衆議院

メインへスキップ



第23号 令和5年6月21日(水曜日)

会議録本文へ
令和五年六月二十一日(水曜日)

    午前十時二十分開議

 出席委員

   委員長 塚田 一郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    石井  拓君

      石原 正敬君    小田原 潔君

      大塚  拓君    大野敬太郎君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      神田 潤一君    岸 信千世君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    津島  淳君

      中山 展宏君    葉梨 康弘君

      藤原  崇君    若林 健太君

      階   猛君    野田 佳彦君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    米山 隆一君

      藤巻 健太君    岬  麻紀君

      伊藤  渉君    山崎 正恭君

      前原 誠司君    田村 貴昭君

      吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     坂井  学君

  高村 正大君     山本ともひろ君

  道下 大樹君     金子 恵美君

  藤巻 健太君     岩谷 良平君

  前原 誠司君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     青山 周平君

  山本ともひろ君    高村 正大君

  金子 恵美君     道下 大樹君

  岩谷 良平君     藤巻 健太君

  浅野  哲君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

六月二十日

 日本銀行法の一部を改正する法律案(青柳仁士君外三名提出、衆法第一号)

 消費税の逆進性を緩和するための給付付き税額控除の導入等に関する法律案(階猛君外八名提出、衆法第二九号)

 公益法人等に対する寄附を促進するための税制上の措置等に関する法律案(住吉寛紀君外三名提出、衆法第三七号)

 財政法の一部を改正する法律案(階猛君外六名提出、衆法第三八号)

同月十二日

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一八八五号)

 適格請求書保存方式(インボイス制度)の導入を延期、中止することに関する請願(白石洋一君紹介)(第一九五一号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一九五二号)

 同(山岡達丸君紹介)(第一九五三号)

 同(米山隆一君紹介)(第一九五四号)

 消費税インボイス制度の実施中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九五五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九五六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九五七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九五八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九五九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一九六〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九六一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九六二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一九六三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一九六四号)

 消費税率を五%に引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九六五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九六六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九六七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九六八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九六九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一九七〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九七一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九七二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一九七三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一九七四号)

 消費税率五%への引下げに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九七五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九七六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九七七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九七八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九七九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一九八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九八一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九八二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一九八三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一九八四号)

同月十三日

 納税者の権利擁護を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第二〇八五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四三六号)

 消費税率五%への引下げに関する請願(本村伸子君紹介)(第二〇八六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二六五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四二三号)

 消費税率の引下げとインボイス制度導入中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇八七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇八八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇八九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇九〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇九一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二〇九二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇九三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二〇九四号)

 同(宮本徹君紹介)(第二〇九五号)

 同(本村伸子君紹介)(第二〇九六号)

 適格請求書保存方式(インボイス制度)の導入を延期、中止することに関する請願(荒井優君紹介)(第二〇九七号)

 同(石川香織君紹介)(第二〇九八号)

 同(おおつき紅葉君紹介)(第二〇九九号)

 同(大石あきこ君紹介)(第二一〇〇号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第二一〇一号)

 同(笠井亮君紹介)(第二一〇二号)

 同(金子恵美君紹介)(第二一〇三号)

 同(神谷裕君紹介)(第二一〇四号)

 同(佐藤公治君紹介)(第二一〇五号)

 同(櫻井周君紹介)(第二一〇六号)

 同(篠原豪君紹介)(第二一〇七号)

 同(末松義規君紹介)(第二一〇八号)

 同(寺田学君紹介)(第二一〇九号)

 同(中島克仁君紹介)(第二一一〇号)

 同(長友慎治君紹介)(第二一一一号)

 同(牧義夫君紹介)(第二一一二号)

 同(宮本徹君紹介)(第二一一三号)

 同(務台俊介君紹介)(第二一一四号)

 同(本村伸子君紹介)(第二一一五号)

 同(森田俊和君紹介)(第二一一六号)

 同(谷田川元君紹介)(第二一一七号)

 同(山岸一生君紹介)(第二一一八号)

 同(笠浩史君紹介)(第二一一九号)

 同(渡辺創君紹介)(第二一二〇号)

 同(泉田裕彦君紹介)(第二二六六号)

 同(西岡秀子君紹介)(第二二六七号)

 同(緑川貴士君紹介)(第二二六八号)

 同(山口晋君紹介)(第二二六九号)

 同(青山大人君紹介)(第二四二四号)

 同(新垣邦男君紹介)(第二四二五号)

 同(枝野幸男君紹介)(第二四二六号)

 同(小川淳也君紹介)(第二四二七号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第二四二八号)

 同(落合貴之君紹介)(第二四二九号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第二四三〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四三一号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第二四三二号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第二四三三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四三四号)

 同(山崎誠君紹介)(第二四三五号)

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(阿部知子君紹介)(第二二五九号)

 同(長友慎治君紹介)(第二二六〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第二二六一号)

 同(渡辺創君紹介)(第二二六二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二四〇一号)

 同(大石あきこ君紹介)(第二四〇二号)

 同(笠井亮君紹介)(第二四〇三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四〇四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四〇五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四〇六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二四〇七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四〇八号)

 同(中川正春君紹介)(第二四〇九号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第二四一〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四一一号)

 同(宮本徹君紹介)(第二四一二号)

 同(本村伸子君紹介)(第二四一三号)

 同(柚木道義君紹介)(第二四一四号)

 同(米山隆一君紹介)(第二四一五号)

 消費税インボイス制度の実施中止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二二六三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四一六号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第二四一七号)

 同(柚木道義君紹介)(第二四一八号)

 同(米山隆一君紹介)(第二四一九号)

 消費税率を五%に引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第二二六四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四二〇号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第二四二一号)

 同(米山隆一君紹介)(第二四二二号)

同月十四日

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五六五号)

 同(稲富修二君紹介)(第二五六六号)

 同(下条みつ君紹介)(第二五六七号)

 同(堤かなめ君紹介)(第二五六八号)

 同(野間健君紹介)(第二五六九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二五七〇号)

 同(湯原俊二君紹介)(第二五七一号)

 同(吉川元君紹介)(第二五七二号)

 同(小沢一郎君紹介)(第二七二一号)

 同(篠原孝君紹介)(第二七二二号)

 同(白石洋一君紹介)(第二七二三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二七二四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七二五号)

 同(寺田学君紹介)(第二七二六号)

 同(中川正春君紹介)(第二七二七号)

 消費税インボイス制度の実施中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五七三号)

 同(稲富修二君紹介)(第二五七四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五七五号)

 同(堤かなめ君紹介)(第二五七六号)

 消費税率を五%に引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五七七号)

 同(野間健君紹介)(第二五七八号)

 同(湯原俊二君紹介)(第二五七九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七二八号)

 消費税率五%への引下げに関する請願(田村貴昭君紹介)(第二五八〇号)

 適格請求書保存方式(インボイス制度)の導入を延期、中止することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五八一号)

 同(稲富修二君紹介)(第二五八二号)

 同(重徳和彦君紹介)(第二五八三号)

 同(下条みつ君紹介)(第二五八四号)

 同(田嶋要君紹介)(第二五八五号)

 同(堤かなめ君紹介)(第二五八六号)

 同(野間健君紹介)(第二五八七号)

 同(吉川元君紹介)(第二五八八号)

 同(岡本あき子君紹介)(第二七二九号)

 同(篠原孝君紹介)(第二七三〇号)

 同(田中健君紹介)(第二七三一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二七三二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七三三号)

 同(山本有二君紹介)(第二七三四号)

同月十五日

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(志位和夫君紹介)(第二八四〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八四一号)

 同(緑川貴士君紹介)(第二八四二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二九二八号)

 同(青山大人君紹介)(第三〇三〇号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第三〇三一号)

 同(神津たけし君紹介)(第三一〇六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三一〇七号)

 同(徳永久志君紹介)(第三一〇八号)

 同(中島克仁君紹介)(第三一〇九号)

 同(山田勝彦君紹介)(第三一一〇号)

 消費税インボイス制度の実施中止に関する請願(田村貴昭君紹介)(第二八四三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八四四号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第三一一一号)

 消費税率を五%に引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二八四五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二九二九号)

 同(青山大人君紹介)(第三〇三二号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第三〇三三号)

 同(志位和夫君紹介)(第三一一二号)

 同(山田勝彦君紹介)(第三一一三号)

 消費税率五%への引下げに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二八四六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二九三〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇三四号)

 適格請求書保存方式(インボイス制度)の導入を延期、中止することに関する請願(志位和夫君紹介)(第二八四七号)

 同(道下大樹君紹介)(第二八四八号)

 同(宮澤博行君紹介)(第二八四九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二九三一号)

 同(笠井亮君紹介)(第二九三二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二九三三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二九三四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二九三五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二九三六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二九三七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二九三八号)

 同(宮本徹君紹介)(第二九三九号)

 同(本村伸子君紹介)(第二九四〇号)

 同(吉田統彦君紹介)(第二九四一号)

 同(阿部知子君紹介)(第三〇三五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三〇三六号)

 同(神津たけし君紹介)(第三一一四号)

 同(山田勝彦君紹介)(第三一一五号)

 納税者の権利擁護を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第二八五〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三一一六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 閉会中審査に関する件

 財政及び金融に関する件

 派遣委員からの報告聴取


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

塚田委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、去る六月十四日、防衛力強化に係る財源確保について意見聴取のため、福島県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私からその概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、私、塚田一郎を団長として、理事越智隆雄君、中西健治君、井林辰憲君、宗清皇一君、末松義規君、櫻井周君、住吉寛紀君、稲津久君、委員前原誠司君、田村貴昭君の十一名であります。

 このほか、現地参加議員として、馬場雄基君、早坂敦君が出席されました。

 現地における会議は、福島市内において開催し、NPO法人BOND&JUSTICE代表理事大土雅宏君、福島大学名誉教授鈴木浩君及び南相馬市長門馬和夫君の三名から意見を聴取いたしました。

 まず、大土陳述人からは、復興特別所得税の見直しが復興の遅れにつながることへの懸念などについての意見が、

 次に、鈴木陳述人からは、復興特別所得税の見直しへの懸念、原発事故の収束に向けての課題などについての意見が、

 最後に、門馬陳述人からは、復興状況に応じた事業が必要な時期に実施されるための財源を確保する必要性

などについての意見が述べられました。

 次いで、各委員から意見陳述人に対し、復興への取組についての懸念を払拭するための方策、避難者のふるさとへの帰還についての考え、復興特別所得税の見直しに関する見解、復興に向けた政府に対する要望や留意事項、東日本大震災や原発災害の風化が進むことに対する危機感、現行の原子力政策に対する評価などについて質疑が行われました。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。

 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を始め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

 お諮りいたします。

 ただいま御報告いたしました現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕

     ――――◇―――――

塚田委員長 この際、御報告いたします。

 本会期中、当委員会に付託されました請願は十種三百三十四件であります。各請願の取扱いにつきましては、理事会におきまして慎重に検討いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、御了承願います。

 なお、お手元に配付いたしましたとおり、本会期中、当委員会に参考送付されました陳情書は、インボイス制度施行に関する、行政の連携不足の是正に関する陳情書外一件、また、地方自治法第九十九条の規定に基づく意見書は、インボイス制度導入の延期を求める意見書外八十六件であります。

     ――――◇―――――

塚田委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。

 第二百七回国会、足立康史君外二名提出、揮発油等の価格の高騰から国民生活及び国民経済を守るための東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律及び地方税法の一部を改正する等の法律案

 第二百七回国会、末松義規君外七名提出、現下の揮発油等の価格の高騰から国民生活及び国民経済を守るための揮発油税等に関する法律の臨時特例等に関する法律案

 第二百八回国会、末松義規君外九名提出、所得税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案

 第二百八回国会、足立康史君外二名提出、現下の物価の高騰による国民生活及び国民経済への悪影響を緩和するために講ずべき国民負担の軽減等に関する措置に関する法律案

 第二百八回国会、小川淳也君外七名提出、消費税の減税その他の税制の見直しに関する法律案

 青柳仁士君外三名提出、日本銀行法の一部を改正する法律案

 階猛君外八名提出、消費税の逆進性を緩和するための給付付き税額控除の導入等に関する法律案

 住吉寛紀君外三名提出、公益法人等に対する寄附を促進するための税制上の措置等に関する法律案

 階猛君外六名提出、財政法の一部を改正する法律案

並びに

 財政に関する件

 税制に関する件

 関税に関する件

 外国為替に関する件

 国有財産に関する件

 たばこ事業及び塩事業に関する件

 印刷事業に関する件

 造幣事業に関する件

 金融に関する件

 証券取引に関する件

以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。

 まず、閉会中審査のため、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査のため、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塚田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午前十時二十七分散会

     ――――◇―――――

  〔本号(その一)参照〕

   派遣委員の福島県における意見聴取に関する記録

一、期日

   令和五年六月十四日(水)

二、場所

   ウェディング エルティ

三、意見を聴取した問題

   防衛力強化に係る財源確保について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 塚田 一郎君

       井林 辰憲君   越智 隆雄君

       中西 健治君   宗清 皇一君

       櫻井  周君   末松 義規君

       住吉 寛紀君   稲津  久君

       前原 誠司君   田村 貴昭君

 (2) 現地参加議員

       馬場 雄基君   早坂  敦君

 (3) 意見陳述者

    NPO法人BOND&JUSTICE代表理事  大土 雅宏君

    福島大学名誉教授    鈴木  浩君

    南相馬市長       門馬 和夫君

 (4) その他の出席者

    財務金融委員会専門員  二階堂 豊君

    財務省主計局法規課長  渡邉 和紀君

     ――――◇―――――

    午後零時三十分開議

塚田座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院財務金融委員会派遣委員団団長の塚田一郎でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、防衛力強化に係る財源確保のための措置が復興事業の着実な実施に影響を与えることのないよう、被災地の皆様方から忌憚のない御意見を承るため、当福島市におきましてこのような会議を開催しているところでございます。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。どうか率直な御意見をお聞かせくださいますようお願いいたします。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員は、自由民主党・無所属の会の越智隆雄君、中西健治君、井林辰憲君、宗清皇一君、立憲民主党・無所属の末松義規君、櫻井周君、日本維新の会の住吉寛紀君、公明党の稲津久君、国民民主党・無所属クラブの前原誠司君、日本共産党の田村貴昭君、以上でございます。

 なお、現地参加議員といたしまして、立憲民主党・無所属の馬場雄基君、日本維新の会の早坂敦君が出席されております。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 NPO法人BOND&JUSTICE代表理事大土雅宏君、福島大学名誉教授鈴木浩君、南相馬市長門馬和夫君、以上三名の方々でございます。

 それでは、まず大土雅宏君に御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

大土雅宏君 こんにちは。

 自分は、一応、立場的にはNPO法人BOND&JUSTICEの理事長になりますが、福島県南相馬の原町区で、原発の三十キロ圏内の被災者でもありました。そこから、じゃ、自分たちが自分たちの地元にどう支援をできるかという動きを始めたのが、東日本大震災が始まりでした。

 なので、今回の防衛費ということで、一福島人として、というのは、正直、復興予算をなぜ防衛費に使うのかというところが一番悲しいニュースだなと思っております。なので、支援者側というよりは一福島人として、被災地の支援者として、被災地の被災者として、どうにかこの法案が通らなければいいなと思っております。

 なぜかというと、やはり被災者さんからしてみれば、自分たちの復興予算が、自分たちの町の復興が遅れるのじゃないのかという思いが一番不安な要素として、ましてや防衛費、これがまた、普通の、ほかの災害の予備予算としてという形だったら、福島の人たちの気持ちも、宮城だったり岩手だったりとかほかの被災地の人たちの気持ちも違うだろうなというのはあるんですけれども、防衛費ということで、ここからしか取る予算がなかったのかな、ここからしか予算繰りができなかったのかなというのが、正直、自分が感じたところの思いであります。

 なので、自分たちが福島人としてできることはちゃんと声を上げることと、災害時もそうなんですけれども、助けてほしいときは助けて、違うというときは違うという言葉をはっきり伝えないと皆さんには伝わらないのかなという思いで今日は参加させてもらいました。一市民として。

 なので、今日は、ほかの鈴木先生や門馬市長だったりとかとはちょっと違う視点なのかなと思いながら、正直に自分が思うこと、自分が被災地から伝える声が、また、日本の、賛成の方も反対の方も、その方々に伝わればいいなと思っております。なので、よろしくお願いします。

塚田座長 ありがとうございました。

 次に、鈴木浩君にお願いいたします。

鈴木浩君 御指名いただきました鈴木です。

 発言の機会をいただき、どうもありがとうございます。

 今日、皆さんのお手元には私の発言要旨を用意してありますので、基本的にはこれに基づいて御説明させていただきます。

 この法案について、今、参議院で緊迫した状況が続いていて、そういう中で、私はあえて、やはりこの法案について粛々と反対の意見を述べさせていただきます。

 何点かあります。

 まず一点ですが、皆さんも御承知のとおり、東日本大震災によって復興庁が創設されました。当初、二〇二一年度までの設置期間でしたが、復興課題の大きさやその長期性から、これが二〇三一年まで延長されました。二〇三一年で終息するとは思えませんが、取りあえず、そこまで延長されています。

 また、帰還困難区域の今後の除染や中間貯蔵施設の管理運営を担う環境省は、幾多の困難が予想される中で、最終処分場の県外移転を二〇四五年には終了させなければなりません。

 これらの復興庁や環境省の今後の困難な課題に取り組む重要な時期に、二〇二四年から財源を他に流用することは、復興推進に対する大きな阻害要因になります。もちろん、被災市町村の復興への道のりは険しいのです。

 第二に、福島における被災者の実情の一端を、避難者数を通して説明いたします。

 避難者数は、今年の三月現在、公式発表では二万七千三百九十九人とされていますが、これは外形的に避難者の数を低く抑えてきた結果であることを御理解いただきたいのです。つまり、当初から、避難指示区域以外からの避難者は、自主避難者として、避難者扱いになっておりません。

 しかし、避難指示区域に設定されていなかった区域でも、年間一ミリシーベルト以上の場合には汚染状況重点調査区域として指定され、市町村による除染に取り組んだのです。岩手県から千葉県まで九十三の自治体が、二〇一八年の三月までに除染を実施しています。この地域から多くの住民が避難しましたが、子供を抱えている若い世帯など、不安を抱えて避難したことは容易に想像できます。

 二〇一二年六月、議員立法で子ども・被災者支援法が成立しました。これも実は、避難指示がされていない地域の被災者の支援を中心にしたものでした。彼らをなぜ自主避難者として区別し、復興の外形的なスピード感を示すようなことをするのか、私にはちょっと理解ができません。

 さらに、避難指示区域からの避難者も、避難指示が解除されて一定期間過ぎると、帰還せず避難し続ける場合は自主避難者です。また、地元自治体から離れた復興住宅に入居すると、この方々も自主避難者。さらに、地元自治体外に住宅を確保した被災者も自主避難者です。多くの方々は、住民票をそのままにして、実は、自分たちの自治体以外のところで生活を実現しているのです、確保しているのです。つまり、現在でも多くの被災者が、原発災害から逃れるために避難しています。

 三つ目に、原発事故の収束は見通しすら立っていません。

 第一原発一号機は、原子炉下部の基礎に当たるペデスタルがデブリによってコンクリートは溶け落ち、鉄筋がむき出しになっています。原子炉の設計技術者は、震度六強でも倒壊のおそれと警告を発しています。これは昨年の十一月九日、朝日新聞の福島県版に掲載されています。

 また、山中伸介原子力規制委員長は、今年の四月、東電と規制庁は世間の受け止め方を無視している、起こり得るリスクと対応策を考えておくべきであると指摘しています。

 さらに、原子炉格納容器の上蓋、シールドプラグには大量の放射性物質が堆積しております。再び三・一一程度の地震が発生すれば、当時の拡散量よりも多い放射性物質が飛散する可能性が大きいと言われています。

 四つ目に、今年五月、飯舘村長泥地区を最後に、県内六地区に指定された特定復興再生拠点の避難指示が解除されました。六月一日の県内のテレビ報道によると、この地域の中では、たくさんの住宅などの建物が、およそ三千戸、三千棟といいましょうか、除却されています。しかし、中には、山合いの地域社会のシンボル的な旅館の経営を続けてきた建物もあり、地域再生、ふるさと再生のために保存したいと悩み続けている被災者もいます。来年三月までに申し入れれば公費で解体できる、しかし修復したいという気持ちを持ち続けています。修復は自己負担だからです。地域社会を再生させたい、地元の自然、風景、伝統、文化、地域社会のきずなを取り戻したいという要望は強いのですが、そのような復興の道筋と支援の仕組みは示されていないのです。

 私はかねがね、原発災害は三つの課題を抱えていると考えてきました。一つは、原発事故の収束と廃炉。二つは、ふるさとの地域社会、地域経済の再生。三つは、被災者の生活、なりわいの再建です。この三番目の課題がずっと後送りにされています。岩手県や宮城県などの地震、津波被災地では既に災害ケースマネジメントが具体的な展開を見せていますが、福島県では現在なおそのような動きは見えません。

 五つ目です。政府、東電は、処理水の海洋投棄の課題について地元との合意が前提と言ってきましたが、強行突破の勢いで今日を迎えています。過酷な原発災害を教訓にした、原発の廃炉に向けた真摯な取組どころか、GX脱炭素電源法案の制定も、被災地の住民の声を逆なでしています。原発災害被災地は、なお地場産業やなりわいなどの再生の見通しがついているとは言えない状況です。復興へのシナリオ、手がかりを被災者とともに築き上げていこうというときに、復興予算を取り崩し、防衛力増強に転用することは、決して許されることではありません。

 六番目です。今年の憲法記念日に、憲法学者、樋口陽一氏の「いま日本の立憲主義は」と題するインタビュー記事が新聞に掲載されていました。近代立憲主義は、一人一人の個人が自分らしく生きていくために、他者とともによりよい社会、公共社会をつくっていこうとするプロジェクトです、公の私化、私の公化が進み、みんなの領分であるはずの公共社会が私によって侵食されているのですと指摘されています。

 現在の政策決定過程は、国民の声を広く聞き、国会の十分な議論の下に行われているとは言い難い状況が続き、原発被災地だけでなく、防衛力増強の最前線に立っている沖縄などでも大きな不安、不信が広がっていると言えるでしょう。政治の混乱、衰退は国民の不安や不信を招くことになります。

 最後に、お願いです。

 国会事故調が、二〇一二年の七月、報告書を発行いたしました。これは被災地にとっても大きな役割を果たしてきました。国会で是非、第二次国会事故調を設置していただき、十五年後、二十年後の原発事故とその後の復興の実情と課題を改めて提起されることを強く希望します。国会が良識の府として、正義感と倫理観に裏打ちされた公共社会の構築に向けてその役割を果たしていくことを、切に期待しております。

 以上です。ありがとうございました。

塚田座長 ありがとうございました。

 次に、門馬和夫君にお願いいたします。

門馬和夫君 南相馬市長の門馬和夫であります。

 私は震災当時、市の職員で、経済部長でありました。あの大震災のとき現場で復旧作業に当たってきたわけでありますが、その後、市会議員になりまして、平成三十年から、復興に寄与したい、百年のまちづくりを実現したいという思いで市長に挑戦させていただいて、今、市長二期目、五年となっております。

 今回の意見聴取の主目的と理解しておりますが、防衛力強化に係る財源確保の措置が復興事業に影響を与えるかどうかという点について、被災地の自治体として意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、結論を申し上げさせていただきます。

 被災地として大切なことは、必要な復興事業が必要な時期に着実に実施できることです。また、そのために必要な裏づけがなされていることも重要です。

 これまで、東日本大震災の地震、津波被害、さらには原子力災害からの復興事業については、復興財源の総額が確保され、必要な事業が、一歩ずつではありますが、着実にできてきているものと認識しております。

 今後の原子力災害からの復興についても、予算確保も含めて国が前面に立ち、責任を持って事業を行うと政府が発言されており、このように進むものと期待しております。

 復興財源の確保についても、引き続き国の責任において確実に確保することをお願いするところでありますが、今回の所得税の措置においても、復興財源の総額を確実に確保する、さらには、加えて、税制改正大綱には、住民の帰還、居住、あるいはF―REIなど息の長い取組をしっかりと支援できるよう、東日本大震災からの復旧復興に要する財源については引き続き責任を持って確実に確保するとの旨が盛り込まれており、いわゆる復興財源は国で責任を持って確保するものと承知しておるところであります。

 次に、こうした発言に至る背景や被災地の現状について、若干御説明させていただきたいと思います。

 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から十二年が経過する中、改めて、関係機関の皆様には、これまで様々な形で南相馬市始め被災地の復興に御尽力いただいていることを、改めて御礼申し上げます。

 一方で、復興は進んでいるものの、まだまだ途上のところもたくさんあり、かつ、一歩、一つ改善すると、また新たな別の課題も発生するというのが現状でもあります。

 若干具体的に申し上げます。まず、復興が進んだ点、分野ということで申し上げさせていただきます。

 大前提といたしまして、今回の大震災は、地震、津波、原発被害、こうした大きく三つの分野があります。その上で、比較的進んだ分野としては、地震、津波被害からの復興だと捉えております。

 今日、お手元に、「南相馬市の現況と発展に向けた取組」という、このような資料をお持ちいたしました。この七ページに記載されておりますが、南相馬市では、市の面積の一〇%が津波で冠水しました。また、地震、津波で、住家の全壊が千二百七十七世帯、全体の五・三%が全壊いたしました。また、被害世帯は五千三百世帯を超えておりまして、二二%が地震、津波で被害を受けたという状況です。

 こうした地震、津波被災地域については、東日本大震災復興交付金等を活用させていただき、防災集団移転促進事業あるいは災害公営住宅整備事業などが完了し、公共インフラの復旧や住まいの再建など、一定のめどがついた状態と理解しております。

 一部、こうした地震、津波で残っている点は、農業再開に関する点などとなっております。

 一方で、もう一つの、原子力発電所の事故に係る復興については、全体としてようやく緒についた状況で、また一方で次々と新しい課題も出ている、こんな状況でおります。

 原子力事故の状況については、市全体で申しますと、事故後、農地や居住地域の除染やインフラの復旧などが行われ、徐々に住民帰還が進んでおります。

 同じく九ページから十ページに人口の推移を記載しておりますので、御覧いただきたいと思います。震災前七万一千に対して、現在の居住者は約五万七千人となっております。

 復興が進捗している、人口が回復しているとも思われますが、実は、構造的に大きな問題が起きております。少子高齢化が一気に進んだ点です。十ページとかを御覧いただければと思います。全体的に、この十年間で、国全体から見ると三十年ぐらい少子高齢化が進んだのではないのかなというふうに捉えているところです。

 高齢者は帰還が進んで、実は、高齢者の人口は震災前より増えております。そうした一方、若い人が戻らないため、生産年齢人口が急激に、大幅に減少し、例えば介護や福祉など労働条件が悪い分野で深刻な人手不足が生じるなど、地域経済や生活関連サービスに支障を来している状況でございます。

 また、十六ページにありますが、子供たちや出生数は震災前の半分です。このため、市では現在、子育て世代が暮らしやすいまちづくりや、雇用の創出や、移住者増などにより、生産年齢人口回復に努めているところであります。

 そして、復興途上、あるいはまだまだこれからだというのが、旧避難指示区域であった小高区等です。

 震災前、一万二千八百人おりましたが、現在、新規居住者を含めても三千八百人です。高齢化率は五割に達するなど、原発立地地域である双葉郡と同様です。あるいは、比較的解除が早い分、二十八年七月に解除しましたが、帰還が早い分、その後新しい課題も次々発生している状況であり、双葉郡のこれからの復興、あるいは、復興状況の先進的なといいますか、一つの指標にもなるのかなというふうに考えているところであります。

 いずれにしても、これから本格的な復興段階だと捉えております。また、市内には、市の面積の六%、二十四平方キロメートルの帰還困難区域も残っております。

 こうしたことから、市としては、これからも、例えば環境放射線の測定やモニタリング、これはまだまだ継続が必要です。あるいは、帰還はしたんだけれども孤立しがちな高齢者の見守りや生活支援事業、これも必要です。また、農業の復興。農地、圃場の復旧に加えて、野菜や花卉などの園芸作物の振興とか、あるいは農業の担い手育成を行いたいと思っております。

 二次産業、三次産業の雇用の場の確保も急務です。小高区に産業用地がありませんので、整備が必要だと思っております。あるいは、自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金あるいは実用化開発等促進事業補助金等による企業の誘致や新規創業者の支援に努めてまいりたいと考えているところであります。

 改めて申し上げますが、市民がこの地で生活するためには、まだまだ、様々な復興事業が必要です。被災地としては、復興状況に応じた各種事業を着実に実施すること、必要な時期に必要な財源手当てをしていただくことが大変重要であります。加えて、これから中長期にわたる対応も必要であり、今後、復興のステージが進むにつれて新たな課題も出てくることが想定されることから、被災地の復興が停滞することのないように、息の長い取組についても、引き続き国で責任を持って財源を確保し、しっかりと支援していただきますことをお願い申し上げまして、意見を終了いたします。

 以上です。

塚田座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

塚田座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井林辰憲君。

井林委員 自民党の井林でございます。

 今日は、三人の意見陳述者の方々に、こうして貴重な機会をいただいたことを心から御礼を申し上げたいというふうに思っておりますし、また、三人の意見陳述人の皆様それぞれ、実体験に基づいた、また日頃からのライフワークを通じた御意見をいただいたことを心から御礼を申し上げたいというふうに思っております。

 復興財源の一部を、税率を引き下げて、そして防衛財源に充てさせていただくという措置でございますが、私も、二〇一六年になりますが、環境省の政務官として、この地域の除染に当たらせていただきました。当時は、特定復興再生拠点区域に初めて除染をしたり、あと中間貯蔵の建設を始めさせていただいた時期でございまして、地域の皆様方には大変大きな御理解と、そして関係行政機関の皆様方には大きな御支援、そして復興にかける強い思いをお伺いしたところでございます。

 今回の復興特別所得税の税率の引下げと復興財源の確保についてでございますが、昨年十二月に決定をいたしました与党税制大綱においては、所得税の措置に当たっては、復興財源の総額を確実に確保して、東日本大震災からの復興復旧に要する財源については、引き続き、責任を持って確実に確保することとしております。また、当時、私、政務官をやっていたときも、必要な分の予算については、復興特別所得税の税率から得られる税収以外にも、復興債を発行させていただいて、非常に大きな資金需要について柔軟に対応して、現場で私は取組をさせていただきましたけれども、そのときには、資金不足ということは余り感じずに事業を推進させていただいた記憶がございます。

 また、これからも、そうした復興事業の執行に必要な財源については、復興債の発行を通じて必要な資金調達を行うということ、これは与党としては一貫して変わらない方針でございます。

 ただ、被災地の皆様方からのお話をお伺いをすると、やはりその点について大変大きな不安やまた御懸念の声が聞かれるということでございますが、ここにつきまして、今私どもが申し上げた、今の復興事業スキームはしっかりやらせていただく、事業費についても責任を持って用意をさせていただくということを御説明させていただいているんですが、さらに、被災地の皆様方の懸念、これを払拭するためには、私たちはどのような努力を政治の場が被災地の皆様方にしていくべきかということを、三人の意見陳述人の皆様にお伺いをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

大土雅宏君 自分が一般市民として思うことは、お金だけの問題じゃないかなというところが一番、被災地に対する、予算がどうこうというのよりも、自分なんかはずっと被災者さんの横につきながら、寄り添いながら支援をずっと続けてきたので、何か、お金の支援というのよりも、もうちょっと話を聞くというか、そこのところが、行政の長の方たちとかは多分、予算だったりとか、その先を見据えたというところが必要かもしれないんですけれども、一般市民からすると、やはりちゃんと寄り添ってくれているのかというところが、一番大事な、自分も避難生活をずっとしていたので、その中でやはり中心にあるのは、どこに行っても福島人である、東北人であるということと、あとは、町がちゃんと支えてくれているのかというところの心のやり取りが必要だったりするのかなと思うので、そこが一番、福島の人たちが今気にしているところというのはそこがあるんじゃないのかなというのが、自分としてはその思いが強いです。

 以上です。

鈴木浩君 今御説明があったんですけれども、当初から私たちが問題意識を持ったのは、この防衛力増強に対して復興予算を流用するという側面が我々には説明されてきました。今の御説明のように、復興予算は確実に確保するということの意味が私たち福島県民には十分理解されていないと思います。

 それと同時に、私たちはやはり、門馬市長からもお話があったように、あるいは大土さんからもあったように、この十二年たって、特に、原発災害が収まったというふうに思っている人たちはほとんどいないんです。まして、私は先ほど三つの課題を申し上げました。原発事故の収束と廃炉、それから地域社会と地域経済の再生、それからなりわい、生活の再建。この最後の、避難先で生活している人たちの生活再建、なりわい再建はどのように進んでいるか、皆さんどのくらい御理解いただいているんでしょうか。ほとんど今お手上げ状態なんです。

 やはり、原発被災地、特に、避難指示を解除されたとしても、ふるさとに戻れない人たちがまだ大半なんですよね。戻るためには何をしたらいいのか。戻るためには大変な時間がかかるので、その間、避難先での生活維持、その上での食いぶちをどう確保するかというようなシナリオは描けていないんです。賠償金でいいじゃないかという話がいじめのように聞かれることがあるんですけれども、なかなかそれだけでは生活再建ができないということなんですね。

 私は、あの原発災害当初から、一つのアイデアなんですけれども、ふるさと住宅というのを、被災地の避難指示解除された地域にふるさと住宅というのを百戸、二百戸造って、避難先から一週間、十日間、一か月滞在をして、ふるさとの状況あるいは自宅の状況を観察しながら、戻れるか戻れないか、あるいは一緒に避難した人たちと会えることができるかどうかということを徐々に徐々に確認し合いながら帰還をするという選択肢が実は有効になってくると思っています。

 その時間的なスケジュール感、プランニングがほとんどできていない。除染をする、避難指示解除、即帰還というのがこれまでの、単線型と我々は呼んでいるシナリオなんです。除染をしたから、すぐ帰れない、この帰れない間をどうするかという対策がほとんど練れていないということがあって、私が先ほど御説明いただいた復興予算、復興財源の確保ということと、この復興財源を流用するということが、一緒にはちょっと、なかなか理解できないというのが今の気持ちです。

門馬和夫君 今回の税制措置に絡む懸念、あるいはそれを払拭することということでの御質問と思いますので、その面で答えさせていただきます。

 基本的に、正しい情報を出し続けるといいますか、しっかりと説明してもらうことだと思います。

 一方で、特に、全体像が見えない段階では、様々な臆測も含めて、後になってみると正しくない報道とか意見等も出されます。

 是非、そうしたときに、一つ一つ丁寧に的確に対応することと、同じことをしっかりと、できるだけ多くの場面で申し上げていく。私ども、市町村で行政をやる際にもこのようなことがあります。大変難しい問題ですけれども、やはり基本は、一つのというか、正しいことをしっかりと丁寧に、何度も何度も機会を捉えて説明していくことに尽きるのかなと。王道はないと思っておりますが、そんなふうに思います。

井林委員 ありがとうございます。

 大変貴重な御意見、また被災地の皆様方のお気持ちというものをお伺いをさせていただきました。

 当然、今、鈴木意見陳述者がおっしゃったように、やはり被災地の方々にちゃんと御説明をしていくということは私は非常に重要なことだというふうに思っていますし、これは国会審議だけではなくて、政府の取組としてしっかりと説明をさせていただく。その中で、陳述人がおっしゃるように、行政機関だけではなくて、一人一人の住民の皆様に国が責任を持って説明をしていくということが重要ではないかなというふうに思いました。

 あともう一つ、復興特別所得税の税率の引下げで、やはり、復興そのものが停滞をする、若しくは遅れてしまうのではないかという被災地の皆様方の御懸念というものもあると思いますし、また、復興財源スキームをつくったときから、鈴木陳述人がおっしゃるように、時間もたっております。

 ただ、その中で、今日、南相馬市長さんがおいででございますので、南相馬の中では、やはり、原発に近接している区域もあれば、帰還困難区域やそれ以外の区域もあり、地域によって復興の進捗状況に非常に大きな、先ほどお話しいただきました、差もあると思います。

 南相馬市全体の復興の完遂に向けて、復興の現状とか、さらに、課題と思われているところ、そして、その中で、福島イノベーション・コースト構想ということでロボテストフィールドが開始をして三年たっておりまして、これは私は復興に向けた非常に大きな一歩だと思っておりますが、三年たった今だから見えてくる課題、また将来の方向性などについて、ちょっと時間の関係で申し訳ございません、門馬市長、御意見があれば、お願いをしたいと思います。

門馬和夫君 私ども今回、四月一日から、第三期総合計画ということで、八年間の計画をスタートさせました。この八年間で、あの原発からの復興が進んできたなというふうに思えるようなまちづくりをしたいと。ですから、あと数年間はかかるんだろうなと。こういう中で、一つの目安として、この八年間と思っております。

 それに当たって課題ですが、まさに地域によって、私どもは、二十キロ圏内もあれば三十キロ圏外もあります。さらには、若い移住者もいれば、戻ってきた高齢者もいます。様々、地域によって、あるいは年齢層によって考え方も違うというのが大きな課題であり、それぞれに応じた対応をしなきゃならないというのが一つです。

 それともう一つは、やはり人材ですね。一つを解決すると、新しい課題が出てきます。毎日が新しいことに直面しています。そこに臨機応変に対応するのはやはり、職員であり市民というか、人なんだと思うんです。ですから、ルールとかの理解よりも、変わった課題に的確に対応できる、それで私どもは、つなぐ、寄り添う、挑むというような、この挑む姿勢で臨みたいということを申し上げているんですが、そうした人材が、基本的に、大きな必要な点だと思っています。

 もう一つ、ロボットテストフィールドについてですが、おかげさまで、あそこに、一口で言うとチャレンジする人たちが多く来ています。ロボット、ドローンもそうですが、それをきっかけに新しいことに取り組む、拡大する、そういう人たちが来ていまして、それが一つのまた可能性だと思っています。

 南相馬で、あるいは被災地だからこそ課題があって、その課題に挑戦する。いろいろな課題がある。加えて、その課題解決のためのいろいろな開発とかに対して支援がある、あるいは理解がある。こういうところなんだというのを逆に持っていくことによって、挑戦する人たちがいっぱい来て、笑顔があふれるような、そんなところに持っていければなと思っているところであります。

井林委員 ありがとうございました。

 私も、被災地で政治家としても仕事をさせていただきましたし、当選前、私の仲人親も宮城県ですが住んでいまして、一週間泊まり込みでボランティアもさせていただきました。最後まで被災地の復興にしっかりと関与していく、そして完遂を見届ける、そのことを最後にお誓い申し上げまして、私からの質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

塚田座長 次に、末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 先ほどから本当に率直な御意見を賜り、本当にありがとうございました。また、それぞれの御専門の立場から、御専門の分野で、しっかり福島県を含めた被災地の立場を代表して意見陳述をされたということで、心から私は敬意を表させていただきます。

 私自身は、三・一一が起こったときに、実はその一週間後に、宮城県の緊急現地対策本部長として着任をしまして、当時、内閣府の副大臣をやっていましたけれども、そこで宮城県の県庁に陣取って、数か月間ずっと宮城県の復旧復興に携わっておりました。そこで様々な悲惨な状況とかお困りの皆様のお声をずっと聞いてきて、そして、その後実は、総理官邸の中で、野田内閣の中で総理補佐官として、三・一一担当ということでやらせていただきました。その後、その経験を生かして初代復興副大臣をさせていただき、そしてずっと復興に関わってきたわけですけれども、さらに、最後に、復興特別委員長という立場でそこに携わって、ずっと復興に携わってきた関係で、本当に、皆様のお苦しみ、よく理解をしていると自分では思っております。

 そこで、元々民主党時代に、大震災の復興のための復興税というのをつくって、そして、復興にできるだけ支障のないような財源措置をやってきたわけでございます。それが、今回の、与党の、今の四十三兆円の防衛費との関連で復興税が防衛費に流用されるということに対して、皆さん、それは理解できないというお話がございましたけれども、私ども立憲民主党の方も、全くそこは理解できない。なぜ復興の方にそれをリンクさせるのかということを思って、国会のことを言う時間は余りありませんけれども、少なくとも被災地の方々のお声を聞くべきではないかということで、地方公聴会をずっと主張してまいりました。

 残念ながら、それが実現できずに、与党の決めた中で、こういった委員派遣という立場。ですから、本当に、地方公聴会であれば、皆様、参考人というお立場なんですけれども、意見陳述者という形になっている。そこは私は残念でなりません。

 ただ、これについて、今は、被災地の皆様のお声を今日はお聞きするということでございましたので、そこは、国会での徹底抗戦という、この防衛財源確保法徹底抗戦という立場とともに、地方のまさしく被災地の皆様の御意見をお聞きしたいと思っております。

 まず、お三方それぞれの立場からおっしゃられましたけれども、大土さんにお聞きするんですけれども、大土さんがおっしゃったように、非常に悲しいニュースだと受け止めたということでございますけれども、大土さんの周りの方々も同じような御意見が支配的なのかどうか、そこについてお聞きをし、特に、大土さんの場合は、コミュニティー、本当に、一度非常に大震災で傷ついたお心を復活するための御活動をされていたということで、そこについて、心の復興というか、新たな復興のために、どういった問題で、それにはお金が要ると思うんですけれども、そういったことをどういうふうに考えておられるか、まずお聞きしたいと思います。

大土雅宏君 ありがとうございます。

 一番、震災から自分が感じているのは、十二年で被災地が年を取ったなと。自分も、災害支援を始めたときは三十歳だったんですね。今年で四十二、四十三歳になるというので、宮城の支援に入っていた島にこの間久しぶりに行って、コロナ明けで行ってきたんですけれども、宮城の塩竈の桂島という島で、約二百人くらいしかいない離島だったんですけれども、そこにコロナ明けで行ってみたら、半分に減っていました、人口が。二十代、三十代、四十代の方々がほぼ島外に出ていました。

 なので、これは多分、宮城だけじゃなく被災地全体にというので、もちろん、子供たちも生まれ、自分たちの被災地、災害を知らない子供たちも大分増えたとは思うんですけれども、自分たちもいつまでも若くないんだと。

 なので、あのとき頑張っていた四十代、五十代の方々も大分年を取っていたので、そんなので、被災地の復興、自分たちの場合だと、夏祭りとかも、若手がいないというのでサポートで入っていたんですけれども、その実行委員会で一番の若手の方で、この間、六十四歳でした。実行委員の長になっているのが七十六歳でした。

 そんなので、復興の予算も、そうやって、元気になる、お祭りだったりとか花火大会だったり、帰る理由だったりというところが、今回、今年から夏祭りの実行委員会が解散してしまうというふうな話だったので、外部で来年からは実行委員会として立ち上げて、そのじいちゃん、ばあちゃんたちのサポートをしつつ、若手の人たちが戻ってこられる環境をちょっとつくっていこうかなというので、その島では、そういう外部の、何というんですかね、てこ入れというか、気力づくりですかね、そんなのをやれればいいなと思っています。

 やはり、十二年という月日は、そこのところの、老いというところも大分、実際あるなというのもありますし、福島から避難していった人たちも、子供たちの成長があるので帰ってこれないという方たちもたくさんいるので、その月日の経過としてというのも、やはり復興支援の中に頭に入れておかないと取り残されてしまいがちだなというところは自分は感じているので、そんなことを外部で何か協力できることが、ちょっとずつみんなで協力してやれれば一番かなと思っております。

末松委員 ありがとうございます。

 本当に率直な御意見、率直な印象を語っていただいて、ありがとうございます。本当に、ちょっと気の遠くなるような、何か、いわゆる大きな諦めみたいなところもちょっと感じたところでございます。

 鈴木教授の方にもお聞きをさせていただきますけれども、先ほど、本当に厳しい御意見の中で、原発の処理といいますか、廃炉、これが全く見通しも立っていないというお話がございました。

 鈴木先生の中で、原発というのはどのくらいの費用をこれから重ねなきゃいけないのか含めて、正確でなくて結構なんですけれども、イメージとして。そういったことと、多分、復興税の収入が、二千億円強、どんどん減っていかされるという思い、印象で結構なので、そこはちょっと、更に御意見を賜れるところがあればお聞きしたい。

 あと、帰宅困難者。これは本当に、生活再建の方々との関係で、また、お手上げ状態だという率直なお話がございましたけれども、シナリオも描けていない中で、何かそういったところの現場を表すようなエピソードといいますか、そういったものがございましたら、おっしゃっていただければありがたいと思います。

鈴木浩君 御質問、どうもありがとうございます。

 難し過ぎてすぐには答えられませんが、ちょっとその前に、今お話では、宮城県の方に行っておられたと。

 私は、女川の復興事業の復興委員長をずっとやっておりました。それで、そのときに、復興財源がどう使われるかということでは、やはり物すごく矛盾を、疑問を抱えたことがあって、大規模な堤防を造ることが毎日のように進むんですね、特に宮城県では。そのとき女川では、防潮堤を造ること、被害に遭った市街地を二十メートルのかさ上げをするのが国交省の提案だったんですけれども、その両方とも我々はやめることにして、段階的なかさ上げをする、防潮堤はやめるということで、今日の女川の復興のシナリオが描けたのです。

 そういう中に、実は、復興予算が国交省の大規模なインフラ整備に使われることに途中で何度も疑問を感じたことがあったことを、宮城県におられたというので、女川にずっと関わっていましたので、そのことを今思い出しました。

 廃炉の問題は、先ほど門馬さんも言われましたけれども、廃炉にたどり着く前に、先ほども私言いましたけれども、第一原発の一号機のペデスタルが鉄筋むき出しになっている。六強の地震が来たらあの一号機は崩壊するかもしれないという、原発の設計者も警告をしている。じゃ、それを阻止するために何ができるのかということも、まだ手を打てていないんですね。それで私は、規制庁の、先ほどの委員長の発言も引用させていただきました。

 更に言うと、今、日本の法律の中では廃炉という概念が定義されていないのです。どうなることを廃炉というかというのが正確に規定されていないので、我々は廃炉というのはこういうものだなと勝手に思っていますけれども、厳密に考えると、廃炉をもうちょっと丁寧に、こういう状態になることを廃炉というということから議論を重ねていかないといけないということを私は今常々考えていて、その勉強を今し続けているところで、ちょっと、それ以上のことがなかなか言えない。

 あと、帰宅困難者の問題なんですけれども、私は今、埼玉県に避難している双葉町の避難者の会、それから福島県内の会津若松に避難している大熊町の方々、いろいろな方々、そういう比較的集団的に避難している人たちとは話をする機会があって、そういう人たちの気持ちをいろいろお聞きすることがあります。

 中には、この方は浪江町の方ですけれども、大玉村という福島のすぐ隣の村ですけれども、そこに、賠償金をもらって、ふるさとに住めないので自宅を建設をしたんです。それを仲間たちの話の中で聞いたんですけれども、建前をするときに、とにかくうれしいはずなのに涙が出てきたという話を、みんなとうなずきながらしておりました。要するに、住民票は移すわけにいかない、浪江に帰りたいんだ、でも家を確保しないといけないという方々があちこちにいることを今現在でもお聞きしているんです。

 それで、先ほど僕が紹介した帰還困難区域、特定再生拠点、その拠点の指示が終わったので戻ってもいいよといっても、なかなか戻れるわけではないけれども、来年の三月までに申請すると建物を国費で撤去できる。多くの人がそれをやっていますけれども、自分のふるさとの建物を、あの建物を残しておきたいとなると、これは自前なんですね。来年の三月までに撤去をすることについて申し出れば国費でやってくれるという物すごいアンバランスな状態になっていて、ふるさとのあの風景を残したいという気持ちの人たちがふるさとを離れ、時々ふるさとを訪れる。この風景を残したいということについての手段が何もないというのをあちこちでお聞きしています。そういうことが今避難している人たちの気持ちの中に大きく横たわっているということを私は感じています。

末松委員 どうもありがとうございました。

 質疑時間がほとんどなくなって恐縮なんですけれども、最後にちょっと一点だけ、門馬南相馬市長さんにもお聞きしたいのは、生産年齢人口を回復したい、少子高齢化が一挙に進んだ、これは本当にまた恐ろしい話だと思いますけれども、これは例えば、今、鈴木先生のお話にあったように、要するに、若い世代は、もう本当に、苦しい思い出、嫌な思い出のところから外に出ていきたいというような話もあると思うんですけれども、そういう場合に、またそれをふるさとに帰ってもらうようなことをしても、なかなか頭が痛くてできないのかなという思いがあるんですけれども。それにまた予算もかかりますし。ちょっと最後に、自治体として一番頭の痛いそういった問題について、一言コメントをいただけますでしょうか。

門馬和夫君 苦しいというお話もありましたけれども、基本的には、原発事故で、その当時の放射能不安もあります。あるいは、避難指示によって避難したその期間が長ければ長いほど、例えば、向こうでの生活も定着しますので、そこで生活するために仕事もしなきゃならない、小学校、中学校にも入るというようなことで、戻りたくても戻れない人が、あるいは戻れなくなった人がいっぱいいるんだと思っております。

 放射能そのものについては、しっかりと今測って、その都度モニタリングをしてあれしておりますので、それは不安な人もいますよ、でも、例えば、ほとんどの方については、理解いただける面は多いんだと思っています。それも戻れない理由の、ゼロではないです。でも、もっとあれなのは、生活をしなければならない、あるいは子供の教育等々のときに、移転するだけのメリットというか、あるいは、向こうで定着してしまったために戻れないんだろうなと。ある意味、やむを得ない方もいっぱいいるなと思っています。

 そういう意味では、帰還ばかりでなくて、一方では、私どもは今、そういうわけで、移住というか、新しい人にこの地の魅力とか状況をしっかり知ってもらった上で、この地をチャレンジの場として、あるいは自分の能力を生かせる場として来ていただく、こんなことに取り組みたいなと思っている、こんな状況です。

末松委員 ありがとうございました。終わります。

塚田座長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 本日は、本当にお忙しい中、大土様、鈴木様、また門馬様、お越しいただきまして、ありがとうございます。また、先ほどからるるある御意見、また、これまで復興に御尽力されてきたことに対して心より敬意を表したいと思います。

 また、私も、阪神大震災を神戸で経験したこともあり、このように、皆様、多くの方が携わって、こうやって復興が成し遂げられている。まだまだ神戸も、もちろん東北もまだまだ道半ばなところはありますが、こういった多くの方が携わっていることに改めて気づきましたし、このように場をいただけたことに感謝したいと思います。

 今回、防衛費の増額の財源確保法に関する、地方公聴会に準ずる委員派遣ということでございます。

 我々日本維新の会は、今日本を取り巻く環境、これを鑑みて、防衛費の増額自体には賛同しております。しかし、やはり、安易に国民に負担を求める、こういうやり方には異を唱えているところでございます。

 防衛費増額の四兆円分のうちの四分の三は何とかして、そして残りの四分の一の一兆円分、これはたばこ税、法人税、そして復興特別所得税から賄う方針になっております。

 大土様も先ほど、復興特別所得税が防衛費になる、なぜ復興特別所得税なのか、これが選ばれてしまったのか、福島人として、被災者、また支援者の立場から非常に悲しいというお言葉がございました。まさにそうだと思います。我々も、なぜ例えばたばこ税なのか、なぜ法人税なのか、そして、なぜ復興特別所得税なのか、全く同じ気持ちでございます。

 少しその観点から鈴木様と門馬様にお聞きしたいのですが、復興特別所得税、ここから防衛費の財源に捻出される、これを聞いて率直な感想をお聞かせ願いたいと思います。特に門馬市長は、市議会の反応であったり、また近隣の自治体の首長さんとか、そういったところもどういう感想を持っているのか、お聞かせいただければと思います。

鈴木浩君 御質問ありがとうございます。

 まず、私自身の意見を述べる前に、地元のマスメディアが、実は昨年の十二月にアンケート調査を行っています。福島民報社と福島テレビが共同で行ったものですけれども、要するに、特別所得税の徴収期限を延長して、その一部を防衛費増額に充てるという方針を示したけれども、これをどう受け止めるかというアンケートをやっているんです。そこでは、全く納得できないが三二・五%、余り納得できない二九・〇%、合計で六一・五%の方がそれは納得できないと言っています。納得できる、ある程度納得できるというのが合計で三四・九%です。

 いずれにしても、まだ法案の詳細が、詳細に説明されていない段階での県民の理解ですが、多くの人たちが、復興の途上にあるということの中で、そういう意識の中で、こういう財源を流用することについての不安が吐露されているものと私は考えています。

 そういう意味で、今回の防衛費の話は、今、防衛費がある程度増額することはやむを得ないという御発言だったんですけれども、私は、日本のこれまでの防衛に対する考え方、平和に対する考え方と今回の決定というのが大きく異なっているような感じがいたします。

 というのは、今の首相が、G7以降に動きが激しくなっているのが、NATOの世界規模化。NATOはヨーロッパ、アメリカの枠組みだったものを、日本でもそれを位置づけようとしているので、NATOの要するに戦略、いろいろな訓練に日本も何かで参加しておられます。

 というような格好で、私は、結局は、この緊張緩和のために抑止力を高めていくという方向にどんどん行かないといけない、それは天井はあるんだろうか、天井がない中で抑止力の競争をやって、そのことが国民の相対的窮乏化を僕は招くというふうに思っています。抑止力をどこまでやることで平和がどうやって実現できるのか、その道筋を国は示すべきだ、こんなふうに思っています。

門馬和夫君 私ども、市議会も含めてですが、私も先ほど申し上げましたが、一番の大切なことは、必要なときに必要な事業ができることです。そのための財源が確保されていることということで、皆も一緒だと思います、要望とか一緒にするときもありますけれども。

 その上で、この財源でとかという議論は実は余りいたしておりません。私どもにとって、それが今、復興特別税とか様々な剰余金とかで対応していただけるということで、国がしっかりと財源の総額を確保する、必要な事業をやる、そこが大切だと思っておりまして。ということで、さて、そのための財源が復興税だからどうかとかという議論は今はないと理解しております。

 ただ、一番最初の時点で、全く詳細が分からない時点で、復興税がなくなるみたいな話もマスコミ等であったように思います。あの時点は確かに不安も正直ありました。ですから、先ほど申し上げましたが、正しい情報をしっかりと続けて、繰り返し出していただきたいなというのはその辺であります。

 ということで、何をもってといいますか、転用というのとはちょっと違うと思いますので、そういう意味では、財源の問題よりは、必要な総額を確保される、必要なときに必要な事業ができる、そこに注力しているといいますか、大きな関心がある、こんな状況です。

住吉委員 ありがとうございます。

 世界平和については誰もが望んでいるところでございます。抑止力を高めて、そしてどうやって世界平和、最終目標といいますか、そこにしていくのか、これは確かに道筋をしっかりと示しながら進めていかなければならないと思っております。

 また、門馬市長からは、必要な復興事業が必要な時期に迅速にできることは、しっかりと我々も国会の方で訴えていきたいと考えております。

 続いて、大土さんの方に質問させていただきたいと思います。

 大土様は、いろいろ、悲しいということをおっしゃっておりましたが、しっかりと話を聞いてほしいということもおっしゃっておりました。

 私も、県会議員のときは、地方議員をしていたときは、現場主義で、いろいろなところに足を運んでいろいろな方の話を聞いていたんですが、コロナになって少しそういうところを忘れていた。こういった被災地の声を聞く機会だけではなくて、私自身もこういったところに自ら赴いていろいろな方のお話を聞かないとなと、ちょっと心に響いたところでもございます。

 さて、大土さん、いろいろパンフレットを見ていると、東北の震災以外にも、いろいろな、最近でいうと豪雨災害とかそういったところにも積極的に赴いて復興に携わっていると思いますが、簡単にで結構ですので、これまでのそういった大土様がやってこられた事業であったり内容、また、これからの被災地支援の課題、こういったことについてお知らせいただければと思います。

大土雅宏君 ありがとうございます。

 自分たちの場合だと、災害時の物資を集めると届けると炊き出しがメインになってというので、今回、水害が起きている感じなんですけれども、その際に関しては、今、避難所が、長期的な避難所が今のところ見当たらない形で、在宅避難の方たちが多いというので、自分たちの団体は今回動いていない形なんですよね。

 今現在動いているのは、日本財団の直轄の、つながりのあるところの泥出しだったりとか、解体するところだったりとか、修繕するまでの、途中までやるところの支援団体だったりとか、石巻のレスキュー、カーサポート、カーシェアサポートの方々が動いていたりとか、石川の方にピースボートだったりとかオープンジャパンだったりとかという、東北だったり、全国だったりとかというところの支援団体が、今、いろいろなところに、各地に行っているんですよね。その支援団体の、言えば集約した話のできる場を、できれば欲しいなと。

 実際のところ、自分たちの団体とかは、言えば仲間たちの募金で活動費は捻出している形なので、助成金とかをいただいたりとかという形ではないんですね。なぜかというと、ボランティアに来る仲間たちが無償で動いているのに自分たちは月給をもらってというところで、できない。やればいいんですよ、やればいいんですけれどもできないというところがあったので、なぜかというと、やはり、給料をもらいながら、自分が、自分も被災者というのが大きいと思います。だから、一緒に、共に同じ思いで支援をしたい。

 なので、お互いさまとおかげさまというので、たくさんの被災地に足を運ばせてもらっているのも、あのとき熊本の人たちに助けてもらった、あのとき新潟の人に助けてもらった。なので、阪神、神戸の人が、自分たちが支援に入っているところに来て、大土君、お兄ちゃん、大丈夫だ、俺らも前を向けたからといって背中をぽんぽんと押して被災地から帰っていってくれたというのがあるので。

 なので、今回、防衛費、被災地の復興予算のというので、自分たちがいろいろな被災地に足を運べるのは、あのとき助けていただいた皆さんの気持ちがあるので足を運べるというのが一番あるので、なので、今回のも、防衛費としてというところも、復興予算は、自分たちだけの復興予算じゃなくて、皆さんのお力をかりての復興予算だと思っているので、だからこそ、自分たちがつなげていくためには、やはりここのところでちゃんと自分たちの意思を表現するというのと。

 あと、自分たちが活動を続けるために必要なこととしては、こういう話合いの場に少しでも足を運ばせてもらうということが一番、今どうやって支援を続けているかということを聞かれることが一番多い質問なので。

 なので、そんなことを上に上げるというか、そういう会議ができれば一番いいかなというので、今までの経験を含めた上での物資の集め方だったりとか、炊き出しの仕方だったり、炊き出しのマッチングの仕方というので、災害時、一番大事なのが、情報と、鮮度のある、今その現場で必要とされているものというところのスピード感だったりすると思うので、そんなことを本だったりとか資料にまとめさせてもらっているので、後で、お時間のある方は目を通していただければなと思っております。

 なので、この支えてもらった御縁を自分はつなぐべきかなと思って、福島人が被災地に足を運ばせてもらっています。

住吉委員 ありがとうございます。

 私も支えてもらった立場ですので、支えてもらったからこそ御恩返しをしていくというような話、非常に心打たれました。

 実際、今回のスキーム自体が、国民に負担を強いる期間を延長させるというようなところになっております。そういった意味では、被災地の復興のための税収、税収といいますか、国民の負担がずっとまた継続してしまっているというところになります。

 そういう観点から、どのように福島人の支援者として、また被災者としてお考えになるのか、時間が来ましたので、最後、それだけお願いいたします。

大土雅宏君 被災者が支援者になるし、支援者が被災者になることがあると思うので、ここのところは本当にお互いさまかなというのが、なので、助け、助けられというところをつなぐことなのかな、それは予算にしても一緒なのかなと思っております。

 以上です。

塚田座長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 今日は、三人の意見陳述人の皆様には、大変お忙しい中、足を運んでいただきまして、また、冒頭の意見陳述含め、大変貴重な、大事な御意見を賜りましたこと、改めて心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。

 東日本大震災発災後間もなく、私も当時、衆議院議員なりたてでございまして、何か自分にできることはないだろうかという思いで駆けつけたんですけれども、一番最初に参りましたのが南相馬市でございました。あの状況を見たときに全く言葉にもなりませんでしたし、自分の非力さを痛切に感じておりました。

 後に政権交代になって、農林水産大臣政務官の任をいただいて、そのときにまた南相馬市にお邪魔をして、そして、被災された農地の復旧と併せて大区画化、これは将来に向けての労力のコストですとか、そういったものに対応するための新しい展開ということで、それをさせていただいたことを、つい昨日のように思い出しておりました。

 今日は、大変不思議な御縁で、その南相馬の門馬市長さんに陳述人としてお越しいただいているということも、何か一つの御縁を感じております。

 順次皆様に質問させていただきたいと思いますが、まず、もう既に各理事の皆さんからも基本的な質問は全部出ておりますので、少し直接的でないお話になるかもしれませんが、どうかお許しいただきたいと思います。

 門馬陳述人からは、先ほども説明が一部ございましたけれども、この復興特別所得税に関して、必要な復興の事業が着実にできること、それから必要な予算が確保されることが大事だということ、そのことをしっかり政府には期待をしたい、こういうお話がありました。大変大事な御指摘だと思っています。

 特に、復興に当たっては、やはり息の長い事業を進めていかなければならないがゆえに、しっかりとした予算を確保すべきだという御意見だと思っております。

 その上でお聞きしたいのは、政府に、何を更に求めていくべきか、あるいは留意してもらいたい点等について、お聞かせ願いたいと思います。

 私どもも、与党として、この法案については賛成をいたしました。議論の中で、特に我が党として強く政府に主張をし、質問を繰り返してきたのは、やはり国民の理解が伴わなければいけない。ですから、この法律が通って、そして施行される段階以降も含めて、政府には、これは我々も同じ責任がありますけれども、より丁寧な説明をこれからも続けていくべきだ、こういうふうに思っております。それも一つ政府に留意してもらいたい。これは私どもの意見ですけれども、そういうことがありました。

 門馬陳述人には、是非、改めて、政府に今回のこの法について求めていきたいことをお伺いできればと思います。

門馬和夫君 今までの話とはちょっと別に、一般的な話としては、例えば、今感じているのは、時間軸というんですかね。他地区との移動の際に高速道路とかJRを使うわけですけれども、この相馬、双葉町というのは、高速道路も一車線ですし、なかなか厳しいものがありますが、そうした高速道路の四車線とかあるいはJR常磐線の高速化とかで時間が短くなればいいなとか、あるいは、最終的にやはり、新しい課題に次々対応するものですから、人が大切ということで、人材をどうやって育成していく、確保していくかな、そんなのもあります。

 ちょっと漠然とした話で済みませんが、そういう意味では、もう一つ、全体的なあれとしては、例えば大区画の話とかもそうですが、この大震災以降の国の補助制度、今までの常識にとらわれない思い切ったことをやっていただいたと思っております。リース事業なんかも農機具のリース事業とか、あるいは、大区画の事業をしっかりと大きくやっていただいたというようなことです。

 是非、これからも、ステージごとに状況が変わりますし、各地区ごとに状況が違うんだと思うんです。一律のルールで何か決めるというのがどんどん難しくなってくる。ですので、その地域その地域、あるいはそのときに必要なものというのを柔軟に見ていただければ、応援していただければありがたいな、こんなふうに思います。漠然とした話で申し訳ないんですけれども。

稲津委員 どうもありがとうございました。

 後ほどまたお時間がありましたら、もう一つ、後でお聞かせ願いたいなと思います。

 続きまして、鈴木陳述人にお伺いをさせていただきます。

 今日は、この意見陳述内容も作っていただいたので、事前にも拝見させていただき、そして論点整理もしていただいたので、非常に分かりやすく拝見させていただきました。

 財源の確保とは少し違うかもしれませんけれども、とても大事なことだと思ったのが、この二ページ目、先ほどもるる御説明いただきましたが、やはり、復興の道筋と支援の仕組み、これをしっかり示さなければいけないということで、とりわけ、やはり、東日本大震災の中でも、原発災害について、特に重点的な三つの課題を述べておられます。

 特に、三番目の、被災者の生活、生業再建ということについて、ここが後送りされているという御指摘。それから、災害ケースマネジメントなどが、具体的な展開を見せている地域もあれば、福島のようになおそのような動きが見えない、こういう御指摘がありました。

 ここに括弧書きで、県を含んで自治体、社協、地域包括センターなど連携が必要だという御指摘がありまして、ここのところが私も非常に気になったところなんですけれども、少し具体的にそこをお聞かせいただければなと思いますので、よろしくお願いいたします。

鈴木浩君 先ほど御説明させていただきましたけれども、被災者の生活、なりわい再建という課題が今でも見通しがついているわけではないというお話を先ほどしました。それは、政府が、復興庁が考える復興のシナリオ、先ほども一言言いましたけれども、単線型シナリオと我々は呼んでおりますけれども、要するに、原発の被害を受けたところの除染をする、避難指示を解除する、帰還をする、できるだけ早く帰還をするというのが復興庁が進めてきたやり方なんですね。しかし、避難指示が解除されても、人々が戻ってこなかった状況は、先ほど皆さんが御説明したとおりであります。それは、戻ったところで、なりわいもできない、あるいは医療、福祉機関もない。様々な状況の中で、今でも二の足を踏んでいる方々が多いわけですね。

 そうすると、多くの方々の中には、もう彼らは避難先で生活再建ができているからいいではないかという人もいる。でも、その中を丁寧に聞くと、住民票はまだふるさとに持ち続けているという人も多いのです。ということは、ふるさとを離れた人たちの復興支援というのは何をすればいいかというのは、世帯や人ごとにそれぞれ異なるわけですね。それは、門馬さんが先ほど、企業の方々でも一緒だと思います。

 要するに、避難者の方々が今何を求めているのか、何が課題なのかということを、寄り添いながら支援のメニューを考えていく、これが災害ケースマネジメントです。

 それで、地震、津波地域で、岩手、宮城でさえこの災害ケースマネジメントがいよいよシステムに移行し始めているときに、福島は、全国に避難している人たちが多いせいもあるでしょうし、ばらばらに避難しているせいもあるんでしょうけれども、この災害ケースマネジメントをやはり十分にすることができないでいる。

 最近、福島県と被災自治体の中で、要するに、社協、社会福祉協議会が連携協定を結びました。それがこういう災害ケースマネジメントに一歩踏み出すことになるのかは、まだ私は全面的に承知しておりませんけれども、少なくともこういうこと、ソフトの仕掛けをつくっていくことに物すごい時間と手間暇とお金がかかるんだろうと思っているので、この点を僕は一番重視しながら、復興の大きな課題なんだということを言い続けたいと思います。

稲津委員 ありがとうございました。

 大土陳述人にお伺いをしたいと思います。

 冒頭の意見陳述の中で、いわゆる復興特別所得税をなぜ使うのか、一市民としては理解に苦しむというお話がありました。それで、同時に、予備予算から出されるのであればというようなお話を耳にしたような気がいたしているんですけれども、まずお聞きしたいのは、今回の防衛力の強化、これについての基本的なお考えと、それから、そもそも今回のこの法の中では、歳出改革、それから税外収入、しっかりこれを使う前提の上で、その上での復興特別所得税のお話が出てきております。したがいまして、この歳出改革、税外収入についてのお考えも併せてお聞きしたいと思います。

 それから、ちょっともう時間がありませんので、最後に、これまで大変な復旧復興支援、被災者支援を重ねてこられたことに心から敬意を表したいと思います。先ほどの御意見の中で、やはり被災地も十年たって、十年年いったという話があって、なるほどなと思っておりました。日本全体では、これから更に高齢化、人口減少が進んでいきます。一方では、様々な今後の発生が予想されるような大きな災害も刻々と近づいているような気がいたします。そういう中にあってのそうしたボランティア等の支援活動の今後の方向性について、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

大土雅宏君 ありがとうございます。

 復興予算の財源をというのが、多分ほかの話の財源が初めにあって、それでというふうな話のニュースより、何か防衛力強化というので、復興予算イコール、そこのところから流用してしまう、流出してしまうというような感じのニュースが、多分自分の聞いたのが、そっちの方が早かったような気がするんですね。ほかの予算案があって、その予算から防衛力強化しようというふうな話じゃなかったような気がしたので、そこがやはり、復興予算というのが過敏になってしまう、福島人としてというところが一番かなというのと。

 あと、実際のところ、個人的に、種子島の、馬毛島に基地を造っている感じなんでしたか、今。だったりとか、奄美大島に自衛隊の基地ができていたりとか、やはりそういうのを見ると、あ、刻一刻と迫っているのかなという感じもします。なぜかというと、やはりウクライナの、車を提供したりとか、はたから見たらどうなんだ、これは戦争に加担していないのかなというような、意識として。やはり、北朝鮮からミサイルが飛んできたりとか、東北地区はよくアラートが鳴るので、なので、それを聞いていると、日本も防衛力というところは理解はしたいと思います。理解はしようとしています。でも、やはり復興予算のという話が前提に出たので、どうしても何か、寂しいな、そこから取らないと駄目なのかなと思ったのが本音です。

 それと、自分たちが、今後、災害が起きてくるというので、東日本大震災から熊本地震までの支援の中、それ以降は毎年全国で二か所、三か所の災害が起きているんですね。そのたびに、七月、八月、九月、十月、十一月はほぼ福島にいなく、被災地に行って、そこのところで長期支援としてというので支援の形づくりをしているんですけれども、やはり被災地支援をしている人たちだから、NPOだったりとか、個人、団体だったりとかという人たちの横のつながりってすごい、今どこどこに入っているというのが、SNSだったりとかでよく見えてくるので。

 何かそういう、復興庁なのか、災害対策なのか、そういう方たちとこういうミーティングをする場ができれば、次の災害があったときに、ここの団体は炊き出しが得意よ、ここの団体は家屋再生が得意よというので。今、自分のところの団体で進めているのは、お坊さんの宗派と全国九か所で炊き出し講習会をしたりとかというところの取組もしていたりとか、JCの方々とそういう講演活動をしていたりとかしているので。

 なので、横のつながり、人のつながりというのが一番自分たちが大事にしてきたところなので、そこの強化をしていきたいなというところが、今後につなげる災害の備えとして、自分たちは自分たちのできる範囲内でやっていきたいと思っております。

稲津委員 どうもありがとうございました。

塚田座長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原誠司でございます。

 三名の意見陳述者の皆様方、今日は、御多用のところ、わざわざお越しをいただき、また、貴重なお話を賜っておりますことに心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 二〇一一年の三月十一日のときは、今でもはっきり覚えておりますけれども、私はそのとき役職を外れたばかりでございまして、三月の二十五、二十六に現地入りをし、宮城県でございましたけれども、仙台市、南三陸町、石巻市、そして女川町、女川町では東北電力女川原発に最も早く入った国会議員の一人でございまして、被災地を回り、被災者の御意見を伺い、また首長さんから御要望を承るということをさせていただきました。

 また、九月二日に野田内閣ができたときには政調会長に就任をさせていただいて、まだ吉田所長がおられましたけれども、福島第一原発に入らせていただき、様々な御意見を伺うと同時に、東京電力の実質国有化、私が政調会長のときにまとめさせていただき、また、このスキーム、今議論しているスキームは私の前任の玄葉光一郎政調会長がまとめられたものでありますが、私は、その後、追加の十九兆円の復興財源について、当時は参議院は我々少数でありましたので、自民党さん、公明党さんに御協力をいただいて、三党でまとめて復興予算を執行していったといったことでございまして、この問題については非常に思い入れを持って今までも取り組ませていただいたということを申し上げておきたいと思います。

 そして、加えて、財源確保法については、衆議院でもう議論が終わって、参議院でも終わりかけているじゃないか、何でこのタイミングで来るんだという思いがおありかもしれませんけれども、実は、二・一%から一・一%に下げるというものはこの法律とは関係ございません。所得税を新たに一%付加し、復興特別所得税の税率を一%下げるということは来年度以降の予算と税制改革になってくるわけでありますので、皆様方の御意見はその議論に有用であるということで、是非その点は御理解をいただいて、皆様方の御意見をしっかり我々も拝聴させていただいて、来年度以降の、いつになるか、これは政府・与党で決められることでありますけれども、予算審議、税制改革審議に生かしていきたいと考えております。

 大土陳述者、そして鈴木陳述者はこの法案の賛否については明らかにされましたけれども、門馬陳述者においては法案の賛否については明らかにされていなかったというふうに思います。まず、その点についてお伺いできればありがたいです。

門馬和夫君 先ほども申し上げました。私どもにとって大切なのは、事業が着実に実施できること、そして財源が確保されることです。

 その財源云々については、今のウクライナの問題もあったり、あるいはコロナの問題もあったり、様々あるんだろうと思います。そういう中で、こういう形に変わる、こういう形が提案されているということで、やむを得ないといいますか、これも一つの姿だと思っております。

前原委員 ありがとうございます。

 総額は確保されるといいましても、二・一%から一・一%に下げるわけですね。となると、今の計画期間というのは二〇一三年度から二〇三七年度というものが計画期間でありますが、それを更に延ばす、倍ほど延ばすということに恐らくなるんだというふうに思いますが、先ほどから皆様方の御意見を伺っていると、やはり福島の現状、被災地の現状というものは極めて深刻な状況にあるというふうに思っております。

 特に、人口減少、少子高齢化、そして、出ていかれた方が帰ってこられないということを考えると、私は、その総額が確保されることも大事かもしれないけれども、やはり今二・一%の財源というものがあって、今集中して四千四百二十億円ですか、四千四百二十億円の財源があった方が、半分程度になって、年度は長くなるけれども、倍近くなって、総額は確保されるけれども、今やはり四千四百二十億円というものが復興財源に入る方がより効果的な取組ができるんじゃないかと思いますが、それぞれの陳述者の方から御意見をいただければと思います。

大土雅宏君 先ほどからしゃべらせてもらって、一番、なぜ俺は復興予算をと言うのか、自分で言っているのかなと思ったのは、まだ復興途中だからですね。今何%復興しているかというのが、物質的な、仮設住宅がなくなったりとか道路ができたりとかというところでなく、それ以上に、まだ復興に向けて、福島から避難している人たちがまだ帰ってきていなかったりとか、そういう仲間たちがたくさん全国にいるので、なので、多分、その復興予算のというところが納得できないのかなというところが、自分のつっかえが、さっきしゃべっている途中に気づきました。

 以上です。

鈴木浩君 先ほど申し上げましたけれども、福島の原発災害の復興の課題は三つあると申し上げました。そのうちの特に避難者の生活、なりわい再建というのがいまだに見通しがついていないという課題がそのまま据え置かれているので、これを、もう一度ねじを巻き直して、どういうシナリオを用意していくべきか。

 その一例として、災害ケースマネジメントなんかをどういうふうに早急に軌道に乗せるかなんというような課題もありますけれども、福島の原発の避難者の人たちは全国ばらばらに避難しているので、ケースマネジメントといったってどうやるのかというところ、物すごい手間暇がかかる。その覚悟をしないといけないというところが、私は復興財源を確保しないといけないという思いの根幹にあります。

門馬和夫君 事東日本大震災については、このような形で国民の皆さんに負担をしていただいて事業が進んでいるということで、本当に感謝申し上げます。

 でも、一方で、私どもでさえ、いろいろな事業があります。国としても、例えば今回、子供、子育て関係ですか、あれも私は大事だと思います。ウクライナの国防費もそう思います。コロナ対策なんかもやっていただきました。

 そういう意味では、先ほど来と同じなんですけれども、事業をそれぞれどうするかという枠組みが一つあります。そこがまず優先。あと、財源については、それは、ほかがなければ、そこにいち早く確保してもらえれば、それは一つ、姿だと思いますが、現実的には様々な課題が、やるべきことがいっぱいあるわけで、そこは是非国の皆さんといいますか、国会とかの中で、事業費を確保するために、様々な課題がある中で、財源調整をどうするかというのは、ある程度、話合いの中で知恵を出される問題なのかなと思っております。

 たらればで、ここだけで、これだったらこれだけあればいいなというのはそのとおりですけれども、でも、そこだけ議論しても現実的にはほかに様々ありますのでどうかなといいますか、そこの論評は控えさせていただきたいと思います。

前原委員 それぞれのお立場からの御発言、ありがとうございました。

 私どもの意見を申し上げれば、復興は途上であり、そして、この程度の予算であれば歳出の見直しとか、我々は、様々な基金の運用益をアップするとか、いろいろな提案もさせていただいております。二千億円程度のものであれば、復興予算をわざわざ剥ぎ取って、そして防衛予算に流用するということは、これは、私は、あってはならないし、もっといい知恵を働かせるべきではなかったかということを、半分怒りを持って感ずるぐらいであります。

 その意味におきましては、この復興予算を半分程度もぎ取って、そして総額は確保すると言ったって、今すぐやらなきゃいけないことの予算が半分程度になって、そして、それがまだ先に延ばして、総額は確保されますよと言っても、どんどんどんどん高齢化が進み、少子化が進み、そして帰宅困難者というものが戻ってこない、そして地域が疲弊をする。待ったなしの状況において、今、財源があった方がいいのではないかということは、私の意見として申し上げておきたいというふうに思っております。

 まさに、半分予算を防衛予算に召し上げるということも含めて、私は、この十二年たって、東日本大震災、そして福島の原発事故の風化が進んでいるんじゃないかと思います。政府自らこの復興予算を半分程度防衛費に流用するということが、政府自らが風化をむしろ促進しているというか是認しているんじゃないかというふうに思いますけれども。

 こういった風化に対する危機感を私は持っているわけでありますが、それぞれの御意見を伺いたいのと同時に、では、今、国が風化させずに、皆様方がそれぞれのお立場で御活動されていて、今これが必要だ、何とかこれについてはもっと国が力を入れてもらいたいということがあれば、それぞれのお立場で御意見をいただければありがたいと思います。

大土雅宏君 東日本大震災から、自分のところの地区、福島の南相馬、相馬地区は、二〇一九年の台風十九号と二〇二一年、二〇二二年の六強の地震があるというので、災害に災害が重なってしまっているというところが、やはり、なかなか、復興に向けてというのが難しいところなのかなというのがあるので。そういうので、旅館業の方たちのなりわい補助金だったりの方々が修理の途中にまた修理が重なってしまってというので、今休業しているところが相馬の松川浦の旅館さんとかは多いので。なので、一個だけの被災、一個だけの災害だけを考えるのじゃなくて、全体、十二年という時間の流れを見てもらうのが一番いいのかなと思っております。

 以上です。

鈴木浩君 風化が進んでいるというのは、それを実感するとともに、私はもうちょっと突っ込んで見ると、地元では風化が対立を起こしているんです、地元の中で。

 例えば、先ほども門馬さんの方からもありましたけれども、もう戻ってこない人たちが多いので移住者対策もしないといけないという中で、原発を立地している二町、第二原発のある二町、そこいらで、現地で頑張っている若者たちや帰っている人たちの話を聞くと、それはそれは元気で頑張っておられるんですけれども、彼らの中からひょっと出てくる言葉が、もう戻ってこなくていいんじゃないかという声すら出てくるんです。その声は、避難している人たちにも耳に入るんですね。

 というようなことで、被災者の中にそういう分断が起きてしまうというのがあって、それを避けるためにはどうしたらいいかということが僕たちの今課題だと思っているんですね。

 そうすると、何が今重要かというと、長期に自分の自治体以外に避難している人たちであっても、ふるさとの復興の主役になれる場面をつくらないといけない。復興協議会なり復興まちづくり協議会なり、それを、集まれる人に集まってもらえばいいのではなくて、被災者の人たち、避難している人たちも、あなたたちも復興の主体なんだという場所づくりをすることが、今これからすぐに取り組むべき課題だと思っています。

門馬和夫君 風化というのもいろいろな側面といいますか、面があるんだと思うんです。様々な、全国的にも世界的にも、いろいろな事件が起きたり、ウクライナの問題も起きたり、あるいは自然災害も起きます。私どもの被災地の中でも、状況が刻々変わっています。それは、風化とは言わないんだと思うんですけれども、結果だけ見ると、最初の状況がなくなっている。忘れていると言うと変ですけれども、今、新しい課題に対応しているという状況があります。

 私どもとしては、今の状況をしっかりと発信しなければならないんだろうなと。国、県だけじゃなくて、自ら、今ここで困っている、こんなステージなんですというようなことをしっかりと伝えていくことが大事なんだろうと思っています。

 加えて、それ以外の方たちというか、国民の皆さんには、是非、いろいろな新しい問題はありますけれども、大きな災害だと思っておりますし、教訓になるものだと思っておりますので、忘れないでと言うと変ですけれども、いろいろなものをお気遣いといいますか、関心を持っていただければありがたいと思います。

 いずれにしても、私どもは、今の状況を自らも発信しながら進めていくこと、それが結果として風化を防ぐというんですか、そういうことかなとは思っております。とても難しい問題だとは思います。

前原委員 ありがとうございました。

 終わらせていただきます。

塚田座長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 三人の意見陳述者の方、今日はありがとうございます。

 復興予算を防衛費に使うことについてお伺いします。

 門馬陳述人とそれから大土陳述人にまずお伺いします。

 私も、これは岸田総理含めて、何回も質問してまいりました。岸田総理は、復興事業に影響を及ぼすことはない、そして、国民の理解が得られるよう丁寧に説明していくというふうに答弁されました。

 しかし、例えば、五月の共同通信の世論調査でも、復興財源を使うことに反対が七三%に上っています。そして、防衛財源で増税を支持しない人に聞くと、今以上の税負担に国民が耐えられない、そういう方が四八%だったということであります。

 いろいろな理由があると思うんですけれども、軍拡そのものが反対だという方もおられるでしょう。そして、防衛財源に使うことは筋違いだというふうにお考えの方もおられると思うんです。大事なのは、被災地においても、あるいは国民全体においても理解がないということですね。

 この結果について、どのように受け止めておられるのか。門馬市長からお願いします。

門馬和夫君 被災地全体で理解がないという御意見、御質問かと思いますが、昨年の段階で、いろいろな情報が出始める段階では、全く先が見えないというか、全体像が見えない中では、正直、私も不安はありました。その後の閣議決定とかを受けて、私も、その後、復興事業の全体の事業費確保とか、復興事業をしっかりやってくださいというようなことで要望に行ったわけでありますけれども、そういう意味では、徐々にといいますか、その全体像は理解しているつもりです。

 あと、市民等についても、新聞とか、それぞれで報道されていますので、復興財源をそっくり何かに使うというような認識は持っていないんですけれども、復興財源といいますか、復興事業については財源をしっかり確保するということと、復興事業を行うということを言われておりますので、それを信じているところであります。

大土雅宏君 七三%反対ということは、ほぼほぼ反対なんだなというのがやはり出ているというのと、やはり、だんだんだんだん話が変わっていったのかなという感じが、何か聞いていて思いましたね。いい方に変化していったのかもしれないですけれども、初めにそういうインパクトが強過ぎたがゆえの、福島の人たちだったり国民の人たちが納得できずに首をかしげたまま、気づいたら時間だけ過ぎていってしまって、取り残されていって、法案がもう通ってしまったのかなというような感じが今までたくさんあったのかなという。だから、今回もそれが、今この場になって、じゃ、どうする、福島でこんな会をという話になったのかなという気がしました。

 以上です。

田村(貴)委員 鈴木陳述人にお伺いします。

 先生の先ほどのお話の中で、被災者の生活、なりわい再建がずっと後送りにされているという点についての御指摘は、大変重要だなというふうに思いました。家の公費解体は、支援があったとしても来年三月まで。じゃ、家も事業所もビルも、時間とともに風化をしていく、老朽化していく。これを再建するとかあるいは建て替えするとかなったら、また新たに、私は、復興の枠組み、予算を伴う新たな制度も必要になってくるんじゃないかなという思いもしたところです。

 そこで、生活となりわいの再建と復興費用との関係について先生はどのように見ておられるか、教えていただきたいと思います。

鈴木浩君 ちょっと原点に戻りますけれども、原発災害が起きて、発生して、最終的には、避難指示をされる地域があって、避難指示をされなかった地域もあって、その避難指示をされた地域の中で、特に、現在では、帰還困難区域はまだ戻れない、一部分だけ解除されましたけれども。ということが現在も起きている中で、私たちの理解の中で足りなかったのは、原発災害があっても、力業で、除染をすればふるさとに戻れるのではないかというシナリオに少し依存し過ぎたのではないか。私が思うのは、やはり、この原発災害の深刻さは、これだけのことが起きると、避難指示が解除されてふるさとで生活再建、なりわい再建するのは物すごく時間がかかるんだという、このことが共有できていないんじゃないかと思います。それは十年、二十年、もう十年たちましたけれども、十年ではとてもじゃない。

 ところが、そういう中で、幾つかの自治体で、例えば町外コミュニティー、町外拠点というものを計画し、具体的には、双葉町がいわき市内に、実は、町外拠点と称して、勿来何とか団地というのを造って、これを町外拠点にして、長時間かかることを受け入れる受皿をつくっているんです。そういう中でふるさとと向き合う。

 それから、大熊町は、もう皆さん御存じと思いますけれども、低線量地域の大川原地区に役場を移し、復興住宅を造り、一部そこで、避難生活と言わないけれども、生活が再建できていますけれども、実は大熊町の中心市街地は大野駅が中心です。今言った大川原地区と全然違うところです。そこの大野病院の建設計画も昨日県が発表いたしました。これから大野駅の復興過程が進むと、大川原地区のあの役場、復興公営住宅は中心市街地からいうとずっと南の方で、双葉に近いところにあって、そこの住民の人たちは双葉のスーパーマーケットに買物に行ったりする。となると、役場は移転したけれども、私は、本当に時間をかけてやろうとすると、大野駅周辺の再生をもう一度練り直さないといけない。そのときに役場がまた移転するのかどうかは分かりませんけれども。

 実は、そういうシナリオを何度も何度も繰り返し、原発災害からの復興、生活再建、なりわい再建をやらないといけないというふうに思っているんですね。

 そのための、先ほどどなたかの御質問にお答えしましたけれども、被災者が当事者として関われるような復興まちづくり、復興計画の協議会、こういうものを、ソフトの仕掛けだけでも充実させていく。被災者の人たちが、自分も復興に関わっている、単なるサービスの受け手として口を開けて待っているのではないぞという場面をつくってやることが今物すごく重要になっているけれども、そういう仕掛けはないですね。

 それを、政府、県、自治体がタッグを組んで、そういう今の十二年を過ぎたからこそ言える課題を整理してこれからの復興まちづくりのシナリオを描いていくということが重要で、その中にどうも生活だとかなりわい再建というのをきちっと位置づけるという課題のある意味では中心になっているんじゃないかなと思っています。

田村(貴)委員 ありがとうございます。

 原発政策についてお伺いします。

 できれば三人の皆さんにお答えいただきたいんですけれども、福島事故以降、全国で原発再稼働反対あるいは原発ゼロの市民運動が大きく広がりました。私も先週に地元の北九州市小倉駅前で行っている金曜行動に参加してきたんですけれども、一方で、岸田政権は原発回帰策になっています。

 今度の国会でも推進法が通っている。原発推進を国の責務とする、新規増設を認める、六十年以上の稼働も認める。これは福島の事故の教訓を踏まえないもので、またしても安全神話の復活にほかならないと思いますけれども、そのことについて福島の皆さんはどのように受け止めておられるでしょうか。

大土雅宏君 うちの姉の旦那が原発作業員だったんですけれども、あと、仲間のお父さんがフクシマ・フィフティーのメンバーだったりとかして、あのときの災害の対応に当たった人たちとかの話を聞いたりとかすると、やはり、こうやってこれだけ地元を失って、さっき鈴木先生とかが言っていた家の解体の話とかもあったんですけれども、なぜ家を解体しないでこの期間まで持っていたか、そこは多分帰る場所だったから。なので、福島の避難している人たちは、帰る場所を失ってしまっているんですよね。でも、帰りたいんですよ、自分の地元だから。

 だからこそ、再稼働だったりとか推進としてというのは、自分としては、やはり、それで自分の家に帰るまで大分時間がかかったのと、姉夫婦が自分の家に帰ってきたのは十年後でした。その間に避難生活を十年して、子供たちが高校だったりとか小学校入学という節目で帰ってきたんですけれども。そうやって失った人たち、失った時間の人たちがいるからこそ、やはり今進むべきじゃないなと思っております。

 以上です。

鈴木浩君 GX原子力関連法案が成立してしまったときに、本当に、今の政府、岸田首相あたりが、福島の原発災害が想定外の事故だったというふうに今でも思っているのではないか、ちょっと耳を疑ってしまったんですね。

 ところが、御承知のように、福井の大飯原発の差止め裁判を、差止めを決定した樋口英明さんという裁判長が、明確に日本の原発の危険性、それは地震大国であること、それから原子炉が持っている耐震性能、それから大いに起き得ることなので大飯原発の差止めを彼は決定しています。物すごいシンプルなんです。

 日本がこれだけの物すごいプレートの上で、どのような地殻変動が起きるか分からない。今どんどん噴出しておるわけですけれども、そういう中で原発を抱えている。このことについて、本当に原発神話はもう一度復活しちゃったんだろうかという、僕は、本当にこの耳を疑うような気持ちでおります。

 私たちは、福島の原発災害を経て、今の原発事故の様々な課題、汚点、今後に、長い時間がかかる課題をできるだけ次世代に引きずらないような、世代としての責任がありそうに思います。

 それで、先ほどは、ついに私は、倫理観を持ってという、倫理という言葉を使ってしまいましたけれども、原発の再稼働をすることによって次世代にもたらすであろう負の遺産をどうやって断ち切るのかということをもう一度国民全体で考えるべきだというところが私が今思っているところで、原発回帰、しかも、六十年、更に延長を、原子力規制庁の所管ではなくて経産省の判断でそれが決められるというようなことが、なぜそういうような発想が起きてくるのか、僕はまだ疑ったままで、その真意がいまだに分からずにいます。

 以上です。

門馬和夫君 そもそも、原発の政策等は、重要な問題、大切な、あるいは影響が大きな問題ですので、丁寧な説明が必要だと思います。今般のようにもし変更等であればなおさら、もっともっと丁寧な説明が必要だと思っているところであります。

 以上です。

田村(貴)委員 そもそも、復興予算の防衛予算への転用なんですけれども、その転用をもって何をするのかというと、向こう五年間で四十三兆円の軍事費を拡大していくと。長射程のミサイルを配備して敵基地攻撃能力を持つとか、あるいは、相手国からの攻撃に備えて自衛隊の基地を強靱化していくとか。

 本当に矢継ぎ早の大規模な軍事拡大の流れに対して、鈴木陳述人はどのように受け止めておられるでしょうか。最後にそれをお聞きしたいと思います。

鈴木浩君 物すごい難しい課題だなと思いますけれども、ちょっと脇道から入ります。今年の三月だったでしょうか、仲間と一緒に、日本の憲法をノーベル平和賞に推薦する運動をしました。それはノーベル平和賞の事務局では受け止めてもらっていると思いますけれども、にわかに受賞できるとは思いませんけれども、あの日本の憲法がどうやって日本の平和のために貢献してきたのかということをもう一度確認したいと思って、そんな活動をしております。

 それで、先ほどどなたかの質問にもお答えしましたけれども、敵基地攻撃能力、安保政策の転換というのは、やはり、日本が、欧米のNATO政策の世界規模化に指導的な役割を果たしているのが日本の政府のように思えてなりません。結局、そういう、抑止力を高めること、あるいは軍事力を高めることが抑止力につながるという考え方を持っていると、これは、先ほども御質問にお答えしたように、青天井になって、どこが限界なんですかというのが分からずに軍備を進めていくことになる。そのことに政府はきちっと答えなければ、このことをやっていく責任を果たしたことにはならないというふうに思っています。

田村(貴)委員 ありがとうございました。

塚田座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者の皆様方におかれましては、御多忙の中、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後二時三十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.