衆議院

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第10号 令和5年3月17日(金曜日)

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令和五年三月十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 塚田 一郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君

      石井  拓君    石原 正敬君

      小田原 潔君    大野敬太郎君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      神田 潤一君    小泉 龍司君

      高村 正大君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    中山 展宏君

      葉梨 康弘君    藤原  崇君

      八木 哲也君    若林 健太君

      階   猛君    野田 佳彦君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    米山 隆一君

      藤巻 健太君    岬  麻紀君

      伊藤  渉君    山崎 正恭君

      前原 誠司君    田村 貴昭君

      吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       藤丸  敏君

   財務副大臣        井上 貴博君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     佐々木 紀君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     大塚  拓君

    ―――――――――――――

三月十六日

 消費税インボイス制度の実施中止に関する請願(近藤昭一君紹介)(第三三六号)

 納税者の権利擁護に関する請願(近藤昭一君紹介)(第三三七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

塚田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として財務省国際局長三村淳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。神田潤一君。

神田(潤)委員 皆さん、おはようございます。青森二区選出、自由民主党・無所属の会の神田潤一です。

 昨日は、WBCで日本がイタリアに九対三で勝利する、大谷投手が先発として大活躍をしました。今日の先発は神田潤一ということで、しっかり頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 本日は、国際協力銀行法の改正案と、それから国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う法律の改正案ということで、やや専門的な法律ということで質問させていただきます。

 私も、どういう質問になるんだろう、どういう法案だろうということで一時思いましたが、いろいろと法案の条文あるいは内容を検討してきますと、非常に重要な法案だということを改めて認識しました。

 この法案は、まず経済安全保障の観点から我が国のサプライチェーンの強靱化をしっかりと達成していく、また、スタートアップなど、我が国の企業の国際競争力を高めていく目的、そしてウクライナの復興支援に日本としてしっかり貢献していく、こうした、岸田政権としても、また、世界経済全体においても非常に重要なテーマについて、我が国としてどういうふうに対応していくかということに関する非常に重要な法案であるというふうに改めて認識をいたしました。

 また、この法案の想定しているスキームについても、いろいろと工夫が施されているということも感じています。

 本日は、こうしたスキームとそのリスク管理などについて伺ってまいりたいと思います。

 まずは、国際協力銀行の一部を改正する法律案についてということです。この改正案では、我が国のサプライチェーンの強靱化のためということで、国際協力銀行、つまりJBICに対して、その貸付先の対象を拡大するということで、重要な物資又は技術の開発に関する事業等を行う外国の法人を貸付先に含めるという内容になっております。

 そこで、まず二つ質問させていただきます。

 この中で、重要な物資として具体的にはどういったものが対象になることが想定されているのでしょうか。それから、融資対象となる外国企業が我が国のサプライチェーンの強靱化に必要かどうかという判断は、一義的にはJBICが行うというふうに考えられますが、日本政府としてそこにどのように関与をしていくことが想定されているのでしょうか。伺いたいと思います。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 JBIC法改正案の第二条第十号ということでございますけれども、今先生からも御紹介いただきましたけれども、我が国の産業の国際競争力の維持又は向上を図る上で重要な物資又は技術の開発、これに関する事業であって、我が国の法人等が調達する物資の供給網の強靱化等に必要なもの、つまりは日本企業のサプライチェーンの強靱化に必要なものとして財務省令で定める、こういう事業を営む外国企業に対しまして新たにJBICの支援を可能とする、こういうことでございます。

 そこで、今申し上げました財務省令で定める事業が何かということでございます。こちらは、今後、引き続き関係者のニーズ等もお伺いしながら最終的に決めてまいりますが、今の時点では、例えば半導体でございますとか蓄電池の開発、こういったものに関する事業などを想定してございます。

 その上で、省令で定める事業を営む外国企業に対する個別の、個々の融資の判断、これは当然JBICが行うことになるわけでございますけれども、当然私どもとしましても、JBICの外国企業への融資がちゃんと日本企業のサプライチェーンの強靱化に資する、役立つということ、これを確保していくことは大事でございますので、JBICには、一種、内規、ガイドラインという形で審査基準を決めてもらおうということで考えてございます。

 この内容も、今JBICとも引き続き相談をしてございますが、今の時点で我々としては、例えば、まさに、この経済安全保障、サプライチェーンの強靱化という観点で、このJBICの融資が逆にその特定国への依存を高めてしまうようなことにはならないというようなこと。それから、当該の融資について、単に外国企業から依頼が来ているだけではなくて、ちゃんと日本企業から要請が来ているというようなこと。それから、外国企業が供給する物資の主たる納入先として日本企業がいる、数ある納入先のほんの一部が日本企業ということでは日本企業のサプライチェーンとは言えませんので、主たる納入先として日本企業が含まれているかどうか。あるいは、その供給される物品が代替調達が難しいものなのかどうか。こういったような内容を盛り込もうというようなことを考えているところでございます。

神田(潤)委員 ありがとうございます。

 サプライチェーンの強靱化という目的を果たすためにも、日本政府として適切に関与すべきというふうに考えます。

 さらに、このJBICによる外国企業への融資については、外貨建てで貸し付けていくということが想定されていると考えられます。

 そこで伺いたいんですが、この外貨の原資として外国為替特別会計を活用するということが想定されているのかどうかという点。それから、もしそういうことが想定されているのであれば、その場合の為替相場への影響をどう考えているのか、どう考えればいいのかという点。そして、外為特会を活用するということになると、安全性と流動性をどういうふうに確保していくのかという点を、これまでも政府答弁として何度も重要だというふうに伺っておりますので、この外為特会の安全性と流動性への配慮をどういうふうに確保していくのか、この点について伺いたいと思います。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のJBIC法改正案によりまして、先ほど来申し上げておりますように、日本企業のサプライチェーン強靱化に向けたJBICの機能強化等を行っていくわけですが、実は、現在のJBIC法の下におきましても、このJBICの外貨による資金調達に関しましては、JBIC自身の市場での債券発行によるドルの調達、市場調達に加えまして、必要に応じて、現状でも、外為特会からJBICに対しましては補完的に貸付けは既に行っているところ、現に行っているところでございます。

 これは、外為特会の目的は外国為替相場の安定ということにあるわけでございますけれども、JBICが例えば短期間に相当まとまった規模の外貨、例えばドルを市場調達するというようなことで、場合によって為替市場への影響があるかもしれないという中で、そういった影響を抑制するという観点で外為特会から必要に応じて貸付けを行うことは、この特会の目的として、外国為替相場の安定ということに資するであろう、こういう考え方でございます。

 今先生から御紹介いただきましたように、外為特会の運用、まさしく安全性と流動性に最大限留意をして、その範囲内で、その上で可能な限り収益性を追求するということでございますけれども、この外為特会からJBICへの貸付けにつきましては、安全性の観点からは、当然、JBICの財務の健全性が何より重要、これは我々監督当局としてもしっかり見ているということでございますし、流動性の観点からは、JBICに貸付けを行うに当たりましては、早期償還条項というのを盛り込んでございまして、仮に外為特会側で外貨準備上の必要が生じた場合には、期限の前であっても、いつでも返済を求めることができて、JBICは、我々が要請すれば、その要請に応じる義務がある、期限前でも償還する義務があるという、こういう条項を盛り込んでございます。その上で、収益性の観点からも、しかるべき金利も頂戴してございますので、そういう意味で、安全性と流動性を確保し、かつ、外為特会としての収益機会も損なわれてはいない、こういうことで認識をしてございます。

神田(潤)委員 外為特会の活用が想定されていること、ただし、これは、外国為替レート、相場への影響を極小するため、相場への影響を極力発生させないためであるということがよく分かりました。また、安全性や流動性への配慮についても、政府としてはきちんと考えられているということが認識できました。

 それでは、次に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について伺ってまいりたいと思います。

 この改正案では、国際復興開発銀行、つまり世界銀行が設けるウクライナ復興などの目的を持った基金に対して、日本政府として国債による拠出を可能にするということになります。これによって、基本的には、足下の財政資金の拠出は伴わない、一方で、ウクライナの復興にしっかり貢献できるというスキームというふうに認識しております。

 ただ、足下は国債を拠出するだけとはいえ、将来的に財政資金を拠出したり、あるいはこれによって国民負担が発生したりするケースが想定し得るのかどうか、想定し得るとすればどういった場合なのか、これについて教えていただきたいと思います。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の世銀加盟措置法改正案の目的、趣旨、まさに今御紹介いただいたとおりでございますけれども、世銀が設ける基金に対しまして国債による拠出を可能とし、足下では、この世銀のウクライナ向けの融資について、拠出国債の形で信用補完を行いたいということで考えているものでございます。

 ウクライナについて申し上げますと、仮にウクライナ政府から世銀への返済が滞るというようなことが生じました場合には、私どもが拠出をいたします国債は償還されるということでございます。それによってその信用リスクを肩代わりするということでございますから、その場合には日本政府としての財政支出なり国民負担が発生するということになるわけではございますけれども、他方で、世銀は国際開発金融機関として、この世銀の融資というのは、これはウクライナに限りませず、あらゆる政府に対する融資、これは世界的に、国際的に優先弁済権が認められておりまして、その債権の返済はほかの債権よりも優先をする、返済が優先されるということになってございますので、私どもとしては、ウクライナ向けとはいえ、この世銀の融資の返済が滞ることは基本的には考えにくいのではないか、このように認識をしているところでございます。

神田(潤)委員 ただいまのお答え、財政資金は、足下は出ないかもしれませんが、将来的にはそうしたことも考え得る、可能性はそれほど高くないが考え得るというお答えでした。

 それでは、改めて、この世界銀行への基金に拠出する国債は外国通貨建てということで想定されていると思われますが、この国債はどのぐらいの金額で、どのぐらいの期間の拠出が想定されているのか、また、その間の為替リスクの管理をどのように管理する方針なのか、これについて教えていただければと思います。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、金額の方でございますけれども、今回のこのウクライナ支援を目的といたします基金に拠出する国債の額、これは今、参議院で引き続き審議いただいております令和五年度予算案の予算総則に書いてございますけれども、アメリカ・ドルで五十億ドルを想定してございます。

 このように、何で外国通貨建て、ドル建てでやるのかというところでございますけれども、世銀からウクライナへの融資は、これ自体がドル建てで行われることになります。したがいまして、世銀がウクライナ支援に使用する通貨と我々が拠出する通貨、同じものにしておきませんと、世銀からウクライナに具体的に何ドル支援をするのかというその追加支援の規模を世銀側も確定できませんので、世銀とウクライナが幾ら追加支援を受けられるかをきっちりと確定できるようにというためにも、私ども、ドル建てでの拠出国債を考えている、こういうことでございます。

 その上で、為替リスクの管理という御質問でございます。まさしく、先ほどの議論でもございましたように、仮に将来、我が国の拠出した国債を実際に償還しないといけないというようなことになった場合には、確かに、例えば円安であれば円建てでの負担額が増えるという意味での為替リスクが発生するというのは、論理的には全くそのとおりでございます。他方、先ほど申し上げましたとおり、私どもとしては、世銀の融資には優先弁済権がございますので、実際に世銀の融資が滞ることは考えにくいのではないか、こういうことを認識をしているというところでございます。

 なお、ちなみに、信用補完のためのツールということで、今回、法改正をお願いしてございますけれども、当然、ウクライナへの支援のやり方としては、ほかに、グラントでございますとか、円借款でございますとか、いろいろなやり方がございます。今回も、実は、世銀経由でグラントも五億ドルというようなことも想定してございます。

 こういった様々な支援ツール、いろいろな特徴もある中で、特性もある中で、我々としては、ウクライナ側のニーズを踏まえ、また世銀と相談をしながら、今回、このような信用補完のスキームを御提示させていただいている、こういう状況でございます。

神田(潤)委員 ありがとうございます。

 五十億ドル、今の円建てで約六千五百億円から七千億円ということだと思いますが、しっかりと為替リスクについても配慮していただければと思います。

 まさにこの法案は非常に重要な法案であるということを最初に申しました。五月にG7の議長国を務める我が国の立場としても、早期に成立することが望まれるというふうに考えています。

 一方で、今のこの答弁でもありましたように、外国為替特別会計の安全性と流動性への配慮、あるいは世銀に拠出する国債の為替リスクの管理など、更に言えば、ウクライナの復興が、戦争が早期に終結すること、それから、その後、しっかりとウクライナの復興が着実に進んでいくこと、これが政府負担、国民負担が発生しないという要諦だとも考えられます。

 まさに政府として、こうしたリスク管理、そしてウクライナへの関与についてしっかりと進めていく必要があると考えますが、最後に、鈴木財務大臣の所感をお聞かせいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 改めて申し上げるまでもないわけでありますけれども、ロシアによるウクライナ侵略、これは力による現状の一方的な変更の試みでありまして、決して許されるものではありません。我が国にとりましても対岸の火事ではなく、今年のG7議長国として、国際社会と緊密に連携し、ウクライナ支援にしっかりと取り組む必要があると思います。

 先ほど国際局長から答弁がございましたとおり、外為特会からJBICへの貸付けについては安全性や流動性に配慮することとしているほか、世銀の基金への外貨建て国債による拠出に係る為替リスクや財政負担の可能性については、世銀には優先弁済権があるため、償還が発生することは考えにくいものと思っております。

 いずれにいたしましても、日本政府としては、ウクライナを今後も最大限支援していく考えでありまして、神田先生から御指摘のあった財政負担や為替リスク、外為特会の安全性と流動性の確保の重要性、こうしたものもしっかりと勘案しつつ、引き続き、効果的かつ効率的な支援の在り方を追求してまいりたいと思っております。

神田(潤)委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わります。

塚田委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 本日議題となっておりますJBIC法、そして国際通貨基金等の加盟に伴う措置に関する法律の改正案、早速質問していきたいと思います。

 まず最初は、一昨日の当委員会でも質問があったかと思いますけれども、米国銀行のシリコンバレーバンクの経営破綻が十日に明らかになりました。採算が悪化した保有債券の売却、増資計画を八日に発表しておりましたけれども、信用不安から預金流出が加速し破綻に至った、報道のとおりでございます。

 同行は、長期国債や住宅ローン担保証券を中心に債券投資を行っておりましたが、総資産に占める債券投資の比率は五七%と他行比でかなり高かった、これも報道になっているところでございます。

 アメリカの金融当局は、金融システム不安の未然防止のため、破綻した米銀二行について預金を全額保護すると発表いたしました。

 また、昨日の報道によりますと、スイス金融大手のクレディ・スイスが、スイス国立銀行から最大五百億スイス・フラン、日本円にして約七兆一千億円を調達する意向だ、こんなことも報道になっているところでございます。

 日本の株価にも当然影響が及んでおりまして、ここで、まず、金融担当大臣である鈴木大臣にお伺いしますけれども、日本の市場及び金融システムへの影響を慎重に見定めながら、しっかりとした対応をお願いをしておきたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。

鈴木国務大臣 シリコンバレーバンクなどの経営破綻を受けまして、足下の金融市場ではリスク回避的な動きが見られますけれども、米国当局は、経営破綻した二行の預金の全額保護、それから金融機関に対する流動性供給策など、信用不安の影響を拡大させないための措置を迅速に講じている、そのように承知をいたしております。

 現在、日本の金融機関は総じて充実した流動性、資本を維持しておりまして、金融システムは総体として安定していると評価をしておりますけれども、足下、御指摘のスイスでの動きなどもございまして、そうしたことも踏まえ、金融庁としては、様々なリスクがあり得るということを念頭に置き、日本銀行を始め各国の金融当局とも連携しつつ、内外の経済金融市場の動向、そしてそれが金融システムの安定性に与える影響等につきまして、強い警戒心を持って注視をしてまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 大臣、ありがとうございます。

 そうした姿勢こそが市場の安心、安定につながっていきますので、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、JBIC法の改正案、サプライチェーンの強化、強靱化という観点から質問させていただきます。

 言うまでもなく、我が国企業のサプライチェーンは当然グローバルに広がっております。企業の経営では、技術革新等も踏まえて、サプライチェーンのリスクを管理するということは極めて重要になってきております。

 私、特に、愛知でありますので、自動車産業が集積をしております。電気自動車等の進展、自動車産業でも、サプライチェーンの再編、そして二重系化というか、何かあっても必ず部品が調達できる、こんな体制を整えていくことは極めて重要で、昨今の半導体の影響を受けて自動車の国内生産が一時滞りましたけれども、これも、ほんの一部の部品が入らないということでそういう状況になっている。その意味で、サプライチェーンというのは極めて重要になってきております。

 コロナ感染症の拡大を受けた世界的な人流制限を受けて、ロシアによるウクライナ侵略を背景としたサプライチェーンの混乱に鑑みれば、日本企業のサプライチェーンの強靱化は急務であります。今回の改正案で、JBICが、日本企業のサプライチェーンを支える外国企業への金融支援をできるようになりますけれども、その趣旨及び対象についてまず参考人にお伺いいたします。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のJBIC法改正案、今先生からも御指摘いただきましたように、我が国の産業の国際競争力の維持向上、これを図っていくという観点で、日本企業のサプライチェーンの強靱化を図るということでございます。

 そこで、日本企業のサプライチェーンに組み込まれた企業につきましては、これは外国企業であっても支援を可能とすることで、日本企業の調達先の多様化に寄与したいと。まさに先生からもお話がありましたが、ジャスト・イン・タイムだけではなくてジャスト・イン・ケースということも含めまして、日本企業の調達先の多様化やサプライチェーンの複層化、こういったことにも寄与したいということでございます。

 支援の対象の方でございますけれども、これは、今後、関係者のニーズ等も踏まえながら決定していきますけれども、省令で決定するということでございます。現時点では、例えば半導体でございますとか蓄電池の製造、こういった事業を想定しているところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 今の答弁の中に出てきました蓄電池、カーボンニュートラルの達成ということを考えたときに、この蓄電池というのは極めて重要だと思います。

 これは、今の流れでいきますと、自動車、EVももちろんですけれども、今後、再生可能エネルギーを主力電源化していこうとしたときに、再生可能エネルギーはどうしても発電が一定になりませんので、時に応じて発電された再生可能エネルギーによる電力をどこかにきちっと蓄電できて、必要に応じて安定供給できれば、これは劇的な電力の供給網の改革、改善につながっていくと思います。

 その意味で、この蓄電池というのは非常に重要なものになってまいりますけれども、今回の改正によって、リチウムなどの蓄電池に必要な資源の確保に向けてはどのような対応が具体的に可能になるのか、お伺いをしたいと思います。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 今まさにお話しいただきましたとおり、資源の安定確保は極めて重要でございます。

 JBICは、これまでも、資源開発事業への融資でございますとか、あるいは日本国内に資源を輸入する場合の必要な資金の貸付けですとか、こういった形で日本企業による資源の安定確保を支援してきたところでございます。

 更にこれに加えましてということで今回の改正案でございますけれども、今お話のございました蓄電池の生産に必要なリチウムなども含めまして、例えば、重要鉱物の開発などによって日本企業のサプライチェーンを支える、そういう外国企業についても支援が可能になるということでございます。

 それから、日本企業が直接日本に持ってくる場合は今でもできるわけですが、今後は、日本企業が海外展開先の方でリチウムその他の資源を引き取る、こういうような場合でもJBICの輸入金融による支援を可能とするというようなこと。

 それから、JBICに今、特別業務勘定という、通常の勘定以上に一層のリスクテイクを可能にする、そういう業務勘定というものが、前回の法改正でつくらせていただいて、ございますけれども、この特別業務の対象に資源開発事業も加える。これによりまして、JBICが一層リスクテイクをしながら資源開発事業にも積極的に支援ができるようにする。

 こういったことを考えているところでございまして、これらの様々な取組を併せまして、グローバル化し続けるサプライチェーンの事情に合わせまして、日本企業の資源の安定確保、リチウムを含めまして、JBICとして貢献できるようになればと思っているところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 まさに、経済活動はグローバル化がどんどん進んでおりまして、何といっても、民間企業だけでは到底太刀打ちできないような戦いが様々ございます。その意味では、今答弁いただいたように、いわゆる政府としてもしっかりサポートをしていただきながら、我が国の産業を支え、国内の景気、経済そして雇用を安定化させていく、そのために引き続き力を尽くしていただきたい、こういうふうに思います。

 次は、少し観点を変えまして、スタートアップ企業や中小・中堅企業支援関連でお伺いをいたします。

 これも再三出てくるキーワードですけれども、人口が我が国は減少をしていきますので、国内需要は縮小をしていかざるを得ません。そうなった場合に、国内で勝負をする産業、仕事もあれば、海外、特に発展著しいアジア、こうしたところの成長力を取り込んでいくという観点からは、大企業のみならず、中堅・中小企業あるいはスタートアップ、こうしたところが持っている技術が形になって、グローバルな需要を見据えて展開していく、最初から世界を見据えて展開をしていく必要がある、いろいろな識者の方に御指摘をいただいております。

 日本は、まだ国内マーケットがそこそこ大きいのでどうしても内向きになる、こういう指摘をいろいろなところでいただいておりますから、最初から世界を見据えて動いていく、そのためのサポートも是非JBICにお願いをしたい。

 日本の経済、雇用を支える中小企業に加えて、日本の経済成長の原動力となるスタートアップ企業の育成、これは政権の重要課題でございます。今般のJBIC法改正案によって、国内のスタートアップ企業や中小・中堅企業への出資、社債取得を可能とする趣旨、これはどうなっているか、御答弁をお願いします。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 今御紹介いただきましたように、今般のJBIC法改正案におきましては、今後の成長が見込まれますスタートアップ企業、あるいは、国内での事業実績を踏まえまして更に海外に展開をして海外の成長力を取り込みたい、こういった中堅・中小企業の方々、こういった方々の海外事業のための資金調達を支援する方策ということで、従来からやっております融資に加えまして、こうしたスタートアップ企業や中堅・中小企業への出資あるいは社債の取得というものもJBICができるようにする、こういう内容でございます。

 私どもも、スタートアップ企業ですとか中堅・中小企業の皆様のお声、伺っている部分もございますけれども、やはり、当然、融資ということになりますと償還、返済が前提になりますので、そういった融資よりも、やはり出資でございますとか、場合によっては株式に転換できる転換権付社債とか、こういった形で資金を調達したいというようなニーズも聞こえてまいります。

 こうした多様なニーズにJBICが柔軟に対応できるようにするということによりまして、日本企業の海外展開をよりJBICとして機動的に支え、また後押しができるようにしたい、こういう趣旨でございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 是非、グローバルなマーケットを最初から見据えて挑戦をできるように、サポートもしてあげてほしいし、いろいろなコンサルティング、それから金融面でのサポートも是非お願いをしたいと思います。

 次に行きます。

 これは財務大臣にお伺いしますけれども、今、デジタル化の進展ですとかカーボンニュートラルとか、世界中で産業構造やビジネス環境が大きく変化をする中、国際標準化、これは非常に大事なキーワードだと思っておりますが、国際標準化を始めとしたルール形成、これが社会的な課題の解決、新産業、新市場の創造、企業の経営戦略ツールなどとして注目をされています。

 私もまだ、もちろん、勉強している途上ですけれども、一番衝撃的だったのは、今日も出ている蓄電池。最初、日本企業が圧倒的シェアだったんですね。技術的な特許もほとんど持っていた。しかし、十年足らずでシェアは完全に海外のメーカーに奪われた。これは、何が起こったかはつぶさに今私も申し上げる力がございませんけれども、少なくとも技術はあったけれども、その技術をうまく市場に展開するルールだとか、一つの産業として育てる力が我が国に不足していた。あるいは、一つの企業だけにそれを任せてしまっていた。だから、せっかくつくり上げた技術を、言葉を選ばずに言えば、全部取られちゃった。私の危機感はこういう問題意識でございます。

 そういう状況の中で、デジタル化やイノベーションの変化の中で、最終的なサービスの価値を提供する企業と、それを支える技術を提供する物づくり企業を一体的なバリューチェーンとして捉え、我が国の企業が様々な価値を提供していくことが重要になってきます。

 また、スタートアップ等から、研究開発成果を、実証から社会実装、国際標準規格の取得へと確実につなげるための、ファイナンスを含めた適切なマネジメントを行う必要があると考えます。

 今回の法改正を踏まえて、こうした観点から、どのような貢献ができると考えておられるか、財務大臣の御所見、御所感、お伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 足下で、コロナのパンデミックが起こる、また、ロシアによるウクライナ侵略が起こる。そういうことに加えまして、今、伊藤先生から御指摘のとおり、デジタル化あるいは気候変動のような構造的な変化が進み、その中でのサプライチェーンの再構築が進んでいるわけでございます。そうした中で、スタートアップを含む日本企業の新たな技術を生かしたイノベーションを促し、日本の産業の国際競争力を強化することがますます重要になっていると認識をいたしております。

 今回の改正案は、こうした日本経済を取り巻く環境の変化などを踏まえまして、サプライチェーンの強靱化やスタートアップ支援といった政策上の課題にJBICがより機動的に対応できるよう、制度的手当てを行うものであります。

 今般の法改正によるJBICの機能強化が、安全保障の推進やスタートアップ支援など政府が進めている各般の取組、先生がおっしゃった国際ルールと申しますか国際基準、そういうものの形成、そういうことも含めまして、各般の今進めている取組と併せまして、日本の産業の国際競争力の維持向上、ひいては日本経済の更なる発展に貢献すること、これを期待をしているところであります。

伊藤(渉)委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、我が国には、そこかしこに、我々の地元も含めて、様々なきらりと光る力、技術があると思います。それを一つの形として、日本として、国内のみならず世界に売り出していく。それで稼ぐ力を強くしていく。そのための取組を強化をしていく。そのために努力をしてまいりますことをお誓い申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次回は、来る二十二日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時三十二分散会


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