衆議院

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第11号 令和4年3月23日(水曜日)

会議録本文へ
令和四年三月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 薗浦健太郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 藤丸  敏君

   理事 稲富 修二君 理事 末松 義規君

   理事 吉田 豊史君 理事 角田 秀穂君

      井上 貴博君    石井  拓君

      石原 正敬君    門山 宏哲君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    中川 貴元君

      藤原  崇君    三ッ林裕巳君

      八木 哲也君    柳本  顕君

      山田 美樹君    若林 健太君

      鷲尾英一郎君    江田 憲司君

      櫻井  周君    下条 みつ君

      中川 正春君    野田 佳彦君

      伴野  豊君    赤木 正幸君

      沢田  良君    藤巻 健太君

      竹内  譲君    中川 宏昌君

      岸本 周平君    田村 貴昭君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   財務副大臣        岡本 三成君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   財務大臣政務官      高村 正大君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局政策立案総括審議官)      井藤 英樹君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  古澤 知之君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    長谷川秀司君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           弓削 州司君

   財務金融委員会専門員   鈴木 祥一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     柳本  顕君

同日

 辞任         補欠選任

  柳本  顕君     井上 貴博君

    ―――――――――――――

三月二十二日

 消費税率五%への引下げに関する請願(穀田恵二君紹介)(第六二六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

薗浦委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、保険業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総合政策局政策立案総括審議官井藤英樹君、企画市場局長古澤知之君、監督局長栗田照久君、消費者庁審議官長谷川秀司君、財務省主税局長住澤整君、経済産業省大臣官房審議官弓削州司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

薗浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。神田憲次君。

神田(憲)委員 おはようございます。自由民主党、神田憲次でございます。

 保険業法の一部を改正する法律案ということで、本日は質疑をさせていただきたいと存じます。

 少子高齢化の進行によりまして、我が国の社会保障給付費、御承知のように増大の一途をたどっておりまして、持続可能な社会保障制度の構築という観点からは、ますます自助の必要性が高まってきているというふうに考えております。その意味で、この自助のための生命保険、様々な保障分野で社会保障制度を補完しているものだと考えておるわけです。

 今も地政学的リスクが現実に発生しておりますが、国民を取り巻きます様々なリスクが多様化する中で、生命保険の活用促進という観点から見ますと、国民の皆さんが真に安心できる社会の実現をいたしまして、公助それから共助としての社会保障の制度の将来像の検討においても、その選択肢を広げることになるかと存じます。

 つまり、この生命保険料控除を拡充して自助の努力を喚起するということは、国民自らがリスクを管理する意識ということを醸成いたしますし、また、社会保障制度の改革に資するものというふうに考えておるわけです。

 私は、今回、この保険業法の一部を改正する法律案、賛成の立場から質疑を進めさせていただきます。

 まず、この歴史的背景ということなんですが、生命保険契約保護制度が創設するきっかけとなりました、一九九〇年代から二〇〇〇頃までにかけての、たしか昔は東邦生命というところがあったと思いますが、相次ぐ生命保険会社の破綻の状況と、この保護制度、及び、二〇〇〇年の保険業法の改正によって措置された、今回延長される政府補助制度に期待していた役割について伺いたいと存じます。

宗清大臣政務官 おはようございます。お答えをさせていただきます。

 今、神田先生からお話がございました、一九九〇年代後半から二〇〇〇年頃にかけまして、七社の生命保険会社が破綻をしたというふうに承知をしております。

 このような経済環境下におきまして、今お話がございましたように、一九九八年には生命保険契約者保護制度が創設をされるとともに、二〇〇〇年には政府補助の制度が導入されたところでございます。

 生命保険契約者保護制度や政府補助の制度につきましては、保険契約者等の保護を主眼といたしまして、保険業に対する信頼性の確保のほか、国民生活又は金融市場に対する不測の混乱の防止を目的としていたと承知をいたしておりまして、また、これらの制度は、当時におきまして、その目的を適切に果たしたものと認識をいたしております。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 制度創設から若干の制度変更をしながら、ちょうど二十年が経過したことになるわけですが、今年度末で、制度導入当初に想定していた事前積立ての四千億円が積み上がって、制度が一旦完成することとなるわけです。

 そこで、これまで、同保護制度と、特に、今回延長される政府補助制度が果たしてきた役割について伺いたいと存じます。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、生命保険契約者保護制度の財源でございましたけれども、政府保証付借入れの四千六百億円に加えまして、まさに御指摘のとおり、この三月末には事前積立てが、目標でございます四千億円に達するという見込みになっているところでございます。

 まず、この生命保険契約者保護機構による資金援助は業界負担ということを原則としておりまして、現在までの生命保険会社の破綻に伴う資金援助は、事前積立てが四千億まで積み上がります前の段階でございましても、業界負担で賄ってきたものでございます。その意味で、原則でございますこの保護制度が有効に機能してきたものというふうに認識してございます。

 また、御指摘の政府補助制度の方の役割でございますけれども、元々、本制度は、先ほどの御指摘の平成金融危機に当たりまして、生命保険会社の破綻処理を進める中で、契約者保護、それから保険業に対する信頼性の確保ということから、制度の必要性が認識され、設けられたというふうに承知してございます。

 政府補助自体が発動されるということはなかったわけでございますけれども、まさに、業界の負担のみでは対応できないような不測の事態へ対応を講じられるようにするということから設けられてございます制度でございまして、安心、安全の確保という観点からは一定の貢献を果たしてきたものと認識しているところでございます。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 ちょうど本日、ゼレンスキー大統領の我が国での大統領演説が行われるわけですが、少々、ウクライナ問題の影響という観点から質問させていただきたいと思います。

 生保会社の運用ポートフォリオにつきましては、安全という観点に注視して運用をしているというふうに理解しているわけなんですが、近年では、外貨建て保険の販売増ということを受けまして、外貨資産が二十年前と比較しても大きく伸びております。

 対ロシア向け債権の価格及び為替レートの減価が生保会社の経営に与える影響についてはどのような見解を持っているか、伺いたいと存じます。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 生命保険会社の有価証券に占めます外国証券の割合につきましては、委員御指摘のとおり、この二十年ぐらいで大幅に増加をしているということでございます。

 ただ、日本の生命保険会社の一部ではロシア関連資産を保有はしておりますけれども、その額は運用資産全体の中では僅かでございまして、いずれの生命保険会社においても、このロシア・ウクライナ情勢が財務に与える直接的な影響は限定的であると考えております。

 ただ、今後、ロシア・ウクライナ情勢がどのように推移していくのか、確定的に申し上げることは難しいと考えておりまして、引き続き、内外の経済金融市場動向などについて注意して、日本の生命保険会社の財務に与える影響をしっかりとモニタリングしていきたいというふうに考えております。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 本当に、財務に与える影響というのは今後予測ができないわけですから、しっかりとモニタリング、お願いしたいと存じます。

 現時点で、ルーブルの減価やロシア向け債権価格は下落に収まっています。国際金融市場全体に与える悪影響は限定的であるかも分かりません。ただし、先ほど局長がおっしゃいました、長期化リスクを含めて、将来の予測、本当に不確実性というところがとても高いと考えております。かなり強いストレスシナリオにも、生命保険会社の財務、耐えられるようになっているのかということについても、併せて伺いたいと存じます。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁では、生命保険会社に対しまして、市場の動向なども勘案しながら、財務内容それから保有するリスクの状況に応じたストレステストの実施を求めております。

 その際、委員御指摘のような強いストレスシナリオにも耐え得ることを確認するために、例えば、過去の主な危機のケースですとか最大損失事例を当てはめるヒストリカルシナリオですとか、内外の経済動向を踏まえ、生命保険会社の保有するリスクに応じて未曽有のシナリオを想定する仮想ストレスシナリオを作成いたしまして、ストレステストを実施するように求めております。

 金融庁といたしましては、こうした生命保険会社のストレステストの実施状況についてもしっかりとモニタリングをしてまいりたいと考えております。

神田(憲)委員 次に、保護割合という観点から伺いたいと存じます。

 国民生活の安定ということを重視する立場からすれば、制度上、責任準備金の九割を保護するということは、保険契約者も全額が保護されるということにはなりませんので、予定利率を引き下げた上で一割の負担は最低限強いられるということになるのかと存じます。今や、生命保険というのは家計の金融資産の四分の一を占めるまでになっておりますから、国民の将来設計にとりましては与える影響がかなり大きいというふうに考えておるわけです。

 そもそも、こんなことはあっちゃいけないんですが、生保会社が破綻時、そのときの責任というようなものについては、どのような考えに基づいて決められたものかについて伺いたいと存じます。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 生命保険契約者保護制度におきましては、原則、補償対象契約の責任準備金の九〇%までを補償するという制度になっているところでございます。

 ここで、原則という話がございました。先生の御指摘もございますように、予定利率を引き下げられた上でということでございますけれども、一部の高予定利率の契約につきましては、それを見直す、九〇%を下回るという手当てもしているところでございます。

 その上ででございますけれども、御指摘の負担割合、九〇%というものがどういう考え方でできたということでございますが、これは、制度を創設いたしました九八年から同じ利率になってございまして、当時の記録を見てまいりますと、まず一番最初にございますのは、保護機構に資金を拠出するサイドの保険会社の経営環境、経営の健全性というものがきちんと確保できるか、これが一つでございます。

 それからもう一つは、先ほど破綻ということがございましたが、経営されております保険会社自体につきまして、モラルハザードの発生が、きちんとできているか、余り補償率が高くなりますと保険会社の経営に対する規律が緩むんじゃないかという話がございます。

 それから三点目でございますけれども、英国における補償水準というものを参照いたしましたところ九〇%だったということを参考にいたしまして、九〇%ということが設定されたというふうに承知してございます。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 今回延長されることとなる政府補助制度、事前積立てと政府保証付借入れから成る業界負担を原則としておりますし、それでもなお資金が足りない上に、国民生活とか金融市場に極めて重大な支障が生じると考えられる場合に、税を原資とした資金が補助できることになっておるわけです。

 政府補助制度ですが、先ほど来、生命保険が国民の安心ということを申しましたが、生命保険を通じて国民生活に安心感を与えるために重要な役割を果たしていると理解しておるわけですし、例えば、ペイオフのある預金保険や自然災害の被災者に対する財産補償とのバランスを考えたときには、できるだけ政府補助の発動というのはない方が好ましいと考えますし、先ほどお話ありましたかもしれませんが、これまでも政府補助の発動はなかったと理解しておるわけです。

 これまで政府がこの政府補助制度を時限措置として繰り返してきたのは、あくまでも政府補助が臨時かつ緊急避難的な制度であるからだというふうに理解しております。政府補助が発動しないようにするためには、日々の金融庁による生保会社に対する、先ほど来出ていますモニタリング、この観点によって、生保会社の破綻を事前に防止したり、仮に破綻しても契約者の被害を最小限に抑えることが重要であると考えますが、政府側の見解を伺いたいと存じます。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁におきましては、生命保険会社に対しまして、財務会計情報それからリスク情報などにつきまして継続的に報告を求めまして、必要に応じて経営陣や担当部署に対してヒアリングを実施することで、経営の健全性の状況を適時適切に把握をしております。

 また、生命保険会社の経営破綻は様々な要因によって発生するわけでございますけれども、外部環境の影響を受けるということもありますため、金融市場など国内外の環境変化が生命保険会社ですとか金融システムに与える影響についても、常に分析、把握をしているところでございます。

 なお、生命保険会社の経営状況が悪化した場合には、早期是正措置を迅速かつ適切に運用することで破綻を未然に防止するとともに、仮に万一破綻しても、契約者の被害を最小限に抑えるよう努めていくこととしておりまして、このことは、政府補助をできるだけ発動しないようにするという今の委員の御指摘にもかなうものだというふうに考えてございます。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 当局の日々のモニタリングがしっかり機能していれば、生保が破綻に追い込まれるケースとしては、何らかの予期しない大きなリスクが顕在化、実現したときにという場合が考えられるわけです。

 損害保険会社においては、異常危険準備金という形でリスクに対応することになっておりますし、損保業界にも五百億円規模の契約者保護機構というのがあるわけですが、一定の上限額があるものの、損金算入がこれについては可能になっております。

 他方、生保業界、生命保険業界では、このような大きなリスクに対して、基本的には自社のソルベンシーマージンで対応しつつ、更に足りない場合には、業界みんなで事前に負担した積立てを使ってリスクをシェアすることを目指しているようです。

 それはそれで一つの考え方ではあるんですが、損保会社と同様に、自社のソルベンシーマージンを積み立てるということを政策的に誘導するという考え方もできるかとは思うんですが、その点について政府の見解を伺いたいと存じます。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 生命保険会社におきましては、保険契約に基づく将来の債務を確実に履行するため、例えば死亡率の上昇ですとか運用利回りの悪化などに備えまして、危険準備金の積立てというものが求められております。

 今委員が御指摘されました損害保険におけます異常危険準備金というのは、巨大かつ突発的な自然災害リスクの引受けに万全を期して、災害からの復興に寄与するという政策目的のために毎年累積的に積み立てるものであるものに対しまして、生命保険リスクは比較的安定しているという特徴がございますことから、それに備える危険準備金というものは、必要な場合に所要額を積み立てるということにしております。

 こうしたリスクの性格ですとか制度目的の違いから、生命保険では損害保険と同様の税制上の措置は設けられていないわけでございますけれども、当然のことながら、予期しないリスクが発生した場合でも生命保険会社の経営の安定が保たれる必要があるということでございますので、こうした観点からしっかりとモニタリングをしていきたいというふうに考えてございます。

神田(憲)委員 ありがとうございました。

 近年、貯蓄から投資へということで、金融教育の重要性ということが認識されているかと存じます。金融庁も、国民の金融リテラシーというのを向上させるために活動を行っていると理解しております。

 私自身も政務三役時代にその一端を担ったわけですけれども、家計の金融資産の四分の一が、先ほど来申し上げている生命保険ということもありまして、株式や投資信託への投資という方にどちらかというと着目されがちであるんですが、保険に対するリテラシーの向上も重要であるかとも考えます。

 健全な政府補助制度のためには、生保会社が開示する情報を更に充実させて、国民がそこからきちんと情報を読み取って、それでもなお、本人の努力ではあらがうことができないような事象が発生したときに初めて政府補助が実施されるという姿が理想になると考えておるわけです。

 この理想の形、少しでも近づけていくように、当局としてはどういった金融教育に取り組んでいるのか伺いたいと存じますし、これは宗清政務官への質疑なんですが、政務官も、フェイスブックを拝見していますと、こういった形の金融教育、いろいろな場面で金融庁のビデオであるとか登場しているわけで、やはりその観点からこの取組について実例を交えて伺えたらと存じます。

宗清大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 近年では、長寿化が進むと同時に、個々人の生き方も多様化をしているわけでございまして、こうした中、各個人が、若い間から金融リテラシーを高め、それぞれのニーズに見合う金融サービスを適切に選択をし、安定的な資産形成を行っていくことがますます重要になっているというふうに考えております。

 特に、生命保険につきましては、社会保障や本人の収入、貯蓄等で賄える金額も勘案した上で、保険商品で備えるべき金額を把握をして、適切な保険商品を検討そして選択し、家族構成や収入等の変化に応じた見直しを行っていくことが必要であるというふうに考えております。

 保険に対するリテラシーの向上は重要であると考えておりますけれども、また、生命保険契約は契約者の生活保障の役割を担っていることなどから、政府補助を含めた契約者保護の仕組みが設けられているところでございますけれども、一方で、生命保険会社には経営の健全性が強く求められているというふうに認識をいたしております。

 そのために、外部のステークホルダーによる適切な規律が働きますように、保険会社の情報開示の枠組みにつきまして必要な見直しを行っていくとともに、先生が今お話ございました利用者の金融リテラシーの向上、例えばですけれども、金融庁の取組としては、金融庁の職員や財務局の職員が学校に出向いて行う出張授業をしたり、教員向けの研修等、講師派遣をしたり、若年向けの動画のコンテンツの提供をしたり、様々な取組を行っているところでございますが、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

神田(憲)委員 金融リテラシーの向上、貯蓄から投資ということですから、確かに、日本の金融資産の総額を見ると、なかなか、やはり国民性もあって、投資への向き方というのは、PRはできているんでしょうが、進まない状況にあります。ただ、一方で、安定的な運用ということも問われるわけで、こういった観点からも更に金融教育を進めていただければというふうに考えております。

 私の質疑、以上で終了させていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 おはようございます。立憲民主党の下条みつでございます。

 いろいろ、財務省、金融庁を含めて御努力されていることに敬意を表したいとまず思います。

 そして、私の質疑というのは、やはり、その努力には敬意を表しますが、いろいろな改善点を我々の立場として提案をし、それを、政府・与党を含めて、与野党を超えて、契約者を含めて、そして国民のために利するところを御提案していきたいというふうに思っています。そういう意味では、今日は、時間の範囲内ですけれども、できる限り御提案をさせていただければというふうに思います。

 まず最初に、本件の、今日採決になる保険機構への補助については、ああいう破綻が生保会社にありましたけれども、それを乗り越えて、四千億以上積み、それに対する、補填に対する補助を可能にするのを五年間延長、これは私どももすばらしいというふうに思いますので、私の口からも賛成に向けてというふうにお話をさせていただきたいと思います。

 そして、それを前提に、今日は生命保険控除についてちょっとお話をしたいというふうに思います。

 まず、平成十四年の政府税調が出されたあるべき税制の構築に向けた基本方針の中に、生損保控除や住宅ローン控除など、特定の政策目的のために控除を設けられており、税制のゆがみを助長し、さらに空洞化の一要因になっていると。これは政府の税調が出したお話であります。中をひもといていくと、課税ベース拡大という視点から廃止、縮減の方向を検討する以上、政策的措置として、控除については、より厳しくその妥当性を吟味の上、廃止を含めて見直す必要があるとうたっております。

 そこで、この生損保控除、住宅ローン控除、この間、私、ちょっと住宅ローン控除をやりましたけれども、今日は生損保の生命保険の方をやっていきたいと思うんですけれども。

 ここで、損害保険控除は廃止になっているんですね。財務省に聞きたいんですけれども、これは何で損害保険控除が廃止になったか、まずはお答えいただきたいと思います。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 損害保険料控除でございますが、昭和三十九年に、住宅、家財等についての不慮の事故による損失に共同で備え、国民生活の安定に資するなどの政策的要請に応えて設けられたものとされております。

 これにつきまして、平成十八年度の税制改正におきまして、制度創設の目的が達成されているとの指摘がなされてきたこと等を踏まえて廃止をされる一方で、同時に、地震災害に対する国民の自助努力による個人資産の保全を促進し、地域災害時における将来的な国民負担の軽減を図るとの観点から、地震保険料控除を創設するという改正がなされたところでございます。

下条委員 今おっしゃったとおりで、目的を達成したからということだと思うんですね。

 そこで、令和二年民間給与実態統計調査の第十七表に、いろいろ、納税者と納税最低限以下の方々の割合、つまり、控除を受けた割合が載っております。

 これを見ていくと、簡単に言うと、二百万円以下の方々、約半分ぐらいですね、控除を受けていらっしゃると。これがまた、八百万、九百万、一千万になってくると、九割ぐらいの方が控除を受けている、九割方が控除を受けている。そして、千五百万ぐらいだと、まあ、二千万になっても、やはり八割、九割、控除を受けている方が多いと。

 私は、これを見たときに思ったのは、結局、二百万以下の方々というのは、最低税率五%ですからね、受けているといっても戻ってくるのはほんのちょっとであると。それが一つあります。一方で、一千万から一千五百万の人は三三%ですから、相当お金が戻ってくるわけですよね。

 そこで、この控除によって減収額が大体幾らぐらいになるのか。ざっとでいいんです、教えていただきたいと思います。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 所得税の生命保険料控除によります減収額については、令和元年度の数字でございますが、約〇・三兆円程度となっております。

下条委員 まあ、三千億円、そういうことですよね。大体、四千万人で三千億円、年間にすると七千五百円ぐらいですけれども。

 私は、ここで御提案したいのは、私も今日の質疑までに、いろいろな生命保険会社の営業担当に、大きいところです、何人もお聞きしました。実際、彼らから聞いた話をちょっと、それは一〇〇%真実かもしれないし、全部うそかもしれない、それは分からない、聞いた話であります。それを見ると、自分たちが何十年も営業していて、生命保険に入る人の理由の中に、控除があるから入るという人は一人しかいなかったというんですよ、大臣。

 だから、私が何を言いたいかというと、これだけ財政健全化だほんじゃら何じゃら言って、また、さっき言った、損害保険は目的を達成しているわけですよ。そのとき、大臣、生命保険控除だけこうやって残っているわけですね、三千億円です、今おっしゃっていただいたんですけれども。これは増えるかもしれないし減るかもしらぬ、それは知らぬ。

 そこで、私は、これ、政府が出している、さっき言った政府税調の見直しの考え方に反しているんじゃないかと思うんですよ。今こそ、もう一回言います、生命保険に入っている人たちが、控除があるから生命保険に入るという人は、営業マンが何十年やっていても一人。二人いていい。だから、生命保険は自分が入りたいから入っているわけですよ。

 そこで、私は生命保険についても調べましたら、主要国であるアメリカ、イギリス、フランスは、もう生命保険控除も損害保険控除もやっていないんですよ。その分の金をほかのところの困った人に使う、そういうふうにやっている。

 そこで、私は、この政府税調の言うとおりに、さっきちょっと出ましたね、昭和二十六年に長期貯蓄を奨励するために誘引的な措置として設けられたものである、それがあるので、これはもうそろそろ控除を、今、今日この場ではないですけれども、財務省を含めて、こういう財政健全化のときに、もうそろそろ控除というのは、ほかの諸外国、先進国でもやっていないわけですから、これは前向きに変えていったらどうかなという提案なんです、今日は、大臣。

 私は、だから、すぐやれとは言っていません。今言ったように、金持ちが随分優遇されて戻ってくる、三三%どうのこうの戻ってくる。一方で、低所得者の人はほんのちょっとしか戻ってこない。その中で、お金持ちはほとんど、控除があるから入っているわけじゃないと言っているわけですよ。これは営業担当に何社も聞きました、僕は。直接会って。

 だから、これは、健全化ですよ、今日の話は。財政の健全化の話の中で、これは前向きにいろいろな意味で検討していく課題になるんじゃないかなと思って、私は今日、ここにまず立たせていただきました。これは大臣の御意見をまず聞きたいと思います。

鈴木国務大臣 生命保険料控除制度についてでありますけれども、高齢化が進展する中におきまして、私的保障による老後の生活等のリスクへの備えは重要であることを踏まえまして、保険契約者の自助努力を支援するものとして位置づけられております。

 今後の生命保険料控除の在り方につきましては、多額の減収額が生じている状況や、生命保険への加入率も相当の水準に達していることなども踏まえれば、下条先生御指摘のような、課税の公平性、そして生命保険の社会保障を補完する役割や普及状況、さらに、私的年金等に係る各種の優遇制度があること、また国の厳しい財政状況などを踏まえまして、丁寧に議論をしていく必要があるのではないかと考えております。

下条委員 大臣、ありがとうございます。

 それは本当にそうなんですよ。私も金融マンをやって、アメリカにもいて、いろいろやってきた中で、やはりある程度の人は、もちろん、今大臣おっしゃった、いろいろ、公平性の問題があって、この議題というのは、やはりこれは与野党を超えて、財政健全化というのは一つの課題だと思いますし、海外はみんなやっていないんですから、控除。昭和二十六年からやっている目的はもう達成されていると我々は見ていますし、そろそろこれが、こういう議事録に残る委員会の中で出させていただくことを私は光栄だと思うし、これは是非超えて、財務省なんかも含めて、議題として上げていっていただきたいと思います。

 これは私は、個人的には絶対賛成したいと思う。控除はそろそろなくすべきじゃないか。それをもう一度申し上げておきたいと思います。

 次に、今日は時間に限りがありますので、特に、今晩も、夕方、ああいう、ウクライナの大統領が演説を日本の国会議員に対してやるというのは、これは物すごい情勢に、今、世界中がなっていることは、もう御承知のとおりであります。

 そこで、まず一つは、次に治安リスク保険についてちょっとお聞きしたいというふうに思っています。

 そこで、これはちょっと聞きたいんですけれども、例えば、ある日本の損害保険会社がロシアに現地法人を持っていない、ですから、同国内で事業を展開する日系企業はロシアの保険会社に契約し、そして、そのロシア保険会社と日本の国内損保が再契約して再保険料をもらっている、こういう仕組みが今あるわけですね。

 簡単に言えば、日系企業が向こうへ出ていきました、そこで何かあります、その損害保険をロシアとやって、それだけじゃリスク分散できないから日本が出ていって、損害保険についてはそこで分担していくと。

 そこで、まず最初にお聞きしたいのは、SWIFTというのがありますよね。SWIFT、国際銀行間通信協会から、もし大手銀行が遮断されていった場合です。例えば、ズベルバンクはまだ残っているみたいですけれども、それ以外の大手銀行が再保険料を入出金できなくなると、これは国内損保に保険提供はできなくなるおそれがあるんじゃないかと僕は思っているんです。これからこの後どうなるか分からないけれども、今日段階、アズ・オフ・トゥデー、今日までの話としてどうかという話ですけれども、この場合、この危険性について、まず金融庁としてどういうふうな把握をしていらっしゃるか、また、実態をお聞きしたいと思います。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の損害保険会社の資金決済は、現時点におきまして、このSWIFTからの排除対象外の金融機関を利用しておりまして、SWIFTからの排除を理由として保険が提供できないといった状況にはなっていないというふうに承知しております。

 他方で、ただ、ロシアにおきましては、非友好国への再保険出再を禁止する法律が成立したという報道もございますので、こちらの方が与える影響については引き続き注視をしてまいりたいというふうに考えております。

下条委員 そのとおりだと思いますね。この間、野田先生や江田先生がおっしゃったように、ああいう厳しい国、また、皇帝がいて自分の好きなようにする国というのは、一体、何が次に起きてくるか分からない。だけれども、我々ができる範囲内で、金融庁を含めてアンテナを立てていって、見張っていっていただきたいというふうに思うんですね。

 ですから、私は、今回のこの戦争というのはいい例だと思っているんです。民間の日本の企業が海外進出しているときに、あらゆるリスクを伴っていると僕は思っているんですよ。それがどう出るかはもう相手次第になっちゃっている。そのときに何が必要かというと、これはやはり治安リスク保険だと思うんですね。

 そこで、この治安リスク保険の実態に入る前に、日本にはNEXIといって、海外投資保険というのがあります。今日、経産省の人は来ているんですよね。この海外投資保険の、戦争時、革命、テロ行為、内乱、暴動について、カバーする損失は何なんでしょうか、お聞きしたいと思います。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 貿易保険制度は、日本企業の輸出、投資等の対外取引において生じます、民間の保険では引き受けられないリスクをカバーするものであることが貿易保険法の法目的として規定されているところでございます。

 委員が御指摘されたような、株式会社NEXI、日本貿易保険でございますが、戦争や内戦、テロにおける企業の財物損害等についての保険の再保険を引き受けることについて申し上げれば、既に民間の損害保険会社がこれらの財物損害等について何らか保険商品を提供していることから、こちらの方では新たに貿易保険の対象とすることはできないというふうに考えているところでございます。

下条委員 そこがポイントですね。

 それでは、ちょっと金融庁にお聞きします。

 今言った、海外で財物でやっている保険なんかは、宗教、戦争、テロその他の部分について免責されているのが基本ですけれども、それ以外に、それに含まれて、それはオーダーメイドで、どのぐらいが海外に民間企業が出ていったときにそれがインクルーディングされているか、把握している数を教えてください。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 戦争、内戦、テロなどをカバーする財物損害保険につきましては、企業ごとの個別のニーズに合わせまして追加補償する特約として様々な財物保険に附帯して販売されております。

 したがいまして、当該特約を附帯している財物保険の件数を横断的に把握することは非常に難しくて、我々としてそれは承知してございません。

下条委員 大臣、海外に出ていく日本の企業は、要するに、戦争があったときにカバーを財物保険で民間でできているかどうか把握していないんですよ。

 これは、私は実を言うと知っているんですが、金融庁の皆さんがヒアリングしてもらいたいんですよ。なぜかというと、簡単に言うと、皆さんが社長をやっている会社が、例えば東アジア何じゃらほんじゃらへ出ていくといったときに、結局、オーダーメイドしかやっていない。私は、聞いている自分の数字は持っています、ほとんどやっていないんですよ。簡単に言えば、丸裸で出ていっているんです。

 さっき経産省が言ったように、このNEXIという保険はカバーされないんです。簡単に言えば、アメリカは、ロイズ保険というのがありますよね、テロのときにやって、その後にロイズ保険が出てきて、保険会社がやった再保険をロイズが受けて、何か企業が出ていったときにそこに戦争、宗教紛争、テロなどがあった場合はカバーしてあげるよという保険があるんです。

 この間、私が知っている方がセミナーを去年のコロナ禍にやりまして、そこでグローバル企業の方々が、保険担当が相当集まりました。名前は一応伏せておきます。そこで六割から七割以上の人が、治安リスク保険が欲しいと。ただし、実際は、再保険、つまりリスク分散できないので、今誰もそれを知らない状態で日系企業が出ていっているんですよ。

 言いにくいけれども、やはり、日本というのは最近になって初めてちょっとぴりぴりしてきている感じがしていると思うんです。ヨーロッパみたいに戦争があって、日本でいう県境のところが、国同士と国同士が戦うことはないから、特にこの今回のいろいろ、ロシアの侵攻もそうですけれども、これは是非、金融庁が主軸になって進めていってもらいたいんですよ、一体どのぐらい本当に戦争、治安リスク保険に入っているんですかと。入っていなければ、私、後で提案しますけれども、入れるようにしてあげないと、みんな危険意識を持たない状態で、戦争が終わったらそのまま帰ってくるだけで、全部終わりですよ、保険なしだから。丸裸で行っているんですよ、日系企業というのは。

 これは、そろそろ、私でさえ気づいていますから、プロである金融庁の皆様は気づいていらっしゃると思いますけれども、どうでしょうか、件数をきちっとヒアリングして把握していただけないですか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の戦争とかテロをカバーする財物損害保険につきましては、委員御指摘のとおり、なかなか保険料とか保険金額の設定が難しいという面もございまして、我々もそんなに大きな数が出ているということではないと承知しておりますけれども、実際に何件ぐらいあるかにつきましては、できるだけ把握するように努めてまいりたいと考えております。

下条委員 大臣、簡単に言うと、今までやってきたことを非難しているんじゃないんですよ。やはり、こういう事態が東アジアで起きて、またヨーロッパでも中東でも起きるかもしれない、また、尖閣含めて、いろいろ、この近辺、台湾含めて起きるかもしれないとき、そこには日系企業がどんどんどんどん出ていっていて、ところが、再保険ができないので、もうほとんどの日系で出ていっている方は、私がヒアリングしている限り、オーダーメイドに入っていないんです。だから、戦争が起きたときは、保険会社は免責されているので、何も保険がない状態で出ていっている状態なんですよ、大臣。

 これは、私があえてこれを委員会で言うのは議事録に残すためです。さっきの提案と同じです。だから、そういう状態を知った上で、これからどうするかというときに国が動いてもらいたい、そういう提案であります。

 そこで、NEXIで保険を受けている件数というのは今どのぐらいあるんですか。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 株式会社日本貿易保険、NEXIが引き受けた保険契約全体の件数は、年によってばらつきがあるものの、二〇二〇年度までの直近五年間では、年間約八万件から十万件程度でございます。

下条委員 簡単に言えば、投資の部分は、株式とか、貿易保険ですから、その分はNEXIでカバーしているんです、それはそれでいい。ただ、大臣、ここのポイントは、要するに、完全に撤退する場合なんですよ、それは。例えば、民間企業が、日本の民間が出ていったら、道路が遮断されて営業停止になった。一時中断は一切保険は出ないんです。完全に撤退したときだけです。だから、完全に撤退したときというのは、もう一回、例えば大臣が社長だったら、そこに出ていきますか。行かないんですよ。

 私は、海外に私もいましたから思うんだけれども、一生懸命働いている民間企業のグローバル企業が、せっかくそこに出ていったら、その保険について、是非、日本の政府が前向きに手を出していってもらいたいんです。今言ったように、NEXIは、投資部分だけは七万件か八万件か十万件はあると言うんです。でも、それは一切、財物の部分の保険のカバーになっていないんです。民間の、例えば、皆さん思い浮かぶ損害保険会社、でかいところ、日本の。それは戦争以外の部分はカバーしてくれるけれども、戦争や宗教の問題が起きたとき、一切カバーがない。簡単に言えば、丸裸なんです、大臣。これを私は指摘したい。

 こういう御時世ですから、私は、何が起きるか分からないけれども大丈夫だという話はあるかもしれない。じゃ、自分ちのドアに鍵をかけないでしょう。でも、みんな鍵をかけるということは、それは保険なんです。そうだと思います、僕は。鍵をかけるというのは、いつ何が起きるか分からないから、鍵をかける。誰が入ってくるか分からない。だから、保険もそうだと思うんですね。

 そこで、私は、提案したいと思うのは、この治安リスク保険というのは、セミナーをやると、日本の企業はもう何百社と集まるんです。海外に出ていくというのは心配だから。でも、出ていったときは、もう保険は掛かっていないから、財物の保険と貿易保険しか掛かっていないわけですから、裸なんですよ。ところが、この東アジアで、我々の予測と反したああいう、ウクライナに常任理事国が侵攻して今戦争を行っている状態ですから。どこの、アジア、中東、ヨーロッパ含めた、南米含めた、アフリカ含めて、何がこれから起きるか分からない。

 ただし、大臣、真面目な日本人の企業が、それがあることによって、これからもそこに行って外貨を稼いでくれるんですよ。これは何かというと、僕に言わせてみると、本当に最高の平和外交なんです。それは、大臣様が行った、外務大臣様が行った、G7だ、総理が、それも大事だけれども、そこに直接日本人が行って、企業を立ち上げて、工場を造って、そこの人たちを雇ってお金を払うということが、その国とのどれだけの友好関係に結びつくか、平和に結びつくかと思うんです。それが今の状態だと、いや、投資部分だけ、じゃ、貿易保険でやるが、あとは知らないよと全部引き揚げたら、もう、どんどん日本企業は引き揚げてきちゃいます。そうすると、ある意味で、深い意味の安全保障にも影響してくると僕は思っているんですね。

 そこで、大臣、申し上げたいのは、これは今すぐでなくていいですから、企業の研修に出た方々の六割、七割の人が、再保険さえあれば、再保険さえあればどんどん出ていくし、日本の保険業界もそれをやっていきたいと言っている。ただ、再保険がないから、リスクを自分だけで負わなきゃいけないんですよ。だから、出ていけなくなっているんです。

 私は、これこそ、大臣、一肌脱いでいただきたいですよ。今、日本の企業は一生懸命向こうで働いていて、ただし丸裸です。これからも遅くない。これからも何が起きるか分からない。そのときに、是非、これは経済産業省との問題があるんですけれども、NEXIでシステマチックに治安リスク保険の再保険を引き取れるように組み立てていくことを考えていただきたいと思うんですよ。

 もう一回言います。今、丸裸です、日系企業は。さっき、これから数をやるとおっしゃっています。私も調べました。本当にちょっとしかない。日本で一番大きなところも、本当に、これは数は言えないですけれども、ほんのちょっとです。一桁です。それ以外は丸裸で出ていっている。これが一番、我々の同志である国民の財産を失う可能性が大な可能性もあるし、そこの国との友好関係もせっかく結んで、雇って、そこで働いている方と友好を結んで、平和関係もあるんです。

 そこで、大臣、本当に、これは提案ですよ、今までの否定はしていない。現実をこの委員会で僕が知らしめて、私もヒアリングしました、時間がかかったけれども。だけれども、NEXIで、是非、システマチックに再保険を引き受けられるように考えていっていただきたいんですよ、金融庁の総括の大臣として。

 どうですか、この提案。お答えいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 まず、お話ございました治安リスク保険について申し上げたいと思いますが、先ほど局長が答えましたとおり、一部の損害補償によって提供されているところでございますけれども、今、足下でウクライナのロシアによる侵略が起こっている、そういう情勢や、ロシアへの制裁等による影響を経験をいたしまして、改めて戦争やテロに対するリスクを認識される企業も多いのではないか、そういうふうに思っております。

 金融庁としては、損害保険会社において顧客ニーズに即した商品提供等がなされること、これが重要であると考えておりますので、損害保険会社に対して、治安リスク保険を含めて、企業のニーズを踏まえた取組を促してまいりたいと思います。

 また、自動的にこれを組み込めないかということでございますが、何ができるかどうか、考えてみたいと思います。

下条委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間が来ましたけれども、それは、大臣、大事なところなんですよ。大事なところなんです。提案しても、結局、損保会社は再保険がないとやらないですからね、治安リスク保険というのは。だから、そこを国として引き受けて、今出ていっている人、これから出ていく人に、何としてもカバーしてもらいたい、その思いで提案させていただきました。

 そこまでのお答えでは大分いただいたと思いますけれども、是非御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 以上です。終わります。

薗浦委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 立憲民主党の稲富でございます。

 まず、法案の質疑の前に、先ほど委員の方から同趣旨の質問がありましたけれども、大臣に伺いたいと思います。ロシアによるウクライナ侵略の影響についてでございます。

 お手元、今、資料を御覧いただけますでしょうか。生保の保有金融資産の内訳というグラフでございます。令和二年度、最新のところでいえば、緑の次の青いところが対外直接投資、証券ということでございまして、平成十年から見ますと大幅に増えているということで、保有金融資産の中の四分の一を占めるということでございます。

 今回のウクライナ侵略によってルーブルが暴落をした、国際金融マーケットに大きな変動が生じている中で、生命保険会社の財務にどのような影響を見ていらっしゃるのか、その基本的な認識をお伺いします。

鈴木国務大臣 日本の生命保険会社の一部ではロシア関連資産を保有しているわけでありますけれども、その額は運用資産全体の中では僅かでありまして、いずれの生命保険会社においても、ロシア・ウクライナ情勢が財務に与える直接な影響は限定的なものにとどまる、そのように考えております。

 いずれにいたしましても、今後のロシア・ウクライナ情勢がどのように推移していくのか、確定的に申し上げることは困難でございますので、金融庁としては、引き続き、内外の経済や金融市場等に及ぼす様々な影響を注視し、予断を持つことなく、日本の生命保険会社の財務に与える影響をきちんとモニタリングしてまいりたいと思っています。

稲富委員 しっかりとお取り組みいただければと思います。

 続きまして、法案の質疑に入ります。

 業界負担の在り方についてお伺いをいたします。

 保険業法二百六十五条の三十三では、業界負担枠、今回、事前積立て四千億、政府保証付借入れが四千六百のうち、事前積立ての金額については、機構の資金援助等業務に要する費用の予想額に照らし十分な額として定款で定めるところにより算定した額というふうにされております。

 生命保険契約者機構の定款七十条三項には、予想額に照らし十分な額として、四千億と記載をされております。

 機構の資金援助等業務に要する費用の予想額、この四千億の算出の根拠をお伺いをいたします。

鈴木国務大臣 生命保険契約者保護機構の業界負担による事前積立てにつきましては、保険業法におきまして、機構の資金援助等業務に要する費用の予想額に照らし十分な額として定款で定めるところにより算定した額を積み立てることとされております。当該規定に基づきまして、生命保険契約者保護機構の定款におきまして、積立限度額は四千億円と記載されているわけでありまして、先生の御指摘のとおりでございます。

 この額でありますけれども、平成十年の制度創設時に規定されたものでありまして、その算定につきましては、十年間を念頭に置いて、複数の生命保険会社の破綻に対応できるような規模まで積み上げるとの考え方により設定したものと承知をしているところであります。

稲富委員 ありがとうございます。

 この四千億、後で更にちょっとお伺いをしますが、複数の破綻にも備える額として四千億というのでは、なぜ四千億であって五千億でないのかということには答えていないと思います。我々、賛成の立場で質疑をさせていただいておりますが、もう少しやはりその根拠が必要だと私は思います。

 ちょっと、続きまして、質問を移ります。

 この定款七十条三項において、事前積立てについて、四千億に達した事業年度の翌事業年度には、会員は負担を納付しなくてよいとされているということで、今年度で四千億に到達するわけでございます。

 前回の期限延長が行われた平成二十八年の参議院の財政金融委員会では、このように当時の大臣は答弁をされております。積立限度額到達後の負担の在り方をただした質問に対して、政府は、積立限度額到達時点の保険業をめぐる状況が不透明であること、保険業に対する信頼を維持するために考えられる適切な資金援助の枠組みを検討する必要があることから、その当時、平成二十八年当時、現時点では絵が描けているわけではないという旨で答弁を当時の大臣がされております。ということで、四千億という積立てがもう完了する今こそ業界負担の在り方をしっかりと議論をすべきだと思います。

 そこで、伺います。

 来年度から業界負担の事前積立てというのは、四千億になるということで、行わないということなのでしょうか、伺います。

鈴木国務大臣 基本的に、この積立てにつきましては、業界でお決めになることでございますけれども、生命保険契約者保険機構による資金援助等の財源のうち、業界による事前積立てにつきましては、今年度末に同機構の定款で定める四千億円の上限額に達する見込みでございます。そして、現段階で上限額を上回る積立てを行うということ、これは業界でお決めになることでありますけれども、予定されていないと承知をしているところであります。

稲富委員 今回の法律、五年延長ということでございます。五年間、要するに、更に四千億を積立て、増すということを考えていない、業界は考えていない、そういうことでよろしいんでしょうか。

鈴木国務大臣 そういうことでございます。

稲富委員 次に伺います。

 業界負担のうち、事前の四千億は限度に達していると。事後の拠出である四千六百億の政府保証付借入れも既に恒久化をされているということで、今回、政府補助を延長するということなんですけれども、その根拠、論拠を教えてください。

鈴木国務大臣 生命保険会社の経営というものは、足下においては安定している、そのように認識をしておりますが、一方におきまして、生命保険を取り巻く環境につきましては、少子高齢化の一層の進展、これによりまして、将来的な保険契約者の減少が心配されるということ、あるいは低金利環境の継続が見込まれる、運用する様々な収益が厳しくなるなど、引き続き厳しいものと考えているところでございます。

 こうした中で、いかなる場合にあっても保険契約者の保護を的確に行い、保険業に対する信頼性を維持していくためには、政府補助の延長が必要である、そのように考えているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 ちょっと質問の順番を一つ飛ばして、次、大臣、ごめんなさい、政府補助延長の理由についてのところを伺います。

 今、御答弁をいただきました。確かに生保を取り巻く環境は大きく変わりました。二〇〇〇年当初は、生保の破綻の主な原因は逆ざやでありました。バブル期の高予定金利と金融危機下の低金利の金利差が大きな要因となっておりました。しかし、先ほど資料をお渡ししたように、生保の保有金融資産、この二十五年で約一・五倍になっている、対外直接投資も増えている、そしてソルベンシーマージンが著しく回復をしているということでございます。

 一方で資産は増え、一方で海外投資も増えているということで、大変厳しい状況にあるということでございますが、改めて、今後の生命保険会社の財務の中長期の見通し、特に今後五年間について、大臣の見解を伺います。

鈴木国務大臣 生命保険会社の各社の財務でありますが、これは保険市場や社会情勢、内外の経済金融市場等の様々な要因によって影響を受けるために、中長期的な見通しを申し上げるということはなかなか困難であると思いますが、生命保険各社においては、中長期的に安定的で持続可能なビジネスモデルを構築し、保険契約者等の安心、安全が確保される環境となるよう、経営努力を積み重ねていただきたいと考えております。

 金融庁としては、生命保険会社によるそうした取組を日頃からの対話やモニタリングを通じて促してまいりたい、そのように思っております。

稲富委員 ありがとうございます。

 中長期の見通し、分からない、難しいものの、しっかりとモニタリングをしていくということでございました。

 大臣、ちょっと質問を、ごめんなさい、さっきのと変えていたします。

 そもそも、生命保険という金融商品を完全な自己責任でやるということを問いにくいという立場に仮に立ったとして、そうだとしても、今回、国費による要するに補償をする、この制度そのものについての是非が私はまずあると思います。それをおいておいたとしても、業界負担による補償財源確保というのをやはり優先すべきだと思うんです。

 先ほど、四千億の根拠は何ですかと言ったときに、私は十分なお答えじゃないなと思いました。当時あった破綻に耐え得る、それが四千億だとおっしゃった。

 しかし、普通に考えれば、この五年間、積立てを増すことも考えていない、普通であれば、民間会社でありますから、仮に国の補償制度を是としたとしても、当然、積立てをもっと増やすべきというのが先だというふうに考えるわけですけれども、大臣の見解を伺います。

鈴木国務大臣 業界による積み増しをもっと増やして、自主的な対応の比重を増やすべきではないかという先生の御指摘でございますが、これはそれぞれ政策判断である、そういうふうに思っております。

 生命保険契約者保護機構の資金援助等の財源、これは、繰り返しになって恐縮ですが、生命保険業界による負担が原則でありますけれども、生命保険業界の負担のみでは対応できないような不測の事態への対応を講じる観点から、政府補助の規定が設けられているところでございます。

 事前積立ての一層の積み増しを含めた生命保険業界による今後の負担の在り方については、保険契約者等の保護や保険業の信頼性の確保などの観点から、よく検討していく必要があると思っております。

 金融庁として、まずは、生命保険業界において、生命保険会社の財務状況や経済社会情勢の変化などを踏まえ、一層の検討がなされることを期待をしております。そして、業界と対話をしっかり行い、必要に応じて、より一層の検討を促してまいりたい、そのように思っております。

稲富委員 今回の延長は、四回目ということなんですね。平成十七年改正で現在の保険契約者保護制度のスキームが導入をされて、政府補助制度がこれまで三度延長されてまいりました。平成二十年、二十四年、二十八年。そのたびに、改正のときに、金融資本市場の変化があるということでございました。

 五年前の平成二十八年延長のときには、大きく理由が二つあって、少子化という構造問題がある、先ほど大臣も少し触れられました。少子化という構造問題があるということが一つ。二つ目が、英国のEU離脱決定などにあった金融資本市場の不安定化ということで、不測の事態に備えてという二つの理由があったと、当時の答弁であります。

 今回は、法案の要綱には、冒頭には「保険業を取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、」ということで、これまでとは少し理由を変えて、金融資本市場という理由が落ちております。

 そこの、保険業を取り巻く変化というのは具体的に何を指すのかということをお伺いします。

鈴木国務大臣 保険業を取り巻く経済社会情勢の変化ということでございますが、具体的には、先ほど申し上げました少子高齢化の一層の進展や低金利環境の継続ということ、それに加えまして、長寿化による医療、介護負担の変化でありますとかデジタライゼーションの進展に伴う顧客の保険ニーズの変化なども生じている、そのことを指しているわけでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 あともう一つ、質問があります。

 平成二十八年十一月十六日、当時の麻生大臣が、五年前の延長に際してこのように御答弁をされております。合計特殊出生率一・八へ上げていくなどいろいろな努力をしているので、そういった成果が出てくる、またそういった状況になればこれは時限立法をやめてもいいわけなのでということを答弁をされております。

 先ほど来ありましたように、いわば少子化という構造問題があると当然保険に入る人が減っていくという問題があって、だからこそ、この制度の延長が必要なんだ、そういう論だと思うんですね。今の要するに、出生率一・八へ上げていくなどいろいろな努力をすれば、これは時限立法をやめてもいいわけということを当時、五年前答弁をされておりましたが、大臣、これは今も維持をされている政府の見解と思っていいんでしょうか、お伺いいたします。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、様々な業界を取り巻く環境のリスクを申し上げたところでございまして、そうしたリスクが取り除かれていけば、そういう見通しがしっかり立てば、また新たな検討というものはなされることになるのではないかと思っております。

稲富委員 次に、政府補助を用いた場合の手続についてちょっとお伺いをいたします。

 政府補助の発動はこれまでされたことがないということが先ほど御説明もありました。発動要件は二つあって、破綻した生保、生命保険会社に係る費用負担について国民生活又は金融市場に極めて重大な支障が生じるおそれがあると認められる場合が一つ。かつ、業界負担枠を超える資金需要が発生した場合、この二つが発動理由かと思います。

 平成十二年の生命保険会社の連続の破綻のときを振り返ってみますと、四社がおよそ四か月ぐらいの間に破綻をしていくということでございました。平成十二年の五月、八月、十月、十月ということで、非常に短期間に連続的に破綻をしたというのが当時でございました。

 保険業法の附則第一条の二の十四を見ると、「国民生活又は金融市場に極めて重大な支障が生じるおそれがあると認める場合には、予算で定める金額の範囲内において、」ということで、「予算で定める金額の範囲内」ということが書いてあります。とすれば、政府補助を用いた生命保険契約者保護を行う際は、財源措置として補正予算を組むということなのか、それとも予備費で対応できるのか、ここら辺を是非整理して御答弁をいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 政府補助が発動した際の予算措置の検討に当たりましては、具体的に補助の規模がどの程度になるのか、また時期等の様々な要素があって、それを考慮する必要があるんだと思います。補正予算を組むのか、予備費で対応するのか等の具体的な予算措置方法につきましては、こうした要素を考慮して、その時点で決定することになると考えているところでございます。

稲富委員 ということは、予備費もあり得るということ、そういう御答弁だということでよろしいでしょうか。

鈴木国務大臣 あり得るということです。

稲富委員 ありがとうございます。

 ちょっと大臣、質問を飛ばして、平成十六年に出た保険契約者保護制度の見直しについてというところを伺いたいと思います。

 これまでいろいろ御質問させていただきましたけれども、この制度を延長するに当たっての前提、そもそも政府補助の制度そのものを、延長いかんということの前に、この政府補助そのものについての、私は、やはりもうちょっと政府として議論すべきだし、その理由をしっかりと示していただきたいと思うわけです。

 平成十六年のこの見直しについてという当時の金融庁の金融審議会金融分科会第二部会が出した取りまとめを受けて、平成十七年に今回のスキームができたわけです。その十六年の報告書の中では、政府補助の是非そのものが論じられていて、三つの理由でこれは必要だと言っている。一つは逆ざやの問題、もう一つは生命保険機構の多額の借入金があるということが二つ目、三つ目が、生命保険会社が規模が大きくて破綻すれば金融市場や国民経済に甚大な影響を及ぼすという、この三つを言っている。

 しかし、一つ目の逆ざやはもうなくなって、二つ目の多額の借入金も四千億でもうしっかりと整っているということで、三番目の、大き過ぎて潰せないという理由しかもうないんですよね。

 先ほど大臣は、いろいろな、様々なリスクがあるからとおっしゃった。その様々なリスクをもう一回しっかりとやはり議論してほしいし、それを報告書としてまとめるべきだと思うんです。何か、漫然と五年間延長するということにしか聞こえないんですよね。

 元々、前回、五年前は、少子化とそして金融市場の不安定化、この二つだったんです。金融市場が不安定化していない以上、少子化というのは構造問題ですから、もし少子化が問題だというんだったら、五年じゃなくて恒久化せざるを得ない話になります。だから、これは、平成十六年から十八年間も、それ以降検証されていないんですよ。もう一回、この次の五年間のうちに、この政府補助の是非そして延長の理由、それをしっかりと検証していただきたいと思うんですけれども、大臣、見解を伺います。

鈴木国務大臣 稲富先生御指摘のとおりに、平成十六年の金融審議会の報告書の公表があったわけでございますが、それ以降、政府補助の規定について、累次の延長が行われましたが、その都度、その時々の生命保険会社を取り巻く経済社会情勢の状況等を踏まえまして、政府補助の必要性が検討されてきたものと思ってございます。

 そして、前回の延長から五年たって、今回の法案の提出に至っているわけでございますけれども、平成二十八年度の改正保険業法の検討事項、それがありますので、その検討事項を踏まえまして、生命保険契約者保護機構の財務状況でありますとか、また保険会社の経営の健全性の状況、さらに、保険業を取り巻く経済社会情勢等を幅広く検討をし、勘案をいたしました。その上で、この政府補助規定の必要性等について検討したところでございます。

 生命保険契約者保護機構の財務の状況や保険会社の経営の健全性の状況につきましては、安定しているものと認識はしておりますけれども、一方で、先ほど来申し上げておりますとおり、取り巻く環境につきましては、少子高齢化の進展、低金利環境の継続、さらには、長寿化による医療、介護負担の変化やデジタライゼーションの進展等に伴う顧客の保険ニーズの変化などが生じているところでございまして、こうしたことも検討して、今回の法案を提出させていただいたところでございます。

稲富委員 十分にはお答えいただけませんでしたが、次の五年間のうちに是非しっかりと御検討し、それをやはり報告書という形で示していただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会、赤木正幸です。

 貴重な質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、保険業法の一部を改正する法律案に関連する質問をさせていただきます。

 冒頭、日本維新の会、今日は一人で質問なのかとお気づきになられたかと思いますが、今日は三十五分の質問時間をいただいた際、通常であれば我々日本維新の会は二人で質問していたんですが、今日は私一人で三十五分を使わせていただきます。これは私の経験不足が全てですが、やはり一人の持ち時間が十七分とか十八分だとなかなか順序立てた質問とか深掘りした質問が難しい部分もありますので、今日は、三十五分たっぷり使って、この生命保険に関する現状若しくは課題点について議論させていただければと思います。いただいた時間を有効に活用するこの緊張感、私以外の、フォローしてくれる人がいないというのはすごく緊張していて、実は、先日、本会議に登壇するとき以上に今日は緊張していますので、是非よろしくお願いします。

 早速、質問の中身に入らせていただきます。

 まず、本日の私の質問者としてのスタンスなんですけれども、一国民として素朴な疑問若しくは素朴な不安をベースとした質問をさせていただきたいと考えています。これまで私の質問のスタンスは、どちらかというと不動産ビジネスとかスタートアップビジネスを行う経営者としての、ビジネスを通じて世の中の成長や基盤をつくっていくというスタンスが強かったんですけれども、今日はかなり初歩的かつ基本的な質問も含めて生命保険を深掘りしたいと考えております。

 これは、実際、私の周りに同じような質問を問いかけて返ってきた回答もベースにしているんですが、意外に、知っているようで知らなかった生命保険業界のセーフティーネットについて、国民の皆様の理解が深まり安心が高まれば、あるべき制度についての議論のベースができると考えております。そうやって国民目線とはいいつつも、根底にある政治的、政策的な論点を示すべきと考えていますので、冒頭、少し、今日の質疑の根底にある私自身の論点若しくは課題認識を簡単に説明させていただきます。

 本改正法案のベースになる生命保険契約者保護機構による資金援助等の制度は、言うなれば三階建てのセーフティーネットと私は理解しています。一階部分が業界団体による事業積立てによる対応、二階部分が政府保証つきの借入れによる対応、三階部分が本日まさに改正点にもなっている政府補助による対応ですね。平成十年にこの制度ができてから約二十五年近く、特に、四半世紀、この三階部分の政府補助は発動されていないです。

 一方で、国民の税金を用いて、言うなれば保険契約者という一部の方たちの保護をする制度というのがどれぐらい重要で、継続する必要があるのかといった、この部分はきっちり議論するべきと考えていますので、こういったベースを持ちながら、一方、国民目線で質問させていただきます。

 国民目線の話に戻ると、生命保険の加入率は、私の手元の調査も含めていろいろなアンケートで、大体八割ぐらいがずっと維持されていると認識しています。言うなれば、八割の国民の皆様にとって身近な問題ですね。一方で、この加入目的も、医療費や入院費のため、若しくは万一の家族の生活保障のためといった目的が大体半数以上の目的になっていますので、何かあったときのよりどころであることには間違いないと思われます。

 一方で、これは私の周囲にかなりな数を今回の質問に際してヒアリングしたんですが、本改正の中心である政府補助について知っている人は、実は誰もいませんでした。さらに、この生命保険契約者保護機構という、生命保険会社が破綻したときのセーフティーネットの存在についても、実はほとんど知っている人がいないような状況です。さらに、十年前に結構生命保険会社が破綻したということを覚えている方も実は余りいないので、ある意味、銀行以上に生命保険会社というのは我々の生活に非常に影響を与えるものとはいいながらも、なかなか、事が起こってからじゃないと意識されない制度なのかなというふうに私自身感じております。

 実際に、生命保険文化センターの調査によると、年間大体三十六万円、だから、月にすると三万円、結構な金額を皆さん払われているようなものにもかかわらずというところが少し違和感というか、意外性のある結果でした。そこで、だからこそ、この保険業法の一部を改正する法律案、非常に重要と考えております。

 まず、質問に入りますが、議論の大前提として、生命保険の加入状況、これについて政府の御見解をいただければと思います。できれば、加入率とか保険金額等の具体的な数値を用いて御回答いただければ、非常にイメージしやすいと考えております。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 生命保険の加入率につきましては、生命保険文化センターの生命保険に関する全国実態調査によりますと、ここ数年間、あるいは十年以上、ほぼ横ばいでございまして、二〇二一年度で申しますと、八九・八%になっておる。それから、生命保険の加入金額につきましては、同じ調査によりますと、世帯の普通死亡保険金額が、例えば、二〇〇九年であれば二千九百七十八万円であったものが、二〇二一年では二千二十七万円と、これは減少傾向が続いております。

 その理由については、ちょっと一概には分からないんですけれども、例えば、がん保険等に係る加入率が大きく上昇しているということなどを踏まえますと、高齢化の進展によって、お客様のニーズが死亡保障から生前給付に移ってきているということが原因ではないかというふうに考えています。

赤木委員 ありがとうございます。

 生前受取保険、増えているということが、まさに、高齢者が増えているという部分もありますし、社会不安の影響もあるのかなと個人的には考えております。

 先ほど、生命保険の加入金額は下がっていると御回答いただきましたが、私も、まさに、この生命保険文化センターの調査結果を見ているんですが、世帯年収が高い世帯ほど加入金額が高いというふうに認識しているんですが、そういった傾向はございますでしょうか。

栗田政府参考人 まさに、御指摘のとおり、年収が高い層の加入率が高くなっている傾向がございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね、世帯年収が高い方たちの保険加入金額が高いというのをなぜあえて私は取り上げているかというと、ちょっと理由があって、いわゆる節税目的の生命保険の存在を気にかけているというか、懸念しているというのが理由です。

 会社の経営などをしていると、期せずしてというか目にするのが、この節税目的の生命保険です。具体的に言うと、例えば、掛金を損金化して、利益を減らして納税額を減らすことができますよみたいな保険の勧誘を結構私自身も受けたことがあるんですが、このような保険、あえて言うなら、本来的な目的ではないような生命保険がもし多い場合に、国民の税金を使ってこういった破綻の際の補償というか保全をするというのは少し筋が違ってくるなと私自身は考えているんですけれども、ここで質問になります。

 節税目的の生命保険の実態について、政府としてはどのように把握されていますでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる節税保険と申しますのは、一般的な定期保険等におきまして、法人が契約者となって、その従業員等を被保険者とすることによって、その支払い保険料を損金として税務処理できる保険であるというふうに承知しております。

 一部の生命保険会社におきまして、このような保険商品の節税効果を過度に強調するなど、保険本来の趣旨を逸脱した募集活動が行われているということは、我々も把握しておるところでございます。

 我々といたしましては、生命保険会社におきまして保険本来の趣旨を逸脱するような販売、勧誘が行われないよう、適切な保険募集管理体制を確立することが必要であるというふうに考えておりまして、こうした観点から、適切に監督、モニタリングを行ってまいりたいというふうに考えてございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね、まさに、趣旨を逸脱した活用、運用というのは、言い方がちょっと語弊があるかもしれませんが、少しイタチごっこで、何かを対策すれば、また新しいものが出てくるというのが実際だと思いますので、この制度のまさに根幹に関わることですので、継続的にチェックしていただければと考えております。

 私自身、不動産の業界とか投資の世界に長くいると、こういった節税問題というのは様々存在しますので、この件に関しては、また改めて、機会があるときに深掘りさせていただければと考えております。

 では、ちょっと次の質問として、生命保険業界への新型コロナウイルスの影響について質問させていただきます。

 実際、保険というのは想定外のことが起こったときに効果を発揮するものと考えていますが、この想定外というのは、まさにコロナウイルスは誰も想定していなかったことだと思います。

 そこで、まず、質問になりますが、コロナに関連した保険金や給付金がどの程度実際に支払われているかというところを教えていただければと考えております。ちょっと細かい内容になりますが、例えば宿泊施設若しくは自宅療養した場合に、入院給付金、形としては入院していないけれども、実態として入院しているような場合も、実際、どれぐらい支払いがされているかというところを御見解いただけますでしょうか。

    〔委員長退席、中西委員長代理着席〕

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 生命保険協会の取りまとめによりますと、新型コロナウイルス感染症を直接の原因といたしまして、二〇二〇年三月から二〇二二年の一月末までの間に生命保険会社各社が支払いを行った保険金、給付金の累計額は、死亡保険金が一千五十六億円、入院給付金が六百四十三億円となってございます。

 この入院給付金六百四十三億円のうち、病院以外の宿泊施設ですとか自宅で療養された方に対して支払いが行われたものの累計額は四百八十七億円となってございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 相当な保険金が既に支払われていることを理解いたしました。また、自宅療養者も、六百四十三億のうちの四百八十七億なので、七〇%以上の方たちがそういった形の、いわゆる入院相当の、自宅療養等の入院に対して保険金を受け取っているということを聞いて安心できました。

 一方、保険金が支払われていることを安心する一方で、新たな懸念があります。

 今回の法改正にも関わる内容だと思うんですけれども、保険会社、それだけの保険、想定外の保険を払っている中で、保険会社への影響自体は、実際にどれぐらい大きな、大きさを含めて、影響があるのかというところを御見解をいただけますでしょうか。

    〔中西委員長代理退席、委員長着席〕

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、新型コロナウイルス感染症による支払いが一定程度発生しているところでございますけれども、今のところ、この保険金及び給付金支払い額が非常に大きく増加しているというほどには至っていないというふうに考えております。

 また、生命保険会社の経営全般の指標を見ますと、例えば二〇二〇年度以降、当期純利益は、資産運用収益の増加を主要因といたしまして、前年を上回る状況が続いておりますし、保険会社の健全性を表す指標でございますソルベンシーマージン比率も全社平均で一〇〇〇%を超えるということで、高い水準を維持しております。

 こうしたことから、現時点において、新型コロナウイルス感染症による生保会社の財務への影響は軽微であるというふうに認識をしております。

赤木委員 ありがとうございました。

 利益に対してもその支払い金額というのは極小というか小さくて影響はないということを聞いて、安心いたしました。

 安心するといいながらも、実は、もう一つちょっと懸念点というか心配点があって、ちょうど第六波が始まった頃のニュースで、いわゆるコロナ感染保険という、コロナになった場合に十万円若しくは数万円支払ってもらえますよというような保険の募集の停止若しくは条件の変更があったことを記憶しているんですが、ちょっと再度の質問になるんですが、こういった条件変更、対応しているような保険会社についても、今の御回答のように、影響はどれぐらいあるのでしょうか、御回答いただければと思います。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに一部の生命保険会社では、この新型コロナウイルス感染症を保障する商品の販売を停止をしておりますけれども、当然のことながら、この販売停止後も被保険者への保障は継続されるということでございますし、生保会社の財務への影響は軽微であるということでございますので、今すぐ何か大きな問題が生じるということはないというふうに考えてございます。

赤木委員 ありがとうございました。

 再度の質問でしたが、保険会社がコロナの影響によって破綻するようなことは今のところないということを知って、私だけでなく国民の皆様も安心感も強まったと感じております。

 そこで、いよいよ保険会社の破綻についての本質的な質問に入っていくんですけれども、先ほどの御回答を踏まえると、生命保険会社は、こういったコロナという未曽有の、想定外のことが起こったところでなかなか破綻するようには思えないんですけれども、実際に、どういった場合に生命保険会社が破綻すると考えられているのかというところを、政府の御見解をいただけますでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 生命保険会社の経営破綻の原因については様々あるというふうに認識をしておりますけれども、例えば過去の破綻事例を見ますと、二〇〇〇年頃の生保危機におきましては、超低金利などによる逆ざやのほかに、株価の下落等によりまして、生命保険会社は構造的に厳しい経営環境にございました。

 そのような中で、一部の中小生命保険会社において、財務基盤の強化が進まない中で、解約の増加などをきっかけとして破綻に至ってしまったというふうに承知しているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 一部の中小保険会社は、財務基盤、いわゆる景気の悪化とか市場のシステミックリスクより個別の、個々の会社の経営状況が破綻の原因になるというふうに理解しているんですけれども、現時点において、生命保険会社の破綻可能性について政府としてはどのように評価されているか、御見解をいただけますでしょうか。

栗田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、現時点におきまして、生命保険各社の財務状況は総じて健全なものであるというふうに考えておりますけれども、中長期的には人口減少による国内市場の縮小ですとか低金利環境が継続するといった事業環境に直面しておりますので、引き続き、生命保険会社の経営の健全性が維持されるようにしっかりとモニタリングをしてまいりたいというふうに考えてございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 今まさに、モニタリングをして継続的に経営状況を捕捉されていくという御回答をいただきましたし、先ほども、これまでの質問の中にもあったと思うんですけれども、ちょっと再度、モニタリングをどういった形でされているかということについてお答えいただけますでしょうか。

黄川田副大臣 金融庁では、生命保険会社に対しまして、財務会計情報及びリスク情報等について継続的に報告を求めております。また、必要に応じ、経営陣や担当部署に対しヒアリングを実施することで、経営の健全性の状況を適時に把握しております。

 また、保険会社の経営破綻は外部環境の影響を受けていることもあり得るために、金融市場や政治経済等、国内外の環境変化が生命保険会社や金融システムに与える影響についても分析、把握しているところでございます。

 金融庁としては、生命保険会社の健全性について、引き続き、将来を見据えた分析を行ってまいりまして、ビジネスモデルの持続可能性を検証する動的な監督に取り組んでまいる所存でございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 本日の法改正は、ある意味、破綻してからの話ではあるんですが、今お答えいただいたように、やはりきっちりとしたモニタリングをしながら、破綻を未然に防ぐということこそが経済にとっての影響を一番ちっちゃくすると考えておりますので、是非継続してモニタリングを進めていただければと考えております。

 次に、生命保険契約者保護機構制度についての質問に移らせていただきます。

 今回の法改正の論点というのは、政府補助、先ほどの私の言葉で言うと三階部分の政府補助ですが、その政府補助が発動する前の業界負担部分、ここをもう少し大きくする方法もあるのではないかなと考えております。

 この点に関連して、業界負担枠における事前積立て、これは一旦、今四千億と置かれていると思うんですが、ここをもっと増やしていくという想定はあるのか、若しくは、増やさないのであれば、なぜ増やさないのかについて、政府の御回答をいただければと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の生命保険契約者保護機構の業界負担による事前積立てにつきましては、保険業法におきまして、機構の資金援助等業務に要する費用の予想額に照らし十分な額として定款で定めるところにより必要な額を積み立てるということとされており、それが先生御指摘の四千億ということでございます。

 これが今度、積立てがいくということで、先ほどもございましたとおり、その事前積立額につきましては増やさないということにしているわけでございますけれども、事前積立ての一層の積み増しということですとか、あるいは政府保証借入れの増額ということも含めました生命保険業界による今後の負担の在り方につきましては、保険契約者の保護、それから保険業自体の信頼性の確保といった観点から、よくケントクしていく必要があるということだと考えてございます。

 その際でございますけれども、金融庁といたしましては、まずは生命保険業界におきまして、生命保険会社の財務状況や経済社会情勢の変化などを踏まえて一層の検討がなされることを期待しているところでございます。その上で、我々といたしましても、生命保険業界との対話をしっかりと行い、必要に応じて、より一層の検討を促すということをしてまいりたいというふうに考えてございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、基本的には、まず業界団体が自助努力をして保険業界への信頼性を確保していくという趣旨については、非常に理解が深まりました。

 一方で、平成十一年若しくは十二年の生命保険会社の相次ぐ破綻時において、この生命保険契約者保護機構が役立ったと記憶していますが、資金援助等の実績若しくは政府保証借入れの実績について御回答いただけますでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの生命保険契約者保護機構におけます保険会社への資金援助額は、累計で五千八百十一億円となってございます。また、政府保証付借入額は、累計で千六百億円となってございます。

赤木委員 ありがとうございました。

 まさに、この生命保険契約者保護機構から相当額の資金援助、今言われた五千八百十一億円、貸付けに関しては千六百億円ぐらいがあったということを理解いたしました。

 一方で、これだけの金額がそうやって資金援助された際でも、今回の法改正の政府補助というものは使われなかったというふうに理解しております。

 そこで質問になるんですけれども、この政府補助の必要性、業界負担枠に余裕が、ちょっと言い方は間違っているかもしれないんですけれども、政府補助を使わなくても業界団体の自助努力で対応できているような状況で、更にこの政府補助を続ける理由について、政府の御見解をいただけますでしょうか。

黄川田副大臣 先ほど来金融庁から説明がありましたように、足下においては生命保険会社の経営は安定しているものと認識しておりまして、今までもその積立てによって破綻処理ができているということでございますが、今後、生命保険会社を取り巻く環境については、少子化の一層の進展や低利環境の継続が見込まれるなど、引き続き厳しいものと考えております。

 こうした中で、いかなる場合にあっても、保険契約者等の保護を的確に行い、保険業に対する信頼性を維持していくためには、政府の補助の延長が必要であると考えているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね、政府補助の位置づけというのが少し私自身も理解が難しくて、ちょっと改めての質問というか切り口を変えての質問になるんですけれども、そもそも、素朴な疑問として、契約者保護、保険契約者の保護のための仕組みなのか、若しくはもうちょっと広い意味で国民生活保全のための仕組みなのかというのを、政府補助の目的、趣旨について、ちょっともう一度御説明いただければと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 政府補助の規定につきましては、いかなる場合にあっても保険契約者の保護に万全を期すという観点から設けられているものでございますけれども、あわせまして、先生の御指摘にございましたように、この政府補助の発動に当たりましては、国民生活に極めて重大な支障が生じるおそれがあるということが要件の一つとなっているわけでございます。

 その点では、御指摘のとおり、保険契約者の保護といった視点に加えまして、国民生活の保全といった観点も含まれているものというふうに考えてございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね、今お答えいただいたみたいに、まさに、国民生活又は金融市場に極めて重大な支障が生じるおそれという要件という部分がありますので、生命保険契約者保護機構自体はまさに全体としてセーフティーネットになっているんですけれども、政府補助についてはもう少し広い概念であるというところは理解できました。

 ここで更なる質問になるんですけれども、政府補助の発動要件というか判定基準のようなものについて、御回答いただければと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 政府補助の発動要件ということでございます。

 やや細かい答弁になって恐縮でございますけれども、生命保険会社各社の負担金のみで資金援助などの費用を賄うとすれば、各社の財務状況が著しく悪化する、生命保険業自体に対する信頼性の維持が困難となるということがございまして、一つには、広く生命保険契約が守られないとの不安を招き、国民生活に極めて重大な支障が生じるおそれがある、これが一つ目でございます。又はということで、生命保険会社に対する信頼性が損なわれ、金融市場に波及するということにより、極めて重大な支障がおそれがあるといったことが事態として想定されているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 度々の質問になってしまうんですけれども、今お答えいただいた要件に照らし合わせた場合に、まさに、五年前はどうで、現在はどのように、それに照らし合わすと生命保険業界というのを評価されているかという部分について御見解をいただけますでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 決算の出ております二〇二〇年度とその五年前の二〇一五年度を比較いたしますと、例えば当期純利益では、二〇一五年度が一兆三千四百五十七億円であったものが、二〇二〇年度には一兆九千百九十九億円になっております。また、ソルベンシーマージン比率についても九八九%から一〇〇九・七%に増加をしておりまして、足下、あるいは五年前もそうですけれども、生命保険会社全体の経営状況は総じて安定しているというふうに考えております。

赤木委員 ありがとうございました。

 まさに生命保険会社の経営状況に基づいて判断されているということを理解させていただきましたが、これも先ほど来から繰り返されている質問にはなると思うんですけれども、時限措置としてこの政府補助は存在して、延長が繰り返されていると思いますが、五年後、どのような状況になった場合にこの延長措置を廃止するのか、若しくは、逆に、いっそのこと恒久化して、継続してしまうというような可能性もあるかと思われますが、政府の御見解としてはどのようにお考えでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 五年後の政府補助規定の取扱いという件についての御質問でございますが、これまで御説明させていただいているような延長の趣旨に鑑みますと、まずは、生命保険会社が今後とも安定的で持続可能なビジネスモデルを構築し、保険契約者の安心、安全を確保する環境が整うということがまずもって重要だと考えてございます。

 その上でということになりますけれども、将来的な政府補助の在り方につきましては、本法案の検討規定を踏まえまして、保険会社の経営の健全性の状況、それに加えまして、保険契約者保護機構の財務の状況、それから、保険業を取り巻く経済社会情勢の変化というものを改めて検討するということかと考えてございます。

赤木委員 ありがとうございました。

 繰り返しになりますが、まさに、まずは業界の自助努力を引き出す制度として理解いたしました。

 一方で、事が起きた場合に、政府補助は国民負担が発生するというふうなものなんですけれども、ちょっと私の周囲にヒアリングした場合、こういった制度があるということをほとんどの方が知らなかった状態なんですけれども、実際に、この政府補助を含めて、こういった生命保険契約者保護制度自体を保険加入者について何か告知されたりとか知らしめるような取組というのはされていますでしょうか、御見解をお願いいたします。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 保険業法上、保険募集人等には、保険契約の内容やその他保険契約者等に参考となるべき情報の提供が義務づけられておりまして、その中には、今お話のありましたセーフティーネットに関する事項も含まれております。各生命保険会社におきましては、この法令を踏まえまして、実務上もそのような取扱いをしているというふうに承知をしております。

 また、金融庁ウェブサイト上にも保険会社のセーフティーネットに関する情報を掲載しておりまして、国民向けに広く周知を図っているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間も迫ってきたので最後の質問とさせていただきますが、こういった政府による補助があることによって、ある意味、業界団体若しくは保険加入者の方たちが、言うなればちょっと思考停止に陥る、いわゆるモラルハザードが起こる可能性もあるかなと懸念はしているんですけれども、政府保証が存在することによって起こり得るモラルハザードについて、状況若しくは防止策等について政府としての御見解をいただければありがたいです。

鈴木国務大臣 先生御指摘の政府補助に伴うモラルハザードとしては、破綻時の損失の一部を政府が負うことによりまして、生命保険会社に対する経営の規律が不十分になることなどが想定をされるところでございます。

 これにつきましては、破綻時における保険契約者の保護割合を、定率、原則責任準備金の九割としていること、加えまして、政府補助の発動については、保険業に対する信頼性の維持が困難となり、ひいては国民生活又は金融市場に極めて重大な支障が生じるおそれがあると認める場合といった要件を設けていることなど、御指摘のモラルハザードの発生を防ぐための措置を講じているところでございます。

 いずれにいたしましても、生命保険会社の健全性の確保等に向けたモニタリング、対話を行ってきているところでございまして、生命保険会社の経営規律が緩むことのないように、引き続き監督責任を適切に果たしてまいりたいと思っております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、このモラルハザードの問題というのはバランスが必要な、なおかつ社会情勢によって刻々と変わる部分だと思いますので、継続して当たっていただければと望んでおります。

 以上、私の持ち時間も参りましたので、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 国民民主党の岸本周平です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 今、三十五分間の、赤木委員の精緻で網羅的な御質問、大変ありがとうございます。今の赤木委員の質問の上に成り立って、私の質問をさせていただきたいと思います。本当によく整理されていたと思いますよ。よかったです。

 私が今日、赤木委員につけ加えたいのは、生命保険料控除制度の効能について、効果についてつけ加えて質問したいと思うんですが、その前に、赤木委員の最初の御質問にもありましたけれども、生命保険の加入率がどうかということなんですけれども。

 十年ぐらいを取りますと、確かに横ばいで八割ぐらい。二人以上の世帯という生命保険文化センターの調査によりますと、世帯加入率が、最近は横ばいなんですけれども、少し長いスパンで取りますと、例えば二十年で見ますと、二十年前は実は九三%ぐらいあったんです。一割減っているんですね、一割減っているんです。それをどう見るかということなんです。加入率ですから。二人以上の世帯の加入率が一割減っている、二十年というスパンで見れば。

 お若い方もたくさんいらっしゃいますけれども、昔々、三十年前とか四十年前は、役所も会社も非常に開かれていまして、ある意味ルーズだったものですから、今お若い方は想像できないでしょうけれども、勤務時間中に生保レディーが、生保のおばさんが会社や役所に入ってこられていました。勤務時間中に営業活動をされていましたけれども、まあ、別に誰も不思議と思わない時代、今と全く違います。今、経済産業省はドアが閉まっているわけで、関係者以外入れないんですけれども、生保レディーだけは当時も自由に出入りができていました。

 新入社員にまず勧誘をするんですけれども、なかなか安月給ですから入らないです、役所は。結婚する機会とか、あるいは子供が生まれたときとかには、これはほぼ一〇〇%、みんな入るんですね。

 そういうことが関係するのかどうか知りませんけれども、ちょっと、二十年ぐらいで見たときの加入率の減少について、金融御当局としてどういう評価をされているのか、御質問したいと思います。

黄川田副大臣 御質問ありがとうございます。

 私どもの認識しているデータによりますと、世帯加入率は、一九九七年では九三・〇%ございました。そして、直近でございますと、二〇二一年は八九・八%と、三・二ポイント低下になっていると認識しております。

 また、生命保険の平均加入額は、死亡保険金では、一九九八年は一千八百十七万円、二〇一九年は一千二百六十一万円と、五百五十六万円の減少になっていると認識しております。

 この理由については、一概に申し上げることは困難ですが、例えば、がん保険等に関わる加入率が大きく上昇している状況などを踏まえますと、高齢化の進展によって、顧客のニーズが死亡保障から生前給付に移ってきていることも一因と考えております。

岸本委員 それで、やはり生命保険というのは、従来の死亡型に加えて、個人年金型というのが加わりました。これは橋本大蔵大臣のときだったんです。私、主税局におりましたのでよく覚えていますけれども、橋本大蔵大臣のときに個人年金型が入りました。

 今後を考えても、公的年金を補完するという意味での私的な年金というのはとても大事でしょうし、あるいは医療や介護に備えるというようなことも大変大事ということもありましょう。

 そういう意味で、実は、二〇一二年の税制改正、これは民主党政権の時代でありますけれども、このときに、旧来の生命保険料控除、一般型が五万円、地方税は三・五万ですけれども、国税だけでいいますと五万円、個人年金型が五万円。これを、新しく介護医療保険というのを入れまして、ただ、全体に枠が大きくなりますので、五万円を四万円にして、一般生命保険が四万円、介護医療保険が四万円、個人年金保険が四万円、拡充しております。

 これは画期的なことだと思いますし、民主党政権のことは余り皆さんよくおっしゃらないんですけれども、こういうよいこともしているということは、是非、皆さん、国民の皆さんには御理解をいただきたいと思いますけれども。

 結果として、いろいろ見ますと、やはり、新たに設けられた介護医療保険につきましては、利用率もその後、増えています。二〇一二年の一月からの契約になるんですけれども、これが増えています。所得控除額も、当然ですけれども、年々増えてきているんですね。このことが制度改正をした効果だと言えるのかどうか、金融御当局の御所見を伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 岸本先生御指摘になられました、二〇一二年の制度改正以降、介護医療保険の利用率や一人当たりの所得控除額は、確実に増加傾向にあると承知をいたしております。

 例えば、利用率について言えば、二〇一二年二〇・一%だったものが、二〇二〇年には五二・二%。そして、一人当たりの介護医療保険料の所得控除額は、二〇一二年におきましては一・八万円、二〇二〇年におきましては三・一万円、このように伸びているわけでありまして、これは、こうした改正の効果であったと思っております。

 保険契約を締結した理由は個人によって様々であるために、確たることを申し上げることは困難でありますけれども、高齢化の急速な進展による国民の保険ニーズの変化に加え、生命保険料控除制度の充実も、先ほど申し上げましたとおり、この要因の一つではないかと考えております。

岸本委員 ありがとうございます。

 さらに、もう少し詳しく、年代別に生命保険文化センターが調査をされていまして、これで見ますと、二十歳代、二十歳代の方というのは余り生命保険に入られないんですけれども、実は、この制度改正をした後、二〇一三年以降は、二十歳代の個人加入率が上昇しております。

 この辺について、副大臣、どのように分析されていますか。

黄川田副大臣 委員御指摘のとおり、公益財団法人生命保険文化センターのアンケート調査によれば、二十代の生命保険の個人加入率については、二〇一三年以降、若干増加していることを承知しております。

 こうした二十代の加入率の増加の要因については、確定的なことを申し上げることは困難ではございますが、御指摘のとおり、二〇一二年以降の生命保険控除制度の拡充による効果のほか、例えば、加入率の低い二十代の非正規雇用者の割合が二〇一三年以降低下傾向にあることなどが考えられています。

岸本委員 ありがとうございます。

 介護、医療の保険はニーズに合って増えていっているんですけれども、例えば、旧来の一般生命保険と個人年金、これは、二〇一一年以前は上限五万円でした。旧保険から新保険にどんどん入れ替わっていますから、もう十年たっていますから、どんどん入れ替わっている中で、当然、四万円の上限でありますから、所得控除の額は減っていきます。実際、右肩下がりになっています。

 個人年金も大事でしょう、いわゆる一般型の生命保険も残された遺族にとっては大事でしょう、さらには全体に個人年金も必要だとなったときに、そろそろ、大臣、この四万円、四万円というのを拡充する時期に、十年たっていますから、やはりこれは、五万円、五万円と、生命保険料控除の抜本的な拡充が必要なのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 ちょっと一般論になって恐縮でございますが、生命保険等は公的保障を補完する私的保障としての役割を果たしておりまして、生命保険料控除制度は、生命保険等に加入する方々の自助努力を支援するものと位置づけられております。

 金融庁においては、こういった生命保険料控除制度の役割や国民の保険ニーズの変化などを踏まえまして、毎年、生命保険料控除制度の拡充要望、これを行っているところでございます。

 一方において、生命保険料控除制度の拡充については、私的年金、貯金、投資等の自助努力を支援する各種の優遇制度にも留意すべきであるとの指摘もあることから、いずれにいたしましても、丁寧に検討していく必要があると思っております。

岸本委員 今の社会保障の予算は、これは必ず適正化をしていかなければなりません。今のような形で財源を考えたときに、もつはずがないんです。そんなのはみんな分かっているんです。抜本的な社会保障制度の改革をしなければいけない、年金も医療も介護も含めて適正化、合理化をしていかなければいけないということは明らかであります。

 そうであるならば、本当に困っている方には手厚い保護、これは前提ですけれども、やはり私的な分野で準備できる方には準備をしていただくということは当然のことでありますから、やはり税制のインセンティブを使って、生命保険という商品の中で、一般保険、個人年金、そして医療、介護、どれもこれからの国民にとって大事なことですから、これはやはり私的な活動としてインセンティブを与えていくということは是非ともやっていかなければ、全体としての年金や医療、介護の社会保障とのバランスを考えたときにこれは必要だと私は考えております。

 一方で、さはさりながら、生命保険料控除というのは、古く、続いていますけれども、大変な財源を食っています。主税局にお問合せをいたしましたら、大体平年度で三千億円です、三千億円もの財源を使っているということなんですね。これもまたこれで、財政当局としては大変厳しい判断を迫られるのではないかと考えます。

 ですから、政府税制調査会の答申では、特に一般生命保険型については大変厳しい答申が出ているんですね。つまり、さっき言いました、八割ぐらいの方が既に加入しているではないですかと。つまり、ほとんどの人が加入しているのに何で税制で応援しなきゃいけないんですかというのが財政当局の理屈なんです。そう言われてみれば、そうかもしれません。

 そこで、財政当局の立場から考えたときに、場合によっては政策誘導の必要性をどこまで認めるのか。今、御答弁は、金融担当大臣としての鈴木大臣でありましたが、財政大臣、財政担当の財務大臣として、生命保険料控除をどう考えておられるのか、御意見を伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 二つの立場があって、ちょっと相反するところもございますが、財政当局という立場でお答えを申し上げますと、生命保険料控除制度につきましては、高齢化が進展する中で、私的保障による老後の生活等のリスクに備えること、これは重要であることを踏まえて、保険契約者の自助努力を支援するものとして意義があるもの、そのことを考えております。

 他方におきまして、本制度については、先ほど御指摘ございましたとおり、多額の減収額が生じている状況や生命保険への加入率も相当の水準に達していることなども踏まえれば、生命保険の社会保障を補完する役割や普及状況、私的年金等に係る各種の優遇制度があること、課税の公平性、厳しい財政状況などを踏まえて、丁寧に議論をしていく必要がある、そのように考えております。

岸本委員 本当に大変つらい立場で御答弁をいただきました。申し訳ございません。

 しかし、本当に、財務大臣として査定担当の大臣と要求官庁である金融担当大臣を兼務されるということの是非についても、もう今日は議論しませんけれども、大変おつらい立場だと思います、人格が真っ二つに割れるわけでありますから。そうなりますと、部下の皆さんも健全な政策論争がどこまでできるのか、そういうことも懸念されるわけですので、要求官庁大臣と査定担当大臣が一緒でいいのかということを問題提起として申し上げながら、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

薗浦委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 保険業法について質問します。

 生命保険会社の破綻に際し、生命保険契約者を保護する仕組みは、経済への影響を考えると必要だと考えます。しかしながら、基本的には、経営方針により破綻に至ることを考えれば、国民の税金をその財源として求めるべきではないと思います。あくまでも、業界の健全性を維持するための仕組みであり、制度設計は業界の負担を原則とすべきであります。

 そこでお尋ねします。

 法案成立時、日産生命や東邦生命、第百生命など生命保険会社の債務超過、破綻処理が続き、生命保険会社の信頼が揺らいでいました。では、今の時点で生命保険会社がばたばた破綻するような差し迫った金融状況、金融危機があるのでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇〇年頃の生保危機におきましては、超低金利などによりまして逆ざやであったというほか、株価の下落などによりまして、生命保険会社は構造的に厳しい経営環境にございました。そのような中で、一部の中小生命保険会社において、財務の基盤強化が進まないうちに解約の増加などをきっかけとして破綻に至ってしまったというふうに承知をしております。

 現在におきましては、引き続き低金利の状況ではあるものの、生命保険各社では、この逆ざや契約の減少などによりまして財務体質の改善が進んでおります。また、政府補助制度が導入された当時のような差し迫った危機ではないというふうに承知しておりますけれども、他方で、中長期的には、人口減少による国内市場の縮小とか低金利環境が続くという事業環境もあるというふうに承知しておりますので、この点についてはしっかりと見ていきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 差し迫った危機はないということであります。

 前回の延長法案の審議において、当時の麻生金融担当大臣は、積立てが達成された後の負担の在り方については絵が描けていない、その時点において保険業をめぐる状況が見えていないためと答弁しました。しかし、業界の事前積立ては、二〇二一年度末で限度額四千億円に至ることがはっきりしました。保険業をめぐる状況がもう分かったのではありませんか。

 毎年、保険業界が三百三十億円ずつ積み立ててきて四千億円、事前積立てをなぜ継続して増やさないのか、そう考えるのが普通ではないんでしょうか。いかがでしょうか。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、生命保険契約者保護機構の財務の状況と業界負担でございますけれども、元々の政府保証の借入枠の四千六百に加えまして、今年度末で事前積立額が当初目標といたしました四千億円に達する見込みということでございまして、仮に複数の生命保険会社が破綻したとしても十分に対応が可能なものとなっているというところでございます。

 そうした状況の中で、今般の法案提出に当たりましては、前回の改正保険業法の検討条項というものを踏まえまして、保険保護機構の財務の状況、それから経営の健全性の状況というものに加えまして、先ほど来御答弁申し上げてございます保険業を取り巻く経済社会情勢をどう見るかといったところを検討したところでございます。

 その点、少子高齢化の進展、それから低金利環境の継続ということもございますし、それから長寿化に伴います医療、介護負担の変化、デジタライゼーションの進展に伴う保険ニーズの変化といったことも踏まえる必要があるんじゃないかということで、政府補助規定の必要性について検討させていただいたところでございます。

田村(貴)委員 後段の理由のところは非常に大ざっぱですよね。そして必然性がないと私は受け止めました。当時麻生大臣は、積立達成の後に保険業に対する信頼というものを維持するためにはどんな資金援助の枠組みが考えられるか、適切かといった観点からもちょっと検討させていただく、そのような答弁をされています。

 五年間制度を単純に延長するのではなくて、こうした仕組みについて検討すべきではないでしょうか。これは鈴木大臣に伺います。

鈴木国務大臣 この五年間、先ほど局長から御答弁申し上げましたとおり、二〇一六年の検討条項を踏まえて検討してきたところでございます。

 その上に立って、今回、この法律を出させていただいているわけでございますが、保険契約者保護制度につきましては、平成二十八年の改正保険業法における検討条項を踏まえて検討を行いました結果、今般の法案では政府補助の期限の延長を行うこととしているところでございます。

 また、保険契約者保護機構による資金援助の財源につきましても、着実に拡充しており、仮に複数の生命保険会社が破綻したとしても十分対応可能なものとなると考えております。

 このため、現段階において本制度の仕組みの見直しを考えているものではございませんけれども、将来の制度の在り方については、今回の法案の検討条項を踏まえまして、この法律の施行後五年をめどに必要な検討を行ってまいります。

 その際には、生命保険契約者保護機構の財務の状況、保険会社の経営の健全性の状況、保険業を取り巻く経済社会情勢の変化等、こうした点を幅広く勘案をしてまいります。

田村(貴)委員 主要生命保険会社は、二〇一七年から二〇二一年の五年間の平均で、一兆五千二百二十三億円もの当期純利益を上げているわけであります。政府補助制度は現行法の適用期限をもって廃止すべきと考えます。延長案に反対して、次の質問に入ります。

 この間、生命保険会社の不祥事と事件が多数起こっています。

 第一生命では、二〇二〇年十月以降に、金銭の不正取得事案が次々と判明、山口県における元特別調査役の巨額詐欺事件では約十九億五千百万円の被害が発覚しました。そのほか、和歌山県や福岡県、神奈川県などで金銭詐取事件が明らかになっています。二〇二一年五月には、ソニー生命の社員が、約百七十億円という巨額の不正送金事件も発生しました。このほかパワハラ、セクハラ事件も発生しています。

 金融庁にお伺いします。

 生命保険会社で起こっているこうした問題について、報告を受けて、事態を把握していますか。また、コンプライアンスの問題として行政処分をしたケースがあるのか、このことについてお伺いします。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘をいただきました、第一生命それからソニー生命において発生いたしました不正事件につきましては、金融庁では、報告徴求命令を発出いたしまして、原因分析及び改善策について適宜把握をしているところでございます。

 また、コンプライアンスの問題として行政処分したケースは、これまで幾つかございますけれども、例えば最近では、令和元年十二月に、多数の不適正な募集行為が認められたかんぽ生命に対する業務停止命令及び業務改善命令がございます。

田村(貴)委員 日本生命では、昨年十二月、東京地裁において、平塚支店でのパワハラ訴訟が結審しました。

 日本生命では、育成トレーナーがついて丁寧な育成、指導を行う、手取りでは月五十万円程度の収入が得られるなどと勧誘して、入社したものの、入社二年未満で育成中の社員にノルマを課して、ノルマ未達を理由に解雇をした、その間に上司から執拗な嫌がらせやパワハラを受けたという内容であります。

 生保の営業社員の問題の背景に、大量採用、大量脱落という問題、いわゆるターンオーバーの問題があります。

 東洋経済二月二十六日号によりますと、大手十五社の二〇二〇年度の採用者数は、退職者数を大幅に上回ったものの、三万一千三人もの退職者が出ました。営業職員の定着状況を把握する在籍率は、大手生保で、二年目が約七割、三年目が約五割、五年目が約二割、つまり、五年以内には十人中八人が辞めているという計算になります。

 採用という重要な局面において、うそをついたり本当のことを隠したりして仲間に取り込むということがいまだにまかり通っているのが生保業界の世界であります。闇の深さがうかがい知れると、この東洋経済の特集記事では、保険外交員からの告発を受けて、指摘をしているわけです。

 質問します。

 営業職員を大量に採用して、ノルマやパワハラ、給料の査定落ちなどで業績の悪い社員を退職に追いやる営業形態は、これは働き方改革の面から見ても改善すべき業態の悪癖ではありませんか。金融担当大臣として、大臣の見解を求めます。

鈴木国務大臣 生命保険会社の営業職員について、ノルマ等を原因に大量退職と大量採用を繰り返す、いわゆるターンオーバー問題が指摘されていることは承知をいたしております。

 営業職員が離職する理由には様々なものがあると思いますが、近年の働き方改革の考え方に相反するような慣行が生命保険業界で続いているならば、是正されていくべきものと考えます。

 生命保険業界においても、近年、営業職員をめぐる慣行について問題意識を持っており、営業職員チャネルを主とする会社においては、例えば、営業職員の給与を歩合給から固定給へ切り替える、営業職員の評価項目に顧客への契約内容確認活動の状況や苦情件数の多寡など、顧客本位の業務運営に資する内容を加えるといった検討や取組が進められていると承知をいたしております。

 金融庁として、引き続き、生命保険各社と対話を行い、いわゆるターンオーバー問題の改善に向けた取組を後押ししてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 時間の関係上尋ねませんけれども、日本生命や第一生命、明治安田生命、住友生命、朝日生命、富国生命、こうしたところの営業社員における、職員における女性の比率というのは、圧倒的に女性であります。多くの女性が働く場として、このような問題を放置していいわけがありません。大臣、しっかりと指導をしていただきたいと思います。

 さらに、営業社員に発生する問題が、消費税のインボイス問題であります。営業職員の多くが、業務委託契約をされますと、来年十月に制度が導入されれば、消費税納税相当分を保険会社が負担するか、あるいは、営業職員が課税業者になってもらうしかありません。ターンオーバーの問題がある上に、営業職の方に消費税課税業者になってもらうようなことになりますと、これはもう給料は減る上に、消費税を納税できなければ、滞納が発生するという事案も発生してまいります。

 金融庁は、生命保険会社の営業職への影響や対応について把握されていますか。

鈴木国務大臣 金融庁では、来年十月のインボイス制度導入に向けまして、保険会社を含む金融機関における制度の内容の理解、円滑な準備のため、各業界団体経由で周知、案内を行っているところでございます。

 保険会社につきましては、保険料収入は非課税で消費税負担をしておらず、これに対応する保険の販売に関する営業職員への報酬等について、原則として、保険会社の仕入れ税額控除の対象とはなりません。

 なお、例えば、営業職員が研修講師をする場合など保険の販売以外に報酬等が支払われた場合があり、その場合には、仕入れ税額控除の対象となるケースもありますが、大手生命保険会社は、インボイス制度導入後も、これまでと同様に、消費税相当分を保険会社が負担する方向で検討を進めていると承知をいたしております。

 金融庁といたしましては、インボイス制度の円滑な導入に向けまして、引き続き、関係省庁と連携しながら、金融機関への周知、案内など適切に対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 今大臣が答弁されたところの企業の動向というところは確認をさせていただきたいし、また教えていただきたいと思っています。企業だけじゃなくて、営業職員からの聞き取り、またアンケートも、インボイスの導入に伴ってやはり調査をしていくべきである、そのことも申し上げて、今日の質問を終わります。

薗浦委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

薗浦委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 保険業法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

薗浦委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

薗浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

薗浦委員長 次回は、来る二十五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十一分散会


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