衆議院

メインへスキップ



第18号 令和5年5月9日(火曜日)

会議録本文へ
令和五年五月九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 塚田 一郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    石井  拓君

      石橋林太郎君    石原 正敬君

      上杉謙太郎君  英利アルフィヤ君

      小田原 潔君    大塚  拓君

      大野敬太郎君    金子 俊平君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      岸 信千世君    小泉 龍司君

      高村 正大君    塩崎 彰久君

      津島  淳君    中山 展宏君

      西野 太亮君    葉梨 康弘君

      藤原  崇君    若林 健太君

      階   猛君    野田 佳彦君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    米山 隆一君

      藤巻 健太君    岬  麻紀君

      伊藤  渉君    山崎 正恭君

      前原 誠司君    田村 貴昭君

      吉田 豊史君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       星野 剛士君

   財務副大臣        井上 貴博君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   国土交通副大臣      石井 浩郎君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  青柳  肇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小柳 誠二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  朝川 知昭君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局次長)       吉田 幸三君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    新川 浩嗣君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    齋藤 通雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (海上保安庁総務部参事官)            長井 総和君

   政府参考人

   (海上保安庁海洋情報部長)            藤田 雅之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 小杉 裕一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     加藤 竜祥君

  八木 哲也君     岸 信千世君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     津島  淳君

五月九日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     石橋林太郎君

  塩崎 彰久君     上杉謙太郎君

  津島  淳君     英利アルフィヤ君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     石原 正敬君

  上杉謙太郎君     西野 太亮君

  英利アルフィヤ君   津島  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     塩崎 彰久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案(内閣提出第一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

塚田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官青柳肇君、内閣審議官小柳誠二君、内閣審議官齋藤秀生君、内閣審議官朝川知昭君、内閣府総合海洋政策推進事務局次長吉田幸三君、外務省大臣官房参事官池上正喜君、財務省主計局長新川浩嗣君、主計局次長前田努君、主税局長住澤整君、理財局長齋藤通雄君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君、海上保安庁総務部参事官長井総和君、海洋情報部長藤田雅之君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、大臣官房審議官小杉裕一君、大臣官房審議官茂木陽君、防衛政策局次長安藤敦史君、整備計画局長川嶋貴樹君、防衛装備庁長官土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党、櫻井周でございます。本日も、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 この法案の審議の中でこれまでも申し上げてまいりましたが、古来、中国の孫子の兵法では、戦わずして勝つというのが上策だと言われております。その中で、日本は、財政的また金融的な困難に直面をして、戦わずして負けることになりはしないか、そういう懸念も申し上げてまいりました。そういったことを踏まえて、本日も質問をさせていただきます。

 まず一点目、安全保障と通貨防衛についてお尋ねをいたします。今日は、日本銀行総裁、植田総裁にも来ていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 四月二十七日から二十八日にかけて日本銀行の金融政策決定会合がございました。その中で、現状維持を決定をされたというふうに承知をしております。また、加えて、一年から一年半かけて異次元の金融緩和を検証していくということも決定されたと承知をしております。逆に申し上げると、この検証が終わるまでは異次元の金融緩和を継続するのではないのかというふうにも印象を受けるわけでございまして、その日のうちに、ドル・円の為替レート、二円円安の方に振れたりいたしました。

 一方で、為替のことを申し上げると、昨年は巨額の貿易赤字も計上していて、経常収支についてはこれまで黒字でしたけれども、今年の一月は赤字に転落をした。二月には黒字に回復しておりますけれども、心もとない状況になっております。財政赤字については、プライマリーバランス黒字の達成すら見込めない状況にもございます。

 総裁にお尋ねをいたしますが、まず、この異次元の金融緩和の検証が終わるまでの一年から一年半の間は金融政策の変更はないというふうに受け止めてもよいのかどうなのか、また、異次元の円安のリスクというのもあろうかと思いますが、通貨防衛についてどのようにお考えか、お聞かせください。

植田参考人 お答えいたします。

 私どもの先日発表しました多角的なレビューでございますけれども、委員おっしゃいましたように、過去、長い期間、二十五年程度の金融政策運営を振り返って、将来の政策運営にとって有益な知見を得るということを目的としておりまして、したがいまして、あらかじめ特定の政策運営を念頭に置いて実施するものではございません。

 その上で、このレビューの期間中であっても、毎回の政策決定会合で、金融、物価、経済情勢次第では、それに基づいて必要な政策を実施していくということには変わりがございません。

 それから、為替相場でございますけれども、為替相場の見通し等については私の立場から具体的にコメントすることは差し控えさせていただければと思います。

 いずれにせよ、為替相場については、経済、金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であると考えてございます。

櫻井委員 ちょっと財務大臣にも同じ質問をさせていただきますけれども、通貨に関しましては、昨年十月、円の暴落に対して為替介入を実施をしたということがございました。通貨防衛というのは本当に目前の課題になってしまっている、それだけ日本のファンダメンタルズが弱っているのかなというふうにも思うわけです。

 その中で、今回の法案の中では、外国為替資金特別会計、外為特会の保有外貨資産三〇%の目安で積み立てていくという目安があるにもかかわらず、前倒しで一般会計に繰入れをするということになっております。異次元の、私は円安のリスクがあるというふうにも懸念をしておるわけですが、この通貨防衛について、大臣、どのようにお考えなのか。

 また、この通貨、円が、投機筋を装った、そんな外国勢力に狙われるリスクもあるのではなかろうか、世界的な金利引上げ局面で日本だけが異常な異次元の金融緩和ということで異常な金融政策を続けているということで、やはり、為替市場、それから債券市場で狙われてしまうのではないのか。更に申し上げれば、日本を攻撃するのに、ミサイルによらずとも、アベノミクスとそれから異次元の金融緩和で矛盾だらけになった金融と財政政策、そこをついていくということでやられてしまうんじゃないのか、そんな懸念もするんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 櫻井先生から、外為特会の余剰金の問題に絡んで、通貨防衛、どのように考えるかという御質問があったと理解をしてお答えを申し上げます。

 外為特会から毎年度生じる剰余金の処理に当たりましては、その三割以上を外為特会に留保すること、これを基本とした上で、外為特会の財務状況でありますとか一般会計の財務状況を勘案をいたしまして一般会計への繰入額を決定することといたしております。

 令和四年度分の剰余金の扱いにつきましては、その全額を一般会計に繰り入れることとしていますが、これは、外貨建て債券の金利上昇や、それから円安が歴史的に見ても急激に進行したことなどにより剰余金の上振れが見込まれる、そういう中、為替介入等により外為特会の財務状況は改善されたということ、これを勘案したものであります。

 また、令和五年度分については、現在御審議いただいております財源確保法による特別の措置により、確実に発生が見込める金額に限って前倒しして繰り入れることとしております。令和五年度の最終的な剰余金見込額のうち外為特会に留保すべき金額につきましては、令和六年度予算の編成過程において一般会計繰入れルールを踏まえて検討されることとなりますが、その検討に当たっては、外為特会の財務状況も勘案されることとなります。

 そして、通貨防衛ということでありますが、御指摘のとおり、足下の円安リスクや通貨防衛についてでありますが、私の立場でコメントいたしますことによって市場に不測の影響を及ぼすおそれがあることから、コメントは申し上げませんけれども、一般論として、為替政策については、為替レートは市場において決定される、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得るといった、G7等で確認されている考え方に沿って、海外通貨当局と緊密に連携して、適切に実施をする、通貨防衛、しっかりと連携をしながら、必要なときに実施をする、こういうことが重要だと考えております。

櫻井委員 金融政策それから通貨防衛についての質問はこれで終わりますので、日本銀行の植田総裁、ここで退室いただいて構いません。

塚田委員長 植田日本銀行総裁、御退席いただいて構いません。

櫻井委員 続きまして、防衛費の経済成長への影響についてお尋ねをいたします。

 今回、防衛費倍増ということで、五兆円規模から十兆円規模に増えていくということになっているわけでございますが、これは政府の決定、方針として示されているわけでございますが、一方で、経済に対してどういう影響があるのかということについてもしっかり見通しを持たなければいけないと考えます。

 防衛費が経済成長に与える影響をどのように見積もっておられるのか。すなわち、防衛費が倍増する、プラス五兆円ということで、これはGDP成長率に何%のプラスの影響なのか、又はマイナスの影響があるのか、これについての見通しを、今日は防衛副大臣にも防衛省から来ていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

井野副大臣 経済的な波及効果については、我々としては、定量的にお示しすることは困難でありますけれども、昨年末、閣議決定した防衛力整備計画においては、防衛力整備の水準は約四十三兆円というふうに見積もられておりまして、令和五年度予算では八割程度が国内向け支出となっております。

 そういう観点から見ますと、防衛省と直接契約関係にあるプライム企業のみならず、多数の下請企業から成るサプライチェーンを構成している防衛産業は、その関連する産業を含めて、波及効果であったり雇用創出効果というものは大きいものであるというふうに予想されております。

 また、その波及効果として、例えば、F2戦闘機の開発において向上したレーダー技術が高速道路のETCなどに応用された事例であったり、航空機産業、いわゆる民間航空ですね、そういった分野に、新たな防衛部門の開発、生産を中心に培った技術力を生かし、民間部門の市場開拓につながった例というものもございますので、そういった観点からも波及効果が期待できるものというふうに考えております。

櫻井委員 これは、必ずしもプラスの影響だけではなく、マイナスの影響といいますか、予算がこっちに食われてしまうことによってほかの投資ができなくなるとか、そういったこともあるわけですし、安全保障というのは、これは大事な分野ですけれども、ある種、掛け捨ての保険みたいな要素もあるわけですから、必ずしもプラスにならないかもしれないな、それはそういうふうには思っております。

 ただ、これだけ増やすわけですから、やはり一定の見通しというのは必要だと思うんですね。例えば、子供、子育ての予算について言えば、保育サービスをGDP比〇・一%拡充すれば経済成長率は〇・二八%上がるというような、こういう研究をされている方もいるわけです。防衛費についても、これだけ増やすのであれば、やはり同様に計算するということが必要だと思います。

 もう少し、今御答弁いただきましたけれども、経済成長に対してどのような影響があるのかということについて、ちょっと、是非、資料として御提出いただきたいと思うんですが、委員長、お諮りいただけますでしょうか。

塚田委員長 ただいまの申出につきましては、後刻理事会で協議いたします。

櫻井委員 済みません、防衛費の関連の質問をこれで終わらせていただきますので、防衛副大臣もこれで御退室いただいて大丈夫です。

塚田委員長 井野防衛副大臣、御退席いただいて結構です。

櫻井委員 続きまして、安全保障とそれから人権外交ということで質問もさせていただきます。

 この安全保障の議論の中で、外交努力というのも必要だということはよく言われることですけれども、じゃ、具体的に何をすればいいのかということを考えたときに、我が国、これまでも価値観外交とかいったようなことを言っておりますし、やはり、そうした方向で具体的に取組を進めていくべきだというふうに思います。権力者の権力維持のために国民の人権を抑圧するような政治体制というのは、これはその国の国民にとっても不幸でありますし、長続きするものではないというふうに思います。

 一方で、隣国中国では、国家情報法、反スパイ法など、人権抑圧を、これは中国国内だけでなく海外にも広げているような状況です。これではやはり中国離れが進むだけだというふうにも思いますが、他方で、日本も余り偉そうなことは言えないのではないのか。

 今回、入管法の改正ということで審議が進んでおりますけれども、入管施設の中でスリランカ女性が死亡されたというようなこともございました。これまた、日本って恐ろしい国だというような印象が進むリスクもあるわけです。やはり、価値観外交ということを言うのであれば、実質的な中身を伴わなければならないというふうにも考えます。

 具体的に申し上げます。マグニツキー法案それから人権デューデリジェンス法、こうしたものについては、諸外国では制定がどんどん進んでいる、G7の中ではもう日本ぐらいしかできていないのではないのかというふうな状況でございます。G7、今月行われるわけでございますから、こうしたマグニツキー法案、人権デューデリジェンス法について、早期に制定することを提案申し上げますが、政府の見解、お尋ねをいたします。

 また、G7の中でこうした法案がないのは日本だけということは、やはり議長国として極めて不適切だと考えますが、いかがでしょうか。

 ちょっと今日は外務省の政務官にも来ていただいておりますので、御答弁をお願いいたします。

秋本大臣政務官 日本は、人権を普遍的な価値であり、人権擁護は全ての国の基本的な責務であるとの考えから、これまで、深刻な人権侵害に対しては、しっかりと声を上げてきたところでございます。

 一方、各国における人権状況は、歴史的経緯や社会発展の程度、その他の事由によって、それぞれが各国毎に違った様相を呈しているのも事実であり、対話と協力を基本とし、民主化、人権擁護に向けた努力を行っている国との間では、二国間対話や協力を積み重ねて、自主的な取組を促してきております。

 御指摘のような、人権侵害を認定して制裁を加えるような制度を日本も導入するべきかということにつきましては、これまでの日本の外交を踏まえて、全体を見ながら、引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。

 また、昨年九月、日本政府として、業種横断的な、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを制定し、公表したところでございます。

 今後、国内外の動向を踏まえながら、人権デューデリジェンスに関する将来的な法律の策定可能性も含めて、関係府省庁の間で更なる政策対応についても検討していくものというふうに考えているところでございます。

櫻井委員 続きまして、安全保障と医療体制整備についてもお尋ねをいたします。

 外交の話はこれで終わりにさせていただきますので、外務政務官は御退室いただいて大丈夫です。

塚田委員長 秋本外務大臣政務官、御退席いただいて結構です。

櫻井委員 昨日から、新型コロナウイルス感染症については、二類相当から五類に格下げということになりましたが、これはコロナウイルスがなくなったというわけではございません。常に、毒性の強い、感染力の強い変異株が登場する、そういったリスクはあろうかと思います。また、新型のインフルエンザ等のほかの感染症が新たに登場してくる、こういうリスクもあろうかと思います。

 そこで、本日は厚生労働副大臣にも来ていただいておりますので、質問させていただきます。

 次なる感染症に備えるために医療機関の体制強化をしていくということは必須だということで提案をさせていただきますが、政府はどのようにお考えでしょうか。特に、医療機関の体制を強化するべきというときにおいて、国立病院機構とそれから独立行政法人地域医療機能推進機構から国庫に納付させるというのは政策の方向性として逆じゃないのか、むしろ、こうした両機構の傘下にある病院、大変厳しい状況にあるというふうにも聞いております。こうしたことを考えれば、むしろこちらに予算を配分するべきではないのかというふうにも考えますが、政府の見解、御説明をお願いいたします。

伊佐副大臣 この五月の八日以降、感染法上の位置づけの変更後も感染拡大が生じ得るということを想定しながら対応するということが大事だというふうに思っております。

 医療機関への財政支援につきましては、必要な見直しを行った上で、当面九月まで継続するということにしております。さらに、その上で、昨年十二月に感染症法を改正していただきました。これに基づいて、都道府県が医療機関と平時に協議を行いまして、各医療機関の機能、役割に応じた協定締結を行っていただいて、感染症医療を担う医療機関をあらかじめ適切に確保するということにしておりまして、その履行に要する費用については、協定に基づいて、一定の財政支援を行うということにしております。

 今委員御指摘のありました国立病院機構、また地域医療機能推進機構についても、当然、こうした支援の対象となります。積立金の国庫納付の特例的な前倒しにかかわらず、引き続き、感染症医療の提供含めて、地域医療における役割を適切かつ確実に果たすことができるように対応してまいりたいというふうに思っております。

櫻井委員 厚生労働副大臣、御答弁ありがとうございます。この質問はこれで終わりにさせていただきますので、御退室いただいて結構です。

塚田委員長 伊佐厚生労働副大臣、御退席いただいて構いません。

櫻井委員 続きまして、安全保障と開発金融についてもお尋ねをいたします。

 鈴木大臣は、この大型連休中にはアジア開発銀行の総会にも出席をされたりということで、また先月は、アメリカ・ワシントンDCでの、IMF、世界銀行、スプリングミーティングスにも出席をされたというふうに承知をしております。これは、グローバルサウスという国際世論へのアプローチということでもあろうかと思います。

 一方で、一つ大きな問題になっている、この委員会でも何度も議論させていただいた、中国の膨らむ対外債権、債務のわな問題についてでございますが、やはり、この中国の貸し手責任というのをしっかりと明確にしていくことが必要だというふうに考えております。

 例えば、スリランカ。中国の高利貸し、中国のある種高利貸しによって財政破綻したような側面もございます。中国が債務再編に協力しなければ、やはり悪徳の高利貸しというような悪名を国際世論に広めるということになりますし、債務再編に協力すれば、中国にとって財政負担にもなろうかと思います。

 こうした中国の動きに対してしっかりと牽制をしていく上でも、やはり、スリランカの債務再編について、取組に中国も参加するように促していくということは重要だと思いますが、その取組について御説明をお願いしたいということと、スリランカだけではなくて、多くの国が、これから債務問題、直面することになる可能性がございます。スリランカが先例になるわけですが、ここでしっかり取組が必要だと思いますので、御説明をお願いいたします。

鈴木国務大臣 債務再編の問題、今重要な課題でありまして、世界的に見ても大きな債権国であります中国をこの債務再編にきちんと参画させなければいけないということ、これはもう先生と全く同じ認識を持っているところでございます。

 中国は、低所得国に対し、先進国から成るパリ・クラブを上回る債権を有しておりまして、債務問題解決には、中国の巻き込み、これが不可欠であると考えます。

 こうした観点から、中国等を含むG20は、二〇二〇年、低所得向けの債務再編に係る共通枠組みに合意したところでありますが、近年のケースでは、一部の債権国の同意が得られず債務再編が遅れており、その早急な実施の必要性が高まっているところであります。

 同枠組みでは、公平な負担の下で債務再編を実施することとされており、特定国による深掘り、これは想定をされておりませんが、日本としては、まずこの共通枠組みの早急な実施が重要であると考えます。

 こうした点から、本年二月のG20の議長声明では、中国も含む全てのG20参加国の総意として、予測可能かつ適時に、秩序立った方法で連携して、共通枠組みの実施を強化すること、スリランカの債務状況の迅速な解決を期待することなどが合意をされました。大きな成果だったと考えています。

 今後も、G20の場で中国を含む全債権国を巻き込んで債務問題に対処していくこと、これが重要であることでありまして、我が国といたしましてもこの点をしっかりと訴えていきたいと思っております。

櫻井委員 次に、防衛費の説明責任についてもお尋ねをいたします。

 この問題については既に前にも質問で取り上げさせていただきましたが、やはり、説明を求めても、防衛機密がどうのということで、なかなか踏み込んだ説明、納得いく説明は得られないということがございます。

 そうした中で、やはり、主計局は査定をされているわけですから、主計局はちゃんと、多分、防衛機密の部分についても、しっかり説明を受けた上で、これは必要だというような判断をされているんだと思います。予算をしっかりと厳しく見積もる、そういう立場の財務省がきちっと査定をしているんだということをやはり示していただくことも、国民の納得感を得られるために重要なパーツだというふうに思います。

 一方で、四月二十八日、連合審査において、海上自衛隊司令官を務められた香田海将は、防衛省はもっと説明を尽くすべきというふうにおっしゃられておりました。また、説明の仕方はもっともっといろいろあるんだということも指摘をされていました。

 同様に、財務省も厳しく査定をしたということをしっかりと説明する責任があると思いますが、その点について、今日は主計局長にも来ていただいておりますので、御答弁をお願いいたします。

新川政府参考人 財務省主計局におきましては、特定機密の取扱資格を得た職員が防衛省から詳細な説明を受けた上で査定をしているところでございます。

 その上で、今般の防衛力整備計画の策定に当たりましては、防衛力の抜本強化に向け、必要となる国民負担はできる限り小さくすべきといった観点から、それぞれの事業や内容、あるいは金額につきまして、実効性、効率性、実現可能性の点から精査を行い、所管官庁である防衛省と厳しい調整を行ってまいりました。昨年末に閣議決定されました防衛力整備計画、あるいは今年度予算においては、こうした調整の結果を反映したものでございます。

 その上で、防衛力整備計画では、各年度の予算編成において、事業の進捗状況あるいは実効性を精査し、必要に応じてその見直しを柔軟に行うとされているところでありますので、もちろん、六年度以降の計画においても、その内容を精査したいと考えております。

 その上で、五年度予算につきましては、防衛省において、重要度の低下した装備品の運用停止、用途廃止、あるいは、装備品の計画的、安定的、効率的な取得、そして、自衛隊独自の仕様の絞り込みなどによりまして約二千五百億円の縮減を図ることとしており、こうした厳しい見直しについて、六年度以降もこうした努力を促してまいりたいと考えております。

櫻井委員 我々、なかなか、機密に関することは精査しようがないところもあるわけですから、是非、主計局において厳しく査定をしていただきたいということ、また、そのことをしっかりと国民にもお伝えいただきたい、国会にも説明いただきたいというふうに思います。

 具体的に申し上げれば、スタンドオフミサイル、私は必要だというふうに思いますけれども、ただ、本当に五兆円も必要なのか、六種類も必要なのかというようなところについて、必ずしもなかなか納得しているわけではございません。そういったことも、いや、機密に関わるということかもしれませんけれども、やはり主計局も厳しく査定をしたということを繰り返し説明をいただきたいというふうに思います。

 続きまして、二〇二〇年度の税収見込みの違いについてお尋ねをいたします。

 主税局が税収を見積りするというのは、これは予算編成の大前提で大変重要な話でございます。このことについては藤岡議員からも既に何度も質問させていただいているところなんですが、二〇二〇年度については、税収見通しについて、法人税で三・二兆円の上振れ、消費税で一・七兆円の上振れ、五兆円も外してしまったということです。そして、これが決算剰余金になるわけですが、今回の法案の中で、何とこの決算剰余金が防衛費にも流用されるという仕組みになってしまっているわけでございます。とんでもない、むちゃくちゃでございます。

 こんな法案を出してくるのであれば、まず、二〇二〇年度の税収見積りを大きく外したこの責任が問われるべきだと考えますが、主税局長、この外した責任、しかも、これは、十二月の補正で外して、三か月先も見通せなかったということですから、この責任をどのようにお考えでしょうか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 税収は歳入予算の主要な構成要素でございますので、その見積りを適切に行うことは非常に重要な職務であるというふうに認識しております。

 このため、税収見積りに当たりましては、見積り時点において入手できる情報は全て活用し、その時点における経済状況や経済見通し等を踏まえて、見積精度を最大限高める努力を行っております。

 具体的には、直近の課税実績の把握に加えまして、上場企業等への個別のヒアリングを通じて収納見込みを把握したり、あるいは、法人ごとに得られているデータを用いた繰越欠損金の影響の把握を行う、また、民間調査機関等から情報収集を行うほか、政府経済見通し等を踏まえた見積作業を行っているところでございます。

 御指摘のとおり、令和二年度の税収につきましては大きな見積りの誤差が生じたわけでございますが、これを踏まえまして、昨年末に行いました税収見積作業に当たりましては、上場企業等からの情報収集先につきまして、前年の二千六百社程度から三千四百社程度にできる限り増やす、また、民間調査機関等からのヒアリングにつきましても、前年の十一社から十六社に増やすといった取組を行ったところでございます。

 御質問の点については、今後とも、税収見積りの重要性を十分に踏まえつつ、その精度の向上に最大限努めてまいることで対応してまいりたいと考えております。

櫻井委員 何でこんな質問をしているかというと、結局、赤字国債は発行しないといいながら赤字国債ロンダリングをするんじゃないのか、決算剰余金を増やしてというようなことをするんじゃないのかと思っているわけですから、そこは、辞表を胸にせんばかりというのが、岸本和歌山県知事が過去に主税局にお勤めだったときの話だというふうにもありますので、是非ちゃんと責任を取っていただきたいと思います。

 最後の質問になりますけれども、安全の費用対効果についてお尋ねをいたします。

 我が国が抱えるリスクというのは、軍事的脅威もございますが、それ以外にも、感染症のリスクや災害リスク、私の地元でも昨日、洪水の水害被害がございましたけれども、そういったこともございますし、何より、少子化、人口減少のリスクもございます。

 こうした社会、経済、環境などの様々なリスクに対して、これを全てゼロにしようとすれば多額の予算が必要になり、膨大な予算のために財政破綻のリスクが今度は高まってしまうというようなことがあります。ですから、予算制約の中でリスクに応じた予算を配分していくということ、予算制約の中でリスクを最小化していくということを考えるべきだと思うんですが、大臣にお尋ねをいたします。

 我が国が抱えるリスクとしてどのようなものを想定し、それぞれどのようなリスクというふうに評価をし、それぞれのリスクに対してどのように予算配分しておりますでしょうか。また、リスクは最小化できているんでしょうか。

塚田委員長 鈴木財務大臣、既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

鈴木国務大臣 我が国には様々なリスクがあると認識しております。櫻井先生が御指摘になられました厳しさを増す安全保障環境に加えまして、少子化、人口減少、それから感染症、自然災害、様々な課題はまさに先生の御指摘のとおりであると思います。

 こうした課題につきまして、政府といたしましては、骨太方針に定められました経済財政運営の基本的な考え方に基づきまして、国民の命と暮らしを守る観点から、新型コロナを始めとする感染症対策や防災・減災、国土強靱化の取組を進めるために十分な予算措置をするとともに、人口減少、高齢化などの構造的な課題の解決のために社会保障制度の持続可能性を確保するための改革にも取り組み、これを予算編成にも反映をしているところでございます。

 先生御指摘のとおり、限られた予算の中で全てのリスクをゼロにするということは難しいことかとも考えておりますが、政府といたしましては、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることのないように、歳出歳入両面からの改革を進めつつ、いざというときにも財政余力を確保する、そして、我が国の抱える内外の重要課題にしっかり、これを見極めながら着実に対処していくことが重要だと考えております。

櫻井委員 時間になりましたので、本日はちょっと取り上げておりませんけれども、防衛増税、復興税の流用問題について取り上げておりませんが、被災地で是非公聴会を開いて、こうした問題についても地域の皆さんのお声を聞くことを要望して、質問を終わらせていただきます。

塚田委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 おはようございます。立憲民主党の野田佳彦でございます。

 鈴木大臣、そして各省副大臣、政府参考人の皆さん、よろしくお願いいたします。

 まず、本題の防衛力増強のための財源の議論に入る前に、幾つか心配をしていることについてお尋ねをしたいというふうに思います。

 まず、昨年暮れに閣議決定をされた国家安全保障戦略で、日本の国益について、冒頭部分で三つの観点から記載されているんですが、その第一に、日本の主権と独立を維持し、領域を保全し、国民の生命、身体、財産の安全を確保すると規定をされているんですね。この領域を保全をしという国益の部分について、私は憂慮している点がございますので、内閣府に質問したいと思うんです。それは島の管理の問題であります。

 国連海洋法条約で、島の定義は、自然にできた陸地で、水に囲まれ、満潮時でも水面上にあるものと規定をされていますね。この定義の下に、これまで島の数は、私、六千八百五十二と、いろいろ講演があるたびに使ってきたんです。これは調べてみると、一九八七年に海上保安庁が発表しているんですね、六千八百五十二と。

 ところが、最近、三十五年ぶりに数え直してみたら、一万四千百二十五と。百、二百変わるんなら、まあ理解できますよ。ところが、六千八百五十二から一万四千百二十五。これはどういう管理だったのかと、逆に疑問を持たざるを得ないです。

 島国の日本で、島をしっかり把握をするということは国益の基本中の基本だと思うんですよ。三十五年ぶりの調査でこんなに桁違いに増えるというのは、逆に異常だと思うべきです。この点についての御説明をいただきたいと思うんですね。

 これはまだいいんです。それよりもっと大事なのは国境離島ですよね、国境離島。それはまさに、国境離島を基点として領海が決まり、排他的経済水域が決まります。これはまさに国益中の国益だと思うんですね。

 これは、今度調べてみたら、増えているんじゃなくて、増えたのは三つありましたね、国境離島、だけれども、国境離島ではないとみなされたものが十四、合計すると、マイナス十一なんですよ。国境離島は、私、四百八十四とずっと聞いてきました。そしたら、今度は四百七十三に減っている。これはなぜなんですか。国益を損ねると思いますよ。いかがでしょうか。

星野副大臣 我が国の国境離島の状況、並びに、領海及び排他的経済水域の状況については、これまで、内閣府と海上保安庁を始めとする関係省庁が連携をして調査、確認を行ってきており、本年二月に結果を公表いたしました。

 そして、内容としては、新たな低潮線の把握により、新たに国境離島と位置づけるべき島を確認をしたこと、新たに低潮高地の把握等により、これまで国境離島と位置づけていた島がその他の離島と整理すべき島だと確認をしたこと、島ではないものの、領海等の根拠となり得る低潮高地であったことを確認したことなどにより、我が国が現に保全、管理を行っている国境離島と位置づける島の数は、これまでの四百八十四島から四百七十三島と整理することといたしました。

野田(佳)委員 整理の仕方は今分かりましたけれども、西暦でいうと二〇一〇年、これは民主党政権のときなんですけれども、内閣府に国境離島を把握するための事務局を設置をしたんですね。そこで、国境離島というのは本当に国益に関わる大事な島じゃないですか、でも、名なしの権兵衛もいっぱいあったので、きちっと名前をつけていくようにした。私の政権のときも、尖閣の四つの小島に名前を正式につけたんですね。などなど、名前をずっとつけていて、そしてしっかり管理をする。まさに海洋国家日本が国境離島を管理できないんじゃ駄目だという発想だったんです。

 それからもう十三年たって、しっかり管理したのかと思ったら、四百八十四が四百七十三に減っていましたと今頃言う。一体何をやっていたんだと私は言わざるを得ません。

 整理の仕方は今分かりましたよ。これは突然分かったことじゃないでしょう。例えば、目視できないとかという話は途中からあったはず。目視できなくなる前に、沖ノ鳥島のように工事をして水没しないようにするなど、きちっと管理しなきゃいけなかったんじゃないんですか。ぼうっとしていたんじゃないですか。どうでしょう。

塚田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

 星野内閣府副大臣。

星野副大臣 国境離島の状況把握につきましては、平成二十九年度から、内閣府が中心となり、関係省庁と連携して取組を行うとともに、エサンベ鼻北小島等の一部の国境離島について、海上保安庁による詳細な調査を行ってまいりました。国境離島が領海の外縁を根拠づけるものであることの重要性も踏まえ、複数年にわたっての周辺の海域の状況、潮位の状況などを精密に調査分析をしてきたため、今年二月に調査を公表しております。

 なお、このような調査分析は、例えば、年単位で潮位の測定や気象、海象条件を踏まえて行う必要があると考えております。

野田(佳)委員 調査の仕方はそれはそのとおりなんでしょうけれども、突然十一も見失っていましたという管理の仕方はおかしいと申し上げているわけなんです。

 これは、日本の国土面積が三十八万平方キロ、世界で六十一番目。だけれども、国境離島を基点としてEEZが測られますと、日本の場合は四百四十七万平方キロで世界第六位。海は面積じゃなくて深さだから、日本の近くの海は深いので、日本の管理できる海の体積は世界で四番目ということでした。だから国境離島を大事にすべきである。しかも、一番東の端の南鳥島の海底には二百数十年分のレアアースがあると言われている。まさに、日本の近海は、お宝の山じゃなくて、お宝の海なんです。だからしっかり管理しなきゃいけないんですよね。

 十一減ったことによって、領海、EEZへの影響はどの程度なんでしょうか。明らかにしていただきたいと思います。

星野副大臣 我が国が現に保全管理を行っている国境離島と位置づける島の数は、これまで四百八十四島から、四百七十三島と整理することといたしました。先ほど申し上げたとおりでございますが、この整理の下で改めて確認したところ、我が国の領海及び排他的経済水域、EEZの面積につきましては、約四百四十七万平方キロメートルに変更はありませんでした。

 引き続き、関係省庁と連携して、国境離島の基点周辺の状況把握と保全管理などに万全を期してまいりたいと思っております。

野田(佳)委員 十一カウントが減って、それで結局、EEZに影響はないと。じゃ、何のための国境離島だったのか。じゃ、国境離島という位置づけが違っていたのか。よく分かりませんね。

 例えば、これは何年か前に報道されていたんですけれども、エサンベ鼻北小島、北海道、これは昭和六十二年に海面から一・四メートル出ていたんだけれども、平成三十年ぐらいから、目視できないと言われるような島になったんですね。これがもし本当に消失していたならば、領海は〇・〇三平方キロ消失、甲子園球場の四分の三ぐらいの大きさで、そんなに大きくはないかもしれない。

 やはり国境離島と位置づけられていれば影響は私はあるはずだと思うんですけれども、全く影響はないんですか。これは別に政府参考人でもいいですから、教えてください。

藤田政府参考人 現行の海図を作成した昭和六十二年と比較して、現在、測量の精度は大幅に向上しておるんですけれども、その測量精度の、違うということから、当時の調査と今回の調査とでは、若干、比較することが困難となっております。

 仮に、既存の海図と新たな測量成果を用いて単純に領海の面積を比較すると、委員今おっしゃったとおり、〇・〇三平方キロメートルの減少という計算結果になるということでございます。

野田(佳)委員 今は一つの小島の話をしました。ほかの十一を考えると、もっと多分影響はあるのではないかと思いますので、ちょっと個別に後で数字を出していただければ大変ありがたいというふうに思いますので、是非、委員長、資料をよろしくお願いいたしたいと思います。

塚田委員長 理事会で協議いたします。

野田(佳)委員 この問題、ちょっとこれはやり出したら多分切りがなくなっちゃうなと今思い始めました。

 外敵から領域を守るのは当然なんだけれども、外敵から守る以前に、日本が島の管理がいいかげんだというのでは、これは他国に領土、領海を強く主張できますか、これで。私は、正当性がないと思われてしまうと思いますよ。

 是非、日本の安全保障、国を守るという視点は大いに議論すべきだけれども、ぼけっとしていて国益を損なうような国であってはいけないと思いますので、これは各党各委員でちょっと問題意識を共有をしていきたいなというふうに思います。

 まだほかにいっぱい質問があるので、これでこの件は今日のところは終わりにしたいと思います。

 内閣府副大臣、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

塚田委員長 星野内閣府副大臣、御退席いただいて結構です。

野田(佳)委員 次が、自衛隊と海保の連携強化についてでございます。

 これも国家安全保障戦略で、自衛隊と海保の連携協力が明記をされました。このことによって、七十年ぶりに、封印されてきた統制要領がこの度策定をされて、公表されました。有事の際に防衛大臣が自衛隊法に基づいて海保長官を指揮することができるという手順が明らかになったわけでありまして、私はこれは前進だというふうに受け止めています。

 そこで、少しお尋ねをしたいんですけれども、統制要領が策定されたこと自体は私は前進と申し上げましたが、考え方の整理をどのようにされたかということなんですね。

 自衛隊法八十条では、他国からの武力攻撃事態が起き、自衛隊に防衛出動などが命令された場合、防衛大臣が海保を統制下に入れることができると元々規定はされておりましたけれども、これに基づいて具体的な要領を作ることができなかったのは、海保法の二十五条で、海保又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めると解釈してはならないというように、海保の軍事機能を否定をし、必要最小限の警察力を行使する組織と位置づけられているがゆえに、この二つの間をどう整合性を取るかということが難しかったんだろうと思うんですね。

 今回どのような整合性を取られたのか、副大臣にお尋ねしたいと思います。

井野副大臣 まさしく、武力攻撃事態において、自衛隊と海上保安庁が態様を含めどのように連携協力するかということは重要であるというふうに考えておりまして、その上で、今般、統制要領を改定したということであります。

 今般、自衛隊法八十条の規定に基づき、海上保安庁が防衛大臣の統制下に入る統制要領を策定しましたが、統制下に入った場合であっても、海上保安庁の任務、所掌事務、権限については変更はなく、海上保安庁法第二十五条と矛盾するものでないというふうに考えております。

 具体的には、武力攻撃事態において、防衛省・自衛隊との迅速な役割分担の下で、海上保安庁が人命救助や住民避難で最大限役割を果たしていただき、国民の安全に寄与するとともに、自衛隊の出動目的を効果的に達成することができるものと考えております。

野田(佳)委員 こういう統制要領ができたわけですから、これからは、まさに一緒に共同訓練を積み上げて、そして課題を洗い出していくということが大事なプロセスになってくるんだろうと思うんですね。

 共同訓練などをやりながら課題を洗い出しと申し上げましたけれども、ちょっと今、事前に、少し心配なことが現時点であるんですね、技術的な問題として。その一つは、海上保安庁の航空燃料は質が低いと言われているらしくて、海上自衛隊では使えないと聞いたことがあります。一方、艦船燃料の方、船の方の燃料は、海自は軽油だけれども、海保は一部を除き重油なので、互換性がないと言われているんですね。この相互補給を可能にするということが共同でこれから行動していく上では不可欠だと思うんですけれども、この点どう考えているのかということ。

 あと、リアルタイムの情報交換、当然のことながら必要になると思うんですね。私が注目していますのは、去年の十月から、海上保安庁が大型無人航空機のシーガーディアンを運用するようになりました。これは二十四時間ずっと飛び続けることができる非常に便利な航空機だと思うんですね。ここで収集する情報というものを自衛隊が即時共有できるようにすることも大事だと思うんです。

 こういうことも含めて、今申し上げたように、相互補給が可能かどうかということとリアルタイムの情報交換、これらについてどのようなお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

井野副大臣 まず、航空燃料についてでございます。

 海上自衛隊の航空機が使用している航空燃料は、海上保安庁の航空機が使用している航空燃料と同系統の燃料でございます。そのため、海上自衛隊航空機が海上保安庁の航空機燃料を使って飛行することは可能でありますし、また、逆に言えば、海上保安庁の航空機についても、海上自衛隊の航空機燃料を使用して飛行することは可能であるというふうになっております。

 続きまして、艦船の燃料についてでございますが、海上自衛隊の船舶が燃料に使用している軽油は、海上保安庁の船舶が使用している軽油と引火点が異なっておりまして、火災等に対する安全性を海上自衛隊の方がより高く保っている、向上させているというところでございます。

 このため、軽油を使用する海保船舶は海上自衛隊の軽油を使って航行することは可能でありますけれども、海自、海上自衛隊は海上保安庁の軽油を使った航行は安全性の観点から行っていないというふうなことでありまして、そういった違いが航空燃料と艦船燃料ではあるということであります。

 なお、先生御指摘の重油については、海自、海上自衛隊の艦船は、当然、使用することができません。

 その上で、リアルタイムの情報交換についてでありますけれども、防衛省・自衛隊と海上保安庁が緊密に連携しながら各種事態に対処するために情報共有が重要であるというのは、当然我々も認識をしておりまして、相互に使用する通信機器、秘匿通信方法を定めるなど、必要な通信手段は既に確保しているような状況であります。

 現場レベルにおいても、警戒監視活動を行っている哨戒機などで得られた情報については巡視船等に対して適時適切な情報共有を行うとともに、定期的に相互通信の訓練も実施しているような状況でございます。

 引き続き、連携を強化していく中で、必要な検討も行ってまいりたいと思っております。

 以上です。

野田(佳)委員 共同訓練を通じて、いろいろとまた課題も洗い出しができるというふうに思いますので、しっかりとやっていただきたいと思います。

 今回の統制要領というのは、要は有事の場合ですよね、武力攻撃事態を想定をしてのまさに連携強化なんですけれども、私はやはり心配しているのは、私自身が二〇一二年の九月に尖閣をいわゆる国有化をした当事者でございますので、尖閣周辺の動きというのが一番心配なんです。当然、一番心配の対象になるのは、武力攻撃事態以前のグレーゾーンの段階でどういう対応をするかということなんですね。

 二〇一二年当時というのは、千トンを超える大型巡視船、日本の海上保安庁は五十一隻でした。対して、中国の海警局の巡視船は四十隻で、二〇一二年当時は日本の海保の方が優位性があったと思うんです。ところが、二〇二一年は、海保が七十隻、若干増やしているんですけれども、海警の方は百三十二隻ということで、現時点では、今、倍以上。しかも、一万トンを超える巨船が二隻もあるし、七十六ミリ砲という、もう海警というよりも第二海軍というような、存在の大きい、まさに海警になってしまったと思います。

 しかも、二〇一八年に、海警局が国務院の所属から党の中央軍事委員会所属に組織的にも変わっていますし、二〇二一年から武器使用を認める法律もできて、非常に日本の海保は、特に十一管区、優秀だし、勇敢だし、しっかりと対処していると思うんですけれども、余りにも相手が第二海軍化しているわけですので、そうすると、やはり海保の装備をより増強するとともに、自衛隊が海保の警備を補完をする、そういう必要があるのではないかと思います。

 これについて、これは国土交通副大臣でしょうか、御見解をお伺いしたいと思います。

石井副大臣 お答えいたします。

 尖閣諸島周辺の接続水域におきましては、近年、ほぼ毎日と言っていいと思いますが、中国海警局に所属する船舶が活動しておりまして、領海侵入も相次いで行われている状況でございます。

 このため、海上保安庁におきましては、尖閣諸島周辺の海域に常に巡視船を配備をいたしまして領海警備に当たっているところでございます。中国海警局に所属する船舶に対しましては、相手勢力を上回る巡視船で対応するなど、万全の体制を確保しているところでございます。

 加えまして、新たな国家安全保障戦略等の策定に合わせまして昨年十二月に決定されました、海上保安能力強化に関する方針に基づきまして、大型巡視船等の大幅な増強、また自衛隊との連携強化などを行うこととしております。

 引き続き、海上保安庁といたしましては、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針の下で、委員御指摘のとおり、海上保安能力を一層強化するとともに、自衛隊を始めとする関係機関と緊密に連携をいたしまして、領海警備に万全を期してまいる所存でございます。

野田(佳)委員 私は、平時と有事の境目であるグレーゾーンからエスカレートする蓋然性は極めて高いと思っていますので、武力攻撃事態における連携は今回は前進だと思うんですが、グレーゾーンの段階からの連携というのはもっと模索すべきだと思うんです。

 これは、かつて民主党のときに、領域警備法という議員立法を提出しました。今の立憲民主党の中でも、海上保安庁強化法、海保の装備の充実とともに、自衛隊が補完をしていくという役割分担をしながらのグレーゾーン対応の法案を提出をしているんです。

 こういう議論を、グレーゾーン対応をもっと真剣にやっていこうと改めて申し上げたいと思いますので、これは防衛副大臣もいらっしゃるし、国土副大臣もいらっしゃいますので、両副大臣に強く要請をしておきたいというふうに思います。

 ということで、じゃ、この問題は今日はこの辺で終わりにしたいと思いますので、両副大臣と政府参考人、お帰りいただいて結構でございます。

塚田委員長 井野防衛副大臣、石井国土交通副大臣は御退席いただいて結構です。

野田(佳)委員 では、防衛力増強の財源についてでございますけれども、先般、当委員会で、私はその財源の一つとしての歳出改革についてお尋ねをしましたが、改めて、今日、歳出改革、頭の整理をさせていただきたいと思います。

 防衛関係予算は非社会保障関係費に属するので、だからということなんだと思うんですけれども、非社会保障関係費の歳出改革は防衛財源ということですよね。一方で、じゃ、社会保障関係費はどうするのかと注目をしていましたけれども、四月二十八日の財政審の分科会で、財務省が、異次元の少子化対策の財源として、社会保障関係費の歳出改革と新しい枠組み、多分これは社会保険料を念頭に置いているんだと思うんですが、という考え方を示されました。

 ということで、非社会保障関係費の歳出改革は防衛財源、社会保障関係費の歳出改革は異次元の少子化対策の財源になるという頭の整理で、一般歳出は、社会保障関係費と非社会保障関係費、一対一だと思いますけれども、これは今この二つに大きく分けられるという頭の整理でよろしいんでしょうか。

鈴木国務大臣 子供、子育て政策につきましては、先般、三月三十一日でありますが、担当大臣からたたき台が示されたところであります。現在、このたたき台を踏まえまして、必要な政策強化の内容、予算、財源について総理の下で更に具体的な検討を深めているところでありまして、六月の骨太の方針までに将来的な子供、子育て予算の倍増に向けた大枠を提示していくもの、そのように承知しております。

 基本的なことを申し上げますと、その際、恒久的な施策には恒久的な財源が必要でありまして、子供政策を強力に進めていくために必要な安定財源につきましては、国民各層の理解を得ながら、社会全体での負担の在り方を含め、幅広く検討を進めていくことが重要と考えてございます。

 現時点において、子供政策の財源について確定した方針はございませんけれども、いずれにせよ、財源を検討する際には、政策強化の内容に応じて、様々な社会保険との関係や国と地方との役割なども踏まえて丁寧な検討を進めていくことが重要である、これは従来から政府として申し上げているところであります。

野田(佳)委員 私、非社会保障関係費と社会保障関係費、それぞれの歳出改革を二つに分けて、防衛財源と少子化対策財源と、頭の整理を今しました。それで間違いないということでよろしいですか。

鈴木国務大臣 最終的な姿はまだ定まっていないわけでございますけれども、社会保障関係費の削減額があれば、子供政策を含む社会保障経費に充当できる、そのように考えております。

野田(佳)委員 あればできるということですね。

 どっちにしろ、非社会保障関係費でも、あるいは社会保障関係費でもですけれども、特に非社会保障関係費は、防衛財源になる分野は、私は、これはあることを前提に固い決意で掘り下げていかなければいけないと思っていまして、国民に税制措置をお願いする、要は増税をお願いする大前提は、歳出の効率化が目に見えて分かるような歳出改革じゃなければ国民の理解は得られないと思うんです。

 決算剰余金とか不安定なものを財源というよりは、あるいは税外収入を取りあえずはかき集めているけれども、今後どうなるか分からない、みんな将来は国債になっちゃうだろう、借金に頼ってしまうだろうという財源確保よりは、間違いなく、厳しいかもしれないけれども、目に見える形で歳出改革が進んだということがないと、増税の議論まで私は行き着かないと思っていますので、あればなんという話じゃなくて、必ずつくるという決意が私は必要だと思いますけれども、いかがですか。

鈴木国務大臣 防衛予算に係る非社会保障経費につきましても、徹底した歳出削減等の工夫を行っているところであります。

 したがいまして、社会保障経費についても、同様な努力、これはしっかりとしなければいけないと考えております。

野田(佳)委員 次に、国有財産の売却について触れていきたいと思います。

 防衛施設とか国有林は、そもそもこれは売却困難だと思います。日本郵政とかNTTなどの株は、これは法律で一定の保有が義務づけられておりますので、国有財産といっても、売却可能なものというのはそんなにいっぱいあるわけではないような気がするんですね。

 百二十六・五兆円の国有地や政府保有株式のうち、既に二三年度の予算に計上されている大手町プレイス〇・四兆円以外に国有財産の売却の見通しは具体的にあるのかどうか、お示しをいただければというふうに思います。

鈴木国務大臣 今、まず現状をお話をさせていただきますと、国有財産の現在額、令和三年度末時点で百二十六・五兆円でございます。この国有財産の中には、未利用国有地や政府保有株式のほか、国の庁舎、例えばこの国会の建物もそうかもしれませんけれども、といった法律上売却することができない財産も含まれております。そして、未利用国有地につきましては、不要な資産の売却を進めた結果、そのストックはだんだん減少しておりまして、令和三年度末時点で四千八百四十一億円となっております。

 この未利用国有地の大宗は、地方公共団体等が公共施設等の用地として利用する予定の財産、土地区画整理事業の施行区域内に所在し、境界確定等が必要といった特殊事情を有する財産など、早期に売却することが難しい財産となっておりまして、それらを除いた、一般競争入札によりまして売却を予定しているものが二百九十億円となっております。

 財務省といたしましては、未利用国有地につきまして、売却すべきものについては速やかに売却を進める、そしてまた、売却せずに有効活用していく方針のものは貸付け等を含めた手続を進めるといった取組に取り組んでいるところでございます。

 株式につきましては、政府保有株式、これは、法人を通じて政策目的を達成するために、主務省の判断に基づいて国が保有しているものであります。したがいまして、政府保有株式の売却については、主務省において、法令の規定の趣旨等を踏まえた政策判断が必要であると考えております。

 なお、現行制度の下では、復興財確法に基づき復興財源として活用することとされておりますもの、東京メトロ等々でありますが、これを除きますと、現時点で売却可能な政府保有株式があるとは承知しておりません。

野田(佳)委員 次の質問のお答えも随分入っていたようなんですけれども、端的にお伺いしたかったのは、大手町プレイスのように数千億円の大玉があるのかどうか、今後。今、株の方ではないというお話だったんですね。未利用地の方も厳しくなってきているというようなお話と今受け止めさせていただきました。これで本当に今後の安定財源とカウントできるかどうかというと、私はやはり心配なんですね。

 未利用地についてでありますけれども、今大臣が触れられたと思うんですけれども、これは売却で一時的に大きな収入を得るという路線よりは、むしろ、今は賃貸などでお金を稼いでいく有効利用というところに流れが変わってきている、方針を変えてきたんじゃないかと私は思うんです。例えば、目黒区の公務員の宿舎の跡地、これは約七千平方メートルあったんですが、民間企業と五十四年間の賃貸契約で年数億円ずつ収入を得るというような方針に変えたはずと私は受け止めているんです。

 とすると、やはり、国有地の売却というよりも、今申し上げたような有効利用の観点の方で財務省は進めていたわけですから、ここで国有財産の売却と一つのくくりで財源にするということは困難になっているんじゃないかなと思いますけれども、その辺の整合性はどうなっているかをお尋ねして、時間が来ていますので、質問を終わりたいと思います。

鈴木国務大臣 令和元年の六月に、財政制度等審議会国有財産分科会におきまして答申がございまして、留保財産の有効活用ということで、ただいま野田先生が御指摘になられましたように、売却するのではなくて、貸付け等有効な活用をすべきである、そういう答申もいただいておりまして、令和元年以降はそうした方針で臨んでいくということでございます。

野田(佳)委員 だから、改めて言うまでもなく、株はもう見通しはないし、国有地の方も有効利用という観点であるということですから、国有財産の売却というのはもう当てにならないというふうに理解をさせていただきました。

 質問を終わります。

塚田委員長 次に、末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 まず、質問を行う前に、委員長に対して申し上げたいことがございます。

 二点ありまして、一つは、これまで財源確保法について様々、有効な議論とか必要な議論が行われてきました。ただ、同時に、様々な問題点も浮き彫りになってきました。これで、更にこの審議を進めていただくように心から強くお願いを申し上げます。ゆめゆめ打切りをしないように、そこをお願い申し上げるのが一点。

 二点目は、復興特別所得税の関係ですね。この転用もあるわけですけれども、特に、櫻井委員からもございましたように、被災地において地方公聴会を是非開いていただきたい。そこを改めて申し上げたいと思います。

塚田委員長 はい。申入れを承りました。

末松委員 それでは、まず一点なんですけれども、グローバルサウスという、大きな、巨大な、ユーラシアを含めて、あるいはアラブとかアフリカを含めた、そういった経済圏が今構築されつつあります。

 特にウクライナ紛争後なんですけれども、ロシア、中国、さらにアラブ諸国とか中央アジア諸国、さらにはアフリカ諸国等で、中国の一帯一路政策というものを中心に、上海条約機構ですか、に加盟する諸国が拡大していくような、こういった巨大な流れが出てきております。

 これの意味するところは、ドルでない経済圏、非ドル経済圏というのが大きな流れになってきておりますし、基本的に日本も含めて西側はドル経済圏でずっとやってきましたけれども、ここを脅かすという、西側諸国の、特にアメリカの立場に立つと脅かすような非ドル経済圏、これが大きく出てきた。

 これに対して、日本としても、当然、ドル経済圏の中に我々は組み入れられているわけですけれども、これからは、そういった大きな流れの経済圏を注視しながら、したたかに、こういう諸国のこの経済圏に対してもアプローチをする必要が出てきた、そういう時期だと思いますけれども、大臣の御認識をお願い申し上げます。

鈴木国務大臣 米ドルについては、流動性、安全性の観点、高い利便性を有するということから、基軸通貨として国際的に広く利用されている、そのように認識をしているところでございます。

 この点、末松先生から、グローバルサウスが成長し、ドル以外の通貨を用いる経済圏が拡大していくといった御発言があったところであります。

 仮に米ドルに代わる基軸通貨が出現するとすれば、こうした流動性、安全性の観点から、米ドルと同様の利便性を有するかといった点を踏まえて見ていく必要があると考えています。

 その上で、日本といたしましては、米ドルを補完する通貨としての円の利便性を向上させることが、日本企業の海外活動の円滑化等につながり、引き続き重要な政策課題と認識しております。

 こうした考え方の下で、各国との二国間通貨スワップ取決めにおきましても、危機時にドルのみならず円でも引き出し可能とする仕組みを設け、さらに、既にASEAN四か国とそのような内容の締結を行っているところでありますし、このほかにも、日本円と各国通貨との直接取引を促進する観点から、インドネシアと為替取引に係る規制の緩和に合意するなど、こうした取組も進めているということも申し上げたいと思います。

末松委員 円経済圏も拡大していくのは極めて重要な話でございます。私は、ちょっと問題点をそらして言ったのかなと思うのは、要するに、そういった中国、ロシア、あるいは中央アジア、アラブ諸国、そういったことに対する、経済圏に対してももっと積極的にアプローチしていくべきではないかというのが質問の趣旨なので、もう一度ちょっと御答弁いただけますか。

鈴木国務大臣 やはりいろいろな地域で、またいろいろな国で、いろいろな動きがあるんだと思います。

 日本といたしましても、そうした動きについては常にアンテナを高くして、しっかりと状況を見ていかなければならない。様々な、内々におけるシミュレーション等も必要なのではないかと考えております。

末松委員 そこは本当にしたたかに頑張っていただきたいと思っております。

 次の質問に移ります。

 今年三月から、シリコンバレーバンクの破綻から、世界的に地銀の破綻が非常に目立ってきて、連続的に生じているということで、この連休も、ゴールデンウィークも、世界的な株価の変動が激しくなってきております。

 政府は、これらの銀行破綻騒動について、世界的な金融のシステミックリスクというのはつながらないんだという楽観論を述べてこられていますけれども、今の、これは大臣ともこの前議論させていただきましたけれども、ネットバンキングという非常に足の速い動き、ぱっと預金を引き出す、そういうことの恐ろしさというのは今味わってきているわけでございまして、こういうことを考えると、非常時というものを想定した対応策、いろいろなシミュレーションを想定しながら、日本の銀行の危機回避を含めて様々にやっていく必要があると思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

鈴木国務大臣 昨今の金融不安についてでございますけれども、金融市場や内外経済、これはグローバルに相互関連しておりますので、海外で銀行の破綻等が生じていることにつきまして、決して楽観視することをせず、市場の動向や金融システムの安定性に与える影響について、強い警戒心を持って注意しているところであります。

 我が国では、金融庁におきまして、日頃から金融機関の流動性や資本の状況をしっかりとモニタリングしているところでありまして、足下におきまして、日本の金融機関は総じて充実した流動性や資本を有しており、金融システムは総体として安定しているというのが我々の評価でございます。

 さらに、我が国では、日本銀行に流動性供給機能があることに加えまして、決済用預金が全額保護されるなど充実した預金保険制度が整備されておりまして、信用不安に対する安全弁が構築されていると考えております。

 しかし、末松先生がまさに御指摘になられました、SNSでありますとかインターネットバンキング等の発達によりまして、金融分野を取り巻く環境が大変大きく変化していること、これは、日本を含め各国が直面する共通の課題である、そのように認識をいたしております。

 このような環境変化を踏まえまして、金融システムの更なる強化に向けた国際的な議論が必要であると考えておりまして、四月のワシントンでのG7の場で、私から各国の財務大臣や中央銀行総裁に対しましてその旨を提言をいたしました。今週行われます新潟のG7会合では、金融セクターに関する議論が行われる予定でございます。

 また、G20の傘下にあります金融安定理事会、FSBなどを中心に、近年の技術の進展に伴う金融市場の環境変化も踏まえながら、今般の一連の銀行破綻等から得られた規制監督上の教訓について棚卸しが行われています。

 我が国といたしましても、国際的な議論に積極的に貢献していくとともに、そうした議論の内容も参考にして、国内対応を適切に行っていきたいと考えております。

末松委員 本当に金融というのは足が速いので、そういった意味で変化も非常に速いということ。

 金融の大本の日銀総裁も来ていただいていますので、日銀総裁の御認識を問います。

植田参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、三月以降、米欧の金融機関の経営問題が相次いで表面化しております。もっとも、これらはいずれも個別金融機関における不適切なリスク管理が主因と考えてございます。そうした下で、各国当局が迅速な対応を講じたこともありまして、システミックリスクは回避されており、市場も落ち着きを取り戻しつつあると見ております。

 他方で、我が国の金融機関は充実した資本基盤と安定的な資金調達基盤を有しており、我が国金融システムは全体として安定性を維持しております。こうした下で、今般の出来事による我が国金融システムへの直接的な影響は限定的と見ております。

 日本銀行としては、引き続き、金融庁や海外当局とも緊密に連携し、海外の金融システムや国際金融市場の動向を注視するとともに、我が国金融システムに与える影響やリスクについて予断を持つことなく丁寧にモニタリングしていくつもりでございます。

 また、今般の一連の出来事を踏まえた教訓につきましては、今後、先ほど財務大臣のお話にもありましたように、今週のG7も含めて国際的に議論が行われていくものと理解しております。日本銀行としても、国際的な議論に積極的に参画し、貢献してまいりたいと考えてございます。

末松委員 大体財務大臣と同様の御見解で、今の状況は安全だ、そして安定しているという、役割を担った方の御発言だとも思いますけれども、私の方の情報では、別に危機をあおるわけではありませんけれども、百数十行の銀行が、世界的に非常に潜在的な倒産の可能性、危機性を持っているというような話も出ておりますので、本当にしっかりとそこは目を光らせて対応していただきたいと思います。

 日銀総裁はもう結構でございます。

塚田委員長 植田日本銀行総裁、御退席いただいて結構です。

末松委員 次に、非常事態の際の政府の対応についてお伺いをしたいと思います。

 先ほど、銀行のシステミックリスクは起こりにくいということを大臣及び日銀総裁からも話がございましたけれども、もしいろいろな事由によって深刻な経済危機が生じた場合とか、あるいは東海、東南海等の大震災が起こった場合とか様々なリスクがあるわけでございますけれども、そういった場合の、非常事態の際の政府の対応について二点だけお伺いしたいと思います。

 一点は、もしそういう大震災とかあるいは経済的な大危機みたいなものが起こった場合に限定ですけれども、この防衛財源確保法に定められたスケジュールに従って防衛費を倍増していくということになるのでしょうか。それとも、これはそういう危機に応じて、当然のことですけれども、まさしく危機に応じた形で、防衛予算を倍増していくというその中で、いろいろな変更、あるいは修正がかけられるというのが当たり前じゃないかと思いますけれども、まず大臣にお伺いします。

鈴木国務大臣 先生御指摘のように、例えば大規模な自然災害が発生するとか、様々な危機が訪れた場合どうするのかということでございます。

 経済危機、大規模な災害といった事象への対応について、現時点でどの程度のものを想定して申し上げることができるのかというと、それは確たることは申し上げられませんけれども、一般論で申し上げれば、当然といえば当然でありますが、政府として、その時点でそうした事態をしっかり把握をして、幅広く検討した上で必要な対応を取るということになるんだと思います。それはある意味、政府としてしっかりと柔軟的に考える必要があるんだ、そういうふうに私としては考えております。

末松委員 今の柔軟な対応ということ、非常に私もそこが重要だろうと思う。

 もう一点だけ、私が常々この導入に反対してきたインボイスの制度。

 こういった非常時には、経営基盤の本当に薄い中小事業者、これも深刻な状況にまず陥るだろうと思うんですけれども、こういう非常時に直面した場合、インボイスの導入も延期をしていくのが当然だと思いますけれども、そこは大臣の御認識をお伺いします。

鈴木国務大臣 これも先ほどの御質問に関連するものと思いますが、経済危機でありますとか大規模な災害、自然災害といった事象の対応について、どういうような事態が想定されるのかということもございますので、現時点で確たることを申し上げることはできませんけれども、一般論として申し上げますと、大変大きな事態が起こったということを前提にした場合に、個別具体的に生じる事態がインボイス制度への移行に対し実際にどのような影響を与えるのかといったことを踏まえまして、どのような対応を取り得るのか、これはやはり幅広く検討をすることになるのではないか、そういうふうに思います。

末松委員 幅広にということで、その中では、延期というものを可能性として含んでいるというふうに考えてよろしいですか。

鈴木国務大臣 そうした自然災害等の影響等をしっかり、仮にですね、仮にあった場合、それを踏まえまして、制度の導入延期だけではなくて、どのような対応を取り得るのか、幅広く検討することになるのではないかと思います。

末松委員 そこはよろしく状況に応じた柔軟な対応をお願いします。

 次の質問に移ります。

 今度の質問は、深刻なサイバー攻撃を受けた場合の政府の対応についてなんですけれども、例えば、敵対国がいるとして、その敵対国が組織的にサイバー攻撃をしかけてくる場合、我が国及び我が国の企業等に対して。もちろん、私がしかけていますということはその国が言うわけがないわけですから、不透明な手段とか経路を使って、分からないような形でいろいろなところで我が国に対して攻撃をしかけてくることは当然あり得るし、もう既に病院等も含めていろいろなサイバー攻撃が現実に起こっているわけですけれども。

 例えば、三点ほど例示をしますけれども、一点が、交通信号のシステムを大幅に混乱させるような事態を生じさせること。二番目に、一般の方々が銀行預金を引き出し得ないような、銀行の預金引き出し業務に深刻な障害を与えること。三番目に、原発を含む発電所運営業務に深刻な打撃を与えたりするような場合。もちろん、その場合は機能回復というのが一番火急なことなんですけれども、テロ行為者の特定とか、あるいは報復、あるいは予防、又は抑止力というものを維持する観点から、当該の敵対国に対してどのような対応が取り得るのか、あるいは現時点では取り得ないのか。

 その辺について、私、昨年十一月の総理との質疑でも言ったんですけれども、そこについて非常にサイバー攻撃の大きな打撃力というのを重視しておりますので、今の質問に対して、政府参考人で結構ですから、お答えください。

小柳政府参考人 お答え申し上げます。

 近年のサイバー空間における厳しい情勢を踏まえれば、我が国のサイバー安全保障分野での対応能力を向上させることは喫緊の課題でございます。

 政府といたしましては、昨年十二月に閣議決定した国家安全保障戦略におきまして、武力攻撃に至らないものの、国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがある場合、これを未然に排除し、また、このようなサイバー攻撃が発生した場合の拡大を防止するために能動的サイバー防御を導入することといたしております。

 この中で、御指摘の交通、銀行、電力等の重要インフラ分野を含め、民間事業者等がサイバー攻撃を受けた場合等の政府への情報共有や、政府からの民間事業者等への対処調整、支援等を強化するなどの取組を進めてまいります。

 また、御指摘の予防等の観点につきましては、国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃について、可能な限り未然にサーバー等への侵入、無害化ができるよう、政府に対して必要な権限が付与されるようにすることとしております。

 さらに、同盟国、同志国等と連携した形での情報収集、分析の強化、攻撃者の特定とその公表などに取り組むことといたしております。

 今後、国家安全保障戦略のこうした内容の着実な実施が図られるよう、具体的な取組内容について、スピード感を持って検討を進めてまいります。

末松委員 今の現状についてはいかがですか。方針については分かりましたから。

小柳政府参考人 現状につきましては、例えば、重要インフラ等につきまして政府等が一定のバックアップ等を行っているところでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、近年のサイバー空間における厳しい情勢を踏まえますと、更なる対応能力の向上が喫緊の課題と考えておりますので、先ほど申し上げたような措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。

末松委員 なかなか現状は厳しい状況だというのは分かりますけれども、例えば、国際的に、そういったサイバー関係の攻撃に本当に遭って、そういう国際的なボディーというんですか、協議会のようなものというのは今つくられているんですか。つくられているやにも報道もありましたけれども、その辺はどうなんですかね。

小柳政府参考人 現時点、国際的には、例えば各国とのバイでの情報交換、あるいは様々なマルチでのその場での情報交換や協力、さらには訓練の実施等が行われているものと承知しております。

末松委員 これも、要するに、我が国の経済とか日本人の生活を大きく脅かすものに対しては、武力攻撃ではないにしても、サイバー攻撃でそこをやれるというのは、本当に武力攻撃の前の着手と同じような対応をしていいんじゃないかと私は思っているんですよね。

 ですから、そういうサイバー攻撃に対する抑止力というものをしっかりとこの国に位置づけて、そして、テロ行為者の特定とか、かなりそこは技術的な問題もありますけれども、いや、日本は報復してくるから怖い国なんだぞというふうに示しておくことも極めて重要だと思うんですけれども、そこについてはいかがですか。

小柳政府参考人 国家安全保障戦略では、同盟国、同志国等との連携による情報収集、分析の強化や、攻撃者の特定とその公表のための取組を進めることといたしております。

 また、国や重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃への対応につきましては、可能な限り未然にサーバー等への侵入、無害化ができるよう、法制度等の整備を行ってまいります。

 こうしたことにより、一定の効果が得られるものと考えております。

末松委員 そこは本当に、今、組織替えもあって、移行期ということで、なかなか脆弱な体制しか取れないのかもしれませんけれども、日本人の生活を守るために、本当にしっかりそこは頑張っていただきたいと思います。

 次の質問に参ります。

 次は、反撃事態の際の政府の対応ということなんですけれども、敵対国より我が国に対する武力攻撃が発生した場合なんですけれども、そのときに、日本政府の方で、これは反撃を行うんだということを明らかにしてきました。そのときの政府による緊急事態対応の法的位置づけについて問いたいと思います。

 まず、もし日本に対して武力攻撃が生じたといった場合、これは昔流の戦争宣言というのかな、我が国は戦闘行為の中に今は入ったんだというような戦争宣言、こういったことは、もう今の現状ではないんでしょうか。

秋本大臣政務官 適法な戦争開始の手続といたしまして、宣戦布告に関する伝統的な国際法規は、戦争が違法でないことを前提としていた時代の国際法規でございまして、武力の行使が一般的に禁止された国連憲章の下ではこれが適用される余地はないものというふうに思っております。

末松委員 では、戦争宣言みたいなことはもう、これは今の世の中はないんだということなんですね。

 確かに、私は、イラン・イラク戦争と言われたときに、戦争という言葉は使わずに、イラン・イラク紛争とか、いろいろな、ウクライナ紛争とか、戦争という言葉がなくなってきたのを感じるんですけれども。

 戦争宣言というものがもしあったとしたら、これは日本国憲法との間で大きな矛盾も生じるんでしょうけれども、憲法上の、戦争宣言なるものの法的根拠というのはどういうふうに考えられますか。法制局、よろしくお願いします。

近藤政府特別補佐人 お尋ねの、相手国との関係においていかなる措置を取らなければいけないかというのは、国際法上の本来問題でございますが、先ほど外務大臣政務官の方の答弁にございましたように、宣戦布告に関する伝統的な国際法規というのは今は適用される余地がないということでございますので、憲法上の根拠という問題にはそもそもならないというふうに思っております。

末松委員 ということであれば、政府が国民に発表するのは、武力攻撃事態に入った、そういった発表になるんでしょうか。

青柳政府参考人 一般論として申し上げれば、いかなる事態が武力攻撃事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府といたしましては、その持ち得る全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することになります。

 その上で、手続について申し上げれば、武力攻撃事態に至ったときには、事態対処法第九条に基づき、政府は、事態が武力攻撃事態であることの認定などを記載した対処基本方針案を作成し、国家安全保障会議の審議を経て閣議決定をし、これについて、直ちに、国会の承認を求めることとされております。そして、当該対処基本方針案の閣議決定があったときには、直ちに、これを公示して周知を図ることとされております。また、その国会承認があったときは、直ちに、その旨を公示することとされております。

末松委員 そうすると、最近Jアラートが鳴ったという、北海道に北朝鮮のミサイルが落ちるといった場合、もし、これが仮に、実際に北海道に、大地に当たったとかあるいは領海に落ちたとかそういった場合であっても、直ちに武力攻撃事態と認定することではないと。北朝鮮が、技術的なミスであそこに当たったんだとかいう理由とか、そういうふうな何か言い訳があれば、それは武力攻撃事態には当たらない可能性もあるということでいいんですか。

青柳政府参考人 御指摘のような、北海道に着弾していた場合といった仮定の御質問についてお答えすることはなかなかできない、難しいということは御理解いただきたいと思いますけれども、その上で申し上げれば、先ほども申しましたように、いかなる事態が武力攻撃事態に該当するかについては、その時点におきます国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等を踏まえ、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府といたしまして、その持ち得る全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるため、一概に申し上げることは困難であるということでございます。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、厳しさを増す安全保障環境の中で、いかなる事態においても我が国領土、領海、領空、国民の生命財産を守り抜いていくため、引き続き、あらゆる努力をしてまいりたいと考えております。

末松委員 では、結構そこは、政府は、検討する時間と、それからそういった判断するための仕組みが重要だということですよね。分かりました。

 最後に、もし武力攻撃事態が発生したと政府が認定した場合には、当然のことながら、日米安保条約の第五条ですか、これを発動させることになるんでしょうか。

秋本大臣政務官 我が国及び米国は、日米安全保障条約第五条に基づき、我が国の施政下にある領域において、いずれか一方に対する武力攻撃が発生した場合、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処することとなります。

 米国は、累次の機会に、日米安保条約の下での自国の対日防衛義務を確認してきており、このことは、本年一月の日米首脳会談及び日米2プラス2においても米国側から改めて表明されたところでございます。

 日本政府として、米国が条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いております。

 また、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、日米間では、同盟調整メカニズムを通じたものを含め様々なレベルで、日頃から緊密な、かつ幅広い意思疎通を行っておりまして、同盟の抑止力、対処力強化に向けた様々な取組を行っております。

末松委員 時間が来たので、これで終わります。

 しっかりと頑張ってください。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問の方に入らせていただきます。

 まず、日銀の量的金融緩和についてお聞かせ願います。

 二〇〇一年三月十九日の日銀の金融政策決定会合ですが、この会合には、植田総裁は審議委員として出席しておりました。この会合では、最初に、小規模の量的金融緩和を始めることの是非が話し合われていたんですけれども、植田総裁はこのとき、金融緩和を始めるに当たって、しかし、我々としてもその出口となるストラテジーがないとおっしゃっています。

 二〇〇一年には見つけることができなかった金融緩和の出口のストラテジーを、植田総裁は、二十二年たった今、果たして見つけ出すことができたのでしょうか。お答えください。

植田参考人 お答えいたします。

 日頃、私どもが申し上げておりますとおり、物価の見通しにおいて持続的、安定的に二%が達成されるという見通しに至りましたならば、現在の長短金利操作をやめ、それとともに、その後、バランスシートの縮小という作業に取りかかっていきたいというふうに思っております。

藤巻委員 植田総裁は、現在、期待インフレ率が上がって景気は十分よくなっている、そういうような認識をお持ちなのでしょうか。

植田参考人 期待インフレ率に関するまず御質問だったと思いますが、このところ、企業、家計、あるいはエコノミストを問わずしばらく上がってきまして、今、大体高止まりの状況というふうに認識しております。

 景気の方は、既往の資源高の影響を受けつつも持ち直しているという状態であるというふうに考えてございます。

藤巻委員 先ほど申し上げた小規模の金融緩和を始めることの是非を議論した金融政策決定会合、このとき、植田総裁はこうも言っています。

 期待インフレ率が上がって金利が上がっていったり、景気がよくなっていくとすればいいけれども、ならないと地獄になると。地獄、かなり強い言葉なんですけれども、その直後にも、武富審議委員は、そう、地獄だというふうに呼応しております。

 金融緩和をずっと続けているにもかかわらず、今、景気、十分にはよくなっていないと思うんですけれども、植田総裁が以前言われた地獄というのは目前に迫っているのか。このとき言われた地獄というのは一体どういう状況を示していたのでしょうか。発言の御真意をお聞かせ願えればと思います。

植田参考人 二十数年前のことでございますが、思い出してみますに、私が考えていたのは、量的緩和を続けても経済あるいはインフレ率が目に見えては上がっていかないという場合に、それでも量的緩和を続けざるを得ないであろう、それゆえにインフレ率も上がっていかないということが続くとなかなか苦しいのではないかということを思っていたのだと思います。

 ただ、御質問に含まれていたかどうかあれですけれども、ここ十年は、その後、長期国債の大量の買入れということも含む量的緩和を続けた結果、デフレではない状態をつくり出してきている。持続的、安定的な二%にはまだ足りませんけれども、そういう意味で、量的緩和政策がある程度、その後の様々な措置も相まって、利いている状態にはあるというふうに考えてございます。

藤巻委員 これはでも、当初は二年間で二%を達成してそこで終わるというようなのが黒田前総裁の思いだったと思うんですけれども、量的金融緩和を今まで十年間続けて、それでも景気が、期待インフレ率もよくならず、十分、CPIも二%を達成していないということで、まだまだ続けると総裁はおっしゃっているんですけれども、これはまさに二十二年前に植田総裁がおっしゃられた、金融緩和を十年間続けてもまだ続けざるを得ないこの苦しい状況というのが、それがまさに今なんじゃないでしょうかね。そこについてはどうお考えでしょうか。

植田参考人 この間、十年もかかってもまだ二%に行かないという点に関しましては、短期金利、長期金利も含めてでありますけれども、ゼロより余り下には引き下げることができないということであったり、様々な外的ショックが日本経済を襲ったということが大きかったと思います。

 それでも、先ほどちょっと申し上げましたように、インフレ期待も含めまして、基調的なインフレ率にはある程度よい芽が出てきているというのが現状であるというふうに考えてございます。

藤巻委員 分かりました。

 続いて、今おっしゃったように、金融緩和を続けていく、その強い意思を総裁お示しになるたびに為替相場というのは円安に振れています。これは、日米金利差が拡大していく、あるいは縮小しないということでは、ですから、まあ当たり前といえば当たり前なんですけれども、金融緩和を続ける、そういった意味において、植田総裁としては、円安はやむなしというような認識でいらっしゃるのでしょうか。

植田参考人 先行きの為替相場につきましては、私の立場から具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。

 為替につきましては、ファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが極めて重要と考えてございます。

藤巻委員 言及できないというのはもちろんだと思うんですけれども、事実として、総裁が金融緩和を続けるという意思を示すたびに円安に振れているという事実もありますので、そこはしっかりと御認識、当然しているとは思うんですけれども、いただければなと思っております。

 続いて、CPIの方。

 総裁は、四月二十四日の衆議院決算行政監視委員会で、生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価指数が二〇二三年度後半には二%を下回っていくというふうに話されました、これはいつも話していると思うんですけれども。ちなみに、ここ半年は、二〇二二年十月は二・二%、十一月は二・四%、十二月は二・七%、二三年一月は三・〇、二月は三・一、三月は三・四、そして四月は三・八と、これは着実に上昇していっております。

 これは日本だけというわけではなくて、世界中でインフレは進んでおります。アメリカでも金融システムリスクを背負ってまでインフレを抑えるのに四苦八苦しているわけであるんですけれども、日本だけが、ほっておけばインフレは収まると、そういうふうに総裁がお考えになるのは、一体どういう根拠があるのでしょうか。

植田参考人 お尋ねの、生鮮食品及びエネルギーを除く部分のインフレ率の推移及び今後でございますけれども、ここは、私どもとしては、基本的には、これまでの上昇の主因は、輸入物価の上昇を起点とするコストプッシュ要因であるというふうに思ってございます。

 このところ、国際商品市況は下落し始めておりますし、輸入物価の前年比もプラス幅が着実に縮小しているということですので、こうしたコストプッシュ要因がだんだん減衰していくというふうに見ております。それを主因といたしまして、今年度半ばにかけてインフレ率はプラス幅が縮小していくというふうに考えてございます。

藤巻委員 これはいつものお答えというか、ある意味、日銀の展望レポートに書いてあるそのもののお答えを、こう思っているというふうに言われたら、こちらとしても、まあ、そうですかというふうにしか言えないところもあるんですけれども。

 私は、日銀展望レポート、これはある意味、日本経済に対する元凶という部分もあるのかなというふうに思っております。先ほども言ったように、結局、この委員会であったり、それから、ほかで様々な議論をしても、最後は、我々はインフレは収まると予測している、日銀展望レポートにもそう書いてある、予測してあるというふうに、ある意味、議論を打ち切られてしまうわけです。

 当委員会においても、あるいは金融政策決定会合においても議論のベースとなっているこの日銀展望レポート、これは本当に信用に足るものなのか。ある意味、本当に金融政策の行く末を、ひいては日本の経済の行く末を任せていいものなのか。

 この展望レポート、日銀のどの部署がどの程度の人員で、どのような経緯で作られたものなのでしょうか。

植田参考人 展望レポートでございますけれども、言うまでもなく、政策運営に当たっては、経済、物価の先行きの見通し及びリスク要因を点検しつつ進むということが重要でございます。こうした政策判断の背景にある経済、物価情勢に関する見方を日本銀行が対外的に分かりやすく説明するために作成しているものでございます。

 作成に際しましては、九名の政策委員が実質GDPと消費者物価の前年比の見通しを提出するとともに、その背後にある考え方やリスクの評価を含め、経済、物価見通しについて議論を行っております。これを基本的見解という文書として取りまとめ、決定会合で議決の上、会合終了直後に公表しておるところでございます。

藤巻委員 先日の決算委員会で階委員も、展望レポートじゃなくて願望レポートなんじゃないかというふうにおっしゃっていましたけれども、私も、これは昔からよく言われていることではあるけれども、同じような意見でして、私は、日銀展望レポートじゃなくて、これは日銀忖度レポートなんじゃないかと。日銀上層部であったり審議委員会はきっとこういう金融政策でいきたいのだろう、だから、こういう見通しを書いておけば、それに沿った展望レポートを書ければ御満足いただけるんじゃないか、そうやって日銀内部で忖度して作られたレポートがこの日銀展望レポートなんじゃないかというふうに思うんですけれども。

 ある意味、この日銀展望レポートの見通しを基に金融政策を決めているわけです。もはや金融政策の行く末を決める重要文書とも言えるんですけれども、これは本当に、展望レポート、高い独立性だったり高い客観性、そういったものは本当にちゃんと担保できていると明言できますでしょうか、総裁。

植田参考人 経済予測、見通しは、どんな専門家が行っても非常に難しいものでございます。

 私どもの展望レポートについてもう少し詳しく申し上げれば、その作成に当たりましては、日本銀行の様々な部署がその専門の分野について調査分析を行って政策委員に報告するということをまず行います。その上で、政策委員は、それをベースに自分の考え方をまとめ、さらに、事務方のサポートも受けつつ展望レポートの基本的見解として取りまとめるという作業を行ってございます。

 ですので、日本銀行に古くからある様々なノウハウに加えまして、外部から来ていただいている政策委員の方々の知見も加えて、できる限りの見通しを作っているというのが現状でございます。

藤巻委員 物価の見通し、これは確かに難しいのはよく分かるんですけれども、さっき言ったように忖度だったり願望だったり、そういったものが含まれないように、高い独立性、客観性、これはしっかりと守られていくように、そこはしっかりと心がけていっていただきたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、資産価格に関連してお尋ねいたします。

 不動産経済研究所が四月十八日に発表した新築マンション価格なんですけれども、三月の首都圏の新築マンション価格は平均で一億四千三百六十万、これは前年同月比の二・二倍です。東京二十三区に限定すると、マンションの平均、何と二億一千七百五十万円、前年同月比で二・七倍。前年同月比二・七倍で二億円超え、これはもう普通の状況じゃないとは思っているんですけれども、もはやバブルなんじゃないかというような懸念すら浮かんできております。

 これも四月二十四日の決算委員会で、階委員からの同様の質問に対して、このデータについて、総裁、精査していないというような答弁でしたのですけれども、その後、精査されたのでしょうか。この不動産価格の尋常ならざる上昇、これはどう分析されているんでしょうか。

 総裁のおっしゃる建設コストの上昇というレベルのものではないんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

植田参考人 東京の三月分の議員御指摘のマンション価格の急上昇については、その後、私の方でも分析いたしました。

 その結果、分かりましたこととしては、非常に高いマンションが、個別要因として、この月、販売されたということが大きく利いているというふうに理解いたしました。

 ただ、それを除いた場合でもある程度上昇しているということは、あるいは趨勢として上昇を続けているということは事実でございます。

 ただ、その趨勢の部分につきましては、経済活動の水準との対比で見て、明確な割高感がまだ確認されているという状況ではないというふうに判断してございます。

藤巻委員 明確な割高感というのは確認できるような数字かなと私自身は思いますけれども。

 バブル当時、バブルのとき日銀総裁を務めていた澄田氏なんですけれども、「真説バブル」という本で、後世にこういった言葉を残しております。

 確かに、八七年頃から東京の地価は二桁の上昇率を示し、株価もかなり速いペースで上昇していました。それなのにすぐ金利引上げを実行しなかったのは、後から考えると、認識が不十分だったと答えるしかありません。そもそも、消費者物価などの指標が余り過熱していないのにもかかわらず、後にバブルと呼ばれる資産価格だけが上昇する現象は日本では初めてのことで、世界でもそれまで指摘されていなかった現象でした。澄田日銀前総裁は、こういうような言葉を残しているんですけれどもね。

 この言葉を踏まえても、今は何もしない、静観する、注視する、その選択で本当にいいのでしょうか。バブルをもう引き起こすことはないというふうに明言できますか。

植田参考人 インフレ率の動向が一方にあり、もう片方で資産価格の動向があり、資産価格の動向に対する注意を怠り、例えば、消費者物価指数の動向だけを見ていることによってバブルを拡大させ、それが、その後崩壊することによって経済に大きなダメージを及ぼしてしまうということは、日本経済として経験していることでございますので、こういうリスクについてはもちろん注意深くウォッチしつつ、金融政策について判断してまいりたいと考えております。

藤巻委員 バブルを繰り返さない、失われた三十年間を繰り返さないというのは、日銀総裁としての大きな使命の一つだと思いますので、そこは責任感を持ってしっかりと対応していただければと思っております。

 続きまして、防衛関係でちょっと質問させていただきたいんですけれども、次期主力戦闘機開発についてお伺いいたします。

 昨年十二月、日本、イギリス、イタリアの三か国は、共通の機体を共同で開発すると発表しました。日本の防衛力を高めるために日本製の主力戦闘機を、三か国の共同とはいえ自国で製造することは、防衛面ではもちろんのこと、技術の国際競争力の面でも歓迎すべきであると思っております。

 この次期主力戦闘機開発の現状及び今後の見通しについてお答えいただければと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 次期戦闘機の事業につきましては、まず、二〇二〇年十月、岸前防衛大臣の下、国際協力を視野に、我が国主導の開発を開始したところでございます。

 以降、国際協力の在り方を検討し、昨年十二月九日に、次期戦闘機の開発につきましては、日本、イギリス、イタリアの三か国の国際共同開発をする旨公表いたしました。

 本年三月十六日には、イギリスのウォレス国防大臣、イタリアのクロゼット国防大臣を東京に招きまして、日本で、東京で初の日英伊防衛相会談、三か国会談を行いまして、防衛相防衛会談の中で、二〇三五年までの開発完了を目指す、このための三か国の結束と開発に向けた強い意思を確認したところでございます。

 防衛省といたしましては、我が国の改修の自由や高い即応性を実現する国内生産、技術基盤を確保しつつ、二〇三五年度までに最新鋭の次期戦闘機を配備できるよう、三か国の政府及び企業と緊密に連携し、開発に着実に取り組んでまいります。

藤巻委員 先ほども言ったように、この計画、三か国の共同開発ではあるんですけれども、当初、予算をかけて開発したとしても、新たな技術だったり、最先端技術を取得して国際競争力がつくのであれば、重要分野を多く担当すべきとも思います。また、グローバルに活躍できる高度な技術を扱うエンジニアの育成、輩出も期待できるところではございます。

 この三か国での開発の分担であったり、特に重要分野での分担というのは、今後どうなっていく見込みなのでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の次期戦闘機の共同開発に係る作業分担につきまして、まさに今現在、三か国政府間で鋭意検討中でございます。

 防衛省といたしましては、我が国の改修の自由度あるいは高い即応性を実現する国内の基盤を確保する、そして、国際共同開発でございますから、日英伊三か国間の優れた技術を生かしたいと思っております。

 その際、当然、我が国産業が有する技術を最大限生かせるような形で国際共同開発に取り組んでまいりたいと思いまして、今現在協議を行っている、そういう段階でございます。

藤巻委員 インターネットも携帯電話も、元をたどれば軍需産業から派生したものというふうに言われております。この次期主力戦闘機開発も、軍事のみならず、ほかの分野の技術革新につなげていくこと、そういうことも想定されておるのでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 今取り組んでございますのは次期戦闘機でございますが、例えば、委員御指摘にありましたように、この一つ前の戦闘機でございますが、F2の戦闘機におきましては、例えば、一体成形複合材、こういった新技術を採用いたしまして、これは民間の航空分野でも採用された、このように波及効果が非常に高い分野でございます。

 我々といたしましても、こういった国際共同開発を通じまして、委員御指摘の、国際的に活躍できる次世代エンジニアの育成、そしてサプライチェーンの強化等を図りまして、そして、それが防衛産業はもとより民間の分野に、産業分野全般への幅広い波及効果を、このように期待していきたいと考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 軍需産業に限らず、様々な技術革新、そういったものは進めていただければと思います。

 もうちょっとだけ時間がありますので、最後に一問、植田総裁にお聞きいたします。

 米国では、シリコンバレー銀行、それからファースト・リパブリック銀行などが危機に陥りました。これは、十年物の長期金利が〇・六から四%近く上昇してこの問題が起きたわけであります。

 一方で日本では、日銀が四月二十一日に発表した金融システムレポートで、金融システムは全体として安定性を維持していると言っております。しかし、それは長期金利が〇・〇%から〇・五%程度にしかまだ上昇していないからそういったことが言えるのではないでしょうか。これは一%とか二%に仮に上昇しても本当に大丈夫と言えるのでしょうか。

 これは、報道によると、地銀が保有する国債の含み損は二〇二二年十二月末時点で一・四兆円です。これは同年の九月末から倍増したわけでございます。

 日銀が長期金利の上限を〇・二五%上げただけで損のこの膨らみようというわけでございますが、今後、仮に更に金利が上昇しても問題は起こらないと。地銀の含み損、どういうふうになっていくのか、これは総裁の見解をお伺いいたします。

植田参考人 お答えいたします。

 金利リスクの話ですけれども、私どもでもいろいろなストレスシナリオを想定しまして、シミュレーションをしてございます。ある程度の金利上昇が起こった場合、それも海外で起こった金利上昇からくる評価損も考慮に入れた上でということですし、あるいは、更に悪い場合として、金利のカーブが逆イールドになる、つまり、短期、中期ゾーンの方が長期よりも上がってしまう、これは金融機関収益には悪いわけですが、そういうケースも想定しまして様々な計算を行っていますが、相当程度の金利上昇に耐え得る資本基盤を全体として金融機関が有しているという結論を得ているところでございます。

藤巻委員 時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

塚田委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 本日も質疑のお時間をいただき、誠にありがとうございます。

 本日は、租税特別措置の再質問となります。それから、日本銀行から植田総裁への質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 お時間、二十五分間でございます。

 それでは、まず最初に、租税特別措置について再度伺います。

 私は、四月十八日、当委員会におきまして、増税の実施時期を柔軟に判断していくということならば、その検討期間中に、是非とも租税特別措置の見直しであるとか、また精査を行いまして、法人税の増税をできるだけ行わないようにするべきではないかと質問をしております。

 そして、法人税関係の租税特別措置については、数にして百に満たないということでございます。財務省もまた適用実施の調査も行っているということですから、ここも是非、行政事業レビューを活用したりして、項目ごとに有識者の所見を追加をしていただくであるとか、また透明性の向上や効果の検証を行うべきではないでしょうかと質問をしました。

 鈴木大臣が重要としている、租税特別措置、これは真に必要なものに限定するということにも近づくのではないでしょうか。租税特別措置の項目の見直しはもちろんのことですし、また、特別措置に係る減収分も減らしていくということ、これは、できれば国にとって増収となるはずですよね。

 ということで、政府も徹底した歳出歳入改革を主張しているわけですから、増税に頼らない状況をつくっていくように実行を続けていただきたいという趣旨で再度質問をしております。

 そして、四月の二十五日、同じく当委員会において、令和五年度税制改正による増減収について、井上副大臣からは、新設については一件あるとお答えをいただきました。また、増減収については、成長と分配の好循環に向けて、研究開発や人への投資など、現下の課題への対応のために税制措置を盛り込んだ結果、百十億円の減収になっていると御答弁をいただいております。

 昨日、レクで私も確認をしましたところ、この新たな一件に関しましては、この措置によってプラスマイナスはほとんどないということでございました。二十三の措置を廃止又は縮減をしたのですから、新設分は除いたとしても、本来は減収ではなく増収になっていくのではないかと思っておりましたが、結果は百十億円の減収になったということで、少々違和感があるわけです。

 そこで、この点、租税特別措置における歳出歳入改革の実行と、成果を出す改革、再度、政府の今後の取組の姿勢についてお示しをいただきたいと思います。井上副大臣、お願いいたします。

井上副大臣 御質問ありがとうございます。

 四月の十八日、二十五日、御質問をいただきまして、それに対しての答弁をさせていただきましたけれども、また同じような答弁になろうかというふうに思いますが、お答えをさせていただきたいというふうに思います。

 まず、租税特別措置につきましては、特定の政策目的を実現するために有効な政策手法となり得る一方で、税負担のゆがみを生じさせる面がありますから、必要性や政策効果を見極めて、真に必要なものに限定していくことが重要だというふうにまず考えております。

 そのために、毎年度の税制改正プロセスにおいて制度の改正や延長を要望する場合には、まず要望省庁において、租特透明化法に基づく適用実態調査や、その調査結果や総務省の政策評価等も踏まえて、その必要性や政策効果について適切に評価するなど、しっかりと説明責任を果たしていただくことが重要だというふうに考えております。

 委員から御指摘の、外部有識者といった御提案をいただいておりますけれども、これについては、有識者で構成される政府税制調査会におきましても、租税特別措置に関しては、ゼロベースでの見直しなどを含めた様々な御意見をいただいておりまして、こうした議論も踏まえつつ、今後とも不断の見直しを行ってまいりたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、井林委員長代理着席〕

岬委員 副大臣、ありがとうございます。

 やはり、やるからには、その実行が成果、効果がある改革へとつなげていただきたいと思いますので、不断の見直しということですから、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、ここからは日本銀行の植田総裁に質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 四月二十七、二十八日に、植田総裁の就任後初めて金融政策決定会合が開催をされました。大変注目も高まっております。新総裁の候補者として植田総裁の名前が報道されたときから、植田総裁は金融緩和を継続することが適切だと示されています。マクロ経済学者としての発言ともありまして、市場関係者の間では政策修正の観測が根強く、とりわけ、イールドカーブコントロールの修正や撤廃の可能性にも注目が集まりました。

 今回、新たに金融政策について多角的なレビューを行うということが明らかにされています。

 過去にも日銀は、黒田前総裁の下で政策検証を行っています。例えば、二〇一六年九月には、総括的検証ということで、量的・質的金融緩和導入以降の経済、物価動向と政策効果についての総括的な検証、次に、二〇二一年の三月には、点検ということで、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検です。

 今回の多角的レビューでの明らかに異なる点といいますと、やはり対象とする期間ではないでしょうか。過去の今申し上げた総括的な検証や点検の対象は、いわゆる異次元緩和の期間という比較的短期間であったと分析をされたと思われます。政策の修正が必要かどうかを検証、点検する性質のものであったと認識をしております。

 今回のこの多角的レビューでは、現在の日銀法が施行されました一九九八年以降、長期間が検証の対象となっております。当時、植田審議委員が解除の際に反対票を投じられたというゼロ金利政策の時期、一九九九年から二〇〇〇年も含めまして、植田総裁が審議委員であった一九九八年から二〇〇五年も対象の期間となっています。

 ここで、今回の多角的レビューの対象を二十五年という四半世紀にわたる長期間にした理由は何なんでしょうか。あわせて、総括的な検証、点検と今回のレビューとの趣旨や狙いの違いについて教えてください。

植田参考人 お答えいたします。

 今回、多角的レビューを実施することといたしました背景でございますけれども、我が国経済がデフレに陥ったのが一九九〇年代後半になるかと思いますが、その後、大まかに二十五年間、物価の安定の実現が課題となったままでございます。ということが一番大きなポイントかと思います。

 この間、様々な金融緩和政策が実施され、それが日本経済のいろいろな分野に影響を及ぼしてきたわけです。今回のレビューでは、そうした影響、あるいは各分野間、そして政策との相互関係を念頭に置きつつ、この間の金融政策運営について更に理解を深めて、将来の政策運営にとって有益な知見を得ることを目指しております。

 そうした観点からは、個別の政策判断を取り上げてその妥当性を議論するというよりも、日本経済が今申し上げましたようにデフレに陥り非伝統的な金融政策手段に踏み込んでいった九〇年代後半以降の二十五年間全体を見て多角的にレビューすることが適当と判断いたしたところでございます。

    〔井林委員長代理退席、委員長着席〕

岬委員 ありがとうございます。

 いわゆる肝煎りの試みであるのではないかと考えます。植田総裁の考え方が強くここに込められているのではないかと思われます。

 このレビュー、今おっしゃったように、非伝統的金融政策が、期間を区切った短期間、短期的な効果をどのように発揮していたか、また逆に、どのような副作用を有していたかを見ることも側面にあるのではないでしょうか。中期的な日本経済の構造的な面に対しまして、果たしてプラス若しくはマイナス双方でどのような影響をもたらしていたのか等、様々な視点から長期間にわたって分析をされたいということだと思われます。

 この非伝統的な金融政策の副作用についても、これを含め、どのようにこれから具体的に検証をして、こちらにしっかりと目を向けていかれるのでしょうか。いま一度、その辺りを明確にお願いできますでしょうか。

植田参考人 申し上げましたように、今回のレビューは、個別の政策判断について一つ一つその妥当性を議論するという目的で行うものではございませんが、将来の政策運営にとって有益な知見を得られますよう、様々な政策の効果だけでなく、副作用についても幅広く点検していくつもりでございます。

 その上で、具体的にどういった論点を取り上げるかという点につきましては、潜在的に論点が多岐にわたり得るために、あらかじめ議論の範囲を限定することなく、実際にレビューを進めながら考えていく方針でございます。

岬委員 ありがとうございます。そうすると、やりながら検証していくと。

 今明確に分かったことは、やはり効果だけではなく副作用の部分にもしっかりと目を向けていくということだと理解をしております。よろしくお願いいたします。

 次に、このような学術的なレビューをする際に、やはり一番重要な点は、中央銀行側に偏ったりすることなくニュートラルに、この視点は非常に重要だと思います。

 植田総裁はなるべく客観性を担保できるやり方で進めたいともおっしゃいましたが、御自身も過去、この緩和策に深く関わってこられたわけです。レビューの信頼性をいかに確保していくか、そして客観性を確保していくかということは、課題の一つになるかと思われます。

 客観性をいかに確保していくかということと、このレビューの在り方について、植田総裁、いま一度、お考えをお聞かせください。

植田参考人 議員おっしゃいますように、客観性あるいは透明性の確保は非常に重要なものと考えてございます。

 そのための方策でございますけれども、一つには、随所で外部の識者あるいは専門家を交えたワークショップのようなものを開催するということを考えてございます。また、私どもが全国各地を訪れまして、金融経済懇談会という場を設けまして各地の方々と意見交換を行うということをしておりますが、こういう場も活用しながらレビューを進めていく、あるいはレビューに対する批判を頂戴するということも考えてございます。

 さらに、随所で、途中段階であっても、ある程度の結果がまとまりましたらそれを公表し、これに対してまた御意見、御批判をいただくということもやっていきたいというふうに考えてございます。

岬委員 ありがとうございます。

 外部とのワークショップであるとか、全国の懇談会で意見交換をするとか、大変地道な作業になるかと思われますが、是非とも最後まで、成果が出るように、よろしくお願いいたします。

 この検証と政策変更との関係についても伺っていきたいと考えます。

 総括的検証の際には、公表と同時にイールドカーブコントロールの導入がなされ、また点検の際には、イールドカーブコントロールの運用の見直しがされました。これは比較的短期間の分析であったことと考えられますが、他方で、今回のレビューについて、植田総裁は、目先の政策変更に結びつけて何かやるというわけではございませんと、今の答弁と重なるような発言もされていらっしゃいます。

 一方、決定会合の後、会見では、今回のレビューは一年から一年半かけて行い、結果はまとめて公表するのではなく随時公表するとも言われました。加えて、総裁の任期というところに着目をしますと、五年であるということで、念頭に、任期中に結果を出して、そして残りの任期で更に役立てていきたいということも発言をされています。

 レビューの中核は副作用の分析となりまして、その上で、この副作用をいかに軽減していけるのかという形、金融政策の枠組みの変更が行われるのではないかという見方もございます。

 これらの点を踏まえまして、レビューの結果、トータルとして副作用が効果を上回っている場合はもちろんのことなんですけれども、副作用を軽減するための政策修正については、どのように総裁はお考えでいらっしゃいますでしょうか。

植田参考人 これは先ほどの答弁とちょっと重なりますけれども、今回のレビューは、あらかじめ特定の政策をどう見直すかということを念頭に置いて実施するものではございません。少し中長期的な観点から、我々が行ってきた政策運営、あるいは将来やるかもしれない政策運営、これについて効果や副作用を含めて幅広く点検するということでございます。その上で、そこで有益な知見が得られれば、将来の時点でそれを政策運営に反映させていくということはもちろんでございます。

 ただ、御質問の中に、もう少し手前の段階で何か効果、副作用の分析が必要になってというようなところも含まれていたかとも思いますので、それに関して申し上げますと、それは、先ほどこれも申し上げましたように、毎回の金融政策決定会合に臨む際に、それぞれについて、必要な効果、現在行っている政策についての効果や副作用の分析を随時行った上で政策決定につなげていくということは同時に続けていきたいというふうに、もちろん思ってございます。

岬委員 ありがとうございます。

 一方、デフレだった過去を分析することというのは経済学者としては意義があるかもしれませんが、市場が関心を持っているのは、そこというよりは、大規模緩和の修正や、また副作用の是正に日銀がどう取り組んでいくかというところだという意見も出ております。

 レビューを一年から一年半かけて実施した結果、随時公表されまして、総裁の五年という任期を考慮して、自らが総裁の間に政策修正に動いていくという意思の表れではないかと思われます。是非、積極的な取組のほど、よろしくお願いいたします。

 それでは次に、賃上げについて伺っていきます。

 連合の四月十一日時点の集計によりますと、二〇二三年春闘での平均賃上げ率は約三・七%で、三十年ぶりの高さを誇りました。また、二三年度後半には実質賃金上昇率がプラスに転じるという予測もございます。

 また、今回の決定会合の声明文では、フォワードガイダンスに係る部分で、「賃金の上昇を伴う形で、二%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく。」とされました。賃金の上昇というところが明示されたということです。

 これまで賃金に関して言及するということはあれど、声明文に明記されたということは今回が初めてではないでしょうか。賃金上昇を重視して、またその動向を注視していくという日銀の声明を改めて明確に打ち出したということが受け取れます。

 一方、足下で広がる賃金の動きは追い風ではあるが、その勢いがどこまで持続することができるのか、将来の金融政策の正常化にとっても鍵になるという指摘もあります。

 また、五月二日の読売新聞によりますと、日本銀行は五月一日に、経済・物価情勢の展望、展望レポートにおいて、「賃金と物価が高まり合う経済の好循環の兆しがあるとの見方を示した。」とありますが、現況の賃上げの流れと、一過性にとどまることなく持続できるのか、今後の見通しについて、見解をお聞かせください。

植田参考人 議員御指摘のように、今年の春闘、春季労使交渉においての回答状況を見ますと、ベースアップを含め、昨年を大きく上回る賃上げの回答を行う企業が多くなってございます。その背景としては、労働需給が引き締まる下で、人材確保を念頭に、これまでの物価上昇を賃金に反映する動きが広がっていることも影響していると考えてございます。

 先行きについては、経済活動が改善を続けていく下で、労働需給の引き締まりが続いていくこと、あるいは、これまでの物価上昇を反映して賃金上昇率は基調的に高まっていくと考えてございます。

 ただ、こうした見通しに関連する不確実性はいろいろあるというふうにも考えてございます。中小企業への広がり、あるいは来年以降の賃上げの持続性、こうしたものにつきまして丁寧に見極めていく必要があるというふうに考えてございます。

岬委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、よき流れを一過性にすることなく、持続性あるものにしていただければと考えます。

 このように、足下ではよき動きもあるものの、異次元緩和の下では賃金の伸び悩みもあります。

 この間、企業の業績としては、総じて好調に推移をしております。そこで、企業の内部留保について見ますと、二〇二一年度で五百十六兆円、十年連続で過去最高を更新しております。企業の保有する現預金も、二一年度は二百八十一兆円と過去最高です。この十年間で約七割増加をしております。

 このように好調な企業業績があったにもかかわらず、なぜこれほどまでに内部留保が増加をして、そして賃金上昇につながってこなかったのか。その要因、また解決への対策について、植田総裁はどのようなお考えでいらっしゃいますでしょうか。お聞かせください。

植田参考人 ここは私の考えでは、少なくとも二つあると思います。

 その前に、労働分配率というようなものを取ってデータを見てみますと、データ次第でなかなか、結果、動きについてばらつきがありまして、一概に申し上げることが難しいわけですが、賃金上昇率がなかなか高まりにくかったことは事実かと思います。

 その上で、企業の内部留保が過去最高水準まで積み上がっている背景という御質問だったと思いますけれども、一つは、長い間のデフレの経験によって、物価や賃金が上がらないということを前提にした考え方や慣行が定着して、その中で、賃金を上げていくということがこれまでのところなかなか広まらなかったということが一つあるかと思います。ただ、これは多少変わりつつあるかもしれません。

 もう一つは、大きいものといたしましては、企業サイドから見て、設備投資みたいなものにお金を使った場合の期待利潤率であったり、その背後にある日本経済の期待成長率、こういうものが残念ながら低めで推移してきたということが大きかったかなというふうに思ってございます。

岬委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、日本だけが取り残されてきた、停滞をし続けた三十年でございます。これは異常事態だと思いますので、新しい総裁がということで、この五年間で是非とも期待をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、そろそろお時間でございますので、本日、ここで切りがよいので終了させていただきます。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原でございます。

 まず、井野防衛副大臣がお越しをいただいておりますので、質問させていただきます。

 先般の財務金融、安全保障の合同審査において、私が質問に立ちまして、イージス・アショアとイージスシステム搭載艦のメリット、デメリットを示すようにということで浜田防衛大臣に質問をいたしまして、理事会でも協議をしていただき、昨日、防衛省から対照表をもらいました。それがお手元に配っている資料でございます。今日の質問に間に合わせてもらったのはありがたいのはありがたいんですが、少しこのことについて、幾つか更に問いただしたいというふうに思うわけであります。

 こういった表を作っていただいたということは、それはそれで評価をしたいというふうに思います。

 まず、装備につきましては、イージス・アショアは、ブースターの落下範囲を考慮する必要があるということで制約あり。それに対して、イージスシステム搭載艦については、ブースターの落下範囲を考慮する必要がないので制約が比較的小さい。また、イージス・アショアに備えさせる計画のなかった各種能力を付与するといったことで、具体例が書かれている。

 それに対して、可動率については、イージス・アショアは常時持続的な迎撃態勢ができる。それに対して、イージスシステム搭載艦というのは、艦艇の定期整備や、一定程度の気象、海象等の影響を受けるということで、これについてはむしろイージスシステム搭載艦の方がデメリットがあるということを率直に認められているわけであります。

 ポイントは経費のところなんですけれども、経費が明確に書かれていないんですね。つまり、一基二千億円というのは令和二年十一月公表分であり、隊舎等の施設整備は未積算。それから、ブースターの落下範囲を限定するためのシステム全体の大幅な改修が必要となるという、この具体的な金額については書かれていないということであります。岸前大臣がこれに大きなお金がかかるということをおっしゃって、イージスシステム搭載艦の一つの理由にされていたと思うんですが、比較できないんですね。

 要は、大幅な改修が必要となるという文章で書かれていますけれども、これを金額で示していただけませんか。

井野副大臣 先生御指摘のとおり、当時、イージス・アショア一基当たりの導入コストとして、令和二年十一月の規模感を示すことで約二千億とお示しをしましたが、先ほど御指摘のとおり、これには改修費用だったり隊舎整備費等は含んでおりません。その時点で更に総経費を算出できるかどうかについてですけれども、よく省と確認しながら、出せるかどうか含めて検討してまいりたいと思います。

前原委員 いや、出せるかどうかじゃなくて、比較をするから、出してもらわなきゃいけない。出せるかどうかじゃなくて、出してもらわなきゃ比較できないんです。

 右側のイージスシステム搭載艦は、これは可能な限り速やかに積算と書いてありますね。これは二隻でしょう。言ってみれば船体の建造費というもの、あるいは装備含めて、じゃ、これはいつぐらいに明確に示せるんですか。

井野副大臣 イージスシステム搭載艦の総経費についてですけれども、一応、令和五年度に実施する設計を通じて、今後の船体建造費がより具体化され、精緻化されていくということになります。

 その上で、令和五年度に調達する防空機能、レーダーであったり通信システムなどの装備品について、システムインテグレーション、連結といいましょうか連携が取れるような、係る経費に関して、今、アメリカ、米国政府と協議中でありまして、これが今後より具体化、精緻化されるということなどの状況が固まって初めて、全ての具体的な経費がお示しをできる形になっていくかと思います。

前原委員 では、それに併せて、イージス・アショアの改修費用がどのぐらいになるかということを出してもらえませんか。そうでないと比較ができないので。

井野副大臣 当然、経費等については、追って予算化していく中においてお示しができる形になっていくかと思いますので、具体的な金額等が確定できるような状況になった段階でお示しができるかと思います。

前原委員 それは副大臣、イージスシステム搭載艦の話でしょう。今私が聞いているのは、ブースターの落下範囲を限定するためにシステム全体の大幅な改修が必要となると岸前大臣がおっしゃって、だったらその根拠を示してもらわないと我々は国会で判断ができないということを何度も申し上げているわけです。だから、そちらも是非、イージスシステム搭載艦の金額が明らかになる時点で、比較をするために明らかにしてもらいたいということをお願いしています。

井野副大臣 今回の改修費用やコストについて、SM3を含むシステム全体の改修費用の期間やコストについては、少なくとも迎撃ミサイルSM3ブロック2Aの共同開発と同規模程度あるいはそれ以上の規模になる可能性があるというふうに考えておりました。その共同開発については、約十二年の開発期間の中で約一千百億円を日本側が負担をしているというところでありまして、アメリカについても日本側と同等以上の負担を行っているのではないかというふうに考えられます。現時点で、このような状況になっておりました。

前原委員 今のが改修に係る費用というふうに判断してよろしいんですか。

井野副大臣 SM3ブロック2Aの改修コストに加え、実戦に配備、運用を行うまでの更なるシステム改修が必要となる経費ということでありまして、それが全てとは言いませんけれども、これより長い年月や費用がかかる可能性もあるということであります。

前原委員 とにかく、比較できるように金額を示していただきたいと思いますし、今副大臣おっしゃったように、もう二つ足りていないんですよ、この対照表は。一つは、これは今副大臣も言及されましたけれども、期間なんです。期間がどれぐらいかかるかといったところの比較ができないんです。もう一つは、必要な人員、隊員数。そして、なおかつ、これはSPY7を使うんでしょう、そのまま。SPY7は、でも、陸上自衛隊が使うという前提だったわけでしょう。それは海上自衛隊で使えるんですか。

 そういうようなことも含めて、隊員のいわゆる人員確保の比較対照、そして期間、こういうものもこれに加えて出していただかなきゃいけない。ちゃんと比較できませんから、国会で。出していただけますか。

井野副大臣 できる限り皆様にお示しをしていきながら、きちんと説明、そしてまた、議論いただけるような状況にしていきたいと思います。

前原委員 委員長、今副大臣が、できる限りということで努力をするということでしたので、是非、定まった時点で、この経費の具体的な比較ができるもの、期間の比較ができるもの、そして人員の比較ができるものを合わせたメリット、デメリットの対照表を出していただくということでお願いしたいと思います。

塚田委員長 理事会でしっかり協議いたします。

前原委員 副大臣、結構でございますので。ありがとうございました。

塚田委員長 井野防衛副大臣は御退席いただいて結構です。

前原委員 それでは、鈴木大臣にお伺いしたいと思います。

 この議論、先般もさせていただいた、もうこれは三回目ぐらいになると思うんですけれども、この法案の趣旨がいまだに分からないんです。つまりは、この法案の中身というのはほとんどが、法案による収入金額というのは一兆四千七百五十億円ですよね。それで、その大宗が外為特会の令和五年度の剰余金なんです。ほかのところ、防衛の整備計画の財源確保については、増税部分については閣議決定になっているわけですね。

 だったら、ここは閣議決定で、この外為特会の令和五年度の一兆二千億余りも閣議決定しておいたらいい話であって、わざわざ法律を出す必要性がないということで問いただしたところ、大臣は、政治判断だ、政策判断だとおっしゃいましたけれども、じゃ、その政治判断と政策判断の根拠を示していただきたいと思います。

鈴木国務大臣 前原先生とはこの問題で大分議論をさせていただきました。私、初めは政策判断という言葉を使いましたが、途中で、政治判断の方が正しいのではないかと思って言い換えたつもりでございます。

 防衛力強化のための財源確保策につきましては、昨年末に閣議決定された防衛力整備計画におきまして、まず、その全体の方針が示されているところであります。その上で、税制措置での御協力を国民の皆さんにお願いする前提として、その御負担をできる限り抑えるべく政府として最大限の財源確保の努力を行っていることを明確にお示しすること、これが重要であると考えているところであります。

 こうした観点から、今後五年間の防衛力強化のための財源として、現時点で見込める最大限の金額であります四・六兆円の税外収入の全額を令和五年度予算に計上することとしたところですが、これは、現時点で確実に確保できる財源につきまして先送りすることなく現時点で実際に確保できることをお示しをし、防衛財源の安定的な確保に向けた道筋をできる限り早期にかつ明確にお示しするべきであるという政治判断に基づくものであります。

 こうした判断に沿いまして対応していくに当たりまして、外為特会剰余金の進行年度中の繰入れなど法律上の手当てが必要となる措置があることから、これらに限って、今回の財源確保法案に盛り込んだところであります。

 なお、税制措置につきましては本法律案に盛り込まれておりませんけれども、これは、昨年末に閣議決定した枠組みの下、その実施時期について、行財政改革を含め、財源調達の見通し、景気や賃上げの動向及びこれに対する政府の対応を踏まえて今後判断していくこととされているためであります。

 その内容につきましては、今後、与党における議論を踏まえまして結論を得るものとされておりまして、具体的な成案が得られた段階で、必要な法制上の措置を盛り込んだ法案について、国会での御審議をお願いしたいと考えているところであります。

前原委員 政治判断の根拠を聞いているのに、その答弁の中に政治判断と入れたら、根拠の説明にならないです。

 長々おっしゃいましたけれども、説明を何度聞いても、閣議決定と、いわゆる法律で出すことの違いが分かりません。閣議決定で十分だと私は思います。それは必ず使うんですよという意思を、政治で政策表明をしておけばいい話であって、この法律で出す必要性というのは全く感じないということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、外為特会なんですけれども、私が、以前の四月十八日のこの委員会で、令和六年度以降の外為特会の剰余金も防衛資金に充てる可能性はあるということですかと聞いたところ、排除するものではないと考えておりますということでありました。

 そして、令和十年度以降の防衛力強化資金〇・九兆円程度ということになっておりますけれども、これはずっと、〇・九兆円程度を毎年これから確保するということになるわけでありますが、これは主に外為特会の剰余金を当てにしているということでよろしいですか。

鈴木国務大臣 まず、今般の防衛財源の確保のための外為特会からの繰入金三・一兆円につきましては、これとは別に〇・九兆円を通常分の税外収入として確保した上で、令和四年度における剰余金の上振れでありますとか、為替介入の実施による外為特会の財務状況の改善、そして、防衛財源の安定的な確保に向けた道筋を示すため、現時点で確実に確保できる財源について先送りすることなく確保する必要があることを踏まえまして、臨時的に、追加財源を確保するために必要な措置を講じたものであります。

 そして、この外為特会の余剰金を防衛財源として繰り入れることの永続性についてでありますけれども、今後の剰余金の発生の見込みにつきましては、将来の為替レートや金利の見通し、これはなかなか困難である中で、現時点で見通しを述べることは難しいと思っておりますけれども、その上で、令和六年以降の予算編成における外為特会の剰余金の扱いについては、防衛財源として活用できるかどうかも含めて、毎年度の予算編成時点での剰余金の見込みも踏まえて、その時々の外為特会の財務状況や一般会計の財政状況を勘案しながら検討していきたいと考えております。

 したがいまして、令和十年度以降どのような財源をもってするかということにつきましては、この外為特会の剰余金を排除するものではありませんけれども、しかし、それだけではなく、幅広く財源を確保していかなければならない、そのように考えております。

前原委員 大臣、私、質問時間が短いんですよ。聞いている質問の答弁は、最後の部分だけでいいんです。最後の部分だけが答弁になっているんですよ。その前は全然要らないんです。長く答弁する、読むのはやめてもらえますか。

 では伺いますけれども、令和十年度以降については、税制措置で一兆円強、そして防衛力強化資金で〇・九兆円程度、決算剰余金の活用で〇・七兆円程度、歳出改革で一兆円強。〇・九兆円程度が続くんですよ。そして、今の、防衛力整備計画の財源確保の五年間の中の、いわゆる防衛力強化資金の大宗は外為特会の剰余金なんですよ。そしたら、外為特会の剰余金が使えなかった場合には、この防衛力強化資金の〇・九兆円は、毎年ずっと永続的にこれから発生するんですよ、防衛力強化で。何に充てるんですか、その財源は。

鈴木国務大臣 なるべく端的に答えさせていただきたいと思います。

 令和六年度以降においての防衛力強化資金への繰入れに充てることのできる税外収入につながるんだ、こういうふうに理解をいたしますが、現時点で具体的に見込めるものはございません。

 令和五年度予算において、今後五年間の防衛力強化のための経費に充てる税外収入四・六兆円を確保したことも踏まえまして、十年度以降におきましても年平均〇・九兆円程度の安定財源を確保できるよう、今後引き続き、更なる税外収入の確保に努めていきたい、そういうふうに考えているところです。

前原委員 もう一度伺いますよ。

 税制措置は一兆円強、そして決算剰余金は〇・七兆円程度、歳出改革は一兆円強とずっとやるんですよ。そして、防衛力強化資金の〇・九についてもずっと続くんですよ。そして、それまでの五年間の中での防衛力強化資金の大宗は、外為特会の剰余金の繰入れなんですよ。

 じゃ、それ以外のことでやるとすると、〇・九兆円ずっと、どういう品目が具体的に挙げられるんですか、外為特会の剰余金の繰入れ以外であったら。

鈴木国務大臣 すぱっとお答えできずに大変恐縮でございますが、現時点で具体的に見込まれる、これだというものはないということは事実でございます。

 しかし、これまでも、外為特会の剰余金のほかにも、例えば基金の問題でありますとか様々、行財政改革で捻出をしてきたわけでございまして、令和十年度以降におきましても年平均〇・九兆円程度の安定財源が確保できますように、引き続き、更なる税外収入の確保に努めていきたいと考えているところであります。

前原委員 時間が来ましたので終わりますけれども、これは安定財源ではもはやないですよね、この議論をしていると。だって、今、財源の議論、安定財源ということで、まず五年間という話をされていて、そして、防衛力強化資金の大宗は外為特会の剰余金の繰入れですね。そして、令和十年度以降も〇・九兆円程度ずっと続くわけですよ。これはずっと続くんですよ。それについて、外為特会以外のということになって、それ以外の明確な御答弁がないわけですよね。基金という話があったけれども、基金なんというのは、基金を崩すというのは永続的な財源になりますか。ならないでしょう。

 これを考えると、このスキームというのは本当に、生煮えというか、まさに防衛力強化ということがありきで、その方向性は我々は賛成ではありますけれども、財源については、言ってみればふにゃふにゃという感じですよね。

 やはり、この五年間の議論も、今なぜ法律で決めなきゃいけないかもよく分からないし、閣議決定で十分だと思うし、法律を出す意味も分からないし、そして、安定的に令和十年度以降も確保しなければ、財源についても明確に答弁ができないということが明らかになったわけでありまして、なかなか、この防衛力について、本当にずっと強化できるかどうかということが不安になってきたということで、改めてまた議論させていただきたいと思います。

 終わります。

塚田委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 軍拡財源法案について、今日は、青天井となっている軍事費について質問します。

 イージスシステム搭載艦二隻の購入には防衛整備計画で建造費四千億円が計上され、イージス・アショアで費やした一千九百億円を含めると、既に六千億円程度が要求されています。

 一方、昨年十一月二十九日の財政審、令和五年度予算の編成に関する建議では、イージス・アショアの洋上化が名指しで、人員等の運用面や費用面を懸念と指摘されました。四月二十六日の委員会で木村防衛大臣政務官は、建議は財務大臣に対しての意見だと、具体的な対応を示さなかったんです。政府内部でこういう問題を共有していないんですか。これは無責任だと言わなければなりません。

 そこで、鈴木財務大臣に伺います。

 大臣は、イージス・アショアの洋上化について、運用面で、費用面でどのようにチェックされたんですか。

鈴木国務大臣 昨年十月に開かれました財政制度等審議会、ここにおきまして防衛をテーマに議論が行われ、この議論を基に昨年十一月に取りまとめられました建議におきまして、イージス・アショアの洋上化について人員等の運用面や費用面を懸念する声があるとの指摘がなされたことと承知をいたしております。

 その上で、昨年末に策定された防衛力整備計画においては、イージスシステム搭載艦の整備やその関連経費として約〇・五兆円が計上されております。こうした計上に当たりましては、防衛省において、財政制度等審議会の建議の指摘も踏まえまして、既存人員を最大限活用することにより乗組員を確保すること、令和五年度の事業の進捗を踏まえ、ライフサイクルコストを算出した上で継続して管理することといった対応が講じられると承知をいたしております。

 財務省としては、各年度の予算編成等を通じまして、引き続き、イージスシステム搭載艦の運用や経費について精査をし、必要な調整、これを行っていきたいと考えております。

田村(貴)委員 精査、調査、その跡形が見えません。

 イージスシステム搭載艦は、米ミサイル防衛庁が開発中の対極超音速滑空兵器、HGV新型迎撃ミサイルを含む将来装備を運用できる拡張性等を考慮とされています。この拡張費用というのは幾らになるのか、財務省、財務大臣はつかんでいますか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生が御指摘いただきました、イージスシステム搭載艦への搭載が検討されてございます対HGV新型迎撃ミサイルを含む将来装備でございますけれども、これは防衛省において、令和十年度以降の整備に向けて米国との調整が進められているというふうに承知をしてございます。したがいまして、昨年末に閣議決定をされました防衛力整備計画において、その内容や金額は盛り込まれておりません。したがいまして、防衛省からは、現時点において所要経費を見積もれる段階にはないというふうに聞いてございます。

田村(貴)委員 分からないということです。更に莫大な経費がイージスシステムにかかっていくんですよね。

 防衛省が言う将来的な拡張や維持管理費などを含めると、これは一兆円を超える巨額な建造費が必要になってまいります。

 一体、イージスシステム搭載艦の総額は幾らになるんですか。総額について、財務大臣、お答えください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございましたイージスシステム搭載艦二隻でございますけれども、これにつきましては、令和九年度末と令和十年度末の配備を目指してございまして、その建造費用として約四千億円が計上されております。

 この金額は既存のイージス艦の建造費用をベースに見積もられたものというふうに承知をしてございますけれども、より精緻な積算につきましては、先ほど井野防衛副大臣からも御答弁ございましたとおり、令和五年度に実施をいたします、船体設計あるいはレーダー、通信システム等の装備品に関する米国政府との協議といった様々な要素を踏まえた上で今後積算をするということになるというふうに聞いてございます。

田村(貴)委員 形が分からないものに既に四千億円認めてきた、イージスシステム一つ取っても天井知らずになっている、このことを指摘しなければいけません。

 次に、後年度負担について聞きます。

 今年度から始まる防衛力整備計画では、二〇二八年度以降の支払いとなる後年度負担の総額は幾らになりますか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の御指摘のございました、今回の防衛力整備計画に基づきます二〇二八年度以降の後年度負担につきましては、現在、十六・五兆円と見積もられてございます。

田村(貴)委員 資料をお配りしています。

 前中期防の整備計画では、二十七兆五千億円の歳出総額に対して、五兆円が後年度負担とされていました。今回の防衛力整備計画では、四十三兆円に対して、実に十六兆五千億円に増加しています。三・三倍です。また、五年先の二八年度以降の防衛力整備計画において、十六兆五千億円もの武器、装備品の支払いが、これはもう既に決められたということですよね。後年度負担がまさに軍事費を青天井にしています。

 大臣に伺います。

 結局、二〇二八年度以降の防衛力整備計画においては、軍事費を、その総額を更に増やすことになるのではありませんか。

鈴木国務大臣 田村先生御指摘のとおり、今回の防衛力整備計画において、今後五年間に新たに必要となる事業に係る契約額四十三・五兆円のうち、二〇二八年度以降の支出を予定している後年度負担額は、十六・五兆円となっております。

 こうした点を踏まえ、昨年末に閣議決定した防衛力整備計画においては、二〇二八年度以降の整備計画について、二〇二三年度から二〇二七年度までの五年間の装備品や施設の整備等を適正に勘案した内容とし、二〇二七年度の水準を基に安定的かつ持続可能な防衛力整備を進めるものとするとしておりまして、これに沿って防衛力整備を進めていくことになります。

 このため、防衛費を更に増やすとは必ずしも言えないものと考えております。

田村(貴)委員 必ずしも増やさないことになると。今の大臣の説明では、増やすことにもつながりかねない、そういう決まりですよ。

 これだけではありません。FMS、対外有償軍事援助によってアメリカから購入する武器、装備品の総額や、約三百の基地強靱化の五年間四兆円もの根拠も示されていません。馬毛島の基地建設、それから辺野古の埋立てなど、防衛省が必要だと言えば、全体の予算も決めずに着手して、どんどんと予算が膨れ上がっている、こうじゃありませんか。こういう状況から見たら、際限なく軍事費は増えていきますよ。

 さらに、今年度からの防衛力整備計画では、軍拡の増額分の財源部分の大部分は、予備費の余りなどを原資とする決算剰余金やコロナ対策費の余剰金など、元々赤字国債を財源とするものとなっています。

 二〇二八年度以降の防衛力整備計画においても、今回と同じ手法、国債のマネーロンダリング的な手法を使ったとするならば、財源はまたまた増えていくんじゃありませんか。こういう手法を使って、またまた軍事費が増えていくんじゃありませんか。いかがですか。

鈴木国務大臣 今般の防衛力強化の財源確保に当たりましては、まずは、一として、国民の御負担をできるだけ抑えるため、あらゆる工夫を検討した結果、歳出改革、それから決算剰余金の活用、税外収入の確保などにより、必要な財源の約四分の三を確保することとしております。

 ただし、こうした歳出改革を行った上でも、令和五年度予算において、一般歳出の約六割を社会保障費と文教、科学技術予算が占めるなど、国民生活の向上に直結する予算、これは令和五年度予算についてもしっかりと盛り込んでいるところでございます。

 このほかにも、防衛予算だけでなく、現下の重要課題、GX、地方創生などの個々の予算につきましても、予算を適切に配分している考えでありまして、防衛費の予算、財源確保が何か他の予算にしわ寄せを寄せているということにならないように対応をしているところでございます。

田村(貴)委員 赤字国債を原資として軍拡財源に使っていく、このマネーロンダリングみたいなやり方をやるのかと聞いても、それは答えられませんでした。結局、こういうやり方を踏襲せざるを得ないという状況じゃないんですか。そして、それが軍事費の増大につながっているということじゃないんですか。

 既に自民党内にそういう動きがあるとのことであります。先日の朝日新聞によれば、自民党の一部が、二〇二二年度予算で使わなかった予備費約三兆八千億円を剰余金に転換させられれば増税を延期できると訴えている、こんな発言が出ているんですね。大臣もそんなような考え方なんですか。

鈴木国務大臣 予備費につきましては、その剰余金につきまして、これはまず、それが発生したら国債の減額に努める、抑制に努める、これが第一でございます。

 したがいまして、党内という御指摘でございましたが、いろいろ議論は、様々これはあり得るわけでありますけれども、私どもとしては、第一に、そうした余剰が出た場合には、でき得る限り国債の発行の抑制に努めたい、そう思っております。

田村(貴)委員 戦後初めて、軍事費の対象予算の財源に建設国債四千三百四十三億円を充てて、岸田内閣は、軍拡のために国債発行を認める予算に、これは初めて踏み込んだんですよね。戦争の痛苦の教訓に学んでいない暴挙だと言わざるを得ません。

 日本は既に世界最大の政府債務大国で、対GDP比債務残高は、戦前の最悪水準を超えて、二〇二二年度では二六三・九%に達しています。岸田内閣が決めた青天井の大軍拡を進めていけば、更に国債発行を充てることになるか、結局は、消費税を含む国民負担の大増税で財源を確保していくことになりはしませんか。結局は、国債を増発していく、そして、消費税を含む国民負担の増大、これによって軍事財源を確保することになるんじゃないですか。こういう流れになっているじゃないですか。鈴木大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 まず、建設公債をこの度対象経費にするという御指摘をいただきました。

 御承知のとおり、従来の中期防におきましては、既に赤字国債で対応をしているわけであります。その赤字国債に対応するものを、防衛力整備の整合性を図るという観点から、海上保安庁の船舶等に使われているように建設国債にするというわけでありまして、まさに赤字国債のものを建設国債に振り替えるということでありまして、それによって新たな国債が増額されるということではない、そのことは御理解を賜りたい、そういうふうに思います。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、行財政改革、これを徹底する中におきまして、国民の皆さんの負担というものを最小限度にとどめるべくいろいろ案を考えているところでございまして、何とぞ御理解を賜りたいと思います。

田村(貴)委員 鈴木大臣、もう一回聞きます。

 消費税の増税は考えていないんですか。消費税の増税を含む国民負担は増えないと言い切れるんですか。いかがですか。

鈴木国務大臣 これは岸田総理も度々国会で述べているところでありますが、当面、岸田内閣として、消費税を変更する、そういう考えはないということ、それは総理も国会で述べられていることである、そのように理解をいたしております。

田村(貴)委員 赤字国債を財源とする軍拡財源はこれからも続けていくんですか。これを増やしていくんですか。いかがですか。

鈴木国務大臣 今回の防衛力の抜本強化における財源確保でございますが、先ほど申し上げましたけれども、一つに、国民の皆さんに対する負担を最小化する、二つ目は、今を生きる我々世代の責任として、次の世代にこうした負担を及ぼさないという趣旨のことを述べているわけであります。二の趣旨は、まさに国債によらないでやっていくんだ、そういうことの思いを述べているところであります。

田村(貴)委員 でも、言っていることとやっていることと提案していることが違うじゃないですか。

 鈴木大臣は、歴史の教訓として、戦前のような、国力に見合わない債務残高の累増の結果、国家財政や国民生活を危うくすることはあってはならないと、所信質疑で私の質問に答えました。しかしながら、この間の質疑で明らかになったように、岸田政権による大軍拡路線というのは、歴史の教訓を踏みにじって国家財政や国民生活を危うくすることはもう明らかであります。

 軍拡財源法案は、これを通せば将来に禍根を残すことになります。本法案は廃案にすることを強く求めて、今日の質問を終わります。

塚田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十二分開議

塚田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大塚拓君。

大塚委員 自由民主党の大塚拓でございます。

 早速、法案質疑に入りたいと思います。

 台湾有事、これはもはや、あるかないかではなくて、いつあるかという問題であるというふうに指摘をされております。太平洋での米中の軍事バランスは、二〇二五年には中国優位に逆転すると言われています。専門家の中には、中国は既に日米同盟に対して優位に立っていると指摘をする方もいらっしゃいます。また、アメリカのCIAは、習近平主席が二〇二七年までに台湾を軍事統一できるよう準備することを人民解放軍に指示したという情報を明らかにしています。

 こうした状況でありますけれども、実際に台湾有事が発生をすれば、世界経済にも天文学的な損害が生じると考えられています。先週、アメリカの上院公聴会で、ヘインズ国家情報長官は、台湾の半導体生産の停止だけでも影響は最大年間百三十兆円にも上るという数字を示しました。ましてや、隣接する日本の被害は更に甚大になるだろうということは容易に想像ができるわけであります。

 昨今、人民解放軍が太平洋にまで進出をしているこの実態を見れば、台湾海峡の封鎖にとどまらず、南回りの航路あるいは太平洋航路全般にも大きな制約がかかる可能性があります。そうすると、食料、エネルギーを含めて物が入ってこなくなる、日本の輸出も止まる、こういう状況になるわけであります。

 何よりも、日本は隣接しております。南西域においては、特に、好むと好まざるとにかかわらず、戦域に入ってしまうということになります。国民生活に多大な被害が生じることはもうこれは避けられないというのが、台湾有事の特徴であります。こうした台湾有事、私たちはこれを絶対に起こさせてはならない、こういう強い決意を持っているわけであります。抑止力が必要だということでございます。

 そして、中国の台湾統一、この意志は非常に固いというふうに見られているわけでありますけれども、固い意志を持っている相手に対しては、抑止力が確保されていなければ、外交も有効に機能しないということになるわけでございます。

 特に、昨今の軍事バランスの変化を見ると、アメリカのみでは抑止し切れない、こういう可能性が懸念をされています。今、日本の防衛力の強化は地域の安定のために決定的に重要である。そして、この抑止に失敗したときのコスト、これは防衛力強化のための投資をはるかに上回るコストがかかってくるということも予想されるわけであります。

 ここで資料一を御覧いただきたいと思います。これは主要経費別の当初予算額の推移を三十年ちょっとの分を示したものでありますけれども、一番下の赤い線が防衛関係費であります。そして、一番上の青い線が社会保障関係費、その次のグレーの線が国債費であります。これを見ると、財政が厳しい厳しいと言われますけれども、日本の財政が悪化しているのは一貫して社会保障であって、防衛費は、この三十年間、財政の悪化ということには全く寄与していないということが分かります。

 次に、資料二を御覧いただきたいと思います。これは日本及び周辺国の軍事支出、防衛支出の推移でございます。冷戦終結後三十年間、日本周辺の安全保障環境は一貫して悪化をしているということが一目瞭然です。特に中国は爆発的に伸びておりまして、日本の防衛費は二〇〇〇年頃中国に抜かれ、そのまま差がどんどん拡大して、今や六倍になっている。その他の国も全部伸びているんですよね。インドも二〇〇八年ぐらいに日本を超えていますし、韓国にも並ばれた、こういう状況になっています。

 防衛というものは、外部環境から国家を守るものであります。しかし、この二つの資料が示していることは、日本の防衛費は、外部環境の変化にかかわらず、同じ水準でずっと措置されてきている。その結果何が起きているかというと、日本の自衛隊の現場は悲惨な状況になっています。弾薬とか誘導弾も圧倒的に不足をしていて、訓練にも事欠くような状況になっている。そして、部品が足りないということで、半分近くの装備が動かないという状況にもなっている。

 また、施設も一万棟近い建物が耐震化も未対応である。そして、ウクライナを見れば数千機、数万機単位で必要になっている無人機、ドローン、これは日本はほとんどゼロという状況であります。サイバー能力については、マイナーリーグ並みと国際的に言われる水準になっている。もう話にならないという実態があるわけであります。

 こうした中、率直に言って、我が国の防衛力、マイナスからの出発ということになると思います。過去に本来であれば投資していなければならなかった。過少投資。私が思うのは、これは元々潜在的な国民の負担だったんじゃないかな、それがここまで先送りをされてきてもはや待ったなしになった、これが今日本の置かれている状況だと思います。

 今回、三文書の改定で初めて防衛戦略を作り、所要量を計算して積み上げたのが五年間で四十三兆円、このうちの四割以上は継戦能力、弾薬とか部品とかそういったものになっています。あるべき出発点に初めて立つ計画でありますけれども、これを確保して実行していくことの意義について、総理の御見解をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のように、我が国の防衛力の抜本的な強化、これは待ったなしの課題であると認識をしています。

 今回の防衛力強化に際しては、御指摘の戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、国民の命を守り抜けるのか、こうした課題について、現実的なシミュレーションを行い、御指摘の可動率の向上ですとかあるいは弾薬等の確保、こうしたものも含めて、必要となる防衛力の内容、これを積み上げました。

 これらについて、今後五年間にわたり予算をしっかり確保し、五年後の二〇二七年度までに、我が国への攻撃が行われたとしても、我が国が主たる責任を持って対処できるように、防衛力を緊急的に強化する、そして、これを将来にわたって維持強化していく、これが重要であると認識をしています。そうした思いで、防衛力の抜本的強化にこれから取り組んでいきたいと考えております。

大塚委員 今回の整備計画、五年分でありますので、現時点では、この五年分をしっかり確保するということが求められていると思います。

 今回、防衛財源を法律で措置をすることとした意義を総理大臣にお伺いしたいことと併せまして、財務大臣に、防衛財源を措置する方法として、今回のように防衛予算に対応する部分のみ確保する方法と、もう一つ別に、一般会計全体を見て、その一般会計全体の所要の増加に対応する財政計画を作る、こういう二つの方法があると思いますけれども、前者を採用したのはなぜかというのを財務大臣にお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 新たな防衛力整備計画に基づく防衛力整備を確実に進めていくためには、防衛財源の安定的な確保に向けた道筋、これをできる限り早期に示すことが重要であると考えています。

 そして、本法案は、昨年末の閣議決定を踏まえ、予算上の対応に加えて法律上の手当てが必要となる内容を盛り込んでいます。すなわち、特別会計からの繰入れ等の税外収入の確保、そして、確保した税外収入を令和六年度以降プールして安定財源として活用するための防衛力強化資金の創設、こうした法律上の手当てが必要な措置を講ずるとしたものであります。本法案による対応を含めた財源確保の取組について、防衛力の強化、維持を安定的に支えていきたいと考えております。

鈴木国務大臣 予算編成に当たりましては、従来より、骨太の方針等に基づきまして、財政規律の観点から、真に必要な財政需要に対応するため恒久的な歳出を大規模に増加させる場合には、これに対応した安定的な財源を個別に確保することで対応してきたところでありまして、今般の防衛力強化のほか、例えばGX、社会保障の充実につきましても、同様の考え方で対応してまいりました。

 こうした取組は、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認を維持し、ひいては、政府が掲げる重要政策を確実かつ強力に進めていくため財政余力を確保することにもつながると考えております。

 その上で、国家安全保障の観点からは、防衛力の強化と経済、金融、財政の基盤の維持強化、これはいずれも大変重要であると考えておりまして、政府といたしましては、防衛力の抜本的強化を進めていくとともに、引き続き、責任ある経済財政運営に努めてまいりたいと思っております。

大塚委員 午前中の質疑を聞いておりましても、もう論点出尽くし感がありまして、ほぼ一般質疑のような状況になっております。速やかに採決をし、次の課題に取り組んでいきますように心から主張いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津でございます。

 総理、韓国訪問、大変お疲れさまでございました。尹大統領との会談は大変意義深いものであったというふうに私は思っておりまして、特に、シャトル外交本格化、そして日韓の新時代を構築していく、そうした流れをしっかりつくることができたんじゃないだろうか。それから、早期の訪問も大変英断であったんじゃないかなというふうにも思っておりますし、いずれにしましても、今回の訪問を機に、日本と韓国の一層の政府間対話外交、これを強力に進めていただきたい、このように思っております。

 財源確保法案の審議に関連しまして、この機会に、総理に是非、G7サミットに臨む御決意についても一点お伺いさせていただきたいと思います。

 十九日から四日間の日程で、御地元広島でのG7サミットが開催をされるわけでございますが、世界で唯一の核兵器による被爆国であります我が国の被爆地広島で開催される意義は極めて大きいもの、このように痛感をしております。

 私は、今、ロシアによるウクライナ侵略、この中で、本年二月に行われた国連総会で採択された決議、すなわち、ロシア軍によるウクライナからの即時撤退、重要インフラ、住居、学校、病院など民間施設への意図的な攻撃の即時停止、まず何よりもこの項目を実現することが最重要だろう、このように思っておりまして、このウクライナ危機に対して、早期終結に向けた取組の合意に開催国としてどのように議論をリードしていくのか。

 それから、この問題と並んでサミットに望むのが、核兵器の先制不使用をG7が主導して確立をすべきことだということです。このことは昨年の広島での平和記念式典において国連のグテーレス事務総長が言及をしていることでございまして、今回のサミットを核兵器の先制不使用の合意に向けた突破口を開くものとすべき、このように考えますが、総理の決意のほどをお伺いします。

岸田内閣総理大臣 まず、ロシアによるウクライナ侵略は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であると認識をしています。

 侵略が長期化する中、一刻も早く侵略を終わらせるために、G7サミットにおいては、ウクライナへの揺るぎない連帯を確認するとともに、ロシアに対して厳しい制裁、そして強力なウクライナ支援、これを継続するということ、これをG7一致して確認する機会にしたいと考えています。

 そして、委員の方から核の先制不使用について御指摘がありました。一般論として申し上げれば、全ての核兵器国が検証可能な形で、かつ同時に行わなければ、この先制不使用というのは有意義ではないという指摘があります。

 現在の安全保障環境において、当事者の意図に関して何ら検証方法がない形による核の先制不使用の考え方に依存しながら日本の安全保障に十全を期すということ、これはなかなか難しい現実があると考えています。

 その上で申し上げれば、核兵器のない世界に向けて現実的かつ実践的な取組を進める国際的な機運を高めていくということが、G7サミットにおいて重要であると思います。特に、ロシアによる核の威嚇等、あるいは北朝鮮による核等の様々な、核実験等の懸念が生じている、こういったことでありますので、こうした衰退した国際的な機運を反転させる、こうした好機にしなければならない、このように思っています。

 是非、広島サミットから、核兵器の惨禍を二度と起こさない力強いメッセージを発したいと考えています。

稲津委員 ありがとうございました。

 是非とも、総理が今最終的に御答弁いただいた、核を絶対使わせないという強いメッセージ、これを強力に発信できるような、そういうサミットの議論をリードしていただきたいと思います。

 次に、防衛力強化資金を一般会計の所属にする意義についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本法案における、設置される防衛力強化資金は、当分の間、財務大臣の管理の下、一般会計に所属されることになります。これは、単年度主義である我が国の予算において、プールした資金を複数年度にまたがって執行しようと思えば、こういった仕組みは必要になってくるんだろう。その意味において、本法案を今国会で成立させることは大変大きな意義があるというふうに思っております。

 四月の二十一日に、当委員会における参考人質疑の際の土居参考人からは、通常であれば特別会計を設置することも考えられなくはないが、防衛省が所管する特別会計が現存していないこと、また、特別会計そのものが、その中にある資金が既得権益の温存につながりやすい欠点があることからも、今回一般会計に設置することは妥当である、こうした御意見をいただいたところでございます。

 そこで、改めて、本法案で防衛力強化資金を一般会計に所属させて財務大臣が管理することにした意義についてお伺いしたいと思います。また、この仕組みをつくったことによりまして、今後将来にわたってどういったメリットが生ずると想定するのか、総理の見解をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 今回の財源確保法案によって創設する防衛力強化資金は、様々な取組により確保した税外収入等を将来にわたって防衛力の整備に計画的、安定的に充てるための仕組みです。

 この仕組みを活用することで、令和五年度予算において防衛力強化のために確保した税外収入について、令和六年度以降の防衛財源として活用することが可能となります。また、来年度以降、更なる税外収入が確保された場合に、この仕組みを通じて、防衛力の強化、維持を将来にわたって支えていくための財源として活用することができると考えています。これが御指摘のメリットという部分であります。

 その上で、防衛力強化資金については、年度によって異なる様々な税外収入等を防衛力の整備に安定的、計画的に充てられるよう、年度を越えた歳入の調整を行うものであるため、歳入を総括している財務大臣が当該資金の管理に当たる、こうしたこととした次第であります。

稲津委員 続けて、今後の財源確保のための歳出改革等の方向性について、これも総理にお伺いします。

 昨年行われた、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議、この中で、歳出改革により財源を捻出していくことを優先的に検討すべき、こういうふうにありまして、また、透明性の高い議論と目に見える歳出の効率化、これを行って初めて追加的な財源確保について国民の理解が得られるんだろう、こうしたことを忘れてはならない。こうした点については、私も全く同じ意見でございました。

 改めて、この歳出改革等による財源捻出について今後どのように進めていくのか、見解をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 防衛力強化のための財源確保に当たっては、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、徹底した行財政改革の努力、これが不可欠です。

 その中で、歳出改革については、防衛関係費が非社会保障関係費であることを踏まえ、社会保障関係費以外の経費を対象とし、骨太方針に基づき、これまでの歳出改革の取組を継続する中で財源を確保する、このようにしております。こうした考え方に基づき、令和五年度予算においては、二千百億円程度の防衛関係費の増額を確保したところです。

 令和六年度以降も、政府・与党連携して、毎年度の予算編成において、新たな行政事業レビュー等を活用して歳出改革を継続し、令和九年度時点において、令和四年度と比べて一兆円強の財源を確保していくことを考えております。

 行政の無駄や非効率を排除し行財政改革の努力を尽くすこと、このことによって、将来にわたって維持強化していく防衛力を支えるしっかりとした財源を確保する、こうした取組について、今後とも国民の皆様方に丁寧に説明を続けていく、こうした努力は必要であると考えています。

稲津委員 終わります。

塚田委員長 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 総理にお伺いします。

 皆さんのお手元には資料をお配りしていますが、一ページ目は、復興のときの財源確保の状況をまとめたものであります。こちらを参照してください。

 ところで、今回の防衛財源確保法案では、民主党政権時代に成立させた復興財源確保法案とは異なって、増税や決算剰余金、歳出削減による財源確保規定は盛り込んでいません。その結果、復興財源確保法案では復興財源三十二・九兆円を一〇〇%調達できる内容だったのに対し、今回の法案で調達できるのは、従来を上回る五年間の防衛力整備に要する費用十七・一兆円から今年度予算で手当てされた一・四兆円分を除く十五・七兆円のうち約三・四兆円、割合にすると二〇%程度にしかすぎないということであります。同じ財源確保法という名称でありますけれども、極めて今回は内容が乏しい。このままでは明らかな欠陥法案だと思います。

 なぜ復興財源確保法案のようにいわばフルスペックの財源確保の規定を盛り込まなかったのかということを、まず総理にお尋ねします。

岸田内閣総理大臣 防衛力強化のための財源確保策については、昨年末に閣議決定した防衛力整備計画や政府税制大綱において、その全体の方針、これはお示ししています。そして、本法案においては、昨年末の閣議決定を踏まえて、予算上の対応に加えて法律上の手当てが必要となる措置について、法律に内容を盛り込んだ次第であります。特別会計の繰越し等の税外収入の確保と、確保した税外収入を令和六年度以降プールして安定財源として活用するための防衛力強化資金の創設、こうした法律上の手当てが必要になる措置を講じました。

 御指摘の歳出改革あるいは決算剰余金の活用等については、その実施に法律上の手当てが不要であるため本法案には規定しておりませんが、財源確保の方針、先ほど申し上げました全体の方針に沿って、令和五年度予算において着実に実施をしているところであります。

 なお、税制措置については、昨年末に閣議決定した枠組みの下、実施時期について今後判断していくとされているため、本法案に盛り込んでいないという次第であります。

階委員 ちょっと流れがあるので、三番目の質問項目に飛びますね。

 五年間で四十三兆円の防衛力整備計画、これを安定的に支えるための財源措置が不可欠だと総理は以前述べられています。では、防衛力強化、五年間で十七・一兆円になると思うんですけれども、これを本当に国債に頼らずにできるのかということをお聞きしたい。

 仮にできるとすれば、もう閣議決定で済ませないで、今この時点で、ちゃんとした、フルカバー、フルスペックの財源確保法案を出すべきではないか。閣議決定で済むというのであれば、そもそもこの法案だって、来年度以降の話ですから、今の時点で法案を通す必要はないわけですよ。ですから、出すんだったら、きちんとしたものを出し直すということをやっていただきたいんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、財源確保については、昨年末閣議決定された防衛力整備計画そして政府税制大綱において、その全体の方針、これは既にお示しをしています。そして、その方針を進めていくためには、防衛財源の安定的な確保に向けた道筋をできるだけ早期に示すこと、そしてまた、税制措置での協力をお願いする前提として、国民の負担をできる限り抑えるべく政府として最大限の財源確保の努力を行っていくこと、これを明確に示すこと、これが重要であると考えています。

 こういった観点から、今後五年間の防衛力強化のための財源として四・六兆円の税外収入を令和五年度予算に計上するとともに、本法案において、所要額を防衛力強化資金に繰り入れるに当たり法律上の手当てが必要となる措置、これを盛り込んだところであります。

 要は、全体像をしっかり示した上で、法律の手当てが必要になるものについてはしっかり法律の手当てをし、そして予算の審議もお願いする、こういったことによって、全体像をできるだけ早期に国民の皆さんの前に示していき、そして、防衛力の強化、維持について安定的に支える体制に御理解をいただくことが重要であると考えています。

階委員 閣議決定で全体像を示すのであれば今この法案を通す必要はないということについて、全く答えができていないんですよ。鈴木大臣も、ずっとこの間、その点については政治判断だという説明しかできていないんですよ。閣議決定で全体像を示したなら、それで十分じゃないですか。

 時間もないので次に移りますけれども、いいですか、今回、本来盛り込むべき税の話、これが入っていないわけですけれども、皆さんのお手元では二ページ目を御覧になっていただきたいんですが、これが、問題になっている増税のうちの、復興特別所得税の流用と期限延長の図で示したものです。いわば、一%分の復興特別税の流用というのは国民との約束違反でありますし、また、期限延長というのは最大十三年に及ぶそうですけれども、今後、南海トラフ地震や首都直下地震の復旧復興について、次世代の対応能力の低下をもたらすわけですね。

 このような問題意識で、当委員会では、我々の同僚議員から地方公聴会の開催を提案してきたわけですが、この法案を通す前に、総理としても被災地や若者の意見を広く聞くべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、復興特別所得税については、現下の家計の負担増にならないよう、復興特別所得の税率を引き下げた上で、その下げた範囲内で新たな付加税をお願いする、このようにしております。

 また、復興財源との関係では、復興債の発行を通じた柔軟な資金調達が可能であるため、復興特別所得税の税率を引き下げても、毎年度の復興事業の円滑な執行には問題は生じないと考えております。加えて、この措置は、復興事業や復興債の償還のための財源としてお願いしている復興特別所得税の課税期間を延長するものであり、その延長幅、これは、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さ、これを確保しているため、復興事業に影響を及ぼすことはない、こうした考えで制度をつくっております。

 防衛財源に流用している、復興特別所得税の一部を、復興財源、流用していると御指摘でありますが、国民との約束違反ではないかという御指摘についても、当たらないと考えています。(階委員「約束違反でしょう」と呼ぶ)いやいや、今申し上げたような理由で、約束違反ではないと我々は認識をしております。

 そして、要は、将来世代の活力を奪うのではないか、そういった質問もありました。これは、二〇二三年以降も付加税が続くことになることで将来の災害への次世代の対応能力が低下する等、こういった観点からの御指摘かと思いますが、今回の税制措置により、標準的なモデルケースによれば、例えば、夫婦子二人、四人世帯を考えた場合、給与所得が五百万円の世帯では、所得税付加税一%で、年間給与収入の約〇・〇一%程度の負担を二〇三八年以降お願いするということになるわけです。これは、経済成長と構造的な賃上げの好循環を実現することにより負担感を払拭できるよう、政府として努力をしていきたいと思っております。

 それから、地方公聴会の開催について。これは国会においてお決めいただくべきものであると考えております。

階委員 じゃ、委員長、是非決めていただきたいと思います。

 三ページ目に世論調査の結果も出しておりますけれども、この復興特別所得税の一部流用問題について、反対という意見が七三%です。増税についても、支持しないが八〇%です。

 是非、地方公聴会の開催を求めますが、委員長、いかがでしょうか。

塚田委員長 理事会で協議いたします。

階委員 これは絶対、法案採決の条件になるということを改めて申し上げたいと思います。

 さて、時間も限られておりますので最後の方に行きますけれども、先ほど稲津先生からもありました広島サミット。広島サミットでは核なき世界に向けて強いメッセージを発したいということが、先ほど総理、言われていましたけれども、そのメッセージの具体的内容が私は問題だと思っております。

 今、軍拡競争がこれから日本も行われるのではないかという、先ほどの世論調査も六割の方がそう答えていますね。そういう懸念が内外に高まってくるということが想定される中で、今このタイミングで、核兵器のない世界に向けて、ヒロシマ・アクション・プランよりもっと踏み込んだ取組をすべきだと私は考えています。例えば、非核三原則を将来に向けて堅持することを表明したり、核兵器禁止条約にオブザーバー参加することを表明したりといったこともすべきではないかと考えますが、総理、具体的なことをお答えください。

岸田内閣総理大臣 先ほどもお答えしたように、G7広島サミットにおいては、核兵器のない世界へ向けての明確なメッセージを発したいと考えております。

 委員の御指摘はその内容が問題だということでありますが、例えば、委員の御指摘の中で、核禁条約、オブザーバー参加するべきではないか、こういった御指摘もありました。

 私も、核禁条約は、核兵器のない世界へ向けて出口に当たる重要な条約になる条約であると認識をしています。

 しかし、この核禁条約には、核兵器国、これは一国も参加していないというのが現実であります。現実を変えるためには、事実、実際、核兵器を持っている国が変わらなければ現実は変わらないという現実を前にして、是非多くの核兵器国に協力をしてもらう、こうした働きかけを唯一の戦争被爆国として行うことが重要であると考えております。よって、G7の場をもって明確なメッセージを発するとともに、具体的な取組が必要であると申し上げています。

 委員の方から、ヒロシマ・アクション・プランにとどまらずとおっしゃいましたが、ヒロシマ・アクション・プランの内容、要は、核兵器は今後とも使わないということ、核兵器の数を今後とも減らし続けるということ、FMCTやCTBTを始めとするこれまでの取組を是非進めようということ、それから世界のリーダーに被爆の実相に触れてもらうということ、こうしたヒロシマ・アクション・プランの内容、これは現実的に重要な内容を含んでいると思います。これも含めて、現実的な取組として進めていきたいと考えています。(階委員「非核三原則は」と呼ぶ)

 非核三原則においては、従来から申し上げております。政府として、非核三原則の見直し等については考えていないということ、再三強調させていただいております。

階委員 時間が来たので終わりますけれども、一月三十日の予算委員会で、私から、防衛費だけでなく、子供、子育て予算、金利上昇に伴う国債費の増加などを考慮した中期財政フレームの提出を求めました。

 総理は国民の皆さんに説明するための資料を作っていきたいというふうに答弁したんですが、その後どうなったんでしょうか。IMFも三月三十日の対日レポートで同様の提案をしています。是非この委員会に直ちに提出を求めたいということで、委員長にはお取り計らいをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

塚田委員長 理事会で協議いたします。

 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫です。

 総理、お疲れのところ大変恐縮ですけれども、簡潔にお答えください。

 時間がありません。早速質問に入ります。

 一つ目は、安保政策の大転換、敵基地攻撃能力、反撃能力の保有で、専守防衛を捨てたという認識があるのかないのか、イエスかノーで答えてください。

 また、仮に台湾有事があったら、米軍と一緒に自衛隊が出動するのか、これもイエスかノーで答えてください。命令を下すのは誰なのか、総理大臣なのか誰なのか、ちゃんと答えてください。イエスかノーで結構です。

岸田内閣総理大臣 簡潔に答えろという趣旨だと思います。

 反撃能力については、これは専守防衛の範囲内であると認識をしております。

 また、台湾有事については、具体的な対応、これは仮定の質問にお答えするのは控えなければなりませんが、いずれにせよ、憲法、国際法、そして平和安全法制を始めとする我が国の法令に従って、具体的に対応していくことになると思います。そして、自衛隊法上、内閣総理大臣が内閣を代表して自衛隊の最高指揮権を有しております。対応するのは内閣総理大臣であると考えております。

福田(昭)委員 簡潔にありがとうございます。

 それでは、このことについてちょっと意見を申し上げておきたいと思いますが、米国は、二〇二七年までに台湾有事が起こるということを想定して、米軍の再編を進めておりますけれども、自衛隊が、日米韓の情報共有、相互運用を視野に進める米軍の統合全領域指揮統制に組み込まれますと、仮に台湾有事があれば、必ず日本が巻き込まれることになります。

 そうならないために、私は、アメリカがプレゼントしてくれたという憲法九条を最大限に生かすということを考えない限り、日本や日本人が大きな被害に遭うことを避けられない、そのように思っていることを伝えたいと思います。

 次に、新たな防衛力整備計画に関する財源確保策、十七兆円に安定財源はあるのかであります。

 資料の一から四まで見ていただきながらお聞きいただきたいと思っています。時間の関係で、私の方から指摘だけして、後で総理のお答えをいただきます。

 一つ目は、今回の防衛増税、四・四兆円以外に、抑止力、対処力を高める安定財源はあるのか。

 この財務省が作ったイメージ図ですかね、下の方から行きますが、歳出改革三兆円強ですけれども、姿が全く見えません。階委員が指摘する予定でありましたけれども、東日本大震災時には、国会議員や国家公務員の人件費を大幅に削減をしました。しかし、そんなことが今回は全く見えません。

 第二に、決算剰余金の活用でありますが、三・五兆円程度は、資料四のとおり、藤岡君が指摘しましたけれども、令和二年度の特別な四兆五千億円を除いては、十年の平均では毎年〇・七兆円程度の剰余金は出てまいりません。

 第三に、仮称の防衛力強化資金、四・六兆円でありますが、これが全くまたでたらめです。新型コロナ関連〇・四兆円、大手町プレイス売却収入〇・四兆円は昨年度の単年度収入でありますし、外為特会と財投特会については、短期国債と財投債の活用による剰余金です。しかも、資料三のとおり、国立病院機構の積立てを一年前倒し、しかも、地域医療機能推進機構の積立金は、一年前倒しをした上で、実は、本来ならば年金特別会計に戻すべき、返納すべきものを、今度は国庫に納付させて、この防衛力強化資金に納入させるという、とんでもないことをやっております。

 それから、外為特会の令和五年度分は、まだ決算が確定していないのに、この資金に前倒しで繰り入れてしまうという、余っているお金は法律で決めれば何でも入れられる、こういうやり方ですからね、総理大臣、いいですか。本当に、こんな信じられないような、財務省がこんなひどい会計をやるのか、私はびっくりいたしております。

 それから、第四に、防衛力整備水準を確保することについての二・五兆円程度については、道下君が指摘したように、政府自身が長い間認めてこなかった建設国債を、もうお金がないから建設国債を一・六兆円程度充当するということであります。

 今申し上げてきたように、1から4、これは総じて申し上げれば、原資はほとんど公債なんです。公の借金なんです。財政規律を無視しております。とても認めるわけにはいきませんけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 財源についていろいろ御指摘がありました。

 まず、歳出改革につきましては、令和五年度予算において、骨太の方針に沿って歳出改革の取組を実質的に継続する中で、二千百億円程度の防衛関係費の増額を確保できたことを踏まえて、今後五年間に同様の歳出改革を継続し、それを積み上げることで、令和九年度時点において、令和四年度に比べて一兆円強の財源を確保できると考えております。

 それから、決算剰余金の活用についてですが、これは過去十年間の実績を踏まえて、年平均で〇・七兆円程度確保できると考えています。

 それから、税外収入については、今般、今後五年間の防衛力強化のための経費に充てられる四・六兆円を確保できたことを踏まえて、年平均で〇・九兆円程度の財源を確保できると考えております。(福田(昭)委員「短くていいです」と呼ぶ)

 短くていいという御指摘でありますので、今申し上げたように、御指摘の点について、それぞれ、政府としては、防衛力を強化、維持するために、それを安定的に支えるためにしっかりとした財源であると考えて、この考え方をお示しさせていただいております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 本来なら主計局長にこんなでたらめな財源でいいのかと聞きたいところですが、時間がありませんので、次、二つ目に行きますけれども、総理、唯一の、ああ、ちょっと言っておきますか。

 張りぼてのような新たな防衛力整備計画の財源しか出せないのであれば、最初からGDPの二%を目指すなんということを言わないで、数字ありきの計画ではなく、元海上自衛隊の、参考人でありました海将の香田洋二さんが言われたように、やはり小泉内閣のときに防衛費というのは最大限削られたんですよ。そこからだんだんだんだん、今増やしてきたんですが、やはり身の丈に合った計画作りをまずすべきだというふうに私は思います。それは言っておきます。

 二つ目でありますが、唯一の安定財源、防衛費増税、四・四兆円はなぜこの法案から削除したのかであります。

 資料の二にありますけれども、防衛費、その財源ですね、法人税と所得税とたばこ税、これがなければ安定財源は何一つないんですよ、総理。あと、今まで申し上げたものは全て安定財源ではありません。こんなことで本当に抑止力、対処力を備えることができるのかどうか、非常に疑問であります。

 だから、そういった意味では、先ほど私どもの階委員が申し上げたように、こうしたことが明確にできない法案であれば、これは一度引っ込めて、もう一度しっかり練り直して、安定財源を国民にも示して、国会で議論をして、その上でやはり私はもう一回議論すべきだと思っております。有識者も言っていますよ。こんなときだから腰を据えてじっくり議論すべきだ、こういうことを有識者も言っていますが。

 総理、先ほど階委員もあれしましたけれども、共同通信の世論調査では、国民、防衛増税、八割反対ですよ。しかも、若年層、三十代以下が一番反対しています。七五%も反対しています。こういうものをきちっと乗り越えて、総理が本当に有事に備えるというのであれば、しっかり法案を、ちゃんと防衛増税もしっかり国民に提案をして、その上で理解を得られなければ私は日本を破滅に導くだけだと思っています。

 安倍総理が実は異次元の金融緩和をやったときに、アメリカ人の大投資家の一人が、過度な円安政策は間違いだ、今はいいが、やがてツケが回ってくる、自分の国の通貨をこんなにおとしめて繁栄した国はない、安倍総理はやがて日本を破滅した男としてその名を歴史に刻まれるだろう、こう言っておりましたが、岸田総理も、このまま突っ走ったら、歴史に本当に日本を破滅した男の一人として名前を刻まれることになりますよ。

 ここはやはりしっかり、もう一度立ち止まって、ゆっくり考えて、日本にもたくさんの有識者がおりますから、そうした意見も踏まえたり、国民の意見も踏まえて、特に被災地の皆さんの意見も踏まえて、しっかり私はやり直すべきだということをお勧めしたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、我々は戦後最も複雑で厳しい安全保障環境の中にあると認識をしています。その中で、国民の命や暮らしを守る、政治にとって最も重要なこの責任を果たしていかなければなりません。そのために、防衛力の抜本的強化を昨年来議論を行い、そしてその具体的な道筋を示させていただいた、こうしたことであります。

 国民の命や暮らしを守るために必要な防衛力の強化について、財源については、先ほど委員の方から様々な御指摘がありました項目について、先ほども説明の途中ではありましたが、一つ一つ、これは安定財源であると考えて、政府として提案をさせていただいているところであります。

 そして、委員の方から、税制措置が法案に盛り込まれていないという御指摘がありました。

 これは、先ほども少し触れさせていただきましたが、昨年末に閣議決定をし、全体像はしっかり示させていただきました。その中で、税制措置については、その実施時期について、行財政改革を含めた財源調達の見通し、また景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応、これを踏まえて今後柔軟に判断をしていく、こういった内容を閣議決定の中に明記をさせていただいています。こういったことから、今回の法案には盛り込んでいないということであります。

 是非、こうした全体像、そして今後の持ち運びについても、引き続き、国民の皆さんに丁寧に説明をし、国民の命や暮らしを守るために政治がしっかり責任を果たせるよう、そうしたメッセージを発していきたいと考えています。

福田(昭)委員 時間が来たからやめますけれども、やはり、総理、太平洋戦争のときの全面降伏をしっかり踏まえて、今こそしっかり腰を据えた議論を徹底的に行って、日本と日本人を守るのにはどうしたらいいかということを議論しなきゃ駄目ですよ。余りにも短絡過ぎる。

 また、私から言わせてもらうと、総理は専守防衛を捨てていないと言っているけれども、私はそれは鈍感過ぎると思っています。これは、日米韓の共同組織に入ったら、もし有事があったら抜けられませんよ。これは抜ける道も考えておかなくちゃ駄目だと思います。

 以上で終わります。

塚田委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 本日は、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案について、総理に対して質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 我が党は、現在の日本を取り巻く環境を鑑みて、防衛費の増額自体に反対するつもりではございません。しかし、その財源の生み出し方は、歳出改革も徹底的にせず、議員の身を切る改革もせず、安易に増税で国民に負担を求めるという考え方に異を唱えております。

 この法案に関して、共同通信社が五月七日に配信した世論調査において、安全保障に関することについて、防衛力強化のための増税方針について支持しないというのが八〇%、また、防衛力をめぐる首相の説明は十分ではないが八八%に達しております。増税を支持しない人の理由においては、今以上の税負担に国民が耐えられないというのが最多となっております。また、東日本大震災の復興財源の一部を防衛費に転用する方針、これは反対が七三%となっております。

 また、四月二十八日、財務金融安全保障連合審査会での参考人質疑においても、きちんと国民に整理をして説明していない、民主主義の危機である、非常に厳しい言葉も飛び交いました。

 このように、本法案への国民の理解が進んでいないとの指摘について、総理、どのように受け止めておりますか。

岸田内閣総理大臣 今、力による一方的な現状変更の試みの深刻化、あるいは北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射など、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境にあると考えています。そうした安全保障環境に直面する中で、国民の命や暮らしを守るために必要な防衛力の抜本的強化、これを決断した次第であります。

 そして、委員の方から、財源確保策について国民の皆さんから様々な意見がある、御指摘がありました。もちろんこうした御指摘は謙虚に受け止めなければならないと思いますが、しかし、この安全保障環境の中で、国民の命や暮らしを守る、政治の最も大事な責任を果たすために是非こうした取組を進めなければならない、こうしたことについて、これからも国民の皆様へ説明を尽くしていきたいと考えております。

 こうした財源を考える際に、国民の皆さんの負担をできるだけ抑える、行財政改革、あらゆる工夫を最大限行う、これが大前提であるということ、これは当然のことだと思っておりますが、それでも足りない部分について、我々の責任として、令和九年度に向けて、税制措置の協力、今を生きる我々の将来の世代に対する責任として、税制措置での協力をお願いしている。そしてさらには、この現下の家計の所得や、九四%の法人にとっては負担増にならないよう、こうした配慮をしている。

 こういった点を強調しながら、説明をしていきたいと考えています。

住吉委員 我が党は、徹底的な行財政改革、そして成長戦略による増収分、これをしっかりと充てていくべきだと主張させていただいております。

 この委員会でも度々指摘しておりますが、行財政改革、歳出改革においては、この数字を少し替えることによって生み出していたり、また、恩給費、これは自然に減っていく性質のものだと思いますけれども、それを一生懸命削減したんだというような形で、これではさすがに国民はなかなか納得できないのではないかと思います。

 また、増税の実施時期は、令和五年税制改正大綱で、令和六年度以降の適切な時期とすると定められてあり、この点について、鈴木財務大臣は、これまで、税制措置の施行時期は、令和六年度以降の適切な時期としておりますが、これは行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえた措置を行うためでありますと説明されております。

 また、歳出改革については、同委員会において、令和五年度予算においては、歳出改革によりまして二千百億円程度の防衛関係費の増額を確保したところであります、令和六年度以降も、より一層の予算の効率化を図るなど、歳出改革に努めてまいりますとの答弁が度々ございました。

 これらの答弁は、具体的な内容については言及しておらず、結論だけを述べたものにほかなりません。先ほど質問させていただきましたが、国民に対する真摯な説明、整理をした分かりやすい説明とは到底言えないでしょう。国民生活に直結するこの重大な問題である増税や歳出改革について、議論を先送りにしている、避けているように思います。うがった見方をしますと、取りあえずテクニカルな部分の法案だけ通して、一つの既成事実をつくってしまおうというふうにも見えますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今回の防衛力の抜本的強化に関する議論については、昨年の通常国会から様々な議論を行ってきました。そして、その議論を踏まえて、昨年末に、政府として全体的な方針を、防衛力整備計画あるいは政府税制大綱、こうした形で閣議決定をし、お示しをした、こういったことであります。

 そして、その財源の一つ一つについて説明を続けているところでありますが、委員の方から様々な御指摘もありました。

 引き続き、こうした具体的な一つ一つの財源については、政府としましても、今後とも丁寧に説明を続けていきたいと存じます。

 そして、御指摘の税制措置についても、委員御指摘のように、令和六年度以降、九年度に向けて複数年かけて税制措置を考えていく、こういった政府の税制改正大綱等に明記されている方針に従って進めていく、こうしたスケジュールにつきましても国民の皆さんに説明をしていきたいと考えております。

住吉委員 国民が一番気になるところ、それは多分恐らく増税だと思っております。歳出改革を本気でやっても、それでも足りない部分をお願いするというようなことが筋だと我々は考えておりますが、先ほど指摘したように、歳出改革、これも本当に、数字を入れ替えた程度で、数字を入れ替えて歳出改革したことにしたり、本気度が足りない、既得権益にしっかりと切り込んでいく姿勢、こういったものが足りない。また、国会議員の報酬であったり身分、これも、優遇、厚遇され過ぎているこの身分を国民が納得する形にして初めて国民にお願いをしていかなければ、これは納得できるものではないと考えております。

 先ほど来より他の委員もございますが、しっかりとパッケージとして示していかなければこれは国民が納得していかないものだということは、我が党としても指摘させていただきます。

 そして、次に、成長戦略によって財源を生み出すことについてお伺いしたいと思います。

 同委員会でも指摘しましたが、二〇二二年度分の一般会計税収額の累計値、これは二〇二三年二月までですが、五十一・二兆円と、過去最高税収となった二〇二一年度の四十六・八兆円を大きく上回っております。このような税収の大幅増加が岸田総理の掲げる新しい資本主義の成長の果実であるとするならば、これからこの成長の果実である増収分を防衛費に充てることによって、新たな税負担というのは避けられるのではないでしょうか。なぜ経済成長による財源を一切考えないのでしょうか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘の経済成長による財源について申し上げるならば、経済あっての財政である、すなわち、まずは経済を立て直すことが重要である、このことは再三強調させていただいております。結果として、見込み以上に税収が伸び、決算剰余金が反映されれば、防衛力強化の財源として活用されることにもなる、こうしたものであると考えております。

 こうした観点も踏まえて、政府として、新しい資本主義の下、官民連携で成長分野への投資や人への投資を推進することで、成長と分配の好循環、これを拡大し、力強い成長の実現に向けて取り組んでいく、これが重要であると考えています。

 成長とそして財源との関係については今申し上げたとおりであります。

住吉委員 様々に、新しい資本主義のメニューの中で、GX投資とかいろいろされていると思います。結果として上振れたから剰余金で活用できるではなくて、しっかりと投資の成果をこういうプランでやっていくというのは立てていただきたいなと。その分を防衛費の財源に充てていただければ、増税なくして防衛費がしっかりと確保できていくものだと考えております。

 ちょっと、時間もございませんので、次の質問に移らせていただきます。

 この委員会でも度々指摘されておりますが、本法案では、税外収入として、決算剰余金や外国為替特別会計からの繰入金が定められております。これをすることによって、その分だけほかの経費に充てられるべき一般財源が減ることになるので、この結果として、赤字国債の増発に結びつく可能性がございます。また、予備費を巨額に積み上げることによって決算剰余金を確保していく、そういう手法も取れるわけでございます。

 鈴木財務大臣は赤字国債の抑制に努めると度々答弁されておりますが、このように財政規律が乱れているのに、どうやったら信頼、信用できるのでしょうか。この先、五十年、百年、未来永劫と防衛というのは続いていくものです。このように、システムとして財政規律を守るようにしないと実効性に欠けますが、そのような仕組み、構築するおつもりでしょうか。

鈴木国務大臣 住吉先生から、予備費あるいは補正予算をめぐって財政モラルが乱れているのではないかといった御指摘がございました。

 政府といたしましては、今までのコロナ対応や物価高騰対策など、これは国民の命と暮らしを守るために適切な対応であったと考えております。

 一方で、巨額の財政支出によりまして日本の財政状況が厳しさを増しているのは事実でありまして、日本の財政に対する市場や国際的な信用を守るため、財政規律の維持がますます重要になっている、そのように認識しております。

 そうした中にありまして、特例公債の発行につきましては、一般会計の歳出財源の不足を補うために特例的に行うものであるということから、政府としては、特例公債法の規定において、その発行額の抑制に努めることとされております。

 また、特例公債の発行抑制に向けては、何よりも財政健全化に向けた取組が重要でありまして、政府といたしましては、プライマリーバランス黒字化等の財政健全化目標に基づいて、歳出歳入両面の改革を継続することとしておりまして、こうした取組に基づきまして財政健全化に努めてまいりたいと考えております。

住吉委員 済みません、最後一問だけ、端的に質問させていただきます。

 防衛費や異次元の少子化対策、これを国民に、より負担を求めるのであれば、国民に信を問う必要があるのではないかと考えますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 我々は今、先送りできない重要な課題の多くに直面をしています。御指摘の、防衛力の抜本的な強化、さらには子供、子育て政策、さらにはGXを始めとするエネルギー政策、あるいは賃上げを始めとする経済政策。重要課題、山積をしております。

 国民の信を問うということについての御質問でありますが、こうした様々な課題が山積している、こうしたものに次々と挑戦していかなければなりません。その中で、何について、どのタイミングで国民の信を問うべきなのか、これは、時の内閣総理大臣の専権事項として、適切に判断すべきものであると考えています。

住吉委員 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原でございます。

 総理に全てお答えをいただきたいと思いますし、短い時間ですので、簡潔に御答弁お願いいたします。

 今、令和四年度まで補正も含めて予備費が幾らほど余っているか、総理、御存じですか。答えを言いますと、四・二兆円なんですね。コロナ、物価予備費が二・八兆円、ウクライナ情勢経済緊急対応が一・〇兆円、一般予備費〇・四兆円、四・二兆円。これが、言ってみれば剰余金として防衛財源に回るという仕組みになるわけです。また、今年も新型コロナ等の予備費が四兆円、そしてウクライナ対策が一兆円と、五兆円の予備費を積んでいるということであります。

 こうして余らせて、決算剰余金に回り、そして防衛費の増額に使うということになれば、防衛費については国債発行はしないといっても、結局は、借金を、言ってみればマネーロンダリングする形になっているんじゃないかという批判が、随分この委員会でも指摘をされましたし、私も指摘をいたしました。

 昨日から五類になったわけですよね。本来は、予備費は少なめにして、そして本当に必要であれば補正予算を組むというのが私は王道だと思います。そういった、五類になったというところから、そういうスタイルに戻すべきだと私は思いますが、総理の御見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の御指摘の、予備費の積み上がりについては、新型コロナや物価高騰といった直面する課題に臨機応変かつ機動的に対応するために、必要性、緊急性、これをしっかりと検討した上で判断し、そして使用を行ってきた、こういったものであると思います。

 そして、防衛費を捻出するために予備費を積み上げているのではないか、こういった御指摘がある、こういったことでありますが、予備費を含めた歳出に不用が生じることが見込まれる場合には、これは特例公債法に基づいて特例公債の発行額の抑制に努めることとなっており、予備費の不使用額と決算剰余金の金額、これは対応するものではないというのが制度であります。

 よって、意図的に予備費を積み上げた、こういった指摘は当たらないと思います。

 そして、もう一つの御指摘が、コロナから脱した、そうした平時に戻ったならば、これは元に戻すのかという趣旨の御質問だったと思いますが、コロナのような予測困難な状態から脱して平時に戻った場合には、これは、それに応じて予備費の計上を通常に戻していく、これが基本的な考えであると認識をいたします。

前原委員 この防衛力強化と併せて、教育の予算も倍増、異次元の少子化対策ということを総理もおっしゃっていますけれども、これは、御党の茂木幹事長は、増税や国債によらない、発行によらないとおっしゃっておられますが、総理も同じ考えですか。簡潔に御答弁ください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の子供、子育て政策については、小倉担当大臣の下でたたき台を作った上で、今、私を議長とするこども未来戦略会議の下で、必要な政策強化の内容、予算、財源について検討を深めている段階です。

 有識者、あるいは子育て世代、当事者の方々も含めてこの戦略会議において議論を進めている最中でありますので、今の段階で個別の財源について確定的に申し上げること、私が申し上げること、これは不適切だと思います。是非、議論を深めた結果として、六月の骨太方針に向けて、この財源等も明らかにしていきたいと考えています。

前原委員 私は、総理としての姿勢を伺っているんです。

 消費税は上げない、十年間上げないということをおっしゃっていますよね。借金ではこういった財源は生み出さない、そして増税はしないというところが、今、自民党の中では議論になっていると思う、与党の中で議論になっておりますが、総裁でいらっしゃる総理のお考えを、幹事長がこういう発言をされている中で、総理はどういうお考えなのかということを伺っています。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました、こども未来戦略会議において議論を深めている最中でありますので、そして、その会議の議長は私であります。この私が今の段階で具体的な財源を申し上げるのは適切でないと申し上げております。

 ただ、一つ、従来から申し上げていることとして、消費税を引き上げることは考えていないということは再三答弁しております。その考え方は、今、変わってはおりません。

前原委員 茂木幹事長は、国債発行それから増税によらなくて、社会保険料の引上げ、活用を検討すべきだとおっしゃっていますし、加藤厚生労働大臣は社会保険料なんかは使えないということをおっしゃっていて、閣内ではありませんけれども、御党の中での意見が不一致になっているということであります。

 総理としては、自分が取りまとめなので、今、明確にそういった財源の話はしないということかと思いますが、一つだけ確認したいことがあります、その中で。

 子ども・子育て拠出金というのを御存じですか。これは、一九七二年から、児童手当拠出金というもので、保険料でもなく税金でもないんですけれども、会社や事業主から、社会全体で子育て支援にかかる費用を負担するという名目で、従業員の厚生年金保険料とともに徴収されているんですよ。普通は労使折半ですよね。この子ども・子育て拠出金というのは、全額、雇用者が負担しているんですよ。全額、雇用者が負担している。現在の料率は〇・三六%。政令で〇・四五%に上げられるようになっています。

 これは非常に私は筋の悪い話だと思っています。つまりは、社会保険料でもないし税でもないというものがもう一九七二年から存在をしている、しかも会社だけが負担しているという、こういったのを私は筋が悪いと思いますが、こういうものはなくす、少なくともこういうものを拡張して財源にしないということについては、明確に御答弁いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 具体的に財源にするとかしないとか、それを申し上げるのは、今の段階では適切でないと申し上げております。

 そして、議論を深めているところでありますが、その際に、子育て政策の内容に応じて、各種の保険との関係ですとか、国、地方の役割、あるいは高等教育の支援の在り方など、これは様々な工夫をしながら社会全体でどう支えていくかを考えていきたい、このように申し上げております。

 これは、社会全体でこれを支えるという観点から、御指摘の点についてもどう考えるのか、議論を深めていきたいと思います。

前原委員 時間が参りましたのでこれで終わりにいたしますけれども、この防衛力増強の財源についても何度も議論しておりますが、安定財源とはほど遠い不安定財源です。ワンショットのもの、そして将来、見込めないのではないかというもの、そして中身については歳出改革も明らかにしない。そして、防衛力強化資金については、この五年間は外為特会の剰余金で充てると言っていますが、その先は充てないということを先ほど財務大臣はおっしゃった、それをベースに充てることはないということをおっしゃった。

 そういうような不安定な中で、また子供の財源も議論するということで、逃げないで、しっかりとやはり、税、社会保障、そして国債発行を含めての堂々たる真っ正面の議論をしていただくことをお願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 軍拡財源法案について岸田総理に質問します。

 本委員会で、二月十日、鈴木財務大臣は、歴史の教訓として、「戦前のような、国力に見合わない債務残高の累増の結果、国家財政や国民生活を危うくすることがあってはならない」と答弁しました。岸田総理も同じ考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 二月十日の本委員会において、委員からの、戦前、軍事費の膨張を許した財政政策についてどのように認識しているかとの質問に対し、鈴木財務大臣から、「戦前のような、国力に見合わない債務残高の累増の結果、国家財政や国民生活を危うくすることがあってはならない」「財政は国の信頼の礎であって、歳出歳入両面の改革を続けて、経済再生と財政健全化の両立を図ることで、責任ある経済財政運営に努めていくことが重要」、こういった答弁があったと承知をしております。

 私も同様の認識であります。

田村(貴)委員 日本は既に世界最大の政府債務大国で、対GDP比債務残高は、戦前の最悪水準を超えて、二〇二二年度で二六三・九%に達しています。

 その下で、岸田政権は、今後五年間の軍事費の総額を四十三兆円とし、軍事費に医療や中小企業費などの国民の暮らしに直結したお金を転用させ、初めて軍事費に建設国債を充当させました。

 総理、手段を選ばぬこの財源づくりの道は、財政破綻に拍車をかけて、結局は国民に増税を強いることになるのではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 抜本的な防衛力の強化を支えるための財源確保について政府として提案をさせていただいているわけですが、こうした財源の提示と併せて、令和五年度予算においては、一般歳出の約六割を社会保障と文教、科学技術予算が占めるなど、これは国民生活の向上に直結する予算についてもしっかりと盛り込ませていただいております。GX、地方創生など、個々の予算についても必要な額、これをしっかり措置をしています。

 そして、こうした予算をしっかりと維持することによって、財政の持続可能性への市場の信認、これが失われることがないように、責任ある経済財政運営に努めてまいりたいと考えます。

田村(貴)委員 岸田総理は、敵基地攻撃能力について、憲法の範囲内で運用されるものと繰り返し述べてこられています。

 しかし、元内閣法制局長官の阪田雅裕さんは、憲法に反する、こう指摘しています。平生から攻撃的兵力を持つことが憲法の趣旨に反するのは、自衛隊が九条二項で保持を禁じた戦力そのものになってしまうからです、日米安保条約の下で強力な米軍部隊が駐留し続け、相当の攻撃力を持ち続ける中で、自衛隊にもこうした攻撃力を持たせることは、九条を死に追いやる行為以外の何物でもありません、このように述べておられます。

 総理、九条を死に追いやるおつもりですか。平生から攻撃的兵器を持つことが憲法の趣旨に反する、この指摘に総理はどう答えますか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の発言、これは阪田氏個人の発言であり、政府としての見解、これを示すものではありません。

 その上で、従来から繰り返し申し上げているとおり、一九五六年の政府見解で述べたような措置を行うことは法理上可能であり、そうである以上、そのための必要最小限の能力を保持することも法理上許されると考えてきました。これが政府の基本的な考え方です。

 そして、今回保有することを決定した反撃能力は、憲法、国際法、国内法の範囲内で運用され、専守防衛の考え方を変更するものではなく、武力行使の三要件を満たして初めて行使されるものであり、これまでの憲法解釈、変更するものではないと認識をしております。

田村(貴)委員 安保三文書では、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行うことが明記されました。

 日本が米軍の軍事行動に集団的自衛権を行使した場合、浜田防衛大臣は、事態の推移によっては、他国から我が国に対する武力攻撃が発生し、我が国に大規模な被害を及ぼす場合もあり得ると、もう今国会で答弁しているんですよ。総理、これはとんでもないことですよ。

 憲法には、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうに」と書かれているではありませんか。敵基地攻撃で我が国が武力攻撃を受けて、そして被害が及ぶというのは、まさに政府の行為によって起こるものです。

 総理、総理がやろうとしていることは、憲法違反そのものではありませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、存立危機事態は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したからといって、無条件で認定されるものではありません。この武力攻撃によって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に認定され、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がなく、必要最小限度の実力行使にとどまる場合において、自衛の措置として武力行使をすることが許容されるものであります。

 その上で、反撃能力は、事態認定後に実際に発生した状況に即して、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために他に手段がなく、やむを得ない必要最小限度の措置としていかなる措置を取るかという観点から、個別具体的に判断し、運用されるものであります。このため、憲法の範囲内で、あくまで国民の命と暮らしを守り抜くために運用されるものであるということ、これは言うまでもないことであります。

 こうした反撃能力の保有により、日米同盟の抑止力、対処力を一層向上させ、我が国に対する武力攻撃そのものの可能性を低下させる、こうしたこともできると考えております。

田村(貴)委員 岸田政権は、専守防衛を投げ捨てて、日本が攻撃を受けていないのに、集団的自衛権の行使と敵基地攻撃で他国の領土に武力行使を行おうとしているんですよ。さらに、兵器の輸出、軍需産業の支援。平和主義をないがしろにしています。戦後最悪の内閣と言わなければなりません。

 憲法違反を幾重にも重ねて大軍拡で戦争国家づくりを進めるやり方は、断じて認められません。

 時間が来ました。終わります。

塚田委員長 これにて内閣総理大臣出席の下の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.