衆議院

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第13号 令和5年4月7日(金曜日)

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令和五年四月七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 塚田 一郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    石井  拓君

      石原 正敬君    小田原 潔君

      大野敬太郎君    金子 俊平君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      高村 正大君    塩崎 彰久君

      高木 宏壽君    津島  淳君

      葉梨 康弘君    藤原  崇君

      八木 哲也君    若林 健太君

      荒井  優君    野田 佳彦君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    米山 隆一君

      藤巻 健太君    岬  麻紀君

      伊藤  渉君    山崎 正恭君

      前原 誠司君    田村 貴昭君

      吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   財務副大臣        井上 貴博君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    齋藤 通雄君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     高木 宏壽君

  階   猛君     荒井  優君

同日

 辞任         補欠選任

  高木 宏壽君     小泉 龍司君

  荒井  優君     階   猛君

    ―――――――――――――

四月六日

 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案(内閣提出第一号)

同月五日

 納税者の権利擁護に関する請願(田村貴昭君紹介)(第六六五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六八五号)

 同(笠井亮君紹介)(第六八六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六八七号)

 同(志位和夫君紹介)(第六八八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六八九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六九〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六九一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六九二号)

 同(宮本徹君紹介)(第六九三号)

 同(本村伸子君紹介)(第六九四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第八〇九号)

 同(笠井亮君紹介)(第八一〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八一一号)

 同(志位和夫君紹介)(第八一二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八一三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第八一四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八一五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八一六号)

 同(宮本徹君紹介)(第八一七号)

 同(本村伸子君紹介)(第八一八号)

 消費税率五%への引下げに関する請願(田村貴昭君紹介)(第七八三号)

 消費税率を五%に引き下げることと複数税率・インボイス制度の即時撤廃を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七八四号)

 同(笠井亮君紹介)(第七八五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七八六号)

 同(志位和夫君紹介)(第七八七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七八八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七八九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七九〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七九一号)

 同(宮本徹君紹介)(第七九二号)

 同(本村伸子君紹介)(第七九三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

塚田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣鈴木俊一君。

    ―――――――――――――

 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木国務大臣 おはようございます。

 ただいま議題となりました我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 令和五年度以降における我が国の防衛力の抜本的な強化及び抜本的に強化された防衛力の安定的な維持に要する費用の財源に充てるため、財政投融資特別会計財政融資資金勘定及び外国為替資金特別会計からの繰入金、独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構の国庫納付金並びに国有財産の処分による収入その他の租税収入以外の収入を確保するとともに、これらの税外収入を活用した防衛力強化資金を設置することとしたところであります。

 本法律案は、このための法律上の手当てについて措置するものであります。

 以下、その内容を申し上げます。

 第一に、令和五年度において、財政投融資特別会計財政融資資金勘定から、二千億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとしております。

 第二に、令和五年度において、特別会計に関する法律第八条第二項の規定による外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れをするほか、同特別会計から、約一兆二千億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとしております。

 第三に、独立行政法人国立病院機構は、令和五事業年度において、積立金のうち、四百二十二億円を国庫に納付しなければならないこととしております。

 第四に、独立行政法人地域医療機能推進機構は、令和五事業年度において、積立金のうち、三百二十四億円を国庫に納付しなければならないこととしております。

 第五に、防衛力の抜本的な強化及び抜本的に強化された防衛力の安定的な維持のために確保する財源を防衛力の整備に計画的かつ安定的に充てることを目的として、当分の間、一般会計に防衛力強化資金を設置することとしております。この資金は、防衛力整備計画対象経費の財源に充てる場合に限り、予算の定めるところにより、使用することができることとしております。

 以上が、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

塚田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の本案に対し、安全保障委員会から連合審査会開会の申入れがありました場合には、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明又は意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査中、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、その出席を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 次に、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人としてデジタル庁審議官山本和徳君、財務省主計局次長前田努君、理財局長齋藤通雄君、国際局長三村淳君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、整備計画局長川嶋貴樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石井拓君。

石井(拓)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党、石井拓です。

 質問の機会を賜り、ありがとうございます。

 それでは、早速ですが、懸案となっております我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案について質問をいたします。

 令和五年度以降における防衛力の抜本的な強化及び抜本的に強化された防衛力の安定的な維持に必要な財源を確保するため所要の措置を講じると法律案の趣旨説明を伺いました。

 そして、令和五年度以降における防衛力の抜本的な強化などに要する費用の財源に充てるため、収入その他の租税収入以外の収入並びに防衛力強化資金からの受入れを確保するというもので、それぞれの収入などの中身について後ほどお伺いしたいと思っております。

 この法案、防衛力財源確保法について議論をするために、まず確認をしなきゃいけないのは、なぜ今、防衛力の抜本的強化が必要なのかということであります。そのことをお伺いしたいと思います。

 今日は、防衛省より来ていただいております。防衛省では、先頃、三月二十八日だと思いますけれども、広く国民に向けてのパンフレットを発行され、我が国が今、防衛力の抜本的強化を行わなければならない説明を始めておると思います。参考資料として、一部のページをコピーしたものですけれども、この中身については説明をいただくということで触れませんけれども、参考資料としてつけさせていただきました。

 なぜ今、防衛力の抜本的強化が必要なのか、説明をお願いしたいと思います。お願いします。

上田政府参考人 防衛省よりお答え申し上げます。

 昨年末に閣議決定されました国家安全保障戦略及び国家防衛戦略において示しておりますとおり、我が国を取り巻く安全保障環境、これは大きく変化しておりまして、我が国を含む国際社会は深刻な挑戦を受け、新たな危機に突入していると考えてございます。

 特に、具体的に申し上げれば、我が国周辺、東アジア地域におきましては、中国、これは東シナ海、南シナ海におきまして、力による一方的な現状変更及びその試みを推し進めてございます。北朝鮮は、かつてない頻度で弾道ミサイルを発射、核の更なる小型化を追求するなど、行動をエスカレートさせております。そして、ロシアは、昨年来、ウクライナ侵略を行うとともに、この極東地域におきましても軍事活動を活発化させているところでございます。

 こうした活動、今後、インド太平洋地域、とりわけ東アジアにおいて、戦後の安定した国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事態が発生する可能性が排除されないと考えてございます。

 特に、今申し上げましたウクライナ侵略、これを国連安保理事会の常任理事国であるロシア自身が行っているという事実、これを踏まえますと、主権と独立の維持のためには、我が国自身の主体的、自主的な努力があって初めて実現するものということを示していると考えております。

 このような戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、こうした我が国としても厳しい現実に正面から向き合い、防衛力の抜本的な強化を行いますとともに、いついかなるときも力による一方的な現状変更とその試みは決して許さない、そういった意思を明確にしていく必要があると考えております。

 こうした認識の下、国民の命と暮らしをどのように守り抜くのか、極めて現実的なシミュレーションを政府として行いまして、必要となる防衛力の内容を積み上げたところでございます。

 率直に申し上げますと、現状ではやはり十分ではなく、今後の五年間で防衛力の抜本的な強化に取り組んでいく必要があると考えてございます。こうした取組によりまして我が国の抑止力、対処力を向上させ、これにより、武力攻撃、あるいは、この地域におきまして深刻な事態の発生そのものの可能性を低下させることができると考えてございます。

 もちろん、外交努力、こういった重要性は言うまでもなく、国家安全保障戦略におきましても、我が国の安全保障の第一の柱は外交力である、このように掲げてございますが、それと同時に、この国家安全保障の最終的な担保、これが防衛力でございます。ほかの手段では代替できるものではないと考えてございますので、政府として、国民の命と平和な暮らしを守り抜く体制、これを構築するために今回のような防衛力の抜本的な強化を必要としているところでございます。

石井(拓)委員 御説明ありがとうございます。

 まず、これが大前提で、我が国の防衛力の強化においては、そういう環境であるということ、つまり、米中競争など国家間の競争が激しくなる、あるいはロシアがウクライナへ侵略して、そして太平洋地域においても力による一方的な現状変更やその試みが生じており、安全保障環境は一層厳しさを増してきているんだということ、そして、これは、もう言葉としてはこの先ほどのパンフレットにも載っていますけれども、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために防衛力の抜本的強化が必要でありますということとなっております。

 そのために、政府は、昨年十二月十六日に、新たな防衛力整備計画を決定しました。令和五年度から九年度までの防衛力の抜本的強化のために必要な金額を四十三兆円程度としました。その内容は、現有装備品を最大限に有効活用するために、持続性、強靱性の向上を図るとともに、将来中核となるスタンドオフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛能力、無人アセット防衛能力などを整備するとし、必要なものを積み上げたものだと聞いております。

 それは効果のある内容で、効率的に組んだものなのか、この四十三兆円についての中身はどうなのかというのをまず確認したいんですが、効率的に組んだものなのか、防衛省に説明を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の防衛力強化の検討に際しましては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行い、必要となる防衛力の内容を積み上げ、四十三兆円程度という防衛費の規模を導き出しました。

 具体的には、我が国への侵攻そのものを抑止し、遠距離から侵攻戦力を阻止、排除するため、スタンドオフ防衛能力として約五兆円を計上してございます。それから、統合防空ミサイル防衛能力として約三兆円を計上しておるところでございます。

 また、万が一、抑止が破れまして、我が国への侵攻が生起した場合に、領域を横断して優越を獲得し、非対称な優勢を確保するため、無人アセット防衛能力、これは約一兆円でございます。領域横断作戦能力、約八兆円でございます。この約八兆円の内数といたしまして、宇宙の領域に約一兆円、サイバーの領域に約一兆円、車両、艦船、航空機等につきまして約六兆円を計上いたしてございます。また、指揮統制、情報関連機能の強化といたしまして約一兆円を計上してございます。

 さらに、迅速かつ粘り強く活動し続け、相手方の侵攻意図を断念させるため、機動展開能力、国民保護に関する経費として約二兆円を、それから持続性、強靱性を保つということで約十五兆円を計上してございます。この十五兆円の内数といたしましては、弾薬等の整備、これが約二兆円でございます。装備品の可動、これを向上させる経費、約九兆円、それから施設整備、約四兆円、これを計上してございます。

 こういった将来の防衛力の中核となる分野に加えまして、自国で装備品を安定的に調達するため、いわば防衛力そのものとも言える防衛生産、技術基盤の強化のために約一・四兆円、命懸けで日本を守る自衛官の処遇改善といった、防衛力を支える人的基盤の強化を含む教育訓練費として約四兆円を、それから基地対策経費として約二・六兆円、以上まとめまして、合計約四十三兆円をしっかりと積み上げたところでございます。

 この四十三兆円程度という防衛費の規模は、防衛力の抜本的強化が達成でき、防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準として不可欠であると考えてございます。

 防衛力整備計画では、装備品の取得に当たっては、能力の高い新たな装備品の導入、既存装備品の延命、能力向上等を適切に組み合わせることにより、必要十分な質、量の防衛力を確保することとし、防衛力の整備、維持及び運用を効果的かつ効率的に行うこととしているところ、今後、積み上げた予算を着実に実施し、防衛力の抜本的強化の実現に向けて、防衛省として全力で取り組んでまいる所存でございます。

 以上でございます。

石井(拓)委員 丁寧に説明、ありがとうございました。

 このような形で、先ほどの言葉にもあったとおり、四十三兆円という金額が防衛力強化のために必ず必要となる金額だという説明であります。これの財源をしっかりと確保するためのまず受皿について、今現在懸案となっているこの確保法の法案があると認識をしておるところであります。

 そして、中身についてまた今からお尋ねしたいと思いますけれども、令和五年度以降における防衛力の抜本的な強化に要する費用の財源に充てるために、収入その他租税収入以外の収入、防衛力強化資金からの受入金を確保するということで、その財源となるものを一つ一つちょっとお尋ねしたいと思いますけれども。

 ここで、余りなじみがなく、会計勘定名や独立行政法人などが出てきますので、あくまで、委員会というのはやはり国民にお知らせするというか、説明する場でもあると思いますので、私も含めて、国民に分かりやすく説明してほしいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、財政投融資特別会計財政融資資金勘定及び外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れを行うということであります。これら資金の概要、繰入れを行った理由を伺います。今回は特別な措置なのか、これはあくまで令和五年度の措置ということにもなっておりますけれども、通常行われる措置なのかについても示してほしいと思います。

 まず、順番に、財政投融資特別会計財政融資資金勘定についてはいかがでしょうか。お願いいたします。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 財政投融資特別会計財政融資資金勘定でございますけれども、政府系金融機関を始めとした政府関係機関や地方公共団体等に対しまして、政策的な観点から長期、固定、低利での融資を行っている、そういう特別会計でございます。

 その原資は、主に国債の一種である財投債の発行により調達しておりますけれども、財投債が満期一括償還であるのに対しまして、貸付けの多くは元金均等償還など分割で償還をされておりますので、調達と貸付けの期間にどうしてもずれが生じます。このため、資産負債管理、ALMというものを行っておりますけれども、金利変動リスクをゼロにすることはできず、金利情勢次第では損失が発生することもございますので、これに備えて積立金を積み立てているというところでございます。

 この積立金につきましては、過去にも、個別に立法措置を行った上で、財政融資資金の運営に支障のない範囲で一般会計等への繰入れを行っており、その結果、今年三月末、令和四年度末時点の残高は一・一兆円となっております。

 今回の財源確保法におきましては、防衛力の抜本的な強化に必要な財源確保のため最大限の貢献を行うという観点から、臨時の措置として、積立金から〇・二兆円を取り崩し、一般会計に繰り入れるということにいたしております。

 なお、今回の繰入れに際しましては、財政融資資金勘定の財務の健全性を確保する観点から、三千本の金利シナリオを用いて将来推計を行った結果、今般の繰入額であれば当面の間は積立金が枯渇しない見込みであるということを確認をしており、今後の運営には支障がないものというふうに考えているところでございます。

石井(拓)委員 続いて、外国為替資金特別会計についてはいかがでしょうか。その概要、繰入れを行った理由、今回は特別な措置なのか、通常の措置なのかについても、同じように示していただくとありがたいと思います。いかがでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 外国為替資金特別会計、いわゆる外為特会でございますけれども、その名のとおり、外国為替相場の安定のために、いわゆる為替介入等を行うために必要な外貨資産を保有している、そういう特別会計でございます。

 この外貨資産、どこから生まれてくるのかということでございますが、政府短期証券を発行して円を借り入れまして、そして、これまでにもいわゆる円売り・外貨買いという、過去にも為替介入をやってきて、そういう形で手にしました外貨資産、これを運用しながら積み上げてきているということでございまして、足下でも、将来のドル売りを始めとしまして、いわゆる外貨売り・円買いの為替介入に備えて外貨資産を保有し運用しているということでございまして、先ほど三月末の外貨準備高を発表しておりますけれども、足下では約一・三兆ドルの外貨資産を保有してございます。

 そういう構造でございますが、特会といたしましては、保有しております外貨資産の例えば債券利息収入のような運用収入、これが歳入になる、逆に、借りております政府短期証券の利払いなどが歳出になり、その歳出歳入の差額が毎年、決算上の剰余金として出てくる、こういう構造でございます。そして、この剰余金につきましては、特別会計法の規定で、一般会計に繰入れできるという規定がございます。

 この繰入れに当たっての考え方でございますが、先ほど来申し上げておりますように、外為特会、負債サイドでは円建てで借入れをしている、逆に、資産サイドでは外貨を保有してございますので、円高になりますと、別に借金の方は変わりませんけれども、資産の方は円高になると目減りするということで、円高局面では為替差損が生じる、そういう構造がございます。

 したがって、それに備えるという観点で、考え方としましては、剰余金が発生した場合の一般会計への繰入れにつきましては、三割以上を外為特会に留保しておくことを基本としながら、その上で、外為特会の財務状況ですとか一般会計の財政状況、これを見ながら、毎年の予算編成過程の中で一般会計への繰入額を決める、こういう形でございます。

 その上で、足下、今回、どのような繰入れをしておるかということでございます。何が特別なのか、あるいは通常なのかというところでございますが、まず、令和四年度分でございますけれども、こちらは、御承知のように、昨年は、非常に、外貨建て債券の金利の上昇あるいは円安というものがかなり急激に進行するという中で、したがいまして、金利が上がり、あるいは円安になったということで、かなり、外為特会、剰余金の上振れというものが生じる、こういう局面でございました。

 他方で、昨年、為替介入などもございましたので、全体の外貨資産が少し減ります中で、内部留保率が外為特会は上がるというようなことで、財政状況が改善する、こんなこともありました。財務状況が改善するというところもございましたので、こういったことを全て勘案いたしまして、先ほど申し上げたように、通常は三割以上、特会側に留保するという考え方はあるのでございますが、令和四年度につきましては、全額一般会計に繰り入れまして、このうち一・九兆円を防衛財源として活用する、こういう対応にしてございます。これが令和四年度でございます。

 それから、令和五年度でございますけれども、これは、本来であれば、決算上の剰余金ということで、翌年度、六年度に一般会計に繰入れを検討する、こういうことが通常でございますけれども、これはまさに特別措置ということでございまして、今回御審議いただいてございますこの財源確保法の中で、令和五年度に、進行年度に前倒しで繰り入れる、こういうことにしてございます。

 具体的に申し上げますと、今の時点で見込まれます剰余金見込額のうち一・二兆円につきまして、この財源確保法によりまして、進行年度中でございますが、令和五年度に前倒しで、これは臨時的に一般会計に繰り入れまして、防衛財源に充てる、こういう対応となってございます。

 以上でございます。

石井(拓)委員 説明、ありがとうございました。

 細かく説明していただきましたけれども、なかなか分かりにくいと思いますけれども、言葉の中では、従来のそれぞれの勘定あるいは資金の目的について支障がない形で、特別な形ということでも、加えて、先ほど話があったように、防衛力強化のための、貢献するという意味合いもあって特別な措置を行っているという話もありました。

 いずれにしましても、安全な中でやっているということの確認をしたと思いますので、ありがとうございます、了としたいと思います。

 次に質問するのは、独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構の国庫納付金の特例として、前倒しして国庫へ納付することとされました。

 独立行政法人それぞれの積立金であると思いますけれども、次期事業計画など、将来にわたって必要と判断できるものではないかと思うところですけれども、この二つの独立行政法人の事業概要と、今回の特例として前倒し納付するとした理由について伺いたいと思います。いかがでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 国立病院機構でございますけれども、これは全国に百四十の病院がございます、また、地域医療機能推進機構、これは全国に五十七の病院がございまして、地域医療や国の政策医療でございます五疾病五事業、こういった医療の提供のほか、他の設置主体では必ずしも実施されないおそれのある医療の提供などを行う独立行政法人でございます。

 この両法人におきましては、これまで新型コロナの病床の確保、また臨時の医療施設への人材派遣、こういったことでも、通常の診療を行いつつ御尽力をいただいたところでございます。

 今般の国庫の納付でありますけれども、政府の方針として、防衛力を抜本的に強化していくための財源、これについて税外収入の確保に最大限取り組むといった方針の中で、それぞれの法人の個別法に基づきまして、中期計画期間満了時に、元々、次期計画中に必要な業務の財源に充てるために繰越しが認められた額を除いて、国庫に納付することとなっております。

 こういった規定を踏まえて、新型コロナ対策の予算等によって積み上がっております積立金、これのうち約〇・一兆円につきまして、中期計画期間満了を今回待つことなく、特例的に前倒しをして国庫納付に御協力をいただいたところでございます。

石井(拓)委員 御説明ありがとうございます。

 いずれにしても、特別な措置には変わりなく、前倒ししてということ。ただ、元々コロナの病床数を確保するためのお金、資金をそれぞれの独立行政法人に入れていた、その分の使わなかったと判断したのを返還ということでみなされて、これもまた、将来的な事業計画についてどうしていくかというのもやりくりは大変かもしれませんけれども、一旦は財源の方の確保ということで前倒しで納付するという形を取られたという説明でありましたので、安全であるという確認の、了とさせていただきたいと思いますけれども。ありがとうございました。

 次に、今回の法案によって、防衛力強化のための税外収入などを防衛力整備のため計画的、安定的に充てるために、新たに防衛力強化資金を創設するとされております。

 従来、防衛費も当年度予算によって処理されてきましたが、特別の資金を創設して将来の支払いの財源をプールしていくということになります。この必要性、その意義について改めて教えてほしいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 また、この仕組みは、今般の防衛力整備計画に充てる資金として、当面の五年間として考えているのか、それらに限らず将来続いていくのかについても伺いたいと思います。いかがでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に資金と申しますのは、国が特定の目的、用途に充てるために、一会計年度に消費し尽くすことを予定せずに一定の現金を保有するという意義を有するものでございます。財政法第四十四条の規定によりまして、法律をもって定める場合に限り設置をすることができるとされてございます。

 今般の防衛力強化のために確保いたします税外収入等につきましては、年度によって当然のことながら変動が生じ得るものでございまして、必ずしも当該年度に必要となります防衛力強化のための経費の金額、これと見合うものにはならないということが見込まれております。

 このような防衛力強化に係る歳入と歳出のいわばタイミングのずれにつきまして、年度を越えた調整を行い、防衛力強化のための財源を防衛力の整備に安定的、計画的に充てられるようにするため、今回の法案によりまして、防衛力強化資金を設置するということといたしたところでございます。

 令和五年度予算におきましては、防衛力強化のために四・六兆円の税外収入を確保したところでございますけれども、このうち、令和五年度の防衛力強化のために必要な額一・二兆円を超える額でございます三・四兆円につきまして、防衛力強化資金に繰入れをいたしまして、令和六年度以降の防衛力強化のための経費に充当するということといたしてございます。

 また、お尋ねのございました、今後五年間が経過した後でございますけれども、抜本的に強化されました防衛力、これを安定的に維持をしていく必要がございます。したがいまして、これを支えるためのしっかりとした財源措置が不可欠と考えておりまして、この防衛力強化資金につきましては、強化された防衛力を安定的に維持していくために必要である限りにおいて、当分の間設置をしたいと考えておるところでございます。

石井(拓)委員 税外収入の確保をこれからはしていかなきゃいけないというか、そういう局面にもなってくるということだと思います。

 本法案では、先ほど説明いただいた、財投特会とか外為特会とかの繰入れとか、国立病院機構、地域医療機能推進機構の国庫納付金について防衛力強化資金に繰り入れるとしており、ほかにも、国有財産の処分など税外収入について、予算の定めるところにより、一般会計から繰り入れるということにもなっております。

 このことは、今年度に限らず、来年度以降も税外収入をしっかりと確保すべきだと思いますけれども、この点については、財務省としてはどのようにお考えになられているのか、計画をお持ちなのか、いかがでしょうか。お答え、お願いします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力を抜本的に強化をし、これを安定的に維持をしていくための財源の確保につきましては、国民の御負担をできる限り抑えるべく、歳入歳出両面から様々な工夫を行う必要があると考えてございます。

 今まさに先生御指摘ございましたとおり、特に税外収入につきましては、あらゆる財源の精査を行うことによりまして、もちろん、毎年度確保しているものもしっかりと確保しつつ、更に追加的な財源を最大限に確保するということが重要であると考えてございます。

 このような考え方の下、令和五年度予算におきましては、特別会計につきまして、各特別会計の役割を損なわない範囲で、その剰余金や積立金を活用した追加の繰入金、あるいは新型コロナ対策により積み上がりました独立行政法人等におけます基金や積立金等につきまして、あるいは行政事業レビューなどを通じまして早期の国庫の返納金、さらには国有財産の臨時の売却収入などを確保することによりまして、現時点で見込める最大限の金額として四・六兆円の税外収入を確保したところでございます。

 今後につきまして、現時点で何か具体的な見通しがあるというわけではございませんけれども、例えば、現在、自民党の特命委員会におきまして、税制措置以外の財源につきまして様々な御検討もいただいてございますことも踏まえながら、政府としては、来年度以降におきましても、更なる税外収入の確保に最大限努めてまいりたいと考えてございます。

石井(拓)委員 お答えありがとうございました。

 現在のところ、具体的な計画を本当は作っていかなきゃならないところで、またこれも議論を残しながら、前に前に進めていかなきゃいけない、そう思っておりますので、私たち議員としても、いろんな形で考えなきゃいけないなと感じておるところであります。

 次に、税外収入の確保の手段として、もう一つ、国有資産の売却収入の繰入れも今回行われているようで、大手町プレイスの政府保有分の売却収入として〇・四兆円、四千億円程度とされておりますけれども、これを繰り入れるということであります。これは大型物件で、今後なかなかこのような例はないかとも思うところですけれども。

 そこで、お尋ねしますけれども、現在の国有資産の残高など、状況についてはいかがでしょうか。また、今後売却の見込みがあるのかどうかについても、先ほど計画はなかなかないという話でございましたけれども、見込みがあるのかどうかについてもお伺いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 私ども財務省で把握をしております、一般会計の未利用国有地のストックでございますけれども、これまで不要な資産の売却を進めてまいりました結果、減少してきておりまして、令和三年度末時点で四千八百四十一億円というふうになってございます。

 この未利用国有地のかなりの部分は、地方公共団体等が公共施設等の用地として利用する予定であったり、あるいは、境界確定等が必要といった特殊事情を有するなど、早期に売却等を行うことが困難な財産でございまして、それらを除きました、一般競争入札により売却を予定しているものというものは二百九十億円というふうになっております。

 私ども財務省といたしましては、未利用国有地につきまして、売却以外にも、貸付けなどを含めた有効活用に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

石井(拓)委員 未利用国有地で、令和三年末で四千八百四十一億円、売却すればということでしょうけれども、ただ、それもなかなか、今後も売却していくのもいろいろと難しい点もあります。

 私の住んでいる碧南市というところも国有地があって、これはあくまで水防施設を今後造っていくという予定にもなっておりまして、その工事も早めることも私としても一生懸命話をしていますけれども、そういった土地が、いろいろとあるとは思いますし、それぞれ目的もなっていたり、売却しにくいという状況も分かりましたので。ただ、これを今後進めていくというのも難しいなというところでということは理解ができると思います。

 次に、行財政改革をもっと進めなきゃならないじゃないかという話を。

 防衛費を賄うための財源として、行財政改革を加速させ、国民へのサービス、質、量を低下させることのないように、かつ、行政コストの削減を進めなければならない。そこで期待されるのがDXであります。

 DXによって効率化ができる行政コストは大きいと思うところでありますが、今後、行政コストの削減のために、DXをどのような取組をしていくのかを伺いたいと思います。これによって、また防衛費など、財源の確保につながるんじゃないかと期待をしておりますが、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 行政のDXの推進に当たりましては、共通機能の活用の徹底といった様々な取組によりまして、固定的となっております情報システムのコストの削減を図ることが重要と考えております。

 また、あわせまして、デジタル化を進めることと併せまして、サービスデザイン思考に基づき、既存の業務プロセスを先入観や慣習にとらわれず見直す業務改革、いわゆるBPRを進めることが併せて重要と考えているところでございます。

 このため、デジタル庁におきましては、国の情報システムにつきまして、重要な事業や新規システム整備に係る事業などを中心に、共通機能の活用の徹底やBPRを推進する観点から、レビューの実施や伴走型の支援等を実施しているところでございます。

 このような行政のDXの取組を通じまして、効率的かつ利便性の高い行政サービスの提供に取り組んでまいる所存でございます。

石井(拓)委員 要望というか、今鋭意進めていただいている点もありますし、利便性を向上させるという点もありますし、やはり行政コストを削減するという部分で、防衛力確保のための財源が必要なんだというところも、やはりDXの方も持っていただきたいなと私は思っております。もっと加速するという意味でもあります。要望としてお伝えさせていただきます。

 次に、質問に入ります。

 政府は、防衛費を賄うための財源として税制措置も考慮するとしております。法人税に税率四から四・五%の新たな付加税を課すこと、所得税においては税率一%の新たな付加税を課し、復興特別所得税を一%引き下げるということ、たばこ税では一本当たり三円相当の引上げを考えているようであります。いずれも、令和六年以降の適切な時期とされておりますが、令和五年税制改正大綱として閣議決定されてもおります。

 今でも賛否両論が交わされている中であります。新型コロナウイルス感染症も落ち着きを見せる中で、商業、観光業など、復活しようとしております。家庭や企業経営においても、物価高、材料高、エネルギー高で、より財布の口も厳しくなる、締まる反面、将来を見据えて、先ほどのDXやGXへの設備投資の準備にも抜かりなく進めている部分も見受けられます。

 この税制措置について、現在の財務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。お願いします。

鈴木国務大臣 今般の防衛力強化の財源確保に当たりましては、国民の負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保といった行財政改革の努力を最大限行った上で、それでも足りない約四分の一については税制措置での対応をお願いさせていただきたい、そのように考えております。

 その上で、税制措置につきましては、法人税について五百万円の税額控除を設けることで全法人の九四%を対象外とするとともに、所得税について税率一%の新たな付加税を課しますが、現下の家庭の負担増にならないよう、復興特別所得税の税率を一%引き下げるなど、法人あるいは個人への影響に最大限配慮する仕組みとなっているものと考えております。

 税制措置の実施時期につきましては、令和九年度までの過程において、行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえて、閣議決定した枠組みの下で税制措置の実施時期等を判断してまいります。

 引き続き、今般の内閣の方針について国民の皆様に御理解を深めていただけるように、国会の議論も含めて丁寧な説明を行ってまいりたいと考えております。

石井(拓)委員 大臣、ありがとうございます。

 増税なんです、これは、あくまで。賛否両論があるのもそこだと思っておりますし、防衛力を確保するための資金、予算、財源が必要だということも多くの国民の方も理解していただいていると思います。

 税制について、パーセントを上げていくというよりも、むしろ、税制そのものをもう少し、例えば寄附金控除あるいは税額控除までできるとか、そういったものも幅広く今やっていかなきゃならないとか、いろいろな形で、税制調査の場面でもお伺いしておるわけであります。大きな税制の改革というか、そういったものも踏まえて税制について考えていかなきゃならないのかなとも私は思っておりますので、またいろいろな側面でお考えいただいて、より正しい税制、そして財源を確保できる税制にしていっていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 最後の質問になります。

 今後、先ほど申し上げたとおり、国民へのサービスの質や量を低下させないように、防衛財源の確保を一層徹底的に行っていくということが政府に課せられているわけであります。国有財産の売却なども先ほどお話を聞きましたけれども、いろいろな意味での無駄を省く行財政改革を進めること、DXなどで政府内でしっかりと反映してほしいこと、国民が納得いく税制改革は当然のことでもあります。

 質問の最後に、財務大臣のお考え、意気込みをお聞かせいただきたいと思っております。この財源確保に向けてのお考えであります。大臣、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

鈴木国務大臣 安全保障環境が厳しさを増す中におきまして、防衛力を五年以内に抜本的に強化をし、さらに、将来にわたって維持強化していくこと、これは我が国にとって喫緊の課題であると考えます。

 その上で、先ほど来政府参考人からも答弁がありましたけれども、抜本的に強化される防衛力を将来にわたって安定的に支えるため、裏づけとなる財源を毎年度しっかりと確保することが不可欠であって、その際には、国民の負担をできるだけ抑えるべく、税制措置のほか、歳出改革を始めとするあらゆる行財政改革の工夫を行うことで捻出することといたしております。

 今後とも、行財政改革の徹底を通じ、防衛力強化のための財源確保に努めてまいりたいと考えておりますが、同時に、石井先生御指摘のとおり、国民の皆様へのサービスの質、量を確保していくことも重要な課題です。政府としては、例えば、令和五年度予算では、文教及び科学技術振興費や公共事業関係費について前年度を上回る予算を措置したところであり、今後とも、国民生活を支えるために必要な予算額につきましてはしっかり確保すべく、予算編成に取り組んでまいりたいと考えております。

石井(拓)委員 ありがとうございました。力強いお言葉をお聞かせいただきました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 私、昨日本会議で質問させていただいて、今日、続けてのこの委員会での質問になりますが、通告に従いまして一つ一つ少し細かく聞かせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いをさせていただきたいと思います。なお、先ほどの石井委員と質問が一部重複することもあるかと思いますが、党としての基本的な考え方も含めてお聞かせいただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、財政融資資金勘定からの繰入れについて伺っておきたいと思います。

 本法案では、財投特会の財融勘定から、来年度、二千億円に限って一般会計に繰り入れる。この勘定については、毎年度で利益が生じた場合に金利変動準備金としてそもそも積み立てられるもので、将来の金利変動による損失に備えているもの、このように承知をしております。

 この金利変動準備金の準備率の水準、もう御案内のとおり、総資産の千分の五十に相当する額、このように設定をされておりますが、これまで、平成十八年度以降、厳しい財政事情に鑑みて、臨時的、特例的な措置として、一般会計や国債整理基金の特別会計への繰入れが度々行われてきた。そして、令和三年度決算における準備金の残高というのは一兆三千百八十四億円と、本来必要な準備金の水準を五兆円以上も下回っているということ。

 この状況で、本来の目的である金利変動等で損失が生じた場合にきちんと対応ができるのかどうかを伺っておきたいとともに、財融勘定の安定性維持と今回の一般会計への繰入れ、どのような整合性を取る考えなのか、これは財務大臣にお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 御指摘をいただいたとおり、財政融資資金勘定の積立金につきましては、今後の金利変動リスクに備えるため、利益が発生した場合にこれを積み立てているものでありますけれども、今般、防衛財源の確保に資するため、本法案によって、臨時の措置といたしまして、積立金一・一兆円のうち〇・二兆円を取り崩し、一般会計に繰り入れることとしております。

 この取崩しは、同勘定において二年連続で逆ざやによる歳入不足が生じている状況の中で、足下の金利動向や貸付実績等を踏まえるとともに、今後の様々な金利シナリオを踏まえた財務状況に関する将来推計も行いつつ、当面の間、積立金が枯渇しないと考えられるぎりぎりの範囲で措置するものであります。

 このように、財政融資資金勘定からの繰入れについては、同勘定の今後の運営に支障を生じないという範囲で最大限の繰入れを行っているものと認識をいたします。

稲津委員 ありがとうございました。

 支障ないということで繰入れを行っていくということで、当然、慎重かつ精緻な物の見方が必要であると思っております。

 次に、財投特会の今後の扱いについてということで質問させていただきたいと思いますが、質問の趣旨は、この財投特会からの繰入れを今後どのように考えていくのかという質問になります。

 令和五年度の予算には、先ほどの財融勘定から〇・二兆円、それから産業投資勘定からNTT株の売却などで捻出した〇・四兆円、合計〇・六兆円が活用されるということになっております。

 この財融資金について、三月二十八日の日本経済新聞に、今後は追加での繰入れは困難であると財務省が推計を出しているという記事が目に留まりました。財融資金勘定は直近二年は赤字で、積立金で補填してきているが、複数の金利シナリオで計算すると、三二年度には積立金が数十億円規模まで減るおそれがある、こういうことで、一般会計への繰入れは困難ではないか、そういう見方なんですけれども、二七年度時点で一兆円強の税制措置が必要であると政府は試算しておりますが、ここをなるべく圧縮するためにも、特別会計からの繰入れは大事な要素になってくるんだろうと。

 この財投特会の今後の取扱いについて、その方向性、これも大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

鈴木国務大臣 財政投融資特別会計から一般会計への繰入れについて、今後の見通しについて申し上げますと、まず、財政融資資金勘定につきましては、先ほど申し上げましたとおり、当面の間、積立金が枯渇しないぎりぎりの範囲で繰入れを行うものでありまして、今後の金利動向等により、財務状況に関する将来推計の内容が改善しない限り、更なる繰入れは困難である、そのように考えております。

 また、投資勘定につきましては、〇・四兆円を一般会計に繰り入れることとしておりますが、これは、NTT株式の売却収入の上振れによる臨時収入などを計上するとともに、予備費の圧縮などにより捻出したものであり、現時点においては、更なる繰入れを見込むこと、これは困難である、そのように考えているところであります。

稲津委員 ありがとうございました。

 では次は、外国為替資金特別会計、外為特会からの繰入れについてお伺いしたいと思います。

 外為特会から約一・二兆円を一般会計に繰り入れる。そこで、この外為特会、為替相場の急激な変動の際に、為替介入などの外国為替相場の安定のために設けられているという趣旨でございますが、この外為特会では毎年余剰金が生じている。直近十年でも、十八・六兆円が一般会計に繰入れされている。

 今回、税外収入として、令和五年度予算に、令和四年度に生ずる余剰見込みのうち一兆八千九百四十八億円、これを一般会計に繰り入れる。そして、本法案では、令和五年度の決算を待たずに一兆二千四億円を繰り入れることにしている。この決算確定前に余剰金の繰入れの前倒しを決めたのはなぜなのかということなんですね。それから、この一兆二千四億円という額の繰入れを行う根拠は何なのか。それからもう一つ、重ねてこれも一緒に聞きますけれども、見込みで決めたことでいわゆる問題は生じないのか。この点についてお示しをいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 今般の防衛力強化の財源確保に当たりましては、国民の負担をできる限り抑えるべく、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保など、あらゆる工夫を行っているところでございます。

 その際、現時点で確実に見込まれる財源については、先送りすることなく確保することで、防衛財源の安定的な確保に向けた道筋を示すとの観点から、外為特会において、令和五年度、進行年度でありますけれども、確実に発生が見込まれる剰余金見込額一・二兆円についても、決算を待たずに、本法案による臨時の措置として前倒しで繰り入れることとしたものであります。

 この剰余金見込額は、為替、金利の動向等について、保守的な前提において積算を行った結果を反映したところであり、具体的には、令和五年度中の為替、金利等が、予算策定時から遡り過去一年で最も円高、低金利だった水準で推移するという前提で積算をしたものであります。こうしたことから、これを一般会計に繰り入れたことにより、例えば、令和五年度に外為特会の歳入が不足し、特会財務に影響する事態は生じないものと考えているところであります。

稲津委員 かなり丁寧に細かく御答弁いただきまして、ありがとうございました。非常にここは明確になったと思います。

 ここまで、財投特会と外為特会からの繰入れについて順次伺いましたが、次は、国立病院機構、及び、同じ独立行政法人の地域医療機能推進機構の国庫返納について伺います。

 先ほど石井委員からも質問があり、厚生労働省にお尋ねになりましたので、私は財務省に伺うということで、これは政府参考人で結構でございますので、お答えいただきたいと思います。

 この二つの独法、本来、五年間の中期計画終了後、これは令和五年度末になるわけですけれども、そのときに、次の中期計画で厚生労働大臣の承認を受けた額から残余がある場合は国庫へ返納する、こういう仕組みである。

 確かに、令和三年度における国立病院機構の経常利益は約九百億円、利益の剰余金は八百十九億円ですか。それから地域医療機能推進機構の場合は、経常利益が四百八十億円と、余剰金が六百七十五億円。新型コロナウイルス対策の予算によってそれだけの積み上がりがあったというわけでございますけれども、令和二年度以降、財務状況は大きく変わってきている、改善されて、間違いないことだというふうに見受けられていますが、本来令和六年に予定されていた返納を五年度末に前倒しをすることになる。これによって何らかの影響はないのか。

 昨日も本会議で一部議論がありましたが、特に、地域医療機能推進機構の、ここの余っているところについては、本来年金特別会計に返納するものとして、特例として国庫にこれを返納させる、そうした上で防衛財源に使うことになりますが、一番のポイントは、年金会計等への影響の有無などがどうなのかということを伺っておきたいと思うんです。

 それから、それぞれ返納額、四百二十二億、三百二十四、このように決めた根拠について、併せて、これは政府参考人に伺いたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構につきましては、先ほど厚生労働省から御説明ございましたとおり、本法案によりまして、新型コロナ対策の予算等によって積み上がりました積立金のうち七百四十六億円を前倒しで国庫に納付していただくということにしてございます。

 お尋ねのございました両法人の経営についての影響でございますけれども、両法人の国庫納付後の積立金でございますが、国立病院機構では三百九十七億円、地域医療機能推進機構では三百五十一億円となってございまして、これはこれまでの両法人の積立金の実績と比較いたしましても極めて高い水準となっていると認識をしておりますことから、経営上、一定の余力があるものというふうに考えてございます。

 ただ、先生の御懸念も踏まえまして、今後の経営状況につきましては、よく注視してまいりたいというふうに考えてございます。

 続きまして、年金会計への影響ということでございます。

 これは令和元年に年金の財政検証というものが行われてございますが、この際、地域医療機能推進機構から厚生年金勘定への納付につきましては、金額を見込み難いということから、検証において、納付の想定はされておりません。したがいまして、今般の対応に伴いまして、厚生年金勘定に御指摘の納付が行われないことにより将来の年金の給付水準の見通しが変化するということはないというふうに承知をしてございます。

 最後に、それぞれの国庫納付の納付額の算定の根拠でございます。

 納付額につきましては、先生の方からも御紹介がございましたけれども、新型コロナ対応のために令和三年度に交付をされました病床確保料、これの実績を計算をいたしまして、これに対しまして、実際に病床確保に要した費用等を考慮いたしまして算出をしたということでございます。

稲津委員 それぞれ細かく説明いただいたので非常に分かりやすかったんですが、最後のところのコロナ対応のところについては、それでそもそも財源確保してきたということがあり、そして、返納してまた使っていただくということは、理屈としては非常に分かります。もちろん、この新型コロナウイルスの対応については、いわゆる感染症法上の二類相当から五類に移行するということなので。さはさりとて、しかし、今後の対策、必要性、これは注視し、また別途の対応もしていかなきゃいけないんだろう、このように思っていることをつけ加えさせていただきます。

 時間がもうかなり参りましたが、次は、防衛力の強化資金について、令和六年度以降の繰入資金の見通しについてお伺いしておきたいと思います。

 防衛力強化資金、これは、税外収入等を防衛力の整備に計画的、安定的に充てるために、新たな資金制度として当分の間設置、このようにされております。

 本法律案による一・五兆円の税外収入等のほか、令和四年度外為特会繰入金、財投特会、それから新型コロナ感染症基金からの国庫返納、国有財産の売却で三・一兆円、これが防衛力強化の税外収入として四・六兆円になる。これに歳出改革で〇・二兆円を足して、四・八兆円。これが全体としての防衛力強化のための形だと思いますけれども、この四・八兆円のうち一・四兆円程度は令和五年度の防衛予算の増額分として使われて、残り三・四兆円、これが防衛力の強化資金として、令和六年から九年までの四年間で使う。

 第十四条第二項で、令和六年度以降も、国有財産の処分などの税外収入で国会の議決を経た範囲のものは、防衛力整備計画対象費の財源又は防衛力強化資金への繰入れの財源に充てることとしていますが、具体的にどのような資金を繰り入れることを想定しているのか。それから、六年度以降の繰入れについても具体的に見越しておかなければ厳しい状況になるんだろう、このように思っております。財源の確保、これが一番重要なところですから、その見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。

井上副大臣 お答えいたします。

 今御説明がありましたけれども、今回の財源確保法案により設置いたします防衛力強化資金は、様々な取組により確保した税外収入等について、令和九年度以降も含めて防衛力の整備に計画的、安定的に充てるための継続的な仕組みでございます。

 令和五年度予算におきましては、防衛力強化のための財源として四・六兆円の税外収入を確保したところでありまして、このうち、令和五年度の防衛力強化のための必要な額を超える額である三・四兆円を防衛力強化資金に繰り入れ、令和六年度以降の防衛力強化のための経費に充当することとしております。

 委員の御指摘のありました、令和六年度以降においての防衛力強化資金への繰入れに充てることのできる税外収入については、現時点では具体的に見込まれるものではありませんけれども、昨日、本会議で岸田総理、鈴木大臣から御答弁をさせていただきましたとおり、令和五年度予算において、今後五年間の防衛力強化のための経費に充てられる税外収入四・六兆円を確保したことも踏まえまして、防衛力強化資金から年平均〇・九兆円程度の安定財源を確保できるよう、今後も引き続き、更なる税外収入の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

稲津委員 終わります。

塚田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時六分散会


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