衆議院

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第8号 令和5年3月10日(金曜日)

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令和五年三月十日(金曜日)

    午前八時四十五分開議

 出席委員

   委員長 塚田 一郎君

   理事 青山 周平君 理事 井林 辰憲君

   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君

      石井  拓君    石原 正敬君

      小田原 潔君    大塚  拓君

      大野敬太郎君    金子 俊平君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      坂井  学君    塩崎 彰久君

      津島  淳君    中曽根康隆君

      中山 展宏君    葉梨 康弘君

      藤原  崇君    八木 哲也君

      若林 健太君    野田 佳彦君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    米山 隆一君

      渡辺  創君    藤巻 健太君

      岬  麻紀君    伊藤  渉君

      庄子 賢一君    前原 誠司君

      田村 貴昭君    吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   財務副大臣        井上 貴博君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    諏訪園健司君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (農林水産省農産局農産政策部長)         松本  平君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    清水 幹治君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     坂井  学君

  津島  淳君     中曽根康隆君

  階   猛君     渡辺  創君

  山崎 正恭君     庄子 賢一君

同日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     越智 隆雄君

  中曽根康隆君     津島  淳君

  渡辺  創君     階   猛君

  庄子 賢一君     山崎 正恭君

同日

 理事越智隆雄君同日理事辞任につき、その補欠として青山周平君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

三月十日

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一九五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一九八号)

 同(本村伸子君紹介)(第一九九号)

 消費税インボイス制度の実施中止に関する請願(白石洋一君紹介)(第二四四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二九一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三〇二号)

 同(笠井亮君紹介)(第三〇三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三〇四号)

 同(志位和夫君紹介)(第三〇五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三〇六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三〇七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三〇九号)

 同(宮本徹君紹介)(第三一〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第三一一号)

 消費税率を五%に引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を求めることに関する請願(白石洋一君紹介)(第二四五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二五五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二七〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二七一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二七二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二七三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二七四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二七五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二七七号)

 同(宮本徹君紹介)(第二七八号)

 同(本村伸子君紹介)(第二七九号)

 納税者の権利擁護に関する請願(白石洋一君紹介)(第二四六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)


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     ――――◇―――――

塚田委員長 これより会議を開きます。

 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事越智隆雄君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に青山周平君を指名いたします。

     ――――◇―――――

塚田委員長 内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省主税局長住澤整君、関税局長諏訪園健司君、国税庁次長星屋和彦君、農林水産省農産局農産政策部長松本平君、特許庁総務部長清水幹治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 本日は、関税定率法等の一部を改正する法律案の税関事務管理人制度の拡充について質問させていただきます。

 近年、輸入申告件数は年々増加の一途をたどっており、特に令和元年以降というのは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う巣ごもり消費の影響を受けた電子商取引市場規模の拡大や、ECプラットフォーム事業者が提供するサービスの利用拡大を含む越境ECの拡大に伴い、航空貨物の輸入申告件数が二〇一九年は約四千二百万件から二〇二一年には約八千七百万件へと二倍、増加しております。

 そこでまず、輸入貨物の現状と課題についてどのように認識されているのか確認させてください。

諏訪園政府参考人 お答えいたします。

 越境電子商取引の拡大に伴いまして、輸入貨物につきましては、令和元年の約四千六百万件、これは航空以外に海上貨物も含んでございます、から令和四年、二〇二二年の足下で約一億一千三百万件へと輸入許可件数が急増しているところでございます。また、令和四年における不正薬物の押収量は七年連続で一トンを超えており、知的財産侵害物品の輸入差止め件数は三年連続で二万五千件を超えています。

 このような状況の中、近年、非居住者があらかじめ輸入しておいた貨物を国内でインターネット販売する場合などにおいて、非居住者が税関事務管理人を定めずに不正行為を行うなどの事案が散見されており、税関では、こうした事案等への対応など、急増する輸入貨物への対策が急務と考えているところでございます。

住吉委員 今御説明があったように、海外の販売者が、自ら輸入者となって貨物を輸入し、フルフィルメントサービスを利用して、国内の物流倉庫に納入後、ECサイト上で販売する場合には、当該非居住者は本来、税関管理人を定めるという必要があります。

 しかし、これを定めずに国内居住者に輸入の代行を依頼する場合があり、その国内居住者は名義を貸すのみで取引の実態を把握しておらず、また、非居住者の国内拠点もないため、税関の審査や事後調査時に申告内容や取引の詳細等を十分に確認することができない、また、税関事務管理人が当初の手続を終えて解任された場合等にも同様の問題が生じる等の指摘がされております。

 ECサイトで売買が成立する前に貨物が輸入されるので、輸入時には取引価格が存在せず、安い価格で申告して通関しようという業者が散見されるなどのケースに対応するために今回の法改正が行われております。もちろんこの法改正自体には賛同するところでございますが、複雑化し、グローバル化する中で、果たして今回の法改正でこれらの不正を全て取り締まれるのか、甚だ疑問が生じております。また、今後も取引量が増えることが想定されている中で、全てを捕捉できるのか、懸念が生じておりますが、御見解をお伺いいたします。

諏訪園政府参考人 今般の改正におきましては、非居住者が輸入申告などを行う際に、定めるべき税関事務管理人を定めずに御指摘のような行為を行う事案への対応といたしまして、税関長が国内関連者を税関事務管理人として指定できる等の規定の整備を行うこととしておりまして、これにより、非居住者に対する輸入通関時の審査や事後調査等の実効性を高めてまいりたいと考えておるところでございますが、これに加えまして、今回の改正におきましては、急増する輸入貨物への対応として、政令上の輸入申告項目に、通販貨物に該当するか否か、国内配送先などを追加することとしております。これによりまして、輸入貨物のうち通販貨物等の特定を可能とし、税関におきまして、貨物の類型を考慮したリスク管理を行って、めり張りのある審査、検査を実施していくということにつなげてまいりたいと考えております。

 税関では、これらの取組によりまして、急増する輸入貨物への対策を進めるとともに、国際的な商流、物流の変化、経済社会全体のDX化の急速な進展といった環境変化に対して、引き続き、迅速かつ的確に対処してまいりたい、このように考えております。

住吉委員 是非頑張っていただきたいと思います。

 関連して、知的財産の保護についてもお伺いしたいと思います。

 資源の乏しい日本において、世界に勝負できる日本の技術というのは大きな成長戦略の武器でもありますし、特に中小零細企業において、長年の、先人たちが血のにじむような努力をして、世界に誇れる技術を有しております。こうした技術などを守るための制度に特許制度があります。しかし、このような特許制度が裏目に出てしまってきています。

 一般的に、特許を取得した技術は第三者に公開されるのが原則です。この趣旨としては、発明者に独占的な権利を保障する代わりに、更なる技術革新や産業全体の発展を促すためとされております。

 一方で、公開された情報は海外からもアクセスが可能で、それを無許可で別の製品や技術に転用するケースが相次いでおります。今や、技術が進歩し、販売サイトに写真や画像を掲載すると、3Dプリンター等を用いて、それを悪用して模倣品が出回る、そういうケースもあるというふうに聞いております。日本の技術を含めて知的財産が勝手に用いられ、模倣品が容易に作製されて、それをEC等を使って国内で販売されたりします。

 また、今後、国内のマーケットが縮小する中で、海外に販路を開拓している、又はこれから活路を見出そうとしている中小零細企業の商売の妨げになっているというのが現実でございます。国際商業会議所が推計した世界全体の模倣品、海賊版の流通額は最大二・八兆ドル、これは日本円に換算すると三百兆円以上にも及ぶとされており、アジアで最も被害額が多いのが日本で、国内企業の被害額は三兆円との試算もございます。

 現状、これらを取り締まるすべはないのでしょうか。

 また、中小零細企業において、特に、模倣品をそのサイトで発見したとしても、国際的な訴訟を起こすための法律に詳しい人が不足していることや多額の費用がかかることから、実際には泣き寝入りしているケースが多いというふうに聞きました。地方に行けば行くほどそのような知見のある専門家は少ないと思いますが、そのような企業への支援等はあるのでしょうか。

 また、消費者への理解促進も大変重要になってまいります。同じような製品で高いのと安いのがあれば、安いのを購入するというのが消費者の心理です。こういった模倣品を購入することで、極端な言い方かもしれませんが、日本の産業の衰退につながっていることを認識し、模倣品を購入しないと消費者が考えることが重要だと思いますが、消費者への注意喚起はどのようなことが行われているのでしょうか。お願いいたします。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業等の模倣品被害対応についてでございますが、まず、特許庁では、政府模倣品・海賊版対策総合窓口を設け、企業等からの模倣品等に関する相談、情報提供に一元的に対応しております。

 また、国内で権利化した技術が海外で模倣されることを防ぐためには、権利者が海外でも権利を取得することが重要でございます。このため、海外での権利取得を促進すべく、相談者の身近で権利取得に関する相談をワンストップで支援する体制といたしまして、全国四十七都道府県に知財総合支援窓口を設置してございます。

 また、海外において知的財産を権利化し事業展開を計画する中小企業等に対して、海外への出願に要する費用の助成も行ってございます。

 また、さらに、既に海外で模倣品被害を受けている場合には、模倣品の製造元や流通経路等を把握するための侵害調査や、その調査結果に基づく模倣品の製造販売事業者への警告文の作成や行政摘発等を実施する費用の助成といった取組を行ってございます。

 消費者に向けての取組といたしましては、模倣品を購入しないよう呼びかける啓発活動を継続的に実施しております。特に、令和四年度は、Eコマースを介して海外の事業者から小口で直接輸入される模倣品への水際取締りが強化されたことも踏まえまして、Eコマースを利用する機会の多い二十代から三十代の消費者層をターゲットとしたコピー商品撲滅キャンペーンを実施しているところでございます。

 このように、中小企業等に対する支援とともに消費者への啓発も併せて行うことで、模倣品対策を強力に進めているところでございます。

住吉委員 いろいろなされているんだなと思うところではあるんですが、国内で特許を取得していても、海外で権利を取得していなければ、これは、どんどん技術が流出していっても取り締まるすべがないというふうにお聞きいたしました。実際に、例えばECとかで、これはうちの、自社の製品の技術だなと分かった場合は対応できると思うんですけれども、例えばですけれども、別の国に輸出しているとか、その国内で出回っているとかであると、なかなか発見すら難しいような状況になっていると思います。

 国際的な枠組みもこれは必要だと思いますし、ここで議論することではないと思いますが、問題意識を持って、今後もこの点については我が党としても取り組んでまいりたいと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。

 また、水際対策についても重要でございます。このような模倣品や日本の知的財産を侵害するおそれのある製品を日本にそもそも入ってこないようにするということが非常に大切だと考えております。水際対策についてもどのような取組をされているのか、お伺いいたします。

諏訪園政府参考人 お答えいたします。

 関税法の規定により、特許権、商標権等の知的財産を侵害する物品は輸入してはならない貨物とされており、税関では、知的財産の権利者からの申立てなどに基づきまして知的財産侵害物品を没収するなどの水際取締りを行っております。令和四年の税関における知的財産侵害物品の輸入差止め件数は約二万七千件となり、三年連続で二万五千件を超え、依然として高水準で推移しております。

 税関におきましては、海外からの知的財産侵害物品の流入を阻止すべく、厳格な水際取締りに万全を期してまいりたいと考えております。

住吉委員 是非、日本の技術を守るために頑張っていただけたらと思います。

 最後に、大臣に質問させていただきたいと思います。

 いろいろ質問していく中で、税関の業務というのは、非常に多岐にわたる、また、ある意味イタチごっこみたいな形で非常に大変なんだなと感じるところでもございます。

 この輸入貨物が急増する中でも、円滑な輸入を引き続き確保しながら、輸入貨物に対する水際取締りの実効性の確保及び適正な課税を実現していくということにおいて、この税関事務管理人制度を効果的に活用していく必要があると考えます。その際に、税関職員の事務負担増加への懸念というものも考えられますが、これらの懸念に対してどのように対応していくのか、大臣の御所見をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 税関業務を取り巻く昨今の環境につきましては、越境電子商取引の拡大に伴います輸入貨物の急増、それから、知的財産侵害物品の輸入差止め件数の高止まり、このほか、不正薬物押収量の七年連続一トン超え、国際的なテロの脅威の継続、水際措置の緩和に伴います訪日外国人旅行者数の増加など、多くの課題に直面していると認識しております。

 こうした課題に対応するため、税関におきましては、より一層効率的、効果的に業務運営を進めていくこと、人員の適正配置を行いつつ、更なる人員確保等必要な体制整備を図ることが重要であると考えます。

 この点、業務運営の観点としては、税関職員の負担軽減や税関業務のより一層の高度化、効率化を図るため、AI等先端技術の活用など、税関業務のDXの推進等に取り組んでおります。

 また、人員確保の観点としては、税関の定員について、令和五年度予算において百四人の定員増を計上しているところであります。

 私も、東京税関、それから神戸税関広島税関支署を視察をいたしまして、現場の仕事はなかなか大変だということも実感をしております。

 今後も、業務運営の見直し、効率化等を最大限進めるとともに、必要な税関の体制整備に努めていきたいと考えております。

住吉委員 人員確保、また人材の育成、さらには業務のDX化、これらに是非頑張っていただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 皆様、おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。日本維新の会の岬麻紀でございます。

 今回は、関税定率法の一部を改正する法律案の質疑でございますので、輸出入に関連する事項といたしまして、輸出物品販売場制度の免税店についてお伺いをいたします。

 さて、免税店十店舗の免税販売許可を一斉に取り消したという、二〇二三年二月二十四日の新聞記事がございます。本日は皆様方にも資料としてお配りしておりますので、御参照ください。

 これは、不正に消費税を還付を受けようとするなど、東京都内にある免税店十店舗の免税販売の許可を一斉に取り消したというものでございます。悪質な仮装や隠蔽に当たるとしまして、重加算税を含む消費税二十数億円の追徴課税をしたということでございます。

 免税店に対するこのような一斉処分、明らかになるのは全国でも初めての例でございます。免税販売許可の取消し、過去にもほとんど例はないようでございますが、一たび許可が取消しとなりますと、事業者は、最低でも三年間、再度許可を取ることができないという処分でございまして、影響も大きいのではないかと考えます。

 全国にある免税店の数、約五万二千店舗あるということなんです。この中で、不正還付申告について国税当局が還付を留保して調査をする、くまなくチェックをしていく、これはかなり大変な作業であるし、容易ではなく、きちんとチェックができるのかなという懸念もあるわけです。

 そこで、質問でございます。

 新聞記事には、今お話をしたように、免税店の数、約五万二千店舗あるとございますが、この数の推移というのは現状どのような状況なんでしょうか。増えているのか、減っているのか、横ばいなのか、まずはその辺りを教えてください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 過去十年余りの輸出物品販売場の推移につきましては、平成二十四年四月一日現在で四千百七十三場であったものが、年々増加いたしまして、令和二年九月末現在で五万五千百三十四場となってございました。その後、若干減少いたしまして、令和四年九月末現在で五万二千二百二十七場となってございます。

岬委員 ありがとうございます。

 かなり右肩上がりで上がっていたものの、コロナの影響もあり、今は少し少なくなり、また横ばいであるというような印象でございます。

 これからコロナも徐々に収まってきまして、インバウンドという、訪日外国人の方々、観光を含め、多くの方が日本に入られるかと思われます。実際に、二〇二三年三月六日の読売新聞によりますと、百貨店での免税販売が好調であるという記事がございます。

 訪日客の消費拡大が期待されるという一方、このような状況、今後、免税店の状況はどうなっていくのか、また、免税店の許可の取消し、毎年どれくらいの件数があるのか、その辺りはいかがでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 輸出物品販売場の今後の見通しでございますが、それにつきましては、私ども、ちょっとお答えする立場にはございませんけれども、取消し件数でございますが、直近三年、平成三十一年四月から令和四年三月における輸出物品販売場の取消し件数につきましては、合計十三件となっているところでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 これからの状況はお答えできないということですが、やはり、お立場はあると思いますけれども、どんな見通しなのかというのはお答えいただけたらなとは思っております。

 そして、今お聞きすると、十三件でよろしいですか。十三件だったんでしょうか。ちょっとお声が遠かったんですけれども。この数が少ないか多いかという見解は難しいかもしれませんけれども、全体で五万二千件あるとするならば、この数字、かなり少ないなという印象を私は持ちます。

 これは、そもそも不正が少ないのか、それともチェックができかねているのか、それとも不正は見つかっているけれども取消しにまでは至らないのか、どのようにお考えでいらっしゃいますか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国税当局といたしましては、輸出物品販売場制度を悪用した不正事案につきましては特に厳正な対応が必要と考えてございまして、これまで、輸出物品販売場に対する税務調査を実施し、輸出物品販売場の許可の取消しも含めまして不適正な免税販売を是正するなど、必要な対応を行ってきたところでございます。

 また、電子化された購入記録情報を含め様々な資料情報の収集、分析等から、輸出物品販売場で免税購入した物品を国内転売するような事案につきまして、その購入者に対して消費税相当額を賦課決定するなどの取組も行っているところでございます。

 引き続き、税関当局とも緊密に連携しながら、制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えてございます。

岬委員 ありがとうございます。

 財務省関税局は、二〇二二年十一月二十八日に、スマート税関の実現に向けたアクションプラン二〇二二を取組で表していらっしゃいます。輸出物品販売場制度の適正執行に向けた取組ということでございます。

 この制度、免税販売手続の完全電子化ということで、制度の利用実態など、一層可視化ができるようになる、また、更なる不正事案の確認や把握が可能となったとございます。先ほどの御答弁にもありましたように、不正な転売などがこれで抑止ができるのかとも思うわけですけれども、次の質問です。

 この完全電子化というものですが、二〇二一年の十月一日から行われていると承知をしております。完全電子化から一年半ほど経過するかと思われますが、このアクションプラン二〇二二では、税関と国税当局の密接な連携をしていく、そして、適正な執行とあるわけです。実際にどれだけの不正案件を見つけることが可能になったのか、その効果検証としてはどのようにお考えでしょうか。お願いいたします。

諏訪園政府参考人 お答えいたします。

 税関におきましては、消費税法の規定に基づきまして、外国人旅行者などの免税購入者が出国される際に、購入した消費税免税物品を輸出しないことが判明いたしました場合には、その免除された消費税相当額を徴収することとしております。

 令和三年十月の免税販売手続の完全電子化によりまして、税関において免税購入者の購入記録情報の把握が可能となり、出国時に免税購入情報と免税購入品との確認を行っております。

 輸出物品販売場制度を悪用しようとする事案につきましては、国税当局等とも緊密に連携しながら、必要に応じて出国時に免税購入品の確認を行い、消費税相当額を徴収するなど、引き続き厳正に対処してまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 かなり連携が進みまして、密接に連携を行ってそのような効果があったということでお話を伺いました。

 それでは、不適切な販売が発見できたということですけれども、これは抑止力という点ではどうなんでしょうか。もちろん、この完全電子化というものが抑止するためのものではないことは十分私も承知をしておりますが、やはり未然に防いでいくという視点も大変重要なことだと思います。その辺りはどのようにお考えですか。

諏訪園政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、税関において消費税免税物品を輸出しないことが確認できた場合には、免税された消費税相当額の賦課決定を行います。

 他方で、出国までの限られた時間の中において賦課決定を行っても、消費税相当額の徴収に至らず、滞納となっているケースも存在いたします。こうした点もございますので、税関におきましては、滞納となった事案について、再入国時に納付の慫慂などを行っているところでございます。

 引き続き、国税当局等とも緊密に連携の上、厳正な対応に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。

岬委員 やはり滞納という課題が残っているということが今確認できました。

 そうしますと、例えば、海外では、税関の、出国時に持ち出す分の確認を受けて後で税還付を受けるという、いわゆるリファンド方式というのが一般的なようです。この方式であれば、免税販売を装う不正な還付を防ぐこともできます。未然に防ぐことができるということになります。導入の可否について前向きな議論がこれから必要なのではないかとも考えます。

 また、これは、逃げ得という言葉、余り使っていいかは分かりませんけれども、逃げ得を許しかねないこの免税制度、課題が浮き彫りになっているということではないでしょうか。

 また、財務省関税局などによりますと、徴収処分が出ても、今お話にもあったように、消費税を強制的に納付させることが難しいですよね。そうすると、対象者は、納めないまま、そのまま出国してしまう、そういうことも多々見受けられると。そうなると、やはり、免税店の店頭で、購入されたお客様を対象に、これが免税の対象のお客様かどうかをしっかり確認するのは、免税店にとってもマンパワーとして非常に負担が大きいなとも考えられます。

 さらに、海外で主流となっている、今御案内をしましたリファンド方式、これを導入していくと、消費税の確実な納付を促すこともできます。さらに、免税店の負担も軽減できるのではないかなと思うわけですが、いかがでしょうか。

 この点、政府、以前のものを調べましたら、リファンド方式については、平成三十年の三月二日、衆議院の財務金融委員会、このような場で、相対的に外国人旅行者が利便性が低くなるので、リファンド方式を導入した場合の費用は、じゃ、誰が負担するのか、また、全国で、空港で物品確認とか還付の事務、こういった手続をするのは誰がするのか、このような体制をどうやってつくっていくかというような課題があると御答弁されている記録がございました。

 その後、不正事案の増加も受けて、この免税販売手続電子化の、完全電子化にしていくなど工夫はされていると思いますけれども、今どのような状況で、そのときの答弁からの御認識ですとか、それを踏まえた御検討というのはどのように進んでいるんでしょうか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 輸出物品販売場、いわゆる免税店におきます輸出免税につきましては、現行の免税販売方式につきましては、最初から免税で購入できるということなど、外国人旅行者の利便性が高い仕組みであるというふうに言われております。

 他方で、令和二年四月から、御指摘の輸出物品販売場による免税販売手続に電子化が導入をされまして、これに伴いまして、国税庁におきまして購入記録情報をデータで把握することが可能となったことによって、国内で横流しがされていると疑われるような免税販売、購入の実態が明らかになってきております。こうした事例に対応するために、今般お願いをしております令和五年度税制改正案におきまして、即時徴収の対象者を見直すといったような見直しを行うことといたしております。

 今御指摘がありました、諸外国で採用されているリファンド方式につきましては、平成三十年に御答弁申し上げておりますように、一般的には、実際に事後還付をする方法や手続が生ずるということになりますし、リファンド方式を導入する際に、事業者や行政機関においてシステム改修等のコストが生ずるといった課題があるということは事実でございますけれども、委員御指摘のような実態があることを踏まえ、引き続き必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 お時間迫ってきましたので、これが最後の質問になるかと思いますけれども、今御答弁をいただきまして、これは実際に時代に合っているのかなという漠然とした疑問があるんですね。

 今お話、御答弁あったように、利用者側、免税店を利用する方側への非常に配慮がされている現状なんだろうと思います。外国人の観光客の方の利便性が最優先されている。ただ、時代に伴いまして、今、爆買いであるとか、横流しの転売であるとか、いわゆる不正が目立ってきました。まさにここからは、取りっぱぐれない、取り損ねない、あとは、逃げ得させないといった、そういった日本国の中で守っていくということが非常に重要ではないかと思います。

 その点を踏まえまして、消費税を確実な納付をさせていく、さらに未然に防いでいくという観点で、リファンド方式、検討していく、導入への方向性など、今はどんな感じでお考えでしょうか。これは、大臣、お立場を踏まえて御回答をお願いいたします。

鈴木国務大臣 先ほど主税局長から答弁をさせていただきましたが、現行の免税販売方式、これには一定の利便性がある一方で、リファンド方式を採用するに当たりましては様々な課題があるものと承知をいたしております。

 令和五年度の与党税制改正大綱におきましては、外国人旅行者の利便性や免税店の事務負担等を踏まえつつ、引き続き効果的な不正対策を検討していくこととされておりまして、こうした方針に沿いまして、諸外国の制度も踏まえつつ、適切な外国人旅行者向けの免税制度の在り方につきましては引き続き検討をしてまいりたいと思っております。

岬委員 大臣、ありがとうございます。

 これから外国人旅行者も増えてくると見込まれますので、是非とも、この不正防止のために必要であれば、時代に見合った制度の見直しも含めて御検討いただければと思います。

 質問時間が終了いたしました。本日もありがとうございました。

塚田委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 おはようございます。国民民主党の前原誠司でございます。

 まず、二月二十一日の当委員会におきまして、最新の国勢調査の前提条件の中でインボイス制度を入れた場合どのぐらいの税収になるかということについて、理事会預かりになりましたけれども、その点について、政府から、財務省から御回答いただきたいと思います。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 前原委員から御指摘をいただきました、インボイス制度に係る二千四百八十億円という前回の試算がございますけれども、BトゥーB取引を行っている全ての免税事業者が課税転換をするという一定の仮定を置いた機械的試算として過去において答弁されたものでございますけれども、これについて、令和二年の国勢調査に基づく計数を当てはめた場合について試算をせよという御指摘をいただいていたものでございます。

 試算を行いましたところ、二千四百五十億円というのがこの場合の数字になります。

 この額につきましては、前回も御説明申し上げましたが、そのままインボイス制度導入に伴う増収額を示すものではなく、この試算については、あくまで、BトゥーB取引を行う全ての免税事業者が課税転換をするという仮定に基づく数字でございます。

 実際にどの程度の免税事業者が課税事業者になるかどうかにつきましては、取引先が簡易課税制度を適用している事業者であればインボイスの保存がなくとも仕入れ税額控除ができるということでありますとか、取引先が非課税取引が主である病院や介護施設などであれば、非課税取引に係る仕入れは仕入れ税額控除ができないためインボイスが不要であるということでありますとか、免税事業者からの仕入れであっても、制度移行後の六年間については一部仕入れ税額控除ができる経過措置が設けられていることでありますとか、今般の令和五年度改正案におきましても追加的な負担軽減措置を講じることとしていること、また、個々の事業者の取引関係によってもこの課税転換の必要性というのは変わってくる、こういったことによりまして影響を受けるということになりますので、インボイス制度導入に伴う増収額について確たることを申し上げることは困難であるということは御理解いただきたいと思います。

前原委員 今の数字をこれからの議論の参考にさせていただきたいと思います。

 それでは、関税定率法の一部を改正する法律案について質問をいたします。

 まず、税関事務管理人制度の充実ということでございますけれども、国内に住所を有しない者が輸入申告など税関関係手続等を処理する必要があるときには、これを処理させるため、国内に所在する者を税関事務管理人として定めなければならないとされており、税関事務管理人を定めたときには税関長への届出が必要であります。ただ、現実には、これを定めずに国内の居住者に輸入の代行を依頼し、依頼された者は名義貸しのみで取引内容を知らない場合も多いと仄聞をしています。

 今回の改正により、非居住者が税関事務管理人を定めていない場合、税関長が指定できるので、指定された税関事務管理人を通じて税関が非居住者に連絡できることになり、審査や事後調査の実効性を高めることができるということでございます。

 まず、お伺いいたします。

 税関長は、どういった方を、税関事務管理人をお願いするんでしょうか。

諏訪園政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正で予定しております、税関長が税関事務管理人と指定される者は、非居住者に連絡が取れる者ということを念頭に考えてございます。

 したがいまして、指定対象者といたしましては、取引当事者や通関業者等、非居住者との間の契約により密接な関係を有する者、あるいは非居住者が反復継続的に利用するプラットフォームなどの運営事業者、非居住者との間に資本関係を有するなど非居住者と特殊関係のある者、こういった者の中から指定していくということで考えてございます。

前原委員 この委員会でも何度か質問がありましたけれども、越境電子取引、ECが増加をして、通販貨物が極めて増加をしております。今の局長の御答弁で、こういったものには対応できるとお考えですか。

諏訪園政府参考人 先ほど申し上げましたように、税関事務管理人として指定することを考えている者は、非居住者に連絡が取れる者であり、また、その事務の内容は税関から受領した書類の非居住者への送付等でありますので、過度の負担を課すものではないということから、税関事務管理人として指定された者の対応は得られるものと考えているところでございます。

前原委員 今、日本では、どんどんこういった越境電子取引による通販貨物が増加をする。そしてまた、インバウンドが再び多くなってきている。そしてまた、税関の職員の方は一万人余りでありますけれども、直近五年間で見ますと、覚醒剤の税関での摘発というのは九八・三%ということで、税関の方々がしっかりとお仕事をされて取締りをされているということなんですが、こういった違法薬物、それから偽ブランド、こういった、本当にどんどんどんどんお仕事が増えてきているような状況であります。定数の増というものも必要なのでありますけれども、そういった方々がより仕事をしやすいような形で、仕組み、あるいは様々な業務改善、こういったものが求められるわけであります。

 その中で、スマート税関の実現に向けたアクションプラン二〇二二というものが設けられているわけでありますが、人員増に対するお取組をしてもらいたいということと同時に、この中身を変えて、お一人当たりの負担を減らし、そして有効的な税関業務ができるようにしていくための決意を大臣からお示しをいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 私も、東京税関、それから神戸税関広島税関支署を視察をいたしまして、本当に現場で、大変、昨今、いろいろな状況が変わってきて仕事量も増えているということを実感をいたしました。

 そういう中におきまして、今御指摘のとおり、税関の効率化でありますとか、それから、今後の新たなそうした動きに対する対応、そういうものをしっかりやっていく。これは人員の確保ということと並んでやっていかなければならないんだ、そういうふうに思っております。

 税関につきましては、今後、スマート税関というものを進めていこうということを考えてございます。スマート税関の実現に向けたアクションプラン二〇二二というものを策定をしたわけでございますが、この中では、新たな技術や機器を活用した審査、検査の効率化等に取り組むこととしておりまして、例を挙げますと、エックス線CT装置から得られる情報にAI等の先端技術を適用することで不正薬物を探知する取組。それから、スマートグラス、何か眼鏡に映すものがついているらしくて、それによって怪しいものを見つけると、その次の段階に連絡をして、しっかりとした審査や検査を行う。そういうような取組を進めている、検討を進めているところでございまして、こうした新たなIT、AI技術等も活用しながら、高度化を図っていきたいと思います。

 そして、それにつきましてはやはり人材の確保、育成が必要である、そういうふうに考えます。研修等を通じましてAI等先端技術の基礎的な知識を習得させる、また、より専門的な知識、技能が必要な職員に対しましては高度なデータの加工、分析の演習を取り入れた専門研修を実施しておりますが、また、社会人経験者を対象とした選考採用等におきまして、IT等に素養のある人材の確保等にも取り組んでいきたいと思っております。

前原委員 私も、日本税関労働組合の幹部の方々からお話を伺いました。非常に使命感を高く持ってお仕事をされていると思います。税関の三つの使命ということで、国民の安全、安心の確保、それから適正かつ公平な関税の徴収、そして貿易の円滑化の推進と、海洋国家日本にとって大変重要な役割を担っておられると思います。

 その意味におきましては、待遇の改善、そして人員の増加、そして時代に合ったシステムの高度化、DX化、こういったことをしっかりと進めていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 改正案にある加糖調製品の調整金徴収制度について質問をします。

 関税・外国為替等審議会、昨年十月三十一日の配付資料の中の暫定税率引下げ対象の加糖調製品六品目の輸入動向とその検証では、TPP11の発効に伴い、今後の輸入増への脅威は高まっている状況と書かれてあります。例えば、粉乳調製品及びココア調製品が全体の輸入量の半分程度で、砂糖と競合している、それから、TPP発効後、加盟国がそのシェアを伸ばしている、非加盟国の韓国の加糖調製品製造工場が加盟国のベトナムに進出して、ベトナムからの輸入が皆増した、今後の輸入増への脅威が高まっている状況等とされています。

 そして、このように指摘しています。今後想定される輸入増加にも対応できるよう、これらの輸入加糖調製品からの調整金収入を確実に増加させることで、国産の砂糖価格の抑制を通じた競争力強化を図るため、暫定税率の引下げが必要であるというふうにされています。

 鈴木大臣に聞きます。

 TPP11の発効による脅威についての御認識、そして、この脅威があったとしても、加糖調製品の徴収制度の改正も含めて、サトウキビ、てん菜農家やあるいは砂糖生産業者を守るというのが政府、財務省の基本的な姿勢ということでよろしいでしょうか。

鈴木国務大臣 田村先生が今御指摘にされた資料でありますが、関税・外国為替等審議会に農林水産省から提出されたものである、そういうふうに承知をいたしております。

 加糖調製品、これは、TPP11交渉で関税率が段階的に引き下げられることとなりまして、以前に比べれば輸入されやすくなる状況にある、そういうふうに認識をしております。また、TPP11の発効を契機として、加盟国ではない韓国などから加盟国であるベトナムへの加糖調製品の工場進出の動きが見られると先生からも指摘があったわけでありますが、こうしたことなどから、価格面を含めた国際競争が厳しさを増しているもの、そういうふうに感じてございます。

 私どもといたしましても、そうしたような状況を踏まえながら、農林水産省と密接に連携をして、輸入動向を注意してまいりたい、そういう中で、国内の砂糖関連業者、農家の皆さん等をしっかりとお守りできますように、農水省と連携をしてまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 沖縄県では、サトウキビは基幹作物として、生産農家や地域社会、そして経済を支える重要な役割を担っているところです。

 鹿児島県とまた沖縄の離島等におけるサトウキビ生産の重要性について、鈴木大臣の認識をお伺いします。

鈴木国務大臣 サトウキビは、台風の常襲地帯であります沖縄県あるいは鹿児島県の離島におきまして、砂糖の原料として、他の作物に代替困難な基幹作物である、そのように認識をしております。

 政府といたしましては、糖価調整制度によりまして生産者等に交付金を交付することで内外価格差を補填をして生産を下支えするとともに、台風など自然災害からの回復に向けた取組や、生産性向上に向けた農業機械の導入や土づくりなどの取組を支援してきたと承知をしております。

 今後とも、農林水産省と連携をして、代替作物が困難な基幹作物でありますこの地域におきましては、施策の内容を精査しつつ、こうした砂糖関係生産農家を支える必要な対応を行ってまいりたいと思います。

田村(貴)委員 その日本の砂糖の一番大事な離島、沖縄、それから鹿児島の砂糖、また北海道のてん菜、こうしたところの、砂糖の自給の一番大事なところの生産とそしてその販売において、ここでもインボイスの問題が出てくるわけなんですね。この問題についてお伺いします。

 沖縄県さとうきび対策本部のサトウキビ価格、政策確立に関する要望書では、インボイス制度導入に当たっては、生産者が出荷先を選定できず、価格差をつけて買い取ることができないことから、甘蔗糖企業の負担が大きくなることが想定されるため、インボイス制度への対応に必要な支援策を講じることとされています。

 農水省にお伺いします。

 この沖縄県さとうきび対策本部の要望というのは、甘蔗糖企業が農家からサトウキビを購入する際に、その多くが免税農家であるがためインボイスを要求できないので、すなわち仕入れ税額控除ができないので支援策を講じてほしいという要望なのか。いかがですか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 令和四年十一月に沖縄県さとうきび対策本部からいただきましたサトウキビ価格、政策確立に関します要望書におきまして、インボイス制度につきまして、甘蔗糖企業の負担が大きくなることが想定されるため、インボイス制度への対応に必要な支援策を講じることとの要請をいただいたところでございます。

 これにつきましては、サトウキビ生産者の大宗が消費税の免税事業者と想定される中、インボイス制度導入によりまして、甘蔗糖工場が免税事業者であるサトウキビ生産者から原料を買い取る場合、その買取り額に係る仕入れ税額の控除ができなくなることで新たなコスト負担になる可能性があることから、その対応についての御要請と認識しております。

田村(貴)委員 免税業者である農家が課税業者となることを想定しているのか。その点については、農水省、どう考えておられますか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 サトウキビ生産者の中に占めます課税売上げ一千万円を超えます事業者につきましては、鹿児島県、沖縄県全体としまして約一・八%、こういう状況でございますので、即座になるということにつきましてはなかなか考えづらいかとは想定されるところでございます。

田村(貴)委員 大臣にお伺いします。

 甘蔗糖工場も、販売価格も調整金制度に縛られていきます、十分な利益が出るわけではありません。インボイス制度のために仕入れ税額控除ができなくなれば、経営は更に厳しくなってまいります。

 一方、サトウキビ農家も、インボイスが求められれば、簡易課税制度を選択したとしても、消費税納税が発生してまいります。収入が減ります。結局、その分が経費となり、交付金と調整金を増やすことになり、これが砂糖の価格に反映されていくわけですよね。つまり、インボイス制度が砂糖の価格を上げていくということになるんじゃありませんか。これは問題だと思います。いかがですか。

鈴木国務大臣 財務省の立場から申し上げますと、原則的なことになりますが、インボイス制度は複数税率の下で適正な課税を行うために必要なものである、そういうふうに思っております。

 これについて、田村先生からは様々委員会で御指摘をいただくわけでありますけれども、いろいろな業界ごとで取組とか契約が違いますから様々な影響が出ておりますが、そういうものに対して、例えばFIT制度の中で行うとか、それからシルバー人材センターに対するそうした取組を地方公共団体にお願いするとか、様々個別の取組をしております。

 したがいまして、このサトウキビの話につきましても、どういう取組ができるのか、農水省において検討をされるべきものだと思います。

田村(貴)委員 圧倒的にサトウキビの農家が免税業者である、課税業者になることはできないという下、沖縄県や鹿児島県の地域経済を支える重要な基幹作物がサトウキビであります。この生産農家や甘蔗糖工場において、負担とそして不安を増やすもの以外でないんですよ、インボイスは。

 やはり、こうしたところにも大きな問題が出てまいりました。ひいては、砂糖の価格を上昇することにもなっていくわけなんですね。この際、インボイスはもう明確に中止すべきだということを申し上げまして、今日の質問を終わります。

塚田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 関税定率法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塚田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、中西健治君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。道下大樹君。

道下委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国民経済的な視点から国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、調和のとれた対外経済関係の強化及び国民生活の安定・向上に寄与するよう努めること。

 二 最近における経済のデジタル化や世界情勢の変化に伴い、税関業務が増大し、複雑化する中で、適正かつ迅速な税関業務の実現を図り、また、覚醒剤等の不正薬物、銃器、金地金、知的財産侵害物品やテロ関連物品等の密輸を阻止するとともにロシア等に対する輸出入規制や経済安全保障へも対応し、水際において国民の安全・安心を確保するため、高度な専門性を要する職務に従事する税関職員の定員の確保、処遇改善、機構・職場環境の充実、取締検査機器等を含む業務処理体制の整備及び安全管理の徹底等に特段の努力を払うとともに、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止の観点から職員への感染症対策に万全を期すこと。

 三 税関事務管理人制度の拡充等については、適正な執行が図られるよう職員の配置及び職場環境の整備等に特段の努力を払うこと。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

塚田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塚田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣鈴木俊一君。

鈴木国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

塚田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

塚田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十四分散会


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