衆議院

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第2号 令和元年11月5日(火曜日)

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令和元年十一月五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中 良生君

   理事 あかま二郎君 理事 井林 辰憲君

   理事 うえの賢一郎君 理事 津島  淳君

   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君

   理事 古本伸一郎君 理事 伊佐 進一君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      大隈 和英君    勝俣 孝明君

      門山 宏哲君    小泉 龍司君

      高村 正大君    國場幸之助君

      鈴木 隼人君    田野瀬太道君

      武井 俊輔君    武部  新君

      辻  清人君    西田 昭二君

      古川 禎久君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      海江田万里君    岸本 周平君

      小宮山泰子君    櫻井  周君

      階   猛君    野田 佳彦君

      村上 史好君    森田 俊和君

      石井 啓一君    清水 忠史君

      串田 誠一君    青山 雅幸君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       宮下 一郎君

   財務副大臣        遠山 清彦君

   経済産業副大臣      松本 洋平君

   内閣府大臣政務官     神田 憲次君

   財務大臣政務官      井上 貴博君

   政府参考人

   (内閣官房プレミアム付商品券施策推進室次長)   彦谷 直克君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       山下 哲夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村山  裕君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  森田 宗男君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  中島 淳一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田村 政美君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   茶谷 栄治君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           神田 眞人君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   阪田  渉君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    矢野 康治君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    岡村 健司君

   政府参考人

   (国税庁次長)      田島 淳志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    鎌田  篤君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            村田 茂樹君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    雨宮 正佳君

   財務金融委員会専門員   齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月五日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     務台 俊介君

  牧島かれん君     大隈 和英君

  日吉 雄太君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     牧島かれん君

  務台 俊介君     西田 昭二君

  小宮山泰子君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  西田 昭二君     堀内 詔子君

  村上 史好君     日吉 雄太君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

十一月一日

 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁雨宮正佳君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房プレミアム付商品券施策推進室次長彦谷直克君、内閣人事局人事政策統括官山下哲夫君、内閣府大臣官房審議官村山裕君、金融庁総合政策局長森田宗男君、企画市場局長中島淳一君、監督局長栗田照久君、外務省大臣官房参事官田村政美君、財務省大臣官房長茶谷栄治君、大臣官房総括審議官神田眞人君、主計局次長阪田渉君、主税局長矢野康治君、国際局長岡村健司君、国税庁次長田島淳志君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君、中小企業庁次長鎌田篤君、事業環境部長奈須野太君、観光庁観光地域振興部長村田茂樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高村正大君。

高村委員 おはようございます。自由民主党の高村正大です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、このたび、台風十九号で全国で九十人を超える方がお亡くなりになりました。さらには、台風の爪跡が残る中、十月二十五日の大雨によって、千葉県、福島県などで十名の方のとうとい命が失われました。昨日、福島県に伺いお話を伺ってまいりましたが、まだまだ復旧には時間がかかる、このように感じました。私自身も、議員として、一日も早い復旧に向けて、できることに対して全力を注いでまいりたいと思います。

 まずは、災害に対する質問からしていきたいと思います。

 地球温暖化の影響から、災害が年々深刻化しているようにも感じられます。平時より、大企業のみならず中小企業においても防災、減災への対応力を強化していかなければならないと改めて強く感じました。

 さきの通常国会で中小企業等経営強化法が改正され、中小企業が策定したBCP、業務継続計画を経済産業大臣が認定する制度が設立されていますが、この計画の策定を促進するため、税制でどのように後押ししているのか、御答弁をお願いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、中小企業の事業継続性に影響を与えるような自然災害が頻発しているところでございまして、災害に備えて、あらかじめ対応力を強化するための取組を進めていく必要があると考えております。

 このため、今委員から御指摘のとおり、令和元年度の税制改正におきまして、中小企業の事業活動に災害が与える影響を抑制する観点から、事業継続力強化についての目的、内容等を記載した事業継続力強化計画に基づいて中小企業が行った防災・減災設備への投資を対象にいたしまして、二〇%の特別償却ができる制度を創設したところでございます。

 こうした制度も活用していただきながら、中小企業におきましても、防災、減災への対応力を強化していただくことを期待しております。

高村委員 ありがとうございます。

 認定を受けた中小企業には、ただいまお答えいただいた税制以外にも、金融支援や補助金が受けられやすくなるといった支援策があります。

 まだことし七月に法律が施行されたばかりということですが、個々の事業者の経営だけでなく、我が国のサプライチェーン全体にも大きな影響を及ぼすおそれがあることですから、ぜひ、政府においても中小企業の皆様に周知をお願いし、中小企業の皆様に積極的に御活用いただきたい、このように考えております。

 次に、G20についてお伺いしたいと思います。

 先月十七日、十八日にワシントンDCで開催されましたG20財務大臣・中央銀行総裁会議につきましては、麻生大臣、大変お疲れさまでした。

 国際的なデジタル課税に関する議論も行われたものと承知していますが、G20における議論の進展について教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

麻生国務大臣 いわゆる多国籍企業と言われる巨大企業によって、いわゆる税源侵食と利益の移転、いわゆるBEPS、ベース・エロージョン、プロフィット・シフティング、略してBEPSという話は、これは長い歴史がありまして、長い歴史というか、二〇一二年に初めて、この話はOECDで取り上げられた話で始まったんです。

 いわゆるG7とかG20という場でこれが始まったのは、翌年の二〇一三年の五月にイギリスのバッキンガムシャーというところで開かれたG7の財務大臣・中央銀行総裁会議で、これは日本が提案をして、私の方から、こんな話が起きていて、インフラの整備をするのはその国で、利益を持っていくのは全て多国籍企業ということに関して、税金というものに対してどう考えているかという問題を提起したんです。

 これは、御存じのように、その国の課税自主権というものを著しく侵食する、若しくは課税自主権に対する非常な大きな挑戦みたいなものにもなりますので、いろいろな意味で長く時間がかかると覚悟して、十年プランということで、当時のドイツのショイブレという人とこの話をして、そう申し上げたんです。

 幸いにして、この話は今日、六年足らずで、少なくともこの種の問題に対する意識を持った各国財務大臣が集まる会合を福岡でやって、大阪で、そしてOECDの今回のあれで、OECDじゃなかった、次におけるG20でこの話ができて、デジタルというものがこの間大きく始まりましたので、それに対してどうやるかということで、その国に大きな基地があるとか、そういったものがあろうとなかろうと、その国で得てもうけた金に関しては一定の税金を課す権利をその市場国が持っているということを認めろというOECDの提言が出されるところまでこぎつけて、そして、それに基づいて、その案をのむかのまないか、これはアメリカとかいろいろ大きな国にとっては大問題な話なんですが。

 結果的にG20で、いろいろありましたけれども、少なくともこの案をやろうということで、ほぼ合意したものをワシントンで再確認をさせていただいて、来年二〇二〇年、サウジアラビアでG20が行われるんですが、その二〇二〇年中にこの話を決着をつけるというところまで今までのところ来ているというところで、最終的に、大きな企業というのは全部アメリカの企業ですから、そういった企業が、利益のうちどれくらい市場国に金を配分するか等々は、これはちょっとまだ細目は結構もめます。それはもう間違いなくもめますけれども、そういったので、よくこれまで来れたなとは思ってはいますけれども、まだまだ最後の詰めまできっちりやらせていただかねばならぬところだというところまでです。

高村委員 ありがとうございました。

 GAFAや、マイクロソフトを加えてGAFMAなどと言われておりますが、デジタル経済化はイノベーションを通じて人々の暮らしを豊かにしていくものだ、このように考えております。一方で、PE、恒久的施設をベースにした課税はマッチしなくなっているという現状にあります。

 十月に消費税を八%から一〇%に引き上げて、国民の皆様に負担をお願いしている中でありますので、国際課税の分野で、国際的に協調したルールに基づいて適切に課税をして税収を上げることは大変重要なことだと思っております。引き続き、国際的なデジタル課税のあり方に関する議論をリードしていただきたい、このようによろしくお願いいたします。

 次に、中小企業について伺いたいと思います。

 中小企業は我が国の従業者の七割を雇用しており、地方経済の支え手は間違いなく中小企業です。しかしながら、人口がふえていた時代とは異なり、生産年齢人口が減少していく中では、生産性の高い中小企業、強い中小企業をつくっていかなければ、持続可能な地方経済をつくることはできないと思います。

 例えば、私の出身であります山口県で、カニカマ製造装置をつくっている株式会社ヤナギヤさんがグローバルニッチトップ企業百選に選ばれていますが、生産性の高い、強い中小企業をつくることが我が国経済を強くしていくことにつながるのだと思っています。

 また、経済環境、ビジネス環境の変化は素早い上に、そのスピードは年々速まるばかりです。そうした動きに即応して矢継ぎ早に政策を打っていかなければ地方経済は置いていかれてしまうことも、我々は念頭に置かなければなりません。

 中小企業、地域経済に対して、財政、金融で何ができるのか、何をすべきなのかの観点から質問をしたいと思います。

 まず、中小企業税制の全般的なところをお伺いいたします。

 少子高齢化に伴う人口減少を背景に地域内の需要が減少しており、地域の活性化のために、地域に根差して事業を行っている中小企業の支援というのは不可欠です。特に、人手不足の中、地域経済の活性化を図るためには、生産性向上を図ることが一層求められておりますが、こうした問題に対して税制上どのような支援がなされているのか、御答弁をお願いいたします。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、地域経済の中核を担う中小企業は、今、深刻な人手不足に直面しておりまして、我が国の成長力を底上げしていくためには、こうした中小企業の生産性の向上や経営に対する支援を強化していく必要があると存じます。

 このため、令和元年度税制改正におきまして、中小企業投資促進税制及び中小企業経営強化税制について適用期限を二年延長をいたしましたほか、商業・サービス業・農林水産業活性化税制につきまして、収益力向上要件を追加の上、二年延長することといたしました。また、地域未来投資促進税制におきまして、特に高い付加価値を創出し、地域への大きな波及効果が期待される企業につきまして、特別償却率などを引き上げるなど、支援を強化した上で、二年延長するということをしたところでございます。

 こうした改正によりまして、地域経済を支える中小・中堅企業が前向きな投資に積極的に取り組んで、地域経済を含めた経済の好循環に寄与することを期待しております。

高村委員 ありがとうございました。

 続きまして、事業承継についても伺ってまいりたいと思います。

 二〇二五年までに平均引退年齢である七十歳を超える中小・小規模事業者の経営者は、約半数は後継者が未定であり、このままだと、長年の経営で培われたすぐれたノウハウや技術、それから地域のネットワークが失われることになります。中小企業の事業承継は、まさに待ったなしの課題であると認識しています。

 こうした危機的な現状に対して、事業承継時の重い税負担により事業承継が阻害されることのないように、最近の税制改正において、事業承継税制が抜本的に拡充されています。

 一方で、地方においては、円滑に事業承継が進んでいるという状況には到底及んでいません。黒字企業が承継できずに倒産してしまうのは、地域経済にとってもこれほどもったいないことはありません。

 特に山口県、後継者不在率が沖縄に次いで全国第二位と非常に厳しい状況になっております。そのような中、西中国信用金庫が、事業承継、MアンドAを手がける株式会社トランビと組んで、事業承継サービスを提供しています。

 少子化が進む現在において、必ずしも親族間で事業を譲り渡すのではなく、第三者の若者へ事業を継がせるということもあると聞きます。そのような第三者への承継を促進するためには、長年続けてきた大切な事業を優秀な後継者に引き継ぎ、続けてもらっていきたいと考える現経営者の方と、事業を引き継ぐ意欲と熱意を持つ新経営者候補の方との間で、マッチングが円滑に進んでいくことが大切です。

 地域の課題につながるこうしたチャレンジングな取組を後押しするため、制度的、財政的な支援は十分に行われているんでしょうか。中小企業庁から御答弁をお願いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、後継者不在の中小企業が半数を超えるという現状を踏まえますと、事業承継税制などによる親族内での承継に加えて、今後は親族外の第三者による承継を支援していくことが重要でございます。

 このため、経済産業省では、全国四十八カ所にございます事業引継ぎ支援センターにおいて、後継者不在の事業者に対するマッチング支援を実施しています。二〇一一年の発足以来、累計で四万件を超える相談に応じて、約三千件の成約実績を上げています。

 また、事業承継後の後継者の新たな取組を後押しするため、事業承継補助金を設けて、設備投資や販路開拓などに対する費用を補助するなど、財政的な支援も行っているところであります。

 さらに、今後は、第三者承継をより一層促進するため、事業引継ぎ支援センターにおけるデータベースを活用した全国大でのマッチング支援を強化するとともに、新たな税制措置も要望して検討していくことによって、待ったなしの課題である中小企業の事業承継をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。

高村委員 ありがとうございました。

 まだまだ質問を考えてきたんですが、時間ということで、最後になりますが、事業承継は待ったなしの課題でありますので、しっかりとこれからも制度面の周知を含めて強力に取り組んでいただくことをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 非常に限られた時間でありますので、とりわけ政府参考人の皆さんには、技術的な質問が多いと思いますので、できるだけ簡潔に、わかりやすくお答えいただければと思います。

 消費税が一〇%となって一カ月となりました。この一カ月を振り返ったいろいろな報道も今出ておりますが、我々、景気へのインパクトを緩和するとか、さまざまな観点でいろいろな政策を打たせていただいております。例えば、住宅あるいは自動車に対する減税であったり、軽減税率であったり、またキャッシュレス、プレミアム商品券とやってきたわけですが、この一カ月を振り返って、この効果、あるいは課題が何なのかというところをいろいろと質問させていただきたい。

 我々公明党の議員も、現場にできるだけ入りまして、現場の店舗でありますとか、さまざまな、お客様と接しているところであるとか、こういうところで声をいろいろ聞いてきました。そういう観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、そもそものこの増税の影響、景気への影響についてですが、まだ十月のデータは出そろっていないとは思いますが、政府として、今、現時点でどのように景気への影響を認識しているのかというところを答弁願います。

村山政府参考人 消費税率引上げ前後の経済動向ということでございますが、十月分の月次データの多くはまだ公表されていないという状況でございます。このため、先生お話ありましたように、企業からのヒアリングなどで補いながら実態把握に努めているところでございます。

 その上で申しますと、自動車販売や住宅建設につきましては、政策効果もありまして、前回の消費増税時ほどの駆け込みは見られなかったと見ております。十月の自動車販売は前年比減となりましたが、これには台風の影響や稼働日の減少等の影響も含まれていると考えております。

 また、家電、宝飾品等の高額品では、九月に売上げの増加が見られております。ヒアリングによれば、こうした品目につきましては、十月に売上げの減少が生じておりますが、同時に、反動減は前回の消費増税時ほどではないといった声も聞かれております。

 経済動向を見きわめるにおきましては幅広いデータを確認する必要がありまして、また、台風の影響もよく見きわめる必要がございます。ただ、ヒアリング等も加味いたしますと、現時点では、消費税率引上げ後の落ち込みは前回ほどではないのではないかと見ております。

 引き続き、幅広いデータ等を確認しつつ、消費者マインドの動向も含め、しっかりと注視してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

伊佐委員 確かに、これは分野にももちろんよるとは思いますが、少なくとも前回ほどの影響はないということでございました。

 私もいろいろ現場を回っていますと、例えばコンビニなんというのは全然変わらないというふうに伺います。商店街の飲食店とかに行くと、若干ちょっと影響はあるかもしれないけれども、まあ大した問題じゃないですというようなのがほとんどでございました。

 その上で、あわせて軽減税率です。

 この軽減税率は、これは現場の皆様に、御準備、大変御苦労をおかけしたわけですが、この一カ月を見て、混乱がどれぐらい見られるのか。例えばコールセンターにも、いろいろな相談件数みたいなものもカウントしていらっしゃると思います。こういうものも比較してどうかというところを伺いたいと思います。

田島政府参考人 お答えをいたします。

 軽減税率制度の実施から一カ月が経過いたしましたけれども、その間、関係省庁と連携して、事業者団体等を通じた情報収集も行いながら、その円滑な実施や定着に向け、取り組んでいるところでございます。

 国税庁としては、軽減コールセンターを設置し、事業者や消費者の方からの軽減税率制度に関する相談に対して丁寧に対応してきているところでございまして、その相談件数につきましては、制度実施直前には一日当たり二千件を超える水準でありましたが、現在は五百件程度となってございます。

 引き続き、軽減税率制度の円滑な実施、定着に向けて、軽減コールセンターでの丁寧な対応のほか、周知、広報などの各種取組を進めてまいります。

伊佐委員 コールセンターの件数も、さっき五百件とおっしゃったと思いますが、直前までは幾つか相談があったけれども、十月に入ってからは相当落ちついているという状況で、もちろん、消費者と直接接している事業者の皆さんのいろいろな相当な努力のおかげでだとは思いますが、大きなトラブルなく、今、軽減税率も導入されているということだと思います。

 ただ、混乱するかもしれない、これから大変になるのがどこかというと、私は、これは国税の現場じゃないかというふうに思っております。

 我々、山口代表の代表質問でも、この国税の体制強化というところで質問させていただいて、総理から、必要な体制整備も含め万全を期してまいりますという御答弁をいただいております。

 もともと、国税庁の定員というのは、これまでずっと減らされてきた。そんな中で、法人税の申告件数というのは右肩上がりでふえてきたわけです。だから、今、現時点でも、もしかするとどんどん現場では薄まっていっているかもしれないというような状況の中で、今回、軽減税率も導入された。

 今、国税としても増員要求をしていただいていると思いますが、確定申告のピークは来年の五月末ぐらいだと思います。申告された後で、いろいろな行政指導があったりとか書面の照会があったりとか、さまざま仕事が当然あるわけで、我々からお願いしているのは、とにかく、これは初めてのことなので、丁寧かつ柔軟な対応をしてほしいというようにお願いをしております。この意味するところは、結局、人手が必要になってくるわけで、もう一個、更に言えば災害の問題です。ことしは、いろいろ頻発した災害被害で、災害に遭うと所得税が雑損控除されます。そうすると、この業務もかなりのボリュームになると思います。

 この定員増に向けた大臣の思いと、きょうは定員を決める側の内閣官房人事局にも来ていただいておりますので、引き続いてこの点について答弁を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 これは、伊佐先生御指摘のとおり、軽減税率に限らず、税が非常に、先ほどの高村先生の質問じゃありませんけれども、国際化、デジタル化、またいろいろな意味で複雑になってきておりますので、税に対するものが、電子化を含めて極めて難しくなってきておるというのが実情、人をこれまでずっと減らしてきたというのも事実であります。

 この職場は、少なくとも、ある日、きのうまで主計局にいたのを、あしたからちょっと国税庁に行ってといったって、それは全く使い物になりませんから、そういった意味では、長くここにいないとということで、人を育てるのに少々時間がかかる部署でもありますので、私どもとしては、この執行体制の強化というのは極めて、維持するというのは大事なことだと思っておりますので、今回も、このような状況にかんがえて、軽減税率制度等々を考えますと、定員要求というのを、これは純増、いわゆる実質プラスでいかないといかぬということで、一千三百なんですけれども、退職者が一千百人ぐらいおりますので、実質純増二百六で申請をさせていただくところにしております。純増ですよ、千三百プラスの千百マイナス、大体二百ちょっとなんですが。

 その意味で、業務の効率化を図って、定員を確保しつつということを考えなきゃいかぬところなんですけれども、今言われたような状況が急にこのところ来ているところもありますので、私どもとしては、執行体制の強化というのにきちんと対応していかないと、後ではなかなか追いつきませんのでというように考えて対応させていただきたいと思っております。

山下政府参考人 お答えいたします。

 軽減税率制度の実施に当たりましては、経済財政運営と改革の基本方針二〇一九におきまして、制度の円滑な実施と適正かつ安定的な運用のため、必要な体制整備を含め万全を期すこととされております。

 これに基づき、財務省からは、令和二年度の定員要求として、軽減税率制度の実施に対応する人員も含め定員要求をいただいているところでございます。

 今後も、引き続き、財務省、国税庁から現場の実情や政策課題を丁寧に伺いながら定員審査を行ってまいりたいと考えております。

伊佐委員 大臣の方からも、きちんと対応するというような御答弁をいただきました。

 国税職員の定員確保ということは、これは、衆議院のこの財金委員会で所得税法を可決したときに、附帯決議で、委員会の意思として、この定員確保というのは書いております。そういう意味では、この委員会の同僚の皆さんと一緒になってここは応援をしていきたいというふうに思っております。

 次は、キャッシュレスの話です。

 キャッシュレス、これは、コンビニとかに行きますと、結構、店長さんから聞くと、バイトの方がお客さんからいろいろな質問される、このアプリ、どこを押したらいいのとか、これはどうやって立ち上げたらいいのとか、結構御苦労されているというふうに伺います。ただ、反面、キャッシュレスを徹底的に勉強されている方々は、これを強みにして、うちは何でもできますよ、何でも教えますよというので、それを強みにしてお客さんを集めている、こういうような方々もいらっしゃいました。

 ちょっといろいろな声があったのでお伝えすると、例えば、キャッシュレスといっても、バーコードでピッというものは早いんですけれども、QRコードだと、お金を入れて何やかんや、結局かえって時間がかかっていますというような声があったりとか、あるいは、端末導入のための補助金、これはバーコードリーダーは対象外になっているという声もあります。これは端末の決済事業者がどう判断するかなんですが。あるいは、入金サイクルが違う。翌日、キャッシュレスで払ったのが決済事業者から振り込まれるところもあれば、月二回しか入らないところもあって、現金商売をしていると、月二回のところは大変なんですという声も聞きます。

 いろいろな声があるので、この辺、しっかり丁寧に相談に乗れるようにしてほしいと思います。いかがでしょうか。

島田政府参考人 キャッシュレス・ポイント還元事業についての御質問にお答えをいたします。

 今回のポイント還元事業につきましては、決済事業者ごと、あるいは提供する端末や決済サイクル、さまざまなことにつきまして多くのメニューを準備をして、ホームページで公開をしているところでございます。中小店舗の皆様がこうした情報をもとに決済事業者を自由に選択できるという環境を整えさせていただいてございます。

 また、委員先ほど御指摘ございましたが、さまざまなお問合せといったようなこともあろうかと思います。中小店舗の方からの相談を受け付けるためのコールセンターも設置をしておりますし、また、全国に地域サポートの事務局を設置いたしまして、ホームページでの調べ方、あるいは決済事業者の比較などについての相談に乗る体制を整えているところでございます。

 今後も、中小店舗の方に寄り添った形で、丁寧な情報提供を行ってまいりたいと考えてございます。

伊佐委員 時間的に最後の一問だと思いますが、ちょっと最後に、キャッシュレスのポイント還元事業、税制上の取扱いについて質問します。

 というのは、声を伺う中で、特にBツーBの場合なんですが、簡単にするために、例えば百円で物を買うと、そのときに還元される二%還元部分が、公費で来る二%、つまり今回のキャッシュレス事業の二%なのか、あるいは、お店の独自財源、事業者の独自財源で二%も還元しますというのかによって、税制上の取扱い方が変わります。

 例えば、今回の事業の二%還元は、百円で物を買うと、これは、税制上は、即時値引き、つまり支払い九十八円なので、あくまで二円は不課税という立場になって、百円の仕入れ控除ができる。でも一方、独自財源である場合は、二円というのは単なる値引きなので、仕入れ控除は九十八円になります。つまり違う。ところが、レシートだけ見ると、二%還元というのがどっちかわからない。でも、税制上の扱いは違う。レシートだけではわからない。

 こういう場合どう扱うかという問題も、一つしっかりわかりやすい、こういうのも含めて、いろいろと国税庁から判断を明確に示してほしいと思います。いかがでしょうか。

田島政府参考人 お答えいたします。

 事業者の方がポイントを使用して資産を購入した際、消費税の仕入れ税額控除の額となる課税仕入れ額につきましては、ポイント還元が対価の値引きの場合には、ポイント使用相当分の金額を差し引いた金額となり、これに対して、ポイント還元が対価の値引きではない場合には、当該資産額の全額となります。

 その際、発行されるレシートには、それぞれの態様がわかるような方法で課税仕入れ額が表示されていると考えられますが、事業者の方から、先ほど申し上げたどちらのタイプのポイント還元かという御相談がございます。そうした場合には、まずは、レシートにおける値引きの記載の有無などを確認してもらった上で判断していただければよいというような御説明をしているところでございます。

 国税庁としては、事業者が申告手続等に困らないように、引き続き、ポイント還元に係る税務上の取扱いを周知してまいりたいと考えてございます。

伊佐委員 田島次長おっしゃったように、国税庁にもこれは相談が来ているということなので、ちょっとわかりやすく発表をやっていただければと思います。

 終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 きょうは、台風十五号、十九号、それに続く大雨とか、その被害状況、あるいは、あと、日韓関係が非常に悪化しまして、九州を中心に西日本の経済、壊滅的な、厳しい損害が出ておりますので、それに対する対応、それから、時間があれば、黒田日銀総裁の国債に関する考え方について話をさせていただきたいと思います。

 まず、この質問の前に、最近の台風あるいは大雨で被害、あるいは特に亡くなられた方々の御冥福をお祈りしますとともに、被害に遭われた皆様へのお見舞いを申し上げます。

 そこで、政府の方で、台風十五号、十九号、そしてそれに続く大雨等の被害で、被害総額というのはどういうふうに見通されているか、あるいは、補正予算を今計算中だと思うんですけれども、そこはどんな見通しになるのか、それについてお伺いをします。

麻生国務大臣 まず、災害に遭われた方々、一都十三県に上っておりますけれども、心からお悔やみ、御冥福をお祈り申し上げる次第です。

 今回の災害の状況ですけれども、これは今、水がまだたまっていて、冠水したところは水が引いていないとか、いろいろな状況になっておりますので、確たることは申し上げられませんけれども、十月二十九日、農業被害だけで一千二百六十八億、十月三十日、一千三百十億、十月三十一日、一千五百七十だ、そういった形で日に日にふえたりなんかしますので、今の状態で確定したというか、確たることを申し上げることはできません。

 しかし、生活とかなりわいの話は、これは待ったなしの話なので、今般の一連の災害につきましては、これは総理からの御指示もあっておりますので、被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージを今週中に、今のできるところ、集まっている範囲だけでということで取りまとめる予定にいたしております。

 また、廃棄物の処理とか、中小・小規模事業者また農林漁業等々の経営開始等々、さまざまな要望があることは承知しておりますけれども、被災した自治体の方々が財政上安心して全力で応急対応ができるというような復旧に当たるようにするためには、これは財政措置というのをしっかり講じてまいりたいと考えておりますので。

 その上で、今補正予算の話がありましたけれども、これは今の段階でこれで補正を組まねばならぬというものではなくて、今予備費が約五千億あると記憶しますので、その予備費でもって今そこは対応させていただいて、その上で、最終的な数字が詰まった上で補正等々の話に入らせていただくということになろうかと思っております。

末松委員 今まさしく被害が同時並行的に起こっている状況なので、本当にそこは早目早目の対応で、ぜひお願いをして、いっていただきたいと思います。

 じゃ、次の項目に移りますけれども、こういった自然災害とは異なって、私が今回ちょっとテーマにするのは外交人災と私が呼んでいるものなんですね。この外交人災というのはどうしてこういうふうに言うかというと、この前、七月でしたっけ、日韓関係が非常に悪化しまして、それがために九州を中心として日本の経済、大きな損害あるいは被害をこうむっているということ、これが私は非常に問題だと思っているわけです。つまり、安倍政権の衝突的な対韓国外交というのかな、要は、韓国で日本製品の不買運動とか反日の観光キャンペーンとか対日本の観光ボイコット運動とか、かなりこれは深刻なレベルに達しております。

 今資料を、皆様にお示しをしているこの紙を見ていただければと思うんですけれども、例えば、朝日新聞、十月十七日の記事で、訪日韓国人客が五八%減りました、この減少が三カ月連続で、この下げ幅が、急減した八月の四八%から更に拡大したと。これは十月もかなり減るんだという話で、かなりこれが改善する見通しがなくて長期的に続く、こういうことに今なっているわけでございます。

 さらに、ちょっと私が報道で拾った数字等を申し上げれば、例えば、過去最多だった佐賀空港の利用者数が日韓関係の悪化で韓国便の三路線が運休に追い込まれたと。鹿児島も同様に運休に追い込まれている。

 また、熊本市の観光政策課によると、ことし九月の市内のホテルに宿泊した韓国人客が三百四十七人で前年同期比八〇%減だと。大分県の観光統計調査によると、県内の韓国人宿泊数が三万人強減って八三・九%減った、それで六千二十六人、これだけ減ったと。

 さらに、直撃されたのが対馬市で、対馬におきまして、韓国人の観光客激減で市内の事業者から解雇された人の数が、九月末までに五十一人解雇されました、これはハローワーク対馬の調べなんですけれども。さらに対馬は、昨年四十一万人の韓国人客が訪問していたのが、ことし九月は前年同期比で九〇%減、約三千人まで落ち込んだ。

 また、九州運輸局の発表では、九州における船の韓国の観光客が八六%減で一万人強になってしまったと。

 また、韓国においても非常に厳しくて、日本企業がさまざまな嫌がらせあるいは販売額の急減で深刻な損害をこうむっているというのも報道に載っていたり、いろいろな話を聞くし、私自身がもともと福岡県出身なので、私の友達からもいろいろな悲鳴が聞こえてくるわけでございます。

 こういうところでちょっと観光庁に聞きたいんですけれども、五八%減ったというこの朝日新聞の記事、これは事実でしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの本年九月の訪日韓国人旅行者数につきましては、対前年同月比でマイナス五八・一%の二十・一万人となっております。

 なお、同月の訪日外国人旅行者数全体につきましては、対前年同月比プラス五・二%の二百二十七・三万人となっております。

 以上でございます。

末松委員 確かに韓国人だけ一挙に減っているというのが明確なんですね。これも、ごく七月以降、これが、私の資料でもこのグラフにもありますように、韓国籍の入国者数が、大体、一月からことし六月まで二十万人前後でやっていたのが、八月が七・六万人、急減しているのがこのグラフでもわかるわけですけれども。

 こういった、政府として、今、九州を中心とする日韓関係悪化の被害状況、あるいは西日本、日本全体にも言えているかもしれませんけれども、被害総額というのはどういうふうに見積もっているんでしょうか。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 被害総額一般についてお答えするのは難しゅうございまして、日韓関係の経済への影響につきましては一概に申し上げることは困難でございますけれども、足元の指標を拝見いたしますと、先生御指摘のとおり、九月の外国人旅行者について、全体としては堅調に推移しているものの、韓国からの訪日旅行者は対前年同月比五八%減少しておりますし、また、貿易につきましても、九月の貿易統計におきまして、韓国との貿易額については、対前年同月比で輸出額は一五・九%減少、輸入額は八・九%減少となってございます。

 しかし、貿易額の動向はさまざまな要因を受けるもので、日韓関係の影響は必ずしも明らかではございません。

 いずれにいたしましても、足元の日本経済につきましては、中国経済の減速等の影響が見られるものの、雇用・所得環境の改善、高い水準にございます企業収益など、内需を支えるファンダメンタルズはこれまでと同様にしっかりとしておりまして、緩やかに回復しているという状況は変わっていないものと考えてございます。

 引き続き、日韓関係の経済への影響を含め、内外の経済動向を注視してまいりたいと存じます。

末松委員 神田さんの言っていることは、日本全体としてはそれほど大したことないではないかと。だから、逆に、九州とか、特に韓国人相手に商売をやってきた人に対しては、一挙にとんでもない損害が生じているわけですよ。全体は問題ないということと同時に、逆にそういう局地的なことは、これは非常に厳しい状況にあるんですよ。

 これを無視して、だから先ほど、調査はなかなかできない、なかなか自分としては把握はできない、被害総額について。確かにそこは、今までそういったことをやっていないから、そういった被害額がどういうものなのかということを言いにくいというのはあるかもしれませんけれども、こういったことを調査するとか、こういったことで、局地的、しかも、こういう韓国人関係の商売をやっている、これはやはり損害が出ているんだから、そこはかなり大規模に出ているし、まだ日本商品のボイコット運動とかいろいろと今、あるいは観光ボイコット運動というのが出ているんですから、これはきちんと調査すべきだと思いますが、いかがですか。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 やはり、先生の御指摘もわかるのでございますが、日韓関係の経済への影響の要因を分離して、そこの部分が幾らかというのを一概に申し上げることは困難でございます。

 しかしながら、九州において、例えばインバウンドに占める韓国人の割合が高く、韓国からの訪日旅行者の動向について引き続き注視していく必要というのは感じておりまして、しっかりと監視していきたいと考えてございます。

末松委員 もうちょっと言いますけれども、外交とかなり密接に関係しているというのは、これは否定できないと思うんですよ。だから、そこを、調査ということは、監視していくというのではなくて、調査はしてくれませんか。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 韓国からの訪日旅行者の動向等について引き続き調査をしておりますし、しっかりと見きわめてまいりたいと存じます。

末松委員 いや、私が言っているのは、経済的なダメージの方なんですよ。だから、そこを調査してくれというのが私が今リクエストしていることなんです。

 逆に、韓国における日本企業等の被害総額、これはどういうふうに報告を受けていますか。外務省に聞きます。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の在韓日本企業の経済活動における損失につきましては、これも網羅的にお答えすることは大変困難でございますが、委員御指摘の在韓日本企業の経済活動における損失につきましては、昨今の日本製品への不買運動等の深刻な動きを含め、その動向に注視しているところでございます。

 その上で、これまでも累次にわたって明らかにしているとおり、日韓両政府の関係が厳しい状況にありましても、国民間の交流や経済活動は引き続きしっかりと行われるべきであると考えております。韓国側にも賢明な対応を期待したいと考えております。

末松委員 いや、私は、被害額について、どのくらい損害を受けているんだというのが私の質問なんですけれども、それは、あなたの方は全く答えていないんですね。

 そこは、まだ韓国大使館からそういった被害的な、あるいは損害的な報告がないということですか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、在韓日本企業の経済活動における損失につきましては、網羅的にお答えすることは非常に困難でございます。

 その上ででございますが、韓国における日本企業の方々とは、大使館、しっかり連携をしております。

末松委員 僕たち何か一生懸命に頑張っていますねという意思はいいんですけれども、ちょっとここの委員会でやるのは、そういった、経済状況がどうなっているのかということを具体的に知りたいので、何か調査を行ってくれませんか。あるいは、全く東京はそういうことを指示していないんですか、在韓国の日本大使館は。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような、我が国企業に対して経済的な悪影響を与え得る不買運動が韓国において行われているということは、これは大変残念なことであると考えております。

 その上ででございますが、我が国企業へのさらなる影響につきましては、在韓国大使館中心になり、日本の企業の方々としっかり連携をして、その動きを注視していきたいと考えております。

末松委員 じゃ、また報告してくださいよ、そこを、調査したときに。

 さっき、日本商品の不買運動とか対日観光ボイコットキャンペーン、これが韓国側でも非常に深刻になっているわけですよね。深刻というか、彼らは今ずっと、そういった運動が盛り上がっているんですよ。こういった状況をどう考えていますか。別にこれは、単に自然的に起こったんじゃないんですよ。そこはどう外務省として認識しているんですか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、御指摘のような、我が国企業に対して経済的な悪影響を与える不買運動、これが起きて、韓国において行われていることは大変残念だと考えております。

 また、日韓関係の現在の厳しい状況は、旧朝鮮半島出身労働者に関する韓国大法院判決、慰安婦合意に基づく和解・癒やし財団の解散への動き、韓国側による日韓GSOMIAの終了通告など、韓国側による否定的な動きが相次いだことによるものと考えております。

 我が国としましては、さまざまな問題につきまして、我が国の一貫した立場に基づき、引き続き韓国側に賢明な対応を求めていくという考えには変わりはございません。

末松委員 じゃ、何かあれですか、こういった、七月ぐらいに起こった、さっき言った徴用工の問題あるいは韓国大法院の話とか、そこでホワイト国からリストを外したとか、日本政府の方で、ちょっと私、非常に拙い、まずい外交をやっているんじゃないかと思うんですね。非常に衝突的な外交をやっていて、もっとうまく外務省としてやるべきじゃないかと私は思うんですよ。

 だから、そういった意味で、私自身が韓国のやり方が正しいと言っているわけじゃないですよ、私自身も外務省にいて、韓国側の、外交常識からいっておかしいという点が多々あるということは私は自分では思っているけれども、でも、こういった反日のボイコット、商品ボイコット運動とか、こういうふうなことが起きていること、これは想定していたんですか、想定していなかったんですか。これはどっちですか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返し申し上げているとおり、御指摘のような、我が国企業に対して経済的な悪影響を与え得る不買運動が韓国において行われていることは大変残念なことだと考えております。

 同時に、先ほど申し上げましたとおり、日韓関係の現在の厳しい状況というものは、韓国側に否定的な動きが相次いだことによるものと考えております。

 我が国としましては、さまざまな問題について、我が国の一貫した立場に基づき、引き続き韓国に賢明な対応を強く求めていくという考えには変わりはございません。

末松委員 外交というのは、あくまでも結果なんですよね。ですから、要するに、筋がこっちが通っているということだけで、それで、何か私から見たら子供のけんかのような形になっていて、当然、韓国の国民の気質とかあるいはいろいろな韓国政府の対応とか、もっと外務省としてしっかりさまざまな予測とかいうことをしながら、外交のタイミングとか、そういったことは当然工夫があってしかるべきであった。何も日本側の主張をおろせということは私は一言も言っていませんよ。だけれども、そのタイミングとか、そういったことはあったんじゃないか。

 実際に、九州中心にこれだけ被害が生じている。それについては、日本外交の方針があるからおまえら我慢しろ、一切何も支援もしないというのは、私は、日本経済の立場からいって、そこは何かあってしかるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。(発言する者あり)

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 韓国は、もちろん重要な隣国でございます。日韓関係の両政府の関係が困難な状況にあっても、外相レベルを含めた外交当局間での意思疎通、また相互理解の基盤となる国民間の交流はしっかりと続けていくべきと考えております。

 その上でですが、改めて、先ほど申し上げましたとおり、日韓関係の現在の厳しい状況は、韓国側による否定的な動きが相次いでいることによるものと考えております。

 引き続き、韓国側に賢明な対応を求めていきたいと考えております。

末松委員 今、ここの与党席から、それは外交はこうなんだから、あとは経済がどれだけ厳しい状況になっていってもそれは仕方がないじゃないかのような、こういうふうな雰囲気の御発言もありますけれども、そこは日本経済の話なので、私自身、もっとそこは、九州とか、そういった直接被害を受けている方々に対して、逆にもし日本外交が韓国との筋を通すというのであれば、それなりに起こったリパーカッションというかいろいろな反発、これを本当は外務省として官邸にもアドバイスなんかしたんですか、全くしていないのか。そこはどうなんですか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返し申し上げているとおり、日本企業の経済活動における損失につきましては、外務省としましても、関係省庁と連携してしっかり注視しているところでございます。

 引き続き、この大変深刻な動きを注視するとともに、韓国側に対しては賢明な対応をとるよう強く求めていきたいと考えております。

末松委員 もうあなたと話してもらちが明かないんだ。

 要するに、外交というのは、そういった、我が国の経済、もし、ダメージがある場合もあるでしょう、それだったら逆に、あるのであれば、ここはきちんと国として、そういった被害がある、私が外交人災と言っているのはそういうことなんですよ、だから、そういうふうに被害があるんだったら、しっかりとそこは逆の意味で支援をして、その地域にやっていくのが私は当たり前と思うんですけれども、大臣、いかがですか、その辺は。

 財務省としても、そういったことを一応調査をし、そして、被害をこうむられた、あるいは損害をこうむられた方々に対して、そこは日本国民が被害を受けているわけですから、そこはしっかりと、きちんとそういったふうな支援をしていくべきじゃないでしょうか。

麻生国務大臣 これは外務委員会でやっていただいた方がいいと思いますけれどもね。

 基本的に、外交というのに、外務省におられたんですからおわかりと思いますけれども、今、九州という話だったので、少なくとも、この七年前、八年前に、韓国含め中国からの福岡に対するクルーズ船の寄港は三十隻ぐらいだったね。記憶があるでしょう、九州におられたんだったら。今、三百八十隻、約十倍にふえたんですよね。その七年間の利益は膨大なものだったんですよ。今減ったからといって、あのときの利益というものはどういうぐあいに考えるかというのが一つです。

 これは商売を私どもやっていた経験からいったら、外国と商売していれば、その国の事情が変わったときには突如と状況が悪化する、常につきまとう危険は覚悟しておかないかぬ、当然のことだと思いますがね、外国と商売していたら。

 今回の場合、韓国の場合、これは日本が何か落ち度が極端にあったというわけではありませんから、そういった意味では、今の状況で、急に、もうかったときは何もないで損したときだけ何とかしろというのを言われても、それはなかなか、外国と商売していくときには常識的にそういったものを考えてやっておるというのが、普通、商売をやっている人の常識だと私どもはそう思っています。

 したがって、今言われているように、直ちにこの問題について、大きな問題として考えておかないかぬと思いますが、それによって日本自身がどうにか個別に補償しろとかいうような話になるというのには、私どもとしてはいかがなものかと感じております。

末松委員 今、韓国とのそういった経済的利益がここ数年間上がってきたと。これも、そういったたゆまざる外交の努力もあったという話で上がってきている。でも、だからといって、逆に下がったから、あとはおまえら文句言うなというのは、私は極端に思うんですね。

 そういったことがこれからもかなり見通しとして続くのであれば、それなりの私は対応も、あるいは問題視というかな、日本経済、特に局地的に、これはきちんとやはりやっていくべきだと思います。そこを、外交人災ということを私は強調いたしまして、ちょうど時間が終わりましたので、またこの問題、引き続きこの話をさせていただきます。

 日銀の方はちょっときょうは時間がなくなって恐縮ですけれども、また次回させていただきます。

 終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、海江田万里君。

海江田委員 共同会派の海江田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 消費税が増税になりまして一月と少したちましたが、まず最初に麻生大臣にお尋ねをしたいと思います。

 この一カ月半、消費税増税になって、私は消費税の中身にも実は問題があると思うんですが、やはりタイミングですね、このタイミングで本当によかったんだろうかということ。今、一月ですから、まだこの一月だけで判断するのは、いろいろな考え方がありますが、もう少し長い目で見て、半年とか一年で見たとき、一体このタイミングはどういうタイミングであったのかということ。

 特に、麻生大臣は、G20などで世界の国々の経済あるいは財政、金融の責任者とお話をじかにしているわけですから、私は、やはりこの時期というのは、それこそもう言うまでもありませんが、米中の貿易摩擦、摩擦というよりも戦争に近いものがあります、それから中国の国内景気の、国内経済の減速の問題、それからブレグジットの問題もあります。

 特に、やはり数年の、日本の景気が幾らよくても、幾らファンダメンタルズがしっかりしていても、やはり世界の危機というのはまさに海の向こうからやってくるわけでございますから、そういう海の向こうの生の情報を肌で感じておられる麻生大臣は、今回のこのタイミングで消費税を上げたことで、これは全く問題がないんだというお考えをお持ちなのか、それとも、いや、こういう懸念はあるよということをやはり御指摘なさるのか。その点、ぜひお願いをいたしたいと思います。

麻生国務大臣 今まだ一月でありますので、少なくとも、それに伴って私どもがどうのこうのというような話が言えるかといえば、一月だけ見ますれば、例えば自動車がとかいう話がありますけれども、御存じのように、車は大体週末に売れることになっておりますけれども、ことしは週末は全部雨という形になりましたので、週末の売上げが前年同月に比べて約一〇%減っているとかいうような数字が個別に言えばないわけではありませんけれども、全体として見た場合には、私どもは、前回五から八に上がったときのような大きな反動減は今のところ見られないというように思っております。

 また、この法案は、これは野田先生御出席ですけれども、野田先生のおられるころにこの方向を三党で合意して決めさせていただいて、少なくとも今その方向で財政健全化等々の話が、これはどうしても必要だったと思っておりますので。

 タイミングとして、今か、いつだったか、これは後づけの話で、後から理屈はどうでもつけられるんだとは思いますけれども、少なくとも、今回よりはもっと前のときに上げておけばよかった、あるいはその前のときもあったじゃないか等々いろいろな御意見はあるところだと思いますが、少なくとも、私どもとしては、今回、米中の話がいろいろ言われていますけれども、これは貿易の話ではなくて、米中戦争とか新しい冷戦とかいうような形のものだ、あれの始まりだったと多分後世歴史家は書くかなという感じがするほど、結構深刻だと思っていますけれども。

 いずれにしても、私どもとしては、今回、少なくとも日本の中で、GDPの二〇〇%とかいろいろな表現がありますけれども、そういった財政の健全化というのを考えたときには、極めて大きな財源というものを、少子高齢化が進む中にあってはこの消費税の価値は非常に大きなものだと思っておりますので、いつの日かやらねばならぬというのであれば、これ以上はおくらせられなかったという意識は私の気持ちとしてはございます。

海江田委員 世界で麻生大臣、いろいろ本当に生の話をたくさん聞いておられますので、そういう中で、やはり今の世界経済に対する危機感というものをお持ちなんじゃないかなと私は思っているんですね。確かに日本の国内でいえば財政の問題とかいろいろありますけれども、そういう中で、日本が今このタイミングで消費税を上げたということについて、そういう心配に対してどういう説明をすれば世界の人は納得してくれるのかということであります。そこのところが一番聞きたいんです。

麻生国務大臣 各国の税金のことに関して、それをいつ上げろとか上げるななんという話は内政干渉も甚だしいから、これは各国言わぬのですよ、そういうことは。二人のときにどうだねという話はしても、会議の席で言うような無礼なやつはいませんから、それは。そういっても、そういった話が表の世界で出てくることはないんですが、会議の席なんかで、これはこの六年間の間に三回やって、三回目にこうしてやらせていただきましたけれども、少なくともIMFを始めそういったところでは日本の財政支出というのを知っておりますから、これは必ず上げる、上げてしかるべきというのは、これはもう国際金融機関というのは総じて言っておりましたのは事実。

 日本に関して、今やるのはいかがなものか、景気が引くんじゃないかというのは、これはアメリカなんかが言ったことは確かですけれども、個別な話で言う話をちょこちょこ言ってくる人はいましたけれども、少なくとも、今、日本の中において米中の、アメリカのみですから、おたくの方が中国との関係でという話だったので、今そこらのところの結果がどうなるかが一番問題だけれども、少なくともこの話が、米中の話がこのまま大統領選挙の前に、何とか、更に激しくなるということはとても考えられぬだろうがと言ったら、それは考えられないという話だった、だったら、これはしばらくそのままいくということを意味するので、ことしじゅうに結論を出しておかねばいかぬのではないか、我々はそう思っているんだけれどもなという話やら何やら、いろいろ個別には、ちょっとこれ以上申し上げられませんけれども。

 いろいろな国がいろいろな話をされましたけれども、総じて消費税の比率の極めて高い欧州の国々においては、何だ、まだ二桁いっていないのかという話がほとんどの話だったので、そういった話で、積極的にこの問題についてはどうというような話はありませんでしたし、国際金融機関からも、むしろ、まだ上げていないのかという意見は出たことは事実であります。

海江田委員 麻生財務大臣の認識はよくわかりました。

 今度の消費税、先ほど国税庁が、今までは、コールセンター、一日二千件あったのが五百件になったというお話でありましたけれども、私も、自分で、SNSというんですか、フェイスブックで、十月一日から一週間ほど、みんなの声を寄せてくださいということを呼びかけたんですね。そうしたら、いろいろな声がありました。それこそ、みりんは二種類あるんですよね、八%と一〇%があるので、何でだ、アルコールの分量の違いというのはわかりにくいとか、それからあと、やはり鉄道運賃が上がるのが結構厳しいとか、それから、紙おむつが何で一〇%なんだとか、いろいろな声がありました。

 それはいいんですが、やはり一番多かったのは、複数税率、軽減税率に関する話なわけですよ。特には、スーパーですとかそれからコンビニで、特に今コンビニの最近のイートインですね、これは。イートイン脱税なんて言葉も最近ネットの上ではやっているし、NHKでも紹介がありましたけれども。結局、自分で買物をして、レジに行って、これは持って帰りますよ、それから、これはイートインで食べますよということによって税率が変わってくるという話で。

 スーパーやコンビニもいろいろ工夫していまして、僕はなるほどなと思いましたけれども、レジ袋を持たせて、ただこれは将来有料になるかもしれませんけれども、レジ袋に入れたものは、これはもうイートインじゃない、持ち帰りだから全部八%にするというふうな判断をしているというようなところもあったようです。それから、やはり、コンビニあるいはスーパー、小売店が頑張っちゃって、全部八%でやろう、そうしないといろいろな、お客様との間でトラブルも起きるからということで、そういう、かなり苦労して、いろいろなことをやっています。

 そこでお尋ねをしたいのは、あの総額表示方式です。

 これは平成十六年からですか、買う人にとって便利なように総額で税込みの値段で表示をしましょうということをずっとやってきて、今現在はまだ特例期間中ですからいいんですが、令和三年になりますと、これが三月三十一日までですから、四月一日から全部総額表示方式にしなければいけない。総額表示方式にしますと、それこそ本当に、八%と一〇%は違うわけで、その八%か一〇%かが、レジに行って、本人が、自分は、いやこれは持って帰りますよ、イートインで食べますよということを言わなければこれは決められないわけじゃないですか。どっちの総額で書いたとか、二枚書けばいいわけですけれども、これまた大変手間のかかる話でありますから、私は、この総額表示方式は、この際ですから、更に、現行のまま令和三年四月一日以降も現在の特例を残すべきじゃないだろうかと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税の総額表示義務につきましては、消費者の利便性を考えて、買物の際に一目で消費税額を含めた支払い総額がわかるようにするための制度でございます。

 同一の飲食料品の販売につきまして適用される消費税率が異なる場合が想定される、いわゆる今御指摘のイートインスペースのある小売店につきましては、持ち帰りとそれから飲食店内の両方の税込み価格を表示する方法が考えられる一方で、事業の実態を踏まえまして、事業者の判断によって、持ち帰り又は店内飲食どちらか片方のみの税込み価格を表示する方法も可能となってございます。

 他方で、今御指摘なさいましたように、持ち帰りの価格であることを明確に表示しなかったような場合を考えますと、消費者に誤認を与えてしまうおそれもございます。

 したがいまして、持ち帰りと店内飲食で税込み価格が異なる場合におきましては、その旨を店舗内の目立つ場所に掲示することなどによりまして、消費者に対して注意喚起を行った上で消費者の混乱を避けるということが望ましいと考えております。

 なお、転嫁特別措置法における総額表示の特例は、二度にわたって予定されました消費税率の引上げに当たって、事業者において値札の張りかえ作業等が生じることを踏まえまして、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保及び事業者の事務負担への配慮の観点から、御指摘のとおり再来年の三月末を期限として設けられているものでございます。

海江田委員 るるお答えいただきましたけれども、私が申し上げているのは、やはりこの延期もいろいろな事情がありましたけれども、こういう軽減税率という話が初めて出てきたわけでありますから、これを何も、もうとにかく令和三年の三月三十一日で終わりだ、四月一日からは全部総額表示だよということにするのはやはり無理があるんじゃないですかと。少しは検討してみるというお話ぐらいいただけないんですかね。大分うなずいて私の話を聞いていますけれども。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり再来年の三月末が法律上の期限でございますけれども、その取扱いにつきましては、消費者利便の観点ですとかあるいは事業者の価格転嫁の状況なども踏まえながら、引き続き検討を行ってまいりたいと存じます。

海江田委員 検討していただけるというふうに私は理解いたしましたけれども。

 全国のスーパーマーケット協会なんかも、やはり、この間の軽減税率の話を踏まえて、総額表示方式により表示することは消費者に誤認を生じさせることになる、だから、これからも現在のような特例を続けてほしいということを要望している。

 それから、これは私は知らなかったんですけれども、横浜市立大学の中園准教授という人が研究していまして、総額表示によって本体価格表示より一%値札が割高になると、販売数量は〇・五から〇・七%減少、軽減税率制度が適用される消費税率八%の食品においては約六%、総額表示をすることによって売上げが落ち込むというんですよ。

 そういう、消費に対するマイナス効果が甚大であるという指摘もありますから、本当は大臣にも聞いてもらいたかったんだけれども、遠山副大臣も、ぜひこれは、総額表示方式についてはやはり現行のまま維持をしていくということを、遠山副大臣からでもいいです、お答えください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 総額表示も、一律にしてしまいますと、といいますか、本則の規定にのっとってやってしまいますと御指摘のような混乱が生じるではないかという御指摘につきましては、私どもも既に耳にいたしております。

 一方で、どっちが大きいかとかいうことは抜きにいたしまして、税抜きの価格表示を続けるべしという声があることも事実でございますけれども、それをまた受けたさらなる別の声としまして、それは、値ごろ感といいますか、値段が安そうに見えるということを売りにするというのはいかがなものかという声もまたあわせていただいておりますので、しっかりいろいろな声を踏まえて検討していきたいというふうに思っております。

海江田委員 安そうに誘導するんじゃないですよ。これはもう最初から、とにかく、昔あったでしょう、百円だと思ったらこれが百三円だったとか、そういう消費税のときの議論で、子供に、三円玉がなくてまた家に戻るのは大変だとか、そういう話から来てずっとつながっている話で、何も安く誤認させるためにやっている話じゃ全然ないですから、そんなへ理屈を言わないで、先ほど検討すると言ったんだから、これをぜひ検討をお願いしたいと思います。

 それからもう一つ、企業の輸出還付金、これは消費税の還付金全体で統計をとっていると思うんですけれども、その中で、やはり、企業の輸出にかかわる還付金というのはどのくらいあるのか、概算でよろしゅうございます、まあこんなもんじゃないのということでお答えいただけるとありがたいと思います。

田島政府参考人 お答えいたします。

 委員も御承知のことかと思いますが、消費税の申告は、その事業者の全体の課税売上げに係る消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除して納付また還付される税額を計算する仕組みでございます。課税仕入れに係る消費税額が課税売上げに係る消費税額を上回ることで還付が生じることとなります。

 その上で、還付が生じる要因としましては、今御指摘のような輸出による免税売上げが多い場合のほか、また、多額の設備投資を行い、課税仕入れが多くなった場合などが考えられます。

 この点、消費税の申告書におきましては、還付税額の内訳をその原因ごとに記載することとはされてございませんので、お尋ねの輸出免税に係る還付税額は把握できないことを御理解いただきたいと思います。

海江田委員 ちゃんと通告してあるんですがね。

 二〇一七年度で、これは消費税全体の還付金が四兆一千百八十八億円。この四兆というのは大きいですよ。国の消費税税収全体の二〇%ですからね、これは。約二割がやはり還付されている。

 その還付の中で、もちろん、大きな設備投資をやったりして、そして納付の額の方が多くなったから還付が後で受けられる、これはもちろんあります。ただ、そういういろいろな、中小企業だとか、あるいは設備投資をやったりするところも、その意味では大変苦労して消費税を納めているわけで、その納めた消費税が最終的に決算で多ければ還付がありますよということなんですけれども、その金額というのがそれほど大きい金額じゃなくて、これはあくまでも私の試算ですけれども、全体で四兆還付金があれば、やはり輸出にかかわるのがどれくらいですかね、まあ三兆何千億ってあるんじゃないですか。

 といいますのは、貿易量で、輸出の額でやりますと大体六十兆円ぐらいですよね、年間ね。これに八%を掛ければ、六、八、四十幾つとか、かなり大きくなりますけれども、六、八、四十八ですね。まあ大体、やはり四兆円ぐらい、四兆弱かな、三兆何千億ぐらいはあると思うんですけれども、大体そんなものでよろしゅうございますか。それとも全くわからないの。

田島政府参考人 恐縮でございます。今先生がおっしゃった輸出に係る還付金、これが含まれていることは当然でございますが、さすがに、数字の感覚も含めて、我々は承知してございません。

海江田委員 それは、いろいろな形で統計、おっしゃるように理由を書くところはないわけですけれども、いろいろな形で推計できるので、これはぜひ、また次回の委員会でもお話をしたいと思いますから、御検討ください。

 それから、この還付金に対して、今、もう数字を先に言っちゃいますけれども、一・六%になっていますかね、加給金ですよね。言ってみると、税金を納めているわけですよね、例えば車のメーカーでいえば、車を買ったときに、タイヤのところに納めている。ところが、輸出はその意味ではゼロ税率ですから、そこで還付金が生じてきて、この還付金に、その期間があるから、一・六%の加給金、まあ言ってみると利息ですね、これは。それが、輸出をした段階でもって書類をつくって国税の方に出すと、戻ってくるということですよね。

 一般の加給金というのは、これがあることで、いろいろ借金をして本当にいろいろな税金を払わなきゃいけないこともあるわけですけれども、本当に大きな収益を上げている、それから内部留保のある大企業が輸出をしたということで、そして即これは還付金の請求をやれば、仕入れのときからの時間的な経緯によって一・六%でお金が入ってくる。中小企業の中には、やはり、そうやって、仕入れのところから請求が来た、だけれども、それが必ずしも、その金額が、言ってみると価格転嫁ですよね、価格転嫁ができないところもあるわけですよ、これは。

 だから、そういうことから考えたときに、やはり、輸出をしました、はい、じゃ、これで申告をします、一・六%のこの加給金というのは高過ぎるんじゃないだろうかというふうに私は思うんですね。銀行に預金を預けたって、今、幾つですか、一年定期で〇・〇一とかそんなものでしょう。このときに一・六というのは高過ぎるんじゃないだろうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 還付加算金につきましては、委員御指摘のとおり、今、年率で一・六%ということになってございますけれども、これにつきましては、御指摘のとおり、いわゆる金利的な意味合いがあって定まっている数字ですけれども、金融情勢を踏まえればという御趣旨かと存じますけれども、高過ぎるのではないかという声も一方にあることは事実でございます。

 ただ、金利につきましては、さまざまな状況に応じて、規模によっても違ってくるという、幅があるということも踏まえて決まった経緯もございます。また一方で、納税者が期限納付をしない場合に利子税というのが別途課されるわけでございますけれども、これは別方向の話でございますけれども、これとのバランスを考えて決めていく必要がございますので、還付加算金についてのみ低い税率を適用するということは適切ではないと考えております。

海江田委員 利子税の話は当たり前ですよ。納付期限があって、この納付期限におくれるわけだから、これ、利子を取るというのは当たり前の話であって、これはそうじゃないじゃないですか。

 だから、利子税と比べるのはおかしいので、やはり常識的に考えれば、そのお金を一年間運用すればどれくらいになるだろうか。これだったら、本当に中間納税なんかたくさんやっちゃって、後で還付金をもらった方が、一・六%で入ってくるんだからこんなうまい話はないですよ、これは。

 だから、それは利子税と比べるんじゃなくて、やはり一般の金融常識と比べてこれは高過ぎるじゃないだろうか。これまでも下げているんですよ。一・九ぐらいか、一・八か一・九のときがあったわけですけれども、今、一・六まで下げているんでしょう。これからもっと下げなさいよ。それくらいできるでしょう。これも検討するとおっしゃっていただければいいんですけれども。

矢野政府参考人 これにつきましても、利子税との絡みというものがどうしても払拭はできませんけれども、金融情勢が変わってきているのではないかという御指摘はそのとおりだと存じますので、どの時点でどう変えるかということは吟味する必要がございますけれども、検討はいたしたいと存じます。

海江田委員 ありがとうございます。

 本当にいろいろなやり方があると思いますよ。売上げが十億円以上とか、いろいろなやり方があるかと思うけれども、何でも一・六でという話にはならない。それから、輸出還付金とそれ以外の還付金というのは、まさに消費税が出て輸出還付金の話が出てきたんだけれども、加給金の話はもうずっと前からあったわけだから、その一般の加給金の話と今度の消費税の輸出にかかわる加給金の話は違ったっていいわけですよ、これは。

 だから、いろいろな角度からやはり検討して、何だ、そんなたくさん、そもそもこの還付金にもいろいろな議論があるところですよ。ただ、きょうはその議論はいたしませんけれども、この輸出還付金に対する加給金だけは、しかもそれが一・六%というのは、ぜひ私は直していただきたいというふうに思います。

 それから麻生大臣、今回、こういう形で消費税増税になりました。安倍総理は、十年間もうやる必要はないだろうというようなことをおっしゃっていますが、どこかの会見でちらっとお話をしていましたけれども、改めてやはり当委員会で、安倍総理のその発言についての受けとめと申しますか、俺も全くそのとおりだと思う、いや、そうじゃないんだ、どちらでもよろしゅうございます、お聞かせください。

麻生国務大臣 これはうかつに右とか左とか言える話じゃありませんので。今の、現在の状況として、私どもとしては、直ちに一〇をヨーロッパ並みに上げていくというのを可及的速やかにやらねばならぬという状況にはない、私どもはそう思っております。

海江田委員 それからもう一つ、やはり軽減税率の問題があるんですよ。

 麻生財務大臣も、財務金融委員会での挨拶の中で、低所得者への配慮のために導入された軽減税率制度を円滑に実施するとともにと。やはりこれは、はっきり言って、軽減税率が効果的であるかどうかということは、私たちはその立場はとらない。多くの人はとらないんですよ、これ。学者だって。いろいろなあれを読んでみましたけれども。

 私たちは、野田さんがいらっしゃるけれども、随分苦労しましたな。この税率の、消費税のとき。僕はどちらかというと軽減税率派だったんですよ。だけれども、いろいろな人の話を聞いて、いろいろな論文を読んだりして、やはりこれは、本当に低所得者のためであれば効果がないねと。それよりも、税額控除をやる、あるいは手当を出すとか、こっちの方が効果があるということが、これは実は税制の世界での常識というか、定理といいますか、定説になっているんですよ。

 今回、消費税を上げました。その中で軽減税率を導入しました。その中で、だけれども、やはり低所得者への配慮が必要だねということをおっしゃっているわけですから、私はこれからの税制改正の中で、麻生財務大臣はどのような税制改正で低所得者あるいは今言われている格差の問題などに、やはり税制というのは所得の再分配の機能、それから公平性を保つという大事な役割がありますから、どういう税制改正の方向で、今回、消費税を上げることによってやはり低所得者が痛んだということに対する手当てをするつもりか、お聞かせください。

麻生国務大臣 低所得者に対する対応というのは、これは常に考えておかないかぬ、税の再分配制度等々を含めて考えないかぬところだと思っておりますけれども、日本において貧富の格差が急激に広まっているかという話がよく新聞に出ますけれども、アメリカなんかに比べて圧倒的にそれは少ないなと思っておりますし、ヨーロッパに比べても少ないと思います。そういった意味では、この国は中福祉中負担というのは結構ないい線をいっているんだ、私どもは基本的にそう思っております。

 今後、少子高齢化が更に一層進んでいくということになると、勤労者に対しての税率が、必然的に保険だ何だがやたらめったらと上がっていくということになりますと、国民負担の点からいってもこれはなかなか難しい。なれば、やはり基本的には広く薄くという発想でいかないといかぬのじゃないかな、大まかな考え方はそう思っておりますけれども、いろいろな形で更にという話になりますと、どこをやればいいのかという件に関しましては一概には言えないなと思っておりますし、海外から日本に対する投資というものが急激に衰えるような形の税金のかけ方もなかなか難しいなと思いますし、いろいろな意味で、ちょっと今の段階でこれはというのは、確たるものとしてこれでいくべきというのが頭にあるわけではありません。

海江田委員 では、最後にしますが、余り、アメリカがどうだ、どこがどうだという比較をするより、日本人というのはやはり過去からずっと知っておるわけです。過去の日本の社会がどうであったのかとか、自分の暮らしあるいは親の暮らしがどうであったのか、そういう時間軸の中で見るわけですから、ぽんと飛んでアメリカやヨーロッパだといったって、アメリカやヨーロッパで生活していた人というのはまだまだ少ないわけですから。

 やはり日本のよさがだんだんだんだん崩れている、格差がだんだんだんだん大きくなっているということは事実ですから、そこに早目にやはり手当てをしなければいけないということで、ぜひ、麻生大臣、金融所得の問題なんかはもう私たちはずっと前から指摘をしています。それによって結果的に一億円以上の所得のある人がそれ以下の人たちに比べれば税の負担率が低くなっている、これは厳然たる事実ですから。

 金融所得について課税を強化するということについて、麻生大臣はどうお考えですか。最後になりますが。

麻生国務大臣 金融所得のことに関しましては、これは間違いなく、所得の高い方の方が金融資産を運用しておられることによって格差が生じているというのは事実ですよ、間違いなく。それは、そういったようなものが、格差が広がる可能性の絶対的現況がそこにありますから、一億円以上の収入がある方等々、一億円以上の金を持っておられる方、それは数え上げればいろいろな例があるんだと思いますけれども。

 今、その問題の点として、なかなか捕捉ができないところ等々がありますので、これは、その点に関しましてはどこから手をつけるかとかありますけれども、我々はその前に一〇%から二〇%に引き上げておりますからね。前は上げたんですよ、あのときは間違いなく。あのときは一〇%だったんですからね。一〇%から二〇%に引き上げましたから、あのとき。そこのところだけは間違えないで覚えておいていただきたいところですよ。

 だから、そういった意味で、それを更にいつ上げるか、上げた途端に、投資やら何やらの面からいくと、かなりのもの、はねが出ますからね。そういった意味では、私どもとしては十分に考えておかないかぬところなので、少なくとも、今、預貯金総額が約九百兆とか、現金で、薄気味悪い金額が積み上がっておるわけですから、個人金融資産として。その分がどれぐらい、いわゆるそういったものに回っていくかというのをきちんとある程度捕捉しておかないと、考えておかないかぬという面もあろうかと思っております。

海江田委員 ありがとうございました。

田中委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの櫻井周です。早速質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 今回は大臣所信に対する質疑ということで、質問をまずさせていただきます。

 この大臣所信、何を表明されたかという点も重要でございますが、何を言わなかったかという点も同様に重要かと思っております。

 これまで、麻生大臣の大臣所信の中では、デフレというのをずっと言ってきた。安倍総理も、ことしの通常国会までは、本会議での所信でこのデフレということについて言及をしてきた。ところが、この秋の臨時国会からは、安倍総理も麻生大臣も、デフレというふうな言葉を使わなかったわけでございます。一言もデフレと言わなかった。

 これは、麻生大臣、安倍内閣としてはもうデフレ脱却というのは諦めちゃった、こういうことなんでしょうか。

麻生国務大臣 所信的挨拶ということの中で、景気は緩やかな回復が続いているとの大前提を、認識を示させていただいた上で、いわゆる経済再生と財政健全化を着実に取り組んでいくということを表明しているところなんでして、引き続きデフレ脱却とか経済再生というものに対して取り組む方針は、これは変わりがないと思っております。

 安倍内閣が、政権交代後、あのとき、三本の矢という取組によって、いわゆるデフレ、正確には、資産のデフレーションによる不況というのが正確な表現だと思いますが、この中で、今の一連の取組によって、少なくとも資産のデフレーションによる不況という状況ではないということになったことは確かだと思いますね。

 そういった意味では、名目GDPやらを見ましても、間違いなく物価はもう上昇いたしておりますので、そういった意味では、私どもとしては今後とも、デフレ脱却というのは、デフレというので、有権者若しくは国民で物が上がらないと怒っている人を多分聞かれたことはないと思うんですよね。物価が上がらないじゃないかといって文句を言ってきた人は多分、先生のところに一人もおられないと思いますよ。デフレじゃないとなったらもうちょっと上がってほしいなというのは財務省ぐらいのもので、なかなかそうは普通は言わぬものですよ。

 私はそうだと思っていますけれども、しかし、現実問題として、財政再建等々を考えるときには、この資産というか、デフレーションというものは大きな問題でありますので、インフレでも不況があるように、デフレでも好況があるということは十分にあり得るというのは、もう一九一〇年代を見ればはっきりしておりますから。

 そういった意味では、力強い成長というものをしていくためには、私どもとしては、この三本の矢の中に入っておりますデフレ脱却というのは引き続き考えておかねばならぬ大事なところだと思っております。

櫻井委員 このデフレの問題については、四月のこの財務金融委員会で私も質問をさせていただいております。そのときも、大臣、今おっしゃられたように、デフレではないという状況をつくり出すことはできた、このように答弁をされております。

 一方で、四月の時点でございますが、参議院の決算委員会において、自民党議員の質問に対して黒田総裁は、デフレ脱却に向けて最大限の努力を継続してまいりたい、こういうふうに答弁もされております。

 デフレではないという状況、これは物価が上昇に転じたという意味においてそのとおりでございますが、他方で、日銀総裁がこういうふうに言っておられるところは、すなわち、デフレでは今ないけれども、デフレに逆戻りするリスクがまだあるようなそういう弱々しい状況だ、デフレにはなりそうもない力強い状況に持っていきたい、こういう意味なんだろうというふうに理解をしております。

 日本銀行の方では、物価目標二%というふうにずっと掲げて、はやもう六年というような状況でございますが、いまだそこに遠く及んでいないという状況でございますから、努力を継続してもらわなきゃいけない、こういうことだと思います。

 ただ、実体経済、もう少し見てみますとどうかといいますと、やはり、厚生労働省が発表しております毎月勤労統計、これはことし大変話題になった統計でございますが、八月の結果を見ますと、名目賃金で二カ月連続で減少、名目でも二カ月連続減少。実質の方を見ますと、実質賃金は八カ月連続のマイナスということですから、これは家計の所得が減っているということ。まさに、家計がだんだんだんだん厳しくなっている、これこそがデフレの根本的原因ではないのか、このように考えるわけでございます。

 また、内閣府が発表している八月の景気動向指数、これも悪化ということ、すなわち、一致指数で前月から〇・四ポイント下降、三カ月後方移動平均は三カ月連続で下降しているということです。月例経済報告では、緩やかに回復しているというふうに言っておりますけれども、この景気動向指数は数値によって機械的にやるということですから、安倍政権で横行しているそんたくが入り込む余地が比較的少ないのかなというふうに考えますと、月例経済報告よりも景気動向指数の方が我々から見るとまだ信頼できる、このようにも考えるわけでございます。

 そういった状況を見ますと、先ほど海江田委員からも質問ありましたけれども、消費税率引上げを延期した二〇一五年十月、それから二〇一七年四月よりも今は状況が悪くなっているんじゃないのか、こういうふうにも考えるわけです。

 大臣は、景気は緩やかな回復を続けております、こういうふうに所信で述べておられますけれども、現状はもっと厳しいんじゃないのか、また、過去二回消費税率を延期したタイミングよりも悪くなっているんじゃないかというふうに考えるんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 今言われた雇用とか所得の環境等々につきましては、毎月勤労統計だけじゃなくて、我々としては、春闘の結果とか、また雇用者数の伸びとか、また総雇用者所得の動向等々、総合的に勘案すれば、現時点において着実に改善しているというのは、これはもう間違いないんじゃないですかね。

 そうした中で、景気についても、これは中国の経済の減速等々ありますし、韓国もかなり厳しいことになってきているように見ますけれども、雇用・所得環境の改善とか、いわゆる企業収益の水準も極めて高いと思いますので、内需を支えているというもの、いわゆるそういったファンダメンタルズというものはしっかりしているように思いますので、緩やかに回復しているという認識には、変わっていないと考えているんですが。

 いずれにしても、景気動向指数というものも例に引かれましたけれども、これは毎月の生産や雇用などに関する経済指標を統合したものですから、指数の動向から、あらかじめ決められた表現に機械的に当てはめるというところ、悪化しているとなったものだと思っております。

 これは別に、私どもとしては、その上で判断をどうするかということだと思いますが、今のところ、景気判断として、個人消費とかいうのはそんなおかしなわけではありませんし、設備投資等々もそうですし、輸出入の動向とか、いわゆる企業の業績等々、景況感等々、これを総合的に勘案して決めているんですけれども、足元の経済等々については、先ほど申し上げましたとおり、緩やかに回復しているという判断には、変わっていないというところであります。

櫻井委員 そうしましたら、ちょっと別な角度からもうちょっと質問させていただきます。

 デフレ対策、デフレ脱却ということでいろいろお取組もしている。本当は、日銀の黒田総裁にも来ていただいて質問させていただきたいと思っていたんですが、きょうは用事があって来れないということですので、またの機会にさせていただきますが、デフレ対策ということで異次元の金融緩和をやっている。一方で、余りにも低過ぎるというか、マイナス金利というふうになってくると、いろいろなところで副作用が出てきているのではないのか、こういう問題もあるわけです。

 超低金利によって、金融機関が貸出しの際に十分な利ざやを確保できない、こういう問題も出てきています。融資残高をふやして収益を確保しようとしている、そういう動きもございますが、その結果として、リスクが高い貸出先への融資がふえる、信用コストが上がっているということもあります。

 これまでの経済学では、金利が低ければ、借り手が喜んで資金を借りるので、市中にお金が回って経済が活性化するんだ、そんなふうにも考えられておりましたが、最近、デフレというか、超低金利が続く中で、どうもそういうわけにもいかないぞ、こういう新たな学説も出てきております。金融が、低くなり過ぎれば、貸し手である金融機関の財務基盤が脆弱になって、金融仲介機能が損なわれて、経済が停滞する、そういう要因もあるんじゃないのか、こういう議論もございます。

 異次元の金融緩和が続く中で、マイナス金利の弊害、これも大きくなってきている、特に地方の金融機関は厳しい状況に追い込まれているというふうにも考えるんですが、大臣、どのように認識されていますか。

麻生国務大臣 今言われた全体として、櫻井先生、金があっても人が金を借りに来ないという前提で書かれた経済学の本を一冊でも読まれたことがありますか。ないと思うんですね。だって、発行していないと思いますよ。今、そういう状態、今までなかったことが起きているんだから。金があっても人が金を借りに来ないんですよ、今、金利を幾ら安くしても。という時代になっているので、私は残念ながら読んだことがないのであれなんですけれども、私どもとしては、やはりそういった状況になってきますので、低金利というものは非常にはっきりしてきたように思うんですけれども。

 低金利の環境等の継続というのは、今の経済、金融状況においては世界的に同じような方向になっておりますので、日本だけが高金利というわけには、とてもじゃないがいくはずもありませんけれども、日本の場合、もう一個、やはり人口減少、特に地域における人口減少という問題は非常に大きなところなので、少なくとも、地方の金融機関というのは、そういった点が地域によっていろいろ差が出てきていることは確かだと思っておりますが。

 ただ、銀行自身の内容を見ましても、自己資本比率というのは、地方では四%に決まっているのかな、あれはたしか、だと思いますが、今は平均で九・何%ぐらいあると思いますね、実際問題として。それから、でかい銀行でも八%までの自己資本比率が最低決められていると思いますが、これも一三ぐらいあると思いますので。

 そういった意味では、日本の金融システムとしては総体的に安定しているというのはまず大前提だと思います。

 その上で、地域金融機関が、現在の経営環境のもとでは、今までのように、待っていたら人が金を借りに来るという時代ではありませんから、そういった意味では、どんなことをしているんですか、地域金融機関というのは。自分たちで営業していますかね、金を借りてくれといって。しているという銀行、すごく銀行によって差があるように見受けられます。そういった意味では、適切なアドバイスをするとか、今、事業承継の話が出れば、事業承継に関してのアドバイスをする、ファイナンスする等々、いろんなことをやっておられるという銀行とそうじゃないのと随分差があるような感じがしますけれども。

 いずれにしても、地域銀行としては、いわゆるビジネスの持続が可能になるようないろんなビジネスモデルを、これは我々が言うんじゃなくて、経営者の話ですから、自分たちできちんとそういったものを考えてやっていかないかぬということで、その上で、いろんな御意見、ファイナンスに対してのいろいろお話等々があれば我々としても対応できるということなんですけれども、我々からこれやれと言うのは、それはいかがなものかという感じがいたしますので、今言われたようなことを考えて、時代に合ったことをやはりやっていかないかぬということ、時代に合ったことと加えて地域に合ったことをやっていっていただかねばいかぬのではないかと思っております。

櫻井委員 大臣から今るる答弁いただきましたけれども、お話を聞いていますと、寒風吹きすさぶ外に放り出しておいて、それで頑張れと言って、いや、でも、それはさすがに、そんなことを言われても酷じゃないですかというのが私の印象でございます。

 これは金融庁がつくっている報告書なんですが、金融庁が金融仲介の改善に向けた検討会議というのをやっていて、この中で「地域金融の課題と競争のあり方」という報告書を出しております。

 この中では、地域銀行は、貸出利ざやの縮小を貸出残高の増加で補おうとしているものの、資金利益は継続的に減少している、こうした状況下で、本業、貸出しと手数料ビジネスの利益は悪化を続けており、これは二〇一六年度決算というちょっと前の数字でございますが、このときでも、地域銀行、百六行あるうちの過半数の五十四行が本業赤字となっている、今後においても、比較的金利の高い既存貸出しや保有有価証券の返済、償還が続くことに加え、企業数や人口の減少など構造的な要因による貸出需要の減少も進むものと考えられ、これらは地域金融機関の収益を本業と本業以外の両面で更に悪化させる要因となる、このような報告書が出ているわけです。これは金融庁の報告書ですからね。

 金融庁、実は、ことしは二千万円の年金問題とかいうような報告書も出て非常に話題になりましたけれども、よくよく見ますと、現実を率直に指摘した報告書も出しているわけです。ぜひ、こういう厳しい状況というのも、大臣、把握をしていただいて対応いただきたいなというふうに思うところです。

 一方で大手の方を見ますと、ではどういう状況にあるのかというふうに見ていきますと、大手の金融機関は海外の方に打っていけるということですけれども、資金運用に困って、海外でのハイリスクの債券に手を出しているのではないのか、こんなふうにも見られるわけでございます。

 世界の状況を見ますと、国際通貨基金、IMFは、十月十六日のグローバル・ファイナンシャル・スタビリティー・レポート、世界金融安定報告書では、低金利が続く中でリターンを求める動きにより、世界的にリスク資産の水準が増しており、金融状況が突如、急速に調整される可能性が高まった、こういうふうにも指摘をしています。

 日本の大手の、資産規模の大きい金融機関、農林中金であるとかゆうちょ、メガバンクが、欧米の金融機関を大幅に上回る伸びでCLO、ローン担保証券の投資を拡大している、総額はもう十二兆円に達しているのではないのか、このようにも言われております。

 CLOは、仕組み、構造としてはサブプライムローンと似たようなところがございます。景気が悪化するとリスクが顕在化するのではないのか、このようにも懸念されておりますし、流動性が高いようで実は低いという指摘もあったりします。

 十年前、十年ちょっと前になります、リーマン・ショックがあったとき、このとき麻生大臣は総理大臣でいらっしゃいました。日本も大変ダメージを受けた。それこそ、日比谷公園には、仕事とそれから住む場所を同時に失ってしまった方々が年越し派遣村というような形で大勢集まった、こんな大変ひどい状況がございました。

 ただ、それでも、欧米諸国に比べて、日本の経済的ダメージは比較をすれば浅かったのではないのかというふうにも言われておりますが、それは、そのとき、日本の金融機関がある種、周回おくれで、サブプライムローンに余り手を出していなかった。

 ところが、今回は、このCLOについてはそうとも言えないような状況になってしまっているんじゃないのか、次にリーマン・ショックのような大きな危機が来たときに、日本はもろにダメージを受けてしまうんじゃないのか、こんなふうに懸念をするところでございます。

 そこで、大臣にお伺いをしたいんですが、この異次元の金融緩和の副作用として、大手の金融機関がCLOなどの高リスクの債券を増加させているのではないのか、こういう問題に対してどのように対処を考えておられるのか。既に日本銀行と金融庁で共同していろんな調査をやっているというふうにも、検査をやっているというふうにも聞いておりますが、大臣の御所見をお聞かせください。

麻生国務大臣 これは先ほども申し上げましたけれども、自己資本比率というものは、あの時代と比べては比べ物にならないぐらい高いのは御存じですよね、リーマン・ショックが起きたあのころに比べれば。今、大手の自己資本比率は、八%よりはるかに超えて、今、高いのはもう一四%に近いんじゃないでしょうか。

 そういったぐらいに高いことになっていますので、そういった意味では、今、いわゆる危機があったらどうというのは、たらればの話になりますので、仮定の質問のきわみですからお答えのしようがないんですが、そういった意味では、私どもとしては、今の段階で大手銀行が極端な状況に陥るというようなことは少々考えにくいのが一つ。

 それから、リーマン・ブラザーズのバンクラプシーが、破綻が起きましたときには、あのころは間違いなく、アメリカの貸し付けておりましたそういった額の桁がすごく違いますし、そういった意味では、サブプライムローンというかなり怪しげなものを皆あれだけまとめて、まぶしてバスケットに入れて売ったわけでしょう、あのときは。

 そういった状況とは今は大分違っておりますので、そのときと比べて今はと言われても、少々、あのときの経験が、まだ十年前の話ですので、痛い思いを皆それぞれされましたので、私どもとしては、それなりに大手行等々は注意をして経営とか運営とか資金運用というのをしておられる、私どもはそう思っておりますのですが、今言われたようなところも十分に配慮してやっていかな、きちんとした対応をできるようにしておけるようにあらかじめ考えておかねばならぬということだとは思っております。

櫻井委員 いずれにしましても、地域の金融機関、それから大手の金融機関いずれにしても、超低金利によるいろんな副作用に苦しんでいる部分もあるのではないのか。そもそも、デフレ脱却といったときには、例えば、経済格差を是正していくとか、地域、それこそ地方創生、こういったものをしっかり進めていくというところが本筋ではないのかというふうに考えるわけでございます。

 そういう意味で、今、日銀頼みといいますか、金融政策頼みのこのデフレ脱却では到底不十分だといいますか、むしろ逆効果も出てくるんじゃないのかということを御指摘をさせていただいた上で、少しデフレ脱却について、今の政府の課題について申し上げます。

 例えば、地域格差であるとか経済格差を是正していく、これは大変重要なデフレ脱却のための方向性だと思うんですが、これは文部科学省がちょうど延期を決めましたけれども、例えば、経済へのインパクトとしては小さいかもしれませんが、民間の英語試験を導入する、そうすると、貧困家庭、経済的になかなか恵まれていない御家庭は不利になるわけですね。また、地方の方、田舎の方に行くと、交通機関とか試験会場もないから大変だというので、こういう地域間格差を拡大する、教育格差を拡大していく、こういうことが積もり積もってデフレ脱却に届いていないのではないのか。また、年金の問題についても、在職老齢年金の見直し、こういうことで、高所得の人は収入はふえるけれども、その他大勢の庶民の年金はちょっとずつ減っていくことになるんじゃないのか、こういうようなことで経済格差が広がっていく。

 こういう、せっかくデフレ脱却を頑張っているんだといっても、その効果を相殺するようなことをあっちこっちで細々とやっているからいつまでたってもデフレ脱却できないのではないのか、このようにも考えるわけですけれども、ちょっと時間がないので、私の意見を申し上げて、次のテーマに移らせていただきます。

 次に、先月から消費税率引上げ、また軽減税率も同時に導入されました。海江田委員からも既に質問があったところでございますが、イートイン脱税なんという言葉も言われるような状況になってきております。

 すなわち、コンビニエンスストアやスーパーなど店内で食べられる飲食スペース、こういうところがある。これについて、国税庁の公式のウエブサイトを見ますと、「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」では、「「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」等の掲示をして意思確認を行うなど、営業の実態に応じた方法で意思確認を行うこととして差し支えありません。」こういうふうになっております。すなわち、実際にレジの店員の方がお客さんお一人お一人に確認しなくてもいいですよと。これは現場の混乱を避けるためには必要な措置だというふうに思います。しかしながら、実態としてどうかというと、一々確認しない、ということは、お客さんの方もちゃんと申し出ていないんじゃないのか。

 実際、私がコンビニでちょっと買って、これは店内で食べますと申し出たら、一瞬店員さんが驚いて、えっ、どういう意味という顔をされて、ああそうか、これは八%じゃなくて一〇%、そういう意味かといってレジでやってくださったわけですけれども、そういう状況を見ていますと、なかなか、実際には申し出ている人は非常に少ないのではないのか。

 そうすると、実際にスーパーなんかで見ると、イートインスペースが繁盛している。他方で、税収、納税のときに見てみると、八%ばかりで飲食の一〇%というのは非常に少ないじゃないかということになると、やはりイートイン脱税が起きているんじゃないか。後になって国税が、イートイン脱税が横行している、けしからぬというようなことを言われると、話が違うということになってしまうんですね。

 一方で、では現場の混乱を抑えるためにといってそういうのを放置しておくと、今度はやはり正直に言った人がばかを見る、こういうことにもなりかねません。正直者がばかを見るような、こんなモラルが崩壊した社会、私たちは目指すべきではございません。

 どっちに転んでもなかなか難しいところなんですけれども、麻生大臣、軽減税率、特にイートインスペースの利用の問題についてどのようにお考えですか。

麻生国務大臣 軽減税率を初めて日本で導入をしたことでいろいろ御批判、御意見等々ありますけれども、私どもがこの一月間で見た話では、今のようなお話が主流というような感じはいたしておりません。

 ただ、いわゆる軽減税率というのは、これはヨーロッパでももっと何段階もありますので、そういったところでもきちんと計算ができて、機械を使わず普通に計算してやっておられるところも多いように思いますので、これが特に混乱をしていくようなことが更に助長されていくかとか脱税がどうのこうのというような話になっていくかというのは、ちょっと私ども、今の一カ月の段階では何とも申し上げられませんけれども、少なくとも、これまでに周知、広報等々、広報を通じて周知させるとかいろいろな努力をしてきたところなので、何万回となくいろいろなところでやらせていただきましたし、いろいろな意味で、この話は結構、私どもが想像していて、もっと混乱するかのごとき話がよく書かれていました割には、そういったことが余り出ていないのではないのかなという感懐がしております。

 レジの導入等々、少々おくれたとかいろいろなところはあったとは思いますけれども、それは次第に解消しておりますし、広報の回数も八万回を超えておりますので、きめ細かな対応を行ってきた結果が今日の結果なんだと思っておりますので、私どもとしては、今おっしゃったように、引き続き広報等々は丁寧にやっていかねばいかぬところだと思っております。

櫻井委員 ちょっと今の御答弁ですと、私の問題意識、一方で、きちっとやろうとすると、すなわち、正直にイートインスペースを利用するときには一〇%ですよということを徹底しようとすると、正直者がばかを見ないような制度にしようとすると混乱するし、じゃ、混乱を避けようとすると正直者がばかを見るようなことになってしまうし、どっちに行ったって問題があるじゃないですか、そもそも軽減税率という制度がおかしいんじゃないんですか、こういう質問に対して御答弁いただけなかったので、ちょっと残念ではございますけれども。

 そもそも私は、先ほど、この軽減税率の導入の趣旨、海江田委員からもお話ありました、貧困対策、逆進性対策という観点からすると、税額控除なり別な方法の方がはるかに効率的だというふうにも考えますので、これは反対をしている、今後も反対をしていくというところでございます。

 最後の質問になりますけれども、今回の消費税税率引上げ、軽減税率、これは、キャッシュレスのポイント還元とかいろいろなことがくっついてきたわけで、これまでの、三%から五%に引き上げ、五%から八%に引き上げたという、税率が上がったという以上のいろいろな手間暇がかかっているわけでございます。

 実際、キャッシュレスのポイント還元に関しては、衆議院の本会議でもありましたとおり、十月一日のスタートに間に合わない、そういった事例も出てきている、期日どおりに申請をしたのに間に合わなかった、そういうことも生じています。

 そもそも、こうした準備が間に合わなかった理由の一つに、過去に二回、二〇一五年と二〇一七年に引き上げると言って結局延期をした、だから今回も参議院選挙のときにまた引上げ延期と言うんじゃないのかというふうに、世の中の人、思っている人たちも少なからずいて、だから準備しなくてもいいやみたいな、こうしたオオカミ少年的なような状況に陥ってしまっていたのではないのか、政治の信頼が損なわれたことが準備の遅延を招いたのではないのか、こんなふうにも考えるんですが、最後、大臣、この点についても御意見を下さい。

麻生国務大臣 いろいろなところで間に合わなかったというところで、それが大勢かと言われれば、極めて限られた数だったと思いますね。何店ぐらい御存じですか、そういうところを。私どもで知っているところでそんなに数はたくさん上がってきていないというように理解をしておりますので、そういった意味では、私どもとしては、この種の機械が導入できなかったという数の絶対量は余り、私どもはもう少しえらいことになるのかと思っておりましたけれども、その点は限られておったような感じがしますので。

 いずれにしても、こういったような形で新しい制度を入れれば、いろいろなものがすんなり、すっと最初からいかないのはよくあることだと思っておりますので、引き続き、こういったものに対しては、周知させていくために広報等々を引き続きやっていかねばならぬと思っております。

櫻井委員 もう終わりの時間になりましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立国社の森田と申します。よろしくお願いいたします。

 三十五分間の質問をいただいておりますので、早速質問に入らせていただきます。私からは地域の金融機関についてお尋ねをさせていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、台風十九号の関連でございますけれども、私、埼玉県の熊谷というところに住んでおりますけれども、私が住んでいるところそのものはそれほど、直接の被害という意味では、数軒の床上、床下浸水があったというところでございました。

 ただ、近隣というところで見ますと、非常に大きな被害が出たところもございまして、南に行きますと東松山市という市がございますが、こちらは先日、菅官房長官あるいは国交大臣もお訪ねをいただいたというところでございまして、象徴的な被害が、ピオニウォークというショッピングモールが、まだこれは新しい施設なんですけれども、一階が浸水をしてしまって、商品なんかはみんな水につかってしまったということでございまして、近隣の地域を含めた浸水の被害が大変大きなものがございました。どうもそのショッピングモールも年内には業務の再開が難しい、そんなようなお話も伺っているところでございます。

 近くでもございますので、そういった大きなところだけではなく、被災した地域の中にはやはり中小企業もございまして、また、そこには、私なんかのところも、熊谷の青年会議所なんかのメンバーも同じ中小企業だからということで、もちろん個人のお宅も含めてですけれども、そういった復旧の応援に入っている、そういうこともございます。

 また、北に目を向けてみますと、熊谷の北には利根川がございまして、利根川そのものの氾濫というのはなかったんですけれども、そこに流れ込んでくる県管理の河川に被害が出たということで、もともと熊谷にお住まいあるいは熊谷に農地をお持ちの方が、自宅だとか、六次産業化をするということで、自分のつくったところの商品を売るという店舗をこの九月にオープンさせたばかりのそういった農家さん、法人化をしてやっている農家さんなんかもいらっしゃって、きのうお訪ねをしてきたんですけれども、まだまだ業務再開には至っていない、かなりまだまだやるべきことがあるというような状況でございます。

 そこで、こういったいろいろな難しい状況というのが各地、かなり広域な範囲で発生をしていると思っております。こういった被害を受けた事業者等に対して取引を持っている地域の金融機関に対して、どのように支援をしてもらいたいかという期待を持っていらっしゃるかということについて、まず大臣から御答弁をお願いできればと思います。

麻生国務大臣 これは一都十三県になったと思いますけれども、埼玉県含めまして、台風によって被害に遭われた、被災された被害者の方々に心よりお見舞いを申し上げるところです。

 我々としては、日本銀行と連名をさせていただいて、預金の払出し、正確にはいわゆる払戻しですが、払戻しに当たっての柔軟な取扱い、それから資金のニーズを踏まえた融資の迅速化、それから貸出金の返済猶予の対応等々、これは被災者の便宜に配慮した措置を講ずるように要請をさせていただいたところです。

 被災地の金融機関におきましても、こうした要請を踏まえて、その場所において特別相談窓口を設置、それから災害復旧支援融資制度というものを措置するなどして、被災者支援に取り組んでいるというように私ども承知をいたしております。これは、埼玉の中でも埼玉りそなとか武蔵野銀行とかいろいろあるんですけれども、そういったところで、いずれもそういった窓口の設置を公表されておられるので、きちんとそういった対応が少しずつでき上がっていると思っております。

 住宅ローン等の返済が困難になっている被災者、これは二重ローンとかいろいろありますので、自然災害被災者債務整理ガイドラインによりまして、債務免除等々の支援というのを積極的に、これは知らない人がいらっしゃいますので、そういったものを周知させるとともに、金融機関に対して、そういった相談に応じるようにも銀行側に要請をしているところです。

 加えて、一都十三県の被災地に対して金融庁の職員を派遣して、被災者のニーズ等々を把握するように努めているところであります。

 いずれにいたしましても、復興に向けた金融機関の取組というのを引き続き促してまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 東日本大震災のときにも、まとめていただいた資料を見た記憶がありますけれども、五万件ぐらい、先ほどお話にも出ていましたけれども、返済の猶予であったりあるいは契約内容の組みかえ、元本返済をちょっと一時期やめて利子だけに支払いをするとか、あるいは返済期間を延長したりということも含めてだと思いますが、五万件ぐらい、あるいは額にすると三兆円の規模の契約の変更をしていただいた、そういうこともあったようでございます。

 ぜひ、今回の広域な災害に対して、政府としても、一層皆様の事業が円滑に立ち上げができるように御支援をお願いできればなというふうに考えております。

 それから、先ほど櫻井委員の方からもお話がありましたけれども、低金利の問題もかなり深刻な問題になっていると認識しておりますが、特に地域の金融機関にとっては、貸出しをしてその利幅で稼いでいくというようなモデルをつくって、基準になっていると思いますので、そういった地域の金融機関にとっては非常に深刻な時期が続いているんだろうなというふうに思っています。

 先ほども御紹介ありましたけれども、地域の銀行の過半数が、いわゆる本業と言われているような貸出しであったりあるいは手数料収入であったり、こういったものについて見ると赤字の状態に陥っている、こういうことがございます。

 私も、何人か地域の金融機関に勤めている同級生がいたので聞いてみたんですけれども、やはり出口が見えない中で、いつまで頑張ればいいんだろうなというのがなかなか今見えないでいるということなんですが、もちろん、いつまでというのは言えないと思うんですが、どのくらいまで耐えればいいのかというあたりは、ぜひ御所見があれば伺えればと思うんですが、いかがでございますか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 地域金融機関をめぐる経営環境につきましては、今おっしゃいました低金利環境の継続ですとかあるいは人口減少などを背景に厳しい状況が続いておると承知しております。

 現時点におきましては、金融機関の資本基盤はおおむね充実しておりまして、日本の金融システムは総体として安定していると考えております。

 低金利環境の継続等による今後の見通しについて予断を持ってお答えすることは非常に難しいわけでございますけれども、地域金融機関におきましては、厳しい経営環境が将来を含め継続していく中であっても、持続可能なビジネスモデルを構築し、将来にわたって収益性、健全性を確保していただく必要があるというふうに考えております。

森田委員 当然のことながら、いつというお答えはいただけないというわけでございますけれども。

 一方で、こういった低金利の環境がずっと続いてくると、むしろ、これから、先ほどお話がありましたように低金利だとか人口減少だとか地域の厳しい状況もあるということで、地域の金融機関の再編につなげていこうという政府の意思もそこにあるのではないかな、そういった見方をする方も出てくると思いますが、こういう意図はあるのかどうなのか、大臣から御答弁いただければありがたいと思います。

麻生国務大臣 これは、日本銀行による金融政策の話なので、政府と一体となってデフレ不況というものからの脱却と継続的、持続的な経済成長というものを実現させないかぬという取組の中で行われているんだと思いますので、その具体的な手法については日本銀行に委ねるべきものなんだと考えておりますけれども。

 その上で申し上げさせていただければ、地域の金融機関、いわゆる、取り巻いております経営環境が難しい、低金利の影響でという話なんだと思いますが、地域の機関のいわゆる財務とか収益というものは、これは金融政策だけ、金利政策だけじゃなくて、いわゆる借り手の企業の資金需要とかその地方における人口の減少とか、さまざまな要因によって起きておりますので、今、地域、約百六行ありますけれども、その地方銀行の内容も地域によってさまざまです。

 また、経営統合というのをよくやって、ちょっとまだ言えぬところですが、できたところでいえば、長崎等々、そういうようなことが既に成りましたけれども、これは、統合しておりますけれども、地域における基盤的サービスというものを維持させていかないかぬということなので。これは一つの選択肢だとは思いますよ、しかし、一つの選択肢だと思いますけれども、そこに従来あった支店は、一つにした場合、片っ方の人は人員整理してもらわないかぬ、そうじゃなきゃ経営効率は上がらぬじゃないかということになると、そこの人の今度は仕事がなくなるという点も考えて対応しないと、まあ、経営者をやっていたのでおわかりだと思いますけれども、そこらのところがなかなか難しいんだと思って、これはあくまでも銀行の自主的な経営判断によってやってもらわぬといかぬところなんだと考えております。

 したがって、お尋ねのように、低金利を持続することによって、金融機関を弱体化させて統廃合を進めようとしているのではないかといったことを御指摘のようですが、私どもはそんなことは全然考えておりませんので、これはあくまでも自主的な判断でしていただかないかぬところだと思っておりますのですが、これも経営者によって、すごく積極的に他行を買収しておられるところもありますものね、今。そういった銀行の経営者の姿勢というのはなかなかなものだ、私どももそう思っておりますので、ぜひ、いろいろな意味で、ここは経営者としての能力がえらく問われるところになってきているかなという感じはしております。

森田委員 ありがとうございます。

 これからまた、少し先でお尋ねをしたいと思いますけれども、やはり、地域の金融機関が地域の企業を支えて、二人三脚で地域を盛り上げていただくということになると思います。

 ということを考えると、同じことを同じようにやればいいということではなくて、やはり金融機関ごとの特色がある経営というのをやっていただいて、うちの金融機関としてはやはりこういう人を応援したいんだ、こういう分野を応援したいんだという特色を持ちながらやっていくというのが、恐らく、これからの大きな役割の一つになってくるのかなと思っておりまして、そういうことを考えますと、今大臣からお話を聞くと、特に何か経営統合しろとかという方向ではないということなので、例えば小さくてもきらりと光るような地域の金融機関にしっかりと存続してもらって、そういうところは独自色を発揮してもらって、地域の経済を大いに盛り上げてもらうということも、ぜひこれから期待したいというふうに思っております。

 それから、やはり金融機関の知人と話をしていて懸念が出てきたところなんですけれども、今、この前のキャッシュレスのポイント還元ではないですが、いろいろな何とかペイ、何とかペイというのが、いろいろな会社が決済に進出をしてきているということもございます。

 私も、地下鉄に乗るときにはSuicaで、PASMOの方もいらっしゃるでしょうし、少額の決済、別に地下鉄に乗るだけじゃなくて、いろいろお店で物を買ったりするときも、Suicaが使えればSuicaを使っちゃうので、余り大きなことは言えないんですけれども、やはり、金融機関に身を置く立場の方からすると、決済がどんどんと自分たちの手から離れていってしまうと。今出てきている話では、何とかペイというところを経由して給与もやりとりができてしまうような時代に入りつつあるということでございますけれども。

 こういったことが出てきますと、特に地域の金融機関から資金がどんどん通らなくなってしまうという懸念を持たれている金融機関関係者も多いと思うんですが、このあたりについて御見解を伺いたいと思います。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、キャッシュレス事業者を通じまして決済をキャッシュレス化した場合におきましては、実際の資金の移動は銀行口座を介して行われることになります。

 例えば、キャッシュレス事業者が利用者から受け入れられた資金は、キャッシュレス事業者の銀行口座に入金されます。また、商品やサービスの取引がなされ、決済が行われた後も、利用者アカウント間のやりとりはあるわけでございますけれども、代金はキャッシュレス事業者の銀行口座にとどまることになります。さらに、キャッシュレス事業者から利用者が資金を引き出す場合におきましても、キャッシュレス事業者の銀行口座から利用者の銀行口座に資金が移るということになります。

 したがいまして、決済をキャッシュレス化した場合におきましても、銀行口座の総預金量が減るわけではなく、キャッシュレス化が預金が流出をするといったおそれには一義的にはつながらないのではないかというふうに考えているところでございます。

森田委員 ありがとうございます。銀行口座を経ないと少額のキャッシュレスの決済もできないということでございます。

 ただ、そういった場合でも私が懸念いたしますのは、少額決済の事業者が、例えば大きな銀行の口座しか使えないような指定をしてくる場合もあるだろうと。小さな、例えば何とか信用金庫、信用組合とかというようなところ、あるいは農協だとかというところを外してというか、便利な銀行にしか決済窓口としての指定ができないような形で、事実上大きな金融機関に誘導するような、そういうことも考えられるのではないかなというふうに思っております。

 これは私企業が行うことですから、なかなか国がどうのということは言えないとは思うんですけれども、ぜひそういったところにも御配慮いただければなというふうに考えております。

 また、キャッシュレスの決済だけではなくて、例えば、他の業種から銀行業というか住宅ローンなどに参入をしてくる、決済だけではなく、そういった融資のところにまで他業種からの流入があるというような、かなり競争が激しくなってきている。こちらからは他業種には出ていけないのに、他業種からはこちらに入ってこられる、こういう状況もあるということでございますので、ぜひ、地域の金融機関が立たされている状況を御認識いただいて、これからも地域機関が存続していけるように配慮をお願いできればなというふうに考えております。

 それで、いろいろと報告書なんかを拝見しておりますと、そういった難しさがある、人口減少があったり先ほどの低金利環境があったりということで難しいながらも、持続可能なビジネスモデルをぜひ地域機関には構築をしていってもらいたいというような、そういう書き方をしてあるところがあるんですが、持続可能なビジネスモデルというのはどういうことを想定しておられるでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 地域金融機関におきましては、将来にわたる健全性を確保し、地域における金融仲介機能を継続的に発揮するため、持続可能なビジネスモデルを構築することが必要であると考えております。

 この持続可能なビジネスモデルは、各金融機関の置かれました環境ですとか、その金融機関の経営理念、経営資源などに応じて異なるものであると考えておりますけれども、地域に基盤を有する地域金融機関におきましては、地域企業の生産性向上を図り、地域経済の発展に貢献することを基本にしつつ、各金融機関において検討、創意工夫を重ねていただくべきものであるというふうに考えております。

 こうした創意工夫を重ねる中で、地域金融機関におかれましては、例えば、融資業務だけではなくて、人材の紹介ですとか取引先の紹介などのコンサルティング業務などに取り組む、あるいはフィンテックなどの技術革新を積極的に取り入れた新たなサービスの提供を行うということなどによりまして、さまざまなお客様のニーズに応えていくという事例も見られているところでございます。

 金融庁におきましては、金融機関の方とよくお話をさせていただいて、この地域金融機関の持続可能なビジネスモデルの構築に向けた取組を支援してまいりたいというふうに考えてございます。

森田委員 ありがとうございます。人材に関するコンサル的な業務であるとか、あるいはフィンテックのお話がございました。

 先ほども申し上げたとおり、いろいろな切り口があって、こういうふうにやりなさいと言うのは、別に、国が確かに言うことではないというふうに考えております。ただ、やはり、いろいろな事業に取り組むに当たっても、地域の金融機関自体に体力があったりあるいはノウハウがあったりしないと、独自の行き方といっても、なかなか取り組めないこともあるんじゃないかなと思っています。

 人材の育成ということに関して大臣にお尋ねをしたいと思っておりますが、これは内閣委員会で質問したときに、REVICのことを取り上げさせていただいたことがあるんですが、こういった、金融機関からREVICに人を派遣して、その間、実例の中で企業と向き合って、いろいろな、事業性の評価を含めた融資のやりとりだとかというのをやっていく。ある一定の期間が終わったら、金融機関にまたその方が戻ってきて、その金融機関の中においても、担保に頼らない融資の形であったりだとか、今事業承継なんかもありますので、担保をとらないとかあるいは個人保証をとらないで融資をしていくような取組をしていく。

 こういった取組というのは、もともとやってくださいと言っているよといえばそれまでだと思うんですけれども、やはり、まだそういう、例えば若手が職員として帰ってきても、上の方の経営陣が、今までずっとやってきたような、担保に頼るとかあるいは個人保証をとっていくとか、こういう頭でいると、事業性評価でやってくださいよと政府が書いていても、そのとおりにはなかなか現場が進んでいかないというようなこともあるのではないかなというふうに思っています。

 ということで、これから、中小の金融機関にとっては人材をどうやって育てていくかということが非常に大切になってくるんだと思いますが、こういった面について大臣からの御所見を伺えればと思います。

麻生国務大臣 個人保証、不動産担保、まあ動産含めまして、そういったものに過度に依存してやる銀行経営というのは多かったんじゃないですかね。だって、それで金をみんな借りに来ていましたから。しかし、今は金利を安くしても金を借りに来ない、先ほどどなたかの質問にそう答えましたけれども。

 今はそういったものが変わってきていますので、やはり、その企業と一緒に伸びていくということを考えると、事業性の評価ということをやらないかぬということなので、この事業とか、やっている経営者の資質、そういったものを見きわめた上で、同じ仕事をやっても、こっちは伸びる、こっちは伸びない、それは見たらわかりますよ、やっていれば。だけれども、そういった意味で、それが見れる、業界用語で言えば目ききというものがどれぐらい熊谷信用金庫で育っているかという話になってくるんだと思うんですね。

 そういった意味で、具体的な手法というのはいろいろあるんだとは思いますけれども、今、REVICの話をちょっと、よく聞かれるようになりましたけれども、これは正確には地域経済活性化支援機構、通称REVICというんですけれども、これは、事業性の評価に関する助言等を行う専門家というのを地域金融機関に派遣をするわけです。

 そういったところで、地域機関の方は、その職員を受け入れて、事業性評価というもののやり方とか、REVICの職員と共同して仕事をし、ああ、こういうぐあいにやるのかというのを勉強していくという取組を通じてノウハウの支援に取り組んでいるんですけれども、これは始まったばかりなんですけれども、そこそこうまくとり始められていて。

 ちょっと固有名詞は言えないけれども、とある信用金庫なんかで、そんなことを今さらやっておるのか、そんなものはさっさとやっておかなきゃ俺たち中小の信用金庫なんか生き残れないんだから当たり前だよそんな話は、何を今ごろやっているんだよと、ある大会で堂々と言い切った人がいたんですけれども、間違いなく貸出資金量が信用金庫では伸びていますものね、あそこは。かつ、そこそこ、貸し出した先で、そんな、倒産も余りありませんし、そういった意味では、ちゃんと目ききなんですよ。

 僕は、その人みたいなやつがそこらじゅうにいればまた全然別なんですけれども、なかなかそうはいきませんから、そういった人たちを育てていかないかぬということだと思いますけれども、ぜひ、そのためには、やはり経験を積ませない限りはどうしてもだめ。

 しかも、その経営者がちゃんとやるかやらないか、同じ条件でもということになりますので、金融として、この金利を、じゃ、今、昔借りた金利で高いから、今度金利を下げてあげますからあれを借りかえてなんという知恵は、それは金融機関としてはできますけれども、それをやった後、ちゃんときちんとして、経理内容がよくなった、財務内容がよくなったからといって黒字になったら、その黒字の分で今度新しく投資をして何とかという別のものに行ってもらわないと、その企業は育ちませんから。

 そういったところまで教えているという経験を、商社の退職した人と組んで稼業をやったりしている人たちというのは、結構、やはりその分はさっさとその経験者に任せてやっておられる。だから、伸びているんですよ、私ども知っているところで。

 そういったものを見ていると、やはり、私どもとして、人の育て方というのがなかなか難しいんでしょうけれども、今までは、そういったような事業性の評価で長いことやっておられた銀行の方が少ないですから、そういった意味では、ある程度頭が、固定概念ができ上がっている人たちをもう一回やわらかくしてというのには、どこか似たようなところを集めてがしゃっと教育するという、このREVICというのは一つの試みかなとは思ってはおります。

森田委員 ありがとうございます。先ほど大臣の方からもありましたけれども、今ごろやっているのかという、確かに、そういうお声も聞いております。

 恐らく、今過渡期なんでしょうけれども、これからそういう人材が金融機関の中で育ってきて、経営者にも今度どんどんそういう方が入ってきて、実体験をした方が経営陣の中に入ってくるということで、恐らくは金融機関のあり方というのも大きく変わっていくところなんだろうなと思っております。

 やはりリスクをとらないと、だから失敗することもあると思うので、そういったところも含めて、どうやって経営陣としてやっていけばいいのかというあたりも、今いろいろなコミュニケーションを金融庁の方と金融機関と密にしてやっていただいているということでございますので、そのあたりについてもぜひいろいろな共有を図っておいていただけるとありがたいなと思います。

 それからあと、いわゆる立入りの検査のことなんですけれども、今、コミュニケーションを密にしていくんだということで、何でも相談に乗りますよ、言ってくださいという方向でいろいろな話をされているということで聞いておりますけれども、やはり、金融機関の側からすると、立入検査、監査に来る人が、ふだんは優しい顔をして、例えて言えば、何か体育の生徒指導の先生みたいな人が、何でも相談しなさいよ、言ってみなさいよと言って、実はこうなんですと言ったら、おまえ、ふざけるなこのやろうといって怒られちゃうとか、そういう、教師、先生という例えが正しいかどうかは別にしても、どっちかというと、検査を受ける立場、監査を受ける立場というのは常に、何か指摘されちゃうのかな、何か指導が入るのかなというふうにびくびくしながら相対しているということが恐らくあるんだろうなと思います。

 ぜひ、この難しさということをどのように捉えているかということで御所見を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来申し上げておりますように、金融機関を取り巻く環境が非常に厳しい中にあって、地域金融機関には持続可能なビジネスモデルをぜひ構築していただきたいというふうに考えておりまして、我々といたしましては、それぞれの金融機関の取組を深く理解するために、対話に努めているところでございます。

 こうした対話につきましては、金融機関と率直に意見交換できるということが重要であると考えておりまして、そのために、例えば、対話におきまして、金融機関が安心して発言、行動できる場の状況とか雰囲気を確保するですとか、また、客観的な事実に基づいて意見交換を行いまして、相手の意見をよく聞き、それに対応するというようなことを実践するというような、基本的なことではありますけれども、そういうことが重要であるというふうに考えております。

 また、金融機関を取り巻く環境が非常に複雑化しておりますので、当局といたしましても、金融機関の経営課題などについて的確に議論を行うことができるように、専門性ですとか知見を高めていく必要があるというふうに考えております。

 金融庁におきましては、こうした対話における創意工夫ですとか、当局としての能力、知見の向上を図りながら、金融機関とできるだけ率直な話ができるように努めてまいりたいというふうに考えてございます。

森田委員 ありがとうございます。

 金融庁の方とお話をしたときに、今、ふだんの相談に乗る方、職員さんと、それからあとは立入検査のときに検査の担当として来る方というのは、顔ぶれが同じということで伺いました。まあ、全部、一〇〇%ということではないんでしょうけれども。

 ただ、やはり、先ほど言ったように、ふだんは優しい人がいきなり怖くなったりするみたいな、まあまあ、そういうことはないのかもしれませんが、監査とふだんの相談が一緒というのだと、構え、相談するレベルも、ちょっとここまでは出せないなとか、そういうさじかげんというのは、どうしても、現場を預かる金融機関の担当の方としてはあるのではないかなというふうに考えております。

 例えば、ふだんの相談に立ち会う方が、検査をする人は別にいて、そのときにもちょっと補佐役でついていただくとか、そういういろいろな人材面での、人材面というか顔ぶれとしての工夫というのは恐らくあるんじゃないかなというふうに思っておりまして、ぜひそういった、ふだんは円滑にやりとりができるような人間関係をつくりつつも検査も行うという非常に難しいところなので、できればそういったすみ分けを図っていただくとか、そういった人材面での工夫をしていただけるといいんじゃないかなというふうに思っております。

 私も、うちの父が農協系の金融機関に勤務しておりましたので、非常に監査の前にはぴりぴりした雰囲気で、こういうでかいファイルを何冊も用意して、きょうかあしたかというので、みんなで確認しながら冷や汗をかきながらやっていたなんという中で、きょうは相談に来たから何でも言ってくださいと言われても、なかなかそういうふうにはならないんじゃないかなというふうに思っております。ぜひいろいろな工夫をしていただければなというふうに思っております。

 時間もございますので、最後の質問にさせていただきたいと思いますが、先ほど、持続可能なビジネスモデルというようなお話がございました。コンサルのような業務があったり、あるいは、場合によっては投資会社に求められるような知見が必要だとかということもあるのかもしれませんが、いずれにしても、金融機関にどういう人がいるのかなというのが、お金を借りる立場からしてみると非常に大事になってくると思っております。

 先ほどの、立入検査の検査項目に、これは義務ではないということですけれども、定期的な配置がえをしなくてはいけない、ずっと同じ職員さんが、あるいは社員さんが同じ取引先とかかわっているといろいろな不正が出てくる温床になるとか、あるいは、休みを一定期間とらなければいけないとか、いろいろ検査の基準があるというふうに思いますけれども、ただ、これは融資をお願いする取引先の立場としてみると、やはり顔が見える金融機関とおつき合いをしていきたいなというのがどうしてもあるだろうと思います。

 私も、私のところは介護の仕事をやっているのであれですけれども、ある銀行さんの担当者の方が、ぜひこういう融資を考えているからこのくらい借りてもらえないだろうか、何か設備投資を考えているんじゃないですかみたいなことを言って、そうか、なるほどそうだな、設備をちょうど入れかえるところだったなみたいなことがあって、お金の借りかえをしたというふうに思ったら、今度、ころっとまた、ころっとというか、定期的にまた担当者が入れかわったら、何か、今までは足しげく、最近どうですかと言って聞きに来てくれていたのがぱたっと聞きに来なくなって、形式的な決算書類を年に一回やりとりをしに来るぐらいはしてくれるにしても、何かあの情熱はどこに行っちゃったんだろうなみたいなそういう状況も、金融機関のどなたが来てくれるかによって、大分借りる立場の者としては変わってきてしまう。

 そういう意味では、やはり、ころころと担当者がかわるよりは、ある一定の、顔が見える、おつき合いができるような形でコミュニケーションを常に図って信頼関係をつくっていかないと、例えば、来たばかりの社員さんに、実は、うち、事業を息子に渡そうと考えているんだけれどもなんて話を急にできるわけはないので、やはり着実に積み重ねてきた人間関係の中でそういういろいろな相談も金融機関に対してできるようになる、こういう環境をつくっていくという土壌を金融機関に許すということも大事な視点じゃないかなというふうに思っています。

 このあたりに対してどうお考えか、大臣に御答弁をお願いできればと思います。

麻生国務大臣 それは何も金融機関に限った話じゃなくて、商売にしたって同じですよ。あいつが来たからやる、あいつが来ないんじゃやらないとか。

 金融機関でいえばどうでしょうね、今、銀行に金を借りに絶対行きたくないという経営者のかなりの部分は、ちょうど貸し剥がしをやったときの課長なんですよ。今、それが大体常務とか一番偉いところになっているでしょう、あれからちょうど十数年たって、二十年近くたっていますのでね。あいつの顔がいる間は絶対あの銀行から金を借りないという経営者を私も何人も知っていますね。やはり嫌なんですよ。銀行側もよく知っていますって、それは。だから、そういった意味では、金を借りてほしいぐらい内容がよくなっちゃっているんだけれども、おまえ、あのときにというのはみんなある。

 だから、そういうものは、これは長くやればいいというものじゃなくて、それはなかなか、運、不運も、その時代時代によって違うことでありますので、なかなかそこのところは、これは森田先生、ちょっとかえたからいいかというとそうでもないし、かわったからやおらやる気になったとかいう人もいるし、これはそれこそ人なので何とも言えませんけれども、これはしかるべき、余り癒着みたいな形にならないようにしながらも、ある程度人間関係をつくっておくというのは、これは銀行の営業としても今後考えていかないかぬ大事な視点なんだと思いますけれども。

 いずれにしても、これは、今までのやつと同じやつが行ったら、受ける側の方の経営者がかわった途端にまたかわりますから、そういった意味では、これは常について回る問題かなとも思いますので、一概には申し上げられないかなと思います。

森田委員 ありがとうございます。

 確かにおっしゃるとおりだと思っております。いずれにしても、人間関係を築こうと思えば築けるような仕組みも、ぜひ金融機関がとれるような形での取組もお願いできればなと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 国民民主党の古本伸一郎でございます。

 立国社共同会派の枠で御質問させていただきます。

 相次ぐ自然災害もしかりでありますけれども、いろいろと予期せぬことが、豚コレラもそうですし、いろいろな問題が起きている中で、国会が停滞することなく主権者の皆さんの期待に応えるということは大変重要なことだと思います。その意味では、先日来のいろいろな、政府側に原因が、起因するものではありますけれども、国会の当委員会の議論が停滞したというのはまことに残念なことでありますし、何か改善の方法がないのかなということを強く思うわけであります。

 実は、今から申し上げることは、過去、平成二十七年三月十一日の当委員会で麻生財務大臣に一度問題提起をしたこともございますし、昨年の二月十三日の衆議院の本会議で税法の登壇の機会をいただき、これは、総理といいますか、官房長官かなと思って菅さんにも御質問したテーマであるんですけれども、やはり野党の議員は大臣とちょうちょうはっしを多分やりたいんだと思います。とりわけ、ああいうスキャンダルだ何だとなると、当然そういうことになります。たしか、内閣の一員を構成されておられる小泉進次郎国務大臣におかれては、もしスキャンダルがあったら、そのスキャンダルをやる別途委員会、小委員会をつくったらどうかという趣旨の発言をされたやに記憶しております。

 当該の大臣が何か事柄があって、法案の審議がとまる、野党も、それをある意味人質にとって、何か委員会をとめる。この、いわば国会の、かつて中選挙区時代の、言うならば自社の時代の、あえて言うならばそういう役回りの延長を今日的な小選挙区の時代になっても続けるのかどうかという問題提起であります。それぞれの先生方は、生き死ににかかわる、一票でも負ければ惜敗です。そういう選挙の制度の中で、本当にそんな役割分担を今後とも続けていいのかどうかであります。

 実は、昨年、個人的にフランスへ行きまして、少子化対策、フランスの奇跡というのを一度勉強してみようと思って、子供家族局ですかの関係の皆さんと意見交換してまいったんですけれども、驚きましたね。

 フランスは戦後、実は、女の人は家で子育てをしておくものだ的な、どこかの国の、どこかの昭和の時代のような発想だったそうです。それを、あのフランスの母と呼ばれるシモーヌ・ベイユさんですか、亡くなられた、厚生相の時代に、女の人が社会に出て働かなくなってしまうので、むしろ子供を産まないという悪循環に陥っているんじゃないかと。つまり、女の人が社会に出た方が出生率が上がるんじゃないかという逆説に立ち、小さなお子さんを抱えた女の人が働きながら更に第二子、第三子をもうけるにはどうしたらいいかということで、何と四歳までは基本的にベビーシッターは無償だというふうに聞いて、所得制限はありますけれども、目からうろこが落ちた思いであります。

 十年前、私どもが高等学校の無償化を提案したときには、大変、当時の野党、自民党の皆様はばらまき何とかと言ってやゆしていただいたことが懐かしく思えますけれども、十年の歳月を経て、何と先月一日から幼稚園、保育園の基本料金無償化が始まっています。隔世の感がありますと同時に、十年前言ったことは正しかったんだなと今思いますね。

 その意味で、大臣、こういう、大臣とやりとりするという意味では、通告があるとかないとかということで延々に予算委員会でもやっていますよね。私は、政治家として、大きなテーマであるならば、大体、質問者もめちゃくちゃなことを聞かない限り、お互いバッジ同士の議論があっていいんじゃないか、もちろん政府の立場ですけれども。

 それでいうと、これから十年先の我が国がこうなるだろうという想定の中で今まさに国会で私たちが議論するとしたら、ああ、あのとき、十年前にこういうことを決めて正しかったなと振り返ることができるテーマがあるとするならば、大臣はどんなテーマを展望されますか。

 十年前、私たちは、いろいろ御批判いただきましたけれども、コンクリートから人への投資というふうに申し上げました。あれは象徴的なことであったんですけれども、随分誤解もいただきましたけれども、今思えば、思い切った、予算の使い方を変えるという意味では、大変、一定の意味があったし、目指す社会の一端を示せたのではなかろうかと振り返るんですね。

 そういう意味で、これから十年先の社会を展望すると、何が我が国の国家的なテーマになるかということを、まず、大臣に御所見を賜りたいと思います。

麻生国務大臣 今、日本のコクタイ、コクタイというのは国の体質、国会対策じゃなくて、国体として、やはり基本的に、たまたま令和という時期と重なったこともありますけれども、天皇制の問題とか、また、日本の中で、いろいろな大きな問題の中で長期的に避けて通れないのは少子高齢化、これは、人口推計はほぼ当たりますから、そういったような意味では、よほどのことをしない限りは、これはそういうことになるわけです。

 こういったような問題は、これは超長期的には断固対応しておかないといかぬ大きな問題なんだと思いますので、こういった点は、きちっとした国のあるべき姿というものは頭に置いて、腹におさめて、きっちり覚悟を持って、為政者としては事に当たっていただかねばならぬところだと思っております。

 加えて、今の時代というのは、非常に世の中が狭いというか、地球全体が大きさが変わったわけではありませんけれども、人口移動等々が非常に速くなっておりますので狭くなったという表現をよく外国人は使うんですけれども、そういった意味では、日本が国際化されている中にあって、日本の地位が、この六年を見ましても飛躍的に高くなってきておりますので、その中でどう対応していくかというようなことも含めて、日本として考えておかねばならぬことはいろいろあろうかと思いますけれども。

 今申し上げたような、国のあるべき姿、国柄、いろいろな表現がございますけれども、そういったものと少子高齢化の話と国際化の中にあって、日本のあるべき、国家としての存在するべき位置等々については、これは、長期的には、国政を預かる者として常に考えておかねばならぬ大事な問題ではないかなと。

 今、即言われましたので、今思いつく、この段階で申し上げられるのは、その三つは常に考えておかねばならないことだと思っております。

古本委員 ありがとうございます。

 グローバルな話、対応の話と、内政に関しては少子高齢化、これは全く見解を同じくするわけであります。

 さて、当委員会は歳入委員会、つまり、税制を議論する委員会であります。我が国は、結婚した女の人だけ配偶者控除があります。結婚した女の人だけ三号被保険者で、御主人の年金、入りますね。これはもう古くて新しい、新しくて古い議論を繰り返しているんですけれども、では、当委員会で、マル配控除の廃止、是か非かについて十分な議論がされたという記憶は近年ありませんね。

 そこで、主税局長。

 例えば、ではこの配偶者控除の中身を議論しようって、今からもう何時間でもできますよ、不肖私、今、国民民主党の税制調査会長を担っておりますので。でも、先生方もそうはいかない、大臣もそうはいかない。だとすると、大臣が、今少子高齢化が十年先を展望して我が国の内政の大変大きなテーマである、政治はそこから逃げてはいけないという御趣旨があったら、これはもう大方針は決まっていますよね、野党でそれに反対する人は誰もいませんから。

 だとすると、実は、当委員会の下に税制の小委員会を設けて、どうすれば配偶者控除という問題に向き合えるかということを別途、その小委員会は、きょうは副大臣、政務官もいらっしゃっていますけれども、政務三役はジュニアが出席すればいいと思います、バッジ答弁が必要ならば。政務官が出席です。それで、政府答弁は担当課長以下が答弁したらどうか。

 いつの間にか国会の取決めで局長以上ということになっていますけれども、実際、矢野さんに、きょうの答弁も、何十枚という答弁書が、朝のレクがあったと思うんですけれども、これが担当課長以下の答弁でいいと言われたら、どれだけ担当者も、朝の四時、五時から局長への御進講をせずに済むか。矢野さんが若かりしころ、多分そうしたわけですよね。これはもう昭和のやり方ですよ。これを今後とも続けるかどうかなんです。

 当委員会に税の小委員会を設け、それで人数も絞り込んで、当然に野党も各会派から何人か出席して、本当に少子化に対応するために、税のあり方ということでいうと、結婚した女の人でなければ減税がもらえない。今、六十歳定年を迎える段階で、生涯未婚で定年を迎える男性が大変ふえています。つまり、出会いの機会がなかったりいろいろなことだと思うんですけれども。結婚が前提となっている限り、出生率が上がらないですね、出産に関して。フランスは、百人生まれたら六十人が未婚の母だと伺いました。

 財務省のそういう精鋭の若手官僚たちが、あふれるアイデアで、何か国会答弁ばかり書くんじゃなくて、しかも深夜の残業をしてですね、どうしたら出生率が上向くことができるかということを、税は社会をつくりますからね、税制でもって誘導する社会をこうしてつくりたいという提案がもし矢野さんのところにどんどん来ているのであれば、小委員会でやりませんか。これまでの若いころのいろいろな苦労も振り返りながら、御所見を求めます。

麻生国務大臣 これは、主税局長ごときがと言うとまたいろいろ言われるかもしれませんが、主税局長でちょっと答弁できるレベルの話じゃありませんので。

 今の案は決して悪くないと思います。悪くないと思います。ただ、これは我々内閣で決める話じゃありませんで、これは国会の話になりますので、議会で決めていただかないかぬということだけは申し上げられると思います。

 その上で、フランスの話を今言われましたけれども、フランスは少子高齢化にいつから対応してきたんだというのを調べてみたんですが、いや、びっくりしました。最初にこれを全面的に政策として打ち上げたのはシャルル・ドゴールです。この人が、第二次世界大戦でフランス兵が大量に戦死しておりますので、男が足らぬ、とにかく子供を産まないとえらいことになるというので、とにかくいわゆる嫡外子というものを認めようという話を始めて、結果的に婚外子やら何やらやっておりますけれども。

 今、日本というのは、皆さん御存じかと思いますが、結婚年齢が、昔は十五でねえやは嫁に行ったんですけれども、今ごろ十五に手を出したらえらいことになりますけれども、今は平均で二十七、八になっているんでしょ、たしか結婚年齢が。何だ、えらい高いじゃないかというけれども、フランスなんかは三十幾つですからね。それであんなに高いんですよ、出生率が。なぜそうなったかというと、フランスもヨーロッパも子供を産む年齢の方が結婚する年齢より若いんですよ。みんな子供を産んでから結婚をしているというのは、そういったものをつくり上げたのがフランス。結果として、フランスは特殊合計出生率が二%を超えておりますから。

 そういった意味では、私はこれがいいなんて申し上げているんじゃありませんからね、またそう言うと週刊誌のネタになって、提供するみたいでばからしいので、そういうことを申し上げているのではなくて、例として、特殊合計出生率が二%を超えている先進国はフランスだけですから。そのフランスのやっている実態というもの、これが全て是とは申しませんけれども、少なくともそれが現実として私どもとして目の前にあるなら、税制で考えると言われた古本先生の話は私は一つの見識なんだと思いますが。

 ぜひともこういったものを含めて、もう少し、大きな場じゃなくて、いろいろな野党の方々と意見を、少人数での会できちんとしたものでやるのはどうかという御提案としては、政府としてお答えする立場にはありませんけれども、私個人としては、決して悪くないアイデアだと私は思います。

古本委員 かつて、大蔵委員会の時代、平成三年に、当委員会に金融及び証券に関する小委員会というのを設置したことがあるそうです。

 委員長に質問しますけれども、委員長がここで議決したら小委員会が設置できるという国会ルールになっていると思いますけれども、正しいでしょうか。

田中委員長 今の件でありますが、これは衆議院規則第四十三条の件だと思いますが、そこには、「委員会は、小委員会を設けることができる。」という規定があるということであります。

古本委員 つまり、国対政治とかいろいろ言われておっても、ここにおる与野党の議員はみんなわかっていますけれども、本当に国をよりよくしたい、本当にこの迫りくる少子高齢化と対峙しなきゃならないというときに、政治を動かそうと思ったら、やはり与党だけで税法を決めるので本当にいいのかという問題意識でもあるんです。

 フランスのN分N乗しかり、先ほどの麻生さんからいただいたエピソードの背景に、フランスなんかはPACS制度というのが恐らくあると思います。つまり、同棲以上結婚未満の真ん中の法的な資格をつくったんですよ。それは、やはり、男女が非常に恋愛感情が芽生え、自然の摂理として子供を授かったというのであれば、入籍していなくても、まずは子供を産む。結果、何年かある意味トライアルをして、最終的に入籍する。もうそのとおりです。

 日本でそれが、じゃ、これぐらいはいいでしょう、矢野さん。矢野さんの部下が、結婚していない男子か女子が、今度子供が生まれましたと言ったら、矢野さん、何と言いますか。おまえ、結婚していたかと聞きませんか。これは、計、税、それぞれ聞きますよ。答えてみてください。

麻生国務大臣 あなた、役人に聞いてもそれはなかなか答弁のしようがないので。

 やはり、今、世間的に、一般的に言って、女の子が、お父さん、できちゃったといって乗り込んできて父ちゃんが何と答えるかという話で、ちょっと待て、しようがねえなと言うのか、ふざけるなと言うのか、これは親によって全然違うと思いますよ。

 だから、その意味では、今の日本の中では、できちゃった後で結婚して、普通十カ月かかるものが二カ月で、結婚式の二カ月後にはもう既に子供がいたなんという話は、今は結構、昔に比べればふえたんじゃないか。僕は、随分時代は変わってきたなと思っているのが、この数年感じるところなんですけれども。

 ぜひとも、そういった意味では、少しずつ時代は変わってきているかなとは思いますけれども、いずれにしても、先ほどの小委員会じゃありませんけれども、昭和五十七年に、あれは竹下内閣のときでしたか、竹下大蔵大臣だったかな、あのときに税制の小委員会を開いていて、私、当選二回ぐらいだったと思いますけれども、当時、財金と言わずに大蔵委員会と言ったんですが、大蔵委員会におりまして、小委員長が大原一三先生だったということだと思いますが、その小委員会が開かれて、それで税制の話を個別にさせていただいたという事実がありますので。

 過去にそういった例があるということは確かですけれども、重ねて申し上げますが、これは国対でお決めになる話なんで、ちょっと私どもの方として、これが方法としてということを申し上げる立場にはございません。

古本委員 これは実は、大臣、計、税のそれぞれ局長は恐らく財務省を代表するエースのお二人だと思うんですけれども、事前に実はこれは通告しています。私も意思の疎通をとっていますけれども、その心は、やはり、野党からの質問がある、何となく面倒くさいな、また当たるのか、これを繰り返していますよね。

 税調のインナーを根回しし、インナーの皆さんが了解され、大臣等を握って、それで税制が決まってくる。これは正直、いわゆる電話帳と言われる租税特別措置ですよ。政策減税しているものは、与党の権力の源泉と言われています。

 これは昭和の高度成長期に、本当に、ある特定の業界を育成しなきゃいけない事情、時代背景があったと思いますよ。

 最初、私、肉用牛の牛の減税と聞いたとき、びっくりしました。なぜ牛肉だけ減税を受けるのかと。他の肉は減税はありません。あるいは、旅館におトイレをつけた場合には減税になる、それは水洗トイレを奨励する時代だったんですね。などなど、ありとあらゆる租税特別減税が入っていますよ。それは与党の力の源泉だというのなら、それでも結構です。

 私が申し上げたいのは、さすがに所得税、法人税、消費税、基幹三税は、与野党合意のもとで何か物事を決めていった方が多くの主権者の声を反映することができると思います。

 そういう意味で、税の小委員会というのは極めて有益だし、そうしていかないと、これから十年先のこういう社会をつくりたいんだというのはなかなか展望しづらいんじゃないかなと思うんです。

 その意味で、せっかく来ていただいていますので、計と税のそれぞれの局長に再度お尋ねしますけれども、若い官僚の皆さんが、それは主査クラスとか補佐クラス、もっと下の二十代の皆さんが、物すごく新しいアイデア、不肖私が政務官をやらせていただいたときに、自分の秘書官に実は聞いたことがあったんですよ。通勤する霞が関の女性職員さん、男性パパ職員さんが、託児所を財務省もつくれば、みんな通勤に助かるんじゃないかと言ったら、政務官、何をおっしゃっているんですか、千葉や埼玉から満員電車で子供を抱いて来いと言うんですかと。ああ、それはそうだなと思ったんです。

 若手の意見をどうやって反映するかといったら、当委員会で演説せいというのはなかなか勇気が要りますよ。でも小委員会であれば、本当にいろいろな意見も言えるようになるんじゃないかというメリットが私は一方であると思うんです。そのかわり、時間は機動的に、通年で開くぐらいの、何か日程交渉の結果、小委員会が設置されたなんて話はだめですよ。

 そういうことは、実は政府側もとても有益である。十年先の社会をデザインする上で、若手官僚のやる気にもつながるし、何か意地悪質問みたいなやつばかりの答弁を用意するよりよっぽどクリエーティブで自己実現にかなうという政府側の声があるんだったら、政府としても、実は菅官房長官に本会議で聞いたときも、これは国会でお決めになることですという答弁だったんですが、議院内閣制においては、はっきり言って、一致しているじゃないですか。

 そういう意味では、計、税、局長それぞれ、財務省をしょっているお二人が、若手官僚を引っ張っていく皆様がその方がいいと思うかどうかだけ、感想を聞かせてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 いろいろな思いはございますし、また、他の先進国における国会審議のありようはまた別様であるという事実があることも存じ上げておりますけれども、先ほど大臣も御答弁されましたように、政府の一員でございますし、また、ましてや、私、事務方でございますので、国会のありようについて御所見に触れるようなことを申し上げることは厳に差し控えさせていただきたいと思います。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の主税局長答弁と、恐れ入りますが同じ内容になってしまいますが、国会審議のあり方については国会でお決めいただくということでございますので、どういうあり方がよいかということについて事務方からお答えさせていただくことは控えさせていただければと思います。

古本委員 麻生大臣なら、皆さんが何を言ってもお尻を拭いてくれると思いますよ。大船に乗った気持ちで思い切って行政に当たっていただきたいなというふうにエールを送るわけであります。

 きょう、官房長にもお越しいただいたんですけれども、やはり消費税の混乱というのは、いろいろな表現がありますけれども、ないことはないんだと思います。

 かくいう私も、ポイント還元を実験的に地元のお店でやってみたら、何とポイント還元のカードリーダーのやり方がわからないと言われて、ぐっとのみ込んでポイント還元を諦めました。

 やはりそういうこともあって、消費税の滞納も今後、二%更に乗りますので、どうしても運転資金に使ってしまうという問題は根源的には直らないと思うので、いろいろな意味で、税の内務、さらにはグローバルないろいろな課税のありようも問われる中で、税務署の職員というのが大変、数が足りない、ふやさなきゃならないという問題意識を持っています。

 実調率を見ても大変、なかなか数字が上がってこない中で、それで、これも実は国会改革なんだろうと思っているんですけれども、いつも税法が上がるときに附帯決議で、予算定員、遺漏なきようにということを採決いただいているんですけれども、実は、いわゆる座布団、機構、定員の話はまさにこの十一月、十二月にやるわけでありますので、ぜひこの機会に官房長として御決意を伺いたいと思います。

茶谷政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度における財務省の定員要求につきましては、国際課税制度の構築や訪日外国人旅客の増加等の諸課題に対応するため、財務本省のほか、財務局、税関、国税庁と合わせて、プラス五百人の純増要求を行っているところでございます。

 その上で、御指摘の国税庁について申し上げますと、適正、公平な課税、徴収を実現していくことは引き続き重要な課題であり、特に来年度につきましては、本年十月に実施された軽減税率制度や国際的な租税回避などの諸課題に対応すべく、プラス二百六人の純増要求を行っているところでございます。

 これらの諸課題に取り組むべく、引き続き、業務の効率化を行うとともに、国税庁を始め、財務省の定員をしっかりと確保し、体制整備を行ってまいりたいと考えているところでございます。

古本委員 ぜひ、今後、予算の査定、議論をされると思うんですけれども、大変混乱をする現場で陣頭に立っていただく、最前線はやはり国税の職員だと思いますので、当然、税関の職員も同様でありますけれども、遺漏なきようにしていただきたいなというふうに思います。

 麻生大臣、きょう、若干本音を聞かせていただいたなという気がしているんですけれども、実は、少し時間が残りましたので、結婚を前提としない社会というのは今後のオプションとしてあっていいんじゃないかなと。日本が目指す社会像ですね。

 絶対に、結婚しなければ子供を、ちなみに、日本は婚外子率が二%です。百人赤ちゃんが生まれたら九十八人が婚姻関係のある御夫婦から生まれていますね。フランスは百人赤ちゃんが生まれたら六十人が婚外子です、PACS制度はもちろんあるんですけれども。日本がみんなフランスになろうというわけではないんでしょうけれども、一つの参考にはなると思うんですね、若い人が結婚というハードルが非常に高いとしたら。

 その意味で、税制、あるいは歳出でもいいんですけれども、国家観が大臣と大方一致しているならば、後のパーツの部分は、手段の部分は、私は、小委員会で連日連夜でも議論して、早く十年先の日本を展望した社会を示すことが政治の責任であって、朝から晩まで何か足の引っ張り合いみたいなことではないんじゃないかなと思っているんですけれども。

 そのときに、今、イギリスのブレグジットも右か左かで対立していますよね。正直言えば、私は極端な発想だと思います。真ん中のポジションで、少しの妥協があっても、少しの調整をしながらでも国政を前に動かしていくという役割が物すごく大事だと思うんですね。

 私は今、国民民主党という党に属していますけれども、そういう役割が担えるならば国会においての存在理由が多少はあるのかなというふうに思うんですけれども、いろいろな社会を描く上でも、本当にこういう議論を大臣と大まかにやる、細かなことは小委員会でやるという一つのアイデアを提案させていただきました。

 こういう議論って、いいと思いませんか。最後、副総理である麻生さんからぜひ党側の幹部に話していただきたいと思いますので、提案します。

麻生国務大臣 一番ひっかけられるならこの種の話だなと思っていましたので、最も危ない質問にもなりかねませんから。だから、うかつな答弁はできないところなので。

 今の話で、やはり家族をどう考えるかという話が一番根幹に出てくるのであって、日本の場合はやはり、有史この方、家族というのが極めてしっかりしたのが日本の保守たるものであるという考え方は、これはもうかなり根づいている話だと思いますので、今のお話で、婚外子をどんどん認めてフランスみたいにというような形になったときに、日本という国の、先ほど最初に御質問のあった国体の話につながっていきますけれども、そういったところまでつながって、結果的にどうなるかということまで考えてそういったお話をせねばならないと思いますけれども。

 先ほど言われたように、右か左かじゃなくて、真ん中ぐらいのところに答えがあるのじゃないかという、その真ん中の答えがもうちょっと具体的にならなきゃいかぬところなんですけれども、それがどんな形になってくるかによって形は随分変わってくるのかなと思うのが一つと、もう一つは、やはり昔ながらにずっと、そうですね、百二十六代にわたって天皇制を維持してきたこの国家の中において、そういったものがきちんと守られるべきものを壊したのが最初が自由民主党だという汚名は聞きたくないなとか、いろいろなことを言われる方がいろいろいらっしゃるんだとは思いますけれども、ぜひいろいろな意味でこういった問題を含めて考えないと、少なくともこの少子高齢化の問題は解決しないということだけははっきりしていると思っております。

古本委員 ありがとうございました。

 終わります。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。階猛君。

階委員 立国社会派の階でございます。

 きょうは、財務金融委員会で久々に質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず、かんぽによる保険商品の不正販売に関してお尋ねしたいと思います。

 不正販売行為自体、不利益事実の不告知などといった保険業法違反は問題になるんですが、きょうは時間の関係でそこはおいておきます。私が問題意識として持っているのは、かんぽの株を四月に日本郵政が売却しました。そのときの値段が二千三百七十五円。きょうは千七百六十円ぐらい、先ほど見た限りでは。そんな数字に、二六%ぐらい下落しているわけです。

 それで、この不正販売行為というのは、昨年の四月にNHKでそういう問題があるんじゃないかという指摘がされて以来、くすぶっていたわけでありますが、仮に、この不正販売行為を経営陣が認識しつつ、その情報を投資家に開示せずに市場で売却したら、投資家への重大な背信行為ということになると思います。

 仮にそういう経営陣の行為があったとした場合に、適用の可能性がある行政処分、刑事処分、これについて、事務方で結構ですので教えてください。

中島政府参考人 まず、個別企業の開示についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として、金融商品取引法上、何人も、既に開示された有価証券の売出しのために、虚偽の記載があり、又は記載すべき内容の記載が欠けている目論見書を使用してはならないこととされており、当該規定に違反した場合には、個人の場合、六カ月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金又はこれらの併科、法人の場合、五十万円以下の罰金が科されることとなっております。

階委員 意外に刑罰は軽いんですけれども、とはいえ、やはり投資家を裏切ったということで経営陣の責任は大変重いというふうに思うんです。

 そこで、こうした保険商品の不正販売が社内であった、あるいはグループ内であったというときに、日本郵政、たしか、この問題を認識したのはことしの六月下旬だ、つまり、売出しが四月ですから、その後に認識したということを記者会見で言っていたと思います。このことが本当かどうか、これも問題なんですけれども、百歩譲って本当だとしても、六月下旬になってようやく認識したというのでは、さっきも言いました、昨年四月にNHKの「クローズアップ現代+」で報道されているわけですから、その後直ちに社内調査をしていれば、どう考えてもことし六月ということはなかったと思うんですね。

 ところが、日本郵政は、社内調査をするどころか、調査をせずに、元総務次官の鈴木副社長を中心としてNHKに抗議などをしていたということで、これは経営陣としてやるべきことをやっていないということで大変問題だと思います。

 この点について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

麻生国務大臣 これは一般的に言って、保険会社とか募集人というのは、少なくとも、保険の契約者の利害に反したり信頼を損ねたりすることがないように、適正に募集のための体制というものを確立しておかないかぬというのは当たり前のことなんだろうけれども、それが多分できていなかったという、全体の流れとしてはそういうことなんだと思うんですが。

 少なくとも、そういった体制を確立するためには、これは、いわゆる経営者側がしっかりしていて、適時適切な報告やら情報が入ってくるために、そのための社内のルールとか組織とか体制をきちんと整備しておく、また、そういったことがあるんじゃないかといって内部監査というものをしっかり構築するなどの仕組み、取組を通じて、経営する側の方が主体的に現場に行ってきちんと実態を把握しておくということが欠けていたんじゃないのかという話になるのかなと思っているんですが。

 いずれにしても、金融庁としては、こうした観点を踏まえて、かんぽ生命並びに日本郵便に対して目下立入検査を実施しているところなんですけれども、その結果を踏まえまして厳正に対応してまいりたいと考えております。

階委員 今、大臣、大事な二つのことをおっしゃいました。まず、通常の体制として、問題があったら経営陣に情報が上がってくる仕組みを整えなくちゃいけないということが一点です。もう一つは、今回のように、問題があるんじゃないかという端緒を経営陣がつかんだ場合、今回でいうと「クローズアップ現代」の報道ですけれども、その場合に現場に、まさにプル型ではなくてプッシュ型で情報をとりに行く、このことを両方やらなくちゃいけないと思っていますけれども、私は両方とも、この経営陣、欠けていたんだと思います。ですから、その点をぜひ金融庁として厳しくチェックをしていただきたい、そしてしっかり処分をしていただきたいと思っております。

 私は、この問題にこだわる理由の一つに、復興財源、私も岩手の被災地の出身の議員でございまして、復興財源にかかわっているからというのもあります。

 そこで、大臣にお尋ねしますけれども、本来、日本郵政株をことしぐらいに売却して、一兆二千億円調達して復興財源に充てようという計画があったはずです。計画期間としてはもうちょっとアローアンスはありますけれども、一応、当初の予定ではことしぐらいだったと思うんですね、ことしの秋ぐらいだったと思います。今の株価、大体千円ですけれども、千円で売却するとすると、一兆二千億円に対して大体二千億円ぐらい足りないという試算ができるかと思います。

 この復興財源を確保するという意味で、私さっき言いましたとおり、やはり投資家には不利益な情報は全部出して、そしてあく抜けをした上で売却しなくちゃいけないという一方の要請もありますし、一方で早期に売却しなくちゃいけないという要請もあります。これを両立させるためにも、早期に厳しく検査をして、もはや、投資家に対して、もうそれ以上のリスク要因はないんだということもしっかり知らしめた上で売却すべきである。その結果、仮に株価が更に下がるようなことがあれば、その不足部分についてはしっかり政府として復興財源を手当てする。この二段階の取組をすべきだと思います。大臣のお考えをお聞きします。

麻生国務大臣 この株式の売却の話ですけれども、これは郵政民営化法の法律上、政府保有割合をできるだけ減らせということから、早期に減らすことにしているんですが、その売却収入については、これはもう御存じのように、復興財源確保法に基づいて、令和四年度いっぱいまでにこれは売却収入を復興財源に充てることになっておるというのも御存じのとおりなので。

 最高値四千円いきましたけれども、その後いろいろあって、今、御存じのような話で千円ちょっとのところまで下がっていますので、これがちょっと、二千円というところまでいって今言った額まで達することになっていますので、まだ先の話ではありますけれども、それまでの間、きちんとした体制をつくり直して、株価が、徐々に上げて、きちっとその段階までにそこにいかせるように、私どもとしては経営状況等々を注視して検討していかないかぬところだと思っております。

 いずれにしても、この株というのは我々国民の持っております共有の非常に大きな財産でありますので、これは適切な値段で的確に販売するということで、財源を確保できるようにしっかりと守っていかないかぬところなので、その点につきまして、足りなかったらどうするというと、たらればの話になりますが、その点につきましては、私どもとしては、これは復興財源に充てると法律できちんとしておりますので、足りない分をどうするか、それは改めて検討せないかぬところだと思っておりますが、少なくとも、復興財源というものにきちんと充てるということにしておりますので、それに見合うように、私どもとしてはいろいろな知恵をめぐらさないかぬところだと思っております。

階委員 知恵をめぐらせていただきたいんですが、絶対に、株価が下がったからといって復興財源にしわ寄せが来ないように、ここはぜひ財務大臣としてお願いしたいですし、他方で、株が値段が下がったら大変だということで今度は金融庁の検査が緩くならないように、この両方を大臣は、金融大臣としてしっかり業者の不始末を処分する立場と、そして財務大臣として国の財政をしっかり運営する立場と、両方ありますので、これは非常に難しいかじ取りだと思いますけれども、ぜひ両方、遺漏なき対応をお願いしたいと思います。

 その上で、今回こういうかんぽ不正販売の問題が起こった背景として、もともとかんぽという会社は、民営化する前から貯蓄型の、満期になれば元本が返ってくる、そういう商品が、養老保険のようなものが主力だったわけですね。ところが、超低金利が続く中でそういう商品が魅力がなくなってきたということから、ノルマ達成のためにいろいろな方法で顧客に販売をしてきた、不正販売が行われてきたということなんだと思います。つまり、何が言いたいかというと、異次元金融緩和がずっと続いたことが、今回の不正販売の問題にも一因となっているんじゃないかというふうにも思えるわけです。

 ところで、きょうお配りしている資料、一ページ目をごらんになってください。「日本銀行政策委員のCPIインフレ率見通し」ということで、二〇一三年一月から、例の政府と日銀の共同声明が出たぐらいからずっと掲げております。

 二〇一三年四月という上から二行目を見ていただきますと、二〇一三年度の見通しは〇・七、これが一・四、一・九と、まあ二〇一五年度ぐらいには二%ぐらいに上がっていくということが、黒田総裁が就任したあたりでは見通しとして出ていました。これが回を追うごとにどんどん先送りをされてきた。

 つい先ごろ、十月の終わりに出たものを見ますと、一番下の行ですけれども、二〇一九年十月の見通しでは、二〇一九年度は〇・五、二〇二〇年度は一・〇、二〇二一年度は一・五ということで、二%には二〇二一年度でも届かない。今、この金融緩和が始まってもう六年半とかたっていますけれども、これが九年ぐらいたっても達成できないんじゃないかというふうに、日銀の政策委員が見通しとして出しているわけです。

 そこで、日銀にきょう来ていただいていますけれども、本当にこの物価安定の目標二%というのは達成できるんでしょうか。改めてお伺いします。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 物価に影響を与える要因は、例えば原油価格ですとか為替レートですとかさまざまなものがございますけれども、基本的には、経済全体の需給のバランス、それと人々、企業や家計が物価に対してどういう目で見ているか、よく物価観と申し上げますが、この二つが大事な要因だというふうに考えております。

 現在、日本経済は、需給バランスという観点からは、需要超過、供給を需要が上回っているという状況でございますし、企業や家計の物価に対する見方も徐々に変わっているところでございますので、こうした状況で景気の基調が続く中で、消費者物価の前年比、時間はかかっておりますけれども、二%に向けて徐々に上昇率を高めていくというふうに考えております。

 ただし、先生御案内のとおり、今、海外経済の減速の動きが続いておりまして、下振れリスクが高まりつつある状況でございますので、こうした物価安定目標に向けた動き、勢いが損なわれるおそれがあるというふうに判断しておりますので、ここは、こうした動きに対して注意深く点検すべき局面にある、こういうふうに考えてございます。

階委員 今の日銀副総裁の答弁は、額面どおりに受け取れないというふうに思っています。

 この資料を横ではなくて縦に見ていただきたいんですけれども、縦に見ますと、右から三列目、二〇一九年度見通しというのが、二〇一七年四月に初めてこの見通しが出たときは一・九だったんですね。これが、縦に見ていきますと、一・八、一・八とずっと来て、直近では〇・五まで下がっています、二〇一九年度。

 たしか、黒田総裁再任のときに、二〇一九年度には出口戦略の話ができるだろう、そんな話も国会でされていたような気がしますけれども、実態はこんなもんですよ。一・九が〇・五になる。

 同じことを繰り返していますよね。どの数字を見ても、縦に見ていくと、最初は二%ぐらいだったのが、どんどんそこから遠ざかっていくということを繰り返しているんですよ。

 もう、私だけじゃないと思いますけれども、二%達成できると思っている市場関係者はまずいないんじゃないですか。日銀が言っているだけなんじゃないですか。そういう自覚はありますでしょうか。副総裁、率直なところをお答えください。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、二%の物価安定の目標の実現に時間がかかっており、そのこと自体は、私どもとしても大変残念なことであると思っております。

 ただし、先ほど申し上げましたとおり、この数年間、例えば、原油価格の大幅な下落ですとか、あるいは前回の消費税引上げ後の消費に対する影響、さらにはその後の中国の減速といったさまざまな要因が物価を上げる方向に反対に作用したことも事実でございます。

 これを踏まえまして、私どもとしては、現段階では、ある一定の期間を定めてそこまでに二%を達成するということではなくて、あくまで二%の目標は堅持しつつも、経済、物価、金融情勢を踏まえて、この達成のために粘り強く金融緩和を続ける、こういう姿勢で臨んでおりまして、こういう姿勢はマーケットでも理解されているというふうに考えてございます。

階委員 もともと、達成期限にこだわらないというのは、白川総裁がこの共同声明を出したときに言っていたことですね。雨宮さん、よく御存じだと思います。ところが、黒田総裁にかわって、二年だということを言い出したんですよ。ところが、それができないとなるや、またもとに戻っている。これで日銀の信頼は得られるのかなというのが一点です。

 もう一つ、日銀の信頼を危うくするのは、私は、フォワードガイダンス、最近出していますけれども、非常にわかりづらい。

 二ページ目をごらんになってください。まず、そもそも、表一と書いていますけれども、「現行の金融政策の枠組みにおける三本のフォワードガイダンス」、これは国会図書館に整理してもらいました。1、2、3。

 1は、黒田総裁が就任したときのものですけれども、当時は長短金利操作つきというのはなくて、量的・質的金融緩和だけだったんですけれども、これについてのフォワードガイダンスが一つあった。その後、二〇一六年の九月には、オーバーシュート型コミットメントとも言われていますけれども、マネタリーベースについてのフォワードガイダンスを出した。去年の七月には政策金利についてもフォワードガイダンスを出した。という三段階でフォワードガイダンスを出してきた。しかも、この三本が並立している状況です。政策金利についてはその後変わっていますが、それについてはまた後ほどお尋ねします。

 そもそも、フォワードガイダンスがこの三本必要なことの理由を教えてもらえますか。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 このフォワードガイダンスという政策運営の手法は、実は、今、最も先に導入したのは日本銀行でありまして、ゼロ金利政策を導入したときに、デフレ懸念が払拭できるまで続けます、こういういわば将来の政策運営を約束することによって、より長目の金利ですとか市場の期待形成に働きかけるという手法でございます。

 その後、私どもも含め、あるいは各国の中央銀行も、こうしたフォワードガイダンスという手法を採用して、そのガイダンスのつくり方についてはいろいろ工夫を重ねてきておるところでございます。

 我々は、現在持っているガイダンスは今先生御指摘のとおり三本あるわけでありますけれども、この三本の関係を御説明申し上げますと、一つ目は、これは、二%の物価安定の目標を実現できるまで緩和を続けます、言ってみれば大方針であります。いわば、企業経営で、まず企業としてはこういうことを達成しますという大方針があります。これが一つ目であります。

 一方、企業経営の方針としては、当然いろいろな、例えば、商品の分野ですとか、あるいは海外、国内といった地域別、分野ごとにいろいろ目標を定めると思うんですけれども、一つ目の大目標のもとで、金融の、お金の量に関するガイダンスを定めたものが二番目。

 それに対して、金利、長短金利の動きに関する将来の約束を定めたものが三番目ということでございますので、関係としては、大きな物価安定の目標を実現しますという大目標のもとに、量のお約束と金利のお約束がある、こういうふうに御理解いただければというふうに存じます。

階委員 非常にわかりやすい説明で、私も大体そういう位置づけかなと想定はしておりました。

 ただ、私が特に問題だと思っているのは三本目のやつですね。要するに、一番目が総論で、二番目がマネタリーベースについての各論ですが、二番目の方は拡大方針を継続するということになっていまして、拡大方針だから、別に、当初言っていたような八十兆円国債の購入量をふやすとか、八十兆円ふやす必要もないわけですね、一兆でもふやせば拡大は拡大です。ということで、これは、コミットメントはしているんだけれども、あるいはフォワードガイダンスはしているんだけれども、でも非常に、拡大方針を、どんどん広げていくような方向じゃなく運用ができるというふうに思っています。

 ただ、他方で、今回の改められた政策金利のフォワードガイダンス、物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、又はそれを下回る水準で推移することを想定しているという表現で、これが緩和方向に向かうのか、それとも引締め方向に向かうのか、そもそもよくわからないところもまずあるんですね。

 まず、ほかのフォワードガイダンスと違って、文末が、継続するではなくて想定していると。想定している。何か無責任な表現になっていますね。どっちなんだ、やるのかやらないのかはっきりしないということと、あと、モメンタムが損なわれるおそれに注意が必要、私はこの意味がわかりません。

 想定しているという表現をあえて使っている理由と、それから、モメンタムが損なわれるおそれに注意が必要というのはどういう意味なのか、詳しく、わかりやすく教えてください。

雨宮参考人 まず、フォワードガイダンスの文言のつくり方につきましては、私どもの政策運営の意図ができるだけ正確に、適切に、マーケットあるいは国民に伝わるよう工夫を重ねているところではございますが、わかりにくいという御指摘も数少なくなく頂戴しておりまして、こういうガイダンスのつくり方については、引き続き工夫は重ねてまいりたいと思っています。

 ということを申し上げた上で申し上げますと、まず、先ほどちょっと申し上げましたけれども、私どもとしては、今、日本経済が基本的には、需給バランスと人々の物価観という意味で、二%に向けた動き、ある種の力というものは働いているというふうに考えているわけでございます。それをモメンタムと呼んでいるわけでございます。

 一方で、世界経済の減速が続いております。これが、日本経済、今のところ内需はしっかりしておりますけれども、これが日本経済に浸透し、景気の拡大基調に変調が生じるようであれば、このモメンタムが損なわれるというリスクがあるわけでございますので、そうなると、物価安定の目標の実現に向けた力も衰えてきてしまう可能性がある、今はそうしたリスク、いわば下方リスクに注意すべき局面にあるということを申し上げたかったのが、このモメンタムが損なわれるおそれということでございます。

 仮に、そうしたモメンタムが損なわれるというおそれが高まったというふうに判断するのであれば、これは当然ちゅうちょなく金融緩和を行うというふうに申し上げておりますので、この後、金利が、ここで申し上げましたように、今の水準か、又はそれを下回る水準で推移することを想定しているというのは、まさしくそうした緩和方向をより意識した政策運営を行うということを明言したガイダンスでございます。(階委員「想定の意味は」と呼ぶ)

 想定は、それは経済の動きによってどうなるかわかりません、これはあくまで、海外経済も含めた動向がどうなるか、それが日本経済にどう及ぶかといったことをあくまで判断した上で、毎回毎回の政策決定会合で決めるものでございますが、今のリスク要因を踏まえると、金利は上がるあるいは引き締めるということは考えられず、今のままでいくか、あるいは下げるか、どちらかであるといういわばシナリオが想定されるということで申し上げてございます。

階委員 今のままでいくと緩和方向だけれども、想定しているという言葉が使われている以上はコミットメントではないですよね。想定ですから、将来の状況によっては今の長短金利の水準が上がるということもあり得べしだということで理解していいですか。

雨宮参考人 現在、私どもは、イールドカーブコントロールという政策手法のもとで、イールドカーブ全体をある範囲の中に抑えようとしていますので、市場の諸力によって上がったり下がったりということはあるわけでございますけれども、政策目的を持って明確に金利を引き上げるという段階に至るということは想定されていないということでございます。あるいは想定していないということでございますので、緩和方向の姿勢を明らかにしたというふうに理解いただければというふうに存じます。

階委員 金利が今の水準のままずっと続くと大変なことになるよというのは、先ほど櫻井先生やほかの委員からも御指摘があったとおりなんですよ。

 それで、きょうおつけしている資料は、三ページ目にはサマーズ元財務長官の論文などもつけておりますけれども、マクロ的にもミクロ的にも悪影響が生じかねないというようなことも言われておりますね。さらに、四ページ目には、地銀の経営が今後どうなっていくか。これは日銀の金融システムレポートから抜粋したものですけれども、貸出しの利ざやは今後ますます悪化していくだろう、それからROA、総資産に対する利益率も低下していくだろう、あるいは当期純利益が赤字の地方銀行、信用金庫がふえていくだろう。こういうことで、マイナス金利というのは長期化はよくないというふうに思っています。

 他方、今、引締め方向は考えていないということはおっしゃっていますけれども、共同声明の文面を改めて見ますと、五ページ目です、ちょうど真ん中あたりですけれども、確かに、日本銀行は、物価安定の目標のもと、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指すというふうにまずは言っておるんですが、その後、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないかどうかを確認していくということも述べていますね。

 だから、できるだけ早期とは言っていますけれども、それをいつまでやるかということには、この時点でも言われていなかったし、先ほど答弁でもあったとおり、目標達成時期には必ずしもこだわっていないということのようですから、ここは、リスク要因を点検した上で、柔軟なインフレ目標の達成ということを考えるべきではないか、また、それを予定している共同声明だと思うんですね。

 今の私のこの共同声明の解釈でいいのかどうか、副総裁の考えを教えてください。

雨宮参考人 御指摘のとおりでございまして、私どもは、金融政策運営を行う上では、その金融政策の効果と副作用と申しますか、ベネフィットと副作用を両方慎重に見きわめた上で適切な政策をとるよう努めてきてまいりますし、金融緩和が、ここまで進めてきています以上、こうした効果と副作用の比較秤量については、一段と注意深く点検すべき局面に来ているというふうには理解してございます。

階委員 済みません、大臣に最後一点だけ。

 今のこの共同声明の解釈についてなんですけれども、やはり、政府と日銀の共同声明なので、日銀だけの判断ではなかなか動きづらいというふうに思うんですね。

 したがって、政府、財務大臣がこの共同声明については恐らく所管されていると思うので、財務大臣の立場から、やはり地銀の経営なども配慮して、柔軟なこの目標に向けての運営は許されるんだという考えでいいのかどうか、この点についてお考えを述べてください。

麻生国務大臣 これはサインしたのは今から六年ぐらい前だったと記憶しますけれども、平成二十五年か何かの、寒いときでしたので、一月か何かに、共同声明を、当時は白川さんでしたかな、とサインをさせていただいたと記憶しているんですけれども。

 結果として、この共同声明に基づいて、御存じのように、我々は、デフレではない、正確に言うと資産のデフレーションによる不況というものから脱却したということで、結果として、名目GDP等々を見ましても、企業収益を見ましても、いろんな、雇用とか所得とか、そういったものを見ましても、経済の好循環は着実に上向いて回り始めたというのは事実だと思っておりますので。

 こういった着実に成果を上げているものでもありますので、今おっしゃるように、この共同声明の内容について、現在でも、これは極めて二%達成していないという点を今言っておられますけれども、その他の件に関しましては、三本の矢等々、これはいずれも成功に事は運びつつあると思っておりますので、直ちに改定を行う必要があるというふうに考えているわけではありません。

 ただ、その上で、こういったものは硬直的に物を考えるべきでないということもよくわかりますので、その点につきましては、今後とも日銀と綿密に連絡をとりながら対応してまいりたいと考えております。

階委員 終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 本日は、消費税増税に伴う中小企業への負担について質問をさせていただきます。

 初めに、この間の台風、豪雨等の災害によりまして、たくさんの方が被災をされました。お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げ、被災された全ての皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。

 多くの河川が決壊し、大規模な浸水被害も発生しております。農業、漁業、あらゆる商業、深刻な打撃を受けています。新規就農された農家の方々への再建の支援を何とかしてもらいたい。先日財務省への交渉で、日本母親大会実行委員会の方々が、一緒に申入れに行かせていただいたんですが、そうした声も深刻に受けとめていただいていると思います。

 最初に、麻生大臣に、被災された方々が希望を持って商売を再建していただけるように政府としても全力を尽くしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 先日も財務省の方にお見えをいただいておりますけれども、今般の災害を受けて、総理からの指示もありまして、予備費、予備費は御存じのように五千億等々予備費がありますので、被災者の生活となりわいの再建というのに向けた対策パッケージというものは、これは今週中に取りまとめたいと思っております。

 その上で、廃棄物の処理とか、中小零細企業等々の事業者やら、農業、漁業等々、いろいろ小規模の経営という方々の問題というのは、場所によって、所によって随分違うんですけれども、いずれにしても、そういった方々のなりわいが速やかにいくように、また、被災しておられる自治体としては、これは激甚災害とかいう話をよく言ってこられますけれども、激甚災害の負担には地元の自治体の負担というものの、何割負担かというのがついていることを忘れておられる方が多いので、そういったものを対応していくので、これは復旧に、そういった心配やら何やらというのを考えながら我々としては財政措置というものを講じていかねばならぬのだと思っておりますので。

 いずれにしても、そういったもので、心配だから復興ができないとか何ができないとかいうようなことがないような対応を基本としてまいりたいと考えております。

清水委員 今、麻生大臣からは、やはり自治体への負担等についても言及していただきました。そうした不安の声に応えるのは当然だと思います。同時に、やはり被災された個人、事業者の方々への不安に応えるということも今政治に求められているのではないでしょうか。

 現在、八月の前線に伴う大雨や、それから台風十五号の被災者に対しては、軽減税率対策補助金、これはレジの補助金等でございますが、この契約締切日を延長し、十月一日以降にレジなどの購入契約を締結した方についても補助の対象とするということで通知が出されていると伺っております。

 十月以降に発生した今般の台風十九号及び二十一号による被害につきましても、一日も早い事業の再開に取り組んでもらうために、当然このレジ補助金の申請を継続して受け付けるべきだというふうに思います。被災された方の中には、一旦この補助金制度を使ってレジを買いかえた、もちろん自己負担があったわけです、ところが、買ったばかりのレジが水没して使えなくなった。再度、延長して申し込めるというんだが、同じように自己負担をしなければならないというのはつらい、こういうような声も聞いております。

 ぜひ、そういう点では、全額補助するということも含めて、こうした被災者の方々へのレジ補助等については継続していただきたいと思いますが、経産省、いかがでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 今回の台風十九号、二十一号で被害を受けた事業者については、一日も早い事業の再開に取り組んでいただくことが何よりも重要であり、政府として全力で支援を行っているところでございます。

 先般公表しました、八月の前線に伴う大雨、台風十五号で被害を受けた事業者につきましては、御指摘のとおり、軽減税率対策補助金の交付要件となっている九月三十日までのレジ購入契約の締結期限について一定の配慮を行うとともに、被災による、レジが損壊した場合のレジの買い直しについても補助の対象とすることとしたところでございます。

 台風十九号、二十一号の被災事業者につきまして、被害の内容や被害の範囲など、被災事業者の実情に応じた柔軟な対応が必要であると認識しており、現在検討中の被災地の生活、なりわいを支援する施策パッケージで取りまとめられる中小企業対策の活用も含め、被災事業者に寄り添った支援を講じてまいりたいと考えております。

清水委員 大臣からも、生活、なりわいパッケージということで、今週にも閣議決定されると伺っておりますが、せっかく買いかえたレジが水没して、また自己負担で買いかえないといけない、こういうことではもう事業をやる気は起こらないという方々の声も聞いておりますので、今、中企庁の方からもお答えありましたけれども、ぜひこれは自己負担なしで、上限、事業所につき三千万円という報道もされておりますので、それらを活用して対応していただきたいと思います。

 続けて、消費税一〇%への増税なんですが、やはりこれは暮らしや、それから国民生活、日本経済に打撃を与える増税だったと言わなければなりません。二度にわたって、安倍政権が消費税を一〇%へと増税いたしました。八パーへの増税、それから一〇パーへの増税ということで、合計十三兆円の国民負担ということは最大規模だと言わなければなりません。やはり経済の六割近くを占めている家計への負担増、これは消費不況と国内需要の低迷に悩む日本経済にとって致命的な打撃になると私は考えておりますし、何よりも、地域経済を担っている中小企業への負担、これははかり知れないものになると言わなければなりません。

 今回、複数税率制を導入されました、八%と一〇%。このことによって、そのことが要因となる負担が生じ、中小零細業者が倒産、廃業に追い込まれるなどということは絶対にあってはならないことだと考えますが、麻生太郎大臣の所見をお伺いします。

麻生国務大臣 前回五%から八%というのは、二〇一四年の消費税の引上げの際には、これは一律、一斉というので価格の変更をやらせていただいたこともありまして、主に自動車とか住宅とかいう耐久消費財というものを中心にして、いわゆる駆け込み需要とか反動減というものが想定以上に大きくなったということのほかにも、年金の給付もたしか減額されたと記憶しますので、低所得者、高年齢者を中心として消費が低迷したという点が、我々としては反省をすべき点だったんだと思っております。

 こうした点を踏まえて、今回は、引上げ前後の需要変動を平準化をしなきゃいかぬということから、柔軟な価格設定をやらせていただくというのを始め、ガイドラインを作成をさせていただきましたが、先ほども出ましたポイント還元とか、また、住宅とか自動車等々の大きな耐久消費財につきましては、いわゆる十月以降も変わらないように、購入したときにデメリットが出ないとかいうようなことをやらせていただく税制とか予算措置を講じることとさせていただきました。結果として、今、そのような反動減というものが十月以降起きているというように聞いてはおりません。

 また、低所得者などの、引上げが影響を受けやすいという方々に配慮する観点から、軽減税率というものを実施させていただいたほか、介護保険料というものの軽減の拡充とか、臨時特別措置として、今言われたプレミアつき商品券等々をやらせていただいているんですけれども、さらに、公共投資等々につきましても、これは、防災・減災、国土強靱化のための三カ年間特別対策というもののいわゆる政策を含めまして、マクロの需要というものを図らないかぬということで、全体の適切な執行をやらせていただいているんだと思っているんですが、今のところ、可能な限りそういったことをやらせていただいた結果、前回のような反動減というのは起きていないというように思っております。

 また、対策の規模につきましても、いわゆる幼児教育の無償化等々、これは既に決められているという措置との差引きで経済への影響は二兆円程度に抑制されると思っておりますので、我々としては、新たな対策として合計で二・三兆円程度の措置になりますので、経済への影響という部分に関しましては、これは十分に乗り越えられるものになっているんだと私どもそう思っておりますので、前回のときとは大きくそこらのところが違ってきておると思っております。

清水委員 今、麻生大臣からは、消費者の目線に立って、ポイント還元あるいはプレミアムつき商品券等々の施策を行っているということで、需要の平準化であるとか、あるいは反動減だとかそうしたものを抑えるために努力をしてきた、そこは論争があるところでございますが。

 私は、ぜひお尋ねしたいのは、今回、複数税率が初めて導入されました、このことによって、中小企業、零細業者、小売店、こういう方々に負担が生じるようなことがあり、例えばそれが廃業につながるというようなことがあってはならないのではないでしょうか。この点について、もう一度お答えいただけますか。

麻生国務大臣 始まる前は、これは清水先生御存じのように、この種のことをやったら計算が大変だとかいう話がよく聞かれましたけれども、私、消費税が上がるところへヨーロッパに住んでいたんですけれども、失礼ですけれども、日本の数学のレベルは高いですから、少なくとも引き算ができますから。お釣り、みんな足し算でもらうことがよくありましたでしょう、海外では。この国、そんなことありませんから。すぐ、行ったら、ぱっとお釣りが出てきて、しかも一円も狂っていない。大体そういうレベルで、どこであろうと。

 私どももそう思っておりますので、この問題でごちゃごちゃするなんというのは、日本人というものをなめておると、私はつくづくそう思っていました。そんなに計算ができない人はいませんよ。ほとんどのところでできますから。私はそう思っております。

 それから、いわゆる複数になるから面倒くさいとかいう話は、これは確かかもしれません。しかし、その分だけ安くなることによって消費がふえれば、売っている店の人の方はそれによって利益を得るわけですから。

 そういった意味では、私どもとしては、こういったものの軽減税率制度というものについては、これはこれまで、そうですね、八万回ぐらい全国で商工会議所にお願いしたりいろいろなところでさせていただいて、あちらこちらで広報等々をやらせていただいたところでもありますので、レジの導入等々に関しましても、やらないんじゃないか、やらないんじゃないかと期待したらやることになったというので慌てて買うとかいうことになったんですけれども、普通、みんなやるだろうと思って買われた方は別に問題があるわけではありませんので。

 そういった意味では、中小事業者の負担というものもある程度勘案しながら、いろいろな意味で、対策を繰り延べたり、柔軟に対応させていただいてきておりますので、今のところとりたてて大騒ぎになっているというような報告が上がってきているわけではありません。

清水委員 対応をとってきたということでございますが、私は、地元大阪で九十五年もの長きにわたり酒屋を営んできた方のお話を伺ってまいりました。

 実は、この九月末で店を畳まれたんですよね。なぜかとお伺いしますと、やはり今回、複数税率が導入されることによってレジを買いかえないといけない、顧客のシステムもあわせて見積りをとると百五十万円近くになったと。補助金が使えるという話だったんですが、これは振り込まれるのは後ですから、まずはその百五十万なりをそろえないと、用意しないといけないわけですよね。そう思いあぐねているときにレジが壊れたので、とにかくレジだけは買いかえようということで、約五十万円かけてレジだけ直した。その後、補助金は振り込まれたんですが、四カ月先なんですよね。その間の運転資金に苦労されたというふうにおっしゃっておられました。

 それでも、創業百年まで頑張ろうとしてきたときに今回の増税で、そしてシステムを変更しようとした際には約百万円かかる。そして、業者に見積りをとったんですが、補助は一回使ったので今回は使えません、全額自己負担になります、こういうふうに言われたというんですよね。使えなかったんですかと私は何度も確認しましたが、業者の方からも使えないと言われたと。この百万円近くを捻出することができずに、やむやむ廃業を決断したということなんですよね。百年まで頑張りたかったと涙を浮かべておっしゃっておられました。

 このような、レジの買いかえだとかそういう複数税率の導入がなければ、今回この業者につきましては廃業しなくてよかったんじゃないかな、こういうふうにお話を聞いていて思ったんですが、まさしく今回、複数税率の導入、そしてレジの買いかえを事業者に求める、こういうことが廃業につながったということになるのではないかと思うんですが、経産省、中企庁、いかがでしょうか。

松本副大臣 議員御指摘のとおり、軽減税率の適用対象となる飲食料品等を取り扱う事業者、これにつきましては、日々の売上げについて税率ごとに区分をしなければならないといったことであったりとか、また、必要に応じまして、税率ごとに区分記載された請求書、レシートを交付するなどの対応が必要になっているところであります。

 このため、中小企業庁では、中小企業、小規模事業者が軽減税率制度に円滑に対応をするための、新たなレジ導入の経費の一部補助等々を行わせていただきまして、事業者の負担を軽減するための支援を行ってきているところであります。また、補助金額を除く事業者の自己負担分につきましては、日本政策金融公庫による低利融資の対象とするなど、可能な限り負担の軽減を図ってきたところであります。

 また、これらの事業者が施策を活用することができるように、マスメディアを通じた広報のほか、商工会や商工会議所などに属します経営指導員が中小企業を個別訪問いたしまして、相談対応を行ってきているところであります。

 引き続き、事業者の個々の事情にしっかりと寄り添いまして、丁寧に対応してまいりたいと思います。

清水委員 そのような対応をされてなお、例えば、設備投資ができないとか、レジ買いかえの補助の資金を立てかえることができないということで、潰れているお店が実際にあるわけですよね。

 これは事務方で結構ですけれども、このレジ等の補助金制度について伺いたいと思います。

 予算全体の規模及びその計算根拠となる想定申請件数について、また、現時点での申請件数と補助金の交付額、それぞれ教えていただけますか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 軽減税率対策補助金につきましては、平成二十七年度予備費及び平成三十年度第二次補正予算により、独立行政法人中小企業基盤整備機構、中小企業基盤機構に基金を造成し、その規模は約千九十五億円となっております。

 この予算規模の積算に当たりましては、予算額の不足が生じないよう、経済センサスやアンケート結果から軽減税率対応レジの導入の可能性があるものをできる限り広く推計し、最大で約三十万者からの申請に対応できる予算額を確保したところでございます。

 ことし十月末時点で、申請件数は約十六万件、十月下旬時点における補助金交付額は約二百九十三億円となっております。

 軽減税率対策補助金につきましては、ことし十二月十六日を申請期限としておりますので、今後も多くの申請が寄せられると考えられることから、補助金交付事務が滞ることのないよう万全を期してまいりたいと考えております。

清水委員 レジの補助についていえば、件数で約半分、想定件数の半分です、三十万に対して十六万ですから。それから、補助金の交付の基金につきましても、交付金を四分の一程度ということなんですよね。ことしに入って補助率を三分の二から四分の三に引き上げて買いかえなどを促進してきたわけですが、実際はこのような到達になっているということなんです。

 先ほど、十二月十六日までこの制度が活用できるというふうに答弁ございましたが、九月末までに契約したものについてということになっているわけなんですよね。

 ところが、私、この間いろいろお話を聞いてきたところ、レジ業者に相談はしたものの九月末までに契約ができなかったという事例、あるいは、事業は継続しながらも、先ほども言いましたが、立てかえる資金が用意できず九月末の契約に及ばなかった等々、レジの補助そのものを契約することができていない、あるいは設備投資ができないという方が大勢おられました。このような中小業者に新たに負担を求めて、先ほどの酒屋さんのように廃業に追い込んでいいはずがないと思うんですよね。

 ですから、レジやシステム補助期間の延長、九月末までに何らかの理由で契約することができなかったレジ補助等の申請を願っておられる方々についても受け付けを延長して受けるというのは、これは当然だと思うんですが、いかがでしょうか。

松本副大臣 軽減税率対策の補助金、これは交付目的が、消費税軽減税率制度の導入に伴い対応が必要となる中小企業者の円滑な事業活動を支援するものというふうにされているところでありまして、ことし十月の軽減税率制度開始前に事業者の準備を促すことがこの施策の本旨であるというふうに考えております。

 ただ、一方で、今先生が御指摘をいただきましたようにさまざまな事例というものが存在をするわけでありまして、これらの皆様方のお声につきましては、補助金事務局のコールセンターへのお問合せであったり、また、中小企業団体による個別訪問相談を通じまして、中小企業者の現場の声として中小企業庁においても把握をしているところであります。

 現在、そうしたさまざまなケースというものも勘案をさせていただいたところで、また、想定をさせていただいた上で、それぞれの事案を精査した上で、今後適切に対応していくように検討してまいりたいと思います。

 以上です。

清水委員 今、松本副大臣からは、適切に対応していただくということが答弁ございましたので、いわゆる事業者の個別の事情を勘案した上で、九月末までに契約できなかったレジ補助についても対象としていただけるということでいいのでしょうか、そういうことで。できたら、その検討している具体的な中身についても念のために伺っておきたい。

 というのは、この答弁、この質疑を聞いて、レジの補助の申請、これからできるのかどうかということで検討されている方がおられますので、そこをもう少し明確にお願いできませんか。

松本副大臣 今後適切に検討してまいりたいと思います。

清水委員 適切にというのは、ぜひ、そこは事業者に適切にということでやってもらわないと、結局自己負担が求められるわけですから、レジを買いかえすることができずに事業を断念しなければならないということになりかねませんので、強くここは制度の延長を求めておきたいと思います。

 それで、麻生大臣は、ことし十月二十九日の閣議後の会見で、ポイント還元の予算が不足した場合にも制度をやめることはないと述べたと報じられております。梶山経産大臣も同様の発言をしていたと私は記憶をしているんですが、一日十億円ぐらいのペースでポイント還元の予算が消化されているということで、枯渇するかもしれない、しかし制度そのものはやめないということで報道されております。

 消費者向けのポイント還元については予算を拡充してでも継続するとしておきながら、レジ対応の補助金は、先ほども数字を聞きましたけれども、件数としてもまだ申請は半分です、基金も四分の一しか、補助金、消化しておりません、それだけの枠が残っておきながら九月末の契約で打ち切るというのは、私は余りにも殺生だと言わなければならないと思うんですが、この点について、麻生大臣、どのように感じられましたですか。

麻生国務大臣 今、松本副大臣の言った答弁に対しての私の答えを聞いているの。質問の趣旨は、主語はどちらですか。

清水委員 もう一度。私が主語でございます。

 麻生大臣は、ポイント還元については予算が枯渇しても終わらせることはないというふうに述べられた。一方、レジの補助金制度については、まだ基金も残っている、申請件数も想定の半分だ、ところがこれを打ち切るというのはおかしいのではないでしょうかというふうに所見を聞いたわけですよね。

 先ほど、冒頭の質問の中で、麻生大臣が、今回、複数税率が導入されることによって中小企業が潰れるようなことがないように対応されてきたというふうにおっしゃっておられますから、そこは、やはりこの補助制度については、所管は違うかもしれませんけれども、継続してもおかしくないんじゃないでしょうかという私のこの考えについての意見をお聞かせいただきたいということです。

麻生国務大臣 少なくとも、所管が全く違う話を私にどうのこうのしろというのは、大体、こういう種の場になれておられないのかもしれませんけれども、少なくとも、他省庁の所管の話を俺にどうしろと聞かれても、それはちょっと答えようがないんですね。まずこれが、常識としてちょっと今後質問されるときに頭に入れておいてください。私はちょっと所管が違いますので、全然答えようがありません。それが一点。

 それからもう一点は、今、そういったような話で、経産省なりなんなりから私どもの方に相談等々あれば、その段階で検討させていただきます。

清水委員 このポイント還元は、そうしたら、所管は財務省でいいんですか。経産省でしょう。だから、経産省のポイント還元の問題について麻生大臣が述べられたので、私はあえて聞いたんですよ。所管は違うかもしれませんけれどもと私は断りましたので、そこは理解させていただいております、少なくとも。そこはちょっと指摘をしておきたいと思います。

 時間がありませんので、次に行きたいと思います。

 次に、キャッシュレス決済による中小企業の負担について質問をさせていただきたいと思います。

 大阪府内でスーパーを展開されている事業者から、今回の増税に対する政府の対応に怒りの声が寄せられております。

 こちらのスーパーでは、これまでの売上げの全体のおよそ二〇%がクレジット決済だった。今回の増税に伴うポイント還元制度によって、十月以降、売上げは下がったのに、クレジット決済のお客さんがふえて、その比率が三〇%に上がった。売上げは下がっているんです。クレジット決済の比率が上がった。金額をお伺いしますと、クレジット決済とプレミアムつき商品券の売上げで五千万円だというふうに言うんですよね、スーパーを展開されている事業者さんで。仕入れのための資金がこれでは売掛金となって枯渇する、こういう相談を受けました。

 結局は、売掛金がふえると、一月先とか半月先に現金化されるということで、仕入れ先には現金商売しているわけで、こうしたタイムラグが起きるということを経産省は想定していたはずなんですが、何か対策を打っているでしょうか。

松本副大臣 キャッシュレス決済による取引というのは、現金に比べれば当然入金までに時間を要するという懸念が示されているということは既に承知をしているところであります。

 そうしたことも含めまして、例えば、中小企業の皆様には、入金サイクルがどれぐらい短いものなのかどうか等々の希望に合致する決済事業者を自由に選択できるような環境を整えるなどしているところであります。

 また、同時に、入金サイクルが原因で資金繰りに困難を来す中小企業がある場合には、日本政策金融公庫によるセーフティーネット貸付けなどによりまして支援を行わせていただいているところであります。

 今、委員からは大変厳しいお声をいただいたわけでありますが、一方で、ポイント還元事業等々を実施する中小店舗の皆様からは、両替に行く回数が事業者として減ったでありますとか、また、キャッシュレス利用の増加、キャッシュレスを切り口に新規顧客もふえたといったような声も存在するのも、これもまた事実であります。

 キャッシュレスの導入によるメリットを享受しながら中小企業が困難を抱えないよう、引き続き、現場の声をよく聞きながら事業の運営に努めてまいりたいと考えております。

清水委員 決済業者によって入金の期日がそれぞれ違うというふうにおっしゃるんですが、お客さんの方はそのことを意識して特に購入するわけじゃないんですよ。御承知だと思うんですが、クレジット決済のほとんど主流は、VISAとかあるいはマスターだとかJCBなどのクレジットカード決済が非常に多いわけなんですよね。ですから、資金繰りに苦しんでいる。

 逆に言えば、年末になるとスーパーなんかは売上げが上がるわけです。クレジット決済やプレミアムつき商品券での売上げがふえるとその分売掛金がふえて、この年末年始、非常に資金繰りに苦しい、このままでは倒産するかもしれない、こういうふうに言われているわけですが、じゃ、これら全て、今副大臣おっしゃったように政策金融公庫のセーフティーネットで必ず融資できるんですか。

松本副大臣 私どもとしては、入金サイクルが原因で資金繰りに困難を来す中小企業がある場合には日本政策金融公庫によるセーフティーネット貸付けなどにより支援を行うこととさせていただいておりまして、具体的な、個別具体の審査は私どもの方では判断のしようがないということでございます。

清水委員 このままでは、やはり年末から年明けにかけて多くの中小企業が資金繰りに苦しんでいくというふうに思うんですよね。

 この業者の方がおっしゃっておられたのは、やはり、結局、政府の政策によってクレジット決済がふえた、手数料も、今は若干引き下げられているとはいえ、何百万も取られると。さらに、資金繰りについては、新たな融資を受けろと。受けられたとしてもこれはやはり金利がつくわけですよね。借金して資金繰りをしなければならない、これ以上借金したくないのにしなければならないということで、憤りを感じておられたわけですよね。

 問題は、この年末、こうしたタイムラグによる資金ショートで倒産するような事業者が出ないように具体的に手を打つということが私は大事だと思っているんですよね。個別具体に審査するということなんですけれども、私は、やはりこの年末、中小業者の皆さんの実態に即した対応が必要だと思っております。

 最後にもう一度松本経産大臣に伺うんですが、松本経産副大臣は、ホームページを拝見しますと、親戚に政治家がいないとか、あるいは庶民派だというか、そういうことで頑張っておられるということで、中小企業の方のこの苦境はわかっておられるというふうに思うんですよね。座右の銘を聞くと、今やらねばいつできる、わしがやらねば誰がやる、これが松本副大臣の座右の銘だというふうにも伺いました。私が紹介するのもおかしな話ですけれども。

 ということは、この年末、資金繰りに苦しむ、これは笑い事じゃなくて、このスーパー始め事業者に対して最大限対応するということだけ御答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。

松本副大臣 済みません、私のことをいろいろ紹介していただいてありがとうございます。

 先ほども申し上げたとおりでありまして、当然、我々の今回さまざま行わせていただいている対策というものは、この資金繰りの悪化によってそうした企業が倒産をするというようなことがないようにこうした貸付制度というものを整備をさせていただいているところであります。

 こうした制度というものをしっかりと活用をいたしまして、中小企業の手助けをしてまいりたいと思います。

清水委員 最大限の対応を求めて、質問を終わります。

田中委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 先ほどからずっとキャッシュレスという言葉が出てまいりまして、恐らく、こんなキャッシュレスという言葉がここまで皆さんによって言われた時代というのはないのかなと思うんですけれども、一方で、暗号資産というものもあります。

 キャッシュレスというのは、キャッシュがまさにないということなんだとは思いますけれども、それが前払いなのか、同時払いなのか、後払いなのか、いろんなクレジットカードなどもあるんですけれども、いずれにしても、円を介したり、あるいはドルを介したりというような、現実の通貨を一つの支払い手段として、ただそれをデジタル化して支払っているというようなことなんだと思うんですが、これと暗号資産というのはどういう関係にあるのかを御説明をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 この言葉は、クリプトアセットという言葉が一番今使われるようになりましたけれども、その前も、いろいろな言葉の定義が英語でも氾濫していましたから、そういった意味では、この暗号資産というものの定義が物すごく難しいんですけれども、少なくとも、今、世界のこういった金融界で使われている意味でのクリプトアセットというのであれば、これは、現状自体を見ますと、価格の変動が極めて激しいものであって、投機の対象みたいなものであって、むしろ、お金としてというようなもので決済に利用できるというものは余りないのが実態であります、今の段階ですよ。

 そういった意味では、決済手段としての利用が低調でありますので、我々としては、やっておられる方は主に、持ったアセットというものの値上がりを期待しておられる方の方が多いというのであって、決済手段として使われる方は余りないように見受けております。

 また、仮想通貨とかいろんな表現もありましたけれども、暗号資産自体につきましては、政府が今現在進めておりますキャッシュレス化というものに直接関連するということはないというように思っておりますが、仮に、これが今後、今言われているようなフェイスブックのものやら何やら、いろんな別の決済手段としてこれが出てくる可能性というのは、これは先生、否定できる話ではありませんので、串田先生御懸念のように、そういった時代まで、このものが裏づけとして信頼できる決済手段になり得た場合にどうなるかということになるんだと思いますが、これは、そういったところは、今、そういった時代、そこまでいけば、また私どもはちょっと考えねばいかぬところでありますけれども、正直、この間のG20等々の中におきましても、これは極めて疑問を持たれた形になっておるというのが今現状になっておると思っております。

串田委員 今後、外為法の改正が上程されると思うんですけれども、そこでデジタルの流通というものも書かれているようなんですが、今回の外為法改正と暗号資産というのは何か関係が出てくるんでしょうか。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 外為法は、国境を越える資金の移動にかかわるものでございますので、暗号資産がこうした国境を越える支払いに用いられる手段であるという意味では、外為法の範疇と重なりがございます。

 ただ、今般の外為法の改正は、支払いの手段に着目するものではございませんで、対内直接投資に着目して、健全な投資を一層促進しつつ、国の安全等を損なうおそれがある投資に適切に対応するということを目指すものでございます。

 したがいまして、今般の外為法改正が暗号資産と関連するものではございません。

串田委員 先ほど麻生大臣から、決済に使うというのは今のところちょっと難しい部分もあるのではないかというような御指摘もありましたが、為替とか株式というものの売却の仕方と、暗号資産の売却で得た利益に対する課税方法、これらは同一になっていくべきなのか、それとも異なって考えるべきなのか、御説明をお願いしたいと思います。

田島政府参考人 お答え申し上げます。

 現状の一般的な取扱いについてお答えいたしますが、暗号資産の取引による所得につきましては、外国通貨の取引による為替差益と同様でございますけれども、雑所得となり、総合課税の対象となります。他方、株式等の譲渡による所得につきましては、譲渡所得でございまして、分離課税の対象となってございます。

 このように、それぞれその所得の性質等に応じた異なる課税の取扱いとなってございます。

串田委員 その質問の続きなんですけれども、株式の場合にも投機的な部分があります。暗号資産も、今の段階だと決済というよりも投機というような意味合いが非常に強いと思うんですが、税金の扱い方を異なってしまうということ自体は、投資をする側としては余り差がないような印象を持って投資をしているような気もするんですが、これを分けていっていくということ自体、整合性があるんでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 上場株式等の譲渡益ですとか、あるいはFXを含む先物取引につきましては、二〇%の分離課税ということになっておりますけれども、このうち、例えば上場株式等の譲渡益等につきましては、貯蓄から資産形成へという考え方のもとで、家計における株式投資を後押しする意義がございまして、所得再分配機能を一定程度犠牲にしてもなおこうした意義が重要との判断によって、分離課税が採用されているところでございます。

 暗号資産の取引による所得につきまして、二〇%の分離課税を同じく採用するということにつきましては、同じ一億円であっても、給与や事業で稼いだお金は最大五五%の税率が適用される一方で、暗号資産の取引で稼いだ方は二〇%の税率でよいとすることについての国民的理解が得られるかどうかですとか、あるいは、株式のように、家計が暗号資産を購入することを国として推奨することが妥当かどうかなど、さまざまな課題があると考えております。

串田委員 二〇%でいいというのは納得できるかどうかというのはあると思うんですが、扱い方を別個にしているということ自体が国民として納得できるものかどうかということも考えていかなきゃいけないのかな。

 同じ為替というような、前は仮想通貨というような言い方でしたから、為替みたいな扱い方を持っている人って多いと思うんですね、暗号資産と今言ってはいても。

 そういう意味で、同じ、パソコンで購入していく、それで、上がったら売る、下がったら買うみたいなことをやっている中で、そんなに、投資をしている人間が区別してやっているのかというようなことを、国民の方はむしろ納得していくのかなというのはちょっと私としては思うんですけれども、どうですか、その点については。もう完全に、国民として、分離しているという認識で課税も考えていくということでよろしいでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 もちろん委員御指摘のように、投資家の方によっては、同じように投機目的で取り組んでおられるという方もおられなくはないかと存じますけれども、一方で、本源的な通貨あるいは株価があって、それのデリバティブズとしての先物であるとかFX等と位置づけがやはり違うということも事実だと思います。そういったことから、同列に扱うということはいかがなものかという考え方も強いというふうに認識しております。

串田委員 次に、現状は、決済としてはなかなか扱いにくいということらしいんですが、ちまたのお店では、暗号資産でも構いませんというお店も徐々に出てきているそうなんですね。そういう中で、不動産売買に関するローン決済なども、暗号資産で不動産のような長期のものをローンで購入するということも将来的には可能になるでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 暗号資産を決済手段として利用する場合には、特段の規制はなく、一般的に当事者間の合意があれば利用できるものというふうに我々としては承知しております。

 その上で、先生の御指摘のような、不動産取引のために金融機関より住宅ローンを借り受け、その返済に暗号資産を受け入れるか否かにつきましては、個別金融機関の経営判断に委ねられるものというふうに考えております。

串田委員 そうしますと、公共の乗り物というようなものも、決済としては、民間会社がそれを納得すれば、そういったような形が、カード化されているということであると暗号資産で乗車することも可能になるということでよろしいですか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、暗号資産を決済手段として利用する場合には、一般的に当事者間の合意があれば利用できるものというふうに承知しておりますので、その上で、先生御指摘のバスとか電車等の公共交通機関等における料金につきましては、当該事業者が暗号資産を受け入れるか否かは個別の事業者の判断になるというふうに考えてございます。

串田委員 今公共施設が入りましたが、民間人の間で暗号資産で決済をするというようなことの場合に、インターネットのふぐあいで、例えば決済期日を徒過してしまったというような形で損害が発生するようなことがあった場合というのは、どんなような形で対応していくということになっているんでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のありました、インターネットのふぐあいによって例えば期限までに支払いが完了せず損失が発生した場合につきましては、インターネットのふぐあいが、利用者のコンピューターやインターネット環境等によって発生したものか、それとも販売店のシステム障害等によって発生したものか、あるいは、仮に暗号資産交換業者が利用者と販売店の間に入り決済を行っている場合、当該業者のシステム障害等で発生したものかなど、ふぐあい発生の状況によって損害補填の方法は異なってくるというふうに考えられますので、一概に申し上げることは困難だというふうに考えてございます。

 そのような前提といたしまして、一般論として申し上げますと、システムのふぐあいにより期限までに決済が完了せず発生した損失の補填の方法につきましては、私人間の契約に基づき、その発生原因等も踏まえ、個別具体的に決定されるものだというふうに認識してございます。

串田委員 ずっと暗号資産で決済という話をさせていただいていて、冒頭、麻生大臣からも、今非常に、決済にはなかなか向かないんじゃないかなということもおっしゃられておられましたが、時代が変わっていくと、もしかしたらどんどんどんどん決済が行われていく可能性も私は否定できないのではないかなと思うんですけれども、そうなった場合、暗号資産がたくさんふえていくことによって、インフレとかが影響を受け得るような時代も来るんじゃないか。

 通貨の場合には日本銀行なり金融政策でインフレ抑制をしたりするようなことができるわけですけれども、暗号資産というのは、民間同士で発行していく中で、その決済手段というものがどんどんどんどん大きく比重を占めていくということ自体全く否定はできないわけであります。そういった場合にインフレ抑制などを将来できるのかどうか、そこら辺のリスクというものをお考えにはなっているんでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますと、暗号資産の価格形成メカニズムは必ずしも明らかとなっておりませんけれども、主として需給関係により決定するとされておりまして、その価格は為替とは関係なく独自に変動しているというふうに承知してございます。

 こうしたことから、例えば国際的なフォーラムであるFSBのレポートなどにおきましては金融政策への影響なども懸念がされているところでございますけれども、現在のところ、暗号資産は価格変動が大きいことから決済手段として普及はしておりませんため、物価に与える影響は小さいというふうに認識してございます。

 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、引き続き、暗号資産の価格変動など、金融システムやマクロ経済に与える影響につきましては注視してまいりたいというふうに考えてございます。

串田委員 ずっとお聞きしているんですけれども、結局、価格変動が大きいから決済手段としては向かないんじゃないかということのようなんですが、でも、価格変動が非常にそういう意味で安定してくれば、これは決済手段としても便利だなというような時代がないとは限らないわけですよ。現実に、今でもちまたのお店で暗号資産で決済することができるようになってきて、それがどんどん知らないうちに広がっていったときに、全く政府とは関係がないところで、商品の売買なり、例えば、ある企業では給料の支払いは暗号資産で行うようにするというような企業も私はいつかは出てくるんじゃないかな。

 そういう中で、今言ったように価格変動が大きいから決済手段としては行わないだろうというような、そういう見通しだけでもって、こういったようなことに対する監視だとか抑制だとかというものを何もしないままでいいんだろうかというのは、私として大変懸念を感じているんですけれども、価格変動が大きいから決済手段には使われないだろうという予想立てで、これからも、インフレだとかそういったようなことに関しては全くコントロールのきかないものを、ちまたの、まさに通貨発行権というのは本来は国にしかないにもかかわらず、あたかもそれでもって商品の売買なりが行われていくということに対してのインフレに対する不安感というようなことは心配しないでいいと言い切っていいのかどうか、確認したいと思います。

麻生国務大臣 先生、クリプトアセットという話とステーブルコインというものとをちょっと混同されているところ、ないですか。今話しておられるのは、クリプトアセットの話をこっちは答えておりますので。

 今、世の中は、クリプトアセットにかわってステーブルコインと言われるものが出てきて、それが今、通貨の代替になり得るのはこのステーブルコインの方になりつつあります。

 この主力は、このステーブルコインの主たるものは、少なくとも、いわゆる、ドルならドル、円なら円というものの裏づけのある電子マネーというものをステーブルコイン、ちょっと正確な日本語がないんですけれども、ステーブルコインと呼ばれております。

 最近これが出てきているんですが、やはり、こういう需要がまずあることは間違いないんだと思うんですね。需要がなきゃこんなものは出てきませんから。その基本的な需要は何かといえば、金融、銀行の手数料が高いことですよ。特に海外送金なんかの場合はむちゃくちゃ高いということになりますので、ステーブルコインでやり合った方は、早いし、安いしという需要がそこにあるということなんだと思っております。

 それにフェイスブック等々が乗って巨大なものになって、それにいわゆるマスターとかが入るのVISAが入るの何のかんのと言っていた騒ぎがありましたけれども、これは全部撤収しましたから、それは少し終わっておりますけれども、少なくとも、そういったものの需要があるからこういったものが出てくるんだと思っております。

 これを今、どこが出てくるというと、例えば中国が、これを海外決済で我々はやろうというのが今の大きな問題なんですが、十三億というマーケットで国内だけでやると。レンミンビというもの、レンミンビというのは人民元。人民元というものは、そこで、少なくともスマホでやる、同じようにこれをステーブルコインだけでやりますということになりますと、お金の動きが全て政府で捕捉できるということになり得ますから、そういったようなことをやるというのでも、規模のマーケットがありますが、十三億人が使えるとなったら大きいです。

 そういった意味で、そこで動き始めた後、それを一帯一路に使わせろとか何とかいうようなことになっていって、それが海外に行くというようなことになっていったときにどうするというようなことを国際的なところでは考えないかぬということで、G20等々の場においては、極めてこの問題に対しては懐疑的なところが今のところであります。

串田委員 時間になりました。

 私も混同しないように勉強してから、また質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明させていただきます。

 外国為替及び外国貿易法は、投資自由を原則としつつ、一定の業種に対する対内直接投資等につきまして、国の安全等の観点から事前届出を求め、審査を行うことといたしております。

 この事前届出制度に関し、日本経済の健全な発展につながる対内直接投資の一層の促進を図る一方、国の安全等を損なうおそれのある投資について、昨今の主要国における対応強化の動向を踏まえ、適切な対応を図る必要があります。このような状況に鑑み、本法案を提出した次第であります。

 以下、本法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、一定の基準を守り、国の安全等を損なうおそれがないとみなされる対内直接投資等について、事前届けを免除する制度を新たに設けることとしております。

 第二に、上場会社の株式取得を行う場合に事前届出が必要となる株式の取得割合を引き下げるとともに、株式取得以降の会社の経営に重要な影響を与える一定の行為を、事前届出の対象に追加することとしております。

 第三に、国内外の行政機関との情報連携を強化する規定を追加することとしております。

 その他、所要の規定の準備を行うことといたしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十七分散会


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