衆議院

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第2号 令和5年11月8日(水曜日)

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令和五年十一月八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 津島  淳君

   理事 井上 貴博君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 宗清 皇一君 理事 山田 美樹君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 伊東 信久君 理事 稲津  久君

      石原 正敬君  英利アルフィヤ君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    大野敬太郎君

      鬼木  誠君    金子 俊平君

      金子 容三君    菅家 一郎君

      木原 誠二君    岸 信千世君

      佐々木 紀君    鈴木 隼人君

      瀬戸 隆一君    塚田 一郎君

      中川 郁子君    中山 展宏君

      藤丸  敏君    藤原  崇君

      古川 禎久君    若林 健太君

      階   猛君    野田 佳彦君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    米山 隆一君

      沢田  良君    掘井 健智君

      伊藤  渉君    竹内  譲君

      前原 誠司君    田村 貴昭君

      吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       井林 辰憲君

   財務副大臣        神田 憲次君

   文部科学副大臣      今枝宗一郎君

   防衛副大臣        宮澤 博行君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   外務大臣政務官      穂坂  泰君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   厚生労働大臣政務官    三浦  靖君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 茂呂 賢吾君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   片桐 一幸君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  油布 志行君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局政策立案総括審議官)      堀本 善雄君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    伊藤  豊君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   寺岡 光博君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     菅家 一郎君

  鬼木  誠君     金子 容三君

  若林 健太君     中川 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 容三君     鬼木  誠君

  菅家 一郎君     佐々木 紀君

  中川 郁子君     若林 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     小田原 潔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

津島委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官茂呂賢吾君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長片桐一幸君、金融庁総合政策局長油布志行君、総合政策局政策立案総括審議官堀本善雄君、監督局長伊藤豊君、財務省主計局次長寺岡光博君、主計局次長前田努君、主税局長青木孝徳君、国税庁次長星屋和彦君、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

津島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宗清皇一君。

宗清委員 おはようございます。自由民主党の宗清皇一でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 鈴木大臣は、所信で、国内外の構造的な課題の克服に向けた改革を前に進めるため、必要な予算を重点的に振り向ける、また、持続可能な成長の実現に向けた経済構造の強化に取り組む、また、歳出構造を平時に戻していく、緊急時の財政支出を必要以上に長期化、恒常化させないというような御発言がございました。私も強く共感をしております。

 この国会でも議論の中心になっているのは物価高対策ということなんですが、現在、記録的な円安が輸入物価を押し上げて、家計や企業を圧迫しているというように受け止めています。

 私が、財政や金融の問題で最も大事であって、関心を持っているのが通貨の信認です。円の価値を将来にわたってどう守っていくのかというのが、これは国家の使命であるというように思っています。

 最近まで、円は安全通貨であると言われてきました。円が安全通貨として信用されてきたのは、我が国のファンダメンタルズが維持をされてきたからであります。反対に、我が国の経済、これはファンダメンタルズが悪化をして投機が崩壊し円が安くなる、まさに今の円がこういった厳しい局面に来ているのではないかというように受け止めています。

 昨年もこの委員会で同じようなことを申し上げたんですが、この一年間だけを見ても、非常に厳しい状況といいますか、悪化をしているのではないかと感じておりまして、我が国の社会保障関係費の伸びや財政の健全性、また、人口減少、急速に進む高齢化など、また、ここ数年は貿易収支が厳しい状況であること、また、なかなか改善していない我が国の経済構造、こういったことを考えますと、円が将来にわたって信認をされていくかどうか、今この瀬戸際であるというように受け止めています。

 対米ドルで考えれば金利差も指摘をされるところですけれども、各国の通貨と比較しても、円の相対的な価値というのは確実に私は低下をしているというように感じていまして、現在の円、実質実効為替レートで見ても、ピークの一九九五年四月、これはピークですが、六二%下落をしております。円高がいいというようなことを申し上げたいわけではないんですけれども、二〇二〇年以降も急激に悪くなっているわけです。

 他方、貿易収支は、二〇二一年後半から二〇二二年にかけて大幅に赤字になっていまして、改善はしてきましたけれども、今年の五月以降、再び悪化をしています。

 他方、経常収支を見てみますと、二〇二三年は回復傾向にありましたけれども、後半、六月以降はまた厳しい状態になっている。

 貿易赤字の一つの原因は、原発再稼働がなかなか進まない中で、化石燃料に依存している我が国が、これは輸入に、海外へも依存をしていますので、輸入量、輸入額が多くなっている。加えて、我が国が長年にわたって生産拠点を海外に移してきたということで、日本国内で作られたものを輸出をして稼ぐことができなくなってきているのではないかというふうに考えています。

 こうした構造を変えずして、このファンダメンタルズを改善させることはできず、円の価値を将来にわたって守っていくことはできないというように考えています。

 お尋ねをしたいと思いますが、どうしてここまで実質実効為替レート、すなわち円の価値が落ちてきたのか、どう受け止めているのか。また、将来にわたって円の価値を守るということをするには我が国がどのような取組をしなければならないと考えているのか、お尋ねをしたいと思います。

鈴木(俊)国務大臣 まず、実質実効為替レート、これが下落している背景でございますが、その背景の一つは、やはり、海外と比較して国内の物価上昇率が低く推移してきたこと、海外と比べですね。名目為替レートが円安方向に推移してきたこと、そうしたものがあるんだ、そういうふうに承知をいたしております。

 その上で、円の信認を保つためには、日本の経済の成長力の向上や財政の持続可能性を維持するための取組、具体的にいろいろ御指摘をいただきましたけれども、そうした取組を通じまして、経済財政運営に対する市場の信認をしっかりと確保し続けることが重要であると考えております。

 こうした観点も踏まえまして、政府としては、長年続いてまいりましたコストカット型の経済からの脱却を図り、構造的な賃上げと攻めの投資によって消費と投資の力強い循環につなげるため、今般策定をいたしました経済対策を着実に実行をしていく。それとともに、引き続き、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成に向けて、政府一丸となって歳出歳入両面の改革に取り組んでまいりたいと考えております。

宗清委員 御答弁ありがとうございます。

 今、鈴木大臣がおっしゃっていただいたとおりのことをやらなければ、実質実効為替レート、円の価値といいますか、我が国のファンダメンタルズが低下をしていくというような、本当に危機感を持っておりますので、是非、実効性のあるお取組、また総合経済対策を着実に進めていくということで、財務省にもお願いをしたいというように思います。

 この国会でも、これから補正予算の審議もスタートすると思いますけれども、この令和二年以降、補正予算、大きな補正予算、措置されてきました。こうした財政支出を、大臣は所信で、先ほども申し上げましたけれども、平時に戻していくと述べられています。

 コロナ以降の巨額の補正予算の相当分が、何年か分をまとめてつける基金によるものなんですね。コロナ当初は仕方のないものも多いと思うんですけれども、ちなみに申し上げると、令和二年の補正予算で約十・七兆円、令和三年が五・二兆円、昨年の補正予算では十・一兆円の基金を措置をしているんです。この基金の使い道、費用対効果、国会の関与の在り方について申し述べたいというように思います。

 そもそも、基金に対する予算措置は、複数年度にわたる事務又は事業であって、各年度の所要額をあらかじめ見込み難く、弾力的な支出が必要であることその他の特段の事情があること、二つ目に、あらかじめ当該複数年度にわたる財源を確保しておくことがその安定的かつ効率的な実施に必要であることが認められること、このいずれもの条件を満たす必要がございます。

 基金は毎年予算審議を必要としませんので、複数年度でかつ計画的に使えるというメリットがある反面、毎年、その年にその額が必要だったのかという効果検証というのは厳しくて、国民に疑念を持たれる可能性もあるわけであります。

 例えば、中小企業の事業再構築の基金では、エステやゴルフに使ったという事例も多くあると聞いていますし、また、十年分の予算をまとめてつけるといったものもありますし、多額の使い残しもあるというように聞いています。十年というのは相当長い年月でありますので、日進月歩であらゆる技術やいろいろなものが変わるという、安全保障の環境も人口動態も、十年先というのは相当変わりますので、十年先の予算をつけるというのは相当雑な予算であるという受け止め方を国民にもされるというように思います。

 例えばですけれども、三年で措置をしておいて、目標を達成できれば更に予算をつけるとか、五年分は基金として措置はするけれども、三年で目標を達成できていない場合は残りの二年間を返していただくとか、そういう仕組みも考えられますし、予算には繰越制度もございますし、議会で債務負担行為をしておけば必要な予算をその都度措置をできるわけで、国会でしっかりチェックをできる、これが本来の姿ではないかというように思います。

 また、現在まで措置した基金をしっかり厳しくチェックをして、当初の目的が達成できているのかどうか、公表する仕組みをつくって、国民の皆さんに公表するべきだというように思うんですが、いかがでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 基金事業につきましては、今先生から御紹介もございましたとおり、複数年度にわたる事業で、各年度の所要額をあらかじめ見込み難く、かつ、あらかじめ複数年度の財源を確保することが事業の安定的、効率的な実施に必要である場合に認められるものでございますが、まさに先生から御指摘ございましたとおり、現在の基金が、本当にその金額が必要であったのか、あるいは適切に執行されているのか、あるいは多額の使い残しがあるのではないかといった御批判があるということは十分に承知をしておるところでございます。

 そこで、先般、十月の十一日でございますけれども、デジタル行財政改革会議におきまして、総理から、行政事業レビューシートを活用した予算の更なる見える化を進めるとともに、コロナ以降に拡大した事業、基金を見直し、政策効果を向上させるよう御指示があったことを踏まえまして、今週末でございますけれども、行われます秋の年次公開検証、これは公開の場で行われますが、行政事業レビューにおきまして、適切な成果目標の設定や終了期限の設定といった観点から、重点的に基金事業の点検を行う予定となってございます。

 今後は、このレビューの結果も踏まえまして、行革事務局とも連携をしながら、これも委員から御指摘ございましたが、予算措置を分割化して行うことでございますとか、繰越制度の活用といったことも検討しながら、基金事業の不断の適正化に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

宗清委員 御答弁ありがとうございます。

 当然、予算は私たちも認めてきているわけでありますから、認めた責任として、本当にしっかりそれが当初の目的どおりに、また目的が達成されているのかチェックをしていくということも必要であると思うので、こういう趣旨の質問をさせていただきました。しっかりやっていただきますように、よろしくお願い申し上げます。

 私も金融庁の政務官を担当させていただいて感じてきたことなんですけれども、最近の金融行政というのは、本当に業務も多く、金融機関による事業者支援の能力の向上であったり、マネロン対策、サイバーセキュリティー対策、フィンテック等のデジタル化への対応、利用者保護など、本当に業務が複雑で多岐にわたっているわけでありまして、また、国民の皆さんが保有している金融資産、これを成長資金につなげて、その恩恵が還元される、成長と分配の好循環を生み出すために、資産運用立国の実現、また資産所得倍増プランを推進をしていくということが極めて重要であるというように思います。

 そのためには、金融事業者による顧客本位の取組の定着、徹底をしていく必要がございますし、また、金融経済教育の充実を図っていく必要があるというように思います。そうした取組を東京とか都市部だけではなくて、全国津々浦々でしっかりやっていただけるように、金融庁及び地方の財務局、この財務局の定員が、ここ数年ずっと定員が上がっていない、伸びていない、増えていないというように思いますから、積極的な体制づくりを図っていただきたいと思いますけれども、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

鈴木(俊)国務大臣 金融行政の役割や機能、これは複雑かつ多岐にわたっておりまして、また、時代に応じまして変化しております。近年では、特に技術の進展に伴います金融サービスの変化や国内外の環境変化への対応、岸田政権が掲げます成長と分配の好循環の実現に向けた金融面からの推進が求められております。

 こうした様々な課題に対応する施策を企画立案し、全国に行き渡らせるためには、金融庁のみならず、地方の財務局においてもしっかりとした体制を構築する必要があると考えます。

 こうした観点から、特に令和六年度の機構・定員においては、新しいNISAの導入等を踏まえ、金融庁では、資産運用立国の実現と資産所得倍増プランの推進、サイバーセキュリティー及び経済安全保障対策の強化などにつきまして、また、地方財務局ではNISAの普及と金融経済教育やマネロン対策等について、体制整備に向けた要求をしているところであります。

 金融庁として、足下の課題への対処を行うとともに、先行きの変化を見据え、金融システムの信頼性を確保し、金融を通じた成長の果実を全国各地にもたらすことができますように、金融行政上の課題に応じて、引き続き、金融庁及び財務局における体制強化に努めてまいりたいと考えております。

宗清委員 御答弁ありがとうございます。本当に金融庁の仕事が複雑また多岐で膨大になってきておりますので、体制整備を是非急いでやっていただきますようにお願い申し上げます。

 私は本当に鈴木大臣の所信に強く共感をしておりまして、限られた国の予算というのを、経済構造の転換、また物価高に苦しむ世帯への支援とか、また生産性の低い分野への重点的な投資、あと、人手不足ですから、そういったものへの対応、またGXやDX、そういった個々の課題にもっと集中的に、的を絞って是非対策を講じていただきたいというように思います。そして、先ほども申し上げましたけれども、我が国のファンダメンタルズが改善される、強くなるような取組にもっと支援を集中して財政を投入をしていただきたいというように思います。

 来年度予算の編成もこれから党の中でいろいろと議論があるわけですけれども、こういった意見があるということも踏まえて財務省に取り組んでいただきますことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

津島委員長 宗清皇一君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 鈴木大臣の所信に対しての今日は質疑ということで、通告に従って順次質問をさせていただきます。

 まず初めに、地域金融機関の機能強化についてということでありますけれども、まず最初の質問は、地域経済活性化支援機構、REVICの知見の還元についてということをお伺いしたいと思います。

 新型コロナウイルスの感染拡大の中で、国内、多くの事業所が厳しい状況を迎える中で、その間に例えばゼロゼロ融資などを受けて、何とかこの厳しい状況を乗り越えてきた。ただ、そのコロナ禍で過剰債務を抱えた地域企業がどう再生していくのかということが大変重要な課題だと思っています。ゼロゼロ融資の返済がいよいよ本格化してきている中で、苦境が深まる、そういう事業所も増えてくる可能性もあるというふうに思っております。

 金融庁は、REVICの持っている知見を還元して、地域銀行などが主体となって、地域の実情に応じた中小企業の経営改善ですとか事業再生を手がけられる人材を育成しようとしている、このように承知をしております。

 そこでお伺いしますけれども、これはまず大臣にお伺いしたいと思いますが、具体的にどのようなノウハウを還元して、どういった人材を育成しようとしているのか、この点、まず大臣にお伺いします。

鈴木(俊)国務大臣 足下の物価上昇などの影響を幅広い業種の多数の事業者が受ける中で、各地の地域金融機関が、地域の事業者の実情に応じて、資金繰り支援にとどまらずに、事業再生等の支援をしていくことが重要だと考えます。

 こうした中、REVICでは、地域金融機関の事業者支援能力の高度化に向けまして、多くの支援案件を通じて蓄積された知見やノウハウを地域金融機関に還元する取組が進められております。

 具体的に申し上げますと、地域金融機関の役職員向けの研修、これを実施をし、事業再生計画の策定支援、あるいは財務立て直しを含む金融支援の内容を中心とした実践的な知見やノウハウを還元することによりまして、地域金融機関において事業再生支援を中核的に担うことのできる人材の育成に取り組んでいるところであります。

 金融庁としては、地域金融機関に対しまして、こうした研修への積極的な参加により、事業者支援の能力を高め、地域経済の回復と成長に一層貢献していくように促してまいりたいと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 そこで、実際に、様々な業種で支援を求められるケースがあると思います。特に、現状を考えたら、例えば交通業、宿泊業、それから建設業、飲食業、こういった業種で、コロナ禍による超過債務が原因で再生が非常に難しくなってくるケースも出てくるというふうに考えられます。こうした業種別の状況をどう見ているのか。

 それから、やはり、具体的な支援策を行うとなると、業種ごとにそれぞれ支援の方向性というのも多少違ってくると思うんですね。そうしたことを勘案して支援を行うべきではないかと思いますが、こうした指摘に対する見解をお伺いしておきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 いまだに多数の事業者が厳しい事業環境にある中で、事業者の身近な支え手である金融機関が、資金繰り支援にとどまらず、事業者の実情に応じた経営改善支援や事業再生支援等に取り組むことが重要であると考えておりまして、委員今御指摘の業種は、特にコロナ、それからその後の資材の高騰等により非常に厳しい状況にあって、こうした事業者への支援がとても重要な業種であるというふうに考えております。

 そうした支援に当たる金融機関においては現場の職員の支援能力向上が重要であるというふうに考えておりまして、そうした観点から、金融庁では、現場の職員が支援に着手をする際のポイントや支援のノウハウなどを「業種別支援の着眼点」として、支援対象事業者の業種別に整理をする事業を進めているところでございます。

 昨年度は、コロナ等の影響による支援ニーズを踏まえて、今委員の御指摘ありましたような建設でありますとか飲食、小売、運送などの五業種について着眼点を取りまとめたところでございまして、足下では対象業種の拡充に取り組むとともに、取りまとめた着眼点が支援の現場で活用されるよう、全国各地での説明会、勉強会等を通じて普及促進に取り組んでいるところでございます。

 金融庁といたしましては、引き続き、金融機関の事業者支援能力の向上等に取り組みまして、金融機関による事業者に寄り添った支援を促してまいりたいと考えております。

稲津委員 いずれにしましても、こういう業種別にきめ細やかな手だてを打っていかなければいけない、このように強く思っておりますので、今御答弁いただきましたけれども、対応方よろしくお願いします。

 次に、人材プラットフォーム、レビキャリについてお伺いしますけれども、地域企業経営人材マッチング促進事業、これは始まってから三年目になるというふうに承知をしております。政府の地方への新しい人の流れの創出に向けた取組として、私は大きく期待をしたいなと思っております。

 人手不足に悩んでいる中小・小規模事業者の経営者の方々にとっては、まさに即戦力となる人材を採用できるという可能性があるということ、それから金融機関も、人材を紹介することで取引先の経営改革ですとかあるいは事業を拡大することの後押しができる、このようにも思っておりまして、こうしたメリットについてやはり認識していかなければいけない。

 そこで、登録者数やマッチング数など、直近の実績値を教えていただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の人材プラットフォーム、レビキャリの活用状況でございますが、先月末までの累計で、求職ニーズを有する大企業人材の登録が二千三十三名、地域金融機関による地域の中小企業の求人登録が千六百九十四件、人材マッチングの仲介役となる地域金融機関の登録が百二十四機関となっておりまして、令和三年十月に本格的に運用を開始して以降、足下、四十三件の人材マッチングが成約しているところでございます。

稲津委員 お答えいただいて、登録者数は順調に伸びてきているんだと思いますけれども、今お答えいただいたように、マッチング数がまだまだ少ないのが現状だと。

 この事業の特徴は、人材のミスマッチ解消のために各種研修プログラムが無料で受けられる、レビキャリを利用して経営人材を獲得した地域企業には国から上限五百万ですかの給付金がもらえる、そうしたメリットもあるわけです。

 マッチング数を増やすために何が必要なのか、給付金の支援要件の緩和とか雇用契約期間の緩和、それから大企業側の人材が登録しやすい環境整備、REVICの働きかけの強化など、様々な工夫が必要だと思いますが、この点についての見解もお伺いしたいと思います。

井林副大臣 お答え申し上げます。

 レビキャリの更なる活用促進に向けましては、周知、広報の徹底を重要と考えております。今後、金融庁とREVICが連携しまして、大企業社員向けの説明会や地域金融機関へのセミナーの開催等に取り組むことにより、御指摘のとおり、大企業人材の登録者数を増やして、レビキャリを活用したマッチングの件数の増加に努めてまいりたいと考えております。

 また、レビキャリを開始した令和三年度以降、使い勝手をよくするための改善に取り組んでまいりましたが、今後も、利用者の声を踏まえながら、システムの改善や、また委員御指摘のとおり、必要があれば運用方法の見直しにも取り組み、レビキャリの魅力や使い勝手を高めてまいりたいと考えております。

 金融庁といたしましては、これらの取組を通じてレビキャリの一層の活用を促すことで、大企業で経験を積まれた方々に地域で御活躍をいただけるよう、地域金融機関における人材仲介機能の発揮を後押ししてまいりたいと思っております。

稲津委員 全くそのとおりだと思います。とにかく登録しやすい環境整備をしっかり構築していただいて、せっかくいい仕組みをつくっていただいているので、利用しやすいように更なる運用改善を行っていただきたいと思います。

 次に、日本産の酒類の輸出促進に向けた取組について伺います。いわゆる酒ですね、お酒。

 日本産の酒類の輸出拡大については、昨日の、農林水産物、食品の輸出額が農林水産省から公表になって、一月から九月までの累計が一兆五百三十一億円ということで、一兆円を超えるのは過去最速ペースということです。

 中国のホタテ、ナマコなどの日本の海産物の禁輸などがあって心配していたんですけれども、予想以上にいい結果なのかなと思います。特に、アメリカ合衆国で、ホタテを、中国で殻をむいたのを輸出してアメリカで売るというのが、直にアメリカに行く流れ等々ができつつあるので、これは非常に喜ばしいことだと思っています。ただ、中身を見てみますと、お酒のところが、順調に伸びてきたんですけれども、ここに来てちょっと足踏み状態、もったいないと思うわけですね。

 そこで、日本産の酒の輸出拡大について伺いますけれども、今も私が申し上げましたように、特に、ウイスキーもちょっと下がったんですけれども、酒、日本酒、清酒が、アメリカにおける物価高とか在庫調整が響いていて輸出額が減少しているという傾向にあります。

 政府は、日本産の酒類の需要開拓、海外販路拡大事業、こうしたことを取り組んで、更に輸出拡大に向けて取組を加速化しようとしております。これは非常に大事なことで。ただ、そういう一層の支援策が更に求められるんじゃないかなと私は思っているんですけれども、どのような方向で取り組んでいこうと考えているのか、これは大臣の所見をお伺いしたいと思います。

鈴木(俊)国務大臣 日本の農林水産物の輸出の一翼を担う日本産酒類の輸出でございますけれども、日本酒やウイスキーの国際的な評価、これは最近高まっていると思っております。そうしたことを背景に拡大傾向にありまして、一昨年、令和三年に輸出金額が初めて一千億円を超えました。そして、昨年、令和四年には更に一千三百九十二億円まで増加をしているところでございます。

 今後とも、農林水産物、食品の輸出拡大を図る政府全体の方針、それを踏まえながら、事業者に対する販路拡大支援、それから日本産酒類の認知度向上に向けた取組、これを推進していかなければならないと思います。

 日本産酒類の輸出促進に向け、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

稲津委員 海外では日本食ブームが非常に伸びてきていて、例えばおすしとかてんぷらとか、大変人気です。その日本食の添え物としての日本酒という考え方もあるかもしれないけれども、海外の地域によっては、特定名称を挙げるとあれですけれども、獺祭とか八海山とか、私も非常に好みの酒ですけれども、現地で酒蔵をオープンさせる、こんなことも進められてきて、もう日本食の添え物の酒ではなくて、本格的に飲用していただく、そういう時代に来ていると思っています。

 それで、ちょっと一問飛ばしますけれども、最後の質問として、酒類などの総合研究所の機能強化についてということで、今、日本産の酒類の輸出促進に向けた取組の中では、この研究所の与えられている使命とかいうのは私は大きいと思っています。時間がないから、どういう研究なのかということは省きますけれども、この研究所の機能を強化することによって日本産の酒類の輸出促進が図られるんじゃないか、こう思いますけれども、見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

津島委員長 国税庁星屋次長、既に持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人酒類総合研究所におきましては、酒類業の振興のための取組といたしまして、日本産酒類の競争力強化や地域ブランドの価値向上につながる研究などを実施しているところでございます。

 これらの研究を着実に進める環境を整えるため、研究所の業務を実施する上で不可欠な機能強化を行うことで、日本産酒類の輸出促進に努めてまいりたいと考えております。

稲津委員 終わります。

津島委員長 稲津久君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。本日はよろしくお願いいたします。

 早速ですが、財務大臣からまず伺いたいと思います。

 突然ですけれども、大臣の御家庭は、家計は奥様が管理されているのか、それとも御自身で管理されているのか、どちらでしょうか。

鈴木(俊)国務大臣 妻が管理しております。

階委員 すてきな奥様なので、多分そうかなと思っていました。私もそういう感じで、小遣いをもらっています、毎月。

 それで、今回、還元、還元と言われていますけれども、例えば私のケースでいうと、去年、サラリーマンだったとして、残業代が増えました、残業代が増えたものはそのときに生活費とかで使っちゃいました、半年ぐらいたってから、あのとき残業代が増えたんだから小遣い増やして還元してくれよと言っているようなものだと思うんですね。しかも、これから教育費だとか住宅ローンの利払いが増えるだとか、あるいは防犯工事にお金がかかるとか、いろいろ支出がメジロ押しの中で、小遣い増やして還元してくれよと言ったら、奥さん、何と言いますかね。ばか言っているんじゃないよと、私の家庭だったら一蹴されると思いますよ。多分、普通の家庭はそうだと思います。そういった意味で、今回、総理は還元、還元と言っていますけれども、何を言っているんだというふうに私は思っていました。

 と思っていたところ、たまたま今日、日経新聞を見ましたら、自民党の宮沢税調会長が、今回の給付プラス減税の、資料でいいますと九ページにポンチ絵もつけていますけれども、このスキーム、これは還元ではないというふうにおっしゃっているんですね。宮沢氏いわく、還元といっても税収は全部使った上で国債を発行している、それは還元ではないと明確におっしゃっています。

 大臣も、先日の所信では還元という言葉を使っていませんでした。大臣は、今回のこのスキーム、還元というふうに考えているのかどうか、まずそこから確認させてください。

鈴木(俊)国務大臣 階先生の問題意識は、還元といっても、そうした還元する財源が何か今なお手元にあって、それを返すということになるのか、それが本来の意味の還元ではないか、こういうような御質問だと思いました。

 それで、このことについて申し上げますと、財政の構造といたしましては、過去の税収増、これはもう、当初予算でありますとか補正予算の編成を通じまして、主として政策的経費や国債の償還に既に充てられてきておりまして、仮に減税をしなかった場合と比べた場合には国債の発行額が増加することになる、こういうふうに認識をいたしております。

 そして、今回の減税における還元ということを言っているわけでありますが、その還元は、財源論ではなくて、税金を御負担いただいている国民にどのような配慮を行うかという観点で講じるものでございます。コロナ禍という苦しい期間における税収の増えた分を分かりやすく国民に税という形で直接戻すという考え方の下で、賃金上昇が物価高に追いつかず、収入の上昇を実感できなかった賃金労働者を始めとする国民の負担、これを緩和したいと考えているところでございます。

 そして、この減税の目的であるデフレからの脱却を確実なものとして、持続的な経済成長を実現し、財政健全化にもつなげることで、将来世代への責任というものも配慮していきたい、果たしていきたいと考えております。

階委員 今、還元という言葉を、日常用語からかけ離れたように解釈した上で還元ということを言われたわけですけれども、そうすると、この宮沢税調会長の発言、私は至極真っ当なことをおっしゃっていると思いますが、宮沢税調会長が還元ではないと言っているのは、政府の立場からすると間違いだということでいいですか。端的にお答えください。

鈴木(俊)国務大臣 宮沢税調会長の発言を直接聞いておりませんのでよくそこは分からないわけでありますが、先ほど申し上げましたとおりに、還元とこう申し上げるわけでございますけれども、しかし、税収の増えた分につきましては、政策経費でありますとか国債の償還などについて既に使っているわけでありますから、減税をするとなるとやはり国債の発行をしなければならないということにおいて、還元ではないとおっしゃったのではないかな、そういうふうに推察いたします。

階委員 今のおっしゃったことは、宮沢会長の御趣旨に沿ったお話だったと思います。

 そうすると、普通、還元というのは原資があってこその還元だと思うんですが、今回は原資がないけれども政府の言葉で言う還元をするということになりますが、そういう理解でよろしいですか。

鈴木(俊)国務大臣 先ほどの答弁の繰り返しになって恐縮でございますが、今般、還元ということを、減税における還元ということを言っているわけでありますが、これは財源論ではなくて、税金を御負担いただく国民の皆さんにどのような配慮を行うかという観点で行うものでございます。税という形で直接お戻しするという考え方、これが分かりやすいことである、そして、それを通じて国民の負担の緩和をしたいという考えの中で実施をしたいと考えております。

階委員 そうすると、さっきも大臣がおっしゃったように、総理の言う還元を行った結果、借金が増えるということはお認めになるということでいいですね。

鈴木(俊)国務大臣 減税をしないときに比べれば、国債の発行はその分必要となると考えております。

階委員 還元しても、借金が増えれば将来負担が回ってくるわけで、これが、国民は全く今回の減税と給付のスキームを評価しない理由だと思います。還元ではないんだったら、そもそもやれるはずもない、借金を増やすんだったら、やれるはずもないことをやろうとしているということを指摘させていただきます。また後ほど財務大臣にはお尋ねするとしまして。

 日銀総裁にも来ていただいております。

 今日お配りしている資料の一ページ目ですけれども、先週の金融政策決定会合の公表文の一部を、前回、九月の公表文と比較したものをつけさせていただいております。

 ここの中ではちょっと取り上げていないんですが、別な部分で、長期金利の上限を厳格に抑えることは副作用も大きくなり得るという表現が出てきます。副作用には円安による物価高も含まれるかどうか、この点だけ端的にお答えください。円安による物価高は含まれますか。

植田参考人 お答えします。

 私どもが申し上げている副作用と為替レートとの関係という御質問だと思いますけれども、私どもが副作用を抑えるというときに為替レートの関係で念頭に置いておりますのは、私どものYCCの運用がマーケットのボラティリティーを高め、それが為替レートのボラティリティーにもつながってしまう、そういう副作用を抑えることを念頭に置いているということでございます。

階委員 ボラティリティーというのは変動性なわけですけれども、変動性が上方にずっと変動してきて、今、昨年の初めに比べると、物すごい、三〇%も四〇%も円安になっているわけですね。これは副作用だということでいいですか。

植田参考人 常日頃申し上げておりますように、為替レートはファンダメンタルズに沿って安定的に推移するということが望ましいわけですが、そのファンダメンタルズに沿って安定的に推移するということが現実の為替レートの変化との相対でどこまでそうなのかということは、なかなか判断が難しいところでございますので、具体的に申し上げるのは差し控えさせていただければと思います。

階委員 いや、具体的に聞いていません。一般論として聞いています。急激な円安は副作用に含まれるかどうか、結論だけお答えください。

植田参考人 私どものYCCの運用がマーケットのボラティリティーを高めて、為替のボラティリティーも高まるという場合は、それは副作用に含めて考えているということでございます。

階委員 副作用に含めて考えられるということです。

 政府は昨年来ずっと物価高対策を行っているんですね。物価高対策を行うということは、急激な物価高が進んでいるからなんですけれども。

 物価の番人というふうに日銀は言われます。その立場からすると、物価高の大きな要因となってきた、今、副作用を生んでいるということもお認めになった、長期金利の上限を抑え込んでいるイールドカーブコントロール、これは日銀としては、副作用をなくすために事実上放棄せざるを得なくなったのではないかと思いますが、違いますか。

植田参考人 私ども、足下の物価高といいますか、高いインフレ率は、大まかに二つの要因で起こっているというふうに考えてございます。一つは、しばらく前までの輸入物価の上昇が国内物価に及んできているという動きでございます。もう一つは、国内で物価が少し上がり、賃金が上がり、それがまた物価に跳ねるという物価と賃金の循環、うまく回れば好循環でございますが、それが少しずつ起こってきているという部分でございます。

 私どもは、第二の部分がもう少しうまく回って、二%のインフレ率が持続的、安定的に達成されるということを目指してございます。この第二の部分がまだ少し弱いということを考えまして現在の緩和政策を維持しているというスタンスでございますし、イールドカーブコントロールも、その判断の下で、現状、維持しているところでございます。

階委員 第二の力が弱いから金融政策を維持しているというお話でしたけれども、今現在、仮にエネルギーの補助がなかりせば、物価は四%上昇なわけですよ。

 こうした現状に鑑みて、日銀としては、これから物価を上げたいのか下げたいのか、どっちなのかはっきり言ってください。

植田参考人 これは非常に難しいところでございます。

 エネルギー補助金がなかりせば四%前後である全体のインフレ率、これは下がっていくことが望ましいと考えております。しかし、中長期的な観点からは、先ほど申し上げたような第二の力によるインフレ率が少しずつ上がっていくことが望ましいというふうに考えており、その上で、第一の力によるインフレは、輸入物価も減少に転じていますし、ということから、早晩勢いが衰えてくるというふうに判断しております。その下で、第二の力の方を育てていくために金融緩和を維持しているということでございます。

階委員 要するに、将来物価を上げていかなくちゃいけないので、今は物価が幾ら高くとも我慢してくれ、今は本当だったら物価を下げるのが望ましいけれども、将来物価を上げていくために今は我慢してくれということを言っているんですか。あるいは、将来景気をよくしていくために今は我慢してくれ、物価高だけれども、日銀としてはそれには手を出さない、我慢してくれということでいいんですか。

植田参考人 非常に悩ましいところでございますが、足下の物価高が家計や企業に大きな負担を強いているということは重々承知してございます。ただ、申し上げましたように、これがすごく長く続くというふうには考えてございません。

 他方、第二の力的なものがすごい弱い、しばらく前まではゼロあるいはデフレ的な環境にあって、それが二十数年も続いたということによる様々なコストもあったかと思います。

 その両方を鑑みた上で、後半の第二の力の方を育てていこうという観点から、緩和を維持してございます。

階委員 明確にお答えになりませんけれども、今の金融政策を続けていくということは、将来はよくなるかもしれませんけれども、今は物価高につながるということを前提にしていますよね。それでいいですね。

植田参考人 第二の力の部分については、プラスの影響を金融緩和政策が与えるということをもちろん念頭に置いてございます。

 第一の力の部分については、いろいろあるとは思いますけれども、大まかには、近いうちに水準が下がってくるというふうに思っております。

階委員 三ページ目に日銀の物価見通しを出していますけれども、近いうちに下がってくるというのは昨年の春ぐらいからずっと言っていますよ。ずっと言って、その都度、三か月ごとに上方修正、上方修正、先週も上方修正。これって何なんでしょうか。国民にはもうすぐ下がるから我慢してくれと言っておいて、そして金融政策を漫然と続けていって、結局、物価高はどんどん進んでいく一方じゃないですか。

 日銀の誤った物価見通しとそれに基づく金融政策によって物価高が進む一方、そして、さっきも還元の話をしましたけれども、国はお金がないのに減税をやったり給付をやったりしなくちゃいけなくなっている。このことについて責任は感じないんでしょうか。

植田参考人 確かに、輸入物価、あるいはその元にあります国際商品市況自体は昨年の後半から下がる基調にございます。その下で、徐々に国内の物価、特に、先ほど来申し上げているような第一の力に関連する部分はインフレ率が下がってくるだろうという見通しを、ここずっと、先生がおっしゃるように出してきたわけでございますが、その部分について多少見通しが、その後上方修正を続けてきたということは事実でございます。

 どうしてそうなったかということを考えてみますと、輸入物価の国内物価への価格転嫁の率のところについて……(階委員「言い訳は聞いていません。それは聞いていないから。責任を感じないか。問いに答えてください」と呼ぶ)

 もちろん、上方修正につながったような見通しの誤りがあったということは認めざるを得ません。したがって、今後、いろいろなデータをきちんと分析して、見通しが適切に行われるように努めていきたいというふうに思います。

階委員 責任を感じているのであれば、直ちに検証すべきですよ、この物価見通し。私もこの場で前にも指摘していますけれども、毎回毎回なんですよ。その結果、物価高がどんどん続いていって、血税をどんどん物価高対策に投入しなくちゃいけなくなっている。責任を感じているんだったら、直ちに物価の見通しの在り方を検証して、そして、こうした、どうせ誤ってしまう見通しに基づいた金融政策を行っている、このこと自体も問題ではないか。

 二ページ目に門間さんという元理事のペーパー、資料をつけましたけれども、過去に日銀は経済、物価情勢の判断を基にして金融政策を行ったことはないと。アベノミクス以降の話ですけれども。要は、まともな見通しをしていないから、金融政策も変更できないわけですよ。まともな見通しをしていれば、もっと早くに今回のようなイールドカーブコントロールの事実上の放棄みたいなことも出てきたと思いますよ。

 だから、まともな見通しができないことについて責任を感じるんだったら、検証をして、そして、今後こういった見通しに基づいて政策決定していいのかどうか、これも含めて総括をすべきだと思いますけれども、いかがですか。

植田参考人 私ども、三か月に一回、将来の物価、経済見通しを点検し、発表するという作業をしてございますが、その際、毎回、できる限りにおいて、見通しが過去誤った場合には、それはどうしてかということのある種の検証作業を続けてございます。

 その上で申し上げれば、インフレ率全体の見通しを少しここのところ誤っているということは事実でございますが、先ほど来申し上げています、それを輸入物価の転嫁である第一の部分と、国内で賃金、物価が回るという第二の部分に分けた場合に、第二の部分がまだまだ弱い、少しずつ上がってきているけれどもまだ弱いという部分については、余り大きく外していないというふうに思っております。その部分に基づいて金融政策運営を行ってきたということについては、大きな誤りはなかったのではないかなというふうに考えております。

階委員 今回のこの決定文ですけれども、イールドカーブコントロールのところで、金融市場調節方針というのがこの一ページ目の最初の方に書いていますけれども、長期金利については、十年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行うとしている一方で、その実際の運用については、長期金利の上限は一・〇%をめどとするということで、一%超えも容認しているわけですね。これは矛盾していますよね。

 さっき言ったように、物価を上げるのか下げるのか、これも明確にお答えにならないし、こうした公表文においても、ゼロ%程度なのか一%超えなのか、これもよく分からない。こうしたどっちつかずの曖昧な態度を取り続けた結果が、今回、政策決定でイールドカーブコントロールを抜本的に見直したにもかかわらず円安が是正されなかったということにつながっているんじゃないですか。そこはお認めになりますか。

植田参考人 今回の政策、いわばイールドカーブ運営の柔軟化は、これまで長期金利について一・〇%を厳格な上限としてきたというところを、めどという、柔らかな上限ということに変えたということでございます。

 これは繰り返しになりますが、第二の力による物価が上がっていくという部分がまだまだ弱いという下で、イールドカーブコントロールを含めました現在の金融緩和を続けていこうという判断の下に行われた措置でございます。

階委員 確認しますよ。ゼロ%程度で推移するというイールドカーブコントロールの方針と、一%超えも容認するという実際の運用の見直し、これは矛盾しませんか。

植田参考人 全体として強い金融緩和を続けるという意味で、長期金利ゼロ%程度で推移するようにオペレーションを行うということでございます。ただし、その下で金利が変化するものですから、上限を設けようということで、上限を一%というふうに設定しているところでございます。七月との関係では、その上限を、非常に厳密なものから、めどというふうに、ややソフトなものに変えたというところが変更点でございます。

階委員 これもさっきの還元と同じく、一般人には理解し難い話なんですよね。ゼロ%で推移するという範囲に一%超えも含むというのは、どう考えてもおかしいでしょう。そういう言い方をするから、日銀が信用されなくなるわけですよ。幾らマーケットに働きかけて円安を是正したいと思ったとしても、それは功を奏さないわけですよ。そういうことをもう少し真摯に受け止めたらどうでしょうか。

 私は、もう潔く、イールドカーブコントロール、目標としては実質賃金が上がる形で二%達成だけれども、道半ばだけれども、円安、物価高が進んでいるから、これはもう長期金利のコントロールはやめます、それでいいんじゃないですか。そういうふうに正直に言うべきだと思いますよ。その方が物価という意味ではプラスに働いたと思うんですが。

 こういう分かりにくい、矛盾をはらんだ支離滅裂なメッセージの発信は、非常に私はマーケットを混乱させるし、また、日銀が意図した方向と反して物価高を進めているんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。

植田参考人 繰り返しになりますが、足下、まだ基調的な物価の上昇率が二%には少し距離があるという中で、大規模な金融緩和を続けてございます。

 イールドカーブコントロールは実質なくなってしまったのではないかという御意見かもしれませんが、そうではなくて、現在でも、定例のオペ、臨時オペを使ってかなり大量の国債を買い続けて、長期金利をある程度以上、現状では一%以上大きく上がらないようにするというオペレーションを続けてございます。

階委員 最後に、財務大臣に一問だけお聞きします。

 六ページ目に、過去二十年の予算編成時の前提となっている予算積算金利というものと実際の国債の表面利率の平均値、これを対比した表を挙げております。

 今、国債の発行金利は〇・九%ぐらいだと伺っておりますけれども、過去には、例えば平成二十四年度のところを見ていただくと、実際の利率が〇・八%のときに、予算の金利は二・〇%で計算していたというところがあります。しかし、このところ、日銀がゼロ%で長期金利を推移させるといったこともあり、ゼロ%を前提として一・一ぐらいの積算金利ということで、過去の水準に比べると、うんと低い状況で予算編成をしてきたという経緯があるわけですね。

 この一・一は、さすがに、今〇・九とかまでになっているわけだから、見直すべきだというか、見直さないと危ういのではないかと思いますが、最後、大臣にこの見解を伺います。

鈴木(俊)国務大臣 積算金利でございますが、来年度の予算編成に向けましては、長期金利が上昇している状況を踏まえつつ、財務省の担当部局からは、積算金利を一・五%として予算要求を行っております。具体的な利払い費については、これからの予算編成過程において引き続き議論を深めて決定していきたいと思っております。

階委員 一・五%が妥当なのかどうか、これもまた議論の余地があるところだと思いますが、今日はこの辺で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

津島委員長 階猛君の質疑は終了いたしました。

 次に、末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 まず、私の方は、今日、岸田政権の今話題になっております新経済対策の中で、減税についてお話をさせていただきます。

 私、思うんですけれども、今、日本の置かれている財政ニーズというものは莫大なものだと思っております。

 今年の通常国会で審議した五か年の防衛費四十三兆円に、今年六月に策定されたこども未来戦略方針で、毎年三・五兆円の支出をする、三か年という話でしたけれども、これを五か年続けたとしたら十七・五兆円になるんですけれども、この四十三兆円と十七・五兆円を加えると六十兆円を超える、こういう支出ニーズがあるわけです。

 さらに、防衛費の、私が問題としてきました後年度負担十六・五兆円、さらに今問題となっている膨大な海外への支援支出とかを考えると、更にこれが、財政ニーズが、支出ニーズが高い。こういう状況の中で、最近の税収が増加したということで三・五兆円を今回一時的に分配する。還元という言葉、先ほどから階議員との議論になっていますけれども、こういうことをやるというのは、どうも何か私、矛盾感を感じてしようがないんですよね。

 これだけ莫大な財政ニーズの中で、いや、ちょっと税収増があったから還元という。そういうことを言うと、国民にとって、これはおかしい、どうせ後で様々な税収増のための負担が生じるんだろう、こういうことになるわけです。

 さらに、岸田総理の方が早期の解散を試みているというような、そんなマスコミの報道があると、どうも、これはやはり解散・総選挙のための人気取りというか、人気のためのばらまき政策じゃないか、こういうふうに、私がいろいろと地元を回っていてもそういうふうに言われるし、私もそう感じているんですけれども、その点について財務大臣の御見解をお願いします。

鈴木(俊)国務大臣 今回の総合経済対策は選挙を意識したものというわけではないわけでありまして、減税の目的について申し上げますと、日本社会がコロナ禍を乗り越え、税収が増加している局面におきまして、現下の物価高に苦しむ国民に所得税、個人住民税の減税という形で経済成長の成果を適切に還元すること、これは必要な政策であると考えております。

 今回の減税は、過去二年間の増収分に相当する三・五兆円、これを国民の皆さんにお返しをして、可処分所得の上昇をより強く実感していただくことでデフレマインドから抜け出していただく、それがデフレ脱却につながっていくもの、そうした持続的な成長につなげるために行うものでございます。単にお金をばらまくといったものとは考えておりません。

末松委員 財務大臣、あなたが国の金庫番なんですよね。こういった、莫大に金がかかるよということがもう見越されていて、じゃ、減税いいですかと総理がたとえ言ったとしても、鈴木大臣の立場としては、それは総理厳しいですよと言う立場じゃないですか、本当は。

鈴木(俊)国務大臣 議論の過程のことはお話を申し上げませんけれども、もちろん、今の厳しい、世界で一番状況が悪いと言ってもいい日本の財政事情でございますから、それを踏まえた議論というものも当然なされたわけであります。

末松委員 大臣がそのときに何と言ったかというのはどうせここでは明らかにはしないでしょうけれども、でも、これは常識で考えたらやはりおかしいぞとみんな思っちゃうから、この減税というのはなかなか評価されないんじゃないかとも思うんですよね。

 ちょっともう一つ聞きますけれども、大臣がおっしゃる、国民が今物価高で苦しんでいる、それは私も全くそうだと思うし、これに対する対策をきちんと政治が取らなきゃいけないと思っているんですけれども、もし今年税に増収がなかったら、そうしたら来年度は、今度はそういった還元というものはしないんですか。それとも、要するに、今回一回だけなのか、あるいはまた、これを継続的に、まあ、来年になって国民生活が急によくなるとは思えないんですよね、この物価高を見ると。それはどういうふうに考えていますか。

鈴木(俊)国務大臣 今回の総合経済対策につきましては、一部その狙いをお話をさせていただいているところでございますが、これは令和六年分の所得税、令和六年度分の個人住民税の減税を行うとされているために、複数年度にわたって実施すること、これは前提としていない、そのように考えております。

 具体的には、令和六年度税制改正に、税調の議論で決められるわけでございますが、我々としては、複数年度にわたって実施すること、これは前提としていないものと考えております。

末松委員 そういうふうにお答えになるから、複数年度では考えていません、今回単発で一回きりですと考えていますということであれば、じゃ、今年から来年にかけて総選挙がある、そのための対策だよねというふうに思わざるを得ないじゃないですか。どうですか。

鈴木(俊)国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、この総合経済対策を議論する中において、選挙を何か意識して議論したということはございません。

末松委員 これはどうせ問答の繰り返しになりますから、これ以上言いません。

 次に、私はPFAS問題について質問させていただきます。

 資料に、米軍がPFAS漏れということ、この報道記事を、沖縄タイムスの記事を書いています。

 これはどういうふうなことかというと、十一月三日の沖縄タイムスが、私の地元の多摩地域の横田基地というのがあるんですけれども、そこで、今年一月二十五、二十六日に、その横田基地において七百六十リットルの泡消火剤の汚染水を漏出させたということですけれども、これ、一リットル当たりPFAS濃度が日本の暫定基準値の五万四千四百倍だったと。とんでもない数字なんですね。

 米軍の内部文書によるということで、これはジョン・ミッチェルという方が研究して書いたんですけれども、米軍は事故後、側溝からの汚染水が、基地西部の福生市側にある排水口を吸収材で塞いだので基地外への流出はなくて、基地内外の公衆衛生や健康へのリスクはないとしているけれども、これは全く信用できない話でございます。

 事故現場から民間地の境界が約百メートルしか離れていないし、事故が起こってから二日間にわたってやっているわけですけれども、これがその後、吸収材で塞いだというので、どうしてもこれは、汚染水が側溝に流れ込んだり、写真を見ると、カラーの写真にわざわざしたんですけれども、本当に、汚染水が米軍基地内で流れた、こういう写真とか、あるいは、米兵と見られる人々が全面マスクを着けて清掃している様子が写っています。だから、基地の外にも汚染水が流れたということしか考えられないんですね。

 防衛省にお伺いしたいと思うんですけれども、米軍から、今年一月に起こったこのような事故のてんまつは聞いていますか。

宮澤副大臣 お答えいたします。

 PFOS等をめぐる一連の問題につきましては、地元の住民の皆様が大きな不安を抱えておりまして、PFOS等に対する関心も高まってきているものと認識しております。

 御指摘の事案についてでございますけれども、これまでには米側からの情報提供はございません。しかし、現在、事実関係につきましてアメリカ側へ確認中でございまして、引き続き、関係省庁と連携して、地元の皆様に、速やかに情報提供に努めてまいりたいと考えております。

末松委員 私を含めて、多摩の住人というのは、過去、二〇一〇年から一二年、このPFAS問題で血液検査をしたら、数百人の方から、全国基準の二倍から三倍近くのそういったPFASの濃度の血液ということでみんな発見されたわけですよ。本当にみんな困っていて、恐れを抱いていて、早く何とかしてくれというのと同時に、血液検査を私も私も、やってくれという方がもう後を絶たないし、これを私は国に要求しているわけです。

 今、PFAS問題というのは本当に新聞紙上を飾っているような大きな問題なので、これが、米軍が何か一月にそういう事故を起こした、でも、沖縄タイムスがこれをスクープするまで、今が十一月の八日ですから、もう十か月以上、何も日本政府は知らされない。これはちょっと、米側と日本側との間で通報システムというのはないんですか。それはひどいじゃないですか。

宮澤副大臣 お答え申し上げます。

 実は、日米間におきましては、一九九七年に在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続に関する日米合同委員会合意というものがございまして、これに基づきますと、有害物の流出等の結果として実質的な汚染が生ずる相当な蓋然性がある場合、こういう場合にはアメリカ側から日本政府に対して通報がなされるということになっております。

 御指摘の事案ですけれども、現在、事実関係を米側へ確認中でございます。通報対象に該当するかどうか、すなわち実質的な汚染が生ずる相当な蓋然性があるかどうか、これについて、現在のところではお答えをすることは控えざるを得ない状況でございます。どうか御理解をいただきたいと思います。

 いずれにしても、関係省庁と連携して、地元の皆様に、速やかに情報提供に努めてまいりたいと考えております。

末松委員 あなたは多摩に住んでいないから、そんなことが言えるんですよ。だって、こっちは、地下水が、PFASが横田基地の地下水に入って、そしてどんどん水質が汚染されて、それを飲んだ我々はみんな、そういった懸念と恐怖におののいているわけですよ。だから、米側の内部報告は、基地の内外で汚染の可能性はないと言い切っているわけですよ。そんなの、流れ込んだ後、何も、それで、後で吸収材をそこでやったから汚染はありませんということを信じるんですか。日本として、これは日本国民を守るという姿勢からかけ離れていますよ。しっかりしてくださいよ、そこは。

 二〇一〇年から二〇一二年の漏出事故が三回あったと米軍は報告しています。これは何リットルあったのか、私は夏に、防衛省からその量を確認してくださいねと言ったんですけれども、それはどうなっていますか。

宮澤副大臣 お答え申し上げます。

 横田飛行場内での漏出事案ということでよろしいですね。御指摘の三件の漏出量につきましては、アメリカ側から情報提供をいただいておりまして、二〇一〇年一月においては格納庫における約十九から三十八リットルの漏出、二〇一二年十月のドラム缶からは約九十七リットル未満の漏出、二〇一二年十一月の保管されていた容器からについては約三千三十リットルの漏出であった、いずれにしても、飛行場外への泡消火剤が流出したとは認識していないという説明を受けているところでございます。

末松委員 これは、今、話を合わせると、三千数百リットルが漏れているということですよね。これで、防衛省というのは、そこで各省連携で、それに対して環境調査とか、その辺を行ったんですか。

宮澤副大臣 このPFASの漏出に関する地下水への影響につきましてですけれども、これについて評価を行うことも検討されております。環境省の専門家会議における検討等を踏まえまして、関係省庁で連携して対応してまいりたいと考えております。

末松委員 とにかく私が申し上げたいのは、これは防衛省に言っても仕方のないことかもしれないけれども、私の地元の方にも聞いたけれども、全くそれが、今初めて聞いたわけですよ、量について。どんどんどんどんこうやって遅れていくわけですよ。

 私、ここはちょっと質問通告していませんけれども、財務大臣に、前から私、PFASについて予算を取ってくれという話をやっていますけれども、とにかくこのPFASの調査、特に、私は多摩の地域をメインにやっていますけれども、ほかの地域でもいろいろと、日本全国やっていますよ。それをしっかりと汚染調査をやっていただいて、そして、例えば調査あるいは検査を希望する方々に対しては、しっかりとそれを検査できるだけのお金の差配をお願いしたいと思いますが、いかがですか、財務大臣。

鈴木(俊)国務大臣 PFASにつきましては、先生からの御質問で初めて知った程度で、認識が浅くて申し訳ないわけでありますが、いずれにいたしましても、そうした手順を踏んで、例えば、防衛省と米軍との関係、そしてそれを受けて環境省がどういうような判断をするのか、いずれ、そうした所管の省庁から要望が出た際には、真摯に対応をして、よく関係省庁と財務省で検討をさせていただきたいと思います。

末松委員 それをしっかりお願いします。そして、今の答弁に対しては謝意を表します。

 それで、全く日米の関係、日米合同委員会というのがあって、そこでこのPFAS問題について話し合われているんですか。外務省、お願いします。

穂坂大臣政務官 お答えさせていただきます。

 ただいま出てきましたPFASをめぐる問題については、地域住民の皆様が大きな不安を抱えていると承知をしております。外務省としても、関係省庁と連携しながら今進めているところでございます。

 政府としては、これまでも、在日米軍施設・区域における環境問題について、必要に応じて日米合同委員会又はその下に設けられた環境分科委員会の枠組みを通じて協議、対処をしております。

 米側とのやり取りの詳細については、明らかにすることは差し控えさせていただきますが、外務省としては、PFASを含む環境問題についても、引き続き関係省庁と連携して、様々なレベルで米側と緊密に協力していきたいと思っています。

末松委員 今の答弁は、結局は役所の中の答弁で、結局、じゃ、どうなったんですか、日米合同委員会はどんな役割を果たしたんですか、PFAS問題について何か進展をさせてきたのか、これが全く分からない答弁でしょう。最後に、答弁を差し控えさせていただきますって、何も言わないってことじゃないですか。日米合同委員会は何をやっているんですか。

 これは本当に、日米合同委員会、アメリカ側がその発表を自制させるようにしたとか、そういうことを通じて発表は一切なきにして、勝手に自分たちでやってきて、そうして何の結果も国民に知らせないというのは、これは私は政治としてまかりならないことだと思っていますよ。

 私、今私ども立憲民主党で、私が外交・安保調査会長のとき、一年前くらいかな、そのときに日米地位協定の改定案を作って、基地における周辺の住民の健康とか、そういった問題については、もう日米合同委員会が一切何も結果を出さないんだったら、日米の2プラス2の大臣クラスでやって、そして結果を出してくれ、出すべきだという結論を得たんですね。

 そういった意味で、例えば、コロナの問題とか伝染病の問題、これは日米の2プラス2でやりましたよ。きちんと記者発表してやりましたね。そして、そのほかにも、例えば環境問題とかあるいは騒音問題、こういった基地の周辺の人々に大きな、甚大な影響を及ぼすことは、日米合同委員会が何の発表もしないんだったら、日米2プラス2で是非そこはやってくださいという要望を出します。いかがですか。

穂坂大臣政務官 お答えさせていただきます。

 米側とも、これまでも様々なレベルでやり取りをしてきております。本年一月の日米2プラス2においても、林前大臣から、PFASを含む環境に係る協力強化、これを要請し、その結果、2プラス2の共同発表においても、日米間で環境に係る協力を強化することを文書の形で確認したところでございます。

 いずれにしても、外務省としても、様々なレベルで米側と緊密に協力をしていきたいと思っています。

末松委員 是非よろしくお願いしますよ。私たち三多摩の住民、私はそうなんですが、ほかの全国各地に、被害者になっている方々は、もう一刻も猶予ならずにやってほしいと言っているわけだから。

 私の妻が水俣出身なんですよ。水俣病が、これが本当に、政治の失敗、不作為であれだけ大きな問題になってきた。私も水俣に行ってそういう問題をやってきたからこそ、水俣問題に対しても協力を惜しまないということでやっていますけれども、本当に第二の水俣にならないように、そこは、防衛省、外務省、そして関係省庁、是非お願いしたいと思います。

 ちょっとこれは切りもないので、最後に、今、何かまだ横田基地の方で九千五百リットルぐらい、この沖縄タイムスによると、残余の泡消火剤があるという話なので、これを、米側も予算がないから排水溝に捨てるようなずさんな管理をするわけですから、例えば日米で協力をして、その泡消火剤を何か中和させたり、適切な処分をしていくというような、そういうことをきちんと日本側も協力していただいて、やってください。そうすることによって、また横田基地が次なる事故を、放出事故を起こすというようなことが決してないようにしていただきたい。それはもう政府の方にお願いいたします。

 最後になりますけれども、このインボイス、時間がなくなったので紹介だけしておきますけれども、インボイス問題について移ります。

 この資料の、「インボイス制度開始一ヶ月実態調査から見える実害」と書いていまして、これはストップ!インボイスの方々がまとめていただいて、調べていただいて、二千件ぐらい、いろいろな御意見が上がってきたんですけれども、これは免税業者の方々の御意見です。ちょっと私が紹介して、最後、質問できればと思っています。

 一番目が、消費税を猫ばばしているという、こういった誤った批判に悩まされているという話ですね。又は廃業の危険があったり、生活困窮化したり、中には、子供を産むような余裕がないんじゃないか、つまり、少子化を助長している。あるいは障害者の方は、会計計算が莫大で、そして複雑化しているので、自分としてはもうやっていけないんじゃないかというふうに落ち込んでいらっしゃる方。さらに、この事務負担の急増、複雑化によって経費なんかを扱っているところがパンクしているとか、本当に大きな不満が出てきていますし、公正取引委員会も全然救済になっていないじゃないか、こういう御不満があったり、さらに、インボイス登録の個人情報公開が、非常にそこが情報が漏れて嫌だ、非常に不安だという意見があったり。あるいは、二割、五割という六年間の経過措置で、八〇%最初は控除が受けられるから、そこは何とか考えてくれと言っても、話合いに応じてもらえないとか、そういう様々な問題が出てきています。

 ちょっと時間がなくなったので、これを詳細にまた質問しようと思ったんですけれども、できなくなりましたけれども、財務大臣、こういう、本当に、一か月、大きな御不満あるいは不安、これをどういうふうに考えておられますか。そこはお聞きをしたいと思います。

 このアンケート、御覧になったと思いますけれども、それについての感想をおっしゃっていただければと思います。

 私、これを見ていて、本当に、誰がインボイスの導入でよくなったのか、利益を得たのかというと、こういった百五十八万人ぐらいの免税業者の方々はもうとんでもない状況で増税という形で苦しんでいるし、税理士業界さんもこの複雑な膨大な計算でこれまた大変な状況になっているし、また、税務署員の方に聞くと、あんなの一々やっていたら私たちも仕事がパンクしちゃうよという話になっていたり。

 だから、財務省の方は、捕らぬタヌキの皮算用で、全部インボイスの方が税金を納めたら二千五百億円程度の増収になるのかもしれないんですけれども、そういうことはあり得ないので、そこは、そういうことを含めて、ちょっと財務大臣、お聞きをしたいと思います。

鈴木(俊)国務大臣 インボイス制度でありますが、十月の一日から実施が始まったところでございます。

 しかし、インボイス制度については、国会におけます議論でありますとか、また、末松先生が会長をされております議連の意見書でありますとか、今日も資料をいただきましたが、そうしたことで様々な不安や御懸念の声があるということ、これはしっかり承知をしているところでございます。

 政府といたしましては、こうした不安のお気持ち、また、様々な御意見、懸念、そういうものに応えるべく、様々な手当て、例えば周知、広報でありますとか、相談対応、税制上の特例措置、補助金などによる措置など様々やってまいりましたし、今般の総合経済対策におきましても、事務負担軽減に資する取組の充実などをやっているところでございます。

 こうしたお声も踏まえながら、今後とも、こうした課題に対応できるためのフォローアップ、事業者の立場に立って一つ一つの課題に対応しなければならない、そういうふうに感じております。

末松委員 質問を終わります。

津島委員長 末松義規君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 十一月二日に、岸田総理、総合経済対策を発表されたということで、いろいろ記者会見もされておりました。その中で発言でございますが、賃金上昇が物価高に追いついていない現状においては、デフレに後戻りしないための一時的な措置として、国民の可処分所得を下支えする、現下の最優先は、デフレから脱却し、経済を成長経路に乗せる、このような発言をされています。一方で、国民は物価高で大変だ、こういうお話もあるわけでございます。

 本日資料でおつけしておりますところ、資料一には、「経済対策「期待」三七%どまり」、これは日本経済新聞の記事でございますし、また日本経済新聞の社説にも、「この経済対策では将来不安が増すだけだ」、このようにかなり厳しい評価になっております。

 厳しい評価になっている理由、たくさんあろうかと思いますが、一つは、一体、今回、この総合経済対策、物価高対策なのかデフレ対策なのかよく分からない、どっちなんだ、こういうこともあろうかと思います。私もよく分かりません。これはどっちなんでしょうか。大臣、お答えをお願いします。

鈴木(俊)国務大臣 端的に申し上げますと、物価高騰対策とそれからデフレ脱却、この二つを狙っている対策であると御理解いただければと思います。

 まず、今回の経済対策でありますが、春闘におきまして、三十年ぶり、三・五八、高い水準の賃上げがなされました。また、旺盛な設備投資、それからほかにも、株価も上昇したという明るい兆しが見えておりまして、三十年来続いたデフレから脱却する絶好のチャンスがめぐってきたと思っております。こうした前向きな動きをしっかりと維持拡大していくために、足下の物価高から国民の暮らしを守るとともに、賃上げや国内投資の動きを後押ししていく様々な施策を盛り込んでいるところであります。

 具体的に申し上げますと……(櫻井委員「もうそれでいいです」と呼ぶ)いいですか。両方ということで。

櫻井委員 両方ということなんですが、インフレ対策とデフレ対策、これは全く逆の話ですね。これを同時にやっちゃったら、何か効果が相殺されて、何もやっていないのと同じ、結果、財政出動だけで、借金だけが残るという、誠に、何か愚かな結果になるのではないのか、こういう心配をしているわけなんです。

 それから、あと、いい傾向が出ていると大臣おっしゃいましたけれども、今年に入って、実質賃金、マイナス二%とかそれぐらいがずっと、二%以上のマイナスが続いているわけですよ。これは全然いい傾向じゃないと思うんですね。

 かつてのデフレが問題だと言っていた頃は、実質賃金が、そうはいったってゼロ%の辺りで、これほど深くマイナスになることはなかったんですよ。だから、これだけ国民生活はますます厳しくなっているということですから、全然いいことじゃないと私は思います。

 今日は日本銀行の植田総裁にも来ていただいております。まず、財政出動が消費者物価に与える影響について、これは一般論としてお尋ねをいたします。財政出動は消費者物価にどのような影響を与えるでしょうか。

植田参考人 お答えいたします。

 一般論としてということでございますが、物価への影響は、財政政策の内容によって少しずつ異なってくるかと思います。エネルギー関係の補助金のような負担緩和策は、それが実施されている間、言うまでもなく、消費者物価上昇率を抑制するという影響をもたらします。これに対しまして、総需要に働きかけるいろいろな施策、これはもちろん、景気を刺激して財・サービスに対する需要あるいは雇用を増加させる効果を持ちますので、これが続けば、物価や賃金の上昇につながるという効果もあるかと思います。

櫻井委員 今総裁おっしゃられたとおり、物価を直接抑えるようなエネルギー補助金のようなもの、これは確かに、そのときは、やっているその瞬間は引下げ効果はあるんでしょうけれども、それ以外のものについては、一般的には消費者物価を引き上げる効果があるという御答弁でした。

 実際、本日おつけしております資料三にも、これは平成三十年三月二日の予算委員会の資料でございますけれども、このときには、当時、安倍総理は、財政出動も行う中で、人々のインフレ期待を起こさなければならない、このように発言しているわけでございまして、財政出動がインフレを引き起こす、こういうことだと思います。

 そこで、次に、今日は内閣府の副大臣として井林先生にも来ていただいておりますので、ちょっと質問させていただきます。

 先週、十月三十一日の参議院予算委員会で、蓮舫議員が質問しておりまして、それに対する岸田総理の答弁ということで、今年七月時点で内閣府年央試算を行ったところ、来年度中には名目賃金の伸びが消費者物価の伸びに追いつく、こういう答弁をしております。また、同じような発言は、十一月二日の総合経済対策を発表したときの記者会見でも発言をされております。

 そこで、資料の五と六を御覧いただきたいんですが、これは内閣府年央試算でございます。資料五の方が物価について、資料六の方に賃金のことについても書いてございます。

 一方、日銀の展望レポート、十月に発表されました。このときに、七月号の展望レポートで来年の消費者物価の伸びについて一・九%だったのが、十月には二・八%に大幅上方修正されております。

 内閣府のこの年央試算のポイントを見ましても、日銀の消費者物価の伸びに基づけば、来年度も賃金の伸びは消費者物価の伸びに追いつかないのではないのかな、こういうふうに見えるんですが、そうすると、岸田総理の発言は、これはちょっと整合しないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

井林副大臣 お答え申し上げます。

 まず、総理がおっしゃられたのは、今年七月時点で内閣府年央試算を行ったところ、来年度中には名目賃金の伸びが消費者物価の伸びに追いつく、こういった試算もあるということでございます。また、民間エコノミストの見方、実質賃金がプラスに転じるというのは二〇二四年度ないし二〇二五年度という見方が多い、こういった様々な評価があるということと承知をしてございます。

 ただ、一方で、委員御指摘のとおり、十月三十一日に発表されました、日本銀行の政策委員による二〇二四年度の物価見通しの中央値は、七月時点のプラス一・九からプラス二・八に上方修正されたことは承知をしております。

 しかしながら、賃金と物価の関係は双方向でございまして、物価が上がるから賃金が上がる面と、賃金が上がるから物価が上がる面の両面があるというふうに存じております。どちらか一方を取り出して確たることを言うことは困難だというふうに承知しております。

 政府といたしましては、三十年ぶりの賃上げというまたとないチャンスを生かして、今年から来年、更にそれ以降に向けてしっかりとしたこの賃上げの流れをつなげ、また、中小企業や地方にも広がる、こういう環境整備に全力を挙げ、こうして、できるだけ早期に賃金上昇が物価に追いつく姿を目指してまいりたいと考えております。

櫻井委員 日銀の展望レポート、これが政府及び政府関係の機関が出しているものとしては最新のものだと思いますので、それが約一%消費者物価が上がると上方修正しているわけですから、それを見ると、じゃ、賃金がそこまでそれに釣られて上がるのかというと、そこはちょっと定かでもない、やはり来年も厳しいのではないのかなというふうに見るのが素直な見方ではなかろうかというふうにも思います。

 こうした物価の見通しについて、日本銀行はこれまで、政府もそうですけれども外し続けてきているということについては、例えば資料七で、これは階議員が衆議院の決算行政監視委員会の分科会で植田総裁に質問して、価格転嫁はまだまだ進んでいくんじゃないのか、物価上昇率は今後も二%を上回る状態が続く可能性が高いというふうに指摘をしていたにもかかわらず、植田総裁は、そろそろピークを迎えるというふうに答弁をされているわけなんですね。こうやって外し続けているわけです。ですから、こうした見通しは甘いんじゃないのかなと。

 消費者物価は昨年三%ぐらい上がっていますけれども、企業物価は一〇%ぐらい上がっているわけですよ。ということは、企業物価が一〇%上がって消費者物価が三%ですから、差分の七%、これはまだ価格転嫁できずに積み残している。この部分をずっと企業がかぶり続けるわけにいかないですから、これがまた今年もじわじわと出てきているというのが昨今の物価上昇の状況ではなかろうか、こういうふうにも考えるわけです。

 こうした日本銀行が物価の予想を外しまくっているという姿については、階議員も先ほど提出されておりましたけれども、私も重ねて、資料八として提示しております。これを見ると、日本銀行は過去十年間ことごとく物価予想を外しているということで、十回中十回とも外すというのはなかなかの確率だと思うんですね。いいかげんに、適当にやっていたら半分は当たるはずなので、確実に外すというのは、ある意味すごいことだと思います。

 そこで、ちょっと総裁にお伺いをしますけれども、今回の展望レポート十月号は、十一月二日に発表された総合経済対策の効果を盛り込んでいるんでしょうか。先ほど、財政出動は一般論として物価を引き上げる効果があるというふうにおっしゃられておりましたけれども、その効果は盛り込んでいるのかどうか、お答えいただければと思います。

植田参考人 お答えします。

 エネルギー関係の補助金が来春、来年の春頃まで延長されることになったという点は織り込んでございます。その他の最近発表されました施策については、十月に発表しました見通しにはまだ織り込んでいませんので、次の見通しである一月の見通しの際に精査して取り込みたいというふうに考えております。

櫻井委員 今のお話ですと、総合経済対策の中の物価を押し下げる効果については織り込んでいます、物価を押し上げる効果については織り込んでいませんということなので、一月号ではまた上振れする可能性がある、このように受け止めさせていただきました。

 あと、財務大臣にもお伺いいたしますが、岸田総理は十一月二日の記者会見で、来年度、これは賃金が物価に追いつく上で、デフレ脱却ができるかどうかということにおいて、これは正念場であると認識しています、ここに的を絞って、デフレに後戻りさせないための一時的な措置として、所得税、住民税の定額減税を行うことを考えましたと。賃金が物価に追いつかなければ、またこういう政策をやるということなんでしょうか。

 という話からすると、先ほど指摘させていただきましたけれども、物価はまだまだ、政府予想、それから日本銀行の予想、今出しているものよりも更に上振れする可能性はあるわけなんですけれども、そうすると賃金上昇が追いつかない。そうすると、一時的な措置、一回で済まなくなってくるのではなかろうかというふうにも考えるんですが、大臣、いかが見通しをされていますでしょうか。

    〔委員長退席、井上(貴)委員長代理着席〕

鈴木(俊)国務大臣 我々としては、構造的な賃上げということ、これを目指しております。今年は三十年ぶりに春闘において三・五八%上げることができました。この流れを更に強化して、来春の春闘においても更に継続した賃上げということを目指してまいります。

 これはまだ実現はしておりませんけれども、一つの大きな目標として、それに向かって、賃上げ税制の更なる強化でありますとか、賃上げを行う中小企業に対する支援でありますとか、そういうようなこともしながら、それを目指してまいります。

 そうしたものが実現をされるであろうということを前提に考えますと、ちょうど来春の六月頃が、こうした実質賃金がプラスに転じるかどうかという一つのタイミングなんだと思います。そこに合わせて、今回、減税ということで対応するということに、タイミング的に言えばしたわけでございます。

 したがいまして、賃上げというのはまだ実現されておりませんけれども、それに向かって最大限努力をしてそれを実現したい、そういう思いの中で、今回は複数年にわたって減税を行うということは想定していない、こういうふうに思います。

櫻井委員 今いろいろ御答弁、来年の見通しについて御説明いただきました。来年の六月に一体どうなっているのか。私はその見方は甘いんじゃないのかなと思いますので、そのことは指摘をさせていただきます。どっちの見通しが当たるかということを来年見たいと思います。

 春闘とおっしゃいますけれども、春闘をできるのは労働組合があるところなんですよね。労働組合がなかったり、ないしは、あっても余り活発に活動できていないような、そういった会社、小さなサイズの会社に多いわけなんですけれども、そういったところは全然賃上げできていないわけですよ。

 更に言えば、輸出企業は、円安で、ある種ぬれ手にアワのような利益で大幅増益ということで、だからその分は輸出企業はできるかもしれないけれども、しかし、輸出企業に部品を納めている会社はそこまで恩恵が来ているかというとそうでもないですし、ないしは、輸入企業、海外から輸入して国内で商売をしているような会社は、全くこの逆で、円安によって大変な苦労をしているわけなんです。

 そういったことを考えると、悪い円安によって、むしろ賃金上昇というのはこれから厳しくなるのではなかろうか、そういうふうにも思いますので、指摘をさせていただきます。

 それから次に、日本銀行の総裁に改めてお尋ねをいたしますが、十月三十一日の総裁の記者会見で、イールドカーブコントロールの下で粘り強く金融緩和を継続することで、経済活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていく方針です、このようにお話しされています。これはすなわち、金融緩和と賃金上昇との間に相関関係がある、これが前提となってのお話のように聞こえるわけなんです。

 政策金利と実質賃金の上昇率に相関関係はあるんでしょうか。金利が低いときには賃金上昇率が大きい、そういう関係があるのかどうか、お答えください。

植田参考人 お答えいたします。

 一般論としまして、金融緩和政策は、名目の金利をまず引き下げ、それが実質金利の引下げを伴いますと、財・サービスに対する総需要あるいは雇用を刺激して、労働需給の引き締まりを通じて賃金の上昇に寄与するというふうに考えられます。

 ただ、過去のデータを見た場合に、例えば金利の水準と実質賃金に相関があるかどうかということになりますと、労働需給には様々なほかの要因も作用いたしますので、単純に両者の間に決まった関係が見られるという統計的な証拠は必ずしもないのではないかというふうに見ております。

    〔井上(貴)委員長代理退席、委員長着席〕

櫻井委員 今総裁に御答弁いただいたとおり、資料九を御覧いただきますと、日本の短期政策金利の推移、それと実質賃金の指数、これを対比しますと、実質賃金は上がったり下がったりして、しかも、一%からマイナス一%、悪いときにはマイナス二%になっておりますけれども、この範囲で動いておって、必ずしも政策金利と相関関係があるようには見えないということでございます。これは総裁おっしゃられたとおりです。

 理屈としては、波及効果があるかもしれないと期待はするんですけれども、実際はそういうエビデンスはないということですから、そうすると、十月三十一日に植田総裁がおっしゃられた、賃金が上昇しやすい環境を整えていくということにはならないんじゃないのかなと思うわけなんですね。

 賃金が上がらないから金融緩和を続けるんですとずっとおっしゃっているんですけれども、金融緩和を続けたからといって、賃金が上がるとは限らない。むしろ、悪い円安によって、それこそ輸出企業以外の多くの産業において賃金が上がらず大変苦しい状況になってしまって国内消費が冷え込んでいるということで、かえってマイナスになるんじゃないのかな、こういうふうにも考えるわけです。

 賃金のことについて、総裁に重ねて質問させていただきます。

 十月三十一日の記者会見では、賃金という言葉、二十五回使われているんですね。岸田総理も、賃上げ、賃金上昇ということを繰り返し言われております。ところが、毎月勤労統計の実質賃金の上昇率を見ますと、直近九月はマイナス二・四%、昨年四月から十八か月連続でマイナスという状況です。

 これも一般論として総裁にお尋ねしますが、実質賃金を上げるにはどのような政策を実施すればよろしいでしょうか。そして、それらの政策のうち、日本銀行が取り得る、できること、できないこと、いろいろあると思うんですけれども、できることはどれでしょうか。

植田参考人 実質賃金でございますが、長い目で見ますと、やはり労働生産性の伸びが非常に大きな決定要因であるということだと思います。したがいまして、長い目で実質賃金が上昇していくためには、イノベーションを含む様々な技術進歩で労働生産性が高まるということが重要だと思います。

 金融政策はということになりますと、先ほど申し上げましたように、金融緩和政策で、やはり実質金利を低位に保つということで経済を刺激して、それが労働需給の引き締まりを通じて賃金の押し上げに寄与していくというメカニズムを頼るということになると思います。そういうこともありますので、現在、イールドカーブコントロールの下で粘り強く緩和を継続して、賃金の上昇が起こりやすい環境を整えていく方針でございます。

櫻井委員 労働生産性を向上させることが実質賃金を向上させることにつながるというお話でございました。

 先ほど末松議員からもインボイス制度の話がございましたけれども、インボイス制度、これは事務は煩雑になるけれども、これで利益、売上げが伸びるわけでは全くありませんので、むしろ売上げは減るかもしれないという話なので、これは労働生産性を下げていますよ。これじゃ、賃金が上がるどころの話じゃなくなると思うんですよね。だから、もうインボイス制度をやめましょうということをまず御提案させていただきます。

 その上で、ちょっと総裁に重ねて質問なんですが、今、労働生産性が上がれば賃金は上がるとおっしゃったんですが、資料十を御覧いただきますと、実質賃金と労働生産性を重ねてみたんですが、労働生産性、それなりに日本も上がっているんですよ。この二十年間、三十年間で上がっているんですが、ただ、実質賃金は全然上がっていない。むしろ、何か逆の相関、労働生産性が上がっているときでも実質賃金は下がっちゃっているという逆相関になっちゃったりしているところもあるんですよね。これは何でこんなことになるんでしょうか。

植田参考人 労働生産性と実質賃金、両者の関係の間には、労働生産性以外の労働需要、供給に影響を与えます様々な要因が入ってきて、その関係を乱すということがあるかと思います。例えば、九〇年代初めにかけて、企業が、よい景気が人手不足の下で長く続くだろうというふうに思って人をたくさん雇ってしまった。その後に、バブルの崩壊が来て人手が余ってしまった。その調整が賃金の低下という意味で長引いてしまった。あるいは、その後、パートタイマーの比率が上がってきた。いろいろな要因が間に入って、両者の関係が乱されるということがあるかと思いますし、この労働生産性のデータと実質賃金のデータについても、時間当たりのものなのか一人当たりのものなのかを含めて、もうちょっと検討させていただけたらと思います。

櫻井委員 短期的にはいろいろな景気の変動の調整とかがあろうかと思いますけれども、これは三十年で見ていますからね。これはやはりちょっと、しかも、先ほど総裁おっしゃられたとおり、労働生産性が向上すれば賃金は上がるというのは、多分、二十世紀の日本はそうだったと思いますし、バブル崩壊以前の日本はそうだったし、少なくとも一九九七年頃まではその相関の強さはあるにしても、そういう傾向はあったんでしょうけれども、それ以降はそうじゃなくなってしまっているということ。世界的に見ても、日本以外の国ではおっしゃられたとおりの関係があると思うんですけれども、今世紀の日本だけ、こんなずれちゃっているわけなんですよね。やはりここに何でこんな問題があるのかということをちゃんと分析しなきゃいけないと思います。

 私は、一番、今世紀の日本が独特なのは、派遣労働制度が非常に大きくて、広くなっちゃったというところがあろうかと思います。こういった雇用の不安定化が、こうした労働生産性が上がっても賃金が上昇しない原因の一つなのではないのかな、そのほかにもいろいろありますけれども、そういった日本の間違った政策が原因なのではないのかなというふうに考えておりますので、この点はまた別の場で議論させていただきたいと思います。

 結局のところ、金融緩和を続けても、賃金が上がる保証はないわけです。この十年間そうやってやってきましたけれども、賃金は上がらなかった。黒田総裁は二年で二%とおっしゃられましたけれども、できなかった。九年たってようやく物価が上がったと思ったら、これは海外要因だったということで、二年で二%という期限、守らなかったわけですよね、守れなかったわけですよ。

 全然ちょっと違う話を引き合いに出しますけれども、小説の「走れメロス」、これは三日間という約束をちゃんと守ったから、あの感動的な話になったわけですよね。ですから、二%、二年以内と言っていたのに、二年どころか、待てど暮らせど来なかったということですので。しかも、その間、こうやって悪い円安を引き起こし、財政出動してしまっているということで、これは、財政出動が物価高を助長するというようなことを続けていれば、更にまた来年、物価高対策で財政出動ということにもなるかもしれない。財政が悪化することによって通貨の信認を損なわれるというようなことで、悪いサイクルがどんどん続いてしまうのではないのかな、こういうふうに心配するわけです。

 今日、資料の十二におつけしました。今からちょうど五十年前、大蔵大臣の所信が衆議院大蔵委員会でございました。このときの当時の大蔵大臣、福田赳夫大蔵大臣ですけれども、昭和四十八年度補正予算は、節度ある財政運営に徹することを基本として編成しました、金融面におきましても、引締め基調を堅持する、こういうふうに言われているわけなんです。

 ちょうど五十年前、狂乱物価と言われた時代でした。福田赳夫大蔵大臣は、田中角栄内閣の看板政策、日本列島改造論、これを棚上げにして、財政出動を抑制して物価高を抑えようとしたわけです。これは国民に非常に不人気でしたし、福田赳夫大蔵大臣は貧乏神というふうにも言われたりしました。それでも、経済合理性のある政策を実施する、それが国家財政を預かる財務大臣の職責だというふうに考えますが、最後に、財務大臣、この五十年前の福田赳夫大蔵大臣、この姿勢をどのようにお感じになりますか。

津島委員長 鈴木財務大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

鈴木(俊)国務大臣 当時、狂乱物価という中で、総需要抑制政策というのを思い切って取られた、いわばかじを大きく切ったんだと思います。そういう意味におきましては、福田大蔵大臣の大きな考えの中で行われたことであると思います。

 全体的な話になりますが、このときに比べますと、日本の財政状況というのは厳しさを更に増しているわけでありまして、財政健全化という観点もしっかり踏まえながら、これから来年度の予算編成も始まりますので、しっかり対応しなければいけないと思っております。

櫻井委員 経済状況とかは全然違いますので一概には言えないですが、ただ、増税眼鏡と言われて減税に走ったりというような姿勢ではなくて、やはり貧乏神と言われてもちゃんとやるべきことをやる、これが政治の役割だということを最後に申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

津島委員長 櫻井周君の質疑は終了いたしました。

 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 岸田総理は、今回の経済政策で、賃上げを実現する成長戦略を立てたと言われているようでありますが、それが本当にできるのか、政府の考えをただしてまいりますので、鈴木大臣始め答弁者はできるだけ簡潔にお答えいただきたいと思っています。

 まず一つ目は、日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方についてお伺いします。

 一つ目は、失われた三十年をつくった主な要因をどう捉えているのか、是非、政府の考え方を簡潔に教えてください。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 失われた三十年という問いでございますが、大変複合的な要因が絡み合っている、エコノミストの間でも意見が分かれるところと思います。

 政府としては、例えば、冷戦の終結、あるいはグローバル経済の進展、それから発展途上国の経済の拡大などの社会経済の変化、あるいは日本経済、あるいは社会で起こった不良債権処理、あるいはアジア通貨危機、リーマン・ショック、阪神・淡路大震災、東日本大震災の二度の大震災、そして新型コロナの感染拡大など、こうした外生的な要因もあり、こうした複合的な要因の中で日本経済が進展してきた。こうした中で、企業は、足下の収益の確保、あるいは不確実な時代、変化の速い時代に対して収益をしっかり確保するという中で、投資がなかなか進まない、あるいは賃上げをなかなか上げることができない、こういう、当時としては合理的と考えられるような意思決定の中で、日本経済全体としては低物価、低賃金、低成長のような悪循環に陥ってきた。これが結果的に、三十年間の日本経済、失われた日本経済という状況に陥ったというふうに考えております。

福田(昭)委員 いろいろな要因があるかと思いますが、私は、大きく言うと、九九年から始まった円安政策、それこそ黒田さんの異次元の金融緩和で進むんですが、九九年から始まった円安政策。それから二つ目は、やはり景気を悪化させる消費税の創設と増税。それから、非正規雇用をやはり拡大してきた。四割弱にもしちゃった。今、フルタイムで働いている人が日本は何と四五%しかいないというんですよ。だから、やはり、フルタイムで働く人、男性も女性も働ける人はちゃんとフルタイムで働いていただくという雇用制度が必要だと思っております。

 そんな中で、資料を提供しましたので、それを是非御覧ください。

 この資料は、信金中央金庫の地域・中小企業研究所がやった、従業員二十人以下が約七割だそうですが、全国の中小企業景気動向調査、日銀短観とこれを重ね合わせたものであります。これを見ると、見事に一致しているんですが、私が一部加筆修正しましたのは、この資料が実は九〇年からできておりまして、八九年、消費税三%創設したことが入っておりませんでしたので、これを入れました。それから、最後で、今度は、今年の十月からの消費税インボイス制度、これも私が入れました。さらに、上の赤いタイトル、「消費税を増税すれば必ず景気が冷え込む!!→失われた三十年の実態!!」というのを入れました。

 これはまだまだ完璧じゃないんですが、ここに今申し上げたようなゼロ金利政策の経過を入れる、それからもう一つ、やはり派遣労働者がどういうふうにして、どんどんどんどん改正されたりして、ちょうど小泉・竹中構造改革のときに、今まではプロフェッショナルだけだったものが、実は一般工場の労働者まで全部解禁された、これによって非正規雇用がどんどん増えていった、ここも入れると相当いい資料になるのかな、こう思っております。

 簡単に申し上げますと、平成元年に消費税をつくりました、その後、九〇年、平成二年にバブルがはじけて、どんと景気が落ちました。よくなってきたなと思ったら、今度は阪神・淡路大震災があったり、消費税五%、アジア通貨危機もあって、またどんと落ちました。またよくなってきたなと思ったら、今度はITバブルで落ちました。またよくなってきたなと思ったら、いよいよ今度はリーマン・ショックで落ちました。またよくなってきたなと思ったら、消費税の八%で景気が停滞をして、またよくなってきたなと思ったら、今度は消費税の一〇%、新型コロナ、米中貿易摩擦もあるのかもしれませんが、それでまたどんとおっこちました。またよくなってきたなと思ったら、ここに来て消費税の実質増税のインボイス制度導入と。

 これがまたどんな影響を与えるかというのはこれから出てくるかと思っていますが、私は、いろいろ今答弁いただきましたけれども、いろいろな複合的な要因があって失われた三十年ができたんだと思っていますけれども、そこに必ず、要するに景気を落とすための要因をつくっちゃったのがまさにこの消費税だと思っています。消費税を創設したことと増税してきたこと、これが失われた三十年をつくってきたんだ、こういうふうに思っております。

 こんなことを前提にこれから質問をしてまいりたいと思っていますが、時間の関係で、括弧二から括弧五は内閣官房や内閣府の皆さんにお聞きする予定でしたが、ちょっと時間が足りませんので、後ろの方へ行きます、二つ目の。

 次に、経済社会の構造変化に対応した税体系全般の見直しについてお聞きをいたします。

 一つ目は、税体系全般の見直しの基本的な考え方についてであります。

 第一点、政府税調の租税原則、公平、中立、簡素で、多くの人から納得感を得られるような税制が本当にできるのか、新自由主義の株主第一主義を改めるべきではないか、こう思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

鈴木(俊)国務大臣 税は行政サービスの費用を賄うための重要なものでありまして、国民一人一人に税金を納めていただく際、納得感を持っていただくこと、これはもう大切な視点である、そういうふうに考えます。そのためには、公平、中立、簡素という租税原則や、経済社会の構造変化等を踏まえつつ、所得税、法人税、消費税などを適切に組み合わせながら、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を築いていくことが必要であると思っております。

 その上で、株主に過度な配慮がされており、法人により多くの税負担を求めるべきというお考えもございますが、我が国の法人所得課税の……(福田(昭)委員「それは後でいいですよ、後で。まずそこまで」と呼ぶ)はい。先ほど申し上げたようなことでやってまいります。

福田(昭)委員 大臣も法人企業統計を管轄している大臣ですから御存じだと思いますが、法人企業統計によると、剰余金の配当の推移、過去五年間を見てみますと、金融業、保険業を含めますけれども、平均配当率は全産業で五二・九%、金融、保険業だけだと六六・七八%です。相当、高配当していますよね。利益剰余金の推移を見てみますと、何と令和三年度は五百八十五兆円、いわゆる内部留保資金ですね、令和四年度末が、九月一日に発表されましたけれども、六百二十七兆円です。何と日本の一年間のGDPを上回るような貯金を法人企業がため込んだんですよ。一方、労働分配率は全く上がっていません。ですから、日本の企業がいかに働く人を大事にしてこなかったか、そういうことが明確に大臣が所管している法人企業統計に表れております。

 第二点ですけれども、余りにも不公平な税制なので、応能負担の原則について、国の基幹三税、消費税、法人税、所得税、金融所得課税を含む、の抜本的な見直しが必要ではないか、こう思っております。

 令和三年度、四年度の決算を見ますと、二か年度で当初予算と比べてどれだけ税収が増えたのか。計算をしてみましたけれども、法人税が何と六兆二千四百九十六億円、所得税が四兆八千五百四十九億円、消費税が三兆一千百九億円であります。しかし、総額は、消費税が四十四兆九千六百七十八億円、所得税が四十三兆九千三十九億円、法人税が二十八兆五千八百二十六億円。

 どうですか、この数字を聞いてみて。法人税が一番少ないんですよ。それで、消費税が断トツの一位です。こんな、余りにもいびつな、不公平な税制はありません。ですから、こういうものをやはり改めるということが一番大事ですよ。

 しかも、現状を見れば明らかなように、消費税というのは、景気がよくなっても、税収が増える弾性値、これはたった一なんですよ。たった一。しかし、法人税や所得税は一以上なんですよ。しかも、法人税は、景気がよくなると、赤字法人まで黒字になっちゃうから増えるというんです。

 ですから、これは、消費税に偏った税制では全く日本の国は駄目になるばかりだということを申し上げたいと思います。

 この話をすると長くなっちゃうからあれですが、ヨーロッパが何とか国民が我慢しているのは、教育費が無償だったり、あるいは、いざというときの医療や介護が無償だったりするから。年金が十五万ぐらいでも、いざというときに心配ないから、お金を全部使っちゃっても大丈夫なんですよ。

 だって、日本の国を考えてみてください。一時、老後の資金二千万という話がありましたけれども、きんさん、ぎんさんというおばあちゃんがいたじゃないですか、双子の。きんさん、ぎんさんが、マスコミにそんなに稼いでどうするんですかと言われて、何と言ったと思いますか。老後の備えですと言いましたよ。百歳のおばあちゃんがですよ。それほど日本の社会保障制度というのは全くしっかりしていないんですよ。

 ですから、そういうことで、やはり不公平な税制を正さなきゃならないというのが一つ。

 それで、そんな中で、括弧二の方へ行きますが、消費税の抜本的な見直しについてであります。

 第一点は、消費税の最大の欠点は何かということでありますが、大臣は何だと思いますか。

鈴木(俊)国務大臣 一般に、取引価格への転嫁が予定されている消費税につきましては、高所得者より低所得者の方が所得に対する消費税の負担率が高くなるという、いわゆる逆進性が課題として指摘されているものと承知をいたしております。

福田(昭)委員 逆進性は、本当に低所得者にとっては重い税金になります。

 しかし、もっと最大の欠点は、先ほど申し上げたように、消費税を増税すれば必ず景気が冷え込むことなんです。必ず景気が冷え込むんです。大臣もこの間答えてくれましたけれども、消費税を上げれば物価がその分だけ上がる、消費税を下げればその分だけ下がる。大臣も、消費税を下げたら物価は下がりますかと私が聞いたら、いやいや、下がりますと答えたじゃないですか。ですから、消費税というのは、まさに物価を上げたり下げたりできる税金なんですよね。それは消費に対する罰金のような税金だから、そういうようなことになるわけであります。

 一方、令和五年度の国と地方の消費税の収入見込額を見ると、何と四十兆六千七百三億円、収入見込額ですよ。ところが、輸出免税還付金を中心に、還付金額が十兆六千九百八十一億円。二六・三%は輸出産業を中心に還付しちゃうんですよ。二六・三%ですよ。景気を冷やしておきながら、輸出産業だけ潤っちゃう。

 一方、先ほど末松議員からも、あるいは櫻井議員からも話がありましたけれども、インボイス制度はどうですか。一千万以下の売上げの人たちは、彼らだって仕入れのときはちゃんと消費税を納めていますよ。売上げそのものが少ないんだから、そうした中で、同じ輸出産業は免税となっているわけでありますが、インボイス制度で、一千万以下の人たちは、今度インボイスで納めざるを得なくなっちゃう、あるいは、もしかすると廃業せざるを得なくなっちゃう。本当に、収入は減るし、とんでもない状況になっちゃうわけであります。これが消費税の本当に欠点であります。ですから、消費税に頼った財政健全化はできません。

 2の本年六月九日の財金、これについては時間の関係で次の機会に送ります。主税局長が何かうそばかりしゃべっていたのを三点ばかり、イ、ロ、ハと挙げましたけれども、これは次の機会に譲ります。

 次に、3の、第三点でありますが、基幹三税の抜本的な見直しをして、軽減税率とインボイス制度を廃止すべきではないか、こう私は思っております。

 日銀の九月の生活意識に関するアンケート調査によりますと、生活にゆとりがないと答えた人が六割。その原因は何だと言ったら、物価が上がったからが何と八八・七%。大臣、この間の質問では実質賃金が十三か月連続下がったと言いましたけれども、つい最近では、もう九月の実質賃金が出ましたけれども、これが二・四%減で、何と十八か月連続減です。それからさらに、総務省が発表した個人消費も二・八%減で、これも七か月連続減です。

 ですから、相当物価が上がって、賃金は物価が上がるほど上がっていない。ですから、みんな消費をどんどんどんどん縮めておりますよ。縮小しておりますよ。そうなったら経済成長しないじゃないですか、本当に。そういう意味では、日本の経済成長は、昔は、最大、個人消費が六割だ、設備投資が二割だと言っていたけれども、今そうなっていないじゃないですか。個人消費も何か五五%ぐらいだとか、設備投資も一五%ぐらいだと。六割、二割に届いていませんよ。

 ですから、ここはやはり、しっかり日本の経済を成長させるためには個人消費がちゃんと伸びなくちゃならない。そのためには賃上げが必要なわけでありますが、そうなっていないというのが現状じゃないですか。だって、企業は、これから話をしますけれども、法人企業はもう内部留保資金ばかりため込んで、働く人には働かない。株主にはたくさん配当するんですよ。

 そういう状況でありますから、そういった意味では、是非、大臣、どうでしょう、これは、所得税を減税するよりも消費税を減税した方が経済がよくなりますよ。国民も消費者も喜びますよ。いかがですか、大臣。下げませんか。

鈴木(俊)国務大臣 消費税につきまして、先生からずっとお話をいただきました。

 実質賃金がマイナスになっている中で、消費を刺激する中で、消費税を減税したらよいのではないか、こういう御提言でございますが、消費税につきましては、政府といたしましては、急速な高齢化に伴い、社会保障給付費が大きく増加する中におきまして、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられていることから、その引下げを行うこと、これは適当ではないと考えておりまして、岸田総理からも国会答弁等でしばしば表明をしているところでございます。

福田(昭)委員 大臣、日本は人口減少、もう八十万人を切っちゃった。昨年の合計特殊出生率、一・二六ですよ。これから働き手もいなくなっちゃう。そういう中で、赤ちゃんから寝たきりのお年寄り、働くったって働けない人たちからも消費税を取るんですよ。ですから、働き手がいなくなっちゃった中で、じゃ、たくさんかかるお金をそういう人たちから取るんですか、これから。これからどんどんどんどん少子高齢化になっていく、消費税を二〇%と上げていくんですか。違うでしょう。

 法人にだって人格が与えられているわけですよ、法人格という。法人が、やはり日本の国があるから内部留保資金だってたくさんため込めているんでしょう。ですから、法人はしっかりと、やはり社会貢献の一つとして、雇用を守ったり税金を納めるという役割を果たすべきなんです。

 先日、実は、経団連の皆さんから税制要望を聞いたときに私は言いました、法人税に累進税率を入れたいと思っているんだけれども、どうだいと。中小企業が、八百万以上は二三・二%、二兆八千億円も利益があったって二三・二%。余りにも不公平過ぎるでしょう。経団連は一生懸命頑張ってくれているのは非常に感謝をするが、社会貢献が足りないと言ったら、何と言ったと思います、経団連から来た本部長。歴代の経団連会長は、社会貢献として税金を納めると言っていますと言う。心配ありませんから、法人税に累進税率を入れるということを是非検討してみてください。

 これは本当にびっくりしますけれども、報道によりますと、ベトナムでも消費税減税を今までやっていましたけれども、しかし、これから更に経済をよくするために、来年六月まで延期するそうです。その目的は消費者の購買力向上です。消費者の購買力向上をさせれば、企業と消費者の双方に利益があるからだというんですよ。ベトナム政府がこう考えているんですよ。日本の政府ができないわけないじゃないですか。しかも、消費税五%というのはもう既に今までやっていたから、そのシステムだってあるわけだから、所得税で難しい計算をするよりは、こっちの方が楽に出てくると思いますよ。システムもできちゃうと思いますよ。

 ですから、来年の六月なんて本当に待たないで、法律ができちゃえば、すぐにもしかすると実行できちゃうかもしれませんからね。ですから、やはり、減税するなら、評判の悪い所得税ではなく、消費税にするべきだと思っています。

 同時に、やはり、こちらの方はお答えいただきますが、これも評判の悪い軽減税率八%とインボイス制度を廃止すべきだ、こう思っていますが、いかがでしょうか。

鈴木(俊)国務大臣 消費税率の引下げにつきましては、先ほど既に政府の立場としてお話をさせていただいたところでございます。

 その上で、インボイス制度を、消費税を単一税率にして、廃止したらどうかという御提言であったと思いますが、インボイス制度は、複数税率、軽減税率の中で、しっかりとした納税をしていただくという中で必要な制度である、こういうふうに思ってございます。

 複数税率につきましても、毎日のお買物の中での痛税感を和らげるという趣旨で導入をしたものでございますので、単一税制に戻すということも政府としては考えていないわけであります。複数税率の下では、インボイス制度、これは必要なものと考えております。

福田(昭)委員 それでは、時間がなくなってきましたので、大変残念ですが。

 だって、この間も質問しましたけれども、消費税が、社会保障四つの政策、年金、医療、介護、子育て対策に充てているなんていったって、それは言葉で言っているだけであって、本当にそのお金を充てているかどうか全く分からないわけですからね。証明のしようがない。ですから、そういう財務官僚のうそにだまされちゃいけませんよ、大臣。

 次に行きます。

 時間の関係で、括弧三と括弧四と括弧五、一緒に言っちゃいますけれども、法人税の見直しでありますが、実は法人税については、消費税創設前は留保分と配当分に課税しておりました。しかし、消費税をつくってから一本化をして、税率をどんどんどんどん下げていきました。したがって、中小企業と大企業の不公平感が物すごいものになっております。

 ですから、隣の韓国、四段階入れています。それから、アメリカもトランプ大統領以前は四段階、法人税に累進税率を入れておりました。我が国も、そういった意味では、しっかり法人税も公平な税金にするためには、やはり累進税率を入れて、担税力に応じて負担してもらうことによって、実はこれは賃上げ税制にもなりますからね。政府がやっている、賃上げしたら減税するというよりは、累進税率を入れて、担税力に応じて大企業にも負担してもらう、あるいは中小企業にも少し。中小企業の法人税は減税するというと、やはり両方の経営者はどちらも、経営者のマインドとして、何だ、そんな税金を取られちゃうんじゃ、社員の給与を上げようとか設備投資しようとか、必ずそう思いますから。自分が経営者だったら、私、そう思いますから。

 ですから、そういう形で法人税に累進税率を入れれば、それこそ子育ての予算なんてすぐ出ちゃいますよ。子育ての予算倍増なんと言っていますけれども、保険組合から負担金を出させるなんて、これもまた評判が悪過ぎる。ですから、そんなことを考えたら、法人税に累進税率を入れたら、子育ての予算も簡単に出てきますよ。私ども試算しておりますけれども、今日はそれを話す時間はありませんけれども。

 それから、所得税と金融所得課税の抜本的見直しでありますが、所得税については、消費税をつくる前は十九段階で、最高税率は八千万を超えると七五%でした。しかし、消費税創設後は大幅に引き下げられて、現在は七段階で、最高税率、四千万超が四五%ですね。でも、今や日本にも億万長者がたくさんいるんですよ、実は。億万長者がたくさんいるので、超過累進税率をもう少し強化すると所得税も増えます。

 さらに、金融所得課税の抜本的見直しでありますが、現在は国、地方合わせて二〇%ですけれども、所得税の一億円の壁というのを訴えているのは財務省じゃないですか。その原因は何だといったら、株式等譲渡所得が影響しているというのが財務省の見方じゃないですか。そうしたら、是非、金融所得課税にもまず累進税率を入れましょう。イギリスなんかはちゃんと入っていますよ。イギリスは累進税率がちゃんと入っている。ほかの国々も課税所得に応じて税率が変わっています。先進国の金融所得課税の平均税率は三〇%だというんですね。

 やはり今は、株主・金融資本主義、株主第一主義になっちゃって、お金でお金をもうける経済になっちゃっている。ですから、ここでやはり、どこから増やすかということが問題ですけれども、我々、五千万を超える人たちにどうだということで計算してみましたけれども、そこは今回、所得税減税について、何か二千万からどうかななんという政府では検討をしているようでありますが、是非、ここのところはしっかり考えてやったらいかがかなと思っております。これについては回答は要りません。

 そろそろ時間が来たんでしょうね。では、終わりに申し上げたいと思いますが、私は、この国の将来、未来を大変憂えています。今、新自由主義に侵された余りにも不公平な税制と雇用制度を改めない限り、この国の未来はありません。アジアでも最貧国、一番貧しい国の一つになってしまうでしょう、このままいくと。ですから、そうならないためにも、与野党が是非、与党の皆さんも、切磋琢磨して国民の皆さんの幸せにつながる政治を実現してまいりましょう。

 以上です。終わります。

津島委員長 これにて福田君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄でございます。

 まず、本日も、地元栃木県第四区の皆様に感謝を申し上げ、そして、質疑の機会を与えていただきました先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 最初に、経済対策について、十一月二日に総理の記者会見を聞いていてあれっとちょっと思ったので、確認をさせていただきたいと思っております。井林内閣府副大臣にお越しいただき、ありがとうございます。

 総理が会見で、来年夏の段階で、賃上げと所得減税を合わせることで、国民所得の伸びが物価上昇を上回る、そういった状態を確実につくりたいというふうに語られているんですが、何でこれは国民所得なのかなというふうにすごく違和感を感じたんですけれども。通常、国民所得といえば、企業所得や財産所得も入るということですので、半ば、それは当然達成することがかなり見込まれるんじゃないかなということも考え得るわけですけれども、これはなぜ国民所得になっているんでしょうか。

井林副大臣 お答え申し上げます。

 まず、前提でございますが、内閣府年央試算では、来年度中には名目賃金の伸びが消費者物価の伸びに追いつくというふうに試算をしてございます。他方で、民間エコノミストの間では、実質賃金がプラスに転じるのは二〇二四年度ないし二〇二五年度という見方が多いということでございます。

 その中で、来年に国民の賃金が物価を超えて伸びていく状況となることが必ずしも確実でない中で、定額減税について、賃上げとの相乗効果が発揮できるタイミング、すなわち来年のボーナス月である六月に実施することで、賃上げと定額減税、双方の効果を目に見える形で実感でき、幅広い国民の皆様方が所得の下支えを実感していただくことができるというふうに考えております。

 その下で、御指摘の国民所得という総理の御発言については、総理は会見で、来年夏の段階で、賃上げと所得減税を合わせることで、国民所得の伸びが物価上昇を上回るとおっしゃられておりまして、賃上げでなく、定額減税による所得下支えの効果も合わせた言及であったことから、国民所得と表現をされたということで承知をしてございます。

藤岡委員 この国民所得という表現は、特にこれは変わらない、そういうことなんでしょうか。何か、可処分所得と言い間違えたみたいな話も聞いたんですけれども、これはそうなんですか。

井林副大臣 お答え申し上げます。

 可処分所得とは違う考え方で、定額減税と合わせて国民の所得、国民所得というふうにおっしゃられているということで、他意はないということでございますので、御理解いただければと思います。

藤岡委員 そうすると、あくまで企業所得や財産所得を含む国民所得の伸びが確実に物価上昇を上回るということを総理は強く目指して、正直言って、すごく迫力のない、覚悟がないような経済対策に対する考え方だと思うんですけれども、それでよろしいんですね。

井林副大臣 来年夏に確実に国民所得でしっかりと物価を超えていくという状況をつくるという思いでやらせていただいております。

藤岡委員 これ以上ここでやってもあれなので。企業所得も含める概念ということで、本当に、賃金をしっかり上げていくんだということの迫力が非常に足りないのかなというふうに感じました。

 次に、経済対策について。財政支出の積算根拠、ちょっとこれは不明確になっているんですが、先ほど宗清委員からも基金の話もございましたけれども、例えば、この経済対策で、第三節の、成長の強化、供給力の強化に資する国内投資とかとあるんですけれども、これは基金などを含めて、基金の拡充ということも触れられておるわけなんですけれども、この積算根拠というのは、実際、どのぐらいの内訳になっているんでしょうか。

鈴木(俊)国務大臣 今般の経済対策におきましては、財政支出については、国、地方の歳出及び財政投融資の額を合わせ二十一・八兆円程度、事業規模につきましては三十七・四兆円程度となっておりまして、その内訳につきましては、政策の柱ごとに概数としてお示しをしているところでございます。これは、経済対策の裏づけとなる補正予算の編成途上にある中にあっても、大枠の規模感について国民の皆さんに速やかに御理解いただけるよう政府としてできる限り対応を行った結果、参考としてお示しをしているものであります。

 更なる詳細につきましては、今まさに、現下、補正予算編成の中で計数の精査を行っているところでございます。明後日、十日に閣議決定を行い次第、速やかにお示しをしたい、そういうふうに考えております。

藤岡委員 事業自体は別に否定をしているわけじゃないんです、予算のありようとして申し上げておきたいと思っているんですが、基金の拡充というのは経済対策に触れられておりますけれども、これはおよそ何兆円ぐらいを見込みでこの経済対策には盛り込んでおられるんでしょうか。

鈴木(俊)国務大臣 基金の規模につきましても、今、計数の整理をしておりますので、明後日には明らかにされる、そのように認識しております。

藤岡委員 大臣、これは財政支出が四・七兆円程度というふうにも書かれておるので、この基金、大体どのぐらいで見積もっているかというのが、今の概数で結構ですので、どのぐらいの概数になっているのかを教えていただけますか。

寺岡政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の対策の規模につきましては、今大臣から御答弁がありましたように、事業規模で三十七・四兆円と、財政支出で二十一・八兆円でございます。そのうち、補正予算の今回の対象になるいわゆる一般会計の追加額は十三・一兆円としてございます。

 大変恐縮なんですが、今、十三・一兆円の内訳をまさに精査し、しかるべくお示しできるように作業を進めているところでございまして、速やかに作業を終えて、御指摘の点についてもきちんと説明ができるようにしたいと考えてございます。

藤岡委員 基金の概数というふうに申し上げたんですが、その概数がどのぐらいかぐらいは言えるんじゃないんですか。

寺岡政府参考人 今回の対策におきまして、例えば宇宙戦略基金でありますとか、GIGAスクール構想に係る基金でございますとか、それからクリエーター等育成、文化施設に関する基金ですとか、幾つかの基金を新設又は積み増しをしてございます。

 財政支出でいいますと、四・七兆円という項目、柱の三番目でございますが、成長力の強化、高度化に資する国内投資を促進するという施策の内訳としまして、四・七兆円という財政支出を今回は示させていただいてございます。

 済みません、そういったものの中に基金が含まれているのでございますが、現在、先ほど申し上げたように、精査いたしまして、きちんと御説明できるようにさせていただきたいと考えてございます。

藤岡委員 なかなか概数もお答えいただけないのであれば、これは額ありきというふうに思わざるを得ないところですけれども、大臣、基金のことは、改めてやはり、支出見通しと実績が随分乖離しているとか、いろいろな問題があると思います。私、別に事業自体をどうこうではなくて、あくまで、先ほど宗清委員からも、三年目までをまず見込んで、七年後はその後だと、いろいろな御指摘もありましたけれども、きちっとこれは査定をして、基金について、また見通しと支出実績が随分乖離するとかそういうことがないようにしていただきたいと思うんですが、大臣、よろしいですか。

鈴木(俊)国務大臣 重要な御視点、御指摘だと思います。

 デジタル行財政改革本部の会合におきましても、総理からも、基金についてもしっかりと見直しをして精査をするように、そういうような指示もございました。

 そういう指示も踏まえまして、従来からも基金シート等でチェックをしているところでありますけれども、しっかりとチェックをして、もうつくったら後は何かよく分からないというようなことにならないようにしなければいけないと思っております。

藤岡委員 続きまして、所得税、住民税の減税の具体的なところをちょっとお聞きしたいと思っているんですが、まず事実関係の確認ですけれども、経済対策に令和六年分所得税の減税と書いてあるのは、これは令和六年分の所得に対する所得税の減税という理解でいいか。令和六年度分住民税の減税とは、令和五年分の所得に対する住民税の減税という理解でいいんでしょうか。

青木政府参考人 お答えいたします。

 個人所得課税におきましては、国税である所得税については、所得の発生した年に課税が行われる、いわゆる現年課税でございます。これに対して、地方税の住民税、個人住民税につきましては、前年の所得を基準として翌年度に課税する翌年度課税となっております。

 このため、委員の御理解のとおり、令和六年分所得税の減税は、令和六年の所得に対し令和六年中に課税される所得税からの減税であるのに対し、令和六年度分個人住民税の減税は、令和五年の所得に対し令和六年度に課税される個人住民税からの減税となるものでございます。

井林副大臣 途中で申し訳ございません。

 先ほどの委員の国民所得という表現で、企業所得も入っているんじゃないかというようなことでお話をいただいたんですが、国民経済計算上の国民所得である、雇用者報酬と企業所得と財産所得という概念がありますが、総理が申し上げているのは賃上げと減税分ということでございますので、ここで言うところの、総理がおっしゃったところの国民所得というのは、企業所得とか財産所得は入っておりません。どちらかというと国民の所得という感じで受け取っていただけると伝わりやすいのかなというふうに思っておりますので、済みませんが、よろしくお願いします。

藤岡委員 今ちょっとその議論は一旦控えさせていただきたいと思っておりますが、続きで、所得税の減税の部分なんですけれども、自営業者など、確定申告のときに当然所得税の額を確定していくというふうに思うんですけれども、そうしますと、自営業者などは、この減税を再来年の二月とか三月になってからでないと受けられないということでよろしいんでしょうか。

鈴木(俊)国務大臣 今回の定額減税につきましては、総合経済対策におきまして、源泉徴収義務者の事務負担にも配慮し、令和六年六月から減税をスタートできるよう、令和六年度税制改正において検討し、結論を得ることとされております。

 コロナ禍において所得の伸びを実感できなかった境遇、これは事業所得者も賃金労働者も同様でありまして、デフレ脱却を目指す上で転換点となる来年度に集中して支援を行うことが重要だ、そのように認識をしておりますが、その具体的な仕組みにつきましては、今後、与党税制調査会において検討をしていただくものと考えております。

 過去、平成十年のときの定額減税、橋本内閣のときだと思いますが、そこにおきましては、前年分の所得金額などを基に、税金をあらかじめ納付する予定納税制度の対象者の方々について一度目の予定納税から減税を実施した例がある、そのように承知をしておりますが、いずれにいたしましても、具体的な仕組みにつきましては、今後、与党の税制調査会において検討いただくものと思っております。

藤岡委員 そうすると、再来年の二月、三月にならないと減税にならないというふうにはならないような方向で、早い段階で減税をされるという方向でよろしいんですね。

鈴木(俊)国務大臣 与党税制調査会で決めることでありますけれども、そういう方向が必要であると私は考えております。

藤岡委員 本来、来年六月でも随分遅い対応でありますので、これは一刻も早い対応ということがやはり必要であるということは指摘をさせていただきたいと思っております。

 続きまして、階先輩委員からの質疑に関連して、いわゆる税収増見込み分の、これは既に当然使われているということで、還元という言葉はやはり適切ではないというふうに先ほどの質疑で改めて浮き彫りになりましたけれども、令和四年度の決算剰余金につきましては、これはあくまで二・六兆円、半分の一・三兆円は防衛財源に充てるということでよろしいんでしょうか。それ以外には充てないということでよろしいですか。

鈴木(俊)国務大臣 御指摘のとおりであります。

藤岡委員 分かりました。

 井林副大臣、もしよろしければ、退席していただいて結構でございます。

津島委員長 では、退席されてください。

藤岡委員 では、続きまして、植田総裁、今日はありがとうございます。お聞きをしたいと思います。

 先ほど、経済対策についての、物価高を助長する効果等について、一般論との話がありましたけれども、政府の経済対策を御覧になって、もちろん、燃料の激変緩和措置で物価が一%程度低減するという効果のところは政府は出しておりますけれども、そもそもこの経済対策自体でどこまで物価が上がっていくのかというところは見通しは出されていないわけなんですけれども、植田総裁としては、この政府の経済対策が燃料の激変緩和のところ以外のところの物価高を助長する効果について、どのように分析をされますか。

植田参考人 燃料の激変緩和の部分を除いたところ、あるいは影響のところでございますが、そこを私どもが申し上げていますような賃金と物価の好循環がどういうふうに今後高まっていくかという観点から見ますと、そこにその部分がプラスの影響を与えるということは十分予想できると思います。

 ただ、それがどれくらいの規模になるかということについては、先ほどもちょっと申し上げましたが、現状の見通しには織り込んでおりませんので、一月にかけて新たな見通しを作る際に、精査して織り込んでいきたいと思っております。

藤岡委員 地元を歩いておりましても、やはり国民の多くの皆さんは、円安、物価高で非常に苦しいという声は本当に多くございます。

 植田総裁に確認したいんですけれども、二〇二二年度、二〇二三年度、二〇二四年度、これは例えば、三年度にわたり二%を超えていても、あくまで賃金上昇率が物価上昇率を上回る状態を確認するというところまで二%目標の達成とは言えないというお考えなんでしょうか。

植田参考人 賃金と物価の好循環がうまく回っていって二%の物価目標が達成されるという状態を考えた場合には、そこでは実質賃金はプラスの上昇率を示しているというふうに考えてございます。

 ただし、私どもが現在行っております大規模な金融緩和、イールドカーブコントロールやマイナス金利をいつまで続けるかという、そこの決断の際に、実質賃金が必ずその時点でプラスに転じていないといけないかと言われると、必ずしもそうではなくて、その先に、実質賃金がプラスになる、さっき申し上げたような好循環の中でプラスになるという見通しがある程度の確度を持って持てるという状態になるかどうかということだと思います。

藤岡委員 そうしますと、実質賃金がプラスになっていなくても、イールドカーブコントロールなど含めて、いわゆる大規模金融緩和を解除していくというふうなことがあるということでよろしいんですか。

植田参考人 現状、確定的なことを申し上げるわけにはいきませんし、いろいろなケース・バイ・ケースだとは思いますけれども、実質賃金がプラスに、解除のときにプラスになっているというケースも考えられますし、その少し手前でというケースも考えられますが、いずれにせよ、その場合には、見通しとして、かなりの確度を持って、好循環の下で二%のインフレが達成されている、その暁には実質賃金もプラスの上昇を示しているという見通しにならないといけないということではあります。

藤岡委員 その実質賃金が結果として恐らくプラスになっているような状態というのを見通すというところは、どういうところまで見極めて見通すという、その考え方の詳細について教えていただけないでしょうか。

植田参考人 これは考え方といたしましては、やや一般論的になって恐縮でございますが、足下の物価上昇、これのかなりの部分が、輸入物価の国内物価への転嫁が思った以上に長引いているというところからきてございます。これがだんだん収まっていくというふうに我々は見ていますけれども、まずそれが確認できるかどうか。そして、それ以外の賃金と物価の好循環のところが見通しどおり強まっていくかどうか。こういう両方の点を確認しつつという作業になるかと思います。

藤岡委員 続きまして、そこの、今おっしゃった物価見通しのところの中で、いわゆる輸入物価のところの価格転嫁等の話なんでございますが、先ほど来、先輩議員からも、物価見通しを外し続けているという話がございました。

 私も、ちょっと資料を配らせていただいておりますけれども、昨年、ちょうどこの時期に、黒田総裁にも価格転嫁の反映は十分なんでしょうかというふうに直接質問をさせていただいているんですけれども、何だかよく分からない、答えにならないような答えで終わってしまっているんですけれども、今回、総裁の会見等いろいろな中でも、いわゆる価格転嫁の反映というところ、そこについて長引いていると。

 ある意味、そこの価格転嫁のところをちょっと弱く見過ぎたということで物価見通しを誤ったというふうにおっしゃられていると思うんですけれども、これはなぜ物価見通しのところで価格転嫁の力を弱く見積もってしまったと考えられているか、その分析についてお答えいただけないでしょうか。

植田参考人 一般的に、企業は、自分の製品の価格を設定する際に、競合他社がどういう価格設定をするかということを見たり考えたりして自分の製品価格を決めていくものだと思います。長い間のデフレあるいはゼロインフレ近傍の時代では、何かコストが上昇したとしても、ほとんどの場合に競合他社は製品価格を上げないということが続きまして、それを見て自分も上げないという行動様式がしみついてしまったんだと思います。その期間のデータを、我々、ちょっと前の段階で使って分析して、今後原材料コスト等が上がったときにどうなるだろうかという予想をいたしますので、どうしても、原材料コストが上がっても製品価格に転嫁されないという結論が出がちでございます。

 それに対して今回は、非常に大幅に原材料価格が上がるという中で、幾つかの企業が、やむを得ずという面もあったかもしれませんが、製品価格に転嫁をした、それが広がった、そういう広がる動きを見ていて、あ、じゃ、自分も上げて大丈夫なんだというふうに、お互いに相互作用しつつ行動様式が上がってきているというところであって、これを必ずしも事前に十分予想できなかったというところかなと考えております。

藤岡委員 当時から価格転嫁を政府の方も進めようという話が相当出ていたということの中で、ある意味、日本銀行としては、いや、政府はやっているんだけれども、なかなか価格転嫁は進まないんだろうというふうな見立てになってしまっていた。それは、過去のデータを用いながら、そういう競合他社の状況をということでだと思うんですけれども。

 それで、今後もまたこの価格転嫁の力等を見誤るということは、やはり私はあってほしくないというふうに思っています。あくまでも、物価がもう二%を超えて上がっていて、本来であれば、何らか大規模金融緩和の軌道修正もしながらということをやっていかなくちゃいけないかもしれないのに、物価見通しを誤っているからこれが引き続き続いてしまって、国民はまた物価高で大変苦しいというふうなことがあっては、これは国民の皆様に対して本当に申し訳ないということになってしまうと私は思います。

 価格転嫁を、今回、最新の見立てで、大体何割ぐらいで見立てを持っているんでしょうか。

植田参考人 具体的に何割という部分については、各段階でいろいろ違いますので、今すぐお答えできる数字を持ってございませんけれども、今後の価格転嫁の見通しということで申し上げれば、ある程度いいところに来たのかな、まだ続くとは思いますけれども、全体の物価上昇率を大きく引き上げるというところは過ぎたのかなというふうに思っております。

 根拠としましては、輸入物価はもう昨年から下落に転じている、それから企業物価も上昇率は下がってきている、さらに、足下のデータに関する早いデータでありますナウキャスト等の動きを見ますと、スーパー等の小売店での食料品や日用品の価格の前年比プラス幅も縮小している。こういうことから判断しまして、この部分の物価上昇圧力は峠を越えつつあるのかなというふうに判断しております。

藤岡委員 例えば、仕入価格判断DIや販売価格DIの間にもまだ差があると思います。

 何かいつも甘い見積りをするんですけれども、厳しい見積りをすることも当然あって、逆の方向でまだというのだとあれなんですけれども、いつも何か、どちらかというと、いや、落ち着いてきている、落ち着いてきていると、そちらの方向がやはりクローズアップをされるんですけれども、総裁、今回はしっかり厳しく見立てを持ってこの消費者物価の見通しを考えられているということでよろしいんですね。

植田参考人 はい。極めて多様な分析を行っております。

 ただし、一言つけ加えさせていただきますと、価格転嫁という中に、今春から賃金が上がってございます、これもだんだん製品価格に転嫁されていくものだと思います。そこについてはまだ少しずつという段階で、今後起こっていくんだと思います。ただし、この部分は、物価と賃金の好循環が進んでいくという話になるかと思います。

藤岡委員 時間も迫ってまいりましたのであれなんですけれども、例えば、今後、先ほど輸入物価の落ち着きというような話もございました。ただ、非常にまた円安の進行に伴って物価高が続いたということになったとしても、やはり、賃金上昇率がなかなか確認できなくて、円安が進行しているというようなことがあって、なかなか輸入物価も落ち着かないということがあったとしても、これは、できるだけ早期にという共同声明があるので、この異次元緩和をひたすら継続するということになるんでしょうか。

津島委員長 植田日本銀行総裁、申合せの時間が経過しております。答弁は簡潔にお願いをいたします。

植田参考人 賃金と物価の好循環の部分がまだ二%目標達成にはもう一つ距離があるという中で、それが見通せるまで金融緩和を継続するという決意でおります。

藤岡委員 ありがとうございました。

津島委員長 これにて藤岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、沢田良君。

沢田委員 日本維新の会の埼玉の沢田良です。

 財務金融委員会では久しぶりの質疑となります。

 この間、日本経済はコロナ禍を乗り越えることができました。ロシア、ウクライナ、イスラエルと緊張感のある情勢はありながらも、米国始め世界全体における経済の力強さは際立っており、その影響も含めて、私は二十年以上に及ぶゼロ金利政策や大規模金融緩和などの正常化すら受け入れられる大きな経済発展にしていくチャンスというふうに感じております。ただ、経済はダイナミックな変化を常にしている中、常在戦場、スピード感のある決断と実行、これが求められることだというふうに感じております。

 私も、二〇二一年に初当選をさせていただいて、まだたった二年しかこの国会の現場に入ってはおりませんが、それでも、やはり私が民間で働いていた頃に比べると、大変このスピード感という部分ではまだまだ上げていけるのではないのかなというふうに感じております。

 鈴木財務大臣を始め財務省の皆様が総力をかけて、考え得る全ての状況を想定して調整を万全にしておいていただかないと私は成り立たないというふうに感じております。組織として多くの理屈があるのは重々承知しておりますけれども、鈴木財務大臣に、この場をおかりいたしまして、是非、いわゆる慣例、通例を超えて、何とか子供たちの未来のためにも、この経済状況をつかんで放さない、前に進んでいくということをお願いするところから今日の質疑をさせていただきたいと思います。是非よろしくお願いいたします。

 鈴木財務大臣、そして津島委員長を始め理事、委員の皆様、財務省の皆様、委員部の皆様、本日はよろしくお願いいたします。

 十月三十日の衆議院の予算委員会でも、我が党の藤田文武幹事長から税収増と経済対策について質問をさせていただきました。コロナ禍の厳しい経済へのダメージを最小化する、そのためにも様々なメニューで対応していただいたということは、私もよい結果につながったというふうに考えております。コロナ禍における補正予算の総括、また大胆な支出の成果を、大臣、どのようにお考えなのか、教えてください。

鈴木(俊)国務大臣 この間、我が国の経済は、コロナのパンデミック、それから未曽有の物価高騰、こういうような厳しい状況に直面をしてまいりました。政府としては、これに対応するための累次にわたります思い切った補正予算編成、これを行って、国民生活、企業活動を支援してきたわけでございます。

 具体的には、令和二年度、三年度の補正予算では、主に感染拡大による経済社会への影響を抑制するため、医療提供体制の構築支援、ワクチン接種体制整備の支援などを実施し、感染拡大防止に一定の成果を上げたものと考えております。また、令和四年度補正予算では、主にウクライナ問題などを背景とする物価高騰への対応といたしまして、燃料油、電気、ガスの激変緩和措置、中小企業に対する資金繰り支援などを実施してきたところでありまして、国民生活、事業活動の回復に一定の成果を上げることができた、そのように考えているところであります。

沢田委員 ありがとうございます。

 やはり、包括的にやったことが、当時はいろいろと言われることも当然あったと思います、我が党としても言ったところがあると思うんですけれども、結果として今の経済のこの兆しにつながっているというふうに考えると、私は、大変よいことを行っていただいたのではないかなというふうには思っております。

 ちなみに、令和二年から令和四年における補正予算と税収増の関係性について、神田副大臣は、つながっているということは、どのように考えておりますでしょうか。

神田副大臣 お答え申し上げます。

 先生がおっしゃいますところの三か年度決算にかけての税収増、何か特定の要因によるものではなくて、やはり全体的な経済成長によるものだと考えております。経済対策を実施するための歳出が我が国の経済を押し上げ、結果として更に税収の増にもつながったという面があることは、御指摘のとおりかと思います。

 補正予算に基づきます歳出が経済に与えた影響及びその波及効果は様々ございますでしょうから、これらの歳出が具体的にどの程度税収増に寄与したかについては、定量的に申し上げることは困難かと思っております。

沢田委員 副大臣、ありがとうございます。

 コロナ禍、令和二年から四年のこの補正予算、合計で百五十兆円と大変大きいものになります。これは内閣府でも試算を行っておりまして、例えばGDPの押し上げ効果はどのくらいの税収増になるかというのは、元々、結構予測が立っている部分もあったというふうに言われています。

 決算税収としては、令和二年から三年が六・二兆円増、令和三年から四年が四・一兆円増というのは、まさに予測とほぼ同じ範囲内ということで、これはやはり、僕は、すごくいい結果なのではないのかなというふうに思うんです。もちろん、それ以上の結果が出れば大変よかったというふうになりますけれども、しっかりそこに着地ができたということはやはり今の足場につながっているというふうに思っていますので、こういったことが今後どういう効果につながるかというところも、是非大臣の方からも積極的に発信していただけると、国民の方で安心すると思いますので、よろしくお願いいたします。

 ただ、大事なことは私はここからだと思っておりまして、経済の好循環、これの実現と同時に、私たちが今経済の中で抱えている、補正予算で大幅に後押しをしていたことであったり、ゼロ金利政策であったり、大規模金融緩和からの脱却、正常化というのは、イコールでもあり、並大抵のものでは私はないと思うんですね。

 詳しくは次の機会に、時間がないので、議論させていただきたいと思うんですけれども、経済の好循環が始まりつつあるというのは、総理からの発言であったり、財務大臣からの発言を含めて、財務省の皆さんも認識しておられると思います。消費者物価の加重中央値が二%近くまで来ているということも考えると、インフレも、旧来言われていたコストプッシュ型からデマンドプルの方に移行しているというふうに考えた方がごく自然でもありまして、金利を上げる材料というのは徐々にそろいつつあるんですね。

 ただ、日本は一九九九年から二十年以上もゼロ金利下であり、その中でビジネスモデルを形成してきたような大企業はたくさんございます。こういったところがどのような変化が生まれていくのかということは、やはり分からないという声も私の耳に入っている、当然ですけれども。

 国民生活においても、賃上げの目標がうまく立っている企業さんであったり、また、それが自分の会社等で感じられるような、前向きに受け入れているようなところは私はいいと思うんですけれども、やはりインフレに賃上げが追いついていかないということに対し戸惑っている方、又は、価格転嫁が進まずに賃上げ自体が首を絞められてしまっている企業、また、デフレマインドがまだまだ改善していないなというのは私も身近なところで感じていますけれども、生活用品の値上がり、これを受け切れていないという方もいらっしゃいます。

 私なんかは小学校六年生と三年生の子供がいるんですけれども、どんどん大きくなって、食べる量がどんどん大きくなるんですね。下の子が今もう五十キロ、小学校三年生で五十キロと結構大きいんですけれども、ここまで来ると、私の一・二、三倍ぐらい食べちゃうとなると、インフレで値段が上がっているのか、ただ単に食費が上がっているのか。私は両方だと思っていて、すごい勢いで食費が上がっていくのを、妻が結局毎月計算をして、何か逆に、家にあるものがどんどんどんどん素材によってきているというような感じを感じるんですね。要は、安いところで野菜を買ってくるところから始めるみたいな、そういうところがある。

 やはり、また、輸入しているものも含めると、円安の水準についても私は実感するレベルで変わってきているんじゃないかな。もちろん、海外に行かれるときも、やはりハワイが物すごくお金がかかるなんという報道、私はハワイには行ったことがないので分からないんですけれども、そういうところを含めると、私は、これからのやはり一年又はその近くの中で、金利、物価、為替、こうやって考えると、トレンドの変換が次々と重なっている、すごくデリケートなタイミングがまさに今なんじゃないかなというふうに思っているんですね。

 ちなみに、大臣、この今の変化について、これからの変化についてどのような御認識を持たれているのか、教えてください。

鈴木(俊)国務大臣 沢田先生がおっしゃられたとおり、様々な変化がございます。しかし、我々としては、いい兆しがやっと見え始めてきたと思っております。こういう兆しをしっかりつかみ取るということを総理も施政方針演説で申し上げたわけでありまして、今回の総合経済対策を打って、こういう流れを確実なものにする、そして、長年しみついたこのデフレマインドでありますとかそういうものを脱却して、デフレからの完全脱却に結びつけていかなければいけない、そういうふうに感じております。

沢田委員 ありがとうございます。

 やはり、政治の側から私は前向きな発信をしていくというのはすごく大事なことだと思っていまして、よく言われるのは、デフレマインドの一番の理由というのは、やはり我々政治の側が常に、少子高齢化であったり、これからの社会保障費が上がるということを町中やいろいろなところで言い続けて、増税の理由にしてきたと。私もよく町で会うと、税金を上げてもいいんだよ、だけれども、しっかりした政治をやってほしいと言われる方がやはり多くいらっしゃるんですね。

 私は、税金は、その当時当時求められる福祉であったりいろいろなものを鑑みてつくっていくべきものだと当然思うんですけれども、やはり我々は、現場現場で夢や希望を語って、国民全体を新しい日本であったり未来、あふれる希望に、そういうところに導いていくということを怠っていた時期でもあるんじゃないのかなというふうには強く感じています。

 なので、大臣所信の方が、私は個人的に思ったところでいうと、ちょっと硬過ぎるというか、これを見たときに、前向きに、よし、この経済を何とか乗り越えて、そして次のステージへ持っていくんだというようなメッセージがなかったかなというふうに思うんですけれども、大臣、是非、この場をおかりして、そういった前向きな、要は、これからの経済に対する希望であったり、何とか乗り越えてやっていくというようなメッセージをいただけたらと思うんですけれども、どうでしょう。

鈴木(俊)国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、幾つかいい流れも出てきておりますが、これを放っておきますとまた元に戻ってしまうということにもなりかねないと思います。今、総合経済対策をつくって、今ある流れを確実にこれからもつなげていく、そして、デフレからの完全脱却をしていって、その中で日本の経済というものを新しいステージに乗せていくということが重要な経済的な対策である、こういうふうに思っておりますので、今は極めて重要な時期という認識の下でしっかり対応していきたいと思います。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 是非前向きに、やはり、駅や町で我々政治が、皆さんに希望であったりとか夢を持ってもらえるように、明るい兆しを伝えるように、私自身も努力していきたいなと思っております。

 最後になりますが、私自身、日本維新の会という党にいるんですけれども、税の在り方というところで、私たちは、簡素、公平、中立と呼ばれている税の三原則、これを、簡素、公平、活力というふうに持っていきたいなというふうに思っております。税を取るということは、一見、やはり皆さんにとって負担が上がるということにはなるんですけれども、それをうまく使いこなして、やはり、国民の皆さんは、喜んでお金を使っていただいたり、又は楽しんで生きていく、幸せを感じていただく、そういうことにできるアイデアを今後もこの委員会を通して伝えさせていただきたいと思いますので、是非、大臣、面倒くさがらずにおつき合いいただければと思います。

 今後とも、臨時国会、よろしくお願いいたします。

津島委員長 これにて沢田君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

津島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会の兵庫十区の掘井でございます。

 今の異次元の金融緩和が経済を停滞させているとか、また、米国との金利差が開いているから金利を上げろとか、予算委員会を見ていますと間違った発言が平気でなされると思っているんです。経済を復活させるために、民間が投資をしないから、代わりに政府側が財政支出をしている。今、お金を締めたら駄目なんですね。そもそも、なぜ日本がこの三十年間デフレになって脱却できないんだということをおさらいすべきだと思います。

 ついこの間、阪神タイガースが日本一になりましたが、前回日本一になったその時代、一九八五年でありますけれども、日本経済、世界の時価総額ランキング十位のうち九社が日本の会社でありました。当時の経済指標を見ておりますと、名目経済成長率は七・六%、実質経済成長率は四・九%、失業率は二・一%、インフレ率は三・一%。今思ったら、日本経済は完璧だったんです。

 一方、当時アメリカは貿易赤字と財政赤字と双子の赤字で苦しんでおりました。これを解消するために、一九八五年にプラザ合意、一九九〇年に日米構造協議会、そして一九九二年にバーゼル合意でBIS規制が始まって、円安が円高になったんですね。当時、円安がよかったんです、日本は。銀行は、統合、合併を余儀なくされ、融資を止めて貸し剥がしに行きます。大企業は、投資をやめて経費を抑えて、利益は内部留保していきます。そして、中小零細企業は、これに耐えられなくなって倒産していくんですね。それで、構造化していってデフレスパイラルに陥ったということなんです。

 改めて三十年前を振り返ってみますと、僕は証券会社におって経済をモニタリングしておりましたけれども、これは本当に、してやられたんだと思っております。そこで何を思ったのか、政府は、こういったデフレの中で金融引締めや増税を行ってきたんです。市中のお金を更に吸い上げていくんですね。だから、今のようににっちもさっちもいかない状態になったと思っております。だから、政策の反省をしていただきたいと思うんです。

 是非、これまでの政策ミスを反省して、日銀の金融緩和の途中で増税したり、また、消費マインドを、働きかけない政策をやってみたり、金融緩和の継続中に緊縮財政を唱えたりするような、ブレーキとアクセルを両方吹かす、こういう政策も直ちにやめていただきたいと思っております。

 総裁は、通貨の信認にはコミュニケーションが大事だと言っておられます。議会に対して、マスコミに対しても日銀が今何をしようとしているのか伝えるということで、一本筋の通った政策ができると思うんです。よって、以下の質問をしていきたいと思います。

 今経済が停滞しておりますけれども、先に物価が上がり、賃金が伴わないインフレが進んでおります。いわゆるコストプッシュインフレ。今、二%の物価安定の目標が数字として既に達成されております。しかし、更に持続的、安定的と言える状態にすべきだと総裁は常々述べておられます。

 まず、このコストプッシュインフレについてどのように分析しておられるのか、理由とか見通しとか、お聞かせください。

植田参考人 お答えいたします。

 消費者物価の前年比は足下二%台後半で推移してございますが、これには、二〇二一年から二二年にかけての輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が大きく寄与しているというふうに考えております。

 先行き、来年度にかけてこうした価格転嫁の影響は一部残りますし、足下、また原油価格が少し上がっておりますので、消費者物価上昇率二%を上回る水準でしばらく推移すると見ておりますが、輸入物価そのものは低下に転じていること、それから企業物価、あるいはスーパーの店頭での価格等が上昇率が下がったりしてございますので、そろそろこの部分についてはピークを迎えつつあるかな、コストプッシュの部分ですね、というふうに認識してございます。

掘井委員 これから、金融緩和政策の継続とコストプッシュインフレの対応、これは金融政策でやっていくんだと思いますけれども、非常に難しい局面だと思うんです。

 物価の安定ということで、日銀の金融政策の中でこれらにどう対処するのか、またできるのかということ、この点についてお伺いしたいということと、また、こういった状況の中で、今後の物価の基調、金融緩和の目的達成、これはどういった指標を持ってこれから判断していくのか、お伺いしたいと思います。

植田参考人 私どもの金融緩和政策は、コストプッシュの部分というよりは、物価の基調的な動きに対応して運営を続けてございます。この基調的な部分が今のところまだ二%を持続的、安定的に達成するにはちょっと距離があるということで、金融緩和を続けております。

 それではどういうふうにして基調的な動きが二%に収束していくのかというところを判断していくのかということでございますが、物価が上がると、賃金の好循環ということでございますので、もちろん、賃金が上がって、上がり続けていくということが重要でございますが、加えまして、上がった賃金がいい意味で物価に転嫁される、こうした動きが循環的に回っていく、また、それを支えるだけの総需要面での強さがあるというようなことが必要になりますので、この辺を総合的に見ていきたいというふうに考えております。

掘井委員 いろいろな指標がありますけれども、総合的に見て判断していくということですよね。分かりました。

 続いて、金融政策と日本銀行の財務について質問したいんです。

 日銀が量的緩和を続けますと、日銀の財務内容を示すバランスシートが毀損するからやめろという批判があります。いわゆる日本銀行債務超過の危険論でありますけれども、この際、金融政策が日銀の財務にどのような影響を与えているのか、財務リスクをどのように回避していくのか、これが知りたいんです。

 日銀が金融緩和で国債を買入れしている現在の状態、それと、いずれやってくる出口の局面での金融引締めの状態、お聞かせ願えますでしょうか。

植田参考人 お答えいたします。

 中央銀行の政策のバランスシートあるいは財務への影響でございますけれども、現在のような大規模な金融緩和が行われている局面では、一般的にバランスシートが拡大いたします。そうしますと、保有国債の増加等に応じて利息収入が増え、全体の日本銀行の収益も拡大するということになります。

 これに対して、政策が引締め方向に向かいますと、バランスシートが縮小の方向に向かいます。その中で、日銀当座預金の超過準備の部分に付利をして、その付利の金利を上げていくという操作を行いますので、そこに対する支払い利息が増加いたしまして、収益を下押ししていくということになります。

 ただ、その後は、超過準備が金融引締めで減っていく、それに伴って支払い利息が減少していく、あるいは、資産サイドで国債の買入れをある程度続ける、再投資をするということがありますと、だんだん利回りの高い国債に入れ替わっていって、受取利息も増加していくということで、通常は、いずれ収益も回復していくという局面になります。

 ただ、その辺につきましては、様々な条件に応じて、いろいろ不確実性が高いものでございます。

掘井委員 難しい答弁ですけれども、収入は変わりますけれども、付利幅を平準化するということかなと思います。簡単に言えば、財務は大丈夫である、そう認識しました。

 続いて質問します。通貨の信認と中央銀行の財務の在り方について質問したいです。

 兌換性がない今、通貨の信認というのは財務の健全化がもちろんあるんですけれども、植田総裁は御講演の中で、中央銀行の財務の状況自体が通貨の信認に直結するのではなくて、中央銀行の金融政策が国民や市場から信用されているかどうかが通貨の信認に直結するんだと、非常に重要な発言をされております。

 何よりも大事なのは、金融政策の意図が正しく、分かりやすく、国民や市場、また議会の中で伝わっていくということ、金融政策が信頼され続けるということが大事である、このように理解しておりますけれども、そのためにも、財務の健全化には配慮しておって、それを情報発信、コミュニケーションと言っておられますけれども、これが大事であると。

 改めて、この場で、通貨の信認と中央銀行の財務の在り方についてお伺いしたいと思います。

植田参考人 私ども、管理通貨制度の下で、通貨に対する信認は、中央銀行の財務の状態ではなくて、金融政策を適切に行い物価の安定を図る、あるいは、そういうことを中央銀行が目指しているということが理解されているということが重要というふうに考えてございます。

 その上で、先ほど申し上げましたように、中央銀行は、長い目で見れば、通常、収益を確保できる仕組みになっている。あるいは、自分のオペレーションをするために、自分で支払い決済手段を提供することもできます。したがって、一時的に赤字あるいは債務超過になっても、政策運営能力に直ちに支障が生じるというわけではございません。

 ただ、財務の状態が幾ら悪くなっても全く問題がないかということでは恐らくなくて、それ自体、財務の状態、財務リスク、あるいは財務が悪化しているということが妙に注目されまして金融政策をめぐる無用の混乱が生じるという可能性もありますので、財務の健全性には注意していきたいというふうに考えてございます。

 この辺、こうした基本的な考え方について、今後も丁寧な説明を行ってまいりたいと考えております。

掘井委員 今の答弁は非常に重要でありまして、もちろん財務は大事でありますけれども、それが安全であるということを伝えるということが非常に大事であるということなんですね。だから、やみくもに、一瞬赤字になったとしても、そういうことが日銀の業務に差し障りがないということだと思うんですね。これをやはり認識してほしいと思うんです。

 次の質問です。

 長期金利の上限を一%のめどにしました、その理由なんですけれども、現在、日銀は、指し値で国債を購入して利回りを押し下げてきました。いわゆるイールドカーブコントロールでありますけれども、国内の長期金利が〇・九五五となったということで、この度、一%をめどに見直したということです。

 これから機動的にオペレーションをすることになりましたけれども、こうした政策の理由、期待する成果についてちょっと教えていただきたいと思うんです。

植田参考人 お答えいたします。

 私どもは、最初に物価情勢に関する御質問をいただきましたが、基調的な物価の動きというところを見ますと、まだちょっと持続的、安定的な二%の達成に距離があるというふうに考えてございます。したがいまして、イールドカーブコントロールの枠組みの下で、粘り強く金融緩和を続けていく方針でございます。

 その上で、内外の経済や金融市場をめぐる不確実性が極めて高い状態が続いております。今回の措置は、今後のその不確実性が高い中で、情勢変化に応じて、長期の金利が形成される市場において価格形成が円滑になされるように、イールドカーブコントロールの運用を少し柔軟性を高めておく。逆に申し上げれば、厳格に一%で長期金利を抑えるということは、効果もありますが、副作用が大きくなるというふうに判断いたしまして、上限金利一%を厳格な上限からめどに修正いたしまして、それを、大規模な国債買入れと機動的なオペで金利操作を行って、一%上限のめどを守っていくという政策にシフトしたところでございます。

掘井委員 市場の方は、このオペレーションで、政策変更の備えである、こういうことも考えておるわけでありますけれども、改めて、これは政策の変更ではないということでよろしいでしょうか。

植田参考人 あくまで、将来の様々な不確実性に対応する、マーケットがうまく長期金利の形成を行い得る余地をつくっておくという意味での対応でございまして、政策的には、現在のイールドカーブコントロールの下での金融緩和を粘り強く継続していくというスタンスに変わりはございません。

掘井委員 相場ですけれども、相場が厚みができて、大きな価格変動を起こすのを抑える役割かななんて理解しておりますけれども。

 それでは、次、ちょっと質問があるんですけれども飛ばしますので、日銀総裁は退室していただきまして結構でございます。ありがとうございました。

津島委員長 どうぞ退室なさってください。

掘井委員 続いて、ちょっと四と五の質問の順序を変えたいと思います。よろしくお願いします。

 消費税減税についてであります。

 日銀が行っている金融政策を合致させてデフレから脱却することが目的であるならば、一時的な所得税減税では全く弱いと思うんです。需要を高めるためには、その部分はずばり消費減税が効果的である、そのように感じております。

 また、財務省に事前に調べていただいたんですけれども、二〇二〇年にコロナ禍で消費税の減税を実施したドイツですけれども、全品目を対象とした消費税減税を、法律の成立から施行までの期間、たった二日間でやっております。一方、政令で施行できる英国では、特定の品目を対象に、政令公布から施行まで、期間がこちらもたったの二日間。これは国が違いますけれども、やっておるということであります。

 所得減税とはまるでスピードが違うんかなと思うんですけれども、緊急時の対策として非常に効果的な消費税減税であります。今、経済対策が必要なんですね。半年後では遅過ぎると思うんです。

 私たち日本維新の会は、緊急の経済対策として消費税の減税を訴えております。

 これまでの総理の答弁なんかを聞きますと、消費税の減税をしない理由として、社会保障の財源であるからということであります。

 総理は、先週の予算委員会の維新の東徹議員の質問に対しまして、消費税について、議論の結果、目的税化されたと答弁されました。つまり、法的、制度的には、消費税は目的税とは確定しないということを認められたわけであります。

 とするならば、議論の結果、一般税として行うことも可能であって、消費税減税の実施の余地が生まれると思うんですけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

鈴木(俊)国務大臣 消費税につきましては、平成二十四年におけます社会保障・税の一体改革におきまして、消費税収は年金、医療、介護、少子化対策の社会保障四経費に充てること、そのことが消費税法第一条に明記されまして、社会保障目的税化をされているところであります。こうしたことは、国民全てが人生の様々な段階で受益者となり得る社会保障の経費は国民全体で皆で分かち合うべきという理念の下、現役世代のみならず、幅広い世代が負担する消費税を充てるのがふさわしいという考えに立つものであります。

 消費税につきましては、急速な高齢化等に伴いまして社会保障給付費が大きく増加する中におきまして、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられているところでございます。

 掘井先生から、経済対策という中におきまして、消費税の減税はどうかという御提言があったわけでございますが、今申し述べたような政府の立場から、政府としては、その引下げを行うことは適当ではないと考えているところであります。

掘井委員 社会保障に使いたいというその気持ちはよく分かるんですけれども、制度的に目的税になっているのかどうかというのは非常に大事だと思うんですよ。

 というのは、消費税が、社会保障制度に使うということであれば、きちんとチェックしなければいけないし、また、それも透明化しなければいけないし、会計も、特別会計とか、違うところできっちりと管理せなあかんと思うんですね。

 そうじゃなかったら、気持ちは分かるけれども、やはり、国民の皆さんに消費税は社会保障なんですと言っているんですよね。社会保障やから仕方がないんだと思っているかも分からぬ。じゃないんですよとまずお認めになって。その可能性があると思うんですけれども、どうでしょうか、大臣。

鈴木(俊)国務大臣 先ほど申し上げましたとおりに、消費税法第一条で、消費税収は年金、医療、介護、少子化対策の社会保障四経費に充てるということが明記をされているところでございます。確かに、区分経理はされていないわけでありますけれども、この法律に明記されているとおり、政府としては、消費税税収はこうした社会保障に充てるという考えでございます。したがいまして、全世代型社会保障制度を支える重要な財源として位置づけているところでございます。

掘井委員 だから、何度も言うように、気持ちは分かるんですけれども、それならば、ちゃんと制度をつくっておかないと、やはり国民にちゃんと示しがつかないと思うんですよね。皆さん、使ったらあかんもんやと思うとるんですよ、目的税だから。じゃ、違うということなんですよね。でも、それに使いたい、それが理由で消費税ができないんだ、こう聞いておるんですね。だけれども、それは本当に言うたら大事だと思うんですよ。

 岸田総理は、先週の参議院の予算委員会で、消費税減税を求める東議員の質問に対しまして、大きな議論が行われた結果として消費税について対応を全く今から否定するものではないと、従来の発言から大きく変更しました。

 この発言は、デフレ脱却の手法が消費税の減税であったりとかする場合、また、物価高に対応していくためには消費税の減税しかないといった場合に消費税減税の可能性を認めたものでありますけれども、財務大臣、同様にお考えになられますか。

鈴木(俊)国務大臣 先日の予算委員会での総理の発言、答弁、それは承知をいたしておりますが、あのとき、東先生の御質問は、デフレ脱却のための手法が消費税の減税しかない場合には消費税の減税を考えるのかという、やや極端な仮定に基づいた御質問に対する総理答弁であった、そういうふうに承知をいたしております。

 その後、総理も、またその前もですけれども、国会におきまして度々、消費税は、急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置づけられており、その税率を引き下げることは考えていない、そのように述べられているところでございます。これは今の政府の立場でございます。

掘井委員 総理は限定した質問であったからそう答えてしまった、こういうことなんですかね。

鈴木(俊)国務大臣 基本的な考え、総理の考え、政府の考えでありますが、社会保障の財源に充てる消費税収入、消費税収でありますけれども、これについては、全世代型の社会保障を行うための重要な財源であるという位置づけでございますので、かねてより、その引下げは考えていないという一貫した立場を取っているところでございます。

 東先生の御質問は、デフレの脱却のためには手法が消費税の減税しかない場合と、極めて極端な仮定に基づいた御質問だったと思います。そうした仮定の質問に対して総理の答弁であった、そのように承知をしております。

掘井委員 今世論は、消費税減税をしてほしい、これは大きな声ですね。JNNの世論調査では、消費税の減税は四一%、してほしい、こういう背景があるんですね。

 今答弁を聞きますと、やはり社会保障に使いたいと。最初に消費税が導入されたとき議論されましたよね、その中でそういうたてつけをしたんだと思いますけれども、法のたてつけとして目的税じゃないのならば、やはり機会があると思うんですよね。そういうことをやはり考えていかないとと思います。日本と海外は法律が違いますから一概に一緒とは言えませんけれども、スピードが違うということも分かりました。よろしくお願いしたいと思うんです。

 最後の質問ですけれども、先ほど、消費税減税を二日間で実施したドイツの話、英国を取り上げましたけれども、一方、我が政府は、この度の経済対策では、スピードを持って実施できる消費税減税ではなくて、これは恐らく時間がかかるんだろうなと思う所得税減税をやろうとしております。本当に緊急の対策なのかどうか。所得の減税が実施されるまでのスケジュールについて伺いたいと思います。

鈴木(俊)国務大臣 今回実施をいたします定額減税につきましては、経済対策におきまして、令和六年六月から減税をスタートできるよう、令和六年度税制改正において検討し、結論を得るとされているところでございます。

 六月という減税のスタート時期につきましては、減税措置を実施をする上で御協力をいただく源泉徴収義務者等の皆さんのための準備期間を十分に設けることができるということに加えまして、来年に向けて物価上昇を上回る賃上げを目指していく中で、賃上げが実現されるタイミングに合わせて税負担の増加を軽減することで、国民の皆さんに所得の向上をより強く実感していただくことができ、これがデフレマインドの払拭につながるものと考えているところでございます。

掘井委員 これはスケジュール、大体何月ぐらいなんですかという質問なんですけれども、これは来年度改正案が出たら、来年の一月として、これが通るのが三月であると思うんですけれども、よく六月とか言いますけれども、これは間違いですか。三月、六月。何で六月。

青木政府参考人 お答えします。

 六月という減税のスタート時期でございますけれども、減税を実施していただく、御協力していただく源泉徴収義務者の方の準備期間を十分に設けるという観点と、それから、来年に向けて物価上昇を上回る賃上げを目指していく中で、賃上げが実現されるタイミングに合わせて税負担の増加を軽減することで、国民の皆さんに所得の向上をより強く実感していただくということができるものだということで、六月ということにさせていただいております。

津島委員長 掘井健智君、時間が来ております。

掘井委員 最後ですけれども、何か本当に、政局のような気がするんですよね。スピード感がないということなんですね。

 これは多分、給付金も出るんだろうと思いますけれども、やはり、所得税の減税ではみんな預金すると思うんですよ。今、十万円仮にもらった、五万円浮いたら、みんな使わないですよね、預金しますよね。使えない。

 だから、こういうことを考えて、やはりデフレマインドを解くような政策を是非やっていただきたいと思うんです。最後に、よろしくお願いします。

 ありがとうございます。

津島委員長 これにて掘井君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会、伊東信久でございます。

 鈴木財務大臣には、まずは減税効果についてお尋ねしたいんですけれども。

 一九九八年になりますけれども、当時、橋本龍太郎政権下で、定額減税方式で所得税、住民税の特別減税を実施いたしました。そのときは三万八千円の税額を差し引いたんですけれども、この定額減税、どの程度効果があったか、数値として明確に教えてください。

鈴木(俊)国務大臣 平成十年の定額減税につきましては、財政への影響という面で見れば、当時の経済対策の一環として所得税、住民税を合わせて四兆円規模で実施されたものであり、経済効果という面では、減税のみでの効果は政府として算出しておりませんが、公共事業なども含めた対策全体として見れば、二%程度の名目GDP押し上げ効果が見込まれていたということを承知をいたしております。

伊東(信)委員 ところが、財務省さんからの資料で、一枚目の資料になるんですけれども、大幅な減税によって納税者が減ったとされて、その次の小渕政権下では、定額減税を衣替えしているわけです。

 今回は所得税、住民税減税が合計で四万円となっているんですけれども、時代の違いがありますけれども、この賃金が増えていない状況を勘案すると、こういったところの検証をされているかということですけれども、当時、減税方式を変更した理由というのを今の政権はどのように分析されていますでしょうか。

鈴木(俊)国務大臣 先生御指摘のとおりに、平成十一年、定率減税にされたわけでございますが、これは平成十年の一時的な定額減税からの変更という位置づけではなくて、最高税率の引下げを含めた個人所得税制の見直しを行う中で、当時の景気の状況にも配慮しつつ、恒久的な減税措置として導入されたものでございます。この十年の定額減税から変更されたということではないということであります。

伊東(信)委員 ということは、今回の定額減税の措置で制度自体の変更になるような事態がないのか、国民も心配していると思うんですけれども、財務大臣、いかがですか。

鈴木(俊)国務大臣 今回の定額減税については、先ほど来も御答弁させていただきましたが、複数年行うということを前提にしたものではないという位置づけであります。

伊東(信)委員 そうなるんですかね。そういった場合、やはりちょっと政権の、僕が心配することでもないですけれども、信頼性にも及ぶんじゃないかということです。

 実際問題、今大臣の御答弁にありましたように、萩生田政調会長、公明党の高木政調会長も、一年限りではないというような発言もされているんですけれども、どっちが正しいんでしょうかね、大臣。

鈴木(俊)国務大臣 手続的に言えば、あくまでこれは与党税調で決めるものでございます。したがいまして、与党の議論の中ではいろいろな議論が出てくるんだ、そういうふうには思います。

 ただ、元々これが複数年度行うということが予定されているものではないという中で、与党において議論をされて、与党税調において最終的にどのような決定がされるかということでありまして、それは見守っていきたいと思います。

伊東(信)委員 今回の減税は二年間で所得税が増収するということを念頭にされていると思うんですけれども、税収増、一人当たり四万円を還元する三・五兆円規模の税制措置を取ることになっているんです。でも、減税に先立つ低所得者世帯への給付が、五兆円規模の支援策となっているんですけれども、そうなると、一・五兆円の差額が出てくるわけなんですけれども、この件に関しては予算委員会でも他党の方々も質問されていたんですけれども、明確な回答はなかったように感じるんです。財政規律も保たれない政策と考えているんですけれども、答弁をよろしくお願いいたします。

寺岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今般の国民への五兆円規模の還元に係る財源についての御質問ですが、重点支援地方交付金による低所得者向け支援の部分につきましては、今般の総合経済対策の裏づけとなる、現在準備しております補正予算の編成過程で予算計上をしたいということでございます。

 また、定額減税とその関連経費については、年末に向けて、その成案を得ながら、令和六年度予算編成の過程で措置すべく検討するということでございます。

 御指摘の三・五兆円の税収でございますが、これは、財政の構造としては、過去の税収増は、いわばそのときの当初予算や補正予算の編成を通じて、主として政策経費や国債の償還に、いわば会計処理の問題としては充てられてございますので、そういったもの、そのときにはそういう処理がなされているということでございます。

 したがいまして、繰り返しになりますが、五兆円規模の対策については、次の補正予算、それから当初予算の編成過程で改めて予算計上していくということでございます。

伊東(信)委員 補正予算の話が出ましたので、そのことに関しての言及はこの後の後ぐらいの質問でまとめてさせていただくんですけれども、この一・五兆円の差額分と、新たに防衛費、少子化対策のための財源も捻出しなければいけないんですけれども、これも併せて、どのように捻出されるか、お答えください。

鈴木(俊)国務大臣 防衛力の財源ということでありますが、昨年末に決定されました防衛力の抜本的な強化につきまして、これを安定的に支えていくためには、令和九年度以降、毎年約四兆円のしっかりとした財源が不可欠でございます。

 そういうことで、少し中身をお話をさせていただいていいですか、時間をちょっといただいて……(伊東(信)委員「分かっているので大丈夫です」と呼ぶ)はい。

伊東(信)委員 そうなってきて、加えて少子化対策として、これは社会保険料なんですけれども、社会保険料の仕組みを使って新たに徴収する支援金制度を軸としていますけれども、では、ここでは支援金制度、この具体的な中身について教えてください。

寺岡政府参考人 お答え申し上げます。

 少子化対策の当面の集中的な取組の財源でございますが、六月のこども未来戦略方針において、まずは徹底した歳出改革等を行い、その効果を活用する中で、新たな支援金制度を構築し、国民に実質的な追加負担を生じさせないことを目指すという方針が定められております。

 現在、関係省庁と連携し、今後、具体化に向けた検討を進めてまいりたい、このように考えてございます。

伊東(信)委員 我々日本維新の会は、逆に、本当に短期的な政策としましては、社会保険料の減免の方が即効性があって、かつ、低所得者に直接的に届けることができる政策ではないかと考えているんですけれども。

 ここで社会保険料の減免を進める必要があるのではないかと考えているんですけれども、政府からの答弁を、これは、厚生労働省三浦政務官、よろしくお願いします。

三浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 社会保険制度につきましては、所得に応じて保険料負担を軽減する仕組みを設けた上で、相互扶助の考え方を基盤としつつ、必要な保険料を御負担いただいております。

 御党から御提案いただいている、可処分所得向上のため幅広い方々を対象に保険料の減免を行うことは、給付と負担の対応関係をゆがめるなど、それぞれの社会保険制度に与える影響が大きく、また、保険者の実務上の負担など課題も多いことから、慎重な検討が必要だと考えておるところでございます。

 少子高齢化の進展など社会経済構造が大きく変化する中で、現役世代の負担にも配慮しつつ、持続可能な社会保障制度を構築していくことが重要であると考えておりまして、能力に応じて皆が支え合う全世代型社会保障制度の構築に全力を挙げてまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 三浦政務官、ありがとうございます。

 であれば、自助、公助、共助の話のバランスのことも考えてはると思うんです。それで、共助という意味においては、逆に、では、後期高齢者医療制度等、現在においても社会保険全体の負担と給付のバランスは本当に崩壊しつつ、いや、むしろ既に崩壊しているのではないかと考えます。そうなると、もう税と社会保障制度の全体改革というのを今ここでやはり考えなければいけないと思うんですけれども、政務官の御見解を教えてください。

三浦大臣政務官 繰り返しになりますけれども、少子高齢化の進展によりまして、社会経済構造が大きく変化しております。そういった中で、現役世代の負担にも配慮をもちろんしつつ、持続可能な社会保障制度を構築していくことが重要であると考えておるところでございます。

伊東(信)委員 政務官もやはり、持続可能なということが非常に大事だということを認識していただいていると思います。

 本当に、この税と社会保障の一体改革というのは、口で言うのは簡単ですけれども、そう簡単ではないというのも承知しておりますので、日本維新の会では既に医療改革のタスクフォースを立ち上げて社会保障制度全体の改革も検討いたしましたので、もし必要であれば、本当に十分な議論を重ねていきたいと思っております。

 さて、税の話にまた戻っていくわけなんですけれども、税収に関しまして、政府の令和五年六月において、その中期答申におきまして、いわゆる公平性、中立、簡素性というこの租税の中に、先ほどうちの沢田議員も言及しましたけれども、十分性というのがこの答申の中では入っているんです。必要な負担を能力に応じて広く分かち合う必要があるとも書いてあるんですけれども、そのときにやはり十分検討していかなければいけないのは、併せて行財政改革が今必須だと思います。

 租税特別措置とか優遇税制を集中的に選んで様々なところに政府がばらまくというのは、やはり減税と呼ぶにはちょっと苦しいんじゃないかと思います。税構造を一体的に考えて、そして基幹税の税率を下げることをやるためには、やはり構造改革をやるというのが本筋だと思います。そういった構造改革案を我が党は新日本大改革プランで提案しているんですけれども。

 では、行財政改革とはどうやってやるのかというと、やはり、大きな改革を第一歩としようと思うと、政治家自らの身分を自ら切る。身を切る改革というのを政治家の皆さんも、我が党でさえも誤解している方も一部おるわけなんですけれども、そこで財源を捻出するんじゃなくて、そこで行財政改革をする第一歩だということです。

 明治の維新を実現した武士が自ら地位を捨てて平等の社会をつくったことと同じ理念なんですけれども、我々は本当にこのような理念で行財政改革を進めていくと考えているんですけれども、政府は今後どのような方向性で行財政改革も一体として進めていこうと考えているのか。財務大臣、お考えを教えてください。

鈴木(俊)国務大臣 先生から冒頭、税収の十分性についてのお話がございました。

 本年六月の政府税制調査会の答申において、人口減少、少子高齢化が急速に進展する中、財政の持続可能性を損なわないために必要な負担を広く分かち合う必要がある、公的サービスの内容や水準についても、租税を負担する国民が納得いくものとする必要があるといった観点から、租税の十分性を重視すべきとの指摘がございました。

 医療や介護など、社会保障制度を安定的に支えるべく広く負担を分かち合い、税収が安定している消費税の役割を高めてきたことに加えまして、これは今伊東先生が御指摘になりましたけれども、徹底した行財政改革、行政事業レビューなどを通じた予算事業の不断の見直しなどで徹底した行財政改革を行ってきたところでありまして、こうした歳出歳入両面からの見直しを進めてまいりたいと考えているところです。

伊東(信)委員 本当に大臣もこういった行財政改革の必要性は十分必要だということを認識いただいているという点で、決算委員会でも御質問したんですけれども、そうなると、やはり日本の会計というのを考えなければいけなくて、そのときにやはり気になるところは、確かに憲法八十七条では保障はされていますけれども、予備費の話なんですね。

 この予備費を使用決定した後、速やかに使用理由と積算の根拠を国会に示す、これが非常に大事だと思います。そして、承認の際に、使用決定時の積算と実績の差異を国会に示すというのが必要だと思います。今やっていますという話じゃなくて、今だったらまだ遅いんじゃないかというところを指摘させていただいて、質問にさせていただきます。

鈴木(俊)国務大臣 予備費の使用調書、それから積算根拠の国会提出ということで、今御意見をいただきました。

 予備費使用の内容を早期に国会に示すべきとの御指摘について申し上げますと、予備費の使用に当たっては、財政法において、予備費使用総調書等を次の常会において国会に提出しなければならないとされておりますが、政府としては、国会における早期審議に資するよう、可能なものについては、次の常会を待たずに総調書等の早期提出に努めてきたところであります。

 また、総調書等では、予備費使用の内容、金額、目的などを明らかにしているところですが、より詳細な中身については、まずはそれぞれの事業を所管する各省庁の下で国会や国民の皆さんへの説明責任を果たしていただくとともに、私ども財務省といたしましても、各省庁と連携しながら丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 もう答弁は結構なんですけれども、やはり予備費のあらかじめのチェックというのを何とかできないものか。要するに、予備費のやはり運用を改善することを事前に何とかできないかということとか、また、本当に、国会で事前審議をするというのが予算という意味では大事だと思いますので、その辺のところをまた改めて議論する機会があればと思います。

 ちょっと時間の関係で、最後、日銀総裁、植田総裁、済みません、お待たせしました。

 イールドカーブコントロールについてお尋ねしたいんですけれども、柔軟化に関しては既に質疑もあったので、そこからの話になるんですけれども、結局のところ、確かに持続的な賃金上昇を政府として進めていくことでという話もよく分かるんですけれども、アコードという言葉をここで申し上げますけれども、やはり、経済政策と金融政策が一貫した目的で求められることが必要だと思うんです。政府と日銀がその辺の協定を結ぶことも今の段階では必要なのではないかと思うんですけれども、このような政策的な枠組みが必要だと思うんですけれども、日銀植田総裁の見解をお求めします。

植田参考人 お答えします。

 私どもの目標としましては、賃金の上昇を伴う形で、二%の物価安定を持続的、安定的に実現することを目指してございます。この点におきましては、政府とも目指している方向が一致しているというふうに考えてございます。

伊東(信)委員 財務大臣、いかがですか。経済と金融との協定が必要じゃないかという指摘に関して、最後、時間が短いので、端的でよろしいです。

鈴木(俊)国務大臣 共同声明につきましては、よく、改定したらいいのではないかというお話がございますが、今現在、従来の共同声明の下で、日銀ともよく連携をしながら進めていきたいと思っております。

伊東(信)委員 時間なので終わります。ありがとうございました。

津島委員長 これにて伊東君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原でございます。

 金融政策について、まず、日銀総裁にお聞きをしたいと思います。

 お手元にお配りをしている資料の一枚目、一を御覧いただきたいと思いますけれども、今まで日銀が購入をしているETF、投資信託の推移でございますけれども、簿価で、二〇二二年度末が三十七兆一千百六十、今年が買われたのは七百一億だと伺っておりますので、合わせまして三十七兆千八百六十一億円という簿価になろうかと思います。

 植田総裁、時価は今、最近の推計値は幾らですか。

植田参考人 今年の八月末現在においてでございますけれども、試算いたしましたところ、簿価に加えまして、二十四兆円程度の含み益があるという状態でございます。

前原委員 ということは、時価が六十一兆円、そのぐらいになっているということであります。これについてはかなり、二十四兆円の含み益ということでありますので、今後どのように活用するかということについては、また別途、場を改めて議論させていただきたいと思います。

 今日確認をさせていただきたいのは、ETFについては、購入目的は、リスクプレミアムに働きかけて、株価の急落を防いで資産価格の下支えをすることだと認識をしているわけでありますけれども、数年から十数年も保有しているわけですね。現在の株価に日銀が保有しているETFというのは影響があるのかないのか。その点についてどういう認識かをお伺いいたします。

植田参考人 難しい御質問でありますけれども、先生がおっしゃいましたように、これまでは、市場が大きく不安定化してリスクプレミアムが過度に拡大するような場合に、フローの買入れを随時行ってまいりました。今年に入りましてからは、本年度入り後ですが、十月初めに一回実施したのみでございます。

 その上で、我々が持っていること、あるいはこういう制度が現在の株価水準に影響がありやなしやという御質問だと思いますけれども、厳密なところはなかなか難しいですけれども、経済情勢が場合によって将来悪化した、あるいはリスクプレミアムが上昇するようなことがあるという場合に、日本銀行が場合によってはETF買入れを実施するということが参加者にある種の安心感を与えているという効果はあるかもしれないと思ってございます。

前原委員 ですから、その効果というのは、今の価格に影響しているということなのか、あるいはこれからの売買に対して影響するのか、どちらをおっしゃっているんですか。

植田参考人 現在の株価水準にもある程度反映されている可能性があると思っております。

前原委員 なぜこういう質問をしたかというと、もう引退された、日銀の政策決定会合に参加をされていた方が、これは個人的にお話をしたことですので名前を申し上げることは控えさせてもらいますけれども、価格には影響はないということをおっしゃったんですね。だけれども、今、日銀総裁は公の場で、国会の場で、一定程度の言ってみれば影響があるという御答弁をされたということでありまして、ということは、やはり株価についても、国債市場と同じように官製市場になっているということを認められたことに私はほかならないと思うんですね。

 ということは、本当に日本の企業の、株価が正式にちゃんと反映をされていないということを言われたのも同じでございまして、やはり、そういう意味におきましては、私は、この政策というものについては、どういう形にするかは別にして、早くやめた方がいいということを改めて申し上げたいと思います。

 総裁、一点だけ。このETFの買入れも、やはり私は、極めて、今御答弁されたように、官製相場を形成している面があるということであれば、やめた方がいいと思いますが、いかがですか。

植田参考人 先ほど申し上げましたように、考え方として、たまに、マーケットの方で参加者の不安心理が拡大し、リスクプレミアムが過大なところになってしまうという状態があるときに、買入れをする、購入するということをしてまいりました。

 したがいまして、そういう心配がある程度以上なくなるという状態になれば、こういうやり方をやめていく準備が整うということだとは考えております。

前原委員 本来、そういうものは安全弁というのはなくやっているわけですね。それが市場原理というものだと思いますので、これは早く私はやめるべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。

 さて、次に、よく、物価目標二%を達成する上で賃上げが極めて大事なんだ、二〇二四年の春季労使交渉、いわゆる春闘、これも重要な点検ポイントと挙げておられますけれども、私はどうしても、この異次元の金融緩和と賃金上昇が具体的にどういうメカニズムで結びついているのかということが分からないんですよ。分かりやすく教えてもらえますか。なぜ続けていれば賃金上昇につながるのか、そのメカニズムを分かりやすく御説明ください。

植田参考人 一般論になって恐縮でございますが、やはり、金融緩和は、実質金利を低位に保つということを通じて、財・サービスに対する総需要を刺激したり、それに伴って雇用が拡大する、労働需給の引き締まりをもたらすということで、結果的には賃金の押し上げに寄与する可能性があると考えております。

前原委員 多分、その言葉を聞いても、単語は並んでいるんですけれども、納得をして理解するという人は、私はほとんどいないのではないかと思います。つまり、漠とし過ぎているんですね。

 つまりは、異次元の金融緩和を続けていれば賃金上昇するということについては、環境を整えているのでそうなっていますよということでしかないわけでありまして、ちょっと私、具体的に、反駁というか反論していきたいというふうに思います。

 まず、お配りをしている二枚目を御覧いただきたいわけでありますけれども、これは内閣府が出している月例経済報告、最新版でありますけれども、左が業況判断ということで、非製造業も製造業もおおむねいいんですね。おおむねいい状況である、業況判断は。右側が雇用人員判断ということで、上が非製造業、下が製造業でありますけれども、圧倒的に人手不足なんですね。製造業も非製造業も、本当に人手が足りない状況になっているということであります。

 今度は三枚目を御覧いただきたいと思います。左上でありますけれども、じゃ、非製造業の中で業種別にどんな状況なのかということで見てみると、バブルの頃は宿泊、飲食というのは過剰だったんですけれども、今や完全に全て不足している、こういう状況であります。

 私は地元が京都なんですけれども、タクシーに時々乗りますけれども、コロナのときに、雇用調整助成金の特例措置ということで、運転できない、だけれども一定の給料は出せる、こういう制度がありました。皆様方も御承知のとおり、今タクシー業界というのは、シニアの方々が運転をされているということで、コロナが明けてからも戻ってこられなくなったということでありまして、今でもかなりのシニアの方ですけれども、それ以上のシニアの方々はもうコロナ明けは戻っていないという状況で、顕著に人手不足が加速をしている状況であります。

 お話を伺って私驚いたんですけれども、タクシーの運転手というのは最低賃金に近いような非常に過酷な労働だというふうに言われていました。手取りで月額二十万とか二十五万とか、こんな状況ですけれども、最近どのぐらいとおっしゃっていると思われますか。四十五万から五十万と言われるんですよ、月額で。つまり、それぐらいの手取りになっている。倍あるいは倍以上になっている、こういう状況です。

 つまりは人手不足が原因で賃金が上がっているということでありまして、賃金が上がる要因というのは、これを見ても、異次元の金融緩和ではないのではないかというふうに私は思うわけであります。

 それで、三のところの、今度は右の上、三図というところを見ていただくと、「企業の人手不足対応の取組」ということの二番目を見ていただくと、在職者の賃金改善ということが理由の二番目になっているんですね。つまりは、異次元の金融緩和というのは、まあ、外観的に何かの役には多少は立っているかもしれないけれども、明確なメカニズムというのは、人手不足で、人手を確保するためには賃金を上げなければいけない、賃金を上げなければ、まさに会社が成り立たない。バスの路線もそうですよね。昔は、バスの路線というものは、乗らないから廃止をしていた。今は、ドライバーがいないから廃止をせざるを得ない。

 こういう状況でありまして、まさに人手不足というところが賃金の上昇になっていて、別に異次元の金融緩和がなくても賃金上昇というのはされる環境だと思われませんか、総裁。

植田参考人 前原先生おっしゃいますように、人手不足が賃金上昇の一つの要因だとは思いますけれども、人手不足というのは、文字どおり、人手に対する需要と供給の相対で決まるものでありまして、人手に対する需要というのは経済の強さ次第というふうに思います。その経済の強さがどれくらいであるかというところに金融緩和政策が幾ばくかのプラスの影響を及ぼしているということは言えるかなと思います。

前原委員 日本の金融政策だけでしょうか。世界全体の景況感というものの中で日本の経済が成り立っているんじゃありませんか。日本の金融緩和だけでその景況感というものを生み出しているというような御説明は、それは私は過大だと思いますよ。

 そういう意味においては、一つの要因とおっしゃったけれども、人手不足というのは主な要因ではないですか。金融緩和以上に賃金が上がる要因になっているのは人手不足じゃないですか。どう思われますか。

植田参考人 私が申し上げたのは、人手不足のそのまた要因の一つとして金融緩和があるということでございます、人手に対する需要と供給の相対ということでございますので。

前原委員 じゃ、それにも反論していきましょう。

 四ページの右下でありますけれども、これも月例経済報告でありますが、消費者が今後の支出に際して重視する事項ということなんですけれども、二〇二一年から二〇二二年ぐらいまでは、収入の増減、まさに賃金ということが一番大きな要因だったわけでありますけれども、今や一番大きな要因は、今後の物価の動向ですよ。物価の動向の方がはるかに消費者心理に影響を与えているわけですね。

 つまりは、GDPの半分以上は消費でしょう。つまり、今の経済状況ということをおっしゃるのであれば、消費が多いわけですけれども、その物価動向というものが大きな要因になるということでありますが、じゃ、五ページを御覧ください。

 いつも言われていますし、言われ続けている問題でありますけれども、左側、実質賃金は下がり続けていますよね。つまり、実質賃金は下がっているんですよ。賃金は上がらずに、実質賃金は下がっているわけですね。

 そして、その要因は何なんだということを調べた場合、右側でありますけれども、これは日銀に作ってもらったものでありますけれども、輸入物価の推移を表しているのがこの右側なんですよ。

 これは、円ベースは為替変動の影響を含むものなんですね。契約通貨ベースは為替変動を含まないものなんです。つまりは、円ベースから契約通貨ベースを差し引いた分が為替変動の影響なんです。分かられますか。

 直近の二〇二三年九月は一六二・五ですよね、円ベース。それに対して、契約通貨ベースは一二七・四。二〇二〇年の平均からすると、プラス二七・四なんですよ。つまり、二〇二〇年の平均からすると、物価上昇要因の半分以上は為替要因じゃないですか。金融緩和をし、そして、FRBやECBとの金融政策の違いによって円安が止まらず、百五十円ぐらいになっている、一ドルが。こういう状況で輸入物価が上がっている。つまりは、輸入物価の半分以上はまさに円安要因なんですね。

 ということは、名目賃金を上げても実質賃金が下がり続けるというのは、日銀の政策によってこれは起きているんじゃないですか。つまり、日銀の政策が間違っているから実質賃金が下がる、そして、むしろ経済を冷え込ますような今状況を日銀がつくっているんじゃないですか。いかがですか。

植田参考人 先生おっしゃいますように、例えば二〇二〇年頃と比べますと、円ベースでの輸入財の価格上昇の半分くらいが円安によるものだということではございます。

 ただ、ここの部分のインフレにつきましては、私ども、輸入物価そのもの、契約通貨ベースですね、これが低下に転じていること、それから、それを映じてですけれども、企業間物価も上昇率としては下がり始めている。同じことがスーパーでの食料品や日用品についても言えること等から、早晩、コストプッシュ型のインフレは収まっていくというふうに考えてございます。

 他方で、繰り返し申し上げておりますように、基調的なインフレについては、まだ二%に若干距離があるということで、御批判はありますが、金融緩和を維持している次第ということでございます。

前原委員 私の質問に答えておられないんですよ。

 つまりは、日銀の金融政策によって輸入物価が上がり、そして賃金上昇に、まさにこの実質賃金を見ていただいたらお分かりのように、パラレルになっているじゃないですか、これ。いわゆる円ベース平均と契約通貨ベース平均、この差額がまさに為替要因。それとこの実質賃金が下がり続ける状況というのは、まさに同じような状況ではないですか。

 つまりは、日銀の金融政策によって、むしろ賃金上昇が物価上昇に追いつかないような状況をつくってしまっているんじゃないですかということを聞いているんです。今後のことを言っているんじゃないです。今は認められるかどうかということを聞いているんです。

植田参考人 私どもの金融緩和がどれくらい円安に効いてきたかということは、なかなか議論のあるところだと思います。

 ただ、仮に、金融緩和ではなくて強い金融引締めを行ったとしますと、円安ではなかったかもしれませんが、金融引締め自体が経済に悪影響を及ぼし、人手に対する需要にも悪影響を及ぼし、どれくらい時間的なラグがかかるかというのはありますけれども、雇用、賃金にも大きな悪影響を及ぼすということになったであろうというふうに考えます。

前原委員 今のお答えは極端なんですよ。

 つまり、引締めをしろなんて一言も言っていない。正常化をしていく、例えば、マイナス金利を解除するとか、あるいはゼロの金利のところをもう少し短い国債にしていくとか、つまりは正常化へのプロセスをしたらいいわけで、誰も引締めをしろなんということを言っていないですよ。極端なことをおっしゃって自分たちのやっていることを正当化しようというのは、ちょっとそれは論理の飛躍というものではありませんか。

 と同時に、今おっしゃった、どのぐらいの影響か分からないので金融緩和を続けていたら駄目じゃないですか。

 つまりは、金融緩和というものがどれぐらい実質賃金を下げることになっているのか、プラスなのかマイナスなのかということを精緻に分析した上で金融政策を続けるということが、まさに、四月の春闘を待つのではなくて、それまでの間の日銀としてやられることじゃないですか。

 日銀として、是非、要は、物価上昇と、そして、この輸入物価も含めて、実質賃金、あるいはそういったものに与える影響についてどう評価するかということをこの委員会に提出してもらえませんか、日銀として。

 委員長、お取り計らいをいただきたいと思います。

津島委員長 理事会で協議します。

前原委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、十七兆円の補正予算を議論するに当たって、物価高対策だといって財政出動する、片や物価高を生んでいるのは日銀の政策だというんなら、しゃれにならないですよ、ちぐはぐで。

 そういうことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

津島委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、防衛力強化資金について質問します。

 防衛財源確保法、軍拡財源法によって、国立病院機構の積立金四百二十二億円、地域医療機能推進機構、JCHOの積立金三百二十四億円が防衛力強化資金に回されることになりました。しかし、通常国会の審議でも私指摘しましたように、両機構の病院には財政難によって様々な問題が今起こっています。

 この度、JCHO本部は、これまで実施してきた人事院勧告に基づく賃金引上げを何と半減するとの提案を行いました。鈴木大臣、御存じでしたか。

 私は、この夏、九州にある国立病院機構の三つの病院を見てまいりました。外来と検査棟の建て替えが止まったまま。雨風に吹きっさらしの廊下がある。エレベーターが止まって、もう一年間動くことはなかったと院長先生に説明してもらいました。医療従事者も患者さんも大変不自由な思いをされています。

 病院職員の待遇改善どころか、賃上げを抑制する流れがある。施設は老朽化したまま。大臣、この両機構からの積立金は、防衛予算に回すのではなくて、病院のために使うべきではありませんか。いかがですか。

鈴木(俊)国務大臣 政府といたしましては、防衛力の抜本強化のための財源確保に当たりまして、国民の負担をできる限り抑えようということで、あらゆる行財政改革の工夫を行う中で、独立行政法人の積立金についても精査を加えまして、その結果、国立病院機構及び地域医療機能推進機構の積立金の一部を活用させていただくことにしたところであります。

 両法人の積立金の状況を見てみますと、令和四年度末において、国立病院機構で九百四十億円、地域医療機能推進機構で五百六十五億円と、共に、国庫納付後においても、国立病院機構においては直近九年間で最高の水準、地域医療機能推進機構におきましては国庫納付後においても過去最高の水準となっております。これまでの実績との比較でも高い水準となっていることから、経営上、一定の余力があるものだ、そのように考えております。

 今般の国庫納付につきましては、安全保障環境が厳しさを増す中で、政府の方針として、防衛力を維持強化していくに当たって、国民の負担をできるだけ抑えるべく、あらゆる工夫を検討する中で行うこととした対応でありまして、御理解を賜りたいと考えております。

田村(貴)委員 では、大臣、何でこういう事態になっているんですか。これはまた論議しますけれども、これでは現実に起こっている問題を解決できないんですよ、こういうことをやっていると。だって、病院だって、お金をためたい、使いたくないと、抑制効果が働いてくるわけですから。病院のお金は、やはり病院のために使うべきです。まして、軍拡財源に召し上げることは許されません。

 次に、総合経済対策について伺います。

 岸田内閣の支持率は、どの世論調査を見ても最低であります。そして、鳴り物入りの経済対策も、評価をしない、大体これが六割を超えています。JNNの最新の世論調査で、経済対策について、期待すると答えた人は一八%にすぎず、期待しないと答えた人は七二%にも上っています。デフレに後戻りさせないための一時的な措置として政府は定額減税などを行うとしていますけれども、この措置について何がよいのかという問いがありました。消費税の減税が四一%と最も多かったのであります。ちなみに、定額減税については、評価をしないが六四%にも達しています。

 鈴木大臣、もう明らかになったんじゃないですか、国民世論的にも。いっときの減税の後に負担増と増税があることを国民はもう見抜いていますよ。だから、こういう結果になるんです、どの世論調査を見ても。

 今、やはり、かじを切り直さないといけない。国民が望む経済対策、すなわち消費税の減税、物価高騰に有効な対策、すなわち消費税の税率引下げ、ここに踏み切るべきではありませんか。いかがですか。

鈴木(俊)国務大臣 田村先生から、確実に可処分所得を伸ばし消費拡大につなげるためには消費減税が一番効果的だというお話がございましたが、消費税につきましては、急速な高齢化に伴い、社会保障給付費、これが大きく増加する中におきまして、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられております。したがいまして、政府としては、その引下げを行うことは適当ではないと考えております。

 また、物価高対策という観点から見ましても、消費税減税は、高額消費を含めて負担軽減がなされることとなり、物価高に最も切実に苦しんでおられる低所得者への支援が相対的に手薄になってしまうもの、そのように考えているところであります。

田村(貴)委員 鈴木大臣、国民の声に耳を傾ける政権ではないのですか。あらゆる方が今おっしゃっていますよ。与党自民党の若手の集団の方だって、消費税率の引下げを岸田総理に要求しているじゃないですか。野党も要求していますよ。頭から消費税減税を否定するのではなくて、これは強く要望しておきます。

 財務省は、減税による効果を検証していないと言います。財務省だからこそ、減税による効果を検証すべきではありませんか。そのことはまた議論しますので、強く要望しておきます。

 そもそも減税というのに、どうして新たな増税を生むインボイスを強行しているんですか。おかしいではありませんか。インボイスについて質問します。

 まず、大臣、早急に対応していただきたい問題があります。悲惨な事態となっています。

 免税業者の経営するある食堂で、会計のときに一〇%の値下げを要求されたりするケースが起こっています。そして、お客さんからその店に向かって、着服、猫ばばし続けるつもりか、こうした誤った知識によっての悪罵が投げかけられているんです。これは深刻ですよね。あってはならないですよね。

 財務省とそれから国税庁、インボイスの制度の周知を図るとさんざんこの場でも言ってきたけれども、全然図られていないじゃないですか。免税業者がこれまでどおり消費税分一〇%相当を書いたレシートとか領収書を発行できるように、直ちに対策を打つべきじゃありませんか。広報、CM、いろいろな場面でアナウンスする必要がありませんか。いかがですか。

鈴木(俊)国務大臣 インボイス制度につきましては、当委員会でも田村先生から、これまでも度々いろいろな御意見をいただいているところでございます。この制度の導入に当たりましては、特に中小・小規模事業者の方々から、不利な取引を強いられるといった声があること、これは承知をいたしております。

 政府といたしましては、免税事業者からの仕入れについて、一定期間は一定割合の控除を認める経過措置を設けるとともに、免税事業者への不当な取引排除や価格引下げに対しては、公正取引委員会を始め、政府を挙げて取引環境の整備に取り組んでおります。

 さらに、加えまして、今般の経済対策などでもこれらの取組を更に充実させるとともに、IT導入補助金を通じ、取引のデジタル化、自動処理を支援することとしております。

 引き続き、制度の施行状況、これをフォローアップして、事業者の方に立って一つ一つ課題にしっかりと対応していきたいと思います。

 また、事業者の皆さんに対するPRも重要ですが、そうでない一般の消費者の皆さんに対してもきちんとした理解を得る努力、これは御指摘のように必要なものと考えます。

田村(貴)委員 インボイス制度が導入されて、経理では大変な実務負担が増えているという声が起こっています。

 例えば、先日、西日本新聞にこんな記事がありました。福岡のある業者さんが、仕入れで取引する約七十業者の書類を連日点検している。領収書類は登録済みの様式なのか、記載漏れはないか、疑問が生じるたびに相手に問合せをしており、作業量は以前の一・五倍に広がったと。これはやってみないと分からない話だと思うんです。

 お配りしている資料の一番を御覧いただきたいと思うんです。

 これは、衆議院の議員会館のコンビニでレシートを一枚もらって、そこにある十三桁の登録番号を国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで検索をかけてみたんです。そうしたら、セブンイレブンと出てこないんですよ。全然想像できない会社の名前が出てくるわけですよ。

 私、北九州の地元の同じセブンイレブンの領収書を持っていたので、これでかけてみたら、また全然違う企業名が出てくるわけですよ。その企業名とセブンイレブンとどうリンクするのか、どれだけ検索をかけても符合しないんですよ。だから、この番号は本当に正しいのか、これが本当に事業者なのかと。

 別のコンビニでもやってみました。同じ結果が出るわけですよ。

 法律では、インボイスに登録した事業者の氏名又は名称及び登録番号を記載することになっている。でも、氏名、名称が出てこないんですよ。これは駄目じゃないですか。法律違反じゃないですか。いかがですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 インボイスには事業者の氏名等として屋号等を記載することも認められておりますことから、公表サイトで確認を行った際、御質問のように、インボイスに記載された屋号等とは異なる氏名等が表示されることもございます。

 しかしながら、公表サイトは、取引先から受領した請求書等に記載されている番号が登録番号として取引時点において有効なものかを確認するために利用いただくものでございまして、その有効性が確認できれば、一義的には正しいインボイスとして取り扱って差し支えないものと考えてございます。

田村(貴)委員 それは勝手な解釈じゃないんですか。

 法律では、インボイスに登録した事業者の氏名又は名称及び登録番号を記載することになっている。仕入れ税額控除をやるときに、厳密に見るわけでしょう、皆さんは。そのときに、自分が受け取った相手方のレシートが相手本人であるのか、この番号が正しいのであるか、それを幾ら検索をかけても分からないという事態が、日本を代表するコンビニエンスストア、その一店舗一店舗で確認していかなくてはいけないんですよ。

 こんなのでいいんですか。どう対応するんですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 公表サイトで登録番号の有効性を確認してもなお、買手側において不安であるということでございましたら、その事業者のホームページや、あるいはインボイスに記載されている電話番号に電話するなどの方法により確認することもできると考えてございます。

田村(貴)委員 それで検索をかけても、どこの事業者がどこに所在地があって、電話番号も分からないんですよ。私、昨日、本当、検索をかけたんだけれども、全然結びつかないんですよ。だから法律違反じゃないですかと言っているんですよ。

 鈴木大臣、もうこれだけいっぱい問題が出てくる。

 そして、午前中、末松議員からストップ!インボイスが行ったアンケート結果が資料として配られました。十日間で、たった十日間で二千六百通、二千六百通近くが寄せられました。

 私も一例、紹介したいと思います。インボイス登録をしてもらわないと仕入れ税額控除が受けられないから、出演料の手数料を一割多く徴収すると一方的に書面通知され、経過措置期間は八〇%の控除が受けられるため、優先的地位を濫用した不当な値上げであると指摘したにもかかわらず、話合いに応じてもらっていない。芸能事務所。

 それから、あるクリエーターの方。クライアントが次々と倒産しています、インボイスを理由に畳んでいるケースが三割ほど、契約できる会社がないと生きていけません、先が不安です。

 こういうアンケートが短期間にたくさん寄せられているんです。日々問題が起こっているじゃないですか。

 この問題を解決するために、これはもうインボイスを中止、廃止する以外にないと思います。これだけの問題が、大丈夫だ、そして控除を設けた、周知徹底に努めている、でも、私が今日申し上げただけでもこれだけの問題がある。

 もうここは思い切ってインボイス中止、そして廃止する、それ以外にないと思いますけれども、大臣、いかがですか。

鈴木(俊)国務大臣 様々な事例について、今先生からお話をいただきました。

 実態の詳細は分かりませんけれども、例えば、値引きを不当にさせられる、あるいは取引を拒絶される、そうしたことは明らかな、これは独禁法上の優越的地位の濫用に当たるんだと思います。まさに公取においてそういうものは是正されるべきものである、そういうふうに考えます。

田村(貴)委員 是正されるべきものが是正されていないという現実があります。

 最後に、障害者相談支援事業の消費税課税誤認問題について質問します。

 お配りしている資料を御覧いただきたいと思います。

 課税業者としてくくられる障害者相談支援事業が、自治体や税務署の誤認のために、消費税非課税事業として社会福祉法人などと契約が行われていました。これは中日新聞の調査によって明らかになったんですけれども、東海地方にある六県の市では、半数以上が誤認をしていたことが判明されました。私が住んでいる北九州市においても、同じ誤認が起こっていることが分かりました。

 厚生労働省は、このことについて、十月四日に事務連絡を発出して事態の是正を図っています。厚労省と国税庁は、幾つかの自治体で同じ誤認問題が起こっているかどうかを調査して把握しているのでしょうか、それをまず教えていただきたいと思います。

 それから、まとめて聞きます。このままだと、これは委託を受けた事業所が消費税を滞納したことになるんですよ。しかし、市町村の誤認が原因で生まれているものなんです。東海市のように、補正予算で過去五年間の消費税相当額と延滞税額の市による負担を決めた自治体もあります。一方で、知多市のように、延滞税分は事業所に負担を押しつけているところもあります。これは問題ですよね。

 今後、市町村が全て負担すべきものだ、税務署や自治体の判断で滞納したのだから、延滞税などあるのは、これはもってのほかだと思いますよ。財務省と厚労省の責任で解決すべきではありませんか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 誤認を生じた自治体等の数を網羅的に把握しているわけではございませんが、現時点で、厚生労働省や税務署に対しまして、数十程度の自治体から、消費税が非課税となると誤認していたとの相談が寄せられている状況でございます。

 それから、追加納付、延滞税納付の問題でございますが、市町村が行う障害者相談支援事業は、社会福祉法上の社会福祉事業には該当せず、消費税の課税対象となることから、非課税と誤認して申告していた結果、消費税額に不足が生じた場合には、正しく申告し、追加納付をいただく必要がございます。

 なお、延滞税につきましては、一般論でございますが、納税者の方から十分な資料の提出があったにもかかわらず、税務職員が税法の取扱いについて誤った指導を行い、納税者の方がその誤った指導を信頼したことにつき、責めに帰すべき事由がなく、納付すべき税額について正しく申告、納付ができなかった場合には、免除することとしてございます。

 いずれにしても、個々の事業者の方の状況や事実関係を確認の上、適切に対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 答弁がありましたように、自治体は税務署に相談した、そして、課税であるところを非課税であると誤認してこういう問題が生まれた、まさにそれは、国の方でちゃんと補うべきだと思います。延滞税などもってのことだと思います。そして、この消費税の課税された分の負担については、事業者の負担とならないように、国と自治体がしっかり合い議をして解決をしていただかなければ、これは大変困るものです。

 そもそも、相談者、障害者の相談事業について、消費税の課税対象となっていること自体が問題ではないでしょうか。このことをやはり見直していただきたいということを最後に申し上げて、今日の質問を終わります。

津島委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十三分散会


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