衆議院

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第3号 令和2年2月14日(金曜日)

会議録本文へ
令和二年二月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中 良生君

   理事 あかま二郎君 理事 井林 辰憲君

   理事 うえの賢一郎君 理事 津島  淳君

   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君

   理事 古本伸一郎君 理事 伊佐 進一君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石崎  徹君    泉田 裕彦君

      今枝宗一郎君    大岡 敏孝君

      勝俣 孝明君    門山 宏哲君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      國場幸之助君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    武井 俊輔君

      辻  清人君    出畑  実君

      中曽根康隆君    古川 禎久君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      宮澤 博行君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      和田 義明君    海江田万里君

      岸本 周平君    櫻井  周君

      階   猛君    野田 佳彦君

      日吉 雄太君    森田 俊和君

      石井 啓一君    清水 忠史君

      串田 誠一君    青山 雅幸君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       大塚  拓君

   財務副大臣        遠山 清彦君

   内閣府大臣政務官     神田 憲次君

   総務大臣政務官      斎藤 洋明君

   財務大臣政務官      井上 貴博君

   国土交通大臣政務官    門  博文君

   環境大臣政務官      八木 哲也君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  安居  徹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 林  幸宏君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村手  聡君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        辻  庄市君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    長谷川秀司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 吉田 博史君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小宮大一郎君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        石岡 邦章君

   政府参考人

   (財務省大臣官房公文書監理官)          上羅  豪君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    矢野 康治君

   政府参考人

   (国税庁次長)      田島 淳志君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森  晃憲君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           辺見  聡君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           淡野 博久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         徳永 幸久君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       塩見 英之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 上田 康治君

   参考人

   (日本銀行理事)     前田 栄治君

   財務金融委員会専門員   齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十四日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     和田 義明君

  小泉 龍司君     中曽根康隆君

  山田 賢司君     出畑  実君

同日

 辞任         補欠選任

  出畑  実君     山田 賢司君

  中曽根康隆君     泉田 裕彦君

  和田 義明君     大岡 敏孝君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     小泉 龍司君

  大岡 敏孝君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事前田栄治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官安居徹君、内閣府大臣官房審議官林幸宏君、大臣官房審議官村手聡君、地方創生推進事務局審議官辻庄市君、経済社会総合研究所総括政策研究官長谷川秀司君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、大臣官房審議官吉田博史君、消防庁国民保護・防災部長小宮大一郎君、出入国在留管理庁出入国管理部長石岡邦章君、財務省大臣官房公文書監理官上羅豪君、主計局次長宇波弘貴君、主税局長矢野康治君、国税庁次長田島淳志君、文部科学省大臣官房審議官蝦名喜之君、大臣官房審議官森晃憲君、厚生労働省大臣官房審議官奈尾基弘君、大臣官房審議官辺見聡君、国土交通省大臣官房審議官淡野博久君、大臣官房技術審議官徳永幸久君、水管理・国土保全局次長塩見英之君、環境省大臣官房審議官上田康治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。本田太郎君。

本田委員 おはようございます。自由民主党の本田太郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 昨日、日本国内では初めて、神奈川県におきまして、新型コロナウイルス感染者の方が亡くなられました。心より御冥福をお祈り申し上げます。

 また、その方の義理の息子さんであるタクシードライバーの方や和歌山県の医師の方など、いまだ感染ルートが特定されない方々への感染も確認されており、感染ルートの特定や感染拡大防止へのさらなる努力が必要だと考えております。

 新型コロナウイルスの感染拡大につきましては、中国の一部専門家から、四月にも終息するとの報道もあったようであります。しかし、WHOは、中国国内での新たな感染者の数はここのところ安定してきているが、慎重に見なくてはいけないとして、新型コロナウイルスの流行が現時点でピークを迎えたのかどうかの判断や終息する時期を予測するのは困難であるとの見方を示しております。

 それを裏づけるかのようなデータも出てきております。

 中国の衛生当局は、今月の十二日、新型コロナウイルスの感染者が中国本土で累計四万四千六百五十三人、死者が千百十三人であると発表しました。これは、前日比で感染者が二千十五人、死者が九十七人の増加で、一月三十日以来の低水準の増加であったにもかかわらず、その翌日の十三日には、湖北省の衛生当局が発表した感染者数におきましては、省内だけで一万四千八百四十人も増加し、死者数も前日から二百四十二人もふえました。この死者の急増は、昨年十二月に新型コロナウイルスが特定されて以降、最悪となっております。

 また、感染者の急増は、十三日から従来とは異なる検査方法で感染が確認された患者の数を加えたためだと説明をされています。ちなみに、新たな検査方法の結果を含まない場合は、感染者数の増加は千五百八人にとどまったとされております。

 つまり、今回の集計結果の修正は、確認された感染者の数について中国が二種類のデータを持っていたのではないかとの疑念を抱かせるものとなっております。

 さらに、今回発表された新たな感染者数の大半は武漢市のものであるため、ほかの地域がいまだに集計方法を修正していなければ、今後感染者の数が更に急増する可能性も否定はできません。

 このような新型コロナウイルスの感染拡大によって、中国国内での生活や生産活動が滞るほか、中国に滞在する多くの外国人が帰国して外資系企業の活動が停止する、また、中国で操業している工場が操業停止となって世界のサプライチェーンに大きな影響を及ぼすなど、中国発の世界的景気減速の危険性が現実のものになる可能性がございます。

 大臣はこうした危険性をどのように認識され、それに対してどのような対策を考えておられるのか、お伺いします。

 また、昨日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部では、入管法に基づく上陸拒否など水際対策強化や事業者への経済的支援などが決定されたと聞いておりますが、こちらは内閣府かと思いますけれども、それらを含めた具体的内容についても御答弁をお願いします。

 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大のほか、先月のイギリスのEU離脱や米中貿易摩擦といった世界経済に大きな影響を与える事象もございます。国内に目を転じましても、消費税増税については、反動減対策が今のところ功を奏していると思いますが、対策が終了する二〇二〇年夏には、東京オリンピック開催後の景気下押しと相まって、次の関門が待ち受けているとの見方も出ております。先日のダボス会議での日銀の黒田総裁の発言にもありますように、消費税増税等によりGDPがマイナス成長になる可能性もあります。

 以上のようにさまざまな大きな経済下方リスクがあるわけですが、こうしたリスクが現実のものとなった場合には、必要に応じて柔軟かつ迅速な追加補正などさまざまな対策も必要と考えますが、この点についての大臣の御見解もお伺いしたいと存じます。

麻生国務大臣 まず、新たに、新型ウイルスの影響によって亡くなられたという事例が日本で初めて起きておりますけれども、御家族の方々等々、心からお悔やみを申し上げるところであります。

 その上で、いろんな御質問がありましたけれども、世界経済については、これは全体としては緩やかな回復傾向というのは続いてきたところでありますが、この新型ウイルスの発生によって、例えば、中国経済への影響もさることながら、中国のつくった部品によって、それを車の部品として使っている日本の自動車会社、例えば九州の自動車会社は多分来週から操業停止になりますけれども、そういったような形のものが出てきていますので、いろんな形での影響は出る。

 それから、観光業等々、奈良の鹿煎餅が全く売れないとか、現実的な話でしょう。新聞には出てこないけれども、奈良の鹿の煎餅屋さんは全く売上げがなくなったという話が出ていました。

 そういったようないろんな形で生活活動への影響が出てきているということは確かだと思っておりますので、これは注意深く見ていく必要があろうと思っています。観光は、特に、そういった意味では、中小零細関係のところがすぐ出てくる可能のあるところが多いと思いますので、今東京でも、中華料理屋さんに行かれたらわかりますけれども、お客がいないから予約がすぐとれるというような話もよく聞かされる話ですけれども。

 そういった形で、この新型コロナウイルス感染症というものは、これは感染の拡大防止というのは取り組まないかぬところですけれども、その上で、いろんな形で私どもとしてはやらないかぬところだと思っておりますので、総理の指示があったところでもありますので、予備費百三億円を使用することにしておりまして、総額、トータル百五十三億円になりますけれども、対応策を実施することにしたところでもあります。

 いずれにしても、今後、予備費を含めましてこの緊急対策を着実に実行して、水際対策とかウイルスのいわゆる国内蔓延等々を食いとめていくという緊急対策をしっかり進めていくことが重要なんだと思っております。

 加えて、今言われましたように、経済の下振れリスクというものを考えないかぬということだと思っておりますけれども、私どもとしては、いろいろなものが、去年の十―十二でいろいろな形のものが出てきているとは思いますけれども、昨年の十二月に総合経済対策を策定したところでもありますので、令和元年度の補正予算も先般成立させていただきました、そういったものも十分に活用させていただいて、万全の支援というものをとっていく所存でありますけれども、現時点で、今すぐ更にどうこうというのを今この段階で考えているわけではございません。

安居政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、何より国民の命と健康を守ることを最優先に、必要な対策はちゅうちょなく実行するとの方針のもと、当面緊急に措置すべき対応策が取りまとめられました。

 具体的には、感染拡大の防止に万全を期すため、国立感染症研究所や地方衛生研究所の検査体制の抜本的な強化を図ること、水際対策の強化として、全国の検疫所等の検査体制や機能の強化、健康フォローアップセンターの体制整備を図り、同時に、簡易診断キット、抗ウイルス薬、ワクチン等の国内外における研究開発を支援すること、マスクの増産に応じる事業者に生産設備の導入を支援すること、観光業など影響が出始めている産業への対応として、日本政府観光局や旅行関係団体等を通じて、訪日旅行や国内旅行を検討されている方に正確な情報発信を行うこと、日本政策金融公庫等に緊急貸付・保証枠五千億円を確保し、観光業など地域の中小・小規模事業者等への資金繰りの支援を行うことなどの対策が取りまとめられております。

本田委員 ありがとうございます。

 さまざまな感染症対策、しっかりやっていただくことを期待申し上げます。

 次に、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策終了後の災害対策予算について質問をいたします。

 政府では、従来からの災害対策の取組に加えまして、災害時に人命、経済、暮らしを守り支える重要なインフラの機能を維持できるよう、予算を大幅に増額し、三年間集中で、緊急を要する防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策を実施しております。

 私の地元である京都府北部にも由良川という一級河川がございまして、その近くに大河ドラマ「麒麟がくる」の明智光秀が築城した福知山城がございまして、その昔、光秀が治水事業を行ったそうですが、歴史的にずっと水害に苦しんでおります。一昨年の西日本豪雨までの直近五年間で四回の水害に見舞われてきました。

 こうした地域はほかにも多数あるでしょうし、一昨年は西日本豪雨のほか北海道胆振東部地震、また昨年は台風十九号による東日本での豪雨災害など、災害が頻発、激甚化しております。そして、災害によって多くのとうとい人命が失われ、また、関西空港の浸水、上下水道の長期断水、広域にわたるブラックアウト、携帯電話基地の停波など、重要インフラの機能にも支障を来して、我が国の経済や人々の生活に多大な影響が発生しました。こうした被害に対して、三カ年緊急対策によって随分と助けられたというのが自治体の実感であると思います。

 ただ、三カ年緊急対策は令和二年で終了するため、災害は今後も、いつ、どこに襲ってくるかわからない中で、緊急対策の後の予算と施策がどうなっているのか、全国の自治体と国民の皆様が気になっているところです。

 この点について、政府の見解をお伺いいたします。

遠山副大臣 本田委員にお答えをいたします。

 防災・減災、国土強靱化につきましては、政府としては、近年の災害から得られた教訓等を踏まえまして、平成三十年十二月に、国土強靱化基本計画を見直しまして、また、集中豪雨などの災害が相次いでいる現状を踏まえ、本田先生から先ほど御指摘がありましたとおり三カ年緊急対策を策定し実行をしてきておりまして、取組を強化しているところでございます。

 さきに成立をいたしました令和元年度補正予算でも、昨年の台風第十五号それから第十九号などの被害を踏まえまして、河道掘削や堤防強化などの水害対策を中心に、国土強靱化関係で一兆一千五百二十億円を確保しているところでございます。

 今後とも、これは安倍総理また麻生大臣からも繰り返し予算委員会等で御答弁申し上げてきたところでございますが、この三カ年は令和二年度で終了するわけでございますが、その後も、国土強靱化基本計画に基づきまして、必要な予算については十分確保して、災害に屈しない日本の国土づくりを進めてまいりたい、これが政府の姿勢でございます。

 以上です。

本田委員 御答弁ありがとうございます。

 政治の役割は、何といいましても、まず第一に国民の皆様の生命を守ること、それが第一でありますので、そのための予算づけをしっかりと今後もしていただきますようお願いを申し上げます。

 次に、軽減税率導入後の税務署の職員体制について質問をいたします。

 昨年十月の消費税率引上げに伴う軽減税率制度の導入後、初めての確定申告が始まります。確定申告においては税率ごとの区分経理が求められますが、特に個人事業主を中心に、煩雑な区分経理に対応ができるのか、できない方々による税務署窓口での相談が増加すると思われます。さらに、提出された申告書の審査、そして誤りがあった場合の行政指導、税率変更に伴う不正還付の審査など、税務署の事務量の大幅な増加が予想されます。

 しかも、近年では、法人税実調率が三・一%という低位が続いており、先ほど述べた業務量の急増に人員面で対応ができなければ、結果的に、法人税の実地調査に人手が回らず、実調率は更に低下して、適正かつ公平な課税及び徴収の実現に困難が生じかねないと考えます。

 そこで、政府におきましては、税務署の業務量増加に対応した予算と人員の確保が十分になされているのか、その点についての見解をお伺いしたいと思います。

遠山副大臣 お答え申し上げます。

 軽減税率制度の実施に伴う対応についての御質問だと思いますが、国税庁におきましては、これまで、軽減税率制度実施に向けた周知、広報や税務署における相談対応に全力で取り組んできているところでございます。また、令和元年分の確定申告につきましては、事業者が円滑に申告を行うことができるように丁寧に対応することとしております。

 今後、税務執行の現場におきましては、こうした取組に加えまして、軽減税率制度が適用された消費税の確定申告書の提出、これは個人においては来る三月末、また法人については五月末にふえていくと予測しているわけでございますが、この確定申告書の提出を受けまして、事務が本格化いたします。そこで、申告の誤り、還付申告への審査や丁寧な指導、あるいは飲食料品を取り扱う課税事業者への書面照会、また消費税率引上げに伴う滞納の未然防止、整理促進などに取り組んでいく必要があると考えております。

 このため、令和二年度の当初予算におきましては、軽減税率制度実施への対応のための体制整備として、新たに四百十一人の定員が認められたところでございまして、これらの定員を活用して、軽減税率制度の定着に向けて万全を期していきたいと思っております。

 いずれにせよ、先生からの激励のお言葉だったと思いますが、引き続き、財務省として、業務の効率化を図りつつ、必要な定員を確保して、税務執行体制の強化を図ってまいりたいと思います。

本田委員 御答弁ありがとうございます。

 四百十一人追加ということで、税務署の職員さんも大変心強い措置をいただいたということだと思います。引き続きまして、公平な税収納に当たっていただきますようお願いを申し上げます。

 続きまして、人手不足が日本経済に与える影響について質問いたします。

 中小企業や小規模事業者を中心に人手不足が深刻化しておりまして、従来から受け入れてきた専門的、技術的分野における外国人材に限定をせず、幅広く外国人材を受け入れるための在留資格、特定技能一号及び二号が一昨年成立いたしました。しかし、現時点での特定一号、二号に基づく受入れ人数は、当初想定されていたほど進んでいないのが現状だと思います。

 そうした中、人手不足はますます深刻化しており、私は、これが日本経済の成長の足かせになるのではないかと危惧をしておりますが、その点についての政府の見解をお伺いいたします。

前田参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ありましたとおり、労働集約的な業種を中心に人手不足の深刻化を訴える声が多いということは承知しております。

 もっとも、多くの企業では、これに対応して、女性や高齢者、外国人材など多様な労働力の活用やそれを促進する勤務形態の見直しのほか、省力化投資などのさまざまな工夫を積極的に行っているということかと思います。

 このため、経済全体として見れば、今のところ、人手不足が景気拡大の大きな制約とはなっていない、このように考えております。

 ただ、そう申し上げた上で、やや長い目で見れば、生産年齢人口、働き手の減少が続きますので、そうした中で我が国経済がより高い成長を持続的に実現していくためには、生産性の向上に向けた官民の継続的な取組が不可欠、このように考えております。

本田委員 ありがとうございます。

 現時点で人手不足が経済の制約にはなっていないという御答弁でありました。

 これから長期的に見ていったときには、この人手不足は、女性、高齢者、障害者の方々、そういった方の、働ける方々のパイをふやしていくということと同時に、また、外国人の方にも御活躍をいただくということで、人手不足を解消していく必要があると思いますし、同時に、人手が不足している中でも生産性を上げていく、両面からの対応をしていかなければならないということだと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いをいたします。

 続きまして、我が国の経済、物価の現状と先行きについて質問をいたします。

 アベノミクスは、二〇一五年秋に、潜在成長力を高めるため、構造改革にターゲットを絞ったいわゆる新三本の矢を打ち出し、それから七年目となります。

 構造改革には、成果が出るまでのタイムラグがあることや、供給能力の拡大に伴い、かえってGDPギャップが広がるという点で批判もあります。他方で、有効な構造改革は、将来不安を解消して日本経済に対する悲観論が後退するということを通じて、国内投資や国内消費など現在の需要サイドに好影響を与え、結果としてデフレ解消に結びつくという効果を持つと言われております。

 アベノミクスで進行中の構造改革のうち、例えば経済連携、インバウンド、攻める農業などの面では成果を上げつつありますが、依然として潜在成長率はまだまだ伸び悩んでいると言わざるを得ない面もございます。

 また、物価上昇率二%を目指して日銀が二〇一六年に導入したマイナス金利政策は、デフレ状況を脱却したという点で評価ができますが、銀行の利ざやの縮小や金利低下に伴うイールドカーブの平たん化で収益環境が悪化するなど、マイナス金利政策の副作用も顕在化しております。

 こうした経済状況についての日銀の現状認識と、あわせまして、先行きに対する認識もお伺いしたいと思います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 二〇一三年に日本銀行が量的・質的金融緩和を導入して以降、我が国の経済は大きく改善した、このように考えております。企業収益は歴史的な高水準で推移し、失業率は二%台まで低下しております。こうしたもとで、消費者物価の前年比はプラスの状況が定着してきておりまして、物価が持続的に下落する、こういう意味でのデフレではなくなっているかと思います。

 その上で、足元の我が国経済を見ますと、昨年十―十二月については、海外経済の減速に消費税率引上げや自然災害の影響も加わり、大幅なマイナス成長となった可能性がある、このように考えております。

 一方、先行きについては、基本的には、そうした下押し圧力が薄れる中で、堅調な設備投資、積極的な政府支出などに支えられて、我が国の景気は緩やかな拡大基調を続け、物価も徐々に上昇率を高めていく、このように私ども予想しております。

 ただし、新型コロナウイルスによる感染症の拡大がインバウンド消費や生産活動に与える影響を含め、さまざまな下振れリスクに十分な注意が必要であると考えておりますし、日本銀行としましては、引き続き、強力な金融緩和で経済を下支えしていきたい、このように考えております。

本田委員 答弁ありがとうございました。

 これからもしっかりと物価上昇に向けて頑張っていただくということでございますので、御期待を申し上げる次第であります。

 最後に、日本経済は、雇用・所得環境の改善、そして高水準の企業収益などによって、内需を中心に緩やかな回復は続けております。また、ITやAI関連を中心に設備投資が上向きで、日本経済の成長や回復を牽引してくることが期待をされております。個人消費について見てみましても、最近の人手不足によって賃金が逆に少し上昇をし、回復の傾向が見られるという分析もございます。

 他方で、回復のテンポは全国的に見るとまだら模様で、大都市圏と地方圏の間においては、製造業など各業種で大きな生産性の格差が存在するなど、構造的なギャップはやはり存在すると思われます。

 例えば、私の地元は典型的な地方圏でありますが、地元を回っておりましても、企業経営者の皆さんや住民の方々は、経済状況の回復を肌で実感するというところにはまだ少し至っていないという感じもいたします。

 こうした地方圏の経済についてどのように評価をされておられ、また、肌感覚も含め、回復に向けてどのような対策を考えておられるのかを率直にお伺いしたいと思います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしては、地域の経済という観点からお答え申し上げます。

 我が国経済が息の長い回復を続ける中で、景気拡大の裾野は地域的にも広がりが見られてきている、このように認識しております。

 本年一月の地域経済報告、さくらレポートと呼ばれるものでございますけれども、これにおきましては、全ての地域について、基調としては拡大又は回復しているという景気判断が示されております。もちろん、御指摘のとおり、地域経済については、産業構造や直面する需要の違いなどによって景気の回復度合いにばらつきがある、このようにも認識しております。

 例えば、一月の支店長会議などでは、海外経済の減速や自然災害などの影響が製造業のウエートの高い地域を中心に見られているという報告がありましたし、構造的になかなか景気回復が実感できないというような報告もあったところでございます。加えまして、足元では新型コロナウイルスによる感染症の拡大のインバウンド消費への影響等が支店から報告の入っているところでございます。

 日本銀行としましては、引き続き各地の経済状況についてきめ細かく丁寧に把握するとともに、極めて緩和的な金融環境をつくり出すことで、地域の企業や家計の経済活動をしっかりとサポートしてまいりたい、このように考えております。

本田委員 ありがとうございました。

 地域の経済を細かくウオッチしていただけるということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 地域の隅々まで皆さんが景気回復を実感できて初めて本格的な景気回復に向けての流れができるものと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、海江田万里君。

海江田委員 おはようございます。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの海江田でございます。

 まず、先ほど麻生大臣からも哀悼の意が表されたところでございますが、私からも、新型コロナウイルスで亡くなられた方が出たということでございますので、改めて哀悼の意を表したいと思います。

 さて、麻生大臣、予算委員会では大分無聊をかこっているようでありますが、この当委員会は歳入委員会でございますので、どうぞ、思う存分、そのかわり中身のある御答弁をお願いしたいと思います。

 私からは、主にきょうは歳入面での新しい年度の予算についての問題、それからあと、やはり、今し方もお話が出ましたけれども、消費税の増税の影響というものがこれから深刻化してくるのではないだろうかと思われますので、そういった点についてもお話をさせていただきたいと思います。

 まず、二〇二〇年度の当初予算、これは税収を六十三兆五千百三十億円と見積りをしてございますね。

 そして、昨年、今の年度でございますが、この当初の予算は六十二兆四千九百五十億円でございましたけれども、ついせんだっての補正予算で減額修正を二兆三千百五十億円行っておりますね。

 ですから、この減額補正も含めた二〇一九年度と二〇二〇年度の税収の見込み額を見ますと、プラス三兆三千三百三十億円という金額になっています。これは大変大きな増額だと思いますけれども、この大きな増額を見込んだその積算の根拠というものをお教えいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二年度の税収につきましては、消費税率の引上げによる増収分の満年度化の影響に加えまして、政府経済見通しにおける雇用・所得環境の改善ですとか、あるいは企業生産活動、民間消費の活動の増加などを織り込んで算出をさせていただいております。所得税で補正後に対しまして五千億の増、法人税で補正後に対しまして四千億の増、消費税は満年度化の影響がございますので二・七兆円の増などでございまして、先生御指摘のとおり、三・三兆円の対補正後増となっております。

海江田委員 今、主税局長からお話もございましたけれども、やはり経済見通しなんですね。先ほど来から議論が出ておりますが、二〇二〇年度の経済見通し、たしか一・四%、GDPの実質の伸びで見込んでいると思われますが。

 麻生大臣、これはやはり高過ぎるんじゃないだろうかという声が各方面からずっと上がってきているわけでございますが、これは本当は内閣府に聞けばいいんでしょうけれども、麻生大臣、やはり歳入の、税収の根拠となっております一・四%というのはどうも高過ぎるんじゃないだろうかと私は思うんですが、どうでしょうか。御意見をお聞かせください。

麻生国務大臣 高過ぎるか、それほど伸びないか、いろいろ意見が分かれるところだと思いますし、今年度も、私どもとしては、残念ながら、主に海外からの下振れリスク等々、その他いろいろありまして、税収が我々の当初見込みより少なかったというのは事実であります。

 しかし、今、主税局長の方から申し上げましたように、来年度に関しましては、消費税が半年ではなくて満年度化いたしますし、今の国内の状況を見ましても、今の段階で景気が少なくとも悪くなってきているというような話は、消費税を上げた十―十二月のGDP等々がある程度悪く出てくるのは間違いないとは思っていますけれども、それ以後、今のいろいろな形での影響が出てくるということは、それはある程度覚悟せねばいかぬところなのであって、先ほどちょっと自動車の例を申し上げましたけれども、そういったウイルス、ウイルスじゃなかった、バイラスか、何でしたっけ、コロナバイラスのおかげでいろいろな影響が、既にサプライチェーンの一部は欠陥をしておりますので、自動車部品は約三万点ですけれども、一点でも欠けますと完成車にはなりませんので、そういった形での影響がもう出てきているので。在庫が今週末で切れる自動車会社、来週末で切れる自動車会社、既にいろいろ資料が上がってきていますけれども、そういったようなものが影響が出てくることは確かだと思いますけれども。

 これは、また回復いたしますとすぐまた戻ってくるような種類の話でもありますので、そういったものが長期にわたって出てくるというのであればまた別の話でしょうけれども、そのようなことを今期待しているわけではありませんので。

 私どもとしては、今申し上げましたように、六十三兆というようなものが、十分に回復できる、加えて、アメリカの景気も極めて順調に推移しておりますので、そういったものを含めまして、いろいろな影響、一概には申し上げられませんけれども、今の段階でこれは達成でき得るというように考えておるところであります。

海江田委員 やはりこれが一番の、歳入、これは国税だけじゃありませんで、地方税にも当然影響してきますので、私はやはり慎重の上にも慎重にしなければいけないと思っておりまして。

 内閣府は一・四%という数字を出しておりますが、例えば日銀は、先ほど前田理事ですか、お帰りになりましたけれども、日銀が出しておりますのは、日銀の政策委員ですね、あれはたしか中間値が〇・九ですよ。〇・八ぐらいから一・一ぐらいまでありまして、やはり〇・九なんですよね。それから民間に至っては、大体、二〇二〇年度は〇・五ぐらいだという数字が出ているわけでございます。

 それから、直近、やはり景気というのは流れでございますから、先ほど来、それから今大臣からもお話がありましたけれども、十―十二月は、これはかなりの、一部民間の数字も出ておりますけれども、前期比でマイナス四・〇五、これは年率換算ですけれども、かなり急激な落ち込みなわけでありますね。

 この落ち込みがそう急に、それから先ほど麻生大臣からお話があった各種のリスクというものもありますと、そう急激にこれが一・四まで戻るとは私はとても思えないわけでありますよ。余りにも民間の数字、あるいは日銀も、そもそもやはり二%の物価目標がありますから、かなりそこに合わせた数字だろうと私は思っておりますけれども、それでも〇・九ですから。その〇・九を更に〇・五ポイント上回る一・四というのは、やはりかなり過大だというふうに私は思っております。

 結局、これだけ過大な税収の見積りをやることによって、国債の新規発行額、とりわけ当初予算での新規発行額を抑えることはできるわけでありますが、実際のものであればそれはいいわけですけれども、やはり、見せかけの国債の発行額を抑えるために成長率を高目に見積もって、そして税収も過大に見積もるということは、本当にいろんなところに影響を与えるということになりますが、政府の内閣府の見通しだけが一・四%と高いことについて、大臣はどういうふうに思っておられますか。まあ、内閣府が出すことでありますが、財務大臣として。

麻生国務大臣 二〇一九年の十月―十二月のGDPについて、これは来週かな、二月の十七日に、内閣府ですかね、あれは。

 民間予測に対してのコメント、これはちょっと予断を持って今の段階で申し上げることは差し控えさせていただきますが、その上で、消費税率引上げ前の駆け込み需要というようなものやら、その後の落ち込み等々につきましては、これは、十―十二の場合は、御存じのように、台風とか、それからことしは暖冬で冬物が全く売れないとか、いろんな話がありますので、そういった販売減はもちろん見られますし。他方、いろんな対応策もやらせていただきましたので、現時点で、前回、前回というのは二〇一四年のほどではないと考えております。

 いずれにいたしましても、引上げ後の経済動向ということについては、今いろいろ御意見を言っておられますとおりなんで、今後、公表されるであろう各種データがいろいろ個々出てまいりますけれども、そういったものを見て、きめ細かく見ていって、全体像というものを把握するということが大事なんであろうというように考えております。

海江田委員 結局、過大に、当初予算で税収の見込みが大きなものになれば、当然、ついこの間やったと同じような、補正予算で減額をしなければいけないわけですよね。

 そういうことになると、補正の本来の意味合いが大変希薄になってというか、補正の本来の意味合いよりも、とにかく毎年もう、まず当初予算で過大に見込んで、そして減額補正をやる。補正をやりますと、やはり私どもの当委員会での審議時間も全体でわずか二時間でありましたし、それから、予算委員会の方の時間というのも極めて限られた時間になってしまうわけですよね。

 補正をやるということになると、やはり、必ずそれは景気対策だということになって、そこにかなり非効率的なと申しますか、まあ、端的に言えば、税金の無駄遣い、新たな財政出動が出てくるわけですよ、これは、補正をやるとなればね。ただ減額だけの補正ということはあり得ないわけですから、そこにやはり大きなこの財政に対する悪い影響ということを与えるきっかけになってしまうんですよ。

 私は、ちょっと極論をすれば、当初予算で税収の見込み額を大きくすることが補正予算を組まざるを得ない一つのきっかけになって、そして、補正予算を組むことによって財政の悪化というものに、いわゆる好循環ならぬ悪循環に陥っているのが、最近の当初予算とそれから補正予算の関係ではないだろうかというふうに思うわけでありますが、麻生財務大臣も、これはやはり財政の健全化というものには決して無関心ではないと私は思っておりますので、今私が述べましたように、そういう悪循環に、結局、財政の悪化、健全化を損なうことになるのではないだろうかという指摘について、どういうお考えをお持ちでしょうか。

麻生国務大臣 減額補正、まあ、補正予算というのは、いろいろ緊急事態が起きますので、そういった対応をやっていかねばならぬところですけれども、少なくとも、減額補正というのは過去そんなに例がしょっちゅうあるわけではありませんので、私どもとしては、今回、このような形でさせていただきましたけれども、少なくとも、台風十五、十九号等々の大きな範囲での被害がありましたし、また、中国、アメリカ、一応形としておさまった形になっておりますけれども、より一層注意が必要だというのはもうはっきりしておりますので、そういった意味では、私どもとしては、いろいろなもので経済対策を今のうちにやっておかねばならぬということから、この補正予算を組ませていただいたというのが今回なんだと思っております。

 いずれにいたしましても、予算というのを考えますときに、来年の税収が幾らになるかという、ある程度経済を予測した上での見積りという形になりますので、なかなか正確に当たるわけでもありませんし、国内だけでなく、海外との関係というのは、いろいろな形でのサプライチェーンがこれだけ重なってきたような世界の中において、なかなか予測しがたいというところはあろうかと思いますけれども、いずれにしても、こういうようなことを安易にやると財政の非常に大きな問題になるのではないかという御指摘は全く正しいので、私どもとしては、そういったところを十分に配慮してやっていかねばならぬところだと思っております。

海江田委員 減額補正がそうたびたびあるものではないということは、私も存じ上げております。それは、まさに最初のところで、今度のような、あるいは去年のような、それこそやはり、大体日銀で見積もっても〇・九なわけですから、それを〇・五もげたを履かせてしまう、民間でいえば〇・五近傍なわけでございますから、それを一ポイントぐらい、〇・九ポイントもげたを履かせてしまうということをやれば、やはり必ず、去年というか今年度、これが一番いい例、二〇一九年が一番いい例なわけですよ。ついこの間、私たちはそのことをやはり、私どもは反対をしましたけれども、賛成をした人たちの中にも、本当にこれでいいのかなということを思っていた人たちもいるわけですよ。

 だから、そういう機会にこれはしっかりと、まず財政の健全化というのは、これは税収の見積りを正しく行うところからやはり始めていかなければいけないという認識が私は必要なのではないだろうかというふうに思って、申し上げたわけであります。

 私は、予言ではありませんけれども、将来のことはどうなるかわかりませんけれども、先ほど来お話のある各種のリスクなども考えると、恐らく来年の年明けにはやはり減額だったねというようなことになるのではないだろうかということを指摘をしておきますので、財務大臣としてはやはり内閣府に対して、これはかなりこの内閣府のGDPの数字もいろいろな操作もやろうと思えばできるわけですから、まず厳正に、正確に見積もることからやはり始めようじゃないだろうかということをおっしゃっていただけますと、麻生大臣の仕事ぶりがそれなりに評価されることではないだろうかと。

 何度もうなずいておられますので、うなずいているということは記録には残りませんので、記録に残るように、一言、今の私のお話を聞いて、コメントを加えてください。

麻生国務大臣 今いろいろ御意見を述べておられまして、うなずいておることイコール全て肯定であるかと言われれば、なかなか、さようじゃなくてもふむふむとうなずいているかもしれませんからわかりませんけれども、今言われました点は、甚だ、財政を担当する者として大変大事なところだと思っておりますので、これにきちんと対応させていくように努力させていただきます。

海江田委員 それでは、消費税の話に入りたいと思います。

 私は東京の選出の代議士でありますけれども、やはりお互い国会議員は日本全国のことあるいは世界のことを考えなければいけないと思いまして、ちょっときざな言い方ですけれども、胸に選挙区を思い、目を全国に放つというのが私のスローガンでありますが、皆さんもそうだろうと思いますけれども、今特に消費税の影響が大きいのは、もちろん東京もそうですけれども、それだけじゃなくて、やはり地方都市ですね、皆さん方の出身の地域、よくおわかりだろうと思いますが。

 私は例えば山形とちょっといろいろな関係があるんですけれども、つい最近、山形の老舗デパートが倒産をしまして、やはり地域の老舗のデパートというのは地域の経済の中で占める役割がかなり大きいわけでありますね。もちろん、そこに貸越しをしている金融機関の問題もありますし、それから、デパートがあいていることによってそこに人が集まって、人が集まることによってタクシーの乗り合いの場所ができたり、いろいろな意味でやはり経済の中心になっているわけでありますが、あそこのデパートの倒産も、それまでもかなり、余りうまくいっていなかったということは事実なわけですけれども、消費税の増税というものが引き金になったということは、やはり多くの人たちがそういう認識を持っているということであります。

 あと、もちろん、私の地元の東京でも、今、商店街の人たちが、いろいろな会合、新年会なんかもありますけれども、そういうところで聞いてみると、やはり消費税の増税に対して、先ほどお話のありました軽減税率の問題もそうでありますけれども、どうやってこの消費税の増税に、いよいよこれからでありますから、対応したらいいだろうかということで、非常に頭を悩ませているわけでありますね。

 特に、今回の消費税の増税については、前回の五%から八%のときと比べて、価格転嫁ですね、消費税の増税分の価格転嫁というものについて政府が熱心でなかったんじゃないだろうか、政府が、自分たちのことを考えてちゃんと価格転嫁しなさいよということを宣伝といいますか、価格転嫁すべきものであるということを言ってこなかったのではないだろうかという声があるわけです。

 私も、確かにそういう、前は、チラシなんかの広告で消費税分値引きしますなんということを絶対書いちゃだめだとか、いろいろな規制を、それから、価格転嫁のGメンが方々で活動したりとかいうことがあったんですが、今回どうもそれがなかったと私は思っているわけでありますね。

 その意味で、価格転嫁というのは、BツーBはしっかり、かなりできるんですよ、これは。だけれども、問題の消費者のところ、BツーC、つまり小売業者のところが非常にやはり、価格転嫁ができるかできないかということが自分たちの商売をやっていく上で大きな問題なので、どうして今回価格転嫁に対する取組というのが政府は不足していたのかということをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 事業者の方々が消費税を販売価格に転嫁できるか否かというのは、これは極めて重要なところなんですが、政府としても、転嫁対策特別措置法に基づきまして、事業者間の取引で、いわゆる買いたたきですかね、買いたたき等々に対しては公正取引委員会が指導、勧告を適切に実施するなど、さまざまな取組を行ってきたところでもあります。

 また、平成三十年度の十一月の二十八日に公表した価格設定ガイドラインにおきましても、この事業者間の取引につきましては引き続き適正な転嫁が確保されるように、転嫁Gメンなんというのでいろいろ監視をやらせていただいたり、関係機関にもいろいろな周知を図っているところなんですが、引き続きこれは継続していかないかぬところだと思います。

 価格転嫁に対する評価のお話が今出ていましたけれども、今回、中小企業庁の資料ですけれども、消費税の転嫁状況に対するアンケート調査というのを参考にさせていただくと、前回、五%から八%に上げさせていただきました昭和二十六年の四月と、今回の八%から一〇%に引き上げさせていただきました令和元年の十月というものの、消費税率引上げ後、一カ月後の調査結果を比較した場合、全て転嫁できていると答えた事業者の割合は、今言われたBツーB、事業者間においては、前回は八〇%だったんですが、今回は八八・一%と八・一ポイント増加をしております。

 また、消費者、いわゆるBツーCの話ですけれども、これは七〇%が七六・三と約六・二ポイントの増加になっておりますので、今御指摘のような価格転嫁が十分に行われていないのではないかという状況ではないと考えておりますけれども、これは気分の問題というのがかなりありますから、そういった意味ではいろいろ検討せないかぬ大事なところなんだと思いますけれども。

 いずれにしても、前回に比べて対応がそれほど悪かったから悪くなったとか、よかったからよくなったという話じゃなくて、結果論としてこの程度の数字になっているのではないかなと思っておりますけれども、これは地域によっても大分違いますし、業者によっても大分違うんだとは思いますけれども、今、中小企業庁の資料で申し上げれば、今申し上げたような形になっておるというように理解をいたしております。

海江田委員 中小企業庁の調査でも、BツーBからBツーCでは、やはりBツーCの方が落ちるということですが、ただ、ちょっと私もその中小企業庁のを見ていませんから、いわゆる中小企業を対象にしたものなのか、それとも、課税売上げに入るいわゆる昔で言う零細企業、今で言う小規模の企業、あるいは個人の経営の商店、ありますよね、その辺も見てみないと実態はわからないのではないだろうかというふうに思います。

 それを私が申し上げますのは、何でこの話をするかというと、やはり、国税の滞納の中で、とりわけ新規発生の滞納の中で、消費税がずうっとここのところふえてきているわけですよね。

 今現在、後でちょっと主税局長の方からお答えいただきますが、最近少しずつ改善しているんですけれども、過去の例を見ると、必ず、消費税を上げた後の、上げた翌年の滞納件数がわあっとふえるわけですよ。

 だから、そういう事実があるので、払えないから滞納。実は、滞納すると、やはり国に払う税金ですから払わなきゃいけない。だけれども、滞納になって、分割とかいろいろありますけれども、最終的に、特に零細の小規模の企業だとか個人経営のところなんかは、もうやるのをやめちゃおうと。税金を、これからやれば消費税はずっとついて回ってくるわけですから、滞納額がどんどんどんどん雪だるま式に膨らんで、結局、何のためにこんなに苦労して商売をやっているんだ、事業をやっているんだ、やめてしまおうというところが結構ふえてくる可能性があるんですね。

 だから、その意味で私は心配しておるので、主税局長、これは国税庁の方かな、次長の方かな、国税庁次長の方、この滞納の件数、何割ぐらい新規発生の中で消費税が占めているかということも含めてお話しいただけるとありがたいと思います。

田島政府参考人 お答えいたします。

 消費税の滞納につきまして全体に占める割合、まず直近の五年間についてお話し申し上げますと、平成二十六年度が五五・七%、平成二十七年度は六四%、平成二十八年度は六〇・四%、平成二十九年度は五九%、平成三十年度は五七・三%でございます。

 それともう一つ、先生が御指摘になりました消費税を引き上げた場合の率でございますが、例えばということで、税率三%から五%へ引上げ、これは平成九年四月でございますが、この前後で見てみますと、平成八年度が二八・一%、平成九年度が三三・九%、平成十年度が四四・二%となってございます。

海江田委員 その意味では、やはり消費税が上がった後の滞納というのはふえるわけでありますから、特に、これから消費税の申告、十六日から所得税の確定申告、そして三月三十一日が個人の方の消費税の納期ということもありますので、やはり二〇二〇年度というのは、滞納、とりわけ消費税の滞納に対してしっかりとした目くばせを、目配りをやっていただきたいと思いまして。

 滞納については、滞納の処理についてはいろいろなやり方があるわけでございますが、まだそれが十分周知徹底されていないということもこれあり。

 それから、やはり、滞納、必要な方というのは、これまでの過去の例などもありますから、そこにきめ細かなアドバイスといいますか、そういうものをぜひやっていただきたいと思います。

 それから、滞納して分割納税になれば、当然そこは利子がかかってくるわけでありますが、利子は、今度の税制改正の中で、〇・五ポイント下げて、一・一にするんです。今まで一・六でしたかね、それを一・一にしますね。やはりそれはこれからの議論になろうかと思いますけれども、一・一ということよりももう少し下げられないのかな、何かバナナのあれじゃないですけれども。

 〇・五になったその根拠みたいなものがあったら教えていただきたいと思いますが、下げ幅がね。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案の中で納税の猶予が適用された場合のこと、今委員が御指摘のように〇・五ポイントの引下げを行うこととしております。これは、市中金利の実勢を踏まえまして、いわゆる利子税につきましても、また還付加算金につきましても、国庫から出る場合、国庫でいただく場合、両方につきまして、同様に〇・五ポイントの引下げを行わせていただいたところでございます。

海江田委員 だから、それがどうして〇・五にとどまったのか、もっともっと下げてもいいんじゃないだろうかという意見なわけでありますが、そこに対するお答えはなかったということでありますが、ちょっと時間も限られていますので、金融所得課税に移りたいと思います。

 お手元に資料一、二と、資料一でお配りをしてございます。

 合計所得の金額が一億を超えるところから、こう、ずうっと山が急激に下がってくるということでありまして、この税率引上げ前というのは、要するに一〇%の税率のときでありまして、麻生大臣は、よくこの金融所得の問題では、いや、一〇%を二〇%にしたんだというふうにおっしゃいます。確かに、二〇%にすると少し下りのカーブが緩やかになるというか、適正化されるわけでありますが、これはまだやはり高いんじゃないですかね。

 高いというのは、まだこの下り坂が、本当だったら上り坂にならなきゃいけない、百歩譲って、フラットなものにならなきゃいけないわけでありますが、やはりここで、一億円を超えてがたっと下がるのは、これはやはり税の所得再分配機能を大きく損なうものだと思いますけれども、麻生大臣はどうお考えでしょうか。

麻生国務大臣 これも海江田先生御記憶のおありになるところだと思いますが、これは二〇一四年だったと思いますが、このときに、金融所得課税につきまして、上場株式の譲渡益ということで、当時一〇%だったものを二〇%に引き上げさせていただいたんだと思っております。これによって、高所得者ほどいわゆる金融資産というのが多いというか、株等々のあれが多いという傾向が見られますので、所得配分の機能に一定の効果があったんだと私どもはそう思っております。

 まあ、以来五年たっておりますけれども、さらなる金融所得課税の見直しを行うべきではないかというのが御意見なんだと思いますけれども。

 これは、令和二年度の政府・与党というか、与党の税制改正大綱が出されておりますけれども、この中で、税負担の垂直的な公平性を確保するという観点から検討するということとされておりますので、これは経済の影響をどう考えるかとか、我々としては、いわゆる貯金じゃなくて資産を持ってくださいというような話をいろいろ推奨している立場にもありますので、そういったことを考えて、これはちょっと総合的に一回検討させていただかねばいかぬところだと思っております。

海江田委員 今、一〇%から二〇%というお話でありまして、もともとは二〇%だったわけですよね。それが、本当に株価が、まさに日経平均が一万円を割るようなことになって、緊急事態になって、そこで一〇%に下げたわけですから、その意味では二〇%というのはまだまだ上げて、前は二六%というときもありましたし、配当なんかは三五%なんというときも、これはいろんな制度が、源泉分離から総合課税とか、いろいろ複雑な動きがありますけれども。

 そういうのがあって、今、麻生大臣は検討しますということをお話ありましたので、確かに、おっしゃるような平成三十一年の与党の税制改正の大綱に入っていますけれども、ことしは残念ながら与党の税制改正の大綱にも入っていないわけですね、これは。もちろん政府の税制改正大綱の中にも入っていないということですから、私は、その意味では、もうこれは雲散霧消してしまったのかなと思いましたけれども、今、麻生大臣から、しっかりもう一回検討すると、しっかりとはおっしゃらなかったですね、検討するというお話がありましたので、ぜひそれは検討していただきたいというふうに思っております。

 それから、よく、麻生大臣も前にそういう答弁があったのを私は記憶しているんですけれども、譲渡益課税を強化すると株をみんな持たないようになってしまうんじゃないだろうかというお話がありました。今も、貯蓄からそういう投資の方へという大きな流れがあるといいますけれども、譲渡益課税を強化したことによって、株を取得するあるいは取引回数が減ったとか、株を取得する割合が減ったとか、こんなことは実証的なあれはないですから、ファクトはないですからね、これははっきり言いまして。

 株というのは、これはもう釈迦に説法ですから申し上げるまでもありませんけれども、やはりそのときの市況がどうかということで買うわけですよ。買って何とか利得したいなと思うわけですよ。買って利得して、さあ利得したら、その税金が何%なのか、一〇%なのか、二〇%なのか、あるいは二十何%なのかなんというようなことを気にする人なんというのはいないですよ、これは。いないと言ってしまっても私はいいと思う。よく麻生大臣は少なくなるんじゃないかとかおっしゃいますけれども、そんなことはないので。これは株を買った人はみんなわかっていますよ。

 だから、やはりもっと大事なことは、こういう大きな曲線が、下り線があることによって、不公平感ですよ。あるいは税の垂直的公平性が保たれない、あるいは税の所得再分配機能が機能しなくなるということの方が私は大きいというふうに思っています。いかがでしょうか。

麻生国務大臣 まず最初に、今、令和二年度では消えとるじゃないかという御説ですけれども、それは資料が古過ぎるので。令和二年度のいわゆる与党税制改正の中に、今書いていないじゃないかというお話ですけれども、これは、令和二年度税制改正の基本的考え方の中に、金融所得に対する課税のあり方につきましては、いわゆる税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含め、諸外国の制度や市場への影響をもとに、総合的に検討すると書いてございます。また、諸外国の税制をも参考にして総合的に検討すべきであるということでこれは書いてありますので、その点は引き続きこの令和二年度にも書いてあるという点をもう一回申し上げさせておいていただきます。

 その上で、今、金融所得税の税率を一定の割合に引き上げた場合の増収額というものにつきましては、これはなかなか一概には申せないところなので、将来の株価というものもありますでしょうし、税率の引上げが投資家の行動とか株式の取引等に与える影響につきましては、これはなかなか予測いたしかねるところですけれども、増収額を見積もることは困難ではありますけれども、私どもとしては、いわゆる税制というものによって、公平感とか所得格差とか、そういったものに対する配慮からこういったものを、検討すべきものの一つであるということは、もうはっきりいたしておると申し上げております。

海江田委員 今、引き上げたときの増収額は余り私がお尋ねをしなかったわけでありますが、やはり、税が公平性というものが損なわれたとき、納税意欲なんかにも影響が出てくるでしょうし、何よりも、やはり、今の社会で、大きな問題として格差の問題。

 この間も、予算委員会ですかね、給付のことも考えなきゃだめだよというお話、大臣、されましたね。私は、それも確かにそのとおりでありますけれども、だけれども、歳入、税制のところでの所得の再分配機能、少しでも格差をなくそうと思えば、やはり所得、とりわけ金融所得の課税という問題は避けて通れない話で、こういう極端なグラフがある以上、これをいつまでもほっておくわけにはいかないというふうに思っております。

 先ほど、令和二年の、これは党の方の税制改正の大綱に書いてあるというお話でありましたので、昨年も書いてことしも書いたということは、つまり解決を先送りしたということにほかならないわけですから、もうそろそろ先送りはできないのではないだろうかというふうに思いますので、検討、検討だけじゃなくて、やはり前向きにぜひ検討していただきたいと思います。

 もう一度、御答弁をお願いします。

麻生国務大臣 これは今申し上げたとおりでありまして、株価等々、また、ことし、今二万三千幾らということになっていますけれども、こういったものも、かつて七千円ぐらいだったんですが、よくここまで上がってきたとは思っておりますけれども、まだそういったものの今後の方向とかいうものをよく見きわめた上で、私どもとしては、配分をするに当たりましてのいわゆる格差というものに対する配慮をしながら検討させていただかねばならぬ問題だと思っております。

海江田委員 もう一つ、最後になりますけれども、私、昨年の十月の消費税の増税以降の動き、それから予算などを見ておりまして、やはり消費税の増税は一体何だったのかというふうに自問自答しているわけであります。

 もちろん、消費税の増税の、税収がふえた分の使途というのは決まっているわけでありますけれども、この中で私がどうしても気になっているのは、やはり、次の世代の負担を軽減をしようというところの金額がどんどんどんどん目減りをして、目減りというか、減らされていくわけですよね、これは。

 本来だったら、五から八、あれはまさに、野田さんがいるから、一番よく知っていますけれども、あのときの私どもの苦渋の選択というのは、五から八、八から一〇、とりわけ八から一〇へ行ったときは、そのうちの、当時の話で大体五兆円ぐらいだけれども、五兆円のうちの四兆円ぐらいですかね、それを次の世代の負担軽減のために使おうということでそもそもスタートしたわけですよね。それが、全世代型の社会保障という新たなものが加わったりして、結局、これで見ますと二・二兆円ですね、後代への負担のツケ回しの軽減というものが二・二兆円に減っちゃっているわけですよね。

 ここがどんどんどんどん減っていくということになると、本当に、消費税というものの支持、消費税を支持する人たちの中には、次の世代に、国債を出せばそれはまさに次の世代へのツケ回しですけれども、税制でもって頑張ってくれる、これは若い人たちもお年寄りの方たちも払ってもらうということで、やはり、特に次の世代への負担のツケ回しを軽減するということは、その意味では消費税の一つの大きな存在理由であるわけですよ。

 そこがどんどんどんどん減っていってしまっているということについて、私は大変大きな危惧を持っているわけでありますが、改めて財務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今般の消費税率の引上げにつきましては、少子高齢化というのは、これは日本にとっては最大の課題だと思っておりますが、長期的に見ますとこれが最大の課題なんだと思っておりますけれども、この少子高齢化に正面から取り組むに当たりまして、何となく福祉というと高齢者に偏り過ぎているのではないかというような御意見もありましたけれども、全世代型の社会保障制度というものに転換をしていかないと、いわゆる先ほどの格差の話にしても、若い世代に対して、子育て世代に対してというようなところもよく御批判のあるところでもありますので、私どもとしては、全世代型の社会保障制度へ転換し、同時に、我々としては、財政の健全化も進めていくという上で行わせていただいたところだと思っております。

 そもそも、社会保障なんというのは、御存じのように、必要な財源は確保されていないんですから、そのまま急速な高齢化ということになりましたものですから、それによって急速に社会保障費が増大して、国家予算の三分の一だ何だというようなことまで大きなものになってきているんですけれども、赤字公債の発行という形でそれを補っておるというのは、これは、今御指摘のように、将来世代にツケを回しておるのではないかという状況にあります。

 そうした中で、今回の消費税の引上げをさせていただいた増収分を活用することによって、社会保障の充実を行わせていただくと同時に、後の世代への負担のツケ回しということを軽減するということとして、安定財源というものを確保しておかないと既存の社会保障というものを維持もできないということなので、私どもといたしましては、将来世代への債務の負担を軽減するということも含めて、みんなでこの部分を分担し合わねばならぬということにさせていただいたんだと思っております。

 五兆円のところが二兆円になった、三兆円になったといろいろ御意見もあるところだと思いますが、その部分は、若い世代の今の現状を考えますと、いわゆる子育てとか、いわゆる幼児保育等々いろいろなものを含めまして、そういった福祉の問題等々は今の問題として、格差の拡大とかいろいろなものを考えて、こういったものを総合的に判断させていただいたと思っております。

海江田委員 もう時間が来ましたのでこれで終わりますが、全世代型社会保障の検討会議というものが、この間、中間報告ですから、これから本報告が出てくると思いますが、やはりこれはかなり問題がありますよ、私は。そのことだけを指摘をしまして、きょうは私の持ち時間はこれで終わりました。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、四つ、大きなテーマで質問をさせていただこうというふうに考えております。

 まず一点目、新型コロナウイルス問題への対応について質問をさせていただきます。

 先ほど来、既にもうお話がありましたが、昨日夕方、神奈川県在住の女性が新型コロナウイルスによる肺炎でお亡くなりになったということでございます。御冥福をお祈りするとともに、御遺族にお悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 また、感染拡大防止への政府の取組、全力で行っていただきたいということを改めて要望するところでございます。

 また、現場で取り組んでおられる職員、それから全ての関係者の皆様に、そうした努力に対して敬意を改めて表するところでございます。

 その上で、既にいろいろな課題が出てきておりますので、質問をさせていただきます。

 まず、ダイヤモンド・プリンセス号、横浜に着岸をしているクルーズ船でございますが、これに関連して幾つか質問をさせていただきます。

 まず、このダイヤモンド・プリンセス号の乗員乗客、三千七百名ぐらいいらっしゃるということですが、この全員の方々について、ウイルス検査、PCRの検査、大至急実施をすべきだということはもう一週間以上前、私ども、会派の方での、共同会派での厚生労働省、外務省、法務省からのヒアリングのときにも申し上げてきたところではございますが、そのときには、全員検査するのか、何でしないのかと言っても明快な返事はなく、いや、優先順位をこう決めましたから、湖北省縛りですというようなお話でございまして、なかなか前に進まないという話でございました。

 一方で、香港に着岸をしたクルーズ船、ワールド・ドリーム号、こちらは乗員乗客合わせて三千六百名ということでございますが、二月五日に着岸をして、二月九日には全員の検疫を終了し、陰性の反応のあった方はもう下船をされたということでございます。香港政府にはできて、なぜ日本政府にはできないのか、こういう思いもございます。

 一昨日の二月十二日の予算委員会におきまして、加藤厚生労働大臣が、全員にPCR検査はしたい、したいけれども、少し時間をいただかねばならない、こういった答弁もされております。一刻を争う問題でございますので、ぜひ一刻も早くやっていただきたいというふうに思うわけでございます。

 一方で、船内に大勢の方がとめ置かれている状態でございます。生活状況、住環境、大変厳しいという話もございます。

 これはたまたまなんですけれども、私の、昔、銀行勤務時代の上司が結婚四十周年ということで、記念にということでこのクルーズ船に乗って旅をされた、帰ってきたそのときにこういう騒ぎに遭遇してしまいまして、大変な思いをされているということでございます。こうした、本当に一生に一度の思い出ということで来られ、乗られた方も少なからずいらっしゃるのではないのかというふうにも思います。そうしたときにこうしたことに遭ってしまう、これは仕方がない部分、まさに感染拡大防止のために仕方がない部分というのもありますけれども。

 一方で、乗員乗客の方々の生活というか福祉、暮らしに対する配慮というのも最大限やっていかなきゃいけないというふうにも思います。特に、船内の中での食事の質、なかなか厳しい部分もあるというふうな話も聞いております。毎日服用する、持病を持たれている方、高齢の方もそこそこ大勢いらっしゃるというふうに聞いております、服用する処方箋、こうしたものが届かないという話もありました。ただ、これは順次届いているという話も聞いてございます。さまざま、このクルーズ船内の課題はあろうかと思います。

 こうした問題について、一義的にはクルーズ船の会社が行うべきものということは承知しておりますが、他方で、クルーズ船も、こうしたことに遭遇してしまって大変な思いをしている、必ずしも乗員だけで十分対応できるわけではない、さらには、乗員の中にも感染をされている方も出てきているという状況でございます。

 こうしたことを考えますと、船外からもできる限りの支援をしていくべきだというふうに考えておりますが、政府、どのような取組をしているか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省においては、クルーズ船現地対策本部リエゾンを設置いたしましてダイヤモンド・プリンセス号の乗客の健康の維持等に配慮しているほか、船舶親会社にクルーズ船親会社オフィスリエゾンを設置いたしまして船舶親会社や乗員の要望の対応に当たっているところでございます。

 また、医薬品でございますが、乗客の方が服用している医薬品等に関する情報に基づきまして、医師や薬剤師、これは船の内外に配置してございますけれども、医師や薬剤師を通じて、各乗員に対して必要な医薬品の提供を行ってございます。二月十一日までに延べ千八百五十人分の医薬品が船内に搬入されていると承知してございます。

 さらに、提供された医薬品に関する御相談や御照会には個別に対応するとともに、体調が変化された場合などに追加とか変更などを行うために、二月十一日より、船内のお薬相談の専用ダイヤルというのを設けたところでございます。

 引き続き、関係省庁等の御協力もいただきながら、必要な支援を乗員乗客の皆様に速やかに届けられるよう全力を挙げたいと思ってございます。

櫻井委員 ダイヤモンド・プリンセス号の中の感染者数の推移でございますが、二月五日に着岸をし、この時点で十人の感染が確認をされた。六日木曜日にはまた十人、七日には四十一人。八日土曜日には三人、九日日曜日に六名となって、これで終息に向かうのかなと思ったら、十日月曜日には六十二人、十二日水曜日には三十九名、十三日木曜日、きのうは四十四名というふうに報道で出ておりました。

 まず、この数字について、こんな推移で合っていますでしょうか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 直近の数字で申し上げますと、二月十三日まででありますが、PCR検査、乗員乗客合計で、陽性になった方は二百十八名でございます。

 それで、陽性の方の推移でございますが、例えば直近の数字で申しますと、今週に入りまして、二月十日は六十五人の方が陽性、二月十二日は三十九人、十三日は四十四人ということでございます。

櫻井委員 ちょっと私がテレビで見た数字とは若干違っておりましたが、おおむね、大体そういうことで、今週に入ってから感染者数がたくさん発見をされている、つまり、PCRの検査を順次実施をしていったところ、どんどんどんどん広がっていることが明らかになっていったということでございます。

 このクルーズ船内で多く感染者が発生している事態となっているわけですが、これはどうしてこんなことになっちゃったのか、原因をどのように分析されておりますでしょうか。

 これはそもそも、着岸、二月五日以前の時点では楽しくクルーズをやっているということですから、乗員乗客同士の中で感染し得る状態であった。ところが、着岸をして、それから、これはまずいよということで、部屋で待機をしてくださいという状況に変わったわけです。この時点では、感染防止、感染拡大を防止できるような体制になっていたはずなんですけれども。だから、つまり、着岸する前の、対策をとる前の状況に既に広がっていたのか、着岸した後、対策をとったけれどもそれが不十分だったのか、いろいろケースが考えられるかと思いますが、これはどのように原因を分析されていますでしょうか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 要因につきましては、積極的疫学調査といいますか、どういった経緯で感染したかというのは調査しなきゃいけないわけでございますが、一般的に潜伏期間が最大十四日程度ございますので、二月五日以後には、船内の行動、こういうことを気をつけてくださいというのをいろいろお願いしているわけでございますけれども、それ以前からの感染というのも否定できないかなと分析してございます。

櫻井委員 これは現時点ではわかりようがない部分もあろうかと思いますが、他方で、検疫官、検疫担当の方、職員の方も感染をしていたというような報告も出ております。ということは、これは、着岸した後にも船内で感染が広がっている可能性というのも排除できないかと思います。

 やはり船内、かなり大きな客船ではございますけれども、とはいえ、かなり狭いところにいるとか、食事を出すトレーでそれこそ乗員の方が感染をしてしまっていたということになると、しかもPCRの検査も受けていないから、発症もしていないから本人もわからないということになると、そういった形でもしかして広まってしまっていたのではないのか。いろいろな可能性が考えられるわけです。

 さらには、コロナウイルスは空気感染はしないというふうにも言われておりますけれども、これも現段階では確定的なことは言えない状況なわけです。クルーズ船の空調システムで空気が循環しているのではないのか、そこで感染が拡大しているのではないのか、そんな心配も出てくるわけなんですが、これは大丈夫だというのであれば大丈夫だというふうに言っていただきたいんですけれども、これらを含めて、いろいろな可能性を考えて、可能性があるところ、リスクがあるところはことごとく塞いでいかないといけないというふうに考えるんですが、この取組、どのように考えているか、どのように分析をされているのか、教えてください。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、空気感染でございますが、専門家等の意見を聞きますと、空気感染はしないのではないかと言われているようでございますけれども、まだ確定的なことは言える段階ではないと思ってございます。

 空調については、基本、各室の個別空調と聞いてございますが、確かにいろいろな可能性がございますので、そのあたりは、実際に乗られている方とか乗組員の方についてはいろいろなことに配慮してもらわなきゃいけないというのは確かだろうと思ってございます。

櫻井委員 あと、今回、このクルーズ船のことに関しましては、先が見通せないということが乗員乗客の方にとって非常に大きなストレスになっているということでございます。下船までの予定がどうなっているのか。

 きのうでしたでしょうか、厚生労働大臣が緊急の記者会見も開かれたりということで、いろいろな新しい情報も出てきております。八十歳以上で体調が悪い方については下船を認めるとか、いろいろな話も出てきております。

 ただ、一方で、何で八十歳以上なのか。中国などの事例では、大体、重篤化しやすいカテゴリーの方として、六十歳以上の方が重篤化しやすいとする可能性が、ちょっとほかの、それより以下に比べて高いというような報告もあったりして、いろいろな話も出てきておるわけなんです。

 この辺、もう一度ちょっと整理をして教えていただけますでしょうか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、議員御指摘の高齢者の方の下船でございますけれども、昨日大臣から発表申し上げましたが、まず、八十歳以上の方について、特に環境として、船内で窓がない部屋とか、あるいは窓があってもあかないという部屋で生活されていて、多分ストレスが大きくかかっているだろうという方がいらっしゃる。それから、八十歳以上で基礎疾患、例えば腎臓とかの基礎疾患がある方がいらっしゃる。そういった方からまず下船いただくことを考えたいという話がございます。

 この八十歳以上で窓がない部屋であるとか基礎疾患がおありになる方については、順次PCR検査を実施いたしまして、陰性が確認された方については、下船か、あるいは船内にとどまっていただくこともできるのでございますけれども、選んでいただくということといたしました。

 今後でございますけれども、七十九歳以下の方についても順次同じようなことができないかと、今検討してございます。

櫻井委員 まず、どういう対処方針で臨むのか、どういう計画なのかということを早急に決めていただき、また、それを乗員乗客の方に正確に伝えていただきたいということを改めて要望申し上げます。

 続きまして、まず、この感染、新型コロナウイルス、そもそも中国で発生をして、そこから日本にも広がってきているという状況なわけでございます。中国では、感染者数、死亡者数が、重症急性呼吸器症候群、いわゆるSARSのときよりももう上回っているという状況でございます。

 先ほど来、日本でもクルーズ船一隻についてなかなかPCR検査が追いついていないという状況でございますが、これは中国においても検査が追いついていない状況というのは容易に想像できるわけでございます。すなわち、患者数、死亡者数ということで計上されているけれども、実際、新型コロナウイルスによってお亡くなりになられたという方で計上されていないという方は相当数いるのではないのか、このようにも推測できるところでございます。

 具体的に申し上げれば、重慶市にいらっしゃって、日本人の方でお亡くなりになられたという方が報道されておりますが、この方については、新型コロナウイルスにかかってしまったのではないのかというふうにも言われておりますが、ただ、PCR検査を受けていないということで確認できていない、確認できていないからこの死亡者の数には入っていない、このような報道もされているところでございます。

 また、武漢市、湖北省に限らず、各地で広まっている様子ということで、法務省、入国管理のところでこれまでいわゆる湖北省縛りというのがあったわけですが、浙江省についても対象にするということになってきております。ただ、患者数を見ますと、浙江省だけでなく、浙江省と広東省も同じぐらい大勢いらっしゃるというような状況でございます。

 こうした現状、刻々と変わってくるわけでございますが、中国での現状をどのように把握をされていますでしょうか。

奈尾政府参考人 お尋ねの中国の状況でございますけれども、これまでも厚生労働省ホームページ上で毎日公表しているところでございます。直近の、これは二月十二日の数字でございますが、中国の感染者数は四万四千六百五十三というのを厚生労働省のホームページに載せているわけでございます。

 それから、WHOの方におきまして、中国の地域別の患者数、それから死亡者数を載せておりまして、これも私どものホームページのリンクからたどれるようになっております。

 WHOの数字で現在の把握しているものを申し上げますと、例えば、湖北省の患者数は三万三千三百六十六、広東省は千二百十九、浙江省は千百三十一といった数字でございまして、こういったこともあわせまして、私どものホームページから情報がとれるようにということで、国民の皆様方に情報をお届けしているところでございます。

櫻井委員 そのように一応把握をされているということではございますが、他方で、日本国内でこのPCR検査、診断する基準、これは厚生労働省のホームページにも載っております。この診断基準としまして、感染が疑われる患者は、三十七・五度以上の発熱かつ呼吸器症状があり、発症前十四日以内に湖北省又は浙江省に渡航あるいは居住していた人、発症前十四日以内に湖北省又は浙江省に渡航あるいは住居していた人と濃厚接触歴がある人というふうに、いわゆる湖北省、浙江省に限定するような記載がございます。

 もちろん、地域の保健所においては、この限定にとらわれずに症状の疑いのある方について柔軟に対応するという措置もとられているということではございますが、しかし、ホームページには、こうした湖北省、浙江省という縛りがかかっているわけです。

 こういう縛りのかけ方というのはもはやちょっと意味がなくなりつつあるのではないのか、やはり範囲を広げて早期発見に努めていかなきゃいけない、こういう状況になりつつあるのではないのかというふうに考えるのですが、いかがお考えでしょうか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、中国の関連で申し上げますと、入国拒否の措置の対象に昨日浙江省も追加されたということで、検疫における滞在歴の確認とか、感染の疑いがある者を診断した場合の医師の届出基準について、昨日、湖北省に加えて浙江省を追加したというものでございます。

 検査の対象につきましては、これまでも、湖北省等に限らず、各自治体の判断で検査を行うことは可能でございました。ただし、改めて、自治体に対しまして、新型コロナウイルス感染症が疑われる場合には各自治体の判断で柔軟に検査を行っていただくように、二月七日に明確化して事務連絡を出してございます。

 あわせまして、医療機関、検査機関向けのQアンドAというのをつくっておりまして、その中で二月十一日に同じ趣旨を公表いたしまして、周知を図っているところでございます。

櫻井委員 いずれにしましても、この検査体制というのがまだまだ不十分であるのではないのか、こういうことが、全ての、まず、現状把握できない、状況把握できない原因になっているのではないかというふうに思うわけです。

 先ほど来申し上げているとおり、クルーズ船についても、乗員乗客についての検査、着岸したらすぐ行うべきだったというふうに思いますが、今さら言っても仕方がありません。

 ただ、そういったこともやらなきゃいけないですし、また、今回のこの新型コロナウイルスについては、これもまだ確定的なことは申し上げられませんが、潜伏期間が結構長いということ。それから、普通のこれまでの感染症の場合、発症すると体内にたくさんウイルス等がいてそこから感染するということだったのですが、つまり、発症していない段階だとまだそんなにたくさんウイルスを保持していないということで、感染する力が非常に弱かったというところなんですが、今回のところはそうではどうもないようだ、発症していなくても感染する可能性があるのではないのか、感染しているのではないのか、こうした疑いがあるわけです。

 そうすると、潜伏期間が長くて、発症していなければ御本人は気づいていない、気づいていないけれども感染してしまうことがあるということで、従来の方法が通用しない、非常に厄介だなというものでもあるわけです。

 さらに、日本国内の状況としましても新たなフェーズに入ってしまったのではないのか、このようにも考えられるわけです。すなわち、昨日、冒頭申し上げたとおり、国内で死者が出てしまったということ、それから、感染経路がわからない事例がいろいろ報告されているということ、医療関係者それから検疫官など、こうした前線に立つ方々の中で感染者が出てきているというようなこと。

 こうしたことを鑑みますと、今後も感染者が増加するリスクがあるというふうに考えますので、検査体制、検査できるキャパシティーを増強していくべきだというふうに考えますが、この点、政府の取組、いかがでしょうか。

奈尾政府参考人 PCR検査の体制でございますけれども、まず、国立感染症研究所におきましては、現在、一日当たり約二百件といった検査を行ってございます。これにつきましては、厚生労働省から感染研の方に職員を派遣いたしまして、検査機器の稼働時間をふやすということで、処理できる量を来週倍増できるようにしたいと思っております。

 それから、地方衛生研究所につきましては、国立感染研の方から検査キット、検査手順書といったものを送付いたしまして、検査体制の整備を進めてございます。

 それから、緊急対応策というのをまとめさせていただいておるわけでございますけれども、国立感染症研究所に関しましては、予備費を活用いたしまして、現在一回当たり二百程度の検体の検査ができるわけでありますが、これを四倍の八百に増加して検査することを可能とするようなシステム、これは多量検体検査システムと呼んでございますが、これを整備することにしてございます。

 また、地方衛生研究所に関しましては、緊急対応策におきまして、都道府県等に対し検査に必要な設備整備に対する補助を行って、感染症の検査体制を充実させていく方針でございます。

 加えまして、民間の受託検査会社とか大学等もございますので、この民間受託検査会社や大学等でさらなる検査体制を充実するということで、体制を構築できるように、関係者との具体的な調整を進めてございます。この調整の結果、二月十二日に一社、PCR検査の受託が決まったところでございます。

 民間検査機関への外部委託を更に活用し、十分な検査体制を確保するために、検査用試薬の確保もあわせまして予備費に計上してございます。

 今般の感染拡大の防止には関係機関との連携強化が不可欠でございますので、引き続き、厚生労働省としては全力を挙げてまいりたいと思っております。

櫻井委員 まさに、国立の衛生研究所だけでなく、地方自治体もこうした施設を持っているわけですし、さらに民間の施設においてもさまざま取組を、ふだんからいろいろな形での検査をされているわけですから、もちろん、全てを新型コロナウイルスに振り向ける、これはできないと思います。ふだんからやっている日々の業務もございますから、ほかの感染症の方もいらっしゃるわけですから、それはできないわけですが。

 ただ、幸い、不幸中の幸いと言ってはなんですけれども、例年この季節というのはインフルエンザが流行する季節ですけれども、ことしは皆さん、新型コロナウイルスで、流行している、流行するかもしれないということで気をつけておられるのか、そうした気をつけるという努力が功を奏しているのか、はたまた、ことしは暖冬ということもあって、インフルエンザが幸いなことにそんなに流行していないというところですから、そういう意味では多少の施設のキャパシティーというのがもしかしたら余裕があるのではないのか、こんなふうにも想像するところですので、全力を挙げて、いろいろな施設、総動員してやっていただくという体制で、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 あと、中国では、この新型コロナウイルスに関するいろいろな症例、研究、論文というものが多数発表されておるようでございます。このPCRの検査について、これは一〇〇%捕捉できるわけでもなさそうだという話も出てきておるんですね。検査方法についても、最新のいろいろな事例、中国では症例がたくさんあるわけですから、そうした情報も収集して整備するべきだ、検討するべきだと考えるわけですが、政府の取組、この点についても教えていただけますでしょうか。

奈尾政府参考人 まず、PCR検査の精度でございますが、これはほかのウイルスも同様の面がございますけれども、ある程度患者さんの体の中でウイルスが増殖しないと陽性にならないといった点はもちろんございますので、この陽性、陰性が一〇〇%確実かというと、なかなか現状ではそう言い切れない点がございます。

 そういった点も踏まえまして、今般のパッケージの中におきましては、例えば、患者さんの血清を体から採取していて、そこで、血清を用いた検体検査システムというものもPCR検査とあわせて、補完しながら、より確実な検査にしようというものも盛り込んでございます。

 それから、中国を始めとする諸外国の論文、これは昔と違って結構電子的に今早く見られますので、そういった点も参考にしながら、早い取組を進めてまいりたいと思ってございます。

櫻井委員 さまざまな課題があって、まさに今取り組まれていることかと思います。そのために、さまざま取組を進めようとすれば結局のところお金がかかるということで、予算を確保しているというお話が随所にございましたけれども、しかし、本当にここでしっかりと食いとめておかないと大変なことになってしまう。

 特に、我が国の場合は夏に東京オリンピックを控えているということで、世界から東京オリンピックは大丈夫なのかというふうにも注目をされているわけでございます。ですから、ここでばしっと、感染をしっかりと食いとめて、さすが日本は安心だなというふうに思ってもらえるような取組をしていかなきゃいけないということだと思います。そのためにしっかりと予算を確保しなきゃいけないわけですが。

 十二月に来年度の当初予算の閣議決定をしました。また、その直前に今年度の補正予算についても閣議決定をし、先般成立したわけでございますが、こうした十二月の閣議決定の時点では、新型コロナウイルス対策の予算、多分盛り込まれていなかったと思います。そうすると、しっかりと対策を打っていこうとすると、どうしてもお金がかかってしまう、足らずの予算というものが出てくるかと思うんですけれども、今からでも、ちゃんと追加する、そうした修正をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、十二月の段階におきましては、この新型コロナウイルス対策ということで予算に盛り込んだものはございませんけれども、今般、例えば、国立感染研における検査体制の強化でありますとか、それから検査キットとか抗ウイルスやワクチン薬の開発等に対する援助、こういったもので、予備費等も活用しながら、しっかり予算を確保してまいりたいと思います。

 例えば、国立感染症研究所における検査体制の強化につきましては約九億八千万ということで予算を計上してございますので、引き続き、必要な対策に遺漏がないように取り組んでまいりたいと思ってございます。

櫻井委員 ただ、先ほど、国立、それから地方自治体、まあ、国立のものであれば予算の流用ということができるんでしょうけれども、地方自治体の衛生研究所でいろいろなお願いをするということになってくると、必ずしも、これは国の予算じゃないですから地方自治体、それで、地方自治体にそんな予備費をいっぱい積んでおりませんから、そうするとなかなか対応できないということになる。そうすると、その分やはり国から補助金なり交付金なりで流していかなきゃいけないわけですし、さらに、民間施設を活用するとなりますと、これはちゃんとそれなりの対価をお支払いしなきゃいけない。

 こうした、お金がないから例えば民間施設を活用するのを今までちゅうちょしていたのではないのか、こんなふうにも邪推をしてしまうわけなんですけれども、そういうことがあっちゃいけないよということで、目の前に今財務大臣もいらっしゃるので、しっかりと予算要望をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど感染研の予算を御紹介いたしましたが、地方衛生研究所も同様にしっかり対策を講じなきゃいけないというのはもちろんでございますので、当然ながら予算の制約があるので、検査体制ができないということがないように、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

櫻井委員 続きまして、きょうは法務省にも来ていただいておりますので、入国管理についてもお尋ねをしたいと思います。

 出入国管理において、例えば、アメリカ、オーストラリア、シンガポールなど諸外国においては、湖北省、浙江省の限定ではなく、中国全土を対象に制限をしているというふうにも聞いております。

 我が国のこの出入国の管理体制、大丈夫なんでしょうか。

石岡政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の感染が中国国内で拡大しており、我が国への感染症の流入を食いとめるためには、徹底した水際対策を講じることが不可欠となっていると考えております。

 そこで、二月一日から、上陸の申請日前十四日以内に湖北省に滞在歴がある外国人及び同省において発行された中国旅券を所持する外国人について、特段の事情がない限り、出入国管理及び難民認定法第五条第一項第十四号に基づき、上陸拒否をすることとしております。また、昨日からは、対象地域に浙江省を追加しまして、同様に上陸拒否をすることとしております。

 新型コロナウイルスの感染拡大の状況が時々刻々と変化している中、どこの地域を危険地域として考えるべきなのか、あるいは、上陸拒否の措置の対象地域をどのように定めるべきなのかにつきましては、政府全体としてさまざまな情報や知見に基づき検討いたしまして、新型コロナウイルス感染症対策本部が公表することとなります。出入国在留管理庁といたしましては、その内容を踏まえ、適切に対応することといたしております。

 引き続き、関係省庁と連携し、新型コロナウイルス感染症の感染の拡大の防止に向けて、徹底した水際対策をとっていきたいと考えておるところでございます。

櫻井委員 ただ、今の御説明いただいた水際対策で、湖北省ないしは浙江省で発行されたパスポートを持っているという方については、これはパスポートを見ればわかります。渡航歴があるかどうかということも、国際線で直接武漢なり浙江省の空港、杭州なりに飛んで入国をしていたというとそういうスタンプが押してあるので、それでわかるかと思います。

 ただ、そうでない方法で行かれた方については、パスポートを見ただけではわからないわけですよね。例えば、北京なり上海の空港で一旦入りました、それから国内線なりほかの高速鉄道なりで移動されたということになるとわからないということになります。そうした方々については、自己申告でということになるんでしょうけれども、自己申告でとなった瞬間、ちゃんと全ての方々が正直に、正確に申告してくださるのかどうなのか、こういうことも心配になってくるわけですよね。

 他方で、じゃ、やたらめったにもう全部禁止でいいのかというと、毎日、日本と中国の間では百便ぐらい国際線が飛んでいるんでしょうかね、非常に頻繁に人の往来があるということで、一気にとめてしまうということになればこれはまた経済活動にも大きな影響が出てしまうということで、他方で、これだけ飛んでいるんだから、本当に大丈夫かという問題もあるわけです。本当に痛しかゆしというところでございます。

 さらに、とめるのであれば、入国を拒否するということになれば、その法的根拠は何なのかということも問題になってくるわけでございまして、こうした問題についても、早急に、本当にこれで大丈夫かどうか、穴がないのかということを改めて確認していただきたいということを要望申し上げます。

 続きまして、こうしたさまざまな影響が懸念されるわけでございますが、経済に対する影響というものもあるのではなかろうか。

 先ほど、麻生大臣から、サプライチェーンの問題、日本と中国の間で、自動車メーカーの名前も挙がっておりましたけれども、こうした部品供給が滞るということになれば、中国国内の製造業だけでなく、日本国内の製造現場でも影響が出てくるのではないのか、このような懸念もあるわけでございます。

 また、中国からの観光客、春節の時期というのは大勢来日するということで観光業にとっては書き入れどきだったはずが、前半はちょっといらっしゃっている方もいたんでしょうけれども、後半、団体旅行禁止ということで、減っているわけですね。これは感染症拡大防止という観点から大変重要なことではあるんですけれども、他方で、観光業の収益という観点からすると、ことしは空振りしてしまったということだと思います。

 我が国経済への影響、どのように分析をされていますでしょうか。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 先生おっしゃいましたように、中国における新型コロナウイルスの流行が我が国に与える影響につきましては、大きく四点あると考えております。

 まずは、インバウンドへの影響。中国からの団体ツアーの予約キャンセルが多く発生していると承知しております。二〇一九年、インバウンド消費のうち中国人の割合が三七%を占めておりまして、個人旅行も含めて、インバウンド消費の下押し懸念がされております。また、中国では多くの地域で休業措置などがとられておりますことから、二つ目といたしまして、我が国企業の中国向け輸出の減少や生産への影響。三つ目といたしまして、サプライチェーンを通じた影響。四つ目といたしまして、中国経済の減速による世界経済全体の減速の影響が懸念されておるところでございます。

 こうした点につきましては、十分注意してまいりたいと考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症に対しては、何よりも国民の命と健康を守ることを最優先に考えておりまして、当面緊急に措置すべき対応策として、昨日、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策として取りまとめたところでございます。まずは、けさ閣議決定された予備費の活用等によりまして、これを速やかに実行するということとなっております。

櫻井委員 経済への影響というのは、これはまだ始まったばかりで、そもそも、この新型コロナウイルスの拡大がどこまで広がってしまうのか、どこで食いとめられるのかということがまだわからない時点ですので、まだまだ予断を許さない状況だと思いますので、先ほど、既に対策について閣議決定もされたというお話もございましたので、しっかりと取組を進めていただきたいというふうに思います。

 一方で、経済に悪影響があるということになりますと、税収も減少するのではないのか、このようにも懸念するところでございますが、来年度の税収への影響をどのように分析をされていますでしょうか。

麻生国務大臣 来年の税収のお話ですけれども、これは、昨日の新型コロナウイルス感染症に対する緊急対策で、我々としては今、いわゆる緊急対応策として約百五十三億円を決定したところなんですが、今後、決定をさせていただきました予備費等々百三億円を含めまして、この緊急対応策を着実に実行して、いわゆる水際対策とか、ウイルスの蔓延とかいうものを食いとめてまいりますので、影響を受ける産業等への緊急対応をしっかり進めさせていただきたいと思っております。

 税収への影響を含めまして、日本経済そのものに与える影響につきましては、これはいろいろ考えておかないかぬところだと思いますけれども、経済の下振れリスクというのを確実に乗り越えて持続的な経済成長を実現していくために、基本的には、昨年十二月に決定をさせていただきました総合経済対策というものや今回の緊急対応策の着実な実行を含めて、我々、実行してまいりますので、今の段階で、税収がいかがなものかというようなことを申し上げられるような段階にはございません。

櫻井委員 今、経済財政の税収の見通しをお話しいただきまして、ありがとうございます。

 本当は財政演説に対する質問もさせていただこうと思っていたんですが、時間が大分押してまいりましたので、ちょっと簡単に、足早に説明をさせていただきます。

 本日お配りしております資料の一番目に、GDPの見通しと実績ということでお配りをしております。これを見ますと、先ほど海江田委員からの質問にもありましたとおり、GDPの見通しが甘いのではないのか。平成三十年、令和元年、令和二年、こう見ていきますと、平成三十年度については、GDPの見通し、実質で一・八%と言っていたところが実績では〇・三%だった。令和元年度については、GDP見通し、実質で一・三%と見通しておったのが実績では〇・九%ぐらいという今見込みですが、更にこれは下振れするかもしれません。

 こういうことで、結構高目、大分高目の見通しを立ててきたのではないのか、こういうこともありますので、ぜひとも、やはりこうした見通しについてはちゃんと当たるようにしていただきたいなと。そうでないと、先ほど海江田委員からの質問にもありましたとおり、財政なり、全てに影響してまいりますので、この点、要望をさせていただきます。

 きょうは総務省、環境省からも来ていただいていますので、こちらの方の質問に移らせていただきます。

 税制について、ふるさと納税について質問させていただきます。

 ふるさと納税制度は、ふるさとを応援するというのが制度趣旨でございました。ところが、現実には高額所得者が返礼品で得する制度というふうになってしまっている。まさに、金持ち優遇で、経済格差を拡大させるようなものになってしまっているのではないのかというふうに考えるわけです。特に、ふるさと納税制度の専用のウエブサイトというのが複数立ち上がっていて、まさに返礼品の競争になってしまっている。

 そこでお尋ねをいたしますが、返礼品、送料、業者手数料に一体幾らかかっているんでしょうか。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 直近の平成三十年度のふるさと納税に関する現況調査によりますと、受入額が全国計で五千百二十七億円でございますが、これに伴う募集経費について、返礼品の調達に係る費用として千八百十四億円、返礼品の送付に係る費用として三百九十六億円、広報に係る費用として四十九億円、決済等に係る費用として百十二億円、事務に係る費用等として四百四十九億円、これらの総額、二千八百二十億円となっているところでございます。

櫻井委員 今言っていただいた数字というのは、私の資料三枚目、三ページ目に挙がっているものでございます。資料二ページ目を見ていただきますと、ふるさと納税の受入額、受入れ件数、どんどんどんどん膨らんできております。

 こうしたところを見ますと、要するに、五千百二十七億円、ふるさと納税はあるわけですが、うち二千八百二十億円が返礼品関連に使われてしまっているという状況でございます。

 本来、ふるさと納税、こっちの自治体に入れるか、あっちの自治体に納めるか、どっちに納めるかの問題ですから、手数料の二千円を除けば、全体としては地方の税のプラスマイナスはないわけです。どっちに納めるかというものだけで二千八百二十億円も返礼品に使われてしまっているわけですね。

 本来であれば地方自治体の中で行政サービスに充てられるべきお金がこうした返礼品に使われてしまっているということになっちゃっているわけですから、これは本当に、地方の財政も厳しいと言っている中において、こんな使い方はないだろうというふうに思うわけです。

 返礼品は三割を上限とか言わずに、もう返礼品は全部禁止だと、本当に純粋にふるさとを応援したいという方がふるさとに納税をするというふうな本来の趣旨に戻すべきだと考えますが、御見解、よろしくお願いします。

斎藤大臣政務官 お答えいたします。

 ふるさと納税は、ふるさとやお世話になりました地方団体への感謝の気持ちを伝える制度であるとともに、税の使い道を自分の意思で決めることができる制度であるという点に意義があると考えております。

 一方で、委員からも御指摘ありましたとおり、地方団体間における返礼品競争が過熱いたしましたことを背景としまして、国会等におきまして、制度の運用の実態の一部が本来の制度趣旨から逸脱するおそれがあるのではないかという御指摘がございましたことも事実です。

 こうしたことも踏まえまして、昨年度の地方税法改正によりまして、新たにふるさと納税指定制度を導入いたしました。これによりまして、返礼品を提供する場合に、返礼割合を三割以下、かつ、地場産品に限るとしたところであります。

 現在、このルールのもとでふるさと納税制度が運用されているところでありまして、今後、制度が健全に発展していきますことを期待しております。

櫻井委員 結局、でもまだ三割で、それから、地場産品といっても、地場産品がある自治体とない自治体とあるわけですよね。こういう自治体間で不平等のような状況になってしまうというのは非常に問題だと思います。

 これは菅官房長官が総務大臣のときに始めたといいますか、言い出した制度で、だから、菅官房長官が怖くてみんなこれをやめるとか言えないのではないのか、そういう状況に陥っているのではないのかというふうにも思いますが、麻生大臣だったらちゃんと言えると思います。

 副総理、いかがですか。やはりこれはちゃんと本来の趣旨に戻すべきだ、返礼品はなくすべきだということで進めていただけないでしょうか。

麻生国務大臣 何か関係ないところにいきなり話を振ってきましたけれども。ずっと厚生労働委員会かと思って聞いていたんですけれども、今、急に財務委員会だとわかったんですが。

 総務省の所管の話なのであれですけれども、これは、ふるさとや地方団体の取組というのを応援する気持ちというのを橋渡しするという、先ほど斎藤政務官の話があっておりましたけれども、これは、地方団体がみずから財源を確保してさまざまな施策を実現するための制度であると承知しているんですけれども、今言われましたように、過度の返礼品ということ等々の話が出て、これは見直すということになってきております。

 私どもとしては、この制度というのは基本的なところは決して間違っていないと思っておりますので、こういった過度な、いろんな返礼品という話になってきていますので、そういったところを今是正する方向で動いておりますので、そういったものを見直して、やったやつをすぐにやめるとかやめないとかそういう話じゃなくて、基本的な方向として是正されていかれればよろしいかと思っております。

櫻井委員 ちょっともう時間になりましたので、最後に、炭素税について一言質問させていただきます。

 これは、エネルギー対策費につきましては、再生可能エネルギーの主力電源化や脱炭素化に向けた取組を拡充するほか、国内資源の開発や海外資源の権益確保等を推進することにしておりますというのが財務大臣の財政演説の中にございました。

 こうしたことを進めていこうということになりますと、やはり、世界的にも炭素税というのが導入されている、汚染者負担の原則、ポリューター・ペイ・プリンシプルということに鑑みても、こうしたものを進めていくべきだというふうに考えますが、環境省としての御見解をお願いします。

八木大臣政務官 お答えいたします。

 炭素税の導入に向けた検討状況ということでございまして、炭素税を含むカーボンプライシングについて、日本では、平成二十四年から、CO2排出量に着目して、石炭、石油、天然ガスに課税する地球温暖化対策のための税が導入されているところであります。

 このカーボンプライシングについては、脱炭素社会づくりと新たな経済成長を目指して、社会を変革する歯車を回していくための政策ツールであると考えておりまして、経済全体に脱炭素へのシグナルを送ることが可能な政策ツールと考えております。

 環境省としまして、脱炭素社会の構築に向けて、経済全体で取組を進めるための手法の一つとして検討を進めているところでありまして、現在、中央環境審議会で、さらなるカーボンプライシングの活用について、国際的な動向や我が国の事情、産業の国際競争力への影響などを踏まえた専門的、技術的な御審議をいただいているところであります。

 引き続き、各方面との対話を重ねながら、カーボンプライシングへのさらなる理解が深まるよう、丁寧に議論を進めてまいりたいと考えております。

櫻井委員 今御答弁いただいたのは資料四にあるとおりでございますが、日本は一番下で、もう地べたをはいつくばっている状況ですので、この点についても取組を進めていただきたいというふうにお願いを申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速始めさせていただきます。

 まず最初に、税と予算の基本的なことをお伺いしたいなというふうに考えております。

 まず初めに、税の目的というか役割、ちょっとこれを簡単に確認させてください。

麻生国務大臣 税の目的が何かという御質問ですね。

 税の基本的な役割というのは、基本的には公共サービスというものの資金を調達する財源の調達機能という面もありますし、また、所得や資産の再分配を行うという再分配機能というものもあるということだと思っておりますが、また、納税者の担税力に応じてそれを負担をしていただくという公平性の話とか、また、そうですね、経済活動に対する中立性という問題も考えておかないかぬでしょうし、また、くちゃくちゃ複雑過ぎるのもあれなので、簡素というようなこともありますので、税制の基本原則として、そういった公平、簡素とか中立とか、今いろいろ言われているところだと思っておりますが。

 いずれにしても、グローバル化の進展といった、今の社会構造というのが大きく変化してきている最近でもありますので、私どもとしては、この税制のあり方というものは、今の問題点を基本にしながらも、国際情勢の変化等々いろいろなものに合わせて、また財政の状況等々にも合わせていろいろ検討せねばならぬ問題だと思っておりますので、目的が何かと言われれば今申し上げたところですけれども、それに対応するあり方はいろいろあろうということだと存じます。

日吉委員 ありがとうございます。

 今大臣からもありましたけれども、私が考えるやはり一番重要な役割の一つが所得の再分配、こういったことなのかなというふうに考えます。

 そんな中で、この税、さまざまな種類がありますけれども、どういう税制がいいのかというふうに考えたときに、それだけ考えていても結論が出てこなくて、じゃ、どういった世の中を目指していくのかとか、今の世の中というのはどういう世の中なのか、どこに問題があるのか、そしてどういった方向に行かなければ、行くべきだ、こういったことを見据えた上で、それが予算になって、こういう予算ができ上がりました、じゃ、その予算を実現するためにどういう税制がいいのか、こういったことを総合的に考えていかなければいけないのかなというふうに考えております。

 大臣に質問なんですけれども、今、予算、つくられておりますけれども、そのつくられた予算なんですが、この日本の状況、どういう方向に向かうか、どういうポリシーを持って、どういう社会にしたいからこういう予算をつくっていくかという、そのグランドデザインというか、そういったものを、難しいことではあるのかもしれないですけれども、簡単に御説明いただけますでしょうか。

麻生国務大臣 これは日吉先生御指摘のとおり、予算とか税制とかそういったものは、国を運営する、国家というものを運営するに当たって、政権の方針等々が具体的な形であらわされるというのが多分予算とか税制ということになるんだと思いますが、したがいまして、策定するに当たってはしっかりとしたビジョンというものを持っておかないかぬということなんだと思っております。

 その上で申し上げれば、先ほど申し上げましたように、国際環境というものが大きく今変化をしていっております中で、日本の経済の再生というのを、デフレ不況からの脱却等々含めまして、日本経済が、脱却を図りつつ、かつ、こういった国際情勢がかなり流動化しつつあるような中にあっては、協調というものをきちんとリードして、その上で、日本の存在、プレゼンスというものを維持、また強化を図っていく等々が、これは極めて重要な課題なんだと思っております。

 その上で、財政を運営するに当たりまして、これまでアベノミクスの推進等々によって経済の好循環というものの持続、拡大というものが、これは重要なところですけれども、同時に、我々、財政というものを考えなきゃいけませんので、経済の再生と財政の健全化というものを一体的に取り組んで、この七年間やらせていただいたと思っております。

 具体的に申し上げさせていただければ、経済成長率というものを引き上げていく、いわゆる成長力を強化するという話と、先ほどから話題になっております成長と分配というものの循環、好循環というものを更に拡大させるとか、また、安心して暮らせる社会づくり、これは治安を含めましていろいろありますけれども、そういったものを我々重点を置きながら、経済の再生なくして財政健全化なしという基本的な方針のもとに、これまで財政運営に当たらさせていただいたと思っております。

日吉委員 今までの方針といったことをお伺いしたんですけれども、その中で、政府の果たす役割といいますか、政府の立ち位置として、どれだけそれを実現するために関与すべきなのか、一方で、そこは余り政府は関与しなくてもいいのか。さまざまな局面というのがあると思うんですけれども、政府として、それはもしかしたら大きな政府、小さな政府という話になってしまうのかもしれないんですけれども、そういった立ち位置というのを根本的にどこに置かれているのか、これを確認させてください。

麻生国務大臣 いわゆる財政、税財政計画ですか、税財政政策の、いわゆる社会とか経済とかいうものはどの程度関与すべきか。これは統制経済をやっているんじゃないんですからね、我々は。そういった意味では、一概に申し上げることは難しいんですけれども、民需主導というものの経済というものの持続的な成長を、持続させていくということが何よりも重要なんだと私どもは考えております。

 その際に、今この国の長期的には最大の国難は、これは人口の問題なのであって、人口減少、それに加えて少子高齢化という問題、それに伴いまして働き方の改革とか、生活の多様化ですかね、また、いわゆる世の中の国際化が進展しておりますし、加えて、今ではファイナンシャルテクノロジー、略してフィンテック、こういった経済のデジタル化とか、いろいろなものもありますので、そういった構造の変化に適切に対応していくということも欠かせないものだと思っておりますので。

 その上で、財政と社会保障制度について申し上げれば、やはり急速な少子高齢化の背景として、結果としては社会保障関係費というものが大きくなってまいりますので、国民の安心というようなものを支えていけるようないわゆる社会保障制度というものを次の世代にきちんと引き渡していくためにも、財政を持続可能なものにしておかなければならぬということも重要だと思っておりますので、私どもとしては、新経済・財政再生計画のもと、きちんとした対応をしていかねばならぬものだと思っております。

日吉委員 今大臣から、日本の問題として、人口問題、少子高齢化問題、そして生活が多様化する中で安心して暮らせるようにしていく、またフィンテックの話や、いろいろな多様化というのが進んでいるのかなということを踏まえて、その立ち位置を考えられているのかなというふうに理解しましたけれども。

 そんな中で、今、今回の予算なんですけれども、そこに対して、この問題解決に当たって十分な対応ができているのか。それとも、今後、こういった課題に対してさらにどういうふうな方向性で進めていかなければいけないのか。不十分なところ、今後の方向性、こういったものを、大きなところで結構なんですけれども、ちょっと教えていただけたらなと思います。

麻生国務大臣 今の状況で、私どもとしては、何が、今後どういう点が問題かという御質問なんだと思いますけれども、いろいろな問題を私どもは抱えておりますが、少なくとも、よく言われるように、百兆のものを使わせていただいておりますけれども、いわゆる税収入は六十兆前後ということになっておる、税外収入等々含めまして、それが大きな問題の第一点だと思っております。

 そして、社会保障関係費というものは、いわゆる金利を含めましたら約四割近いものになりますので、その他全てのものは残りの六割でやっておるわけで、役所でいえば厚生労働省の分だけで約四割ということになりますので、そういったような形を、これはやはり、給付と負担の問題というのを長期的にどうするかというのは最も考えておかねばいかぬ大事なところ。

 加えて、今、私どもの周りというのは、東シナ海、南シナ海、北朝鮮等々いろいろありますので、国防という点も私どもは十分配慮しておかねばならぬという状況は、かつてとは全然違ったものになってきておるというように思っておりますので、そういったものを、バランスというのをいかにするかというのが最も頭を痛めていかねばならぬところだと思っております。

日吉委員 また別の機会に詳しくお伺いしたいなとは思うんですけれども、一つだけ。

 大臣の考える、政府の考える将来のビジョンを考えたときに、一つの例として、今、企業の内部留保が大分多くなってきているというふうに言われている中で、これに対するスタンスというのはどのような、内部留保がどんどんどんどん蓄積してきている、それは、企業にとっては将来不安なのでそれをためておくという思いがあると思いますし、それを従業員さんに還元するなり、配当として株主に分配するなり、いろいろな方法が今後考えられると思うんですけれども、そういった中で、政権の将来のビジョンとの整合性の中で、この内部留保がふえている、これに対してどのようなスタンスで、どういうふうな方向に持っていったらいいのかなというのは、何かお考えはありますでしょうか。

麻生国務大臣 今、たしか平成三十年で四百六十三兆円かな、内部留保が蓄積しているというのは事実であろうと思っておりますが、この内部留保が急激に増加し始めましたのは、この七年間、景気が回復してからだと思っております。一年間に、年間二十五兆円ずつぐらいたまりましたから。

 そういった意味では、かなりなものがふえていったというのは事実だと思いますが、簡単に、課税すればいいじゃないかというお話をよく言われる方がいらっしゃいますが、会計士をやっているんだから御存じかと思いますが、これは二重課税になりますからね。なかなか、この話はそんな簡単な話ではありません。

 したがいまして、私どもとしては、少なくとも、持っているものをどのような形で使わせていくかということで、いわゆる手持ち現金等々が猛烈な勢いでまたふえているんですけれども、いろいろな問題を、取組を求めて、企業としては、少なくともその分は、得た利益というものは、基本的には、給与に回るか、設備投資に回るか、配当に回るか、大体、企業の利益というのはその三つに回っていくことになってくるんですが、今、どう考えても、その中の回っている部分は、ふえた中で、給与が伸びた伸びたといっても、八兆、九兆、そんなものだと思います。

 トヨタ労組、頑張ったんですが、三%しかいきませんでしたから。その程度のものだったんですよ。もっと出していいじゃないか、あなたのところ、もっと企業に利益が出ているじゃないか、それは私どもの感じとしてはそう思いますけれども、労組、組合とそれで話がついているのに、もっと上げろなんというのは、私どもは統制経済をやっているんじゃありませんので、それはなかなかそんなわけにはいかない。双方で納得しておられるわけですから。それでも、上がった上がったと。それは十年前に比べれば上がりましたよ。上がりましたとはいえどもまだその程度しか上がっていなくて、数兆円。内部留保は今申し上げたとおりなので。

 そういった意味では、この内部留保のお金をもう少しということを申し上げて、設備投資にということも申し上げて、こちらの方も確かに少しずつ伸びてきて、今九兆ぐらいまであのころに比べて伸びたとは思いますけれども、まだまだなんだと思っております。

 そういった意味では、この分をということでいろいろ申し上げて、昨年は、まだ最終集計は終わっておりませんけれども、今まで二十五ぐらい伸びていたやつが十七、八に落ちて、手持ち現金もたしか五千億ぐらいにとどまったんだったかな、それぐらいまで減ってきちゃいるんですけれども、まだまだだと思いますので、引き続き、企業収益は高水準でいっておりますので、やはり経営者に、これまでのデフレと違うんだから、金をじっと持っていたら物価が下がって持っている現金の値打ちが上がるという時代じゃないんだから。

 そういった意味では、少なくとも、企業が設備投資とか賃金とか、そういったようなもので引上げに積極的に取り組むということがこれは重要なんですけれども、経営者の意識としては、ついこの間貸し剥がしを食らったあの時代のことの思い出はそんな簡単にはなくなりませんよ。私も経営者をやっていましたので、あのやろうと思った人はいっぱい、まだ、あいつらからだけは金は借りまいと確実にそのとき思っていた記憶がありますから。多分、今の会社におられる方は皆そう思っておられますよ、あのときに貸し剥がしたやつは今ちょうど常務や頭取でいますから。無理もないわな、私もよく気持ちはわかりますよ。

 したがいまして、こういった意味では、なかなか私どもも税制においてこれをさわるというのは、いきなりさわるというのはなかなか難しいですけれども、方法としてはそちらの方向にぜひということで、少しずつ変わりつつあるのかなとは思ってはおりますけれども、なかなかそこのところは難しいと思います。

 いずれにいたしましても、税制の要件というものを更にいろいろ考えていかないかぬところだろうなとは思っております。

日吉委員 どうもありがとうございます。

 一つの例として内部留保をちょっと挙げさせていただいたんですけれども、お伺いしたかったのは、例えば、格差を是正していくとかそういったビジョンがあるとか、少子高齢化、これに対してどう取り組んでいくのかというのが、それが予算にあらわれていく、その中で、今の現状を把握して、もっとこういう対策をとっていかなければいけないとか、そういうことになるんだと思います。

 ただ、実務的には、予算を編成するに当たっては、前年の予算から、それをもとに多分増減したり決定していく、そのときの状況に応じて特別な費用が出てくる、こういったことになってしまうのかなとは思うんですけれども、本来としては、やはり国家のビジョンがこうあるんだというところから、じゃ、どういうふうにお金を、どういう方向に持っていくか、それを決めてお金を配分し、そういったビジョンのためにはどういった税制がいいのかといったことを総合的に考えていくべきなのかなというふうに思います。

 そういった意味で、きょうお話を伺いましたのをまた踏まえまして、そこをどこにするかというのは多分政治が決めなければいけないことだと思うんですけれども、そこに対するスタンスがどうなのかといったことも、今後、また機会があれば議論をさせていただきたいなと思います。

 続きまして、租税の教育についてお伺いをさせていただきたいなと思います。

 税務署の職員さんが、小学校、中学校、高校で生徒さんたちに税金についての教育をしていらっしゃると思うんですけれども、その現状について教えていただけますでしょうか。

田島政府参考人 お答え申し上げます。

 租税の役割や申告納税制度の意義、納税者の権利義務を正しく理解していただくことは、納税に対する納得感の醸成にとっても大変重要であると考えております。

 このような考え方のもと、租税教育につきましては、学校教育を中心に、社会全体で継続的、段階的に取り組んでいくことが大事だというふうに考えてございます。

 そうした中、国税庁におきましては、次世代を担う児童生徒に国の基本となる租税の意義や役割を正しく理解してもらうため、学校教育における租税教育、これの充実のための環境整備や支援に努めているところでございます。

 具体的には、国税庁のほか、文部科学省また総務省との協議の場を設けまして、租税に関する指導内容を明記した学習指導要領、これの着実な実施などについて協議をするなど、関係省庁等が連携、協調して租税教育を推進する環境整備に取り組んでおります。

 また、各地域におきましては、国税当局、地方税当局、教育関係者、税理士会等の関係民間団体などが連携しまして、例えば租税教室への講師の派遣ですとか税に関する作文の募集、副教材の作成などを行っております。

 引き続き、関係省庁及び税理士会等の関係民間団体との連携、協調のもと、租税教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えてございます。

日吉委員 どうもありがとうございます。

 いろいろな都道府県なりで租税教育に使われる教材、インターネットでも入手できるので少し見てみました。そうしたら、納税の義務というところから納税の大切さ、どういった種類があって、その使い道は国会で決める、というのは、国民一人一人が相談して決めているんだ、こういったことが書いてありました。まあ税の種類なんかの説明もなされているんだろうなと思うんですけれども。

 その中で、例えば特定の税が大事だとか、そういう何か強弱をつけたりする教育とか、増税をしていくということが大事だとか、何かそういったことをそういった教育の場で話すということはあるんですか。

田島政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、租税教育におきましては、あくまで、租税の役割、また申告納税制度の意義、納税者の権利義務、これを正しく理解していただくことが重要でありますので、教える内容は、まず学習指導要領の内容に即していることという中で、納税の義務ですとか税金の使い道やその決め方、先生おっしゃったように、そういったものなど、先ほど申し上げたものが理解できるようなものとなっていると承知してございます。

日吉委員 ということは、今申し上げたように、特定の税が重要だとか、そういった教育は行われていないというふうに理解しました。

 税に関する作文コンクールみたいなものも開催されていたり、税に関する標語を募集したり、そういったこともなされていると思うんですけれども、その中で、作文を読みますと、この間の消費税について言えば、増税することによってそれが社会でどれだけ役立っているか、そういったことを書かれていた方もいらっしゃいますので、増税すること、それについて重要性を感じられたのかなとは思うんですけれども。

 一方で、じゃ、それがどのように使われているのか、どのように使うかというのは、決められ方について、それをしっかり国民一人一人がチェックしていかなければいけないんですよというようなことも、これも一方で大切なことなのかなというふうに思うんですけれども、そういった使い道についてのチェックをするとか、それが国民一人一人にとって重要なことだ、こういった話というのはされるものなんですか。

田島政府参考人 お答えいたします。

 何度も繰り返しになりますが、教える内容につきましては、今先生御指摘のあった税金の種類ですとか、そういったものに加えまして、税金の使い道、またその税金の使い道はどういうふうに決められているのかといったようなことももちろん教えているところでございます。

日吉委員 その使い道が、どういうふうに使われているのかということを教えるということも大事ですし、それが適切に使われているんだということをチェックしていくことも大切だということも、あわせてそこで教えていった方がいいのかなというふうに思っております。

 何となく、その作文を読むと、税を集めること、それが重要だと。それは、納税する意義を理解してもらうということも大事なことなんですけれども、その一方で、使われ方についても、しっかり適切に使われなければいけないということを意識してもらうということも大事なのかなと思いますので、そういったことも念頭に置いて教育現場のところで行っていただけたらなというふうに思っております。

 続きまして、最近、小中学校にパソコンを一人一台導入するというような話がありますけれども、これの予算の内訳といいますか、たしか総額で四千億円というふうに理解しているんですけれども、じゃ、端末に幾らとか、その環境を設定するのに幾らかかるとか、そういったところをちょっと教えていただけますでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 小中学生へのパソコンの一人一台の整備につきましては、地方財政措置とあわせまして、最終的に令和五年度までに整備をすることといたしまして、今回の補正予算におきましては、その初年度として、三学年分の一人一台の端末とそれから希望する全ての小学校、中学校、特別支援学校、高等学校等への校内ネットワークの整備に必要な経費として、合計して二千三百十八億円を計上をいたしたところでございます。

 大きくは、一人一台端末につきましてはおおむね約一千億が、また校内ネットワークに必要な経費としてはおおむね一千三百億円がそれぞれ振り向けられるということとなってございます。

日吉委員 そうすると、一台当たりの端末の金額はどのぐらいを見込んでいて、その環境を整備するに当たってかかる総額一千三百億円のうち、一校当たりどのぐらいの費用を見込んでいらっしゃるんでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の補正予算におきましては、端末の補助単価につきましては、一台当たり四万五千円というふうに設定をいたしているところでございます。また、校内ネットワークに必要な経費といたしましては、一校当たり六百万ということを考えているところでございます。また、これに加えまして、電源キャビネット、多くのパソコンを収容して一斉に給電をするための電源キャビネットの整備につきまして、一台当たり二十万、これで、トータルで四百億円ということを考えているところでございます。

 したがいまして、校内ネットワークに必要な経費につきましては、先ほどの校内LANの整備、それから電源キャビネットの整備、合わせまして一千三百億円。また、端末の整備につきましては、三学年でいきますと大体三百万人ぐらいの子供がございます。そのうち、地方財政措置におきまして三人に一人分の措置が行われてございますから、残り二百万人につきまして補助単価一人当たり四万五千円といったことで、先ほどのような金額を想定しているところでございます。

日吉委員 今のお話の中で、一校当たり校内のLANを構築するのに六百万円かかるというお話でしたけれども、それは相場としてそのぐらいなんでしょうかね、ちょっと感覚がわからないんですけれども。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました一校当たり六百万は、これまで既に先行して整備をされているようなさまざまな事例を踏まえまして、できる限り安価、より低廉な方法でやることができるようにということで積算をしているというところでございます。

 具体の執行に当たりましては、例えば学校の規模などによって一校当たりの金額も変わってこようかと思いますが、そのあたりはそれぞれしっかりと見積りをとっていただいて、無駄のない形で執行をさせていただければというふうに考えてございます。

日吉委員 あと、相当な端末の需要といいますか台数を購入することになるんですけれども、これを購入するその決定はどのように行っていくんですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的に、学校の設置者、小中学校でございますればこれは市町村ということになりますので、市町村ごとに購入をしていただくということになりますけれども、大量に今回調達が必要ということでございますので、できる限り自治体における、特に都道府県の協力も仰ぎながら、共同調達をしていただき、単価の引下げ等も可能な形で、各学校に対して整備を行いたいというように考えてございます。

日吉委員 そうしますと、共同購入をしながら単価を引き下げるということなんですけれども、一台当たり四万五千円の補助といった中で、一人一台、これは実現できるとお考えですか。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど単価の件につきましても申し上げましたが、各自治体ができるだけ低廉な価格でICT環境を整備し維持できるようにということが、今回の大きなプロジェクトの骨であるというふうに考えてございます。

 例えば、事業者に対して働きかけを行うといったこと、あるいは、標準仕様を作成をして各自治体の配備に当たっての参考としていただくといったこと、あるいは、先ほど申し上げた共同調達といったような仕組みを考える、あらゆる手を講じて、各自治体における取組が円滑に進められるように取り組んでいきたいと考えてございます。その上で、しっかりと配備ができるようにということを考えてございます。

日吉委員 大量に購入するということになりますので、そこで適正な価格で取引をしていただいて、しっかりと対応していただきたいなということをお願いさせていただきます。

 時間が少なくなりましたが、最後に麻生大臣にお伺いします。

 森友、また森友かと言われてしまうかもしれませんけれども、森友のときの文書の改ざん、これに対しまして、財務省としてはガバナンスを強化していくということで取り組まれていると思います。

 この強化の方針にのっとって今どのような状況でそのガバナンスの再構築が行われているのか、その対応状況について教えてください。

麻生国務大臣 ガバナンスの強化の話を聞いておられるのね。

 財務省の再生に向けた取組で、これは秋池参与に大変お世話になりました。本当にいろいろな御参加をいただいて、幹部職員を中心に、これはコンプライアンスというものやらいわゆる統治、マネジメントすることに関する研修を繰り返しさせていただいているんですが、多面観察、いわゆる通称三百六十度評価というものの導入をさせていただいたり、働き方や業務の改善計画の提案とか募集とか、加えてそれを実現ということになって、今、省内外とのコミュニケーション向上のための取組をかなり進めてこられたものだ、私どもはそう思っております。

 また、職員の参加意識というものと、これは理解をよくさせないと、こういったものは幾ら上から言ったって動かないのはよく御存じのとおりなので、職員同士が意見交換をさせないと事はなかなか進まぬのではないかということをかなり言ってきましたので、組織の理念というのをかなり明確に明文化させていただいて、いわゆる我々的には、国の信用というものをきちんと守って、そして希望ある社会というものを次の世代に引き渡していくのが主たる目的なんだから。

 そういった意味で、我々としては、組織とかそういったものをきちんと継続かつ進化させて、いわゆるよく言われるコンプライアンスとか内部統制というものが実質的に機能する、そういった組織風土というのをつくり上げていくために意識。目的はここだから。何となくそっちの話ばかりで、組織は目的化しますから、目的はここにあるんだという点をはっきりさせていただいて、この一年やらせていただきましたが、秋池参与のおかげをもって随分と事は進みつつあるし、少しは明るくなったかなという感じはしているんですけれどもね。

日吉委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたが、最後、一つだけ。

 いろいろ明文化されてきたと思うんですけれども、ガバナンス、これをしっかり構築していく、その責任は、大臣が責任を持ってやっていく、こういったことは何か明文化されているんですか。

麻生国務大臣 明文化されているか。明文化、いや、明文化まではされていません。文でしょう、明文化されているか、文章にされているかと。そんなものはありません。

日吉委員 ぜひ、大臣が責任を持ってやっていく、それを文書に残していただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

田中委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 共同会派の森田でございます。

 午前中最後の質問者でございます。麻生大臣、よろしくお願いいたします。また、国交の方から門政務官にもおいでをいただいております。よろしくお願いいたします。

 私からも一言、例の新型コロナウイルスの件ですけれども、八十歳代の女性がお亡くなりになったということで、改めてお悔やみを申し上げたいというふうに思っております。

 私も、自分のところの仕事で介護施設をやっておりますので、今回の新型肺炎が大分高齢者の方の重篤化を招くという、かなり高齢者の方にリスクが高いというようなお話がございまして、本当に人ごとではないなという思いでございます。

 先ほどお話にも出ておりましたけれども、ことしは余りインフルエンザがはやらないなということで、昨年十月ぐらいに一回ちょこっとインフルエンザにかかった方がいらっしゃったんですけれども、うちの施設でも次亜塩素酸の出るような加湿器なんかを秋ぐらいになるとずっとやっていて、それをやるようになってからそれほどインフルエンザにかかる方もそんなに出なくなったんですけれども、また新しいものが出ているということで、見えない不安というものもございまして、一層気をつけてやっていきたいなと私も思っております。

 また、麻生大臣におかれましては、副総理というようなお立場で国全体の対策を統括されるということもあるでしょうし、また税関の職員さんを抱えていらっしゃるということもあると思います。本当に、水際対策というようなお話も出ておりますけれども、やはり接触する機会が多い職員さん大勢いらっしゃると思いますので、ぜひ万全の体制を尽くして、また情報の共有をなるべく丁寧に行っていただければありがたいなというふうにお願いさせていただきます。

 所信の中に、自然災害のことも触れていただいております。自然災害からの復旧復興を加速するというようなお話が出ておりました。私も、せんだっての台風十九号のこともございまして、いろいろと現場を回らせていただき、いろいろな皆さんの心配なお声、あるいはこれからの課題等をいただいたことがございます。そういった現場現場の積み重ねが一つの政策になり、その政策が予算になるというふうに思っておりますので、幾らかその現場のお声も含めて確認をさせていただきながら、議論を進められればなというふうに思っております。

 この前もお話ししたんですけれども、私の地元は、北に利根川があって、南に荒川があるという、大変今回怖い思いをした地域でございます。私の住まいの近所に熊谷の大麻生という地区があるんですけれども、そこに、唯一、荒川の中で堤防が切れている場所がございます。堤防が切れているというと、まあ、それはわざともちろん切ってあるんですけれども、堤防と堤防の間がふだんは通れるようになっていて、切り通しのような形になっていて、水害の危険が高まったというところで、市役所の職員さんが木の板を両脇にはめていって、その中に土のうを積んだりして、堤防と一体となったような形で、切れ目ないような形での用意をして、そのときを迎えるというようなことがあるんですけれども。

 今回、荒川でも大分水害のリスクが高まったということもありまして、近くにお住まいの方から、本当にあそこが切れていて大丈夫なのか、こういう御心配の声がございました。

 いろいろと経緯を伺ってみますと、もともとは、堤防の中の耕地、田んぼ、畑があって、そこに近くのところから畑、田んぼを耕すために行き来をされていたというようなお話があったために、市道として、そこのところを一部堤防を切って、そこを通れるようにしていたというようなお話なんですけれども、なかなか、今になってみると、もう耕している方がそもそもそんなにいないんじゃないか。聞くところによると、一、二名とか二、三名とか、そんな程度ではないかななんというお話も出ているということでございました。

 調べてみたら、荒川でその一カ所だけなんでしょうかね。そんな話もございまして、そういった、陸閘という言い方をするそうですけれども、その陸閘があるのは荒川の中でただそこが一カ所というようなお話もありまして、まずはその安全性がこれで本当に保たれるのかというようなことが一つ。

 それからあと、もう使わないなんというお声も聞こえてきているんですけれども、そのようなことがあったときに、国交省としてどのようにお考えなのか、河川管理者としてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の大麻生陸閘でございますけれども、熊谷市道と堤防の交差部ということでございますが、熊谷市が今管理をされている許可工作物という位置づけのものでございます。

 その安全性につきましては、その陸閘を管理してございます熊谷市が、河川法に基づきまして年一回の頻度で定期点検を行うということになっておりまして、また、河川管理者であります国土交通省におきましても、二年に一回の頻度で熊谷市の点検の状況を確認をさせていただいているという状況でございます。

 それから、この施設の存続とか廃止についてでございますけれども、御指摘の施設が、先生御指摘のように、堤防よりも河川側にあります民有地等へのアクセスを確保するために必要であるということで、熊谷市の方が許可の申請を行いまして許可をされているものであるということでありますから、まずは、管理者であります熊谷市におきまして、その施設の利用の実態でありますとか地域のニーズ、こういったものを踏まえていただいた上で、存廃の御検討をされるものというふうに考えてございます。

森田委員 ありがとうございます。

 今のお話ですと、安全を点検をしているということで、安全性が保たれているというような判断の中で運用されているということでございました。今のお話で、国交省の方としては、別にそれをあけるも閉めるも、そういう判断をするところではなくて、あくまで利便性を高めるために熊谷市が申請をしてそこをあけているということで、今後についてはよく地元の方とも話をしながら進めていく、そういうお話になってくるんだろうなというふうに思っております。ありがとうございました。

 それから、広域避難というものが、今回の水害の中で、避難の中で、私の地元でも扱われることがございました。加須市というところが、利根川と、それからあと渡良瀬川が合流するようなところの近く、渡良瀬遊水地なども有名でございますけれども、そこの近隣の地区に、もとの北川辺町ということで、北川辺地区というのがございまして、そこにおいて、あのときは、夜中になってから利根川の水位が上がってきて危険だというふうになって、夜中になってからの避難の指示が出たということがございました。

 としたところ、利根川でいいますと、左岸から右岸に逃げていくような形になるんですけれども、大きな橋が、埼玉大橋というのがかかっているんですけれども、そこに交通が集中してしまって、逃げる、避難場所として指定されていたのが同じ市内の、北川辺が北の方なんですけれども、南の方に、普通ですと橋を通って三十分ぐらいで行き来ができるような場所なんですけれども、行き来をするのに二時間とか、長い方ですと五時間ぐらい、まずはその橋の渋滞から始まって、移動に時間がかかってしまった。

 万が一、二時間とか五時間とかかかると、その間に何か起こったときには、最悪、逃げおくれてというようなこともないわけではないんだろうなと思います。幸い、今回は特に被害というものはありませんで、次に向けての貴重な経験になったわけなんですけれども。

 この地区は、聞くところによりますと、水没を一回してしまうと、ちょうど利根川と渡良瀬川が合流するところということで、一回水没してしまうと一週間とか十日ぐらいはもう水が引かない、そういう危険がある地域だというふうに伺っております。

 ですから、こういった、ほかにも広域避難を考えていくべきところというのはたくさんあると思うんですけれども、この加須地区、北川辺地区を始めとして、大体三万人ぐらいの方が想定として広域避難の対象者として位置づけられている。三万人と一口に言いますけれども、これはもう大変な数の方が一時期に移動しなくちゃいけないわけで、次に向けて、また加須市さんなんかが中心となって、どうやって広域避難をやろうかということなんですけれども。

 まず一つは、その中で、タイミングをどうするか。やはり早いうちから、今回は夜中になって、どうも増水した、危なそうだとなってから避難指示が出たということで、夜ですとどうしても、まず逃げるところまで行くまでに、車に乗るまでに転倒しただとかそういうリスクもあるものですから、なるべく早目に、明るいうちにというようなお話が出ていたりだとか。

 あと、さっき申し上げたように、交通が集中しちゃって、特に、橋を渡らないと行き来できないようなところなんかは、では、橋に集中しないようにどうすればいいか。これは、時間の分散ということと、それからあとは、この地域は、群馬だったり、栃木だったり、あるいは茨城だったり、隣接している地域なものですから、そういった近隣の県も含めた避難計画を立てるということが必要じゃないかというような話が出ていたり。

 あるいは、お年寄りの問題ですね、高齢者の方がどうやって逃げられるのか。今回は、市の方でバスの会社五社と協定を結んでいたので、そのバス会社の方とは事前に打合せをしていて、指定された場所にバスが迎えに行って送り届けたような形にはなっているんですけれども。では、果たしてバスがちゃんと運用できるかとか、あるいは、そもそも、集合場所というか指定場所にお年寄りがちゃんと行くことがまずできるのかどうなのか、こういう課題もあったりということで、いろいろな課題が今回の一つの事例だけとっても明らかになったということがございました。

 やはり、大規模な三万人の移動ということを考えると、なかなか図上のことだけではやれないことがたくさんあるんじゃないかな。やはり実地で、今回もそうですけれども、今回は本番にいきなりなっちゃったわけですけれども、やはり大規模な演習、訓練、こういうものを日ごろからやっておかなくては、なかなか対応できないんじゃないかなというようなこともあろうかなと思います。

 加須は一つの例ですけれども、広域避難ということをどうやって国として支えていったり、あるいは今後検討していったりするのか、このあたりのお考えを聞かせてください。

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 広域避難に係る課題がさまざまある中で、政府としてどう対応するかということだと思います。

 平成二十七年の関東・東北豪雨の際に広域避難が課題となったことを踏まえて、中央防災会議のもとにワーキンググループを設置して、平成三十年の三月に、三大都市圏のゼロメートル地帯を主に念頭に置きまして、大規模かつ広域的な避難について、想定される課題とか、また基本的な考え方等について取りまとめを行ったところです。

 現在、内閣府では、東京都と共同で、関係自治体、交通事業者、河川管理者等で構成する検討会を設置して、荒川下流域を中心として避難場所や避難手段の確保などについて検討を進めておるところです。

 利根川中流域におきましても、河川管理者であります国土交通省さん、それと沿川の市町村長さんが広域避難協議会を設立されておりまして、広域避難に関する検討を一体的、計画的に推進していると承知しております。

 今回の台風第十九号では、埼玉の加須市等において、これまでの検討も踏まえ、広域避難が実施されたところでありますけれども、先生御指摘のとおり、深夜の避難情報の発令ということになったということとか、また、多くの人が一斉に移動することによって橋梁等のボトルネック部での車の渋滞が生じたなどの実際の課題といったものが明らかになったところであります。

 現在、中央防災会議の下に設置したワーキンググループにおきまして、この利根川中流域で明らかになった課題も踏まえ、広域避難に係る諸課題について検討しているところでございます。関係機関と連携して、広域避難の実効性確保に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

森田委員 ありがとうございました。

 先ほど荒川の下流域というようなお話もありましたけれども、人口が非常に多い地域だと思います。まだうちの方ですと、道路で移動してなんということも、それほど、ほかの人口密集地帯に比べれば容易にできるところですけれども、人口が密集してくると、では、移動の手段は電車になるのかとか、いろいろな、かなり密な、そういった交通関係の事業者の方との連携だとかということも含めての緻密な調整をしていった中で、初めて発令できるようなものなんじゃないかなと思っております。

 あるいは逆に、今度は小さい市町村なんかですと、やはり自分のところだけでなかなか、計画の立案、緻密な計画を立てて、あるいは大規模な訓練をやってということが、なかなか人手の関係だとかノウハウの関係だとかでできないというような市町村もあるのではないかなというふうに思っております。

 ぜひ、そういったノウハウを国としても蓄積をして、相談したときにアドバイスができるような、こういう体制をこれから築いていっていただきたいなということで、お願いをさせていただきます。

 それから、今回、防災無線のことについても大変いろいろなお声が寄せられてきました。一番は、防災無線が何を言っているのか聞き取れない、雨がざあざあ降っていたりあるいは風が強い中で、いつもだったら聞こえるような場所でも防災無線が聞き取れないなんということが、大変大きな声としてございました。

 これはやはり先ほどの利根川の沿川の加須市なんですけれども、そういったいろいろなお声があったので、これはこれから予算化をしていくということで、議会等での協議を経てということになるんだと思いますが、防災ラジオを全世帯に配付するというようなことが出てきました、計画として。

 何で今さらラジオなのかという話なんですけれども、私たちは携帯、スマホを持っていて、今回もかなり何回も警報のメールが来たりだとか、あるいは、インターネットで自分で見られる人は、市のホームページでも見れば、今の避難情報だとか気候の様子なんかもいろいろ見てとれるということなんですけれども、やはりスマホを見たりあるいはインターネットを契約したりというのは、月々何千円かのお金もかかるわけでございまして、あるいはその操作、機器の操作にふなれな方もいらっしゃる。そういった方々に対しても、機械さえ持っていればいろいろな情報を受信できるという意味で、ラジオに改めて光を当てて、それぞれお宅に備えておくことが必要じゃないかということで、こういう計画になったということですけれども。

 ラジオの受信機といってもいろいろなやり方があるということでございまして、加須市でやるタイプのものというのは、特定の周波数の電波で防災の情報を流すといったところで、スイッチを入れておけばですけれども、情報が流れてきたときには電波が切りかわって受信ができるような体制になって、いろいろな避難情報だとか気候の情報なんかを聞き取ることができる、そういうことだそうです。

 ただ、一括でこういうものを例えば何万世帯分取り寄せようと思っても、そういった特殊なラジオですので、一般に売っている、その辺で買えるラジオとはちょっと違うので、防災ラジオということで、数がそもそも、そんなに生産能力もないというようなことで、なかなか一括で発注して全部納入ということもできなさそうだなんというお話も出ております。

 これからやはりいろいろな、いわゆる弱者の方への、要支援者の方への配慮ということが必要になってくる中で、こういったラジオの受信機に対しても支援をしていくべきじゃないかなというふうに思いますけれども、このあたりのことについてお考えをお聞かせいただければと思います。

小宮政府参考人 コミュニティーFMは、地域のきめ細かな情報を伝えることのできる、災害時においても非常に有効な情報伝達手段であると考えています。

 消防庁におきましては、コミュニティーFMを防災用途で用いる場合に必要な自動起動ラジオを整備する場合、特別交付税措置を講じるとともに、操作端末やサーバーといった情報伝達設備などと一体として整備する場合には、緊急防災・減災事業債の対象としております。

 また、各種の会議の場での周知などにより、コミュニティーFMの自動起動ラジオを始めとする情報伝達手段の積極的な整備を自治体に要請しているところです。

 これらにより、災害時の情報伝達手段の多重化、多様化を引き続き促進してまいります。

森田委員 ありがとうございます。

 加須市みたいに全部一括で配るという例は、もしかしたらなかなかないのかもしれませんが、先ほどの答弁の中にあったように、多様化、いろいろな情報をいろいろな手段で取り入れることができるというのはこれからとても大事なことだと思いますので、お願いできればと思います。

 先ほどは、ラジオの受け取る側のお話をさせていただきましたけれども、発信の側の方もいろいろと動きがございました。

 私の住んでいる熊谷市に拠点を置く、FMクマガヤといういわゆるコミュニティーFMがございます。埼玉県には、人気のあるFM局でNACK5というのがあるのですけれども、そこでもかなり丁寧にいろいろな情報は流していただいていたんですけれども、いかんせん放送エリアというのが全県とかあるいは近県も含めた放送エリアなものですから、なかなか地域地域のきめ細かい情報までそこのラジオで流すというのは難しいというような状況でございました。

 そこで、このFMクマガヤでは、受信できる範囲といえば何キロぐらいというような範囲にはなるんですけれども、一応想定としては熊谷市とその隣の行田市というところがその放送エリアということになっておりまして、この前の台風十九号のときにも、かなり細かい情報、あるいは避難所に関するいろいろなアドバイスであったりとか今の状況であったりだとか、そういうことも含めてラジオを経由して情報を届けてもらったということで、かなりこれが好評でございました。

 ただ、やはりこれもこれで問題がありまして、電波を絞って聞き取りができる範囲を絞っているものですから、たまたま今のアンテナを置いているところが熊谷駅の駅前のビルのところに置いてあるものですから、なかなか見通しがよくないものですから、想定されるエリアから大分狭いところでしか聞き取りができないというようなこともありまして、このアンテナの設置場所を、ちょっと駅から離れた熊谷の市役所の方に移転しようなんという話を、アンテナを建て直そうなんという話を今しているところです。

 ただ、やはり設備関係を全部新しくするわけですから五百万円ぐらいのお金がかかるということで、これもいろいろと、防災協定をもともと結んでいた、台風の前から結んでいた熊谷市と、それから、去年、台風が終わった後に行田市とは情報を流すという協定を結んで、行田市もそういう状態にあるものですから、熊谷と行田で少しずつ補助も出しながら、そういった新しいアンテナなんかもより聞こえやすいようなところに建てていこうなんというお話も今進めている、そんなことも聞いております。

 先ほどの受信の方もそうなんですけれども、発信の方も、やはりかなりエリアが限定されているということできめ細やかな発信ができるということで、非常にそういう意味では評判がよかったという経緯もございました。

 このコミュニティーFMみたいなものを含めて、発信する側への支援ということについてお考えをお聞かせいただければと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 コミュニティー放送は、本年一月末現在で、全国で三百三十二局運営されている状況にございます。そのうち約九五%が市区町村と防災協定を結ぶなど、ふだんの、日常の情報提供のみならず、災害時の情報提供に非常に力を入れているというところでございます。

 総務省では、コミュニティー放送事業者に限りません、ラジオ放送全体ということではございますけれども、聞こえない地域を解消する、難視聴と言っておりますが、難視聴地域を解消するために中継局を整備する場合に支援を行う事業を行っております。また、そのほか、災害時に放送が継続できるようにするために予備送信所、予備電源設備といったものを整備する場合、この場合も整備費用の一部を補助する事業を行っております。

 また、先ほど御議論がありました自動起動ラジオに関しましては、防災行政無線が整備されていないという条件がございますが、そういう市町村において、そこにあるコミュニティー放送事業者が自動起動信号、自動起動ラジオを動かすための信号を発生する装置というものを整備する場合に補助する事業というのを、新たに令和二年度予算案に盛り込んでいるところでございます。

 引き続き、ラジオのネットワークがきちんと強靱化され、住民に情報が届くような努力を続けてまいりたいと存じます。

森田委員 ありがとうございます。三百三十二局あるというようなお話でございました。

 先ほどの例じゃないですけれども、やはり小さい局というか事業者ですので、ちょっとした予備の施設設備というものを整えるにしても、それが大変な負担になるということが十分想定をされます。ぜひ、万が一への備えということで、費用対効果としては大変大きいものがあるかなと思いますので、これからも積極的な支援をお願いできればなと思っております。

 それから、災害時のドローンへの支援ということでお伺いをさせていただきたいなと思っております。

 私の地元ですと、今、二つの消防本部がドローンを導入しておりまして、私も調べてみたんですけれども、一つが、平成の二十九年の一月に購入して十一月から運用を開始しているという埼玉東部消防組合というところがございます。こちらは少し大型のドローンで、費用も、二百七十万円ぐらい導入の費用にかかっているということですけれども、上空からの偵察をするということ、それに加えて、若干の救援の資材なんかも運べるように、幾らか大型のものにしてあるということでしたけれども。

 実際、この埼玉東部のドローンは、二回出動を今実績として持っているということでございます。一つは、火災の現場の偵察、大分広い敷地のガラスの温室の火災があったときに上空から様子を偵察したというのが一つと、それから、水難事故、農業用の沼に落ちたような方がいらっしゃって、それを救援するときに上から状況をよく偵察するということで、実績としてこの二つの例があるということでございました。

 もう一つは、羽生市というところの消防本部が、まだ、これは三月一日から運用を開始するということでございますけれども、こちらは小型で、五十五万円ぐらいで手に入ったものだということでございます。こちらもカメラは積んでおりますけれども、少しオプションで積みかえて、例えばスピーカーをそこに積んで誘導できるようにするとか、あとは、スポットライトを載せて救助のときに照らすようなことができるとか、幾つかその使い方としてはあるということなんですけれども、まだ出始めの機械ということで、いろいろとこれから活用の余地というのはあるんだろうなと思います。

 私の地域の中でも、熊谷市の消防とか行田市の消防はまだ検討中だというようなこともございまして、ヘリコプターを、防災ヘリとか警察のヘリというのを入れるというのは、もちろん相当の金額にもなりますし、なかなかいろいろな条件で運用が難しい、特に一つの消防からすれば運用が難しいということがあろうかなと思います。

 ですから、その中間を埋めるぐらいのところで、しかも、そういった意味では、費用はかなり安価に導入できるということもありまして、これから活用の余地というのが大分あるんではないかなというふうに思っておりますが、消防等の活動においてドローンをどうやって活用していくお考えか、お聞かせいただければと思います。

小宮政府参考人 御指摘のように、消防庁といたしましても、ドローンについては非常に有用と考えておりまして、積極的に取り組んでいるところです。

 ドローンにつきまして、消防防災分野においては、現在、建物火災の状況の確認、山間部での要救助者の捜索、また、大規模災害時の被害状況の確認などで活用をされております。昨年の台風十九号の際には、緊急消防援助隊のドローンを活用し、決壊した河川の被害状況の把握や建物内に取り残された要救助者の捜索を行いました。

 また、ドローンの整備につきましては、まず、緊急消防援助隊が情報収集に使用するドローンにつきまして、国の無償使用制度を活用し、二十の政令市全てに配備をいたしたところでありまして、さらに、加えて、令和元年度の補正予算により、更に十五台の配備を予定しているところであります。

 また、各都道府県や消防本部が、災害時のオペレーションシステムなどの整備とあわせて、当該システムに映像を提供するための高機能ドローン、これを整備する場合には、緊急防災・減災事業債の活用を可能としております。

 今後とも、消防防災活動の現場における活用状況などを十分に踏まえながら、必要な支援策を講ずるなど、消防防災分野におけるドローンの活用を推進してまいります。

森田委員 ありがとうございました。

 門政務官にお伺いしたいと思うんですが、今回の水害を受けて、荒川上流河川事務所が中心となって、集団移転を検討しているというようなことがございましたけれども、今後、集団移転というものを水害対策などにどのように活用していくお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

門大臣政務官 昨年は大変多くの台風が襲来いたしまして、特に、今御指摘いただきましたように、台風十九号におきましては、各地で河川の氾濫等により多くの住宅に被害が発生したところでございます。

 こうした被災地の復興、とりわけ住宅の再建に当たりましては、再度災害を防止するという観点から、委員御指摘の住宅の集団移転を行うことは有効な手段の一つと考えております。

 その上で、住宅の集団移転には防災集団移転促進事業による支援が可能でございます。この事業は、市町村が事業主体となって、移転者向けの住宅団地の整備や、移転元地、すなわち災害を受けた土地の買取り、移転者に対する引っ越し費用等の助成を行うものであります。

 これまで、昭和四十七年の制度創設以来、土砂災害や火山、津波等の被災地域において、直近では東日本大震災の被災地も含めて六十二の市町村、三万九千戸の住宅の集団移転を支援してまいりました。

 今、上りました台風第十九号の被災地域におきましては、現時点では本事業の活用を決定した市町村はございませんが、幾つかの市町村からは本事業の活用に関する相談を受けているところでございます。

 地元住民の合意形成等、大変難しい点もあろうかと思いますけれども、市町村の主体的な取組をしていただくことにしっかり、国土交通省といたしましても、御相談に乗り、積極的な支援をしてまいりたいと思っております。

森田委員 ありがとうございます。

 今回、災害からの復旧復興ということで予算をつけるというようなお話がありまして、やろうと思えばもう切りがないのが多分この土木関係の予算だろうなと思います。ただ、やはり国として、本当に危ないところにはもう住まないような選択をしながら、遊水地的にそういうところを活用していこうなんということも考えられるかなと思っておりまして、この限られた予算の中でどのように災害対策を進めていくお考えか、最後に大臣から御答弁をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは、先生御指摘のとおり、財政資源が限られていますので、この災害対策というのは、ハードだけじゃなくて、今言われたような、もう住むなというような、早い話がそういう話ですから、そういったソフトの施策も含めてやっていくということは必要なんだと思って。

 よくバングラデシュが例に出ますけれども、バングラデシュで毎年洪水があるというけれども、あれは洪水があるのではありません、川の中に住んでいる方が悪い、行って意味がわかりましたけれども。だから、洪水なのであって、あれは川に、もともと住んじゃいかぬところに住んでおるから洪水に遭っておるだけですと国交省の技術屋は極めて明確に指摘をして、その話もその後の対策に極めて役に立ちましたけれども。

 今国会でも、防災、減災をソフト面から進めるために、災害のハザードエリアについて開発抑制とか移転の促進などを内容とする都市再生特別措置法の改正案が、これは国交省から多分提出されるんだと思っておりますので、国土強靱化基本計画に基づいて、ハード、ソフトを組み合わせた対策を総動員して、いわゆる災厄に屈しないとか、堤防のかわりにため池をちゃんと、あらかじめ別にするとか、いろいろな国土のつくり方はあろうかと思いますので、きちんとした形で、災害に屈しない、そういった国土づくりに邁進してまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 限られた予算の中で、いかに生命財産を守っていくかということで、引き続き政府の取組をお願いします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十五分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。野田佳彦君。

野田(佳)委員 共同会派、立国社の野田佳彦でございます。

 まずは、新型肺炎で国内初の犠牲者が出ました。心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 また、予備費を充当して、百三億円ですか、緊急対策を講じることが決まりました。これからも財源が制約となることのないように、国民の命と健康を守るために一層の御努力をいただきたいと、まずは要請をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、順次これから質問をいたしますけれども、お配りをしています資料、これは先週、大臣所信で配られた資料です。そこに赤線を引いています。この赤線に基づいて順次質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まずは、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化と同時に、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいります、このフレーズについてお尋ねをいたします。

 この表現は、もう何年も何年も聞いてきています。だけれども、ことしほどこのフレーズがうつろに、むなしく聞こえたことはありません。これは、政府の財政健全化目標、今も旗をおろしていないということなんでしょう。けれども、旗はおろしていないけれども、足元、必死に努力をしているかというと、とても私はそうは思えないんですね。

 その観点からまずお話をさせていただきたいと思いますけれども、まず、これからのことを言う前に、足元の努力の問題ですけれども、きょう午前中、海江田さんも触れておりましたけれども、減額修正の問題であります。

 税収の見通しを六十二兆五千億と見ていたけれども、米中の摩擦等などあり、法人税が思ったほど入らずに、結果的には二兆三千億円の下方修正をせざるを得なくなり、結果二・二兆円の新たな赤字国債を発行するという事態に陥った。その補正は先般成立をしたところでございますが、これはめったにあることではありませんですよね、大臣。めったにないことが、残念ながら安倍政権下では二回目です。平成二十八年度は一・七兆円、追加で赤字国債を発行しました。ことしの場合は十月一日に消費税を引き上げているんです。消費税を引き上げて増税をしたにもかかわらず、やはり財源が足りませんでした、申しわけありませんでは私は済む話ではないというふうに思います。

 やはり、国民にとっては、増税を受け入れた、増税したならば、社会保障の充実と安定化と、そして財政健全化を目標としていたわけでありますから、財政健全化から遠ざかるなんということは想像していないはずであります。そんなことが起こったということは、猛省してもらわなければいけないと思いますけれども、まずは大臣のお話をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今般の令和元年度の補正予算につきましてですが、赤字公債を二兆二千億発行させていただきましたけれども、これは、今申し述べられましたように、外需の落ち込み等々の影響を受ける中で、主に製造業を中心としていわゆる企業収益が大きく下振れをしたことと、その法人税収が落ち込んだこと等によって税収の減額補正を行うようにしたためのものであります。

 今回の税収減につきましては、これは海外経済の変化等を受けたものが主たる理由でありますので、いわゆる政府自体の意思による、決定によるものではありませんので、そういった意味では、赤字公債の追加発行による対応をするということにしたものでありまして、過去の補正予算につきましては、減額補正につきましても、これは、税収減につきましては赤字国債等々で追加対応をしてきた例が多いというように承知をいたしておりますので、私どもとしては、今言われましたように、我々の基本的姿勢として、従来申し上げましたとおり、きちんとした対応で、経済再生そして財政再建という二本の柱というものは変わらずきちんと持ち続けておかなきゃならぬと思っております。

野田(佳)委員 私は、その辺の反省をよくしておかないと来年度も危ないなと思っていまして、先ほどお話ししたコロナウイルスの問題も、これから実体経済にどんどんと悪影響が出てくる可能性が残念ながらあります。

 加えて、オリンピックの直後から景気が落ち込むということは、これは世界各地、四年に一度起こっていることでございます。いわゆるオリンピックの崖などもあります。昭和三十九年の東京オリンピックの後、昭和四十年に不況に陥って、そのときに戦後初の赤字国債を発行しているわけですよね。など、歴史を見ても、来年度も心配ですので、今年度の深い反省のもとに対応していただきたいという趣旨でございます。

 続いてでありますけれども、二〇二五年度のPB黒字化、まさに現在の財政再建目標なんですが、これは一月十七日に内閣府が試算をしています。非常に甘い見通しに立った中での試算でありますけれども、二〇二五年度は三・六兆円の赤字になる、甘い見通しのもとでやっていっても、二七年度にようやく目標達成できるんじゃないかというやつですね。

 甘い見通しのもとでずっと繰り返しやってきて、結局、二〇二〇年度できずに二五年度まで延ばしたんですが、今の直近の内閣府の試算だと、二〇二五年度に目標達成というのは私は到底不可能だと思うんです。恐らくですよ、残念なことに、永田町でも霞が関でも、二〇二五年度にPB黒字化できる、その言葉を信じている人がいるんでしょうか。皆無じゃないですか。むしろ、日銀の物価上昇二%と同じぐらいに今むなしい数字だと思います。

 ほとんど不可能だと私は思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 御存じのように、内閣府から今回提示をされております中長期試算では、二〇二五年度、いわゆる令和七年の時点において依然としてプライマリーバランスの赤字が残るという姿になっておりますのは、もう私どもよく存じ上げておるところであります。ただ、この試算におきましては、財政面では二〇二一年度以降の具体的な歳出計画が全く織り込まれていないと承知をいたしております。

 よく言われますように、これまでも、少なくとも社会保障費、年間一兆円伸びるというのが当時の内閣府が出した試算でしたけれども、現実問題として、私どもは、この七年間いろんな努力をさせていただいた結果、五千億とかそういった形で引き下げるということに成功してきたということがありますので、私どもは、目標として堅持をしておりますけれども、財政再建と、財政健全化の両立というものを図ってきちんとした黒字化を目指すということは極めて大事なところなのであって、私どもとしては、今後歳出削減等々の取組を更に加速する必要があるということを考えておりますので、今の段階としても、とても絵そらごとではないかと言われるのに努力がどこまでできるかということは、きちんと腹におさめてやっていきたいと思っております。

野田(佳)委員 いわゆる団塊の世代が後期高齢者に入っていくのは二〇二二年からですか。二五年に完了しますよね。ここからどっと、当然社会保障費は膨張する可能性が大きいわけです。

 今、社会保障の改革の議論を行っていますけれども、私は、議論のスタートが遅過ぎていて、それを実現するにしても小玉の政策じゃ余り圧縮できないと思うんですね。その議論が一方でおくれている中で、今のうちに相当目安を、いわゆる見通しをつくっていかないといけないにもかかわらず、さっき申し上げたような、いわゆる補正の問題も含めて、取組としては厳しさが足りないと私は思っているんです。

 そのことは、数字が信用できないということに対しては、国民が財政に対して妙に危機感を共有できなくて、本来真実を知らなければいけない国民にも間違ったメッセージを出し続けるという意味においても罪が大きいというふうに思います。そのことは強く指摘したいと思いますが。

 同じことは、債務残高の対GDP比を安定的に引き下げるという、この所信に言われている言葉にも同じことが言えていまして、安定的な引下げということは、債務残高を減らしていく、GDPを大きくしていく、どっちかです。どっちも必要ですよね。

 どっちも必要なんだけれども、例えば、債務残高を減らす努力というのは、これは前年度の剰余金を、今のルールだときちっと残高を減らすところに充てるというのが財政のルールでしたね。だけれども、先般、特例法で、借金返済には充てないことを決めました。こんなことをやっていたら、安定的な引下げなど無理だと思うんです。

 安定的な引下げというのは、基本的な環境というのは、成長よりも長期金利が下であるという状況のときには安定的な引下げというのは可能だと思うんですけれども、今は金利が異常な状態ですよ。金利が上がって成長の方が低くなったら、公的債務残高の安定的な引下げなんというのは本当に難しくなってくるわけですね。

 そんな中で、剰余金をきちっとルールどおりにこつこつこつこつと借金を減らす方に充てていく努力をしておかないと、本当にこれを常習化するとよくないと私は思いますけれども、どうでしょうか、大臣。

麻生国務大臣 今おっしゃったことは私もよく理解をしておるところで、よく議論もさせていただいた上で今回の結論を出させていただいているんですが。

 経済対策の三本柱によって必要な施策を全て積み上げた結果、今回の歳出ということになったんですが、その上で、歳出追加の財源についての検討ということを行わせていただきました。その上で、建設公債などの他の財源で賄えない部分について、これは特例公債を追加で発行して借金の返済に充てるか、又は公債の償還財源というものを活用してでも国債発行を抑制するかという選択が二つあると思いますけれども、私どもは、少なくともこの補正予算に関して、リーマン・ショックのときを受けた、あのときの第一次、平成二十一年度の補正を除きまして、歳出追加のために財源として赤字公債を発行したことはありませんし、また、予算において公債発行額というものを抑制していくということは、これは財政健全化というものを着実に進めていく上では極めて重要だと考えております。

 したがいまして、まずは決算剰余金というものを活用することで、補正予算関連法案として、このたび剰余金の特例法を提出することにさせていただいたもので、これが常用化するのはよろしくない、私どもも、それはまことにそう思っております。

 決算剰余金のうち、補正予算で活用した残余の〇・五兆円につきましても、各年度の財政運営の基本をなす当初予算というものにおきまして国債発行額というものを抑制していくということは、これは先ほど申し述べましたように財政健全化を進めていく上では極めて重要であると考えておりますので、特例公債の発行を抑制するために使用させていただくということにさせていただいたということであります。

 なお、仮に剰余金の二分の一を公債償還財源とした場合であっても、その分新規の特例公債の発行がふえるということになりますので、結果として国債発行残高は変わらぬということになることはもう御存じのとおりであります。

 いずれにいたしましても、新経済・財政再生計画において、歳出と歳入面の両面のやはり改革というのを引き続ききちんと続けて、我々としては、プライマリーバランスというものの黒字化というものをきちんと実現するという方向で、できればさらなる努力を重ねて、二〇二五年度というものを目標として、今後とも債務残高の対GDP比というものを安定的に引き下げるということを目指してまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 旗はおろさないということでしょうけれども、本当にできるかなと思っている人はたくさんいる、その空気を重く受けとめてほしいんですね。

 私は、今の財政状況は、井の中のカワズじゃなくて、湯の中のカワズだと思っているんです。ゆでガエルですよ。熱湯にカエルを入れればその危機がわかって飛び出すけれども、常温の水にカエルを入れてどんどん温めていくとゆで上がって死んでしまうという議論があるじゃないですか。これは、湯の中のカワズだと思うんです。

 私は、今の日本は湯の中のカワズで、いっときは金融政策に頼れば何とか大丈夫だろうといって、結局財政規律が緩むことになり、今度は何か過度なインフレにならない限りは幾ら借金してもいいという話もあり、いろんなのに飛びつきたくなるけれども、やはり正攻法で、財政再建の努力をしているということはまさに王道で、王道を外れて安易な道に行かない方がいいと思いますので。これは多分、問題意識は共有できると思いますので、その点をぜひお願いをしたいというふうに思います。

 この後はちょっと、次の、一問目で随分時間をとってしまいましたので、二つ目の質問に行きたいと思いますけれども。

 幼児教育、保育の無償化や高等教育の無償化を着実に実施するという文章がございました。

 これは大臣は結構でございまして、若干細かな話になりますので文科省から御説明をいただきたいというふうに思います。大臣、よろしかったら今のうちにトイレ休憩などを。二、三問、ちょっと文科省に質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、幼児教育、保育の無償化にかかわることでありますけれども、これは、認可外の保育施設は無償化の対象です。幼稚園、保育園、そして認定こども園、三歳から五歳児を持つ御家庭については無償化の恩恵が受けられるけれども、その例外があって、それは幼児教育類似施設でございます。要は、敷地面積などが足りなくて、幼児教育をちゃんとやっていて歴史もあるんだけれども、認可を受けていないところは無償化の対象外ということです。同じ消費税を払って、同じく子供を育てるのに苦労をして、そして幼児教育を受けているのに、対象から漏れちゃっているところがあります。

 これに対する議論は去年の文科委員会でも出ていたと承知をしています。これに対する救済というか支援を、昨年の文科委員会では萩生田大臣は比較的前向きに答えていて、おおらかに対応するという、おおらかという言葉も使っていました。

 その後、検討されて、どうなっているのか。この幼児教育類似施設についての支援について、文科省から御説明をいただきたいというふうに思います。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の幼児教育、保育の無償化の対象範囲につきましては、委員からお話がございましたように、法律により幼児教育の質が制度的に担保された幼稚園、保育所、認定こども園を基本としつつ、待機児童問題により認可保育所に入りたくても入れない方がいるということから、これに対する代替的な措置として認可外の保育施設等も対象とする、このような考え方で整理がなされており、法律上、一定の線引きがなされているというところでございます。

 一方、今般の無償化の対象とならない施設等については法令上の定めや基準等がございません。また、多種多様なものが存在をしておりますけれども、各地域に固有の、さまざまな歴史的な経緯を経まして、現在も地域や保護者のニーズに応え、重要な役割を果たしているものもあるというように考えているところでございます。

 これを踏まえまして、令和二年度におきましては、まずは、無償化の対象とはなっていないものの地域にとって重要な役割を果たしていると考えられる施設への効果的な支援の方策についての調査を行うための予算を、政府予算案に計上をいたしているところでございます。

 今後、この調査事業で得られる知見も踏まえまして、また、並行して地方団体とも協議や調整を行いながら、新たな支援策の実施を目指して取組を進めていくことができればと考えているところでございます。

野田(佳)委員 私も幾つかこういう施設を知っているんですけれども、もう三十年も四十年も、敷地面積は足りないけれども、十分にすばらしい幼児教育をやっているんです。OB、OGもたくさん、すばらしい人たちが巣立って、立派な社会人としてやっているというところ、ありますね。あるいは、団地の中の集会所で頑張っているようなところ、お寺を使ってやっているところ、いろあります。これが対象外というのは極めて不公平であって、公平という観点からの周到な準備ができていなかったというふうに私は思います。

 もちろん、いろいろなところがあると思います。でも、今おっしゃったように地方の中でちゃんと存在感を示してやっているところ、いっぱいあるんですよ。そこが、ようやく調査費がつくといったって、これは直接支援にならないんじゃないんですか。というか、もう既に来春からの募集は終わって、入園希望者が激減しています、無償化の対象外となると。もう施設の存亡にかかわっているんですね。調査費をどれぐらいつけたかわかりませんけれども、もうちょっと直接的な支援というものは考えられませんか。お答えいただきたいと思います。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般、政府予算案に計上いたしております調査事業は、国と地方が協力をした支援のあり方の検討に資するように、就学前の幼児を対象として集団的な活動を行う施設に対して支援を行っている自治体に対して、これらの施設等に対する支援のあり方についての調査を委託という調査事業でございます。

 繰り返しになりますけれども、まずは、私ども、こうした事業を通じまして、どういった地域で、どういった条件のもとで、どういった働き方を各地域においてそうした施設が行っているのか、こうしたものについて、資料も得ながら、その上で、最終的には地方団体とも協議、調整を行いながら、次の段階の支援というものを考えていく必要があるだろうと思いまして、来年度に向けましては、まずはそうした実態を把握し、自治体にとってどのような効率的な支援の方策があるかということについて資料を得たいというふうに考えているところでございます。

野田(佳)委員 私は、高校授業料の無償化のときには、その財源づくりを責任を持ってやった立場であります。したがって、無償化は基本的には正しい方向だと思って、理解をしています。ただし、公平さをきちっと担保して、周到に準備した上で進めるべきであったはずなのに、それができないで進めたというところに非常に私は問題があると思いますね。

 今、調査費を使って調査をするんじゃなくて、その準備をちゃんとした上で、幼児教育、保育の無償化を進めるべきだったと思いますね。という意味では、もう始まってしまっているから仕方がないんですけれども、私は、政府の姿勢としては周到さが足りなかったということについて強く抗議をしたいというふうに思います。

 その上ででありますけれども、じゃ、もう一つ、この無償化の問題で、私の気づきは、ちょうど一週間前の金曜日に、船橋のある駅で街頭に朝立っていたんですね。三十数年ずっと、二時間から三時間、毎朝立つんです。今、マイクを持たないで、一生懸命自分でビラを配るんですよ。ビラを配っていると、人が寄ってきて、どうしてもお話ししたいことを、みんな急いでいるんだけれども、お話をしていくんです。

 その中で拾った話なんですけれども、ことしの、もう既に二月ですね、一月に専門学校を受験して合格をされたらしいんです、お子さんが。そのお母さんからで、おめでとうございますと申し上げたんです。いや、おめでとうじゃなくてですねというところから始まりまして、もう一回、進学先を再検討せざるを得なくなったと。

 というのは、大学の、いわゆる高等教育の無償化、大学も短大も高専もほとんど無償化の対象なんですが、専門学校は違うんですよね。専門学校の中には、千六百八十八校、全体の六二・二%が対象校だけれども、残りの千二十四校は、申請しなかったとかいろいろな問題があると思うんですけれども、対象外だったんですよ。対象外のところを受けちゃったんですよ。それでもう何かお金を払わなきゃいけない。気づいたら無償化の対象外だったということで、これはどうなるんですかと。これは一例だけれども、同じようなことが多分全国で起こっているのではないかなと。

 文科省はホームページで公表していると思うけれども、学校は、自分のところにいっぱい入ってほしいから、奨学金の説明とか、大体貸与型が多いんですけれども、こんなメリットがありますよという、そういう学校案内はいっぱいあるんですよ。だけれども、無償化の対象となっているかなっていないかなんてことは、きちっと公表していないところが多いようです。

 ですから、ここは周知徹底しないといけないのではないかと思いますね。例えば、学校の進路指導の先生とか親御さんとかお子さんたちに、オープンキャンパスでも、あるいはそれぞれの専門学校のホームページででもちゃんと公表するように、まさに周知徹底しないと混乱が起こると思います。

 これについては、文科省、どうお考えでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 高等教育の修学支援新制度、いわゆる高等教育の無償化の対象校の周知につきましては、文部科学省では、地方公共団体を含めた全ての要件確認者、専門学校については都道府県が確認者でございますけれども、そういった公表情報を取りまとめて、昨年九月以降、高等教育の修学支援新制度の対象機関リストとして、文部科学省のホームページにおいて公表しているところでございます。

 この対象機関リストについては、新制度の対象者となり得る高校生の進路選択に資するため、学校関係者向け説明会やリーフレットの配布などのいろいろな機会において周知を図ってきたところでございますけれども、今後、引き続き、より一層丁寧な周知を図る必要があると思っておりまして、特に、高校三年生など、進学希望の方の申込みの際に確実に周知を行うというようなことを今後更に進めていきたいというふうに思っておりまして、支援を必要とする子供たちにしっかりと支援が行き渡るように、新制度の円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 事はやはり人生の設計にかかわる大事なことですから、徹底してほしいと思います。今からでもとにかく徹底してほしいと思います。よろしいですね。

 それでは、ちょっと思った以上に質問が進んでいなくて申しわけないんですけれども、三つ目の赤線を引いた、キャッシュレスポイントの還元事業についてお尋ねします。

 端的に申し上げますけれども、去年の二月、私はこれを財金委員会でやって、そのときに、キャッシュレスポイント、この還元事業、いろいろな課題を質問したんです。

 そのときに、大臣が、大丈夫かな、これと二回発言したんですよね。私と経産省の審議官とのやりとりを聞いていて、大丈夫かなと。そのとき思ったのは、これはやはり思いつきの事業であって、きちっと精査していなかったんだなと思ったんです。

 そのときに申し上げたのは、これは追加予算が必要になるんじゃないかと申し上げました。やはりそのとおりになったんじゃないですか、そのとおり。千五百、追加予算でしょう。

 きちっと査定をやっていなかったんじゃないですか。どうですか、大臣。

麻生国務大臣 そのとき何と言ったか、ちょっとまだ記憶がないんですけれども。

 何となく、この種の見積りでやる予算というのは総じて当たり外れが出るものだというのは前々からの経験でわかりますので、何となくという勘だけでそう思ったんですけれども。

 この当初予算の額というのは、これは中小とか、いわゆる小規模事業者の売上高とか、それから経産省がやっておりましたいわゆる関係業者へのアンケート調査等々で、予算の編成時において、結構難しかった情報等々もあったんでしょうけれども、とにかく入手可能なものをもとにして、経産省としては、少なくとも、見積もったものを踏まえて本事業を実施するということになったんだというように思っておりますので。

 ただ、本事業の所要額というのは、これは、消費者の行動等がどう変化してくるかというのはなかなか難しいところなんだとは思いますが、昨年の十月以後にこの事業というのを実行していくという中にあって、経済産業省の中でこの予算状況等々をよく分析したところ、結果として所要額というものが当初の想定を上回るということになったことから、補正予算ということに追加措置をしたところです。

 いずれにしても、予算編成時において、なかなか、入手可能なものというものがかなり限られていたんだとは思いますけれども、適正に見積もったということで所要額を計上したものだと思います。

 いずれにしても、予算の編成後に明らかになった事情を踏まえまして私どもとしては所要額を追加計上したことでありまして、当初予算において見積りに問題があったかと言われれば、それなりの可能な範囲で精いっぱいやったんだという、やった割に、やったけれども、結果としては足りなかったということになったんだろうというように理解をいたしております。

野田(佳)委員 それにしても限度がありまして、二倍近いんじゃないですか、だって、これ。

 これは、だから、余りにも大ざっぱにやり過ぎだと思いますよ。そこは率直に認めてもらわないと。こういうことをやっているから放漫財政になっちゃうと思いますよ、こういうことの積み重ねで。これは厳しく指摘させていただきたいと思います。

 問題は、このポイント還元は六月三十日までですね、本来。オリンピックが始まる前までです。私は、だから、前もこれは申し上げたんですが、オリンピックの崖を、逆に、オリンピックの前にとめるというやり方は、崖を急傾斜にする可能性があるんじゃないか、設定の仕方もおかしいねということを申し上げましたが、これは予定どおり六月三十日までとしか多分答えようがないと思うんですけれども、私は延ばそうとする動きが出るんじゃないかと思うんですね。経済が思ったよりよくならない、コロナウイルスの影響もありと。

 本来は、これは消費税の反動減対策で位置づけられているものなのに、これが漫然と延ばされていく可能性が私は怖いと思います。そうしちゃいけないと思います。キャッシュレスを進めるんだったら、消費税に絡めないで本当はやるべきだと思います。消費税に絡めるから、軽減税率と相まって税制の簡素という理念からかけ離れていっているんです。これは余り長引かせてはいけない問題だと思うんですが、その辺の御覚悟をお知らせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 このポイント還元事業につきましては、これは、今言われましたように、消費税の引上げに伴う平準化というものの対策の一環として、昨年の十月から令和二年度の六月ということで、九カ月間実施するということにいたしております。

 その後ということですけれども、これは夏のオリンピック、パラリンピックの後を見据えて、マイナンバーカードというものを活用した消費活性化対策というのを実施を予定しておりますので、少なくとも、ポイント還元事業というものにつきましては六月末をもって終了ということにさせていただきます。

野田(佳)委員 きっぱりと言われましたので、そのとおりとしてお言葉を受けとめたいというふうに思います。

 次に、赤線を引いた四ですが、経済再生と財政健全化の両立を実現してまいりますとおっしゃっています。これもたびたび耳にする言葉ですけれども、まず、じゃ、経済再生の方について内閣府から御説明をいただきたいと思いますが、安倍内閣は、二〇一五年九月、希望を生み出す強い経済を掲げて、名目GDP六百兆円、これを目標として掲げましたが、これはいつ実現できるんでしょうか。見通しをお示しください。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 本年一月に内閣府から公表させていただきました中長期の経済財政に関する試算におきましては、アベノミクスで掲げたデフレ脱却、経済再生という目標に向けて、政策効果が着実に発現する成長実現ケースにおきまして、名目GDPは二〇二二年度の年度平均で五百九十五兆円となってございます。これの同二〇二二年度の第四・四半期には、恐らく、二〇二三年一―三月期には六百兆円に達する姿というふうになるのではないかと考えてございます。

野田(佳)委員 二二年度末に五百九十何兆ですか。二三年度に六百兆ということですか。

林政府参考人 試算におきましては、二〇二二年度の年度平均で五百九十五兆円、同じく二〇二二年度の第四・四半期である二〇二三年一―三月期に六百兆円に達するということでございます。

野田(佳)委員 じゃ、二二年度に達するということを予測しているということですね。

 ここ最近はずっと後ずれしていましたよね、一年ずつ、ずうっと。じゃ、そうでなくて、一旦二三年度というお話もありましたが、二二年度ということで、今度はむしろ前倒しでできるということなんですね、今までの経年で追うと。毎年一月の試算だと、二〇二〇年の一月の試算だと、二三年度になっていたんじゃないですか。それが、今度は前倒しできるようになったということですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 中長期試算のモデルにおきましては、年度モデルでございますので、各年別にいきますと、二〇二二年度が五百九十五兆円で、六百兆円を超えてまいりますのが二〇二三年度となります。

 一方で、それを等速で伸びると仮定しますと、二〇二二年度の第四・四半期ごろに、二〇二三年一―三月期には六百兆円に達するのではないかというふうに見てございます。

野田(佳)委員 達するんだったらいいんですよ。ただ、今までずうっと、ずるずるずるずる、最初は掲げてきたけれども達成時期はずれてきたじゃないですか。これはプライマリーバランスの黒字化と同じなんですね。そこに危惧を持っていまして。

 だから、経済の成長と財政の健全化を両立させると言っているけれども、経済の成長の目標も達成できない、財政健全化の目標も達成できないということがずっと続いてきた。少なくとも安倍総理の任期中にはできないことは明らかになったんですね、総理の任期中。超長期政権だけれども、数字で掲げた目標を達成できないでずっと来た。経済もそうであり、そして財政もそうであり。

 ということは、経済成長と財政健全化を両立させると言ったけれども、結局、任期中には成長も目標を達成できなかった、財政健全化も遠ざかっちゃった、そう総括をせざるを得ないんだと私は思います。だとすると、長きをもってとうとしとせずですよ。むしろ、明確に目標を掲げた分、それができなかったという政権になるということですね。

 そういうふうにならないためには、きょうは午前中、海江田さんも櫻井さんもおっしゃったけれども、この見通しの置き方についてやはり問題があるんじゃないか、経済や財政も社会保障も含めて。中長期の試算の立て方、それに基づいて予算をつくったりいろいろするけれども、もともとのこの推計の出し方に問題があるので。

 今、議論として出てきているのは、経済同友会ですか、参議院に独立財政機関を置いたらどうかという提案が出てきました。これは日本ではようやく出てきた話だけれども、OECD三十六カ国のうち二十八カ国はこの独立財政機関を持っているんですね。特に、リーマン・ショック後にヨーロッパでふえてきました。私は一考に値するのではないかと思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは野田先生おっしゃるとおり、主要先進国というか、OECD等々の中において、いわゆる政府から独立性を認められた機関というものが存在をしておりますということに、そういった例がありますよというのは私ども承知をいたしておるところであります。

 日本では、政府の一機関であります内閣府がいわゆる経済財政等々の見通しを作成、また財政健全化目標の達成に向けた評価等々をやらせていただいておるもので、また、民間議員も含みます経済財政諮問会議等々の場でもこれは議論をさせていただいているところです。

 重要なことは、何といっても、経済とか財政とかいうものの方針について、これはさまざまな面から検討を重ねた上で決定した方針というものを政府一丸となって取り組むということが一番肝心なところなんだろうと思っておりますので、私ども、民間の機関が仮にできたとしても、それがどんなものになるとかはちょっとまだ想像の域で答えられませんけれども、そういったことでありますので、要は、きちんとみんなでやるということを、政府できちんとまとめて一丸となっていくということが一番肝心なのではないのかというように理解をいたしております。

野田(佳)委員 余りにも経済財政見通しと外れた動きが残念ながら実績としては出てきていますので、私は、きょうはちょっと頭出し的に申し上げましたけれども、これはよく研究してみる余地があるなと。

 また、参議院に置かなくても、例えば三条委員会みたいなやり方もあるかもしれません。何がしかの知恵は出しておかなければいけないのではないかというふうに思います。

 最後の質問に入っていきます。

 かんぽ生命の不適正な保険募集事案については、先般の行政処分を踏まえ、適切にモニタリングしてまいりますと。これについては、金融担当大臣としてのお立場でのお答えと、もう一つ、財務大臣としてのお立場で、両方ちょっと質問を用意していたんですけれども、もうほとんど時間がないようですので。

 本当は、これはやはり金融庁の監督責任を非常に問われなきゃいけないと思いますね。恐らく、去年の六月から発覚して今日に至っていますけれども、もっと前からいろいろ気づきはあったはずです、金融庁としては。その監督責任のことも触れていただければ触れていただきたいんですが、もう時間がないので、もう一つ、財務大臣としてのお立場でのお答えをいただきたいんです。

 というのは、東日本大震災の復興財源にこの株価売却益というのが、政府の持っている株を売ればそれが財源になるということになっていましたですよね。二〇二二年度までに四兆円を確保するということだったんです。二回既に売却をして、二兆八千億ぐらいは財源をつくったと思います。残り一・二兆残っているんですよね。残っている。だけれども、この株価低迷だし、まだ今、行政処分をやっているあれだし、当然、今年度内に売るということはできないと思います。となると、どうなるのか。

 私は復興財源に悪影響が出ることを心配しているんですけれども、でも、復興特会を延ばすことになった、復興庁も延ばすことになったから、これは復興財源としても、まだこの売却というのは期間を延ばしていくんだということでよろしいんでしょうか。そこを、ちょっと、整合的な御説明をいただければ助かります。

麻生国務大臣 これは、今言われましたように、このかんぽの話というのは、甚だ、利用者にとりましてはまことに迷惑な話のきわみなので、こういったものをきちんとやらないかぬということですが、その上で、それは株価にも影響しておりますから、そういった意味では、きちんとした対応をせないかぬということだと思っております。

 いずれにしても、今言われましたように、昨年の十二月に閣議決定した復興・創生期間後の基本方針というのがありますので、これに基づきまして、この一部改正をやらせていただいて通常国会に提出を図っていきたいと思っているんですが、この法案で三月上旬の閣議決定を目指して目下調整中でありますので、ちょっとその内容についてはお答えを差し控えさせていただきます。

 いずれにしても、日本郵政株式会社の実際の売却時期等々につきましては、これはちょっと株式の市場とかをよく見た上で、なるべく高く売らぬと復興財源に充てられることになりませんので、郵政の経営の状況等々について注視しつつ検討させていただきたいと思っております。

野田(佳)委員 時間になりました。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 麻生太郎財務兼金融担当大臣の所信に対する質疑をさせていただきます。

 初めに、法人税収入の空洞化について伺います。

 早速ですが、配付資料の一枚目をごらんください。二〇二〇年度予算案では、消費税収入が二十一・七兆円であるのに対して、法人税収入は十二・一兆円にとどまっております。第二次安倍政権が本格的に始まりました二〇一三年度は、消費税と法人税はお互い約十兆円余りと、ほぼ同額だったわけですね。法人税は十・五兆円、そして消費税は十・八兆円。グラフを見ていただければわかると思います。

 私は、先日の代表質問で、安倍総理大臣に対し、果たしてこれがまともな税収構造と言えますかとただしたわけですが、課税ベースの拡大により財源をしっかり確保してきていますと答えただけで、正面からの回答がございませんでした。実は、先月の当委員会で麻生大臣に対して私が質問をしたのは、基幹税である法人税収入がやはり少なくありませんかと伺ったんですが、結局、はぐらかされて、正面からお答えいただけなかったわけです。

 資料のとおり、法人税収入は、この四年間、ほぼ横ばいなんですね、十二兆、十二・三兆、十一・七兆、十二・一兆と。今や消費税の半分ですが、それでも法人税はしっかり確保してきているという認識でしょうか。ここは明確にお答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 先日の二月六日の衆議院本会議において、これは総理の御答弁の話をしておられるんだと思いますけれども、いわゆる成長志向の法人税改革について、その考え方を述べられたものだと承知をいたしております。

 この法人税改革というものは、当時、諸外国において、課税ベースというものを拡大しつつ税率は引き下げるという法人税改革が行われていた中、日本におきましても、いわゆる産業の新陳代謝というものを促しつつ、企業の競争力を強化する必要があるんだということで、そういった指摘がされる中でこれがなされたんだと記憶をします。

 厳しい経済情勢の中で、企業部門の内部留保というものが増加する、消費税率の引上げといった諸情勢も踏まえまして、租税特別措置を縮減するとか廃止するとかいうことによる課税ベースの拡大等々によって財源をしっかりと確保して、ネットで減税ということではなく、法人税の実効税率を二〇%台まで引き下げさせていただいたと思っております。

 いずれにいたしましても、この法人税改革は、法人課税をより広く負担を分かち合った構造へと改革、企業の収益力拡大に向けた前向きな投資等を促したものでありまして、経済の好循環に寄与しているという考え方に基づいたものだと思っております。

清水委員 私の質問は、法人税収入が少なくないか、四年間ふえていませんよね、しっかり確保してきていると言いますが、そういう認識ですかということで確認したわけですね。ここはやはり認識をしっかり正していただかないと、なかなか次の議論に進まないんです。

 それで、遠山副大臣、お隣で今、麻生大臣の答弁を聞いていただいておりまして、結局、法人税収入が少なくないか、これで本当にしっかり確保できているかというところはしっかり答弁していただきたいんですが、遠山副大臣の所見をお聞かせください。

遠山副大臣 清水委員にお答えいたします。

 大臣への質問と同じ質問ですから、違う答弁をするとそれはおかしいと思いますが、先ほど大臣の御答弁は、これは一言で言えばしっかり確保されているということだろうと思っております。

 それで、私から一言申し上げれば、この法人税については、成長志向の法人税改革に政府として取り組んできた結果でございまして、法人税率をこれまで安倍政権で引き下げてきたわけでありますが、その際には、租税特別措置の縮減を行って、課税ベースの拡大をしっかりしている。また、財源をしっかり確保しておりますけれども、ネット減税は行っていないということでございます。

 また、こういう法人税改革をしている理由としては、やはり日本の景気を支える企業の収益性の確保が大事でありますし、また、グローバル社会の中で、企業間の競争が国境を越えて激しくなっておりますから、法人税改革をすることで日本の企業の国際競争力を確保していくという面もあることをぜひとも御理解をいただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、先生御指摘の消費税、それからこの法人税、また所得税もございますけれども、この各税目を適切に組み合わせながら必要な税収を確保していくことが大事だと政府として考えておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

清水委員 ありがとうございます。

 今、遠山副大臣からは法人税についてはしっかり確保できているという御答弁がありました。また、消費税と所得税と法人税の組合せが大事だというお話もあったんですが、その組合せが果たしてこれでいいのかという議論なんですね。

 成長志向の法人税改革を進めてきた結果、企業の業績にどのように反映されたのかという実態を検証してみたいと思います。

 配付資料の二枚目をごらんください。これは、資本金十億円以上の企業における法人企業統計調査であります。これによりますと、二〇〇九年度の売上高は五百十七兆円、緑色の折れ線グラフですね。二〇〇九年度の売上高は約五百十七兆円であるのに対し、二〇一八年度は約五百九十兆円と、一三%の伸び率であります。

 一方で、税引き前当期純利益を見てみますと、これは棒グラフの青の部分です。二〇〇九年度十二・六兆円、それが二〇一八年度は何と四十七・九兆円。三・八倍伸びております。その伸び率は、先ほど申し上げました緑の折れ線グラフの売上げと比べると、非常にこれは歴然としておりまして、ごらんいただいておりますように、税引き前当期純利益は順調にふえているわけです。これは、成長志向の法人税改革をやってきたわけですよね。

 ところが、法人三税を見てください。二〇〇九年度五・六兆円だったものが、二〇一八年度は八・八兆円。企業収益がどんどんふえているにもかかわらず、法人税はふえていないんですよね。

 二〇〇九年度といえばリーマン・ショックのあった年でありまして、一番底の落ち込みの時期でありました。これから何がわかるかといいますと、大企業の利益は大幅にふえても法人税収入が停滞しているということ。これは一目瞭然だと思うんです。

 第二次安倍内閣が始まった二〇一三年度に、法人税、住民税、事業税合わせて八兆七千億円です。ずっとそれから、八・五兆、八・五兆、七・九兆、八・八兆、八・八兆と、横ばいなんですよね。先ほどから麻生大臣、遠山副大臣は、課税ベースを広げているとか、租税特別措置の縮減、廃止をやってきたとか、ネット減税をやっていないとかいろいろおっしゃられましたが、それだけやって、なぜ法人税収入は伸びないんですか。教えていただけませんか。

麻生国務大臣 先ほど申し上げましたのですが、平成二十七年度、二十八年度税制改正は、ここが一番肝心なところですけれども、成長志向の法人税改革というのをやらせていただいたというのが一番の背景だと思います。今、国際競争をしていますので、我々としては、このデフレの中にあって、我々はこれから脱却をして、かつ成長志向というので、デフレ不況からの脱却というのを掲げております。

 そういった中にあって、厳しい財政事情とかいろいろありましたけれども、我々としては、少なくとも、消費税の引上げといった諸情勢等々を考えた場合に、租税特別措置等々を、先ほど遠山副大臣が申しましたように、縮減するとか廃止するとかいう、課税ベースを拡大しているということで、ネットで増税も減税も全く行っていないということなんだと思っておりますので。

 今出されたものは、十兆円以上の企業の話ですよね、これは主に。だから、その他の多くの企業のところの話もあわせて考えていただかないかぬところだと思いますけれども、少なくとも、高水準の企業収益ということを得て、間違いなく今景気はよくなってきましたし、少なくとも八年前は求職難ですから。今は求人難ですからね。それは全く、歴然と違っているんじゃないですかね、状況としては。求人難と求職難じゃ、全く置かれている社会情勢が違うと思っていますよ。

 そういった意味で、我々としては明らかに、七年間において法人税収というものを見れば、平成二十四年度がたしか九・八兆円だったと理解をしておりますけれども、それが今十二兆三千億ぐらいになっていますから、二兆六千億ぐらい増加しているというように理解をしておりますので、今のような御指摘は少し違うのではないかと思っております。

清水委員 いろいろ言われたんですけれども、やはりグラフを見れば歴然としているわけでありますよ。利益の伸びに比べてですよ。ですから、成長戦略だとか成長志向の法人税改革をやってきたからこそですよね、ずっと企業の業績は上がっているわけですが、だったら、本来は、その利益に応じて法人税がふえないとおかしいじゃないですか。いや、まだ聞いていないんですけれどもね。いや、まだ質問していません。

 それで、さらに、来年度の税制改正では、連結納税制度を活用しやすいように制度を見直すと。それから、5G減税やオープンイノベーション減税などを盛り込んでおります。結局、成長志向の法人税改革だけでは、これまでがそうであったように、大企業の利益は更にふえるが法人税収入はふえない。これは、これからもずっと続いていくんじゃないですか。お答えください。

麻生国務大臣 まず最初の質問のところで、企業の利益というのを、いろいろ御存じなんだと思いますけれども、法人企業の統計というものの利益というのを見ると、これは、大きな会社ほど、国内プラス国外からの受取配当金も含まれていますからね。受取配当金というのは、海外にあります子会社から配当する配当金等々。また、受取配当金の増加というのは、これは経常利益を押し上げるという要因になっております。これはもう御存じのとおりなので。

 しかし、これらの子会社との間というのは、その国でもう既に税金を払っていますから、二重課税というものを避けるためには、これは国際的には決められたルールがありまして、受取配当金の益金不算入制度というのがありますので、そういったものに基づいて、法人税の課税対象にはなりませんから、受取配当金、海外からの、貸した金の利子とか、また配当とか特許料とか、そういったもの、入ってくるものに関しましては、法人税の税収というものの増加にはつながらないということになります。

 という点は頭に入れておいていかれないと、ちょっと、何となく、この図だけ見るとえらいそういった誤解も生じやすいんだと思います。

清水委員 図らずも、今、麻生大臣が言われましたように、租税特別措置だとか、あるいは受取配当等の益金不算入、さらには外国子会社配当等の益金不算入、では、これについて見ていきたいというふうに思うんです。

 資料の三枚目をごらんください。

 これは財務省さんにつくっていただきました。御苦労いただいたようですけれども、ようやく出てきたものでございます。

 これは資本金階級別に法人税の負担割合の実態を示したものであります。資本金百億円を超える単体法人及び連結法人の法人税負担割合は、たったの一三%しかありません。一番下の横棒グラフですね。二三・四%の法人税率に対して余りに低い実態が、この財務省さん自身がつくっていただいた資料から明らかになったわけであります。

 それで、資本金階級別に見ると、例えば、一千万円以下とか、一千万円を超えて一億円以下とかいろいろつくっていただいているんですが、実はこれは、資本金百億円を超える大企業が最も法人税の負担割合が安くなっているんですね。資本金一千万円以下の単体法人よりも低くなっている。

 財務省さん、このグラフをつくっておられまして、百億円を超える大企業の負担割合が一番低くなっているというのを発見されて、これはやはり問題じゃないかなというふうに思われたんじゃないですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 この資料は、先ほど委員が御紹介をいただきましたように、御党の議員から御指示をいただきまして、あえて推計でつくったものでございます。多少時間がかかりましたけれども、大事なポイントを申し上げさせていただきますと、この表の左側に赤い字で書いてございますように、赤字法人というものが完全に捨象されております。

 なぜそのような資料をつくったかと申しますと、右側の黄色ですとか黄緑ですとかといった、特別な措置をどのように恩恵を受けているかというのが見える資料をつくるということのためにつくりましたので、したがって、どの資本階級についても共通なんですけれども、黒字企業さん、恩典が受けられる企業さんだけを母数としてつくっております。

 したがって、それぞれに、ちっちゃい企業ですと六十何%赤字法人がいて、大企業は二十数%赤字法人がいるわけですけれども、その人たちは完全にらち外になっておりますので、同列に比較するということ自体は、的確性を欠くものでございます。その点だけ御注意をいただきたいと思います。

清水委員 いや、的確に比較することは困難というふうにおっしゃいましたけれども、これは、でも、財務省さんがつくった資料じゃありませんか。簡易推計にしろ、傾向はこのとおりになっているということですから、どう見ても資本金百億円を超える大企業の法人税負担割合が一番低いというのは明らかじゃないですか。

 本当にもしこれが的確に比較できないというんだったら、的確に比較できるものをつくって持ってきてください。

 次に質問をしますけれども、配付資料で明らかなように、大企業の法人税負担割合が低いのは、やはり、租税特別措置、受取配当等益金不算入、外国子会社配当等益金不算入の軽減規模が大き過ぎるからだと思うんです。

 これは色つきのグラフで見るからわかると思うんですけれども、一番下の横棒ですね、百億円を超える大企業。租税特別措置、これは肌色というんでしょうか。それから受取配当等の益金不算入、緑ですね。その横、クリーム色で外国子会社配当等の益金不算入。この割合が一番高いわけなんですね。わかりやすく言えば、軽減規模が大きいということだと思うんです。

 やはり、それぞれのこうした優遇税制が、資本金が多ければ多いほど活用しやすい。大企業の法人税負担は、もうかってもふえない構造になっている。これの原因が、こうした優遇税制の仕組みにあるんじゃないですか。これは、でも、矢野さん、そのとおりじゃないですか、事実として。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 資本金別のところで横串を通して単純に比較できないというふうに申し上げましたけれども、その前提をちょっと度外視してごらんいただきますと、確かに、御指摘のように、黄緑同士で比較しますと、大企業であるほど黄緑の部分が大きいといったことになっているのは事実でございます。

 しかしながら、税制当局として申し上げますと、先ほど大臣からもちらっと御答弁されましたけれども、受取配当の益金不算入というのは、二重課税を避けるためということで、先進各国ともやっているものでございますし、あるいは、グループ内の企業の赤黒の損益通算ということも、税制が企業の組織形態に影響を与えないようにするということで、これも先進各国がやっておることでございます。

 それから、欠損金の繰越控除というのは、ディスカウントというふうに見えるかもしれませんけれども、これも、企業活動が単年度ではなくて、中期、長期でやっている営業活動、事業活動ということによる収益を期間で区切るということに伴う損得の弊害を除去するためにやっている。これも先進各国はみんなやっていることですので、この減少といいますか、そこをふん縛るということはあり得ないことだと思っております。

清水委員 先進国はいずれもこうした優遇措置があるということであります。先ほど麻生大臣からも、国際競争をやっているというお話もございました。

 そこで、資料の四枚目をごらんください。これは財務省のホームページより取り出したものでございます。法人実効税率の国際比較なんですね。

 これを見ていただきますと、確かに、日本は二九・七四%ということで、先進諸外国に対して非常に高いように見えるのは見えます。しかし、先ほど財務省作成の資料から確認できますように、実際の資本金百億円を超える単体法人の法人税負担割合は一三%なわけですよ。

 そして、先ほどは諸外国もそれぞれそうした制度を活用しているというふうに言われてきたわけですけれども、そうしたらお伺いしますけれども、主税局にお伺いするんですが、日本の大企業、百億円を超える大企業の一三%の法人負担割合というのは、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスの実際に負担している法人税率と比較すると高いのか低いのか、教えてください。

矢野政府参考人 あらかじめ御下問をいただいておったのでありますけれども、企業を資本金の規模別に分けて負担率を出すということ自体、先進他国でやっておらないということもございますし、更に言えば、縦横になりますけれども、個別の特別な措置についての負担軽減度合いというのも、はじき出しておらない国もありますので、比較するデータがございません。

清水委員 比較するデータがないというんだったら、何をもって日本の大企業の法人税率は国際的に高いというふうに判断するんですか。

 結局、私が言いたいのは、本当に各国そうした租税措置をとっているというんだったら、そういうものも含めて、日本の大企業の負担割合というものがどういうものなのかという資料をやはり作成するべきだというふうに思います。そうしないと、やはり国民的に理解を深めるというのは難しいのではないかというふうに思うわけであります。

 財務省の資料で明らかになりましたけれども、やはりこの一三%という負担割合、麻生大臣、これはまだ高いという認識ですか。さらにこれは、成長志向の法人税改革でこの割合を維持する、キープする、あるいはもっと引き下げていく、この大企業優遇の税制を温存する、こういうふうにお考えですか。お答えください。

麻生国務大臣 これは先ほども話が出ていましたけれども、主税局長の方からお答えをしたとおりなんですけれども、大企業とか連結法人のいわゆる法人税の負担割合が比較的小さく示されておりますけれども、先ほど主税局長から申し上げましたように、これは世界的に一般的な制度ですから、ほかの国もそうなっておりますし、受取配当金不算入の制度とか、それからグループ企業間の益金の通算のルールというのは、世界的なルールによって、それによって与えられる影響は物すごく大きいというのは、これは経営していたら誰でもわかることだと思いますけれども。

 加えて、この資料というのは、租税特別措置の適用状況とか効果等々を見るために、前提を置いてつくってありますので、これは利益計上法人に限ってその法人税の状況を資本金の階級別に示したものですから、赤字法人の割合が大きくなる、大法人とそれから中小法人とで、この資料のみでその多寡を論じるということはできないんじゃないですかね。

 また、同じ資本金の階級であっても、個別企業の状況というのは、これはもう業種別によってもさまざまですから、これを鑑みてみれば、その推計結果の、ある程度幅を持って見るということがこの種の統計を見る場合には必要なんだと思っております。

清水委員 私は財務省さんにつくっていただいた資料で議論していましたので、何もおかしな話ではありませんし、そもそも、最初に、消費税と法人税の差が二倍ぐらいになっているとか、企業の利益がふえても法人税は横ばいだとか、そういう議論の前提があって、こうした大企業優遇税制を温存したままで果たして法人税税収がふえるんですかということを議論しているわけですね。

 結局、社会保障財源といって昨年十月に消費税を引き上げて、国民生活や中小企業の営業を苦しめているわけです。大企業には課税ベースを拡大しているといいながら、利益はどんどんふえているのに法人税はふえないということは、きょうの質疑で明らかになったというふうに思います。これでは財政再建なんてできませんし、税収不足をさらなる消費税増税であがなうというような悪魔の道に進まざるを得ないじゃありませんか。

 日本共産党としては、この不公平税制をしっかりと正して、取れるところからちゃんと取るということを強く求め、今後もこの法人税の空洞化の問題については議論していきたいと思います。

 次のテーマです。

 法人税の空洞化が地方税にまで実は及んでおりまして、そのきわみが企業版ふるさと納税なんです。先ほどふるさと納税のお話をされましたけれども、企業版ふるさと納税。

 来年度税制改正大綱にも盛り込まれておりますが、地方創生のさらなる充実とかあるいは強化とかと称して、適用期限を五年間も延長する、それとともに、税額控除の割合を二倍に引き上げ、税の軽減効果を、これまで六割だったものを最大九割にまで引き上げるというものです。例えば、ある企業がある自治体に寄附をする、一千万寄附をする。そうすると、これまでは最大六割が控除されて六百万返ってきたわけですけれども、それを九割戻るようにする、九百万返ってくるという制度にするということですね。

 何でこんなことをするのかということもあるんですが、きょうは内閣府の大塚拓副大臣に来ていただいております。

 質問なんですけれども、内閣府令において、法人に対して、寄附を行うことへの代償として、寄附を受けた側の自治体が利益を供与するということを禁じているはずなんです。自治体が企業からお金をもらいますよね、その企業に対して何かお礼をする、経済的な利益を供与する、これはだめだということになっているんですが、その趣旨、目的について教えてください。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 経済的利益の供与の禁止についてでございますけれども、寄附を受ける地方公共団体と寄附を行う企業の癒着につながらないよう、内閣府令において規定しているものでございます。

 この規定でございますが、この制度の創設時に、地方六団体からモラルハザードを招かないようにすべきといった御意見をいただいたことや、参議院特別委員会での関連法案議決時に附帯決議が付されたことを踏まえて設けられているものでございます。

 今回の制度改正におきましても、企業から地方公共団体へ健全な寄附が行われることを担保するため、この規定を維持することとしているところでございます。

清水委員 今、明確に答弁いただきました。企業と自治体の側が癒着が起こらないように、あるいはこの制度を利用してモラルハザードが起こらないために、自治体から企業に対して経済的な利益供与をするのはだめだということだと思います。

 資料の五枚目をごらんください。これは、今度改正されようとしている企業版ふるさと納税で企業の負担割合がどうなるのかということで、この間、青森県の東通村に実際に寄附をしたと報じられている東京電力と東北電力のケース、二〇一八年度と二〇一九年度の二カ年で想定しているポンチ絵をつくりました。

 東京電力、東北電力がそれぞれ四億円ずつ、企業版ふるさと納税ということで、東通村の地域再生計画に対してふるさと納税をしました。現在のふるさと納税の税額控除や損金算入できる割合は最大六割ですから、八億円に対しての六割ですので、四億八千万円控除される、損金算入されるということですね。これが、今度改正されますと、何と九割ですから、八億円のうち七億二千万円戻る、税額控除、損金算入されるということになるわけですね。

 それで、なぜ東京電力や東北電力がこの青森県の東通村に寄附をしているのかということなんですが、実は、東通村には、原発事故を受けまして、三・一一の事故を受けまして停止している東北電力の原発、それから、建設段階でとまっている、着工がとまっている東京電力の原発があります。この村への寄附が、引き続き原発への協力をお願いしたい、そういう意味を持っているというふうにこれは外形的に見ることができるんじゃないでしょうか。

 これは、大塚副大臣、どうですか、この図を見ていただいて。できたら副大臣に答えていただいたらいいんだが、政府参考人でも。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 今御紹介いただいた件でございますけれども、御指摘の件につきましては、平成三十年度に地域再生計画の認定を受けました青森県東通村の三事業に対しまして、東北電力が平成三十年度、令和元年度に合わせて約四億円の寄附の意向を明らかにしたことに加え、東京電力ホールディングスが平成三十年度に約二億円の寄附を申し出、更に令和元年度にも寄附を検討していると報道されたものであるというふうに承知してございます。

 そもそも、企業版ふるさと納税につきましては、各地方公共団体が地方版総合戦略に位置づけ、地方創生を推進するために行う事業を対象とするものでございます。今回の寄附につきましても、東通村が地域再生計画の認定を受けて行う地方創生の取組への寄附としてでございますれば、企業版ふるさと納税の対象となるというものでございます。

清水委員 昨年七月に、東通村の村長は河北新報のインタビューでこのように言っているんですね。東北電力が二〇二一年度以降の再稼働を目指していることに対して、停止期間が十年を超える、事業者と立地地域の信頼が崩壊しかねない、村民の心が原子力から離れることに強い危機感を持っている、福島第一原発事故以降、税収にも影響が出ている、こういうふうに答えているわけです。

 また、東京電力の東通原発一号機の着工を中止したことを受けまして、固定資産税の収入が見込めなくなった、東電に支援を要請していた、こういう記事も報じられているわけです。

 結局、今回の寄附というのは、東京電力や東北電力が、原発立地自治体の協力をつなぎとめるため、村の要請に応えたものではないかということは、この村長自身のインタビューからも明らかになるわけです。

 先ほど政府参考人の方は、なぜ利益供与がだめなのかということについて、企業と自治体の癒着がだめだ、モラルハザードを起こしてはならない、こういうふうにおっしゃったわけですが、これは大塚副大臣に答えていただきたいんですけれども、今の内閣府の規則、取決めから照らしても、今回、東北電力と東京電力が八億寄附をする、そして六割返ってくる、今後もしこの制度が続くということであれば九割返る。しかも、東通村からは、原発支援や地元からの協力を受けることができる。これはやはり内閣府令で定めた利益の供与ということに当たるというふうに思いませんか。

大塚副大臣 村長のインタビューをどう解釈するかという清水委員の御見解はお伺いをしたわけでありますけれども、外形的に見ますと、地域再生計画の認定を受けた事業、これは東通村で、移住・定住に選ばれる東通村づくりプロジェクト、東通村最高級生産物三本の矢を中心とした農水産物ブランディングプロジェクト、東通村教育環境デザイン推進プロジェクトというものが認定をされているわけですけれども、それに対して寄附を募った、こういうことでありまして、ごく一般的な地方創生の取組の一つであろうというふうに思います。

 これは、原発企業であるからといって何ら特殊な扱いを受けるものでもございませんで、平成二十八年の石破大臣の答弁においても、それぞれの原発立地自治体がこんなことをやりたいんだ、そして、それにまた呼応して電力会社がやってくださるというものまで妨げるものではありませんということも答弁があるわけでございまして、外形的に見ても、通常どおりの企業版ふるさと納税、地方創生の取組ということであろうというふうに思っています。

清水委員 私は何も、寄附するのがだめだと言っているわけじゃないんですよ。企業版ふるさと納税の制度を使って六割控除する、しかも、今度は九割に拡大する、期間も五年延長すると。しかも、これはまた村長のインタビューを見ていただいたらいいと思うんですけれども、外形的に見ても、内閣府令で決めているようなやはり癒着やモラルハザードが起こっているのではないかという指摘なんです。

 それで、そもそも、税金の控除を広げてまで企業の寄附を進めるということ自体、やはりおかしな話だと思うんですよ。企業が自治体からの見返りを期待して寄附を行い、その後、九割も税金で控除するということ、これを本当に地方創生と呼べるのか。このこと自体が私は問題があると言わなければなりません。

 それから、東京電力でいいましたら、これまで、福島県を除いて、寄附行為をしてきたことはなかったわけですよ。一方で、福島県の被災者たちが申し立てた裁判外紛争解決手続、ADRでは、二〇一八年以降、和解案を東京電力が拒否して、手続が打切りになる例が目立つと指摘されております。

 東京電力は福島への責任を果たすことが求められているわけで、新たに原発をつくることでもなければ、そのための寄附をすることでもないと言わなければなりません。これはぜひ検証していただきたいというふうに思います。

 このような企業版ふるさと納税制度、それから法人税の空洞化の問題、引き続き追及していくことを述べて、質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 財務省のホームページを開きますと、一番最初に「これからの日本のために財政を考える」、そういう見出しが出まして、クリックすると「はじめに」というのが出てきます。そこには、大きく赤い字で、「次世代に明るい未来を残すため、わたしたちが今、何ができるか一緒に考えてみませんか?」という書き出しになっておりますので、きょうは麻生大臣と一緒に考えてみたいなと思うんです。

 野村克也さん、偉大な野球選手が亡くなられまして、野村さんが一番好きな言葉の中に、財を残すは下、職を残すは中、人を残すは上、こういう言葉を一番大切にしていたという話を聞いております。ここの財務省のホームページにも、「次世代に明るい未来を残すため、」ということで、人のために財政というのがあるんだ、そのために一緒に考えるんだということを財務省はホームページで書かれているのかなと思うんです。

 麻生大臣にお聞きをしたいんですけれども、財務、要するに、財政再建化、そして健全化、再生、これを両立をするということを所信でも述べられていますが、財政というのは人のためにあるというふうに麻生大臣も考えておられるんでしょうか。

麻生国務大臣 経済、まあ財政と限りませんけれども、経済の方が全般的な話だと思いますので、財政と絞られたような話をしておられるんだとは思いませんので。

 人の生活に必要ないわゆる財貨とかサービスとかそういったようなものの、生産したり分配したり、また消費したりする活動、そういう全般に向かっていわゆる経済というんだと思いますけれども、それを通じて得られる社会関係という中で、やはりそこをやっているのは人間ですから、その人間を抜きにした議論というのはなかなか成り立たぬのじゃないですかね。

串田委員 まさにそのとおりだと思うんですが、日本を例えば大きな企業として考えた場合、財務省は経理だとか総務というのを担当するのかもしれませんし、外務省は渉外だとか広報ということになるのかもしれません、法務省は法務部ということにもなるのかなと思うんですけれども、そういう中で、大きな企業が一番神経をとがらせている部分が、この日本という大きなものの中には非常に欠けているものが二つあるんじゃないかなというふうに私は思っております。

 一つは、日本のブランドイメージであります。もう一つは、今、麻生大臣がお話をされたように、人のやる気。こういうものに対して、日本の企業というのは、企業ブランドがあるいはイメージが、この前、バイトテロというのがありましたけれども、一遍に企業イメージというのは下がって、購買力も下がってしまう、付加価値も下がってしまう、そういうことがありますので、大企業というのは、非常にそういう点も注意を払って、イメージというものを向上させようと非常に努力をされていると思うんです。また、社員のやる気というのも非常に意識をしている、これによって企業というのは潜在的な能力を引き出すこともできるんじゃないだろうかなというふうに思うんです。

 日本の場合、私はずっと子どもの権利条約を取り組んでいるんですが、本会議でも、一人親家庭の税制改正に関してお話をさせていただきました。二月の六日には、フランスの上院議会が三百四十票の満場一致で日本の実子誘拐を抗議する採択をし、そして今度、二月の十九日には、欧州議会で、子供の連れ去り、奪取に関する審議が行われております。そして今、オリパラに合わせて、昨年の暮れから、ドイツやイタリア、フランス、そういったような国々が、オーストラリアも入りました、海外渡航、子供の権利を守らない国だから気をつけて行きましょうと。オーストラリアは、日本に行くときには弁護士に相談してから行きましょう、こんなホームページが書かれるようになっているわけです。

 こういうような、日本に対するブランドイメージが非常に悪くなっていくということに関しては、日本全体としてもう少し気をつけて、改善に向かっていかなければならない。それは、日本の対国際競争という意味でも、非常に経済的にも大きく私は影響すると思うんですが、麻生大臣、こういうイメージというものが経済に影響を与えるかどうか、麻生大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 何を言いたいんだか、よくわからないんですけれども。おっしゃりたいのが、よく意味が見えてこないんですが、いわゆるEUの話をしておられるんだったら、これは所管外ですから、外務省にも聞いていただいた方がいいと思いますね。

 それから、私どもとして、一般論として申し上げさせていただければ、国際社会の中で、日本というのは結構高い信頼を得ている方だと思いますね。少なくとも、日本人に連れ去られた子供の話をしておられましたけれども、この条約を締結してから、五年ぐらいたつと思いますけれども、その間で日本に連れ去られた子供というのが外国に送還された例というのは、三十九件か、調べて知っているでしょう、何件あったか。三十九件ぐらいありませんか。そういったものは結構高い評価を得ていると思いますけれどもね。

串田委員 全く違うと思いますよ。

 ここでは、そういう細かいことは法務省でやらせていただいていますけれども、欧州の子供の誘拐の数が、欧州では、九九%が日本の国内で行われているというのが欧州としての認識なんです。麻生大臣、そういうふうにおっしゃられるのであれば、ぜひ欧州会議のホームページをごらんいただきたいと思うんです。今度の二月の十九日に、会議が行われているんですけれども。

 現在の自殺者の割合についても通告をさせていただいているんですが、婚姻歴のある現在の単独者の自殺割合というのは高いとお聞きをしていますが、この点についての数字上の状況はどうでしょうか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年版自殺対策白書によりますと、平成二十九年において、未婚男性の自殺死亡率、これは配偶関係別の人口十万人当たりの死亡者数をいいますが、これは三十三・四、有配偶者の男性の自殺死亡率は十七・八であるのに対しまして、配偶者と死別した男性の自殺死亡率は五十三・三、配偶者と離別した男性の自殺死亡率は百九・三となっており、配偶者と死別又は離別した男性の自殺死亡率が高い状況にございます。

串田委員 麻生大臣は経済とは関係ないんじゃないかという指摘をされたんですけれども、こういうふうに、男性というのは、離別した後、現在、日本は単独親権制度であります、三組に一組が今離婚している段階の中で、子供に会えない父親というのが非常にふえているというのが現状でありまして、それに対して大変苦にして自殺をしている人も多いというのは、私の周囲にも聞いております。

 これが、必ずしも、子供と会えないから自殺者が非常に多いというふうに即断することはできないのかもしれませんが、有配偶者で子供と一緒にいられる割合が、三十歳の割合だと、十万人当たり十一・六なのに対して、離別した場合は百三十三・六と、極端に、十倍以上ふえているということで、これが、日本に限らず、欧州の人、あるいはアメリカも含めてですけれども、離婚によって子供に会えない、それで自殺になっていくというのは究極的な選択だと思うんですが、そこまでならないまでも、仕事に集中できないというような状況が今三組に一組の割合で生まれる可能性が非常に出ているわけですよ。

 だから、そういう意味での、経済を活性化させようという部分の中では、国民の意識というものを高めるという観点、もちろん、関税がどうだとかいろいろGDPがどうだとかという数値的なのはあるけれども、内部的な、人間として、人を残すという観点からするならば、経済だけではなくて、人が幸せになっていくというようなことをトータルで考えていかなければならないんだろうなとは思うんですけれども。

 経済に関係がないとおっしゃられますが、最近、子供のこういうことに関して一向に日本が改善を見せないということで、戦略的パートナーシップも見直そうじゃないかというのが欧州でも今意見が出ているというようなことなんですけれども、これに関してコメントをいただけないでしょうか。

麻生国務大臣 財政金融委員会にいるんだと思って今聞いていたんですけれども。

 離婚した夫婦の話のように言っておられるんですけれども、離婚の原因とか、それから面会の交流とか、その後の親子のあり方、これは親の受けとめ方というのは、これはいろいろでしょう。よかったという人もいるだろうし、大変だという人もいるだろうし、いろいろおられるんだと思いますよ、私の周りを見ていても。

 だから、そういった意味で、今のお話で、働く気の話やら何やらは、これは別に離婚していなくても働く気があったりなかったりいろいろしますので、これはなかなか一概には言えぬような話で、ちょっと今のここにお尋ねのことに一概にお答えするということは極めて困難なんだと思いますけれども。

串田委員 ぜひ、麻生大臣も、その点についてもう少し取り組んでいただけるとありがたいなと思うのは、どういうことかと申しますと、今、育児というのもありますけれども、結婚中は、企業も、育休とかイクメンとかというのがあるんですよ。

 ところが、離婚になると、日本は、今、世界的に言うと、日本と北朝鮮ぐらいが単独親権なんですね。国が強制して一人だけを親権者に選んでしまうわけです。ですから、今まで婚姻中でずっと子供を、育児を担当していたのが、国が強制して一人だけを育児者として指定するという制度になって、これは世界的には、今、日本と北朝鮮ぐらいになってしまっているわけです。そういうような、今の仕事の中身自体もかなり大きな影響を受けているということを、やはり財政面からも考えていただく必要がある。

 あと、年金の問題も財政的なことであると思うんですが、子どもの権利条約を守っていないということが今回の欧州議会の大きなテーマなんです。子供の権利を守っていないのに、子供に今のこれからの日本の年金を担わさせるというのは、これはちょっと子供にとって気の毒じゃないだろうか。子供の権利を守ってあげないと、年金を支えていく子供がこれから大人の年金を支えるんだから、せめて子供の権利は守っていこうじゃないか。

 麻生大臣も、子どもの権利条約を批准はしているけれども遵守していないというのは、予算委員会で森法務大臣が、真摯に受けとめているという回答をされました。子供の権利を守っていないというのは、世界的には指摘されている事実なんですよ。その子供に年金を担わさせるということに対して、麻生大臣、これは麻生大臣としての御意見もお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 これは父母の離婚後の子の養育のあり方ということなんだと思いますけれども、これは民法を所管している法務省において現在検討がされているんだと理解しております。

 今、公的年金制度ということでしたので、これは、現役世代が負担する保険料とか税というものによって高齢者世代を支えるという助け合いの仕組み、これは賦課方式ですから、そういった意味で、これを基本としておりますので、そのような意味では、現在の子供や将来世代というものに納得してもらうことが重要なのであって、そのために、その負担が過重とならないようにしていくということが重要なんだと思っておりますので、負担という点が一番問題なんだと思っております。

 そのような観点から、少子高齢化が進んでいきますので、将来世代の負担というものを軽減して、社会保障全体の制度を持続可能なものにするということが重要なのであって、給付と負担の見直しということを始めとする改革というものは、我々としてはきちんと実現していかなきゃならぬところだと思っております。

串田委員 だから、子供に、賦課方式というお話でありましたが、それを納得してもらわなければいけないというのは私もそのとおりだと思うんです。

 納得してもらうという前提の中で、今、日本は、子どもの権利条約を批准しているのに守っていないという状況がある、子供の権利を守っていないのに、その子供に大人の年金を支えさせるということ自体、虫がよ過ぎやしませんかということを言っているんですよ。

 それだったら、せめて、子どもの権利条約を批准したんですから、日本は一九九四年に。それを守っていないと去年国連からも指摘され、これから欧州議会でも審議がなされている、そして森大臣もそれは真摯に受けとめていると言っている。そういう子供たちに年金を支えてもらう、そして、財務省は、次世代の明るい未来を残すと言っているんですから、今できることは何ですかと問われているので、今できることは子供の権利を守ることじゃないですかというのを、私は、財務省のホームページに書いてあるから麻生大臣にお聞きをしているんです。そうじゃないんでしょうか。

麻生国務大臣 重ねてお答えしますけれども、これは法務省の所管の話なんでして、私どもが直接しているわけではありませんので、お答えのしようがないと思っております。

串田委員 まさに法務省のことではありますよ。だけれども、年金を支えているのは子供なんだから、財務省としても、子供に、賦課方式で承諾をするには、子供の権利を守らせなければだめなんじゃないかと内閣で考えていただきたいんですよ。

 それは、縦割りだから財務省は関係がないというふうに麻生大臣はお考えなんでしょうか。

麻生国務大臣 おっしゃりたいことはわからぬでもありませんけれども、法務省の所管の法律の話を財務省があれこれ言う立場にはないということを申し上げております。

串田委員 平行線といいますか、麻生大臣に何かこうやってほしいという、財務省でできるかということではないんですけれども、要するに、今の日本は、大企業として考えた場合には、いろいろな意味で内閣がトータルに物事を考えていないと、日本のブランドもかなり地に落ちている、そして内部では子供の権利が守られていない。それが、所管として縦割りだからあっちでやってくれ、こっちでやってくれじゃなくて、全体的な意味合いの中でそれを考えていかないと、年金問題も子供が支えるんだから、子供の権利を守るというのは、財務省からも法務省との間で協議をしていただきたいというふうに私は思っているんですけれども、この点については平行線ですので。

 麻生財務大臣にも、ぜひとも、所管は違うかもしれませんが、子どもの権利条約を守っていないということは、この「次世代に明るい未来を残す」という財務省のホームページとして、縦割りだけではこれは解決しないんだということ、これを御指摘をさせていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 無所属の青山雅幸でございます。

 本日は、大変貴重な質問の機会をお与えいただきまして、同僚議員の皆様に深く感謝申し上げます。ありがとうございます。

 麻生大臣の所信表明の中で、急速な高齢化等を背景として、社会保障給付費が大きく増加している中、国民の安心を支える社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たす、こういう文言がございます。これはまさに本当に私は肝要なところだと思っていますし、今を生きる私たちが一番責任感を持ってやっていかなければいけないんじゃないかと思っているところでございます。

 したがいまして、この点についてきょうは質問をさせていただきます。

 まず、ここにあるとおり、社会保障給付費というのが国の予算に占める割合といいますか、これが非常に大きなウエートを占め続けるようになってきております。

 まずは、当初予算の対前年度比、社会保障費が当初予算に比べてどのくらい伸びていったのか、これは十年の平均伸び率はどの程度なのかということを政府参考人にお伺いしたいと思います。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保障関係費でございますけれども、安倍政権下では、平成二十八年度予算以降、いわゆる自然増を、制度改革、効率化を通じて、高齢化に伴う増の範囲内におさめる、これを目安に毎年度の予算編成を行ってきたところでございます。

 その結果として、当初予算における社会保障関係費の毎年の伸び率、これは、今御質問いただいたように、十年間で機械的に平均をいたしますと、消費税引上げに伴う増収分を活用した社会保障の充実分というものも含めまして二・九%、この充実分を含めない場合は二・〇%となってございます。

青山(雅)委員 ありがとうございます。約三%ということでございます。

 お手元にお配りした資料の、主要経費の一般会計歳出総額に占める比率というのをごらんいただきますと直ちにわかるんですけれども、結局のところ、毎年毎年伸びているのは社会保障費で、国債関係費も、利払い費が今の低金利政策で非常に下がっている関係で下がっていて、ほとんどほかの費目は伸びがない。公共事業関係費だけが近年の災害の激増ということで若干の伸びを見せておりますけれども、非常に予算がこの社会保障関係費の伸びに押されて硬直化しているというふうに考えるわけですけれども、これに関する麻生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは青山先生御指摘のとおりでして、いわゆる少子高齢化というものが進んでいく中にあって、日本の社会保障関係費というものが予算の中に占める割合というのは非常に大きく伸びておりますので、結果として債務を累増させているという大きな背景はこれだと思っております。

 こういう状況を放置しておきますと、これは政策の自由度が押し下げられるということになりますので、将来世代に結果として重いツケが回るということになりかねぬということで、いわゆる給付と負担のバランスというものをきちんと見直して進めていくと同時に、我々としては、経済再生と財政の健全化というものの両立というものを図って、また、基本的には、先ほど野田先生の御質問にあっておりましたけれども、プライマリーバランスというものはきちんとした形で我々としてはバランスさせていくということを目指していくのが、極めて重要な要素になるだろうと思っております。

青山(雅)委員 おっしゃるとおりだと思います。

 それで、非常に深刻なのは、お手元にお配りした資料の、日本の将来推計人口という方を見ていただきたいんですけれども、これは、二〇一九年あたりが今のところでございまして、これを見ると、いわゆる生産年齢人口、これが今ちょうど六〇%くらい、六十五歳以上人口がちょうど三〇%くらいです。これが今後三十年でどう行くかというと、二〇五二年のあたりを見ていただけるとわかるんですけれども、生産年齢人口が五〇%くらいに落ち込んでいく、一方では、六十五歳以上人口が四〇%にふえてしまった。つまり、この両者の差が二〇%も激変していくわけですね。ただ、そこで一定になる。ということは、今の傾向が、これはグラフのカーブを見ていただければわかるとおり、より激しくなる。これはもう極めて深刻な実態でありまして。

 先ほど野田先生の方でも二〇二二年問題というふうにおっしゃっておりましたけれども、私は、二〇五〇年問題というものを、これは与党、あるいは、政権だけではなくて野党も含めて、本当に真剣に取り組んでいかないと、とんでもないことになると思っているんですね。

 先ほどの三%の社会保障の伸びが、このままでいけばこれは続くに決まっている。そうなってくると、一・〇三の三十乗で、社会保障費、二〇五〇年には二・四二倍になる。つまり、額として八十七兆円くらいになる。大変な世の中になってしまうわけですね。

 ここについて、やはり、楽観的ではなくて確実な、人口予測というのは皆さん御承知のとおり最も確実な未来予測と言われているわけですから、この大問題に、政権与党、それから野党、本当に厳しく取り組んでいかないと日本を大変なことにしてしまうと思うんですけれども、これについて麻生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これはもう御指摘のとおりなので、一九九〇年から二〇二〇、これは約三十年間になりますけれども、この中で社会保障関係というのが非常に大きく増大をしておりますので、極めて大きな、予算の中に占める比率も高いというのはもう御存じのとおりであります。

 この社会保障費というのは、そもそも、必要な負担というものをいただかないまんまに給付だけずっと拡大させてきたということがこういった大きな増大を招くことになったんだと思っておりますけれども、この結果、給付のかなりの部分というものを赤字公債で賄っているという、将来世代による負担によって賄われているのが問題なんです。

 したがって、今後の高齢化のさらなる進展というのは、これは、そっちが増大するというだけではなくて、それを負担する方が、支え手の数も減少するというところとこれは両方で、まあ、リャンファンかかったみたいな形になっています、ああ、リャンファンなんていかぬね、両方、両面かかったような形になっていますので、課題など対応していく必要があるんだと思っておりますので、次の世代に社会保障制度というものとか皆保険とかそういったものをきちんとしたものとして引き継いでいくためには、やはり、現役世代がいわゆる後期高齢者に入ります、先ほど野田先生の御指摘がありました二〇二二年度までに、この給付と負担の見直し等々を始めとして改革を実現しなければならない。これは、もう中長期的に見て、日本にとりまして最大の問題がこれだと、私はそう思っております。

青山(雅)委員 ちょっと、時間がなくなったものですから、政府参考人においでいただいたんですけれども、直接、最後の質問を麻生大臣にさせていただきたいと思います。

 御承知のとおり、IMFが、サーベイランス、協定の四条に基づいて、経済危機を予防するためのサーベイランスとして日本に対する声明を発表しているわけですけれども、その中で、やはりエージングコスト、高齢化に基づくコストということで、この調整を先送りするリスクは莫大であって、高齢者には恩恵だけれども、将来世代に不利益となる、そして、そのために消費税率を二〇三〇年までに一五%、二〇五〇年までに二〇%、キャピタルゲイン課税も二〇を三〇に引き上げるというような指摘もなされております。

 私としては、もちろん増税というのは最も重い課題であることは与野党ともにそのとおりなんですけれども、国民の間に不公平感を生まないように、所得税の増税、あるいは法人税の、ちょっと前までのアメリカのように三段階かぐらいにして、それとともに消費税の引上げというのも、与野党ともに、本当に社会保障をこのまま続けていくために、きちんとやるためにはそういうBプランも用意しなければいけないと思っているんですけれども、麻生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 基幹三税でいえば、所得税でいえば、これはもう再分配機能というものの回復というのをやらないかぬということで、所得税の最高税率の話とか、またいわゆる金融所得課税の話とか、基礎控除の話とか、いろいろなことをやらせていただいて、既に一部講じていることではありますが、更にこれを検討せないかぬということだと思っております。

 法人税につきましては、これは成長志向の法人税改革というのに取り組んできたところですけれども、やはり財政事情を考えますと、企業部門の内部留保の状況とか、さらに消費税率の引上げといったいろいろなことを考えた場合に、租税の特別措置の廃止とか縮減とかいうようなものによりまして財源というのをしっかり確保して、ネット減税は行わず、国際競争力にたえるというような、今のものはきちんとやった上でどうするかということを考えないかぬのであって、やはり改正の効果とか経済社会情勢とかいろいろなことを考えて検討する必要があろうと思います。

 その上で、消費税につきましては、これは国民が広く受益をする社会保障の費用をいわゆるあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点で、社会保障の財源というように位置づけてこれまでに引き上げてきたところではありますけれども、いずれにしても、この基幹三税というものを組み合わせながら、所得税等々いわゆる必要な税収というものを確保していくことが重要だと思っておりますので、いずれにいたしましても、経済再生と財政健全化というのの両立を図りながら、やはりプライマリーバランスという、基礎的財政収支というものをきちんとさせていくということをきちんとおなかに据えておかないと、ずっとこのまま赤字がふえていくということになりかねませんので、我々としては、これまで同様きちんとした、引き続き、締めるところは締めるという形で、経済再生を目指しながらも財政健全化を図るという今のスタンスはきちんととり続けなければならぬだろうと思っております。

青山(雅)委員 大変責任感のある御答弁をいただけました。ありがとうございます。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。これで終わらせていただきます。

田中委員長 以上で、大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 所得税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明させていただきます。

 政府は、持続的な経済成長の実現、経済社会の構造変化への対応等の観点から、国税に関し、所要の改正を一体として行うため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして、御説明させていただきます。

 第一に、持続的な経済成長の実現に向け、オープンイノベーションの促進に係る税制の創設、投資及び賃金引上げを促すための税制の要件の見直し、連結納税制度の見直し等を行うことといたしております。

 第二に、経済社会の構造変化を踏まえ、未婚の一人親に対する税制上の措置及び寡婦控除の見直し、NISA制度の見直しなどを行うこととしております。

 このほか、消費税の申告期限を延長する特例の創設等を行うとともに、住宅用家屋の所有権の保存登記等に対する登録免許税の特例等について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うことといたしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますよう、よろしくお願いを申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時六分散会


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