衆議院

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第11号 令和5年3月22日(水曜日)

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令和五年三月二十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 塚田 一郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    五十嵐 清君

      石井  拓君    石原 正敬君

      小田原 潔君    大塚  拓君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      神田 潤一君    小泉 龍司君

      高村 正大君    塩崎 彰久君

      田野瀬太道君    中山 展宏君

      葉梨 康弘君    藤原  崇君

      宮澤 博行君    八木 哲也君

      若林 健太君    渡辺 孝一君

      階   猛君    中谷 一馬君

      野田 佳彦君    福田 昭夫君

      藤岡 隆雄君    米山 隆一君

      藤巻 健太君    岬  麻紀君

      伊藤  渉君    山崎 正恭君

      前原 誠司君    田村 貴昭君

      吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       藤丸  敏君

   財務副大臣        井上 貴博君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   経済産業大臣政務官    長峯  誠君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   松浦 克巳君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  栗田 照久君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    伊藤  豊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           杉浦 正俊君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           弓削 州司君

   政府参考人

   (株式会社国際協力銀行代表取締役総裁)      林  信光君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     田野瀬太道君

  津島  淳君     五十嵐 清君

  道下 大樹君     中谷 一馬君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     渡辺 孝一君

  田野瀬太道君     大野敬太郎君

  中谷 一馬君     道下 大樹君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺 孝一君     宮澤 博行君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     津島  淳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

塚田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長松浦克巳君、金融庁総合政策局長栗田照久君、監督局長伊藤豊君、外務省大臣官房参事官池上正喜君、財務省国際局長三村淳君、経済産業省大臣官房審議官杉浦正俊君、大臣官房審議官弓削州司君、株式会社国際協力銀行代表取締役総裁林信光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 今日は、法律の審査の前に、今、アメリカ、ヨーロッパで銀行への不安、信用不安というのが起こっていて、例えば、本委員会でも度々指摘されておりますけれども、アメリカのシリコンバレーバンクとか、あるいはシグネチャーバンクとか、あるいはヨーロッパではクレディ・スイス、また、アメリカではファースト・リパブリックとか、こういう形で様々な信用不安が起きている、これがシステミックリスクにつながるかどうかというのは、我々、みんなの関心事になっております。

 そこで、こういった信用不安に対する大臣の御見解を賜れればと思っております。

鈴木国務大臣 御指摘のシリコンバレーバンクにつきましては、資金流出が起きやすい、大口の法人預金が多いという預金構造にあったところ、保有債券の売却損と急激な預金流出が生じる中で資金繰りが行き詰まり、経営破綻に至ったものと承知をいたしております。

 それを受け、そうした大口の法人預金が多い預金構造を持つ他の米国銀行にも信用不安が波及をして、シグネチャーバンクの経営破綻や、ファースト・リパブリック・バンクの大手銀行からの預金受入れにつながっていったものと受け止めております。

 また、そうした経営破綻等を受けたリスク回避的な動きはクレディ・スイスにも及びました。同社につきましては、投資銀行部門の不振等により赤字決算が継続をし、直近ではグループ内の内部統制の不備を公表するなど、経営上の問題が生じていました。そうした中で、シリコンバレーバンクの経営破綻時の影響を受け、株価の下落と預金の流出が生じたものと承知をいたしております。

 これらの銀行の置かれていた状況はそれぞれ異なっていたと考えられますが、SNSの利用等により信用不安が非常に速いスピードで広がったことや、従来の取付けのように銀行の店頭に並ぶのではなく、時間、場所を問わないインターネットバンキングにより預金流出が加速したことなどが指摘されており、十分に注意する必要があると考えています。

 こうした中、各国当局によって信用不安の影響が拡大しないよう迅速な対応が取られているものと承知をしております。

 金融市場におきましては、引き続きリスク回避的な動きが見られておりますが、現在、日本の金融機関は総じて充実した流動性や資本を有しており、金融システムは総体として安定していると評価をいたしております。

 金融庁といたしましては、まずは、様々なリスクがあり得ることを念頭に置き、日本銀行を始め各国の金融当局とも連携しつつ、内外の経済金融市場の動向や、それが金融システムの安定性に与える影響等について、強い警戒心を持って注視をしてまいります。

 その上で、各国当局とも連携し、今般の一連の事象を踏まえた課題をしっかりと見極め、必要に応じて適切に対応していきたいと考えております。

末松委員 まだ質問していない日本の銀行についても言及していただいて、ありがとうございます。

 これは、やはり流れは、利上げ、インフレに伴う世界各国の利上げというのがやはり一番背景にあるとも思うんですけれども、大臣もそういうふうにお考えになっておられますでしょうか。

鈴木国務大臣 先ほど申し述べましたように、シリコンバレーバンクにつきましては、利上げによる保有債券の含み損の拡大が経営破綻に至った一因との指摘があること、それは承知をいたしております。

 一方で、シグネチャーバンクは、シリコンバレーバンクと異なり、保有債券は多くなかったものの、大口の法人預金が多く、信用不安が波及したことが指摘をされております。

 また、クレディ・スイスにつきましては、先ほど申し上げましたとおりでありますが、かねてより投資銀行部門の不振等により赤字決算が継続し、直近ではグループ内の内部統制の不備を公表するなど、経営上の問題が生じていたこと、これが信用不安の背景にあるのではないかと考えております。

 このように、信用不安の要因につきましては、有価証券運用の内容に加え、預金構造でありますとかビジネスモデルといった様々な要因にも左右されるために、利上げが今回の信用不安の背景にあるという点を一概に申し上げることは難しいと考えております。

 いずれにいたしましても、金融庁として、引き続き、日銀等とも連携をしつつ、強い警戒感を持って動きを注視をしていきたいと考えております。

末松委員 本当に、私も、債券が価格は落ちて、SVBみたいに確かにそういった債券価格の下落によって逆ざやが生じて、そしてそういったところから信用不安につながったというケースもあれば、クレディ・スイスのように、元々経営的に非常に問題があったというところなんですけれども、この時期に集中してそういったニュースが出てきたというのは、どうもやはりこの背後に利上げというのがあるのかなと、それによって矛盾が表面化してきたということもあるし。ただ、インフレを抑制する必要もありますから、どうしてもそこは利上げに傾くというのも、これもまた事実だろうと思います。

 そういった中で、日本の方は、先ほど大臣の方は、日本の銀行についてはそういった懸念というものが余りないというようなことをおっしゃいましたけれども、これは結構、今のこの銀行の信用不安を見ていて、ネットバンキングと大臣も言われましたけれども、そういった、本当に、バンクランという、銀行で取付け騒ぎのような映像は流れていずに、ネットで瞬時に引き出しをやっていくということが、もう本当に早い対応になってしまって、逆に、それによって今度は当局の方も早い対応にしないと追いつかない。

 こういう危険性というのは非常に日本でも出てくると思うんですけれども、十分警戒をしておられるということですけれども、そういう早い対応についての準備というのは、それは大丈夫でしょうか。

鈴木国務大臣 今、末松先生が御指摘になられました様々な点、まさに重要なポイントを先生から御指摘をいただいた、そういうふうに思っております。今までなかったような、SNSによります信用不安の拡大が一気に進む、また、御指摘のネットバンキングのように、店頭に押しかけるということではなしに、しかも時間を選ばず瞬時にお金が動く、そういう時代にもなっております。

 そういうような先生御指摘の点を踏まえて、私どもとしては、十分な対応をこれからも取っていく、その前提として、強い警戒心を持って状況を見詰めてまいりたいと思っております。

末松委員 そういう形で本当に早い対応を強いられる危険性もありますので、これからも是非よろしくそこはお願いしたいと思います。

 それでは、法案の審議に入っていきたいと思います。

 まず、世銀法についてなんですけれども、今、ウクライナでまだ戦争が継続しているさなかでございますので、世銀含めて、IMF含めて、ウクライナの被害総額全体がどのくらいあるのかというのは、なかなか、当然、見積もり難いところもありますけれども、今、大体どのくらいの国際的な見積りの下でこの支援を行おうとしているのか、まずそれをお伺いします。

三村政府参考人 数字のことでございますので、私からお答えを申し上げさせていただきます。

 昨年九月に世界銀行が被害ニーズ調査というものを公表してございます。それによりますと、ウクライナの今後十年間の復旧復興に要します費用、これは当然、各国や国際機関の支援によって賄われるもののほか、民間資金でございますとか、ウクライナ自身の資金によるものも含まれる、想定されるわけでございますけれども、約三千五百億ドルというふうに推計をされてございます。

 ただ、今委員からもまさに御指摘いただきましたように、これは今も戦争は継続してございます。今申し上げました数字は昨年六月時点の状況を基にした推計ということでございますので、その後も、残念ながら、戦争は継続してございますので、復旧復興ニーズ、更に増加をしているというふうには私どもも思っておるところでございます。

末松委員 大臣もその認識でよろしいですか。これについては大臣の答えを私は期待していたんです。

鈴木国務大臣 私が報告を受けている数字も昨年九月の世界銀行が公表した被害ニーズ調査ということでございまして、今国際局長からお答えを申し上げたとおり、その額は約三千五百億ドルでございます。

 これも、早く戦争が終結することを心から望んでいるわけでありますが、今なお戦闘が続いているということで、日々被害が、新たな被害が起こっておるということで、昨年六月時点からはもう明らかに復旧復興ニーズは増加している、そういうふうに思っております。そういう心積もりでいかなければいけないと思います。

末松委員 これからも更に、停戦あるいは終戦にならない限り、どんどんこの負債が増えていくという恐ろしい状況ではあると思いますが。

 世銀等の融資については優先的に償還されるという慣行があるというのを聞いてはおりますけれども、過去、世銀が償還されなかったケースというのはあるんでしょうか。これは、じゃ、大臣、お願いします。

鈴木国務大臣 ウクライナへの貸付けを行う国際復興開発銀行、いわゆる世界銀行でありますが、この債権につきましては、これまで弁済されなかった事例は承知をしておりません。

 なお、二〇〇五年に、G8サミット合意を踏まえまして、低所得国向けに貸付け等を行う同じ世界銀行グループの国際開発銀行、IDAにおきまして、重債務貧困国向けの債権を削減する極めて例外的な決定が行われたことがございますが、これ以降、世銀グループは、各国の債務持続可能性を分析する枠組みを導入をし、支援対象国の債務返済能力を勘案した支援の実施に努めているものと承知をいたしております。

 世銀は、国際開発金融機関として優先弁済権を有しておりまして、その債権の返済は他の債権よりも優先するものとされているため、返済が滞ることは基本的には考えにくい、そのように思っております。

末松委員 一方、インフラ等に大打撃を受けたウクライナの返済能力についてはどのように御覧になっていますでしょうか。

鈴木国務大臣 まさに御指摘のとおり、ロシアの侵略によりまして、ウクライナの基幹インフラの損傷というものが進んで、ウクライナ経済は深刻な影響を受けている、そのように考えております。

 そうした中で、ウクライナは厳しい財政状況にありますけれども、税収の確保でありますとか一層の歳出の抑制といったウクライナ自身の努力、また、日本を含めたドナー各国や国際金融機関による支援などを通じて、債務持続可能性の確保が図られているところであります。

 その上で、世銀やIMFは、融資に際して、支援対象国の債務返済能力を勘案しているほか、各国への融資額の上限を設けるなどのリスク管理を適切に行い、また、その債権は優先弁済権を有していることから、支援対象国のうち一か国への貸出しが世銀やIMFの組織全体の財務状況を著しく悪化させて増資が必要となる状況に陥らせる可能性、それは低いものと考えております。

末松委員 これは財務省に聞きますけれども、大体ウクライナというのは、年間予算はどのくらいですか。私は九百億ドルとかいう形を聞いていますけれども、それはいかがでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 どうしてもウクライナの通貨建てになりますので若干分かりにくくて恐縮でございますけれども、例えば二〇二一年でございますけれども、ウクライナの財政、歳出ベースでいいますと、フリブニャというのがウクライナの通貨でございますけれども、歳出が大体二・二兆フリブニャというような状況でございます。

 それに対しまして、二〇二一年で申しますと、歳入が二兆フリブニャ弱、一・九八というのがIMFから出されている数字でございます。

 ちなみに申し上げますと、二〇二二年にまさに戦争が始まったわけでございますけれども、これによって、歳出の方は三・五七フリブニャということで、やはり、戦争などもございましたので、歳出は著しく増えてございます。

 他方、歳入の方でございますけれども、二〇二一年の一・九八に対しまして、二〇二二年、これはまだ推定の数字でございますが、二・六一ということでございますから、名目ベースでは、実は二〇二一年を上回る税収をウクライナは確保している。これはもちろん、インフレとかいろいろな状況がございますので、評価は慎重にする必要がございますが、IMFの数字によれば、そういうことでございます。

末松委員 そのフリブニャというのがなかなか慣れないので、ドルに直したらどのくらいになるのか、これはお答えできますか。

三村政府参考人 一フリブニャが大体〇・〇三ドルというようなことでございます。

末松委員 だから、ここの場の委員の方がちょっと分かりやすいように、そこはドルに直せないかということなんだけれども、そこは今、手元にありませんか。

三村政府参考人 ちょっとすぐにドルの正確な数字はございませんけれども、まさしく大体一ドルが〇・〇三、約三十分の一ぐらいでございますので、逆に言いますと、一フリブニャが大体四円から五円の間ぐらいということでございますので、先ほど私が申し上げました兆の数字にこの四から五ぐらいを掛けていただくと日本円になる、こういう勘定でございます。

末松委員 その数字もちょっと用意をしておいてくださいね。まあ、今はいいですけれども。

 今大臣が言われたように、一番我々として懸念するのは、政府保証というのが、今回の法律に基づくものだと思いますけれども、これが五十億ドル。ただ、さらに、世銀が貸し付けて、あるいはIMF等も貸し付けて、結局は、世銀、IMF等が空になって融資できなくなって増資が必要だ、そうすると、また日本に出資してくれということで奉加帳が回ってくるというのが一番我が国にとって厳しい状況だと思うんですけれども、その増資については、先ほど大臣が、可能性は低いというお話がありましたけれども、そこはそういうふうに楽観的に見ていてよろしいんですね。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに先ほど大臣からも御答弁申し上げたとおりでございますけれども、世銀、IMFは、当然これはウクライナに対してもそうでございますけれども、融資に際しましては、支援対象国の債務返済能力、当然勘案をしてございます。そして、まさしく、それぞれの国への融資額の上限、こういったものを設けるなどのリスク管理もしてございます。そして、優先弁済権も有しておりまして、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、過去に、いわゆる世界銀行、国際復興開発銀行の貸付けが、現に返済が滞ったというような前例もございませんので、こういったことから考えますと、私どもといたしましては、ウクライナも含めてでございますけれども、支援対象国への何か一か国への貸出しで立ち所に世銀やIMFの組織全体の財務状況が著しく悪化をして増資が必要になる、このような状況は基本的に考えにくいであろう、このように評価をしているところでございます。

末松委員 そういう見通しを聞くと、我々もその不安が和らぐわけでございます。

 それでは、グラントや政府保証を行うようになりそうな日本の五十五億ドルですかの対応というのは、具体的にどういうふうに決まったんですか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この五十五億ドルでございますけれども、これは、先ほど議論のございました三千五百億ドルのような長期にわたります戦後の復興というものではございませんで、基本的にウクライナの短期の財政支援ニーズを埋めるための支援ということでございます。

 その上で、五十五億ドルの経緯でございますけれども、現在、IMFによりますと、ウクライナの二〇二三年における短期の財政支援ニーズ、これは、それこそ政府の機能を維持するためのいろいろな費用ですとか年金のための費用ですとかこういったことでございますけれども、この短期の財政支援ニーズを、IMFは、二〇二三年、約四百億ドルというふうに試算をしてございます。

 これを受けまして、日本としては、ほかのドナー国による貢献の見通し、アメリカですとかEUですとかその他のドナー国の貢献の見通しも踏まえながら、この四百億ドルを国際社会全体でどう埋めていくか、G7議長国としてこの財政支援ニーズを埋めるためにどう貢献するべきかということで、これは世銀ともるる調整をいたしました。

 その結果といたしまして決まりましたのが、財政支援のまずグラント、無償の形で五億ドル、それから、今回法改正をお願いしておりますけれども、拠出国債を用いて世銀に対する支援を行う、このスキームによる財政支援を五十億ドル、この計五十五億ドルのウクライナ支援で、四百億ドルのものをEUですとかアメリカその他ドナー国と相まって何とか埋めていこう、このようなことで世界銀行との間でも調整に至った、こういう経緯でございます。

末松委員 分かりました。

 どうして国債で出す方式としたのかということはいかがですか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 このような世銀に設けられます基金に拠出をするという場合、当然、世銀の方で直ちに現金が入り用である、現金が使用される、このような場合には、最初から現金で拠出をするのが自然かつ適切であろうというふうに思います。

 他方、世銀の方で、現金を使用する時期でございますとか、具体的な金額ですとか、こういったものが確定をしていないというような状況、今回の融資はまさにそういう状況でございますけれども、そのような場合には、すぐに現金を出すということではございませんで、むしろ、まずは国債によって拠出をしておいて、その上で必要なタイミングで必要な額を随時現金化をする、このことの方が、私どもから見まして、財政資金の効率的な使用の観点から望ましいのではないか、このように考えておるわけでございます。

 先ほども少し申し上げましたけれども、今回の基金の場合ですと、これはまさしくウクライナから仮に世銀に対して返済が滞った場合にこれを補完するというものでございますけれども、先ほど来申し上げてございますように、世銀の融資は優先弁済権を持ってございまして、ウクライナから世銀への融資の返済が滞ることは基本的には考えにくいであろう、私どもはこのように思ってございますので、さすれば、すぐに世銀に対して現金の支払いが必要という状況でもございませんので、現金による拠出ではなくて、国債によってまずは拠出をするということが適切ではないか、このように判断をしておるところでございます。

末松委員 今、三村国際局長が言われたように、取りあえず国債でやっていくということだと。

 ただ、万が一世銀が償還に失敗するような極端なケースが生じた場合、ドルの購入の必要から円安を引き起こすようなことにならないかと。逆に、将来の更なる円安を想定する人は、例えば今、円で払っていた方がいいのではないか、こういう意見をお持ちの方もおられますけれども、そこら辺はどうですか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員の二点目の方でございますけれども、御指摘のとおり、万が一この拠出国債の償還が必要となった場合で、その時点で仮に今よりも円安ということであれば、それは円建てで見ればその時点での支出額、膨らむのではないか、これは論理的にはおっしゃるようなことはございます。

 ただ、当たり前のことでございますけれども、当然、将来の為替相場は、今の時点と比較しまして、どちらの方向にも、円安にも円高にも動き得るわけでございますので、必ずしもこの為替レートの面で現時点で支払いをやってしまった方が有利というふうには一概には言えないのではないかと思ってございます。

 その上で、一点目の御指摘、仮に万が一拠出国債の償還が必要になったときに、その時点で大量に円を売ってドルを買って、それで支払いをすることになって円安になるのではないか、こういう御懸念、御質問ではないかと思いますが、これは本件に限りませんけれども、一般に、政府として、国が何か外貨で支払いを行うという場合には、国として何か為替市場で円を売ってドルを買うというような、そういう外貨の購入というのはいたしてございませんで、基本的には、私ども、外為特会の外貨、これを使っていただく形で送金をするという形になってございます。

 したがいまして、仮に本件につきましても、拠出国債の償還ということに万が一なりました場合でも、基本的に、為替市場でそういうドルを買うのではなくて、同じような対応になると思ってございますので、そういう意味では為替市場に直接的な影響が生じることはなかろうと思ってございます。

末松委員 分かりました。

 それでは、主要国の対ウクライナ支援というのはこのスキームにおいてどういうふうになっているか、簡単に述べてもらえますか。

三村政府参考人 まず、この世銀の基金のスキームということで申し上げますと、私どもは五十億ドル、当然ほかの国にも呼びかけてございますけれども、これにつきまして今の時点で具体的に幾らと言っておる国はございません。

 ただ、信用補完ということで申しますと、例えば、世銀からウクライナへの融資に直接保証をつけるというような形で信用補完をするよと表明しておるような国は、イギリスを始めとしまして、ヨーロッパの国で複数既に出ているところでございます。

 私どもとしては、引き続き、この基金にも是非乗れる国は乗ってくださいという呼びかけはしていくつもりでございます。

末松委員 分かりました。

 次に、じゃ、JBIC法についてお聞きします。

 これは、サプライチェーンにおいて外国企業への融資というのが一番今課題となって、それを今度は法律でクリアしようとしているわけですけれども、これは別に以前からあった話であって、ウクライナの問題が出てきたから急にやるというようなことではないと私は解釈しているんですけれども、なぜ今改正を求めることとしたのか、その理由を聞かせてください。

鈴木国務大臣 デジタル化、それから気候変動などの構造的な変化が世界的に進展する中で、新型コロナによるパンデミック、そして昨年二月に発生したロシアによるウクライナ侵攻、これを契機といたしまして、企業がサプライチェーンの再構築、強靱化を図る動きが広がっているところでございます。

 そうした中、日本の産業界からは、サプライチェーンに組み込まれた外国企業をJBICが直接支援することを通じて、レアメタルや半導体を始めとするサプライチェーンの強靱化を支援してほしいという旨のニーズが寄せられていたところでございます。

 今般の法改正は、日本企業から寄せられたこうしたニーズに応えるものでありまして、経済安全保障の推進などの政府の進めている各般の取組と併せて、日本の産業の国際競争力の維持向上、ひいては日本経済の更なる発展に貢献できるもの、そのように思い、期待をしているところでございます。

末松委員 外国企業だけが利益を得て、日本のためにそんなにならないとか、そういうことなんかはやはり懸念されるわけですよ。こういうことに対して、何か内部の規則とか、こういうものは、ガイドラインのようなものというのは作ることにしているわけですか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、まさに委員御指摘のとおりでございまして、あくまでも、日本企業のサプライチェーンに属する外国企業をJBICの融資対象に加えますのは、これは外国企業のためではございませんで、日本企業の産業競争力の維持強化、日本企業のサプライチェーンの強靱化のためということでございます。

 そしてまさに、JBICの外国企業への融資が日本企業のサプライチェーンの強靱化にしっかりと資する結果になりますように、今言及いただきましたけれども、JBICにおきまして、これは内規、ガイドラインという形で審査基準を作ってもらおう、このように私ども考えてございます。

 既に、JBICの審査基準の中身につきましても、JBICと議論、相談を始めてございます。また、今後も更に相談してございますが、今の時点で、幾つか、どんなことを考えておるか、内容についてかいつまんで申し上げますと、まずは、これはあくまでも日本のサプライチェーンの強靱化のためでございますから、外国企業に融資することで逆に特定の国に対してサプライチェーンの依存度が高まるようなこと、こんなことになりましたら経済安全保障の観点からも問題でございますので、そういうことにはならないようにという観点。

 それから、やはり、外国企業からお願いしますとだけ言われたのでは、日本企業のためになるかどうかはっきりしないところもございますので、その融資につきましては、日本企業からしっかりと要請があるかどうかというような観点。

 それから、その外国企業が供給いたします物品の納入先として、主たる納入先がちゃんと日本企業なのかどうか。非常に数ある納入先のうちのほんの一部だけが日本企業というようなことでは、やはり日本企業のサプライチェーンとも言い切れませんので、そういう観点。

 それから、ちゃんとJBICの融資、資金が、単なる運転資金とか、いわんや金融投資とかそういったことに使われるのではなくて、きちっと日本企業への供給のための生産ラインの増強ですとか設備投資ですとか、こういったものに使われるのかどうかという使途の観点。

 さらには、その外国企業が供給してございます物品がどの程度ほかでは代替調達困難なものなのか、不可欠性のあるものなのか。

 こういった様々な観点を盛り込む方向で、今まさにJBICとも議論をしているところでございます。

末松委員 そういうことは本当に明らかにしていかないといけないので、是非そこはよろしく審議をお願いしますね。

 それと、そういったチェックは個別案件ごとにチェックをするということでよろしいんですよね。何か包括的な形でその外国の企業に対してオーケーを出すということではないと私は理解しているんですが、いかがでしょうか。

三村政府参考人 御指摘のとおりでございまして、まず、基本的に、外国企業でございましても、融資の判断、これはまず個別案件ごとにJBICがやるわけでございますけれども、個別の案件ごとに今御紹介申し上げました審査ガイドラインに沿って、まずはJBICにおいても検討いただき、その上で、JBICにおいて、例えば、経済安全保障の観点ですとか、その他日本の産業政策等々の観点、あるいは、場合によって、この法律の解釈に照らしてどうなのかという観点で少しでも疑義があれば、当然、これは監督当局であります私どもにもJBICから御相談をいただいて、個別案件ごとに問題がないかどうか、必要があれば、私どもは関係省庁なんかとも相談をしながら判断をしていく、JBICにおいても判断をいただく、こういうプロセスを想定してございます。

末松委員 こういった外国企業に対して、融資の限度額とかそういったものはあるんですか。無制限に融資をしていくということはないんですね。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 今の時点で、特に外国企業への融資ということだけで特別に、先生御指摘のような、限度額ということを設けるということまで予定しておるわけではございませんけれども、他方で、これは外国企業に限りませんけれども、当然、リスク管理は重要でございますので、JBICの方で、個々の融資先ごとに、個々の融資先につきまして、その信用力に応じて、これが一定程度大きな金額、一定の金額を超えた場合には、審査プロセス、審査基準を厳格化する、そういうリスク管理の手続は今も踏んでございます。

 具体的に言いますと、信用力に照らして金額が大きくなりますと、例えば、きちっと与信方針を経営会議で経営陣も交えて判断をするですとか、それから、実際の個々の与信を承諾する場合の決定権者、判断権者のレベルもJBICの中において引き上げるですとか、こういった形で、経営陣もしっかりと関与をする形で、一定程度信用力に照らして金額が大きくなるような貸付先につきましては、しっかりとリスク管理を厳格化する、こういうプロセス、今も手順も踏んでございます。

 私どもとしましても、まさにこの融資の適切性は重要でございますので、こうした形でのリスク管理がしっかりと行われるかどうか、外国企業ももとよりでございますし、ほかの案件につきましても、JBICをしっかりと監督していく、こういう所存でございます。

末松委員 質問時間も短くなったんですけれども、一番最初に私が聞いた、こういう銀行の、これは質問通告していないので答えられる範囲で答えていただければよろしいかと思いますけれども、銀行のシステミックリスクが広がったような、今はこれが、信用不安が入口でとどまって、それで終わるのか、終わればいいんですね。でも、終わらなくて、何か大きな世界的なこういう銀行に対するシステミックリスクが起こったようなケースの場合、こういったウクライナに対する支援というのがどうなるのかなと私も時たま考えるんですけれども。

 その辺、もし、大臣か、あるいは政府、財務省でもいいんですが、あるいは金融庁でもいいんですけれども、そういったところの、そういう不安に対してどういうふうな考えを持てばいいのか、そういうふうなケースを想定しておられるのか、そこについてお聞きしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 ウクライナのケースと金融システム不安のケースと、なかなか一緒に御答弁するのは難しゅうございますけれども、金融システム不安のケースについては、まさに今行っておりますように、各国当局、中央銀行、連携してこれを封じ込めるということがまず第一であろうと。

 我が国におきましても、これまでのいろいろな金融危機で様々な制度が整備をされてきておりますし、私どもの体制も増強してきているということでございますので、こうしたものをフルに活用してしっかりと対応していくということが肝要かなというふうに思っておりまして、まずはここをしっかりやるということが必要かなというふうに考えております。

末松委員 私の質問には直接答えておられませんけれども。

 その先、もしこれが、例えば、いろいろな、銀行の信用不安とか過去起こったものを、それを、経験を踏まえて様々な、BISとかそういうところで、自己資本比率の充実だとか、いろいろなシステムが出てきたわけですね。それなのに、まだこういう新たな信用不安みたいなものが起こっているので、それはどうなるのかなということをお聞きしたかったんですけれども、私の質問の後半部分についても、じゃ、金融庁から、あなたの考えを聞かせてください。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 大変難しい御質問でございますけれども、これは、これまでの制度で、いろいろな仕組み、各国含めて、制度でカバーされる部分と、それから個別に対応する部分と両方相まってということでございます。

 現在におきましては、今まで構築してきた制度の下で最善を尽くすということがまず肝要かと思いますけれども、そのプロセスでいろいろな問題があればこれは中長期的にまた見直していくということは必要にもちろんなってきますけれども、今のところは個別に対応していくということで信用不安を封じ込めようとしているということかなと思っております。

末松委員 では、質問を終わります。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 ただいまWBCの決勝戦が行われて、そちらに気が行きがちかもしれませんが、こちらの法案審査、しっかりさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日、十二問、通告をさせていただいております。通告のとおりに質問させていただきますので、手際よくお答えいただきますようお願い申し上げます。

 それでは、まず、JBIC法についての質問から入らせていただきます。

 まず、今日はJBICの林総裁にも来ていただいておりますので、質問させていただきます。

 政府系金融機関一般として、民業補完の原則というのがあると承知をしております。JBICの業務拡大が今回法案で記載されているわけでございますが、これが民業圧迫につながらないようにするためにどのような措置を講ずるのか、御説明をお願いします。

林政府参考人 民業圧迫についての御質問にお答えしたいと思います。

 JBICでございますけれども、株式会社国際協力銀行法第一条におきまして、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨とするということが法定されてございます。このとおり、民業補完はJBICにとって重要な業務原則の一つとなっております。

 これを受けまして、JBICにおきましては、民業補完の原則を徹底するために様々な取組を行っております。融資に当たっては、民間金融機関との協調融資を原則とし、個別案件の検討の初期段階におきまして民間金融機関と意見交換を行うことで、JBICによる支援の必要性を確認しております。

 こうした取組により、民業圧迫を回避することはもちろん、JBICならではの付加価値の提供を通じて民間金融機関の取組を補完することに努めているところでございます。

 今般の法改正によりまして新たに措置される業務につきましても、こうした取組を継続することで、引き続き、株式会社国際協力銀行法第一条に定められました民業補完の原則を徹底してまいります。

櫻井委員 今御説明いただいたとおりだとは思うんですが、他方で、じゃ、民間金融機関と事前に協議しますと言ったところで、本当に必要なときもあるわけで、必要ないときに必要ありませんとはっきり断れるのかどうか、後で仕返しされたら嫌だなとか、いろいろな忖度も働いたりする可能性はあるわけですね。

 また一方で、そうやって本当に民業補完に徹して抑制的にやったときに、そうすると融資が伸び悩むということになると、これはまた、何やっているんだといって叱られるリスクもあるわけでございまして、このバランスの取り方というのは非常に難しいと思うんですね。ですから、そこはよくよく気をつけていただきたいということをお願い申し上げます。

 続きまして、今回の法改正に関連して、海外事業に対する資金支援になるわけですが、財務省にお尋ねをいたします。

 JBICが企業に供給した円が外貨に転換されるということになるのかどうか、悪い円安が懸念される中で、円安要因になったりはしないのかというふうに心配をいたします。JBICはドル建てで債券を発行して外貨を調達できるというふうに承知をしておりますが、外貨のニーズに対しては外貨で調達して外貨で貸付けを行うなどして、為替市場に対する影響はないような取組を進めるのかどうなのか。その点を確認させていただきます。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、まさに委員から今御指摘いただいたとおりでございまして、外貨のニーズに対しましては外貨による貸付けでできるだけ応えていくということに尽きるわけでございますけれども、すなわち、借入れを行います企業の方で外貨の資金を必要としているという場合には、JBICとして日本円で貸し付けて、企業側がそれを円から外貨に転換をするということではございませんで、相手方の企業の希望に応じまして外貨による貸付けを行う。これは現に、現状もそうなってございまして、JBICの融資、その残高ベースで見ましても、その大半はドルあるいは外貨による貸付けということに現状でもなってございます。

 そして、JBIC自身がドルをどうやって調達するのかというところも、今御紹介いただきましたけれども、JBIC自身がドル建ての債券発行を行っているということでございますし、更に加えまして、外為特会からも、これは必要に応じましてJBICに対しましては補完的にドルの貸付けというものを行ってございます。

 逆に申し上げますと、JBICがマーケットにおいて円を外貨に替えるという形でドルを調達しておりますのは、これは残高ベースで見ましても全体で二割程度というふうに承知をしてございますので、現状の円・ドルのマーケットの規模と比較いたしましても、何かJBICがマーケットでドルを調達することによります為替市場への影響というものも、これは基本的に抑制されている、このように認識してございます。

櫻井委員 続きまして、再度財務省にお尋ねをいたしますが、JBICがなぜこのタイミングなのかということについては、これは先ほど末松議員への答弁でもうお答えいただいておるので、これはちょっと飛ばして、次、四の質問に移らせていただきます。

 経済安全保障の観点から、サプライチェーンをやはり国内に回帰させるということも必要だというふうに考えるんですが、本改正はサプライチェーンの海外依存を高めることになるのではないのか、そんなふうにも懸念をいたします。国内産業が空洞化するおそれがないのかどうなのか。国内に産業はちゃんと帰ってきてもらえるような、国内産業の充実について、どのような取組を考えられているのか。これは財務大臣と、それから経済産業省から今日政務官にも来ていただいておりますので、お答えをお願いいたします。

鈴木国務大臣 御指摘のとおりに、経済安全保障の観点からは、サプライチェーンを国内に回帰させること、これは重要なことと認識をいたします。

 一方で、半導体でありますとか電池の原材料となりますレアメタルなどは海外からの調達に頼らざるを得ないなど、原材料や部材までを含むサプライチェーンを全て国内で生産、調達することは、これはもう困難でございます。

 このように、日本企業のサプライチェーンにおいて海外に依存せざるを得ない部分もある中で、これをJBICが金融面から支援すること、これは、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進でありますとか、我が国の産業の国際競争力の維持及び向上といったJBICの政策目的に合致するものと考えているところであります。

 今般の法改正によるJBICの機能強化が、国内におけるサプライチェーンの整備を支援するその他の取組と相互補完する形で、日本の産業の国際競争力の維持向上、ひいては日本経済の更なる発展に貢献することを期待をしているところであります。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 今財務大臣からも御答弁がありましたとおり、半導体の原材料等の上流資源を確保する観点から、日本企業のサプライチェーンに組み込まれた外国企業を融資対象とするなど、改正JBIC法案に基づくサプライチェーンの強靱化が図られることは、日本の産業の国際競争力の強化、向上につながると認識をいたしております。

 同時に、国内生産基盤強化に資する民間企業の投資を加速すべく、昨年成立いたしました経済安全保障推進法の活用も含め、約一・七兆円の予算を令和四年度補正予算において措置をしたところでございます。

 このように、改正JBIC法案に基づく海外事業の支援や国内投資の加速に資する予算事業など、多面的な取組を総動員して、日本のサプライチェーンの強靱化につなげてまいりたいと存じます。

櫻井委員 続きまして、また財務大臣にお尋ねをいたしますが、これは海外の事業また海外の企業に対する資金支援であって、我が国にどのようなメリットがあるのかということについては、先ほど末松議員の質問への答弁でお答えいただきましたが、更にその先、日本企業が海外進出して、海外の子会社で稼いで、ただ、稼いだお金が日本に戻ってこずに、そのまま海外の子会社に滞留してしまっているのではないのかということで、結局、この利益が日本に還流しなければ、日本の国益といいますか富に直接的につながってこないわけでございまして、レパトリエーションというような言い方も最近よくされておりますけれども、こうした部分についてはどのようなお考えをお持ちなのか、どのような方策を講じるのか、御説明をお願いいたします。

鈴木国務大臣 今回の法改正、これは日本企業の事業拡大に寄与するものでありますけれども、その利益が日本に還流をできるのかということでございますが、日本への還流を含めまして、海外で生じた利益の使途、これは基本的に個別企業の判断によって決定されるものでありますが、経済の好循環につなげる観点からは、海外の利益も、内部留保ではなく、賃上げや設備投資に向かうことが重要であると考えています。

 政府として、新しい資本主義の旗印の下で、官民連携で成長分野への投資、また、賃上げを含む人への投資、こうしたものを官民連携で推進をしてまいりたい、その中で利益の日本への還流というものも進めていきたいと考えます。

櫻井委員 資金をどこに置くのか、日本の本社に置くのか、それとも海外子会社にそのまま置いておくのか、これは基本的には企業の判断なので、そこに政府が、やれ日本にお金を戻せとか、直接的にやるというのは、これはなかなか難しいし、余りそれもやり過ぎると、それはそれで自由な経済活動を阻害することになりかねませんので、なかなかできないことではあろうと思います。

 他方で、本当に全然日本にお金が戻ってこなかったら、やはり、日本は何か、せっかく投資しているのに、日本全体としてはどんどん貧しくなっているような、そんなことにもなりかねませんので、これもさじ加減は非常に難しいところではございますが、その点にも十分、今回法改正するということですので、目くばせをお願いいたします。

 続きまして、もう一つ、このJBIC法、最後の質問になりますけれども、東シナ海における天然資源の帰属をめぐる問題について、随分昔、今から二十年ぐらい前、これは国会でも大変問題になりました。

 財務大臣にもお尋ねをいたしますが、これは、一九九六年に、JBICの前身の日本輸出入銀行時代ですけれども、中国企業が東シナ海で天然ガス田を開発する、そのパイプラインの事業に融資を行っていたということが、融資をしてから十年後ぐらいに誰かが気づいちゃったんですよね。それで、国会で大問題となりました。我が党の前身の、前身と言っていいのかどうか、民主党の議員も、複数、このことを、問題を指摘をしております。

 やはり、今回、外国企業に対する融資なり資金支援ということになるわけなんですけれども、我が国の経済安全保障に反するような事態にならないようにするためにどのような措置を講じるのか。これはちょっとまず財務大臣にお尋ねして、JBICの総裁も来ていただいているので、是非お答えをお願いいたします。

鈴木国務大臣 JBICの出融資、JBICの出資それから融資、これの判断におきましては、我が国の経済安全保障の観点を勘案すること、これが重要であると考えます。

 現在、経済安全保障の観点も踏まえまして、エネルギー、通商産業政策等の配慮を要する案件につきましては、JBICから財務省に契約前に相談をしていただく、そういう業務フローが確立しております。

 財務省におきましては、今後とも、JBICに対し、経済安全保障への高い意識を持って早期に情報提供をするよう求めるとともに、相談があった案件につきましては、関係省庁とも必要な協議をしっかりと行いながら適切に検討をしてまいりたい、そのように考えております。

林政府参考人 大臣から答弁がございましたとおり、私どもといたしましても、経済安全保障への高い意識を持ちまして早期に情報提供させていただきますとともに、関係省庁ともしっかり協議を行って適切に対処してまいります。

櫻井委員 ちょっと、これは二〇〇五年頃に国会で議論になったので、是非委員の皆様にも御関心を持っていただきたいと思うんですが、元々は、もっと東シナ海の中国寄りのところのガス田の開発のところのパイプラインの融資だったんですけれども、そこから東シナ海の中間線の際々のところまで中国が更にガスパイプラインを延ばすということで、結果的に、日本が融資を、JBICというか輸銀が融資をしたパイプラインも、まさに東シナ海の中間線のところから吸い取られた天然ガスが流れていくということで、まさに日本の国益といいますか、日本の天然資源であるかもしれないところが先に中国側に吸い取られてしまうということに輸銀が加担をする、日本の政府系金融機関がそこに加担する、一体どっちを向いて仕事をしているのかということで、これは大問題になったわけです。こうしたことが二度とないように是非御留意いただきたいというふうに思います。

 JBICの、業務追加の部分はこれで終わりまして、続きまして、ウクライナ支援の方に移ります。

 これは昨日になるんでしょうか、岸田総理がウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行えたということは、これは大変すばらしいことだったというふうに私も思います。これはウクライナに対して力強く支援をしていくということのメッセージになるというふうにも思います。力強い支援、これはメッセージだけでなく、実際に実施をしていくということが重要でございます。

 そこで、まず、財務省にお尋ねをいたします。

 JBICは、収支相償原則のみならず、個別案件の償還確実性が求められていることになっています。しかし、このウクライナの現状を踏まえれば、個別案件の償還確実性を厳しくチェックをするということになると、かえって十分な支援が行えなくなるのではないのか、そんなふうにも心配をいたします。

 収支相償の原則、これは大事でございますが、償還確実性までは求める必要はないのではないのか。もっと言いますと、ウクライナ支援のために、特別業務勘定ということで、JBICの中に既にあって、インフラ案件なんかですと、それから先ほど来議論した案件については、特別業務勘定の中で、収支相償原則はあるものの、償還確実性は必ずしも要件とされていないわけですが、同じような扱いにするべきではないのかと考えるんですが、この点について御説明をお願いいたします。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まさしく委員からも御紹介いただいたとおりでございまして、JBICにおきましては、今、一般勘定とそれから特別業務勘定、二つの勘定がございます。いずれの勘定も、勘定全体としての収支相償、これは法律上の原則として求めておるわけでございますけれども、他方、一般勘定では個別の案件ごとの償還確実性を求めており、そして、特別業務勘定ではそういったものまでは求めていない、これは前回の法改正でおつくりをいただいたものでございます。

 その上で、お尋ねは、今回のJBIC法の改正によりまして、ウクライナへの保証、こちらにつきましては、私どもとしては、今回お示ししております法改正の中で、これはあくまで一般勘定の対象ということになってございまして、特別業務勘定の拡大の対象としてこのウクライナの保証は付しておらない。したがって、委員の御指摘のとおり、このウクライナの保証をやるに当たりましては、このJBIC法のたてつけですと、勘定全体としての収支相償に加えまして、案件ごとの償還確実性が求められる、こういうたてつけで今回の法改正を御提示してございます。

 そこが大丈夫なのかという御質問かと理解をいたしましたけれども、基本的にやろうとしておりますことは、ウクライナの民間企業等が行います個別のプロジェクトに対しまして、国際金融機関、例えば欧州復興開発銀行ですとか世銀グループのIFCとかそういったところでございますが、これが融資をするものに対しましてJBICが保証する、これを考えているということでございます。

 問題のこの国際金融機関への保証でございますが、当然そういう意味では、貸し手になるのはこれはJBICではありませんで、今申し上げました欧州復興開発銀行のような国際金融機関ということになるわけでございますが、当然、これら国際金融機関自身がまずはしっかりと融資審査を行い、また債権保全のための措置はしっかりと講じる、まずはそこがございます。

 そして、これらの国際金融機関、特に欧州復興開発銀行等々の融資でございますが、これはODAのような譲許的な融資ということではございませんで、基本的に商業ベースの条件で行われるものでございます。

 商業ベースに行われるということでございますので、これに対してJBICが保証をつけるという場合も、これは私どもとしては、やはり同様に、通常のJBICの個別のプロジェクトに対する与信と同様、これは個別のプロジェクトごとに、そういう意味では商業ベースの判断を前提として、JBICが個々のプロジェクトの目利き力、判断能力、その知見を生かしまして信用リスク等を評価いただき、必要に応じた適正な保証料も取った上で、保証付与を行うかどうか、そこを判断していただく、こういう形で回るのではないか。

 こういう形でやれば、先ほど申し上げたように、国際金融機関自身もしっかりと融資審査あるいは債権保全の措置も講じるということでもございますので、これであれば、あえて特別業務勘定として個別の償還確実性を免除しなくても十分これで回るのではないか、このような判断をしておるわけでございます。

 もとより、今後法改正を仮にお認めいただいたといたしまして、実際にこれに基づいてJBICによりますこのウクライナの保証を使っての支援がしっかりと回っていくかどうか、そこは当然、私どもとしても今後見ていく必要はあるとはもちろん思ってございます。

櫻井委員 ちょっと今の答弁は幾つか突っ込みどころがいろいろございますので、また後でお尋ねをいたします。

 それから、もう一つ、ウクライナ支援全般について、これは後のIMF、IBRD加盟措置法にも関連するところなんですが、これは岸田内閣の姿勢ですよね。

 ウクライナを訪問してゼレンスキー大統領と首脳会談を行う一方で、岸田内閣はロシア経済分野協力担当大臣を置いている。ロシアとも協力をするというのをいまだに掲げている。予算委員会でも我が党の同僚議員がこの点について質問させていただいて、これはもうやめたらどう、こんな看板を掲げたままG7サミットをやるんですか、こういうことも申し上げたんですけれども、頑として、この看板を下ろさないと言っているわけですね。

 やはり私は、ちゃんとウクライナをしっかり支援する、ロシアとの協力は打ち切るということをはっきりさせるべきだというふうに考えますが、これは政府としての見解をお願いしたいということと、もう少し具体的に申し上げますと、JBICに関連するところでは、JBICは、ロシアの北極海沿岸のアークティックLNG2、ロシア向けの融資の事業、これは天然ガスの開発の事業ですけれども、これに対する融資を行っている。融資契約を結んでいる。お金は今のところ貸付実行はしていないというふうには聞いておりますけれども、融資はまだ現在アクティブなわけですね。

 また、ノバテックというロシアの天然ガスの企業、エネルギー企業との間で何と戦略的協力協定を結んでいる。戦略的ですよ。ウクライナに侵略しているロシアの企業と戦略的な協力協定ですからね。こんなのはやはり即刻打ち切るべきではないのかというふうに考えるところです。特にノバテックはアメリカの経済制裁の対象企業ですよ。こんなところとおつき合いをするんですかということで、これもやはりちゃんと打ち切るべきだ。

 ウクライナをちゃんと支援するんだということを明確にする、ロシアとは協力しませんということを明確にするというふうにすることを御提案申し上げますが、いかがでしょうか。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 ウクライナ情勢を踏まえまして、ロシアとの経済分野の協力に関する政府事業については、見合わせることを基本とし、国際的な議論や我が国のエネルギー安全保障の観点に留意しつつ対応していくことにしているところでございます。

 その上で、足下では世界的にLNGの需給が逼迫しており、さらに、今後、ロシア産ガスの代替を求める欧州やコロナ後の経済回復が見込まれる中国を中心に世界のLNGの需要が高まり、一層需給が厳しくなることが見込まれております。

 そのような中、ノバテクが参画するアークティックLNG2プロジェクトは、二〇二三年末の生産開始を目指していること、長期的なLNG引取り権が確保されていること、現状のようなエネルギー価格の高騰時に市場価格よりも安価に調達できることなどの観点から、我が国のエネルギー安定供給上、重要なプロジェクトであります。このため、引き続き権益を維持する方針としているところでございます。

 引き続き、G7を始めとする国際社会と連携して、適切に対処してまいりたいと存じます。

林政府参考人 JBICとしての対応でございますけれども、ロシアによるウクライナに対する侵攻以降、JBICにおきましては、アークティックLNG2向けの融資を含め、全てのロシア向け出融資を見合わせているところでございます。

 今後も、ロシアのウクライナ侵略後の状況を踏まえ、日本政府を含む関係者とも相談しながら対応を検討してまいります。

櫻井委員 ちょっとこの部分については全然納得できないんですが、似たようなところで、IMF、IBRD加盟措置法の方の審議に移らせていただきます。

 もう一回財務省にお尋ねをいたしますが、ウクライナの復興事業、現時点で総額どの程度と見積もられているのか、ウクライナ支援基金は今後どのぐらいの規模になるのか。本改正で拠出国債が青天井で増大することはあり得るのかどうかということについては、先ほど末松議員への答弁でお答えいただきましたけれども、今後、今般の基金を含めて、各国のウクライナへの財政支援、状況はどういうふうになっているのかについて御説明をお願いいたします。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 各国のウクライナへの財政支援の状況ということで申し上げますと、特にその中でも最も金額の大きい主要ドナーとなっておりますのがアメリカとEUでございます。二〇二二年、昨年二月に開戦、戦争が始まったということでございますけれども、それ以降の実施あるいはコミット済みの累計の額で申し上げますと、米国の財政支援、累計で約二百三十億ドル、それからEUは約二百五十億ユーロという状況でございます。

 ちなみに申し上げますと、日本の財政支援でございますけれども、今回のこのお願いしております法改正によって五十億ドルの信用補完が可能となるわけですが、この五十億ドルも含めまして、累計で日本からの財政支援につきましては六十一億ドルになる、こういう状況でございます。

櫻井委員 ウクライナの返済能力という観点については、先ほど末松議員への御答弁でお答えいただきました。IBRDの融資が踏み倒されるというようなことは過去にもなかったし、今回もないだろう、こういう見通しを示していただきました。また、三の、なぜ現金ではなく拠出国債なのかという質問についても、これも末松議員へ御答弁いただきました。円安要因にならないのかどうかという観点についても、外為特会などを活用していくので市場への影響はない、こういうふうにも御説明いただきました。

 改めて財務大臣にお尋ねしますが、我が国のウクライナ支援に対する貢献度、先ほど三村局長から数字も挙げて説明いただきましたけれども、何かかなり見劣りするような感じもしないわけではないので、特に我が国の場合、アメリカやEUのように、戦車を供与しますとか、何かミサイルを供与しますとか、そういうことはできないわけです、しないわけですから、せめて民間部門をしっかり支えていくという部分において協力を進めていくべきだと考えるんですが、貢献度は十分なんでしょうか。いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 ウクライナの支援に際しましては、国際社会が連携をしてウクライナの支援ニーズに適時適切に対応していくこと、これが何よりも大事である、そういうふうに考えております。その中で日本が果たせる役割について検討していくことが重要であります。

 その上で、本年二月に表明をいたしました財政支援について申し上げれば、ウクライナの二〇二三年の財政支援ニーズについてIMFが約四百億ドルと試算していることを受けまして、他国の貢献の見通しも踏まえつつ、世銀とも調整した結果、財政支援グラント約五億ドルと、そして拠出国債を用いた世銀に対する信用補完を通じた財政支援五十億ドルの、合計五十五億ドルの支援を行うこととしたものであります。

 また、財政支援以外の人道支援等を合わせると、今朝、岸田総理が表明をした五億ドルの追加支援を含めまして、総額約七十六億ドルの支援を行うこととしております。

 日本としては、こうした支援を通じて、今年のG7の議長国として引き続きその役割を果たしてまいりたい、そのように思っているところでございます。

櫻井委員 この点、非常に重要な点だというふうに思います。

 是非委員の皆様にも共有させていただきたいのは、ウクライナ支援は、単にウクライナ一国の話ではない。第二次世界大戦で荒廃した世界に対して、もう力で、武力によって他国の領土をかすめ取るというようなことはやっちゃいけませんよ、やらない、それが戦後秩序だったわけですが、それを常任理事国であるロシアがいとも簡単に覆したというところが大問題なわけでございます。そうしたたくらみは必ずや失敗するということを、今回、明らかにしておく必要がございます。

 逆に言えば、これが、ロシアのような侵略行為が成功してしまうというようなことになってしまうと、途端に世界の安全保障環境というのは非常に悪化するわけでございまして、かえって日本にとってもマイナスになる。大きな、例えば安全保障関係の出費が、それこそ防衛費倍増と岸田内閣は言っていますけれども、倍増どころでは済まなくなるかもしれないという意味で、非常に高くつく可能性もあります。

 ですから、ここは踏ん張りどころだということで、しっかりとウクライナ、踏ん張って頑張っているわけですから、そこを徹底的に支援をしていくということでよろしくお願いいたします。

 その上で、先ほどちょっと中途半端になりました質問に戻らせていただいて。

 ウクライナを支援しますと言いながら、他方で、ロシアとの経済関係、依然として、経済制裁、表ではしていると言いながら、裏側では、先ほどのアークティックLNG2の融資が生き残っていたり、それからノバテックとの戦略的協力協定が継続されていたり、また、これはJBICはもう融資を全部回収したと言っていますけれども、サハリン2についても、日本企業は引き続き参画をするというような形で、ロシアとのコミットメントを継続しているわけですよね。

 それに対して、先ほど御答弁にエネルギー安定供給というお話がございましたけれども、ロシアって別に、だって、隣国に突然軍事侵略するような国ですよ。こんな国、信用できないでしょう。そこにエネルギーを依存するって、すごく危険なことですよ。安定供給なんかにとてもならないと私は考えるんですね。

 JBICも、サハリン2のときに痛い目に遭っているはずなんですよね。JBICがというより、JBICが支援した日本企業が痛い目に遭っているわけですよ。

 サハリン2みたいな、あんなオホーツク海の荒れ海の中で、とてもじゃないけれども天然ガスの開発とか石油の開発とかできるわけないだろうとロシアは最初思っていたんですけれども、やったらできちゃった。できて、うまくいったといったら、権益をよこせというわけですよね。権益をよこせというのに、突然、環境問題がどうこうとか言い出して、それで、環境問題が解決するまで操業させないといって横やりを入れてきたわけですよ。権益を半分譲ったら、環境問題、突然解決しちゃうわけですよね。

 そういうむちゃくちゃな国なので、そんなところで、エネルギーの安定供給、エネルギーを依存するということ自体が間違っているというふうに私は思うんです。

 その観点から、このエネルギー安定供給、ロシアに依存して大丈夫なんですか。ちょっと、せっかく御答弁いただいたので、この点について、改めて経済産業省、大臣政務官にお尋ねをいたします。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、ウクライナ情勢、大変な転換点になっておるわけでございますけれども、ロシアとの経済分野の協力に関する政府事業につきましては、原則としては見合わせるという方向で政府としても考えているところでございます。

 ただ、各国、置かれました状況も様々でございまして、これは米国も欧州もいろいろな立場がございます。その中で、しっかりとG7等でも議論を重ねた上で、我が国のエネルギー安全保障の観点に留意しつつ対応しているというところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。

櫻井委員 天然ガスは、別にロシアに限らず、ほか、東南アジアにだってオーストラリアにだってあるわけですから、その貴重な資金はロシアに投じるのではなく、もっともっと我が国と友好関係のある地域に投入するべきだということを提案申し上げます。

 それから、あと、ロシアとの貿易関係ですけれども、ロシアに中古車が大量に輸出されているんですね。二〇二一年も、これまでもたくさん輸出されていたんですけれども、二〇二二年、要はロシアによるウクライナ侵攻が始まってから余計に増えているわけですよ。二〇二二年は前年比で三割増の二十一万台。

 一体、経済制裁はどうなっているのかということですよ。高級車については経済制裁しているけれども、六百万円以下、普通の人たちが使うような車については経済制裁の対象外になっている。特に、四輪駆動車についてもどんどん輸出されていて、これが戦場で兵士の搬送に、輸送に使われているのではないのか、こういう指摘もウクライナ側からいただいております。

 こうしたことを考えましたら、それから、先ほどのアークティックLNG2の事業ですけれども、これはイタリアは、イタリアの政府系の金融機関とかはもう融資の停止をしています。それからフランスのトタルは、ノバテックとの協力関係、これはもう撤退をしているわけなんです。そうやってもうG7各国が撤退しているのに、日本だけが頑張って残っちゃっているんですよね。こんなところで頑張らなくていいでしょう。

 こういうふうにして見ていくと、言っていることとやっていることが違うじゃないか、一体日本は何を考えているのか。

 これは、二〇一四年のクリミア併合のときもそうなんですよね。一方で、アメリカもEU諸国も経済制裁なりしっかりやっているのに、日本だけが何か裏から抜けちゃって、二〇一六年に経済協力のプランを発表して、八項目の協力プランとかやっちゃったりして、こうやってどんどんどんどん何かロシアとずぶずぶの関係になっちゃっているんじゃないのか。

 こんなのでウクライナ支援といったって誰も信用しませんよということで、これは、大臣、いかがですか。こんな、岸田内閣の方針といいますか、それ以前の安倍内閣のときからですけれども、これはむちゃくちゃだと思うんですよね。ちゃんとこれはもうはっきりさせる、ウクライナを支援する、ロシアと協力しない、はっきりさせてください。いかがですか。

鈴木国務大臣 財務省の所掌を超えるところがありまして、経済産業省あるいは外務省から御答弁すべきことである、そういうふうに思います。

 ただ、今年日本はG7の議長国を務め、財務トラックも動き始めております。その中で、ロシアに対する制裁、それからウクライナに対する支援、これはもうアジェンダの中でも最上位のものの一つとして位置づけております。

 G7の財務トラックでの協議におきましても、真に制裁の効果が上がっているのかどうか、そして、その制裁を迂回をする、そういう迂回措置をどうやって止めていくのかということも議論になるわけでございます。

 エネルギーの問題につきましては、先ほど経産省から、各国それぞれの事情が異なって、各国ともそうした事情を踏まえながら対応しているということでございまして、それが岸田内閣の方針でもあるわけでございますが、基本的な部分について、こうした制裁措置が利いて、それによって、究極の目的はロシアがウクライナから撤退をするということでありますので、そういうことについてはしっかりとこれからも努めていかなければならないと考えています。

杉浦政府参考人 委員から御質問いただきました点について、若干補足させていただきます。

 ガス、LNGについての御質問をいただきましたけれども、エネルギー全体ということで申し上げますと、G7の首脳声明、昨年ございましたものに基づいて、代替供給を確保しながらということで、我が国についても、石油や石炭については、前年同期比で、昨年後半においてはロシアからの輸入量は大幅に減っておりまして、石油につきましては同期比で九割減、石炭につきましては前年同期比で六割減ということで、エネルギー安定供給を踏まえながらでございますが、ロシアとの関係について努力しているところでございます。

 LNGにつきましては、残念ながら、世界的な需給が逼迫しておりまして、二〇二五年、六年ぐらいまでの安定的な価格で得られるガスというのは既に売り切れているというような状況もございまして、そういった国際的なエネルギー情勢を踏まえながら対処していきたいと思っております。

 自動車につきましては、EU、欧州でも五万ユーロを超える価格については規制対象ですけれども、日本は御指摘のとおり六百万以上ということで輸出禁止をしておりまして、新車については非常に少なくなってきておりますが、御指摘のとおり中古車については増えているという現状はございます。

 軍事的に利用されるというようなことがないように、我々としても注視しながら、制裁について実施していきたいと思っております。

櫻井委員 いや、ちょっと今、中古車を軍事的利用されないように注視しているって、どうやって注視しているんですか。中古車、これはEUもそうだと言うんですけれども、やはり中古車は、六百万円相当とかそういうのじゃなくて、もっと金額を下げるなり、中古車は一切輸出禁止とかぐらいしないと、せめて何か百万円とかそれぐらいまで切らないと、四輪駆動車とか、ばんばん行っちゃいますよ、戦場で使われちゃいますよ。使われていないという確認はどうやってしているんですか。

杉浦政府参考人 現行の法令上、輸出される乗用車等が軍事用途に使用される具体的な情報がある場合には、いわゆるキャッチオール規制の対象として経済産業大臣から許可を得る必要があるということになっておりまして、経済産業省といたしましては、関係業界団体に対して、こうした点について指摘をし、注意喚起をしておりまして、こういった形で御相談を受けながらやっていきたいというふうに思っております。

櫻井委員 いや、それはチェックしていないということじゃないですか。

 しかも、輸出業者は外国企業がほとんどですよね。ですから、ちょっと政務官にも来ていただいているので、是非、これは中古車輸出についても厳しく制限をする、例えば百万円以下しか駄目とかいうふうに変えていくということを是非提案しますので、よろしくお願いいたします。

 時間になりましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、まず、株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案についてお伺いいたします。

 この法律は、サプライチェーンに該当する外国企業に対して事業開発等の金融を行うことを可能にするものと承知しております。

 私は、海外の取引慣行にさほど詳しいというわけではないんですけれども、サプライチェーンといいますと、何となく我々は日本の下請、孫請みたいなそういう構造を考えるので、それなら融資してもいいかなと思うと思うんですが、やはり海外の企業で本当にそんなものがあるのかと。実のところ、サプライチェーンと言いながら、そんなのは極めて流動的といいますか、どこに納入するかなんていうのはそのとき次第ではなかろうかと思うわけです。

 ちなみに、新潟の地元で、今は懐かしくなった初期iPodというのがありまして、当時、裏面の金属がぴかぴかになっているというのが、あれは燕市の磨くのだというのが随分紹介されて、日本はすごいとか言われたんですけれども、御承知のように、それはあっという間にiPodそのものがなくなってしまったので、今はもう全然そんな受注関係はないということになっております。

 この法律の中で、我が国の外国との貿易関係又は国民経済の健全な発展のために必要不可欠なものといいますと、一体全体それはどういうものなのかと。ちなみに、それこそ今のiPodみたいに、それはみんな売れています、世界中に売れていますみたいなものは、それは時にサプライチェーンの中に入ってくるんでしょうけれども、それはあっという間になくなる。先ほど御答弁でもあったんですけれども、サプライチェーンと言いながら、日本企業に納入している分はほんの少しだということはあり得るんだと思うんですよね。それは、むしろ価値が高ければそうなる。だって、市場価値が高ければそうなる可能性があるといいますか、世界中に売れるわけですから、わざわざ日本だけのシェアが高くなるわけじゃない。

 一方、では、日本のサプライチェーンに物すごく入っている、要は日本企業にしか入っていませんというのは、いや、それはもうごく特殊なねじだからとか、これはもうここにしか使わないねじだからみたいな、正直そんなの支援するほどのことがあるんですかみたいなことが起こり得るんだと思います。

 つまり、サプライチェーンの中での排他性と汎用性といいますか市場価値というのは、ざっとはやはり相反するといいますか、市場価値が高いものであればあるほど日本以外にも売れちゃうし、そういうのは、でも買わなきゃいけない必須なものだったりするんだけれども、日本以外にも売れちゃいますみたいなことになるでしょうし、逆に、日本にしか売れませんみたいなものだと、それは何というか極めて特殊な状況で、そんなに本当に価値があるんですかみたいなことになりかねないんだと思います。

 ということで、前置きがすごく長くなったんですけれども、第二条十号の特定外国法人というのは、日本のサプライチェーンに排他的、若しくは高い割合で組み込まれていて、そっちが重視される要素なのか、それは考慮はするにせよ、やはり製品として不可欠である、製品として非常に特殊なものであるみたいなことを重視するのかということをお尋ねさせていただきます。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、前提といたしまして、今回法改正をお認めいただければJBICの支援対象に加えようと思ってございます、日本企業のサプライチェーンに属する外国企業に対する融資、これに関連しましては、日本企業のサプライチェーンの強靱化にしっかりと資するようにというその目的を確保する観点から、JBICに、ガイドラインというような形で、内規という形になりますけれども、審査基準を作ってもらおうということで、今議論もしているところでございます。

 今まさに議論してございますけれども、その中で入れようと思っております観点としては、今委員から御紹介いただきましたような、排他性でございますとか汎用性といったことに絡む論点というのも当然入ってまいります。

 例えば、御紹介もいただきましたけれども、外国企業が供給する物品の中で、日本企業がどの程度主たる納入先として入っているのか、この観点はまさに排他性につながるような観点だと思います。逆に言いますと、外国企業が供給する物品がどれぐらい代替調達困難なものなのかというようなところ、ここは、不可欠性、重要性、ひいては汎用性というところにつながるかと思います。

 一方で、そのほか、例えば、融資した資金が、運転資金とかではなくて、ちゃんと日本企業への供給も想定した生産ラインあるいは設備投資等々に使われるのか、こういった観点も審査のポイントとしてはこのガイドラインの中に盛り込もうということで今考えているところでございます。

 これを具体的にどう適用するのかというところ、委員おっしゃるように、時にはトレードオフ的なところが全くないわけではないかと思いますけれども、やはりあくまでもここは、なかなか単純に、チェックボックスでこうなったらこうということではございませんけれども、日本企業のサプライチェーンの強靱化というのがあくまで目的でございますから、そういった様々な要素、これを見ながら個別案件ごとに総合的に判断を行うということに最終的にはなるんだろうと思います。

 例えば、ある外国企業が供給する製品が非常に日本企業にとって重要で代替調達困難だというんだけれども、一方では、ほかの企業にもいっぱい供給されている、これはまさしく委員おっしゃるような汎用性と排他性のややトレードオフ的な状況でございますけれども、この場合でも、例えば、別途、JBICが融資するお金でまさに相手の外国企業は日本企業向けの生産ラインを増強するんだというようなことで使途が確認されていれば、これはやはり日本企業のサプライチェーンの強靱化に資するという判断ができるということで、その場合には融資は認め得るだろうというふうにも思いますので。

 今申し上げたのは一例でございますけれども、こういった形でそれぞれの要素を勘案しながら総合判断で、いずれにしても日本企業のサプライチェーンの強靱化というその目的を達成できるような融資ということでJBICにもお願いをするつもりでございまして、私ども、監督していく所存でございます。

米山委員 お答えとしてはきっとそうなるんでしょうけれども、言うはやすし行うは難しといいますか、今ほど言われた例みたいに、汎用性の高いもので日本向けラインだからといって融資して作って、いや、でも、ちょっと日本は売れないからといって、まあ、それが本当かうそか分からないですね、ぱっとそう言われて、では、次はもう、はい、ドイツ向けみたいなふうになったって、それはもう多分どうしようもないんだと思うんですね、何せ民間企業にやるわけですから。それは、そういうリスクが非常にあるというか、非常に複雑なことをすることになるということなんだと思います。要するに、海外のサプライチェーンになんというものが、そんなにシンプルにサプライチェーンというのは決まるわけじゃないと思いますので。

 そうしますと、今ほど、いろいろな複雑なことを勘案しながら、ガイドラインも作ってしっかりやりますということなんですけれども、相当専門性の高い人材がいないと、そんなのは結局、絵に描いた餅といいますか、海外の、別に性悪説を取るわけじゃないですけれども、好きなようにやられてしまうのではなかろうかと思いますし、そもそも判断できないんじゃないかと思ったりするわけです。単に製品の問題だけじゃなくて、日本企業への納入の問題だけじゃなくて、現地の取引慣行とか現地の企業の大体の動き方というのは、それは結構文化的なものもあるとは思うので、そういうものも勘案しなきゃいけないと思うんですが、一体全体、JBICにはそういう人材はおられるのでしょうか。

 役員リストを見ますと、全員日本人。かなりの方は、ほとんどがJBICに入ったままで、日本人でいらっしゃって、入ったままの方でいらっしゃって、人材の多様性すらない、ほとんど日本人だけで、そんなことって一体全体審査できるのかということをJBIC総裁にお伺いします。

林政府参考人 JBICにおける審査体制についてお答えいたします。

 JBICにおきましては、企業審査を担う審査部に加えまして、外国政府の審査を行う外国審査部を設けた上で、海外案件に伴うリスク審査を専門的に実施しておりまして、必要な定員も順次確保しているところでございます。また、行内研修や国際機関との人材交流などを通じまして、専門人材の育成にも努めております。

 さらに、審査に必要な情報の収集に当たりましては、世界十八か所に所在します海外駐在員事務所でございますとか、JBIC、私どもの公的ステータスに基づきます、アクセス可能となる外国政府や国際機関との海外ネットワークを活用して、深度のある情報の把握に努めているところでございます。例えば、国際金融公社や欧州復興開発銀行などとは業務協力のための覚書を締結しておりまして、これらに基づく定期協議も実施しております。

 こうした体制の下で、特に、今般の法改正によって措置されますサプライチェーン強靱化のための外国企業支援におきましては、外国企業支援につきまして日本企業からの要請があることを前提とする方針でございますし、当該日本企業へのヒアリング等も実施することで、JBICとして、支援対象となる物資や技術、外国企業の重要性について十分確認を行ってまいります。

米山委員 これも押し問答はしませんけれども、それこそ、こういったお題目の回答にはなるんでしょうが、ジャパン・クールがそれで死屍累々ということでございますので、官製金融ですかね、官製金融のそのいらっしゃる方にそこまで、かなり高度なことを要求する話になるんだと思うんですが、そこまで高度なことを要求して本当に成功するのかというのは疑問を呈させていただくとともに、それはやはり原資は日本の国民から出ているわけですから、それはよくよく御慎重な対応をお願いしたいと思います。

 次に、JBICのホームページを拝見しますと、二〇二二年四月二十二日に、SMR、これは小規模原発ですね、モジュール化された小規模原発を開発するアメリカのニュースケールという会社に、特別業務として出資一億一千万ドル、一ドル百三十五円で計算しますと百四十八億円ほど出資していると記載されております。

 今般の改正では、革新的な技術を開発した事業というのでいいんでしょうけれども、これは昨年の四月二十二日ですから、今般の改正、革新的な技術には該当しないということで、これは従前の第十三条一項二号の「海外における社会資本の整備に関する事業に係るものに限る。」これに該当するという御趣旨でよろしいでしょうか。

三村政府参考人 法解釈に関わることですので、私の方からお答え申し上げます。

 御紹介いただきましたように、現行のJBIC法の特別業務勘定、前回の法改正でお作りいただきましたものでは、海外における社会資本の整備、すなわちインフラの整備に関する事業というものが対象になってございます。当然、インフラの整備に関する事業ということでございますから、電力インフラに関する事業も含まれるということでございます。

 そして、今先生御指摘のアメリカのニュースケール社のケースでございますけれども、小型原子炉の研究や開発を行うものということでございますから、そういう意味では、研究開発、実証の段階とはいいながら、電力インフラに関する事業ということでございますから、社会資本整備の一環として特別業務の対象には当然なり得るもの、法的にはそのように理解してございます。

米山委員 これは文言がそうなので、そうだと言われりゃそうとも解釈できますねだとは思うんですけれども、そもそも趣旨として、海外における社会資本の整備というときに、アメリカのインフラを整備するのに日本が援助するのかという話だと思うんですよ。

 しかも、今ほど御回答の中にもありましたけれども、ニュースケール社というのは、正直、これは実証段階といいますか、別に大規模に電力を供給しているわけじゃなくて、試験用のモジュール、試験と何か商業開発の中間ぐらいの状況だと思いますけれども、まだ本当に大規模の商業開発が始まる前の試験的なプラントに対してやるというのは、これは結構、何かもう原発前のめりで、多少なりとも拡大解釈の脱法的な融資じゃないんですか、それに慌てて今回、革新的な技術を開発した事業とかつけたんじゃないですかと見れなくもないと思うんですよ。もちろん文言解釈なので、こうあるんだからいいんですと言われりゃいいんだと思うんですけれども。

 これは重ねてで恐縮なんですけれども、そもそも、じゃ、今後も、例えばアメリカとかで、アメリカの例えば環境ベンチャーとかで電力開発をする、それはまだ電力供給はないんだけれども、それはベンチャーですみたいなのは、この十三条、今般改正される革新的な技術の方じゃなくて、社会整備ですと言って、そういうのもどんどんと融資していくということでよろしいんでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、今後の個々の案件ごとに、社会資本の整備ということになるのか、それとも新しい技術やビジネスモデルという方になるのか、個々の判断ということでございますけれども。

 このニュースケールにつきましては、先生おっしゃいますように、まだ実証段階ということではございますが、逆に言いますと、そうであるがゆえに、特別業務勘定の、個別の償還確実性は求めず、全体の収支相償は求めるけれども、個別の償還確実性までは求めない。そういう意味で、比較的、より一層のリスクテイクを要するものを対象にするのが特別業務勘定でございますので、まさしく本件のケースでは、そういったまだ実証研究段階にあるというその辺も踏まえた上でJBICにおいて特別業務勘定というふうな判断をなされたもの、このように私どもとしては理解をしているところでございます。

米山委員 ちょっとそこ、しつこくなっちゃいますけれども、これは新しい技術ですから、今回、法で手当てされたからいいと思うんですけれども、これは例えば古い技術でも、要するに、ごくごく普通の火力発電とかをアメリカでやる場合も、それはインフラ整備だからやはりこの融資の対象だということでいいんですか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 もちろん、その火力発電がインフラ事業あるいは社会資本整備に関する事業という解釈に当たるかどうかというその一点について言えば、それは当たるということにもなるわけでございますけれども、当然個別の判断でございまして、火力発電については、別途、当然G7などでも様々な申合せ等もあるわけでございますし。

 逆に、本件、このニュースケールのケースで申し上げますと、これはまさしくJBIC自身のプレスリリースの中でも言っておりますけれども、例えば、このSMR、小型モジュール炉につきましては国際連携による研究開発が重要だというのは、これはやや私の所掌を超えますけれども、第六次エネルギー基本計画などでも書いてございますし、また、こういったSMRを含む革新原子炉での協力というのは日米協力の一つの弾ということで、一昨年四月になりますけれども、日米の首脳の共同声明などにも入っている。本件自体はそういう政策的意義もあるということでございますので。

 今後につきましても、単にJBIC法上社会資本整備に該当するかどうかというだけではなくて、当然、政府系金融機関としてのJBICの支援でございますから、そういった政策的な意義というものを考えていただくことになりますし、私ども監督当局として、そういう目線で日頃から見ているところでございます。今後もそういたします。

米山委員 今おっしゃられたように、それをこの法改正の後やるなら当てはまるんですよ。でも、それを何せ去年の四月二十二日にやっていますので、形式的には当てはまりますけれども、明らかにちょっと趣旨を外した融資であったろうと。何というか、法は後追いですよねというところではあるので、やはりそこはきちんとやっていただかないと、一体全体、法というのは何なのかということになってしまうと思うんです。それは、形式は当てはまったからいいというのを言い張るならそうなんでしょうけれども、やはり趣旨というのもありますので、そこはきちんと趣旨を踏まえた御融資をいただければと思います。

 ちなみに、さらに、このニュースケール社というのはなかなか微妙な話でございまして。それは、ニュースケール社、アメリカのベンチャー企業なわけです。二〇二二年一月時点で累積調達額十一億ドルということですから、そのうちの一〇%程度を取得したということで、さらに、日本企業である日揮や石川島播磨が出資参画を通じて同SMRの商業化プロセスに関与することを企図している、主要機器を納入とのことなんですけれども、現時点ではその目算は立っておらず、要するに、アメリカのベンチャー企業の販売先になるという趣旨しかなさそうに見えるわけです。どう見ても、そうなんじゃないですか。

 これは、単に、アメリカのベンチャー企業を支援して、石川島播磨や日揮が売りますと。まあ、それもサプライチェーンだといえばサプライチェーンなのかもしれませんけれども、これもまた随分趣旨に反するといいますか、結局アメリカを支援するだけじゃないんですかという実例に見えるんですけれども、これは日本にそんなに利益を生み出すような融資になるんでしょうか。

林政府参考人 ニュースケールのSMRでございますけれども、本SMRは、二〇二〇年八月に、小型モジュール炉、SMRとして初めて米国原子力規制委員会、NRCによる設計認証の審査を完了するなど、商業化に向けて進んでいるSMRの一つでございます。

 こうした中、お話にございましたように、本案件に出資参画する日本企業は、ニュースケールのSMRに実証段階から関与することで、設計、建設や機器供給業務の受託といった将来の事業機会につなげるべく同社に出資参画したと私どもとして理解しております。

 JBICは、日本企業が設立した特別目的会社経由でニュースケールに出資しておりまして、当該SPCからは、ニュースケールに取締役を派遣しているところでございます。

 我々といたしましては、この派遣取締役を通じてニュースケールの経営にしっかり関与することで、出資者である日本企業の海外事業展開支援、日本政府が掲げる日米原子力協力の具現化という本件の出資の意義を実現してまいりたいと考えております。

米山委員 それも、お題目として、絵に描いた餅としてはそうおっしゃられるんでしょうけれども、これは、どう見てもというか、普通の感覚で普通にこの企業の将来像を見たら、まあ、成功したらですよ、そもそもこれは実証段階です、本当に成功するのかというと、相当怪しいんですけれども。その怪しいところにリスクマネーを日本から提供してあげて、大もうけするのはアメリカの株主。日揮や石川島播磨が参入しただのなんか言って、それは結局、日本国内に売るだけでしょうということになるんだと思うんです。要は、日本企業の下請化にひたすら日本のお金を使っているんじゃないですかということになりかねないんだと思います。

 もう時間がなくなったのでこれで終わりにしますけれども、事ほどさように、サプライチェーンに対する融資というのは、融資の仕方を、いかようにも取れちゃいますので、先ほど来、納入の排他性の問題もありますし、また、インフラなのか革新性なのかみたいなところもありますから。でも、そんなのいかようにもできちゃって、しかも、事実上、こういう、果たしてどうなんですかというところにも融資され得る、実際にされているんだと私としては思いますので、是非、そこはきちんと、本当に日本企業のためになるということでやっていただきたいですし、そうであるなら、そこまで無理して海外の企業に融資するということも、そんなにしなくていいんじゃないですかねと思いますということを言わせていただいて、御回答いただけるんですかね。一言ぐらい、では、御回答をいただければと思います。

塚田委員長 申合せの時間が経過しております。

米山委員 分かりました。では、言わせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 本日は、株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案と国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案についてお伺いしたいと思います。

 先ほど来、様々に議論されております。少し重複する箇所もあると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 両法案とも、ウクライナ支援について言及されております。二〇二二年二月二十四日に突如としてロシアのウクライナに対する軍事侵攻が始まって一年が経過し、報道やインターネットを通じて報道される現状は、私と同世代の若者が銃を持って殺し合っている風景や、未来ある若者や子供たちが亡くなっている現実を知ると胸が締めつけられる思いです。

 ロシアは国際法で禁じられた市民や生活インフラを標的とした攻撃を重ねており、和平はおろか、停戦への道筋すらまだまだ遠いように思えてなりません。

 武力によって国家の主権を一方的に侵害する行為は断じて容認できません。プーチン大統領に対して、国際社会の規範を遵守するとともに、即時に軍事侵攻を停止し、ウクライナから撤退するよう改めて強く求めるところでございます。

 また一方で、ウクライナ危機は、大国による核兵器をかざした他国、地域への威嚇、侵略のリスクが現実に存在すること、また、有事の際に同盟国、同志国から軍事協力が得られるのは、まず独自の防衛力で挑んだ後であるという現実を安全保障上の教訓として我が国に突きつけられたわけであり、このような対応を我が国もしていかなければならないということは言うまでもございません。

 日本は、今年、先進七か国の議長国を務め、国連安全保障理事会の非常任理事国となりました。国際情勢が不安定さを増す中、法の支配に基づく国際秩序の再建に向け、グローバルな外交を主導しつつ、ロシアに早期停戦を促す国際包囲網の構築に力を尽くすことも我が国の責務であります。

 この一年、日本は、同盟国アメリカを始め、普遍的価値観を共有するNATOと手を携え、ウクライナ危機に立ち向かってきました。自由と独立を守り抜くというウクライナの決意は揺らいでおりません。民主主義陣営の主要国たる日本は、国際社会と連携し、それに応えるべく、可能な限りの支援を続けるべきであります。

 そこで、まず、これまでのウクライナへの支援の内容と今回の支援実施になった経緯について確認させてください。

鈴木国務大臣 ロシアによりますウクライナ侵略、これは、力による一方的な現状変更の試みでございまして、決して許されるものではありません。我が国といたしましても、対岸の火事ではなく、今年のG7議長国として、国際社会と緊密に連携してウクライナの支援にしっかりと取り組む必要があると思っております。

 こうした中、日本によるウクライナ及び周辺国向けの財政、人道支援は、先月表明をいたしました五十五億ドルの追加財政支援に加えまして、総理が今朝表明いたしました五億ドルの追加支援を含めまして、総額約七十六億ドルとなっております。

 財政支援について申し上げますと、IMFは、ウクライナの二〇二三年における短期財政支援ニーズを約四百億ドルと試算をしております。これに対して、これまで、EUは百八十億ユーロ、米国は約百億ドルの二〇二三年の財政支援を表明をいたしております。

 日本は、こうした米国、EUの貢献も念頭に、それ以外の他国による貢献の見通しも踏まえつつ、残る財政支援ニーズへのG7議長国としての貢献について世界銀行と調整をいたしました。その結果、財政支援グラント約五億ドルと、拠出国債を用いた世銀に対する信用補完を通じた財政支援五十億ドルの、合計約五十五億ドルのウクライナ支援を行うこととしたものであります。

 こうした支援も含めまして、引き続き、ウクライナ及びウクライナ国民に寄り添った支援をしてまいりたいと思っております。

住吉委員 ありがとうございます。

 国際貢献、本当に必要だと思っております。

 我が党は、身を切る改革で議員報酬の二割相当をカットして、これまで被災地など必要と思われるところに寄附をしてまいりました。これは地方議員も漏れなくカットしているわけでございます。

 ウクライナ支援として、ちょうど先日ですが、ピックアップトラック二十台と缶詰一コンテナ分を、この身を切る改革で生み出した財源を原資に支援を決めたところでもあります。昨日、コルスンスキー・セルギー駐日大使出席の下、贈呈式も行われました。これは猪瀬参議院議員の発案でもございますが。

 現在、ウクライナには世界中から様々な支援物資が届けられておりますが、それを運搬するための手段が不足しているとのことでございます。このピックアップトラックは負傷者や薬などの運搬にも使われるだろうとのことです。また、地域によって食料も非常に乏しいことから、より日もちのする缶詰を支援するということになりました。

 昨日、岸田総理もウクライナの首都を電撃訪問されております。この国会会期中の首相の外遊というのは衆参議院運営委員会の了承が必要で、情報が漏れると首相警護が難しくなり、自衛隊による海外での要人警護、これも明確な規定がない中での電撃訪問は本当に御苦労だったと思います。ゼレンスキー大統領と首脳会談を行い、連携と揺るぎない支援を直接伝え、五月のG7の前に対応を協議し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くとの決意を確認したとのことです。また、G7広島サミットにも招待したとの報道も耳にしました。

 一方で、プーチン政権が二六年まで侵略を続けることを念頭に置いた法改正案が提出されております。米欧から軍事支援を受けるウクライナは、ロシアの力による現状変更に徹底抗戦し、戦況は東・南部で膠着しておりますが、米欧の推計で、双方の兵士計約三十万人が死傷し、民間人二万人超が死傷する中で、戦争終結の見通しは立たないまま、既にロシアがウクライナへの侵略を開始してから一年以上が経過しております。

 現在のウクライナ情勢の認識について、外務省にお伺いいたします。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ロシアによるウクライナ侵略、これは、力による一方的な現状変更でございまして、欧州にとどまらず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であります。ウクライナの主権と領土一体性を侵害する明白な国際法違反であり、我が国としては強く非難してきているところでございます。

 戦況につきましては、現在、様々な情報がありまして、今後の確定的な評価あるいは予測といったことを申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、引き続き、今委員御指摘のありましたとおり、ウクライナ東部バフムート周辺を中心としまして激しい戦闘が継続しているというところで、いまだ出口は見えないというのが現状であろうかと思います。

 そういった中、昨日、岸田総理がウクライナを訪問いたしまして、ロシアによるウクライナ侵略による被害などの状況を直接視察するとともに、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行い、ウクライナ国民に対する日本の揺るぎない連帯を伝えたところでございます。

 この訪問を通じ、日本は、G7はもちろん、グローバルサウスも含めた国際社会全体をリードし、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くという決意を示すことができたと考えております。

住吉委員 引き続き、情報収集の方、よろしくお願いします。

 そして、両法律案については、それぞれスキームは異なるものの、今御答弁ありましたように非常に大変な状況に陥っているということだと思います、このウクライナへの支援が明記されております。

 岸田総理が二月にウクライナへの五十五億ドルの支援を表明されて、これまでのウクライナ支援の大幅な増額で、この支援額においてはG7議長国としての責務の一つを果たす目的があったと思いますが、それぞれの法案でのウクライナ支援についての意義についての見解をお伺いいたします。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 今まさに御指摘をいただきましたように、今回、本日御審議をいただいております二つの法案、JBIC法それから世銀加盟措置法、いずれもウクライナ支援の関係の要素が入ってございます。両者は、当然、国際金融機関の知見をできるだけ活用しながらウクライナを支援するという、その点においては共通しているわけでございますけれども、それぞれの役割と申しましょうか、デマケというものがございます。

 まず、世銀加盟措置法によるウクライナの支援でございますけれども、これは、先ほど来議論いただいておりますように、私どもとして、拠出国債という形で世銀からウクライナへの融資について信用補完を行う。これによって、世銀のウクライナ政府への支援枠をより拡大できるようにして、ウクライナ政府の財政ニーズを支援する、これが世銀加盟措置法の目指すところでございます。

 他方、JBIC法によるウクライナ支援でございますけれども、こちらは、ウクライナにおきまして民間企業等が行います個別のプロジェクト、これに、欧州復興開発銀行ですとか、国際金融公社、IFC等々の国際金融機関が融資をします際に、JBICがプロジェクトごとにこの債務を保証する、こういうものでございます。

 したがいまして、世銀加盟措置法の方はウクライナ政府の財政ニーズを支援する、それからJBIC法につきましては、ウクライナにおける民間企業等が進めますプロジェクト、こちらを保証を通じて支援、カバーをするという、それぞれの役割がございますので、私どもといたしましては、この両方相まちまして、相互補完的に活用していくことで、できるだけ効果的にウクライナを支援していきたい、このように考えてございます。

住吉委員 ありがとうございます。

 JBIC法は民間を通じてウクライナの支援、また世銀法は、ウクライナ政府への財政支援、これを通じてウクライナを支援していくということが分かりました。

 そこで、世銀法の方についてお伺いしたいと思います。

 今回新設されるウクライナ復旧復興基金(仮称)については、我が国は、日本は五十億ドルの拠出を表明しているものの、他国が同基金に拠出するか否かについては明らかになっておりません。

 世界銀行グループは、侵攻開始後、直ちにウクライナへの財政支援パッケージを動員したことを始めとして、累次にわたる支援を行ってまいりました。世銀としてウクライナに対して二百億ドル以上の資金援助を行い、そのうち百八十億ドル以上がこれまでに支出されております。

 この世銀の自己資金ではウクライナに対し融資できる上限額に迫りつつある中で、この基金は信用リスクを分離して更なる融資を行うために創設するものであり、他国からの拠出の有無や拠出額によっては、こうした目的が十分に果たされない可能性もございます。

 今回新設されるこの基金に関して、我が国が他国に対し拠出を働きかけ、より力強い支援を行っていく必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回私どもが拠出をしようと考えてございます世銀の基金の趣旨の方は、もう今委員から御紹介いただいたとおりでございまして、まさしく、世銀、ウクライナにこれまでも相当多額の支援をしてまいりましたけれども、彼らのリスク管理上、ウクライナに対して世銀自身がリスクを取って貸し出せるものがもう上限に近づいているという中で、私どもの方でウクライナ政府に対する融資について信用力を補完することで、世銀がウクライナに対して更に支援ができるようにする、このための基金ということでございます。

 そして、私どもとして今想定してございますのが、五十億ドルの拠出国債ということでございます。

 その上で、他国の動向というところでございますけれども、今、この時点で、この私どもの五十億ドルを入れます基金について、具体的に幾らうちも信用補完するよというふうに表明している国はございません。

 ただ、他方で、まず、ウクライナ政府への世銀の融資への信用補完ということで申し上げますと、むしろ、私どものような拠出国債の形ではなくて、世銀のウクライナへの融資に直接保証をつける、こういうような形で信用補完をやりますよということを表明しております国、これはイギリスですとかオランダですとか、複数のヨーロッパの国がそのようなことを既に表明をしてございます。

 それから、私どもが今回五十億ドル拠出いたしますこちらの基金の方も、当然、日本だけということではございませんで、他国の参加も可能な枠組みになってございます。

 したがいまして、私どもとしては、世銀とともに、是非ほかの国でも、意のある国は是非この基金に日本と一緒に参加してくださいということを呼びかけておるところでございます。

 また、当然、この基金への拠出国債の拠出ということにとどまらず、当然、このウクライナへの支援、国際社会と緊密に連携して行っていくことが必要でございますし、また、そのことがロシアに対して厳しいメッセージを発することにもつながりますし、また、ウクライナにより幅の広い支援を行うことにもつながりますので、私どもとしては、日本として、あるいは本年議長国を務めておりますG7としても、これはほかの国に対しても、それぞれの国が、本基金への参加も含めてでございますけれども、ウクライナの支援への各国の一層の参加、これを、今までも呼びかけておりますし、今後とも呼びかけていく、このような所存でございます。

住吉委員 是非、他国への参加も呼びかけて、ロシアに対して厳しいプレッシャーを与えていく、また、ウクライナに対してしっかりと支援をしていく、こういうメッセージ性を出していただきたいなと思います。

 次に、国民への理解についてお伺いいたします。

 ウクライナへの、悲惨な現状に対して支援の必要性、また、G7議長国として一定の責務を果たしていかなければならないことは理解しました。

 しかし、国内に目を向けますと、国民の生活も困窮しております。

 帝国データバンクは、国内の食料や飲料メーカー百九十五社を対象に、二月末時点で値上げの動きをまとめました。それによりますと、三月値上げされる食品や飲料は、再値上げや価格を変えずに内容量を減らす実質値上げを含め三千四百四十二品目となっていて、加工食品やお菓子を中心に値上げされます。さらに、四月は、ウィンナー製品のほか、牛乳やバター、ヨーグルト製品などが値上げが相次ぎ、品目の数は四千八百九十二品目になります。

 調査会社によりますと、企業の間では、コストが増加した状況は長期化すると見て、一回の大幅な値上げでなく、小幅な値上げを複数回に分けて行うケースが増えているということです。今後も長期的に値上げが続くということを示唆しております。

 さらに、電気料金や、鳥インフルエンザの流行や飼料の高止まりによる卵の価格などの上昇など、不確実性は高まるばかりです。賃金は物価上昇ほど上がらず、国民の生活は相対的に苦しくなるのが今の日本の現状です。

 日本維新の会は、物価高騰に係る総合経済対策として、家計消費の下支えとして、消費税の減税、また低所得者層の社会保険料の減免、再エネ賦課金の一時徴収停止による電気代値下げ、また、事業者の維持、活性化として、中小企業、輸入業者の社会保険料の事業者負担を半減、中小企業者の法人税率の引下げ、さらには、地域主導による対策の強化として、給食費、出産費用の無償化などによる地方創生臨時金の増額などを提唱してまいりました。

 政府も、我々とは手法は違いますが、国民の生活の負担軽減を相次いで措置したところでございます。

 日本国内で困窮している人が数多くいる中で、また、日本の大変厳しい財政状況の中で、更に言うと、防衛費の増額で、この一兆円、足らずの部分を国民に負担を求めようとしている中で、このような巨額のウクライナへの支援を行うことに対して国民の理解促進、これを図っていく必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 ロシアによりますウクライナ侵略は、これは、厳しさを増す東アジアの安全保障環境を踏まえましても、我が国にとって決して対岸の火事と考えることはできません。また、食料、エネルギー不安等を通じて世界経済、市場の状況を複雑化させているのは、その元凶はまさにロシアによるウクライナ侵略であるわけでありまして、これを一刻も早く終わらせることが重要と考えております。

 同時に、政府といたしましては、国際社会と緊密に連携しながら引き続きウクライナ支援に取り組んでいく所存ですが、御指摘のように、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、国内におけます様々な財政需要もしっかりと応えていくためには、限られた財政資金、これを効率的に活用していく視点、これは欠かすことができないと思っております。

 こうしたことも踏まえまして、今回の法改正により可能となる世界銀行への信用補完を通じたウクライナ支援は、実際の財政支出を伴うことなくウクライナの膨大な資金需要に応えることを可能とするものであります。

 このようなウクライナ支援、その中での本スキームの意義について丁寧に説明をして、国民の皆様にも理解を得ていただくことができますように努めてまいりたいと思います。

住吉委員 財政出動を伴わない信用補完ということでございます。

 先ほど来より他の委員からも質問がありますが、本法律案により、基金を設置し、予算で定める金額の範囲内で拠出することができるとされております。これにより、我が国政府は、世銀に新たに設置される基金に対し、国債による拠出をすることとしております。

 万が一のとき、これは、ウクライナによる返済が滞ったときなどは、我々日本政府が財政出動をしなければならないというような状況でございます。先ほど来より、余りそういうケースは考えられないということでございますが、先ほど質問をしている中で、ウクライナ情勢というのは本当に逼迫した状況であり、今後も長期化が予想されております。インフラ整備、復旧復興など、莫大な費用が発生することを考えると、返済されないリスクというのは相応に高いのではないかと危惧しておりますが、改めて、御見解、お願いいたします。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まさしく御指摘いただきましたように、仮にウクライナ政府から世銀への返済が滞るというようなことになれば、これは拠出国債の償還が必要になるということではございますけれども、これも先ほど来御答弁申し上げてございますように、世銀は国際開発金融機関として優先弁済権というものを持ってございますので、国際的に、その債権の返済はほかのあらゆる債権よりも優先をするということが、これは国際慣行としても認められているわけでございます。

 また、そうした中で、これも先ほど来大臣からも御紹介がございましたけれども、今回私どもが信用補完を行います、いわゆる世界銀行、国際復興開発銀行の貸し出した債権が実際に返済が返ってこなかった、貸し倒れたというようなものは過去にもないということでございますので、また、そうした中で、私どもとしては、基本的に、今回信用補完いたしますけれども、実際にこの返済が滞ることは基本的には考えにくいのではないか、このように理解している中での今回の法案のスキームでございます。

住吉委員 ありがとうございました。

 国民に対しては、そのようにしっかりと説明していけると思います。

 ちょっと時間も余っておりますので、通告しておりませんが、大臣に質問させていただきたいと思います。

 ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うみたいな形で恐縮なんですが、国民に対しては、財務省の方もいろいろ知恵を絞って、財政出動を伴わない信用補完、そしてウクライナへの支援、形上はできたと思います。

 一方で、アメリカなんかは二〇二三年で百億ドル以上の財政支援を決めている。様々な物資の支援とかも含めてでございますが、そういったことをしている。

 元々、この経緯は、G7の中で役割を果たしていくということが一つの目的だったと思います。この内容を聞くと、国民にはいいんですが、G7の中で果たしてそういう役割を果たしていけるのか、他国と、どのように説明していくのか、御答弁を最後、お願いいたします。

鈴木国務大臣 今年、日本はG7の議長国を務めまして、そして、財務トラックにつきましても、もう既に協議が始まっております。その中で、ドイツのときもそうでありましたが、ウクライナに対する支援、それからロシアに対する制裁というものは、今年のアジェンダの中でもプライオリティーの高いものとしているところでございます。

 そういう中におきまして、日本といたしましては、まずは、短期財政支援ニーズ、これはIMFが約四百億ドルと試算しておるわけでありますが、これに対して他国がどの程度貢献をされるのか。EUは百八十億ユーロ、米国は約百億ドルということでございますので、日本は、そうした米国、EUの貢献というものもよく見まして、それ以外の他国による貢献というものを勘案して、残った財政支援ニーズを、G7の議長国として貢献しなければならないということで、世銀とも調整をしたところでございます。

 その上で決められました財政支援グラント約五億ドルと、世銀に対する信用補完のための五十億ドルということでありまして、G7の中でも、こうした日本の貢献というものはきちんと理解されているものと思っております。

住吉委員 ありがとうございました。

 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 法案質疑に先立ちまして、幾つか質問させていただければと思います。

 SVBの経営破綻に続き、国際金融市場を代表する投資銀行であるクレディ・スイスがUBSに買収、合併されることとなりました。クレディ・スイスは世界九大バルジブラケットと呼ばれ、世界の経済に大きな影響を持つ九つの投資銀行群の一つとも言われます。

 世界の金融市場は、リスクをはらみながら大きく動いております。先週の私の質疑で、日本の銀行が経営危機に陥る事態は想定していないと金融庁は答弁しました。また、先週金曜の会見で、後藤経済再生担当大臣は、クレディ・スイスの問題について、日本経済に大きな影響を及ぼすとは全く想定していないと述べました。日本の金融機関が経営危機に陥る可能性を政府は誰も想定すらしていないようですが、本当にそんなのでいいのでしょうか。有事を想定して事前に対策を練るのが仕事ではないのでしょうか。

 日本の金融機関が経営危機に仮に陥ったとしても、全く想定しておらず、何の対策も練れていない、そういうふうに答えるのでしょうか。あのクレディ・スイスが経営危機に陥ったわけでございます。本当に何の想定もしていないのでしょうか。

鈴木国務大臣 シリコンバレーバンクから始まりました今回の一連のことでございますが、決して楽観視をしているということではございません。

 ただ、それぞれの銀行の破綻に至る経緯を見てみますと、シリコンバレーバンクにつきましては、資金流出が起きやすい、大口の法人預金が多い、そういう預金構造であったところに、保有債券の売却損と急激な預金流出が生じる中で資金繰りが行き詰まり、破綻に至ったということを承知しておりますし、また、クレディ・スイスにつきましては、投資銀行部門の不振等により赤字決算が継続し、直近ではグループ内の内部統制の不備を公表するなど、経営上の問題が生じていました。そうした中で、シリコンバレーバンク等の経営破綻を受けたリスク回避的な動きによりまして、株価の下落と資金の流出が生じたものと承知をしております。

 このように、それぞれの銀行の状況を見てみますと、置かれた状況はそれぞれ異なっておりますが、信用不安が非常に速いスピードでグローバルに広がったことについては十分に注意する必要がある、そのように考えております。早期に信用不安が広まったということでありまして、各国当局によって信用不安の影響を拡大させないための迅速な行動が取られていること、これは歓迎をしたいと思っております。

 そうした中で、日本の金融機関は総じて充実した流動性や資本を有しておりまして、金融システムは総体として安定をしている、そういう評価をいたしております。

 一方で、今後、日本経済へどのような影響があるかにつきましては、海外経済の動向など、様々な要因による影響を受けるために、現時点で予断を持ってお答えすることは難しいわけでありますが、金融庁といたしましては、様々なリスクがあり得るんだ、まず、そういうことをしっかりと念頭に置いて、日本銀行始め各国の金融当局とも連携しつつ、内外の経済金融市場の動向、それが金融システムの安定性及び日本経済に与える影響などについて、決して楽観視することなく、強い警戒心を持って注視をしてまいりたいと思っております。

    〔委員長退席、中西委員長代理着席〕

藤巻委員 注視をしていて、念頭にも置かれているけれども想定はしていない、ちょっと日本語的な問題でどうなのかなとは思うんですけれども、いずれにしろ、あらゆる事態が想定されますので、しっかりと準備しておいていただければと思っております。

 世界の経済もそうなんですけれども、日本経済も、今、大きな分岐点をこの四月に迎えます。今月十日に植田氏が次期日銀総裁となる人事案が国会で承認されました。来月九日に就任し、難しい局面にある日本経済のかじ取りを担っていくことになるわけですが、この日銀新総裁の人事、大臣はどうお考えになられていますでしょうか。植田次期総裁の手腕、実績、人物像など、どう評価、分析されておりますでしょうか。

鈴木国務大臣 植田新総裁につきまして国会で御承認をいただいたということで、次期総裁が確定をしたわけでございます。

 これから、実際に御就任をされてから、いろいろと日銀の方針等が新しい体制の下で定まっていくということである、そういうふうに思ってございまして、もちろん、よく、日銀と政府、連携をしながらやっていかなければいけない、そういうふうに思っているところであります。

藤巻委員 植田次期総裁は、当面は金融緩和を継続して、現在の日銀の路線を踏襲していくと述べられておりますが、大臣としても、それが正しい方向性というような認識をしておられるということでしょうか。

    〔中西委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木国務大臣 度々同じことを申し上げておりますが、金融政策、これは日銀の独立性にお任せすべきことであるわけでございまして、私がここで何か発言すること、市場に対してあらぬ影響を与えてはいけないと思いますので、そのことについては、今の御質問についてはお答えは申し上げませんが、日銀には、引き続き、政府との連携の下に、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、適切に金融政策運営を行われること、それを期待をしているところであります。

藤巻委員 またちょっと金融緩和の質問になってしまうんですけれども、植田次期総裁は、金融緩和は必要だと述べられている一方で、当面という言葉を使っております。そういう意味だと、そう遠くない将来に出口戦略を実行していくことが必要になると考えられているとも推測できるんですけれども、当面金融緩和政策を継続していくの当面が終わったら出口戦略を模索していくことが必要で、いつまでも金融緩和を続けていくことはできないとお考えなのでしょうか。ここまで大規模な金融緩和を続けていくことの副作用はあるのかないのか、そういった部分でどうお考えになられているでしょうか。

鈴木国務大臣 先ほどの答えの繰り返しで、当面でございますが、金融緩和の出口戦略、これも含めまして金融政策の具体的な手法、これは日銀に委ねられるべきもの、そのように考えているところでございます。

 そして、先生の御質問の中に、金融緩和の話、それから、それによる為替の影響のこともございましたが、金融担当大臣という立場で為替相場の見通しについて具体的に申し上げることは、市場に不測の影響を与えるおそれがありますので、コメントすることは御容赦をさせていただきたいと思います。

 為替相場は、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であって、政府としては、今後とも、為替市場の動向をしっかりと注視してまいりたいと考えております。

藤巻委員 分かりました。ありがとうございます。

 それでは、続いて、法案質疑の方に移らせていただきたいと思います。

 今回の改正案では、日本国外で日系企業と取引をする外国企業にもJBICが融資をできるようにするというもので、サプライチェーンの強靱化という観点からは理解ができます。一方、その融資先である外国企業の経営実態の把握はどこまでできるのでしょうか。

 私も銀行員をしていたんですけれども、融資をする際は、その企業の代表取締役と何度も面談をして、会社に何度も訪れて、業態を把握して、働いている人の様子などもしっかりと観察していました。もちろん、反社会的勢力とつながりがないか、そういったことも銀行のデータを基にしっかりとやっていました。

 しかし、今回の改正案のケースでは、融資先は外国で取引を行っている外国企業です。経営実態の把握はなかなか難しいのではないでしょうか。貸倒れリスクはもちろん、融資したら実はテロ組織を裏で支援している企業だったなんということはないでしょうか。そういった部分は大丈夫なのでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まさしく、今回の改正案は、我が国の産業の国際競争力の維持向上に資するという観点から日本企業のサプライチェーンの強靱化を図るということで、日本企業のサプライチェーンに組み込まれております企業であれば、外国企業であっても支援対象としたい、こういう内容でございます。

 まさに目的は日本企業のサプライチェーンの強化ということでございますので、そういう意味では、私ども、これは単に外国企業の依頼を受けて融資をするということではございませんで、あくまでも、基本的に、その外国企業とサプライチェーン上物資の調達等で関係を有しておりますその日本企業からJBICに対しまして、是非この外国企業にサプライチェーンなので融資してほしい、支援してほしい、こういう要請があった場合に、JBICにはこれを支援していただく、こういうことを想定してございます。

 したがいまして、当然、これを受けまして外国企業にJBICが融資をするというような場合には、融資先の外国企業、ここからいろいろと話を聞くというのは、今委員からも御指摘があったとおり、お金を貸す以上当然でございますけれども、あわせまして、関係の深い日本企業、この話を持ち込みます日本企業などからも、その外国企業に関しましてJBICにおいて融資の審査に必要な情報の把握をきちっと行っていただく、こういったことを想定してございます。

 そして、今申し上げました、あくまでこれは日本企業から要請があるのが前提ですよということにつきましては、今般、外国企業への、サプライチェーンの観点から、融資につきましてはJBICに審査基準を作ってもらうというお話をしてございますけれども、この内規、ガイドラインの中でも、この日本企業からの要請があるという点につきましてはしっかりと盛り込むということでございまして、このガイドラインにも沿いまして、JBICにおいて、先生御指摘のような部分についての情報収集も含めてしっかりと対応してもらうということを考えてございます。

藤巻委員 邦銀が日本の企業に融資するというのとは状況がかなり違うのは分かるんですけれども、そういった経営実態の把握、信用状況の把握というのはしっかりやっていただきたいと思います。

 また、今回の法案は、スタートアップへの支援としての意義もあると思います。一方で、JBICが民間のベンチャーキャピタルと同様のビジネスを行うようにも見えるんですけれども、民間のベンチャーキャピタルとのすみ分け、線引きといったものはどのようにするのでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 スタートアップ支援に当たっての、JBICが今般の法改正を受けて行うこととなります支援とベンチャーキャピタルとのすみ分けということでございます。量的な観点と質的な観点と、両方から申し上げます。

 まず、量的な観点でございますけれども、JBICによる金融支援、これはスタートアップに限りませんけれども、法律上、あくまでも民業補完を旨として行うということになってございます。したがいまして、この出資につきましても、これはあくまで民間投資家等と協調して行うということが前提でございますので、これは現行、足下の運用におきましても、JBICは、出資を行います場合には原則五〇%以下の取得割合ということにしてございます。

 今般の法改正をお認めいただけました場合のスタートアップ企業への出資につきましても基本的にはこれと同様とする方針でございますので、まず、出資の場合には、スタートアップであっても、基本、JBICは五〇%以下ということで量的には想定をしてございます。

 その上で、質的なすみ分け、ベンチャーキャピタルとのすみ分けということでございますけれども、やはり何といっても、JBICは政府系金融機関でございますので、その最大の付加価値は、やはり政府系の金融機関として、例えば、外国に出ていくときに相手国の政府などとしっかりと政府系金融機関としてオフィシャルな対話をして、そこで、例えば規制の環境ですとか、場合によってはインフラなどもあるかもしれませんが、そういった事業環境の整備等々、あるいは、現地政府のその案件へのコミットメント、そういったところで現地政府ともしっかりと政府系金融機関としてのチャネルを生かした対話ができる、サポートができる、ここが通常の民間などにはない最大のJBICの付加価値であろうというふうに思ってございますので、私どもとしては、そういったところでベンチャーキャピタルともしっかりとすみ分けを図りながら、JBICには政府系金融機関ならではのサポートをしていただく、このようなことを想定してございます。

藤巻委員 スタートアップへの融資は、それなりの知識経験、そういったものをしっかりと持っている人が行うべきであると思いますし、かなり綿密な事前調査なしにはなかなか進めることは難しいのかなと思うんですけれども、JBICにはこういったスタートアップ企業への融資、そういった業務のノウハウというのはしっかりあるのでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、JBIC、出資業務全般というところで申し上げますと、二〇一六年にエクイティ・インベストメント部というものを創設してございまして、こちらにおきまして、出資に関しまして、御指摘のとおり、様々なリスクの審査、あるいは、出資先が何か技術を持っている場合には、その技術はどのような優位性のある、新規性のある技術なのかという判断、こういったものが必要ですので、そのような人材の育成をこの二〇一六年の部の創設以降、努めてこられていると承知をしてございます。

 今般、この改正案を受けまして、スタートアップ企業も含めました様々な日本企業の海外展開のための機能強化が図られるわけでございますが、これも念頭に置きまして、二三年度におきましてもスタートアップの支援等々の観点でJBICには必要な人員も措置をしていただく、このようなことでJBICにおいても今進めていただいているところでございます。

 他方、そうは申しましても、新技術ですとかイノベーションということでございますから、一〇〇%、全部JBICが自前の人材でということではありませんで、やはり時には、そういった技術の様々な新規性あるいは優位性の評価、あるいは、場合によってはリスクの評価、当然これは外部の専門家の知見というものも重要かと思います。そうした外部の専門家の知見の活用といったこともJBICにおいては当然考えていただいているというところでございます。

 そういう意味では、JBIC自身の人員の体制の整備、これを引き続きやっていただきますとともに、そういった外部の専門家との協働、それによります案件形成でございますとか案件審査、この両面でしっかりとJBICには対応いただく、このようなことで引き続きやっていただきたいと思っております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 スタートアップ企業の育成には、民間のベンチャーキャピタルの育成を含めた、スタートアップ企業が成長できる環境づくりを進めることが必要であり、スタートアップ企業とベンチャーキャピタルそれぞれが相互に成長していく関係の強化をサポートしていくべきだと思います。

 JBICのこの業務が効果的に市場に貢献するためにも、全体の市場環境の整備と規制緩和等により市場を活性化する必要はあると思います。スタートアップ企業を育成するに当たって、ベンチャーキャピタルに対する規制緩和や市場整備など、総合的な対策はどう取られておるのでしょうか。

松浦政府参考人 お答え申し上げます。

 日本にスタートアップを生み育てるエコシステムを創出するため、昨年十一月にスタートアップ育成五か年計画を作成したところでございます。

 本計画におきましては、スタートアップへの投資額を五年後に十兆円規模と十倍増にすることを目標に、人材、ネットワークの構築、資金供給の強化と出口戦略の多様化、オープンイノベーションの推進を三本柱とする取組を一体として強力に推進していくことが決められております。

 この中におきまして、先生から御指摘ございましたベンチャーキャピタルにつきまして、スタートアップを有意に評価する能力があり、育てる能力があることが確認されているところでございます。このため、我が国におけるベンチャーキャピタルの投資を拡大させるべく、VC育成に着目した支援といたしまして、海外のベンチャーキャピタルも含めて、ベンチャーキャピタルへの公的資本の投資拡大を通じたスタートアップへの出資、ベンチャーキャピタルと協調した政府によるスタートアップへの補助の拡大などの支援策を盛り込んでいるところでございます。

 こういった支援策も含めまして、五か年計画を着実に実行し、スタートアップを生み育てる環境の整備を着実に進めてまいりたいと考えております。

藤巻委員 引き続いて、IBRDの方の質問に移らせていただきます。

 IBRDの融資の資金使途としてウクライナ復興支援があるんですけれども、復興支援といってもかなり範囲は広いと考えられます。融資した資金がどのように、どこにどういうふうに使われているか、しっかりと把握の方はできているのでしょうか。

三村政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の世銀加盟措置法の改正でございますけれども、私どもが世銀の基金に拠出国債という形で信用補完をする、それを受けて世銀がウクライナに対して更なる支援を行っていく、融資を行っていく、こういうものでございます。

 御質問は、日本の信用補完の対象となる融資、具体的にどんなものに使われるんだということかと存じますけれども、これはまさにこれから私ども、信用補完を、法律をお認めいただければこれからということでございますので、具体的に私どもの信用補完の対象となるものとしてどういう融資を世銀がやっていくかというのは、これは世銀におきまして、ウクライナの支援ニーズを基にウクライナとまずは相談をしていくということでございます。

 ただ、その上で、世銀とまずウクライナの相談でございますけれども、世銀におきまして、私どもが拠出いたします国債を受けての基金による信用補完、何を対象にするかというのを決定するに当たりましては、私ども、基金の拠出国ということになるわけでございますので、当然、我が国に対しまして、事前に候補案件に関する情報は世銀から私どもとしても提供いただいて、そこで協議をするということに当然なるわけでございます。

 更に申し上げれば、これは世銀の融資案件でございますから、当然、日本が参加いたします理事会でも、この融資の案件の決定に当たっては理事会の審議、承認というものも必要になる、こういう状況でございます。

 こうした形で、そういう意味では、これからではございますけれども、必ず世銀が決定をする前に事前の協議の機会というものがございますので、私どもとしましては、そういった機会を生かしまして、日本としてはウクライナ支援に当たってこういう部分を重視していますよというような日本としての重点事項、そういったものはしっかりと世銀に伝えた上で、これを基金の支援対象にしていく、こういうことを考えてございます。

藤巻委員 資金使途、非常に大事ですし、ここをしっかりしていないとやる意味がないというか、そういうふうになってしまいますので、資金使途の把握、しっかりと行っていっていただければと思います。

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、行われて一年以上がたちますけれども、この間、世界各国からウクライナへ多くの支援が行われました。この一年間で、日本からウクライナへ、財政支援を含めてどのような支援がどれだけ行われたのでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 日本から、昨年の二月のウクライナ侵略が始まって以降、今日まででございますけれども、ウクライナ及び周辺国向けの財政それから人道支援、まさに今般のキーウ訪問に際しまして総理が表明されました五億ドルまで含めまして、総額で七十六億ドルということでございます。

 このうち、財政支援が六十一億ドルということでございまして、これの内訳を申し上げますと、実は、昨年、既に、これは世界銀行との協調融資という形でございますけれども、財政支援円借款という形で、私ども、ウクライナに対しまして合計六億ドルの財政支援というのをしてございます。これに加えまして、本年に入りまして、先ほど来出てございます財政支援グラント五億ドル、それから、今回の法律によってお認めいただきますればという信用補完の五十億ドル、この六足す五足す五十で、合計で財政支援が六十一億ドルということでございます。

 そして、逆に、その他の十五億ドルほどでございますけれども、こちらがいわゆる人道ですとか食料ですとか復旧支援等々ということでございまして、今般、総理が御表明されました五億ドルもまさにこちらの十五億ドルの内数ということで、申し上げますと、合計で七十六億ドルという数字でございます。

藤巻委員 IBRDの主要スタッフに日本人はどれだけいるのでしょうか。また、日本の意見がしっかりと反映される状況にあるのでしょうか。資金を拠出しているけれども意見は反映されない、日本の国際貢献が十分に認知されていない、そんな状況にはないでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まさしく日本としても、我々の重視する開発課題を世銀を通じてしっかりと反映したいと思えばこそでございますので、御指摘のとおり、資金面だけ、お金を出すだけではいけませんので、人材面、それからまさに意見といいますか政策面、これでもしっかりと世銀に対して意見を言い、また貢献をしていくということが重要でございます。

 人材面でございますけれども、今私の手元にございますもの、昨年九月末の数字で申し上げますと、世銀グループにおけます日本人の職員数、二百二十名ということで、比率でいいますと、全体で三・三%ということでございます。

 率直に申し上げまして、世銀における日本の投票権シェアに比べれば、この三・三%、小さい数字なのでございますけれども、他方で、人数、絶対数でいいますと、過去五年間で二割近くは増えてはいるということでございます。

 当然、私ども、更に日本人職員を増やすことは重要だと思ってございますので、これにつきましては、例えば、世銀で採用権限を持っております局長級の幹部なんかにも、リクルートミッションという形で、現に日本に毎年のように来てもらうでございますとか、あるいは、今おります、世銀で幹部をしておられる日本人の方に、後から続く方々のためにキャリアセミナーのことをやっていただくですとか、それから、まさしく大臣を筆頭に、私どもが世銀の総裁を始め幹部と会うときにも、毎度のように日本人職員の採用のことも働きかけをしているというような状況でございまして、引き続き、こういった取組をしっかりとやっていきたいと思ってございます。

 それから、日本の意見が反映されているのかという政策面のお話でございますけれども、これも、当然、日々の理事会はもとよりでございますけれども、例えば年次総会でございますとか、それから、昨年法案をお認めいただきましたIDAの増資の機会でございますとか、こういった様々な場面で、日本としては、日本が重視する開発課題というのを世銀に対して申入れをしてございます。

 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、国際保健、グローバルヘルスでございますとか、災害の問題、災害に対する強靱性ですとか、質の高いインフラ、債務問題、いろんな問題があるわけでございますが、こういった日本が重視しております開発課題、基本的には全て足下の世界銀行におきましても重点課題ということにもなってございますし、また、今私が申し上げたようなものは、当然、今年、議長国として日本のG7におけます重要課題にもなってございますが、こちらを進めていくに当たっても、世界銀行からは各般の支持をいただいている、またサポートをいただいているという状況でございます。

藤巻委員 是非、そこはイニシアチブをしっかり取っていただいて、最終的にはしっかりと国益に結びつけていただきたいと思っています。

 五月のG7に向けても、我が国の国際貢献は非常に重要であると考えております。一方、国際貢献は直接的に日本の国益に結びつかないという現実もあります。財政赤字がここまで肥大化した我が国に財政的余裕が全くないこともまた事実でございます。国際貢献と国益、そして財務状況、それらのバランスを総合的にどうお考えになっているのでしょうか。大臣、最後にお答えください。

鈴木国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略、これは対岸の火事と見るわけにもまいりませんし、現下、足下で起こっております食料、エネルギー不安、これの元凶がまさにロシアによるウクライナ侵略であるわけでありまして、一刻も早く終わらせることが重要であると考えております。

 このため、国際社会と緊密に連携しながらウクライナ支援に取り組んでいくことが重要ですが、御指摘のように、同時に、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、国内における様々な財政需要にもしっかりと応えていくためには、限られた財政資金を効率的に活用していく視点、これは欠かすことができないと思っております。

 こうしたことを踏まえまして、今回お願いしております法改正により可能となる世界銀行への信用補完を通じたウクライナ支援は、足下の厳しい財政事情にも鑑みまして、実際の財政支出を伴うことなくウクライナの膨大な資金需要に応えることを目的とするものであります。こうした支援も通じまして、国際社会の一員としての役割を果たしてまいりたいと考えております。

藤巻委員 私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原でございます。

 まず、株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案につきまして質問をいたします。

 この株式会社国際協力銀行、JBICでございますけれども、我が国の政策金融機関として、一般の金融機関が行う業務の補完を旨としつつ、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進、我が国の産業の国際競争力の維持及び向上、地球温暖化の防止などの地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進、そして、国際金融秩序の混乱の防止又はその被害への対処に必要な金融というものを行う、そして、我が国及び国際経済社会の健全な発展に貢献することを目的としているということでございますが、まず、大臣に確認をしておきたいと思います。

 あくまでも、JBICは、この趣旨に書かれているように、一般の金融機関の業務の補完、民業の補完という位置づけでよろしいですか。

鈴木国務大臣 そのように法定されていると承知しております。

前原委員 これを押さえつつ新たな業務をしていくということにおいて、本当にJBICが出ていくことが必要なのかどうかという観点から質問をさせていただきたいと思います。

 令和四年の六月七日に閣議決定されました、新しい資本主義実行計画、フォローアップでは、「企業の海外ビジネス投資の促進」という項目において、「不透明な国際経済情勢下で先進分野や日本が強みを持つ分野の企業の海外展開や脱炭素化・サプライチェーンの強靱化を推進するため、国際協力銀行は新たな融資制度の創設と先進国業務の対象業種の拡充などの機能強化により、より幅広くリスクマネーを供給する。」と記載をされています。これが今回の法改正になったと思いますけれども。

 では、今回の法改正は、具体的なニーズを踏まえたものになっているんでしょうか。なっているのであれば、具体例を列挙していただきたいと思います。大臣、お願いします。

鈴木国務大臣 今回の法改正でございますが、その中の一つに、輸入金融の対象が拡大されるということがございます。

 JBICは、これまでも、日本企業が資源等の重要物資を日本国内へ輸入する場合に、必要な資金の貸付けを行ってきたところであります。今般の法改正では、日本企業のサプライチェーンあるいは事業活動が日本国外にも展開される中、従来の資源の日本への輸入だけではなく、日本企業、日系企業が海外展開先において資源を引き取る場合でもJBICの輸入金融の対象とすることとしております。

 こうした法改正の対象の拡大というものは、日本の経済界といいますか、企業の方からもそういう要望があったわけでありまして、それを受けて対象を拡大するということでございます。

 日本企業の事業活動のグローバル化に応じて、JBICが今回の機能強化を積極的に活用して、我が国にとって重要な資源の確保にますます貢献していくことを期待をいたしております。

 今までの何か実例があればというような御質問であったと、違いますか。じゃ、先、ここまで。

前原委員 いや、新たな業務の拡大における具体的なニーズはあるのかという質問をしているんです。

 つまりは、こういった新しい資本主義の実行計画に書きました、書いて、そういう拡大がありますということでありますけれども、内容の拡大ということでありますけれども、やはり、民業の補完ということであれば、この視点というのは私、物すごく大事だと思うんですよ。民業の補完ということであれば、どういう具体的なニーズがあって、それは本当に民業でできないのかどうかという、言ってみればスクリーニングが必要だと思うんですが、どういう具体的なニーズがあるかをお答えください。

鈴木国務大臣 全てではないかもしれませんが、JBICに寄せられた外国企業支援へのニーズということでいいますと、一つにはレアメタルがございます。これは先生も御存じのとおり、特定国への依存度が高い、プラチナでありますとかパラジウム等でございますが、調達先の多角化が課題となっているところでございます。

 二つ目は半導体でございますが、この半導体製造の洗浄工程に必要な一部の原材料は、特定国、これは中国でありますが、依存度が高く、これまた調達先の多様化が課題ということでありまして、こうしたレアメタル、半導体につきまして具体的に外国企業支援へのニーズというものがJBICに寄せられていると聞いております。

前原委員 それは、今までの法律の中でも、先ほど私が列挙しましたように、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進、我が国の産業の国際競争力の維持及び向上、こういったところで読めるんじゃないですか、わざわざ法改正しなくても。

三村政府参考人 参考人からで失礼いたしますが、お答えを申し上げます。

 まさしく、現行のJBIC法によりましても、日本企業が資源等の重要物資を直接日本国内に引き取る場合、輸入する場合、これは現行のJBICも支援が可能ということでございます。

 他方、日本企業のサプライチェーン、事業活動は非常に複数か国にまたがる状況になっているわけですが、今回の法改正でやろうとしてございますのは、そういった日本企業の直接持ってくる場合ではなくて、むしろ、日本企業ですとか日系企業が自らの事業をやっている海外展開先で資源を引き取る、こういった場合、これは現行のJBICの輸入金融の対象になっておりませんものですから、しかし、今後はこういうものもサプライチェーンの強靱化の観点から支援対象にしたい、こういうことの法改正のお願いでございます。

前原委員 では、今の答弁に対して質問いたしますけれども、今国際局長が御答弁されたように、今回の法改正では、日本企業のみならず、日本企業と国際分業を行っている外国企業も融資対象にするということでありますが、そもそも、外国企業は、民間金融機関若しくは本国の政策金融機関から融資を受けるべきではないですか。

 つまりは、サプライチェーンというのが、それは日本の企業と関わったとしても、本来、海外企業であれば、一義的には民間の金融機関か、あるいは本国の政策金融から融資を受けるというのが筋だというふうに思いますが、それが、JBICが出ていくということの説明をお願いします。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、先生おっしゃいますように、外国企業でございますから、特に、所在先の外国におけます金融機関、こういったところから融資を受けられるということでは、当然それはやってもらうということでございます。

 他方、今回想定してございますのは、日本企業のサプライチェーンに属するという観点で、日本企業から、この外国企業は自分のサプライチェーンなので融資をしてほしい、支援をしてほしい、こういうニーズがある場合ということでございますので、融資ガイドラインを作るというお話、先ほど来申し上げてございますけれども、やはり日本企業からの実際のニーズがあって、かつ、単に運転資金などというものに使うのではなくて、実際、例えば日本企業のサプライチェーンに、現につながるような、設備投資でございますとか生産力の増強、こういったものに使うことがちゃんと見えるというような場合に、例えばサプライチェーンにつきましては、外国企業、支援の対象を広げようということでございます。

 当然、輸入金融につきましても、先ほど申し上げましたように、現に第三国に行きます場合には、日本企業がその外国で現に自らの事業のために使うという場合に、これは第三国経由でもいいんですよということ、これは法律にも書かせていただいてございますので、そういった形で日本企業に裨益をするものについてJBICには支援をいただく。

 まさに冒頭御紹介いただきました第一条の日本の産業の競争力強化の観点、資源確保の観点、これは大前提でございます。

前原委員 では、改めて、これは大臣から、大事な答弁だと思いますのでお願いしますが、いわゆるサプライチェーンで日本の企業と関係のある外国企業が民間の金融機関から融資を断られました、あるいは本国の政策金融から融資を断られました、そして、サプライチェーンを組んでいる日本の企業を通じてJBICに融資をお願いするなんということはないということでよろしいですね。

鈴木国務大臣 今、前原先生がお話しになられましたようなことはないというふうに理解をしております。

前原委員 政令、省令に委ねられるところが多いので、やはり、こういったことをしっかりとやはり答弁をしていただき、そして、きっちりとその前提に立って融資基準というものを決めることが大事だということを改めて申し上げておきたいと思います。

 あと、次は、国際通貨基金それから国際復興開発銀行、こちらの措置に関する法律の一部を改正する法律案ということでありますけれども、先ほどのJBICもそうでありますけれども、ウクライナ復興というものに対して重きを置くということでございます。同僚議員からも何度か質疑があったわけでありますが、やはり国民の目線で心配になるのは、今なお戦争が行われていて、今までもかなりの被害が出ている。

 今月ポーランドでジェトロが行ったセミナーで、元リビウ州知事は、インフラの被害が千四百億ドル、大体これは十八兆五千億円ぐらい、今のレートにして。復興費用は五千から六千億ユーロ、これは七十一兆円から八十五兆円。足すと百兆円を優に超える、今ですよ。しかも、まだ戦争が継続されているということでありますけれども。

 現時点における復興に必要な資金の見積りは政府としてはどう考えているのかということと、これだけ財政状況が厳しい中で、日本がウクライナ支援を続けるということについての国民の理解が果たして得られるのかどうなのか。他国ではウクライナ疲れとかそういったことも言われている中で、こういった支援を先が見えない中で続けることに対する理解が得られると思うのか。現状の見積りと併せて御答弁をいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 昨年九月に日本銀行が公表をいたしましたウクライナの被害ニーズ調査によりますと、今後十年間のウクライナの復旧復興に要する費用は、各国や国際機関の支援、民間資金、そしてウクライナ自身の資金によるものも含めまして、約三千五百億ドルと推計をされております。

 ただし、この数字は、前原先生からもお話ございましたとおりに、戦争が継続している、この数字は昨年六月時点の状況を基にしたものでありまして、現在も戦争が継続していることを踏まえますと、復旧復興のニーズというものは更に増加をしていくもの、そう思うわけであります。

 そういう中で、世界各国、ウクライナ支援疲れというようなこともあるという御指摘もありましたけれども、国民の理解をどういうふうに得ていくのかということというわけでございますが、我々の認識といたしまして、ウクライナ支援に取り組むこと、これは国際社会の一員として重要なことでございますが、一方において、足下、国民の皆さんが物価高騰等にもいろいろと苦難をされておられる、コロナ禍からの社会経済活動がこれから正常化していくという中において、様々な財政需要があって、それにもしっかりと応えていかなければならないということだと思います。

 したがいまして、限られた財政資金をいかに効率的に活用していくかという視点、これも欠かすことができないと思います。

 付言して申し上げますと、今回の法改正により可能となります世銀への信用補完を通じたウクライナ支援は、足下の厳しい財政事情にも鑑みまして、実際の財政支援を伴うことなくウクライナの膨大な資金需要に応えることを目的とするものであります。

 いずれにいたしましても、こうしたことも踏まえて、引き続き国民の皆さんに御理解を得られるように努めていかなければならない、そのように思っております。

前原委員 ウクライナへの支援というものについての必要性は国民の方々も理解はされていると思うんですけれども、その中で、先が見えない、そして、ある意味、言葉を選ばずに言うと、だらだらと支援を続けることに対するやはり拒否感というか忌避感というのは非常に強くなっていくと思いますね、更にこの先。

 しかも、戦争が行われている中で、これは財務大臣のテリトリーではないかもしれませんけれども、じゃ、一体、日本政府は、お金を出すだけで、停戦に向けての努力を行っているのか、和平に向けての汗をかいているのかということを言うと、なかなかそれは見えてこないという状況であります。

 そういう意味では、やはり、国務大臣のお一人でございますし、しかも、財務大臣というお金を預かるお立場として、やはりしっかりとそういった停戦の努力、そして国際協調への枠組みというものをしっかりつくる努力というものをG7の議長国としてしっかりやらないと、なかなか理解が得られないというふうに思いますが、その点についての御答弁をいただきたいと思います。

塚田委員長 既に時間が経過しております。簡潔にお願いいたします。

鈴木国務大臣 一点、先に訂正させていただきたいと思います。先ほど、昨年九月に世界銀行が公表したと言うところを、日本銀行がと言ってしまいましたので、訂正をさせていただきます。

 そして、まさに前原先生が御指摘のとおりに、日本も、G7を始めとする国際社会の一員として、全ての今の世界経済の複雑化の元凶でありますロシアのウクライナ侵略を一刻も早くやめさせなければならない、そういう思いでございます。

 日本一国としてできることということは限りがあるかもしれませんが、そうしたG7を始めとする先進国あるいは同志国、そういう国々、特にこれからは中進国も含めて、しっかりと対応を一つにして、こうした一日も早いロシアのウクライナ侵略をやめさせる努力、それは全力で尽くしていかなければいけない、そう思います。

前原委員 これで終わりますが、支援と同時に、そういった戦争をやめさせる努力というものもG7の議長国として取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 国際協力銀行法、JBIC法の改正案について質問します。

 今回の改正で、サプライチェーンの強靱化等を理由に外国企業に対して融資ができるようにするとしています。しかし、これまで、政府系金融機関であるJBICは、海外にある外国企業に対して融資はしてきませんでした。その理由について説明をしてください。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりでございまして、サプライチェーンについて申し上げますと、現行のJBIC法では、あくまでも、JBICの融資対象、日本企業の海外での生産設備の増強といった観点からのJBICの融資の対象でございますけれども、日本企業あるいは日本企業が出資する日系企業ということに現行法では限定されてございます。

 日本の産業の競争力の維持向上が目的であるという観点でそのようにしておるわけでございますけれども、他方、足下の状況を見ますと、これは日本企業のサプライチェーンが一層多様化あるいは国際化するという中で、今日では日本企業のサプライチェーンに外国企業が入っているという場合も珍しくない、少なくないという状況になってございます。そして、当然、外国企業といえどもサプライチェーンの中に入ってございますので、ここで生産に目詰まりが生じれば、それはこのサプライチェーンから原材料等々を購入いたします日本企業の皆様方の活動にも大きな影響が生じるということでございます。

 そうした観点から、日本の産業界からもこういった外国企業の支援について、現にJBICへのニーズも寄せられてございましたので、今般の法改正の中で、このサプライチェーン強靱化の観点から、外国企業も支援の対象にする、この法改正をお諮りしているところでございます。

田村(貴)委員 外国企業に融資をした場合、日本の企業よりもリスク管理は困難であります。損失リスクは当然高くなります。融資先の外国企業が返済困難に陥った場合、また破綻した場合、その損失は誰が負担することになるんでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、法律上の大前提といたしまして、JBICに対しましては、これは業務勘定におきまして収支相償原則、これを法律上求めてございます。したがいまして、JBICに二つ勘定がございますけれども、いずれの勘定でも収支相償は大前提ということでございます。

 その上で、一般業務勘定におきましては、さらに、法律上の要件といたしまして、個別案件ごとの償還確実性を確保するということを法律上求めてございます。それから、特別業務勘定の方ではこれをまさに外しておるわけですが、それでも、案件ごとの信用リスクに基づいた適正な金利などの条件設定、これは法律上、特別業務勘定における要件として求めているということでございます。

 したがいまして、当然この法律上の要件を前提としまして、JBICにおきましては、これは外国企業への融資はもとより、ほかも同様でございますけれども、投融資に当たってしっかりとリスク管理をしてもらうということでございます。

 その上で、それにもかかわらず仮に返済がされなかった場合にはどうなるのか。これは当然、JBICにおける自己資本の中でまずは損失を吸収するということになるわけでございますけれども、足下、JBICの自己資本自体は、これは三メガ等々の状況なんかとも比較しましても、自己資本自体は十分な水準があるという状況ではないかと思っております。

田村(貴)委員 自己資本は保たれると言いますけれども、損失はやはり損失ですよね。政府金融機関の資産というのは、これは国民の財産であります。国民負担が発生するような投資はすべきではありません。

 かつて、日本開発銀行が、苫小牧東部開発や、むつ小川原開発の失敗を多額の準備金で穴埋めするようなことがありました。このような失敗を繰り返してはなりません。そのような反省から、JBICの事業には収支相償、償還確実性の原則があり、回収の見込みについては十分な審査が求められます。JBICが外国企業への融資が回収できなくなれば、それは最終的に国民が負担するという仕組みは変わらないのであります。

 今回の措置の対象となるサプライチェーンというのは、国民の生活に重大な影響を持つ、そういう資源に限定されているわけではありません。一企業若しくは企業グループにとって必要なサプライチェーンの強靱化も対象になっていくんでしょうか。例えば、トヨタ自動車、スズキ自動車、このような大企業が海外の工場で必要とする部品あるいは資源、これらを調達するためのサプライチェーンの中に含まれる外国企業も融資の対象となるんでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まさしく先生今おっしゃったようなものも含めまして、日本企業のサプライチェーンということで、具体的に、大企業であれば排除をしているとか、そういったものがあるわけではございませんけれども、他方で、今回、サプライチェーンの外国企業にJBICが融資をするというのに当たりましては、これは日本企業のサプライチェーンの強靱化という本来の目的にきちっと資する融資にするという観点から、JBICには審査基準というものを内規、ガイドラインの形で設けてもらうということを前提としておるわけでございます。

 その中におきまして、その外国企業がちゃんと日本企業を主たる納入先としているのかどうか。あるいは、日本企業に対して、単に金融のための投資とか、あるいは単に運転資金ということではなくて、ちゃんと日本企業のための生産設備の増強、設備投資、あるいは能力の増強につながるようなものにJBICのお金が使われるのかどうか。あるいは、その企業が納入します物資というものが本当に代替調達が難しいような非常に重要性の高いものなのか、不可欠性が高いものなのかどうか。さらには経済安全保障の観点から、逆にほかの国への依存が高まってしまったりですとか、あるいは人権のデューデリとかの観点からも問題がないのかですとか。

 こういった様々な要素をしっかりと審査ガイドラインの中には入れまして、これに基づいてJBICには日本企業のサプライチェーンの強靱化の目的に資する融資をしっかりとやっていただこうと思っております。

田村(貴)委員 私は対象になるんですかと聞いただけなのに、何でそんなに答弁が長いんですかね。

 数字についてちょっとお答えいただきたいと思います。

 JBICの貸出金業種別内訳残高、この中で、第十期末の貸出額の合計は幾らですか。そのうち、中堅・中小企業向けの投資金額について。その二つの数字について教えてください。

塚田委員長 三村国際局長、答弁は簡潔にお願いします。

三村政府参考人 申し上げます。

 二〇二二年三月末でございますけれども、JBICの総資産、約十八・四兆円でございます。そのうち、貸倒引当金として計上されてございますのが約四千七百億円という状況でございます。

田村(貴)委員 済みません、私が聞いているのは、第十期末の貸出額の合計、そして、そのうち中堅・中小企業向けの投資金額です。合計は十四兆七千九百七十億円、うち、中堅・中小企業向けは約一千七百九十二億円、間違いないですね。中小企業向けが、圧倒的に、数えるほどしかない。大企業向けが九八%になっているわけなんです。JBICの貸出しというのは九八%大企業なんですね。

 その大企業というのは、コロナの中で内部留保を積み上げてきて、大変体力があるわけです。自らリスクを取って海外事業への投資をすべきじゃないですかね。大企業のリスクヘッジのために外国企業に対して融資を始める、本制度にはやはり反対せざるを得ないというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 JBICの化石燃料事業について伺いますけれども、まず、鈴木大臣に、CO2の削減目標について基本的に御存じかどうか、お伺いします。

 三月二十日、国連気候変動に関する政府間パネル、IPCCは、産業革命前からの気温上昇を一・五度以内に抑えるためには温室効果ガスの排出量を二〇三五年までに六〇%減らす必要があることを統合報告書で公表しました。そして、国連のグテレス事務総長は、主要国に対して、年内の国連の気候変動会議、COP28までに、全ての主要二十か国・地域のリーダーが野心的に新しい目標を約束することを呼びかけるとしました。

 現状の対策では本当に駄目だ、不十分だということなんですけれども、大臣は、当然、国連からのこうした呼びかけを御存じだと思いますが、いかがですか。

鈴木国務大臣 IPPCの報告と分析等につきましては、報道等を通じて承知をしております。

田村(貴)委員 国際エネルギー機関、IEAのロードマップ、ネットゼロ二〇五〇では、次のような目標が掲げられています。二〇二一年、新規の化石燃料火力発電所の開発を承認しない、同じく新規の炭鉱開発あるいは拡張も承認しない。二〇三〇年、先進国における石炭火力発電所を全廃する。あと、続くんですけれども、ネットゼロ二〇五〇のロードマップとの整合性についてお伺いします。

 JBICは、石炭火力発電に対する事業融資を二〇四〇年度をめどにゼロにする目標を公表しています。それでは、石油それからLNGによる火力発電事業への投資額は、それぞれ、いつまでに新規をゼロとし、いつまでに残額をゼロとするようにしているんでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 この点につきましては、昨年六月、二〇二二年六月のG7エルマウ・サミットの首脳声明というものがございまして、それを受けまして、JBICは、各国が明確に規定する地球温暖化に関する摂氏一・五度目標、パリ協定の目標、これに整合的である限られた状況を除いて、排出削減対策の講じられていない国際的な化石燃料エネルギー、これへの新規の支援、これは既に停止をしてございます。

 その上で、御指摘のとおり、石油、LNGに関する火力発電事業の投融資残高に関する目標というものは、JBIC、明示的に設定しているわけではございませんけれども、他方で、JBICの年次報告書におきましても、JBICは、パリ協定の国際的な実施に向けて、二〇五〇年までの投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量ネットゼロの達成を追求していきます、このようなことをJBICの年次報告書において書かれていると承知をしております。

田村(貴)委員 化石燃料への支援が続いていくこと、これは本末転倒していると思います。

 IPCCの統合報告書は、二〇四〇年までの実質排出量ゼロを前倒しするように求めているわけです。今のような水準では、世界の動きに遅れてまいります。

 JBICが支援中のオーストラリア、豪州バロッサガス田開発事業において、先住民族の代表者が住民協議や海洋生物への影響緩和策が不十分であるとして豪州の環境当局を訴えていた裁判で、昨年十二月二日、連邦裁判所は政府側の控訴を棄却し、住民が勝訴しました。この判決を受けて、NGOの団体が一月十一日、JBIC対応に関する公開質問状を鈴木財務大臣宛てに出しています。しかし、JBICは、事業者及び豪州当局の対応を適時モニタリングしていく所存として、事業の継続を諦めていません。

 鈴木大臣にお伺いします。

 環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン、これによりますと、プロジェクトは、プロジェクトの実施地における政府、国政府及び地方政府を含む、この政府が定めている環境社会配慮に関する法令、基準を遵守しなければならないと定められているところです。JBICのこの対応はガイドラインの逸脱ではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 JBICが融資などの業務を進めるに当たっては、まずは、JBIC自身が定める環境社会配慮確認のためのガイドラインに沿って、事業者による環境社会配慮をJBICがしっかりと確認することが重要であり、基本であると思っております。

 御指摘の案件は、オーストラリアの洋上ガス田開発の事業を行う日系企業に対してJBICが融資を行うものであり、当初、現地当局の認可を得た上でガス田の掘削を開始したものの、先生御指摘のとおりに、現地で原住民の方の訴訟の提起を受けて、掘削は停止をされ、その後、裁判において認可が無効とされたと承知をしております。現在、JBICは、事業者による先住民との協議の進展や認可の再取得などの帰趨を見極めているところと承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、財務省としては、JBICがガイドラインに沿って環境社会配慮の観点から適切に対応することを期待をしているところであります。

田村(貴)委員 ガイドラインに沿うならば、事業の継続はあり得ないと思います。二〇五〇年までのネットゼロのロードマップを見れば、LNGも含めて全ての化石燃料の利用を早急に、早期に中止する目標を持つべきであります。住民の生活中の開発を継続するなどあり得ません。

 そうした意味で、本計画の中止を強く求めて、質問を終わります。

塚田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党を代表して、株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案には反対の立場で、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案には賛成の立場で討論を行います。

 国際協力銀行、JBIC法改正案について反対する第一の理由は、サプライチェーンの強靱化を理由に外国企業への融資を行う点です。JBICの貸出残高十四・八兆円のほとんど、九八%が大企業向けです。日本の大企業の海外工場が必要な物資を海外企業から安定的な調達をするための投資判断やリスクヘッジは、大企業自ら行うべきです。JBICが外国企業に直接融資をすることで全ての損失リスクを負う必要はありません。

 第二の理由は、JBICが掲げる収支相償、償還確実性の原則の例外とする特別業務勘定の対象を、スタートアップ企業への出資、社債取得や資源開発事業などに拡大することです。日本の公的金融機関であるJBICが、企業のリスクを補完して、国民の財産である資本を毀損する事業をするべきではありません。

 以上の理由から、JBIC法案には反対します。

 世界銀行法改正案は、ウクライナ支援のための、世界銀行の下に新たな基金を創設し、日本政府が国債を拠出するというものであります。ロシアの無法な侵略により破壊されたインフラ、エネルギー関連施設や、ウクライナ住民の生活を支えるための人道支援を更に追加する国際連帯は必要であり、賛成です。今後、適切な支出がなされているかどうか、政府はしっかりチェックをし、国会にも報告することを求めたいと思います。

 以上で、討論とします。

塚田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 これより採決に入ります。

 まず、株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塚田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、中西健治君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。櫻井周君。

櫻井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表しまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 国際協力銀行の業務の拡大に当たっては、同銀行がその目的として、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としていることを踏まえ、民業圧迫との批判を招かないよう留意しつつ、一般の金融機関のみでは対応が困難な分野において適切な金融機能を果せるよう監督を行うこと。

 二 国際協力銀行の目的の一つが「国際金融秩序の混乱の防止又はその被害への対処」であることに鑑み、国際金融機関のウクライナの民間セクター向け融資に対し同銀行が適切なリスク管理を踏まえた保証業務を行うことを通じてウクライナの復興支援に貢献できるよう、政府として必要に応じて協力や支援を行うこと。

 三 国際協力銀行が外国企業に対し融資を実行するに当たっては、我が国の国際収支に与える影響も考慮し、当該融資を受ける外国企業のみが便益を受けることや、特定事業者及び特定国への依存が強まることなどによりサプライチェーンの不安定化につながることがないよう同銀行に当該融資に係る審査基準を設定させ、その基準に基づき融資を実行させるよう促し、国内外でバランスのとれたサプライチェーンの強靱化を通じて我が国産業の国際競争力の維持及び向上並びに我が国の経済安全保障の強化に貢献する的確な融資となるよう適切に監督すること。

 四 業務が拡大していく国際協力銀行の業務運営におけるガバナンスが一層強化されるよう適切に監督を行い、同銀行の業務の機動性及び専門性が十分に発揮されるよう配慮すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

塚田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塚田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣鈴木俊一君。

鈴木国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

塚田委員長 次に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塚田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、中西健治君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。櫻井周君。

櫻井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 国際復興開発銀行のウクライナ向け融資を信用補完する枠組みとして同銀行に新設される基金が、ウクライナ支援のために十分な役割を果たせるよう、同基金への参画を各加盟国に対し積極的に働きかけるとともに、我が国から外貨建て国債を拠出するに当たっては仮に償還が必要となった場合の為替リスクを極小化するよう努め、将来の更なる拠出については、ウクライナの状況を踏まえた適切な規模の金額とし、効率的かつ効果的な支援となるよう十分検討すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

塚田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塚田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣鈴木俊一君。

鈴木国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

塚田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

塚田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十九分散会


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