衆議院

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第2号 令和6年2月16日(金曜日)

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令和六年二月十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 津島  淳君

   理事 井上 貴博君 理事 金子 俊平君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 塚田 一郎君

   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君

   理事 伊東 信久君 理事 稲津  久君

      畦元 将吾君    石原 正敬君

      上田 英俊君  英利アルフィヤ君

      小田原 潔君    大塚  拓君

      大野敬太郎君    金子 容三君

      木原 誠二君    岸 信千世君

      鈴木 英敬君    鈴木 隼人君

      瀬戸 隆一君    高階恵美子君

      中川 貴元君    中山 展宏君

      仁木 博文君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    古川 禎久君

      宮下 一郎君    宗清 皇一君

      柳本  顕君    山田 美樹君

      吉田 真次君    江田 憲司君

      階   猛君    末松 義規君

      野田 佳彦君    馬場 雄基君

      原口 一博君    沢田  良君

      藤巻 健太君    掘井 健智君

      竹内  譲君    中川 宏昌君

      田村 貴昭君    吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       井林 辰憲君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   外務副大臣        辻  清人君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   経済産業副大臣      岩田 和親君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  林   学君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  伴子君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局政策立案総括審議官)      堀本 善雄君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    伊藤  豊君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           藤野  克君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小谷  敦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    奥  達雄君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     青山 桂子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   佐々木昌弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西村 秀隆君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           田中 利則君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     上田 英俊君

  英利アルフィヤ君   仁木 博文君

  越智 隆雄君     鈴木 英敬君

  木原 誠二君     畦元 将吾君

  若林 健太君     金子 容三君

同日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     木原 誠二君

  上田 英俊君     石原 正敬君

  金子 容三君     柳本  顕君

  鈴木 英敬君     中川 貴元君

  仁木 博文君     英利アルフィヤ君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 貴元君     越智 隆雄君

  柳本  顕君     吉田 真次君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 真次君     高階恵美子君

同日

 辞任         補欠選任

  高階恵美子君     若林 健太君

    ―――――――――――――

二月十六日

 令和六年能登半島地震災害の被災者に係る所得税法及び災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の臨時特例に関する法律案(内閣提出第二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 令和六年能登半島地震災害の被災者に係る所得税法及び災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の臨時特例に関する法律案(内閣提出第二〇号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

津島委員長 これより会議を開きます。

 本日付託になりました内閣提出、令和六年能登半島地震災害の被災者に係る所得税法及び災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の臨時特例に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣鈴木俊一君。

    ―――――――――――――

 令和六年能登半島地震災害の被災者に係る所得税法及び災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の臨時特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木国務大臣 おはようございます。

 ただいま議題となりました令和六年能登半島地震災害の被災者に係る所得税法及び災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の臨時特例に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 政府は、令和六年一月に発生した能登半島地震による災害により、広範囲において生活の基礎となるような家財や生計の手段に甚大な被害が生じていること、発災日が一月一日であり、令和五年分の所得税の課税期間に極めて近接していること等の事情を総合的に勘案し、臨時異例の対応として、所得税について特別な措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、当該災害により住宅や家財等の資産について損失が生じたときは、令和五年分の所得において、その損失の金額を雑損控除の適用対象とすることができる旨の特例を設けることとしております。

 第二に、当該災害により住宅や家財について甚大な被害を受けたときは、雑損控除との選択により、令和五年分の所得税について、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律による軽減免除の適用を受けることができる旨の特例を設けることとしております。

 第三に、当該災害により事業用資産等について損失が生じたときは、その損失の金額を令和五年分の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入することができる旨の特例を設けることとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

津島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

津島委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官林学君、内閣府大臣官房審議官上村昇君、総務省大臣官房総括審議官藤野克君、消防庁国民保護・防災部長小谷敦君、財務省主税局長青木孝徳君、国税庁次長星屋和彦君、防衛省統合幕僚監部総括官田中利則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

津島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石原正敬君。

石原(正)委員 おはようございます。自由民主党の石原正敬です。

 まずは、冒頭、元日の令和六年能登半島地震でお亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に改めてお見舞いを申し上げます。また、被災地の復旧復興に全力で取り組んでおられる関係各位に敬意と感謝を申し上げるところでございます。

 今回、質疑の機会を与えていただき、津島委員長を始め、理事各位の皆さん方に心から御礼を申し上げます。

 さて、本日は、能登半島地震税制特例法について質問をいたします。

 私は、災害時の各種支援活動で最も重要なことは、時々刻々と変化する中で、適切な状況把握による迅速な被災地支援だと考えております。すなわち、災害の種類、規模、発災地域など個別具体の状況に応じて対応していかなければならないということであります。

 今回の能登半島地震では、住居被害が深刻であるほか、旅館業などを中心に個人事業主の方が半数近くを占める地域であり、再建に向けて深刻な課題を抱えている事業主の方もいらっしゃると聞いています。

 こうした被害状況も踏まえ、通常の税制改正は与党税調において年末にかけ議論いたしますが、今回は、住宅などの被害について雑損控除の特例や、個人事業主の事業用資産の損失の特例について、異例の時期に議論が行われ、本法案が提出されました。

 まず、今回の法案に盛り込まれた雑損控除や被災事業用資産の損失の特例について、その内容と意義、個人事業主を含む被災者皆さんの支援にどのような効果があるのか、御説明ください。

鈴木国務大臣 まず、私からも、能登半島地震において亡くなられた方々に心から御冥福をお祈りを申し上げますとともに、被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げるところであります。

 委員御指摘のとおり、今回の能登半島地震により約七千棟が全壊するなど、住宅被害は甚大でありました。また、能登地域は観光業、伝統産業を営む個人事業主の方が多いと承知をしているところであります。

 今回の法律における特例措置は、こうした住宅等に関する雑損控除や、個人事業主の方の事業用資産の損失の必要経費への算入について、暦年課税の所得税における臨時異例の措置として、前年である令和五年分への適用を可能とするものであります。こうした措置を取ることによりまして、被災者の皆さんの負担軽減や個人事業主の方の資金繰りの円滑化を図ることで、個人事業主の方を含む被災者の皆さんの生活となりわいの再建につなげてまいりたいと思っております。

石原(正)委員 ありがとうございます。

 ただいま鈴木財務大臣から御説明がありましたように、雑損控除や事業用資産の損失を令和五年の所得税に適用する特例措置ということであります。これはまさに、被災地の支援に大きな意義があると考えるところであります。

 他方で、個人事業主の方はまだしも、一般の納税者の皆さんにとって雑損控除というのはなじみが薄いということもあります。政府には、納税者の方々が不安を抱くことのないよう、申告などの期限延長や特例措置の十分な周知、広報に加えて、納税者からの相談への丁寧な対応などが重要だと考えますが、具体的な対応策について御説明ください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の能登半島地震を受けまして、石川県、富山県の被災者の方につきましては国税の申告、納付等の期限が自動的に延長されているほか、その他の地域の被災者の方につきましても個別の申請に基づき期限の延長が可能とされておりますことから、これらの期限延長措置と併せまして、確定申告につきましては、状況が落ち着いた後に行っていただくよう周知、広報を実施しております。

 また、こうした周知、広報に加えまして、本法案に基づく雑損控除等の特例措置に関しましては、制度の概要と併せまして、状況が落ち着き次第、罹災証明書等の必要書類を準備の上、税務署に御相談いただくよう、地方自治体や関係団体とも連携しながら周知、広報を実施しているところでございます。

 今後、法案が成立、施行された際に被災者の方々が円滑に特例措置の適用を受けることができるよう、引き続き周知、広報を実施するとともに、雑損控除に関する説明会を開催するなど、被災者の立場に寄り添いながら丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。

石原(正)委員 ありがとうございます。

 また、今回の能登半島地震税制特例法以外でも、これまでの与党税調では、熊本地震などを踏まえまして、災害時に法律改正がなくとも様々な特例措置を利用できるよう対応してきたと伺っています。

 今回の能登半島地震の被災者が、法改正せずともどのような税制上の支援措置が利用可能なのか、御説明ください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、自然災害で被害を受けました方々への税制上の支援措置といたしましては、与党の税制調査会の御議論を踏まえまして、熊本地震以降、平成二十九年度税制改正などにおきまして、災害関連の規定を常設化しておるところでございます。

 御指摘の住宅の被害や個人事業主の方の損失について申し上げますと、例えば、住宅を再取得した場合、住宅ローン控除を従前の住宅と再建後の住宅の両方に適用できる特例、また、住宅などに関する雑損控除や個人事業主の方の事業用資産の損失につきまして、引き切れない損失額の繰越期間を三年から五年に延長する特例などの措置を法改正なしに活用いただくことが可能となっております。

石原(正)委員 ありがとうございます。

 様々な税制措置がありますので、そちらの方もきちっと周知徹底をしていただくようにお願いしたいところであります。

 また、先ほども質問いたしましたけれども、岸田総理も被災者に寄り添った支援ということを打ち出しておられまして、まさしく、こういったことを申し上げますと、やはり、今、例えば申告相談一つ取っても、避難生活をされている方、あるいは、二次避難で、かつて住まわれていたところと違う場所で住まわれている方々がおられます。そういうことを鑑みますと、やはりより丁寧な周知、広報というのが私は必要になるというふうにして思います。

 また、税理士などの専門家の無料相談窓口や、先ほど申し上げましたように、二次避難をされている方向けに、例えばリモートなどで周知、広報するとか相談業務をするとか、そういったきめ細やかな体制も不可欠なんだろうということでありますので、これはひとつ検討ということでよろしくお願いいたしたいと思います。

 私自身も、今後、本格的な被災地の復旧復興のため、与党の一員として全力で協力してまいりますので、政府におかれましても、被災者、被災地に寄り添った支援をよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

津島委員長 これにて石原君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 この度の能登半島地震によりお亡くなりになられた方の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。

 この度の地震で被災された方に対して、家財や生計の手段等に甚大な被害が生じた方々に対しまして、雑損控除の特例や災害減免法の特例など、税制上での対応を取ることにしていただきました。

 雑損控除の特例につきましては、これまでは、その年分で控除し切れない場合は翌年以後三年間繰越しが可能となっておりましたが、昨年の税制改正におきまして、特定非常災害の場合には、三年ではなく五年繰越しができるよう我が党としても強く要望し、五年繰越しが可能となりました。

 今回、雑損控除か災害減免法のどちらかの特例を選ぶわけでありますが、先ほど石原委員の方からも、なじみのない取引だ、こういうお話がありましたが、被災者の皆様はこれまで経験したことのない手続となると思います。

 まずは、申告の段階で、源泉徴収の方や年末調整の方など、どのような手続が必要なのかお伺いをするとともに、スケジュール感について、被災者の皆様に分かりやすく御説明をお願いしたいと思います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の能登半島地震によりまして、石川県、富山県の納税者の方は自動的に、それ以外の地域の方も申請により、確定申告等の期限延長が可能でありますので、状況が落ち着き次第、申告手続等を行っていただくよう周知しているところでございます。

 その上で、本法案に基づく雑損控除等の特例措置の適用を受けるためには確定申告を行う必要がありまして、その際は、給与所得の源泉徴収票など、適用を受ける年分の所得金額が分かる資料や罹災証明書のほか、被災した資産に関しまして、取得した際の価額、支払いを受けた保険金などの情報が必要となります。

 しかしながら、被災された方の中には、地震の影響によりまして必要書類を消失した方や、高齢のために手続に不安を抱えている方もいらっしゃると思われます。法案が成立、施行された際には、このような方々も含めまして、被災された方が適切に雑損控除等の特例措置の適用を受けられるよう手続の案内を丁寧に行う必要があると考えておりまして、税務署での相談体制も整備しておりますことから、不明点がある方は、状況が落ち着き次第、まずは御相談いただきたいと考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 状況が落ち着き次第ということで、その点が安心を持って手続できるかと思いますので、そんな安心感を是非与えていただけたらと思っております。

 そして、この特例におきましては、雑損控除の特例か災害減免法の特例のどちらかを選択できることになりますけれども、被災者はどちらが有利な申告になるのかということが分からないと思います。また、減免申請に必要な書類や手続が煩雑でありますので、被災者にしっかりと寄り添った対応を是非お願いしたいと思いますし、被災地は高齢化率が非常に高いところですので、地域の特性に合った対応が必要だと思っております。

 被災者が判断するのに役立つツールですとか、また説明会の提供などの場が必要と考えますが、スムーズに手続が行われるための取組についてお伺いをいたします。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 被災された納税者の方が税務署に御相談いただいた場合、入手可能な資料や被災状況等を基に家屋等の損失額について計算することとなります。その際には、損失額を確定申告書等作成コーナーに入力いただくことで、雑損控除又は災害減免法のいずれが有利となるかを自動で判定することが可能となっております。

 また、国税庁におきましては、被災者の方々が円滑に本法案に基づく特例措置の適用を受けられるよう必要な周知、広報を実施しているほか、今後、地域の被災状況等も踏まえ、地方自治体や関係団体とも連携しながら個別相談や説明会を開催し、特例措置の手続を案内するなど丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 今日から確定申告が始まるわけでございますけれども、パソコンやスマートフォンで入力できる方は、その確定申告書作成コーナーに入って自分で有利かどうかということは確かめられると思いますけれども、先ほども言わせていただいたとおり、高齢化率が非常に高いということで、そういったことができない方が非常に多いと思います。

 そう考えますと、まずは税務署に来てください、そして、安心して、もし、ない書類があってもこういうふうにやればできるという、こういった丁寧な対応が必要だと思いますので、併せて、この点につきまして是非ともお願いしたいというふうに思っております。

 特例の手続で申告を行う税理士の方や処理を進めていく国税の職員の方についてですが、当然、災害対応の実務を経験している方が少ないと思われます。今回の災害では、発災当初から、道路の復旧においても、また避難所の対応においても、また役所でも罹災証明や様々な手続でマンパワーが足りない、こういった声も聞かれているところでございます。

 申告をする側、また申告を受ける側、双方で分かる方がどれだけいるか、申請がスムーズにできるかどうかが非常に大事だというふうに思っております。被災者はこのほかにも様々な手続に追われておりますので、しっかりとこの点については体制をつくっておくことが大事だと思っております。

 今回の特例において、国税庁など対応体制をどのように構築されていくのか、お伺いをさせていただきます。

鈴木国務大臣 まず、今般の能登半島地震を受けまして、既に、石川県、富山県の納税者につきましては国税の申告、納付等の期限が自動的に延長されているほか、その他の地域の被災者につきましても、個別の申請に基づいて期限の延長が可能とされているところであります。このため、確定申告は状況が落ち着いた後に行っていただければ結構でございますので、このことはこの場でも申し上げたいと思います。

 その上で、国税当局におきましては、被害が大きかった能登地域の税務署においても、庁舎外の会場を確保するなどによりまして確定申告を受ける体制を整え、納税者の御相談に丁寧に対応することとしております。特に、本法案に基づく雑損控除等の特例措置につきましては、東日本大震災や熊本地震等への対応の経験もしっかり踏まえて、被災者の方々に寄り添った対応ができるようにしてまいりたいと思います。

 また、マンパワーのお話もございましたが、税理士会等の関係団体とも連携をしたいと思います。いずれ、国税組織が一丸となって適切に体制を整えてまいりたいと思っています。

中川(宏)委員 大臣、ありがとうございました。

 私、北陸信越ブロック選出ということで、発災の翌日からこれまで延べ十四日間、被災地に赴き、その甚大な被害を目の当たりにしてまいりました。被災者の皆様にとっては再建に向けての大事な手続になると思いますので、是非とも、地域特性も考慮していただきながら、より丁寧な対応をお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

津島委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、原口一博君。

原口委員 おはようございます。立憲民主党の原口一博です。

 冒頭、能登半島地震においてお亡くなりになった方々に心から哀悼の誠をささげ、被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。また、懸命に御活動なさってこられている皆様、全ての方に感謝をささげたいと思います。

 一刻も早い復興、そして被災者に寄り添った支援、これは大事だと思います。今大臣からも御答弁がありましたけれども、やはり過去にもこの特例をやっています。だから、きめ細かなアドボケーション、これが大事だということを申し上げ、ただ、その質疑に入る前に、税というのは国の基本であります。昨日、岸田首相が全国に向けて、まさに確定申告を呼びかけるという異例のことが起きました。

 財務大臣にお願いしたいのは、私たちも法案を出しています。日本維新の会さん、国民民主党さんとともに、被災者生活再建支援法、これの上限を上げてくれと。これもしっかりと審議をしてほしい。

 そして、この審議に入る前提として、財務副大臣が替わっているじゃないですか。やはり私も政務三役を自分で選びましたよ。その政務三役に不祥事がある、財務省の三役が替わるなんてこと、今までありましたか。やはり、大臣は冒頭、しっかりと国民に向けて、国会に向けて、けじめをつける御発言をなさるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 昨年、神田当時の財務副大臣が、納税をつかさどる財務省の副大臣にもかかわらず、複数回にわたって滞納をしたということで、辞任をされたわけであります。そのときに、田村先生からの御指摘も受けまして、委員会におきまして、私から、このような事態を招いたことに対して深い反省の意を表したところでございます。

 しかし、今日はまた、確定申告の始まる日でございます。改めて、あのような事態を迎えてしまったことについては、おわびを申し上げたいと思います。

原口委員 この法案については、今の謝罪を踏まえて、やはり他の自然災害との公平性、これは後で答えていただいて結構ですので、一定の予見性というのも必要でありますね、厳しくしろと言っているんじゃないですよ。しっかりと、先ほどあったように、地域の特性に即した柔軟な対応が必要だということを申し上げて、それは後で答弁をいただきたいと思います。

 そこで、ちょっと幾つか初動について聞いておきたいと思います。

 今般の能登半島地震、これは政府委員で結構です、低体温症によって亡くなった方、何人おられるか。それから、災害関連死、これが何人おられるか。政府参考人から二つお聞きしたいと思います。

上村政府参考人 お答えいたします。

 まず、低体温症で亡くなった方でございます。これまでに二百四十二名の方がお亡くなりになっておりまして、このうち警察が調査等を行った二百二十二名の死因のうち、低体温症あるいは凍死ということで報告を受けているのは三十二名の方でございます。

 また、石川県の発表によりますと、震災後に災害による負傷の悪化又は身体的負担による疾病のため死亡したと思われる死者数ということで、令和六年、今年の二月十五日現在で十五名とされているものと承知してございます。

原口委員 大変痛ましい数字であります。助かるはずの方が助からなかった、そういうおそれもあるわけです。

 そこでお聞きしますが、私は総務大臣を務めていましたが、総務省には危機管理オペレーションセンターがあります。それから、防衛省にもありますね。官邸にもあります。

 それぞれ聞きます。総務大臣、防衛大臣、そして総理大臣がいつそれぞれの危機管理センターに入ったか、教えてください。

藤野政府参考人 お答えいたします。

 一月一日の発災当日でございますけれども、松本総務大臣は在京してございまして、議員宿舎において逐次情報収集に当たられ、また、必要な指示を行っていただきました。

 当日は、二十時に馬場副大臣がまた総務省に登庁してございました。(原口委員「聞いたことだけ答えてください。オペレーションルームに、危機管理センターにいつ入ったか」と呼ぶ)そこに入っていたわけではございません。(原口委員「それでは結構です」と呼ぶ)はい。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 防衛大臣につきましては、発災直後、十六時十七分に、人命救助を第一義とした活動を実施すること、それから……(原口委員「聞いたことだけ答えてください」と呼ぶ)はい。

 大臣におかれましては、十八時二十分頃に防衛省に登庁されております。(原口委員「オペレーションルーム、危機管理センターにいつ入ったか」と呼ぶ)

津島委員長 発言は挙手をお願いします。

田中政府参考人 防衛省のオペレーションルームの方には入ってございません。

原口委員 これは、皆さんも将来大臣になられると思いますから、そこには何があるかというと、各県の知事や様々なつかさつかさと連絡するところがあるわけですよ。即入るんですよ、私たちは。入っていたら救えた命がいっぱいあったと、強くここは抗議しておきたい。

 それから、官邸も、官邸の中に、地下にあるんですよ。しかし、それ、どうやっていますか。総理がそこに入るんじゃなくて、わざわざ上の総理室まで報告しているでしょう。危機管理監が病気だった、それは不幸な事態でしたよ。だけれども、危機管理の基本がなっていないじゃないかと私は思うんです。

 そして、次に聞きますが、スフィア基準について教えてください。

上村政府参考人 お答えいたします。

 スフィア基準は、災害や紛争の影響を受けた人々への人道支援の基準を表しているものと承知しております。

 政府におきましては、我が国の避難所の質の向上を考える際、参考にすべき国際基準としており、具体的には、トイレの備蓄や確保ですとか避難所の衛生環境の改善、そして避難生活の長期化に応じた温かい食事の提供や栄養管理などについて、避難所運営に関するガイドラインなどに盛り込み、平時から避難所を開設する自治体に対して示してきてございます。

 引き続き、スフィア基準も参考にしながら、自治体と連携し、被災者に寄り添ったきめ細やかな支援が実現できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

原口委員 今、さらっと言いましたけれども、日本はこのスフィア基準に比して余りにもお粗末なんですよ。被災地にお金を使おうじゃありませんか。これだけ災害大国で、災害の多い国で、こんな状況は恥ずかしい。

 財務大臣、是非、この二次災害、先ほども、災害関連死で亡くなっているでしょう。熊本のときもあったんですよ。地震が怖いから車の中で寝泊まりして、そして血栓ができて亡くなるとか。今回、寒いです。そこを変えてほしいし、今回の、これは財務大臣にお聞きしますが、私も、たまたまここは、能登半島に日本航空学園という、私、末次一郎先生の弟子で、その頃一緒に勉強していましたけれども、その先生がおられるんですね。あの学校があったから、自衛隊はそこのエプロンで飛ばせたんです。能登空港は二千メーターの滑走路だけれども、開通したのは二十七日ですよ、一月の。僕は議長にもお願いをして、早く開通してください、県営空港だけれども、こういうのは国がお金を入れてくださいとお願いをしたんだけれども、結果はどうだったかというと、二十七日にもなってやっているわけです。陸が使えない、それから海が使えない。半島のあの特徴からすると、空を使うしかないんですよ。

 是非ここは財務大臣に、三つ。先ほど申し上げた今回の法律の特殊性、私は賛成です。だけれども、一定の要件といったものをやはりお示しいただきたい。それから、県に任せるんじゃなくて、こういうときは国が出ていくんですよ、国が出ていく。総理が一日に三回も新年会をはしごするなんて余裕はないはずなんです。十六時十分に発災してすぐ津波が来たんです。すぐオペレーションルームに入らなきゃいけない。僕らの政権のときにはすぐ、一時間後に総理直轄のをやっていますよ。でも、この政権は五時間後でしょう。それはあり得ないので、是非財務大臣に、今回のような災害における二次災害の状況を踏まえれば、防衛も大事です、だけれども、防災関連にもっと予算を割くべきじゃないか。三つ御質問して、質問を終えたいと思います。よろしくお願いします。

津島委員長 鈴木財務大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

鈴木国務大臣 今回のお願いしておりますこの法案でございますが、これはやはり、能登半島地震の規模、また起きた時期、これが令和五年分所得の課税期間に極めて近接しているなどの特殊な事情、これを鑑みたものでございまして、あらかじめ画一的な基準を設けてはおりませんけれども、こうした発生時期や規模等の個別の事情を踏まえながら、これからも対応をしっかりしたいと思います。

 そして、能登空港の件でございますが、国交省からお聞きをしたところでございますけれども、発災直後の一月二日にTEC―FORCEを派遣をして応急復旧をし、一月十二日に自衛隊機が、二十七日からは民間空港が運航を開始した、そういうことを国交省から聞いておりますが、財務省としても、国交省としっかり連携をして、被災地の方に寄り添った支援、この場合は一日も早い空港機能の回復、こういうことに支援を行ってまいりたい、そういうふうに思っております。

 二次災害の状況を踏まえて、もっと防衛関連予算をということでございますが……(原口委員「防災」と呼ぶ)防災、防災関連予算をということでございますが、今回のこうした災害も踏まえながら、今後の予算編成にしっかり生かしていきたいと思います。

原口委員 終わります。ありがとうございました。

津島委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の伊東信久でございます。

 冒頭に、能登地震でお亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、今なお非常に寒い中で避難生活をされている全ての被災者の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 今回の地震における被害というのは、長期にわたる人物、物的支援を継続していくのはもちろんのことなんですけれども、本日議題になっている能登半島地震災害の被災者に係る税制上の特別措置、これについて、私ども日本維新の会は、国会の場で強く、早期に諮られるべきと働きかけていましたけれども、本当に野党の皆様の御協力もいただきまして、本日、委員会において審議の運びになったことについては、まず感謝を申し上げたいと思います。

 さて、今回の法案についてなんですけれども、この能登半島地震は本年一月一日に起きた災害です。本日が二月十六日で、確定申告も、皆さん先ほどおっしゃられているように、本日から始まります。けがをされた方もおられますし、家を失った方もおられます。確定申告が始まるわけですけれども、こんな状態で、そもそも大変だと思うんですね、申告すること自体が。今回の措置で、令和五年分の所得、令和六年度分の個人の住民税から控除することが可能になるので、必要な措置ではあるんですけれども、とにかく、先ほど原口さんもおっしゃっておりましたけれども、速度感というのが大事だと思います。

 もう既に被災から四十六日が経過して、常会が一月二十六日だったわけです。閉会中にもっと特別措置について整備を進めて、閉会中審査も含めて、早めに地域の方にお伝えして、安心してもらうこともできたんじゃないか。そういった環境をつくっていくべきだと考えますけれども、大臣のお考えをお知らせください。

鈴木国務大臣 能登半島地震について、できることはもっとスピード感を持ってやるべきではないかという御指摘であると思います。

 一月九日に、先ほど申し上げましたが、既に、石川県、富山県を対象として、申請がなくとも確定申告の期限を延長することとしたほか、それ以外の地域につきましても個別の申請により期限を延長するなど、まず、現行制度に基づく対応につきましては迅速に手を打たせていただいたところでございます。

 その上で、今回の税制上の特例措置につきましては、暦年課税の所得税の例外となる極めて臨時異例の措置であることから、政府・与党で検討を行った上で、政府として法案作成作業を急いだところでございます。

 法案に誤りなどがないよう法制局にも御審査をいただいたものであり、一定の時間が必要だったということ、このことについては御理解を賜りたいと思います。

 今回は、被災者の皆さんが雑損控除等の特例措置を円滑に活用できること、これが重要であると思いますので、法案を国会に提出する方針を閣議で決定した二月二日以降、国税庁のホームページ等におきまして、この特例措置の内容や手続等について、被災者の皆様方を始め国民の皆様に周知、広報を行っているところであります。

伊東(信)委員 税でありますし、税法というのがありますから、その原則をゆがめないためにも特別措置として国会で諮られるべき、そういう理屈は分かります。分かるんですけれども、やはり、被災者の皆様に寄り添うことが我々議員として、立法機関としてできないかなということを考えざるを得ません。

 今回の法案に対しての質疑、自民党、公明党、与党の皆様は、この内容に関して細部にわたって御質問されたと思います。今回の支援措置については、所得税、法人税、資産税、消費税、一般措置としての対策が講じられていますし、雑損控除のこともお話しされています。

 思うに、平成七年、一九九五年一月十七日に阪神・淡路大震災が起こりまして、平成二十三年、二〇一一年には三月十一日に東日本大震災が発災しまして、今回の審議されている内容と同等の特別措置が行われました。

 残念なことに、やはり日本というのは災害が頻発に発生する国でありますし、避けようがない。災害が起こることを前提に、やはり制度、運用も考えていかなければならないと思います。

 先ほど申し上げましたように、税法の原則をゆがめないというのは大事です。特別措置として国会で諮られるべきという理屈は分かるんですけれども、災害が起きた際に御苦労されるのは、やはり被災地で日常を回復をされようとしている被災された方々ですので。

 これまでの経験を基に、例えば、阪神・淡路大震災であれば一月十七日、今回は一月一日だから一日遡ろうという、そういった御説明も分かるんですけれども、一月十七日、三月十一日がありますけれども、やはり、確定申告がありますので、その期間を十二月三十一日に切るのではなくて、例えば、仮に確定申告前とか、そういったところまで、あらかじめそういった仕組みづくりを、つくることも大事なのかなとやはり思うんですね。

 激しい災害を指定された場合には、国会の審議を経ることなく特別措置的なものが発動できるような、そんな仕組みづくりを検討できないか、財務大臣、お答えをお願いいたします。

鈴木国務大臣 災害の被災者等に対する税制上の支援措置について、常設化が行われているものもございます。それは、平成二十九年度税制改正等におきまして、住宅ローン控除の重複適用、それから、雑損控除等の繰越期間の三年から五年への延長、こうしたものは常設化が既にされているところであります。

 一方で、今回の措置は、能登半島地震の規模、また、起きた時期が令和五年分所得の課税期間に極めて近接しているといったような事情に鑑みまして、雑損控除等を令和五年分へ適用を認める特例的な対応を講じることが、被災者の生活再建に向けて特に有効と考えられることから、所得税制におきます暦年課税という原則に例外を設けて、臨時異例の措置として行うものであります。

 これまでも、災害の被災者等に対する税制上の支援措置につきましては、災害の個別の事情を踏まえて対応してきておりますが、今回の特例措置の常設化については、所得税制の原則との関係性等を踏まえて、引き続き議論をする必要があると考えます。

伊東(信)委員 税法上の原則をゆがめないというのは私も理解をしておりますし、本当に部分的にそういった議論があるのであれば、もう少し、日本における、我が国における原則を広げていってもいいのではないかなと思います。

 そういった中で、やはり、いろいろな経験値とか情報収集が大事だと思います。本当に、おっしゃるのは分かります。各災害によって、同じような災害というのはないというのを存じ上げています。

 一九九五年、私は、実は小中高、大学まで神戸だったので、今もなお実家が神戸にあります。当時、被災したときに、私はちょうど国家試験に合格した年で大阪だったんですね。被災地に、元々の自分の家のところに何回も行ったんですけれども、その年の秋、一月十七日に発災して、秋に神戸の病院に呼ばれました。なぜかというと、大きな火災があって、その間ずっと入院されて、やけどを負われた方の皮膚移植の手術の手伝いに行ったんですね。つまり、一年間ずっと病院で生活されている方もおられたわけです。

 つまり、前に遡るのも大事ですけれども、その年もずっと続くというところで、災害というのは、本当にいろいろなパターンで、いろいろなことを予測して対応していかなければいけないということです。

 最後に、そういった事例の中で、海外の事例とか、そういったところも参考にされているところはございますでしょうか。

青木政府参考人 災害発生時に適用可能な諸外国、海外の事例について御質問がございましたので、お答え申し上げます。

 例えば、米国におきましては、個人について、連邦政府の指定する大規模災害に限って、当該災害に起因する損失のうち一定額を前年又は当年の所得から控除することができる。また、法人につきましては、連邦政府の指定する大規模災害などに起因する損失は前年に損金算入ができることとなっております。

 一方、ドイツでございますが、こちらの方は、災害を含めまして、通常想定される以上の費用の個人負担が発生した場合に、費用のうち一定額を当年の所得から控除することができるというふうに承知しております。

伊東(信)委員 しっかりと被災者に寄り添っていただきたいと思います。

 終わります。

津島委員長 これにて伊東君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 所得税法及び災害減免法の臨時特例について質問します。

 最初に、雑損控除の特例についてです。

 住宅、家財等、損害を受けたときは損失額を控除できるとしていますけれども、家財等の等というのは何を指しているんでしょうか。自動車は含まれるのでしょうか。含まれるとするならば、最初の説明に、家財、家具、自動車等、そういう表記にした方がいいと思いますが、いかがでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 雑損控除の対象となる資産とは、生活に通常必要な資産とされておりまして、具体的には、別荘などを除いた住宅や日常生活に必要な家具、什器、衣服、書籍、車両その他の家庭用動産などが控除の対象となるということでございます。

田村(貴)委員 重要ですよね。入口で分かりやすくした方がいいと思います。

 災害減免法による所得税の減免措置の特例について伺います。

 住宅、家財に甚大な損害を受けたときというふうにしていますが、この甚大な損害というのは、被災度合いでいうとどの程度の被害を指すんでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 災害減免法による所得税の減免措置の甚大な被害でございますが、住宅又は家財にその価額の五〇%以上の被害を受けた場合でございます。

田村(貴)委員 ということは、全壊相当の被害ということでよろしいんですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅又は家財にその価額の五〇%以上ということでございますので、全壊という場合には通常は五〇%以上にはなるかと考えてございます。

田村(貴)委員 家が被災した、その家が夫婦共有名義であったとします。そして、夫、妻とも所得がある場合は、これはどちらも減免されるのでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 災害減免法による所得税の減免措置によりまして、住宅又は家財にその価額の五〇%以上の被害を受け、かつ、その被害を受けた方の合計所得金額が一千万円以下の場合には、その合計所得金額に応じて所得税を軽減又は免除することができるとされてございます。

 これにつきましては、夫婦の場合にはそれぞれで適用されるということでございます。

田村(貴)委員 その計算の仕方もそれぞれにやっていかなくちゃいけないので、これは実務も伴いますね。分かりやすい説明が必要であります。

 被災事業用資産等の損失の必要経費算入の特例について伺います。

 事業用資産等の損失額について、前年分、二〇二三年分の事業所得等の計算上、必要経費に算入することを可能とするということです。被災事業者にとって非常に助かる制度であります。

 例えば、石川県の輪島塗なんですけれども、焼失、それから全半壊を含め、ほとんどの事業所が被災しました。約千人いる従事者のうち、七割から八割は工房兼自宅で被害を受けたとされています。

 事業用資産等について、工房や事業所と住宅の兼用の場合については、この制度は対象となりますか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 事業所や主たる住居が別にある場合でありましても、被災した住居や家財が生活に通常必要な資産に該当するのであれば、その損失につきましては、雑損控除又は災害減免法による所得税の減免措置の対象となるということでございます。

田村(貴)委員 被災者生活再建支援法の制度の中では、住宅兼店舗は分けられるんですよ。住宅は住宅だけなんですよね。そうした場合に、この被災事業用資産等の必要経費の算入の特例は、今答弁がありましたように、住宅兼工房の場合は対象になるということなので、これも被災事業者の方にはあまねく知っていただかなければいけないということになります。

 関連して、被災事業所の本社が東京にあった場合、そして、支社、営業所が被災地にあった場合は、これは適用されるでしょうか。

星屋政府参考人 先ほども申し上げましたが、事業所や主たる住居が別にある場合でありましても、被災した住居や家財が生活に通常必要な資産に該当するのであれば、その損失について、雑損控除又は災害減免法による所得税の減免措置の対象となるということでございます。

田村(貴)委員 本社が東京にあっても、被災地以外にあってもということでよろしいですね。よろしいですね。はい。

 雑損控除、それと所得税の減免措置は、どちらかの選択ということで説明を受けました。それでは、雑損控除と事業用資産の損失の必要経費の算入というのは、自宅兼事業所の場合などは両方適用できるのでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 被災した資産が事業用資産と生活用資産に区分される場合には、事業用資産に生じた損失につきましては事業所得等の必要経費に算入され、生活用の資産に生じた損失につきましては雑損控除又は災害減免法による所得税の減免措置の対象となるということでございます。

田村(貴)委員 最後に、財務大臣にお伺いします。

 この被災地に対する臨時特例に関する法律案、私も説明を受けたんですけれども、今私が質問したぐらいに、分からないことがいっぱいあるんですよ、その入口の段階で。こういうケースはどうなるのですか、併用はできますかとか、いろいろいろいろやはり疑問が湧いてくるんです。被災事業者の方にとってみたら、片づけとか次の再建で頭の中はもういっぱいいっぱい。こういう制度があることをまず知らせる、分かりやすく知らせるということが大事だと思います。

 答弁もちょっとぎこちなかったような感じだったですよね。提案者の皆さんがそれであってはいけないと思います。

 私は、被災事業者にとって、今度の法案について、こういう制度になる、こういう特例になると、分かりやすい説明、例えばQアンドAを作るとか、それから周知、広報について徹底を図るとか、これをやっていかないと、制度を知らずにして、もう事業をやめてしまおうかと、こういう悲劇は絶対生んではならないと思います。

 せっかく急いで提案し可決しようとすべき提案でありますから、大臣、工夫をして周知徹底を図る必要があると思います。いかがですか。

鈴木国務大臣 田村先生の御指摘のとおりに、今回の特例措置の内容について被災者の方々に十分に御理解をいただく、そして活用していただくということが重要な点である、そういうふうに思います。

 既に、国税庁におきましても、ホームページにおきましてこの法案の国会の提出の前の段階からこの内容それから手続等の周知広報を行っているところでありますが、そうしたものを更にしっかりと進めてまいりたいと思いますし、また、納税者の相談を現地でもしっかりと受けられるように、例えば、国税当局において、被害が大きかった能登地域の税務署におきましても庁舎外の会場を確保するなど、体制を整えて納税者の御相談に対応することとしておりますので、そういう場を通じてしっかりと周知をして、そして御活用いただくように努力したいと思います。

田村(貴)委員 被災者、それから被災事業者にとって負担が一円でも十円でも少なくなるように運用を図っていただきたい、そして、周知徹底、分かりやすい説明を地域地域で行っていただくことを強く求めて、質問を終わります。

津島委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

津島委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 令和六年能登半島地震災害の被災者に係る所得税法及び災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の臨時特例に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

津島委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

津島委員長 次に、財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官上村昇君、政策統括官林伴子君、金融庁総合政策局政策立案総括審議官堀本善雄君、監督局長伊藤豊君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、法務省大臣官房審議官吉田雅之君、外務省大臣官房審議官池上正喜君、財務省主計局次長前田努君、主税局長青木孝徳君、理財局長奥達雄君、国税庁次長星屋和彦君、文部科学省大臣官房審議官淵上孝君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官青山桂子君、大臣官房審議官日原知己君、健康・生活衛生局感染症対策部長佐々木昌弘君、経済産業省大臣官房審議官西村秀隆君、中小企業庁事業環境部長山本和徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

津島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宗清皇一君。

宗清委員 おはようございます。自由民主党の宗清皇一です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、元日に発生をいたしました能登半島地震によりお亡くなりになられました方々と御遺族の皆様方に対して哀悼の意を表します。また、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

 また、発災直後から被災地で捜索、救援、生活支援等に尽力をしてくださいました全ての方々に感謝を申し上げます。政府にも、総力を挙げて被災地、被災者の皆様方への支援、また復旧復興に万全を尽くしていただくことをお願いを申し上げます。

 そして、先ほど、能登半島地震災害の被災者の方々に係る所得税法等の臨時特例に関する法律案が採決をされました。こうした立法措置を早期にすることで、被災者の方々に少しでも安心をお届けできればというように思いますし、私も立法府の一人として責任を果たしていきたいと思っています。

 では、質問に入らせていただきます。

 鈴木大臣は所信で、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標の達成に向けて確実に改革を進める、歳出構造の更なる平時化を進める、そして、安定的な国債の発行に努めるということを言われておりましたので、この視点から質問をさせていただきます。

 まず、国債を発行している以上、国債の格付というのはついて回るものでございます。そもそも格付とは、国債や社債などの債券の信用力や、元利金が約束どおり支払われる確実性をトリプルAとかダブルAなどの記号で表すものでありまして、信用リスクを測る一つの指標として使われておりまして、これは格付会社が行って評価をしています。民間企業の場合は債務を返済する能力、そして政府の場合はその能力と意思が評価の対象になるわけであります。

 有名な大手三社の格付会社の評価では、我が国の国債の格付は、この十年ぐらいは上から五、六番目を推移しておりまして、高くない、中国と同じぐらいのレベルの評価でございまして、近隣の台湾とか韓国よりも低い評価ということになっております。

 一つ目、確認なんですが、では、なぜここまで我が国の国債の格付が下がったのかということを確認をさせていただきたいと思います。

 そして、もう一つ、そもそも格付というのは無視できるのかというか、どうでもいいのか、影響はないのかという視点で質問したいと思います。

 格付というのは金利を決定する際の指標となるわけですけれども、もちろん格付が下がれば信用リスクは高くなりますから、国債の格付がその国の民間事業者にも影響を与えるということになると思います。実際に二〇一四年、大手の格付会社が日本の国債の格付を下げました。これに連動して日本の名立たる企業の格付というのも格下げが行われたんですけれども、企業としては社債の発行やドルの調達コストが増えることにもなりますし、金融機関では保有円債の価格下落というような影響もあるというように思います。

 どれだけ国債を発行しても自国通貨建ての国債はデフォルトしないという言葉が独り歩きをしているように思いますけれども、財政が悪化すれば国債の格付にも影響が出るわけで、財政と経済低迷が顕著になった一九九八年以降は、確実に我が国の国債というのは低い地位にあるわけであります。

 この日本国債の格付が更に悪化すれば、政府のみならず民間企業の活動にも影響が出る、大きいというように思いますが、どのような影響が心配されるのか、併せて御答弁願いたいと思います。

鈴木国務大臣 我が国の国債の格付が下がってきた原因、それから、それが民間企業等にどう影響を与えるかということについて御質問をいただいたところでございますが、格付そのものは、先生からももう御発言ございましたが、民間格付会社によるものでありまして、その内容について私の方から逐一コメントすることは控えるわけでありますが、過去に日本国債が格下げのときに、財政状況の悪化や少子高齢化等を背景とした潜在成長率の動向等が格付会社に格下げの要因として指摘をされたということは承知をいたしております。

 そして、国債の格付が下がった場合の影響について申し上げますと、例えば、国債の信用に連動して国内の金融機関や企業の社債等の信用が低下したり、国債が外貨調達の際の担保として認められなくなることなどを通じまして企業等の資金調達コストが上昇する場合があるといった指摘がなされていると承知をしております。

 政府としては、極めて厳しい財政状況の中で日本国債への市場の信認を確保することは重要な課題であると考えておりまして、引き続き、財政規律を確保し、責任ある経済財政運営に努めてまいりたいと考えております。

宗清委員 今大臣からも御答弁いただきましたように、民間企業の活動にも日本国債の信用力というか、格下げになった場合はやはり悪い影響が出るわけですから、国債の格下げというのはなかなか無視はできないわけであります。

 そして、先ほども議題にございましたけれども、能登半島で一月一日に大きな災害が起きたように、今後は首都直下地震、南海トラフ地震、これも想定をしておく必要があるというふうに思います。

 こうした有事に関しては、自然災害であれば国土強靱化、減災・防災対策を進めたり、安全保障の分野では、防衛力を抜本的に強化していこうということで、GDP比の対二%程度まで増やしていこう、有事を実際に想定した対策を政府として進めているわけなんですけれども、財政面では有事を想定していないというように思います。今後、悪いシナリオをしっかり考えておくべきだというように思います。

 一つは、市場信認の悪化による金利が上昇するケースですね。国債の買手がつかなくなって、長期金利が上昇するケース。このケースでは、金利が上昇する一方で、名目経済成長率は上昇しないために、政府の債務対GDP比が拡大をすることになります。

 二つ目に、海外金利上昇によって内外金利差が拡大をするケース。海外金利の上昇によって急激な円安が生じます。今も百五十円ぐらいですからかなりの円安であるというように思いますけれども、これを抑制するために国内金利を上げざるを得ない、こういったことが想定もされます。

 一番悪いのは、震災や地政学リスクが顕在化することによって、国内の生産基盤が傷みますので、民間の資金需要が急増します。対外収支赤字による金利の上昇と円安が同時に起こってくるようなケースも考えられるわけです。この場合、経済成長率が低下して、金利上昇によって政府の債務残高対GDP比が急増して、財政悪化懸念による金利上昇が顕在化する、こういうことも予想されるわけです。

 事実、今まで財政が一番悪くなってきた事例を言うと、二〇〇八年から二〇一〇年度、世界金融危機への対応として、公債等残高の増加幅というのはこの三年間で二八・三%増加し、二〇一一年から一二年、これは東日本大震災への対応ですね、この二年間で一五・八%、コロナの二〇二〇年、この一年間で一七・五%、対応するのに財政が非常に悪くなっているということを考えれば、有事に対して財政をしっかり出せる状態をつくらなければならないと思いますし、先ほど申し上げたようないずれのケースも十分に起こり得るということを想定すべきだと思います。そのときにでも安定的な国債の発行、これができるように、平時から有事を想定した財政運営、そして歳出余力というのを持つべきだというふうに思います。

 これから二点確認をさせていただきたいと思いますが、大臣は所信で、歳出構造の更なる平時化を進めると言われておられました。

 私が考える平時化とは、大きな補正予算ありきではなくて、本当に必要なものは当初予算にしっかりと盛り込んでいく、こういう基本姿勢をしっかりと堅持することだというように思います。そして、この予算がその年に本当に必要な予算かどうかを、国会の議論の場を通じて国民の皆様の前で議論することだと思います。

 鈴木大臣のお考えになっておられる歳出構造の更なる平時化とはどのような考え方なのか、そして、どのように取り組んでいくのかということを一点確認をさせていただきたいと思います。

 そして、二〇二五年のプライマリーバランスの黒字化についても言及がございました。

 この二十年間は、低金利だったので金利というものを余り考える必要がなかったので、我が国の財政の姿を見るのはプライマリーバランスでも財政収支でもそう大きく違いはなかったというように思います。しかし、今後金利が上昇して利払い費が増えることになるわけでありますから、実際に今年度の予算を見てみても、金利が、昨年であったら一・一%で国債の償還の金利を見ていましたけれども、これを一・九%に上げて見ているわけです。それで約一・二兆円、利払い費が増えています。

 これは、仮に今後金利が一%上昇すれば、当初予算における国債の償還は来年で〇・八兆円更に増える、令和八年には二兆円、令和九年度には三・六兆円増えるわけでありますし、これが金利が二%上昇した場合は、令和七年で一・五兆円、令和八年で四・一兆円、令和九年で七・三兆円増えるということになります。

 先ほど申し上げたような様々な有事というものがあるときには、やはり金利上昇局面を考えた財政運営をしていく必要があると思います。先ほど申し上げた二兆円、四兆円というような数字は非常に膨大な数字でありまして、これだけの予算があればほかの政策に使えるんじゃないかと思うのは私だけではないと思いますし、実際の予算の査定をする場合は、恐らく財務省の場合は数億円とか数十億円の予算を捻出をするのにすごい御苦労もあるというように思いますから、金利上昇によってほかの予算を圧迫していくということも十分考えられるわけであります。

 私は、このプライマリーバランスの黒字化達成というのは、足下では大切な議論であり、目標であるというように思いますけれども、中長期的に我が国の財政を考えた場合に、他の先進国がやっているように、利払い費を含めた財政収支で我が国の財政を見るべきであって、議論していくべきではないかと思いますけれども、大臣の御見解を聞きたいと思います。

鈴木国務大臣 宗清先生がおっしゃられたとおり、様々なシナリオを考えておかなければいけない、そういうふうに思います。

 そういう中で、やはり悪い状況を考えたときには、きちっとした財政余力を持っていなければいけない、こう思うわけでありまして、そのためにも歳出構造の平時化というものが必要である、こういうふうに思っております。

 日本の財政、これは、これまでの累次の補正予算の編成などによりましてより厳しさを増している中で、骨太方針にもあるとおり、経済が正常化して成長と分配の好循環を拡大していくことに合わせた歳出構造にすることが、更なる平時化の取組であると考えております。

 この考え方の下で、令和六年度予算においても、役割を終えた緊急時の財政支出を平時の水準に戻していくとの観点から、令和五年度当初予算で措置したコロナ、物価予備費を物価・賃上げ促進予備費として四兆円から一兆円に減額するとともに、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費を廃止をすることとしているなど、平時化に向けて取組を進めているところであります。

 今後とも、毎年度の予算編成過程におきまして、歳出構造の更なる平時化を進めていきたいと考えております。

 それから、御紹介がありましたとおり、財政の指標として利払い費等を考慮に入れた財政収支を用いる国、これも多数あると聞いております。今後、金利が上昇して利払い費が増加すれば政策経費が圧迫されるおそれもあると認識しておりまして、利払い費も考慮して財政健全化に取り組んでいくべきとの御指摘については、極めて重要な御指摘であると考えております。

 一方で、政府としては、現在掲げている二〇二五年度PB黒字化等の目標にあっても、達成するためには高い経済成長と徹底した歳出改革努力を実現をしなければならないわけでありまして、決して容易なことではないわけでありますが、政府として、まずはこの目標達成に向けて改革努力を着実に推進していく必要があると考えております。

宗清委員 御答弁ありがとうございました。

 二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、これも難しいと思います。財政、財政と言うと緊縮財政みたいなレッテルを貼られがちなんですけれども、非常に大事な視点であるというように思いますし、鈴木大臣にはこれからもこの平時化に向けてしっかりと取り組んでいただきたいことと、いろいろ歳出圧力というのがあると思うんですけれども、是非頑張ってこれからも大臣として御活躍をされることをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

津島委員長 これにて宗清君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 質問に入ります前に、私からも、能登半島地震でお亡くなりになられた方々へ哀悼の誠をささげさせていただきますとともに、被災された全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げる次第でございます。

 通告に従って順次質問してまいりますが、最初の質問は、今、宗清委員と少しかぶるところはあるんですけれども、党としての基本的な考え方ということもありますので、まず、財政の健全化目標の達成に向けた意気込みについてということで大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標、この達成に向けて政府は今取り組んでいるところでありますが、一月に内閣府が中長期の経済財政に関する試算を公表いたしまして、その中で、中長期的に実質二%程度、名目三%程度の成長が実現する姿である、そういう成長実現ケースで見ますと、二〇二五年度のプライマリーバランスは一・一兆円程度の赤字というふうに試算がされます。一方で、二〇二六年度には三・一兆円の黒字に転化するとも試算されています。さらに、歳出効率化の努力を継続すれば、二〇二五年度の黒字化達成も視野に入るとされておられます。

 そこで、伺いますけれども、この二〇二五年の目標達成には経済成長の実現と歳出の効率化が共に必要という、非常に難しい、そういう条件でありますけれども、大臣として、目標を達成するための具体的な施策、方針、それから二〇二六年度以降の財政方針についての大臣の基本的な考え方を伺わせていただきます。

鈴木国務大臣 さきに内閣府が発表いたしました中長期試算におきましては、民需主導の高い経済成長や歳出効率化努力を前提とすれば、二〇二五年度に国、地方のPBが黒字化するという姿がそこに示されたところでございます。

 この目標の達成には、高い経済成長と歳出効率化努力の継続、この二つの両立が必要でありまして、決して安易なものではないということは認識をいたしております。

 政府としては、デフレからの完全脱却を果たし、経済を立て直すことと併せて、緊急時の財政支出を長期化、恒常化させないよう、歳出構造の平時化を進めるとともに、行政事業レビュー等を活用することで、より一層予算の効率化と無駄の削減に取り組むなど、歳出歳入両面での改革努力、これを着実に推進していきたいと思っております。

 また、二〇二六年度以降の方針は具体的には決まっておりませんけれども、財政健全化に取り組むことで中長期的な財政の持続性への信認を確保すること、これが重要であると考えておりまして、そのためにも、まずは二〇二五年度PB黒字化目標達成に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 なかなか難しいところでありますけれども、今大臣がお話しされたことをしっかり我々も受け止めていきたいと思っています。

 このテーマについては、今後も更に少し具体的にお聞きをしていきたいというふうに思っております。

 次にお伺いしたいのは、事業性融資の推進についてということでございます。

 ここは政府参考人の方で結構でございますので、まず一点目は、事業性に着目した融資が浸透してこなかった、その理由について伺っておきたいと思います。

 今国会、法律案の提出が予定されている事業性融資の推進なんですけれども、不動産の担保や経営者の保証がなくても、事業の実態や将来性の評価について、これをしっかり踏まえた上での融資が受けられる、そうした環境整備を求めることは、これは私も大変重要なことだというふうに思っております。

 政府もこれまで様々な取組を行ってまいりました。例えば、令和四年十二月には、経営者保証改革プログラム、これを策定いたしまして、民間金融機関等に対しての保証徴求手続の厳格化を求めたり、また、融資の審査においていわゆる目利きの発揮を求めたりするなど、こうした事業性に着目した融資を後押ししてきた、このように承知をしております。

 こうした取組には一定の進展がある、私もそのように見ているところでありますが、しかしながら、事業者側からは、今なお、不動産担保とか経営者の保証等がなければ資金を調達することは難しいという声は、やはり多々聞こえてくるところでございます。

 こうした状況を踏まえて、今般、法律案では、法令上担保財産として認められていなかった知的財産ですとか無形の資産を含む事業全体を担保にして金融機関等から資金が調達できる、こういう制度を創設するということになっております。

 極めて緩和的な金融環境が続き、融資の残高も伸びているというふうに承知をしていますが、そのような中でも、やはり金融機関の意識が大きく変わっているのかどうか、疑問なしとは言えないところでありまして、事業性に着目した融資が十分に浸透してこなかった、私はこのように認識していますが、その大きな理由は、これが法制度のほかにどういったものがあるというふうに認識されているのか、この点についての説明をいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、金融機関が事業者の実態や将来性等を評価して、これも御指摘のとおり、不動産担保や経営者保証等に安易に依存しない融資を行っていくことは、事業者の持続的な成長を促すためにも極めて重要であるというふうに考えております。

 金融機関におきまして、事業者の将来性に着目した融資が十分浸透しているかというと、これも御指摘のとおりでございますが、いまだ課題があるというふうに考えております。

 背景につきましては、これも要因として様々であろうかと思いますけれども、やはりバブルの崩壊とその過程において、不動産担保に相当程度過度に依存した保守的な審査が金融機関において行われてきてしまったという点は挙げられようかというふうに思いますし、経営者保証につきましても、先生御指摘のように、ようやく、最近のこの経営者保証改革プログラムなどによってかなり経営者保証を取らない融資が進んでまいりましたけれども、これもまだ道半ばということでありますし、金融機関の現場の職員にしてみると、やはり今までのやり方が残っているということであろうかと思います。

 これも先生御指摘のとおりでございますけれども、そういう事業者の将来性を評価するような能力、体制を整えていただかないといけないのではないかというふうに考えているところでございます。

 昨年十二月に閣議決定をいたしました事業性に着目した融資の推進に関する業務の基本方針に基づきまして、無形資産を含む事業全体を担保目的財産とする制度の創設に向けた作業を進めているところでございますけれども、こうしたことも含めて、引き続き努力をしていきたいというふうに考えております。

稲津委員 このことに関連して、もう一問伺っておきたいんですけれども、融資慣行についてです。

 これは、金融機関側もありますけれども、事業者側もこの慣行を変えていく必要があるというふうに私は思っておりまして、国が金融機関に、この融資慣行の見直しについてどう関わってきたのか、それをまずお伺いしておきたい。

 それから、新たな担保権に価値をもたらすためには、やはり企業側も、事業の成長、発展、どういうふうに取り組んでいくのか、当然そういう努力が必要ですから、そこがシビアに求められる、そういう可能性が考えられると思います。事業者もこれまでの慣行を変えていく必要があると思いますが、この点について、事業者側が注意すべき点についてもお示しをいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、事業性融資、これが一層推進されるためには、金融機関及び事業者双方の考え方、行動の変容が必要であるというふうに考えておりますけれども、やはり両者の間において、事業計画などを含めた深度あるコミュニケーションが行われることが非常に大事であるというふうに考えております。

 金融機関側におきましては、事業内容や事業を取り巻く環境変化等を的確に把握して、さらに、事業者との対話で得た決算に表れない情報を事業者の将来性の評価に活用すること、金融機関がこういうことができるようになるためには、やはり事業者サイドにおきましても、事業計画を適切に構築して、これを強み、弱みを含めて金融機関の方に適時に開示をする、コミュニケーションを取っていくということが非常に大事だというふうに思っております。

 民民の話でございますので、金融庁としてできることはやや限りがございますけれども、ただ、そういうことが大事であるということを申し上げるとともに、先ほど申し上げたような制度の創設も含めて努力をしてまいりたい、促してまいりたいというふうに考えているところでございます。

稲津委員 この融資の慣行、これは是非、今御答弁いただきましたけれども、変えていくということを基本的な取組にしていくことが必要だと思っておりますので、よろしくお願いします。

 時間が参りましたので、もう一問だけ質問させていただきますが、一つ質問を飛ばしまして、金融経済教育の推進についてということでお伺いしますけれども、昨年の法改正におきまして、金融経済教育推進機構が設置されることになりました。許可申請を経て、本年四月に設立、八月から本格稼働、このように承知をしております。

 政府、日銀に加えて、全国銀行協会、日本証券業協会などが協力して業務が行われる、このように承知をしておりますが、この新機構の設置によって、金融経済教育について、これまでと変えるべきではないところ、あるいは変えるべきところ、両方あると思うんですけれども、こうした点について、大臣から御説明、答弁いただきたいと思います。

鈴木国務大臣 金融経済教育推進機構でありますが、これには、金融業界団体や金融広報中央委員会が担ってまいりました金融経済教育の事業が移管されること、これが予定をされております。

 金融庁としては、これまでの金融経済教育の成果などを踏まえつつ、機構において、公的性格という強みを生かしながら活動内容を充実させていきたいと考えています。

 具体的には、まず、今までと変わらない点、継続して行われる点としまして、全国の学校や公民館等への講師の派遣でありますとか、各種イベント、セミナーの開催について、これについては継続しつつ、これまで十分に行ってこなかった職域での従業員向け教育にも力を入れるなど、従来の取組の強化を図ってまいりたいと思います。

 そして、新たな取組として考えられますのは、個人の資産状況やライフステージに応じたアドバイスを行う無料個別相談事業、個人が安心してアドバイスを受けられる環境を整備するため、一定の要件を満たすアドバイザーを認定、公表する認定アドバイザー事業などを実施をしてまいります。

 機構におきましては、こうした取組を通じまして、幅広い年齢層に向け、金融経済教育の機会を広く提供できますように官民と一体で取り組んでまいりたいと考えております。

稲津委員 終わります。

津島委員長 これにて稲津君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田委員 おはようございます。

 まず、鈴木大臣、実質的な審議に入る前に、今、大問題となっております自民党の派閥の裏金問題、大臣には一切こうした裏金、収支報告への記載漏れ、不記載というのはないというふうに理解してよろしゅうございますか。念のための確認です。

鈴木国務大臣 政治資金報告書の不記載というものは一切ありません。

江田委員 私も二十年ほど国会議員をやっておりまして、年始以来、地域も歩いておりますけれども、この裏金問題に対する国民の皆さんの怒りは、どう表現していいのか、怒髪天をついている。私も経験したことのないような怒りが満ち満ちているんですよね。いろいろありますけれども、つまるところ、こんな何千万円もの裏金を受け取っておきながら、どうして犯罪にならないのか、どうして脱税が問えないのかということに私は尽きると思っております。

 まさに今日は、確定申告のスタートする初日でございますね。このままいくと、私、大変心配しているのは、税務署の窓口、大混乱が起こるんじゃないか、税務署員が立ち往生するような事態も間々起こるのではないか。この問題に対する、特に国税庁の対応を間違うと、税金一揆まで起こるのではないかという、本当に私、大変な懸念を抱いているんですけれども、大臣もそういう懸念を共有されていますか。

鈴木国務大臣 今回の一連の事件をめぐって、事件というか事柄をめぐりまして、大変、国民の皆さんから強い憤りの声が寄せられているということは私も実感として感じているところであります。

 申告そして納税ということは、これは国民の皆さんの理解の上に立って初めて成り立つものでありまして、国民の皆さんが今そうした怒りを持っておられるということに対しては、大変に大きな問題であると認識をいたしております。

 そういう意味におきまして、税務当局としては、きちんと申告をし納税をされている方に不公平な思いを持っていただかないような、丁寧な対応をしていく必要があると感じています。

江田委員 大臣、最後に、もう少し踏み込んだメッセージを国民に出さないと大変なことになりますから、これからは事務方に聞いてまいりますから、そういうことをお聞きになった上で、是非、政治家として判断をされて、最後、そういうメッセージを出していただきたいと思いますので、お考えください、質疑中に。

 それで、国税庁次長、今までの予算委員会の答弁は、私はかなり明快に答弁をされていると思っていまして。私の理解では、この裏金問題に関連しても、政治家個人が政治活動のために受けた寄附は雑所得に当たる、したがって、残額がある場合は確定申告をすべきだ、一方で、やはり政治団体が受けた寄附であれば、これは非課税だと。

 これが大原則だと思いますので、これでいいかどうか、念のための確認なので、いいか悪いかだけ御答弁ください。

星屋政府参考人 御指摘のとおりでございます。

江田委員 そこで、これも確認なんですけれども、朝日新聞の二月七日の朝刊紙面で、国税庁幹部という方のかぎ括弧つきの発言が報道されていることは御承知だと思います。

 読み上げると、「収支報告書に何を書いたかやどう訂正したかは、税務上は関係ない。帰属と使途を解明し、適正な申告がされているかを調べるのが我々の仕事」だという、かぎ括弧つきなので、これはどなたかが述べられたと思うんですね。これは国税庁の公式見解ですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国税当局といたしましては、課税関係につきましては、個々の実態に応じ、法令等に基づき適正に取り扱うこととしております。政治資金につきましては、それが政治家の関連政治団体又は政治家個人のいずれに帰属するかによりまして課税関係が異なるため、個々の事実関係を精査する必要がございます。

 その上で、政治資金の帰属を判断するに当たりましては、収支報告書の記載状況のほか、例えばその資金が誰によって実質的に管理、使用されていたのかなど、様々な状況を総合的に精査し、判断していくということでございます。

江田委員 ということは、今一斉に事後的に収支報告を修正されている議員が多いわけですけれども、その一点をもって、これは政治団体の寄附とは認めないということですね、国税庁としては。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 政治資金の帰属を判断するに当たりましては、収支報告書の記載状況も確認対象の一つでございますが、実質的に判断するということで、その資金が誰によって実質的に管理、使用されていたのかなど、様々な状況を総合的に精査して判断するということでございます。

江田委員 ですから、今一斉に修正しているけれども、その一点をもって、課税関係には影響しないということでしょう。イエスかノーで。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 それは個々の状況によりますので、一概には申し上げられないとも思っております。

江田委員 あなた、言ったじゃない。政治資金収支報告書の記載だけでは判断せずに、いろいろな実質的な帰属等を考えると言っているんでしょう。ちゃんといいことを言っているんだから、認めりゃいいんですよ。

 今お配りの資料で、政治団体の手引というのを各都道府県の選挙管理委員会が出していまして、その中にこういう記述があるんですね。政治団体が得た収入をその構成員で分配するなどした場合については、その受取者において課税されることになると。これはもう幾つもの選管がそう書いているんです、手引。

 これは、今回の派閥の裏金問題に当てはめると、まさに、資金集めパーティーで得た収入をその構成員で分配すれば、それは受取者において課税されることになると読めるんですけれども、これはこれでいいんですね、国税庁。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の資料は、各都道府県の選挙管理委員会が発行したものでございまして、私どもが出したものではございませんので、国税庁といたしましては、政治団体が得た収入をその構成員に配分するなどした場合といった、この趣旨が必ずしも明らかではございませんので、お尋ねの点についてお答えすることは困難でございますが、その上で申し上げますと、一般論として、政治家個人が政治団体から政治資金の提供を受けた場合には、所得税の課税上、雑所得の収入金額として取り扱うということでございます。

江田委員 では、総務省に聞きます。総務省でしょう、所管は。国税庁はあずかり知らぬとか言っていますよ。総務省、見解を。

笠置政府参考人 今お話しの資料は、各県の選挙管理委員会、政治団体は八万ほどございます、そうした意味で、いろいろ政治団体への問合せ、あるいは政治団体を組織する際の事前の手引として、それぞれの県の選管が作成をしているものだと思っておりますが、税につきましては、先ほど国税庁次長が申し上げたとおりだろうと思っております。(江田委員「とおりって何」と呼ぶ)内容としては、その構成員で分配するといった内容について、個々具体的に見た結果の判断ということだろうと思います。

江田委員 ちゃんとこれは、政府部内、統一してくださいよ。

 私が今聞いたのは、国税庁は、これはあずかり知らぬと。それで、総務省は、自分の傘下の選挙管理委員会が堂々とこうやって皆さんを導いているこの手引について、国税庁の言うとおりというのは、これは認めないということですか、総務省として。

笠置政府参考人 こちらにつきましては、先ほど申し上げたとおり、県の選挙管理委員会が政治団体への問合せ等を受けた際に、その一般的なことを書いていたものだろうというふうに思っております。

 実際に課税云々になりますと、それは個別具体的に判断をされていくんだろうということでございます。

江田委員 そんな無責任な行政でいいんですか。みんな、これを見て判断するんですよ。課税対象だと思うじゃないですか。即刻是正してくださいよ、そんな答弁なんだったら。国税庁と総務省選挙部が全然見解が違っているじゃないですか。こんなものを堂々と公文書として出しているんでしょう、あなた方は。

 では、別のを一回あれしましょう。

 昨日、自民党のヒアリングの調査報告が出ましたよ。私も見ました。そうすると、特にやはり安倍派がひどい。どういう意味でひどいかというと、まず、現金の受渡しでした、このお金は領収書は要らないお金ですと言われた、これは収支報告には記載しないでねとも言われたと。これがどうして政治団体への寄附になるんですか。渡す人も渡された人も、そんなことはゆめゆめ思っていませんよ。

 これを政治家個人への寄附、支出だと解さない理由を教えてください、国税庁。事案ごとと言うんだから、事案というのは、まさに昨日、自民党の報告書で出てきているわけでしょう。これがどうして、事案ごとに考えて、個人の寄附というふうに認定できないんですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事柄につきましてはお答えを差し控えさせていただきますが、国税当局といたしましては、政治資金の課税関係については、個々の実態に応じて、法令等に基づき適正に取り扱うこととしております。

 政治資金の帰属を判断するに当たりましては、収支報告書の記載状況のほか、その資金が誰によって実質的に管理、使用されていたのかなど、様々な状況を総合的に精査し、判断するということでございます。

江田委員 だから、即刻税務調査に入るべきなんですよ、皆さん。個別的事案ごとにいろいろあると言うんだったら、まさにそれは調べなきゃ駄目じゃないですか。国税庁はこれを看過するんですか。これだけの国民の怨嗟の声が集中しているこの裏金問題で、何千万ももらって税金を払わなくていい、国税庁は税務調査に入らない、こんなことでもつわけないでしょう、大臣。

 ですから、今日は初日ですから、国民に向かって強いメッセージを出さないと大混乱ですよ。税務署員、かわいそうですよ。だから、少なくとも、自民党の報告書も出たわけで、もう疑いは十分過ぎるぐらいあるわけだから、資金の受渡しの態様を見ても、自白を見ても、そして、収支報告を訂正しているんだから、額も確定しているわけですよ。

 是非、一斉に、国税庁次長、税務調査に入りますと、こういった今報告されているような、修正申告をしたような、ある意味で自白したような議員に対しては少なくとも税務調査に入るということをここで言っていただけませんか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個別にわたる事柄についてはお答えすることは差し控えさせていただきますが、申告納税制度の下では、まずは、納税者の方々において御自身の収入や必要経費を計算し、申告していただくということでございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書等を分析いたしまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどいたしまして、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

江田委員 まず修正申告するって、何年も放置してきたんでしょう。修正申告していないんだから、悪質でしょう。これは、この期に至っても税務調査に入りますと言えないんですか。

 大臣、国民は何もなくても税務調査に入られることもあるんですよ。一円単位の領収書を一生懸命そろえているんですよ。インボイスで今、一枚一枚レシートをチェックして、今まで非課税だった業者までが税金を払う、実質増税にもなっているんですよ。

 こんなときに、ここまで歴然と犯罪行為が明るみになっているのに、脱税行為が明るみになっているのに、何でその程度の答弁しかできないんですか。税金一揆が起こりますよ、本当に。税務署員が立ち往生しますよ。もう三千万円以下は申告しなくていいんだという理屈が通っちゃいますよ。

 それを防ぐためにも、今日は確定申告の初日なんだから、大臣でも国税庁でもいいから、もっと踏み込んで、国民に対する強いメッセージを出してください。よろしくお願いします。

星屋政府参考人 個別の納税者に関する対応につきましてはお答えを差し控えさせていただきますが、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして各種資料情報の収集、分析に努めておりまして、これによりまして、仮に、政治家個人に帰属する政治資金につきまして、適切な申告が行われておらず、課税上問題があると認められるような場合には的確に税務調査を行うなど、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。

江田委員 情けない。危機意識がない。今日、初日ですからね。タイミング的には今日出さないと、税務調査に入りますというメッセージを。

 大臣、大臣が国税庁に指示できないというのは私も重々知っていますよ。しかし、今日ですから、大臣、国税庁から、近々税務調査に入りますとか報告は受けているでしょう。報告、受けていますか、受けていませんか。御答弁ください。

鈴木国務大臣 財務大臣と国税庁の関係でありますけれども、税務行政の中立を図る観点から、財務大臣として国税庁から報告を受けることは控えております。実際、報告は一切受けておりません。

江田委員 法務大臣ですら、一月、検察が立件する前に、法務大臣として検察当局から報告を受けたと国会で答弁されているんですよ。私も、国税庁と財務省本省と大臣との関係はよく分かっていますよ。

 私なんかは、国税庁を分離して、経済警察なんだから、徴税委員会でも歳入委員会でもいいから、警察庁と同じように、国家公安委員会の下に警察庁を置くように、歳入委員会でも徴税委員会でもいいから、そこのところに、第三条委員会の下に国税庁を置くべきだと思っていますけれども。

 私はそういう認識がある人間ですけれども、だからあえて、指示じゃなくて、あなたは報告を受けているんですか、報告を受けていないんですか。報告を受けるぐらいは財務大臣の職務なんですよ、それを分かった上で質問しているんですよ。

 報告は受けているんですか、受けていないんですか。

鈴木国務大臣 報告は受けておりません。

江田委員 ということは、国税当局は動くつもりは全くないということですよ。はっきりしました。

 国税がこうやって政治家の大問題について動くときは、必ず財務大臣に報告するんですよ。財務大臣が指示するんじゃなくて、国税がこれから入りますという話は、大臣に当然報告するんですよ。この前の検察の立件のときも、その直前に法務大臣には報告しているんですよ。ゆめゆめ法務大臣や財務大臣が指示するわけじゃないんだけれども。ということは、全くやる気がないということじゃないですか。こんなことで済むんですか。済まないですよ、本当に。

 政策活動費、これは国税庁次長も課税対象だと明確に答弁されました。税務調査に入るんでしょうね。この問題は数千万じゃないですよ。自民党の幹事長が十億平均もらっているということですよ、年間。二階幹事長、五十億円。こんな巨額な使途不明金があるということですよ。民間では許されないことでしょう。

 あなたは課税対象だと言った。当然、税務調査に入るんでしょうね。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 政治資金に係る課税関係につきましても個別に応じて判断するということでございますが、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして各種資料情報の収集に努めておりまして、これにより課税上問題があると認められる場合には的確な税務調査を行うなど、適正、公平な課税に努めているということでございます。

江田委員 課税対象だと言っておきながら、個別の事案だからコメントできないと。岸田総理も、昨日かおとといか、予算委員会で責められて、二階元幹事長の件ですけれども、確認もしない、適切に使っていると認識していると。これ、通るんですか、国税庁。答えてください。

 これ、国税庁、税務署に向かって言っても通るんですね、答えてください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事柄につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。

 国税当局といたしましては、政治資金の課税関係につきましても、個々の実態に応じまして、法令等に基づき適正に取り扱うこととしております。

江田委員 岸田総理の言い分が通るのなら、国民の皆さん、経費は適切に使わせていただきましたで済むんですよ。(発言する者あり)でしょう。だから、税金一揆が起こりますよ、これ。一国のトップリーダーがそう言っているんですよ。五十億円ものお金をもらいながら、全く使途も不明だ。課税対象だと国税庁は言っている。しかし、それを何だと聞かれたら、適切に使っていると思います、確認するまでもないと。私ならそう言いますよ。税務署から言われて、経費は何ですか、一枚一枚出しなさいと言ったら、いや、適切にこの経費は使いましたから、確認するまでもありませんと。

 そんなことが通ったら、税務行政は破綻するじゃないですか、国税庁次長。別に守る必要はないんですよ、総理大臣や政治家を。国税庁は毅然としてやってください。もう一回答弁してください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論で申し上げますが、仮に、政治家個人に帰属する政治資金につきまして、政治活動のために支出した費用、これは費用のみが必要経費として認められるということでございますが、それ以外に使用している場合など課税上問題がある場合には税務調査を行うなどによりまして、適正、公平な課税の実現に努めてまいりたいと考えております。

江田委員 この問題が深刻なのは、これまでの脱税の立件の相場は一億円なんですよ。年間十億円もらっておいて、九億円の領収書が仮にあったとしても、あとはないということになれば、一億円の雑所得ですから、脱税案件になるんですよ、これまでの相場から。だから深刻なんですよ。九億円も領収書なんかないですよ、政策活動費に。これ以上、私言いませんけれども。

 こんな答弁で許されたら、脱税天国を許すということですよ、税務署が。真面目に納税しませんよ。本当に深刻な事態だと思いますよ。時間がもう、こんなことで何でこんなに過ぎたのかと思いますけれども。

 次に言いたいことは、法務省、今回の捜査というのは、あえて収支報告に記載をするか否かに照準を合わせて、その不記載について共謀がないからといって派閥の幹部は立件しなかったんですよ。これは私はおかしいと思っています。何でこれは政治団体への寄附なんですか。

 政治団体への寄附なら記載、不記載が問題になりますよ。しかし、これはさっき言いましたように、安倍派の議員が自白しているように、現金の授受でした、領収書は要りませんと言われました、収支報告書に記載しなくていいと言われまして、これがなぜ政治団体への寄附なんですか。

 それで、東京地検の次席検事が一月十九日に会見をしまして、その資料も取り寄せましたけれども、そこで次席検事はこう言っているんですよね。還付を実施したこと自体が犯罪となるとの理解は正しいものではなくと言っているんですよ。何で正しくないんですか。私は正しいと思っていますよ。

 政治家個人への寄附は政党からしか許されていない。だから、さっきの政策活動費が正当化されている。しかし、今回の裏金は、明らかに政治団体への寄附じゃないですよ、渡す方も受け取る方も。だって、これはやばい金だと思った、危険な金だと思った、これは使ったら問題だと思ったという、昨日のヒアリング結果もそうです。そんなものが何で政治団体への寄附に当たるんですか。

 私は、政治家個人には政党しか寄附できないというこの政治資金規正法二十一条二、一項違反の実質犯だと思っているんですよ。それを検察当局は否定している。その理由を聞きたいと思います。

吉田政府参考人 御指摘の事案に関しまして、検察当局は、国会議員が代表者を務める四つの政治団体の政治資金収支報告書に関し、派閥の政治団体からの寄附を含む寄附の合計額に虚偽の金額を記入した旨の公訴事実により、国会議員やその秘書の方を起訴したものと承知しておりますが、派閥の政治団体からのそれ以外の支出先については、個別の事件における証拠の具体的内容や評価に関わる事柄であり、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、先ほど御指摘がありました検察当局による説明につきましては、政治資金規正法上、派閥の政治団体から他の政治団体へ寄附すること自体が直ちに犯罪となるわけではない旨を説明したものと承知しております。

江田委員 ちょっと理解に苦しみますけれども、ということは、私が申し上げた実質犯、要は派閥からこの裏金が個人への寄附であれば、明確なこれは規正法違反ですから、それについてはまだ白紙だ、捜査の余地があるという理解でよろしいですか。

吉田政府参考人 お尋ねは、個別の事件における検察当局の事件処理に関わる事柄でございますので、法務当局としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

江田委員 否定しないということですね、これは。

 では、ちょっと問い方を変えましょう。この実質犯違反で告発された場合、検察は受理しますか。

吉田政府参考人 お尋ねは捜査機関の活動内容に関わる事柄でありますので、お答えを差し控えさせていただきますが、あくまで一般論として申し上げますと、検察当局は、告発が仮になされた場合には、その内容を精査して、告発の要件を満たしているか否かを判断し、これを満たしているものについては受理し、必要な捜査を尽くした上、法と証拠に基づいて、取り上げるべきものは取り上げ、適切に対処するものと承知しております。

江田委員 ですから、もう既に市民団体が脱税の件では告発状を出していますから、是非受理してください。これは、政治団体への寄附でないにもかかわらず、わざわざ政治団体の収支報告を修正しているということは、虚偽記載ですから。

 昨日の自民党のヒアリングで明らかになったのは、特に安倍派の議員、裏金議員は、現金でいただいた、何度も言いますよ、領収書は要らないと言われた、政治団体の収支報告には記載しないでいいと言われた、これがどうして政治団体への寄附になるのか、私は全く理解できません。日本語能力がないのかもしれないけれどもね。

 だから、一斉に訂正したということは、逆に言うと、まず自白をした、脱税の金額、虚偽記載をしたということなんですよ、意に反して虚偽の記載をしているんですから、これは告発で出ていますから、是非受理していただきたいし、私が申し上げた、本来、これは形式犯、不記載だ何だの形式犯じゃなくて、規正法上、穴だらけと言われている規正法上も実質犯として立件できる案件だということを強く申し上げておきます。

 ちょっと時間がなくなってきたので、いろいろまだやりたいんですが、今度、ちょっとこれをやりましょうか。

 岸田さんのいわゆる闇パーティー案件で、岸田さん、あれだけ言われても、もうやめると言わないんですよ。あれは第三者がやった話で、任意団体がやった話ですと。

 でも、これは配りましたけれども、政治資金法の八条の二の政治資金パーティーの定義を読んでください。政治資金パーティー、対価を徴収して行われる催物で、当該催物の対価に係る収入の金額から当該催物に要する経費の金額を差し引いた残額を当該催物を開催した者、次が大事、又はその者以外の者の政治活動に支出することとされているものは、政治団体によって開催されるようにしなければならないと法律に書いてあるじゃないですか。

 これはまさに、任意団体の、何か、総理大臣を祝う会、財界人が、政財界がやってくれました、それで三百二十万円を岸田さんの政党支部に寄附しているので、まさにこれは当たるんですね。これは政治団体によって開催されるようにしなければならないと。少なくともこの法令違反をしているじゃないですか、この任意団体は。

 そういう理解でよろしいですか、総務省。

笠置政府参考人 政治資金規正法の規定についてお答えをいたします。

 政治資金パーティーに係る規定は、御案内のとおり、平成四年に、当時の野党の議論を受けまして、政治資金パーティー開催の適正化などを目的として議員立法によって設けられたというところでございます。

 今、政治資金規正法八条の二の御紹介がございましたけれども、において、政治資金パーティーは政治団体によって開催されるようにしなければならないという訓示的な規定は設けられておりますが、任意団体など、政治団体以外の者が政治資金パーティー自体を開催することは禁止をされていないということです。

 具体的に、政治団体以外の者が対価に係る収入の金額が一千万円以上の特定パーティーになると見込まれる政治資金パーティーを開催する場合には、当該パーティーを開催しようとするときから政治団体とみなして、届出や収支報告の義務、届出前の対価の支払いの授受などの規定が適用される旨が、同じ政治資金規正法の第十八条の二に置かれているということでございます。

江田委員 百歩譲って、任意団体が資金集めパーティーをすることが絶対禁止されていないという理解に立つにしても、この法律で明々白々に、政治団体によって開催されるようにしなければならないと。平均的な日本語能力のある人であれば、原則、これは政治団体によってやらなきゃ駄目でしょう。少なくとも、政治団体じゃない任意団体がやることは望ましくないということなんじゃないんですか。にもかかわらず、岸田総理は強弁しているんですよ。法律に違反でも何でもなかったらいいでしょうと。

 法律に明々白々に書いてあるような、訓示規定であろうが何であろうが、罰則がついていようがついていまいが、法律に書いてあることは守るべきだというのが、総理大臣、私は最低限の義務だと思いますけれども、総務省、どうですか。

笠置政府参考人 政治資金規正法のパーティーの規定、先ほど申し上げましたが、平成四年の議員立法による改正で設けられたということでございまして、当時の考え方といたしましては、政治団体以外の者の政治資金パーティーの開催を一律禁止するという考え方もあり得ることはあり得るかもしれないけれども、そうした場合には、憲法上保障された政治活動の自由や集会の自由との関係から問題があると考えられ、訓示的な規定を設けるにとどめ、一方で、特定パーティー、先ほど一千万円以上と言いましたけれども、特定パーティーになると見込まれるものを開催する場合においては、政治団体とみなして、届出義務や収支報告の義務を課すことによって、政治団体が開催するものとの調和を図ることとしたというふうに承知をいたしております。

 政治資金パーティーの開催など政治資金の在り方につきましては、各政党、各政治団体の政治活動の自由と密接に関連をしておりますことから、各党各会派で御議論いただくべき問題だと考えております。

江田委員 法律というのは、釈迦に説法ですけれども、社会通念、社会常識に基づいて解釈されないかぬですよ。明確に、標準的な日本人であれば読み込めるような、政治団体で行われるようにしなければならないという文言を、ああだこうだ弁護する必要はないですよ。総理大臣たるもの、こんなことに書いていなくても、しっかり筋を通して行政をやっていくのは当たり前なんですよ。ましてや、こうやって、政治団体で行うようにしなければならないと書いてあるようなところを任意団体でいいだろうなんて言っているようじゃ、無法国家になりますからね、本当に。脱税国家、無法国家をやっているということですよ、岸田政権は。そういう危機意識はあるんですか。

 最後、僕は大臣に聞きたかったけれども、冒頭言ったように、そんな危機意識を持ってやらないと大変なことになりますよ。税金一揆が起こりますよ、本当に。だから、そのチャンスを、機会を設けたつもりだったんですけれども、本当に残念です。

 質疑を終わります。

津島委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。

 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 立憲民主党の野田佳彦でございます。

 まずは、一月、元日に能登で大きな地震が発災をし、そして、あの日、私、ちょうど自宅にいまして、緊急地震速報に接して慌ててテレビをつけてみたら、NHKの女性アナの避難を必死に呼びかける声を聞き、鬼気迫るものを感じまして、一遍に正月気分が飛んでしまいましたけれども。

 初動体制については先ほど原口委員も触れていましたけれども、残念ながら、多くの犠牲者が出てしまいました。心からお悔やみを申し上げたいと思いますし、私の父は富山県出身ですので、私は富山二世ですので、北陸のこの時期の寒さ、底冷えのする寒さというのは本当につらいと思うんですが、その中で厳しい被災生活をされている皆さんがたくさんいらっしゃいます。心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 今日は大臣所信に即して質問をしていきたいと思いますけれども、まず、とてもちょっと憂慮している現状について触れていきたいというふうに思います。それは円安の進行でございます。

 二〇二四年は円高に振れるのではないかという予想が去年あたりは大方だったと思うんですけれども、全く真逆の流れになっていて、年初以来ずっと円安・ドル高の方向で流れてきていますし、ついに百五十円台と、今日のはちょっとまだ私は確認していませんけれども、去年の十一月以来の水準に達しているという状況でございました。

 一つには、米国経済が堅調であるということ、それによって利下げの観測が後退をしてきたということが一つ。日本では、内田日銀副総裁が当面は緩和的な状況が続くという趣旨の講演をされたことなども相まって、こうした円安・ドル高が続いているんだろうというふうに思います。

 私はここに危機感を持たなければいけないと思うんですけれども、去年の春ぐらいまでは、日銀の総裁だった黒田さんは円安容認論をずっと笑顔でやっていたんですよね。物すごく違和感を感じていまして、行き過ぎた円安というのは国民生活にとってはとても厳しい、輸入物価が上がれば国民生活は苦しくなる、それに対するおもんぱかる気持ちがないなと。しかも、自国通貨が弱くなっていくことを認めているようでは駄目だ。そんなことをやっているから、GDP、ドイツに抜かれるような状況になってしまうんだと思うんです。という思いから、黒田さんとは随分立場が違っていたので厳しくやり取りしましたけれども、むしろ、大臣の方がその点については危機感を持っていたと思うんです。

 今日の、今の円安・ドル高のこの流れについてはどういうお考えを持っていらっしゃるのか、どういう対応をしようとしているのか、まずお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕

鈴木国務大臣 今、野田先生が御指摘になられましたとおり、年初から円安方向に進んでいるわけであります。

 財務大臣という立場で為替相場について評価をするということは避けますけれども、円安にはプラスの面、マイナスの面があるわけでありますけれども、今やはり国民にとって重要なことはこの物価高に対する対応であると思いますので、プラスマイナスを考えますと、マイナスの方にすごく懸念を持っているところであります。

野田(佳)委員 特段何か対応ということではないわけですね。

鈴木国務大臣 基本的なことでありますが、為替相場、これは市場においてファンダメンタルズを反映して決められるわけでありますけれども、急激な変動は好ましくない、安定的な変動が好ましいということであります。そうした観点から、今、為替市場の動向というものを極めて緊張感を持って見ているところであります。

野田(佳)委員 引き続き、緊張感を持って注視して、適切な対応を是非ともお願いをしたいというふうに思います。

 今日から確定申告が始まったということについては、これまで多くの議員が言及をされておりました。その中で、先ほど、令和六年度能登半島地震災害の被災者に係る所得税の特例措置、いわゆる雑損控除の特例などがこの委員会では成立をした、採決があったということは、大きな前進だというふうに思います。我々の仲間の近藤和也議員も、この財務金融委員会でかつては所属をして頑張っておりましたけれども、今被災地で全力で戦っております。与党も野党もないと思いますので、こういう後押しはどんどんとやっていきたいというふうに思います。

 一方で、今日から確定申告。先ほど江田委員も触れていましたけれども、納税者の気持ちを考えたときに、今の裏金問題はどう映っているかということは危機感を持っていかなければいけないだろうと思います。

 私、先々週ですけれども、地元の税理士会が主催をしている、確定申告を前にした無料の税務相談の会場に行ってまいりました。所得三百万以下の人たちを対象とした無料相談会なんですよね。結構、順番待ちまであるというような状況でございました。

 その順番待ちの人たちといろいろとお話をさせていただきましたけれども、少なくともルールを守らなかった議員が三桁近くいる、ルールを作るのが国会だろうと。守らない人たちが三桁近くいることに対する怒り、これは私はデモクラシーの危機だと思いました。

 一方で、医療費とかいろいろなレシートを持って、領収書を持ってきて、そして、一円でも正確に納税しようと一生懸命勉強されているんですね、皆さん。その皆さんからすれば、四千万円、裏金をつくった人は起訴されて、二千万円、一千万円では丸だったというのはさっぱり分からない、ふざけるなというのが圧倒的な声でした。野党の議員の私に対しても、かなり怒気を含んだ、怒りを含んだお訴えだったんですよね。恐らく、自民党の皆さんがその現場に行ったら、つるし上げを食らうだろうと思います。というような状況なんですね。

 その中で、おとといの予算委員会で、岸田総理が確定申告を前に納税呼びかけをしましたね。あれもまさに、ふざけるな、その前に裏金の疑いのある議員たちが進んでむしろ修正申告をしろというのが国民の声だというふうに思います。そういう現状を私はまず肌で感じる必要があるんじゃないかと思います。

 今確定申告をやっておりますので、これはもちろん電子申告も進んでいますけれども、確定申告会場を是非、財務大臣、税務行政の責任者として視察をされたらいかがでしょうか。

    〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木国務大臣 今般の政治資金をめぐる問題におきまして国民の皆さんから大変に厳しい声が寄せられているということは、私も十分承知をしております。税務を担当する財務省という立場から、本当に大きな危機感を持っているところでございます。

 税制というのは国民の理解と協力の上で初めて成り立つものでございますので、財務大臣として、税務の現場の実情を認識をして、納税者などのお声を伺うことが重要であるという今の御指摘、それはそのとおりだと思います。

 私も、実は、二月の三日土曜日でありますが、盛岡市で開催されました地元の税理士会主催の無料相談会の会場に行ってまいりました。また、財務大臣就任以降、数度にわたりまして、各地の国税局、税務署を視察しまして、現場の実情の把握に努め、また、いろいろな苦労も聞いてきたところでございます。

 そういうような経験もございますので、そうしたこともしっかり胸におきまして、確定申告、今日から始まるわけでありますけれども、納税者の方々に不公平感を持たれることがないように、丁寧な対応、国税局、税務署におきます対応をしていくようにしてまいりたいと思います。

野田(佳)委員 御地元の盛岡の反応はどうだったか分かりませんが、都内であるとか、近場を行かれたら、しかも、この時期の会場へ行かれたら、また違う空気ではないかと思うし、肌で感じるということは、むしろ総理にも勧めてほしいというふうに思います。肌で感じるならば、もっときちっとした対応ができるはずだと思いますので、そのことはつけ加えさせていただきたいというふうに思います。

 今日は、資料がお手元に届いているかと思いますが、資料といったって、この間配られた大臣の所信の原稿でございます。これに即して、一つずつ質問させていただきたいと思います。

 まずは、一で書かせていただいていますけれども、骨太方針二〇二三等における二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、歳出歳入両面の改革を着実に推進し、歳出構造の更なる平時化を進めてまいりますと述べられました。

 まず、このプライマリーバランスの黒字化についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 内閣府は、今後の実質成長率を一%台半ばという設定をして、二〇二五年度プライマリーバランス一・一兆円の赤字、達成が視野に入るという数字をはじき出しています。でも、成長率は民間予測より高めでありますし、歳出改革をするという前提なんですね。歳出削減が前提であります。

 ということで、かなり条件としては甘めでセットをしているということですので、私は、実現はとても無理ではないかと思いますし、少なくとも、年度の途中で補正予算をつくるということをやったら、これは実現できないだろうと思います。

 具体的にこれを実現する道筋があるのかどうか、まずお尋ねをしたいと思います。

鈴木国務大臣 先般、内閣府が発表いたしました中長期試算でありますが、ここでは、民需主導の高い経済成長、それから歳出効率化努力を前提とすれば、二〇二五年度に国、地方のPBは黒字化するという姿が示されたところでございます。

 野田先生からも御指摘がございましたが、この目標の達成には、まず高い経済成長、それから歳出効率化努力の継続、この両方が必要であるわけであります。

 そのために、政府としては、まずは経済成長、デフレからの完全脱却を果たし、経済を立て直すこと、それと併せて、歳出効率化という面におきましては、緊急時の財政支出を長期化、恒常化させないよう、歳出構造の平時化を進めるとともに、行政事業レビュー等を活用することで、より一層予算の効率化と無駄の削減に取り組むなど、歳出歳入両面での改革努力、これを力強く進めなければならない、そのことが不可欠であると思います。

 この黒字化目標の達成、これは決して容易なものではないということは、私もそう思いますが、全力で取り組むべき目標であると考えておりまして、その達成に向けまして、経済の成長、それから経済の立て直し、それから歳出改革、こうしたものに全力で取り組んでいきたいと思っています。

野田(佳)委員 全力で取り組むという精神論だけではなくて、もう二〇二五年度というのは間違いなく近い将来じゃないですか。このまま本当に目標に掲げて、しかも大臣所信までで言い切っていて大丈夫なのかどうか。プライマリーバランスについては、そんな考え方は要らないよと、プライマリーバランス亡国論という人たちもいます。だけれども、あえて大臣所信にまでこうやって入れている以上は、できなかった場合の責任は大きいと私は思うんです。言う以上はですよ。

 過去は、小泉政権のときは、二〇一〇年度と言って実現できなかった。安倍政権でも、二〇二〇年度と言ったけれども、残念ながら実現できずに二〇二五年度まで持ってきた。失敗の繰り返しなんです。今回もまた失敗するならば、先ほど自民党の委員の方がお話しされていましたけれども、それこそ国債の格付の問題などに影響してくると思います。

 単なる精神論ではなくて、想定金利一・九%と、まさに金利のある世界に入ってきたわけですから、なおさら放漫財政は許されないという覚悟でいかなければいけないし、二〇二五年というのは、言うまでもなく、団塊の世代が七十五歳以上に全員が突入する、後期高齢者になっていくわけですね。今まで以上に、プライマリーバランスの黒字化を言うならば、覚悟だけではなく具体的な道筋をきちっと示していかなければいけないと私は思います。

 ということを申し上げて、次のこの平時化という言葉。平時化、これは、二〇二三年の骨太方針、去年の六月十六日に閣議決定していますね。歳出構造を平時に戻していくという方向性が示されました。

 では、果たして平時化が進んできているのかというと、その六月の閣議決定の後に作ったのが令和五年度の補正予算で、このときが十三兆千九百九十二億円であります。国債依存の水膨れだったと思います。四つの基金を新設して、既存の二十七も含めて四・三兆円の基金予算だったと思います。平時化に全然進んでいなかった補正予算です。

 そして、今審議中の令和六年度の予算、百十二兆七百十七億円。前年度に、当初比で比べれば二兆三千九十五億の減額でありますけれども、でも、過去二番目の大型予算であって、コロナ禍前の九十七兆円に比べると十兆円以上やはり膨らんでいて、決して平時に戻っているとはとても思えません。

 この点について、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 歳出構造の平時化でありますけれども、まず、令和五年度補正予算におきまして、急激な物価高から国民生活を守り、構造的賃上げと投資拡大の流れを強化するために必要な政策を積み上げつつも、コロナ対策予算を真に必要な規模に抑制をするとともに、特定目的予備費の規模を半減するなど、めり張りのある予算編成を行いました。

 その結果、補正予算の規模は令和四年度二次補正予算の二十八・九兆円から十三・二兆円へ、公債費収入も令和四年度二次補正予算の二十二・九兆円から八・九兆円まで抑制するなど、平時の歳出構造に向けた一つの道筋を示すことができたのではないかと考えております。

 令和六年度予算におきましても、子供、子育て政策、防衛力整備、強化を着実に進めつつも、特定目的予備費の規模を総額五兆円から一兆円に大幅に減額するなど、歳出構造の平時化に向けた努力をさせていただいたところでございます。その結果、令和六年度予算は前年度と比較しマイナス一・八兆円の減額となったところであります。これは実質的には平成十八年以来十八年ぶりの減額予算となったものであります。

 歳出構造の平時化に向けた取組、これはまだ一つの道筋を示した段階にすぎないのかもしれませんが、今後とも、これの平時化に向けた努力、これはしっかりとやってまいりたいと思っております。

野田(佳)委員 全く見解の違いがあります。

 予備費の整理はして四兆円ぐらい減らしていますけれども、その他の歳出総額は前年度に比べて増えているわけでありますので、平時化に向けての道筋なんて全然見えていませんということは厳しく指摘しておきたいというふうに思います。

 先ほど、今、令和五年度の補正予算の話をさせていただきましたけれども、この令和五年度の補正予算というのは、去年の十一月二日にまとめた、約十七兆円の、デフレ脱却のための総合経済対策の一環なんですね。デフレ脱却のための総合経済対策を、去年、十七兆円、要は作ったわけなのに、今回、デフレ脱却という言葉は大臣所信の中で全然出てこないことに逆に違和感を感じるんです。普通だったら、予算のところとか、あるいは大臣所信の、例えば定額減税の辺りの、税制改正の辺りにデフレ脱却という言葉があってしかるべきではないのかと思うんですが、全くないんですよ。これは不思議だなと思っているんです。

 日銀がそろそろマイナス金利解除に入るのではないかという状況になっているわけですね。そうすると、デフレ脱却宣言、そしてマイナス金利解除、日銀の方針と政府の方針にそごが出てはいけないという意味で慎重になっているのかどうか、よく分からないんですけれども、この辺を是非、ちょっと大臣にお聞かせいただきたいんですが、政府のデフレ脱却宣言と日銀のマイナス金利解除のタイミングというのは連動するんですか。それとも、全く無関係、別々に考えていくものなんでしょうか。どうでしょうか。

鈴木国務大臣 まず、デフレ脱却でありますが、物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないことと定義をしております。

 政府としては、物価の基調や背景を総合的に考え判断することとしております。したがって、マイナス金利解除など、金融政策が変更されたことをもって、政府として直ちにデフレ脱却と判断するというものではございません。

野田(佳)委員 もちろんそうですよ。日銀がそう判断したから政府という話じゃなくて、逆に、例えば、政府の脱却宣言がないと、日銀もいわゆる金融政策の正常化に踏み切りにくいのではないかと思います。あうんなのかどうか、よく分かりませんけれども、あるいは、デフレ脱却宣言とはあえてしないんでしょうかね。

 もし、例えば、四条件あるじゃないですか、GDPデフレーターとか、消費者物価上昇率とか、あるいは単位労働コストとか、需給ギャップとか、そういうものもちゃんとクリアした瞬間には、デフレ脱却宣言というのは政府はするんですか、しないんですか。いかがですか。

鈴木国務大臣 日銀の植田総裁でありますけれども、デフレ脱却のために掲げられた物価安定の目標の持続的、安定的な実現が見通せる状況に至れば、マイナス金利を含めた様々な大規模金融緩和策の継続の是非を検討していくことになると述べられておりまして、日銀として、デフレ状況も含めた経済、物価情勢を判断しつつ、マイナス金利のみならず、金融緩和策全体の是非について検討していくこととなる、そういうふうに承知をしております。

 日銀による経済状況の判断や金融政策の具体的な手法については日銀に委ねられるべきものでありますが、政府として、デフレ脱却がマイナス金利解除に連動するかどうかについてはコメントできないということでございます。

 そして、デフレ脱却宣言をするのかどうかということについては、今のところ確たることは決まっていないと承知をしております。

野田(佳)委員 次の質問です。まだ一のところでずっと止まっていたので、済みません。

 二で線を引いていますけれども、こども未来戦略に基づく加速化プランの迅速な実施というところにあえて線を引かせていただきました。その財源をお尋ねをしたいと思ったからでございまして、インボイスが十月一日から導入をされましたけれども、この税収増の相当分千七百億円を少子化対策の拡充に充てるということを政府はお考えになっているというふうに聞いておりますけれども、これはそのとおりなんでしょうか。

鈴木国務大臣 そのとおりです。

野田(佳)委員 そのとおりなんですか。

 元々、インボイスの増収分というのは、軽減税率を導入すると国にとっては減収になりますよね、約一兆円、その穴埋めとして位置づけていたんじゃないんですか。一兆円の穴埋めの内訳として、総合合算制度、これは私、本当に重要な制度だと思っていましたけれども、この四千億円、そして、二番目ぐらいの位置づけにインボイスの導入、あるいは、たばこ税の増収が二千億円を超えていましたね、この二つ。そういう重要な位置づけ、軽減税率の穴埋め分がインボイスだったんじゃないですか。いつこうやって変えるんですか。二重で財源をカウントできるんですか。おかしくないですか。

鈴木国務大臣 まず、インボイス制度は、増税を目的としたものではなくて、あくまで複数税率の下で適正な課税を確保するために導入したものでありますが、免税事業者の課税転換が進むことで結果として一定の消費税の増収が生じること、これはこれまでも委員会等で御説明をさせていただいたところでございます。

 そして、インボイス制度導入に伴う増収額については、平成三十一年度税制改正大綱におきまして、軽減税率の財源に充てると、御指摘のとおり整理されたところであります。その趣旨はどういう趣旨であるかといえば、財政健全化目標の堅持、社会保障の充実等を図るための安定財源を確保すること、これが趣旨でありまして、これまでに社会保障の充実分の財源はしっかり確保されており、また、財政健全化につきましては、内閣府中長期試算において、歳出改革努力を継続した場合には二〇二五年度のPB黒字化目標が達成される姿が示されたところでございます。

 このような状況を踏まえれば、今般のインボイス制度の導入に伴って新たに発現する増収の分、財政余力が生じることになるため、今回発現する増収の相当額について少子化対策の抜本強化の財源に充てることとしたものでありまして、財源の整理としては適切であると考えております。

野田(佳)委員 全く適切ではないと思いますね。

 財政余力が生じてきているようなお話ですけれども、大体、プライマリーバランスの黒字化が必ず実現できるという状況ではないと、厳しい認識を先ほど大臣は示されたじゃないですか、先ほども楽観はできない話を。と言うにもかかわらず、何で今度、少子化対策の財源にカウントしちゃうんですか。

 元々は軽減税率の財源だと。決して増税ではないとかおっしゃっていましたけれども、でも、免税業者から課税業者が増える、それは増税になるわけじゃないですか、その人たちにとっては。その金額分というのは、軽減税率の穴埋めということがずっと説明されてきたわけです。私は、納税者にきちっと長く説明してきたことを寸前で変えるというのはよくないと思いますよ。

 従来は、食べ物や飲物の税率を軽減するため、新聞代を軽減するため、そのための財源としてお願いをしますということではなかったのか。今度は急に少子化対策にくら替えをする。私は、税金というのはころころころころ目的を変えるものじゃないと思いますよ。お考えをお聞かせください。

鈴木国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でありますけれども、インボイス制度導入に伴う増収額については、御承知のとおり、軽減税率の財源に充てると整理をされたところでありますが、その趣旨につきましては、財政健全化目標の堅持、社会保障の充実等を図るための安定財源を確保するということが、これがその趣旨であるわけであります。

 そして、その社会保障充実分の財源は確保をされ、また、財政健全化についても、PB黒字化、二五年度に向けて達成の姿が示されたところでありますので、今般のインボイス制度の導入に伴って新たに発現する増収の分、財政余力が生じるということになるために、増収の相当額について少子化対策の抜本強化の財源に充てさせていただきたいと考えているところであります。

野田(佳)委員 私は、復興所得税を防衛費に回していくのと同じだと思いますよ。最初言っていた名目と途中で変わっていく。要は、財源づくりが苦しいから窮余の策で変えているんじゃないですか。こんなことをやっちゃ駄目ですよ。納税者をだますような話だと私は思います。こういうやり方が最近多過ぎると思いますね。

 もう一つ、これはどうしても取り上げなきゃいけないんですけれども、これは三に書いていますけれども、令和六年能登半島地震への対応として、令和六年度においても復旧復興の段階などに応じた切れ目のない機動的な対応を確保するため、一般予備費について、前年度当初予算に対して五千億円増額し、一兆円措置しておりますということで、要は、今回の能登の地震の対応として、予備費で対応するということを書いているんです。なぜ補正予算で対応しないのかなんです。

 私は、一九九五年の阪神・淡路大震災のときに衆議院の一年生でございました。阪神・淡路大震災の発災は一月十七日です。そして、一兆円余りの補正予算が組まれて、二月二十四日に閣議決定します。ほぼ一か月後です。そして、二月二十八日に国会成立しています。速やかに成立しています。与野党が協力して、すぐやっているからなんですね。

 財務大臣のときに東日本大震災がありました。二〇一一年三月十一日です。このときは、第一次の補正予算四兆百五十三億円を組みました。四月二十二日に閣議決定、発災からほぼ一か月後です。そして、五月二日、ねじれ国会でしたけれども、当時の野党、自民党、公明党の御協力をいただいて、速やかに成立をしています。

 なぜ予備費にしちゃうんですか。きちっと積算をして、補正予算を組んで、そして、被災者の皆さんに安心をしてもらう。国会だって速やかに協力しますよ。一月一日に発災したんだから、二月に補正予算を組んで、そして国会で成立するなんてことはできたはずじゃないですか。なぜやらないんですか。お尋ねします。

鈴木国務大臣 今回の能登半島地震の復旧復興につきましては、御指摘のとおり、令和五年度の補正に係る予備費、それから、令和六年度、来年度予算の積み増しした予備費で対応するという方針が政府の方針であります。

 野田先生が御指摘になりました平成七年の阪神・淡路大震災のときは、大都市圏での被災に伴いまして巨額の被災額が想定されたのに対しまして、同年度中に活用可能な予備費の残額は一千億円強しかなかったこと、それから、今回、来年度予算の概算決定を変えて積み増ししたわけでありますけれども、翌年度の予算についても、発災直後の一月二十日に予定されていた通常国会の開会まで中二日間しかなかったということで、概算決定を変更するような対応は不可能であったということなどから、翌月の補正予算編成を始めとする対応になった、そのように承知をしております。

 これに対しまして、今回は、発災時点で今年度中に活用可能な予備費の残額が四千六百億円を超えており、三月末までの財政需要にはこれを順次活用することにより十分対応が可能であると考えられたこと、また、来年度予算についても、一月一日の発災から国会開会までに所要の概算決定の変更を行うことが可能であったことなどを踏まえまして、最も迅速かつ適切な財政面での対応として、今年度の予備費の活用と、来年度中の財政需要には来年度予算の予備費を増額して対応することとしたものであります。

野田(佳)委員 予備費というのは、言うまでもなく、予見し難い予算の不足に充てるので、既に発生した災害は予見し難いんじゃないんですよ。そういう、ちゃんとルールに基づいて予備費を活用すべきであって、私は予備費の濫用が過ぎると思います、この政権は。いろいろな名目で予備費をやる。今回もまた予備費でやると。

 予備費というのは、私は、要は、国会の議決が要らないで政府が勝手に使えるようになっているということじゃないですか。財政民主主義に反するということを強く指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

津島委員長 これにて野田君の質疑は終了いたしました。

 次に、原口一博君。

原口委員 立憲民主党の原口一博でございます。

 所信に対する質疑、まず日銀総裁からお話を伺いたいと思います。

 現下の激動する世界経済、今日は、日出る国日本をどうやって再生していくかということで議論をしていきたいと思うんですが、先行きの金融政策運営に関する考え方、基本的な考え方をお伺いしたいのと、そして、日銀財務の健全性、これに関する現状認識をまずお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

植田参考人 お答えいたします。

 一般論になりますけれども、中央銀行は通貨発行益というものが発生いたします。また、自分自身で支払い決済手段を提供できるということもございます。したがいまして、一時的に財務が悪化しても政策運営能力に支障を生じないというふうに考えております。

 しかしながら、中央銀行の財務リスクが着目されて金融政策をめぐる無用の混乱が生じる場合、そのことが信認の低下につながるリスクがあるため、財務の健全性を常日頃から確保することは重要であるというふうに考えております。

 私ども日本銀行は、大規模な金融緩和を現在実施中でありますが、財務の健全性確保の観点から、様々な引当金や準備金の積立て等により自己資本の充実に努めてきております。

 日本銀行としては、引き続き、財務の健全性にも留意しつつ、適切な政策運営に努めていく方針でございます。

原口委員 ECBやFRBに比べると、日銀の財務、バランスシートというか、全体がかなりでかいですね。だから、でかいからといって財務の健全性が低いわけじゃない。やはり日本の国力にバランスしている。国力がおっこちてしまうと、それは、そもそも中央銀行の財務の健全性にも今おっしゃったような疑いが出る。

 先ほど野田委員が質問をしてくださいましたけれども、円安、非常に看過できないような形になっているんじゃないか、そして、コストプッシュ型のインフレはデフレ要因になるんじゃないか、そういったことも懸念をされるところでありまして、この十―十二月のGDP、年率マイナス〇・四%。マイナスは二期連続ですね。

 さっきデフレからの脱却という話があったけれども、とんでもない。逆に、ずっと、結局、GDPも世界の三位であったのが、昨日か、四位に落ちましたね。そして、自国通貨建ての一人当たりGDPを見てみても、増加率、一九九五年から、例えば二〇二二年、これは、ワールド・エコノミック・アウトルック・データベースで見てみても、世界の下から二番目ですね、先進国、先進国じゃなくて、OECDの中でも。この状況で日本は太刀打ちできるのか。

 昨年は大きな経済の変動がありました、G7のGDPの総額をBRICSの総額が抜きましたね。G7がまさに二九・二であるのに対して、BRICSが三二・一。そして、この一月からはBRICSプラスということでいくと、ドルから逃げていくお金、もうドル決済というのをやめて自国通貨建てで決済をしようと。あるいは、BRICS通貨なんというのも昨年は議論になりました。

 こういう中で、激動する世界経済の中でどういう金融政策運営をなさっていこうというのか、基本姿勢についてお伺いします。

 そして、国債の、まさに、何というかな、風評被害ばかり出すんですね。日本の国債はあしたにもデフォルトするかのようなことを当局が言うというのは、僕はよくないと思いますよ。日銀じゃないですよ、一部の人たちですね。そのことについてもお触れいただければと思います。国債の健全性というのは、大量に引受けしているわけですね、日銀は。そのことについてもお尋ねをいたします。

植田参考人 お答えいたします。

 まず、前段の、世界経済がいろいろ大きく動く中で、私どもの政策の基本姿勢はどうかという御質問ですけれども、当然のことながら、海外経済あるいは国際的な金融市場の動向は、我が国の経済、物価に重大な影響を及ぼす要素の一つであります。したがいまして、その背後にあるメカニズムも含め、しっかりと見極める必要があると考えております。

 日本銀行としては、これらも含めて内外の情勢を丹念に点検した上で、物価安定の目標の持続的、安定的な実現という観点から適切な政策運営に努めてまいりたいと思っておりますし、物価安定目標の持続的、安定的な実現が見通せる状況になれば、マイナス金利を含む様々な大規模な緩和政策の継続の是非を検討していくことになるかと思います。

 その具体的な内容はそのときの情勢次第でございますが、現時点での経済、物価見通しを前提としますと、先行き、マイナス金利の解除等を実施したとしても、緩和的な金融環境は当面続く可能性が高いと考えております。

 それから、後半で御質問いただきました、私どもが保有する国債の件でございますが、例えば、日本銀行が保有する国債については、将来、出口の局面で金利が上がると、市場価格が下落し、評価損益が悪化するということが指摘されたりもいたします。

 私どもでは、保有国債の評価方法としては償却原価法を採用しておりますので、評価損が発生、拡大したとしても、決算上の期間損益には影響しないようにしてございます。

原口委員 日銀総裁、ありがとうございます。

 これで結構です。基本姿勢を今日はお伺いするということで、どうぞ御退室いただいて、委員長がお許しいただければ。

津島委員長 では、総裁、御退室ください。

原口委員 さて、このお手元の資料の一を御覧ください。

 その前に、財務大臣にちょっとお願いがあるんですけれども、先ほどからお話があっていますが、税に対する信認が、大変危機感をお持ちだということであれば、総理に是非御進言なさいませんか。これはもう三か月たつけれども、ずっとこれが続いている。自民党さんだけじゃなくて、政治自体が自動落下していますよ。税に対する怒り、百四十円のパンを窃盗したといって逮捕され、何千万ものお金で、それが不問にされる、とんでもないというこの怨嗟の声は、私たちが思った以上に大きいです。

 第三者機関をつくるように言われませんか。そもそも、最初から自前でやろうと、この中にも、自分は関係ないのに、自分は真面目にやっているのに何で一緒にされなきゃいけないんだ、幹部は何の発言もしていないじゃないか、説明もしていないじゃないかと、皆さんの心の中を見ると、まあ見たわけじゃないけれども、そういう思いの人も少なくないと思いますよ。

 みんなが犠牲になっているんですよ。いや、国民のこの不信は、徹底的に、最初のあれが間違っているんですよ、第三者委員会をつくらなきゃいけないんですよ。自分たちでやっちゃ駄目なんです。コイが自分で包丁を持って料理しちゃいけないんですよ。財務大臣、総理に言われませんか。

 実は私、宏池会時代、まだ自民党を出た後も、宏池会から頼まれて、会計のシステム、プログラムをうちの秘書がお手伝いしていました。それはそれは厳しいものですよ。しかし、今回立件されたSさん、私、よく知っています。若い頃にすごくお世話になった。すごく真面目な人ですよ。あんなことをわざとやって八十にもなって立件される、もう党は違っているけれども、悲しくてしようがない。よく知っている。

 言われませんか、総理に、第三者機関で全部明らかにしましょうと。それをやらないと、このままの自動落下、みんなが落ちていますから。どうぞお答えください。

鈴木国務大臣 この問題につきましては、自民党に籍を置く者として、本当に申し訳ない事態になっているということ、野党の先生方にも本当に御迷惑をかけているということを認識をいたしております。国民の信頼を回復することというのはなかなか簡単ではないことでありまして、原口先生の今の御提案もその一つの信頼回復のための方策であると思います。

 今日委員会でお話をいただいたことを私としてしっかり受け止めさせていただき、今、自民党としては解明に向けてのやり方が決まっておるところでございますので、そのやり方でやるということであると思いますが、更に加えて何かするというようなこともあるのかもしれません、そのときには大いに参考にさせていただきたいと思います。

原口委員 これは法改正というか、私、政治資金を所管する大臣でしたから、今の法律じゃ駄目なんですよ。それから、政策活動費、あれは確かに公開する必要はない。だけれども、勝手にあれに使ったり、これに使ったり、ポケットに入れたり、還元したりとか、それはできないんですよ。間違っているんですよ、認識を。

 そのことをお伝えして、この所信、今回の国会の中の一番大きなところは、いわゆる、先ほど野田さんがお配りいただいた資料を拝借すると、令和六年度税制改正につきましては、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和し、物価上昇を上回る持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指すと。つまり、物価上昇に負けているわけです。

 これは事務方で結構ですから、二十一か月実質賃金マイナスですよね、事実かどうか。ここに表を出しています。

 そして、この政策目標というのはいつから出したんですか、物価高を上回る賃金上昇と。いつ政策ターゲットにしましたか。岸田内閣は、もう歴代十位の長さですよ。もう今までやってきて効果がなかったんじゃないですか。いつやったか、これは事務方で結構ですから教えてください。いつからこれをターゲットにしたか、大臣所信の今読んだところ。二点。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、パネルにもいただきました賃金のデータでございますが、毎月勤労統計調査によりますと、名目賃金は、令和四年一月から令和五年十二月速報まで二十四か月連続のプラスとなっておりますが、その一方で、実質賃金の方につきましては、令和四年四月から令和五年十二月の速報まで二十一か月連続のマイナスとなっております。

 政策目標につきましては、ちょっと我々の当初……(原口委員「それはあなたは答えられないです、財務省しかない」と呼ぶ)はい、恐縮でございました。失礼いたします。(原口委員「財務副大臣で結構ですから、答えてください」と呼ぶ)

赤澤副大臣 私には御通告がなかった話でありますけれども、お答え……(原口委員「いや、財務省にやっていますから」と呼ぶ)ああ、そうですか。はい、分かりました。

 賃上げは岸田政権における最重要課題であって、二〇二一年十月の政権発足当初から一貫して、賃上げ促進税制の拡充や公的価格の引上げなど、あらゆる政策を総動員して、賃上げの実現に向けて努力をしているところであります。

 そうした中、実質賃金については、岸田政権発足当初プラスであったものが、ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の上昇などによる物価上昇の影響などで、二〇二二年四月以降マイナスとなっているのは委員御指摘のとおりであります。

 こうした状況も踏まえて、政府としては、例えば……(原口委員「いや、もう副大臣、いいです。いつからターゲットにしたかということだから」と呼ぶ)それについては……(原口委員「最初からでしょう」と呼ぶ)ええ、物価上昇を上回る持続的な賃上げという言葉そのものを用いたことはないですが、持続的な賃上げ、物価上昇に負けない継続的な賃上げ、物価上昇に負けない賃上げ、物価高騰に負けない賃上げといった言葉を、一昨年から総理の御発言において用いているところでございます。

原口委員 いや、要するに、奮闘努力のかいもなくということなんですよ。失敗しているんですよ。

 おまけに、何で失敗しているかというと、ちょっと、さっき野田さんがおっしゃったように、この内閣は、緊縮内閣とか増税内閣とか言われているけれども、財政運営規律は極めて悪いです。いわゆる基金を三本も走らせる。今だって三本走らせているでしょう。財務大臣と決算行政監視委員会で徹底的にやりましたけれども、ウクライナ予備費とか、つける必要はないと言ったのをつけているでしょう。まあ、来年またどうするか分からないけれども、この中には、次、入っていない。

 それから、予備費というのはプリペイドカードですからね。そんなの、自民党の皆さん、認めちゃ駄目ですよ。国会を何だと思っているんだと言わなきゃいけない。それから、基金をばんばん積み増している。

 そして、今日は、この後言いますけれども、この消費税のところと、それから、もう今は皆さん、財務査定はやめたんですか。各省から上がってくるのをそのままやって、そして、例えば外国の企業にお金を配りまくる、経済安全保障だとかいって、えっ、半導体が足りない、経済安全保障で、もし有事になったときに半導体が来ないから何千億と、ある企業に出すと。では、そこの企業との契約、取っていますか。そこの企業、台湾有事は日本有事だとか言っているけれども、そちらの方の企業じゃないですか。どうやって日本に来るんですか。何で日本の企業にお金を出さないんですか。

 消費税について少し議論していきたいと思います。

 これも事務方で結構ですけれども、消費税というのは直接税ですか、間接税ですか。

鈴木国務大臣 済みません、政府参考人が来ていないものですから、申し訳ありません。

 消費税は財務省内において第二法人税と呼ばれているのかということでありますが、消費税の計算方法が法人税の計算方法と類似をしているということ、これを理由に消費税を第二法人税であるという御意見があるということは承知をしておりますが、財務省においてそのような呼び方や考え方は取られていないものと承知をいたしております。

原口委員 いや、それは飛ばしたんですよ、その質問は。実は、していないのでね。それは、今大臣がわざわざ御丁寧におっしゃってくださったのは、元財務省の方が、O先生という方が、消費税は財務省においては第二法人税と呼んでいると。

 法人税は、大臣、赤字企業にはかからないんですよ。ところが、消費税は赤字企業にもかかる。

 では、聞き方を変えます。消費税は付加価値税、これはいいですね。

鈴木国務大臣 我が国の消費税についても、付加価値税の一種と整理されているものと、結論から言えば、そういうことであると承知をしております。

原口委員 そこで、最初の質問に戻るんですけれども、これは直接税でしょう。消費税法を皆さん読んでごらんになってください。消費者が払うという言葉はどこにもないですよ。誰が払うかというと、事業者が払いますね。これは事実ですか。

鈴木国務大臣 直接税か間接税かということ……(原口委員「いや、事業者が払うか」と呼ぶ)払うのは事業者であるということです。

原口委員 そこで、直接税か間接税か、どっちですか。

 僕は自民党の青年局長のときに、直間比率を変えなきゃ企業が外に出るからと言われて、あのとき、もう石を投げられながらやったんですよ。

 でも、政府税調の会長代行をやった、総務大臣で。どう考えてもこれは直接税だ、間接税とは言えないと思ったんです、自分の政権のときに。

 三十年前に、あのときの先輩たちにだまされたんじゃないかなと思っているもので、ちょっと聞いているんです。

鈴木国務大臣 法律上、直接税あるいは間接税という定義はないということを私も知りましたけれども、一般的に、直接税とは、納税義務者と税を負担する者が一致をすることが予定されている税、一方、間接税とは、税負担の転嫁が行われ、納税義務者と税を負担する者が一致しないことを予定している税、そういうふうに聞いたところでございます。

 その上で、お尋ねの消費税につきましては、事業者が納税義務者である一方、価格への転嫁を通じて最終的には消費者が負担することを予定しているものであることから、間接税に該当するとされている、そのように承知をしております。

原口委員 いや、だから、いけないんですよ。間接税であるものですか。

 だって、それは、これを聞くと、ちょうど消費税法を作ったときに、税制改革法というのを作ったんですよ。今おっしゃった、今お読みになった、消費税は消費者が負担すると想定しているから。自分らが想定しているだけなんです。想定しているだけで、現実は、実相は、価格転嫁をしているという、それだけなんです。できているところはやっているけれども、そうじゃないところはできないんですよ。

 だって、価格転嫁できないから、経産省でも価格転嫁状況に関するモニタリング調査というのをやっているんじゃないんですか。

 そもそも、こういうふうなものとすると、私たちはこういうことにしたから、皆さん、これはこうですよと言っているにすぎないんです。課税実態は直接税なんです。

 それで、皆さんに申し上げたいのは、消費税を減税すれば、これをやれば、その分、賃上げの原資ができるわけですよ。中小企業対策というのは、消費税の減税政策なんです。最も日本を弱めている直接税、小黒先生がおっしゃっている第二法人税、これの本質をもう一回考え直すべきなんですよ。これ、お分かりになりますか、私が言っていること。

鈴木国務大臣 原口先生の御質問を十分そしゃくできているかは分かりませんが、先ほどのお話は、間接税と言っているけれども、実際は税負担の転嫁が行われない方がいるということだ、そういうふうに思います。

 それで、消費税の価格転嫁の状況につきましては、令和四年十一月に行われました中小企業庁の転嫁状況に関するサンプル調査でありますが、従業員が五人以下の事業者でも、消費税率の引上げ分について価格に転嫁できたと回答した割合は九二・七%となっており、小規模事業者についても基本的に消費税の転嫁はできているもの、そのように認識をしております。

 そうはいっても、転嫁ができていない場合もある、こういうふうに理解します。

原口委員 そうなんです、多分。

 だから、付加価値とは何ですかと。付加価値というのは、利益と人件費、賃貸料でしょう。だから、赤字のところにもどんどん取るから弱くなるんですよ。日本の弱体化装置なんです。ちょっと、こればかりやれないので、これは次の質問のときに是非、皆さん、一緒に勉強していきましょう。これは日本を最も弱めているんですよ。税はほかの税があります。

 次に行きたいと思いますけれども、今度、主計の方。

 主計の方はちゃんと査定をやっていますか。さっきの基金もそうだけれども、こんなことをやるんだったら、まず、コロナ対策、これは予防接種ですね。これは本当に予防接種と言えるんですか。

 僕はこの間、質問主意書を出して、大臣、実は私、この一年間、がんだったんですよ。がんで、それで自分のがん細胞を調べたら、例の予防接種、コロナワクチン由来のものが私の免疫細胞を壊していました。それで悪性リンパ腫になった。それを抜いて、今、髪の毛も生えてきましたし、そして、一応寛解まで来たんですね。だけれども、今、どれだけ超過死亡が出ていますか。

 そして、このワクチン、皆さん、今、それに加えて、レプリコンという名前は出しちゃいけないけれども、いわゆる複製型のワクチンに対してもお金を出していますよ。

 お手元の資料を見てください。

 この予算の取り方、毎年、当初で三億六千万、三億六千万、三億五千万とかやっているんですよ。実際にはどうかというと、これを見てみてください。この四十七年間の合計で、これは今回の新型コロナワクチンじゃないですよ、新型コロナワクチンじゃなくて、予防接種、ほかにもいっぱいありましたね、その被害者が、死亡が百五十八件です、件数は三千六百三十六件です。ところが、見てください、これ。もう今何件ですか。亡くなった方が、去年、令和五年度だけで四百十二人ですよ。もしも僕があのまま向こうに行っていたら、僕もこれですよ。よく政策評価をしてみてください。

 厚労省に聞きますけれども、皆さんは僕の質問主意書に、新型コロナワクチンの感染予防効果、重症化予防効果、それを聞きました、質問主意書で、データで出してくださいと。今調べているところです、そういう答えをしましたね。これは事実か、教えてください。

佐々木政府参考人 簡潔にお答えいたします。

 今委員の御指摘の点については、そのとおりでございます。

原口委員 だから、予防接種としていいんですか。今度四月から、みんなこの四月から受けるのは皆さんの自主判断でやってくださいと。皆さんの周りにもおられるんじゃないですか。コロナワクチンで、僕のようにがんになった、あるいは血栓ができた、あるいはブレーンフォグといって、いきなりいろいろなことができなくなった。増大しているんですよ。だけれども、今おっしゃったでしょう、効果は分からないけれども、リスク、亡くなっている人はこうやってあるわけじゃないですか。

 財務省は、厚労省が言っているままに、このワクチン関連の、これは救済ですからいいんですけれども、まだこれからワクチンにお金をかけると。よその国はもうやめていますよ、このワクチンの実態を知ったから。これは別に党派は関係ないです。国民の命を守らなきゃいけない。

 さっきの複製型ワクチンは何だというと、これは自分を増殖させていく。忍者だというと変身しますよね、そして、変身するだけじゃなくて変わるんです。DNAに触るような、RNAに触るような、そういう実験を日本で何で先進的にやるんですか。DNAやRNAに触るようなものというのは、長く時間がかかるんです。よそでやっていないのを、岸田首相は、日本は一番治験しやすい国にするとかおっしゃっているわけです。再考を望みます。

 査定のときに、効果とリスクをちゃんと見てください。さっき言った外国企業についてもそうです。経済安全保障だと言ったら何でもできるわけじゃない。これは次の質問でやりますが。

 あと、ウクライナ。

 最後に聞きますが、これも事務方で結構ですけれども、この間、アメリカへ行ってきた。アメリカは、このウクライナに対する予算が実際に届いているか、横流しされているんじゃないか、もう出すのは無理じゃないかということを言っています。私たちが出した予算の総額、そして、これがちゃんと届いているのか、何に使われているのか、教えてください。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながらウクライナ支援を強力に推し進めていく必要があるということは、これまでも繰り返し国会等の場で御説明申し上げているとおりでございます。(原口委員「お答えだけしてください」と呼ぶ)はい。そういった考えの下で、今まで人道、復旧復興の分野における支援、財政支援等を実施してきております。

 まず、規模について御質問ございましたけれども……(原口委員「総額」と呼ぶ)総額、これまでに表明したものを申し上げますけれども、まず、総額七十六億ドルの支援を表明、実施中……(原口委員「日本円にしてください。ここは日本です」と呼ぶ)ちょっと、表明時のレートと今のレートの差とかもあるものですから、今はちょっとドルベースでしかございません、申し訳ございません。

 それに加えまして、昨年十二月のG7テレビ首脳会議におきまして、岸田総理から人道、復旧復興支援を含む十億ドル規模の追加支援を決定した旨表明、これに加えて、三十五億ドル規模の追加支援、財政支援を令和六年度当初予算で決定済み、こういう状況に今ございます。

 もちろん、ウクライナ支援が適切に実施されることが重要だという考えは委員御指摘のとおりでございまして、これまでも、実施した支援のフォローアップを行うとともに、ウクライナ政府を始めとした関係機関と密接に連携して、しかるべき対応を行ってきているところでございます。

原口委員 財務大臣、聞かれましたか。さっき、野田さんが合算方式を言いましたね、それからインボイス、幾らですか、その総額で。

 今回の子ども・子育て予算をやっているけれども、あれは、各省に散らばっていたのを集めて、これが子ども・子育て予算ですとやっているだけじゃないですか。

 日本人にお金を使ってください。日本にお金を使ってください。そして、財務当局はちゃんと査定してください。

 アメリカは、これでCRといって予算が通らなくて、去年の九月の末に僕がアメリカに行ったときに、まさに政府機関が閉鎖されるというので、日本に帰ってこれるかどうかと。今だってもめていますよ。アメリカでも確認できないものが、どうやって日本に確認できますか。

 そして、月曜日には岸田首相が東京でゼレンスキーさんをお招きになって、そして復興会議をなさる。またそこで巨額のお金、これはもう、今ドルで言ったけれども、一兆円をはるかに超えているじゃないですか。中国の方が、日本よりウクライナに近いんですよ、ウクライナと。何でここまでやりますか。

 ウクライナが憎いんじゃないんですよ。これ以上やれば、ますますウクライナの方々は。もう三十万人、四十万人亡くなっているじゃないですか。

 そのことを申し上げ、結びになりますが、財務大臣、冒頭申し上げた、是非、岸田首相に、第三者委員会、これをやってください、政治全体が沈みます。そのことをお願いして、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

津島委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

津島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 今日は、税務調査と脱税問題、これについて集中させていただきますが、その前に一言。

 五年近く財務金融委員会の野党側筆頭理事を務めさせていただいて、本当に関係の方々から多くの御協力を賜って務めさせていただきましたので、心から感謝を申し上げます。

 それで、最近、地元を中心にいろいろと回ったり、いろいろな接触する方々とお話をしてきたときに、やはり、今、予算委員会でも大変大きな問題になっています裏金政治、あるいは脱税問題、これを非常に言われて、ちょっとこっちも不運なのは、まあ、自民党さんもそうなんですよ、自民党さんの中でもああいう問題に関わっていない人は、自民党けしからぬといったときに、ちょっとここは大変かわいそうな状況。また、野党も、要は、ああいうふうな脱税とか、ああいう形、裏金になると、おまえたち、国会議員でうまい汁を吸っているんだろうと言われるわけですよ。私なんかも、いや、あれは自民党さんのごく一部がやっているんですよと言っても、冗談じゃない、やはり国会議員は特権階級なんだというふうに一蓮託生で言われまして、大変迷惑しているという状況なんですね。

 ですから、これに対してしっかりけじめをつけていくことがやはり必要なんだよなと思っているわけです。

 特に、私の前の質疑の方からずっと、今日から確定申告が始まるということで、税を払う人からいったら、本当に、裏金キックバック問題で、何も、私たちは一円から税金を払って、もしこれがちょっとでも税金をちょろまかしそうだったら、そうしたら税務署から大変なお叱りを受ける、でも、報道によれば、三千五百万とか四千万以下の、ああいった裏金問題で、そういった関連する人たちは不起訴だ、結局、三千五百万から四千万までは税金を払わなくていいんだなというふうにみんな思っているわけですね、あの報道を見ると。それを、地元を含めて大変多くの方からお叱りをいただいているわけです。

 特に、インボイスでやはり免税業者の方々が大幅増税ということ、インボイス増税ということと、さらに、膨大な事務作業を強いられて四苦八苦しているときに、じゃ、国会議員はあんなに、ああいう形でいいのかと、本当に極めて強い批判が私の方にも寄せられています。

 ここで、やはり、私としては、ああいった収支報告の修正をした八十五人の議員の方々にも、一罰百戒というのも含めて、しっかりと税務調査をして、その結果が白だったら白でいいんですよ。でも、全く、この辺で何か知らぬ存ぜぬで逃げようと、もしそういった、政府も調べない、あるいは自民党さんの方でも厳しいそういったけじめのことをやらないと、本当に国民の政治不信に対する信頼回復というものはできないんじゃないか、そういう観点から順次質問をしてまいります。

 まず、大臣に対して確認なんですけれども、これまでの政府答弁に基づけば、国会議員の政治的な経費として控除されるために、政治活動のために支出した費用であることを議員本人が立証できないということであれば、これは雑所得として所得税が課税されるという理解、これは幾多の答弁でやられていますけれども、それはそういう理解でよろしいですね、大臣。

鈴木国務大臣 いわゆる使途不明金につきましては、これは課税されるということであります。

末松委員 そういった、国民の皆さんから私が指摘をいただくのは、要するに、私自身、税務調査と言っていますけれども、なぜ税務調査かというと、議員本人から正直な申告とか、あるいはこの修正が期待できないんじゃないかということで、国税通則法第七十四条の二の税務調査というのを国税庁が行うべきと指摘されていたんですね。

 この税務調査について、知らない方もおられますから、ちょっと三点ほど聞きますけれども、一つは、税務調査というのはどのような場合に行うんですか。二番目に、税務調査を行うのは、いつ、誰が決定していくのか。三番目、明確な事実が分からない場合、税務調査をして初めて分かる、そういったこともたくさんあると思いますけれども、それについて、国税庁、お答えいただきたいと思います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 申告納税制度の下では、まずは、納税者の方々において御自身の収入や必要経費を計算し、申告していただくこととなります。

 その上で、一般論として申し上げますと、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして、課税上有効な各種資料情報の収集に努めまして、これらの資料情報と提出された申告書等を分析いたしまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。

 なお、国税庁は、財務省設置法上、内国税の賦課及び徴収に関する事務をつかさどるとされておりまして、個別事案につきましては、その下で、一義的には、国税局で行う税務調査は国税局長、税務署で行う税務調査は税務署長の判断の下で行われているということでございます。

末松委員 ここで、政治家の場合、特に国会議員の場合、特殊な事情があります。

 例えば資料の一を見ていただきたいんですけれども、これは収支報告ですね。某議員さんの収支報告なんですね、自民党議員さんの。これで、翌年への繰越しというのがあるわけですよ。この議員さんは、一億六千四百万円以上、翌年への繰越しになっている。だから、もし裏金で、本当は、これを、きちんと領収書とかをつけて報告をしなきゃいけない、使った額については。その残りを、やはり、使途不明となったら、これは課税の対象になるわけですけれども、翌年への繰越しになると、そういった、使ったということを証明する必要もないし、そのまま翌年ですといって逃げることができるわけですね。

 資料二について御覧いただきたいと思いますけれども、これも自民党の某議員さんで、予算委員会でも話題になったんですけれども、収入総額不明、前年からの繰越額も不明、支出総額も不明、翌年への繰越額も不明と。不明という、不明と書けばそれがそのまま通るという話、これも逃げ口の一つとして言われている。

 三番目、これはやはり某議員の、自民党議員の宣誓書というのに書いてあったんですけれども、この手書きのところを読みます。寄附に係る収入のうち、一部の寄附を受けた日について、特定することができないため、記載できません、当該不明部分については、判明した時点で訂正しますと。これは関係者に聞くと、判明した時点で記述すればいいから、どんどんそこはずっと判明していないという理由が続いて、そのまま、結局は、報告もしていない、そういう形になると、また不明というような状況になってくる。こういう例外が多いんですね。

 そして、さらに、四番目、資料の保存期間が三年間に限られるし、時効が五年で成立しますから、これもなかなかきちんと追及できないということになるし、また、記載義務の主体が会計責任者になっていて国会議員本人が責任を免れやすいというような、こういうものが、やはりこれも逃げる手口としてやられていると言われているわけですね。

 だから、こういった政治資金規正法の、これはざる法だという話、よく言われますけれども、これは、国会議員自らが厳しく、我々の方でしっかりと、各党、法改正をしていかないといけないと考えているわけですし、また、我が方の立憲民主党も、四本ぐらい必要な改正法律案をもう国会に提出しているわけです。

 私、これを見て、特に日常の問題は、総務省に聞いたら、収支報告書の形式的なミス、そういったものをチェックしていることであって、実質的には実は我々は調査していませんというような答えがやはり返ってくるわけなんですね。じゃ、一方、国税庁に聞いたら、我々は政治資金の収支報告書については所管じゃないので、そこは我々としてなかなかそういうのはチェックできません、そういうのが課税対象となったときにチェックすればいい話でしてと、こういう言い方をするわけですよ。

 そうすると、当然そこの、政治家の、国会議員の、そういったようないいかげんなチェックというか、チェックされていないという事実、それがためにぽっかり穴が空いている、そこが一番の問題であって、それを埋めるのが税務調査なんですよ。これは、税務調査としてしっかりやっていくということが重要になるわけですね。

 とにかく、ここで私の提案ですけれども、この時点で、国民の疑念というか、これを払拭するために、提案として、こういった穴を埋めるために、総務省の選挙関係局と国税当局が合同チームをつくって、そして、先日修正申告をした自民党議員八十五人全員に対して合同の税務調査を行っていくべきだと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 先生の御提案は、総務省と国税庁で合同で調査チームをつくったらいいのではないか、こういうことでありますが、財務大臣と国税庁との関係で申しますと、税務行政の中立性を確保する観点から、財務大臣として国税庁に何か指示を行うということは、これは控えているわけであります。

 つまり、税務調査にしても、あの人の税務調査をしろとか、あの人の税務調査は手心を加えろとか、そんなことを言っちゃいけないわけでありますので、そういうことに代表されるように、財務大臣も税務当局には指示を行わない、これは歴代政権全て、財務大臣が守ってきた不文律である、こう思っておりまして、その指示は、私としてはすることは控えなければならないと思っています。

末松委員 では、総務省はいかがですか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 政治資金規正法上、総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会に与えられている権限、これについては、先ほど委員からも御発言がございましたけれども、いわゆる形式的な審査権のみとなってございまして、政治団体の実態等について調査するいわゆる実質的調査権というものは付与されてございません。

 政治活動の自由の重要性に鑑みれば、政治活動や政治資金に係る規制に関して行政側の権限にどの程度の裁量を認めるかという点につきましては、慎重であるべきとの考え方が民主主義の基本理念に沿うものと理解してございまして、総務省としては、法にのっとって運用させていただくこととしております。

末松委員 今の答弁で分かりますけれども、財務大臣が国税庁に、この人をやれとか、税務調査をやれとかやるなとかいうのは、それは分かっています、私も。百も承知なんですけれども、要は、こういうことでもって、要するに、裏金問題で、キックバックの問題で脱税を実質的にした人が、結局は、誰のチェックもなく、問題が未解決のまま、そのままお蔵入りするということになっている構造がここなんですよ。そこを変えていかなきゃいけないと思っているんですね。

 ちょっと国税庁に聞きますけれども、これは納税者として、国会議員と一般の方々の場合、税務調査を行う際、判断基準等で何か税務上の取扱いの差というのはありますか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国税当局におきましては、課税上有効な資料情報の収集、分析に努めておりまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。こうした取扱いは、対象が一般の納税者であっても、国会議員であっても同様でございます。

末松委員 そうであるべきだと思いますよ。

 ただ、この間、検察における報道状況なんかを見たら、今、自民党議員の何人かが捜査対象として逮捕されているわけですけれども、検察が、政治資金報告書への不記載額が三千五百万から四千万超を立件の目安として、それ以下は立件しないという報道内容になっているんですけれども。

 法務省に聞きますけれども、こういうふうな基準というのは、金額の基準というのはあるんですか。

門山副大臣 検察当局は、今般、政治資金規正法違反の事実で自民党所属議員らを起訴した際、政治資金規正法の虚偽記入の事件の処理につきまして、動機、犯行態様、虚偽記入の額、被疑者の供述内容、他事案との比較、その他もろもろの事情を総合的に考慮して判断しており、機械的に金額を基準と考えているものではない旨、会見で説明したものと承知しているところでございます。

末松委員 法務省の刑事局の記者会見は私も読んだんですけれども。

 そのときに、じゃ、いろいろな総合的な判断の一つだよという話ですけれども、その総合的な判断の下に立件したという、逮捕したという方々の実情を見てみますと、不記載額が三千五百万円以上となっているわけです。実際にはそういう形で、逮捕する人が三千五百万円以上の不記載となっている。これというのは、いろいろな基準の中で、やはりそこは問題と、そこにしたということがありありと分かるわけです。

 ただ、こういった三千五百万円も基準の一つだということなんでしょうけれども、これは税務当局もそういうふうな判断に立っていると言えますか、言えませんか。イエスかノーでお答えください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、税務調査の実施につきまして、金額の多寡のみでその要否を判断するということはしていないということでございます。

末松委員 例えば、もうちょっと想像力を巡らせて、もし、私が言った八十五人全員、税務調査をするといった場合、たとえ十万円でも、脱税額が、これは調査をするということになりますか。もう十万円だったら、非常に些少だからやらないということになりますか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しで恐縮でございますが、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして、課税上有効な各種資料情報の収集、分析を行いまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございまして、税務調査の実施に当たりまして、金額の多寡のみでその要否を判断することはしていないということでございます。

 なお、一般論として、納税者への対応について申し上げますと、実地の税務調査に加えまして、申告内容の確認のために当局からお尋ねを行ったり、あるいは、軽微な非違につきましては納税者による自主的な修正を促すなど、様々な手法を組み合わせて対応しているところでございます。

末松委員 これは、午前中、江田議員も本当に正確な御指摘、有効な御指摘をやっていましたけれども、国民の方はとにかく、ちょっと税金をちょろまかして、そして申告をした場合、脱税とかそんなことを言われて厳しく処罰されるわけですよね。そして、国民の方は一円たりとも税金はきちんと払わなきゃいけないということで、今日からまたしっかりと国民の皆さんは納税をしていくわけですけれども、そこで、さっき言ったような、広く報道されて、三千五百万だとか四千万だとか、それが基準でそれ以下は立件しませんよという報道が行き渡った場合、まあ今行き渡っているんですけれども、本当にそこは問題で、もう納税なんかやる気なくなりますよね。

 そして、私、感じるんですけれども、国税庁に聞きたいんですけれども、今まで、問題となった修正申告の八十五人について、税務調査はやりましたか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事柄につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。

末松委員 これで、全部、何も我々としては発表しません、全部、そこは、何を税務調査でいつやったか、やらないかも含めて、全く公表しませんということであったら、これはちょっと問題ですよね。財務大臣の方も国税庁には何も言えないということですし、国税庁自身が、じゃ、こういった脱税を認めるという立場に立つんですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、国税当局といたしましては、様々な機会を捉えまして、課税上有効な資料の収集、分析に努めておりまして、仮に、政治家個人に帰属する政治資金につきまして、適正な申告が行われていないということで、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどによりまして、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

末松委員 今まで、この時点で、国税庁は税務調査をやっていないと思いますよ。そして、やっていたら、それについての結果もある程度出てくると思いますが、ということは、この八十五人についても、全く税務調査を行う必要もないし、それから、そういったことを行ったこともないということを、私は国税庁が判断したと思っているんですけれども、そういう判断でよろしいですよね。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国税当局といたしましては、各種資料情報を分析いたしまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うということでございますが、個別の事柄につきましては、国税当局におきまして厳しい守秘義務が課されておりますので、仮に調査を行うこととなったといたしましても、それを対外的に説明することは控えているということでございます。

末松委員 私が聞いているのは、税務調査をやったか、やらないかということを聞いているんじゃなくて、今まで、その八十五人について、一切、追徴をしたとかそういった事実はないですよねと。ないということは、そういうことは国税庁として今回問題にしていないということですよねということを、国民の皆さんに言ってほしいんですよ。

星屋政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、個別の事柄につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。

末松委員 追徴をやったという事実についても発表しちゃいけないんですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の課税関係でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。

末松委員 これじゃ本当に話にならないんですよね。

 これは政治的に本当に大きな、私はけじめの問題だとありますし、このまま何もせずに、じゃ、時間がたてば自然に消えていくよねというような話だったら、本当に、納税する人たちは、ふざけるなということをもう私のところにがんがん来ているんですね。さっき言ったように、私も国会議員ですから、国会議員全体がそういうふうな特権を持っていて、それで、我々庶民とは違うんだよねというふうに非難されるわけですよ。

 これは、この資料四に書いてございますけれども、先日の予算委員会で自民党の上野賢一郎衆議院議員が、きちんとそこは修正申告を指示し、納税させる対応が必要だ、そういうことを言い始めているんですよ。これは良心的な議員さんだと思いますよ。そうじゃないと、自民党の評判もえらくこれでがた落ちし、国会議員全体も信頼欠如になって、何だという話になる。

 これを防ぐためには、財務大臣、先ほど、確かに指示する立場にはないということであっても、これは政治的危機としてしっかり捉えて、私、末松が提案するような、やはりこの疑惑を持たれている八十五人については、これは、税務調査をするということまでは申しませんけれども、極めて政治的な危機で危ないんじゃないか、政治的信頼の上で問題だという意識があるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 今回の一連の問題は、国民の皆さんが政治に対する信頼というものを本当に根底から失いかねない深刻な問題である、そういうふうに認識をしております。

 まずは、疑念を持たれる方においては、自らがしっかりと説明責任を果たしていくことが重要であると考えています。

末松委員 国民の捉え方は、そういう疑念を持たれる国会議員が自ら正直に申告するなんて、そういう信用していないんですよ。だからこそ国税庁の税務調査が必要なんじゃないかというのが、私の今回の質問の趣旨なんですね。

 国税庁、やる、やらないというのは公表しないということなんだけれども、これからの徴税を行う上で、そういった国会議員と一般の方々を何か別にして差を設けるような対応、これについてはしちゃいけないと思いますけれども、改めてちょっと国税庁の考え方を問います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 政治資金の課税関係につきましては、個々の実態に応じまして、法令等に基づき適正に取り扱うこととしてまいりたいと思います。

末松委員 その適正について議論したいので、議論してきたわけだけれども、もうこれじゃ話にならないです。

 もうここで、私、国税労組さんともいろいろと話をして、いろいろと話があったのは、本当に、メンタルケア、こういったものも、国税の方々というのは現場で国民の皆さんからいろいろな非難とか嫌みとかを言われて、メンタルも参るということがあると思うんですね。そういうことをあなたも考えてもらって、そういう形で、国税庁としてどうあるべきかと。一切答えられませんばかりでいっていたら、国税庁は要らないんじゃないか、こういう気になってくるわけです。

 そこをしっかりとあなたの方も考えて、国税庁全体もしっかり、査察も含めていろいろな部門もありますから、そこは、一般国民と国会議員、差別しないような形でしっかりと正していく、そういうことを是非やってもらいたい、というか、やるべきだということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

津島委員長 これにて末松君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。今日は大臣所信に対する質疑ということでございますので、大臣の所信に従って質問させていただきます。

 まず、国際協調への貢献という観点でお尋ねをいたします。

 大臣所信では、国外に目を向けますと、国際社会を分断と対立から協調へと導いていく必要があります、このようにお話しされました。ところで、今月末、二十八日から二十九日、G20の財務大臣・中央銀行総裁会合がございます。まさにこの協調へと導いていく絶好の機会だというふうに思うんですが、大臣、こちらの方には出席をされて、国際社会を協調に導いていくためのどのような貢献をされるか、お話しください。

鈴木国務大臣 まず、今月末のブラジルでのG20の会合については、まだ最終的には、出か欠かは決めていないところでございます。

 外交に関わる課題、財務トラックにおいても極めて重要だと思っております。特にも、世界経済が、気候変動でありますとか債務問題、あるいはパンデミック、また地政学的な問題で対立や分断が起こっているということがあります。そして、昨今はグローバルサウスが経済的にも大変力をつけてきて、今までのように、先進国が何か大枠を決めて、それにその他の国が従ってくる、そういうことがなかなか、それに対する反発ということがある中で、こうした財務トラックにおいても国際協調を図っていくということは極めて重要である、そういうふうに思っております。

 今、足下においては、一方におきまして能登半島地震への対応があり、そういう中で、令和六年度予算それから税制改正等を年度内に確実に成立させなければならない、そういう大きな政治課題もございます。

 いずれにいたしましても、どちらも重要でありますけれども、関係方面ともよく相談をしながら、最終的に出欠の態度を決めたいと思っております。

櫻井委員 いや、今大臣おっしゃられたとおりなんですよ。かつては、G7で決めれば、おおよそ世界の方向を決められた。ところが、まさにそれが機能しなくなったから、メンバーを増やしてG20ということになったわけですよね。そこには、ロシア、中国、必ずしもG7の方向性とは違う、かなり違う方向を向いている国もいる。だからこそ、まさに分断を取り込むために、分断を協調へ導いていくためのメカニズムとしてG20があるんだ。

 だから、しかも、大臣、所信でおっしゃられているんですから、ここ、行かなきゃならぬと私は思うんですけれども、そのことはちょっとお願いし、だから、そのことから逆算して、会議、会合があることは大分前から決まっているわけですから。しかも、今年はよりによって遠いブラジルということで、なかなか行きにくいというのは分かりますけれども、そのことも踏まえて、国会審議日程、早めに国会を召集するべきだったのではないのかということも申し上げておきます。

 今日は日本銀行から植田総裁も来ていただいていますが、植田総裁は、サンパウロ、G20、行かれますでしょうか。

植田参考人 今鈴木大臣もおっしゃいましたように、非常に重要な会議であることは認識しており、是非出たいとは思っておりますが、国内の様々な仕事もあるという中で、総合的に判断して出欠を最終的に決めたいと考えております。

櫻井委員 いや、ちょっと、G20の財務大臣と中央銀行総裁が集まる会議ですよ。お二人とも行かないというふうになると国際協調へ導いていくことはできないと思いますので、是非そこはちゃんと考えていただきたいということをお願い申し上げます。

 続きまして、二つ目のテーマに移らせていただきます。物価と賃金の見通しについてです。

 こちらについても、大臣所信の中で、足下の物価高に対応しつつ、持続的で構造的な賃上げを実現していくことが重要です、こういうふうに所信で述べられております。

 資料一をお配りしておりますけれども、こちら、何度もこの委員会でお配りをしています。元々は階猛議員が、日本銀行の成績表ですね、物価の見通しについてどれぐらいの確度で当たっているのかというのを調べたら、ことごとく外れている、十年間外しまくっているということがあらわになる、こうしたものでございます。

 これを二〇二四年度のところについて見ますと、昨年の七月には一・九%と展望レポートで書いてございました。ところが、十月号になりますと二・八%で、随分上がっているわけです。ところが、今年の一月号を見ますと、また二・四%といって下がっているんです。

 物価見通し、三か月ごとに上がったり下がったりと結構大きな変動ですけれども、何でこんなに見通しが変動するんでしょうか。

植田参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の二〇二四年度見通しについて、二〇二三年七月から十月について、まず上がったところは、エネルギー価格の上昇とか、それから、それ以前の、エネルギー価格も含めまして、様々な輸入価格の上昇の国内価格への転嫁の度合いが思った以上に進んだというところを反映したものでございます。

 その後、去年の十月から今年の一月にかけて、〇・四ポイントほど、今度は二〇二四年度見通しが下がっておりますが、ここは主に原油価格が下落したということを反映した結果でございます。

櫻井委員 この物価と賃金の話、これは我が国の最重要課題の一つだというふうに私も思っていますし、政府の方でも思っていただいているかと思います。

 そういったこともありまして、昨年十一月八日の当委員会においても、この問題について植田総裁と議論させていただきました。

 このときに植田総裁は、物価への影響は、財政政策の内容によって少しずつ異なってくるかと思います、エネルギー関係の補助金のような負担緩和策は、それが実施されている間、言うまでもなく、消費者物価上昇率を抑制するという影響をもたらします、これに対して、総需要に働きかけるいろいろな施策、これはもちろん、景気を刺激して財・サービスに対する需要あるいは雇用を増加させる効果を持ちますので、これが続けば、物価や賃金の上昇につながるという効果もあるかと思いますと。

 これはすなわち、昨年秋の総合経済対策について、これを実施した場合、どういう影響がありますか、そのことは十月号の展望レポートの物価見通しに反映させていますか、こういうことに対する質問の答弁でいただいているところです。

 それに対して植田総裁は、エネルギーの補助金の効果、つまり、物価を引き下げる効果については盛り込んでいるというふうにお答えいただき、しかし、物価を上げる要素のことについては盛り込んでいないので、次の見通しである一月の見通しの際に精査して取り込みたいというふうに考えておりますというふうに答弁されています。

 展望レポート一月号で、総合経済対策の物価を押し上げる効果、この部分について盛り込まれましたか。

植田参考人 もちろん、一月の見通し作成の際には、ガソリン、電気、都市ガス代の負担緩和策だけではなくて、所得税、住民税減税が与える経済へのプラスの効果、そして、物価に場合によっては少しプラスになる効果も盛り込んで見通しを作成しております。

 ただし、先ほど申しましたエネルギー価格を下方に修正したということの影響が大きく出て、見通し全体としては先ほど申し上げたような姿になったというところでございます。

櫻井委員 原油価格、もちろん、これの変動は我が国の経済に大きな影響を与えるということはそうなんですが、ただ、総合経済対策も二十兆円を超える大きな規模のものだったというふうに承知をしております。そういった大規模な総合経済政策、これが物価を押し上げる効果は余り十分じゃなかった。しかも、これはデフレ脱却と大臣もおっしゃられていますよね。デフレ脱却と政府も言っている、岸田総理も言っている。

 結局、総合経済対策、景気刺激策として十分でなかった、デフレ脱却効果は十分でなかった、こういうふうに日本銀行としては分析された、こういうことでよろしいでしょうか。

植田参考人 私どもの見通しを御覧いただきますと、二四年度について二・四%、二五年度について一・八%という見通しに今年一月時点のものはなってございます。

 したがいまして、これがそのとおりに実現していけば、デフレという状態にはほど遠い状態が実現するということでございますし、その一部に政府の対策の効果も含まれているということではあるかと思います。

櫻井委員 これは、減税と給付と二つこの経済対策の中にありましたけれども、給付の部分についてはもう既に実施をされているわけなので、それを含めても結局余り効果はなかった、こういう分析を日本銀行はされているのかなというふうに受け止めをさせていただきました。長い目で見たら効果はあるのかもしれませんが、即効性は少なくともなかったということなのかなというふうに受け止めさせていただきました。

 あと、エネルギー価格が重要な要素だというふうに植田総裁はおっしゃられているわけなんですが、ちょっと財務大臣にもお伺いいたします。

 エネルギーの状況について、大きな要素となっているのが、ガソリンなどのエネルギーの補助金についてです。これは、補正予算、昨年秋の補正予算で四月末までは決定済みというふうになっていますが、その先はどうされるんですか。これは物価の見通しに大きな影響を与えますので、教えていただけますでしょうか。

鈴木国務大臣 御指摘のように、補正予算におきまして四月末までの激変緩和措置を継続するということは決めておりますが、それから先の、いわゆる出口と言ったらいいんでしょうか、そういうことにつきましては、今決まっているものはありません。

 そのときのエネルギー価格の状況でありますとか、様々な状況を考えて四月以降のことを決めていくということになるんだと思います。

櫻井委員 あともう一つ大臣にお尋ねをしたいんですが、先ほどの話のとおり、日本銀行の分析によりますと、総合経済対策、景気刺激策、必ずしも十分でない、少なくとも短期的にはそんなに物価がぱんと上がるような、そういう効果は出ていないということなんですけれども、本当にこの総合経済対策が経済対策として効果があったのかどうか、この部分については是非エビデンスに基づいて分析をいただきたいというふうに思うんですが、やっていただけますか。

鈴木国務大臣 財務省としてその分析を後ほどするかということでありますか。(櫻井委員「はい」と呼ぶ)

 それは、できるものについてはしっかりとお示ししていきたいと思います。

櫻井委員 岸田総理もエビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングというふうにおっしゃられているので、是非これはやっていただきたい。やった結果は、是非この委員会に提出をいただいて、それでまた改めて皆さんで議論をさせていただきたいと思いますので、委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。

津島委員長 理事会にて協議をさせていただきます。

櫻井委員 続きまして、資料にお配りしております、この部分についての各物価指数の推移について示しております。こちらでは、輸入物価指数、これは契約額、ドルベースと円ベースと両方載せております。それから、企業物価指数、消費者物価指数というふうに書いてございます。これは、日本銀行で作っていただいて、立憲民主党の部門会議で提出いただいたものです。

 これを見ますと、単純に増減の比率じゃなくて、ある時点を一〇〇として、そこからの今どういう状況になっているかということのものですから、輸入物価は、今時点ではそれほど高まっているわけではない、むしろ落ち着いて下がる傾向にあるかもしれないというところなんですが、ただ、去年すごく上がっているわけなんですよね。

 それに比べて企業物価は、それを反映してといいますか、それで、このコストプッシュで、ある程度企業物価も上がっていってもおかしくないわけなんですが、それなりには上がっています。

 さらに、企業物価が上がれば、それに釣られて消費者物価も上がるはずなんですが、企業物価が上がったほどには消費者物価は上がっていない。

 つまり、価格転嫁はまだまだ進んでいない、積み残した部分がたくさんある、こういうことではないのかなというふうにも分析できるところです。

 さらに、ここに来て円安、午前中も議論ありましたけれども、百五十円というところを突破しているわけなんです。そうすると、ますます輸入物価は円ベースでは上がってくるかもしれない、こういう状況なわけです。

 こうしたことから、これは日本銀行にお尋ねをいたします、これからもやはり価格転嫁が進む、消費者物価の上昇余地は大きいというふうに考えるんですが、日本銀行としての御見解をよろしくお願いいたします。それに加えて、ここに来ての円安の傾向がございますが、この円安の原因、どのように分析しているかということについてもお尋ねをします。

 このことは、昨年秋の財務金融委員会でも私議論させていただきましたし、階議員も予算委員会で植田総裁と議論させていただいたところでございますので、よろしくお願いします。

植田参考人 まず、委員の資料二にございますように、様々な物価指数、例えば輸入物価とか国内企業物価を見て、それと消費者物価の動きを比べますと、前者二つの方が、足下でも、あるいはピークにかけて物すごい大きく上がっておりますので、この分の転嫁はまだこれから進行するのではないかという趣旨の御質問だったと思いますけれども。

 ここについては、様々な企業、一番輸入に近いところから消費者に近いところまで様々な段階がありますが、その様々な企業レベルにおきまして、その企業の様々なコストを考えてみますと、そのコストの中に占める輸入財とか、あるいは企業物価に焦点を当ててもいいんですが、それぞれはコストの一部であることが非常に多いかと思います。ですから、仮にそれは二倍になったとしても、コスト全体は二倍よりも非常に小さい率でしか上がらないということがほとんどかなと思います。

 ですから、輸入価格が二倍になって、それが……(櫻井委員「企業物価と消費者物価は」と呼ぶ)まあ企業物価でもいいんですが、全部転嫁されたとしても消費者物価の上昇率は二倍にはならないということが、非常に多くの企業、あるいは企業の産出する財・サービスについてあるということがまず指摘できるのではないかなと思います。

 それから、恐縮ですが、二番目の、足下の円安の原因についてという御質問だったと思いますが、そこについては、日頃申し上げておりますように、短期的な為替レートの変動の原因、評価等についてはコメントを差し控えるということでお願いできればと思います。

櫻井委員 今、輸入物価が企業物価に与える影響についてお話しされましたけれども、そこは分かりますよ、そんなものだと思います。ただ、企業物価から今度は消費者物価、ここはもっとダイレクトな関係にあるんじゃないんですか。

 企業物価はこの間二〇%上がっているわけです。それに対して消費者物価は六%ということですから、差分の一四%は、全部とは言わないけれども、もう少しこれから埋めていこうとする努力を企業側はしていくんじゃないんですかということについてちょっとお答えがなかったので、再度お願いします。

植田参考人 企業の投入物を見ますと、企業物価に表現されているものだけではなくて、サービスも投入になりますし、その企業が雇っている労働者の賃金もコストになります。これら全体に占める企業物価分のシェアというのは、それほど高くない場合もあるということだと思います。

櫻井委員 ちょっと今の説明だと分かったのか分からないのかというのですか、今の説明だと、人件費は上がらない、賃金は上がらないということを前提にお話をされているかのように聞こえたものですから、それだと、大臣所信では、持続的な、構造的な賃上げ、こういうふうにおっしゃられているけれども、それは実現しないというのが日本銀行の分析なのかと思って、ちょっと見通しが暗いなというふうに思ったところです。

 財務大臣兼金融担当大臣にもお尋ねをいたします。今の円安の傾向が進んでいる要因、これはどう分析をされるのかということです。

 大臣所信では、国民の安定的な資産形成に向けて、年初から抜本的に拡充した新しいNISA制度の普及、活用促進、こういうことも金融担当大臣として発言をされています。

 ちまたでは、この新NISAで新たな投資が国内よりも海外の方により多く向かっているのではないのか、つまりキャピタルフライトが起きているんじゃないのか、これが円安の原因になっているんじゃないのか、こういう見方もあるわけなんです。

 ですので、財務大臣兼金融担当大臣として、この円安傾向についてどのように分析されているか、是非お答えください。

鈴木国務大臣 新しいNISAと為替レートの関係についてでございますけれども、市場関係者の中にはいろいろ発言があるということは承知をしておりまして、その中で、今、櫻井先生が御指摘のような、NISAによるキャピタルフライトの影響があるのではないかという声があるということ、それは私も承知をしているところでございます。

 しかし、為替レートを考えてみますと、為替レートは、国内外の経済財政状況でありますとか、国際収支、金融政策の動向、投資家の予測やセンチメントなど様々な要因により決定がなされるものでありまして、変動の要因を一概に申し上げることは難しいということだと思っております。そういう意味では、今の足下の円安の要因ということを明確に申し上げることはできないということでございます。

櫻井委員 これは、もうずっとこの議論をしている、悪い円安がコストプッシュの悪い物価高を呼び、それがいろいろなところに利いてきて国民生活を厳しくしているのではないのか、こういうことを指摘されてきているわけです、我々は指摘しているわけです。

 それから、もう一つ大きな点は、キャピタルフライトについて。

 投資をどんどん促進しましょうと岸田総理はおっしゃられていますけれども、それを本当にやっていったら、こうしてキャピタルフライトが起きるんじゃないのか。TOPIXとそれからMSCIの、TOPIXは日本国内の株式ですけれども、MSCIはグローバルな株式指標ですけれども、比べてみたら、パフォーマンス、MSCIの方がはるかにいい。だから、普通に窓口でどっちの商品にしましょうかといったら、パフォーマンスのいい方になる。キャピタルフライトがどんどん起きるんじゃないんですか。

 これは去年の通常国会でも私もその指摘をしましたし、ほかの議員からもそういった指摘がございました。ですので、これはちゃんと分析をしておいた方がいいと思うんです。お金を持っている人はそうやって稼げるかもしれませんけれども、でも、そうじゃない方は、単に物価が上がって生活がどんどん苦しくなる、こういうことになりかねないわけです。

 今度は、賃金と物価上昇の関係についてもお尋ねをいたします。

 厚生労働省は毎月勤労統計調査を行っておりまして、二〇二三年については、これも一週間前に発表がありました、マイナス二・五%ということでした。このことについては、資料の三に抜き出して書いております。毎月勤労統計を全部貼り出すと結構大変な量になってしまいますので、抜き出して書いております。

 つまり、過去五年間を見ますと、二〇二三年がマイナス二・五、二〇二二年マイナス一・〇、二〇二一年はプラスの〇・六、二〇二〇年はマイナス一・二、二〇一九年はマイナス一・〇。過去五年間を見ますと、プラスだったのは二〇二一年だけ。二〇二一年は物価がマイナスだったという年でございます。結局、実質賃金も四年間マイナスですし、全然上がっていないということです。

 更に申し上げると、岸田内閣、二〇二一年に発足しておりますけれども、それ以降、実質賃金はどんどん下がっているわけなんです。これは悪夢を通り越して地獄なんじゃないのか、地獄の岸田内閣と言われてもしようがないんじゃないかと思うわけなんです。

 そこで、まず日本銀行の植田総裁にお尋ねをします。

 過去五年間で実質賃金はおおむねマイナス、これは自民党内閣の経済政策の失敗だというふうに見ることもできると思いますが、これは一体何が悪かったんでしょうか。

 それから、一方で、日本銀行の展望レポート一月号二十五ページを見ますと、「実質ベースでもマイナス幅は縮小傾向をたどり、次第にプラスに転化していくと見込まれる。」というふうには書いてあるんですけれども、どのようなメカニズムでプラスに転化すると見込んでいるんでしょうか。この数字だけ見ると、むしろどんどん悪くなっている、プラスに転化するどころかマイナスが深くなっているというふうに見えるものですから、この点、お答えをお願いいたします。

植田参考人 お答えいたします。

 過去五年間ですが、二〇一九年がそこに入っておりますのでコロナ前も含めてということでお答えしますと、コロナ感染症前の景気拡大局面においては、御指摘のとおり実質賃金はもちろん伸び悩んでいましたが、この時期は、企業の賃金設定スタンスが非常に慎重な下で、まず名目賃金の上昇ペースがそれによって緩やかにとどまったということが影響したと思っております。ただ、この時期、雇用者数は着実に増加しておりましたので、実質賃金に雇用者数を掛けた実質雇用者所得で見ますと、緩やかな増加を続けていたということは言えるのではないかと思います。

 一昨年以降の実質賃金の低下の部分でございますが、ここでは名目賃金は緩やかに増加を始めているわけですが、言うまでもなく、輸入物価の上昇を起点とした価格転嫁の影響が大きく、消費者物価が賃金上昇率を上回って上昇してきたということが実質賃金の低下につながっていることでございます。

 その上で、今後、実質賃金がプラスになっていくのか、どういうメカニズムを考えているのかという御質問ですが、私どもの見通しでは、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は、足下、和らぎつつありますが、これは更に和らいでいくというふうに見ています。一方で、労働需給が引き締まった状態は継続しておりますので、企業の賃金設定行動もこれまでよりも積極的になるというふうに見ております。その二つが合わさって、実質賃金の伸び率が次第にプラスに転化していくという見通しを持っております。

櫻井委員 今の御答弁だと、賃金は上がりますとおっしゃるんですけれども、先ほど物価の議論の中で、企業物価指数から消費者物価指数、もっと価格転嫁が進むんじゃないですかという話のときには、いや、サービス価格は上がらないから転嫁はそんなに、もうこれ以上進みませんよみたいな話があって、サービス価格というのは中身は人件費ですよね、人件費は上がらないというお話だから、おっしゃられている話が何か矛盾しているように聞こえてならないんです。

 もう一つ、せっかくの機会ですので、内閣府が出している中長期の経済財政に関する試算についてお尋ねをします。

 四ページには賃上げについて書いてありまして、二〇二五年の姿です、一・七%。物価については六ページに書いてあって、そこには、資料にはないです、物価については一・五%プラス、こういうことになっております。

 一方で、これだけを見ると、賃上げが一・七%で物価が一・五%、来年には物価の方が高くなるのかな、こういうふうに見えるわけなんですが、日本銀行の展望レポート、二〇二五年の方を見ますと、物価は一・八%となっている。つまり、賃金一・七%、物価は一・八%で、相変わらず二〇二五年も、もしかしたら、日本銀行の言うとおりの物価ですと、物価の方が高い、賃上げが物価高に追いつかないという状況が来年も、今年だけじゃなく来年も続くのかな、こんなふうにも見えるわけなんです。

 これ、最後、植田総裁にもう一度お尋ねをいたしますけれども、ここを見ますと、やはり物価上昇に賃金は追いつかないんじゃないんですか。どうなんでしょうか。

津島委員長 植田日本銀行総裁、申合せの時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いをいたします。

植田参考人 私どもでは、二五年度は一・八%の見通し、物価について出しておりますが、賃金については、もう少し高い見通しを持っております。

櫻井委員 時間が来ましたので終わりますけれども、これは同じことを、二〇二四年の数字について井林副大臣に去年の十一月に御答弁いただいたんですが、これは、指摘したら何か日銀の方が物価見通しで下げてきたのかな、それで帳尻を合わせたのかなというふうにも邪推をしたりするんですが、実は、二〇二四年については直ったけれども、二〇二五年はこのままになっていたということを指摘させていただいて、終わらせていただきます。

津島委員長 これにて櫻井君の質疑は終了いたしました。

 次に、沢田良君。

沢田委員 日本維新の会そして教育無償化を実現する会の沢田良と申します。

 本年の財務金融委員会では本日が最初の質疑となります。この通常国会では、元日に発生した能登半島地震、また政治と金の問題が大きな話題となっておりますが、本日質問させていただく我が国の財政についても、これは先送りできない重要な課題が山積していると感じております。

 大臣所信に対する質疑ということで、細かい話というよりも、大臣のお話しされた内容を追って確認をしていく作業となりますが、本日も、津島委員長を始め理事、委員の皆様、鈴木財務大臣始め財務省、金融庁の皆様、委員部の皆様、本日もよろしくお願いいたします。

 まず冒頭に、財政の在り方についてなんですけれども、大臣所信において、日本の財政は、これまでの累次の補正予算の編成等により、より一層厳しさを増しておりますと、この問題意識を言われました。

 これは大臣にお伺いしたいんですけれども、政府債務残高の名目GDP等に対する比の推移を大臣はどのように見ているんでしょうか。

鈴木国務大臣 大臣所信でも述べましたとおり、日本の財政状況は、これまでの新型コロナウイルス感染症、また物価高騰対応に係る累次の補正予算によりまして、より一層厳しさを増しているわけでありまして、現状、債務残高対GDP比も二五五・二%に達するということで、世界最悪の水準であると認識をしているところでございます。

 このように、債務残高の規模が著しく増加することは、利払い費の増加によります財政の硬直化や、国債や通貨の信認の低下を招くおそれがあり、望ましいものではないわけであります。

 こうした観点から、財政の持続可能性への信認を確保するためにも、経済あっての財政という方針の下で、まずは、国、地方のプライマリーバランスの二〇二五年度黒字化、これにより債務残高対GDP比を安定的に引き下げるといいます政府の目標達成に向けて、歳出歳入両面の改革、これを着実に推進していかなければならない、そのように感じております。

沢田委員 今御紹介いただきました二五五・二%ということで、これは、太平洋戦争があった頃が最高と言われていたものがどんどんどんどん更新しているという状況が今現状になっております。

 私は、大臣がずっとプライマリーバランスの黒字化について御答弁で、財政、信用だということも含めてお話しされていることは、通過点として必要だなと思いつつも、今、日本を取り巻く環境というものは誰が見てもいろいろな部分で変化が起こっています。

 例えば、都市と地方の在り方、地方交付税交付金の在り方も、抜本的に見直さないといけないという段階に私はなっていると思います。また、若者から高齢者へということで年金を含めた社会保障、そして、技術革新や多様性が上がっていることによって対応できる幅が広がってきている、そして、激甚化する災害、これに対する対応、脱炭素や環境に対する新しい取組、高まる安全保障環境。

 今回の能登半島地震においても、今後の限界集落の在り方について、SNS等では大きな議論が沸き起こりました。一つ紹介したいのは、二十五年後には確実になくなっているであろう珠洲市や輪島市などにある限界集落に復興予算をどこまでつぎ込むのかということが、早い段階で議論が入っておりました。

 要は、今、多くの方が現状のままではうまくいかない、それ以上に、より多くの困難をこの国が迎えてきているという状況は理解している中で、今私たちが目指しているところが、まさに現時点でのプライマリーバランスの黒字化、そして、多くの借金を抱えて名目GDPに対して二五五%もの債務の総額を持っている、この状態においては、やはり危機感というところで私は大変大きなものを持つべきなんじゃないかなというふうに思っています。

 これは、大臣、毎回御答弁いただいている部分でもあるんですけれども、率直に、プライマリーバランスの黒字化、歳出歳入改革だけでこの状況を乗り越えられるとお考えなんでしょうか。

鈴木国務大臣 今の財政状況については、危機感というものを先生と共有していると思います。

 そういう中で、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化というのは、まずそこを通過しなければいけない、それを達成するために最大限努力をするという、まずは第一歩の目標である、そういうふうに認識をしております。

沢田委員 私も第一歩は大事だとは思うんですけれども、やはりこれだけ日本という国が変化を促されている状況の中、正直、プライマリーバランス黒字化、歳出歳入改革だけではやはり限界があるというふうに感じるんですね。

 私も国会議員になって三年目です。毎年毎年、財政というものを見させていただいて、確かに、歳出削減していただいているところ、歳入改革をしていただいているところ、これは見えます。けれども、だからといって、じゃ、何年、国民の皆様にこの状態をずっとつなげていくのか。その中にも、どんどんどんどん拡大していく。私たちが本当に国会として向き合わなければいけない対応ですよね。今までは、余り予算の組替えということは起こらなかったかもしれませんが、最悪、地方に振り向いていた予算を都市部に戻さなきゃいけないかもしれない。更にその最悪、高齢者の方に向かっていたものをもっともっと現役世代に向き合わせなきゃいけない。そういうことを私たちがどこかで判断せざるを得ないくらいの状況に私はなっているんじゃないかなと。

 なので、抜本的に歳出歳入改革、プライマリーバランスの黒字化も、当然、一歩目としては大事かもしれないんですけれども、ここだけを言い続けていくということにおいて、国民の皆様に同時に負担をお願いしているということは、私は大変不誠実であり、私たちが問題解決から逃げている、そういうふうに言われてもおかしくないというふうに感じています。

 そもそも、財政規律というものは、私は、自分自身が会社の経営をやってきましたけれども、ある種マインドだというふうに思っています。自分の会社で、例えばトイレの使い方、例えば自分たちが使う鉛筆や備品の使い方、これも気をつけていこうと個人個人が気をつけると、気づくと、一年をかければ一万円、三万円ぐらいのお金になったりするものです。

 いろいろな状況がある、そして、日本が高度経済成長以降、やはりかなり渋い状態で国家運営をしてきたという現状の中では、国債発行もしようがない、そういう雰囲気があったり、どうしても、危機のたびに高まる必要性というところで予算幅が急激に引き上がってしまう、そういったところがあったとしても、これが常態化してしまっているようなことも、まさにこれから私たちが、本当の意味での財政規律であったり国の在り方を考えなきゃいけないというところに、一歩一歩首を絞めている状況につながっているというふうに思っています。

 なので、私は、一つこれは大きなルールとして、プライマリーバランスの黒字化の更に上のところで、根本的にどういうふうに私たちの財政の在り方があるべきなのかということを考えなければいけないというふうに思っています。

 一つのアイデアではございますが、私が所属する日本維新の会では、規制の総量の削減のための二対一のルールの導入ということを御提案をさせていただいております。

 これはどういうことかというと、規制というものを新設するときに、強化する際に、規制の総量の削減の実施を確保する制度として、規制を強化、新設する場合は、その規制の個数、これが新規に増える規制の個数の比率を、今までの分を減らすということで、少なくとも一個増やすなら二つ減らそうというような数の部分と、新設、強化分のコスト、これはコストが廃止、緩和分のコストを上回らないようにするという考え方なんですけれども、これは誰がやったのかというと、アメリカのドナルド・トランプ大統領がこれをやって、いわゆる自由な経済活動というものを、しっかりと時代に取り残されているようなルールとかを消しながら、今一番必要なものは何なのかというのを考えさせるためにやったことを、我が党の方で一つ参考にさせてもらったという一例になるんですね。

 こういったことができると、一つ、やはりルールとして、私たちが、新しいものをやろう、新しい予算をつくろうといったときに、総量として、じゃ、だったら今までの何かを見直さなきゃいけない、結果として、そこで財政規律というのを守るというようなインセンティブが働くというふうに思っているんですね。

 一番最初に質問させていただいたんですけれども、私は、この名目GDPに対する債務の総残高というのは物すごくやはり大事だと、やはり会社の経営をしていて思うんですけれども、GDPと、一般会計の方の予算の規模を縛るなどすれば、例えばGDPの何十%にするとか、そういうことのルールを決めていったら、これは財政の健全化に私はつながるというふうに思うんですね。

 今の財務省、日本の財政の仕組みの中に、財政健全化につながるような対応とか、具体的な取組というのはどういったものがあるのか、大臣の方でちょっと教えていただけますか。

鈴木国務大臣 一般会計予算の歳出規模について、どういう具合にそれを抑えようとしていくということについては、政府におきましては骨太の方針に基づいて進めております。

 骨太の方針におきまして、歳出の目安というものを定めております。具体的に申し上げますと、社会保障関係費については、その増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収める、それを上限にする、それから、非社会保障関係費については、経済、物価動向等を踏まえつつ、これまでの歳出改革の取組を継続する、こういうような歳出の目安を定めまして、毎年度の予算編成を行っているところでございます。この目安に沿って歳出改革努力を行うということを続けているところでございます。

 このように、目安を達成するための歳出改革の努力を継続することは、財政健全化につながる重要な取組であると考えております。

沢田委員 大臣、是非、私の子供ももう小学校六年と小学校三年生になるんですけれども、大臣の御家族もこれからどんどんどんどん次の世代、次の世代となると思うんですけれども、やはり、私たちの国会の代で、どこかやはり決断をして、改革をして、次の世代にしっかりといい形で日本を残したいという思いは、私も、野党の一議員でありますが、強く思っております。

 是非、いろいろな提案を、今までの流れの中でつくるのではなくて、大臣が、やはり、私は当選からずっと大臣と一緒にやらせていただいておりますけれども、財務大臣としてずっとやられていると思います、一番、ある種、我が国の財政をいろいろな意味で見られているお一人だと思います。是非、これからいろいろな意味で動いていただければと思います。よろしくお願いします。

 続きまして、大臣より、医療・福祉分野の現場で働く方々の処遇改善を始めとした物価に負けない賃上げの実現に向けた取組の推進ということの発言がございました。

 これは具体的に医療現場への賃上げのために何をするのか、厚労省の方から教えてください。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の診療報酬改定におきまして、医療の現場で働く方々の物価高に負けない賃上げ、その実現に必要な水準の報酬の改定率を決定をしたところでございます。

 具体的に申し上げますと、看護職員等の医療関係職種の賃上げに係る新たな加算措置を設けるなどの対応を行ってございまして、関係者への周知やフォローアップの仕組みの整備などによりまして、確実な賃上げを図ってまいりたいと考えてございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 済みません、これは医療分野だけだとどうなんですかね。具体的な数値って、今言っていただけましたか。

日原政府参考人 もう少し詳しく申し上げますと、診療報酬の改定率、これはプラスが〇・八八%でございました。

 その中で、今申し上げました看護職員、病院薬剤師、その他医療関係職種の賃上げのための特例的な対応、これは改定率プラス〇・六一%による加算措置でございます。

 それ以外にも、改定率〇・二八%程度を活用いたしまして、四十歳未満の勤務医師あるいは事務職員などの方の賃上げに資する対応、これを講じていくこととしてございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 類似の、本会議の方で質問させていただいたところに対して厚労大臣より返答があった部分が、九百万人が働く医療・介護分野の従事者の物価高に負けない賃上げは、日本経済の消費につなげ、成長と分配の好循環を実現するためにも大変重要とあるんですけれども、私、これ、ちょっといろいろとおかしいなというふうに感じております。

 医療と介護では、まず、そもそも抱えている問題が違うのに、同一視してそれをまとめてやるというのが、私はちょっとおかしいなというふうに感じておりまして、厚生労働省の医療経済実態調査を複数年見させていただいたんですけれども、病院の勤務医の年収というのは約一千五百万あります。開業医、法人、個人も約二千五百万円収入があります。国民全体での平均年収というのは約四百六十万円なんですね。

 福祉分野についての賃上げによるサポートというのは、私はこれは一定数認めていくべきだと思うんですけれども、医療現場についての賃上げというものが認められるのか。要は、この医療現場についての賃上げというのは、イコール医療費の負担を上げていくという作業です。いわゆる四百六十万円平均年収の国民の皆様からの負担を増やして、大変大きな収入をもらっているお医者さんの給料が上がっていくということで、先ほど武見大臣の答弁を紹介させていただきましたけれども、その上がった分で消費が拡大していくということについても、全く合理性がないと思うんですね。

 限界消費性向なんという考え方がありますけれども、収入が低い方の方が消費にかかる割合というものは高くなる傾向があります。こういったことを考えても、なぜ、こういうふうな医療の方に賃上げによるサポートが必要だという判断に踏み切ったのか、又は、この判断に踏み切ったということについて、大臣、御意見があったらお願いします。

鈴木国務大臣 先ほど厚労省から御答弁がありましたけれども、診療報酬改定については〇・八八%、本体ですね、本体の部分は引上げ、そのうちの〇・六一%は、看護師さんでありますとか、あるいは理学療法士さんでありますとか、そういう方々の賃上げにつながる分というふうに理解をしております。

 先生が先ほど二千五百億程度のと言いましたのは、それはまさにドクターでいらっしゃると思います。そうではなくて、今回の賃上げで対応したのは、先ほど申し上げたように、いわゆるコメディカルの方々でありまして、今回の措置によって、来年度は二・五%のベースアップ、それから、再来年度は二%のベースアップ、それを実現したいと考えているところであります。あくまでコメディカルの方々を対象にしているということです。

沢田委員 ありがとうございます。

 では、お医者さんの技術的な報酬には一切影響しないという認識でいいんですか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的に診療報酬上のどのような措置によりまして賃上げの具体化を図っていくかということにつきましては、これは、先ほど申し上げましたようなベースアップ評価料、これは加算措置でございます、そちらで対応する部分、それからまた、初再診料や入院基本料などの引上げで対応するというものと、性質に応じまして、その二つの方法によりまして対応させていただきたいというふうに考えてございます。

沢田委員 そうですね、やはり結局上がるわけですよね。

 そう考えたときに、物価に負けない賃上げの実現という話も、これはやはりいろいろなところで出ています。大臣からも声が出ています。今、私たちが見なければいけないところでは、やはり、低所得者の方々が、物価が急激に上がっている状況の中にまだまだ慣れていなくて、いまだデフレマインドと呼ばれる気持ちの方は多くいらっしゃる中、そういった方に安心してもらうために、一旦は、激変緩和じゃないですけれども、そういったイメージを持つということだというふうに私は思っています。

 なので、そういった方々が生活する中でも考えなきゃいけないのが、今、私たちがよく出している物価の指数よりも高い基準で、よく買う品目というのが総務省の方から出ているんですけれども、例えば、食パンや国産の豚肉、ニンジン、ガソリンなど四十品強が年間の購入回数十五回以上となるもの、こういったものがどれぐらい物価が上がっているかというと、六・二%も上がっているわけですね。

 こういうふうに上がっている、そして先ほど言いました、収入の低い人になればなるほど基本的には負担が増えていく、こういう形の中で、やはり医療の負担も上がっていくということが、決して私は経済全体の大きい流れにつながるとやはり思えません。

 つなげるわけじゃないですけれども、企業・団体献金、これは医師会から岸田総理が一千四百万円献金をもらっていた、こういう話を、日本維新の会、青柳仁士議員が十一月二十二日の衆議院予算委員会で、質問として入りました。武見厚生労働大臣には一千百万円という大金を、二〇二一年、日本医師会の政治団体、日本医師連盟が二人にパーティー券購入などを含めて巨額献金したことについて答弁がありました。

 一般論として、この献金によって医療政策が医師会に有利になることが懸念されるというのが普通の感覚です。そうじゃなければ、これだけ大きなお金が動くというふうには、一般論としては思えません。

 総理は、献金によって政策が変わることはあってはならないと、当然否定をなさっていますけれども、私は、こういったところで、本当に細かいところなんですけれども、私たちは一体どこを向いて政治をしているのかということが疑われてしまう余地がやはりあるんじゃないのかなというふうに考えております。

 こういったところが今まさに政治とお金の問題で私は問われているところだと思っております。野党全体としても企業・団体献金を禁止していくという方向性で意見がまとまっていることも踏まえて、是非頭の中に入れておいていただければと思います。

 続きまして、万全の備えとして原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費を一兆円措置というものがございます。今の燃料価格の動向について、円安などの影響を含めた現状の認識を教えてください。

鈴木国務大臣 燃料油価格につきましては、激変緩和措置による補助前の価格を見てみますと、昨年秋には一リットル当たり二百十円を超える水準にありましたが、そこから原油価格の落ち着きや当時の為替レートの円高方向への振れなどを背景に下落をいたしまして、足下では一リットル当たり百九十五円程度で推移しているものと承知をしております。

 その上で、昨年秋に延長されました激変緩和措置により、足下における補助後の価格は一リットル当たり百七十五円程度まで抑制されている、そのように認識をしております。

沢田委員 ありがとうございます。

 先ほども、立憲民主党の櫻井委員の方でいろいろ、四月以降どうされるんですかという質問があって、ちょっとかぶる部分もあると思うんですけれども、あくまで、始まった理由というのは、やはり激変緩和措置ということが大きな目的だったというふうに考えております。

 私たち、政治の現場でも、どこまで経済を支えていくのかというのにしても、あくまで、急激に物価が上がってしまった、又は急激に円が進行してしまった、又は急激にエネルギー価格が高騰してしまった、この瞬間に、やはり国民生活に影響がないようにどうソフトランディングさせていくのか、ここまでが私は政治の責任であって、そこから先は、今度しなければいけないのは、その影響があった新しい経済状況に合わせて、そこの経済に国民の皆様が合った社会構造をつくるための後押しをどうしていくのかということになるというふうに思うんですけれども。

 他国は、やはり結構早い段階でこの緩和策を、補助金をやめているんですね。例えば、アメリカは九か月でやめています。フランスも九か月、イタリアは十か月、ドイツに至っては三か月でやめています。まさに私の考え方と一緒だというふうに思うんですね。

 それについて、総理も御答弁をなさっています。エネルギー価格の世界的な高騰、緊急避難的な措置の重要性はある、ただ、中長期的にはエネルギーコスト上昇に強い経済構造への転換を我が国の経済も進めていかなければならない、結果として、脱炭素と、そして産業競争力の向上、これを両立することができる経済を目指していかなければならない。まさに私はおっしゃるとおりだというふうに思うんですね。

 確かに、今の政治状況の中で、何かの決断をしていくというのは、私は大変難しいことだというふうに思っております。けれども、これをずるずるずるずる引き延ばした場合に、現時点で累計六・二兆円もの大きな予算が使われています。先ほど言った、新しい構造に向けて予算が徐々に出てきているのも知っています。けれども、四月以降どうするのかということの先ほどの櫻井委員の質問に対して、まだ決めていないということにおいても、正直、ここ数か月の円の動きであったり、又は為替、世界的な物価、日本の物価、そしてエネルギー価格自体、本体ですね、こういったところも考えると、やはりちょっと、つい最近、円安にちょっと進行した経緯はありますけれども、大きい意味としては、勇気を持って前に進めるタイミングは私は来ているんじゃないかなというふうに思うんですね。

 是非、こういったところを踏まえて、この次の動き方を考えていくときに、私は、やはり、ガソリン税を含めて、自動車関連諸税の軽減、簡素化など、これを見直してほしいというふうに思っているんですけれども、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 自動車関係諸税につきましては、これまでも、環境性能に応じて税負担を減免するエコカー減税の導入や、自動車重量税の当分の間税率の引下げなど、地球温暖化対策の観点も踏まえつつ、自動車ユーザーの負担軽減を行ってまいりました。

 その上で、今後の自動車関係諸税の在り方につきましては、与党税制改正大綱において、日本の自動車戦略やインフラ整備の長期展望、カーボンニュートラル目標の実現への貢献、インフラの維持管理、機能強化の必要性などを踏まえつつ、国、地方を通じた財源の安定的な確保を前提に、受益と負担の関係も含め、公平、中立、簡素な課税の在り方について、中長期的な視点に立って検討を行うということとされております。

 政府といたしましては、与党税制調査会での御議論を踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。

沢田委員 ありがとうございます。

 日本維新の会としては、暫定税率をしっかり廃止して、新しい、今の時代に合った税に変えていきたいという提案をさせてもらっていると同時に、これから続けるにしても、例えば、先ほど言いました、低所得者の方々を含めて、本当に生活に必要とするものが六・二%と、物価の上がり方が少し高いという傾向も考えると、暫定税率を使って食料品であったり使えるものの減税をするとか、それぐらいの規模の税金が今動いているというふうに考えておりますので、大臣の方でも考えていただければと思います。

 続きまして、税務を起点とした社会全体のDXについてということで大臣の方から御意見がありましたけれども、総理が冒頭で、人口減少に適応しつつ、国民のニーズの多様化、複雑化に対応するためにデジタル行財政改革が求められています、デジタルの力を生かして、人手不足が深刻化する中、公務員の数を増やさずに行政サービスを持続できる環境をつくりますというふうに意見が出ております。

 大臣、ちょっと話が変わるんですけれども、インボイス制度、これはいろいろと御意見があると思うんですけれども、大きな問題の一つとして、労務コスト、これが現場に大きな負担をさせているということについての認識、どうでしょうか。

津島委員長 鈴木財務大臣、時間が経過しておりますので、御配慮をお願いします。

鈴木国務大臣 インボイス制度について様々なお声があるということの中に、事務負担が想定以上に重いといった声があること、これは承知をいたしております。

 こうした事務負担の問題につきましては、インボイスに記載された登録番号の有効性確認を会計ソフト上で自動的に行うための仕組みを国税庁が提供しているほか、そうした会計ソフトの導入についてもIT補助金等を通じて後押しをしているところでございます。

 事務負担の御指摘に関しては、こうしたような支援策を使えるということを丁寧に周知するとともに、引き続き、事業者の立場に立ってきめ細かく丁寧に対応したいと考えております。

沢田委員 DXという言葉、最後になりますけれども、要は、デジタル化とDXはやはり大きく違いまして、とにかく国民の皆様の負担を劇的に変えていくために、是非、DXしていただければと思います。

 今日はちょっと時間がいっぱいになってしまいましたので、用意した質問は、また後日やらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

津島委員長 これにて沢田君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の藤巻健太でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 私ごとではございますけれども、昨年十月には四十歳の誕生日を迎えました。今までさんざん使ってきた三十代の若い世代の視点からというような言い回しは使えなくなってしまったんですけれども、これからは、四十代、働き世代のど真ん中の視点からもしっかりと質疑を行わせていただければと思っております。今国会もどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、株価について質問をさせていただきます。

 今現在の日経平均株価は、先ほど見たら三万八千五百円から六百円ぐらいの間でございました。二〇〇八年十月には七千円を割り込んだことを考えると、隔世の感があります。

 現在の株式相場について大臣の所感をお聞かせください。

鈴木国務大臣 最近の株価上昇の要因等につきましては様々な御指摘があるということを聞いておりますが、株価の日々の動向につきましては、経済状況や企業の活動など様々な要因により市場において決まるものでありまして、コメントについてはこれを控えさせていただきたいと思います。

 金融庁といたしましては、引き続き市場の動向を注視してまいりたいと思っております。

藤巻委員 なかなかお答えいただけないところではあると思うんですけれども、現在の株価を見ると、バブル真っただ中の一九八九年十二月二十九日につけた過去最高値三万八千九百十五円八十七銭、これは終わり値ですけれども、この数字がどうしても意識されるところではございます。さっき、今日、その数字まであと六十円ぐらいのところまで迫ったというような状態でもあります。

 一方で、当時は、最高値更新後、バブルが崩壊して急速な勢いで株価が下落、僅か二、三年で、株価は最高値から半値近くの二万円を割る事態となってしまいました。

 現在の株価、現在の株式市場、これはバブルではないと言えますでしょうか。実体経済、ファンダメンタルズに基づいたものであると言えますか。あのときと同じような過ちを繰り返さないためにどのような方策を考えておられるのでしょうか、お答えください。

鈴木国務大臣 藤巻先生からは、株価が上がって、今はバブルの状況にあるのではないかというようなお尋ねだったと思います。

 先ほどの繰り返しになりますけれども、株価の水準、これは、経済活動、企業活動など様々な要因によりまして市場において決まるものでありまして、金融担当大臣としてその評価についてコメントをすること、これは、市場に不測の影響を与えるおそれがありますので、控えさせていただいているところでございます。

 金融庁としては、市場のモニタリングに当たりましては様々なリスクにも目配りをすることが重要であると考えておりまして、藤巻先生から御指摘をいただいた今の観点、これも踏まえつつ、引き続き市場の動向を注視してまいりたいと思っております。

藤巻委員 なかなかお答えいただくことは難しいとは思うんですけれども、やはり、日本が経験したバブルの過ち、これを繰り返さないように、しっかりといろいろな観点から注視していただければと思っております。

 続いて、新NISAについてお伺いいたします。

 新NISAでは、旧NISAから、年間投資上限額や非課税保有限度額が大幅に引き上げられるなどしました。

 まず、新NISA導入の経緯や政策的意義をお答えいただければと思います。

鈴木国務大臣 新しいNISAは、国民の皆さんがそれぞれのライフプランに応じて、継続的、長期的に投資を続け、資産形成を進めていただくことを支援するために導入をされた制度であります。

 本年一月から開始をした新しいNISAは、非課税の枠や期間が従来の制度に比べて抜本的に拡充され、様々な方にとって使い勝手のよい制度となっておりまして、多くの方に御活用いただきたい、そのように思っているところでございます。

藤巻委員 分かりました。ありがとうございます。

 先ほどもちょっとあって、ちょっとかぶってしまうところもあるんですけれども、十四日の日経新聞によると、新NISA口座経由の購入額が開始から一か月で一兆八千億円を超え、その多くが米国などの株式に投資する商品の購入であるとのことです。

 この新NISAによる資金が海外に流れていること、これはやはり現在の円安の為替市場に影響を及ぼしているというふうには考えられると思うんですけれども、影響があるかどうか、大臣はどのようにお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 新しいNISAの開始と株価それから為替レートとの関係についてでありますけれども、株価や為替レートは様々な要因によりまして市場において決まるものでありまして、変動の要因を一概に申し上げることは難しいと考えております。

 いずれにいたしましても、政府としては、株式市場及び為替市場の動向をしっかりと注視していきたいと考えております。

藤巻委員 仮に新NISAによるものが現在の円安に影響を及ぼしていると考えると、今までの、過去のこの数年の円安局面とは多少状況が変わってきて、現在の円安というのは、ある程度、実需によるもの、ファンダメンタルズによる影響が多いというふうにも解釈することができます。

 大臣は、常々、投機的な動きには断固たる措置を取る、断固たる対応を取るというようなことをおっしゃっておりますけれども、逆に言えば、投機的な動きでなければ特段の対応は必要なしと考えておられるのでしょうか。ファンダメンタルズによる円安を為替介入で対応しても一時的な効果しかなく、また、大局的に見れば、市場経済をゆがめるというようなことも考えられるんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

鈴木国務大臣 為替の今の状況についてコメントを逐一することはいろいろと影響を与えますので申し上げませんが、大事なことは、投機的なことに対応するということよりも、基本的には、やはり安定的に推移をするということ、急激な変動は望ましくないということが重要なことであると思います。そういう観点から、私どもとして、為替市場の動向、これに対して強い緊張感を持って今見ているところでございます。

藤巻委員 分かりました。ありがとうございます。

 為替、株価については、ちょっとお立場もあられて具体的な言及等ができないのは理解をしておりますので、これ以上やってもなかなかお答えいただけない部分もありますので、次の質問に移らせていただきます。

 次に、日米の賃金格差についてお伺いいたします。

 日本とアメリカの年間の平均賃金は、円換算ですと幾らになるでしょうか。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国とアメリカの賃金差につきましては、為替や物価の変化の影響を大きく受けることから、一概にその程度を申し上げることは難しいところがございますが、例えば、昨年十一月二十二日の月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料によれば、二〇二二年におきまして、アメリカでは名目賃金の年収が八百十四万円である一方で、我が国では四百九十七万円となっております。

藤巻委員 昨年十一月で八百十四万ということですので、今円安が進んでいるから、もうちょっと差が開いているかなというところではあると思うんですけれども、二倍とまではいかないんですけれども、日本とアメリカの賃金格差はかなり大きいというふうに考えられます。

 こういった現在の状況では、人材の海外流出、これは避けられない部分もあるのかなとは思うんですけれども、若者が海外に出稼ぎに行くような事例も増えていると聞きますし、優秀な研究者、技術者が外国資本の会社に引き抜かれているというような例も多くなっていると報道ではあります。

 こういった状況に対して、どのような対処、どうお考えでしょうか。大臣、お答えください。

鈴木国務大臣 日米の賃金格差でありますけれども、アメリカでは二十年間、平均名目賃金が一・九倍に増加した一方で、我が国では横ばいになっているということで、差がついているということだと思います。

 そうした中で、先生御指摘の人材流出に係る懸念もあるわけでありますが、政府としては、国際的にも競争力のある労働市場をつくりつつ、持続的で構造的な賃上げを実現することが、こうしたことに対する対応として重要であると考えております。

 そのため、同じ職務であるにもかかわらず、日本企業と海外企業との間に存在する賃金格差を縮小することを目指し、リスキリングによる能力向上支援や、個々の企業の実態に応じた職務給の導入、成長分野への労働移動の円滑化、いわゆる三位一体の労働市場改革、これを早期に、かつ着実に進めてまいります。

 さらに、賃上げも重要な要素であり、賃上げ促進税制の拡充、省力化投資の支援等を行うことに加えまして、最低賃金について二〇三〇年代半ばまでに全国加重平均が千五百円となることを目指すなど、引き続き、あらゆる政策を動員して対応してまいりたいと考えております。

藤巻委員 昨日、名目GDPがドルベースでドイツに抜かれ、世界四位に転落したということが大きなニュースになりました。先日、NHKの番組を見ていたら、八重洲の高級ホテルのスイートは一泊五百万円というようなところもあるそうです。これは海外の富裕層がターゲットなのでしょうが、通常だったら考えられないような金額でございます。

 人材は海外に流出してしまうかもしれない、輸入品は高くて買えない、都心のホテルには高くて泊まれない、海外旅行は高くて行けない、そんな将来が近づいてきてしまっているように感じてしまうんですけれども、大臣はそういったような事態についてどのように考えておられるでしょうか。

鈴木国務大臣 日本の生産年齢人口が僅か十年で五百万人以上減少するという中で、日本経済は、国際的な原料価格の上昇や円安が相まって、輸入物価の上昇を起点とする物価高にも直面をしております。また、最近では、若者が高い給与を求めて海外に職を求めるといった報道にも接しているわけであります。

 一方、昨年は三十年ぶりとなった高水準の賃上げや、今年度の設備投資は過去最大規模の名目百兆円を実現する見込みとなるなど、前向きな動きも見られまして、今までのコストカット型の経済からの変革を果たす、またとないチャンスを迎えていると認識をしております。

 このため、政府としては、電気、ガス、燃料油価格激変緩和措置の延長等により、足下の物価高から国民生活を守りつつ、人材流出といった先生も御指摘された懸念につきましても、賃上げに向けて賃上げ促進税制の拡充等を行うとともに、労働市場改革などを通じ、国際的にも競争力のある労働市場をつくることとしております。

 政府としては、企業の稼ぐ力の強化などを行い、長い間日本経済にしみついたデフレから完全脱却し、日本経済を立て直すとの強い決意を持って経済財政運営に当たらなければならない、そのように考えております。

藤巻委員 コロナが落ち着いて、本当に今、日本経済は大きな分岐点にいると思いますので、そういったことにしっかりと取り組んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 続いて、次の質問に移らせていただきます。

 これも先ほどの質問とちょっとかぶってしまうところがあるんですけれども、大臣の所信に、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けてとありました。

 財務省は依然、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化を掲げていますが、二〇一九年は十四・八兆円の赤字、二〇二〇年は四十八・九兆円の赤字、二〇二一年は三十・三兆円の赤字、二〇二二年は二十兆円の赤字、二〇二三年は三十・四兆円の赤字です。二〇二〇年から二〇二二年、この三年間はコロナの影響もあったと思うんですけれども、コロナ前の二〇一八年は十・七兆円、二〇一七年も十二・二兆円の赤字です。

 普通に考えて、二〇二五年に何か劇的な変化がなければ、黒字化達成はほぼ不可能だというのが通常の解釈だと思います。これは大臣も分かっているとは思うんですけれども、二〇二五年に何か劇的な変化を起こすつもりなのでしょうか。それとも、目標に向かって、みんなに、一丸となって頑張ることに意味があるみたいな根性論の話なのでしょうか。大臣の真意をお聞かせください。

鈴木国務大臣 今先生から御指摘がありましたように、先般、内閣府の中長期試算では、民需主導の高い経済成長や歳出効率化努力を前提とすれば、二〇二五年度に国、地方のPBが黒字化するという姿が示されたところでございます。この目標の達成には、まず高い成長率と、それから歳出効率化努力の継続、この両方が必要であります。

 政府としては、デフレからの完全脱却を果たして、まずは経済を立て直すことと併せて、緊急時の財政支出を長期化、恒常化させないよう、歳出構造の平時化を進めるとともに、行政事業レビュー等を活用することで、より一層の予算の効率化と無駄の削減に取り組むなど、歳出歳入両面で改革努力を着実に推進して初めて達成できる、決して容易ではない道のりである、目標であるということを考えております。

 これは、何か劇的なことを起こすとか、精神論で言っているということではなしに、その目標に向かってできることを着実にやっていく、経済を立て直す、そして歳出構造を平時化する、そして予算の効率化、無駄の削減に取り組むという、こうした努力を確実に一歩一歩やっていくという、それが極めて大切なことであると考えております。

藤巻委員 おっしゃることは分かるんですけれども、ただ、多分同じことをこれは二十年近くずっと繰り返して、それでも一向に前に進まないというのがこれまで政府が繰り返してきたことだと思うんです。

 政府は、二〇〇六年に、二〇一一年度までにプライマリーバランスを黒字化することを目標に掲げました。その後、二〇〇九年にはその目標を取り下げて、今度はその翌年、二〇一〇年に、遅くとも二〇二〇年度までには黒字化するというような目標を立てました。そうしたら、今度は二〇一八年にまた目標を取り下げて、二〇二五年までに黒字化するという目標をまたまた立てました。

 これは、二〇一一年に実現すると言っていた目標が一向に達成できず、二〇二四年になっても全く現状達成されない中、二〇二五年には達成できる、達成すると言い張る。こんなことは、これは民間の会社だったらあり得ないような目標設定です。これは経営陣が総辞職どころか、多分会社自体が、そんな会社はなくなっています。

 二〇一一年のプライマリーバランス黒字化達成目標を諦めたとき、当時の与謝野経済財政担当大臣が記者会見で誠に残念と言っていました。今回も誠に残念と言って、目標をしれっと先延ばしするつもりなのでしょうか。

 ここまで、黒字化達成目標の時期を延ばしに延ばしてきました。もうプライマリーバランス、日本経済を考えると、黒字化達成目標を先延ばしにすることは許されません。二〇二五年に黒字化が達成できなかったのならば、責任の所在を明確にすべきだと考えますが、大臣、どうお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 藤巻先生御指摘のとおり、過去のPB黒字化目標について、その達成時期を延期してきた経緯がございます。

 具体的には、二〇一一年度PB黒字化の目標は、世界的な金融危機と経済悪化による税収の想定外の落ち込みなどによって延期せざるを得なかった、また、二〇二〇年度のPB黒字化目標は、二〇一九年十月に予定されていた消費税率引上げ分の使い道の見直しによって、その達成時期を延期することとなった、そのように理解をしております。

 先ほど申し上げましたとおり、現在の二〇二五年のPB黒字化というものは、民需主導の高い経済成長を実現して、そして歳出効率化努力を継続するということが大前提であるわけでありますが、決してそれが容易なものではないということも認識をしているところでありますが、政府として、財政の持続可能性への信認が失われることがありませんように、引き続き、二〇二五年度PB黒字化目標を維持して、その達成に向けて責任ある経済財政運営を進めていくこと、これが必要であると考えているところでございます。

藤巻委員 本当に難しい目標だとは私も十分分かりますけれども、本当に日本経済のことを考えると、これはもっともらしい理由をつけて先延ばしするのではなく、難しいのは分かるんですけれども、何とか二〇二五年度の黒字化達成を果たしていただきたい、責任を持って果たしていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 続いて、最後のテーマになるんですけれども、金融教育についてお尋ねいたします。

 私も、金融教育には非常に思いがあって、当委員会の方でも度々質問させていただいているんですけれども、日本証券業協会の報告書によると、九割弱の教員の方が金融経済教育の必要性を感じている一方、いざ授業で教えるとなると、教える側の専門知識が不足しているとか、授業時間数が足りないといったような声が聞こえてきます。

 そういった現状をどのように考えておられるでしょうか。どう改善していくのでしょうか。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 学校における金融教育についてのお尋ねでございます。

 子供たちがその発達の段階に応じまして、金融に関する基本的な仕組みや考え方、こうしたことを身につけることは重要なことだというふうに認識をしております。

 現在の学習指導要領、小学校では令和二年度から、中学校では令和三年度から、高校では令和四年度から、現在の学習指導要領におきましても、義務教育段階での社会科あるいは家庭科はもとより、高等学校でも、全ての子供たちが必ず学ぶことになります必履修科目の公共ですとか家庭科で、その位置づけの強化を、充実を図っているところでございます。金融に関する内容の更なる充実を図ったところでございます。

 今御指摘ございました、先生方が現場で必ずしも十分な指導力が発揮できないといったようなこともございますので、先ほどお話がございました証券業協会さんですとか、あるいは金融庁さんなどとも連携をいたしまして、各学校で有効に使っていただけるような教材ですとか、あるいは金融に関する様々な専門的な知見を有する方々、こうした方々の出張授業、こうしたことを関係機関とも連携しながら、金融教育の更なる実質的な取組を図ってきているというところでございます。

 今後、さらに、新たにこの四月からは金融経済に関する教育推進機構も設立をされるというふうに伺っておりますので、こうした関係機関などとも連携を更に図りながら、引き続き、しっかりと金融に関する教育の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。

藤巻委員 教える側の知識不足だったり、金融経済の教員の担い手不足なんですけれども、これは、将来的に金融経済という科目がしっかりと確立すれば、英語や数学、日本史や化学の先生がいるように、同じように金融経済の先生もいるというような状況になると思いますので、これはしっかりと取り組めば将来的には解決できる問題かなというふうには思っておりますが、今現在は、金融経済という科目の存在というのはやはりまだ弱くて、金融経済を教える教員が不足しているのは事実でございます。これに対してはどのような対策を考えておられるのでしょうか。

淵上政府参考人 学校における新たな教科の設定などについてのお尋ねがございました。

 今申し上げましたように、令和四年度から新しい高校での学習指導要領が展開をされているところでございますけれども、この中での必履修科目公共におきましては、金融の働きなどについてかなり詳しく取り上げていくことになっております。また、これを単に座学で学ぶだけではなくて、自分たちで問題を設定しながら生きて働く知識として学んでいく、こうした取組の強化を図っているところでございまして、現在の学習指導要領がしっかりその趣旨にのっとって展開されるように、まずは努力をしてまいりたいというふうに考えております。

藤巻委員 ありがとうございます。

 また、金融経済、これを教えるに当たって、中立性だったり客観性、これも非常に大事な問題だと思います。これに対してはどのような対策を考えておられるでしょうか。

淵上政府参考人 教える方々の専門性、中立性などのお尋ねでございます。

 私ども、まずは学校の教員がしっかり金融に関する知識も持った上で授業を展開する、これが基本でございますので、教職員支援機構とも連携を図りながら、そこで金融あるいは消費者教育に関する様々な教員研修の企画立案も行っているところでございます。

 これを前提としながらも、先ほど申し上げました新たな機構などとの連携なども図りながら、金融教育の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

藤巻委員 金融教育、非常に大事だと私も考えておりますので、また機会を改めて、どこかのタイミングで質問させていただければと思います。

 時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。本日はありがとうございました。

津島委員長 これにて藤巻君の質疑は終了いたしました。

 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の掘井健智でございます。

 日本は長きにわたって景気が悪く、そして何十年も経済が成長しないにもかかわらず、日本の国債が低金利で安定的に消化しているということは、一見悪く見えているだけで本当の財政の中身は悪くないということが市場に伝わっているからではないのかな、そんなふうに思うときがあるんですね。そうでないと、この市場の声と起こっていることにつじつまが合わない、そう考えております。

 基礎的財政支出を二〇二五年度に黒字化にするという財政健全化目標を挙げておられます。目標を達成するためには、歳出削減だけではなくて、歳出の構造を見直してはどうかなということなんです。

 二四年度の財務予算のうち国債費を見ますと、公債の償還財源に充てるために国債整理基金特別会計への繰入れが二十七兆九十億円、内訳として、十七兆二千九百五十七億円が債務償還費として入っております。そして、利子割引料、利払い料は九兆六千九百十億円が入っているんです。予算の中で国債費の割合がかなり高い。新聞などの報道、これを捉まえて、国債の償還割合がどんどん高くなっている、財政が非常に危ない、こう言うておるわけですね。

 果たして、ここに計上する本当に意味があるのかどうか、こういうことで質問をしていきたいと思います。国債償還六十年ルール、これはひょっとしたら要らないのではないのかなという議論なんです。

 国債の償還費と利払い費が一般会計に入っている理由は、国債償還六十年ルールに基づいております。国債償還六十年ルールは、昨年、防衛費増額の財源をめぐる議論として取り上げられました。これは予算委員会でも取り上げられました。六十年を八十年にしたらどうだ、この期間の延長についての議論もなされました。

 景気は非常にマインドでありますから、長期にわたる経済停滞の原因は、国の借金や、また、財政破綻に対する正しくない事実にひょっとしたら影響されているのではないか、こう思います。

 国債の償還については、六十年償還ルールに基づき債務償還費を予算に計上しているわけでありますけれども、二〇二四年度であれば、国債費として償還財源に充てるための国債整理基金特別会計への繰入れが二十七兆九十億円計上されております。うち債務償還費が十七兆二千九百五十七億円、利子が九兆六千九百十億円ということで、この六十年償還ルールの形として、一般会計に計上されて、このことが、新聞からしますと、歳出が含められて、財政余力が乏しい、こう騒ぐわけであります。

 改めて、一般会計歳出の国債費を見ますと、国債は、元本まで税金によって償還するものと、発行された国債は六十年かけて完全に返済できるよう、元本返済分が債務償還費として予算に計上されます。元本を六十で割った一・六%の割合が予算に計上されているわけであります。この債務償還費は、昨年の予算ですと二十五兆円になります。大きいんですね。

 資料を配りましたので、資料一を御覧になってほしいんです。一般会計支出、左側を見てください。この債務償還費と利払い費等が国債費として一般会計歳出に計上をされております。昨年の予算でありますと、債務償還費約二十五兆円、利払い費が八・五兆円。

 そして、この国債費は、国債整理基金特別会計へ繰り入れられます。国債整理基金特別会計とは、国債整理基金の費用とその使途を明確にするために、歳入歳出を一般会計から区分して設けられた特会、特別会計のことであります。

 資料二を御覧ください。国債整理基金の特別会計であります。国債整理基金特別会計を見ますと、この特会は歳出から見ていただいた方が分かりやすいと思うんですけれども、まず、資料の歳出の表を見てください。二百二十四兆円の青色の部分が債務償還費なんです。歳出の約九四%になっております。

 次に、そのすぐ左の歳入の表を見てください。先ほど資料一、一般会計で計上された国債がここにあります。一般会計より受入れと書かれた約二十五兆円、黄色の斜線の部分です。そして、公債金収入、オレンジ色の部分でありますけれども、全体の六四%、約三分の二が公債金収入となって、百五十三兆円です。

 これは非常に複雑なんですけれども、こういった仕組みになっているということで、これを詳しく分析すれば、よく言われておりましたけれども、債務償還費の大部分が借入れされていることがもう明らかになっております。

 改めてお伺いします。

 これまで国会の中でこういった質問をされておりましたが、本当なのかなと思って聞いておったんですけれども、こういう表を分析しますと、予算を分析しますと、国債費の償還は、現実には償還でロールオーバーして財政は保たれている、こういうことで、財務大臣、よろしいでしょうか。

鈴木国務大臣 いかなる姿がお示しすべき歳出の正しい姿かにつきましては、様々な御意見があると考えておりますが、掘井先生の御指摘になられました債務償還費は、国債の償還財源を確実に確保しつつ、償還のための財政負担を平準化するといった観点から、法律において規定されている六十年償還ルールに基づき計上されているものであります。

 その上で、この六十年償還ルールにつきましては、財政健全化の精神を体現するものとして長年にわたりまして定着をしていると認識をしております。法律でも決まっているわけでございまして、これを見直すことにつきましては慎重な検討が必要なのではないか、そのように考えております。

掘井委員 これを見ますと、どうしても国債償還六十年ルールは見せかけ上の財政赤字の水増しにも見えるんですね。これをもって、財務省さんはよく、もう財政が危ない、危ないと言うんですよね。そういう水増しにも見えるんです。

 この六十年償還ルールは、これができたのはいつですかといったら、昭和二十二年、当時、占領されておったときの法律です。これに基づいてやっておるんですけれども、もう古いですよね。本当に見直したらどうですかということなんですね。

 それと、日本では、財政法四条一項に、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」とあります。

 そして、つまり、財政法四条一項は、均衡財政を原則、国債発行を例外として、国債を発行する場合には国会の議決を経ることを規定されておりまして、これは、国債の発行には議会の承認を必要とするという意味ではアメリカの考え方と遜色はないということと、あと、国債発行が例外であるという意味でドイツと同様の財政規律であると理解しております。この財政法四条一項。

 以上のことから、この財政規律に対するのは、実は六十年償還ルールではなくて財政法の四条一項であると考えておりますけれども、そこからして、六十年国債償還ルール、これは要らないと思うんですけれども、これは政治判断なんですけれども、議論をなさったらいかがでしょうか。大臣、どう思われますか。

鈴木国務大臣 財務省としての考えでございまして、先ほど申し上げましたとおり、どういう姿が示すべき正しい歳出の姿かというのは、これはいろいろなお考えがあると思います。

 先生のお考えを何か否定をするというものではなくて、そういう考え方もあると思いますが、財務省といたしましては、債務償還費が、国債の償還財源を確実に確保するため、そして償還のための財政負担を平準化するためといった観点から、法律において規定されている六十年償還ルールに基づいて計上をしているものであります。

 財務省といたしましては、繰り返しになって恐縮でありますが、この六十年償還ルール、これは財政健全化の精神を体現するものとして長年にわたりまして定着しているもの、そのように認識をしておりまして、これを見直すことにつきましては慎重な検討が必要である、そのように思っております。

掘井委員 もちろん慎重な検討はいいんですけれども、やはり議論をする余地があると思うんですね。やはり時代遅れです。歳出を大きく見せて危機感をあおっている効果しかないのかなと思ってしまうんですね。

 国民の経済活動は今萎縮しております。非常に萎縮しておる。緊縮したりしたら、やはり行政サービスも低下して不安になりますね。私は、こういったことをやはり政治判断で変えていくというか、議論をしていくということが非常に大事であると思っております。

 次の質問です。同じく、国債費の利払い費についてであります。

 一般会計に計上しておりますこの国債費、もう一つは利払い費であります。これも割増ししているように見えるんですね。償還期間十年の国債金利が、この先、二七年度には二・四%と書いていましたけれども、予想金利ですか、この根拠を教えてもらえますでしょうか。

鈴木国務大臣 この積算金利の一・九%の積算はどうなっているのかということでありますが、これは予算編成当時の長期金利の水準、令和五年九月から十一月の平均が〇・八%でありました。この〇・八%に、過去急激に、最大に上昇したのが一・一%でありました。したがいまして、〇・八足す一・一、過去の上昇した例ということを踏まえまして、これを足した一・九%ということであります。

掘井委員 過去の実際動いた金利から割り出している、そういう理解でよろしいでしょうか。

鈴木国務大臣 そういうことであります。

掘井委員 そんな理由があるなんて知りませんでしたけれども、今マイナス金利ですよね。これからしたら、すごい金利が高いなと思うんですね。これが新聞に出て、こんな財政なんですよというメッセージになるから、これはもうちゃんと詳しくマスコミに伝えてあげてほしいと思いますね。

 要は、二七年には二・四%でしょう。すごいお金になりますよね。だから、これはしっかりと、新聞が、何か間違った、予想金利ですからね、あくまでも。日銀総裁が言ったわけじゃないですから。だから、きっちり、これはこういう理由ですよということを説明してあげてほしい、そんなふうに思います。

 次の質問です。政府が保有する金融資産の売却について質問します。

 増税する前にやることがあるということで、本気でこの財政健全化をしていくならば、この政府金融資産の民営化、例えば、法人があったら民営化、そういった検討をしてはどうでしょうかということで、特殊法人なんか、政府関係機関は、これは申し訳ないですけれども、天下り先というか、その後行く先でもあります。こういったものを民営化すれば、関係機関へ出資金、これはたくさんありますね。これも、返すべき関係機関への貸付金も必要なくなると思うんですね。

 資産も負債も小さくなるためには非常に手っ取り早いと思うんですけれども、どうでしょうか、この政府資産を売却して、つまり民営化したらどうでしょうか。こんな議論をされましたでしょうか、これまで。

鈴木国務大臣 政府が保有する特殊会社等の株式については、それぞれの所管省庁において、その必要性を踏まえた上で、売却可能と判断されたものは、その段階で適切に売却を行ってきたところであります。

 財務省としては、今後とも、各所管省庁の政策判断によりまして、株式売却が可能と判断されれば、株式市場の動向でありますとか会社の経営状況等を勘案しながら、適切に売却を進めてまいりたいと考えております。

掘井委員 大臣、今、株の保有のことを言いましたので、質問しますけれども、特殊法人なんかが民営化したら、政府は必ず株式を持っておりますね。これはだんだん減っていったりするんだけれども、でもやはり持っているわけですね。

 これは、政府が持っている理由は何でしょうかね、そもそも。

鈴木国務大臣 政府が持っている株式、これは、それぞれ株式によって、会社によって違いますけれども、政策目的があるものについて保有をしているということであります。

掘井委員 政策目的があるからというんですけれども、もう民営化しているんだから、別にそんな目的、いいんじゃないかなと思いますね。例えば、たばこ産業なんかでいいましたら、たばこ産業に目的、どんな目的があるのかなとか、いろいろ考えるわけでありますから、そんなことも含めて、やはり増税するとぐらい言うなら、そんなことも検討する価値があるのではないかな、そんなふうに思います。

 次の質問です。

 徴税権というのがありますよね、政府には。徴税権はバランスシートの資産に入らないんですかという質問です。いかがでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御紹介ございました国のバランスシートは、毎年一月下旬に国の財務書類として公表してございます。

 そして、この財務書類でございますけれども、国の財務状況を一覧で分かりやすく開示するという目的を踏まえまして、民間の企業会計の考え方及び手法に準拠した省庁別財務書類の作成基準に基づき作成をしてございます。この基準におきまして、バランスシートの資産の項目には、過去の取引又は事象の結果として各省庁に帰属する資源というふうに資産はされてございます。

 したがいまして、今先生から御指摘ございました徴税権、これが将来において税を徴収する権利という御趣旨であれば、この過去の取引又は事象の結果には当たらないために、この基準上、資産には該当しないものというふうに考えてございます。

掘井委員 時間がないのであれなんですけれども、税金というものは、将来我が国が得るであろう税収の現在価値として、そこに載せるのはおかしいと。実際、価値があると思うんですよね。そういうことですか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、国のバランスシートは、国の財務状況を一覧で分かりやすく開示することを目的としてございまして、そのため民間の企業会計に準拠しておるところでございます。

 この企業会計におきましては、会計情報に信頼性、確実性が求められることから、不確実性が高いものは計上してございませんで、民間におきましても、財務諸表に計上する資産、負債は過去の取引又は事象の結果として生じたものとされているというふうに承知をしてございます。

 したがいまして、将来的に生じる徴税権でございますとか、将来の負債といったものは、国のバランスシートには計上していないというふうに御理解をいただければと存じます。

掘井委員 分かりました。御見解は分かりました。次の質問をいたします。

 次の質問なんですけれども、日銀総裁に質問いたします。日銀ゼロ金利政策の解除についてであります。

 総裁はこれまで、引締めは総合的に判断すると答弁してこられました。新聞を読みますと、今にもマイナス金利解除かななど、織り込み済みのように書かれておりますけれども、日銀の答弁をじっくり聞きますと、言っていることは前から変わりないと思うんですね。しかし、新聞だけが騒いで、何か圧力をかけているようにも思えるんですね。

 経済環境を見ますと、昨日ニュースでもありましたけれども、個人消費が三か月前に比べてマイナス〇・二%になっていると報道されておりました。物の値段は確かに上がっているんですけれども、消費意欲は拡大していないということなんです。これはインフレではないと私は思っております。であるから、まだやはり引締めの段階ではないと思っているんですね。

 緩和は続けなければいけないと考えておりますけれども、総裁、どうでしょうか。今本当に利上げできる環境なのか、ほど遠いのではないのかなと思いますけれども、御見解をお聞かせ願います。

植田参考人 お答えいたします。

 日本銀行は、賃金の上昇を伴う形で二%の物価安定の目標を持続的、安定的に実現することを目指しております。

 この先、賃金と物価の好循環の強まりを確認し、物価安定の目標の持続的、安定的な実現が見通せる状況に至れば、マイナス金利を含む様々な大規模緩和策の継続の是非を検討していくことになります。

 今後、現在進んでいる春季労使交渉の動向を始め、各種のデータや情報を丹念に分析し、景気の緩やかな回復が続くのか、そうした下で賃金と物価の好循環が強まっていくのか、確認してまいりたいと考えております。

掘井委員 同じような答えなんですけれどもね。だから、前と一緒でしょう。もう当面ないでしょう、恐らくね。そんな感じじゃないと思う。やはり、消費意欲が上がっていないんですからね、何ぼ物価が上がったって。金融引締めというのは冷ますという行為なのでね。冷ますほどではないとまだ思っておりますけれども。

 実は、先日IMFが、日本はコストプッシュインフレではなくインフレであると述べております。これに対して何か講評はございますでしょうか。

植田参考人 ちょっとうまく聞き取れなかったんですが、コストプッシュインフレではなく……(掘井委員「はい。インフレであると。もう今、日本はインフレの状態であると、IMFは先日こう答弁されました」と呼ぶ)この点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、私どもは賃金と物価の好循環が強まっていく形で二%の物価安定目標が持続的、安定的に実現されるということを目指しております。

 そういう姿になりつつあるかどうか、先ほども、これも申し上げましたが、様々なデータや情報を丹念に分析していきたい、その上で判断したいというふうに考えております。

掘井委員 ちょっとあれですけれども、IMFは間違っているということだと思うんですけれども、そうですね。

植田参考人 IMFがどういう判断の下にそういう発言になったのかは必ずしも詳細に承知しておりませんけれども、私どもは私どもなりに情報を丁寧に分析していくということでございます。

掘井委員 ありがとうございます。

 政府のデフレ脱却の宣言についてちょっと聞きたいんですけれども、総裁に聞きたいんですね。

 金融政策の転換の見通しが高まっているような感じがしてきたとして、日銀がやられるマイナス金利の解除は、デフレが完全脱却したという認識の下で行うのでしょうか。御所見を伺いたいと思います。

植田参考人 これは、私どもといたしましては、先ほども申し上げたことと重なりますが、二%の目標が持続的、安定的に実現するということが見通せるような状況に至れば、マイナス金利を含む、現在実行している措置の継続の是非を検討するということでございます。

掘井委員 是非日銀には、いろいろな空気感とか圧力に負けずに、正しい金融政策を行っていただきたいと思います。

 こうやって金融政策と財政とか経済政策等、やはり一緒になってやっていかぬと、アメリカなんか早いですよね。コロナであかんかった、景気が悪くなっても、減税したりです。また、補助金を与えたりとか、お金をやはりある程度市場にまきますよね。そうすると一気に戻る。こういったことをやはり両輪でやっていただきたいとお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

津島委員長 これにて掘井君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、能登半島地震の被災者支援について質問します。

 石川県輪島市のある被災者は、持病があって、ストレスがかかる避難所暮らしができないために、夫婦で一か月以上も軽自動車で寝泊まりをしています。石川県の発表によると、車中泊は二月七日現在で百二十三人。しかし、これは自己申告に基づく数字であります。

 予算委員会でも私は取り上げましたが、農業用テントで寝泊まりをしている被災者もおられます。車中泊をしている人が、まだ一か月半たってもおられます。こういう避難生活を長期にわたって送ることは、体調を崩し、そして絶対起きてはならない災害関連死に至るのではありませんか。それについて見解を聞かせてください。

 既に発災後一か月半です。暖かくて、足を伸ばして安心して眠ることができる環境を急いで整えるべきではありませんか。内閣府防災、いかがですか。トレーラーハウスの活用も提案してまいりました。岸田総理も答弁で述べました。どういう対策を考えておられるのか、答弁を求めます。

上村政府参考人 お答えいたします。

 今おっしゃられた在宅避難の方ですとか車中に泊まっている避難の方の災害関連死を防ぎ、必要な支援を行うためには、まず、こうした方の居どころなどの状況把握が必要と考えてございます。

 このため、私どもからは、通知を発出し、避難所以外で避難生活を送っている方々について、状況を把握し適切な支援を提供すること、物資の配布や情報の提供、車中泊避難者への支援を行うこと、居所等の把握のため、県と被災市町の間で情報連携を行うことなどの取組をお願いしております。

 現在、自治体職員に加えまして、保健師ですとかNPOなどの方々の御協力を得ながら、個別に被災者の方を訪問するなどによりまして、状況の把握や健康管理、また医療や福祉的支援へのつなぎ、また、より良好な環境の整った避難所への移動などについてもお願いするというようなことで取り組んでいると承知してございます。

 こうした取組を踏まえまして、継続的な健康管理や支援の情報の提供、また、見守り、相談などの支援につなげていけるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

田村(貴)委員 取組は分かりました。ただ、私は何度も質問しているんですよね。事態が改善されていないんですよ。

 そして、被災者の状況把握と言うけれども、例えば車中泊を取ってみたら、これは石川県が調査するたびに数字が上がっているんですよ。つまり、解除されてどういう状況に戻ったのか、そこが追跡されていないから、いつまでたっても正確な状況が分からないんです。

 石川県によれば、未把握の避難者数が推定で約一万人いるということです。一万人の状況が分からないんですよ。自治体に対する支援を強めることはもとより、とにかく、国として状況把握を正確に行うためには何が必要なのか、いま一度考える必要があるのではないでしょうか。被災者の実情に応じた支援を強く求めたいと思います。

 心身共に安心して避難できる環境を急いで整えなければ、先ほどおっしゃった災害関連死を防ぐことにはならないのではありませんか。いかがですか。

上村政府参考人 先ほど申しましたように、様々な主体に御協力をいただきながら、在宅の避難者ですとか車中の避難者に対して様々な支援を行っているところであります。

 今後とも、県あるいは市町とも連携を取りながら、そういった災害関連死が出ないように努めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 なりわい再建支援補助金についてお伺いします。

 経済産業省から岩田副大臣に今日は出席いただいておりますが、本会議質疑でも紹介しましたように、輪島塗の職人さんたちからは、事業継続に必要な道具や原材料確保のための費用について新たな借入れができない下で、全額補助を強く求められています。

 そこで、お伺いします。

 石川県で最大十五億円、富山、福井、新潟三県には補助率十分の十の定額補助を行うこととしています。その背景、理由について御説明いただきたいと思います。

岩田副大臣 お答えいたします。

 先月一月二十五日に取りまとめられました被災者の生活と生業支援のためのパッケージにおきまして、被災された中小企業の事業に不可欠な施設設備の復旧に御活用いただけるなりわい補助金を措置いたしました。

 このなりわい補助金におきまして、令和五年奥能登地震など過去数年以内に発生をした災害でも被災をして、今なおその影響を受けている多重被災事業者につきまして、幾つかの要件を満たす場合に特例として、一定額まで自己負担のない定額補助を行うこととしております。

 引き続き、関係省庁、関係機関と一体となり、様々な支援策を組み合わせながら、被災された事業の方々に寄り添った支援、そしてなりわい再建を講じてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 被災事業者にとっては、なりわい支援補助金というのはまさに命綱になる制度だと私も理解します。必要とする事業者にあまねく適用していただきたいと思いますが、その条件が、今副大臣おっしゃったように、多重被災者、過去に被災を受けている方、これは全額補助の対象ですよね、過去数年以内の被災かつ復興途上である等の要件を満たす場合とされています。こんな厳しい条件、能登の地震があった、その前の災害に遡って、そこでも被災していなければこの定額補助が受けられないというのは、余りにも厳しいのではないかと思います。

 そのなりわい再建補助金ですけれども、甚大な被害があった二〇二〇年七月豪雨で、熊本県が同様の条件で実施しました。熊本県の結果はどうだったのか。私、調べました。調べたので、副大臣、聞いていただきたいと思います。

 熊本県内全体で二千四百者を超える事業者が被災しました。そして、なりわい補助金の交付決定件数は全体で五百二十二件にとどまりました。そして、定額補助は四十八件でありました。これは大体九%、約一割ぐらいになります。一番被害が大きかった人吉でも、全体で三百の適用、そして定額補助は三十件で、一割にすぎなかったということです。

 能登の被災事業者の方、輪島塗の職人たちはこういうふうにおっしゃいました。コロナ禍で借金をし、資材高騰で苦しいところに震災でなりわいを失った、もう借入れはできない、支援はありがたいけれども、四分の一の負担は無理。この被災者の事業者の声に応えるべきではないでしょうか。いかがですか。

岩田副大臣 先ほどもお答えしたところでございますが、このなりわい補助金の中での定額補助に関しましては、いわゆる二重苦、三重苦に直面をしている多重被災事業者に配慮して、幾つかの条件を満たす場合に特例として措置をしたということでございます。

 この点に関しまして、納税者である国民の皆様の理解を得るということも重要でありまして、適切な補助金額を算出する上で、例えば、申請者の資産として計上されていること、事業に使用されていたなどの最低限の必要書類を求めているところでございます。

 申請手続に関しまして、以前ありましたグループ補助金では、事業者グループによる復興事業計画の申請を求めたところですが、今のなりわい補助金に関しては、これを県による対応に変えるなど、大幅な簡素化なども進めてまいりました。

 いずれにいたしましても、できる限り多くの皆様のなりわいの再建につながっていくため、商工団体から経営指導員の被災地への応援の派遣など、相談体制も強化するなどいたしまして、引き続き被災事業者に寄り添ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 副大臣、多重被災事業者はどのぐらいを想定されているんですか。分かりますか。それは後で答えてください。

 もう一問。手続が煩雑であってはならないと思います。資料をお配りしています。これは熊本県の交付申請から補助金手続までの流れであります。

 三年半前に私は、熊本の被災自治体や商工会で、なりわい補助金はなかなか進まないというふうに声を聞きました。被災事業者からも、余りにも手続が面倒である、諦めざるを得なかった、専任の事務担当者を置かなければできなかった等々の声を幾度も聞いてまいりました。

 例えば、今度の地震でも、書類が火災で焼失してしまった、津波で型番が分からないなど、そういうことを求められたら、もうそこで終わりなんですよね。

 手続が煩雑ゆえに、申請をためらい、諦めることがないようにすべきでありますが、これについてはいかがですか。

岩田副大臣 被災をされている中で、なりわい補助金を始めとする様々な支援のための手続が再建の妨げになってはならない、このように考えておるところでございますが、やはり納税者であります国民の皆様の理解を得るということも重要でございまして、そのための、適切な補助金額を算出する上での必要な最低限の証拠書類といったものは御提出をお願いをしているというところでございます。

 申請手続に関して様々な事務処理が必要であるという点に関しましても、事業者のサポートをするために、全国の商工団体の経営指導員を始めとして、被災地への応援の派遣もいただいているところでありまして、相談体制の強化をするなど、手続の迅速化、またサポートを強化をしてまいります。こういった点をしっかりと対応いたしながら、被災事業者に寄り添って支援をしていきたいと考えております。(田村(貴)委員「多重被災事業者の数は分かりますか」と呼ぶ)

山本政府参考人 お答えいたします。

 被災四県における過去五年以内に災害救助法の適用を受けた市町村、この中で、石川県におきましては、令和五年奥能登地震災害が珠洲市、輪島市、能登町、また、令和五年七月の大雨については津幡町、令和四年八月からの大雨につきましては金沢市、小松市、白山市、加賀市、能美市、野々市市、川北町、これらが対象となってございます。

 この所在地において今回の地震における被災された事業者が想定されるものでございますが、具体的な数については今手元に持ち合わせてございませんので、そのような考え方で、五億円までの定額の補助が適用されるものと認識してございます。

田村(貴)委員 結局、想定もされていないんですよね、数的に。だったら、やはり、あまねくこのなりわい補助金は適用することを求めたいと思います。そのために、前例にとらわれない財政措置を鈴木大臣にも強く求めたいと思います。

 次に、自民党の裏金事件について尋ねます。

 鈴木大臣、昨年九月十五日、岸田政権第二次改造内閣で佐藤啓財務大臣政務官が就任されました。ところが、三か月後の十二月十四日に辞任し、新しい政務官に交代しました。辞任の理由、経過について本委員会に対して何の説明もなく、今日に至っています。

 午前中、原口委員からも指摘があったところでありますけれども、政務官というのは、鈴木大臣、大臣の仕事を補佐し、政務を処理する重職であります。なぜ佐藤氏は辞任、交代したのですか。説明を求めたいと思います。

鈴木国務大臣 佐藤前大臣政務官からは、昨年十二月に、国政に遅滞を生じさせることがあってはならないという観点から総合的に判断して、辞表を提出したいとの申出があり、私としては、本人の意思を尊重して受理をしたところであります。

 昨年十一月の神田前副大臣の辞任に続きまして、短期間で財務省の政務が辞任したこと、これは大変遺憾であり、国民の皆様に不信感を抱かせた事態を真摯に受け止めて、心からおわびを改めて申し上げたいと思います。

 財務省行政への国民の皆さんの信頼を回復できるよう、足下の課題に全力で取り組んでいきたいと考えております。

田村(貴)委員 国民に税の納付をお願いする立場の政務官が、三百六万円の政治資金報告書の不記載があった、裏金疑惑が持たれている、このことについて何の説明もされていないんですよね。地元の事務所から何かコメントを出したというだけなんですよ。こうしたところに国民が今怒っているわけですよ。説明責任を果たしていただくと言いながら果たしていない、何の目的で何に使ったのか分からない、ここに国民が怒っているわけですよ。私は、政務官を任命した岸田総理、そして鈴木大臣の監督責任は極めて重いというふうに思っております。

 先ほど末松議員からも紹介がありましたけれども、自民党の上野賢一郎議員が先日の予算委員会で、自民党のヒアリング結果によって個人所得とみなされる場合には、我が党としても、早急な修正申告を指示し、納税をさせるなどの対応が必要だと指摘しました。

 財務大臣、使い道に説明がつかない、そういう議員に対しては、自主的に修正申告をするよう促されたらいかがでしょうか。それすらできないのであれば、国税庁は、自民党の調査で明らかになった八十五名の方々に対して、脱税の疑いはないのか調査をすべきと考えますが、いかがですか。

鈴木国務大臣 まず、全ての政治家にとって、疑惑を抱かれるような事態を起こした場合には、自らが説明責任をしっかりと果たしていくということが、これは共通に求められることであります。

 その意味において、佐藤前政務官も含めまして、関係する方々については、自ら説明責任を果たしていただきたいと思っておりますし、その旨は国会において岸田総理も申し述べているところであります。

田村(貴)委員 鈴木大臣、先ほど、国民の政治への信頼が根底から失われているとお答えになりましたね。それは、説明責任を個人に任せているから。身内の調査で済ませているから。それは国民が納得することにはなりませんよ。本当に解明するのだったら、やはりそれに向けた必要な努力をすべきであります。

 次に、インボイスについて質問します。

 今日から確定申告です。一円の誤差でも税務署から指摘されるので、多くの納税者は、帳簿と領収書を見比べて慎重に確定申告書を作成しています。同時に、数千万円、数百万円の収入が見つかっても、政治資金収支報告書を修正すればおとがめなく許される自民党の裏金システムを激怒している、そういう状況です。

 昨年十月にインボイス制度が実施されました。私は、これまで、様々な問題があるということを取り上げてまいりました。インボイスで多くの免税業者が仕事を失ったり、大幅な収入減で困窮することになると指摘し続けてまいりました。事態は一層深刻な状況となっています。

 十二月までに百四十三万者の免税業者がインボイス登録をやむなく行ったところでありますが、インボイス制度を考えるフリーランスの会、ストップ!インボイスが施行一か月に行った緊急意識調査では、悲痛な声がたくさん寄せられています。十日間の短い期間に二千八百六十八件の回答が寄せられたということでありますが、紹介します。

 インボイス未登録を理由に仕事をなくした、それでなくても安かったギャランティーが一層安くなった、もう生きていけない、インボイスは弱い者いじめ、インボイスに殺される。サービス業の方。インボイスさえなければ、消費税さえなければ、何度も思う、大げさではなく、私は死ぬしかないのか。クリエーターの方。生活に関わるあらゆるものが値上げで、ただでさえ立ち行かなくなっている状況に、更に増税で追い打ちをかけられて、生命の危機を感じています、新規も継続も取引排除されました、このままでは仕事ができず、収入がなくなり、死に行くだけですと。

 この言葉一つ一つに胸が締めつけられる思いになりませんか、皆さん。不幸な事態を予測される言葉がいっぱい入っています。

 鈴木大臣は、このような事態になっていることを御存じですか。

鈴木国務大臣 インボイス制度に関し、免税事業者の方々からは、制度開始前と同じ条件で取引が継続できているといった声も聞かれる一方で、今、田村先生からも御紹介がございましたが、取引先から不当な扱いを受けているといった声も届いていること、これは事実であります。

 民間団体が年末に実施したアンケートでは、半数を超える免税事業者が制度開始前と同じ報酬で取引を継続できていると回答しており、政府においても、制度開始後一か月の状況について、各省庁において事業者団体等を通じて状況を確認したところ、約六割の団体等から特段の問題は把握していないとの回答がありました。

 しかし一方で、免税事業者であるため取引を停止されるのではないかといった不安を抱えている事業者の声も聞かれたところです。

 こうした声に対しましては、これまでも、免税事業者からの仕入れでも一定割合を控除できる経過措置を設けるとともに、独占禁止法等に関する考え方を関係省庁の連名でQアンドA形式にまとめて公表し、事業者団体等への周知を実施しています。

 さらに、公正取引委員会等において、書面調査を活用した監視を行うとともに、法令違反につながるおそれのある行為を把握した場合には注意を行うなど、厳正な対応を行っているものと承知をいたしております。

 事業者の不安を解消しつつ制度を定着させていくことが重要と考えており、引き続き、中小・小規模事業者に対して不当な扱いがなされることを防止すべく、取引環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 鈴木大臣、そういう認識はいかがなものかと思いますよ。町中を歩いて見てくださいよ。ネットをのぞいてくださいよ。

 私も先日、姉と妹で個人事業主で、本当にこのインボイスだけは何とかならぬのかと言われました。みんな苦しんでいるんですよ。そして、命に関わる状況に追い詰められていると。先ほど紹介したのは、これはこのままだったら不幸な事件につながりかねないから言っているんですよ。もっと苦しんでいる人たちの声に耳を傾けてください。財務省そして国税庁の人、みんな耳を傾けてください。

 来年度予算案で、少子化対策の財源として、インボイス導入による新たな課税業者の税収増額分が充てられています。もうびっくりしましたけれども、その千七百三十億円について、計算根拠を簡単に示してください。

青木政府参考人 お答えします。

 令和六年度の税収見積りにおける国、地方の消費税収のうち、インボイス制度の導入による増収額は、国、地方合わせて一千七百三十億円と見込んでおります。

 この試算に当たりましては、インボイス制度が始まるに当たってインボイス登録を行った免税事業者の数、これは、昨年十一月末時点、予算編成の時点で、入手可能な数字で百三十三万件でございます。これを踏まえた上で、免税事業者の方の課税売上高の平均額、これを約五百四十万円、付加価値率を二八%として、消費税率を乗じて平年度における増収見込額を算出して、令和六年度における収納割合を勘案しております。

田村(貴)委員 免税事業者の課税売上高の平均額が約五百三十六万円、そして付加価値率が二八%ということは、売上げ約五百三十六万円から仕入れ額を引いた額、いわゆる粗利で所得に相当する額は百五十万円なんです。百五十万円。一方で、一人当たりの消費税の納税額は、単純計算で、千七百三十億円を百三十三万事業者で割ると十三万円となりますね。つまり、百五十万円しか所得がない事業者がいきなり十三万円納税するということになるんですよ、今の説明でいくと。月に換算したら、十二万五千円で生活している人から一万八百円の消費税を徴収する。余りにも過酷な増税だと思いませんか。

 岸田総理は、可処分所得を増やすと言っています。そして、今度の税制でも賃上げ税制を拡充するとしています。でも、所得の低い免税の個人事業主やフリーランスからは、現実問題、一割近い可処分所得を奪っているではありませんか。これでどうして賃上げができるというんですか。これでいいと考えているんですか。

 ストップ!インボイスの緊急意識調査には、子育て世代のフリーランスからもたくさんの声が寄せられています。しっかり聞いてください。

 パートと副業の個人事業をしています、障害のある子供がいるために外勤に踏み切れず、いずれも在宅です、パートの厚生年金が上がってしまい、副業収入がないと生活が厳しく、加えて、インボイス登録の個人情報公開も不安で、登録が必須になったら八方塞がりです。情報サービス業の方。もう一人。インボイス未登録を理由に報酬を減らされて、じり貧になっていく恐怖を感じている、妊活もしているので、先行きが不安で仕方がない。妊娠しているクリエーターの方であります。

 所得が低い事業者から搾り取った千七百三十億円のこのお金で少子化対策の財源に使うという、信じられない話でありますよね。

 ストップ!インボイスの小泉なつみさんは、政府は少子化対策の財源としてインボイス税収を充てるとしているけれども、働き世代を直撃するインボイス増税で子づくりを悩む人がいるのに、非常に矛盾していると憤りを隠していません。

 先ほど、妊娠されて、将来が不安でしかないというクリエーターの方、こうしたフリーランスの方に、なぜこういうことをするのか、生きていけないじゃないかという、このことについて説明をしてください。どう説明されますか。

鈴木国務大臣 まずインボイス制度、これは、複数税率の下で適正な課税を確保するために導入したものでありまして、この点については御理解をいただければと思うところでございます。

 そして、子育て世代のお声の紹介がございましたが、今般の少子化対策の財源確保に当たっては、徹底した歳出改革、既定予算の最大限の活用をすることにしておりまして、こうしたものを通じて、こうした子育て世代の皆様方に対する対応もしっかりとやってまいりたいと思います。

 繰り返しになりますが、インボイス制度は複数税率の下で適正な課税を確保するために導入したものでありまして、この点は御理解をいただきたいと思います。

田村(貴)委員 千七百三十億円搾り取って、そして、フリーランスの方には子育てを諦めさせていく。矛盾じゃないですか。冗談じゃないですよ。説明できないじゃないですか。本当にインボイス制度というのはひどい制度です。

 午前中の質疑で野田議員からも指摘がありましたが、私はとても納得できていません。インボイス導入による税収増分、二千四百八十億円というのは、そもそも、軽減税率で税収が減る分の財源に充てると説明されてまいりました。使い道は決まっているのに、どうして別の予算の財源にするんですか。子育て支援の財源に充てたら、軽減税率で減収となる財源の補填は一体何を充てるんですか。しかとお答えください。

鈴木国務大臣 インボイス制度導入に伴う増収額につきましては、田村先生御指摘のとおり、軽減税率の財源に充てると整理されたところでございます。

 その趣旨を申し上げますと、これは、財政健全化目標の堅持、社会保障の充実等を図るための安定財源を確保することでありますが、これまで社会保障充実分の財源は、もう既にしっかり確保されており、また、財政健全化については、内閣府発表の中長期試算においては、歳出改革努力を継続した場合には、二〇二五年度のPB黒字化目標が達成される姿が示されたところです。

 このような状況を踏まえますと、今般のインボイス制度の導入に伴って新たに発現する増収分、財政余力が生じることになるため、今回発現する増収の相当額について、少子化対策の抜本強化の財源に充てることとしたものでありまして、財源の整理として適切であると考えております。

田村(貴)委員 千七百三十億円、大軍拡をやめたらどうですか、トマホーク四百発、そういう契約をやめたらどうですか、大企業や富裕層への優遇税制制度をやめたらどうですか。すぐできる額じゃないですか。

 インボイス制度というのは、本当にこれだけの苦しみ、そして死を予感させる状況を生み出しているということを厳しく指摘しておきたいと思います。

 この続きは、また次の委員会で行いたいと思います。以上で質問を終わります。

津島委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 以上で、大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

津島委員長 次に、内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣鈴木俊一君。

    ―――――――――――――

 所得税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木国務大臣 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 政府は、物価高を上回る持続的な賃金の上昇が行われる経済の実現、生産性の向上等による供給力の強化等の観点から、国税に関し、所要の改正を行うため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、賃金の上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和し、物価の上昇を上回る持続的な賃金の上昇が行われる経済の実現を目指す観点から、所得税の定額減税の実施及び賃上げ促進税制の強化等を行うこととしております。

 第二に、資本の蓄積の推進及び生産性の向上による供給力の強化のため、戦略分野国内生産促進税制及びイノベーションボックス税制の創設を行うこととしております。

 第三に、スタートアップエコシステムを抜本的に強化するため、ストックオプション税制の適用要件の見直し等を行うこととしております。

 第四に、経済のグローバル化を踏まえたプラットフォーム課税の導入等を行うこととしております。

 このほか、住宅用家屋の所有権の保存登記等に対する登録免許税の特例等について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

津島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十日火曜日午後一時十分理事会、午後一時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十八分散会


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