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第3号 令和6年2月20日(火曜日)

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令和六年二月二十日(火曜日)

    午後二時三十六分開議

 出席委員

   委員長 津島  淳君

   理事 井上 貴博君 理事 金子 俊平君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 塚田 一郎君

   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君

   理事 伊東 信久君 理事 稲津  久君

      石原 正敬君  英利アルフィヤ君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    大野敬太郎君

      木原 誠二君    岸 信千世君

      鈴木 隼人君    瀬戸 隆一君

      中山 展宏君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    古川 禎久君

      宮下 一郎君    宗清 皇一君

      山田 美樹君    若林 健太君

      江田 憲司君    階   猛君

      末松 義規君    野田 佳彦君

      馬場 雄基君    原口 一博君

      沢田  良君    藤巻 健太君

      掘井 健智君    竹内  譲君

      中川 宏昌君    田村 貴昭君

      吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   外務副大臣        辻  清人君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   経済産業副大臣      岩田 和親君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府参考人

   (内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長)       坂本  基君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)          佐々木正士郎君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  油布 志行君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 鈴木  清君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            森光 敬子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西村 秀隆君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    飯田 健太君

   参考人

   (日本銀行理事)     清水 誠一君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

津島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事清水誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長坂本基君、内閣府地方創生推進室次長佐々木正士郎君、金融庁総合政策局長油布志行君、デジタル庁審議官阿部知明君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、大臣官房審議官鈴木清君、外務省大臣官房審議官池上正喜君、大臣官房審議官日下部英紀君、財務省主税局長青木孝徳君、国際局長三村淳君、国税庁次長星屋和彦君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官森光敬子君、経済産業省大臣官房審議官西村秀隆君、中小企業庁次長飯田健太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

津島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。原口一博君。

原口委員 立憲民主党の原口一博です。

 今日は、所得税法等の一部を改正する法律案に関連して幾つか質疑を行います。

 パネル、資料一を御覧ください。

 先日お話をした実質GDP、自国通貨建てですね。一九九五年から二〇二二年まで惨たんたる状況。この状況がなぜ起きているか。少子化だというのであれば、この左側、左側の高い国々は、これも少子化の国です。つまり、政策が間違っている。

 衰退から成長にというテーマで今日はお話をさせていただきたいと思います。大臣、今日は番号をつけていますので、サービスして、番号ごとにやりますから大丈夫です。

 ちょっと飛ばしますが、問い二十三、予算積算金利を一・一%から一・九%に上げています、なぜですか。

鈴木国務大臣 積算金利でございますが、令和六年度予算におきます積算金利、これは一・九%としております。

 これは、予算編成当時の長期金利の水準、令和五年の九月から十一月の平均が〇・八%でありました。そして、それに、今後の金利上昇に備える趣旨から、過去におきまして急激に上昇した例が一・一%でありましたので、〇・八%と一・一%を足しまして一・九%としたところでございます。

 ちなみに、令和五年度は一・一%でありましたが、令和五年度予算をつくるときの近時の平均が〇・〇%でありましたので、過去の急激な伸び分の一・一%のみを予算として計上したところであります。

原口委員 皆さん、聞かれましたか。十七年間、一・一ですよ。足下で〇・八上がったからといって、いきなり〇・八上げて、国債の償還費を大幅に計上するのはおかしいんじゃないですか。

 日銀に伺います。日銀もこういう金利高が続くという認識ですか。

 ちょっと、三つ。先行きの金融政策運営に関しては、先日、総裁から伺いました。何らかの政策対応を行うとしても、緩和的な金融環境が続くという答弁だったんですが、確認をさせてください。違う考え方ですか。今おっしゃったように、金利が急に上がる、そういう局面ですか。

 そして、三。三つ一遍に聞くんですけれども、コストプッシュ型インフレ、外側に要因がある、このコストプッシュ型インフレは、インフレという名前はついているけれども、日本経済全体の風船をしぼませる、デフレ要因であると思うんですが、理事にお答えをいただきます。

清水参考人 お答え申し上げます。

 まず、私どもの金融政策運営の考え方でございますけれども、日本銀行は、賃金の上昇を伴う形で二%の物価安定の目標を持続的、安定的に実現することを目指しております。この先、物価安定の目標の持続的、安定的な実現が見通せる状況に至れば、マイナス金利を含む様々な大規模緩和策の継続の是非を検討していくことになります。

 政策修正の具体的な内容は、その時点の経済、物価、金融情勢次第ではございますが、現時点での経済、物価見通しを前提とすると、先行き、マイナス金利の解除等を実施したとしても、緩和的な金融環境は当面続く可能性が高いというふうに考えてございます。

 また、御質問のインフレの、あるいは物価上昇の背景ということでございますけれども、御指摘のとおり、これまでの物価上昇は既往の輸入物価上昇というコストプッシュによるところが大きいというふうに見てございます。このことは、消費活動その他へも下押し圧力となっているということは事実かと思います。

 日本銀行としましては、物価安定の目標を持続的、安定的に実現していくためには、賃金と物価の好循環が強まり、基調的な物価上昇率が高まっていくことが重要というふうに考えてございます。

原口委員 財務省と考え方が違うじゃないですか。今後とも緩和的金融環境の中にあると今お答えになったでしょう。だから、一気に〇・八も上げて、国債費がこんなに大変だ大変だと、皆さん、国債のまさに風評被害を起こしかねないようなことをやっているんです。

 今度は、質問、今回の所得税、この所得税法の減税、僕はびっくりしました。二月に入ってからこの説明を聞いたんですよ、委員であるにもかかわらず。

 一から三まで一遍に聞きます、大臣。今般の所得税減税による減収額、幾ら見積もっておられますか。これは一回限りですか。そして、この恩恵が届くのはいつでございますか。

赤澤副大臣 御通告の問い一と三を同時に聞かれたものと思いますけれども、今般の定額減税における減収額については、国、地方合計で約三・三兆円というふうに見込んでおります。

 それから、国民に所得税の恩恵が届くのはいつかということで、今般の所得税の定額減税については、その主体が給与所得者である場合あるいは公的年金の受給者である場合は、原則として本年六月以降の源泉徴収税額から減税を行うこととしております。不動産所得者や事業所得者などの方々については納税の機会を通じて減税をすることとしており、予定納税の対象者の場合、本年七月の予定納税の機会から、それ以外の方々については令和七年三月の令和六年分所得税に係る確定申告の機会に減税を行うこととしております。

原口委員 原資は何ですか。(赤澤副大臣「御質問は、もう一度お願いします」と呼ぶ)

 減税の原資は何ですか。減税に財源が必要ですよね。これは事務方でもいいですよ。

青木政府参考人 減税の原資ということでございますが、令和六年予算の中で、全体の中でやりくりをさせていただいております。

原口委員 変なことを言いますね。だって、新たな財源というのはどこを搾り取っても出ないと言ったのが、三・三兆円もどこかから出てくるわけですか。どうなったんですか。

 皆さん、子供、子育ての、異次元の子育て予算ということで、三兆円近くのやつを一年かけて、出てこないから、一兆円国民に増税するとおっしゃっている。

 どこかにそういうお金、あったんですか。教えてください。

青木政府参考人 先ほど申し上げましたのは定額減税による減収でございますが、これは特定の財源と一対一で対応するものではございませんので、令和六年度予算全体として考えております。その中で新規国債発行額を減額していることから、国債発行を充てているという御指摘は当たりません。

原口委員 国債発行を充てるって誰が言ったんですか。あなた、人の質問を勝手に作って言わないでくださいよ。今、言いましたか、国債発行を充てるって。一言も言っていないよ、そんなこと。何言っているの。

 ちょっと、委員長、注意してください。

津島委員長 質問の意図に対し、的確にお答え願います。

原口委員 ここで何回も、新たな財源はありません、だから探していますとやってきたじゃないですか。だから、聞いているんです。

 今回の所得税減税の決定プロセスは、いかにも不透明。私も、政府税調の会長代行をやった、党の税調でもトップをやった。大体、自民党さんも民主党もそうですけれども、一年かけて税というのは基本的な姿勢を議論するんですよ。

 十月に岸田首相が、増税眼鏡と言われたのがやはりお気に召さなかったのか、そこは分からない、だけれども、それで指示をされて、二か月間でやっているんです。こういうやり方はやっちゃいかぬと僕は思う。

 これを御覧になってください。前回も出しましたけれども、国民が今、二十一か月実質賃金が落ちて、落ちて、落ちて、苦しんでいる。しかし、それが届くのが七月、六月、そして次の確定申告。違うことをやりませんか。

 ここで、国税庁長官、次長か、やはり、裏金の捜査を裏でやっちゃ駄目ですよ。匿名でやるから。この間、大臣も、自民党さんの方で決まっているけれども、調査は第三者調査をやるんだと。これ、もう二月が終わったらみんな、予算が成立して、あとは知らんぷりと。

 ここに若手の議員さんたちもいらっしゃいますけれども、僕は、この間、国会に来て思ったのは、いつも尻尾を切られるのは若手の議員。上の方は全然説明しない、そして逃げ切る。これじゃやはり駄目ですよね。

 国税庁に聞きますが、毎日新聞によると、九三%の国民が、しっかりとこの裏金についても国税が調査すべきだと。私は、どうしろ、こうしろと言う立場ではありません。こういう意見があることについて、国税庁としてどう考えているか。

 そして、併せて聞きますが、マル政案件は幾らありますか。政治が税に口を出している、そういう案件はまさかないでしょうね。答えてください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報道については承知しておりますが、まず、申告納税制度の下では、まずは納税者の方々において、御自身の収入や必要経費を計算し、申告していただくこととなります。

 その上で、一般論となりますが、国税当局におきましては、課税上有効な資料情報の収集、分析に努めておりまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

 それから、二つ目のマル政案件ということでございますが、お答え申し上げますが、一般論として申し上げますと、繰り返しでございますが、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして、課税上有効な各種資料情報の収集、分析に努めまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

 こうした取扱いにつきましては、対象が一般の納税者であったとしても、あるいは国会議員であったとしても同様でございます。

原口委員 聞いたことだけ答えてください。マル政案件があるか。

 政治が、例えば検察とか警察とかに口を出してゆがめているんじゃないか、あるいは税金もゆがめているんじゃないか、国民が不審に思っているわけです。税というのは国の基本ですから、国民の意思と関係ないところではやはり成り立っていかないんですよ。そのことを聞いているわけです。

 財務大臣、国税当局が調査すべきとの回答が九三%ある、これは重く受け止めていただかなきゃいかぬと思うんですが、財務大臣の御答弁をいただきます。質問の十五でございます。

鈴木国務大臣 毎日新聞の世論調査において、国税当局が調査すべきだ、裏金について、という回答が九三%を占めたということは承知をしております。これは大変国民が怒りを持ってそのように回答したものであるということで、そのことについては重く受け止めます。

原口委員 重く受け止めていただきたいと思いますし、警察とかが公正性を担保する仕組みはどこにありますかという質問主意書を第二百十二臨時会に出しましたら、言っている意味が分からぬという答弁書が来ました。どこの国にも、こういう公権力の中立性、公正性、これを担保する仕組みがあります。国税にはそれがありますか。次長で結構です。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 税務執行におきましては、事実関係の認定や法令の解釈等につきまして専門的な知識に基づく客観的な判断が必要とされることなどから、国税当局においてこのような権限が与えられているものと承知をしておりまして、適切に実施をしてまいりたいと考えてございます。

原口委員 あなたはどうして僕が聞いたことを答えないんですか。例えば警察だったら国家公安委員会というのがあって、警察権の行使についてちゃんとチェックしているわけですよ。国税にそれがありますかと聞いているので、答えがなかったということで、次に行きたいと思います。

 それでは、財務大臣、この間の続きをやらせてください。

 僕は、所得税法の一回こっきりの減税よりも、消費税の減税が大事だと。前回、付加価値税であるということをお認めになりました。ところが、間接税であるというふうにお答えになったんですね。同時に、大臣は、間接税というのは法的な定義がないんだ、しかし、学術的に言うと間接税だ、そういう御答弁でした。いや、本当かなと。第二法人税であり、まさに赤字の企業にでもかかる、そういう税ではないか。

 学説がどうかということを聞いているんじゃありません。財務省として、政府として、僕らは直間比率を変えないと外に逃げていくという話でしたけれども、実際にこうやったけれども、外にどんどんどんどんキャピタルフライトしているじゃないですか。異次元の金融緩和をやったけれども、日銀にブタ積みされて、あるいは、市中の銀行までは行ったけれども、その先に行かない。これはなぜ行かないかということなんですね。

 さて、大臣、これは財務省として、直接税だという御認識でしょうか、間接税だという御認識でしょうか。

鈴木国務大臣 結論から申し上げますと、財務省としては間接税に該当すると考えております。

 一般的に、直接税とは、納税義務者と税を負担する者が一致することを予定している税であり、一方、間接税とは、税負担の転嫁が行われ、納税義務者と税を負担する者が一致しないことを予定している税であるとされていると承知をいたしております。

 消費税につきましては、消費税法やその創設時の税制改革の基本理念等を示した税制改革法の規定を踏まえますと、事業者が納税義務者である一方、価格への転嫁を通じて、最終的には消費者が負担することを予定しているものであることから、間接税に該当すると考えているところであります。

原口委員 いや、納得いかないですね。

 今日、公取にも来ていただいています。

 公取は、このインボイスについて、様々な企業、今日、公取の委員長、お見えですね。私は、欧米の委員会と同様の権限を公取はもっと持つべきだと、公取をずっと応援してきました。独禁法の改正案も一緒に作った記憶があります。それで、インボイス制度の実施に関連した注意事例、公取、頑張っていただきましたね。ちょっとこれについて、委員長、御説明いただいてよろしいでしょうか。

古谷政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会は、昨年十月からインボイス制度が実施されていることに関連をいたしまして、議員から御提示いただいております資料にもありますが、免税事業者からの仕入れであっても、当分の間、経過措置によって一定の範囲で仕入れ税額控除が認められているにもかかわらず、取引先の免税事業者に対して、インボイス制度の実施後も課税選択をしないで免税事業者を選択する場合に取引価格から消費税相当額を引き下げるということを一方的に通告をした買手側に対して、それは独占禁止法上の優越的地位の濫用につながるおそれがありますよということで、これまでのところ、四十一件の注意をさせていただいております。

 引き続き、公正取引委員会としては、インボイスに関連する取引について監視、取締りを続けていきたいと思っております。

原口委員 委員の皆様、今、お手元の資料五を御覧ください。

 どういう職種の、相手方が、イラストレーター、農家、ハンドメイド作家、この方々、仕入れはありますか、仕入れ控除はどうやってできますか。家庭教師、ナレーター、漫画作家、植木師、庭師、司会者。つまり、我が国が誇るクールジャパンの担い手を直撃しているわけですよ。

 大臣に伺いますが、つまり、さっきの御答弁だと、間接税だからこそ転嫁が重要なんだ、こういうことですね。消費税率が上がるときに独禁法の除外規定を制定する必要があった、それは間接税だからですか。間接税だから転嫁が重要なのだ、転嫁しているから間接税なのだ、こういう整理でよろしいですか。

鈴木国務大臣 先ほどはそのような整理を申し上げたところです。

原口委員 なるほど。では、転嫁できなかったらどうなるわけですか。価格に転嫁できなければ、事業負担となるわけですね。赤字企業にも税が取られていくわけです。だから、第二法人税と言うんじゃないんですか。

 大臣がおっしゃった、転嫁できなかったら消費税は消費者が負担するんですかと、これに対して、前回、中小企業庁の調査によると、九割以上の価格転嫁ができますという御答弁をなさっているんですよ。だから、ほとんど価格転嫁ができていますという御答弁でありました。

 今日はこの先、では、価格転嫁とは、一体何をもって価格転嫁ができるとおっしゃっているんでしょうか、教えてください。

津島委員長 青木主税局長。

原口委員 ちょっと待って。

 済みません、私は、指名しない限り出てきてはいけないという条件で来ていただいています。それは条件です。そのために副大臣がいるんだから。私、大臣に質問しているんです。

津島委員長 どなたを御指名されますか。

原口委員 委員長、委員長が指名していただいたんですけれども、大臣に答弁させてください。最低でも副大臣とやらせてください。事務方、もう結構です。あなた、退場してください。

赤澤副大臣 そのために副大臣がいると御指名いただきましたので、お答えしたいと思います。

 我々は、大臣からも御説明申し上げたように、消費税の価格転嫁状況については、従業員規模別五人以下でも九二・七%転嫁できていると考えているわけであり、その残りの部分についてどうするんだというお話でありますけれども、だからこそ、ある意味、政府を挙げて価格転嫁のお手伝いをし、それを実現しようとしているということだと思います。

原口委員 いや、不思議なことをおっしゃいますね。もう皆さんは、現場を歩いておられるから、今の答弁がおかしいと分かるでしょう。

 国税庁、国税庁の調べによると、日本の中小企業の六割程度は赤字であると言われています。これは事実ですね。そして、なぜ赤字企業があるんですか。

 ということは、おかしいですよ、赤澤副大臣。先ほど、適正な経費、原価に適正な利益水準が乗せられて適正な売価が設定されて、そこに消費税が一〇%上乗せされている状態が適正な価格転嫁だ、そういう意味の話ですよね。だったら、何で赤字の企業が六割もあって、この赤字の企業は赤字の中から消費税を払っている、こういう認識でいいんですか。これは価格転嫁できていないじゃないですか。

赤澤副大臣 赤字の企業であっても価格転嫁できるように、もちろん我々政府を挙げて応援しているということでありますし、消費税について言えば、企業の黒字、赤字とは関係なく、売上げ時に受け取った消費税額から仕入れ時に支払った消費税額を差し引いた額について、プラスとなっている場合にはその分を納付していただきますが、マイナスとなっていればその分が還付されるという仕組みになっております。

原口委員 では、さっき公取の委員長がおっしゃった、皆さんの資料五、どうやって転嫁できますか、この方々が。

 シャウプ勧告の一番の眼目は何でしたか。日本が復興からここまで来る。応能負担じゃないんですか。応能負担、税はそれを負担できる人たちが負担する、この原則が消費税によって外れているんです。社会保障にこの税を使う、弱い人たちを更に弱くして、赤字の企業からどんどん取る。この中には松下政経塾の友人たちも多いですけれども、松下幸之助さんのときに消費税があったら、彼はあそこまで、松下をつくれましたか。弱いときに弱い人たちから金を取っちゃいけないんですよ。

 税の応能原則について、赤澤副大臣で結構ですから、どういうことをいうか教えてください。

赤澤副大臣 税について言えば、応能原則というのは、もう読んで字のとおり、能力に応じて払うという考え方がもちろんあるということだと思いますが、消費税に関して言えば、これについては赤字の事業者であってもしっかり払っていただくという前提で税の仕組みがつくられており、その上で申し上げれば、先ほど、どうやって、逆に言うと、クールジャパンとかをまさに構成しているようなクリエーターの方たちとか、なかなか転嫁がしづらい人がどうやって転嫁できるんだというお話でありますけれども、だからこそ、原口先生にも御協力いただき、公正取引委員会も頑張って、逆に、いろいろなコストとかが上がったり、あるいはインボイスが導入されたときには、それに応じて支払う額を少し増やしてやってくれないかという方向で社会全体を動かしていこうとしているということだと理解をしております。

原口委員 いや、だから、私たちは縁故経済の中にいるわけでも、共産主義社会の中にいるわけでも、社会主義の中にいるわけでもないんですよ。皆さん、これを目指してください、お願いしますじゃなくて、市場に任せなきゃいけないんですよ。応能負担原則というのを忘れて広く薄くとかいうのを入れてしまったために、さっき冒頭に出した、日本の弱体が進んでいるんですよ。それを変えようと言っているんです。別に、ほかの税を取っちゃいけないなんて言っていないです。しっかりと財政の健全化はやらなきゃいけない。しかし、消費税は弱い人たちを更に弱くするんだということを申し上げたいと思います。

 ページ六を御覧ください。

 これは、私たち民主党の国会Gメンの隊長であった石井紘基代議士のお写真です。彼は二十一年前に刺殺されました。カルトを追及し、そして特別会計の闇を追及していました。今日は、この特別会計についてもあえて触れたいと思います。

 七を御覧になってください。

 なかなか、この国会でも特別会計に触れる人たちはいなくなった。昔、塩川さんが財務大臣のときに、母屋でおかゆをすすっているのに離れではすき焼きを食っていると言われた、これです。マネロンの仕組み、ここにたくさんあるんじゃないですか。なぜ日本が伸びないか、官製経済をやっているからじゃないですか。特別会計に触れない行革論は、私は信じないことにしています。これは、まさに二十一年前の石井紘基さんが示したものであります。

 私は、皆さんがプライマリーバランスゼロとか言っておられるので、それは、例えばサファリでライオンが鉄のシマウマを追っかけるようなものだと思っているんです。なぜかというと、プライマリーバランスというのは一般会計でしょう。皆さん、国の財政というのは一般会計だけですか。

 九ページを御覧になってください。ごめんなさい、資料の前の方ですね、パネルの二。これは財務省がくれた、資産と、そして貸方、借方の、つまり全体のバランスシートを見なきゃいけないわけです。ライオンが、例えば鉄のシマウマを追っかけて捕まえた。捕まえて、かじった。歯が折れたと。死ぬじゃないですか。皆さんがプライマリーバランスゼロと言っているのは、それをやっているのと同じ。これが国全体の財政だと、連結だとすると、ここの整合性だけやっているわけです。それじゃ駄目だと言っているんです。

 外為特会について聞きます。

 外為特会の総額、これは事務方で結構ですから、幾らですか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 外為特会、令和四年度末、昨年三月末時点での資産残高、百六十九・七兆円でございます。

原口委員 それで、今回の国会のテーマは、まさに首相がおっしゃっているように、物価高に負けない賃上げということですね。

 ところが、円が安くなって、今のような状況だと、どんどんどんどん輸入物価も上がっていく。国民生活は苦しくなる。可処分所得は下がる。二十一か月連続の実質賃金マイナスと。政策に失敗しているじゃないですか。そして、失敗しているだけじゃなくて、消費も十か月連続マイナスでしょう。ここを変えないと。

 では、為替介入していますね。皆さんのお手元の資料の九です。為替介入、百七十兆のうち、大体、二〇二二年、二〇一〇年からのやつを作っていただいていますが、米ドル売り、円買い、私たちの政権のときもやっていますね、五兆円とか二兆円。

 神田財務官は為替介入に使えるお金は無限にあると言っていましたけれども、本当ですか。教えてください。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、まずは外為特会にある外貨資産を使って外貨介入をするということが大前提でございます。もちろん、いろいろな形で借入れをするとか、いろいろな実際の資金調達については論理的にはございますけれども、まずは、私ども、外為特会の外貨準備資産、これが介入のための資産ということで保有をし、運用をしてございます。

原口委員 あなた、わざとずらしておっしゃったでしょう。無限に資源はあると神田財務官は言ったけれども、本当かと。

 だって、外為特会、この百七十兆というのは、世界でいうと二番目にでかいんですよね。一番目が中国。三番目がドイツなんだけれども、ドイツは日本の四分の一ぐらいしかないんですよ。

 外為特会、百七十兆全部使えるかというと、そう使えない。僕らが分かりやすく言うと、普通預金に当たる部分というのは二十兆ぐらいだと、ある人は言っていました。つまり、日本の一日のうちの市場というのは大体五十兆ぐらいですね。五十兆のうちのこれだけ使って介入している。これも単独介入は無理なはずなんです。アメリカが、いやいや、ドルをそんなに売ってもらっちゃ困ると言ったら、これはできませんね。

 今僕が言っているのは大体事実ですか。事務方で結構です。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、外貨資産の中で何をどこまで機動的に使えるかというところですけれども、当然、私ども、介入のための資産ということでございますから、安全性と流動性に最大限留意をして運用してございますので、当然、いわゆる預金に加えまして、例えば機動的に売ることができる債券ですとか、そういった形でも保有をしているというところでございます。

 それから、米国に限りませず、介入につきましては、G7や20等でいろいろな国際的な共通理解もございますので、それも念頭に置きながら、常にいろいろな形で連携を取りながら、連絡を取りながらやっているというところでございます。

原口委員 だから、僕が言った数字でそんなに間違いないでしょうかと聞いているんです。あなた、僕の質問、聞いていますか。これは細かく言っているので、違うんだったら出てきてください。違わないんだったら出てこなくて結構。

 実際に、百七十兆のうち百五十兆が主に米国債なんじゃないかな。この中身について分からないんです。開示せよとは言わぬ、だけれども、GPIF並みにやはり公開度を、あれは、パッシブ、アクティブ、何をどれぐらい持っているかぐらいの、パリティーぐらいは言いますよね。ところが、ここは分からないんですよね。これは指摘にとどめておきます。

 それで、外務副大臣に来ていただいていますので、この間の査定の続き。

 UNRWAになぜ拠出をやめるんですか。中止するんですか。これは、日本はパレスチナにずっと寄り添ってきました。フランスやドイツでもやっていない。止めてしまうと、即、その人たちの命に関わるわけです。

 僕らは超党派の安全保障議員連盟というのをこの間立ち上げて、そして、そこで、政府にこれは一刻も早く再開するようにということを求めたんですが、外務副大臣の答弁をいただきたいと思います。

辻副大臣 お答えします。

 我が国は、昨年十月七日のテロ攻撃にUNRWA職員が関与したとの疑惑を今極めて憂慮しておりまして、本件疑惑を受けて、国連及びUNRWAが当該職員の契約を直ちに解除して調査を開始したことから、また、多くの国においてもUNRWAの拠出の一時停止の措置が取られる中、我が国としても早急に対応を検討した結果、テロ攻撃への関与の疑惑という事態の重要性に鑑みて、国連による調査が行われ、対応策が検討される当面の間、UNRWAへの令和五年度補正予算の拠出を一時停止せざるを得ないとの判断に至りました。

原口委員 ページ十を御覧ください。これがWHOの分担金、拠出金に係る予算措置額です。ちょっとダブルスタンダードが激しくありませんか。

 ノルドストリーム1、2、あれは誰が壊しましたか。僕も国際会議で何回も言ってきた。国連でこれについては、調査をしろという案件が出てきたけれども、いや、調査しないんだと、否決された。否決した人たちが怪しいと普通思いますよね。

 ノルドストリーム1、2を壊したらどうなったか。今の僕らの燃油高につながっているじゃないですか。何かでっかいところがやると黙っているけれども、小さいところがやると、そうやってやる。それはよくないと思います。日本の大和心に反している。

 このWHO、むちゃくちゃやっているわけです。WCH議連というのをつくった。前回、新型コロナウイルスの危険性についてここで申し上げました。WHOは何をやっているか。一月二十七日に事務局長案を出すと言っていて出しやせぬ。いきなり、もう五月にまた別のものをやろうとしている。僕らが幾ら質問しても答えが返ってこぬ。

 WHOの中身を見たら、ステークホルダーと言われている製薬会社そして特定の財団、そこに、皆さん、十を見てください、こんなにお金を出しているわけです。これはやめるべきじゃないですか。ワンワールド、ワンヘルスじゃ駄目なんじゃないですか。これは、外務副大臣、指摘にとどめておきます、今日はね。

 そして、経産副大臣にもお見えいただいていますから、特定の半導体企業、三問連続お聞きします。

 半導体企業、日本が最先端でしたね。なぜそれがよそに負けたのか。そして、そのよその企業に巨額の補助金を出していますが、その理由は何か、経済安保だということですけれども、必要ですか。そして、契約はありますか。三点お答えください。

岩田副大臣 お答えをいたします。

 まず、我が国の半導体の産業につきましては、一九八〇年代には世界一の売上高を誇っていたものの、その後シェアを大きく落としてしまいました。

 このような状況になりました原因として、一つに、日米が正面から挑み合った結果としての日米半導体協定に代表される貿易摩擦といった政策面の課題と、設計と製造が水平分離していく世界の半導体ビジネスの潮流の変化に乗り遅れたこと、また、日の丸自前主義というべき国内企業の再編に注力をして、有力な海外企業との国際連携を推進できなかったことといったビジネスモデルの問題など、様々な要因があったと認識をしております。この点については真摯に反省をしなければならないと考えております。

 こうした反省を踏まえた上で、現在重要なのは、我が国の産業競争力や経済安全保障の観点から、不可欠な製品の他国依存リスクをいかに低減できるかにかかっております。特に、我が国のミッシングピースとなっております先端半導体の国内製造基盤の整備は重要です。経済安全保障の観点からは、事業者が日本企業か海外企業かにかかわらず、国内にしっかりとした製造基盤を構築して、安定的な供給体制を確保することが重要です。

 こうした観点から、我が国に製造基盤のなかった二十八から十二ナノのロジック半導体の製造基盤構築を行うTSMC、JASMに対する支援決定を行ったという次第です。

原口委員 副大臣、聞いたことを答えていただけませんか。今、経済安全保障だと言っているけれども、契約がありますかと聞いているんですよ。実際に、これはよその国の企業でしょう。

 私、毎年一月十四日に、尖閣諸島開拓記念日で石垣島を訪れます。この中にも、皆さん来られている。私は、領土議連の副会長であり、そして、国家主権と国益を守るために行動する議員連盟の共同代表をしています。

 台湾は、尖閣諸島の領有権を主張していませんか。有事のときに、自分たちのチップが作れないからといって、じゃ、そこの企業が我が国に出すという、何%出すんですか。あるいは、有事というと、台湾有事は日本有事ということを言う方がおられるけれども、私はそれは必ずしもそうじゃないと思うんだけれども、そのために備えるということでしょう。おかしくありませんか。そこの国の企業を何で日本に持ってくるんですか。

 逆に言うと、日本の半導体、日の丸第一主義がどうして悪いんですか。皆さん、自民党の皆さん、それでいいんですか。日の丸第一主義をこんな簡単に捨てていいんですか。有事のとき、日の丸以外のところが、誰が僕らに供給してくれますか。

 だから、財務大臣、僕は、そういったところもよく含めて、結局何をやっているかというと、これまで、今だけ、金だけ、自分だけの人たちは何をやってきたかというと、よそにMアンドAとリストラ。ろくでもない経営者、僕らが教わった松下幸之助さんと真反対。MアンドAとリストラ、結局、外へ行って、ろくでもないものを高づかみさせられて、そして、どれだけの企業が潰れていっていますか。

 私はそのことを指摘をして、最後に、先ほどの本会議で、聞き捨てならぬ討論でした。私たちが統一教会との、文科大臣との関係を聞かなかったからいけないんだと。大臣、皆さん、この中で統一教会から応援された人、いないでしょうね。僕らは、岸田首相がそういう人を排除するということを信頼して、それで聞いていないんですよ。聞いていないのが悪いなんて、本会議のあの討論はひど過ぎませんか。

 大臣や副大臣は、統一教会から支援をもらったことはありませんね。そのことを確認して、質問を終わりたいと思います。

津島委員長 鈴木財務大臣、時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

鈴木国務大臣 私は、旧統一教会系の団体それから本体そのものを含めまして、選挙の協力は一切いただいておりません。

赤澤副大臣 私も、旧統一教会関連の団体に選挙の支援を求めたりといったことはございません。

津島委員長 質疑終了でよろしいですか。(原口委員「いやいや、手を挙げておられますから。外務副大臣、お願いします」と呼ぶ)

 では、辻外務副大臣、簡潔にお願いします。

辻副大臣 一切ありません。

岩田副大臣 支援をいただいておりません。

原口委員 終わります。ありがとうございました。

津島委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。

 次に、沢田良君。

沢田委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会を代表しまして、沢田良が今日務めさせていただきます。

 改めまして、本日も津島委員長を始め、財務大臣、そして関係省庁の皆様、委員部の皆様、今日もよろしくお願いいたします。

 本日は、租税特別措置について少し質問させていただきたいというふうに思っております。

 私も、租税特別措置の問題、分科会でも以前取り上げさせていただきまして、大変複雑かつ使いやすく、そして予算規模も大きいということを考えて、いろいろな質問を過去に何度もさせていただいているんですけれども、改めて本日させていただきたいというふうに思っております。

 目的ですけれども、改めてなのでちょっと簡単に説明すると、租税特別措置とは、基本的に、特定の納税者の負担を軽減することにより特定の政策目的の実現を目指すという性格のものであるということであって、メリット、デメリットについては、メリットというのは、特定の政策目的があり、それを実現するために有効となり得る手段の一つというふうになって、そして、デメリット、これは両方、政府の答弁でもらっているんですけれども、租税特別措置は税制の基本原則である簡素、公平、中立の例外として位置づけられるものでございまして、特定の納税者の負担を軽減するということでございますので、そういった意味では、税負担のゆがみを生じさせる面もあるということになります。それに対して、必要性や政策効果をよく見極めた上で、設けられた期限等も踏まえて、必要な見直しを行っていくことが重要であるというふうに、この答弁は本当にいろいろなところで使われているものであります。

 ただ、今回も減収そして増収というところで日本維新の会から質問をさせていただきましたら、減収については、新設する措置が六件と、あと、なくなる、廃止する措置は四件と。廃止する措置四件についての、いわゆる減税ですから、これを廃止するということは増収になるわけですね。これは、増収の見込みは僅少という返答ですので、ほぼゼロに近いと。逆に、新設する措置は六件、これに伴ういわゆる減収、これは二兆三千二百五十億円とかなり膨大なものになっていると思っています。

 我が日本維新の会としても、租税特別措置全体をやめるということも含めて以前から提案をさせていただいております。そういった中で、その制度自体を批判してもしようがないので、まずそこの中でも一つ一つちょっと切り分けて、これからも継続して質問させていただきたいというふうに思っております。

 租税特別措置の一つでありますNISAが始まっておりまして、新しいNISAの影響もあると思います。日経平均は三万八千三百六十三円と本日終わり値をつけて、本当、連日に大変大きな値上がりを繰り返して、ボラティリティーも上がっているという状況にはなっているんですけれども。

 NISAの取組など、現預金を投資に回すために今どのような目標を立てて、現状としてはどのように使っているのか、ちょっと説明をいただきたいと思います。

油布政府参考人 お答えいたします。

 貯蓄から投資への取組の一環といたしまして、このNISAにつきましては、二〇二二年に策定いたしました資産所得倍増プランにおきまして、五年間で、総口座数、これを二二年の千七百万から三千四百万へと倍増させ、買い付け額、これを二十八兆円から五十六兆円へと倍増させるとした上で、その後、家計による投資額の倍増を目指すという目標を設定しております。

 現状について申し上げますと、一般NISAとつみたてNISAの合計で、昨年十二月末の口座数でございますけれども、前年末、一年前と比べまして約一八・六%、約三百三十五万口座増加しまして、約二千百三十六万口座となっております。

 また、実際の利用状況を示します昨年十二月末までの累計買い付け額は、前年末と比べまして約一八%、約五兆四千億円増加いたしまして、約三十五兆四千億円となっております。

 過去のペースと比較しても大幅な増加が見られておりまして、先ほど申し上げました目標の達成に向け、着実に進捗していると考えております。

 金融庁といたしましては、引き続きNISAの普及、活用促進等に取り組んでまいる所存でございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 しっかり目標を立てていただいて、なおかつ結果も出ているというところで、着実に歩を進めていっていただきたいなというふうに思うんですけれども、私がやはり問題意識として持っていることは、個人の金融資産二千百兆円、これは度々報道もずっとされているところなんですけれども、この半分がいわゆる現預金であるという中で、金融教育に対しても金融庁さんが動いていただいて、機構をつくっていくという話が進んでいます。教育は、いつもそうなんですけれども、瞬発力のないものです。基本的にはゆっくりゆっくり、成長を促しながら増加を促していく。

 そして、このNISAというものも一つの後押しになっているということがあるんですけれども、今聞いた金額でも三十五兆円というぐらいの金額で、これは圧倒的に、今吹かしていかなきゃいけない、大きく国民の皆様に一度信頼をして投資をしていただくという環境の中で、私はちょっとパワー不足なんじゃないかなと。

 やはりこれはもっともっと大きな意味で、国民の皆様が、投資をしていこう、逆を言えば、そういったことに対してお金を使っていこうと。貯金に回して、一切それが付加価値を生まない状態。そしてそれが、国民の皆様にとってなぜそれをやっているのか、大きく言えば、これからの将来に対して大きな不安がある、それに対してしっかり自分を守っていこう、負担が増えていく、それも受け入れていこう。

 私は、いろいろな駅で、税金は上がってもしようがないよ、だけれども、しっかり政治をやってくれよという言葉を本当に多くのところで聞くんですね。我が党は、どちらかというと、身を切る改革を含めてちょっと厳しい提案をさせていただいている政党だからこそ、私は、今、多くの有権者の皆様が、ある程度これからの将来予測を的確に把握された上で、厳しい状況を想定しているというところがあるというふうに思っております。

 なので、この家計の金融資産がどれだけ眠っているのかということは、私は、イコール政府の信用であり、これからの展望に対する国民の皆様の評価でありというふうになったら、やはり、このNISAであったり金融教育、これは一定進めていただく前提でですけれども、やはりまだまだやれることはあるんじゃないのかなというふうに思うんですね。大臣としてはどうでしょうか。

鈴木国務大臣 新しいNISAにつきましては、先ほど参考人から御答弁をいたしましたけれども、口座数それからその買い付け額共に着実に伸びているということで、国民の皆さんから安定的な資産形成の手段として受け入れられつつある、そのように認識をいたしておりますが、引き続きこれの普及等に努めていかなければいけないと思います。

 そのために、金融庁といたしましては、昨年末に策定をいたしました資産運用立国実現プランに基づきまして、新しいNISAの普及、活用促進に加えて、国民の皆様に金融リテラシーを身につけていただくための金融経済教育の充実、安心して金融商品を購入できるようにするための金融機関における顧客本位の業務運営の確保などを通じまして、国民の皆さんに安心して資産形成に取り組むことができる環境の整備をこれからもしっかりと進めていかなければならないと考えております。

沢田委員 是非、今の御提案プラス、もっと思い切った方向性であったり、国民の皆様にいま一度、政治とお金の問題だけではなくて、安心して夢や希望を持っていただけるような提起をしていただければというふうに思っております。

 先ほどもお伝えしたんですけれども、この租税特別措置の金額、これはどんどん増えているという中で、どういった形で租税特別措置の点検、評価、見直しを行っているのか、ちょっと教えてください。

鈴木国務大臣 先ほど沢田先生から御指摘がございましたが、租税特別措置につきましては、税制の公平、中立、簡素の基本原則の例外として位置づけられておりまして、真に必要なものに限定していくということが重要なことと思っております。

 このため、財務省としても、期限の到来した租税特別措置については厳しく見直しを行っておりまして、具体的には、要望省庁に対して、適用実態調査等を踏まえ、延長の必要性や政策効果等について説明責任を果たすように求めるとともに、財務省における検討において、各省庁が行う政策評価の総務省による点検結果を活用したことに加え、特に賃上げ促進税制につきましては、令和四年度の申告実績に基づく分析を行い、その結果を改正内容に反映させたところです。

 今後とも、適用実態調査、政策評価、こういったものを活用するとともに、財務省としても効果検証を行いつつ、租税特別措置の見直しを進めてまいりたいと思っております。

沢田委員 ありがとうございます。

 私も、財務省の方から出ている、公開されているものを見させていただいたのと、あと、総務省さんが出している租税特別措置等に係る政策評価の点検結果というもの、両方見させていただいたんですけれども、正直、私も自分で会社をいろいろやってきて、このデータを基にどれほど適正に判断ができるのかというと、すごく難しいなというふうに正直に感じました。どういった目的で、どういった予算規模で、どれぐらいのものをどうやって減らすのかということにおいて、やはり情報が大変少ないのではないのかなというふうに思っています。

 現状の報告書で適正な判断につながるというふうに財務省として思っているのか、又は措置の廃止に向けて実際にどのようにそれを生かしているのかというのも改めてちょっと教えていただけませんか。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げました適用実態調査でありますが、これは、租税特別措置の適用状況の透明化を図ること等を目的として、適用件数、適用金額、適用の偏りなどを調査しているものでありまして、租税特別措置を見直す上でも有効に活用しているところであります。

 ただし、租税特別措置の検討に当たりましては、この適用実態調査のみならず、要望される省庁による実態把握や必要性等についての評価や、政策評価の総務省における点検結果なども踏まえて総合的に検討しているところであります。

 結果として、今般の税制改正におきましては、法人税関係では、期限が到来するものを中心として二十七項目の見直しを検討した上で、一項目を廃止をし、二十二項目につきましては縮減を伴う見直しを行っております。

 租税特別措置につきましては、決して継続ありきではなく、今後とも、適用実態調査などを活用いたしまして、EBPMの取組を進めながらしっかりと見直していきたいと考えております。

沢田委員 ありがとうございます。

 動きは分かるんですけれども、ただ、今回報告なさったように、じゃ、なくなったものの総額がどれぐらいのいわゆる増収になるのかが僅少と言えるところを考えると、やはり、しっかり機能をして、それについて大きな予算の変更というものにつながっているとは客観的にどうしても思えないところがございます。なので、しっかりとそこも見ていただいて、今後、しがらみだとか、いろいろな動きを客観的に見られたときに指摘を受けないような形でやっていただければと思います。

 余談ですけれども、今、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律というのが、話がありましたけれども、これを作ったのは、当時、民主党政権で出された法案でできているんですね。当時の民主党マニフェストでは、効果の不明なもの、役割を終えた租税特別措置を廃止し、真に必要なものは特別措置から恒久措置へ切り替える、こういうこともあります。また、民進党時代にも、二〇一六年三月に同改正法案を提出している。こういったところが、やはりいろいろなところでの問題意識がまだまだ先に進んでいないんじゃないかなと個人的には思っておりますので、是非今後も継続してこの話をさせていただければと思います。

 続いて、税務を起点とした社会全体のDXについてということについて、ちょっとお話をさせていただきたいんです。

 いろいろDXという話を聞くと、デジタル化の先に、全く行動を変えていくというか、納税者の方々にとって全く違った形で取っていくという形を想像していくのが一番いいのかなというふうに思うんですけれども、どうしても、今の徴税をしていくという流れというところを、どう見てもまだまだやれることはあるんですけれども、私は結構止まっているように感じるところがあるんですね。

 我が党としては、ちょっと違う方向性で、切り口でいっているんですけれども、そこのずれの部分をちょっと確認したいなと思いまして、適正な課税や納税者サービスの観点から、資産や所得の捕捉についてどのような認識で取り組んでいるのか、ちょっと教えていただきたいんですけれども。

鈴木国務大臣 デジタル化の話でありますけれども、国税当局におきましては、様々な機会を通じまして、課税上有効な資料情報の収集、分析を行っておりますが、デジタル化の観点からは、例えば、法定調書と申告書との突合にマイナンバーを活用することなどによりまして、所得や資産の捕捉の効率化、適正化を図っていると承知をしております。

 また、こっちは国税当局の方の利便性でありますけれども、納税者の利便性を向上させるためには、例えば、事業者から国税庁に提出された源泉徴収票をマイナポータルに連携させることによりまして、本年から、納税者が電子申告をされる場合には、給与所得の手入力を不要にするなどの取組を行っているところでございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 是非、私から御提案なのが、とにかく、インボイス制度の質問を以前させていただいたときに、大臣も労務的なコストが高まっているという御認識は一緒であるというところだったと思うんですけれども、本当に、税を取っていくという形がどれぐらい中小企業、特に小さい会社になればなるほど御負担になっているのかということを考えると、本当に、その一つの形として、例えば今なら会計ソフトであったりとか、そういったものを連動するのも、国主体でやっていくのであれば、私は、もっともっと、仕事をしていくということに対して付加価値を持ってやれる人、またそれに集中してやれる人、増えてくるというふうに思っておりますので、そういったところも是非観点に入れていただければと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。

津島委員長 これにて沢田君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の伊東信久でございます。

 議題であります所得税法等の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 先週、本会議において、本件について会派を代表して私が質問させていただきましたが、ちょっと不十分だという回答も多々ありましたので、この時間内で確認の質問をさせていただきたいと思います。

 まず、政治団体への課税についてお尋ねしたいんですけれども、本会議において、政治活動の課税のルールを整理し、政治家の納税意識を是正する必要性を確認しました。お答えとしては、政治団体が資金を集めることを目的としたパーティーを開催して会費を受け取る行為は、法令に規定された収益事業のいずれにも該当しない、課税関係は生じないと解釈されているとの回答でしたけれども、私が求めたのは、現行制度の確認ではなくて、政治家の課税ルール自体を考え直すべきという主張がベースとなっております。

 関連してお聞きしたいのは、その次の日の水曜日の予算委員会集中審議でも、また政治と金に関する質疑をさせていただいたときに、残念ながら、その際、時間切れで質問できなかった内容なんですけれども、岸田総理が令和四年六月に出席された内閣総理大臣就任を祝う会で、主催が任意団体という説明がありました。

 そこで、この財務金融委員会では、任意団体の納税の義務の有無、そして、その納税義務の有無の基準、あと、この内閣総理大臣就任を祝う会を主催した団体に納税義務があるのか、令和四年六月を含んだ会計で、かつ納税したのか、財務大臣の方からお分かりのことを教えてください。

鈴木国務大臣 国税の個別事案についての賦課徴収に関する権限、これは、税務行政の中立性を確保するという観点から、一義的に国税庁に委ねておりますので、お尋ねの点でありますが、国税庁の方からお答えをさせていただきたいと思います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事柄につきましてはお答えは差し控えさせていただきますが、その上で、一般論として申し上げますと、仮に、ある任意団体が人格のない社団等に該当する場合には、法人税法上、収益事業から生ずる所得について法人税が課されることとなるということでございまして、この収益事業とは、法令に規定された三十四種類の事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいうとされてございます。

 個々の事実関係にもよりますが、一般論といたしまして、人格のない社団等が、政治家の応援を目的とし、興行に当たらない祝賀パーティーを開催し、会費を受ける行為は、この三十四の事業のいずれにも該当するものがないため、法人税の課税関係は生じないと解されているということでございます。

伊東(信)委員 ちょっと、腑に落ちているというわけではないんですよね。

 だから、本当に、政治資金規正法に関する話であるのか、実際に収益事業に当たるのかということで、収益事業であれば、国税庁もしっかり納税の義務を課してほしいなということなんですね。個別のことに関してはお答えできない、それは分からないでもないんですけれども、国会の場において、こういったところをはっきりさせていくところが大事なことだと思います。

 大事なことは、政治団体及び個人に帰属する支出を明確に分ける、明らかになっていくような制度変更を進めていくべきだと考えるんですけれども、税を所管する立場の財務大臣の立場からはどのように考えられていますでしょうか。

鈴木国務大臣 政治団体は、法人税法上、公益法人等又は人格のない社団等に該当をいたしまして、収益事業から生じる所得について法人税を課すこととしております。

 そして、政治団体が政治資金を集めることを目的としたパーティーを開催した場合ですが、会費を受け取る行為は、法令に規定された収益事業のいずれにも該当せず、現行法令の下では課税関係は生じないと解釈されております。

 三十四書いてあります収益事業に、そこを変更して、この収益事業に当たるようにすればどうかという御議論もございますが、その新たな収益事業の追加を検討するに当たりましては、他の公益法人等において行う類似の事業に課税した場合にどのような影響があるのか、営利企業との間で競合関係が生じ、収益事業として課税しなければ公平性が毀損されるかどうかといった点について検討する必要があると考えております。

 いずれにしましても、政治資金の問題につきましては、各党間において真摯に検討して、適切に対応して国民の理解と信頼を得る必要がある、そのように考えております。

伊東(信)委員 本会議においての答弁とそんなに変わっていないわけで、政治資金規正法であればおっしゃることは分かるんですけれども、そうじゃなくて、任意団体であれば収益としてみなされても仕方ないでしょうということです。

 政治資金規正法を所管する総務省の立場から、今のやり取りに対しての御所見をちょっとお伺いします。

船橋大臣政務官 一般論として申し上げますと、政治資金規正法において、政治団体の会計責任者は、毎年十二月三十一日現在で、政治団体に係るその年の全ての収入等を記載した収支報告書、これを作成をいたしまして、都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出をしなければならないと規定されてございます。そのため、政治団体の収入であれば、収支報告書にその旨を記載をしていただく必要がございます。

 個別の収入が、政治団体の収入であるのか、政治家個人の収入であるのかにつきましては、具体の事実関係に即して判断されるべきものと考えてございます。

 御指摘のような、制度改正を含む政治資金の在り方につきましては、政党、政治団体や公職の候補者の政治活動の自由と密接に関係してございますので、立法府において御議論をいただくべき問題と考えてございます。

伊東(信)委員 この問題は、政治資金規正法に関して突っ込むと、これは政治資金規正法だから修正が必要と。ところが、今回の裏金問題も、これが個人の所得であったかどうか、その使い方がどうだったのかということが問題になっているわけで、ここにやはり税務調査をする、しっかりとした調査をするということで、今国会も、あした以降、またステージが変わっていきますので、それを注視していきたいと思います。

 もう一つ、このことに関連して、政治団体の親族への引継ぎについて、これもちょっと本会議でもお聞きしたので。

 親族間の政治団体やその資金の承継について、規制若しくは課税を行う必要性についてお聞きしたんですけれども、ある政治団体の代表者が死亡した後、その親族者が代表になり、政治団体を引き継いだとしても、その政治団体が保有する財産は代表者個人が取得したものではないから相続税の課税関係は生じないということなんですけれども、悪用とまでは言わないですけれども、そのたてつけで、実質的には、やはり隠れみのとして資金の継承が行われると指摘されても仕方がない状況にあると思うんです。この制度の下では、やはり世襲が起こりやすくて、政治の既得権益化が起こりやすい構造になっていると思います。

 今まさに、今までのというか、前国会とかちょっと前の国会での質疑と違っていまして、今回の自民党のパーティー券不記載問題というのは、我々野党も、政治家に対する、政治に対する国民の不信に対して、本当に危機感を覚えないけないと思っております。逮捕者や起訴される国会議員も出ていますし、政治家が代表を務める政治団体でも、現行制度では、資金を含めた引継ぎが親族に対して可能な制度になるわけですよね。だから、今、責任を取って辞められたとしても、その政治団体の資金をその親族が引き継ぐことができるわけです。

 今申し上げた観点から、政治団体やその資金の継承について、やはり変えていく必要性と私は思うんです、私は。維新の会も思っています。税を所管する財務省の立場から財務大臣、政治資金規正法を所管する総務省の立場から、それぞれの見解をお伺いします。

鈴木国務大臣 本会議での答弁と同趣旨になるわけでありますけれども、ある政治団体の代表者が死亡した後にその親族が代表者になり、政治団体を引き継いだとしても、その政治団体が保有する財産は代表者個人が取得したものではないことから、相続税の課税関係は生じないものと承知をしております。

 この代表者の地位の承継に対して相続税を課税することについては、相続税は財産を取得した個人に対して課せられることが原則であることに加えまして、政治団体以外の団体における代表者の地位の承継とのバランスなどを十分に考えて検討しなければならないと思っております。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 政治資金につきましては、相続と異なりまして、親族に対して当然に引き継がれるというような類いのものではないというふうに理解をしてございます。

 政治家が引退したときなどに、団体を存続する場合の代表者の選任につきましては、その団体の規約などに基づき当該団体において決める内部の問題と認識をしてございます。

 現行の政治資金規正法上では、政治団体の代表者について、選任要件、資格に関する規制は設けられてございません。政治団体の在り方などについては、政治活動の自由に関わることでございますので、立法府において御議論をいただいてきたものと承知をしてございます。

伊東(信)委員 恐らく、これ以上御質問しても同じような回答の繰り返しになると思いますので、この内容についてはこの辺りで止めますが、国民においての政治不信、この分かりにくい政治資金規正法に関するたてつけに関しては、やはり議員の特権として見られているところがあります。せめて、今回問題になった方々には、税務調査が入るなり、何かしらの本当に方策を打たないと、政治不信はもう高まる一方だというところをまず指摘しておきたいと思います。

 では、ちょっと話を変えまして、研究開発税制について御質問をしたいと思います。

 本会議において、研究開発投資について、そのときは米国と韓国と日本の差をお聞きしました。資料一を見ていただきたいんですけれども、今回、この研究開発税制に関して、従前よりも研究開発費の割合が減少した場合でも、研究開発投資を継続するインセンティブになるように一定の割合まで税額控除を認めてきたところですけれども、研究開発投資のインセンティブの更なる強化のために、令和六年度税制改正では、研究開発費が減少している場合の控除率を引き下げるということです。

 財務省の資料によると、一般型に関して、オープンイノベーション型の税制の話がありまして、このオープンイノベーションというのは、単独の研究ではなくて、いろいろなところと協力し合いながら、アカデミアと企業であったりとか、協力し合いながらという話なんですけれども、今回問題になっているのはイノベーションボックスなんですね。つまりは、特許に関するところの税制措置でありまして。

 私、今三期目なんですけれども、今回当選する直前まで大阪大学の招聘教授というのをやっていました。そこは国際医工情報センターということで、医工というのは医学部と工学部の講座なんですね。つまりは、医療と基礎との橋渡しの講座をやっていたんです。実学、つまり、結果の出やすいところの研究開発に投資すべきか否かという話にはなるんですけれども、なかなかそんな簡単なものではなくて、目利きがそもそもあるのかどうかというところなんですね。

 ドラマとか、例えばそれこそ「白い巨塔」であったりとか「ドクターX」であったりとか、外科医というのはなかなか、私も外科医なんですけれども、花形のように見られるんですけれども、やはりベースにあるのは研究であるんですよ、大学病院というかアカデミアの場合は。つまりは基礎的な研究であって、幾ら手術がうまくても、それは職人の技として見られるわけで、サイエンス、科学としては捉えられない。何が言いたいかというと、それが何かしら特許になる、新しい手術の技術を身につけても特許になるというわけじゃなくて、じゃ、そのときに使うデバイス、医療機械は特許の対象になったりするわけなんです。

 こういった特許の対象になろうと思うと、まず既存の研究開発をやって、そこから付随してやっとこの税制の恩恵を被るということで、大企業とかがやはりベースになってくるんですね。つまりは、スタートアップ企業とかベンチャー企業が新しい研究開発を、何かと研究開発を協力しようとしても、なかなか簡単ではないわけです。そのことを私自身が大学にいたときに痛感しました。

 私自身、開業医でもあったから、招聘教授であって、行ったり来たりすることができたんですけれども、もちろんというか、そのときは本当に無報酬でやっていたんですね、その研究のために。だけれども、私自身の無報酬はいいとしても、やはり、ほかの研究者においては、そういったところではなかなか生活もできないし、十分な研究開発ができないと思います。

 この研究開発税制のめり張りをつけることが必要で、めり張りについて本会議では詳細にはお答えいただけなかったので、このめり張りとか控除率の引下げの具体的な中身について、財務大臣からお願いいたします。

鈴木国務大臣 研究開発税制でありますけれども、令和五年度税制改正におきましては、研究開発投資を増加するインセンティブを強化するために、試験研究費が一定程度減少した場合の控除率を引き下げるとともに、増加した場合の控除率を引き上げるなどの見直しを行ったところであります。これは令和五年度であります。

 その上で、令和六年度税制改正では、研究開発投資を増加するインセンティブを更に強化するために、研究開発費が減少した場合の控除率を段階的に引き下げることにより、めり張りづけを強化することとしております。

 研究開発税制については、こうした改正の影響を見極めつつ、政策効果が一層高まるように、EBPMの観点も含めながら、今後もこの必要な見直しを検討してまいりたいと考えます。

伊東(信)委員 最終的に、それが本当にいかに益になるかというところになってくるとは思います。ただ、今は、インセンティブになるようにするためには、研究者と、製品であれば企業であったり、我々医療だったら医療と基礎との間に、本当に深い溝というのがやはりまだあります、デスバレーとか死の谷とかという言い方をされるんですけれども。そういうところを手厚くできるような方策を考えていただければと思っております。

 それでは、次は賃上げ促進税制に関してお聞きしたいと思います。

 本会議において、生産性の向上を伴わない賃上げは、設備投資額の上振れや研究開発費の減少を通じて将来的な生産力の足かせとなり、来年以後の賃上げを停滞させる原因のおそれがあるのではないかと確認させていただきました。

 今回、資料二にあるんですけれども、生産性の向上のための具体策として、中小企業の生産性の向上につなげるのに、今回の賃上げ促進税制というのにちょっと疑問があるわけなんですね。

 中小法人の赤字が六割という状態で、赤字法人が五割の減税を繰り越せるという、前例のない、こういった措置を行う今回の内容は一定程度評価するんですけれども、中小企業の生産性向上のための賃上げ税制がどのような貢献をしていくのか、この関連を見極めることは重要と考えますので、政府が目指す生産性向上がどのような効果を見込むものなのか、これは経済産業省からお答えいただけますか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の生産性向上に向けた取組ということの御質問でございます。それと効果でございます。

 中小企業の生産性向上に向けた取組、様々ございますけれども、代表的なものとして、令和元年度より中小企業生産性革命推進事業というものを実施してございます。これまで約四十一万件を採択しております。

 例えば、生産性向上の代表的な施策であるものづくり補助金がございます。革新的な新製品、サービスの開発や生産プロセスなどの省力化を通じた付加価値額の向上を効果として見込んでおります。

 データが蓄積されている令和元年度より前にものづくり補助金に採択された事業者に関しまして、毎年提出される事業化状況報告書を分析いたしました。その結果、付加価値額が増加した事業者数は約六割でございました。

 中小企業で働く労働者数全体の推移を勘案いたしますと、ものづくり補助金の効果として付加価値額が増加した事業者数が増加したということは、労働生産性が向上していると推測されます。引き続き、生産性向上のために必要な支援に取り組んでまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 今のお話を聞くと、やはり違和感を感じるのは、この資料二でありますように、時間当たりの労働生産性というのは日本はOECD加盟三十八か国中三十位で、一人当たりの労働生産性も三十八か国、三十一位で、製造業の労働生産性は三十四か国中十八位で、やはり、それぞれの労働者に対する、モチベーションが上がっていない気がするんですね。

 今回も賃上げ税制を見直ししているわけなんですけれども、今回の改正で一兆円を超える巨額の減税が見込まれるものの、企業がより踏み込んだベースアップに挑戦するインセンティブにはやはりならない気がします。じゃ、それで生産性が上がらない、賃金が上がらないということに結局なりかねないというところなんですね。

 この関連資料の三を見ていただきたいんですけれども、大企業に関しては現行で四%以上が上乗せ要件になっています。三%が基本要件、四%が上乗せ要件になっています。資料四なんですけれども、その上乗せ要件以上の賃上げをしている企業が、令和四年度時点でもう既に八三・二%なんです。中小企業に関しては、二・五%以上が上乗せ要件になっていますけれども、こちらだと九二%が上乗せ要件以上の賃上げをしていることになるんですよね。ですので、やはりちょっと上乗せ要件としては甘いんじゃないかということを考えてしまいます。

 やはり、物価高にあって賃上げした、コストプッシュ型のインフレであるわけですから、自然に物価高に対して賃上げしているのに、その数字が結局上乗せ要件を上回ってしまった。だから、賃上げ税制の効果というよりは、物価高で賃上げしたら、運がいいことに賃上げ税制の恩恵を受けたという、本当に何のための賃上げ税制なのか、鶏が先なのか卵が先なのか、本当に分からない状態が起こっているということを考えるわけなんです。

 より一層経済を好循環させるには、目標値自体をもっと大きく持った方がいい、そういった議論も必要じゃないかと指摘したいと思います。今までの三%の基本要件も今回維持されましたので、企業のインセンティブはやはり余り増えない。基本要件を、例えば四%とか五%というような、めり張りの方が効果があるのではないかと思います。

 先ほどの経産省の後追い調査の情報収集の件とも併せて、財務大臣からの御所見をお伺いします。

鈴木国務大臣 賃上げ促進税制の効果ということでありますが、令和四年度の税制改正から抜本的に拡充をされてまいりましたが、幅広くの企業の賃上げに活用されてきたと私ども認識しておりまして、三十年ぶりとなる昨年の高い賃上げにも一定程度この税制が寄与しているものと考えております。その上で、物価上昇を上回る持続的な賃上げを実現するという観点からは、賃上げのインセンティブの更なる強化、これが必要であると考えております。

 そのため、今回の改正に当たりましては、大企業に対しては、既存の要件である三%や四%の賃上げを行った場合の控除率を引き下げつつ、段階的に七%までの更に高い賃上げ率の要件を創設するなど、思い切った強化を行うこととしております。

 企業におきましては、新たに強化される本税制を活用して、賞与や一時金だけではなく、ベースアップによって強力に賃上げを実現していただくこと、そのことを期待をしているところでございます。

伊東(信)委員 どうでしょうかね。やはり、私も経営する立場として、やはり大企業が恩恵を被るような気がしてならないんですね。

 先ほどのデータの話、経産省にお聞きして、そのことも踏まえてということやったんですけれども、改めて、企業の生産性向上について、そもそも経産省はデータ集計を行っているんでしょうか。本当に、具体的にどのようなものを収得しているか、数値が分かれば、経産省、教えてください。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の生産性向上に関するデータでございます。中小企業庁におきまして中小企業実態基本調査というのを行っております。ここにおきまして、従業者一人当たりの付加価値額、労働生産性を算出してございます。中小企業の従業者一人当たりの付加価値額は、二〇二一年度で五百八十一万円でございます。二〇二〇年度の五百二十一万円や二〇一九年度の五百四十二万円と比べますと改善傾向にございます。

 この中小企業実態基本調査は、中小企業十一万社を標本とした一般統計調査でございますけれども、今後も、中小企業に関するきめ細かいデータを収集、分析して施策の効果検証や見直しにつなげるなど、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 やはりそういったところで、本当に、日本の企業のほとんどが中小企業であるわけなので、大企業に手厚いというよりも、中小企業の本当に生産性を向上させ、そしてかつ賃上げが実現できるような、そういった更に深い、踏み込んだ税制を是非とも議論していただきたいなと思います。

 そういった企業なり賃上げのところというのは少子化対策にも関連してくるわけです。本会議でも質問させていただいたんですけれども、ずばり本当に、この扶養控除の引下げというのは、少子化対策全体の効果を減ずるために、やはり思い切って中止する必要性もあるのではないかなと思っております。この扶養控除の引下げ全体が、本当に直接的に少子化対策全体の効果を減ずるというところまでなるのではないかなと思っています。

 児童手当を高校生までやるということを、本当にバーターのようにされているような気がするんですね。高校年代に支給される児童手当と併せて扶養控除を減らすとしても、プラスになるように制度設計しますというような答弁をされていたわけなんですけれども、子育て、少子化対策、異次元とおっしゃるわけですから、ちょっとしたプラスという発想ではなくて、本当に、これだけの取組を、国民の皆さん、支援しますという姿勢をやはり国民は求めていると思います。

 今の感じだったら、本当に、アクセルとブレーキを両方踏み込んでいるような、そういった中途半端な姿勢というように感じているんですけれども、改めて、財務大臣、今回の扶養控除引下げに関して御所見をお伺いいたします。

鈴木国務大臣 政府として同じ趣旨のお答えになってしまうわけでありますけれども、十六歳から十八歳の扶養控除の見直しにつきましては、政府税制改正大綱におきまして、高校生年代に支給される児童手当と併せて、全ての子育て世帯に対する実質的な支援を拡充するよう見直す方針とされておりまして、扶養控除の金額自体は縮小することにはなったとしても、児童手当の拡充と併せることで全ての子育て世帯にとって受益が増加することとなりますので、アクセルとブレーキを同時に踏むという御指摘は当たらないのではないかと考えております。

 その上で、子供、子育て政策につきましては、昨年末にこども未来戦略を取りまとめ、三・六兆円規模に及ぶ抜本的な政策強化の具体策をお示ししております。

 先生御指摘の児童手当の抜本的拡充を始め、これだけではないわけでありまして、加速化プランに盛り込まれた幅広い支援策について、スピード感を持って実行に移していく考えであります。こうした全体像、この全体像が国民の皆さんに伝わるように、こども家庭庁を始め政府全体として丁寧に発信、説明をしていくことが重要であると考えております。

伊東(信)委員 アクセルとブレーキという表現を使ったのは、自動車でいうと、どちらも相反する行為ですよね。スピードを加速するのか、ストップするためにブレーキを踏むのかというところなんですけれども、こういった子育て対策に対しても、配るのではなく、やはりそもそも集めないという発想に転換していただきたいなという思いがあります。

 そんな中で、また本会議と同じような答弁になっちゃうかもしれないんですけれども、まずお聞きいたします。

 本会議では、子供が多いほど税負担が軽減される世帯単位課税、いわゆるN分N乗方式の導入についてお尋ねしました。高額所得者、とりわけ片働き世帯に大きな利益が生じたり、多額の減収が見込まれることを考えたら、我が国への導入は極めて慎重な検討が必要だ、低中所得者層にも効果が及ばないとおっしゃっていただいたわけなんですけれども、日本の所得税は個人単位で課税していますけれども、N分N乗方式を導入すれば、やはり世帯単位で課税がされて、資料にお示ししましたように、例えば共働き夫婦子供二人のイメージでいくと十六万七千五百円の減になりますし、片働きで夫婦子供二人で六百万円の年収のところでは四十六万五千円の減になります。

 今まさにこの将来の人口構成を見据えた少子化対策として検討すべき税制だと考えますけれども、財務大臣に改めて御所見をお伺いします。

鈴木国務大臣 御指摘のN分N乗方式でありますけれども、これは、フランスで導入されている所得税率の累進性を緩和することができる仕組みであると承知をいたしております。

 しかし、我が国では、約三割の世帯において所得税が非課税となっているほか、納税者の中でも五%の最低税率が適用されている方々が約六割おられるということでございまして、これらの方々については累進緩和の効果が全く及ばないということになります。一方におきまして、高額所得者、とりわけ片働き世帯に税制上の大きな利益が生ずる、そういうことになるわけでございます。

 さらに、このN分のN乗に移行する場合は世帯単位で課税となるために、家族がお互いそれぞれの所得を明らかにした上で共同申告をする、そういうような必要も出てまいります。

 こういったことの課題があるわけでございまして、これらの点を踏まえれば、我が国にN分N乗方式を導入することについては極めて慎重な検討が必要となる、そのように考えております。

伊東(信)委員 まあ、慎重であっても構わないんですけれども、是非とも私としては検討していただきたいなと思います。

 今回の争点としましては、やはり少子化対策なわけですから、こういったところでN分N乗方式を採用することによって、税額の減収はありますけれども、それをまた歳出の方で改善するなり、やはり、工夫を凝らしてこの子育て世代に何かインセンティブが生じるような税制がないかというところで、N分N乗方式は優れていると思います。税の公正性という意味でいろいろ問題はありますけれども、慎重で構わないので、導入に対しての検討をしていただければと思います。

 財務大臣、その際に、世帯によるそれぞれの収入の申告というお話をされていましたけれども、家族間でそれは、うちなんかでも夫婦間で収入がまた違う仕事をやっているので、もめる元にはなるかもしれないんですけれども、というても、税を徴収するとすると、そこの辺はやはりしっかりと明らかになるべきものだと思っております。

 そういう中で、デジタル歳入庁についてのお話もちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、政府からは、新たな組織をつくるということでなくて、行政機関の間のデジタルによる連携、マイナンバー制度を通じた正確な所得情報等を、給付すべきという話です。国民の皆様にあらかじめ公金受取口座を登録いただくことで迅速に、考えてみたいということでしたけれども、デジタル歳入庁は、本当に、結党以来我々維新が従来主張してきた歳入庁に代わる組織なんですね、一つの行政の新しい組織をつくるというわけじゃなくて。そこにデジタル化と、先ほど我が党の沢田議員もDXとデジタル化の話をしましたけれども、まずデジタル化してマイナンバーを活用する。こういったところで、個人から見ると強制的に徴収されるという感もありますけれども、社会保険料も税金とほとんど同じだと感じているわけです。

 だけれども、資産が幾らあってということを一元的に管理して、本当に必要な人がどこにいるかということを見極め、素早く給付だったら給付する、減税するなら減税する、減税し給付するというなら給付つき税額控除とやはり一緒の観点から考えまして、国家としてセーフティーネットがきっちりと機能するインフラをつくろうというのが我々の考えなんですけれども、ちょっと時間になりましたので、最後に財務大臣にデジタル歳入庁設置の検討をお聞きします。

 時間がないので、もうテクニカルなことはいいので、最後、財務大臣の御所見だけでいいです。

鈴木国務大臣 デジタル化の時代で、これから様々、行政の組織もデジタルでやっていこうということが大きな流れであります。

 そういう中で、徴税等についてもデジタル化を図っていくということは先ほど答弁したわけでありますけれども、新しい省庁をつくるということについては、これはその必要性、今あるものとの重複がどうなっていくのかという観点から十分な検討が必要ではないか、そういうふうに思います。

伊東(信)委員 デジタル庁、済みません。時間なので終わります。

津島委員長 これにて伊東君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 株価が過去最高の水準に上昇しています。一方で、倒産も増加傾向にあります。実質賃金は二十一か月連続マイナスというふうに、日本経済は大変いびつな姿と今なっています。富裕層と低所得者層の間の所得及び資産の格差が、より一層拡大している状況です。

 今日は、政府の進める給付金、定額減税一体措置について質問します。

 今回の定額減税の目的は、賃金上昇が物価高騰に追いついていない国民の負担を緩和するためとされ、岸田総理は施政方針演説で、春からの賃上げに加えて、六月からは一人四万円の所得税、住民税減税を行い、可処分所得を下支えしますというふうに述べました。

 鈴木大臣にお伺いしますけれども、可処分所得が上がらなかったら再度減税をするということでしょうか。

鈴木国務大臣 定額減税でありますが、これを実施することによりまして、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくっていきたい、そのように考えておりますけれども、この点、政府経済見通しや民間エコノミストの見込みでは、令和六年度の賃金上昇率は物価上昇率にほぼ追いつく姿が描かれておりまして、さらに、これに定額減税等が加われば、今年、所得の増加が物価上昇を上回る状況をつくるという、政府が期待をしている効果を発現できるのではないかと考えているところであります。

 その上で、今年の賃上げや所得増を来年以降にもつなげて、物価上昇を上回る持続的で構造的な賃上げが行われる経済の実現に向けて各種の施策を講じることとしておりますので、定額減税を複数年にわたって実施することは想定をしていないところであります。

田村(貴)委員 大臣のお答えは希望的観測にすぎないというところですね。目標の達成は関係ないというふうに受け止めました。

 低所得者層ほど物価高に苦しんでいるわけであります。日本政策研究センターのレポートも、次のように述べています。基礎的支出の割合やエンゲル係数が高い低所得者では物価上昇の実感が大きく、消費者心理も大きく押し下げている、その結果、全世帯数の七割弱を占める所得五百万円以下での消費活動が停滞傾向を強めている要因になっている、このように指摘しているわけです。

 鈴木大臣も同じ認識でしょうか。そうであるならば、なぜ一律一人当たり四万円の所得税、地方税の減税なんでしょうか。賃上げが物価高に及ばない所得層に対しては、より手厚い支援が必要ではないかと考えますが、いかがですか。

鈴木国務大臣 今回の所得税それから個人住民税の定額減税の一人当たりの減税額についてでありますが、これは、令和二年度から令和四年度への所得税、住民税の税収増に見合う規模とすることなどを勘案いたしまして四万円としたところであります。

 この定額減税につきましては、所得の低い方々ほど高い割合の減税となるため、所得の低い方々により配慮しているという面もあると考えております。

 その上で、物価高に最も切実に苦しんでおられる低所得者の方々には、住民税非課税世帯等には一世帯当たり合計で十万円、さらに、こうした世帯に子供がいらっしゃる場合に子供一人につき五万円加算するなど、給付で迅速に対応することといたしております。

 こうしたことから、今般の定額減税や給付金は低所得者に対しましても配慮をした設計になっているものと考えております。

田村(貴)委員 給付金も少なければ、減税額も少ない。だから、これは内閣の支持率それから経済対策に対する世論調査にももう端的に表れているじゃないですか。大臣は給付金の加算の話をされましたけれども、ある程度所得のある世帯でも物価高騰に本当に苦しんでいますよ。

 所得税、住民税の定額減税制度について、最初に伺います。

 今回の給付金、定額減税は、政府の資料にあるように、資料一枚目を御覧ください、一体措置とされて、収入の区分に応じて給付金か減税か、これが受けられるようになっているわけです。

 そして、その裏面、資料二を御覧ください。内閣官房の自治体向けの概要資料の一部であります。しかし、低所得者向け給付と定額減税・調整給付については重複調整しない、重複調整しないとされています。

 給付金と減税を重複して受けられるケースがあるんですか。鈴木大臣は、そのようなケースがあることを御存じでしたか。また、重複があるならば、どのぐらいの人が対象になるのか。お答えください。

鈴木国務大臣 定額減税につきましては、物価高を上回る所得を実現するため、本年の六月から実施することとしている一方で、給付金措置につきましては、物価高に苦しんでいる住民税非課税世帯等に対し、迅速に給付を行っているところであります。

 このように、定額減税と給付金措置の実施時期や制度趣旨等が異なっているため、納税者の状況によっては双方の制度の対象となるケースもあり得ると承知をしておりますが、その具体的な世帯数や人数については、政府として把握をしていないところであります。

田村(貴)委員 給付と減税がダブる、こういうケースもあるということが確認されました。

 資料三を御覧ください。世帯収入水準と各措置の対応関係をこの表は示しています。

 例えば、夫婦二人の小学生子供の四人家族が、二〇二三年度、住民税均等割非課税あるいは住民税均等割のみ、つまり、年収二百七十万円、ここに二百七十万円程度と書いていますが、年収二百七十万円程度以下の収入であれば、一世帯七万円の低所得者給付金を受給できます。

 その後、本年、二〇二四年、収入が増えたとします。収入が増えて所得税の対象となれば、定額減税がその対象となってきます。例えば、夫の年収が二百万円とした場合に、定額減税の対象となりますよね。

 また、この構成家族のケースで、年収が幾ら以上だと定額減税の対象になるのか、それも教えてください。

青木政府参考人 委員の御質問いただきました、夫婦片働きで小学校のお子さんが二人の四人家族につきまして、社会保険料等につきまして一定の仮定を置いて計算いたしますと、給与収入二百万円の夫の方につき、令和六年分の所得税額が生じますので、所得税の定額減税の対象となるものと見込まれます。

 同様の世帯構成でございますと、夫の令和六年分の給与収入金額が約百七十万円以上である場合には、所得税の定額減税の対象になるものと考えております。

田村(貴)委員 百七十万円程度から二百七十万円程度の年収だと、給付金と減税の二つの支援が受けられるということなんですね。これは私は初めて知りました。

 支援金も減税も、支援は私は厚くあってしかるべきだと思っています。しかし、どちらの支援も受けられないケースもあるんじゃないですか。

 同じ夫婦と子供二人の家族事例について、先ほどのケースですね、二〇二三年度、二〇二四年度で住民税所得割を納税している場合、つまり、二百七十万円程度以上の場合は、給付金の対象ではありません。

 もし、今年、二〇二四年、夫の収入が仮に百二十万円に減少した場合、定額減税は対象となるのですか、対象とならないのですか。若しくは、収入がゼロまでなったとした場合は、定額減税は対象となるのか、このケースについても回答してください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が御指摘いただきました状況におきまして、一定の仮定を置いて計算いたしますと、令和六年分の夫の給与収入が百二十万円でございますと、令和六年分の所得税に基づく所得税の定額減税の対象とはなりません。あわせまして、年収がゼロになった場合も同様でございます。

 他方で、令和五年分の所得に基づきます令和六年分の個人住民税の定額減税の対象とはなります。

田村(貴)委員 収入が減った、いろいろな要因で収入が減った、だけれども減税の対象にならないということですね。そして、収入がゼロになっても定額減税の対象にならないということです。

 給付金も定額減税も受けられない可能性があるということです。これは余りにも不公平ではないですか。制度として問題があるんじゃないですか。給付金と定額減税の基準年、基準日が違うために、どちらも対象となるケースがあり、どちらも対象とならないケースが生まれます。

 大臣は、この事実を、総理が減税方針を打ち出したときに認識しておられましたか。

鈴木国務大臣 そのときはまだ制度設計が始まる前でありましたので、認識をしておりませんでした。

田村(貴)委員 どちらも対象にならない、減税も給付金も受けられない、このはざまを放置するのは問題であります。対策を打つべきだと思います。

 資料四を御覧ください。内閣官房の自治体職員向けのQアンドAであります。

 ここで想定しているのは、二〇二二年、所得が少ない世帯は、二〇二三年度に住民税非課税世帯の対象となって給付金が受けられます。しかし、二〇二四年、所得が向上したとします。そうしたら定額減税が受けられるようになります。

 このQアンドAでは、実施時期や制度趣旨に違いがあるとして、それぞれの要件に該当したことによって、それが直ちに不公平であるとは考えていないと。給付金も定額減税もあっても、それは不公平と考えていない、そういうふうに回答しなさいというふうな指示になっています。

 これは、給付金と定額減税に限った話ではないんです。定額減税を二回受け取るケースもあるんです。

 「個人住民税の定額減税に係るQ&A集」というのがあるんですけれども、これによれば、同一生計配偶者に係る定額減税について二年間とも適用が受けられる場合があるのではないかとの質問に対して、総務省自治税務課は、二年間とも適用が受けられる場合は生じ得る、このように回答しているわけです。

 大臣、御存じでしたか。

鈴木国務大臣 今御指摘の、個人住民税において定額減税を二重で受け取るケースということにつきましては、ごく限定的な場合に生じるものと承知をいたしております。

 具体的には、令和五年に一定所得を得ていた方が、その所得を基に令和六年度分の住民税から減税を受けた後、令和六年に合計所得一千万円超の納税者の同一生計配偶者となった場合、その納税者の令和七年度分の住民税から減税を受けるといったケースなどが把握されていると承知をいたしております。

 この例外的なケースを防ぐには、前年に定額減税を受けたかどうかの情報を自治体間で網羅的に引き継ぐ必要があり、膨大な事務コストが生じることを踏まえ、これを認める制度設計が総務省においてなされているものと承知をしております。

田村(貴)委員 全てが、こういう制度設計からもたらされた矛盾であるんですよね。

 一つお伺いしたいんですけれども、どちらも対象にならないはざま、ここにおられる人たちはどうするんですか。見直すべきではありませんか。いかがですか。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど財務省主税局長の方から答弁がございましたように、先ほどの百二十万ケースについて改めて御説明申し上げますと、当該世帯の場合、社会保険料等につきまして一定の仮定を置いて試算しますと、答弁にございましたように、令和六年分の所得税は発生しない。したがいまして、令和六年分所得に基づく所得税の定額減税の対象とはならないということでございますけれども、これもまた御説明ございましたように、令和四年分、五年分の所得に基づいて、令和五年分、六年度分の住民税所得割が課税になるという場合には、住民税非課税世帯に該当せず、令和五年分所得に基づく個人住民税の方の定額減税に対象となるということが見込まれます。

 この個人住民税の定額減税の対象になりますものですから、定額減税し切れなかった額についての調整給付の方では対象となります。したがいまして、給付がもらえないということではないというふうに承知してございます。

田村(貴)委員 支援額に違いが出てきますよね。そうした問題が残ります。

 世帯構成やそれから所得によって、両方の支援を受けたり、あるいは全く受けられなかったり、定額減税でも二年間適用されることもあるんです。これ、今度の国税審議に当たって、私も初めて知ったんですよ。なぜこんなことが起こるのか。やはり制度に問題があるわけですよ。

 岸田総理が、例えば、防衛予算の財源確保法、軍拡財源法で増税が打ち出された。子育て支援とか、あるいは社会保障で実質負担増になると。こうしたところで、増税岸田政権の批判が国民的に高まったんですね。そうしたら、去年、岸田総理は突如減税を持ち出してきた。急いでこういう制度をつくるから、様々な問題と矛盾が出てくるんじゃないですか。とても物価高騰対策として十分に検討された制度とは言い難いと言わざるを得ません。国民負担の軽減策を考えるものだから、しっかりと国民生活を見て考えないものだから、制度が支離滅裂になってまいります。

 それで、今後、企業の経理とか、それから市町村では混乱が起こってくるのではないか。様々なケースが想定されるんですけれども、様々な国民の不満や問合せも出てくると思います。こういうことについて、ちゃんと対応できるんですか。大臣の見解を伺います。

鈴木国務大臣 この定額減税を考えたときも、きちっと定額減税として引き切れる人、あるいは、引き切れない層については給付で行う、そのはざまの人につきましても、公平感というものをきちっと持って対応するというのが基本的な考え方でございます。

 そういうことで、我々としましても、そういういろいろな取扱いが違ってくる例があるわけでありますので、そういうことにつきましては、地方自治体等に対してしっかりとお知らせをして、周知をして、対応をしていただくための努力をしていきたいと思います。

田村(貴)委員 もう既に制度がスタートして始まっていますから、矛盾と問題点は克服してください。それから、可処分所得を上げるというんだから、それに応じた対策を行ってしかるべきです。

 最後にお尋ねします。

 ドメスティック・バイオレンス、DVを受けてシェルターに避難しているケースについてお伺いします。

 例えば、夫が暴力を振るって、妻と子供が避難しているとします。この世帯が二〇二三年度で住民税均等割非課税世帯若しくは住民税均等割のみの世帯の場合、夫は低所得者給付を受け取ることになります。では、避難している妻は給付金を受け取ることができるのでしょうか。その場合、子供加算はどちらにもつくのでしょうか。

 また、この世帯が住民税所得割の課税世帯の場合、夫は定額減税を受けることになります。では、避難している妻はどうなるのでしょうか。給付金を受けることができるのでしょうか。また、妻や子供の分の扶養認定による減税を受け取ることができるのかどうかについて、答弁をいただきたいと思います。

津島委員長 内閣府佐々木地方創生推進室次長、時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の住民税均等割非課税世帯及び住民税均等割のみ課税世帯への給付につきましては、原則として基準日における世帯の世帯主が対象となりますが、基準日におきまして妻がDV避難者である場合には、居住実態がある自治体に申出をすることにより別世帯の世帯主として取り扱い、支給要件を満たすのであれば、これらの給付金及び子供加算の対象となります。

 また、夫が住民税所得割課税世帯の場合であっても同様に、DV避難者である妻を別世帯の世帯主として取り扱い、支給要件を満たすのであれば、これらの給付金及び子供加算の対象となるところであります。

田村(貴)委員 今の回答を、財務省、それから国税局、そして地方自治体、しっかりと周知徹底を図って、そういう方に伝えていただきたいと思います。

 時間が来ました。終わります。

津島委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十八分散会


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