第16号 令和元年6月14日(金曜日)
令和元年六月十四日(金曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 坂井 学君
理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君
理事 武部 新君 理事 寺田 稔君
理事 藤丸 敏君 理事 川内 博史君
理事 緑川 貴士君 理事 竹内 譲君
穴見 陽一君 安藤 高夫君
井上 貴博君 石崎 徹君
今枝宗一郎君 小田原 潔君
神山 佐市君 神田 憲次君
小泉 龍司君 佐々木 紀君
杉田 水脈君 鈴木 隼人君
津島 淳君 土井 亨君
中曽根康隆君 中山 展宏君
西田 昭二君 藤原 崇君
本田 太郎君 牧島かれん君
三ッ林裕巳君 三ッ矢憲生君
宗清 皇一君 山田 美樹君
義家 弘介君 鷲尾英一郎君
大串 博志君 末松 義規君
高木錬太郎君 佐藤 公治君
関 健一郎君 古本伸一郎君
國重 徹君 宮本 徹君
串田 誠一君 野田 佳彦君
松原 仁君 青山 雅幸君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
財務副大臣 うえの賢一郎君
内閣府大臣政務官 長尾 敬君
厚生労働大臣政務官 上野 宏史君
政府参考人
(金融庁企画市場局長) 三井 秀範君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 度山 徹君
財務金融委員会専門員 駒田 秀樹君
―――――――――――――
委員の異動
六月十四日
辞任 補欠選任
穴見 陽一君 三ッ林裕巳君
國場幸之助君 杉田 水脈君
斎藤 洋明君 安藤 高夫君
武井 俊輔君 中曽根康隆君
牧島かれん君 西田 昭二君
今井 雅人君 大串 博志君
前原 誠司君 関 健一郎君
伊佐 進一君 國重 徹君
野田 佳彦君 松原 仁君
同日
辞任 補欠選任
安藤 高夫君 神山 佐市君
杉田 水脈君 國場幸之助君
中曽根康隆君 藤原 崇君
西田 昭二君 牧島かれん君
三ッ林裕巳君 穴見 陽一君
大串 博志君 今井 雅人君
関 健一郎君 前原 誠司君
國重 徹君 伊佐 進一君
松原 仁君 野田 佳彦君
同日
辞任 補欠選任
神山 佐市君 斎藤 洋明君
藤原 崇君 佐々木 紀君
同日
辞任 補欠選任
佐々木 紀君 小田原 潔君
同日
辞任 補欠選任
小田原 潔君 武井 俊輔君
―――――――――――――
五月二十二日
消費税増税の中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇四三号)
同(宮本徹君紹介)(第一〇六四号)
同(小川淳也君紹介)(第一一〇一号)
同(笠井亮君紹介)(第一一六一号)
二〇一九年十月からの消費税一〇%中止に関する請願(今井雅人君紹介)(第一〇六五号)
同(小川淳也君紹介)(第一一〇二号)
同(関健一郎君紹介)(第一一〇三号)
同(古川元久君紹介)(第一一〇四号)
同(牧義夫君紹介)(第一一〇五号)
同(柚木道義君紹介)(第一一〇六号)
同(神谷裕君紹介)(第一一四九号)
同(馬淵澄夫君紹介)(第一一五〇号)
同(笠井亮君紹介)(第一一六二号)
同(大西健介君紹介)(第一一七一号)
同(長谷川嘉一君紹介)(第一一七二号)
同(近藤昭一君紹介)(第一一七八号)
消費税一〇%への引き上げ、インボイス制度の導入中止に関する請願(清水忠史君紹介)(第一〇六六号)
消費税増税を中止して五%に戻し、生活費非課税・応能負担の税制を求めることに関する請願(小川淳也君紹介)(第一一〇七号)
同(笠井亮君紹介)(第一一六三号)
さらなる消費税増税を行わないことに関する請願(笠井亮君紹介)(第一一六〇号)
同月三十一日
消費税増税の中止に関する請願(志位和夫君紹介)(第一二一二号)
同(志位和夫君紹介)(第一三五〇号)
同(畑野君枝君紹介)(第一三五一号)
同(日吉雄太君紹介)(第一三五二号)
消費税一〇%への増税中止を求めることに関する請願(岸本周平君紹介)(第一二九四号)
二〇一九年十月からの消費税一〇%中止に関する請願(小川淳也君紹介)(第一二九五号)
同(松田功君紹介)(第一二九六号)
同(村上史好君紹介)(第一二九七号)
同(岡本あき子君紹介)(第一三三五号)
同(志位和夫君紹介)(第一三五三号)
同(畑野君枝君紹介)(第一三五四号)
同(日吉雄太君紹介)(第一三五五号)
所得税法第五十六条の廃止に関する請願(大河原雅子君紹介)(第一三二九号)
消費税増税を中止して五%に戻し、生活費非課税・応能負担の税制を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一三五六号)
同(畑野君枝君紹介)(第一三五七号)
六月四日
二〇一九年十月からの消費税一〇%中止に関する請願(長谷川嘉一君紹介)(第一四八三号)
所得税法第五十六条の廃止に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一四八四号)
同月七日
二〇一九年十月からの消費税一〇%中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一五六七号)
同月十一日
消費税増税を中止して五%に戻し、生活費非課税・応能負担の税制を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八一九号)
同(笠井亮君紹介)(第一八二〇号)
同(穀田恵二君紹介)(第一八二一号)
同(志位和夫君紹介)(第一八二二号)
同(清水忠史君紹介)(第一八二三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一八二四号)
同(田村貴昭君紹介)(第一八二五号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一八二六号)
同(畑野君枝君紹介)(第一八二七号)
同(藤野保史君紹介)(第一八二八号)
同(宮本徹君紹介)(第一八二九号)
同(本村伸子君紹介)(第一八三〇号)
同(藤野保史君紹介)(第一八七一号)
消費税増税の中止に関する請願(畑野君枝君紹介)(第一八七〇号)
所得税法第五十六条の廃止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一八七二号)
同月十三日
煽動罪を即時廃止することに関する請願(清水忠史君紹介)(第一九八六号)
所得税法第五十六条の廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九八七号)
同(笠井亮君紹介)(第一九八八号)
同(穀田恵二君紹介)(第一九八九号)
同(志位和夫君紹介)(第一九九〇号)
同(清水忠史君紹介)(第一九九一号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一九九二号)
同(田村貴昭君紹介)(第一九九三号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一九九四号)
同(畑野君枝君紹介)(第一九九五号)
同(藤野保史君紹介)(第一九九六号)
同(宮本徹君紹介)(第一九九七号)
同(本村伸子君紹介)(第一九九八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
財政及び金融に関する件
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○坂井委員長 これより会議を開きます。
財政及び金融に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、政府参考人として金融庁企画市場局長三井秀範君、厚生労働省大臣官房審議官度山徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○坂井委員長 この際、三井金融庁企画市場局長から発言を求められておりますので、これを許します。三井企画市場局長。
○三井政府参考人 金融審議会市場ワーキング・グループにおきましては、高齢社会の金融サービスはどうあるべきか、個々人において人生百年時代に備えてどのような資産形成及び管理を行っていくべきかといった視点で、昨年九月以降議論が行われまして、本年六月三日に報告書が取りまとめられ、公表されたところでございます。
報告書では、人生百年時代におきましてはリタイア後の人生が長期化することから、資産寿命を延ばす行動が必要になってくるという認識のもと、個々人の資産形成及び管理の取組、それに対応した金融サービスのあり方、行政機関などによる環境整備といった内容が記載されてございます。
報告書をきっかけに、金融サービスの利用者である個々人及び金融サービス提供者を始め幅広い関係者の意識が高まり、具体的な行動につながっていくことを期待したものでございましたが、この報告書におきましては、家計調査における高齢者世帯の平均的な収入と支出の差を比較して、あたかも公的年金だけでは生活費として月五万円足らないかのように、また、老後三十年で二千万円が不足するかのように述べており、世間に著しい誤解や不安を与え、これまでの政府の政策スタンスとも異なることから、六月十一日の大臣閣議後記者会見におきまして、麻生大臣より、担当大臣として正式な報告書としては受け取らないことを決定した旨の発言があったところでございます。
審議会の議論をサポートする事務方として、配慮を欠いた対応により今般このような事態を招いたことを反省いたしますとともに、ここで深くおわび申し上げます。
○坂井委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。越智隆雄君。
○越智委員 自由民主党の越智隆雄でございます。
本日は、今金融庁から説明がございました報告書について質問をさせていただきます。
まず、この報告書が扱っております高齢化と金融というテーマは世界的なテーマだと思っておりまして、昨日も、報道を見ておりましたらば、ダボス会議、世界経済フォーラムでもきのう付で老後資金についての報告書が出たという話がございましたし、また、G20の枠組みでも議論されていて、G20の財務トラックにおきましても、高齢化の課題、政策対応、こういうことが先日議論されたと聞いております。
ただ、一方で、この報告書については、表現ぶりや言い方などが不適切じゃないかなどと多くの指摘がありまして、こうした中で、この委員会で金融庁から説明を求め、これから質疑に入るということでございます。
冒頭申し上げたいことは、この報告書は、あたかも老後、月五万円赤字になる、老後のためには二千万円必要だというふうに思わせる文書を政府の会議体が公表したということでございます。年金をもらうためには、年金保険料を真面目にこつこつ払わなければなりません。そして、その上で、二千万円の貯蓄がないと老後が安心して暮らせないととられかねない文書になっている。多くの方々に不安な気持ちを抱かせたんじゃないかと思います。この高齢化と金融というのは本来とても重要なテーマにもかかわらず、今回の報告書がこういった騒動を引き起こしてしまったことが心から残念でありますし、憤りさえ感じるところでございます。私の気持ちを申し上げて、質問に入りたいというふうに思います。
冒頭、この報告書の狙いについて金融庁から聞こうと思ったんですが、今説明がありましたので、この質問は飛ばさせていただきます。
幾つか基本的なことを確認してまいります。
議論の場は金融審議会の市場ワーキング・グループだったわけでありますけれども、この設置根拠と開催状況について確認したいと思いますが、金融審議会のもとで金融分科会が置かれて、そのもとにワーキンググループが置かれているということだというふうに理解をしておりまして、会議の開催につきましては、去年の九月から今月まで十二回開催されているものだと思います。これは確認です。
その上でお伺いしたいんですが、この報告書は誰がつくったのかという問いに対してどう答えるのかということであります。メンバーの名簿を見ますと、座長、そして委員が二十名、また、オブザーバーとして官庁やあるいは団体が十三並んでいるわけですが、金融庁はそこに入っていないわけですが、これは、政令の中で、金融庁はワーキンググループの事務局を務めるという趣旨の文言がありますけれども、そういう理解でいいのか、確認させてください。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、金融庁は、ワーキンググループの事務局として審議をサポートするため、論点整理や報告書の原案の作成などを行うところでございます。
○越智委員 ありがとうございました。
それでは、具体的な内容に入ってまいります。
一つ目の論点、五万円、また二千万円の問題について、報告書の記載をまず確認したいと思います。
報告書の第一章に「現状整理」とあります、環境変化について述べられた部分でありますけれども、平均的収入と支出のところに、毎月の赤字額は約五万円となっているというふうに記載をされております。収入二十一万、支出二十六万、差額が五万ということです。これが一つ目でございます。
次が、同じ章に、金融資産の保有状況のところで、不足額約五万円が毎月発生する場合には三十年で約二千万円の取崩しが必要となるというふうに記載されています。これが二つ目でございます。
そしてその上で、三つ目ですが、第二章「基本的な視点及び考え方」の冒頭に、長期化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要という項目がありまして、そこにこの五万円、二千万円の話が改めて記載されていて、いわば二章以降のこの報告書の議論のベースになっている、このことが三つ目でございます。
ですから、五万円の話、二千万円の話、その上で、どうしますか、どうしましょうかというこの三段ロジックがこの報告書の骨格になっているというふうに思っております。私はそういう理解なんですが、まずは金融庁に見解を求めたいと思います。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおりでございまして、まず第一段のところで、家計調査の数字を引きまして、高齢者世帯の平均的な収入と支出の単純な差額であるこの五万四千五百円、これを約五万円として差額として提示してございます。そして、二段目そして三段目のところで、約千三百万から二千万というところでございますけれども、この五万円というのを、単純に、三十年間、三百六十カ月分に相当する額を単純に計算しますと約二千万になります。
これは、まず出発点でございますが、高齢者のライフスタイルは大変さまざまでございまして、これらの数字を比較して、要するに収入、支出の数字を単純に比較して、これをもって差額であるということから議論を始めたものは、意味のない数字を掲げ、大変ミスリーディングなものであったというふうに反省してございます。
○越智委員 今御説明をお伺いしましたけれども、サンプルの平均値だということでありますが、今、金融庁の局長の答弁を聞いていて、単純なという言葉が何度も繰り返されました。単純な差だとか、単純な計算だとか、単純な議論だということであります。こういう単純な議論で大切な報告書をつくってほしくないわけですね。一方で、現実はやはり一人ずつ違うわけです。それぞれなんです。この単純だという整理と、人それぞれ違うんだという現実、このギャップが多くの国民の皆さんを不安に陥れたんだというふうに思いますよ。ここはしっかり反省してもらいたいというふうに思います。
もう一つ気になる点があるんですけれども、それは、支出額について、これだと平均で二十六万と言っているわけですが、これがあたかも必要額だというふうに書いているように見えるわけです。
現実はどうなっているかというと、私たちは、みずからの貯蓄額を見ながら、貯蓄の取崩しを今月はどのぐらいできるかな、ことし一年でどのぐらいできるかなと考えて、それで決めて、毎月の収入額にその貯蓄の取崩しを加える、その額が結果として支出額になるという話だというふうに思うんですが、これはあたかも、統計上の平均値、単純に計算したものが必要額だというふうに捉えている。これが大きな誤解を招く原因だったというふうに思います。
収入額と支出額の差、引いた差、これを赤字額と称したわけですけれども、麻生大臣は、表現が不適切であるというふうに六月七日の記者会見で話しました。不適切だというのは、この赤字のことなんですか。どういう意味で不適切だというふうにおっしゃったのか、お聞かせください。
○麻生国務大臣 今、越智先生から御指摘がありましたように、この月五万円は、家計調査におけます高齢者世帯の平均的な収入と支出の差、貯蓄の活用の実態というものを示したというのがこの数字なんですが、この書き方というものを見ていますと、二千万円は、この額の約三十年間、先ほど三井局長の方から申し上げましたように、掛ける十二、三百六十カ月分に相当する額を単純に比較をした結果にすぎないんですが。
ページ数でいきますと十ページのところに、表のようなものを使っていますが、いわゆる毎月の額が約五万円となっている、この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる、こう書いてあるのが十ページのところだと思いますし、また、いわゆる、十六ページのところにも、不足額約五万円が毎月発生する場合、二十年間で一千三百万、三十年で二千万の取崩しが必要になるという表現になっておったり、また、もう一点あえて言わせていただければ、二十一ページのところにも、長寿化に伴いということでいろいろ書いてあるようなのがある。
私どもからいきますと、こういったような表現というのは、ライフサイクル、スタイル、いろいろありますので、そういった意味では、こういったものを単純比較するのは、いわゆるこういったミスリーディングを生み出すというところが一番の問題で、赤字だとか補填とかいうようなのは、同じ状況であっても人によって全然違いますので、そういったところでは極めて不適切であったろう、私どもはそう判断をしたところであります。
○越智委員 大臣から答弁をいただきましたけれども、赤字とか補填というと、必要額が最初の前提としてあって、それに対してどうするかという議論になっちゃうので、ここはやはり不適切だと思いますよ。
その上で、次に、もう一つの論点について聞きたいと思います。公的年金に関する記載について、端的に確認をしたいと思います。
きょうは厚生労働省から上野政務官に来てもらっていますので、答えてもらいたいと思います。
報告書の中に、二つ気になる記載があるんですね。一つは、二十四ページなんですけれども、マクロ経済スライドによる給付水準の調整が進められることとなっていると。二つ目が、二十一ページなんですけれども、重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか考えてみることであるというふうに記載があるわけです。
これだけ見ると、年金が調整されていく、まあ、マクロ経済スライドですから所得代替率は下がっていく、実額がどうなるかということですけれども、年金が調整されていって、そしてお金はためなくちゃいけないというふうにも読めるんですね。
このように書かれていることをもって、公的年金はその役割を放棄して、老後は個人の自助努力によって資産形成が必要、そこに委ねられているかのように受け取られている向きもあるわけですけれども、お伺いしたいのは、今回の報告書によって公的年金の意義や役割は何が変わったのか、教えてください。
○上野大臣政務官 今、委員から公的年金の意義や役割といった点について御質問いただきました。
公的年金は、老後の生活をある程度賄うものであり、老後生活の基本を支える機能を果たしております。今後とも、この国民生活の安心につながる重要な機能を果たし続けられるようにしていくことが何よりも重要であると考えております。
そのために、平成十六年度の制度改正により、将来世代の負担を過重にすることを避けるため、将来の保険料水準を固定し、その範囲内で給付水準を調整するマクロ経済スライドを導入し、おおむね百年間の負担と給付を均衡させる仕組みに改革し、制度を持続可能なものといたしました。同時に、モデル世帯の所得代替率五〇%を確保するということとされており、このような措置は、まさに公的年金が老後生活の基本を支える機能を有することに鑑みて設けられたものであります。
したがって、今般の報告書の内容によって、老後生活の基本を支えるという公的年金の意義や役割を変えるというものでは全くないと考えております。
○越智委員 今、厚生労働政務官から答弁がありましたけれども、老後生活の基本を支えるということには変わりがないということだということでありますけれども、この報告書の文言を読むと、そうじゃないんじゃないかという捉え方をしてもいたし方ないんじゃないかという気もいたします。
それでは、次に、同じ趣旨の質問を金融庁にしたいんですけれども、公的年金に関する部分について報告書に利用したといいますか、記載した、その趣旨についてお伺いしたいと思います。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
市場ワーキング・グループは、高齢社会における環境変化を踏まえまして、個々人の資産形成及び管理、あるいはそれをサポートする金融サービス提供者のあり方について議論してきたところでございます。
こうした議論を行っていく際に、公的年金や人口動態等々これを取り巻く環境も、踏まえる現状の一つであろうかということでございまして、この観点から報告書で触れられたものと考えられるところでございます。
しかし、公的年金制度そのものを正面から議論したものではございません。
○越智委員 今、金融庁からは、公的年金制度そのものについて正面から議論していないという話でありましたけれども、印象を与えたということも事実だというふうに思います。
大臣にお伺いしたいんですけれども、六月の十一日の大臣記者会見で、大臣は、世間に著しい不安というか誤解とかいろいろなものを与えている、これまでの政府のスタンスとも異なっておりますというふうに話されました。何をもって政府のスタンスと異なっているというふうにお話しになったのか、お願いします。
○麻生国務大臣 御指摘のありましたように、公的年金だけでは生活費としていわゆる月五万円足らないというように述べてありますものですが、公的年金というものは、本来というか、もともと、老後の生活をある程度賄ういわゆる柱であって、老後の基本であると言ってきたのがこれまでの政府の基本的なスタンスですから、それとは違うということを申し上げております。
○越智委員 ありがとうございました。
これまで大臣が、不適切だ、そしてまた政府のスタンスとは違うという発言をしてこられたわけですけれども、その点についての見解をただしてきたということであります。
ここで、報告書案の審議過程についてお伺いをしていきたいというふうに思うんですが、報告書というのは、ワーキンググループで案がつくられて、そして審議をされて、公表されて、その後、六月十一日には正式なものとして受け取らないとなったわけでありますけれども、この過程を金融庁からまず説明してほしいと思います。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
本報告書の取りまとめられる過程についてでございますが、金融審議会市場ワーキング・グループの審議をサポートいたしております事務局であります金融庁がたたき台たる原案を作成いたしまして、このワーキンググループの審議に供させていただきました。また、この報告書は、このグループの取りまとめを経まして、六月三日に公表されております。
しかしながら、本報告書は、あたかも公的な年金だけでは生活費として月五万円足りないかのように述べていることから、公表後、世間に著しい誤解や不安を与えることになりました。このため、政府として、正式な報告書としては受け取らないということにしたものでございます。
○越智委員 まず確認したいのは、報告書の内容が、表現が不適切であったり、あるいはこれまでの政策のスタンスと異なる内容になっているということであります。これまで大臣はその理由についてお話をされてきました。
この報告書の内容が、表現が不適切だったり、また政策スタンスと違うものがつくられたということなわけですけれども、これは、今の報告書の作成、審議過程の中で誰に責任があるんですか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
この報告書では、御指摘のとおり、あたかも公的な年金だけでは生活費として月五万円足らないかのように述べているなどということがございます。市場ワーキング・グループの審議をサポートして報告書のたたき台、原案を準備する事務局たる金融庁の対応が配慮を極めて欠いたものであるというふうに深く反省してございます。
今回のことを真摯に反省いたしまして、今後は、このようなワーキンググループ等の場におきまして国民の皆様に誤解や不安を生じさせないようにしっかり丁寧な議論を行っていただけるように、事務局として、よく反省し、今後、責任を果たしていけるように改善してまいりたいというふうに考えてございます。
○越智委員 今、金融庁が取りまとめをする段階で配慮を欠いていたという答弁がありました。
冒頭の方で申し上げたとおり、開催されたのは十二回にわたって、座長、委員の方々二十一人が集まって議論してつくられたペーパーでありますが、それぞれの委員は、それぞれのバックグラウンド、知見、経験、知識を駆使して、積極的に議論に参加してくださったんだというふうに思いますが、今の金融庁の答弁を聞いて、その取りまとめの段階で配慮を欠いていた、そういう答弁だというふうに理解をしたということでございます。
それでは、次に、正式な報告書としては受け取らないということを六月十一日の記者会見で大臣はおっしゃったわけですが、ここの点について確認をさせていただきたいと思います。
この報告書は、大臣が金融審に諮問して、ワーキンググループで議論されて、公表されて、本来であれば、今後、金融審議会の総会に上程されるというのが段取りだったというふうに思います。それが、受け取らないという判断をされたわけでございますが、いろいろな議論がありまして、諮問した大臣が受け取らないということはどういうことなんだという議論もありますし、六月の四日、七日の大臣の記者会見とちょっと食い違いがあるんじゃないかという話もありますし、そしてまた、法令上、大臣がこういう報告書を受け取らないということが認められているのかという議論もあるわけです。
私としてお伺いしたいのは、正式なものとして受け取らないというのはどういう判断だったんですか。これはどういうことなのか。そして、その上で、報告書は、公表されたわけですけれども、今後どうなるのか。撤回されるのか、あるいは、修正などの上、金融審議会の総会にかかるということも考えられるのか。正式に受け取らないとおっしゃったその判断と、今後の道行きについてお話しいただきたいと思います。
○麻生国務大臣 先ほどお話もありましたように、いわゆるワーキンググループ、日本語で言えば作業部会ですけれども、この作業部会で、種明かし、これは全部公開されていますから、したがってこれは秘密会でも何でもない、公開の席でずっと今までやられております。ホームページにも載っかっておりますから、そのとおりずっとやってきた話ではありますけれども。
先ほど局長の方から説明をさせていただきましたように、少なくとも、取りまとめの仕方としては、先ほど、不適切な表現があるというのも事実でありますから、そういった意味では、政府として、この作業部会が上に上げて、金融制度審議会できちんとした、総会を経て、報告書となって、初めて私ども金融庁に上がってくるんですけれども、その前の段階で、私どもとしては、これは方向性と今の政府のスタンスは全く違ったものになる、誤解も招いておるのは事実でありますから。
たびたび先週もそれを申し上げたんですけれども、なかなかそういったような話が、世の中としてはわっと火がついた形になって、全然方向とは違う方向になって、火が広まっているように思いますので、これはもうこのままでほっておいてとなると、またぞろ更に話がなりかねぬという感じがしておりましたので、私としては、この段階で、いわゆる受け取らないということは、政策としては、いわゆる審議会の総会にはかからない、かかってもそれは受け取らない、上げないということになりますので、政策遂行の参考というような資料に今後なることはないということだというように御理解いただければと存じます。
○越智委員 それでは、今の質問はちょっと事務的な部分もあったので、金融庁からも答弁があれば答弁してもらいたいと思います。
○三井政府参考人 今大臣が仰せになったとおりでございます。
この報告書は、現段階ではワーキンググループの報告書でございます。また、政策スタンスと著しく異なる等々から、この報告書は正式の金融審議会の報告書として受け取ることはないということでございますので、今後これがどのように取り扱われるかということについて、一義的にはこの審議会の会長、議長が決めていくということになる建前でございますが、その審議会がどのようにこれを取り扱うということについては、現時点で決まったものはないと承知しております。
それを前提として、政府が受け取らない、審議会、総会に上がって、総会の議論に直ちに行くということは想定しがたいのではないかというふうに考える次第でございます。
○越智委員 それでは、きょうの質問の一つ総括みたいな私の思いと、質問をしたいというふうに思うんですけれども、その後に大臣の考えを聞きたいと思うんですが。
今回のことに関するさまざまな議論を聞いていまして、老後に対して、あるいは将来に対して大きな不安を抱いたという方が少なからずいる。この不安に陥れたことに対する憤りを持った方々もたくさんいらっしゃる。ただ、その一方で、国民の皆さんが、高齢化と金融についてもっと大いに議論したい、あるいはしてほしい、そういうふうに思っている部分が少なからずあるんじゃないかというふうに感じております。
安倍政権では、二年前から人生百年時代構想というのを掲げて、さまざまな分野で高齢社会に対応する政策づくりを進めているところでございます。
二年前、ライフシフトの本を書いたリンダ・グラットンさんという方は何をおっしゃったかというと、日本人の二〇〇七年に生まれた方の五〇%は百七歳まで生きるという調査結果を出されたり、あるいは日本の社人研の資料でも、現在六十歳の方は、五〇%は九十歳まで、また二五%は九十五歳まで、そして約一〇%が百歳まで生きるという推計も発表されているので、超長寿社会というのはかなり現実のこととなってきたというふうに思います。
その中で、今回生じた不安を解決する、これは一生懸命努力しなきゃいけないし、また、誤解があれば、誤解を解くように徹底的に努力しなきゃいけない。それは政府にお願いしたいと思います。
ただ、一方で、何らかの形で高齢化と金融のことについての議論もしっかり進めていくべきじゃないかというふうに考えるんですが、大臣の今後の対応、また決意をお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 これは越智先生御指摘のとおりなんですが、まずは、今回のこの報告書というものは、御指摘のありましたように、いわゆる誤解とか先行きへの不安、そういったようなものを与えて、これがこれまでの政府の持っております政策のスタンスとは違っておりますので、政府としては、これは正式の報告書として受け取ることはしないというのを決定させていただいた、今申し上げた経緯なんですが。
今後こうした場においてという御指摘でしたけれども、これは、今御指摘のありましたように、誤解やら不安を生じさせないような形というのは当然のこととして、私どもとしては、しっかり金融庁を指導して、いろいろな意味で、きちんとした先ほどの議論というものを考えていかないかぬ。
前にも申し上げましたように、私が生まれたときの平均寿命は四十七歳ですから。それが、今は、とにかく、今言われたような、九十だ、百だというレベルになってくると、これはもうとてもじゃないけれども今までのライフスタイルとは全然違ったものを考えにゃいかぬということになってきておりますので。
公的年金につきましても、これは基本として、老後の生活を支える柱として将来にわたって持続可能ないわゆる年金制度というものを確保しているんだと思っているんですが、いろいろな意味で、御指摘もありましたので、たしかことしの十月から、年間約六万円の、低年金の方々への年金生活者支援給付金というのを支給させていただくこととしております。
いずれにしても、人生百年だそうですけれども、百年の時代において安心して暮らすことができて、長生きして損したとか、長生きして何とかというのじゃちょっと寂しいので、平均寿命が百になろうと、モーゼじゃありませんけれども百二十になろうと、モーゼというのは百二十歳まで生きたということになっておりますのでモーゼと申し上げたんですが、実現するために、老後生活を支える柱であります年金制度はもちろんのことですけれども、働き方改革とか、予防とか、保健とか、健康づくりとか、今いろいろな話題があちこちで出始めておりますけれども、こういったものを丁寧に議論をして、きちんとした形で、健康で百歳というような形で話が進めていけるような形での議論を丁寧に進めていく必要があろうと考えております。
○越智委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○坂井委員長 次に、竹内譲君。
○竹内委員 公明党の竹内譲でございます。
公明党といたしましても、今回の金融審議会市場ワーキング・グループ報告書につきまして、しっかりと内容を詰めていきたいというふうに思っております。
重複する部分があるかと思いますけれども、まず、私どもの基本的な考え方は、やはり、高齢期の生活は非常に多種多様であって、それぞれの方が望ましいと考える生活水準や、働き方の希望や、また収入や資産の状況も本当に千差万別でさまざまであります。にもかかわらず、今回の報告書では、高齢期はこうでなくてはならないとかというふうに、具体的には、不足額毎月五万円、三十年で二千万円取崩しというような数字がいわばひとり歩きをして、これが全てであるかのように国民に見えたことが、やはりここが最大の問題であるというふうに思っております。その結果として、年金の不安をあおったり、投資などの自助努力を強要しているかのような、そういう誤解や不安を招いてしまったということが問題であるというふうに思っているわけでございます。
そういう意味で、改めて、先ほども御質問ございましたけれども、まず最初に、金融庁に、報告書における、月約五万五千円程度の赤字がある、こういう平均値への言及がやはり不適切であったのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでございまして、市場ワーキング・グループの報告書で、家計調査におけるある時点での輪切りの平均値の収入と支出、貯蓄をただ並べ、それをもとに、公的年金だけでは生活費としてあたかも月五万円足りないかのように、また老後三十年で二千万円が不足するかのような記述をしたこの表現ぶりというのは、またその五万円部分を赤字であるかのような表現をしたものは、意味もなく、またミスリーディングであり、不適切であったというふうに反省してございます。
○竹内委員 この報告書の中には、厚生労働省資料というふうに書いてあるんですね、この資料には。そういう意味で、厚生労働省はこの点につきましてこれまでどのような説明をしてきたのか、お答えください。
○度山政府参考人 お答えを申し上げます。
厚生労働省が四月十二日の市場ワーキングに家計調査のデータを出したんですが、これは家計調査年報に毎年出ているグラフでありまして、私どもや金融庁さんが特別に何か試算をしたというものではございません。
ただ、高齢の夫婦の、しかも無職世帯ですので退職された世帯の家計のデータでありますので、引退後の生活というもののイメージがこれによってある程度つかめるということでよく用いている資料なんですけれども、私ども、この資料は、基本的に、引退後の生活は公的年金を基本としながらも、それに資産の活用というものを加えて賄われているというふうに理解をしており、説明もそのような形で行っておりますので、言われておりますように、二十六万円必要なのに二十一万円しか収入がなく、五万円不足しているかのように言われているわけですが、そういう認識は持っておりませんで、そのような説明もいたしておりません。
○竹内委員 厚生労働省としては、そういう不足しているという説明はしていないということですね。
そこで、これは金融庁の問題だと思うんですけれども、五万円に対して、単純に三十年掛ける十二月、三百六十倍の単純計算を行ったということが、やはり非常にここが誤解される原因だったのではないかというふうに考えますけれども、金融庁、いかがですか。
○三井政府参考人 先生御指摘のとおり、このワーキンググループの報告書で、あたかも五万円掛ける三百六十カ月で二千万円不足するかのようにとられるこの表現ぶり、書き方というのは、大変不適切であったと思います。
これは単に平均値を単純計算したということで、高齢者世帯の生活の形態はさまざまであるということを踏まえますと、それに適した書き方ではなかったというふうに反省してございます。
○竹内委員 念のため、厚生労働省に。この点につきまして、今の三百六十倍の点につきまして、厚生労働省は何か説明をしてきましたか。
○度山政府参考人 お答え申し上げます。
私どものこのデータの読み方は先ほど御説明したようなスタンスでございますので、同様に、三十年分掛けて幾らというようなことを計算したり、そのような説明をしたりしたことはございません。
○竹内委員 そういう意味では、やはり従来の説明は、不足額が何ぼだとか、五万円だとか二千万円だとか、そういう説明はしていなかったということなんですが、今回の報告書の中で金融庁がそういうふうに書いてしまった、事務局としてですね。ここはやはりちょっと配慮が足りなかったんじゃないかなということはもう明らかですよね。本当に、世の中には無年金の方もいらっしゃいますし、預貯金がない方もいらっしゃるわけですから、そういうさまざまな方への配慮がちょっと欠けているんじゃないかということはもう明らかですよね。この資料のどこを見ても、いろいろな高齢者の世帯の資産のあり方とか、そういうものには触れていませんので、そういう意味では、ここはやはり配慮が足りなかったということで、大いに金融庁には反省をしてもらいたいというふうに思います。
そこで、次に、なぜ報告書の中で、二十四ページにあるんですが、公的年金に関して言及されたのか、この点につきましても改めて金融庁に問いたいと思います。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
このワーキンググループにおきましては、高齢社会における環境変化を踏まえまして、個々人の資産形成及び管理のあり方、あるいはそれをサポートする金融サービス提供者のあり方について議論をいただいたところでございます。
こうした議論を行っていく際におきましては、公的年金や人口動態といったものも、個々人の資産形成、管理、あるいはそれに向かい合う金融サービス事業者にとっての環境の一つということで、そうした観点から、環境の一つとして触れさせていただいたものであります。
したがいまして、公的年金制度そのものについて正面から論じたものではないということでございます。
○竹内委員 そこで、今回、報告書は、政府として公助の限界を認めたという報告書なんでしょうか。この点についてはいかがでしょうか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
公的年金は、老後の生活設計の柱として、将来にわたり持続可能な制度をつくっております。これは老後の基本部分でありまして、厚生労働省を中心に政府として取り組んでいるものというふうに承知してございます。
本報告書は、公的年金制度そのものについて正面から議論してきたわけではございませんで、公助の限界を認めるというものでもございません。
しかしながら、報告書では、あたかも公的年金だけで生活費として月五万円足らないかのように述べているところがございまして、世間に著しい誤解や不安を与え、不適切であったというふうに反省してございます。
○竹内委員 そこで、更にお伺いしたいんですが、五月二十二日の段階で素案が先に出されているんですね、これは私も拝見しましたけれども。そして、六月三日の最終案になるときには修正がちょっと行われていますね。どのような記述の修正が行われたか、お答えください。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
五月二十二日の素案の段階で書かれたものについて、素案を提示した後、より客観性の高いものとする観点から、幾つかの箇所で修正しております。マクロ経済スライドによる給付水準の調整が進められるという、より客観性の高いものとなるような修正を施してございます。
○竹内委員 公的年金に関する修正のところが大事だと思っているんですが、この理由について、金融庁からも公的年金に関する修正の理由についてもう一度述べていただきたいということと、それから、厚生労働省はこのワーキンググループのオブザーバーでありましたけれども、この報告書の作成にどのようにかかわったのか、それぞれお答えください。
○三井政府参考人 この審議会あるいはワーキンググループの報告書の作成段階のプロセスにおきまして、まずは事務局でたたき台、原案を作成してお示ししたわけでございますが、それを委員の方々に事前に配付いたしまして、そして意見を頂戴する、あるいは会議の場で意見を頂戴する、会議の後また個別にも意見を頂戴するといったプロセスを経まして調整していくわけでございます。
その際、いろいろな表現ぶりであるとか記述内容につきまして、より報告書として客観性の高いものに直していくというふうなことも、さまざまな字句修正とともに行われていくところでございまして、この部分につきましても、より客観性があり、一般的に用いられている言葉遣いの方が適切であるというふうに判断いたしまして、金融庁の事務方といたしまして、そのような案文の修正を施し、委員に再度お諮りしたという経緯でございます。
○度山政府参考人 お答え申し上げます。
二〇〇一年に確定拠出年金法という法律が制定をされましたが、私ども、その所管でございまして、そこに、個人型確定拠出年金、今日ではiDeCoと称しておりますが、その制度を所管いたしております。これはある意味では個人の老後に向けての資産形成を支援する仕組みということで、関連をする仕組みを所管しておるという立場からオブザーバーの参加の要請があり、それに応えたもので、会議でiDeCoの説明もさせていただいているところであります。
一方で、報告書の作成経緯につきましては、先ほど金融庁さんの方から御答弁があったとおりでございまして、ここで何か厚生労働省としての見解を表現しているものではございません。
○竹内委員 とはいうものの、やはり、今回の一連のさまざまな世間の反応を見ていますと、公的年金は大丈夫かというふうに思われた方も多いと思うんですよね。これは誤解を与えているんじゃないかなと。ここは大いにやはり反省をしてもらわないといけないと思うんですよ。
そういう意味で、改めて、厚生労働省、せっかく来ていただいていますので、公的年金は本当に大丈夫だと、その根拠とともに、しっかり今説明していただかないといけないと思うんですね。特に、百年安心プランはうそだったのかとか、そんな批判もありますので、ここはしっかりとちょっと説明をしていただきたいと思います。
○度山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど来話に出ておりますが、公的年金は老後生活の基本を支えるというとても大切な役割を持っており、その機能をきちんと維持させ続けるということが私どもの使命であるというふうに考えてございます。
少子高齢化が進行する中で、国民生活にとって大切な大切な機能を維持するために、二〇〇四年の制度改正で、将来世代の負担を過重にすることを避けながら、将来の保険料水準をフィックスして、その範囲の中で給付調整をするという形で長期的な財政の均衡をとる、そのための仕組み、マクロ経済スライドというものを導入するという形で長期的な、百年間の計算を財政検証で行っておりますが、そういうことで均衡をとり続ける形で制度を運営しているというところでございます。
デフレ脱却をしたことにより物価や賃金が上昇傾向に入りまして、しばらくマクロ経済スライドを、制度的には導入いたしましたがワークしておりませんでしたが、近年では徐々にワークをするようになってまいりました。
また、公的年金、基本は賦課方式でございますけれども、積立金、四年分程度保有をしております。この運用につきましては、もちろん短期的にはいろいろな変動がございますが、長期的に見て、これまでのところ、必要な利回りも確保をしておるというところでございます。
今後、人生百年時代という言葉に表現されるように、高齢期も長期化をしてまいります。一方で、高齢者も就業が拡大をしているというように、今後、より長く多様な形で人々が働かれるようになる、そういう社会になっていくんだろうというふうに思います。それを年金制度においてもきちんと取り込んで、長期化する高齢期の経済基盤を充実させるという考え方のもと、必要な改革について検討していきたいというふうに思いますし、今申し上げた年金制度の状況、それから改革内容について、さまざまな形できちんと説明を重ねて国民の信頼を得られるよう努力を重ねていきたい、このように考えている次第でございます。
○竹内委員 きちっと説明をしていただいたわけでありますが、改めて、年金は大丈夫だということを、ぜひ、ちょっと簡潔にもう一回言ってほしいんですけれども。百年安心プランは揺るぎのないものである、これが破綻しているとか壊れているとかそういうことは全くない、きちっとしたこれまでの想定どおり動いている、機能しているということをちょっと答えてもらいたいと思います。
○度山政府参考人 お答えを申し上げます。
仕組みとしては、先ほど申し上げた二〇〇四年の改革のフレームで運営をしてきているというところでございます。
繰り返しになりますが、二〇〇四年、改革をしたときには、なかなかこの仕組み、きちんとまだでき上がっておりませんでしたが、社会保障・税一体改革で国庫負担二分の一の恒久的な財源も確保をした、あるいは年金の特例水準の解消によりマクロ経済スライド発動の条件が整ったというようなこと等々で、二〇〇四年の改革フレームが完成をして、今それに従って運営をしてきているというところでございます。
直近の財政検証が五年前の二〇一四年に発表されておりますが、日本経済が再生をして、高齢者や女性の労働参加が進んでいくという前提のもとに、おおむね百年にわたる給付と負担の均衡が図られるという計算結果は確認をしているところでございます。
○竹内委員 そこで、私からも、さらに、財政検証がおくれているんじゃないか、こういう御批判もありますけれども、この点につきましてはいかがですか。
○度山政府参考人 何度かいろいろな委員会でお尋ねがございます。今、一生懸命作業中でございまして、作業結果が取りまとまり次第公表を予定しております。
同時に、先ほど申し上げたように、例えば被用者年金の適用拡大ですとか、あるいは高齢期の就業と年金をめぐるさまざまな諸問題について具体的な議論が、今策定されようとしている骨太方針とか成長戦略の方でもさまざまな議論がございまして、そのような制度改正の議論に資する材料をきちんと財政検証でも準備しなければいけないということで、そういうことも含めて今作業中でございまして、繰り返しになりますが、結果が取りまとまり次第公表をさせていただきたい、このように考えてございます。
○竹内委員 年金制度問題につきましては、これまでも何回も、この国会でも各委員会で議論されております。我々も野党時代に、野田元総理がきょういらっしゃいますが、そこに聞いているわけじゃないんですが、いろいろ、大丈夫ですかと、年金は破綻しているんじゃないかという批判が過去いっぱいあったものですから、そのときにお聞きしたときには、野田当時の総理は、年金制度が将来破綻することはない、こういうふうに言い切っておられるわけであります。
その後以降、経済環境を考えてみると、決して悪くなっていない、むしろ、全体、マクロとしては、私は、この六年間、二十四年度以降もよくなってきたというふうに考えておりますし、デフレを脱却しつつあって、マクロ経済スライドが適用されるような環境になってきた。そういう意味では、年金がわずかでも、〇・一プラスというような結果も出ているわけでございます。そして消費税が、何とか三位一体改革の中で引き上げることが、まず三%はできておりまして、これによって、基礎年金も半額まで、二分の一まで消費税で充当されるというような与野党の改革も実現したわけでありますし、そういう意味では、私は、ここからは個人的な見解ですが、よほどの、リーマン・ショックのようなことがない限りは、やはりこの消費税の引上げというのは予定どおりなされなければいけない、そうでなければ大事な年金財源が確保されないじゃないかと。
先ほど、基礎年金だけの場合、支援給付金というのが今度出されるわけでありますけれども、これは非常に大事なことでありまして、やはり国民の生活を保障するという意味では大事な給付金だと思いますよ。これは消費税の引上げによって確保されるわけでありまして、これが停止したり、また延期したりすると、できないわけですね。これはやはり問題だと思うんですよ。本当に大変な中で生活されている、国民年金だけで生活されている方々にとっては、こういう年金がふえる要素、非常に重要な、大事な話なので、私は、こういう場をかりて、やはり政府としても積極的にアピールをしておく必要がある。まさに三位一体改革の約束事でありますからね、お互いに、与野党の。それをやはり確実に実現していくということが大事だと申し上げておきたいと思います。
そこで、次の質問に移りたいと思いますけれども、先ほども冒頭に申し上げたように、若干、報告書のトーンを見ていると、投資を勧めている、かなり後押ししている雰囲気があるわけですけれども、それが問題だと言う方もいらっしゃるんですが、私はむしろ、私どもの若いころは財形というのがあって、非課税の財産形成預金というのがあって、全く非課税で、いい時代だったんですね。ところが、今の若い方々は、本当に低金利が続いていまして、そういう財形にかわるようなものがない。iDeCoというのがようやくできましたけれども、つみたてNISAにしたって、まだまだ中途半端な制度設計になっておりますので、やはり、若い方々が長期的に資産形成に励めるような、希望が持てるようなものも必要なんだろう、こういうふうに思いますよ、はっきり申し上げて。
ただ、先ほどから申し上げているように、この表現の持っていき方がちょっと粗雑であった、こういうふうに思うわけでございますけれども、この点につきまして、金融庁はどのように考えていますか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
貯蓄から投資へというふうなこと、政策テーマにつきましては、かねてから金融庁が取り組んできた政策テーマでございます。家計金融資産の過半が現預金、現金、預金となっているという現状がございまして、ここから、個々人のニーズ、あるいはそのリスク許容度、ライフスタイル、さまざまな事情に応じて、より適切かつ有効な運用ができるような、こういった環境や制度を整えていくことが重要であるというふうに考えている次第でございます。こうした観点から、金融庁におきましては、NISAやつみたてNISAの導入ないし拡充、普及などに取り組んできたところでございます。
金融庁といたしましては、今後も、個々人のニーズや状況に応じて適切な形で資産形成が進みますよう、取組を進めてまいる所存でございます。
○竹内委員 それで、この報告書、先ほど冒頭に指摘したような問題点もあるんですが、一方で、大事なことも書かれています。例えば、認知症の対策をどうするんだということが随分とあちこちで何カ所も書かれてございまして、これは非常に大事な問題意識だと思いますね。やはり、相当の方々が今後認知症に、軽度も含めてなる、そのときに、その皆さんの資産は相当の金額があると言われていますね、数百兆円に及ぶのではないかという試算もあるわけでありますけれども、それをどうしていくのかというのは、これからの社会全体で考えなければならない問題だ。非常に重要な議論がなされています。
そういう意味では、私は、従来、認知症の方々の資産については、認知症になった時点でもう意思能力がないということで全て解約とか、そういうことがなされていたと思いますけれども、そうではなくて、あらかじめ、そのときのために事前に本人がどういうふうな意思表示をしておくかとか、それから周りの方々、サポートする方々との連携を金融機関がちゃんととるべきであるとか、結果として認知症になった場合の運用をどうするんだということは、本当に議論が必要だと思います。そういう議論が必要だということが書いてあるんですね、いろいろな角度で。これは非常に重要な指摘だと思うんですね。
そういう意味では、金融庁が一方的にワーキンググループだけで決めるのではなくて、方向性を示すというだけではなくて、国民各層の意見を取り入れながら、議論を惹起してこの問題は進めていくべきではないかというふうに思っておりますけれども、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○麻生国務大臣 今御指摘のありました認知症、これにつきましては、政府全体として総合的な施策というものを推進していくために、認知症施策推進大綱の策定というものに向けて取り組んでいるところ、これは御存じのとおりです。
その一環として、金融庁においても、例えば、金融機関においていわゆる取崩しとか、何というのか、窓口をやめるとかいろいろな、よくある話がありますけれども、金融機関におきます認知症のサポーターの積極的な養成というのをやらないかぬということで、当事者の視点に立った生活環境の整備、いわゆる認知症にとりましてのバリアフリーというようなことに取り組んでいくということにいたしておるんですが、このほか、認知症の方の保有している資産の管理それから運用等々の対策も、今回のこの作業部会の中で、報告書の取扱い以前の問題として、各界の意見を聞きながらいろいろ今やらせていただいているところなので、この議論を更に進めてまいりたいと考えております。
○竹内委員 ありがとうございました。
以上で終わります。
○坂井委員長 次に、大串博志君。
○大串(博)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの大串でございます。
早速質疑に入らせていただきます。
今話題になっている、論点になっています金融庁金融審議会による老後の資産形成に関する報告書及び年金の不安の声に関する質疑、極めて重要な質疑だと私は思っています。
私自身も、国会の場で年金問題を何度となく取り上げてまいりました。その都度感じていたのは、今の安倍政権において年金問題に真正面から取り組もうとしていないんじゃないのか、そういう私の不信感でありました。国民の皆さんが、年金、大丈夫かな、将来不安だなと思っていらっしゃるのが大部分であるにもかかわらず、それをあたかも糊塗するように、まず議論すらしない。ちょっと話題が出ても、大丈夫だ大丈夫だと言い募る。この姿勢が、ツケが回ってきているのが今回の問題ではないかと私は思うんです。
先ほど来、金融庁の報告書に関して、大臣からも、そして事務方からも、配慮を欠いていたとか、誤解、不安を惹起したとか、単純過ぎたとか、こういった弁解めいた声があり、よってこれはだめなんだというようなトーンの評価でありましたけれども、私は、この報告書は、やろうとされたことは極めて是、きちんとした議論をされようとしていることであり、むしろ、世の中の皆さんのいろいろな声を聞いていると、老後、二千万円も必要なのか、大変じゃないかという反応はもちろんあります。それは、身につまされてみると、二千万円ためるというのは大変ですよ。と同時に、やはりそうか、やはりそうなんだ、今の年金制度を前提とすると、政府ですら、二千万円ためないと老後を暮らせない、やはりそういうことなんだな、ある意味そうだろうなと思っていたことが改めて政府によって言われた、政府の審議会によって言われた、そういうふうな声も結構あるんです。だから、正鵠を射た報告書だという意見も結構あるんです。
そういった中で、ところが、大臣におかれては、この報告書を受け取らないということを一方的に言われました。私、極めて驚きました。
麻生大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、大臣が諮問をした報告書であります、金融庁設置法七条第一項に基づいて大臣が諮問をしたこの報告書、ワーキンググループでの結論たる報告書を今の段階で大臣が受け取らないということを決めることが、何の根拠でできるんですか。その根拠が法的にあるんだったら教えていただきたいと思います。
○麻生国務大臣 これは、政府として正式な報告としては受け取らないということで、基本的には今後の政策遂行の参考にはしないということですけれども。
法令について多分、今聞いておられるんだと思いますので、金融制度審議会というものがつかさどります事務といたしましては……(発言する者あり)ごめんなさい、金融審議会がつかさどる事務としては、諮問に応じて、いわゆる国内の金融等に関する重要事項の調査審議を行うこと、それから当該重要事項に関して意見を述べることとされております。
他方、金融審議会の報告書等の取扱いに関しては、それを受け取らなければならないとか尊重しなければならないなどの特段の規定はないというのは御存じのとおりでして、受け取らないということについて、法令上の問題があるというように考えているわけではございません。
○大串(博)委員 まさにそこなんですよ。法令上は、審議会というのは、有識者の先生方に専門的な観点から審議をしていただいて、いいアドバイスを下さいねということで、総理大臣がですよ、金融庁の場合、総理大臣が、その権限委任を受けている麻生金融担当大臣が諮問をして意見をいただく、こういうものなんですよ。専門的だからこそ、専門家の皆さんにきちんと意見をいただいて、なるほどということで、それを政策に生かしていく、そういうものなんです。だから、法律的に、受け取らないということを今の段階で言う、一体何なんだろうという気が私はするんですね。そういうことを今大臣はやれるのか。
かつ、先ほど金融庁の事務方が答弁していました。これはワーキンググループの結論なので、今後、金融審議会に上がって、本会に上がって、そこで取扱いが決まっていく性質のものだ、その取扱いは基本的には金融審の会長が決めるものだと。そうですよね。それが決まりですよ。それに対して、その金融審に上げる上げないのことまで決まる前に、会長が言う前に、大臣が受け取らないと言っている。そんなことできるんですか、大臣。
○麻生国務大臣 最初に御答弁を申し上げたとおりですけれども、法令上に関しましては間違いなく先ほど申し上げたとおりで、重ねて申し上げることもないと思いますが。
この判断をさせていただいたものは、我々としては、少なくとも、公的年金というものは老後の生活というものをある程度賄うものであるということを申し上げてきております。御存じのとおりです。しかし、この報告書を見ていますと、先ほど越智先生等々いろいろ御指摘のあったとおり、いわゆる生活費として五万円不足するとか、足らないとかいうように述べておりますので、これは著しい誤解とか世間に対して不安を与えるという感じになります。我々のふだんの政策スタンスとは違っておると思っております。
我々としては六月の初めの段階で、この点は違うということを申し上げましたけれども、何となくその話がおさまるような雰囲気でもありませんから、したがいまして、今回は、そういったような不安を一掃しないと更に話がおかしな話になるのもいかがなものかというように思いましたから、私の判断として、こういったものをこのまま放置したままでやって、作業部会で上げたやつを総会で通して、それで総会の正式な文書としてまた上に上げてくるというようなので更に時間のかかる話でもありますので、そういうようなことが広まる前にきちんとした対応をしておく必要があると思って、私どもとしては、私の判断で、これは受け取らない、すなわち、正式な政策遂行文書にはしないということを決めさせていただいたということであります。
○大串(博)委員 金融審議会との関係で、大臣の置かれた立場は、諮問する立場です。金融審議会の進め方、取り進めに関しては、基本的には会長に権限が渡されている、こういうものになっています。受け取らない、つまり、ワーキンググループでの結論を本会、審議会に上げる前にそこでとめさせる、受け取らないでとめさせる、そんな権限が金融担当大臣にあるとは思えません。
受け取らない、もう持ってくるなよ、ワーキンググループの議論はここで終わってね、審議会に持ってくるなよということを、金融審議会の会長に相談され、そして了解を得られたんですか。そして、それを述べるとすると、会長が述べるべき話ではないでしょうか。
○麻生国務大臣 先ほども申し上げましたように、法令上、金融審議会がつかさどります立場、いわゆる事務として、諮問に応じて、少なくとも国内金融に関します重要事項を、先ほども申し上げましたように調査審議すること、当該重要事項に関し意見を述べることとされておりますというのは御存じのとおりですが、他方、行政府として最終的な政策決定というものは、内閣又は国務大臣の責任で行うものであります。これは御存じのとおりです。
したがいまして、諮問権者たる大臣としては、いわゆる審議状況につきまして適時報告を受けたり、また必要に応じてみずからの意見を審議会に述べるということは別に問題はないのであって、私どもとしては、今回は、先ほど申し上げたような意見を申し上げたということに御理解いただければと存じますが。
○大串(博)委員 大臣、今回、審議会に出て、あるいはワーキンググループに出て金融庁の立場を適切に述べたといったレベルの話じゃないですよ。大臣自身が、ワーキンググループの結論が出たところで、そこでぴしっと線を引いちゃって、これで終わり、もうこれ以上上げてくるなととめちゃっているんですよ。審議会の場で意見を述べるとかそんな話じゃないです。議論をとめちゃっている。そんなことがあっていいのかという話なんです。おかしいなとみんな、国民の皆さんは不思議に思っているわけです。そこまで強引なことをなぜするんだろうかということなんですね。
こんなことが蔓延すると、そのほかの政府の審議会も、諮問を受けた、諮問を受けて、今回もちゃんと諮問されているんです。かつ、金融庁長官がその会議の場に行ってきちんと、こういうふうな議論をしてくださいと述べていらっしゃる。私は、全部、議事録を読みましたよ。諮問や、あるいは金融庁からのこういう議論をしてくださいということに関して、極めていい議論を十二回にわたってされている。にもかかわらず、途中で議論をぴしっと打ち切っちゃうような、ふたをするように途中で大臣が、何の権限を持ってかとめちゃっている、ここに異様さがあるんです。
かつ、大臣、私が非常に不思議に思うのは、受け取らないという理由を述べられたときに、大臣、政府のスタンスと異なるということを言われました。
先ほど来、政府のスタンスと異なるというのはどこのところかというふうに答弁を求められたときに、大臣は、高齢者の世帯の収支差が五万円あって、これに関して政府は、年金は老後生活の重要な柱だというふうに言ってきているので、五万円が収支差としてあるというのは政府のスタンスと違うというふうに説明されましたが、そういう説明、理解でよろしいですか。
○麻生国務大臣 議論をするなというお話でしたけれども、作業部会のあれを受け取らないと申し上げているのであって、作業部会で引き続き審議をされるのは御自由なんだと思いますが、作業部会の上にあります金融審議会の中において、それを、総会において議題にはならないということであって、現場でされることは自由ですよ、これは全く。こうやってしたんですから、それを引き続きされるのは自由です。そこのところを引き続き、この問題を審議するななんということを申し上げているのではなくて、私どもは審議をとめるつもりはありません。ただ、私どもとしては、この趣旨とは全く違う形になっておりますので、それは受け取らないということを申し上げたというように御理解いただければと存じますが。(大串(博)委員「後段の答弁を。政策スタンスが違うという」と呼ぶ)後半の部分。済みません。失礼しました。
これは、本報告書というのは、あたかも公的年金だけでは生活費として月々五万円不足だというようなことが述べられておりますので、我々は、公的年金というものに関しましては、従来申し上げてきたように、老後の生活をある程度きちんとしたものに賄うものなんだというように思っておりますので、老後の基本中の基本なんだと思っております。したがいまして、そういうことを言ってきた政府のこれまでのスタンスとここに書かれてある内容はかなり違うのではないかということだと思っておりますが。
○大串(博)委員 委員長、ちょっとお願いしますけれども、大臣の声が聞き取りにくいので、マイクの音量を上げられたら上げていただきたいと事務方の皆さんにもお願いしたいというふうに思います。
○坂井委員長 では、うまく調整してもらえますか。
○大串(博)委員 お願いします。
ところが、大臣、老後の世帯に五万円の収支差がある、これは、まさにこのワーキンググループで、先ほど来話がありましたように、厚生労働省の方が、課長さんが出られて、この場で報告されていることなんですよ。しかも、この報告書の十ページにあった、二十一万円と二十六万円、この差を使って、五万円差がありますと、まさにこの図表を使いながらこうおっしゃっているんですよ。二十四ページをごらんいただきまして、高齢夫婦無職世帯の現在の収入、支出の状況になります、引退して無職となった高齢者世帯の家計は主に社会保障給付により賄われていますと。年金ですね。ライフサイクルにおいて当然のことではあります、現在、高齢無職世帯の実収入二十万九千云々、支出二十六万三千云々、差は五万五千円程度となっています、この高齢夫婦無職世帯の平均貯金額は二千四百八十四万云々となりと。
かつ、これに続けてどうおっしゃっているかというと、今後、実収入の社会保障給付、年金ですね、は低下することから、取り崩す金額が多くなり、さらに余命も延びるので取り崩す期間も長くなるわけで、今からどう準備していくかが大事なことでありますと、ここまで言われているわけです。
これは基本的に、多分、多くの国民の皆さんの理解と同じような雰囲気だと思うんですよ。非常に適切なことを言われているわけです。これが政府の認識と違う、政府のスタンスと違うと。
それは、年金は重要な柱というのは今までも言われている。しかし、年金は重要な柱と言葉では言われながらも、収支、五万円の差がありますよというこのモデルに関しては、厚労省自体が使って説明をし、かつ、これから年金は低下するから更に何がしかの対応をしなきゃなりませんよと言ってきているんですよ。政府のこれまでのスタンスと違うなんということは全くないじゃないですか。いかがですか。
○麻生国務大臣 年金の基礎的な、基本的な話、年金が立ち行かなくなるとかいう話は、これはちょっと、厚労省の話で私どもの所管ではありませんので、その点をお聞きでしたら厚労省に直接聞いていただかないと。私どもの所管外の話になりますのでお答えいたしかねますが。
この月五万円の、家計調査におきます、先ほどたびたび申し上げておりますように、いわゆる高齢者世帯の平均的な収入と支出の差というものが、貯蓄の活用というものを見た場合に、いわゆる、私どもとしては、家計調査というものに基づいて、高齢者世帯の平均的な収入と支出の差を踏まえ、貯蓄額というのを述べたにすぎませんので、公的年金に不足があるというような感じに述べられたものではないというように理解をいたしておりますが。
○大串(博)委員 私は、公的年金に不足があるなんということが書かれているというふうに言っているわけじゃないんです。
高齢者世帯で五万円の収支差があってこれを何とかしなきゃならない、年金が柱であることは間違いないけれども、それでも五万円の収支差があって何とかしなきゃならない、さらに、年金の課長さんが言うには、これから年金が下がるからさらなる対応も考えなきゃならないとまでこの審議会の場で、政府を代表してかどうかわかりません、少なくとも厚労省を代表して述べている。そのほかの場でも、実は、この資料は厚労省は使っているんです。だから、政府の、ある意味通常使われていた分析なんですよ。それを、この場に及んで、政府のスタンスと違うと言うのは、余りに手前勝手な、その場しのぎの説明じゃないですかということを申し上げているんです。いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 御指摘の、社会保障審議会におけます厚労省の説明というような話でしたけれども、これは、先ほど申し上げましたように……(発言する者あり)もともとその資料は社会保障審議会から来た資料ですから。それはちょっと、川内さん、違いますよ。
厚労省の説明のもとの話でしたから、家計調査結果に基づいて、高齢者世帯の平均的な収入と支出の差や貯蓄額というものを述べたにすぎないので、先ほど申し上げましたように、不足があるというふうに申し上げたわけではないということであります。
一方、このワーキンググループの報告書では、あたかも公的年金だけでは生活費として月々五万円不足、足らないというように言ってありますし、また、老後三十年間で約二千万円が不足するというように述べられておりますが、これは、公的年金は老後の生活というものをある程度賄うという前提で、我々はこれまでの政府のスタンスというのがありますので、説明が違っているというような御指摘、私どもに、申し上げているのは、そのとおり、これまでの政策スタンスとは異なるということを申し上げておるのであります。
○大串(博)委員 今まで厚労省がこの五万円の収支差のグラフを使って説明してきている中で、世論的に、選挙の前だからなのか知りませんけれども、国民の皆さんが、これはというふうに注目が集まった、そこで、焦っていきなり、政府のスタンスとは違うとか、誤解と不安を与えたとか、そういった詭弁を弄するようにして、ふたをしようということで、急遽、急ごしらえに、権限もないのに、受け取らないなんというのを急に言い出しているということなんじゃないですか。
だって、麻生大臣、記者会見では、三日に発表された直後の四日の記者会見では、大臣、ぶら下がりですけれども、私もテレビでこの大臣の記者会見のぶら下がりをよく見ましたけれども、記者さんの皆さんに、おまえら、百年生きることで計算したことあるか、将来のこと考えたことあるか、ないだろう、俺もなかったな、しかし、百年考えるとするとこういうことなんだよ、こういうことを考えにゃいかぬのだよというように、報告書の内容を肯定して、おまえら、考えたことないだろう、そういう記者会見での答弁をされているんですよ。報告書を認められているんですよ。
さらには、その数日後、少し世論がこれに気づいてきて、あれっとなったときにはさすがに、表現が不適切だということは言われています。しかし一方、大臣はそのときに、五万円掛ける十二掛ける三十五だからアバウト二千万円という話だろう、大体、単純計算すればそんなものじゃないかと思ったんだけれどもと認めていらっしゃいますよ、大臣だって。大臣だって認められているじゃないですか。
更に問題が広がった十一日になって初めて、いきなり、受け取らないということを言われている。
大臣は初め認めているじゃないですか。二千万円だって、計算すると大体こんなものだと思ったと記者会見で述べられているじゃないですか。どうですか。世論が盛り上がったから選挙がやばいと思って焦って火消しに走って、権限があるかどうかもはっきりしないのに、受け取らないことにしたと、審議会の報告書を。そういう前代未聞の逃げ工作をやっている、隠蔽工作をやっている、そういうことじゃないですか。
○麻生国務大臣 全く違うと思いますけれども。
御指摘のまず六月四日の会見の話からですけれども、これは、老後の資産形成について、問題意識について御質問を受けましたので、高齢者におきましては個々人がしっかりとみずからの人生設計を考え、金融サービス提供者はその手伝いをしていくといったことを考えながら行動していかなければならないのではないかというのが私の基本的な考え方です。そう言っていますでしょう、多分その資料をお持ちなんだと思いますけれども。そういうことで申し上げたんだと思っております。
六月七日の話が出ていましたけれども、これは、表現自体が不適切であるという旨述べると同時に、公的年金というものが老後の生活設計の柱であり、持続可能な制度をつくっているとの見解もはっきりそこで述べているのが六月七日の分だと思いますけれども。
そういった意味では、我々としては、世間に著しい誤解とか不安を与えているという状況がその以後も変わっていませんでしたから、したがって、六月十一日後の……(発言する者あり)
○坂井委員長 不規則発言は控えていただきますようにお願い申し上げます。
○麻生国務大臣 その後も世間に著しい誤解や不安を与えている状況が変わりませんでしたから、そういった意味で、六月十一日の閣議後の記者会見として、先ほど申し上げましたように、正式な報告書としては受け取らない旨を申し上げさせていただいた次第ですが。
しかし、この問題に関して、権限がとかいろいろおっしゃいますけれども、権限につきましては、法令上の問題は先ほど申し上げたとおりでありまして、少なくとも、私どもとしてはこれを申して、今先生のお話でいうと、選挙向けのパフォーマンスというような御指摘をなされたようにお聞きいたしましたけれども、私どもとしてはそんなつもりは全くございません。
○大串(博)委員 誤解や不安を与えた、理解されなかったというのであれば、では大臣自身が最初誤解していたということですか。大臣自身が報告書の内容を是認していらっしゃったじゃないですか、発表直後。かつ、七日の記者会見においても、アバウト二千万円という話だろう、大体、単純計算すればそんなものじゃないかと思ったけれどもと認めていらっしゃるじゃないですか。大臣自身が認めておきながら、その四日後にはいきなり変わって、受け取らないとか、極めて超法規的なことをやっていらっしゃるから、これは選挙向けのパフォーマンスかなと思わざるを得ないんですよ。
私、非常に危惧しているのは、行政がゆがんじゃうんじゃないかという気がするんです。
大臣が所管されている金融庁そして財務省、私も非常に悲しい思いで見ていますけれども、残念ながら、この数年間、文書の改ざん、廃棄、隠蔽がされました。とんでもないことですよ。民主主義に対する危機と衆議院議長からも注意を受けたような事態が起こったんです。そして、今度は、審議会の議論を途中で、受け取らないという形で打ち切る。こんなことがあっていいのか。私は、麻生大臣の責任は極めて大きいと思いますよ。そういった上で、私は疑義を言わざるを得ないし、私は大臣の責任は極めて大きいというふうに思わざるを得ません。
一つ、大臣、お尋ねしたい。
年金に関して、先ほど大臣は、重要な柱だとおっしゃいました。ちなみに、大臣、年金はお受け取りになっていらっしゃいますか。
○麻生国務大臣 受け取っていないと存じますが。
○大串(博)委員 済みません。大臣、七十九歳でいらっしゃいますけれども、受け取っていないと思いますと。御自分が年金を受け取っているかどうかも御存じない。今、事務方の方からあれされていますけれども、後ろの方から聞かれないと、自分が年金を受け取っているかどうかもわかられない、そういうことですか。
○麻生国務大臣 後ろのも余り、私の私設の秘書ではありませんので、そのことに詳しいわけではありませんから、知っているというように誤解されているんだったら、それは本人も迷惑しますので、それは撤回されておいた方がよろしいかと存じますが。
少なくとも、年金を今受け取るとか受け取らないとか、この話は随分前から私の秘書から聞きましたので、任すと。このことに関しては、どっちの方がいいか、今受け取るべきだとか先に延ばした方がいいとか、あのとき随分いろいろ意見が分かれていましたので、そのときには、この件に関しては君に任すということを言った以来、私はこのことに関して正確な記憶はありませんので。
あらかじめ御質問をいただいていたら。ここで御質問をいただきましたので。きょう、この質問をあらかじめ、通告にはなかったんじゃないんですかね。その通告以外の話ですと、今の話をされて、それで、後ろの秘書の方がどうたらこうたらなんて言われて、秘書も迷惑しますので、よろしくお願い申し上げます。
○大串(博)委員 済みませんね、大臣、通告もしないで。年金を受け取っていらっしゃるかどうかという質問だったものですから、さすがにこんな質問であれば、通告しないでも即座にお答えになるだろうなと思って、私、通告もする必要ないだろうなと思って聞いたんです。
それを今お答えになっていらっしゃらないということは、済みません、きちっと正確なところは通告してまたの機会に聞きますけれども、今年金を受け取っていらっしゃるかどうかというのは今御自身では御存じない、そういう理解でよろしいですか。
○麻生国務大臣 そのときの会話の記憶以外、ちょっと正直ありませんので、今の段階でどちらが正確か、今受け取ったかもしれませんけれども、後で、おまえ、受け取ってないじゃないかと言われるとあれなので、正確なところをお答えさせていただくためには、時間をいただければ、次回、こういった機会があれば御答弁をさせていただきます。
今すぐお知りになりたければ、後で秘書に、通告するなりすれば、来週にでもお答えできると存じますが。
○大串(博)委員 驚きました。年金をもらう年齢に入っている方が、自分が年金をもらっているかもらっていないか知らない人はいるか。私はいないと思いますよ。それどころか、年金をもらう年齢になる前から、自分の年金はどれだけになるのかな、暮らしていけるのかな、まさにこの報告書にあったようなことをみんな考えて生きているんですよ、不安に思いながら。それが世の中なんですよ。
今大臣は七十九歳でいらっしゃると思いますけれども、自分が年金を受け取っているかどうかすら知らないというようなお立場でいらっしゃる。それは御個人のことですから、私はとやかく申し上げません。しかし、国民が思っている年金に対する不安、極めてセンシティブな感覚、そこに寄り添うような発言であったとは、とても私、思えないんです。
ちょっと、大臣の年金、これまでのプロフィールを見させていただくと、会社員でいらっしゃった時期もあられますし、かつ、国会議員として長くお務めでいらっしゃいました。ですので、普通に考えると、厚生年金、そして、議員の間は国民年金もあります、国民年金、そして国会議員互助年金というもの、これが支給されるということになるんだろうというふうに思うんですね。
ちなみに、大臣、御存じないでしょうから御説明しますと、国会議員互助年金、もう廃止されましたけれども、大臣ほど長く議員経験をされた方でいらっしゃれば、十年間務めれば年間四百数十万円の年金をもらえることになっています。受け取るときには一五%マイナスになるんですけれども、議員の活動が十年を超えれば毎年八万円ずつふえていって、五百万円近く、年額がなることもあるんです。それを、一五%引きで、毎年、議員をやめた後、得られることになる。
大臣、よろしいですか。大臣自身、自分の老後、年金の不安、年金で大丈夫かなというふうなことを考えられたことはありますか。
○麻生国務大臣 私自身が自分の年金が幾ら入ってくるであろうかということを真剣に心配したことはあるかという御質問でしょうか。
これも事前通告にはなかったと存じますから、私ども、あれですけれども、たしか、私の記憶ですけれども、議員年金が廃止になったときはちょっと正直驚きました。五十年務めた山中貞則、ゼロということで亡くなられましたので、ああ、悲惨なことになるんだなといったときの年金の記憶がすごくありますけれども。
今、六十五歳からもう大分たちまして、十三、四年たっておりますので、大分時間がたっておりますが、その意味で、そのときの年金をどうたらという話があった以来、ちょっと正直、記憶がありませんので、私自身は、年金が幾ら入ってきてどうであろうかというのを心配したことがあるか、自分の生活として心配したことがあるかということはございません。
○大串(博)委員 心配したことがあるかどうかというのは御自身のことですから、私がとやかく言うことじゃありませんが、少なくとも、国民の年金に対する不安に対しては極めて感度強く働いていただきたい。その意味からすると、今回の報告書をなきものにする、国民の不安がふたをされるように抑えてしまう、そんな行政をやる金融担当大臣、私は任にあらずではないかと言わざるを得ないということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○坂井委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 皆様、午後の審議、大変お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士です。
長寿社会の到来、九十五歳まで生きるとすれば、高齢無職の夫婦世帯では年金収入だけでは毎月五万円足りなくなる、だから二千万円貯金せいというこの報告書でありますが、これは金融審議会の市場ワーキング・グループ、金融庁の作業部会が作成した報告書、今月の三日に報告書として公表される前に、そもそも、金融庁、このグループの事務局として取りまとめている金融庁では、最終報告書案について既にブリーフィングを大臣に行っていたかということなんですが、まず、この認識でよろしいんでしょうか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
この報告書の取りまとめに当たりまして、概要、骨子について政務三役に報告はいたしております。ただし、今回問題になっているような不適切な表現に至るような詳細の報告を事前にいたしたわけではございません。
○緑川委員 では、何を伝えたんでしょうか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
この金融審議会の報告書でございますけれども、高齢化、長寿化が進展する中で、資産寿命を延ばしていく。具体的には、若いころからであれば、少額でも、もしゆとりがあれば積立て、長期、分散投資をすることも一つの方策として考える余地がある。退職金をもらうリタイア時期の前後であれば、退職金というものの扱い方というのが大変大事になるので、その方々に応じた適切な金融サービス・商品の提供のあり方が問題になる。あるいは高齢期のときになりますと、認知能力が低下してくる、こうしたものに対して、金融サービスを提供する側が、そうした認知能力が低下してくるという中で、そういう方々が多くなることを踏まえたサービスの改善が必要になる。こういった方策について議論してきたということを報告申し上げた次第でございます。
○緑川委員 この報告書で非常に重要な面である、積立ての必要性を説く上でのもとになる、根拠として、まず資金の不足というふうに書いていますが、そこについては話をしていないんですか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
資金が不足するとか、あるいは三十年間でこれだけの不足額が生じるということを事前に説明したわけではございません。むしろ、長寿化、高齢化が進む中で、今申し上げましたような、サービスの提供を受ける側、そして提供する側について、現状よりも改善していくべき事柄について議論してきている、このことについて御説明申し上げた次第でございます。
○緑川委員 そのときの資料で、まず毎月五万円足りない、あるいは二千万円という記述はありましたか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
今手元に資料を持っておりませんが、私の記憶に残っているところでは、五万円不足するのか三万円不足するのかとか、あるいは二千万円不足するのか、あるいは幾ら余るということを自分の口から説明した記憶はございませんので、そういうことを前提にするというよりは、むしろ、長寿化が進む中で、あともう一つは、高齢者、あるいはそれぞれのライフスタイルが標準世帯では言いあらわせなくなってきているということから、それぞれ、例えば、一人であるとか独身、あるいは、おじいさん、お父さん、お子さんではない違った形の世帯、それから働き方も、一つの会社に長く働いて退職金をもらって老後を過ごすというものではなく、転職がある、あるいはさまざまな、自営、起業の形があるということから、自分たちのそれぞれの個々人のライフサイクルに応じて資産形成をしていく場合の資産形成のあり方として、今申し上げました、少額でも長期、積立て、分散投資といった話、管理の話等々を御説明申し上げた記憶がございます。
○緑川委員 一部記憶が確かでないというところですので、説明資料の提出を求めたいと思います、委員長。
○坂井委員長 後ほど理事会で協議させてください。協議いたします。
○緑川委員 それにしても、老後の安心、その上で積立てが必要である、その前に、差し迫った必要性、重要性ということについては説明が抜けているというのは、どうしてもこれは腑に落ちません。
大臣、いずれにしても、説明を聞いたときに、そのとき、私どものスタンスとは違うということはお思いになられましたか。
○麻生国務大臣 これは質問はいただいていないですね。この問題は質問いただいていないですね。(緑川委員「しています」と呼ぶ)している。今のことについてこっちに質問……(発言する者あり)事前レクのときに疑問を持ったかということに関しまして、不足するとかなんとかいうことに本当になるのかという話を一回だけしたんだと思いますが、ただ、今、三井局長が申し上げましたように、最初の段階で私どもに、この五万とか二千万とかいう話は、聞いた記憶は私自身はありません。
○緑川委員 まず、金融庁の参考人に。
この最終報告案が仕上がる前に、これは与党幹部には説明はしていますか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
その前後、その前かどうかということについては記憶は定かではございませんが、報告書がウエブページにアップされた以降について、問合せも受けた記憶がありますし、説明した記憶もございます。
○緑川委員 もう少し具体的にお願いします。時間、場所。
○三井政府参考人 日にち、時間等については、済みませんが、ちょっと今手元にその手控えがございません。
一般的には、金融審議会の報告書を非常に幅広く事前に与野党に説明するというふうなことを従来は余りしておらなかったと思います。むしろ、報告書がまとまった段階でしっかり説明させていただくということが多かったような記憶がございまして、本件もそういったものと同様の取扱いで説明したというふうに記憶してございます。
○緑川委員 毎月五万円、そして老後の三十年間で二千万円足りなくなるというのを、大臣、いつどこでこれを目にした印象がありますか。
○麻生国務大臣 先ほどどなたか、大串さんだったかな、質問の中で出てきましたように、六月四日の記者会見で老後の資産形成という話をしたというときに、私は、このときにはこの話、五万とか二千万とかは聞いておりませんので、したがいまして、いろいろな話をしたという話が出ていましたけれども、この段階で聞いていたわけではありません。
その後、六月七日の記者会見後に、報告書に老後は二千万円が必要と記されていたことについていろいろ申し上げたという記憶がありますので、表現をしたことは不適切であったというようなことも発言をしたと思いますが、このときに、先ほどの五万、二千万の話を聞いたというふうに、四日と七日でいくとそういうことかなというふうに記憶しています。
○緑川委員 まず、こうしたブリーフィング、金融庁から大臣に対して、適切な御報告だったというふうに思いますか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
まず、今問題になっているところは、この報告書、前半後半でいいますと前半の、さまざまな事実関係、計数などが載っているところに書いてあるものが出発点となっているものでございます。その中に、五万円そして千三百万から二千万、こうした記述があるわけでございます。そして、今後取り組むべき課題として、具体的に、長期、積立て、分散であるとか、退職金の取扱いであるとか、認知能力の低下についての、こういった施策が掲げられております。
私どもが政務に報告を申し上げたときには、その後段の部分に焦点を置いて、そのポンチ絵のような形のもので説明した記憶がございます。そして、前段のさまざまな計表、例えば平均寿命がこのように延びてきているとか、あるいは九十五歳とか百歳とか、何%の方が生き残るとか、さまざまな計数を載せている部分について一つ一つ説明を申し上げなかったわけでございます。
大変多忙な政務にはどこを選んで説明するかということで、私なりの判断をして説明しましたが、今となってみますと、この五万円、二千万円ということが、あたかも公的年金が足りないかのような誤解や不安を招いた、非常に不適切なことであったということで、こうした不適切な部分について事前に説明しなかったのは、私の落ち度ではないかなというふうに反省しております。
○緑川委員 論点をまとめて起草して、そして文書を報告書として取りまとめた金融庁がブリーフィングをしたにもかかわらず、大臣がこの肝心な数字の部分を把握されていなかった。そして、十日、参議院の決算委員会でも、これは一部しか目を通していない、ブリーフィングをしたにもかかわらず、一部、冒頭しか目を通していないという、こういうありさまです。
どうなんですか、大臣。これは、いずれにしても、全体を読んでいるわけではないというお答えでしたけれども、ブリーフィングの段階で、おおよそ全体が見えていたんでしょうか。
○三井政府参考人 済みません、そのブリーフィングにかかわることでございますので、一言、事前にちょっと御説明申し上げます。
ワーキンググループの報告書でございますということで、私、御説明申し上げました。したがいまして、大臣に提出されることとなり得るであろう金融審議会の報告書案ということではなく、ワーキンググループの報告書で現段階のものということで、かつ、その概要ということ、それから、全文、全体像というよりは、今後とり得る施策というものをかいつまんで御説明したということでございます。
○緑川委員 ブリーフィングで大臣が全体を把握したかどうかを聞いているんです。大臣、いかがですか。
○麻生国務大臣 この資料の話を聞いておられるんだと思うんですけれども、これは読ませていただきました。この話について、先ほど、ページ数で申し上げると十ページだ、十六ページだ、申し上げたとおりなんで、これは読ませていただきましたけれども、全体として、六月の七日の日の段階で、五万円だ、二千万だという表現とか、全体として、これはなかなかきちんとしたことも書いてあるんです、さっき大串さんが言っておられましたけれども、きちんとしたことも書いてあるんですよ。言っておきますが、全部が全部悪いなんと言っているつもりは全くありませんから。
しかし、いわゆる誤解を招く、不安を助長するような表現があったことも確かですから、そういったものを入れたままでは、我々としては、少なくとも、政府のこれまでの基本的なスタンスとは全然違う方向の話に思われるような、誤解を招きかねないような表現も多いというように思いましたので、私としては、この表現が入っている以上は、我々としては、このいわゆるワーキンググループのものというものを受け取るわけにはいかないということを申し上げたというように御理解いただければと思いますので、全体がわかっているといえば、わかった上で、部分的な、いいところもありますし、いかがなものかと思う表現もありますけれども、全体としては、これを受け取るわけにはいかないと判断をしたというように御理解いただければと存じます。
○緑川委員 重要なのは、なぜ、このブリーフィングの段階で、この報告書内で複数出てくる数字が一切説明されていなかったかということなんですよ。
このあたりは、全く、絶対に数字は出していないということでいいんですか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
記憶をたどって申し上げますが、私がその報告をした記憶にございますのは、長寿化が進むということ、それから、その割には資産寿命が延びていない、あるいは家計資産がふえていない、その背景としては、日本では預貯金に家計の金融資産が偏っている、それに比べて、家計資産が伸びている諸外国では、適切な資産分散がなされ長期投資がなされていることから、日本に比べて大きく家計資産がふえている、この計数を説明した記憶はございます。
その上で、今後とり得る可能性のある施策、あるいはそれぞれの判断として採用することの選択肢となる施策として、長期、積立て、分散投資、あるいは退職金について、過度なリスクをとり過ぎない適切な資産の運用と管理、そして高齢者における金融サービスのあり方、こういったものを利用者サイド、そして金融サービスサイド、政府サイドとしておのおの取り組んでいく課題について説明を申し上げた、こういう記憶でございます。
○緑川委員 これ以上しても堂々めぐりですので。
やはり、大臣が委嘱した二十人の委員、そしてこれが昨年の九月から十二回の会議を開いて積み重ねてきた結果出てきたものです。謝礼として日当も出てきたということですが、これをお断りして議論に参加されている委員もいらっしゃるんですね。この期間、参加者が自身の誇りをかけて、これだけの回数を重ねて丁寧な議論を行ってきたという部分に対して、これは所管する金融庁の作業部会です、大臣、諮問するお立場としてどのようにお感じになっていますか。
○麻生国務大臣 こういう審議会をお願いする委員の方々は、いろいろ公職につかれておられる方も大勢おられますので、私どもはお願いをするときに、いろいろその方々のお仕事の都合とか、また住んでおられる地域も考えますので、二十三区内で探そうとしたり、いろいろ考えた上でやらせていただくのが通常なので、それでも、いろいろな意味で時間をとられたり、いろいろな迷惑をこうむられる方がおられるというのは事実だと思いますので、私どもとしては、こういった形になりましたことを甚だ申しわけなく思っております。
○緑川委員 大臣が結局受け取らなかった。審議会の正式な報告書としては受け取らない、これは政策遂行の参考にするための文書ではないというふうに言い放ちましたね。でも、これは報告書である。れっきとした公文書です。受け取らなかったことをもって公文書ではないということはできませんし、政府の文書であるのに政府の見解ではないというものだから、余計に、これは公に出て混乱を招いている。
政策遂行の参考にしないのであれば、この文書は一体何のために利用されるんでしょうか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおりでございまして、まず、この審議会の報告書は公文書になります。
それから、審議会のワーキンググループの議論でございますので、このワーキンググループのメンバーの方々のインプットといいますか、プレゼンテーションや資料の提供、そして議論を取りまとめたということになります。その取りまとめの過程で、私ども事務方の粗相と申しますか配慮の著しく足りないところがあって、大きな誤解や混乱を招く文書になっているというものでございます。
他方、この議論に参加していただいた有識者の方々は、それぞれの分野で大変すぐれた高い見識をお持ちの方々が、各回の議論の過程では大変すばらしいインプットなり材料の提供をいただき、また熱心な御議論をいただいていまして、これについては公開もされ傍聴もされ、そしてウエブページにも掲載してございます。これにつきましては、パブリックセクターも含めて多くの者にとって大変有意義なものであろうかと思います。
ただし、この中にあります月々五万円、年間二千万円公的年金が足りないのでという、そういう公的年金というものは、この審議会は金融に係る重要施策を議論する場でございますので、この金融審議会というものの位置づけから見てもいかがなものかというふうな、誤ったこの記述を事務方として御用意してしまったということで不適切である、こういうことで、また、それを前提に全体が展開されているような構成になっているということでございまして、その点については深く反省しているところでございます。
○緑川委員 大臣も、これはとてもじゃないがという感じがしていますからというようなお答えもされましたが、九カ月間真剣な議論が行われて、税金も投じられて、全くの無駄になってしまうということがあるとしたら、これはあり得ないと思います。
資料1をごらんいただきますけれども、報告書の二十一ページ、前半部分が批判のあった部分ですが、最も伝えたかったのは、芯の部分は後半です。
読み上げますが、重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均寿命などを参考にした上で、老後の生活において公的年金以外で賄わなければならない金額がどの程度になるか、考えてみることである、現役期であれば、後で述べる長期、積立て、分散投資による資産形成の検討を、リタイア期前後であれば、自身の就労状況の見込みや保有している金融資産、退職金などを踏まえて後の資産管理をどう行っていくかなど、生涯にわたる計画的な長期の資産形成、管理の重要性を認識することが重要であるというふうにあります。
一方で、下の資料2をごらんいただきたいと思いますが、これは大臣の、三月七日の参議院の財政金融委員会の開会に当たっての所信のお言葉でございます。「人生百年時代を迎える中、国民の生涯を通じた切れ目のない安定的な資産の形成とその活用を推進するため、金融経済教育を通じた金融リテラシーの向上及び少額からの長期、積立て、分散投資を促すつみたてNISAの普及等の施策を包括的に進めてまいります。あわせて、金融事業者による顧客本位の業務運営の取組を深化させるとともに、高齢社会における金融サービスの在り方の検討を進めてまいります。」と。
この高齢者の安心をつくるための金融サービスという点は大事です。地域経済を支えている地方銀行、これは収益の悪化も懸念されているんですが、全国地方銀行協会がおとといまとめた会員六十三行の来年三月期の業績予想は、長期金利の低下圧力が更に強まって、七割を占める四十三行が最終減益に陥る見込みです。利ざやが縮小している中で、一部の地銀は、目先の利益を確保するという銀行も出てきている。有価証券の運用の依存度が高まっています。金融庁の検査では、リスク管理体制が不十分なケースなどが見つかっていると。リスク分散を含めた改善策が求められている。かつ、顧客本位のサービスに金融機関が本気で取り組まなければならない。
こういう金融サービスの向上、また報告書のこの提言は、まさに大臣が所信でおっしゃったことに沿った核心部分であると思いますが、いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 この資料2の方の下の部分のことを読まれていますけれども、これの考えとさっきの後段の部分と極めて似通ったことを言っておるのではないかということを言っておられるんでしょう。はい、そのとおりだと思いますよ。私、この点に関して否定するつもりは全くありませんから、この点に関して。
私どもが問題だと申し上げているのは、五万円と二千万の話をしておるんです。そこのところが一番問題なんです。明らかに不安をあおられたじゃないですか、少なくとも。
そういうことになっておるから、それは違いますよということを記者会見で申し上げたわけですけれども、一向に冷める風がありませんので、私どもとしては、それなら、この際、このものはきちんとした形で一回整理をしないと、少なくともこの話がずっと拡散していくような形になっていくというのは、これはいわゆる保険者というか、そういった預金をしておられる、保険を払っておられる方々にとりましては甚だ不安を助長することになりかねませんから、私どもとしては、そういったつもりはありませんので、本来の趣旨とは全く違いますので、そこで、私どもとしては、この際、受け取らないということを申し上げるように決めさせていただいたというように御理解いただければと存じます。
○緑川委員 受け取る側は国民です。不安かどうかを判断するのは国民であります。
大臣は、確かに、著しい不安を与えており、正式な報告書として受け取らないとか、政策のスタンスが違うともおっしゃっていました。でも、そのスタンスというのは、大臣が記者会見で説明しました、年金は老後の生活をある程度賄うことができることである、十一日の記者会見でおっしゃいました。でも、それは言いかえれば、老後の生活は年金だけでは賄えない部分もある。これは同じじゃないですか。厚労大臣も、年金だけで全てを賄うことはできないと、これは認めているわけですよ。言い方ですよ。
報告書の主張、方向性は同じじゃないですか。
○麻生国務大臣 不安をあおった、不安を招いた、そういったような結果になっているというところが、緑川先生、一番の問題なんじゃないんですか、今。
私どもとしては、基本として、年金というのはそんなものではありませんと。平成十六年の改正以降、間違いなくいろいろな形のものが動いておりますので、負担と給付のバランスもきちんとしたものにつくり直しましたし、平成十七年でしたか六年でしたか、あのときにやらせていただいた以来、これは随分違ったものになってきているというのは事実ですよ。
そういったことを踏まえて私どもは安心なものだということを申し上げているのに対して、今回の話は、申し上げたようなところはいいですけれども、いわゆる不足しているとか、二千万円貯金がないと食っていけないみたいな話のようにとられかねない話になっておりますから、私どもとしては、これは一回きちんとしておかないと、今後、この話はずっとまた別の形で尾ひれ背びれがつくような形になるのはいかがなものかということを考えて、私どもは、今回は受け取らないという結論にさせていただいたということであります。
○緑川委員 平均で議論するなとか言いますけれども、無理があるというふうにおっしゃっていますが、当てはまる世帯はいるんですよ。老後の不安を抱えている方々がいらっしゃる、家計調査にもこれはあらわれている。現実から目を背けることはできないはずなんですね。
二千万円のこの部分に関しては、大串委員もお話がありましたが、これはワーキンググループの独自の意見であるとしながら、その数字を導く根拠になった、高齢者世帯の月の収支の差額五万五千円という数字は、このワーキンググループの議論の中で厚生労働省が説明をしたものであります。厚労省が、それを示したことは事実であることは認めているわけですね。
家計調査に基づく月の収支の差額五・五万円、この議論はこれまでも行われてきていますし、厚労省が、政府が認めている数字、それを老後の三十年分掛け算して出したのが二千万円という数字でありました。
同じく、資料はつけていませんが、報告書の十ページに、収入も年金給付に移行するということで減少しているために、高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見れば、毎月の赤字額は五万円となっているという記述がありました。これも、家計調査をもとに、毎月五万円が不足すると、仮定してはじき出した数字だったんですが、これが不安をあおるとか、赤字というのが気に入らない、こういうお話でありました。
多様な老後のあり方がある、平均値で出すというのは無理があります。でも、これは何もわからなくてもいいんでしょうか。不安をあおっているというのであれば、老後の生活設計の柱、大臣がおっしゃるまさにこの柱を裏づける数字を、政府の公式見解になり得るものとして政府が独自に計算をして、ワーキンググループと違う数字を出す、それに努めるお考えはないんですか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
計数を出すべきであるという御指摘でございますので、事務方から御答弁をさせていただきます。
この数字は、大変私がよくなかったと思っているところは平均値でございます。では、その多種多様なさまざまな世帯の収入そして支出それから資産の状況がデータでとれるかといいますと、これまたなかなか困難なところがございます。
この審議会の場でも、以前に比べると標準世帯が適用できなくなり、世帯のあり方が経済的にも社会的にも多様化しているということなので、一人一人がまず自分の経済状況を見える化することが必要であるというふうな指摘をたくさんいただき、後半の部分ではそのような記述も盛り込ませていただいています。
そういう多様化が重要な柱でありながら、平均値という数字を載せてしまったというのは、取りまとめのサポートをする事務方としては大変うかつであったというふうに反省している次第でございまして、また、実際これを、多様なものは人それぞれ動態的に変わっていくということからすると、それをスタティック、静態的な形でお示しすることもかえってミスリーディングである可能性がありまして、そこは慎重な検討を要するかと存じます。
○緑川委員 年金だけでは足りない、あるいは年金だけでも足りる人がいるかもしれません。更に豊かな老後というふうに大臣はおっしゃいますけれども、それが、豊かな老後というよりは、それを支えるために自助努力でなければならないと。更に豊かな老後か自助努力なのか、これは意識の違いであります。
老後の生活設計の柱、それを、細いものなのか太いものなのか、年金で足りるか足りないかも人それぞれですよ。でも、それでどうするのというのが政府じゃないですか。時の政権の副総理として、それが、その言葉でとめてしまえば、国としては身もふたもないんじゃないですか。最後にお答えください。
○麻生国務大臣 身もふたもない、どこが身もふたもないんだか定義がちょっとよくわからないんですけれども。
少なくとも、私どもは、今局長から申し上げましたように、高齢者のライフスタイルというのはさまざまなものだというのは皆さん御存じのとおりなのであって、それらの数字を比較したものをいわゆる単純な議論でやるのは、いわゆる平均値をぱっと出すのは余り意味がない。結果的にはミスリーディングになった、不安をあおることになったんじゃないかということを申し上げておるのであって、そこが問題な点なんだと私どもは思っております。
また、自助についてということなんだと思いますけれども、これは資産のことを念頭に質問されているのかもしれませんけれども、百年時代を生きる方といったって、みんながみんな百年というわけではありませんから、そういった意味では、六十五歳から三十何年の間、生き生きとした老後とか活力ある高齢化社会というものを考えたところに、やはり健康とか予防とか、いわゆるいろいろな形で働き方を改めるとか、いろいろな形でみずからの取組を行っていくというのは極めて重要な話なのであって、そういった意味では、これらを支援していく環境整備というものを政府としてはやっていかぬとということで、いろいろな形で働き方改革とか、いろいろな形での環境整備を続けていかねばならぬということが基本なんだと思っておりますが。
○緑川委員 お尋ねはこれでもう終わりますけれども、いずれ、この市場ワーキング・グループの議事録の中で、厚労省もこれは後でヒアリングのときに不都合な数字だったというふうにおっしゃいますが、当事者がそれを言ってしまっては私は無責任甚だしいというふうに思います。本当に、今後もますますこれは議論が必要になってきていると思いますので、また今後の開催も強く求めて、質問を終わります。
○坂井委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。
質問します。
このワーキンググループが出した報告書が、ないんだとか、あるいは受け取らないんだとか、本当に驚き桃の木山椒の木であります。とりわけ、政府の政策スタンスと異なるから受け取らない、おかしな言い方だなと思うんですよね。
政府の政策スタンスと違うものをこれまで大臣は受け取ってきているんじゃないですか。例えば、財政制度等審議会、防衛費について、後年度負担がふえれば予算の硬直化につながるから後年度負担を抑制しなさいと、随分前から書いていますよ。思いやり予算を削減しなさいと、書いてあります。
政府のスタンスと違う審議会の報告書、これまで大臣は受け取ってきているじゃないですか。御都合主義じゃないですか。
○麻生国務大臣 今の御質問ですけれども、受け取っているじゃないかと言うけれども、今回ので一番の問題なのは、この答申というか作業部会の文書が、少なくともこの文書が、もともと外に、クローズじゃありませんからね、あそこの委員会は、御存じのように。オープンでしょう、あそこの委員会は。それも御存じありませんか。あの委員会はクローズじゃありませんよ。もともと完全にあいていますから、毎日ネットに載っていますよ。御存じなかったんですか。ちょっと待ってください、それは全然、前提が違いますから。(宮本委員「そんなことに時間をかけずに進めてください」と呼ぶ)いやいや、時間をかけるためにやっているんじゃなくて、御存じないという前提だと話が全く違うから。クローズじゃないですよ、これは、オープン。まずこれが大前提ね、御存じなかった方もいらっしゃるかもしれませんけれども。
私どもは、この種の、今回の話は、これによって非常に大きな不安とかそういった形になっておりますから、そういった意味では、我々としては、この点に関しましてはそこの点が一番問題なのであって、今までの、先ほどの話もいろいろありましたけれども、これによって大きな不安になって、今回のような大きな騒ぎになったということはなかったと思っておりますので、私どもは、受け取りますということで、その上でやらせていただく、判断をするというふうにさせていただきますが、今回は、少なくとも、何だかんだ、不安だ何とかと、えらいあおったような形にこの一週間ぐらいの間に感じますから、これ以上やっていくのは全然意味がない。
私どもとしては、そういった意味で、いいところはありますよ、だから、ホームページにそのまま残してありますから、そのまま見ていただいたら誰でもごらんになれます。そういった形にしてありますから、私どもとしては、きちんとした対応はそこでやらせていただくとして、その上で、少なくともこれを、公文書として上がってきたという形にして、審議会まで上げて通すよりは、その前の段階で、私どもとしてはこの種の話は受け取れません、政策の参考にはすることはありませんということをきちんと申し上げておいた方がよろしいのではないかと判断をさせていただいたというように御理解いただければと存じます。
○宮本委員 政策的スタンスが異なったものを今までは受け取ってきたけれども、今度は受け取らない、その理由は、不安を広げて騒ぎになったからだと。騒ぎになったから受け取らない、それが本性なんじゃないですか。参議院選挙を前に、世論が年金問題に関心が向いて、このままじゃ選挙に不利かもわからない、そういうことで、突然、受け取らないと言い始めたんじゃないか、そうとしか思えないですよ。
それで、今回の報告書でいいますと、政府の政策スタンスと違うどころか、私は、政府の考え方を正直に書いているだけだと思いますよ。このワーキンググループも勝手に行われたわけじゃないですよね。
金融庁のホームページに未来投資戦略二〇一八の抜粋が書いてあります。ちょっと読んでいただけますか。
○三井政府参考人 読み上げさせていただきます。「高齢化社会に適合した金融サービスの提供」というくだりでございます。
「確定拠出年金について、本年五月に施行される中小事業主掛金納付制度や簡易企業型年金制度の周知を行うとともに、個人型確定拠出年金(iDeCo)も含め、運営管理機関の営業職員による加入者等への運用の方法の情報提供を可能とするなど、私的年金制度の普及・充実を図る。」「金融機関における、老後の資産運用・取崩しを含めた資産の有効活用に適した金融商品・サービスの提供のほか、成年被後見人の財産の保護の仕組みの充実など、高齢者が安心して資産の有効活用を行えるようにする環境整備を図る。」でございます。
○宮本委員 今読んでいただきましたけれども、見出しは、二、投資促進というところに書いてありますね。高齢化社会に適合したサービスの提供、私的年金制度の普及、充実を図ると。公的年金だけでは、どんどんどんどん減っていくから、私的年金制度の普及、充実を図ろう、これが未来投資戦略、閣議決定で決められている。これでワーキンググループの議論がスタートしているわけですよね。これは昨年六月十五日の閣議決定です。
このワーキンググループのスタートの前に、昨年七月三日に、金融庁自身が「高齢社会における金融サービスのあり方(中間的なとりまとめ)」というものを公表しております。
これは私も拝見させていただきましたけれども、一番初めをめくると、「高齢社会の現状とリスク」と書いてあるんですね。リスク。一番初めに書いてあるのは、「資産寿命が生命寿命に届かないリスク」「長生きした場合、貯蓄を全て取り崩し、公的年金のみによって生活する世帯が増加」と書いてあるんです。裏を返せば、公的年金のみで生活するのはリスクだと書いているわけですよ、金融庁は。公的年金だけでは生活が賄えないということを認めているじゃないですか。
公的年金のみではリスクというのが金融庁自身の認識なんじゃないですか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
確かに昨年六月に、これは金融庁が、審議会とかワーキンググループではなく、個別に有識者の方々のところにお話をお聞きしまして、まず議論の出発点を勉強するためにいろいろ勉強したものを取りまとめて、それを行政の見える化という観点で公表させていただいたものでございます。
そこで、御指摘のとおり、資産寿命という言葉が最近、金融老年学で使われるようになっているということを学びまして、その言葉を使わせていただいています。
金融庁でございますので、民間金融というのが仕事のなりわいでございますけれども、そうした場合に、個人の貯蓄というのが、寿命が長くなっていく過程で、生きている間に底をつくことがあり得るリスクでございます。ここで申し上げているのは、公的年金がリスクであるというふうに書いているわけではございませんで、自分の民間貯蓄が底をつくリスクということで書かせていただいているものでありまして、それでは、貯蓄というものをいかに長く、賢く、そして安全に長もちさせるかということを勉強する必要がある、こういう問題意識でございます。
○宮本委員 この文書にははっきり、公的年金のみによって生活する世帯が増加する、これがリスクだと書いてある。どう考えたって、貯金がなくなって、公的年金だけでは不足ですよ、だからこれから私的年金を重視しましょう、こういう話じゃないですか。
実際、ワーキンググループの中でも、厚労省の課長が、高齢者の収入と支出の差は毎月五・五万円だ、今後、公的年金の給付は減る、私的年金が重要になる、こういう説明をやったわけですよ。
さらに、自民党の参議院選挙の政策を見ましたけれども、これも今回の審議会ワーキンググループの報告書と同じですよね。人生百年時代の到来を踏まえ、国民が生涯にわたり安定的な資産形成を行うため、つみたてNISAを更に普及すると。年金だけでは生涯にわたる安定はない、裏を返せばそういうことですよね。だから、こういう政策を出したということです。
ですから、今度の報告書に貫かれている、公的年金だけでは生活に足りないですよ、だからこれからは私的年金ですよ、投資してください、これは、政府や自民党の方針そのものじゃないですか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
リスクという言葉を多用して大変申しわけございません。金融庁は、金融システム、金融市場の所管省庁であることで、金融の仕事に携わっておられる方々が一般的にリスクという言葉を多用することもありまして、こういった文書にリスクという言葉を使って、やや混乱を招いたところを反省してございます。
リスクでございますので、このこと自体が善であるとか悪であるとか、それから、そのリスクが起きるときのベースになる公的年金が足りないからとか、あるいはこれがまずいからということの含意はございません。
繰り返しになりますけれども、自分の貯蓄がゼロになる、あるいは、長寿化が進むことによって貯蓄の取崩しが、寿命が全うされるよりも手前でゼロになる可能性があるという確率というんでしょうか、可能性があるということをリスクということで表現させていただいている次第でございます。
また、金融庁として、むやみやたらに投資を促進することが必ずしも個人の家計資産の蓄積に資するものであるというふうに単純に考えているわけではございません。そこは、それぞれの家計の投資経験、知識、あるいは、どの程度の価格変動を受容するだけの資産あるいは収入があるかどうかといった、もろもろの経済的あるいはその方々の知見も含めた状況に応じて、適切な金融商品・サービスを購入して初めてその資産形成が成り立つという前提で、この資産形成というものを申し上げているということでございます。
○宮本委員 何でそこで局長が答えるのかわからないんですけれども。本来、政府や自民党の方針を聞いているわけですから、麻生さんが答えなきゃおかしいなと思うんですけれども、大臣がいらっしゃらないです。とめてもらっていいですか。
○坂井委員長 大臣が戻られるまで速記をとめてください。
〔速記中止〕
○坂井委員長 速記を起こしてください。
宮本君。
○宮本委員 それで、先ほど緑川委員が、事前にこの報告書を大臣にどのようにレクをしたのかということを聞かれておりました。私もちょっと聞きたいなと思ったんですが、大臣に金額の話は事前にはレクはされていなかったということですけれども、これから公的年金はどんどん所得代替率が下がっていく、公的年金だけでは賄い切れないから、私的年金、NISAだとかiDeCoが大事だ、こういう中身ですよという説明を事務方はされたんじゃないですか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
大臣には私から説明した記憶がございます。私自身は、公的年金制度について、マクロスライド措置も含めて詳しく勉強しているわけではございません。むしろ、貯蓄というものがあったとして、そしてそれを支出に充てるということをしたとしまして、寿命が延びる、とりわけ退職した後の期間が長くなりますと、同じペースで支出すれば、先に貯蓄がなくなるということですので、そういう資産寿命というものを延ばすためにはどうするか、そういうことを説明したという記憶がございます。(発言する者あり)
○坂井委員長 着席をしてください。
できる限り思い出して、正確にお願いをいたします。
○三井政府参考人 はい。では、断定的に申し述べられることを申しますと、公的年金が減るということは、私の口からは申しておりません。あるいは、公的年金が頼りなくなっていくということを政務三役の場で私は説明したことはございません。
○宮本委員 事前に私が聞いていた話というのは、マクロ経済スライドで公的年金が減るという話もしたというような話を伺っていますけれども、説明者によって言うことがころころ変わるのでは、私たちは何に基づいて質問すればいいのかと思ってしまいますよ。
報告書の中には、今、川内筆頭からありましたが、まさにそのことが書いてあるわけでしょう、公的年金だけでは足りなくなるから、だから私的年金が必要だと。大臣は、そういう説明を受けた記憶があるんじゃないですか。(発言する者あり)速記をとめてください。
○坂井委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○坂井委員長 速記を起こしてください。
麻生大臣。
○麻生国務大臣 私の場合、ちょっと政府委員ではありませんので、正確な記憶ではありません。正確な記憶ではありませんというのは、私の記憶にはないということです。
○宮本委員 報告書のかなめの部分を報告していないなんてとても思えないわけですけれども。
とにかく、国民の批判が広がったら慌ててごまかす、こういう姿勢ではなくて、まず、年金の現状を国民に説明して、どういう年金制度をつくっていったら国民生活が安定するのか、こういう議論こそ私は真剣に国会はやらなきゃいけないと思いますよ。
大臣は、報告書が不安を広げた、だから不安を一掃しなきゃいけないということを言われましたけれども、一体、国民は何に不安を感じていると思いますか。
○麻生国務大臣 いわゆる年金というものを、それは人によって何も、老齢年金に限らず、いろいろ年金はございますから、その年金は、企業年金があってみたり、農業者にとりましては農業の年金があったり、額も違いますし、いろいろあるんですが、総じて、年金というものは、何となく、これでなくなるんじゃないかとか、一時期ありましたよね、年金はこのままいったらなくなっちゃうんだと、ついこの間まであったじゃないですか。共産党さんもいろいろ言っておられた記憶がありますけれども。
今、現実問題としては、そういう話はなくなってきているとは思いますよ。少なくともこの六年間の間に、GPIFも四十四兆積み上がっていますし、いろいろな形でなくなってきているとは思いますけれども、それでも、今回のこういったような表現でいくと、間違いなく、年金という制度そのものが危ないんじゃないかとか、また、私は金を二千万持っていないから、何となく、これじゃ生活できなくなるんじゃないかとかいろいろな話を、どんどんどんどん想像したような話ができ上がっていった、そういう不安、そういった何となく先行き不安というものを助長したところが一番問題なんだ、私はそう思うんですけれどもね。
○宮本委員 国民が不安に思っているのは、今の公的年金だけでは老後の生活には足りない、この事実に一番不安を感じているんですよ。しかも、それが、年金が更に減額されていく。
そういう中で、今度の報告書は、自助努力でお金を投資して、自分でたくさん用意しなさいと。貧困な年金制度をそのままにして、国民の自助努力に任せるようなことをやるから、不安が一層高まっているんじゃないですか。違いますか。
○三井政府参考人 先ほど、事前説明のところについて、年金のことについてどのぐらいちゃんと説明したかということを事実関係で話せというふうな御指摘がございました。
繰り返しになりますけれども、資産寿命を延ばす必要があるということは申し上げました。それから、年金ということに一切触れていないかということであるとしますと、それは当然触れている可能性はあります。ただし、私の口から、年金が将来当てにならないとか、あるいは、年金では生活できなくなるとは申し上げておりません。
ただし……(発言する者あり)
○坂井委員長 不規則発言は控えてください。
○三井政府参考人 ただし、所得代替率が下がるあるいはマクロスライド調整があるということは報告書の中に書いてあります。それは恐らく、記憶と言って申しわけないんですが、それは当然話していると思います。なぜならば、貯蓄の資産寿命を延ばさなきゃいけないということを私が話している以上は、その前提として、公的年金が将来ふえていく、なので貯蓄は減らしてもいいんですということは論理矛盾になりますので、当然今よりふえることは考えられないということは言っていないと論理的につじつまが合わないことから、資産寿命を延ばすと私が明確に申し上げた記憶があることからすると、公的年金は今以上にふえていくということにはなっていないはずだということを前提に話している、明示的にそういう言葉を使ったかどうかは別として、そういう含意のあることを話していると思います。
○宮本委員 ですから、公的年金はふえていかない、減っていくんだとちゃんと大臣に説明して、だから私的年金だという説明をして、大臣は、だからこれから人生百年考えろという記者会見をやったという話じゃないですか。
それで、私ももう一度聞きますけれども、貧困な年金制度をそのままにして、どんどんどんどんこれから年金は減額していく、にもかかわらず、これからは自助努力で、これをもっと自助努力を強めて、自分たちで投資してくださいと、ここに国民の不安と怒りがあるんじゃないですか。大臣、違いますか。
○麻生国務大臣 少なくとも平成十六年度の改正の前の話と改正の後の話は別に考えられぬといかぬのだと思いますけれども、平成十七年で改正をされた結果、少なくとも現在の年金制度というのは現役の負担と給付のバランスというのがとれるようにしたわけでしょう、あの制度というのは。そちらの方がお詳しいんだと思いますけれども。
そういった形になっておりますから、どんどんどんどんふえてある日突然に年金の支給額ががたんとなくなるとか、若しくは負担をしている方がぼんと上がるとか、そういうことにならないようにあの制度はつくったんですよね。そのとおり、今、これまでの間、それ以後、約十七、五、六年たちますけれども、そういった形で運用してきておりますのは御存じのとおりなので、私どもとしては、将来的なことをそういったことのないようにあの法律はつくったというように考えております。
○宮本委員 あの法律でやっていけば、所得代替率で見ていけば、基礎年金は実質三割減るんですよ、今よりも。どうやって生活していくんですか。今でも、国民年金で単身の方は七十になっても八十になっても頑張ってバイトをされている方がたくさんいらっしゃいますよ。それが今の現状ですよ。それを更に減らしていく。減らしていくから、今度は皆さん、どんどん投資して、貯金してください、こういう姿勢が国民の不安と怒りを招いているんだということを真剣に受けとめるべきだと私は思います。
大企業に税や社会保険料の負担をしっかり求めて、減らない年金制度をつくっていく、このことこそ必要だということを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わります。
○坂井委員長 次に、串田誠一君。
○串田委員 日本維新の会の串田でございます。
質問の前に、最初に基本的なところを確認したいんですが、このワーキンググループ報告書のタイトルが「高齢社会における資産形成・管理」となっています。この資産形成というのは、どういうような、要望といいますか、このワーキンググループに対して作成を依頼したのか、どういうような趣旨でこの資産形成という言葉が出てきたのかをまず確認させてください。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
現状の日本の家計の金融資産の状況を見ますと、現預金、現金、預金比率が大変高い状況にあります。他方で、海外の家計貯蓄、将来の年金の原資となるようなものも含めた家計資産との比較で見ますと、昔、二十年前で見ると、例えばアメリカと日本の比較でさほど差がなかった家計資産の状況が、海外では二倍、三倍になっている一方で、日本では全然ふえていない。
その中身を分析しますと、海外で家計資産がふえているものの背景に、単なる現金、預金だけではなくて、さまざまな資産にオーソドックスな形で、きちんと長期、積立て、分散投資をして、また、例えば手数料が安いとか投資がきちんとされているとか、そういうすぐれたスキームにおいて投資ないし貯蓄がなされ、長期にわたって、価格変動はあるけれども資産がふえてきているといったものが日本と海外の差で見てとれる。
こうしたことも参考にしながら、どうしたやり方が望ましい、あるいは賢い資産形成のあり方なのか、こういうことも含めて、それから、当然、高齢期になってきますと、今度は資産形成だけではなくて、管理をする、それから取り崩すということも大事になってくるので、その際にどのようなことを考慮しなければいけないか、そういったことを勉強するというふうな狙いでございます。
○串田委員 そういう趣旨で作成されたものであるということの中に、少々余分なものをつけ加えているために誤解を与えているのではないかという印象を私は非常に感じております。
このワーキンググループのメンバーのオブザーバーを見ましても、日本取引所グループ、日本証券業協会、投資信託協会、日本投資顧問業協会、信託協会、要するに投資のプロが集まっていて、いかに投資をして、それをふやすことに関してのいろいろな説明、投資をするということ自体を勧める方々が入っているという印象を非常に強く感じております。
ですから、委員が非常に優秀な方であるということは間違いないんですけれども、一番の誤解に基づく理由としては、この報告書の、足りないと言われている部分に関しては議論をしていないで、単純に引用しているというところが私は一番問題だと思っています。
このページでいうと十ページに、ダウンロードしても大変読みにくいんですけれども、原典の二〇一七年、これは第二十一回のワーキンググループの添付資料に載っているものをそのまま引用して、それを前提とした上で、いかに投資をしてふやすことになるのか、そこの部分だけは非常にプロフェッショナルないろいろな議論がなされてはいるんですけれども、この差額の部分に関してだけは、ただ単にこれを引用してきていて、これ自体の十分な議論というのはほとんどされていないという印象を持っています。
例えば、収入に関しては二十万九千百九十八円に対して、支出は二十六万三千七百十八円で、月五・五万円程度という引用文章になっているんですけれども、衣食住と医療費のほかに、教養娯楽とか、お小遣いなどが入るその他の消費支出、非消費支出、これが十三万四千九百二十一円を占めているんですね。要するに、支出の中で半分以上が衣食住以外の部分になっているわけです。
通常、例えば収入よりも超えるような娯楽だとかお小遣いだとかは節約しようというのが普通なのであって、これを節約もしないまま二十年も三十年も続けて、二千万円足りませんでしたという家庭は恐らくないのではないか。
いろいろな家庭がある中で、例えば子供に財産を残す必要もないからといっていろいろな支出をする家庭もあるでしょうし、いろいろ大変な家庭もいらっしゃる。そういう平均値の数字をそのまま当てはめて、足りなくてもずっと同じ生活をし続けて、それを、二十年たつと二千万円になります、さあ、その金額をいかに我々の知識でふやさせようかという報告書というようなことなので、これは高齢者が投資をすることによって収入をふやすというための報告書のように思えるんですけれども、私の趣旨は、この理解は間違っていますでしょうか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
まず、一つ目の御指摘でございます。十ページの資料とその内訳でございます。
先生御指摘のとおりでございまして、これはある瞬間、ある期間、一年の期間ということかもしれませんけれども、ある時点の期間の輪切りでございますので、この状態がずっと三十年続くということではございません。この瞬間に六十五歳の方もいれば九十歳の方もいる、あるいは、非常に資産がある方もおられれば資産のない方もおられる。これが全部ごった煮で単純平均されたものでございますし、それぞれの支出項目、例えば教養娯楽であるとか交際費であるとか、こういったものも、つましい書籍の買物から例えば海外旅行であるとか、いろいろなものがこれまたごった煮で平均になっているということでございまして、これをもって、しかもこの状態が三十年続くとかいう形で議論するのは大変ミスリードであるということで、大変不適切だったというふうに思っております。
それを前提にでございますけれども、したがって、個々人の状況はまちまちであるということが実は文章編で書いてありまして、その文章編ともこの図というのはそごがあるということでございます。その文章編のところでは、まちまちな状況であるということなんですが、例えば退職、リタイア前後のところについて記述しているところでは、なかなか、とれるリスクは加齢とともに小さくなっていくということをよく認識することが重要であるというふうなこともこの方々は議論されていまして、また、報告書とは離れて、議論の場でも、リスクをとらない、あるいはリスクのある商品を提供しない、勧めないということも重要であるということを専門家の方が口々におっしゃっておりました。
そういう意味では、むやみやたらに投資を勧めるということは、このワーキンググループでも必ずしも推奨されていることではなくて、むしろリスクをいかに抑制して、オーソドックスな金融の理論と実務にのっとった形で着実に資産形成をしていくかというふうなことの議論かというふうに理解してございます。
○串田委員 衣食住を除いて十三万四千九百二十一円と申し上げましたが、その中に交通通信費が二万七千五百七十六円入っております。まあこの部分は必要であるということであったとしても、教養娯楽が二万五千円、その他のお小遣いや交際費が五万四千円、非消費支出が二万八千二百四十円で、これだけ合計でも十万七千三百四十五円という数字になっているわけですよ。
これが例えば五万円赤字になるということであれば、それでもなおかつこの十万円を使い続けるという家庭が前提になっているわけでございまして、赤字であれば、例えばお小遣いだとか娯楽費は少し削ろう、半分にしようというようなことになるわけで、今回の公表は、二千万円ないと生活ができないというような、非常に将来を不安に陥れるような感じに報道されているということも私は大変問題ではないかと思っています。
いろいろな意味で、調査資料だとかデータというもの自体はやはりひとり歩きしてしまいますので、それがないと生活ができないという印象を与えてしまっているということに対しては、この二〇一七年の家計調査の中身をもっとしっかりと議論していく必要があるのかな、そういうこともなくして、投資専門のプロが集まっているような報告書で、いかに投資を勧めるのかという報告書の中に単純に引用されている数字だけがひとり歩きをしてしまっているということは、やはりこれは政府としても、国民を惑わせてしまうのではないかと私としては思っています。
いろいろな意味で、私自身は、環境省の調査データに関してもこれは問題ではないかというように言っておりますので、是々非々で私は対応しているつもりでおりますので、そういう意味では、この調査結果に関して、単純に引用されている部分をもっと吟味しないと、これは正しいことにはならないのではないかと私は思っているんですが。
その上で、今回の年金制度がこのままでいいのかどうかということを、ほかの委員も、しっかりと正面から問わなければいけないんだということは申し上げているわけですが、我が日本維新の会は、賦課方式ではなくて積立方式というものもこれからは考えていかなければならないのではないか、その分についての負債というものは清算団体などをつくって長期に返済をしながら、適切なことに関する年金制度というものを構築していく必要があるのではないかと。この報告書の中にも、富士山型からつぼ型に変わっているということもあります。
そういう意味で、非常に流動的な人口変動がある中では、やはりこの賦課方式というのは非常に不安定ではないかということは間違いないと思うので、積立方式というようなものも、みんなで知恵を出し合いながら、この年金制度というものを考えていかなければいけないのではないかと思うんですが、その点についての御予定をお聞きしたいと思います。
○度山政府参考人 お答えを申し上げます。
人口構成が変化するということに伴って、積立方式への移行というものが必要ではないかという議論は、結構された議論。特に、一九九〇年代に、世界銀行が一時期、年金制度の民営化を推奨したことがございまして、そのときにかなり議論がされたことです。
それで、幾つかの国がそういう実践をやったりとか、あるいは国際的な議論がされたわけですけれども、一つは、移行前に支払われた保険料負担に対する給付を賄うための、いわゆる移行費用ということの問題。それからもう一つは、積立金は市場で運用して、その資本収益を年金の財源にするということでございますけれども、要は一国の経済社会が生み出す付加価値が重要なのであって、仮に少子高齢化で一国の経済状況がシュリンクをしていくという状況の中では、実は積立方式も、決して人口構成の変化の影響を免れ得ないんだとか、そういう議論がありまして、必ずしも積立方式への移行が人口構造の変化の問題のソリューションにならないという考え方が今は国際的な年金論議においても共有されている考え方であり、我が国においても、二〇一三年に取りまとめられました社会保障制度改革国民会議の報告書にもそのような記述があるところでございます。
今は公的年金のお話を申し上げましたが、賦課方式ができるのは強制の適用ができる国だけでございまして、いわゆる私的年金の方は積立方式で運営するしかございません。なので、今は、どちらがいいかとか、どちらをどちらに変えるかという議論ではなくて、公私のジョイントということも含めて、両方式をどういうふうに組み合わせて、特に、多様な老後生活のニーズというものに公私の年金が応えていくか、こういう議論になっているということで、この点は私どもも、一方で私的年金の方は、企業年金の普及でありますとかiDeCoの問題とかそういうようなことで力を入れている、こういう状況だということで御理解いただきたいと思います。
○串田委員 先ほど資産の、収入、支出についての安易な引用というものを指摘させていただきましたが、それ以外に、この報告書によりますと、定年退職してから全く働かない、その中で資産形成をするのは若いうちから投資をした方がいいという。
やはり投資の専門家からいうならば、投資の専門家であるならばそういう勧め方もするでしょうし、それに対する精緻な議論もなされているとは思うんですけれども、本来、やはり高齢化社会になったとしても、働きたい人は働けるような社会を前提とした上での高齢化社会の資産形成、管理であるというふうに私は思うんですけれども、そうではないんでしょうか。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおりのところが多々あると思っておりまして、金融審議会は、国内金融の重要事項を審議するということで、どうしても金融の専門家がたくさん入ってございます。金融の専門家の中でも、高齢者が社会で健康で働き続けるということがこの長寿化の中で大事であるということは多くの方々が口にしておりまして、実際、政府全体でも高齢者の雇用の延長といった政策が議論されているというふうに承知しています。
それで、この報告書、このワーキンググループの中でも、人生百年時代においては、リタイア後の人生が長期化するということから、資産寿命を延ばすための行動が必要になってくるというコンテクストの中で、就労継続も含めて、いろいろな施策についての言及もあるというところでございます。
○串田委員 最後に、大臣にもお聞きをしたいんですが、この報告書は、先ほど言いましたように、定年退職をしたら一切働かないような前提の中で、資産形成だけが、投資の方法でふやすというような前提。これは、そういうメンバーを集められて、そういうようなことを報告しろと言われているから、メンバーに罪はないんだと思うんですよ。そういうことを要望する方法自体に、もうちょっとしっかりとした説明も必要であるし、中身もまた配慮が必要ではないのかなと思います。
本来であれば、平均寿命が延びていって、そしてそれが資産寿命もふえるようになっていく。でも、一方で健康寿命もふえていくわけですから、定年退職して、昔のような形で、六十、六十五、そういうようなことでもう働かないという前提で報告書をつくられて、その残りは資産形成で投資してやってくださいよというのは、やはりこれはおかしいな、そういう前提の中で不安をあおるような報告書というのはやはり私としては問題ではないかと思うので、大臣としての所感をお伺いして、終わりにしたいと思います。
○麻生国務大臣 これは串田先生おっしゃるとおりでして、今、御存じのように、日本の場合、数字がいろいろ上がってきているんだと思いますけれども、少なくとも、六十歳から六十九歳でインターネットを使っている人というのは、日本人は物すごく高いんですよね。ヨーロッパなんかの四十代のレベルとほぼ同じぐらいのレベルで使っているというのが実態になっておりますし、また、六十五歳から六十九歳の男性を見ましても、実に、驚くなかれ、五五%が働いておられますから。女性の方も三五%。これはヨーロッパなんかに比べればもう全然高い数字になっておりますので。
そういった意味では、今おっしゃったように、六十五歳でぱたっと仕事がなくなって百歳までというのには少々無理があって、いろいろな形でいろいろな方々が生活しておられます。既にローンを払い終わった方もおられれば、退職金でローンを払われる方もいらっしゃる、退職金が丸々残っている方もいらっしゃるし、いろいろな方々がいらっしゃいますので。
そういった意味では、前提として、私どもとしては、この中で一番の問題は、赤字になるとか二千万円ないと生活できなくなりますよというような話に聞こえるところが、最大の不安をあおったんだと私は思っております。そこで、私ども、先ほど申し上げたような判断をさせていただいたというので。
今後、この種の話の、途中の経過、していただいている話の内容はそれぞれ決して間違っているばかりじゃありませんので、そういった中で、その取りまとめ方の表現の仕方に問題があった、先ほど三井局長の方から申し上げたとおりなので、この点は重々私どもも反省して、対応してまいりたいと考えております。
○串田委員 時間になりました。高齢者又は女性が生き生きと働けるような社会にしていただくことをお願いいたしまして、時間になりましたので終わりにします。
ありがとうございました。
○坂井委員長 次に、松原仁君。
○松原委員 質問を始める前に。先ほどから金融庁また厚生労働省の皆さんが謝罪をしているわけであります。たび重ねて謝罪をしている。私は、率直に言って、謝罪する必要はないというふうに思っております。
皆さんは、職務に精励をし、そして、今ある問題をきちっと提起したということであって、そういった意味において、謝罪をする必要はないし、この問題は、本来であれば、きちっと、ないものではなく、あったものとして真剣に議論をするというのが私は国会の役割であり、また省庁の役割である、政務三役の役割であると思っております。
最初に、冒頭、政府参考人に質問しますが、このような報告書の類いでありますが、今まで受取が拒否されたという事例はありますか。具体的にあれば、中身もおっしゃってください。
○三井政府参考人 お答え申し上げます。
金融審議会総会に諮られまして金融審議会の報告書となったもので、受け取らないとかいうことになったものはないというふうに理解してございます。
○松原委員 本来、これは内閣全体で一回チェックをする必要があると思っておりますが、恐らく今回初めてのケースではないかというふうに思われます。
いわゆる審議会に諮問した中身に関して、受け取らないという初めてのケースという重い認識の上で質問してまいります。
麻生大臣は、報告書を不適切であるとし、最終的に受け取らない判断をした。いつ判断をしたのか。六月の四日か五日か六日か七日か。いつ判断したのか、お伺いします。
○麻生国務大臣 これは、六月の七日の記者会見でも、表現自体が不適切ということを申し上げておりますけれども、私どもは、この内容について、間違っていないじゃないか、反省することなんかないという御意見なんだと思いますけれども、書いてある個々のところで、いろいろいいことが書いてあるのは事実であります。
串田先生もおっしゃいましたけれども、いろいろそういう述べていること、いいことを書いておられるんですが、一番の問題なのはやはり何といっても、今回の中において一番の問題としては、いわゆる不安を、将来年金がなくなっちゃうんじゃないかとか、二千万ないと食っていけないんじゃないかとかいうような不安とか誤解とかいうのを与えることになる表現を最後にしているところが一番の問題なんだと思っておりますので、そういった意味では、これを、鎮静化すると思いましたけれども、しませんでしたので、六月十一日の記者会見だったと思いますけれども、担当大臣として、正式な報告書としては受け取らないということを申し上げたのは六月十一日だということだと思いますが。
○松原委員 質問の順番がちょっと逆になりますが、そうすると、麻生大臣は、これを受け取らないという行動によって国民の不安は払拭できたとお考えですか。
○麻生国務大臣 直ちにこれで払拭できたというように思っているわけではありません。しかし、少なくとも、今までの文書をずっと残したままで、今後ともこれを前提にして審議していくかのような話になりますと、それに比べれば、これは、対応をしない、政策の参考にはしないということを決めたということの方が、安心感を与える幅が大きいと思っております。
○松原委員 大分認識に違いがあるんですよ。
これは、国民はもうみんなわかっているんですよ、不安は。今回、これで、それはトリガーになったかもしれないけれども、大丈夫かよと。私も、選挙区を回っていて、大丈夫でっかと。それはそうですよ、国民年金だけだったらやっていけないわけですよ、実際。資産があればいいですよ。それは、大臣はたくさんお持ちかもしれないけれども、なかなか実際は厳しい。
そういうときに、もうみんな不安を感じていて、だから、不安をかき立てるとおっしゃるけれども、これは、不安をかき立ててかき立てられるということは、不安なんですよ、そもそも。一回世論調査をやればわかりますが、不安だとみんな思っていますよ、この報告書が出ようと出まいと。
だから、私は、これを受け取らないことで払拭すると思うのは、極めてそれは御認識に誤りがあるというふうに、まずこれは明確に申し上げた上で。これは、政府の政策スタンスと異なっているとおっしゃいました。政府とおっしゃいました。これは内閣の中で議論をしたことはありますか。
○麻生国務大臣 この文書を受け付けないということに関して、内閣で議論したことがあるかという御質問でしょうか。そうですか。(松原委員「しているか」と呼ぶ)しているかという御質問ですね。ありません。
○松原委員 政府の政策スタンスと異なるというのは、もう一点、もうこれは設問していますので。
根本厚生労働大臣とは、これは所管は本来厚労省だから、根本さんとは、当然これは、受け取らないよと、ベースになる資料は厚労省の資料だけれども受け取らないよと、これは議論をしていますか。
○麻生国務大臣 根本大臣と、この問題、文書を正式な報告書として受け取るとか受け取らないという話について、根本大臣と私が相談したことがあるかという御質問でしょうか。根本厚生労働大臣と、この問題で協議したことはありません。
○松原委員 ちょっと、金融庁、政府参考人に質問します。
この問題について、総理若しくは官房長官と相談したことはありますか。
○三井政府参考人 この報告書を受け取るか受け取らないかということについて……(松原委員「この問題に関して、この報告書の中身に関して」と呼ぶ)この受け取る、受け取らないということについて、総理、官房長官と事務方は相談してございません。
○松原委員 そうすると、政府のスタンスと異なる、受け取らないという判断は、麻生さん一人が決めたと。誰かと相談しましたか。
○麻生国務大臣 繰り返しで恐縮ですけれども、この話に関しまして、六月十一日の時点で、私自身が、正式な文書としては受け取らないという判断をしたのは私でありまして、別にこの話を根本大臣、官房長官等々に相談したことはありません。
○松原委員 麻生さんが、言ってみれば、自民党を含む関係者の、この問題に対しての、選挙を考えてのさまざまな思惑を含めて、そういう表現は大変に不十分かもしれませんが、トカゲの尻尾を切られるようにして、みずからがこのことで責めを負った、こういうことだろうと私は認識をするわけであります。
次に、厚労省に聞きますが、高齢夫婦無職世帯のファクトとして、収入、支出の差額が五万円、差額五万円というのは認めているわけですが、これであれば、公的年金だけで賄えない不足分が事実あるということになり、実際に庶民が公的年金だけで生活をすることは難しいという認識は、これはもう当然昔からの認識として、そのように理解していいですか。
○度山政府参考人 お答え申し上げます。
前の御質問でこの資料についてお尋ねがありましたときとちょっと繰り返しの御説明になりますが、この資料の読み方は、私どもは、年金とそれから蓄え、資産を活用することで高齢期の生活が営まれていると。ちょうどこの二〇一七年のデータでいいますと、平均像でいうと年金プラス五万円の水準の生活が営まれているというふうに私どもは理解をしているということです。
先ほどもお答え申し上げましたが、もともと必要なお金があって、それに年金が五万円不足するという認識ではありませんで、実際にもそういうような説明はしておりません。
加えて申し上げますと、老後生活に対する国民の希望とかニーズは非常に多様でございますので、これは従前より厚労省は、その全てという考え方は持っておりませんが、ただ一方で、老後生活の経済的な柱であるということは事実であり、私どもは、老後生活の基本を支えるのが公的年金の役割であり使命だという考え方でございます。
○松原委員 言っている中身がちょっと違うんですが、ちょっと時間がないので先に行きます。
今回の報告書受取拒否、これは恐らく初めてだと、前例はほかに見つかっていないわけでありますが、そうすると、行政と諮問機関との間の信頼関係を大きく毀損する可能性があると私は思うんですよ、この後また説明しますが。
ワーキンググループの中野さんは、一億二千六百万の国民生活者の一人でも多くの人が気がついて、自分の人生をより豊かに、すてきなものに実現してほしいとして必要な課題提起をしたまでである、後ろ指を指される報告ではないから、報告書に関し冷静な議論を期待すると、かなり反発していますよね。テレビでこれはオンエアされていました、TBS。
この発言を麻生大臣はどう捉えますか。
○麻生国務大臣 今回のこの受け取らないという対応というのは、これはいかにも公的年金というものが老後の基本ではないというような感じが国民の各層に広がったという意味で、誤解や不安というものを一日でも早く払拭する必要があるということだったと、私自身はそう思っております。
もっとあおった結果になったぜというのが松原先生の御意見のように伺いますけれども、私自身としては、これをずっと置いておくことの方が問題になる、更に話が広まっていくというふうに判断をいたしたというのがその背景だと理解しております。
○松原委員 中野さんのこういった発言に関して、私、やはり、この諮問委員というかワーキンググループの参加している人は非常に不満を持っているんだろうと思うんですよ。極めて不満を持っている、こういった受け取らないというあり得ない扱いを受けたと。これに関しての大臣のコメントはどうですかということを聞いているんですよ。
○麻生国務大臣 各委員の方々に直接伺ったわけではありませんけれども、私の判断というものにつきましては、今申し上げたような背景というものにつきまして引き続き丁寧な御説明をさせていただいて、御理解を得たいものだと思っております。
○松原委員 委員の皆様に対しては、きちっとした丁寧な、おわびとは言わないが説明はする、こういうことでいいんですか。
○麻生国務大臣 今申し上げたのは、そういうことを申し上げたつもりですが。
○松原委員 それはきちっと、やはり前例のないことをやってしまったので、これが一つの前例になることは、諮問される側と諮問する側との信頼関係を極めて傷つけると思っています。
政府参考人、一言ありますか。
○三井政府参考人 今大臣が述べたとおり、事務方としては、委員の方々にこの趣旨を丁寧に説明していく必要があるというふうに考えております。
○松原委員 大臣が一人で決定したわけだから、大臣が諮問委員の皆さんに、こういうことだと、弁明というか釈明というか説明というか、これは今本人がやるとおっしゃったんだから、きちっとやっていただきたい。
その上で、曽我部さんという京都大学の教授が言っているのは、審議会は専門家が専門的な見地から議論して意見をまとめる場で、政治とは切り離されているところに意味がある、政治的、政局的な理由で乱暴に報告書を否定すれば審議会の性格がゆがめられてしまう、こういうふうに言っているわけであって、極めてこれは重要な指摘であるということをまず申し上げておきたい。
元国税庁長官の佐川さんが、従来、公文書改ざんで問題になった、麻生さんの指揮下にいた人でありますが、そんたくと言われた。官邸介入は明らかにならなかったわけでありますが、今回の麻生さんのこの受取拒否というのは、その意味において、内閣にとって、その内閣の考える方向性と一致したものは受け取るが、私はこれは受け取るべきだと思っているが、内閣の方向性と違うものは受け取らないということ、内閣の、行政のスタンスと違うものは受け取らないということを言うのであれば、これから、こういった審議会は、そんたく、そんたく、またそんたくとなってしまう。
そうなるおそれがあって、佐川さんのそんたくの改ざんもあったから、ちょっとこれは、麻生さん、日本の議会制民主主義に汚点を残したんじゃないかと思うんですが、御所見を伺いたい。
○麻生国務大臣 今回の、いわゆる担当大臣としての、報告書を受け取らない、この私の対応ですけれども、これはたびたび申し上げてきておりますように、あたかも公的年金というものが老後の基本ではないというように感じられるような、そういう皆さんの間に広がった誤解若しくは不安というものは一日でも早く払拭する必要があるというのが私どもの今回の対応です。
したがって、審議会の性格をゆがめるというようなものではないと考えておりますので、丁寧に御説明をさせていただければと、先ほど申し上げたとおりです。
それから、今、佐川元局長の話も出ていましたけれども、いわゆる今回の話も、政策スタンスとは異なるというような記載を含んだ報告書を受け取ることができないという判断を担当大臣としてさせていただいたということですけれども、私は、今申し上げましたように、今回の公的年金の対応というものは、いわゆる誤解とか不安とかいうものが広がるという異例の事態が生じておりますから、そういった意味では、これを払拭するために必要と思ってやらせていただきますので、これが理由で今後ともそんたくがふえるとか、また、どんどんそういったものが出てくる結果になるというようには全く考えておりません。
○松原委員 麻生さんともあろう人が、ちょっとこれは、不安が広がったと言うけれども、不安が広がったというのは、調査でそういう調査が出たんですか。麻生さんが、メディアに広がり、我々は与党内で二階幹事長もコメントしたのを聞いていますよ、こういうものはあるけれども、これに関しての何かそういったデータや調査や客観的なものがあって、不安が広がった、そういう理解をどこでしたんですか。
○麻生国務大臣 四十年もこの世界にいますので、いろいろな世界での対応は、自分なりに感じているところで判断すべきときがある。それが、大臣とか最終決断をおろす立場にいる人間の置かれている一つの仕事だと思っておりますが。
○松原委員 今は科学的な時代なんですよ。だから、最後はいいですよ。事前に、例えば内閣でも議論しない、根本さんとも話をしていない、安倍総理との話もない、お一人で耳をじっとして決めたというのであれば、それでこんな、百年に一回あるかないかのような受取拒否をするというのは、私は、余りにもそれは、これはもう、申しわけない、あえて言わせてもらうけれども、身勝手ですよ、それは。極めて身勝手な結論を安直に出した。私は極めて遺憾千万であるということを申し上げておきたいと思います。
北朝鮮の拉致問題の金融制裁のことをこの後やるつもりでしたが、長尾政務官には申しわけない、次のときにまた、ぜひこの金融制裁はやりたいと思っております。
時間が来たようなので、終わります。
○坂井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時一分散会