衆議院

メインへスキップ



第4号 令和2年2月21日(金曜日)

会議録本文へ
令和二年二月二十一日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 田中 良生君

   理事 あかま二郎君 理事 井林 辰憲君

   理事 うえの賢一郎君 理事 津島  淳君

   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君

   理事 古本伸一郎君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    穴見 陽一君

      井上 貴博君    石崎  徹君

      今枝宗一郎君    大隈 和英君

      勝俣 孝明君    門山 宏哲君

      木村 哲也君    小泉 龍司君

      高村 正大君    國場幸之助君

      鈴木 隼人君    田野瀬太道君

      武井 俊輔君    辻  清人君

      出畑  実君    古川 禎久君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      宮澤 博行君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      海江田万里君    岸本 周平君

      櫻井  周君    階   猛君

      関 健一郎君    野田 佳彦君

      日吉 雄太君    道下 大樹君

      森田 俊和君    吉田 統彦君

      石井 啓一君    清水 忠史君

      青山 雅幸君    串田 誠一君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       宮下 一郎君

   財務副大臣        遠山 清彦君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   財務大臣政務官      井上 貴博君

   文部科学大臣政務官   佐々木さやか君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   会計検査院事務総局第一局長            三田  啓君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  河村 直樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       山下 哲夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 黒田 岳士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村山  裕君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  森田 宗男君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         田原 康生君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 竹内  努君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 河邉 賢裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 河津 邦彦君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    矢野 康治君

   政府参考人

   (国税庁次長)      田島 淳志君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森  晃憲君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           横幕 章人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中村 博治君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           依田  泰君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            広瀬  直君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    鎌田  篤君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小林  靖君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 寺田 吉道君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     加藤  進君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    若田部昌澄君

   財務金融委員会専門員   齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     木村 哲也君

  國場幸之助君     出畑  実君

  辻  清人君     大隈 和英君

  海江田万里君     道下 大樹君

  岸本 周平君     吉田 統彦君

  森田 俊和君     関 健一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     畦元 将吾君

  木村 哲也君     高村 正大君

  出畑  実君     國場幸之助君

  関 健一郎君     森田 俊和君

  道下 大樹君     海江田万里君

  吉田 統彦君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     辻  清人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、副総裁若田部昌澄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官河村直樹君、内閣人事局人事政策統括官山下哲夫君、内閣府大臣官房審議官黒田岳士君、大臣官房審議官村山裕君、金融庁総合政策局長森田宗男君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、総合通信基盤局電波部長田原康生君、法務省大臣官房審議官竹内努君、外務省大臣官房参事官河邉賢裕君、大臣官房参事官河津邦彦君、財務省主税局長矢野康治君、国税庁次長田島淳志君、文部科学省大臣官房審議官森晃憲君、厚生労働省大臣官房審議官奈尾基弘君、大臣官房審議官横幕章人君、大臣官房審議官中村博治君、子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長依田泰君、農林水産省大臣官房生産振興審議官鈴木良典君、経済産業省大臣官房審議官中原裕彦君、通商政策局長広瀬直君、中小企業庁次長鎌田篤君、国土交通省大臣官房審議官小林靖君、鉄道局次長寺田吉道君、観光庁審議官加藤進君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、会計検査院事務総局第一局長三田啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 きょうは一時間の時間をいただいているということで、順次、所得税法の改正の件、コロナウイルスについて、それから最近の経済情勢、そういったことについてお話をさせていただきます。

 まず冒頭なんですが、けさのニュースで、新型コロナウイルス対策で頑張っておられた厚労省の方がお二人罹患されて、感染されたというお話を聞きました。まことに、本当に、お仕事に精励されていながらそういう形になったのはお気の毒の極致でございますが、この報道の中で、それが厚労省の幹部で、審議官レベルの方がおられたという話なんですが、これは厚労省としてはどういう、名前は別に結構ですが、官職あるいは担当、そういったことをぜひお聞きしたいと思います。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日公表いたしました、横浜港におきましてダイヤモンド・プリンセス号の船内で業務に従事していた厚生労働省職員一人と内閣官房職員一人が新型コロナウイルスに感染したということが確認されてございます。

 この職員でございますが、厚生労働省職員につきましては四十代の男性で、内閣官房職員につきましては三十代の男性と聞いてございます。

 この二人につきましては、常時マスクを装着する等の標準防護のルールに従って業務をやっていたわけでございますが、今般の事態の発生を踏まえまして、今後の発生防止策につきましては、専門家の知見も踏まえつつ、検討していきたいと思っております。

末松委員 済みません、私が聞いたのは、官職がどういう官職なのか、それから担当はどうだったんだということを聞いているんですね。

 なぜそんなことを聞くかというと、その方は、もしある程度幹部ということであれば、厚労省の幹部の会合なんかにも出席したり、国会にも来ている可能性があったのかどうか、そこはどうなんでしょうか。

奈尾政府参考人 今回の新型コロナウイルス感染者の方々につきましては、それを公表することによる公衆衛生上の利益と個人情報の保護というバランスというもとで全ての事案を公表してございますけれども、今申し上げました年齢につきましては、年齢によってリスクファクターが異なるだろうということで公表してございます。あと、在住につきましては、例えば厚生労働省職員、東京都在住だったわけでございますが、在住については、行動範囲に影響するということで公表してございますけれども、それ以外の情報につきましては、個人情報ということで公表していないところでございます。

末松委員 官職も言わなければ担当も言わないというのは、あなたはそれでいいと思っているんですか。

 つまり、その方が国会に来て、いろいろな答弁とか、あるいはヒアリングで来た経緯があるか、それは我々国会の今度は問題になるわけですよ。実際にそういうことを、ちょっと委員長からもそこはしっかり答えるように言っていただけませんか。

奈尾政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しで恐縮でございますが、公表することによる公衆衛生上の利益と個人情報との関連で、公表範囲については決定しているところでございます。

末松委員 ちょっとこれはらちが明かないんだがね。

 国会に来ていたら、国会の、我々議員も含めて、職員の方も含めて、これはまた罹患するという危険性もあるわけですよ。そんな公衆の利益があるのに、それが何か、いかにも、個人の情報保護というだけで済まされる問題じゃないんだよ。それだけ、厚労省は全くそういう認識はないのかな。

 政務三役と接触はしなかったという保証はあるんですか。今ここで、政務三役とかいろいろな厚労省の人も呼んでいるんですよ。ちょっと真面目に答えてくださいよ。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 横浜港におきまして業務に当たっているということで、この感染しました職員につきましては、副大臣、政務官とは業務上の接触はあったというふうに聞いてございます。ただ、その場合におきまして、副大臣、政務官の方とも、あるいは、この感染者職員も、いずれも、全ての、常時マスクを装着した上で業務を遂行したというふうに聞いております。

末松委員 今の奈尾審議官の答弁だと、マスクをしたらかからないという前提に立っているんですか。それが厚労省の認識ですか。ちょっとあなた、真面目にやってくれませんかね。

 委員長、ちょっと。そこの官職で、実際に、例えば厚労省でいろいろな会議にその人がどんなレベルで参加していたのか。もしそれがいろいろな会合に出ていたら、そういう方々が罹患している危険性もあるわけですよ。そこをちょっと、きちんと、官職等、それを言うように言ってください。

奈尾政府参考人 大変失礼いたしました。

 マスクの例は標準的な防護の一つの例でございますけれども、いずれにいたしましても、副大臣、政務官とは業務上の接触があったということで、これも一例でございますが、濃厚接触者について、その後、どんな行動があったのかとか、どういう接触があったのかというのは当然調べていまして、その濃厚接触者の行動につきましても、今後、積極的疫学調査ということで、必要な対応をとるということにしてございます。

末松委員 その方は国会のヒアリング等に説明に来たことがありますか。

奈尾政府参考人 その職員の詳細につきましては現在調査中でございますが、いずれにしても、横浜港におきまして、このところ事務業務に従事していたというふうに認識してございます。

末松委員 済みません、全然ちょっと答えていないんですよ。

 そこを答えるように委員長から指示してくれませんか。

田中委員長 今、末松義規委員からのこうした意見等があります中で、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

 奈尾大臣官房審議官。

奈尾政府参考人 詳細は調査中でございますが、いずれにいたしましても、濃厚接触者を含めまして、感染の拡大防止を図らなければならないというふうに認識してございます。(発言する者あり)

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 ただいま、御意見、御要望、提案があったものに関して、引き続き、筆頭間において、今、調査をしたいと思います。

 よりまして、一旦、暫時休憩といたします。

    午前九時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午前九時三十分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。末松義規君。

末松委員 先ほどから私が聞いていたのは、官職をしっかりと言ってくれないと。それはどういうことかというと、例えば審議官だったら、その省の最高幹部とかあるいは政務三役、先ほど、政務三役とは接触があったという話でしたから、その政務三役が罹患しているかいないかという話に、また問題になってくるわけですよね。

 だから、まず官職を、しっかりとそこは言ってください。もう一度聞きます。

奈尾政府参考人 お答えいたします。

 公表の範囲につきましては、公衆衛生上のリスクと個人情報の観点から公表の範囲は決めてございますけれども、官職につきましては、厚生労働省として公表しないという扱いとしてございます。

末松委員 プライバシーとはちょっとそこは関係ないし、国会におけるリスク管理もあると思うんですね。

 だから、この厚労省の関係者の人で、その方と接触をして、ひょっとしたらそういう形で、今度はその人たちが今、国会に、この委員会にも来ている危険性も全く排除されるわけではないんですね。

 そういった場合、委員長とされても、やはり、この委員会が開かれた後で罹患されたとかいう話になるとまた大変なことになりますので、厚労省としては官職は絶対言わないんだという話なので、そこはぜひそれを再検討してもらえるように指導していただけませんか。

田中委員長 ただいま末松委員より御発言があった件に関して、また改めて奈尾審議官の方から、また省に持ち帰って、大臣等、その官職に関しての調査、検討を改めてお願いしたいと思います。

末松委員 加藤厚労大臣がそこで発表しないというんだったら、ぜひ、ここにおられる長老の麻生副総理から、加藤大臣もぜひそういう形で言うべしというふうに言ってもらいたいと思いますが、麻生大臣、全くそこは、急な質問なんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 よう聞いていなかったけれども、何ですって。テストを受けろと言っておられるわけですか。

末松委員 罹患をされた職員の官職について一切言わない、厚労省の決定だというので、そこは、副総理のお立場から、加藤厚労大臣に対して、官職はきちんと言うべきではないかと。ぜひ私の方から麻生大臣にお願いしたいということを言っているわけです。

麻生国務大臣 今、末松先生からそういう御意見があったということを加藤大臣に伝えろという話ですね。基本的にはそういうことですね。お伝えします。

末松委員 じゃ、この問題については、これ以上進まないということもあるので、また同僚の議員からこの話をさせていただくことになるかもしれません。

 いずれにしましても、国会としても、こういったリスク管理をしっかりやっているんだということを国民に示す上でも、そこはきちんとした対応をしないといけないと思っておりますので、ぜひそこは手抜かりのないようにやっていただきたいと思います。

 それから、奈尾審議官に聞きますけれども、きょう呼んでいる厚労省関係者、政務三役も含めて、そこは特に罹患が疑われるようなことはありませんよね。

奈尾政府参考人 厚生労働省職員について言いますと、十二日から横浜港の方で業務に従事しているということで、少なくとも、その後については、小島政務官等との接触はないというふうに承知してございます。

末松委員 先ほど、あなたの答弁で、政務三役が横浜で接触をされたという話がございました。そういう方々からの感染というものが全く否定されないわけじゃないので、そこを踏まえて、ぜひ、そこはきちんといろいろな検査を受けるとかいう形もして、ここでも安全な審議が行われるように、そこは厚労省として最大限の配慮を行うべきです。そこはくれぐれも言っておきます。

 では、ちょっと、私の想定した質問の方に移らせていただきます。

 まず、所得税法改正の中で、ひとり親控除で、子供の数に関係なく控除額が三十五万円というのはおかしいという指摘をして、麻生大臣の方から私の本会議質問で回答があったわけですけれども、今回の改正は、公平性の観点からしっかりとした対応をやったんだということなんですが、子供が一人の人の控除額が三十五万円、四人持っていても三十五万円、これは法の概念からいっておかしいと思うんですけれども、税の概念からいっておかしいと思うんですが、いかがですか。

麻生国務大臣 これは前に御質問があっておりましたけれども、今般のいわゆる一人親の控除というのは、これは、単身で子供を育てながら働いておられる場合、両親がそろっておられる家庭に比べていわゆる選択できる職業とかいろいろなものが制約があることなどで、所得を得る上で、本人に対する、本人ですよ、本人に対する事情を配慮して設けたものであります。

 御指摘のとおり、複数の子供があった場合においては、これは制約も多くなることは否めないんですが、こういった状況によるいわゆる単身者本人への配慮であるため、子供の人数にかかわらず一律にさせていただいたということであって、子供の扶養に関して生じる実際の出費は、それは子供の人数がふえればその分明確にふえる、これは当然のことだと思いますけれども、その出費などへの配慮として扶養控除とか児童手当とか、そういった制度があるので、これらは子供の人数に応じた仕組みになっているんだと思っております。

 今回は親本人に対する対応というふうにさせていただいた背景です。

末松委員 その点について、私、まだ納得はしていませんが、ちょっと、時間もなくなってきたので、次に進めさせていただきます。

 新型コロナウイルスに関する経済的な影響についてお伺いします。

 きょうは日銀総裁がお見えですから、私の方で、経済的な、例えば中国経済の深刻なダメージとかを含めて、それから世界経済、サプライチェーンですね、あと、中国経済も米中貿易戦争でかなりよたよたになっているという中で、ここに中国のそういった生産の減少、さらには中国に対する各国の輸出の減少、そういったところから、かなり、途上国を中心に連鎖的に厳しい状況が生まれるんじゃないかと思うんですけれども、そういったコロナウイルスの影響が数カ月間これからも続いていけば、それこそ、世界同時株安とか、あるいは経済的なダメージは非常に大きくなると思うんですけれども、そのダメージをいかに、世界経済を見据えた形で仕事をしなければいけない日銀総裁としてどう考えているか、それをお聞かせください。

黒田参考人 御指摘の新型コロナウイルスが世界経済に及ぼす影響については、委員御指摘のとおり、まず、中国で生産あるいは消費などの活動が抑制されて中国経済を下押しするということが考えられるわけですが、それが貿易あるいはグローバルな生産活動などを通じて世界経済全体に波及する可能性が高いというふうに考えております。

 特に、かつてSARSが流行したときの世界経済に対する影響と比べますと、その当時と現在とで中国経済の世界経済に占めるシェア、あるいは世界貿易に占めるシェアが格段に大きくなっております。

 したがいまして、世界経済全体に波及する可能性、さらにはその影響も大きくなる可能性がある。既に国際金融市場では、こうした懸念などから、振れの多い展開が続いております。

 現時点でこの問題が世界経済にどの程度の影響を及ぼすかということを定量的に評価するというのはなかなか難しいわけですけれども、問題が長引く場合には、影響も大きくなる可能性があるというふうに思っております。

 ちなみに、今週末にサウジアラビアでG20が開かれますので、私も麻生副総理とともに出席いたしますが、そこでの恐らく最大の議題というのは、このコロナウイルスが世界経済にどのような影響を及ぼすかということになるのではないかと。そこで十分な情報あるいは意見交換をしてまいりたいと思いますが、委員が懸念されているとおり、世界経済に対する下押し圧力、特に、これも委員が御指摘されたように、アジアに対する影響というものを十分慎重に点検していかなければならないというふうに思っております。

末松委員 ぜひ、その御関心の中でいろいろな有益な見通しがございましたら、教えていただきたいと思います。

 では、国内の影響については、今、日銀の支店長会議とか、いろいろな各地から情報を取り寄せて、それでいろいろな形の国内産業へのダメージ、それについてはいかがですか。

黒田参考人 この新型コロナウイルスの感染症の拡大が具体的に日本経済に及ぼす影響というのは、主として三つのルートがあると思うんです。

 まず第一に、中国の経済活動が抑制されることに伴って、我が国から中国への輸出が影響を受けるということであります。

 第二に、サプライチェーンを通じた我が国の生産活動への影響であります。

 第三には、中国人訪日客を中心とするインバウンド需要の減少でありまして、実際、私どもの支店などを通じて各地の企業のヒアリングなどをやっておりますけれども、中国からの訪日客減少を通じた影響への懸念の声がホテルとかあるいは百貨店とかから具体的に聞かれております。

 この影響というのは、先ほど申した三つのルートでの影響というのはこの問題がどの程度長引くかにも左右されるために、現時点で定量的に評価することは難しいわけですけれども、先ほど来申し上げているとおり、中国経済のプレゼンスを踏まえますと、影響が大きくなる可能性を十分に意識しておく必要があるというふうに思っております。

末松委員 二千人以上の新型コロナウイルスの犠牲者を出した中国では、非常に初期対応も早くて、中央銀行である中国人民銀行が二月三日に金融市場に対して一兆二千億元、大体十八・六兆円相当の緊急的な資金供給を行ったと言われております。

 私も、多分この状況がある程度続くという状況の中で、多分早期に追加的な日銀の緊急な金融緩和というものが必要になるのではないかと思うんですね。先ほど、インバウンドでいろいろな資金的な、需要に困り始めた企業がいるという日銀総裁の御指摘もありましたけれども、この辺について、緊急なさらなる金融緩和が必要じゃないかと思うんですけれども、その必要性の有無についてどう思われていますか。今はまだ必要ないというお考えですか。

黒田参考人 先ほど来申し上げましたとおり、新型コロナウイルスの問題が我が国の経済、物価に与える影響、それから今後の金融市場の動向、これには最大限の注意を払っていく必要があるというふうに思っております。その上で、必要なときには必要な措置がとれるように万全を期してまいりたいと思っております。

 現時点で金融政策面からの対応について具体的に議論する段階にはないと考えておりますけれども、これまでも申し上げているとおり、必要があればちゅうちょなく追加的な措置を講ずる所存でございまして、御指摘の、実は中国だけでなくてアジアの周りの国もさまざまな対応策をとりつつありますので、そういうことも十分踏まえて、必要なときにちゅうちょなく追加的な措置を講ずる考えでございます。

末松委員 それは別に特定を求めているわけじゃないんですけれども、先ほど言われたG20ですか、サウジであるんですかね、そこでの会合でまたいろいろな情報収集をされている中で、それを踏まえた形で各国との間での協調的な緊急の金融緩和、これも十分あり得るという判断ですよね。

黒田参考人 先ほど申し上げたとおり、この週末のサウジアラビアのリヤドでのG20財務大臣・中央銀行総裁会議の議題はたくさんあるわけですけれども、どうしても、現状、この新型コロナウイルスの影響についての議論が最大の議題になる可能性がある。そこで御指摘のとおりさまざまな意見交換をし、情報収集をした上で、必要な場合には当然必要な措置をとるということであります。

 現状、特にアジアの諸国に対する影響が非常に大きくなってきておりまして、そのあたりもアジア諸国の人たちと十分意見交換をしていきたいというふうに思っております。

末松委員 そこはしっかりやっていただきたいと思います。

 それでは、経産省に聞きますけれども、関係業界とか産業界を預かっております経産省として、今、この新型のコロナウイルスの国内的なダメージ、これについてどう見ていて、その対策はどうするのか。基本的に今、この前ヒアリングをいただいた関係では緊急支援ということで五千億円と聞いていますけれども、それで足りるのかどうか、それについても同時にお答えいただきたいと思います。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスの日本経済への影響につきましては、先ほど日銀総裁からも御答弁ございましたけれども、インバウンドの需要の減少、これに加えまして、中国での事業活動がもとに戻るまで時間がかかれば、日本との輸出入あるいはサプライチェーンにも影響が生じる懸念があるというふうに認識をしております。

 このため、経済産業省といたしまして、ジェトロ、あるいは企業、そして地方経済産業局、中小企業団体など多方面から情報収集を行っておりまして、これらの情報を踏まえまして、二月十三日に政府全体で緊急対応策を取りまとめたところでございます。

 中小企業の資金繰り対策につきましては、五千億円規模の融資、信用保証枠を確保することによりまして的確に支援をしていく所存でございます。また、中小企業にしわが寄せられることがないように、下請取引に関する配慮要請、これも行っていく所存でございます。

 次に、サプライチェーン対策でございますけれども、国内での生産体制の強化に向けまして、設備投資や販路開拓などを支援していくといったことをやっていく所存でございます。

 このような対策を即座に実行に移すとともに、今後の影響を丁寧に見きわめた上で、必要な対策を機動的に打てるよう万全を期してまいる、このように考えてございます。

末松委員 そこをしっかりやっていただきたいと思います。

 農水省に対して聞きます。

 野菜等、いろいろなテレビ報道でもあるんですけれども、日本の野菜がかなり中国から来ているのが多いということで、この辺は供給不安にならないかなという不安が出てきているんですけれども、その辺についていかがですか。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 中国からの輸入量が多いタマネギ、ネギ及び国内供給量に占める中国産のシェアが四六%程度のニンニク、二九%程度のショウガにつきましては、輸入量のうち、中国産の割合が八割以上を占めております。

 このうち、タマネギとニンニクの輸入量につきましては、春節後の二月第二週には平年比一割程度まで減少いたしましたが、春節に備えて、事前の一月第五週に平年比二倍程度が輸入されており、在庫が確保されておりますことから、これまでのところ大きな混乱は見られておりません。

 野菜につきましては、通常、各業者は国内外の複数産地から調達をしていること、現在は国産が潤沢に出回っていることから、卸売市場における価格は安値水準で推移しており、現時点で供給不足から値上がりするとは考えておりませんが、輸入の遅延が長期化することも懸念されることから、今後の動向に十分注意してまいりたいと考えております。

末松委員 いろいろなところから輸入しているという話があったので、そういったところ、中国も湖北省以外にもいろいろなところがやっている場合、特に中国産ということで、風評被害とかそういった現象が起こっている感じではないですね。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 関係の業者等からもお聞きをしているところですけれども、そのようなお話は今のところ聞いておりません。

末松委員 観光庁にも聞きます。

 インバウンドがかなり減ってきているということで、この辺のダメージ、それから対策について、簡略に答えていただければと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 観光産業への影響としましては、中国政府による海外への団体旅行等の禁止措置、日中間の航空路線の便数の大幅な減少などにより訪日中国人旅行者の大幅な減少のほか、日本人旅行者の旅行の手控え、こういったことなどにより、各地域の観光産業に宿泊キャンセル等の大きな影響が出ているものと認識しております。

 このため、観光庁では、一月三十一日に各地方運輸局に特別相談窓口を設置して、観光関連事業者からのさまざまな相談に対応できる体制を整えるとともに、政府において取りまとめました緊急対策などの関連支援策の御紹介なども行っているところです。

 また、国内での感染拡大の防止に向けまして、日本政府観光局に設置されましたコールセンター、これは三百六十五日、二十四時間、多言語での問合せに対応することができるものですが、発熱等を訴える観光客等に対しまして、具体的な医療機関を案内し、受診を勧めるなどの取組も行っています。

 さらに、宿泊事業者等に対し、マスク着用や手洗いなどの感染予防対策、この徹底を要請するとともに、正確な情報発信を行うことで、風評被害の発生防止にも取り組んでまいります。

 以上でございます。

末松委員 本当によろしくお願いしたいと思います。

 さて、国内感染が更に広まってきた場合、感染予防という観点から、集会とか観劇、スポーツ観戦とかイベント、これが中止するとか延期するとか、そういったものもふえてきているわけですけれども、私の周りからも、そういった何かガイドラインみたいなものを政府としてつくるべきではないか、国としてつくるべきではないか、こういうふうな意見が高まっているんですけれども、厚労省、その辺はいかがですか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働大臣から、昨日、メッセージという形で流させていただきましたが、十九日の第二回新型コロナウイルス感染症対策専門家会議というところで専門家の御意見を踏まえて、昨日、メッセージを発表したところでございます。

 具体的には、例えば屋内などで、お互いの距離が十分にとれない状況で一定時間いることが感染のリスクを高めるということもございまして、厚生労働省としては、イベントごとに入場規模や入場者の密着度合いなどが、あるいは会場の状況等がさまざまであるということから、一律にイベントの自粛を要請や強制するのではなく、感染拡大の防止という観点から個別にイベントの主催者においてその必要性を改めて検討していただくということにしつつ、同時に、イベントを開催する場合には、例えば参加者への手洗いの推奨とかアルコール消毒薬の設置等、感染拡大防止に向けた対策の準備をお願いしているところでございます。

末松委員 今答弁がありましたように、お隣さんとの距離が保てない、こういう状況というのは、すぐに思い浮かぶのは満員電車。これなんか本当に保てないわけですよね。

 国土交通省に聞くんですけれども、満員電車を含めて、電車とかバス、こういったところの、どうしても仕事をする場合にはそういうところを使わなきゃいけない、こういうときに、何か感染防止のためのガイドラインというのが必要じゃないかとも思うんですけれども、そこのところは、国土交通省として何もしない状況ですか。

寺田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員から御指摘ございましたが、鉄道におきます感染症対策は、私どもも当然のことながら大変重要な課題だというふうに認識しております。

 現時点での取組を申し上げますと、国土交通省におきまして、全国の鉄道事業者などに対して、従業員だけでなく利用者の感染症対策の要請を行ってございます。各事業者におきまして、マスクの着用を含むせきエチケットの利用者への周知、それから新幹線駅や主要な在来線駅での消毒液の設置などを行ってございます。

 また、政府といたしましても、発熱などの症状がある場合には外出を控えることや、それから、生徒さんあるいは従業員の方々が休みやすい環境の整備、テレワークや時差通勤の呼びかけを行っている、そういった取組の現状でございます。

 今後とも、関係省庁と連携をして、どういう対応が必要なのかしっかりと考えて、鉄道における感染予防対策に引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

末松委員 その対策で、私も、満員電車に乗っていて、国土交通省の何か別にステッカーがあるわけでもないし、どうなっているんだと。満員電車なんていうのは本当にもうぎゅうぎゅう詰めなので、一人がせきとかくしゃみをすると、全部蔓延するんですね。それこそ温床になりますよね。そういった点は、本当に、時差出勤も含めて、かなり徹底できるような形で、政府全体としてそこは考えていただきたいと思っております。

 同じような観点から、大観衆とかあるいは世界のトップアスリートが集まるオリンピック、パラリンピックに向けた動きの中、ちょっと懸念の声が広がっているのは事実だろうと思います。

 その観点から、二月十四日にIOCとオリンピック組織委員会が話したときに、ジョン・コーツ調整委員会委員長から、IOCがWHOと直ちに調整、連携を始めたという発言がございましたけれども、どのような調整や連携がIOCとWHOの間で行われたんでしょうか。

河村政府参考人 お答えいたします。

 IOCとそれからWHOとのコミュニケーションでございますが、これは適切に機会を捉えてやっておるわけでございますけれども、このIOCからの発言をすることに関しまして、組織委員会を通じて適実な情報を提供することで、きちんとしたコミュニケーションがなされるように取り組んでおるところであります。

末松委員 今の答弁だと何もわからないんですけれども、要するに、WHOで何かオリンピックの開催に関して見解とかそういったものが、日本政府として、そこは接触して何か情報というのは得られているんでしょうか。

河村政府参考人 お答えいたします。

 まずもって、オリンピック、パラリンピックに関しましては、IOCにおいてこれを決定する権限があるわけでございますが、IOCに対して、私どもを含めて、まずは組織委員会のチャネルを通じて適実な情報を提供しておるところであります。

 なお、先ほど、コーツ委員長が来られたプロジェクトレビューの御紹介がございましたが、IOCの方からは、日本の対応につきまして、適切に対応しており、信頼感を抱いているという御評価が示されたところであります。

末松委員 予定どおりオリンピック、パラリンピックをぜひ東京でやっていただきたいというのは、当然私も国民の一人として熱い思いを持っているんですけれども、ちょっと私の周りでもいろいろな声が出てきていて、常識的に考えて、中国の死者が何千人、これがまたふえていくという状況になってきたときに、今WHOが非常事態宣言を行っている、こういった状況の中で何かオリンピックというものが、あるいはパラリンピックというものがなされるというのは、ちょっと不自然な、要するに、そういう、ちょっと疑問なしとしないという見解も出てきているんですね。

 だから、そういったものがやはり、そういった非常事態が収束したんだということがWHOでもしっかりと発信されないとなかなかオリンピック、パラリンピックが開けないんじゃないか、そういう疑問視する声があるんですね。それに対してどういうふうな見解をお持ちなのか。IOCが決めるからということで、また、IOCとWHOとの対話については、日本政府としては単に日本の情報を提供するだけだ、IOCはその情報に対して適正だということで評価しているという答弁だけがあったんですけれども、この辺について本当に大丈夫かなという不安の声があるんですが、それに対してどう思われますか。

河村政府参考人 新型コロナウイルスの感染症につきまして、WHOの見解というのは非常に重要なものであるというふうに考えてございます。

 当然、WHOに対しては、政府といたしましては、厚労省のチャンネルから適実に情報が提供されておりますし、あわせて、オリンピック、パラリンピックに関しましてはIOCの判断が非常に重要でございますので、その点に関しましては、組織委員会のチャネルできちんと情報を提供していく。まず、きちんとした判断をしていただくためにも、正確な情報をタイムリーに提供していくことが非常に重要だと考えておりますので、その方向でやっていきたいと思っております。

末松委員 そこはしっかりやっていただきたいんですけれども、ただ、オリンピックというのに、パラリンピックも、日本だけの問題じゃなくて、例えば中国は本当に参加できるんですかとか、あるいは、オリンピックの選手が各国から日本に、いろいろな強化訓練とか、そういった動きの助走から始まっていくわけですよ。それができないという話だったら、本当に大丈夫なのかというふうな懸念があるので、そこはできるだけ、適宜しっかりとした情報を送るということしか今はないのかもしれませんけれども、引き続き、そういったことに怠りなく、しっかりとした形で対応していただきたいと思います。

 さて、話題をかえますけれども、日銀総裁に聞きますけれども、二月十七日に内閣府から公表された二〇一九年十月から十二月、第四・四半期ですね、実質GDPの成長率が年率にしてマイナス六・三%と、大幅なマイナス成長になったわけですね。これは、エコノミストの予想の平均がマイナス三・九%だったので、それを大きく下回るネガティブなサプライズだったわけですが、特に個人消費がマイナス二・九%と非常に大きく落ち込んでいる。

 当然、消費増税の影響もあるんでしょうけれども、どうも、消費増税を前回の消費増税時と比べてみると、引上げ幅が前回よりも小さいにもかかわらず、また、政府としてさまざまな、巨額な緩和措置をやったにもかかわらず、想定以上の落ち込みとなった、こういうふうに深刻に見るのが妥当なのじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

黒田参考人 御指摘のとおり、昨年十―十二月の実質GDPの成長率は大幅なマイナスとなりました。その背景としては、海外経済の減速や自然災害などの影響が輸出、生産を下押ししたことに加えまして、委員御指摘のとおり、消費が大きく減少したということが挙げられておりまして、この消費の大きな減少の要因としては、昨年十月の消費税率引上げに加えて、自然災害あるいは暖冬の影響などもあったというふうに見ております。

 具体的に消費税率引上げ後の消費の動向を見てみますと、スーパーとかそういったところでは、前回に比べまして駆け込み反動減の大きな状況は見られておりません。

 また、家電製品も同様でありまして、既にプラスに回復しているわけですが、自動車が前回よりも大きく減少しているということで、これは政府においてさまざまな対策がとられたにもかかわらずそうなっているわけでして、そこには新車投入のおくれとか、あるいは一部の自動車会社で生産が滞ったことがあったとか、そういったこともあったと言われています。

 それから、百貨店などを見ますと、現時点では、実はインバウンドの減少が非常に大きいんですけれども、十―十二月期にとっては、一番大きなマイナス要因は、やはり暖冬によって冬物衣料の売上げが非常に悪かったといったようなこともあったようであります。

 したがいまして、御指摘のとおり消費税率引上げの影響があったことは事実だと思いますが、自然災害あるいは暖冬の影響などから個人消費が大きく減少したということではないかというふうに見ております。

末松委員 それでは、ことしの第一・四半期は、やはり新型コロナウイルス騒動の関係で更に落ち込みがあるということが容易に想定されるわけですけれども、こういった経済下押しというのを考えると、二期連続のマイナス成長になることは避けられないんじゃないかと私は思っているわけですね。

 また、下手をすると、ことしの四―六で、第二・四半期もまたこの新型コロナウイルスの影響が長引く危険性が高いという。こうすると、二期から三期かけてそういったダウンの傾向が出てきますと、基本的に政府の方は日本経済は緩やかに回復していると常に強調しているんですけれども、これはもう景気が後退局面に入ってきたという形、こういう見方をとらざるを得ないんじゃないかという気になりますが、どうですか。

黒田参考人 先行きの我が国経済の動向につきましては、基本的には、昨年十―十二月に見られました経済の下押し要因の圧力が薄れる中で、基調として、堅調な設備投資、それから政府の大規模な経済対策が講じられておりますので、積極的な政府支出などに支えられまして、緩やかな拡大基調が続くというふうに判断をしております。

 ただ、御指摘のとおり、新型コロナウイルスによる感染症の拡大が輸出、生産活動あるいはインバウンド消費を通じて当面の我が国経済に与える影響については、大きな不確実性が残っております。現時点で新型コロナウイルスの影響を定量的に評価することは難しいわけですけれども、日本銀行としては、その影響を重大な関心を持って注視し、下振れリスクについてはしっかりと点検していく考えでございます。

末松委員 本当にもう、どうも景気が後退局面ですねというのはますます明らかにならざるを得ないなと思うんですけれども、そこは、日銀は日銀として、しっかりまた頑張っていただきたいと思います。

 それから、ちょっとこのお配りした資料の、消費増税の軽減税率についてお話を申し上げたいと思います。

 この資料の一が東京税理士会に所属の税理士さんがおつくりになった資料なんですけれども、つまりどういうことかというと、非常に今、軽減税率によって物すごく事業者の事務作業が大変な、ある人に言わせると三倍以上になっているというようなこと、そして、それをチェックする税務署の方々のチェックの機能もまた物すごい煩瑣で、事務が大変になっているんだと。この一端としてお示しをするために、今この資料を提出いたしました。

 この一枚目は、セブンイレブンという形でちょっと書いていますけれども、ここで、八%の場合、それから一〇%の場合、たばこは税込み、非課税が切手代とかあって、いろいろなバリエーションのまずは税込みの経理になるということなんですけれども、これが、科目が例えば手巻きおにぎり、コカコーラというのは会議費という話、パラドゥミニネイルが消耗品とか、あるいはメビウスワンが交際費、五十円の切手代が通信費、キャッシュレス還元額は雑収入という形で、分けてこれを記入しなきゃいけない。

 二枚目をお開きいただきたいんですが、これが軽減税率前の経理処理で、この場合の経理については、処理は、セブンイレブンでメビウスワンほかということで、一つの項目だけでこれはいけたんですけれども、資料の三を見ていただくと、今度、軽減税率後の経理処理となると、さっき言いました会議費、消耗品の費用、それから交際費、通信費、雑収入と、四つ、これを分けて、一つ一つに対して記入していかなきゃいけない。基本的に手書きで、またそれをパソコンに打ち込むというようなことになるし、また、更に厄介なのは、過去仕入れた品物なんかも、同じ八%なんですけれども、軽減税率、消費税率と地方消費税率の違いがあるものですから、それを全部区分けをまたしていかなきゃいけない。

 例えば、従来のものだと、消費税率八%であっても、地方消費税率は一・七%で消費税率は六・三%なんですけれども、軽減税率の場合の八%は、地方消費税率が一・七六%、そして消費税率が六・二四%と、違うわけですね。これをまた分けていかなきゃいけない。こんな作業を一つ一つの取引について延々とやられたら、本当にナーバスブレークダウンというか、もうとんでもなくなるよというふうな悲鳴が上がっているわけです。

 だから、この資料を見ておわかりのとおり、こんな複雑な区分経理をするために、膨大な事務量、膨大な時間、多大な追加人件費、あるいは事業活動心理の萎縮とか、経営の圧迫とか、廃業者の増加とか、こういった追加経営コストが非常に必要となってくる。

 お聞きしたいのは、財務省は、こういった軽減税率導入の前にこれらの事業者の追加コストとかあるいは国税関係者の追加徴税コストなんかをはじき出したのか、その点についてお聞きしたいと思います。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 軽減税率の導入につきましては、今委員からるるお話がございましたように、事業者の方々あるいは消費者の方々に時々刻々多大な手間がかかるという面があることは、導入する前からわかっておったところでございます。

 ただ、それにつきましては、どのくらい軽減税率の対象となる物品を売上げあるいは仕入れでそれぞれ扱っておられるか、あるいは、どのような事業をどのような規模で行っておられるか、そして、日々の業務をシステムで処理しておられるか手作業で行っておられるかなどなど、個々の事業者の事情によってまちまちでもございますので、日本全体におきましてどの程度の事務負担が生じるかという見積りをするといったことにつきましては、定量的な分析は行っておりません。

 他方で、例えば、中小の小売事業者が複数税率に対応するための必要なレジの導入についての支援を行うなど予算上の措置でありますとか、あるいは、税制上の記帳に関しましての当面の特例措置を設けて、売上げ又は仕入れの一定割合を軽減税率対象であるというふうに処理することができる特例を設けるなどによって対応を図っているところでございます。

末松委員 そういう定量的な根拠も要するにしたことがないというのは、ちょっと配慮に欠けるんじゃないか。だから、そこは、これからいろいろな形の工夫で事業者のそんな煩瑣なものを取り除いていくということをやるべきだと思いますけれども、ただ、我々の立場は、軽減税率ではなくて給付つき税額控除をやればこんな煩瑣なことをする必要はないわけですから、ぜひ改めてそこは考え直していただきたいと思います。

 もうちょっと追及する予定でしたけれども、ちょっと時間がございませんので。

 こういった、国税についても大変な手間がある、これはチェックする方ですけれども、こういう時間のかかる審査とか審理、あるいは新しいシステムに対する丁寧な対応というのが要求されるわけですけれども、こういった場合、応急的な対応として、国税従事者の増員を、なお一層ふやすべきじゃないかと思いますけれども、そこはいかがでしょうか。これは大臣にお聞きします。

麻生国務大臣 国税庁というか税務署というか、これまで、消費税率の軽減税率制度に向けたいわゆる広報、周知徹底等々、これは税務署における相談対応に全力を挙げて取り組んできたところなんですけれども、税務を執行する現場におきましては、こうした取組に加えて、いわゆる確定申告書の提出を受けて事務が本格化しますので、申告の誤りとか、還付の申告とかそういった審査や何とかいろいろありますので、そういったものに極めて丁寧な指導が要る。また、特に飲食料品というのを取り扱う課税事業者への書面の照会とか、いろいろなものがありますので、軽減税率、引上げに伴ういわゆる滞納の未然防止とか整理促進など、これはいろいろなものを取り組んでいかなきゃならぬというのは、もう間違いないと思っております。

 したがいまして、今御指摘になりましたように、国税庁の定員につきましては、令和二年度の予算において、軽減税率制度の対応のための体制整備として新たに四百十一人、全体で五十人の純増というのを確保しておりますので、これらの定員を活用させていただいて、軽減税率制度の定着に向けて更に万全を期していかねばならぬところだと思っております。

末松委員 同様に、税関の職員も、水際で、ああいう新型コロナウイルス感染症とか、あるいは密輸とかテロとか、こういう危険が伴っておりますので、マスクとか手袋、あるいは目の保護ということでゴーグル、こういったものはパーフェクトに充実してもらわないと困るなというふうに思いますし、同時に、二十四時間三百六十五日働いている税関職員の増員も、特にことしは、この新型コロナウイルス対応と、あと、オリンピック、パラリンピック、これが一挙に来ます。

 これは、通常二百名余の増員をやっていただいて、そこはいいんですけれども、ことしだけは四百名ぐらい、倍ぐらいの職員を臨時にも採用するなど、そうしていかないと、やはりそこで手落ちがあるとまた大変なことになりますので、あわせて、財務大臣の決意と、それから内閣人事局からも、先ほどの税務職員及び税関職員の増員について、そこの決意を聞かせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 まず、税関の職員に対する配慮について感謝を申し上げるところです。

 まず、先ほどの税関の定員の話ですけれども、これは、東京オリンピックだ、パラリンピックだという開会に当たりまして訪日される外国人のいわゆる旅行者の急増というのを考えないけませんが、同時に、その人たちが持ち込んでくるという可能性が否定できない覚醒剤とかそういった不正薬物の密輸の増加、またテロというものもありますでしょうし、金地金の密輸というのが最近極めて巧妙化しておりますので、そういった困難な課題に対処する必要があるんだと認識をいたしております。

 したがいまして、このような状況の中で、税関の定員に関しましては、令和二年度の予算におきまして、いわゆる税関の業務量への対応に対応するため、三年連続で二百人を超えます増員で、今回は二百九の純増というのを計上させていただいております。

 また、二次感染の防止のため、いわゆる入出国者に対応する職員に対しまして、マスク等を着用するほか、うがい、手洗い等々を徹底するように指示をさせていただいているところですが、いずれにいたしましても、そういった備品は職員に今のところ行き渡っている、今現在ですよ、今現在行き渡っていると思っておりますけれども、今後とも職員が安心して職務を全うできるように、いわゆる健康面等々、十分注意をしてまいりたいと考えております。

末松委員 備品も現場の職員さんに聞くと行き渡っていないというのもありますので、特にお願いしたいというのと、増員は本当にぜひお願いをしたいと思います。

 内閣人事局は答えていなかったよね。

山下政府参考人 お答えいたします。

 国税庁、税関の令和二年度の定員につきましては、先ほど財務大臣から御答弁いただいたとおりでございます。

 今後も引き続き、財務省から、軽減税率制度導入後の税務執行の現場の実情や今後の訪日外国人の見込みなども含め、政策課題を丁寧に伺いながら、効率的な業務運営の観点も含め、定員審査を行ってまいりたいと考えております。

末松委員 どうもありがとうございました。

 最後に、桜の会での当初予算額と実際の予算執行額の違いを会計検査院に聞こうとしたんですけれども、時間がないので、それは今度、予算分科会で聞くことにいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの櫻井周です。

 本日は、財務金融委員会におきまして質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 委員長、済みません。ちょっと与党席が何か結構すかすかのように見えるんですが、定足、足りていますでしょうか。これは野党が席を外したら足りないんじゃないですか。いかがでしょうか。ちょっとそこを、確認をお願いします。

田中委員長 定足の確認を。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 櫻井周君。

櫻井委員 大分戻ってきていただいたようですので、質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど末松委員からも取り上げましたけれども、まず新型コロナウイルスの問題について質問させていただきます。

 この問題が決着がつかないと、収束しないと、経済がどうなるのかわからない、また、財政もどうなるかわからない、予算の方も足りないんじゃないのかというような話になってまいりますので、やはりこの問題抜きにしてこの先議論できないということから、まず質問させていただきます。

 その上で、昨晩、テレビの報道で、厚生労働省の幹部職員が新型コロナウイルスに感染しているというような報道がございました。私もびっくりをいたしまして、これをまず、先ほど末松委員の方から確認をさせていただいたんですが、必ずしも明確な答弁がいただけませんでした。

 ちょっとそこで角度を変えて質問をさせていただきますが、現時点でいろいろな方が感染しているという報道が出ております。厚生労働省それから内閣官房、さらには検疫官、まあ厚生労働省の職員ということにも広い意味ではなるんでしょうけれども、さらにはDMATの医療スタッフも感染しているということが明らかになったという報道、出ております。政府職員で感染者は一体今何名いらっしゃいますか。答弁できますか。

小島大臣政務官 手元に資料はありませんが、職員が二名、検査官が一名というふうに私は聞いています。

櫻井委員 職員二名というのは、これはどこの省庁でしょうか。既に報道のあった厚生労働省一名、内閣官房一名、こういうことでよろしいですか。

小島大臣政務官 昨日の件と、ちょっと調べていますので、今ここで答弁できません。

櫻井委員 ちょっと当初よりも細かい話をお聞きしたいと思って、けさ政府参考人もというふうに申し上げたんですが、政務官が全部お答えしますというお返事でしたので、済みません、ちょっと細かい話にもなってしまいますが、小島政務官によろしくお願いいたします。

 その上でお尋ねをいたしますが、厚生労働省の職員の方、四十代男性、東京都在住というふうに先ほど御答弁ありました。東京都在住で、しかもダイヤモンドクルーズ号の船内での事務に携わっているというお話でしたので、そうすると、通勤経路、どうだったのかというのが心配になります。これは、まず厚生労働省の職員の方、どういう通勤経路だったんでしょうか。

小島大臣政務官 お答えいたします。

 同職員は、こちらの方には帰っておりません。地域の、近くの宿泊施設へ入っておりまして、クルーズ船とそこを往復をしておりまして、永田町には戻っておりません。

櫻井委員 そうしますと、今の御答弁ですと、近くのホテルに泊まっていて横浜港まで通勤をされていたということなんですが、東京の方の自宅には戻っていないということですが、これは、通勤経路は、そうすると徒歩で通勤をされていたということなんでしょうか、それともバスか何かを御利用されていたんでしょうか。

小島大臣政務官 私が聞いていますのは、クルーズ船の近くと聞いていますので、徒歩かどうかは、ちょっと確認、車かどうかは確認します。

櫻井委員 じゃ、その厚生労働省の職員の方の通勤経路は確認していただくということで。

 あともう一人、内閣官房の方は、先ほどの答弁ではどちらにお住まいかという答弁がなかったように聞こえたんですけれども、こちらはどちらにお住まいなのか、また、その通勤経路も教えていただけますでしょうか。

小島大臣政務官 このことにつきましても、今確認いたします。今調べていますので……(発言する者あり)それは、今質問があったので、通告がなかったことですから、ちょっと待ってください。

櫻井委員 それから、小島政務官は、この感染されたという報道のあった厚生労働省の職員、それから内閣官房の職員、この方々と接触はしたことはございますでしょうか。

小島大臣政務官 接触はしておりません。

櫻井委員 また、厚生労働省それから内閣府、内閣官房、本日もいろいろ御答弁いただいたり、いただく予定になっておりますけれども、こうした出席者の方々と、それから感染されたという職員の方々との接触はありますでしょうか。

小島大臣政務官 今、私を始め、ここにいる厚労省職員は接触はしておりません。

櫻井委員 ちょっと今の確認ということで、国会としてのリスク管理の観点から質問させていただきました。

 続きまして、厚労省それから内閣官房の職員の方、これは船の中で事務をされていたというふうに御答弁いただいておりますけれども、そうすると、乗員乗客の方々と直接接するというのを主たる業務としてはしていないというふうに思います。そうしますと、どういう経路で感染されたのかというところがちょっとまたわからなくなってくるわけですけれども、これはどういう経路で、この方々、感染されたんでしょうか。

小島大臣政務官 お答えいたします。

 今、専門家を入れまして、そういう感染経路について検証しているという状況でございます。

櫻井委員 ちょっと今お尋ねしましたのは、そうすると、感染された乗員乗客の方と、それから今回明らかになった政府職員の方々の間に、もう一人、一人とは限りませんけれども、どなたか間に立っている人がいるのではないのか。すなわち、まだ感染が明らかになっていないけれども、報道はされていないけれども、報告はされていない方が間に入っているのであれば、政府関係者の中で今お二人ということでございますが、それ以外にもいたかもしれないということになってくるわけですね。そうしたこともございますので、ぜひとも明らかにしていただきたいというふうに思います。

 また、勤務内容、勤務形態についてもお伺いをいたします。

 船内で勤務をしているということで、この勤務のスタイル、既にテレビの報道等では、三人が一組になって活動されている、こういう報道がされています。そして、その三人一組の中に、厚生労働省の職員の方、内閣官房の職員の方、あともう一人いらっしゃるというふうに聞くんですが、三人一組でお二人感染されている、あともう一人はどういう状況なんでしょうか。感染はされていないんでしょうか。

小島大臣政務官 事前通告がありませんから、今の質問は。今しっかり調べて答弁させていただきます。

櫻井委員 先ほど来、厚生労働省で、今回の新型コロナウイルスのことについては一義的には厚生労働省が全体を把握している、そういう立場にあるんだというふうに理解をしておりますし、政務官でいらっしゃいますので、そういったことを、もう一方の政務官の方は現場に行かれているということですから、本省では小島政務官が統括する立場にいらっしゃるということだと思いますが、その上で、先ほど内閣官房の職員の詳細についても把握をされていないということでございましたけれども、そういうことでよろしいんですか。一元的に把握をできていないということなんでしょうか。

小島大臣政務官 今の一連の話につきましては、調査をいたしまして御報告申し上げますけれども、現時点においては公表しないということにいたしております。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 櫻井周君。

櫻井委員 ちょっと、ここまで細かい質問をするかということについて通告していなかったのではないのかというふうに言われると、確かにそうでございますが、新型コロナウイルスの問題について、政府の対応について聞きますよということは、昨日申し上げ、通告にも書いておりますし、レクでもいろいろ聞きますよということで申し上げているところです。

 その上で、ただ、事実関係として今確認をしていただくということで、確認をお願いいたします。

 それから、ただ、これはテレビでもう既にけさも報道されていることですので、やはり政府として把握していないというのはまずいんじゃないのか、世の中の人たちもテレビを見て知っているわけですから。三人一組で働いて、あっ、では、答弁をよろしくお願いします。

小島大臣政務官 ただいま判明いたしました。

 厚労関係で二名、さっき一名と言いましたけれども、二名でございます。そして官房が一名、そして検疫が一名、合計四名でございます。

櫻井委員 そうしますと、厚生労働省からもう一人いらっしゃるということですね。この方の年齢、性別、それからどこに住んでいるのか、通勤ルートはどうなのかということについてもお答えいただけますでしょうか。

小島大臣政務官 これにつきましては、今は公表をいたしておりません。

 さっき申し上げたように、今のクルーズ船の近くに、ホテルへ泊まっておるということですから、それも一緒に泊まっておるということだと思っています。

櫻井委員 今、もう一人については公表していないということですが、これは、先ほどの審議官の御答弁では、感染症対策ということで、どこに住んでいるのか、年齢、性別については公表しているという話でした。このもう一人の、厚生労働省のもう一人の方についても、そこはちゃんと公表してもらわないといけないんじゃないですか。

 ちょっとそこをまず御答弁いただけますか。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの櫻井周君の発言に関しまして、今、再度調査する、この質疑中にするということですので、改めて調査、確認の方をお願いしたいと思います。

 櫻井周君。

櫻井委員 そうしましたら、審議をいたずらにおくらせてもいけませんので、ほかの質問に移らせていただきますが、その前にちょっとついでに確認をさせていただきたいことは、このもう一人の職員ということに加えて、先ほど申し上げたように、三人一組で活動しているということで、その三人一組のチームのうち二人、厚生労働省と内閣官房の方は既に感染が明らかになった。もう一人の方はどうなっているのかということが気になるわけです。

 三人一組でやっているんだから濃厚接触というふうに考えられるけれども、テレビ報道では、厚生労働省としては、三人一組でやっているけれども濃厚接触者とは認定していないから、感染しているかどうか、PCRの検査もやっていないという報道がされています。

 そういうことで本当に大丈夫なのかどうなのかということで、その方はどういう状況にあるのか、検査したのかしていないのかについても教えていただきたいと思います。

 また、それぞれの方について、国会に出席したりとかいうようなことがあるのかないのか、また、国会に出席している方との接触はあったのかどうなのか、政務三役の方々との接触はあったのかについてもお調べいただきたいというふうに思います。

 その上で、次の質問に移らせていただきます。

 当初通告もさせていただいたところの、昨日申し上げた新型コロナウイルス関連の質問でございますけれども、結局、今回のこの件についてはさまざまリスクが高まっている。

 結局、厚生労働省は、二月五日以降はちゃんと、皆さんお部屋に戻っていただいて、船内でウイルスが蔓延する、感染が広まるというようなことはないような対策は十分打ってあるということから、きのう、陰性ということが確認された方は下船をされたということでございます。

 これについても、本当にこういう対応でいいのかどうなのかということは既に予算委員会で審議が行われたところです。よその国、例えばアメリカについては、一旦カリフォルニア州に戻って、そこで十四日間の経過観察を改めて行うというような対応もされているところでございますが、そのことについても、我々野党の方でもいろいろ提案を申し上げたところです。

 ただ、実際、このように厚生労働省の職員も感染をしている、また検疫官も感染をしている、DMATの医療スタッフも感染をしているということからすると、二月五日以降にこうしたきちっと対策をとっていたはずの人たちですら感染をしているんだから、やはりそれなりに船内で二月五日以降も感染が広まっていたのではないのか、こういうふうに心配せざるを得ないんですね。実際、感染確認の数もここに来て急増しているわけです。

 こうした状況を踏まえれば、やはり検査の体制というのを充実していかなければならない。これまでも、湖北省縛りというのがあって、感染が疑われているけれども検査されない。現場のクリニックの医師がこれは検査した方がいいんじゃないですかと保健所に問い合わせても、湖北省縛りというのがあるからだめですと。最近では浙江省もその中に入るということでございますが、こうしたことで、現状把握ができていない、誰が感染しているのかもわからない状態がいまだに続いているのではないのか。やはり、こうしたウイルスの検査をしっかりと整備をして、そして、感染が確認された方、特に重篤な方についてはすぐに入院できる、こういう体制をつくっていくことが大事だと思います。

 政府の方では、緊急対策ということで百五十三億円、予算として、予備費も活用しながら、計上して実行するというふうに言われておりますけれども、しかしながら、本当にこれで十分足りるのか。特に、今申し上げた検査体制、医療体制の強化ということで三十・六億円しか積んでいないわけですね。これで十分足りるんでしょうか。政務官、ちょっとお答えいただけますでしょうか。

小島大臣政務官 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスへの対応につきましては、先般取りまとめました緊急対応策を実行していく中で、政府全体といたしましては総額百五十三億円を措置しているところでございます。

 このうち、PCR検査は、現在、国立感染症研究所を中心にしており、特にクルーズ船において多数の新型コロナウイルス感染症患者が発生しているため、判定を速やかに行う多量検体検査システムの緊急整備を行うとともに、検査可能検体数を大幅に増加させるため、地方衛生研究所にリアルタイムPCR装置等の整備を支援をしているところでございます。

 引き続きまして、検査体制を強化して図ってまいります。

櫻井委員 私の質問は更にその先なんですけれども。

 それで、そういった検査体制を整備するのに三十・六億円で足りるんですか、こういう質問だったんですが、これで足りるということなんでしょうか。来年度の当初予算にも新型コロナウイルスの対策費というのは計上されておりませんけれども、大丈夫なんでしょうか。

小島大臣政務官 お答えいたします。

 また、今後、そのように感染者がふえるという中におきまして、必要な経費はしっかりと措置をしてまいります。

櫻井委員 実際、先ほどおっしゃられた国立感染症研究所、それから地方自治体が保有する衛生研究所だけでなく、例えば大学病院クラスの大きな病院であれば、十分こうしたウイルス検査ができる能力はあるかと思います。もちろん、日々の診療の中でほかのウイルス検査もしなきゃいけないということで、全てをそちらに回せるわけではないにしても、しかし、そうした大学病院、それから民間の研究機関の中にもこうしたウイルス検査ができるところはあるわけです。こういったところを総動員してやっていかなきゃいけない。そのためにはこの三十・六億円では到底足りないのではないのか、こういうふうに申し上げているので、ぜひここは万全の体制、まず現状把握ができないとどんな対策を打っていいかわからないわけです。

 全てが後手後手に回っている原因の一つには、例えばダイヤモンド・プリンセス号の話についても、我々野党からは、二月五日、着岸するときから、まず全員検査を早急にやるべきじゃないのか、そして感染が確認された方については即刻治療するということで、感染拡大を防止するべきだということを申し上げたんですけれども、実際、厚生労働省はそういう対応はとらなかった。その結果、これだけの大勢の方が感染されてしまったということになっているわけですので、ぜひこの対策をよろしくお願いいたします。

 厚生労働政務官、お忙しいでしょうから、これで最後になりますけれども、ちょっと話はかわりまして、資料四に移りまして、これはちょっと要望させていただきます。

 子供の貧困率について、この後、いろいろな質疑の中で質問させていただこうと思っているんですが、厚生労働白書、平成二十三年のものを載せております。ちょっとこれは古い話ですので、ここから数字が大分変わってきているかと思うんですね。子供の貧困率、所得再配分をする前と後の数字なんですけれども、このときより多分改善はされているはずだと思うんですけれども、ただ、厚生労働省としてこの後調査はしていませんということだったので、古い数字を載せております。

 安倍政権で、我々、全然足りていないというふうにいろいろ申し上げていますけれども、ただ、何もやっていなかったわけではなくて、着実に少しは改善しているはずですので、ぜひ、こうしたデータをとっていただいて、白書に載せる載せないは別として、とっていただきたいなというふうにお願いするんですけれども、政務官、いかがでしょうか。

小島大臣政務官 これも通告がなかったんですけれども、しっかりお互い、我々も子供の貧困につきましては十分に認識していますので、しっかりと応援していきたいと思っています。

櫻井委員 ありがとうございます。ぜひ、まず現状把握、データをとるところからしっかりやらないとその先への対策には進めないということで、よろしくお願いいたします。(小島大臣政務官「ちょっと一点いいですか」と呼ぶ)もう一点、はい。

小島大臣政務官 先ほどは失礼しました。年代という質問があったわけですが、今わかりましたので、御報告申し上げます。

 厚生省は五十代、四十代の方でございます、二名。そして、内閣官房は三十代でございます。

 以上でございます。

櫻井委員 もう一度確認します。

 厚生労働省からは二名の方で、四十代男性、東京都在住の方は先ほど確認をさせていただいたところです。もう一人、五十代とおっしゃった方は、これは男性、女性どちらなのか、また、どちらに在住されているのかもあわせて教えていただけますか。

小島大臣政務官 お答えいたします。

 まず、性別はお伝えしておりません。居住地も公表しません。

櫻井委員 それは政務官、ちょっとおかしいでしょう。だって、先ほど奈尾審議官は、感染症対策の観点から、性別それから年齢、年齢というかざっくりとした年齢ですね、それから、どこに住んでいるのかということについては公表していますというふうに言ったわけですよ。必要だから公表すると言っているんですよ。だから、その部分については公表してもらわないと。名前まで出せと言っているわけじゃないんですから。お願いしますよ。

小島大臣政務官 失礼しました。今すぐ調べますので。

櫻井委員 ぜひ教えていただきますようよろしくお願いいたします。そうしましたら、ちょっとその調査が終わるまでもうしばらくよろしくお願いします。

 次の質問に移らせていただきます。経済への影響でございます。

 先ほども末松委員から質問がありましたとおり、また、前回、先週の私の質問の中でも、インバウンド観光それからサプライチェーンに係る製造業について影響があるということで御説明をいただきました。

 一方で、その後、先週の私の質問以降のことでございますが、総理もいろいろ発言をされている、それから厚生労働大臣も発言をされて、不要不急の外出は控えて、集会等は控えた方がいいんじゃないのかというような発言をされているわけでございます。全国で自粛ムードが高まっていることから、飲食業や小売業等についても売上げ減少の影響が出始めているわけです。

 こうした分野においても経済対策が必要になってくるのではないのかというふうに考えるんですが、これはどのように分析をされていますでしょうか。

宮下副大臣 お答えします。

 まず、観光やサプライチェーン以外の特に消費に着目してのお話でありますけれども、御指摘のように、新型コロナウイルス感染症が我が国の消費に与える影響としましては、イベントや外出の自粛によります下押しが懸念されております。

 この評価ですけれども、まだ定量的な情報は一部しかございませんけれども、例えば、百貨店の各社公表情報によりますと、二月上旬の売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響と見られる客数の減によりまして、前年比でマイナス一〇%から二〇%程度の減となっておりまして、そのマイナス幅は一月から拡大をしております。

 ヒアリングによりますと、このマイナス幅拡大の要因はインバウンド消費の減少、すなわち日本人以外の消費の減少が大きいということでありますけれども、このところは日本人客数も減少傾向にあるということでありますので、日本人の個人消費の影響も懸念されるところであります。

 感染拡大の防止のために、人の密着を避けるために、テレワーク、時差通勤、こういったさまざまな工夫は見られておりますけれども、同時に、こうした出歩くことが少ないということで、消費に与える影響もございます。これにも十分注意していくことが必要だと思っております。

 その上で、どういった対策を打つかということですが、先ほど来お話がありました予備費百三億円、今年度の予算を含めると百五十三億円、この活用によりまして対応しておこうということであります。

 国内感染症対策、水際対策、そして、国民の皆様、また訪日外国人旅行者の皆様への迅速かつ正確な情報提供と風評対策、これも盛り込まれておりますし、また、一月末から、中小企業庁、観光庁において、中小企業や小規模事業者、また宿泊事業者の皆様への専用の相談窓口を設置して、きめ細かい相談を行っております。これについては、ぜひホームページを皆様御参照いただきたいと考えております。

 また、今年度予算の活用によりまして、日本政策金融公庫、また信用保証協会等を通じまして、資金繰り支援、緊急融資・保証枠五千億円を確保しております。今年度補正予算で措置しました中小企業生産性革命推進事業、これは補正予算で三千六百億円盛っておりますけれども、この中の補助事業を活用することによりまして、サプライチェーンで部品が来ない、そうしたところを自前で設備投資をして生産をする、こうした皆さんに支援をしていこう、また、TPP11とか日・EU・EPA、日米貿易協定の締結国への輸出促進の支援、これも補正予算で別途ございますけれども、こうしたことを活用して支援をしていこうということであります。

 さらには、経済上の理由によりまして事業活動の縮小を余儀なくされました事業者の皆様が休業等によって労働者の雇用の維持を図った場合には、休業手当等の一部を助成する雇用調整助成金、これは中小企業だと三分の二、大企業だと二分の一が助成されますけれども、この基準を緩和しまして、昨年度の中国関係売上げが一割以上の事業所の場合、雇用調整助成金支給要件、これまでは直近三カ月の売上げの平均をとって前年比で一〇%以上減少、こういうことが必要だったわけですけれども、一カ月のデータで減少していればこれを出す、こういうふうに運用も改善しております。

 引き続いて、観光業を始めとする経済への影響を十分注意して、緊急度に応じまして必要な施策を臨機応変に講じるなど、政府一体となって一丸で万全の対応をとってまいります。これとともに、インバウンドの減少など、地域経済への影響も既に見られておりますので、経済全体の下支えを図る観点からも、令和元年度補正予算の迅速かつ着実な実行、また、令和二年度当初予算の早期成立を図る、こういうことで経済運営に万全を期してまいりたいと考えております。

櫻井委員 こうした分野についてもしっかりと対策を打っていただきたいというふうにお願いするところです。

 ただ、気になるのは、今年度の予算を使って、今年度といっても、もう、今月と来月と、あと残り四十日ぐらいしかございませんから、その先はどうなのか。いや、もちろん、その中で収束もして、来年度は平時に戻った形で迎えられるということが理想ではあるんですけれども、ただ、最悪の場合、やはり来年度にも影響が残るのではないのか、四月以降も影響が残るのではないのか。こう考えたときに、来年度予算、今まさに審議中でございますが、ここでは何ら十分な予算は確保されていないのではないのか。予備費で対応します、こういうことなのかもしれませんけれども、やはりそういった片手間の対策では不十分なのではないのか。

 こういうふうに心配するんですけれども、最後に、来年度予算でもちゃんと確保しますということで、そのためには、修正、今の予算、審議している予算を変えなきゃいけないと思うんですが、それについても、やはり対策をやるためにちゃんと積み増しします、こういうことにならないでしょうか。どうでしょうか、副大臣。

麻生国務大臣 新型コロナウイルスに関しましての対応につきましては、私どもといたしましては、緊急対応策を二月の十三日にまとめさせていただいておりますが、何よりもこれは国民の命と健康を守るのが最優先ということになりますので、必要な対策というものはちゅうちょなく実行していくということにいたしております。

 また、経済全般につきましては、昨年十二月以来、さまざまな下振れリスク等々を確実に乗り越えて持続的な経済成長というものにつなげていくためには、総合経済対策というものを策定させていただいたところでありまして、これらを着実に実行することが重要なんだと思います。

 その上で、令和二年度の当初予算につきましては、例えば今の水際対策の推進とか新型コロナウイルスへの対応に資する経費がいろいろ計上されておりますけれども、現時点でこれらの予算が直ちに不足が生じるという、予想はいろいろ立てられますけれども、今直ちに生じているというわけではありませんから、そういった意味では仮定の話になりますので、私どもは、既に国会に提出した令和二年度予算というものをきちんとやらせていただくということが一番大事かと思っております。

櫻井委員 いずれにしても、対策はしっかりやっていただきたいというふうにお願いします。

 それから、もう一つ、この新型コロナウイルス関連で質問でございますが。

 実は、おととい、にわかに、円相場、円がドルに対して、またユーロに対しても急落をしたという報道もございました。この理由について、例えば日本経済新聞などでは、この新型肺炎の感染拡大などが日本売りを促すとのシナリオも浮上し始めたというような報道も出てきております。さらに、円をもはや安全通貨と言うことはできないとの見方が急速に市場で拡散中だ、こんな日経新聞の報道も出てきているところです。

 さらには、ヘッジファンドには日本売りをしかける絶好のタイミングと映る。いっとき語られた日本株を持たざるリスクも、今や日本株を持つリスクに変わった。円については市場センチメントによる円売りが続きそうだ。こういう報道も出ているところでございます。

 一方で、そういったことを考えると、通貨防衛を考えなきゃいけない。これまで、通貨といえば、財務省は、円高が行き過ぎたときの対応というのが、この数十年、ニクソン・ショック以来の我が国の財務省、大蔵省の対応だったかと思いますが、円安に対して備えなきゃいけないかもしれない、こういう懸念も、リスクも出てきたのではないかというふうに思います。

 一般的に、通貨防衛といいますと、金利を上げるということで、公定歩合を上げるというようなことがいわゆる伝統的な通貨防衛の手段だったと思うんですが、ところが、我が国の場合は、毎年、借換債も含めて、新規発行額、新規発行の国債は百五十兆円を上回る、こういった状況でございます。金利を上げれば利払い負担が増大をすることになる。一%上がっただけで、百五十兆円掛ける一%だったら一・五兆円の利払い増ということになってしまいます。

 なかなか、金利引上げということも難しい局面に来ているのではないのか。そういったときに、財務省としてこの通貨防衛策、どのようなことをとり得るのか、これを教えていただけますでしょうか。

麻生国務大臣 通貨の話というのは極めて機微に触れる話ですから、よく御存じのとおりだと思いますが、仮定の質問に対してお答えすることはありませんから。

 その上であえて申し上げれば、通貨の安定というのは極めて重要でありますので、引き続き、G20とかG7とかいろいろな場所におきまして、政府として、合意に沿って、私どもとしては適切に対応していくということだと思います。

櫻井委員 通貨の話は機微に触れるということですので、それ以上お答えいただけませんでしたけれども、G20、サウジアラビアで行われるということで、ぜひこの通貨の話もしていただければというふうに思います。また、その結果について、またの機会にお聞かせいただければというふうに思います。

 続きまして、本日、いろいろな資料も用意をさせていただきました。

 まず、財政演説、麻生大臣の財政演説において、日本経済につきましては、海外経済の減速等を背景に外需が弱いものの、雇用・所得環境の改善、高水準の企業収益等により、内需を中心に緩やかな回復を続けております、こういう演説をされております。

 また、昨日の報道でございますけれども、政府は、二十日に公表した二月の月例経済報告では、景気は緩やかに回復しているとの判断を維持したということでございます。ただ、いろいろな経済指標を見ると、到底、緩やかに回復していると言えるのかどうなのかというふうに思うわけでございます。

 まず、雇用の方で見ましても、毎月勤労統計を見ますと、これは、二月七日の速報値によりますと、実質賃金は前年比で〇・九%減ということで、三カ月連続で下がっております。また、二〇一九年通年での月平均での実質賃金も〇・九%減ということで、二年ぶりのマイナスになっております。名目で見ましても〇・三%減ということで、これは雇用環境、所得環境の改善と大臣はおっしゃっておりますが、改善どころか悪化をしている、マイナスではないでしょうか。

 これは、大臣、認識、ちょっと違っているのではないですか。

宮下副大臣 このGDP速報等々を踏まえて、足元の景気認識ということでございますので、私から答弁をさせていただきたいと思います。

 御指摘のように、十―十二月期のGDP速報は、前期比マイナス一・六、年率に換算するとマイナス六・三と大変厳しい数字が出たわけですけれども、これは分析してみますと、公需はまず経済を下支えをしている。一方で、民需が弱い動きとなったということで、内需全体としてマイナスとなっております。

 外需においては、海外経済の減速等から引き続き輸出には弱さが見られるものの、輸入が民需の弱さに応じて減少した、輸入の減少、この方が大きくて、外需全体としてはプラス、こういう構造になっております。

 民需の弱さの主因であります個人消費につきましては、七―九月期に前期比プラス〇・五%増加した後に、消費税率の引上げに伴う駆け込み需要の反動減、また、台風、暖冬の影響等もあって、十―十二月にはマイナス二・九の数字となっております。

 ただ、このプラス〇・五、七―九で上がって、十―十二月にマイナス二・九になる、これを、前回の消費税率の前後の駆け込み、落ち込み、これと比較しますと、前回は駆け込みが二・〇、今回〇・五ですけれども、二・〇上がって、次の四―六の落ち込みはマイナス四・八でした。そういうことを考えますと、駆け込みと反動減は前回ほどではなかったというふうに思っております。

 それから足元、十月以降の個人消費の動きを見てみますと、月次では、傾向としては、マイナスは縮小傾向ということであります。

 特に、その景気判断の中で一番要因として大きいのは、雇用・所得環境は引き続き改善しているということであります。

 あわせて、この経済対策もあって、公需の下支えもございますので、我が国の景気は、輸出が弱含む中でも、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復している、こういう総合判断をさせていただいたということであります。

 一つ付言させていただきますと、こういった雇用環境が改善して雇用労働者数がふえておりますので、一人当たりで見ますと、賃金は雇用拡大期には下落ちになる傾向もございますので、そうしたところで一人当たりの賃金のマイナスが若干出ているということはあるのではないかなと思います。

 いろいろ言いましたが、ただ、先ほど来御議論ありますように、経済の落ち込みからの回復過程にあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響という新たな経済の下押しリスクが生じております。インバウンドとかサプライチェーンを通じた影響もありますし、中国経済の減速による世界経済全体の減速の影響等も十分注意していく必要があります。引き続き、経済の動向をきめ細かく注視して、経済財政運営に万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。

櫻井委員 小島政務官、調べはつきましたでしょうか。

小島大臣政務官 今やっています。

櫻井委員 まだ確認中ですか。じゃ、まだ、もうちょっと質問を続けます。私の質問時間もだんだん残りわずかになってしまいましたので、お調べの方、よろしくお願いいたします。

 今、副大臣から御答弁いただきました。

 ただ、この日本の実質賃金の推移ですが、資料一をごらんいただきましたらわかるとおり、これは目先の短期的な話だけでなく、バブル崩壊以降ずっと、日本の実質賃金、上がるどころか下がっている、じわじわと下がっている、こういう状況でございます。ほかの先進国は大体軒並み順調に上がっているにもかかわらず、日本は下がっているということで、これは何でこんなことになっちゃったのかと。

 三年とか五年とか、そういうことだったら、まあ、バブルの調整期間ということでもあるんですけれども、もうこれ、二十年以上こういう状況が続いている。やはり、我が国の構造的な問題があるのではないのか、このようにも考えるところです。

 先ほど、雇用拡大局面においては実質賃金は下がる方向にあるとおっしゃいましたけれども、必ずしもそうとだけ言えないのではないのか。

 ずっと下がってきて、二〇〇八年から二〇〇九年、まさに麻生内閣のときにもどんと下がって、その後民主党政権で多少持ち直したものの、またずっとこう下がっている、こういう状況でございます。

 やはりこれは、実質賃金、賃金が上がっていくような、そういう、ある種わくわくするような社会を取り戻していくために、これはどうしたらいいんでしょうか。

 通告で申し上げているんですが、日本だけがこういうふうに低迷しちゃっているのは何ででしょうかねということでお答えいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

 ちょっと、時計とめてください。(発言する者あり)いやいや、だからこれ、所得について聞くって言っていたじゃないですか。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 麻生財務大臣。

麻生国務大臣 内閣府のあれだと思いますけれども、基本的に、今の御質問で、どうして上がっていないのか、どうやったら上がるのかということを聞いておられるんでしょう、多分、だと思うんですが、これまで、この約七年間の取組によって、少なくとも、求職難だった、我々の内閣の前は求職難でしたから、今は求人難に変わっていますから、これは明らかに世の中の景気は変わってきているんだと思っております。

 有効求人倍率は、難しい言葉を使っていろいろ言っていますけれども、基本的には、百人の学生が社会に出てきたときに、昔は〇・八六ですから八十六社しか来なかった話が今百何十社にふえていますから、約倍ぐらいになってきていますので、求職難が求人難に変わったということは、これは明らかに世の中の景気がよくならないと求人難にはなりませんので、そういった意味では、景況感というものは、中小企業でも人が足りないという時代になっておりますので、私の選挙区でも、明らかに昔は求職難だったんですけれども今は求人難、人口が減りませんので、そういった意味では、変わってきたなという感じは正直しております。

 それでまた、経営を見ましても、経常利益がふえてきておりますので、問題は、経常利益がふえ、内部留保がふえてきた、その内容が賃金に回ったり、また設備投資に回る比率が、純利益、経常利益等々に対する比率としては少ないという点は確かです。

 これはしかし、給料を上げろと交渉しているのは我々がやっているのであって、労働組合がやっているより我々が経団連と交渉しているんじゃないの。今、現実、外に出ている話を、今、神津さん始め一緒にやらせていただいておりますけれども、経団連に対して直接交渉しているのは総理であり私でありというのがやらせていただいているというので、そうしていますけれども、我々は少なくとも自由主義経済をやっておりますので、強制的に幾らにしてくれとかいうような話が、社会主義経済と違いますので、そこらのところはできません。

 少なくとも、今までに比べて内部留保の数が四十何兆円までふえてきた、その前は二十五兆ぐらいでずっと推移していたものが四十何兆におととし上がりましたけれども、去年はその分が少なくとも下がったし、現預金の比率もかなり下がりましたので、その分は少し給料が上がってきたかなという感じがしますけれども、これは経営者のメンタリティーの話ですから、そこらのところをやっていくのはちょっと時間がかかるとは思います。

 私は、少なくとも、七年かかってやっとここまで来るぐらいやはりこの二十年間にわたりますデフレ不況というものの影響は大きかった、経営者に与えた心理的影響、景気という気の部分は極めて大きな要素だったと思いますので、これを引き続きやっていかないかぬというように、今の努力を更に継続させていただくということだと思っております。

櫻井委員 ちょっと私の残り時間も少なくなってきたんですが、厚生労働大臣政務官、答弁の御準備できましたでしょうか。

小島大臣政務官 先ほどの答弁で、奈尾審議官から性別についての話があったと聞いておりますけれども、個人が特定されるおそれがないように、引き続き、公表につきましても検討してまいりたいと考えています。

 また、状況をしっかりと、奈尾審議官にこれから報告を聞いてみたいというふうに思います。(発言する者あり)

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こします。

 残り時間はわずかとなっておりますが、改めて質問の方を簡潔にお願いいたします。

櫻井委員 先ほど、厚生労働省の中で、検疫官、それから四十代男性、東京都在住の方、あともう一人、五十代の方について、男性か女性か、それからどちらにお住まいか、お答えいただけますか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 取り急ぎ調査した結果でございますが、厚生労働省の本省職員につきまして、一人が五十代の男性、東京在住でございます。それからもう一人が、これは先ほど御答弁申し上げましたが、四十代の男性で東京都在住ということでございます。

田中委員長 質疑時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

櫻井委員 はい。

 時間が参りましたので、これで質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

田中委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、当財務金融委員会での所得税法等の一部を改正する法律案の質疑ということで、四十分時間をいただきました。

 本法案そして税金に係るその使い道なども含めた広い観点から、財務省、厚生労働省などに質問してまいりたいと思います。

 まず、先ほど来質疑が行われております新型コロナウイルスに関して、これはやはり経済にも多大な影響を与えます、また、国民生活に極めて重大な影響を及ぼす議案でありますので、引き続き、重複がないように質問をしてまいりたいと思います。

 まず、今も議題に上っておりました、厚生労働省や内閣官房、こういった感染された職員の方々、四人というふうに先ほどおっしゃっていましたね。厚生労働二人、検疫官一人、そして内閣官房一人ということですが、感染の程度とか症状はどんな感じになっていますか。お答えいただけますか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 けさ御答弁申し上げました、昨日発表いたしました厚労省職員につきましては、二月十一日又は十二日からクルーズ船の内外において業務に従事したというふうに承知してございます。ただ、症状等がいつから出たかについては、恐縮ですが、ちょっと調査中でございますけれども、いずれも陽性が確定した後は速やかに入院しているものでございます。

吉田委員 症状、所見、重篤さ、極めてこれは重要ですよ、審議官。それを把握していないということですか、まさか。

 もう一回答えてください。把握していないなら把握していないと正直に言ってください。

奈尾政府参考人 大変恐縮でございますが、現時点では把握してございません。

吉田委員 これは困りますよ、審議官。とんでもないことですよ、これ。把握していないって、重篤かどうか、その後どういった対応をしているか、処置をするのか、そして感染のリスク、そういったものにかかわるところなんだから、そんなことを把握していないって堂々とこんな委員会で言っちゃって大丈夫ですか。大丈夫ですか、本当に。

 では、続き行きますけれども、感染された職員の方、厚生労働省の職員の方が副大臣及び政務官と接触をしたということは、当委員会、午前、審議の中で行われておりますが、どの、どなたですか。

奈尾政府参考人 まず、症状につきましては、現在、専門家を含めて精査中でございます。それから、政務との接触でございますけれども、まず、船の内外で業務をやっておりましたので、橋本副大臣と自見政務官については業務上の接触はあったというふうに承知してございます。

 ただし、この厚労省職員につきましては、横浜で宿泊しておりましたので、それ以後については厚労省職員との接触はないものと思っております。

吉田委員 ありがとうございます。

 審議官、そうすると、副大臣、政務官、感染されていないことを心から本当に祈念をいたしますが、感染のリスクはどのように考えていらっしゃるのか。感染のリスクがあるということであれば、国会審議への影響も当然あります。そういった形で、その感染のリスクはどのように捉えられているのか。PCR検査、陽性、陰性、そういったことも含めて、どのように考えておられるのか、お答えください。

奈尾政府参考人 これは政務以外も含めてでございますが、人と会話する際には、常時、例えばマスクを着用するといった感染防止策はもちろんとってございますけれども、他の職員も含めて濃厚接触はしていないのではないかと見てございます。

 いずれにいたしましても、現地で活動する厚労省職員や他省庁の職員含めまして、感染症の専門家の意見も聞きながら、適切な感染予防策をチェックして対処してもらいたいと思っております。

吉田委員 そんなこと、審議官、全然聞いていないですから、ちゃんと答えてください。

 まず、マスクをしているから濃厚接触じゃないというエビデンスは、もう崩れていませんか。だって、今回罹患されてしまった、感染、陽性になった皆さん、マスクをされていましたよね、当然ですが。そうすると、これはもうエビデンスとして、マスクをしていたから濃厚接触ではないという理論は崩壊しています。だから、まずそこを、審議官、マスクをしていたら濃厚接触じゃないということをいつまでもお題目のようにお唱えになっていても、問題は大きくなるばかりだと思いますよ。

 そして、まず、本当にそういうマスクをしていれば濃厚接触じゃない、感染しないと厚生労働省は考えているのか聞きたいし、そして、副大臣と政務官に関してはリスクをどう捉えているのかという、この二人に限定して聞いているんです。ほかのことは聞いていない。審議官、お答えください。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 常時マスクを着用するというのは、これは例示でございますけれども、このクルーズ船の内外において業務に当たっているのは、感染症の専門家も含めて当たってございますので、専門家の意見も聞きながら感染予防策はとっているというところでございます。

 いずれにいたしましても、今後も専門家の意見を聞きながら、適切に対処してまいりたいと思います。

吉田委員 ちょっと今のはひどいですよ。何言っているんですか。全然答えていないじゃないですか。

 まず、マスクをしたら濃厚接触じゃないと厚生労働省はまだ言うのかということ、そして、本当にマスクがあれば感染しないというエビデンスがあると厚生労働省は考えているのか、ここははっきり答えてください。これは国民に対して大事なメッセージですよ。大事なメッセージですよ、極めて。そして、副大臣と政務官が、感染のリスク、PCRをしたのかどうか、それも含めて答えてくれと言っているんです。

 余計なことは言わないでください。この三点にちゃんと答えてください。

奈尾政府参考人 単にマスクをすれば一〇〇%防げるかというと、当然、必ずしもそうではないと思っております。いずれにしましても、専門家の意見も踏まえながら対処していくものだと思いますが。

 副大臣と政務官については、これまでPCR検査をしたという話は聞いてございません。

吉田委員 PCR検査はしないということですか。

奈尾政府参考人 今後につきましては、改めて感染症の専門家の意見も聞きながら、適切な策を、適切な対処をしてまいりたいと思っております。

吉田委員 では、今、副大臣と政務官はどこで何をなさっていますか。濃厚な接触と私は考えますが、をしてしまった後、どのような業務について、今現在もどこにいらっしゃいますか。お答えください。

奈尾政府参考人 副大臣、政務官ともに、クルーズ船の内外において業務を行っているというふうに聞いております。

吉田委員 そうするとなおさら、そういう業務に当たっていらっしゃる、そして、感染者とそういう接触をしたということであればなおさら、感染のリスクを確認すべきではないですか。例えば、これは副大臣、政務官の御健康、お体を守るという意味、健康を守って職務を遂行していただくという意味でも重要なことではないですか、審議官。

奈尾政府参考人 副大臣、政務官の健康状態につきましては、感染症の専門家の意見も聞きながら対処してまいりたいと思います。

吉田委員 では、感染症の専門家たちは、今どうやっておっしゃっているんですか。

奈尾政府参考人 現状におきましては、橋本副大臣、自見政務官におきまして、感染した厚生労働省職員と濃厚接触はしていないのではないかという評価と聞いております。

吉田委員 ないのではないかと、ちょっと表現が後退したようですが、なぜ、ないのではないかになったんですか。

奈尾政府参考人 大変失礼いたしました。(吉田委員「されていないということですね」と呼ぶ)はい。濃厚接触はしていないと聞いております。

吉田委員 審議官、マスクといってもいろんなマスクがありますよね。ありますね。どのようなマスクをしていれば、では濃厚接触じゃないというふうに厚生労働省は考えているんですか。

奈尾政府参考人 済みません、マスクの種類の詳細は聞いておりませんが、サージカルマスクを使用しているというふうに承知しています。

吉田委員 余り細かいことはあれですけれども、サージカルマスクというのはいろいろありますけれども、サージカルマスクでは完全な防御というのはできないと思いますよ、一般のサージカルマスクでは。本当に高度な、完全にウイルスをシャットアウトできるマスクは確かにあるんです。しかし、それを本当に全員がなさっているとはちょっと、ここは考えづらい部分もありますし、そうすると、なおさら、マスクをしていたら濃厚接触ではないという話は完全に破綻すると思うんですが。

 本当に、マスクをしていたら濃厚接触じゃないという、これは、国民にも誤ったメッセージを発することになりかねないと思いますが、審議官、どうなんでしょう。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 マスクのみならず、例えば、話をするときにある程度間隔をとるとか、そういうのも含めてでございますが、いずれにしても、感染症の専門家とよく相談してまいりたいと思っております。

吉田委員 どうも、感染症の専門家の意見、意見ということを伺っていると、厚生労働省が正しく実態を把握していないんじゃないかというふうに、私は、今の審議官の御答弁では感じてしまいます。

 では、それに関してもう一問だけちょっとお伺いしたいんですけれども、先ほど来、櫻井委員の質疑の中でもありましたが、厚生労働省と内閣官房、そしてもう一人で、三人一組で作業に当たっていると伺っております。また、その中で、この三人の中のお二人が感染をしていたというふうに聞いておるんですが、残りのもう一人に関しては、感染に関してはチェックをされたんでしょうか。

奈尾政府参考人 三人一組で業務に当たっていたというふうに聞いておりますけれども、もう一人については、現在調査中でございます。

吉田委員 調査中というのはどういうことですか。PCRが陰性だったんですか、陽性だったんですか。陰性だったということですか。

奈尾政府参考人 PCR検査等が必要かどうかを含めて、現在調査中と聞いております。

吉田委員 いや、必要でしょう。

 ごめんなさい、これは、三人セットでお仕事をされていたんですよね。そのうち二人が感染しているんですよね。残りの一人がPCR検査が不要だとする根拠は何ですか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 そのようなPCR検査が必要かどうかを含めて、専門家に意見を照会してみたいと思います。

吉田委員 ちゃんと答えてくださいよ。

 だから、PCR検査、やっているんですか、やっていないんですかということぐらい、答えられるでしょう、まず。そして、やっていないんだったら、何でやっていないのかを、エビデンスを示してくれと言っているんです。そんなことを示せないんですか。おかしいですよ、厚生労働省。

奈尾政府参考人 PCR検査をやっているかやっていないかを含めて、現在確認中でございます。

吉田委員 確認中というのはどういうことですか。わからないということですか。

 ほかにもうちょっと専門家、この場にいらっしゃらないんですか。ちょっとこの審議官では全く、国会での質疑という意味で、意味をなしません。審議官の今御存じの内容のレベルではとても審議にたえられないですよ。本当に専門家はいないんですか、ほかに。

奈尾政府参考人 現場における感染の状況につきましては、実際に現場で作業に当たっている感染症の専門家の意見を聞くのが一番よいのではないかと考えているところでございます。

吉田委員 だから、PCRをしていないのかしているのかということは、御存じないんですか。審議官は御存じないんですか。

奈尾政府参考人 PCR検査につきましては、現在確認中でございます。

吉田委員 では、きょう、確認して教えていただけますか。この質疑時間中にお答えいただけますか。

奈尾政府参考人 速やかに確認してみたいと思っております。

吉田委員 では、すべからく、早急に確認ということで。

 いや、これは現場で必死に作業に当たっている皆さんに対する敬意という意味でも、大変に私は疑問に感じますよ。先ほどちょっと横で電話して、現場も忙しい、混乱しているんだからというようなことをおっしゃいましたけれども、それは違うと思いますよ。現場で当たっている方の身を守ることが最も重要なことの一つではないでしょうか。

 であればこそ、こういう議論を国会でして、すべからく、任務に当たっている、本当に命がけで御自身の命、健康をかけて現場で作業に当たっている人の、その安全を確認することを、そして、その安全をどのように担保していくかということを議論していく、これは極めて重要なことだと思いますが、審議官、違いますか。

 では、結構です。このまま続けて、ちょっと次の質問にさせていただきますが、これは本当に、現場で闘っていらっしゃる皆様に対する敬意を我々は表さなきゃいけないと思います。ですので、この問題はちゃんとお答えをいただければと思います。

 では、質問のテーマをかえさせていただきます。

 まず、たばこ税、今回の改正に含まれるたばこ税の改正についてお聞きします。

 我が国は全体の喫煙率が低下しております。しかし、女性の喫煙率というのは高どまりしているのを皆様御存じだと思います。

 厚生労働省の調査によると、平成三十年の男性で習慣的な喫煙をされている方、二九%、ここ二十年前から約二二%程度減っています。ただ、女性の喫煙率は八・一%と、二・七%しか減っていません。

 一方で、たばこは女性の妊娠に影響を与え、また多くの生活習慣病との相関を指摘されています。加えて、厚生労働省の「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」、二〇一六年のものですが、これにも記載されていますが、肺、口腔・咽頭、喉頭、鼻腔などの多くの悪性腫瘍に関して喫煙との因果関係が明らかに、大臣、なっております。

 そこでお伺いしますが、大臣、今回のたばこ税の改正によって税収はどのくらい増加するという見込みなのか。また、先ほど申し上げたような、喫煙にはそもそもの大変なリスクがあります。その事実を踏まえて、今回の法改正の目的は税収増なのか、又は国民の健康増進なのか。お答えください。

麻生国務大臣 これは御存じのように、たばこ税というものは、従来、財政物資というんですけれども、財政物資なので、他の商品に比べて税率が高いというものであるのは御存じのとおりで、国また地方にとりまして貴重な財源となっております。

 今回のたばこ税法の改正の目的ですけれども、販売数量を急速に伸ばしてきている、今、たばこを吸われないなら御存じないかもしれない、軽量の葉巻たばこにつきましては、紙巻きたばこと類似しているものなんですが、いわゆる紙巻きたばこに比べて税負担が極めて安いということになっていますので、課税の公平に問題が生じているのではないかということが一点。

 これをこのまま、軽量紙巻きたばこの市場拡大によって、中長期的には国並びに地方への税収というものに大きな影響を与えますし、低価格競争によるたばこ市場というものへの影響等々が危惧されますので、今回は課税の適正化というものを目的としてたばこ税の見直しというものをやらせていただきましたけれども。

 具体的には、一本当たり一グラム未満の軽量紙巻きたばこについて、重量に応じて課税をされております現行の課税方式だと更に安くなりますので、紙巻きたばこと同等の税負担となるように、たばこ税率の引上げに合わせて段階的に税率を引き上げることとさせていただいております。

 税収見込みがどれくらいかということだと思いますけれども、この見直しによります増収見込み額は、これは、近年のたばこ販売数量の動向とか課税方式の見直し等々による影響等を勘案して、地方税はよくわかりませんが、国税分では平年度ベースで約十億円程度と見込んでおります。

吉田委員 大臣、ありがとうございました。もう少し簡潔にお答えいただければと思います。

 状況はわかりましたけれども、私が趣旨として聞いた、今回の法の目的は税収増なのか国民の健康増進なのか、そういった観点では財務省では議論されていないのですか。そこをお答えいただけますか。簡潔にお答えください、簡潔に。

麻生国務大臣 私どもは国民の健康を管理している役所ではありませんので、税収が何といっても私どもにとりましては最大の問題だと思っております。

吉田委員 結構です。それで結構です。

 では、ちょっと厚生労働省の参考人にお伺いしたいんですが、今回の増税対象の葉巻たばこですが、今、麻生大臣は、財務省は健康には興味がないとはっきりお答えをいただきましたので、そのことに関してちょっと聞きたい。

 近年の紙巻きたばこのたばこ税の課税強化について。まず、シェアが増加していますよね。一部の研究者、これはまだちょっと確定的な情報はいろいろないんですが、葉巻たばこの副流煙の方が紙巻きたばこの副流煙よりリスクが大きいという話もあるわけです。この四月、ちょうど改正健康増進法が施行されました。分煙の強化がされることになっていますが、葉巻たばこの副流煙についての健康の影響を厚生労働省はどのようにお考えになっているか。財務省が全く興味ないとおっしゃったので、ちょっとこれは大事なことなのでお伺いさせてください。

麻生国務大臣 興味がないというよりは、所管をしておらぬと申し上げておるんです。言葉はよく考えて選んでいただかぬと、こちらも立場がありますので。

小島大臣政務官 葉巻たばこの副流煙が紙巻きたばこと比べてどの程度あるのかという検証は行っておりませんけれども、紙巻きたばこと同様にたばこ葉を使用していることから、葉巻たばこについても受動喫煙による健康への影響が当然あると考えております。

 平成三十年国民健康・栄養調査によれば、現在習慣的に喫煙している者が使用しているたばこが、たばこの製品の種類では紙巻きたばこと加熱式たばこが大半であるため、これらのたばこ製品による健康影響について調査研究を行っているところでありまして、これら以外のたばこ製品による健康影響の評価については、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

吉田委員 かなりシェアが、やはりネットを見ても、かなりこの葉巻たばこに切りかえたなんという方がいらっしゃって、それをブログなんかで書いている方もいますので、健康影響はやはり確認された方がいいと思いますよ。これは希望です。

 委員長、ちょっと、時間をさっきとめていただいていなかったみたいで、大分私の質疑時間が減ってしまいましたので、適正な運営をお願いをいたします。

 予算の基金化について麻生大臣にお伺いいたします。

 民主党政権下の平成二十三年に、いわゆる科研費ですね、科学研究費補助金の一部が基金化されました。基盤研究C、挑戦的研究、若手研究Bが基金化されました。これはやはり研究者にとっては画期的な出来事だったんです。

 それまでは、例えば、年度末に業者に預け金として支出をして、年度をまたいで必要な機器を納入させる、また、年度末に駆け込みで予算を使い切るといった、当時としては無駄若しくは違法なことが行われた事実があります。これが、必要なときに申請すれば基金を受け取ることができるようになったわけですよね。会計年度にとらわれない物品調達や研究の進捗に合わせた科研費の前倒しもできるようになった。次年度への繰越しもできるようになった。研究者にとってはもう福音ともいうべきすばらしい制度だったんです。

 これを受けて、翌年には基盤研究B、若手研究Aの一部が基金化されて、平成二十七年度には四つの新設された研究種目も基金化されていると思います。基金化は一気に進みました。この科研費の基金化については、財務省はどのように御評価されているのか、簡潔に大臣の御意見を聞きたいです。

麻生国務大臣 基金化されたおかげで、今話題になっているといえば、山中先生、神戸大学から京都大学かな、移られて、山中先生のあれとか、山海先生のロボットの話とか、世界的なやつが全部ここから生まれましたので、その意味では、結果は、この世界は千三つといって、千やったら三つ当たればいいというような世界なんだそうです。私もよくわからないんですが、千三つですと言われたので、当時、その言葉だけ覚えておるんですけれども。

 私ども、基金というものについては、確かにおっしゃるようにこれは利点もあるんですけれども、執行、管理の困難さというのはどうしてもついて回りますので、これはよかったじゃないかといえば、それは、結果だけ見ればよかったところもあります、確かに。だけれども、これをやっていなかったら絶対あれはできていなかっただろうと思いますから、それはよかったと思っていますけれども、管理の難しさというのは残っているという点で、なかなか一概によかったよかったというだけの話ではないと思っておかぬといかぬと思います。

吉田委員 大臣おっしゃるとおり。ありがとうございます。本当に、しっかりと御答弁いただきまして、感謝申し上げます。

 難しい部分はあるんですが、やはりできるところやいいこと、大臣もおっしゃったように、やれることはやった方がいいんじゃないかという趣旨を私も申し上げたいんです。

 参議院事務局企画調整室が編集、発行している「立法と調査」の二〇一五年八月、ナンバー三百六十七に、基金に関しては、これまで大きく三つの時点で多用されていたと分析され、一つは、バブルの時代、平成元年度補正予算では、バブル経済による自然増収の使い道として多くの基金が設置されました。これは、財政規律の大変緩んだ予算編成だという評価もあるものだそうでございます。また、リーマン・ショック後の平成二十年度と平成二十一年度、まさに麻生大臣が総理をお務めだった時期、そして、平成二十三年度補正予算以降においても、震災対策及びそれに続く不況対策として多くの基金が設置されました。

 例えば、平成二十一年度補正予算、大臣、覚えていらっしゃると思いますが、五兆六千億計上されて、延べ六十三の基金に拠出されていますね。ただ、これは景気対策、消費税引上げに対する経済政策で、多くの補正予算で新規に設置されていたわけであります。緊急性の部分で多くの問題もあったのではないかという評価がされています。

 一方で、震災対策として、平成二十三年度補正予算でも多くの基金が設置されておりますが、これは逆に言うと、大臣、さっきおっしゃったような基金の使いやすさの証明だった部分もあるのではないか、そのように考えております。

 きょうお伺いしたいのは、公共工事に関する予算。例えば、インフラは、これからは新規に建設するというよりはメンテナンスが非常に重要に、これは大臣、なってまいりますね。このような公共工事に関する予算、特にメンテナンスの部分で、使い切り、つまり、予算執行のための不要不急の工事といった、年度末などに今でも多く見られる弊害を避けるために、たとえ一部でも基金化して、必要な際に必要な分の費用を捻出することができるようにできないかと私は思うんです。

 このような制度を創設すれば、大臣、不必要な公共工事等を減らして、余剰な予算は基金に資金としてプールすることができます。逆に、大臣、本当に必要な巨額な費用を要する公共工事等が喫緊の課題として浮上した場合にも、プールされている資金に加えて、基金から前倒しで予算を捻出して、それを実現することができます。

 こういった公共工事に関して、国民があきれ返るような年度末の使い切りや不要不急かつ無駄な予算執行を防いで、真に必要な部分に予算を使用するために必要な施策ではないかと私は考えますが、財務省の御意見を聞かせてください。

麻生国務大臣 このいわゆる公共工事というのは、道路にしても、橋にしても、港湾にしても、中長期にわたりますので、毎年度の所要額をあらかじめ見込めるということは別に困難な話ではありませんので、そういった意味では、いわゆる基金方式の利用というのは予定をしているわけではありません。

 また、御指摘のありました、公共工事が年度末に集中しているということに関しましては、これは昔からよく言われている話なんですけれども、最近は随分減ってきたんだと思っていますが、それでも国土交通省等々、事業を所管しておられる役所において、年度をまたいで予算として翌年度に繰越し使用できるということは昔に比べれば随分緩やかになってきていますし、国庫債務負担行為というものを活用した年度中の早期執行とか、それから、仕事を受ける受注者が工事の見通しが立てられるように発注見通しというものをあらかじめ公表しちゃう、そういったようなことなどによって、年度内の施工時期の平準化というのは結構前に比べては進んだとは思っておりますけれども。

 いずれにいたしましても、そういった形でやらせていただこうと思っておりますので、今、基金方式をこの公共工事に当てはめるという予定をしているわけではありません。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。

 いろいろなお考えでちゃんとやっていただいているということもわかりましたので、ますます、ぜひこれは、大臣、日本の財政のある意味守り神、守護神なわけですから、こういったところをしっかりと監視を財務省でしていただいて、今おっしゃったような工夫、あらゆることを総動員して、無駄と国民に映るようなことはやはりよいことではございませんので、そういったところは大臣に本当にこれからも注力をしていただければと希望させていただきます。

 それでは、黒田総裁、済みません、お待たせいたしまして。黒田総裁に御質問させていただきたいんですが、私が日ごろから心配している我が国の金融政策であるいわゆる量的緩和政策、特にETFについてお伺いしたいと思います。

 日本銀行は、特に二〇一〇年十二月からETF買入れを開始して、二〇一三年一月からインフレターゲット二%を目指して量的緩和を続けてきておられます。

 その結果、日銀は、九月末で株式の時価ベースで三十四兆円を超える株式を保有されています。我が国の最大の株主であると報道もされています。同時に、国債などその他の資産も考慮すると、二〇一九年九月末で五百六十九兆円という莫大な資産を有していらっしゃいます。この資産の額は、約十年前の二〇〇九年三月の百二十三兆円と比べると約四・六倍に達しています。

 そこで改めてお伺いしたいんですが、日本銀行がこのような莫大な資産を所有し、更に増加させようとしている意義に関して、最高責任者である総裁の御所見を伺いたいと思います。

黒田参考人 御案内のとおり、日本銀行は、二%の物価安定の目標を実現するために大規模な金融緩和を実施しております。その手段として、長期国債あるいはETFの買入れを行っております。

 長期国債の買入れにつきましては、現在の金融調節方針では、長期金利が操作目標であるゼロ%程度で推移するように、弾力的に買入れを行っております。また、ETFの買入れにつきましても、株式市場のリスクプレミアムに働きかける観点から行っております。こちらも、リスクプレミアムの状況を見ながら弾力的に行っております。

 こうした金利の低下とリスクプレミアムの縮小を促すことによって、極めて緩和的な金融環境をつくり出して、経済活動にプラスの影響を及ぼしていくということが、物価安定の目標の実現のために必要というふうに考えております。

 一方、御指摘の、こういったかなり巨額の資産を持っている、特にETFなど価格の変動があり得るものを持っているということに関する財務リスクというものについても、十分財務の健全性には配慮しながら適切な政策運営に努めてまいりたいというふうに考えております。

吉田委員 総裁、ありがとうございます。

 引き続いて、本当はFRBの資産圧縮に対する日本銀行の評価をちょっとお伺いしたかったんですが、時間がちょっとないので、そこを、評価をあわせた中で、我が国のETFの出口戦略に関して、総裁、お答えください。

 資産は、国債等、二〇年度末には我が国最大の株主となるとされていますね。今後は株式を売却しなきゃいけない場面も出てくる。しかし、株式の売却は、国債以上に市場への、マーケットへの影響は大きいですね、総裁。慎重に行う必要があるということを考えると、米国の比較にならないほど慎重に、また、長期にわたって資産圧縮をしていく必要が想定されるのではないかと私は考えます。

 そこで、今回、特にETFに絞って、日本銀行としての出口戦略を既に立てているのか、また、出口戦略の開始の時期をどのように考えられているのか、そして、どのように進めていくつもりか。当然、これは御説明をやはりしていただく必要があると思いますが、総裁のお考えをお聞かせください。

黒田参考人 先ほど申し上げましたとおり、現在の長短金利操作つき量的・質的金融緩和というものは、二%の目標の実現を目指す上で必要な政策であると考えておりますが、その一方で、財務の健全性にも十分留意していく必要があると考えております。

 そこで、ETFの買入れに関しまして、当然、先行き、物価安定の目標の実現が近づく際には、ETF買入れの出口についても具体的に検討していくということになると思います。

 一般的、抽象的には、仮に、出口ということで、日本銀行が買い入れたETFを処分する場合には当然具体的な処分の方針を定めますけれども、その基本的な考え方については既に明らかにしておりまして、まず第一に、市場などの情勢を勘案した適正な対価によること、第二に、市場などに攪乱的な影響を与えることを極力回避すること、第三に、損失発生を極力回避することといった方針を明らかにしておりまして、委員御指摘のとおり、急に処分するということはない、かなり時間をかけて、マーケットの状況を見ながら、出口においてそういうことに対処していくということになろうと思います。

吉田委員 当委員会でもしばしば議論になっているところでございますし、また、ちょっと本当は、いろいろ更に聞きたいことを準備してきたんですが、時間がございませんので、また次回の機会でということで。

 総裁、お忙しいでしょうから、どうぞ御退席いただいて結構です。

 それでは、厚生労働省、政務官にも来ていただいていますので、GPIFに関してお聞かせください。

 GPIFの場合も、ETF同様に、出口戦略、大変重要であると考えます。特に、その資金の性格上、将来の一定の時期に取崩しをしなければならない可能性が高いわけです。また、株式投資の中でも外国株式も購入していて、株式市場のマーケットリスクだけじゃなくて為替リスクも内包をしているわけです。

 しかしながら、帳簿上、すなわち時価ベースで利益が出た、含み得が出たとしても、実際に売却しなければ利益など確定は当然いたしません。逆に、評価損が拡大した場合、含み損が出てきた場合はそもそも売却できるのかという問題も生じます。したがって、ETF以上に出口戦略をしっかりと立てて、市場、マーケットに影響が及ばないように実行しなければならないわけであります。また、相場環境を見ながら売却を進める必要もあるということで、非常に難しいかじ取りだと私は感じます。

 また、資産の運用について、会計検査院は、基本ポートフォリオの変更により株式の占める割合が増加し、リスクが大きくなるなどしており、収益が減少するリスクに対し国民に対して丁寧に説明を行っていく必要があることから、二十九年度の業務概況書に記載されている保有期間一年のバリュー・アット・リスクに加えて、ストレステストの結果等中長期のリスクについて継続して記載することとして、懸念を示しています。

 こういった会計検査院の指摘も含めて、厚生労働省として、GPIFの出口戦略、どこからがリスクになると考えているのか、また、リスクヘッジができるのか、リスクが生じたときどう対応するのか、そして、最終的に責任がとれるのか、誰が責任をとるのか。厚生労働省の見解をお伺いします。

小島大臣政務官 お答えいたします。

 本来は、基本的には、年金積立金の運用につきましては、その時々の経済状況によって短期的な収益に変動が生じることは避けられないと考えておりますが、長期的な観点から評価されるべきものであり、短期的な変動にとらわれるべきではないというふうにまず考えております。

 その上で、年金積立金の運用につきましては、一義的には実際に運用を行うGPIFが受託者責任を負っておりますが、最終的には年金制度を所管する厚生労働大臣が責任を有するものと考えております。その責任とは、経済や運用環境の変化に適切に対応し、複数の資産を適切に組み合わせた分散投資を行うことにより、安全かつ効率的な運用が行われるよう努めていくことであると考えております。

 なお、長期にわたり継続して日本及び世界の経済が下降し続けることで年金積立金の運用に影響が及ぶことは想定しがたいため、仮定の質問にはお答えすることは差し控えたいと思います。

吉田委員 時間が近くなってきましたので、またこの議論もぜひ次回させていただきたいと思います。

 麻生財務大臣に質問させていただく機会は大変貴重でございますので、一問、最後に大臣、お願いいたします。

 簡潔に申し上げますが、例えば少子化対策、あらゆることをやっていくべきだと思います。例えば、出産育児一時金は今四十二万円ですが、五十万に増額しても七百億円程度の予算でこういったことは可能になります。ぜひ御検討いただきたいですし、不妊治療、生殖治療に関して、大臣にちょっと意見をお伺いしたいんです。

 こういった生殖医療というのは、挙児を希望する方たちに非常に大きな福音となるものであります。将来の国を支える根幹たるこの生殖医療、不妊治療等に関して、現状、自費で全て行っていること、一部の体外受精とかが全部自費であることをどう考えるのか。また、生殖医療を保険適用とした場合に、国家財政にどのような影響を与えるのか。また、保険適用とならなかった場合でも、例えば選定療養とかを用いて体外受精の本体の一部や周辺の検査等については保険適用して負担軽減を図るとか。そういったことに関して財務省としての御意見を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

麻生国務大臣 子供を産み育てるというのは、これはもう間違いなく、そういった環境をつくっていくということは、これは非常に重要な政策課題なんだと思っております。

 今先生御指摘の出産育児の一時金の増額というのは、これまでも順次、三十万円から今四十何万円になっていると思いますが、それまでずっとさせていただいているんですが、累次の増額プラス、今言われました体外受精等々、保険適用とならない不妊治療を行われる方に対する経済的負担を軽減するための費用の一部というようなことをこれまでも行ってきたところではあります。

 少子化対策というのは、これは日本にとりまして中長期的な最大の国難と言えるほど大きな問題なんだ、私はそう思っているんですけれども、出産育児の一時金の主なる原資である保険料の負担ということになりますので、これは新たな取組に対する安定的な財源をどういうように確保するかとか、疾病に対する治療というものを保険適用の対象としておりますいわゆる公的医療保険のあり方等というものについてもどう考えるかなどの課題がいろいろあると承知をいたしております。

 どのような取組を行うかというのは、これはどういった効果が本当にあるのか、これは主として厚生労働省においてしっかり御検討いただくということになりますので、その上で、財務省としてきちんと議論をさせていただくということになろうかと存じます。

吉田委員 ありがとうございました。

 終わらせていただきます。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。

 本日も質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 冒頭、午前中の質疑の中で同僚議員が行った質疑で、PCR検査をしたのかしなかったのか、これについて午後一番で御報告をいただけるということでしたので、まずその結果について教えてください。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 検査の対象になります濃厚接触者の範囲から少し御説明いたしますと、濃厚接触者、幾つか類型がございますが、患者の方が発病した日以後に接触した者のうちで幾つかの類型に当たる方を濃厚接触者と呼んでいる、これは国立感染症研究所の定義でございます。

 今回、厚生労働省職員や内閣官房職員と一緒に業務に当たっていた方が一人いらっしゃるわけでございますけれども、通常は、濃厚接触者の方については症状を認めた場合にPCRをするという原則でございます。この方について、三人目の方について、濃厚接触者に該当するかどうかを含めて現在専門家による調査が行われているところでございます。

日吉委員 結論としては、まだ結果はわからない、調査続行中ということでよろしいですか。

 であれば、委員長、引き続き調査をしていただくようお取り計らいをお願いいたします。

 それでは、本日は所得税法等の一部を改正する法律案についての質疑ということで、この前の委員会で、税のあり方、国家のビジョン、こういったことをお伺いしましたが、まず、税のあり方についてもう一度、この前の議論を踏まえて御質問をさせていただきたいと思います。

 先日の委員会で、麻生大臣は、国家の向かう方向、課題というようなことで、幾つかキーワードをお話しになられました。その中で、経済の好循環を達成させるとか、今一番大きな問題は人口問題ということで少子高齢化だ、先ほども同僚議員の中でその質問がありましたけれども、あと、生活が多様化しているとか国際化が進んでいる、そういった中で、やはり安心して暮らせるような社会をつくっていかなければいけない、こういったことだったと思います。

 こういった中で、今ある税制について、どういったところに、どういった方針で、その税のあり方、どこに重きを置くとか、どういった効果を望んでこういった税制にしているとか、こういった現状について、どのように考えられているのか、現状の方針を教えてください。

麻生国務大臣 過日の財金委でしたか、日吉先生の方から国家ビジョンについてのお話が基本的にあったんだと思いますが、その際には、たしか、経済再生と財政再建の両立というのが一点と、それから、人口問題に限らず、世の中が構造変化しておりますので、それに適切な対応ということ、この二点を主にお答えさせていただいたように記憶します。

 より具体的なことを言えば、経済財政運営に当たっては、例えば民間主導、民需主導の持続的な経済成長というものを実現していくということで、例えば、今お諮りをしておりますこの令和二年度の予算は百二兆ということになっておりますが、この百二兆七千億の支出に対して、入ってくる金というのは六十三・五兆ということにとどまっておりますので、これは、さらなる高齢化とか少子化とかいうものを考えていきますと、保険というか、いわゆる社会保障関係の給付が大きく増加していくということになって、そういった状況の中で、国民のいわゆる老後とかそういった安心、安全といった社会保障というものを次世代に引き渡していくためには、持続の可能性というのを維持していくということが、これは財政的には一番重要だと思っております。

 同時に、今言われましたように、人口減少とか働き方とか人生設計とか、多様化になってきていますし、国際化していますし、グローバル化していますし、また、経済自体もデジタル化とかいろいろな問題が出てきておりますので、経済社会の構造変化というものにどうやって適切に対応していくかというのも、これは欠かせない視点だろうと思っております。

 その上で、税制のあり方を考えるに当たっては、いわゆる財源というものの調達の機能とか再分配の機能とかいった税の基本的役割とか、公平、公正、簡素といったような基本的原則というものを十分に踏まえた上で、先ほど申し上げましたように、個別の税制に加えて、税制全体のあり方というものを検討する必要があるんだということを思っております。

 このような認識に基づきまして、例えば消費税で言わせていただければ、国民が広く受益する社会保障の費用を、いわゆる働く世代だけに集中するのではなくてあらゆる世代が広く分かち合うという観点から、社会保障の財源と位置づけて、昨年十月に、全世代型の社会保障へと転換していくため、一〇%に引上げを行わさせていただいたので、今後の税制のあり方、これまでの改正の効果というものを見きわめつつも、経済社会の情勢の変化等々を踏まえて検討する必要があるものだと考えております。

日吉委員 具体的な話としまして、社会保障を持続可能な形で、経済成長していく中で、社会保障に力を入れていくために消費税を使っていく、これはわかるんですけれども、それ以外に、所得課税があったり資産課税があったり、消費課税といろいろ、その中で税目というのがいろいろあるわけですけれども、そういった中で、国家ビジョン、まあ社会保障はわかるんですけれども、安心して暮らしていくという。でも、その上で、成長もしていかなければいけない、経済を再生していかなければいけない。そのために、どういったところに今税制の問題点があるのか、どういったところにもっと税のあり方、変えていかなければいけないとか、そのあたりの認識を教えてください。

麻生国務大臣 例えば令和二年度の税制改正で言わせていただければ、提案理由の説明の中で申し上げさせていただきましたように、持続的な経済成長を実現して、経済社会の構造変化というものに対して対応するという観点からこの税制改正は行わさせていただくものだ、そう思っております。

 具体的には、経済成長の実現に向けて、いわゆる企業は自分の中だけでやるのではなくて、いろいろな意味でのオープンイノベーションというものの促進に係る税制上の措置とか、また、連結納税制度の抜本的な見直しを行うこととさせていただいております。

 また、経済構造の変化というものを踏まえまして、例えば、全ての一人親家庭に対するいわゆる公平な税制の実現とか、NISA、つみたてNISA等々の見直し等々を行うこととしておりますが、こうした改正は、先ほど申し上げたようないわゆる国家ビジョン等々、長期的なものに沿った考え方に沿ったものだと考えております。

日吉委員 基本的な考え方もお伺いしたかった中で、令和二年度の改正の方向性について今触れていただいたんですけれども。

 大臣が先ほどおっしゃられたように、税の公平、中立、簡素、こういった原則の中において、今、全体の税制の中でどういった項目に問題があるとか、それについてどういった方向性に持っていこうかというようなこと、国家ビジョンの中におきましてどういうふうに問題を認識して今後の方向性を考えているのか。今年度の改正に限らず、これからの行く末も踏まえて、もう一度御回答いただけますでしょうか。

麻生国務大臣 これは、残りの税制というのは所得税とか法人税とかいうことになるんだと思いますけれども、所得税の再分配機能というものを考えるという観点から、平成二十五年度以降、所得税の最高税率というものを、いわゆる四〇%から四五%に引き上げさせております。

 また、よく言われる金融所得課税というものに関しましても、これは税率を引き上げさせていただいて、二〇%から二五%というものに、上場株式等々に関してはそういうように税制を変えさせていただきました。

 また、高所得者に対します基礎控除というものの適用制限というものを、二千五百万円に、基礎控除を適用させるというのを下げさせていただくということで、二千五百万超で基礎控除は適用なしということの施策を既に講じてきたところだと思っております。

 法人税もありますが、これはもう、広く負担を分かち合う構造へと改革して、企業の収益力というものが拡大するのに向けて前向きな投資というものを積極的に促すという観点から、課税ベースの拡大により税源をしっかり確保しつつ税率というものを引き下げるというような、企業の成長志向に資するようないわゆる改革を行ってきたと思っておりますので、そういったような形で、先ほど申し上げたような国家ビジョン全体に沿った形で、基幹三税のうち残りの二税につきましては、今申し上げたようなことを考えて、長期的にもその方向で進んでいくべきものだと思っております。

日吉委員 そういった、今、方向性をお話しいただきましたが、今の社会を考えたときに、所得については所得格差が広がっているのではないか、こういうふうな指摘があります。そんな中で、こういう格差というのは、地域の格差といったものもあります。

 そういった格差をこれからどういうふうな、まあ、縮めていくんだと思うんですけれども、そういった方向を考えたときに、今の方向性でそこは縮まるのかどうなのか、このあたりの認識、教えていただけますか。

麻生国務大臣 これはもう実にいろいろな意見が出ていますので、一つの話ですけれども、例えば、金融所得課税というもので、株の売買、売却によって得た利益に関しましては、これまで税金が一〇%かかったものが二〇%に上げられていると思いますが、これを更に上げるべきではないか等々の御意見というのが出されておりますので、これは令和二年度の、自民党の中でも税制調査会の中の提案として、この点を考えるべき等々の意見が出されておりますので、いろいろな形が考えられる。一つの例として申し上げれば、そういう例があろうかと思います。

日吉委員 例えば、もう一つ、地域の格差、こういったものを是正していく、ないしは、地域が過疎化していっている、こういった中で税制の向かうべき方向、こういったことについて、大臣、何か考えているようなことがあれば教えてください。

麻生国務大臣 これは、もっと話が、地域間格差がありますので、静岡と福岡と大分違いますから、状況が。そういった意味では、これは一概にこうすればどうなるというような話ではないから、これは難しい話なんですけれども。

 今、この中で地方拠点の強化税制というものを延長させていただく方向で検討を我々させていただいているんですが、これは税制だけで簡単に問題が解決するというような話では全くありませんので、そういった意味では、各地域における戦略的な話とか、効果的な企業の誘致であるとか、企業自身の政策とか、また、雇用がどうやったら創出できるかとか、そういったような話とあわせて、今、企業の本社移転、そういったものをされたら、東京一極集中というのを是正していくために税制というものを平成二十七年度から見直させていただいておるんですが、今回の改正で、この東京一極集中というものの是正に資するべく、首都圏から地方に移転する企業に対しては、地方拠点において、静岡県の浜松なら浜松というところにおいて雇用の増加に資するというような、インセンティブを強化するなどの見直しを行った上で二年延長ということにしておりますが、こうした改正も通じて、例えば会社とか工場とか本社機能とか、そういった地方に移転又は地方における雇用創出というものが図られるということを期待をいたしておるところです。

日吉委員 今、所得の格差、地域の格差について対応状況を教えていただきました。

 その今の現状として、どのように評価をされておられますか、教えてください。

麻生国務大臣 これは日吉先生、なかなか難しいんだと思いますが、何で浜松の方が静岡より元気があるんだと言われて、なかなか難しいですよね。私のところも、北九州と福岡と比べて、何で福岡の方が元気があって北九州は元気ないのや、市長の能力の違いかとか、いろいろ言われると話が込み入るでしょう。だから、こういったことをうかつに言うと、すぐまた、おまえなんかと言われるように、突っ込まれますのでね。

 たまたま北九州の方は、バックが新日鉄とかいうことになりますので、新日鉄労組というべきかな、そういったような形で出てこられた方ですから。こんな差がついたら、同じ百万でスタートして、片っ方は九十四万、片っ方は百五十万になったのは何でだと言われて。条件はほぼ同じ。新幹線も通っている、空港もできています、何でもあります、みんなある。にもかかわらず、こんなに差がついちゃった、どうしてと。どうしてですと言われて、私はもとはそこが選挙区でしたから、今は違いますけれども、そういった意味で突っ込まれると、これはなかなか答えのしようができないところなんですが。

 これは地方によって、間違いなく、首長さんの能力もあるだろうし、その地域の置かれた環境もあるだろうし。産業構造が変わって、鉄というものは、昔、七万人からおられましたからね、鉄鋼所というのは。今はあそこに七千人しかおられないと思うんですけれども、十分の一になっていますから、人口としてはもう激減したということが言えるんだと思いますが。そういったような、企業が大きく変化した。

 私ども筑豊でいえば、炭鉱で何十万とおられた労働者が間違いなく数百人に減りましたから、そういった意味では、いろいろな産業構造の変化によって地域構造が変化するというのも、これはある程度避けて通れないところだと思いますが、今の場合のように、どういう評価をしておられるかといえば、税制改正ぐらいでなかなか移っていかない。一点。

 もう一つは、やはり産業構造が変化して、二次産業から三次産業と言われるようなものに移行していますから。日本人は昔から、御存じのように、ひなびたところよりみやびたところの方が好きですから、間違いなく。みんな京都を目指したわけですからね、昔は。だから、それと同じように、みやびたところに行くということになっていますと、都市というところの方の魅力というのは、ひなびた田舎よりみやびた都の方に行きたがるという心理というものは、これはなかなか日本の場合は難しい。

 お断りしておきますけれども、海外はそうじゃありませんよ、別に。ひなびたところの方にどんどん人が行っていますから。そういうところもありますので、みやびたところばかり行っているわけではない。

 だから、それは国の国民性にもよるんだと思いますけれども、なかなかこの話は、これをすればすぐよくなるというようなアイデアがあるわけではないと思いますが、時間をかけて、ちょっと、一極集中の弊害というのも確かにありますので、それを薄めていくという努力というものは、これはみんなでやらないかぬ大事なところだと思っております。

日吉委員 ありがとうございました。

 今、大臣がおっしゃられたように、そんな簡単な話ではないということで、それで、産業構造も変わっていろいろ多様化している中で、税制もきめ細かくなければいけないのかな。しかし、その中で、簡素化、簡素なものでもなければいけない。そういったある種矛盾することをどう解決していくかということなんだと思うんですけれども、それについてまたいろいろ知恵を絞っていかなければいけないということを申し上げさせていただいて。

 先ほど、今回の税制改正についての方針をお伺いしましたが、幾つかちょっと具体的に教えていただきたいなというところがございまして、賃上げ及び投資の促進に係る税制の見直しというのを今回されております。これによって、大体、今度、七十億円ぐらいの増収になるということで、促進するハードルもちょっと上げたんだと思うんですけれども、それによって入ってくるお金がふえるようになったということだと思うんですけれども、これは、大きなビジョンとの関係におきまして、なぜ今回この見直しを行ったのか、この点について、ひとつ教えてください。

矢野政府参考人 今委員御指摘のいわゆる賃上げ、投資促進税制、二年前につくられたものを要件を厳しくするという案になっております。

 これにつきましては、他の法人減税をするに当たっての財源確保という意味もございますけれども、ビジョンという御指摘ですので、そういう視点で申しますと、成長促進、あるいは成長と分配という大きな眼目のもとで、成長して、それをみんなで分かち合っていくんだという意味で、賃上げの促進あるいは投資の促進、両方をやっていくということが大事なわけでありまして、それを更に推し進めていくと言うとちょっとおこがましいですけれども、ガバメントリーチとして可能な範囲でそれを側面支援していくという改正だったと存じます。

日吉委員 支援していくというような言われ方をされておりますけれども、厳しくしていくということは、そこへの手当てを薄くしていくということになるんですけれども、ほかのところに回していくということにもつながっていくのかなと思いますが、そういった意味では、この見直しというのは、余り効果が上がらなかったという認識なのかどうか、ここのところを教えていただけますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 効果が上がらなかったという認識では必ずしもございません。委員も御指摘になりましたけれども、財源確保という意味も実際ございましたので、裏を返せば、その部分によって恩典が損なわれるといいますか、そぎ落とされる対象者がおられるということでございますので、効果は実際、そういう意味ではあったわけです。

 しかし、要件を深掘りするといいますか、厳しくさせていただくことによって、より多くの設備投資をしっかりとやっていただいた方に恩典が行くようにリフォームをさせていただくという意味でございます。

日吉委員 ありがとうございます。

 もう一つ、交際費等の損金不算入、これの見直しをすることによりまして税収はふえるということになっておりますけれども、これについて、国家ビジョンとの関係でどういう方針でこういう見直しをされたのか、教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 交際費に係る特例につきましても、新しい減税をさせていただく上での財源確保という意味もございましたけれども、今、ビジョンということでございましたので、そういう観点から申しますと、一部の大企業においての接待飲食費の特例によって、交際費が大きく変化しているとは必ずしも言えないといいますか、これはもう相対的な評価になるんですけれども、ポジティブではあるんですけれども、そのポジティブな度合いが、大きな規模の企業になればなるほど、その度合いが低減していくということが統計上見られましたので、その大きな企業、とりわけ大きな企業についての恩典を一部割愛させていただいた、こういうことでございます。

日吉委員 財源確保ということもあるという中で、今のお話ですと、一部、効果も薄いから、ほかのところに財源を向けていく、こういった理解をしましたが、その中で、では、全体として、持続的成長をしていくに当たって効果が出ているという判断なのか、それとも効果は上がっていないのか、これまでの状況を教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 交際費課税につきましては、数年前に改正を行いまして、交際費に係る法人課税を一部緩める形をとりました。中小企業についても、別途改正をして緩める形をとりました。

 それらの効果というものは、必ずしも、ほかの要因と相まって効果が出てくるということでしょうから、税制による効果というものを特定して申し上げることはできませんけれども、その後、実際支弁されている交際費支出の動向を見ますと、プラスにきいている部分はあると認識しております。

日吉委員 なかなか効果の測定は難しいんだとは思うんですけれども、ただ、一つ一つ評価をした上で次の改正を行っていかなければいけないと思いますので、そのあたりはしっかりやっていただけたらなということを申し上げさせていただきます。

 それともう一点、連結納税制度改正というのが今回ありますけれども、この趣旨説明をしていただいた際に、今回の連結納税制度の改正は、持続的な経済成長の実現のためにというような項目の中で位置づけられていましたけれども、この制度の改正というのは手続を簡略化するようなイメージがあるんですが、これと持続的な経済の成長と、どのようにこの改正がかかわっているのか教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 連結納税制度は、企業グループの一体性に着目をいたしまして、企業グループを一つの法人であるかのように見立てて、法人税を一括して課税する仕組みでございます。

 この制度は、平成十四年度の導入から十数年たっておりますけれども、企業グループがみずからの一体的経営を進展させ、競争力を強化する中で有効に活用されてきたと認識しておりますけれども、一方で、親法人に情報等が集約していないですとか、税額計算が煩雑で修正、更正に時間がかかり過ぎるですとか、あるいは、組織再編税制と若干の違いがあって中立性が損なわれている部分があるといった御指摘がございました。

 こういったことを踏まえまして、今回、連結納税制度の適用実態ですとかあるいはグループ経営の実態を踏まえまして、日本の企業が効率的にグループ経営を行い、競争力をより十分に発揮できるように見直しをすることといたしたものでございます。

 その見直しによりまして、一体的な、効率的な経営を後押しすることで、企業の国際競争力の維持強化が図られることを期待しております。その観点から、持続的な経済成長に資するものと考えております。

日吉委員 効率的な企業経営に資するから経済成長にも資する、こういうふうに理解しました。ありがとうございます。

 続きまして、今回の税制改正で、いろいろ改正した方がいいのではないかと指摘されている項目の中で改正されていない点について、幾つか、その状況を教えていただきたいなと思います。

 まず一つ目は、ちょっと法人税関係についてお伺いいたします。

 企業会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準にのっとって会計を行っています。しかしながら、税務の観点から、その会計の結果をそのまま使うのではなくて、さまざまな調整をした中で税金の計算をする、法人税の計算をするということになっております。

 その中で、やはり簡素であるべきだというようなことから考えますと、企業会計の結果をできるだけ尊重し、なるべく税務の調整が少なくなるようにした方がいいという考えを持っているんですけれども、それについてどのように方針を考えられているのか、まず教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、企業会計と税制といいますか、税務会計といいますか、根本的な狙いとするところが違っておりますので、おのずと何を表に出していくかという部分が違ってまいります。

 ただ、その違いを前提として、国際的な標準もにらみながら、企業が効率的に運営ができ、かつ成長に資するような税制にしていかなければいけないというふうに考えております。

日吉委員 そうですね。

 効率的にできるようにしていかなければいけないという中で、かなり会計と税務の違いというのが残っておりまして、例えば引当金についても、賞与引当金、退職給付引当金、これが廃止される、会計上は計上されておりますけれども、税務上の損金算入が認められなくなったというような状況があります。貸倒引当金についても、金融機関等につきましては損金算入は認められますけれども、一般の企業でも、貸倒引当金、重要な金額を計上されているところもございますので、それの損金算入を認めた方がいいのではないか、こういった意見があります。

 引当金全般について、やはり、その金額が不確かということではなくて、賞与引当金でも退職給付引当金でも、法的債務としてほぼ同額の支給がなされるというような金額的な妥当性というものも会計上検証された上で計上されている金額でございますので、これも税務上も損金算入を認めた方がいいと思うんですけれども、これについて御見解をお願いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 引当金に関しましてですけれども、企業が計上いたします各種の引当金につきましては、具体的に債務が確定していない費用又は損失の見積りというのが基本ではございます。

 公平性、明確性という課税上の要請から申しますと、不確実な費用又は損失の見積計上ということは極力抑制すべきでございますし、また、引当金制度が企業・産業間の実質的な税負担の格差を生み出し、非中立な影響を与えているおそれもございます。そうしましたことから、社会経済的な意義、影響等を視野に入れて、これまでも見直しを行ってきたところでございます。

 もう既に御案内のことでございますけれども、賞与引当金については、課税の明確化、統一性を図る観点から、賞与について、原則実際に支給をした日の属する事業年度の損金に入れるということで、平成十年度に廃止をいたしました。退職給与引当金につきましても、税制が企業の給与の支給形態に対して影響を及ぼしているなどの指摘を踏まえまして、平成十四年度に廃止をさせていただきました。そして、貸倒引当金につきましても、平成二十三年十二月の税制改正で、損金算入ができる法人を中小企業や銀行などの一定の金銭債権を有する法人に限定するという見直しをさせていただいております。

 こういった流れにございますので、一部確定しているではないかという御指摘が先ほどございましたけれども、基本的な流れは、きちんと、透明性と公正性と、しこうして公平性を確保するという流れに来ているかと存じます。

日吉委員 ありがとうございます。

 それと、厚生労働省の審議官、済みません、遅くなりました。退室していただいて結構です。申しわけございませんでした。

 今、引当金についてお話を伺いました。中立性の立場から見直しも行われたという、そのあたりはちょっとよく理解できなかったんですけれども、どちらかというと、これは財源確保のためにというような性格が強いのかなというような思いもございますので、そういったことからしますと、やはり税務と会計の一致という意味でも、金額の正確性という意味でも認めていただいた方がいいんじゃないのかなというふうに思います。

 もう一つ、電話加入権についてですけれども、これも、昔はたしか十万円ぐらいで電話加入権を購入していたような気がするんですけれども、今、もうその金額というのはかなり下がりましたし、市場で売買するにしても低価格になっていたと思います。

 これについても、税務上も償却できるような形に変更してはどうかという意見が多々ありますが、これについて御見解をお願いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 電話加入権につきましては、法人税法上、固定資産として位置づけられておりまして、一般の機械のように、時の経過とともに徐々にその価値が減少するものではございませんし、また、御指摘のとおり、権利の譲渡が可能でございます。といったことなどから、土地などと同様に非減価償却資産とされておりまして、損金算入を認めていないところでございます。

 また、資産の評価損につきましては、企業会計は、株主等の利害関係者の保護といった観点から、原則として積極的に行うものとされておりますけれども、法人税法におきましては、租税回避等につながりやすいといったことから、原則として損金の額に算入をいたさないということになっております。

 こうした電話加入権の法的な性格ですとか法人税法の考え方を踏まえますと、慎重な検討を要するものと存じております。

日吉委員 今、電話加入権は非減価償却資産ということですが、減損会計も導入されまして、減損損失も計上されております。それも含めて、税務上も損金算入できるようにした方がいいんじゃないかなという考えを持っておりますので、これについてもまた機会があれば質問をさせていただきたいと思います。

 そして次に、少子高齢化、人口問題にもかかわるところなんですけれども、世帯単位での課税を、今度は所得税の話ですけれども、所得税の課税をしてはどうか、こういったこともかねてから検討もされていると思います。

 大臣も、少子高齢化、非常に重要な問題だと位置づけられております。税務上どういったことが対応できるのか、いろいろ検討されていると思いますけれども、フランスなどでは、世帯単位での所得税の課税によって、子供が多ければ多いほど所得税がどんどん下がっていくというようなメリットがあるということで、人口増加にも一定の効果があった、こういったデータもございます。

 そういったことを踏まえまして、この世帯単位での所得税の課税についてどのように認識されているのか、御回答をお願いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるN分N乗方式をとっているフランスのような、世帯単位、なおかつ子育てにポジティブであろうとされる税制ということはもうかねてから言われておりまして、主税局におきましても二十年以上検討されてきました。ただ、やはりどうしても幾つかの問題がございまして、なかなか難しいというのが本音でございます。

 これは、日本の所得税が採用しております個人単位の課税ではなく、フランスでやられている世帯単位の課税でありまして、家族の構成に応じて税負担が調整される仕組みであることはよく知られておりますけれども、政府税調のレポートにも指摘がございますけれども、共働きに比べて片働きの世帯が有利になるということがございましたり、あるいは、より大きな利益が高額所得世帯にもたらされるということなどなどの問題がございますのでなかなか難しいというのが、今、私どもが考えているところでございます。

日吉委員 今、幾つか課題があるというふうにおっしゃられました。それも理解はできるんですけれども、ただ、大臣が重要な課題だということで挙げられているわけですから、それについての対応というのも、税務上できることを考えていただいた方がいいかなと思います。

 もし、これにかわるような、よりいい、国家の問題に対応できる税制があれば、何か検討されることがあれば教えてください。

麻生国務大臣 先ほどもお話をしましたけれども、人口減少とか少子高齢化というのは、中長期的には日本にとっても最大の国難とも言えるような話なんだと思っているんですが、この問題は、短いスパンの話じゃなくて、税制とか財政とかそういった話だけじゃなくて、いろいろな分野を含めまして総合的に取り組んでいかねばならぬ問題なんだと思っております。

 かなり時間がかかると思われるのは、少なくとも、フランスがこれを成功しているという話がよく出ますけれども、フランスは、一九四〇年代後半、第二次欧州大戦に敗戦の後、敗戦って、一応勝ったことになっていますけれども、かなりフランスは男性の兵隊さんが亡くなっていますので、その対応からこれを考えたという話で、あのころからやって、七十年かけて今、二コンマ幾つまで持ってきていますから、そういった意味では、かなりの時間がかかるものだと思っております。

 その上で、今、税制に限った話かもしれませんけれども、税制優遇というものは、与えるということだけには限りません。

 御存じのように、少子化対策というものの財源というものとしてもこれはしっかり確保しておかないと、税の果たすべき重要な役割なんだと思っていますが、少なくとも、高齢者というか、年配の方も若い方も含めまして、全世代型の社会保障制度というものの構築というものへ向けて、今、少子化対策とかいろいろな意味で、社会保障というもののいわゆる安定財源を確保するというためには、いろいろなことを考えて、昨年十月、消費税率を一〇%に上げさせていただいたところです。

 これによって得た増収分というものがありますので、それを利用して、いわゆる幼児教育とか、それから保育というものの無償化をやってみたり、また、待機児童というものが浜松でもあるんだと思いますけれども、そういったものの解消に向けた受皿というものの整備とか、また、四月以降、高等教育を無償化するとか、そういったことを実施するなどして、これで教育費が下がるということによって子供が産みやすくなる、そういったような取組が一つの使い方として考えられると思っておりますが、引き続き、これは予算とか税を含みます政策全体というもので取り組んでいかないとなかなか解決しない問題であろうと思っております。

日吉委員 ありがとうございます。

 もちろん、税制だけで解決できる話ではなくて、政策全般で検討していかなければいけないとは思います。また議論をさせてください。

 そしてもう一つ、今度は自動車関連税制についてお伺いをいたします。

 かねてからいろいろ言われておりまして、取得段階、保有段階、そして走行段階でさまざまな税がかけられている。自動車重量税、自動車税、軽自動車税、そしてガソリン税とそれにプラスアルファされている暫定税率、当分の間の税率、こういったものがある中で、複雑ではないか、そして二重課税になっているのではないか、こういった話がありますが、これについて、税の簡素化というような意味で、もう少し簡素にしていく、そして二重課税を解消していく、こういったことをどのように考えられているのか、現状の方向性を教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車関係諸税につきましては、委員御指摘のように、税体系が複雑でわかりにくいですとか、それを簡素化すべきだといった御指摘があることは承知しております。

 それぞれの税目につきましては、課税根拠ですとかあるいは創設、改編の経緯が複雑に存していることも事実でありますので、そうした点も踏まえて考えていく必要がございます。

 ちなみに、自動車関係諸税のあり方につきましては、一年前にも税制改正がございましたけれども、与党の税制改正大綱におきまして、技術革新や、保有から利用への変化などの自動車を取り巻く環境変化の動向ですとか、それから環境負荷の低減に対する要請の高まりなどを踏まえつつ、国、地方を通じた財源を安定的に確保していくことを前提に、その課税のあり方について、中長期的な視点に立って検討を行うとされておりまして、こういった諸点を踏まえながら、中長期的な視点で検討していきたいと思っております。

日吉委員 少なくとも、一般財源化された中において、そもそもの課税をしていた理由がなくなってきているところ、こういったものは早く廃止した方がいいのかなというふうに考えます。

 時間もなくなってまいりましたが、あと、最後に、また森友学園の話を一つさせていただきたいなと思います。

 二月十九日、森友学園の籠池前理事長とその奥さんが国などの補助金をだまし取ったという罪で、籠池さん本人が五年の懲役、実刑判決が出まして、奥さんの方は執行猶予つきの三年の懲役判決が出ております。

 これは補助金をだまし取ったということなんですけれども、補助金適正化法での立件ではなくて詐欺罪で裁判が行われたというふうに聞いております。実際、補助金も一部返還もしているということでありますが、なかなか厳しい判決だったのかなというふうに考えます。

 その一方、財務省は、この森友問題に関連しまして公文書の改ざんを行って、それにかかわった方が結局不起訴処分になりました。今回の虚偽公文書の作成や国有地を不当に安く売却したとする背任などの疑いで、こういう不起訴になった方々がいますが、麻生大臣自身は、一年間の閣僚分の給与を自主返納されるというような、こういった対応をされております。

 それぞれ、財務省としてはこの籠池さんの裁判の結果は関係ないともしかしたらおっしゃるかもしれないんですけれども、麻生大臣のこの裁判の結果に関する感想を、ちょっと率直な感想をお聞かせくださいますか。

麻生国務大臣 今聞かれた、最後に聞かれた、感想ですか。

 報道がなされたことは承知しておりますけれども、これは正直申し上げて財務省としてコメントするという立場にありませんので、大阪地裁で出された結審なんだと思いますので、その意味では、財務省として、ちょっとこれに関して、大阪地裁の判決に対してのコメントというのであれば、ちょっと私どもとしては、財務省としてのコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。

日吉委員 財務省としての答弁は差し控えられるということではございますけれども、一方で、この公文書の改ざんをめぐって相当な時間を国会の審議でも使いましたし、財務省の職員の方々もそれの対応に相当な時間と労力を使われました。それを、もし改ざんがなければ生じなかったであろうある種の損害というものというのは莫大な金額になるのかなというふうに思います。それが、籠池さんの補助金をだまし取った金額と単純に比べる話でもないかなとは思うんですけれども、一方は懲役五年、一方は不起訴処分ということになります。

 それぞれの刑法にのっとって判断されることなんだとは思いますけれども、一般の国民の方々の目から見たときに、ちょっとそれはバランスが悪いんじゃないのかなというような思いもあるんですけれども、このバランスという意味で、麻生大臣、もう一度御見解を教えてください。

麻生国務大臣 今御指摘になりました、これは、詐欺罪で問われているいわゆる補助金の不正事件という話と文書改ざんという話は、全く全然別の話なんだと、性質が異なりますので。司法手続に基づくいわゆる刑罰というものと職員に対します行政上の処分というものを比較することは、ちょっと適切ではないんだと思っております。片っ方は行政、片っ方は司法の話ですから。

 いずれにしても、改ざんの話というものは、私どもとしては、一連の問題につきましては、検察当局の検査というものが、捜査というんですか、手段が行われた結果、財務省としてはこれは不起訴処分ということになっておりますのは、もう御存じのとおりです。

 したがいまして、私どもとしては、この問題に対する私どもなりの調査をやらせていただいて、厳正な処分を行って、今言われましたように、私自身も給与の自主返納等々をさせていただいておりますので。

 いずれにしても、この問題というものに関しましては、だました方が悪いかとか改ざんした方が悪いかは、両方悪いに決まっているんですけれども、そういった意味では、こうしたことが起きないように、私どもとしては、決裁等々のやり方を変えるとか、いわゆる財務省の持っております風土というようなものを改革していくというようなことをやって、きちんとやらせていただかなければいかぬなと思っております。

日吉委員 ありがとうございます。

 時間が来たので終わりますが、最後に一言だけ。

 前回の委員会のときに、財務省がガバナンスを強化していくに当たって、麻生大臣に、その責任者として、それを、責任があるということを明文化しながらやってくださいということを申し上げましたが、そんなことはないとおっしゃっていました。しかしながら、一般の企業では、内部統制報告書において、企業の社長に内部統制を構築する責任があるということをうたっているわけです。ですから、そういうことも踏まえまして、金融庁にそれを提出しているわけですから、そのトップである麻生大臣も、責任を明確化して取り組んでください。よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

田中委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 国民民主党の古本伸一郎でございます。

 共同会派の枠の中で御質問させていただきます。

 午前中の委員会で、大変、日本じゅうというか世界じゅうの耳目が集まっているクルーズ船の問題で、断続的に委員会が、少し今もとまったわけですけれども、やはり厚生労働省は出すべきデータは出すべきだと思いますし、一方で、未知の感染症で日々奮闘されている職員、医官、事務官を含め、大変な状況だというのもこれまた想像にかたくないわけでありまして、お互い、誰が悪いではなくて、事実関係がはっきりした上で、何よりもこのハウスの危機管理ということでも問われていると思って、実は大臣もずっとスタンバイいただき、大変、ある意味で時間を要したわけでありまして、それぞれ理事間で真摯な議論があったことをここでまた報告をするわけであります。

 その中で、大臣、今理事会の中で改めてわかったんですけれども、いわゆる濃厚接触者という定義は、実は、発熱し、発症した日以降に接触した場合が濃厚接触者。うえの筆頭もうなずいておられる。そういうことで、一瞬、理事会室で若干どよめきが出たんですけれども。つまり、熱が出る前日まで、例えば奥さん、御夫婦であれば当然ベッドも同じくしていてもおかしくないわけであって、御主人が熱が出るまでは濃厚、濃密に接触していたけれども熱が出ていなくて、それで、逆に御主人が出張に行った後に発熱した場合は濃厚接触者にならないという定義を言われたのを聞いて、驚いたんです。

 だから、そういう事実関係も含めて、やはりいろいろな意味で、むしろオープンにした方がいいんじゃないかなということは、これは感想として述べておきたいと思います。

 そこで、副総理の立場で大臣に少し所感を求めるわけなんですが、昨日付で厚生労働省が、イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージということで、要は、先生方は今、地元の行事も全部キャンセルになっていると思います、ある一定の人数が集まるいろいろな行事がですね。その意味で、厚労省が出されたこの文書によれば、イベント等の主催者においては、感染拡大の防止という観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討していただくようお願いします、なお、イベント等の開催については、現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではありませんと。つまり、自粛してくれというんなら自粛してくれと言った方がいいでしょうし、求めるものではありませんと言われたら、これまた判断が難しいですね。

 下の方には、なお、学校や企業、社会全体における理解に加え、生徒、従業員の方々が休みやすい環境整備が大切であります、テレワークや時差通勤も有効な手段でありますと。そのとおりだと思うんですけれども、なかなか、この強制力というのがどこまで行使できるかというのも、本当に議論が分かれるところであります。

 こういう、国民の皆様へのメッセージということで厚生労働省からウエブ上も拝見できる情報としてもう出ているわけでありますけれども、例えば、大臣が主催しておられる御自身の何かいろいろな行事であれば、地元の秘書に連絡してちょっと今回はやめておこうというのは、これはいいでしょう。だけれども、何か、第三者が主催しているんだけれども、そこに行っていいものかなと思いながら行くというのは、これはまた難しいですね。これは、まだ本当に未知の病、感染症と闘っておりますので、何をもって疑似陽性か陰性かと、きのうも予算委員会で同僚委員が大分やっていましたけれども。

 恐らく、いろいろな御経験が一番ある麻生太郎大臣でありますので、こういう場合はどうしたら一番いいのかと。今、マーケットもあいていますので、まだ一時間。私、萎縮しますと、本当に、年後半に向けて経済、景気に対して非常に心配がありますし、本気で時差出勤というのであれば、例えば、丸の内でも八重洲でもいいですけれども、ブロックで分けて、九時出勤、十時出勤と、本当に一大事ならそこまでやった方が、朝のあの満員電車が緩和されますよね。ただでさえ、マスクがないと言っているんですから。

 まあ、きょう官房長官は、マスクは追加で手配すると会見されているようではありますけれども、それを見守りたいと思いますが、マスクを買いたくても買えないという世の中の人が大変多い中で、さあ、副総理におかれては、大規模イベントというのは何をもって大規模とするのかとか、判断は主催者に任せますと少なくとも書いてあるんです、厚生労働省は。これは非常に悩ましいところですね。まだマーケットがあいている時間なので若干はばかりますけれども、麻生太郎副総理なら、どういう処し方がこういう一大事のときには一番いいのかと。少し御所見を求めたいと思います。

麻生国務大臣 病院経営者ではありますけれども、この種の疾患というか、疫病、伝染病等々に対する知識があるわけでは全くありませんので、私の立場としては、こういった話は、甚だしく過剰反応する人もいれば、台湾で前に、あれは何をしていましたかね、自民党の政調会長かな、していたときに、台湾で民進党が初めて選挙で勝ったというお祝いがあったんだと思うので、あれに行ったんですけれども、ちょうど台湾は風邪が大流行で、マスクをしていないのは私だけでしたと思いますけれども、別に無事で帰ってきましたので。そういった記憶が出てきたので、あのときも大量の方が亡くなられたんですけれども。

 そういった意味では、今回のこの話も、風邪で亡くなっている方より今のところはまだこちらの方が少ないとか、いろいろな人がいろいろなことを言っていますけれども、これは正しく恐れなきゃいかぬところなんだと思うんですけれども、何が正しいのかというのは、古本先生、これは、要は、医者の言っている話もみんな違いますから。マスクなんか全然効果がありませんよとテレビで言っている人がいっぱいいらっしゃいますからね。何だこれはと思いますけれども、どれが正しいのかよくわかりませんから。みんないろいろ言っておられますので、私どもも聞いていて、何だねと思いながら聞いてはいますけれども。

 一つだけ言えることは、今、町の病院に行かれたらわかりますけれども、例年に比べて、この二月ごろというのは大体風邪で、C型だ、B型だ、いろいろありますけれども、風邪で今ごろ病院の待合室というのは物すごく忙しいはずなんですけれども、今行ってみてください、ほとんどすいていますから。何でこんなにすいているのとこの間聞いたら、ウイルスのおかげですと。ウイルスが何で関係あるんだよと聞いたら、みんな手を洗うから、風邪にならないから誰も来ないんですよと言って、その医者は昔からのつき合いのある医者ですけれども、ぼろっと言ったのがすごく印象的でしたけれども。

 いろいろな意味で正しく恐れないかぬというのが正しいんだと思っていますので、これに対して今どうすべきかという判断を、私どもが今、ちょっと私の立場で、これが正しいという答えを持っているわけではございません。

古本委員 ありがとうございます。

 今後、政府挙げてさまざまな対応をとっていただくわけですし、我々もハウスとしていろいろな提案をしていくと思うんですけれども、立法が必要になることは、やはり与野党でさまざま議論して立法を行っていくということも今後必要なんだろうなと、ハウス側の宿題として感じますね。

 この件はもうこれぐらいにしますけれども、例えば、濃厚感染者という、濃密感染者という定義が、これは政省令で決めているのか、法律に明快に規定があるのか、今情報は持ち合わせておりません。が、例えば、そうであれば、医者によってもいろいろな、疫学の専門度合い、感染症の専門家によって異なるということもわかります、ただ、そうであれば、立法に明快に書き込むぐらいのことをしてでも対応が求められるんだろうなと、これは自戒の念も込めて申し上げるわけであります。

 更につけ加えますと、大臣、以前、当委員会で、税の小委員会を設けてはどうかと。各小委員会を設けて、それで通年で議論をし、大臣、閣僚をとめ置いて外交日程も妨げてまで何かやるのではなくて、そのかわり小委員会で議論しようではないかと。きょう、正直、この世の中の空気感の中で、率直に申し上げて、冷静に租税を議論するこの財務金融委員会の委員室かというと、なかなか難しいと思います。私も、冒頭この件は触れましたけれども。

 これはハウスの意思で決めればできるので、もう改めて大臣には聞きませんけれども、あのとき大臣も発想としてはいいんじゃないかいという趣旨のことを御答弁いただき、議事録に残っていると思います。そういう意味では、やはり冷静に租税のことは、一方でコロナウイルスの議論もしつつ、一方で、政治は動いておりますので、租税は御案内のとおり歳入法、税法でありますので、残りの時間、御質疑させていただきたい、このように思います。

 今、あえて言うと、新しく出てきた党、新興政党というんでしょうか、その党の党首を中心に、消費税を五%に下げて野党共同戦線を組もうじゃないかというような意見もあるようであります。かくいう私が所属する国民民主党の幹部も、そういった意見に揺れ動いているようでありますけれども。

 消費税を今一〇%に上げたばかりであります。軽減税率でそもそも大混乱であると言っております。このさなかに、消費税を五%に下げますから選挙で一票入れてくださいと呼びかけたときに、若い人たちに響くと思いますか、大臣。

 私は、むしろ若い人ほど真面目に未来を考えているような気がいたしまして、財源はどこにあるんですかという話になるんじゃないかなと。細かな技術論は御存じなくても。

 また政治はできもしないことを言っているんじゃないのかということもあるでしょう。加えて、かわりの財源を見つけないと、例えば、基礎年金についても国庫補助が入っていますし、さまざまな社会保障が維持できなくなるんじゃないかと、詳しくなくても、感覚でわかる若い世代の人が多いのではなかろうかと思うんですけれども、昨今、消費税を下げたら選挙に勝てるんじゃないかという議論があることについて、少し大臣の御所見を求めたいと思います。

麻生国務大臣 若い人の方が少なくとも、私は八十ですけれども、私よりは現実的ですよ。生きている時間が長いから、あっちの方が。俺らより六十年ぐらい長く生きるわけですから、自分の生きている間に財政の話は自分に降ってきますから。こっちはもう、あと、さようならしますので、無責任な立場はむしろこっちなんだと。僕には、いろいろなおっさんたちと話していて、そう思いますね。孫の話を聞いたことがあるかよといって、何回も、この間も話をしたんですけれども。そういった意味では、今言われたように、現実問題として、財源の話とか、いわゆる働いている若い人たちにとってはそこだけ集中してきますから、所得税と何とか。

 そういった意味では、いわゆる給付と負担のバランスの話等々を考えて、やはり真面目に考えて、ここに至るまで、簡単に思いつきでやったわけでも何でもなくて、二回ほど延長させていただいたりなんかして、やっとここにたどり着いたことになっておりますので。

 今の話は、古本先生、若い人の方が意外と、町で全然知らない人に会って話しても、極めて対応はプラクティカル、現実的だ、私にはそう見えますので、今おっしゃった意見というのであれば、私は、どっちにしますかというので選挙をやったら、それは意外と違うかもしれませんよ。新聞は多分こっちでしょうけれども、私は違うと思いますけれどもね。

古本委員 まあ、どっちがどっちはここで詰めませんけれども、おっしゃっていることはわかります。多分同じ価値観をシェアさせていただいているように拝察をいたします。

 ついては、今、いみじくも大臣から若い人という切り口がありました。きょうも傍聴席に若い人もいらっしゃるようなので、これはやはり、若い人、衣食住の消費性向、支出の中に圧倒的に占めますのは、もちろん中低所得層の方が食料品が、食べ物が多いとは思うんですが、中所得層からちょっと上がっていきますと、持家志向になりますね。

 きょうは少し、住宅税制について。国交省にもお越しいただいていますけれども。

 かつて、家を買い、そして取得簿価があります、わかりやすく紹介しますと、取得簿価五千万で買った家を仮に二千万で売りました。いろいろな償却も終わって、土地代金ぐらいしか残っていません。そうすると、これは例えて言うと、三千万円のいわゆる損切りをしなきゃいけない。譲渡損が出るんですけれども、この三千万については、税制上の優遇措置、控除、つまり経費化するということは現状ではできますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 それぞれの個々の実情に合わせてということになりますけれども、幾つかの特例がございます。いわゆる買いかえ特例ですとかいうものなどがございますので、そういった形に該当するものであれば、控除がきく場合、あるいは繰越控除がきく場合がございます。

古本委員 これは居住用財産の買いかえ特例ということで、大臣、ちなみに、これは、きのう私、三時間かけて通告しています。矢野局長におかれては多分、こういう細かい税制はちょっと失念されているかもしれませんが、担当課長は精通されているんです。だから、私、小委員会で課長とやった方がいいと言っているんです。矢野局長がだめだと言っているんじゃないです。細か過ぎる話に入ってくるので、これは改めて小委員会がいいなと思いますね。

 それを、若干苦言を申し上げた上で更に問いますけれども、居住用で買いかえた場合は売却損が出たら圧縮できる税制が残っていますけれども、実は、平成十六年に、単なる売り切りの場合、つまり非居住用の物件の場合は圧縮できない税制に変えてしまったんですよね。国交省、そうですよね。きょう、国交省は来ていますね。

小林政府参考人 お答えを申し上げます。

 譲渡損が発生した場合の扱いにつきましては、平成十六年度税制改正で、土地建物の譲渡に係る譲渡損を他の所得と損益通算できる一般的な仕組みは廃止をされておりまして、一定の要件のもとで、居住用財産について、譲渡損失について、売却した年に損益通算が認められておりまして、かつ、翌年以降三年間繰越控除ができることとされております。

古本委員 買いかえた場合は圧縮できます。

 売り切った場合も圧縮できるということでいいですか。居住用以外の買いかえ、居住用外、つまり、セカンドハウスを持っておられる人がそれを売った場合でも圧縮できますか。

小林政府参考人 あくまでも居住用財産ということで、マイホームということで認識をしてございます。

古本委員 今、要求官庁の国交省住宅局に聞いていますので、きちんと答えていただきたいと思いますが、要は、買いかえた場合に、今の住んでいるお宅を売却して、その売却資金を元手にまた次に居住用に買いかえるというのが居住用財産の買いかえ特例だと思っていますけれども、正直言えば、ライフスタイルの変化とともに、家族の人数構成あるいは子供の成長によって家を住みかえるという場合は、これは間々あるわけであります。

 とりわけ、バブル期と言われる、ざっくり言うと昭和六十年代から平成元年代に社会人になったような、はっきり言うと、今五十代、六十前後、私も含めた世代の者たちは、ある意味バブル期に家なりマンションを買った人は、セカンダリーという意味で、大変、都心四区とかの物件は別格ですよ、一般的な先生方の地方都市にある物件で見れば、基本的には価格は下がっていますよ。つまり、取得簿価から割れている。だけれども、自分は、子供の成長とともに、最初に買ったマンションはそのままに、ある意味、今、別の一戸建てに住んでいますという人は、これが塩漬けになっている。

 これの損切りができて所得等圧縮できたならば、極めて、この最初に買ったエントリーハウスといいましょうか、若いころに買った家で塩漬けになっているやつを、例えばリフォームして、そしてそれを低廉で若い人たちに貸してあげれば、実は、若い人たちは、まずは家を買うという呪縛の中から、みんな、地方から都会に出てきている人たちは、やはり四千万、五千万のローンを組んで、これは政府としてもローン減税で政策誘導してきた、よく承知しています。それで、まさにみんな、住宅取得、住宅神話と言われる持家神話でこれを引っ張ってきたわけなんですけれども、年代によってこれは分かれると思います。

 大臣、この問題意識は、例えば敬老会とかへ行きましても、八十代のおじいちゃま、おばあちゃまと話していましたら、もうかれこれ二、三年、二階に上がったことがないという人が結構いますよ。それはやはり、二階に上がるとリスクがあるからです。

 じゃ、もう子供たちが巣立ったその二階建ての家を売却して、キャッシュアウトして、損切りして、それをリフォームして若い人たちに低廉で貸してあげたならば、例えば子育て世代の若い人は、ちょっと郊外でも、バーベキューのそういう庭つきのところで、ちょっと賃貸戸建て住宅に入って、それで子供が高校生ぐらいになったら駅前のマンションに住みかえてとか、いろいろな変化があっていいと思うんですけれども、今、一度家を買ったら、サラリーマン、夢のマイホーム、一生に家一軒ということで、もうフローしませんから。

 これはある意味、住宅局が政策で、ローン減税で誘導してきたんだと思いますけれども、賃貸もあれば、購入もあれば、いろいろなパターンのライフスタイルがあっていいと思うし、そのときに所得と通算できないように平成十六年からしてしまったのは、実は、もうそれから十五年以上たっているんですから見直してはどうですかという問いかけをしているんです。国交省。

小林政府参考人 先ほどお話ししましたように、一定の要件のもとで損益通算、繰越控除などができます特例につきましては、令和元年の十二月三十一日に適用期限が到来をしておりますので、今回の所得税法の一部改正法案にも盛り込ませていただいて、二年の延長をお願いをしているところでございます。

 そのほかの、先ほどございました既存住宅の賃貸、例えば若年世帯に対する賃貸のための改修とか、そういったものについては、これは支援メニューを別途用意をさせていただいて、今、支援をしているところでございます。

 私どもとしては、さまざまな居住ニーズがあるということは認識をしておりますので、財政制約も勘案しながら、必要な支援のあり方について引き続き検討をしてまいりたいと考えております。

古本委員 主税局長、今、賃貸の場合、家賃は所得控除できますか。これは、サラリーマン、一般給与所得者はできませんね。一方、いわゆるフリーランスとか、いわゆる個人事業主になった方は、家事部分といわゆる事業部分に案分すれば、その部分は経費化できませんか。損金に入りますよね。と思っていますけれども。

 もしそうであれば、問題提起は、やはり若い世代が賃貸住宅に入って、満員電車で揺られて通勤しているわけでありますね。同じくローンを組んで、まあ、四千万か五千万か六千万かわかりませんけれども、おうちを買ったという人はローン減税を受けられますよね。十万、十五万か二十万、この都心四区ならちょっとした間取りでももう十万円じゃ入れませんよ。ちょっと外れてもいい値段します。これは、一般のサラリーマンは、所得、圧縮できますか、フリーランスの人はできますよね、このことを言っているんです。

 一般の、いわゆる個人事業主じゃない方の家賃相当分を経費化とするという考え方もあっていいと思うんですけれども、経費の概念として、現在は存在しないですけれども、御所見を求めます。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、事業を経営しておられる個人事業主の方ですと経費に入れられる部分がありますけれども、いわゆる給与所得者等々でございますと、その家賃というものは、家事関連費等々の範疇に入って、消費支出あるいは投資支出ということで可処分所得の処分ということになりますので、それを経費性という形には今のところなっておらないのが現実でございます。

古本委員 というような話も、これは本当に、大臣臨席のもとでのこの委員会でぎりぎりぎりぎりやっていたらもう何時間あっても足りませんけれども、めちゃくちゃ大事な、とても大事な観点だと思いますね。

 つまり、住宅というのは購入するものだということでローン減税ということで、じゃ、主税局長、このローン減税の年間の財源はどのくらいですか。今年度、幾ら求めていますか。多分、〇・七とか〇・八、年によっては〇・九ぐらいじゃないですか。

矢野政府参考人 ちょっと今手元に正確な数字がございませんけれども、七千億ないし八千億前後ということでございます。

古本委員 七千から八千の、つまり、コンマ七からコンマ八兆円の政策減税を入れているというのはなかなかないですよ。超大物ですね。そのくらい住宅に関しては、世の中のみんなの、一般的な庶民、みんな家を買いたいなという夢のマイホームですよ。それをローン減税で応援してきたんですけれども、賃貸の人には何にもないというのは、問題提起にきょうはとどめますけれども、今後とも議論したいと思います。

 実は、大臣、こういった幾つかの、いわゆるかつてあったけれどもやめた制度、あるいは、かつてあったけれどもちょっと縮減したというのを幾つかまとめて、令和二年度の税改正に関しての国民民主党の提言ということで、実は自由民主党甘利税制調査会長に提言を申し込んだところ、受けてくださいました。提言書はとっていただきました。遠山副大臣、公明党も、西田税調会長に提言書を受けていただきました。

 その中でまとめたものの一つに、今申し上げた、いわゆる住宅が簿価割れするのが怖くてもまた家は買えませんよね、家は上がるものだというのは、ある意味、住宅神話ですから。下がったとき嫌だなと思うからちゅうちょする人もいるならば、下がって売った場合、それは損切りできる、圧縮できるという税制があったら、住宅がフローするんじゃないかな。

 それはセカンダリーで回していけばいいし、そうすると、さらなる需要喚起になると同時に、若い人が低廉で賃貸でそこに入れるということのメリットが出るし、シニアはそれを財源に駅前の一LDKか何かに引っ越せばいいですよ。それはもうシニアの皆さん、私の親を見ても、行動半径は五メートル以内ですよ。手の届くところ以外、動かないですよ。そういうことを考えたら、そっちに全体をフローさせたら物すごくマネーも流れますし、一つの経済政策になるんじゃないか。

 その意味で、ローン減税が悪いと全く言っていませんよ、ローン減税をきちんと維持しつつ、賃貸という概念も少し誘導していくのと同時に、平成十六年の改正で単純売り切りについては恐らく圧縮したはずなので、さっきそういう答弁もありましたので、ぜひ検討をまた加えていただきたい。

 そのときに提案した一つに、遠山副大臣、実は、当委員会委員の公明党の伊佐委員におかれては、先般、本会議で、いわゆる災害損失控除の御質疑をされておられました。恐らく御党としてのテーマなんだろうと思いますけれども、実は私どもも全く同感で、実は去年から、厳密にはおととしから提言しています。

 何となれば、岡山の真備で、広島の呉で、もうこれはおととしになりますけれども、大変な豪雨災害があり、私どももボランティアに微力ですけれども参り、あの惨状を目の当たりにし、風化させてはいけないと本当に思いました。去年は、千葉県を始め各地で、千曲川ほか、先生方の地元も大変被災されました。

 どうして被災された方が、流された家を再取得するために、ただでさえも泣きっ面に蜂の状況のときに、また家のローンを組んで再取得するわけですね。もちろん、火災保険がおりればそれは除外されるというのはよく理解していますけれども、現在は雑損控除という扱いになっていて、例えば、五千万で買った家が、何年か住んでいて、時価評価三千万の家になっていたとしましょう、この家が流失された場合には、三千万を控除してあげたならば、何年間かは所得税、住民税が減免されるわけでありますよね。本当に、温暖化で毎年のように記録外の雨が襲来して、それで涙ながらにマイホームを再取得する人たちからまた所得税、住民税を取り続けるというのは、これは忍びないですよ。

 ついては、この雑損控除というのは三年なんです。引き切れないですよ。三年で一気に引ける人なんて、それは何千万、課税ベースでいうと、恐らく課税所得が二千万、三千万ある人でないと、ワンショットで引き切れないですよ。そんな人、ほとんどいないですよ。

 そういう意味では、実は、やはり雑損控除でなく災害損失控除的な税制を創設し、できれば十年間ぐらいずっと所得を圧縮してあげるというものをやってはどうかと思うんですけれども、主税局長、政府部内での検討状況を聞かせてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 災害によって生じました損失につきまして、御提案のように、繰越控除、現行、基本三年間でありますところを延長するという話は、御提案としては多方面からあるところでございますけれども、事業上の損失など、所得税の他の損失の繰越期間が原則三年でありますこととか、あるいは、雑損控除の損失は、事業上の損失とは異なりまして、青色申告を行った年に生じた損失である必要はございませんし、また、被災者である納税者の状況を踏まえまして、災害損失の額を証明する書類の添付を求めていないというのが現状でございます。

 仮に、三年を延ばして、長期にわたって控除を認めるということにいたします場合には、その損失額の実情、実額を確認する仕組みをどうするかといった現実的な問題がありますので、そういった点を乗り越えていかなければならないということ、他とのバランスなどがございまして、にわかには難しいと思っております。

古本委員 このITの時代に、かつ、被災地というのはどこがエリアかというのはもう衆目が一致するわけであって、それで、課税台帳はそれぞれ市区町村に備えつけてあって、そして現在評価額というのはわかるわけですから、なかなかその評価額が把握しづらい云々の理由は、本当に被災者の人に話せるのかという話にだんだんなってきますよね。ぜひ、与党内でも公明党の皆さんからそういう声が出ているということを、改めて本会議で伊佐先生の御発言を聞いて我が意を得ましたので、この話は引き続き取り上げたいなというふうに思います。

 きょう、総務省にも来ていただいておりますけれども、大臣、いわゆる設備投資は、実は、私どもが政権を担わせていただいたときも、設備投資をしたら法人税を減税します、あるいは雇用を維持したら減税しますと、いろんなあの手この手でやってきたんですけれども、つまるところ、日本の法人、これは大法人、中法人全部合わせて納税法人、益金法人は三割前後という実態を考えたら、実は、法人税をおまけしますから設備投資してくださいというのは余り強烈なインセンティブにはならないというのが、当時制度の担ぎ手の一人であった者として、全く効果がないとは言いませんけれども、振り返るわけであります。

 その上で、むしろ効果があるのは固定資産税ではないかなという問題提起をしたいと思います。

 固定資産税の設備、つまり、償却資産に係る固定資産税税収の、少し調べてみましたら、これは総務省から資料をいただきましたけれども、例えば、工場に係る有形固定資産税の年末残高が多い五都道府県というと、愛知県です。物づくりが多いからでしょうか、七・六兆。神奈川、四・三兆。兵庫、四・一兆。静岡、三・七兆。大阪府が三・六兆円となってございます。

 つまり、設備償却に課税をしていて、そのいわゆる財源が市町村あるいは県の大変貴重な財源になっておられるという自治体は、これを下げてくれと言ったら大変痛いですよね、歳入欠陥になりますので。他方で、余り寄与度、あえて言うと依存度がそうはない自治体においては、大胆な設備償却資産に対する減免税を、今回の政府提案のワンショットではなくて、あえて言います、三年限定ですからスリーショットではなく、ずっと続けますということがなぜできないかという、少し問題提起であります。

 なぜならば、今回、主税局長、生産性が上がれば減税するんですよね。法人税は国税です。生産性が上がれば、今回、法人税を下げてくれます。つまり、最新型の例えばプレス機械とか、最新型の溶接機械、最新型のコピー機ということを入れることにより、能率が上がる、作業性が上がる、それはそうです、最新型ですから、法人税を減じていただけるのに、どうして固定資産税は最新型になればなるほど増税になるのか。これは評価額が上がるからです。

 総務省、固定資産税の償却資産に対する課税の論拠を教えてください。恐らく資産性課税なんだと思いますけれども、そこに担税力がありと見ているかどうかです。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 固定資産税は、固定資産、これは土地、家屋、それから償却資産でございますけれども、その固定資産の保有と行政サービスとの間に存在します受益関係に着目をして、応益原則に基づいて、その資産価値に応じて課税する財産税でございます。

 償却資産についてでございますけれども、これは事業用の土地や家屋と一体のものとして企業の事業活動に供されるものであり、市町村から広範な行政サービスを受けることでその収益力を継続していると考えられることから、課税客体とすることが適当であるとして課税を行っているということでございます。

古本委員 要は、より最新の設備を入れたいという事業者がいて、その方が安全だし、例えば指を挟まなくなるよだとか、いろいろな、安全衛生上も非常に最新型の設備の方がいい、そういうセーフティー機能もいろいろついている、町工場のおやじさん、それを入れてあげたいけれども、法人税を減税しますから入れてくださいと言われても、土台、赤字法人であったらそのメリットはきかないんです。

 一方、最新型の設備で、そして労働災害も起こりにくい、いろいろなセーフティーネットがついている設備を自分のところの従業員のために入れたいなと思ったら、今度は固定資産税が上がるんですよ。

 国税は生産性に着目し減税するのに、固定資産税はなぜに担税力があると思うのか。

 そのときに、結果として、これは年後半に向けて、今回のこのコロナウイルスの問題がさらに拍車をかけて設備投資意欲が冷え込んだ場合、年後半の景気、経済を本当に懸念をいたしますね。

 そういう意味では、この固定資産税を時限で今回減免するということを、これは総務委員会がメーンでしょうけれども、今回三年限りですけれども、個人の住宅の場合は新築を建ててから二分の一軽減が二年間でしたか、個人の場合は軽減が入りますけれども、戻ったとき、みんな、家を建てたことがある人はわかりますけれども、ああ、固定資産税上がったなですよ。痛いですけれども、上がったなですよ。

 これは、本当に、何とか益金法人になって経営努力しようと思って頑張っている、歯を食いしばっている中小事業者からしたら、せっかく新しい設備を入れて従業員のためにと思っているのに、固定資産税がまたぼんと上がると、これはなかなか激変は痛いですよ。

 きょうは細かなデータは言いませんけれども、実は、自治体によっては、設備償却に係る固定資産税依存度が三%未満という、税収全体に占める寄与度がですね、自治体も少なくないので、例えばそういう自治体からまず実験的に進めてみるとか、さまざまな検討を重ねてもらいたいなと思うんですけれども。

 大臣が御不在になったので、ちょっとそれを再度大臣に聞きたいと思いますが。

 では、総務省は、今回、三年でもとに戻るわけですよね、ゼロの。三年間だけ、設備償却に関して固定資産税を取りません、ある一定の生産性向上する設備。これは四年後にはぽんと上がるんですけれども、そのことについては事業者にどうやって説明するつもりですか。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 償却資産に係る固定資産税につきましてさまざまな御議論があるということはよくよく承知しておりますけれども、これは、市町村にとって、総額一・七兆円ということでございますので、大変重要な財源であるというふうに考えておるところでございます。

 御指摘の生産性革命の実現に向けた償却資産に係る特例措置、この創設は平成三十年度税制改正でございましたが、その際、市町村からは、現行制度を堅持すべきであるとか、国の経済対策は国の責任において行って、地方の基幹税である固定資産税を用いるべきではないなどとの強い意見をいただいたところでございます。

 このため、与党の平成三十年度税制改正大綱では、この措置については、臨時異例の措置として三年間の時限的な特例措置とされたところでございます。

古本委員 例えば神奈川県の例を紹介しますと、工業地帯がありますよ、川崎を始め、工業地帯があります。神奈川県の税収に占める、市町村税収ですよ、全体に占める、きょう私が問題にしました機械及び装置、工具、器具、備品、つまり設備に係る、償却資産に係る固定資産税税収のシェアは二・五%ですよ。それは法人住民税が入るからですよ、どんと。あるいは、固定といったって、地べたの本当の固定の方がどんと入るからですよ。

 つまり、設備償却から、これでもかというぐらい町工場のおやじさんから取るのをもうやめたらどうですかという問題提起をしておりますので、少なくとも、あえて言います、たった二・五%の設備償却の税収シェアなので、大神奈川県だったら、例えば、思い切って、どうぞ固定の減免を三年と言わず半永久的に続きますので神奈川県で設備投資してくださいと言ったら、一つのメッセージになるんじゃないかと思いますけれども。

 これは自治事務でやれませんよ、租税法律主義が邪魔しますから。神奈川県知事の判断で、神奈川県議会でこうだと言えない。筆頭も御出身ですから、大きくうなずいておられますけれども、だったら憲法を変えてでも租税法定主義を変えようじゃないか、こういう議論を大いにやればいいと思いますよ。つまり、そのくらい縛っているんですよ、いろいろなことができないように。

 残り五分ぐらいになりましたので、現年課税。

 これは、私、麻生大臣、もしかしたら総務大臣時代に御質問したかもしれませんが、前年の一月から十二月の所得で当年六―五月の課税になるんですね、住民税は。したがって、定年退職された多くの先輩諸公におかれては、退職金を切り崩し住民税を払うんです。翌年、もう所得がぼんと落ちますから、年金しかありませんので。逆に、新入社員で入った新卒の高校生、大学生、専門学校生たちは、前年所得がありませんから、わあと思って使っていたら、その翌年にはどんと住民税が来るんです。あえて言いますけれども、我々、同僚議員、惜敗された翌年はきついということになるわけです、前年の所得で請求書が来ますから。

 こういうことを考えますと、このITの時代に、どうして所得税と同じく現年課税ができないのか。この問題提起も、実は自民党税調、公明党税調にも問題提起させていただきましたら、少し検討しているということであったんですけれども、検討状況、総務省。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、個人住民税につきましては、前年の所得を基準として翌年度に課税する翌年度課税と現行なっております。

 この翌年度課税の仕組みは、課税団体ごとに税率が異なり得る中で、その課税団体を明確化しつつ、所得税における確定申告等を活用することで、納税義務者や企業、地方団体の税務事務に過大な負担が生じないよう配慮して講じられているものでございます。

 それで、個人住民税の現年課税の問題につきましては、現在も学識経験者や企業、地方団体等を構成員とする個人住民税検討会というところで検討を行っております。これまで、所得税と同様の課税方式を念頭に、企業、納税者、地方団体それぞれにどのような事務が発生し、事務負担をどのように軽減することが可能かなどなどにつきまして議論を行ってきたところでございます。

古本委員 大臣、これは私が十何年前に質問したときとそう変わっていないんですね。もうそろそろ変えていいと思うんですけれども、大臣の経営センスからいったらこのスピード感ってないですよ。

 ちょっと一言、現年課税、思い切って総務大臣に指示してください。

麻生国務大臣 これは極めて技術的な話であるんですよ、この話は。

 したがって、私も落選したときに、あなたの言われた話と全く同じ感想を持ったから、あのとき。ほう、えらい税金高いななんて思った記憶があるので、うかつに落選もできぬなとあのときつくづく思った記憶があるんですけれども。

 いずれにしても、この種の話は、そんな簡単に、ちょっとどう思いますかと言われて、これはごもっともと簡単に言ってすぐまた変わるものでもありませんから、ちょっと時間をいただいて、よくよく総務省というか自治省で検討させないかぬところでしょうね、これは。

古本委員 心強いです。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、階猛君。

階委員 立国社共同会派の階猛です。本日もよろしくお願いします。

 日銀総裁、きょうお越しいただいていますけれども、先ほど事務方から、三時二十分には出なくちゃいけないということで、質問の順番を変えて、日銀総裁からお伺いしたいと思います。ただし、前回のように聞かれたことに関係ないことをだらだらしゃべっていますとおくれることもあり得る点、重々認識した上で、簡潔な答弁をお願いいたします。

 さて、私の通告では三点目なんですが、政府の税収見込みの前提となる経済、物価見通しの妥当性ということに関して伺いたいと思います。

 皆さんのお手元には、資料の二枚目ですけれども、政府の見通しは、ここに書かれていますとおり、実質GDPで見ますと、二〇年度一・四%、二一年度〇・八%の伸びということになっていますが、日銀の見通しでは、それぞれ〇・九%、一・一%と、低い伸びにとどまっています。

 私は、この場でも前回たしか海江田先生も議論されていたと思いますが、政府の見通しは、税収を過大に見積もるために、あえて実態よりも高く出しているんじゃないかなというふうに思っているわけです。きょう櫻井さんが資料で提出したようなものを見ても、過去の政府の見通しというのは大体下方修正されて、実績値はそれに及ばないことが大半なんですね。大体七割ぐらいは下に行っている、こういう結果も出ているわけです。

 そういう中で、日銀総裁に伺いたいと思います。日銀は、経済見通しについてもプロの人たちがやっていると思うんですが、今申し上げました政府の見通しが高く出ていることについて、どのようにお考えになりますか。

黒田参考人 御指摘のとおり、政府の見通しと展望レポートにおける日本銀行の見通しを比べますと、二〇二〇年度と二〇二一年度の成長率に差があるのは御指摘のとおりでございます。

 ただ、これらの見通しは、見通し作成における前提の置き方が異なっていることもありまして、一概に比較するというのはなかなか難しいのではないかと思います。

 大事なことは、先行きの経済、物価見通しの基本的な方向性として、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで緩やかな拡大基調が続く、それから、二〇二〇年度を中心に政府の経済対策の効果が発現すると考えていることなどは基本的に違わないと思いますけれども、御指摘のとおり、確かに成長見通しが異なっており、日本銀行の見通しですと、二〇二〇年度より二〇二一年度の方に経済が加速していくという姿になっております。

階委員 今、自分たちの見通しが正しいとまでは言っていないんだと思うんですが、そういう趣旨ですよね。確認まで。

黒田参考人 これは御案内のとおり、各政策委員がそれぞれの前提を用いて見通しを作成し、その中央値を展望レポートでお示ししているわけでございます。

 そういう意味で、それぞれの政策委員は最大限の情報を活用してそれぞれ適正と思われる見通しをつくっているというふうに思っておりますけれども、結果的に見通しの数字が違っているということは、そのとおりでございます。

階委員 済みません、飛行機おくれますよ。

 日銀の見通しの方が正しいとお考えにはなっていないということでいいですかということで伺っているわけですから、イエスかノーかで答えてください。

黒田参考人 当然、それぞれの政策委員の方は、それぞれの見通しが正しいと思って出しておられると思います。

階委員 また微妙にずらすわけですよね。

 なぜこういうことを聞いているかというと、もう一つ、CPIについて、政府の見通しと日銀の見通しが大きく食い違っているんですね。こちらは逆に、日銀の方が高く出ていて、政府の方が低く出ているわけです。ねじれ現象が起きていますね。普通はこういうことはないわけでありまして、高く出ている方は物価の方も高く出ている、経済がいいということですから。低く出ている方は低く出ているということだと思うんですが、これはねじれになっていますよね。

 これもあれですか、日銀の見通しが正しいとか政府の見通しが正しいとか、そういうことは一概に言えないというような立場でいらっしゃいますか。端的にお答えください。

黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、政府の見通しの前提というのはそれぞれ具体的に示されているわけですけれども、各政策委員はそれぞれの前提を用いて作成しておりまして、先ほど来申し上げているように、成長見通しについても、また物価の見通しについても、それぞれの政策委員が最も正しいと思う見通しを示していることはそのとおりであると思いますけれども、結果的に、政府の見通しよりも物価については高目の見通しになっているということであります。

階委員 しかし、これぐらい大きな違いがあることを、しようがないんだで済ませることは私はできないと思っていまして、というのも、政府と日銀では共同声明を平成二十五年の一月二十二日付で出していますよね。その冒頭に何と書いているかといいますと、「デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、以下のとおり、政府及び日本銀行の政策連携を強化し、一体となって取り組む。」、連携を強化して一体となって取り組んで、物価であるとか経済成長であるとか、これを実現していくということなわけですよ。

 ということは、現状認識であるとか先々の見通しについてはある程度一致していないと、連携も一体化もできないじゃないですか。だから、こういうずれは放置しておくべきではないのではないかと思いますけれども、日銀総裁、どうですか。

黒田参考人 先ほど来申し上げているとおり、この日本銀行の見通しは、各政策委員がそれぞれの前提を用いて最善と思われる見通しを立て、その中央値を展望レポートの中で示しているわけであります。

 したがいまして、政府の経済見通しと全く同じように合わせなければならないというものではないと思いますが、先ほど来申し上げているとおり、経済の全体の流れという面については、基本的な認識はそれほど違っていないというふうに思っております。

 ただ、確かに、見通しが違っているということは、そのとおりであります。

階委員 私は、これは見過ごせないぐらい大きなそごが出ていると思いますよ。

 一方では、物価が〇・四ポイントずつ日銀は上がると言っているのに、政府は〇・二ポイントずつしか上がらないと言っていたり、実質GDPにおいては、政府は、二〇年度大きく伸びた後、伸び率が低下するという見方であるのに対して、日銀は、スローペースで段階的に上がっていくということですよね。

 さっきも言いましたけれども、共同声明で、協力して同じ目標の達成を目指していくというのであれば、ここの認識が一致しないとおかしいのではないか。ずれがあるのであれば、そこは協議して、これは客観的な事実ではなくて見通しですから、協議する中で妥当な着地点を見出せばいいわけですよ。だから、共同声明を出している以上は、こんなずれは放置するべきではないと思いますよ。いかがですか。

    〔委員長退席、あかま委員長代理着席〕

黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、日本銀行の見通しというものは、各政策委員がそれぞれの前提を用いて作成しております。これは、日本銀行法で認められているように、各政策委員は独立して決定にも参加するし、それぞれの人が違った、金融政策決定においても見通しにおいても違った考え方を提示することが許されているわけであります。

 したがいまして、中央値として、政策委員の方々の中央値がこの辺ですということは重要だと思いますけれども、各政策委員の経済見通しを政府見通しとすり合わせて一致させていかなければならないということではないというふうに思っております。

階委員 しかし、この日銀政策委員の見通し、三カ月に一回展望レポートを出されていますけれども、これはもう展望レポートじゃなくて願望レポートですよね。

 三ページ目に、これは毎回出しているもので、今回もアップデートしたものをつけました。一月分の数字を入れましたけれども、これはきれいに予想は右肩上がり、物価上昇ですね、予想は右肩上がりなんだけれども、現実は先細りなんですよ。だから、願望レポートだと思いますよ、こういう願望レポートしか出せなくなっている。日銀総裁へのそんたくで政策委員もそういう見通しになるのかもしれませんけれども、こういうことだと全く信用ができない。

 そこで、IMFの方からも言われていますよね、黒田総裁が任期満了の二〇二三年に物価目標二%に達成する可能性は五割に満たないということが言われております。

 また、私が十一月二十九日に総裁に質問した際に、出口戦略は時期尚早だという御答弁でした。時期尚早だというならばなおのこと、ずっと目標が達成できないということに対して、改めて総括的な検証をすべきだし、検証をした上で、必要があれば金融政策の見直しもするべきではないかと思いますけれども、総裁、いかがですか。

黒田参考人 御案内のとおり、日本銀行は二〇一六年九月に、それまでの政策の経験などを踏まえて総括的な検証を行いまして、現在の長短金利操作つき量的・質的金融緩和を導入したところでございます。

 現在の政策枠組みは有効に機能しておりまして、現時点で改めて検証を行う必要があるとは考えておりませんが、常に、御指摘のように、物価安定目標、そしてそのための金融政策手段というものについて、その効果あるいは副作用というものを検証していく必要があるというふうに考えております。

階委員 今、検証の必要はないという答弁でしたけれども、四ページ目をごらんになってください。上から五つ目のポツですけれども、これは金融政策決定会合における主な意見という中で出てきている意見、「低成長・低インフレが長期化しているわが国においても、財政政策や成長戦略も踏まえ、金融政策のレビューを行う必要があるのではないか。」、こういう意見がありますね。

 それから、今総裁がおっしゃったように、二〇一六年九月に一回目の総括的検証がなされています。この背景に、実は、二〇一六年の六月にIMFから金融政策見直しを提言されています。それに加えて、今回、十二月ぐらいにIMFから金融政策見直しの提言がまた出されていますね。

 ということも踏まえれば、決して必要がないということは言えないと思いますよ。今こそまさに金融政策の見直しのタイミングではないですか。いかがですか。

黒田参考人 先ほど申し上げたように、現時点で総括的検証というものを行う必要があるとは考えておりませんが、御指摘のように、IMFから一定のアドバイスがされております。それはそれぞれ、それなりに意義のあるアドバイスだと思いますので、私どももそれは十分承知をしておりますけれども、現時点でこういった変更を行う必要があるということは考えておりません。

 したがいまして、常時検証を続けていき、必要なときに、当然、出口の問題も含めて対応を考えていく必要があるということはそのとおりでありますけれども、今の時点でIMFがアドバイスしたようなことを直ちに行うということは考えておりません。

    〔あかま委員長代理退席、委員長着席〕

階委員 IMFの提言の具体的な内容、これは日経新聞の記事で私が見たものですけれども、物価安定目標を幅を持たせて提示するとか、金利の誘導対象を十年債より短い年限の国債に変更するとか、国債の買入れ規模に関するめどの撤回をするとか、物価上昇率が安定的に二%を超えるまで資金供給量をふやすという約束を見直すとか。

 いずれも、今、いつまでたっても二%の目標が達成されない中で、国債の買入れ量は減ってきている、あるいはそれに伴ってマネタリーベースもふえなくなってきている、あるいは副作用もたくさん出てきているという中で、私は、IMFの提言というのはまことに的を得た提言だと思いますし、こういうことをするかどうかの前提としても総括的検証をぜひやっていただきたいんですが、どうですか。

黒田参考人 先ほど申し上げたとおり、IMFのアドバイスというのが一定の合理性があるということは認めておりますし、特に物価安定目標についての考え方は、国際的にもさまざまな議論が現在行われております。

 ただ、二%の物価安定目標というのはいわばグローバルスタンダードになっていますが、それをレンジで示した方がいいという意見も一方でありますけれども、私の承知している限りでは、欧米の主要な中央銀行は、やはり、レンジで示すことによって、むしろ下の方のレンジでいいんだというふうにとられかねないということも懸念されておるようでございます。

 そういう意味で、先ほど来申し上げているように、IMFのアドバイスは貴重なものであると思っておりますけれども、それぞれの点については、現時点でこのような見直しをしなければならないというふうには考えていないところでございます。

階委員 十一月二十九日、私も非常に心外だったのは、こちらから対案を示さないと建設的な議論にならないとか合理的な議論にならないと言っていますよね。だから、私も建設的な提案をしているじゃないですか。でも、結局、聞く耳を持たないじゃないですか。聞く耳を持たないし、十一月二十九日のときには、最後、目標が達成できないんだったら、責任をとってやめるのが常識じゃないですかと言ったことに対して、「委員のような考え方は全く持っておりません。おっしゃったことも全て間違っていると思いますし、意見を全く同一にしておりません。」、一刀両断のことを言っていますね。

 これが国会監視を受ける日銀総裁の言うべきことですか。独善的に過ぎるんじゃないですか。撤回して謝罪すべきではないですか。

黒田参考人 私、いつも申し上げていますけれども、二%の物価安定の目標に向けて、金融政策として最大限の努力をしているということでございます。その際には、当然、副作用といったことにも十分配意しつつ、いわば効果とコストというものを総合的に勘案して最善と思われる金融政策を議論し、政策委員会で決定してきているわけであります。

 先ほど来申し上げているとおり、IMFの言っておられることは一定の合理性を持っていると思いますけれども、今の時点でこういうことをするタイミングではないというふうに考えております。

階委員 今の時点って、じゃ、いつぐらいにやると考えていますか。やるべきときが来ると考えていますか。

黒田参考人 先ほど来申し上げているとおり、レンジ化するという点については欧米の主要先進国の中央銀行も反対しているところでありまして、私どもも、レンジ化するということについては適切と考えておりません。

 一方で、コミュニケーションの改善という点については確かにさまざまな努力が必要だと思いますが、イールドカーブコントロールというか、長短金利操作つき量的・質的金融緩和の見直しという形で長期金利操作目標を短期ゾーンにシフトするということは将来的にはあり得ると思うんですけれども、それから、出口に差しかかった場合にはさまざまな出口の手法があると思いますけれども、今の時点でこういったことをやるべきとは考えていないということであります。

階委員 では、将来というのはいつのことを言っているんですか。

黒田参考人 例えば出口について具体的な議論をするというのは、物価安定目標に向かってかなり接近しているというところになっていかないと、今の時点で出口のことを議論するというのはやはり時期尚早だと思います。

階委員 また質問に答えないから、どんどん出発時間が迫ってくるわけですよ。

 いいですか、私、出口戦略の話はしていないじゃないですか。出口戦略は時期尚早だとおっしゃっていて、でも、目標達成にめどが立たない状況だから、検証して、そして見直すべきところは見直すべきではないですかということを言っているわけですよ。出口戦略なんて、きょうは一言も言っていないですよ。

 私は、一刻も早く、この金融政策、IMFからも提言がある、金融政策決定会合でも委員からの発言もあるという中で、検証して見直しをしていくべきではないかと思っておりますけれども、将来将来って、いつのことかはっきりしないじゃないですか。早くやるべきですよ。やってください。どうですか。

黒田参考人 先ほど来申し上げているとおり、経済、物価情勢を勘案して最適の金融政策を議論していかなければならないということでありまして、将来のいずれかの時点で、IMFが言うような長期金利操作目標の短期ゾーンへのシフトということは検討材料になり得るとは思うんですけれども、それは、今の時点でそれを具体的に議論する段階ではない。いつと言われても、それは実際に経済、物価情勢が展開していく中で政策委員の方々が議論していくということになると思います。

階委員 結局、自分では今までのやり方を変えられないわけですよ、ずっと目標が達成できないで七年間も経ているにもかかわらず。だから、私は、前々回、やめるべきではないかと。予算委員会でも、タイは頭から腐るという発言が物議を醸したわけですけれども、日銀総裁といえば、日銀の中では頭脳なわけですよ。脳細胞は、一回壊れてしまったら再生不可能なんですね。手足は、これはけがをしたり骨折したりすれば、細胞が再生してもとに戻るということはあるんだけれども、脳は一回壊れてしまったら治らないということは医学上の知見として常識です。

 私、ずっとやりとりをしていて、やはり、日銀総裁が黒田さんのままでは、自分のやってきたことを変えられない、そして、このまま副作用を放置して任期満了までいってしまったら、日本経済、金融システムは大変なことになるなということをつくづく思いましたよ。

 やはり、虚心坦懐に今までの結果、実績を振り返ってみて、総括的検証をして見直すべきは見直す、あるいは、それが御自身ではできないというなら後進に道を譲る、どちらかだと思いますよ。いかがですか。

黒田参考人 先ほど来申し上げているとおり、経済、物価情勢そして金融市場の動向を見ながら最善と考えられる金融政策を遂行していくということに尽きるわけでして、委員の意見は意見として理解いたしますけれども、私としては、先ほど来申し上げているとおり、物価安定目標に向けて最適、最善の金融政策を遂行していくことが最も大事であるというふうに考えております。

階委員 最後に日銀総裁にもう一回聞きますけれども、前々回の発言で、国民の代表である国会議員に対して、委員のような考え方は全く持っていないとか、おっしゃったことは全て間違っているとか、そういうようなことを誹謗中傷のように言われたわけですけれども、この発言は適切だったと思いますか。撤回して謝罪する意思はないですか。

黒田参考人 従来から申し上げているとおり、私は日本銀行総裁として、最適の金融政策を委員会で議論して行っております。その点については従来から申し上げているとおりであり、私自身の発言も、そういった政策委員会の議論を踏まえて申し上げているわけであります。

階委員 撤回して謝罪するつもりはないというお答えということで理解していいですか。

黒田参考人 前から申し上げているとおり、政策委員会の議論を踏まえて政策を遂行してきましたし、それを踏まえて発言しているわけであります。

階委員 何で素直に答えられないんですかね。

 合理的な根拠を示して、私の考え方が全て間違っているとかと言うならわかりますよ。一刀両断で、何の根拠もなくですね。私は常識的なことを言っていると思いますよ。目標で立てた二年で二%が達成できずに七年たっても全くめどが立たないんだったら、これは責任をとるべきだと、普通の常識のことを言っていると思うんですが、何の理由もなしに、おっしゃったことも全て間違っているとか、意見を全く同一にしないと言われても、これは政策委員の皆さんと話し合ったとも思えませんし、全く説得力がないですよ。

 でも、あえてこの場で撤回もしない、謝罪もしないということであれば、それはそれで、そういう人だということで受けとめますけれども、撤回も謝罪もしないという結論でいいですか。そこだけお答えください。

黒田参考人 撤回とか謝罪とか、そういったことはもとより考えておりませんが、先ほど来申し上げているとおり、私どもとしては、経済、物価、金融情勢を踏まえて最適と考えられる金融政策を遂行してきたわけでありまして、今後ともそれを粘り強く遂行していくということに尽きるということでございます。

階委員 私たち国会議員は、国民の代表として、さまざまな人の声を聞いて、この場に立って責任を持って発言しているつもりですよ。それに対して、日銀総裁御自身のことを独善化して、全く私たちの言うことには耳も傾けず、そして誹謗中傷しておいて撤回も謝罪もしないということでは、到底、日銀総裁として職責を果たしているということにはならないと思いますよ。

 よろしいですか、総裁。もう帰りたい時間ですかね。どうぞ帰ってください。またお呼びしますけれども。どうぞ帰ってください。結構です。

田中委員長 それでは、日銀総裁、どうぞ退室ください。

階委員 済みません、質問の順番が変わったので、最初の質問に戻ります。

 先ほど日吉委員からも指摘がありましたけれども、森友学園事件に関して判決が出まして、私も改めて、あの文書改ざんのときの調査報告書、これを読み返してみました。

 調査報告書の中で、こういうくだりがあります。行政府における文書の管理のあり方としても、一旦決裁を経た行政文書について、事後的に誤記の修正等の範疇を超える改ざんを行ったことは、公文書管理法の趣旨に照らして不適切な対応だったであるとか、国会審議等において各種応接録の存否が問題になった後に廃棄を進め、存在しない旨を回答したことは不適切であるとか、そういう、その当時、一連の行為に関する評価というのが明記されているわけです。

 その調査報告書が発表されたときの記者会見、この記者会見でも、大臣が、辞任しないのかというふうに問われた際、何とおっしゃったか。財務省、ひいては行政全体の信頼を損なったことを真摯に反省するということを述べられた上で、今後二度とこうしたことが起こらないよう、文書管理の徹底など必要な取組を全力で進めていくことにより、大臣としての職責を全うしてまいりたいというふうに記者会見でお答えになられています。

 今でもその考えに変わりがないかどうか、確認させてください。

麻生国務大臣 基本的に、全く、あのときに申し上げたところ、そのとおりで、もう一回復唱する必要がありますか。

階委員 そうであれば、ぜひ今の国会の状況に関する認識をお尋ねしたいんですが。

 御案内のとおり、連日、桜を見る会に関する文書について、白塗りによる改ざんであるとか、国会議員が請求をした後に文書が廃棄されたといったようなことで、先ほど申し上げました不適切であったと言われた行為がまた再発しているわけですね。再発防止を誓ったにもかかわらず、行政の信頼を損なっていることを二度と起こさないということを誓ったにもかかわらず、こういうことが起きているわけです。副総理として責任を感じないのかということをお尋ねします。

麻生国務大臣 今のは官房長官の記者会見の話なんだと思いますが、公文書管理法に基づいてしっかり対応していくことが極めて大事、加えて、国会提出資料の特定の記載を消去して提出したことについて、極めて不適切な行為であると申し上げていると私ども承知しております。私は、それに尽きると思っております。

階委員 当時、行政全体の信頼を損なった、それで、再発防止をしっかりやることで職責を果たすと言われていましたけれども、全く同じようなことが起きていて、職責を果たしたとは言えないと思います。職責を果たせないのであれば、やはり引責されるということも必要ではないかと思っています。

 これは本当に、大臣も、私から言われなくても重々わかっているというのは、この間も言いましたけれども、昨年のNHKスペシャル「権力の興亡」で大臣がおっしゃっていたこと、佐川がやめたらこっちもやめなきゃしようがない、渡世の中で出てくる気持ちとしてはそうでしたねというふうにおっしゃっているわけですよ。

 やはり、今の状況を鑑みると、再発防止ができなかった以上、原点に戻って、あの当時の気持ちに戻って引責されるというのは、これは政治家の身の処し方として非常に立派なことだと思いますよ。いかがですか。

麻生国務大臣 御意見として伺っておきます。

階委員 本当に、こういう問題で、いつまでも同じ問題で国会で政策の議論が進まないということは、私はゆゆしきことだと思っていますし、それが始まったのが、あの前代未聞の決裁文書の改ざん、応接記録の廃棄、膨大な量でした、ここから始まっているということを副総理として改めてしっかり認識していただいて、そして、責任をとるべきところはしっかりとるということをこの場で誓っていただきたいんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、文書のいわゆる改ざんという形でスタートしたという御意見、間違いなくそのとおりでして、これはゆゆしき事態なので、私どもとしては、法律に従いまして処分をさせていただくということをさせていただきました。

 残念ながら、同じとは言いませんけれども、似たような形での話が出ておりますというのは甚だ残念なことだと思っております。

階委員 だんだん時間も少なくなってきましたが、資料の一ページ目をごらんになっていただきたいと思います。

 これは、補正予算のときにここでどういう議論をしたかというと、剰余金の使い方が問題ではないかということで、前代未聞の、剰余金を補正予算で使い切らずに、次年度の当初予算に剰余金五千億ぐらい回して、それで新規発行の国債の金額を減らしたということがありました。そんな粉飾まがいのことはすべきではないんじゃないかということを申し上げましたけれども、総合的な検討の結果、当初予算の数字も大事だということで、そういう、我々からすると粉飾まがいのこともしたということなんですが。

 しかし、当初予算が大事だというのであれば、今回指摘したいのは、プライマリーバランスの赤字が当初予算ベースでは前年より五百億円も拡大しているわけですね。一方で、新規国債発行については当初予算ベースで減らした減らしたと言っているのであれば、やはり、ここについて赤字をふやしているというのは、財政再建の観点からは非常に問題ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 令和二年度の予算の一般会計の基礎的財政収支の話だと思いますが、社会保障関係費の伸びなどによって、基礎的財政収支の対象経費が一・四兆円、一兆四千億増加する傍ら、税収とその他の収入の増加が一・三兆円となることから、令和元年度の当初予算と比べて約五百億円悪化することになっております。

 その上で、基礎的財政収支対象経費の伸びというものは、消費税増収分を活用した社会保障の充実とか、新経済・財政計画における目安の範囲にはとどまっておるというのは御存じのとおりであります。

 一方で、公債依存度につきましては、令和元年度の当初の三二・二%から、令和二年度当初予算では三一・七%と、〇・五%改善をしておりますので、歳出改革の取組自体はきちんと継続しておるんだと思っておりますので、私どもといたしましては、引き続き、歳出改革の取組というものを継続しながら、経済再生と財政の健全化というものの両立を図るということで、私どもとしては、二〇二五年度の、国、地方を合わせてのプライマリーバランスの黒字化を実現していくように努力をしてまいりたいと考えております。

階委員 消費増税で国民に負担を課す際に、未来に借金を残さないようにするために負担をお願いしている、財政健全化のためにお願いしているわけですから、財政健全化を示すプライマリーバランスの数字が悪化しているというのは極めて問題だと思いますよ。

 国民に増税をお願いする立場として、やはり責任を感じていただきたいんですけれども、責任は感じていらっしゃいますか。

麻生国務大臣 今説明を申し上げたとおりで、繰り返しになって恐縮ですけれども、私どもといたしましては、公債依存度等々が一番よく話題になるところでありますけれども、これは改善はしておるという事実はある程度理解をいただきたいところであって、思ったほど改善していないではないかと言われればそのとおり。

 その部分に関しましては、私どもは、いわゆる得たものに関しましては、若い人たちに対しての補助というか、いろいろな形で使わせていただいておるという部分が大きく作用しておる。いわゆる学校とか教育費とか、そういったものにいろいろ使わせていただいたというので、結果として税収の減につながっておりますので、そういったところは、税収というか、歳入の減になっておるということだと思っております。

階委員 一部改善しても、プライマリーバランスのところは、これは重要な指標ですので、ここが悪化しているということは、責任が重い。

 あと、最後に一問だけ、藤原政務官にお尋ねしますね。

 今回、租特の見直しという中で、地方拠点強化税制を延長、拡充するということが行われました。地方創生担当の政務官でいらっしゃいますが、今回、国会でも問題になっていますけれども、地方から東京圏への一極集中を二〇二〇年までにプラス・マイナス・ゼロにする、人口の社会移動をですね。それが実は、ゼロにするどころか、五年前よりもどんどんふえてきているという中で、地方に働く場所をつくって、そこに人を呼び寄せる、外から呼び寄せる、あるいは外に出ようとする人を踏みとどまらせる、若い人とかですね。これは非常に大事だ。なので、この税制については、意味のあるやり方で進めていくべきだと思っています。

 意味のあるやり方かどうかということで、ちょっと私が気になっているのは、この政策を、租特を実行する上で、目標は五年間で実質一・五万人ぐらい雇用を創出するということになっていますね。ただ、その一・五万人の中には、外から来る人、あるいは外に出ていこうとする人を採用した場合だけではなくて、もともと地元の企業に勤めていた人が転職する場合もこの一万五千人、一・五万人には含まれてしまう。これを除くような実績の集計をすべきだと思うのが一点。

 あともう一点は、これは、税制の適用は三年間受けられます。要は、三年間は安い賃金、実質的な負担という意味では安い賃金で雇用できるわけですけれども、三年終わったところでそのインセンティブがなくなってしまうと、やめて、またもとの東京とか都会に戻ってしまうのではないか、こういうことが懸念されるわけです。ですから、フォローアップですね、雇用がふえたのがまた減少していないか、ここもしっかりやるべきではないか。

 この二点について、ぜひ前向きな答弁をお願いします。

藤原大臣政務官 一点目の御質問ということで、三万人増加、特にこれからの五年間で一・五万人の増加というところで、東京等、そういう転勤者に限定すべきではないかという御趣旨だと思うんですが、御承知のとおり、現在のところは地方間の転勤者というのも含まれております。

 そういう意味では、ある意味でゼロサム的なところがあるのではないかという考えもあると思うんですが、地方間の転勤者であっても、仮に地方での雇用というものが失われてしまった場合には、新卒と同様に、やはり地方から東京へ流れてしまう、そういうような可能性があることから、今のところ、目標としての従業員数三万人増加、これの従業員については、東京からの転勤者に限定せず、地方間というのも一応含めて考えているところでございます。

 それからもう一つ、フォローアップの件でございますけれども、これは、雇用促進税制についてはおおむね三年間が最大の期間でございますけれども、事業計画については最長で五年間となっております。そして、五年間の間は毎年報告を聴取をするということになっておりますので、先生がおっしゃるとおり、三年間たった後、残り二年間、計画によってはございますので、そこはしっかり事情を聴取してフォローアップをしていく、この大切さはしっかりと認識をしているつもりでございます。

階委員 ありがとうございました。終わります。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 初めに、新型コロナウイルスの肺炎問題について要望したいと思うんですね。

 実は、きょうのニュースで、北海道で小学生の兄弟が感染をしたと、二人。十歳未満の感染者というのは国内初めてだと思うんですね。それから、小樽の女性検疫官、四十代ということで報じられておりますが、やはり感染をしている。どんどん広がっているわけです。国内でも感染者がふえ、亡くなるケースも出てまいりました。

 財務省におかれましても、ぜひ、PCR検査体制の拡充、それから治療体制の確立のために、必要な財政出動を含め万全な対応を求めておきたいと思います。

 さて、確定申告の時期でありますけれども、麻生大臣、税務署の用意した申告作成会場に納税者がたくさん今来ているんですよね。万が一その中に新型コロナウイルスの感染者の方がおられたら、感染が拡大するおそれもあるわけです。

 実は、東日本大震災のときなどの災害時に、国税通則法第十一条ですけれども、これを適用して申告、納付期限を延長していたことがあります。仮に今後爆発的に拡大するということになれば、こうしたことも適用するなど、ぜひ検討していただきたい。これは要望として伝えておきたいと思います。

 それでは、所得税法等の一部改定案について質問いたします。

 初めに、政府が進める成長志向の法人税改革について質問したいと思います。

 この間の答弁で、おおむね政府の考え方として、次のことが確認できたと思うんですね。法人税率は引き下げたが、租税特別措置の廃止、縮小や課税ベースの拡大で財源はしっかり確保してきている。それから、法人税引下げは、企業の収益性の確保、国際競争力の確保の面がある。さらに、大企業ほど国内及び国外からの受取配当金も利益に含まれているため、経常利益を押し上げているということだと思うんです。

 配付資料の一枚目をごらんください。

 これは、資本金十億円以上の、利益と法人税の推移を棒グラフにしたものであります。

 資本金十億円以上の大企業では、二〇一三年度から一八年度で経常利益が十三・四兆円ふえております。それだけではありません。真ん中のグラフですね。営業利益も、二十七・八兆円から三十七・五兆円に約十兆円ふえているんです。大もうけです。にもかかわらず、法人税等の税収はわずか二百十四億円にとどまっております。

 つまり、資本金十億円以上の大企業は、営業利益がふえても、海外子会社からの配当等がふえようとも、税の負担は変わらない。結局、中小企業、中堅企業の税負担だけがふえた。これが、この間議論してきた政府の成長志向の法人税改革がもたらした真の姿ではありませんか。お答えください。

麻生国務大臣 先月でしたかね、先日、財金の委員会でもこれは申し上げたんだと思いますが、平成二十七年度、二十八年度の税制改正において、成長志向の法人税改革におきましては、厳しい財政事情や企業部門の内部留保が増加しておりますので、そういった傾向、また消費税率引上げといったいろんな情勢を考えて、租税特別措置の縮減、廃止により課税ベースを拡大して、財源をしっかり確保しながら法人税率を、引き上げておりますので、ネットで増税にも減税にもなっていないということは申し上げたとおりです。

 こういった状況の中で、少なくとも、日本経済というものを見ますと、所得とかいろんな、雇用とか、改善をされておりますので、高水準の企業利益等々によって、内需を中心に緩やかな回復が続いております。

 安倍政権の七年間において考えてみましても、法人税収は、平成二十四年度決算の九・八兆だと思いますが、それから平成三十年度決算額で十二・三兆と二兆六千億円増加しているところでありまして、今のところ委員の御指摘は当たっておらぬと思っております。

 その上で、資本金十億円以上の大企業は営業利益がふえても税負担はふえていないという御指摘だと思いますが、この御指摘の資料で引用しておられる法人企業統計の上の法人税というものにつきましては、これは法人事業税のうちで法人の所得に課税する部分、いわゆる所得割ですな、所得割という意味、おわかりね、所得割で含まれている以上、と同様に、付加価値等に課税する部分、いわゆる付加価値割とかまた資本割というものは、これは含まれておりません。

 このため、法人税改革における外形標準課税というものの拡大に伴いまして、法人事業税のうちの法人の所得に課税する部分、いわゆる所得割というものが縮減され、付加価値等に課税する部分、付加価値割及び資本割が拡大されただけであって、これはあたかも法人税等が減ったかのように示されておりますが、極めてミスリーディングなものになるんだという点もあわせて御指摘をさせていただければと思います。

清水委員 確認なんですけれども、麻生大臣がおっしゃったように、法人税全体でいうと、二〇一二年度の九・八兆円から二〇一八年度の十二・三兆円、ふえているんです。

 この資料で見ていただいたのは、資本金十億円以上ということで、資本金階級別にうちの事務所で作成したものなんですね。これを見ていただいて、第二次安倍政権が本格的に始まった二〇一三年度から二〇一八年度まで、法人税はふえていますか。

矢野政府参考人 技術的な点をちょっと御答弁申し上げます。(清水委員「簡潔にお願いします」と呼ぶ)はい。

 今委員がお配りになられた資料、大臣が御答弁されたとおりなんですけれども、この八・五兆あるいは八・八兆という形でほとんど伸びていないという図になっている部分についてですけれども、これは、平成二十七年度、八年度、それ以降もやってまいりました、国際競争に対応して税率を下げて課税ベースを広げるという、税収中立と言っている部分ですけれども、地方税の中では、外形標準課税という赤字法人課税をして、税率は下げる。したがって、所得割の部分は下がったけれども、外形標準で別途課税をしているんです。その別途課税をしている部分がこのグラフには載っておらないんです。したがって、その部分を度外視しているという点を指摘しているわけです。

 あたかも八・数兆円で横ばいに見えますけれども、そこには外形標準課税を、代替する形で上増しにした、所得割を減らして上増しにしたというところが捨象されておりますということです。

清水委員 だったら、それを含めた推移の資料を作成していただきたいというのが一つと、今おっしゃった二十七年、二十八年の税制改正でも、法人税を引き下げた金額よりも課税ベースを拡大した分の方が少ないんですよ。これは法人事業税の地方税を見てもマイナスになっていますので。

 結局、この議論ではっきりしているのは、利益が上がっているのは間違いないです、大企業の。ところが、法人税はフラットになっている。まあ、幾らか違うというふうにおっしゃるんだけれども、総体的にはこの傾向は変わらない。

 つまり、成長志向の法人税改革というのは、企業が利益を伸ばすことで税収増も達成していくということだと思うんですよ、本来は。本来はですよ。企業が業績を上げる、だから法人税もふえる、めでたしめでたしというのが本来のあなた方の方針だというふうに思うんですけれども、最も減税策の利用が多い、資本金の多い大企業が成長して利益を伸ばしても、法人税収入が伸びないということであれば、減税する意味はどこにあるのか。

 逆に聞きますけれども、じゃ、麻生大臣、今後、この法人税をどのように伸ばしていこうと考えていらっしゃるんでしょうか。

麻生国務大臣 法人税と限って通告が出ていなかったので。(清水委員「法人税で通告しています」と呼ぶ)ちょっと、座ってしゃべると聞こえないから、立って言ってください。

清水委員 法人税の税収をどうやって伸ばしていくのか、今後。

麻生国務大臣 法人税の税収。これは、企業が基本的に今、非常に大きく伸びている大きな理由の一つは、海外からの、子会社のいわゆる配当金、また貸し付けた金に対する金利、資本金に対するいわゆる割戻し等々いろんなものがありますのでそういった部分がふえておりますが、これが非常に企業、大企業の利益をふやしておるというのは事実です。

 その海外で得たものは海外で既に税金を払っていますから、それをもう一回、日本に戻したら日本でもう一回かけるというのは、これは二重課税ということになって、これは国際社会では皆そういうふうにいたしておりません。御存じのとおりなので。

 法人が国内で稼ぎ出す部分が多くなっていかないと、私どもとして、いわゆる法人税が、国内で課税できる法人税の税額がなかなかふえないということでありますので、内需が基本的に大きく伸びてこないとその種のものはなかなか難しいというのは事実であります。

清水委員 海外の子会社からの配当益金不算入については後ほど議論しますけれども。

 やはり、国内でといいますけれども、このグラフは、営業利益、これは、だから、いわゆる配当を加味していないわけですよね。営業利益が国内で伸びているのに法人税がふえていないということが問題ではないかという問題提起なんですね。

 結局、課税ベースは拡大しているけれども、税収を確保してきているというんですけれども、結果として法人税は、減っていませんよというだけで、減っていませんという意味での確保で、ふえていますよとは言えないわけですよね。だから、結局、維持するにすぎないということでありますから、今のようないわゆる成長志向の法人税改革を続けても、法人税がふえる見込みはないと私は思います。

 国際的な租税回避の対応について質問します。

 前回、矢野康治主税局長は、財務省作成の資料で、海外子会社配当益金不算入制度など大企業の税負担軽減の項目は、どれも先進国でやっている、日本だけじゃない、そこをふん縛るということはあり得ない、こういうふうに答弁されました。

 今後についても、営業利益も経常利益もどれだけふえても、大企業は国際競争をしているから税負担がふえなくてもよいという考えですか。それとも、やはり法人税収入は企業の利益の増加に応じてふえるべきだというふうに考えますか。お答えください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員が御提出された資料の、営業利益がふえているけれども、受取配当が入っておらないというふうにおっしゃいましたけれども、これは入っておりますので。受取配当がふえた分が利益の増幅になっています。それから、利益がふえた分と同額、税が上がりますと、その部分につきましては一〇〇%課税したことになりますので、差が出てくるのもこれはいたし方がないところだと存じます。

 その上で、今の御下問ですけれども、資本金百億円超の単体の法人と連結法人の法人税の割合が比較的小さく示されているということがあるわけですけれども、これは、前回も御答弁申し上げましたけれども、受取配当等の益金不算入制度ですとかグループ企業間の損益通算の影響によるところが大きいわけでございますけれども、これらの制度は、先ほど大臣からも御答弁申しましたように二重課税を避けるとか、あるいは企業の組織形態、企業経営に影響を与えないようにするといったことから各国でとられている仕組みでございまして、細かいところは若干の異同がございますけれども、大体なべて似たところ、似たようになっております。

 そういった制度につきまして、日本だけが二重課税をするとか、企業の組織形態に影響を及ぼすということはとり得ないと思っております。そのことを申し上げた次第です。

 なお、大企業はというふうにまでおっしゃいましたけれども、そうは申し上げておりませんけれども、中小企業もこれらの税制の恩恵を直接あるいは間接に受けるということを申し添えさせていただきます。

清水委員 いや、結局、ふえなきゃならないというふうには答えなかったんですよ。

 中小企業も恩恵を受けていると言いますけれども、財務省作成の資料で、その恩恵を受けている割合というのは、資本金十億円とか百億円の企業が一番割合は大きいというのは、この間証拠で示したところなんですね。

 それで、資料の三枚目をごらんください。

 これは、ソフトバンクグループの巨額節税を特集した記事であります。

 これは、私も先般の代表質問で、ソフトバンクグループが二〇一九年度決算で、一兆九千八百億円の利益を上げながら、法人税はわずか五百万円しか払っていない、こういうことを告発しました。なぜこのようなことが起こっているのかということでの資料なんです。

 ごらんいただいたように、わかるように、ソフトバンクグループは、通信子会社ソフトバンクの上場時に同社の株を一部売却し、二兆円の特別利益を計上しています。一方、海外子会社から多額の配当を受け、企業価値の下がった子会社をグループ会社に売却し、そのときにできた損失で相殺をするということなんです。受け取った配当も益金不算入になりますし非課税ですよね。

 今回の法改正では、こうした外国子会社益金不算入制度を用いた租税回避手段を封じ込める手段が盛り込まれているというふうに説明を受けました。これはどのようなものなのか説明していただきたい。また、今回なぜこのような手段を用いることとしたのか説明してください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 国際的な租税回避は、課税の公平性を損ない、納税者の信頼をも揺るがしかねない大きな問題であると考えております。これまでも日本は、BEPSプロジェクトの合意事項などを踏まえまして、必要な見直しを着実に進めてきたところでございます。

 今回の税制改正におきましては、現行法令上、法人が外国子会社株式等を取得した後、配当益金不算入制度を適用して子会社からの配当を非課税で受け取るとともに、配当によって時価が下落したその当該子会社の株式を譲渡することなどによりまして譲渡損失を創出させることが可能となっておりまして、これを組み合わせますと国際的な租税回避に用いられるとの御指摘がありましたことから、法人が一定の支配関係にある外国子会社などから一定規模以上の配当額を受ける場合には、株式の帳簿価額からその配当額のうち益金不算入相当額を減額することによりまして、譲渡損失の計上を防止するという策を盛り込ませていただいたところでございます。

 これにつきましては、米国の法令を見習ったというところはございますけれども、政府といたしましては、引き続き、国際的な租税回避の防止に向けて不断に取り組んでまいりたいと考えております。

清水委員 今の説明のとおりです。簡単に言うと、みずからつくり出した損金は認めないというようなものだと思います。

 このような国際的な租税回避の対応はもう当然のことなんですが、しかし、果たしてこれだけで空洞化している法人税収入を確保することができるのかということなんです。

 配付資料の五枚目をごらんください。

 これは、二〇一二年から、ソフトバンク株式会社がソフトバンクグループ株式会社へと変わるわけです、持ち株会社になるわけですけれども、法人三税がずっと五百万円なんですよ。どれだけ利益を上げても五百万円。二〇一七年に三百十三億払っているではないかということですけれども、これとて法人税の負担率でいうと一・一%程度ですから、胸を張れるような額ではないわけであります。

 結局、今回、いわゆる租税回避を塞ぐ手段を用いるということですが、毎年五百万円になっているわけですから、今回の措置だけで例えばこうしたからくりといいますか手口を防ぐことができるのか。これがすごく求められていると思うんです。

 私は何もソフトバンクが憎くて言っているわけじゃなくて、私、携帯はずっとソフトバンクを使っています。これも余談ですけれども、刑訴法改悪のときに、いわゆる通信傍受、盗聴をもうちょっと簡易にしようということで、通信事業者の本社に物すごいお金のかかるサーバーを設置しないといけないということで、ソフトバンクの方から、私たちがこういうのを負担するのはどうも納得できないという要望を受けて、それは問題だというふうに国会でも取り上げました。筋の通らないことはだめだと。

 しかし、これだけ大もうけしていても法人税を五百万円しか払わない、払わないでいい仕組みがあるわけですよ。違法なことをしているわけじゃない。払わなくていい仕組みを政府がちゃんと設けているからなんですね。これ以上に抜け道がないのかやはり確認すべきだと思うんですよ。

 今回の措置同様、そういうものがあれば防ぐ手だてがほかにできないのか、しっかりと調査研究するべきだと思いますが、ここは、主税局長、どうですか。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 個別の法人に関する課税についてはお答えは差し控えさせていただきますけれども、一般論で申し上げますけれども、ちょっと迂遠なようなことを申し上げるようですけれども、企業会計と税務会計は目的を異にしておりまして、その目的に応じてさまざまな計算方法の相違がございます。このために、会計上の利益と課税の対象となる税務上の利益というものが異なることには御留意をいただく必要がございます。

 ということを申し上げました上で、政府といたしましては、企業活動の実態などを注視しながら、今委員が御指摘のようなといいますか、個別企業名は抜きですけれども、いわゆる合法的に、いかがなものかという節税ができてしまうということについては、先ほどの今年度改正の事例でも申し上げましたけれども、そういったことがないようにしていきたいと思っておりますし、更にほかにないのかということもおっしゃられましたけれども、ないことの証明というのは難しいわけですけれども、そういったことが、後手に回るようなことがないようにしていきたいと思っております。

清水委員 しっかり調査検討していただきたいんです。

 それから、もう一つちょっと確認しておきたいんですね。いわゆる外国子会社からの配当益金等不算入制度は二重課税を防ぐために必要な制度だと、麻生大臣も矢野主税局長もおっしゃるわけですよね。

 ところが、以前の外国税額控除であれば、仮に子会社の外国が日本よりも法人税率が低い場合、日本の法人税率の差額をちゃんと課税することができたわけです。今はその差額を徴収することはできません。更に言うと、例えばシンガポールなんというのは法人税が一七%ですから、日本でいうと二三・二%ですか、その差額についても払わなくていいわけですし、シンガポールに納める税金、配当を出すときの税金も、いわゆる日本とシンガポールの租税条約などがありますから、これも払わなくていいということになっているんです。ですから、以前の制度と比べると、やはり外国に子会社があるというところは配当を受け取るたびに以前よりも利益が上がるという仕組みになっているんです。

 それで、ちょっと、矢野さん、わかっていたら教えていただきたいんだけれども、海外子会社のいわゆる二重課税を防ぐための措置だというんですけれども、外国子会社の所在地別の配当金額というのは、これは公表されているんですかね。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 公表されている数字はないと存じます。

清水委員 ないんですよ。ですから、そこの国が、子会社の置かれている所在地の国が幾らの法人税なのかとか、幾ら税金を払ったのかというのがつかめないんですよ。ですから、例えばケイマン諸島とかパナマ諸島とか、タックスヘイブンと言われるところですよね、そこでもともと税金を払わない、そして配当を日本に出せば、それも九五%については非課税になる。だから、二重課税どころか二重非課税なんですよ。

 ですから、海外がやっているからといって倣うのではなくて、空洞化する法人税収を埋めるということであれば、こういうことについてもしっかりと見直すということが必要だということを強く申し上げたいと思います。

 それで、矢野康治主税局長は、二〇〇五年七月に著書を出されておられますね。「決断!待ったなしの日本財政危機」という本を出されておられます。

 これを読みますと、今後の税制のあり方として次のように書かれておられます。社会の会費を上げる方向で現行税制を見直さざるを得ないとすれば、基本的には個人所得課税と消費税の負担をバランスよく上げていく方向で検討すべきと思います、こういうふうに述べておられます。さらに、垂直的公平性のあり方として税制を築いていくためには、個人所得課税若しくは資産課税の負担の引上げを消費税の引上げと同時にあわせて考えるべきだ、こういうふうにも書かれているんですよ。

 今回は消費税は一〇%に上がりましたけれども、例えば所得税の最高税率が四五から上がるという話は聞きませんし、資産課税が大幅にふえるという話も全くないわけで、消費税だけがどんどんどんどん上げられているということがわかっているわけであります。

 おおむね十四年前に書かれたとおりの税制改正がいわば今やられているということだと思うんですが、結局、二〇一九年度補正後のプライマリーバランスでは、十四・六兆円の赤字なんですよ。政府は基礎的財政収支の黒字化だとか言いますけれども、これをどうやって達成するんですか。消費税、十年間上げないんでしょう。法人税はふえていませんよね。どうやってこの税収の空洞化を埋めるんですか。結局、消費税を更に引き上げるか、あるいは社会保障を更に削減していくか、こういう道しかなくなるんじゃありませんか。

 矢野さん、いかがですか。十四年前に書いた本と、今まさしくそのとおりのことを進めてきているという実感、ありませんか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 久しぶりに自分の書いたことを読みましたけれども、先ほど委員から御指摘されましたようなことを確かに書いております。

 著書を書いた趣旨は、財政が非常に厳しいんだということと、それが、いろんな誤解があって楽観論もあるけれども、それは違うんだということを必死に書いたつもりです。最後のところに、今後どうするかを何も書かないのもというので、歳出歳入改革のようなことを、大まかなことを少し書かせていただいた中に、先ほど御指摘のようなところがありました。

 結果的には、それはえと一回り以上前のことでしたけれども、その後、消費税率が上がり、あるいは所得税の最高税率が上がり、あるいは金融所得課税の税率が一〇パーから二〇パーに上がり、相続税の税率構造が上がり基礎控除が縮減されといったことがございましたので、確かに御指摘された部分と符合するようなことが、当時の三党合意を踏まえて、一体改革法にのっとってされたということだと思います。

 委員が御指摘の、消費税引上げだけが今進んだとおっしゃいましたけれども、今私が申し上げたことは、一体改革の中でパッケージになっていたことですので、行われた年度は違ったりしますけれども、一つのパッケージとして一体として行われたものだと思っております。

 この先の話はまた、これまでの改正を踏まえて、経済社会情勢を踏まえて、国民的御議論をされるべきものと存じます。

清水委員 結局、法人税はふえないんですよ、そうはいいましてもね。本当に財政再建のことを考えるんだったら、今の租税回避の問題もありましたけれども、法人税課税のあり方を真剣に考えるべきであるということを強く申し上げたいと思います。

 続いて、ひとり親控除について質問します。

 一九八一年、昭和五十六年三月二十日の衆議院当時の大蔵委員会で、我が党の簑輪幸代議員が国会で初めて、非婚の母親に対する寡婦控除適用についての検討を要望しました。

 それから三十九年、非婚の母親に寡婦控除適用を求める請願が提出されてからは三十三年たって、ようやく非婚の一人親も控除の対象になりました。

 長年、非婚、未婚の一人親に寡婦、寡夫の控除がこれまで認められなかった理由は何ですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 未婚の一人親に対する税制上の対応につきましては、これまで、家族観ですとか子供の貧困への対応といったさまざまな議論がございまして、与党の税制調査会において議論が続けられてきたものでございます。

 今回、子供の生まれた環境あるいは家庭の経済事情といったものにかかわらず、全ての一人親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、婚姻歴の有無による不公平と、それから男性の一人親と女性の一人親の間の不公平、これを同時に解消して、全ての一人親家庭に対して同一のひとり親控除を適用することとしており、今後、着実に実施してまいりたいと存じます。

清水委員 麻生大臣は、昨年の記者会見で非婚の一人親への寡婦控除について質問され、こう答えています。これをやると日本の家族制度の根幹が崩れるということでこの話はなしという状態がずっと続いていた、こういうふうに二〇一九年十二月十日の記者会見で述べられました。

 今年度の税制改正では、与党税調でやはり一歩前進しているんですよ。住民税の非課税措置をつくるとか、あるいは一人親に特別給付金の上乗せをするだとか、一歩前進したんですが、今回改正のテーマになっている所得税の一人親に対する寡婦控除を先送りされました。来年度税制改正に盛り込むことができたのは、やはり与党税調で公明党が強く主張されたからではないか、こういうふうに思います。

 先日、大阪でも寡婦母子福祉大会というのがありまして、公明党の議員の皆さんが高らかにこの成果について発言されておられましたし、努力したということを口々に述べておられましたので、公明党の役割は大きかったんだろうなというふうに思います。

 それで、今回の改正で、未婚、非婚、結婚していない一人親を控除の対象にするということで、先ほど、麻生大臣が言われた日本の家族制度の根幹が崩れるというような保守的な発想は、もう与党の中ではなくなったという理解でよろしいでしょうか。

遠山副大臣 清水委員の御質問にお答えをしたいと思います。

 まず、先ほどこの質問の前提で清水委員がおっしゃった麻生大臣の昨年十二月の会見での御発言ですが、私ちょっと正確に調べてみたら、こうおっしゃっているんです。寡婦控除についてはいろいろな意見があり、日本の家族制度の根幹が崩れるという意見もあって、大きな制度変更が行われない状態が続いていたと記憶しているという御発言だと思います。ですから、これは、正確に言うと、麻生大臣の御意見をおっしゃったというよりも、恐らく自民党、公明党、与党税調の中でそういう意見をおっしゃる方がいたという、ほかの方の発言の引用なんです。だから、そこはまず訂正をさせていただきたいと思います。

 その上で、もちろん、この未婚の一人親にかかわる税制の改正のテーマは、公明党として長年議論をしてまいりました。今般は、経済社会の構造変化も踏まえまして、公明党だけでなく自民党も党内においてかなり議論をされたと理解をしております。最終的には、すべての一人親家庭に対して公平な税制とすべく改正に至ったものというふうに理解をしているわけでございまして、経済社会の変化を踏まえたよりよい税制の実現に向けて、大きな前進だったと思っております。

 もう一点、清水委員の御質問の中で、家族制度が壊れるというような保守的な発想はもうないのか云々というお話ありましたが、もちろん、保守的な発想というものの定義は何なのかということがありますので、それが明らかでないと一概に言えないわけですけれども。

 ただ、大事なことは、親の事情はさまざまあるけれども、やはり、我々、子供は社会の宝だ、これは党派を超えてみんな思っているわけでありまして、その子供を優先する、これは海外ではチルドレンファーストとかチャイルドファーストという、その言葉をそのまま使って与野党でマニフェストに入れた時代も過去にありましたけれども、そういう発想でこの税制改正も議論していこうという流れの中で今回の実現に至った、こういうふうに思っております。

 以上です。

清水委員 私は麻生大臣の発言として言ったつもりはありませんので、そこの認識は一致でございます。

 これは事務方で結構ですけれども、端的にお答えいただきたいと思うんです。この法律第二条三十一号の、ひとり親控除が認められる人の条件として、生計を一にする子というのは、これは何を指すのでしょうか。端的にお答えください。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の件につきましては、親と同一の家屋に居住している子は、原則として、生計を一にする子と取り扱っております。また、同一の家屋に居住していない子でありましても、修学等の余暇には親と生活している子や、あるいは、親から常に生活費や学資金などの送金を受けている子は、生計を一にする子と取り扱っております。

 生計を一にする子につきましては、改正後の所得税法におきましても同様の取扱いがなされると考えております。

清水委員 それでは、資料に基づいて、ひとり親控除の対象になるケースを確認したいと思います。

 配付資料の六枚目をごらんください。

 事例一、離婚している親が別居している子に養育費を毎月送っている、この別居している親がひとり親控除が認められるかどうか。

 それから、事例二、これはパートナーシップ制度で同性の方が同居している場合、それから住民票に事実婚の記載がない、同棲、同居ですよね、こういう場合、いわゆるこの親にひとり親控除が認められるのか。

 それから、事例三、八十歳の一人親と六十歳の同一の生計をしている子、親の収入は年金のみ。

 全て、この子供の合計所得は四十八万以下というふうにした場合、これらのケースは今回創設されるひとり親控除、三十五万円分、対象になりますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今挙げられました四つのケース全て、基本的には適用されることになるということでございます。

清水委員 ここもテンポよく行きたいと思います。次は、資料の七枚目をごらんください。

 これは、ひとり親控除は適用されませんが、寡婦控除が適用になるケースの確認をさせてください。

 事例四、例えば、妹夫婦が事故などに遭って亡くなられた、その子供をいわゆる亡くなった妹のお姉さんが扶養する場合、これについては寡婦控除が適用になるのか。

 それから、事例五、これは大災害のときなどよくあるんですが、両親が亡くなって子供さんだけが残った場合、その祖母が孫を扶養するという場合、これは寡婦控除、二十七万円が適用されるのかどうか。

 これについて、イエスかノーかでお答えください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 事例四の方は、寡婦控除の適用対象になり、事例五の方は、お子さんではありませんので、対象にならないということになります。

 失礼いたしました。右側の事例五も、寡婦控除は適用になります。

清水委員 いずれの場合も、寡婦控除は適用されるということなんです。

 ただし、この事例四と事例五の場合、非婚の女性あるいは男性である場合、事例五も、いわゆる孫を扶養している方が非婚である、結婚した経験がない、あるいは男性である場合、この場合は控除の対象になるんでしょうか。寡婦、寡夫の控除はとれるんでしょうか。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 いずれも適用になりません。

清水委員 それは適用にならないと。

 ここまでの質疑で確認できたのは、子供以外の扶養親族がいるケースなどでは、婚姻歴の有無それから性別によって、この寡婦、寡夫の制度から除外される人は残されているということなんです。

 ですから、そこに本当に合理的な理由があるのかという検証は必要だというふうに我が党は考えておりますので、今こそ全面的な解決が求められているというふうに思います。

 間もなく時間ですので、最後に伺いたいんですけれども、矢野主税局長の書かれた本のタイトルのサブタイトルは、「平成の子どもたちの未来のために」というふうに書かれています。恐らく、子供たちのために国の借金を減らしていこう、プライマリーバランスの均等を早くとろうということで書かれたんだというふうに思うんです。同時に、娘さんが二人おられるということも記述されておられまして、家族のためにも、子供たちのためにもという思いがここに込められているのだと思います。

 ところが、母子世帯の収入というのは大変深刻なんです。もう時間がないので説明しませんが、毎月でいうと赤字なんですね、可処分所得だけでいくと。しかも、今回のひとり親控除がとれない、いわゆる課税最低限の世帯もたくさん残されているわけですよ。そういう方々には今回の消費税の増税だけが重く負担にのしかかっているんです。つまり、一人親の子供ですよね、大きな負担を押しつけられ。本当に子供たちの未来のためだというのであれば、消費税は上げるんじゃなくて引き下げて、母子世帯を応援するべきではありませんか。最後にお答えください。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 ひとり親控除につきましては、単身でお子さんを養いながら働く場合に、両親ともにいる家庭に比べまして選択できる職業や働き方に制約があるなど、所得を得る上での御本人の特別な事情に配慮して、税負担の軽減を行うために設けたものでございます。

 御指摘のように、課税最低限以下で税の御負担がない御家庭ということになりますと、これはもう大前提としての税負担の軽減を図るもとになる税負担額というものがございませんので、その適用がないということについては御理解をいただきたいと存じます。

 それから、消費税との兼ね合いでおっしゃられましたけれども、これも繰り返しになりますけれども、消費税は、それ自体はいただくものですけれども、社会の会費としていただくものですけれども、社会保障の財源ということになっておりますので、主として低所得者の方に、特に今回は全世代型ということですので、高齢者というよりもむしろ子育て世帯に多くが振り向けられたということもあわせて考えていただく必要があるかと存じます。

清水委員 時間が来たので終わりますが、引き続き、法人税収の空洞化については議論をしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 最初に新型コロナウイルスの件で、国民が一番思っていることをちょっと一つだけお聞きをしたいと思うんですけれども、ダイヤモンド・プリンセス号で部屋を隔離し始めたのが二月五日、そして検体を検査し始めたのが十二日から十四日ぐらいまでが多い、そこで陰性が明らかになったので十九日の午前中から下船が始まったというような、報道で知ったわけでございますが、今回、厚労省の職員がこの船内で事務作業を行っていたということで陽性反応があった。この厚労省の職員は十二日から勤務を開始した、要するに隔離がなされた時点から勤務が開始されて陽性になったということですので、隔離された乗客と接触をしている過程の中で感染したのだろうというのが普通には考え得るところだと思います。

 そうだといたしますと、十二日から十四日まで検体検査をして陰性であったとしても、十九日の下船までの間に厚労省のその職員がやはり接触をし続けているという可能性は非常に高いのではないか。そして、これは報道ベースですけれども、この職員は十八日の夜から発熱をした、十九日の朝になったら熱は下がったけれども鼻水が出ていたということで、調べたところ、陽性反応があった。十八日の夜にそういう意味では発症したわけですよ。十九日の下船のとき、下船が始まったときに、症状が軽快した、鼻水が出ているだけだったというときに、この厚労省の職員は、下船をするときの乗客との関係で、いろいろな説明をしたりとか接触をしたのではないだろうか。

 今、一番国民が心配しているのは、あるいは、下船をしている人たちも心配しているわけですよ、もう一度検査してほしいと。十二日から十四日までの間の検体で陰性になったとしても、十九日の間までは隔離しているというのが安全性を担保する唯一の根拠になっていたわけです。その間に厚労省の職員が接触していれば、この根拠は崩れるのではないだろうかというふうに思うんですが、その点に関する事実関係について了解しているところを説明していただきたいと思います。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の四十代の厚生労働省職員につきましては、十二日から現地で勤務を開始して、十八日の夜に発熱、十九日の朝は一旦解熱したため乗船して、直ちに医師の判断によって検査をしたというふうに聞いております。

 十八日以後でございますが、職員に対して聞き取りを行ったところ、隔離されている各乗客の部屋に立ち入ったという事実はなかったと聞いております。

串田委員 そうしますと、十二日から勤務をしていてなぜ感染したのかということになるので、いずれにしても、今、そこの部分が国民が一番心配しているところであります。

 そして、発症したから感染するというより、今世の中で伝わっているのは、発症しなくても感染するというふうに報道されているわけですから、十二日から隔離された方々と接触をしない限り感染するはずはないはずなんですよね、原則的には。ですから、そこの部分を、どういうふうな状況になったのか本当に確認をして、フォローアップできるところはやはりしていかなければいけないのではないかと思いますので、ぜひ、その点について確認をして、発表をしていただきたいと思います。

 それでは、きょうの質問に入りますが、未婚の一人親家庭、そして寡婦に関する税控除の税制改正について質問をさせていただきます。

 昨年も一人親家庭に関して所得控除を加算する特別措置が行われて、そしてまた、ことし、一人親家庭を支援する法案がなされています。先ほど遠山副大臣も、子は国の宝だ、チャイルドファーストという話をしておられました。

 私は、まさに、未婚の母親に対する支援、あるいは、本当に子供と一緒にいなければいけない一人親家庭というものを支援というのは大賛成なんですが、果たしてこの一人親家庭という言葉自体で全ての支援をしていくということが正しい流れになっているんだろうかというのは、やはりこれは確認していかなければならないんだろうと思っています。

 一番わかりやすい例を申し上げますと、二〇〇五年に上映がなされました「宇宙戦争」という映画がありました。スティーブン・スピルバーグ監督でトム・クルーズの主演の映画なんですが、冒頭シーン、元妻が元夫のトム・クルーズに、ボストンの実家に戻る間、トム・クルーズに子供二人を預けるというシーンから始まるんですね。これはもう十五年前に上映された映画。

 この映画を見たときに、恐らく世界じゅうの人たちは何の違和感もなくこのシーンは見たんだと思います。元夫に子供を預ける。だけれども、日本はどうだろうか。日本はこのようなことが違和感なく見れただろうかというところなんです。

 きょう配付いたしました資料を見ていただきたいと思うんですけれども、これは、日弁連法務研究財団、この問題に関する第一人者が何人か集まって書いているんですが、日本は単独親権制度を採用しています。この単独親権制度というのは、今や日本と北朝鮮ぐらいしか適用していない制度であります。要するに、離婚すると強制的に一人の親権者しか認められていないんです。世界じゅうは選択的共同親権ですので、ともに養育をする、夫婦関係は終了してもともに養育をする、そういう制度が世界中の制度なのに対して、日本だけが単独親権制度、一人だけの親権になるわけですね。これは、自動的に一人親家庭をつくり出す可能性が非常に高いわけです、親権者は一人になるわけですから。

 そうすると、日本はあえて、北朝鮮とこの日本しか採用されていない極めて珍しい制度を維持しながら、一人親家庭をつくり出して、その一人親家庭に支援をしているということになっているのではないか。今、社会保障費を削減しなければならないときに、あえて一人親家庭をつくり出して支援をし続けるということが正しい予算の使い方なんだろうか。

 足りなくなったら消費税を上げなきゃいけない。幾ら上げたってこれは足りないんじゃないかと思うんですが、先ほど遠山副大臣が子供のチャイルドファーストとおっしゃられていましたが、本来は、一人親家庭にしないような、例えば夫婦が離婚したとしても一人親家庭にしないような制度に予算を費やすことが子供ファーストなんじゃないかと私は思うんですが、遠山副大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

遠山副大臣 突然の御指名で、事前通告もいただいておりませんことと、あと、私、今財務副大臣としてこちらにおりますので、今のお話は恐らく、一義的には法務省所管のお話だと思います。

 ただ、一点だけ。私、若いころにイギリスに長く留学をしておりました。イギリスは、私、データも何も今持っておりませんけれども、私が留学をしていた約三十年前に気づいたのは、夫婦別姓も定着しておりましたし、また、子供さんがいらっしゃるけれども離婚されている御家庭というのが、印象としては日本よりも多い印象でございました。

 そういう社会で私六年余り過ごしたわけでございますが、別れた夫婦の間で、子供と面会をしたり時間を過ごしたりということがかなり一般的に行われておりまして、大分日本と違うなという印象を持ったことがございます。

 またその後、私も、公明党の法務部会長も三年ほど務めさせていただきまして、先生がこの委員会で、前回もそうでしたけれども、されておられる質疑を大変興味深く伺ってきたところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほどの清水委員への答弁でも申し上げましたとおり、やはり、親の事情はさまざまであっても、子供の利益、幸福というものを考えた制度のあり方を国会で審議するということは、非常に重要だと思っております。

串田委員 立法事実として、子供の貧困があるから今回法改正が財務省から出され、昨年も子供の貧困に対する財務省からの改正がなされているので私お聞きをしているんですが、要するに、子供には、お母さんもお父さんもいて、おじいちゃんもおばあちゃんも双方にいる。孫がかわいいからランドセルを買ってあげる、塾にも行かせてあげる、洋服も買ってあげる、外食も出してあげる。双方に親戚がいて、子供はそうやってかわいがられていく。この状況を、なぜ、離婚のときに単独親権に強制しなければいけないのかというのが、世界も大変不思議に思っているわけです。

 親が片方だけになってしまえば、子供は貧困になるに違いないと私思うんですよ。もちろん、そうじゃない、非常に裕福な親にだけ引き取られるという場合はいいと思うんですけれども、せっかく双方に親がいて、おじいちゃん、おばあちゃんもいて、それをなぜ、わざわざ単独の強制をして貧困にし、それを税制上補っていくのかというのは、私、大変不思議なんですが、共同親権ではなくて単独親権が子供を貧困にしているんではないかという通告をさせていただいているんですけれども、このような認識はあるんでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 現在、日本の民法では、離婚後は、委員の御指摘のとおり単独親権ということになっておりまして、離婚の際に父母のどちらかを親権者と定めるということになっております。

 それを前提にして、親子の扶養義務というのが民法では定められておりますので、その扶養義務を履行することによって子供の福祉を確保する、こういう構造になっているのではないかと理解をしております。

串田委員 厚労の中で、コロナウイルス関係の職員の方がいらっしゃれば、もう質問をいたしませんので、お帰りいただいても結構だと思うんですが。

田中委員長 厚労省奈尾大臣官房審議官、退席していただいて結構です。

串田委員 一九九四年に、連立内閣のときなんですが、子どもの権利条約を批准し、共同養育をするように定められています。これを実現していないということで、昨年の二月に、国連から法改正をするように勧告を受けている事実はあるでしょうか。

河邉政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年二月に、児童の権利委員会から、児童の最善の利益である場合に、外国籍の親も含めて、児童の共同養育を認めるため、離婚後の親子関係について定めた法令を改正するよう勧告があったことは事実でございます。

串田委員 条約は、御存じのように、憲法七十三条で、これは内閣が締結をしている。法務省が締結しているわけじゃなくて、国会の承認のもとに内閣が締結をし、これを遵守するというのが憲法九十八条二項に、そして九十九条では国会議員と国務大臣が指名されて、これを遵守するようになっているわけですね。

 今、日本は、この子どもの権利条約を履行していないため、共同養育になっていないんです。単独親権というのは、共同養育に、これは表面的にはやはり反するような制度なわけですよ。子供の権利なんですね、共同養育というのは。それを日本は、分離してしまって、単独にして、片方の親だけになり、片親、片方の一人親家庭になって貧困になっているから支援をするんだと。もとに戻して、条約を遵守して共同養育にすれば、一人親家庭も大幅に減るんではないかと思うんですよ。社会保障費のあり方として、これはやはり子供を優先的に考えながら社会保障費というのは予算を組み立てていくべきではないかと思っています。

 そういう意味で、先ほど遠山副大臣も諸外国の例を挙げていただきましたが、日本は制度として一人親家庭をつくり出している制度を維持し続けているわけです。

 一人親家庭というのはどういう意味かといいますと、二人、親がいて、離婚したときに一人親家庭になるんですが、これは一人親家庭なんですね、子供がいるんです、一人親家庭。この一人親家庭がつくり出されたときには、一人親がつくり出されるわけです。一人親家庭と一人親がつくり出されるんですね。

 この一人親というのはどういうふうになっていくかというと、これも資料に書かれていますけれども。どうやって一人親家庭になっていくかといえば、子供が一緒にいるということですから、親権者は一人なので争いになるわけですね。争いになるということは、まず子供を確保するところから始まるわけです。これに書かれているように、「裁判所調査官の調査結果を有利にしようと子どもの取り込みを行う。」、これは、いわゆる日本がよく批判されている連れ去り問題なんですね。要するに、連れ去れば、子供を、親権者をかち取れるわけですよ、日本は。その後どういうことが起きるかというと、「子どもと同居している人は相手の悪口を吹き込むといったことが日常的に行われています。」と。要するに、一人にする制度ですから、子供が戻りたいと言われちゃうと困っちゃうので、相手の悪口をずっと吹き込むというのがよく行われるんですね。これはもう日常よくあるわけです。

 何が言いたいかというと、一人親家庭というのができ上がると、もう一人は一人親で、この一人親は子供から憎まれていく親になっていくわけですよ、制度として。天涯孤独になって、高齢になっても、子供はもう顔も見たくない、会いたくもないということになって、成人していく。そして、この片方の親は、天涯孤独になって、高齢になれば公的扶助を受けるしかないんですね。ですから、ここにも社会保障費がかかってくるわけです。

 この制度は、一人親家庭をつくって公的扶助をし、そして、もう一人の一人親は天涯孤独にして公的扶助をしというように、公的扶助、公的扶助、公的扶助というのが日本の今のこの家族制度なんですよ。そうして社会保障費がどんどん積み上がっていって、消費税を幾ら上げていったって間に合わないんですね。

 そこで、厚労省にお聞きをしますが、社会保障の基本というのは自助、共助、公助となっていますが、これは順番はないんでしょうか。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国の社会保障制度でございますけれども、みずからが働いてみずからの生活を支え、みずからの健康はみずから維持するという自助を基本としながら、病気やけが、失業などの人生で生じ得るさまざまなリスクに対しまして、所得や資産、世帯の状況などを踏まえつつ、共同でリスクに備える共助が自助を支え、これを公助が補完するという仕組みでございまして、自助自立を第一に、共助、公助を適切に組み合わせて対応していくことを基本的な考え方といたしております。

串田委員 まず一番最初に「宇宙戦争」という映画を言いましたが、ボストンの実家に元妻が行くときに、子供を元夫に預けるというところからスタートした。こういうふうに、行き来、先ほど遠山副大臣も話していただきましたが、諸外国はこれがごくごく当たり前の制度になっているのが、日本は単独親権ですから、取り込んだ後、相手の悪口を言うというのが日常的に行われていくので、預けるとかという発想が日本には生まれてこないんですね。そうすると、勢いどういうことになるかというと、預かる場所がない、箱物をつくれになるわけですよ。

 要するに、自助を置いてきぼりにして公助が先になってしまうので、幾ら社会保障費があっても、自助を生かしていないわけですよね。何でそんな制度を、今、北朝鮮と日本しかない制度を何で今までそのまま放置しているのかというのは、世界でも非常にまれに思われているだけじゃなくて、非常に世界から批判を受けているわけです。

 きょう、外務省にもおいでいただいているんですけれども、ことしの二月五日、今月の二月五日に、フランスの上院議会で日仏の子供に対する採択が行われたと思いますが、どのような内容でしょうか。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 現地時間二月五日、フランスの上院本会議におきまして、親による連れ去り後にフランス人親との全ての関係を絶たれた日本とフランスとの間の子に関する決議が採択されたと承知をしております。

 この決議におきましては、日本人とフランス人の夫婦が離婚した後、日本人の親が子供を引き取ったことでフランス人の親との関係が断たれた子供及びその子供との接触を絶たれたフランス人の親の置かれている状況への懸念、こういったことが内容になっているものと承知をしております。

串田委員 この採択は、三百四十票の満場一致で、実子誘拐ということで採択をされたんですね。私の議員会館にも、フランスの上院議員とフランスの大使館の方が来られまして、こういう決議をするんだということを、資料をいただきました。

 そして、つい二日前ですか、二月の十九日には、欧州議会でこの問題が取り上げられているわけです。

 今、国際結婚が四%から五%行われているわけでございますが、そのうちの中で、多数の子供が日本の国内において連れ去られていくということで、国際的にこういう決議がなされて、今や、日本への海外渡航にも注意喚起がなされているわけです。

 これは、文化という説明ではもう無理になってきておりまして、そもそも日本と北朝鮮しか採用していない制度でございますので、何とかこの制度を変えることによって、日本の社会保障費、これの考え方、自助、共助、公助という順番を大事にする制度に変えるということが、私は、この日本も国際社会から信頼されるという点でも重要なのではないだろうかと。

 今、年間八十六万人の子供が生まれているわけです。そして、三組に一組が離婚している中で、子供がいる確率は五八%。ですから、十五万人から二十万人が、毎年、離婚をするときに一人の親権者のところに引き取られていって、そしてもう一人の親がこうやって悪く言われる可能性の非常に高い環境に置かれているわけですね。

 これは、大概、今は父親が多いですけれども、今、女性が母乳で子供を育てているときに、すきを見て男の人が、元夫が子供を連れ去っていってしまうという相談もすごくたくさん受けているわけです。

 これも一人親家庭の寡夫になるわけですよね、連れ去った側が。諸外国では、これは要するに拉致監禁というような、あるいは誘拐というような批判をされている中で、今、日本はこれを、税制を優遇していく。

 だから、未婚のお母さん、すごく助けたいです。虐待を受けている子供を助けていく配偶者も助けたいです。だけれども、そうじゃない、何でもない人までが連れ去っていくことを一人親家庭として支援する法律を今つくっているんだということの認識は持っていかなければ私はならないのではないかなというふうに思っているんですね。

 これ、連立内閣のときにできたんですよ、一九九四年。そのまま放置されちゃっている条約なんですね。

 昨年、安倍総理に予算委員会でこの質問をしたら、お父さんにも会いたい、お母さんにも会いたい、お母さんにもお父さんにも会いたいというのはよくわかるということで、法務省に指示をしていただいて、今研究会が発足しているんですよ。こういうことをやってくれている内閣は、安倍内閣が初めてなんですね。

 ですから、これをどんどん進めていって、できれば、一人親家庭がない、少なくなるようなところに予算を費やしていってもらいたいなというふうに私は思って、質問をしております。

 民法八百七十七条一項はどのような規定か、ちょっと確認をさせてください。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 民法八百七十七条一項は、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」と規定をしております。

 直系血族と兄弟姉妹についての扶養義務が並列的に規定される格好にはなっておりますが、一般に、未成熟の子供に対する親の扶養義務は、子供が親の生活程度と同等の生活を保持することができるようにすべき義務であって、兄弟姉妹間の扶養義務よりも義務の程度が重いと解されているものと承知しています。

串田委員 婚姻していようが未婚であろうが、あるいは離婚しようが、子供にとってはお父さんでありお母さんなんですね。一人の親権者にする必要がないときには共同で養育をするという条約を優先していくということを大切にしていただきたいなというふうに思っています。

 わざわざ子供が片方の親を憎むような制度にしておく必要は私はないんじゃないかと。離婚しようが結婚しようが、子供は双方の親が養育をして、それを感謝し、子供が成長していったときには親は高齢になっていく。その高齢になった親を面倒を見なければいけないと子供が自主的に思って、そして親を面倒を見、それでも足りないときにはしっかりと厚い公助をしていくというのが、私は、社会保障費のあり方なんだろうなと。

 今は、公助、公助、公助。一人の親は天涯孤独になってしまうわけですよ、子供に憎まれるような親に。この制度は、この資料に書かれているように、これはもうしようがないことなんです、一人の親権者を選ぶということは、競争になってしまうんですね。わざわざそうやって一人の親を選ばせるような制度にして、自助を生かし切れないというのは大変もったいないと思います。

 社会保障費や消費税にも関連をいたしますので、ぜひ、財務省の、麻生大臣の御意見をお伺いして終わりにしたいと思います。

麻生国務大臣 これは、両親の離婚後の養育について、親権のあり方の話をしておられるんでしょうけれども、いろいろな例を御存じなんだと思います。

 外国人との話という話をしておられましたけれども、向こうの、アメリカの場合は三人に一人どころか二人に一人ぐらいだと、私の記憶ですけれども、そんなものだと思うんですが。お父さんのDV、ドメスティック・バイオレンスというものによってその種のことになるという例はかなり多いです、はっきり言って。それを嫌で逃げ帰ってきた日本人の母、連れ戻しに来た父というような例のときには、共同親権ということになると話はすごく込み入ってきますわな。

 そういう例もありますので、これは一概には、今のお話のような例ばかりじゃないという例を知っている方なので、民法を所管しておられるのは法務省だと思いますので、どのような制度というものが子供の利益にかなうのかという話は、多角的に検討されてしかるべきだと思っております。

串田委員 大臣も大変よく御存じであります、DVとか家庭内暴力に関しては、諸外国も全部、厚く保護をしていく。だけれども、日本はその峻別がなされていないんですね。

 そういう、守らなきゃいけない親もいれば、そうでない、むしろDVの加害者までもが連れ去っていく。母乳を与えている子供までもが連れ去られていく。そして、その連れ去られたことが、日本では親権者を決めるに当たっては有利に扱われてしまっている、そういう状況の中で諸外国も批判をしているわけで、ここの峻別をすることによって、自助、共助、公助というものを生かしていくということを指摘させていただきたいと思うんです。

 未婚のお母さんを守りましょう。そして、DV被害を受けた親御さんも守りましょう。しかし、そうでないものまで全て一緒にくるめられて、連れ去られていった親の方は片親になってしまって、天涯孤独になってしまっている制度、もうこれは霞が関の官僚の方もたくさん私のところに来られますよ、名前を言わなくても。三組に一人、そういう状況になるというようなことで、ぜひ、条約を遵守するのは国会全体が考えていかなければならないことだと思いますので、一緒に考えていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

田中委員長 次に、門山宏哲君。

門山委員 自由民主党の門山宏哲でございます。

 まず最初に、私も、新型コロナウイルス感染症の影響について質問させていただきます。

 この新型コロナウイルスによる感染症が中国そして我が国にも広がりを見せ、その影響により、中国では景気が大幅に減速しているという報道も見られる状況下にありまして、中国のGDPは五%を下回るという予測も出ているところでございます。

 SARSのときと比べて中国のGDPの規模は約四倍にもなっている中で、日本の景気への影響については、先ほど黒田日銀総裁もおっしゃられたように、インバウンド需要、サプライチェーン、世界景気、株価等、さまざまな影響が出ると思われますが、現在、どのような影響が出ると予測しているのでしょうか。また、この予測に基づいて、いかなる景気対策を検討しているのか、財政政策、金融政策の両面について現在の検討状況をお伺いいたします。

村山政府参考人 お答えいたします。

 中国における新型コロナウイルス感染症拡大の我が国経済に与える影響につきましては、大きく分けて五点あると考えております。

 まずは、インバウンドへの影響でございます。中国からの団体ツアーの予約キャンセルが多く発生していると承知しております。二〇一九年、インバウンド消費のうち、中国人の割合が三七%を占めており、個人旅行も含め、インバウンド消費の下押しが懸念されているところでございます。

 また、中国では多くの地域で休業措置などがとられたことから、二つ目として、我が国企業の中国向け輸出の減少、それから生産への影響。

 三つ目として、中国からの部品の供給が滞るなど、サプライチェーンを通じた影響。

 四つ目として、中国経済の減速による世界経済全体の減速の影響が懸念されているところでございます。

 最後に、五点目といたしまして、こうした中国との関係のみならず、日本国内においてもイベントや外出の自粛による影響も懸念されているというところでございます。

 こうした点につきまして、まだ定量的情報が限られている状況でございますが、十分に注視してまいる必要がある段階と考えております。

 そして、新型コロナウイルス感染症に対してということでございますけれども、政府といたしましては、何より国民の命と健康を守ることを最優先にしまして、当面緊急に措置すべき対応策として、二月十三日に新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策を取りまとめたところでございます。

 まずは、二月十四日に閣議決定されました予備費百三億円、今年度予算を含め百五十三億円になりますけれども、こちらの活用等により、これを速やかに実行してまいります。

 具体的には、国内感染対策や水際対策の強化等、国民や訪日外国人旅行者への正確な情報提供と風評対策。また、中小企業、小規模事業者に対しては、資金繰り支援や相談体制の整備に加え、設備投資や海外への販路開拓等の支援を実施すること。これらとともに、休業手当等の一部を助成する雇用調整助成金について、昨年度の中国関係売上げが一割以上の事業者に対して支給要件の緩和を行うということにしております。

 今後とも、引き続き、観光業を始めといたします経済への影響を十分注視し、緊急度に応じて必要な施策を臨機応変に講じるなど、政府一丸となって万全の対応をとっていきます。

 これとともに、インバウンドの減少など地域経済への影響も既に見られているところでございます。経済全体の下支えを図る観点から、令和元年度補正予算を迅速かつ着実に実行するなど、経済運営に万全を期してまいるという考えでございます。

門山委員 金融政策の件については、何か検討はされているんでしょうか。

若田部参考人 お答え申し上げます。

 先ほど内閣府の方からも説明がございましたように、我が国経済についても三つぐらいのルートで影響を及ぼす可能性があると考えておりまして、第一に、中国経済の国内活動が抑制されることに伴い、我が国経済の、特に輸出が影響を受ける、あるいは、二番目に、サプライチェーンを通じた我が国経済の生産活動への影響、そして第三に、中国人訪日客を中心とするインバウンド需要への影響などなどが考えられます。これらの影響は既に一部では見られていると考えております。

 現時点では、これらの影響の大きさが定量的にどれぐらいかということにつきましては、私どもとしてもまだ定量的に評価することは難しいと考えておりますけれども、委員御指摘のとおり、中国経済のプレゼンスを考えますと、影響が大きくなる可能性を十分に意識しておく必要があるというふうに考えます。

 金融政策につきましては、日本銀行としては、この問題が我が国の経済、物価に与える影響や今後の金融市場の動向に最大限の注意を払うとともに、国際会議の場などを活用しながらしっかりと情報収集を行い、必要なときに必要な措置がとれるように万全を期していきたいというふうに考えております。

門山委員 今は定量的なことが申し上げられないというか、まだそこまでの状況じゃないということはわかりますけれども、やはり大きな影響を与えかねない問題だということで、いつでも次の対応ができるように、検討は進めていただければと思います。

 それでは、未婚の一人親に対する税制上の措置及び寡婦控除の見直しについて質問させていただきます。

 未婚の一人親について、多くの方の努力により、ひとり親控除として三十五万円の所得控除が認められたことは大きく評価できるところでございますけれども、このひとり親控除を受けられる要件として、事実婚でないこと、すなわち、その者と事実上婚姻関係と同等の事情があると認められる者として一定のものがいないことが要件とされておりますけれども、事実婚状態であるか否かを誰がどのようにして認定するのでしょうか。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 一人親に対する控除は、単身で子を扶養しながら働く場合に、両親ともにいる家庭に比べて選択できる職業や働き方に制約があるなど、所得を得る上での御本人に対する特別な事情に配慮して設けるものでございます。

 このため、明らかに事実婚状態にある方につきましては、執行可能な枠組みで控除の適用から除くことにしております。

 具体的には、市町村におきまして、本人が世帯主である場合には、世帯主の夫又は妻の住民票の続柄、それから本人が世帯主でない場合には、その者の住民票の続柄につきまして、夫(未届)、妻(未届)といった記載があるかどうかを確認していただくことにしております。

門山委員 配付資料の一をごらんいただきたいんですけれども、清水先生からも類似の質問があったんですが、この表にあるように、控除を受けようとする者の合計所得金額が五百万円以下であって、かつ、子以外の扶養家族を抱える方が、女性である場合には寡婦控除を受けられますが、男性である場合には寡夫控除を受けられないという理由は何でしょうか。これを検討する余地はないのでしょうか。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の改正は、全ての一人親家庭に対しまして公平な税制を実現する観点から行っておりまして、婚姻歴のありなしや性別にかかわらず、全ての一人親に対しまして同一のひとり親控除を適用することとしたものでございます。

 他方、今回の改正後も、今御指摘がございましたように、所得五百万円以下で、子以外の扶養親族を持つ死別、離別の女性については、控除を引き続き適用することとしております。これは、戦争未亡人が家に残された御老人などを扶養しながら働く場合に、現実には、選択できる職業や働き方に制約があるなど、所得を得る上での特別な事情に配慮するといった、制度の沿革、当時の趣旨を踏まえたものでございます。

 この控除のあり方につきましては、今後、こうした制度の創設趣旨等を踏まえて検討する必要があると考えております。

門山委員 ありがとうございました。

 若干質問を飛ばして、ちょっと順番を変えますけれども、次に、5G普及の促進税制について質問させていただきます。

 5G、第五世代移動通信システムの普及促進は、国家戦略として極めて重要であると考えております。5Gは、通信速度の高速化のみならず、多数同時接続、超低遅延といった特徴を持っており、我が国が目指すべき未来社会としてのソサエティー五・〇の実現に不可欠な社会基盤であると考えております。

 今回の5G促進税制の内容と、その効果見込みについて質問いたします。

麻生国務大臣 今先生御指摘がありましたように、第五世代移動通信システムでしたか、通称5Gというんですが、ソサエティー五・〇、この社会というものを実現するためには極めて不可避的なインフラをきちんとやらないかぬという話なんですが、安全性とか信頼性があるとか、それから供給されているものはきちんと安定しているかとか、それからクローズなものじゃなくてオープンだとかいったようなものが確保されたシステムを構築される必要があるんです。

 さきの国会でしたか、提出した新法の枠組みのもとに、この5Gというものを早急に普及させるという観点から、超高速大容量通信ですか、そういうものを実現するためには、この長い日本のところに、山が多いのでなかなか難しいところなんですけれども、全国に基地局というものをつくらぬとどうにもなりませんので、その整備を、前倒しして整備するというのを支援するということが第一なんですが、同時に、これは地域の活性化や地域の課題というものを解決するのに役に立つという観点から、地域の企業などがみずから構築する、いわゆるローカルな5Gというものの整備も支援することといたしております。

 具体的には、5Gというものに係ります一定の投資というものが出てくるんですが、その投資をなるべく早くしていただきたいので、5Gというものの設備というものに関しましては、ある程度期間というものを限定して税額控除などを認める措置を設けるということにして、ぜひ投資に対するインセンティブということをやろうといたしておりますので、早期の普及が図られるということを期待をいたしております。

門山委員 この促進税制によって認められる税額控除の水準については、当初予定されていた九%から一五%に引き上げられたという報道もありますけれども、税額控除の水準を一五%とした理由について教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 本税制の創設に当たりましては、税額控除率をどうするかにつきまして、与党の税制調査会においてさまざまな議論が行われました。最終的には、我が国経済社会や国民生活の根幹をなす5Gにつきまして、安全性、信頼性等を確保した上で早期に国民に普及させるということが喫緊の課題であることなどを総合的に勘案して、税額控除率を一五%とされたところでございます。

 このように、本税制の創設は、与党の税制調査会における真摯な御議論を踏まえたものであると承知しております。

門山委員 じゃ、次に、これもちょっと質問の順番を変えますけれども、オープンイノベーション促進税制について質問させていただきます。

 今回、法人課税において、オープンイノベーションの促進に関する税制として、特別新事業開拓事業者に対し、特定事業活動として出資をした場合の課税の特例を新たに創設しているわけでございますけれども、この投資を受ける候補となるベンチャー企業数はどの程度を見込んでいるんでしょうか。意見として、その数は大して大きくなく、果たして効果があるのかという意見もあるようでございますけれども、どの程度の効果を見越しているのでしょうか。

中原政府参考人 例えば、一つの調査会社におきまして、二〇一八年の一年間に資金調達を行った国内のベンチャー企業数は約千五百社という調査がございます。

 本税制を活用した事業会社から投資を受けるベンチャー企業数がどの程度になるかにつきましては、国内外の経済状況やベンチャー企業、事業会社双方の経営判断にも影響されるため、具体的に見通すことは困難なものがございます。

 もっとも、実際、ベンチャー企業、事業会社双方へのヒアリング等を通じても、オープンイノベーションに向けた投資の必要性については相当程度理解が広まっているものというふうに認識をさせていただいてございます。本税制を通じまして、こうした投資が促進されていくものというふうに考えております。

 いずれにしましても、本税制について事業者の方々に広く認識をしていただくことが重要であるというふうに考えておりまして、税制による投資促進効果を最大限引き上げるべく、制度の周知徹底などに努めてまいりたいというふうに考えてございます。

門山委員 出資を受けたベンチャー企業が積極的な投資を行わない場合であっても出資した事業会社は減税措置を受けられるということにもしなるとするならば、これは問題は生じないのでしょうか。

中原政府参考人 オープンイノベーションの実施状況に関する確認につきましては、事業会社が出資先ベンチャー企業に対して行う協力がそのベンチャー企業の成長に貢献するものであること、そして、出資の対象となるベンチャー企業の有する技術やビジネスモデル等が事業会社にとって不足する経営資源であって、かつ新事業の開拓や生産性の向上に資するものであること、三つ目に、事業会社による出資を通じたベンチャー企業との協働等が事業会社の事業変革を目指すものであることの全てを満たすものであることを経済産業省としてもしっかりと確認することとしてございます。

 その上で、本税制においては、投資により保有することとなったベンチャー企業の株式を五年間保有する義務を課しまして、毎年度、オープンイノベーションの実施について経済産業省としてもしっかりと確認を行うということとしているところでございます。

 このオープンイノベーションとなるかどうかといったことにつきましては、出資を受けたそのベンチャー企業の投資のみではかられるものではございませんが、仮に、五年間のうちに、オープンイノベーションの実施に関し個別の事例においてその出資が本税制の趣旨に合致しないという場合には、控除分の取戻しが行われるというようなことになるということでございまして、そうした方向でその対処をしてまいりたいというふうに考えてございます。

門山委員 大変この税制には期待しているところもあるし、問題についてはしっかりと見ていただきたいというふうに思っている次第でございます。

 次に、NISA制度について質問をさせていただきます。

 現行NISA制度は、一般NISAとして、平成二十六年一月一日から令和五年十二月三十一日までの間に、専用の口座で新規に取得した上場株式等の配当と譲渡益について、その取得した年から最長五年間非課税としており、また、つみたてNISAとして、平成三十年一月一日から令和十九年十二月三十一日までの間に、専用の口座で契約に基づき、定期かつ継続的な方法による買い付けで取得した一定の公募等株式投資信託の配当と譲渡益について、その取得をした日から最長二十年間非課税としているところでございます。

 今回改正しようとするこの新NISA制度及びつみたてNISA制度の概要とその効果について、お伺いいたします。

麻生国務大臣 今回のこのNISA制度の改正というのは、経済成長に必要ないわゆる成長資金というものの供給を促すというのが一点、もう一点は、やはり人生百年だそうですから、百年の時代にふさわしい家計というものに関しましては安定的な資産というものをつくっておくという観点から行う、この二点が基本であります。

 具体的には、つみたてNISAは、今お話ありましたように、二〇三七年だったものを五年間延長させていただいて二〇四二年ということにさせていただいておりますし、もう一つの、昔からあります一般のNISAにつきましては、これはより多くの積立、分散投資等々による安定的な資産形成というのを促す観点から、制度というのは一定程度見直しておりました上に、二〇二四年だったものを五年間延長させていただくという措置をすることといたしております。

 少なくとも、これらの改正によりまして、今までもこの口座数が大きく伸びてきておりますけれども、これは、更にきちんとした形で、分散投資というもので、今までのように現金に極端に、日本の場合、預貯金、一千八百七十兆円と言われた個人金融資産のうち五十数%が現預金というのは、ちょっと幾ら何でも偏り過ぎているというのはよく言われるところでもありまして、このお金が投資に回るというのを促すという意味で、これまで現預金を信頼しておられた方は、投資というと何となく怪しげな感じがするものじゃないんですよというところは、小口から入っていくというようなところから行くべきではないかという御指摘等々を踏まえて行うものであります。

門山委員 今御説明いただいたんですけれども、特にこの新NISA制度は、一般NISAをただ期限を延ばしただけではなくて、二階建ての制度というふうにされているわけですけれども、この二階建ての制度というのは内容が複雑化してわかりにくいんじゃないかという意見もあると思うんですけれども、その点はどうでしょうか。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 新たなNISA制度につきましては、より多くの国民の皆様に積立、分散投資による安定的な資産形成を促すという観点から、原則として、いわゆる一階部分の積立投資を行っている場合に限って別枠での非課税投資を行える仕組みに見直すというものでございます。

 複雑になったという御指摘もございますけれども、この新型のNISAは、従来ございましたこれまでの一般のNISAと積立てのNISAというものを組み合わせたものでございますので、要素としては従来のとおりでございます。御理解をいただければと思います。

門山委員 この新しいNISA制度なんですけれども、利用者はどの程度ふえると見込んでいるんでしょうか。また、利用者をふやすための方策を何か検討しているんでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の見直しを受けまして利用者がどの程度増加するかにつきましては、将来の金融経済情勢などさまざまな要因に影響を受けることから、一概に申し上げることは困難ではございますけれども、つみたてNISAの口座数は、昨年の一年間で百四万口座から百八十九万口座に増加しており、また、一般NISAにつきましても千百七十七万口座に及ぶなど、着実に普及が進んでいるものというふうに考えてございます。

 金融庁といたしましては、NISA制度のさらなる利用者の拡大に向けまして、これまでも、例えば、当庁自身の説明会実施等の広報活動に加え、地方自治体や経済団体等に対する職場におけるつみたてNISAの説明会実施の働きかけを行うなどの取組を行ってきているところでございますけれども、引き続き、こうした普及活動に取り組むとともに、二〇二四年以降新しいNISA制度が円滑に導入されるよう、十分な周知、広報を行ってまいりたいというふうに考えております。

門山委員 現行法では、ジュニアNISA、すなわち、平成二十八年一月一日から令和五年十二月三十一日までの間、二十歳未満、これは令和五年以降は十八歳未満ですが、の者が、専用の口座で新規に取得した上場株式等の配当と譲渡益について、その取得した年から最長五年間非課税とすることとしております。

 今回、このジュニアNISAについて、未成年者口座開設期間を延長せずに終了させてしまう理由は何でしょうか。ジュニアNISA創設当時の立法事実はなくなってしまったんでしょうか。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 ジュニアNISAにつきましては、若年層への投資の裾野の拡大や、高齢者層から若年層への資産移転の促進等を図るために、平成二十八年に創設したものでございます。

 ジュニアNISAにつきましては、利用実績が乏しいことなどから、延長せずに、二〇二三年末に終了することといたしましたけれども、つみたてNISAと一般NISAの見直し、延長をパッケージとして措置することによりまして、経済成長に必要な成長資金の供給を促すとともに、人生百年時代にふさわしい家計の安定的な資産形成を支援していくことができると考えております。

門山委員 若干飛ばした質問について、ちょっと時間があるので、また未婚の一人親に対する税制法の処置及び寡婦控除の見直しについての質問をさせていただきます。

 末松議員からも同じような質問があったんですけれども、寡婦控除を、控除を受けようとする者の子の人数が多くても控除の額が一人の場合と同額である理由は何でしょうか。これを差異を設けることというのは、検討できないんでしょうか。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般のひとり親控除は、単身で子供を扶養しながら働く場合には、両親ともにいる家庭に比べまして選択できる職業や働き方に制約があるなど、所得を得る上での御本人に対する特別な事情に配慮して設けるものでございます。

 委員御指摘のとおり、複数のお子さんがおられる方についての制約ということについて勘案するべきではないかという考え方もございますけれども、こういった状況にある単身者本人への配慮措置ということでございますので、子供さんの人数にかかわらず一律の額となっております。

 なお、お子さんの扶養に関して生じる実際の出費につきましては、子供の人数がふえればその分明確にふえるというのは明らかでございますので、その出費などへの配慮としては、別途、扶養控除ですとか、あるいは歳出措置としての児童手当などの制度がございますので、これらにつきましてはお子さんの人数に応じた仕組みとなっているところでございます。

門山委員 この控除のあり方というのは子育てとの関係もあるので、また検討していただければと思います。

 質問を終わりにいたします。

田中委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私、きょうは、もう最後のバッターでありますので、きょうは金曜の夜であります。私、三十分の時間をいただいておりますが、私が早く終われば皆さんも早く地元に帰れるというふうに思っておりますので、通告は十一問しているんですけれども、九問に絞ってやっていきたい。これが終われば、時間の途中でも私は終わります。あとは、答弁側の努力もあればありがたいなというふうに思っております。

 まず最初に、未婚の一人親について質問させていただきます。

 これは、るる何人かの委員の皆さんからも質問がありましたとおりですが、可処分所得の比較をすると、厚労省のデータによると、いろいろな世帯ごとに比較をして可処分所得がどういう動きをしているか。アベノミクス、この経済政策で、各いろいろな、例えば三世代の同居の世帯だったりとか、あるいは親二人子二人世帯だったりとか、ひとり暮らしの独居世帯も含めて、可処分所得はずっと実は、まあ上がりの差はあるにしても、みんな上がっていっているんです。でも、唯一下がり続けているところが未婚の親と子供、この可処分所得だけはずっと下がり続けている。分配でやはりここは課題があるんじゃないか。こういう背景もございます。

 二〇一三年の本会議で、代表質問で最初に公明党が取り上げさせていただいて、足かけ六年で税制改正にまで持っていくことができたということですが、ありがたいことに、共産党の先生からも評価をいただきました。同じく推進に力をいただいた税調の関係者の皆様、とりわけ自民党の女性の議員の皆さんも力強く推進をしていただいて、また、与野党を超えて応援していただいた方々もたくさんいらっしゃると思いますので、改めて感謝申し上げたいと思います。(発言する者あり)男性ももちろんそうでございます。

 これは、昨年は住民税非課税のハードルを離婚と未婚で合わせた、今回は国税に踏み込んだ、寡婦控除に踏み込んだということですが、でも、ポイントは、私、一番大きなのは実はそこじゃないと思っています。つまり、控除の額だけでいうと、控除額三十五万円、最低税率五%ですから、一万七千五百円分の差なんです。これは一カ月でいえば千五百円にもならないというところで、実は大きいのは、寡婦控除とか住民税非課税にひもづいているいろいろな支援があります、これが受けられないということが一番大きな問題だったんじゃないかというふうに思っています。

 ということで、まとめて二問、質問します。

 まず、厚労省は、医療や福祉の面でどういうところがひもづいていて、新しい制度が今回受けられるようになるのか。文科省は、教育の面でどういうところが新たに支援が受けられるようになるのか。これで二問、質問をお願いします。

横幕政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の所得税法の改正法案におきましては、全ての一人親家庭に対しまして公平な税制を実現するという観点から、婚姻歴の有無による不公平、それから男性の一人親と女性の一人親の間の不公平、これらを解消するために、全ての一人親家庭に対しまして同一のひとり親控除を適用する内容が盛り込まれていると承知をしております。

 御指摘の点につきまして、まず、今回の税制改正に先立ちまして、社会保障分野におきましては、平成三十年度から、未婚の一人親の方に対し寡婦控除のみなし適用、これを実施しております。これにより、保育料の軽減等が図られているという状況でございます。

 また、医療保険の分野におきましては、現行制度上、家計に対する医療費の自己負担が過剰なものにならないよう、高額療養費制度というものがございます。この中で、所得に応じ月単位の窓口負担に上限を設けておりますけれども、これによって低所得の方には低い自己負担が設定される、こういった形の配慮がございます。

 今回の税制改正でございますけれども、これによりまして、今申し上げました高額療養費制度等において、ひとり親控除が適用されて新たに住民税非課税となられた方につきましては、これまでより低い負担区分が適用され、その分負担軽減が図られることになる、こういうふうに考えております。

森政府参考人 文部科学省関係では、高等教育の修学支援の新制度、それから私立高等学校の授業料の実質無償化につきまして、これらは住民税を対象者の所得要件の判定基準としておりますので、現在は、未婚の一人親には寡婦控除の適用がないために、同じ年収においても寡婦控除の適用がある方との間で対象者の判定に差があるところでございます。

 今般の未婚の一人親に対する税制上の措置は、これらの制度の対象者の判定にも適用されることになりますので、対象者の判定に差がなくなります。

 具体的には、対象者の所得や家族構成により影響の有無は異なりますけれども、新たな控除の適用によりまして、新たに支援対象となる方や、支援額が増額となる方が出てくるものと考えております。

伊佐委員 こうしてさまざまひもづいているものがありまして、さっき文科省の方からもありました高等教育の無償化、これは計算をすると、人によって控除されるかどうかで五十四万円の差が出てきます。高校の場合、私立高校の授業料については、四十万円もらえるか十二万円もらえるか、もう全然違うわけです。

 ただ、一つちょっと課題がありまして、きょうは佐々木政務官にも来ていただいておりますが、給付型奨学金あるいは大学の授業料減免、今回、寡婦控除が適用されて大分負担が減るということになります。これはいつからかという話です。

 さっき文科省からも説明があったとおり、これは個人住民税によって給付額が決まります。施行は、個人住民税に適用されるのは令和三年から。大学の授業料は前期、後期で分けて払いますので、前期は四月で後期が十月です。そうすると、令和三年の、じゃ、四月からこれが使えるかというと、課税情報が出るのが六月なんです。毎年六月。そうすると、令和三年から適用されているんですが、実際は実務上十月からになる。でも、現場では、これを一刻も早く適用してほしい、もううちの子供も卒業するとか、そういう声も上がっていまして、年度の途中で、しかも前期と後期で授業料が変わってしまうというようなこともあります。

 これはぜひ文科省は努力していただいて、四月から前倒しで適用できないかというふうに思いますが、政務官、いかがでしょうか。

佐々木(さ)大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 給付型奨学金の支給及び授業料等減免を措置する高等教育修学支援新制度は、住民税を所得の判定の基準としているところ、今般の未婚の一人親に対する税制上の措置は、委員御指摘のとおり、令和三年度分の住民税から適用されることが予定されています。

 住民税の課税開始時期との関係上、令和三年十月には新制度への適用が開始されることになっております。しかしながら、未婚の一人親に対する支援を速やかに行うということは重要でありますので、現在、令和三年十月より早く実施ができるように、文部科学省において検討を行っているところでございます。

 委員からの、先生からの御指摘も踏まえて検討を進めてまいりたいと思います。

伊佐委員 ありがとうございます。

 速やかにしていくことが重要だというお言葉もいただきました。御努力をいただければと思います。

 政務官、もう質問ありませんので、退席していただいても結構です。

田中委員長 佐々木政務官、退席していただいても結構です。

伊佐委員 それでは、次はオープンイノベーションの促進税制について伺いたいと思います。

 事業会社からベンチャー企業に出資をすれば、所得控除が二五%。これはいろいろ税調の中でも、我々も指摘があったのは、もともと投資をするつもりだったのに、そこに追い銭的に公的な支援が入る、こういうようなことはあっちゃだめですよと。つまり、これによって新たな投資に結びつく、新たにオープンイノベーションがふえる、こうじゃないと意味がない、こういう質問を本会議でもやらせていただきました。

 経産大臣の答弁では、企業による投資の意思決定のタイミングは外部から正確に把握できないため、追い銭に当たるかどうかの判別は困難という回答がございました。ただ、個々の投資で、スタートアップ企業の成長や投資主体である事業会社の変革という制度の目的に合致しているかどうかはしっかりと確認をする、こういう答弁でありました。

 では、目的に合致しているかどうか、どういう物差しではかるんでしょうか。

中原政府参考人 本税制は、アベノミクスの成果により増加しております事業会社の現預金などの活用によりまして、イノベーションの担い手となるベンチャー企業への新たな資金供給となる出資を促進しまして、オープンイノベーションによりまして事業会社の変革やベンチャー企業の成長につなげていくということを目的としております。

 このため、オープンイノベーションの実施状況に関する確認につきましては、事業会社が出資先ベンチャー企業に対して行う協力がそのベンチャー企業の成長に貢献するものであること、出資の対象となるベンチャー企業の有する技術、ビジネスモデルなどが事業会社にとって不足する経営資源であり、かつ新事業開拓や生産性の向上に資するものであること、そして、事業会社による出資を通じたベンチャー企業との協働等によりまして事業会社の事業変革を目指すものであることの全てを確認することとしております。

 経済産業省としましては、これらの基準に適合することをしっかりと確認することでオープンイノベーションの促進につなげてまいりたいというふうに、かように考えてございます。

伊佐委員 つまり、これはベンチャー企業にとってもよくて、そこに投資をする事業会社にもよくて、しかも全体としてもオープンイノベーションが進む、この三つの観点をしっかりと要件としたいということでした。

 では、この要件でこれを執行するに当たってちょっとお願いしたいのは、企業にとっての予見可能性です。つまり、この制度が使いやすいかどうかということです。

 最初はできるだけ前広に受け入れていただいて、まず前広に受け入れることで、オープンイノベーションを活性化してほしい。その上で、その経過をしっかりと丁寧にフォローしていただいて、経過を見ることで、要件どおり行われているかどうか、あるいは結果を見ることで、結果として成長やさっき申し上げた三つの要件、変革につながっているかどうか、結果主義で、企業が最終的に得するかどうかという制度にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中原政府参考人 本税制は、事業会社の投資判断を不必要におくらせることのないよう、個々の案件がオープンイノベーションの促進という制度の目的に合致しているかについて、経済産業省が事後的に確認をするということとしております。

 他方で、委員御指摘のとおり、本税制が適用されるか否かの予見可能性も重要なものと存じております。このため、個々の案件に関する経済産業省の確認につきまして、その考え方などを事前に明らかにするとともに、投資前でありましても事業会社の御相談があれば前広に対応するなど、丁寧に対応をしてまいりたいと思っております。

 また、フォローアップという観点からは、今回の税制におきましては、投資により保有することとなったベンチャー企業の株式を五年間保有するという義務を課しまして、毎年度、オープンイノベーションの実施について経済産業省がしっかりと確認を行うということとしております。

 これによりまして丁寧にフォローアップを行いまして、実効性のあるオープンイノベーションの促進につなげてまいりたいというふうに、かように考えてございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 しっかり経過を丁寧に、中小企業も含めて相談に乗っていただきたいというふうに思っております。

 次に、5Gの導入促進税制。超高速大容量、多数同時接続ということで、これはもう今後我が国の基幹インフラになるものであります。

 先ほど麻生大臣の方からも言及がありましたとおり、5Gというのは周波数が非常に高いので、そんなに電波が飛びません。そういう意味では全国で一定の密度で基地局を整備していく必要がある、それを前倒しでやったところを税制優遇しようという話です。

 ただ、一部批判的な見方もありまして、大手のキャリアと呼ばれる会社に対する税額控除で、大企業優遇の政策じゃないか、こういう指摘もございます。もともと予定していた5G投資に、単にキャリア大手を、そこに対して優遇しているだけじゃないか、こういう指摘があります。

 これは財務省主税局にお伺いしたいんですが、これは経産省、総務省の連合軍の要望でずっと上がってきたものだと思います。一番最後までいろいろと議論があったと伺っておりますが、財務省主税局は、そういう批判に対して、そういう批判をされないようにしっかりとした制度設計ができたのかどうか、これをお答えいただければと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gは、ソサエティー五・〇の実現に不可欠な社会基盤であり、安全性、信頼性、供給安定性、オープン性が確保されたシステムが構築される必要がございます。

 こうした認識のもとに、さきに国会提出をいたしました新法の枠組みのもとに、我が国の経済社会や国民生活の根幹をなす5Gの早期普及を促すために、安全性、信頼性等が確保された一定の設備について、期間を限定した上で支援することにいたしております。

 今委員が御指摘のとおり、全国の基地局につきましては計画を前倒しして行うものに限定して支援をすることといたしておりますし、全国基地局のみならず、地域活性化ですとか、あるいは地域の課題解決を促進するといった観点から、地域の企業等がみずから構築するローカル5Gの整備についても支援をすることといたしております。したがいまして、大手のキャリアがもともと整備していたものに追い銭云々といった形の優遇にはならないと認識しております。

 また、あわせまして、スクラップ・アンド・ビルドという発想のもとに、法人税制といたしましても工夫を凝らして本税制を創設させていただくことにしたものでございます。

伊佐委員 スクラップ・アンド・ビルドという言葉がございましたが、しっかりと政策誘導として、税を緩めるところは緩めて、あるいは厳しくするところは厳しくしているということだろうと思います。

 さっき、ローカルという話も多少あったと思いますが、つまり、これは大手のキャリアだけじゃなくて、ローカルな5Gを扱う業者、こういうところをしっかり支援しようというのが私は非常に大事だというふうに思っております。地方創生という観点で、非常に大事な税制じゃないかと。

 全国キャリアだけではなくてローカル5G免許人、こういうところが対象事業者になるわけですが、総務省に伺いますのは、このローカル5G免許人というのはどういう趣旨で、地方創生という観点からこれはどういう意味があるのか、伺いたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 ローカル5Gは、地域の企業ですとか自治体などのさまざまな主体が、個々のニーズに応じて、みずからの建物内ですとか敷地内、こういったところで柔軟に無線のネットワークを構築できるというものでございます。それを使いまして、地域の課題の解決ですとか活性化に寄与することが期待されているものでございます。

 昨年十二月に免許の受け付けを開始しましたが、通信機器のベンダーさんですとか地域の通信事業者さん、ケーブルテレビ事業者さん、大学ですとか自治体などから申請を既に受け付けておりまして、現時点で二者に対して予備免許を交付しているところでございます。

 このローカル5Gは、その特徴を生かしまして、例えば、建設業では建機の遠隔操作ですとか、農業では自動の農場管理、あるいは製造業ではスマート工場といったもの、あるいはセンサーなどですとか4K、8K映像を活用していろいろインフラの管理を行う、そういった幅広い分野への応用が期待されているものでございます。

 私ども総務省といたしましても、この税制措置によって、ローカル5Gの整備が地域で促進されることを期待しているところでございます。

伊佐委員 次に、与党税調において、我が党独自提案として出させていただいたものがございます。本会議でも一部触れさせていただきました、災害による損失控除です。

 現在、災害で受けた被害というのは、盗難とかあるいは横領と同じ雑損控除という形になっております。雑損控除として所得から控除する。でも、災害による損害というのは、大体、横領とか盗難よりも全然多額になる場合が大きいです。繰越しできるのはしかも三年、だから引き切れない。

 これはどういうことかというと、例えば家が洪水で流された。家屋あるいは家財の損害が例えば三千万円ありました。保険で一千万円支援されました。残り二千万円、これが損害額になります。二千万円この雑損控除が本来使えるはずなんですが、例えばその方の所得が三百万だったとしたら、雑損控除は二千万あるのに、結局使えるのは、三年間しか繰り越せませんので、三百万掛け三で九百万ということになります。だから、残り一千百万は適用されない。

 しかも、この雑損控除、ほかの所得控除より優先されます。つまり、その間は、本来誰もが受けられるはずの基礎控除だったり配偶者控除だったり保険料控除、これは全部受けられません、この三年間。

 我が党からは、災害による損失控除は独立させて、新たな災害損失控除を提案しました。麻生大臣から答弁いただいたのは、所得税も繰越期間が三年間、このバランスがまず一点ある、あるいは、損失額の証明書類は雑損控除では求められていません、これが長期にわたると、やはりここを厳密にしていく必要があるんじゃないか、こういう答弁でありました。

 ただ、これは東日本大震災のときは三年を延長しております。五年間まで延長している。そのときの理屈というのもあるはずなんです。

 いま一度お伺いしますが、これはなぜ東日本大震災のときにできたのにできないのか。技術的な話をお願いします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、東日本大震災のときだけ三年を五年に延ばしたという特例がとられた、法律上とられたものでございます。

 これは、その被害が同時、大量、集中的に発生した極めて甚大なものでございました上に、広範な地域にわたって生活基盤や事業基盤が根こそぎ失われたということから、個々の被災者の方々の生活の再建につきましても相当な期間を要する場合が非常に多いというような判断のもとに、特例的に、損失額を確認するための仕組みを設けることなく、雑損控除の繰越控除期間を三年から五年に延長したものでございます。

伊佐委員 東日本の場合は、さっき主税局長からあったのは、同時、大量、広範だと。規模も大きかったということだと思います。

 ただ、私、やはりこれは所得控除ですので、被災者一人一人から見たら同じだと思います。洪水で流されようが津波で流されようが、同じように家は流されているわけですよ。ところが、これはマクロで見れば違うからあなたは違う制度ですということは、私はちょっと、被害者からすれば何でなんだという思いもあるんじゃないかなというふうに思いますので、ここは引き続き議論させていただきたいというふうに思います。

 最後に、今回の法案で、NISAの見直し、期限の延長というものが盛り込まれました。これは安定的な資産形成というのには非常に大きな一歩だと思います。ただ、財金部会を私もやらせていただいていて、金融関係の税制の中には金融所得課税の一体化というものもあって、デリバティブ取引を損益通算の対象に加えるかどうか、こういうのもありましたし、さまざま、今回の税制改正プロセスでは実現しなかった論点もまだまだございます。

 最後に、全体を通じてでも結構ですので、財務大臣、麻生大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 きょう伺っていて、そうですね、公明党が共産党から褒められ、古本さんと御意見が一致し、よう話ができ上がっておるなと思って、感心して伺っていたんですけれども。

 この金融所得課税の一体化というものにつきましては、これは与党の税制改正大綱の中において検討事項としてもう記載をされておりますので、与党におきましての税制改正のプロセスの中におきまして、来年度以降も引き続きさまざまな点で御議論されるものだと考えておりますので、いろいろ言うと五時半を過ぎますので、終わらせていただきます。

伊佐委員 以上、終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.