育資金や、あと結婚・子育て資金、合わせての生前贈与ということも考えられます。この資金移動も含めて、今後についてのトレンドは、都心の集中化を招きかねない、そうした動きがやはり加速をしていくのではないか。

 国立社会保障・人口問題研究所の資料によれば、年間の日本の死亡者の数は、現在およそ百三十万人から、その二十年後、一・二五倍の百六十万人にまでふえます。その中で、遺産という形で、今後更に金融資産の相続は加速するということです。

 二枚目の資料をごらんをいただきたいと思いますけれども、三井住友信託の調査によれば、二〇一四年時点から二十五年から三十年間の間で、相続される家計金融資産、その総額が実に六百五十兆円と見込まれています。この資料では、青が濃い部分、資産流出率が特に高い部分ですけれども、見ますと、東北地方、そして四国地方などが多いです。

 先ほどもお話をした、ここ五年間の預金額が東京で圧倒的に増加していることに加えて、今後の相続、遺産という形での流れ、首都圏へ五十一・四兆円もの資産が流入しているんですね、この二枚目の資料で。とにかく、都心部に、重ねてこれはまた流入していくことになります。ちなみに、首都圏では今の数字ですけれども、大阪圏では四・一兆円ということです。いわば、やはりこれは預金の東京一極集中です。

 地域の金融機関、預金額が減少していけば、やはり融資の減少というのは避けられません。貸付先の先細りにもつながっていきます。

 今後、高齢人口の減少、相続資産の域外移転、こうしたものが続けば、さらに、また高齢人口も減っていきますから、二〇二〇年代からと言われる年金流入の減少、金融機関へ入ってくる年金流入が減少していく。これは、地域の金融機関の大きな課題になっていきます。

 地方銀行の存続のために、麻生大臣、今後の展望、どのように対処されていかれるのか、お話しいただければと思います。

麻生国務大臣 繰り返しになりますけれども、地域の金融機関の預金残高というものそのもの自体は増加傾向にあるという点はまず大前提にしておかないと。それが全部減っているような感じにとられかねぬと、ちょっと事情が違いますので。

 御指摘のとおり、相続遺産というものの域外移転とかいうことになるんでしょうか、地域金融機関の一部の預金が減少する可能性、これは間違いなくあろうと思います。今言われたように、息子に、孫に贈るからという形で。

 こうした中で、地域金融機関の中で、例えば、相続時の預金流出を防ぐための工夫が要るんだということで、大手の信託銀行と提携して、被相続人が預金を地域銀行に残したまま大手信託銀行の遺言代用信託、今結構はやってきていて、普及してきたというべきか、などのサービスが受けられる取扱いを開始するなど、いろいろ預金の維持に向けてさまざまな取組が行われているのは間違いないと思っております。

 いわゆる遺言代用信託というのは、結構、高齢者、ひとり老人、ぼけてきたからとか、いろいろな形でこれは最近すごくふえてきていると思っておりますが。

 金融庁としては、地域金融機関から、こうした創意工夫に加えまして、適切なアドバイスをしてやるとか、それから、いわゆるファイナンスを提供してやるということまでいかないと、なかなかうまくいかないんですよ、ここのところは。そういった意味で、地域企業の生産性をそれで図ってやるということも含めまして、地域経済の発展に貢献することなどを通じて、今、持続可能なビジネスモデルというのをみずから構築することが重要なんだと考えておりますので。

 私どもとしては、そういったことをやろうという銀行なんかのアイデアに対しては、今までだったら新しいことはやめておけと言うのに、いやいや、やってみろ、新しいものをやってみろと。現場がわかっているわけではありませんから、そういった意味で、新しい意欲がある、そういったプランに関しては積極的にやってみて、まずは幾つかのサンプリングが要りますから、それをやってみて、うまくいくかいかないか、やってみた結果、ここが問題というのがやるとわかりますので。

 そういったものを、とにかく何でもかんでも、新しいものに手をつけるのはやめておけやめておけというような態度ではなくて、少なくとも、育成庁としては、そういったものに対してもっと、新しいアイデアに対して後押ししてやるという態度でやっていかないと、これは地域によって随分差があるというのは、同じ九州でも大分違いますので、そういった点を考えて我々は対応していかねばならぬと思っております。

緑川委員 私の県内にも、地方銀行、本当に、県の支援も、もちろん助成金も受けながら踏ん張っている、さまざまな事業を展開しながら、何とか独自のビジネスモデルというのを模索している、そうしたさまざまな各地の金融機関の取組を後押しできるようなまず予算措置、税制であっていただきたいなというふうに思います。

 結局、貸付金による利益の減少、預金を維持しなければ、やはり貸付けができない。更に言えば、その銀行、企業としての雇用も守れなくなってしまう、そうしたものがあります。

 ここで、雇用の受皿の減少を防いでいくために、やはり人の流れも関連してくると思うんですね。子や孫、若者の地方の流出という形で悪循環にならないように、今の麻生大臣のお答えもありましたけれども、人の流れという点で、預金額の減少を防ぐためにはどのように人の流れにも対応していくべきだと思いますか。

麻生国務大臣 これは、日本全体の従業員数、就職している人の中で、地域銀行の従業員数の割合というのはどれくらいかということにもなるんだと思うんですが、これはもうごく一部で、かなり少ないと思われますけれども、少なくとも、地域銀行のいわゆる利益が減る、また、従業員数もそれに合わせて減らされる、減少していくということで、地域全体の従業員数、勤労者数の数字の絶対量が下がってくるということが考えられるんだということになるんだと思いますので。

 厳しい経営環境にあることは、これは秋田に限らず、私ども九州でも、西の方やら、西の方と言うと、ちょっと特定のことを言うとまた問題が起きるかもしらぬからやめておくけれども、地域によって差がありますから、県によって、県の中でもまた地域によって差がありますので。

 適切なアドバイスやファイナンスを提供することによって地域企業の生産性というものの向上を図ってやるというのは大変大事なところなので。いろいろインフォメーションがたくさんありますので、ここの地域ではこんなことをやって成功していましたよという情報は持っているわけですから、それをこちらに提供するというのは、別に企業秘密を漏らすとかばらすとかいう話とはまた違うと思いますので。

 そういったことで、持続可能なビジネスモデルの構築というのを考えていかないかぬのではないかということだと思うので、今、そういったことに積極的な銀行というのが、他の地域に結構、地域銀行でも入ってきておられる。受け身ばかりの銀行もあれば、積極的に他の地域に入ってきておられる銀行というのが、山口県の方から福岡に入ってこられたり。逆に、福岡が山口に入っているんじゃない、山口が福岡に入ってきているんですから。そういった銀行というのはありますので、そういった地域経済の発展に貢献することも考えられるんだと思いますが。

 経営改善とかそれから事業承継等々についてアドバイスするというのも一つですし、事業の業績評価についてファイナンスしてやる、担保はないけれどもファイナンスしてあげますとか、そういったようなこと等々含めまして、金融庁としては、モニタリングというものなり、アドバイスとかファイナンスとかいろんなことで自主的な取組というのを銀行自体が考えて、あんたたちが一番地域に詳しいんだから、その地域の人たちに対して、その情報をもとにして、もう少しここのところはこちらの人というような話を、もうちょっと銀行というのは、いろんなところの情報を集めて提供してやるというようなことをしている銀行というのは実際あるんですけれども、そこは伸びていますものね、私らから見て。

 そういった意味では、ぜひそういった銀行の経営手腕というか姿勢というのは結構大事なものになりはせぬかなというのが率直な実感です。

緑川委員 銀行の雇用、さらにはその更に先を見れば、預金の減少で貸し付けられない、そうすれば、お得意先の企業にもやはり影響を与えるわけですね。そうなれば、企業が設備投資をしたい、税制の改正でやはり利用していきたいものが出てきます。そういう中でもなかなか活用できないのではないか。やはり、その地域で、金融機関でお金を借りられないということの影響は、私は物すごく大きいことだというふうに思うんですね。

 地域経済を支えている銀行の預金の維持というのは、今御答弁を本当にいただきました、しっかり御対応いただきながら、一方で、お話がありましたけれども、他の地域に進出する金融機関、積極的な面もある一方で、来られる金融機関の方については、これはやはりすみ分けというところが今までなっていた部分があります。主体的な進出での協力だったらいいんですけれども、何かなかなか、不一致というか、余りうまくいかない部分での地域のいがみ合いのような形にならないように対策が求められると思いますし、今後、今まで経営を頑張ってきた地方銀行の雇用の減少だけでなくて、やはりサービスの提供にも影響しかねないのかなと。つまり、金利の面で不利な状況でお金を貸してあげるしかなくなっていくとか、顧客の利益にもかかわっていくのではないかというふうに考えますが、ここは政府答弁を求めたいと思います。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど大臣から御答弁がありましたように、地域金融機関の預金残高、貸出残高は、足元ではまだ増加傾向にあるということでございますけれども、全国的な人口減少ですとか低金利環境の継続によりまして、地域金融機関をめぐる環境は非常に厳しいというふうに認識しております。

 そういう中にあって、地域銀行におきましては、持続可能なビジネスモデルを構築して、例えば、地域の借り手であります企業に対して、担保保証に過度に依存することなく、あるいは借り手企業の足元の財務諸表にのみとらわれるのではなくて、借り手企業の技術力ですとか将来性といったものをきちんと評価して融資を行うなど、そういうような取組によって地域企業の生産性の向上とか地域経済の発展に貢献していくということが求められているということだと考えておりまして、金融庁としても、こういう観点からモニタリングをしていきたいというふうに考えてございます。

    〔越智委員長代理退席、委員長着席〕

緑川委員 こういうモニタリング、そしてさまざまな現場での周知、きょうもお話しいただきました、専用口座の開設をやはり徹底していくということで、預金の流出を最小限に食いとめる。流出していくことは、なかなか完全に防ぐのはやはり難しいと思います。しかし、今から遺産がどんどん都心に集中していく、こういう流れの中では、やはりいろいろなことをできる取組があるはずなんです。

 この教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税措置について、例えば、どうでしょうか、専用口座という話もあるんですが、同じ金融機関に資金の受入れ口座を開設した場合に、専用で設けることができますよというだけじゃなくて、それを一歩前に進めるような、優遇するような措置というのはお考えでないでしょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁といたしましては、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、世代間の資産移転を後押しする観点から重要な制度と考えており、また、地域金融機関の自主的な取組を促しているところであります。

 さらに、ただいま御提案のありましたように、贈与をする人と受ける人が同一の金融機関を利用する場合に優遇措置を設けるということについては、その措置による効果や制度を利用する国民にとっての利便性など、さまざまな角度からの検討が必要になるものと考えております。

緑川委員 やはり、地域にお金が残ることの重要性を今後しっかり考えていかないといけないと思います。やはりデメリットの方が私は多いというふうに考えています。

 長引く金融緩和の影響が続いています。地方銀行の利ざやが減少傾向にある。地銀としての預金流出を防ぐ手だてとして、今、地域でそれぞれの独自のモデルケースを模索して頑張っている。

 例えば、金融機関に、相続するお金を受け入れる口座をなぜそこにつくったかという、一番挙げられる理由としては、今まで自分が利用していた金融機関であったからということが一番の理由だそうです。

 行員の営業努力で、今後、被相続人との今の良好な関係を、更にその資金を受け継ぐ相続人にまで良好な関係を広げていくというのが営業努力、地元の行員の努力だと思いますし、こうした地銀の取組があるということを聞いております。

 現場の努力を十分に酌み取れる政府対応、しっかり対策を求めて、質問を終わります。

坂井委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 国民民主党の古本伸一郎でございます。

 麻生大臣を始め政府の皆様、連日大変お疲れさまでございます。

 実は私、衆議院の科学技術特別委員長を拝命しておりまして、質問に当たりましては、委員長、理事のお計らいをいただきましてこの場に立たせていただいておりますことを感謝申し上げます。また、科技特の関係、与野党筆頭にもお断りをし、御了解のもと、ここに立たせていただいております。くれぐれも、科学行政全般については一切触れませんので、お許しをいただきたい、このように思います。

 また、党内では、不肖、税制調査会長を、小さな世帯でありますので担わせていただいておりまして、そんなこともこれありで、理事の御指導のもと、きょうここに立たせていただいた背景がございます。

 この委員室を見れば、横には野田前総理がいらっしゃり、そして、当時の与党政調会長として社保・税一体改革を推進された前原先生が座っておられ、まことに隔世の感がありますけれども、あれから月日が随分流れたわけでございます。

 今回、消費税をどうするかという議論もあろうかと思いますけれども、私は、機会があれば、こちらにいらっしゃるシニアは本当に歴史の生き証人、私ども、当時、税調の藤井裕久元大蔵大臣に師事いたしましたので、かばん持ちをさせていただいた経緯もありまして、ジュニアの生き証人の一人として、機会あるごとに少し昔話も含めて開陳するのも責務の一つかと、このように思っています。

 税の議論に絡むわけですが、その前に、委員長のお許しをいただいてお配りした資料の五ページ、六ページをごらんいただきたいと思います。

 実はこの委員室にも、関係の愛知県選出の先生方も多くいらっしゃいますけれども、岐阜県で昨年の九月に発生した豚コレラが、極めて遺憾でありますけれども、九月の九日に第一例目が、患畜が発見されてから今日に至るまで、終息するどころか拡大の一途をたどっている状況でございます。

 私自身、この八番に載っております愛知県豊田市選出でありまして、二月六日に第一報を聞いたときは我が耳を疑いましたけれども、すぐに現場にと思いましたけれども、大変混乱する中で、知事をして立入禁止という状況でありましたので、拡散防止ということで見守るほかありませんでしたが、翌日には最前線の基地に状況確認、及び、大変な任務につかれている皆さんの激励に参ったわけであります。

 自衛隊員は、第一〇師団、特に三河地方については豊川基地の第一〇特科連隊、大変御尽力をいただいたわけで、今枝先生も地元でありますけれども、彼ら自衛隊はもちろん頑張っていただいて、もう頭が下がる思いでありましたが。

 同時に、愛知県の職員も、あるいは当該の田原市や豊田市の職員も、普通の市民課とか税務課の任務についておられる人が、白い防護服に長靴姿で、入ってこないようにするためのガムテープのマスキング、テーピングの仕方さえわからずにお互いに張り合っているような状況を見るにつけ、やはり、ああいう鹿児島県とか宮崎県、熊本県など、非常に畜産王国と言われる、立県されておられる皆さんのノウハウとかが岐阜県で発生した時点で生かされなかったものなんだろうかと悔やまれるわけですし、それは、農水省を中心に再発防止はぜひやっていただきたいと思うんですが。

 きょうは関税局長にもお越しいただいていますが、防疫という意味では農水省です。動物衛生課長以下指揮のもと、これは複数県にまたがっていますから、本部長は農水大臣ということで指揮監督いただいていますが、防疫という意味で、関税局との連携は不可避だと思います。

 なぜならば、ちょっと、報道ニュースというか、農水省の安全局動物衛生課が既に出している資料ですけれども、昨年の十月時点で、ウインナー、ソーセージからウイルスが持ち込まれたんじゃないかという説が一つの濃厚な説になっています。

 これを誰が持ち込んでいるかというと、ウイルスの株というんでしょうか、由来がアジア由来ということで、特定の国を指すものではありませんが、去年一年間の摘発、没収したソーセージ、ウインナー、汚染地域からの、例えばそのベストスリーの国、ワーストスリーと言った方がいいでしょうかの国はどんな国々があるんでしょうか、農水省。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、空海港で輸入検査を行いまして、輸入禁止品として没収したものは約九万件ございますが、一番多うございますのは、中国その他のアジアの国が主となってございます。

古本委員 事前にいただいた資料によれば、中国、ベトナム、韓国の順じゃなかったでしょうか、審議官。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 三十年の速報値で申し上げますと、中国、ベトナム、大韓民国の順番になってございます。

古本委員 つまり、特定の汚染地域からのフライト及び旅客船、とりわけ、どんとたくさんいらっしゃる、インバウンドの客船で来られる方は単位が違います。千人、二千人単位で博多港に入港するわけですから。

 問題は、その方々の検疫の体制ですけれども、これは資料の四ページをごらんいただきたいんですが、先生方にお配りした資料は、ちょっと途中で事務所のコピー機が調子が悪くて、濃くなっている人はお許しいただきたいですけれども、このバッキー号とかニール号が真っ黒けになっている先生方はちょっと隣近所を見ていただいて。

 皆、ワンちゃんの名前がついていまして、とてもかわいらしいこのビーグル犬が、ハムとかウインナー、ソーセージ、禁止品を輸入しよう、輸入というか、ハンドキャリーで持ち込もうとする外国人旅行客あるいは出張者の前で、これはどうもスーツケースの前で座り込んで、じっと動かなくなるらしいですね。ビーグル犬が発見してくれるそうですね。

 これは今資料では二十九頭となっていますけれども、今年二月から、去年の九月に岐阜で発生していますから恐らく慌てたんでしょう、四頭増頭していただいて今三十三頭体制だそうなんですけれども、大臣のお膝元博多港には常駐していないそうです、このビーグル犬が。

 博多港に何千人という、今言われた中国、ベトナム、大韓民国、恐らく中国の旅行客が多いかと承知しておりますけれども、どうやって検査しているんでしょうか。するりと、ウインナー、ハムがどんどこどんどこ畜産王国九州に入ってきているんでしょうか、農水省。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の博多港でございますけれども、博多港におきましては、クルーズ船が多く入港しているというふうに承知しております。

 このクルーズ船の旅客でございますけれども、一般的には手荷物を船からおろさずに観光あるいは買物目的で入国されることが多い状態になってございます。そうしたことから、主に靴底消毒、あるいは家畜防疫官による口頭質問を中心に水際対策を徹底しているところでございます。

 侵入防止対策には万全を期してまいりたいと考えております。

古本委員 例えば、リュックサックとか、デーパックというんですか、しょってきて、中にちょっとお昼につまもうと思っていたウインナーが入っていることも考えられますよね。きょうは踏み込みません、きょうは農水委員会じゃありませんので。

 二時間においをかいだら一時間休憩させてあげるとか、運用をしてあげないと、ワンちゃんも鼻のあれがきかなくなるそうなんで、そんな労働強化しちゃいけないんですよ。だから、大変ワンちゃんの数が要るそうであります。これを一頭飼育するのにコスト幾らかかりますか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 このビーグル犬ですが、犬の資質にもよりますが、一般的に育成するのには半年、六カ月程度かかる。また、犬だけでは行動できません。これを操るハンドラーが必要になります。このハンドラーと犬のセットで、例えば五年間契約すると約三千万という経費になりますので、年間当たり六百万円といったことになります。

古本委員 委員の先生方、当財務金融委員会は歳入委員会でありますけれども、税を幾らお預かりして、それを何に使うかなんですが、今多くの畜産農家はワクチンを打ってくれというオンパレードですけれども、ワクチンを打った場合のいろんなメリット、デメリットも農水省は今一生懸命御説明をされているさなかだと思うのでその判断には踏み込みませんが、結果が起きてしまってからの対症療法ではどれだけコストがかかるかわかりません。何より、畜産農家の被害が甚大たるや、想像にかたくございません。

 であるならば、一頭当たり年六百万コストがかかったとしても、たった三十頭で、このかわいらしいビーグル犬がフル稼働して、しかも北は千歳にあるだけ、二頭だけ。だから、休憩を考えたらどうですか。一番のメーンの成田と羽田でさえ、ティナ号以下ボタン号まで六頭ですよ。どんな勤務シフトになっているのかなと思いますね。

 これはもう何があっても、倍増以上というか、これはちなみに、外国路線、飛行機と船が入っている空港の数でいけば、常設の動植物検疫所を設置している港は何カ所ありますか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 動物検疫所を配置しております、貨物等々あるいは旅客の受入れ体制が整っているところは、海港で五十九、空港で四十四になってございます。

古本委員 ですから、圧倒的に足りないですね。

 関税局長、お待たせしました。先生方も、あるいはこれをインターネットでごらんになっている視聴者の方も、海外出張あるいは旅行した際の出国の際に、成田や羽田あるいは中部セントレア空港で、ちょっとあけてみてくださいと言われて、心当たりがない人は堂々とあけますが、やましいものを持ち込もうという人はどきどきしますと言われておりますよね。この、あけなさいということを言う責任者は、農水省の検疫官なんですか、それとも税関職員ですか、関税局長。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員おっしゃられたハム等の肉製品、畜産物を輸入しようとする者は、農水省の所管する家畜伝染病予防法に基づいて、農水省の動物検疫所の輸入検疫証明書の交付を受けて、税関に対してこの証明書を提出しなければなりません。

 このため、税関におきましては、今まさに委員おっしゃられましたように、税関のところで旅客の携帯品の検査におきまして肉製品を発見した際、証明書の交付を受けていることが確認できない場合は輸入を許可することなく動物検疫所に引き継ぐこととしております。

 ここまででよろしいでしょうか。

古本委員 つまり、税関の職員の皆さん、日々二十四時間、御奮闘いただいていますけれども、この人は怪しいなと思って荷物をあけなさいと言う権限までは税関の職員がなさるわけですか。

 ぜひ、税関職員のさらなる増員と、豚コレラ禍と言っていいでしょう状況の中でぜひ万全を期していただきたいと思います。そして、見つければ検疫所に運んで没収ですよ、許可証がないんですから。この仕組みを回しつつ、ビーグル犬もふやしてもらいたいなと思います。関税局長、ぜひ要員に遺漏なきをお願いしたいと思います。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な取締り方法の強化といたしましては、旅客に対する持込禁止品の周知や、動物検疫所の検疫探知犬、これが活動するわけですが、税関検査場において活動するそれへの協力、それのみならず、旅客等の携帯品について、肉製品をお持ちじゃないですか、有無、ありますか、ないですかと言って聞いてそれを厳格に検査する、そういうことにしておりまして、これらの点につきまして、既に何度か各税関に対して本省の方から指示を出しているところでございます。

 今後とも、本省レベルでの関係省庁会議や現場での税関と動物検疫所の連携強化に努めて厳格な水際取締りに万全を期してまいりたいと思いますし、また、なかなか厳しい定員事情のもとではありますが、御理解をいただいて定員をふやしていただいております。いろいろな検査機器とあわせて業務の効率化を図る中で、豚コレラの税関での水際取締りに万全を期してまいりたいと考えております。

古本委員 ぜひお願いしたいと思います。

 アフリカ豚コレラが、去年の十月一日、新千歳でソーセージから遺伝子検査で黒と判定されていますので、これはもう本当に水際で防ぐほかないと思います。

 きょうは国交省、観光庁にもお越しいただいていますが、十年ぐらい前、例えば民主党政権でもいいですよ、あのころと比較して、今、去年のインバウンドで旅客はどのくらいふえていますか。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 十年前ということですと二〇〇八年ということになると思いますけれども、そのときの訪日外国人旅行者数は八百三十五万人、昨年、二〇一八年の訪日外国人旅行者数は三千百十九万人でありまして、二〇〇八年からの十年間で約三・七倍に増加しております。

古本委員 他方、税関の職員の皆様は多少ふえてきたとはいえ、税関職員は三倍増にはなっておりませんね。ということは、三倍仕事せいというのかというぐらい三倍増になっているんですから、設備を入れるか、よっぽどの効率化を図るか、あってはならないことですがみすみす見過ごすかになるので、ぜひ要員を配置、投資というのは、ビーグル犬の増員も含めて、そういう背景から申し上げているわけでございます。

 きょうは国税庁もお越しいただいていますけれども、消費税がいよいよ十月一日一〇%ということになれば、金の密輸の問題は、国民感情も含めて許しがたいなという事例の一つであります。

 去年一年間で、例えば、輸入した品物には内国消費税がかかるわけですけれども、これを逃れて密輸した金はどのくらいありますか。そして、ある意味、それは摘発したから徴収できましたけれども、みすみす消費税をどのくらい取り損なう危機だったんですか。

 二トンだそうです。ですから時価総額で百億、それで消費税が一〇パーになれば十億円徴収しそこなったということ。全部通告を一時間以上かけてしていますので、よろしくお願いします。

 だから、これはぜひ、輸入する際に税関職員がまた頑張っていただきたいですけれども、別途これを再度輸出して、また更に消費税の還付を受けるというメカニズムだと思いますので、そういうことをやろうとするやからは。

 そういう意味で、今回、税法改正の中に一工夫入っているそうですけれども、主税局長、短目に説明していただけますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 金の密輸対策でございます。

 昨年、三十年度改正は、罰金の上限額を大幅に引き上げたところでございますけれども、今御指摘がございましたとおり、今般の改正法案の中では消費税の仕入れ税額控除での対応を図っているところでございまして、一つは、密輸品と知りながら行った課税仕入れについては、仕入れ税額控除を認めないこととするというのが一つ。それからもう一つは、金地金等の取引に係る仕入れ税額控除につきまして、本人確認書類の写しの保存をその要件に追加するということとしておりまして、これによりまして、金地金等に係る国内取引の適正化を図ってまいりたいということを期待しているわけでございます。

古本委員 国税庁も、消費税の軽減税率が入れば大変負荷が高まることが想定されますが、他方で、よく野党の同僚議員も金融課税強化だとおっしゃるんですけれども、これはキャピタルゲインが二〇パー、インカムゲインも二〇パーですけれども、まあ、株価が高くて景気がいいなと感じている人からしたら、これ以上証券税制を高くしてどうするんだという話もあるでしょうし。

 やはり、海外に口座を持っていそうな方というのは、もうちょっと取ってほしいな、正しく捕捉してほしいなというような意見は、これはありますね。海外口座を持っている人というのは大体どのくらいおられるんですか。

 これも全部通告していますけれども、五十五万人だそうです。もう自分でしゃべります。ついては、この五十五万人が五十五万口座かそれ以上かわかりませんが、やはりこれはなかなかの技術が要ると思うので、国税庁もそういう海外の専門部隊を増員すべきだと思いますけれども。

 それから、シェアリングエコノミーですか、個人事業主も、今後、企業が副業を認めればどんどんふえてくると思います。現在、個人事業主レベルで確定申告対象者はどのくらいいらっしゃいますか。

 六百万人ぐらいですね。したがって、六百万人を捕捉するために、これは大変な国税庁の職員の数が必要だと思うんですけれども、ここのところずっと減っておりますので、ちょっとふえているでしょうけれども、ほぼレベルでありますので、国税庁の職員をぜひふやしていただきたいと思います。

 本題に入ります。

 自民党、公明党の皆さんの大綱を少しコピーをとらせていただいたんですが、車体課税が、「今般の措置をもって最終的な結論とする。」というふうにあるんですが、この最終的というのは、星野さん、金輪際車体課税の見直しはしないということですか。そういう水臭いことをおっしゃっているんですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お配りになられました与党の大綱の文言に御指摘のような言葉が車体課税で載っているわけでございますけれども、これは、平成二十四年の社会保障・税一体改革大綱ですとか、それを受けた税制抜本改革法、この中で、車体課税の見直しの方向性についても触れられておりまして、ちょっと引用しますと、地方財政にも配慮しつつ、簡素化、負担の軽減、グリーン化の観点から、見直しを行うということとされておりました。

 こうした方向性を踏まえましてさまざまな議論、見直しが行われてきたわけでございますけれども、例えば、平成二十八年度税制改正におきましては、消費税率一〇%への引上げに合わせて、自動車取得税を廃止、環境性能割を導入することといたしましたし、また、今回お願いしております三十一年度税制改正におきましては、同じく、一〇%への引上げに合わせて、地方の財源を確保しつつ、自動車税を恒久的に減税し、自動車ユーザーの負担軽減を図ることとしております。

 この文言自体は与党の文言でございますので、政府としてこうだというような立場ではございませんけれども、今申し上げましたとおり、税制抜本改革の中で実施することとされていた車体課税の見直しについては、一〇%への引上げに合わせて実施される今般の平成三十一年度税制改正を含む一連の措置をもって最終的な結論と整理されている、こういうふうに考えております。

古本委員 つまり、社保・税一体改革も含めて、税制抜本改革法以来というのはそういうことだと思いますが、約十年前ですよ、もう二〇一二年の法律ですから。その際には、逆進性対策、これは給付つき税額控除か軽減か、そして車体課税と、住宅及び医療の損税、控除対象外消費税の話ですね、この四つが課題として大きく残された。

 そのうちの一つである車体課税は、恐らく、次なる消費税一五%を目指すときぐらいでない限り、もうやらないということでしょう。今回でもうこれで終わりとしたいと書いていますから。と主税局として受けとめているんですか。

星野政府参考人 今回の税制改正大綱の中では、車の税制に関しまして、検討課題ということで、今後の車の税制に関する検討の視点が盛り込まれております。

 車を取り巻く環境自体が大きく変わってきておりまして、そういうことを踏まえて、今後の税制の議論についても、大綱に書かれているような方向性に沿って、引き続き検討していく必要があるというふうに考えております。

古本委員 資料の三に、懐かしい附則百四条というやつを引っ張り出してきました。これは、麻生総理のときに、亡くなられた与謝野さんと一緒になってつくられた、大変歴史に残る、消費税の議論に取り組んだ実は出発点なんです、これは。

 この中に実は近い将来消費税をやるというふうに書いてある。当時、民主党に政権がかわり、ここにいらっしゃる野田当時副大臣、そして藤井財務大臣のもとで、省議があったときに、私、明快に覚えていますね。当時の財務省主税局は誠実だったと思いますよ、武士だったと思いますよ、最初にこれを持ってきましたから。自民党政権で結んだこの附則百四条だけれども、民主党政権でも受け継いでくれるかという確認があり、当時、その意味では、本丸のミスター大蔵省である藤井先生は、自分では何もおっしゃらず、野田副大臣以下に、おまえたちいいかと言われました。私たちはこれを受け継ぐということを当時判断したことを思い出しますね。

 この附則百四条のその後はどうなっているんですか。つまり、今回、消費税一〇%になった以降のポスト附則百四条は考えていますか、主税局長。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今、百四条について御指摘がございました。この条文の中に、「平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。」ということが明記されておりまして、これを受けて、民主党政権のときに、平成二十四年三月三十日に、まさに抜本改革法が出されて、それを受け継いで、その夏に税制抜本改革法が成立をしております。そういう意味では、この百四条というのは極めて意義深い条文だったというふうに考えております。

 一〇%の先の話を先生はされたというふうに今受けとめましたけれども、消費税の引上げにつきましては、全世代型社会保障の構築に向けて、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するために必要なものというふうに考えております。

 政府としては、本年十月の消費税率一〇%への引上げに伴う需要変動をしっかりと乗り越えて景気の回復軌道を確かなものとしていくために、期間を区切った重点的、また細やかな対策の案をまさにまとめまして、今、国会で御議論をしていただいているところでございまして、その後については、検討を行っているということはございません。

古本委員 きょうは総務省、来ていただいたんですが、実は資料の二を説明していただこうと思ったんですが、もう時間が来てしまいましたので、総務省、申しわけなかったですが。

 実は、地方税でいうと、目的税で取っているのは都計税がメーン、これが一・五兆、六兆ぐらいですか。したがって、地方税の全体が四十兆なんですけれども、目的税で取っているというのはわずか数%なんですね。

 今回、消費税が幼児教育の無償化の是か非かという議論にまたなっています。幼稚園をただにするぐらいなら反対だという人も巷間おると聞いておりますし、敬老会で御挨拶をしたら、特養つくってくれと言うシニアもいらっしゃいますし。つまり、目的財源化した社保税一体改革を信じて、当時の野田総理とともに邁進したんですけれども、地方の知事や市長は、何に使うかと定めずに住民税と固定が取れるわけですよ。

坂井委員長 申合せの時間が過ぎておりますので。

古本委員 したがって、私は、この消費税をいま一度本当に議論していく上で、普通税か目的税かという根本の議論も含め、いつかまたできたらいいなと思います。

 委員長、亡くなられた与謝野先生が、ちょうど谷垣財務大臣がここにいらっしゃって、ここで、もう十何年前、私が消費税は絶対やるべきだと大声を張り上げて質問したら、帰りのエレベーターが、亡くなられた与謝野先生と、谷垣当時財務大臣と、SPの皆さんと、僕だけになったんですよ。与謝野先生は恐らく谷垣先生の高校の先輩ですよね。そして、与謝野先生が谷垣財務大臣に、おい、谷垣、何でこの若い青年が言っているとおりに消費税をやるとおまえは答えなかったんだと言ったんです。そのとき、谷垣財務大臣は、党税調に聞いてくださいと答弁されたんです。

 私は、どっちが決めてもいいですけれども、今、星野さんに私は聞きましたけれども、附則百四条のポスト百四条は、ここにいらっしゃる私たちで決める以外は絶対ないですね。

 ぜひ、自公の先生方も一緒になって考えられればいいなというふうに思います。

 ありがとうございました。

坂井委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 昨日は、消費税の負担が業者にとってどういう問題かというお話をさせていただきました。

 まず、きょうは生活者にとってどういう問題かということから議論をさせていただきたいと思います。

 消費税五%時と比べて、二段階増税によって、年収二百万円未満と、それから年収二百万円以上二百五十万円未満の、それぞれの階層について、消費税の年間の負担額はどれだけふえたでしょうか。

麻生国務大臣 消費税率の五%から八%への引上げにより、消費税負担額の増加額というものは、平成三十年の家計調査の二人以上世帯の消費支出に基づき、これを機械的に試算したものでありますが、年収二百万円未満の世帯では四万三千円程度、年収二百万以上二百五十万未満の世帯では五万一千円程度になるものと考えております。

 消費税率八から一〇の御質問だったんだと思いますが、その点につきましては、消費税負担額も同様の計算方法で試算をいたしますと、年収二百万円未満の世帯では一万八千円程度、年収二百万円以上二百五十万未満の世帯では二万二千円程度になるものと考えております。

 収入に占める消費税負担の割合については、消費税率の一〇%への引上げによりまして、低所得者の方が増加するということになりますけれども、当然のこととして、そこに軽減税率を実施することによって、軽減税率を実施しない場合と比較して、収入に対する消費税負担の割合につきましては、低所得の方が高所得者よりも大きく引き下げることができ、消費税の逆進性の緩和につながるものだと私どもは考えております。

 加えて、消費税率の引上げの増収分というものにつきましては、これは、全額社会保障の充実、安定化に充てるということにいたしております。

 特に、所得の低い方々に対しましては、社会保障の充実の一環として、国民健康保険料や介護保険料の軽減の拡充、また年金生活者支援給付金等の措置を講ずることとしておりまして、消費税の負担増というものはこうした受益とあわせて評価されるべきものだと私どもは考えております。

宮本(徹)委員 二段階の増税で、さっきの四・三万に一・八万を足すと年収二百万円未満の層は六・一万円ぐらい、そして、五・一プラス二・二で七・三万ぐらいの負担増が年収二百万円以上から二百五十未満ということになるんだと思います。軽減税率を導入したから逆進性の緩和になるんだというお話をされますけれども、上げること自体は、当然、逆進性は強まるのは明白なわけですよね。

 それで、いろいろな消費税増税財源で低所得者対策をやられるというお話をされました。

 年金生活者支援給付金というのは、年収八十八万円の方までは措置があるということですから、割れば月七万三千三百三十三円の年金の方までは措置がある。これは最大年六万円ぐらいですかね。ですから、ちょうど消費税増税分六・一万円ですから、二段階増税、それぐらいの額は年収八十八万円未満の一定の方々には出るのかな。出方は人によってさまざまですけれども、そういう仕組みがあるんだというお話でした。

 それから、あと、国保と介護の軽減のお話がありました。介護保険料の軽減の仕組みも見ましたけれども、例えば年収八十万から百二十万の層でいえば、基準額の〇・七五が〇・五になるということですから、今全国の基準額の平均が七万円ぐらいらしいんですね、それで計算すると、一万何千円か二万まで届かない額の負担軽減になるのかなというふうには思います。

 しかし、そういろいろな軽減策をとっても、この二段階増税による負担増額というのを見ると、結局、月の年金が七万数千円程度から、消費税五%時から比べれば負担はふえて、高齢者世帯の家計の赤字は拡大していくということになっていくと思いますし、前回の増税時と比べても、消費税を今回一〇%に引き上げることによって、年金が月十万円以上の世帯からすれば更に家計の赤字は、高齢者もふえていく、こういうことになっていくのではないですか、大臣。

麻生国務大臣 今、消費税につきましては、社会保障と税の一体改革というものの中で、増収分を社会保障の充実また安定化に充てるということにいたしております。

 社会保障制度の中から、受益は低所得者ほど大きく、所得の再配分につながるという面もあることは事実だと存じますので、消費税率引上げの影響について考える際には、負担のみを見るのではなくて、そうした受益の面もあわせて評価はされてしかるべきなんだと考えております。

 今般の消費税率の引上げに当たりまして、真に支援を必要とする層にしっかりと支援は行き届くようなことが重要なんだと思っております。そのために、低所得者層など消費税率引上げの影響を受けやすい方々への配慮措置を講じておるところであります。

 御指摘の高齢者世帯であれば、先ほども議論がありました軽減税率の導入に加えまして、住民税非課税世帯を対象とする介護保険料の軽減、また、いわゆる住民税非課税世帯というものを対象とするプレミアム商品券の発行、販売などが対象となります。

 また、社会保障に対する安定財源を確保し、いわゆる幼児教育の無償化を始めとする全世代型の社会保障制度というものを構築していく上で、国民の将来の不安というものを解消していく等々、幅広くこの問題を検討した結果だというように御理解いただければと存じます。

宮本(徹)委員 ですから、私、受益と負担を足して引いて計算したら、収入が少ない方のところでも、やはり高齢者の世帯の家計の赤字は拡大していくというのははっきりしていると思うんですよね。

 しかも、今、年金は、マクロ経済スライドの制度が導入されているわけですよね。二〇一九年度の年金がどうなるのかというのも発表になりましたけれども、前年の物価は一%上がりましたけれども、マクロ経済スライドで、年金増は〇・一%増に伸びは抑制されるということになったわけですよね。

 そうすると、二〇二〇年度も、消費税増税で物価が上がる、そしてマクロ経済スライドが発動される。そうすると、実際としては、かなり年金は、二〇二〇年度、次の年も目減りしていくということになるんじゃないですかね。

うえの副大臣 お答えいたします。

 二〇二〇年度の年金額につきましては、ことし一年間の物価変動率の実績等を踏まえて決まるものですので、現時点で確たることを申し上げることはできません。

 その上で、マクロ経済スライドについては、平成十六年の改革により、将来世代の負担を過剰にすることを避けつつ、制度を持続可能なものとするため、将来の保険料水準を固定し、その範囲内で給付水準を調整する仕組みとして導入されたものであります。

 これによりまして、物価等の上昇率ほどには年金額は上昇しないことになりますが、マクロ経済スライドは、現役世代と高齢世代のバランスを確保しつつ、制度の持続可能性を高めるためのものであり、制度の趣旨に沿って適切に実施をしてまいりたいと考えています。

宮本(徹)委員 この仕組みでいけば、将来、今の若い世代がもらうころはどんどんどんどん減っていくわけですよ。この仕組み自体を私は根本から見直した方がいいと思いますが。

 消費税を増税すれば物価は上がるわけですから、今の時点で定かなことは言えないという答弁なのかもわからないですけれども、かなりの傾向でいえば、消費税を上げた分物価が上がって、マクロ経済スライドが全面的に発動される可能性が高い。だから、増税はあるわ、年金は目減りするわということでなっていくわけですね。

 ですから、本当に、こういう逆進性の強い消費税というので財源をどんどんどんどん賄っていくという考え方が正しいのかというのは、やはりみんなで立ちどまって考えなきゃいけないというふうに思いますよ。

 それから、国税庁の調査では、二〇一七年の非正規労働者の平均収入を見ますと、百七十五万円、四十六歳というのが出ておりました。これが国民年金、国民健康保険だった場合、収入に占める税と保険料の合計の負担率というのはどれぐらいになりますか。

うえの副大臣 委員御指摘の税と社会保険料の合計が収入に占める割合ですが、今お示しをいただきました非正規労働者平均収入百七十五万円を基準といたしまして、一定の仮定のもとで機械的に試算をしますと、まず、単身世帯につきましては、年収百七十五万円の場合は一八・一%、年収三百五十万円の場合は二〇・〇%、年収五百二十五万円の場合は二〇・五%、年収七百万円の場合は二二・三%となります。

 子供が二人いらっしゃる夫婦世帯につきましては、年収百七十五万円の場合は一一・三%、年収三百五十万円の場合は一五・〇%、年収五百二十五万円の場合は二二・〇%、年収七百万円の場合は二一・九%となります。

宮本(徹)委員 単身世帯の場合は、平均年収百七十五万円の方の税と社会保険料の負担率は一八・一%という話ですよね。ですから、月の可処分所得は十一、二万円ぐらいになるのかなというふうに思いますが、十二万円ぐらいですかね、ちょっと今、さっと計算が出ないですけれども。その上に消費税がかかってくるわけですよね。

 先ほどの出していただいた数字の計算のもとになった、家計調査をもとにした年間収入ごとの消費税の負担率を見ると、年収二百万円未満でいえば、今度の増税で消費税の負担率は八・五%。ですから、先ほどの一八・一%を足すと二六・五%という、単純に足せばそういう計算になるわけですよね。年収百七十五万円の方が、直接税、間接税、そして社会保険料を二六%、四分の一以上支払うと。

 これは私は、大変負担が重いと言わざるを得ないと思うんですが、大臣の認識はどうでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘の所得税というのにつきましては、所得再配分の考え方に基づいて、累進税率の総合課税を採用しておりますので、年収が少ない方ほど収入に占める負担の割合が大きいという状況にはないものだと考えておりますので、住民税につきましては一律一〇%の比例税率となっていたりしているのは、御存じのとおりです。

 また、社会保険料につきましては、国民年金の保険料は定額負担であるなどの一定の逆進性が存在しております。しかし、国民年金や国民健康保険の保険料につきましては、所得に応じた免除とか軽減の制度が設けられておりますので、所得の低い方々に配慮した制度ということになっているんだと思っております。

 さらに、消費税について、負担のみを見れば、低所得者ほど収入に占める税負担の割合が高いということの意味では、いわゆる逆進性を有するものではあります。これはおっしゃるとおりだと思いますが、ただ、社会保障と税の一体改革の中で、その増収分は社会保障の充実また安定化に充てることとしておりますので、その受益は低所得者ほど大きくなっておりますので、所得の再配分につながる面もあるんだと思いますので、受益の面とあわせて評価をされてしかるべきなのではないかと。

 また、今後とも、社会保障制度との持続可能というような可能性を確保していくためにも、受益と負担のバランスというものを常に考えながら、国民の負担を適正で負担可能な範囲にとどめることが重要なんだと考えております。したがいまして、社会保障の改革を含めまして、重点化、効率化など、歳出削減に引き続き取り組んでいくことが重要だと考えております。

宮本(徹)委員 受益があるという、そこも見なきゃいけないというお話がありましたけれども、この間の予算委員会を見ていましても、ワーキングプアの世代に受益があるのかということに対して、茂木大臣は、住宅ローン減税があって、マンションを買えばいいとか、そういう話をされましたけれども、こういう世代というのは、そういうものは買えるわけがないわけですよね。

 今回の消費税増税で、単身の非正規のワーキングプアで働いている方々に対しての対策というのは、実際何もないわけですよ。ですから、逆進性の強い消費税を増税、どんどんどんどんしていくということは、本当にこういう方々の生活をより厳しく追い込んでいくものになるという自覚をぜひ持っていただきたい。私は、こういう道は進むべきではない、消費税増税は中止すべきだと強く申し上げたいというふうに思います。

 その上で、もう一点きょう伺いたいのは、社会保障のためといって消費税を増税しながら、来年度予算以降、聖域としてふえていく防衛省の予算の問題、とりわけ、年末、十二月に中期防衛力整備計画が決められましたので、この問題について大臣に伺いたいと思います。

 私は、安倍政権のもとで後年度負担がふえてきているという問題をいろんなところで繰り返し議論させていただきました。

 二〇一三年三・二兆円だったものが、二〇一八年は五兆円を超えました。これは未来にわたって防衛省の予算の膨張をもたらすものじゃないかという指摘も、私は繰り返させていただきました。そして、年末に決まった中期防の五年間の総額は、その前の五年間の中期防に比べて大きく膨らんだわけですよね。

 今回の中期防の計画額を決める際に、この五年間、安倍政権のもとで後年度負担が大きくふえたことが影響したんじゃないですか。

麻生国務大臣 国家にとりまして、少なくとも安全保障というのは優先順位の一番と考えてしかるべき重大問題なものだと思っております。

 その上で、相手のある話ですから、私どもの周りを取り巻く状況等々を常に勘案しながら防衛計画というのは立てられてしかるべきなんだと思っております。その上で、私どもは、最近いろいろな状況を考えますと、安全保障の環境の変化というものに対応していくためには、実効的な防衛力というものをきちんと構築するために、防衛力の質と量というものを必要かつ十分に確保することが重要だと考えております。

 しかしながら、いわゆる新規後年度負担につきましては、現中期防の期間中、それ以前と比較して増加をしております。その適切な管理のため一定の歯どめをかける必要があると、財務省としても指摘をしたところであります。

 したがいまして、新中期防におきましては、後年度負担を含めた五年間に新規契約する事業費の額については、おおむね十七兆一千七百億円程度と初めて明記をさせていただき、これを上限として明確な歯どめとしたところであります。

 これは、防衛装備品の調達とか修理とか契約した年度のみならず、多年度にわたり支払いが続く場合が多いので、中期防の定める五年の期間を超えて支払うこともあるということから、後年度負担を適切に管理する上で、一層適切な歯どめであると政府として判断したものだと御理解いただければと存じます。

宮本(徹)委員 歯どめを今度は設けたというお話なんですけれども、その議論は後でしたいんですけれども、私がお伺いしたいのは、今度のこの新しく始まる中期防の五年の総額が前回に比べて大きくなったというのは、その前の五年に後年度負担をふやし過ぎた、これがやはり影響しているんじゃないですかということをお伺いしているわけですよ。その点どうですか。

麻生国務大臣 今申し上げましたように、私どもの取り巻く環境を考えて、少なくともその前の五年間に比べて総額はふえたというのは事実であります。

宮本(徹)委員 ですから、後年度負担が、さっき私指摘しましたけれども、三・二兆から五兆円を超えるところまでふえたわけですよね。次年度以降に払わなきゃいけないのがどんどんどんどんふえたから、余りにもふえたから、中期防の総額は今回ふえた。安全保障環境だけの話じゃなくて、後年度負担をふやしたということが中期防の枠をふやした大きな原因になっているんじゃないですかと聞いているんです。

麻生国務大臣 中期防と防衛費の負担の相関関係を言っておられるんですか。

宮本(徹)委員 いや、後年度負担がふえたことと、今度の中期防の額の相関関係についてお伺いしているんです。

麻生国務大臣 先ほども一番最初に申し上げましたように、取り巻く安全保障の環境を考えて私どもは対応させていただいているということが大前提であります。

 その上で、今、私どもとしては、中期防衛計画というものを考えるに当たっては、そういった状況に合わせて中期防というものが策定されているというように御理解いただければと存じますが。

宮本(徹)委員 なかなか答えたくないみたいですけれども、この間、毎年の予算の支出の仕方を見ても、歳出化経費と言われる、それまでに契約して次年度以降に払う、後年度負担を支払う部分の比率が、防衛省の予算の中でどんどんどんどんふえているわけですよね。

 だから、これから五年間はちゃんと後年度負担も適切に管理しようと、一番初めの大臣の発言にもつながるんだと思いますけれども、はっきり言って、後年度負担をどんどんどんどん際限なくふやしてきたことが、未来にわたって防衛省の予算を膨張させる仕組みをつくっちゃっていると思います。私は、財政民主主義上、大変ゆゆしき問題だというふうに思っています。

 もう一点お伺いしたいのは、この中期防で、今まではあった言葉がなくなっているんですね。

 例えば前回の中期防でいえば、防衛力整備の水準に係る金額は二十四兆六千七百億円程度、調達改革などで七千億程度の実質的な財源確保を図り、予算の編成に伴う防衛関係費は二十三兆九千七百億円程度の枠内という。これは、今までの中期防ではこの枠内という言葉が、五年間の予算編成の金額に対してかかっていたわけですね。

 ところが、今回は、五年間の予算編成に伴う額については、節約をした上で、二十五兆五千億程度をめど。枠内がめどという言葉になっちゃったわけですよ。

 なぜ枠内という言葉がここからなくなっちゃったんですか。

麻生国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、装備品の調達とか修理等々、契約した年度のみならず、多年度にわたって支払いが続く。例えば、DD艦なら、DDH艦一個つくるのに一年間の短期でできるわけがありませんから、少なくとも二年、三年かかってつくっていますので、そういった意味では、契約した年度のみならず、多年度にわたる支払いが続く場合が多いというのが状況であります。

 したがいまして、新中期防において、従来の五年間の歳出額というものにかえて、後年度負担を含めた五年間に新規契約する事業費の額を、十七兆一千七百億円を枠内、そこで枠内という言葉が使ってあると思いますのでそこを読んでいただければと思いますが、明記し、これを上限として明確な歯どめとするということにさせていただいたということで、めどにかわって、そこに枠内が使われておると思っておりますが。

宮本(徹)委員 では、お伺いしますけれども、この十七兆一千七百億円というところにつけた枠内、新しい契約につける、契約額に対して枠内をつけたと言いますけれども、これはどっちの数字に対応しているのかというのをお伺いしたいんですね。

 中期防ではこう書いているんですね。この計画の実施に必要な防衛力整備の水準に係る金額は二十七兆四千七百億円程度をめど、その上で、プロジェクトの見直しなどで財源の確保を図り、二兆円節約して、二十五兆五千億円程度をめどと書いているんですよ。

 この二十七兆四千七百億円程度をめどなのか、それとも、プロジェクトの見直しなどで財源の確保を図って効率化した、二兆円節約した二十五兆五千億円程度をめど、どっちの数字に対応しているのが十七兆一千七百億円の契約額の枠内なんですか。

麻生国務大臣 五年間に新規契約する事業費の額として示されている十七兆一千七百億円の枠というものは、防衛力整備の水準のめどにあります二十七兆四千七百億円に対応いたしております。

 新中期防の期間における経費の総額はこの二つの数字によって管理をされるということになって、その上で、五年間の歳出経費といたしましては、先ほど新中期防で記載をしておりましたように、おおむね二十五兆五千億円をいわゆるめどに各年度の予算編成を行うということにさせていただいており、これを原則として、一層の合理化、いわゆる効率化を徹底することなどによって実質的な財源の確保というものを図っていく必要があろうと思っております。

宮本(徹)委員 つまり、その二十七兆四千七百億円、節約する前の額に対応しているのが、契約額十七兆一千七百億円の枠内という話じゃないですか。

 そうすると、今までは節約した額を盛り込んだ、前回であれば二十三兆九千七百億が枠内と言ってきたのが、今度は節約する前の、二十五兆の方じゃなくて、二十七兆四千七百億円程度に対応しているのが枠内ということになる。物すごく枠が実際は膨れ上がるということになっちゃうんじゃないですか。結局、二兆円節約するというのは単なる努力目標にすぎないという話にこれはなっていっちゃうと思いますよ。

 ですから、契約額に枠をつけるのが必要だというのは、一年前ここで大臣とも議論した記憶がありますけれども、こういう巨大な枠をつけることを私は求めたわけじゃないわけですよ。もっと絞り込むための枠をつけるべきだという問題提起をさせていただいたのに、これまで以上に、私たちからすれば、大軍拡ができる枠をつくったというのは大変問題だというふうに思います。

 もう一点大臣にお伺いしますが、この十七兆一千七百億円の枠内というのを設けたことによって、今五兆以上に膨れ上がっている後年度負担の総額というのは、これは更にふえるということになるんじゃないですか。

麻生国務大臣 この新中期防において新たに契約する事業費のうち、どの程度が中期防の期間内に支出をされて、そしてどの程度が期間外の支出なのかについては、これは各年度の予算編成を得た上で、実際に個別具体的な契約が行われなければ、明らかになることは難しいと思います。

 したがいまして、お尋ねの、新中期防の期間終了時における後年度負担の額等々の御質問ですけれども、現段階で予断を持ってお答えするということは難しいと思います。

宮本(徹)委員 いやいや、だって、一番初め、この十七兆一千七百億の枠をつくったから、このことによって後年度負担の額を適切に管理するという話があったわけじゃないですか。

 それが、今のお話だと、減るとも言えず、どうなるかもわからない、ふえるかもわからない。これはとても適切に管理しているということにならないですよ。やはり、この十七兆一千七百億という枠自体は、余りにも巨大な枠をつけ過ぎたからそういう御答弁になってしまうんじゃないかというふうに思います。

 私は、未来にわたって防衛省予算が更に膨張する仕組みを今度の中期防で決めてしまったのではないかと厳しく批判をしたいというふうに思います。

 時間が来てしまいましたので、本当は、防衛省、きょう来ていただいたので一問お伺いしようと思っていたんですが、そのことを質問できなくて申しわけないですが。

 最初に麻生大臣が、安全保障が優先順位の一番というお話をされましたけれども、国民の暮らしからすれば、社会保障も大事ですよ、教育も大事ですよ。暮らしを守る、命を守る。本当に一番大事なものは、何が何でも防衛省予算の確保が一番なんだ、こういう考え方は、私は言い過ぎであり撤回すべきだということを強く求めまして、質問を終わります。

坂井委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 昨日の質疑の続きをさせていただきたいと思います。

 きょうは朝から、財金とは別に、予算委も分科会が回っていまして、予算委の分科会の方でも、朝一でアイヌ関連の予算の質疑をしてきたんですが、これできょうは私としては最後の質疑なので、若干間があくと自分の中で少し頭の整理がしやすいので、税、大事な議論ですので、しっかり聞いていきたいというふうに思います。

 でも、お話を聞いていると、今回の税制、より複雑に、あとは、大臣がお聞きになったら、いや、それは違うとはおっしゃるかもしれませんが、無駄な動きが多いかなというふうに思います。

 国会自体がいろいろ旧態依然としている無駄なことが多いんですけれども、この前から問題になっています、大臣が必ず張りついていないといけないとか、例えば、いつも思うんですけれども、この所得税の五点セットも、こんな分厚いものを何個刷るんだというぐらい刷ってやっているんですけれども、電媒で済むんじゃないかとか、あらゆる点で国会自体が変えていかなきゃいけないこともあるんです。

 でも、本当はもっと単純に、そしてもっと効率的にできていけるはずの国家の流れが、軽減税率もそうです、税の面でもそうですし、こういう国会システムも、何となく、どんどんどんどん複雑になることで、実は、国民の皆さんに不利益や、無駄なことによる予算の損失とか、そうしたものが生まれているんじゃないかなと、すごく、きょうの議論を聞いていても危惧しています。

 例えば、その意味では、住宅ローン減税、今回の消費税の増税に向けて、緩和策として、今回の税法で、住宅ローン減税の延長という形で出してこられていますけれども、これをまずお伺いしたいんですけれども、非常に複雑なことで、不手際というか、問題も生じているんじゃないかなと。

 現に、平成二十五年から二十八年の減税について、結局、有権者の皆さん、国民の皆さんが税額をうまく計算できないというか、控除額の計算を誤った状況で申告なり税の納付をされて、話では、最大一万四千五百人以上、これぐらいの方の過大な控除、つまり、国の方がもらわなかった、だから払わなきゃいけないんですね、控除が過大ということなんですけれども。非常に、既にこういった複雑性の部分から問題が生じているんじゃないかなと、端的な結果を見ても思うんですけれども、まず、過大な控除が行われていたということですが、事実でしょうか。そこも含めて、詳細について財務省お答えいただけますでしょうか。

    〔委員長退席、井林委員長代理着席〕

並木政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの件につきましては、昨年六月、会計検査院より、所得税の住宅ローン控除と贈与税の住宅取得等資金の贈与の特例、このいずれも申告している場合などに関しまして、納税者の申告誤りが多く見受けられるとの指摘がありまして、これを受けて、国税庁において同様の誤りがないかを全国的に確認した結果、この指摘に該当し是正を要すると見込まれる納税者数が、平成二十五年分から平成二十八年分の所得税の申告において、最大で一万四千五百人であることが判明したものでございます。

 この適用誤りの原因といたしましては、納税者向けの住宅ローン控除の手引等の説明がわかりにくくなっていたこと、それから、国税庁から税務署に対して具体的な申告書の審査方法を指示しておらず、審査の際に使用するシステムも申告誤りを検出する仕様になっていなかったことなど、審査方法、審査体制が必ずしも十分でなかったなどの要因が重なったことによるものと考えております。

 現在、是正を要すると見込まれる納税者に対して、申告内容の見直し等をお願いしているところでございますけれども、納税者向けの周知、広報に丁寧さを欠いていたことや、税務署の審査体制に不備があったことなどにより、今回のような事態を招いたことについて、率直におわび申し上げたいと思います。

 今後は、納税者により丁寧な周知、広報、申告書の審査方法の見直しやシステム改修などを行うことにより、再発防止を徹底してまいりたいと考えております。

丸山委員 しっかりやっていただきたいんですけれども、御自身でもおっしゃったように、複雑さが原因だと。おっしゃるとおりだと思いますよ。

 そうした中で、今回の税制を見ていても、住宅ローンだけじゃなくても、また、例えば先ほど来ずっとお話しされている軽減税率の話一つにしても、税率がいろいろ変わってくる。更にカードのポイントの話まで出てくる。もう一つ一つがすごく複雑で、必ず同じような、恐らく申告の誤りだとかいうことが絶対に出てくると思います。

 この件を教訓に、今後、その複雑な税制でやりたいとおっしゃっているんですから、この点、国税庁さん、しっかりやっていただきたいですし、今から頭が痛い状況だというふうには思いますが、これをもとにまた詐欺みたいなのも起きてこないのかなというのは心配します。

 というのは、これを今後きちんとお支払いいただけるように広報していくとか、若しくはお願いをしていくということですが、例えば、振り込め詐欺じゃないですけれども、国税庁だと名乗るような電話、振り込め詐欺みたいな形の事件が要は誘発していくんじゃないか、こういった懸念もあると思うんですよね。

 こうした点をしっかり防いでいく、まずこの件に関して防いでいかなきゃいけないと思うんですが、消費者庁さんにきょう来てもらっているので、こうした案件で、現在のところ、そうした相談みたいなのは寄せられていますでしょうか。また、対応についてどのように考えているのか。よろしくお願いします。

高田政府参考人 お答えいたします。

 架空請求に関連すると思われる消費生活相談のうち、国税庁関係機関をかたるものの事例といたしましては、国税庁を名乗る差出人から消費税の軽減税率のお知らせという封筒が届いたが、架空請求ではないか心配だというもの、あるいは、スマホの電話番号メールに国税庁から滞納税があるというメールが入ってきた、滞納などなく架空請求だと思うというものがございます。

 また、国税庁関係機関をかたるものを含めまして、架空請求関連と思われる消費生活相談につきましては、全体として急増しており、二〇一六年度には八万三千四百九十五件、二〇一七年度には十九万九千七百十七件、二〇一八年度には暫定集計で十九万七千二百九十三件となっております。

 消費者庁においては、そうした状況を踏まえ、平成三十年七月に取りまとめられました架空請求対策パッケージに基づきまして、注意喚起資料の公表、周知などの取組を進めております。

 引き続き、関係省庁と連携し、架空請求の被害の発生抑止に向けて対応を進めてまいりたいと考えております。

丸山委員 皆さん、お聞きいただいて、すごい数字だと思われたと思うんですけれども、これは確実に今後もっとふえていくと思います。それは、今私が申し上げたような住宅ローン減税だけじゃなくなっていくからです。

 消費税にしても、ほかの税にしても、こんなに複雑な税を与党の方でおつくりになって、もちろんそれを、政策的意図があるんだという思いでつくっていらっしゃるんでしょうけれども、しかし、その負の部分として現実面でこうしたことも起きている。

 これはしっかり、大臣、消費者庁にだけは限界があります、消費者庁ができる範囲はすごく限界があるので、国税としても、財務省としても、税を出してこられた責任としてしっかり対応いただくことが非常に大事だと思いますし、同様のことが起こり得ると大臣も思われると思うんですけれども、この点について、お聞きになってどうお感じになっているのか、お伺いできますでしょうか。

麻生国務大臣 まず冒頭、今回の住宅ローン控除に係る申告誤りの件、国税庁において今答弁があっておりましたけれども、多数の誤りが見過ごされたということで、これは甚だ遺憾なことだ、率直にそう思っております。

 また、こうした事態が生じた背景として、国税庁からも答弁があっておりましたとおり、納税者への周知とか広報とかいうものが必ずしも十分でなかったとか、また、国税庁内における確認体制が不備であったとか、いろいろ住宅ローン控除制度自体の問題によってこうした事態が生じたのではないということだとは思いますけれども、そういったことをきちんとしていなかったという点につきましては、反省の点があるんだと思っております。

 また、今回の税制改正で、私ども、住宅ローン控除期間というのを三年間延長させていただいて、十年が十三年ということにさせていただいておりますが、この三年間を通じて、消費税率引上げの分の範囲でさらなる減税を行う仕組みをしたところなんですが、単純な控除期間の延長は、これは減収が極めて大きいということもありますけれども、需要変動の平準化策としては、十年先の話ですから、そういった意味では、効率的な制度設計としての観点から行うものであって、いたずらに制度を複雑にしようということがあるわけではありません。

 しかし、結果的に複雑になっておるじゃないかということなのであって、これが大体、考えることと移される方とのいつも乖離が起きるのがここなんですけれども、そういった点は常に頭に入れてやらないかぬところだ、私どももそう思います。

 よく言います、頭がいい人が考えると大体話が難しくなるといつも言うんですけれども、その点は私ども常に頭に入れておかないかぬので、頭の余りよくない方が言わないかぬところだ、つくづくそう思っております。

 いずれにいたしましても、今回の申告誤りの件について、これは、再び同様の事態が起こらないようにするような再発防止というのを徹底する必要があろうと思いますので、国税庁の組織を挙げまして、納税者への丁寧な周知、広報、また、国税庁の事務処理体制の整備等々などに取り組む必要があるということだと思っております。

丸山委員 大臣、結果として複雑になっているという御意見、恐らく多くの方はそう思っているし、恐らく財務省の皆さんも、それはそうやなと思われる方も多いんだと思います。

 結果としてなっている。結果が大事なので、結果としてなっているんですよ。なので、ここで一度、やはりこの複雑性に関しては、今年度はもう出されていますからあれですけれども、来年度の税調にしろ、大臣がおっしゃる頭の賢い方々が考えていらっしゃるわけですから、少し、頭のやわらかい大臣がお話しをいただいて、こうした実害が出ているので、そして恐らく来年度以降もっともっと出てくると思います。

 かなり危険な、要は、皆さんわからないので、税が複雑過ぎて。お弁当屋さんの話もありましたけれども、業者の方も八%なのか一〇%なのかわからない。個人もわからない。こういう減税の部分、ポイント還元一つにしてもあり得ます。ポイント還元の詐欺みたいなのがあるかもしれません。

 しっかり、政府として、出してきた責任はこの結果の部分もとっていただきたいと思いますし、今しっかり、組織の拡充なりいろいろな対応策はあると思うんですけれども、やっていただいていると思いますので、ぜひとも、この数字が減っていく、若しくはふえないような形にしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 少し議論がほかの方と重複するんですが、どうしても通告の関係であれなんですけれども、やはり軽減税率に関しては、私はずっと、先ほどの複雑性の部分も問題だというふうに申し上げていますけれども、同時に、これは議論がありましたが、財源がないじゃないのと言われたときに、非常にこれも危惧しております。

 財源で示されているのが、もう大分タイムラグのあるものにされているので、インボイスにしても、あとは個人所得税の見直しにしても、どんどんどんどん、要は平成三十一年度から軽減税率が始まるのに、ほかの財源の制度は三十二年だったり三十三年だったり三十五年だったり。非常にタイムラグがあるがゆえに、財源が不足しているじゃないかと言われてもしようがないというふうに思うんですけれども、このあたりのタイムラグ、まず事務方の方、どれぐらい、どういうふうに考えていらっしゃって、タイムラグの財政的な影響、不足分があると計算されているのかどうか、まずお伺いできますでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 この問題は昨日の質疑でも野田委員からも御指摘をされたところでございますけれども、消費税の軽減税率制度の導入に当たりましては、平成二十八年度税制改正法の附則におきまして、平成三十年度末までに法制上の措置等を講ずることによって、安定的な恒久財源を確保することとされております。

 私ども、軽減税率制度を制度として導入することによって生ずる財源不足、これを制度的に恒久的に手当てをする、それを三十年度末までにせよ、そういう規定でございますので、税制の見直しなどによりまして、平年度ベースで税収見込み額に対応する約一・一兆円程度の恒久財源を確保する制度的な対応等を行って、法律上の要請に応じているところでございます。

 先生から御指摘がございました、それらの制度的な対応につきましては実施時期が異なっておりまして、個人所得課税の見直しについては平成三十二年の一月からでございます。また、いろいろ議論になっておりますインボイス制度でございますけれども、これは平成三十五年の十月に実施されるなど、制度的な対応等の効果が全て実現するまでには一定の期間を要するということでございますけれども。

 それまでの間、年度ごとに税収額に対応するよう財源を確保するということ自体は法律上要請されているとは考えておりませんで、繰り返しになりますけれども、制度的な対応をしたということでございまして、そういう意味では、財源の差額がどうだといったようなことについては特に考えておらずに、制度的な対応を図ったということで法律上の要請を満たしていると考えているということでございます。

丸山委員 つまり、財源不足については言われていないので別に考えていませんよということだと思うんですけれども、いや、これは普通、考えてくださいよと思いますし、一番気になる大事な部分だと思います。足りないなら何かしらの施策をすべきじゃないし、軽減税率だって財源が確保できるタイミングでやるのが筋だと思うんですよね。

 先ほど来、いろいろな方がこういった御意見を同じようにおっしゃっていましたけれども、大臣、やはり今回のは、少しというよりは大分おかしいと思います。あらゆる点で、この複雑さ、政策的な、ねじ曲げと我々は思いますけれども、部分でゆがみが出ていて、それによってひずみがいろいろなところにあらわれているんじゃないかなというふうに思いますが、大臣、どう思われますか。いかがでしょうか。

麻生国務大臣 消費税の軽減税率制度の導入に当たりましては、先ほど主税局長の方からお話をさせていただいたとおりに、平成二十八年度税制改正法の規定の趣旨に沿って、規制の見直しなどによって、平年度ベースでいわゆる減収見込み額に対応する一・一兆円程度の恒久財源を確保する制度的な対応ということを行えということになっておりますので。

 私どもとしては、この制度的な対応の効果が全て実現するまでにある程度一定の期間を要するということなんですが、それまでの間は、年度ごとに減収額というものに対応するような財源を確保するということを法律上にきちんとしておけと決められているわけではありませんので、その間、特段の対応を今この段階で考えているわけではありませんし、もしかしたら税収がもっとふえて間に合うのではないかとか、いろいろなことを考えねばならぬとは思っておりますけれども、その段階において、私どもとしてはきちんと対応していかねばならぬと思っております。

    〔井林委員長代理退席、委員長着席〕

丸山委員 非常に場当たり的だなと聞いていて思います。国家の財政ですのに、こうした状況というのは非常に危惧します。こればかりを聞いてもしようがないですし、同じお答えになると思いますので続けませんが、非常に危惧しているということを私もお伝えしたいというふうに思います。

 またちょっと気になるのが、研究開発減税です。

 うちの党はこれはずっと疑問を持っていまして、大企業、特定の企業に対するそもそも優遇策なんじゃないか、競争をゆがめているんじゃないかというのが実は我々の党なんですが、今回、それに関連して、大企業だけじゃなくてベンチャー企業に対してしっかりこうした部分の研究開発減税をつけていこうという趣旨で改正をされています。

 一方で、中身を見ますと、若干、これで本当に効果があるかなというのが気になっていまして、今回の改正、ベンチャー企業に対しての税額控除の上限を法人税額の四〇%に上げるという形ですね。

 ただ、ベンチャー企業さんというのは大概、ローンチして最初は赤字であるのが普通だったり、黒字化するまですごく時間がかかったり、若しくは黒字化したとしても経営の安定性という意味ではもちろん大企業に比べても不安定、収益が安定しないというのが通常だというふうに思います。

 そうした場合、今回の改正であれば、この措置によって対象となるような、研究開発減税が受けられるようなベンチャーは本当に限定的になっちゃうんじゃないかなというふうに思うんですけれども、制度の趣旨として、本当にこれで減税したい有為なベンチャー企業というのがきちんといけるのかどうか、非常に私、この制度の枠を見たときに気になったんですね。

 こうした部分、どのように財務省として考えているのか、お伺いしたいんですけれども。

麻生国務大臣 御指摘の点ですけれども、これは、基本的に、ベンチャーをやられる方を含めまして、総じて無借金、自前でやりますという自前主義というのは、よく我々の周りを見てもそういう形でやられるんですけれども。

 我々としては、少なくとも、研究開発投資というものの多様化というのを図って質の高い研究開発というものを促進していくという観点から、機動的な研究の開発投資というのを行うことが期待されておりますいわゆるベンチャー企業というものを支援することで、新たなイノベーションの創出とか新たな企業の創出、研究の成果というものを後押しすることが必要なんだと考えておりますので。

 いわゆる、御存じのように、最初数年間、数年に限りませんが、利益が上がりにくいという状況の初期の段階なんですけれども、そういったときに、今後の研究開発を計画的に行っていく環境というものをつくらないかぬので、利益が上がってきたときの企業の負担を軽減するという観点を考えておかないけませんので、後になって。したがいまして、今般、総額型の控除上限を、今二五%なんですが、それを四〇までに上げて、所得が小さい中にあっても研究開発税制の効果がより多く得られるようにしたいということに、そこのところの数字はさわらせていただいております。

 いずれにしても、こういったようなことをやっていくに当たって、意識の問題なんだと思うんですけれども、研究開発投資が今日本で企業部門でGDP比で二・四、五ぐらいなんだと思いますけれども、これは決して諸外国に比べて低い水準ではありません。これは結構高いところをいっているんですけれども。

 更にこれを今、極めて安い金で、研究開発投資で今回のはやぶさ二号なんというのを考えると、地球と月との距離の八百倍のところにあのロケットを打ち上げて、半径だか直径だか三メーターの中に着陸させるなんというのは、ちょっと、本当かよと言いたくなるような話なんですけれども、事実だといって発表された途端に、一番最初にあそこに電話をかけてきた人はNASAですから、本当かと。NASAが最初に電話をかけてきているんですよ。そして、ぜひ俺たちと共同研究させてくれと。最初の質問、幾らでできたんだと。聞きますよ、それは。向こうの何万分の一じゃないかと思うぐらい安い金でやっているんですから。

 そういった意味では、物すごくそういった人はいるんですけれども、そういう人に常に頼っているだけではとてもじゃありませんので、もう少し、私どもとしては、いろいろな研究開発等々に関しては、いろいろな形での支援というものを考えないかぬと思っておりますので、この研究開発税制というものにつきましても、いわゆる新しい、まだよくわからぬけれども、ポッシビリティーがありますというのを、やはりこれはベンチャーのキャピタルの人がなさって、当たればばんといくということなんでしょうけれども、そういったようなことに関して、少なくとも国として何らかの形で国益に資するというようなことになろうかと思いますので、そういったことをやる意味での税制としてうまく活用していかねばならぬなとは思っております。

丸山委員 方向性は私も同じように思いますし、特定の大企業だけじゃなくて、特に芽のある、可能性のあるベンチャーに対して、こうした減税制度によって、今大臣のおっしゃったような夢のある部分だとか新たな分野に対しての投資につながっていく、これは非常に大事な、方向性はそう思いますし、今の大臣の宇宙の話もすごく興味深くて、またもしお時間があったら、どこかでお食事か何かしながら、細かいところまでお話を聞きたいなと今聞いていて思ったんですけれども、そこはみんな同じなんです。

 問題は、それの方向性はいいんですけれども、この制度でそれを満たせるかどうかというのは非常に大事で、今私の指摘しているのは、ベンチャーさんは、結局、四〇%に上げていただいても赤字だったら関係ないわけで、非常に制度として私は欠陥があるんじゃないかなというところはすごく思っていまして、大臣、このあたりについてはお聞きするよりは、ちょっと事務方、もしわかればでいいんですけれども、これは何か数値目標を決めて四〇と置いたんですかね。

 つまり、何で四〇だというのも気になりますし、それに対して、こういうふうな、これぐらいの要は投資をふやしたいから四〇だというのならわかるんですけれども、何となく曖昧にそこは決まっている。大臣の夢のある話は大事なところなんですけれども、それに向かうための手段が余りうまくないんじゃないかなとすごく思うんですけれども、もしあればでいいんですけれども、事務方、これはどういう趣旨でこのあたり決めていらっしゃるんですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 率自体は、要求省庁の経産省などともいろいろと議論を重ねましてこの率になっているわけでございますけれども、民間企業の創意工夫、自主性を生かしながら政策的に後押しをするという意味では、やはり税制は極めて大事だと思います。

 ただ、どうしても、税でございますので、赤字法人にはその効果が出ないということでございますけれども、先ほど大臣のお話の中にもありましたけれども、企業の中だけに閉じこもっている、ある意味自前だけで研究開発をやっていてはなかなか質も高まらないということで、オープンイノベーション、外にその研究を出していく。

 出し先やその研究の担い手として、やはりある程度リスクを負ってやっていける主体として、ベンチャー企業、ここに対して優遇措置を行っていくということが必要だろうということでいろいろと議論を重ねた結果、これまでの二五%を積み増して四〇%にするということにしたということでございまして、そこの率についてどうだということについては、最終的にはいろいろ議論の結果ということでございます。

丸山委員 非常にいろいろなものが、余り綿密ではなく決まっているなというのが正直なところで、この四〇もそうなんですけれども、言い出したら切りがないですが、ふるさと納税がなぜ三割なのかとか、何か、平均的に見たらそのあたりだみたいな回答がありましたけれども、よくわからなくて数字が決まっているものは結構多いんだなと。非常に、目的は正しいと思います、しっかりやっていただきたいので、そのための手段が、やはり国民の皆さんから見てどうしてと思われないような政策で、税制で立てていただきたいというふうに思います。

 時間がなくなってきたので次の話を聞きたいんですけれども、あと、政策的にこれもそうだと思いますけれども、エコカー減税という形で、今回お話を更に進めようということでしょうけれども、これも財源不足、財源が足らないんじゃないのというお声を聞いていると思うんですけれども、このあたり財務省はどう考えていて、どれぐらい不足するかとか、それに対してどう補填していくとか、この辺の具体策みたいなのは考えていらっしゃるんでしょうか。いかがでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 車の燃費性能をよくしていくという意味で、エコカー減税、これまでも制度としてかなり効果を発揮してまいりました。

 ただ一方で、政策減税でございますので、不断の見直しが必要だということで、今回、三十一年度改正に当たりましては、エコカー減税、環境性能の関係の税につきましては、ある意味財源を生み出すということもありましたので、要件の見直し等々を行っているところでございます。

 今、財源の話として、不足するのではないかということで、一番議論になりましたのは、地方税の方の自動車税の保有税の負担を下げるということで、そこは消費税の需要の平準化対策もとりながら、車のいろいろ取り巻く環境をブレークスルーしていこうということで、これまでやっていなかった保有税の減税を行って、そこの分については大きな財源が必要になったということで、県に対する地方の財源手当てをするために、国税の方から譲与する比率を上げたということが全体のパッケージでございまして、車をめぐる財源の話については、そういうことで解決をしたということでございます。

丸山委員 これも余り綿密に考えられていないんじゃないかなと聞いていて思います。いろいろな部分で複雑になっていくがゆえに、ひずみが出ている。きょうは、ひずみの部分を幾つかお話をしているんですけれども。

 もう一つ、ニュースを見てびっくりしたのが、近年、金の密輸が日本、この国でふえている、摘発件数がふえてきたという記事を見てびっくりしたんですけれども、どうやら、それは消費税が影響をしているんじゃないかみたいな感じの記事でございました。ちょっとお伺いしたいのは、これはふえているのかどうか。

 そして、時間がないので重ねてお伺いしたいんですけれども、これはふえているんですけれども、ふえているなら、また消費税が上がるタイミングで恐らく更にふえるんじゃないかという危惧の声もあります。これに対してしっかり取り組んでいただきたいですし、以前、たしか、私も財金だったと思うんですけれども、きちんと税関で取り締まるための体制をやるんだとやられたんですけれども、一方でふえているわけですよ。同様の対策じゃ問題が生じていると思うんですけれども、しっかりやっていただきたいんですけれども、重ねて最後にお伺いして終わりたいと思うんですけれども、お願いします。

中江政府参考人 お答えいたします。

 まず、税関の最近の摘発件数ですが、平成二十六年に初めて百件を超え、その後、一昨年及び昨年は千件を超えております。

 ただ、平成二十九年から三十年にかけましては、前年一九%の減、押収量も二・一トンと前の年から約六六%の減にはなっております。門型の金属探知機ですとか、エックス線の検査機器、さらに制度面では、御審議いただきました関税法の罰則の強化も行いまして、罰則強化前の三カ月間、去年の一月から三月と、その後四月から十二月の九カ月間、それぞれ一トンずつの押収量になっておりますので、月平均にすると三分の一程度になっているということであります。

 もちろん、これは摘発した件数でございます、あるいは押収量でございますので、一定の効果を発揮しているとは思いますが、貿易統計による金の輸出入量等を考えますと、まだまだ残念ながら氷山の一角と考えざるを得ない状況だとは思います。

 財務省税関としては、引き続き、関係省庁と連携して、検査の強化、それから大幅に強化していただいた罰則に基づく厳正な処分の実施、さらには国内流通における透明性やコンプライアンスの強化など、金の密輸に対して一層厳格に対応してまいりたいと考えております。

丸山委員 時間が来たので終わりますが、消費税分の利ざやを利用してもうけようとする悪徳な業者がふえているということでございますので、きょう申し上げた全てのひずみの部分、しっかり目を向けていただいて対応いただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

坂井委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 きのうは、主に消費税の軽減税率やポイント還元の私の持っている懸念を質問を通じてお伝えをさせていただき、かなり大臣とは問題意識を共有していただいたような思いがいたしました。

 きょうは三十分間でありますけれども、消費税も後で少し触れますが、今の丸山委員の問題意識に私も共通しているものがございまして、どんどんどんどん税が、さまざまな要請に応えて複雑になっていきますよね。このことについて、やはり住宅ローン減税も含めてお尋ねをしたいと思うんですけれども。

 今月のたしか十八日だったと思うんですけれども、地元の船橋市の市役所の確定申告の相談をする場に見学に行ってまいりました。本当にあふれ返るほど大勢の皆さんが来ていらっしゃって、そして、いわゆる専門家の御指導をいただいたり、電卓で計算したりとか、御苦労されている、御奮闘されている様子を見学をしてきたんですけれども。

 先ほど、事例として、去年の、いわゆる、控除を多目にとって申告を間違えてしまって、後から追加課税されるかもしれないという、一万四千五百人とかとおっしゃっていましたか、そんな事例も出たそうですけれども、複雑になればなるほど、一生懸命、真面目に申告しようとしても、やはりミスをしてしまうということがあると思うし、プロですらわかりにくくなってきているという状況だというふうに思います。

 本来は、税制というのは、やはり限りなく簡素であるということが理想であって、税率も限りなくフラットに近く、各種控除もあるいは租税特別措置も整理をされて、こんなことを言うと税理士の友人がいっぱいいて恐縮なんですけれども、税理士さんの仕事がなくなるぐらい、自分で計算できて、はがき一枚送ればできるぐらいのものになるのが本当は理想だとは思うんですが、ただ、さまざまな要請を受けていくと複雑になっていく。

 ただ、複雑になったものも、時折は整理をしていくということをやはりやることによって、税制というのは構築されていくべきものではないのかなというふうに思います。

 その中で、今の丸山さんの御指摘のあった、住宅ローンの減税の拡充でございます。

 今回は、期間を三年延長している。また、控除の仕方がより複雑にまたなるんですよね。これは、マイホームを購入しようという人がいるとすると、逆に、複雑がゆえに迷いが出るぐらいになってくるんじゃないかと思います。

 というのは、本来は、消費税率八%が適用されるのは増税の半年前という経過措置があるじゃないですか、家については。そうすると、三月三十一日までに契約を結べば、仮に十月一日以降に物件を引き渡される、そういうことになっても税率は八パー、そういう経過措置だったと思うんです。普通だったらそれを選びますよね。八パーの方がいいんですよ。人生で一番大きな買物をするときに、それは一〇パーより八パーの方がいいと思います。

 でも、今度は、住宅ローン控除を拡充をするということに加えて、すまいの給付金であるとか、あるいは、例えば、省エネとか耐震とかを考えたものだとまた更に優遇があるということで、いや、もしかすると、十月一日以降で消費税率一〇%でも、そっちの方が得かもしれないと考えるぐらいの、私は今回の支援策になっているのではないかと思うんですよ。どっちを選ぼうかなというぐらい。だから、それが消費の需要の平準化ということなんだと思います。平準化としては、私はそれは、迷うぐらいの平準化になっているのかもしれません。

 ただ、問題は、それが残っていくと、複雑なまま残っていくわけですね、複雑なことが。そうすると、さっきの、例えば申告のときにミスが出るとか、そちらの副作用もまた出てくる。非常にやはり税制というのは難しいんだというふうに思います。

 この点について、大臣、どういうふうにお考えでございますか。

麻生国務大臣 初めて代議士に出たときでしたか、まだ当時、海外から帰ってきてしばらくたっていましたけれども、イギリスの学生時代のときに、先ほどどなたかの質問にお答えもしましたけれども、全ての税というのは一律一割、千万円稼いだやつは百万、十万稼いだやつは一万、どんな貧しい人で生活保護を受けても、その受けた人の一割というのが、取りさえすれば、それで全て賄えるはずだ、それで賄えないのは、いわゆる財政の支出、歳出がおかしいという極めてわかりやすい話を書いた、イギリスの、今名前が出てこないんですが、そういった有名な本がありました。アレクシス・カレル、いや、違うかな、そんな名前じゃない、あれはイギリス人じゃなかったと思いますので。そういった本を書いた人がいて、えらい感銘を受けて、へえ、そんなものかと思ったんですが。

 しばらくして、国会議員に出ることになって、その思いがありましたもので、ばちゃっと言って、早い話が税理士会からの推薦が取り消された記憶がありますので、なかなか出馬というのは難しいものだ、選挙というのは難しいものだという記憶が、今、先ほどのお話でしたけれども、私も全く、税理士という職業が成り立たないぐらいな単純な税制が最も正しいというのは、今でもそう思っておりますけれども。

 なかなか、どんどんどんどんこれは話が難しくなっていったのは事実でして、昔、山中貞則という方が自民党におられたので、この方と議論をして、私は文教部会長のときだったか、何か申すとたんびたんびに、くちゃんくちゃんにやられて、その人に対抗できるようになって初めて税をというような感じだったんですけれども。やはり頭のいい方が長いことやっていると、どんどんどんどん税というのは難しくなっていったんだと私は確信しているんですけれども。

 いずれにいたしましても、今回も、そういった点においては、十年を十三年に延ばすことによって平準化というのに優先順位の一番が来たものですから、そこにえらい勢いで的を絞って、耐久消費財として大きな要素を占めます住宅の需要の平準化というのを狙ったところは決して間違っていないとは思いますけれども、それによって複雑化したじゃないか、しかもそれがずっと残るじゃないかという点に関しては御指摘のとおりなんだと思いますので。

 こういった点に関しましては、今後、いろいろ、平準化するためとはいえ、ほかの、難しくした分のほかの部分を易しくするとか、何かいろいろなことを考えないかぬという感じはいたしております。

野田(佳)委員 一度何かの優遇策をやると、途中で手を引くというのはなかなか難しくなるんですよね。今回の住宅ローンの減税の拡充ということも、今お話しのとおり、平準化するという意味ではよく理解できるやり方だと思います。

 問題は、これは新たにマイホームをつくろうという人にとってはプラスじゃないですか。考えてみれば、大体、住宅取得の促進税制というのは住宅不足の時代につくられた。大変その意味では多くの人が恩恵を受けた税制だと思います。

 私自身も、十年ほど前に、おやじが脳梗塞で倒れて、急遽バリアフリーの家をつくらなければならなくなってしまって、住宅ローンで今も助けてもらっています。恩恵を受けている一人なんですね。

 ただ、これからは、もう家が余ってしようがない。これからはというか、現に空き家がどんどんふえてきて、そして、いずれは三分の一ぐらいは空き家になっちゃうんじゃないかと言われているときに、住宅取得を促進をするやり方がいいのかどうか。これは根本的な問題です。

 今、自分が住宅ローンの恩恵を受けていてこんなことを言うのも申しわけないし、これからの世代が夢を持つためには、やはり人生で一番大きな買物のときに手助けしてあげることも大事なんですけれども、一方で、やはり中古の住宅の取引が活発に行われることの方が重要な時代になってきていると思うんです。そのバランスをよく考えた政策をとっていかなければいけないだろうと思うんですね。

 今回の一連の措置が、住宅ローンの減税拡充だとか、すまい給付金だとか、次世代何とかポイントとか、いろいろな政策をやりますけれども、これは新たにマイホームを購入する人にとってはプラス。一方で、中古のいわゆる市場にとっては、これまでは消費税はかからなかったですからね、個人の売るものは。消費税がかからなかったものが、優位性はあったと思うんですよ。

 だけれども、いわゆる自分でマイホームをつくる側にどんどんとプラスになっていくと、中古の方の優位性がどんどんなくなっていってしまうという意味において、さまざまな影響が出るのではないかというふうに思いますけれども、大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 野田先生、やはり日本で、木造住宅だから長く住めないんだって、みんなそう聞かされましたよ、私ら、子供のときから。しかし、奈良の東大寺に行けば千五百年ですからね、木造で。千五百年ですよ。私が今住んでいる九州のうちも百年以上たっていますけれども、別に住めますから。

 そういった意味で、やはり、建てた住宅をせえのでつくりかえる、何十年かに一遍つくりかえるから一生で一番大きな買物というのをやる、そのたびに金がごそっとウン千万なくなる。これでは資産が残らないんだと思うんですね、我が国では。

 イギリスで住んでいた、小さな小さなアパートでしたけれども、築二百何十年だったので、小さなレンガ建てのうちでしたけれども、二百何十年。水回りがもうちょっとどうにかならないのかというほどひどかったけれどもそれでも住んでいましたから。

 そういったので考えても、二百何十年といったら、やはり、うちを三十年か四十年で建てかえるものを、二百年もったら五倍ですから。うちを建てるつもりで五世代もったら、最初のやつは土地を買って、二代目がうちを建てて、三代目が家具を入れて、四代目が絵を買って、五代目が宝石を買ってと、やはり資産が残っていく、いわゆるストックが残るという形になるのが、私らから見ていると、ヨーロッパの文化と日本の文化は今日決定的に違っちゃっている。そのもとは税制かというのが、正直、私、このところ時々考えるところの一つなんですけれども。

 いずれにしても、ストックというものがもう少し豊かになってしかるべきこの国で、何十年かに一遍になったらマンションは全部無価値になってみたりするような形のものが当たり前だと我々は思っていますけれども、ちと考え直さないかぬのではないかと思っているのが一点です。

 もう一点は、先ほど言われましたが、リフォームの話ですけれども、高齢者になってきて、やはり今、二百四十ボルトの、エレベーターというのが今簡単に、普通のうちでも引かれていますので、簡単につけられるんですけれども、これをつけますと、高齢者をそれにぽんと乗っけてやりさえすれば、別に何も養老何とかというところに入らなくても、自宅で十分にそれができる。階段を連れてずっと上っていくと、私、四世代一緒に住んでいましたので、それをよくやらされましたからよくわかるんですけれども、今の時代だったら絶対エレベーターをつけちゃうなと私は思う。

 その税金はということを考えると、その分に補助が出た方が、その人が養老院に入って、国の金がそっちに行くことを考えたら、トータルで考えたらこちらのがよっぽど国の支出としては安く済むんじゃないかなとか、いろいろなことを自分の実体験としてそう思いますものですから、いろいろな意味で、今後、住まいのことについて、個人間の中古住宅の売買というものに関して、消費税の対象とされていないんですけれども。

 いずれにしても、この引上げをやるに当たって、そういったものを含めましていろいろなものをちょっと考えないかぬのだなと思って、もうちょっと、私だけの体験ではいかがなものかと思って、財務省というのは忙し過ぎまして、ゆっくり考える時間がないのが致命的な欠陥なんですけれども、ここは。何となく、いろいろなことをちょっと正直考えなきゃいかぬ。

 日本全体として、戦後の焼け野原から立ち上げていくときの時代と、その前の江戸時代というとちょっと極端にさかのぼり過ぎているかもしれませんけれども、聞いてみると、貸し家ですものね、ほとんどの人が。みんな貸し家でやれた。自前住宅なんてほとんどないですから。それでみんなハッピーにいっていた。何かがどうかしているのか、それが税制のせいなのか人口構成のせいなのか、ちょっとそこのところの根本のところは、野田先生、私自身もまだきちんと腑に落ちているところではないんですけれども。

 いずれにしても、住宅というもののあり方なり持ち方なり税制というものを考えないと、この国はいつまでたってもフローだけで回っているけれどもストックは全然ふえないという形になっているのはいかがなものかというのが正直な実感なので、今御指摘いただきましたけれども、真剣にちょっとこの問題は考えなければならぬところだと思っております。

野田(佳)委員 ありがとうございます。

 非常に、問題意識、これまた共有できましたので、今度ゆっくり一杯飲みながらでも二人でと思ったところでございますが、大臣、まだ私質問はほかにもありますので、御協力をお願いしたいというふうに思いますが。

 私は、きょう住宅から入りましたのは、住宅も車もそうですけれども、消費需要の平準化ということで、優遇策としてまた新たな措置をとるわけですね。これまでもずっとそれを繰り返してきました。私は、時限的だと区切った優遇策も、さっきちょろっと言いましたけれども、途中でやめるということは物すごく困難になるんですよね。

 結局、きのうもちょっと申し上げましたけれども、暫定とか特別な枠だといっても、それが続いていくというのが常であった。この業界にいると、例えば暫定税率、暫定とつくけれどもずっと続いてきたり、当分の間という言葉は使うけれども何十年と続く当分の間であったり、臨時とか何とかと使ったって限りなく恒久的になってくる。繰り返しじゃないですか。

 ですから、私、何が言いたいかというと、これはまた消費税のトラウマにとらわれていると、過剰に対策をつくり過ぎて、それがまた特別な政策をつくって、これをなかなかのけることができなくなっていくんですよ。のけた場合は、またそれこそ消費の崖みたいになるわけですね、きのうオリンピックの崖を言いましたけれども。

 そこが本当に難しいところだと思いますが、知恵を出して、非常に優秀な人たちがいますから知恵は出しますね、出したものをどこかでとめるルールとかいうこともよく考えていかなければいけないと思うし、それから、やめたときに妙に大きな崖にならないようにするという、物すごい、難しい知恵かもしれませんが、非常に私、大臣の問題意識、きょうも含めてよくわかりますので、私の問題意識も今御理解いただけるんじゃないかと思いますので、コメントがあればお聞かせいただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 これは全く、役所で、この世界に入って、やはり当分の間という言葉ぐらいいいかげんな言葉、などという言葉と当分の間、この二つは物すごく幅の広い言葉なんだというのは、役所の人とつき合って、それだけは思い知ったんですけれども。

 言われましたように、いつやめるかというのは、これは物すごく難しいです、おっしゃるとおり。景気がよくなっているときならともかく、そこそこのところでいっているときには、やったらまた落ちるんじゃないかとか、景気の崖が来るんじゃないかという点なんですけれども、少なくとも、今回のときには、住宅ローンの減税とか、それから、すまい給付金とか、いろいろなのを、スタートする時期、終わる時期をそれぞれずらさせていただいているのも、一挙にどんとまとめて、十月に来た後に全部とまっちゃうというのはいかがなものかという御指摘が必ず出てくると思ったので。

 私どもとしては、二〇二〇年三月までとか、二〇二〇年の十二月までがポイントだとか、それから、すまい給付は二〇二一年の十二月までとか、それぞれ、終わりをずらさせていただいたというのがそれなんですけれども、自動車につきましても、二〇一九年から二〇二〇年までの一年間ということにさせていただいているんですけれども、実施期間を設定をさせていただいて、時限を切って、そして消費に与える影響を緩和させようということで、一挙に景気の崖が来るなんということのないようにしておるところなんですけれども。

 いわゆる、こういった、経済動向というものを引き続き見ながら、私どもとしては、その時点で景気が、中国もそこそこいきました、アメリカのあれもそこそこ維持できましたということになればいくんだとは思いますけれども、米中、いきなりぼんと何かで、両方ちょっと変わった人が大統領をやっておられますので、ちょっと一発何かぽっと起きて、何か起きる可能性がないなんという前提で甘いことを言っているとろくなことがありませんので、きちんとそういったことも考えて、私どもは対応していかないかぬところだと思っておりますけれども。

 いずれにしても、そういった面で、いつやめるか、どうしたらやめられるかというのは、これはきちんとどこかで腹を決めてやらないと、ずっと延び延び延び延びになっていって、何のことはないということになりかねぬという点について、御指摘はまことに正しいと思いますので、注意してやらせていただきたいと思います。

野田(佳)委員 きのうに続いて、経産省の藤木さんにお越しいただきました。

 きのうは随分詰問調になっちゃって、申しわけなかったですね。きょうはそんなに警戒しないでいいですよ。

 きのう、質問しながら、ああ、こんなことを通告しておけばよかったなと、きのうの一時間の中で思いついたテーマがあったので、どうしてもきょうは聞きたいなと思ってお越しいただいたんです。

 私、キャッシュレスの推進自体は反対じゃないんですよ。それは進めていくべき、日本はおくれていると思います。ただ、税とかぶせたやり方については疑問があるという意味で、きのう、たくさんの懸念をやりましたけれども。

 今回のいわゆる消費、需要の平準化対策でポイント還元を導入すると、今のキャッシュレス化って地域によってばらつきがあるんじゃないですか。恐らく、東京が一番進んでいて、大阪や名古屋やというところは進んでいるけれども、その他の地方の都市は。きのう、平均二〇%って言いましたっけ、今、現時点で。多分、半分ぐらいじゃないか、イメージとしては、もっと田舎に行くと。

 今回のポイント還元策、五ポイントとか二ポイントの還元策を導入すると、逆に、地方間の格差が広がるんじゃないか。というのは、小売店の競争が激しいところほどキャッシュレス化を進めると思いますよ、今回。

 そうじゃなくて、それこそ、前に大臣がどこか会見でおっしゃったという、田舎の八百屋でカードなんか使うかというお話をされたというじゃないですか。そうだと思うんですよ。カードを必要としない、あるいは、なれていないという地域はおくれていって、そして、今回のポイント還元という策によって、ある種、要は背中を押されるように小売店が競争していく状況では、むしろ地域間格差が、キャッシュレス化という意味において格差が広がるような気がするんですけれども、その辺を経産省としてどういうふうにお考えなんですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、一般に、都市部に比しまして、地方圏でキャッシュレス化が進んでいないという現状があるということは事実でございます。

 一方で、現在、地方圏におきましては、人手不足が深刻化する中、生産性の向上が喫緊の課題ということになっているわけでございまして、商業、サービス業における生産性の向上、その中には、当然、キャッシュレスということも重要な要素になってきていると考えております。

 また、インバウンド、旅行という観点からも、いわゆるゴールデンルートを外れた個人旅行が地方圏にどんどん入ってきているといった現状もございまして、まさにキャッシュレス化という必要性がこういった地方圏においてもますます高まっている、こういう現状にあるのではないかというふうに考えているところでございます。

 実際に、こういった現状を踏まえまして、各地域、自治体であったり、あるいは地域の信金、信組といった地域金融機関、あるいは商工団体、商店街が中心となりまして、独自の形あるいは特定の決済事業者と連携する形でキャッシュレス化を進めよう、例えばQR決済をやってみようといったような取組がかなり各地で盛んに進んできてございます。

 私ども、今回、ポイント事業を推進するに当たりましては、まさに、都市部に比しておくれている地方圏での動きというのを加速する、そういった一助にしたいということで、こうした動きともよく連携して、地方圏でのキャッシュレス化というのを進める一つの大きなきっかけにできないかということで、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 どうもありがとうございました。

 いや、だからといって、ポイント還元は、私、今回は賛成じゃありませんからね。これこそ撤回すべきだと。きのう申し上げたような懸念がたくさんあるということは、重ねて申し上げたいというふうに思います。

 あと、もう時間がなくなってしまったんで、大ぐくりの話だけさせていただきたいというふうに思います。

 私は、国民に負担を求めるときに、大事なカンジョウが二つあると思うんです。一つはそろばん勘定、もう一つは国民感情です。

 そろばん勘定が、まず間違っていますね、今回、あの消費税。経済への影響が二兆円と言うけれども、講ずる平準化の対策は二兆三千億でしょう。十二分の対策と言うけれども、そろばん勘定として、事実上の、本当は増税をお願いするものが、逆に対策が大き過ぎる。きのうもおっしゃったとおり、何のために税金を上げるのかということがわからなくなるという意味において、そろばん勘定で間違っていると思います、一つは。

 もう一つは、御負担をお願いするんだから、負担をされる人たちの国民感情ということもよく考えなければいけないと思うんですが、国民感情を損ねているものが二つあるんです。

 一つは、参議院で定数を六つふやすことです、六つふやすこと。

 これは、党首討論では、衆議院の議員定数で二〇一二年の十一月に安倍、当時の総裁とやりましたけれども、消費税を引き上げる前に、参議院とはいえ定数をふやすということは、身を切る覚悟を示さないで負担をお願いするという意味で、国民感情として受け入れられない。

 加えて、最近の統計不正があるんです。負担をお願いするということは、やはり政府が信頼されているのが前提ですよ。北欧で、消費税など、はるかに日本より高いけれども、政府への信頼があって、受益と負担の相関関係がわかっているから、痛税感にはつながっていないじゃないですか。その意味からも、国民感情からも、私は今、今回非常に上げにくい状況になってきてしまっていると思うんですね。

 そろばん勘定においても国民感情においても、非常に今厳しい状況だと私は思っていますけれども、大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 長期的に見まして、やはり少子高齢化という大問題、我々にとっては最大の問題はこれだと思っておりますが、その状況の中で国民皆保険等々の制度を維持するためには、きのう言われましたように、おまえ、日本は低福祉・中負担じゃないかというのは、私も正しいと思っています。

 その意味で、私どもとしては、やはり、今後とも、働く人の絶対数は減り、いわゆる高齢者の比率がふえていくという状況の中にあって、いわゆる税というものが勤労者に集中していく、偏っていくというのは、これは広く薄くみんなで負担するという形にするという意味からも、やはり直接税より間接税という形のものに変えていかないかぬということはもう間違いない流れなんだと思いますが、その中にあって、そろばん勘定として、平準化のため何のためというのでやり過ぎた二兆三千億というものは、これはどう考えてもおかしいじゃないかという御指摘なんだと思いますが、それも間違いなく、おっしゃっているとおりだと思っております。

 そして、それを裏づけるように、いわゆる統計の話やらいろいろな話が出てきて、そういったもので、数字というものに関して、何となく、政府の出す数字というのは余り信用できないじゃないかという話になってきて、いろいろな形になってきて、何となく、年金に始まり、今日までいろいろそういったものが続いてきているという現状というのは、これは確かに大きな問題なんだと思っておりますので、国民感情、そろばん勘定、両方とも多くの問題があるという点は御指摘のとおりです。私はそれを否定するつもりはありません。

 ただ、そういったものを踏まえて、私どもとしては、今の状況を何とかせなならぬというのが政府の立場でありますので、これをいかにして傷を最小限にしてうまくやっていくか、私どもとしては真剣に取り組まねばならぬと思っております。

野田(佳)委員 私は、野党の中でも、社会保障と一体改革の重要性と必要性は最後まで訴えていかなければいけない立場だというふうに思いますので、絶滅危惧種になってもそれは訴えていきたいというふうに思います。

 ですが、今回は、やはり三回目の先送りというのは基本的に許されないと思うんです。大きく国益を損ないます。一方で、現実に進んでいる動きというのは、ばらまきつき増税じゃないですか。これも、それでいけとはとても思えないんですよ。という葛藤を今非常に抱えています。葛藤を抱えている中で、今さら言ってもしようがないんですけれども、やはりこの間の先送りは痛恨のきわみだと思いますね、この間の先送りは。過去二回の先送りは痛恨のきわみだと私は思います。

 本来は、一般論で言うと、増税は景気回復期間でやるべきです。後退局面に入ったら増税できませんね。今、ぎりぎりのところに来ています。あのときに変にリスクなんか出しちゃって先送りしたことは痛恨のきわみだと思いますけれども、痛恨のきわみも共有してもらえますか。

麻生国務大臣 これはうかつに答弁すると、閣内不一致のきわみみたいなことになりかねませんので、答弁はちょっと差し控えさせていただきます。

野田(佳)委員 ありがとうございました。終わります。

坂井委員長 この際、さきに川内博史君が留保された質疑に関し、政府から説明を聴取いたします。岩崎国土交通省航空局次長。

岩崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの川内委員御指摘の件につきましては、委員会の御指示を踏まえ、対応いたします。

坂井委員長 今のお答えを受けまして、それでは、本件につきましては、理事会で協議をいたしたいと思います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時八分散会


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