衆議院

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第4号 令和4年2月15日(火曜日)

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令和四年二月十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 薗浦健太郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 藤丸  敏君

   理事 稲富 修二君 理事 末松 義規君

   理事 吉田 豊史君 理事 角田 秀穂君

      井上 貴博君    石井  拓君

      石原 正敬君    門山 宏哲君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    中川 貴元君

      藤原  崇君    三ッ林裕巳君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      若林 健太君    鷲尾英一郎君

      江田 憲司君    櫻井  周君

      下条 みつ君    中川 正春君

      野田 佳彦君    伴野  豊君

      赤木 正幸君    高橋 英明君

      藤巻 健太君    庄子 賢一君

      山崎 正恭君    岸本 周平君

      田村 貴昭君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   財務副大臣        岡本 三成君

   財務大臣政務官      高村 正大君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   岩成 博夫君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 平池 栄一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 辺見  聡君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (国税庁次長)      重藤 哲郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 奈尾 基弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石坂  聡君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   鈴木 祥一君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十五日

 辞任         補欠選任

  沢田  良君     高橋 英明君

  中川 宏昌君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋 英明君     沢田  良君

  山崎 正恭君     庄子 賢一君

同日

 辞任         補欠選任

  庄子 賢一君     中川 宏昌君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

薗浦委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長岩成博夫君、金融庁監督局長栗田照久君、総務省大臣官房審議官平池栄一君、大臣官房審議官辺見聡君、財務省主税局長住澤整君、国税庁次長重藤哲郎君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官奈尾基弘君、経済産業省大臣官房審議官龍崎孝嗣君、産業技術環境局長奈須野太君、国土交通省大臣官房審議官石坂聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

薗浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。野田佳彦君。

野田(佳)委員 おはようございます。立憲民主党の野田佳彦でございます。

 今日は五時間という長丁場の審議でございますが、トップバッターを務めさせていただきたいというふうに思います。

 まず、法案の審議に入る前に、今日聞かなければいけないなと思ったテーマがございまして、それは、G20財務相・中央銀行総裁会議が十七日から始まりますね、そして足下の金融政策、これについてまず質問をしていきたいというふうに思います。

 G20の前に、昨日、G7の財務相の共同声明がございました。私は、これは評価したいというふうに思います。ウクライナ情勢について、二島先行返還論をまだ信じて、石ころ一つ返ってくる可能性もないのに、遠慮して物も言わない、行動しないという国ではいけないなと思っておりましたけれども、国際社会と協調して、制裁も辞さないという構えをしたことは、私はこれは評価したいと思いますが、恐らく、オンラインの会議とか電話会談とか通じて、意思疎通をしたんだろうと思いますね。

 G7という限られたメンバーだったら、迅速な対応が可能です。

 私も、財務大臣のときに東日本大震災を経験をし、その直後に、根拠のない円高、多分、投機筋の思惑で進んだ円高がございまして、これはG7と協調して介入するという措置を取りましたが、あれはやはり各国の理解を短時間で得ることができました。G7のいいところは、そういうところだと思うんです。

 一方で、G20というのは、G7に加えてロシアも入り、ブラジルも中国もインドも韓国もトルコも、新興国も加えてEUも入って、構成は二十の国、地域ですよね。でも、二十の国、地域だけじゃなくて、よく見ると、たまに何かスペインとかオランダとかメンバーじゃない国が入っていたり、あるいは、IMFとか世銀だとかOECDとか国際機関も入っていて、しかも、財務相・中央銀行総裁会議だとその倍になるわけなので、ずうたいが大きいんですよ。

 ですから、すぐに連携したいときには困難ですけれども、でも、世界のGDPの九割を占める、世界の貿易総額の八割を占める、そういう主要なメンバーが集まる会議体というのは、私は国際会議の中でも極めて重要な会議だと思いますが、このG20の意義について、まず大臣の御認識を問いたいというふうに思います。

鈴木国務大臣 おはようございます。

 G20でございますが、国際経済協力に関する第一のフォーラムと位置づけられておりまして、中でも財務大臣・中央銀行総裁会議は、G7の中核的な会合として、金融危機への対応等で大きな成果を上げてきた、そのように認識をいたしております。近年では、新型コロナへの国際的な対応でも重要な役割を果たしております。

 主要先進国と新興国が一堂に会してグローバルな課題について議論するG20が果たす役割は大きいと認識をいたしておりまして、日本といたしましても引き続きG20の議論にしっかり貢献をしていかなければならない、そのように考えております。

野田(佳)委員 G20の重要性については御認識をされているということでございましたが、そのG20が十七日からジャカルタで開催されますね。世界の主要な財務大臣・中央銀行総裁会議、集まりますが、鈴木大臣は出席されないということじゃありませんか。なぜ出席しないんですか。お答えいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 野田先生御指摘のとおり、今週の木曜日そして金曜日、G20の財務大臣・中央銀行総裁会議が開かれるわけでありますが、私は、国内の日程等によりまして、参加は難しいと判断をいたしました。そして、オンラインでの参加も探ったわけでございますが、開催地との時差がほとんどない中で、国内日程等を考えますと、オンラインの参加も難しいと判断したところでございます。

 そのために、財務大臣代理として財務官を現地に派遣をいたしまして議論に参画させることといたしました。事前に財務官に方針を指示するとともに、必要に応じ現地と緊密に連携することで、しっかりと対応していきたいと考えております。

野田(佳)委員 財務官を出すということですけれども、財務官は財務官で、今の財務官、大変優秀な、やる気満々の人だと思いますよ。だけれども、財務官は財務官のカウンターパートがいるんですよ。大臣のカウンターパートはイエレン財務長官ほか閣僚です。これは、財務官、代わってほしいといったって無理ですよ。中央銀行の総裁、この後、黒田総裁にお尋ねしますが、黒田総裁のカウンターパートはラガルドさんとかパウエルさんです。カウンターパートがちゃんといるんですよ。私は、財務官を出すからオーケーという話じゃないと思いますよ。

 去年の秋のG20も欠席しているじゃないですか、去年の秋も。それは、十月の十四日が解散だったから出られなかった。今回また、二回連続見送り。G20を軽視しているのかと思われかねないと思います。

 ちなみに、十月三十一日、去年、G20の首脳会議は、投開票日だったから総理は出席しませんでしたね。私は、重要な会議だという認識をされているのに政治家が出ないというのは問題だと思います。

 だったら、どうしても出られない、本当に、でも、出ようとしたんですか。私、我が党の国対委員長に確認しましたら、そんな要請、何にもなかったと言うんですね。最初から出る気がなかったのか、与党の理解が得られなかったのか、どっちなんですか。

鈴木国務大臣 初めから出ないつもりではなくて、それなりに準備もしていたところでございますが、国内の日程等を総合的に考えて、結果として出席しないという判断に至ったところでございます。

野田(佳)委員 国内の日程といったって、衆議院の予算通過が遅れて、参議院も含めて年度内成立は無理なんという日程じゃないじゃないですか。我々も出るべきだと思っている。にもかかわらず出ない。問題だと思いますよ。大臣が出られないんだったら、財務官じゃなくて何で副大臣を送らないんですか。

 私は、二〇〇九年、ちょうど臨時国会が開かれているときに、藤井財務大臣の代わりに、副大臣でありましたけれども、セントアンドリュースのG20財務大臣・中央銀行総裁会議に出ています。そのときの、当時の白川総裁、玉木林太郎財務官、きちっとチームをつくって仕事しました。

 こんなときのために副大臣がいるんでしょう。副大臣、二人いるんでしょう、財務。内閣府の金融担当の副大臣もいるんでしょう。何で送らないんですか。今からでもいいから派遣する準備をされたらどうでしょう。どうぞ。

鈴木国務大臣 その点も含めて検討した結果、財務官を派遣するという判断に至ったところでございます。

野田(佳)委員 何で副大臣を出そうとしなかったんですか。全然答えていないですよ、それ。駄目ですよ、それじゃ。G20を軽視しているように思われる。

 特に、今回のG20は、世界的にインフレ懸念が高まっていて、さっき言ったウクライナ情勢も緊迫してきて、資源や穀物の価格も上がるかもしれない、そして、アメリカの利上げ、三月から始まりそうだ、その上げ幅はどれぐらいなのか、頻度はどれぐらいなのか。世界が身構えているときに、政治家が、閣僚が、あるいは副大臣が生で情報を取ってこなければ意味がないじゃありませんか。その重要性を認識していると思えませんね。今からでもいいから副大臣でも派遣する、決断してください。

鈴木国務大臣 私も、それなりに準備をして、今回参加できないことは大変残念だと、強くそのことは思ってございます。いろいろな国内日程もあるということの中で、様々、総合的に考えまして、そして、先ほど申し上げたような対応で今回はさせていただきたいと思っているところでございます。

 財務大臣経験者として、野田先生から大変重要な御指導、アドバイスをいただきました。そうしたことを踏まえて、決して日本はG20を軽視している立場ではございませんので、そういうことを思われないように、今後においてしっかりと対応をさせていただきたいと考えております。

野田(佳)委員 ちょっとこれ、らちが明きそうもないので。

 黒田総裁にも来ていただいておりますからね。お忙しい中、今日御出席いただきまして、ありがとうございます。

 G20の重要性については、もうこれまで何回も出席されていると思いますし、アジア開発銀行の頃から、いわゆる国際金融マフィアとのおつき合いというのをしっかりされてきたというふうに思いますので、その意義は問いませんけれども、今回、G20、出席するに当たりまして、さっき申し上げたとおり、世界的なインフレ傾向、そして、アメリカの利上げの動き、アメリカだけではなくて、それを見込んで、もうブラジルも、あるいはイギリスも韓国もロシアも利上げをしてきた。世界各国が利上げの動きをしてきているときでありますね。そういうまさに生の情報を、意見交換をしながら世界の動きを押さえていくということは大事だと思います。

 加えて、たまたま、昨日、オペをやっておりますよね。日本だけ金利を抑え込もうというユニークな動きをしているんですよ。これ、世界の流れと違いますね。日本の立場を理解してもらうということも大事な場面ですね。誤解のないようにメッセージを伝えるというのも今回の会議では大事だというふうに思いますけれども、どういう構えで今回のG20に出席されようとしているのか、教えていただきたいというふうに思います。

黒田参考人 まさに御指摘のとおり、現在の世界経済及び金融は大きな波を迎えているということは事実であります。

 一つには、御指摘の、米国を含めて先進国が金利の引上げに動きつつある。他方、新興国はもう既にかなりの国で金利を引き上げております。これらは、基本的に、それらの国々の物価上昇率がかなり高くなっている。御承知のように、米国はもう七・五%、ユーロ圏でも五%というところで、金利の引上げを検討し始めているわけですし、新興国ではもっと上がっていまして、たしかロシアは九%ぐらいで、先日また金利を引き上げました。

 そういうことで、それぞれの国の経済、物価情勢に応じて金利の引上げが行われているわけですけれども、それに加えて、ウクライナ情勢がやや深刻な状況になってきて、これが石油価格とかそういうものの上昇につながりつつありますので、御指摘のとおり、まさに非常に重要な時期であるというふうに思っております。

 我が国としては、足下、物価がまだ〇・五%の上昇でありますし、二〇二二年度、二三年度の見通しでも一%程度ということでありますので、当面、金融緩和を続けるということが適切だと思っておりまして、御指摘の指し値オペを昨日打ったわけですが、結局実際に取引は行われなかったんですが、予想どおり、〇・二五%近くなっていたものが〇・二二%ぐらいまで落ちていまして、適切な効果を持ったと思っておりますけれども、あくまでも我が国の経済、物価情勢がまだ金融緩和を続けるべき状況を示しているということでありますので、この点、BISの会議その他で、年初来、実はもう四、五回、オンラインで会議をやっていまして、十分各国の中央銀行総裁には伝わっていると思いますけれども、今回のG20でも我が国の経済、物価情勢を十分説明し、金融政策についての理解も得られるようにしたいというふうに思っております。

野田(佳)委員 そこで、昨日行った指し値オペという、金利の、要は上限を設定していますね、今〇・二五と。そのまさに指し値の下で、実現するためには国債を無制限に買うという構えですから、昨日は応札はなかったということでありますけれども、このように、長期金利に上限を設けたり、それを抑制するための手法を持っている、あるいは三年半前もそれを行使していますけれども、そういう国というのは、私は寡聞にして知らないんですよ。日本だけじゃないですか。この独特のことをやっている、世界が金融緩和を始めて、金融政策の正常化に向かいつつある中で、日本だけ独特のユニークな動きになっているということですね。

 今回、だから、空砲だったし、金利は抑えたわけですよね。先週金曜日が〇・二三ぐらいまでいったけれども、〇・二五にいかないように抑えたという意味では日銀にとっては成功ということなんですが、それを何度も何度も何度も繰り返すということが本当にいいのかどうか、そもそも。

 私は、いわゆるマーケットをゆがめていくんじゃないのか。金利が上がっていく傾向というのは、そろそろ日銀も金融緩和をした方がいいんじゃないのというシグナルかもしれませんよね、シグナルを抑えつけていくことを繰り返し繰り返しやっていくということが、国債市場というマーケットを考えたとき、いいのかどうか。あるいは、本当にそれをずっと続けて、奏功するというか功を奏することが続くのかどうか含めて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

黒田参考人 まさにこのイールドカーブコントロールという考え方自体が、一方で経済、物価に対してポジティブな影響を与えつつ、他方で金融機関に過度の影響を及ぼさない、さらには国債市場の機能度を過度に低下させないという考え方から導入された制度でありまして、そういう下で、経済、物価情勢などを見ながら運営しているわけです。

 その中で、御指摘の指し値オペというものは、確かに、ラストリゾートと言うとちょっと大げさですけれども、ともかく、一定の金利を示して、その金利で無制限に国債を買いますと言うことによって、そういう姿勢を示すことによってそれ以上の金利上昇を防ぐという意味で、かなり強力な手段であることは事実ですし、明示的にそういった手段を最近使った先進国はないと思いますけれども、昔はあったようですけれども、今、最近そういう例は全く聞いておりませんが、これは、イールドカーブコントロールの下で、十年国債の金利をゼロ%程度に保つというふうに言ってきたところ、マーケットが過度に、プラスマイナス〇・一%くらいの狭い幅でしかレートが動かなくなったので、むしろ、我々としては、国債市場の機能度を過度に低下させないために、プラスマイナス〇・二五%の範囲内で、経済、物価動向に応じて変動するのは認めますということを申し上げて、このイールドカーブコントロールをややマーケットにフレンドリーな形で運用してきたわけですが、ただ、今回の〇・二五%を上回りそうな勢いというものは、日本経済自体の影響というよりも、むしろ、海外の金利上昇とかその他の要因で過度に影響されたのではないかということを見て、ああいう手を打ったわけです。

 その下で、イールドカーブ全体としては、政策金利はマイナス〇・一%、十年物国債金利がゼロ%、プラスマイナス〇・二五%ぐらい。そういう中で、超長期金利などは、余り下がり過ぎると年金やその他によくない影響を与えるということで、かなりなだらかで適切なイールドカーブをつくるということでやってきていまして、それは、全体としてはうまく機能していたと思いますけれども、時折、過度に海外の状況に影響されて大きく動いてしまうときには、必要に応じてそういった措置を取るということもあり得る。しばしばやるつもりもないんですけれども、必要に応じてやることがあるということであって、ベースはあくまでも、経済、物価にプラスの影響を与えつつ、金融機関や国債市場の機能度に過度の負担をかけないようにバランスを取ってやっているということは御理解いただきたいというふうに思います。

野田(佳)委員 年金問題などいろいろ考慮する、そういう総合的な判断というお話なんだろうというふうに思いますけれども、必死で〇・二五以内に抑えよう、抑えようと。

 一方で、アメリカがこれから何回金利を上げるか分かりませんね、今年、何回か。上げ幅も分かりません。多分、ECBも連動してくると思います。ECBも、その他の国々も。

 ということで、どんどんどんどん、日本と他の国と、特にアメリカ中心に、金利差が出てくると、これは円安・ドル高を助長していくわけですね。これ以上の円安になっていくと、おのずと輸入物価が上昇することによって、企業にとっても家計にとっても悪影響が出てくる可能性がどんどんと強くなってくると思いますが、そういう御懸念は持たないですか。

黒田参考人 為替相場について、中央銀行として具体的にコメントするということは差し控えたいと思いますけれども、為替レートは、世界経済あるいは国際金融資本市場における様々な要因を受けて形成されるものでありますので、各国間の金利差あるいは金融政策の違いだけの影響を受けるわけではないと思います。ただ、そう申し上げた上で、円安は、御指摘のとおり、輸入物価の上昇要因となり得るわけであります。

 もっとも、最近の輸入物価の上昇に対する為替円安の影響は、さほど大きなものではありません。例えば、直近一月の輸入物価は前年比で三七%ぐらい上がっていますけれども、このうち二八%と、大部分がドル建てで見た資源価格の上昇の影響でありまして、為替レートの影響は八%程度にとどまっております。

 そうした輸入物価の上昇が我が国の経済に与える影響を見ますと、物価面では原材料コスト上昇の消費者物価への転嫁は緩やかに進むのではないかと予想しておりますけれども、そうしたために一時的に実質賃金に下押し圧力がかかる可能性もありますけれども、やや長い目で見ますと、やはり、一人当たりの実質賃金に雇用者数を掛けた実質雇用者所得は緩やかな増加を続けて、その下で個人消費も回復していくような姿を想定をしております。

 したがって、中心的な見通しとしては、こういった、経済が成長し、物価も緩やかに上昇するというような状況を想定しておりますが、一つだけちょっと気になるのはウクライナ情勢の緊迫化で、原油価格などの資源価格が暴騰するというようなことがありますと、世界経済にとっても、また日本経済にとっても好ましくない影響を与え得る可能性がありますので、こういった地政学的リスクについても十分注視をしていきたいというふうに思っております。

野田(佳)委員 まさに、地政学リスクというのは本当に気になるところだと思うんですけれども、間違いなく、やはり、輸入物価がどんどん上昇する、いわゆる悪性インフレ、悪いインフレになっていくことは、本当に我が国の経済にとっては致命的になりかねないと思いますので、これはよく注意していかなければいけないだろうというふうに思います。

 少しちょっと観点を変えて質問していきたいと思うんですが、日本銀行が保有している長期国債の平均利回りは今、直近ではどれぐらいでしょうか。教えていただきたいと思います。

黒田参考人 令和三年度上半期において日本銀行が保有する長期国債の平均運用利回りは、〇・二二六%となっております。〇・二二六%であります。

野田(佳)委員 そのことといわゆる上限の〇・二五との関係があるのかどうかよく分かりませんけれども、要は、〇・二二六、金利が〇・二三を超えていってしまうと評価損が出てくる、評価損が出てくるだけではなくて、場合によっては債務超過になるおそれもある、そういうこともあって、〇・二五に上限を置いて必死に抑え込もうとしているのではないかとも見えますけれども、その点はいかがですか。

黒田参考人 御承知のように、日本銀行の経理上、国債のその時点でのキャピタルロスが仮にあったとしても経理上、計上されませんので、それについて直接何か心配したり、対応するということは考えておりません。

 むしろ、あり得るシナリオとしては、将来、二%に物価上昇率が近づいていくということになると出口という議論になりますし、出口ということになりますと、一つの在り方として、政策金利が引き上がっていく、そうなりますと、当然、日銀当座預金に対する付利の引上げなどによって支払い金利が増えていく、そういうことから逆ざやになるという可能性は論理的にはあるわけですけれども、ただ、そういう状況になったときには、御指摘のように、長期金利も次第に上がっていきますので、持っている国債が入れ替わっていって、より高い金利の長期国債を保有するようになっていきますので、支払い金利の上昇と保有国債の利回りの上昇との兼ね合いで、必ずしも出口の局面で利ざやの逆転が生ずるかどうかは一概にはまだ言えないというふうに思っております。

 最初の委員の御指摘のキャピタルロス云々の点は懸念しておりませんけれども、出口において逆ざやになる可能性については、必ず逆ざやになるということではないんですけれども、可能性があるということは十分認識しております。

野田(佳)委員 可能性があるということですから、リスクをちょっと感じざるを得ません。リスクというか、大きなリスクだというふうに思いますけれども。

 今、総裁、出口のお話も少しお話しされましたけれども、この間、どこかの新聞とのインタビューの中で、出口の議論はしないんだ、まだ、物価上昇二%、ほど遠いので、引き続き金融緩和をずっと堅持していくという姿勢を示されたインタビュー記事がございました。

 出口の議論をしないと言うけれども、任期が来年の四月までじゃありませんか。十年間かけて目標を達成することができずに、入口は入っていったけれども、出口の議論を封印する、封印せざるを得ないということに対して、私は本当にこれでいいのかという気持ちになったんです。

 二〇一三年一月の政府と日銀のアコードの当事者は、あのときは安倍総理であり、麻生財務大臣でした。両方とも在任期間は長かったですよ。安倍総理は憲政史上最高、最長記録、麻生大臣は松方正義、高橋是清に次ぐ在任期間です。その人たちも目標を達成することができずに現場を去って、残るは黒田総裁だけですよ、だけだったんです。その残った、もちろんアコードには直接関わっていませんけれども、直後から総裁に就かれてきたわけですね。異次元の金融緩和を推進をし、そしてこれからもまだ堅持せざるを得ないと。

 この後の後任の総裁は、その出口を見つけるのに多分七転八倒すると思いますよ。そのことを思うときに、出口の議論を封印をすると淡々と語るぐらいでいいのかどうか、御感想をお聞かせいただきたいと思います。

黒田参考人 御指摘の出口戦略というものは、任期との関係で論じるべきでなく、あくまでも、政策委員会の金融政策決定会合において、二%の物価安定の目標の実現との関係で議論すべきものであるという、基本的な考え方でありますけれども。

 その上で、出口について具体的に議論するのは、今申し上げたように、二%に近づいてきたときに政策委員会できちっと議論して、市場にもコミュニケートするということになると思いますが、抽象的、理論的に出口というのはどういうふうになるかということは、これは、過去の例、あるいは、欧米の中央銀行が今やろうとしていることを見ても分かりますように、拡大したバランスシートをどのように調整していくかということと、政策金利をどのように引き上げていくか、その順序、テンポ、組合せということに尽きるということは事実でありまして、そういった抽象的なことは十分議論できるわけですし、出口といったときに、そういうものの適切な組合せ、タイミング、テンポをどのようにするかということになるわけですけれども、それを具体的に議論するためには、やはり二%の物価目標の実現が近づいてきた時点でやらないと、かえってミスリードしてしまうということにもなりかねませんので、そういった具体的な議論はそういう時期に行うということしかないと思いますけれども、理論的に、出口、正常化のときに考慮しなければならない要素は何かといえば、この二つのものについて、どういったテンポで、組合せで正常化していくかということになると思いますし、これは今一番の足下ではFRBが具体的に進めておりますので、それは十分参考になるというふうに思っております。

野田(佳)委員 FRBとかをよく参考にしながらやはり出口の話は練っていかないと、えらいことになると思います。少なくとも、安倍さんも麻生さんも現場を去った以上、やはり総裁任期中に、異次元の金融緩和にちゃんと落とし前をつけていくという構えは持っていていただかないと困るなと強く思います。これはもっと議論したいところですけれども、法案の審議もしなきゃいけないものですから、これで終わりたいと思います。

 済みません、ちょっと長時間足を止めてしまいました。退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。

薗浦委員長 黒田総裁、御退席いただいて結構でございます。

野田(佳)委員 では、住宅ローンの話を少しやろうと思ったんですけれども、総務省も呼んでいますので、せっかく総務省を呼んでいるので少し聞かなきゃいけないと思います。

 5Gの促進税制についてでありますけれども、これは二年前に導入をいたしましたけれども、適用件数などを見ると、そんなに使われていないですね。これをどう評価するのか。そして、今回、三年延長することになりましたね。これは、二〇二三年度末までに人口カバー率九割を総務省は目標としていますけれども、その実現に資するのかどうか。この二年間の総括をした上で、これから三年延長、これが本当に功を奏すのかどうか。その辺について総務省の御説明をいただきたいというふうに思います。

辺見政府参考人 5G導入促進税制が創設されました令和二年度におけます本税制の適用実績でございますけれども、租税特別措置法の適用実態調査の結果に関する報告書におきまして、税額控除額が約七千八百万円などとなっているところでございます。

 令和二年度の適用実績が少ない理由といたしましては、税制の適用を受ける条件となります法律の認定が令和二年十二月からとなり、四か月という限られた期間となったことなどによるものでございますが、今年度におきましては、年度途中であるため実績の取りまとめは行っていないものの、昨年度に比べて増加を見込んでいるところでございます。

 今回の延長についてでございますが、総務省では、昨年末、令和三年十二月に、携帯電話事業者に対して、5G基地局の整備の加速化を求める要請を行ったところでございます。この要請を受けまして携帯電話事業者から提出される計画を踏まえて、二〇二三年度までに人口カバー率九割という現在の目標を上回る新たな整備計画を今年度中に策定し、公表をすることとしております。

 5G導入促進税制は、基地局の中でも、5Gの特性を最大限発揮する高度かつ安心、安全な基地局の整備を促進することを目的としているところでございますが、今回の見直しでは、特に条件不利地域における整備を加速化するために、インセンティブの見直しなどを行っております。これによりまして、新たな整備計画の下で行う都市、地方の一体的な5Gインフラの整備に資するものと考えているところでございます。

野田(佳)委員 もう少し時間がありますので、住宅ローンの問題、先週、同僚議員から本質的な質問があったというふうに思いますけれども、私もすごく同感なところがありましてね。

 家余りの時代で空き家が目立ってきていて、恐らく空き家が三分の一という事態にもなりかねないような状況で、住宅不足の時代の住宅取得のための優遇措置というのは本当にいつまで続けるんだろうか。それをやめてしまうと消費の崖みたいなのがあるからなかなかこれをやめられないというのが実情なんじゃないかという受け止め方をしていますけれども、大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 住宅ローン控除制度でございますが、これは、住宅取得者の初期負担を軽減して住宅取得を促進するということと、それから、住宅建設の促進を通じた内需の拡大等に資するということを目的としております。

 その中で、今回の見直しでは、新築住宅の取得支援だけではなしに、既存の住宅ストック、つまり中古住宅の有効活用及び優良化を図る観点から、中古住宅における借入限度額の上乗せ措置の新設などを行っております。

 また、新築住宅についても、質を高めるという意味もありまして、カーボンニュートラルの実現ということを踏まえて、省エネ性能等の高い住宅を取得する場合にはより支援を重点化するといった見直しをしております。

 住宅ローン控除の在り方、いつまで続けるのかというお話でございますが、今後の住宅政策の在り方にも関連するものでありまして、国土交通省とも連携をしながら、引き続きよく検討をしてまいりたい、このように考えております。

野田(佳)委員 時間が参りました。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 おはようございます。立憲民主党の伴野豊でございます。

 先日に引き続きまして、本日も、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、財務大臣始め皆さん方に質問させていただきたいと思います。

 その前に、今、野田元総理とのやり取りの中で、やはり腹にすとんと落ちないものですから、くどいと言われてももう一度お伺いしたいんですけれども、先ほどの日銀総裁と元総理とのやり取りの、この国際情勢が緊迫していく中で、国内事情あるいは国内日程で財務大臣がG20財務大臣・中央銀行総裁会議に出ない理由というのは何があるんだろうと非常にシンプルに思ってしまいました。多分これを御覧になっていらっしゃる国民の方もそう思われたんじゃないかと思いますし、私自身、外務副大臣を務めさせていただいた経験からすると、財務大臣が御出席にならなきゃいけない国際会議、G20、この会議以上のものはないような気がしてならないわけでございます。

 国益を損しないためにも、国内事情の方はどなたかに任せて、先ほど副大臣も無理だというお話でしたけれども、私からも是非、まげて、鈴木大臣には、この国際情勢が緊迫する中、空気だけでも感じ取りにでも行っていただけないかと思うんですが、もう一度理由を聞かせていただけませんか。

鈴木国務大臣 私も、先ほど申し上げましたけれども、それなりに準備をしてまいりまして、大変残念である、そういうふうに思っているところでございます。国内の事情ということでございまして、残念ながら、今回は参加できないという判断に至ったところでございます。

 しかし、先ほど、財務大臣を経験され、総理大臣も経験された野田先生から、こうした国際会議の重要性、そういうものについてアドバイスをいただきました。それをしっかりと胸に置きながら、日本としては、G20を重視する立場でありますので、今後、しっかりと対応していきたいと思っております。

伴野委員 今のお話ですけれども、そうすると、やはり御出席にならないということなんですね。非常に残念を超えてびっくり、どういう理由があるのか、今のお話を聞いてもちょっと解せないです。そのことばかりやっていられませんから、質問に入らせていただきたいと思いますけれども、まだ時間はあると思いますので、いま一度考え直していただけないかと思います。

 では、賃上げ税制等についての質問に入らせていただきたいと思います。

 今日まで、同僚議員も含めて、非常に真摯な議論がされてきたと思います。今更のところもありますけれども、基本的な事柄も含めて確認したいところが幾つかあります。それを確認させていただきながら、私自身もいま一度考えを整理していきたいと思っております。

 基本的な事柄でございますけれども、この賃上げ税制、まさに岸田政権の目玉とも言われるものだと思いますが、今回の目的と、見込額が幾らになるのか、教えていただけますでしょうか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の賃上げ税制の見直しでございますが、成長と分配の好循環の実現に向けまして、積極的な賃上げを促すとともに、株主だけでなく従業員、取引先などの多様なステークホルダーへの還元を後押しする観点から、抜本的に強化することとしたものでございます。

 具体的には、大企業で申しますと最大三〇%の控除率を実現するとともに、一定規模以上の大企業については持続的な賃上げ等、マルチステークホルダーに配慮した経営への取組を宣言することを要件とする、また、中小企業につきましては最大四〇%の税額控除率を実現するといった内容になってございます。

 これによる減収額でございますが、平年度で申しますとマイナス千六百四十億円の減収ということになります。

伴野委員 細かくて恐縮ですが、適用件数の予測もどれぐらいになっていますか。事前調査なんかもしていらっしゃいますよね、シミュレート。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 アンケート調査などの結果を基にいたしますと、利益計上法人、黒字法人の約一割程度が利用することが見込まれ、さらに、今般の税制措置による政策効果もございますので、これによって増加する可能性もあるものと考えてございます。

伴野委員 我々の同僚議員だけではなく、与党の方からも、今回の賃上げ税制といいますか、平成二十五年度から行われているこの税制について、万々歳に成果を上げているとおっしゃった方はいらっしゃらなかったんじゃないかと思いますし、与党の方からも、検証はちゃんとされているのかなとかと見ていらっしゃる方もいらっしゃったのではないかと思います。

 今の改めての今回の目的、やはり賃上げを目的にしていることは間違いないわけで、いろいろ大臣からもお聞きしたときには、一定の評価はあれど、なかなか定量的にというお答えで、最後は全部、逃げられたと言うと恐縮ですけれども、税制だけで賃上げができるわけじゃありませんからという、半分開き直りにも近いような言葉をいただいたような気がしますけれども。ただ、目的は賃上げでやっているわけですから、それに対する成果がどうであったかというのは、今どき、レビューをするためにも絶対に必要なことだと思いますし、それなりにやってきた結果で、先ほど、対象企業になりそうなところのアンケートなんかも、多分、一つの物差しにし出したのではないかと思います。

 過去の実績をずっとまとめて検証、整理した、あるいは、これは総務省の方から、いわゆる政策評価をする、そういうことをやっていらっしゃるかと思いますが、その検証結果の資料等なんというのは、一度、全部、この委員会に出していただくということはお願いできませんでしょうか。

 理事、ちょっとお取り計らい、よろしくお願いいたします。

薗浦委員長 後刻理事会で協議をさせていただきます。

伴野委員 それで、私なりにも調べてみました。役所の方からもホームページに載っていますということを言われましたので、ホームページを調べました。正直言って苦労します、なかなかピンポイントに。

 いわゆる租税特別措置に係る政策評価というのは、御案内のように、大臣も御案内かと思いますが、平成二十二年度の税制改正大綱によって、平成二十二年度から政策評価を実施することというのが法律で決まっていますよね。法人税関係特別措置に対しても、これは評価が義務づけられている。だから、絶対にやっているはずなんです。もっと言うなら、事前調査もやっていて、数字もある程度、先ほど、見込額も出しているということですから、やっているんです。それについてのレビューも本来ならきちっとやっているはず、定量的にできなくても、少なくとも定性的には。その結果がもっと見やすい形で出てこないというのは何なんだろうとうがった見方もしてしまう。

 大臣、御案内ですよね、失礼な言い方ですけれども、平成二十二年からのいわゆる租税特別措置等に係る政策評価を実施することが各府省に義務づけられている。確かに、全部が全部おやりになっているかどうか、これは多分、総務省とのやり取りの中で決まっていくのかもしれませんが、法人税について、特にこの賃上げ促進税制については政策評価の対象である。

 後ほどちょっと議論したいんですが、ローン減税の方は義務づけられていないけれども、でも、租特の話ですから、積極的に、自主的にやるべきだというようなことまで言われている御時世の中で、過去の効果と検証の結果について、局長、いかがだったですか。多分、その一覧表なんかも見ていらっしゃるんじゃないかと思いますが。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 賃上げ税制につきましては、平成二十五年度から令和二年度までの八年間で延べ約七十六万件の企業がこの措置の適用を受け、その減税規模の累計は約二兆円といったようなことが全体のまとめになってございます。

 その上で申し上げますと、賃上げは、税制のみならず、企業収益や雇用情勢等に影響を受けるものでございますので、税制の効果だけを取り出して経営者の賃上げ判断への影響を測るでありますとか、あるいは、この税制の導入による賃上げの効果を定量的に測定するといったようなことは極めて難しいというふうに考えてございます。

 一方で、企業に対する調査などによりますと、所得拡大促進税制が賃上げの引上げを後押ししたと回答した企業が多数あったといったような調査結果などもございます。そういった意味で、企業の賃上げに対して一定の効果があったと考えておりますが。

 政策評価の活用につきましても、これは租税特別措置全般について言えることでございますが、税制改正要望に際しまして、各省庁は政策評価を行い、それに基づき議論を行ってきているということでございます。引き続き、この適用実績等についても注視してまいりたいと考えております。

伴野委員 さすが局長、日本語を巧みにお使いになっていらっしゃるなと。そのとおりなんですよ。日本語で言えばそのとおり。定量的に評価するのは難しいんですよ。難しい案件なんですよ。おっしゃるように、税制だけで賃上げできる、そんな代物じゃありませんから、おっしゃるとおり。だけれども、定性的なことや質的なデータも含めて定量的に捉えて、できるだけ客観的に評価した結果を国民にきちっと、前広に、自主的にお示しするのが今の御時世じゃないかと私は思いますし、多分民間企業じゃ、今のお話じゃ、もっと努力しろで終わってしまうんじゃないかと思います。

 昔でいうと、いわゆるPDCAサイクルを回せと。最近ですと、何かチェックのところがレビューになっています。そのとおりだと思いますよ。事前調査をするためには、過去の実績の評価がなければできませんからね。だから難しいんですよ。でも、難しいなりにやって、本当に意味のあった政策だったら、財務省さん自ら、こんなに意味がありました、こんなにすばらしい政策をしっかり続けてまいりましたと堂々と言うべきじゃないですか。

 この辺りについて、局長、何か答弁ありますか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 こういった税制改正を行うに当たりましてはできる限りそういった分析も行って取り組んでいくべきという御指摘は、基本的には正しい御指摘だというふうに考えております。ただ、定量的な把握につきましては、先ほど申し上げたような限界があるということでございますので、各省庁との議論の中で、様々な調査結果なども交えて議論している。

 こういった中で、例えば賃上げ税制の効果についての分析ということで申し上げますと、これはあくまで一例でございまして、政府の中で公式見解としてまとめたものではございませんが、例えばで申し上げますと、平成二十九年の五月に内閣府が公表したディスカッションペーパーでございますけれども、これによれば、企業へのアンケート調査を踏まえて、所得拡大促進税制、今でいう賃上げ税制でございますが、これが直接的な誘因となったと見込まれる賃金の引上げ効果、推計といたしまして、二〇一三年度から二〇一六年度にかけて一・四六兆円程度になると見込まれるといったような試算結果も公表されてございます。

 また、先ほど申し上げた企業へのアンケートの関係でございますが、平成二十九年に経済産業省が実施をいたしました委託調査事業の結果報告によりますと、所得拡大促進税制が賃金の引上げを大いに後押しした又は後押ししたと回答した企業は全体の六一・九%であったといったような調査結果もあると承知しております。

 こういったものも参考にしながら税制改正を行ってきているということでございます。

伴野委員 難しいんですよ。難しいんですが、また民間の話をして恐縮ですが、民間なら、難しいと言った瞬間に、知恵を使え、いろいろな方法でいいから、仮定を置いてでもいいから分析しろと。

 そうじゃなきゃ、例えばさっきの千六百四十という数字、これを民間に置き換えたら投資ですよね。これが戻ってくるなり、あるいはそれが少しでも増えてくる見込みがなければ、この事業はやめろだと思います。そうじゃなかったら、会社は潰れちゃいます。血税を千六百四十、今回も投入する以上、これがどういう効果をもたらすかということぐらいはきっちり国民に説明しなければ、私は、最近、事業を続けていく、施策を続けていく、これに値しないんじゃないかと思います。

 それで、先ほど見にくいと申し上げましたが、私なりに探してみました。令和二年度の点検シートというのを見つけました。残念ですけれども、これを見た瞬間に、これじゃ見せられないわなというか、余り見てほしくないわなと。定量的に示されていないとか、適切な達成目標を設定する必要があるとか、将来の適用数が予測されていないとか、将来の適用数及びそれを基にした根拠が明らかにされていないとか、これは普通なら通らないんじゃないかと思うんですね、こんな評価を受けちゃったら。

 私が言っていることがもし間違いだったら、先ほど申し上げたように、ちゃんとした検証をして、ちゃんとした効果が出ている、そういう評価されたものをこの委員会に是非提出してください。委員長、よろしくお願いいたします。

薗浦委員長 それも、後刻理事会でお話しさせていただきます。

伴野委員 今のコメントに対してどうですか、局長。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 恐らく、御指摘のチェックシートにつきましては、総務省行政評価局が行われております政策評価の点検におけるチェックシートのことを御指摘になられているんだと思います。

 総務省行政評価局が租税特別措置の税制改正要望などについて行われている政策評価について点検するというのは、評価手法に対するいわばメタ評価としての評価が行われているということでございまして、その中で、算出根拠でありますとか定量化について不十分だという指摘を受けているということだと思いますので、ここは、評価当局である所管省庁、経済産業省において、今後、より適切な政策評価が行われるように努めていくべきものだと考えておりまして、我々としても、要望を受ける側の立場として、改善を求めていきたいというふうに考えております。

伴野委員 今の局長は間違ったことを一つも言っていません。だけれども、改善しようと常々しているかというところにはちょっとはてなマーク。なぜならば、この辺りの議論というのは去年の今頃もされていたんですね。大臣はお替わりになっているから御存じないと言われてもしようがないんですが、ただ、住澤局長は答弁でいろいろ答えていらっしゃる。

 対外的にも公表しているというようなこと、これも間違いじゃない。だけれども、先ほど申し上げたように、非常に探しづらい、見づらい。この点検シートも、注視して見なければ何が書いてあるかよく分からない。一般の国民の方に理解しろといっても、このシートだけじゃ分からないけれども、私自身も、学生時代から統計分析をやってきた人間として、指標の選択とか物差しというのは、これは工夫して、工夫して、工夫してやるんですよね。でも、その努力が残念だけれども見られないから、天下の財務省さんだから、総務省さんに指摘されたことであるならば、今回はきちっと改善して、しっかりとした物差しをつくって、確かに限界はありますよ、先ほど申し上げたように、これだけで賃上げしているわけじゃありませんから。だけれども、寄与率というぐらいのことを少し仮定に置いて、こういう物差しを当てたならば過去の賃上げ税制はこういう評価でしたと。

 私は、対象になった企業を一回整理するだけでも、これは随分見えてくることがあるんじゃないかと思うんですね。やはり、改善しようとする努力があるのか、物差しをきちっとしたものにする努力があるのかというところは、甚だ残念に思いますし、去年の今頃もこの委員会で指摘されているんですよ。ただ、巧みに答えていらっしゃる。うそは言っていない。でも、努力するとは一言も言っていない。分かりやすくするとも一言も言っていない。だけれども、自信のある政策だったら、もっとこんなに効果があったんですよと言うべきじゃないですか。

 ここまでのところ、一定の効果があったとおっしゃる。これ、一定という言葉もいいですよね。一定もなけりゃ何のためにやっているか分からないわけで、限定的ということと一定的というのは言い換えられなくもないけれども、日本語というのは本当に巧みだなと思うんですが、ここまでの議論を聞いていらっしゃって、大臣、一度、ここまで野党に言われたんだからというのじゃなくて、多分、かなり与党の方も、このことに対しての政策評価をきっちりやれと。だから、いいじゃないですか、うまくいったことはうまくいったといってやればいいし、それで、うまくいかなかったことはやはり真摯に反省して、こう改善しましたということでいいんじゃないでしょうかね。

 大臣、ここまでのこと、やり取りを聞かれて、是非指示してください、きちっと検証をやれと。

鈴木国務大臣 私は、統計について余り知識がありません。先生は統計をずっとやってこられたということでございますが。

 この賃上げにつきましては、先ほど来、住澤局長からお話ございますとおりに、税制だけではなくて、経済状況でありますとか、雇用状況でありますとか、そういうことで決まってくるわけでありますから、税制の部分のみを取り出して評価するというのが難しいというのは、私は、そのとおりだな、こういうふうに感じたところでございます。

 そしてまた、そうしたことを評価をする、つまり、定性的でなくて定量的に評価をするという手法が、これがはっきり言って見つからないというか、なかなか困難である、そういうことである、そういうふうに思って議論を聞いていたところでございます。

 いずれにしても、そういう手法が、見つけることができればそれはもちろんいいことでありますが、今はなかなか難しいということではないかな、こういうふうに思っております。

伴野委員 日本の学者さんの英知を集めれば、多分いろいろヒントが見えてくるんじゃないかと思うんですね。ですから、少なくとも、こうした事業評価とか統計評価とかの御専門の方の、ワーキンググループと言うと大げさかもしれませんが、少なくとも専門家の御意見をちょっと聞いて、どうしたらこれができるだけ分かりやすく御説明するに足る分析ができるかというのを御相談されるのもいいのではないかと思います。是非是非、専門家の御意見も聞いて、今回の、まだR三年は出ていないんですかね、R三年、R四年の分析だけでもきちっとした物差しを当てて、分かりやすい説明を国民にしていただければありがたいかと思います。

 では、次に行かせていただきます。

 住宅ローン控除制度についてですが、先ほどもお話ございましたし、私は下条さんがあそこまで情の深い方だと改めて感動した次第でございますけれども、いや、下条さんの言っていたこと、すとんと落ちるんですよね。やはり今の時代、先ほど野田元総理が御指摘されたように、供給超過になっている時代に本当に住むところがない、あるいは今の貸家はもう非常に家族でなかなか大変だという人のところにもっと住宅政策としてあっていいべきだし、一方で、住宅ローン控除というのは格差拡大の方へ行っちゃっているんじゃないかというそんな心配もする次第なんですね。

 改めて、ここも改めての問いになりますが、今回の住宅ローン控除制度の見直しの目的と見込額を教えてください。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の住宅ローン控除制度の見直しに当たりましては、まず二〇五〇年のカーボンニュートラルの目標に向けまして、住宅分野における脱炭素化を進めていく観点から、省エネ性能の高い住宅に対して借入限度額を引き上げる等の対応を行うことといたしております。

 その一方で、これまで会計検査院から、住宅ローン控除の控除率につきまして実際の支払い金利よりも高くなっているということで、いわば不要な借入れを促進する効果等があるといったような御指摘をいただいておりましたので、この指摘を踏まえて控除率を引き下げるとともに、現在の経済情勢なども踏まえて、控除期間の方を新築住宅については十三年に延長するといったような見直しを行っております。

 改正全体による税収への影響は、基本的にそんなに多くはないという状況でございます。税収中立に近い改正になっているということでございます。

伴野委員 細かい話ですが、これも会計検査院から指摘を受けて動いたという感があるわけですが、今更ですけれども、控除率〇・七、控除期間十三年にした根拠、それからキャップ制度の導入の議論もあったと思いますが、最終的にこれを導入しなかった理由、この三点について簡潔にお答えください。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、控除率を〇・七%とした理由でございますが、住宅ローン控除の適用を受ける方のうち、会計検査院のデータなどを踏まえますと、金利が〇・七%以上であった方が全体の六割強を占めているといったような状況も踏まえて控除率を〇・七%としたものでございます。

 また、適用金利が〇・七%よりも低い方がある程度残るではないかということがございますが、これにつきましては、金融機関に別途支払う必要がある事務手数料でありますとか保証料でありますとか、そういったものを加味いたしますと、〇・七%に設定することによって不要なローン借入れ等が起こりにくくなる、そういった水準として決めたものでございます。

 それから、控除期間を十三年とした理由でございますが、こちらについては、現下の経済状況でありますとか、あるいは中低所得層以下の納税者への支援の充実といった観点も踏まえまして、従来の制度では満額控除できていなかった中低所得層以下の納税者の方々について、控除期間が延長されることによって総控除額が増えるといった効果につながるといったことも勘案して、新築住宅等について控除期間を当面十年から十三年に延長する措置を講じたということでございます。

 それから、控除率について、いわゆる支払い利息のキャップ制、要するに実際の支払い金利を限度とするという制度を採用しなかった理由でございますが、これは、そうした制度を採用いたしました場合、かなり複雑な制度になりますので、制度の簡素性を勘案したということで、控除率を一律引き下げることといたしたものでございます。

伴野委員 先ほど来からも議論がされているように、この制度というのは、本当に、家を持ちたい、持った人にとって、非常にありがたい制度であったことは間違いないんだと思うんですね。ですから、そういう意味では、これも堂々と、一回過去に振り返って検証を、その時代時代の住宅政策に合っていたのかどうかも含めて、検証してみる価値があると思いますので、これも是非、先ほどの賃上げ税制じゃありませんが、これもしっかり検証結果をこの委員会に提出していただきたいと思いますが、委員長、お取り計らいください。

薗浦委員長 理事会で協議をいたします。

伴野委員 その上で、下条さんじゃないけれども、やはり、今、そこまで行く人、行くのに大変なんですよね、住宅を持ちたいとか、持てたと。確かに、今の御時世、本当にそこの手前で苦しんでいらっしゃる、コロナ禍の中で住む家も奪われているというような方もいらっしゃるというふうに聞きます。ですから、これも一つ時代の役目というのをそろそろ終えてもいいのかな、この分、どこかへきっちりと手当てしてもいいのかなと思う一人でございますので、こうしたことも含めて、先ほど申し上げましたように、効果と検証結果を一度きっちりとはじいていただければと思っております。

 そして、今後も続けていく意味があるのかどうか。私は、この住宅ローン控除制度も、今となっては、格差を広げていく方にプッシュする、そういう制度になっちゃっているような気がしてなりません。ここの辺りも、違うなら違うという証明をしていただければいいかと思いますので、是非検証をしていただければと思っております。

 では、続いて、金融所得課税について。

 これは、岸田総理の新しい資本主義の目玉の方へだんだん、目玉というのは、要するに、新しい資本主義というのを理解しようとすると、新しい資本主義のいい点というのは、やはり、それまでの新自由経済ではなくて、つまり、経済こそが全てだというだけではなくて、いわゆる外部不経済のところまで対応できていく、そういう経済なりあるいは社会、あるいは資本主義が新しい資本主義とおっしゃっているのではないかと理解したいんですが、そうすると、先ほど申し上げた最初の二つの、賃上げ税制それから住宅ローン控除制度、これは格差拡大の方に力が働いていると思います。

 本当ならば、この新しい資本主義こそが、これこそが新しい資本主義だというためには、金融所得課税に手をつける、私は、税負担の公平性から考えても、ここが本丸なんじゃないのかなと。これをやれずして何が新しい資本主義なのかと思わざるを得ません。

 まず、現在の金融所得課税の在り方について、大臣もお答えになっている言葉をおかりすると、税負担の公平性を確保する観点からは課題があるという御認識でよろしいですよね。

鈴木国務大臣 金融所得に対する課税の在り方でございますが、二つの観点があるんだと思います。それは、税負担の公平性を確保するという観点、それから一般投資家が投資しやすい環境を損なわないよう十分に配慮することが必要だという観点、その二つの観点がある、そのように思っております。

 令和四年度の与党税制改正大綱におきましても、今申し上げました、高所得者層において所得税負担率が低下する状況を是正をし、税負担の公平性を確保する観点から検討する必要がある、一般投資家が投資しやすい環境を損なわないよう十分に配慮しつつ、諸外国の制度や市場への影響も踏まえ、総合的な検討を行う、このようにこの大綱に書かれているわけでございまして、今後、与党の税制調査会等の場で議論が行われていくものと思います。

 私といたしましても、この与党大綱に記載されている視点は共有をしておりまして、財務省としても、その議論に基づき対応をしてまいりたいと思っております。

伴野委員 これも言わずもがなだと思いますが、税負担の公平性というのは最優先すべきものだと思うんですね。これがなくなれば信頼もなくなっていきます。だから、特措を考えるよりも、税負担の公平性を優先される世の中が私は公平公正な社会だと思っております。今も課題があることは十分御認識だと思いますし、私は、岸田総理の新しい資本主義というものが本当に外部不経済も対応していくものであるならば、それはすばらしいことだと思いますので、是非、金融所得課税にもできるだけ早くメスを入れていただきたいなと思います。

 そうした中で、本会議からこの点について何度も質問しているんですが、総理からもスルーされました。先般の財務大臣からもスルーされました。これは我々の党が以前から提案していることなんですけれども、将来的な総合課税化を見据えた、分離課税のまま超過累進課税を導入することや、資産形成を支援するためのNISAを拡充することも併せてやるということに対しては、いいのではないですか、どうですか。大臣、お答えください。

鈴木国務大臣 上場株式の譲渡益や配当等の課税方式は、金融所得課税の一体化によりまして、原則一律二〇%の分離課税の対象とされておりますが、これによりまして、税制が金融市場にゆがみを与えにくいほか、他の所得の状況を踏まえ、全体の税負担の軽減を目的とし、意図的に金融取引のタイミングを調整する行為を抑制することもできます。

 さらに、総合課税であれば納税者が申告手続を行う必要がありますが、現在の分離課税の下では、特定口座制度により、納税者自身は申告を行わなくてもよい簡便な仕組みとなっております。

 いずれにいたしましても、今後の金融所得に対する課税の在り方につきましては、先ほど申し上げました与党の税制大綱を基に今後議論が行われていくと思いますので、財務省としても、その議論に基づき対応をしてまいりたいと思っております。

伴野委員 ここからは、新しい資本主義について少しお聞きしたいと思いますけれども、私の考えから申し上げれば、先ほど申し上げましたように、賃上げ税制、住宅ローン控除制度というのは、岸田総理の言う新しい資本主義ではない、今までの古い資本主義の考えに基づくものですから、どこかでもう区切りをおつけになられた方がいいのではないかと思います。

 更に申し上げれば、先ほど申し上げた格差是正等々のことも新しい資本主義の役目だとおっしゃっている岸田総理のやはり本丸は、金融所得課税だと思います。そこにも、一丁目一番地じゃないかと思いますので、早く手をつけていただければと思います。

 また、先般、野田委員とのやり取りの中で、分配政策について様々な政策の順番が大事とおっしゃって、確かに、今回、分配戦略として、看護、介護、保育、幼児教育等の現場で働く方々の処遇改善に手をつけていただいていることは非常に私はいいことだと思っております。ただ、これが順番だと言われちゃうといかがなものかと思いますので、この回答が出てくるんだったら、次の質問に移させていただきたいと思います。

 政策の順番が大事と言っていらっしゃる本意というのは何なのか、分配政策については様々な政策の順番があるとおっしゃっていますが。これも通告が行っているかと思いますが。

鈴木国務大臣 総理が答弁をされておりますとおりに、金融所得課税の見直しにつきましては、成長と分配の好循環を実現するために様々な分配政策の選択肢の一つとして挙げたものであって、分配政策については、様々な政策の順番が大事であり、令和四年度税制改正においては、まずは賃上げに向けた税制の抜本的強化に取り組むという旨の総理の発言がございました。

 まさに、様々な政策が分配政策にあると思いますが、令和四年度の税制については、賃上げ税制の抜本強化にまずは取り組んだ、そういう政治判断をされた、こういうことだと思います。

伴野委員 何度も言って恐縮ですが、分配政策の最たるものであり、岸田内閣が誕生する前からおっしゃっていたこの金融所得課税に手をつけていただくことが順番としては最優先、一番じゃないかと申し上げておきたいと思います。

 最後に、ちょっとこれは、私の地元やあるいは私の周辺でも少し問題意識というのが出てきた中で、高齢者の方のクレジットカードやあるいは銀行口座のカード、この辺りの使い方、それから生活習慣的に使っていらっしゃる事柄と手法、それと、今の、残念ながら高齢化社会における認知症との関係が少しずれ出しているのではないかな、そういう問題意識。

 例えば、認知症の方は約四百六十二万人もう既にいらっしゃるわけで、その中で、いわゆる法律的に、制度的にこれを使えばいいじゃないかと言われる成年後見制度、この利用数というのは二十二万人、これはもうはるかに数値的に開きがあります。これ以外の方はそれを使えずにいるということでございますので、セキュリティー上の問題や詐欺も頻発しております。

 この状況を鑑みて、今、金融庁としてどういう問題意識を持っていらっしゃるかだけ教えていただけませんか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 急速に高齢化が進む中で、認知症にかかっておられます銀行のお客様を含めまして、高齢顧客対応につきましては、様々な課題やニーズに即した顧客本位の業務運営が行われることが重要であると認識しております。

 金融庁といたしましては、顧客の財産保護や取引関係者間のトラブルの未然防止等にも留意しながら、各金融機関における顧客の利便性の向上に向けた取組を促しているところでございまして、これを受けまして、例えば、全国銀行協会におかれましては、主に認知判断能力の低下したお客様の対応として、各銀行の参考となる考え方を昨年二月に取りまとめて公表していただいているというようなことでございます。

伴野委員 現場の問題意識とそごがないように今後も努力していただくよう、お願いを申し上げておきます。

 以上で終わらせていただきます。

薗浦委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 今日は、租税特別措置法に焦点を当てて、これまで各委員から様々な観点から議論がありましたけれども、それをどう政策評価をしていくかという、その観点から話をしたいというふうに思います。

 というのは、ちょうどこの委員会が始まる前に勉強会がありまして、その中で、経済の日本の状況を見ていると、ここ二十年、三十年、成長をしていないということです。世界的にこれを比較すると、この三十年成長していないのはリビアぐらいで、その辺と同じ日本の状況で、あと、先進国も含めて一・五倍とかあるいは二倍とかというようなそんなレベルで皆が成長している中で、日本が成長することができてこなかったということ、それが指摘をされまして、改めて愕然としたということでありましたが、同時に、その間、財政規律ということからいけば、とんでもない形で借金が増えたということで、それは、支出に需要というかニーズというのが日本の社会構造の中でそれだけあったということなんだと思うんですが。

 その中でも、この経済を刺激をしていく、それを誘導していくという施策に使っていく、政策というのは、補助金だとか投資だとかいろいろありますけれども、税でいえば、この租特というのがその誘導をするための手段だということを前提にして、これは施策があるんだと思うんですよね。

 ところが、今議論に出ている話というのは、いや、これは本当に効果があるのかと。結果から見て効果はなかったということだと思うんですが、しかし、それでも総合的に、皆さんの理屈でいけば、総合的に、例えば、金融であるとか補助金であるとか、あるいは仕組みというか規制を解除していくということであるとか、その辺と組み合わせてこの税があるので、それなりの効果をと説明するんですが、それが本当なんだろうかという、そこの検証というのができていないということ、そこが、私たちが何回も何回もそれぞれ指摘をしているところなんだろうというふうに思うんです。

 そういうことを前提にして、まず、大臣にお聞きをしたいのは、この租特に対して、財務省として、どういう位置づけと、それから、これからどういう改革をしていこうとしているのか、その問題意識ですよね、さっき私が指摘をしたような、その問題意識を持って、大臣、この租特を見ておっていただくのかどうかということをまず確認をしていきたいと思います。

鈴木国務大臣 租税特別措置につきましては、特定の政策目的を実現するために有効な政策手法となり得るものと考えておりまして、令和四年度改正においても、各省庁などからの要望を踏まえまして、与党の税制調査会における議論をいただいた上で、所要の租税特別措置を今般の税制改正法案にも盛り込んだところであります。

 一方、先生の御指摘のとおり、租税特別措置には、税負担のゆがみを生じさせる、そういう面もあることから、その必要性でありますとか政策効果、これをよく見極めることが大切であると考えております。

 そのために、毎年度の税制改正プロセスにおいて、各省庁が税制改正や既存制度の延長を要望する場合には、その制度の効果等について、まずは政策を所管する各省庁において、財務省が実施している租特透明化法に基づく適用実態調査の調査結果も参考にしつつ、その必要性や政策効果、本当に効果が上がっているのか、そういうことについて適切に評価するなど、しっかり説明責任を果たしてもらわなければならないと思っております。

 引き続き、租税特別措置につきましては、その必要性や有効性をよく見極めた上で、不断の見直しを行っていくこと、それが大切なことだと思っております。

中川(正)委員 これが必要がないんだということであれば、わざわざこういう延長の法案も出てこないでしょうし、各省庁に対して財務省の方から、いや、その政策はやらないんだ、税を使って政策誘導はやらないんだというような話がもうはっきり出ているんだろうと思うんだけれども、それが今の状況にあるということである限りは、これは必要だ、効果があると言い続けなければならない、そういうことなんだろうというふうに思うんです。

 その上で、じゃ、それは本当なんだろうかということを評価をしていく政策手段というのが、一つは、財務省の中にしっかりしたものがないというのは一つ指摘をしておきたいと思うんですが、その上で、ようやくできたのが、さっきお話のあった透明化法ですよね。それと、今日は、もう一つ、総務省がこの政策評価をやっていますので、その総務省の政策評価、この二つを具体的に見ていくことで、いかにこの必要性というのが基本的には証明されないままに事が動いているかという、そんなお話をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、租税の透明化法なんですが、これは、必要性というよりも、どちらかというと、透明性ですよね。あるいは公平性。誰がどれだけこの制度を使っているか、そのことによってどこまで偏りがあるか、それを説明するだけの話しかないんですよ、制度としては。だから、先ほど言われた必要性に突っ込んでいこうと思ったら、本当は財務省自らがそこへ向いてしっかりくぎを刺していかなきゃいけないのでありますが、その機能がないということ、ここが一つ大きな問題なんだというふうに思うんです。

 例えば、この透明化法でいろいろ結果も出ているんですが、どんな問題あるいは不公平があるかということを一つ二つ具体的に点検をしていきたいと思うんですが、これは本当は一覧表で皆さんに改めてお配りをしたらよかったんですけれども、私の中でできるだけ説明をしていきたいというふうに思います。

 例えば、よく課題に上がる研究開発税制ですね。これでいくと、令和二年度で五千五十三億円の適用総額があって、そのうち上位十社というのが、千五百八十七億円、全体の三一・四%。上位十社で三〇%を超える税額の控除を受けているということ。これが、試験研究の業種として並べたときに上位の業種として上がってくるのが、機械用の器具製造業、これは自動車産業ですね。自動車産業に対しての税額控除というのが二二・六%、全体ありますよ。その次に続くのは化学工業で、一八%ですよ。あるいは、機械製造業で一〇%ですよ。この辺三つ合わせて、全体の五〇%。こういう偏りの中でこの税制が動いていますねというのが分かりますというような形で発表されているわけなんですよね。

 中には、この試験研究の中に、特別試験研究費に係る税額控除というのがあるんですが、これは全体の中では五百六十二件しかなくて、百八億円控除されていて、そのうちの上位十社というのが全体の五三%で完結しているということですので、非常に偏りがあって、かつ業種も限られていて、その活用の範疇というのが利益の出ているところでしかこれが活用されていないということ、こんなことがこの中で示されているということであります。

 そのほかにも、国際戦略総合特区であるとかがあるんですけれども、これなんかも、全体で、これを利用したというのが令和二年度で六件しかなくて、それがもう六件で九八%から占めていて、そのためにのみこの法律があるというふうなこと、こういう、五件とか六件とか七件とかというぐらいのものしかありませんよというのが、この一覧表を見ているとあちこちたくさん出てきていまして、それが本当に全体の経済を引っ張っていくような形で活用されているのかどうかということになると、これは違うねというのはもう一目瞭然、分かるんですよ、この一覧表を見ていると。にもかかわらず、これがずうっと続けられているということ、こんな現実があるんですね。

 だから、私は、改めて問いたいのは、これはどのように活用をされているのか。どれだけ、これは本当に偏りがあって効果がないね、あるいは不公平な形が表れているねということが一目瞭然で分かるものに対して、それで、もう廃止をしていこう、この制度はやめていこうということがどれだけあって、評価をされているのかというのが全く見えていないんですね。

 そこのところを改めて尋ねていきたいんですが、この活用、さっき説明があったけれども、具体的にどういうふうに活用されているかということを答えてください。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 この租特透明化法に基づく報告書の活用でございますけれども、中川委員も制定に参画された租特透明化法に基づくこの報告書におきまして、毎年度、減収効果のある法人税関係の租税特別措置について、適用件数、適用金額、適用の偏りなど、こういったものを把握することができる大変貴重な資料となっております。

 このデータでございますが、例えば、適用件数が極めて少ない、今御指摘のような租税特別措置について、政策手段としての有効性があるか、あるいは、今具体的に研究開発税制などの例をお示しいただきましたけれども、適用業種の偏りが見られる租税特別措置について、そうした偏りを是認するだけの政策的な必要性があるのかどうか、こういったような議論、検討をいたす材料として、税制改正のプロセスで活用しているということでございます。

 こういった租税特別措置の適用実態調査といったツール等を活用しながら、各省庁において、まずしっかりと政策効果についての説明責任を果たしていただき、財務省としても見直しに努めてまいるということが方針でございますけれども、これまでも、今御指摘のあった研究開発税制につきましては、例えば、法人税改革を行います際に、税率の引下げを行う際に、それを行うための財源として研究開発税制の見直しなども行ってきておりますが、そういった際には、こういった適用実態調査のデータなども参考にしながら議論をしてきているということでございます。

中川(正)委員 事前の役所からの説明によると、今のところの見直し作業というのは、各省庁に対して、これを新しく減税したい、あるいは租特で持っていきたいという課題があれば、その財源を、ほかの今やっている租特を削っていくということによって持ち出してきなさい、それでトータルで今の水準というのを図っていきましょうというレベル、そのレベルの見直しはしていますということでありました。

 私が言うのは、そこにとどまるのではなくて、本来、貴重な貴重な財源であるだけに、それだけ効果のある形で使おうと思ったら、やはり、今、偏っているものであるとか、本当にその効果が出ていないものはやめなきゃいけない。今のレベルを守っていくというんじゃなくて、やめていかなきゃいけないという、そこの部分の財務省の役割というのがもっともっと前に出てこないと、本来の意味での財政改革はできないということだと思っているんです。

 そこのところについて、大臣、この透明化法、どのように活用していくか。今のレベルで租特をとどめていこうとするのか、それよりも、見直していきながら根本的に考えていくというところまでいくのか。まず、その辺、先ほどの議論を聞いていただいて、お話をいただきたいというふうに思います。

岡本副大臣 今し方局長が御説明申し上げましたこの特措透明化法に基づきまして、租税特別措置の実態の調査結果などを踏まえて、各省庁が要望してくる税制改正について財務省でも精査を行っております。

 その結果、例えば今回の税制改正におきましても、総務省の点検結果等も踏まえまして、達成目標の実現に当該の措置がどのように寄与するかについての説明や分析が不十分と指摘されました特定廃棄物最終処分場における特定災害防止準備金の損金算入等に係る特別措置の延長、これは廃止をすることにしておりまして、総務省の点検も踏まえつつ、また、この租特の透明化法に基づきまして必要な見直しを行っております。

 引き続き、租税特別措置につきましては、その必要性、有効性をよく見極めまして、不断の見直しを行っていくことが重要であるというふうに考えております。

中川(正)委員 そうですね。この透明化法に続いて、さっきの総務省の政策評価があるんだというふうに思うんですよ。これは、各省庁が上げてくるものに対して、総務省なりに、本当に効果があるのかどうかというところに言及しながら、それぞれ、チェックをしていくような制度になっていますよね。

 ちょっとその具体例も持ってきたんですけれども、中身を見ていると、達成目標をちゃんと述べているかどうかとか、過去の適用数、将来の適用数、過去の減収額、将来の減収額、それから過去の効果、そして、将来の効果、将来、効果があるかどうかということも含めて言っているのと、もう一つは、他の政策手段がなかったのかどうかということ。これを各省庁がそれなりの、いわば理屈をもって説明をしているんです。

 私もこれ、それぞれ、目を通させていただいたんですけれども、そんな中で、例えば、さっき、効果がないのはやめましたということでありますが、効果がないよ、効果が見られないよ、効果が説明されないよ、あるいはそこが課題になって残っているよというのはその話だけじゃなくて、いわゆる廃棄物の話だけじゃなくて、あらゆるところに、これは登場してくるんですよね。

 例えば、一つ一つ、今話題になっているような租特について、ここでお話をしていきたいと思うんですが、特別新事業開拓事業者に対し特定事業活動として出資をした場合の課税の特例の拡充及び延長、これ、イノベーションの租特なんですが、これは将来の効果について、実は経産省そのものが、将来の効果が予測されておらず、本特例措置が達成目標の実現において有効な手段であるかどうか明らかにされていないので、これは総務省の指摘ですが、これを説明しなさいということだったんですけれども、結果的には、実際に税制を活用した企業から税の存在がオープンイノベーションの実施の後押しとなったとの声が上がっておって、本制度は必要かつ適切なものであると考えている、こういうところで終わっておりまして、将来の分析だとか説明の内容が著しく不十分な評価と考えられるということで、実はこれ、評価としては終わっているというふうなことですね。

 もう一つあるのは、給与の引上げですね。これについての評価書があるんですけれども、これは過去の効果というものについてどのようにいわゆる評価されているかというと、所期の達成目標のうち、消費拡大及び景気の好循環の実現に対する過去の効果が把握されておらず、本特例措置が達成目標の実現に有効な手段であるのか明らかにされていないということ。それから、所期の達成目標のうち、個人の所得水準の改善に対する過去の効果について、平成二十五年度の所得拡大税制の創設以降、二%程度の高水準の賃上げを達成しており、これまで堅調に推移していると説明されているけれども、他の政策手段や経済情勢、他の要因の影響を除いた、本特例措置の直接的な効果が把握をされていないということ。将来の効果については、本特例措置が達成目標の実現に有効な手段であるか明らかにされていないということ。結果的には、その予測されていないところを課題としていきましょうというふうな結果なんです。

 こういうのが、ほかにも幾つか用意をしてきたんですけれども、時間の関係もあってこれぐらいにしておきますが、これを一つ一つ見ていくと、ほとんどがはっきりされていない、本当に効果があるかどうか分からないというところで終わっているということなんです。それに対して、財務省というのはどのように行政評価というのを捉えて、何をしようとしているのか、これがさっぱり見えてこないんですよね。

 ということは、そのまま続いているということです。それに対して、財務省としてのコメント、だから、各省庁から上がってくるものに対して、総務省は、いや、これは説明不足ですよ、説明されていませんねというところで止まっているんですよ。それに対して、財務省はどのようにそれを分析して、答えて、結論を出しているか、ここがはっきり出てこないんです、財務省の形として。

 ただ、結果として分かるのは、各省庁から出てきた要望に対して、そのまま継続をさせていく、あるいは延長という形でこちらへ要求が上がってくるというところで推移をしているということ。それで財務省、いいんですかということだと思うんです、具体的に。そのところが、我々の議論の中でも、あるいは国民の中でも、本当に効き目があるのかなというところで、度々、この席でも、あるいは一般の専門家の間でもその課題というのが出てくるということですよね。

 そこはどのようにこれから考えていこうとしているのか、これは大事なところだと思うんです、財務省としては。答えていただきたいと思います。

岡本副大臣 今、幾つかの総務省の政策評価の点検結果について、中川委員に御披露いただきましたけれども、私たち財務省といたしましては、各省庁に対しまして、政策評価なども踏まえて、租税特別措置の適切な評価を行うように求めております。毎年度の税制改正プロセスにおきまして、各省庁が要望してくるその税制改正については精査を行っているところであります。

 先ほども申し上げましたが、引き続き、租税特別措置につきましては、その必要性や有効性をよく見極めた上で、不断の見直しを行っていくことが重要であると考えておりまして、今後も前向きに取り組んでまいります。

中川(正)委員 もうちょっと具体的に話は出ませんか。

 というのは、私が言っているのは、財務省としても評価しなきゃいけないということだと思うんですよ。ただ黙って、いや、仕方ないね、課題として残っているけれどもそのまま通していこうという話じゃなくて、財務省としても評価をして、それを表に出さないといけない。でないと税の改革というのは進んでいかないということなので、その制度をつくっていくべきだと。

 透明化法では、ただ偏りと公平性という形になっている。これも一つなんだけれども、その結果に対しても評価が財務省からは出てこない。総務省からの結果に対しても評価が出てこない。それを併せて、財務省の評価システムというのが要るんじゃないか、それで、表に出すべきなんじゃないかということですね。そこのところ、これは政治的な課題なんだと思うんです。

 手が挙がったけれども、何を言いたいの。今そういうものはないんだから、あなた方がどう繕ってもそれはない。それはやっていないままに事が通っているわけだから。それに対しては政治的に、これはやるんだ、新しいチェックシステムというのをつくっていくんだということ、これを言い切ってもらいたいなというふうに思うんですけれども、どうですか。

岡本副大臣 先生御指摘のとおり、その有効性と必要性をしっかりと見極めて、不断の見直しを行ってまいります。

中川(正)委員 大臣、どうですか。この際やりませんか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 私から、まず事実関係だけちょっと補足をさせていただきますが、先ほど副大臣からも御答弁申し上げましたように、この総務省の点検結果なども参考にしながら、特定廃棄物最終処分場における特定災害防止準備金の損金算入等に係る特例措置の延長について、これは廃止をするといったような見直しを今回の改正でも行っております。

 これだけではございませんで、今回、令和四年度税制改正におきまして、期限が到来するなどで見直しの対象となった租税特別措置が三十五項目ございますが、このうち、先ほど申し上げた準備金も含めまして三項目につきましては廃止の見直しを行いましたし、二十三項目につきましては、適用対象などの見直しを行って縮減を伴う見直しを行ったところでございまして、この政策評価なども活用して、我々としては、租税特別措置の有効性、必要性について検証しながら税制改正作業を行っているところでございます。

中川(正)委員 もう一回言いますが、こうして、透明化法と、それからもう一つ、総務省の政策評価が出ているわけだから、この二つの評価に対して財務省としてはこういう結論を一つ一つ出します、出しましたと。課題となっているねと言われたところに対して、財務省はそれに対してこういう結論を出しました、その結論を出した基本的な分析と考え方はこうですというものをやはり出すべきだということを私は言っている。ただ見直しました、廃止しましたという話だけじゃなくて、これだけシステムがそろってきているわけだからということなんです。しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 その上で、実は、この税の中でのみ議論していくという問題ではないんだと思うんですよ。思い切った政策誘導というのは、もし税でやるとすれば構造的な税の改革、さっきお話が出ましたが、総合課税に持っていくとか、累進を変えていくとか、あるいは、金融課税に対して重きを置いて、所得税、消費税をどう見ていくかとか、そういう議論をやっていくという、いわゆるこの構造改革の中で経済をどう見ていくかということ、ここまでいかないと、本来の税の効果というのは出てこないんです。租特でちまちまやっていても駄目だということを、思い切るというか、しっかりと基本に置くということ。

 もう一つ、この税以外の施策でやるとすれば、補助金だとか、いわゆる投資資金を使うということだと思うんですよね。そこの部分をしっかりめり張りをつけてやっていくというのが、無駄遣いにつながらない、あるいはやったふり政策につながらないということだというふうに思っています。

 イノベーションとか、ここで経済成長の一つの種をつくっていくとか、あるいは対応していくとかというふうな一つの例でよく言われるのが、アメリカなんですね。アメリカのコロナの対策の中で、ワクチン開発で、アメリカはやったけれども、日本は後れを取ったというよりも、日本はそれができなかったということ、これは何でなんだという話がよく出てきます。

 これでアメリカがやったのは、トランプ政権末期に百億ドルを超える予算措置を製薬会社八社に行って、ワクチン開発の端緒をつくったと言われている。よく言われるワープスピード作戦というようなことで言われているんですけれども、これははっきりしていますよね。

 この政策目的に対して政府資金をすとんと入れて、どこに入れたかというのは八社の名前も公表されている、その中にはファイザーやモデルナも入っているわけでありますが、そういう形でいわゆる投資の次世代へのモメンタムをつくっていくというようなこと、こんなことがめり張りつけて日本の経済対策の中にしっかり出てこないと、中途半端に、中途半端に税を使っていても、なかなか大きな形でこの国が展開をしていかないということなんだと思うんです。

 そういう観点で、この租特を含めて、日本の今の現状といいますか、この資金の使い方、大臣、この際にひとつ所見を聞いておきたいというふうに思うんですが、どのように考えられますか。

鈴木国務大臣 先生の御指摘は、大きな政策目的を達成するためには、租特だけではなしに、より直接的な補助金等も活用すべきだ、こういうような御指摘だったと思います。

 そして、成長戦略といたしまして、科学技術立国の実現により、イノベーション力を抜本的に強化し、コロナ後の成長につなげていくことは、岸田内閣の重要な柱の一つであると認識をしております。

 特に、先端技術をめぐる国際的覇権争いが激化する中、予算面でも成長分野への投資に重点化していく必要がある、そう思っております。

 こうしたことから、令和四年度予算におきましては、過去最高の科学技術振興費一兆三千七百八十八億円を計上し、令和三年度補正予算でも、先端半導体の生産拠点整備、AIや量子といった重要な先端技術のシーズの研究開発など、これまでにない規模の措置を盛り込んでいるところでございます。

 我が国の研究力の更なる向上に向けましては、研究活動の国際性の向上や、大学と企業の連携の推進など、政府の科学技術への投資の効果を高めていく取組が重要であると考えておりまして、予算規模ありきではありませんが、科学技術立国の実現に向けて、官民が協働、官民が連携協力して、取組を進めてまいりたいと思っております。

 こうしたイノベーション等については、しっかり予算を措置しているということでございます。

中川(正)委員 この租特みたいなものは、アメリカでもやはりあるんですよね。これは政治的に各業界団体がそのように持ってくる。それに対して、いわゆる政治的な配慮の中でこんなことが行われるということがやはり構造的にあるんだというふうに思うんですよ。

 それでいろいろ調べていたら、ちょうどGAOのそうした行政改革に対する所見の中で、研究開発税制の控除についての考え方が出ていまして、これを見ていると、制度導入当初は、租税支出プログラムがなければできないような研究開発を促進する意図により開始をしたということであるが、調査の結果、企業は租税支出プログラムがなくても研究開発を実施する意図を持っており、租税支出がウィンドフォール、これは棚ぼたというのかな、追い風として利用されているということが分かったと。だから、誘導していくんじゃなくて、ないよりあった方がいいね、こんなものがあるんだったら、得したねというような程度にしかこれが使われていないということが分かったということをここで書いています。

 これは、どこでも共通な問題意識と課題があるんだというふうに思います。それだけに、今回延長されるものについても、やはり説明責任というのを果たしていないということと同時に、恐らく租特の多くが、ないよりあった方がいいね、やったけれども得したねと。同時に、もうけている企業にしかこの影響が及ばない。例えば、研究開発なんかは特にそうなんですが、利益が上がっていなくても希少な研究開発を進めていって、そこから種が出てくるというようなものに対して、これは逆に、反作用的に使われているんだというふうなこと、こんなことも徹底的に議論した上で施策を進めないといけないということだと思っています。

 最後に、そうした意味での租税特別措置に対する根本的な改革というのをこの際入れていくべきなのではないかというふうに私は思うんです。税が有効にこの国で使われていくということ、これをやはり国民にとっても納得をしてもらうためにも、この租特というのはこれだけ様々な矛盾と、それからそれに対する批判というのが出てきているということでありますから、やはりここの、今の機会に、コロナで財政が相当膨らんでしまったその機会にこれを見直していくということ、これに第一歩を踏み込むということ、大臣、どうですか、やりませんか。

鈴木国務大臣 既存の租税特別措置につきましては、既得権化をして、その見直しが行われないというような事態は避ける必要があると考えております。

 今後も、いわゆる税収中立の考え方も踏まえ、めり張りのついた租税特別措置の見直しを各省庁に強く求めていく中で、構造的な見直しが進むように努めてまいりたいと思っております。

中川(正)委員 最後にもう一回だけ言っておきますが、問題は各省庁以上に財務省なんですよ。財務省がそれをチェックしていない、その結果をちゃんと説明していないということなんですよ。

 ということを指摘をして、終わりたいと思います。

薗浦委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党・無所属の櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいところではあるんですが、今日の審議を聞いていまして、ちょっとどうしても、大臣、一つ聞かせていただきたいことがあるので、よろしくお願いいたします。

 G20について、先ほど来議論がありました。今週、二月十七日から十八日、木、金と、インドネシアのジャカルタで財務大臣・中央銀行総裁会合が開かれるということで、これに対して出席しないことについて、国内日程のため出席できない、こういう御答弁がありました。

 国内日程というのは、具体的には何のことをおっしゃられているんでしょうか。

鈴木国務大臣 現在、国会開会中で、予算審議等もしております。そういうことも含めて、もろもろ国内の用件があるわけでございますので、それを踏まえまして、今回は出席が難しいと判断をしたところでございます。

櫻井委員 これは先ほど野田委員からも申し上げられておりましたが、我々、別に、もちろん国会審議は重要ですし、是非やっていただきたいところでありますが、それと、たった二日間しかないこのジャカルタでの会議、決して、我々野党が反対をして行けない、そういう性質のものではない。世界的にもインフレ懸念がある、資源価格高騰、そしてウクライナ情勢、ある中で、当事国が集まるこの会合にやはり行っておくことの国益というのは非常に重たいものがあると私は思いますので、是非再考いただいた方がいいのではなかろうかなということを改めて申し上げつつ、一方で、国会審議がそれほどまでに重要だとおっしゃるのであれば、この後質問させていただきます森友学園問題など、国会で資料を、審議のために必要な資料ですとお願いしているときには、ちゃんと出していただきたいなと。今までも財務省は資料を出さない、何だかんだ言って出さない、出してきたものは改ざんされていた、これが森友学園問題でございますので、是非この点、国会審議、そこまで重要だという認識でいらっしゃるのであれば、そのための資料もちゃんと出していただくようお願い申し上げます。

 それでは、通告に従いまして、順次質問させていただきます。

 この森友学園問題に係る訴訟の認諾についてでございますが、今日は所得税法等の改正、税制の話でございます。

 税との関係で、やはり、今回、この認諾で一億七百万円、これが使われるということになるわけなんですが、この財源、これは税金から出るということなんでしょうか。大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 それは国庫で支払われるということですから、そのとおりであります。

櫻井委員 国庫から支払う、結局は国民がそれを負担するということで、税金というのは、国民の皆さんは、やはり苦労して働いて、それで稼いだお金から税を納める。また、消費税等であれば、これまでずっと爪のあかをともすような、そんな思いでためてきた貴重な虎の子の貯金から買物するときに、その一〇%なり八%、これを税として納める。こういうわけですので、これは本当に一円たりとも無駄遣いしてはいけない、無駄があってはいけない、そういう思いで財務省は事務をされているはずだと私は思っていたんですが、ところが、今回のこの認諾に係る一億七百万円の使い方、これはいただけないなと。

 やはり、この認諾に係る件でございますが、もう少し正確に申し上げますと、学校法人森友学園に対する国有地売却問題に関し、財務省近畿財務局の職員であった故赤木俊夫さんが、被告佐川理財局長当時ら幹部の指示に基づき、三から四回にわたり決裁文書の改ざんを強要されたことや、かかる改ざん作業及び国会対応等のため、長時間労働や連続勤務に従事したことによる心理的負荷が過度に蓄積した結果、平成二十九年七月上旬頃うつ病を発病し、平成三十年三月七日に自殺したことから、原告が国に対して国家賠償法に基づく損害賠償を請求した、こういう事件でございます。

 ですから、こうした事件の中身を考えれば、国民の税金から支払うというのはおかしいでしょう、やはりこれはおかしなことをやった人が支払う、そういうものだと私は思うんですね。

 国の税金を使う、国民の税金を使う、これは申し訳ない、国民に対して申し訳ないと大臣は思いませんか。

鈴木国務大臣 この森友案件についての本件訴訟でございますけれども、昨年の十月に原告側の主張の全体像が示されました。そして、その内容を踏まえて方針を検討した結果、赤木俊夫さんが様々な業務に忙殺され、御自身も強く反発された本省からの決算文書改ざん指示への対応も含め、厳しい業務状況に置かれる中、精神面、肉体面において過剰な負荷が継続したことにより自死に至ったことについて、国の責任は明らかとの結論に達しました。そうである以上、認諾、つまり、国の損害賠償義務を認めるとの判断に至ったものであります。

 赤木氏が公務に起因して自死という結果に至ってしまったことについて、御遺族には改めておわびを申し上げ、お悔やみを申し上げるところでございます。

 そして、国の損害賠償を含め、こうしたもろもろの事態が生じたことにつきまして、改めて真摯に反省し、決裁文書の改ざん等も含め、今後二度とこうしたことが起きないよう、文書管理の徹底はもちろん、組織風土の改革などを引き続き全力で推進し、信頼回復に努めてまいりたいと思っております。

櫻井委員 いや、ちょっと大臣、今、私の質問は、一億七百万円の支払いに税金を充てることについて国民の皆様に申し訳ないと思いませんかと。申し訳ないと思いませんかというところなんですけれども、その点について、お答えをもう一度お願いいたします。

鈴木国務大臣 申し訳ないとかそうではないとかいうことではなくて、これは、裁判の経過の中で原告側がそれだけの損害賠償を求めて、認諾をさせていただいた、こういうことでございますので、そういう制度の中でそうしたことが決まり、そしてそれが国庫からその制度として支払われる、こういうことになっているんだと理解しています。

櫻井委員 いや、だから、国民の税金を充てることを申し訳ないかどうか聞いているんですけれども、今の答弁からすると、申し訳ないと思っていない、こういうふうに受け止めたんですけれども、それでよろしいんですかね。

 要するに、この原告の方、赤木雅子さんが、こうした経緯があって損害賠償請求する、私は当然の権利だと思いますし、それをちゃんとお支払いする、それも当然のことだと思いますが、それは税金から払うんじゃなくて、当時の関係者、責任、この問題を起こした方が払うべきものじゃないんですか。国民が払うものじゃないでしょう。ですから、ちゃんと求償権という制度があるんだから、それは昨日も予算委員会でしっかり議論させていただいているところで、大臣も答弁されていますよね。

 何か大臣の答弁ですと、職員の業務時間、長時間労働になっちゃってそれで申し訳ないから、そういう話にすり替えられているんですが、問題の質はそこじゃないんですよ。改ざんというやっちゃいけないことをやらされて、それがしかも長時間に及んだというところで、だから、その内容なんですよね。長時間労働そのものではないんですよ。

 そういう状況にある中で、悪いことをやっちゃった方々には何の、求償権の行使もしないということで、全額国民にツケを回す、これはおかしくないですか、こんなことで国民の皆様に税金を納めてくださいと言えますか、こういうことなんですよ。

 大臣、申し訳ないと思いませんか。もう一度お願いいたします。

鈴木国務大臣 国の損害賠償を含めて、こうしたもろもろの事態が生じたことにつきましては改めて真摯に反省をしたい、こういうふうに思ってございます。

 そして、求償権を行使すべきではないかというお話でございますが、今回の裁判は、国が赤木さんに対して安全配慮義務を十分に尽くせなかったことに対する損害賠償請求権の有無が争われた訴訟でございます。そのため、国家賠償法で言うところの故意又は重過失があったかどうかということは、これは安全配慮義務の違反との関係で問われるものであります。

 この点、前の委員会でも申し上げたと思います、予算委員会で申し上げたと思いますが、赤木さんが精神疾患による自死という結果の回避に向けまして、例えば、仕事量を減らすとか、それからその仕事から外すとか、あるいは休職した後のリハビリ出勤を進めるとか、様々職務に対する配慮をしたところであるわけでございまして、国として安全配慮義務が十分ではなかった、これは自死という結果に至ったからそうであると存じますが、そこに重大な過失があるとは考えておらないわけでありまして、国が個々の職員に対して求償権を有するとは考えていないところでございます。

櫻井委員 重大な過失があるとは考えておりません、いや、まあ、重大な過失じゃなくて、私は故意だと思っているので、重大な過失ではないと言われればそうなんですけれども、故意も重大過失もないという御答弁ですから。本当にそうなんですか。

 この件、何度も申し上げますけれども、改ざんを強要されたことがポイントなんですよ。これは、だって、もう改ざんを指示しているわけですから。明確に指示している、それは財務省も認めている、こういう事実なわけですから、だったら、これは責任があるでしょう、改ざんを指示した人に。それは佐川局長だけじゃなくて、それを一緒になって考えた人たちがいるのであれば、その一緒になって考えた人たちも含めて、この一億七百万円の損害賠償、ちゃんと負担するべきだと思いますが、これをずっとやっても多分押し問答になるので。本当に残念ですよ。こんなことで、国民の皆さんに税金を納めてくださいと。これは税法の議論の大前提ですよ。そこができていないというのは本当に残念だと思います。

 そのことをまず申し上げた上で、議案として上がっていますので、税法の話に入らせていただきます。

 この財務金融委員会は税法の審議をさせていただいております。予算委員会では歳出の方の議論をしているわけで、これは、委員会が二つに分かれちゃっている性質上、入りと出のバランス感覚、この点についてどうなっているのかというのがなかなか、議論しているようで、予算委員会でもしていますけれども、財務金融委員会でもやはりちゃんと両方を見なきゃいけないというふうに思います。

 そこで、資料一にお示しさせていただいております。これは、先月、一月十四日、経済財政諮問会議に提出されました中長期の経済財政に関する試算でございます。それの四ページと五ページだったと思いますが、その部分をちょっとコピーして配付をさせていただいております。

 資料二の方を見ますと、グラフがあって、見通しとして成長実現ケースとベースラインケースと、二つ、赤と青のポチがついておりますけれども、成長実現ケースでいけば、二〇二六年度に黒字化達成する。二〇二五年度にはマイナスの〇・三兆円ということで、プライマリーバランス黒字はちょっと足りない。その足りない分については、何か注釈が書いてあって、財政支出を見直すことで二〇二五年度に黒字化達成できるんです、こういう注釈もついているわけでございますが、純粋に歳出の姿がこのままいくと、二〇二六年度に成長実現ケースだったら達成できる、でも、ベースラインのケースだったらずっと達成できずにマイナスのまま移行していく、こういうふうになっております。

 今日は内閣府の副大臣にもお越しいただいておりますので、この中期の見通しは内閣府の担当業務と承知しておりますのでお尋ねいたしますが、プライマリーバランス、二〇二五年度ないしは二六年度達成、これはどれぐらいの確率でできそうですか。

黄川田副大臣 御指摘の中長期試算の成長実現ケースにおける成長率については、デフレ脱却、経済再生に向け、過去の実績も踏まえたペースで成長戦略などの政策効果が発現していく、政府として目指すべき経済の姿をお示ししているものでございます。

 政府としては、こうした姿を実現すべく、新しい資本主義の下、科学技術イノベーション、デジタル、気候変動、経済安全保障などの社会課題の解決を図るとともに、これまでの日本の弱みとされてきた分野に官民の投資を集め、成長エンジンへと転換する成長戦略を実行してまいりたいということでございます。

 しっかりとその目指すべき姿を実現すべく、あらゆる政策を総動員して達成すべきものだと考えております。

櫻井委員 まずは、このプライマリーバランスの点について、私は別に政府を批判するとか揚げ足を取るとかそういうつもりで今日取り上げているのではなくて、私自身も、やはり、これは与党、野党関係なくて、国家財政をしっかり守っていかなきゃいけない、財政が安定していてこそ、ちゃんと国民に安定的なサービスを提供できるというふうに考えますので、やはりこれが破綻するようなことになってしまってはいけない。

 一方で、今、ずっとこの十年、二十年、慢性的にプライマリーバランスが赤字ということですから、どんどんどんどん借金が積み上がっている、こういう状況ですから、ここに対して問題意識は共有させていただいているつもりでございます。

 ところが、この成長実現ケースというふうに書いてある下にベースラインケースがありますけれども、このベースラインケースと、それから、過去十年弱、安倍内閣が大半の期間でしたけれども、その間の、例えば資料一に示しているGDP成長率、大体同じぐらい。それから、名目成長率とほかの物価上昇率を見ましても、安倍内閣の実績がこのベースラインケースと大体対応しているのかなというふうに思うんです。安倍内閣も、これまで、いろんな成長戦略、三本の矢とかアベノミクスとか、いろいろ言っていろいろ取り組んでいる。取り組んできた結果が、主に、この青の点で示したベースラインケースになっているんじゃないでしょうか。

 安倍内閣と同じように一生懸命やっていてもこのベースラインケースにしかならないと思うんですが、この点、安倍内閣のときとは違う、ないしは、安倍内閣がサボっていたとおっしゃるんだったらそれはそれで一つの評価ですけれども、安倍内閣との違い、安倍内閣以上に岸田内閣ではこれだけできるんだというところがもしあるのであれば、そこをちょっとお示しいただきたいと思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。

黄川田副大臣 先ほども申し上げたとおり、アベノミクスの下では、雇用を拡大して、ある程度デフレではない状況をつくり出したと評価をしております。その上で、菅内閣においては、デジタルや気候変動に対してしっかりと取り組んでいくというところでまた一段とかじを切ったわけでございます。

 また、岸田内閣は、それに加えて、経済安全保障と日本の弱みとされている分野にしっかりと投資を集めていくということでございまして、まずしっかりとした成長に集中してやっていくということでございまして、さらに、安倍政権に加えて、上積みした政策を総動員して成長につなげていきたい、このように考えております。

櫻井委員 ちょっとここから先は、内閣府のお仕事というよりは、むしろ財務省のお仕事だと思います。内閣府においては、経済を予想するというところが一つ担当業務であって、じゃ、それを実施する、成長戦略を実施するための予算を配分していく、又は歳出改革するとともに歳入についてもいろいろ見直しをしていくということは、財務省、財務大臣のお仕事だと思うんです。

 安倍内閣でできなかったプライマリーバランス黒字化、安倍内閣のときにも、二〇二〇年に達成するんだとずっと言っておられましたけれども、できなかった。岸田内閣では、どのようにして二〇二五年度プライマリーバランス黒字化を達成されますでしょうか。大臣、よろしくお願いいたします。

鈴木国務大臣 政府の財政健全化の目標、これは、骨太の方針二〇二一におきまして、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化等を掲げているところでございます。

 そして、その達成に向けましては、成長と分配の好循環の実現等に向けた取組を強化をして、まず力強い成長を実現しなければならないと思っております。そして、社会保障制度を持続可能なものとするため、受益と負担のアンバランスという構造的課題に取り組むなど、歳出と歳入、両面の改革をきちんと継続していくこと、これが不可欠である、こういうふうに思っており、それを通じて経済再生と財政健全化の両立に向かっていきたいと思っております。

 こうした考え方の下で、令和四年度予算におきましては、まず、成長戦略といたしましては、科学技術立国、デジタル田園都市国家構想、経済安全保障といった分野にしっかり予算措置を行い、分配戦略として、各種の施策により賃上げの実現等を目指して、成長と分配の好循環の実現を目指すこととしております。

 また、財政健全化に関しましては、社会保障制度を持続可能なものとするため、診療報酬のめり張りある改定などによりまして、社会保障関係費の実質的な伸びを高齢化による増加分に収めるなどの取組を行っているところでございます。こうした不断の取組を進める中で、この目標の、二〇二五年度のPB黒字化目標達成に向けて全力を尽くしていきたいと思っております。

櫻井委員 大臣、ありがとうございます。

 いろいろ説明いただいたんですけれども、これまで十年間やってきたこととそんなに方向性として変わるものじゃないし、十年間、本当に一生懸命やってきたのであれば、もう改善の余地というのは余り残っていないのではなかろうか、こういうふうにも心配するわけなんです。むしろ、発想の転換といいますか、これまで余り十分手をつけてこれなかったところ、そこに切り込んでいかなければ、さらに、この一段的な、ベースラインケースより上に上がったようなシナリオというのは実現できないのではないのか、こういうふうに考えるんです。

 それで、次の質問項目に移らせていただきますが、やはり私は、経済格差、この間、安倍内閣のときというよりは、その前の小泉内閣の頃からもうずっと、どんどんどんどん開いてしまっている、この点について問題があるんじゃないか。更に言うと、一九九〇年頃から、税制、直間比率の是正と当時大蔵省は言って、直接税から間接税にシフトさせようとした、所得税はフラット化しようとした、こうしたことが所得再配分機能を低下させることになり経済格差拡大につながったのではないのか、こんなふうにも考えるんです。

 やはり、私は、経済格差が広がって、その結果かどうかとは言い切れませんけれども、しかし、この一九九〇年以降の日本の低成長と、それ以前の、累進課税が極めて厳しかった、強かった時代と比べると、やはり累進課税が強かった時代の方がはるかに経済成長率は高かったわけですよ。こうしたことも考えますと、やはり一段と、この経済格差を是正するための措置、必要だと考えるんですが、大臣はどのようにお考えですか。

鈴木国務大臣 一九八〇年代以降、新自由主義的な考え方が世界的に主流とする中で、市場に依存し過ぎることによりまして公平な分配が行われず、結果として格差が拡大してきたのではないか、そのように認識をしております。

 岸田政権におきましては、成長と分配の好循環を生み出す新しい資本主義を実現していく中で、官民が協働して成長の果実を国民に広く分配する、そういう社会をつくっていきたいと思っております。

 そのために、所得の向上につながるよう、公定価格であります看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方々の収入を引き上げるとともに、最低賃金の見直しを含め、賃上げ実現をしていくほか、人への投資の抜本的な強化などにも取り組んでいきたいと思います。

 こうした取組を通じまして、先生御指摘の格差問題を含めた社会課題を解決しながら、持続可能な経済社会の実現を目指していきたいと思っております。

櫻井委員 今大臣いろいろ御答弁いただきますが、要するに、格差、経済格差はやはり問題だ、これは是正しなきゃいけない、だから、それについて取組を進めます、こういうお答えでした。ただ、金融所得課税については、我々の同僚の議員が質問させていただいても、その点についてはちょっとスルーをしているような状況であったり、それから、所得税の累進性をもう少し強めてはどうですかと、こういうことについては余り言及されないという状況が続いております。

 前回の質問のときに大臣にお尋ねいたしました。所得税の累進性を大きくしてはどうですか、最高税率を引き上げてはどうですか、こういう提案をさせていただいたところ、大臣からは、最高税率を引き上げると勤労意欲は減退する、こういう答弁がありました。これ、私もちょっといろいろ調べてはみたんですが、明確な何かこうした根拠というのがあるのかな、なかなかちょっと私は見つけられなかったものですから、大臣にちょっと改めてお伺いしたいんですが、最高税率を引き上げると勤労意欲は減退する、根拠になるようなもの、何かあれば是非お示しいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 先日の私の答弁は、消費税創設前の直接税に軸足を置いた税制とした場合、勤労意欲の低下などの問題が生じると発言をしたものであります。実際、消費税創設直前の所得税、住民税を合わせた最高税率は八八%にも達し、所得の九割弱を納税しなければならず、そのような場合には勤労意欲が低下するということを申し上げたものであります。

 こうしたことにつきまして定量的なエビデンスはあるわけではありませんが、これまでも、政府税制調査会等の場で繰り返しこのことについて議論が行われ、所得税の累進性の高い税率構造については、国民の平等に関する意識の状況などに加え、勤労意欲や事業意欲への配慮といった観点も含め、様々な観点から検討が必要であるとの指摘が政府税調等でもされているところでございます。

櫻井委員 そうなんですよ。定量的な分析はないんですよね。

 確かに、その審議会にいらっしゃるような偉い方々、給料も高い方々から、最高税率九割近い、これは何とかしてくれよというお気持ちを持つのは、そうだと思います。でも、だからといって、その方々にしたって、最高税率九割だから俺もう働くのやめるとか、そういうふうになっていないわけですよね。だって、それでも一生懸命働いて、その立場を持っていらっしゃるわけですから。

 ですから、最高税率が高かったときの方が、日本もアメリカも経済成長率が高かったわけですよ。決して、いや、それは気持ちとしては、ああ、税金こんなにかかっているのかと思って、それは給与明細なり見たらげんなりするかもしれませんが、だからといって勤労意欲が減退するというわけではないのではなかろうかと。私もこれは客観的なデータを持ち合わせておりませんけれども、これまでの経済の歴史を見ますと、必ずしも、最高税率が高い、まあ、九割が適当なのか、八割が適当なのか、七割が適当なのかは分かりませんけれども、一旦、ちょっと下げ過ぎちゃったんじゃないのかな、こういうふうには思うところですので、この点はちょっとよくよく考えていただきたいということを申し上げた上で。

 一方で、明確に勤労意欲が減退する例、税制であるじゃないですか。税制だけじゃなくて社会保険料も関わっておりますけれども、以前は何か百三万円の壁とか百三十万円の壁と言われていたところです。いわゆる、主に専業主婦の方々が、ちょっとパートなりで働きに行く、ただ、配偶者の控除の範囲でしか働かない。そこからはみ出ると、所得税もかかってくるし、さらには社会保険料も支払わなきゃいけないということで、かえって負担が増えるからそれはやらないということで、その範囲内で働くということで、まさにこれは、勤労意欲が減退しているわけではないけれども、勤労を抑制するということは起きていると思うんですね。

 これは、いろいろ所得税については工夫はされていますけれども、やはり、壁を何かちょっとなだらかにするとか、壁が土手ぐらいになるとか、そういった小手先のことではなくて、抜本的にもうやめてしまうとか、そういうことを考えるべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 配偶者控除等につきましては、今、櫻井先生が御指摘になりましたことがかつてあったわけでありまして、それについては改善をしてきているところでございます。

 配偶者控除等につきましては、平成二十九年度改正におきまして、配偶者の収入制限を百三万円から百五十万円に引き上げることにいたしたところでございます。

 また、配偶者の所得の大きさに応じて控除額を段階的に減少させる配偶者特別控除の仕組みがあるために、配偶者の収入が百五十万円を超えた場合でも、税負担の増が世帯全体としての収入の増を上回ることはない仕組みとなっておりまして、勤労意欲が減退することがないような配慮をしているところでございます。

櫻井委員 所得税の方はいろいろ工夫されて、今、多分、大きくなっているのは社会保険料の方だと思うので、それは厚生労働委員会で質問してくれ、こういうことかもしれませんけれども、やはり考え方はそうなんですね。配偶者に、ある種、その配偶者という立ち位置に対して一定の何かそういった配慮をすることが、かえって勤労を抑制することになってしまっている。

 コロナ前、特に、人手不足と言われていて、だから、一方で、もっと働きたい人が、勤労意欲を持っている方が働いてもらえるような、そういう仕組みにしていかなきゃいけないのに、他方で、先ほどの議論でも賃金引上げというようなことで、賃金も引き上げていく。賃金を引き上げたら、トータルの所得は壁があるというふうになっちゃうと、勤労時間、働く時間を減らしてしまうということで、これは、経営者の方からも、最低賃金を引き上げるとか賃金を引き上げるのは、それは大変結構だけれども、そうすると、働く時間が短くなって人手不足に拍車がかかってしまう、勘弁してくれ、こういうお声も私はいただいているものですから、やはりこの点についても考えていかなきゃいけない。

 財務省で考えられるところはいろいろ工夫しているんだという御答弁でしたけれども、内閣全体として、社会保険料も含めて、是非御検討いただければというふうに思います。

 また、そういった方々が、その壁を気にせずに、勤労意欲がある、もっと働きたいと思った方がしっかり働いていただければ、その分、所得税も納めていただけるようになるわけですから、財務省としても税収増につながるということで、是非御検討いただければというふうに思います。

 一方で、次の項目に移らせていただきますが、これも大きな考え方として、所得税で控除というものがございますが、今の税制、いろんなところで所得控除、税額控除、組み込まれております。

 先ほど申し上げた配偶者控除だと、配偶者にそこそこ所得、八百万円とか九百万円ぐらいの所得があると、控除を受けると結構有利であったりしますけれども、低所得の方には、そもそも納税額が少ないわけですから、メリットは何もないということになりますし、扶養控除の場合ですと、高校生ぐらいの年代ですと三十八万円の控除、大学生ぐらいですと六十三万円の控除ということで、これは、高所得者であれば、その分、三十八万掛ける最高税率の部分が下がってくるわけですから、そうすると二十万円ぐらい税が戻ってくる、還付されるということになるんでしょうし、大学生の場合であれば、六十三万円掛ける最高税率で、三十五万円ぐらいの効果がある、税の削減効果がある。ところが、低所得の方には何のメリットもないということになってしまいます。こういう税の還付、タックスリターンで、高所得の方に有利になるという制度はやはりおかしいんじゃないでしょうか。

 大臣、それよりは、もし高校生、大学生がいらっしゃる御家庭に支援が必要だというのであれば、これは給付でやった方が、それはもう高所得者であろうが低所得者であろうが一定額ですよということで、これは十五歳以下の児童手当であればそういうふうになっているわけなんですけれども、こうした方が不公平感がなくなっていいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 櫻井先生の御指摘は、様々な控除というものが高所得者優遇となりがちで、そうであれば、給付を充実した方がよいのではないか、そういう御質問だったと思います。

 そして、この控除でありますけれども、まず、住宅ローン控除につきましては、今回の見直しにおきまして、例えば、所得要件を三千万円から二千万円へと引き下げることにいたしました。これによりまして、本来、住宅ローンを組む必要がない高所得者による借入れや控除の適用が起こりにくい仕組みへと見直しているところでございます。

 そして、配偶者控除等につきましても、所得再分配機能の回復の観点から、控除が適用される納税者本人に所得制限を設けるなどの措置が講じられているところでありまして、高所得者優遇にならないよう見直しをしてきたところでございます。

 そして、御指摘の給付の充実に関しましては、給付には、税を納めていない方に対する支援が可能となる、そういう面や、支援対象となる者の世帯収入や資産状況などを勘案し、きめ細やかな支援が可能となるという面があることは認識しておりまして、政府全体で多種多様な給付措置を講じているところでございます。

 こうした点を考えますと、給付あるいは税の控除の二者択一ではなくて、政策目的や支援対象の実情に応じまして、両者を適切に使い分けていく、組み合わせていく、そういうことが重要であると考えております。

櫻井委員 いろいろ見直しはしているんだという話ですし、給付の方もそれはそれで充実させてきているんだというお話ですけれども。

 給付の方を充実させるのであれば、別に、所得控除とか、こっちは減らしてもいいんじゃないでしょうか。そうしないと、やはり、同じ高校生、大学生の御家庭がいて、一方はすごくメリットがあるけれども、他方はほとんどメリットがない、こういう不公平なのよりは、そこはフラットになるような、公平になるような方法をより重視して選択していく。一遍にやるのは難しかったとしても、こっちを増やしたからこっちは減らしますとかいうような形で、徐々に移行していくような工夫も是非御検討いただきたいというふうに思います。

 それから、ちょっとほかにいろんな質問項目も用意させていただいておったんですけれども、もう時間が迫ってきておりますのでちょっと飛ばさせていただいて、最後に、市場の失敗と税制というところで質問もさせていただきたいと思います。

 冒頭の方でプライマリーバランスのことを議論させていただきました。ずっと、この十年、二十年、プライマリーバランス赤字が続いているという状況の中で、既に積み上がっている一千兆円を超える借金に加えて更に積み上がりつつあるということですから、今風に言えば現代貨幣理論、MMTのようなことを既に日本はやっているということでもないのかなというふうにも思います。

 ただ、MMTの方々の議論を聞いていますと、インフレにならない限り、赤字国債、どんどん発行してもいいんですよと。ただ、一方で、インフレが起きたらそのときに税金を上げる、消費税率を引き上げるということで、そうすれば資金を回収してインフレを抑えることができるんだ、何かそんなふうにも私は理解をさせていただいておるんですけれども、よくある議論として、果たして、そういうインフレが起きたときに増税できるのか、やはりそれは政治的に無理なんじゃないの、そういう話も一方であるわけです。

 実際、今、ガソリン価格、高騰、どんどん上がってきているというときに、その理屈を類似すれば、ガソリン税、高いままで据え置くなり、さらには引き上げて、それこそガソリン消費を抑えて、この日本から、我が国から産油国への所得移転を抑えるという方がいいのかもしれませんけれども、しかし、そんなことをしたら、私たち、庶民の方々の暮らしは大変厳しいものになってしまう。特に北海道とか東北とか寒い地域でしたら、灯油の値段も上がっちゃったら、それこそ命に関わる問題になってしまう。だからこそ、与野党とも、何とかガソリンの値段とか灯油の値段、これ以上上がらないように抑え込もう、こういう議論もさせていただいているところなんです。ですから、なかなか経済理論のように物事は進まないというのが現実の政治ではなかろうかというふうに思います。

 ですから、そう考えたときに、私、先ほど来、所得税の累進性を強化しましょう、こういうことを申し上げているんですけれども、こうしたインフレが起きたときにも、所得税が累進的になっていれば、自動的に増税になって、ある種、少しこの状況を緩和することができるということもあると思うんですが、そういったことも含めて税全体の考え方を見直していただくということを大臣にお願いしたいんですが、最後にもしコメントがあれば、よろしくお願いいたします。

鈴木国務大臣 仮に、インフレに伴いまして賃金も上昇するとなりますと、櫻井先生御指摘のとおり、所得税の累進度が強いほど税収の増加が大きくなり得ると考えております。

 一方で、所得税の累進性につきましては、税率の累進が強過ぎたり最高税率の水準が高過ぎたりする場合には租税回避の誘因となり、結果的に課税の公平を損なう、あるいは経済活動の海外移転や人材の海外流出を招くことになりかねないといった弊害を生ずることが懸念をされるところでございます。

 そういうところから、税制の累進性を高める議論をする際は、こうした点にも留意する必要があるのではないかと考えております。

櫻井委員 時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

薗浦委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会、赤木正幸です。

 今回、三回目の質問になり、生まれて三回目のこういった場ですので、何とぞよろしくお願いいたします。こういったお決まりの冒頭の挨拶もこれで最後にしますので、よろしくお願いします。

 あと、本日、ちょっと、お昼休憩を挟んで前後に質問が分断されてしまいますが、不手際がないように進めてまいりますので、こちらもよろしくお願いいたします。

 では、質疑に入らせていただきます。

 前回の質疑では、私は、住宅ローン控除制度の見直しについていろいろと質疑させていただきましたが、今日は、今回は住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の見直しを軸に質問させていただきます。

 結局、前回に引き続き、私、住宅に関する質疑になるんですが、私自身が不動産ビジネスを行ってきたということもあって、ふだんからかなり深くまで考え、そして実際に関与する場面が非常に多い論点になっています。こうやって実際の現場を経験している政治家として、できるだけリアルな、言い換えると、手触り感がある質疑にできるだけしていきたいと考えていますので、よろしくお願いします。

 そもそものこの住宅というものなんですが、非常に関連する課題、そして関係者が多い論点ですね。前回の質疑で取り上げさせていただいた住宅ローン控除制度、これは個人所得課税という側面では、ある意味、個人の話だったと思うんですが、今回、贈与税ですので、個人だけでは収まらないですね。直系の尊属、お父さん、お母さんとか含めて、プレーヤーが増える世界になります。

 一方で、住宅を購入するのは、個人が購入するといっても、そんな単純な世界で皆さん考えられていないと思います。この後、お昼休憩がありますけれども、今日お昼何食べようかという、そんな乗りで考えている方はほぼいらっしゃらなくて、結局、思いつきではなくて、人生設計の中で、そもそもどこに人生の拠点を築くか、そして子育てをどこにするか、さらに、最近でしたら、私の周りもそうですけれども、親の介護、おじいさん、おばあさんの介護なんかも考えながら住宅の購入を決める世界です。

 ですので、こういった制度の趣旨、そして方針、方向性、できれば予見性ですね、今後どうなるかというところを、ピンポイントではなくて、中長期的に判断できるような材料を、国民の皆様もそうですし、実際にこのビジネスにも関わられる方たちに提供するのは非常に重要だと考えております。

 家を売るにしてもそうですし、造る方たちもそうなんですが、購入される、ただ売っておしまいというような考え方の事業者の方というのは実はほとんどいないです。私もそうでしたけれども、一緒にビジネスのカウンターパートにもなるお客様の人生において、どういった住宅関係の制度が使えるか、人生をどれだけ豊かにできるかというところまで、複雑な制度ではあるんですが、不動産のプロ、若しくは税務のプロとか、ライフプランナーのプロとして関与しているというのが実態のところかと思われます。

 さらに、やはりコロナの影響もあって、在宅勤務が広がったりとか、生活スタイルがかなり変わってきています。それに合わせて、この住宅関連に関しても、皆様、非常に変化を直接肌身で感じられて、それによって判断が変わっていっているというのが実態かと思われます。

 これに関しては、不動産のプロの協会が去年アンケートをしていますね。一般社団法人不動産流通協会さんが不動産流通業に関する消費者動向調査というのを去年されているんですが、実際にコロナの影響はどうだったかということなんですが、影響したと回答される方が大体三四%ですね。影響しなかったが六六%なので、一見すると何か意外に少ないと思われるかもしれないんですが、三人に一人がやはり影響したと感じているこういった社会イベントというのは相当なインパクトがあると考えています。

 さらに、影響だけではなく、購入時期に関してはもっと、皆さん、肌身で感じられて、その判断に影響しています。これは五四%、実際、半数以上の方たちが当初予定よりも住宅の購入を早くしたと答えられているということからしても、やはり、コロナの影響というのは、住宅の取得には相当なインパクトがあると考えています。

 たしか一昨日の日経新聞でも取り上げられていましたが、日本に限らず、世界においては、これが価格にも影響して、住宅価格が高騰しているという現実もあると考えております。

 こうやって、世の中の出来事が、世界規模で、まさに、皆様、世界中の人たちのライフスタイルに影響を与えて、更にそれがビジネスマーケットにも影響してくるというのは、私も、今四十六歳ですけれども、初めてのことです。さらに、ある意味、戦後日本にとっても、世界にとっても初めてのことかもしれません。

 なので、こういった新しい時代の日本をデザインしていくという観点からも、単なる制度の延長という、何か、それだけで素通りするのではなくて、やはり、足を止めて、振り返りも含めて、未来に向けた議論を重ねることは非常に重要と私自身は考えています。

 ですので、今日のテーマでもある不動産取得等資金に係る贈与税の非課税措置は、資産課税という側面から見ると、住宅ローン控除制度に比べると対象者は減りますが、やはり、一方で、公平性という論点とか複雑性という部分で非常に重要な論点だと考えていますので、今日は、税制の枠組みだけではなかなか議論し尽くせない部分もあるかと思いますが、いろいろと質問させていただければと思います。

 実際に、贈与税の非課税措置の見直しについて質問させていただく大前提として、そもそもの、この制度の趣旨や目的について御質問させていただきたいと考えています。

 本制度、私の理解の中では、高齢者層から若年世代への資産の早期移転を通じて、裾野の広い住宅需要を刺激する観点から創設された、十年ちょっと前ですね、二〇〇九年度に創設されたと理解しています。

 その後も、様々に、住宅投資の促進という部分を軸にしながら、拡充とか適用期限の延長も行われていますし、あと、消費税の引上げの影響の緩和とか、更に言うと、東日本大震災とか、そもそも、コロナの感染症の影響を勘案した制度になっていると理解しております。

 そこで、非常に長い前置きになってしまいましたが、住宅ローン制度のように、私の年齢より長い制度として続いていくのか、若しくは、そもそも、こういった社会情勢に対応した制度としてある程度で役割を終えていく若しくは変わっていくか、これは非常に、国民の皆様もそうですし、ビジネスに関わられているプレーヤーの方たちも、とても関心が強い内容になっていますので。

 そこで、鈴木大臣への質問となりますが、この住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の制度そのものの大まかな趣旨を御説明いただくとともに、これまで十年以上制度が続いていると思われますが、どういった評価をされているかというところをお聞かせいただけますでしょうか。

鈴木国務大臣 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置でありますが、その趣旨につきましては、先ほど先生が御質問の中で申されたとおりでございまして、これは、高齢者から若年世代への資産の早期移転を通じまして、裾野の広い住宅需要を刺激する観点から講じられているものであります。

 そして、その評価でありますけれども、この制度は、これまで安定的に使われているところでありまして、高齢世代から消費意欲の高い若年世代への資産の早期移転に一定の効果があったと考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 実際にこの社会情勢を踏まえながら制度を運用されているという理解をさせていただいたんですが、今回、今、鈴木大臣からお伺いした制度趣旨や評価も踏まえて、岸田総理の下で、本制度の方針とともに具体的な中身の、内容の見直しを行われたと見ているんですけれども、この見直しの検討過程、これを極力詳細に知るということは、これは制度の中身を知るだけじゃなくて、やはり制度の予見、どうなっていくかということを予測したりとか、ピンポイントで、単発、そのときそのときの判断だけではなく、じゃ、五年後、三年後、若しくは十年後、どういった生き方をしていったらいいかというところにも非常に重要な情報になると考えております。

 そこで、次の質問になるんですけれども、今回のこの制度の見直しにおいて、どういった検討をして、どういった結論に至ったかということを、こちらについては岡本副大臣にお伺いさせていただければと思います。

岡本副大臣 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置につきましては、消費税率引上げに伴う反動減対策として、非課税限度額の上乗せ措置を講じてまいりました。

 ただ、先ほど委員もおっしゃいましたように、社会情勢、経済情勢に対応いたしまして制度は変わっていくわけですので、今般の改正に当たりましては、その反動減対策としての上乗せ措置は、その役割を終えていることや、格差の固定化を防止する観点等を踏まえまして、非課税限度額を最大一千万円とした上で、適用期限を二年間延長することとしております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに社会情勢に応じて制度をつくり直して改正されていくということは理解できたんですが、特に、今回、二年延長、そして一千万円という理由とか根拠というのは、これまたちょっと細かい質問というか論点にはなってしまうんですが、非常に重要な要素だと考えております。

 これは実際、私の周りでも、不動産のビジネスを行っている方もそうですし、住宅の取得を考えられている方たちも、何で二年になったのか、若しくはこの一千万というのはどこから来たのかなというのは非常に皆さん興味を持たれていますので、次の質問になりますが、この二年間の延長の理由若しくは根拠、あとはこの一千万という金額について、ちょっと細かい内容にはなるんですけれども、御説明いただければと思います。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 この制度、先ほど来出ておりますように、贈与税の非課税措置として、高齢者から若年世代への資産の早期移転を通じて住宅需要を刺激する観点から、いわば経済対策的な意味も含めて講じられているものでございます。

 現在の制度につきましては、消費税率の引上げに伴う反動減対策といたしまして、消費税率一〇%が適用される住宅、新築住宅などでございますが、こういったものの場合は上乗せ措置が設けられてきておりまして、具体的には、令和二年四月から令和三年十二月までの間に契約が締結された住宅に係る住宅取得等の資金については、この贈与税の非課税限度額が最大、元々は一千万なわけでございますが、五百万円を上乗せして、最大千五百万という制度になっていたわけでございます。

 今般の改正に当たりましては、この消費税率の引上げからしばらく時間も経過いたしましたことなども踏まえて、この反動減対策としての上乗せ措置はその役割を終えているということですとか、格差の固定化を防止する等の観点も踏まえまして、元のこの最大一千万円に非課税限度額を設定し直した上で、適用期限を二年延長することとしたわけでございます。

 ですので、一千万円とした理由につきましては、反動減対策としての上乗せ部分をなくしたということになります。

 また、延長期間を二年とした理由でございますが、これは、先ほども申し上げました、格差の固定化につながりかねない側面があるという指摘も常々いただいている制度でございますので、一定程度期限を区切って制度をつくる必要があるということで、現下の経済状況なども踏まえまして、適用期限を二年間というふうにして延長することにしたものでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに次の質問にもちょっと関わるお答えだったと思うんですけれども、やはり格差固定化論というのは、この制度に対しては非常に、しばしば論点になるところかと私も考えておりますし、実際、私の周りでもそういったことを言われる方が多いです。

 そこで、次の質問に関連するんですが、本措置を含む贈与税の非課税措置に関しては、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何ら税負担を求めない制度になっており、格差の固定化にもつながりかねない側面があると、これはたしか税制調査会でも指摘されていたと私は記憶しているんですが、こういった格差固定、あえて呼ぶなら格差固定論というものに対しての観点から、本制度に関する御見解について、本制度に限定する必要もありません、もうちょっと広い観点からでも結構ですので、財務省から御見解の方をよろしくお願いいたします。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 この制度については、先ほど申し上げましたように、若年層への資産の早期移転を通じて住宅需要を刺激する観点からの時限措置ということで、経済状況に対応して講じられている措置でございまして、現下の状況においては必要な施策であるというふうに考えております。

 他方で、先ほど先生からも御紹介いただきましたように、この非課税限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めないという性格の措置でございますので、格差の固定化につながりかねない、こういった御指摘は、与党の税制調査会の大綱でありますとか政府税調の答申などにおいてこれまでなされてきているところでございます。

 そういった点も含めて、今後議論はしていく必要がある制度かと考えております。

赤木委員 私の午前中の時間ももうちょっとに迫っていますので、これを前半の最後の質問にさせていただきますが、まさに、高齢化に伴って高齢世代に資産が偏在している、これは事実かなと考えております。一方で、なかなか若年世代に資産の移転が進みにくい状況において、やはりこの格差の問題というのは非常に重要ですし、深刻な問題になっているというのが現実かと思います。

 さらに、コロナ禍でこの格差の問題というのは更に深刻化して、格差の固定化の防止を図りながらこういった若年世代への資産の移転を図る、かなり難しい問題、課題ではあるんですが、今後どうやってそういった相続税とか贈与税の仕組みを構築していくかという部分は、私も不動産に関わっていた人間としても非常に興味がありますので、継続して議論させていただければと考えております。

 一方、そもそも、この格差の問題にもつながる話なんですけれども、贈与するお金がある方しか関係ないんじゃないの、言い方は悪いですけれども、高所得者若しくは中所得者、それなりな所得がある方の優遇につながっているんじゃないか、こういった指摘も私の耳にも入ってくるんですが、この中高所得者層の優遇論みたいなものに対して、財務省として、この制度若しくはこの周辺の制度を含めてどう考えられているか、御見解をいただければと思います。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、この制度、所得や資産がある方が主に利用される制度ということで、格差の固定化につながるんじゃないかという批判は常々あるわけでございます。

 そういった中で、与党の税制調査会の税制改正大綱におきましても、「格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。」といったような記述がなされておりますし、政府の方の税制調査会の答申におきましても、格差の固定化につながりかねない側面があり、機会の平等の確保の観点等を踏まえ、その在り方についても検討していく必要があるといったような御指摘もいただいておりますので、今後、経済状況も踏まえながらではございますが、不断の見直しを行っていく必要があるというふうに考えております。

赤木委員 ありがとうございました。

 私の午前中の時間も来ましたので、一旦この時間の質問は終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

薗浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。赤木正幸君。

赤木委員 改めまして、日本維新の会、赤木正幸です。

 午前中に引き続いて、質疑の後半戦に入らせていただきます。

 前半同様、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等の見直し、これを軸に質疑させていただきます。

 前回もそうですけれども、赤木は不動産しか興味ないのかと御指摘を受けそうですけれども、私、新人議員で、今まで不動産業を営んでいたという部分もありますので、まず、自分の慣れた、知見のあるテリトリーから質疑させていただきます。

 ちなみに、次回、明日質問がまたあるんですけれども、あしたはもう不動産から離れて、スタートアップとかそっち側の世界に行きますので、あと二十分だけ不動産におつき合いいただければと思います。済みません。

 前回質疑させていただいた住宅ローン控除制度と今回の質疑内容である住宅取得資金の贈与税の非課税措置、この辺りで、ちょっと制度間の、制度の整理をさせていただきたいなと考えております。

 なぜかというと、制度単位でこうやって取り上げさせていただくと個別の制度として取り上げることになるんですが、一方で、制度を活用される方、つまり国民の皆様とか、あとは事業者の方たちからすると、住宅という横串を刺した一くくりの世界になるものです。ゆえに、何で住宅に同じような制度がたくさんあるの、どれを使うのが実際に得なのかみたいな質問を受けることもありますし、やはりなかなかそこの理解が難しいというのが現実に起こっている課題ですね。

 実際、ビジネスの世界でも、少なからず、理解不足とか混乱が全く生じていないかといえば、意外にそうでもなくて、やはり、どのパターンにおいてはどういう制度を使えばいいのかということが非常に重要になります。実際、私の周辺でも、こういった制度を串刺しして、例えば住宅ならこういった制度、こういった制度、こういった場合にはこんな使い方があるよというのを臨機応変に活用できる方というのは、非常に重宝されて、頼りにされている現状があります。

 そこで、少し広い質問になってしまうんですけれども、住宅ローン控除制度と住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置制度の違いとか役割分担等について、財務省から御説明若しくは御見解といったものをいただければありがたいです。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの答弁と若干重複になる部分もございますが、現行の住宅ローン控除制度は、住宅ローン残高の一定割合を所得税額から控除する制度として昭和六十一年度の税制改正で創設されたものでございまして、主に住宅ローンの負担というところに着目いたしまして、住宅取得者の初期負担を軽減し住宅取得を促進する、いわゆる持家取得の促進という狙いと、それから住宅建設の促進を通じた内需の拡大等に資するという経済対策的な目的、この二つの目的で講じられているものでございます。

 また、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置につきましては、平成二十一年の税制改正で創設されたものでございまして、高齢者から若年世代への資産の早期移転を通じて裾野の広い住宅需要を刺激する観点、いわば経済対策的な観点も含めて講じられているというものでございます。

 これらの制度は、制度の成り立ちですとか対象となる税目が異なるということはもちろんでございますが、いずれも住宅取得に関連する措置でございますし、また、内需の拡大等に寄与するものであるという性格では共通している点がございます。また、同時に住宅を取得される際に適用を受ける場合もある制度でございますので、過度な優遇にならないようにということで、一定のこの二つの制度間の調整措置なども講じられているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 今していただいたような制度横断的な整理というのは、非常に、利用者サイドである国民の皆様にとってはとても重要ですし、言い方はあれですけれども、使い勝手がいい整理ですので、引き続き、こういった情報発信とか周知に努めていただければと考えております。

 次に、今回の本制度、今取り上げている住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置というのは、住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置なので、当然、住宅取得を検討されている方若しくはその関連ビジネスの方が対象なんですけれども、そもそも、国民の皆様からすると、同じ住宅という切り口からいくと、実は買わない人も買えない人もいると思います、あとは、賃貸を望まれる方もいると思いますので、ある意味、不動産業界、私もよく聞かれるんですけれども、賃貸派と購入派、どっちが得なのかみたいなことをよく聞かれて、当然、私個人としてはどっちもメリット、デメリットがあるので結論はないんですけれども、こういった制度をうまく使える方若しくは活用できる方にとってはどっちかが優位に働くといったものかと考えております。

 そこで質疑となるんですけれども、今回、住宅を取得しない若しくは経済的な事情も含めて取得できないという方たちへの配慮とか手当て、若しくはそういった方たちを何らかの形で守ったりとか促進したりするような制度があるかどうか、これについて、制度説明若しくは御見解の方を国土交通省の方からお願いいたします。

石坂政府参考人 お答えをいたします。

 住まいは生活の基盤であり、持家のみならず賃貸住宅も対象に様々なニーズに応じた住まいの確保を支援しております。

 具体的には、賃貸住宅について、家賃の消費税が非課税となっております。また、住宅に困窮する低額所得者に対しては、公営住宅の供給に加えて、住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット登録住宅の確保、家賃低廉化等の支援を推進しているところであります。

 引き続き、関係省庁や地方公共団体等と連携して住まいの確保の支援に取り組んでまいりたいと思っております。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね、まさに賃料に消費税がかからないという部分は、これは実は、結構皆さん、当たり前のように、若しくは気づいていない方もいらっしゃるかと思うんですけれども、それはまさに、賃貸派と呼ぶかどうかはおいておいて、賃貸を目指される方、望まれる方にとっての非常に大きな制度になっているかと思いますので、これも、先ほどの横串の話ではないんですけれども、住まいという切り口で情報発信も含めてしていただければなと考えております。

 では次に、本制度、住宅投資の促進に資するための措置としての側面があると理解していますし、一方で、そういった趣旨の御回答をいただいております。さらに、前回私も質問をさせていただきましたが、日本においても不動産の価格が上昇傾向にあるというふうに認識されているという回答もいただいております。

 この住宅投資の促進は非常に重要な側面ではあるんですが、一方で、価格が上がり過ぎて一般の方がそもそも家を買えないぐらい上がってしまって、言い換えるならお金持ちしか買えない、つまり、お金持ちの方しかこういった制度が使えないというところまで行き過ぎてしまうということもまんざらなくはないレベルに近づいてきているのかなと、ちょっと個人的にはそこはすごく懸念しているところでもあります。

 そこで質問になるんですけれども、不動産価格の上昇傾向と本制度との関連とか評価に関して、これは財務省の方から御見解若しくは今後の方針についてお話しいただけますでしょうか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、住宅価格の動向につきましては、上昇傾向にあるということは聞いてございますが、この部分はちょっと所管外でございますので詳しくは承知しておりませんが、建築資材の高騰など様々な要因があるものと聞いております。

 その上で、今般のこの住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の見直しにおきましては、御指摘のあったような、資産をお持ちの方しか使えないではないか、そういったような御批判も一部にはあるといったようなこともございますし、格差の固定化につながらないようにということもございますので、消費税の引上げに伴う反動減対策としての部分については終了させるということで、非課税限度額を最大千五百万円から最大一千万円へと縮小をするというような見直しを行っております。

 また、前回の御質疑にもございました住宅ローン減税に関しても、所得制限の水準を引き下げるといったような対応もいたしております。

 今回の非課税措置の見直しに関して言いますと、住宅価格の上昇との関係でいえば、こういった非課税限度額を引き下げるというような見直しでございますので、その住宅価格の上昇を更に促すといったような効果についてはないのではないかなというふうには考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね、定期的にこういった制度を見直しながら、一方で、こういったそもそもの住宅投資の促進に資する部分という形の制度ではありますので、これがどういった効果があったかというところは、なかなか住宅価格を一つの制度が要因というふうに決めつけたりとか分析するのは難しいというのは理解はしているんですけれども、そこの因果関係についても今後いろいろと検討若しくは調査していただきたいと考えております。

 また、今後の価格の状況も含めて、我々の方も、私も含めて注視していますので、継続して意見交換なり議論をさせていただければと考えております。

 次に、更にもうちょっと細かい内容になるんですけれども、住宅ローン控除制度では明確にゼロカーボン実現との関連が明言されていたと私は理解しているんですが、今回の制度においても、省エネ、耐震、バリアフリー住宅が優遇されているというか、条件がいい状態になっております。

 そこで質問に、質疑になるんですが、省エネ、耐震、バリアフリー住宅がなぜ優遇されているかというところについて、理由や趣旨ですね、さらには、住宅ローン控除制度のようにゼロカーボン実現との関連性がある制度になっているかというところについて、財務省から御説明の方、よろしくお願いいたします。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 この住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置につきましては、主に良質な住宅ストックを形成するという観点から、一定の省エネ性能や耐震性能、バリアフリー性能のいずれかを有する住宅に係る非課税限度額を通常の五百万円上乗せする措置を講じているところでございます。

 具体的には、この省エネ性能について言いますと、断熱等性能等級で四以上又は一次エネルギーの消費量等級で四以上、こういった性能の住宅について五百万円の上乗せが行われております。

 この上乗せ措置によりまして、こういった省エネ性能を有する住宅の普及が後押しされ、ひいては二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現にも資する、そういったことが期待されているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね、ゼロカーボンに関しても、様々な制度で実現が目指されているとは思いますので、これも同じ論点になるんですが、やはり、制度を利用する国民の目線でいくと、制度を、横串を刺して、目的に応じた整理というのは非常に重要ですし、それがあるがゆえに皆さんいろいろな人生の判断をやっていけるようになりますので、こちらについても、こういった目的軸で整理されているものがあれば、またこれも折を見て御教示いただければと思います。

 さらに、太陽光の固定買取り制度もそうですけれども、FITと同じように、こういった制度がどれぐらいゼロカーボンの実現につながったかといった事後的な評価についても継続して行っていただければと考えております。

 次に、住宅を論点にするに当たってはもう絶対に無視できない論点として、ちょっと午前中も何度かそういった言葉が出てきましたが、いわゆる空き家対策の、空き家の問題があると私も認識しております。

 実際に、不動産事業をやっていたりとかする私のところにも、空き家対策について、これは自治体さんからも相談が来ますし、事業者さん、若しくは空き家を抱えている個人のオーナーの方からも、本当にもう、大げさじゃなくて、毎週のようにそういった相談を受けている状態です。

 不動産業界、結構、テクノロジーの活用が遅れているというふうに、レガシーな業界と言われる部分はあるんですけれども、一方で、フィンテック、ファイナンスの世界にテックが入るフィンテックの不動産版として、今、不動産テックという形で、テクノロジーを使ってそういった空き家を対策できないかとか、そもそもこの空き家がどういう状態なのかというのを極力早く、空き家になる前に把握できないかみたいなところでも私のところに多くの相談が来ている状態になります。

 一方で、こうやって空き家が現に問題になっている中で、なぜ制度としては新しい住宅を購入するところにばかり注目されて、そこが注視されているのか、こういった指摘も存在するのも事実です。実際はそれだけではない、いろいろな制度があるというのは我々の方では認識はしているんですが、国民の皆様からすると実際そういった目線もあるというのが事実かなと思います。

 そこで質疑となりますが、少し難しい回答になるかとは思うんですが、本制度と空き家対策とを絡めた制度にする余地はないか、若しくは、本制度に関わらなくてもいいんですけれども、どういった空き家対策を行われているかというところを国土交通省の方から御説明いただければありがたいです。

石坂政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、空き家対策は重要な政策課題だと認識しております。

 空き家の発生を抑制する観点から、税制面では、相続により生じた古い空き家について、耐震改修を満たした上で譲渡した場合又は除却して譲渡した場合には、その譲渡所得から三千万円を特別控除する措置を講じ、市場への流通や空き家の除却を進めているところでございます。

 また、国土交通省では、市町村が空き家対策を適切に実施できるよう、空き家の利活用や除却に対する補助、空き家法に基づく特定空き家等の所有者への助言、指導、勧告、代執行等に係るガイドラインの策定等を行っております。このほか、空き家法に基づき勧告を受けた特定空き家の敷地については、固定資産税の住宅用地特例を適用しないこととなっております。

 こうしたことを通じて、今後とも空き家対策に取り組んでまいりたいと考えてございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね、空き家は、まさに空き家になってから活用するというのは非常に難しいというのが現場の声ですし、私自身もそう感じております。ですので、まずその空き家を予防するという観点は非常に重要と思いますので、そういった観点からも継続して進めていただければと思います。

 さらに、マンションの建て替え問題とか、あとは、バブル期に建てられた中小ビルの建て替え問題といった、古くなった不動産をどうやって利活用していくかという部分というのは、非常にこれから無視できないですし、国だけじゃなくて町も含めた発展に関わりますので、これについても継続して、協力しながら進めさせてください。

 もうそろそろ私の時間も参りましたので、今日最後の質問になります。

 様々とこの住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について質疑させていただきました。

 まさに、この相続税、贈与税に限らずですね、相続税、贈与税というのは、資産の再分配の機能を果たす上で重要な役割と認識しています。一方で、世代間の資産の移転もありますし、さらに、格差の問題というものも抱えていて、非常に難しい、しかしながら、必ずここは、制度を活用しながら国力を高めて維持していかなきゃいけないという、非常に根幹になる制度と私自身は考えております。

 そこで、最後の質疑となりますが、これは贈与税だけに絞る必要はないかと考えておりますので、相続税、贈与税の今後の方針、若しくはグランドデザインについて、これは財務大臣の方から御見解、若しくは今後の方針についてお伺いさせていただけますでしょうか。

鈴木国務大臣 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置についてでありますが、その今後の在り方は、与党税制調査会の大綱や政府税制調査会の答申におきまして、住宅取得等資金を含む各種の贈与税の非課税措置に対し、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、検討していくこととされております。財務省としても、これらの議論を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

 また、相続税は、租税の基本的な機能である公的サービスの財源を調達するという機能のほかに、その課税を通じて富の再分配を行う機能も有しております。贈与税は、相続税の存在を前提に、生前贈与による相続税の回避を防止するという意味で、相続税を補完する機能を持っています。相続税、贈与税の在り方については、こうした機能が適切に発揮されるよう、政府税制調査会等の場における議論も踏まえまして、不断に検討を行ってまいりたいと思っております。

赤木委員 ありがとうございました。

 まさに超高齢化の時代においては、相続税だけではなくて、贈与税をどういった形で運用していくかというのは非常に重要だと考えておりますので、引き続き、これについても議論させていただければと思います。

 私の時間も参りましたので、本日の質問は終了とさせていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太でございます。

 本日も、貴重な御質疑の機会をいただき、ありがとうございます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問の方に入らせていただきます。税理士試験制度に関してお尋ねいたします。

 税理士法は、昭和二十六年に税務代理士法から改編された後、これまで大きく五回の改正がありました。今回、第六回目の改正に際し、大きなポイントとして、受験資格要件の見直しがあります。コロナウイルスが蔓延し、今後、コロナと戦いながら経済活性化も図っていかなければならない状況から、多様な人材の確保を図るために、税理士業界から受験資格要件の緩和の要望があったという話を伺っております。

 この多様な人材を確保するための税理士試験の受験資格要件の緩和のことについてですが、会計学に属する科目の受験資格を不要にすること、そしてもう一つが、大学等での一定科目履修者の対象科目拡充などとなっております。この程度の緩和ではまだまだ不十分で、何かしら中途半端な気がいたします。ほかの国家資格を見ましても、受験の資格要件がないものがあります。例えば、公認会計士、行政書士、弁理士、司法書士などは、難関国家資格試験ではありますが、受験の資格要件は必要ありません。

 業界がおっしゃられている、税理士をもっと魅力ある職業にして受験者を増やすとともに、目指せる人の範囲を拡大するという趣旨ならば、受験という土俵に上がる前の要件の段階で線引きを行うことは、今の時代、果たしていいことなのでしょうか。そもそも受験の資格要件は必要なのでしょうか。

 例えば、税理士試験の受験の資格要件の一つに、大学で法律学又は経済学、あるいは今回追加される社会科学系を履修し、卒業していることとありますが、大学全入時代と言われる現代、この資格要件は一体どうなのでしょうか。

 また、各大学によって入学の難しさは全く違いますし、勉強の深度もそれぞれです。一生懸命勉強しなければ単位が取れない大学もあれば、試験前にちょろっとやれば単位が取れてしまう大学もあります。それらを全て一緒くたにして、特定の科目を履修し、大学を卒業していることを受験資格要件にする、これは本当に正しいのでしょうか。

 経済的な理由から大学に進学できない人もいます。そういう人に対して、君は大学を出ていないから試験を受けちゃ駄目だ、取りあえず相応の難関の資格か一定期間の特定事務経験があれば受けてはいいけれども、こういうふうに言うんでしょうか。

 高度な知識を備えた人材を選抜、育成したいというのは分かります。ならば、試験自体を難しくして、選抜すればいいのではないでしょうか。なぜ大学を卒業していなければ、なぜ特定の要件を満たしていなければ、試験すら受けることを認められないのでしょうか、お答えください。

岡本副大臣 お答えいたします。

 税理士試験の受験資格の要件につきましては、一定レベルの教育や実務経験を通じて得られます税理士業務に関連する基礎的学識等を確認する観点から、一定の必要性があるというふうに考えています。

 受験資格要件の廃止等の税理士試験制度の大幅な見直しにつきましては、受験者への影響も大変に大きいことから、試験運営上、必要な受験者数の絞り込みをどのように行っていくかなど、制度面、運用面、様々な観点から慎重に検討を進める必要があるというふうに考えています。

 また、言及のありました、大学を卒業しなければ受けられないのではないかという御指摘に関しましては、この受験資格の要件は、大学等において一定の科目を履修した学生や卒業生といった学識に関するもの以外にも、一定の簿記試験の合格者又は二年以上の一定の会計法律事務経験者といった、資格や職歴に関するものも認められておりまして、必ずしも大学等への進学が必要となっているわけではありません。

 いずれにいたしましても、更なる見直しについては、本改正の効果を注視した上で、よく検討していきたいというふうに考えています。

藤巻委員 ありがとうございます。

 おっしゃられるように、基礎的学識等々も、それもやはり試験で測ればいいのではないかというふうに私は考えております。

 いずれにせよ、税理士業務というのは、高度な専門性を保ちながら、ICT化、そして、ウィズコロナに向けた新しい働き方が一層求められております。こうした時代に対応するためにも、資格要件をより緩和して、受験の門戸を広げて、広範な人材を募るべきだと考えております。税理士になりたい、そういう夢を持っている人に、公平で公正な試験を実施することが重要であるというふうに考えております。どうか御検討の方、よろしくお願いいたします。

 続きまして、カーボンニュートラル投資促進税制及びデジタルトランスフォーメーション投資促進税制について質問をさせていただきます。

 まず、カーボンニュートラル投資促進税制についてです。

 二〇二〇年十月、我が国は二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言いたしました。これは、パリ協定の目標達成に向け、温室効果ガスの実効的な排出削減であり、全体としてのカーボンニュートラルを追求するというコンセプトだと理解しております。

 他方、国民生活の向上、経済発展やエネルギー安全保障にとって、発展段階に応じて、化石燃料を使わざるを得ない産業地域が存在しており、化石燃料のゼロエミッション化の実現には、CO2を資源として利用するカーボンリサイクルの活用が有効であります。

 このカーボンニュートラルは、菅前政権の最重要政策の一つであり、実現が政策目標として掲げられています。とはいえ、二〇五〇年カーボンニュートラルは困難な課題であり、絵に描いた餅とならないよう、これまで以上に野心的なイノベーションへの挑戦が必要であります。

 ちなみに、今回の法改正の一つである住宅ローン控除制度の見直しも、カーボンニュートラルの実現に向けた一手法であると考えております。

 この二〇五〇年カーボンニュートラル実現という目標にふさわしい大胆な措置として、令和三年度にカーボンニュートラルに向けた投資促進税制が創設されました。この制度の活用により、企業による短期、中長期のあらゆる脱炭素化のための投資が強力に後押しされることによって、民間投資創出効果が見込まれるとされております。

 そこで、カーボンニュートラル実現への取組及び本制度の趣旨と概要についてお伺いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのカーボンニュートラル投資促進税制でございますけれども、昨年六月に成立した改正産業競争力強化法によって新たに創設された計画認定制度でございまして、脱炭素の効果が大きい設備投資に対する税制措置ということでございます。

 例えば、パワー半導体や燃料電池みたいな大きな脱炭素化の効果を持つ製品の生産設備の導入、それから、生産工程の脱炭素化と付加価値の両立をする設備の導入、こういったものに対して最大一〇%の税額控除又は五〇%の特別償却を措置する、こういった制度でございます。

藤巻委員 ありがとうございます。

 この税制は、脱炭素に向けた投資を促進する観点から、おっしゃられたように、これに寄与する設備の取得等をサポートする税制であり、国内事業の用に供する設備や施設の取得原価の五〇%の特別償却、又は五%若しくは一〇%の税額控除ができるとあります。

 しかし一方で、コロナ禍で停滞しつつある経済情勢下で、例えば町の工場で製造業を営んでいて電気やガスを使用している方が、カーボンニュートラルという言葉はよく聞いても、具体的にそれを理解、イメージして、なけなしのお金をかけて、脱炭素と限定された設備や施設に投資をするのでしょうか。どうせ思い切った投資をするならば、もっと違う使い道にお金をかけるのではないのか、そういう懸念があります。あるいは、こうした投資を今実施する企業は限られた方なのではないでしょうか。

 そこで、まだ事業年度の途中ではありますので利用実績は出ていないかと思いますが、お伺いいたします。

 この制度の使い勝手といいますか、企業への適用のハードルは高くないのでしょうか。エネルギー利用環境負荷低減事業計画の作成は事業所管大臣の認定が必要とあります。今年度のいつから受付が始まったのか、スケジュール感や手続、現在までの認定者数について、どのような状況かをお伺いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラル投資促進税制の利用の前提となるエネルギー利用環境負荷低減事業適応計画でございますけれども、昨年八月から受付を開始しておりまして、先週二月十日の時点で十五の計画を認定いたしております。このうち四つの計画が中小企業者によるものでございます。

 適用のハードルという意味でございますけれども、まだ十分に、始まったばかりで知られていないということがまずございますので、各地域の経済産業局において地域の中小企業からの相談対応を実施しておりまして、本税制をより多くの中小企業の方に御活用いただくため、引き続き分かりやすい広報に努めてまいりたいと思います。

 また、計画を策定するに当たっては、どのぐらいエネルギー起源CO2が減ったかということを測定しなければ効果が分かりませんので、ここは一つのハードルになっております。そういったことで、計画を策定する上で必要となるエネルギー起源CO2排出量の算出量の支援にも、経済産業局を通じて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 十五計画ということで、これは日本全体で十五計画ということですので、決して十分に活用されているという状況ではないというふうに考えられます。

 先ほども、CO2の量を測らなくちゃいけないだとか難しい部分はあるとは思うんですけれども、簡素化の可能な手続は見直して、多くの方が利用していただくべきではないかというふうに考えております。

 カーボンニュートラル達成へは、まだまだ道半ばでございます。引き続きの取組、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、並行して、デジタルトランスフォーメーション投資促進税制についてお伺いいたします。

 ITの推進によって人々の生活をよりよいものに進化させる、いわゆるデジタルトランスフォーメーションを促進する税制度が、さきの制度同様、令和三年度に創設されました。

 デジタルトランスフォーメーションもカーボンニュートラルと並ぶ前菅政権の柱の政策でありました。こちらにつきましても、これまでの政府のデジタルトランスフォーメーションの取組について、どのような趣旨のものか、また、本制度の概要等につきましてお答えください。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタルトランスフォーメーション投資促進税制でございますけれども、趣旨といたしましては、デジタル技術を活用した企業変革を実現する、この実現のためには、経営戦略、デジタル戦略の一体的な実施が不可欠でございます。

 このため、さきに改正いただきました産業競争力強化法に新たな計画認定制度を創設してございます。部門、拠点ごとではない全社レベルのデジタルトランスフォーメーション、これに向けた計画を主務大臣が認定した上で、その実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資につきまして税額控除、これは五%ないしは三%、又は特別償却三〇%を措置したものでございます。

藤巻委員 ありがとうございます。

 こちらに対しても同様の疑問、感想を持っております。企業にとりまして、本当に今、デジタルトランスフォーメーションに取り組める状況なのか、投資できるのかに疑問を持っております。デジタルを活用すべしというデジタル化と、デジタルトランスフォーメーションによる生産工程の変更は、全く違うものであります。

 現にアメリカは、グーグルやアマゾンといった大企業がデジタルトランスフォーメーションを引っ張っております。また、中国は、国家が主導する形でデジタルトランスフォーメーションを進めていると承知しております。また、こうした観点も踏まえて、制度があっても、実際に有効活用する、それはなかなか難しいことであるというふうに感じております。

 そこで、こちらも、さきの質問と同様に、開始年度途中でありますので実績は出ないとは思いますが、お伺いいたします。

 この制度、今年度のいつから受付が始まり、手続などのスケジュール感、そして、現在までの認定者数についてお答えください。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の利用の前提となります情報技術事業適応計画の認定件数でございますけれども、昨年八月の施行から約半年間たちましたけれども、十二件でございます。中小企業につきましては、利用実績が二件ということでございます。

 これまでの執行の実務を踏まえますと、申請者からの事前相談、これから認定までに約三か月ほど要してございます。昨年八月に施行いたしまして、昨年末以降、認定件数が増えてきている状況でございまして、今後更に増加していくことを期待をしてございます。

藤巻委員 ありがとうございます。

 こちらの方も、日本全体でたったの十二件ということになっております。まだまだ活用が十分でないように考えております。

 やはり、こちらも、手続等々できることは簡素化を進めて、多くの方に利用していただくべきではないのでしょうか。もっと広範囲に活用されてもいいのではないかと考えております。

 この両制度、先ほどから申し上げておりますように、前政権からの肝煎り政策であり、非常に野心的な制度ではあると考えております。これからの啓発によって更に利用の拡充が見込まれますし、そのように取り組んでいくべきだと考えております。

 そこで、財務省にお伺いいたします。

 こうした点も踏まえた両促進税制の制度についての今後の見通し、今後どのような展開が考えられるか。また、財務省として、カーボンニュートラル、DXについてどう捉えられているのか。大所高所からお答えいただければと思います。

鈴木国務大臣 令和三年度の税制改正におきまして、御指摘のカーボンニュートラル投資促進税制やデジタルトランスフォーメーション投資促進税制が創設をされたところでありまして、その中身、内容等につきましては、今ほど経産省から御説明があったとおりでございます。

 財務省といたしましても、本税制によりまして、企業による積極的な脱炭素化投資や企業変革に向けたデジタル投資が促されることを期待をいたしております。

 また、本税制の今後の在り方ということでありますけれども、この税制は本年度から始まったばかりでありますので、まずは、その適用状況や政策効果をしっかりと見てまいりたいと思っております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 カーボンニュートラルも、DXの方も、今後の日本にとって非常に大事な問題だと考えております。今後、制度の進捗、私も注視してまいります。しっかりと取り組んでいただければと存じ上げます。よろしくお願いいたします。

 続きまして、5G導入促進税制についてお伺いいたします。

 第五世代移動通信システム、これは、菅政権から強力に推進されてきたデジタル社会への取組、現在の岸田政権にも引き継がれていることと思います。それがデジタル田園都市国家構想の実現であり、全国津々浦々までネットワークの整備を図ることだと理解しております。

 岸田総理の掲げる新しい資本主義の実現のため、成長戦略と分配戦略の説明がなされましたが、この成長戦略の柱の一つとして、5Gなどデジタルインフラの整備を進める意向が表明されております。

 今般の第五世代移動通信システム導入推進に関わる税制の見直しは、ソサエティー五・〇の実現に向けた社会基盤の整備のためであると考えております。

 先日、成田で、5Gのバスの自動運転に取り組む、そういった報道を拝見いたしました。また、東京都など都市部の自治体では、防災カメラを4Gから5Gに切り替えることで、集中豪雨時の河川の監視や震災時に強いカメラの回線を使うことができ、防災対策の可能性が広がるという話を伺いました。高齢者の独り暮らしの見守り事業においては、役所の職員数が限られる中で、5Gを利用することにより、利用者に対していち早く対応ができ、また、職員にとっても負担が少なくなると聞きました。

 そこで、総務省にお尋ねいたします。

 本法律改正でネットワーク整備を加速いたしますが、5Gが広く展開されると、どのような社会ができ、人々の生活はどう豊かになるのでしょうか。全国展開の5Gとローカル5Gとの違いも含めてお伺いいたします。

辺見政府参考人 5Gは、超高速、超低遅延、多数同時接続などの点で非常に優れた通信技術でございまして、デジタル田園都市国家構想を実現するため、その整備を進めていくことが必要不可欠と認識をしております。

 5Gには、携帯電話事業者が整備する全国5Gに加えまして、地域の企業などが主体となって整備するローカル5Gがございますが、このローカル5Gは、個別のニーズや課題に応じて独自のシステムを柔軟に構築できる技術でございまして、個々の企業ですとか地域が直面する社会課題の解決手段として高い期待が寄せられているところでございます。

 こうした5Gを、またローカル5Gを活用することによりまして、例えば農場におけるトラクターの自動運転、工場におけるAIを利用した画像解析による製品の検査、建築工事現場等におけます建設機械の遠隔制御など、様々な地域、分野において具体的な取組が進められていると承知をしております。

 総務省といたしましては、今後とも、5Gなどデジタルの実装を強力に推進し、産業の競争力強化や活力ある地域づくりに向けてしっかりと取り組んでまいります。

藤巻委員 ありがとうございます。

 おっしゃられたように、この5Gですが、かなり進歩的でアグレッシブな取組のように感じております。

 そこで、今後の方向性も含めて5Gをどう進めていくのか、促進税制の利活用の観点からもお話しいただきたく、財務省の方にお伺いいたします。

岡本副大臣 今総務省からも答弁申し上げましたけれども、デジタル技術の活用によりまして地方を活性化し、持続可能な経済社会を目指すデジタル田園都市国家構想の実現に向けましては、5G全国ネットワークについて、高度なインフラを都市、地方で一体的に整備しつつ、特に条件不利地域における整備を加速すること、加えまして、企業等の多様な主体が自らシステムを構築するローカル5Gにつきましても、社会課題解決や事業革新等に向けまして、導入を後押しすることが重要だというふうに考えています。

 こうした認識の下、5G導入促進税制につきましては、地方におけるネットワーク設備を加速するなどの観点から、対象となる設備や税額控除率等の見直しを行った上で、適用期限を三年間延長することとしております。こうした税制も御活用いただきまして、デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、5Gネットワークの整備が加速、そして促進されることを期待しておりまして、まずは、その適用状況や政策効果について、しっかりと見極めてまいりたいというふうに考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 5G、人々の生活における利便性を大幅に向上させる可能性を秘めておると考えております。引き続き、しっかりと取り組んでいただければと考えております。よろしくお願いいたします。

 続きまして、続いての質問に移らさせていただきます。

 納税の電子化についてお伺いいたします。

 今般の登録免許税法等の改正により、登録免許税と自動車重量税のキャッシュレス化が図られています。行政分野のデジタル化やオンライン化は喫緊の課題であります。

 そこで、納税の簡素化という視点から、電子納付等について質問をいたします。

 まず初めに、申告の利便性向上の観点から、スマートフォンによる確定申告についてお伺いいたします。

 新型コロナの感染が広がる中、e―Taxの活用は感染防止の対策にもつながります。スマホ申告が導入されたのは平成三十年の確定申告からですが、年々改善が図られているかと思います。

 例えば、今年の確定申告から、新たに、スマホのカメラを利用し源泉徴収票を撮影すれば、直接入力しなくても書類作成が自動でできるOCR機能が追加されたとのことですが、これまで、どのようなことができるようになって、また、そのことでスマートフォンによる確定申告の実績はどのようになったのでしょうか。

重藤政府参考人 お答えいたします。

 スマートフォンを利用した確定申告につきましては、今委員からもお話ございましたが、平成三十年分の確定申告から行っております。

 まず、平成三十年分の確定申告におきましては、国税庁ホームページで提供しております申告書を作成するシステム、我々、確定申告書作成コーナーと呼んでおりますが、そこにスマートフォンの画面に合わせました入力画面、スマホ専用画面と言っておりますが、これを導入いたしました。その後も、令和元年分の確定申告におきましては、スマホ専用画面の対象範囲を拡大する、あるいはマイナンバーカードを利用したe―Taxにも対応するといった改定を行いました。また、令和二年分の確定申告におきましては、マイナポータル経由で控除証明書等の情報を取得するマイナポータル連携も開始したところでございます。

 そうした取組の結果、スマートフォン等を利用しました確定申告の提出人員は、平成三十年分の確定申告では約三十七万人でございましたが、元年分においては約百八万人、令和二年分においては百六十九万人と着実に増加をしてきております。

 引き続き、その利便性の向上や周知、広報を進めることによって、一層の利用拡大に努めてまいりたいと考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 利用者の方、百万人を超えているとはいえ、まだまだ決して利用率が高いとは言えないと感じております。

 続きまして、今度は納付の観点からお伺いいたします。今般の法改正で、登録免許税や自動車重量税にキャッシュレス納付制度を創設するとあります。そこで、税のキャッシュレスによる納付状況の進捗について、どのような手法があるのか、また、実績についてもお聞かせください。

    〔委員長退席、中西委員長代理着席〕

重藤政府参考人 お答えいたします。

 国税庁におきましては、従来から、納税者の利便性の向上の観点から、納付手段の多様化にも取り組んできているところでございます。

 キャッシュレス納付の手段につきましても、預貯金口座からの振替納税に加えまして、まず、平成十六年六月からインターネットバンキングを利用した電子納税を導入し、また、e―Taxのサイトから口座振替を行うダイレクト納付、これを平成二十一年九月に導入いたしております。また、インターネット上でのクレジットカード納付、これを平成二十九年の一月から導入しております。これらによりまして、税務署において収納を取り扱う全ての税目についてキャッシュレス納付の利用が可能となっております。

 このキャッシュレス納付の利用率は、令和二年度におきましては全体の約三割となっているところでございます。

藤巻委員 ありがとうございます。

 いろいろな方法でキャッシュレス化が進んでおりますが、まだまだ十分な実績とは言えないと考えております。お伺いした申請や納付の方法は、せっかく新たな取組にもかかわらず、まだまだ周知が足りていないという部分もあるかと存じます。キャッシュレス化やスマホ利用など、利用者の利便性向上のための新たな取組は、利用者側に伝わらなければ、そして有効に活用されなければ意味がありません。是非、更なる利用者促進を図り、利便性の向上に努めてほしいと願います。

 それでは、どのような方法で今後周知を徹底していくのか、そして、更なる仕組みをどう展開していくかをお伺いいたします。

重藤政府参考人 今御質問のありました、まず、どのような手法、仕組みをということに関して申し上げます。

 まず、スマホの申告に関しましては、まず足下、令和三年分の確定申告におきましても、マイナポータルとの連携におけるマイナンバーカードでの認証を簡素化するといった取組を行っておりますほか、マイナポータル経由で取得可能な情報を拡大する、また、先ほど委員からも御指摘ございましたが、スマホのカメラ機能を利用して、給与の源泉徴収票を読み取ってその内容を申告書に自動入力するといった機能を追加したりといった取組を行ってございます。

 また、納付に関しましても、先ほど申し上げましたような取組に加えまして、令和三年度の税制改正において措置されましたスマートフォンを利用した決済サービスによる納付、スマホアプリ納付と言っておりますが、こうしたサービスも令和四年十二月に導入する予定にしております。

 これらの施策につきましては、委員からもお話がございましたが、周知、広報を十分にするということが非常に重要だと思っております。

 スマホの納付に関しましては、一般の納税者への周知のほか、地方団体とか金融機関の団体、日銀等とも連携をいたしまして、その利用勧奨や周知、広報を強化、推進するといったことに努めてまいりたいと思っております。

 また、確定申告の、スマホによる申告などにつきましては、国税庁ホームページを始めとしますホームページでの周知、あるいは関係民間団体等、あるいは源泉徴収義務者を通じた周知等に努めて、極力それらが拡大していくように努めてまいりたいと思っております。

    〔中西委員長代理退席、委員長着席〕

藤巻委員 ありがとうございます。今後、納税環境の整備によって、納税者の利便性、しっかり向上することを期待しております。

 質問が、まだ時間が五分ほどあります。今回、三回質問をやらせていただきまして、ちょっと感想みたいな感じになってしまうんですけれども。往復四十分というふうに言われているんですけれども、答弁が一体何分になるのかが分からないので、時間に収めるというのが非常に難しいなと。先輩方の皆様のすばらしさ、偉大さを痛感しております。

 用意していた質問が、大体二十分ぐらいしゃべれるように、私、今回用意していたんですけれども、長い答弁をある意味期待していたというとちょっとあれなんですけれども、思ったよりも答弁が短くなってしまって、五分ほど時間が余ったというようなことは、皆さん御経験があるのかはちょっとよく分からないんですけれども、こういった場合はいいでしょうか。済みません、未熟者で。ごめんなさい。

 五分間短くなってしまいましたけれども、私の質問を終わらせていただきます。次回はしっかり用意しておきます。申し訳ありません。

薗浦委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 国民民主党の岸本周平でございます。

 藤巻委員が五分短くしましたけれども、その分、私の分が五分増えるわけではありませんので、早速質問に入りたいと思います。

 前回、賃上げ税制について議論しておりまして、少し残りましたので、引き続き賃上げ税制について議論をしていきたいと思います。

 前回申し上げたのは、昨年度、前年度は、政策効果についてどのような判断をされたのかは分かりませんけれども、賃上げ税制そのものは大企業向けについて縮減をされているという事実を指摘させていただきました。

 今日申し上げたいのは、この賃上げ税制の適用要件の基準なんですけれども、これは私は給与総額であるというふうに理解をしています。ベアではないんですね。今、春闘をやっておりますけれども、春闘、つまり賃上げというのは、労働組合はベア、ベースアップをお願いするわけです。ベースアップをすれば、そのベースがまさにベースですから、上がったら、翌年もそれを基にまた議論ができるということですけれども、給与総額でありますと、これは当然、ボーナスなどの一時金も入るわけでしょうし、時間外労働手当や休日労働手当も含まれるのではないかと思います。その辺も確認をしたいわけでありますけれども。

 そうだとしますと、例えば、今コロナ禍で、同僚議員の皆さんの地元でもそうでしょうけれども、いっときお客様からの発注が減りました、コロナの関係で。お客様の発注が減りました。しかし、少しコロナが落ち着いてきた結果、減った分の受注がまたどっと入りました。そうすると、これは、従業員の方には、製造業なんかの場合は残業していただいて、フル稼働で残業していただいてやりますと。当然、残業代が増えます。あるいはまた、それで収益が増えればボーナスで増やせることができる。しかし、翌期は、またコロナがあって、蔓延防止措置が発動されて景気が悪くなった。今日GDPが発表されましたけれども、この四半期を見ていただいても、プラス、マイナス、プラス、マイナス、プラスみたいな、こんなことですから。

 そうしますと、結果として、残業時間が増えたりボーナスが増えて給料が増えれば恩典に浴することができる。これだと、大臣、なかなかきちんと中長期的に賃金が上がっていくというふうにつながらないのではないかと考えるわけでありますけれども、給与総額じゃなくて、必ずベースの部分だけに限るというようなお考えはなかったんでしょうか。その辺は、政策効果の検証はどうされたんでしょうか。

鈴木国務大臣 岸本先生の御指摘のとおりに、賃上げ税制の適用要件の基準は給与総額でありまして、これにはボーナスなどの一時金や時間外労働手当や休日労働手当も含まれているわけでございます。

 そして、今回の適用要件をどうしたかということでありますけれども、今般の賃上げ税制につきましては、各企業の給与体系が多様になっておりまして、様々な支給方法に対応する必要があること、企業の実務面を踏まえ、煩雑でない制度設計とする必要があることに加えまして、重要な課題であります賃上げをより多くの企業に行っていただきたいとのいわば政策判断によりまして、賞与等を含めた給与総額を税制措置の適用要件としたところでございます。

 その上で、今般の改正におきましては、大企業に対します控除率の上乗せ措置については、一時金に加えて基本給部分も一定程度底上げしなければ達成が難しい水準とする観点から、継続雇用者の給与総額を前年度比四%以上の増加との水準を設定していることや、一定規模以上の大企業につきましては、持続的な賃上げ等、マルチステークホルダーに配慮した経営への取組を宣言することを税制措置の適用要件とすることなどを通じまして、持続的な賃上げにつながるような工夫もなされているところでございます。

岸本委員 ありがとうございます。

 そうはいっても、やはり基本的な適用対象が給与総額でありますと、なかなか持続的な賃金上昇にはつながらないかと存じます。

 その上で、本日の審議でも同僚議員の皆さんから、先週私が申し上げた租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書が随分と引用されまして、ありがたいなと思っております。この報告書、私、本賃上げ税制について調べてみたんですけれども、例えば業種、適用業種が相当偏っているということに気がつきました。

 直近三年間の適用業種を見てみますと、主税局のいただいた資料では三業種ぐらいでしたけれども、よく見てみますと、一番適用しているのはサービス業なんです。サービス業が三〇・七%、これは二〇二〇年度の数字を申し上げております。それから、卸売業が八・七%、小売業が一四・七、合わせて卸、小売というふうにくくれば二三・四%ですね。サービスの次です。建設業が一三%で、運輸通信公益業が五・二%。要するに、上位五番目までの業種で見ると七二・三%、四分の三は五つの業種で実は適用されているというようになっています。

 もちろん、今、日本経済はサービス産業化して第三次産業中心ですからそうなんですけれども、方向としてはそうなんですけれども、これ、よくよく調べてみますと、申し上げますと、租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書は、財務省の、これは国税の税務の統計から取っていますので、業種の定義も違います。ほかのいろいろな統計とはそう単純には比べられないとは思いますけれども、総務省の統計で付加価値額という考え方があります。付加価値、一つの会社なり一つの産業が生み出す付加価値。これはやはり日本経済の原動力、エンジンになるわけですけれども。

 ちなみに、付加価値額、総務省の統計で見ますと、ちょっと古い二〇一四年の統計を取ってきたんですけれども、いわゆる製造業、製造業の付加価値は五十八兆円。製造業の付加価値は五十八兆円なんです。今言いました卸売と小売業を足しますと、総務省の付加価値額の統計で四十五兆円。つまり、製造業と、卸、小売を比べると、明らかに付加価値は製造業の方が大きいんです。

 ところが、この租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書を見てみますと、製造業の適用割合は一七%しかありませんでした。一方、卸、小売は、今言いましたように二三・四%。

 つまり、どういうことなんでしょう。付加価値で上回っている製造業はなかなかこの税制を使っていない。一方で、付加価値額の少ない卸、小売は、製造業以上にこの税制を使っている。何か製造業の業種的な特色から、使いにくいんでしょうかね、この税制。

 普通なら付加価値額、というのは、付加価値額というのは何か。付加価値額の定義は、企業の利益と給与総額と租税公課ですから、給与総額が入っているんですよ。企業の付加価値額には給与総額が入っているんですよ。私なんか単純ですから、給与総額が入っている付加価値額の大きい方が賃上げ税制を使う比率が少ない、どういうことなんだろうか。これは業種間のアンバランスがあるように数字は示しています。何かこの税制は、業種間によって、使い勝手がよかったり、使い勝手が悪かったりするとしか思えないんですね。

 この辺は、当然財務省は、税制を実施した後何年もたっていますし、私が調べたってそういうことがすぐ分かるわけですから、この辺の分析をどうなさっているんだろうか。仮に、業種によって使い勝手のよい悪いがあるにもかかわらず、同じようなたてつけで、いや、減税額は増やしました、税額控除は増やしましたというんじゃなくて、何かそこの効果を検証されて原因を究明された上、何がしかの工夫をされているのかいないのか。

 どうですか。この業種間のアンバランスについて、税制の問題を指摘したいと思います。副大臣、お願いします。いや、あなたには答える権利はないです。私は、あなたに、主税局長は呼んでいませんから。副大臣、お願いします。

鈴木国務大臣 先生の御指摘の分析につきましては、ちょっと分からない部分がございますが、この賃上げ税制に関して言えば、先生は、業務ごとの適用実績に偏りがあるのではないかとの御指摘でございました。

 この税制措置については、業種を問わず、広く企業に賃上げを促すためのインセンティブを付与することを狙いとして創設したものでありまして、特定の業種のみを後押しすることを目的としたものではございません。

 先生の御指摘の分析、ちょっとよく私、まだ理解できておりませんので、大変申し訳ありません。

岸本委員 いや、難しい問題を申し上げたわけではありませんし、質問通告もしております。

 付加価値額の大きい製造業よりも、付加価値額の小さい卸、小売業の方が、よりたくさんこの税制を使っている比率が高い。つまり、付加価値には給与総額が含まれるんです、給与が含まれる付加価値額の大小と、そして適用の比率が違うというのは、業種によって使い勝手のよしあしがあるということなんじゃないんですか。そういうことなんです。それは、この税制が必ずしもよい税制とは言えないんじゃないですかということを申し上げているのですけれども、岡本副大臣、何か御見解がありますか。

岡本副大臣 ありがとうございます。

 岸本先生の御意見、分析もよく理解できます。

 一方で、確かに、その五業種が占める割合、全体で約七三%ですけれども、これらの業種におきましては、雇用者数、あと、雇用者の報酬に占める割合もそれぞれ五割を超えておりまして、全く正比例ではありませんけれども、この運用額が大きい業種におきましては雇用者数や雇用者報酬も大きいということで、ある程度の相関があるのではないかというふうに考えております。

岸本委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、今申し上げましたように、適用対象が給与総額があることによって持続的な賃上げが期待できない。これ、詰めてくださいね。この効果を分析していただく必要がありますけれども、少なくとも、業種によって使い勝手のよしあしがありそうな税制ですから。

 そうだとするならば、同じ国民の税金を使うんです、こういうまだるっこしいことをせずに、直接、私たちが従来主張している所得型の、イギリスでもアメリカでもやっています、所得型の給付つき税額控除をすればいいんじゃないかという私の問題意識につながるんです。

 賃上げは大賛成です。我が党も、給料を上げるということで去年選挙を戦いましたから、賃上げは大賛成です。そして、やれることは何でも総動員するというのも賛成です。大臣も先週おっしゃいました。いろいろな、補助金の補助率を上げたり、下請の取締りをやったり、それも大賛成です。

 しかし、プラス、そんなことをいろいろやるのは結構なんですけれども、それぐらいであるならば、まさに中低所得者、特に低所得者を助けるためには、給付つき税額控除、そして、その財源は、前から申し上げていますように、配当所得等の金融所得課税をすること、あるいは所得控除から税額控除に振り替える等、ともかく、富裕層からたくさんいただけて、その財源で所得二百万円以下の低所得の方に給付つきの税額控除制度ができる。給付つき税額控除制度ができていれば、こういう大きなイベント、大きな災害があったとき、大きなパンデミックがあったときに、これも欧米のようにプッシュ型で給付金を配ることもできるわけであります。

 その辺についての御所見をお伺いしたいと思います、大臣。

鈴木国務大臣 給付つき税額控除につきましては、生活保護などの同様の政策目的を持つ制度との関係を十分に整理することがまずは必要であると考えております。

 その上で、新たに給付つき税額控除を導入するには、所得や資産の把握が必要といった課題のほか、行政の執行可能性やコストといった課題等がありまして、慎重に検討していく必要があると考えております。

 一方、賃上げ促進税制は、マルチステークホルダーに配慮した経営を促すことや、他の税制以外の政策と相まって、民間における賃上げに向けた機運を高めることを目的としているものであり、企業に対するインセンティブづけを活用する点で、給付つき税額控除の考え方とは異なるものと思っております。

 なお、金融所得に対する課税の在り方につきましては、繰り返しになって恐縮でございますが、令和四年度の与党税制改正大綱を踏まえまして、今後、与党の税制調査会等の場で議論が行われていくものと考えており、財務省としても、その議論に基づいて対応してまいりたいと思っております。

岸本委員 そういう御答弁は予測はしておりましたけれども、昔々、税と社会保障の一体改革を、自民党、公明党、当時の民主党、三党でやったときに、当時は消費税の逆進性緩和のための制度としてではありましたけれども、給付つき税額控除制度というものも検討するということで三党で合意をして、財務省は準備をしていた、いろいろな検討をしておりました。

 そして、先ほど申し上げましたように、イギリスやアメリカでは、所得型の給付つき税額控除は既に実施をされていますし、あるいは、他の国では、まさに消費税に関連した給付つき税額控除や、あるいは子供の数等に応じたいろいろな形の給付つき税額控除を実施しております。

 なぜ私たち日本だけができないのか。税と社会保障の一体改革の議論は、もう十年前の議論であります。十年たって、財務省がその準備もしないとは私には思えないです。ほかの先進国でできていることが、何で私たち日本でできないんですか。そんなことないでしょう。今、北京、去年は東京でオリンピックをやっています、やっていました。皆さん、日本の選手、メダルを取っているじゃないですか。余り関係ないか。

 ともかく、大臣、これは本当に真剣に検討して、与党も野党もないと思うんです。これは、是非、給付つき税額控除については検討していただいて、特に、所得再分配をするためにも、金融所得課税にメスを入れない限り、所得再分配は進みません。そのことを指摘した上で、少し現実的な制度の話を幾つか聞いていきたいと思っております。

 まず、財産債務調書制度の見直しというのがございますが、これは、総資産十億円以上、所得基準はございません、総資産十億円以上の者が提出義務者に追加されるわけでありますけれども、大体、所得の高い方、資産の大きい方は税理士さんとやり取りするわけですけれども、フローの所得は、これはやはり担当の税理士さんはよく分かるんだそうです。フローの所得はいろいろ相談もあって分かるんだけれども、資産は、これはなかなか担当の税理士さんでも把握しにくいところがあるということを聞いております。

 提出義務者の捕捉というのが大変難しいような気がするんですけれども、どのように考えていらっしゃいますか。

岡本副大臣 この財産債務調書制度におきましては、適正な調書の提出に向けたインセンティブの措置といたしまして、調書に記載がある財産等につきましては、過少申告加算税及び無申告加算税が軽減されることになっています。一方で、調書に記載がない財産等や、また、調書がそもそも提出されていない場合に関しましては、過少申告加算税及び無申告加算税が加重されるといった措置が設けられておりまして、こうした仕組みによって実効性の確保を図ることとしております。

 また、今般の見直しは、提出義務者の事務負担に配慮いたしまして、その調書の提出期限を現行の三月十五日から六月三十日まで後ろ倒しをするとしているところであります。

 この財産債務調書自体が納税者の財産状況等を把握するための制度でありまして、国税当局といたしましては、その提出義務者を完全に把握できているわけではありませんけれども、提出義務者の自主的な提出を促進するために、まずは制度の周知、広報に努めてまいりたいと考えております。さらに、把握しているあらゆる情報を活用いたしまして、調書の提出義務があると見込まれる方を把握、特定していきたいというふうに考えています。

岸本委員 是非、税の公平公正のためにも、これは課税の御当局の大変な御努力も必要だと思いますけれども、ただ、今のような税制のあめとむちではなかなか現実には動かないというのが、私の地元の税理士の先生方からは伺っておりますので、更なる御検討をお願いしたいと思います。

 それから、電子帳簿の保存法に関してなんですけれども、いろいろな宥恕措置が設けられております。ただ、これが、いろいろな零細な事業主等々を考えたときに、果たして令和六年からずばり執行が可能なのかどうか。

 税理士さんが、今まさに確定申告ですけれども、いろいろな、記帳代行している個人事業主さんも、大きいところから小さいところまで様々であります。そうすると、本当に、パソコンがあってもプリンターがないとか、だから、ともかくデータをもらってきて税理士事務所でプリントアウトするとかというのがもう日常茶飯事で、だから繁忙期は大変なんだそうです。なかなか、日付、相手先、金額等々の電子データでの保存というのも、できる人はできるんですけれども、これができない年代、御年齢もあるかもしれない、規模の大小もあるかもしれない、なかなか難しいということなんですね。

 ですから、例えば、今、ネットで買うのがあるじゃないですか。いろいろインターネットで購入したときは購入履歴というのが残りますよね。これは改ざんできないわけですよ、利用者側は。だとすると、購入サイトの購入履歴をもって保存義務の要件を満たすというような、そんな措置は取れないものなんでしょうか。

岡本副大臣 お答えいたします。

 令和三年度の税制改正におきまして、領収書や請求書の内容を電子データでやり取りした場合には、そのデータにつきまして、改ざん防止のための措置を講ずるとともに、金額等での検索ができる状態で、税法上必要な期間、保存しなければならないというふうにされました。

 岸本先生のその御指摘につきまして、今の、ネット等の購入サイトの購入履歴等は改ざん等できないじゃないかということに関しましては、電子帳簿保存法では改ざん防止措置や検索機能の確保といった要件が課されておりまして、購入サイトを通じた取引であることをもって直ちに納税者での特段の対応を不要として取り扱うことは困難であるというふうに考えております。

 しかし、購入サイトを通じたその取引におきまして、取引データを不当に訂正、削除することがないように納税者が事務処理規程を定めること、さらに、法令上、原則七年間の保存が必要とされている領収書等のデータについて、購入サイト上で七年間保存、参照できる仕組みとなっていること、さらに、日付、金額、取引先が検索できるようになっていることといった形で法令上の要件を満たすことができるのであれば、納税者においてダウンロードをしないで保存をすることも可能だというふうに考えています。

岸本委員 ありがとうございます。

 少しそれは現場で感じているよりも前向きな御答弁だったと思いますので、その辺はまた税理士会の方からちょっと突き合わせをさせていただいて、大変前向きな御答弁だったと思いますので、詰めていきたいと思います。ありがとうございます。

 それから、免税事業者の問題がございます。

 適格請求書発行事業者登録の経過措置が延長されるなど、免税事業者の事業者登録についての緩和は歓迎したいと思います。ただ、免税事業者にとりまして、零細ですから、適格請求書の発行事業者登録をするかどうかの判断、つまり課税事業者となるかどうかという判断、大変難しいことには変わりないと思います。皆さん、悩んでおられます。

 例えばですが、本当に小さな美容室で、美容室のお客様がいわゆるいろんなビジネスをされている中で、美容室の利用がビジネス上必要で、これは仕入れになるというような場合、当然、適格事業者でなければ発行できませんから仕入れ控除できないとなる、さあ、どうしたものだろうというようなことを日常茶飯事のように今お伺いをしております。

 ですから、例えば、全事業者をともかく課税事業者というふうにみなして、その上で、例えば売上げが一千万円未満の場合は申告不要とするというような形で、こういう零細な事業者の方々が取引の輪から外されることのないような工夫というのは何かできないものでしょうか。

岡本副大臣 お答えいたします。

 インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を行うために必要なものといたしまして、法律に基づいて令和五年十月から始まることになっています。

 インボイス制度の移行に伴う小規模事業者などの免税事業者への影響につきましては、お客様、顧客が消費者であるいわゆるBトゥーC取引を行う事業者の方や、取引先の事業者が簡易課税制度を利用していらっしゃるような事業者はインボイスの交付を求められることがなく、全ての免税事業者につきまして影響が元々あるわけではありません。

 その上で、今御指摘をいただきました、課税事業者となってインボイス発行事業者となるかの判断については、令和三年度の補正予算におきまして、インボイスに関して、小規模事業者が経営相談等を行う相談窓口体制の強化を行うとともに、持続化補助金によりまして、免税事業者からインボイス発行事業者となる小規模事業者の販路開拓の支援といった対応を行うことといたしました。

 今御提案をいただきました、全ての事業者を課税事業者にして、その上で申告不要にするという制度につきましては、課税期間の終了まで納税が必要となるかどうかが確定しなくて、全ての事業者が納税することを前提として消費税分を上乗せした価格設定や事務処理を行うことになりまして、結果として納税が不要となった場合には、事業者の方の手元にこの消費税分がいわゆる益税として残る仕組みとなってしまいまして、制度への不公平感を招くこととなるために、適切ではないというふうに考えています。

岸本委員 理屈上からはある程度理解できます。

 ただ、本当に現場で、今回のインボイスの導入によって、これは、特に一人親方、よく言われますのは一人親方の、内装屋さんとかそういう方々が、一千万未満のビジネスをやっている方が全部外れていくんじゃないかというような点も現場では本当に心配をされていますので、何かいい工夫ができないものか、私も知恵を絞ってみますので、引き続き御検討いただければと思います。

 なお、済みません、政務官に来ていただいておりますけれども、ちょっとこれは細かい話ですので、まとめてあした大臣政務官に御答弁をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 前回に引き続き、インボイス制度の問題点について質問をします。

 九日の委員会で、私は、所得税法等の一部を改正する法律の附則百七十一条第二項に基づく事業者への影響の検証や措置について質問をしました。大臣は、昨年十一月十八日の関係府省庁会議で対応したと答弁されました。その対応の中身というのは、支援策や制度の周知、広報、相談というものであります。

 はっきり言えるのは、負担増の影響について、確実に広範に生まれるということであります。前回も指摘しました。それを否定される答弁は今ありません。

 改めて大臣に伺います。

 インボイス制度のために商売をやめる中小零細業者やフリーランスがいたとしても、それは仕方がないということなんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 前回も先生から御質問をいただきまして答弁をさせていただきましたが、免税事業者が行う取引であっても、取引先の事業者が簡易課税制度の適用を受けている事業者はインボイスの交付を求められることはないなど、全ての取引でインボイスの交付を求められるわけではありません。

 その上で、中小事業者やフリーランスの方も含めて、制度への円滑な移行を図る観点から、移行までに四年間の準備期間を設けるとともに、そこから更に六年間、免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めるなど、事業者の準備や取引に与える影響を緩和するための十分な経過措置を設けているところであります。

 さらに、令和三年度補正予算においては、IT導入補助金により、インボイス制度も見据えた中小・小規模事業者のデジタル化による事務負担の軽減でありますとか、持続化補助金により、インボイス発行事業者となる小規模事業者の販路開拓などの支援策を講じることといたしております。

 今後とも、中小事業者やフリーランスの方も含め、制度の円滑な移行に向けて、関係省庁で連携しながら、これらの支援策や制度の周知、広報を始めとした取組について、とにかくしっかりと、そして丁寧に進めてまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 それだけ丁寧にしっかりとと、移行期間と述べられるというのは、結局、負担増があるからでしょう。消費税の負担増があるわけなんですよ。

 前回も紹介しましたけれども、商工会議所の調査によっても、四%が廃業やむなしと言われているんです。

 インボイス制度によって廃業される方が出ても、それは想定の範囲ということで理解していいんでしょうか。しかとお答えいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 先生がおっしゃったようなことになりませんように、これからも、中小企業者やフリーランスの方も含め、制度の円滑な移行に向けて、関係省庁とも連携をしながら、支援策の、制度の周知、広報を始めとした取組をしっかりと丁寧に進めていきたいと思っています。

田村(貴)委員 大臣、今、廃業が起こらないようにすると言われました。じゃ、その方向性、やり方についてしかと今国会、予算審議ですから、お答えいただきたいと思います。これはまとめてまたお尋ねすることになると思います。答弁、考えておいていただきたいと思います。

 免税業者や事業者における苦悩を、やはり財務省、理解されていないんじゃないですか。知っていて知らぬふりをされているのでしょうか。

 インボイス制度によって影響を受ける事業者の規模について伺います。

 財務省は、かつて我が党の宮本徹議員の質問に対して、免税業者のうち約百六十一万の免税業者が課税業者になると答弁しました。それから三年たちました。検証の結果、現時点で把握している影響について述べてください。

 前回は、農家やフリーランスなども影響を受けると私は指摘しました。それらを含む免税業者は何百万業者いると想定されているのか、そのうち課税業者となる可能性がある免税業者はどのぐらいと推定されているのか、お答えいただきたいと思います。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、百六十一万事業者が課税転換を行うと答弁したという点でございますが、この答弁はかつて、インボイス制度への移行に当たって、全てのBトゥーB取引を行う免税事業者が課税転換するという前提で機械的に試算した数字をお示ししたものと承知をいたしております。

 一方、平成二十七年の国勢調査等を基にして推計した免税事業者数は約四百八十八万者でございますが、このうち実際にどの程度の事業者が課税事業者となるのかという点につきましては、まず、BトゥーC取引を行っている免税事業者については、インボイス制度の導入による影響は基本的にございません。また、BトゥーB取引を行う事業者であっても、取引先の事業者が簡易課税制度の適用を受けている場合には、簡易課税制度の適用を受けている事業者はインボイスを必要といたしませんので、インボイスの交付を求められることがないといった事情にございます。

 また、本則で課税事業者となっている方との取引についても、免税事業者からの仕入れであっても、制度導入後の三年間は八〇%、その後の三年間は五〇%は仕入れ税額控除ができるという経過措置が設けられておりますので、そういった配慮もなされているということ。

 また、実際の取引関係におきましては、個々の取引当事者間の様々な関係によって取引が決まってくるといったような状況にございますので、どの程度の方が課税転換をするのかということについて、確たることは申し上げられないというふうに考えております。

田村(貴)委員 長々制度の解説はされたんだけれども、結論は全然分からないということですか、三年たって。何たることですか、これは。

 三年間、政府の関係府省庁会議で対応や検証をやってきたけれども、同じ数字になっている。ちゃんと精査されているんですか。当初想定されていなかった免税業者をちゃんと反映して調査しているんですか。それもつかんでいないんですか。

 私は、対象も明確にしない、そして影響も調べない、これはインボイス制度を導入する政府としては無責任極まると言わなければいけないと思います。

 私の方から実例を挙げたいと思います。例えば、フリーランスで働く人は、その多くが課税業者を迫られます。昨年十一月十二日、新・フリーランス実態調査を発表したランサーズ株式会社の調べによりますと、二〇二一年十月時点で、フリーランス人口は約一千五百七十七万人、経営規模は二十三・八兆円とされています。

 関係府省庁会議は、フリーランスをどのぐらい見積もり、どのぐらいが課税業者になると推測しているのか。フリーランスに限って聞きます。消費税の納税額は幾らと見積もっているのか、これは分かりますか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 フリーランスの事業者数につきましては、これは様々な数字がございますが、内閣官房の実態調査によりますと、副業でフリーランスを行っている方を含めまして、約四百六十二万人と見積もられていると承知をいたしております。

 これらの方々のうち、どの程度の方が課税事業者に転換されるかという点のお尋ねでございますが、まず、これらのフリーランスの方々の中には、既に課税事業者となっている事業者もおられる可能性がございますほか、先ほど申し上げましたように、BトゥーC取引の存在でありますとか、BトゥーB取引についても簡易課税制度の影響があるといったようなことですとか、取引は、インボイスの有無だけではなくて、納期ですとか技能等の様々な条件に基づいて行われるといったことを踏まえますと、確たることは申し上げられないというふうに考えております。

 いずれにしても、いわゆるフリーランスとされる方々が所属される団体等への説明会でありますとか個別の意見交換を通じ、周知、広報や課題把握に取り組んでいるところでございまして、関係省庁で連携しながら、支援策や制度の周知、広報を進めてまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 今まさにおっしゃった資料を、今日、資料配付一としてお配りしています。

 内閣官房の実態調査によってフリーランスの試算人口は四百六十二万人と、これは政府の発表でもこの数字が出ているわけですよ。そして、その取引の実態がよく分からないと言うけれども、この下の表を見てください、インボイス制度によって課税業者であることを求められるのは、主な取引先が事業者である場合、つまりBトゥーB、下の表で、内閣官房の調査では五四・一%と、ここまで数字が出ているじゃないですか。

 フリーランスの約八五%が年収一千万円未満です。大半が免税業者であるとするならば、約二百万業者が課税業者になるかどうか迫られると推測します。これだけでも百六十一万、先ほどお答えになったあの百六十一万を超えるじゃないですか。

 ランサーズの調べを使うならば、フリーランスは一千五百七十七万人、単純に五四・一%がBトゥーBならば、約八百五十三万人が課税業者になる可能性がある、私はこうやって計算しましたけれども、こうした計算式に基づいて推測をすることは可能じゃないですか。なぜ影響実態調査をしない、なぜ影響実態調査を公表しないのですか。これはちゃんと答えてくださいよ。ここまで政府の資料でも数字が出ているんだったら。なぜやらないんですか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、百六十一万人というふうに今おっしゃいました数字は、先ほども御説明したとおり、全てのBトゥーB取引を行う免税事業者が課税転換するというかなり極端な前提で機械的に試算したものでございますので、それが現時点における実際の見込みであるということではございません。

 その上で、なぜ推計できないのかということでございますが、先ほど来御説明しておりますように、取引先の事業者が簡易課税制度の適用を受けているような、例えば、課税売上高が五千万以下の事業者であって、本則課税ではなく簡易課税の適用を受けているような場合についてはインボイスの交付を求められないということでございますが、フリーランスの方々の取引先が簡易課税制度の適用事業者がどの程度いるかといったようなことに関して定量的に把握することは、これはなかなか難しいことでございますので、そういった推計は難しいということを申し上げているわけでございます。

田村(貴)委員 抽出でも、それから、ある業種に絞っても、モデルケースをやっても、調べられるじゃないですか。何か、主税局長の答弁を聞いていると、影響を大きく見せたくないがために、推し量ることはできないで全部逃げているように思えますよ。そんなのでいいんですか。

 インボイスの導入は、免税業者それから中小事業者の死活問題になってまいります。したがって、全国各地の地方議会で、インボイス制度の導入について、中止、見直し、延期、対策措置等を求める意見書が次々に上がっています。どのぐらいの地方議会で意見書が採択されているのか、政府はつかんでいますか。

住澤政府参考人 確認できた範囲で、財務省として令和三年中に収受したいわゆるインボイス制度の延期、中止等を求める地方議会の意見書でございますが、およそ五十件と承知をいたしております。

田村(貴)委員 実数はもっと多いと思います。

 この意見書でよく具体例として示されているのが、シルバー人材センターのケースであります。

 配付資料二を御覧いただきたいと思います。私の地元福岡県議会の意見書でありますけれども、シルバー人材センターの安定的事業運営のための適切な措置を求める意見書が可決されています。配分金におけるインボイスの適用除外などを求めています。

 昨年の財務金融委員会で、我が党の清水忠史議員の質問に対して、厚生労働省は次のように答えています。「シルバー人材センターの事業への影響や、制度導入後の、センター会員である高齢者が課税事業者とならないような場合を含めた実務上の対応等、実情を把握しつつ、財務省を含め、関係省庁とも連携して対応してまいりたい」このように答弁があっています。

 厚労省に伺います。シルバー人材センターについて、どのような対応を取っていくんですか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、地域における高齢者の生きがいの充実と社会参加の促進を実行する担い手として、今後もシルバー人材センターの役割はますます重要になると考えてございます。

 インボイス制度導入に向けた対応といたしましては、シルバー人材センターの受注の三割程度を占めます地方自治体に対しまして、会員である高齢者に負担がかからないよう、適正な価格設定の要請を行ったところでございます。

 また、令和四年度予算案におきましては、シルバー人材センターへの補助金を百四十六億円に増額いたしまして、新たに介護分野での活用を促すための介護分野就業機会促進事業を盛り込んだところでございます。

 インボイス制度につきましては、円滑な移行を図る観点から、十年の経過措置を設けていることを踏まえまして、今後も、シルバー人材センター事業への影響や実務的な対応等の実情を把握し、どのような支援が可能か、関係省庁とも連携しながら検討してまいりたいと考えてございます。

田村(貴)委員 厚労省としてはいろいろな対策を労していきたいという話なんですけれども、そういう対応をもってしてシルバー人材センターの会員さんの負担は増やさずに事業が継続できるというふうに保証できますか。そういうことを確認できますか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 インボイス制度導入によりまして会員である高齢者に負担となることを避けるため、先ほど申し上げました地方自治体向けの通知のように、円滑に契約金額の引上げが行われるように環境整備をしておくことが基本だと考えてございます。また、インボイス制度は令和五年十月から段階的に実施されるため、実際の制度の影響を勘案しながら必要な措置を講じていくこととしたいと考えてございます。

 具体的にどのような支援策が有効か、引き続き関係団体の意見をお伺いしながら検討していく段階にございますが、厚労省といたしましては、関係団体とコミュニケーションを密にしながら、適時に必要な措置を講じてまいりたいと考えてございます。

田村(貴)委員 それしかお答えできないでしょうね。センターと個々の会員、高齢者の方の負担が増えないとは言い切れないでしょう。断言できませんね。断言できるというんだったら、もう一回、再答弁をどうぞ。断言できませんね。できないんですよ。物すごい影響が出るから。

 紹介します。配付資料三です。これは、鹿児島県のさつま町のシルバー人材センターの事務局からのお知らせであります。会員への配分金には消費税が含まれていることを理解してもらう内容であります。

 中身を紹介します。現在のセンターの消費税額は、会員への配分金が仕入れ税額控除の対象になるため、令和元年度は十四万八千円でしたとされています。インボイス導入後は一千三十四万一千円になります。このことは、センターの経営に多大な影響を及ぼすことになります。端的に言いますと、免税事業者である皆さん会員から消費税分を徴収、引き落としできませんので、センターの消費税一千三十四万一千円を納めるための財源がないということです。その財源確保をどうするのか、現在、全国のセンターが右往左往している状況ですと。

 リアルに、センターと会員さんの影響、ここに書いてあるじゃないですか。十四万八千円の消費税が千三十四万円、何と約七十倍に引き上がる大影響が起こりそうじゃないですか。全国のセンターが右往左往しているこの状況を、大臣、資料を今お読みになっているんですけれども、政府はこれを傍観しておっていいんですか。

 質問します。

 インボイス導入後は、売上げが五千万円以上あるシルバー人材センターが取れる選択肢としては、一つ、会員に課税業者になってもらう、二つ、消費税相当分を配分金から天引きする、そして三つ目、事業をやめる、この選択肢しかないと思いますけれども、財務省、見解いかがですか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど厚生労働省からも答弁がありましたとおり、インボイス制度への移行に伴いまして経過措置が設けられているところでございますし、また、会員である高齢者に負担がかからないよう、地方自治体への適正な価格設定の要請も行われたものと承知をいたしております。

 また、さらに、インボイス制度への移行後もシルバー人材センターが安定的な事業運営が継続できるよう、令和四年度予算案における補助金の増額等、必要な支援も行うこととされているところでございます。

 このように様々な支援策も講じられている中、シルバー人材センターの経営環境に与える要因は、こうした政策的な要因も含めて多々あるところでございますので、そうした中で、民間団体であるこのシルバー人材センターがどのような選択を取り得るのかということについて、あらかじめ予断を持って政府が申し上げることは適切ではないというふうに考えております。

田村(貴)委員 ことごとく何か無責任な答弁ですね。

 そうはいっても、会員とセンターの負担が増える。増えないとは絶対言い切れないわけでしょう、局長。

 それから、シルバー人材センター、仕事の発注の三割は地方自治体。そこに、適正価格といって地方自治体の負担を増やすことによって乗り切ろうとするんだけれども、じゃ、ほかはどうするのかと。結局、増税というのは増税の負担しかないわけなんですよ。

 全国にシルバー人材センターの会員さんが約七十万人います。会員一人、年平均四十万円程度の配分金が渡されています。いわゆるこれが収入であります。シルバー人材センターが存続するためには、会員の高齢者に対して、消費税の課税業者になってもらう場合、経費がなければ、会員は約四万円の消費税を納入することになるわけです。年金で生活が維持できない、だから働いている高齢者の方もたくさんおられるわけですよ。そして、賃金が下がったら年金が下がる、こんな制度まで駆使して、高齢者の年金、下がっているじゃないですか。

 高齢者が、四万円の消費税納税のために課税業者になって、確定申告を行って、帳簿や請求書、その保存を七年間義務づけされます。こんなことを、移行措置だから、そして対策だからといって強いたら、シルバーの会員さんはやる気なくしてしまいますよ。こんなのでいいんですか。現実問題、こういうことができるんでしょうか。それでも、簡易課税を使っていけば納税額は低くなるし、これで対応できると、まだそういうふうにおっしゃいますか。いかがですか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 簡易課税について先ほど言及いたしましたのは、取引先が簡易課税制度を適用している場合にインボイスの影響はないということを御説明申し上げたものでございます。

 その上で、このシルバー人材センターにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、インボイス制度への移行後もこのシルバー人材センターが安定的な事業運営が継続できるよう、令和四年度予算案における補助金の増額等、必要な支援も行うこととしておりまして、引き続き、関係省庁で連携しながら、制度の周知、広報を含め、取組を丁寧に進めてまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 簡易課税であっても、様々な負担が生じてまいります。

 国税庁のタックスアンサーにも書いてあります。課税業者には、帳簿の保存だけでも、いいですか、帳簿を備え付けて、これを、取引を行った年月日、内容、金額、相手方の氏名又は名称などの必要事項を整然とはっきり記載し、この帳簿の閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から二か月を経過した日から七年間、事業者の納税地又はその事業に係る事業所等で保存しなければなりませんと。こんなに厳密に事務制約を課しているわけであります。高齢者に課税業者を選択させることはあり得ないと思います。

 大臣、論議をお聞きになっていただいたと思うんですけれども、先ほどの福岡県議会の可決した意見書、もう一度めくっていただきたいと思います。こう書いてあります。「人生百年時代を迎え、国をあげて生涯現役社会の実現が求められている中、シルバー人材センターの役割は一層重要になってきており、その影響は極めて大きく、まさに存続の危機となる。」、「存続の危機となる。」と書いてあるわけです。現場感はこうなんです。

 先ほど、厚労省の答弁でも、高齢者の生きがい、社会参加、ますます重要だという意義も言われたところです。ところが、センターも七十倍の負担になる、そしてこれを会員さんに強いることは酷だというふうな状況で、画期的な抜本的な対策もなく、今まさにここに突き進もうとしているわけであります。

 鈴木大臣、今こういう状況を進めていくならば、私、シルバー人材センター、なくなるところが出てきますよ。そして、私もやめたという人も出てくるかも分かりません。年金暮らしの高齢者を悩ませ、苦しませる、悲しませる、こういう事態をつくってよいとお考えですか。大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 先ほど厚生労働省や主税局長から答弁をいたしましたが、シルバー人材センター及びそこで事業を行う高齢者に対しても、インボイス制度への移行に伴う経過措置を設けるとともに、厚生労働省より、受注の三割程度を占める地方自治体への適正な価格設定の要請が行われていると承知をしております。

 また、インボイス制度への移行後も、厚生労働省において、シルバー人材センターが安定的な事業運営が継続できるよう、令和四年度予算案における補助金の増額等、必要な支援も行うこととしております。

 会員である高齢者の方々に負担がかからないように、引き続き、関係省庁で連携し、取り組んでまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 公正取引委員会、お越しでしょうか。確認したいことがあります。

 シルバー人材センターが会員の高齢者に対して、仕入れ税額控除ができないことを理由に、高齢者に対して取引価格の引下げを要請し、消費税相当分を差し引いて配分金を払うと決めた場合に、双方納得の上で取引価格を設定すれば、独占禁止法の問題は生じないと理解していいんでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 御質問の件でございますけれども、今後行われる可能性がある段階の行為に係るものということになりますので、当方からの答弁は差し控えたいと思います。

 ただ、一般論として申し上げますと、取引上優越した地位にある事業者が、インボイス制度の実施後の免税事業者との取引におきまして、仕入れ税額控除ができないことを理由に、免税事業者に対して取引価格の引下げを要請する、そして、取引価格の再交渉において、仕入れ税額控除が制限される分について、免税事業者の仕入れや諸経費の支払いに係る消費税の負担をも考慮した上で、双方納得の上で取引価格を設定すれば、結果的に取引価格が引き下げられたとしても、独占禁止法上問題となるものではございません。

田村(貴)委員 では、こういう場合はどうなんでしょうか。

 QアンドAには、取引価格の再交渉が形式的なものにすぎず、事業者の都合のみで著しく低い価格を設定し、かつ、免税事業者が今後の取引を懸念しそれを受け入れざるを得ない場合は、優越的地位の濫用として、独占禁止法上問題となると書かれています。

 これは、具体的にはどういう再交渉が形式的なものとなるんでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 御質問の件ですけれども、例えば、免税事業者が取引価格の維持を求めたにもかかわらず、取引価格を引き下げる理由を書面、電子メール等で免税事業者に回答することなく取引価格を引き下げる場合には、交渉が形式的であるというふうに考えられますけれども、いずれにしましても、交渉が形式的かどうかについては、個別具体的な事案ごとに判断することとなるというふうに考えております。

田村(貴)委員 想定されるケースも、やはり、こういう導入をもう間もなくやろうとしているんだったらちゃんと示していただかないと、立場の弱い免税業者に対して何の救援支援策もないということになるじゃないですか。負担は絶対増えるんですよ。それに対するアンサーがないじゃないですか。

 私は、だから、地方議会から、そして各種業界団体から、この中止、延期、そして必要な対策を求めるというのは当然の声だと思います。今時点で真摯に向き合っていないことを指摘したいと思います。

 法人税の質問も予定していましたけれども、時間が来ましたので、今日は終わって、次回につなげていきたいと思います。

 今日は終わります。ありがとうございました。

薗浦委員長 次回は、明十六日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十六分散会


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