衆議院

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第16号 令和5年4月25日(火曜日)

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令和五年四月二十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 塚田 一郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    石井  拓君

      石原 正敬君    小田原 潔君

      大塚  拓君    大野敬太郎君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      神田 潤一君    小泉 龍司君

      高村 正大君    塩崎 彰久君

      津島  淳君    中山 展宏君

      葉梨 康弘君    平沼正二郎君

      藤原  崇君    八木 哲也君

      若林 健太君    階   猛君

      野田 佳彦君    福田 昭夫君

      藤岡 隆雄君    道下 大樹君

      米山 隆一君    藤巻 健太君

      岬  麻紀君    伊藤  渉君

      山崎 正恭君    前原 誠司君

      田村 貴昭君    吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   内閣府副大臣       藤丸  敏君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   財務副大臣        井上 貴博君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      湯下 敦史君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 宮坂 祐介君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    伊藤  豊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 今福 孝男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   青木 孝徳君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    新川 浩嗣君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    齋藤 通雄君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 田中 利則君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁調達管理部長)            森  卓生君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   参考人

   (国家公務員共済組合連合会理事長)        松元  崇君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  若林 健太君     平沼正二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     若林 健太君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

塚田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君、国家公務員共済組合連合会理事長松元崇君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官室田幸靖君、内閣審議官齋藤秀生君、内閣審議官鹿沼均君、行政改革推進本部事務局次長湯下敦史君、内閣府大臣官房審議官宮坂祐介君、金融庁監督局長伊藤豊君、外務省大臣官房参事官今福孝男君、大臣官房参事官宮本新吾君、財務省大臣官房長青木孝徳君、主計局長新川浩嗣君、主計局次長前田努君、主税局長住澤整君、理財局長齋藤通雄君、国際局長三村淳君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、大臣官房審議官茂木陽君、防衛政策局次長安藤敦史君、地方協力局次長田中利則君、統合幕僚監部総括官大和太郎君、防衛装備庁調達管理部長森卓生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。野田佳彦君。

野田(佳)委員 皆さん、おはようございます。

 今日は長時間の審議でございますけれども、トップバッターを務めさせていただきます立憲民主党の野田佳彦でございます。大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、質問をする前に、宮古島沖で陸自のヘリが墜落をし、大変有為な人材がたくさん乗っておりましたけれども、改めて、お亡くなりになられた方に心からお悔やみを申し上げるとともに、いまだ行方不明者がおりますので、早期に発見をしていただくように政府には要請をしたいというふうに思います。

 加えて、戦闘が続くスーダンで四十五人の邦人が退避をすることができました。航空自衛隊で任務に当たられた皆さんに心から敬意を表するとともに、感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、質問をしたいと思うんですけれども、まず、極めて総括的なことなんですけれども、この防衛費増額をめぐり、反撃能力の向上の一環として、トマホークの購入ということが令和五年度の予算に計上されていました。金額で二千百十三億円でしたけれども、何発買うんだという極めて素朴な質問にずっと政府は答えないで、公表を拒んできました。米国から情報が流れるということが分かって、慌てて衆議院の予算の通過直前に四百発であるということを公表いたしました。

 私は、この経緯を見ていて、極めて違和感を感じたんですね。二千百十三億円というのは本当に大きな額であります。私の地元の船橋市の予算が二千百億円ですからね。一年間、一つの大きな中核市の自治体で使うお金と同じ、同額の税金が単価も公表されないで決められていくというのは、私は異様だと思っていたんです。

 やはり、単価と数量を明らかにしないで予算審議というのは本当に成り立つのかどうか、政策効果というのは吟味できるのか、極めて疑問に思ったんですけれども、それについて、これは本当は防衛大臣なのかもしれませんが、この種のことは予算審議で最近よく見られるので、私はあえて財務大臣にお聞きしたいと思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 おはようございます。

 国の予算、これは国民の皆様方からいただきました税金の使途を決めるものでありますので、国会の議決をいただくとされている趣旨に鑑みれば、国会の議決をいただくに先立って、その内容について政府としてしっかりと説明責任を果たすこと、これは大変重要であると考えております。

 こうした点からは、数量や単価といった積算根拠を示すことが説明責任を果たす上で適切と言える場合には、これを示すことが求められると考えております。一方で、例えば、安全保障に関わる予算のように、その具体的な内容を公表することによって安全保障の目的を害する可能性があるものについては、数量や単価を明らかにしないといったことも許容される場合があるのではないかと考えております。

 予算に係る説明責任については、予算項目の目的や性質等に応じて、所管省庁において適切に判断すべきものと考えます。

 御質問の自衛隊が保有するミサイルの弾数や単価の公表については、所管であります防衛省において判断されるものでありますが、防衛省においては、従来より、秘密保全等の観点からこれを明らかにしていないと承知をしております。

 その上で、トマホークにつきましては、令和五年度予算において約二千百億円を計上しており、国会におけます予算審議を経て、本年四月に防衛省から、四百発の取得を予定しており、単価については経費の内訳を含めて米国側と調整中であって算出はできていない、その旨回答していると承知をいたしております。

 防衛装備品について具体的にどのような情報を公表するかにつきましては、国民への説明責任、そして秘密保全の観点から、所管であります防衛省において責任を持って判断されるものと考えております。

野田(佳)委員 財務大臣としてはそうお答えをせざるを得ないと思うんですけれども、安全保障の目的を害するおそれがあるから単価は公表できない、買う数量も公表できないということが防衛省の考え方だという御説明を財務大臣がされましたけれども、じゃ、日本の安全保障の目的を害するようなことを何でアメリカが情報を流すんでしょうか、日米同盟とはそういうことなんでしょうかというそもそも論に行き当たります。安全保障の目的を害すると言いながら、もっと基本情報として提供できることをきちっと提供していないというところに、ほかの省庁もあるんです。

 例えば、昨日、厚生労働省がアベノマスクの発注量とそして単価を公表しましたよね。三年前に布製のマスクが二枚ずつ各世帯に配られました。我が家にも届きました。残念ながら、私の顔のサイズには合いませんでした。悲しかったですよね。もう眼帯にしようかと思いましたね。というぐらいに税金の無駄遣いだと思っていましたけれども、単価と発注量はどれぐらいか、これは政策効果を考える上で基本情報だと思います。それを司法判断を仰がないと公表しないというのもおかしいんですよね。おかしい。

 この種のことが各省ではよくあるんですよ。ワクチンは二兆四千億円使って購入をした。八億八千万本分ですか、異常に数が多いじゃないですか。単価は、ファイザーは幾らか、モデルナは幾らか、アストラゼネカ、秘密保持契約だから公表できないと。二兆四千億ですよ。

 この種の、公表できないといって基本情報を提供しないことが役所は今物すごく多いと思います。それをもうちょっと、きちっとした政策論争、与野党で一致点を見出そうと努力をするならば、基本情報はなるべく出すように、私は、やはり財務大臣が予算とか決算の審議をつかさどるわけですので、もうちょっとこれは各省に指導してほしいなということを強くまず申し上げて、具体的なほかの質問に行きたいというふうに思います。

 今日は防衛副大臣にお越しをいただいておりますけれども、防衛装備の充実ですね。

 やはり必要な観点は、もちろんお金の手当てが必要です。これは後段の方で少し触れたいと思いますけれども、お金の手当てとともに、装備を充実しても、人手が足りなかったら意味がないんですよ。私は、安保三文書を読んだけれども、人的基盤の充実という観点が弱過ぎると思っていますので、これは二月八日の予算委員会でも総理にお尋ねをしました。まだ余りちょっと問題意識としてぴんときている感じがなかったので、改めて足下の数字の確認からいきたいと思うんですけれども、自衛隊の定員、二十四万七千人ですよね。定員に対する実員のまさに比率、充足率、これは警察予備隊以来、一〇〇パーに届いたことはないですよね。ずっとないんですよ。

 足下の数字をまず確認したいと思いますけれども、現時点の充足率はどうなっているか、教えていただきたいというふうに思います。

井野副大臣 令和三年度末における自衛官のまず定員ですけれども、先ほど野田先生がおっしゃったとおり、二十四万七千百五十四人、そして現員が二十三万七百五十四人で、九三・四%になっております。

野田(佳)委員 そもそも、一億二千万人の国民の生命と財産を守るのに二十四万七千人が適正規模かどうかという議論もあると思うんですが、一度も定めている目標に達したことがないし、今も九十数%ということですね。この九十数%をよく見ていくと、一番精鋭度が占われる士の部分が決定的に足りないんですね、士、若い隊員、八割を切っているはずなんです。ということで、装備を充実しても人手が足りなかったら、これは意味がないんです。

 この観点の議論をもっと深めなければいけないと思うんですが、予備自衛官、即応予備自衛官、予備自衛官補、これらの充足率はどうなっているか、お尋ねしたいと思います。

井野副大臣 令和三年度末における予備自衛官の充足率ですが六九・八%、即応予備自衛官の充足率は五一・六%、予備自衛官補の充足率が五四・七%となっております。

野田(佳)委員 今、それぞれの数は聞かなかったんですけれども、予備自衛官が四万七千九百ですよね。即応予備自衛官が七千九百八十一、予備自衛官補が四千六百二十一ということで、六万程度です、全部合わせて。現役の定員が二十四万七千ですよね。両方合わせて三十万人じゃないですか。

 ほかの国を見ると、いわゆる現役の自衛官に対してほぼ同数か、少なくとも半数が予備役なんですよ。その意味からいうと、これは、日本は元々手薄なんです。手薄な上で、予備自衛官で充足率が七〇パーでしょう。即応予備自衛官というのは、いざというときはすぐ駆けつける人たちじゃないですか、これが五〇パーでしょう。いろいろな意味で人的基盤が極めて重要であるという危機感を私は持たなければいけないのではないかと思います。

 その上で、一番の足下なんですけれども、二〇二二年度に採用した任期自衛官の候補者、これは計画人数の半分以下ですね。半分以下。かつて二〇一八年に採用計画の七二%という数字があって、これが最低だったはずなんです。このときに、任期制の自衛官の採用年齢の上限を二十七歳未満から三十三歳未満に引き上げていますね。引き上げて対象を拡大をして、何とか採用人数を増やそうとしたけれども、今回、半分以下になっているということ、極めて危機的な状況じゃないかと思います。

 静かなる有事は自衛隊という組織の足下にも忍び寄ってきているんですね。この原因をどういうふうに見ていらっしゃいますか。

井野副大臣 やはり、少子化による募集対象者人口の減少により、自衛官の募集環境が厳しくなっておるということがまず前提としてあるかと思います。

 そうした中においても、近年、自衛官候補生以外についてはおおむね採用計画数を達成しておりますが、自衛官候補生については採用計画数に達しない年も生じているのが現実でございます。

 こういった要因についてでございますけれども、現在分析中ではございますけれども、防衛力の抜本的な強化のために、自衛官候補生について、前年度約一・五倍、令和三年度に比べ、令和四年度については一・五倍と高い採用計画数を掲げる中において、少子化により募集対象者人口が減少していること、新型コロナ感染症により募集関連イベントが制限され、自衛隊を認知していただく機会が限定されたこと、また、令和四年度卒業予定の高卒者の有効求人倍率が三・一倍と高い求人倍率になっていることなどが考えられているところでございますけれども、いずれにしても、現在、こういったことを分析しているという状況でございます。

野田(佳)委員 私は、この問題に本当に危機感を持っていて、人材の獲得に本気で乗り出さないと、あの安保三文書は本当に絵に描いた餅になりかねないと心配をしているんです。

 例えば、サイバー分野で、サイバーとか宇宙とか、新しい安全領域が書かれています。そのために人材を集めなきゃいけないと。

 例えば中国のサイバー部隊は、十七万五千人ですよ、十七万五千人。日本が今、五百四十人が何千人かぐらいになったぐらいでしょう。二万人ぐらいを目標にしているんでしょう。二万人というのも、陸海空のそれぞれの任務がある中からかき集めて二万集めたら、ほかが今度、元々人手不足だから、足りなくなっていくわけです。

 あらゆることを、サイバーとか宇宙とか言っているけれども、人が集まっていないで何を言っているのかなと物すごく心配しているんですね。そうすると、じゃ、どうやって人材確保をしよう。

 私の今の危機感というのは、本当に共有できますか、防衛副大臣。

井野副大臣 先生がおっしゃるとおりでございまして、あっ、まず、ちょっと冒頭、済みません。

 先ほどちょっと、有効求人倍率が三・一と申し上げたところ、三・〇一の、済みません、間違いでございました。修正させていただきます。

 その上で、先生御指摘の人的基盤の強化というものは、安保三文書、今回の改定においても位置づけはしておりますので、そういった点では、自衛官の人的基盤確保というのはとても重要だと思っております。

 今回、先生からも御指摘いただきながら、よりしっかり前に進めていきたいと思っております。

野田(佳)委員 この話を予算委員会で二月八日にやった後に、たまたま偶然だと思うんですけれども、二月二十二日に防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会というのが発足したんですよね。

 私はこの動きに注目をしているんですけれども、私は、やはり魅力ある職場、命を懸ける職場なんですから、待遇はもう少し改善をしないと人が集まってこないと思うんです。それは、給与の問題、あるいは、けがをしたとき、亡くなったときの対応など、あるいは生活環境、隊舎なども貧弱過ぎるなどなど、あらゆることを見て、もっときちっとした待遇をするようにしないと、自衛隊というのはほかの公務員と違って、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務めるということを宣誓をしているわけです。命の危険を顧みずという人たちを集めるためには、そのやりがいをもっと感じてもらい、そして、魅力ある職場にしなければいけない。

 そういう議論をしてくれる場だと思っているんですけれども、どのようなメンバーで構成をされて、いつまでにどのような結論を出そうとしているのか、是非教えていただきたいと思います。

井野副大臣 本年二月に立ち上げた防衛省・自衛隊の人的基盤強化に関する検討会においては、やはり処遇の向上、人材確保、人材の有効活用といった広範な課題について検討していただくため、幅広い分野から有識者の御参加をお願いをいたしました。具体的には、民間企業において人材制度改革、人材開発といった実務、研究に携わられてきた方々を始め、報道、学術・官界といった様々な分野から九名の有識者に御参加をいただいております。

 検討会からは防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する提言をいただきますが、これについては、一応、本年六月に中間報告の骨子を議論し、いただくということになっております。

野田(佳)委員 制服組は入っていますか。

井野副大臣 制服の方、現役の自衛官の方という趣旨であれば、入ってはおりません。

野田(佳)委員 入っていない、じゃ、全然意味がないと思います、民間のそういう有識者とか。実情が分かっていないんじゃないでしょうか。意味がないと思いますよ。

 今までもこの種の提言はやってきているはずだけれども、メンバー構成はいつも悪いと思っているんですよ。

 制服組が入っても、統幕議長とか、制服組の、まさにサーベルをぶら下げた士官中の士官みたいな人ばかりで、下士官とかの声とか届いていない。むしろ、隊友会とか、ああいうOBとかの声などを聞いた方がいいと思います。

 私は自衛官の下士官のせがれですから、苦労はよく分かっています。若年定年制ですから、五十代前半で辞めるんですよ。曹で終わったりする、准尉で終わったりする。第二、第三の再就職先は、物すごい見つけたりするのは大変。そのときに子供が進学、大学に入ったりとかするわけでしょう。それで、人生設計が成り立つようにするためには、例えば、海保だって消防だって警察だって、定年は六十歳までじゃないですか。自衛隊だけ若年定年制なんですわ。だって、一佐だって今五十七歳でしょう。昔で言う大佐ですよ。

 というか、副大臣、分かりますか、階級構成。何階級あると思いますか、自衛隊。十六階級あるんですよ。階級によって違うんです、定年する年齢が。下士官で終わると、本当に五十代前半です。これは大変ですよ。

 そういうことを考えたときに、そのことも含めてきちっとした、地に足の着いた議論をするためには、自衛隊員とか自衛隊OBとかを入れなきゃ。偉い人ばかりじゃなくて、本当に最前線で動く人たちの声を集めないと意味がないと思う。

 検討委員会にちゃんとしたメンバーを入れるようにしたらどうですか。

井野副大臣 ちょっと一点、先ほどの点で補足させていただきますと、現役の自衛官はオブザーバーとしては参加はさせていただいておりますけれども、委員のメンバー、委員構成の中には、一応、元統合幕僚長、制服組の方がいらっしゃるということだけ補足をさせていただきます。

 その上で、こういったメンバーの方々に現役の自衛官の実情をしっかりと理解していただき、活発な議論をしていただけるように努力してまいります。

野田(佳)委員 私は、だから、隊友会の下士官の経験者あたりを入れるのが一番いいんじゃないかなと思います。提言として申し上げたいと思います。

 人の手当てばかりで、お金の手当ての議論がまだできていないので、そっちの方に、後半に行きたいと思います。

 副大臣、どうもありがとうございました。結構です。

塚田委員長 井野防衛副大臣、御退席いただいて結構です。

野田(佳)委員 では、いわゆる今回の法案の財源に関わるところの議論に入っていきたいというふうに思います。

 防衛費の財源確保のために、今般、初めて、令和五年度の予算のうち、四千三百四十三億円、建設国債を使うことになりました。これは戦後初めての決断だと思いますが、なぜ戦後初めて防衛費の財源確保のために建設国債を使うことにしたのか、まず大臣にお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 御指摘のとおり、令和五年度予算では、防衛関係費のうち、防衛省・自衛隊の施設整備費約二千五百億円、船舶建造費約一千九百億円、合計で約四千三百億円を建設公債の発行対象経費として整理をしたところでございます。

 これは、昨年十二月に閣議決定をいたしました国家安全保障戦略等において、防衛力の抜本的強化を補完する取組として、防衛省と海上保安庁との連携、公共インフラ等が明確に位置づけられた中で、海上保安庁を含む各省庁において施設整備費や船舶建造費等が建設国債の発行対象であることを踏まえまして、安全保障に係る経費全体で整合的な考え方を取る観点から、防衛省・自衛隊の施設整備や艦船建造に係る経費につきましても建設公債の発行対象として整理することとしたものであります。

野田(佳)委員 海保とのバランスといいますけれども、海保自体、本体自体は軍事行動は行わないわけなので、その並びにしていくことは、連携とはいいながらも、少し私は飛躍があるのではないかと思うし、国際社会の中ではこういう艦船の建造費などを認めているような国もあるかもしれませんが、これはもう何回も委員会でも出ていますけれども、一九六六年当時の福田当時大蔵大臣の国会答弁で、防衛費は消耗的な性格を持つ、公共事業のように国債発行の対象とすることは適当でないということをずっと言い続けてきて、そして、一線を守ってきたんだと思うんです。

 私は防衛費の増額については基本的には賛同する立場でありますけれども、安易に建設国債を認めてしまうということは、建設国債、要は、公共事業と同じように、最近の積極財政論で増やせ増やせという大合唱の下に、建設国債を使って、防衛費増額という大義名分の下にこれをどんどん発行するような、私はアリの一穴になりかねないというような懸念を強く持っています。

 かつて、赤字国債について、特例公債についても、初めて一九六五年に補正予算で赤字国債を発行しましたが、その十年後にもう一回赤字国債を発行せざるを得なくなったとき、当時の大平大蔵大臣が、死ぬほどつらいとつぶやいたと聞いています。

 どうしようもなくなってこれまで守ってきた財政規律を守るための原則を踏み越えたときの、私は大臣としての苦渋というものがもっと出てこなきゃいけないと思いますが、特別な感慨は持たないですか、大臣。

鈴木国務大臣 我が国の財政事情が極めて厳しい中におきまして、赤字国債が、赤字国債、建設国債、結果は同じになりますけれども、これが一方的に増えていくということ、これはなかなかこのまま放置できないことである、こういうふうに思います。

 やはり、財政規律を守るということをしっかり踏まえまして、今の財政状況の中で公債に頼らざるを得ないというのは事実でありますけれども、それについても最小限にとどめるように最大の努力をしなくてはいけない、そのように考えています。

野田(佳)委員 私は、先ほど、福田大蔵大臣、大平大蔵大臣の名前を出しましたけれども、自分もざんげの気持ちで申し上げているところがありまして、私は総理のときに、二〇一二年に、特例公債を単年度でその都度発行してきたものを、特例の特例として複数年度認めるということをしたんです。ねじれ国会で特例公債法が人質になって、十一月まで予算執行が支障を来すということがあって、こんなことをずっと繰り返しちゃいけないなと思ったので、特例公債の特例という形でやりました。でも、それが、その特例の特例が今度は四年が五年になりと、何度も何度も、逆にそれが既成事実となって、規律が私はどんどん緩んでいくことになっていったと思っていて、物すごく反省をしているんです。

 私は、今回の建設国債の、その種の今までの、歯を食いしばった歯止めだったものを崩していく一つのきっかけになりかねないということを物すごく心配をしているということだけはお伝えをしておきたいというふうに思います。

 次に参ります。これだけではちょっとね。

 大体、全体的に、私、今回の法案の防衛費増額の財源のフレームというのが極めて粗雑だと思っているんです。防衛費増額は私は基本的に理解する立場なんだけれども、本当に安定した財源なのか、一つ一つをよく検討したのかについて、これは本当にちょっと大丈夫かなと思っているんですね。

 これまではどちらかというと税外収入などの議論の方が中心だったんですが、まず、今日は税のことを聞きたいんですよね、税のところを。防衛費増額の一部を賄う増税の税目として、なぜ、法人税、所得税、たばこ税の三税を充てることにしたのか、なぜこの三つなのか、理由を教えてほしいと思います。

鈴木国務大臣 現在の税制の決定プロセス、これは与党の税制調査会で決めていくということになっているわけでありますが、税制措置の内容につきましては、この与党税制調査会におきまして、防衛力の強化は、国民の命、暮らし、事業を守るためのものであるという観点、国民各層の負担能力や現下の経済情勢にも配慮しつつ、幅広い税目について議論が行われた、その結果、法人税、所得税、たばこ税という三税目による対応となったものである、そのように承知をしているところであります。

野田(佳)委員 例えば、法人税を充てようというのは分からなくはないんです、分からなくはない。今までは、法人税はどちらかというと減税をやってきたけれども、結局、内部留保ばかりたまって、好循環につながってこなかったということなども考えると、法人税を上げてもいいのではないかという気持ちにはなります。ただ、景気にやはり左右される税目を防衛費の増額の財源に充てて、本当に安定した財源になるのかという議論などもよくやった方がいいと思うんですね。

 所得税についてはこの後少し触れますけれども、たばこ税は、またこんなときにやはりたばこ税を使ってしまうのかなと。税制のおやじ狩りみたいになってしまっていて、困ったときのたばこ税というやり方を安直にやり過ぎているように思うなど、なぜこの三つかということの説明が、私は、十分にできていないし、現実に、生煮えの議論だから、いつから増税するかというのは決めていないんでしょう、決められないんでしょう。

 本来は、こういうのはきちっとパッケージで、いつからお願いしますよと。例えば、社会保障と税の一体改革でも、消費税の引上げの時期は二段階で明記していましたよね。時期も明記しないでやるなんというのは、生煮えの議論を象徴しているんじゃないですか。

 総理がいつも答えるのは、答弁はもっともらしく言うんだけれども、柔軟に判断していくと硬直的に答えているんです、ずっと。柔軟に判断していく、それしか答えられないんです、逆に。これは本当に生煮えの議論だと私は思っているんですね。私は、負担をする人たちに失礼だと思いますよ、この種のお願いの仕方というのは。

 その点について、財務大臣、いかがですか。政府税調じゃなくて、党税調からの議論の積み重ねだということは分かりますけれども。この種のお願いの仕方、国民へのお願いの仕方は、私は、そう簡単に国民がすとんと心に落ちる話にならないと思いますよ。いかがですか。

鈴木国務大臣 与党の税制調査会での議論は、折々、報告という形では聞いておりましたけれども、細かい議論の中につきましては、今しっかりと手元に資料もないわけでございまして、与党税制調査会でどのような議論、今、野田先生がおっしゃったような増税をお願いする時期についての議論がどのようにされたかということについては、申し訳ありませんが、今この場所ではつまびらかにすることはできない、そういうふうに思っているところでございます。

 この法案には増税が含まれていない、時期も含めて、いないわけでありますけれども、今回の法案には税制措置についての規定は盛り込まれておりませんが、これは、税制措置については、昨年末に閣議決定をいたしました枠組みの下、その実施時期について、行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえて、今後判断していくこととされているためで、この部分については昨年末に閣議決定で枠組みが決められている、そのように理解しております。

野田(佳)委員 確かにこの法案には税制措置はもちろん入っていないですけれども、ただ、全体のパッケージは、防衛費増額のパッケージでは、税制措置が位置づけられているわけじゃないですか。位置づけがあってのこの法案ですので、当然関連性があるので、そこはまとめて、特に、それは税制措置なので、財務大臣として頭の中で整理をして、きちっと国民に説明していかないと私はいけない筋のものだと思うんです。

 その一環でいうと、所得税については復興所得税じゃありませんか。これは私のまさに政権のときに決めたことなんですが、要は、税率二・一%を付加すると。今回は、そのうちの一%を、復興税から一%を今度防衛費の方に充てていくということによって、いわゆる、期間、期限を延長しながら、全体としては復興財源に影響しないようにということでありますけれども、将来世代に対しての先送りになることは間違いありませんしね。

 被災地の皆さんと将来世代の皆さんにきちっと理解してもらうような説明がこの枠組みは必要だというふうに思いますけれども、果たして理解を得られるかどうかというと、私は無理じゃないかと思います。どうしたってこれは流用としか思えないと思います。

 大臣はいかがでしょうか。

鈴木国務大臣 野田先生から御指摘が今ございましたとおり、復興特別所得税につきましては、現下の家計の負担増にならないよう、その税率を引き下げるとともに、課税期間を延長することとされておりますけれども、その延長幅につきましては、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとされているところでありまして、復興事業に影響を及ぼすことがないようにしているところであります。

 また、復興財源との関係で申し上げますと、復興債の発行を通じた柔軟な資金調達が可能でありますので、復興特別所得税の税率を引き下げても毎年度の復興事業の円滑な執行には問題は生じないと思ってございます。

 その上で、被災地の方々の思い、私も被災地の者でございますが、そうした方が御心配をされているということについては私もよく話を聞いているところでございます。そしてまた、二〇三八年以降も付加税が続くということで、将来世代に御負担をいただかなければならないということも確かでございます。

 こうしたことを踏まえまして、被災地の方々、将来世代の方々にも御理解を深めていただけるように丁寧な説明に努めなければならない、そのように考えております。

野田(佳)委員 復興の財源確保のときにいろいろな議論があったんですね。例えば、もう勇退をされました伊吹文明先生は、建設国債を充てたらどうだということだったんです。

 でも、建設国債はもちろん償還期間がずっと先になるわけなので、私は、今を生きる世代が、本当に困難なリスクでしたけれども乗り越えるために、基本的には今を生きる世代で分かち合っていこうということで、増税のお願いをする。

 そもそも民主党案は、この復興所得税も十年だったんですね。だけれども、自民党、公明党の皆さんと協議をして二十五年にしたんです。私、二十五年というのは長過ぎるんじゃないかなと思ったんです。その後に、恐らく東日本大震災以外にも日本は大震災の可能性もあるわけじゃないですか。そのたびに、やはり何か対応しなきゃいけないときに、一つの被災地で二十五年間というやり方がいいのかどうかなども含めて。

 将来世代への先送りはやはりよくない。将来だってリスクはあるわけじゃないですか。将来何が起こるか分からない。もっと激しい、厳しいリスクがあるかもしれない。だとすると、そのための財政余力を残しておくということが大事だと。

 その観点からすると、今回のその措置は、被災者の皆さんの理解と将来世代の理解は不可欠なんですよ。そういうために、私は、少なくとも、岩手県出身で地元の皆さんの声は聞いていらっしゃるかもしれませんが、一回、公聴会をやったらどうでしょうか、地方の公聴会などを。

 これは、委員長、御検討いただきますようお願いしたいと思います。

塚田委員長 ただいまの御提案につきましては、後刻理事会で協議いたします。

野田(佳)委員 ありがとうございます。

 また、将来世代に関わるので、参考人として若い人に聞いてもらうというようなやり方もあるのではないかと思うので、併せて御検討いただければというふうに思います。

 これも本当によく分からないなと思っているのは歳出改革なんですね。歳出改革の中身が何にもつかめないんですけれども、私、今までの議論を聞いていて。どのようなことを考えているか、改めてお伺いをしたいというふうに思います。

鈴木国務大臣 防衛力強化の財源としての歳出改革でありますけれども、非社会保障関係費を対象とし、骨太の方針に基づきまして、経済、物価動向等を踏まえ、これまでの歳出改革の取組を実質的に継続する中で取り組むことといたしております。

 具体的には、令和五年度予算においては、非社会保障関係費の増加額を全体で一千五百億円程度に抑える中で、防衛関係費以外の非社会保障関係経費について、一層の効率化によりまして六百億円程度の歳出を減少させることで、防衛関係費の増額のうち二千百億円程度に対応する財源を確保しております。

 その上で、この六百億円という数字でありますが、骨太方針の考え方に基づき歳出全体を見直した結果として、非社会保障関係費において確保された金額であり、その内訳を見ますと、様々な増減があるところでありますが、主要経費別に見たときに減少額の大きい経費を挙げれば、恩給関係費で二百五十二億円の減、エネルギー対策費で二百十七億円の減などが挙げられます。

 令和六年度以降の予算編成においても、歳出改革の取組を継続することで、令和九年度時点において、対令和四年度比で一兆円強の財源を確保できるよう、歳出改革の徹底に努めてまいりたいと思います。

野田(佳)委員 歳出改革と言っても、今のお話は、私は全部数字いじりだと思いますね。数字の操作で歳出改革と言っているわけであって、どこか切り込んでという話では全くないように思いましたので、これは政府からは言う話じゃないかもしれませんが、やはり身を切る覚悟で議員定数の削減とか、具体的に何かを削減するということがきちっとお互いに共有できるような議論をしなければ意味がないということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 先週も申し上げたことでございますが、古来、中国の孫子の兵法では、百戦百勝というのは危うい、戦わずして勝つのが上策だという話を紹介させていただいております。皆さんもよく御存じなことだと思います。反対側に翻してみますと、戦わずして負けるというのは極めて愚かなことだというふうにも思っています。今、日本はまさに、防衛予算を倍増するということで、財政的に行き詰まってしまって、戦わずして負ける、ある種自滅をしてしまうことになるのではないのか、こんなふうに大変心配をしております。この観点から、本日も質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、防衛費の無駄遣いがあるのではないのかという観点から質問をさせていただきます。

 といいますのも、先週、四月十九日、安全保障委員会との連合審査で、立憲民主党の重徳和彦議員の質問に対して、浜田防衛大臣は、予算を要求した中で使い切るのが我々に与えられた仕事だと思っているという発言をしました。

 これは、空調設備に関する予算に対して、当然、予算で確保しているけれども、これは普通、入札とかをやったら、入札不調にならないように、予算をちょっとぐらい多めに積んでいるものだと思うんですよね。それが、入札して、少しぐらい、節約といいますか、予算を下回るような金額になったら、それはちゃんと、歳出カットといいますか、そういったことに振り向けるべきではないのか、こういう趣旨の質問だったというふうに私も理解しておるんですけれども、それに対して、いやいや、そんなの余らさずに全部使い切るんだというようなことで、そういうことをやっているから、予算が幾らあっても足りなくなってしまうのではないのかということを感じたわけです。国を守るのが防衛省の仕事であって、予算を無駄遣いすることでは絶対ないということも改めて申し上げたいと思います。

 その上で、これは三月一日でしたでしょうか、参議院の予算委員会でも出てきた話でございますけれども、無人偵察機グローバルホーク、購入代金を支払っているのに九年たっても納入されていないということで、これはお金だけ払って、でも、防衛力の強化に全くつながっていないということになりますよね。

 これは、FMS、フォーリン・ミリタリー・セールス、有償軍事援助というふうにも訳されたりしますけれども、日本政府がアメリカから防衛装備品を購入する際に、いろいろな仕組みの中で起きていることでもございます。日本側が前払いし、装備出荷後に精算するという仕組みになっているんですが、そもそも出荷の遅れ、生産の遅れが顕著であるということで、これは会計検査院からも指摘をされているということだったというふうに思います。会計検査にも載っているんですが。

 そこで、これは会計検査で指摘されたのは五年ぐらい前だったと思うんですが、改めて、今日は防衛副大臣にも来ていただいておりますので、お尋ねをいたします。

 納入予定日が経過しても装備が納入されていない取引、これは一体何件で、幾らぐらいあったのか、グローバルホークもこの中に含まれるんだと思うんですが、というのが一つ目。

 二つ目は、装備の出荷後に、これは前払いでお金を払っていますから、納品された後、精算手続、前払い金の方がたくさん払っているわけなので精算する、そうするとお金が返ってくるわけなんですが、余剰金の精算が完了していない取引というのは何件で、幾らあるのかということ。

 それから、その内数になりますけれども、装備の出荷後、さすがに翌日に精算というのは無理だとしても、二年たったらもうこれは精算は当然終わっているでしょうというふうに思うんですが、しかし、残念ながら、精算が終わっていない事例が少なからずあるというふうに承知しておりますが、これも何件で、幾らなのかということについて、お答えをお願いいたします。

井野副大臣 ちょっと数字を細かく申し上げさせていただきます。

 まず、平成二十七年度で、防衛装備品の納入が完了していないケースが七十一件、金額にして百六十七億円になります。同じく平成二十七年で、精算が完了していないものが五百三十四件で、金額一千九十七億円。

 続きまして、平成二十八年度についてですけれども、完了していない、未納入のケースが八十九件、百八十九億円、精算が完了していない案件が五百六十二件、一千二百二十億円。

 平成二十九年度末に、まず、未納入、納品が完了していないものが八十五件で三百四十九億円、精算が完了していないケースが五百六十八件で一千六十八億円。

 平成三十年度末で、未納入が百三十二件、三百二十六億円、未精算のものが四百八十八件、八百七億円。

 令和元年度についてですけれども、まず、未納入が八十四件、百六十六億円、未精算、精算が完了していないのが四百九十六件、八百十九億円。

 令和二年度についてですけれども、未納入が五十五件、百四十四億円、同じく未精算のものが五百十一件、八百四十七億円。

 令和三年度についてですけれども、未納入が六十三件、百二十三億円、未精算が五百三十四件、八百五十億円となっております。

櫻井委員 今数字をいろいろ読み上げていただきましたけれども、それをちょっと文書で提出いただくように、委員長、お取り計らいをよろしくお願いします。

塚田委員長 理事会で協議いたします。

櫻井委員 今の質問でもう一つお答えいただいていないのが、二年たっても精算が終わっていないものについても、これは防衛省で数字を持っていると思いますので、併せて理事会に提出いただけますでしょうか。

塚田委員長 理事会で協議いたします。

櫻井委員 よろしくお願いいたします。

 要するに、会計検査院に指摘をされた後、多少の改善は見られるものの、結構な金額がこうした形で残っているということでございます。

 これは何がひっかかって精算が終わらない、そもそも納入、納品されない、これは何が原因なんでしょうか。どこがボトルネックになっているんでしょうか。

井野副大臣 FMS調達の未納入の具体的な原因として、例えば維持部品、補用品などは、米軍の在庫として保管されている場合は速やかに払出しが行われるものの、在庫がない場合には、新たに製造を行う必要があるため通常よりも時間を要し、未納入になるということがあります。

 また、未精算の具体的な原因としては、米国における事務作業が終了するのに非常に時間と労力を要しているということが考えられます。

 以上です。

櫻井委員 いやいや、だって、それも含めて納入予定日というのを決めているんじゃないんですか。だって、在庫もなかったらしばらく時間がかかるというのは、別に、防衛装備品に限らず、どんな商売だって言えることですよね。それを勘案の上、いつぐらいに来るのかな、じゃ、ここまでに納入してくださいねといって約束するのが普通ですよね。いや、それは逆に言うと、その見積りが甘い。この日までに来ると思ったけれども、そこから一年も二年も、九年たっても来ませんということじゃ、それこそ、こちらの防衛の方の計画、我が国の防衛の計画の方がおかしくなってしまうんじゃないんですか。

 これは会計検査院からも、FMS調達による防衛装備品等の納入が完了していないことにより部隊等の運用に支障を来すおそれがある事態が複数見られた、こんな指摘もされているわけですよ。これだったら、防衛財源を確保しました、お金もいっぱい手当てしました、使っちゃいました、でも防衛力強化につながりませんということになりかねませんよね。

 財務大臣にお尋ねしますけれども、財務大臣、財務省は一生懸命、防衛力強化のための財源を確保しますといって法案まで出して一生懸命頑張っているけれども、防衛省の方でこんなずさんなことをされていたら、防衛力の強化につながらないじゃないですか。何かおかしくないですか。これは査定する財務省としても厳しく管理監督するべきだと思いますし、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 防衛省によりますFMS調達につきましては、令和元年十月の会計検査院検査報告及び令和二年六月の参議院決算委員会による警告決議において、前払い金を支払ったにもかかわらず、出荷予定時期を経過しても納入が完了せずに未精算となっているものがあるなどの指摘がなされていることを承知をいたしております。

 当該指摘を踏まえまして、防衛省におきましては、未精算、未納入に係る原因の特定とその解消に向けた取組を進めていると承知をしております。具体的には、組織レベルでのFMS管理体制の強化、大臣レベルでの働きかけなどに取り組んでいるとのことであります。

 財務省といたしましては、これまで、FMSに対して予算執行調査を実施していないものの、会計検査院や国会での指摘事項も踏まえまして、予算編成等を通じて、防衛省による運用の改善、これを働きかけてきたところであります。

 今後、必要に応じて、予算執行調査の活用も検討しつつ、装備品調達が適切に実施されるよう、引き続き、防衛省の取組の成果を確認しつつ、予算編成等を通じて必要な調整を行っていきたいと考えております。

櫻井委員 会計検査院から指摘されたのはもう五年前ですよ。そこから少々の改善は見られたとはいえ、結構、先ほどの御答弁があったように、大きい金額、たくさんの件数が遅れているということですよね。しかも、納入されていないのも六十三件、令和三年度末であるということなので。

 防衛副大臣にもお尋ねしますけれども、会計検査院は部隊の運用に支障を来すというふうに指摘されているわけなんですよ。これは防衛力の強化につながらないですよね。しかも、これから防衛費倍増で、FMSでアメリカから装備をたくさん買う、そういう話になっていますけれども、お金だけ払って装備が来なかったら、全然強化につながらないですよ。どうされるんですか。

井野副大臣 FMSの課題について我々も認識しておりまして、未納入、未精算に、改善する取組を進めているところでございます。具体的には、防衛装備庁における履行管理体制強化のため、令和二年度には、米国現地に米国政府との調整を行う有償援助調達調整班というものを新設をしたり、また令和三年度には、調達実施部署に履行状況を管理する履行管理・促進班を新設しております。

 また、毎年度、FMS調達の諸課題について米側と協議する、SCCM本会議という、安全保障協力協議会合というもので、全ての未納入、未精算のケースの個々の品目ごとに履行状況の管理を継続強化することとして、アメリカ側には個別具体的に働きかけを行っているところでございます。

 また、部隊の運用に支障がないのかということについてなんですけれども、令和三年度末、未納入になっている部品の大半は、F15やイージス艦などの航空自衛隊、海上自衛隊で使用する航空機や艦船のための維持部品だったり整備部品などが主になっておりまして、未納入になっているものの大半は維持部品などであり、直ちに自衛隊の運用に支障が生じるものではないということであります。

櫻井委員 いやいや、会計検査院は複数見受けられたというふうにも言っているわけですし、ストックがないというんだったら、今、平時ではいいですけれども、まさに何か有事になったらたちまち駄目になっちゃうということですよね。これは非常に問題だと思いますので、そこをまず改善して、防衛費を倍増する前に、まずそこをちゃんと手当てしていくことを始めるべきなんじゃないでしょうか。

 財務省にもお伺いいたしますけれども、防衛予算の中にも、FMSの話が象徴的だったので今日は取り上げておりますが、それ以前にも、先週の連合審査でもありました、例えばエアコンであるとか、普通の、防衛省固有とは言えないような予算についても、予算の効率的な執行が必ずしも十分できていないのではないのかと思われる事例もあるわけですよ。そういう大臣の発言もあるわけなので、これはまず、防衛費の予算の無駄遣いがあるのかないのかしっかりと調査をするべきだと思うんですけれども、防衛省の事業について、予算の執行調査、こういったものはちゃんとできているんでしょうか。

新川政府参考人 お答え申します。

 予算執行調査でございますが、これは、主計局の予算担当職員あるいは財務局の職員が、予算執行の実態を調査して改善すべき点を指摘し、予算の見直しに反映していく、こういった仕組みでございます。

 防衛省につきましては、例えば令和四年度を例に取りますと、中期防整備計画に基づく装備品のプロジェクトの見直し状況でありますとか、情報システムの経費、あるいは自衛隊施設整備へのPFIの手法の導入状況等について調査を行っているところでございます。今年度につきましては、医薬品の調達方法、あるいは民間船舶の運航管理事業、こういったものを執行調査の対象としているところでございます。

 先ほど来のFMSその他のものにつきましては、会計検査院の御指摘あるいは予算査定において問題点がおおむね把握されている状況にありますため、その問題点の改善に向けて様々な取組を防衛省に促していく、こういった観点で予算査定をしてございまして、現状においては、予算執行調査、こういった点を取り上げたものは実施しておりませんが、先ほど来申し上げましたように、昨年あるいは今年度におきましても、防衛省予算の執行について、幾つかの事業を対象といたしまして執行調査を行うこととしております。

櫻井委員 いや、ほかの予算は歳出改革をしてといって、いろいろ削って削って削りに削るという話になっているのに、防衛省だけはじゃぶじゃぶとお金を使って、中には無駄遣いもしちゃってもいいんですよみたいなことになっちゃうと、これは話として全然おかしなことになってしまいます。

 以前、一般会計と特別会計について、当時の大蔵大臣が、母屋でおかゆをすすっているけれども離れではすき焼きを食べているみたいな話がございましたけれども、それと同じように、ほかの省庁ではおかゆをすすって切り詰めてやっているのに防衛省ではすき焼きを食べるようなことになってしまうということであってはおかしなことですから、これはやはり防衛省といえども、ちゃんと予算を効率的に執行してもらうということを徹底的にまずやるべきだと思うんです。会計検査院から指摘されたらそれでおしまいですということではなくて、その後ちゃんと改善されているのかどうかということも含めて、やはり主計局は厳しく査定をする。

 これは、会計検査院を今日お呼びしていませんけれども、失礼な言い方をすれば、会計検査院に指摘されても、わいわい言われるだけ。ところが、主計局に指摘をされると、次は予算をつけてもらえないわけですね。やはり主計局の迫力というのは絶大なわけですよ。

 だから、その絶大なる力を予算執行効率化に是非使っていただきたいということで、防衛費を倍増する前に、まず主計局が防衛予算について網羅的に執行状況を調査するということでお願いしたいと思うんですが、いかがですか。

新川政府参考人 財務省におきましては、毎年の予算編成におきまして、要求いただいた内容について、予算編成過程において、その一つ一つについて精査を行い、その妥当性、効率性、実現可能性等について精査を行っているところでございます。

 今般の防衛力の整備におきましても、閣議決定をされました防衛力整備計画におきましては、必要な装備の状況等々について防衛力の目標と達成時期等を定められたところでありますが、その上で、閣議決定されました計画においては、各年度の予算編成においては、情勢の変化等の不測の事態にも対応できるよう配意するとともに、装備品の整備を含め、各事業の進捗状況、実効性、実現可能性を精査し、必要に応じてその見直しを柔軟に行うとされているところではございますので、今年度それから来年度以降の計画期間内における様々な予算要求の内容についても、その都度、その内容を精査いたしまして、実現性、実効性の観点からその内容を精査した上で、予算の効率的な執行を促してまいりたいと考えております。

櫻井委員 今御答弁いただきましたけれども、それは今年度の予算についてもそのように厳しく精査をしということをやったということでよろしいんでしょうか。

新川政府参考人 令和五年度、今年度の予算につきましても、予算編成過程において、計上いたしました内容につきまして精査を行い、効率性あるいは実現可能性について、それを担保できるものとなるようにしたところでございます。

 その上で、実際、予算が執行される執行段階についても、予算執行調査という形を取るかどうかは別として、主計局としてはその執行をきちんと管理していくという責務があると考えておりますので、所管官庁たる防衛省と一緒になってその内容をよく見ていきたいと思いますし、それから、執行された予算につきましては、当然、その決算状況等が確定してまいりますので、その決算の内容等もよく精査してまいって、その後の予算編成に生かしてまいりたいと考えております。

櫻井委員 今年度の予算についてもそうした精査をしたし、その前の年、それまでの執行状況も踏まえてということで御答弁いただいたので、ちょっとこれは委員長にお願いですけれども、防衛予算についてどういう精査をしたのか、精査の過程が分かる資料を是非出していただきたいと思うんですが、委員長、理事会でお取り計らいをお願いいたします。

塚田委員長 理事会で協議いたします。

櫻井委員 防衛費の話はこれまでにさせていただきます。

 副大臣、来ていただいてどうもありがとうございました。

塚田委員長 井野防衛副大臣、御退席いただいて結構です。

櫻井委員 続きまして、IMFの対日審査報告書が三月の下旬に発行されております。それについて質問させていただきます。

 というのは、冒頭申し上げたとおり、日本の財政が行き詰まってしまって、それで結局は戦わずして負けるというようなことになってしまわないのかといろいろ心配をしております。IMFの対日審査においてもそういった懸念がいろいろ指摘をされておるものですから、それで、本日取上げをさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、これは私も読ませていただきましたけれども、この対日審査、IMFですから、当然英語で書かれているわけです。これは日本語訳はありませんかと聞いたら、ないですということだったんですけれども、これはやはりないんですか。

新川政府参考人 IMFが作成したものでございますので、公式な形での日本語訳というものは、財務省においても保持しておりません。

櫻井委員 それはもちろん、国際機関において日本語は公用語になっていないので、ワーキングランゲージになっていないので、IMFは日本語訳は作らないと思いますが、やはり財務省としては、日本の国内で共有するために、正式な訳ではないですけれども、仮訳で結構なので作るべきだと思うんですが、これは作っていただけないでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、対日四条協議の報告書でございますけれども、訪日ミッションをやるに当たりまして、IMF側からの意見表明のような、そういうプレステートメントなどにつきましては、一部これまでにも日本語で公表されて、これはIMF側からも日本語で公表されているようなものもございますし、本件に限りませんけれども、当然のことながら、日本語での情報発信は大変重要であると思ってございますので、今の御指摘も踏まえまして、今後よく、日本語での情報発信を更に考えてまいりたいと存じます。

櫻井委員 そうなんですよ。これは昨年の秋の臨時国会のときに、FATFで、マネーロンダリングとかそういうことがないかどうかということの調査で日本も調査が入って、それに対していろいろ指摘をされたからということで法改正をやりました。金融担当大臣としても鈴木大臣もこれに関わっておられたかというふうに思いますが、このときにも、このFATFの勧告について、英語しかなくて、日本語はないんですよね。これはやはり日本語訳をちゃんと作った方がいいですよねということは私も申し上げましたし、緒方林太郎議員からもそういった指摘をした。

 というのも、このFATFの勧告の中身、日本国内で十分に共有されていないから、そうすると、審査を受けたときに、日本人はちゃんと分かっているのかな、日本国内はちゃんとできているのかなという疑念があって、それで低い評価につながっていたんじゃないのか、そういうふうにも思ったものですから、そういう指摘も国会の中でありました。

 やはり、重要なものについては、ちゃんと日本語訳を作って国内で共有した方がいいと思うんですね。特に、今回のこのIMFの対日審査の報告書については、日本政府、日本人にとって不都合な真実がいろいろ記載もされ、率直な記載がされているわけです。英語版ということは、世界中の人たちは、特に金融関係者は読むわけですよ、ああ、そうかと。世界中からこういう目で見られているのに、日本国内ではこのことについてよく知らない、自分たちがどう見られているかということを知らない。これは本当にゆゆしき事態といいますか、非常にまずい状態だと思うんですね。

 ですから、日本国内の方々にもちゃんと読んでいただくように、日本の現状はこんなふうに見られているんですよと。書いてあることは一〇〇%正しいかどうかは私は分かりませんけれども、そうだとは必ずしも思いませんが、しかし、どう見られているかということはちゃんと正確に知っておく必要があると思います。

 メディアの皆さんにもこういったことはちゃんと発信していただくことが重要だというふうに思いますので、これを全部訳せとは取りあえず言いませんけれども、重要なところは三十ページまでだというふうに思います、本文は三十ページまでです、ですから、ちょっと、IMFの対日審査の報告書本文の三十ページまでのところについて日本語訳を作っていただいて、ちゃんとこの委員会審査に間に合うように出していただきたいと思うんですが、これは委員長、よろしくお願いいたします。

塚田委員長 理事会で協議いたします。

櫻井委員 財務大臣にお尋ねしますけれども、このIMFの対日審査報告書、読まれましたでしょうか。

鈴木国務大臣 報告書そのものは読んでおりませんが、IMFの対日審査においでになった方と直接お会いをし、お話もさせていただきましたし、事務方から骨格については報告を受けております。

櫻井委員 ちゃんと読んだ方がいいと思うんですよ。本文だけだと三十ページぐらいですし、特に、真ん中辺にフィスカルポリシーと、財政政策についても書いてあるので、ちゃんと読まれた方がいいと思いますし、先々週、IMF、ワールドバンクのスプリングミーティングスにも御出席されているんですよね。これは読まずに行ったというのは余りよろしくなかったんじゃないかなというふうに思いますので、やはり読んでおくべきだと思いますし、ちゃんと大臣に読んでいただけるように、やはり日本語訳を作っておいた方がいいと思いますよ。

 それから、今日は日本銀行の植田総裁にも来ていただいております。総裁は、IMFの対日審査報告書、読まれましたでしょうか。

植田参考人 金融政策に関する指摘のところはちゃんと読んでございます。

櫻井委員 植田総裁は読まれているということですので、じゃ、植田総裁に、まず、マネタリーポリシー、通貨政策のところについてお尋ねをします。

 十四ページからのところでございますが、パラグラフ二十九には、BoJ アウトライヤー スタンス アズ アザー セントラル バンクス ノーマライズというふうに書いてあって、つまり、他の中央銀行は金融政策を正常化する中、日本銀行はある種異常なスタンスを取っているというようなことが指摘をされて、その上で、マーケットの参加者は、イールドカーブコントロール、YCCの枠組みの中で、十年物国債の利回り目標の上限に継続的にチャレンジしているというような指摘もされております。

 そして、パラグラフ三十には、やはり短期金利、いずれ上げざるを得ないでしょうということの前提として、短期金利を上げる前に、長期金利の引上げを許容するとか日銀のバランスシートの規模を縮小するというようなことをやった上で短期金利を引き上げるべきではないのか、そうすることで、日銀のバランスシートのリスク、つまり資産と負債との間の逆ざやのリスクを軽減することができるんじゃないのか、こういう提案も書かれております。

 さらに、パラグラフ三十一には、日銀は、更なる柔軟性と長期金利利回りの上昇を可能にするために次のオプションを検討することができるということで、十年物の金利の利幅、今プラスマイナス〇・五ということになっていますけれども、これを広げる。第二に、目標金利の年限を短期化する。今十年物でやっていますけれども、それをもうちょっと短く、何年とは書いていないですけれども、例えば五年物にするとか、そういうことだと思います。第三に、利回り目標を金利ではなくて国債の買入れ額にしてはどうか。こういうような三つの提案をされています。

 立憲民主党としても金融政策についていろいろ提案をさせていただいておりますけれども、書かれている内容については、我々がこれまでこの財務金融委員会等で御提案申し上げてきたことと共通する部分が非常に多いなというふうにも思っております。

 そこで、総裁にお尋ねをいたしますが、IMFがいろいろ金融政策を提案されていますけれども、この考え、いかがでしょうか、採用される御予定はあるかどうか、お尋ねをいたします。

植田参考人 IMFは、今御指摘の対日四条協議後の声明文におきまして、我が国の物価が二〇二四年末にかけて二%以下に低下するとの見通しを示した上で、緩和的な金融政策スタンスは適当と評価しております。その上で、先行き物価が上下双方向に大きく変動するリスクがあるとして、イールドカーブコントロールの更なる柔軟化を検討することが適当としております。

 この点、日本銀行では、国債補完供給を柔軟に運用しているほか、昨年十二月には、長期金利の変動幅の拡大を含むイールドカーブコントロールの運用の一部見直しを行いました。これらの措置やこのところの海外金利の低下を受けて、現状、イールドカーブの形状は総じてスムーズになっていると考えております。

 市場機能については今後も見極めていく必要がありますが、日本銀行としては、現状の経済、物価、金融情勢に鑑みまして、現行のイールドカーブコントロールによる金融緩和を継続していくことが適当であると考えております。

櫻井委員 一方で、IMFからは、日本の期待インフレについて、バックワードルッキングというような表現もあって、過去の、ある種実績に引きずられる傾向にあるのではないのかという指摘があります。つまり、今までは、黒田総裁のときには何かノルムとかおっしゃっておられましたけれども、過去、低いインフレ率といいますか、ほとんどインフレにならない、ゼロというようなことが、次もゼロになるだろうというような期待を引き起こしていた。まさにバックワードルッキングということが起きていたというふうに言って、だから物価上昇はなかなかしなかったんだみたいな説明をされていましたけれども、一たびインフレが起きると、今度はそれに引きずられることになるのではないのかというような指摘もあります。

 それから、あと、賃金上昇が起きるようなことになってくると、今後は、インフレ、二〇二四年初頭までに五%に達する、そういうシナリオもあり得るというふうにも書かれております。

 そうしますと、そういう事態になれば、やはり金融政策変更というようなこと、現時点では考えていないということでしたけれども、それは将来的には、来年になったら、また来年の状況を見て、今のまま続けるかもしれないし、変えるかもしれない、こういうことでよろしいんでしょうか。

植田参考人 先ほど申し上げましたように、現状では、日本銀行は、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に実現するよう金融政策を運営してございます。

 しかし、仮に、賃金や物価が想定以上に上昇し、金融引締めが必要となる場合には、金利の引上げなどによって適切に対処していくことになります。

櫻井委員 次、十一ページからは、フィスカルポリシー、財政政策ということで書かれております。これについては財務大臣に質問させていただきます。

 このパラグラフ十八には、ザ デット トゥー GDP イズ オールレディー アット ア ハイ レベルということで、日本の政府負債は既に高い水準にあるという指摘がされています。にもかかわらず、日本では、いろいろな政策分野、特定の政策分野で政府支出の圧力は高まり続けているということで、サッチ アズ ナショナル セキュリティーということで、IMFの報告書にも、防衛費が大幅に増加することに対して、懸念とは書いていませんが、そんなふうなことを感じるようなことも書かれています。

 それから、予算のシーリングというのを日本政府はやっているけれども、でも、バジェット エクスペンディチャーズ シーリングス ドゥー ノット リミット アクチュアル ガバメント エクスペンディチャーというふうに言って、シーリングはあるけれども全然機能していないというふうにも書かれています。

 私もこれまで、予算、財政についてもいろいろ心配があるということで指摘をしましたけれども、IMFも、防衛費の歳出増で政府債務の積み上がり、これを心配しているようですが、この指摘、財務大臣、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

鈴木国務大臣 櫻井先生御指摘のとおり、IMFから、我が国の債務残高の積み上がり、あるいはシーリングが機能していないのではないかといった指摘、そうしたことがあるということは、これは承知をしております。

 その上で、その指摘を踏まえての見解を述べさせていただきますと、日本の財政状況、これは、債務残高対GDP比が二五五・四%に達するなど世界最悪の水準にあり、さらに、これまでの新型コロナへの対応、累次の補正予算の編成などによりまして、より一層厳しさを増している状況と認識をいたしております。御指摘のIMFによる二〇二三年の対日四条協議報告書も、我が国の債務残高対GDP比の増大について言及したものであると承知をいたしております。

 このように、債務残高の規模が著しく増加することは、利払い費の増加による財政の硬直化、国債や通貨の信認の低下を招くおそれがあり、望ましくありません。財政の持続可能性を確保するためにも、累積する債務残高を中長期的に減少させていくことが重要であって、国、地方のプライマリーバランスを二〇二五年度に黒字化すること、これにより債務残高対GDP比を安定的に引き下げること、これを政府の方針としているところでございます。

 政府として、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認、これが失われることがないよう、経済再生と財政健全化の両立を図ることで、責任ある経済財政運営に努めてまいります。

櫻井委員 今、二〇二五年プライマリーバランス黒字化というお話もございました。財政健全化という話もございました。

 ところが、IMFの報告書十二ページには、本日お配りしておりますこんなグラフも載っていまして、ジェネラル ガバメント デットということで、二〇二四年まではちょっと下がる、ベースラインケースで下がることにはなっていますけれども、その後また上がっていくことになっているんですね。要は、高齢化がどんどん進んでいくから、やはり政府の歳出は増えざるを得なくなるんじゃないのかということで、むしろ、IMFは、これから中長期的には悪化していく、こんなふうにも言っているんですよ。しかも、内閣府の中期の財政の試算について、これはヒストリカリー ビーン トゥー オプティミスティック、楽観的に過ぎる、もうずっと歴史的に楽観的に過ぎる、こんなふうにも指摘をされているんですよ。これはまずくないですか。

 IMFは、私、個人的なことで恐縮ですけれども、大学を卒業して就職したとき、銀行で働いていたんですけれども、海外営業をやっていました。アジア通貨危機、まさに起きていて、やはり、一回マーケットがうわっと動き出すと、資金が動き出すとどうにもならないというので、すごく怖い経験をしたんです。私は下っ端の職員でしたので、別に、何かするというか、仕事がやることがなくなったというだけなんですけれども、でも、やはり怖いなという経験をしています。

 当時、そのときに大蔵省で活躍をされていたのが黒田東彦国際金融局長であり、財務官であったわけなんですけれども、その方が今度は日本の危機を招くようなことを積み上げてしまったというのは歴史の皮肉ではないのかなというふうにも思うんですが、これは韓国とかタイとか、当時、アジア通貨危機、大変だったんですけれども、そのときの韓国の経済規模はそこまで大きくはなかったから、IMFそれから日本も一生懸命頑張って支援をした。それで何とかなったわけなんですけれども、今度、日本みたいな世界第三位の経済大国が危機に陥ったら、これはIMFといえども救済できないから、いろいろ心配してあれこれ言っているんじゃないのかなというふうにも思うんです。

 これはやはり、日本の責任というのは、そういう意味でも、防衛費以前の問題として、我が国の危機というのはあるんじゃないのかと思うんですが、大臣の御認識をお尋ねいたします。

鈴木国務大臣 先ほど来申し上げていますとおりに、我が国の財政事情、これは世界最悪の状況であるわけでありまして、IMFもそのことについていろいろと述べられているわけであります。

 そういう中におきまして、政府といたしましては、財政再建をしっかり進めて、中長期的な市場におけます財政の信認をしっかり得ていくこと。これが崩れてしまいますと、まさに市場によります安定的な資金調達もできなくなってしまうということで大変な危機になるわけでありまして、そうならないためにも、PBの二〇二六年黒字化、これに向けて、たやすい道ではありませんけれども、頑張っていかなければならない、そのように認識をしております。

櫻井委員 そうですよね。だから、たやすい道ではない。更に困難にさせているのが防衛費倍増なんじゃないのかということで、私も大変心配をしているんです。

 次の質問にちょっと移らせていただきます。

 資料二と資料三で、国債買入れ額の推移ということで、資料二の方は、日本銀行がこれだけ買っていますよという資料です。資料三の方は、財務省がこれだけ発行していますよという資料です。本来カラーで出した方がよかったんですけれども、ちょっと予算節約のために白黒にさせていただいております。

 重要なのは、資料三の下のところで、これは金額、棒グラフ自体も、コロナで更にぽんと増えちゃっているということに加えて、一番下のところが伸びている。つまり短期が伸びているんですよね。つまり、すごい勢いで借換えをやっているわけですよ。

 先ほど、植田総裁からも御答弁いただきました。今後の経済状況、金融状況によっては金融政策も見直しの可能性もあるという御答弁でございました。それは当然のことだと思います。

 先週十八日の財務金融委員会で財政余力について質問したときに、財務大臣は、日本国債は市場においてそうした信認というものを得ている、市場において資金を調達できる状況にあるという答弁をされていますが、これは市場において調達できているのではなくて、裏で日本銀行が買い支えてくれているから調達できているんじゃないんですか。

 これは日本銀行が金融政策を変更して買い支えてくれなくなったらたちまち行き詰まってしまうんじゃないのか、こういうふうに心配するんですけれども、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 国債に対します市場の信認ということでありますが、これは、市場参加者から、財政規律が維持され、国債の利払い及び償還が確実に行われていると信頼され、認められている状態を指すものだ、そのように考えております。

 そして、この市場の信認、これは、日銀の国債買入れに依存するものではなく、プライマリーバランスの黒字化等という財政健全化目標の堅持を含めた我が国の財政運営の基本的なスタンスを反映するものである、そのように考えているところでございます。

 今後、万が一、金融政策等もいろいろ動きがあるのかもしれません。そうしたときに、市場の状況を踏まえた上で確実かつ安定的な国債発行を行うためにはいろいろな課題もあるものだ、そういうふうに思っているところでございます。

 国債管理政策としましては、国債を安定的に発行していく観点から、従来同様に、市場ニーズを踏まえた発行を行うことが重要であると考えておりまして、引き続き、市場の状況や投資家の動向等を注視しつつ、市場参加者との丁寧な対話に努めてまいりたいと考えております。

櫻井委員 いやいや、二〇二五年のPB、プライマリーバランス黒字化があるから信認されているというのは、そうじゃないですよ。だって、IMFのレポート、これは日本政府だって交渉してこの文言で落ち着いたんじゃないんですか。フィスカル バランス プロジェクテッド バイ ザ キャビネット オフィス バイアニュアリー ハブ ヒストリカリー ビーン トゥー オプティミスティックですよ。だから、世界中の人は、これを読んで、二〇二五年度プライマリーバランス黒字化なんて誰も信じちゃいないですよ。

 結局、前の黒田総裁が頑固で、異次元の金融緩和、異常な金融政策を続ける、そこの頑固さに信認が集まっていたんじゃないんですか。今、植田総裁になって、もっと真っ当な、正常な金融政策を行うようになるというふうになったら、これはもう分からないですよ。

 ちょっと国債発行の方が、しかも、短期をたくさん持っているから、毎年といいますか、二百兆円規模で、新たな発行というか、借換債も含めて発行しているわけですよね。これは金利が変動したり、金利が上がってきたりとかすると、利払い費の増加とかいろいろな課題が出てくるわけなんですけれども、この点についての変動リスクについて、どういうふうにシミュレーションされていますか。

齋藤(通)政府参考人 国債管理政策の具体的なオペレーションに関する部分ですので、理財局長の方から答弁をさせていただきます。

 まず、私どもの国債管理政策、財政に必要な資金を確実に調達する、しかもそれをできるだけ低いコストで調達するということが使命となっております。

 この国債管理政策を実行する上で、私どもにとって、所与の部分というのが幾つかございます。一つは、国債発行額の部分、これは予算編成過程で決まります。それからもう一つは、金融環境の部分でございます。これは日本銀行が実施される金融政策の効果も含めて、金融環境がどのようになっているのか、そこを所与とした上で、私ども、国債管理政策は、今発行しております国債の年限、一年を切るような短いものから、一番長いもので四十年までございますけれども、その様々な年限の国債をどのような配分でどのように組み合わせて発行するのが一番低いコストでの資金調達になるのか、そこのところを工夫していくというのが私どもの役割でございます。

 御指摘ございましたように、コロナで予算規模が膨らみ、資金調達の必要額が膨らむ中で、それを一番金利を押し上げない形で円滑に発行するにはということで短期の部分が増えたということはございますけれども、一方で、先生御指摘のとおり、短期のものはすぐに満期が来て借り換えなければいけないということで、様々なリスクも発生をいたしますので、私ども、今そこは長期化に取り組んでいるというところでございます。

 その上で、今後、仮に日本銀行の金融政策が変更された場合も含めてということでございますけれども、金融環境の変化というものを見ながら、その中で、私ども、状況の変化に応じて、必要があれば、発行年限、配分を変えていくということで、できるだけ低いコストでの調達ということを続けてまいりたい、そこをしっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。

櫻井委員 これは理財局長の立場からすると、なるべく低いコストで発行ということなんですけれども、実態として、現状は、日本銀行が一旦市場を挟みながら裏で買い支えるということで、その低いコストの部分のコスト負担は日本銀行がしょっている、それがゆえに、日本銀行も今や国債の含み損で十兆円近くの含み損を抱えているということだというふうに思います。結局、日本政府ないしは日本銀行の中で、見えない形で国民負担が続いているということだと思うんですね。

 こういうことをやっていると、それは私で分かるわけですから、世界のマーケット参加者は分かっているわけですよ。こういうことでやっていると、そのうち本当に、なかなか、低い金利、低コストで資金を調達するというのはできなくなるんじゃないのかというふうに心配もするんですけれども、今日、ちょっと、せっかく最後まで主計局長におつき合いいただいたので、お尋ねしたいんです。

 これは、もし仮に、万が一、順調に予定どおりの国債を発行できなかったということは予算に穴が空いてしまうということなんですけれども、予算編成をするときに最優先で計上しなきゃいけない科目とは何でしょうか。

新川政府参考人 予算編成におきましては、様々な予算の性質、経費の性質があろうと思います。例えば、国債を発行いたしましたその利払い等については、これはもう義務的な経費でありまして、必ずお支払いはしていかなきゃならない。逆に言うと、そうした国債を発行いたしましたその利払いあるいは元本の償還について疑念のないよう、そうしたものについては、市場の信認あるいは財政への信認ということを最優先に考えた予算編成が必要と考えております。

櫻井委員 そうなんですよ。最優先なのは公債費なんですよね。防衛費じゃないし、残念ながら、社会保障費でもないんですよ。

 ですから、このことを踏まえて、もう一度財政の在り方を考え直すべきではないのかということ、戦わずして負けるということがないようにということで申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

塚田委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫です。

 岸田総理は、昨年のうちに、相手のミサイル発射拠点をたたく反撃能力を、米軍との共同運用計画を作成して、米軍が衛星などから得た標的情報を基に反撃の精度を高めるんだとして、防衛力三文書を改定をして、戦後の安全保障政策を大きく転換することを決断した、こういうふうに発表いたしましたけれども、米国と一緒に戦争する国にするというのは大丈夫なのかということで、そうした政府の考えを是非ただしてまいりたいと思いますので、鈴木大臣始め答弁者は、簡潔にお答えいただきたいと思っています。

 時間の関係で、もし外務省で来ているとしたら、三番目の、同盟国米国は日本をどう見ているかについては、今日はちょっとやっている時間がないかと思いますが、是非、そういう意味では、委員長にお願いしておきたいと思っていますが、この審議は、岸田総理においでいただいて、直接、同盟国アメリカが日本をどう見ているのかということもやはりしっかり議論しなければ、この戦後の安保政策を大転換するということについては議論が深まらないし、我々日本がどういう立ち位置を取ったらいいのかということも決められないかと思いますので、岸田総理を呼んでの審議も是非御検討いただくよう、理事会でお諮りいただきたいと最初にお願いしておきたいと思います。

塚田委員長 理事会で協議いたします。

福田(昭)委員 それでは、質問に入ります。

 まず、防衛力強化のための増税等の国民の意識についてであります。

 一つ目は、自らの国は守ると国民全体の当事者意識を多くの国民に理解をしていただく必要がある、有識者会議の報告書にそのように書いてありますけれども、どうやって、この自らの国は自ら守るんだという、国民の皆さんに当事者意識を共有していただくことに、どんなふうに理解を求めるのか、お答えをいただきたいと思っています。

室田政府参考人 福田先生にお答え申し上げます。

 御指摘の有識者会議の報告書も踏まえまして、国家安全保障戦略におきましては、戦略の内容と実施について国民の理解と協力を得て、国民が我が国の安全保障政策に自発的かつ主体的に参画できる環境を政府が整えることが不可欠である旨、記載してございます。

 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境におきまして、幅広い分野を対象とする安全保障政策を、総合的な国力を最大限活用して着実に実施していくために、国民の皆様の理解と協力は不可欠であるというふうに考えております。

 まず、安全保障環境が極めて厳しい環境にあるとの実態を国民の皆様に知っていただくことが第一でございますが、多くの国民の皆様は、そのような事実を報道を通じて知ることとなります。その意味におきまして、政府として、メディアの皆様とのコミュニケーションをしっかりと取っていくことが非常に重要であり、これを地道に行っていくということが第一かと考えております。

 また、お尋ねの当事者意識の共有という観点につきましては、例えば、住民の方々の参加を得て実施をいたします、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練などの国民保護に係る訓練をやっておりますけれども、安全保障に対する国民の皆様の意識の涵養にこういった訓練も資するものと考えております。

 政府といたしましては、ただいま御紹介したものを含めまして、平素から、国民の皆様や地方公共団体、企業を含む政府内外の組織が安全保障に対する理解と協力を深めるための取組を行うとともに、国会等におきまして、政府としての考え方を説明することなどを通じまして、国民の御理解と協力を得られるよう努めてまいります。

福田(昭)委員 私は、岸田総理に真の独立国家をつくるというような覚悟はないと思っています。ですから、国民に政府がそういう覚悟がないのに共有してもらうなんて言ったって私は無理だと思いますよ、これは。ですから、そういう意味では、この有識者も、メンバーを見たけれども、いざ戦争になったときに戦争に行く人なんか誰もいないじゃないですか、有識者の中に。若い人も入っていない。こんなことで国民の理解なんて得られませんよ。そこが二つ目です。

 共同通信の全国世論調査によると、首相の説明は不十分だと言っておりますが、どう認識しているのかでありますが、昨年十二月の十七、十八の調査によると、防衛力強化のための首相の説明は不十分だが何と八七・一%です。しかも、設問が六問ある中で、実は一つだけ、賛成だというのが上回っているものがあります。それは、自衛の目的で他国のミサイル基地を反撃する能力を保有するかしないかについては、賛成が五〇・三%、反対が四二・六%。しかし、これは、設問の仕方が誘導しているんですよ。自衛の目的でと書いてある。この反撃能力、これは自衛の目的じゃないじゃないですか。

 ですから、まさにこれは、先ほど申し上げたように、アメリカと一緒にこの反撃能力を、米軍との共同運用計画を作るんだというんです。こうなったらもう、この後も話を出しますけれども、しかも、自衛隊がそんなときに兵たん基地を務めるということなんです。弾薬やそのほかの必要なものを自衛隊が供給するというのは、一緒に戦争するということじゃないですか。そうしたら、これは自衛の目的じゃないじゃないですか。自衛の目的だけじゃないじゃないですか。こうなったら、国民の理解は得られませんよ。

 ですから、そういう意味では、防衛力強化のための増税、これは支持しないが六四・九%、それから、五年間の防衛費を現在の一・五倍超の約四十三兆円にする、これは反対五三%、東日本大震災の復興財源の一部流用反対七四・五%、まさに、反撃能力の保有で日本と周辺国との緊張が高まるが六一%、こういうふうに、ですから、うまくマスコミが誘導質問したものについては賛成になっている。それはそうですよ。自分の国を守るためにはやはり反撃能力があった方がいいなと思うのが普通ですよ。

 しかしながら、この岸田総理の、バイデン大統領との会談した後の記者会見では、なになに、そうじゃないんじゃないか、こういうことがしっかりうかがえるわけであります。

 そして、括弧三ですね、次。

 自らの国は自ら守るということは、日米地位協定も公平、平等なものへと改定する、そういう考えがあるのかどうか、いかがですか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、我が国の防衛力を抜本的に強化しつつ、米国との安全保障面における連携及び協力を深化することなどにより、日米同盟の抑止力と対応力を一層強化する考えでございます。

 その上で、日米地位協定に関しましては、様々な見方があることは承知しております。政府といたしましては、これまでも、米側と様々なやり取りを行いながら、事案に応じて、効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じまして、一つ一つの具体的な問題に対応してきているところでございます。今後も、そのような形で、具体的な取組を一つ一つ積み上げていく考えでございます。

福田(昭)委員 残念ながら、日本は、太平洋戦争に負けた後、戦後処理はできないで今まで、七十八年目に来たわけです。それは、朝鮮戦争というのが勃発したためにそんなことになってしまったわけでありますが。

 ですから、まさに、その中で、実は、政府が絶対、アメリカで公文書公開で出てきた秘密協定についても、日本の政府は決してそんなことはありませんとずっと答え続けてきました。しかし、それは、こんなふうなことが言われております。大きな秘密協定が三つあると言われています。

 一つは、米軍と米兵及びその家族の治外法権ですね。ドイツやイタリアのように、犯罪を犯した米兵がいれば、その国の、ドイツやイタリアの警察が直接基地にも入れる、こういう話があったり、あるいは、米兵の家族までパスポートなしに日本に出入りできる、こういうことが言われております。

 それから、二つ目は基地権。まさに米軍は戦時体制ですから、いつでも日本国中どこにでも基地を造れる。これが、安倍総理が、実は、プーチンと二十七回会っても、北方二島、歯舞、色丹が返ってこないことになっちゃったんじゃないですか。こういう基地権。

 それから、三つ目が指揮権と言われております。指揮権、まさにこれから、もし台湾有事があれば、米軍の指揮下に自衛隊が入って、自衛隊員が先乗りで戦争に参加する、こういうことになってしまうわけであります。

 こうした問題をしっかり政府はオープンにして議論をして、国民の皆さんの理解も得て、どういうふうにして日本を守っていくかということを考えなければならない。そうでなければ、戦後の専守防衛を旨とした外交、安保体制を、私は変えるということはできないと思いますよ。国民をだましたまま変えるということは、これはとんでもない過ちを犯すことになると思います。

 そういうことに対しては、何かありますか、感想でも。意見がありますか。ないですか。なければ、じゃ、いいです。

塚田委員長 福田昭夫君。

福田(昭)委員 それじゃ、これは、是非、岸田総理においでいただいたときに、その覚悟のほどをしっかりお聞かせいただきたいと思っております。

 それでは、次に、国防の基盤である経済力、財政力はあるのかということであります。

 一つ目、失われた三十年をつくったのは、政府の経済財政運営の失敗だったのではないかと私は思っております。

 資料の一と二を御覧ください。資料の一は、信金中央金庫が作った日銀短観と景況調査のDIの推移です。これを見ると、資料二の、財務省がよく出しております、一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移がよく理解できるようになっております。

 資料の一を御覧ください。これを見ると、まさに、見事によく表しております。残念ながら、平成元年がちょっと入っていないんですが、九〇年の前が八九年、八九年に実は消費税三%をつくったわけです。それから、バブルが崩壊をして、見事に景況もがくんと落ちました、基本的に。

 それから、またせっかく上がってきたのに、九七年に消費税を五%にした。アジア通貨危機もあって、実は、拓銀や山一証券などが破綻をして、がくんとまた落ちました。それからまた上っていったのに、今度はITバブルの崩壊などでまたがくんと落ちた。それから、またせっかく上がっていったのに、今度はリーマン・ショック、その前に、アメリカのGMが破綻をしたり、米国の住宅バブルが崩壊したりして、リーマンが破綻をして、〇八年にまたがくんと落ちていった。

 それから、またせっかく上がっていったのに、今度は消費税八%、一四年の四月で、また中だるみをしてきた、下がってきた、中だるみしてきた。

 そして、さらに今度は、消費税一〇%の増税、これが一九年の十月ですね。新型コロナウイルスが始まって、また、ロシア、ウクライナの侵攻もあって、がくんとまた落ちてきて、また今少し持ち直している、こういう状況です。

 ですから、全て、いろんな世界的な情勢に加えて、消費税の、実は創設と引上げがみんな絡んでいるということです。

 資料の二を御覧いただきたいと思いますが、資料の二を見ると、まさに財務省がいつも出していて、一般会計の歳出と税収の乖離が広がっている。まさにワニの口が広がっていると財務省がいつも嘆いているわけでありますが、まさにこれと符合していくんですね。

 ですから、そういう意味からいうと、やはり、これは、失われた三十年をつくったのはやはり政府の責任ではないか、それを指導できなかった、もっと言えば、政党、政治家の責任ではないか、こう私は思っているわけでありますが、財務省だけに押しつけるつもりはありませんが、まさに、財務省をちゃんとリードできなかった政党や政府の責任じゃないか、こう思っているんですが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 我が国の経済につきましては、一九九〇年代のバブル崩壊以降、低い経済成長で推移する中、企業は賃金を抑制をして、消費者も将来不安などから消費を抑制し、結果として、需要が低迷し、デフレが加速するという悪循環が生じたものと認識をしております。

 こうした状況に対し、アベノミクスなど大胆な経済政策を強力に推進することによって、デフレではないという状況をつくり出し、GDPや企業収益、さらに、雇用環境も改善されてきたものと考えております。

 岸田内閣におきましても、新しい資本主義の下、官民連携で成長分野への投資や人への投資を推進することで、成長と分配の好循環を拡大し、力強い成長の実現に向けて取り組んでいるところであります。

 引き続きまして、経済再生と財政健全化の両立に努めてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 岸田総理の新しい資本主義はどこへ行ったか分からないような状況なので、新しい資本主義についても、岸田総理がおいでいただいたら是非お伺いしたいと思っていますが。

 二つ目ですけれども、日本が多額の借金、国債ですね、今、国、地方合わせて前年度末で千二百兆円を超えたという話でありますが、それでもどうして財政破綻しないのか、その理由を教えてください。

鈴木国務大臣 福田先生御指摘のとおりに、我が国の債務残高、これはGDPの二倍以上に累積をしておりまして、国際的にも最悪の水準にありますが、これまで、家計の金融資産や経常収支の黒字化等を背景にして、大量の国債を国内で低金利かつ安定的に消化してきたところであります。

 一方、一たび持続可能性、財政の持続可能性への信頼が損なわれた場合には、金利の上昇などを通じまして利払い費が大きく増加するおそれがあることや、さらに、通貨の信認を失えば市場からの資金調達が困難となる可能性があることなど、御指摘のように、財政面においても重大な影響が及ぶと考えられます。

 財務省といたしましては、今後もこれまでと同様の環境が継続する保証はない中で、市場や国際社会における中長期的な財政への、持続可能性への信認が失われることがないように、歳出歳入両面からの改革を進めることで財政健全化に取り組まなければならない、そのように考えております。

福田(昭)委員 私は、前の、前の前の大臣になるのかな、麻生財務大臣からこう伺っております。麻生財務大臣は、経常収支が黒字の国で、発行している国債が全て自国の通貨建て、つまり日本ですから円建てで発行している国で、財政破綻した国が今まで歴史上にはないと。日本は、今のところ経常収支も黒字だし、発行している国債は全て円建てなので財政破綻しない、こういうふうに伺っておりますが、そんな中で、三つ目ですけれども、令和四年度の貿易収支の赤字が二十一兆円を超えました。経常収支も赤字になるおそれが出てきましたけれども、もし余りにも極端な円安政策をずっと続けていけば、貿易収支の赤字幅が大きくなって、所得収支の黒字が、日本に持ち込むと何か円安で高くなっちゃうみたいですが、この辺が同時に相殺されるような形で経常収支が黒字を保つというようなことであると、大変心配な状況になってきているのかな、こういうふうに思っております。ここは、質問、時間の関係で省略します。答えは要りません。

 四つ目。せっかく総裁に来ていただいたので、四つ目の質問に行きたいと思いますが、先ほど我々の櫻井委員がすごく詳しく質問しましたので、私の方からは簡単に質問したいと思いますが、日本銀行は、円の実質為替レートが五十年前に戻っちゃった、こういうふうに言われておりますけれども、そんな中で、貿易収支の赤字額が所得収支の黒字額を上回るようになっても現在の過度な円安政策を改めようとしないのかどうかということでありますが、時間の関係で、私の方から一方的にしゃべって、後で御回答いただきたいと思っています。

 アメリカの大投資家の一人、ジム・ロジャーズですかね、ジム・ロジャーズは、アベノミクスの異次元の金融緩和は間違いだ、過度の円安政策は間違いだ、今はいいが、やがてツケがやってくる、自分の国の通貨をこんなにおとしめて、下げて繁栄した国はない、安倍総理はやがて日本を破壊した男として歴史にその名を刻まれるだろう、こういうふうに言っておりました。

 現在のマネタリーベースを見ておりますと、植田総裁がこの異次元の金融緩和を続けると言った途端、実は、マネタリーベースがまたどんどんどんどん上がっております。一時は、実は黒田総裁のときも、コロナが始まる前は五百兆円を切るような状態になっていました、マネタリーベース。ところが、コロナが始まってから六百兆円を超えるような状況になって、植田総裁が続けると言ったら、どんどんまた上がっていって、今六百七十九兆円ぐらいになっているんですかね、そうなっております。そのうち約八割は日銀の当座預金に納入されて、そこで銀行も、付利が必要だから、そこから付利をもらって銀行も少し利益を得ているんでしょうけれども、そんな状況にありまして、さらに、マネーストック、マネーストックのM2は一千兆円を超えました。また、流動性の広義のマネーストックは何と二千兆円を超えております。

 こうしたとんでもない大きな大きなこんなお金をこれだけ出して、ストックして、これで日銀は、あるいは政府の財政はどうなるんでしょうか。植田総裁、どんなお考えをお持ちなのかをお聞かせいただければと思います。

植田参考人 委員御指摘のまず為替レートでございますけれども、これについては、言うまでもなく、財務大臣の所管でございます。その上で、為替レートについては、経済、金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが極めて重要と考えております。

 また、為替市場の動向や貿易収支、所得収支、経常収支は、経済、物価情勢における重要な要素でございます。もっとも、金融政策運営に当たっては、そうした要素も含めまして、全体としての経済、物価情勢を点検し、あくまでも物価の安定という自らの使命を果たす観点から実施していくものと考えてございます。

福田(昭)委員 総裁、日銀の役目は物価の安定ということかもしれませんが、私は素人ですが、提案をしておきたいと思っていますが、この窮地を抜け出すというか乗り越えるというのは至難の業だと思っています。ですから、是非、日銀の中に、日本はもちろんですけれども、世界の英知を集めて、どうやってこの異次元の金融緩和を抜け出していくか、出口をつくるかということは、私は内密裏に研究した方がいいんじゃないかな、まあ研究しているかどうか分かりませんがね。(発言する者あり)あっ、言っていた。ああ、そう。じゃ、是非これは期待をしたいと思っていますが、私は、日本だけじゃなくて、世界の英知も集めて是非検討されることを望みたいと思います。

 それでは総裁、これで結構でございますので。

塚田委員長 植田日本銀行総裁は御退席いただいて構いません。

福田(昭)委員 それでは、五つ目と六つ目、一緒にお聞きしますが、経常収支が赤字になれば、国債の発行も容易ではなくなるのではないかと思っております。現在の対外資産残高はどのぐらいあるのかということですが、これは令和元年の数字ですが、一位は日本で三百六十四兆円、二位はドイツで二百六十九兆円、三位は中国、二百三十一兆円、四位が香港で百七十兆円、五位がノルウェー、百八兆円でありました。今、中国が香港を、どっちかというと併合してしまったので、もしかすると世界一の純債権国になっているかもしれません。

 六つ目の、国債が発行できなくなれば、財政破綻と、経済も一緒に破綻してしまうのではないか、そういう心配があります。

 元内閣府で仕事をしてきた島沢諭関東学院大学教授は、二〇二三年度予算を見て、日銀が実質的な金融引締めに転じる中、毎年三十兆円もの新規国債発行を伴う赤字財政運営をいつまで続けられるのだろうかと心配して、シミュレーションをしてみたそうでありますが、現行の財政スタンスを続けていては、財政ばかりでなく、マクロ経済も持続可能でなくなる、経済破綻をする時期については、二〇三六年をタイムリミットとして、それまでには健全財政への転換が必要だ、そういう政策的合意を引き出すことが大事だ、こんなふうに指摘をしておりますが、いかがでしようか。

鈴木国務大臣 経常収支と国債の発行の関係、そして、国債が発行できなくなった場合、財政の、あるいは経済も大きな影響を受けるのではないか、そういう御指摘であったと思います。

 経常収支は、世界経済その他、様々な要因により影響を受けるものでありますが、仮に経常収支が赤字となった場合に、そのことが国債の安定的な消化に及ぼす影響については、その時点における国内の民間部門の資金調達の状況でありますとか国債の発行額等によることから、一概にお答えすることは困難であります。

 ただし、市場や国際社会におけます中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることのないよう、責任ある経済財政運営に努めていくことの重要性は一層高まるものと考えられます。

 今後とも、責任ある経済財政運営に努めるとともに、国債発行当局として、引き続きまして、市場の状況や投資家の動向等を注視しつつ、市場参加者との丁寧な対話を行いながら、市場ニーズを踏まえた安定的な国債発行に努めてまいりたいと思います。

 そして、国債が発行できなくなった場合の財政、経済に対する影響でございますが、先ほど申し上げましたが、経常収支の動向が国債の安定的な消化に及ぼす影響につきまして、一概に申し上げることはできないわけですが、財政運営のリスクが高まる可能性、これは否定できません。一たび財政の持続可能性への信頼が損なわれれば、自国通貨建ての国債であっても、市場からの資金調達が困難となる可能性がないとまでは言えません。財政面においても重大な影響が及ぶと考えられます。

 また、財政の持続可能性や財政運営に対する信認が失われれば、金利の急上昇や過度なインフレによりまして、経済や国民生活に深刻な悪影響を生じさせるおそれがあります。

 財政運営に対する市場の信認、これが将来にわたって失われないように、引き続き、歳出歳入両面の改革を続けていくことが重要であると考えております。

福田(昭)委員 それにしては、歳出削減の努力が非常に足りない状況が続いているというのにはびっくりをいたします。

 それでは、括弧七はちょっと省略をして、括弧八の、財政を再建するためには、やはり消費税を減税して、景気をよくして、そして税制の抜本改革を同時に行うことが必要だと思っております。

 資料の三と四と五を御覧いただきたいと思いますが、資料の三は、残念ながら今年亡くなられてしまいました中央大学の名誉教授の、しかも、日本の税理士試験第一号合格者、公認会計士試験第一号合格者の、元国税庁の官僚でありました富岡幸雄先生が作成した資料を私の事務所で見やすく整理したものです。四と五は、元内閣官房参与の、京都大学の大学院の教授の藤井聡先生の作成した資料でございます。

 ここで申し上げれば、政府は、元々、直間比率の見直しが目的で創設した消費税を、平成十一年度から社会保障目的税だと国民をだまして消費税増税を続けてきました。それはうそだという証拠の資料がこの資料の三であります。法人三税や所得税、住民税を大幅に減税したために、消費税をつくって増税を続けてきたということであります。加えて、消費税は、増税すれば、経済を縮小して、税収が減って、減少させて、財政再建もできないということを示しております。

 現在の物価高を考えれば、消費税の大幅減税と税制の抜本改革が必要だということであります。現に、世界の九十か国を超える国は消費税に当たる付加価値税を減税をしているというのが実態であります。

 そうしたことを踏まえて、政府は、本当に財政健全化を考えるんであったら、是非、そういった考え方に基づいて対応すべきだということを提案しておきます。時間の関係で、答えは要りません。

 続いて、三番は省略をさせていただきますので、財務省の皆さんは結構でございます。もしいらっしゃったらね。

 次、四番目に行きます。日本は専守防衛を捨てたのかという質問です。

 先日、参考人の質疑がありました。この参考人の質疑の中で、私は、柳澤協二さん、それから金子勝さんの指摘は物すごくすばらしい指摘だったと思っております。よく、賢者は歴史に学ぶ、こう言われておりますが、こうした経験豊富な方の意見をやはり真摯に受け止めて、それで今の日本の安全保障やそういったものを考えていく必要がある、そのように思っております。

 そんな中で、括弧一と括弧二ですが、日米は反撃力で連携強化するのか、それから、日米は台湾有事があったら連携強化するのか。括弧一と二、併せてお答えください。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、反撃能力についてお尋ねがございました。

 昨年末、国家安全保障戦略及び防衛戦略等においてお示ししておりますとおり、近年、我が国周辺ではミサイル関連技術と運用能力が飛躍的に向上し、質、量共にミサイル戦力が著しく増強される中で、既存のミサイル防衛網だけでは完全に対応することが難しくなりつつあるという現実、この厳しい、大変厳しい安全保障環境にございます。日米は、これに対処するための日米同盟の共同の能力を向上させる必要性を強く認識しているところでございます。

 こうした中、政府といたしましては、米国が安全保障条約上の義務、まさに日本国の施政下における領域に対する武力攻撃、これに対処するという義務を果たすことに全幅の信頼を置いておりますが、これとともに、我が国としても、反撃能力を保有し、国民の命や暮らしを自らの力で守り抜く能力、これが必要と考えてございまして、これによりまして日米同盟の抑止力、対処力を一層向上させまして、弾道ミサイル攻撃等に対応することが不可欠と考えてございます。

 また、あわせまして、委員御指摘の台湾有事に関するお問合せでございます。

 こうした仮定の質問にお答えすることは困難でございますが、政府といたしましては、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障にとってはもとより、国際社会全体の安定にとっても重要でございます。

 台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの一貫した立場でございまして、本年一月に実施いたしました日米2プラス2、日米の外務、国防の大臣の間の協議におきましても、国際社会の安全と平和に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の維持の重要性を改めて表明し、両岸問題の平和的解決を促した、これを両国の2プラス2の大臣で確認をしたというところでございます。

福田(昭)委員 短くしてくださいよ、だんだん時間がなくなっちゃうので。

 皆さんも御存じでしょうけれども、本年の二月十七日、日経新聞によると、米海兵隊のトップのデビッド・バーガー総司令官は、日本の自衛隊から武器の修理部品、そういったものや弾薬などの補給を拡大する体制づくりを目指すと表明しました。台湾有事で連携を視野に入れる日本などの周辺国と連携して抑止力を高めることで中国との戦争は防げる、こういうふうに断言したということでありますけれども、本当に戦争があったら厳しい決断が迫られるのではないかと思っております。

 先日の柳澤協二さんの話によれば、まさに、ここで、もし台湾有事があったときに、自衛隊が米軍と一緒に戦わなかったら日米同盟は駄目になる、こういう話ですから、そんなことを考えれば、やはり、しっかりこれは議論すべきだと思います。

 確かに、兵たん基地を務めるということになれば一緒に戦争しているということですからね、これは。ですから、そこはちゃんとしっかり認識をして、国民の皆さんの理解を得られるようにしなくちゃならないと思っております。

 さらに、質問を、どんどん時間がなくなってきましたから最後に行きたいと思いますが、括弧六。私は、この難しい問題を解決するためには、やはりグローバルサウスの力を活用すべきだ、このように考えております。

 しかも、憲法九条は米国がプレゼントしてくれたものだということであれば、逆にこの憲法九条を逆手に取って、アメリカがくれたものだから日本はこれを大事にするんだということで、戦後、自民党政権が長く続けてきたこの専守防衛を徹底して、平和外交に私は専念すべきだというふうに思っております。

 括弧六の質問でありますが、石橋湛山に学んで、遠くを見据えて、それこそ二〇三〇年、五〇年を見据えて、日本とアメリカ、インド、インドネシア、中国、ロシアの六か国による平和同盟を結んで、アジアを始め世界平和に貢献する道を選ぶということが、私は日本の国民にとって、日本の国にとって一番大事なことだと思っております。

 先ほども申し上げましたが、賢者は歴史に学ぶ、まさに、岸田総理がちゃんと歴史に学んでいるのかどうか。日本が太平洋戦争に何で突っ込んでいっちゃったのか。ここをやはりしっかりと認識をして、どんなことを考えたって、私は、日本は、巻き込まれたとしても戦争は駄目だと思っています。

 それは、一つは、ずっと議論してきました、日本には防衛の基盤という経済力、財政力がもうなくなっちゃったということです。このことを実はアメリカも指摘しています。日本はとんでもない国、さっき櫻井さんの方からIMFの方のレポートもありましたけれども、グローバルトレンド二〇四〇というのを実はアメリカは発表しております。その中で、日本の国は、実は、世界に影響を及ぼすパワフルな国ではもうなくなってしまう、二〇四〇年には。そういうふうに指摘しております。世界の主要国から消えてしまう、ここまで、このグローバルトレンド二〇四〇でアメリカは日本を評価をしております。そんなことを考えるととてもとても、まず財政力、経済力がない、だから、巻き込まれても絶対戦争できない。

 さらに、もう一つは、日本の北海道から九州まで六十基も造っちゃった原発と、今保有している使用済核燃料です。これはもう敵の攻撃の仕方によっては簡単に原子爆弾になってしまいますから。ですから、これは、大変な使用済核燃料を持っている、しかも、それぞれの原発のところの敷地に持っているというわけですから、とても、攻められたらひとたまりもありません。

 こんなことを考えると、どんなことがあっても、アメリカと幾ら仲よくしてもいいと思います、私は。でも、一緒に戦争しちゃ駄目です。それが日本という国だ、今の日本の国の現状だということをしっかり認識をして政府は取り組むべきだということを私は指摘をして、質問を終わります。

 以上です。

塚田委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して質問いたします。

 私事でございますが、三十年前のことでございますが、実は私、植田総裁の授業を聞いたことがある上、投資銀行での調査バイトというのを紹介していただいたことがあるという懐かしい思い出がございまして、三十年後にこういう形で再会するとはということでございますが、まず、本日、財源確保法の質問をさせていただくんですけれども、その前提として、金融政策について植田総裁にお伺いしたいと思います。

 植田総裁御自身の言葉でないので恐縮ですけれども、報道で、日銀は二十七日、二十八日、これからということですけれども、二十七日、二十八日の金融政策決定会合で、四半世紀にわたる長期的な視点から金融緩和策の点検、検証を実施する方向で調整に入ったというふうに報じられております。

 四半世紀というのは二十五年間でございますので、一九九八年から二〇二二年の二十五年のことなんだろうと思うわけなんですが、ちなみに、資料一を御覧いただきますと、この間のインフレ率、IMFのデータから抜き出してみました。この間、二十五年間あって、インフレ率がマイナスだったのは十四年間、二十五のうちの十四。確かに、多数決で決めるのであるというならば、マイナスのときが多いんですけれども、逆に、十一年間はプラス。かつ、インフレ率が低いといっても、マイナス一・三三%が一年あるだけで、かつ、この二十五年間を算術平均いたしますと、〇・一五三%で、プラスなんです。

 植田総裁は、就任前の記者からの質問にも、論理的にというふうにお答えされていたと思いますし、私も、私が言うのも非常に僭越ではございますけれども、極めて論理的な経済学の大家だと考えておりますので、是非これはお伺いしたいんですけれども、植田総裁として、この二十五年間、デフレだったというふうに御認識なんでしょうか。ちなみに、釈迦に説法でございましょうが、デフレというのは物価が継続的に下落する状態ということでございますので、この二十五年間が物価が継続的に下落する状態という意味でデフレだったのかどうか、植田総裁の御所見を伺います。

植田参考人 お答えいたします。

 全体をまとめて二十五年間というよりは、ちょっと時期を区分して考えた方がよろしいかなと思います。

 一九九八年から二〇一二年くらいの十五年間について見ますと、ほとんどの年の物価上昇率がマイナスとなっておりまして、継続的に物価が下落する状況にあったというふうに考えております。これは言うまでもなく、不良債権問題、ITバブルの崩壊、リーマン・ショックなど様々な負のショックの影響を受けたものでありますが、さらに、長い間にわたって継続的に物価が下落したことで、我が国では、物価や賃金が上がらないということを前提とした考え方や慣行が定着した影響があったというふうに考えてございます。

 その後、日本銀行は、デフレ脱却を目指して、二〇一三年に量的・質的金融緩和を導入いたしました。大規模な金融緩和が、政府の様々な施策とも相まって、経済、物価の押し上げ効果をしっかりと発揮し、現在、我が国は物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっていると考えてございます。

米山委員 従前の見解もありますし、それはそういう御答弁になるんだと思うんですけれども、要は、一九九八年からの十五年が、一時的な、バブル崩壊だったりリーマン・ショックの崩壊だったり、一時的なものかそれとも構造的なものかはもうここで議論してもしようがないのでさておくとして、いずれにせよ、十五年しかデフレはなかったということはもう日銀総裁もお認めになり、ここ直近十五年は別にデフレじゃないという、それも日銀の異次元の緩和のおかげなのかどうなのかは別として、もう既に十五年間はデフレじゃないという、十年ですかね、デフレじゃないということはお認めになったということでいいのかなと思います。だから、そういう意味では、相変わらずデフレ、デフレと言っているのは非常に違和感があるといいますか、それは違いますということでお認めいただいたのかと思います。

 ちなみに、二〇二三年一月の日銀展望レポートによりますと、二〇二三年の生鮮食品を除くCPIの見通しは一・六から一・八%、コアコアCPIの見通しは一・七から一・九%となっているんですが、資料二ページを一旦見ていただくと、三月発表のインフレ率は、生鮮食品を除くCPIが三・一%で、これはしかも、前年比だけだと、突然上がったからというのはあるかもしれないんですけれども、前月比においても〇・三%上昇、つまり、十二を掛ければ三・六%上昇基調が続いているということであります。コアコアCPIも三・八%で、これは前月比〇・五%上昇ですから、〇・五%って、十二を掛けると六%上昇になっちゃうんですよね。

 もちろん、ウクライナによる物価上昇というのがあって前年比が高くなるのは分かるんですけれども、御承知のように、ウクライナの話というのは二月で起こっているわけですからね。それがまだ続いているんだと言われればそうなのかもしれませんが、いずれにせよ、少なくとも、既に三月においては、この展望レポートからは乖離しているわけなんです。

 二〇二三年はこれからがしがし下がっていくのであるということなら、コアコアCPI三・八ががしがし下がって二%ぐらいになるということならそうなのかもしれないんですけれども、正直、その理由が分からないんですよ。下がりますと言っているだけで、一体全体、何でこれから、今もう三・八%、前月比ですよ、前月比で〇・五%の上昇をしている物価が、この二〇二三年内に、しかも平均してこれが一・九%とかになるという意味なんでしょうから、平均して一・九%ぐらいまで下がっていくのか、その理由をちょっと教えていただけますか。総裁にお伺いします。

植田参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、足下のインフレ率はかなり高いところに来ておるわけでございますけれども、その主因は、輸入物価の上昇を起点とするコストプッシュ要因でございます。こうした輸入物価あるいは国際商品市況は一頃に比べて下落し始めておりまして、輸入物価の前年比もプラス幅が着実に縮小しております。そのため、こうしたコストプッシュ要因の影響が減衰していくというふうに見ております。

 こうした下で、消費者物価の前年比は、今年度後半にかけて二%を下回る水準までプラス幅が縮小していくというふうに現在見てございます。

米山委員 同じ質問で大変恐縮なんですけれども、本当に総裁にこんなことを伺うのも申し訳ないんですが、二ページの図三を見ていただくと、これがコアコアCPIの、太い黒いのが二〇二三年のグラフなわけですよ。このグラフを見て、これから鎮静化していくとどうして思えるのかちょっと分からないといいますか、上がっていませんかということなんですね。

 何度聞いても、いや、これは輸入物価を起点としているから大丈夫と言うんですけれども、そもそも、日銀って、ずっとずっと、今も現在も、継続的な物価上昇をもたらすための異次元の金融緩和を続けているわけじゃないですか。だから、異次元の金融緩和によってこの物価上昇がもたらされている可能性はあるはずなんですよね。この物価上昇というものを見て、なぜそんなに、いや、これは自分たちの政策は全く効いておらぬのだと。そういうことでしょう。全く自分たちの政策は効いておらず、何で輸入物価の上昇だけが原因であると言えるのか。

 もう一度、論理的にお答えいただければと思います。

植田参考人 まず、委員御指摘の資料の二ページの図二、図三等でございますが、これは物価指数の水準をグラフにしてございますので、これが上がっていっても、上昇率としては下がってくるということは十分に考え得ると思います。

 その上で、インフレ率の今後について、金融緩和の影響があったのかなかったのかという御質問だと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、輸入物価を起点とするコストプッシュ要因は今後減衰していくというふうに考えてございます。これが全体のインフレ率が下がってくると見ている最大のポイントでございますけれども、他方で、基調的な消費者物価の上昇率、これはまだ二%を下回っているというふうに考えてございますが、それが少しずつ上がってきている。そこのところには金融緩和政策の効果も効いているというふうに見てございます。

米山委員 これはちょっと、一言一句という形では通告していないんですけれども、これは私はずっと不思議なんですけれども、日銀のインフレ率の目標は二%なわけですよね。現在のインフレ率は三%台なわけなんです。二%のインフレ率を実現したいのであれば、金融緩和をやめたらいいと思うんですよ。だって、三%から二%にやるのに金融緩和を続けるというのはおかしいわけですよね。一回やめて、二%ぐらいになって、もっと下がりそうだったらまた続ければいいんじゃないですか。金融政策というのはそもそも、そういうふうに機動的にできるものを金融政策というんじゃないんでしょうか。

 ずっとずっと続けなければならないなんというのはそもそも金融政策としておかしくないですかと思うんですけれども、何で、現在三%、コアコアCPIだったら三・八%もある物価上昇率を二%で安定させるために金融緩和を続けるのか。マクロ経済学的に全く説明できないと思うんですけれども、その合理的な説明をいただけますでしょうか。

植田参考人 金融政策を変更ないし発動してから経済、特に物価へ影響が出ていくにはかなりの時間がかかるというふうに昔から考えられておりますし、現在でもそうだと思います。例えば、半年後、一年後、一年半後に影響が出てくるというようなものでございます。

 そこで、現在、足下のインフレ率は三を超えているわけですけれども、申し上げましたように、今年度後半には二%前後あるいは二%を下回るところに下がっていくという見通しが我々の下にはございます。

 そこで、現在、金融緩和政策をやめて、例えば金融引締め政策に転じるということをしたといたしますと、半年後、一年後に、ちょうど、何もしなくても物価上昇率が下がっていくところで、物価に下押し圧力がかかってしまうということになって、先ほど申し上げた見通しよりも更に下のインフレ率が実現するというゆゆしき事態になるということを懸念いたしまして、現在の時点では緩和政策を継続しているということでございます。

米山委員 それは私、不可解な御回答だと思うんですけれども。

 まず、先ほどIMFの方でも、インフレ率上振れリスクもございますという指摘もあり、それは認められたと思うんですけれども、あるんだと思うんですよ。

 かつ、私、三月二十九日の財務金融委員会で、これは黒田前総裁ですけれども、黒田前総裁に、今ほど、年末にかけて下がっていくと言いましたけれども、上がっていったらどうするんですかと。上がっていった場合に、三%が更に四%、五%、六%になったらどうするんですかと。だって、アメリカとかヨーロッパとかで起こっているわけですよ。しかも、ともかく上げる方法をずっとやっていて、しかも、何年か遅れて来るというんだったら、そのままプラスして上がっていく可能性だってあるわけですよね。

 これに対して、黒田総裁に上がったらどうなるんですかと言ったら、いや、引き締めますと。引き締めて、じゃ、だって、今まであなた、時間がかかる、時間がかかると言って、しかも、現実問題、十年間もやって変えられなかったのに、上がったらいきなり引き締めて、物価って抑えられるんですかと聞いたら、いや、それはゼロ金利の制約がないからすぐ抑えられますとおっしゃられたわけなんです。

 でも、これは余りにも論理的でない。上げる方は物すごく難しいのに、下げる方は直ちに下げられますなんというのは、マクロ経済学的理屈として説明つかない、単なる御都合主義じゃないかと思うんですけれども。

 植田総裁としても、もしインフレ率がこの年末にかけて外れたら、今の御予想が外れて四%、五%になったらどうするおつもりなのか、伺ってよろしいですか。

植田参考人 もちろん、私どもが見ているインフレ率の経路から現実がどんどん上にずれてくるということであれば、現在のスタンスを正常化するという方向にかじを取らざるを得ないと思ってございますが、現在時点でどうするかということを考えた場合に、先ほども申し上げましたように、金融政策の効果には発現に時間がかかるということでございますので、やはり、インフレ率を抑えるという方向、金利を上げるという方向で仮に発動したとしても、すぐに効くわけではなくて、時間をかけて効いてくるということでございます。

 したがいまして、現在緩和を続けるという決断をするということは、将来本当にインフレ率が上がってくるという見通しの方が正しい場合にはリスクを冒しているということになるというのは、委員の御指摘のとおりかと思います。

 ただ、現状、私どもの判断では、そういうリスクよりも、ここで正常化をしてしまって、先ほど申し上げましたように、インフレ率が下の方に行ってしまうリスク、こちらの方を重く見て、金融緩和のスタンスを継続しているということでございます。

米山委員 今、大変重要な御答弁というか、むしろほっとしたといいますか。

 黒田総裁は、このリスクを認めずに、ひたすら、そんなもの簡単なんじゃと言い続けた。それは本当に非論理的、余りにもひどいと思っておりましたけれども、そうなんですよ。

 これはおっしゃるとおり、本当におっしゃるとおりのシナリオでインフレ率が下がってくれれば、それは当たりましたでいいのかもしれないんですけれども、これは何せ、インフレ下で金融緩和を大規模に、異次元に続けているわけですから、コントロールできないインフレを惹起してしまう。しかも、そのとき利上げをしても、そう簡単にはコントロールできない。だって、おっしゃるとおり、時間がかかるんですから。おっしゃるとおり時間がかかって、そう簡単に抑えられない状態になる。そういうリスクを負っているんですよ。しかも、それに対して、本当に、絶対に、インフレ率が下がっていくなんという説明は一度もされていないし、先ほどもされなかったんです。

 だから、我々は根拠なき賭け、根拠なき危険な賭けをしている、それを是非御認識いただいて、適切な御運営をしていただければと思います。

 植田総裁への質問は以上でございますので、御退席いただいてください。済みません。大変ありがとうございます。

塚田委員長 植田日本銀行総裁は御退席いただいて構いません。

米山委員 では次に、個別の議論として、外為特会の剰余金の繰入れについてお伺いいたします。

 まず、政府資料によりますと、外為特会の剰余金は、政府短期証券の金利よりも保有外貨資産が、恐らくかなりの部分は米国債だと思うんですけれども、金利が高いことから毎年剰余金が生じており、直近十年で十八・六兆円が一般会計に繰り入れられているというふうに記載されております。そして、令和四年度に生じる外為特会の剰余金見込みの全額である二兆八千三百五十億円の全額を繰り入れるとされております。

 本法律では、そのうち一兆二千四億円を前倒して一般会計に繰り入れるとして、一方で、政府資料によりますと、この二兆八千三百五十億円のうち一兆八千九百四十八億円は防衛力整備計画対象経費の財源又は防衛力強化資金への繰入れの財源に充てるとしております。

 ちょっと、単に私がよく分かっていないだけと思うんですけれども、一兆二千四億円と一兆八千九百四十八億円を足すと三兆九百五十二億円になって、見込額であるはずの二兆八千三百五十億円を超すんですけれども、これは何でこうなるのか、教えてください。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から二つの数字の御指摘がございましたけれども、まず、一兆二千億円、正確には一兆二千四億円の数字、これがまさに今審議をお願いしてございます財源確保法にも書かれておる数字でございますけれども、こちらは外為特会の、令和四年度ではございませんで、進行年度でございます令和五年度の剰余金見込額の数字でございます。

 他方、もう一つ御指摘のございました二兆八千三百五十億円、こちらは令和四年度の外為特会の剰余金見込額ということでございます。

 こちらの二兆八千三百五十億円につきましては、全額一般会計に繰入れでございますけれども、その上で、二つ使途が分かれてございまして、このうちの約一・九兆円、一兆八千九百四十八億円の方が防衛財源として活用しておるということでございますので、先ほどの、この法律に書かれてございます五年度分の剰余金の一・二兆、それから令和四年度の二・八兆のうちの一・九兆、この合計の三・一兆円が一般会計繰入れから防衛財源として扱われている、こういう構造でございます。

米山委員 大変失礼しました。よく分かりました。

 その上で、何でこんな一遍に特会のお金を入れる必要があるのか。これは非常にそう思うわけですね。

 だって、基金って、それは一遍にためて徐々に使ったっていいですけれども、別に、基金があるわけだから、徐々にためたっていいわけじゃないですか。何も五年間使う分を一遍に確保する必要なんかないわけでして、外為特会の健全性ということを考えるなら。どうやら防衛力強化資金は毎年〇・九兆円程度しか使わないと思われるので、政府資料によれば。さすがにぎりぎりじゃなんですけれども、一兆円ずつぐらい、ちゃんと決算を見ながら、余裕を見ながら積み立てればいいんだと思うんですけれども、何でこれはこんなに一遍に繰り入れるんでしょうか。教えてください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の外為特会からの繰入れにつきましては、今国際局長から御答弁があったとおりの措置を講じたわけでございますけれども、今先生お尋ねの、徐々に積み立てればよいのではないかということにつきましては、今般の防衛力強化の財源確保に当たりまして、国民の御負担をできる限り抑えるべく、歳出改革、決算剰余金の活用、そして税外収入の確保などあらゆる工夫を行っているところでございます。その際、防衛財源の安定的な確保に向けた道筋を示すためには、現時点で確実に確保できる財源につきまして、これを先送りすることなく現時点でしっかりと確保することが必要であるというふうに考えてございます。

米山委員 まあ、そういう回答をするんでしょうけれども、それはつまり、防衛費だけはがっちり確保されます、その代わり、これから御質問するんですけれども、外為特会の方のリスクはがっちり先に負っちゃいますということなんですよね。

 要するに、防衛費を確保できない方のリスクはこれで一遍になくなるんでしょうけれども、一遍にいきますからね。その分、いろいろなリスクといいますか、金利が変動したりする方のリスクとか、外為の準備金が足りなくなるリスクみたいなもの、そういったものに関しては、毎年毎年ちゃんと調整するんじゃなくて、ここで一遍に取っちゃうわけですよ、後から調整するにはまた国債を出さなきゃならないみたいなことをするわけなので、リスクの分配としても、防衛費最優先、防衛費のリスクだけをなくして、外為特会の方に全部リスクを押しつけますという構図だと申し上げさせていただきたいと思います。

 これもまた技術的な質問なんですけれども、令和四年のどこかの時点でも結構なんですが、三年でもいいんですけれども、外貨資産の内訳をお示しください。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度の末の時点、すなわち本年の三月末時点という、直近の数字ということで申し上げますと、まず、外貨準備高の総額が一兆二千五百七十一億ドル、約一・三兆ドルでございます。主な内訳を申し上げますと、このうち証券が約九千九百億ドル、それから預金が一千四百億ドル等々となってございます。その他、金とかそういったものを保有しているということでございます。

米山委員 まさに今一・三兆ドルと言ってくださったわけなので、証券だから、きっとそれは米国債なんだろう、まあ、米国債なんでしょうね。

 これを繰り入れる、繰り入れると言っているんですけれども、米国債の利息は当然米ドルで受け取るわけなんですけれども、これは一体どのようにして繰り入れるのか。これも技術的ですが、教えてください。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに御指摘のとおりでございまして、当然、外為特会が保有する外貨資産からの金利収入等々の収入、運用収入、これは外貨で入るわけでございます。

 他方、一般会計への繰入れは円貨で行う必要があるということでございますので、外為特会側におきまして政府短期証券を発行いたしまして、繰入れの見合いの円貨を、円を調達した上で繰入れを実施する、このようにしてございます。

米山委員 これはつまり、別に、本当は繰り入れていないんですよ。今ほどおっしゃられた一・三兆ドルの外貨資産はそのままたまっていて、受け取った金利はきっと預金になるんでしょうね。場合によっては、その預金から米国債を買うんでしょうね。だから、そこはただたまっているんですよ。新たに短期証券を出して、それで防衛費にやっているので、これは国債を出してやっているのと一緒なんですよね。

 国債を出してやっているのと一緒ですから、短期国債だって、別に、たった今は短期金利がほぼほぼゼロだからいいんでしょうけれども、短期金利が上昇したら、いきなり利払いが増えちゃうわけなんですよ。そういったリスクがある。

 いろいろなリスクがあるから、組入れ額累計額が保有資産の三〇%となるべきだというふうに政府資料に書いてあるわけなんですけれども、それは令和三年度で一八・六%にとどまっているということでございます。

 ちなみに、今般の繰入れを行った場合、令和五年末で繰入額累計は保有資産の何%ぐらいになるんでしょう。

三村政府参考人 内部留保率でございますけれども、今お尋ねがございました令和五年度末ということになりますと、これは当然、これからの進行年度の令和五年度の剰余金の金額次第というようなところもございますので、五年度末で、ここでお答えする正式な内部留保率というものは計算してございませんが、他方、令和四年度末ということで、今回、当然計算をしてございまして、これは四年度末時点での内部留保率を二〇・一%というふうに見込んでございます。

 すなわち、三年度末の一八・六%よりは上がるということでございまして、これは何ゆえに全額繰入れをしているのに上がるのかというところでございますけれども、まさに四年度は為替介入を行ってございますので、それに伴いまして、外貨資産ですとか、あるいは、そこで手に入れた円貨によりまして政府短期証券も減少しているといったことで、分母も減っておりますので、四年度末の見込みとして、内部留保率二〇・一%、このように見込んでいるところでございます。

米山委員 ちょっと上がるのは、ちっとはましなことなんだと思いますけれども、いずれにせよ、リスクはそのまま残っているわけです。

 ちなみになんですけれども、この話って、何か技術的で複雑で、でも、金利でもうかった分やっているんだからまあいいじゃないの、何となれば、最終的には外貨の部分を売っ払って払えばいいんだからと思うかもしれないんですけれども、実はそれは違うんだと思うんですよね。

 資料四を見ていただきたいんですけれども、資料四、要は、世界経済って、当たり前ですけれども、成長しているわけですよ。世界経済は成長しているし、当然、それに伴って、世界全体の為替市場取引額というものも増えているわけなんです。二〇二二年の世界全体の為替市場取引額は七万五千八十億ドルで、二〇一三年の五万三千五百七十億ドルの一・四倍、すなわち、年率三・八%で拡大しているということになります。

 要するに、世界経済、若しくは為替取引のレベルが増えていくのと同じ規模で外為特会の外貨準備額も増えていかないと、同じ影響を与える為替介入はできない。

 要するに、金利をどんどん、金利って、別に、思い切りもうかっているわけじゃないわけですよね。フィッシャー方程式というのがあって、釈迦に説法かもしれませんけれども、これは、名目金利というものは実質金利プラス期待インフレ率だと。それで、実質金利というものはほぼほぼ経済成長率に等しいと。要は、インフレ率がゼロであるならば、経済成長にほぼほぼ等しい分というのが金利として取られるわけだから、逆に金利分だけは増やしていかないと、経済成長に置いていかれるわけなんです。

 ちなみに、事前にいただいた資料によりますと、外為特会の資産運用利回りは大体一・五から二%前後ということですので、実は、金利を全部そのまま外為特会に残しておいたとしても、世界経済の成長率には追いつかない。世界経済、三%で膨らんでいきますから。つまり、日本はどんどんどんどん世界から遅れていく、為替介入もできなくなっていくということが起こるんだと思うんです。

 これは、実際に外貨のところを本当に減らして繰り入れるんだったらどんどん縮んでいきますし、それは実は、先ほど、そうしていない、実のところ、受け取った金利は全部そのままためておいて、ただ単に政府短期証券で補っているんだというふうに伺ったわけですが、結局のところ、そうしますと、どんどんどんどん政府短期証券が膨らんでいくだけだと。

 結局、金利分はためざるを得ないわけですよ。日本の外貨準備というもののレベルを世界の比率に対して維持するためには金利分はためざるを得ず、だから結局、そもそも短期証券を出さざるを得ず、にもかかわらず、その短期証券で調達した分を全部防衛費に回しているというのは、再三の指摘なんですけれども、結局、何のことはない、全く財源は確保されていない、ただ単に国債で防衛費を賄っているだけだと思うんですけれども、財務大臣の御所見を伺います。

鈴木国務大臣 米山先生が御指摘になられました外貨準備資産の規模につきましては、金利、為替など様々な要因によって変化するものでありまして、将来の増減の見通しを述べること、これは困難であります。

 また、その適正な規模に関して国際的に統一された見方があるわけではありませんが、市場に急激かつ過度な変動が生じた場合に自国通貨を買い支えるために十分な額の外貨資産を保有しておくことが重要である、そういうふうに思います。

 そして、後段の御質問でありますが、一般会計繰入れに伴う政府短期証券の発行、これは、債券利息等の運用収入等で得た見合いの外貨資産があることを前提とした仕組みであることから、将来の国民の負担につながる一般会計における国債の発行とは性格が異なるものである、そのように考えております。

米山委員 そこは押し問答なんですけれども、そうじゃないですよという話なんですよ。そうじゃありません。それは世界の成長に伍していくために当然あるべきお金を防衛費につぎ込んでいるだけなんです。それは結局、日本の成長というものを犠牲にして防衛をしているんですと申し上げております。

 押し問答はしませんが、次の質問をさせていただきますけれども、ちなみに、結局のところ、これは何をやっているか。実は、国家単位で円キャリートレードをしているんですよね、円で資金調達して、外貨でお金をためて。

 ちなみに、これを今回一回でやって今後はやらないというならこれでもいいのかもしれませんけれども、基本的に、令和十年度以降全く目算が立っておらず、恐らく、安定的に一定のお金が出ているように見えるものはこの外為特会しかないので、また外為特会に頼ることになるんだと思うんですよ。そうすると、結局、今の円キャリートレードができる状態、これって、金利ゼロが前提になってできているわけなので、この国家単位の円キャリートレードができる状態を維持せざるを得ないという形で、日本の金融政策が為替介入を大きく縛ってしまうと思います。

 逆に言うなら、この金融政策、金利が上がったら、先ほど来から言っていますよね、金利が上がっちゃったら、まるっきり破綻してしまう。外為特会からなんか全くお金は出ません、というか、そもそも、そこで出しちゃったら、政府短期証券を回すだけで、借り換えることができなくなっちゃいましたということが起こると思うんですが、そういう仕組みで国家の金融政策が為替介入を大きく縛るような在り方というのは極めて不健全だと思うんですけれども、財務大臣の御所見を伺います。

鈴木国務大臣 米山先生から国家単位での円キャリートレードというお言葉があったわけでございますが、円キャリートレードという言葉でおっしゃったこと、これは、外為特会の剰余金は、低金利の円建て負債を原資として高金利の外貨建て資産に運用することで生じておりまして、これが円安要因、低金利誘導につながるとの御指摘と理解をしておりますが、外為特会において、政府短期証券で調達した円貨を手元に外貨買い・円売りを行うのは為替介入の場合に限られるために、御指摘のように、運用収入を目的に国家単位で円キャリートレードを行っているという御指摘は今後ともないということだと思います。

米山委員 それは押し問答になるから結構なんですけれども、事実上そうやっているし、それに依存する財政構造になってしまっているんですよ。そういうものをつくるのは本当に財務大臣としてどうなんですかと申し上げさせていただきます。

 時間はないんですけれども、できるところまでというところで、今度は、財政投融資資金勘定から一般会計への繰入れについてお伺いいたします。

 財政投融資は、財投債を発行して得た資金を貸付けによって回収する事業と承知しております。現在借り入れている財投債の平均利回りとして、貸付けの平均利回りを、これは御教示くださいというよりは、事前に資料で出てまいりましたので、皆さん、手元の資料五を御覧いただければと思います。

 ちなみに、令和三年度を見ると、何と、利回り、コストを下回っておりまして、逆ざやです、逆ざやなんですよ。

 ちなみに、財政投融資勘定は償還確実性があるとのことですけれども、逆ざやになっているところなんかもありますし、基本的に、貸す以上は貸倒れリスクがあると思うんですが、こういった貸倒れリスクというものはないものなんでしょうか。

齋藤(通)政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、先生から御提示をいただいた資料の逆ざやの部分でございますけれども、これは貸倒れというよりは、ALM上の調達と運用のミスマッチによって発生しているというふうに御理解をいただければと存じます。

 その上で、お尋ねのございました貸倒れの部分でございますけれども、財政融資資金による貸付けにつきましては、国が、政府系機関あるいは独立行政法人といった財投機関が実施する各種の政策的な事業に対して、あるいは地方公共団体そのものに対して行っているものでございますけれども、貸付先の財投機関については、その出資者が国又は地方公共団体である先に限られるということで、民間金融の世界で想定されるような貸倒れリスクというものは基本的には想定をし難いような相手方に貸していると考えております。

 ただ、私どもとしては、だからといって、漫然と融資を行っているわけではなく、貸付けに際して、貸付相手、貸付先である財投機関の財務の健全性を確認する、あるいは貸付け後においても、実地監査を行うなどのモニタリングを実施し、償還確実性の精査に努めておりますし、それから、貸付先の財投機関の側におきましても、例えば、政府系金融機関であれば貸倒引当金を計上するなど、適切なリスク管理を行っているというふうに承知をしておるところでございます。

 そうしたこともあって、過去、財政融資資金が貸し倒れて回収ができなかったという例はございませんけれども、今後も、厳格な審査あるいはモニタリングということを通じて償還確実性の確保を図ってまいりたいと考えております。

米山委員 今ほど、財投機関を介しているから、政府系金融機関を介しているから大丈夫とおっしゃられたんですけれども、それは、でも、政府系金融機関は民間に貸すわけですよ。そこで貸倒れはあるわけですよ。そのときに、出資が公的機関だから大丈夫って、それは公金から出資されているわけですよね。だから、結局、これは財投への直接の貸倒れはないかもしれませんけれども、その貸倒れは結局、公的機関から供給されるわけなんですよ。それが足りなければ、結局、赤字国債は出るわけなんですよね。だから、これは別に、貸倒れリスクが何となく見えなくなっているだけで、これも余っているからお金を取っていいという話じゃないわけなんだと思いますよ。

 ちなみに、今ほどお話があったように、この逆ざやは、貸倒れによるものじゃなくて、基本的には金利の変動によるものだということなんですけれども、それはそうだと思うんです。だからこそ、千分の五十、五%の積立金を要するものとされているにもかかわらず、現在、千分の九、〇・九%しか積み立てられないと承知しております。

 それを更に繰り入れるんですけれども、これは本当に、債務超過とかになったらどうするんですか。一体、損失が出たらどのようにそれを補填するのか、その仕組みを教えてください。

齋藤(通)政府参考人 お答え申し上げます。

 財政融資資金勘定において損失が発生した場合ですけれども、法律上は、決算時に積立金から補填をする仕組みということになっております。言い換えますれば、現行法上、積立金の額を超えるような損失の発生は想定されていないたてつけになっているということでございます。

 したがいまして、私ども、毎年度の財政投融資計画の編成あるいは年度内の執行の中で、徹底した資産負債管理、ALMを行うことにより、財政融資資金勘定の財務の健全性の確保を図っているところでございますし、その運営に引き続き努めてまいりたいと思っております。

米山委員 もう時間なので、これはもう質問じゃなくて言わせていただいて終わりにするんですけれども、そもそも、今の話が何じゃそれはという話なんですけれども、本当に、これは、取りあえず何であれもうかっているからそれを使っていいんじゃないかという話かと思うんですが、これもおかしな話でして、もくろみどおりインフレ率二%になっていくんだったら、この財投債の規模も二%ずつ大体大きくなっていかないと、それは投資としての規模が保てないわけですよ。

 要するに、利息というのは基本的に成長率と同じものなわけなので、それを全部ほかの用途に使っちゃうということは、日本のこの分野での成長をなくしてしまう、成長の芽を全部摘んで全部防衛費に突っ込むということなんですよね。

 かつ、この財投債は、今までいろいろな災害対策にひたすら突っ込まれてきて、それ自体もいかがなものかと思うんですけれども……

塚田委員長 申合せの時間が経過しておりますので。

米山委員 はい。

 以降、災害対策に使うことすらできなくなるということで、このような法律は日本の成長の芽を全部摘んでしまうものであり、本当に言語道断であると言わせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

塚田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

塚田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党の藤岡隆雄でございます。

 まず、本日も、地元栃木県第四区の皆様に感謝を申し上げ、そして、質問の機会を与えてくださいました先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入ります。

 まず冒頭、午前中の最初の質疑で野田元総理からも哀悼の誠が表されましたけれども、宮古島沖のヘリの事故におきまして、陸上自衛隊のヘリにおきましてお亡くなりになられた、本当に有為な隊員の皆様に私も哀悼の誠をささげ、そして、今なお行方不明の隊員の皆様の、最後の最後まで、御無事での発見というのを願いたいと思います。

 また、スーダンからの退避に当たっての、御尽力をされた自衛隊の皆様、関係者の皆様に、心からの敬意を表します。

 今日は、決算剰余金の話に入る前に、Jアラートの運用、これにちょっと万全を期していただきたいなという思いで、最初に質疑をさせていただきたいと思います。

 四月の十三日の統合幕僚長の記者会見をお聞きしますと、当初、北海道に落下する可能性のあるミサイルを探知しました、探知の後、この北海道周辺に落下する可能性のあるものはレーダーから消失していますということを会見で語っております。

 私は、いろいろな議事録なども拝見しまして、やはりいまだにちょっと分からないところ、不明なところ、ちょっとここは確認をさせていただきたいと思うんですけれども、まず井野防衛副大臣にお聞きしたいと思うんですが、防衛省としては、いわゆる当初、七時二十五分、あるいは当初なのか、探知をして、これは即座に内閣官房に伝達をされたということの理解でよろしいんでしょうか。

井野副大臣 弾道ミサイル発射事案に際しては、内閣官房に対しては、防衛省としては、ミサイル関連情報を入手次第、直ちに伝達をしております。

 情報伝達の具体的時間については、実際に防衛省が情報を入手した時間と極めて近接したものになるという性質上、また、レーダーの性能などの推察が可能になるため、お答えすることは困難であります。

 十三日においても、我が国の領域に落下する可能性があるものの探知やレーダーから消失したということについて、情報を入手次第、直ちに内閣官房に伝達をしたというところであります。

藤岡委員 今のお答え、ちょっとまだ足りないと思うんですね。統合幕僚長の会見ですと、あくまで、当初、まず北海道に落下する可能性のあるミサイルを探知している、その後、レーダーから消失している、そしてまた確認している。これは二段階に分かれているわけなんですよ。

 これで、私は、細かい時間まではいいですよ。ただし、当初と後と、二段階あるんです。この当初段階で探知したときに、これは内閣官房に伝達されたんでしょうか。井野防衛副大臣、お願いします。

井野副大臣 七時二十五分の時点でということでありますけれども、この時点では、ミサイルが発射されたということの探知、そしてその情報共有というものはなされたというふうに思います。

藤岡委員 今、七時二十五分頃、情報共有なされたというふうな話がございました。

 それであれば、今日、木原官房副長官にお越しいただいておりますが、情報共有がなされたという中で、なぜJアラートを発出されなかったんでしょうか。

木原内閣官房副長官 四月十三日の北朝鮮による弾道ミサイルにつきましては、ミサイルが発射されて以降、防衛省におきまして、必要な探知、追尾を行った、こういうことであります。その後、一定時間経過後に、我が国領域に落下する可能性があるものを探知したというふうに承知をしております。

 探知したものは、その後、レーダーから消失したわけでありますが、限られた探知情報の中で、システムが北海道周辺に落下するとの航跡を生成していたため、国民の皆様の安全を最優先する観点からJアラートを送信したものでございます。

 一定期間経過後ということが重要であろう、このように承知をしてございます。

藤岡委員 ちょっと今、よく理解が、分かりづらかったんですが、一定期間経過後というか、一回目の、当初段階で情報共有がされた。

 これはもう一回、井野防衛副大臣に確認したいと思うんですが、レーダーから消失する前に情報共有されたということでよろしいんでしょうか。これは大事なところなので、是非お答えください。

井野副大臣 七時二十五分時点において、我が国のレーダーといいましょうか、北朝鮮のミサイルが発射されたということの情報探知がありましたので、それについては情報共有はしております。

藤岡委員 ここをはっきりさせていただきたいんですね。ミサイルが発射されたということを共有した。あくまで北海道周辺に落下する可能性があるということも、最初、統幕長がおっしゃっているわけですけれども、ここも含めて情報共有されたということでよろしいですね、井野防衛副大臣。

井野副大臣 ミサイルが発射された事実は、ある意味、レーダーで探知ができましたけれども、これ以上について、どこまで探知していたか含めて、ちょっと、ここでお答えするのは我が国の能力等を明らかにすることになってしまいますので、お答えしていないというのが現状でございます。

藤岡委員 いや、今のは明らかにおかしいじゃないですか。だって、統合幕僚長が言っているんですよ。北海道に落下する可能性のあるミサイルを探知したとおっしゃっているのに、何でそれをお答えできないんですか。今のは明らかにおかしいですね。ちょっと、もう一回答弁を。いや、いいですよ、政府参考人の方。副大臣、お願いします。統幕長がお答えしているんです。しっかりやらなくてはいけませんよ、これは。是非、北海道に落下する可能性のあるミサイルを探知した、当初段階で。これを内閣官房にきちっと連絡したのか、していないのか。イエスかノーでお答えください。

井野副大臣 我々としては、情報入手したことについては、直ちに関係機関と連携し、情報共有はしております。

藤岡委員 北海道に落下する可能性もあるということも含めて共有したということでいいですね。そこ、いいですね。

井野副大臣 まず一つ、統幕長がどの時点でどういうふうに北海道に落下する可能性があるかということをおっしゃっているというのは、ちょっとこちらとしては、私自身の認識ではちょっと分かりませんので、その点は是非事務方に聞いていただきたいんですけれども。

 いずれにしても、直ちに、我々としては、関係機関と情報収集、そして情報共有はしているところであります。

藤岡委員 そうすると、今、分かっていらっしゃらないでこの答弁を続けられたということになってしまうんですが。これは、だって、政治の責任できちっとお答えいただきたいんですが。当初、探知されたとおっしゃっているわけなんですよ。探知の後、レーダー消失と言っているわけです。当初段階で情報共有がされ、だって、今後、今また北朝鮮が更に、軍事偵察衛星だといってまたミサイルの発射だというふうな話が出ているわけじゃないですか。今後の運用をどうされるかということに、重要なポイントなんです。

 ですから、当初段階できちっと情報共有されたのか。私、正直、そういう御答弁だから申し上げますけれども、レクの段階等でも、担当者の皆さんは一生懸命やっていますよ。情報共有、私は非常に危惧を覚えました。恐らく情報共有されていなかったんではないのかなというふうに私は思います。

 防衛副大臣、改めて、大事なところでございますので、当初段階で北海道に落下する可能性があったということをきちっと内閣官房に伝えたのか。伝えていなかったんだとしたら、それはそういうことを今後見直せばいいわということになりますよね。大事なことですよ、国民の命を守る。ですから、きちっと、事実関係、ストレートに率直にお答えください。北海道に落下する可能性があったことを含めて、きちっと内閣官房に伝えたんでしょうか。

井野副大臣 何度も申し上げているとおり、こちらとしては、あらゆる情報を入手し、そしてそれを分析し、直ちに関係機関と情報共有はしております。

塚田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

 井野防衛副大臣。

井野副大臣 情報伝達の具体的時間については、実際に防衛省が情報入手した時間と極めて近接なものになるので、レーダー性能などの推察が可能になるため、それについてはお答えは困難でありますけれども、十三日については、我が国領域に落下する可能性があるものの探知や、レーダーから消失したことについて、情報を入手次第、直ちに内閣官房に伝達をしているというところであります。

藤岡委員 今もまだはっきりおっしゃいませんでしたけれども、木原官房副長官、では、情報を、北海道に落下する可能性があることも含めて、内閣官房として、レーダーから消失する前、きちっと情報を受け取ってということでよろしいんでしょうか。

木原内閣官房副長官 当然、北朝鮮による弾道ミサイルの発射があれば、防衛省から官房に対して、逐次情報の共有がなされるということでございます。

 そして、先ほど私は、一定期間経過後にというふうに申し上げましたが、防衛省が必要な探知、追尾を行っている中で、一定期間経過後に、我が国領域に落下する可能性があるものを探知したということでありまして、そのことにつきましても、一定期間経過後に私どもに共有をされてございます。

藤岡委員 一定期間経過後というのは、レーダーから消失する前なんでしょうか、後なんでしょうか。これは大事なところなので、そこを教えてください。

木原内閣官房副長官 これは防衛副大臣からお答えいただいた方がいいのかもしれませんが、この前後関係につきましては、やはり事柄の性質上、お答えは控えるべきかなというふうに思います。

 ただ、いずれにいたしましても、ミサイルが発射され、そしてそれを探知、追跡する中で、一定の期間が経過した後に、北海道、我が国領域に落下する可能性があるということについて私どもにも情報の共有があった、こういうことでございます。

藤岡委員 七時二十五分頃に、北海道、当初、探知ということでおっしゃっている、出ているんですけれども、出ていると思うんですけれども、では、これはなぜ当初段階で七時五十五分になってしまうんですか、そうすると。早い段階で、当初、Jアラートを発出するということが当然必要になってくるんじゃないんでしょうか。なぜそうされなかったんでしょうか。木原官房副長官、お願いします。

木原内閣官房副長官 先ほども申し上げましたとおり、ミサイルが発射されて以降、防衛省におきまして必要な探知、追尾を行って、そして、その一定時間経過後に、我が国の領域に落下する可能性があるということを探知したと。その情報が我々に共有をされ、そして、私どもといたしましては、様々な情報伝達、必要な確認作業を逐一行っていった、こういうことでございます。

 そうした中で、どのような確認作業、また、どのような情報をやり取りしたかということは、事柄の性質上、お答えは控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、可能な限り速やかにJアラートを発信をさせていただいた、送信をさせていただいた、こういうことでございます。

藤岡委員 今お聞きしておりまして、大変防衛省の対応、非常に不安があるなと。

 恐らくこれは情報伝達をされなかったんじゃないのかなというふうに私は今感じましたが、最後にもう一回、井野防衛副大臣に確認させていただきますけれども、レーダー探知前、当初の段階で、これはきちっと内閣官房に情報を、北海道に落下する可能性があることも含めて伝達をされたということでよろしいんでしょうか。もしそれが全てされたということであれば、イエスでお答えください。でなければ、ノーでお答えください。

井野副大臣 我々としては、あらゆる情報を入手次第、直ちに内閣官房に伝達をしております。

藤岡委員 なかなかイエスかノーでというのでお答えいただけないので、委員長、これは防衛省の方から、レーダー探知前に当初段階で情報共有をきちっと内閣官房としたのかどうか、書面での提出を求めたいと思います。

塚田委員長 後刻、理事会で協議いたします。

藤岡委員 続きまして、井野防衛副大臣に引き続きお聞きしたいんですけれども、レーダーから消失した場合、その間は少なくとも、最初に探知されているわけですよね、三段式だ、方向が変わる、いろんなことがあると思うんですが、レーダーから消失されてから次に探知を確認するまでの間、この間、領域内に落下しないという確信があったということでよろしいんですね。確認させてください。副大臣、お願いします。

井野副大臣 何度も申し上げるとおり、具体的な十三日のことではなくて、あくまで、それについてどうだこうだ申し上げるのは、事柄の性質上、我が国の能力を含めて明らかにすることになりますので適当でないというふうに思いますので、一般論として申し上げさせていただきます。

 一般論として、我が国において、飛翔するミサイルに対して、複数のレーダーで重層的な探知、追尾を行う体制が構築されておりますので、実際に我が国に飛来してくるものがあれば、全くこれを探知できないということはあり得ないというふうに考えております。

藤岡委員 全く探知、あり得ない中で、なぜ消失、消失というか見失ったんでしょうか。

井野副大臣 十三日の弾道ミサイルの発射において、自動警戒システムがその時点で得られていた探知情報を基に我が国領域に落下する可能性があるものの航跡を生成したということは、先ほど副長官からお話があったとおりであります。

 これを受けて、防衛省としては、国民の皆様の安全を最優先する観点から、内閣官房に当該情報を伝達しました。その結果、七時五十五分にJアラートが発出されたという経緯でありますけれども、この情報の一連の中において、この際に得られた探知情報が限られたものであり、その後、監視等を継続した結果、我が国に、領域に飛来するものが探知されなかったということであります。

 先ほど副長官が申し上げたとおり、我々防衛省として、警戒監視といいましょうか、探知、追尾をしていった結果、飛来するものが探知されなかったということがございますので、こういった経緯がございますので、我々としては、我が国への領域への落下の可能性はなくなったというふうに確認したということがございます。

藤岡委員 探知された情報が限られていたということだと思うんです。本当にこの防衛をしっかりやっていただきたいと思っているので、その意味でこれを御質問させていただいているわけなんですけれども、非常に、そのレーダーの性能等、更に質を上げていかないといけないのかなということを、改めて、今お聞きしていて感じました。

 また、情報伝達についても大変な課題を残しているのではないかなということも思いました。

 これは官房副長官にお聞きしたいんですけれども、今後、またミサイルが発射されて、さらに三段式で来て、またレーダーから消失するということが、起こってほしくないんですけれども、また起こるということも考えられますよね。最初の段階で、探知したときに、また北海道周辺に例えば落下する可能性がある、最初、探知しました、今度は情報が共有されました、でも、またレーダーから消失するかもしれません。ただ、これは最初の段階で今度はJアラートが発出されるということでよろしいんでしょうか。

木原内閣官房副長官 改めて申し上げますが、今回の事案において、防衛省と内閣官房の間では緊密に情報のやり取りをしておりますし、この発射の段階からきちっと連絡のやり取りはしてございます。したがって、当初から情報の連絡は、共有はしっかりさせていただいております。何の問題もないと認識をしてございます。

 その上で、先ほど申し上げたとおり、一定期間経過後に、我が国領域に落下する可能性があるものを探知したということで、私どもは、その中で最大限迅速にJアラートを発出をさせていただいた、こういうことでございます。

 もちろん、このJアラートの運用につきましては、常に改善を図っていく、不断の努力をしていくことは当然だろうというように思いますが、今回の事案について、委員御指摘のような、防衛省と内閣官房の間の情報連絡のミスや遅れというものがあったというふうには承知をしてございません。(藤岡委員「お答え、今後のこと」と呼ぶ)

塚田委員長 藤岡隆雄君、もう一度お願いします。

藤岡委員 済みません、今、まず質問をさせていただいたことに対する御答弁をいただきたいと思うんですけれども。

 それから、まさに、今官房副長官が情報連絡に全く問題がなかったとおっしゃるのであれば、その一定期間経過後というのが全てのポイントじゃないですか、御答弁ですね。その一定期間経過後がいつだったのか、レーダー消失後にもらったのか、もらっていないのか、そこですよね。そこについての御答弁がいただけていないので、これでは、情報共有が万全だったというのはとても言えないと私は思います。

 したがって、これは書面で御提出をお願いしたいと思いますが、レーダーから消える前にきちっとそれが伝達されていたのかどうか、そこを明らかに是非していただきたいと思います。そうでなければ、少なくとも情報共有が万全だったと言い切ることはとてもできないと思いますし、この国を守るという面での不安は残していると思います。

 その意味で、もう一回申し上げますけれども、同じ質問で、だから、今後またミサイル発射をされたときに、再び消失するということも、これはもう起こってほしくないですけれども、考え得るじゃないですか。そのときに、最初の段階でちゃんと情報共有された場合は、その際はJアラートを発出されるんでしょうかということを今お聞きしております。

木原内閣官房副長官 Jアラートが発信されるかどうかということは、まさにその発射されたミサイルが我が国に対してどのような影響を与えるかということをもって判断することでありますから、それは、それぞれ、その時点その時点で、そのときそのときのケースで我々は判断をしていくということであります。

藤岡委員 そうすると、落下する可能性があるときには発出されると思うんですけれども、可能性があっても発出されないということがあるということですか。

木原内閣官房副長官 まさにこのJアラートというものは、国民の皆様に危険性を速やかにお知らせをするというために私どもは運用しているわけでございますから、当然、国民に危険が及ぶという蓋然性があれば、ちゅうちょなくJアラートを出させていただく、こういうことでございます。

藤岡委員 本当にちょっと、しっかり国民を守る上で、改めて情報共有や考え方の方をきちっと整理をしていただきたいなということは申し上げておきたいと思います。

 その上で、これは防衛副大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、Jアラートを発出した七時五十五分というのはミサイルが落下する推定の五分前ということですけれども、五分間ということですけれども、これは万が一の場合、この五分間で迎撃は可能なんでしょうか。

井野副大臣 これも、十三日というか、特定の事案を用いてお答えするのは我が国の能力をということなので、一般論として申し上げさせていただきます。

 弾道ミサイルが発射されてから我が国の領域に到達するまでの時間は、一概に申し上げることは困難ですが、一般論として、やはり十分もしないうちに到達する可能性があるということは我々も認識をしております。

 我が国のBMD体制は、こういったことを前提に、実際に我が国に飛来してくるものであれば、イージス艦やPAC3といった迎撃アセットの火器管制レーダーで捕捉し、迎撃を行うことが可能なような体制で組んでいるというところであります。

藤岡委員 ちょっと時間も大分要してしまったので、あと一点だけお聞きしたいと思うんですけれども、今後もまた、軍事偵察衛星と称したミサイル発射と思われることに関して、また、変則軌道だとか三段式だとか、いろいろなものがまた飛んでくる可能性があるわけですけれども、これは、きちっとレーダーの追尾、また、レーダーで見失わないということについて、防衛副大臣、これは自信を持って対応していただけるということでよろしいんでしょうか。

井野副大臣 もちろん、我々としては、国民の財産、生命を守るために万全を期してまいりますし、レーダー等で継続的な探知、追尾を行って、日本国を守っていくということは当然の責務であるというふうに思っております。

藤岡委員 なかなかはっきりと御答弁いただけないんですけれども、しっかりこれは万全を期していただきたいなということを申し上げて、次の質疑の方に入らせていただきたいと思います。

 続きまして、防衛財源の法案に直接の関係のことでございますが、歳出改革のところから質疑をさせていただきたいということを思っております。

 鈴木財務大臣にお聞きしたいんですが、法律に担保する規定を、歳出改革、少なくとも何らかの、割合でもいいですよ、三兆でも、金額でも、どういう形でもいいです、かつての財政構造改革の法案ということのような形なのかもしれませんし、何らかの形でも結構なんですけれども、法律に担保する規定をなぜ置かれなかったんでしょうか。

鈴木国務大臣 防衛力を抜本的に強化し、これを安定的に維持していくための財源確保に当たっては、国民の負担をできるだけ抑えるべくあらゆる行財政改革の工夫を行う必要があり、今般の財源確保法案は、これらの財源確保策のうち、主として税外収入に関して、法律上の手当てが必要なものについて所要の措置を講じるものであります。

 また、藤岡先生御指摘のとおり、今回の法案には歳出改革に関する規定は盛り込まれておりませんが、これは、防衛力強化のための財源としての歳出改革については、防衛力整備計画において防衛財源の一つとすることを定めた上で、その具体的な内容については、政府の経済財政運営の基本方針として閣議決定した骨太方針に基づいて行われていることを踏まえたものであります。具体的には、非社会保障関係費の経費を対象とし、これまでの歳出改革の取組を継続する中で財源を確保することとしております。

藤岡委員 本当はちょっともう少し突っ込んでお聞きしたいんですが、時間も要しているので、一言だけ申し上げておきたいと思いますが、やはり、なかなか、歳出改革、ぎりぎりかき集めたと、いろいろなこともあるので、法律まで書くまでの自信がなかったのかなというふうにしかやはり捉えられないのかなというふうには感じました。

 その中で、先日、大臣から行政改革の話を御答弁いただきましたけれども、歳出改革で。今日は和田副大臣にもお越しいただいておりますけれども、この行革のところ、先日も、新たな手法を取り入れるということで、されていると思うんですけれども、ここを、お聞きすると五年間ぐらいかけて行政事業レビュー、また基金の見直し等、見ていくというふうに私はお聞きをしておるんですけれども、やはり五年だと、ちょっとこれ、防衛財源との関係でいうと、歳出改革をもっとスピード感を持ってやる必要があると思うんですね。

 この行革の推進の中の新たなこの取組は、前倒しして、本当に今年度中ぐらいにもやるべきなのではないでしょうか。どうでしょうか、和田副大臣。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 行政改革については、行政における無駄や非効率を排除するとともに、時代の変化を捉えながら、特定の政策目的のためだけではなく、不断に取り組むことが重要であります。

 こうした考えの下、令和五年度から、約五千の全ての予算事業を対象とする行政事業レビューの抜本的見直しと約百八十の全ての基金事業に対する点検強化を今後の改革の二本柱に据えて、より強力に進めることを決定したところであります。

 具体的には、行政事業レビューについて、EBPMの手法を導入した新たなレビューシートを予算編成過程で積極的に活用し、基金事業の点検についてもEBPMの手法を取り入れ、基金事業の効果の見える化、最大化を進めるとともに、保有資金規模、事業終期設定、管理費等について、外部有識者の点検導入をすることとしております。

 これらの取組は直接的に防衛関係の財源確保を目的としているものではありませんが、こうした取組の徹底により、引き続き、政策の質の向上と無駄の削減に取り組んでまいりたいと思います。

藤岡委員 今の対応を大体どのぐらいの期間をかけてやる思いでしょうか。

湯下政府参考人 お答えいたします。

 今副大臣が御答弁されましたとおり、新しい行政事業レビュー、この三月に要綱等を抜本的に見直しさせていただきましたが、その要綱に基づくレビューにつきましては、五千事業全ての事業、そして百八十の全ての基金事業、本年から全て行っていただきます。その上で、五千事業にこの新しいEBPMを導入させる、行政事業レビューを根づかせるということでございますので、各省からは数々の質問を今受けております。この事業でどうやって目標設定した方がいいのか等々でございます。

 それらにつきましては、もちろん、去年の秋から試行版の百二十八シートというのをやりまして、各省と一緒に議論を進めてきたところでございますが、五千事業全てを行わせるということでございますので、ただいま、全省庁の局長クラスから成る省庁横断的なEBPMを推進するための会議体を昨日立ち上げたところでございまして、その幹事会等々も課長クラスで進めております。

 こういった場を利用しまして、各省庁に、今後どうやってこの五千事業を埋めていくかということを議論していくとともに、必要に応じて専門家等も派遣して行っていくところでございます。

 また、先行して行っている百二十八事業でございますが、今、私ども、伴走型ネットワーク等も使いまして改善の取組を進めております。九月には公表する、そこで得られた知見を五千事業全部につなげていただき、今年度の予算編成に生かしていきたいということで、計画的に進めております。なお、来年の四月からはシステム化も進めていきたいと思いますので、更にそういったものも有効に活用していただければと考えております。

藤岡委員 予算に活用するといっても、全部の点検を今終えるというふうな話もございませんでした。また、基金の話も十分聞こえてきませんでした。

 要するに、歳出改革、先日、行革という話をお聞きしましたけれども、全くめどは立っていないということは明らかになりましたし、また、期限についても今明言が残念ながらされませんでした。私はいつまでかということがお聞きをしたかったんですけれども、今政府参考人の方からも長くいただきましたけれども、残念ながら、この時期については明言がありませんでした。残念ながら、この歳出改革というものについても、非常に財源の確保において不安を残しているということは指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、決算剰余金の話に移らせていただきたいと思います。

 これは先日も一度行わせていただきましたけれども、あっ、済みません、和田内閣府副大臣、御退席いただいて結構でございます。参考人の方も結構でございます。

塚田委員長 和田内閣府副大臣は御退席いただいて結構です。

藤岡委員 ありがとうございました。

 決算剰余金の話でございます。

 大臣、またお聞きをさせていただきたいんですが、資料をお配りしております。もう一度先週の確認ということになりますけれども、決算剰余金、過去十年間の平均を取られているということでございますが、申し上げたいのは、令和二年度はコロナのときであって、異常値の四・五兆円が出ています。二十年間の間を取ったときには、明らかに、この平均は九千二百九十億円、したがって、一兆四千億も出ていないです。しかも、令和二年度を除いた十年を取ると一・一兆円。非常に、そもそも決算剰余金自体を財源に充てるというこの考え方自体が私は大いに本当に疑問だというふうに思っておりますが、これは改めて、大臣、やはり決算剰余金の財源に充てる見立て、甘いのではないでしょうか。

鈴木国務大臣 決算剰余金をもちまして年平均〇・七兆円を確保したい、こういうことでございますが、もう既に先生御存じのとおりでありますけれども、その中身を申し上げますと、防衛力強化の財源措置としての決算剰余金の活用につきましては、特例公債の発行額の抑制に努めた後の決算剰余金の直近十年間の平均が一・四兆円程度であることを踏まえ、財政法上、公債又は借入金の償還財源に充てるべき二分の一を除く残り二分の一の〇・七兆円程度を活用見込額として見込んでいるところであり、過去の実績を踏まえた見通しに基づく財源である、そのように考えております。

 その上で、過去十年間を振り返ってみますと、令和二年度の決算剰余金がコロナの関係で大変膨れ上がっているではないかという御指摘でございますが、それはそのとおりでございますが、令和二年度の決算剰余金についても、基本的な考え方として、特例公債法の規定に基づき、特例公債の発行額の抑制に努めた後の金額であること、決算剰余金の金額の大きさはその時々の経済情勢等に応じた歳出や税収等の歳入の動向により大きく変動し得るものであることに鑑みれば、今後の決算剰余金の活用額を見込むに当たって、過去の一定期間の平均値を算出する際、ある程度の決算剰余金が特に大きい又は小さいからといって当該年度の決算剰余金を除くことはかえって恣意的な見通しになるおそれがあると考えます。

 このため、特定の年度の金額を除外せずに機械的に一定期間における全ての年度の平均を取ることは合理性があるものと考えているところであります。

藤岡委員 私は、令和二年度がやはり特殊な年度だったと思うんですよね。税収の見積り、非常に、これは確かに難しかったんだと思うんですね。

 ただ、税収の見積りが非常に難しかったというところが大きいところであるんですけれども、これは自民党の中西先生も昨年質問されておりますけれども、税収の見積りが非常にずれたということに関しての理由について質疑をされていて、資料をお配りしておりますけれども、二ページ目なんですけれども、今、和歌山県の知事になられた岸本知事が質疑をされておりますけれども、税収の見積りに関して、非常に危機感を持ってやられていたということが言われているわけです。

 例えば、これは中西先生の質疑を受けてですけれども、三兆円、二兆円近くもそれぞれ法人税、消費税が上振れをした、それに対して主税局として検証もされていないと。さらに、かつての長野さんという方の話を出されて、主税局総務課長だったときに、税収見積りをされていたときに、本当に辞表を胸にせんばかりのことでしっかり対応していたということで、非常にこの税収の見積りに関して厳しく当然やっている。そういう中で、当然、令和二年度においてずれていたというところがあったと思うんですね。

 改めて、令和二年度は、これはやはり特殊な年度だったのではないんでしょうかね。大臣、どうなんでしょうか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、令和二年度の税収につきましては、補正後の予算額と比べまして、決算の時点におきまして五・七兆円に上る上振れが生じたということで、極めて多額の上振れになったわけでございます。

 この背景は、昨年の委員会でも御説明したとおりでございますが、主に法人税の見積りにおきまして、補正予算の編成当時におきましては、三月期決算企業の、上場企業の経常利益の予想がマイナス三三・八%と大幅減益が予想されていたことを踏まえましてかなりの補正減額を行ったわけですけれども、決算時におきましては、逆に三月決算企業、上場企業の経常利益が全体として八・五%のプラスということで、符号自体が逆転するというようなこととなりまして、法人税収が補正後税収と比べ三・二兆円の上振れとなったというのが主要な要因でございます。

 こういったことで、税収の見積りにある意味大きな差が生じたということではございますが、こういった、経済が大きく変動するとき、あるいは社会的に大きな事象が生ずる局面というのは、いつ何どき起きてもおかしくないものでございますので、この五・七兆円の上振れが生じた令和二年度税収について、何をもって例外的とするかということについては多々御議論があるかと思いますけれども、税収見積りについては可能な限り精度の向上に努めており、ぎりぎりの努力をしているところではございますけれども、経済社会の動向いかんによって、見積り時点において予想できない大きな税収の変動が生じるということは可能性として否定できないことから、一概に令和二年度税収の上振れが例外的なものとまで言うことはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。

藤岡委員 これは防衛財源に充てるということでなければ、別に今の答弁でも、ああ、そうですかということになるかもしれないんですけれども、百歩譲って。財源として確保していくのに三・五兆円程度という話をしていて、これは非常に、明らかに私は例外だと思いますけれども。しかも、税収の見積りというのは、辞表を胸にせんばかりのことで厳しくやっているわけですよね。当然、これは特例公債の発行額を抑制していかないと、これは余計な金利の負担もかかりますから。

 改めてこれは住澤局長に、これは御決意もちょっとお願いしたいんですけれども、今後、四・五兆円も決算剰余金が余るような税収見積り、当然これは、私、今回、防衛力整備計画で決算剰余金の上振れなんというのも想定された記述があることは、あれはもう本当に驚き中の驚きでもないんですけれども、そんなことになってしまったら、これは本当に主税局として矜持は満たされるのかなと私は正直感じますよ、これは明らかに。

 局長、改めて、税収の見積り、これは本当に覚悟を持って、もう外さないということでやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、税収の見積りを行うに当たりましては、足下までの課税実績、これをまず踏まえるということを始めといたしまして、上場企業の多くに対する個別のヒアリングを通じて収納見込額を把握するでありますとか、あるいは大法人につきましては、法人ごとにいただいておりますデータを用いて、繰越欠損金がどの程度税収に影響してくるかということを子細に分析するでありますとか、民間調査機関等からの情報収集も多々行いまして、このほか、その時点における経済見通しなども踏まえて、見積り時点における活用可能な情報は全て活用して、最大限この精度の向上に努めているところでございます。

 今後とも、こういったことで見積精度の向上に努めてまいりたいと考えております。

藤岡委員 覚悟の方。

塚田委員長 住澤主税局長、持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 税収の中で、例えば法人税については、三月決算法人、一番最後に入ってくる税収のウェートが全体の六割を占めておりますし、消費税につきましても、国内分の約半分が最後の五月分税収である、三月決算法人によってもたらされるということでございますので、極めて難しい見積作業を行っているわけでございますが、先ほど御説明申し上げましたような取組を通じて、最大限精度の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。

藤岡委員 時間が参りましたので、最後に本当は木原副長官にお聞きしたかったんですが、これは是非、もう一回、財源、しっかりこれは見直しをしていただきたいことだけ申し上げまして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 今日も、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私からも、質問の前に、先ほど野田委員や藤岡委員がお話しされましたけれども、陸上自衛隊の第八師団のヘリコプターが宮古島周辺で墜落した、その事故のニュースを聞いたときに、私は隊員の皆様の無事を心からお祈りいたしました。残念ながら、機体が海底で発見されて、坂本雄一前第八師団長の死亡が確認されたということで、坂本前第八師団長は旭川出身ということで、調べてみますと、私の高校の先輩に当たります。

 旭川というのは、御承知の方もいらっしゃると思いますが、戦前は第七師団、そして戦後は第二師団ということで、北の守りということで、北部の、当時から、ソ連や対ロシア等の北の守り、それだけではなくて、本当に、暑い地域でのPKO活動等も先に行くような、大変強靱で強固な部隊であるということでございます。そうしたところを、坂本前第八師団長も若い頃からそういうのを感じ取って、高校を卒業された後、防衛大学校、そして自衛隊員になられて、また、旭川の師団や、また名寄の師団などで勤務されたということでございまして、本当に心から、亡くなられたことを御冥福をお祈り申し上げたい。

 また、他に亡くなられた方々の御冥福をお祈りして、また、まだ発見されていない方々の早期発見をお祈りしたいと思います。

 そして、再発防止にも是非取り組んでいただきたいと思います。今回、海上を長く飛ぶような、それらを想定したヘリではなかったという情報も入っていますので、今日、防衛省の方も来ていらっしゃいますので、回答は結構でございますので、そうした、本当に、再発防止に向けて、今までの体制や装備等が十分であったのかということをしっかりと検証した上で、二度とこのような事故が起こらないように取り組んでいただきたいということを心からお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、我が国の防衛力強化のための財源確保法案について伺いたいと思います。

 この財源というものも、我々は、今政府が考えているものは非常に、安定したものではない、不安定であるというふうに思います。様々な、財政の問題や金融の問題で想定しているものが影響を受けるというふうに思っております。

 その中で、最近、クレディ・スイスの問題が発生いたしました。クレディ・スイスのAT1債について伺いたいと思います。

 鈴木金融担当大臣は、先日の記者会見におきまして、経営危機に陥って救済買収されたクレディ・スイスが発行し、その後、救済買収に伴って無価値となったAT1債と呼ばれる社債が国内で一千四百億円程度販売されていたことを公表されました。鈴木大臣は、投資家に影響が生じていることは残念に思う、販売した証券会社は丁寧な顧客対応に努めることが重要だ、金融庁としては顧客対応の状況などについて適切にフォローしていきたいと述べられました。

 この問題については、クレディ・スイスが今年三月に経営危機に陥って、ライバルでありますUBSに救済買収されたということなんですけれども、スイス連邦金融市場監督機構が買収交渉をまとめるに当たって、クレディ・スイスが発行したAT1債、百六十億スイス・フラン、日本円でおよそ二兆四千億円を無価値としたために発生したことであります。

 しかし、このスイス金融当局の措置に対して、財産権の侵害に当たるとして、AT1債を保有する各国の投資家らが措置の撤回若しくは修正するよう求めてスイスの裁判所に提訴したということがニュースなどでも流れておりまして、私も認識をしているところでございます。

 そこで、まず、金融庁の政府参考人に伺いたいと思いますが、今回の提訴した投資家の中に日本の個人や法人は入っているのか、伺いたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の訴訟において原告に日本の個人や法人が含まれるかどうかということを、私どもは、恐縮ですが、承知をしておりません。

道下委員 承知をしていないというのは、調べていない、知る機会がないということなんでしょうか。

伊藤政府参考人 日本の個人や法人が中に入っているかどうかという情報が私どもの下にないということでございます。

道下委員 これは、情報がないということなんですけれども、もし、金融庁が何らか、スイス当局だとかスイスの司法機関に、裁判所等に問い合わせることによって、若しくは、日本国内で一千四百億円販売されたということなので、日本の金融機関に対して、こうした販売先、顧客が裁判を提訴したという原告に含まれているかどうかということを調べることは可能なんでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 外国における訴訟でございますので、仮にこれが公表されるということになれば、私どもも知るすべがございますけれども、なかなか、かなり、日本の金融当局ということになりますと、この訴訟の当事者ではないものですから、遠いので、原告に入っている個人が自ら公表すればもちろん分かりますし、裁判の中で公表が行われれば分かりますけれども、それ以外の手段で私どもが知ることはなかなか難しいかなというふうに思っております。

道下委員 今のところなかなか難しいということでございますので、是非、そういった調査というか、アンテナを張っていただいて、こうしたことの情報を入手していただきたい、入手されましたら委員会に御報告をいただきたいというふうに思っております。

 次に、金融機関の救済買収について、そこで社債の無価値化、無価値、価値がなくなる措置はこれまで国内で行われたことはあるのか、伺いたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えをいたします。

 これまで我が国におきまして、民間金融機関の合併や公的支援を理由に当該金融機関が発行する社債が無価値になった事例はないというふうに承知をしております。

道下委員 そうしたことはないということでございます。こうしたことが行われないことが、私は、あるべき金融当局の在り方だというふうに思っています。

 今回は、救済買収に当たって、スイス金融当局が直前になって様々な制度を変更して、そして無価値措置をしたということで、本来であれば、投資家は想定しないことでございます。AT1債のような永久劣後債は、利回りが高い一方で、元本割れのリスクが高いものであり、金融機関は投資家や顧客に対して丁寧な説明が重要と考えます。鈴木大臣も記者会見で述べられましたけれども。

 ただ、今回は、投資家の一部が提訴したわけでありまして、その背景としては、今申し上げたとおり、スイス金融当局により、株式と債券の弁済順位が逆転し、弁済順位は必ず守られるという神話が崩れたからという見方もあります。

 金融担当大臣として、今回の提訴について見解を伺うとともに、今後の日本の金融機関のAT1債の発行、販売への影響について、見解を伺います。

鈴木国務大臣 今回の提訴そのものにつきましては、海外当局に対するものでありますので、私からコメントすることは控えたいと思いますが、クレディ・スイスのAT1債には、経営破綻前においても、特別な公的支援がある場合には元本が削減される旨の特約があらかじめ定められていたものと承知をしておりますが、今回の元本削減によって、富裕層、法人を中心とした一部の国内投資家にも影響が生じていることは残念に思います。

 いずれにしても、今回、スイス当局により、信用不安の影響を拡大させないために一連の迅速な措置が講じられたことは、信用不安が拡大をすることを抑えたという意味におきまして、歓迎すべきものと考えております。

 今後のAT1債の発行、販売への影響につきましては、今回のAT1債の元本削減を受けて、AT1債に対する投資家のリスク認識は高まるものと思います。

 一方、先月来、各国当局において金融システムの安定確保のために迅速な対応が取られたことによって、足下の金融市場は落ち着きが見られつつあり、日本のメガバンクにおいても、新規にAT1債の発行を決定するなどの動きがあるものと承知をいたしております。

 金融庁としては、国内におけるAT1債の発行、販売状況を含め、内外の経済金融市場の動向、それらが金融システムの安定性に与える影響等について、引き続き、強い警戒心を持って注視してまいります。

 また、クレディ・スイスのAT1債に付されていた本特約は日本の金融機関のAT1債にはないと承知をしておりますが、AT1債の販売をする証券会社においては、投資家に対して、そのリスクを含め、商品性を十分に説明するとともに、投資家においても、リスクをよく理解した上で投資していただくべきものと考えております。

道下委員 日本国内には影響はないというような、先日もアメリカの銀行の破綻というものもあって、それらは直ちには日本国内には影響はないというような記者会見でのお答えもありましたけれども、こういったことは、十分に慎重の上にも慎重を期して、影響のないように最善の努力をしていただきたいというふうに思っております。

 次に、財源確保法について伺いたいと思います。

 先日の質問でちょっと質問ができなかった部分から入りたいと思いますけれども、財務省は今回、防衛省から、国産や米国製のミサイル、極超音速誘導弾だとか一二式地対艦誘導弾能力向上型など、本当に多くのミサイル、これが必要なんだというような説明を受けられたと思いますが、具体的にどのように説明を受けて、それらが防衛力強化には必要なんだというふうに認識をされたのか、財務省に伺いたいと思います。

新川政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきました一二式地対艦誘導弾能力向上型等のミサイルでございますが、これは、閣議決定をされました防衛力整備計画におきまして、スタンドオフ防衛能力の強化に必要な装備品として開発、整備を進めることとされております。

 こうした、様々な種類がございますが、速度、射程、対艦、対地の区別等の様々特徴が異なるスタンドオフミサイルを整備することによりまして、他国からの侵攻に対する我が国の重層的な対応を可能とし、相手方に複雑な対応を強いることが可能となる、このように説明を受けております。

道下委員 それらのミサイルについて、防衛省が本年一月二十三日に公表した「新たな重要装備品等の選定結果について」における一二式地対艦誘導弾能力向上型と島嶼防衛用高速滑空弾、トマホークのライフサイクルコストについて、当初、公表した時点では、具体的な見込額が明記されていませんでした。

 その後、財務省は防衛省からそれぞれどのような説明を受けているのか、伺いたいと思います。

新川政府参考人 ただいまお尋ねのありました一二式地対艦誘導弾能力向上型あるいはトマホークでございますが、予算編成の過程におきましては、具体的な取得方法が未定である段階、あるいは調達に係る交渉段階である、こういった理由によりまして、防衛力整備計画の策定あるいは予算編成の過程では、必ずしも明らかにならない場合がございます。

 一二式地対艦誘導弾能力向上型のライフサイクルコストにつきましては、今御指摘ありましたように、本年一月時点では公表はされていなかったわけでありますが、その上で、この一二式、それから島嶼防衛用高速滑空弾のライフサイクルコストにつきましては、本年三月時点で防衛省から公表がされておりまして、財務省もその内容の説明を受けております。

 三月時点で説明を受けた内容の金額を個別に申し上げますと、一二式地対艦誘導弾能力向上型につきましては、地上装置として三千五百四十一億円、誘導弾関連といたしまして八千三百三十三億円のライフサイクルコスト、それから島嶼防衛用高速滑空弾につきましては、地上装置として三千六百三十九億円、誘導弾関連として一千百八十三億円との説明を受けております。

道下委員 トマホークのライフサイクルコストについてはいかがでしょうか。

新川政府参考人 トマホークにつきましては、防衛省と米国政府との間で詳細を調整中でございまして、これが調い次第、ライフサイクルコストを算定するとの説明を受けております。

道下委員 今、ライフサイクルコストについて具体的に説明をいただきました。

 このミサイルについて、海上自衛隊の元護衛艦隊司令官で、海上幕僚長の有力候補とも目されていた元海将の香田洋二氏は、今年三月の週刊誌のインタビュー記事において、国産の一二式地対艦誘導弾能力向上型と島嶼防衛用高速滑空弾の二〇二六年度の実戦配備に加え、極超音速誘導弾の研究開発、それから米国製巡航ミサイル・トマホークの取得に二〇二三年度予算で二千百十三億円計上している、それらについて、ミサイルがなぜ四種類も必要なのか、増税までお願いする国民に十分な説明がなされていないということで、この点について、ライフサイクルコストも含めて、時間がかかっても、きちんと精査すれば、今回も所要の防衛力を満たすミサイルは二種類くらいに落ち着くはずです、なりふり構わず予算をつぎ込んで背伸びをしていますというふうに厳しく指摘をされています。つまり、こんな幾つも要らないということでございます。

 本当に、予算編成過程では出てこなかったライフサイクルコスト、後から出てきたものですけれども、その後、ライフサイクルコストが算定され、防衛省から出されてきてから、きちんと財務省としてその中身について精査したのか、改めて伺いたいと思います。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 ライフサイクルコストについて、現時点で説明を受けたものについては、今後の予算編成等々の過程におきまして引き続きフォローいたしまして、その精査に努めてまいりたいと思います。

 それからトマホークにつきましては、まだ示されていないところでありますが、調った時点で説明を受けまして、今後の予算編成に生かしてまいりたいと思います。

道下委員 是非、そこの精査については厳格に行っていただきたいと思います。

 香田氏は、その後、ミサイルというものは最新電子機器の塊です、定期的なメンテナンスが必要で、不具合があれば原因を探求して部品を替えなければならない、その手間が非常にかかるし、整備部隊の新設や弾薬庫の整備も欠かせないと言っているんですね。

 これは本当に、そのライフサイクルコストがそれだけで収まるのか、今後、私は、注視をしていかなきゃいけない。どんどんこれが、ライフサイクルコストというのは、いろいろなこと、今までもそうですけれども、特に、米国製のものに関しては、次から次へと新たな追加費用負担が発生してくるということもありますので、こうした精査はきちんとしなければならない。どんどんどんどん防衛力強化の経費というものが膨れ上がっていくんじゃないかというふうに思います。

 もう一つ、このトマホークに関してなんですけれども、短距離ミサイルを搭載してきたイージス艦に長射程のトマホークを搭載して運用することについて、これもまた、初期費用やライフサイクルコストなどは防衛省からどのように説明を受けているのか、伺いたいと思います。

新川政府参考人 御指摘のトマホークにつきましては、防衛省におきまして、国産スタンドオフミサイルの増産体制を確立する前にスタンドオフ防衛能力を早急に強化するため、既存のイージス艦の垂直発射装置を活用しつつ、早期に運用を開始することを目指しているものと承知しております。そのため、今年度予算でありますけれども、トマホークの取得費用の二千百十三億円を計上いたしております。

 その上で、御指摘のライフサイクルコストなど、トマホークの運用に必要となるイージス艦の改修等の経費、あるいは、部品交換等の維持管理などがあると認識しておりますが、こうした経費につきましては、防衛省と米国政府の間で詳細を調整中であり、調い次第説明があるものと承知しておりまして、そうした内容が固まり次第、その内容を精査し、今後の予算査定に生かしてまいりたいと思います。

道下委員 これらについても、先ほど紹介させていただきました香田氏は、トマホークをイージス艦に搭載して運用するなど、海上作戦を無視したど素人ぶりを暴露しています、日本の場合、打撃を主任務とする米軍と異なり、イージス艦は対潜水艦戦のときに艦隊を守ることが第一義です、その任務を捨ててトマホークを撃ちに行くなど外道です、こんな矛盾が生じるのは、最近の防衛計画策定に制服組の自衛官が排除され、現場の意向が反映されてこなかったからですというふうに厳しく指摘をされています。

 本当にこうした現場の声を聞いているのか、また、私は、本来の、本当の意味での日本の防衛力強化のために議論が積み重ねられ、そして積み上げられてきた防衛装備であったり予算だったのかということは、非常に疑問を感じているところでございます。

 この点は今後も追及していきたいというふうに思いますが、先日、参考人招致で、柳澤協二参考人や金子勝参考人も、こうした点について同様の意見もありました。

 参考人招致に関連して、今回、柳澤参考人がお話をされたことについて見解を伺いたいと思いますが、柳澤協二参考人は、財政法の原則は、国債で戦費を調達した反省を踏まえて、防衛の分野には使わないという背景があり、また、防衛装備品は消耗するものだから、財源の便宜だけのために原則をいじるような議論はしていただきたくないと述べられました。

 また、金子勝参考人は、赤字国債で軍事費が歯止めを失い、ハイパーインフレになったという歴史的教訓を述べられました。

 そこで、今回の財源確保法案を施行してもハイパーインフレにはならないと財務省は断言できるのか、その論拠を財務大臣から伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 物価の動向につきましては、マクロ的な需要と供給の関係、家計や企業のインフレに対する予測など、様々な要因によって決まってくるものでありまして、財政との関係のみを取り出して議論することは困難であると思います。

 しかし、その上で、あえて申し上げますと、中央銀行が紙幣を発行して、国債を無限定に引き受ける前提で財政金融政策の運営が行われるようになれば、財政の持続可能性や財政運営に対する信認が失われ、金利の急上昇や過度なインフレにより国民生活に深刻な悪影響が生じるおそれも否定できない、そのように考えております。

 そこで、今般の財源確保法でありますが、防衛力の抜本的な強化を安定的に支えるための裏づけとなる財源は、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々世代が将来世代への責任として対応すべきという基本的な考え方の下、国債発行額を増加させないよう、しっかりとした財源を確保する観点から、税外収入について、外国為替資金特別会計からの追加の繰入金等を確保した上で、防衛力強化資金を通じて、防衛力の整備に計画的、安定的に充てていくこととしたものであります。

 したがいまして、今回の財源確保法案によって御指摘のようなハイパーインフレが発生するようなことになるとは考えておりません。

道下委員 先ほど、財源として国債の発行についてのお話がありましたけれども、これはあちこちから、先ほども同僚議員が質問をしておりまして、これまでもしておりますけれども、結局は、根っこを見れば、国債で財源確保してきたものを流用している、転用しているということで、防衛予算マネーロンダリングだとよく言われております。

 そして、今、政府が発行した国債を日銀が直接購入しているわけではないと言いますけれども、政府が発行した五割以上の国債を日銀が購入している段階で、そうしたことは、鈴木大臣がお話しされたようなことは、私はもう説得力に欠けるというふうに思っております。

 そうした意味で、私は、今後、政府がこれまでずっと、我が国の安全保障環境は非常に厳しいという説明をされていますけれども、そうしたことによって様々な世界経済や環境が変化していくと、日本の信用、また日本の国債等の信用が崩れ落ちて、そして最終的には、国債の金利の上昇だとかで私はハイパーインフレになるのではないかと非常に危惧をしているところでございます。

 国債についてなんですけれども、もう一つ、先日の参考人招致で、金子勝参考人が危惧をされておりました。私も四月十八日の委員会で質問し、指摘をさせていただきましたけれども、建設国債についてであります。

 金子勝参考人は、建設国債は経済効果という点を重視しているが、防衛費に充てることが経済効果につながるのか、さらには、外国製の武器を買ったときにそれがどういうふうに経済効果として及ぶのかを考えたときに、建設国債であればいいという話にもならないような面をたくさん抱えているので、きちんと精査しなければいけないというふうな意見を述べられました。私も全く同感であります。

 私も、一週間前の質問で、当時の福田赳夫大蔵大臣等の国会での答弁を引用させていただきましたけれども、防衛費に建設国債を充てるということは、本当に、今まで踏み込まなかった、絶対に、財務省も含めて、大蔵省も含めて、踏み込んではいけない領域に踏み込んでしまうということになるわけであります。

 この点について、財務省の見解を伺いたいと思います。

井上副大臣 お答えいたします。

 建設公債の発行対象経費につきましては、健全財政主義の下、財政法第四条におきまして、公共事業費、出資金及び貸付金に限って例外的に認められております。具体的には、公共事業費の範囲につきましては、従来より、投資的な経費であるか、国民経済の発展に資するか、世代間の負担の公平の観点から相応の耐用年数等を有するかといった観点から整理することとしております。

 その上で、防衛費が経済効果につながるのかという委員の御指摘につきましては、国際的な基準を見ても、例えば、国民経済計算、SNAにおける軍事関連費用の取扱いでは、防衛施設整備や装備品の取得の一部につきましても、総固定資本形成と整理されるよう変化してきているところと承知しております。

 こうした中、昨年十二月に閣議決定をいたしました国家安全保障戦略等におきまして、防衛力の抜本的強化を補完する取組として、防衛省と海上保安庁との連携や公共インフラ等が明確に位置づけられたところでありまして、海上保安庁を含む各省庁において施設整備費や船舶建造費等が建設公債の発行対象であることを踏まえ、安全保障に係る経費全体で整合的な考え方を取る観点から、令和五年度予算におきまして、防衛省・自衛隊の施設整備や船舶建造に係る経費につきましても、建設公債の発行対象として整理してきたところでございます。

 なお、海外からの調達であるか否かにかかわらず、公共事業費の範囲に含まれるものについて、建設公債の発行対象になるものと認識をさせていただいております。

道下委員 余りにもこれまでの歴史的教訓を学んでいない、それは金子勝参考人が指摘をしていることでございます。今の御答弁もこれまで何回も繰り返されていることでありますが、しかし、そういった答弁は、もしかしたら財務省の中で今まで検討はされていたかもしれませんが、今まではというか、この防衛力強化財源確保法、これを出すまでは絶対に外には出してはならないという、ある意味で不文律があったと私は思います。それを踏み越えてしまった、不文律を破ってしまった、こうした政府の発言と行動は大きな禍根を残すと思います。

 先ほど、外国製の防衛装備についての経済効果については具体的な回答がありませんでした。私は、安倍政権のときから、トランプ大統領から米国製の防衛装備、武器を爆買いさせられてしまっているということで、後年度負担、FMSなんですけれども、また、ローンとか借金というか、これがどんどんどんどん膨れ上がっているということはもう目に見えている。この点についても金子参考人が指摘されましたけれども、ここで、その当時、金子参考人が問いただしたのは、令和十年度以降の後年度負担は幾らになり、そのための財源は何を想定しているのか、ここを知りたいというふうにおっしゃっていました。大変重要な論点だと思います。

 財務省にその見通しを伺いたいと思います。

井上副大臣 お答えいたします。

 今回の防衛整備計画におきまして、今後五年間に新たに必要となる事業に係る契約額四十三・五兆円のうち、令和十年度以降の予定している後年度負担額は十六・五兆円となっております。その後年度負担額に係る歳出を含め、令和九年度以降、防衛力の維持強化を安定的に支えるためには、裏づけとなる毎年度約四兆円の財源が不可欠であり、その財源確保に当たりましては、歳出改革、決算剰余金の活用、更なる税外収入の確保といった上で、防衛力強化資金の活用により、必要な財源の四分の三を確保し、それでも足らない四分の一について、税制措置で御協力をお願いしたいと考えております。

 具体的には、令和九年度、二〇二七年度以降の毎年度においての防衛財源として、歳出改革で一兆円強、決算剰余金の活用で〇・七兆円程度、税外収入は防衛力強化資金の活用により〇・九兆円程度、税制措置で一兆円強を確保することとしており、あらゆる行財政改革を行うことで、これらの財源を確実に捻出していけるように努力をしていきたいというふうに思っております。

道下委員 後年度負担、令和十年度以降、五年間で十六・五兆円ということなんですけれども、これは政府が、令和五年度から九年度までの歳出追加需要額、ずっと少しずつ少しずつ増額していく分十四・六兆円、これは五年間で一・九兆円も上回る額。それだけ後年度負担というのは本当に巨額だということでございますし、令和十年度以降、これは、今まで五・二兆円の基本に対して、プラスして全部で八・九兆円程度ということでございますけれども、単年度計算すると、増額分は三・七兆円、ただ、後年度負担だけで見れば一年間当たり三・三兆円ということで、後年度負担でほぼ占めてしまうということなんですよね。

 後年度負担というのは、今までどんどんどんどん膨れ上がってきて、当初見込みよりも膨れ上がっている傾向にあります。だから、私はこれは本当に恐ろしいものであるというふうに危惧をしております。

 この点についてはまだまだ先の話なんですけれども、将来見通しについては今後伺いたいと思いますが、それら今挙げられた財源として、財務省は、様々な基金や積立金に対して、積立額が多いとか基金が利用されていないことなどを理由に、防衛財源へ活用するために国庫納付することを今後も行っていくのでしょうか。

 我々は、立憲民主党はこれまでも、政府が基金を創設し多額の税金を繰り入れたり積み増してきたことに対して、それは本当に必要なのか、金額が多過ぎるのではないか、使われていない基金についての必要性がないのではないかと何度も指摘してきました。

 基金の一部を防衛力強化税外収入として転用することは、これまで基金創設を認めて予算配分してきた財務省と所管省庁の見通しの甘さ、ずさんな基金創設と税金の無駄遣いではなかったのかと思いますが、見解を伺います。

鈴木国務大臣 これまで予算措置されました基金事業につきましては、その時々の政策課題を迅速かつ効率的に実施する上で必要であるとそれぞれ判断し、措置しているものであります。

 また、基金につきましては、予算措置を講じた後についても、行政事業レビューの枠組みの下で各府省自らが執行状況を継続的に把握するほか、行政改革推進会議による検証や各府省によるPDCAの取組を通じて、適正な執行管理に努めてきております。このような取組を通じて、各省庁において、基金の額が事業の実施状況等に照らして過大であると認めた場合には、国庫への返納を行わせてきたところです。

 その上で、今般の防衛力強化の財源確保との関係で申し上げますと、ただいま申し上げた行政事業レビューの一環として、基金の点検作業の結果、新型コロナウイルス感染症基金の不用見込み分〇・二兆円程度について国庫返納することとし、国民の負担をできるだけ抑制するため、これを防衛力強化のための財源として確保したところです。

 政府といたしましては、引き続き、基金からの国庫返納も含めまして、更なる防衛力強化のための税外収入を確保すべく、最大限努めてまいりたいと考えております。

道下委員 今答弁されましたけれども、財務省が各省庁と基金をあちこちばらまいて、そして、今これから、財務省のさじ加減でいろいろと理由をつけて、戻せ、国庫納付しろと。それらを防衛財源に充てるということは、私は目に見えているというふうに思います。こんなやり方は、私は、本来の財政民主主義や財政規律にもとる、本当にひどいやり方だというふうに思います。

 ちょっと時間が来ましたので、最後の質問とさせていただきたいと思います。

 今のこの財源の問題でちょっと再質問なんですけれども、金子参考人が、もう一つ、巨額の予備費の使途を明らかにすべきであるというふうにおっしゃいました。それができないなら予備費は直ちに削減すべきであるということです。少なくとも、新型コロナウイルスの五類への移行と、二〇二三年度、今年度五兆円もの予備費は、明らかに、五類へ移行したらもう五兆円なんか要らないわけですから、コロナ対策予備費が要らないわけですから、直ちに精査すべきであると述べられております。

 私も、五類に移行することに伴い、今国会中にコロナ対策予備費を減額補正して国債の償還に充てるべきではないかと思いますが、財務大臣の見解を伺います。

新川政府参考人 お答えいたします。

 今年度予算に計上されました予備費につきましては、新型コロナあるいは物価高、高騰、これらに対する万全の備えとして計上したもの、それから、ウクライナ情勢等経済危機に対応するための予備費ということで計上したものでございます。現下の情勢を鑑みれば、こうした万全の対応を取ることは必要な施策であるというふうに考えております。

 他方で、予備費の執行に当たりましては、予見し難い予算の不足があったのかどうか、そしてそのような経費が適切なものであるのかどうか、こうしたことをしっかりと吟味しながら、政府の責任において執行してまいりたいと思っております。

道下委員 今主計局長から答弁がありましたけれども、しっかりと吟味した上で、それで余ったものは、これは国債の償還に充てるなど、今までどおりの使い方をしていただきたい。見通しを大きく見せておいて、そして使わないでそれを防衛財源に充てる、こういうこそくなやり方は絶対にしないでいただきたいということを求めまして、質問を終わります。

 防衛省の皆さん、来ていただいたのに、ちょっと質問が行かなくて、済みませんでした。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党最後の質疑者となりました、衆議院議員の階猛です。

 午前中の質疑で野田元総理も取り上げていました、自衛官になる人が少なくなっているという問題についてですが、私の手元にある新聞記事によりますと、令和四年度に募集した任期制自衛官の採用達成率が過去最低の六割程度になったということでした。

 その原因と採用策を向上させる方策をお伺いしたいのですが、午前中の質疑で、原因については、少子化とか、コロナで募集が困難になったとかいう話も出ていました。あと、求人倍率が上がったとか、そんな話が出ていましたけれども、新聞記事によると、ロシアのウクライナ侵攻で武力行使が現実感を増し、自衛隊が忌避される傾向もあるということも原因の一つに挙げられているわけですね。

 これはなるほどと私は思うわけですけれども、そういった認識は防衛省としてあるかということが一つ、それから採用策を向上させる方策、改めて伺いたいと思います。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 委員今お尋ねの記事について、私も拝読させていただきました。

 今般のウクライナ情勢等々が、必ずしもそれが直結、大きな背景にあるとは、一概にはちょっと解析というか分析、認識として今回答をすることは難しいのかなというふうに受け止めております。

 その上で、今御指摘のあった問題についての対応についてでございますが、防衛省・自衛隊としては、自衛官候補生を含む自衛官等を確保すべく、より多くの若者が目にするSNS等を活用した積極的な募集広報の展開、地方公共団体や関係機関等との連携強化など採用に係る取組の強化に加えて、隊員の生活、勤務環境の改善、女性自衛官の活躍推進、ワーク・ライフ・バランスの推進、処遇の改善、ハラスメント防止やメンタルヘルス施策の推進などにより自衛隊の魅力向上を図るといった総合的な取組を行っているところであり、引き続き、これらの取組を強化してまいります。

 また、防衛力整備計画において、任期制自衛官の魅力を向上する観点から、自衛官候補生の在り方を見直すこととしております。自衛官候補生や任期制自衛官については、先般行われた第二回防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会においても御議論いただいたところであり、あした予定しております第三回検討会においても御議論をいただく予定としております。

 防衛省・自衛隊としては、この検討会の提言もいただきながら、防衛力整備計画に盛り込まれた取組を具体化してまいります。

階委員 三月二十七日の産経新聞の記事ですが、今、政務官は見られたということでした。もし、ロシアのウクライナ侵攻で武力行使が現実感を増しているということが自衛官を回避する理由になっているとすれば、私は、これは結構これから構造的な問題になると思いますよ。

 しっかり、そういった理由があるのかないのか、調べて、もしそうであれば、そうした武力紛争に巻き込まれるおそれがないような自衛隊の組織の在り方ということを考えていかなくちゃいけないと思いますけれども、この点についてよくよく検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

木村大臣政務官 今、先生からいただいた、日経新聞だというふうに私は受け止めましたんですが、産経新聞でしょうか。(階委員「産経新聞」と呼ぶ)産経新聞ですか。失礼いたしました。私、ちょっと日経新聞だけに目を通しておりましたので、失礼いたしました。

 いずれにしましても、今委員からいただいたお話、気概を持って自衛隊に志願する、そういった方々がしっかりと入ってきていただける、そういったことを、環境を整えていくということが大事だと思います。

 その上で、今申し上げました有識者会議等の御議論もいただいて、それを参考にしながらいろいろな対策をまた検討してまいりたいと思います。

階委員 質問に答えてください。

 ロシアのウクライナ侵攻をきっかけにして武力行使が現実感を増して、自衛隊が忌避される傾向になっているのかどうか。ここについてちゃんと調査して、しかるべく対応してくださいということを申し上げました。この点、どうですか。やるのかやらないのか、端的にお答えください。

木村大臣政務官 お話ありましたウクライナ情勢等々がこの背景にあるのかということの因果関係については、今この場で一概にはお答えすることは控えさせていただきたいと思います。(階委員「だから調査してください。調査して対応してください」と呼ぶ)

 調査をするかどうかも含めて、今後また検討してまいりたいと思います。

階委員 政治家ですから、ここでやると、あるいはやらないということをはっきり答えていただくために来ていただいているんですよ。だから政務をお願いしているんですよ。ここは、将来の自衛隊の在り方に関わることですから、御自身、新聞記事を見られたということであれば、ちゃんと対応してくださいよ。

 もう一回お願いします。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 私の判断では今お答えは控えさせていただきます。持ち帰って、また上層部とも相談しながら検討させていただきたいと思います。

階委員 では、後で理事会に報告をお願いします。

 委員長、お取り計らいをお願いします。

塚田委員長 後刻、理事会で協議いたします。

階委員 先ほど、自衛官の採用数を向上させる方策として、処遇の改善というのがありました。処遇を改善すれば、当然、お手当の中から払われる年金保険料、これも増えてくるわけですが、前回、連合審査のときに私が質問して答えられなかったことについてお尋ねしていきますけれども、令和三年度末の時点で、国家公務員共済の年金運用資産のうち約二百億円が中国の国債に投資されているということは既に聞いております。

 ところで、令和四年度末の時点では中国国債への投資残高はどうなっているのかという問いに対して、前回は答えられませんでした。ここについて、しっかり答弁をお願いします。

松元参考人 お答えいたします。

 令和四年度末の中国国債への投資残高は約八百九十億円となっております。

階委員 令和三年度末は、約二百億のうち、アクティブ運用が十五億ぐらい、パッシブ運用が百八十五億ぐらい、合わせて二百億でした。

 アクティブとパッシブ、分けてお答えいただけますか。

松元参考人 お答えいたします。

 令和四年度末、約八百九十億円の内訳といたしましては、アクティブ運用が約百億円、パッシブ、インデックス運用と私ども申しておりますが、これが約七百九十億円でございます。

階委員 すなわち、アクティブの方は六・七倍、パッシブの方は四・三倍、一年間で増えていますね。

 なぜこの数字を最初から出さなかったんですか。隠蔽していたのではないですか。今も数字をわざわざ合計だけ出して、アクティブとパッシブの数字、理事会に出していた数字、わざわざ出しませんでしたね。隠蔽体質があるんじゃないんですか。前回なぜ出せなかったのか、通告、ちゃんとしているんですよ。こんな数字はすぐ出せるはずですよ。お答えください。

松元参考人 年金資産の、どういった状況になっておるかということに関しましては、毎年七月の業務概況報告書公表の際に取りまとめて御報告をいたしております。

 各個別の投資につきましては、私ども、管理信託銀行から一定期間ごとに報告を受けているところではございますが、それぞれの投資先については必ずしも判別できない形式で来ておるものもございまして、個別の投資先を特定するためには、委託先との確認作業等、追加的な作業が必要になるということでございます。

 そのようなことから、四月十九日の、さきの委員会での委員の御指摘を受けまして作業をいたしまして、委託先の協力も得て早急に集計し、この度御答弁をいたしたものでございます。

階委員 私も銀行でファンドマネジャーをやっていたので、こういう数字は委託先に照会すれば、しかも銘柄は中国国債というふうに特定していますからね、すぐ出せるはずなんですよ。一日、二日あればすぐ出せるんですよ。そのために通告もしているわけですよ。こういう隠蔽体質がますますこうした問題について疑念を深める理由になると思います。

 これは財務大臣にもお願いしたいんですが、野田元総理の方からも、別件でしたけれども、情報開示の真摯な対応、これを要請したと思います。森友問題でも情報隠蔽があったというのは記憶に新しいところでありますので、こうした、我々、何のために通告しているかというと、ちゃんと答えてもらうために通告しているわけであって、隠蔽してもらうために通告しているわけじゃないので、しっかり情報開示をしていただくよう、所管の団体にも徹底をお願いしたいと思います。財務大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 国民の代表たる国会において、委員会審議というのは極めて重要であると思います。審議を充実させるためにも、必要な資料等についてはしっかり出すように、私からも関係方面に話をしたいと思います。

階委員 ありがとうございます。

 それでは、続いて国家公務員共済組合の理事長に伺いますけれども、なぜこれほど中国国債を組み込んだインデックスをベンチマークとする投資を行っているのか。さっき言ったように、パッシブ運用、百八十五億が七百九十億に、四・三倍にもなっているわけです。今後もこうした投資方針を継続するのかどうか、お答えいただけますか。

松元参考人 お答えいたします。

 連合会におきましては、基本ポートフォリオ及び採用した指数に基づく運用を行っております。

 外国債券の指数としては、FTSEラッセル社の世界国債インデックス、WGBIと申しますが、このWGBIを採用いたしております。

 同指数に令和三年十一月から中国国債が組み入れられたことから、中国国債を組み込んだインデックス運用が行われるようになっておるものでございます。

階委員 同じWGBIを採用しているのが、民間の年金資金ですね、GPIFと、あと地方公務員の共済もWGBIなんだけれども、そのWGBIの中でも、中国国債を含んでいるものと含んでいないものとがあるわけですね。あえて中国国債を含んだものを選んだ理由をお答えください。

松元参考人 お答えいたします。

 WGBIの中国国債を含むものにするかどうかということにつきまして、GPIFの御判断につきましては私どもからはお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、連合会におきましては、年金積立金の運用に当たりましては、厚生年金保険法に基づき、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことといたしております。

 連合会での、WGBIの中国国債組入れに当たりましては、外部の学識経験者で構成されております資産運用委員会におきまして、投資方針について御議論いただいたところでございます。その際、中国国債の市場動向等について不断のモニタリングを実施するようという御意見を頂戴をいたしております。

 連合会としては、今後とも、資産運用委員会での御議論も踏まえながら、法令の趣旨にのっとり、適切に運用してまいりたいと考えております。

階委員 先ほど、アクティブの方も六・七倍増えていますというお話をしました。アクティブの方はなぜこんなに増やしているんですか。お答えください。

松元参考人 お答えいたします。

 アクティブの運用でございますが、アクティブは、それぞれ委託した先においてどのような投資をするかという御判断をいただくということになっておりますが、それにつきましても、年金の資金の運用についての基本的な法令、すなわち、年金積立金の運用に当たっては、厚生年金保険法に基づき、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うという趣旨を踏まえて行っていただいているものと承知をいたしております。

階委員 ペーパーを読んでいるだけなんですけれども、被保険者の利益の中で、この間明らかになったように、被保険者の中には自衛隊員も多く含まれているわけですよ。二割強だったかな、含まれているわけですけれども、この方々が納めた年金保険料が、国家安全保障戦略でも、これまでにない最大の戦略的な挑戦というふうにみなされている中国、この国債を購入する資金として使われているということなんですよ。これ、果たして、被保険者の利益にかなうんでしょうかね。そのお金でもって中国政府が軍事力を増強している可能性もあるわけじゃないですか。そこまで考えて被保険者の利益を判断しなくていいんでしょうか。目先のお金の問題だけで被保険者の利益というのは判断していいんでしょうか。お答えください。

松元参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、積立金の運用は、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うものとされております。

 中国国債を組み込みましたWGBIでございますけれども、このWGBIは、世界の多くの投資家が外国債券に投資する指数として使用しておるものでございます。連合会の運用目的を果たせる指数であるというふうに認識をいたしております。

階委員 被保険者の中には自衛隊員がいるということ、そして、中国国債を買うということは中国の軍事力増強の可能性があるということ、こういうことを考えて、果たして今やっていることは被保険者の利益にかなうのかどうかということを聞いているわけですよ。そこを端的にお答えください。

松元参考人 お答えいたします。

 年金資金の運用の被保険者の利益ということでございますと、法令が規定いたしておりますことは、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うものということでございまして、こういった観点から運用するということが、防衛省あるいは自衛隊に限らず、国家公務員の利益になるものというふうに考えております。

階委員 ちょっと常識から外れていると思いますね。自衛隊員の皆さんに聞いたら、それはちょっとという話だと思いますよ。幾ら目先の年金運用上多少リターンがあるからといって、自分たちを危険にさらすようなところにお金が入っているというのはいかがなものかというふうに思うと思いますよ。

 これ以上聞いても多分同じことの繰り返しだと思いますが、もう一回ちゃんと考え直してみたらどうですか。今の方針は全く変えるつもりがないということでいいですか。

松元参考人 お答えいたします。

 連合会におきましては、年金積立金の運用に当たりましては、法令の趣旨にのっとり運用してまいりたいということで考えております。

階委員 法令の趣旨にのっとった場合に、被保険者の利益という中には、さっき言ったような自衛隊員の利益というものは含まないというふうに考えているのかどうか、お答えください。

松元参考人 私ども連合会の資産運用につきましては、外部の学識経験者で構成されております資産運用委員会におきます御議論も踏まえて運用いたしておるところでございますが、この中国国債のWGBIの繰入れに際しまして御議論いただきまして、その際には、中国国債の市場動向、その中では、特に様々な政治的、経済的リスクの動向について不断のモニタリングを実施することという御指摘はいただいております。中国国債の市場動向、これはしっかりとモニタリングをしてまいりたいと考えております。(階委員「答えていないですよ。止めてください」と呼ぶ)

塚田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

 松元理事長、質問の趣旨に沿ってお答えしてください。お願いします。

 松元理事長。

松元参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、法令、厚生年金保険法におきましては、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に運用を行うようということになっております。資産運用の観点からの御指示をいただいているものというふうに理解をいたしております。

塚田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

 松元理事長。

松元参考人 お答えいたします。

 自衛隊員の利益ということでございましたが、これは、自衛隊員も含む全ての公務員の利益という観点から、私ども、年金積立金の運用を行っております。

階委員 じゃ、もう一回確認しますよ。

 自衛隊員の利益も考えているということですが、その自衛隊員の利益の中に、自衛隊員の脅威となっている中国の軍事力の増強のために資金が使われてしまうというようなリスクを避けるというのは、自衛隊員の利益に私はかなうものだと思っていますけれども、それについては考慮しない、専ら資金運用の観点だけを考慮して利益にかなうかどうかは判断するという立場だという理解でいいかどうか、そこだけ確認させてください。質問にちゃんと答えてください。

松元参考人 お答えいたします。

 私どもは、年金の運用を委託をされておる組織でございます。年金の運用委託を受けているという観点から、自衛隊員も含めました公務員全体の利益のために運用を行わせていただいております。(階委員「答えていないよ」と呼ぶ)

塚田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

 答弁を求めます。松元理事長。

松元参考人 お答えいたします。

 国家公務員共済組合連合会の資産の運用に当たりましては、効率性、安全性を考慮して運用をさせていただいております。(階委員「同じことの繰り返しじゃないですか。それじゃ駄目だ」と呼ぶ)

 専ら効率性、安全性を考慮して運用をさせていただいております。

階委員 つまり、資金運用のことを専ら考えてやっているということでいいわけですよね。今うなずいていただきました。

 そこで、私はそれが本当に安全保障の観点からいいのかどうかという問題意識を持ちます。ここからはもう現場あるいは国家公務員共済では判断できないことだと思いますので、政治の責任で、中国で国債を発行して調達する資金、これは軍事力の増強に使われる可能性があることも勘案した上で、公的年金資金による中国国債への投資については、政府として戦略的に取り組むということを決めるべきではないか。

 そして、今、先ほど来話が出ていますとおり、GPIFであるとかあるいは地方公務員共済は、あえて中国国債を含まないインデックスに基づいて投資をしているわけですよ。これは国家公務員共済とは全く違う立場なんですけれども、そういう一貫性のないところも改めていただいて、安全保障戦略という観点からちゃんと方針を立てるということを政治の責任でやっていただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 財務大臣という立場でお答えしますと、国家公務員共済組合等が保有する公的年金積立ての運用につきましては、先ほど来国家公務員共済組合の理事長が答えていることに従って運用をされている、こういうふうに思っております。したがって、現状、中国国債など個別の投資商品への対応も含めまして、年金積立金の運用は国家公務員共済連合会の管理運営主体によって判断されるものと承知をしております。

 その上で、中国に、国債を保有をしていることが、中国のそれによって軍事力の一端を担う可能性もあり、それに対する問題意識というものは、前回の合同委員会で階先生から御指摘があって、私もその認識を一つ持ったところでございます。

 中国国債に運用していない共済、それとの違いがどういうところにあるのか、中国国債を持っていない、運用していない共済組合はどういうことでそうなっているのかということもよく見る必要があるんだと思います。

 その上で、私がちょっと頭に浮かびましたのはロシアの国債なんですが、ロシアの国債につきましては、令和四年の二月二十六日以降に発行された国債の取得は、外為法上の許可がなければ持つことはできない、こうなっております。

 制裁を科しているロシアと、通常の国家関係にある中国と、同一できませんけれども、そういうことも一つあるんだな、そんなふうに思った次第です。

階委員 国家安全保障戦略では、これまでにない最大の戦略的な挑戦ということまで中国に対して言っているわけですよね。それと平仄の合った経済取引、金融取引をするべきだと私は思います。

 大臣の方でも問題意識を共有していただいたと思いますので、今後、是非そうした観点から、しかるべく運用方針を定めていただきたいというふうに思います。

 以上でこの件については質問を終わりますので、国家公務員共済の理事長さん、お引き取りいただいて結構です。

塚田委員長 松元理事長は御退席いただいて構いません。

階委員 続いて、これは私の十九日の防衛大臣に対する質問に関してなんですが、防衛大臣が私の質問に対して、反撃能力は報復を行うためのものではないというふうにおっしゃっていました。

 報復を行わないということであれば、反撃能力と言いますけれども、そこで言う反撃というのはどういう意味なのかということを、分かりやすくお答えください。

木村大臣政務官 お尋ねの反撃能力につきましては、弾道ミサイル等による攻撃が行われる場合に、ミサイル防衛システムによる迎撃を追求するものの、それだけでは相手の攻撃を防ぐことが困難であり、やむを得ないと考えられる場合においては、他に手段がない、やむを得ない必要最小限度の自衛の措置として行使するものと考えております。

 こうした反撃能力は、当然ながら、武力の行使の三要件を満たした場合に自衛の措置の一環として行使するものですが、武力攻撃事態等における対処措置について言えば、自衛隊は我が国に対する外部からの武力攻撃を排除するために武力の行使を行うこととされており、この範囲で運用することとなります。

 したがいまして、反撃能力は、御指摘のような報復攻撃を行うためではなく、あくまで弾道ミサイル等による攻撃を排除するための必要最小限度の自衛の措置として行使するものであります。

階委員 そうすると、素朴な疑問として、相手国の立場からすれば、報復がないと思えば、攻撃を思いとどまる抑止力にならないのではないかという気がするんですが、この点についてはいかがですか。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 事態認定後の反撃能力の運用につきましては、実際に発生した状況に即して、武力の行使の三要件が満たされた場合に、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために他に手段がなく、やむを得ない必要最小限度の措置としていかなる措置を取るかという観点から、個別具体的に判断することとなるため、一概にお答えすることは困難でございます。

 いずれにしましても、ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、我が国から有効な反撃を加える能力を保有する、この二つの能力により、現状に比して、相手の戦略的、戦術的な計算を複雑化させ、日本にミサイルを撃ち込もうとしている相手に、目的を達成することは容易ではない、攻撃はやめた方がいいと思わせる、そのような抑止効果を得られるものと考えております。

階委員 私は、日本が直接反撃できない以上は、日本単体の反撃能力を警戒して相手国が攻撃を思いとどまるというよりは、むしろ、日米同盟が日本が反撃能力を持つことによって強化されるということを相手国が認識することによって抑止力となるのではないかと思っています。

 日米同盟が強化されるということによって、かつ日本が今までのように専守防衛ではなくて反撃能力までも持つということになりますと、日本有事のときに米国に見捨てられるリスクは小さくなるというふうに思いますけれども、逆に、米国の有事に巻き込まれるリスクが大きくなるという、いわゆる同盟のジレンマに陥ってしまうのではないかというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

木村大臣政務官 まず、近年、我が国周辺では、ミサイル関連技術と運用能力が飛躍的に向上し、質、量共にミサイル戦力が著しく増強される中で、既存のミサイル防衛網だけでは完全に対応することが難しくなりつつあるという現実があり、日米は、これに対処するための日米同盟の共同の能力を向上させる必要性を強く認識しております。

 こうした中で、政府としては、米国が日米安全保障条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いていますが、これに加え、我が国としても反撃能力を保有し、国民の命や暮らしを自らの力で守り抜く努力が必要であります。これにより日米同盟の抑止力、対処力を一層向上させ、弾道ミサイル攻撃等に対応することが不可欠と考えております。

 このように、ミサイル攻撃の脅威が過去とは異なる現状に至っているという問題意識の下、日米両国が共に我が国防衛のために可能な限りの努力を行い、協力して対応していく必要があるものと考えております。

 その上で、繰り返し答弁させていただいておりますが、反撃能力を含む我が国の武力の行使は、我が国の憲法、国際法、国内法、特に事態対処法及び自衛隊法の範囲内で運用されるものであります。

 したがって、いかなる事態であれ、反撃能力の行使を含む我が国の武力の行使は、武力の行使の三要件を満たした場合に、他国の防衛ではなく、あくまで我が国の防衛のために行われるものであることから、これとは無関係な米国の有事に巻き込まれるリスクが大きくなるとは考えておりません。

階委員 本当にそうなのかどうか、私は疑わしいと思っていますけれども。むしろ、こうした、費用対効果が疑わしく、どこまでやったらゴールなのか、これも明らかでない反撃能力を持つことに巨額の国費を投じることよりも、今やることは、専守防衛を万全にするための方策、すなわち、冒頭申し上げた、自衛隊員の増強とか安全の確保、レーダーを含めたミサイル防衛能力の向上、Jアラートの正確性と迅速性の両立、シェルターの整備、こういったことに優先して取り組むべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 まず、反撃能力につきましては、近年、我が国周辺では、ミサイル関連技術と運用能力が飛躍的に向上し、質、量共にミサイル戦力が著しく増強される中で、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなりつつあるという現実を踏まえ、反撃能力の保有を決定したところでございます。

 こうした厳しい環境において、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力となる反撃能力は、今後不可欠となる能力であり、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えております。

 その上で、防衛力を発揮するに当たっては、必要な人材を確保することが不可欠であり、募集能力の強化、人材の有効活用、生活、勤務環境の改善、給与面の処遇の向上といった各種施策を講じ、第一線を担う自衛官の充足率の向上に努めるなど、自衛隊員の人的基盤を強化し、我が国の防衛に万全を期してまいります。

 その他、委員の方から具体的な御指摘もいただいたところでございますが、こうしたことにつきましても、当然にして、整備、強化を図っていくということは、同じ認識に立たせていただいているつもりでございます。

 このような様々な施策につきましては、いずれにしましても重要な取組であり、着実に進めていく必要があると考えております。政府としては、国家防衛戦略等に基づき、我が国の防衛力の抜本的強化に取り組んでまいります。

階委員 是非、よろしくお願いします。

 ここで政務官は結構です。年金の問題も今日お聞きになったと思いますので、是非関心を持っていただければと思います。

塚田委員長 木村防衛大臣政務官、御退席いただいて結構です。

階委員 本法案について、ここからは財務大臣に伺ってまいります。

 前回も申し上げたとおり、震災のときの財源確保法と比較して、本法案は、いわば熟度が低いというふうに思っています。かつ、もう令和五年度の予算は成立していまして、令和六年度以降の予算のための法案ですから、今すぐ成立させる必要もないわけです。

 十九日の連合審査で、私が、なぜ法案成立を急ぐのかと尋ねたところ、大臣は、増税で協力をお願いする前提として、国民の負担をできる限り抑えるべく政府として最大限の努力をしていることを明確に示すためであるというふうに繰り返し答弁されました。

 一ページの資料を見ていただきたいんですが、これは前回もお示ししたもので、財務省が作成したものですけれども、今、大臣の答弁を引用しました、最大限の努力という中で、最大限の努力をした結果が、この令和五年度予算の、一ページ目でいうと右上のところ、一・四兆円、そして令和六年度以降の三・四兆円、合わせて四・八兆円、これが最大限の努力の結果だったという理解でよろしいでしょうか。

鈴木国務大臣 先日十九日の連合審査でございますが、階先生との質疑では、法案を提出した理由につきまして、税制措置で協力をお願いする前提として、国民の負担をできる限り抑えるべく政府として最大限の努力を行っていることを明確にお示しするため、そのように申し上げました。

 御指摘の四・八兆円につきましては、このような最大限の努力の一つでありますが、必ずしもそれが最大限に努力する内容の全てではなく、歳出改革や決算剰余金の活用にも最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

 政府といたしまして、令和六年度以降においても、国民の負担をできるだけ抑えるべく行財政改革の努力を最大限行ってまいります。

階委員 三ページ目に、四十三兆円という五年間の財源を確保するためには今より十七・一兆円増やさなくちゃいけないということで、そのうちの四・八兆円は確保したでしょうということなんですが、残りまだ十二・三兆円あるわけですね。

 この三ページ目のポンチ絵によりますと、決算剰余金の活用と歳出改革で合わせて六・五兆円ぐらい調達するというもくろみになっているわけですけれども、この決算剰余金や、このポンチ絵では歳出削減とも書いていないわけですね、歳出改革と書いていますけれども、こうした決算剰余金や歳出改革によって捻出する分というのは、なぜ最大限の努力に含まれないのか。すなわち、先ほど藤岡さんも指摘したとおり、財源確保法になぜ盛り込まれないのかということをお聞きしたいと思っています。そして、あわせて、この六・五兆円、見込みどおりの財源が捻出できなかった場合は国民負担は増えるのかということ。この二点、お尋ねしたいと思います。

鈴木国務大臣 先ほども答弁させていただきましたが、防衛力を抜本的に強化し、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保といった行財政改革によりまして、必要な財源の約四分の三を確保するために最大限の努力を行うこととしております。したがいまして、決算剰余金の活用や歳出改革により確保される財源についても最大限の努力に含まれるものであります。

 このうち、決算剰余金につきましては、直近十年間の平均が一・四兆円程度であることを踏まえまして、財政法上、公債又は借入金の償還財源に充てるべく、二分の一を除く、残り二分の一の〇・七兆円程度を防衛財源への活用見込額として見込んでいるところです。

 決算剰余金……(階委員「もういいです。それ以上はいいです」と呼ぶ)はい。

階委員 いや、私が伺いたいのは、前回の答弁で、最大限の努力を示すためにこの法案を出している、通したいというお話だったわけですよ。であれば、最大限の努力に、今、含まれると言いましたよね、この決算剰余金や歳出改革も。含まれるのであれば、法案に書けばいいじゃないですか。

 二ページ目を御覧になっていただきたいんですが、復興財源確保法のときに、どの程度財源を確保したのか、確保した根拠条文は何かということを、ちょっと細かい字で恐縮なんですが、いろいろ書いています。

 実は、このときに、この表の真ん中の下あたりに、決算剰余金、歳出削減で三・一兆円、一・六兆円、合わせて四・七兆円、ここで調達しているわけです。これは、今回みたいに法案に盛り込まないでやったわけじゃなくて、法案にちゃんと書いているわけですよ。法案に盛り込んでいるわけですよ。

 最大限の努力を示すということであれば、なおのこと、今回も法案に決算剰余金の話とか歳出削減、歳出改革でもいいですよ、その話を入れないとおかしいじゃないですか。つじつまが合わないと思いますよ。復興財源確保法のときと同じような条文のたてつけにしない理由を教えてください。

鈴木国務大臣 復興財源確保法が成立をしたその途中におけます国会におけます議論につきましては、私、そのとき国会におりませんでしたので、十分に承知をしておりませんので、今回のものと比べるということを、適切に比べられないかもしれませんけれども、今回の財源確保法案は、防衛力強化のための財源確保のうち、主として税外収入に関して法律上の手当てが必要なものについて所要の措置を講じるものであります。

 御指摘のとおり、法律上の手当てが特段不要である歳出改革や決算剰余金の活用に関する規定は盛り込まれておりませんけれども、これらについては、別途、防衛力整備計画において、防衛財源の一つとすることが定められております。

 その上で、歳出改革の具体的な内容については、政府の閣議決定した骨太の方針に基づいて行うこととしているところであり、また、決算剰余金の活用については、財政法上、公債又は借入金の償還財源に充てるべきこととされている二分の一を除く残りの二分の一を防衛財源として活用することを見込んでいるところです。

階委員 いや、説明と矛盾していると思うんですね。最大限の努力を示すための法案だ、最大限の努力には決算剰余金と歳出削減も含まれると言っているわけだから、なぜ決算剰余金と歳出削減を入れないんですか。欠陥法案じゃないですか。

 ちなみに、このときの復興財源確保法案、民主党政権のとき、野田総理のときに作った法案ですけれども、このことと、さらに復興特別税もちゃんと盛り込んで、まさに復興財源確保、復興に必要な財源は一〇〇%確保できるという法案になっているんですよ。

 ところが、今回どうですか。四・八兆円だけだとたしか二〇%ぐらいしか調達できていないはずですよ。財源確保というのは全く看板倒れですよ。おかしいじゃないですか。せめて、最大限の努力ということを示すのであれば、決算剰余金とか歳出削減の話が入っていないとおかしいですよね。その点、直すべきじゃないですか。このままでは欠陥法案ですよ。

鈴木国務大臣 私ども政府の判断といたしましては、例えば、抜けているという御指摘の歳出改革や決算剰余金の活用、これは別途、防衛力整備計画において防衛財源の一つとすることが定められており、歳出改革につきましても閣議決定した骨太の方針に基づいて行うということ、そういうことが決められておりますので、別途、そちらの方で手当てされておりますので、このことについては今回の法案に盛り込まなくても決して欠陥ではない、そのように政府として判断しているところであります。

階委員 そういう話をされると、私、前回言ったことをまた言いたくなるんですけれども、そもそも令和六年度以降の財源を確保するという話ですから、しかも、それについては閣議決定されていますよ、税外収入についても。全部閣議決定されていますよ。だったら、この法案だって要らないという話になるじゃないですか。閣議決定で済むんだったら、この法案自体要らないですよ。それは自己否定ですよ。この法案は要らないということになりますよ、今の答弁を前提にすると。それはどうなんですか。

鈴木国務大臣 新たな防衛力整備計画に基づく防衛力の整備を確実に進めていくためには、防衛財源の安定的な確保に向けた道筋をできる限り早期に示すことが必要である、そういうふうに考えます。そのために、現時点で最大限の財源確保の努力を行っていることを明確にお示しする取組の一環として、閣議決定を踏まえた予算上の対応に加え、今回の法案により特別措置を講じることによって、令和五年度予算における特別会計からの繰入れや独立行政法人からの国庫納付による追加的な税外収入の確保と、確保した税外収入をプールし令和六年度以降に活用できるようにするための防衛力強化資金の設置を行い、現時点で確実に確保できる財源については先送りすることなく現時点でしっかりと確保すること、これが必要である、そのように考えて法律を提出しているところであります。

階委員 全く、何か循環論法というか、最大限の努力を示すために法案を出す、最大限の努力に含まれている決算剰余金や歳出削減については閣議決定に入っているから法案に入れる必要はないということで、理屈が通らないと思いますよ。

 こういう中身のない法律を出すよりも、増税もやるというふうに先日もおっしゃっていましたから、増税も含めて全体のパッケージとしての本来の意味での財源確保法、復興のときと同じように、一〇〇%確保した段階で財源確保法は出すべきではないでしょうか。それが出せないということは、財源確保に自信がないということになってしまいますよ。自信があるんだったら、それも含めたものを出すということを約束していただけませんでしょうか。

鈴木国務大臣 令和九年度以降の財源について、残念ながら、確たる、確実に手当てできるというものがまだないわけでありますけれども、これについても最大限の努力をして、税外収入でありますとか歳出改革、そうしたものを通して確保するように努力をしてまいりたいと思います。

 そういう意味において、財源を確保する自信がないからというわけではないわけでございまして、今回の法律のたてつけは、先ほど申し上げましたとおり、閣議決定その他で決まっているところを除きまして、法律で手当てしなければできない、例えば防衛力整備資金でありますとか、あるいは外為特会の例外的な措置でありますとか、そういうものについて法律を作った、それが今回の法律のたてつけであるわけであります。

階委員 今の点も含め、閣議決定では手当てすることになっています。もちろん、法律を通さなければできない部分もありますけれども、それは今やる必要がないので、ちゃんと一〇〇%財源が確保された内容でもって法案をしかるべき時期に出せばいいんじゃないかということを申し上げたんですが、きちんとした答弁はなかったので、引き続きまた議論をさせていただければと思います。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 本日も、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案について質問させていただきます。

 先日来より、この委員会で、また連合審査会で、決算剰余金の活用であったり国有財産の売却等の財源確保について質問させていただきました。少し質問の積み残しにもなっておりますので、まず、そちらからさせていただきたいと思います。

 今回閣議決定されたのは、二〇二三年から二七年度までの防衛関連経費の総額を四十三兆円程度にするということです。以前まで、安定財源の定義とか、安定的に財源を確保していく、こういう言葉を聞くと、国民は未来永劫財源が安定的に確保できるという印象を持ちますが、中身としては、不安定な財源をかき集めてきたという印象となっております。

 当然、我が国を防衛する必要性というのは、二〇二八年度以降も継続して、未来永劫続いていきます。この二〇二八年度以降の防衛戦略及び財源確保、これをどうしていくのか、政府の見解をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 令和九年度、二〇二七年度以降、防衛力の維持強化を安定的に支えるためには、裏づけとなる毎年度約四兆円の財源が不可欠であります。その財源確保に当たりましては、歳出改革、決算剰余金の活用、更なる税外収入を確保した上での防衛力強化資金の活用により、必要な財源の約四分の三を確保し、それでも足りない約四分の一については、税制措置での御協力をお願いしたいと考えております。

 具体的に申し上げますと、令和九年度以降の毎年度において、防衛財源として、歳出改革で一兆円強、決算剰余金の活用で〇・七兆円程度、税外収入は防衛力強化資金の活用により〇・九兆円程度、税制措置で一兆円強、これを確保することとしておりまして、あらゆる行財政改革を行うことで、これらの財源を確実に捻出できるよう努力してまいりたいと考えております。

住吉委員 例えば、防衛力強化資金で〇・九兆円程度ということですが、決して安定的ではないと思っています。

 また、今税制措置のお話もありました。この税制措置、いわゆる増税についてなんですが、この増税時期についてお尋ねしたいと思います。

 この実施時期については、令和五年度税制改正大綱で、二四年以降の適切な時期とすると定められております。しかし、増税というのは国民にとって一番大きな、重要なテーマであり、また、五年で四十三兆円程度と額が決まっていながら、税制が同時に決まっていないというのは余りに不自然であると言わざるを得ません。

 また後ほど詳しく質問させていただきますが、岸田総理も、四月六日の本会議において、行財政改革を徹底した上でと発言しているように、増税の前に徹底的な無駄の削減や新たな財源確保といった政府の努力が必要であることは言うまでもありません。

 我が党としては、再三申し上げておりますが、防衛費増額については反対するものではありません。しかし、その財源を安易に国民に求める姿勢について、異を唱えております。

 岸田総理は、同じ本会議において、国民の御負担をできるだけ抑えるため、あらゆる工夫を検討と述べていますが、まずそういった工夫に全力で取り組んでいただいて、どうしても足りない部分の増税について、二〇二四年以降の適切な時期にしている理由について、お伺いいたします。

鈴木国務大臣 住吉先生御指摘のとおり、税制措置の施行時期は令和六年度以降の適切な時期としておりますが、これは行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえた措置を行うためであります。

 そうであると、反対に、税制措置については昨年末に決定する必要はなかったのではないかとの御指摘もあるかもしれませんが、この点は、防衛力の抜本的な強化を安定的に支えるための裏づけとなる財源は今を生きる我々が将来世代への責任として対応すべきとの考え方の下で、国債発行額を増加させないこととし、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保によってもなお足らざる額について税制措置をお願いすることをお示しすることが、国民の皆様への説明責任を果たすことになると考えたからであります。

 今後とも、こうした内閣の方針、これを国民に御理解をいただけるよう、丁寧に説明をしてまいりたいと思います。

住吉委員 ちょっとよく理解できていないところもございますが、今回出された、先ほど来よりありますが、法案の中で一体的に議論していく必要があるのではないかと私も考えております。

 逆に、増税の時期とかそういった、まあ増税と言わずに税制措置と言っておりますが、それを後ろ後ろにして、そういう議論から少し避けているような、そんな印象を私は受けております。

 いずれにせよ、安易に国民に負担を求めるという姿勢には、我々は真っ向から異を唱えていきたいと思います。

 そして次に、歳出改革のロジックについてお尋ねしたいと思います。

 五年で四十三兆円の財源、これを捻出するために、歳出改革により五年で一兆円程度の財源を生み出すことが定められております。歳出改革により財源を生み出し、足りない分を増税で賄うというたてつけで、いろいろな既得権や、業界団体への例えばですが補助金等に踏み込んで、そういう費用を防衛費に回すというように、本気で取り組んでもらわなければなりません。また、我が党が再三申し上げているように、身を切る改革、これも本気でやっていかなければ国民が納得しません。

 また、そういった歳出削減も単年だけでは意味がなく、来年度、再来年度も切り込んでいく必要があるでしょう。

 そこで重要になってくるのが、歳出削減の基準年です。

 令和五年度の予算を令和四年度を基準に二千億円、まあ二千百億円削減するのは当然として、令和六年度の予算は令和四年度を基準に二千億円削減するのでは、令和五年度から見れば削減幅がゼロであり、令和五年度を基準に二千億円削減するのと比べると、削減幅が二千億円変わってきます。

 また、歳出改革の約二千億円のうち、二千百億円のうち、千五百億円は非社会保障費の伸びを抑えることで達成されることとなっております。これは、これまで社会保障費以外の経費は年三百三十億円増に抑える基準を設けていたところ、政府は、予算案を決める前日に閣議了解した経済見通しで二三年度の消費者物価上昇率を一・七%としました。一三年から二一年度の平均〇・三八%の四・五倍であり、これだけ物価が上がるなら、三百三十億円としてきた目安は四・五倍の一千五百億円程度になります。この一千五百億円を計算上全て防衛費に回すことにより、この一千五百億円の歳出改革が達成されたというものです。

 この計算も基準年が重要になってまいります。来年度の経費抑制の基準となる消費者物価上昇率は、今年度と同じ一三から二一年度の平均となるのでしょうか、一年ずらして一四から二二年度の平均となるのでしょうか、またあるいは、今年度の消費者物価上昇率そのものとなるのでしょうか。基準年の取り方によって歳出改革の額も計算上変わって、数字の入替えで額も変わってまいります。

 そこで、来年度以降について、歳出削減の基準年は令和四年度なのでしょうか、前年度なのでしょうか、政府の見解をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 歳出改革につきましては、毎年度の予算編成過程におきまして、非社会保障関係費全体を見直すことで、令和九年度時点において、対令和四年度比で一兆円を確保することとしております。この水準は、五年間の年平均でいいますと、毎年度、前年度比〇・二兆円強の歳出改革を継続することに相当いたします。令和五年度予算においては、歳出改革によりまして二千百億円程度の防衛関係費の増額を確保したところであります。令和六年度以降も、より一層の予算の効率化を図るなどで、歳出改革に努めてまいります。

住吉委員 そういうことなんですね。

 例えばですけれども、毎年百億円近くの、仮に百億円の事業をしている、それを何らかの工夫で例えば五十億円にして、毎年五十億円でできるようになった。そうであれば、歳出改革によって一年間で五十億円、次の年も五十億円、そういうふうに計算できるわけでございます。これは非常に自然な考え方だと思います。

 一方で、政府が出している歳出改革の項目の中に恩給関係費という項目があります。財務省のホームページによると、現在恩給を受けているのは、共済年金制度移行前に退職した一般文官及び旧軍人並びにその遺族となっております。令和四年三月末時点における受給者のうち九八・四%は旧軍人関係とのことです。とするならば、恩給関係費、これは、年月の進行とともに当たり前のように下がってくる、いわゆる自然減の性格を有するものでございます。

 歳出改革とは、一般的な感覚では、ある事業を廃止したとか、より効率的な手法を導入したとか、何らかの工夫によってコストを削減するものだと思います。

 この恩給関係費のように自然減するものを歳出改革とみなして財源を生み出した、そして足らずの分は国民に負担を求めるということになっておりますが、このような考え方について、政府の見解をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 恩給関係費の減額でありますが、先生御指摘のとおり、受給者数の減少に伴うものであることは事実でありますが、予算編成過程を通じて、様々な要素を踏まえて各施策の見直しを行い、精査した必要額を積み上げることによりまして、防衛関係費を除く非社会保障関係費の総額を抑制をし、しっかりとした財源を捻出できた、そのように考えております。

住吉委員 岸田総理も、行財政改革を徹底した上でということを述べております。

 ほかにも、エネルギー対策費二百十七億円。確かに僅かな金額かもしれませんが、エネルギー特会の剰余金の増加を踏まえた繰入れの減ということで、ある意味、たまたま繰入れが減ったというようなことになっております。

 ちょっと再質問させていただきますが、歳出改革を、本気の歳出改革をした上で最終的に国民に増税を求めなければ、国民の理解が得られない。我々は増税自体反対しておりますが。このような自然に減っていくものを、歳出改革で生み出した財源です、もうこれ以上は財源を生み出すことができません、あとは国民の皆さん負担してください、これで国民の理解が求められると大臣はお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 令和五年度の予算におきまして、歳出改革を行って二千百億円程度の防衛関係費の増額を確保したところでございますが、この歳出改革につきましては、自然減による恩給関係費の減額だけでなく、様々な分野においても各種施策の見直しを行って精査をいたしまして、必要額を積み上げる、そのことによって、非社会保障関係費の総額を抑制をし、財源を捻出することができた、その結果、令和五年度予算において二千百億円程度の防衛関係費の増額を確保したことができた、そのように思っております。

 つまり、恩給関係費というのは減額ということでありますが、必ずしもそうしたことではなく、全体の中で歳出改革を行ってこうした予算を組むことができた、こういうことであります。

住吉委員 恩給費の、これは自然減ですが、僅かな額かもしれません。ただ、この大部分のところは、ある意味、数字を少し入れ替えて計算して、実際に何かを生み出したというよりかは、計算上、この千五百億円を捻出したというような状況になっています。

 財務大臣に言うことではないかもしれませんが、例えば、身を切る改革であったりそういったことを徹底していく、そういう姿勢がなければ、結局、この増税、これは国民には到底納得できる、理解できるものではないと我々考えております。この議論は平行線になると思いますので次に行きますが、その点だけは指摘させていただきます。

 次の質問は、別の財源についてお伺いしたいと思います。

 五年で四十三兆円を確保する方法は、決して安定的ではなく、かき集めてきたという印象となっております。であるならば、更に別の財源を見つけ出すことも必要なことです。

 岸田総理は、新しい資本主義を打ち出し、令和四年六月七日に、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画を閣議決定いたしました。この中で、「資本主義は、市場メカニズムをエンジンとして、経済成長を生み出してきた。新しい資本主義においても、徹底して成長を追求していく。」と述べられております。

 その成果でしょうか、財務省が四月三日に公表した租税及び印紙収入、収入額調によれば、二〇二二年度分の一般会計税収額の累計値、これは二〇二三年二月までですが、五十一・二兆円と、過去最高税収となった二〇二一年度の四十六・八兆円を大きく上回っております。二〇二一年度の税収は二〇二〇年度からプラス六・二兆円の大幅な増加を記録し過去最高水準となりましたが、続く二〇二二年度もそこから大幅な増加となる公算が大きくなっております。そうすれば、増税せずに財源を賄えるわけです。

 この増収分を防衛費に回せば、増税というのは必要ないのではないでしょうか。ほかの財源確保手段において、将来の不確定な変動幅のある決算剰余金や外為特会も当て込んでいるのであれば、この増収分をカウントしない理由にはならないでしょう。

 たまたま税収増ではなく、新しい資本主義による成長戦略による増収分を将来にわたって見積もり、その増収分を財源に考慮しない理由について、政府の見解をお伺いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の防衛力強化の財源確保に当たりましては、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、必要となる財源の約四分の三につきまして、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保などあらゆる工夫を行うことにより賄うことにしているということは再三御説明を申し上げたとおりでございますが、こうした中で、今先生が御指摘をいただきました経済成長による税収増について申し上げれば、これは総理からも御答弁がございましたとおり、経済あっての財政、すなわち、まずは経済を立て直すことが重要であり、その結果として、見込み以上に税収が伸びまして、それが決算剰余金に反映をされれば、それがまさに防衛力強化の財源として活用されることになるというふうに考えてございます。

住吉委員 たまたま税収が上がったら決算剰余金になるではなくて、やはり、一般の企業ともちろん国、政府というのは違いますが、一般の企業であれば、例えば、投資した分これだけ売上げが伸びる、利益が伸びる、そういう見込みをして投資していくわけでございますから、新しい資本主義という、ある意味中長期の計画において、これだけ税収を確保していくんだという決意を持って、その分を増税ではなくてしっかりと防衛費の財源に充てていくことが必要ではないかと思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 我が党は、政策提言において、マイナンバー連携の拡大に併せて、国税庁と日本年金機構等の社会保険料徴収部門を統合した歳入庁を設置することで、税と社会保険料を一体徴収し、業務効率化と不公平是正を図ることを打ち出しております。

 歳入庁は年金保険料の徴収漏れを防ぐことが主眼であると言われておりますが、税も年金保険料も収入であることには変わりなく、我が党が主張しておりますが、入りと出のバランスを取ることが重要となっております。

 保険料の徴収漏れは五兆円とも十兆円とも言われております。このように、年金保険料も含めて収入を増やし、増やした分を防衛財源に充てることも、増税抑制にとって有効な手段と言えるでしょう。

 このような観点から、歳入庁を創設することについての政府の見解をお伺いいたします。

青木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、いわゆる歳入庁構想につきましては、年金保険料の徴収体制強化などの方策の一つとして、国税の徴収と年金を含む社会保険料の徴収を一つの行政機関で行う考え方であるというふうに理解しております。

 この考え方につきましては、現在非公務員が行っております年金業務を公務員に行わせることとなり、行政改革の取組に逆行すること、また、十分な人員の手当てが行われない場合には、年金保険料の納付率に資さないばかりか、徴収能力まで低下するおそれがあることなど、様々な問題点があるというふうに考えております。

 そのため、平成二十五年八月に内閣官房を中心に取りまとめました論点整理におきまして、組織を統合して歳入庁を創設すれば年金保険料の納付率向上などの課題が解決するものではないというふうに整理されたところでございます。

 その上で、仮に年金保険料の納付率が向上したといたしましても、年金保険料は負担と給付が結びついておりますので、防衛財源に充てられるような財源の確保につながるものではないというふうに考えております。

住吉委員 そういう答弁だと思っておりました。

 ただ、徴収を増やしていくということは非常に重要なところだと思っておりますので、これは長期的な視点でまた検討いただければと思っております。

 次に移りたいと思います。

 さらに、我が党は、政策提言において、マニフェストにおいて、JTや日本郵政、東京メトロ、NTT、日本政策金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行を始め政府関係機関の保有株式を原則として全て売却し、民営化による業務効率化を行うとともに、その売却収入の財源を確保しますとも主張しております。

 今回、国有財産、大手町プレイスの売却益を防衛費の資金に充てるというのもありますが、こういった大手町プレイスのような国有財産の売却に比べて、株式は流動資産であり、売却しやすいと言えるでしょう。法律上、政府保有義務があるものもありますが、それ以外は売却可能であります。また、民営化の推進のために政府保有義務分を撤廃したり緩和したりすれば、更なる売却益が見込めるでしょう。

 財務省のホームページを確認すると、政府保有株式は約三十三兆円あります。この売却益を防衛費に充てれば増税は不要だと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

齋藤(通)政府参考人 お答え申し上げます。

 政府が株式を保有する株式会社、いわゆる特殊会社でございますけれども、これは、当該法人を通じて政策目的を達成するという、その必要性に鑑みて、主務省、監督官庁でございますが、その判断に基づき、国が株式を保有しているものでございます。

 したがいまして、民営化という場合に、どのように官と民のバランスを取っていくのか。収益性を重視することが一般的な民間株主と、それから政策的な役割を期待をする政府、これは両者必ずしも利害が一致しないという場合もございますので、その間でどういうふうにバランスを取り、株式保有比率をどうすべきかという、この点は、主務省において、政策目的あるいは法令の趣旨といったことを踏まえた判断が必要になってくるというふうに考えております。

 なお、現時点におきましては、東日本大震災の復興財源として活用することとされている株式、例えば東京メトロでございますけれども、こうしたものを除き、売却の検討は行われておらず、売却可能な株式があるとは承知をいたしていないところでございます。

住吉委員 いろいろ法律で決まっている、るる決まっているということは理解しておりますし、私もレクのときに聞いております。果たしてその法律が今の時代に合っているのかというのは、都度都度見直していかないといけないと思っております。この議論はまた次の機会にしていきたいと思いますが、こういったことも一つ検討できるのではないかと思っております。

 次に、コロナが五類になった際に浮いてくる財源についてお伺いしたいと思います。

 現在、新型コロナウイルス対策として巨額の予算が計上されております。新型コロナウイルス対策の予算は、新型コロナの流行が本格化した令和二年度だけで総額七十七兆円、国民一人当たり六十一万円という計算になります。東日本大震災の復興予算が十年余りの総額で約三十二兆円であることからも、新型コロナウイルス対策予算がいかに異次元の規模かが分かります。

 新型コロナウイルスが猛威を振るった数年前はそのような予算も必要性があったでしょうが、新型コロナの感染症法上の位置づけが五月八日以降五類に移行することを受け、一定程度、その必要性が薄れるでしょう。

 そうであれば、そこで浮いてきた予算もまた防衛費に充てることができるのではないでしょうか。見解をお伺いします。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナの五類感染症への変更に伴いまして、例えば医療提供体制を例に申し上げますと、医療提供体制は、限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行するということになります。

 その際に、これまで新型コロナに対応する医療機関の支援ということで措置してきました新型コロナ緊急包括支援交付金については、必要な単価の引下げ等の見直しを行った上で、当面、本年九月末まで継続することとしておりますが、この交付金は、新型コロナの感染状況等を踏まえて柔軟に対応してきたものでございまして、当初予算ではなくて予備費や補正予算において必要な予算を特例的に確保してきているというものでございまして、仮に今後予算措置を全て取りやめたとしても、御指摘のような財源が出るといった性質のものではないと考えております。

住吉委員 九月末までいろいろ継続するということもございました。

 圧縮されるかされないか分からない財源でしたが、今まで質問してきた趣旨というのは、増税しないように、必死でほかの財源を探してほしいということでございます。

 今、五類になったからといって、財源が出ない性質のものと言いつつも、やはり、不要な予算、これを洗い出して削減する努力をしていただきたいと思いますし、その財源を充てていくことは、増税を阻止といいますか、増税しなくても済むように、いろいろな方策を講じていただきたいと思っております。

 続きまして、外国為替資金特別会計の繰入れについてお尋ねいたします。

 防衛力強化資金は、外国為替資金特別会計からの繰入金が七割を占めます。二〇二二年九月以降の為替介入でドルを売って円を買うことで見込まれる収入などが中心であるというふうに聞いております。

 この外為特会が保有する外貨建て資産は、外国為替相場の安定を目的に、将来の為替介入等に備えて保有しているという従来の答弁、そのこと自体は妥当だと思っております。

 しかし、二〇二二年三月末の外為特会保有の資産は、合計額は百五十八・二兆円、外国為替評価益は一兆円であるとしております。これは二〇二二年三月末時点でございますが。これは、備えとしての保有としては巨額過ぎるのではないでしょうか。

 四十三兆円全額と言わないまでも、増税分ぐらいは外為特会から繰り入れることはできないのでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、外為特会の規模、今の規模が大き過ぎるのではないか、一部取り崩す余地があるのではないかという御質問というふうに理解をいたしましたけれども、これはまさしく、国際的に見まして、外為特会の適正な規模に関しまして何か統一的な見方というものがあるわけではございませんけれども、他方、足下の為替市場におきます取引の伸びでございますとか、あるいは、過去のほかの国におけます、実際にこの外為特会が何か介入等が必要になったときに減少したそのペースでございますとか、そういったものから見ますと、私どもとして、今の外為特会の規模、必ずしも多いとかそういったことではないというふうに考えてございます。

 いずれにいたしましても、市場に急激かつ過度な変動が生じた場合に自国通貨を買い支える、外国為替相場の安定を目的としてということで委員からも御紹介いただきましたが、これがまさに外為特会の目的でございますので、そのために十分な額の外為資産を保有しておくことが重要だということが私どもの見解、立場でございます。

住吉委員 この外為特会については、防衛力強化資金以前からるる議論があったと承知しております。そもそも、適正規模がどれぐらいが正しいのか、そういったところも、いまいち、どのようなロジックなのか分からない。こういったことも議論していく必要があると思っております。

 また運用方法についても、他の委員からも非常に一考の価値のある提言が様々になされているわけでございます。そういったことをしっかりと、本当は、こういった繰入れ、令和五年度分を前倒しで繰り入れるわけでございますが、こういった繰入れをする前に、そういったことを議論していく、どのような規模が適正なのか、また、様々に御提言のある運用方法も議論していく必要があるのではないかと思っております。これは我が党の方でも、しっかりと議論しながら、また提言していきたいと思います。

 続きまして、未使用の基金についてお尋ねいたします。

 我が党もこれまで、政府の財政運営は、本予算で絞って補正予算で多くする、そして、補正予算の多くは、近年、予備費や基金など、お金の使い道については国会の審議が及ばない、政府にとっては使い勝手のよいお金となっていて、それを巨額に積み増しているような財政運営については、事あるごとに非難してまいりました。

 そして、基金についてですが、二〇二二年の夏の、八月の毎日新聞によると、複数年度にわたって実施する事業の予算を積み上げる政府の基金が乱立している、毎日新聞が集計したところ、公益法人や地方公共団体に設けられた基金の数は千九百超、予算の執行率が一桁にとどまっている事業も存在する、政策目的を果たせずに滞留する予算という状況です。

 基金の存在自体を否定するわけではありませんが、巨額の基金を積むことは、財政規律の観点からも問題があります。

 二〇二二年一月十一日の日本経済新聞でも、基金に関して、金額ありきで需要が過大に見積もられたり、有効な投資がなされていなかったりすることもある、〇八年のリーマン危機でも経済対策として基金が活用されたものの、低い執行率に終わったものは少なくない、国費は一たび投入されると国会の監視が働きづらく、非効率な運用を放置する事態を招きやすい、政府は定期的に必要額を精査し、余剰資金は国庫返納するよう求めているが、徹底されているとは言い難いというふうに指摘されております。

 防衛費というのは緊急の必要性があります。使用されていない基金ならば、それは一般財源に戻して防衛費に充てるべきではないでしょうか。この点について、政府の見解をお伺いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、お尋ねの、政府から予算措置をいたしました基金でございますけれども、残高につきましては、令和三年度末で合計約十二・九兆円となっていると承知をしてございます。

 ただ、そもそも、基金と申しますのは、各年度の所要額をあらかじめ見込み難く、弾力的な支出が必要な事務事業について、あらかじめ複数年度にわたる財源を確保しておくということでございますので、予算措置をした年度中に全てを執行するものではなく、一定の残高を有しているということは、仕組み上、これは想定をされておるところでございます。

 その上で、まさに先生御指摘のございましたような、基金の過大な部分の国庫納付、これを進めるということにつきましては、全くそのとおりであろうと思っておりまして、基金につきましては、行政事業レビューの枠組みの下で各府省自らが執行状況を継続的に把握するほか、行政改革推進会議による検証ですとか、各府省によるPDCAの取組を通じて、適切な執行管理に努めてもらってございます。このような取組を通じて、各省において、基金の額が事業の実施状況に照らして過大であるという場合には、国庫返納を行うこととしてございます。

 今般の防衛力強化の財源確保との関係で申し上げれば、ただいま申し上げました行政事業レビューの一環として基金の点検作業を行いました結果として、新型コロナウイルス感染症基金の国庫返納分〇・二兆円程度を確保したところでございます。

 政府としては、引き続き、更なる防衛力強化のための税外収入を確保すべく、最大限努めてまいりたいと存じます。

住吉委員 基金自体を否定しているわけではありませんが、昨今、補正予算でかなり巨額の基金を積み増すというような形になっております。不要な基金は当然即座に国庫返納していただきたいと思いますし、併せて、昨今の財政運営についても、我々、ずさんであると度々指摘させていただきましたが、改めてその点は指摘しておきたいと思います。

 続きまして、国債の六十年償還ルールについてお尋ねします。

 現在の日本の財政について見ると、今年度末の国債発行残高は一千六十八兆円と過去最大に達する見通しです。この国債を六十年かけて償還するというのが六十年償還ルールです。一千六十八兆円を六十年かけて償還するので、単純計算で一年当たりは十七・八兆円となり、令和五年度の予算案では十六兆七千五百六十一億円の予算が計上されております。

 しかし、この六十年償還ルールは経済的に合理性がないとの指摘もございます。国債は償還する必要はなく、一時的に借換え、借換えで保有していれば、そうであれば、この十六兆七千五百六十一億円は別の用途に使えるということになります。

 現に、この六十年償還ルールは日本独自のものであり、世界を見渡しても、利払い費だけを国家予算に計上する国が多い状況です。

 そこで、このような六十年償還ルールを一時的に撤廃し、国債整理基金特別会計を防衛力強化資金に繰り入れれば、防衛増税の必要がなくなると考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のございました国債の六十年償還ルールでございますけれども、これは、まず第一に、国債の償還財源を確実に確保しつつ、第二に、償還のための財政負担を平準化するといった観点から、これは特別会計に関する法律第四十二条において規定されているところでございます。

 その上で、今御提案のございましたように、仮に六十年償還ルールに基づく定率繰入れを見直したという場合でございますけれども、その年度に償還期限が参ります国債の総額は変わりません。そのため、一般会計から国債整理基金特別会計への定率繰入れは減ることになり、結果として、一般会計が発行する赤字国債が減るわけでございますけれども、その分、特別会計が発行する借換債が同額増えることになりますので、国全体として国債の発行額が変わることはないということになります。

 したがいまして、六十年償還ルールを見直したということによって新たな財源が生み出されるということは言えないのではないかというふうに考えてございます。

住吉委員 今まで、るる、財源を生み出す提案をしてまいりました。不要な予算を洗い出して、削減する努力をしていただきたいと思っております。そうでないと、なかなか国民の理解が進んでいかないのではないかと考えております。

 最後の質問は、土地等取引等の厳格規制についてお伺いしたいと思います。

 防衛費を増額して外からの脅威に備えるということは重要でございます。一方で、内部からの崩壊は防がなければなりません。やるべきことはたくさんあります。

 我が国はスパイ天国だとも言われておりますが、我が国には、スパイを取り締まる法律、いわゆるスパイ防止法がありません。このようなこともしっかりと取り組んでいかなければなりません。

 さらには、二〇二一年六月十六日、安全保障上重要な施設の周辺などの土地利用を規制する法律、重要土地等調査法が成立し、二〇二二年九月二十日に全面施行されました。日本はこれまで外国資本の土地買収に無防備過ぎ、この法律は、外国が、重要施設、防衛関係施設等の周囲おおむね一千メートルの区域内及び国境離島等の区域内の区域の土地を拠点に諜報活動やテロなどを行う事態を防ぐことを目的としております。

 この法律自体は一歩前進であるものの、まだ不十分と言わざるを得ません。日本以外の多くの国では、外国人の土地所有を禁じるか、厳しく制限しております。また、土地所有自体を認めずに、五十年など期限を区切った借地権としている国も多い状況であるところ、この法律は、外国人は日本の土地を買うことができないというものではなく、あくまでその利用行為に限って制限を加えたものにすぎないからです。

 我が党は、防衛施設周辺や国境離島の土地等が外国人、外国企業に購入され、我が国の安全保障を脅かす事態が生じていることに鑑み、国家安全保障上重要な土地等の取引等については厳格に規制を強化しますと政策を打ち出しておりますが、この重要土地取引の規制を更に強化するお考えはあるのでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

宮坂政府参考人 お答え申し上げます。

 重要土地等調査法でございますが、御案内いただきましたように、昨年九月二十日に全面施行されまして、本年二月一日に、第一回目の区域指定として、注視区域及び特別注視区域、計五十八か所の指定が施行され、本格的な運用を開始したところでございます。また、第二回以降の区域指定につきましても、準備が整ったものから順次行っていくつもりでございます。

 まずは、この法律を着実に執行し、区域内にある土地建物の所有、利用状況などについて調査を行い、実態把握などを進めてまいりたいと思います。

 その上で、重要土地等調査法の附則第二条には五年後の見直しに係る規定を置いておりまして、今後の法の執行状況や安全保障をめぐる内外の情勢などを見極めた上で、委員御指摘の点も含めまして、更なる政策課題について検討を進めてまいりたいと思います。

住吉委員 時間が来たので、終わりたいと思います。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 本日は、四十五分間の質問時間をいただいております。ありがとうございます。

 さて、本日は、一日中、長丁場で、皆様お疲れのところかと思いますが、本日、最後でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、本日は、防衛費の財源確保法についてということで、増税の方針について、また、税制措置について、さらに、少子化対策の財源確保について質問をしてまいります。

 まず、四月十八日、当委員会において質問した事項を再確認、そしてお願いをしたく、改めて質疑をさせていただきます。

 増税の方針についてですが、再三申し上げておりますけれども、防衛費の増額に関わる増税ありきの方針には反対の立場でございます。なぜ、あらゆる方法の中から国民に負担を課す増税という手段が最初から示されているのか、財源確保に増税以外には本当に方法がないのでしょうか。

 いずれにしても、国民の理解と納得を得ることが必要です。そのために、まず私たちも覚悟を示していかなくてはいけません。本日、朝一番の質疑でも野田議員もおっしゃっていましたように、具体的には、私たち議員定数の削減であるとか議員報酬の削減を通じて政治家自らが身を切る覚悟を示していくことだと考えております。

 私ども日本維新の会は、議員報酬の削減、毎月確実に実行をいたしております。そして、政治と行政の共同による行財政改革で徹底的な歳出削減を行い、さらに、税収増につながっていくような、成長を促すための、経済成長のための具体的な策であるとか中長期の道筋を示していく。さらに、どうしても足りない場合には、新たな創意工夫も必要でしょう。それでも万策尽きたときに限って、国民に対して最小限の負担をお願いするというのが筋だと考えています。これは当たり前のことではないでしょうか。企業でも同じ、家庭でも同じで、節約をして、見直して、無駄を省く、そして家庭のやりくりをしております。

 今まさに物価の高騰、エネルギーの高騰など、暮らしは大変不安定です。漠然とした不安が広がっています。その中で、政府の方針では、既に国民に増税という負担をかけるということが決まっている、これ自体に私は違和感を感じています。

 鈴木大臣、いかがでしょうか。少なくとも、国民に負担をお願いするのであれば、まずはそれを決める国会議員、私たち自らが襟を正していくことが少なくとも私は必要だと考えております。大臣、一人の政治家として、お考えをお聞かせください。

鈴木国務大臣 日本を取り巻く安全保障環境がかつてない厳しさを増している中で、防衛力の抜本的強化をするということ、これはまさに喫緊の課題である、そういうふうに認識をいたしております。

 今回の防衛力強化の財源確保に当たりましては、約四分の一につきましては、今を生きる我々の将来世代への責任といたしまして、様々な工夫をする中におきまして四分の三を確保した上で、先ほど申し上げた四分の一につきましては税制措置での御協力をお願いをしたいと考えておりますが、その際には、国民の負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保といった行財政改革の努力を最大限行うことといたしております。

 その上で、御指摘のありました議員歳費の削減、議員定数の削減、また議員宿舎の家賃の値上げ等も含まれると思いますが、そうしたことに対する対応をまずすべきである、そういう御指摘であると思います。

 これらにつきましては、政治活動の根幹に関わることでありまして、国会において各党各派の間で御議論をいただかなければならない事柄である、私はそう考えております。

 もちろん、一つの結論が出ましたら、当然でありますが、私もその結論に従いたいと思います。

岬委員 ありがとうございます。

 四月十八日の質問もしておりますが、国民の皆様に御負担をお願いする以上、徹底した行財政改革の努力を行うこと、これは不可欠であると御答弁もいただいております。

 改めて伺いますが、なぜ自分たちの身を守り、既得権にはメスを入れず、先に国民に負担をかけていくのでしょうか。順番は逆だと思うのですが、そこはいかがですか。大臣、お願いいたします。

鈴木国務大臣 政治家の既得権益の改革と防衛力強化に必要な財源の確保の進め方、これは、順番をつけるということはなかなか難しいと思います。難しいと思うといいますのは、こうしたいわゆる身を切る改革というものができるまで防衛力強化に必要な財源確保を進めないということになりますと、喫緊の課題である抜本強化もできないということになりますので、こうしたことに順番をつけるのは難しい、そういうふうに思っております。

 先ほど申し上げましたとおり、議員歳費や議員定数の削減、これは政治活動の根幹に関わることでありまして、まさに国会において各党各会派の間で議論をいただき、結論を出すべき事項である、そのように考えているところであります。

岬委員 私が申し上げているのは、国民に負担をかけることと、私たちが覚悟を示す、まず身を切る改革をしていくということの順序が違うのではないかということを質問しているので、財源確保をすることと私たちの身を切る改革をして覚悟を示すという、そこではありません。国民に負担をかけることが順序が逆ではないかということを申し上げているのです。

 ここまでの二問が、増税に関わる姿勢について、もう一度確認をいたしました。

 では、具体的に、いわゆる旧文通費についても、先週、私、こちらの委員会で質疑をしました。鈴木大臣からは、総理からは、日本維新の会と一致、確認した事柄も踏まえ、国民の皆様から御理解をいただける合意に至るよう、各党各会派における協議において、是非、本格的な議論が進むことを期待している旨の発言があったと承知をしている、私としても同様の認識を持っていると御答弁をいただきました。

 この答弁の中の、国民の理解をいただけるようと述べていらっしゃいますが、こうした政治をやろう、やっていくんだと決断をされて行っていただければすぐにこれはできることなんですよね。それを先送りして国民に負担を求めているというのは、やはり国民の理解を得るのは到底難しいのではないかと考えます。

 大臣は、国民の理解、これで得られるというふうにお思いでしょうか。

鈴木国務大臣 国会議員の数、衆参合わせて相当数あるわけでありますし、会派もたくさんの会派がございます。先ほど申し上げておりますとおり、先生が例に挙げております議員定数あるいは議員歳費の削減ということは、これだけ多くの方々、また多くの会派のまさに政治活動の在り方に関わる重要な課題になっている、そういうふうに思いますので、そういう関係者がそろってしっかり議論をして、皆さんが納得のいく結論を出すということが重要である、そういうふうに思っております。

 そういうことで、私も、そうした動きを、財務大臣といいますか、一衆議院議員として、どうなっていくのか、関心を持って見てまいりたいと思います。

岬委員 今、多くの議員というお話でしたけれども、国民の方がはるかに多いですよね。その中で、是非ともリーダーとして、見守っていくだけではなくて、牽引をしていただきたいというふうに考えております。

 では、続きまして、租税特別措置についても改めてお伺いいたします。

 同じく四月十八日の委員会におきまして、井上副大臣の方から、今般の予算成立後、令和五年度税制改正において見直しの対象となった二十七法人税関係の租税特別措置のうち、二十三について廃止又は縮減を含む見直しを行ったと御答弁をいただきました。

 ここで確認をしたいのですが、その法人税関係の二十三だけではなく、廃止、縮減だけではなくて、新規の、新設をされた措置というのは、まず、あるのでしょうか。また、その措置があったとすれば、それを含めて、二十三の廃止、縮減により、どれだけの増減収が見込めるのか、教えてください。

井上副大臣 お答えいたします。

 一件ございます。令和五年度税制改正における新設の租税特別措置につきましては、大企業が有する経営資源の潜在能力の発揮や大企業発のスタートアップ創出の観点から、元親会社に一部持分を残すスピンオフについても、一定の要件の下で組織再編成時の譲渡損益や配当に対する課税を対象外とする措置を、令和六年三月三十一日までの時限で、措置を一件させていただいております。

 また、法人税関係の改正、増減収につきましては、成長と分配の好循環に向けまして、研究開発や人への投資など、現下の課題への対応のために税制措置を盛り込んだ結果、平年度で百十億円の減収となっております。

岬委員 ありがとうございます。

 次に、成果、また効果検証についても伺います。

 同じく四月十八日の委員会において、透明性を高めるために、例えば法人税を専門としている税理士を、外部の目を入れるであるとか、客観的な効果検証をすべきだと質問をいたしました。

 井上副大臣からは、租税特別措置については、適用実態調査の活用に加えて、要望省庁において適切な実態把握を行い、必要性や政策効果について適切に評価をするとともに、総務省の政策評価点検結果も踏まえた上で、総合的に検討を行っている。適切に行っているという御答弁だったと記憶をしております。

 また、四月十八日、当委員会において、行財政改革で財源を生み出す努力をすべきだと質問をしたところ、財務省から、国民の理解が得られるよう、行政事業レビュー等の活用により予算の効率化を図るなど、徹底した行財政改革の努力を尽くしていくことは重要であると御答弁をいただきました。

 ここで注目したいのが、この行政事業レビューというものです。これは、毎年、国の全ての事業を網羅的に点検をしまして、徹底的、継続的に、無駄や改善をするべき点をチェックをしていくというものです。全ての事業について、統一をしたレビューシートというものを作成されていまして、五年に一度をめどに、外部の有識者による点検を実施していると聞いております。

 前回提案を申し上げましたが、租税特別措置の効果検証にも、先ほども申し上げたように、外部の目、外部の有識者の点検を実施するべきではないかと思っております。

 この行政事業レビューのようなレビューシート、是非とも活用するのがよい方法ではないかと思います。行政事業ならできて、租税特別措置ではできないという理由もないのではないでしょうか。このことは、鈴木大臣の答弁にもあります、租税特別措置は不断の見直しを行っていくという方向性でも合致していると考えますが、この辺りはいかがでしょうか。

井上副大臣 お答えいたします。

 今委員から御指摘のとおり、租税特別措置につきましては、特定の政策目的を実現するために有効な政策手段となり得る一方で、税負担のゆがみを生じさせる面があることから、必要性や政策効果を見極めて、真に必要なものに限定していく必要があるというふうに思っております。

 そのため、今委員が御指摘の透明性のことにつきましてと、それと、外部の有識者をという御提案をいただきましたけれども、これまで、有識者で構成されている政府税調におきまして、租税特別措置に関しましてはゼロベースの見直しを含めた様々な御意見をいただいており、こうした議論も踏まえて、今後とも不断の見直しを行ってまいりたいというふうに思っております。

岬委員 是非とも進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、法人税の増税の対象となっている、先日教えていただいた六%、約十六万社の件についても伺ってまいります。

 法人税の付加税の税率につきましては、四から四・五%としています。この税率の根拠を、四月十九日の連合審査において、付加税四から四・五%により法人実効税率のベースに換算すると一%程度増、増えるという御答弁がございました。

 この一%程度の増というのが根拠になっているのでしょうか。併せて教えていただけますか。

井上副大臣 お答えいたします。

 税制措置の内容につきましては、一兆円超について国民に税制で御協力をお願いするに当たりまして、与党税制調査会におきまして様々な議論が行われております。その結果を基に、防衛力の強化は、国民の命、暮らし、事業を守るためのものであるという観点や、国民の各層の負担能力や現下の経済情勢にも配慮しつつ、幅広い税目について議論が行われた結果、法人税、所得税、たばこ税という三税目による対応になったというふうに承知しております。

 その上で、法人税付加税につきましては四から四・五%とされておりますが、これは、地域経済、雇用を支える中小企業に配慮をまずいたしまして、控除額五百万円、所得二千四百万円程度まで付加税が課せられない仕組みとなっており、全法人の九四%は対象外になるなど、特に手厚い配慮がなされていることに加えまして、令和三年度におきまして法人の申告所得金額が過去最高を記録するなど企業業績が好調である中、法人税率に換算すると一%程度の御負担をお願いするものであり、企業活動に対して過度な影響を与えるものではないというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 さらに、先週の委員会におきまして、今お話をしております十六万社のうち、租税特別措置の適用を受けている企業はどれぐらいあるかと御質問をいたしました。井上副大臣からは、個別の法人に関して、その税制額やまた各種の租税特別措置の適用状況につき、適用実態調査等においては把握することができないため、お答えすることは困難であるという御答弁にとどまっております。

 本来は、きちんとした数字なり把握をすべきだと思います。きちんとした数字は出てこないとしても、どの程度の割合なのかということは教えてほしいと、これも質問をしました。

 再度お伺いしますが、例えばその割合が一〇%ぐらいだとおっしゃるのか、それとも五〇%、半分ぐらいなのか、八〇%、それは大半ですよね、なのか、どの程度なのかということぐらいは把握をされているのではないかと思いますが、御答弁いかがでしょうか。

井上副大臣 お答えいたします。

 四月の十八日、財務金融委員会での答弁と同じになってしまって大変申し訳ございませんが、法人税の付加税の対象となる法人のうち、どの程度の法人が何らかの租税特別措置を受けているかというお尋ねについて、個別の法人に関しまして、その納税額や各種の租税特別措置の適用状況につきまして、適用実態調査等においては把握することができないために、お答えすることが困難だということでございます。

岬委員 把握することができないということであれば、把握ができるような工夫も必要だと思います。

 恐らく同じ御答弁をいただくんだろうとは予想はしておりましたが、なぜこのような質問を繰り返ししているかと申し上げますと、先週の委員会で、私の考えとして、それは裏返せば、租税特別措置で法人税を減免しているんだから増税を求めているという、相殺できるでしょうというような考えがどこかにあるのではないかと推察ができてしまうので質問をしました。

 それに対して鈴木大臣は、何か、租税特別措置をしているから、したがって、法人税の付加税を負担してほしいであるとか、そういうような、租税特別措置との連携であるとは考えていないという御答弁をいただきました。

 そこで、鈴木大臣が、租税特別措置との連携が、考えているわけではないと明言をされたのですから、それであれば、少なくともその根拠といいますか担保となる数字又は理由は示していただけるのではないかと思うんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。

鈴木国務大臣 まさに租税特別措置による減収額、国から見ての減収額で、租税特別措置を受けている企業は負担減になっているわけでありますが、それに当たる部分に関して法人に防衛財源として追加的な負担を求めているのではないかといった御指摘でございますが、今回の防衛力強化のための税制措置は、我が国の防衛力の抜本的な強化を行うに当たり、安定的な財源確保の観点から新たに講じようとするものでありまして、既存の租税特別措置との関連はありません。

 数字で根拠をということでありますが、先ほど井上副大臣から答弁をいたしましたとおり、数字で把握することが実態として難しいわけでありますが、私ども今回、国民の皆さんに税制で御負担をお願いする中で、そのような既存の租税特別措置との関連で考えたことはございません。

岬委員 関連でお考えではないとはもちろん理解はできますけれども、結果、そうなのではないかということで、数字なり根拠なり理由なりを示していただきたいという趣旨でございます。

 では次に、法人税増税と賃上げについても触れてまいります。

 総理の答弁や四月十八日、井上副大臣の答弁にもございましたように、実施時期につきましては、景気や賃上げの動向を踏まえて、賃上げに対して言及がございました。賃上げについては、いろいろな方向から前向きに変化もあると思いますけれども、今だけではなくて、これは持続的に賃上げをどうしていくか、安定的にどのように行っていくかというところが重大であり、課題であるかと思います。政府もその問題意識は持たれているからこそ、構造的な賃上げを表明をされていると認識をしております。

 法人税の増税が決まっている、それが今後いつ実施されるのかも分からない、そうすると、企業側はどうでしょうか。企業側にしてみたら、設備投資だとか賃上げをためらう、いつ何が起こるか分からないのでちょっと決断ができない、しづらいということが起きると思われます。

 今回検討されております法人税の増税が与える持続的な賃上げに対する影響、どのように捉えていらっしゃるんでしょうか。また、賃上げ若しくは賃上げの機運に水を差すということはないんでしょうか。その辺りはどのようにお考えですか。

鈴木国務大臣 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置のうち御指摘の法人税につきましては、地域経済、雇用を支える中小企業に配慮し、この中小企業の所得二千四百万円程度までは付加税を課さない仕組みとなっておりまして、結果、全法人の九四%は対象外、対象となりますのは六%という企業に限られるという配慮がされているところであります。そして、負担する法人税でありますが、法人税率に換算すると一%程度の負担増ということでございます。令和三年度においては法人の申告所得金額が過去最高を記録するなどの点も考えますと、こうした企業活動に対して過度な影響を与えるものにはなっていない、そのように考えます。

岬委員 同じような御答弁でございますけれども、つまり、今回の税制措置に当たる、法人税ですけれども、マイナスの影響はないというふうにお考えということですか。

鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、対象も全体の六%に限り、そして、六%の方々、負担する、していただく、お願いするこの税率についても、現行の法人税に引き戻しますと一%程度の負担増にとどまる、こういうことでありますので、企業活動に対しては過度な影響を与えるものとはなっていない。したがいまして、賃上げ等に対して大きく水を差すというようなことにはならないのではないか、そう考えます。

岬委員 さっきの質問とまた同じような御答弁にとどまっておりますけれども、それでは、次に行きたいと思います。

 防衛費の増額と少子化対策の財源確保との関係について聞いてまいります。

 今、日本が直面をしております課題、安全保障の問題、これは当然ですけれども、それだけではありません。もちろん、防衛費以外にも、子供、子育て政策であるとかGX、予算の拡充が必要な政策が山積しております。財源問題、これは直結していると思われます。

 子供、子育て政策について、総理は、最も有効な未来への投資であり、その内容に応じて、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方、さらに、様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかを考えてまいりますと述べていらっしゃいます。

 この少子化対策の財源について、新聞各社は、社会保険料の上乗せを軸に検討していると報道されております。企業と従業員が折半してこれは負担をしている社会保険料の上乗せとなりますと、従業員の手取りがまず減る、減るということは可処分所得が減少する、また、労使折半のため、企業の負担も増えていく。そうなると、四月六日に、日本維新の会馬場伸幸代表が言葉を発しておりますが、社会保険料の増額、流用となると納税者を直撃する、国民負担率が上昇して可処分所得が減り、経済に影響を与えると発言をしております。

 また、財源の規模についても、児童手当の拡充策だけでも、必要な経費二・五兆円を超えるという見方もございます。全ての施策を実現するとなりますと最大で年間八兆円が必要だと指摘も入っております。このような大きな財源を具体的にどのようにしていくのかという疑問を持つのは、当然でございます。

 現在、総理を議長とした、こども未来戦略会議において、必要な政策強化の内容、予算、財源について更に具体的な議論が進められているところであるということなんですが、今、その議論をしているところにいていいんでしょうか。これは待ったなしであって、悠長なことを言っているなという印象があるんですけれども、子供、子育て政策の財源について、これまたどうするのか明確に出ていないという現状ですよね。

 この子供、子育て政策の財源、今回の防衛財源の確保のように、安定的な財源を確保する特別措置法を検討しているということはございますでしょうか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 今先生お話ありましたが、子供、子育て政策の強化につきましては、先生も御承知と思いますが、去る四月七日、関係閣僚、関係審議会の有識者、あと経済界、労働界、地方、こういった関係団体の方々、さらには子育て当事者、関係者に御参画をいただきまして、総理を議長とする、こども未来戦略会議、これが議論を開始したところでございます。

 こうした状況でもありますので、政府として、まず、現時点において特定の財源を念頭に置いているというものではございません。また、この会議の構成員の皆様に自由に御議論をいただきたいというふうに考えておりますので、財源の具体的な内容について現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思っておりますが、この会議において、順次、必要な政策強化の内容、予算、財源について、具体的な検討が深められていくものというふうに考えております。

岬委員 つまり、まだ何も決まっていないに等しいのかなという印象を今持ったんですけれども、つまりは、特別措置法を検討しているということはないということですよね、今の御答弁ですと。

鹿沼政府参考人 一部繰り返しになって大変恐縮ですが、まさに、四月七日に会議がスタートしたところでございます。

 先生方から精力的に御議論をいただきたいというふうに思っておりますが、少なくとも、現時点において、先生今おっしゃっていた内容も含めて、特定の財源を念頭に置いているものではございません。

岬委員 検討していないということですと、これから検討するというのか、これから議論をするということですと、子供、子育て政策にももちろん安定した財源が必要ですよね、当然ながら。

 防衛費の安定財源の確保には、特別措置法ということで制定をして確保していくということですが、これはどのように違うんでしょうか。子供、子育ての政策も、防衛費の部分と同じように重要かつ継続的に必要だと思いますが、この違いはどういうところにございますか。

鹿沼政府参考人 お答えをいたします。

 まさに、検討を開始したところでございまして、これから必要な政策強化の内容、予算、財源について、先ほど言いました会議の中で先生方から精力的に御議論いただき、その議論の結果をまとめていきたいというふうに思っておりますので、現時点において、政府として具体的な特定の財源を何か念頭に置いているというものではないということでございます。

岬委員 少子化の問題というのは、別に昨日、今日始まった問題ではないので、余りにもスタートが遅いのではないかなという印象も持っております。年々出生率も減っているわけですし、八十万人を割ってしまったという、もうどんどんよろしくない記録が伸びていってばかりいるわけですよね。今から始めるというのは、もう待ったなしですよと言われている中で、大変遅いなという印象は否めません。

 次に、日経新聞の二〇二三年二月八日の記事がございます。

 規模と財源を個々に議論するだけでは不十分である、十分ではない、財政支出全体を俯瞰して、国民負担の在り方であるとか財政の持続性の確保について議論が必要である、財源についても、社会保障の中身を見直すであるとか、増税か国債発行か、さらには、歳出構造や行政改革であるとか、ほかの支出増の財源も含めた全体像を提示するべきである、つまみ食いであるとか、施策を、小手先だけの財源の捻出、なし崩し的な国民負担の増であるとか、国民の将来への期待はこのままですとどんどん低下していきかねません。

 さらに、少子化対策の効果もなかなか上がりません。というのも、やはり、将来に不安があると、産み育てるという、これは一日、二日でできることではなく、産み育てるには二十年というスパンで、恐らく産み育てる側の親御さんの側になったら、非常に大きな、人生を左右することになりかねないわけですね。

 このような巨額の財源を要する政策であります。先ほども申し上げたように、財源が非常に必要である。最低限必要な経費で二・五兆円を超える、最大で年間で八兆円という規模が必要になってきます。政策ごとに国民の負担を増やしていくことになれば、更に将来への見通しが見にくくなります。国民の消費マインドも低下することになりますし、全体の経済への悪影響も与えることになるでしょう。

 将来への見通し、家計の消費については、四月の十八日、経済財政諮問会議の特別セッションにおいて、東大の柳川教授が、少子高齢化や深刻な財政赤字の蓄積等により、将来に希望を持てないことが、民間が資金をため込む原因である、構造改革を通じてこれを解決することが非常に重要であると意見を述べられています。

 また、四月の十四日、財政制度等審議会の財政制度分科会、財政総論、財務省によりますと、「成長力と財政(まとめ)」とございまして、目指すべきは民間主導の経済成長であり、そのためには、企業の投資や家計の消費を引き出すための方策を取らなければならない、新しい資本主義の実現に向けた対応を進めていく上でも、こうした考え方に沿って、効果的な対応を行っていくことが必要であると。もう分かっているようなら、なぜそれをきちんとやっていかないのかなという、不思議だなと思っているんですが。

 私も、NISA制度の拡充に当たって、貯蓄から投資へとつなげていくと、二月に当委員会において質問もしております。家計金融資産の約半分が現金の預金であると。一つの理由には、やはり将来への不安からため込んでしまう、いつ何どき、何があるか分からないから、これは当たり前の心理だと思います。

 さきに御紹介をした柳川先生も指摘にあるように、将来への希望が持てないことが資金をため込む原因であるとすれば、どのように解決をしていこうとお考えなんでしょうか。財務省の資料にも、家計の消費を引き出すための効果的な対応を行っていく必要があると言われているわけです。であれば、具体的に何を行っていくというお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 まず、予算編成に当たりましては、従来より、骨太の方針等に基づきまして、財政規律の観点から、真に必要な財政需要に対応するため恒久的な歳出を大規模に増加させる場合には、これに対応した安定的な財源を個別に確保することで対応してきたところであります。今般の防衛力強化に伴う財源確保に当たっては、まさにこの方針に基づき対応しているところでございます。

 そして、子供、子育て政策に係る具体的な財源につきましては、先ほど政府委員から答弁がございましたとおり、今まさに検討を深めていくべき段階、そのように理解をしておりまして、現状ではまだ決まっているものはないわけで、子供、子育て政策の財源の影響を踏まえて、今後の経済財政の見通しについてお尋ねでありましたけれども、言及することは今の時点ではできないと思います。

 こうした子供、子育て政策に係る財源の検討に当たりましては、財政の持続可能性を確保し、将来への不安を和らげるといった観点も重要と考えております。

 今後とも、財政規律もしっかりと意識しながら、経済再生と財政健全化の両立に取り組んでまいりたい、そのように考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 いろいろ御答弁いただいておりますけれども、国民感覚としては、どうも逆行しているような印象を持つんです。やはり将来に不安がいろいろな面であります。物価高であるとか賃金が上がらないであるとか、生活に直結している不安感が、なかなか結婚をしないであったりだとか、子供を本当は二人、三人と産んでいきたいにもかかわらずやはり産み控えをしてしまう、一人っ子が多かったりだとか、お子さんはもうけないであるとかという選択を余儀なくされてしまっているという印象を持ちます。

 なので、やはり早いうちに、家計の消費を引き出すための効果的な対応を行っていくというならば、その幾つか具体的なプランであるとか、可処分所得を増やしていく工夫だとか、そういうことをお聞きしているんですけれども、国民がなぜため込んでしまうのか、なぜ消費を控えてしまうのか、そういうところはどのようにお考えなんでしょうか。いま一度お願いいたします。

鈴木国務大臣 よく指摘をされることでありますが、国民の皆さんが、将来の不安の中で、なかなか家計からの支出をしない、むしろ銀行に預貯金をする、そういうようなことがありまして、将来に不安を持たないようにするためには、やはり持続可能な社会保障制度、そういうものをしっかりと整備をして、そういう将来に対する安心感を持ってもらうということが大切であると思います。

 今回の子供、子育ての政策、三月にたたき台が出たわけでありまして、かなり網羅的に書いてございましたけれども、その中でも、今申し上げましたとおり、子供を持ちたい若い方々がきちんと将来に対する安心感を持つことの重要性というものも指摘されていたものと理解しております。

岬委員 ありがとうございます。

 やはり、全体を通して、子供を持ちたいと思っている女性であったり、将来はお父さんになりたい、お母さんになりたいと思っていらっしゃる方も多いんですね。だけれども、やはり、育てるには大変なる金銭がかかるわけです。一人の子供を育てるのに何千万かかるであるとか、時間も労力もかかる、そしてお金もかかる中で、やはり漠然とした不安が拭えない以上、この少子化対策というものはなかなか進んでいかないという現実をしっかりと踏まえた上で、具体的な施策を進めていただくことを切に願っております。

 また、国民負担率を見ても、昭和四十五年では二四・三%、それが平成元年には三七・九%、令和四年には四七・五%と、しっかりと上昇が続いているということなんです。これ、よき方向で進んでいるならいいんですけれども、負担の方が増えているということなんです。このままいくと、明らかに、五〇%を超えてくるのは時間の問題ではないかと考えます。生活、そうなるとますます苦しくなる。そして、一方、少子化も、打開策、なかなか進んではいない。今から検討が始まっている状況です。

 そもそも、先ほども申し上げたような、子育ての金銭的な負担が不安につながっているわけですね。将来への不安から、結婚も控えてしまう、多子化を望みながらも断念せざるを得ない。産み育てることというのは、皆さんもお父さんであったりお母さんであるとお分かりだと思います、本当は喜びである、幸せの形であるはずにもかかわらず、今では難題となってしまっていることが、人生を懸けてなかなか決断ができないという若い人たちに向けて、では、どんなふうにアプローチがしていけるのか、これは最大の国力を伴う大事な問題であるということをいま一度本気で考えていただきたいと思います。

 それでは、時間も迫ってまいりました。最後の質問になるかと思いますが、今後も、明確な方針、将来像を定めないまま国民負担をずるずると上げていく、これは大変遺憾でございます。反対を申し上げたい。

 そして、二月八日の日経新聞が指摘をするように、財政支出全体の俯瞰をして、国民負担の在り方、また財政の持続性の確保について将来を見通していくようなことが非常に重要であるということを踏まえまして、御見解をお願いいたします。

鈴木国務大臣 事前の通告がそのとおりなかったものですから、しっかりした答えにならないかもしれませんけれども。(岬委員「いや、ございます。十三番の質問です」と呼ぶ)

塚田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

鈴木国務大臣 済みません。質問通告を受けた十三番は、IMFの債務残高対GDP比に明確な下方軌道にするための中長期的な財政フレームワークが必要ではないか、そういう御指摘の質問であると……(岬委員「それは明日でございます」と呼ぶ)

 先生、済みません、もう一度質問をちょっと。

塚田委員長 速記を止めて。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

 岬麻紀君。

岬委員 では、もう一度質問をいたします。ちゃんと通告をしておりますので、もう一度申し上げます。

 今後も、明確な方針、将来像が定まらないまま、いたずらに国民負担をずるずると上げていくのでしょうか。二月八日の日経新聞が指摘するように、財政支出全体を俯瞰して、国民負担の在り方や財政持続性の確保について将来を見通していくことが重要であると考えます。その見解をお示しくださいというものでございます。

鈴木国務大臣 国民負担率、今までずっと伸びてきたわけでありますが、それに対して、先生の御指摘は、ある程度歯止めをかけなければいけないのではないか、こういうことだと思いますが、やはり所得をまず増やしていくということが大切だと思います。分母を大きくしていく、そういうことによって国民負担率の上昇を抑えていくということだと思います。

 そういうことにおきまして、岸田内閣におきましても、新しい資本主義の旗印の下で、経済を新しい成長軌道に乗せていく、そのための様々な対策を打っているところでありまして、その効果が発露することができますように、しっかりと対応していきたいと思います。

岬委員 ありがとうございます。

 まさに今御答弁をいただきました、やはり国民の所得を増やしていく、これは賃上げにも関わってくる話かと思いますけれども、やはり所得が増えないことには可処分所得も増えていかない、それがなければやはり生活の不安は拭えないということで、それをしっかりとお進めいただきたいということをお願い申し上げまして、本日の質問を終了させていただきます。

 長丁場、ありがとうございました。お疲れさまでございました。

塚田委員長 次回の財務金融委員会は、明二十六日水曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会いたします。

 また、安全保障委員会との連合審査会は、明日午後一時から開会いたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十二分散会


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