衆議院

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第8号 令和3年3月2日(火曜日)

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令和三年三月二日(火曜日)

    午後一時四分開議

 出席委員

   委員長 越智 隆雄君

   理事 井林 辰憲君 理事 うえの賢一郎君

   理事 神田 憲次君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君

   理事 日吉 雄太君 理事 太田 昌孝君

      穴見 陽一君    井出 庸生君

      井野 俊郎君    井上 貴博君

      今枝宗一郎君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    加藤 鮎子君

      勝俣 孝明君    門山 宏哲君

      城内  実君    工藤 彰三君

      小泉 龍司君    佐々木 紀君

      田中 良生君    津島  淳君

      中山 展宏君    船橋 利実君

      古川 禎久君    本田 太郎君

      牧島かれん君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    山田 賢司君

      山田 美樹君    海江田万里君

      櫻井  周君    階   猛君

      野田 佳彦君    長谷川嘉一君

      古本伸一郎君    緑川 貴士君

      斉藤 鉄夫君    清水 忠史君

      青山 雅幸君    前原 誠司君

      田野瀬太道君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  義偉君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        伊藤  渉君

   財務大臣政務官      船橋 利実君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   財務金融委員会専門員   鈴木 祥一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     佐々木 紀君

  井上 貴博君     工藤 彰三君

  今枝宗一郎君     井出 庸生君

  小泉 龍司君     大岡 敏孝君

  宮澤 博行君     八木 哲也君

  階   猛君     緑川 貴士君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     今枝宗一郎君

  大岡 敏孝君     小泉 龍司君

  工藤 彰三君     井上 貴博君

  佐々木 紀君     井野 俊郎君

  八木 哲也君     宮澤 博行君

  緑川 貴士君     階   猛君

    ―――――――――――――

三月一日

 コロナ禍の下、消費税率五%への引下げ、税の集め方の抜本的見直しに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八七号)

 同(笠井亮君紹介)(第八八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八九号)

 同(志位和夫君紹介)(第九〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第九一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第九五号)

 同(藤野保史君紹介)(第九六号)

 同(宮本徹君紹介)(第九七号)

 同(本村伸子君紹介)(第九八号)

 商品・サービスの総額表示義務をなくし、価格表示を自由化する法改正を求めることに関する請願(小川淳也君紹介)(第一五五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

越智委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官梶尾雅宏君、財務省主税局長住澤整君、厚生労働省大臣官房審議官間隆一郎君、大臣官房審議官宮崎敦文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

越智委員長 これより内閣総理大臣出席の下質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 立憲民主党・無所属の会派の末松義規でございます。

 今日は、菅総理にも質問させていただきます。

 まず、早速、菅総理に対しましては、最低賃金の件ですけれども、最低賃金を継続的に引き上げていくということで、この方針に対して私は大賛成でございます。私も、前回の委員会でも紹介したんですけれども、最低賃金男と言われるぐらい、最低賃金をアップするということが日本にとって大きな経済の再生あるいは消費の拡大、これに極めて重要だと思っております。

 そういった意味でなんですけれども、菅総理の方で、今、骨太の方針ですか、そこで最低賃金のレベルを千円ということになっていると思うんですけれども、ここがちょっと私の方は不満で、私が計算したら、大体千五百円ぐらい、五、六年をかけてやっていくのが重要じゃないかと思っているわけです。

 今、最低賃金のこのことを長々と話す気はありませんけれども、日本では、菅総理も御存じのように、OECDでも非常に低い方でございまして、韓国よりも、韓国は八百二十四円が最低賃金ですけれども、それよりも低い県が十八県あって、中には七百九十二円という一番下のレベルの県も幾つか、七県かな、あるわけです。

 千円にするためには、今、平均が九百二円ですから、これを千円にするためには大体あと四年かかるわけですね。大体四年というのは、安倍内閣時の二十五円程度の上昇が続けば最低四年かかる。さらに、七百九十二円の最低の県については大体八年から九年近くかかる。これでは上げていくスピードが遅過ぎるということを私は非常に懸念をしているわけでございます。

 そもそも、千円というレベルがどのくらいかというと、年収にして百九十六万円なんですよ。これは、仮に家賃が五万円として、六十万円家賃にかかって、百九十六万円から六十万円を引いた百三十六万円、これが生活費に充てられる話にまたなりますけれども、そうすると、月に直して十一万円程度になってしまって、これでは、連合を含めていろいろな学者の方がよく研究をしている最低生活費というのが大体十九万円前後というような話が出ていますから、これには遠く及ばない。そうすると、消費力が縮こまってどうしようもない。もっと拡大をしていって、経済を拡大していくことが重要だと思っております。

 そもそも私がこの最低賃金の政策に関心を持ったきっかけというのが、数年前に地元で街頭演説で、ちょうど働き方改革のときに、労働時間の短縮というのを私は叫んでいたんですけれども、そうすると多くの若者が私の前に来て、末松さん、言っていることはいいんだけれども、俺たち食えなくなる、つまり労働単価が低いから食えなくなるんだ、これ、どうしてくれるんだと言われて、私はちょっとそこで答えに窮したわけです。

 また、中小事業者からは、事業主の方が、末松さん、それは、あんたはきれいごとだけ言っている、最低賃金をどんどん上げていったら、我々は事業が潰れちゃう、破産しちゃうんだという、そこを言われて、私も本当に悩んで、どうすればいいんだというふうに悩んだ後、いろいろなことを検討して、そこで私が思いついた答えは、これは、韓国とかフランスなんかは国が最低賃金を全力で上げていって、これに一兆円だ、フランスは二兆円以上上げていっているわけですよ。これはやはり国が主導してやらないと、なかなか、最低賃金レベルで生活をしていられる方は大体千二百万から千五百万以上で、場合によっては二千万と言う方も、説もあるんですけれども、そういった方々の所得を上げて、そこで消費力をアップさせて、そして、経済をうまく循環させていく、このサイクル、善の循環をつくっていかないと駄目だと思ったのが大きなきっかけになったんです。

 そうする場合は、やはり国費を投入していかなきゃいけない。最低賃金そのものを上げるという、今、政策がないんですよ。賃金を上げるという政策はあっても、最低賃金を上げるという政策はないわけです。これが問題であり、しかも、厚労省と中小企業庁がメインに関心を持ってやっておられますけれども、いろいろなメニューがあるけれども、本当に最低賃金そのものを上げるという政策がない。これを国の司令塔をつくってしっかりと上げていくということが、日本経済を大きく救っていく大きな要となると思うんですけれども、この司令塔をつくるということ、そして国費を投入するということ、これを是非総理に御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

菅内閣総理大臣 前の安倍政権時代、私は官房長官でありました。そういう中でも、経済の好循環を実現をしていく、そのためには最低賃金の継続的な引上げが必要だ、私ども、第二次安倍政権をつくってから、私自身も、地方の所得を増やして消費を拡大するためにはどうしても最低賃金が必要だという考え方の下に、懸命に取り組んできました。そして、雇用にも配慮しながら、賃上げしたい環境をつくって、継続的な引上げとして早期に千円を実現したいという思いであります。先ほど、委員の発言の中で、五年も六年もかかる、そういうことであってはならないというふうに私自身は思っています。

 そういう中で、最低賃金を引き上げるには、やはり中小企業の賃上げの環境をつくってやることがこれは大事だというふうに思います。

 そのために、三次補正の中で、最低賃金引上げを支援する業務改善助成金だとか、あるいは設備導入やデジタル化などを支援するものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金など、中小企業における生産性の向上、ここを支援する措置を講じているところであります。引き続いて、厚生労働省を中心に政府一丸となって、最低賃金を引き上げできる環境というものをここはしっかりつくっていきたいというふうに思います。

 政治、そして政権として明快な方針をしっかり示して、取り組んで、実現をしていきたい、このように思います。

末松委員 そこの方向性については私も賛成ではあるんですけれども、私が申し上げたのは、最低賃金を、例えば私が試算した中では、五、六年かけて最低賃金を例えば千五百円に持っていくという話になった場合は、毎年毎年百円ぐらいずつ上げていくわけですね。ただ、この百円を上げていく場合に、コロナで傷んだ中小企業の方々とか、そういった方々に負担をさせるわけにいかないんですよ。やはりそこは日本経済の中で、負担をさせるわけにいかない。だからこそ、国費で投入して、やはりコロナで本当に百兆円以上どんどん政府が出費して、コロナにおける国民の生活救済、あるいは企業の救済をしていっているわけですけれども、それの一環としても、そういった、国費で投入して、大体、中小企業のまさしく最低賃金レベルの方々の、ここに対して直接国費を投入していかないとなかなかこれが成功しないというのが本当に現実であって、そうたやすく最低賃金を上げるというわけにはいかない。

 だから、そこを是非、ここはもう蛮勇を振るっていただいて、私もデービッド・アトキンソンさんとかいろいろな本も読んできていますけれども、彼だって、どちらかというと千三百円ぐらいは当然必要だろうという話を、総理、御存じでしょうけれども、やっているわけですから。私も、立憲民主党の中で最低賃金アップ作業チームとかあるいはPTの座長をやっていてそこは本当に痛感したことでございますので、是非司令塔をつくってやっていただきたい。

 厚労省はちょっと視点が違って、景気回復とか消費力アップとか、そういったことは余り大きな関心にはなっていない。むしろ、中小企業をもっと発展させていくようなところの、それを、内閣官房でもいいですから、しっかりと司令塔になってもらってやっていただきたいということを、私の方で心からそこはお願いを申し上げます。

 次に、今日は十五分しかありませんので言いますけれども、森友問題で赤木ファイル問題というのがございまして、財務省の方の対応が、今、赤木ファイルについて係争の訴訟があるからその存否も含めて明らかにできない、これが言われているわけでございます。これはもういろんな、我々から見て、おかしい、存否も言えないのか。これも、国会の予備的な調査でもっても存否も明らかにできないというのはおかしいじゃないかということを私は本当に痛感しているわけでございますし、これは絶対にたださなきゃいけない事項だと考えております。

 そこでお尋ねしますけれども、これ、時間軸の中では、訴訟があるから出せないということであるならば、あるいは存否の存在も言わないということであれば、じゃ、訴訟が終わった場合は、これは我々の国会の予備的調査の関係の要請もあるわけですから、そこは財務省として、当然このファイルを出すということにならざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これはもう度々御質問をいただきましたのでお答えをしておりますけれども、現在、訴訟が係属されている最中でありますから、この訴訟につきまして、国としては、今我々としては訴訟をされている場で争われるべきものであって、それに関しての資料はと申し上げてきております。

 今お話しのあれは、訴訟が終わった後はどうだということのお尋ねで、ちょっとこれは全く仮定の質問でありますので、終わった場合、ちょっと、そのとき私がそこにいるという保証は全くありませんし、今の段階でお答えするということは差し控えたいと存じます。

末松委員 訴訟っていつかは終わりますよね。私の質問は、訴訟が終わった場合。これを仮定と言われたら、これはおかしいじゃないかと、ここにおられる方、みんなそうだと思うんですね。

 こんなことを仮定の問題だと言われたら、この国会審議、できないですよ。きちんと、ちょっと言い直してくださいよ。

麻生国務大臣 訴訟がいわゆる完全に終わった後につきましては、これは、訴訟というものを理由に回答を差し控えることはないと私自身もそう思ってはおりますけれども、少なくともその時点での状況を踏まえて検討する必要があるので、私、そのときにいるという保証がありませんからね。

 したがって、そういった意味で、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただくということを申し上げております。

末松委員 本当に、私たちが、何といいますか、状況でこのような質問をしているわけじゃなくて、国会という、国会の議長からしっかり予備的調査でやれと言われた話なので、ここの要請にはきちんと応えなきゃいけないと思いますし、財務省は、一番この理由として挙げている、訴訟があるから出せないんだということを、これが、訴訟が終わったら、じゃ、またほかの理屈でもって隠していくのかということになったら、財務省が反省していた隠蔽体質とか改ざんとか、そういったことが何ら解決していないじゃないか、反省がないじゃないかと思うわけでございます。

 それで、私が一番懸念するのは、そこで、この赤木ファイルそのものが、今度これにまた改ざんを加えられて、元のファイルじゃないようになってしまうと、これは今までの財務省の、罪を犯した、この経験があるわけですから、そこは絶対にそんなことはやっちゃいけないよということを言いたいんですけれども、最後に、赤木ファイルがもしあるとするならば、そういった改ざんとか、そういったことはしないということをお約束していただきたいと思います。

麻生国務大臣 これはもう改ざんをするかのごとき前提で話をしておられるんだと思いますけれども、私どもは、その種の話は仮定の質問の極みだと存じますし、私どもとしては、その種のことに関してお答えすることはありませんと申し上げております。

末松委員 では、時間が来ましたので、これで質問を終わります。

越智委員長 次に、海江田万里君。

海江田委員 立憲民主党、そして無所属の海江田万里です。

 菅総理とは、国会でこうやって質疑をするのは初めてでございます。時間は十分と限られておりますので、手短にお答えをお願いしたいと思います。

 今日、私は、まず、格差の問題、日本社会の特に所得格差の問題と、それから税制の問題についてお話をしたいと思います。

 せんだって、先週、二月の二十六日に、麻生財務大臣に対してはこの問題で議論をさせていただきました。麻生財務大臣とのやり取りの中で、やはり日本の所得の格差について、先進国の中では日本はまだまだそれほど格差がない方ではないだろうかという見解をいただいたわけでございますが、ただ、麻生財務大臣と私どもとでは育った環境もかなり違いますし、年も若干違うので。

 菅総理と私は、菅総理は昭和二十三年の十二月ですね、私は二十四年の二月でございますから、お互い七十二になったばかりでございますが、菅総理は、二十歳までは、ふるさとの秋田で、秋田の自然に恵まれて、秋田の自然の風景を見ながら育ってきたようであります。私は東京で育ったわけでございますが、そこから、二十歳ぐらいから既に五十年、半世紀たっているわけですね。

 その半世紀たつ中で、私が、やはりこの日本の風景というものが、まさに半世紀前と大きく違う、あるいは、半世紀前と言わずに三十年ぐらい前と大きく違っているというふうに思うわけで、その変化というものは、やはり私は税制にあるのではないだろうかと。

 これも、もう言うまでもないことでありますけれども、税制というのは、やはり所得の再分配機能という大変大きな役割があります。その所得の再分配機能が薄れてきたのではないかと思うわけでございますが、特に日本の所得の格差の問題と絡めて、この税制が、ちゃんと再分配機能が今機能しているかどうかということについて、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 所得再分配は、税制の持つ非常に重要な中の一つだというふうに思います。

 税制による所得再分配機能の回復を図るために、所得税については、これまで、最高税率を引き下げて累進構造の強化を図るとともに、金融所得課税についても、前の安倍政権の中で、税率を一〇から二〇%に増やしました。これらの改革によって、所得が高くなるに従って所得税の負担率が上昇し、所得再分配機能の回復に効果があったと考えています。

 また、相続税についても、資産再分配機能を回復する観点から、基礎控除の引下げや最高税率の引上げなどの見直しも行ったところであります。

 そうした中で、私の内閣としては、まさに経済再生、これはしっかり行っていきたいと思います。それと同時に、最低賃金の引上げ、これについてもしっかりと引上げを行っていきたい、これは、私、明快に申し上げています。また、同一労働同一賃金など格差の固定化を防ぐ政策に、ここはしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

 税制の在り方については、所得格差や資産格差の状況を踏まえ、また社会の状況を見ながら、ここはその変化に丁寧に対応していくということだというふうに思います。

 当時、私は高校まで田舎にいましたので、十八のときに東京に出てきたら、東京は、皆さん、えらい資産の多い人ばっかしだなと当時思ったことを記憶をいたしております。

 いずれにしろ、社会が健全に発展をしていくためには、やはりこの格差というのは、固定をしないで、許容できる範囲というのが正しいのではないかなというふうに思います。

海江田委員 その許容の範囲を私はもう既に超えつつあると。

 それから、日本の社会というのは、大変な少子化、高齢化が急速に進んでいます。高齢化社会というのは、例えばジニ係数という貧困の度合いを示す数字もありますが、これもやはり、高齢化に伴って、ジニ係数はほっておいてもだんだんだんだん上がっていくわけですよ。だから、ここはかなり意識をして、この格差の是正に対して、それから、とりわけ、やはりCOVID―19の災いもあります。それによってやはり格差も広がっているというのは事実であります。

 それから、世界的に見ると、やはりアメリカなんかでも、バイデン大統領がこの格差の問題、もちろんアメリカというのは日本より更に格差が大きいわけですが、ただ、この格差の問題を放置すると、それはアメリカの社会の分断にもなるし、民主主義の危機である、こういう意識を持ってやはり新しい方向へ進もうとしているわけですね。

 確かに、これまでもやってきたということがありますが、それはあくまでもその格差を是正する方向をずっと通ってきて、何度もこれは麻生大臣に申し上げましたけれども、金融所得の課税の源泉分離、一〇から二〇にしたというお話でありますが、元々は三〇、我々の世代が知っている頃は、東京に出てきた頃は三五あったんです、分離が。それが二〇%になって、長い間二〇%だったのが、株価が下がったのでこれは一〇%に緊急避難的にしたので、それをやっと前の二〇%に戻したということで、先ほど予算委員会でグラフを見ましたね。一億円を超えると、がたっと下がると。

 これは、我が党の田嶋要議員も二月十七日の予算委員会でお示しをしました。田嶋要議員のときの話は、株が上がるのがいいのか悪いのかとか、何かそんな話になっちゃいましたけれども、そうじゃなくて、やはりあのグラフを見て、一億円を超える人たちの所得の負担率が下がるということ、これは原因は先ほどの委員会で、予算委員会で麻生大臣お答えになっていましたけれども、金融所得の課税がそういうふうになっているんだろうという問題の在りかをお示しをしましたけれども、あのグラフを見ると、これはやはり日本の社会は公平じゃない、そういうふうにみんなが感じるわけですよ。

 これはやはり民主主義の危機でもありますから、どうぞ、先ほどもグラフを見たと思いますが、ああいう一億を超える人たちがかえって税負担が低くなるということについてどうお考えになるのか、これをどうやって是正をしていかなければいけないとお考えになっているのか、お示しください。

菅内閣総理大臣 まず、先ほど私、最高税率を引き上げて調整をしていた、そこのところを引下げと言ったので、そこは訂正させていただきます。

 今後の税制の在り方というのは、先ほど申し上げましたけれども、所得格差や資産格差の状況を見極め、そういう社会情勢の変化に応じる形の中でそこは対応していくべきだろうというふうに思っています。

海江田委員 今のお答えはちょっと、あれでは議論にならないわけでありますが、やはりそれはおかしいんですよ。普通の感覚というものを菅総理は大切にされてきまして、普通の人があれを見たらこれは不公平だなというふうに思うわけです。やはりその一つ一つを取り除いていかないと、税制改正というのはそうしょっちゅうやるわけじゃないわけですから。特に、今回はポストコロナ、コロナの後の時代の税制改正ということでも議論をしているわけですから。やはりあそこはおかしいんですよと、前は自民党、与党の税制改正の大綱の中にも入っていた。ところが、今度、なくなっちゃったから。

 将来的に考えて、やはりああいうグラフというのはおかしいね、それは所得の高い人にそれなりの負担をいただくのが世の中の正義じゃないだろうか、そういうことを一言おっしゃっていただけるといいんですけれども、菅総理、どうですか。

菅内閣総理大臣 そうしたことも踏まえながら、適切に対応していきたいと思います。

海江田委員 あと、もう最後になりますが、先ほどの末松委員の赤木ファイルの件を聞いておりまして、唖然としました。やはりこの問題がはっきりしないと、税務行政、今ちょうど確定申告の時期でもありますけれども、税務行政に対する信頼性というものも損なわれることであるということを一言申し添えまして、時間が来ましたので終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

越智委員長 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 事前に通告していることに沿って、総理に伺いたいと思います。

 二月十九日から二十五日の一週間で、都道府県別の新型コロナの感染者の増加数は、総理の出身の秋田はゼロ、私の岩手は十、秋田と岩手の隣の青森は二でした。北東北は感染拡大防止に成功していると思います。それ以外の地域でも、一週間でほとんど感染者が出ていないところは多いわけです。

 一方、そうした県も含めて、経済的には、昨年の十一月頃から、観光、交通、飲食関連を中心に大きく落ち込んでいます。県独自の需要喚起の取組というのも行われてきたわけですが、財源が尽きてきて、そろそろ終わるところも出てきています。

 しかしながら、こうした産業は地域の経済や雇用を支えておりまして、まさに東京オリンピック誘致の原動力となったおもてなしの提供者でもあります。ここで事業を途絶えさせるわけには絶対にいかないと思っています。

 政府の見解は、資料の一ページにもつけさせていただいていますけれども、第三次補正予算で措置された地方創生臨時交付金のうち、地方単独分の一兆円を使ってこうした取組を続けてほしいということだと承知しています。ただし、全都道府県に人口や事業者数等を基に配分されますので、秋田や岩手、青森というのはいずれも七十億円程度なんですね。全部合わせても、東京都の二百六十億円には及びません。なかなか観光や交通や飲食関連の需要喚起策にまで県の予算が回らない状況なんですね。

 さらに、東京を始めとした感染拡大地域では協力要請推進枠というのが設けられまして、時短要請に協力した事業者に対する協力金の財源として二兆円以上が配分されてきています。感染抑止に成功した地域向けには、そうした特別の枠というのはなかったわけです。経済の落ち込みという意味ではどこも変わらないわけですが、事業者への支援という面では、感染拡大防止に成功した地域よりも、感染が拡大した地域の方が大きいという現実があるわけです。

 そこで、総理に伺いたいと思うんですが、知事会からはGoToキャンペーンの地域版という声も上がっていますけれども、今は国としては感染防止に注力した方がいいと思います。他方で、地方の方は、地方創生臨時交付金に例えば感染抑止地域の活性化枠みたいなものを設けて、財源を追加配分して、感染拡大防止に成功した地域が独自に観光や交通、飲食関連の需要喚起策を打てるように国が支援すべきではないかと思っております。

 同じ東北出身者として、前向きな答弁を総理にお願いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、地方創生臨時交付金ですけれども、昨年、既に三兆円を自治体に配分しました。三次補正予算で一・五兆円を追加したところです。追加措置の一兆円については、地域の事情に応じ、各自治体において自由度高く活用していただけるものと考えています。

 実は、今回、一・五兆円追加をいたしました。全国の知事会の要望は一・二兆円だったんです。そういう中で、そうした地方の実態を考えて、様々な補助事業の裏負担というのは必ずありますので、約三千億円追加させていただいて、私は一・五兆円にさせていただきました。

 ただ、今委員からいろいろな御説明がありました。そうした実態であることも、私自身、十分承知をしておりますので、そうした中で、地域の中で直接、一番傷んでいるところにその対策というのは当然必要だというふうに考えております。そうしたできることをしっかりやっていきたい、こう思います。

階委員 感染拡大防止をうまくやっている自治体が実は経済的には厳しいということを是非御理解いただいて、必要な支援をお願いしたいと思います。

 それでは、次に、先ほど末松委員からもお話がありました、国会の予備的調査に対して、赤木ファイルの提出が拒否されていることに関して伺いたいと思います。

 多少経緯を申し上げますと、昨年の臨時国会以来、国会の重要な権能である予備的調査に対して、財務省が、公文書改ざんの真相解明に資する赤木ファイルの提出を拒み続けていることが問題になっています。その理由は、自殺した赤木氏の夫人が提起した国賠訴訟に不当な影響を及ぼすからということなのですが、実際、その訴訟の中では逆に、訴訟の結論に影響はないということで、二枚舌を使って、国会にも裁判所にも赤木ファイルの提出を拒んでいるということなわけです。

 こうした矛盾を追及する中で、前回の委員会でもいろいろなおかしな答弁がありました。理財局長も大臣もごまかそうとしていたわけですけれども、私は、あれだけの不祥事を起こしたにもかかわらず、都合の悪い事実はごまかし、隠蔽すればいいという財務省の体質が全く変わっていないという思いを強くしました。公文書改ざん事件が起こったときの官房長官であった総理にも、真相解明の責任はあると思います。

 そしてまた、亡き赤木俊夫さんは、極めて倫理観と責任感の強い、国家公務員のかがみのような存在でありました。行政府のトップとして、このような貴重な人材を死に追い込んだ状況を詳細に把握して、再発防止策を講じる責任もあると思います。

 そこで、総理にお尋ねします。

 総理は、早急に赤木ファイルを国会に提出するよう財務省に指示すべきではないですか。お答えください。

菅内閣総理大臣 本会議においても麻生大臣から答弁があったとおり、予備的調査については、財務省として真摯に受け止め、可能な限り協力を行ったものと承知しています。

 お尋ねのファイルでありますけれども、亡くなられた近畿財務局の職員の御遺族が国に対して提起された国家賠償請求訴訟において御遺族が提出を求められているものと思われますが、訴訟に関わることであるために、財務省が回答を差し控えたものだというふうに理解しています。

階委員 財務省に総理から指示しないと、財務省は全く体質が変わっていませんよ。是非そこは考えていただきたいと思います。

 この問題については、引き続き取り上げていきたいと思います。

 そうしたことが影響してだと思いますけれども、私は、国家公務員離れが深刻になっているということを、昨日改めて調べていて感じました。

 五ページ目の資料を御覧になってください。

 これは内閣人事局が作った取組指針のまとめたものですけれども、課題認識として、将来にわたる公務のサステーナビリティーの危機。要は、公務の持続可能性が危うい。極めて深刻な課題認識で、その理由として、国家公務員の採用試験の申込者が半減しているとか、若手職員の自己都合退職者数が六年で四倍以上といった数値も挙げられています。

 私は、このような危機的な状況を何とかして解決しなくてはいけないと思いますけれども、総理としては、この国家公務員離れの要因は何だと認識しているのか。そして、もし総理がこれを食い止めるとすれば、御自身からどのような言葉で今国家公務員を辞めようとしている皆さんにお声をかけられるのか。この二点についてお答えください。

菅内閣総理大臣 国家公務員の志願者の減少や中途退職者の増加については、アンケート調査では、長時間労働や、より自分が成長できる仕事に就きたい、こうしたことが理由として挙げられるということです。

 こうしたことを踏まえて、本年一月に改正した取組指針では、業務効率化、デジタル化の推進と、管理職が部下職員のやりがいや人材育成などを取り組むマネジメント改革の二点を働き方改革の主軸として位置づけて、長時間労働の是正とやりがいの向上に強力に取り組むことにしたところであります。

 今後、それぞれの大臣がリーダーシップを発揮して、こうした取組をしっかり実現をしてもらいたい、こういうふうに思っています。

階委員 今、役所の文書を読み上げましたけれども、総理が言うべきことは、私はたった一言でいいと思いますよ。つまり、憲法十五条二項を守った人はちゃんと評価しますと言っていただければいいと思います。憲法十五条二項には「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と書かれています。このことについて、守れ、守った人は評価する、これを一言言っていただければいいと思うんですよ。

 総理、そのお気持ちはありますか。

越智委員長 菅総理大臣、申合せの時刻が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

菅内閣総理大臣 それぞれの大臣が、そうしたことをしっかりそれぞれの所管する官僚に徹底をする、そうしたことが必要だというふうに思っていますし、私自身もそうした基本姿勢の下に対応していきたい、このように思います。

階委員 是非、十五条二項、大切にしていただきたい。よろしくお願いします。

 終わります。

越智委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 新型コロナ対策について菅総理大臣に質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 ワクチン接種と並行して、今なすべきことは何か。変異株などによる新たな感染拡大に向けた備えであると思います。二度と、救える命が救えなかったというようなことは絶対に起こしてはなりません。

 その上で、医療体制の整備、そして地域医療を守るための医療機関などへの支援が求められていると思います。

 菅総理の認識を率直にお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 新型コロナの感染が長期化する中で、必要な方に必要な医療措置、こうしたことを提供することが、基本的な、まずは第一でやるべきだと思っています。

 このため、政府としては、医療機関支援として三・二兆円の予算を措置するとともに、第三次補正予算で一・四兆円の追加計上をしたところです。さらに、東京では、国と都の職員がチームをつくって、年末以降も、こうした予算を活用しながら、約二千床を確保しております。

 さらに、私自身も直接、医療関係者の方々にお会いし、協力の要請を行うなど、取組を進めてきました。

 また、変異株についても、強い危機感を持って対処すべきだというふうに思います。このため、先週の対策本部の会合で、今月から全ての都道府県でスクリーニングの検査、ここをすること、そうした監視体制をする、そうしたことを決定いたしました。

 今後とも、地方自治体と緊密に連携しながら、先頭に立って対策をしっかり進めていきたい、このように思います。

清水委員 厚生労働省の資料によりますと、医療機関全体で、昨年四月から十一月の期間に、前年比約一兆二千億円の収入減と言われております。新型コロナの患者を受け入れた医療機関だけでなく、受診抑制により、より多くの病院や開業医が収入減少となっているわけでございます。大変経営が厳しくなっております。

 兵庫県の保険医協会のアンケート調査によりますと、収入減対策として、内部留保や個人資産を取り崩したと答えた方が七〇%、人件費を削減したと答えた人が二〇%、そして借入れを増やしたと答えた医院が約六〇%というふうになっているわけです。

 これまで、政府は、医療機関の収入減対策として、独立行政法人福祉医療機構による無利子融資を行っていると答えてきましたが、厚労省によれば、新型コロナ対策の危機対応融資は、一月末の残高で総額約一兆二千億円となっているんですね。つまり、医療機関全体の減収分は、大半は借入れで何とか対応しているというふうに推測もされると思います。

 そこで、伺います。

 来年度の財政投融資計画でも約一兆四千億円の融資を見込んでおられますが、菅総理、やはり、来年度も赤字の医療機関は借金で乗り切ってくださいというのが政府の方針なのでしょうか。お答えをお願いします。

菅内閣総理大臣 新型コロナの影響が長引く中で、コロナ対応を行っていない医療機関において減収が生じていることは承知をしています。

 このため、政府としては、無利子無担保などを内容とする危機対応融資や感染拡大防止のための支援を行っています。加えて、令和三年度予算案における特例的な対応として、医療機関において行われる感染症対策を評価し、外来診療、入院診療等の際に、令和三年九月までの間、一定の加算、ここを算定できることとしております。

 詳細については、厚労省からと思います。

清水委員 医療機関の収入の大半が診療報酬で、国の公定価格によるものしかないわけですよ。

 兵庫県保険医協会の西山裕康理事長から、新型コロナウイルスとの戦いで最前線に立つ医師の思いを伺ってまいりました。こう述べておられます。各医療機関が感染の危険性と風評被害の不安に立ち向かい、医師としての使命と責任と覚悟を持って献身的に医療を提供し続けている、今直面している受診抑制、患者数減による収益悪化は、個々の医療機関の経営者の過剰投資、放漫経営などの自己責任だと政府は考えているのですかと怒りを込めて訴えられているわけですね。

 七割の医療機関が収入減だと回答している現状で、医療機関の赤字を借入れで対応してください、先ほど診療報酬の話もありましたが、新型コロナを受け入れていない病院も含めて収入減なんです。今年と来年の赤字の穴埋めを返済するために、医療機関はどうやって利益を確保すればいいのか。このことをどうお考えでしょうか。

菅内閣総理大臣 地域医療をしっかり確保していくことは、ここは極めて重要なことだと私自身も認識をいたしております。

 そういう中で、医療機関に、支援策としてはこれまで四・六兆円の予算を計上しており、感染拡大防止のための支援のほかに、診療報酬においても、新型コロナ患者の診療について大幅な引上げや、令和三年度予算案における特例的な対応として、医療機関において行われる感染症対策を評価し、外来診療、入院診療等に令和三年九月までの間に一定の加算をできる、このようにしています。

 患者の受診控えに対しても政府広報などを通じて周知を行っており、引き続き、現場で戦っている医療機関に対し、様々な形で支援を行ってまいりたいというふうに思います。

清水委員 医療機関の努力で患者を増やすということはできないですよね、飲食店みたいに、バーゲンセールなんてできないわけですしね。今言われた支援策だけではやはり不十分だと思うんですね。

 開業医などの窮状は、今年の確定申告でその実態が恐らく明らかになると思うんです。収益悪化が医療機関の経営者の自己責任ではないという認識を菅総理がお持ちであれば、やはり必要に応じて今後は損失補填などについても検討していただきたいと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

越智委員長 厚生労働省間審議官。(清水委員「総理です、総理に聞いているんだから」と呼ぶ)

 簡潔に答弁してください。

間政府参考人 委員長の御指名でございますので、お答えさせていただきます。(清水委員「短くね」と呼ぶ)はい。

 医療機関の支援につきましては、先ほど総理から御答弁ありましたように、補助金あるいは診療報酬などでも手当てをさせていただいているところでございまして、緊急包括支援交付金、これはコロナ対応を行っていない医療機関も対象でございますが、一月下旬現在で一・六兆円の医療機関からの申請をいただき、一・五兆円都道府県が交付決定をし、一・二兆円は既に払込み済みということでございます。

 さらに、今委員御指摘のありましたような、これらの支援によっても新型コロナ患者を受け入れる医療機関が実質的に損失を被ることがないようにしておりますけれども、これらの支援を受けて、結果としてなお損失が生じた医療機関がある場合はどんな対応ができるか、引き続き検討したいというふうに思います。

清水委員 麻生大臣にも質問を用意していたんですけれども、ちょっと今の答弁が入りましたので、最後に、菅総理に一問だけ簡潔にお伺いしたいと思います。

 多くの医療機関の皆さんは、新型コロナの感染のリスクを負いながら、懸命に奮闘していただいているわけです。私自身もコロナに感染しまして、医療機関の人にも本当に助けていただきました。そういう点では、懸命に頑張っているにもかかわらず減収で苦しんでいる方々を支援するということは本当に大事だと思うんです。

 最後に、菅総理、今減収になっている状況、コロナで不況で赤字になっている現象、これは医療機関や開業医の皆さんの自己責任ではない、このことについての認識は共有できますよね。これだけ一言お願いできませんか。

菅内閣総理大臣 先ほども私、申し上げましたけれども、地域医療、ここをしっかり守っていく、ここは私ども政府としても、そこは責任を持って対応していくというのがその姿勢であります。

清水委員 終わります。ありがとうございました。

越智委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 多少順番を変えまして、まず、新型コロナ関連からお伺いをさせていただきます。

 現状、ワクチン、供給の問題もございまして、国民に行き渡るにはいましばらく時間がかかる、そういう感じが出てきております。そうしますと、政府の新型コロナウイルス感染症対策の柱は、緊急事態宣言などの社会的距離政策、感染予防対策と、それから医療体制の拡充、この二本立てだと思います。

 しかしながら、今の政府の新型コロナ対策は、国民への自粛要請や飲食店への制限に比重が偏り、その影響もあって、外食産業の主要百社だけで二千七百店舗という大変な数が今年度閉鎖するというふうに報道されております。私の地元の静岡でも、身近な中小企業の店舗がどんどん閉鎖されていくという非常に残念な状況が続いております。

 一方で、両輪の一つであるべき医療体制の拡充は相変わらず後手に回っているというふうに感じざるを得ません。報道によれば、日本の全病床に占めるコロナ病床の割合は一月下旬時点で〇・八七%にすぎず、欧米の十分の一以下にとどまっているとのことです。当然ながら、ここを拡大すれば、次の波を緊急事態宣言を出さなくても済むこともあり得る。現実に、東京都の重症者病床、母数が五百と言われていたのが、実は千だということが先日判明しまして、いきなり病床の占有率が緩和されたわけです。

 ここを見ましても、やはり病床を増やすということが本当に喫緊の課題で、ところが、そこが余りマスコミも注目しないし世論も注目しないので、大変残念に思っております。

 総理がこの点御努力されているのはよく承知しておりますけれども、是非この点の引き続き努力をお伺いしたいと思いまして、そのお考えをお聞きしたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、新型コロナウイルスが長期化する中で、必要な人に必要な医療を提供する、そのことが基本であります。このため、政府としては、医療機関支援として三・二兆円の予算を措置するとともに、第三次補正予算で一・四兆円の追加予算を計上しています。

 こうした中で、東京都では、国と自治体の職員がチームをつくって、昨年の年末以降、約二千床、新たに病床を確保しています。私自身も、直接医療関係者の方々にお会いし、協力の要請、こうしたものを行いながら取り組んできました。

 その上で、今回の対応を検証した上で、御指摘の医療提供体制の確保などを含め、対策を更に進化させていく必要がある、こう私は考えています。まさに委員と一緒だというふうに思います。

 今後とも、地方自治体と緊密に連携しながら、そこはしっかり対応していきたいと思います。

青山(雅)委員 今、日本でこれをなし得るのは、菅総理お一人しかいないと思います。是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、やはりコロナの影響で、人口動態統計速報によると、二〇二〇年の出生数は何と前年比二・九%減の八十七万人、婚姻数は更に減少で一二・七%減の五十三万組という大変深刻な数字が出ております。新型コロナの問題に政府や地方自治体が注力されていることは理解しておりますけれども、一方で、日本の最大の課題である少子高齢化がこのコロナの影響で急速に進むのではないかというおそれも抱いております。

 若者の行動に過剰な制限を課すことは将来に禍根を残すことにならないか、大変心配しております。若者は、御承知のとおり、病態としてはかかっても軽いという状況もございます。コロナ対策もこういった観点も入れて見直していく必要があるのではないかと思いますけれども、総理のお考えをお聞かせください。

菅内閣総理大臣 今般の出生者数や婚姻数の減少については、新型コロナの感染が拡大する中で、多くの方が日常や将来に不安を感じて、結婚行動や妊娠活動に少なからず影響を与えている可能性はあるというふうに受け止めています。

 このため、まずは感染拡大を防ぎ、収束に向かわせるのが不可欠であると思います。多くは無症状で、軽症で、知らずに感染を広げ、高齢者に感染させる可能性もあると専門家も指摘する若者について、この問題意識を持って行動していただくことが重要だというふうに思います。

 一方、私自身としては、長年の課題である少子化対策に真っ正面から取り組んで、大きく前に進めていきたいと思っています。不妊治療の助成制度の大幅な拡充、この一月から始まりました。待機児童解消のための保育所の受皿の整備、男性の育休取得の促進など、様々な対策を講じてきているところです。

 引き続き、当事者の声に耳を傾けながら、結婚、子育て世代の方々の不安に寄り添いながら、安心して結婚、妊娠、そして出産、子育てができる環境というものをしっかり整備していきたい、このように思います。

青山(雅)委員 引き続きよろしくお願いいたします。

 時間が参ってしまったものですから、最後、子育て助成、あるいはデジタルトランスフォーメーション投資促進税制、カーボンニュートラルの取組など、所得税法改正案には総理の近未来にかける思いが大変詰まっているというふうに考えております。この取組についてエールを送らせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

越智委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原でございます。

 菅総理に伺いますけれども、私がお配りをしている資料を皆様方には御覧いただきたいと思います。

 まず、一ページでございますけれども、これは、スイスの研究機関IMDというのが、世界競争力年鑑ということで、毎年、六十三の国、地域を対象に行っているものでございまして、経済状況、政府効率性、ビジネス効率性、インフラ、この四つの観点から、総合的に国際競争力を算定している。三十年前は四年連続日本は一位でございましたけれども、去年は何と三十四位まで転落しているということであります。六十三の国、地域の中で半分以下まで低下をしているというのが、このIMDの報告でございます。

 二枚目を御覧いただけますでしょうか。

 これは、世界の時価総額ランキングということで、一九八九年、バブルの末期、そして去年を比べたものでございますけれども、一九八九年は、上位十社のうち七社が日本の企業、上位五十社のうち、何と三十二社が日本の企業でございましたけれども、残念ながら、去年は、上位十社はゼロどころか、上位五十社に入っているのは四十一位のトヨタ自動車だけという状況であります。

 この二〇二〇年を見ていただきますと、GAFAと言われるものとか、中国のアリババ、テンセント、こういったところが上位に入ってきているということで、IT、5G、そしてAI、こういったものについて日本が残念ながら遅れているということが見て取れるのではないかと思います。

 三枚目も資料を御覧いただきたいと思います。

 これは、世界の大学ランキングでございまして、アジアの主要な大学の競争力ランキングというものを示したものであります。イギリスの教育専門誌でございますけれども。

 アジアの中で一位は北京大学、二位がシンガポール大学の、二十三位と二十五位、東京大学が三十六位、京都大学が五十四位ということで。ごめんなさい、清華大学が二十位ですね、失礼しました、これがトップでございます。京都大学が五十四位ということでございまして、まだ、順位は下だといっても、平行というか、順位は落としていないわけでございますけれども。問題なのは、この東北大学とか東京工大とか大阪大学、こういったものは、この調査によりますとでありますけれども、ランキングを落としている。

 今、国際競争力ランキング、企業の時価総額ランキング、世界の大学ランキング、総理にも御覧いただきましたけれども、日本の国際競争力が止まらない、低下している、日本の凋落が止まらないという危機感を持っておられるのか。まず、その点について御答弁をいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 バブルが崩壊後に、我が国が抱える問題について、日本企業のダイナミズムが失われたとか、あるいは、デジタル化の流れに乗り遅れた、新たな成長の原動力となる産業が見当たらない、こうしたことを長年言われ続けてきました。

 その中で、前の安倍政権の八年間、経済最優先で取り組んできました。新型コロナの流行前には、GDP、名目、実質共に過去最大を記録していますし、人口が減る中でも新たに働く人は四百万人と増えております。

 一方で、二〇一三年から二〇一九年の実質成長率については、OECDの加盟国全体の平均、二%程度の成長であったのに対して、日本の成長は一%、こうしたことになっていることも事実であります。だからこそ、このコロナが収束した上で成長志向の経済政策を進めていく。

 私は、そうした中で、やはりグリーンとデジタル、ここが日本が遅れている、そして今、世界と比較をして引き離されている、ここに大きな原因、要因があるのではないかなというふうに思っています。

 それで、私自身、このグリーン、デジタル、ここの二つを今後の日本のまさに成長の両輪にしたいというふうに思っています。そういう中で、グリーン、デジタルや、地方の所得を引き上げさせる、そのことが大事だというふうに思います。

前原委員 総理の思いは分かりました。日本の競争力が低下している、だからデジタルだ、グリーンだ、こういうことですね。

 その危機感を持っているかどうか、それだけ一言お答えください。

菅内閣総理大臣 私は、危機感を持っていて、この二つを私自身の総裁選挙の際に、そしてまた国会での演説の中で掲げたところであります。

前原委員 グリーンとかデジタルとか、私も大賛成ですけれども、そういったものをやるというのは人じゃないですか。全て人ですよね。人が行うことで、人が育たなければそういった技術革新も起きない。

 四ページを御覧いただきたいと思うんですけれども、各国の公的教育支出、対GDP比の推移。OECDは三十七か国ですけれども、日本は下から数えて二番目の低水準のまま。

 この四ページの右側、各国の科学技術関係の予算の推移です。中国やアメリカは相当引き上げていって、まさにこういう教育、科学技術というものの費用をどんどんどんどん増やしていっている。

 じゃ、七ページを御覧ください。

 これは財務省の資料で、私はよく使わせていただくんですが、平成二年と、そして今年の、今議論している予算案。税収はほぼ一緒。歳出は一・五倍、四十兆円増えて、しかし、増えているのは社会保障と借金の返済の国債費だけ。この文教、科学技術なんて、三十年たって五兆一千億から五兆四千億にしか増えていないんですよ。

 これは、人の劣化というものが、まさに、人への投資というものができていないことが日本の競争力の低下につながっていると私は思います。今日は時間がないので、提案をして、そのお答えをいただきたいと思いますけれども。

 私は、ゼロ歳から十八歳までは教育は無償化にすべきだと思う。大学は、これは一定のレベル以上の人は無償化にする。したがって、給付型奨学金というものを私はベースにすべきだと思う。

 そして、もう一つ大事なのは、リカレント教育ですよ。

 賃金の話を、この間、本会議で総理とやらせていただきましたけれども、やはりこれからはリカレント教育、社会人の学び直しというのは物すごく大事です。その中で、財政制約、借金があって、国債費は増えているし、高齢化の中で社会保障費が増えている。だから、ほかのところは予算を取れないんですよ。このわなから抜け出さなきゃいけない。

 そこで、私が提案したいのは教育国債なんです。もちろん財政の健全化についてもちゃんと見なきゃいけないけれども、この教育というのは、私は、全てに関わるものだと思うんですよ。建設国債がなぜ財政法で認められているか。これは残るからでしょう。後の人たちが使えるからでしょう。教育というのは、将来に向けての最大の投資じゃないですか。

 長岡藩の小林虎三郎、米百俵、総理も御存じだと思います。何と言われたか。百俵の米も食えばたちまちなくなるが、教育に充てれば明日の一万俵、百万俵になる。国が興るのも、町が栄えるのも、ことごとく人にある。食えないからこそ学校を建て、人物を養成するのだ。

 どうですか、総理。デジタル化とかグリーン化とかいうものをやるために、やはり人の潜在力を引き上げて、能力を引き出す。財政制約を突破するのは、教育国債というものを真剣に考える。いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 まず、私自身は、どんな家庭に生まれても、所得に左右されず、学びたい人が学ぶことができる、そういう環境というものを是非つくっていきたい、こう思っています。

 そういう中で、安倍政権のときに、消費税を八%から一〇%に引き上げるときに、従来は、社会保障費、七割が高齢者の給付だったんです、そこについて見直しをしたい、そういう中で、二兆円を子供、若者に、消費税を引き上げさせていただいて、投資をさせていただきました。幼児教育の無償化、そして大学、さらには専門学校にも、一定の所得の低い方にはここも免除する、そういう仕組みをつくらせていただきました。

 そうした中で、しっかりとした、そうした人材の財源というものは確保しなきゃならない、そのことは事実だと思います。ただ、安定財源をそのためには確保して、将来の世代の負担につながらないようなものにしなければならないというふうに思っています。

 これからは、こうしたことについていろいろな議論があるところだと思います。

前原委員 今日はこの程度の御答弁かと思っておりました。

 しかし、先ほど小林虎三郎の言葉を例に挙げて申し上げたように、やはり人への投資というものが国を興すんです。そして、もちろん安定財源を将来考えなきゃいけませんけれども、やはり今、日本の凋落傾向をとどめるには、人に対する投資が必要である。そういう意味においては、こういった教育国債というものを真剣に検討していただきたい。

 そのことを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございます。

越智委員長 これにて内閣総理大臣出席の下の質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣におかれましては御退席いただいて結構でございます。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

越智委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主党・無所属の日吉雄太です。

 私は、会派を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論いたします。

 まず初めに、森友学園問題をめぐり、政府は、公文書の改ざんに加担させられたことを苦に自死した近畿財務局の元職員赤木俊夫さんが職場に残した、一連の経緯が詳しく記録されたファイルの提出をかたくなに拒んでいます。財務省は、二度とあのような問題を起こさないと言いますが、このような真相解明に反する行為を続けていては、必ず同じ過ちを犯します。一刻も早く赤木ファイルの開示を求めます。

 さて、コロナ禍という未曽有の危機にあって、税制が果たすべき役割は小さくありません。そうであればこそ、タイムリーで十分かつ適切な改正を行うことが極めて重要となります。しかしながら、今般の税制改正は全く不十分であり、それどころか、むしろ行うべきでないものまで盛り込まれており、到底賛同できるものではありません。

 例えば、法人課税について、MアンドAを促進する税制の創設が盛り込まれていますが、背景には、体力のない中小企業を淘汰しようとする政権の意図がうかがえます。このコロナ禍で中小企業が危機に陥れば、地域経済や雇用への影響は甚大であり、とても認められるものではありません。

 納税猶予特例制度の打切りも問題です。最新の統計によれば、既に、国税、地方税合計で五十一万件、額にして一・六兆円の利用がある上、いまだに多くの人がコロナ禍で苦しい状況に置かれています。なぜこの状況で特例制度を打ち切ったのか、全く理解できません。むしろ、これだけ新型コロナウイルス感染症の影響が長期化している以上、猶予特例制度の延長は当然のこととして、減免措置の創設も検討すべきです。

 また、二〇二三年十月に導入される予定の適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度については、事業者に過重な事務負担を強いることになるほか、免税事業者に対する取引排除による廃業の増加や不当な値下げ圧力等が生じる懸念もあることから、導入の延期あるいは見直しを行うべきですが、今回の改正では全く検討されていません。

 加えて、私としては、税制で家計を下支えする選択肢の一つとして、経済が回復するまでの当面の間、消費税そのものをゼロ%にすることも考えますが、そのような減税も行われていません。

 積年の課題である税制の所得再分配機能の強化については、またも抜本的な改革は行われませんでした。政府は決まって、所得税の最高税率の四五%への引上げ、金融所得課税の一〇%から二〇%への税率引上げ等により対応してきたと言いますが、それでは全く不十分であり、給付つき税額控除の導入、金融所得課税の総合課税化等、抜本的な改革を実行すべきです。

 コロナ禍の実情に即した税制改正の必要性を改めて強く申し上げ、私の反対討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

越智委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 私は、日本共産党を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。

 この間、安倍政権の下で、国と地方の法人実効税率が三四・六二%から二九・七五%にまで引き下げられ、法人所得が増えても税収が増えない、法人税の空洞化が進みました。

 菅政権の下で行われる最初の税制改正でも、財界の要望に応え、デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設や研究開発減税の見直しなどが盛り込まれています。新型コロナの影響で売上げや利益が減少しても、減税額をできるだけ確保させるための改正内容となっており、大企業優遇税制の根幹が維持されたままです。

 税額控除や特別償却の枠を幾ら広げても、活用することのできない中小の赤字企業に恩恵はありません。そもそも、潤沢な研究開発減税制度がある中で、このような投資促進税制が盛り込まれると、大企業の税負担がますます減少し、税収の空洞化が進むだけでございます。

 また、所得税の累進性を回復させるために、所得が一億円を超える富裕層への課税強化が必要でしたが、来年度の改定にそのような項目は盛り込まれませんでした。

 野村総研の調査では、純金融資産五億円以上を保有する日本の超富裕層の世帯数は、いずれも、安倍政権が始まった以降、一貫して増加しています。二〇一九年では、僅か八・七万世帯の超富裕層世帯が百兆円近い金融資産を保有しているのでございます。

 日経平均株価がバブル期に迫る高値となった中、コロナ禍でもますます資産家の富が増え、資産格差が拡大しています。わざわざ富裕層に有利な贈与税の非課税措置を盛り込む必要などあったのでしょうか。所得税の累進性を回復させるための証券優遇税制の是正を先送りしたことは認められません。

 最後に、今行うべきは消費税の減税です。消費税減税は、新型コロナの影響を最も深刻な形で受けている所得の少ない人と中小零細業者への効果的支援になるものです。世界五十か国以上で既に実施されている、消費税五%への緊急減税を行うべきです。

 コロナ禍の下、不公平税制を正し、負担能力に応じた税制改革を強く求めて、以上、反対討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

越智委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会の青山雅幸です。

 会派を代表いたしまして、所得税法改正案に賛成の立場から討論をいたします。

 この法案には、総理の日本の近未来にかける思いが具現化されていると推察いたします。

 日本の最大の課題は、単なる人口減少にとどまらない人口構成のゆがみにあります。税制を含め、これを少しでも食い止め、減速させていくための総力戦が必要です。

 また、新型コロナに関する経済的助成措置において露呈した日本のデジタル化の遅れについても抜本的対策が必要です。日本の経済力の基盤は企業の国際的競争力です。各国企業がしのぎを削る先端的技術開発の後押しは当然必要なところであります。

 さらには、地球環境問題への貢献にはカーボンフリー社会への移行が欠かせません。

 今般の所得税法改正案には、これらの対応として、子育て助成の非課税措置やデジタルトランスフォーメーション投資促進税制、研究開発税制、カーボンニュートラルへの投資促進税制が盛り込まれておりますが、これは、日本にとって必須の課題を的確に捉えたものであり、低迷が続く日本を再発進させるために是非とも必要な取組であることは間違いございません。

 よって、本法案に示されている未来のための的確な取組を評価して、賛成する次第です。(拍手)

越智委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党・無所属クラブの前原誠司です。

 私は、会派を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 我が国は、急速に進行する人口減少と少子高齢化、コロナ禍で更に悪化した莫大な財政赤字という深刻な構造問題を抱え、一人当たりのGDPや国際競争力も低下の一途をたどっています。この三十年間の国家予算を比較しても、歳出が増えたのは社会保障費と国債費のみで、教育や科学技術費、防衛費、公共事業費などはほとんど増えておらず、国力を発展させるために必要な投資がなされていない現状があります。

 本改正案は、全体として、このような中長期的な課題を解決する視点に欠けているものと言わざるを得ません。

 例えば、GDPの五五%を占める消費を喚起するためには賃上げが不可欠ですが、賃金が上がらないことは我が国の宿痾の一つです。

 本改正案により、賃上げ及び投資の促進に係る税制が見直され、継続雇用の要件が外されます。それにより、優遇税制の対象となる企業は増えるかもしれません。

 しかし、そもそも、これらの優遇税制は賃上げにどれほど寄与したのでしょうか。第二次安倍政権発足からコロナ禍に見舞われる前の七年間で、名目賃金は五%しか伸びず、実質賃金はむしろ四%下がっています。財務省に対して本税制の効果を明示するように求めましたが、税制の効果だけを取り出して賃上げや投資判断への影響を測ることは困難との回答でした。つまり、効果があるか分からないものを拡充しているにすぎません。

 賃金を上げる抜本的な解決策を考えるべきではないでしょうか。

 また、本改正案では、教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について適用期間が延長されています。両制度は、創設当初から、格差を固定化すると批判されてきました。結局、制度を利用できるのは一定額以上の資産を有する富裕層であり、その子や孫に対してのみ恩恵を与えることになりかねないからです。

 現在、年収四百万円以下の家庭の子供の四年制大学進学率は三一・四%であるのに対し、一千万円以上の家庭では六二・四%です。私は、全ての子供が大学に行くべきだと申し上げるつもりはありませんが、強調したいのは、親の所得格差の固定化により、子供の教育機会に不平等が生じてはならないということです。

 例えば、所得税とは分離され、定率二割の課税にとどまっている金融所得を総合課税化し、増収分をひとしく全ての子供の教育の充実に使うなど、措置を取る必要があるのではないでしょうか。

 以上の理由から、本法案に反対することを表明し、私の反対討論といたします。(拍手)

越智委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

越智委員長 これより採決に入ります。

 所得税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

越智委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

越智委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、神田憲次君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。日吉雄太君。

日吉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 日本社会の特徴でもあった分厚い中間層が減少し、低所得の貧困世帯の増加、高所得層と低所得層の二極化が進んでいる。このような観点から、所得税や贈与税などの在り方をあらためて見直し、所得再分配機能・資産再分配機能の強化を検討すること。

 二 高水準で推移する申告件数及び滞納税額、経済取引の国際化・広域化・ICT化による調査・徴収事務等の複雑・困難化、新たな経済活動の拡大、軽減税率制度実施等への対応など社会情勢の変化による事務量の増大に鑑み、適正かつ公平な課税及び徴収の実現を図り、国の財政基盤である税の歳入を確保するため、国税職員の定員確保、職務の困難性・特殊性を適正に評価した給与水準の確保など処遇の改善、機構の充実及び職場環境の整備に特段の努力を払うこと。

   特に、社会的関心の高い国際的な租税回避行為や富裕層への対応、消費税の不正還付防止への対応を強化し、更には納税者全体への税務コンプライアンス向上を図るため、定員の拡充及び職員の育成等、従来にも増した税務執行体制の強化に努めること。

 三 新型コロナウイルス感染症をめぐる現状を踏まえ、国税職員を含む財務省職員の健康管理の徹底等、感染拡大防止に万全を期すとともに、必要に応じ迅速かつ適切な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ御賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

越智委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

越智委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえ、配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

越智委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

越智委員長 次に、内閣提出、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案につきましては、他に質疑の申出がありませんので、これにて質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

越智委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。

 本法案では、四条において「国及び地方公共団体のプライマリーバランスの黒字化」を「財政の健全化」に変更しました。財政規律を担保するはずの文言が削除されてしまい、緩みがちな財政規律が更に緩んでしまうのではないのかと懸念いたします。

 また、本法案は、今後五年もの間、予算の議決のみをもって赤字国債を発行可能とするものです。すなわち、赤字国債の発行を五年間審議しなくてもいいようにする法律案を成立させてしまえば、国会が果たすべき行政監視機能を自ら放棄してしまうことになります。

 しかも、今の財務省は、森友学園問題に関して、赤木俊夫さんが決裁文書改ざんの経緯を記録したとされる赤木ファイルについて、存否すら認めていません。行政文書の存否すら明らかにしないのであれば、国会は行政監視機能を果たすことができません。国会の行政監視から逃れようとする財務省に対して、国会が自ら行政監視機能を弱めてはなりません。

 そもそも国民の財産であるはずの公文書について、その存否を明らかにしない財務省を信用することは到底できませんので、今後五年間もの間、赤字国債を自由に発行できる権限を与えることもできません。

 まずは赤木ファイルを国会と裁判所へ提出することを強く求めて、反対討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

越智委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 私は、日本共産党を代表して、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。

 本案は、二〇二一年度から二〇二五年度までの五年間、特例公債の発行を自動的に認める内容となっています。

 来年度予算案は、歳入不足を補うために四十三兆五千九百七十億円の公債発行を計画しています。政府の来年度税制改正においては、大企業の税負担を軽減するために二〇%台までに引き下げられた法人実効税率には手を触れず、研究開発減税などの大企業優遇措置を温存するなど、担税力に応じた税制を中心とする歳入の抜本改革には全く踏み込んでいません。

 歳出面においても、中小企業への直接支援など必要なコロナ対策が盛り込まれた内容にはなっておらず、社会保障予算の伸びを抑制し、軍事費が当初予算比で六百十億円の増額の約五兆三千億円を計上し過去最高額を更新するなど、消費税増税や新型コロナ禍で苦しむ国民の暮らしに目もくれず、大企業奉仕と軍拡を推し進める内容となっています。

 このような予算を成立させるために、約四十三・六兆円もの公債発行を認めることはできません。

 憲法八十六条は予算の単年度主義を規定し、財政法第四条は公債や借入金を認めていません。これは、過去の戦争で戦費調達のために大量の国債を発行し、国家財政と国民生活を破綻させた痛苦の教訓によるものです。

 公債特例法案は、閣法として出し、その都度国会の承認を得るというのが原則であり、単年度に限定したのは、財政規律を保つための最低限の措置だったのです。

 五年にわたって特例公債の発行を認めればどうなるか。参考人として本委員会で陳述された山田博文参考人は、国債が雪だるま方式に膨張すると、国債費が増大し、生活関連予算が圧縮されると指摘しました。結局は、国民の負担となるのです。

 政府は、無尽蔵な国債発行は行わないと強弁しましたが、予算編成の内容はそのときの政権の判断に委ねられており、赤字国債の発行に歯止めがかかる保証はどこにもありません。

 国会のチェック機能を今後五年にわたって奪うことになることは、議会制民主主義の重大なじゅうりんです。

 以上、指摘し、反対討論といたします。(拍手)

越智委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会の青山雅幸です。

 会派を代表いたしまして、特例公債法案に反対の立場から討論をいたします。

 我が国の財政に関する法的規律として唯一の存在である財政法四条一項の例外措置を定める特例公債法は、伝統的に、単年度ごとに特例公債の発行を認めるという謙抑的姿勢の下、成立してまいりました。

 しかし、平成二十四年においては、ねじれ国会を背景として、予算執行が政治的駆け引きにより阻まれるという立法事実の下、複数年度、四年間の特例公債を認めるという異例の措置がいわゆる三党合意の下に成立いたしました。

 ところが、その年限が切れる平成二十八年には、安定多数を政権与党が持つという、平成二十四年とは全く異なる状況にありましたが、厳しい財政状況がある中で安定的な財政運営を確保するためという理由により、再び複数年度、今度は五年間特例公債発行を認めるという時限的措置として成立いたしました。

 しかし、五年間の時限的措置なのですから、五年経過したら元に戻すのが筋というものでございます。積極財政の立場に立つにせよ、財政規律を重視する立場に立つにせよ、このような手法を特段の事情もなく継続することは事実上の永続化につながるおそれもあり、国会の監視機能を弱めるものとして、望ましいものでないことは言うまでもありません。

 そして、このようなやり方は、人口減少と高齢者層の増大が併存するという異例の事態によって社会保障費が右肩上がりに上昇し、それを補うために特例公債発行を拡大し続けなければならないという我が国の構造的問題をマスクすることにもつながってしまいます。

 与党、野党問わず、現在の日本の最大の課題に目をそらすべきではなく、その観点からも、五年間は財政に関してルール不在とするような小手先の手法は百害あって一利なしと考えるがゆえに、特例公債法案に強く反対の意を表明いたします。(拍手)

越智委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党・無所属クラブの前原誠司です。

 私は、会派を代表して、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 我が国の財政は、従来より非常に厳しい状況に置かれているところ、今般の新型コロナウイルス感染症に係る経済対策のため、令和二年度九十兆、令和三年度三十七・三兆と、かつてない莫大な特例公債の発行により、更に悪化の一途をたどっております。

 確かに、現在のコロナ禍においては、感染拡大防止と社会経済活動の両立のため必要な財政支出を行うことを一概に否定するものではありません。しかし、感染が収束したアフターコロナの局面においては、財政再建を行う過程でこれまでの莫大な財政赤字が重くのしかかり、一たび政策運営を誤れば、急激なインフレ、利払い費の増加や資産価格の下落、さらには金融システムの機能不全などを引き起こすことにもなりかねず、その意味でも、財政健全化は喫緊の課題と言えます。

 財政健全化について、政府はかねてよりプライマリーバランスの黒字化目標を掲げ、二〇二〇年度から二五年度に達成年度が先送りされたものの、依然として黒字化目標を維持しております。

 にもかかわらず、今回の法案では、条文からプライマリーバランス黒字化の文言を削除して、法律に定義規定が置かれていない財政健全化という曖昧な文言に変更がなされました。これは黒字化目標を放棄したものと受け取られても仕方がないのではないでしょうか。

 さらに、複数年度発行を可能とすることは、財政規律を緩ませ、ひいては財政民主主義の形骸化につながると考えます。

 元々、複数年度にわたる公債発行を可能にした経緯は、二〇一二年の三党合意によるもので、私も野田政権の政調会長として取りまとめに尽力いたしましたけれども、当時のねじれ国会の下で、国民生活に多大な影響を与える特例公債の発行を政争の具にしないという与野党間の見識によって生み出された法律でした。

 しかし、その後成立した安倍政権下で三党合意は事実上ほごにされるとともに、現政権に至るまで、様々な場面で民主主義や政治の良識がじゅうりんされる事象が相次ぎ、本法律の存立の基盤は既に崩れていると言わざるを得ません。

 一九六五年のときに大蔵大臣として初めて特例公債を発行した福田赳夫元総理は、政治は最高の道徳という政治理念を掲げておられましたが、政府・与党におかれましては、今こそこの言葉の意味によく思いを致し、民主主義と政治の良識を取り戻すために、本法案を撤回されるように強く申し上げて、反対討論といたします。(拍手)

越智委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

越智委員長 これより採決に入ります。

 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

越智委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

越智委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、神田憲次君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。櫻井周君。

櫻井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 本法律案の成立により、令和三年度から令和七年度までの間、当該各年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で特例公債の発行が可能となることに鑑み、将来世代に負担を先送りする特例公債の発行に当たっては、今般の新型コロナウイルス感染症への対応に伴う歳出増はあるものの財政規律の維持に留意し、野放図な特例公債の発行を厳に慎み、発行額の抑制に努めることにより、子や孫の世代に対する責任を果たすよう財政運営を行うこと。

 二 本法律案の成立後の令和三年度から令和七年度の特例公債の発行に当たっては、各年度の予算審議をより慎重かつ丁寧に行うため、財政規律の維持や特例公債発行額の抑制といった財政民主主義に基づく国会の責務・権能を果たせるよう、政府は、単年度ごとに財政健全化目標の進捗状況やその目標達成に向けた課題等に関し、国会に対する説明責任を十分に果たすこと。

 三 政府は、令和七年度の国及び地方公共団体を合わせたプライマリーバランス黒字化と、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すとする財政健全化目標の実現に向けて万全を尽くすため、中長期の財政健全化への道筋について、法制化を含め検討すること。

 四 我が国における人口の減少や少子高齢化の進展を踏まえた経済の活力の向上及び持続的な発展の実現並びに持続可能な財政構造の確立のため、中長期的な視点に立った政策を立案することの重要性が増大している現状に鑑み、我が国の経済及び財政等に関する将来の推計が信頼性のある統計等の情報に基づき中立公正に実施され、国会がその推計の結果を活用することで財政等に対する民主的統制の権能が十分に発揮できるようにするため、政府は、経済及び財政等に関する将来の推計の信頼性の向上に関し、必要な検討や協力を行うこと。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

越智委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

越智委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

越智委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

越智委員長 次回は、来る五日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十分散会


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