衆議院

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第22号 令和5年6月9日(金曜日)

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令和五年六月九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 塚田 一郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    石井  拓君

      石原 正敬君    小田原 潔君

      大塚  拓君    大野敬太郎君

      金子 俊平君    川崎ひでと君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      岸 信千世君    小泉 龍司君

      高村 正大君    塩崎 彰久君

      津島  淳君    中山 展宏君

      葉梨 康弘君    藤原  崇君

      吉田 真次君    若林 健太君

      井坂 信彦君    野田 佳彦君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    米山 隆一君

      浅川 義治君    藤巻 健太君

      岬  麻紀君    伊藤  渉君

      山崎 正恭君    前原 誠司君

      田村 貴昭君    吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   財務副大臣        井上 貴博君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   政府参考人

   (内閣府休眠預金等活用担当室室長)        小川 康則君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   品川  武君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    伊藤  豊君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       藤野  克君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   青木 孝徳君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   中村 英正君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    齋藤 通雄君

   政府参考人

   (財務省財務総合政策研究所長)          江島 一彦君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       鈴木 敏之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 針田  哲君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 北尾 昌也君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   参考人

   (日本銀行調査統計局長) 大谷  聡君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     川崎ひでと君

  塩崎 彰久君     吉田 真次君

  階   猛君     井坂 信彦君

  岬  麻紀君     浅川 義治君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     石原 正敬君

  吉田 真次君     塩崎 彰久君

  井坂 信彦君     階   猛君

  浅川 義治君     岬  麻紀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

塚田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君、調査統計局長大谷聡君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府休眠預金等活用担当室室長小川康則君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長品川武君、金融庁監督局長伊藤豊君、総務省情報流通行政局郵政行政部長藤野克君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、財務省大臣官房長青木孝徳君、主計局次長中村英正君、主税局長住澤整君、理財局長齋藤通雄君、財務総合政策研究所長江島一彦君、国税庁次長星屋和彦君、文部科学省大臣官房文部科学戦略官鈴木敏之君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、大臣官房審議官山本史君、環境省大臣官房審議官針田哲君、大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、防衛省大臣官房審議官北尾昌也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塚田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 今日は、私の地元というか、東京の多摩の、小平市とか国分寺市とか国立市が私の選挙区なんですけれども、それを含めた多摩の地域が今、PFASという問題、有機フッ素化合物、これに汚染されてきているという非常に深刻な問題がございまして、今日のNHKのニュースでもやっておりましたし、四月十日のNHK「クローズアップ現代」でもやっておりました。この問題から始めさせていただきたいと思います。

 元々、多摩の地域というのは地下水がおいしいということで、本当にそこはめでられてきたわけですけれども、それが、PFASの風評被害というのも含めて、本当にこれは看過できない、大きな問題になってまいりました。

 このPFAS、有機フッ素化合物、まず厚労省の方に、これは人体への影響というのはどういうふうな影響があるのか、お聞きしたいと思います。特に、非常になかなか体外に出なくて、三、四年で半減するというように、そういうふうに言われておりますけれども、いかがでしょう。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 PFASは、先生御指摘のとおり、有機フッ素化合物の総称でございまして、その全てで毒性等が明らかになっているわけではございませんが、例えば、PFASのうち、代表的な物質でございますPFOSにつきましては、免疫系や肝臓等への有害な影響の原因となり得ることが指摘されております。

末松委員 ですから、まだその影響は具体的には、免疫系に対する障害と今言われましたけれども、PFASとか、総称なので、PFOAとかPFOS、いろいろとあるんですけれども、そこは学界の方でもその辺は明らかにはなっていないんですか。

山本政府参考人 PFASが非常に大きな物質の集団でございまして、その中でPFOSというのが代表的でございまして、かなり科学的知見が集まっている。一方で、なかなかデータがない物質もございます。

 そういう意味で、現在、PFOS、科学的知見がかなりたまっているPFOSについて、免疫系や肝臓等への有害な影響の原因となり得る、そういうところまで評価されております。

末松委員 このPFASというのは大体四千種類ぐらいあって、これは大変な話だという話になるわけですけれども、要するに、多摩の地域の方も、これは何か大変だ、アメリカでも大変な状況になっているというのがあって、それで自ら市民がお金を出して血液検査をやったんですね。そうしたら、その結果で、全国平均の二倍ぐらいのPFASの濃度があったということで、これは大変だなということなんですけれども、こういうのは、国で早速、しっかりと国が調査をしていく、こうあるべきじゃないでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 現時点では、PFASについては、血中濃度と健康影響との関係を評価するための科学的知見は十分ではないと承知をしております。

 環境省では、PFASに対する総合戦略検討専門家会議におきまして、様々な科学的知見を踏まえて現在検討をいただいております。専門家による御議論を踏まえ、国民の安全、安心のための取組を進めてまいりたいと存じます。

末松委員 何かパイロット調査ということで、全国で八十人とか九十人ぐらい調べたという話があるんですけれども、それでは全く足りないんですね。ですから、これは全国規模の、モニタリング調査委員会という形でやっていると思うんですけれども、そういった比較分析ができるような、そのくらいのことをやらないと、これからはちょっと何か、数十人レベルだったらほとんど意味がないと思うので、これは金がかかるかもしれませんけれども、そこは後で財務大臣の方に私からもお願いするんですけれども、そこは大々的にやっていただけませんか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、今御指摘のとおり、一般的な国民の化学物質への暴露量を把握するためのパイロット調査として、化学物質の人への暴露量モニタリング調査を実施しております。

 この調査の今後の調査規模や期間等につきましては、これまで環境省で行ってきたパイロット調査の結果も踏まえまして、暴露量モニタリングに関する検討会におきまして、有識者の助言を得ながら検討してまいりたいと存じます。

末松委員 是非よろしく頼みますね、そこは。

 今、全国で三百か所ぐらい地下水の調査をやられていて、東京都でもそのうち八十か所ぐらいやられている。

 そして、多摩地域はどのくらいやられているのかというのを質問レクチャーで私も聞いたんですけれども、そこをちょっとお答えいただきたいのと、それから、地下水の調査だけじゃなくて、土壌の採取とか、そういうことについても本当に総合的に調査していただきたいんですが、いかがですか。

針田政府参考人 お答えいたします。

 多摩地域の地下水につきましては、環境省が東京都から報告を受けている令和三年度の調査結果によれば、二十九市町村の計四十六地点で測定が実施され、そのうち十一市の十七地点で暫定指針値の五十ナノグラム・パー・リットルを超えるPFOS及びPFOAが検出されております。

 土壌につきましては、現時点で十分な精度を持った統一的な測定方法が確立していないため、環境省としては、本年度の早い時期に自治体に対して具体的な測定方法をお示しできるよう、作業を進めているところでございます。

末松委員 そこもしっかりスピードアップでやっていただきたいと思います。

 この原因といいますか、その汚染源についてなんですけれども、多摩地域で一般に言われておりますのが、ちょっと横にあります横田基地、あれの、特に泡消火剤というんですかね、あれが大きな汚染源になっているのではないかと。だから、基地に入って調査をやるべきじゃないか、こういうことが本当に大々的に言われ始めているわけでございますけれども、その横田基地について、これは防衛省、何かこういった知見を持っていますか。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 日本国内におきまして、PFOS等はこれまでも様々な用途に使用されてきたと承知していることから、現時点でPFOS等の検出と在日米軍との因果関係について確たることを申し上げることは困難でございます。

 防衛省としては、引き続き事実関係の把握に努めるとともに、関係省庁及び関係自治体において調査を行う際には、防衛省としても協力してまいります。

末松委員 何か、アメリカでこのPFASというのがすごい大きな関心を呼んでいるがために、特に米軍の、アメリカにおける米軍とその付近の住民との関係が非常に険悪になって、いろいろな交渉が重ねられたというのもあるんですよ。

 だから、在日米軍もその辺については、例えば泡消火薬剤とかそういう点について、ある程度そこは自分たちも規制をし始めているという話も聞いていますけれども、そこはいかがですか。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような取組が米国内で行われているということはお聞きしておりますが、最新の情報について、必要な情報提供を要請して、受けているところでございます。

 また、国内におきまして、関係省庁においてPFASに関する対応の在り方について検討されていると承知しておりまして、このような動向も踏まえつつ、引き続き米側と議論してまいります。

末松委員 もうちょっと情報をこの委員会に伝えてくださいよ。

 今私の聞いている範囲では、おたくの防衛省からも聞いているんですけれども、要するに、泡消火薬剤の切替えといいますか、PFASを使っていないような、そういうことをかなり今交換し始めたと。今、これは国内の消防庁なんかでもやっているわけですよ。そういうことも言ってもらわないと、多摩の地域の人が、やはり横田基地の在日米軍は何か隠しているんじゃないか、そういうことの懸念が生じるわけですよ。そういうことを取り除いていくような、そういう情報を提供しないと駄目ですよ。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 交換等の対応でございますが、米側からは、原料にPFOSやPFOAを含まない、より環境に優しい代替の泡消火薬剤へ交換していっている、順次交換しているところでございまして、二〇二四年九月までに、横田飛行場を含む、ほかの全ての施設における泡消火薬剤の交換作業を完了する計画であるとの説明を受けてございます。

 防衛省としては、引き続き、この交換プロセスを加速するよう求めてまいります。

末松委員 そういう情報は、本当にみんな神経質になっているので、逐次情報を提供していったり、泡消火薬剤だけじゃなくていろいろなもの、テフロン加工の鉄板なんかもいろいろとそういうことが言われているわけですから、本当に小まめに情報を提供していってください。それが安心を呼ぶんですよ。

 次に行きますけれども、汚染源というふうに明らかになった地域、今の基地はまだ因果関係が最終的には分かっていないけれども、事業所とかそういったことについては、そういう汚染を止める指示というのはやられているんですか。

塚田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

 環境省針田大臣官房審議官。

針田政府参考人 お答えいたします。

 水環境におけるPFOSの暫定基準についてお答えいたしますけれども、今、本年一月から専門家会議を設置し、水環境の暫定目標値について、その数値や位置づけについて検討を進めております。

 そして、各国でも今いろいろな検討が進められておりまして、国際動向も踏まえて進める必要がありまして、現段階で取りまとめる時期につきましては未定ですけれども、結果を踏まえて、国民の安全、安心のために取組を進めていきたい、こう思っております。

末松委員 私がお聞きしたのは、だから、いろいろな事業所とかが使っている、今、生産も停止をされているんでしょう、そういった原因を除去するような措置をしっかりとやってきているのかというのを聞いているわけですけれども、とにかく、今、そういった国際会議もいろいろとあると思うんですけれども、あるいは、そこでなかったら、日本も積極的に、国際会議、提唱するか参加して、そういった知見のシェアというか、そういうことで、PFAS問題について、より行政として対応できるようにしておいてくださいね。

 あと、それから、時間がないので、また更に聞きますけれども、PFAS、あるいはPFOS、PFOA、いろいろとありますけれども、この汚染除去とか土壌の回収とか、特に汚染地下水の浄化、これは汚染物質の除去ですね、あるいは水道水からPFOS、PFOAを取り除くような技術開発というのは、今、現状どうなっているんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 取り除く技術でございますけれども、これは実は幾つかございます。例えば、活性炭処理と膜ろ過、イオン交換樹脂処理といったものがございまして、我が国だと、このうち活性炭処理は実際に使用されています。実際、水道の蛇口をひねったときのことを考えますと、現実的には、その取水、水を取り込むところに一定濃度以上入ってしまうと、この場合は、取水を停止いたしまして、その上でほかの水源で取水量調整を行うといったことで、汚染物質の濃度の低減をさせているところです。

 最後に、厚生労働省の技術への支援でございますけれども、水道事業者等において、凝集、固めて、沈殿、沈めさせて、ろ過といった、通常の浄水処理では除去することができないPFOSやPFOAに対しては、今年度、令和五年度から補助金等の制度を拡充いたしました。具体的には、粒状活性炭処理施設等の高度浄水処理施設の導入や代替水源施設の整備を行う場合の費用を新たに補助の対象としたところでございます。

 こうした形で、技術の開発、それの応用、補助といったことを行っているところでございます。

末松委員 それじゃ、今、アメリカなんかは、まさしく国の安全基準というので、最近、米国の環境保護庁等は、このPFASについて国家統一基準案なんかを発表しているわけですよ。

 今、暫定の基準値は発表されていると思うんですけれども、基本的な統一安全基準を早急に設けるべきじゃないですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど環境省の審議官からもお話がありましたけれども、今、国内でどういう検討を行っているかと申しますと、今年の一月に環境省と厚生労働省で水回りの関係の基準の議論を始めたところです。また、そもそも、これがどれぐらいのリスクがあるのか、一番最初の冒頭の委員の御質問ですけれども、これは、食品安全委員会がワーキンググループをつくって、その検討を行っている。つまり、リスク評価を行って、それの規制値を今環境省と厚生労働省で議論をしている、そのためにEPAだとか欧州のデータを使おうとしている、そういう状況でございます。

末松委員 暫定じゃない、国の統一基準をしっかり早急に設定してください。

 いよいよ大臣に申し上げたいんですけれども、今お話があったとおり、これは、やはり調査にしても何にしてもお金が要るんですよ。それで、アメリカなんかは、これも報道されていますけれども、PFAS問題で一兆四千億円使っているわけですね。これは公表されているわけですよ。

 だから、日本の場合はほとんどそこはきちんとした対応を取られていないがゆえに予算も少ないんですけれども、そこは、大臣、このPFAS問題を御存じだったとは思うんですけれども、そして、予算のときは、しっかりとこれは、まさしく地域の方の健康を害する話なので、是非対策を取っていただきたい。

 その決意をお願いしたいと思います。

鈴木国務大臣 PFASにつきましては、今まで、新聞の見出しを見る程度の知識しかありませんでしたけれども、今、末松先生と関係省庁とのやり取りを聞きまして、新たな問題意識を持ったところでございます。

 このやり取りの中でも、関係省庁におきまして、各種調査あるいは専門家会合による検討が行われているということを承知をいたしました。今後、それらの調査検討の結果を踏まえて予算要求がなされるものと考えますが、予算要求があれば、要求内容を踏まえ、来年度予算を編成する過程で関係省庁としっかりと議論をして対応していきたいと思っております。

末松委員 よろしくそこはお願いを申し上げます。

 次に、インボイス、私がずっと反対をしているインボイス問題についてお話をさせていただきます。

 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法、これはちょっと舌をかみそうな法律ですけれども、これが失効しているんですね。

 この法律は何かというと、弱い方々が価格転嫁を、消費税、上げていた、あるいは、今回免税業者が課税業者にさせられるという話、それが、例えば、いろいろとみんなで話し合いながら、課税になるところを、負担を、みんなで話し合って、値段を上げていこうねという話をしたときに、これは何だ、独禁法違反だ、価格カルテルじゃないかということをやった場合であっても、その違法性を阻却していくという極めて有効な法律が、過去二度ほどそれがこの法案で通っていたわけですけれども、今回はその措置がやられていないんですね。

 だから、本当に免税業者がみんなで課税業者になるための価格転嫁をしようとした場合、これは後で聞きますけれども、公取から独禁法違反だというふうに言われる。そうしたら、過去、そういう救済措置をやってきたのに、今回はその法律を通していなくて救済措置にならない。ですから、これは何とか、そういった方々でも、免税業者が課税業者になるようなときでも、しっかりとそこはこの救済措置をするべきじゃなかったんでしょうか。

 大臣、よろしくお願いします。

鈴木国務大臣 消費税転嫁対策特別措置法、これは、先般の消費税引上げ時におきまして、二段階にわたって税率が引き上げられた、五から八、八から一〇という二段階にわたって税率が引き上げられた際に制定されたものでありますけれども、当時は、全ての事業者に税率の引上げ分に応じて一律の価格転嫁の必要性が生ずることから、消費税の円滑かつ適正な転嫁に支障が生じないようにするための特別な措置として国会に提出されたものであります。

 そして、当時はそうであったわけでありますが、今般のインボイス制度への移行におきましては、制度移行後も免税事業者であり続ける事業者と課税事業者が混在している場合も多いことが想定される上に、個々の免税事業者によって課税事業者になった際に必要な転嫁の程度も異なるなど、その影響は個々の事業者によってまちまち、様々であると考えられておりまして、当時のように一律の対応までは必要ないと判断したところでございます。

末松委員 それが、同僚の櫻井議員に対する大臣の答弁だったんですよ。その答弁じゃ不十分なんです。なぜか。要するに、混在している、程度もそれぞれ違うと。でも、私が聞いているのは、それでも救済できない方々をどうやって救済するんだ、価格カルテルという汚名を着せられずにしっかりと救済しなきゃいけない、それはどうやるんだというのが私の質問なんですよ。

鈴木国務大臣 先ほど政府の立場をお話ししたところでありますが、当時は一律の対応をいたしましたが、今回のインボイス移行におきましては、先ほど先生もお話しになりましたとおり、影響、そういうものも事業者によってまちまちでありますので、個別に対応をしようというのが我々の考えでございます。

 そして、そのためには、困った事業者への支援というものが必要であるわけでありまして、インボイス制度への移行に伴って課税事業者になった場合に、価格転嫁ができなければ廃業のリスクがあるのではないかといった中小・小規模事業者の方々の御心配の声があることは承知をしておりまして、こうした御懸念を踏まえまして、中小・小規模事業者の取引について、独禁法、下請法等の取扱いの明確化、各事業者団体等への法令遵守要請、書面調査や下請Gメンといった取組を通じまして取引環境の整備に政府を挙げて取り組み、さらに、令和五年度税制改正において、納税額を売上税額の二割に軽減する三年間の負担軽減措置などを講じることとしております。

 価格転嫁ができなくて困るといった御懸念に対しましては、今後とも適切に対応してまいりたいと思っております。

末松委員 ちょっともう時間がないので、一言で公取に聞きたいんですけれども、やはり、そういう、価格をカルテルみたいにやったら、これは独禁法違反になりますよね。公取の人、答えてください。極めて短くしてくださいね、質問時間が終わりますので。

品川政府参考人 一般論としてのお答えでございますけれども、事業者が共同して取引価格を引き上げるということであれば、独占禁止法上の不当な取引制限として問題となる可能性があると考えております。

末松委員 大臣、だから、そういったように、公取は原則の立場を崩せないんですよ。独禁法の適用が何かうまく柔軟に、今、大臣の言い方にすると、そういった救済措置もできるんだみたいに言っているけれども、個々の事業者から見たら、それをやると公取から独禁法違反で挙げられるんですよ。

 本来は、きちんと抜かりなくさっきの特別措置法を法律として上げていくべきだったんですよ。それをやらなくて、なめた対応をしたんじゃないかと私は思っているんですね。だから、今からでも遅くないですから、とにかく、そういった独禁法の違法性を阻却するような特別の立法を是非そこはお願いしたいということを改めて申し上げまして、私の時間が終わりましたので、この辺で終わらせていただきます。

 どうかよろしくお願い申し上げます。

塚田委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 おはようございます。立憲民主党の野田佳彦でございます。

 まずは、初めて植田日銀総裁に質問させていただきたいというふうに思います。

 質問に入る前に、どなたがやっても困難で大変な仕事をお引き受けになられたことに私は心から敬意を表したいというふうに思います。これからの仕事ぶりというものを注視をしていきたいというふうに思います。

 まず、今、日銀の保有している総資産は約七百四十兆円、これは四月末現在でありますけれども、GDPの一・三倍であります。とてもこれは正常な中央銀行の姿とは私には思えません。GDPの一・三倍、これだけ大量のETFであるとか国債をため込んでしまった。それをどのように処理していくかというのは、私は大問題だというふうに認識しているんです。

 三月十五日に、この財務金融委員会で前任の黒田総裁に質問をさせていただきました。質問の直前の記者会見か何かで黒田総裁は、日銀による国債やETFの大量購入について、何の反省もない、負の遺産だとも思っていないと語られましたので、もうちょっと物の言いようがあるんじゃないか、特に、後を継ぐ人たちの苦しい立場を考えると、この発言は私は撤回すべきではないかということを申し上げたんですけれども、かたくなに変えませんでしたね。

 この発言について、植田総裁はどのようにお感じになられますか。

植田参考人 お答えいたします。

 私から、黒田前総裁の発言について直接コメントさせていただくのは差し控えさせていただければと思います。

 ただ、その上で申し上げれば、前総裁は、二〇一二年から一三年にかけてのデフレリスクが非常に高いような厳しい局面において、こうした国債やETFの大量購入のような、場合によっては副作用があるというような政策についても、デフレ克服という期待される政策効果と比較して、強い意思で決断されたものだと思っております。

 私としましても、政策の効果と副作用、両面をきちんと目配りして、バランスのいい政策運営に努めたいと考えてございます。

野田(佳)委員 さすがに、前任者の発言をとやかくは言えない立場というのはよく分かりますし、よくおもんぱかった御発言だと思いますが、別の国会答弁で総裁は、国債は定量的な大きさの問題という表現をされています。そのとおりだと思います。ETFは、持つのがいいのかどうかという質的な問題だとおっしゃっています。量と質の問題として捉えていらっしゃると思いますね。私は、今日、だから、余り具体的な言及はなかったんですが、やはり後始末は大変だという御認識を持っていらっしゃるというふうに受け止めさせていただきたいというふうに思います。

 特に、量的な問題としては、これは早い段階から植田総裁は指摘されていますよね。

 日経ヴェリタスという週単位で発行する雑誌があるじゃないですか。そこで「異見達見」というコラムを総裁はずっと長い間連載をされていました。私は、それを読ませていただいて、その達見にいつも感心をし、勉強させていただいていたんですけれども、その「異見達見」の中で、これは早い段階と申し上げたのは、二〇一五年の八月の段階で、日銀が金利上昇時に抱える含み損を試算をして、国債買入れの限界を意識する必要があるということを、もうこの時点で指摘をされておりました。

 私は、それから八年たって、余りにもまさに膨らみ過ぎてしまったということですので、後始末は本当に大変だというふうに思いますが、タイミングをよく見ながらの金融政策の正常化に私は期待をしていきたいというふうに思います。

 金融政策の正常化というのは、やるかやらないかじゃなくて、総裁の任期中、いつ、どの段階でまさにスタートするのかということだと思いますが、それを判断する際には、やはり物価の動向のまさに冷静な見極めというのが大前提になるだろうというふうに思うんです。

 そこで、ちょっと気になっているのは、今、日銀は物価上昇率について、年度半ばにかけて高い確率で低下する、二%を切るというような見通しを持っていらっしゃるんですけれども、本当にそうなのかなと、私は、ちょっとまだ心にすとんと落ちないんですよ。本当かなと、にわかに信じ難いんですね。

 これは、やはり冷静に物価動向の基調を見極めていただきたいと要請をさせていただきたいと思いますけれども、改めて、この年度半ばに高い確率で低下するという理由を御説明をいただきたいと思いますし、私は、上振れする可能性があるのではないかということを懸念を持っていますが、いかがでしょうか。

植田参考人 まず、昨年来の物価上昇の背景として一番大きいポイントとしましては、輸入物価が上昇し、それが国内物価に波及してきたという動きがございます。ただ、輸入物価の前年比は足下ではマイナスに転じているということがございまして、この辺を主なポイントとしまして、例えば、四月の私どもの展望レポートでは、中心的な見通しとして、消費者物価の前年比は今年度半ばにかけてプラス幅を縮小していくというふうに予想してございます。

 ただし、野田先生が御指摘のように、様々な不確定性がございます。特に重要なものとしては、企業の価格設定行動にやや上振れ方向での変化が、物価が上振れするという方向での変化が見えつつある、あるいは、今年の春闘が高い賃金引上げ率で結実しそうであるというような動きがございます。

 したがいまして、これらを総合しますと、本年度の物価見通しがどうなるかということについて、例えば、先ほど申し上げました展望レポートでも、上振れリスクの方が大きいということを四月に示してございます。その上で、次回のレポートは七月に出すことになりますので、そこに向けて、様々なデータや情報を丹念に精査してまいりたいというふうに考えてございます。

野田(佳)委員 丹念な精査をお願いしたいと思いますけれども、黒田総裁とは、私もこの財金で随分といろいろなテーマをたくさんやってきたんですが、一言で言うと、その印象というのは、対応がかたくなで硬直的だったと思うんです。私は、植田総裁に求めたいのは柔軟性です。しっかりと固定した物の見方ではなくて、柔軟に、臨機応変に対応していただきたいということをお願いをしたいというふうに思います。

 物価動向の見極めと同時に、今後、日銀の金融政策を占う上で重要な動向というのは、やはりアメリカ経済がどうなるかということだと思うんですね。

 FRBが景気と物価安定の両立で今まさに苦闘していると思いますけれども、景気後退リスクとインフレ残存リスク、両方ある中で、大変難しいかじ取りをしていると思うんですが、仮にFRBが金融引締めから緩和へと移行するような事態になると、私は、日銀の金融政策の正常化のタイミングというのを失するようなことになりかねないのではないか、タイミングの問題を強く意識しながら対応しなければいけないと思うんですが、この点についての総裁のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。

植田参考人 FRBの政策運営と私どもの政策への影響という御質問だと思いますが、仮にFRBが引締めから緩和へと転じた場合ということでございますけれども、その場合も様々な可能性があるかと思います。

 例えば、これまでにFRBが行ってきた金融引締め政策の影響が徐々にうまく出て、アメリカのインフレ率が徐々に望ましい水準に向けて低下していく、その中で、インフレ率が十分低下したので、そろそろ金利を下げてもいいであろうという動きの可能性もございます。その場合には、アメリカ経済は好調に推移する可能性もかなりあるというふうに思っております。

 これに対して、何らかの理由でアメリカ経済が不況に陥る、予想以上の厳しい状況になる、そこでFRBが利下げに転じてしまう、利下げに転じることを場合によっては強いられるというケースも考えられます。この場合は、そういう状況ですので、アメリカ経済はやや厳しい状況で推移しますし、そういうことが世界経済に影響するということかと思います。

 そうした可能性を含めまして、海外の経済金融情勢が様々な可能性がございます。ですので、それらを総合的に見極めながら、我が国の政策の適切な判断を行ってまいりたいと思っております。

野田(佳)委員 様々なケースを想定をされていらっしゃるということがよく分かりましたけれども、少なくとも、米国が次は利上げをするか、しないのか、静観をする可能性があって、その次またどうするか、よく分かりませんけれども、いずれのときかに利下げが始まったときに、日本はそのときにはやはり金利は引き上げにくい状況になるということは間違いないと思うし、アメリカの金融政策の変更があって、それに欧州が後を追いかける形になって、その状況を見ながら日本の対応が遅れるということが過去にも何回かあったかのように思います。

 そういうことのないように、注視をしながら、対応するときには果敢な対応が必要だと思いますので、そのことを申し上げさせていただきたいと思いますし、これも、さっき取り上げた日経ヴェリタス「異見達見」の中で総裁がおっしゃっているんですけれども、これは二〇一八年の二月ですね、日本の正常化が遅れると、いずれ単独利上げの恐怖に直面しかねないという表現をされていました。そういう恐怖に直面しないように期待をしたいというふうに思います。

 総裁に対する最後の質問なんですけれども、今、物価動向と米国経済の動向のお話をしましたが、もう一つ、ある意味、日銀の出口戦略の重要な鍵を握っているというか、現時点では大きなハードルになっているというのは、私は政府の財政運営だというふうに思っているんです。

 事実上の日銀の財政ファイナンスに依存した政府の財政運営が続く限りは、私は、日銀の金融政策の正常化に踏み切るということがなかなかできにくくなってしまう。低金利頼みの財政運営から脱却しようとする姿勢を政府が持ち始めたときに、要は、金融の出口と財政健全化の入口がセットで一体的に進んでいかないと、その正常化というのは難しいというふうに私は受け止めているんですけれども、この点について、財政を直接語りにくいかもしれませんけれども、総裁の御見解をお伺いをしたいというふうに思います。

植田参考人 まず、私ども、金融政策については、あくまで、二%の物価安定の目標を実現し、これを安定的に持続するという観点から行ってまいりたいと思っております。このため、金融緩和政策からの出口の局面において、財政運営への配慮から必要な政策の遂行が妨げられるということはないというふうに考えてございます。

 一方で、財政運営は政府、国会の責任において行われるものですので、具体的に私からコメントすることは差し控えたいと思いますが、一般論としては、中長期的な財政健全化について、市場の信認をしっかりと確保していただくということは重要であるというふうに考えてございます。

 その上で更に申し上げれば、財政政策がどういう姿であるかということを前提に私どもは金融政策を調整してまいりますし、また、金融政策の基本的な私どもの考え方も、政府においては、私どもとの間での密接な意思疎通の中で十分了解されているというふうに認識してございます。

野田(佳)委員 一般論からお話しされたところに私は本質的な問題があるというふうに思っておりますし、意思疎通の問題だけではなく、私は本来、もう一回あの共同声明というものを練り直した方がいいという立場でありますけれども、改めてこれらのことについては後日お伺いをしたいと思います。

 今日はどうもありがとうございました。御退室いただいて結構でございます。

塚田委員長 植田日本銀行総裁、御退室いただいて結構です。

野田(佳)委員 次に、次元の異なる少子化対策についての質問をしていきたいと思いますが、主に財務大臣に質問しようと思っていたんです。一問だけ厚労副大臣に質問しようと思っていたんですが、これは項目の一番最後に置いているので、せっかく来ていただいて、質問しなかったというのは非礼だと思うので、順番を変えて、副大臣にお話を聞きたいと思うんですよね。

 今回は、いわゆるこども未来戦略方針という素案が出てきて、そして骨太の方針の原案にもこれらの記載が出てきているんですけれども、どうやら、三・五兆円の財源確保の話が、税負担はお願いをしない、社会保険料を上乗せをするのかと思っていたら、そうでもないと、これはよく分からない制度設計なんです。

 そうすると、歳出改革を主として行っていくということが大きな柱になると思うんですけれども、歳出改革といっても、非社会保障分野の歳出改革は防衛財源に充てることになっていますので、社会保障分野における歳出改革という、そうすると、子育て支援のための財源を、少子化対策のために財源を確保するということは、おのずと、医療や介護に歳出改革のメスを入れるというか、これだけの大きな額だと、なたを入れなきゃいけないんだと思うんです。

 果たしてそれでできるのかなというのが私の率直な感想でして、六十五歳以上の高齢者というのはまだ増えますね。ピークを迎えるのは二十年後ぐらいですから、医療・介護需要というのはこれからも伸びていくということ。

 この分野の、例えば看護とか介護の人材確保というのは極めて重要じゃないですか。来年度に診療報酬と介護報酬の改定がありますけれども、これを厳しい対応をすると人材が来なくなるということに拍車もかかるなどなど、私は、医療・介護分野に大なたを振るうなんということが本当にできるのかどうかということに強い疑問を持っています。

 これについての副大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

伊佐副大臣 子供、子育て予算の安定財源の確保につきましては、今委員おっしゃっていただいたとおり、まずは徹底した歳出改革等を先行させて、それによる公費の節減等の効果、また社会保険負担軽減効果を活用しながら、実質的に追加負担を生じさせないことを目指すということになっております。

 また同時に、あわせて、経済活性化、経済成長への取組を先行させて、そして経済社会の基盤強化を行う、さらに、これらの取組を行う中で新たな枠組みを構築する、この方針を示されているところでございますが、歳出改革の具体的な内容につきましては、現段階において決まっているものはないというふうに認識をしております。

 厚労省としては、これまでも社会保障改革に取り組んでまいりました。全ての世代で能力に応じて負担し支え合うことによって、必要な社会保障サービスが必要な方々に適切に提供されるように、引き続き給付と負担の見直しに取り組んでいくという考えであります。

 なお、今御指摘していただきました医療と介護の人材の確保につきましては、その重要性が増しているところであります。これまで講じてきた各種施策をより一層推進するとともに、適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

野田(佳)委員 小泉政権のときに、社会保障費を二千二百億、五年間続けて削減をするということをやったときに医療崩壊という言葉が出てきたように、二千二百億削ることによっても大きな混乱がありましたよね。それ以上の、社会保障分野における、まさに歳出改革になるわけでしょう。それは相当の覚悟を持っていなきゃいけないのに、まだ余り具体的なイメージを持っていないというようなお話でしたけれども、果たしてそれでいいのかどうか。

 私は、全世代型の社会保障という考え方は賛成です。人生後半の社会保障だけではなくて、人生前半の社会保障も大事だという認識は大事だと私は思っていますよ。それを実現するには、私は、基本的には、社会保障全部、ほとんどをベーシックサービスとして位置づけて、そして消費税を充てていくということが基本だと思います。財源の手当てを明確にするということ、それがなかったら、全世代に対するばらまきになると思うんです。

 全世代へのばらまきをしないならば、社会保障分野の中で自賄いをするということでしょう。それは、これまでの世代間での公平から見ると、受益と負担で受益の方の恩恵が多かった世代に泣いてもらって、これからの世代に対してサービスを充実していこうという方針にならざるを得ないんですね。今回は、それを選択したんだろうと思いますよ。それは物すごい大変なことだと思いますよ、政治的に。イメージがないというのはちょっと心配になりました。

 心配になったということだけ申し上げて、退室して結構でございます。

塚田委員長 伊佐厚生労働副大臣、御退室いただいて結構です。

野田(佳)委員 次に大臣に、もう残り五分になっちゃったので、済みません、十分質問を尽くせないかもしれませんけれども。

 今回、こども金庫というのをつくるらしいんですね。名前はかわいらしいじゃないですか、こども金庫。要は、特別会計ですよ。私、これをつくるということの意味がよく分からないんです。

 特別会計改革をずっと進めてまいりました。ピーク時には三十以上あったのを、今、十三まで絞ったんですね、統廃合を進めてきて。一番新しい特別会計というのは東日本大震災のときの復興特会で、これは私のときにつくっていますけれども、このときには、所得税、法人税の増税、あるいは日本郵政株の売却など、細かく定めて財源を確保して三十兆円をつくっていくという特別会計であって、フルカバー、フルスペックで対応したと思うんですが、今回のこども金庫というのは、詳細はこれを所管するはずのこども家庭庁に聞かなきゃいけないんでしょうけれども、いわゆる財政運営の責任者としてお聞きしますが、特別会計をつくるということで本当にいいのかどうか。

 入口の財源の話は、さっき言ったように、もやっとしていて決まっていないし、出口の方も、三兆円から三・五兆円と急に増えて、出るを制していない、入るを量っていない。入るを量らず、出るを制さずという、私はむちゃくちゃなやり方になってきていると思うんです。

 私は、特会をつくるとするならば、本来は、コロナ特会だったら分かるんですよ。今回、骨太の方針で、平時に戻すというような表現だけれども、ワニの口どころじゃなくて、ワニの上顎がひっくり返っちゃったような今の状況を戻していくのは大変なので、ああいう大きな震災なんかがあったときはやはり特別会計だと思うんです。あるいは、コロナのようなパンデミックが起こったときは私は特別会計でいいと思うんですが、静かなる有事である少子化対策は、まさにこつこつこつこつ一般会計で対応してくるべき問題だったと思うんですが、その辺の財政運営に責任を持つ立場としての御感想をお伺いをしたいと思います。

鈴木国務大臣 こども金庫という特別会計を創設しようということでありますが、その一つのキーワードといいますか、目指すことの一つは、やはり国民の皆さんに、子供、子育て政策の全体像、それと費用負担の見える化を進めるということが一つの目的であるわけでございます。

 御指摘のとおり、子供、子育て支援のための新たな特別会計、いわゆる子供資金を創設をするということ、これをこども未来戦略方針の素案において書かせていただいているところでございますが、具体的に申し上げますと、年金特別会計の子ども・子育て支援勘定で実施されている児童手当等の全事業、それから労働保険特別会計雇用勘定で実施されている事業のうち育児休業給付、こういう別々に今まで分かれていたものを統合をする、それによって、先ほど申し上げた見える化を進めることができると考えております。

 国民の皆さんに対して給付と負担の全体像を分かりやすくするよう見える化を進めるという趣旨を踏まえまして、加速化プランで強化する事業が複数の特別会計にまたがる現状を改めまして、これらを統合し、新たに一つの特別会計を創設する方が、これら事業を一般会計で経理するよりも望ましいのではないか、そのように考えているところであります。

 そしてまた、実際の中身で、一つにして何か効果があるのかということでございますが、特別会計につきましては、財政法上、特定の歳入により特定の歳出を賄い、一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り設置するものとされておりまして、その新設は、行革推進法において、事務事業の合理化、効率化又は財政の健全化に資する場合を除き行わないものとするとされているところでございます。

 子供、子育て支援のための新たな特別会計を創設した場合、子供、子育て政策に係る給付と負担の全体像が分かりやすいよう見える化が進めば、こども家庭庁の下、事務事業の合理化、効率化や財政資源の有効活用にも資すると考えられることから、こども金庫の創設が行革推進法の趣旨に沿うものである、そのように考えております。

 今後、具体的な制度設計に当たりましては、こうした点を十分に意識しながら検討が進められるもの、そのように承知をしております。

野田(佳)委員 さっきちょこっと触れましたけれども、財源手当てを十分に考えていない、要は、入るを量っていない、出るは三兆円から三・五兆円と制していないというように、極めて無責任な枠組みで議論が進んでいるし、結局、つなぎ国債を発行するという話ですね。国債は国債ですから、将来世代にツケ回しだと私は思いますので、これは厳しくチェックしていかなきゃいけないし、本当は扶養控除の問題と児童手当の拡充についてちょっと突っ込んだ話をしたかったんですが、時間がなくなりましたので、終わります。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 今日は、元国税調査官、国税局で十年間、主に法人税担当で調査官として勤務していた大村大次郎氏の著書「消費税という巨大権益」について、この中身が本当なのかどうか確認をしていきたいと思っています。

 ただし、質問はたくさんありますので、まとめて質問しますので、是非政府参考人は簡潔にお答えください。最後に鈴木大臣にはお聞きしますので、是非やり取りを聞いていただければありがたいと思っております。

 まず、先ほど申し上げた資料の表紙だけ皆さんにお配りしてありますけれども、その本はこういう本であります。

 私も、野田委員が言ったように、政府と日銀が連携して日本の経済財政をしっかりしていかなくちゃならない、頂点は同じでありますけれども、しかし、目指すべき頂上は同じであっても、私と野田委員とは、目指すべき、つくるべき財源は全く別であります。それをしっかり申し上げたいと思います。

 まず、消費税は公平な税金だという大きなうそは本当かということでありますが、一つ目は、消費税を増税したがる人々がいるというんですね。

 それは、財務省や財界、大手新聞社など、消費税を導入した人々によってこれをけたたましく喧伝されてきた。消費税は国民全体で負担するから公平だ、日本は間接税の割合が低過ぎるから、増税するならば消費税というような喧伝をしてきた。こんなことで日本国民の多くの人が消費税は必要な税金なのかなと思わされてきた。こういうことでありますが、消費税を増税したがる人々について財務省も指摘されているんですが、いかがですか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税につきましては、その創設以来、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、税率の引上げ等が行われてきたところでございます。

塚田委員長 簡潔に答弁をお願いします。

住澤政府参考人 消費税の創設やその税率の引上げに際しましては、政府や与党の税制調査会等で議論が行われ、国会でも御審議をいただいて可決していただいたものであり、御指摘は当たらないと考えております。

福田(昭)委員 局長、そんな長い答弁は要りません。そうは思っていませんと、そう答えればそれでいいですよ。

 次に、二つ目でありますが、まとめて三点伺います。

 物品税を廃止して消費税をつくるために言われたうそは本当かどうかということであります。

 資料の二を御覧いただきたいと思っていますが、まず第一点、物品税はなぜ廃止されたのか。

 物品税は、宝石やブランド品、自動車などのぜいたく品に課税する税金で、消費税に比べれば格段に効率的に公平な税金だった。なぜ廃止されたのかということでありますが、税務署の職員でさえ、何でこんないい税金を廃止してしまうんだということで大変騒いだそうであります。

 そして、二つ目、社会保障のために消費税は不可欠といううそであります。

 資料の二を御覧いただきたいと思います。消費税の使途の概念図であります。

 これは財務省が指導して作っている概念図でありますが、消費税は現在、年金、医療、介護、少子化対策の四経費に、令和五年度予算では国分では十八兆八千億円超充てられているというふうに載っております。まだまだ十三兆八千億円超足りない、こういうふうに書いてありますけれども、しかし、お金に色はついていないのですよ。何で消費税が社会福祉の四経費に充てられると証明できるんですか。証明できるかできないか、それだけ答えてください。

 その次、第三点、社会保障費が財政を圧迫しているといううそについてであります。

 日本の財政は一九九〇年代初頭までは非常に安定しておりました。その当時はまだ財政赤字は百兆円を下回っておりました。ところが、バブル崩壊以降、九〇年代に至って、公共事業に六百三十兆円を投資したことによってそのまま赤字財政に転落して、どんどんどんどん財政を圧迫してきたのが歴史であります。最近ではもちろんコロナとか高齢化も進んで増えてきておりますが、公共事業六百三十兆円、これが実は日本の財政を圧迫してきた元々の理由でありますが、この三点について簡潔に答えてください。

住澤政府参考人 一点目についてお答え申し上げます。

 消費税を創設する以前の物品税についてでございますが、当時、物品の間での課税の不均衡や不公平の問題が指摘をされておりました。具体的には、物品税は個別に列挙された物品にだけ課税するという仕組みでございましたので、ブラウン管テレビには課税されるけれども液晶テレビには課税されない等々の不均衡が生じており、こういった問題に対応する観点から、消費一般に広く公平に負担を求める税として消費税が創設されるに至ったものでございます。

中村政府参考人 二点目、三点目、社会保障関係についてお答えいたします。

 まず第一点でございますけれども、社会保障と消費税の関係でございますが、消費税法第一条第二項におきまして、消費税の収入は社会保障四経費に充てるということが明記されています。加えまして、予算総則にも同じようなことが書いてあります。

 消費税収が社会保障四経費に充てられることを国民の皆様にきちんと実感してもらうことは非常に重要だと思っておりまして、こうした説明をきちんと尽くしていきたいというふうに考えております。

 第二点でございます。社会保障費が財政を圧迫しているという点でございますけれども、委員御指摘のとおり、一九九〇年代、これは公共事業関係費が歳出の主な増加要因だったことは事実でございます。他方で、その後、九〇年度以降から足下までの累計で見ますと、社会保障関係費は歳出の主たる増加要因でございましたということでございます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 証明しようがないじゃないですか、お金は色がついていないんだから。そういううそをついちゃ駄目ですよ。

 第四点と五点をまとめて伺います。

 日本の金持ちの税金は欧米より高いといううそです。資料の三を御覧ください。それから、五点、日本の法人税は世界的に高いといううそであります。資料の四を御覧ください。

 まさに、消費税をつくってからどんどん所得税が下がっていった経緯が表されております。それから、資料の四は、まさに、消費税をつくってから法人税がどんどんどんどん下がっていったことが明確に、一目瞭然となっております。

 このことについて、こういうふうに下げていったということがやはり日本の財政を悪化させたという認識はありますか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国と比べて所得税及び法人税の負担が低いのか高いのかということでございますけれども、まず、所得税について申し上げますと、年収が五千万円を超えるような高所得者で比較してみますと、我が国の個人所得課税の実効税率は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツといった国々よりも高い水準となっているのが実態でございます。

 また、法人税につきましては、成長志向の法人税改革ということで、課税ベースの拡大を行いながら税率を引き下げてまいりましたが、現在、主要先進国の中ではドイツと並んで、主要諸国の中では比較的高い部類に入っているということで、ぎりぎり国際的に遜色のない水準になっているというふうに認識いたしております。

福田(昭)委員 それはあくまでも表面税率じゃないですか。大村君が言っておりますよ。所得税についても、個人所得税の実質負担率は、日本は何と七・二%、アメリカ一二・二%、イギリス一三・五%、ドイツ一二・六%、フランス一〇・二%と主要国の中で断トツだ、こう指摘していますよ。

 それから、法人税も、それこそ日本の法人税は名目上二三・二%でありますが、表面税率ですね、しかし、事実上は一七%程度だ、こう言っております。ですから、まさに表面税率だけを比較して世界的に比べて高いとか、そういうことは全く理由にならないと思っています。

 ですから、現在、令和三年度の決算では、実は、租税特別措置とか、あるいは子会社の益金の不算入とか、そういうことを除けば、何と法人の所得は全体として九十九兆円もある。これからマイナス二十四兆円を引いたその所得に対して課税をしているんですよ。ですから、高いなんというのは全くうそです。

 それでは、その次に行きます。

 三つ目でありますが、三つ目は、多額の輸出免税還付金はなぜ公表されないのか。

 資料の五を御覧いただきたいと思います。令和五年度の予算額を見ていただきますと、国と地方の消費税の収納見込額は、何と四十兆六千七百三億円であります。還付見込額は十兆六千九百八十一億円であります。実に、さきに触れたように、戻し税、還付金は二六・三%に上ります。これは誰にとってうれしいことなのか、悲しいことなのか、皆さんよく判断してみてください。財務省はこれを世界標準だとばかり答えて、実は総額さえ平成元年分から公表しておりません。何かやましいことがあるのではないかと疑わざるを得ません。

 大村氏によれば、輸出大企業は仕入れ税額を実際には仕入れ先に支払っていないのではないか、こう言っております。輸出免税還付金を、それで支払っていないのに、実は受け取っている、こう指摘しておりますが、これが本当なら犯罪ですよ。大村君が言っております。まさにこういうことはないんですか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税の輸出還付でございますが、消費税の仕組みは、売上げに係る消費税額から仕入れに係る消費税額を引くということでございまして、仕入れの税額が超過する場合に還付が起こるわけでございますが、その原因が輸出取引なのか、あるいは単に設備投資を行って国内で販売を行った結果還付が生じたのかということは、区分して経理を行うような制度になってございませんので、公表はしていないということでございます。

福田(昭)委員 局長、言っているでしょう。こういうふうに輸出大企業が仕入れるときに消費税をちゃんと払っているか、払っていないか。払っていなければ払っていない、あるいは払っていれば払っていると言ってくれればいいんですよ。それだけの話ですよ。何でそんな難しいことを言うんですか。

 それでは、次に四つ目でありますが、四つ目は、消費税が日本を衰退させているということであります。

 これも第一点、第三点までまとめて伺います。

 一、消費税を増税すれば必ず景気が冷え込む。

 資料の六を御覧ください。これは日銀短観と信金中央金庫の景況調査を重ね合わせたものです。これを見れば、実は、世界経済が激しく動く中で、消費税の新設が、あるいは消費増税が日本の景気をいかに冷え込ませてきたか、一目瞭然であります。

 消費税は、一回一回の支払いでは大した影響はありませんけれども、長期間で見れば確実に家計に影響を与えるものであります。消費税を上げれば消費が冷え込む。実際に今までもそうなってきました。消費が冷え込めば景気が落ち込む。消費税の導入以来、ずっと悪循環の繰り返しであります。消費税は確実に国民の懐を傷め、経済力を衰退させてきました。

 第二点、消費税が格差社会をつくるであります。

 消費税の最大の欠陥の一つは、大村君が指摘しておりますが、貧しい人ほど収入における負担率が高くなるという逆進性がある。貯金という逃げ道のない人を狙ってかける税金、それが消費税である。もし消費税が税収の柱になってしまえば、今のところもう既になっておりますが、金持ちはどんどん金持ちになって、貧乏人はどんどん貧乏人になる。格差社会という言葉が使われ始めたのは消費税が導入されてからである。消費税が導入される前は日本は一億総中流社会と言われていた。格差社会にはいろいろな要因があるが、消費税が一つの大きな要因であることは間違いない。こう言っております。

 第三点、消費税は少子高齢化の一因にもなっている。

 消費税は消費が多い世帯ほど収入における負担割合が大きくなる。それは子育てをしている世帯と言える。子育て世帯は児童手当を支給されているけれども、児童手当を受けている子供は税金の扶養控除が受けられないので、差引きマイナスになってしまう。こんな指摘をしておりますが、これは本当かどうか、答えてください。

 公益財団法人の1more Baby応援団の既婚男女三千名に対する二〇一八年のアンケート調査では、子供が二人以上欲しいと答えた人は全体の約七割に達しているが、しかしながら、七四・三%の人が、経済的な理由などで二人目の壁が存在していて産むことができない。

 さらに、サラリーマンの給料はこの二十年で二〇ポイント以上下がっているのに、消費増税や社会保険料の負担増が続いている。これが少子化の原因になっている。また、非正規雇用の男性の既婚者、結婚している人は一割しかいない。結婚できない男性が増えている。これらのことを考えれば、これは経団連も深く反省しなきゃならない。

 このように指摘しておりますが、財務省、児童手当を出されている人は扶養控除が受けられないんですか、どうなんですか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税につきましては、社会保障給付という形で家計に還元されておりますので、負担の面だけに着目して経済への影響を論じることは適切ではないというふうに考えております。

 また、今お尋ねの児童手当と扶養控除の関係でございますが、控除から手当へという考え方の下で、中学生までの年少扶養控除を廃止いたしまして、児童手当の拡充が行われたわけでございます。ただし、多くの子育て世帯におきましては、適用される税率が一〇%以下というのが現状でございますので、実際上は児童手当をもらえる額の方が年少扶養控除が廃止された効果よりも大きいというのが実情でございます。

福田(昭)委員 これは大村君の指摘の方が違っているということですかね。後でよく確認をさせていただきます。

 それでは、次に、時間がどんどんなくなっていきますので早く行きますが、やはり元凶は財務省だ、財源は幾らでもあるというのは本当かという話であります。

 一つ目の、消費税の本丸は財務省、これは本当かということであります。

 第一点から第四点まで続けてお伺いします。

 財務省のキャリア官僚も消費税利権を持っている。

 消費税推進のラストボスは政治家ではない。財務省のキャリア官僚であり、消費税利権を持っていると言われている。キャリア官僚が消費税の増税で利益を得るというと、それは彼らの天下り先に利をもたらすものである。天下り先が潤うことで財務省のキャリア官僚たちは間接的に実利を得ることができる。キャリア官僚のほとんどは、退職後、日本の超一流企業に天下っている。キャリア官僚たちは将来必ず大企業の厄介になる。そのため、大企業に利するのは、結局、自分たちに利するということなのであるということで大村氏は指摘をしております。

 このことについては、天下りについては立憲民主党が各省庁に調査を依頼しておりますので、その結果を待ちたい、こう思っております。

 第二点、財務省の持つ巨大な国家権力についてであります。

 財務省は、まさに予算権と徴税権、国税庁も従えて徴税権を持っている、これでは国民も企業も財務省の言うことを聞くことになる、こう指摘しております。細かくは六点挙げているんですが、今は指摘はしません。

 第三点、消費税は財務省の権力維持のための安定財源だということであります。

 お金を持っているから周りの人が言うことを聞く、だから、安定的な税収の確保は財務官僚にとって至上命題となっている、財務省が強力に消費税を推奨してきた理由もここにあると指摘しております。これは本当かということであります。

 そして四点目、消費税一九%にが財務省の野望だということであります。

 大村氏は、非常に視野の狭い、思慮の浅い財務官僚なのだが、事もあろうに、今後、消費税、今一〇%でありますが、さらに消費税をOECDにまで勧告させて一九%まで上げたいと考えているが、本当かということであります。

 是非このことについて簡潔に答えてください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国家公務員の再就職につきまして御質問がございましたが、国家公務員法におきまして厳格な再就職規制が設けられておりまして、第三者機関である再就職等監視委員会がこれらの規制の遵守状況を監視しております。

 財務省では、国家公務員法に基づく再就職規制にのっとり、適切に対応しているものと承知しております。

 それから、歳出歳入につきまして御質問がございましたけれども、予算及び税制につきましては、財政民主主義及び租税法律主義に基づきまして、国会での御審議、御承認をいただいております。

 また、国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐという組織理念の下、国民、納税者の視点に立って日々職務に当たっておるところでございます。

住澤政府参考人 消費税率についての御質問ですが、将来の消費税の在り方につきましては、総理が当面触れることはないとおっしゃっているように、現時点で政府としても財務省としても具体的な検討を行っていることはございません。

福田(昭)委員 それでは、時間がなくなってきましたので、質問よりは、こっちから指摘をしておきたいと思っています。

 まず、先ほどの話ですが、私は、昨年だったか一昨年、有名な大学の御用学者の講演を聞いた後に聞いたんですよ。消費税を三〇%にしても財政健全化はできないよと有名な先生が言っているんですよという話をしたら、すぐさま、いやいや、二〇%で大丈夫です、こう答えましたから、財務省の腹がすぐ読める話でありました。

 ところで、二つ目ですけれども、消費税の最大の欠点は、物価が上がることだということを言っております。

 これについては、実は、消費税は、大蔵省のキャリア官僚がフランス旅行中にフランスの間接税を見て思いつきでつくった税金だ。それは税務の世界では有名な話だそうであります。その消費税の最大の欠点は、物価が上がるということであります。

 そして三つ目、消費税の代わりの財源は幾らでもあるというのは本当かという話であります。

 あと五分ですね。じゃ、さっさと進めていきますね。

 第一点は、法人税、富裕層の所得税を増税しても景気には全く影響しないという指摘があります。そのとおりだと私も思います。

 さらに、二点目、企業はあり余るほどの内部留保資金を持っている。まさにすごい内部留保資金を今持っていますね。

 それから、第三点、富裕層の資産も膨れ上がっている。これもまさにすごいですね。

 これについては、それぞれ簡潔に、消費税をつくった平成元年度と現在値の新しい数字で金額がどれぐらいになっているのか、そして、それは何倍になっているのか、その辺をお答えください。

江島政府参考人 企業の内部留保についてのお尋ねがございました。

 法人企業統計におけるいわゆる内部留保の金額ですが、平成元年度では約百十六兆円、直近の令和三年度では約五百十六兆円となり、この間で約四百兆円増加しております。

大谷参考人 お答えいたします。

 消費税が導入された平成元年四月一日直前の三月末の家計の金融資産残高でありますが、九百二十六兆円、足下、令和四年十二月末でありますけれども、二千二十三兆円ということで、千九十七兆円増加してございます。

福田(昭)委員 財務省研究所ですか、これは銀行、保険業が入っていないでしょう。銀行、保険業を入れて数字を教えてください。

江島政府参考人 お答えいたします。

 今お尋ねの金融、保険業を含む計数については平成二十年度以降発表しておりますが、足下の数字で、令和三年度末で、金融、保険業を含む全産業では五百八十五兆、約五百八十六兆円となっております。

福田(昭)委員 是非、マスコミに発表するときに、銀行、保険業を入れた内部留保資金を発表してください。調査時点が後からだったというので、最初からのと比較できないからという理由を言われましたけれども、GDPの計算だって、途中で統計方法を変えれば新しい基準に基づいて発表しているじゃないですか。

 ですから、国民を惑わすようなことのないように、研究所なんだからしっかり発表してください。マスコミにはそれを書かせるようにしてください。

江島政府参考人 お答えいたします。

 法人企業統計公表の際に、金融、保険業を除く計数と併せて、含む計数もお示しをしております。

 なお、先ほど私、五百八十六兆円と申しましたが、五百八十五兆円の間違いでございます。大変失礼いたしました。

福田(昭)委員 今申し上げたように、それこそ法人企業も富裕層もしっかりお金を持っているわけですから、何も内部留保資金に課税するというんじゃなくて、これから毎年毎年所得が発生するんですよ、この人たちは。そういう人たちにしっかり応分の負担、能力に応じて負担をしていただくということで税金は増えてきますよ、鈴木大臣。

 それでは、四つ目ですけれども、国の財政システムを大修繕するべきとの大村君の提言でありますけれども、私もそのように思っております。

 大蔵省のキャリア官僚の思いつきで創設された消費税で我々のすばらしい日本が滅亡していいのかということであります。あのアインシュタインでさえ、地球が滅ぶとも日本人は最後に残したい、こう言っているくらいの我々のすばらしい日本の国を、キャリア官僚が思いついたこんな消費税で日本の国を駄目にしたんじゃ駄目だと思っています。

 それこそ、今こそ、次の世代に責任を持つべき我々が、今の財政システムを、失敗の象徴である消費税を中心とする我が国の不公平な税制を抜本的に改革して、次の世代が夢と希望を持てる世の中をつくり出すべきではないかと思っております。

 鈴木大臣、どうですか。実質賃金は十三か月連続マイナスであります。当分の間、消費税を五%に引き下げませんか。財務大臣、お願いいたします。

鈴木国務大臣 岸田内閣の閣僚として申し上げますと、岸田総理も、しばらく消費税には触らない、こういう趣旨のお話をされております。したがいまして、今、消費税を下げるということについて具体的に考えているものはありません。

福田(昭)委員 時間が来たからやめますが、資料の七は後で読んでください。誰に消費税を支払わせるのかということであります。それは、担税力、税金を払えるだけの資力があるかどうか、そして、欧米では担税力のある者にしか税金はかけないというのが大原則である、しかし、日本はそれが忘れられているということでありまして、原点に戻ることが大事だということを訴えて、私の質問を終わります。

 以上です。

塚田委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 まず、通告をしておりませんが、大臣に旧文通費に関する質問をさせていただきたいと思います。

 先月、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数は四%を超え、十一か月連続の上昇となり、第二次オイルショックの一九八一年以来、約四十二年ぶりの高水準となりました。調理用食品や菓子類は一割以上値上がりするなど、物価高による家計負担増は歯止めがかからない状況です。

 そこに来て、全国の大手電力七社による一般家庭向け電気料金の大幅値上げがされようとしております。標準的な家庭で月に二千円程度、電気代が上がる地域もあります。加えて、今年の国民の所得に占める税金や社会保障費の割合、すなわち国民負担率は約四七%となります。さらには、今後、防衛費財源確保のための増税が上乗せされるというような状況です。

 その一方で、痛みを伴う歳出削減や既得権に切り込む規制改革により経済成長を促し、財源を確保する努力は全く足りておりません。

 旧文通費改革は、去年の国会で我が党が提案した使途公開と残金返金を軸として各党協議が進んでおりましたが、昨年の国会中に結論を得る約束を自民党が一方的にほごにしたため、たなざらしになっております。

 この国会も終盤に差しかかりましたが、大臣は、自民党に所属する一人の政治家として、国民の苦しみを無視し、政治家が我が身を守ることを第一にする、そういう考えで本当にいいと思うのでしょうか。今国会中に結論を出すのが当然と考えますが、大臣はどう考えておりますでしょうか。国会で御議論いただくことといった逃げ口上はやめて、政治家として御自身のお考えをお願いいたします。

鈴木国務大臣 旧文通費のことについてのお話でございますけれども、別に逃げるというわけではありませんが、財務大臣という立場でここに立っているわけであります。行政府の者が立法府に関わることについてこうあるべきだと言うことは、これは三権分立の立場からいいましてもおかしなことになるわけでありますので、このことにつきましては、国会、各会派で御議論をいただき結論を出していただくことである、そういうふうに思います。

 その上で、一人の政治家としてどうかということで、今申し上げたことと矛盾しますが、お尋ねですのであえて申し上げれば、旧文通費というのは、それぞれの政治家の政治活動にも密接に関わりのあるものだと思っております。私自身、私の政治活動をするに当たって旧文通費を活用させていただいているわけでありますので、そうした実態、事実と、一方において、御党が述べられております身を切る改革というような観点、そこの両者の調整というものが、私の心の中で、頭の中でいまだ何か結論が出ているわけではありませんので、この場でお答えできるようなことがないということは御理解をいただきたいと思います。

住吉委員 大臣が今、身を切る改革と言いましたが、この旧文通費は、使途を公開する、そして、余ったら返還するという、ある意味、国民からすれば当たり前のこと、別に我々は、身を切ってまでやっている、この額を減らすとか廃止するとか、そういうことを言っているわけではなくて、原資は税金ですので、当たり前のことを言っているわけでございます。我々の言う身を切る改革までもいっていない改革だと思っておりますので、是非リーダーシップを発揮して今国会中に結論をまとめていただきたいということをこの場をおかりしてお願いしたいと思います。

 続いて、質問に入っていきたいと思います。

 二〇二二年度の税収見込みについてお尋ねいたします。

 六月一日の日経新聞電子版によると、このようにあります。財務省は一日、二〇二二年度の一般会計税収が四月末時点で六十一兆五千三百二十五億円だったと発表した。二一年度の同時点を八・一%上回っており、四月末時点としては過去最高を更新した。所得税、法人税、消費税の全てが増えている。二二年度税収は三年連続で過去最高を更新する可能性がある。二二年度も五月に前年と同程度の伸びであれば、税収が七十兆円を超える計算になる。企業の賃上げで給与所得が増えたほか、配当収入も好調だったようだ。企業の業績が好調に推移している。こういう報道がございました。

 このような状況を受けて、二〇二二年度の税収見込みについて、当初の見込額と比べてどの程度上振れているのか、また、上振れているのであれば、その要因について政府の見解をお伺いいたします。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度の一般会計税収につきましては、当初予算におきまして六十五・二兆円と見込んだところでございますが、昨年末の第二次補正予算におきまして三・一兆円の増額補正を行い、補正後におきまして六十八・四兆円を見込んでいるところでございます。

 今御指摘がございましたように、足下の税収の状況といたしましては、先日公表しました四月末までの税収が六十一・五兆円ということで、堅調に推移しているところでございますが、年度を通じた税収につきましては、残りの五月分税収において税収のうち大きな割合を占める三月期決算法人の法人税、消費税が収納されることなどから、現時点で確たることは申し上げられないということを御理解いただければと思います。

住吉委員 見込額については決算が出るまでお答えできないとのことですが、今あったように、当初六十五・二兆円、そして補正のときに六十八・四兆円、さらには、報道にもあるように、七十兆円を超すのではないか。税収がかなり高水準になるというのは極めて高い状況です。そうであるなら、上振れた部分は財源として活用できるということになるでしょう。

 冒頭で述べたように、防衛費財源確保のための増額であったり、今議論されておりますが、子供、子育て支援のための社会保障費の増額と、国民負担増のオンパレードとなっておりますが、我が党は、国民になるべく負担させない、増税は最後の最後の手段であると主張しております。

 防衛費財源確保はこの委員会でも非常に長い審議時間がありましたが、増税の結論はまだ先ということで、上振れ部分が確定した後に防衛費財源に充てるということも十分可能なのかなというふうに思っております。

 そこで、二〇二二年度の税収見込みについて防衛費の財源としてどの程度活用でき、また、増税方針を考え直すべきことについて、政府の見解をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 度々答弁させていただいておりますが、政府といたしましては、経済あっての財政、すなわち、まずは経済を立て直すことが重要であると考えております。その結果として見込み以上に税収が伸び、そしてそれが決算剰余金に反映されれば、防衛力強化の財源として活用されることにもなるものと考えております。

 その上で、経済成長による税収増につきましては、中長期的な増収額を安定的に見込むことが難しいという点に留意する必要があると思います。政府としては、強化された防衛力を安定的に維持するためのしっかりとした財源確保の方法としてこの税収増を見込んでいるわけではありません。

 いずれにいたしましても、税収増は経済成長によってもたらされるものでありますので、政府としては、新しい資本主義の下、官民連携で成長分野への投資や人への投資を推進することで、成長と分配の好循環を拡大し、力強い成長の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

住吉委員 増税の部分について御答弁がなかったんですが、経済成長によって税収が増えていく、そうすることによって、増税というのは、防衛費の財源確保の増税は令和六年以降の適切な時期というような表現だったと思いますが、例えば、どれだけ上振れしても増税は令和六年からやっていくという理解なのでしょうか。それとも、後ろ倒しにしていく、場合によっては増税自体を見直す、そういうお考えはないのでしょうか。

鈴木国務大臣 税制措置の実施時期につきましては今お話がございましたとおりでありますが、これにつきましては、今後、与党の税制調査会等での議論を待たなければならない、そのように思っているところでございます。

 そして、今後のことにつきましては、昨年末に決定いたしました閣議決定に基づきまして、こうした増税の幅、約一兆円強を税制措置をお願いしたいということでございますが、それを変更する予定はございません。

住吉委員 最小限の国民負担をお願いする、度々この委員会でも御答弁があったと思います。

 今回の税収の上振れの要因というのが、所得税、法人税、消費税、全てが上がるだろうと言われております。特に、消費税というのは、教科書的に言えば、経済活動に対する影響というのは相対的に小さく、税収が景気、また人口構成の変化に左右されにくいという中でも上がっているということは、どうしても国民は生きていくために衣食住を買わなければならない、その最低限買わないといけないものも物価が上がっているから税収が上がっているんだと思います。

 何が言いたいかといいますと、多くの方が負担が増えている、もちろん消費税は年金や医療、介護、少子化対策の目的税ではありますけれども、既に国民自身が多くの、消費税という形なのか分かりませんが、負担をしている中で、是非、この国のかじを取る閣僚の一人として、岸田総理が掲げる新しい資本主義で成長戦略をして、そして、たまたま税収が増えたからではなくて、税収増を目指していくというような形で、国民負担はなるべくかけないようにしていく、それを切にお願いしたいと思います。

 増税に関しては、また議論する時間がありますので、引き続き議論していきたいと思います。

 続きまして、休眠預金についてお伺いしたいと思います。

 昨日、ちょうど衆議院の方でも、休眠預金口座の活用について、議員立法として法案が通過したところでございます。

 その中で、民営化前の郵便貯金に関して、いわゆる消えた郵便貯金といいますか、それについてお尋ねしたいと思います。

 朝日新聞の報道によりますと、満期から一定期間が過ぎて権利が消滅した郵便貯金のうち、貯金者の請求を受けて返金した金額が二〇二一年度分は元本ベースで二億円にとどまることが分かりました。請求を受けて審査した件数に対し、返金を認めた割合というのが二割以下。承認率は一七年度の六割超から大きく下がっており、失った貯金を取り戻すハードルは高くなっているとのことです。開示資料などによると、権利消滅が過去最高の四百五十七億円だった二一年度は、貯金者から権利消滅の取消しを求められた審査案件が八百五十一件あったとのことです。

 このうち、やむを得ない事情などがあると認めたのは百六十件で、二億円分が貯金者に払われた。一件当たりの平均額は百二十五万円で、利息も上乗せされる。どのような理由で承認したかは集計していないと機構は説明しておりますが、民間の銀行では、お金の出入りが十年以上ない口座を休眠預金にして活用することはありますが、預金した人が請求すれば払戻しに応じてもらえます。預金が消えることは一般の民間金融機関ではありません。なぜ、民営化前の定額貯金、定期郵便貯金、また積立郵便貯金は対応が違うのでしょうか。

 さらに、民営化前の古い貯金を管理する独立行政法人郵政管理・支援機構が権利消滅の二か月前に催告書を発送しているようですが、貯金の引き出しを促す催告書の八割が貯金者の元に届いていないということです。その理由は、登録された住所が違うなどが原因と見られ、多くの貯金者やその相続者がその存在に気づかず、資産を失っているおそれがあります。

 法律の周知が不十分で、制度自体に納得がいかないという苦情も多く、貯金の復活をもっと幅広く認めるべきだという専門家の指摘もございます。

 自分のお金が消滅して納得しないというのは非常によく分かりますし、もっとしっかりと救済していくべきだと考えますが、この点について政府の見解をお伺いいたします。

藤野政府参考人 お答えいたします。

 郵政民営化前に預け入れられました定期性の郵便貯金につきましては、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の附則第五条においてなおその効力を有するとされている旧郵便貯金法第二十九条の規定におきまして、満期日から更に二十年を経過し、催告を行った後二か月がたっても払戻しの請求がない場合には、預金者の権利は消滅するとされているところでございます。

 こういった権利消滅金の制度は明治期からある制度でございますけれども、その趣旨としましては、事業の経済的、合理的な運営を図る観点から、長期間利用がなく、そして、催告してもなお利用されないといった郵便貯金を整理することに係るということになっていたと認識してございます。

 これに関しましては、こういった民営化前に預けられた定期性の郵便貯金の払戻しに関する対応としましては、これは預金者の財産に関わることでございます。それらの郵便貯金を管理する郵政管理・支援機構がございますけれども、ここにおいて、権利消滅となる前にできるだけ払戻しを行えるように、丁寧な対応が行われる必要があると考えてございます。

 同機構では、満期後でまだ権利消滅に至っていない預金者の方に対しまして、実際の住所を調べまして早期払戻しを促す挨拶状を送付する、それから、様々な媒体、テレビコマーシャルなどを使ってございますけれども、これで広く周知広報を実施するなどの郵便貯金の権利消滅の防止に取り組んでいるところでございます。

 また、同機構は、先生も触れていただきましたけれども、一旦は権利消滅の扱いになった方についても、一定の基準の下に、催告の後に払戻しの請求ができないやむを得ない事情があったと判断される方には、払戻しに応じる運用を行っているというふうに承知してございます。

 総務省としましては、同機構におきまして、これらの対応を適切に行い、また必要な改善も行って、預金者に寄り添った取組が最大限行われるように、しっかりと監督を行ってまいります。

住吉委員 法律の趣旨も分かりました。また、機構はいろいろと丁寧に対応しているということも重々承知しております。

 ただ、一方で、民間企業はこの権利自体が消滅するということはない。でも、こちら側は権利が消滅するということで、かなり国民に対しては、当然、自分の財産がなくなってしまうことに対して喜ぶ人はいないと思うんですね。そこは今後ももう少し踏み込んだ丁寧な対応が必要なのではないかなと思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたい。例えば、法律がかせになっているのであれば、法改正も含めて検討していかなければならないと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 最後に、一問飛ばしまして、休眠預金についてお尋ねしたいと思います。

 昨日、議員立法で衆議院本会議で可決されたわけですが、この休眠預金の活用事例、中身を見ますと、かなり、少子化対策であったり、子供、若者支援、また子供たちの保護者であったり生活困窮者支援、母子家庭への支援、こういったものが非常にウェートを多く占めていると思っております。現時点で法律の縛りがあり、活用範囲を広げるには法改正が必要であることは理解しておりますが、このように眠っているお金を少子化対策の財源として使えないものでしょうか。

 休眠預金は毎年一千二百億円程度発生しておりますが、使われるのは一部だけであり、活用事例として、先ほど申しましたように、少子化対策的なものが非常に大きなウェートを占めております。これから検討される財源に比べると微々たる額かもしれませんが、こういった休眠預金を少子化対策の財源として活用していくことについての政府の見解をお伺いいたします。

小川政府参考人 お答えいたします。

 休眠預金活用制度は、休眠預金という民のお金をNPO等による民による公益活動に活用するということを趣旨としまして、議員立法により創設されたものというふうに承知してございます。

 この考え方は、今御指摘がありましたとおり、法律の中でも、国等が対応困難な社会課題の解決を目的とする民間の団体が行う活動の支援に用いる、このように規定されているところでございます。

 昨日本委員会において委員長提案の形で提出されました本法案の改正法案に係る議連の議論におきましても、この点につきましては、行政と民間の役割分担の在り方ということで、精力的に議論され、整理されたところというふうに承知しております。

 私ども、法律の実施を担う政府といたしましても、この趣旨を十分踏まえて、委員の御指摘をいただきました子供、若者への支援、こうしたものにこの休眠預金を活用していく、こうした姿勢で対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

住吉委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、浅川義治君。

浅川委員 日本維新の会の浅川義治です。

 今日は、委員長、各会派理事の皆様、質問させていただくことになりまして、どうもありがとうございます。

 また、大臣に至っては、せんだって安全保障委員会との合同審査でも質疑させていただきました。本当でしたら、私も大臣のパーソナリティーをより詳しく調べてこの質疑につなげたいと思っているんですけれども、それはいずれ本格的な質問ができるときにさせていただきたいと思っております。

 と申しますのも、今日は、文化、芸術と金融あるいは税制についてお尋ねをしたいと思っております。

 ただ、冒頭、その前に、質疑ではないんですけれども、私の政策、あるいは党もそうなんですけれども、減税と規制改革による経済成長というのを政策として訴えている中で、ガソリン税、揮発油税ですね、せんだっては消費税の二重課税についてもお話ししましたけれども、暫定税率で今二十五・一円、一リッター当たり上乗せされている、合計五十三・八円が税金で取られているというところ、今月から徐々に元売への補助金も下がっていくということなので、今のような原油高あるいは円安でいきますと、この揮発油税の上乗せ分をやはり撤廃する、減税するというのが私は政策としてはいいのではないかと思っておりますので、是非御検討いただきたいと思っております。

 次の、一番ですね、まず保税制度について財務省の方にお伺いいたします。

 以前、我が党の美延議員も、保税制度について、地域の経済に寄与するということで質問、提案をさせていただいております。輸入美術品等の取引を促進するためにも、管理する美術館、あるいは管理する信託銀行や倉庫、あるいはオークション会場、アートフェア等、一帯を地域として保税地域に集約するということができれば、より一層この保税制度が効果的になるのではないかと思っております。

 倉庫等、一定の狭い範囲がこれまではエリアの指定ということで許可をされて取引されているかと思うんですけれども、例えば、一つの島あるいは一つの地区をまとめて、幾つかの施設を複合的に面で見て保税制度を使えるようにしたらどうかと思うんですけれども、この点についての見解をお伺いいたします。

井上副大臣 お答えいたします。

 まず、保税地域制度についてですけれども、特定の場所や施設におきまして、外国貨物に係る関税等の課税を留保したまま、外国貨物の蔵置、加工、製造、展示等を行うことができる制度であります。

 その上で、特定の地域を保税地域とするためには、当該地域を管轄する税関長への許可申請を行っていく必要がありますけれども、適正な貨物管理ができることなどの要件を満たしていれば、基本的には広さにかかわらず許可を受けることができます。それこそ、例えば申し上げますと、二〇二五年の開催を予定されております大阪・関西万博の会場一帯についても保税地域として許可しているところであります。

 また、これに関しても、アートのことが出ましたけれども、令和二年に関税法基本通達を改正しておりますので、保税地域を十分に活用していただければいいかというふうに思います。

 以上です。

浅川委員 ありがとうございます。

 今の制度でも十分運用ができるという御答弁、ありがとうございます。

 私は横浜出身なんですけれども、横浜も今、山下埠頭という古い埠頭の再開発のことがいろいろ検討課題になっています。横浜にも美術館があったり、もちろん港ですから倉庫もたくさんありますし、横浜でもこういった保税制度を使っての美術面での展開ができたらいいなと思っておりますので、横浜市の方にも提案していきたいと思っております。

 続きまして、今回、いろいろ資料もお配りさせていただいておるんですけれども、伊勢コレクションに関連する問題が起きております。

 個別の詳しいところに行く前に、一般論として金融庁さんの方にお伺いしたいんですけれども、美術品とか芸術品、こういうものを銀行の融資先、お客さんが保有している、そういったときに、債権の保全という面で一般的にどのように考えているかというのをお伺いしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 一般論でございますけれども、金融機関は、債権を持っている場合に、これをきちんとお返ししていただく、それで、いろいろな状況に事業者の方がなった場合にも、できるだけ回収に努めるという責務があろうかというふうに考えております。

浅川委員 私も昔、地元の銀行に勤めておりましたので、回収業務も、朝から物すごい分厚い引き落とし不能になった先にずっと電話をかけるようなこともやっていましたので、これが大変なことだというのはよく承知しております。

 もう一つは、会社更生法が適用されているときに、一般論として、管財人がどのように保有されている資産を処分していくかというのを、法務省さんが今日はお越しになっているかと思うので、管財人の立場だったらどうなのかというのをお答えいただければと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますけれども、会社更生法上、更生会社の財産状況をまず管財人は把握するということになりますけれども、その財産状況を報告するために招集された関係人集会、財産状況報告集会と申しますが、そちらにおいて、裁判所は、更生会社に対する債権等の届出をした更生債権者等から更生会社の財産の管理に関する事項についての意見を聞かなければならないとなっております。この集会を開催しない場合は、管財人において、更生会社の財産に関する状況等について更生債権者等に対し説明する関係人説明会を開催するなどの措置を取らなければならないとされております。

 したがって、更生債権者は、これらの機会を利用するなどして、更生会社の財産の換価、処分の方法について意見を述べることもできるものと考えております。

浅川委員 ありがとうございます。次の質問もお答えいただいたんですけれども。

 資料の横のものは日経新聞からお借りしたんですけれども、伊勢コレクションというのが、重要文化財とか重要美術品も含まれていて、資産価値は数百億になるのではないかと言われている。特に、文化庁の長官を務められた方たちも非常に重要なものだということをおっしゃっていたり、ここには大阪市の美術館の館長もコメントされております。

 また、二枚目の縦の方は、当時の外務大臣の岸田現首相が、フランスのギメという美術館で行われた展示会の晩さん会にはビデオメッセージも寄せられている。それぐらいの、ある意味、絵画、中国の唐物と言われる陶磁器、そういった美術品のコレクションが一つの基準で持たれているわけですね。

 こういった伊勢コレクションについて、文化庁としてはどのような考え、評価をお持ちでしょうか。

簗副大臣 イセ食品の創業者である伊勢彦信氏が収集されたいわゆる御指摘の伊勢コレクションは、陶磁器や絵画など、国内外の多様な美術工芸品から成っており、重要文化財又は重要美術品となっているものが五件含まれていると承知をしております。また、当該コレクションのうち、中国陶磁については、国内外の美術館で展覧会が開催されたこともあると聞いております。

 報道の資料を添付いただきましたけれども、今般の報道によれば、イセ食品等が会社更生法の適用申請を受けたことにより、その手続の対象となる当該コレクションについて散逸等の懸念が示されているものと承知をしておりますが、所有している重要文化財等については、文化財保護法を含めた各種の法令にのっとって適切に保存、管理がなされるべきものと考えております。

浅川委員 こういう重要な文化財も含まれているようなコレクションは、ある程度まとまりを持ってこそ価値があるということなわけですね。その例として、茶室で西洋物の絵画も掛け軸の代わりに掲げられて、新たな茶道の芸術性が進歩したというような評価もあるわけです。

 こういった文化、芸術について、国として、文化庁さんも今評価されているというお話があったんですけれども、なおかつ、先ほど法務省さんの御説明で、管財人は債権者等の声も聞けるということなんですけれども、金融庁として、再度、もう一度お尋ねしたいんですけれども、かつて安宅コレクションの問題が国会でも取り上げられております。当時の海部文部大臣に対して参議院で自民党の吉田先生という方がお尋ねをして、そのときはその質疑が基になって解決している、そういった事例もあります。

 今回は、ちょっと似てはいますけれども、全く同じような状況ではないんですけれども、このままいってしまうと、管財人の方は、ばら売りをして高く売れればいい。つまり、本来、管財人の使命として、高く売れればいいというところで処分がされてしまうんですけれども、こういうような重要な文化財も含まれるような文化的な、芸術的な価値のあるものについて、文科省、文化庁として、金融庁、財務省の方に何かサジェスチョン、あるいは、管財人に直接お話しするということはできないと思いますけれども、こういった債権者が管財人に対して先ほど意見を言えるということもありましたので、改めて、こういうような状況に置かれている中で国としてどのようにお考えになっているか、お尋ねしたいと思います。

鈴木国務大臣 文化庁から金融庁に対して文化財保護に関する要請があれば金融庁としてどう対応するか、そういう御質問だったと理解をいたしました。

 一般論として申し上げますと、文化庁から金融庁に対しまして文化財保護に関する要請を受けた場合でありますが、これは、直ちに連携をするということではないかもしれませんが、銀行が株主や預金者等との関係から債権保全のために負う善管注意義務にも留意しつつも、金融行政の立場からどういった対応が考えられるのか、検討することになるんだと思います。

浅川委員 ありがとうございます。

 企業にとっても、債権者、銀行ですね、確かに貸出先の担保になっているというわけじゃないかもしれませんけれども、保有資産が何百億時価相当あるという前提で融資していたとも考えられます。そのときに、その資金を回収する、管財人を通じて会社更生させるわけですけれども、そのときに、銀行としても、これだけある意味美術業界、芸術業界で話題になっている、日経新聞も書かれているようなことで、管財人に対して単に高く売れればいいというようなスタンスを持つと、企業イメージにもつながってくると思うんですね。

 やはり、企業の社会的な責任という側面から見ても、一般論としては、先ほどお話があったように、回収を早く、高くというのはあると思うんですけれども、こういう文化財も含まれているようなものを、元々融資先に出しているわけですから、ここについては、債権者に対して、少しいろいろ管財人に対する意向を述べていただけるような形がいいのではないかと思っております。

 この文化、芸術について、私は、元々私も美術をやっていたり写真とか映像にも関心があって、一%アート政策というのを訴えております。企業が建築物等を造るときに、アメリカ等では、一部法律にも定められているんですけれども、仮に百億の建造物、十億の建造物を造るときには、一億あるいは一千万の美術品あるいは芸術にお金をかける、ホールを造るとかでもいいんですけれども、そういうような政策が日本の政策の中でも入っていくと非常にいいなということを訴えていたんですけれども、元々、この文化、芸術について、私が十九年前、横浜市会議員をやっていたときにも当時の行政に対して質問もいたしました。

 私も銀行にいたので現実主義ではあるんですけれども、やはり、国の文化あるいは芸術の振興という観点を、各省庁、金融も財務省もそうなんですけれども、どこかに頭に入れていただいて政策を練っていただく、あるいは企業に対しても影響力を行使していただくということが重要じゃないかなと思っております。

 芸術は、政治に対して影響を与えると思っております。先ほど、伊勢コレクションの作品が茶室にも飾られて、一体として芸術作品になっているという話をしたんですけれども、かつて千利休は、茶室の入口のにじり口というところをつくって、茶室に入るときには刀を外して入る、茶室に入る人は誰でも平等ですよということを表現したというふうに言われているんですね。

 こういう日本の伝統文化の中にも芸術性が現れている、茶道にも影響を与えている伊勢コレクションですので、是非この問題が解決できるように、関係する省庁の皆様にも御尽力をいただければと思っております。

 最後に、大臣、この伊勢コレクションの問題、管財人が散逸するかもしれないようなばら売りをするかもしれないという危惧を周りの人は持っているんですけれども、大臣の所感というか、御感想を一言いただければと思います。

鈴木国務大臣 個人としての立場でお話をさせていただきますと、世界的にも評価の高いものが、まとまっているからこそ価値があるものが、ばらばらになってしまうことによって本来持っている価値が毀損されるということ、これは大変残念なことである、そういうふうに思いました。

 文化財はしっかりと保護していく必要がある、そういうふうに思っています。

浅川委員 貴重な答弁をいただいたと思います。どうもありがとうございました。

 以上です。

塚田委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原誠司でございます。

 まず、日銀総裁、植田総裁に質問をさせていただきたいと思います。

 今年四月の実質賃金はマイナス三%ということで、十三か月連続のマイナスということでございます。短期的にも十三か月連続マイナスということなんですが、お配りをしている資料の一枚目を御覧いただきたいわけであります。

 これは、異次元の金融緩和が始まった以降、二〇一二年の末以降、経常利益、そして人件費、実質賃金がどのような推移をしたかということを表したものでありますけれども、この異次元の金融緩和によって、確かに経常利益は最新では九割増えているわけでありますけれども、名目人件費は四%しか増えず、この十年間で実質賃金は七%も減っているということでございます。実質賃金が減るということは、実質可処分所得が減って、国民の生活はよくなるどころか、どんどんどんどん苦しくなってきているということであります。

 この理由の一つは、FRBやECBなどは現在金利を引き上げているにもかかわらず、日銀だけが異次元の金融緩和を続け、金利差が拡大して、そして円安を招き、輸入物価が上がるということが一つの原因となっていると考えますが、それはお認めになられますか。

植田参考人 実質賃金が前年比でマイナスで推移していることの要因として、前原先生がおっしゃいましたように、輸入物価の上昇を起点とした価格転嫁の影響が非常に大きいということだと認識してございます。

 ただ、このコストプッシュ要因は今後減衰していくというふうに見ていますし、一方で、名目賃金の上昇率も高まりつつありますので、実質賃金の前年比のマイナス幅は徐々に縮小していくというふうに考えてございます。

前原委員 その見通しが本当に正しいかどうかということについては私は疑問を感じます。

 特に、今回の春闘ではかなりの賃上げというものが実現をされたわけでありますけれども、それ以上に物価上昇をしているという面もあるわけであります。つまりは、実質賃金をプラスにするためには、物価上昇以上に賃金が上がらなければいけない。

 ただ、金融緩和で企業はもうかっても、利益の配分が配当や内部留保に、これを見ていただいたら、いかに偏っているかということは分かりますよね。配当金は二一一になり、つまりは利益以上になっている、内部留保も一九四で利益以上になっているということでありまして、緩和効果は一般国民には行き渡らずに、むしろ国民を貧しくしているというのが現実ではないかと思います。

 金融政策をこのことによって変更するお考えはないのかどうなのか、ないのであれば、この状況を打破するために日銀として何がやり得ると考えられるのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

植田参考人 現状では、私どもが申し上げておりますように、いまだに二%の物価目標を持続的、安定的に実現するというところにまだ少し間があるというふうに考えてございます。したがいまして、粘り強く金融緩和を継続していくという姿勢でございます。それがうまく経済にプラスの影響を与えることによって、名目賃金の上昇、ひいては実質賃金の上昇を伴う、雇用、賃金の増加を伴う好循環の形成に至るというふうに考えてございます。

前原委員 それが十年間実現できていないわけですよね。ずっと異次元の金融緩和をしているけれども、ずっと二%というのは永遠の目標のようになっているわけですよね。そして、この十年間で実質賃金は下がり続けているということは厳然たる事実なわけです。

 それで、二%、二%と言っていてもなかなかそれは到達できないということでありますけれども、この状況を考えたときに、私は一つの提案をさせてもらいたいと思うんです。是非真摯に考えていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、二ページを御覧いただきたいと思うんです。

 日銀がETFを購入しています。主要な先進国では中央銀行がETF、株を買っているというのは珍しいわけでありますけれども、簿価、つまり今までの購入総額が三十七兆円を超えています。そして、時価は五十三兆円を超えていて、含み益が十六兆円あるという状況に今なっているわけであります。他方、ここには出ていませんけれども、配当金、つまりETFの配当金を見ますと、二〇二一年だと八千四百二十六億円、それから、二〇二二年度は一兆円を超えて、一兆一千四十四億円ということであります。

 三ページを御覧いただきたいわけでありますけれども、三ページは日銀の国庫納付金の推移であります。つまりは、日銀として、国債の含み益とか、あるいはこういったETFの配当というものを五%は日銀法によって積み立てる、そして、その九五%、必要経費を除いたものですから九五以下になりますけれども、それ以外については国庫納付をするということで、二兆円程度の国庫納付をしているわけですよね。

 これについては後で伺うとして、私の提案は、その前に一つ総裁に簡単にお答えいただきたいんですけれども、今、株価がすごく上がっていますよね。バブル後の最高値を更新するような勢いでありますけれども、今年度になってからETFは購入されていますか。

植田参考人 四月以降は購入してございません。

前原委員 当然ですよね。これだけ高値が続いているわけですから購入していない。

 私は、このETFというものは非常に悪い手法だと思っています。ただ、買った以上、これは減らないわけですね。したがって、もうこれ以上は買わない。株価が上がるのは、日銀が買って下支えするんじゃなくて、例えば、PERと言われるような株価収益率をやはり企業そのものが変えていく、東証などがそういったものに対してしっかりと厳しい基準を設けていく、そういうもので上がっていくべきであって、私は、日銀が買って株価を下支えするというのは、これはまさに官業による民業の圧迫どころか、介入でしかないというふうに思っておりまして、もうやめる、まずはやめる。

 そして同時に、今、資産運用会社に任せていますよね。これは年間五百億円以上の委託料を払っているんじゃないですか。こういうような委託料を払って、そして、株主としての行使をしていないんですよ、日銀は。これだけ買っていて、そして運用会社に五百億円以上の運用委託金を報酬として払って、そして株主としての権利を行使していない。もう委託をやめたらどうですか。

 日銀が保有していく。そして、株主としての権利を行使する。そのことによって、要は、二%、二%といいながら十年間二%は実現をしていないその最大の理由というのは、企業の利益の配分がおかしいんですよ。だって、人件費に対してはほとんど回っていない。設備投資も低い。それが配当と内部留保に回っている。

 こういった、幾ら日銀が金融緩和をして経済をよくしようとしても、企業の中の配分が悪いのであれば、悪い手ではあったけれどもETFをこれだけ持っているわけですから、運用会社への委託をやめて、自ら株主として、しっかりと株主としてのスチュワードシップ・コードに基づいて権利を行使して、そして人件費に回すというようなことを考えられたらいかがかと思いますが、いかがですか。

植田参考人 私ども、現在、ETFの買入れは、マーケットで要求されるリスクプレミアムが非常に一時的に高まるというときに限定して、めり張りをつけて購入するというやり方をしてございます。したがいまして、四月以降は購入してございません。

 そういう趣旨に照らしまして、やはり、日本銀行がETFを買ってはいますが、直接個々の企業に議決権を行使すること等によって、ミクロの資源配分や各企業の経営に強く関与することは適当ではないというふうに考えてございます。

前原委員 だって、異次元の金融緩和を十年間やってきて、全体として企業の利益は、円安の為替効果もあるでしょう、利益を増やしたけれども、結局、分配がいびつなために、GDPの六割近くを占める個人消費がしっかりと伸びない状況をつくってしまっているわけでしょう。結果としてETFをこれだけ持っている。それであれば、株主としての言ってみれば権利を行使して、配当に過度に偏り、内部留保が多い、五百兆円以上積み重なっている、こういうものを見直すべきだということ。

 そんな細かいところまでやらなくていいですよ、日銀だから。だけれども、日銀の政策として結果として思ったことになっていないことについて、日銀がなぜ自分自身の政策意図というものを企業に言わないんですか。言うべきじゃないですか。

植田参考人 やはり、繰り返しになってしまいますが、日本銀行としては、マクロの観点から市場全体のリスクプレミアムの過度な上昇を抑制し、それをもって物価目標の達成に資するという観点から株式の購入をしておりまして、ミクロの企業経営に強く関与するということは差し控えたいという姿勢でございます。

前原委員 是非検討してもらいたいと思います。検討してもらいたい。

 つまりは、そんな細かなところまで、会社の箸の上げ下ろしまでやれと言っているんじゃないんですよ。全体としてどう賃金を着実に堅実に上げていくかということについて、政策意図を理解してもらうために株主としての権利を行使すべきだということを申し上げているんです。

 総裁、ETFを持ち続けるということは選択肢になりますか。先ほど見ていただいたように、配当が一兆円を超えていますよね。これから出口になっていったときに、一つの方策として付利金利を上げていくということになると、日銀には手持ちのお金がなければいけませんよね。そういう意味では、ETFを持ち続けるということは選択肢になり得るんですか。

植田参考人 様々な状況を将来について考えてございますが、ETFを持ち続けるというオプションも一つの選択肢であると考えてございます。

前原委員 ごめんなさい、今、最後、選択肢ではない、選択肢はない。

植田参考人 当面ETFを持ち続けるということはもちろん選択肢でございます。ただ、出口が近づいてきたときに、どういう方法で処分していくのか、しないのか、それはきちんと政策委員会で議論をした上で公表してまいりたいと思っております。

前原委員 選択肢としてあるということは明言をされました。

 出口に行くときに、一つの有力な方策として付利金利を上げるということになれば、当座預金にお金が今たくさんあるわけでありますので、それに対しての財源が必要ですよね。だから、持ち続けるということも私は選択肢だと思います。

 総裁はこれで結構でございますので、御退席いただければと思います。

塚田委員長 植田総裁は御退席いただいて結構です。

前原委員 厚生労働副大臣にお越しをいただいておりますが、私はこの委員会で年収の壁について質問させていただいておりまして、この年収の壁を何とか解消するために財政で埋めて労働時間調整がなくなれば、その分、労働時間が増えて収入が増えて、そして税収も増えるだろう、そのプラスマイナスを試算してもらいたいということでございましたが、新たに考え方がまとまったと伺っていますので、私がそれを読ませていただいて、そのとおりでいいかどうかについて厚生労働副大臣に伺います。

 四ページを御覧いただきたいと思います。このこども未来戦略方針の案の中に、上は、被用者が新たに百六万円の壁を超えても手取りの逆転を生じさせないための当面の対応を本年中に決定する。今までなかった本年中にということを明確にされたということと、下に行きます、被用者が新たに百六万円の壁を超えても手取り収入が逆転しないよう、労働時間の延長や賃上げに取り組む企業に対して、複数年、最大三年で計画的に取り組むケースを含め、必要な費用を補助するなど、支援強化パッケージを本年中に決定ということで、年限を決めてもらった。これは評価をしたいと思います。

 その上で、これをやることによって壁はなくなるんですか。その点をお答えください。

羽生田副大臣 御指摘のように、いわゆる百六万円、百三十万円の壁というものがございますけれども、これによって就業調整が行われているということも言われておりますけれども、希望どおり働くことが阻害されているという指摘もございますので、その壁を意識せずに働くということが可能になるように、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、あるいは最低賃金の引上げ等に今取り組んでいるところでございます。

 また、人手不足ということも非常に大変な問題でございますけれども、この足下での対応も重要でありまして、被用者が新たに百六万円の壁を超えても手取り収入が減少しないように、労働時間延長や賃上げに取り組む企業に対して必要な費用を補助するなどの支援強化パッケージを本年度中にまとめるということで現在検討しているところでございますけれども、制度の見直しについては十分な検討をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

前原委員 これで終わりますけれども、今副大臣がおっしゃったように人手不足が深刻な中で、労働時間調整をしなければいけないということは日本にとっても損失でございますので、しっかりとした中身、壁がなくなる仕組みというものをつくっていただき、本年中に示していただき、またそれを前提に議論をさせていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 先週の委員会質疑に続いて、葉たばこ農家とインボイスの問題についてまず質問します。

 葉たばこ農家に控除の経過措置があるという説明もなく、二〇二三年から消費税分を引いた取引額にするといった間違った情報が伝わって、農家には大きな混乱を招いています。大臣からは、先週、遺憾の表明もありました。

 JTは、インボイス制度の経過措置が終われば、農家に支払う代金のうち、消費税分の一〇%を支払わないことになってまいります。

 そこで質問します。

 財務省の資料によれば、二〇二二年にJTが葉たばこ農家から買い取った葉たばこの生産額は百七十三億円となっています。そのうち、免税業者からの買取りは幾らぐらいで、支払う消費税額は幾らになると見ていますか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 JTに確認をいたしましたところ、昨年産の買入れにおきましては、全ての葉たばこ耕作者に一律に消費税を支払っているということでございます。

 このため、葉たばこ農家が課税なのか免税なのかという別を把握する必要がなく、実際にもその点は把握をしていないということでございまして、お尋ねのございました金額については、実額で把握をしていないだけでなく、例えば免税事業者の比率を掛けるといったような推計を行うことも困難であるということでございます。御理解を賜ればと存じます。

田村(貴)委員 分からないということなんですけれども、免税農家が二割として、そこに一〇%掛かるとすると、最大でも消費税額は十七億円程度になると見込まれます。JTの昨年の決算を見てみますと、売上げは何と二兆六千五百七十八億円、営業収益は六千五百三十六億円、共に過去最高です。

 一方、葉たばこ農家の消費税相当分は最大でも十七億円程度だろうと思います。JTがこの負担を農家に押しつけるのであれば、これは私は下請いじめだと思いますよ。公正取引委員会が調査に入っている独占禁止法違反ではありませんか。

 大臣にお伺いします。

 JTの筆頭株主である財務大臣、こういう状況を放置されるんでしょうか。

鈴木国務大臣 独禁法のお話がございましたが、一般論といたしまして、取引上優越した地位にある事業者と免税事業者との間で負担の在り方を決めていただく際には、取引価格の再交渉が形式的なものにすぎず、仕入れ側の都合のみで著しく低い価格を設定し、免税事業者が負担していた消費税額も支払えないような価格を設定した場合には、優越的な地位の濫用として独占禁止法上問題になるもの、そのように承知をいたしております。

 先生御指摘の、経過措置終了後の消費税相当額をJTと農家側のどちらがどれだけ負担するかについては、JTと農家側の当事者間で協議し、決定すべきこととなりますが、この協議に当たっては、先ほど申し上げた独占禁止法上の問題を生じないよう、双方が納得することが重要であると考えます。

 JTにおいては、こうした考え方に基づいて、引き続き、農家側から寄せられる意見に留意しつつ、よく相談しながら対応をしていくものと承知はしておりますが、財務省としても、その状況、そのような対応になっているのか、しっかりと注視してまいりたいと思います。

田村(貴)委員 この問題は解決していない、決まっていないんですよね。

 葉たばこの売買というのは、ほかの農産物と決定的に違います。それは、たばこ事業法でJTに全量買取りを義務づけていること。だから、農家はJTに売るしかありません。しかも、葉たばこ審議会で買入れ価格が決定しているために、取引価格の交渉の余地もありません。

 売り先が選べない、価格に希望が通らない、だから消費税の対策のしようがないわけであります。農家に一〇%のしかかってくれば、葉たばこ農家は離農、廃業に直面するのではありませんか。

 これは一体誰が負担するのか、ちゃんと決めなければいけないんじゃありませんか。金融庁、財務省、いかがですか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 葉たばこの審議会についても言及がございましたけれども、審議会のメンバーを見ますと、十一名のうち五名がたばこの耕作組合の代表者ということでございまして、価格の決定プロセスの中には、葉たばこ農家の意見も反映されるような仕組みというのは取られているところでございます。

 その上で、大臣からも答弁がございましたように、実際の買取り価格を幾らにするのかというところは、JTとたばこ農家、たばこの耕作組合との間でしっかりと話合いをしてもらった上で、免税のたばこ農家であっても、仕入れに係る消費税負担のところ、これがきちんと賄えるような価格になるように、言い換えますれば、JTが優越的な地位を濫用するというようなことがないように、私ども財務省としても、監督官庁としてしっかりと見てまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 財務大臣がJTの最大株主で、そしてJTが財務省の監督下にあるからそういったことができるかも分からない。だけれども、こうした問題は世の中にいっぱいあるわけですよ、何度もこの委員会で取り上げてきましたけれども。

 仕入れ税額控除ができないから、免税業者への取引価格で操作されていきます。課税業者が支払うとなれば、その分が増税となっていく。この先、先行きが見えない免税業者が今この瞬間にも悩んでいる。ここに対する解決策が示されていない。JTと葉たばこ農家だってまだ話合いだと言っている。こうした問題があるんですよ。インボイスはやはり中止すべきだと思います。

 次の質問に入ります。

 今、国税庁から、消費税のインボイス制度について、税制改正により、負担軽減措置が設けられましたと題する通知が事業者に送られています。配付資料を御覧ください。これが送付されている資料です。

 もう一つ封筒の中に入っているんです。これはお配りしていませんけれども、私が今手に持っています。消費税インボイス制度に関する改正について、押さえていただきたい四つのポイント、このリーフレットが多くの事業者に送られています。

 お伺いします。発送の対象は誰なのか、対象となる事業者の数、発送にかかる費用について説明してください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のインボイス制度の周知リーフレットにつきましては、本年四月以降、既にインボイス発行事業者として登録済みの事業者や免税事業者も含めまして幅広い事業者に対し、個人については、事業所得や不動産所得等について所得税の申告を行ったことがあるなど、インボイス制度に関係する可能性がある方、法人につきましては、公共法人等及び休業中の法人を除く全法人を対象として送付をしてございます。

 これらの対象者には、ダイレクトメールを約四百三十六万件、e―Taxメッセージボックスに約八百五十万件を順次お送りしておりまして、合計で約千二百八十六万の方にお届けすることとしております。

 また、当該ダイレクトメールに係る発送等に要した費用の額につきましては、宛名の印刷費を含めた発送費用の予定調達金額として約二億六千七百万円、同封する税制改正リーフレットの作成費用として約四百二十六万円となってございます。

田村(貴)委員 大臣、実は私の自宅の元にもこれが送られてきました。大臣の元にも送られてきたでしょうか。

 それと、去年大臣にも尋ねたんですけれども、私たち国会議員だって、例えば講演料を受け取る、それから原稿料を受け取る機会があります。そのときに消費税というのは課税されていきます。給与所得者であっても副収入を得ている人、これから副収入を得る人、雑所得を得る人は同様ですよね。それだけインボイスというのは広範な国民、事業者に影響が出ているということなんですよね。

 その数は、今ありました千二百八十六万人。私はこの数字を聞いてびっくりしました。大臣、これは、やはりこれだけの方にインボイスに関わるということなんでしょうか。そういうふうに見ているんでしょうか。大臣の元には通知は来ましたか。

鈴木国務大臣 私の元には通知が来ているか、来ていないかについては、私は岩手に家があるわけですけれども、この間ずっと地元に帰れずにおりますので、もしかしたら岩手の自宅の方に届いているのではないか、そういうふうに思います。

 いずれ、多くの方々にインボイスの影響といいますか御不安があるということは、これは委員会の審議も通じて私どもの耳にも入っているところでありますが、業態によってその影響それから程度は様々であると思います。いずれ、政府としては、様々な経過措置あるいは財政的な支援等も通じまして、円滑な移行につながるように努力をしなければいけない、そのように思っております。

田村(貴)委員 大臣、国税庁が送っている郵送物なので、是非深めていただきたいと思います。この中に入っているやつを是非見ていただきたいと思います。これは、普通、申告納税者であっても、小売業者とか自営業でない方は分からないと思いますよ。

 昨日、私のところにも電話が来たんです。この書類では何のことか分からない。そもそもなぜ自分のところに送られてきたのか。そもそもインボイスとは、仕入れ税額控除とは何なのか、一番基本的なことが六ページもあるのにどこにも書かれていないんです。そして、課税業者の登録を前提として説明されている。

 三年の八割控除について、じゃ、免税事業者にとってはどうなるのか。取引先の課税業者が一方的に消費税分を差し引く価格を要求したら、独禁法違反になる。公正取引委員会が広報していることを先週も私は言いました。こうしたことについては何の説明もありません。自分の知りたいところはQRコードを読み取れ。読んでみました。いろいろなところが出てくるわけですよ。あちこちサイトを探さないと分からない。こんなことでインボイスの理解が深まるんですか。

 お伺いします。

 実施まで四か月を切っているわけです。そして、千二百八十六万の事業者に対して、国民に対して消費税インボイスの該当者となることが出てきたわけですよ。財務省、金融庁、インボイスは国民に知らされていないというのが現実ではありませんか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 インボイス制度につきましては、様々な形で周知、広報してございます。

 御指摘のこの四月以降にお送りしたリーフレットにつきましては、令和五年度税制改正で新たに設けられた負担軽減措置は、事業者の方々の登録の要否の検討や事務負担の軽減に直結するものでございますので、確実に周知を行うべく、幅広い事業者の方に対して御案内をお送りしているところでございまして、決してこのリーフレットだけで全て説明しているわけではございません。様々な形で周知、広報に努めているところでございますし、説明会等もやっているところでございます。

田村(貴)委員 これは六ページあるんですよ。二億六千万円かけたんでしょう。すごい国費ですよね。見た人が何のことやら分からない。なぜ自分のところに送ってきたのか。あなたはこういうことに該当するかもしれませんという説明がないわけなんですよ。これでいいんですか。私は国民の理解は得られないと思いますよ、こういうやり方をしていたら。とにかく目的が、課税登録をしてください、そこが目的になっているから問題なんですよ。

 インボイス登録をした事業者の数についてお伺いします。

 あわせて、インボイス登録をした人、課税業者、それから免税業者、併せてお答えいただきたいと思います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 インボイス発行事業者の登録につきましては、令和五年五月末現在で約三百十六万の事業者の方が登録しており、登録した事業者のうち、課税事業者は約二百五十万、免税事業者は約六十六万となってございます。

田村(貴)委員 免税事業者が進んでいないという指摘もあります。

 税務署に対する職員の増加が求められますけれども、昨日聞きました。税務署への職員増は四百二十名、間違いないですね。四百二十名なんです。四百二十名、今年度増員した。だけれども、全国の税務署の数というのは五百二十四か所あるんですよ。一税務署に一人の増員もない。これで一千二百八十六万事業者の相談や申告、そして膨大な帳票類の確認に対応できるんですか。対応できるわけないじゃないですか。その辺はどう見ているんですか。

鈴木国務大臣 税制を適正に執行する、これは、インボイス制度だけではなく、これを含めた税制の適正な執行でありますが、この税務執行体制の強化を図ることは、先生御指摘のように重要であると考えております。

 引き続き、業務の見直し、効率化等を最大限に進めますとともに、国税庁における必要な定員の確保に努めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 一税務署に一人の職員の増員もない、これだったら混乱するのは明らかですよ。もしかしたらこれはマイナンバー制度の二の舞になるんじゃないですか。インボイス制度はやはり中止すべきことを重ねて強調して、質問を終わります。

塚田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十一分散会


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