衆議院

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第14号 令和5年4月18日(火曜日)

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令和五年四月十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 塚田 一郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    井原  巧君

      石井  拓君    石橋林太郎君

      石原 正敬君    小田原 潔君

      大塚  拓君    金子 俊平君

      川崎ひでと君    神田 憲次君

      神田 潤一君    工藤 彰三君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    杉田 水脈君

      武部  新君    津島  淳君

      中山 展宏君    葉梨 康弘君

      藤原  崇君    古川 直季君

      細田 健一君    八木 哲也君

      若林 健太君    階   猛君

      野田 佳彦君    福田 昭夫君

      藤岡 隆雄君    道下 大樹君

      米山 隆一君    藤巻 健太君

      岬  麻紀君    伊藤  渉君

      山崎 正恭君    前原 誠司君

      田村 貴昭君    吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   財務副大臣        井上 貴博君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 片平  聡君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    新川 浩嗣君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    齋藤 通雄君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       石川  武君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 田部井貞明君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 小杉 裕一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官官房審議官)           春日原大樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    内田 眞一君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     川崎ひでと君

  大野敬太郎君     武部  新君

  金子 俊平君     杉田 水脈君

  塩崎 彰久君     石橋林太郎君

  津島  淳君     井原  巧君

  若林 健太君     古川 直季君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     津島  淳君

  石橋林太郎君     塩崎 彰久君

  川崎ひでと君     石井  拓君

  杉田 水脈君     金子 俊平君

  武部  新君     工藤 彰三君

  古川 直季君     若林 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     細田 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     大野敬太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

塚田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君、副総裁内田眞一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官鹿沼均君、外務省大臣官房参事官片平聡君、財務省主計局長新川浩嗣君、主計局次長前田努君、主税局長住澤整君、理財局長齋藤通雄君、国際局長三村淳君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君、大臣官房審議官本多則惠君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官石川武君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、大臣官房審議官田部井貞明君、大臣官房審議官小杉裕一君、大臣官房審議官茂木陽君、防衛装備庁長官官房審議官春日原大樹君、技術戦略部長堀江和宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党・無所属の櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず、大臣に、二月八日のこの財務金融委員会での大臣所信についてお尋ねをいたします。

 大臣所信は国会の都度やっていただいているんですが、今回の所信の中にはこれまでなかった表現が入っていた。それは、「有事であっても日本の信用や国民生活が損なわれないようにするため、平素から財政余力を確保していくことが不可欠」、こういうくだりが入ってございました。今、防衛財源、倍増するんだという話がある中で、しかし、健全な財政を維持していくということも大事だということをあえて強調されたんだというふうに思います。

 そこで、お尋ねなんですが、有事、平素というふうにお話しされましたけれども、この定義はどういうことを意味するんでしょうか。また、財政余力というのはどういう意味でしょうか。

鈴木国務大臣 おはようございます。

 ただいまの、有事そして平素、財政余力という発言をしたわけでありますが、どういうような意味合いを持って発言したかという御質問であったと理解をいたします。

 有事と平素の示す意味につきまして一概にお答えすることは難しいわけでありますが、有事とは、例えば我が国に対する武力攻撃が発生した場合とか、経済財政運営上は、自然災害や感染症等が生じた場合も含め、財政需要が大幅に拡大し、平時、すなわち平素とは非連続的な対応が求められているような状況が想定されると理解をしております。

 そして、私が財政演説の中で申し上げた財政余力の確保とは、先述したような有事の際に、大幅な財政需要が増加するような場合にあっても必要な資金を市場から調達することができるようにしっかりと財政基盤を維持強化することでありまして、そのためには、我が国財政に対する市場からの信認を確保できるような財政運営を行うことが必要だと理解しております。

 この点、昨年十二月に閣議決定されました国家安全保障戦略におきましても、「我が国の経済は海外依存度が高いことから、有事の際の資源や防衛装備品等の確保に伴う財政需要の大幅な拡大に対応するためには、国際的な市場の信認を維持し、必要な資金を調達する財政余力が極めて重要」と記されているところでございます。

櫻井委員 端的にお伺いしますが、財政余力というのは今どれぐらいあるんですか。

鈴木国務大臣 我が国の財政状況は大変厳しいものがあるわけでありますが、しかし、市場においてそうした信認というものは得ていることができておりまして、市場においてはそうした資金を調達できる状況にある、こういうことであります。

 これを数字で、どれぐらいあるということをお示しするのはちょっと難しいんだと思います。

櫻井委員 いや、市場で資金調達できるとおっしゃいましたが、本当の意味で市場から調達できているのかというと、そうではないんじゃないのかな。日本銀行が大量に国債を買っている、今、もう発行済みの半分以上を日本銀行が持っている、これで市場の信認を得ている状態とは到底言えないのではないのか。日本銀行の金融政策、新しい総裁はこの後いらっしゃるということでございますが、これから、来週また金融政策決定会合がございますけれども、そこで方針が変われば、それこそこの財政余力というのは実はもうほとんどないということになるかもしれないということで、ちょっとこの点は指摘をまずさせていただきます。

 それから、有事と平素の違いですけれども、感染症ですとか、あと物価高だとか、それから不況だとか、いろいろなことを言って、いつも有事になっているのではないのか。補正予算の金額を見ても、もう最近、何かすごい金額になっちゃっていますよね。十年前では考えられなかった、一桁多いような補正予算の組み方になってしまっているということで、いつも有事、有事と言っているから、財政余力を確保する平素がなくなっちゃっているんじゃないのか、こういう心配もするんですよね。

 ちょっとここをやっていると時間がなくなってしまうので、次の質問に行かせていただきますけれども、三月三十一日の閣議後の記者会見で、これは財務大臣の発言です、子供政策強化の財源について問われて、財源が一つの課題になるわけでありますが、その際、恒久的な施策には恒久的な財源が必要というふうに発言をされています。

 防衛力強化についても、恒久的な施策には恒久的な財源が必要という原則が当てはまるのかどうか、これを確認させてください。

鈴木国務大臣 予算編成に当たりましては、従来より、骨太の方針等に基づきまして、財政規律の観点から、真に必要な財政需要に対応するため、恒久的な歳出を大規模に増加させる場合には、これに対応した安定的な財源を個別に確保することで対応してきたところであります。

 抜本的に強化される防衛力につきましても、将来にわたって維持強化していかねばならないことから、これを安定的に支えるためのしっかりとした財源が不可欠である、そのように考えております。

 総理も発言をされておりますが、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々の将来世代への責任として対応してまいりたい、そのように考えております。

櫻井委員 今確認させていただいたとおり、恒久的な施策には恒久的な財源というふうにおっしゃいましたが、ただ、実際のところを見ると、新たな防衛力整備計画に関する財源の確保という観点からしますと、歳出改革で一兆円ぐらい捻出するとか、決算剰余金の活用とか、防衛力強化資金、これは一発物で集めてきたものですよね、これで〇・九兆円確保するとか、およそ恒久的な財源とは言えないもので積み上げている。唯一恒久的だなというふうに思えるのが復興税の流用ということで、これじゃ、とてもじゃないですけれども、恒久的な財源を確保したとは言えないのではないのかなというふうに思います。

 ちょっと次の質問に移らせていただきます。

 これは岸田総理の発言でございますが、衆議院予算委員会、一月三十日でございます。「現在の中国の対外的な姿勢や軍事的動向、これは戦略的な挑戦であり、我が国の総合的な国力と同盟国、同志国との連携により対応すべきもの」というふうに答弁をされております。

 倍増させる防衛費の財源を安定的に確保する必要が生じているという現状、これは中国の戦略的な挑戦が理由というふうに受け止めてよろしいでしょうか。

鈴木国務大臣 昨年末に制定されました国家安全保障戦略におきましては、インド太平洋地域の安全保障環境と我が国の安全保障上の課題を認識した上で、我が国周辺における軍備増強の急速な拡大などに対応すべく、防衛力を抜本的に強化していくこととされておりますが、これにつきましては、特定の国、地域を脅威とみなし、軍事的に対抗していくという発想には立ったものではありません。これは防衛省もそのように答弁をしているところであります。

 国家安全保障戦略に基づく防衛力整備計画では、一年以上にわたって議論を積み重ねる過程において、今後五年間に必要となる防衛力の内容を積み上げ、防衛力整備の水準として四十三兆円程度が導き出されました。

 他方で、予算編成に当たっては、従来より、骨太の方針等に基づきまして、財政規律の観点から、真に必要な財政需要に対応するため、恒久的な歳出を大規模に増加させる場合には、これに対応した安定的な財源を個別に確保することで対応してきたところであります。

 抜本的に強化される防衛力につきましても、将来にわたって維持強化をしていかなければならないことから、これを安定的に支えるためのしっかりとした財源が不可欠である、そういうふうに考えております。

櫻井委員 今の御答弁では、特定の国を名指しするものではないという御趣旨でございましたが、ただ、岸田総理は予算委員会で中国の戦略的な挑戦とはっきりおっしゃられているわけなんですが、そこが念頭にあるんだろうというふうに思います。

 その上で、本日お配りしております資料でございますが、日本と中国の名目GDPと、それから国防費、防衛費の推移をグラフにしております。折れ線グラフの方がGDPの方で、棒グラフの方が国防費、防衛費ということになります。

 これを見ますと中国は確かに防衛費、国防費が増えておりますけれども、増え方を見ると、GDPの増え方の方が大きいわけですね。つまり、GDPに対する国防費の予算というのは必ずしも増えているわけではない。経済的な成長に伴って国防費も増えているというところです。

 ところが、我が国の場合は、GDPが増えていないという中で防衛費を増やそうとするからいろんなところで無理が出てくるのではないのか、こういうふうに心配をするわけです。

 我が国の経済的な停滞、特にこの十年間、第二次安倍内閣以降、実質GDP成長率マイナスという状況です。この十年間で、日本と中国のGDPの差はもう四倍に開いてしまっているわけなんです。これだけの経済力の差があるんだから、日本が国防費、防衛費で中国と競っても到底勝てないんじゃないのか、こんなふうにも考えるんですが、大臣はどのようにお考えですか。

鈴木国務大臣 繰り返しになる部分がございますけれども、昨年末に策定された国家安全保障戦略におきましては、中国の安全保障上の動向を含めたインド太平洋地域の安全保障環境と我が国の安全保障上の課題を認識した上で、我が国周辺における軍備増強の急速な拡大などの安全保障環境に対応すべく、防衛力を抜本的に強化していくこととされているところであります。

 その上で、防衛省からも度々答弁があるとおり、我が国の防衛力整備は、特定の国、地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想には立っておらず、その内容、規模については、あくまで、我が国への侵攻が生起した場合に同盟国、同志国と連携しつつ国民の命を守り抜けるか、防衛省においてシミュレーションを行い、防衛力の不足等を検証した上で導き出されたものでありまして、防衛費増加で中国と競っている、軍拡競争をしているというものではない、そのように理解をいたしております。

櫻井委員 軍拡競争しているわけではないと。競争していなくても、倍増させるわけですから、相当財政的な負担になるわけです。

 中国には孫子という方が大昔いらっしゃって、孫子の兵法では、戦わずして勝つのが上策というふうに言っていたというふうに承知をしております。これは逆に、裏を返して言えば、日本は財政で行き詰まれば戦わずして負けることになるんじゃないのか、そんな心配もするわけです。

 十年前、中国は、経済力で劣るということを自覚をして、多分、無理な軍拡はしてこなかったんだと思うんです。身の丈を超えた防衛費はかえって身を滅ぼすことになるのではないのか心配をしますし、大臣も、そういう心配をしていたからこそ、大臣所信、二月に、平素から財政余力を確保していくことが重要、不可欠、そういう表明をされたんだというふうに思うんですが、大臣、いかがですか、身を滅ぼすことになりはしませんか。

鈴木国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境、これが厳しさを増している中で、防衛力を五年以内に抜本的に強化をし、さらに、将来にわたって維持強化していくこと、これは我が国にとって極めて重要であり、喫緊の課題である、そういうふうに捉えております。

 そして、その財源確保に当たりましては、必要な財源の約四分の三につきましては、国民の負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革や税外収入の確保などあらゆる工夫を行うことにより賄うこととしており、それでも足りない約四分の一について税制措置での御協力をお願いしているところでありますが、現下の家計を取り巻く状況等を踏まえ、個人、法人への影響に最大限配慮する仕組みにするなど、国民の負担感を払拭できるよう、政府として努力をしてまいります。

 その上で、櫻井先生御指摘のとおり、我が国の安全保障の礎でもある経済成長の基盤の強化、これにも不断に取り組まなくてはならない、取り組むことが重要であると考えております。

 政府としては、新しい資本主義の旗印の下、官民連携で成長分野への投資や人への投資を推進することで成長と分配の好循環を拡大をし、力強い成長の実現に向けて引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

櫻井委員 そもそも、今回、防衛力強化のための財源を確保するという法律案なわけですが、普通に考えれば、こうした予算は、毎年予算編成を財務省でしているわけですから、そこで毎年手当てをしていけばいいじゃないか、何でわざわざ法律が必要なのかということについて、これは本会議でも質問がありましたけれども、それに対して明快な答弁はございませんでした。

 逆に言えば、こういう防衛力の強化のために財源確保法が必要というのだったら、例えば倍増する子供、子育ての予算、これにも財源確保法が必要なのかなというふうにも思うわけですが、こちらについても財源確保法を用意されるんですか。

鈴木国務大臣 令和五年度予算におきましては、防衛力強化のための税外収入として四・六兆円を確保したところでありますが、このうち、外為特会からの進行年度中、つまり令和五年度における剰余金の繰入れ一・二兆円、それから財投特会財融勘定からの繰入れ〇・二兆円、国立病院機構及び地域医療機能推進機構からの国庫納付金〇・一兆円の合計一・五兆円の税外収入を確保するためには、この法律案による特別の立法措置が必要となるところでございます。

 その必要性をまず第一といたしますと、そしてまた更に必要性について申し上げますと、この法律案におきましては、様々な取組により確保した税外収入等を令和十年度以降も含めて防衛力の整備に計画的、安定的に充てるための継続的な仕組みとして防衛力強化資金を設置することとしておりまして、令和五年度予算において防衛力強化のために確保した税外収入四・六兆円のうち、令和五年度の防衛力強化のために必要な額一・二兆円、これを超える額であります三・四兆円をこの防衛力強化資金に繰り入れ、令和六年度以降の防衛力強化のための経費に充当することといたしております。

 このような対応によりまして、現時点で確実に確保できる財源については先送りすることなく現時点で確実に確保しておくことは防衛財源の安定的な確保に向けた道筋を示すために重要である、そのように考えておりまして、そのためには本法律案の成立が必要不可欠である、そのように考えております。

 また、櫻井先生から、子供、子育て政策についても財源確保法のようなものが必要なのではないかというような御質問がございましたが、子供、子育て政策につきましては、今後、必要な政策強化の内容、予算、財源について総理の下で更に具体的な検討を深めていくもの、そのように承知をしております。

 したがいまして、現時点において、そうした法整備の要否を含め、子供政策の財源確保について確定した方針はありませんけれども、子供政策を強力に進めていくために必要な安定財源については、国民各層の理解をいただきながら、社会全体での負担の在り方を含め、幅広く検討を進めていくこと、このことが重要であると考えているところであります。

櫻井委員 ちょっと余り関係のないところの答弁が長いので、もっとコンパクトにお願いいたします。私も一応丁寧に通告させていただいているので、そこはよろしくお願いします。

 今御答弁の中で、防衛力整備についての財源については三月一日の参議院予算委員会でも質問があって、辻元清美議員の質問に対して、大臣は、もうぎりぎり確保した、雑巾を絞ってももう一滴も出てこないというところまで頑張ったんだ、その上で足りない部分を復興税の流用で充てるんだ、こういうふうに御答弁をされているわけなんですね。

 この子供、子育てにこそ、昨年の出生数は八十万人を下回って、まさに我が国の国家の存亡の危機ですよ、そこに財源を確保しようにも、もうこれはぎりぎりまで確保しちゃったわけですよね、だから、残っていないじゃないですか。

 そうやって質問すると、六月の骨太方針に向けて検討しますというふうに答えて先送りするんですけれども、先送りしたって、もう全部雑巾を絞っちゃって、ないわけですから、どうするんですかということなんですけれども。多分、同じことを聞いても、六月の骨太方針という答弁しか返ってこないと思うので、ちょっとそれはもういいですけれども、そのことは指摘をさせていただきます。

 次に、ちょっと別な質問、ちょっと一個飛ばして質問させていただきます。

 日本は、国債を大量に発行しているものの、自国通貨建てであるから財政破綻することはないというような意見も世の中にはあるようです。財務省はどのようにお考えなのか、お答えください。

鈴木国務大臣 日本の財政でありますけれども、家計の金融資産、それから経常収支の黒字などを背景にいたしまして、大量の国債を国内で低金利かつ安定的に消化してきたところでございます。一方、一たび財政の持続可能性への信頼が損なわれれば、金利の上昇等を通じまして利払い費が大きく増加するおそれがあることや、自国通貨建ての国債の場合であっても、通貨の信認を失えば市場からの資金調達が困難となる可能性があることなど、財政面において重大な影響が及ぶことが考えられます。

 今後も、これまでと同様の環境が継続する保証はない中で、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることがないように、歳出歳入両面からの改革を進めていくことで責任ある経済財政運営に努めてまいりたい、そのように考えております。

櫻井委員 そうですよね。内国債だからといって別に大丈夫ということでは決してない。

 かつて、第二次世界大戦中に軍事費が膨張し、戦後は、預金封鎖、新円切替え、資産課税、戦時補償特別措置税、これは税率一〇〇%の実質的な債務の踏み倒しをやって切り抜けたわけですよね。しかもハイパーインフレもあった。自国通貨建ての国債だから大丈夫とはならない。しかも、これはこの当時だからできたので、今は、国際的な資本のやり取りは簡単にできますから、それこそスマートフォンでクリック一つでできるわけですから、そうすると、こういうことすらできないということで、もうやりようがなくなってしまう、そういう危機感もちゃんと我々は持っておくべきだということも指摘をさせていただきます。

 それから、ちょっと次の質問なんですが、特例公債法四条で、「各年度において同項の規定により発行する公債の発行額の抑制に努めるものとする。」という規定があるんですが、予算執行の見込みがない場合には、その金額に見合いの赤字国債の発行を抑制するというふうに規定されているというふうに理解をしております。

 そこで、決算剰余金の仕組みはどうなっているのかということをお尋ねするんです。つまり、予算執行状況から赤字国債発行の抑制をするような、そういう方程式があるのかどうなのか。決算剰余金は恒久財源には当たらないと考えますが、どうですかということについて、主計局長、よろしくお願いいたします。

新川政府参考人 お答えいたします。

 決算剰余金についてお尋ねがございました。

 剰余金は、歳出の不用、あるいは税収等の歳入の増減の結果として、その金額が確定することになります。

 委員御指摘のありましたように、特例公債の発行額の調整は、この特例公債法の規定に基づきまして、出納整理期間における歳出不用あるいは税収の見込み等を踏まえて行っているものでございます。他方で、決算において歳入欠陥にならない、こういった点についても留意する必要がございますので、結果において、毎年一定程度の金額の決算剰余金が生じているところでございます。

 ただ、この特例公債の発行額の調整は、あくまで、その発行額を可能な限り必要最小限度にとどめるために行っているということでございまして、例えば、これを恣意的にコントロールする、あるいはそれによって決算剰余金の額をコントロールする、こういったことは考えておりませんし、そうした運用は過去において行っておりません。

櫻井委員 いやいや、今、デジタル化はどんどん進めますよ、DXだと政府を挙げて言っているわけですよね。そうすると、予算の執行状況だってもっとリアルタイムに分かるはずですよ。民間企業だったら普通にそうしていますよね。そうすれば、平均して毎年一兆四千億円もの決算剰余金が発生するなんということはないんじゃないんですか。もっと赤字国債を抑制する努力をすれば、ほぼゼロにできるんじゃないんですか。

 そういう努力をせずに、今回、防衛力強化の財源としてこの決算剰余金を当てにするというのは、赤字国債の発行抑制を怠けるということと、それから、怠けることを前提に恒久財源であるかのごとく振る舞う、二重の意味で国民に対する裏切り行為だと思うんですが、いかがですか。

新川政府参考人 決算剰余金につきまして、まず、決算剰余金は、先ほど申し上げましたように、歳出の見積り、それから歳入の動向等を踏まえて、できる限り赤字公債を縮減する観点から調整を行っていくものでございますが、例えば、税収の振れ幅で一番大きいのが法人税ということになりますけれども、その振れ幅の最も大きい影響が出ますのは五月分税収ということでございまして、こういったものの見通しにつきましては、どうしても見通し難い部分がございます。先ほど申しましたように、できる限り正確な赤字公債の縮減に努めてまいる一方で、歳入欠陥という事態は避けねばなりません。こういった努力の中で、一定程度の決算剰余金が生じているところでございます。

 それから、防衛力強化の財源措置としての決算剰余金の活用ということで申し上げれば、こうした、今申し上げたような特例公債の発行額抑制に努めた後であっても、直近、例えば十年間を例に取りますと、どうしても平均で一・四兆円程度の決算剰余金が発生しております。これを踏まえまして、財政法上、国債又は借入金の償還財源に充てる二分の一を除いた〇・七兆円程度の活用を見込んでいるということでございまして、したがって、繰り返しになりますが、特例公債の発行額の抑制、こういったことに努めた上で、過去十年の実績等を見据えて、この先、毎年平均すれば〇・七兆円程度の活用を見込める、こういう見積りをつくっているところでございます。(発言する者あり)

塚田委員長 恒久財源かの指摘についての答弁をお願いします。

新川政府参考人 決算剰余金を含め、安定財源そのものをどのような財源と位置づけるべきかということについて申し上げます。

 決算剰余金、これは、毎年、年度によって変更が生じ得るという意味では、単年度で見れば一定額の財源が確実に見込まれるというわけではございませんが、ただいま申し上げたように、過去の例等を踏まえまして、毎年〇・七兆円程度の税外収入としての決算剰余金を見込むことは一定の根拠に基づくものであり、防衛力強化資金等を通じまして、防衛力の安定的な維持強化のために必要な、しっかりとした財源の一部を成すものというふうに考えております。

櫻井委員 今、何か、しっかりしたとかという曖昧な表現で逃げましたけれども、決算剰余金は恒久財源ではないということで御答弁いただいたというふうに受け止めさせていただいてよろしいですかね。

 ちょっと、もう時間がないので、答弁が長くて時間がなくなっちゃったので、最後の質問をさせていただきますけれども、五年間の防衛費総額について四十三兆円で決着ということですが、その過程において、新聞報道では、財務省は当初三十五兆円と主張していた、防衛省は四十八兆円というふうに主張し、政治決着で四十三兆円になったというふうにも報道されております。財務省が三十五兆円と主張したのであれば、その算定の根拠を教えてくださいということです。

 それから、あともう一つ。ほかの予算については無駄を一生懸命削減しましたと言うんですけれども、防衛費について、無駄はちゃんと削減したんですか。

 例えば、参議院予算委員会で辻元清美議員も指摘をしておりますが、無人偵察機のグローバルホークについて、これは購入費六百十三億円、維持費に二千九百五十一億円、三千五百六十四億円かかっていて、これは九年前に三機購入の契約をしたんですが、一機はいまだに購入されていない。九年たって、まだ納入されていない。しかも、これは旧式で中国の脅威に対応できないとして、アメリカでは二年前に退役が決定をしている、そんな代物です。こんなところにお金を使って、これは無駄遣いでしょうというふうにも思うわけです。

 イージス・アショアは陸と海で迷走していて、これもどんどん予算は膨らんでいます。辺野古の基地建設についても、当初の予算のもう三倍以上に膨らんでおります。防衛費の無駄はちゃんと削減したんですか。いかがですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 予算編成の過程におきましては、防衛省とも様々なやり取りをしたところでございます。

 そうした中で、財務省といたしましては、安全保障環境が厳しさを増す中にあって、防衛力の五年以内の抜本的強化は我が国にとって極めて重要、この点については理解をしたところでございますが、防衛力強化の内容について、実効性や実現可能性の観点から精査する必要があること、あるいは、防衛力抜本的強化を前提に必要となる国民負担はできる限り小さくなることが望ましい、こういったことを申し上げてまいりました。閣議決定されました防衛力整備計画等では、こうした点も配慮いただいたものと認識をしております。

 他方で、今御指摘のありました五年間の防衛関係費の総額について、財務省の側から具体的な金額を提示した事実はございません。

 それから、防衛費の強化の中身について、その実効性、実現性、こういった内容から十分精査を行っていただくという指摘を私どもからしたところであり、防衛省においても、そういった内容を検討され、この整備計画に反映していただいたものと理解しております。

櫻井委員 防衛費の中の無駄遣いをちゃんとチェックをしているのかということに対しても明確な答弁がなく、これで、本当に防衛力強化にもつながらない、財政を破綻する、とんでもない法案だということを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

塚田委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田でございます。

 質問させていただきます。

 今、確かに、政府が言うように、安全保障環境は一層厳しさを増してきていることだと思います。しかしながら、一人当たりの国民所得が大幅に下がって、隣の韓国にも負けたとも言われておりますけれども、人、物、金が逃げ出すような国になってしまったと言われている今、果たして、最優先で取り組むべきは、多額の防衛費を確保することでしょうか。本当に確保できるんでしょうか。政府の考えをただしてまいりますので、鈴木大臣始め答弁者は簡潔にお答えください。

 まず一つ目は、バイデン米国大統領との日米首脳会談の内容についてであります。

 会談後、岸田総理が記者会見をいたしました。一つは、ロシアによるウクライナ侵攻に対する対応、それから二つ目が、インド太平洋地域の平和と繁栄に対する対応、そして、またと言って、本当は三つ目と言うべきなんですけれども、またと言って、日本の防衛力強化をするために、その裏づけとなる防衛費を相当な額増額する、こんなことを岸田総理が発表いたしておりますが、簡潔でいいですから、このことについて実は私は疑っておりますけれども、まず、岸田総理がアメリカに行って、バイデン大統領に言われたことを、今度はバイデン大統領が日本に来て、それに対するお答えをして、バイデン大統領が喜んで、これはいいぞということで支持したということではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

片平政府参考人 お答え申し上げます。

 岸田総理大臣からは、日米両国が近年で最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している中、我が国として、昨年十二月に発表した新たな国家安全保障戦略等に基づき、反撃能力の保有を含む防衛力の抜本的強化及び防衛予算の相当な増額を行っていく旨述べたのに対し、バイデン大統領からは全面的な支持を得ました。

福田(昭)委員 バイデン大統領から先に言われて、それに対応するような答えをしたので、バイデン大統領があれほど喜んだんじゃないですか、喜々として。あの姿を見ていれば、それは想像できますよ。駄目ですよ、そんな、言われたからといってやるというような話は駄目だと思いますよ。それだから、専守防衛を飛び抜けちゃったような話になっているんじゃないですか。

 では次、二番目、防衛力強化と経済財政力についてであります。

 一つ目は、国防の基盤である経済力と財政力。今、櫻井議員からも大変厳しい質問がありましたけれども、国防の基盤は経済力と財政力と言われておるようですけれども、我が国はそれが一体あるんでしょうか。まず、そういった意味から考えると、どうも我が国は経済力も財政力ももうない国になっちゃっているというふうに考えられるんじゃないかと思っております。

 経済力を表す代表的な指標は、先ほども指摘がありましたけれども、まさにGDPでありますが、消費税を創設してから三十年間、ほとんど伸びておりません。しかも、日銀が財政ファイナンスと言われるようなことをやってきて、今や、国債の半分以上は日銀が保有している。異次元の金融緩和はもう限界だと言われておる。もし利子が一%にもなっちゃったら日銀そのものが破綻してしまう、そんなことまで言われている中で、どうして経済力があると言えるのか。

 また財政力も、債務残高が、二〇二一年のGDP比、国内総生産のもう既に二六〇%を超えている、最悪だ、こう言われております。まさに、先ほども指摘がありましたけれども、太平洋戦争に負けたときと同程度になっている。あのときには本当に、それこそ、先ほども話がありましたけれども、三つの方法で財政健全化を行って今がある、こんな状態です。

 太平洋戦争に負けたような状況に財政力もなっているのに、どうして国防の強化の財源が出てくるんでしょうか。財務大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境は大変厳しいものでありまして、その中で、国民の命を守るために防衛力を抜本的に強化していくということ、これは喫緊の課題であると認識をしております。

 防衛力の強化には努めなければならないわけでありますが、福田先生御指摘のとおり、日本の財政、これは、諸外国と比べて債務残高対GDP比が高いなど、極めて厳しい状況の中にあります。

 そういう中において、経済財政運営におきましては、骨太方針において、経済再生を実現し財政健全化に努めることで二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化を達成するなどの方針を示し、これに基づいて毎年度の予算編成を行っているところであります。

 その上で、真に必要な財政需要に対応するため、恒久的な歳出を大規模に増加させる必要がある場合には、骨太方針等に基づき、これに対応した安定的な財源を確保することで、個別に対応してきているところでありまして、今般の防衛力強化に関しましても、こうした考え方に基づいて、安定的な財源を確保した上で必要な予算額を措置しておりまして、財政規律にも配慮したものになっている、そのように考えているところであります。

 国家安全保障戦略におきましても、防衛力の抜本強化の前提として、「我が国の安全保障の礎である経済・金融・財政の基盤の強化に不断に取り組む。」と記されているところでありまして、引き続き、責任ある経済財政運営に努めてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 長々答弁いただきましたが、もっと短くお願いしたいと思います。

 二〇二五年プライマリーバランスの黒字化は無理だと思います。

 二つ目ですけれども、我が国が抱える脆弱性、加えて、経済財政基盤に加えて、それらの大きな原因にもなっていると思いますが、少子化、人口減少、それからエネルギー、食料などについてであります。

 この少子化、人口減少を止める手だては、今のところ、政府の対策では、ありません。それからエネルギーも、これも本当に、再生可能エネルギーにもっと大胆に切り替えるべきところでありますが、残念ながら、原子力を使うなんて言い出してきているので、なかなかこれも容易じゃない話だと思います。それから食料も、食料安保をしっかりやらなきゃならないんですけれども、これも全く、今のところ、どうにもならないような状況になっております。こうした問題も乗り越えていかなきゃならないんですけれども、これに対しても、抜本的な対策の政策が出ておりません。

 特に、少子化、人口減少は、平成元年にも一・五七ショックというのがあったわけでありますが、一昨年は一・三〇ショック、昨年は一・二台になっちゃったと思いますが、出生数が八十万人を切ってしまった。まさに、今までこれは何ら有効な手が打てなかったということであります。そんなときに、やはり最優先すべきは、私は、少子化、人口減少、そちらの方じゃないかと思いますね、防衛費を増額するということよりも。

 そのためには、子育て環境を充実させることはもちろんでありますが、これだけでは駄目であって、実は、雇用は原則正規雇用、非正規雇用は例外として、働く人を大切にするような労働法制をつくらないと駄目だというふうに思っております。

 そんなことで、このことについて政府はどう考えているのか、お考えをお聞かせいただければと思います。

鈴木国務大臣 福田先生御指摘になられましたとおりに、今我が国は、安全保障環境に加えまして、少子化、人口減少、エネルギー需給、食料自給率の低下など様々な課題に直面をしているところでございます。

 防衛力強化と経済財政運営の関係については、先ほど申し上げましたが、厳しさを増す安全保障環境への対応として、喫緊の課題である防衛力の抜本的強化を図りつつ、同時に、我が国の安全保障の礎でもある経済、金融、財政の基盤の強化に不断に取り組むことで、様々な課題にも対応していくことが重要であると考えております。

 政府として、財政規律を意識しながら、我が国が抱える内外の、先生が御指摘になりました少子化、人口減少も含める重要課題に対応しつつ、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることがないように、歳出歳入両面からの改革を進めることで、責任ある経済財政運営に努めてまいりたい、そのように考えているところでございます。

福田(昭)委員 ですから、岸田総理の対応は、本当は少子化対策を優先をして、同時に防衛力の強化についても検討する、順序が私は逆だと思っております。

 次に、三番目、財源の確保についてでありますが、括弧一と括弧二を併せてお伺いしますが、まずは、皆さんが協力をお願いしたんでしょうけれども、国力としての、この有識者会議の報告書ですけれども、これに沿ってちょっとお尋ねをしたいと思っています。

 歳出改革による財源捻出について、有識者会議からは、何といってもまず歳出改革を優先すべきだ、そして、防衛関係予算は非社会保障関係費の歳出改革から捻出することだ、こういうことを言っておりますけれども、今回の法案はこの有識者会議の考えに沿って作られているんですか。いかがですか。

鈴木国務大臣 有識者会議の報告書、それを受け止めて作られたもの、そういうふうに理解しています。

福田(昭)委員 それでは、これから、本当に有識者会議の報告書が適切なものなのかどうか、あるいはそれに沿って本当に行われているのかということを検証していきたいと思います。

 まず、三つ目、括弧三ですけれども、歳出改革で足らざる部分については国民全体で負担することについて、こう言っておりますけれども、それについては、当初、法人税、復興特別所得税、あるいはたばこ税などで言われておりましたが、この法案にはなぜ消えてしまったんですか。これを是非お答えください。

鈴木国務大臣 ちょっと長くなるかもしれませんが……(福田(昭)委員「いや、短くしてください」と呼ぶ)短く、はい。

 今回の防衛力強化の財源確保に当たりましては、国民の負担をできるだけ抑えるということで、行財政改革の努力を最大限行った上で、それでも足りない約四分の一について、税制措置での御協力をお願いしたいと考えているところでございます。こうした方針につきましては、必要となる税制措置の内容も含め、政府・与党で確認し、昨年末に閣議決定をいたしております。引き続き、今般の内閣の方針について国民の皆さんに御理解を深めていただけるように、丁寧な説明をしてまいりたいと思っております。この法律には書いておりませんが、閣議決定において、既にそこはしっかりとフィックスされているということであります。

福田(昭)委員 じゃ、閣議決定はしてみたものの、自民党の一部の人と言っていいのかな、全部じゃなくて、から反対を受けて今回法案には入らなかった、こういうことですね。

 四つ目ですけれども、なぜ国債発行が前提となってはならないのかという指摘がありますけれども、それはどうしてでしょうか。

鈴木国務大臣 抜本的に強化される防衛力につきましては、将来にわたって維持強化していかなければならないわけでありまして、これを安定的に支えるためには、しっかりとした財源が不可欠でございます。すなわち、総理も述べておりますが、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々の将来世代への責任として対応すべき課題と考えておりまして、将来世代への負担の先送りとなる赤字国債につきましては、防衛力を安定的に支えるための財源と位置づけることはできないのではないか、そういう趣旨も総理が述べているところでございます。

福田(昭)委員 それでは、要するに、結局、太平洋戦争のときのように、国債が二六〇%ぐらいになってしまって、もうこれ以上国債発行したのでは、それこそ財政破綻に陥るということの心配があって、それは駄目ですよということなんだと思います。先ほど櫻井委員からも指摘がありましたけれども、あのときの政府がやった対応は、預貯金封鎖や新円の切替えや財産税などの対応をして財政力を何とか持ち直して、今があるわけです。

 私は前にも指摘しましたけれども、こんなことになったら大変もったいない話なんですよ。法人企業の内部留保資金も、多分、今六百兆円ぐらい、超えているんじゃないですか。令和三年度末で、銀行、保険業を入れると五百八十五兆円に達しています。多分、六百兆円を超えているでしょう。さらに、家計の金融資産も二千兆円を超えている。そのうち現金、預金が一千百兆円を超えている。これを紙くずにしちゃ、こんなもったいないことはない。これこそしっかり大切に使ってもらう、それでしっかり経済もよくして、財政もよくしていく、それが大事だと思っています。ですから、こんなでたらめな、税制だとか、それから働き方です、非正規雇用を四割にもしてしまった、こういうものは改めないと、実は、直らない、日本の再生はないという話だと思います。

 では、次の方へ行きます。

 四番、次のページですが、令和五年度予算における防衛力強化のための対応に係る税外収入等についてであります。

 一つ目は、限られた財源の中で、防衛力強化資金としてあえて一般会計に特別の資金を創設する必要性があるのか、また確保できるのかということでありますが、まさにこの種の資金を一般会計につくるのは異常だと私は思います。最近政府がやっている基金や予備費をつくるようなものと同じで、本当に必要なら、当初予算にちゃんと計上すべきじゃないですか。

 ですから、そういったことから考えると、本当に財源をつくるのが難しくてしようがないので、いろいろかき集めて、じゃ、基金をつくって防衛力を確保しよう、こういう苦肉の策じゃないかなと思っていますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 令和五年度予算におきまして、防衛力強化のための税外収入として現時点で見込める最大の金額であります四・六兆円、これを確保した上で、このうち、令和五年度の防衛力強化のために必要な額一・二兆円を超える額であります三・四兆円をこの防衛力強化資金に繰り入れて、令和六年度以降の防衛力強化のための経費に充当することとしております。

 そして、このような対応をしたのはということでありますが、防衛財源の安定的な確保に向けた道筋を示すためには、現時点で確実に確保できる財源について、これを先送りすることなく現時点でしっかりと確保しておく必要がある、そういう考え方に基づいて、この防衛力強化資金をつくる、こういうようにしたところでございます。

福田(昭)委員 大臣、現実的に確保できるお金を確保するという話ですが、先ほど、有識者の報告書によると、社会保障関係費は除く、こう言っているんですよね。ところが、二つ目のところで指摘をしますけれども、括弧二ですけれども、税外収入の中に社会保障関係費が実は入っているんですよ。

 資料の一を御覧ください。

 これは、今回の法案に基づいて調査室がまとめてくれた、防衛力強化に係る税外収入の流れ、イメージ図です。これで指摘をしたいと思いますが、社会保障関係費と思われるのが、実は、国立病院機構の返納金、地域医療機能推進機構返納金、それから、右の方の欄の、緊急小口資金特例貸付金の返納金。これはみんな社会保障関係費じゃないですか。それから、中小基盤整備機構の返納金も、一旦質問を取り下げましたけれども、しかし、これも中身を見ると、コロナ対策の基金なんですね。コロナ対策も、これも医療関係費だから、社会保障関係費と読めるんじゃないですか。

 そうすると、この中でどれが本当に適切な税外収入なのかと考えると、有識者もおかしいんですけれども、コロナ対策で余ったお金は充当すべきじゃないかなんて有識者も言っているんですよ、非社会保障費から捻出すると言っておきながらですよ。

 だから、これは本当に、言っていることとやっていることが全く違う、こう思っているんですが、いかがでしょうか。

新川政府参考人 委員から御指摘のありました、幾つかの法人からの返納金等についてでございますが、有識者会議におきましては、非社会保障部門の取扱いにつきまして、政府の継続的な歳出改革の取組、いわば歳出改革の文脈で御指摘があるものと承知をしております。

 また同時に、この有識者会議におきましては、過去のコロナ対策で国民の手元に届くことなく独立行政法人に積み上がった積立金の早期返納などを財源確保につなげる工夫も必要である、こういう御指摘がされているところでございます。

 したがいまして、財源確保に当たりまして、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、歳出歳入両面からの様々な工夫という中で、御指摘いただいたような法人等からの返納金を、令和五年度の追加的な、臨時的な財源として防衛財源に充てることとしたところでございます。

福田(昭)委員 それは主計局長、違うんじゃないですか。歳出改革は歳出改革で、こっちに二千億というのがあるんじゃないですか、ちゃんと。ですから、本当に、社会保障関係経費は除くと言っているんだから。歳出改革の中で除くと言っているんですよ、これは。主計局長、どうですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 非社会保障関係費についての、御指摘のとおり、歳出改革の中で、その部分で対応するという御指摘が有識者会議からあったところでございます。

 したがいまして、今年度予算におきましても、歳出改革の一環として、二千億強の財源を、各非社会保障部門の歳出を見直すことによって捻出をし、防衛費の強化のための財源に充てることとしたところでございます。

福田(昭)委員 それは矛盾しているんじゃないですか。だって、国立病院機構、それから地域医療推進機構の国庫返納金は、これは本当は来年度精算して国庫へ返納するという形になっているのに、今年の予算に入れちゃうというのはおかしいじゃないですか。全く、主計局長の説明は、これは間違っていますよ。それぞれ両方の機構については、五年度、本年度精算するに当たって、つまり、来年の三月三十一日、あるいは整理期間の五月三十一日をもって実は返納するという手順になっているのに、今から前倒しで返納させるなんというのは、やはり全くこれは理屈に合いません。本当にびっくりするような。だから、この基金も、財務省に置く、財務省が管轄するということになっているんでしょうね、こんな無理なことはできませんから、ほかの省庁では、厚労省ではできませんから。本当にとんでもない話になっております。

 それから次、三つ目ですけれども、財政投融資の特会の積立金、外為特会の剰余金の繰入れについても、第一点、財政投融資の金利変動準備金の繰入れについてであります。

 これも、千分の五十を超える場合は、その超える額を国債整理基金特会に繰り入れることができると規定されているわけでありますが、一般会計や復興特会への繰入れなどはありましたけれども、財務省はこれについて、こうした繰入れの結果、金利変動に対する対応余力が著しく低下しており、今後、安定的活動のために、将来生じ得る損失への備えとして十分留意する必要があると繰り返し何度も言っているのに、二千億も入れてしまう。これもちょっと今までの財務省の方針とは違うんじゃないんですか。いかがですか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 財政融資資金勘定の積立金、先生御指摘のとおり、今後の金利変動リスクに備えるために、総資産の千分の五十を上限として、利益が発生した場合にこれを積み立てているというものでございます。

 ただ、今般、防衛財源の確保に当たりましては、国民の皆様に負担をお願いする前に政府内でできるだけ捻出をする、財政投融資特別会計としてもできる限りの協力をさせていただくということで、私どもの財務の健全性を確保する観点から、三千本の金利シナリオを用いて将来推計を行った上で、当面積立金が枯渇しない範囲内ということで、二千億の繰入れを行うということにさせていただいたものでございます。

 したがいまして、当面、今後の運営に支障はないというふうに考えておりますし、引き続き的確なALMに努めてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 窮余の策で入れるということですね。

 それから、外為特会の剰余金も、令和四年度はほぼ間もなく決算ができますのであれですけれども、五年度まで前倒しですよ。まだ発生もしていないものを前倒して入れる。これもやはり、財源がどうしても足りないということでの窮余の策だと思っております。

 あと持ち時間五分になりましたから、まとめて申し上げておきたいと思いますが、このイメージ図を見ていただきますと、これでまあ仕方がないかなと思っているのは、左記以外の税外収入で、財投の投資勘定の繰入れ、外為特会の令和四年度剰余金の繰入れ、それと大手町プレイスの売却、合わせると二兆七千四百七十九億円、これを合わせて二兆七千余ですけれども、まあこれぐらいはしようがないかなと思いますけれども、それ以外は、ちょっと理解できないような税外収入です。ですから、そんな意味で、本当に財政力がないんだなというのがよくよく分かるような資料でございます。

 そこで、四つ目ですけれども、令和五年度から九年までの五年間で四十三兆円は身の丈を超えた目標ではないのかということであります。

 一つだけ例示してありますけれども、不可解な一二式中距離地対艦誘導弾射程距離の延伸について、なかなか長くて読みづらいんですけれども、ミサイルを六種類も用意する必要があるのかどうかということですね。五年間で四十三兆円の数字ありきで始まった防衛整備計画だから、財源もでたらめ、防衛整備計画もでたらめで、本当にとんでもない計画だと思っております。

 この防衛整備品については、元海上自衛隊の自衛艦隊司令官、海将が、香田洋二さんですけれども、一二式中距離、この一二式については、射程距離の延伸については、本当に、こんなものを改良して千キロも飛ばすというんだけれども、それで本当に大丈夫か、もっと現場の声を聞いて、もっと本当に必要な装備品を備えるべきだ、こんなことを本も出して言っております。本当に、私も武器のことはよく分かりませんが、専門家がそう指摘しているんですね。

 そんな中で、防衛整備品については、まさにもう一回しっかり精査する必要があるんじゃないでしょうか。この間の、この間のというか今も続いているウクライナ戦争を見てみると、これからの戦争はハイブリッド戦、しかも、無人機やドローン、加えて、これから、もしかするとロボットが、ロボット兵が戦争するような時代になるかもしれません。そんなことも踏まえて、整備品については、しっかり、もう一度ちゃんと検証する必要があると思います。

 それから財源については、防衛財源に入れない社会保障関係費も一年前倒しして入れたり、今年度の出納整理期間の来年の五月三十一日が来ないと確定しないような剰余金も入れたりして確保しているということ。

 国民負担を求めることには嫌がっている自民党幹部がいるようでありますが、令和四年度の予備費の不用額を防衛増税財源に充てようという考えもあるようでありますが、まさか財務大臣、この約四兆円弱余っている予備費、そこから防衛財源に充てるなんてことはないんでしょうね。いかがでしょうか。

新川政府参考人 昨年度予算の予備費につきまして、歳出の不用の部分が相当額に上るということは事実でございます。

 ただし、先ほど答弁申し上げましたように、歳出の不用あるいは歳入につきまして、そういったものを見極めながら赤字公債の縮減に努めていくということでございますので、この予備費が不用になった部分、それがそのまま剰余金になるわけでもございませんし、防衛財源に充てることを目的としてそうした恣意的な操作をする、こういったことはないというふうに申し上げます。

福田(昭)委員 主計局長、充てることはないと今言っているけれども、だって、今までこれは窮余の策ばかりなんだ、なかったら、歳出削減の項目二千億となっているけれども、中身は何にも示されていないんだ、そこに充てられちゃう可能性だってあるじゃないですか。

 もう質疑時間が終わりましたので終わりにしたいと思いますが、終わりに提案をして、今後の質問の中で是非考えていきたいと思っています。

 今我が国の平和と安全を守るために一番重要なことは、アメリカと中国の間に入って、平和外交に徹して、台湾有事を引き起こさないこと、巻き込まれないことだと思っています。そのためには、ポスト国連、国連も機能しなくなっちゃった、ポスト国連と、グローバルサウスのアジアの二か国、インド、インドネシア、これらを加えて、石橋湛山に学んで、遠くを見て、日米、インド、インドネシア、中国、ロシアの平和同盟を是非結んで平和外交に徹することだ、それが日本の平和と安全を守ることだと私は考えております。そんなことを検討して、防衛力を強化するといったって、財源もない、継戦能力といったらましてやない。是非、そんなことを私は提案をして、質問を終わります。

 以上です。

塚田委員長 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄でございます。

 まず、本日も、地元栃木県第四区の皆様に心から感謝を申し上げ、そして、質問の機会を与えてくださった先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 先ほどから、櫻井委員、福田委員始め、先輩委員の決算剰余金、予備費の話がございました。私も、まず最初、冒頭、この話からちょっと詰めさせていただきまして、質疑の方をさせていただきたいと思います。

 資料をお配りしております。「防衛財源に予備費活用案」ということで、日本経済新聞の四月七日の記事を配らせていただきました。私も、こういうふうな議論が必ず出てくると思って、二月六日の衆議院の予算委員会のときに、この予備費の話をちょっと指摘をさせていただきました。

 改めて確認させていただきますけれども、予備費が余ることによって、同時に、イコールのような形で決算剰余金が膨らむということはないということでいいですね、大臣。

鈴木国務大臣 この点につきましては、先ほど、福田先生の最後の御質問で、新川主計局長がお答えしたとおりでございます。

藤岡委員 その中で特例公債の発行額の減額の決め方ということで、比較的、決算剰余金の最終的に幾ら残るのかというところに影響を及ぼしてくると。特例公債の発行額をどう減額をしていくのか、この決め方の詳細について、財務省から改めて御答弁をお願いしたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 特例公債の発行でございますけれども、特例公債は、一般会計の歳出財源の不足を補うために特例的に行うものでございまして、その発行額は、可能な限り必要最小限の金額にとどめる必要があるというふうに考えてございます。

 このため、特例公債法におきまして、第三条ですけれども、歳出不用や税収等の動向を踏まえて特例公債の発行額の調整を行えるよう、特例公債の発行時期を翌年度の六月末までとする出納整理期間発行という制度が設けられてございます。

 また、同じく第四条におきましては、特例公債の発行額の抑制に努める旨の規定が設けられているところでございます。

 先生お尋ねがございました、このやり方でございますけれども、特例公債の発行につきましては、こうした法律上の規定に基づきまして、出納整理期間になります六月発行分の特例公債、これにつきまして、その時点でおおむね確定をしてございます歳出の不用や税外収入の見込み、そして、その時点ではなかなか最終的な金額が確定していない中での税収の動向等を踏まえた上で、歳入欠陥にならないよう留意しつつ、その発行額の調整をするということでございます。

藤岡委員 改めて、今の御答弁を踏まえまして、二点、大事なところを確認させていただきたいと思います。

 まず、大臣に確認させていただきたいと思います。

 今、いわゆる出納整理期間において特例公債の発行額を調整をしていくということになると思います。このときに、当然四月末までの税収は分かっている、ところが五月末の税収はまだ分かっていない、五月末のその含めた税収というのは三月決算の影響を受けるということだと思いますが、この三月決算、これをどう見立てを持つかによって、最終的に特例公債の発行額の減額、これに影響が出てくると思います。

 このいわゆる三月決算の動向を甘く見てしまえば、これは当然、ある意味、恣意的にといいますか、見てしまえば、決算剰余金が膨らんでくるということになるという扱いになると思います。

 私は、ここをあえて甘く見立てを持たれてしまって決算剰余金を膨らませるということになれば、当然これは粉飾決算と言えるようなこととも言えるとも思いますけれども、この甘く見立てを持って決算剰余金を膨らませるということもないということでいいですね、大臣。

鈴木国務大臣 先ほど参考人から答弁をいたしましたけれども、特例公債の発行額の調整、これは、特例公債法の規定に基づき、あくまでその発行額を可能な限り必要最小限の金額にとどめるために、歳入欠陥にならないよう留意しつつ、出納整理期間における歳出不用や税収等の見込みを踏まえて行っているものであります。

 御指摘のような点も含めまして、何らかの理由で、特例公債の発行額の調整額を恣意的に決定して、決算剰余金の金額をコントロールするようなこと、これは考えていないところであります。

藤岡委員 もう一点確認したいと思いますけれども、まさにそういう、恣意的にといいますか、決算剰余金を余らせるということになりましたら、それは特例公債法の四条などの規定に違反する、趣旨に逸脱するということで、大臣、よろしいでしょうか。

鈴木国務大臣 特例公債の発行、これは、一般会計の歳出財源の不足を補うため特例的に行うものでありまして、その発行額を可能な限り必要最小限の金額にとどめる必要があります。

 このため、特例公債法におきましては、歳出不用や税収等の動向を踏まえて特例公債の発行額の調整を行えるよう、特例公債の発行時期を翌年度の六月末までとする出納整理期間発行の制度が生まれているところであります。また、特例公債の発行額の抑制に努める旨の規定が設けられているところです。

 特例公債の発行額の調整は、こうした法律上の規定に基づき、あくまでその発行額を可能な限り必要最小限の金額にとどめるために、出納整理期間における歳出不用や税収等の見込みを踏まえて行っているものですが、仮に特例公債の発行の減額を恣意的に行わない場合には、特例公債の趣旨を逸脱することになる、そのように考えております。

藤岡委員 私も、防衛増税、本当に反対でございますし、ただ、増税を圧縮するためにこういうある意味不透明な、粉飾決算かのような対応というのは、これは絶対あってはいけないというふうに思っております。

 その中で、恣意的、恣意的という話がございましたけれども、恣意的じゃなくても、結果的に、やはり見立てが甘くなりました、したがって、予備費が余って、決算の動向が、甘く見てしまって決算剰余金が増えちゃいましたということも、本当にこれは気をつけて対応していただきたいと思いますけれども、大臣、これはいかがでしょうか。

鈴木国務大臣 規定のとおり、今までどおり、きちっとやってまいりたいと思います。

藤岡委員 続きまして、この決算剰余金の、ちょっと資料をお配りしておりますけれども、三枚目を御覧いただければ幸いでございます。

 この防衛財源の議論をめぐったときに、決算剰余金、過去十年を見てというふうな話の中で、一・四兆円、平均的に出てきますというふうな議論があると思います。私、でも、これは一・四兆と見積もって本当にいいのでしょうかというふうな疑問を持っております。

 といいますのは、資料をお配りしておりますけれども、十年間、まず皆さんにも御覧いただきたいんですけれども、令和二年度のコロナの影響で、恐らくこのときは三月決算の動向が確かに不透明だったかもしれません。この四・五兆余ったときだけが、ある意味異常値なんですよね。ほかをずっと見ていただきたいんですけれども、四・五兆になった年なんてないんですよ。

 先ほど櫻井委員からもありました、デジタル化でと。これからは、ひょっとしたらAIなどの活用などもあるかもしれません。むしろ、決算剰余金というのは当然減っていくような方向で、それぐらい精緻な財政運営というのをやっていかないといけないと思うんです。その中で、異常値の四・五兆円、これは普通除くべきじゃないですか、平均を取るときに。

 しかも、二十年、その前を見たときに、平均すると九千二百九十億円ですよ。一・四兆円じゃありません。しかも、このコロナの、じゃ、百歩譲って十年を見たときに、四・五兆という異常値を除いたら一・一兆円です。一・四兆じゃないんですよ。甘く見ているんですよ、これは。この見積りは私は明らかにおかしいと思いますよ。

 これは大臣、大至急見直しをして、もう一回、再検討するべきじゃないでしょうか、決算剰余金。

鈴木国務大臣 防衛力強化の財源措置としての決算剰余金の活用について申し上げますと、特例公債の発行額の抑制に努めた後の決算剰余金の直近の十年間、平成二十四年度から令和三年度まででありますが、この平均が一・四兆円程度であることを踏まえまして、財政法上、公債又は借入金の償還財源に充てるべき二分の一を除く残りの二分の一、〇・七兆円程度を活用見込額として見込んでいるところでございます。

 決算剰余金の金額の大きさは、その時々の経済情勢等に応じた歳出や税収等の歳入の動向に左右されるものでありますけれども、藤岡先生御指摘の令和二年度の決算剰余金につきましても、特例公債法の規定に基づき、特例公債の発行額の抑制に努めた後の金額であることには変わりがないわけでありまして、これを含めた十年間の実績に基づき、年平均で〇・七兆円程度、五年間合計で三・五兆円程度を活用すると見込むことは、これは一貫した考え方に基づく見通しである、そのように考えております。

藤岡委員 令和二年度、今のは、大臣、さすがに御答弁として私は不十分だと思いますよ。

 だって、大臣も見ていただいていますよね、四・五兆で、これは幾ら何でも、コロナのときの見積りがという。ただ、このときだって、もうちょっと本当は精緻な、今回は、この経験を生かしてこれからまた見積もっていくわけですよね。この四・五兆をどう見ても入れるべきじゃないと思いますよ、私。

 しかも、その前の二十年を取ってみてくださいよ、そうしたら。九千二百億円ですよ。一・四兆じゃないですよ、これは。今の御答弁だと、さすがに、いわゆる役所的には立っていられないと思いますよ。これは見直しをした方がいいですよ、大臣。政治決断で、この場で見直しを表明してください。

鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、令和二年度決算につきましても、特例公債の発行抑制に努めた後の金額であることには変わりはなくて、これを含めた過去十年の実績に基づくこと、これはもう一貫をした考え方に基づく見通しでございまして、それを踏まえて財政措置をしているところでございます。

藤岡委員 大臣、これは異常値と思いませんか、明らかに。だって、二十年を見ていて、実際、二十年ちょっと出していますけれども、これはまたこのように、同じように決算剰余金が出てくるんですかね。実際、防衛財源を確保すると今やっているわけですよね。やっているんですけれども、決算剰余金が想定どおり一・四兆円出てこなかったら、資料をお配りしておりますけれども、十枚目ですね、防衛財源のいつもの定型的な横表を出しておりますけれども、これは三・五程度となっているんですね。普通に見積もると、いかないわけですよ、決算剰余金。

 そうすると、仮に、決算剰余金がここまで出てこなかったら、いわゆる歳出改革の方もこの後また質問させていただきますけれども、通常どおり確保できなかったら、大臣、どうされるんですか。

鈴木国務大臣 私どもとして、歳出改革、それから税外収入、それから今御指摘の決算剰余金、それぞれについて、いろいろな工夫をしまして、ぎりぎりのある意味対応をさせていただいているところでございます。

 政府といたしましては、今回お示しをしておりますこうした数字での財政措置をしっかりやっていくということで、今後の努力というものは常にしっかりやっていかなければならない、そういうふうに思っております。

藤岡委員 大臣、ちょっと、本当に考えませんか、これは冗談抜きに。防衛、やるわけですよね。幾ら何でも決算剰余金、このままだと集まらないケースがありますよね。だから、先ほど私も冒頭に、予備費を余る形でということも、しっかりルールを確認させていただきました。

 もう一回確認しますけれども、四・五兆円、これはどう考えても、このときは異常値じゃありませんか。大臣、異常値と思いませんか、これは普通に見て。

 これをやはり見直して、きちっと決算剰余金がどれぐらいになるのか改めてちゃんと算定し直した方が本当はいいんじゃないでしょうか。そうじゃないと、防衛財源って逆に穴が空くということになりませんか。まして、増税を追加されても国民はとんでもなく困りますから、これはやはり、もう一回ちょっと、大臣、見て、問題だと思いませんか。

鈴木国務大臣 藤岡先生お示しいただきました資料を見ますと、確かに、令和二年度というのは大変大きな数字になっているところでございますが、これはしかし、先ほどの繰り返しになりますけれども、過去十年間の実績に基づくという一貫した考え方の下で、私ども、こうした数字を出させていただいているわけでございまして、これについては、しっかりとした財源が確保できるように、全力に努力をしてまいりたい、そういうふうに思っております。

藤岡委員 この議論の最後にしますけれども、これ、確保できなかったら、本当にどうされます、大臣。努力と言うが、できなかったら、どうされます。

鈴木国務大臣 それは、ほかの分野におきましても様々あるんだと思います。例えば、令和十年度以降のものについては、まだめどが立っていないわけでありますけれども、しかし、努力をして何とか確保していこう、こういうことでございます。

 この部分につきましても、こうした計算の下で出させていただいているわけでございますので、しっかりとした、確保できますように努力していきたいと思っております。

藤岡委員 ちょっと今の議論、どうしても、聞いていても、決算剰余金のこの算定の在り方、少し明らかに、ちょっと納得ができません。

 委員長、改めて、決算剰余金、幾らが見立てがふさわしいのかというのを、やはりちょっと整理して、この財務金融委員会に提出を、ちょっと御検討をお願いしたいと思うんですけれども。

塚田委員長 ただいまの申入れにつきまして、後刻理事会で協議いたします。

藤岡委員 続きまして、井野防衛副大臣に来ていただいておりますけれども、確認させていただきたいと思いますが、四十三兆の防衛費に関しまして、事前に確認をしますと、これは為替の動向だとか物価の動向によってどのぐらい影響を受けるのかというところを私もちょっと聞かせていただいておりました。

 為替レートにつきましては、令和五年度は百三十八円ぐらいか七円ぐらいかで見積もっていらっしゃると。ただ、令和六年度以降は百八円ぐらいで見積もっていらっしゃるというふうにお聞きをしました。物価上昇率については、これは見込んでいないというふうにお聞きをいたしました。

 もし、いわゆる、今、為替もまだまだ円安、高止まりしておりますけれども、円安に更に、百八円より円安になっていたり、また、物価上昇率、三%なりなっていた場合、二%、また、なっていた場合、調達コストが当然上がるということが想定されますけれども、四十三兆円を突破するということが十分あり得ると思うんですけれども。まして、国外の調達は大体一五%ぐらいあるということでございますから、四十三兆円の、そうしたら六兆円ぐらいなのか、相当為替の影響も受けるということになりますけれども。

 この動向によって、四十三兆円、必要な、今まで積み上げたというふうにおっしゃると思うんですけれども、為替の動向、物価の動向で、どのように対応されるんでしょうか。井野防衛副大臣、お願いします。

井野副大臣 今回の防衛力強化の検討に際しては、我々が、厳しい安全保障環境に対峙していく中において、国民の命をどう守り抜くかということの現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行い、必要となる防衛力の内容を積み上げ、四十三兆円という防衛費の規模を導き出しております。

 他方、この四十三兆円という規模については、防衛力の抜本強化が達成でき、防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準としてお示しした金額であり、超過するということは考えてございません。

 仮に、為替や物価上昇の影響を受け、所要経費が上振れした場合には、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底することにより、見積もった経費の範囲内に所要経費を収めるように努力をしてまいるというふうに考えております。

藤岡委員 四十三兆の範囲で対応するということでよろしいんでしょうか。

井野副大臣 四十三兆円という規模でしっかりと防衛力整備していくということでございます。

藤岡委員 財務大臣、よろしいですか。同じ考えですか。

鈴木国務大臣 同じ考えでございます。

 藤岡先生が御指摘のように、物価や為替の変動が生じた場合であっても、防衛省自身による一層の合理化や効率化の徹底によって、防衛力整備の水準である四十三兆円程度を超過させることなく防衛力整備を進めていただけるもの、そういうふうに承知しております。

藤岡委員 ありがとうございます。

 では、防衛副大臣、ここで御退席いただいて結構でございますので、ありがとうございました。

塚田委員長 井野防衛副大臣は御退席いただいて構いません。

藤岡委員 ありがとうございました。

 では、続きまして、税制措置のところを確認させていただきたいと思うんですけれども、税制措置につきまして、複数年かけて段階的に実施するということははっきりうたっていると思うんですね。そうすると、少なくとも令和八年度からは確実に、どんなに遅くても増税ということになってしまうんでしょうか。ここをちょっと確認させてください。大臣、お願いします。

鈴木国務大臣 今回の防衛力強化に係る税制措置につきましては、令和九年度までの過程におきまして、行財政改革を含む財源確保の見通し、景気や賃金の動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえて、閣議決定した枠組みの下でその実施時期を判断していくことになります。

 御指摘のとおり、昨年末に閣議決定した政府の税制改正大綱では、「税制部分については、令和九年度に向けて複数年かけて段階的に実施する」とされておりまして、令和八年度までに税制措置が開始されていると考えられますが、具体的な時期につきましては、今後、改めて与党税制調査会において議論が行われる、そのように承知をしております。

藤岡委員 一点、ここをポイントを絞って確認させていただきたいんですが。私、防衛増税反対です。令和八年度においても、あくまで、増税が開始されていないことも可能性としてあるということでよろしいでしょうか。

鈴木国務大臣 具体的な時期については、今後、改めて与党税制調査会において議論をされ、それを踏まえて、政府としてもそれに対応した対応を取っていくということでございまして、まだ与党におけます税制調査会の議論というのが始まっていないということでございます。

藤岡委員 閣議決定も随分、大臣、軽くなってしまったなというふうに思うんですね。私は増税しないでほしいので、あくまで、そういうふうに、今後なしという形で、もちろん、防衛はしっかりやるべきだというふうにも思っておりますけれども、しっかり対応をしていただきたいなということを思うんですけれども、歳出改革のところを一点だけ、ちょっと時間もあれです、確認させてください。

 この歳出改革なんですけれども、資料の中で、ちょっと細かい資料で恐縮なんですけれども、すごく注書きで分かりづらく書いてある、資料でいうと九枚目なんですけれども、九枚目の「メリハリの効いた予算」の右下のところの考え方で線を引かせていただきましたけれども、要するに、社会保障関係費以外のものについて、消費者物価上昇率の伸びに沿った予算が膨らむことはオーケーですよね、その膨らんだ範囲内であれば、そこは防衛予算を膨らませてもいいですよねという多分これは考え方で、何か、これは歳出改革と言うべきなのかどうか、改革では別にないなというふうに思うんですけれども、膨らんだ分相当は充ててもいいから、それが財源なんですねというところで本年度千五百億を充てていらっしゃると思うんですけれども、要するに、それで実際に歳出改革したと言えるものは六百億円ぐらいだと思うんですね。

 そうすると、今後、また、結局、物価上昇頼みで一兆円のところを確保していくというふうにしか見えないんですけれども、物価上昇頼みと思えるこの考え方を、防衛財源をひねり出しましたというふうな考え方で、来年度以降もこういうふうな考え方でやっていかれるということなんでしょうか。

鈴木国務大臣 令和五年度予算におきましては、経済、物価動向等を踏まえ、従来の歳出改革の取組を継続することによりまして、非社会保障関係費の増加額を全体で一千五百億円程度に抑える中、六百億円程度の歳出を減少させることで、二千百億円の防衛関係費の増額を確保したところでございます。これは、物価上昇により予算の単価の上昇が見込まれる中におきましても、非社会保障関係費の見直しを通じて徹底した歳出改革を行った結果でありまして、御指摘のような物価上昇頼みであるとは考えておりません。

 今後のことでありますが、令和六年度以降も、行政事業レビュー等の活用により、より一層の予算の効率化を図るなど、歳出改革の努力を尽くしていくことが重要であると考えます。例えば、先月末に開催されました行政改革推進会議では、行政事業レビューの抜本的見直しを図ることが決定され、行政事業レビューへのEBPMの手法の本格的導入や予算編成過程での積極的活用、基金事業についての点検強化、こういったことを図ることで、長年続けられてきた事業であっても、時代の変化等により十分な効果が上がっていないものにつきましては廃止や改善等を行うことといたしております。

 このような行財政改革の取組も踏まえ、令和六年度以降の予算編成過程においても、非社会保障関係費全体を見直すことで歳出改革の徹底に努めてまいりたいと考えております。

藤岡委員 大臣、大分長く御答弁いただいたのですが、肝腎なことを答えていただいていないですよ。要するに、物価上昇の伸びの部分は予算は増えていいよというところをまた来年度以降も同じように防衛財源で確保しましたというふうに、同じ考え方でやるんでしょうかというところをお答えいただいていないです。そこを答えてください。済みません。

鈴木国務大臣 同じ考えでやってまいりたいと思います。

藤岡委員 そうすると、やはり、申し訳ないですけれども、物価上昇頼みというところはもう拭えないなということは思います。そして、この歳出改革のところも財源として不安定というか、まだまだ当てがはっきりと分からない。決算剰余金のところもそうだ。ちょっと非常に、今回、もっと詰めなければいけないのではないのかなと思います。

 もうちょっと突っ込んでこれを更に議論したいのですが、時間がちょっと押してきましたので、ちょっとその次の質問に入りますけれども、十一ページ目に、先日、東京新聞の記事で、日銀財務と円急落の関係の指摘、財政審報告、日銀要望で削除と。

 為替のことというのは当然防衛財源にも関わってきますから質問させていただきますけれども、この報道でありましたけれども、いわゆる逆ざやの問題、日銀の財務の逆ざやの問題等の記述、こういう記述は実際あったんでしょうかね。また、修正されたのは事実ということでこれはよろしいですよね。いかがですか、大臣。

鈴木国務大臣 財政審議会におきましては、例年、委員の皆さんの様々な議論を踏まえまして、予算編成等に関する建議を取りまとめていただいております。

 そして、藤岡先生の御指摘の点も含めまして、審議会における検討過程の一つ一つについて建議を受け取る立場の私からコメントすることは自由闊達な議論を妨げるおそれがあることから差し控えたいと思いますが、建議を作成するに当たっての議事録、これは財務省のウェブサイトにおいて公表されているものと承知をいたしております。

藤岡委員 内田副総裁に来ていただいておると思いますけれども、実際、修正がされて、当時は副総裁でなかったかもしれませんが、雨宮理事であったかもしれませんけれども、指摘をして、この記述が事実上削除されている。少なくとも、雨宮前副総裁からの指摘を受けて修正したということは議事録にも載っているわけでございますが、ただ、その指摘をしたことと、実際、雨宮元副総裁は、かつて、中央銀行として財務の健全性を維持することは政策・業務運営や通貨に対する信認を確保する上で大変重要と認識していると答弁されているわけです。その答弁からすると、いや、これは予算の建議だからということで言われた部分もあったのかもしれませんけれども、ちょっと色彩が違うなというふうに思うんです。

 内田副総裁は、二〇一四年の国会で雨宮元副総裁が答弁されたことと今同じ認識ということでよろしいでしょうか。

内田参考人 お答え申し上げます。

 中央銀行には継続的に通貨発行益が発生しますので、やや長い目で見ますと、必ず収益が確保できる仕組みとなっております。また、中央銀行は、当然、自身で支払い手段を提供しているわけですので、債務不履行になることはないということでございます。このため、財務上の制約によりまして金融政策あるいは金融システム安定のための政策遂行能力が損なわれることはないということだと考えております。

 通貨の信認というものは、管理通貨制度の下では、適切な金融政策運営によって物価の安定を図ることを通じて確保されるというふうに考えています。ただ、例えば市場などにおいて、中央銀行の財務のリスクなどに注目をして将来の金融政策の有効性などに疑義を投げかけるような議論も、これはしばしば見られているわけでございまして、このため、今、中央銀行というのは、財務の健全性に留意しつつ適切な金融政策運営に努めて物価の安定を図るというのが多くの中央銀行の考え方でございますし、私どもも同じような考え方に立っています。

 当時、雨宮理事の御発言ですけれども、確かに御指摘のとおり、財務の健全性を維持することは大変重要と述べておられますが、同時に、同じ答弁の後半部分で、一方で、日本銀行のバランスシートのリスクということを理由に物価安定のために必要な施策を行わないということは取り得ない選択であるということも述べておられますし、その上で、二%の物価安定を達成し、これを安定的に維持するため政策運営をしているので、ハイパーインフレのリスクについては心配ないという旨も述べられておられます。

 このように、今申し上げた日本銀行の考え方、すなわち、財務の健全性に留意しながら適切な政策運営に努めて物価安定を図る、そのことによって通貨の信認が確保されるというこの考え方は、雨宮、当時の理事の答弁にも込められているというふうに考えております。

藤岡委員 時間が来ましたので終わりますけれども、マーケットからどう見られるか、日銀の財務の状況は、そこについてももう少し是非留意をしていただきたいなということを申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 私からも、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案について質問させていただきますが、まずその前に、防衛力体制、現状でどうなっているのかということに関連して、先日北朝鮮から発射されたミサイル問題について伺いたいと思います。

 今日、井野防衛副大臣にお越しいただいております。ありがとうございます。

 私も選挙区が北海道でございまして、あのJアラートによって、地下鉄それからJRが一時的に停止をし、そして高速道路も通行止めになり、また子供たちの通学も、登校も一時的に止まったところもあるということで、本当に、北海道においては多くの道民が大変不安な状況そして混乱になったというところでございます。

 この北朝鮮の先日の四月十三日午前中に発射したミサイルもそうですが、これまでの北朝鮮のミサイル発射に関しては、安保理決議に違反することであり、断固として許されない行為であり、私も抗議をしたいというふうに思っておりますが、今回の発射問題におけるJアラートの発出と、もう一つは破壊措置命令について伺いたいと思います。

 まず、マスコミ報道や、我々、党でも防衛省や内閣官房の方からお話を伺っていますけれども、ミサイルが発射され、探知したのが午前七時二十六分、後にレーダーから消失した。これは時間と場所、また高度などを教えていただきたいということと、あと、北海道若しくは北海道周辺に落下すると見られるというふうに防衛省が内閣官房に情報伝達をして、そしてJアラートで情報発信される七時五十五分までの三十分間に、なぜこれに三十分間かかったのかということの理由を防衛省政府参考人に伺いたいと思います。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの十三日の弾道ミサイルに関しましては、探知したもののレーダーからの消失の具体的な時間、場所などにつきましては、我が方がどこまで情報を得られているかといったまさに情報収集能力を明らかにしてしまうことにつながります関係上、これをお答えすることは困難であるということを御理解いただきたいと思います。

 その上で、時系列でございますけれども、弾道ミサイル発射事案に際しましては、内閣官房に対して、防衛省としましては、ミサイル関連情報を入手次第、直ちに伝達してございます。情報伝達の具体的時間につきましては、実際に防衛省が情報を入手した時間と極めて近接したものとなるという性質上、レーダー性能などの推察が可能であるため、先ほど申し上げた理由と同じでございますけれども、これもお答えすることは困難でございます。

 その上で、十三日におきましても、我が国領域に落下する可能性があるものの探知や、これがレーダーから消失してしまったことなどにつきましては、情報を入手次第、直ちに内閣官房に伝達したところでございます。

 内閣官房との間でこのような様々な情報をやり取りしている中で、可能な限り速やかに内閣官房の方からJアラートを送信したと承知しておりますが、結果として、実際に送信されたものは七時五十五分となったものと認識してございます。

道下委員 報道によりますと、韓国政府は、韓国軍はこれをずっとレーダーで追っていたというふうに伺っておりますし、もう既に、日本の防衛省・自衛隊がレーダーから消失したという情報で、何か非常に国民は不安に思っている状況だというふうに思います。

 また、もう一つ、レーダーから消失したけれども、軌道などを計算して出された、生成された情報を基に、北海道若しくは北海道周辺に落下すると見られるというふうに防衛省が出したわけですから、ここは、これまでも記者会見等で政府の、大臣の皆さんがおっしゃったように、これはこういうふうに発出したのは初めてだということは発言されています。

 そうすると、普通に考えられるのは、日本の領土、あと領海も含めてなんですが、そこに落下すると見られるというのであれば、当然、私は政府は破壊措置命令を出したというふうに思うんですけれども、この点について、井野防衛副大臣、お伺いしたいと思います。

井野副大臣 破壊措置命令の有無についてですけれども、弾道ミサイルの発射の兆候などに関する我が国の情報収集や分析能力、自衛隊の具体的な体制の推察につながり得ることから、従来から、こういったことは基本的にお答えしていないというところでございます。

 その上で、自衛隊として、我が国へ弾道ミサイルが実際に飛来するおそれがあると認められる場合に迎撃を含む必要な措置を行うことは当然であり、十三日も必要な態勢を構築していたというところでございます。

道下委員 ちょっともう一回伺いますけれども、必要な態勢の措置を取ったということと破壊措置命令とは同じではないんですか。

井野副大臣 破壊措置命令の有無については、従来からそういった点はお答えしていないということでございます。

 その上で、必要な態勢を取っていたということであるので、その点で御理解いただければと思います。

道下委員 ちょっとそれは、理解できないのは私のみではないというふうに思います。

 本来であれば、これは初めて北海道に、つまり日本の領土に落下するおそれがあるというふうに防衛省は情報発信したわけですよね、内閣官房にも。であれば、そこで破壊措置命令を出すのが、今までの仕組みだとか我々国民に対して説明している中での当然の防衛省の行動ではないでしょうか。

 特に道民、国民もそうなんですけれども、破壊措置命令が出されているということで、安心してくださいねではないんですけれども、それだけの態勢がちゃんとありますよということを国民や道民にしっかりと説明することが、我々国民の安心にもつながることだというふうに思うんですよね。

 なぜ、防衛措置命令を出したかどうかの有無に関しては答弁できないんでしょうか。それがミサイルを発射してきた相手を惑わすことにもなるかもしれませんが、逆に、私は、そうした破壊措置命令の態勢が取られないのではないか、できていないんじゃないかというふうに相手国にも伝わってしまうかもしれませんし、我々国民にはそのように伝わってしまうと思うんです。

 この点について、私はもう一度伺いたいと思います。破壊措置命令は出されたのですか。

井野副大臣 破壊措置命令の有無についてですけれども、こういったことがあったなしやについて、そういうことが、弾道ミサイルの発射の兆候などに関して我が国がどのような情報を収集し分析しているかといった点が明らかになってしまう、はたまた、自衛隊が弾道ミサイル発射に対してどのような備えを行っているかといった点の推察にもつながり得るものというふうに考えておりまして、そういった点から、その有無についてお答えすることが困難ということでございますので、御理解いただければと思います。

道下委員 私は、その途中経過などは詳細に答えられなくてもいいと思います。情報公開されなくてもいいと思います。それは、今おっしゃったように、相手国に我々の防衛体制が詳細に把握されてしまうからという考え方も私は理解いたします。

 ただ、破壊措置命令を出したかどうかだけは、これは何も、相手に防衛省の詳細な体制が分かられてしまう、把握されてしまうということでもないと思いますし、国民に対する情報を公開して、そして、しっかりとした防衛体制があるんだなということを国民に向けて発信する、私は防衛省としての重要な広報の場だというふうに思うんですよ。

 これがなぜできなかったのか。これは本当に行ったり来たりしてしまうので、また改めて伺いたいと思いますが、是非、次回のときには、このような体制、しっかりと、また、万が一、日本の領土内にミサイルが落下するおそれがあるときには、そういった情報を発信するときには、破壊措置命令を出す、出した、出していない、これははっきりと、明快に国民に情報公開をしていただきたいというふうにお願い申し上げます。

 ここで、井野副大臣そして防衛省の政府参考人、御退席いただいて結構でございます。

塚田委員長 井野防衛副大臣、御退席を許可します。防衛省参考人も御退席を許可します。

道下委員 それでは、財源確保法案について伺いたいと思います。

 財務省は、防衛省から今後五年間で四十三兆円もの防衛費予算倍増の必要性についてどのような説明を受けられたのか。先ほども我が党の委員が質問したとおり、財務省は元々三十五兆円、防衛省は四十八兆円だということで、間ではなくて、防衛省の方にちょっとウェートを置いて、結局、四十三兆円となりましたけれども、財務省として十分精査したのか、私は疑問に思っております。

 これまでの財務省の様々な予算折衝等を見て、振り返って考えてみますと、理解、納得した上で今回の財源確保法案を作成したとは本当に思いづらいわけであります。条文の内容も、我が党の委員も以前意見を申し上げましたけれども、余りにも薄過ぎるということがあります。

 その点について、財務大臣に伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 防衛力の抜本強化につきましては、国家安全保障会議四大臣会合や与党ワーキングチームなどでの一年以上にわたる活発な議論の積み重ねを経まして、昨年十二月に、国家安全保障戦略や防衛力整備計画において、今後五年間で必要となる防衛力の内容を議論し、結果として、四十三兆円程度という規模が導き出されました。

 この過程におきまして、財務省といたしましても、防衛省から提示された防衛力整備計画の内容、規模につきまして精査をしており、私自身、四大臣会合にも出席して関係閣僚と議論するとともに、防衛大臣とも直接協議し、納得をした上で、最終的に防衛力整備計画等の閣議決定に至ったものでございます。

 その上で、今般、令和五年度以降における防衛力の抜本的な強化と抜本的に強化された防衛力の安定的な維持に必要な財源を確保するため、財源確保法案を提出したところでございまして、今御審議を賜っているところであります。

道下委員 議論を積み重ねたと言いますけれども、私はつけ焼き刃的なものではないかというふうに思います。

 今回の防衛力強化の目的に継戦能力の確保というのがありますけれども、現状では、弾薬や迎撃ミサイルが不足していたり、装備品の中には三割ほどが可動できていないものがあります。弾薬については、この三十年間で、予算に関しては年二千億円程度で推移してきたということであります。そして、継戦能力については、二か月もたないではないかというふうに専門家がお話をされています。今回、これを五年間で防衛費を倍増して一気に解消しようという思惑が見られる点も、私は非常に問題だと思います。

 専守防衛に徹するために必要不可欠な継戦能力が低下している要因は、安倍政権時から米国製の防衛装備品を爆買いしてきていることでの他の予算を圧迫している点もあると思いますし、また、計画的な予算配分を怠ってきた防衛省側にも問題はあると思います。

 ただ、もう一つは、これまで予算折衝し精査してきた財務省側にも私は問題があるのではないかというふうに考えますが、財務大臣の見解を伺います。

鈴木国務大臣 道下先生御指摘になられましたとおり、弾薬の取得や装備品の維持整備といった、いわゆる継戦能力の確保につきましては、新たな防衛力整備計画においても重視されている分野である、そのように承知をいたしております。

 この継戦能力につきましては、これまで、平成三十年以前の安全保障環境を前提に策定された前の中期防衛力整備計画に基づいて構築されたものであり、当時の対応としては、当時の安全保障環境を踏まえますと、特段の問題があったものとは考えておりません。

 一方で、急速に厳しさを増している現在の安全保障環境を踏まえれば、必ずしも十分と言えなくなったものと考えております。

 新たな防衛力整備計画においては、弾薬の確保や装備品の維持整備に要する経費について、これまでの計画に比べて大幅に増加させております。今後、防衛省において計画的かつ着実に執行をしていただくもの、そのように考えているところであります。

道下委員 私ども立憲民主党は、必要なものの予算の積み上げということは、これは否定しておりません。必要であると考えています。

 ただ一方で、急激な安全保障環境の厳しさが増してきている。これはある意味で、今回、必要な予算ではなくて、私も申し上げたとおり、これからの、安倍政権下から続くアメリカからのFMS、この爆買いの今後の負担、これがどんどん増えていくことだとか、また、先ほどもお話があったとおり、契約しているのにまだ機械が納入されていなかったり、これからますます必要経費ということで値段がつり上げられるということも想定した上で、私は、本来の意味での専守防衛に徹した防衛力強化のための予算の拡充には当たってはいないというふうに思います。

 その後の、例えばミサイルのライフサイクルコストなどについてはちょっと後で質問させていただこうと思いますが、今回、もう一つ私は問題だと思うのは、令和五年度予算から、これまで公共事業費の範囲に含めてこなかった防衛省・自衛隊の施設整備費や艦船建造費といった防衛関係費を公共事業として整理し、建設国債の発行対象経費としたことであります。建設国債によって得た資金を潜水艦の建造費や施設費に充てることは、戦後の財政上、強引な手法と言わざるを得ません。

 この点については、昭和四十年の衆議院予算委員会で、当時の大蔵大臣であった福田赳夫大臣がこの質問に対して、公債を軍事目的に活用するということは絶対にいたしません、公債は、財源として行う事業は、軍事費を除いた公共的投資だけにこれを使う、したがって、軍事目的と公債の発行とは何らの関係のないということをはっきり申し上げますということで、この福田大蔵大臣は元大蔵省の主計局長です。主計局長です。この方がここまで言っているにもかかわらず、今回は、建設国債を防衛関係費に充てるということに大きく大転換するわけでございます。

 これまでの日本政府、財務省、その前の大蔵省が太平洋戦争の教訓と反省に立って維持し、守ってきた基本方針を踏みにじる大転換だと思います。防衛予算と海上保安庁等他省庁の予算を同列に扱うことは、私は無理筋だと思います。

 防衛費の財源に建設国債を対象とすることは、戦時中のような国債増発リスクを伴います。財務省として責任は感じないのでしょうか。財務大臣に伺います。

鈴木国務大臣 道下先生からお話がありましたとおり、令和五年度予算から、防衛省・自衛隊の施設整備や艦船建造に係る経費について建設公債の発行対象として整理することといたしましたが、これは、防衛力の抜本的強化を補完する取組として、防衛省と海上保安庁との連携や公共インフラ等が明確に位置づけられた中で、海上保安庁の船舶や空港、港湾等の公共インフラ整備が建設公債の発行対象であることを踏まえまして、安全保障に係る経費全体での整合性を図るために実施したものでございます。

 また、従来であれば、赤字国債を発行した経費について建設国債に振り替えることとなるものでありまして、防衛関係費の増額の財源や、御指摘もありましたが、国債増発リスクとなるとは考えていないところでございます。

 その上で、建設国債の発行対象となる公共事業費の範囲につきましては、投資的な経費であるか、国民経済の発展に資するか、世代間の負担の公平の観点から相応の耐用年数を有するかといった観点から整理することとしておりまして、今般の見直しは、この解釈を変更するものではなくて、あくまで建設公債の発行対象経費の取扱いを変更するものでございます。

 財務省といたしましては、今般の防衛力の抜本的強化に当たり必要となる財源は、単純に赤字国債で賄うのではなくて、税外収入の確保などあらゆる工夫を行うこととしたところでありまして、財政規律との両立も図りながら、引き続き、責任ある財政運営に努めてまいりたいと考えております。

道下委員 いろいろと説明されましたけれども、今までの大蔵省や財務省は、軍事か非軍事かで、しっかりと、明確に区分けしていたと思います。耐用年数等は、これは今考えたものであると思いますし、そういった問題ではないんですよ。戦争の反省に立った、こうした、やはり戦前や戦中を経験された方々が、我々の議員の先輩方も含めてですけれども、しっかりと、それは譲れないということで、建設国債には防衛予算としては手を出してこなかったんですよ。それを今回このような、私は、建設国債にいろいろな理由をつけて手を出すことは、ある意味で戦後から戦前への大きな分岐だというふうに思います。

 そして、今回、この建設国債について、今日、お忙しいところを植田日銀総裁にもお越しいただきまして、ありがとうございます。この防衛費に充てる建設国債の日銀購入についてちょっと伺いたいと思います。

 先ほども申し上げましたけれども、これまで防衛費予算関連では建設国債は使われてこなかったわけであります。その理由として、またもう一つ挙げますけれども、昭和四十一年に、当時の福田赳夫大蔵大臣は、防衛費は再生産的な要素がない、極端に言うと消耗的な性格を持つ、公共事業費というようなことを考える場合、大体これを除外するのが国際的な通念だと答弁されています。こうしたことが今まで受け継がれてきたんですけれども、今回、防衛費予算関連で建設国債が使われることになります。

 日銀は防衛費に充てられる建設国債を購入しないということは手続的に可能なのかどうか、伺いたいと思います。

植田参考人 お答えいたします。

 国債が発行されるに際して、具体的な資金使途は明示されていないものと理解しております。

 その上で、日本銀行の国債買入れは、国債の資金使途にかかわらず、金融政策運営上の必要から行っております。

道下委員 答弁ありがとうございます。

 御答弁のとおり、できないんですよ。日銀としては、これは防衛費に充てる建設国債だから買いませんということはできないんですよ。

 これによって、先ほど、財政ファイナンスの役割は持たないという思いでの答弁だと思いますが、結局は、今回の政府の方針転換によって、防衛費に充てられる建設国債を日銀が購入する可能性も出てきたわけであります。購入といったって、もちろん直接的ではありませんけれども。

 国債を乱発し、軍事費を膨張させてあの悲惨な太平洋戦争に突き進んだ深い反省から、防衛費に建設国債を充てることは、戦後、禁じ手であったと思います。そうした禁じ手に日銀が加担することになることについて、日銀として正当性や合理性があると思われますでしょうか。見解を伺いたいと思います。

植田参考人 お答えいたします。

 日本銀行による国債買入れは、あくまでも二%の物価安定の目標を実現するという金融政策運営上の必要から実施しているものであります。政府による財政資金の調達支援を目的としたものではありません。

 その上で、財政運営については、政府、国会の責任において行われるものであり、私から具体的にコメントをすることは差し控えたいと思っております。

道下委員 日銀植田総裁としての御答弁はそういう答弁かとは思いますけれども、あの太平洋戦争も、いろいろと、これは違う、これは違うんだということの答弁を繰り返しながら、結局は日銀が政府の戦費調達に使われてしまったという苦い歴史が私はあると思います。

 この点については、金融市場だとか金利の問題だとか、あとは物価上昇だとか、そういった本来の役割もあると思いますが、私は、日銀におかれては、こういう、戦争にくみしない、戦争に突き進まないように、日銀が平和な社会の中で経済活動ができるような役割も担っていると思っています。そういった意味で、今このような、防衛費に充てる建設国債を日銀が購入することは、そういう可能性が出てきたことは非常に残念だというふうに思っています。

 それからもう一つ。お越しいただいて恐縮でございます。ありがとうございます。もう一つは、植田日銀総裁に、国債の六十年償還ルールの見直しについて伺いたいと思います。

 自民党内では、一部では、防衛費の財源に充てる目的で、国債の六十年償還ルールを八十年に延長してはどうかというような意見が出ているというふうに承知しておりますが、有識者からは、日本の財政に対する市場の信認が損なわれかねない、国債の信用力が低下し、金利が上がるおそれがあるなどと、慎重な意見が出されております。

 日銀として、国債の六十年償還ルールが見直された場合の市場や金利に与える影響についてどのように想定されているのか、伺いたいと思います。

植田参考人 お答えします。

 国債償還ルールの取扱いを含めまして、先ほど申し上げたことと重なりますが、財政運営については、政府、国会の責任において行われるものであり、具体的にコメントすることは差し控えたいと思っております。

 その上で、一般論として申し上げますと、市場金利は、国債の需給だけでなく、経済、物価動向や市場センチメント等、様々な要素によって決定されます。したがいまして、仮に償還ルールが見直されるということになったといたしましても、それがどのような影響を及ぼすのかあらかじめ想定することは極めて難しいのではないかなというふうに思っております。

道下委員 私は、日銀の内部では、事務レベルでこれは想定し、様々なシミュレーションはしているんじゃないかなというふうに思ってはいますが、御答弁ありがとうございます。

 では、この件について財務大臣に同じ質問をさせていただきたいと思いますが、この六十年償還ルールを見直すことは考えていらっしゃるんですか。伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 国債の六十年償還ルールにつきましては、国債の償還財源を確実に確保しつつ、償還のための財政負担を平準化するといった観点から定められておりまして、財政健全化の精神を体現するものとして定着をしております。したがいまして、これを見直すことにつきましては、市場の信認への影響に留意する必要があり、財務省として、今時点で具体的な検討を進めているものではありません。

道下委員 その具体的な検討は進めていないという御答弁なんですけれども、何か、具体的ではなくても、もしこうなったらこうなるかなというふうに、事務方レベルでちょっと頭の体操的にはされているんでしょうか。

鈴木国務大臣 与党内で様々な議論がされているということは承知をしております。

 その上で、六十年償還ルールについて言えば、この償還期間の延長ということで見直しをした場合に、六十年償還ルールに基づく定率繰入れを見直した場合、一般会計から国債整理基金特別会計への債務償還費の繰入れが減少する分、一般会計が発行する赤字公債は減りますけれども、同特別会計が発行する借換債がその分、同額増えることから、この見直し自体によって、国全体としての国債発行額は変わることはありません。

 さらに、その分、一般会計において政策的な経費の増加を行えば、政策的経費の追加額と同額の国債を一般会計において発行する必要があり、国全体としての国債発行額は増加することとなります。

 したがいまして、六十年償還ルールを見直したからといって、新たな財源が生み出されるものではない。こういうようなことにつきましては、必要に応じ、様々なところで、与党に対してもでありますが、説明をさせていただいているところであります。

 財務省として、今、こうした変更について具体的な検討、これはしておらないところであります。

道下委員 ありがとうございます。

 ここで、植田日銀総裁、どうもありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

塚田委員長 植田日本銀行総裁、御退室いただいて構いません。

道下委員 それでは、もう時間も最後だと思います。私からは、この財源確保法によって、これまで国債発行抑制に寄与してきた特別会計の剰余金や決算剰余金の一部を防衛力強化資金とすることは、私は、国債発行抑制効果を消失し、間接的に国債発行を増加させることにつながるというふうに考えます。

 内閣府や財務省が想定する成長率の達成は現実味を欠いており、鈴木財務大臣が一月二十三日の財政演説で述べられた二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成は、非常に困難ではないかというふうに考えます。元日銀政策委員会の審議委員であった木内登英氏は、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化目標を修正し、黒字化の時期を先送りするのが妥当ではないかというふうに述べられております。

 財政健全化が更に遠くなるのではないでしょうか。財務大臣に伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 本年一月に内閣府より公表されました中長期試算におきましては、今般の防衛力強化に係る歳出歳入両面の対応、これを織り込んだ上で試算を行ったものでありまして、その結果、力強い成長を実現し、今後も歳出効率化努力を継続した場合には、前回試算時同様、二〇二五年度に国と地方を合わせたプライマリーバランスが黒字化するという姿が示されたところでございます。

 もとより、この目標の達成は容易ではありませんけれども、目標達成に向けて、成長実現ケースで想定しているような力強い経済成長が必要で、そのための投資の抜本的強化、労働移動の円滑化による構造的賃上げや、官民連携による成長分野への大胆な投資拡大等を通じて、成長と分配の好循環を実現し、日本経済を新たな経済成長の軌道に乗せていくとともに、歳出歳入両面での取組を継続していくということ、そして、この目標の実現に向けて努力してまいりたいと思っております。

道下委員 今回質問できなかったことは、また次回に質問させていただきます。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して御質問させていただきます。

 まず、お手元の資料で、政府からの資料、こちらの方の四ページにもあるんですけれども、有名になったこの図を示させていただきます。

 これは、白黒ではございますが、左上、点線になっているところに、防衛力整備の水準四十三・〇兆円、予算総額四十・五兆円、二・五兆円(防衛力整備の水準の達成のための様々な工夫)と書いてあるんですけれども、これは、ちょっと分かりづらいんですが、一体どういう意味でしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お示しいただきましたこの資料に示されました三つの金額でございますけれども、まず、防衛力整備の水準四十三・〇兆円程度につきましては、国家安全保障会議四大臣会合ですとか与党ワーキンググループにおきまして議論の積み重ねを経まして策定されました防衛力整備計画におきまして、今後五年間に必要となる防衛力の内容が積み上げられ、その規模が導き出されたものでございます。

 その下にございます予算総額四十・五兆円でございますけれども、これにつきましては、今申し上げました防衛力整備計画に基づきまして、今後五年間に実施される各年度の予算編成に伴う防衛関係費を示してございます。

 その上で、四十三・〇兆円と四十・五兆円の差額でございます二・五兆円でございますけれども、これにつきましては、自衛隊施設等の整備の更なる加速化を事業の進捗状況等を踏まえながら機動的、弾力的に行うことによります一・六兆円程度。それに加えまして、一般会計の決算剰余金が想定よりも増加した場合に、これを活用することに伴う〇・九兆円程度ということになってございます。

米山委員 今、柔軟に対応するとか、増えたら使うみたいな話をされたんですけれども、要するに、これは、防衛力整備計画で四十三兆円と言われたけれども、いろいろいろいろ頑張って、今、法案も提出されて、でも、やはり四十・五兆円しかできませんでした、残り二・五兆円は全く目算がついていない。だって、決算剰余金って、上振れするかどうかも分からないわけですよ。施設をそんな柔軟にできるかどうかも分からないんだけれども、それは必ずやりますよ、絶対何があってもこの二・五兆円は必ずやりますということを書いているということでよろしいですか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました防衛力整備の水準に係る金額四十三兆円と予算編成に伴う防衛関係費四十・五兆円、この差額でございます二・五兆円程度につきましても、今般の防衛力整備計画に基づきまして、今後五年間で実施をしていくということとしてございます。

 その内訳といたしましては、繰り返しになりますけれども、自衛隊施設等の整備の更なる加速化、事業の進捗状況等を踏まえつつ機動的、弾力的に行うほか、今決算剰余金の御指摘がございましたけれども、一般会計の決算剰余金が想定よりも増加した場合の活用、また、仮に決算剰余金が増加しない場合は、防衛力整備の一層の効率化、合理化の徹底等を通じまして、実質的な財源確保を図ることとしております。

米山委員 これは、同じことをほかの予算でも言ってくれるんですかね。

 今、子育て予算というのが大きく話題になっているんですけれども、例えば、計画して、今後五年間で子育て予算が十兆円必要だ、いろいろ頑張って財源を確保したけれども、八兆円予算を確保したけれども、二兆円足りない、この場合に、財務省は、今後、子育て支援を弾力的、効率的に運用することによって二兆円確保します、さらに、決算剰余金の上振れが出た場合にはそれを使います、そんなふうに言って、必ず十兆円使ってくれるということでよろしいんですか、財務省の方。

井上副大臣 お答えいたします。

 仮定の御質問に対して予断を持ってお答えすることはできませんけれども、国の予算は予算編成過程において様々な事情を勘案しながら検討されるものでありまして、日本が抱えるそれぞれの政策課題についてどのような内容の施策が必要なのか、そのためにどのくらいの予算が必要か、そして、その財源をどのように確保すべきかといったことについては、歳出歳入の両面の改革を進めながら、毎年度の予算編成過程におきまして、具体的な事情を踏まえながら検討していくことになるというふうに思っております。

米山委員 今の御答弁、随分複雑に言われたのですけれども、私なりに要約いたしますと、結局、ほかの予算ではこういうことはなかなかできませんと言っているんだと思うんですよ。そうでしょう。

 だって、予算制約という言葉があるわけですよ。ありとあらゆるものには予算上の制約があるはずなのに、予算を確保できないことは通常できないはずなのに、なぜかこの防衛費だけは、しかも四十三兆円のうち四十・五兆円まで無理くり無理くりつくっているのにもかかわらず、なお足りないものも絶対、予算も確保できないのにするというのは、もはや財務省の存在意義はあるんですかということになってしまうんだと思うんですよ。そんなことをほかの省庁も全部言ったら、もう収拾がつかないですよ。そもそも、予算は要らないじゃないですかという話になっちゃうんだと思うんです。

 ここで、ちょっと方向を変えて、防衛副大臣にお聞きしたいんですけれども、これは、何で絶対に必ず四十三兆円じゃなきゃ駄目なんですかね。蓮舫さんのせりふを使って大変恐縮なんですけれども、四十・五兆円じゃ駄目なんですか。御所見を伺います。

井野副大臣 四十三兆円の根拠ですけれども、我々としては、戦後、厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるかという極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行って、必要となる防衛力の内容を積み上げて四十三兆円という防衛費を導き出したというところでございます。

 具体的には、いろいろな、スタンドオフ能力ですとか、無人アセット防衛能力、また機動展開能力、防衛装備品の防衛生産、技術基盤の強化、はたまた自衛官の処遇といった人的基盤の強化、また基地対策経費、こういった様々な内容を積み上げて四十三兆円という金額を積み上げていったということでございまして、こういった金額が防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準として不可欠であるというふうに認識をしております。

米山委員 今、質問に答えていただいていないんですよね。私、四十三兆円の理由を聞いているんじゃなくて、四十・五兆円じゃ駄目な理由を聞いているんです。

 私、前に、恥ずかしながら、短い期間、知事をしたんですけれども、そのときに、新潟県で、返さなくていい奨学金というのをつくりました。もちろん、自分の理想ではこのぐらいの金額にしたいというのはありましたよ。このぐらいにすればいろいろな方が救われる。要は、現実的に、学費に困っている人全部をカバーするならここだという額はありましたよ。でも、それは予算制約でできないから、でも、もっと縮めてやろうと思ったわけです。でも、縮めたって、少なくともそれが適用される人がいるから、それでも何とかなるな、効果がないわけじゃないなと思って、それをしたわけなんです。

 私が聞いているのは、四十・五兆円じゃ駄目な理由です。だって、それは四十三兆円が絶対必須で、しかも四十・五兆円を確保している、それじゃ駄目だと言うんだから、理由があるわけでしょう。何か、台湾有事があったときに、四十・五兆円だと弾切れになって負けてしまうけれども、残り二・五兆円あれば勝てるとか、そういう理由があるわけですよね。その理由を聞いていますので、もう一度御所見を伺います。

井野副大臣 同じようなことの繰り返しになってしまう部分もあるかもしれませんけれども、極めて現実的なシミュレーションを行った上で必要となる防衛力を積み上げてきたものであり、これが仮に四十・五兆円というふうになると、例えば、先ほどちょっと財務省の方から答弁ありましたとおり、二・五兆円分の防衛力整備の実施が困難となるということであります。

 この二・五兆円のうち一・六兆円は自衛隊施設の整備の更なる加速化のための経費であり、これは五年間の施設の強靱化経費約四兆円の四割に当たります。これがなくなると、多くの施設の保有すべき防護性能を十分付与できないということであったり、隊員の安全確保が困難になるという意味では、継戦能力が十分保てないというおそれもございます。こういった点からも、四十・五兆円では十分でないというふうに思っております。

米山委員 それは先ほど私が出した例と同じで、それは、皆さん全員を救おうと思ったら、例えば、十兆円要る、八兆円では十分でない、救えない人がいる。あらゆる予算で起こることですよ。そのバランスを取っていくべきはずなのに、いや、防衛省だけは、足りないのは絶対駄目なんだとおっしゃられているので、その根拠を伺っているわけです。しかも、具体的なシミュレーションをされたんでしょう。

 何も、本当に細かいことを言わなくていいですよ。具体的なシミュレーションをして、四十・五兆円では駄目で四十三兆円ならいいという、それは何が違ったんですか。そこをちゃんと言ってもらえますか。だって、範囲としては四十三でなければ絶対駄目だと、何かあったわけでしょう。それは、戦争で負けるなり、何か占領されるなり、別に抽象的な言い方でいいですよ、何があったのか言っていただけますか。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 防衛省では、従来より、将来の防衛力の在り方を検討する過程で、自衛隊の能力を評価するためのシミュレーションを行い、防衛力の不足等を検証しているところでございます。

 今般の国家安全保障戦略等の策定に際しましても、相手の能力と新しい戦い方を踏まえまして、想定される各種事態への対応について、能力評価等を通じた分析を行ったところでございます。

 例えば、侵攻部隊によるミサイル攻撃、戦闘機等による航空侵攻、艦艇部隊による海上侵攻といった状況を想定いたしまして、自衛隊がどのように対応するか検証することを通じました、我が国への侵攻に対処するために不十分な自衛隊の機能、能力の評価を行いましたことに加えまして、宇宙、サイバー、電磁波の領域、無人アセットを用いた非対称的な戦い方、ハイブリッド戦のような新たな戦闘様相等を踏まえた将来の防衛力の検討など様々なシミュレーションを行ったところでございまして、こうしたシミュレーションを通じまして、スタンドオフ防衛能力、弾薬等の整備や防衛装備品の可動数向上等の持続性、強靱性を始めといたします防衛力の抜本的強化の七つの重視分野等を導き出してきたものでございます。

 他方、シミュレーションの詳細、今申し述べた以上を申し上げますことは、自衛隊の具体的な防衛能力を明らかにすることになるためお答えできないことを御了解いただきたいと思っております。

米山委員 要するに、ないんですよ、さっきから何度も聞いていますけれども、四十・五兆円では駄目な理由はどこにもないんです。最初に四十三兆円に積み上げたから、こんなに無理くりやって四十・五兆円しか確保できなかったのに、それでも四十三兆円やると言っているだけなんですよ。何も合理的な理由はない。それは本当に予算編成というものの否定ですよ、予算制約というものの否定。防衛省が必要だと言いさえすれば必ずそれは確保されるという、それこそ先ほど道下委員からのお話もありましたけれども、軍国体制そのものじゃないですか。こんな在り方というのはいけないですよ、それは。

 やはり、ちゃんとほかの予算、別に私も防衛力を増加することが悪いと言っているんじゃないですよ、でも、ほかの予算とのバランスがあるんだから、ちゃんとほかの予算とのバランスを考えて、確保できない分は諦める、当たり前でしょう、それが行政ですよ。そういう行政の在り方を全く失っているということに関しては、それは強い異議を申し上げさせていただきたいと思います。

 その上で、また更に細かくお伺いしたいんですけれども、防衛費増、五・二兆円に対して、八・九兆にするということで、三・七兆円ですか、そこの部分のうちの増税で賄う一兆円、これは分かるんです。それは増税するんだから、それはある種真っ当な財源確保ですよね。

 でも、一方、防衛力強化資金に組み入れる税外収入というのは、これは、防衛力強化資金、令和九年度までなわけですよ。令和九年度以降、一体どうするのか。毎回聞かれては、むにゃむにゃむにゃむにゃおっしゃられているんですけれども、これはどうするんですか。目算はついているのか。ちゃんと、もう一度具体的に言っていただけますか。

井上副大臣 お答えいたします。

 抜本的に強化される防衛力を将来にわたって維持強化していくことを安定的に支えるためには、裏づけとなるしっかりとした財源が不可欠であると考えております。

 具体的には、令和九年度以降、毎年度約四兆円の財源が必要だというふうに考えております。その財源確保に当たりましては、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保といったあらゆる工夫を行うこととしております。

 このうち、税外収入に関しましては、特別会計から追加の繰入金等により、現時点で見込める最大限の金額として四・六兆円を確保した上で、防衛力強化資金を通じて、令和九年度までの防衛力の整備計画、安定的に充てる方針としております。

 令和十年度以降につきましても、令和五年度予算において令和九年度までの五年分に充てられる税外収入四・六兆円を確保したことも踏まえまして、防衛力強化資金から年平均〇・九兆円程度の安定財源が確保されるよう、今後も引き続き税外収入の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

米山委員 今御答弁されましたね。今後も引き続き税外収入の確保に努めてまいりたい、努めてまいるわけです。つまり、全くそんなものは分かっていないわけです。だから、令和九年度以降は全く目算がついていないわけです。武器というのは買っちゃったら維持費がかかりますし、予算を減らせないわけですよね。だから、これは全く訳が分からない、令和九年度以降どうなるか知りません、その間、財政が破綻しても構いませんという話だと思うんですけれども、それで国の安全を確保していると言えるんですかね。それは、もちろん、敵国から攻められても国は滅ぶんですけれども、財政が破綻しても国は滅ぶんですよ。こういう非常に無責任なことをやられるということは、この点も指摘させていただきます。

 さらに、決算剰余金についても、また同じことを何度も聞いて恐縮ですけれども、これは、二分の一は公債の償還に、残りの二分の一は補正予算等に使うということになっているわけですよね。これを防衛費に充てるということは、これが使えないということです。公債が返せない。それは当然、公債というのは利払いがあるわけですから、返せないからにはそれは利払いしなきゃいけない。それで、補正予算というのは、これで組めないんだったら、また別途、補正予算を組めなくなるのかということになりますので、この決算剰余金〇・七兆円というのは財源を確保していると言わないと思うんですよ。単に何かほかの財源を削っているだけじゃないですかというか、若しくは国債を出しているだけじゃないかと思うんですけれども。

 これは何度も同じことを聞いて恐縮ですけれども、決算剰余金を使うということは財源を確保していると言えるんですか。御所見を伺います。

井上副大臣 お答えいたします。

 過去において決算剰余金が補正予算の財源として活用された事例は多いのは事実でございますけれども、制度的に決算剰余金を補正予算の財源とすることがあらかじめ求められているものではありません。

 そもそも、補正予算の財源は、補正予算を編成すべき必要性が生じた場合において、その時々の税収見込みや歳出不用の見込み等を踏まえて検討されるものでありまして、今般防衛財源に決算剰余金を活用するからといって、必ずしも補正予算における国債発行額を増加させるものではありません。

 ただし、その上で、あえて申し上げれば、今後の補正予算においてこれまでのように決算剰余金の財源を求めることができなくなるおそれがあることは事実であり、財政運営において厳しさが増している面は否定はできません。

 いずれにせよ、今後、仮に補正予算を編成すべき必要性が生じた場合は、これまでと同様に、その財源についても、時々の経済情勢や財政状況を踏まえて機動的な対応を取ることになるというふうに考えております。

米山委員 そうですよね。今、正直に御答弁いただいてありがとうございます。

 そうです。だから、補正予算を組めなくなるかもしれないんですよ。雪が降っても、地震があっても、もうみんな防衛費に使っちゃいました、決算剰余金はありません、使えません、そうなるんですけれども、自民党さん、それでいいんですかね。そんなに防衛ばかり優先して、災害で国は滅びないんですかね。本当に謎なんですけれども。

 さらに、この財源確保について政府資料をいただいたんですけれども、政府資料の中で、社会保障関係費以外について、これまでの歳出改革の取組を実質的に継続、対前年度比プラス千五百億円程度とする中で、防衛力整備計画対象経費のうち、プラス二千百億円程度に対する財源を確保と書いてあるんです。

 一方、ちゃんとその予算を見ますと、社会保障関係費以外の予算というのは、令和四年度と令和五年度を比較すると、四兆七千四百十七億円ほど増えております。このうちの一兆四千百九十二億円を防衛に充てているわけなんですけれども、これ、普通に予算が増えているので、これは何で行政改革の結果得られた財源だということになるのか、さっぱり分からないんですけれども、これは何でなんですか。

井上副大臣 お答えいたします。

 令和五年度予算におきまして、非社会保障関係費が前年度当初予算と比べまして四・七兆円増額しております。このうち、新たな創設を予定しております防衛力強化資金への繰入分三・四兆円を除けば、防衛関係費は一・四兆円増額となっている、御指摘のとおりだというふうに思います。

 その一・四兆円の増額のうち、一・二兆円については税外収入で確保いたしまして、残りの〇・二兆円については歳出改革により財源を確保しております。

 歳出改革についても具体的に申し上げますと、骨太方針に基づきまして従来の歳出改革の取組を実質的に継続することとし、非社会保障関係費の増額については従来三百三十億円程度、抑えてきたところではございますが、令和五年度の消費者物価上昇率の、過去、平成二十五年から令和三年度の平均の四・五倍になる見込みであることを踏まえまして、全体で一千五百億円程度に抑える中で、防衛関係費以外の非社会保障関係費について一層の効率化を図ることで、防衛関係費の増額のうち、二千百億円程度に対応する財源を確保しております。

米山委員 これ、皆さん、分かりましたか。どこで、何で突然二千百と出てきたのか、まるで分からなかったでしょう。分からないんです。ちゃんと、二千百億円、経費を削りましたと言ってくれるなら分かると思うんですけれども、違うんですよね。物価上昇するから、物価上昇すると、その分として千五百億円程度の増が見込まれます。

 そもそも、普通に考えると、物価上昇なんだから、それぞれの部署で使う、いろいろな、買う鉛筆とかコピーとか、そういうものが一・七%上がるからそのお金に充てるべきだと思うんですけれども、これを充てないわけですよね。千五百億円分、増える分を全部防衛費に突っ込みます、だからこれは行財政改革で得られた財源ですというわけなんですよ。

 しかも、これはまだ千五百億円で、二千百億円じゃないんです。残り六百億円、まだ足りないんです。その六百億円をどうするんですかというと、具体的な話はないですよね。

 だから、単に、これは全然、何か具体的に行財政改革をして二千百億円できたんじゃなくて、これは物価がインフレ率の分だけ、まあそれより大分少ないですけれども、取りあえず許されると思われる千五百億円を全部突っ込み、その上、残り六百億円は全然具体的にはよく分からないけれども、取りあえずそこに入れますみたいな話だと思うんですが、それでいいですよね。

井上副大臣 お答えいたします。

 令和五年度予算の非社会保障関係費につきましては、防衛関係費を除きまして、前年度に比べて全体として六百億円程度の歳出が減少しておりますが、この六百億円という数字は特定の経費を念頭に歳出削減を行ったわけではございません。あくまで骨太方針二〇二二や二一の考え方に基づいて歳出全体を見直した結果確保された金額であります。

 実際に非社会保障関係費の内訳を見ますと、恩給関係費で二百五十二億円減、エネルギー対策費で二百十七億円減となる一方、文教及び科学振興費は二百五十七億円増となるなど様々な増減があるところでありまして、特定の分野の削減を防衛費の増額に充てたということではありません。

米山委員 お答えになっていないんですけれども、何となく予算は六百億円減ったからそれでいいですかという、そういう話ですよね。でも、それも何せ六百億円分でしかなくて、残り千五百億円は別に削減でも何でもなくて、単にインフレの分で増える分を突っ込みましたというだけなんですよ。それは通常、財源を確保したと言わないですよね。

 更に言いますと、今年度はそういう何か訳が分からない理屈で二千億円ほど確保しているということになる、まあ、なるならなるでいいとしましょうか。でも、やはりこのグラフで、これは毎年毎年毎年二千億円ずつやっていくわけですよね。今年二千億円頑張った、来年も二千億円頑張った、三年後も二千億円頑張った、五年間やって一兆円ですという話をするわけなんですけれども、それはどんどんどんどん苦しくなっていきませんか。だってこれは、物価上昇分をそのまま防衛費に突っ込んじゃうわけだから、どんどんどんどん上昇していく分が苦しくなっていくわけですよ。それは、本当に五年後もできるんですか。

 もう全然そんな、要するに、今だって大変であろうことを五年間ずっとし続けるというのは、およそ現実的でないと思うんですよ。

 これは、五年間同じことをし続けられるんですか。御所見を伺います。

鈴木国務大臣 歳出改革につきまして、今後も継続できるのかというお話をいただいたところでございます。

 今般の防衛力強化の財源確保に当たっては、国民の御負担をできるだけ抑制する観点から徹底した歳出改革が必要、そのように考えます。先ほど副大臣から答弁がありましたとおり、令和五年度予算においては、経済、物価動向等を踏まえまして、従来の歳出改革の取組を継続することによって非社会保障関係費の増加額を全体で一千五百億円程度に抑える中で、二千百億円の防衛関係費の増額を確保いたしました。

 今後の経済、物価動向等について予断を持ってお答えすることは困難でありますが、令和六年度以降におきましても、毎年度の予算編成過程において非社会保障関係費全体を見直すことで、しっかりと歳出改革に取り組んでまいります。

米山委員 これは、今言ったとおり来年度以降は分からないわけですよ。これからしっかりやりますと。それはもう、何というか、そもそも予算制度の否定ですよね。今年度の予算を決めるのはいいんですけれども、もうずっと先の予算に至るまで、まるで分からないのに一兆円やりますみたいな話をしちゃっているわけですよ。しかもそれは、本当に何度も申しますけれども、どんどんどんどん苦しくなるわけで、五年間し続けられるなんというのはおよそ現実的でないと思います。

 更に言うなら、これは物価上昇分の予算増を全部防衛費に突っ込むので、それは、どこかの省庁でコピー機が買えなくなるなり、もしかして業者を買いたたくのか、それとも給付を減らすのか、何かのことはどんどん起こっていくわけですよ。

 結局、これは実は、国民の負担はないようにと言っていますけれども、インフレ税そのものといいますか、インフレになっていて税金は増えるんだけれども、それに対してお金を払っていない、正当な給付をしないという状況が起こるわけなんです。

 さらに、この質問、ちょっと時間がないのでまとめて質問させていただくんですけれども、今までずっとお話ししてきたのは、結局、財源を確保されていないじゃないですかなんですよ、どう見たって。しかも、それは、国債の発行であるとか、事実上インフレなのに給付が増えないとかいう形で国民の負担になるんです。

 こういう話をしますと、某政党なぞは、どのみち、ほとんど全ての財源が確保されていないんだから、一兆円の増税も必要ない。増税なしで全部防衛予算を増やすんだというようなことを言われるんですけれども、私はそれは、先ほど来申し上げていますように、安全保障のリスク、軍事的リスクばかりを考えて、財政のリスク、経済のリスク、また災害に対処するリスク、そういったものを全く無視している、本当に、何というか、国の存続というものを極めて偏った一面だけで考えている非常によろしくない在り方だというふうに思います。

 私、防衛費を増やすこと、それ自体に対して、額はともかく、反対するものではありません。必要な部分というのはあると思いますよ。でも、それは、財政制約の中で行うべきことなんですよ。ちゃんとほかの予算とのバランスの上でやるべきことなんです。経済のリスクにも災害のリスクにも備えてやるべきことなんです。それができないなら、確保できないなら、それはできない分は諦めるべきことなんですよ。

 せめてこの中で、四十三兆円のうち四十・五兆円までしか確保できなかったんだから、それで四十・五兆円ですら、今言ったみたいに、無理くりですよ。四十・五兆円で諦めるのが当然です。

 更に言うなら、こんな全く将来の見通しが立たないような法案はもう廃案にすべきだ、こんなものを通してはいかぬと思います。

 財務大臣、御所見を伺います。それは、財務大臣としての職責のありようだと思います。これを認めるなら、財務大臣は要りませんよ。御所見を伺います。

鈴木国務大臣 必要な防衛力の強化は、米山先生も必要だと認める、こういうお話もございました。まさに安全保障環境が厳しさを増す中で、防衛力を抜本的に強化して、さらには将来にわたって維持強化していくことは、我が国にとって極めて喫緊の問題でありまして、後回しできない課題である、そのように私として認識をいたしております。

 そして、この抜本的に強化される防衛力は将来にわたって維持強化していく必要があり、この防衛力を安定的に支えるため、令和九年以降、毎年約四兆円のしっかりとした財源、これが不可欠であると考えます。

 その財源確保に当たりましては、増税のみに頼るのではなくて、国民の負担をできるだけ抑えるという観点から、政府としても、その点、重視をしているわけでありまして、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保などあらゆる工夫を行うことで、結果として必要な財源の約四分の三に当たる三兆円を確保し、国民の負担を圧縮したところであります。

 財務省としては、速やかに防衛力を抜本的に強化する必要があるとの認識の下、国民の負担をできるだけ抑制しつつ、この防衛力を安定的に支えられる財源を確保することが重要であると考えておりまして、引き続き、あらゆる行財政改革、徹底をしてまいりたいと考えております。

米山委員 様々な国のリスクを考えて、バランスを取って予算をつけるべき財務大臣がその職責を放棄された答弁をされた、極めて残念であると申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 本日は、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案について質問させていただきますが、その前に、旧文通費についてお伺いいたします。これは全大臣にお伺いしておりますので、御容赦いただければと思います。

 財務省によれば、日本の現在の国民負担率は四六・八%であり、国民負担に財政赤字を加えた潜在的な国民負担率は五三・九%となる見通しです。つまり、国民は稼いだ収入の半分以上を国に持っていかれているということになっております。

 そのような中、岸田政権の打ち出す政策は、防衛費の財源は増税、少子化対策の財源は保険料値上げが予定されており、全て、財源として国民に更なる負担を求めております。歳出削減や、経済成長による増収をもたらす規制改革など、痛みを伴う改革が全く足りず、財源が必要になったら取りやすいところから取って、自分たちの身や既得権は守るという姿勢は、到底容認できません。

 国民に負担を強いるならば、まずはそれを決める国会議員から始めるべきであり、既に約束している調査研究広報滞在費の改革くらいできなくて、政治家が国民に負担をお願いする資格はありません。昨年の国会中に既に案がまとまりましたが、昨年の国会で結論を得るとの与野党の約束を自民党が一方的にほごにしました。

 岸田政権の中で国民に負担をお願いしている大臣であり、かつ、与党に属する政治家の一人として、この問題を放置したままでいいのか、大臣の見解をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 調査研究広報滞在費につきましては、議員活動の在り方に関わる重要な課題であり、国会において各党各派の間で御議論いただくべき事柄であると考えております。

 先日、四月の六日でありますが、衆議院の本会議におきまして岸田総理から発言がございましたが、それは、日本維新の会と一致、確認した事項も踏まえ、国民の皆様から御理解いただける合意に至るよう、各党各派における協議において是非本格的な議論が進むことを期待している旨が述べられているものと承知をいたしております。私も同様に考えているところであります。

住吉委員 是非、与党に属する政治家の一人として前向きに進めていただけたらと思いますし、我が党は、防衛費を増額すること自体は賛同するところでありますが、安易に国民に負担を求めるやり方については賛同できません。このことを申し上げさせていただきます。

 では、法案について質問させていただきます。

 この法案の趣旨は、令和五年度以降における我が国の防衛力の抜本的な強化及び抜本的に強化された防衛力の安定的な維持に必要な財源を確保するため、所要の措置を講じるというものであり、政府は二〇二二年十二月十六日に、二〇二三年から二〇二七年度までの防衛関連経費の総額を四十三兆円程度とすることを閣議決定いたしました。

 国民の安全、安心を守ることは未来永劫続くわけで、二七年度以降も当然国の責務でございます。岸田総理も首相官邸で記者会見し、防衛力の抜本的強化に関し、安定的な財源で確保すべきだと考えたというふうに述べております。

 しかし、その内容について見ると、決算剰余金の活用や国有財産の売却など、五年間で四十三兆円に達するようにかき集めてきた印象があります。安定的な財源といえば、例えばですが、家計に例えますと、給与や年金といった定期的、長期的な給付をイメージし、資産売却や株式の値上がり益等は安定的な財源とはみなさないのではないでしょうか。

 そこで、お尋ねしますが、ここで言う安定的な財源とはどのようなものでしょうか。安定的な財源の定義についてお伺いいたします。

鈴木国務大臣 安定財源の定義というのは、それはないんだと思いますが、まさに文字どおり安定した財源である、こういうふうに思います。

 その上で、今回の財源確保スキームについて御説明をさせていただきますと、抜本的に強化される防衛力を将来にわたって維持強化していくことを安定的に支えるためには、裏づけとなるしっかりとした財源が不可欠である、そういうふうに考えます。具体的には、令和九年度以降、毎年度約四兆円の財源が必要であると考えております。

 その上で、それぞれの財源について具体的に申し上げますと、まず、歳出改革につきましては、令和五年度予算において、これまでの歳出改革の取組を実質的に継続する中で、二千百億円程度の防衛関係費の増額を確保しました。令和六年度以降も、毎年度の予算編成における歳出改革を継続して、令和九年度時点において、令和四年度と比べて一兆円強の安定財源を確保することといたしております。

 決算剰余金につきましては、直近十年間の平均が一・四兆円程度であることを踏まえ、財政法上、公債又は借入金の償還財源に充てるべき二分の一を除く残りの二分の一の〇・七兆円程度を活用見込額として見込んだものでありまして、過去の実績を踏まえた根拠のある見通しに基づく財源である、そのように考えます。

 また、税外収入につきましては、外国為替資金特別会計からの追加の繰入金等により、現時点で見込める最大限の金額として四・六兆円を確保した上で、防衛力強化資金を通じて、防衛力の整備に計画的、安定的に充てていく方針といたしております。令和十年度以降についても、令和五年度予算において、令和九年度までの五年分に充てられる税外収入四・六兆円を確保したことを踏まえ、防衛力強化資金から年平均〇・九兆円程度の安定財源が確保されるよう、今後も引き続き、更なる税外収入の確保に努めてまいります。

 財務省といたしましては、ただいま説明をさせていただきました財源確保に向けた努力を重ねることを通じまして、抜本的に強化された防衛力を安定的に支えるための財源を確保できるよう努めてまいります。

住吉委員 安定的な財源、定義はないということなんですけれども、国民が聞けば、未来永劫しっかりとした財源を生み出していく、二〇二七年までではなくて、五十年後、百年後、この国を守っていかなければならない、そういった財源を確保するのだという認識があると思います。

 先ほど述べたとおり、政府は、二〇二七年度まで防衛関連経費の総額を四十三兆円程度とすることを閣議決定して、本当にかき集めてきた。安定財源といいながら、その実情は極めて不安定であり、二〇二七年度までに四十三兆円を捻出できない可能性も十分あるように思います。

 財務省の方は、レク等で私が何度質問しても、四十三兆円を確保するよう全力を尽くすと説明されておりますが、我が国の財務状況だけでなく国際経済の影響も強く受ける事項を五年という長期まで保証することは、現実的ではないでしょう。

 また、プロジェクトというものは最悪の事態を想定して進めなければならず、こうします、こうなるはずですという希望だけで進めては、少しの誤算が生じただけで破綻してしまいます。

 そこで、最悪の事態の想定とその対応として、二〇二七年度までに四十三兆円を捻出できない場合にどのように対応するのか、お伺いいたします。

鈴木国務大臣 先ほども答弁をさせていただきましたが、決算剰余金につきましては、直近十年間の平均が一・四兆円程度であることを踏まえまして、財政法上、公債又は借入金の償還財源に充てるべき二分の一を除く残りの二分の一の〇・七兆円程度を防衛財源への活用見込額として見込んでいるところであります。

 決算剰余金の金額の大きさは、その時々の経済情勢等に応じた歳出や税収等の歳入の動向に左右されるものでありまして、必ずしも、毎年〇・七兆円ちょうどの金額を防衛財源に活用することとしているわけではありませんが、過去の実績に基づき、五年間合計で三・五兆円程度を活用すると見込んでいるところであり、一定の根拠に基づくしっかりとした財源であると考えております。

 税外収入につきましては、年度によって変動が生じ得るものであり、単年度で見れば、一定額の財源が確実に見込まれるものではありませんけれども、令和五年度予算において、今後五年間の防衛力強化のための経費に充てられる税外収入四・六兆円を確保したことも踏まえ、年平均〇・九兆円程度の財源を確保できるよう、今後も引き続き、更なる税外収入の確保に最大限努めていくとともに、防衛力強化資金を活用して、防衛力の強化を安定的に支えていきたいと考えております。

 こうした取組により、歳出改革や税制上の対応と併せて、令和九年度までに必要な金額を確実に確保してまいりたい、そのように考えております。

住吉委員 私は、不測の事態のときに足りなかった場合どのように対応するのかという質問をさせていただいたんですが、いろいろ御説明ございましたが、大臣、ほとんどの項目において、確実に見込まれるものではないもののとか、そういった枕言葉を言っていたように思います。

 決算剰余金においても、先ほど他の委員からも、非常にぶれの大きいもの、そういう御指摘もございました。私は、四十三兆円捻出できない場合にどう対応するのかという質問の趣旨、確実にちゃんと確保していくという答弁として受け止めますけれども、果たしてこれができるのかなと疑問に思っております。

 次に、この中身、歳出改革についてお尋ねしたいと思います。

 歳出改革、先ほどもありましたが、先ほど来から質問されておりますが、普通、歳出改革というと、ある事業を止めて費用を削減するとか、いろいろなものを節約して前年度よりこれだけコストを減らしましたというイメージをします。

 しかし、いろいろ確認させていただきますと、ここで言う歳出改革とは、これまで社会保障費以外の経費は年三百三十億円増に抑える基準を設けていたわけですが、政府は、予算案を決める前日に閣議了解した経済見通しで、二三年度の消費者物価上昇率を一・七%とした。一三年から二一年度の平均が〇・三八%として、その四・五倍になります。これだけ物価が上がるなら、三百三十億円としてきた目安は、四・五倍の千五百億円程度になる。この千五百億円を計算上全て防衛費に回す。このほか、公務員の高齢化による恩給費の減少など六百億円の圧縮を見込み、トータルで二千百億円の歳出削減を達成するというものです。

 この説明を聞いて、納得する国民がいるでしょうか。民間企業では、インフレ率が上昇したら、先ほど述べたように、コストダウンを図り、利益で吸収し、どうしても賄い切れない部分を最小限の値上げという形を取るのが当たり前であり、インフレ率が四・五倍だから四・五倍にしましたなどとやっていたら、倒産してしまうでしょう。この財務省の説明は計算上数字を合わせたとしか見えず、本気の歳出改革をしているか疑問でございます。

 今の政府の事業について、必要な事業か精査し、不要なものは廃止するなど、切り込んでいくべきではないでしょうか。果たしてこれが歳出改革と言えるものなのでしょうか。また、どのように歳出改革を行ったのか国民に分かりやすく示すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 令和五年度の予算におきまして、防衛関係費につきましては対前年度比で二千百億円程度増額する一方で、その他の非社会保障関係費については、一層の効率化により六百億円程度の歳出を削減させて、全体としては一千五百億円程度の伸びとしております。住吉先生からも御質問の中で触れられたところであります。

 その上で、この六百億円という数字についてでありますが、これは特定の経費を念頭に歳出削減を行ったわけではなくて、あくまで、骨太方針二〇二二や二〇二一の考え方に基づき歳出全体を見直した結果として、非社会保障関係費において確保された金額であります。

 実際、非社会保障関係費の内訳を見てみますと、様々な増減があるところでありますが、主要経費別で見たときに減少額の大きい経費を挙げれば、恩給関係費で二百五十二億円の減、エネルギー対策費で二百十七億円の減などが挙げられます。このほかのプラスになっている部分もありますが、全体として六百億円の削減を実現することができたということでございます。今後とも、無駄を排除するなど、歳出改革の徹底に取り組んでまいります。

    〔委員長退席、宗清委員長代理着席〕

住吉委員 本気の歳出改革をしているのか、我が党としても甚だ疑問でございます。

 大臣所信を改めて読ませていただきますと、二〇二五年PB黒字化、これを歳入歳出改革を行うことによって目指すと大臣所信にも書かれておりました。この歳入歳出改革を行うことによって黒字化するということは、これは並大抵の努力じゃないと思いますけれども、それは目指すと大臣はおっしゃっておりますのに、歳出改革は本当に計算上の増減、物価の上昇が全て政府支出に反映されているかどうかも不明なところではございますし、実際に本気の歳出改革をしているのかというのは、本当に疑問なところでございます。

 PB黒字化、これは旗印を降ろしていないという認識でよろしいですか、大臣。

    〔宗清委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木国務大臣 財政健全化の当面の目標として、PBの黒字化、二〇二五年度実現ということは、これは変わりありません。

住吉委員 ごめんなさい、最後聞こえなかったんですが、これは変えていないということですね。それであれば、歳出改革で財源というのはもっと生み出せるのではないかと思っています。

 私も兵庫県選出の議員でございます。阪神大震災で非常に傷んだ兵庫県の財政の中で、これは震災関連県債とかで大臣ともいろいろ議論したので、兵庫県の財政状況というのは多少知っていると思います。非常に厳しい中で、知事や副知事、また新入職員の給与もカットして、また議員の給与もカットしてきた。それぐらい覚悟を示して、歳出改革、財政健全化に向けてきたところでございます。

 出てきた政府の案を見ると、そのときの兵庫県の覚悟に比べると全く足りていないのではないかと考えております。このことはしっかりと我々としても指摘していきたいと思います。計算上の増減だけで歳出改革ではなくて、しっかりと本気で取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、決算剰余金についてもお伺いしたいと思います。

 釈迦に説法だと思いますが、決算剰余金とは、予算措置したものの、その年度の期間中に使われず、翌年度にも繰り越されなかった余ったお金であり、財政法は決算剰余金の二分の一以上を国債の返済財源に充てると規定しております。近年は、剰余金の半分を返済に充て、残りの半分は経済対策の裏づけとなる補正予算の財源にしていることが多い状況でございます。

 今回の法案でこのような剰余金も防衛費に充てることとしましたが、これに対して、専門家の意見は、決算剰余金も財源に充てることとした、近年では、決算剰余金を年度途中で編成する補正予算の財源に使っている、それを使おうというわけだから、もはや決算剰余金を当てにした補正予算は組めない、それならいっそ、補正予算の濫用はこれを機にやめるべきだであったり、こうした剰余金なり売却益があるなら、本来は、予算編成において、一般財源としての税外収入として取り扱われる、今後これらを特定財源的に防衛費に充てることにするなら、その分だけ、ほかの経費に充てられるべき一般財源が減ることになる、結果として赤字国債の増発に結びつく、また、毎年度の決算剰余金は、翌年度以降の一般財源になるべきもので、これを防衛費の新たな財源だというのは詭弁にすぎない、こういった批判がございます。

 このような批判を踏まえて、決算剰余金を財源と見込むことについての政府の見解をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 まず、予備費につきましては、新型コロナや物価高騰といった直面する危機に対して臨機応変かつ機動的な対応を行うため、適切に予算計上してきたところです。したがって、防衛財源を確保するために予備費計上額を意図的に膨らませているわけではありません。

 その上で申し上げますと、予備費を含めた歳出に不用が生じることが見込まれる場合には、税収等の動向を見極めながら、特例公債法の規定に基づきまして、特例公債の発行額の抑制に努めることとしており、予備費の規模やその不使用による歳出不用の増加と決算剰余金の金額が対応するわけではございません。

 今までも国会で答弁をしておりますけれども、特に、コロナ、物価予備費やウクライナ情勢経済緊急対応予備費を含めた予備費については、不使用額が確定しながら特例公債の発行をいたずらに行うこと、これは不適当であると考えており、その不使用額が増えたからといって、決算剰余金の増加につながるものではありません。

 その上で、防衛力強化の財源措置としての決算剰余金の活用について申し上げますと、先ほど来申し上げておりますのでここは割愛させていただきますけれども、十年間の平均が一・四兆円であって、その二分の一の〇・七兆円を活用額として見込んでいるものでございまして、特例公債の発行額の抑制に努めないことを前提に、防衛力強化の財源として考えているわけではございません。

 いろいろな方々の御発言の御紹介がございましたけれども、決算剰余金を防衛財源とすることが予備費計上額を意図的に膨らませるインセンティブにはならない、なっているとは考えておらないところであります。

住吉委員 予備費について言及していただきました。

 ずっと我々、昨今、ずさんな予算編成、本予算で締めて、補正予算でかなり巨額な補正予算を組んでいる。さらには、その補正予算の中身というのは、巨額の予備費であったり基金である。そういったところについては、我が党としても、それはおかしいんじゃないかと、これまで指摘したとおりでございます。

 この予備費を巨額に積み上げていくことによって、決算剰余金、これを確保していく、そういうインセンティブにも、ある意味、モラルハザードにもつながるのではないか。それは、そういうことは起こらないと今御答弁いただきましたが、しっかりと、予算の透明性や規律、これを守っていただきたいと思います。

 次に、本法案には、独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構の積立金の不用見込みの国庫返納が〇・一兆円程度、さらには、独立行政法人中小企業基盤整備機構の新型コロナウイルス感染症基金の不用見込みの国庫返納が〇・二兆円程度、また、緊急小口資金等の特例貸付けに係る貸付原資の不用見込みの国庫返納が〇・一兆円程度、これが内容に盛り込まれております。この積立金は、事業に必要であったり、次期計画に繰り越すために積み立てられたものであり、国庫に返納したら事業継続に支障が出るのではないかと思います。

 特に、これらはいざというときのために存在するわけで、今回のようなパンデミックが再び起きたときに、予算がなかったから準備できなかったので対応できません、それでは済まされず、そうした事態に陥らないように、ふだんから十分な予算配分をして体制を整えておくべきだと考えますが、この国庫返納についての政府の見解、それぞれお伺いいたします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の国立病院機構、地域医療機能推進機構、この国庫返納につきましては、政府の方針といたしまして、税外収入を最大限確保することとする政府の方針に基づきまして、それぞれの法人が持っております個別法の規定にあります、中期計画の期間満了時に、次期計画中に必要な施設整備等の財源に充てるために繰越しが認められた額を除き国庫に返納することとされている、こういった規定を踏まえて、新型コロナ対策の予算等によって積み上がっております積立金のうち約〇・一兆円について、この中期計画の期間の満了を待つことなく、特例的に、前倒しで国庫返納に御協力をいただいたものでございます。

 令和三年度の両機構の財務状況でございますが、今般の積立金の返納、これを勘案したとしましても、令和元年度と比較して改善傾向が認められておりまして、運営に直ちに支障があるというふうには考えておりません。

 しかしながら、厚生労働省といたしましては、この両機構が果たす役割、これをしっかり果たしていただくためにも、今後の経営状況などについては注視をしてまいりたいというふうに考えております。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症基金ということでございますが、これは、新型コロナにより業況が悪化した中小企業に対する融資のうち、当初三年間分を実質無利子化するために造成した基金でございます。この実質無利子融資につきましては、民間金融機関は令和三年三月末に、政府系金融機関については令和四年九月末に申請受付を終了してございます。

 一定期間は支払いが引き続き実施されるものの、申請受付を終了したことで、基金からの支出が見込まれる最大額の算定が可能となったということでございますので、対象となる融資の貸付状況等を踏まえて、令和五年度の国庫への返納予定額を二千三百五十億円と算出しているものでございまして、御指摘のような支障は生じないと考えてございます。

 いずれにしましても、中小企業の資金繰りにつきましては、日本公庫による低利融資を継続するとともに、民間ゼロゼロ融資の返済本格化に向けて、コロナの借換え保証の運用を開始するなど、引き続き万全を期してまいりたいと思っております。

本多政府参考人 緊急小口資金等の特例貸付けについてお答え申し上げます。

 この緊急小口資金等の特例貸付けは、コロナの影響による収入減少に対応するものでございまして、令和二年三月から実施をして、その後、経済活動の回復状況などを踏まえて、令和四年九月末で申請受付を終了しております。当該貸付けを実施する都道府県社会福祉協議会に対して貸付原資及び貸付事務費を概算で交付してきておりまして、実際に使用された実績との差額について、令和五年度中に返還を求めることとしております。

 特例貸付け自体は、申し上げましたとおり既に終了しておりますので、貸付事業への支障は生じないと考えております。

住吉委員 ちょっと質問も途中で時間が来てしまいました。あしたまた質疑させていただきますので、続きの質問は明日させていただきます。

 これで終わります。ありがとうございました。

塚田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十七分開議

塚田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岬麻紀君。

岬委員 日本維新の会、岬麻紀でございます。本日も皆様、お疲れさまでございます。

 本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。持ち時間三十分でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速でございますが、防衛費の財源確保について御質問させていただきます。

 私ども日本維新の会は、安全保障環境の変化を踏まえまして、日本の国土や国民の生命や財産を守るという観点から、防衛費の増額に関しては理解をしており、賛成の立場でございます。

 その財源をどのように安定して確保していくかが問題です。その財源として増税は納得できません。令和九年度以降に毎年一兆円程度の増税が必要となる可能性があるとの政府の説明には疑問を持っております。なぜ、あらゆる方法の中から、増税という国民に負担を課す手段を最初から示す必要があるのでしょうか。まずそこから教えてください。

鈴木国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境は大変厳しさが増しておりまして、防衛力を整備をするということ、抜本的に強化をすること、これは喫緊の課題である、そういうふうに思っております。

 抜本的に強化される防衛力、これは将来にわたって維持強化されていかなければならず、これを安定的に支えるため、令和九年度以降、裏づけとなる毎年度約四兆円のしっかりとした財源が不可欠であります。

 その財源確保に当たりましては、決して増税ありきではなくて、総理の指示に基づき、国民の負担をできるだけ抑えるべく、あらゆる工夫を検討した結果、徹底した歳出改革に加えて、特別会計からの一時的な受入れや国有財産の売却などにより、必要な財源の四分の三を確保したところでございます。

 具体的に申し上げますと、歳出改革につきましては、今後も取組を継続して、令和九年度時点において一兆円強の財源を確保することとしており、税外収入については、追加財源の精査を行い、特会からの追加の繰入金や国有財産の売却による臨時の収入等により、現時点で見込める最大限の金額として四・六兆円を確保し、決算剰余金については、直近の十年間の平均が一・四兆円程度であることを踏まえ、財政法上の公債等の償還財源に充てるべき二分の一を除く〇・七兆円程度の活用を見込んでおり、現時点において活用可能な財源、これを最大限確保したものと考えております。

 その上で、それでも足りない約四分の一について、令和九年度に向けて、今を生きる我々の責任として、税制措置での御協力を国民の皆様にお願いしたいと考えております。

 その際、国民の皆さんの負担感をできるだけ抑える観点から、個人、法人への影響に最大限配慮する仕組みとすることにしているところでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 いろいろと詳しく御説明はいただきましたけれども、一月三十日の予算委員会におきまして、岸田総理は、財源確保に当たっては、国民の負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革など、行政改革、最大限に行っていくとしていらっしゃいます。それでも足りない部分約四分の一について、税制措置をお願いする、こうした基本的な考え方である。また、四月六日の本会議においては、決して増税等ありきではないと発言をしていらっしゃいます。それでも、最初から一兆円の増税ありきで議論しているようにしか思えないわけです。それは私だけでしょうか。皆さんいかがでしょう。

 増税ありきでないと言うならば、なぜ必要とされる四兆円の全てを行財政改革で努力をして生み出さないのか、また、なぜ三兆円という線引きをしているのか、いま一度教えてください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力を抜本的に強化し、これを安定的に維持をしていくための財源確保に当たりましては、国民の皆様に御負担をお願いする以上、徹底した行財政改革の努力を行うこと、これは不可欠であるというふうに考えてございます。

 その中で、歳出の改革について申し上げれば、政府といたしましては、令和五年度予算におきまして、これまでの歳出改革の取組を継続する中で、非社会保障関係費の増加額を全体で千五百億円程度に抑える中で、防衛関係費以外の非社会保障関係経費につきまして、一層の効率化により六百億円程度の歳出を減少させ、結果として、防衛関係費の増額のうち二千百億円程度を、この増額を確保したところでございます。

 この六百億円という数字ですけれども、非社会保障関係費の内訳を見ますと、もちろん様々な増減はあるわけですけれども、主要経費別で見たときには、減少額の大きい経費を挙げますれば、恩給関係費で二百五十二億円の減、エネルギー対策費で二百十七億円の減といったところが挙げられるところでございます。

 今後とも、国民の皆様の御理解が得られますよう、行政事業レビュー等の活用によりまして予算の効率化を図るなど、徹底した行財政改革の努力を尽くしていくということは重要であるというふうに考えてございます。

岬委員 ありがとうございます。

 細かいことというよりは、私ども日本維新の会は、昨年の十二月十六日に、いち早く増税方針の撤回を求める緊急声明を発出しています。増税方針の撤回を求めてきたわけです。

 政府も、今すぐにでもこの増税方針を撤回して、行財政改革を通じた徹底的な歳出削減等を行い、そうすることによって、財源確保のためにいま一度最大限の努力をしていくと宣言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

井上副大臣 お答えいたします。

 先ほど政府参考人から答弁をさせていただきましたとおり、防衛力を抜本的に強化し、これを安定的に維持していくための財源確保に当たりましては、国民の皆様方の御負担をお願いする以上、徹底した行財政改革の努力を行うことが必要だというふうに感じております。

 他方、その時々の社会経済状況を踏まえつつ、必要のある公的サービスを提供することは、国民生活を守る政府が担うべき重要な責任だと感じております。

 歳出改革につきましては、政府の果たすべき役割をきちんと確保しながら進めていくこととしており、令和九年度時点におきまして、対令和四年度比一兆円強を確保したところでございます。

 また、税制措置につきましては、法人税について、控除額五百万円、所得二千五百万円程度を設け、全法人の九四%は対象外にしており、所得税につきましては、現下、家計の負担増にならないよう、復興特別所得税の税率を引き下げるとともに、課税期間を延長することなど、法人、個人への影響に最大限配慮する仕組みとしたところでありまして、実施時期につきましても、令和九年度までの過程におきまして、こうした行財政改革を含めた財源調達の見直し、景気や賃上げの動向及びそれに対する政府の対応も踏まえ、閣議決定した政府の税制改正大綱の枠組みの下で判断していきたいというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、一兆円強のものを何らかの増税でという考えは変わらないのかなというふうに感じました。

 そこで、どうしても国民に負担を強いるのであれば、まず、それを決める私ども国会議員が自ら襟を正すことが求められます。政治家が自ら身を切る改革ができずして歳出削減できるのでしょうかと私どもは疑問に思います。

 自分たちの身を守ること、また、既得権を切り込まずに先に国民の暮らしに痛みを伴う増税ということで課していくというのは、順番が逆だと思うのですが、大臣、そうは思われませんでしょうか、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 今般の防衛力強化の財源確保に当たっては、その約四分の一については、税制措置での御協力をお願いをしたいと考えておりますが、その際には、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保といった行財政改革の努力を最大限行うこととしております。

 その上で、岬先生から、身を切る改革ということで、国民にお願いをする以上、議員歳費や議員定数の在り方などについてしっかりと対応すべきではないか、そういう御指摘であったと思います。

 まさに、議員歳費や議員定数の在り方、これは政治活動の根幹に関わることでありまして、国会において各党各会派の間で御議論をいただくべき事柄である、そのように考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 では、午前中の質疑におきまして、私ども日本維新の会の住吉議員も発言をしておりますが、いまだに解決をしていない、現在の名称は調査研究広報滞在費という、旧文書通信交通滞在費、いわゆる文通費の改革についてはどうでしょうか。

 四月六日の本会議において、私どもの日本維新の会、井上英孝議員が総理に、使途の公開、また残金の返還について改めて求めております。総理からは、国民の皆様から御理解いただける合意に至るよう、各党各会派における協議において、是非、本格的な議論が進むことを期待しているという答弁にとどまっています。

 やろうとすれば、決断さえしていただければすぐにできることをなぜやらないのでしょうか。先送りにして、私たち政治家の身を守りつつ、国民には負担を求めるというのは容認できません。国民の理解を得ることができないとも考えられます。

 政治家も痛みを分かち合おうという姿勢は、私には見えてはきませんけれども、大臣は国民にこれで理解がされるとお考えでしょうか。鈴木大臣から文通費の改革を進めるように総理に提言はしていらっしゃいますでしょうか。また、後押しはしていただけないのでしょうか。鈴木大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 調査研究広報滞在費につきましても、先ほどの議員歳費でありますとか議員定数と同様に、まさに議員活動の在り方に関わる重要な課題である、そういうふうに理解をしております。

 したがいまして、国会において各党各会派の間で御議論をいただくべき事項である、そのように考えます。

 その上で、先日、四月の六日でありますが、衆議院の本会議におきまして、総理からは、日本維新の会と一致、確認した事柄も踏まえ、国民の皆様から御理解いただける合意に至るよう、各党各会派における協議において、是非、本格的な議論が進むことを期待している旨の発言があったものと承知をしております。私としても、同様の認識を持っているところでございます。

 このことについて総理と何か話をしたということは実際ないわけでありますが、総理もこうしたことを発言されておりまして、私も同様に認識をしているということでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 同意見であるならば、是非とも推し進めていただきますように重ねてお願いを申し上げます。

 それでは、次にですけれども、租税特別措置の是非、また、租税特別措置の見直しについてお聞きしてまいります。

 防衛費の財源確保のために、税制措置については本法案には含まれておりませんが、政府の令和五年度税制改正大綱、こちらによれば、令和九年度に向けて複数年かけまして段階的に実施することとしており、令和九年度において一兆円強を確保するとして、法人税、所得税及びたばこ税について新たな措置を講ずるとされております。

 二月十日、私も、当委員会におきまして、租税特別措置の数、また、減収額について質問をいたしました。その際、再三にわたって政府は、国民の負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革など行財政改革の努力を最大限に行うと言われていました。

 合計三百六十六項目、約六・七兆円にも及ぶ租税特別措置を見直すことは、行財政改革の最大の努力の中にそもそも入っているんでしょうか。いかがでしょうか。

井上副大臣 お答えいたします。

 その前に、前の答弁の中で、所得二千四百万円程度を二千五百万円程度というふうにお答えしておりまして、それを修正させていただきたいと思います。それと、財源調達の見通しを見直しというふうに答弁させていただきましたのを、見通しで修正させていただきたいと思います。

 それでは、お答えいたします。

 租税特別措置は、基本的に、特定の者の税負担を軽減することにより特定の政策目的の実現を目指すものであります。したがいまして、特定の政策目的の実現のために有効な政策方法となり得る一方で、税負担のゆがみを生じさせる面があることから、真に必要なものに限定していくことが重要だと考えております。

 岬委員から、二月の十日、財務金融委員会で御質問をいただいた時点では、まだ予算が決定しておりませんでした。今般の予算成立後、令和五年度税制改正におきまして見直しの対象となった二十七法人税関係の租税特別措置のうち、二十三について廃止又は縮減を含む見直しを行いました。

 今後とも、委員の御指摘をいただきましたことを踏まえまして、租税特別措置に関しましては、必要性や政策効果をよく見極めた上で、引き続き、継続ありきではないという姿勢でしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

岬委員 ありがとうございます。

 また、今回検討されております法人税の増税につきましては、五百万円の税額控除を設けることで全法人の九四%を対象外とするとしていらっしゃいます。そうしますと、この六%の対象となる企業、約十六万社に上りますが、これは全ての上場企業と多くの中堅企業が含まれています。この十六万社のうち、どれくらいの企業が租税特別措置の適用を受けているのでしょうか。きちんとした数字は出てこないにしても、何%であるとか、どの程度の割合なのかという程度は分かるかと思いますが、教えていただけますでしょうか。

井上副大臣 お答えいたします。

 法人税の付加税の対象となる法人のうち、どの程度の法人が何らかの租税特別措置を受けているかというお尋ねにつきましては、個別の法人に関して、その税制額や各種の租税特別措置の適用状況につき、適用実態調査等においては把握することができないため、お答えすることは困難であります。

岬委員 ありがとうございます。

 そうしますと、四月の六日の本会議の総理の答弁におきまして、九四%の法人にとって負担増とならないよう、十分な配慮をすることとしているとございました。その残りの六%の企業、先ほど申し上げた十六万社ということですが、この企業には負担をしてもらっても致し方ないということなんでしょうか。裏を返せば、租税特別措置で法人税を減免しているから増税を求めているとも取れるわけなんですが、この辺りはいかがでしょうか。

鈴木国務大臣 今回、法人税をお願いをするわけでございまして、先ほどお話ございますとおり、所得として二千四百万円で線を引きまして、それ以下の企業に対しては対象にしないということですが、残りの六%の企業について、何か、租税特別措置をしているから、したがって、法人税の付加分を負担してほしい、そういうような、租税特別措置との連携で考えているわけではございません。

岬委員 さらに、以前質疑をしておりますが、租税特別措置、効果検証も必要であるというお話をいたしました。

 これは、効果検証がされないまま温存されているものも多くあり、どんな企業がこの租税特別措置を使っているのか、さらに、どのような効果が出たのか、透明性ある検証が十分ではない等の問題が指摘されています。精査はする必要があるのではないかと考えています。

 次に、三月の二十七日ですが、参議院の予算委員会におきまして、岸田総理が、租税特別措置は税負担のゆがみを生じさせる面があるということから、真に必要なものに限定する必要があると考える、先ほど副大臣もこのことをおっしゃっていました。このため、毎年度の税制改正プロセスにおいて、租税透明化法に基づく適用実態調査であるとか総務省の政策評価等も踏まえた上で総合的な検討を行っている、今後とも、租税特別措置について、必要性や政策効果を見極め、不断の見直しを行っていきたいと御答弁をされています。

 そこで質問ですが、この真に必要なものとは一体どんなものなんでしょうか、また、適用実態調査ですとか総務省の政策評価において、真に必要であるかどうかが実際に見極めることができるのでしょうか、教えてください。

井上副大臣 租税特別措置、今御質問いただいたことが大半でございますが、それぞれ特別措置は、特定の政策の目的を実現するために有効な手段の方法となり得る一方で、税制のゆがみを生じさせる、先ほど答弁をさせていただきましたが。

 したがいまして、そもそも政策目的に照らした必要性があると言えるか、又は、税収に見合うだけの有効性があると言えるのかの観点を勘案してもなお特定の政策目的を実現するために有効な政策手段であると言える場合には、政策目的の達成手段の一つとして必要性が認められるものと考えております。

 そのため、毎年度の税制改正プロセスにおいて、税制の改正の延長を要望する場合には、まずは要望省庁において、租特透明化法に基づく適用実態調査の調査結果やアンケート調査等も踏まえて、その必要性や政策効果について適切に評価するなど、しっかりと説明責任を果たしていただくこととしております。さらに、総務省の政策評価の点検結果も踏まえた上で、その必要性や政策効果について総合的に検討を行っております。

 今後とも、租税特別措置の適用実態調査といったツール等を活用するとともに、各省庁においてしっかりと政策効果の検証に努めるように求めつつ、引き続き不断の見直しを行っていきたいというふうに考えております。

 以上です。

岬委員 ありがとうございます。

 二月十日の私の効果検証に対する質問に対しても、井上副大臣が御答弁いただきました。そのときに、各省庁が自分で行っていることを自分で評価しているのにすぎないのではないかと思うんですけれども、この各省庁の評価について、財務省がヒアリング等を行い、チェックをしているとのことですが、財務省で十分な効果検証が実際にできるのでしょうか。透明性を高めるためにも、例えば法人税を専門としている税理士さんであるとか、有識者、学者等の外部の目を入れて、客観的な効果検証をすべきと考えますが、こちらはいかがでしょうか。

井上副大臣 お答えいたします。

 租特透明性の報告書につきましては、委員も御指摘のとおり、一定の限界があるのも認識しております。

 一方で、租税特別措置については、この報告書の活用に加え、要望省庁において適切な実態把握を行い、必要性や政策効果について適切に評価するとともに、総務省の政策評価点検結果も踏まえた上で、総合的に検討を行っております。

 今回も、二十七、二十三で見直しを行わさせていただきましたし、適時適切に対応していきたいというふうに思っております。

岬委員 ありがとうございます。

 是非、効果検証しまして、効果が見込めない措置については、速やかに見直しを行っていただく、また、廃止の措置、また軽減をしていただくということをお願いいたします。法人税の増税をする前に租税特別措置に切り込みを、財源を生み出していくということをお願いしたいと存じます。

 それでは、最後に、どうしても、どうしてもの場合の増税の実施時期についても言及していきたいと存じます。

 さきにも申し上げました、昨年の十二月、日本維新の会から緊急声明にて、電気代の高騰等が続く中での法人税増税となれば、政府の目指す賃上げに水を差す又は経済成長にも悪影響を与えかねません。景気や賃上げの動向を踏まえてと総理からも賃上げに対しての言及がございました。

 そうであるならば、増税の実施時期、柔軟に判断をしていく、又は、検討期間中に租税特別措置をいま一度見直しをして、精査をしていただいて、法人税の増税などを行わないようにしていくべきだと考えます。鈴木大臣、最後に明確に御答弁をお願いいたします。

鈴木国務大臣 まず、増税をお願いをしているということでございますが、その実施時期につきましては、令和九年度に向けて複数年度にわたってその税制をお願いしたい。令和九年に向けて、そういうようなことで、これが今年度の税制改正大綱に書いてありまして、それを閣議決定しているところでございます。

 そして、先ほどの御質問は、租特の見直しを法人税増税の前にすべきではないか、こういうことでございますが、租税特別措置につきましては、先ほど副大臣からも答弁がありましたとおり、特定の政策目的を実現するために有効な政策手段となり得る一方で、税負担のゆがみを生じさせる面があることから、真に必要なものに限定をしていくということが重要であると考えてございます。

 こうした観点から、令和五年度税制改正においては、見直しの対象となった二十七の法人税関係の租税特別措置のうち、二十三について廃止又は縮減を含む見直しを行っております。

 法人税増税を緩和すべく租税特別措置の見直しを行うべきではないかという御指摘をいただきましたが、引き続き、租税特別措置につきましては、その必要性や政策効果、これをよく見極めた上で不断の見直しを行ってまいりたいと思っております。

 その上で、税制で国民の皆さんにお願いをする時期につきましては、冒頭述べたとおりでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 やはり、徹底的に行財政改革を引き続き行っていただいて、その一兆円の部分も増税をしなくて済むような状況をつくっていただくのが望ましいかと思います。

 また、いかなる政策においても、このような財源確保のためには、やはり、まず政治家自身が議員定数の削減であるとか議員報酬の削減を通じて身を切る覚悟を示すことがとても重要なことではないでしょうか。そして、政治と行政の共同による行財政改革を徹底的に行っていただきまして歳出削減をすること、さらには、税収の増加につながるような経済成長の具体策、そして中長期の道筋を示していただくことも大切だと考えています。それでもどうしても足りない部分、新たな創意工夫という部分も是非これからお願いしたく存じます。万策尽きた最後の最後に限って国民の負担をお願いして、また、国民に了承を得るのが筋であるのではないでしょうか。そのことを切に訴えまして、お願い申し上げます。

 そろそろ本日の質問時間が終了でございますので、本日は、私の質問、以上で終了とさせていただきます。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太です。

 貴重な質疑の機会をいただき、ありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、Jアラートについて質問いたします。

 政府は、先週木曜午前八時頃、Jアラートを発出して、北海道周辺に落下する可能性があるとして避難を呼びかけました。しかし、その後、落下の可能性はなくなったと訂正しておりますが、当初、北海道の陸地に、つまり北海道の町に落下するおそれもあると推定していたとの報道もありますけれども、これは事実なんでしょうか。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 十三日の弾道ミサイル発射においては、自動警戒管制システム、ジャッジが、その時点で得られていた探知情報を基に、我が国領域に落下する可能性があるものの航跡を生成しました。これを受け、防衛省として、国民の皆様の安全を最優先する観点から、内閣官房に当該情報を伝達しました。その結果、七時五十五分に、ミサイルが八時頃北海道周辺に落下する可能性がある旨のJアラートが発出されたものと承知しております。

藤巻委員 北海道周辺というところで、北海道の当然町中というのも含まれると思うんですけれども、同じ我が国の領域内でも、海に落ちるのと町に落ちるのとは全く意味合いが違うと思うんですけれども、先ほど道下委員のお話にもあったんですけれども、仮に北海道の町に落ちるかもしれないという時点で破壊措置命令を出さずして、いつ出すのかなと。

 北海道の町にミサイルが落ちるかもしれないとなったときに、破壊措置命令を出さないというような選択肢はあり得るのでしょうか。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 我が国に飛来する弾道ミサイルに対しましては、地上の複数の警戒管制レーダーで探知、追尾を行いますが、迎撃のためにはより精度の高い位置情報などが必要であり、イージス艦やPAC3といった迎撃アセットが自らの火器管制レーダーで取得した情報を用いて迎撃を行うことになります。

 十三日の発射に関しましては、レーダーから消失するまでの限られた探知情報に基づき、システムが我が国領域に落下する可能性があるものの航跡を生成したため、その予測飛翔経路の監視等に全力を挙げました。また、自衛隊としましては、我が国への弾道ミサイルが実際に飛来するおそれが認められる場合に、迎撃を含む必要な措置を行うことは当然であり、十三日も必要な態勢を構築していたところでございます。

 御指摘の破壊措置命令に関しましては、その命令が出ている、出ていないに関しましては、自衛隊の構えが事前に知らされてしまうということでございますので、そこのコメントに関してはできない旨御理解いただきたいと思います。

藤巻委員 Jアラートを発出してから、北海道周辺に落下する可能性は否定されたんですけれども、否定するまで、これはどのぐらいの時間があって、どういうような経緯があったのかをちょっと教えていただければと思います。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたけれども、十三日の弾道ミサイル発射においては、自動警戒管制システム、ジャッジが、その時点で得られていた探知情報を基に、我が国領域に落下する可能性があるものの航跡を生成しました。一方、この際に得られていた探知情報は限られたものであり、その後、監視等を継続した結果、我が国領域に飛来するものは探知されなかったところであります。その上で、再度探知を行う可能性なども含め、自衛隊の複数のレーダーで探知、追尾した情報などを基に総合的かつ慎重に確認し、防衛省として、我が国領域への落下の可能性はなくなったことを確認したところです。

 他方、国民の皆様にできる限り早く安心していただく観点も重要であることから、このとき探知したミサイルについて、我が国領域への落下の可能性がなくなったことが確認された時点で、内閣官房へ直ちにその旨の情報伝達を実施いたしました。また防衛省からも、その旨について速やかに発表を行ったところでございます。先ほど申し上げたとおり、送信が行われたのは七時五十五分であり、その後三十三分を要して今の経緯に至ったということでございます。

藤巻委員 分かりました。ありがとうございます。

 Jアラートの運用は技術的に非常に高いレベルで行われており、関係各位には敬意を表するところではありますが、それでも、国民の間でちょっと信頼性はどうなっているのかという部分はあると思います。私自身、運用が始まった当初、Jアラートも、それから緊急地震速報もそうなんですけれども、発出されるたびに物すごい緊張感を感じていたんですけれども、今はそこまでではないというのが実際のところで、もちろん、慣れてしまってはいけないというのは十分に分かっているんですけれども、それでも、Jアラートにしても緊急地震速報にしても、慣れてしまっているという気持ちは、正直、完全には否定できないところであります。オオカミが来た、そんな状態にはなっていないのでしょうか。そこの部分についてはどのような見解をお持ちでしょうか。

塚田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

 防衛省小杉大臣官房審議官。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 今回、国民の皆様の安全を最優先する観点から、内閣官房に、北海道及びその周辺に落下する可能性のあるものについて伝達し、その結果、Jアラートが発出されたものと承知しています。ミサイルによる落下物等の危険性を速やかに国民に知らせるというJアラートの役割に鑑みれば、こうした対応に問題があったとは考えてございません。

 他方、国民の皆様にできる限り早く安心していただく観点も重要です。このため、今回探知したミサイルにつきましては、我が国領域への落下の可能性がなくなったことが確認された時点で、内閣官房へ直ちにその旨の情報伝達を実施いたしました。また、防衛省からもその旨について速やかに発表を行ったところでございます。

 いずれにしましても、国民の皆様への迅速かつ正確な情報提供に取り組むことは当然でございますので、適切な情報発信の在り方につきまして、政府全体で不断に取り組んでまいりたいと思います。

藤巻委員 Jアラートに代わるほかの手段というか、これは技術的な話だとは思うんですけれども、もっとほかにいい方法というのは技術的にはあり得るのでしょうか。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 十三日に発射されたミサイルに関して探知されたものについては、飛翔中にレーダーから消失しており、それまでに得られた探知情報は限られたものでございました。一方、国民の皆様の安全を最優先する観点から、内閣官房にこの情報を伝達し、その結果、Jアラートが発出されたものと承知しております。

 防衛省としては、引き続き、国民の皆様の安全を最優先するとの立場に立って、こうした情報伝達を迅速かつ確実に行ってまいります。

 その上で、我が国自身の探知、追尾能力を向上させ、正確な情報を取得していくことも重要でございます。このため、三文書の下でも、次期警戒管制レーダーの換装、装備等に取り組むこととしており、こうした取組を通じ、統合防空ミサイル防衛能力の向上を図り、ミサイルの探知、追尾を万全に行える体制を確保してまいります。

藤巻委員 ありがとうございます。あらゆる方法を模索していっていただければと思っております。

 続きまして、六日の午後四時頃、宮古島周辺で陸上自衛隊のヘリコプターがレーダーから消失しました。その夜には陸上幕僚長が航空事故と断定しているんですけれども、発生当時の状況がいまだによく分からないにもかかわらず、発生後数時間で事故だと断定できるものなのでしょうか。

 今の時点では何が起きたのか分からないというのが本当のところだと思うんですけれども、航空事故と断定するその根拠を教えていただければと思います。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 防衛省におきましては、航空機の墜落、衝突、火災その他の原因に起因する航空機の損壊などを航空事故と定義してございます。

 今回の事案におきましては、対象機の燃料の持続可能な時間に加え、現場海域で発見された機材らしきものの状況から、この航空事故の定義に当たる航空機の損壊などが発生した可能性が高いと総合的に判断いたしまして、当日の十九時四十六分、航空事故の概定を行ったということでございます。

藤巻委員 可能性が高いというのは分かるんですけれども、私が見た報道ベースだと、断定しているというような報道がありました。別に私は、きっとこういうことが起きたと言いたいわけではなくて、今の段階で断定するべきではない、断定するのはおかしいのかなというふうに思っておりまして、あらゆる可能性を排除せずに、正確に原因を分析していただければと思っております。

 この件について、今現在、どこまで状況は分かっているのでしょうか。発生経緯について教えていただければと思います。

木村大臣政務官 今月六日十五時五十六分頃、陸上自衛隊第八師団第八飛行隊所属のUH60JA一機が、宮古島周辺空域において、坂本第八師団長ほか九名による航空偵察のため飛行中のところ、レーダーから航跡消失しました。

 本件事故に関し、これまで自衛隊として、海上保安庁とも連携し、懸命の捜索活動を継続してきました。そうした中、一昨日、十六日の水中捜索により、要救助者五名と損壊したヘリコプターの一部を発見し、これまでに、このうち四名を引き揚げ、亡くなっていたことを確認しております。事故発生当初より、昼夜を問わず懸命な捜索活動を行ってきたものの、このような報に接し、とても残念でなりません。

 防衛省・自衛隊としては、搭乗していた十名の隊員全員が一日も早く御家族の元に帰ることができるよう、海上保安庁と連携し、発見された五名全員の引揚げ、そして、いまだ行方不明のままの五名の捜索に全力を尽くしてまいります。

 また、事故原因の早期究明に向け、自衛隊と海上保安庁に加えて、今後は民間力の活用も視野に入れながら、持てる力を尽くして機体の引揚げや現場周辺の捜索を進めていく考えでございます。

藤巻委員 ありがとうございます。

 今回のような海難事故が起きた際は、どのような流れで救助がなされるのでしょうか。海上保安庁との連携、自衛隊との相互連携というのは十分にできているのでしょうか。あるいは、捜索のための装備それから技術、これは世界最高水準のものを用意できているのでしょうか。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の事項について、現場周辺海域の水中捜索、現在、潜水艦救難艦や掃海艇、掃海艦などの海自艦艇の各種センサー、具体的には主にソーナーを用いて実施しているところでございます。

 まず、捜索海域は水深百メートル以上でございまして、太陽光が届かない場所であることから、広範囲を捜索する場合、現在の技術は、音響での測位捜索を行うソーナーによるほかないものと考えられます。

 その上で、最先端の技術を使った捜索方法としては、例えば、ソーナーを搭載した水中無人機を活用することが考えられます。しかしながら、その場合、広範囲の捜索には多数の水中無人機が必要となりますが、仮に水中無人機の数を確保できたとしても、現在の技術レベルでは水中のリアルタイム通信が困難であり、無人機から撮影データを回収の上で確認作業せざるを得ないなど、既存の艦艇による捜索に比べ大きなタイムラグが生じ得ることなどから、こうした手法は技術的にも現実的ではなく、これまでの捜索活動の手法は適切であると考えております。

 その上で、今般、海底で機体の一部が発見されたことなども踏まえ、今後は、その引揚げなどについて、民間企業等が有する知見や技術力の活用も視野に入れてまいります。

 海上保安庁との連携についてでございますが、海上保安庁とは緊密な情報共有、連携を行っており、事故発生当初から海保巡視船、航空機による捜索が開始され、これまでに救命いかだ等を含む複数の機体の関連部品等を回収していただき、本日からは、海保測量船による海底の捜索も開始されたところでございます。

 このように、自衛隊としては、海上保安庁と連携し、発見された五名全員の引揚げ、そして行方不明のままの五名の捜索に全力を尽くしてまいります。

藤巻委員 亡くなられた隊員四名の方の御冥福を心からお祈りするとともに、残る隊員六名の無事を心から願っております。

 続いて、財政問題についてお伺いいたします。

 現在の累積赤字の対GDP比の数字を、日本、アメリカ、イギリス、イタリア、ギリシャについて教えていただければと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 IMFが本年四月、今月ですけれども、に公表いたしました最新の世界経済見通しによりますれば、令和三年、二〇二一年におけます一般政府の債務残高対GDP比でございますが、日本が二五五・四%、アメリカが一二六・四%、イギリスが一〇八・一%、イタリアが一四九・八%、そしてギリシャが二〇〇・七%となってございます。

藤巻委員 二〇〇九年に財政破綻危機からギリシャ危機と言われて世界中に大きな影響を及ぼしたギリシャよりも五〇%ほど悪い数字でございます。

 二五五%、現在、ここまで悪い数字というのは世界にほかにありますでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今私が御答弁申し上げたIMFのデータによれば、IMFが追っております百七十二か国の中で日本は最下位というふうになってございます。

藤巻委員 百七十二でしたっけ、中で一番悪いというような今の日本の財政状況なんですけれども、その事実、大臣は率直にどう捉えておられますでしょうか。

鈴木国務大臣 日本の財政状況、先ほど政府参考人から答弁を申し上げたところでありますが、債務残高対GDP比が世界最悪の水準にあり、さらに、足下、これまでの新型コロナへの対応あるいは累次の補正予算の編成などによりまして、より一層厳しさを増している状況であると認識をいたしております。

 このように、債務残高の規模が著しく増加することは、利払い費の増加による財政の硬直化や、国債や通貨の信認の低下を招くおそれがあり、望ましくないものであります。財政の持続可能性を確保するためにも、累積する債務残高を中長期的に減少させていくことが重要であり、国、地方のプライマリーバランスを二〇二五年度に黒字化すること、これにより債務残高対GDP比を安定的に引き下げること、これを政府の方針としているところでございます。

 この方針の下、政府として、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信頼が失われることのないように、経済再生と財政健全化の両立を図ることで、責任ある経済財政運営に努めていかなければならないというのが私の見解でございます。

藤巻委員 先ほども言ったように、世界百七十二か国の中で最も財政状況が悪いというのはかなりとんでもない事態だとは思うんですけれども、この四十年間で税収はどれだけ伸びて、歳出はどうなったんでしょうか。

井上副大臣 お答えいたします。

 委員から、一九八一年から二〇二一年までの二十年間をという御指摘がございましたので、そこで比べさせていただきます。

 我が国の一般会計税収は、決算額で見ますと、一九八一年度、約二十九兆円でございましたけれども、二〇二一年度は六十七兆円と、過去四十年間で三十八・一兆円増加いたしました。

 他方で、一般会計歳出は、同じく決算額で見ますと、一九八一年度は四十六・九兆円でしたが、二〇二一年度は、新型コロナへの対応等もありましたけれども、百四十四・六兆円と、過去四十年間で九十七・七兆円増加いたしております。

藤巻委員 二十年じゃなくて四十年だと思うんですけれども。税収が三十八しか増えていないのにもかかわらず、歳出は百兆円増えているということで、累積赤字が増え続けるのは当然かなとも思うんです。

 二〇一〇年のトロント・サミットでは、先進国は二〇一三年までに財政赤字を半減させ、二〇一六年までに公的債務のGDP比率を安定化させることが目標とされました。しかし、そのとき、日本にはその目標は全然無理だよねというところで、二〇一五年までにプライマリーバランスの赤字幅を半減させて、二〇二〇年までに黒字化させるという目標設定で各国から了承をいただきました。この黒字化というのは、財政赤字の話じゃなくて、プライマリーバランスの話です。あくまで、国債費を除いたプライマリーバランスの話でございます。このトロント・サミットで、日本はほかの先進各国とはレベルの違う甘々の目標設定を認めてもらったわけです。

 にもかかわらず、いわば国際公約であるその甘々な目標も、二〇一七年のG20財務相・中央銀行総裁会議で、全然無理でしたと取り下げているわけです。

 政府は、二〇二〇年に達成できなかったプライマリーバランスの黒字化を二〇二五年度には今度こそ達成すると言っているわけですけれども、では、この五年間のプライマリーバランスの推移を教えてください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 本年一月二十四日の経済財政諮問会議におきまして報告された中長期試算によりますれば、過去五年間の国、地方の基礎的財政収支、プライマリーバランスでございます、の値は、いずれも対GDP比で、二〇一八年度がマイナス一・九%、二〇一九年度がマイナス二・六%と悪化をいたしまして、二〇二〇年度はマイナス九・一%と更に悪化、二〇二一年度につきましてはマイナス五・五%と少し改善をいたしまして、二〇二二年度につきましてはマイナス八・八%と再び悪化をした、こういう状況でございます。

藤巻委員 マイナス二・六ということは、十兆とかそれぐらいですかね。マイナス十兆から、五倍でマイナス五十兆とか四十兆とか三十兆とか、そういうような推移をしていると思うんですけれども、過去五年間こういう推移をしていて、四、五年前、コロナの影響がなかった四、五年前ですら、十兆円程度の赤字だったわけです。

 私は、通常あり得ないような経済成長を実現しないと、プライマリーバランスの黒字化、これは達成不可能であるように思うんですけれども、大臣は、近年のプライマリーバランスの推移を踏まえても、黒字化できると言えるのでしょうか。今度こそ目標を取り下げずに達成できるのでしょうか。改めて、この場で、二〇二五年度にプライマリーバランスを黒字化できると明言できますでしょうか。

鈴木国務大臣 今年一月に経済財政諮問会議におきまして報告をされました中長期試算では、成長実現ケースで示されたような力強い経済成長が実現し、今後も歳出効率化努力を継続した場合には、二〇二五年度に国と地方合わせてプライマリーバランスが黒字化するという姿が示されたところでございます。

 この目標の達成、これは非常に、ある意味厳しいものでありますが、そのためにも、成長実現ケースで想定しているような高い経済成長、これが必要である、そういうふうに思います。

 そのため、人への投資の抜本強化と労働移動の円滑化による構造的賃上げや、官民連携による成長分野への大胆な投資拡大等を通じて、成長と分配の好循環を実現し、日本経済を新たな経済成長の軌道に乗せていくとともに、一方、歳出歳入両面での取組を続けることが大切であります。率直に言って、厳しい道のりではありますけれども、目標の実現に向けて努力をしてまいります。

藤巻委員 大臣も先ほどからおっしゃられているように、非常に困難な目標というか、かなり、実現見通しの可能性というのはなかなか低いのかなというのが、私も思いますし、大臣も多分、胸のうちではそういうふうに思っているのかもしれないですけれども、そういった非常に厳しい目標というか、実現可能性が低い目標を掲げるのもちょっとどうなのかなというところはあるんですけれども。

 近年は、日銀のYCC、イールドカーブコントロール、これによって長期金利より経済成長率が高い状態が続いてきたんですけれども、仮に日銀がYCCを解除して長期金利が経済成長率を上回ってしまうと、プライマリーバランスの黒字化を達成しても、財政赤字の増大は続いてしまうわけです。逆に言うと、政府としては、財政問題を考えたときに、日銀にYCCをやめられては困るというようなことも言えると思うんですけれども、そこに関する大臣の御見解をお聞かせください。

鈴木国務大臣 我が国では、近年、歴史的な低金利の継続がありまして、国債発行残高が累増する中にあっても利払い費が増えないという状況が続いてまいりました。

 しかし、一方では、金利上昇による利払い費の急増リスクが大きくなっているとも言える、そういうふうに認識をいたしております。

 また、イールドカーブコントロールを含め、日本銀行の金融政策については、これは日銀に委ねられるべきものと考えておりますが、その上で申し上げますと、現在の金融緩和は、経済を下支えし、賃金上昇を伴う形で持続的、安定的な物価目標の実現を目指すものであると承知をしており、政府としては、こうした金融緩和が今後も永続的に続くとの前提に立った財政運営を行うことは適切ではない、そのように考えております。

 将来について確たることを申し上げることは困難ですが、政府としては、まずはプライマリーバランスを黒字化するべく、引き続き、歳出歳入両面の改革、これに着実に取り組んでまいりたい、そのように思っております。

藤巻委員 最後になりますけれども、財政問題にせよ、防衛増税の件にせよ、私は、安易な増税ではなくて、経済成長による税収増と、それから行財政改革による歳出削減の追求、これこそが政府の責務であるというふうに考えておりますが、大臣のそれに対するお考えをお聞かせください。

鈴木国務大臣 政府におきましては、従来より、経済あっての財政という方針に沿って、経済再生と財政健全化の両立を図ることが重要であると考えております。

 このため、骨太方針に基づき、プライマリーバランスの黒字化などの目標を掲げ、財政健全化に向けて取り組んでいるところですが、こうした目標達成の前提として、単に増税ありきではなく、潜在成長率を引き上げて、歳出効率化努力も継続すること、これが重要であると考えております。

 具体的には、人への投資と構造的賃上げ、官民連携による成長分野への大胆な投資拡大などを通じて、成長と分配の好循環を実現をして、日本経済を新たな経済成長の軌道に乗せていくとともに、歳出歳入両面の改革を継続していくことで、現在の目標の実現に向けて努力していくこと、これが必要である、そのように思っているところでございます。

藤巻委員 本日はありがとうございました。私の質問を終わらせていただきます。

塚田委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原誠司でございます。

 防衛力の財源確保法の質疑の前に、植田新総裁にお越しをいただいておりますので、金融政策について質問させていただきたいと思います。

 議院運営委員会の意見聴取のときにお尋ねしたことの確認に一つなるわけでございますけれども、平成二十五年一月二十二日に発表されました政府と日本銀行の共同声明について、新総裁として、見直しや新たな共同声明の発出は必要ないというお考えに変わりはありませんか。その点について御答弁ください。

植田参考人 お答えします。

 議員の御指摘にありました共同声明でございますが、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のために、政府と日本銀行がそれぞれ役割をしっかりと果たしながら、連携してマクロ経済政策の運営に当たることを目指したものでございます。

 その下で、日本銀行は、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現すること、そして政府は、機動的なマクロ経済政策運営に努め、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組を具体化し、これを強力に推進するとともに、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進することとされております。

 二〇一三年以降、政府と日本銀行は、共同声明に沿って必要な政策を実施してきたところでございます。その下で、我が国の経済、物価は着実に改善し、デフレではない状態を実現しました。そういう意味で、共同声明の考え方は適切であり、直ちに見直す必要はないというふうに考えております。

 この点、先日、就任に当たって総理に御挨拶に伺った際にも、そうした認識で一致したところでございます。

前原委員 この共同声明に基づいてそれぞれが役割を果たすと、今、植田総裁はおっしゃったわけでございますけれども、私は日銀は責任を果たしてきたと思います。むしろ、責任を果たしてこなかったのは政府の方ではないかと考えております。

 共同声明にはこう書かれているんですね。政府は、我が国経済の再生のため、機動的なマクロ経済政策運営に努めるとともに、革新的研究開発への集中投資、イノベーション基盤の強化、大胆な規制・制度改革、税制の活用など思い切った政策を総動員し、経済構造の変革を図る、こう書かれているわけです。

 じゃ、この十年間、革新的な研究開発への集中投資、イノベーション基盤の強化、大胆な規制・制度改革は行われてきたと、今、総裁は考えられますか。

植田参考人 政府の施策について事細かにコメントするのは差し控えたいと思いますが、例えば、構造改革の面では、働き方改革などによりまして女性や高齢者の労働参加が進み、生産年齢人口が減少する中でも雇用の大幅な増加が実現するなど、経済の成長力の強化に寄与してきたというふうに考えてございます。

前原委員 私は、それぞれが役割を果たすということで、新総裁には是非お願いしておきたいのは、余り甘い評価をしない方がいいと思いますよ。やはりしっかり政府に対して厳しい態度で臨まないと、政府に対して遠慮をするということであれば、私は、新総裁の船出というものは非常に危ういものになると。この十年間、総裁は日銀の運営に関わってこられなかったわけですから、客観的に判断する立場にあると私は思いますし、我々もそれを期待して同意人事には賛成しているわけです。したがって、余り甘い判断を私はすべきではないと思うんですね。

 全て駄目だったかというふうに言うつもりはありませんが、客観的に、日本の置かれた状況というのを幾つかの指標でお話をしたいと思います。

 まず、スイスの研究機関、シンクタンクにIMDというのがあります。国際競争力ランキングというのを毎年発表していますけれども、これは六十三の国、地域を対象としたものでありますが、三十年前は、日本は四年連続一位でありました。最近は三十四位とかそういったところをうろうろしているということで、六十三のうち三十四位ですから、中等、中流国にもう落ちてきているということであります。

 また、これもよく私が国会で取り上げる指標でありますけれども、世界の上場企業の時価総額ランキングというものでありますが、ほぼ三十年前、一九九〇年は、日本の企業が上位五十社には三十二社入っていたんですね。じゃ、二〇二三年、今はどうなのかというと、日本の企業の時価総額ランキングの一位はトヨタ自動車ですよ。じゃ、これは世界で何位かというと、五十三位ですね。じゃ、その次の会社というのはどこかというと、百十四位のキーエンスまで見当たらないんですよ。去年は九十二位だったソニーが百二十一位までランクを落としている。そして、百三十一位のNTT。ちなみに、この一九九〇年の時価総額ランキングで、世界で一位はNTTですから。そのNTTが、今は百三十一位。そして、百八十二位がファーストリテイリング、ユニクロですね。そして、百八十三位が三菱UFJフィナンシャル・グループということでありまして、二百位まで広げてようやく六社入っているといった状況。一九九〇年は、五十社までで三十二社が日本の企業だったということであります。これでは、三十年間賃金が上がっていないということもうなずけるわけであります。

 じゃ、これからの企業としては、ユニコーン企業、ユニコーン企業でも上場して落ち込む会社もありますので、これが全ていいということではありませんけれども、一つの指標として申し上げます。二〇二三年三月時点でのユニコーン企業数は全世界で千二百七社あるんですね。そのうち、アメリカが六百五十四社で六三%以上、中国が続いていて百六十九社、インドが七十社、日本は六社ということでございまして、非常に寂しい状況であるということであります。

 もう一つ挙げたいと思いますけれども、イギリスの教育専門誌タイムズ・ハイアー・エデュケーションというのが毎年、世界の大学ランキングというものを出しておりますけれども、東京大学は何位かというと、世界の中で三十九位、京都大学は何位かというと、六十八位、その他の大学は二百位の中に入っていない、こういう状況であります。

 こういった状況を見ると、革新的な研究開発への集中投資とか、イノベーションの基盤強化、大胆な規制・制度改革が行われてきていたらこういう状況になっていないと私は思いますが、もう一度お尋ねします。本当に、こういった十年間の、この日本銀行と政府の共同声明で政府は役割を果たしてきたと考えられるかどうかということと、じゃ、今申し上げたような日本の状況を変えるためには総裁は何が必要だとお考えになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

植田参考人 繰り返しになりますが、政府の施策について事細かにコメントするのは適当でないと思いますが、日本銀行の立場からいたしますと、やはり私どもとしては、物価安定という経済のインフラを、今不十分ではありますが、目標どおり着実に達成するように努力していく、それが達成されることで、民間の企業、家計はその持てる力を十分に発揮することができ、生産性を上げていくような努力を安心して続けていくことができる、そういうふうに考えてございます。

前原委員 政府の政策について事細かく言う立場にはないということでありますけれども、じゃ、物価の安定目標というのは日銀だけで達成できるんですか。

植田参考人 お答えします。

 金融政策は、もちろん、経済、財・サービス市場の総需要を刺激するという政策でございます。それによりまして、物価、賃金にプラスの影響を与え、徐々にインフレ率を引き上げていくという政策でございます。その際、もちろん、政府サイドから、構造改革等により生産性を引き上げる、それにより潜在成長率も上がるというような施策が力強く実行されますと、それによって、私どもの物価目標の達成の可能性も上がる、あるいは早くなるということは言えるかと思います。

 ただ、現状におきましても、経済に、そういう意味で、物価、賃金の上昇という意味で、よい芽が少しずつ出始めておりますので、時間はかかるかと思いますが、金融緩和の継続により物価目標の達成に近づいていくというふうに考えてございます。

前原委員 何で政府と日本銀行で共同声明を結ぶのか。これは民主党政権で結んだわけでありますけれども、つまり、お互いが努力しなければその目的が達成できないから共同声明を結ぶんでしょう。

 だから、共同声明を結ぶということは、お互いが努力をする、努力をし合うということになれば、自分たちが頑張っているんだったら政府に対して事細かく言う必要はないということじゃなくて、言わないといけないのではないかと私は思いますけれども。そうじゃないと、いつまでも、総裁の任期は五年ですけれども、物価安定の目標は達成できないかもしれませんよ。そして、五年間たって、結局、言ってみれば、ずっと金融緩和を続けていたということで終わりというふうなことになりかねない話ですよね。

 つまりは、政府と日銀で共同して日本の構造改革に取り組み、そして、日本銀行が抱える物価安定目標に到達をするといったことじゃないんですか。だったら、ちゃんと政府に対して物を言っていくべきだと思いますけれども、いかがですか。

植田参考人 もちろん、いろいろな場で政府と日本銀行は意見交換してきておりますし、今後もしていくつもりでありますので、その場で、適切な政策の分担その他については十分議論していくつもりでございます。

前原委員 もちろん、政府と話をされるということもそうでありますけれども、ここは、いわゆる立法府は国権の最高機関です。国権の最高機関に参考人としてお越しをいただいて、ここでお話をされるということは、国民に対してしっかりと説明責任を果たされるということでございますので、政府とこそこそ、こそこそという言い方は悪いかもしれませんが、政府と話をして終わりではなくて、日銀としてはどう考えるのか、政府に対してこういうことをしっかりと伝えるということをやはり国会の場でも言っていただかないと、国民には伝わらないわけですよ、日本銀行が何を考えているか。それを伝えられるのが総裁の役割であり、そしてマーケットに対するメッセージになるということでありますから、そこはしっかりと、政府との関係だけじゃなくて、こういった場でも政府に対して私はしっかりと物を言っていただきたいということは要望しておきたいと思います。

 その上で、物価目標を安定的に達成するためには、私はやはり賃金が上がることが必要だと思いますね。そして、先ほどの話ですけれども、革新的な研究開発への集中投資、イノベーションの基盤の強化、こういうためには、やはり人的投資というのが私は必要だと思います。だからこそ、我々は、教育予算の倍増と、そして賃金の上がる経済の実現ということを我が党としてはずっと申し上げているわけであります。

 特に、賃金を上げるのには、今から申し上げる三つのことが私どもは必要だと思いますけれども、それについて、総裁のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

 まず一つは、世界水準で見ても相対的に低い最低賃金の引上げです。最低賃金というのは、無理やり上げても中小零細企業がついてこれないという場合があるかもしれませんが、現実的に、しかし、着実に最低賃金を上げていくということが必要だと思います。

 我々、よく一般の方々からお伺いするのは、まともに働いても食べられないというのはどういう国なんだといったことを聞かれます。あるいはお叱りを受けます。やはり、これは最低賃金が低いということが私は大きなポイントではないかと思います。

 そして二つ目には、私もこの委員会で数度取り上げましたけれども、年収の壁、つまりは、社会保険料を払わなきゃいけない、言ってみれば壁というのが、大体百六万と百三十万円で来るわけですね。

 今まで三十年間で、実は、パート、アルバイトの時給というのは二九%上がっているんです。だけれども、総年収というのは四%程度しか上がっていないんですね。じゃ、どうなっているかというと、働く時間が一九%減っているんですよ。つまり、年収の壁があるので、これだけ労働力が不足をしている状況の中で、働く時間がこの年収の壁があるためにむしろ減っていっているというのは大きな問題だと思います。

 それから、先ほどの教育の問題というのは、ただ単に子供の教育だけではなくて、リカレント教育あるいはリスキリングといった大人の学び直し、それをしっかりやるということが、公的支援としては三つ大事だと思いますけれども、総裁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

植田参考人 委員おっしゃいました三つの点でございますが、いずれも、賃金あるいは労働需給回りに非常に重要な影響を持つポイントかと思います。ただ、日本銀行としては、このそれぞれについて、具体的なコメントを申し上げるのは差し控えさせていただけたらと思います。

 ただ、このそれぞれのポイントに関する動きがあった場合に賃金動向あるいは物価動向にどういう影響があるかということは、常に注意深く見守りつつ、金融政策運営をしてまいりたいというふうに思っております。

前原委員 まだまだ堅い御答弁でございますけれども、だんだん慣れてきて、もっと柔らかくなっていただくことを期待をしております。

 あと、加えて、賃金ということで申し上げると、過度な株主への還元というものも見直すべきだと私は思っているんです。ずっと思っていたんです。

 岸田総理が総裁選挙に出られたときに、新しい資本主義ということを言われた。これは三方よしというふうに私は見ていて、株主にもいい、会社にもいい、従業員にもいい、あるいは社会にもいい、まあ三方でなくてもっとたくさんになりますけれども、みんなにいいというのが私は本来のあるべき姿だというふうに思っていて、それをやられるんだったらいいなと思っていたんですが、所得倍増がいつの間にか資産所得倍増になって、ちょっと方向性が変わってきたなというふうに思うんですが、その問題意識を私が持つことについての、その数値を申し上げたいと思います。

 この十年間で、企業の利益は八八%増えているんですね。しかし、人件費はたった三%しか増えていないんですよ。名目ですよ、名目の人件費は三%。物価上昇分を差し引いた実質賃金は、この十年間で六%減っているんです。一〇〇だったものが、今九四になっているんですね。実質賃金は減り続けているんです、この十年間。

 設備投資はどのぐらいの増加かというと、二四%。内部留保は、企業の利益の増加とほぼ同じ九〇%。じゃ、配当がどうなっているかというと、一一一%の増加、つまり二・一倍以上増えているんですね。名目賃金が三%で、そして実質賃金はマイナス六%、そして配当はというと、二・一倍以上増えている、八八%利益が増えている中で。

 これは私はバランスを失していると思いますけれども、そういった観点も賃金が上がる経済の実現のためには必要だと思いますが、これは総裁の御意見を伺いたいと思います。

植田参考人 委員おっしゃいますように、日本経済全体にとっても、例えば、人への投資等によって、成長率、成長力が高まるとともに、その果実が賃上げ等の形で幅広く行き渡るということは、極めて重要であるというふうに我々も考えてございます。

 ただ、繰り返しになって恐縮でございますが、個別の政策については、政府において判断されることですので、コメントを差し控えさせていただければと思ってございます。

前原委員 総裁、一番初めにお尋ねした、共同声明の見直しは必要ないということでありますけれども、私は必要だと思います。これは六月の骨太に入れられるという方向で今議論がされていると思いますけれども、やはり人的投資の大幅な拡大というのは必要だと思いますし、それから、賃金を上げる、どうやったら賃金が上がるのかということを、これは物価上昇と非常に大きな関係を持っているのが賃金だと思いますので、やはり政府に対して、この人的投資の大幅な拡大と、そして賃金の持続的な上昇というものは、共同声明の中に書かれて、しっかりそれを実現してほしい、日銀も頑張るからというふうに私は言うべきだと思いますが、いかがですか。

植田参考人 繰り返しになりますが、その点を含めまして、政府との議論は密接に続けていきたいと思いますが、現在、この時点では、事細かに、具体的にコメントするということは差し控えさせていただければと思います。

前原委員 人的投資の拡大と、そして持続的な賃上げが必要だという認識はお持ちですね。それはそれでいいですね。それぐらいお答えください。

植田参考人 それは日本経済にとってプラスになるということは、私どもも、そういうふうに考えてございます。

前原委員 安全運転での初めての私とのやり取り、ありがとうございました。

 恩着せがましく聞こえるかもしれませんが、我々期待して同意人事に賛成して、植田総裁になっていただいているわけでありますから、是非、しっかりと政府に対しても物を言う、政府との相対だけではなくて、こういった国会の議論の場でもちゃんと国民に対してのメッセージというものも期待をしたいと思います。

 総裁、今日はこれでお引き取りいただいて結構でございます。どうぞ。

塚田委員長 植田日本銀行総裁、御退席いただいて結構です。

前原委員 それでは、我が国の防衛力の抜本的な強化のための必要な財源の確保に関する特別措置法案について質問いたします。

 まず、防衛副大臣、お越しをいただいておりますけれども、何度もこれは予算委員会等で聞かれていることですけれども、全然答えていないことがあります。四十三兆円の、あるいはこの対象経費の議論をする際に、具体的な中身は何なんだと。財源の議論をする前に、何に使うのかといったことがしっかりと我々に伝わらないと、財源の議論をすることの、私は議論がちゃんとできないと思うんですけれども、四十三兆円の根拠と中身について、具体的にお答えをいただけませんか。

井野副大臣 四十三兆円という、必要な防衛力の内容の積み上げという金額をこちらとして提示をさせていただきましたけれども、その具体的な中身についてですけれども、我が国への侵攻そのものを抑止し、遠距離から侵攻戦力を阻止、排除するためのスタンドオフ防衛能力、これが約五兆円。統合防空ミサイル防衛能力が約三兆円。また、万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合に、領域を横断して優越を獲得し、非対称な優勢を確保するため、無人アセット防衛能力、約一兆円。領域横断作戦能力、約八兆円。宇宙、サイバーに約一兆円ずつ、そして車両、艦船、航空機等で約六兆円、この内訳になります。

 そして、指揮統制また情報関連機能として約一兆円。その上で、迅速かつ粘り強く活動し続け、相手方の侵攻意図を断念させるための機動展開能力そして国民保護として二兆円。持続性、強靱性として約十五兆円という内容になっています。

 その上で、自国で装備品を安定的に調達するために、いわば防衛力そのものであるという意味で、防衛生産、技術基盤の強化として一・四兆円。また、自衛官の処遇改善、防衛力を支える人的基盤の強化などを含む教育訓練として約四兆円。そのほか基地対策経費として二・六兆円ということで、約四十三兆円を積み上げたという内容となっております。

前原委員 それでも、具体的だとはなかなか国民は思えないと思うんですね。だって、全て兆じゃないですか、何兆、何兆、何兆って。その中において、今後の具体的な防衛力整備の中身について、もう少し踏み込んでいただきたいと思います。

 この防衛力整備計画、三文書の一つの防衛力整備計画の最後に別表がついていますよね、別表。これは今までも防衛大綱やあるいは中期防などでも別表がついているわけでありますけれども、別表一が、抜本的に強化された防衛力の目標と達成時期ということで、今、副大臣が御答弁をされたスタンドオフ防衛能力とか、無人アセット能力とか、サイバーなどの領域横断作戦能力とか、こういったことが書かれていて、そして、別表二にその区分が書かれていて、十一個中隊、スタンドオフ防衛力とか、統合防空ミサイル防衛能力、十四個中隊などなど書かれている。そして、別表三に、おおむね十年後に、どういった防衛力整備、いわゆる装備が、それを得られるかということが書いてあるんですね。

 こういったところに予算をもう少し落とし込んでいただくということで、より具体的な四十三兆円の議論というのができると思うんですが、この別表に、できる限りパラレルに、四十三兆円でどういう予算配分がされるのかといったことについてお示しをいただけませんか、この議論をしている最中に。

塚田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

 井野防衛副大臣。

井野副大臣 前原先生御指摘のとおり、別表等に記載がございますけれども、これを更にということは、ちょっと、現状、済みません、通告いただいていないものですから、事務方と確認しなければなりませんので、現時点で正確にお答えすることはちょっと難しいということだけ御理解いただければと思っています。

前原委員 これはやはり、具体的な四十三兆円の使い道というものを考えたときに、具体的に書かれているのは別表なんですね。別表のこの三ページにわたってどういう予算配分が基本的になされるのかといったことが私はすごく大事なことだと思いますので、是非、この審議をしているさなかに、そういったことのお取組を、防衛省から出してもらいたいというふうに思いますが、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

塚田委員長 ただいまの申出につきましては、理事会で協議をいたします。

前原委員 ということで、井野副大臣、本省に戻って、理事会預かりになったので、努力をしなきゃいけないんだということをおっしゃっていただければありがたいです。よろしくお願いいたします。

 その上で、財務大臣に対して質問させていただきたいというふうに思いますけれども、決算剰余金というのは安定財源と言えるんでしょうか。どうお考えか、御答弁をいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 決算剰余金につきましては、その時々によって、経済の状況等によって、どれぐらい決算剰余金が出るかどうかということはまちまちになってくると思います。

 しかし、今回私どもがお願いしている、お示ししている数字は、過去十年間の平均を取りまして、そして、それの半分は国債の基金に返すということで、残りの半分、〇・七兆円という額をお示ししているところであります。

前原委員 なぜそういう話を伺うかというと、防衛省そして財務省から示してもらっている表の中に、五年間たって、その以降についても、決算剰余金も含めた安定財源の枠があるんですね。つまりは、令和十年以降も決算剰余金というものを防衛費増額の安定財源と考えているのではないかというふうに思うわけですけれども、それはいかがですか。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、決算剰余金は直近十年の平均が一・四兆円だったことから、これを踏まえまして、財政法上、公債又は借入金の償還財源に充てるべき二分の一を除く残りの二分の一の〇・七兆円程度を活用見込額として見込んだものであります。これは過去の実績を踏まえた根拠ある見通しに基づくものである、そういうふうに思っております。

 令和九年度以降については、これはまだ確たる見通しはないわけでございますが、こうした過去の例を踏まえて、令和九年度以降もこうしたものを確保していきたい、そのように思っているところであります。

前原委員 この防衛力の財源確保法において、この四十三兆円については、建設国債は入りますけれども、赤字国債は入らない、借金をしてこの防衛財源に充てないということでよろしいですか。

鈴木国務大臣 今までの中期防の部分、根っこの部分といいますか、そこの部分には、国債を発行して国債で手当てしている部分がありますが、今度の上乗せの部分につきましては、国債では手当てしないという基本的な考えでおります。

前原委員 なぜこういう質問をするかというと、今まで決算剰余金で補正予算を組んでいますよね、補正予算。これから補正予算を組まないんですか。組むんだったら、決算剰余金を使ったら、今度から組む補正予算というのは、赤字国債で補正予算を組まなきゃいけなくなりますよね。

 となると、上の部分は赤字国債を発行しないといったって、決算剰余金をつまり前借りして、補正予算については赤字国債でやるということになったら、結局、防衛費を増強して、そして補正予算を赤字国債でやるんだったら、年度のトータルとしては、結局、防衛費が増額した分だけは赤字国債が増えるということになるんじゃないんですか。

鈴木国務大臣 決算剰余金が今まで補正予算の財源に使われてきたということは、これは事実であると言っていいんだと思います。

 ただ、これは制度的に結びついているというわけではなくて、補正予算の財源につきましては、編成すべき必要性が生じた場合において、その時々の税収見込みや歳出不用の見込みなどを踏まえて検討をする、そういうことでございます。

 確かに、補正予算に今まで決算剰余金を使っていたわけでありますから、その分が使えなくなるということについては一つの厳しさが出てくるということは、これはそのとおりである、そういうふうに思います。

前原委員 そうですよね。だって、決算剰余金をこの防衛財源に使えば、補正予算をやらないんだったら別ですよ、ただ、ずっと補正予算をやっているじゃないですか。

 トータルで考えると、この防衛力強化の財源には、赤字国債は上の部分には充てないといっても、決算剰余金を充てている。そして、補正予算については、今まで種銭のようなものだった決算剰余金がなくなる。そうすると、補正予算を組むということになると赤字国債になる。だったら、単年度で見れば、本予算と補正予算で見たら、結局、防衛予算が膨らむことによって、赤字国債がその分より発行されるということになりますよね。

鈴木国務大臣 補正予算は、必要があるときにこれは編成をするということでありますから、そのときに、先ほど申し上げましたとおり、その時々の税収見込みでありますとか歳出不用の見込みなどを踏まえて検討をするということであります。

 したがって、今の段階で、補正予算、今までもやっていますので、やらないということにはならないのではないかとは思います。というのは、自然災害とかそういうのもございますから。ですから、そういうことの場合の財源については、今ちょっとここで確定的に申し上げるということはできない。そのときの税収見込みでありますとか歳出不用の見込み等を踏まえて、十分に検討をして対応したいと思います。

前原委員 そういう答弁を求めているんじゃなくて、私が申し上げているのは、決算剰余金を防衛予算に使ってしまったら、補正予算が、大体毎年やっているわけじゃないですか、補正予算をやった場合においては、結局、赤字国債を発行するということになるから、この防衛力の強化資金については赤字国債を使わないということについてはまやかしじゃないか、トータルで考えたら、結局、赤字国債は増えるんじゃないかということを言っているということです。

 それについてはお認めになりますね。

鈴木国務大臣 一つの姿勢として、上に乗ってくる、今までの中期防のところは赤字国債を使っているわけですけれども、乗ってくる部分には使わないということでお願いをしているということ、これは政府としての一つの姿勢を示している、こういうふうに受け止めていただければと思います。

 その上で、先ほど申し上げましたけれども、決算剰余金、今までは、補正予算の財源に使うのが普通といいますか、そういう流れで来ましたので、大変に、それに使えなくなるということでありますから、財政上は厳しいものになるということでございます。

 厳しい状況の中でどういうようなものを財源にするかということについて言えば、先ほど申し上げましたようなものをするわけでありまして、ただ、どうしてもということになれば、これはやはり、赤字国債に頼ることを排除するということは言えないんだと思います。

前原委員 そうなんですよ。そのとおりなんですね。だから、その点は指摘をさせていただきたいと思います。

 外為特会の剰余金についても質問したいと思いますけれども、この防衛力強化資金に使われる外為特会剰余金は令和四年度と令和五年度のみですか。

鈴木国務大臣 決まっておりますのは、四年度の剰余金、それと五年度、進行年度でありますけれども、その中で確実に出るであろうと思われる剰余金を使うということであります。

前原委員 法律なのは令和五年度、前倒しというか、それについては法律要件が必要である、令和四年度については別に法律の必要がないということで、この二つしか書いていないので、言ってみれば、その五年間の防衛力強化資金については、令和六年度以降からは外為特会の剰余金は使わないということでよろしいですね。

鈴木国務大臣 令和六年度以降における剰余金でございますが、これには外為特会のものも含まれると理解いたしますが、今般の臨時的な措置も勘案した上で、一般会計繰入れルールを踏まえまして、外為特会の財務状況それから一般会計の財政状況を勘案しながら、今後の予算編成過程で検討してまいりたいと思います。

 したがいまして、決まっておりますのは令和四年度そして令和五年度でございますが、それ以降につきましては、そのときの財政状況を勘案しながら、今後の予算編成過程で検討させていただきたいと思います。

前原委員 ということは、令和六年度以降の外為特会の剰余金も防衛資金に充てる可能性はあるということですか。

鈴木国務大臣 必要に応じて。今からそれを蓋をするといいますか、排除するというものではないと考えます。

前原委員 これから長らくまた審議の時間があると思いますので、残余、用意していたものにつきましては、次回以降、また質疑をさせていただきたいと思います。

 終わります。

塚田委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 軍拡財源確保法案について質問します。

 本法案は、岸田政権が昨年閣議決定した安保三文書に基づき、敵基地攻撃能力を位置づけ、今後五年間で総額四十三兆円もの大軍拡を推し進めるものです。憲法の平和主義と財政民主主義を踏みにじる違憲立法にほかなりません。

 四十三兆円の大軍拡、その発端となったのが、軍事費対GDP二%であります。

 鈴木財務大臣にお伺いします。一体誰が二%を言い出したのでしょうか。

鈴木国務大臣 まず、安全保障環境、大変厳しさが増す中で、防衛力の抜本的強化、これは我が国の喫緊の課題であるということは政府としての認識でございます。

 こういう問題意識の下で、国家安全保障会議四大臣会合や与党ワーキングチームなどでの一年以上にわたる議論の積み重ねを行い、防衛力の抜本的強化に当たって、その内容の積み上げと併せて、これを補完する取組として、海上保安能力やPKOに関する経費のほか、研究開発、公共インフラ整備など、総合的な防衛体制を強化するための経費も積み上げてまいりました。

 こうした議論や積み上げの結果、昨年十二月に策定された国家安全保障戦略において、我が国自身の判断として、二〇二七年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を併せ、そのための予算水準が現在のGDPの二%に達するよう所要の措置を講ずるということが記されているわけでございます。

 したがいまして、誰が提言したかという何か個人のものではなくて、こうした会議体で議論をし、積み上げていった結果、我が国自身の判断として決定された、こういうことであります。

田村(貴)委員 そうなんでしょうか。

 そもそも、GDP比二%への引上げは、米国が同盟国に要求してきたことであります。二〇一七年に就任したトランプ大統領は、バイ・アメリカンと、同盟国に米国製兵器の大量購入を露骨に求めてきました。NATO諸国には、二〇二四年までの二%の目標を早期に達成するよう繰り返し圧力を加えてきました。ツイッターなどでも、今すぐ二%を払わなければいけない、最終的には四%に上げろと発信してきたのであります。

 大臣、これを受けて、アメリカの大統領、トランプ大統領たちが二%に引き上げろと言ってきたことを受けて二%にしたのではないんですか。

鈴木国務大臣 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、国家安全保障戦略で示された防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組の予算水準につきましては、国家安全保障会議四大臣会合や与党ワーキングチームなどでの一年以上にわたる議論の積み重ねを経て決定したものであります。

 これまでも総理から説明されているとおり、こうした決定は我が国自身の判断として行ったものであり、米国からの要求を受けたものではないということを総理も発言をしていると承知をしております。

田村(貴)委員 まだあります。

 二〇二〇年十月に当時のエスパー国防長官も米国シンクタンクの講演で、NATOに限らず全ての同盟国が最低でもGDP比二%を防衛費に充てることを期待すると要求しているじゃないですか。

 こうした経緯を見れば、アメリカの要求に徹頭徹尾従って二%をのんできたのではないんですか。アメリカの軍拡要求に応えることが二%の根拠ということではないのですか。違うと言うならば、誰がどういう根拠で示したのか、それを認めた財務大臣はちゃんと国会と国民の前で根拠を明らかにしなければなりません。

 結局のところ、GDP二%の根拠となるものは、米国政府と米軍事産業の要求をのんだということになります。事実として、エマニュエル駐日米大使は、岸田総理大臣が予算措置を講じたことがバイデン大統領が二〇二三年の早い時期に岸田総理大臣をホワイトハウスに招きたいと思った理由の一つだ、こういうふうに語っているわけです。日本政府が認めた、だから、エマニュエル駐日大使がこういう待遇をしたと認めているわけなんですよ。

 委員長にお願いがあります。

 二%とされるところの積み上げとされる根拠、それから四十三兆円、積み上げてきているという根拠、先ほど、海上保安庁能力とかPKOとかいろいろ言われましたけれども、具体的にどういう費目とどういう根拠を積み重ねてきたのか、子細を明らかにしていただく資料を本委員会に提出していただきたいと思います。お取り計らいをお願いします。

塚田委員長 ただいまの資料要求につきましては、後刻理事会で協議いたします。

田村(貴)委員 今年二月十七日の財政制度審議会財政制度分科会で、安保三文書による軍事費の規模についての議論の中で、委員の一人がこういうふうに述べられました。建議の内容が十分に反映されなかった予算はやはり防衛費ではなかったか、そして、いわゆるGDP比二%といった数字ありきではなくて、真に必要な防衛力の整備に必要な予算を確保するということを求めたのですが、実際はGDP比二%という数字ありきで防衛費が決まったように見えます、このように疑問を呈しているではありませんか。

 そして、この結果が二〇二三年度のFMS、対外有償軍事援助、これが前年度比四倍の破格の伸びになった、そして米軍需品の爆買いにつながっています。二%というのは米軍の要求から来ているものであります。

 そして、今回、大軍拡を推し進めるための財源確保のために一兆円もの増税を行い、防衛力強化資金を設けて、国立病院機構などの積立金や中小企業向けのゼロゼロ融資の基金の残金を取り上げて、またさらに、五年間で三兆円以上の歳出削減を行い、同じく三兆五千億円の決算剰余金の活用をし、事もあろうに東日本大震災対応の復興特別所得税まで軍拡財源に転用させるとしています。

 幾つもの禁じ手を使い、国民の生活に直結する予算を取り上げて、そして巨額の予備費を積み上げ、国会の審議権を奪った上に軍拡財源に回すなど、これは財政民主主義のじゅうりんも甚だしいと言わなければなりません。

 防衛力強化資金で、国立病院機構の積立金四百二十二億円、地域医療機能推進機構、JCHOの積立金の三百二十四億円を不用見込みとして国庫に返納させて、そして繰り入れるとしています。

 これについて質問します。

 予算委員会で我が党の宮本徹議員が紹介したように、JCHOの山本理事長は、二〇二一年度の積立金の六百七十五億円があったとしても、次期中期計画には足りない状況だと述べています。昨年、感染症法が改正され、国立病院機構とJCHOは、パンデミック時の医療提供義務が課されることになりました。JCHOは次期の中期計画で感染症法等の改正を見据えたハード面の改修、老朽化対策を進める予定であります。

 省令で定めている鉄筋コンクリート造りの病院の耐用年数は三十九年であります。しかし、JCHOの五十七の病院中、十五病院が、国立病院機構に至っては、百四十病院中、七十七の病院が、国立病院機構の七十七、過半数が耐用年数を超えている状況であります。

 羽生田厚生副大臣にお越しいただいています。お聞きします。

 予算委員会で加藤厚労大臣は、病院の建物は六十五年使用できる設計となっている、適切な修繕等を実施すれば更に使用が可能と。これは私、とんでもない答弁だと思いますよ。

 というのは、病院というのは、副大臣、御存じですよね、医療提供の場として二十四時間三百六十五日使い続けることで、劣化が早いわけです。さらに、感染症法等でパンデミック時には医療提供義務をこれから課していくわけでしょう。

 そうであれば、必要な建て替え、改修ができるように、積立金は、軍事費ではなく、まずここに充てるべきではないですか。いかがですか。

羽生田副大臣 地域医療機能推進機構におかれましては、今回のコロナの状況におきまして大変御尽力をいただいたことに、この場を借りて深く感謝を申し上げます。

 今お話しの積立金に関しましては、地域医療機能推進機構法の法律に基づきまして、期間満了時に次期期間中に必要な業務の財源に充てるために繰越しが認められた額を除き、年金特別会計に納付することとされております。

 また、診療事業につきましては、平成二十五年の閣議決定において、積立金は次期期間中に必要な施設整備等の財源に充てられるよう配慮するとされていることがございまして、これらを踏まえつつ、政府の方針に対し、新型コロナ対策の予算等によって積み上がった積立金のうち三百二十四億円について、中期計画期間満了を待つことなく、特例的に前倒しで国庫納付に御協力いただくこととしたということでございます。

 また、施設設備整備につきましては、これまでも繰り越された積立金の多寡にかかわらず、当期の診療報酬等の自己収入や財政融資資金の借入れ等を財源として、法人が担うべき医療を長期的に安定して実施できるよう、中長期的に位置づけられた整備計画に基づき計画的に取り組まれていると承知しております。

 また、次期整備計画は、今後、令和五年度中に法人において計画されるものでありまして、現時点で具体的な内容について承知はしておりませんけれども、令和三年度の法人の財務状態は、今般の積立金の返納があったとしても、令和元年に比較して改善をしておりまして、自己収入や借入金等により、必要な投資が直ちに困難になるということはないと考えております。

 そして、厚生労働省といたしましては、地域医療機能推進機構が引き続きそれらの責務についてしっかりと果たせるよう、今後の状況を見守ってまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 副大臣、次期の改修に必要だ、それから施設の財源は大丈夫だみたいな答弁だったんですけれども、現実を御承知でしょうか。

 築四十七年を超えるJCHO高知西病院では、下水の排水回路が古過ぎて改築工事すらままならないという状況ですよ。そして、大雨の後は水漏れが発生していると報告を受けています。

 静岡市清水区にあるJCHOの桜ケ丘病院、建物の老朽化で移転、新築の工事を行うのでありますけれども、建築資材が高騰して、建設費が当初予算を二割ほど超過する事態となっています。

 病院長はメディアのインタビューに、どんどん資材が値上がりして、何を削るかといったら、ほかの医療機器であるとか、ほかで整備しなきゃならない部分をどうしても削らざるを得なくなってきてというふうに語っています。

 JCHOの病院は、個々に民間金融機関から借入れはできません。この桜ケ丘病院は、MRIやベッドを購入するために市民に募金を呼びかける、こういう状況なんです。寄附の目標は五億円に対して、三月二十五日までの寄附額はまだ二千万円という状況です。

 副大臣、改修すらできない病院がある。建て替えをしようにも資金が資材高騰で枯渇している、必要な医療機器が賄えない、こういうときのために機構の積立金はあるのじゃないですか。

 政府は、こういう病院の窮状が全国各地にあっても、三百二十四億円の機構の積立金を返納させるんですか。病院の機能維持や患者さんの命よりも軍拡優先なんですか。いかがですか。

羽生田副大臣 先ほどお答えしましたように、来年度の設備計画というものをしっかりと勘案した上で、残りがどのくらいになるかというふうにしているわけでございまして、その辺の具体的なところは私、承知はしておりませんけれども、そういった計画の中に、改修が必要である、あるいはこういった機器が必要であるということは当然盛り込まれた上で計算をしているというふうに理解しているところでございまして、それが、自己収入あるいは借入金等によって、そういう必要な投資が十分賄えるであろうという額を出してきているものというふうに承知をしているところでございまして、直ちに困難になるとは考えていないところでございます。

田村(貴)委員 直ちに困難になっているんですよ。長く、今言ったじゃないですか、更新、改築もできない、そして寄附を募らなければいけない、そういう状況が生まれているんですよ。ここで多額の積立金を召し上げてしまったら、財政の余力はなくなっちゃうじゃないですか、病院に、機構に。そういうことを言っているんですよ。

 三百二十四億円の積立金返納を迫られているんですけれども、JCHO本部が持っているお金は、それほど多くはありません。足りない部分は、何と、各病院が負担しなければならないんですよ。そうですよね。

 病院の経営状況はどうなっているでしょうか。資料をお配りしています。御覧いただきたいと思います。

 JCHOの五十七の病院中、四十五の病院、大半の病院は、医業収益が赤字です。しかも、各病院が負担するお金は、黒字に対してではなく、収益に対してとなるので、どんなに赤字が出ようが負担しなければならないわけです。

 桜ケ丘病院のように、お金がなくても、建て替えに際して寄附を募っている、そういうところでもこの積立金の負担をしなければならないわけなんです。

 副大臣、八割の病院の医業収益が赤字でありながらも、国庫返納金を負担しなければいけない。パンデミックを見据えたハード面の改修、老朽化対策、それを可能にする保証というのは一体どこにあるんですか。大丈夫だ、大丈夫だと、楽観論は何度も聞きましたけれども、その保証と根拠について、しかとお答えいただきたいと思います。

羽生田副大臣 令和四年度の財務状況につきましては、現在法人において精査を行っているところでありまして、詳細までは私、承知をしておりませんけれども、医業収支だけではなくて、補助金等収益等を含めた令和三年度の法人全体の財務状況としては、令和元年度に比較して改善しているということは承知しております。

 直ちにこれが運営に支障を生じるというまでのものではないというふうに思っているところでございます。

田村(貴)委員 副大臣、先ほど、個々の病院の状況については掌握されていない旨の発言があったと思うんですけれども、厚労副大臣だったら、しかも、こういう積立金を国庫に返納させる提案が出ているんだったら、その病院の状況がどうであるのか、やはりここは知っていただかなければいけないと思います。

 国立病院機構においても同じなんですよ。百四十の病院のうち九十九病院、約七割が赤字施設となっています。国立病院というのは、重度心身障害や、そして精神の治療を受け持つ病院です。収益が元々見込めずに、建物などの更新が進まないのであります。

 具体例を言います。北海道函館の函館病院の病棟は、築四十五年、一九七八年建築で、六人部屋がまだあります。私、地元は福岡なんですけれども、小倉の医療センターでは、新外来棟の建て替えが中断したままなんですよ。台風が来るとあちこちで雨漏りをする。福岡病院では、患者のお風呂が壊れたままなんですよ。他県の病院でも、例えば病棟の記録室が暗くて、従事員の人たちは戦時下のようだとおっしゃっている。女子更衣室のトイレがまだ和式のままだ。これが現状なんですよ。老朽化が著しいんです。

 機構は、財務省から資金を借入れしています。機構は、病院に貸し付ける仕組みになっています。病院経営が苦しく、厳しく、返済ができなくても、機構は国に返済をしなければいけません。そのため、病院の経営状況が悪いところは建物の更新ができない状況です。

 たくさん具体例を出しました。このような困窮状況にあるにもかかわらず、四百二十二億円の国庫返納が迫られています。これに対して、国立病院機構の病院長会議では、各地の病院から、積立金の使用目的を機構は国に主張すべきだ、こういう抗議の声が上がっています。これは、副大臣、御存じでしょう。組合も猛反対しています。

 羽生田副大臣、どう受け止めておられますか。私は、現場は困窮している、改善は進まない、そして疲弊している。そして、管理者の側も、組合の側も、これはおかしいと言っている。どう受け止めておられますか。

羽生田副大臣 小倉の国立病院には、私は視察にも行ってまいりまして、状況をじかに見てきておりますので、どんな状況かということは把握しておりますけれども、委員がおっしゃるように、全部の病院の状況を把握しているわけではございませんので、その点は今調査をいろいろしているわけでございますので、また改めて確認をしていきたいというふうに思っております。

 ただ、いわゆる国立病院機構につきましても、やはりこれも法律に基づいて、次期期間中に必要な業務の財源に充てるということが認められておりまして、それをしっかりと、それを除いた額を国庫に納付するということに法律上もなっておりまして、そういった、診療事業についても、次期期間中に必要な施設整備等の財源等に充てられるような配慮をすることとされておりますので、そういったことが除かれた額が返納ということになるという理解でおります。

田村(貴)委員 副大臣、全国の病院から、機構は国に対して積立金の使用目的をちゃんと主張すべきだという声がある、疑問の声が上がっている。そして、組合の方も、これはもう絶対駄目だと言っている。この声はやはり重く受け止めるべきじゃないですか。御存じないんですか。

羽生田副大臣 今現在、委員の御指摘のように、全部の病院のことを把握していないということは大変申し訳なく思っております。

 令和四年度の財務状況につきましては……(田村(貴)委員「それはいいです、声をどう受け止めていますか」と呼ぶ)もちろん、今調査をしておりますので、その結果を踏まえて考えてまいりたいと思いますけれども、今御指摘のように、現在は把握していないということは大変申し訳なく思っております。

田村(貴)委員 委員長、同じ質問を二度しているんですけれども、ちゃんと答弁できていないので、ちょっと、ちゃんと指導していただきたいと思います。

 四百二十二億円あれば、十の病院が更新、改善が可能だと言われています。コロナ対応で国民の命を救うためにかけがえのない役割をしてきたのが、病床確保でかけがえのない役割をしてきたのが国立病院機構、JCHO病院やないですか。この資金残高というのは、病院のために充てるべきであります。

 そして、このような状況の中で深刻なのが、看護職の大量離職であります。例えば、京都医療センターでは、五百九十人の看護師職員の定数に対して、毎年、離職者が百人を超えています。二〇二三年度は、百二十七名の新規採用の募集をかけている状況です。これは、単純に見れば、六年間で全て入れ替わる計算になります。一般の離職者が一割なので、二倍以上です。東京医療センターでは、六百七十七人の定数に対して八十八人の新規採用を予定しています。これだけ採用しなければならないということです。定数の一割を超えて採用している病院が七十五病院と、過半数を超えています。

 副大臣、この状況はよく分かりますでしょう。離職者が多い実態があります。この背景には、週刊文春が連載しているように、労基法違反の状況が横行している、そういう働き方がたくさんあるわけなんです。この件については国会でも質問が出されているんですけれども、政府においてはちゃんと調査されているんでしょうか。厚労省、いないんですか。

羽生田副大臣 今御指摘の週刊誌に書かれたことにつきましては、大変に私も認識をしておりまして、現在、国立病院機構において、報道内容に関して事実関係の精査を行っているものと承知しております。

 その上で、厚生労働省としては、その結果を受けた上で、主務省庁として、事実確認の結果を踏まえて、必要に応じて適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

田村(貴)委員 早く調査をして、そして早く労基法違反の状態を改善していく、そのためには、やはり、機構として財政的な安定が必要なんですよ。看護師さんを確保する、処遇改善する、これが求められるわけです。

 だから、こんなときに積立金を召し上げるなんていうのは言語道断です。機構の所管は厚労省です。厚労省は労働者を守る立場にあるはずです。国立病院は、独立法人化以降、独法化以降、国家公務員より賃金は安く抑えられて、人的投資は全くされていません。コロナ禍においても、看護師さんは増えていないんです。職員も増えず、慢性的な欠員が続いています。

 日本医療労働組合連合会によれば、JCHO病院では、全国で看護師が六百九十九人もの欠員が出ており、約八割の病院が定数割れになっています。その結果、どうなるかといえば、国立病院、JCHO病院共に、看護師一人当たりの患者数が増え、患者が放置され、医療事故にもつながっていくではありませんか。

 看護師、エッセンシャルワーカー、これらの待遇改善は政府の方針ではないですか。副大臣、聞いていますか。政府の方針でしょう。軍事費拡大のために積立金は返納させるのではなくて、老朽化の著しい病院の建て替え、マンパワーの確保、看護師などの医療従事者の待遇改善に充てるべきではないのか。充てるべきだということを私は言いますけれども、老朽化の建て替え、そしてマンパワーの確保、看護師などの医療従事者の待遇改善、約束していただけますか。

羽生田副大臣 看護職員等の改善につきましては、臨時の特別一時金の給付、あるいは、診療報酬改定でそれに取り組む点数を出しているということで、常勤職員については十五万円の支給、そして非常勤職員については十二万円の支給ということで、これは、国立病院機構にしても、地域医療機能推進機構においても、こういった額は支給をしているということでございまして、その辺は十分対応しているというふうに思っておりますし、また来年、診療報酬改定がありますので、その辺はどういった形で、職員に対しての金銭的なものを診療報酬の中でどれだけ確保できるかというような議論もしていかなければいけないというふうに考えております。

田村(貴)委員 それは否定しません。だけれども、それをもってしても、大量の離職、そして多くの病院で定員割れ、これが現実なんですよ。しっかり受け止めていただきたいと思います。

 委員長に再びお願いがあります。

 国立病院やJCHO病院がどんな状況になっているのか、私は大変深刻な事態にあると思います。本委員会として現地調査を行うことを提案したいと思います。委員会で取り計らっていただきたいと思います。

塚田委員長 後刻、理事会で協議いたします。

田村(貴)委員 今後五年間の軍事費四十三兆円のうちの増額分を防衛力強化資金の創設で賄うとしています。これについて更にお伺いします。

 この資金というのは、財政法四十四条によって、特定の目的のために将来の支払い財源をプールできるとするものです。一会計年度ごとに支出するべきとする会計年度独立の原則の例外と位置づけられているわけです。

 一方、憲法ではどういうふうに定められているか。憲法八十三条、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」そして、憲法八十六条、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と明確に定められているわけであります。

 今度のやり方というのは、会計年度独立の原則の例外なんですよ。国会の審議と議決、それから会計年度独立の原則に外れているわけです。これは、やはり財政の在り方としてはよくない。おかしいじゃないですか、財務大臣。いかがですか。

鈴木国務大臣 会計年度独立の原則とは、各会計年度の歳出は、その年度の歳入をもって支弁すべきこととする原則であります。

 その上で、田村先生御指摘の、財政法第四十四条に基づき設置される資金とは、国が特定の目的、用途に充てるため、一会計年度に消費し尽くすことを予定せずに一定の現金を保有するものであり、その性格から、会計年度独立の原則の例外を成すものと解されております。

 この資金の仕組みを活用することにより、例えば、歳出歳入のタイミングのずれについて、年度を越えた調整を行うことなどが可能になり、効率的な財政運営を図ることができると考えているところであります。

田村(貴)委員 憲法の基本原則に基づかなければいけないと思います。したがって、小村武元大蔵事務次官の著書「予算と財政法」には、こういうふうに書かれています。資金制度の創設を規制している財政法第四十四条の立法趣旨として、歳計外で操作するいわゆる隠密資金の創設がみだりに流れることを防ぐことが挙げられる、こういうふうに指摘しているわけであります。

 国会の審議というのは非常に重要ですよ。しかも、今、政府が調達しようとしている軍事費というのは莫大なお金じゃないですか。自衛隊の予算にしたってほかにしたって、予算自体は毎年度国会で審議して決めるのに、何で法律を曲げてまで軍拡の財源をプールする必要があるんですか。おかしいじゃないですか。

 防衛力強化資金というのは、これは五年で限度とはしていませんよね。そうなると、今後追加して、税外収入などがまた繰り入れられる、こうしたことにもなっていくわけです。そうしたことを想定しているのではないのですか。

 鈴木大臣に、ちょっと歴史を踏まえた認識を聞かせていただきたいというふうに思います。今後予定される税外収入も含めて、この防衛力強化資金というのは、まさに防衛省の財布のように扱われていくというふうになってまいります。憲法に違反するやり方は認められません。かつての戦時下のやり方と似たような状況になっています。

 大臣、聞いてほしいんです。一九三七年、昭和十二年九月八日、臨時軍事費特別会計法が帝国議会で成立しました。支那事変に関する臨時軍事費の会計を一般会計の歳入歳出と区分し、事件の終局までを一会計年度としたんです、この支那事変のね、一会計年度とした。戦後、大蔵省が編集した昭和財政史第一巻にも、臨時軍事費特別会計が財政の急膨張の主要要因と指摘されているわけです。歴史の教訓、これは大事ではないですか。当時の臨時軍事費特別会計と今度のやり方というのは、同じではありませんか。大臣、いかがですか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生の御指摘は、防衛力強化資金の設置、予算単年度主義との関係で、憲法上、法律上、問題があるのではないかという御指摘なのだろうと思っております。

 今回新たに創設をいたします防衛力強化資金でございますけれども、様々な取組により確保した税外収入等につきまして、令和九年度以降も含めて、防衛力の整備に計画的、安定的に充てるための継続的な仕組みでございます。

 この資金でございますけれども、国が特定の目的、用途に充てるために、一会計年度に使用し尽くすことを予定せず一定の現金を保有するものでございまして、財政法四十四条の規定によりまして、法律をもって定める場合に限り設置をすることができるとされてございます。このため、まさに今般の国会に御提出をさせていただきました財源確保法案におきまして、防衛力強化資金を設置する旨を規定しているところでございます。

 その上で、我が国では、予算を毎年度国会で御審議をいただくという、いわゆる単年度主義の原則を取ってございます。これは、国会における予算の審議権の確保の観点から重要な原則であると考えてございまして、税外収入等を防衛力強化資金へ繰り入れる際には、この当該繰入額は当該年度の歳出予算に計上されますし、また、防衛力強化資金に繰り入れられた財源を使用する場合には、資金から受入額や見合いの防衛関係費がそれぞれ当該年度の歳入歳出予算に計上されて国会で御審議をいただくことになりますので、そこにつきましては、単年度主義との関係で問題は生じておらないものというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 歴史の教訓に照らしてどうなのかということを聞いているんです。大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 戦前、そういうような道を日本が歩んだということは、これは、反省して戦後の日本があるんだ、そういうふうに思っております。

 しかし、今回お願いしておりますのは、日本を取り巻く安全保障環境がかつてない厳しさを増す中において、国民の生命あるいは国の独立、こうしたものを守るために必要な喫緊の課題であるというわけでありまして、抜本的に防衛力を強化しなければいけないというのが政府の立場であります。

 戦前の日本と同じ歩みをしようということは、毛頭考えていないわけであります。

田村(貴)委員 毛頭考えていないのであれば、やはり、憲法の原則に従って措置するべきです。戦前の軍拡や軍事予算の膨張を止められなかった要因の一つが、国会の形骸化であります。少なくとも、戦後憲法の下で、財政民主主義が原則になり、国会に提出された予算案を国民の代表である議員が審議することで、予算の内容を監視する仕組みが機能しています。是非尊重すべきだと思います。

 改めて歴史を振り返れば、日本は、一九〇七年に帝国国防方針を策定して、用兵綱領、所要兵力と併せて、仮想敵国や必要な兵力を決めたとされています。多くの仮想敵国をつくり、それぞれに対応する国防対策を講じていくと、必要な軍備に終わりはなく、軍事費は膨張していったのであります。

 大臣に、最後、聞いていただきたいお話があります。歴史学者の加藤陽子さんが、新聞に、インタビューでこういうふうに答えておられます。戦前の日本について、国防方針を作成し、仮想敵国を想定したことが、そのこと自体が、方針に書かれた目標を実現するためにとの理由で軍拡を求める動きなどを誘発したと指摘されています。

 また、今回の安保三文書についても、加藤さんは、積み上げられたものではなく、NATO諸国並みのGDP比二%ありきだが、防衛力を大幅拡充するという方針が中国に対する威嚇や脅しとして機能することは注意するべきですと述べています。

 改めて、大臣、どういうふうに受け止めておられますか。憲法が規定する財政民主主義、そして、国会審議がやはり大事だと思いませんか。いかがですか。

鈴木国務大臣 今回の防衛力の整備、抜本的に強化をするということは、特定の国、地域を念頭に置いて行うものではないということ、これは岸田総理も述べているところでございます。

 政府として、戦後の平和国家の道を、その歩みを外すことがないように、これはもう当然のことである、そう思っているわけでございまして、あくまで、厳しさを増す安全保障環境の中において、国民の命、そして日本の国の独立、これを守るためにやらなければならない喫緊の課題が防衛力の抜本的強化である、そのように政府として考えているところでございます。

田村(貴)委員 時間が参りました。この続きは、次回、また論議をさせていただきます。

 終わります。

塚田委員長 この際、御報告いたします。

 安全保障委員会との連合審査会は、明十九日水曜日午後一時から開会することとなりましたので、御了承願います。

 次回は、来る二十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十七分散会


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