衆議院

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第9号 令和4年3月9日(水曜日)

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令和四年三月九日(水曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 薗浦健太郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 藤丸  敏君

   理事 稲富 修二君 理事 末松 義規君

   理事 吉田 豊史君 理事 角田 秀穂君

      井上 貴博君    石井  拓君

      石原 正敬君    門山 宏哲君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    中川 貴元君

      藤原  崇君    三ッ林裕巳君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      若林 健太君    鷲尾英一郎君

      江田 憲司君    櫻井  周君

      下条 みつ君    中川 正春君

      野田 佳彦君    伴野  豊君

      赤木 正幸君    沢田  良君

      藤巻 健太君    中川 宏昌君

      岸本 周平君    田村 貴昭君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   外務副大臣        小田原 潔君

   財務副大臣        岡本 三成君

   経済産業副大臣      石井 正弘君

   財務大臣政務官      高村 正大君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  松田 浩樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高村 泰夫君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡田 恵子君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    角田  隆君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           松尾 浩則君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       川嶋 貴樹君

   参考人

   (日本銀行企画局長)   清水 誠一君

   財務金融委員会専門員   鈴木 祥一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

薗浦委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行企画局長清水誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官松田浩樹君、内閣審議官高村泰夫君、金融庁監督局長栗田照久君、外務省大臣官房審議官岡田恵子君、財務省理財局長角田隆君、国際局長三村淳君、農林水産省大臣官房審議官松尾浩則君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官川嶋貴樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

薗浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。野田佳彦君。

野田(佳)委員 皆さん、おはようございます。立憲民主党の野田佳彦でございます。

 今日は、私は、ロシアに対する経済金融制裁に絞って、大臣中心に質問をさせていただきたいと思います。

 日曜日、六日の日に、地元のJRの船橋駅で、ウクライナ難民支援のための募金活動をさせていただきました。二時五十分から三時半までという限られた時間だったんですけれども、手応えが物すごくありまして、普通はコインを投ずる人が多いんですね、いろいろな募金活動をやってきましたけれども、お札ばかりなんですよ。一番多かったのは千円札。でも、五千円札、一万円札を入れる人もいました。物すごい関心がありますね。

 これは、それだけ、ロシアの暴挙は許せない、そして、困っているウクライナの人たちを助けたい、その気持ちがひしひしと伝わってまいりました。その思いを今日は私は踏まえて質問したいと思いますが、まず、ちょっと服装で表そうと思って、ネクタイはブルー、ポケチは黄色にしてまいりました。気を引き締めて頑張っていきたいというふうに思います。

 大臣は、プーチン大統領と直にお会いしたことはありますか。これは質問じゃないですよ。私は二回、首脳会議、経験をしているんです。

 一つ、最初は、一回、大統領を退いて首相をやっていましたね、その後に大統領に二〇一二年に返り咲いたんです。返り咲いて間もなくに、メキシコで開催をされたG20の首脳会議のときに、マルチの会議の合間にバイの会談をセットしました。このとき、プーチンは一時間以上遅れてきたんです。物すごく腹が立ちました。腹が立ったというのは、通常国会のさなかで、社会保障と税の一体改革という重要テーマがあるときに、やっと国会のお許しをいただいて出た、ゼロ泊四日のまさに行程の中でやっと組んだ日程なのに、一時間以上遅刻なんですね。これは私に対してだけではなくて、遅刻の常習犯です。オバマだってさんざん待たされました。ということをやる人です。

 二回目は、ウラジオのAPECのまさに会議です。このときは、遅刻ではなくて、無理難題を言ってくるんですね。試してくるんですよ。どんな難題かというと、APEC成功のために五百人のロシアの若者たちが協力してくれた、ありがたかった、そのお礼に日本に行かせてあげたいんだと言うんですね。いいですよ、ウェルカムですよと言ったら、いや、実はね、三日後に横浜に行かせたいんだよね、ビザを至急発給してくれと言うんですよ。突貫工事でやりましたけれどもね。

 遅刻はするわ、無理難題は言うわ、この人の癖は試すことだと思いました。

 まさに国際社会を試したのは、私は二〇一四年のクリミアの併合だったと思います。このとき、国際社会は、特に、まず欧米、制裁を加えましたけれども、実効支配が終わった後だったんですね。遅かったんですよ。日本は、それを静観しながら、十日後にようやく制裁に入っていった。しかも、欧米に比べれば、中身の空っぽの、すかすかの制裁でした。

 私は、二〇一四年の対応、プーチンがまさに力による現状変更の試みをやろうとしたときの対応が、国際社会、日本も含めてまずかった。それを成功体験とさせてしまったことが今回につながっていると私は思うんです。二〇一四年の厳しい総括をするところから始めなければいけないと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 おはようございます。

 プーチン大統領の、いろいろ、人格とか性格とかいうことにつきまして、大変興味深いお話を今承ったところでございます。

 そういうお話を前提に、二〇一四年を振り返ってどうだったかということでございますが、二〇一四年、野田先生御指摘のとおり、ロシアによりましてウクライナの主権及び領土の一体性に対する侵害を受けまして、我が国は、米国、EUとの協調によりまして金融制裁として行いましたことは、一つは、個人、団体に対する資産凍結、そしてもう一つは、ロシアの主要銀行の我が国における証券の発行、募集の禁止、この措置を講じたところでございます。

 G7諸国が連携してこのような措置を講じたことで、例えばでありますが、日本も含め、主要国の銀行による対ロシア融資の残高が二〇一四年の制裁措置を境に大幅に減少するなど、全体としては一定の効果があったのではないかな、そんなふうに考えます。

野田(佳)委員 あの当時は、日本の制裁は真空切りとやゆをされていました。資産の凍結の話をされていましたけれども、アメリカは個人や団体の資産凍結は七百数十が対象ですね、日本は数十でしたよ、これ一つ取っても。やはり、そこは厳しく総括しなければいけないと思います。一定の役割は果たしたということは全く私はなかったと思いますね。

 しかも、その制裁自体も甘かったけれども、クリミア併合後、各国は公的な投融資は縮小、中止していますね。ところが、昨日、あのJBICの前田さんが来ていましたけれども、日本は投融資、増えているんですよ、公的投融資。それは、北方領土の議論を進めたくて、経済協力を、二〇一六年、八つのプログラムを作った、プランを作った。昨日、櫻井さんが質問していたとおり、そういうことをやって独自の動きをやってきたことが私はプーチンを増長させた一つの原因だというふうに思うんです。

 紛争の平和的な解決というのは、人類の英知だったと思うんです。その英知を今回は踏みにじったことに対して、今回はもっと、二〇一四年の対応以上に、日本はしっかりと厳しく私は対応すべきだというふうに思うんです。

 プーチンは柔道家なんですね。残念なんです。私も柔道経験者なんです。学生時代、柔道をやっていました。寝技が下手で、政界では全く寝技が、本当に失敗ばかりなんですけれども、プーチンは私より高段者ですけれども、講道館柔道の精神が分かっていないですね。講道館柔道の精神というのは自他共栄ですよ。お互いに信じ合って助け合って共に栄えていこう。そして、精力善用という言葉がある。政治勢力の精力をいい方向に使っていこう、力による威圧とか、屈服させるんじゃなくて、世の中のために役に立とうというのが講道館柔道の精神なのに、全く分かっていないので、本当に残念なんですけれども。

 そのプーチンに対して、こうやって現状はもう残念な、まさに力による現状変更が始まったわけですから、どういう対応をするか。これは、厳しい経済金融制裁しか私はないと思うんですね。今は軍事力によってロシアが押している、ウクライナがピンチになっている。でも、経済金融制裁によって経済的にはロシアが追い詰められている。まさに今、瀬戸際の戦いで、一糸乱れずに我々は戦っていかなければいけないと思いますし、この経済金融制裁が功を奏すれば、力による現状変更という試みを抑止していくという抑止力になってくると思います。

 そうすると、これがまた成功体験になると、バルト三国も危なくなります。東ヨーロッパ、いろいろなことが起こってくるかもしれません。東アジアだって、力による現状変更の試みを、企てをする国があるかもしれない。その抑止のためには、この経済金融制裁をしっかりとやり抜いて野望を砕くというところを決意を持って臨まなければいけないと思いますが、大臣の御決意をお伺いをしたいと思います。

鈴木国務大臣 今回のロシアによるウクライナへの侵攻は、野田先生御指摘のとおりに、力による一方的な現状変更の試みでありまして、国際秩序の根幹を揺るがす行為である、そのように認識をいたしております。国際秩序の根幹を守り抜くため断固として行動し、ロシアの暴挙には高い代償が伴うことを示していく必要があると思っております。

 ロシアに対する一連の制裁は、G7各国等との緊密に連携をすることによりまして、力による一方的な現状変更は認めないとの強いメッセージを国際社会に与え、ひいては抑止力につながるものだと認識をいたしているところでございます。

野田(佳)委員 それでは、個別の制裁についてのお尋ねを具体的にさせていただきたいというふうに思います。

 これも昨日、末松さんだったでしょうか、ほかの方も質問されていましたけれども、SWIFTから七行、ロシアの七行、大手行を排除するという制裁を加えています。これは、フランスの経済財政担当大臣は金融の核兵器と言っていますね。余り核という言葉をうかつに使うべきでは私はないと思っているんですけれども、それぐらい威力がある、期待をしているということだと思います。

 この効果が上がっているのかどうか。かつて、国際社会は、いわゆるSWIFTからの排除を活用したことがありました。最初は、二〇一二年のイランに対するSWIFT、金融機関の排除であります。このときは、二〇一一年、イランはプラス成長だったんですけれども、二〇一二年のこの制裁によってGDPはマイナス七・四%になっていますね。原油輸出の収入は半減しています。二〇一八年にも同じ制裁をしていますけれども、このときもやはりイランですけれども、イランは、GDPマイナス六%、通貨リアル、価値が六分の一に下がる。やはり効果があったと思うんですね。

 今回の、今のSWIFTからの排除というのはどういう効果を上げつつあるのか、分析をお聞かせいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 ロシアに対する一連の経済制裁、これは、先ほど申し上げましたが、G7各国等と緊密に連携することによりまして、力による一方的な現状変更は認めないという力強いメッセージを国際社会に与え、ロシア経済に甚大な効果を与えるものと考えております。

 ロシアの七つの銀行のSWIFTからの排除につきましても、ロシアを金融システムや世界経済から隔離をさせるための措置を講じたものでありまして、これらの銀行はグローバルに活動する能力が損なわれることになる、そのように認識をいたしております。

 実際、ロシア・ルーブルが急速に下落をしているほか、ロシア株式市場の休場、ロシア国債の大幅な格下げといった状況が現に見られているところでございます。

 こうしたロシアにおける金融市場の動きは、SWIFTからの特定銀行の排除を含めた一連の経済制裁を各国で協調して実施した結果がそこに表れていると受け止めております。

野田(佳)委員 ルーブルの下落の御指摘などございました。これは後でロシアの中央銀行の制裁に絡めてお話を聞こうと思っていたんですが、ルーブルの下落があるけれども、でも、方法論として、外貨を活用していけば、いわゆる買い支えをできる、外貨準備を活用して。それもロシア中央銀行への制裁があってできなくなってきていますね。非常に、だから、その意味ではルーブル下落は痛いはずです。だから、非友好国として日本を含めて四十八の国が指定をされて、ルーブルでもいわゆる返済できるようにという今回の動きなので、苦しくなってきていると思うんですね。

 ルーブルが下落すれば、当然のことながら輸入物価がどんどん上がっていくわけですから、ロシアの国民の生活も厳しくなるわけで、情報統制しているけれども、生活が厳しくなれば、プーチンに対する遠心力も働き、反戦機運も高まってくると思いますので、このロシア中央銀行への制裁と併せて、今回のSWIFTからの排除を連動させることは、私は効果が出てくるはずだと思うし、ちょっと今御指摘がありましたけれども、国債の方にも今影響していまして、恐らく四月ぐらいにはデフォルトに陥るのではないかというような指摘もありますから、かなりロシアも厳しくなってくると思いますから、そこは、一致結束という言葉を使いましたけれども、しっかりと緊密に連携しながら対応をし続けていただきたいと思うんです。

 ただ、抜け穴があるのではないか。抜け穴という穴が指摘されているのが暗号資産ですよね。ロシアというのは仮想通貨大国ですので、暗号資産を通じてこの制裁から逃れようとする動きがあるのではないかという指摘があります。

 これもしっかりとみんなで抜け穴をなくしていく努力が必要だと思いますが、各国の取組、そして日本の取組、是非御説明をいただければというふうに思います。

鈴木国務大臣 暗号資産がロシアへの経済金融制裁の抜け穴になるのではないかという御指摘がございます。

 暗号資産につきましては、G7、G20やFATF等の国際的な取組を通じて、これを用いた不正な資金移転への対策強化を図っているところでございますが、国内におきましても、令和二年に外為法に係る通達を改正をいたしまして、許可制の対象となる制裁対象者に対する支払いには暗号資産を移転する行為も含まれることを明確化するなど、政府一体となって資産凍結措置の強化等に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、こうした取組を進めつつ、G7を始めとする国際社会と緊密に連携をして、こうした抜け穴を少しでも塞いでいくということを通じて、経済制裁の実効性確保に努めていかなければならない、そのように思っております。

野田(佳)委員 是非、国際社会と、国内においてはいわゆる仮想通貨の登録業者の団体みたいなのがありましたよね、自主規制団体。金融庁とそこもよく緊密な関係を保ちながら、有効に対応してほしいというふうに思います。

 今、抜け穴の話をしましたけれども、今も一定程度の効果を上げていると思うんですが、でも、まだロシアがへこたれないという状況ならば、追加の制裁もしていかなければいけないと思います。いろいろな手段があると思います、追加制裁。

 その追加制裁の中の一つが、それこそ昨日、末松さんが指摘をしていた、最大手の、一番大きなロシアの銀行がこのSWIFT排除の対象から外れているんですよね、ズベルバンク。これはロシアの国内に拠点が一万四千もあるような、日本でいえばゆうちょ銀行みたいな存在じゃないですか。これが対象から外れているというのと、それから、ガスプロムという国営ガス企業があるじゃないですか。ガスプロム関連の銀行も外れているんです。したがって、エネルギーに関わる取引をしているような会社が使っているようなガスプロム傘下の銀行も外れているということは、それは、特に欧州、ロシアからの天然ガスや石油を輸入している国もあって、さすがにエネルギーでぎりぎりやるのはつらいな、アメリカとイギリスは何か原油の禁輸の動きになってきましたけれども、そこにつき合い切れない欧州の国もあるので、まさにぎりぎりのところが今までやってきた。

 このエネルギージレンマを超えるかどうかが、もう一つの、重要な追加制裁の一つの局面になると思うんですが、この見通し、あるいは、場合によっては、それはやるべきではないかという考えを持っているのか。お答えとして、各国の動きを見ながらじゃなくて、日本としてそういう構えを持っているのかどうか。

 日本だって、エネルギーだったら、もちろん、いろいろな返り血がありますよ、当然のことながら。例えば、日本の原油というのはロシアから四・八%輸入している。天然ガスは八・何%。当然、影響はあるわけですよ。影響はあるけれども、欧州に比べれば軽微だと思います。

 追加制裁の可能性として、エネルギーに関わるかもしれない、そういうところまで踏み込むという覚悟を持っているのか、持っていないのか、お聞かせいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 SWIFTからの除外の対象につきましては、国際社会への影響を見極めつつ、ロシアに対して最大のコストを課すべく、日本を含むG7を始めとする国際社会が緊密に連携した結果として、最終的に、SWIFTの所在地である欧州の当局において決定をしたものでございます。

 ズベルバンクやそれからガスプロムといった御指摘の銀行への対応を含めまして、今、状況も刻一刻変わっておりますので、現時点で断定的なことを申し上げることはなかなか難しいと思いますが、今後の状況の推移、制裁の効果をしっかり勘案をして、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携して、適切に取り組んでまいりたいと思います。

 それぞれの国において、自国の経済への影響、国民生活への影響を考えて、どうしてもここまで、ぎりぎりだというようなところも各国あるんだと思います。また、日本も、各国と協調して行う、日本一国だけがやっても効果はないわけでありますので、そうした全体の動きを見極める必要があるのではないかと思っております。

野田(佳)委員 注意深い御回答だったというふうに思いますけれども、おなかの中には、私、冒頭で申し上げましたけれども、この経済金融制裁が本当に力による現状変更の試みの抑止力になるかどうかという、まさに国際社会にとっては大きな試金石でありますので、その試金石であるということをよく踏まえた、場合によっては現状よりももう少し踏み込んだ対応というのを考えざるを得ないということも私は覚悟していただいておいて、当然、国際社会との連携は当然です、日本だけで何にもできません。だけれども、イニシアチブを持って意見を言うということはあるわけでありますので、覚悟だけは是非私は持っておいていただければというふうに思っているところであります。

 もう一つ、今日は外務省からも政府参考人がお越しでございますので、お尋ねしたいと思いますけれども、ロシア中央銀行への外貨準備の取引制限、ロシア中央銀行ですから日銀に制裁を加えていると同じでございますので、この外貨準備の取引制限というのも相当に効果が出つつあるのではないか。さっきルーブルの下落のお話なんかも、既に大臣からお話がございましたけれども、このロシア経済への打撃というものをどのように分析をしているのか。お尋ねをしたいというふうに思います。

鈴木国務大臣 ロシア中央銀行への制裁措置、ロシアにどのような打撃を与えているかということでございますが、この制裁措置は、二月の二十八日に公表をいたしまして、三月一日に閣議了解をしたところでございます。G7諸国と足並みをそろえて中央銀行に対する制裁措置を実行に移したことによりまして、ロシア中央銀行が我々の制裁の効果を損なうような形で外貨準備を展開することを阻止することにつながったと思っております。

 各種の制裁とその効果について、必ずしもこの対応関係をはっきりさせるわけではありませんが、ロシア中央銀行に対する制裁を公表した直後の二月二十八日には、ルーブルは急速に下落をいたしました。そして、その対応には、ロシア中央銀行が政策金利を九・五%から二〇%に引き上げる等の動きがあったところでありまして、こうした措置の効果が上がっているものと考えております。

 こうしたロシアにおける一連の動きは、ロシア中央銀行への制裁措置を含めた一連の経済制裁を各国で協調して実施した結果と受け止めているところでございます。

野田(佳)委員 ロシアが持っている外貨準備のうち、日本円というのは六パー前後ぐらいらしいですね。それから、ドルとかユーロとか含めて、今回制裁に加わっているそうした諸国の外貨を合わせると六割になる。六割の外貨を使いこなせない、自由に使えないということが、ルーブルが下落しているときに対応できない今状況をつくっているということですから、非常に効果が出てきているんだろうというふうに思います。

 これは、さっき申し上げたとおり、ルーブルが下落をどんどんしていって、そしてロシア国内の物価がどんどん上がっていく、まさにインフレとの戦いを国内では余儀なくされるということですから、そこに追い込む作戦だと思いますので、これは私は有効なんだろうというふうに思いますし、引き続きこの動きを注視をしていきたいというふうに思います。

 もう一つ、最後にお尋ねをしたいと思うんですけれども、これは基本方針に関わることなんですね。

 二〇一六年に、対外経済協力プラン、これをロシアとの間で合意をいたしました。これはまだ完全に白紙に戻したという状況ではないんですよね。だって、まだ担当大臣がいるわけでしょう。経産大臣が対ロ経済協力担当大臣でしょう。特定の国に対する経済協力を担当する大臣というのが私はそもそも違和感があったんですけれども、この状況においてもまだ経産大臣が兼務をしている。せっかくいろいろな制裁を、厳しい制裁をやっているにもかかわらず、何か私ははっきり分からない不透明な動きだと思うんですね。

 むしろ、こうした経済協力を白紙に戻す。ウラジミール、晋三の個人的な信頼関係で二十何回も会談を積み重ねてきたけれども、二島先行返還も、歯舞も色丹も返ってくる気配はない。石ころ一つ返ってくる気配がない。むしろ、二〇二〇年にロシアは憲法を改正して、領土の割譲を禁止したじゃないですか。あの時点で、もうこれ以上経済協力を進めてもしようがないと。

 経済協力しようという意図は分かるんですよ。肩をもみながら、領土で妥協してもらおうということだったわけでしょう。でも、向こうは、ジャパン・マネーを島を人質にして引き出していこう、長引かせれば長引かせるほど得するぞという魂胆だったと私は総括すべきだと思うんです。まさに、戦後外交の総決算と元首相はおっしゃっていましたが、このロシアの外交については戦後外交の総決算の総決算を私はしなければいけないと思います。

 という意味では、もう経済協力は白紙であると。だって、ロシアだって非友好国ともう言ってきているわけでしょう。それに抗議していますけれども、日本だけパートナーとして扱っているというのはやはり変ですよ。変ですよ。経済制裁しているわけですから。だとするならば、この基本的な方針を根本から見直しして、むしろ、そうしたお金ではなく、ウクライナへの緊急人道支援、これは一億ドルを決定したんじゃないですか。さっき募金活動の話を冒頭で申し上げましたけれども、私は、国民感情ではもっと助けたいという気持ちが強いと思いますよ。

 ロシアへの経済協力を白紙にして、むしろウクライナへの緊急人道支援をもっと拡充する、こういう流れに変えるべきではないかと思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 現下のウクライナ情勢を踏まえますと、国際社会は、ロシアの侵略により、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできないと考えておりまして、我が国といたしましても、ロシアとの関係で新たな経済分野の協力を進めていく状況ではないと考えております。

 ウクライナへの緊急人道支援につきましては、国難に直面するウクライナ国内及び周辺国に避難された人々に対する一億ドルの支援を他国に先駆けて、二月二十七日、岸田総理から表明いたしました。その後、各国から追加的な支援表明があり、三月一日に発表されました国連からの支援要請というものはある程度満たされる見通しとなっております。また、我が国の拠出は他国に比べましても遜色ないものとなっております。

 まずは、ウクライナやG7を始めといたします国際社会と緊密に連携し、この一億ドルの緊急人道支援を迅速かつ確実に実施してまいりたいと考えております。その上で、今後の情勢の変化を適切に見極めつつ、我が国としてあるべき支援の在り方についてしっかりと考えていきたいと存じます。

野田(佳)委員 時間が来ましたから終わりたいと思いますけれども、ようやく、我が国の固有の領土であるとかロシアの不法占拠という言葉、今まで封印してきましたけれども、岸田総理、その言葉をお話しされるようになりました。それでいいんですよ。平和条約の締結は目指さなければいけませんが、ポスト・プーチンで目指すべきではないでしょうかということだけ申し上げて、質問を終わりたいと思います。

薗浦委員長 次に、江田憲司君。

江田委員 おはようございます。

 私もロシアへの経済金融制裁を議論させていただきたいんですが、その前に、ちょっと順序を変えまして、SMBC日興証券の相場操縦の問題から入りたいと思います。

 この問題につきましては、今、東京地検特捜部、刑事責任を問う立場から捜査が進んでいると理解をしておりますし、昨年秋には証券取引等監視委員会も調査に入ったという報道もされておりますので、両者が連携をして進められているんだろうと思うんですけれども、やはり、鈴木大臣、金融担当大臣として、監督官庁として、刑事責任とは別に行政的側面、SMBC日興証券といえばもう大手ですよね、証券会社。日本の金融市場といいますか株式市場の信認、公正性、そういったものがもう著しく毀損するかもしれないような大変な疑惑ですよ。

 相場操縦といえば、金融商品取引法の一番重罪ですよね。そういう事態を目の当たりにして、監督官庁として、大臣、しっかり自らも調査をし、事態を把握し、そして、将来的な、これがどの程度のものか、ある程度分かった段階でしっかりとした行政処分を刑事責任とは別にしなければならないと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

鈴木国務大臣 本来は市場の公正な取引確保のために尽力すべき証券会社の役職員が、金融商品取引法違反の疑いで逮捕されました。これは、江田先生御指摘のとおり、市場の信頼を根っこから揺るがしかねない事態でありまして、大変に遺憾なことであると強く思います。

 金融庁としては、今、捜査過程でございますが、その動向も踏まえまして、必要に応じて厳しく対処をしてまいりたいと思っております。

江田委員 こういう事態を受けて、金融庁として、このSMBC日興証券の方から事情聴取とかいろいろなヒアリングはされているんですか、既に。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、現在、検察が捜査をしている過程でございますけれども、我々は当社から必要に応じて話を聞いているということでございます。(江田委員「しているのかと、既に」と呼ぶ)SMBC日興証券から我々は話を聞いているということでございます。

江田委員 是非、この会社のガバナンスというかコンプライアンスというか、組織ぐるみという指摘もあるわけでございますので、やはり刑事責任とは別に、しっかり監督官庁として、大臣、事実であれば厳正な対処をしていただきたいというふうに思いますので、その決意をもう一度、ちょっと大臣、披瀝していただけませんか。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、今回の事件、捜査中ではありますけれども、そうした市場の信頼を失う本当に根本的な問題である、ゆゆしき問題であると思っていますので、行政、金融庁という立場で法令に従ってしっかりした厳正な対応をしてまいりたいと思います。必要に応じてしてまいりたいと思います。

江田委員 是非よろしくお願いいたします。

 さて、それでは本題に入りたいと思いますが、プーチンによる残虐非道といいますか、かつ卑劣な侵略行為は断じて許してはいけないと私も思っております。

 今、本当に日本というか日本人、これはお子様も含めて、大変な関心を持って今のウクライナの危機の推移を見守っているという状況だと思いますね。何が一体できるのか。我々日本人として、日本として、こういう事態を目の当たりにして一体何ができるのか。戦争を支援するわけにはいきません、我々日本としては。あと、欧米のように武器を供与するわけにもまいりません。したがいまして、やはり政治的には毅然とした経済制裁、欧米というか、特にG7と協調しながら、今度こそ日本としてしっかり断行していくということが必要だと思います。

 日本人一人一人、私も日本人の一人、政治家以前に一人としては、先ほどもお話も出ましたけれども、私もこの前、土曜日でしたかね、一、二時間、街頭に出て、募金活動をやりました。一、二時間で数十万募金をしていただいたんですけれども、本当に感動したのは、小学生、中学生の皆さんが一人一人、親御さんと一緒に来られる方もいるので、それよりも多くの一人一人の人が駆け寄ってきて、お小遣いの中から小銭を入れてくれるということですね。私は本当に感銘を受けるほど。

 とにかく、今、日本及び日本人、一体我々は何ができるのか、ウクライナの苦しんでおられる人たちに、そう真剣に考えておりますので、我々として、政治家としてはしっかり、先ほどもお話が出ましたように、クリミア併合時の腰砕けの、中身のない、効果のない制裁ではなくて、しっかり毅然として、これも岸田政権として、るるおっしゃられておりますけれども、しっかり今度は歩調を合わせて、断固とした制裁措置を取っていただきたいと思うんですね。

 ということで、先般、一日ですか、G7財務大臣・中央銀行総裁会合を行われたときにも既に打っている経済金融政策の現状とか効果とかを議論されているようですし、それから今日この時点に至るまでの間に、いろいろニュースを見ますと、先ほども話が出ていましたけれども、取付け騒ぎが起こっているだとか、ATMの前に長い行列ができているとか、預金の引き出しの額をズベルバンクですらが極めて限定的に制限したとか、いろいろな情報が飛び交っておりますけれども、財務大臣として、今、経済金融制裁を各国が科している、その効果、ロシアの中でどういう現状になっているのか、御認識を伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 先ほど来御答弁をさせていただいておりますが、我が国として、G7を始めとする国際社会と協調いたしまして、経済的な制裁を行っているところでございます。

 その効果でございますが、事態が刻々変わりますので断定的なことを申し上げることは難しいわけでありますが、ロシア・ルーブルが急速に下落をしているほか、株式市場の休場、それからロシア国債の大幅な格下げといった状況が見られ、これが経済制裁の効果の一つである、こういうふうに思っております。

 江田先生御指摘のとおり、三月一日にG7の財務大臣・中央銀行総裁会議がございました。その場におきましても、制裁の協調された実施が実効性確保の観点から重要であること、我々の制裁、とりわけロシア中央銀行への制裁措置及びSWIFTからのロシア特定銀行の排除が既にロシアの経済や金融市場に大きな影響を与えていること等で一致をしたところでございます。

 今後とも、引き続きまして、国際社会と緊密に連携をして、経済制裁の実効性確保に努めていくことが大切なことである、そのように認識しております。

江田委員 外務省、副大臣、来られていますか。

 北方領土交渉、私は、クラスノヤルスク合意、エリツィン大統領時代に携わったわけですけれども、その後、そのこともあってフォローしているつもりですけれども、一番のターニングポイントというのは、私は長門会談だったと思っていますよ、一六年十二月の。

 これは、私、何度か予算委員会でも申し上げているんですけれども、そのとき、プーチンさん、さっき一時間遅れたという話もありましたが、あのときも二時間、三時間遅れているんですよ。それはどうでもいいんですけれども。そこで、プーチンさんがこう言ったらしいですよ。晋三、領土というのは武力をもって取るものなんだ、血を流して取るものなんだ、理屈じゃないんだとすごんだという話を聞いています。

 それが、紙切れ一枚の、二十数回もプーチンに安倍総理は会っているんだけれども、唯一日本に来たのは、この一回だけ。この時点でもう負けているんですよ、外交交渉というのは。私は、恐縮だけれども、当時の安倍総理にも、お百度を踏む朝貢外交では足下を見られるんだと。そのとおりのことが今結果として表れているわけですけれども。紙切れ一つのプレス向け声明ですよ。プレス向け声明ですよ。共同宣言の格下、格下の中で、一枚紙で、領土の二文字もなかったんですよ。

 そこで約束したのが、北方領土における共同経済活動、新しいアプローチだと。何が新しいんだ。小渕政権時代に、ちゃんと共同経済活動委員会までつくって、お互いの法的立場は侵害しないという前提条件を基にやろうとしたんだけれども、結局、お互いの法的立場を侵害しないなんてことがあり得なかったのでついえたものをもう一回持ち出して、焼き直して、新しいアプローチだといって。

 結局、これも足下を見られて、取られるものだけ取られて、シンガポール合意、一八年の十一月でしたか、秋。これは二島先行じゃないですよ、二島のみ返還にかじを切ったというのが安倍政権なんですよ。しかし、それさえも蹴られて、今、北方領土は着々と軍事基地化しているじゃないですか。

 ですから、私も、プーチン相手に北方領土交渉はもうあり得ないと思うんです、残念ながら。プーチンが替わる、次の大統領を相手に再開するしかないと思いますから、ここは外務省としても毅然として、まず、北方領土における共同経済活動、いや、進んでいるのか進んでいないのか、私、分かりませんけれども、これもしっかり停止、やっているなら停止して撤回する、それぐらいの宣明というか宣言をすべきじゃないか、今この時点で国際社会に向けて。協調しているG7、欧米諸国、全世界に向けて、もう日本はロシアに対して毅然として対応するんだ、この共同経済活動ももうやめるんだ、これぐらいのことはおっしゃるべきではないですか。

小田原副大臣 江田委員にお答え申し上げます。

 その前に、総理大臣政務秘書官として大活躍された先輩に私見を一言だけ申し上げます。

 私が政治家になりたいと思ったのは、八歳のとき、一九七二年五月十五日に沖縄が返ってきたのを見たからであります。私の父は自衛官でありました。自衛隊を一切使わず、戦争で負けて取られてしまった領土が返ってくるなんて、政治と外交の力はすごい、いつかこういう仕事をしたい、そう思ったのがきっかけでありました。十年前に初当選するまで四十年かかりましたが、それも天命でありましょう。

 ただいま、二〇一六年の会議の際、領土は武力で取るんだというのにあたかも合意されたかのような御発言があったように受け止めましたけれども、まずはお答えを申し上げますと、今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。明白な国際法の違反であり、断じて許容できず、厳しく非難するものであります。今こそ、国際秩序の根幹を守り抜くため、国際社会が結束して、毅然として行動しなければなりません。我が国として、このことを示すべく、断固として行動してまいります。こうした暴挙には高い代償が伴うことを示してまいります。

 こうした考えの中、我が国は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携し、迅速に厳しい措置を打ち出しています。御指摘の八項目の協力プランの下、これまで二百件を超える民間プロジェクトが創設されています。日ロ両国の貿易経済分野の協力の進展に貢献してまいりました。しかしながら、現下のウクライナ情勢を踏まえれば、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできないと考えています。ロシアとの関係で新たな経済分野の協力を進めていく状況にはありません。

江田委員 私がそれを合意したかのようなって、そんな発言は撤回してくださいよ。まさにここにプーチンの本性が表れている、その結果がウクライナ侵攻だということを申し上げているんですよ。あなた、何を言っているんですか。ちゃんと聞いていなさいよ。私が、何、武力で領土を取るんだというのに合意したかのように。ばかも休み休み言いなさいよ。何を言っているんですか。

 今、新しいのは確かにやめると言ったけれども、既存のやつを撤回とか凍結とかしないんですか。

小田原副大臣 八項目の協力プランに含まれるものを含む既存の民間プロジェクトについては、医療分野やエネルギー分野を始めとする多岐にわたる事業があります。その進捗状況もまちまちであるところであります。今後、それぞれの事業ごとに必要に応じて検討がなされていくと考えます。

 踏み込んで申し上げれば、撤退するべきかどうかを含め、今後、それぞれの事業ごとに必要に応じて検討がなされていくと考えています。統一的な方針を示すことは考えておりません。

江田委員 そんな危機意識のなさだから、日本はいつもばかにされるんですよ、ロシアに弱腰だといって。

 もう北方領土のことは、プーチン時代、絶対進みませんから。もうそういうことは捨象して。医療とかいろいろな人道的なものはともかく、中にはこういうエネルギーや天然ガスの話も入っているし、いろいろな中小企業の協力とか。それは本来ならやるべきですよ。しかし、ここまで侵略行為をやっているロシアに対して、とにかくもう止める、既存のやつも。だって、派遣するんですか、人をそこで、技術協力なんて。派遣できないでしょう。だから、こういうのは国際社会に分かりやすいメッセージでばしっとやるということが、日本のそういう外交努力の評価につながっていくわけですよね。

 それから、私が質問したのは、北方四島における共同経済活動はどうするんですか、こうお聞きしたんですよ。八つの項目のプランとは違いますよ。

小田原副大臣 江田委員にお答え申し上げます。

 北方領土に関する我が国の立場はいささか変わるものではありませんけれども、この状況に鑑みれば、平和条約交渉や北方四島における共同経済活動の展望について申し上げる状況にないと考えています。

江田委員 展望について申し上げることはない。

 共同経済活動は、今、何か進んでいるプロジェクトはあるんですか。言ってください。

小田原副大臣 現在は、北方四島における共同経済活動の五分野のプロジェクト候補を二〇一七年に日ロ首脳会談で特定しているところであります。一つは海産物の共同増養殖、もう一つが温室野菜の栽培、三つ目が観光、四つ目が風力発電、五つ目がごみ処理であります。

江田委員 プランとおっしゃいましたけれども、じゃ、凍結すればいいじゃないですか。プーチンは日本を非友好国とみなしているんでしょう。そんな国に、何、このプランを生きたまま続けるんですか。

小田原副大臣 凍結するかどうかについては、先ほどの私からのお答えのとおりであります。

 また、既にパイロットプロジェクトとして、観光に関する専門会合、また、ロシア人ごみ処理専門家による北海道の本島の視察、日本人ごみ処理専門家による国後島の視察、観光パイロットツアーなどが既に行われているところであります。

江田委員 それを凍結すべきだと申し上げているんですよ。

小田原副大臣 これは民間の我が国の事業者も関与していることでありますし、それぞれの進捗状況や採算の見通しなど、まちまちであります。今のところ、政府として統一の見解は持ちません。

江田委員 まあ確かに、総理大臣に聞くべき質問ですわ。副大臣が判断できるような問題じゃありませんからね。しかし、しっかり伝えてくださいよ、林外務大臣にも。

 きちっと、こういう、本当にいつも思うことだけれども、本当に後追いじゃ駄目なんです。G7と協調して、欧米がやりましたから日本もやりますじゃ、いつまでたっても、本当、餓鬼大将の後ろについていく何とかみたいなのと同じですよ。だから、もっとリーダーシップを発揮してください、日本の外交を担っておられるんですから。

 もう時間がだんだん、こんなことで過ぎちゃったんですけれども、SWIFTからのズベルバンクとかガスプロムバンクの排除をまだやっていないのは、将来、私は必ず、少なくともズベルバンクぐらいは、キエフが陥落、時間の問題だと指摘される専門家もおられますので、そういう悲劇は避けるべきですけれども、これからのウクライナ危機が深刻度を増すにつれて、ズベルバンクもSWIFTから排除するということに私はなると予想していますけれども。

 ちょっとお聞きしたい、技術的なことなんだけれども。SWIFTというのは、民間協同組合形式で、ベルギーの法律に従って、EUの決定を受け入れるというわけですね。そうすると、仮にこのズベルバンクをSWIFTから排除するという決定をSWIFTが、EUが決定をして、やるとなれば、それは自動的にこれは日本もSWIFTを通じた送金云々はズベルバンクについても停止されるという理解でいいですか。大臣、大臣が手を挙げておられる。委員長、大臣。

三村政府参考人 私からお答え申し上げます。

 まず、これまでにSWIFTから排除の対象になっておりますロシアの七つの銀行、これは当然、EUの決定を受けまして、SWIFTのサービスが提供されないわけでございますから、これは、日本も含めまして世界中の銀行、どこであれSWIFTを使っての取引というのはできないということでございます。

 これに加えまして、日本としては、この七つの銀行、既に資産凍結措置も講じてございますので、SWIFT以外のやり方を使ったものも含めまして、日本の金融機関、七つの銀行とは一切取引を止めております。

江田委員 分かりました。

 だから、EUがSWIFT排除と決めれば、もう自動的に日本の銀行もSWIFT排除で従わざるを得ないということですね、現状は。そういう理解ですよね。だから、主体的判断ではなくて、そういうふうになるということですね。

 それでは、ちょっと時間ですので、最後、肝は、これは大変難しい問題だと私も認識していますが、石油とか天然ガス、エネルギー、ここをどうするか。

 ロシアの外貨獲得の七割ぐらいを占めている。逆に言うと、これが抜け道になれば、もう決定的なやはりロシアへの制裁効果というのは生まれないかもしれないという状況の中で、サハリン1、2、これは私も昔携わったことがあるんですけれども、日本のエネルギー安全保障上、大変重要なプロジェクトというのは分かっていますけれども、しかし、事ここに至って、これだけの国際法の重大な違反、侵略行為が行われる中で、エクソン・モービルだ、シェルが撤退をしている中で、要は、LNGガスの輸入比率に占めるロシアの割合というのが八・何%ですか、それから原油が三・六、これをどう見るかですけれどもね。

 やはり、私は、昨日も萩生田大臣がエネルギー安全保障上も重要なんと言うけれども、こんなカントリーリスクのあるロシアにそれほどの石油、天然ガスを依存している方が日本のエネルギー安全保障上、私は問題だと思いますけれどもね。

 この際、しっかりと、撤退をすると。これは同友会の代表幹事の桜田さんもおっしゃっているお話ですから、最後、今日は経産副大臣ですか、来られているので、ここで決意を表明してください。副大臣、よろしくお願いします。

薗浦委員長 石井経済産業副大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

石井副大臣 サハリン1、2について御質問いただきました。

 もう議員も御指摘になりましたけれども、エネルギーとの関係におきまして、両方のプロジェクトは大変我が国にとりましても重要な存在になっているところでございます。

 現時点で、お話ございました、欧米メジャーのロシアでのエネルギー事業からの撤退表明等々によってどのような影響が出るかということでございますが、直接的な影響が出るということは想定しておりませんけれども、間接的にはエネルギー関連プロジェクトの操業に影響が出る可能性がありまして、しっかりと注視をしてまいりたいと思います。

 なお、事態は刻々と変化しております。不測の事態に備えまして、官民連携をいたしまして、万全の対策を取る必要があると考えております。

 石油につきましては約二百四十日分の備蓄、そしてLNGにつきましては既に二、三週間程度の在庫を有しているところでございまして、あらゆる可能性も視野に入れながら、スポットマーケットからの代替調達に加えて、事業者間の融通など、エネルギー安定供給確保に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

 御質問ございました、これからの大きなエネルギー政策につきましては、政府全体として、しっかりと検討してまいる必要があるのではないか、このように考えております。

 以上でございます。

江田委員 もう終わりますけれども、大臣、神田財務官ですかも、あらゆる選択肢を排除せずに、これからウクライナ危機の進捗状況に応じてしっかり制裁を断行するとおっしゃっていますから、大臣、是非頼みます。お願いします。リーダーシップを発揮していただいて、毅然として、このロシアに本当にしっかり翻意させるだけの効果のある制裁を断行していただくことをお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

薗浦委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 皆さん、おはようございます。日本維新の会、赤木正幸です。

 本日、私は、財政及び金融に関する件として、ロシアによるウクライナ侵略に関する質問をさせていただきます。

 正直、今、大先輩である野田先生、そして、個人的にもお世話になっています江田先生の後に同じ内容をやるのは非常にやりづらいんですけれども、ここはちょっと、新人議員としても、あえて基本的な論点に絞った質疑にさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、ウクライナ情勢をめぐって、もう既にロシアに対する様々な制裁措置が発動されていると認識しております。日々刻々と情勢が変わる中で、現在の状況、まさに今時点の状況を認識する、確認することというのは、この後の質疑の前提としても非常に重要と考えておりますので、あえてになりますが、その内容を質問させていただきたいと思います。

 本委員会は財務金融委員会でもありますので、特に経済制裁について焦点を絞った質疑とさせてください。

 ここで質問となりますが、既に発動しているロシアへの経済制裁について、具体的な内容、そして想定しているロシアに対する効果、また既に確認されている効果があれば、それについて御見解をいただきたいと考えております。鈴木財務大臣、よろしくお願いいたします。

鈴木国務大臣 今回のロシアによりますウクライナへの侵略、これは、力による一方的な現状変更の試みでありまして、国際秩序の根幹を揺るがす行為であります。国際秩序の根幹を守り抜くため、断固として行動して、ロシアの暴挙には高い代償が伴うことを示していく必要があると考えております。

 こうした考え方の下、G7を始めとする国際社会と緊密に連携をして、ロシア政府による新たなソブリン債の我が国における発行、流通の禁止、ロシア中央銀行への制裁措置、SWIFTから排除の対象となったロシアの銀行に対する資産凍結等の制裁を講じてきたところでございます。

 今回の制裁措置の効果でございますが、現時点で確定的なことを申し上げるのは難しい面もございますが、ロシア・ルーブルが急速に下落をしているほか、株式市場の休場、ロシア国債の大幅な格下げといった状況が見られているところであります。

 こうしたロシアにおける金融市場の動きは、ロシアに対する一連の経済制裁を各国で協調して実施した結果が表れている、そのように受け止めております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、これはもう国家主権と領土の一体性を侵害する露骨な侵略行為と考えております。こういった侵略行為が実際に起こってしまった現在、ウクライナ、あえてウクライナ危機と呼びますが、ウクライナ危機以前の状態に戻るとはやはり考えられないと思っております。非常に大きなインパクトを与える事象ですし、さらに、新たな国際秩序が形成される歴史の転換点にまさに立っているという大局観と覚悟が我々にも必要ではないかと考えております。

 そこで、各国が、今お答えいただいたような制裁に加えて、矢継ぎ早に決断をトップダウンで出している中、刻々と変化しつつある状況を踏まえて、日本政府が次の準備も既にされているとは考えておりますが、ここで質問になります。

 今後、発動予定の経済制裁について、基本的な考え、もし可能であれば、どういった条件とか期待する効果、これについて御説明と御見解をいただければと考えております。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今後どのような制裁措置をいつ講じるのか、こういったことにつきましては、これはまさに今後の制裁のことでございますので、予断を持ってお答え申し上げることは差し控えたいと存じます。

 ただ、先般、一日に開催されましたG7の中でも、各国協調して制裁を実施することがまさに実効性の確保の観点からも重要であるというようなこと、それから、今後も速やかにG7としても更なる行動を取っていくんだということで一致をしてございますので、私ども、G7で引き続き国際社会と連携をしながら、今後の状況の推移あるいは制裁の効果、それから、もちろん内外への様々な影響、こういったことを総合的に勘案しながら、国際社会と連携して適切に対応していく所存でございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 もうまさに戦略、戦術に関わる部分ですので、あからさまにできないことは理解しておりますが、十分な準備を進められているということも理解させていただきました。

 一方で、このロシアの不法行為を断じて容認せずに、早期停戦を実現すべく、先ほど大臣言われましたように、G7、国連若しくは国際司法裁判所等も通じて平和構築の努力を行う、強くお願いいたします。

 次に、経済制裁、これはまさに有事における短期的な対策、制裁と考えていますが、そもそも論として、日本のいわゆる経済安全保障の考え方がベースにあると考えております。グローバル化が進む中で、国際社会における主要なプレーヤーとして日本がこれまで以上により積極的な役割を果たしていく上で、経済分野における国家安全保障上の課題に対応することが必要と考えております。

 そこで質問となりますが、これはロシアによるウクライナ侵略の前の段階の話で結構ですので、日本の経済安全保障の基本的な考え方について、御説明若しくは御見解をいただけますでしょうか。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 絶えず変化する国際情勢や厳しさを増す安全保障環境を踏まえますと、我が国として国家安全保障戦略に掲げる国益、すなわち、我が国自身の主権、独立の維持、経済発展を通じた更なる繁栄、普遍的価値やルールに基づく国際秩序の維持、擁護などを確保していくことがますます重要になっていると認識しております。

 こうした中、国際情勢の複雑化やデジタル化等を含めた社会経済構造の変化などに伴い、外交、防衛はもとより、経済上の措置を講ずることによって、幅広い様々な課題に対処する必要性が増してきております。

 その上で、スピードが速く広がりのある変化にしっかり対応していくためには、第一に経済構造の自律性の確保、第二に我が国の技術などの他国に対する優位性、ひいては国際社会にとっての不可欠性の獲得、第三に基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持強化の三つを目標として取組を推進していくことが重要と考えております。

 こうした観点を踏まえまして、経済施策を総合的、効果的に、また、しっかりと時間軸を意識しながら推進していくことが、現在取り組んでおります経済安全保障の中心にある考え方でございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに今おっしゃられたように、時間軸というのが非常に今重要になってきていると考えています。まさに目下侵略がなされている状況を止めるという意味では、短期的な経済政策は非常に重要なんですけれども、その先、短期的な経済政策の先に新しい経済秩序を形成していく、つまり、中長期的な世界経済システムの再構築がこれから当然始まっていくと考えております。

 足下の国内経済に深刻な影響が起こること、これは避けなければいけないんですけれども、避けられない部分はあるかもしれないんですが、未来に向けての見通しや想定について、少しでも判断材料若しくは情報があれば、国民若しくは民間企業、なおかつ日本経済はたくましく復活していくことになりますし、スピードも上がっていくと考えております。

 私の周辺にも会社の経営者とかスタートアップの経営者はたくさんいますが、今まさに目先のウクライナをどうにか平和にしなければということを考える一方で、この先訪れる新しい世界秩序について、いろいろな仮説を立てながら準備と対策を進められています。

 そこで質問となりますが、ロシアによるウクライナ侵略前の経済システムをあえて前提とせずに新しい経済秩序を形成していく際に、想定している新しい世界経済システムとか、あとは経済安全保障について、どういった御見解を持たれているかということを教えていただけますでしょうか。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現下のウクライナ情勢について申し上げれば、例えば、我が国のサプライチェーンに与える影響などを注視する必要があります。これは我が国の自律性の確保等にも関わる問題であり、ウクライナ情勢の影響等の把握、そして、平素からの我が国の基幹産業が抱える脆弱性や強みについて不断に点検、見直しを検討してまいりたいと思っております。

 また、委員御指摘のとおり、絶えず変化する国際情勢や厳しさを増す安全保障環境の中では、単に他国に追随するのではなく、我が国としての立ち位置を明確にしつつ、必要な取組を総合的、効果的に、また、時間軸を意識しながら進めていくことが重要と考えております。

 その上で、基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持強化に向けて、同志国との協力の拡大、深化を図ってまいります。

 このような観点から、これまでも、外為法など既存の法制度の中で、多岐にわたる取組を実施してきたところでございますが、経済安全保障推進会議や有識者会議での議論も踏まえ、喫緊の政策課題に対応するための新たな法律案を、二月二十五日に閣議決定し、国会へ提出したところでございます。

 このような経済安全保障を推進するための体系的な措置を講ずる法律を策定することにより、経済安全保障の抜本的な強化を図ってまいりたいと思います。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね、まさにコロナによっていろいろと露呈した日本の課題に加えて、まさにこのウクライナ危機で更なる課題も見えていますので、是非そこは、本当に時間との勝負の部分もありますので、よろしくお願いいたします。

 一方、ロシアだけじゃなくて、やはり中国という大陸国家を封じ込めるためにどういった形で、共通の価値観を持つ、例えば海洋国家としての、海洋国家ネットワークとして、例えばアメリカ、イギリス、オーストラリア、そして、台湾等とも協力しながら、安全保障上の重要なインフラ、物資等を戦略的に切り離しつつも、緩やかなブロック経済をつくる、そういった考えもあるかと思いますので、一つの参考としていただければと思います。

 次は、ちょっと、経済制裁から話を移して、国防費について質疑させてください。

 国防費に関しては、ウクライナ危機を受けて、ドイツはGDPの二%に増やすともう宣言しております。また、有事の際に、同盟国、パートナー国による軍事協力が得られるのは、やはり独自の防衛力が一定程度機能した後であるという考え方もあるかと思われます。

 実際にこういった力による侵略がもう目の前で起こってしまった以上、日本も台湾有事を想定した体制を早急に固める必要があると考えております。

 そこで質問となりますが、このウクライナ危機を踏まえた防衛費の増額等の自衛力の見直しについて、御説明若しくは御見解をいただければと思います。

川嶋政府参考人 防衛省でございます。お答え申し上げます。

 今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為でございます。明白な国際法違反であり、断じて容認できず、厳しく非難いたします。

 我が国の安全保障の観点からも、決して見過ごすことはできません。今回のウクライナ侵略のような、力による一方的な現状変更をインド太平洋、とりわけ東アジアで許してはならないと考えてございます。

 防衛省といたしましては、関連動向の情報収集、分析に万全を期すとともに、我が国の領土、領海、領空、そして、国民の生命と財産を守り抜いてまいります。

 今回のウクライナ侵略も踏まえて、新たな国家安全保障戦略等を策定してまいるということでございます。

 また、我が国を取り巻く安全保障環境がこれまでにない速度で厳しさを増す中、必要な防衛力を抜本的に強化していく考えでございます。

 こうした中で、国民の命や暮らしを守るために必要となる予算をしっかりと確保してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 重ねての質問になるのですが、やはり防衛費に関しては、是非大臣からも御見解をいただきたいと考えておりますので、お願いできますでしょうか。

鈴木国務大臣 先生御指摘のように、我が国を取り巻きます安全保障環境が急速に変化をしているところでありまして、こうした情勢を踏まえた真に実効的な防衛体制を着実に構築していくこと、これは急務なことだと考えております。

 こうした観点から、新たに策定する安全保障戦略や防衛大綱、中期防においては、限られた財源を最大限に生かすためにも、規模ありきではなくて、変化する国際情勢を踏まえつつ、具体的な戦略、作戦、戦術、これに応じた自衛隊の体制、組織の見直しなど、地に足の着いた議論を積み重ねることが重要であると考えております。

 その上で、防衛予算につきましては、現行の中期防においても、毎年度、他の分野を効率化、合理化することにより手厚く増額を確保してきたところでありますが、新たな中期防等の策定に向けましては、財源を捻出するに当たっては、国民の理解と納得が、これが不可欠であると思っておりますので、国民的な議論を丁寧に積み重ねることが重要であると考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに先ほど野田先生、江田先生も言われたように、国民の感情というか、議論をできる場というか状態はできていると思いますので、是非、丁寧に議論を進めながら、国防費についても御検討いただければと思います。

 私の持ち時間も参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、沢田良君。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。

 二月二十一日の財務金融委員会にて、私から総理に、日本銀行の人事案について質問、提案をさせていただきました。現状のリフレ政策の方向性を継承、拡大できるような委員人事をすべきではないかと。総理は、総裁人事については、任期満了の時点で最もふさわしい方を任命するとおっしゃいましたが、委員人事についてはお答えいただけませんでした。

 政府は、三月一日、日銀審議委員に高田創、田村直樹両氏を充てる国会同意人事案を議院運営委員会理事会に提示されました。

 本日は、日銀人事について質問させていただきますので、鈴木財務大臣、関係省庁の皆様、委員部の皆様、本日もよろしくお願いいたします。

 まずは、岸田政権における日本銀行への発言を、少し遡って今に至るまでの何点か、紹介させていただきます。

 総理は、日本銀行黒田総裁と初会談した際には、コロナ後も緩和継続という言葉を残し、政策提言のペーパーである新しい日本型資本主義では、冒頭で、デフレ脱却に向け、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の三本柱を堅持すると、アベノミクス継承を明確に表しておりました。四日の参院本会議では、来年四月に任期満了となる黒田総裁の後任に関し、二%の物価安定目標に理解のある方が望ましいと話しております。

 鈴木財務大臣に質問です。

 日本銀行が現在行っている、インフレターゲットに基づく金融緩和を行うことでインフレ期待を向上させ、実質金利を引き下げることで設備投資や雇用の拡大を図る政策についての評価を教えてください。

鈴木国務大臣 日本銀行の金融政策につきましては、平成二十五年の政府、日銀の共同声明の考え方に基づきまして、二%の物価安定目標の下、デフレ脱却に向けて粘り強く金融緩和に取り組んでこられたと承知をしております。その結果、デフレではないという状況をつくり出すことができたのは大きな成果であると考えております。

 岸田内閣におきましても、共同声明の考え方を再確認しておりますけれども、日銀におかれては、引き続き、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、物価安定目標の実現に向けて努力されることを期待をいたしております。

沢田委員 大臣、ありがとうございます。

 やはり総理が表向きおっしゃっていることと同じような意見ですので、しっかりと今の日銀の方向性についての確認が取れました。

 二番目の問題なんですけれども、質問を事前に言わせていただいたんですけれども、把握できましたので、今回、飛ばさせていただきます。

 ちなみに、審議委員の任命権者と委員の任期と報酬の額、これを教えていただきたいんですけれども、お願いします。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行の審議委員の任命は、日本銀行法第二十三条第二項におきまして、「経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命する。」と定められております。それから、任期は、同法第二十四条第一項におきまして、五年と定められております。それから、審議委員の報酬ですけれども、年俸ベースで年額二千六百七十四万円となってございます。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 任命権者は内閣ということは、日本銀行は、独立した組織である一方、選挙を経て選ばれた民意の力で直接任命できるからこそ、総理の意向や方向性が酌み入れられて当然と考えます。

 今回の任命において、私は二つの問題意識を持ちました。一つ目は、黒田総裁と同じ方向性を向くリフレ派の片岡委員の代わりとなる岡三証券エコノミストの高田創氏は、著書に「異次元緩和脱出」があることが象徴するように、金融緩和の副作用への問題意識も高く、総理の言う二%の物価安定目標に理解のある方とは対極と言える存在に変更したという点。もう一つは、三井住友銀行元専務執行役員である田村氏が選ばれ、いわゆる金融業界枠と呼ばれる三大メガバンク出身者の起用を慣例どおり繰り返した点。正直、理解ができませんでした。言っていることとやっていることが違いますから。

 総理は、過去に、二〇一八年に、金融財政政策に対して、金融緩和策の出口のタイミングを考えることが大事だ、財政再建がなければ将来の消費もないし、政策の足かせになると言っており、二〇二〇年出版の「岸田ビジョン」では、日銀のバズーカ緩和策の効果の限界、副作用を指摘して、これ以上更にマイナスの金利の幅を深くできる余地も現実的にはありません、それをやると地方銀行がもうもちませんとも記述されております。

 実際に、岸田総理と私、予算委員会で質問のやり取りをした際にも、違和感はありました。経済あっての財政と言いながら、経済と財政の優先順位をつけられない政策や答弁姿勢も、客観的に、言っていることとやっていることがちぐはぐに見えました。

 当然、この人事は、明確な緩和縮小への総理の意思と捉えられてしかるべきであり、新型コロナもまだ落ち着かず、そしてロシアのウクライナ侵略の中でもデリケートな人事を進めてしまっている現状に、判断を疑う部分があります。デフレ脱却を掲げ、市場との対話を丁寧に行いながら、大規模金融緩和を十年近く不退転の覚悟で前に進めてきた現在の日銀の体制の足を引っ張っている自覚やその責任を全く感じられません。

 日経CNBCが個人投資家を対象に調査した岸田政権に対する支持率で、支持すると答えたのはたった三%のみ、九五・七%が支持しないと明確に答えています。海外では、最初の百日の政権運営が、その能力を測る物差しと言われています。第二次安倍政権は百日で三〇%の株価上昇を生み、岸田政権は一〇%近く下落。まさに対照的な例であり、投資家に中長期的な経済への期待を持たせられていないと言えます。

 ただ、総理が、黒田総裁の後任に関し、二%の物価安定目標に理解のある方が望ましいと話していたことも、やはり頭に残るんです。これをずっと考えると、少し混乱してきます。本当に明確な意思を示したのだろうか、総理はいろいろな状況を分かっておっしゃっているんだろうか。総理といえど、一人で全ての情報を集める、判断することができるというのは不可能です。周りにいるブレーンや官僚が総理に正確な情報共有をしていない可能性すら疑われます。

 そして、片や強い意思を打ち出しており、もう片方は全く思考停止であり、金融業界枠と呼ばれる三大メガバンク出身者の起用を慣例どおり繰り返したということも、これだけ世界情勢が厳しいかじ取りを迫られる中、熟慮して最高の布陣をつくられたとは思えません。

 そもそも、金融業界枠とは、三大メガバンクである三菱UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行の順番で日銀の審議委員の任命を繰り返す人事のことをいいます。現委員の鈴木氏は三菱UFJ出身であり、本来、順番ではみずほフィナンシャルグループだったが、相次ぐシステム障害で見送られ、前倒しで今回の三井住友銀行の元専務執行役員である田村氏が選ばれたとのことです。

 日銀は、銀行の銀行と言われるように、民間金融機関と密接な利害関係があるにもかかわらず、その代表者が天下りの逆バージョンでもあるいわば天上がり、そういったことを今回も含めて長年容認してきた状況は、国際標準からも妥当性を欠き、民間金融機関の既得権益化を認めている、そういうふうに感じます。

 正直、この人事は、事前に、ネットを含めて、三井住友枠がある、こういった声が大変多くのところで散見されたように、熟慮した形跡や余地は全くないと断じざるを得ません。

 どうしても総理の発言と実際の行動の違いに疑念が生まれてしまうのですが、総理が正確な情報を知らずに決裁しているとしたら、大変危険とも感じています。こういった過去の経緯や情報を伝えるのは内閣官房の役割と考えます。

 内閣官房に質問です。

 日銀の金融業界枠なる人事の慣例を認識していますか。また、総理には、その情報や、日銀人事の重要性などを判断できるだけの正確な材料を伝えているのか、お答えください。

松田政府参考人 お答えいたします。

 日本銀行の政策委員会審議委員は、先ほども御説明ありましたが、内閣が任命することとされておりまして、内閣として、人物本位で、経済、金融分野で高い識見を有する方などを選定しているものでございます。

 具体的に誰にどのような情報をどこまで諮って判断に供しているかなど、具体の人事のプロセスについてのお答えは申し訳ありませんが差し控えさせていただきたいと思いますけれども、必要となる情報を収集、提供した上で、最終的に内閣としての人選がなされているものと承知しております。

沢田委員 まさにそこが一番大事だと思うんです。総理大臣といえども、本当に仕事は多岐にわたります。全てのことができないときに、もし、官僚の皆さんが正しい情報を流していない、その中での判断が総理の中で行われているとすれば、まさに今、客観的に、総理の発言と実際の政策、行動、ちぐはぐです。それが私は知りたいんです。

 我々野党は、権力の監視でもあり、そして、皆さんの行動の監視もまた役割の一つです。是非そこについてもう一度御答弁いただきたいんですが、こういった進言、情報の共有、内閣官房として総理に対して行っているかどうか、お答えください。

松田政府参考人 先ほどの繰り返しになりますけれども、どのような内容の情報が収集、提供されているかなど、具体的な人事のプロセスについてのお答えは申し訳ありませんが差し控えさせていただきたいと思います。

 私どもとして必要な情報を収集、提供した上で、最終的に内閣としての人選がなされているものと承知しております。

沢田委員 大変、こういったお答えをいただけないということは、国民の皆様、ひいては有権者の皆様に全ての説明ができない、こういう閉ざされた状況があるということは言わざるを得ません。まさに、こういったお答えをいただけないのであれば、私としては、最後には鈴木財務大臣に直接お願いするしかございません。

 内閣の一員として、責任ある任命に対して、思考停止の無責任な人事が慣例的に続いていることを止めるよう、そして、日銀人事の重要性を改めて総理に御進言いただけないでしょうか。お願いいたします。

鈴木国務大臣 沢田先生から、先ほど来、日銀の審議委員の任命につきまして、銀行枠といった御質問があったところでありますけれども、理財局長また内閣官房が答えましたとおりに、日銀の審議委員の候補者につきましては、あくまで、日本銀行法にあるとおり、経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者のうちから任命権を有する内閣において検討し、提示されたもの、そういうふうに承知をしておりまして、今回、提示をさせていただいた方々もこうした条件に備わった方である、そういうふうに思っているところでございます。そういうことで御理解をいただきたいと思います。

沢田委員 御返答いただきまして、ありがとうございました。

 大臣、お時間もありますので、もう御退席していただいて結構です。ありがとうございました。

薗浦委員長 財務大臣は御退席いただいて結構です。

沢田委員 続きまして、一月十一日に日銀が公表しました生活意識に関するアンケート調査、これで物価上昇への実感が国民の間で広がり始めたことが浮き彫りになりました。

 この一年間で物価がかなり上がった、少し上がったを合わせて全体の四分の三以上の人は物価の上昇を実感していると回答しました。これは、消費増税、一四年の四月や、円安、一ドル百二十五・八円の影響があった一五年の十二月の調査以来六年ぶりの高水準となります。一年後の見通しについても、かなり上がると少し上がるを合わせて七八・八%の人が物価の上昇を予想しております。前回、二一年の調査では六八・二%と考えると、インフレ期待は確実に上昇していると言えます。

 上記の内容に加えて携帯料金の値下げ分を考慮した上で、コストプッシュによる一・五%から二%程度のインフレになっている可能性があるとも感じますが、日銀としてはどのように考えていますでしょうか。

清水参考人 お答え申し上げます。

 このところのウクライナ情勢も受けまして、原油や天然ガスなどの資源価格は現在大幅に上昇してございます。こうしたことも受けまして、我が国の現在ないし先行きの消費者物価の前年比というのは、当面、エネルギー価格が大幅に上昇し、原材料コスト上昇の価格転嫁も進む下で、今御指摘いただきました携帯電話通信料下落の影響も剥落することから、この後はプラス幅をはっきりと拡大していくものというふうに予想してございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 今ちょっと御説明もありましたが、ロシアのウクライナ侵略から始まった急激なエネルギーと穀物価格の上昇が更に強いコストプッシュインフレを誘発してしまうということは、いろいろな場所で言われるようになりました。

 特に最近は、インターネットでも、そしてニュースでも、スタグフレーションという言葉が大変多く使われるようになってきております。私としても、このスタグフレーションの対策をどうすべきか、党内での議論を始めていかなければいけないというところを感じておるところですが、日銀の見解として、現在の状況でこのスタグフレーションというのが起こるのではという全体的な雰囲気、これに対してどのように感じているのか教えていただけますでしょうか。

清水参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたような資源、穀物価格の上昇が我が国の経済に与える影響というのを見ますと、短期的にはエネルギーや食料品を中心に物価の押し上げ要因となる一方で、やや長い目で見れば、家計の実質所得の減少や企業収益の悪化を通じまして経済の下押し要因となります。

 もっとも、先行きの我が国経済は、感染症によるサービス消費への下押し圧力や供給制約の影響が和らいでいく下で、外需の増加、緩和的な金融環境、また政府の経済対策の効果にも支えられまして回復していくと見てございます。

 したがいまして、今御指摘のありました物価上昇とマイナス成長が併存するようなスタグフレーションのような状況に陥るというふうには考えてございません。

 ただ、ウクライナ情勢の帰趨をめぐっては極めて不確実性が大きい点も事実でございます。日本銀行としては、これが国際金融資本市場や資源価格、海外経済などを通じて我が国の経済、物価に与える影響について、今後とも丹念に点検していきたいというふうに考えてございます。

沢田委員 丁寧な御説明、ありがとうございました。今後も引き続きスタグフレーションの話、いろいろなところで出てきた場合にまた教えていただければと思います。

 最後になりますが、目下のコストプッシュインフレによるインフレの懸念はありますが、依然としてデフレギャップが存在する状況で先進各国と比べて実質金利が高止まりしている状況、完全雇用未達と需要サイドの弱さを考慮すれば、リフレ派の枠を反リフレ派の方に入れ替えるという今回の人事というものは極めて違うというふうに考えております。そして、それが市場へのメッセージとしても悪影響が大変に大きいというふうに感じております。

 経済は全てが網目のようにつながっており、生き物と同じように動きを予測するのは大変に困難でもあります。判断や発信を誤れば大きな打撃を受けることも当然あります。世界の中央銀行が、まさに市場と丁寧に対話をして、金融引締めを行っている今、この日銀の人事は大変に注目されており、デリケートかつロジカルな説明も不可欠と考えます。

 是非、思考停止の人事である金融業界枠を見直すだけでなく、総理のおっしゃるインフレターゲット二%への理解あるリフレ派の方からの選任をしていただけるよう、総理に御進言いただけるよう、関係省庁の皆様に、最後の最後、お願いをして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

薗浦委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時五分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十四分開議

薗浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岸本周平君。

岸本委員 国民民主党の岸本周平です。

 本日も質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 今日、休憩の前、野田元総理の大変格調の高い、大きな視点からの御質問がありました。また、江田委員からも同様に、ウクライナ問題についての大所高所の御議論がありましたので、私も、そのお二人の先輩の議論と重ならないように、同じウクライナ問題なんですけれども、焦点を絞って質問をさせていただければと思います。

 まず、今回の経済制裁、あるいは、今日は財務金融委員会だとしまして主として金融の制裁について御質問したいと思うんですけれども、これは断固として、今日の質疑の中でもありましたように、私どもは、断固として、かなり強い気持ちで経済制裁を進めなければならないと思います。

 それは、逆に言いますと、返り血を浴びるということでもあります。既に、SWIFTからのロシアの銀行の排除、あるいはロシア中央銀行の外貨準備を使えなくする措置などなどでルーブルが下落をし、一方で資源価格が高騰するということでありますし、例えばロシア貨物は欧米での通関業務がもう対象にならないような状況で、物流にも大きな影響が出ています。

 しかし、ここは、世界経済がかなり大変な状況になることを踏まえた上でも、我々は不退転の決意で臨まなければならないと思います。

 ただ、一方で、そのことは本当に厳しい返り血を浴びることになります。例えばですけれども、BISの国際与信統計を見ますと、邦銀のロシア向けの与信残高は九十五億ドル、約一兆円であります。この内訳でありますけれども、三菱UFJが二千百四十億円、みずほ銀行が二千百七十七億円、三井住友銀行が九百六十四億円と、メガバンクだけでも相当な与信残高であります。これが紙くずになる可能性があるということであります。さらに、国際協力銀行、JBICは千三百四十五億円、与信残高がございます。あと、信託銀行を通じた機関投資家向けの残高が二千四百億円、この中には恐らく地方銀行なども入っているんだろうと思います。

 そうだとしますと、一兆円です、一兆円の不良債権、取りはぐれるということになりますと、メガバンクであればある程度耐えられるかもしれませんが、地方銀行等は大変大きなショックを受けると思われますけれども、このような影響について財務大臣の御所見をお伺いしたい。これは金融担当大臣としての御所見かもしれません。よろしくお願いいたします。

鈴木国務大臣 日本の金融機関によるロシア向け与信は、岸本先生おっしゃった額になっているわけでございますが、全体的に見ますと、海外向け与信全体の〇・二%程度でありまして、個別の金融機関を見ましても、その与信割合は僅少にとどまっていると思います。

 また、地方銀行を含む日本の各金融機関は充実した資本基盤を備えていますので、現時点で、ロシア向けの与信が日本の金融機関の健全性に与える影響は限定的であると考えております。

 いずれにいたしましても、今般のウクライナ情勢が今後どのように波及していくのか、現時点で確定的なことを申し上げることは難しいわけでありまして、金融庁としましては、国内外の経済金融市場の動向を把握、分析をいたしまして、金融機関に与える影響についてしっかりとモニタリングしていくことが大切であると思っておりまして、そのようにさせていただきたいと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、一兆円、我々から見ると大きな金額ですけれども、メガバンクからすれば十分備えがあるということだと思います。しかし、地方銀行を始め、零細な機関投資家にとってはそれなりの影響もあると思いますので、よく金融御当局として目くばせをしていっていただければと思います。

 そして、今日も議論になっていますけれども、いわゆる国際金融のSWIFT、この問題について御質問をしたいと思います。

 実際、SWIFTというのは決済システムではありませんけれども、世界の高額な金融取引の大体五割を超えるシステムがこのSWIFTを通じて行われているということであります。これは要するに情報伝達のツールとして使われておりますが、このシステムに入っていないと、当然、貿易関係あるいは銀行間の手続ができなくなるということですから、これも休憩前にありましたように、一度、二〇一二年のイランなんかでは、原油の取引が激減しまして、二桁に近いGDPのマイナスを記録するようなことがあったわけであります。

 このSWIFTなんですけれども、当然、ロシアは、長年かけて計画をして今日のような誠に無謀な行動に出たわけですけれども、準備はしていたと思います。SWIFTが使えない場合の手段、今回であれば七行しか対象でありませんから、七つの銀行以外の銀行を使うということが考えられます。

 それからもう一つは、別の、SWIFT以外の実は国際銀行間のシステムが幾つかあります。それを使うということに、当然準備をしているはずだと思います。

 その最大の仕組みは、中国の人民元の仕組みであります。これは二〇一〇年代からスタートしておりまして、中国は当然、ドル支配から人民元を国際通貨にしたいという思いもあって、現在、中国のクロスボーダー・インターバンク・ペイメント・システム、人民元の国際銀行間の決済システムをつくっております。CIPS、シップスと呼ばれています。当然ここは、現在、世界百か国以上、千二百八十八の機関が参加している大きいシステムであります。

 したがって、ロシアは、SWIFTから排除されても、このCIPSを利用すれば中国の元建てで制裁の回避ができるわけであります。しかも、このCIPSは、SWIFTと違って決済システムまで入っているんです。決済ができてしまうんです、中国人民元で。当然ですけれども、ロシアやトルコなど、米国が過去において経済制裁の対象とした国は入っています。さらには、一帯一路の参加国、あるいは南アフリカ、ケニアなどアフリカ諸国、今回、国連の決議で棄権に回ったアフリカの諸国はこのCIPSに入っています。

 このCIPSの参加国の中で、利用が一番多いのはどこでしょうか。日本なんです。一位は日本なんです、隣国ですから。そして、二位がロシア、三位が台湾となっています。台湾は経済面での結びつきが非常に強いからやむを得ず入ったんだろうと思いますが、日本も同様に経済的な関係が強いものですから、一位が日本なんですね。メガバンク三行の中国法人が直接参加しています、直接。そこから先、間接的に日本の銀行も参加しているということであります。

 大臣、CIPSを使ってロシアが制裁のダメージを小さくしていくというようなことは当然考えられるわけですけれども、この抜け道をどう考えるのか、現時点での御当局のお考えを聞きたいと思います。

鈴木国務大臣 冒頭、先生からいろいろ御説明もございましたが、SWIFTは、決済機能は持たず、様々な通貨の送金等に関するメッセージを伝達するサービスとして多国間で利用されるグローバルな金融インフラでございまして、これに対しまして、御指摘のCIPSは、人民元のみを対象としてクロスボーダー決済を担うシステムであると承知をしております。そして、御指摘のように、人民元を用いた場合には資金決済まで可能であるというものでございます。

 このため、我が国としては、国際社会と連携をして、SWIFTから排除されるロシアの七行全てについて、SWIFTからの排除に併せて資産凍結の対象としたところであります。この結果、この七行については、日本の金融機関はCIPSを利用した決済を含めた取引が禁じられることになると思います。

 したがいまして、資産凍結対象の七行については、日本の金融機関を通じ、貿易等の決済がCIPSで迂回されることはない、そのように考えているところでございます。

岸本委員 日本はそうなんですけれども、私が申し上げたかったのは世界経済全体ですね。世界の取引について、中国を迂回する。

 恐らく中国は、今の状況ではロシアを相当な思い入れで手伝うはずです。協力関係、国際関係をにらみながらでしょうけれども。中国を迂回して貿易面のダメージをできる限り救いたい、そういうときに、さっき言いましたように、CIPSに入っている国々で、かなりの部分がCIPSを使うことによって抜け道を利用するということもあるということは心得ておかなければならないことだろうと思いますし、平時のときにできているわけですけれども、実は、国際的には、ヨーロッパだって、このSWIFTができたのはヨーロッパの仕組みなんです。ベルギーにあるんです。だけれども、ドル決済ですから、基本的にはやはりアメリカがリーダーシップを取っちゃっているんですね。

 それについてEUは実は問題だと思っていて、EU自体の国際金融の決済システムを立ち上げているんですね、実は。INSTEXというのが二〇一九年に、インストルメント・イン・サポート・オブ・トレード・エクスチェンジ、INSTEXというのができています。これは、ドイツ、フランス、イギリスが中心となってつくっています。既に、二〇二〇年、イランのコロナ対策用医療機器の輸入決済などを始めて、もうスタートしているんです。それは、やはりアメリカにリーダーシップを取らせないという意味でのEUの対抗意識でそういうものができている。その中にはロシアも中国も積極的に参加しているんです。

 そういう国際的な自国の国益を懸けたゲームが行われている。そして、何より一番大事なのは、決済システムをどう押さえるかということなのであります。

 昔、私が財務省の国際局で働いていたときに、円の国際化、もう今は聞かれなくなりましたけれども、円の国際化を一生懸命やっていたんです、二十年以上前ですけれども。残念ながらできなかったんです。やはり決済システムが取れなかったんですね。日本が非常にまだ経済力があって、世界のGDPの一六%、一七%を取っていた時代でも、決済システムを取れなかったので、円の国際化がなかなかできなかったということであります。

 そういう意味で申し上げますと、これから、今回これは有事ですから結束して、今回はヨーロッパもアメリカも団結するでしょうけれども、これがまた何年かのうちに平時に戻ったときには、それぞれの国、地域が国益を懸けて決済システムを取りに行くという中で日本が立ち遅れをしないように、是非そこは御当局としても御準備をしていただきたいと思います。

 中途半端な時間になりましたので、最後に、御質問ではありませんけれども、貿易の関係で、本当に、日本とロシア、小さな比率ですけれども、それでも、輸出で申し上げますと、輸入の半分ぐらいですけれども、ロシアに対しては約六千七百五十億円、直近の輸出があります。輸入は、エネルギーが多いので一兆二千三百十一億円。これが恐らくいろいろな形で影響を受けていったときに、輸出業者、輸入業者、それを使って物を作る人たち、工場、企業、本当に大きな打撃を受けます。不退転の決意で臨む経済制裁、金融制裁の結果として返り血を浴びる国内の関係企業、事業者に対する目配り、場合によったらコロナのような対応もお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 政府コロナ対策の一つである事業復活支援金について質問します。

 事業者へのコロナ対策について、二〇二〇年十一月二十五日の財政審議会、令和三年度予算の編成等に関する建議では、次のように書かれています。

 支援策の長期化は政府の支援への依存を招き、そして、持続化給付金は予定どおり終了させ、仮に支援を継続する場合には、業態転換や事業の多角化といった前向きな取組を行う中小企業に特化した支援をする必要がある。

 さらに、令和四年度予算の編成等に関する建議においても、二〇二〇年度の中小企業対策費は、未知の感染症に対応する中で事業継続を確保するため、緊急避難的に必要な対応であったと考えられるが、こうした一時的かつ非常時の支援が常態化することは、公的支援への依存度を高め、そして、中小企業対策予算の在り方を見直していく必要があるというふうに、大臣に対して建議がなされています。

 大臣、このような答申がされたわけでありますけれども、財務省としては、この指摘をどう受け止めて、その後の予算にどう反映されたんでしょうか。

鈴木国務大臣 田村先生御指摘の、財政制度等審議会の建議におきましては、持続化給付金等の支援策について、事業継続を支えたという意義を評価する一方におきまして、こうした支援策の長期化は政府の支援への依存を招き、新陳代謝を阻害するなどのおそれがあるとの問題意識から、ポストコロナに向けた前向きな取組に支援を重点化すべきとの提言をいただいたもの、そのように認識をいたしております。

 いただいた建議の趣旨を踏まえつつも、コロナが長期化する中で、その後の予算では、引き続き、事業復活支援金、資金繰り支援等により、厳しい状況に直面する中小企業者等の事業継続支援に万全を期すとともに、例えば、新たに創設した事業再構築補助金では、グリーンやデジタル化といった構造変化に直面する中小企業に対して、新分野展開や業態転換等を応援するなど、ポストコロナを見据えた前向きな取組を支援することとしているところでございます。

田村(貴)委員 そうなんですよね。まさしく長く続くコロナ禍の下で、事業者、とりわけ中小事業者への支援というのは、これはもう経済を守っていく上では要となる支援であります。だからこそ、財政措置が必要であります。

 しかし、現場の実感は、コロナの影響を受けた業種で、いまだに、蔓延防止措置などのあるために、経営回復のめどは立っていません。

 萩生田大臣が二月八日の予算委員会で、事業復活支援金の目的について、三月までの見通しを立てていただけるように、固定費の約半分を目安として、昨年十一月から三月までの五か月を一括給付するものですと答弁されています。

 確認します。

 新型コロナの影響によって厳しい経営が続く事業者に対して、固定費を援助して事業の継続を支援するということでよろしいですね。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたように、事業復活支援金、新型コロナの影響により厳しい経営状況が続く事業者の皆様の事業の継続と立て直しを目的といたしまして、三月までの見通しを立てていただけるように、固定費の約半分を目安として、昨年十一から三月までの五か月分を一括支給するということでございまして、支援金の支給上限額について、調査による平均的な法人、個人の固定費の実績を勘案しながら設定しております。

 しかしながら、個別の事業者が実際に支払った固定費を確認して支給しているものではございまして、固定費支援を直接の目的としているものではございません。

田村(貴)委員 収穫に季節性のある農家が、これまでの支援金制度で申請すると、収穫、出荷のある時期だけが対象となって、それ以外の月は対象でない、それどころか、それ以外の月で申請すると不正受給で詐欺に問われるといった文書を経済産業省の方から配付された。そのために、多くの農家が申請をちゅうちょしているという状況です。

 資料を配付させていただいています。表二のところです。

 六月、七月、八月に作物を収穫、そして出荷する農家がこの事業復活支援金を活用するということになりますと、出荷、それから収入があった六月、七月、八月に申請するしかありません。対象月ではありませんので、事業復活支援金は、これはもう申請することができませんよね。確認です。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 事業復活支援金でございますけれども、昨年十一から三月までを対象月としてございますので、それの前年ないしは前々年と比べることになりますので、六月、七月、八月は対象になってございません。

田村(貴)委員 ここが問題になるんですね。

 この農家のケースだったら、月次支援金では三か月分の固定費の支援がされるわけです。最大三十万円です。

 しかしながら、生産者である農家は、収穫の時期だけしか固定費がかかるわけではありません。収穫の時期以外にも、種まき、あるいは肥料や水やり、いろいろな世話で収穫を迎え、機械の維持費もあります。労働力も資本も、いわゆる固定費というのは、年間を通して必要になってきます。

 消費税の簡易課税で用いられる仕入れみなし率でいいますと、農家は八〇%。ですから、農家の経費は売上げの八割であり、このケースでは、六百万円とすると四百八十万円になります。三十万円では全然足りません。

 改めて確認しますけれども、なぜ出荷時期、その月の固定費支援しかないのでしょうか。対象とならない農家などには十分な固定費支援がなされず、三月末の見通しが立たない、季節性のある農家の支援にはならないじゃないですか。いかがですか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、農業のいろいろな特殊な事情があるんだと思います。農業の事情につきましては、私ども、農業を所管するものではございませんので、なかなか公式にお答えする立場にはないわけでございますが、改めまして、事業復活支援金は、固定費支援を直接の目的としているものではございませんけれども、売上減少要件も緩和いたしまして、減少割合が三〇%以上の事業者も新たに支援対象としております。それから、月単位での支援額も、持続化給付金よりも充実したものとなっております。

 ただ、これはあくまでも地域、業種を限定としない、一般的な、中小企業一般に対して支援するものでございまして、これまでも、必要に応じて、各地域の事情に応じた支援、これは地方自治体で、それから業界特有の事情があるものにつきましては、その業種を所管する省庁において、それぞれ進められてきたものと承知しております。

田村(貴)委員 萩生田大臣は、業種を限定せず、給付要件に該当する事業者であれば全て支援の対象となるというふうにさきの予算委員会でも答弁されています。農家も対象ですよね。うなずいておられるから、そうなんです。だから、これは制度設計のミスなんですよ。

 これは農水委員会でも後で答弁いただきますけれども、紹介しましたように、六月、七月、八月、この暖かい、暑い時期に、例えばタマネギ農家は、私、九州ですけれども、佐賀県の農家はこの時期に集中している、近畿なんかはここの中に全部入っているという状況を示したところであります。

 月次支援金はもうないわけです。今あるのは事業復活支援金のみ、これは対象月を限定しています。こうした農家や事業者は支援が受けられません。外食、飲食業者に卸す野菜等の生産をしている農家は、新型コロナによる影響をもろに受けていて、第六波の下でいまだに売上げは回復していません。この点からすると、農林水産業にとっても固定費の支援というのは非常に重要なものになってまいります。

 農林水産省にお伺いします。

 農業のこの季節性について、現在の制度では支援が行き届かないということを経済産業省に説明しましたか。お答えください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 事業復活支援金は、新型コロナの影響を受けた事業者に対する業種横断的な支援として、経済産業省において制度設計されているものでございます。

 これまで新型コロナの影響を受けた事業者に対する業種横断的な支援といたしましては、これ以外にも、持続化給付金、一時支援金、月次支援金、こういったものが措置されてきたところでございますけれども、こういった、持続化給付金のときから、農林水産省といたしましては、農業は季節性がある、こういったことにつきまして経済産業省に伝えてきたところでございます。

田村(貴)委員 最後、よく聞こえませんでしたけれども、ちゃんと説明してきたということでしょうか。

 経済産業省も、先ほどは農家のことは余りよく分からないみたいな話をされておったんですけれども、こうした実態を知っていたんですか。季節性があるということを知っていて、月を固定してこの制度をつくられたということでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、農家が対象になるかということでございますけれども、対象になるわけでございます。

 それで、農業経営の特性についてですけれども、これは繰り返しになりますけれども、あくまでもこの事業復活支援金は、業種、地域を限定せず、中小企業を広く一般的に支援する形になっております。

 農業経営の特性について私どもの方からお答えするのはどうかと思いますけれども、一般論として申し上げますと、農産物の出荷時期との関係について申し上げれば、事業収入が一年の中で特定の時期に集中するというケースについては、その期間の収入で年間の固定費を賄われているものではないかと思います。

 そういった観点から、新型コロナの影響を受ける事業者を支援するという制度趣旨に鑑みれば、委員御指摘のとおり、六月から八月分については月次支援金で支援をさせていただいたわけでございまして、元々収入がない期間まで事業復活支援金で支援することは制度の趣旨に沿わないのかなと思っております。

田村(貴)委員 ころころころころ変わる制度の中で、そんなについていけませんよ。いま一度、経産省と農水省は合い議したらどうですか。今だったら間に合いますよ。今だったら申請に間に合います。そのことを強く求めたいと思います。

 それから、季節性のある事業者であることが分かっていながら、基準期間の売上げをどう計算するかでも、支援の要件を満たすか満たさないかで大きく変わってまいります。

 事業復活支援金では、資料の表三を御覧いただきたいと思うんですけれども、申告の種類によって大きな差が出てまいります。算定一、左下の方に書いていますが、青色申告の場合です。月別の収入が認められるので、事業復活支援金の対象となります。そうですね。一方、算定例二のように、右の方です、白色申告だと月別の収入が認められず、事業復活支援金の対象となりません。

 新型コロナで売上減少で、受けた影響は同じじゃないですか。なぜ申告の種類によってこういう区別が生まれるんですか。これもおかしいじゃありませんか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 事業復活支援金は、全国数百万者の事業者の皆様からの申請に対して迅速な給付を実現すると同時に、不正を防止するという観点から、過去の事業収入につきましては、確定申告書類などの統一的かつ公的な書類により確認をすることといたしております。

 法人などでは、確定申告書類で月別の事業収入が証明できる場合には、その月別の事業収入を基に算定することができるわけでございますけれども、他方で、白色申告、あるいは、今話題になっていますけれども、農業所得用の青色申告を行った個人事業者の皆様の場合には、公的な書類で月別の事業収入を確認することができないということでございまして、確定申告書類で確認可能な年間事業収入の月平均額を用いざるを得ないところでございます。

 こうした復活支援金は、繰り返し申し上げていますように、様々な業種や事業者を幅広く対象としたものでございまして、迅速な給付を目指す制度である以上、必要に応じ、その業界特有の事情に応じた支援がある場合には、その業種を所管する省庁において、私どもも、経済産業省でもやっておりますが、それぞれ進められるものと認識しております。

田村(貴)委員 いろいろおっしゃいましたけれども、必要とする方に支援が行き渡らないという厳然たる事実があるわけですよ。白色申告の農家は受けられない、そして季節性の野菜を作っている農家は受けられない。これは制度の問題ですから、見直してください。それを合い議してください。

 大臣に最後、お伺いします。

 最初の建議に戻るんですけれども、建議はなかなかシビアで厳しいことを指摘しています。しかし、実態は、支援がまだまだ必要です。もっと大きな支援が必要かも分かりません。中小企業予算を見直しするであるとか、あるいは公的の依存度を強めていくとか、そうじゃなくて、やはり支えないといけない。そうじゃないと産業が回らない。

 この立場を堅持していただいて、必要な支援、予算措置を図っていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 先生の冒頭の御質問でもお答えしたところでございますが、この建議が出された後も、新型コロナの影響が長期化したことを背景に、この建議の趣旨も踏まえつつも、一時支援金や月次支援金、事業復活支援金など、事業者の事業継続自体に対しても手厚い支援を行ってきたところでございます。

 先生御指摘の農業につきましても、先ほど挙げた一時支援金等での支援に加えまして、収入保険やナラシ対策を始めとした様々な経営安定対策を講じつつ、販路開拓の取組支援や、ポストコロナを見据えたスマート農業機械の導入支援など、様々な支援を講じてきたところでございます。

 引き続き、コロナ禍により厳しい状況に置かれている事業者を支援しつつ、関係省庁と連絡、連携しながら、生産性向上の取組を後押ししていくことが重要であると考えております。

田村(貴)委員 時間が参りました。今日は終わります。

     ――――◇―――――

薗浦委員長 次に、内閣提出、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣鈴木俊一君。

    ―――――――――――――

 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木国務大臣 ただいま議題となりました国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 国際開発協会は、世界銀行グループの中核機関として、低所得国向けに超長期かつ低利の融資や贈与等を行うことを主たる業務とする国際機関であります。先般、同協会の本年から三年間の財源を確保するため、第二十次の増資を行うことが合意されました。

 政府においては、低所得国の新型コロナウイルス感染症への対応と、その危機からの回復を支援する同協会の役割の重要性や、日本が国際社会で発揮しているリーダーシップに鑑み、この第二十次増資に係る追加出資を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。

 本法律案の内容は、国際開発協会に対し、四千二百五億五千七百二十四万円の範囲内で、新たに出資を行うことを政府に授権する規定を追加するものであります。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

薗浦委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十一日金曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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