衆議院

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第19号 令和5年5月19日(金曜日)

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令和五年五月十九日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 塚田 一郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    石井  拓君

      石原 正敬君    上田 英俊君

      小田原 潔君    大塚  拓君

      大野敬太郎君    金子 俊平君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      岸 信千世君    小泉 龍司君

      高村 正大君    塩崎 彰久君

      津島  淳君    中山 展宏君

      葉梨 康弘君    藤原  崇君

      堀井  学君    若林 健太君

      渡辺 孝一君    階   猛君

      野田 佳彦君    福田 昭夫君

      藤岡 隆雄君    道下 大樹君

      米山 隆一君    藤巻 健太君

      岬  麻紀君    伊藤  渉君

      山崎 正恭君    前原 誠司君

      田村 貴昭君    吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   財務副大臣        井上 貴博君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          七澤  淳君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     上田 英俊君

  藤原  崇君     堀井  学君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     渡辺 孝一君

  堀井  学君     藤原  崇君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺 孝一君     津島  淳君

    ―――――――――――――

五月十六日

 消費税率五%への引下げに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一〇三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一〇四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一〇五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一〇六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一〇七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一〇八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一〇九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一一〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一一一号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一一二号)

 消費税率の引下げとインボイス制度導入中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一一九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一二〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一二一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一二二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一二三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一二四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一二五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一二六号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一二七号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

塚田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣情報調査室次長七澤淳君、財務省主計局次長前田努君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して御質問いたします。

 この法案、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法についてですが、この法案を含む防衛費大幅増額のスキームにおきましては、本来の所得税に二・一%上乗せして二〇三七年までの二十五年間にわたって個人が負担する復興特別所得税を一%下げると同時に所得税を一%上乗せして防衛費に充て、かつ、復興特別所得税の徴収年限を最長十三年間延長するとされております。再三話題になっておりますが。

 これに対して、財務大臣、ずっと、これは復興特別所得税の流用ではないとおっしゃられております。それはそうだ、じゃ、それは認めるとしましょう。それで、流用でないということになりますと、これは結局、復興特別所得税の課税額と課税期間を課税総額を変えずに変更した上で、防衛費増額のために所得税を一%増税したということになると思うんですけれども、それでよろしいですね、確認のために。増税したかどうか、イエスかノーかでお答えしてください。

鈴木国務大臣 我が国の防衛力強化に係る財源確保のため、税制措置におきまして、所得税について税率一%の新たな付加税を課すこととした上で、復興特別所得税について、その税率を引き下げるとともに、課税期間を延長することとなっていること、これは米山先生ただいま御指摘のとおりでございますが、これは、現下の家計の負担増にならないよう配慮する観点から、新たな付加税と復興特別所得税を合わせた付加税率が現在と変わらないようにしつつ、復興財源の総額を確実に確保するとの考え方によるものであります。

 この結果、二〇三八年以降も付加税が続くことになりますけれども、今回の税制措置では、標準的なモデルケースによれば、例えば、夫婦子供二人、四人家族で給与収入が五百万円の世帯では、所得税付加税一%で、年間給与収入の約〇・〇一%程度の負担をお願いすることとなります。

 政府としては、経済成長、構造的な賃上げを実現をして、税制措置による将来世代の負担感を払拭できるよう努力してまいりたいと思います。こうしたことについてしっかりと説明をしてまいりたいと思います。

米山委員 質問していないことをずっと説明されて時間を浪費するのはやめていただけませんですかね、財務大臣。大臣としての職責の放棄だと思うんです。しかも、増税をしたかしないかというのは財務大臣がきちんと答えるべきことです。何で答えないんでしょうか。答えてください。そして、余計なことは言わないでください。十秒で答えられます。

 しかも、復興特別所得税を変えていないと言うんですから、流用していないと言うんですから、それならば、増税しているかしていないか、しているしかないんですよ。どちらか答えてください。それ以外の答弁をされるんだったら、もう審議を止めますので。増税しているか、していないか、どちらかだけ答えてください。

鈴木国務大臣 従来のもの、二・一%から一%下げて、新たに一%加えたということでございますので、その一%部分については新たな負担をお願いしている、こういうことだと思います。(米山委員「増税ですね、イエスかノーかで答えてください」と呼ぶ)

塚田委員長 米山隆一君、指名をしてから発言してください。

 米山隆一君。

米山委員 増税ですね、イエスかノーかで答えてください。

鈴木国務大臣 その部分については新たな負担をお願いしているということであります。

米山委員 それを増税というんですよ。そして、財務大臣が国民に対して何度聞かれても増税という言葉を言わないなんというのは欺瞞です。ごまかしですよ。そんなごまかしを続けるというのは私は本当に残念です。

 ちなみに、この点について、本委員会で、塚田委員長が、可決した後、地方公聴会を開くとされておりますが、地方公聴会でこの増税、増税なのか流用なのか、反対の意見が多く出た場合はどうするのでしょうか。多く出た場合には、この一%の増税は諦めるのですか。それとも、この増税によって得られる二千億円ほどとされる財源は、諦めるならどこで捻出するのか、諦めないんだったら、では地方公聴会で反対が出ても諦めないんですね。どちらかお答えください。

鈴木国務大臣 地方公聴会につきまして、それが開催された場合、どういう御意見が出るかということ、これは今全く分からないわけでございまして、反対意見が多く出た場合ということを前提としたお尋ねでありますが、仮定の御質問でありましてお答えすることができない、こういうことでございます。

米山委員 そう言うなら、あらゆる答弁は拒否できるわけですよ。だって、分かっていることは聞きませんから。

 では、私もそれは実は疑問に思っていたことなので、鈴木大臣に、質問の仕方を変えて、先ほどの質問をもう一度お尋ねさせていただきます。

 私が増税か否かと聞きましたら、鈴木大臣、負担増をお願いすると言って、増税だとは言わなかった。そうしますと、鈴木大臣の認識の中では、増税ということと負担をお願いすることは違うという認識だと思うんですけれども、その違いは何か、お答えください。

鈴木国務大臣 新たな負担をお願いをする、税制措置について、それは、今までになかったものを増やすということでありますから、まあ、増税だという先生の御指摘、それを否定するものではありません。

米山委員 やっと御答弁いただきました。つまり増税です。ここまでしなければ言ってくれないんですけれども、これは明らかに国民に増税をお願いするものです。

 そして、途中になりましたけれども、結局、仮定の質問には答えられないということですけれども、だとしたら、それは、じゃ、減る可能性があるということでいいんですね。地方公聴会をされたら、もしかして、この一%の増税はしないかもしれないんですね。

鈴木国務大臣 地方公聴会でどのような御意見が出るかは全く私には分からないわけでありますが、政府といたしましては、この一%も含めまして、お願いをしようとしております税制措置、それは変更することなくお願いしたいと思っております。

米山委員 結局、変えないんですね。ならば仮定の質問に答えられているじゃないですか。先ほど何で仮定の質問に答えられないと言ったのか分からないんですけれども、今の御答弁は、どのような意見が出ようと結局増税するとおっしゃられたので、仮定の質問に答えておられます。結局、増税するんです。それなら、一体何のための地方公聴会かということになるわけです。

 そしてまた御質問するんですけれども、今般のその計画で、結局、あれこれあれこれしているんですけれども、防衛力整備、これは四十三兆円必要だといいながら、四十・五兆円しか確保できておらず、二・五兆円の差があります。この二・五兆円分に当たるこれは何なんですか。トマホークなんですか、それとも庁舎なんですか。これはさすがに決まっていないとおかしいとは思うんですけれども、この二・五兆円分に該当する項目を教えてください。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘の防衛力整備の水準四十三・〇兆円程度と予算総額四十・五兆円程度の差額である二・五兆円程度については、防衛力整備計画において、自衛隊施設等の整備の更なる加速化を事業の進捗状況等を踏まえつつ機動的、弾力的に行うことに伴う一・六兆円程度、一般会計の決算剰余金が想定よりも増加した場合にこれを活用することに伴う〇・九兆円とされており、この決算剰余金が増加しない場合には、防衛力整備の一層の効率化、合理化の徹底等を通じて実質的な財源確保を図ることとしております。

 その上で、委員御指摘の防衛力整備の水準四十三・〇兆円程度と予算総額四十・五兆円程度の差額である二・五兆円程度の具体的内容については、その時々の予算編成過程において検討してまいります。

米山委員 結局、訳分かんないじゃないですか。でも、そんなのおかしいんですよ。だって、トマホークをそんなふうにその時々で買ったり買わなかったりできないでしょう。もう買わなきゃいけないものは決まっているわけですよ。庁舎の施設だって今から発注しなきゃ間に合わないんだから、後からなんて変えられませんよ。それは分かっているのに言わないわけですよ。

 そうしたら、結局、二・五兆円は何であれ絶対やるんでしょうということになるわけなんですけれども、そうだったら、それはもう国債しかないじゃないですか。それもまた欺瞞なわけですよ。この二・五兆円に関しても、決まっていることも決まっていないと言い、そして何となくこれから頑張りますと言い、それは本当にいかがなものかと思います。

 次に、結局、今我が国の財政というのはプライマリーバランスマイナスで財政赤字なので、決算剰余金だろうが何だろうが、税収以上の収入に関しては全て国債で賄われておりますので、毎年支払う防衛費増三・七兆円のうち租税措置がなされるであろう一兆円以外の二・七兆円分については、それを防衛費に使わない場合は国債発行額を二・七兆円減らせるわけですよ。防衛費に使わなきゃ減らせるわけですね。逆に言うなら、防衛費に使う以上は、必ず、国債、まあ、政府債務残高と言ってもいいのかもしれませんが、政府債務残高が使わない場合に比べて二・七兆円増えるということになりますけれども、これはよろしいですね。防衛費に使うことによって政府債務残高は、使わない場合に比べて二・七兆円増えるということで、イエスかノーかでお答えください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本のプライマリーバランスは赤字が続いていることから、毎年度の予算編成におきまして歳入の一定割合を国債で賄わなければいけないという状況にあることは事実でございます。

 したがいまして、仮に防衛関係費を全く増額せず、防衛力強化のために確保を予定している財源をそのまま国債発行の縮減に充てれば、その分国債発行額を減らすことができるということは、御指摘のとおりでございます。

米山委員 そうなんですよ。だから、結局、これは国債で防衛費を賄っているのと一緒なんです。

 この次の質問は飛ばしますけれども、現在、日本は千二百七十兆四千九百九十九億円ほど政府債務残高があります。ですので、これは一%金利が上がれば、直ちにではありませんけれども、長期的にはあっという間に十二兆円利払いが増えます。二%なら二十四兆円、三%なら三十六兆円増えるわけなんです。

 金利上昇した場合には、政策的経費、当然削らなければならなくなるんですけれども、その場合、防衛費を賄えなくなりますが、一体全体どうするんでしょうか。そのときの計画を教えてください。

木村大臣政務官 まず、利払い費は、財務省において各年度の予算編成過程で検討されるものであり、防衛省として、利払い費が防衛費に与える影響などを現時点で予断することはできないことを御理解ください。

 その上で、今般の防衛力の抜本的強化の検討に際しては、防衛力強化の具体的内容、予算、財源を一体的にお示しするとの方針の下、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるのか、様々な検討を行いました。一年以上にわたって活発な議論を積み重ね、その集大成として、国家安全保障戦略等を閣議決定の形でお示ししました。その中で、防衛力抜本的強化の財源確保のために、税制措置を含め、歳出歳入面の具体的措置について示していただきました。

 防衛省・自衛隊としては、こうした政府・与党の方針について、国をしっかりと守るために議論を尽くしていただいた結果であり、防衛費の財源として最適なものと考えております。

 いずれにしましても、今般の防衛力の抜本的強化に当たり、このように、防衛関係費の財源を捻出するために各分野の歳出改革を含めた様々な工夫をしていただいている中で、関係者や国民の御理解をいただくためにも、防衛省としても、自らが大胆な資源の最適配分に取り組むことが不可欠と考えており、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底してまいります。

米山委員 これで最後にしますけれども、今ほど、考えていないと言いましたけれども、それは防衛省としてもどうなんですか。戦争というのは、兵たんがかなりの部分を占めるわけでしょう。金利上昇したらどうするか、それは、本当の担当は財務省でいいですけれども、防衛省だって考えなかったら、戦争なんかできませんよ。何度も戦後最も厳しく複雑な安全保障環境と言いますが、今、日本は戦後最も厳しく複雑な財政状況にあるわけなので、それも含めて考えなかったら、とてもできないと思うんです。

 そこで、財務大臣にお伺いしますが、財務大臣、どうするんですか。今、財務大臣の責任ですと防衛省から投げられましたけれども、金利上昇したら直ちに防衛費、捻出できなくなるんですが、まあ、防衛費なのか、それともただの政策経費なのか、この状態で一体どうするんですか。それで一体全体日本の安全は守られるのか、大臣の御所見を伺います。

鈴木国務大臣 御承知のとおりに、我が国の財政状況、これはもう大変厳しいものがあるわけでありまして、今後、金利が上昇いたしますと、利払い費の増加によって政策的経費が圧迫され、財政が硬直化する、そういうおそれがあるわけであります。

 有事の際に、やはり、財政余力がないと市場から資金を調達できないということでございますので、何としても、我が国の市場あるいは海外からの、財政というものが信認されるように財政規律を守ること、これが大変重要なことである、そのことをしっかり踏まえて財政運営に取り組んでいかなければならないと考えております。

米山委員 以上で終わります。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 持ち時間が短いので、早速質問に入らせていただきます。

 歳入が今後上振れした場合、例えば税収が増える、これは物価上昇、岸田インフレで物価は上がっていますから、税収が上振れするという可能性は十分あろうかと思いますが、そういった場合、税収が上振れした場合でも、この一兆円の増税、これは必ずやるんでしょうか。いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 税収が今後増えるか、上振れするか上振れしないかということ、これはまだ、今後の推移を十分把握しないとならない、こういうふうに思います。

 しかし、上振れした部分をどういうふうに使うのか、財政需要の必要なもの、これは防衛力整備だけではなくありますので、そういうことを全体的に考えて判断すべきものと思います。

櫻井委員 いや、閣議決定で、増税すると決めたんですよね。だから、増税するんですか、いわゆる復興税を流用する所得税の増税、これはやるんですか、どうですか。

鈴木国務大臣 御質問の趣旨は、岸田インフレという言葉を使われましたけれども、インフレによって増収が、増えた場合にどうするか、こういうことだということで、そういうふうに理解をいたしましたけれども、必ずしも、インフレが発生することによって税収への影響がどうなるのか、一概に申し上げることはできないんだ、こういうふうに思っております。

 例えば、消費税収につきましては、インフレによって物品の価格あるいはサービスの価格、これが上昇いたしますと、売上額が増加をいたしますので、税収増の要因となると考えられる一方で、仕入れ額の増加が税収減の要因ともなると考えられます。さらに、消費者の需要にも影響が生じる可能性があることから、インフレによります消費税収への影響については、これは一概には言えないと思います。

 法人税収につきましても、インフレによる値上げが企業の売上げを増加させる方向に働く一方で、仕入れ額の増加による費用の増加も考えられます。

 こういうふうに、岸田インフレというお言葉を使いまして、インフレが税収増になった場合、防衛増税をするのかどうか、こういうことだと思いますが、必ずしもインフレが税収につながるということを一概に言えないということを申し上げたところでありまして、将来の税収の動向というのはしっかり見極めなければならないと思いますが、今時点では、税制措置による御負担をお願いを申し上げたいと思っております。

櫻井委員 いやいや、だから、所得増税、閣議決定で決めているわけですよね。それをやるのかどうかを聞いているんですよ。

鈴木国務大臣 今の時点におきまして、閣議決定に基づいて行いたいと思っております。

櫻井委員 ということは、税収が何らかの理由で増えても閣議決定どおりやるというのが現時点での答弁だということで確認をさせていただきました。

 続きまして、これは五月九日、財務金融委員会、岸田総理の答弁なんですが、見込み以上に税収が伸び、決算剰余金に反映されれば、防衛力強化の財源として活用されるという答弁をされているんです。

 これまでさんざん、税収等が増えれば、赤字国債の発行抑制をして、決算剰余金が増えるようなことはしません、そういう答弁を鈴木大臣はされてきたんですけれども、岸田総理は真逆の答弁をされているんですよね。決算剰余金に反映される、増える、防衛財源として活用すると言っているんですよ。

 今までそれをしないと言っていたのと真逆じゃないですか。閣内不一致じゃないですか。

鈴木国務大臣 済みません、事柄上、少し丁寧に答えさせていただきたいと思いますが、決算剰余金、これは、歳出の不用、税収や特例公債等の歳入の増減の結果としてその金額が確定することになります。

 このうち特例公債につきましては、法律の規定に基づきまして、その発行額を可能な限り必要最小限の金額にとどめるために、出納整理期間の六月発行分について、その発行の判断を行う時点における歳出不用や税収等の見込みを踏まえ、発行額の抑制に最大限努めることでありますが、歳入欠陥とならないよう留意しながら行っていることから、結果として、一定程度の金額の決算剰余金が生じ得るところであります。

 特に税収につきましては、特例公債の発行額の調整を行う時点では最終的な全体の税収について正確な見込みを立てることが困難であることから、税収の上振れ分が結果として決算剰余金に反映されることもあり得ます。

 先日、五月九日の総理の答弁は、こうした観点から、特例公債の発行を最大限抑制した後に、結果として、見込み以上に税収が伸びた、決算剰余金が反映されれば、防衛力強化の財源として活用されることにもなると説明されたものであると理解をしております。

 私と総理との答弁に矛盾しているものはないと考えております。

櫻井委員 いやいや、総理はそんなふうに答弁していませんでしたよ。特例公債発行抑制に努めるなんて、そのとき、答弁していないですよ。

 ですから、そこが我々、さんざんこれまで懸念してきたこの法案の問題、大きな問題の一つじゃないのか。結局、赤字国債をばんばん出して、この決算剰余金という、一回そこをくぐり抜けることによってロンダリングして、それで赤字国債、実質的には赤字国債によって、どんどんどんどん、将来世代の負担で防衛費を増やしていくことになるんじゃないのかということで指摘をさせていただいてきたわけなんですよ。

 だから、鈴木大臣はそうやって答弁されますけれども、岸田総理はそんなふうに言っていないわけですから、そこが我々の懸念なんですよ。やはり駄目なんじゃないですか。

鈴木国務大臣 先月の総理の答弁でありますが、先ほど私申し上げましたとおり、特例公債の発行を最大限抑制した後に税収についての見込みが出てくるわけでありますので、最大限抑制をした後に、結果として、見込み以上に税収が伸びた、決算剰余金が反映されれば、防衛力強化の財源として活用されることにもなると総理は発言されておられまして、総理の発言の中にも、結果としてという言葉がしっかりと答弁されているということを申し上げたいと思います。

櫻井委員 五月九日の答弁の中には入っていなかったけれども、別なところで答弁していたから、そうなんだという御趣旨かもしれませんけれども、依然として、このことについてはどういう運用をされるのかということをしっかり見極めていきたいと思います。

 あと、もう一つ、そもそもですけれども、今日採決するということなんですが、これは私、何回この審議をやっていてもよく分からなかったのは、何でこのタイミングでこの法案が必要なのかということなんですね。

 内容について問題はいろいろありますけれども、タイミングについても不思議だな、このことは前原委員からも幾度となく指摘もされているところなんですけれども、結局のところ、防衛力強化資金というお財布をつくることが一つ大きな眼目なのかな。

 つまり、今まで議論の中で出てこなかった、実は埋蔵金が別なところにあって、この法案が通ったらその埋蔵金がどんと出てくるとか、後出しじゃんけんみたいなことはないですよね。いかがですか、大臣。

鈴木国務大臣 ちょっと御質問の意図がよく理解できませんでしたけれども、冒頭、先生から、なぜこのタイミングにということでございましたけれども、私どもといたしましては、結果として税制措置を国民の皆様方にお願いをする、その前提として、国民の御負担をできるだけ抑制すべく、現時点で確保できる税制措置以外の財源を先送りすることなくしっかり確保して、防衛財源の安定的な確保に向けた道筋を早期にかつ明確に国民の皆様方にお示しすることが重要である、そういう観点から、今のタイミングでというふうに考えているところでございます。

櫻井委員 じゃ、ちょっと聞き方をシンプルにします。

 埋蔵金が後でどんと出てくることはないですよね。で、防衛力強化資金にどんと積み増しされるということはないですよね。

鈴木国務大臣 今の時点で、そうした、何か今は隠れている財源が出てきてということは全く想定していないところであります。

櫻井委員 分かりました。

 あと、話は大分変わるんですけれども、外交努力も必要だということは私もさんざん申し上げてきました。

 その点、先週は新潟出張、これはG7の財務大臣・中央銀行総裁会議、出張へ行かれて、先々週はADB総会のために韓国・仁川にも出張に行かれてということで、例えばスリランカの債務問題ですとか、そういったことについて御尽力いただいていることには、これは敬意を表します。

 ですが、来週は、今度、アフリカ開発銀行の総会があって、これは政務官が出張をされるというふうに承知をしております。これは、IMF・世界銀行、ADBは大臣が行かれて、アフリカ開発銀行は政務官、いや、政務官に行っていただくのは大変それはありがたいことだというふうには思っておりますけれども、アフリカの方ががっかりされるんじゃないのかなということを心配をするんですが、これはどうですかね。

 余り言うと、おまえのせいだろうと言われるのも分かっておりますし、だったら会期延長すればいいじゃないかというふうに、こういう押し問答を今したいわけではなくて、やはり、アフリカもしっかり重視する姿勢を見せる必要があるのではないのか。といいますのは、債務問題はスリランカが注目されていますけれども、アフリカだって、潜在的にこれからたくさん出てくる可能性はあるわけですよね。中国はすごいいっぱい貸し込んでいるわけですから。

 この点についても、大臣、今年は無理としても、来年以降、御検討いただけないでしょうか。

塚田委員長 鈴木財務大臣、持ち時間が経過しております。簡潔にお願いします。

鈴木国務大臣 秋に、IMFとそれから世銀のアウトリーチの会合がモロッコで行われます。そのときにG7の会合も併せて開催することを、今準備といいますか、やっておりますけれども、その中で、アフリカの国に集まっていただいてラウンドテーブルを開催できないかということで、今準備をしております。

 債務問題を始め、アフリカはいろいろ課題を抱えておりますので、G7としてもしっかりと対応していきたいと思っております。

櫻井委員 時間が終了しましたので、これで終わります。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 質問に入る前に、この防衛費増額、国民の理解がなかなか進んでいない、さらに、復興特別所得税、これをいろいろしてそこから捻出するということで、やはり、地域の、地方の声を聞く地方公聴会、それは必要なプロセスだと思っておりますので、これを強く要望したいと思います。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 まずは、スパイ防止法についてお伺いしたいと思います。

 防衛とは、外からの脅威にしっかりと対応して国民の財産、生命を守ることですが、これは内部から崩壊してしまっては元も子もありません。

 日本は、よくスパイ天国だと言われております。国家の重要な情報や企業等の情報が不法に盗まれたとしても、その行為をスパイ罪で罰することができません。スパイ行為をスパイ罪で罰することができないという非常に珍しい国でございます。

 中国でスパイ行為を取り締まる反スパイ法が改正され、国家の安全と利益に関わる文書やデータ、それに資料や物品を盗み取る行為が新たにスパイ行為の定義に加わることで、対象範囲が拡大されました。折しも、三月に中国で日本人が拘束されております。

 日本以外の国では死刑や無期懲役に処せられるほどの重大犯罪であるスパイ活動を、日本では、出入国管理法、外国為替管理法、旅券法、外国人登録法などの非常に刑の軽い特別法や一般刑法でしか取り締まれず、事実上スパイ行為がし放題な状況です。日本の人材、知的財産が外国に流出しているだけでなく、日本の安全保障上重要な情報や最先端技術が大量に盗まれている可能性もあります。

 また、世界各国では、国外でも諜報活動を実施する、アメリカのCIA、中国のMSSであったり、イギリスではイギリス情報局秘密情報部など、非常に有名な対外諜報機関が存在しますが、日本には、国外で諜報活動を実施する機関は存在しません。日本の諜報活動というのは、国内で活動し、公安警察、公安調査庁、内閣情報調査室などが存在しますが、いずれも小規模で、国外での諜報活動は行っておりません。日本国内でスパイを取り締まる法律もなく、諜報機関も小規模であることが、日本はいわゆるスパイ天国と言われてしまっている理由です。

 我が党は、政策提言において、アメリカのCIAのようなインテリジェンス機関を創設するとともに、諸外国並みのスパイ防止法を策定し、情報安全保障を強化することを打ち出しております。このようなスパイ防止法を策定するお考えについて、政府の見解をお伺いいたします。

七澤政府参考人 お答え申し上げます。

 事柄の性質上、詳細につきましては申し上げられませんけれども、政府としましては、我が国の国内において、外国情報機関による情報収集活動が行われているとの認識に立ちまして、必要な対策を講じてきているところでございます。

 その上で、いわゆる反スパイ法、スパイ防止法の必要性につきましては、様々な議論があると承知しておりますけれども、国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要でございまして、引き続き必要な取組の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

住吉委員 我々、防衛費の増額というのは、もちろん賛同しているところでございます。

 一方で、こういった内部からの崩壊、ほかにも、例えば、外国人の土地の売買、これもまだまだ足りていないと認識しておりますし、最近では、北朝鮮のハッカー集団による仮想通貨の被害、サイバー被害、こういった報道もございました。防衛費の増額、しっかりとこの国を守っていくとともに、こういったことも並行して真剣に考えていかなければならない、そういう時期に来ていると思います。

 続いて、決算剰余金についてお伺いしたいと思います。

 決算剰余金は、元々一般財源として扱うものに色をつけただけですので、これが財源を生み出したと呼んでいいのか、そもそものところで疑問を感じております。

 この決算剰余金、五年で三・五兆円捻出することを想定しておりますが、財政法は決算剰余金の二分の一以上を国債の返済財源に充てると想定しておりますので、実際に五年で七兆円の決算剰余金が出ると現時点で想定されております。

 まず、確認ですが、この決算剰余金ですが、予算が余る前提で編成しているのか、また、余らせる前提でなければ、毎年の〇・七兆円の財源、すなわち決算剰余金一・四兆円はなぜ見込めるのか、いま一度御答弁お願いいたします。

鈴木国務大臣 毎年度の予算は、これは予算編成時の見積りに基づきます歳入と歳出が見合う形で策定をして、そして国会の議決をいただいているところでありまして、予算を余らせる前提で予算編成を行っているわけではありません。決算剰余金は、予算を執行していく中で、結果として生じた歳出の不用、税収や特例公債等の歳入の増減によって金額が確定をするものであります。

 このうち特例公債につきましては、特例公債法の規定に基づきまして、出納整理期間における歳出不用や税収等の見込みを踏まえ、発行額の抑制に最大限努めているところですが、歳入欠陥とならないよう留意しながら行っていることから、過去において、結果として、一定程度の金額の決算剰余金が生じているところでございます。

 そして、先生から具体的な金額の話もございましたが、決算剰余金の直近の十年間、平成二十四年から令和三年度の平均が一・四兆円程度であることを踏まえまして、財政法上の公債又は借入金の償還財源に充てるべく、二分の一を除く残りの二分の一、〇・七兆円程度を活用見込額として見込んでいるものであります。

住吉委員 歳入欠陥とならないように、細心の注意を払いながら予算編成しているということなんですが、それはそうだと思います。逆に、予算を使い切らずに、知恵と工夫で余ってしまう、これは別に私は悪いことだと思っておりません。

 しかし、毎年確実に発生するであろう決算剰余金、これを当てにしているのでは、これはこの委員会でも度々指摘ございましたが、予算を余らせるように組むというモラルハザード、これを引き起こしかねません。

 安定財源ではないんですが、防衛費の財源と言われているこの決算剰余金〇・七兆円、これより上振れた分というのは、逆に財源としてふさわしいのではないか。これは安定財源ではないですけれども、毎年必ず確実に〇・七兆円が見込めるというのであれば、それは別に、元々あったものですから、それに色をつけているだけですので、これは別に何か新しく財源を生み出したという考えではないと思います。

 この上振れた分が財源としてふさわしいのではないか、この決算剰余金〇・七兆円は防衛費の財源としてはふさわしくないと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 決算剰余金につきましては、財政法の規定によりまして、少なくともその二分の一を公債又は借入金の償還財源に充てなければならないとされているところでありまして、残りの二分の一につきましては、償還財源以外の財源としていろいろ活用できる、それが可能であるとされているところでございます。

 したがいまして、防衛財源の確保に当たりまして、国民の負担をできるだけ抑えるべくあらゆる工夫を行う中で、過去の実績を踏まえて、決算剰余金を年平均〇・七兆円程度活用することとしておりますが、我々としては、こうした決算剰余金の活用、これはしっかりとした財源である、そういうふうに思っております。

 その上で、住吉先生おっしゃるように、この〇・七兆円を超える部分の上振れがあったときには、これは、防衛費以外にも、今財政需要がある様々な政策課題がございますので、そういうことも総合的に考えながら、有効に活用するということになるんだと思います。

住吉委員 上振れた分は、防衛費も含めて、それ以外にも活用していけるということなんですが、この〇・七兆円もそもそもそういうような性質だと思っています。

 年度によって余る額というのは、この委員会でも御指摘ありましたが、〇・七兆円というのは確実に財源として生み出していくとおっしゃっておりましたが、これも同じことを何回も言っていますけれども、この〇・七兆円というのは、そもそも元々あった額です。補正予算の財源とかそういったところで当然赤字国債とかが増えていく、そういう仕組みであるということは改めて指摘しておきたいと思います。これはまた質問しても同じような答弁になるので質問しませんが、指摘させていただきます。

 ちょっと順番を変えまして、六番の防衛版ふるさと納税について質問させていただきたいと思います。

 先日の参考人質疑において、香田参考人からは、今回の予算確保政策論議で最も欠けているものは、我が国防衛で最も重要な要素である、国民一人一人がそれぞれの立場で直接間接に国防に関与していく自覚を養成するという政府と国会の覚悟と決意や、国民の参画意識なき自衛隊の我が国防衛任務の完遂は極めて困難、厳しく言えば不可能であるという意見がございました。まさにおっしゃるとおりだと思って聞いておりました。

 日本を取り巻く環境がいかに厳しい状況であるのか、また、日本の平和が当たり前ではなく、多くの方々がこの国を守るために尽力しているということを国民にも理解していただくことは重要であることは言うまでもありません。

 また、高橋参考人からは、財源確保の手段の一つとして、防衛版ふるさと納税についての提案がございました。国民の参画意識を醸成するこのような取組に、積極的に検討していくことが必要だと考えております。また、ツイッター等でも、このような制度があれば是非協力したいとおっしゃる方々も見受けられます。

 増税する前に、国防に対して国民の参画意識を高めるための防衛版ふるさと納税を創設、検討してはどうかと思いますが、政府の御見解をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 住吉先生御指摘のとおり、防衛財源の確保に向けましては、国民の理解それから参画意識、これの向上というものが重要である、そういうふうに思っております。

 それで、先生は防衛版ふるさと納税という例を挙げられましたけれども、その上で、御指摘の防衛力整備を目的とした国に対する寄附制度の導入に当たりましては、幾つかやはり留意する点があるんだと思います。

 例えば、事実上、半強制の寄附となったり、あるいは、一部の企業、例えば、防衛力装備品を受注した会社が多額の寄附をするなどの場合があった場合に、結果として、行政の公平性に疑いを持たれるようなことにならないかといった課題もあるということは、併せてしっかり考えなければいけないのではないかと思います。

住吉委員 もちろん、新しいことをしていくにはいろいろな課題があると思います。でも、課題があるからやめるのではなくて、どうやってすればその課題を乗り越えられるか、そういう考えから是非進めていただきたいと思います。

 質疑時間が終了しましたので、これで終わります。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 おはようございます。国民民主党の前原でございます。

 財務大臣にまず確認したいのですが、今、住吉委員に対する御答弁で、決算剰余金ですけれども、平成二十四年から令和三年までの平均が一・四兆円であった、だからその半分で〇・七兆円ということをおっしゃいましたけれども、これは再々、今まで同僚議員、藤岡議員とかからもお話がありましたけれども、令和二年度だけが突出しているんですよね、四兆五千三百六十三億円ということで。この年からいわゆるコロナというもので予備費を積んだわけでありますが、五月九日のこの委員会の岸田総理への私の質問に対する答弁で、元に戻すという話がありました。コロナが終わったんだから、五類になったんだから予備費を元に戻すということは明確におっしゃいました。

 そうなると、これだけ令和二年度の突出したものを含めて平均が一・四兆円になっている、その半分が〇・七兆円って、確保できないんじゃないですか。

鈴木国務大臣 令和二年度、突出した剰余金の出た年でありますけれども、それを入れるか外すべきかという御議論はこの委員会でもあったところでございますが、私どもとしては、同じ手法といいますか手だてを経て出てきた額でありますので、今後とも、出たり入ったりというのはあるのかもしれません。いずれにしても、これは一つの、十年間の中に入れて平均を出させていただいたというところでございます。この間、総理からもそのような答弁があったのではないかと思います。

前原委員 総理からはそういう答弁はありません。財務大臣の答弁は、それはそれで、された答弁についてはそうなんでしょうけれども、全く説得力がないということだけは申し上げておきたいと思います。

 先ほどの住吉委員の御質問で、剰余金を余らせる、剰余金を生むという前提で予算は組んでいないということをおっしゃっていた。

 ということは、剰余金は少なければ少ない方がいいわけですよ、その方がプロフェッショナルとしてはいい予算を組んだということになるわけでありますから。しかも、加えて、コロナで予備費を拡大をさせていた、財政民主主義の観点からもおかしいという指摘が何度もありながら拡大してきて、元に戻すという答弁をされていて、なおかつその前提でこの四兆五千億円を積むというのは全くもっておかしいし、それを前提にこの防衛予算というものが組まれているということは砂上の楼閣だということは改めて申し上げておきたいと思います。

 そして、令和十年度以降の防衛力強化資金〇・九兆円程度、この財源は何ですか。これはこの間も質問しましたけれども、もう一度お答えください。財源が決まっていないものを安定財源と認めるわけにはいきませんので。

鈴木国務大臣 この点につきましても、委員、委員会で御指摘をいただきまして、お答えをさせてきているところでございますが、令和六年度以降におきまして防衛力強化資金への繰入れに充てることのできる税外収入について、現時点で見込まれるものはございません。けれども、令和五年度予算におきまして、今後五年間の防衛力強化のための経費に充てられる税外収入四・六兆円を確保したことを踏まえまして、令和十年度以降におきましても、防衛力強化資金から年平均〇・九兆円程度の安定財源を確保できるように、今後も引き続き、幅広い観点から、更なる税外収入の確保に努めていきたいと考えているところであります。

前原委員 この四・六兆円を確保できたのは二年分の外為特会の剰余金でしょう、繰入れでしょう。だけれども、この間の私の質問では、令和十年度以降、外為特会の剰余金の繰入れについては安定財源とは考えていないということをおっしゃっていたわけでありまして、安定財源とは考えていない、外為特会なんというのはどういう状況になるか分からないという答弁をされたじゃないですか。

 だから、これを当てにしているんだったらそれはおかしな話だし、〇・九兆円について、五年間で確保できたんだからそれ以降も確保できるなんという答弁は本当にいいかげんな答弁だということは申し上げておきたいと思います。本当に、財務大臣としてはあるべき答弁で全くないということは申し上げておきたいと思います。

 最後、もう一つ、今日は日銀の植田総裁に来ていただいておりますので、少し、アメリカの連邦債務の上限問題について伺っておきたいと私は思います。

 うまく政治的に妥協がされる可能性は高いと思いますけれども、しかし、これがなされなかった場合における影響、そしてそれに対してしっかりと今から準備をしておくこと、そういったものについては考えておかなくてはいけないと思うんですね。

 特に、米国債が暴落をする、金利が上昇する、あるいは、米国債をたくさん保有をする金融機関からの預金の引き出しが続出する可能性があるということになれば、シリコンバレー銀行のような形というものが世界全体に広がっていく可能性があると思いますが、日銀総裁、大丈夫だろうじゃなくて、やはり危機管理というものは、そうなったときにどう中央銀行として対応するかということについては考えておかなければいけない問題ですので、仮定の質問だとかそういう御答弁をされるのではなくて、どういった影響が考えられるか、そのときに中央銀行としてどういった対応を取るということを今想定しているか、その点について御答弁ください。

植田参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の米国の債務上限問題ですが、これは委員も御指摘されましたように、現在、関係者間で解決に向けた取組が一生懸命進められているというふうに承知しておりまして、早急に解決されることをもちろん期待してございます。

 ただ、その上で、仮にでございますが、米国債がデフォルトということになった場合には、甚大な影響が米国経済、世界経済に及ぶということは間違いないと思います。まず、米国政府の周りでは社会給付あるいは公共サービスの提供が制限されるという影響が発生しますし、それにも増して、いろいろな金融市場で混乱が発生する。これは米国債保有者に利払い等がなされないというだけではなくて、様々な金融取引の根幹に担保等として米国債がございますので、金融取引のかなりの部分に重大な影響が及ぶということを覚悟しておかないといけないということかなと思っております。

 その上で、御質問は、そういう場合に日本あるいは日本銀行としてどういうことを考えておかなくてはいけないかということも含まれていたかと思いますが、それは、やや抽象的な言い方になって恐縮でございますが、経済、物価、金融情勢に応じて機動的に対応するという中で金融市場の安定維持に努めていくという所存でございます。

前原委員 その金融市場の安定に努めていくということは、それは当然のことだというふうに思いますけれども、その中にもう少し踏み込んで、私は御答弁いただきたいと思いますけれども。

 アメリカの金融機関の破綻などでは、預金が引き出されて、そして結局破綻をするということになるわけでありますし、今はデジタルですよね、一瞬にして預金が引き出されるといった状況が生まれるわけでありますけれども、そういう意味においては、アメリカが取ったことは、流動性の確保と、それから預金保険機構の上限撤廃ですよね。こういったことで安心感を生んで、そして金融不安を防いだということであります。

 そういったことも含めて、日本銀行で、単なる抽象的なことではなくて、どういったことに重きを置いてしっかりと不安が広がらないようにするかということについて、御答弁をいただきたいと思います。

植田参考人 一つ例で申し上げますと、シリコンバレー銀行の場合は、流動性の問題が発生したときに、いざというときに、アメリカの中央銀行、FRBから資金供給を受けるということができる体制にもちろんなっていたわけですが、その仕組みについて十分理解している担当者がいなかった、あるいは、どういうふうにしたら資金供給を受けられるということについての理解が十分でなかったというような、やや初歩的な問題もございました。

 こういう点は日本についてはないように日々きちんと努めておりますし、どういう銀行がどういう担保を持っていて日銀に差し出しているかということも確認してございますので、いざというときの資金供給に問題はないというふうに理解してございます。

前原委員 問題が起きないことを願っておりますが、仮に何か起きたときについては、日本では、今総裁が御答弁されたように、しっかりと対応できて問題が起きないというような準備をしっかりとしていただくことをお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

塚田委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 軍拡財源法について質問します。

 本法案は、岸田政権が昨年閣議決定した安保三文書に基づき、今後五年間で総額四十三兆円もの大軍拡を推し進めるもので、断じて認められません。さらに、国会法で重要な歳入案件は公聴会を開かなければならないとされているのに、与党は開こうとしない。復興財源を軍事費に転用し、被災者の声も聞かないままに採決をするなど、絶対に許されません。

 鈴木大臣、四月二十六日の本委員会で、末松議員の質問に対して、軍事費の財源について、将来世代への負担の先送りとなる国債については防衛力の財源と位置づけることは困難と大臣は答弁されました。軍事費の財源に国債は使わないということですね。端的にお答えください。

鈴木国務大臣 今までの中期防でございます、いわばよくある台形の絵の根っこの部分でありますけれども、そこにはもう既に赤字国債が使われております。

 私が申し上げましたのは、今後上に乗っかっていく部分につきましては、国民の皆様方に、令和十年度以降、約一兆円の税制の御負担をお願いしたい、こういうことで、国債による負担は避けたいということを申し上げているところです。

田村(貴)委員 ところが、本法案では、決算剰余金を防衛力強化資金につぎ込むこととしています。決算剰余金の元はコロナ対策などの予備費です。予備費は財源として赤字国債じゃないですか。軍事費の財源に国債は使わないと言いながら、結局、赤字国債でつくった財源を軍事費に注ぎ込むことになりますよね。ここをはっきりしたいんです。どうですか、赤字国債ですよね。

鈴木国務大臣 決算剰余金につきましては、歳出の不用でありますとか、税収など歳入の増減も含めて金額が確定するものでありまして、一概に国債が原資であると評価することは適当ではないと考えております。また、決算剰余金を活用することにより国債発行が新たに増加するものではないことから、しっかりとした財源として見込んでいるところであります。

 その上で、予備費を含めた歳出に不用が生じることが見込まれる場合には、税収等の動向も見極めながら、特例公債法の規定に基づき、特例公債の発行額の抑制に努めることとしております。

 したがいまして、予備費の不使用額が増えたからといって、直ちに決算剰余金の増加につながるものではない、そのように考えているところであります。

田村(貴)委員 大臣自身の答弁のことについて聞いているんですよ。責任を持って答えていただきたいんですよ。

 決算剰余金の元は、予備費を使ったら、その予備費が赤字国債でつくられたなら、軍事費に赤字国債が入っていくじゃないですか。そのことを認めないんですか。

鈴木国務大臣 そのことについては、ただいまも答弁をさせていただいたとおりでございまして、決算剰余金、これは歳出の不用、税収など歳入の増減も含めて金額が確定するものでありまして、一概に国債が原資であると評価することはできない、そのように考えております。

田村(貴)委員 入るじゃないですかと聞いているんですよ。国債財源を転がしているだけじゃないですか。だから、国債ロンダリングだと言っているんですよ。違いますか。私だけじゃないですよ。この間の質疑の中で、ほかの会派の議員からも、これはロンダリングだという発言がいっぱいありましたよ。赤字国債を財源として軍事費を賄うんじゃないんですか。

鈴木国務大臣 決算剰余金、これは先ほど申し上げましたとおり、一概に、国債が原資である、そういうことは評価することはできないわけでございます。何とかロンダリングとかいうお話は耳にいたしますが、そうした認識を私ども持っているわけではありません。

田村(貴)委員 さらに、軍拡財源には復興特別所得税まで召し上げる、ほかの増税も導入する、病院や医療の年金、こうした積立金もつぎ込んでいく、さらに歳出カットをやる、そういうスキームで進めていけば、国民負担が増えるのは明らかです。国債や国民負担増は、国民への大増税に行き着かざるを得ない。大増税に行き着くんじゃないんですか。大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 いろいろな議論の中で、防衛力整備をするに当たって、やはり財政、そういうものがしっかりしていなければならない、つまりは、有事におきましても財政余力を持っていなければいけない、こういう認識を強く持っているわけでありまして、財政再建、これに向けた取組は手を緩めずに続けていくということでありまして、その観点からも、何か一方的に財政の需要を緩めてやっていこうというような考えは毛頭持っていないところであります。

田村(貴)委員 非常に抽象的ですね。もう手当たり次第に財源を集める、その行き着く先は国民負担増、大増税に行き着かざるを得ない、このことははっきりしています。

 軍事費を何に使っていくのか。再三私も申し上げてきましたけれども、イージスシステム搭載艦、洋上イージス、これは大問題ですよ。

 大臣は、今月九日の私の質問に対して、各年度の予算編成を通じて精査をし、必要な調整を行っていきたいと答弁しました。

 しかし、これは精査するといっても、問題は、洋上イージスの中身が全く決まっていないことなんですよ。元々、イージス・アショアといって、陸上の秋田そして山口に置く計画だったものを、世論の反対でできなくなりました。ところが、これを白紙撤回せずに、イージスシステムやレーダーを既に発注してしまったからといって、陸上用のものを洋上で運用する、こうなってきたのが今の計画なんです。陸上用を洋上で運用するためにどれだけ大きな、どれだけの規模の艦船になるのか、これも全く決まっていません。だから、建造費用だって積算できないんですよ。

 そういう計画である、何も決まっていない計画であるということは、大臣、認識されていますか。

鈴木国務大臣 イージスシステムのことにつきまして、具体的なことにつきましては防衛省にお聞きをいただかなければならないんだと思いますが、財務省の立場といたしまして、新たな防衛力整備計画では、イージスシステム搭載艦二隻につきまして、令和九年度末と令和十年度末の配備を目指し、その建造費用として約四千億円が計上されております。

 この金額は、既存のイージス艦の建造費用をベースに見積もられたものと承知をしておりまして、整備費用を含め、より精緻な積算につきましては、防衛省において令和五年度に実施する船体設計などの様々な要素を踏まえる必要があるため、現時点でお示しすることは困難である、そのように承知をしております。

 その上で、イージスシステム搭載艦のより具体的な建造費用につきましては、今後の予算編成過程等を通じまして政府において精査することとしており、必要な調整を経て今後確定していくものと理解をしているところであります。

田村(貴)委員 中身が決まっていないものに対して精査も調整もできないじゃないですかと聞いているんですよ。それに財源をつけていくわけですよ。おかしいじゃないですか。

 艦船の大きさだけじゃないんですよ。この船に極超音速滑空兵器の迎撃システムを搭載するということですけれども、これもこれからの開発なんでしょう。陸上の二つの基地で二十四時間対応する。これはメンテだってあるんですよ。洋上なら二隻で済むかどうかも分からない。

 結局、洋上イージスの中身がはっきりしない。はっきりしていませんよね、大臣。それだけ認めませんか、はっきりしていないことは。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、防衛省におきまして令和五年度に実施する船体設計など様々な要素を踏まえて詳細が詰められるわけでありまして、その詰められた詳細を踏まえて、予算編成過程等を通じて政府としてしっかり精査していく、こういうことでございます。

田村(貴)委員 そんないいかげんなことで洋上イージスシステムを進めていったら、これは幾らかかるか分かりませんよ。

 四千億だと言われました。でも、イージス・アショアの分があるからもう六千億円を超えていると。そして、この先どんどん積み重ねていったら一兆円を超えるとも言われています。

 青天井になる計画じゃないんですか。青天井になるものに対して財務省は公金をじゃぶじゃぶ注ぎ込んでいく、そういうことをやっていいんですかと聞いているんですよ。大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 したがいまして、各予算編成におきます査定、これをしっかりやってまいります。

 そして、大枠が決まっているわけでありますから、その大枠に収まる、仮にそれが上限になるようなことがあれば、防衛省におきましてより効率的な予算執行等に努めていただく、これはそういうことになっておりまして、何か、田村先生がおっしゃるとおり、じゃぶじゃぶ上限を超えてどんどん予算が拡大していくということになってはならないし、ならないようにしっかりやってまいりたいと思います。

田村(貴)委員 じゃ、今年度予算において何か査定したことがあるんですか。この間、明確な答弁がなかったんですよ。査定していないじゃないですか。青天井になるだけじゃないですか。そういうことを続けていったら国民生活が破綻してしまいますよと言っているので、この法案は絶対に私は認めるわけにはいかないんです。

 後年度負担についてもお伺いします。

 前の防衛力整備計画で五兆円だった後年度負担が、今回の計画では十六兆五千億円に、三・三倍にも膨れ上がっています。大臣は、防衛費を増やすとは必ずしも言えないと答弁したんです。

 しかし、安倍政権以降、後払いの武器、装備品の購入の契約をどんどん広げてきた。補正予算で積み増しして軍事費は膨れ上がった。防衛費を増やすとは必ず言えないと大臣は答弁されましたけれども、この間の流れを見たら、これが事実じゃないですか。膨れ上がっているじゃないですか。いかがなんですか。

塚田委員長 鈴木財務大臣、持ち時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

鈴木国務大臣 田村先生から、後年度負担による、次期防衛力整備計画で四十三兆円を上回るのではないかという趣旨の御質問があったところでございます。

 今回の防衛力整備計画において、今後五年間に新たに必要となる事業に係る契約額四十三・五兆円のうち、二〇二八年度以降の支出を予定している後年度負担額、これは十六・五兆円となっております。

 こうした点を踏まえまして、昨年末に閣議決定した防衛力整備計画におきましては、二〇二八年度以降の整備計画について、二〇二三年度から二〇二七年度までの五年間の装備品や施設の整備等を適正に勘案した内容とし、二〇二七年度の水準を基に安定的かつ持続可能な防衛力整備を進めるものとするとしており、これに沿って防衛力整備を進めていくこととなります。

 このため、後年度負担により次期防衛力整備計画では四十三兆円を上回るという御指摘でありますが、必ずしもそうとは言えない、そのように考えております。

田村(貴)委員 全然なっていない。前の計画では約五兆円だった。今回は十六兆五千億円になっている。

塚田委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

田村(貴)委員 いや、答弁になっていないから。これは審議をまだまだやらないと駄目ですよ。総額も分からない、装備の中身も分からない、それに対して財務省はどんどん軍事費を充てていこうとしているんですよ。まだまだ審議をしなければいけませんよ。答弁できていないじゃないですか。

 じゃ、イージス・アショア、イージス・アショア型、洋上イージスの総額は幾らなんですか。言ってくださいよ。

塚田委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

田村(貴)委員 いや、委員長、終わるわけにいかぬですよ。まだまだ審議をやらないといけない。審議続行。

 皆さん、審議続行しましょうよ。これで終わるわけにいかぬですよ。だって、国民の税金を充てていくんでしょう、四十三兆円も。(発言する者あり)私は今日の採決には同意していない。

 質問することは続けていこう。審議続行しましょう。聞いたことに答えていない。

塚田委員長 田村委員に申し上げます。申合せの時間が経過しておりますので、質疑を終局してください。

田村(貴)委員 審議続行を求めたいと思います。

塚田委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

田村(貴)委員 審議続行してください。

塚田委員長 理事会で合意した申合せの時間が経過しております。御協力をお願いいたします。

田村(貴)委員 審議は続行すべきです。

塚田委員長 申合せの時間が経過しております。質疑を終局してください。

田村(貴)委員 審議を打ち切ることには絶対同意できません。

塚田委員長 申合せの時間が経過しておりますから、質疑は終局をお願いいたします。

田村(貴)委員 だって、今の話は立憲民主党も私も質問して、それからほかの党からも議論があって、まともな答弁が出ていないじゃないですか。

 理事会を開いて、審議続行しましょう。

塚田委員長 申合せの時間が経過しておりますので、質疑を終局してください。

田村(貴)委員 財務大臣、先ほど答弁を私一つ納得できないのは、決算剰余金。剰余金は赤字国債を原資とした予備費を使うと。その流れでいったら、剰余金を軍事費に使うのであれば赤字国債が軍事費になるという、ここについてなぜ認めないんですか。それについて答えてくださいよ。

塚田委員長 申合せの時間が経過しておりますので、これで質疑を終局してください。

田村(貴)委員 審議続行を求めます。

塚田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。米山隆一君。

米山委員 ただいま話題となりました我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案について、反対の立場で討論いたします。

 まず、この法案は、御承知のとおり、財投特会の積立金から二千億円、外為特会の剰余金から一兆二千四億円、国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構の積立金から七百四十六億円の、合計一兆四千七百五十億円の財源を防衛費のために確保したとするものです。

 しかし、財投特会計の積立金は、本来必要な純資産の五%に遠く及ばない〇・九%であり、金利が上昇したら直ちに不足が出かねず、全く不当と言わざるを得ません。

 外為特会の剰余金は、一見、使わず死蔵されている資金から財源を確保できているように見えますが、そもそも政府短期証券で調達されたものであり、剰余金は政府の債務を減ずるために使うべきで、それを防衛費に充てる以上、その分、政府債務残高は増加します。

 国立病院機構及び独立行政法人地域医療推進機構の積立金も、余っている資金から財源を確保できているように見えますが、その分、国立病院機構や地域医療機能推進機構の施設整備や職員の待遇改善が後回しになります。

 結局、この法案は、一見、財源を確保したように見えますが、それは要するに、様々なリスクとコストを国の財政と国民に押しつけることによって防衛費だけを確保するものにすぎないのです。

 中でも重大なのは金利上昇リスクで、我が国は現在、千二百十二兆四千六百八十億円もの政府債務残高を抱えており、一%の金利上昇で長期的には十二兆円、二%なら二十四兆円、三%なら三十六兆円の追加的利払いが生じ、直ちに財政破綻の危機に瀕します。そして、現実に財政が破綻すれば、日本経済と国民生活は大きな損害を被ります。

 今般の防衛力整備計画は基本的には台湾有事を想定していると伺っておりますが、それが一定の確率で起こり得ることは否定しません。しかし、実際にそれをやった場合、やった側にも損害は甚大で、その確率は実際問題高くありませんし、それによって日本がどの程度巻き込まれ、どの程度の損害を被るのか、全く明らかではありません。

 一方で、日銀が自ら十年間大量のマネーを市場にばらまき、世界中でインフレと金利上昇が進み、日本においても三・五%ものインフレと長期的円安が進行している現在、金利上昇の確率は決して低いものではありません。そして、そのとき、日本の経済と国民生活は回復不可能なほど大きな損害を負う可能性は極めて高いものと言わざるを得ません。財務大臣は今般の委員会で何度となく、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境と言われましたが、日本は今、戦後最も厳しく複雑な財政状況にあります。

 発生する確率が低く、生じる損害もはっきりしない有事に備えるために、発生する確率が相当程度に高く、そのとき発生する損害が甚大であるとあらかじめ予想されている金利上昇局面に対して備える資金を使い切り、更にそのリスクを高めることは、私は、全く矛盾しており、財務省、財務大臣、政府、日本国の職責の放棄だと思います。

 日本の国の将来を危うくするこの法案、そして新たな防衛力整備計画に関する財源確保の全体のスキームに対して私は強い懸念と強い反対を表明させていただきまして、討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

塚田委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 日本維新の会、岬麻紀でございます。

 私は、防衛費増額の財源確保法案に反対の立場から討論いたします。

 日本維新の会は、厳しい安全保障環境の変化を踏まえ、日本国土や日本国民の生命や財産を守る観点から、防衛費の増額には賛成をしております。しかし、あらゆる方法の中から、なぜ最初から国民に負担を課す増税を示すのでしょうか。この点、全く理解できず、断固反対です。政府は増税ありきではないと答弁をされていますが、これこそまさに増税ありきそのものです。

 財源確保に当たっては、国民の負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革など行財政改革の努力を最大限に行った上でとしていますが、増税に頼らず財源を徹底的に探す努力が全く足りていないと言わざるを得ません。

 決算剰余金の活用について、過去の実績を踏まえた根拠ある見通しに基づくしっかりとした財源であるとしていますが、これはあくまで過去の数字の平均にすぎません。将来の決算剰余金がどれくらいになるのかは、当たり前のことですが、その年度ごとの決算をしてみなければ、金額は出てきません。つまり分からない、当てにならないのに、何を根拠に、現時点でしっかりとした財源であると明言できるのでしょうか。

 また、令和五年度予算において、コロナ、物価高対策及びウクライナ対応の予備費として五兆円もの巨額な金額が計上されました。これは、将来の防衛費の財源確保を見込んで容易にするため、予備費を多めに積んで、結果余らせることができるようになるという指摘もあります。それに対して明確な答弁はなく、なぜでしょうか。

 一方、異次元の少子化対策の財源についても同様に安定した財源が必要なはずなのに、なぜ今、防衛費にだけ今回のような特別措置法を制定してまで財源確保をしなければならないのか。どちらも重要なはずですが、この違いは何なのでしょうか。

 いずれにしても、国民負担を課すのではなく、まずは、議員定数や議員報酬の削減を通じて政治家自らが身を切り、覚悟を示すべきだと考えます。政治と行政の協同による行財政改革で徹底的な歳出削減を行い、さらに、税収を増やしていける経済成長の具体策と中長期的な道筋を示す。足りない部分は新たな創意工夫で捻出していく、どうしても万策尽きてしまった場合に限り、国民の皆様に丁寧な説明をし、理解をいただいた上でお願いをしていく、これが道筋であることを重ねて申し上げ、反対討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

塚田委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党・無所属クラブの前原誠司です。

 私は、会派を代表して、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案に対し、反対の立場から討論を行います。

 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、我が会派としても、自分の国は自分で守るため、防衛力を抜本的に強化し、防衛費を増額することは必要であると認識をしています。

 しかし、防衛費を確保するための財源についての政府の説明は全く不十分であり、財源を確保するためとして提出された本法案について、到底賛成はできません。

 以下、反対の理由を申し述べます。

 まず、本法案で確保する税外収入一兆四千七百五十億円のうち、大宗を占めるのが外為特会の令和五年度剰余金を前倒しで繰り入れる一兆二千四億円であり、これは本法案による措置がなかったとしても、来年度の予算審議を経て一般財源に繰り入れることが可能であり、今国会で議論する必要は全くありません。

 他方で、政府は、防衛力の抜本的な強化を行うための財源の一部として、税制措置を段階的に実施し、令和九年度には法人税、所得税及びたばこ税で一兆円強を確保する旨を閣議決定しています。しかし、本法案において、税制措置に関する事項への言及は一切ありません。なぜ税制措置は閣議決定であり、外為特会の今年度剰余金繰入れについては法案が必要なのか。鈴木大臣は、政治判断と繰り返すばかりで、何ら説得的な答弁はなされませんでした。

 また、政府は、決算剰余金のうち、毎年〇・七兆円を防衛財源に充てるとしていますが、この決算剰余金の活用についても本法案には規定がありません。しかも、〇・七兆円は過大な見積りであり、現実的な額ではありません。従来補正予算の財源の一部として活用されてきた決算剰余金を防衛費に使えば、その分だけ補正予算編成時の国債発行が増加することとなり、防衛費の財源に赤字国債は充てないとする政府の説明には矛盾が生じます。特に、新型コロナの感染拡大以降、主に赤字国債を財源として巨額の予備費が計上されてきた中で、余った予備費が決算剰余金に回り、それを防衛費の増額に流用するということになれば、もはや、それはある種のマネーロンダリングにほかなりません。

 さらに、政府は、歳出改革を毎年二千億円ずつ積み重ね、令和九年度には一兆円の財源を確保するとしていますが、その具体的内容は全く明らかではありません。この歳出改革を担保する規定も本法案にはありません。そして、令和十年度以降の防衛力強化資金の財源もこれから探すとのこと。あきれるばかりです。防衛力強化の財源確保は砂上の楼閣だと言わざるを得ません。

 このように、本法案は、防衛力の抜本的な強化のために必要な財源を確保するための法律と称しているにもかかわらず、その内容は極めて不完全なものと言わざるを得ません。政府は、防衛費を賄うための財源として、税外収入、歳出改革、決算剰余金、税制措置の四つを示している以上、それら全てを明確に具体化した法案を予算関連法案として再提出し、来年の通常国会で十分な時間をかけて審議すべきだということを申し上げ、本法案に対する反対討論といたします。(拍手)

塚田委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表し、軍拡財源法案に断固反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、憲法違反の大軍拡を推し進めるための法案を強行採決することは断じて許されないからであります。

 敵基地攻撃能力の保有は、憲法九条はもちろん、歴代政府が建前としてきた専守防衛さえ投げ捨てるものです。平生から他国に攻撃的な脅威を与える兵器を持つことは憲法の趣旨とするところではないと説明してきたのは、政府自身であります。にもかかわらず、なぜ敵基地攻撃能力の保有に踏み切ることが許されるのか、政府からまともな説明はありません。

 しかも、集団的自衛権の行使としてさえ、敵基地攻撃能力を使用できるものとしているのであります。憲法上絶対に許されない海外での武力行使そのものではありませんか。

 しかも、日本の敵基地攻撃能力がアメリカのIAMD計画の一翼を担い、米軍の指揮統制の下で運用されることになることは、これまでの日米軍事一体化の実態からすれば明白です。にもかかわらず、岸田総理は、IAMDは全く別物などという荒唐無稽な説明を繰り返しています。国会と国民を愚弄するもので、断じて容認できません。

 反対の第二の理由は、軍事優先の予算が国民生活の予算を犠牲にし、大量の国債発行と国民負担の大増税を招くからです。

 防衛力強化資金には、国立病院機構や地域医療機能推進機構、JCHOの積立金を不用見込みとして充当します。

 委員会質疑で指摘したように、JCHO五十七病院のうち十五病院、国立病院機構百四十病院のうち七十七病院が建物の耐用年数を超えています。民間金融機関から借入れができず、MRIや医療機器、ベッドの購入のために市民に五億円もの募金を呼びかけている病院もあります。看護師の大量離職も起こっているではありませんか。

 積立金は病院施設の改修や職員の待遇改善にこそ使ってほしい、この現場の声に耳を傾けるのは当然であり、現地調査も行わないまま、現場の声を切り捨てて質疑を打ち切ることは、認められません。

 東日本大震災の復興に充てる復興財源特別所得税を事もあろうに軍事費に転用することに、東北の被災者と被災自治体からは、被災者を見捨てるのかと批判の声が巻き起こっています。

 地方公聴会を行い、被災者の声に直接耳を傾けるのは当然のことです。これほど被災者を愚弄するものはありません。そもそも、国会法五十一条では、委員会は重要な歳入法案については公聴会を開かなければならないと定めています。地方公聴会、中央公聴会を開き、広範な国民の声を聞き、質疑を続行すべきです。

 憲法と国民生活に直結するかくも重要な法案を国民の声も聞かず通すことは、断じて認められません。議会制民主主義を真っ向から踏みにじるものと言わなければなりません。

 軍拡財源のための国債発行について、未来の世代に対する責任として取り得ないと述べてきたのは、岸田総理自身です。ところが、決算剰余金の元になった巨額の予備費の原資は赤字国債です。結局は未来の世代に増税を押しつけることになるのは明らかではありませんか。

 しかも、戦後初めて、軍事費への建設国債の発行にも踏み切りました。軍事費を特別扱いし、無期限で予算をプールし活用させる防衛力強化資金の仕組みは、戦前の臨時軍事費特別会計をほうふつとさせるものです。かつて侵略戦争遂行のために国の財政と国民生活を破綻させた痛苦の歴史を今こそ思い起こすべきです。

 政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにする、それが日本国憲法によって政府に課せられた責務であることを強調し、討論とします。(拍手)

塚田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 これより採決に入ります。

 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塚田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

塚田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時三十分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時三十九分開議

塚田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 防衛力強化に係る財源確保について、意見聴取のため、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十分散会


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