衆議院

メインへスキップ



第18号 令和2年6月9日(火曜日)

会議録本文へ
令和二年六月九日(火曜日)

    午後四時十五分開議

 出席委員

   委員長 田中 良生君

   理事 あかま二郎君 理事 井林 辰憲君

   理事 うえの賢一郎君 理事 津島  淳君

   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君

   理事 古本伸一郎君 理事 伊佐 進一君

      穴見 陽一君    井野 俊郎君

      井上 貴博君    石崎  徹君

      今枝宗一郎君    門山 宏哲君

      小泉 龍司君    國場幸之助君

      鈴木 隼人君    武井 俊輔君

      辻  清人君    本田 太郎君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      海江田万里君    岸本 周平君

      櫻井  周君    階   猛君

      野田 佳彦君    日吉 雄太君

      森田 俊和君    石井 啓一君

      清水 忠史君    青山 雅幸君

      美延 映夫君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   経済産業副大臣      松本 洋平君

   財務大臣政務官      井上 貴博君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局総括審議官)          白川 俊介君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  中島 淳一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    鎌田  篤君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 寺田 吉道君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  山田 賢司君     井野 俊郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     山田 賢司君

    ―――――――――――――

六月八日

 金融機能の強化のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)

同月二日

 消費税率五%への引下げに関する請願(穀田恵二君紹介)(第六二九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六六五号)

 同(笠井亮君紹介)(第六六六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六六七号)

 同(志位和夫君紹介)(第六六八号)

 同(清水忠史君紹介)(第六六九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六七〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六七一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六七二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第六七三号)

 同(藤野保史君紹介)(第六七四号)

 同(宮本徹君紹介)(第六七五号)

 同(本村伸子君紹介)(第六七六号)

 同(清水忠史君紹介)(第六九五号)

 同(本村伸子君紹介)(第六九六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第七八七号)

 消費税率を五%に引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第六三〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六七七号)

 同(笠井亮君紹介)(第六七八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六七九号)

 同(志位和夫君紹介)(第六八〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第六八一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六八二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六八三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六八四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第六八五号)

 同(藤野保史君紹介)(第六八六号)

 同(宮本徹君紹介)(第六八七号)

 同(本村伸子君紹介)(第六八八号)

 同(清水忠史君紹介)(第六九七号)

 同(藤野保史君紹介)(第六九八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七三四号)

 同(今井雅人君紹介)(第七五七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第七八八号)

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(大河原雅子君紹介)(第八〇五号)

同月八日

 消費税率の引下げを求めることに関する請願(清水忠史君紹介)(第八三四号)

 同(岸本周平君紹介)(第八七一号)

 同(村上史好君紹介)(第九〇九号)

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(近藤昭一君紹介)(第八三五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九九六号)

 同(笠井亮君紹介)(第九九七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九九八号)

 同(志位和夫君紹介)(第九九九号)

 同(清水忠史君紹介)(第一〇〇〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇〇一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇〇二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇〇三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一〇〇四号)

 同(藤野保史君紹介)(第一〇〇五号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇〇六号)

 同(本村伸子君紹介)(第一〇〇七号)

 煽動罪を即時廃止することに関する請願(本村伸子君紹介)(第九〇六号)

 消費税率五%への引下げに関する請願(笠井亮君紹介)(第九〇七号)

 消費税率を五%に引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第九〇八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融機能の強化のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、金融機能の強化のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 金融機能の強化のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました金融機能の強化のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明させていただきます。

 現在、日本の金融システムは安定をいたしており、その健全性に問題はありません。

 こうした中、政府としては、四月に決定をいたしております緊急経済対策及び令和二年度第一次補正予算を速やかに実行に移しており、政策金融機関、民間金融機関による実質無利子無担保融資を含め、強力な資金繰り支援を講じているところであります。

 さらに、令和二年度第二次補正予算においては、資金繰り対策の積み増しと資本性資金の活用等による金融機能の強化等について所要の措置が講じられております。

 これらの予算措置や政府からの要請を踏まえ、金融機関が、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた中小企業等に対し、今後も引き続き、積極的に資金繰り支援等を行い、経済の再生を図っていくことが重要であります。

 こうした将来を見据えた先手の対応として、金融機関が、国の資本参加を受けて、適切な金融仲介機能を発揮できるよう、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、国の資本参加の申請期限を令和八年三月末まで延長することとしております。

 第二に、新型コロナウイルス感染症等の影響により、自己資本の充実が必要となった金融機関等が国の資本参加を受けようとする場合において、経営責任が問われないことを明確化するとともに、収益性や効率性の向上の具体的な目標を求めないなどの特例を設けることといたしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総合政策局総括審議官白川俊介君、企画市場局長中島淳一君、監督局長栗田照久君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君、中小企業庁次長鎌田篤君、国土交通省道路局次長長橋和久君、鉄道局次長寺田吉道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。櫻井周君。

櫻井委員 立国社の櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は金融機能強化法の改正案ということで、早速質疑に入らせていただきます。

 先ほど、麻生大臣の説明の中にも、そして政府は常々、日本の金融システムの健全性に問題はないが、こういうような説明をされております。

 ただ、現状を見ますと、地方銀行、信金、信組、そうした金融機関は大変厳しい経営環境に置かれております。長らく続く異次元の金融緩和によってなかなか利ざやが取れないということで、なかなか厳しい状況にあります。

 とはいっても、ストックベースで見ますと、自己資本比率などを見ますと、これは一応基準を十分満たしているということで、こういった観点から健全性に問題はないというふうに判断されているんだと思いますが、他方で、フローの方を見ますと、やはり経常赤字の地方の金融機関は半分以上というような状況もございます。このフローベースで見るとやはり厳しい。フローで厳しいということは、ストックをどんどんむしばんでいる、こういう状況でございます。

 ですので、今回特にコロナ危機という中において、この法案、非常に必要性が高いということは認識をしております。

 一方で、このコロナ危機にありまして、モラトリアム、返済の繰延べ、こうしたことを金融庁から金融機関に要請している、こういうこともございます。我々も、そのようにするべきだということをこの委員会の質疑の中でも申し上げてまいりました。

 しかし、こうした債務の繰延べということになりますと、民間金融機関としては、これは返ってくるものが返ってこない、利益を失いかねない、こういうリスクがあるわけでございます。ですから、ある種無理をお願いしているわけですから、利益を失うようなことをお願いしているわけですから、それに見合う十分な手当てが必要だというふうにも考えます。こうしたことについては、私も四月二十二日のこの委員会においてそうした趣旨の質問もさせていただいているところです。

 もう少し具体的に申し上げますと、こうした金融機関、頑張っている金融機関に対して、世のために貢献している金融機関に対してどうやって支えるのか。

 一つは、補助金という方法がございます。これは、日本銀行が実質的にマイナス金利ということで市中銀行に貸出しをしているというところで、既にある種実施をされているものと理解しております。次に、資本注入という方法もございます。それがまさに今回の法改正でございます。そのほかに、不良債権の処理をする、金融機関にとって重荷になっている不良債権、これをその金融機関のバランスシートから切り離すということによって身軽になって経営を改善させる、こういう方法もあろうかと思います。こうした順で質問をさせていただきます。

 まず一点目、本改正の特例によるモラルハザード、こういうことも懸念されるのではなかろうかと思います。

 本改正では、収益性や効率性の目標を求めない、経営責任も求めない、公的資金の返済の期限、これも設けないなどの特例を設けております。これはまさに、資本注入が必要であるのに申請をちゅうちょするというようなことがあっては好ましくございませんし、計画づくりに手間取ってタイミングを失うということになってもよろしくないというふうに考えますので、こうした措置は必要だということで理解はいたします。

 一方で、金融検査マニュアルが廃止をされた中で、実際、この地方銀行、地方の金融機関がどうやって自分たちでこの計画をつくっていくのかというところもなかなか一つ大きな課題ではなかろうかというふうにも思います。

 そうした中で、このコロナ感染症のどさくさにある種紛れて、実はコロナ感染症の前からちょっと状態は悪かった、そういう金融機関も中にはあるかもしれません、これ幸いと駆け込んできた場合、モラルハザードが起きてしまうのではないか、こうしたことに対してどう対処していくのか。特に、経営責任を求められないというのは、どさくさ紛れで駆け込もうとする側に立てば極めて魅力的でございます。

 こうした観点で、どのように取り組むのか、金融庁の見解をお願いいたします。

中島政府参考人 お答えいたします。

 今回の特例は、新型コロナウイルス感染症等の影響があくまでも金融機関の責めに帰すべきものではないということなどを踏まえ、その影響を受けた金融機関が資本参加を申請しやすくする観点から、資本参加を受けるに当たり、議員御指摘のとおり、経営責任が問われないことを明確化する、収益性や効率性の向上について具体的な目標を求めないこととする、公的資金返済のための財源を確保できる見込みがあることは確認する一方で、返済に関する具体的な年限を一律、画一的に定めることはしないなどとしております。

 一方で、今回の特例に基づいて、資本参加を受ける金融機関に対しては、資本参加の申請時に提出する経営強化計画において地域経済の再生に資する方策を策定するよう求めることとしており、資本参加の決定を行うに際して、こうした方策の実効性や実現可能性を確認することとしております。

 また、金融庁では、資本参加を行った後も資本参加金融機関の状況を適切にフォローアップするとともに、問題があると認められる場合には必要に応じ監督上の措置をとることも含めて検討するなど、御質問にあった、金融機関がモラルハザードに陥る、そういったことのないよう対応してまいりたいというふうに考えております。

麻生国務大臣 御記憶かと思いますが、リーマン・ブラザーズのバンクラプシー、破綻がありましたときには、あのとき銀行に何したんでしたっけ。もうお忘れだと思いますけれども、あのとき銀行に資本注入しようとしたんですよ。そうしたら、断ったんですよ。みんなこうなって貸さなかった。結果として、銀行自体もあのときしんどかったんですが、資本注入するとうちの銀行の信用がどうのこうの、また、金融庁からやたらめたらと差し込まれちゃかなわないとか、いろいろな理由がありまして断ったんですよ。結果として金融は更に回りにくくなったというのが、前回、十年前の話なんです。

 したがって、今回は、少なくとも、問題が起きているのは銀行側ではなくて、貸出しを受けるいわゆる事業者又は個人ということになりますので、そちらの側の方が今問題ですから。コロナという、自然災害とは言いませんけれども、今回のような事件になってくると、いわゆる事業自体はうまくやったのが、ある日ばたっと別の条件でひっくり返っておりますので、そういったものに積極的に資金繰りをつけてやらぬと間に合わないということになってきておりますので。

 その分の金を銀行から出したり、出した銀行の方が今度、今言われたように、フローではなくてストックの面で債務超過とかいろいろな形になると銀行も貸せないということになると、結果的に事業の方が困りますので、こちらの方が貸出ししやすいようにしてやるというためであって、今すぐ銀行が内容が悪いというわけではないという大前提の上にやらないと、少なくとも、銀行がぐあいが悪いからこういうことになっているのではないかというような話が出てくると、今度は銀行自体、市場、マーケット自体に別の影響が出ますから。

 私どもとしては、これはよくよく注意をした上でやらねばならぬということで、ここまで手間をかけてやらせていただいております。

櫻井委員 今大臣がおっしゃったポイントについては三番目に質問させていただこうと用意しておりましたので、またそれはおいおい、後でまとめて大臣にお尋ねしますので少々お待ちいただいて、先に局長に質問させていただきます。

 次、もう一つ、こういう形で間口を緩くする、こういう危機にあって、迅速にやっていく、的確にやっていくためには、こうしたモラルハザードとかそういうことは当面ちょっと入り口の段階では横に置いておいて、しかし、その後モニタリングをしっかりやるという中で、事後のチェック、やっている最中のチェックはしっかりやるというところでこれを防いでいくということが重要だというふうに思いますので、この点、今御答弁いただきましたので、よろしくお願いいたします。

 もう一つ、とはいえ、間口を広げてやっていれば、どうしても回収できずに損失が発生するリスクというのもないわけではございません。預金保険機構ということの歴史を見ますと、十八年前の特定業務勘定を廃止をしたときには、すなわち山一ショックの後の金融危機の破綻処理をやったわけでございますが、このときには十・四兆円の国民負担が確定しているわけでございます。

 ですから、こうした回収できないリスクというものもあるわけですし、他方、裏返せば、出口戦略というのも重要になってくるわけです。今回は公的資金返済の期限を設けないということではございますが、出口というのもまた難しいところだというふうに思います。

 特に、預金機構の中には金融再生勘定というのがございまして、一・五兆円の株式、いまだに処分できずに、売却できずに持っているわけです。これは二〇〇六年から十年かけて売却する方針だったのが、麻生総理が売却を当分見合わせるということで、これは二〇〇八年にやっているわけでございます。

 この当分の間というのが既に十二年たっているわけでございます。出口戦略といいますか、あと、損失が発生した場合、これはどうするのかということについて、局長、よろしくお願いいたします。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融機能強化法におきましては、資本参加に当たりまして、まず、破綻金融機関や債務超過の金融機関でないこと、それから、公的資金の回収が困難でないことなどの要件を審査するということとされております。

 また、資本参加を行った後も、資本参加先の状況を適切に我々はフォローアップしてまいりますし、もし問題があると認められる場合には、必要に応じ監督上の措置をとるということを含め検討するということにしてございます。

 まずは、このような枠組みを通じまして、国が資本参加した公的資金に損失が生じることがないように万全を期していくということであろうかと考えております。

櫻井委員 続きまして、先ほど麻生大臣が答弁の中で言及いただきました、資本注入といっても、銀行の側がちゅうちょして、金融機関の側がちゅうちょして申請してくれないんじゃないのか、手を挙げた瞬間、あそこの金融機関はやばいんじゃないのかというふうに世間から見られてしまう、それは困るということで、ちゅうちょしてしまうリスクというのもございます。

 こうしたことに対してどのように対応するのか。かつて、二十年前の山一ショックのときには、資本注入、渋る金融機関に対してある種横に並ばせてみんな入れるというような形で、ある種の、赤信号みんなで渡れば怖くない的な状況をつくってやったわけですが、今回はどういった工夫をされますでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法律案は、金融機関が、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた中小企業等に対し積極的に資金繰り支援などを行い経済の再生を図っていくことが重要であるという観点から、金融機関が国の資本参加を受けて適切な金融仲介機能を発揮できるように提出させていただいたものでございまして、経営危機にある金融機関を救済するためのものではないということでございます。

 ただ、御指摘のように、金融機関の中には風評を恐れて申請をちゅうちょするということがあり得るということでございますので、そのようなことが起こらないように、我々といたしましては、もし法案を成立させていただきました暁には、金融機関はもとより、地域の方々とのいろいろな意見交換の場などを通しまして、幅広い方々にこうした法律の趣旨を御説明いただき、金融機関が破綻の危機に瀕しているとかそういうことではないということを御理解いただくように努めてまいりたいということでございます。

櫻井委員 こういう場合にどう考えるかということなんですが、一つは、私、考えるに、やはり今回の、金融機能の強化といいながら、一方で、原点に立ち返って、そもそもの出発点は、やはりモラトリアム、こういった形で金融機関にある種無理をお願いしているというところに私は出発点があると思っているんです。その無理をお願いするかわりの、ある種、頑張った分だけそれに報いるというところが一つの考え方ではなかろうか。

 いろいろなところで、言ったら金融機関としては多少損になるかもしれないけれども、この危機にあって、世の中の資金繰りをしっかりと支えていくんだというところで頑張ってくれた、そのある種の、協力に対するお礼的な意味合いでやるんですよ、だから、この金融機関はいっぱい頑張ってくれたから資本でちょっとその分応援するんですよというような位置づけにするとか、いろいろな工夫によって、資本注入をちゅうちょするというのを回避できるのではなかろうかというふうに思いますので、この点も十分考慮の上で運用をお願いします。

 続きまして、先ほど私が申し上げた金融機関の支援の一つとして、不良債権処理を迅速にやっていくということで金融機関が身軽になって進めていけるんじゃないか、このことは今回の法律の範囲の外ではございますが、実は、第二次補正の中にはこうしたファンドをつくっていくということは入っております。

 これは、主に経済産業省、中小企業庁とか、あと、今同時並行で審議されているREVICの審査の中でこうした問題、課題について取り組んでいるというところだというふうに承知をしておりますけれども、不良債権を買い取る、これは別に金融機関の支援のために直接やっているわけではない。だけれども、不良債権処理をやることによって、金融機関から不良債権を切り離すことによって結果的に金融機関は身軽になるわけですし、事業再生をすることによって地域で事業者がしっかり元気にやってこそ金融機関も助かるという部分もございます。

 こうしたことについて、例えば、東日本大震災のときに、産業復興機構、産業復興相談センターというようなものを設置して、例えば二重債務問題などにも取り組んでおります。岩手や宮城、福島の各県において、三百件以上のこうした事業再生を手がけたりした経験もございます。福島県では原発事故もあってなかなか厳しい状況ではございましたが、岩手県、宮城県においては半分弱が再生してファンドからも卒業というようなことをしております。一方で、倒産の件数も非常に少ないということで、これは大きな成果が上がっているというふうに思います。

 いわゆる官製ファンドというのは往々にしてうまくいかないというのが少なくないわけでございますが、この産業復興機構、東日本大震災のときの事業再生ファンドはかなりうまくいっている例ではなかろうかというふうに考えます。これは何でうまくいったのか。こうしたうまくいった秘訣はコロナ感染症対策でも十分活用していくべきだというふうに考えるんですが、中小企業庁にも、本日は次長に来ていただいております。この成功の秘訣をちょっと御披露いただけませんでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 中小企業庁といたしましては、ファンドによりまして債権買取りですとか出資なども行っておりますけれども、これはあくまでも事業再生ですとかその後の企業価値の向上に向けてこういった活動を行っているということでございます。

 現在、新型コロナウイルス感染症による経済の落ち込みは前例のないものでございまして、そうした中で、中小企業の深刻な業況悪化に対しまして実質無利子融資なども行っておりますけれども、これに加えまして、債権買取りや出資などを通じて、中小企業の資金を資本増強をすることによって支援していくということが非常に重要だというふうに考えております。

 この際、第二次補正予算の成立をもう前提としてということになりますけれども、官民ファンドを組成することとしておりますが、債権買取りや出資などを行うことを通じまして、経営の改善ですとかそれからガバナンスの強化、こういったことを行うことができまして、これによりまして中小企業の事業再生とその後の成長を支援していくということが極めて重要なのではないかというふうに考えておるということでございます。

 以上でございます。

櫻井委員 この産業復興機構等の支援について、やったのは十年ぐらい前なわけでございまして、ちょっと今の次長の御答弁では、成功の秘訣は何ですかということの一番肝心なところはお答えいただけなかったというふうに思います。

 ですので、担当もかわって、もうわからなくなっちゃっているのかもしれないので、これは私の方の理解でございますが、私の方から少し申し上げて御紹介させていただきますと、やはり、中小企業基盤機構が八〇%出資をして、国がちゃんと八割責任持ってやるんだと、国の関与を明確にしたというのが一つ大きなところだと思います。

 二つ目は、運営は民間主体でやっている、無限責任組合のファンドが運営をするというような形でやっていること。

 三つ目に、債権買取りのときに、普通、この事業計画、さらに東日本大震災の場合には津波で流されちゃってもう何も残っていないわけですから、それでしかも二重ローンということになりますから、もう事業の先行きが全然見えないわけです。先行きが見えないということになりますと、再建計画というか事業計画が立たなかったら債権の価値ってゼロですよ。つまり、大体こういう場合の債権譲渡の値段は一円、一円でやるのが普通ですよ。ですが、それでは、金融機関からしたら、一円ではさすがに売れないよということで、困ったということですから、中小企業庁の方で買取り価格の算定方式を示して、それである程度の値段がつくようにはしたというところが一つ大きな工夫でございます。

 一方で、それで、じゃ、債権を売っちゃって、もうきれいで、さようなら、バイバイということではなくて、引き続きニューマネーを金融機関は責任持って供給してくださいよねということで、引き続き関与させるような工夫もした。さらに、復興相談センターを設置をして、事業計画の策定なども支援をした。

 こういったいろんなことをやって、普通の一通りの再生ファンドということではなくてやったので、手間暇かけていろいろ工夫してやったのできっとうまくいったんだろうなというふうに私なんかは感じております。

 これは実は民主党政権時代にやっていることですので、やはり、民主党政権時代、ちゃんといいことをやっているわけですよ。こうしたことをしっかりと活用していただいて、別に知的財産とかそういうことはないですから、ぜひ、今のこのコロナ禍における復興というか事業再生に活用していただきたいというふうに思いますが、麻生大臣、何か御感想があればぜひお願いいたします。

麻生国務大臣 政権がどうだろうと、成功した事例をいろいろ参考にして使うのは当然だと思いますが。

櫻井委員 副総理から力強い御答弁をいただきましたので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 最後に、残り時間わずかでございますが、先週行われました参議院の財政金融委員会での麻生大臣の発言について質問させていただきます。

 いわゆる、新聞報道でもございました民度発言でございますが、これは、おたくの国とうちの国とは国民の民度レベルが違うんだといっていつも言って、皆絶句して黙るというような発言がございました。これは、何で日本は欧米先進国に比べてコロナ感染者数、死亡者数が少ないのかということを欧米先進国の担当者から聞かれて、それに対してこんな答えをしているというふうにおっしゃったわけでございます。

 もちろん、この絶句して黙るというのは当然だと思います。大臣がこれほどまでに見識がないといってびっくりして黙ってしまう、そのとおりだというふうに思います。その種の電話もなくなりましたから、何となくこれ、定着しつつあるんだというのも、定着しているのは、日本の財務大臣は見識に欠けるということが定着したのではなかろうかというふうにも思います。

 この発言、一連の議事録を読ませていただきました。幾つかポイントはあるかと思いますが、いろいろな見識とかそういうことも含めまして、やはり、まず第一に、数値が間違っていた。日本の数値は合っていたんですけれども、アメリカは多過ぎ、フランスとイギリスは少な過ぎた。数字が間違っていた。数字が大事な財務大臣、これで大丈夫なのかということでございます。

 二点目として、事実を的確に把握していない。確かに、欧米と比較して日本の人口当たりの死者数は少ないですが、東アジアの中では、中国、韓国、台湾と比較すると日本は一番悪いわけです。不都合な真実から目を背け、データを都合よく切り取って解釈する、これは安倍内閣のいつもの手口でございます。この安倍、麻生理論からしますと、日本の民度は東アジアで最悪ということになってしまいますが、そういう認識なんでしょうかね。

 三点目としましては、東アジアでは欧米に比べましてコロナ感染者数は少ないわけです。ただ、この理由はよくわかっていません。マスクをつける文化が東アジア世界には何となく広まっていた、PM二・五対策ですとか、日本であれば花粉症対策、こういったことでつけているとか、挨拶のスタイル、握手とかハグとかではなくておじぎをする文化であるとか、お箸を使う文化であるとか、予防接種など公衆衛生政策、いろいろな仮説が出ておりますが、いわゆる、山中伸弥教授、京都大学の先生がおっしゃるには、ファクターXの結論は出ていないということでございます。やはり、第二波に備えるためにも、世界の感染症拡大防止のためにも、科学的に、医学的に分析をしていかなきゃいけない。それをせずして、民度というようなことで非合理的な片づけ方をしてというのでは、これは大変問題だと思います。

 最後に麻生大臣にお尋ねをいたしますが、こうした民度とかそういうことで片づけてしまうのでなく、もう少しきちっと根拠を持って科学的な政策を進めていただきたいというふうに思いますが、大臣として、この発言に対する反省等ありましたら、ぜひお聞かせください。

麻生国務大臣 今、まず最初に御指摘の数字につきましては、これは事務方が用意した死亡率の数字を読み上げたものですけれども、日本以外の数字に誤りがあったという御指摘だと思いますけれども、これはもう間違いありませんので、率直におわびを申し上げます。

 私の申し上げたのは、死亡率が圧倒的に低いという話を申し上げておるんです。百万人に何人でしたっけ。(櫻井委員「七人とおっしゃいましたね」と呼ぶ)日本は七人なんですね。アメリカの場合がいわゆる三百人とかいう数字になっておる。そういった意味では桁が圧倒的に違いますので、そういった意味では、私どもとしてはこれは間違いなく誇るべき数字なんじゃないんでしょうか。

 それから、手を洗うとか何かいろいろ言っておりましたけれども、ブラウン大学にいたというんだったらアメリカに住んだ経験があるんでしょうけれども、やはり一番違うのは、靴を脱ぐということなんじゃないの。誰も言わないけれども。靴を脱いでいるでしょう。アメリカで靴を脱いだ記憶はありますか。僕はないね。そういった意味では、だから全然違うんですよ。だから、そういったようなのを全部が全部、どれがいいって、誰も知らないんだから。私にこれを、答えをと言われても、ちょっと私の方としては答えようがないんだと思いますが。

 アジアと違うと言うけれども、強制力がありませんからね、うちの方は。強制力なくてやっているんだから、韓国と一緒にせぬでくださいよ。そこのところ、韓国はびしっと決めてやっていますから。違反でしたら、行ったらすぐ幾らって話になっていますので。そういった意味では強制力も違いますので、アジアの中で、私どもとしては、強制力なくみんなで自主的にやったというところが一番すごいんじゃないんですかね。私にはそう見えますので。

 だから、アジアと違うとかそういうことで申し上げているんじゃなくて、一番肝心なところは、要請しただけで国民がみんなそれに賛同して、みんなで頑張った、これは国民として極めて、僕はクオリティーとしては高いんじゃないか、私はそう申し上げたので。

 誇りというものはすごく大事なものだ、私はそう思って申し上げたところで、ディファレント・カルチャー・オブ・クオリティーとかいろいろな表現がありましたけれども、まとめて民度という言葉を申し上げたということであります。

櫻井委員 済みません、時間も超過いたしましたので、これで終わります。

 ぜひ、もうちょっと事実に基づいて科学的な政策を進めていただくよう要望して、終わります。

田中委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。

 金融機能強化法改正案についてまず質問をさせていただきます。

 既に先ほども話題になりましたけれども、資本注入に際して、申請、審査における要件、特例を設けるということです。それに対して、今回の新型コロナウイルスの影響に基づいて資本注入をするというケースと、そうではなくて、もともと事業がうまくいっていない中で、そういった影響の中で資本注入になってしまうというような、ここの線引きというのがなかなか見きわめられないところもあるのではないかというお話もあった中で、先ほどここの部分について十分御説明がいただけなかったのかなと思います。

 まず、それについて、こういった特例を設けるに当たって、やはりしっかりとした体制をつくっていかなければならない、その体制をどのように確保していくのか、この点をお聞かせください。

中島政府参考人 お答えいたします。

 今御質問の中で、今回特例を設ける、その基準というようなことについてまずお答えしたいと思います。

 特例の対象となる金融機関については、新型コロナウイルス感染症等の影響により自己資本の充実を図ることが必要となったことなどを要件としており、金融機関から資本参加の申請があった際は、その金融機関が今申し上げた要件を満たすか否かを個別に判断するということとしております。

日吉委員 個別に判断するんですけれども、そこをやはり具体的に実効性がある形で判断していかなければいけないですし、コロナの影響が一時的であるのならまた業績というのは戻っていくと思うんですけれども、コロナを機に、環境の変化に応じて事業自体がやはり下降していくということもある中において、それについて、業績の数値的な目標を持たないというような話もある中で、しっかりと十分な財源があるかを確認して、返済期限を決めないというふうになっていますけれども、そういった返済の財源がしっかりあるのかどうかといったことをどのように具体的に確認できていくのかなという、そういった実効性確保のところというのはどのように考えているのか、教えていただけますでしょうか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、金融庁では資本参加を行った後のフォローアップが非常に重要であるというふうに考えております。今の段階で具体的に金融機関がどのような状況になるのか、それはまた貸し出した先の状況あるいはマーケットの状況、いろいろなことを踏まえて個別に判断していくということになると思いますけれども。

 いずれにしても、問題があると認められるときには、必要に応じ監督上の措置をとることも含めて検討するなど、資本参加が地域経済の再生につながるよう、またモラルハザードにならないよう、しっかり監督をしてまいりたいというふうに考えております。

日吉委員 今おっしゃっていただいたように、事後を注視をしてしっかり監督していかれるということだと思うんですけれども、そこが、状況の変化に応じてしっかりと対応していただくというのが非常に重要になるのかなと思いますので、そこのところをお願いしたいなと思います。

 そして、今、地域経済の活性化、こういったことに寄与していただくというお話なんですけれども。

 銀行だけにお金が入ったんですけれども、いざ地域経済の発展にしっかりとお金が回らないということがあったら、その目的がしっかり達せられないということになってしまいますので、ここの、地域経済を活性化するための金融機能の発揮、これをどのようにモニタリングされていくのか、ここについて教えてください。

麻生国務大臣 これは、日吉先生、前々から、いわゆる金融機関が地元企業というか、顧客ですな、企業から見れば、顧客に対して適切なファイナンスを、指導とかアドバイスとかいろいろなことを提供する上で、その企業の持っている今のあれではなくて、生産性の向上につながるとか営業を紹介してやるとか、いろいろな形で地域経済の発展を促すように、やるように進めてきているところなんですけれども。

 今度の金融機能強化法に基づきまして資本参加をするという先には、これは、地域経済というものが活性化しないのを、資金繰りがとまっているからしないとか、そういった、もとの、こっちの方を何とかというのをやっておかないかぬということでこれをやっておりますので、もとの先が、地域の方が銀行よりは従業員の数も絶対量が多いですから。

 そういったことを考えておりますので、私どもが、先ほど参考人も述べましたように、いわゆる資本参加の審査というものをさせていただくときに当たっては、いわゆる経営の強化計画とかいろいろなものをみんな出させるんですけれども、少なくとも、地域経済の再生に資金繰りで支援をしてやる、何とかしてやるというようなことが確認できないとなかなかということになるんだと思っておりますので、そこらのところの指導というのはきちんとしてやってまいりたいと思っております。

日吉委員 今大臣おっしゃられましたが、しっかりと指導をやっていかれるということですので、よろしくお願いしたいなと思いますし、常々思っているんですけれども、やはり、今回の法律で金融機関は資本注入されるんですけれども、地域の経済がうまく回らないというようなことになってはいけないという中で、金融機関がさまざまな面で、例えば銀行のATMの手数料とかというのでも相当な手数料を払っていますし、この間は、お金を新札に取りかえるというようなことがあったときにそこに手数料を設けるというような、こういった本来の業務のところと少し離れたところで収益を得ているというようなところもある中で、やはり国民の皆様にも、資本注入されるのであれば、還元していくような、こういったことも少し考えていただけたらなと思うことをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。

 続きまして、ちょっと法案から離れてしまうんですけれども、経済産業省の方にきょうお越しいただいております。

 民間委託の問題というのがかなり今議論されていますけれども、個別の話はちょっと今回お尋ねするつもりはないんですけれども、そもそも、民間委託というのは、効率性を求めて委託するというところから始まったのかなということで、その方がリーズナブルであるということが前提になっていると思うんですけれども。

 その中で、やはりどういったところ、委託先を選定するのかといったことが重要になってきます。その委託先の選定に当たっては、しっかり競争環境が整っているとか、委託先がコンプライアンスをしっかり守るようなところであるのかとか、実際に受けた業務をできるだけの能力があるのかどうか、こういったことをしっかりと見きわめていかなければなりませんし、委託料の金額の妥当性、こういったものも非常にシビアに見ていかなければいけない。

 こういった状況がある中で、経済産業省では、有識者会議を設けてここのところについて今後チェックをしていこうということなんですけれども、えてして有識者会議も、そこで検討されたから大丈夫ですというお墨つきを与える機関になりがちであって、そこの有識者会議に選ばれる有識者という人が利害関係のない人がしっかり選ばれるとか、そういったしっかりとした体制ができなければ、結局、有識者会議を設けても、そのチェックというのはしっかりと機能しなくなってしまうと思われます。

 以上の話をちょっと踏まえまして、今後、民間委託するに当たっての透明性とか効率性、これをしっかりと確保するためにどのような形で臨んでいかれるのか、お聞かせください。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 私ども、持続化給付金制度につきましては、二百万を超える事業者の方々に対しまして給付が可能になるようにということで、前例のない規模での事業に取り組んだということでございます。こうした状況の中で、迅速かつ多くの方に確実にという新しい制度設計、執行体制の構築に全力を尽くしてきたわけでございます。

 こうした中、一般競争入札の結果として一般社団法人サービスデザイン推進協議会を採択してこれまで事業を進めてきたところではございますが、先生御指摘のとおり、事業の執行体制が不透明ではないか、それからあと国会や報道などで非常に厳しい指摘を受けている、さらに、国民の皆様からも疑念の声をいただいてしまっている、こういう状況でございます。

 これを踏まえまして、きのう大臣の方から、今後の委託事業の執行についてより一層の透明性を高めるために、外部の有識者から意見を聞きながら今後のあり方を検討する場を至急設けるように御指示をいただいたところでございます。早急に外部有識者を含めた検討会を設立し、委託事業の執行についてより一層の透明性を図れるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 今御指摘いただきましたように、委員の選定など、その実効性を担保していくことが非常に重要であるという御指摘でございますけれども、具体的な委員の選定につきましてはこれから調整するということになりますけれども、法律や会計の専門家、学者、有識者など外部の方々にお願いし、実効性が担保されるようにしていきたいと思っておりますし、委員本人の御了解をいただくことが前提にはなりますけれども、メンバーについては公表して進めさせていただくという方向で進めていくというふうにしたいというふうに今考えているということでございます。

 以上でございます。

日吉委員 今お話がありましたように、実効性を確保するために、まず委員の利害関係がないということをしっかりと確認した上で、どういったポイントでチェックをしていくのか、こういったこともしっかりと議論をしていただいた上で、実効性のある有識者会議をつくっていただきたいなということを申し上げさせていただきます。

 もう一つ、経済産業省の方にポイント還元のことについてお伺いさせていただきます。

 今月末でポイント還元が終了するという認識なんですけれども、それがどうかということを念のため確かめさせていただきたいのと、もともとポイント還元というのは消費税増税を緩和するという意味で設けられていましたけれども、そもそも消費税は増税してほしくないということを主張していましたけれども、ポイント還元だけが今終わってしまうと消費へのインパクトというのが大きくなるのかなと思っているんですけれども、ポイント還元が終わったときの消費へのインパクト、これはどのように考えられているのか、また、これを延長するとか、又は消費税を減税するとか、こういったことを考えていないのか、もう一度確認させてください。

島田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のポイント還元事業は、消費税率を昨年の十月から引き上げたということに伴いまして、その消費税の引上げを円滑化するために導入したものでございます。

 目的としては大きく三つございました。まずは、需要の平準化ということ、それから、中小店舗への支援、さらには、キャッシュレス決済の推進というふうなものでございましたが、それぞれ一定の成果を上げたのではないかなというふうに私どもは評価してございまして、今月末で終了をしたいと考えてございます。

 それから、委員御指摘の経済への影響というふうなお話でございますけれども、まさに現在、新型コロナウイルスの感染症による経済への深刻な影響というものが出てきてございます。これに対応するため、中小店舗の支援という観点では、大幅な売上げ減少で多くの中小店舗が経営危機に直面しているという状況の中で、この五%のポイント還元の誘客効果というものではなく、持続化給付金ですとか、あるいは家賃の支援給付金、あるいは実質無利子無担保の融資を民間金融機関にも広げていただくといったような、過去に前例のない思い切った経営支援策というものが必要とされている状況でございまして、まさにそれを実行に移していきたいというふうに考えているところでございます。

 また、消費者あるいは家計への支援という観点では、広く全国民に十万円の特別定額給付金の支給といったようなことも進めているところでございます。

 ポイント還元とはレベルの違う支援が行われているという状況でございますので、六月末までのポイント還元事業につきましては、そこまでの間しっかりと実施をした上で、新型コロナウイルス感染症に対する経済対策にも万全を期してまいりたいと考えてございます。

日吉委員 今のお話を確認させていただきますと、ポイント還元ではない対策、新型コロナウイルス対策を十分に行っているから、ポイント還元、これをやめてもその影響はないというふうに理解したんですけれども、麻生大臣、経済への影響、消費への影響というのはどのようにお考えになられていますか。同じでしょうか。

麻生国務大臣 これは今、経産省の方から申し上げておられたとおりなので、これは、少なくとも昨年の十月からか、ですから、九カ月やるということでやらせていただいて、六月までということになっておりますので。これは、どこかでやめないかぬという話で、いつやめるのかという話で、いつでもこういった話は出口が難しい話になるんだと思いますけれども、今回は六月ということに決まっておりますので、六月でやめさせていただくという通産省の話なので。

 私どもとしては、景気対策として、いわゆる一人当たり十万円のあれをやらせていただくとか、事業支援に二百万円とか、家賃の補償等々、家賃支援給付金が最大で六百万とか、いろいろなことをやらせていただいておりますので、いわゆる事業規模でいきますと総額二百兆になりますけれども、財政支出でも百二十兆円になります。

 こういった措置を講じることといたしておりますので、これらを着実に実行していくということで、今申し上げたようなことをカバーしてやっていけるのではないかと考えております。

日吉委員 ありがとうございました。

 次に、最後に、リニア新幹線の事業について、国土交通省の方に来ていただきまして、ちょっとお伺いしたいなと思います。

 私の地元静岡県では、大井川の水の問題で、リニアの事業についていろいろな議論が行われているところでございます。水の問題、それ以外でも、やはり、事故が起こったときの避難をどういうふうにするのかといったことも問題になっていたり、また、工事で出た土砂、これをどうするのか、こういったさまざまな問題があるわけなんですけれども。

 それはそれとして、今コロナの影響でかなり新幹線の乗車率というのが減っています。今後それは徐々に回復していくことになろうかとは思いますが、ただ、コロナによって、なかなか移動ということが少なくなっていく社会になっていくんじゃないかということも考えられるのかなというふうに思っています。

 現時点で、JR東海さんでは、新年度の業績見込みの発表は多分なされていないので、今後どういうふうになっていくのかなというのはわからないんですけれども、リニア新幹線、これは、やはりできてそれが走っている姿というのを私も見てみたいなとは思うんですけれども、逆に、今その需要がもし減っていくことによって、リニア新幹線の事業そのものを無理に行うようなことになってしまえば、そこで働いている方にしわ寄せが行ってしまうのではないか、こういったことも懸念されます。

 というような状況において、今、国土交通省さんにお伺いしたいんですけれども、このリニアについて、もう一度計画を精査をするなり、その事業計画、今後どうなっていくのかなといったところを教えていただきたいなと思います。

寺田政府参考人 お答えを申し上げます。

 リニア中央新幹線につきましては、全国新幹線鉄道整備法に基づいて、JR東海が建設主体として整備を行っているものでございます。

 JR東海におきましては、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大によって、東海道新幹線等の利用者が大幅に減少するなどの影響が生じているところでございますが、同社からは、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、リニア中央新幹線の計画へ直ちに影響が生じるとの報告は受けてございません。

 JR東海におきましては、引き続き建設を進めていく考えであると承知をしております。国土交通省としても、着実に整備を進めていただきたいと考えてございます。

日吉委員 念のため確認ですが、今後のコロナウイルスの影響の状況、こういったものによってはまた状況も変わってくるのかなとも思うんですけれども、そういった状況も今後見きわめていくということでよろしいでしょうか。

寺田政府参考人 お答えをいたします。

 今後もコロナの影響が続けばどうかという御指摘かと思いますが、新型コロナウイルス感染症のJR東海を含む鉄道各社への影響につきましては、もちろん私ども引き続き状況を注視してまいりたいと考えてございますが、今ほども申し上げましたとおり、JR東海からは、リニア中央新幹線の計画に直ちに影響が生じるとの報告は受けていないということでございます。

日吉委員 最後に麻生大臣にお伺いしたいんですけれども、間接的にではありますが国が融資をしている、こういう立場からしまして、リニア新幹線事業、今融資している金額は十兆円ですかね、そういった立場からいたしまして、リニア新幹線事業についての資金の回収可能性に問題がないと思われていると思うんですけれども、そのあたりのお考えを教えていただけますでしょうか。

麻生国務大臣 リニアの話にどういう影響があるかという話ですけれども、これは、財政投融資は約三兆だったっけな、何か入れているんだと思うんですね。三兆。(日吉委員「三兆、十兆じゃないですか」と呼ぶ)いや、それは借入金の総額で十兆でしょうが。国の出している金は三兆じゃないですか、あれは。そんな十兆も気安く出すほどあれじゃないですよ。自分でやる金がそこにありますから、自前でやる。

 それで、影響が出るかって、リニアは通過しても赤字ですからね、どの道。赤字って最初からわかってやっておるわけですから。しかし、その分の黒字を、何で払えるかといったら、今の新幹線が年間経常だけで八千億か出しているでしょう。その金で楽に返せるわけですね、これは間違いなく、リニア。

 だから、このリニアの技術を別にというのが、JR東海の野望というか、一番のもとはここですよ。物すごい思いがありますから。この技術を世界に売るんだという、すごい勢いなんだ、あそこは。だから、それは決して悪いことじゃありませんから、私どもとしては、応援をするというのは、それは結構なことと思うので。

 そういった意味では、これは、リニアなんというようなものが本当にできて、うまくいき始めたら、ぜひ、関西空港までちゃんと、新大阪駅なんというんじゃなくて、もっと先の関空までつなげるような勢いでやられたらいいんじゃないかなと、私どもは率直にそう思いますけれども、いずれにしても、こういった物すごい技術が出てきますので、私どもとしては大いに期待をしておるところです。

 今これが、確かに乗車、リーマンのときは一五%ぐらい減ったと思いますが、今八〇%ぐらい減っていませんかね。もっと減っているかな、八五%ぐらいダウンしていると思いますね。

 それでも、それがずっと続くならともかく、そんなことはありませんから、そういった意味では、この問題、特に影響があるとは全く考えておりません。

日吉委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、階猛君。

階委員 立国社の階猛です。

 財務大臣、先ほど櫻井さんが最後に言っていた民度に関するやりとりですね、私、大臣の片言隻句を取り上げるつもりは全くなくて、さっきの説明を聞いていて、大臣の言わんとすることはよくわかりました。ただ、言葉の選択がよくなかったんじゃないかなと思うんですね。

 やはり民度という言葉は、かちんとくると思いますよ、相手の人は。例えば私も、岩手の出身なんですが、いろいろな地域の議員さんから、なぜ岩手は感染者ゼロなんでしょうね、どうしてなんですかと聞かれますよ。そのときに、例えば、おたくの県とうちは民度が違うからと言ったら、けんかになります。と私は思います。だから、私は、大臣と同じような思いで、岩手県はみんな感染に気をつけて行動も自粛し、予防もちゃんとやっているからすばらしいんですよ、誇りに思っていますと言いたいんですけれども、それをまた民度という言葉で表現するのはいかがなものかと思うんですよ。

 だから、民度という言葉は使わないようにしていただけませんか。ちょっとそれだけお願いします。どうですか。

麻生国務大臣 あれは参議院の財金でどなたかの御質問に答えたので、あれは、外国人何人かから電話がかかってきて、同じ質問をみんなしますものですから、一々ずっと説明すると、靴を脱ぐ話から全部説明しなくちゃならないし、説明するのがまたといって、ディファレント・クオリティー・オブ・ライフだという話をしたので、相手は、ディファレント・クオリティー・オブ・ライフ、それでげらげらと笑って終わるんですけれども、これを日本でまた説明するといったので、全部まとめて説明すると長くなりますから、民度と申し上げた。

 その民度という言葉を、ちょっとしかるべき言葉に変えいということは、別に、どんな言葉がいいのか知りませんけれども、今、そういったことを長々と説明する言葉が、ちょっと短い言葉がなかったものですから使わせていただいただけなので、別にこちらが、おまえとは全然違うよという意味でもありませんし、全く、今さらアメリカ人に靴を脱いでうちの中に上がるようにしたらどうだとか、握手するのをやめておじぎにしろとか言ったって始まりませんから、そういったようなことを言うつもりはありません。

 ちょっと、しかるべき言葉を教えていただければと思います。ありがとうございました。

階委員 じゃ、今後は、民度という言葉は使わないようにお願いします。

 それで、きょう質問なんですが、直接法案とはかかわらないことなんですが、麻生大臣が総理のときに始められた高速道路の千円という、あれはリーマン・ショックを受けての経済対策ということでやられたと思うんです。今まさにそれが必要な時期じゃないのかなというふうに私は思っています。

 なぜそう言うかというと、最新の家計調査を見ますと、前年同月比実質一一・一%減少ということになっていまして、そのうちの五%分は飲食と旅行なんですね、消費の減少の五%。五%分というのは、一一%のうち五%、つまり寄与の半分は旅行と飲食なんですよ。もう一つ、最新の労働力調査では、就業者が前年同月比で八十万人減少しているんですけれども、そのうち宿泊業、飲食サービス業で四十六万人減少しているんです。

 そういった落ち込んでいる需要を喚起しつつ、かつ感染拡大を防ぐには、今この時点では、さっき出た新幹線とかではなくて、マイカーでの長距離移動を促進する政策が必要だというふうに思うんです。

 そこで、この休日上限千円というのを麻生総理のときにやり、また、民主党政権になって、プラスして地方の高速道路の無料化というものも組み合わせました。

 このことについてちょっと議論したいんですが、前提として、きょう国交省の参考人に来てもらっていますけれども、この休日上限千円の実行に要したコストはどうだったのか、そして、これによる経済効果はどのように試算したのか、この二点について端的にお答えください。

長橋政府参考人 今先生御指摘のように、平成二十一年三月から約二年間、大都市圏を除く高速道路について、普通車以下を対象に、休日、土日祝日の上限を千円とする割引を実施しました。

 その要するコストにつきましては、年間約一千五百億円の予算を使っております。

 当時の状況でございますけれども、休日千円を導入した……(階委員「経済効果だけ、数字だけ言ってください。時間がないので、数字だけ言ってください」と呼ぶ)ちょっと、今、定量的数字はありませんが、ただ、毎週ゴールデンウイーク並みの渋滞が発生したということと、やはり、長距離を伸ばしますので、他の交通機関に影響があったという認識は持っております。ちょっと効果については、今、明確に……(階委員「数字、出しているでしょう。試算した数字、出してください。通告しているんだから」と呼ぶ)ちょっと今、確認をさせてください。(階委員「ちょっととめてください」と呼ぶ)

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 長橋道路局次長。

長橋政府参考人 失礼いたしました。

 特にこれは無料化の場合に、きちっと数字……(階委員「無料化じゃなくて千円の話をしているんですよ。数字、出してください」と呼ぶ)

 千円の場合は、渋滞が二倍に増加したということと、あと、高速バスやフェリーの休日利用客の減少率が平日よりも大きく、鉄道など他の交通機関にも影響を与えたという評価を検討委員会の方ではさせていただいてございます。(階委員「経済効果の数字を聞いているんですよ。通告しているんだから出してくださいよ」と呼ぶ)ちょっと確認を。(階委員「とめてください」と呼ぶ)

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 長橋道路局次長。

長橋政府参考人 昨日も御説明をさせていただきましたが、渋滞の変化ですとか交通量への影響については分析をさせていただいているところでございますが、定量的な経済効果という数字としては……(階委員「そういう答弁でいいんですか。とめますよ、本当に」と呼ぶ)

階委員 きょうお配りしている資料、一ページ、二ページ目、これは国交省からきのういただいた資料なんですよ。きのうレクに来たときに、このコストと、それから効果というのを聞いたんですね。そのときは、コストということはお聞きしましたよ、千五百億。効果についてなかなか言わないんですよ。

 私、この資料が載っているものを、原典に当たってみましたよ。そうしたら、ちゃんと数字は出ていましたよ。今、わざと数字を言わなかったでしょう。この経済効果をどういうふうに試算したのかということを私はレクのときにも聞いていますし、通告でもそういうことを聞きますということを言っています。ちゃんと数字を答えてください。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私が先ほど御説明しましたのは、高速道路のあり方につきまして有識者の検討委員会の方で総括したこの結果について見たものでございますが、それは二十三年十二月の九日に中間取りまとめを公表させていただいてございます。

 その中でも、その休日上限千円につきましては、先ほど私が申し上げましたように、交通量、渋滞が二倍に増加して、毎週末ゴールデンウイークのような渋滞が発生した。逆に言えば、渋滞が発生するということは、観光というか入り込みがふえたという部分はございますが、そうした交通量の効果、特に、例えば東名高速におきましては、上限導入前は六十分だった渋滞時間が導入後は百五十五分と二・六倍になったとか、そういうことについて私どもとしては分析はさせていただいてございますし、その御説明をさせていただいたというふうに認識してございます。

階委員 もう一回聞きますよ。ここでうそを言ったら、とめますからね。

 経済効果は試算していないんですか。国交省、明確にお答えください。

 とめてください。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 長橋道路局次長。

長橋政府参考人 私どもとしての試算ではございませんが、先ほど申し上げた検討委員会の際に、アンケートとか、あと民間のリサーチ会社の状況で、例えば、休日千円による観光による経済効果が、直接効果で年三千六百億円、間接効果で年四千四百億円、合計年八千億円というような数字も、民間の試算として、私どもとしては、検討のときに調べさせていただいたというところではございます。

階委員 民間の試算と言いますけれども、今の数字は、「今後の高速道路のあり方 中間とりまとめ」の添付資料として出されているわけですよ。だから、国交省が公式に発表しているものじゃないですか、試算したのは民間かもしれないですけれども。だから、国交省がお墨つきを出している数字でいいですよね。端的にお答えください。

長橋政府参考人 高速道路の、先ほどの料金施策を検証する際に一応取りまとめたデータということでございます。

階委員 そういう公式なものなんです。

 ここから大臣にお聞きしたいんですけれども、要は、千五百億のコストで、間接効果を含めると八千億という経済効果ですよ。すばらしい効果ですよね。それで、かつ、仮に我々の政権のときにやった地方の無償化も含めると、更にコストは千二百億ぐらい上乗せされますけれども、それでも、二千七百億で八千億の効果ですよ。

 今、ゴー・トゥー・キャンペーンですか、委託費三千億、そんなのにかけるぐらいだったら、これは、二千七百とか千五百億で八千億の効果が出るわけですよ。これをやった方がいいじゃないですか。大臣、どうですか。

麻生国務大臣 昔やったときはぼろかす言われましたっけね、野党の方から。そのころはいなかったかもしらぬけれども、ぼろかす言われたよ、あのときは。終わったら、よかったよかったって、まあその程度のものですけれどもね。何となく思い出されて、へえと思いながら伺っていたんですけれども。

 これは、今言われたような数字の詳しい話まではちょっとよく知らないんですけれども、経済効果に関しましては、やはり、お金を使って、何となく外に行きたいという気分にさせるところがみそなんですよ。トヨタの車にも乗ってくれて、消費も進むだろうし、いいんだと思いますよ。

 ただ、これは、あのとき、いろいろちょっと手が抜けていまして、例えば、フェリーボートやら何やら、もうえらい損害が出たんですよ、みんなフェリーを使わないで高速に乗っていくから。本四架橋なんて、三つともえらいふえた。しかし、その間、フェリーボートはえらい減損して、文句を言われたといったいろいろな話がありましたので、こういったようなことをやっていくときに当たっては、もうちょっといろいろなところにも配慮してやらないかぬというのは、あのとき、ちょっと自分の反省としてありますので、まあ、そういったような考え方というのは一つの考え方だとは思いますけれども。

 今、石油も大分安くなりましたし、そういった意味でも効果があるんだと思いますので、いろいろな意味で検討する価値があるかとは思いますけれども、ちょっと、今、財務省の言う話じゃありませんので、これはもうちょっと考えないかぬでしょうね。

階委員 これは、今、副総理ですけれども、総理のときにやられていますから、ぜひやってください。

 確かにフェリーは二割ぐらい落ち込んだという、この数字も全部出ているんですよ。きのうはそういう資料を出さなくて、私、調べてやっとわかりましたよ。ちなみに、鉄道の方はほとんど変化はなかったそうです。

 こういう結果も出ていて、私は、この時期、まずはマイカーというところをやるのが、感染防止対策と経済の回復とを両立する最大の方策だと思います。ぜひそういうやり方を考えてみてください。

 さらに、話を進めますけれども、きょう、日銀総裁に来ていただいています。金融支援特別オペというのが三月から始められていまして、私も何度かここの場で総裁とやりとりさせていただいて、ちゃんとそれが金融機関が中小企業への貸出しをふやすことにつながっているのかどうかということを検証してくださいねということを言いました。

 改めて伺います。実績はどうなっていますか。

黒田参考人 この新型コロナ対応金融支援特別オペ、三月二十四日以降、合計六回のオペレーションが実施されまして、これまでに十六兆円の資金が同オペを通じて供給されております。

 この間、同オペの対象先である銀行の貸出残高は、四月末時点で、前年に比べて六・七%増加しております。これを企業規模別に見ますと、大企業向けが一一・四%、中小企業向けが二・七%の増加となっております。

田中委員長 申合せの時間が経過しております。御協力の方をお願いします。

階委員 前の質疑者の中でたくさん時間が使われてしまったのですが、それで、済みませんけれども、ちょっと私の質疑とは関係ないと思いますので、もうちょっとだけさせてください。

 今の数字を聞きますと、要するに、中小企業向けには行っていないんですよね、大企業が中心になっていますでしょう。

 そこで、この大企業にお金が行くようなやり方じゃなくて、新しい今度のやり方、これは、まさに中小企業向けの制度融資のふえた部分についてバックファイナンスする、あるいは、金融機関がプロパーでコロナで困った企業に対する融資をする、こうしたことへのバックファイナンスをする、そういったことだと意味があるわけですね。

田中委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

階委員 そういったところに注力をしてもらうということで、今まで余り効果がなかった従来の特別オペについてはやらなくてもいいんじゃないかと思うんですが、最後にこの点をお願いします。

黒田参考人 御指摘のとおり、新たな資金供給手段というものは、民間金融機関が主として政府の資金繰り支援制度を利用して中小企業や個人事業主に対して行う融資を対象として、有利な条件でバックファイナンスを行うというものでございます。これも早急に実施されることになっております。

 他方で、既存の新型コロナ対応金融支援特別オペも、民間債務の差し入れ担保の範囲内で有利な条件で資金供給を行うものでありまして、対象とする民間債務は、企業規模を問わず、企業全体への与信、さらには住宅ローンといった個人向けの与信も含まれておりますので、ある意味で幅広く民間部門に対する資金仲介機能の発揮を支援するものだというふうに思っております。

 御指摘のとおり、新しい資金供給手段が非常にターゲットして、これは基本的に政府の資金繰り支援制度のバックファイナンスという面でございますので、非常に有効だとは思いますけれども、従来のものも、支援の対象範囲が異なるなどありますので、引き続き両方を活用していく必要があるというふうに考えております。

階委員 これで終わりますけれども、はっきり言って、最初の前提の前提というところであれだけ時間をかけられちゃうと困るんですね、通告しているのに。数字も出し渋るし。こういうことは、委員長、ぜひ役所に対して指導してください。でないと質問時間が有効に使えませんので、ぜひ、委員長、よろしくお願いします。

 終わります。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 金融機能強化法一部改定案について質問をさせていただきます。

 金融機関に対して公的資金を注入する本改正案の仕組みは、東日本大震災後の特別措置と同じ内容であり、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が急激に落ち込んだ中小零細業者の資金繰りを支援するために、金融機関の資金力を増強することが現時点では必要なことだと考えています。

 そのような視点から、本改正案について二問質問します。

 当初、中小企業が緊急対策の融資を受ける際に、日本政策金融公庫や商工中金の相談窓口が大変混雑し、予約をとるだけで一カ月先といったことが常態化したり、また、審査方法が緊急時の対応となっていない、平時の対応のままだというようなこともありまして、融資を受けるまでに時間がかかり過ぎる、そういう問題がありました。五月一日から民間金融機関でもセーフティーネット融資など無利子無担保融資の受け付けが始まり、かなり改善されたと聞いております。しかし、今でも保証協会の認定書をとるのに時間がかかるとの苦情も伺っております。

 そこで、お伺いします。

 第二次補正予算案の事業費約百十七兆円には、中小企業なども含む日本の企業の資金繰り支援を拡充する予算が含まれました。融資審査の改善がなされているのか、約百十七兆円のうち中小企業向けの資金繰り支援について第二次補正予算でどれくらい追加するのか、それから、第二次補正予算でのその事業規模の額及び一次補正との合計額について教えていただきたい。さらに、そのうち民間金融機関からの貸出しはどのくらい見積もっているのか。中小企業庁にお伺いしたいと思います。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 中小企業向けの資金繰り支援でございますけれども、第二次補正予算案の事業規模は約六十・七兆円、第一次補正予算との合計では九十八・九兆円になっております。このうち、御質問の民間金融機関を活用した融資制度の事業規模でございますけれども、第二次補正予算案では約二十八・二兆円、第一次補正予算との合計で五十二・五兆円となっているところでございます。

 以上でございます。

清水委員 民間金融機関の貸出しが約五十三兆から五十四兆というふうに答弁がございました。

 中小企業を資金繰りで支える上で、民間金融機関の役割は極めて重要だと思います。本改正案では、公的資金を使って金融機関に資本参加する際の条件が大幅に緩和されます。

 そこで、麻生太郎金融担当大臣に伺いたいんですが、資金がふえて金融機関の健全性が強化されたものの、地域経済を支える中小企業が選別されて破綻や倒産がふえれば、これは本末転倒だと思うんです。今回の特別措置で、中小企業向けの融資の拡大や条件緩和など、地域経済や中小企業支援対策の強化はどのように保証されるのか、また、金融機関が申請時に提出する経営強化計画はどう位置づけられているのか、そのような対策はそもそも審査の対象になっているのか。以上についてお答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 今回の法案は、最初に申し上げました、どなたかの御質問に申し上げましたように、金融機関自体が悪いわけじゃありませんから、今は、内容が、資本として。

 少なくとも、今、中小企業等々が資金繰りに瀕しているというのに対して、支援をする銀行、金融機関の方が支援をするだけの資金的余力がない、やるとバランスシートが債務超過になる等々、そういったことをあらかじめ防ぐために、金を貸さないということにならないようにするためにここにということを申し上げているのであって、もとの趣旨はこっちですから。

 したがいまして、私どもとしては、積極的な資金繰りを行って経済の再生を図っていけるようにすることというのが趣旨ですから、私どもは、法案におきまして、経営強化計画におきましても中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化に資する方策というのを求めるということにさせていただいているということを見られてもわかりますように、いろいろな形で、支援の実施体制というものに基づいて、私どもとしては確認をさせていただく、他方、中小企業への貸出しについてはいわゆる数値目標、返済とかそういったような数値目標というものを余り厳しく求めないとか、いろいろな形で、金融機関に対する資本参加というものが地域経済の再生とか支援につながるようなものを種々においてさせていただいておるということであります。

清水委員 ぜひ、地域経済や中小企業の資金繰りを支えるよう、しっかりと金融機関をモニタリングしていただきますよう要望しておきたいと思います。

 次に、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主への持続化給付金の問題について質問します。

 申請時の審査について、政府の答弁と違うという対応がいまだに行われているとの苦情を中小業者の皆さんから聞いております。とりわけ申請サポートセンターやコールセンターでの対応はひどい。例えば、確定申告書第一表に収入記載がない場合、代替する資料で判断すると答えているのに、現場では、そんな話は聞いていないとか、未記入の場合は給付金は出ないと言われ追い返されるなどの話が出ています。

 事業開始から一カ月もたって、なぜ審査の判断基準が現場で徹底できないのか、このことについて答弁をお願いします。

松本副大臣 持続化給付金のサポート会場、またコールセンターの判断基準ということでありますけれども、まずもって、この事業の実施主体は国でありまして、申請サポート業務及びコールセンター業務も含めまして、給付先との関係の責任は一義的に政府に帰し、また、委託契約に従いまして、業務の遂行について、国に対しては受託者であるサービスデザイン推進協議会が責任を持つというような形になっているところであります。

 また、このため、申請サポート会場やコールセンターの人員につきましても、サービスデザイン推進協議会から委託された電通が、業務につく前に、申請要領等をもとにしっかりと研修を行わせていただいております。

 なるべく給付のスピードを上げるために統一的な対応を徹底しつつも、個別の審査については個々の事情に寄り添った対応をさせていただいているところでありまして、いずれにいたしましても、申請サポートやコールセンターでの応対を始めとした業務が適切に実施され、少しでも早く審査を経て給付が行われていくように取り組んでまいりたいと存じます。

清水委員 決意はよくわかるんですけれども、徹底されていないというのが問題なんです。

 ぜひ松本副大臣に聞いていただきたいんですけれども、例えば、五月二十八日、岐阜県内の事業者が、税務署の収受印のある白色確定申告書に収入金額が未記入のため、収支内訳書を添付して申請が受け付けられるかコールセンターに問合せしたところ、収入金額が未記入の場合は絶対出ませんとの説明がなされた。

 六月二日に大阪泉大津市にあるサポートセンターに申請に行った事業者が、応対した人から、申告書に売上げが書いていないので受け付けできないと言われて帰らされた。

 五月一日の初日に申請した京都の居酒屋さんです。二週間後に不備メールが届いた。収支内訳書を添付して送信した。しかし、再度不備メールが届いた。おかしいと思ってコールセンターに電話したが、なかなかつながらない。ようやくつながってコールセンターで相談すると、収支内訳書ではだめだ、税務署の所得証明を出せと言われた。それで、税務署に出向き、税務署の所得証明をとって送信したが、また不備メールが来たというんですよ。もう経営者はノイローゼですよ。

 中小企業の経営者の皆さんは、事業を維持するために必死になって資金繰りを何とかしようと今頑張っておられるわけですよね。皆さん一律に、持続化給付金の申請で、相談窓口で機械的にばちっと拒否されると、もう絶望的な気分になるというふうに言われているわけです。

 一カ月もたって、この議論の場での答弁が、審査基準の判断が徹底できていないということ自身は実際起こっているわけですから、副大臣、これは問題だと思いませんか。

松本副大臣 一刻も早く、迅速にこの給付金を事業者の皆さんにお届けをするということは極めて重要なことであるというふうに認識をしております。

 一つ一つの個別のケースについて私の方でこの場でコメントをすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、ただ、この丁寧かつ迅速な審査を徹底をするということが一番大事ではありますが、通常よりも審査に時間を要する案件などが存在をしているのも事実でありまして、これらにつきましては、事務局内に専門の体制を、フォローアップ、新設をいたしまして対応をしていきたいと思います。

 国といたしましても、業務状況の報告などを求めるなどしっかりと監督をし、このスピードアップを図ってまいりたいと存じます。

清水委員 大臣、ちょっと議論を整理したいと思うんですが、迅速にするということはもちろん大事です。時間のかかる書類があるのは当然です。それは仕方がない部分もあると思います。しかし、申請できる、受け付けする資格はあると言われているものが現場ではそうなっていないということが私は問題なのではないですかという問題意識で伺っているんですね。

 雑誌記事によりますと、このサービスデザイン推進協議会から再々委託をされているこのスーパーバイザーという派遣社員の方がこう言っておられるんですよね。審査基準が毎日のように変更される、そして、スーパーバイザーとして来ている派遣社員が元請会社社員からバイトと同じ説明を毎朝受けているというんですよね。最初に配られたA3二枚の説明書に手書きで書き足していくというんですよ。これは事実ですか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 本給付金のその制度の運用におきまして、制度が何回か変わってきている、細かい運用が微妙に変わってきているというところもございますので、審査のスタッフにつきましては、最初に研修を行いますけれども、制度の変更があるときにまた改めて研修をやらせていただいているという状況には、私ども承知をしております。

 ただ、その現場の方でどのような形で研修が実際に行われているのかということについては、今ここで全ての地域についてお答えすることができませんので、状況を把握させていただきたいというふうに考えております。

清水委員 ぜひ把握していただきたいんですよね。

 元請の担当職員から派遣会社社員のスーパーバイザーが説明を受けて、千六百人から二千九百人の審査担当者の方々が、一日当たり全国で約最大五千六百人の申請サポート会場の職員がいるわけですし、三百五十人のコールセンターの職員に、毎朝これは手書きの指示を出しているというんですよ。

 先ほど松本副大臣から言っていただきましたように、この持続化給付金の責任は、それは経産省、政府にあるというふうにお答えになられたわけですから、審査基準の変更について、やはり末端の、直接審査を担う人にまでその審査の判断基準が的確にやはり行かないと、今私が述べているような問題が起こるということなんですよ。

 例えば審査基準の変更があるときに、中小企業庁が、中企庁がサービスデザイン協議会に連絡をする。そうしたら、そこが今度は再委託先の電通に言う。電通は今度、電通ライブにそのことを伝える。電通ライブからまた発注されるパソナに行く。パソナからスーパーバイザー、これは派遣社員ですけれども、そこへ行って、更に担当者ですよ。だから、伝言ゲームをやっている間に、この国会の場でですよ、こういう審査基準で審査の書類は受け付けるんだという国会答弁が反映されていないというのが大問題なんですよ。

 ですから、私、ぜひこれは副大臣に答えていただきたいんですけれども、きょうの午前中の予算委員会で梶山経済産業担当大臣は、サービスデザイン推進協議会との契約条項、これは第十一条一項により、審査要員の増員などの指示が、指示できるというふうに答弁されました。ならば、中小企業庁が責任を持って、事務連絡やマニュアルなど統一した文書で、判断基準を統一する必要があるんじゃないですか。これをしないと、むしろ、その個々の担当職員によって間違った審査対応がなされるということを改善できないんじゃないですか。これはいかがでしょうか。提案です。

松本副大臣 個々の事例に関してはちょっとコメントは差し控えさせていただくところでありますけれども、現場にしっかりと、我々の思いであったりとか、さまざまな、この国会で答弁をさせていただいたことも含めまして、しっかりと伝えていくということ、そして、その基準に基づいて、受給に値をする方、その要件を満たしている方にしっかりと資金が渡るということは極めて重要なことだと思いますので、ぜひ対応をどういう形でできるのか検討したいと思います。

清水委員 先ほども述べましたように、繰り返し不備メールが送られてくる人はもう本当に精神的に参っています。私は、今の松本副大臣の答弁を信用したいと思います。決して裏切らないでいただきたい。現場まで徹底していただくと。そうしないと、この二次補正で組まれている、所得区分によって今回申込みできなかったフリーランスの方への持続化給付金、あるいはことし一月から三月に新規開業された方々への持続化給付金、さらには家賃支援、こうした申請についても同様のトラブルが発生するというふうに私は警鐘を鳴らしたいというふうに思います。

 ぜひ現場に徹底していただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。

田中委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延映夫でございます。

 質問時間八分ですので、早速質問させていただきます。

 今回の金融機能強化法の概略についてまずお伺いいたします。

 現在の金融機能強化法のもとで資本参加した実績は六千八百四十億円と伺っております。既に十二兆の枠があるわけで、期間を延長しても十分対応できる額なのではないかと思うのですが、三兆円上乗せして十五兆円にした根拠をまず教えていただけますでしょうか。

 そして、種々の条件が緩和されるということになっておりますが、これはまた逆に言いますと、利用実績から考えて、金融機関にとっては使いにくい資本注入策ではなかったのではないでしょうか。確かに、税金を投入する以上、一定の厳しい基準をつけるということは理解できます。今回は、申しわけないですけれども、平たく言わせてもらいますと、このコロナ禍にかこつけて基準を緩くして使い勝手のいい制度にしたというていにも見えます。今後のルールとして、法律の期限まで恒常的に特例として続けていくということでよいのでしょうか。

 そしてもう一点、コロナ対策が最優先という中、本法案を一部改正することは、優先順位としては低いと私は思います。期間も二〇二二年三月までとなっているので、仮に期間延長をする必要が高い改正だとしても、来年で十分ではないかと思うんですが、まずこの三点、お聞かせいただけますでしょうか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 まず、政府保証の規模についてでございますけれども、現行十二兆円、これは二〇〇八年リーマン・ショックの後に設定された金額でございます。その後の金融機関の資本の規模に照らしまして、今回、十五兆円というところに拡充をさせていただいております。

 続きまして、この仕組みについて、今後どういうふうに見直しをしていくのか、モラルハザードにならないのかという、今後についてですけれども、今回、二〇二六年まで特例も含めて設定をいたしますけれども、その後についてはまたそのときの経済情勢等々を踏まえて適切に対応する必要があるというふうに考えております。

 さらに、この時期になぜ提出したのかということに関しましては、現在、日本の金融システムは安定しておりまして、その健全性に問題はありませんけれども、金融機関が将来にわたって新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた中小企業等に対し積極的に資金繰り支援等を行っていくことが重要ということで、将来を見据えた先手の対応として金融機関の金融機能を強化する枠組みが重要というふうに判断したものでございます。

美延委員 続きまして、本法案の当初施行の二〇〇四年以降、何団体に幾らの支援をしてきたのでしょうか。先ほど私の質問の中で、六千八百四十億円の実績とお話をさせていただきましたが、お伺いしていたこの実績には間違いはないのでしょうか。

 あわせまして、支援をした金融機関に本法施行以降で国家公務員及び地方公務員が何名ほど再就職しているのでしょうか。わかるようでありましたら、本法施行以前から再就職している人数と、そして再就職した際のポジションもあわせて教えていただけますでしょうか。

白川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、資本参加の実績ですが、委員御指摘で間違いございません。二〇〇四年の法施行以降、三十六の金融機関に対して約七千億円の資本参加を行ってきたところでございます。

 次に、資本参加先への公務員の再就職についてお尋ねをいただきました。

 国家公務員法に基づく再就職の届出情報につきまして、当庁が保有する文書において確認いたしましたところ、これは法施行以前の二〇〇三年八月以降の再就職状況が把握できますが、計七名の金融庁職員が再就職したことがわかっております。

 ただし、二〇〇四年八月一日の法施行以前につきましては、資本参加先への金融庁職員の再就職は確認できておりません。

 なお、金融庁以外の国家公務員や地方公務員の再就職については、当庁としては把握いたしておりません。

 あと、どのような役職についたのかというお尋ねでした。

 先ほど申し上げた資本参加先への再就職者七名の役職については、参事役が一名、監査士が六名となっております。

美延委員 今、七名ということを聞かせていただきました。

 今回の法案の優先順位として、私は聞いたんですけれども、これは決して高いとは思いません。どうしてもやるということであれば、地方の商店主や個人事業主の人たちが本当に困らないように、金融機関がいわゆる貸し渋りとか貸し剥がしとかそういうことがないように、金融庁としてはしっかり指導監督していただきたいと思います。金融大臣である麻生副総理の御所見を伺いたいと思います。

 また、先ほどの答弁にもありましたように、わかっている期間だけで、二〇〇四年の空白の部分、地方公務員とかそれから金融庁以外も、これを全部除いて、金融庁だけで七名、団体数は三十六と聞いたんですけれども、私、この資料で見ておりましたら、何回か同じようなところがあるので、実際は十七団体。ということは、十七団体中七名、率にして約四〇%、これは私は正直高いと思います。

 これは、もしそういうふうに、天下りと言われても仕方がないと思うんですけれども、今回の法改正で、公的資本注入により金融機関の経営責任の追及が弱まることにもなります。この点に関して、どのように公的資金注入先の経営状況をフォローしていくことになるのか。あわせて、国の影響が大きくなることで、これが天下りの温床にもなった、こんなことになったら大変でございますので、その点も含めて麻生大臣の御所見をいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 いわゆる、今御心配になっておる貸し渋りとか貸し剥がしが起きないようにするためにこれをやっておるんですから、ちょっと順番が全然違っていると思いますが。それが一番大事なところだと思いますので、事業者の資金繰り支援をやるために、金融機関の方が貸出しをできなくなるようなことにならないようにする。

 じゃ、何で今かと言われれば、これから先、もっと更に悪くなったときに、マーケットの中において、マーケットの雰囲気が悪くなったときはもっと金が貸せなくなりますから、そうなる前にやっておかないと、金というのは、あるところにしか金は借りられませんから、金がなくなったら金を貸さないじゃないですか。だから、金があるうちにやっておかないとできないということを、民間だったらおわかりだと思いますので、そういったことが一番の背景だと思っていただければと思っております。

 引き続き、さまざまな懸念があることは承知しておりますけれども、そういった意味で、いわゆる金融機関に対して還元がきちんとされていかないけませんから、そういった意味では、特別ヒアリングをさせていただいたり、いろいろさせていただきましたけれども、とにかく返還財源の見通しが立たない企業なんというのはいっぱいあるんですよ、正直申し上げて、今のこんな極端なことになっていますので。

 そういった、とにかくまず六カ月間の短期の資金を貸します、その後どうやってやるかは後々相談しましょうというようなことをやったという例が幾つも上がっていますので、そういった好事例というのは、ほかの金融機関でこんなことをやっているんですよという話が伝わるように、いわゆる公表をさせていただいて、地域の金融機関というものにも促しておるというので、私どもとしては、きめ細かな相談等々をやらせていただいて、今いろいろやっておりますことに関しまして、こういうことをやっております、ああいうことをやっておりますという例を、知らない人もおられますので、そういった方々に御指摘をさせていただいたりするというようなことをさせていただいていると思っております。

 いい例につきましてはどんどん載っけておりますので、そういったことをやらせていただいております。

 それから、今、人の話やら何やら、先ほどあっちから申し上げたとおりですけれども、資本参加をさせていただいた後にも、これはきちんと適切に見ておかないといかぬのは当たり前の話なので。私どもとしては、問題がある場合には、監督官庁として、これをいろいろ、ここのところが問題なんじゃないんですか、だからもうちょっと、というようなことはやらないかぬところだと思いますので、私どもとしては、天下り先への懸念というような意識が持たれないようにしておかないかぬというのは当然だと思っております。

美延委員 それはしっかり、大臣、監督していただけるよう、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

田中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、明十日水曜日午前十一時十分理事会、午前十一時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.