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第4号 令和6年2月27日(火曜日)

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令和六年二月二十七日(火曜日)

    正午開議

 出席委員

   委員長 津島  淳君

   理事 井上 貴博君 理事 金子 俊平君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 塚田 一郎君

   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君

   理事 伊東 信久君 理事 稲津  久君

      井原  巧君    石原 正敬君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      大岡 敏孝君    大野敬太郎君

      岸 信千世君    鈴木 隼人君

      瀬戸 隆一君    中山 展宏君

      西野 太亮君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    宮下 一郎君

      宗清 皇一君    山田 美樹君

      若林 健太君    江田 憲司君

      階   猛君    末松 義規君

      野田 佳彦君    馬場 雄基君

      原口 一博君    沢田  良君

      藤巻 健太君    掘井 健智君

      竹内  譲君    中川 宏昌君

      田村 貴昭君    吉田 豊史君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    伊藤  豊君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  沢田  良君     奥下 剛光君

同日

 辞任         補欠選任

  奥下 剛光君     沢田  良君

同月二十七日

 辞任         補欠選任

  英利アルフィヤ君   井原  巧君

  木原 誠二君     西野 太亮君

  古川 禎久君     大岡 敏孝君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     英利アルフィヤ君

  大岡 敏孝君     古川 禎久君

  西野 太亮君     木原 誠二君

    ―――――――――――――

二月二十六日

 ガソリン税凍結、消費税減税、インボイス制度廃止に関する請願(牧義夫君紹介)(第六八号)

 同(白石洋一君紹介)(第七七号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一三八号)

 同(北神圭朗君紹介)(第一三九号)

 同(堤かなめ君紹介)(第一四〇号)

 消費税率を五%に引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を求めることに関する請願(牧義夫君紹介)(第六九号)

 所得税法第五十六条の廃止に関する請願(堤かなめ君紹介)(第一三七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

津島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁監督局長伊藤豊君、財務省主税局長青木孝徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

津島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木隼人君。

鈴木(隼)委員 自民党の鈴木隼人でございます。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 十五分しか持ち時間がないので、早速質疑に入らせていただこうと思いますが、まず、冒頭に一言だけ。先日、問取り、財務省の方とやらせていただいたときに、答弁者、課長クラスでいいよという話をしたときに、いや、そういうのは余り前例ないですという話があったんですね。それで、今日、局長さんお二人お越しいただいているんですけれども、余りクラスに、クラスコンシャス、少なくとも私は、ではないので、今後、リーズナブルに考えていただければ、役所の方も本業に専念、まあこれは本業じゃないとは言いませんけれども、していただけるかなと思いますので、一言申し上げます。

 さて、では質疑に入らせていただきますが、今回、所得税法等改正案、審議させていただくわけですが、まず、この法案の趣旨を御説明をいただければと思います。

青木政府参考人 お答えします。

 今般、御審議をいただきます税制改正法案におきましては、物価上昇を上回る所得の実現を最優先の課題として様々な措置を盛り込んでおります。

 まず、デフレ脱却に向け、定額減税により、目に見える形で可処分所得を伸ばすとともに、賃上げ促進税制の強化により、賃上げを行う企業の裾野を広げ、構造的な賃上げの実現を図ることとしております。

 また、生産性向上や供給力強化に向けた国内投資に積極的な企業をしっかりと後押しするため、戦略分野国内生産促進税制を創設し、民間としては事業の採算性に乗りにくいものの、国として特段に戦略的な長期投資が不可欠であるGXなどの戦略分野における国内投資を促進するため、その生産量、販売量に応じて十年という極めて長期の税額控除を行うとともに、イノベーションボックス税制を創設し、研究開発拠点としての立地競争力強化のため、企業が国内で自ら研究開発を行った特許権などから生ずる譲渡所得などに対して所得控除を認め、海外に遜色のない制度で無形資産投資を後押しする。

 あわせて、プラットフォーム課税の導入や、事業承継税制の特例措置に係る計画提出期限の延長など、グローバル化や中堅・中小企業の活性化などの観点からの対応を行うこととしております。

鈴木(隼)委員 この改正案の中で、特に今厳しい景気状況にありますので、そういった意味では、低所得者に十分に配慮をしているかというか、そういった点、是非私、御説明をお聞きしたいと思うんですが、特に今、賃上げが非常に政権としても重要な柱になっているかと思いますので、この賃上げを今回の所得税法等改正案においてどのような形で後押しをしていかれるのか、そういった点も含めて御説明いただければと思います。

青木政府参考人 お答えします。

 まず、賃金上昇が物価高に追いつかず、収入の上昇を実感できなかった賃金労働者を始めとする国民の御負担を緩和するために、所得税の定額減税を盛り込んでいるところでございます。この定額減税は、所得の低い方々ほど高い割合の減税となるため、所得の低い方々により配慮しているという面もあると考えてございます。

 また、賃上げ促進税制におきましては、中小企業について賃上げの裾野を一層広げる観点から、従来の賃上げ要件それから控除率を維持しつつ、赤字の中小企業にも賃上げのインセンティブとなるよう、新たに繰越控除制度、繰越控除措置を創設することとしております。

 このように、定額減税だけでなく、賃上げ促進税制の思い切った強化など、賃上げを後押しする施策を併せて実施することにより、広く国民の構造的、持続的な賃上げを実現し、所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくってまいりたいというふうに考えております。

鈴木(隼)委員 今、定額減税について御説明ありましたけれども、この定額減税については、私の地元でいろいろ意見交換をしていても、せっかく政府として、よかれと思ってやっていただいたことなんだと思いますが、評判が正直芳しくないようなところがあります。

 それは何かといえば、税務処理が煩雑になるという一方で、給付金と違って、いつの間にか課税額が減っているという意味で、受益感が少ないのではないか、こういう観点からの御批判をいただくことがあります。そういった意味で、政府として何か工夫をしているのかどうか、その辺りを御説明いただければと思います。

青木政府参考人 お答えします。

 今般の定額減税につきましては、各企業、それから自治体、納税者の皆様に一定の事務負担をお願いするものとなってございます。この事務負担に配慮する観点から、企業が六月の減税開始後に雇用した方について、前の職において減税を受けたか否かについて確認を不要とするとともに、企業や自治体が早期に準備に着手できるようパンフレットやQアンドAなどを策定、公表するなど、制度運用上の対応をしてきてございます。

 引き続き、企業や自治体、納税者の皆様が事務を円滑に実施できるよう、丁寧な対応を行ってまいりたいと考えております。

 また、定額減税の効果を国民の皆様によりしっかり感じていただくために、ボーナスを受ける方が多い六月から開始するという制度としておりますとともに、給与明細に減税額を明記していただくことによりまして、賃上げと所得減税の双方の効果を実感できるようにするといった工夫を行っております。

 引き続き、企業や自治体といった定額減税に御協力いただく皆様と連携しながら、制度の周知、広報を進めてまいりたいと考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 私自身の問題意識として、中長期的なトレンドで見たときに格差がどんどん拡大をしている、これを何とか手を打っていかなければならないという思いがあります。そういった意味で、今回の所得税法等改正案において格差是正に目配りをしていただいているのかどうか、その辺り、是非詳しくお話を伺えればと思います。

青木政府参考人 お答えします。

 税制の在り方につきましては、中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営を行う観点から、経済社会の構造変化を踏まえて、応能負担を通じた再分配機能の向上、それから格差の固定化防止を図りつつ、あるべき税制の具体化に向け、包括的な検討を進めていくこととしております。

 御指摘の格差の固定化防止の観点からは、令和五年度税制改正において導入された、極めて高い水準の所得について最低限の負担を求める措置、それから、同じく令和五年度税制改正で措置されました、暦年課税で贈与を受けていた財産の相続財産への加算期間の延長といった対応を行っております。

 また、それ以前にも、所得再分配機能の強化を図る観点から、所得税について、平成二十五年度税制改正において最高税率を引き上げたほか、平成三十年度改正におきましては、高所得者に対する基礎控除の適用制限を導入しております。また、相続税につきましても、平成二十五年度税制改正において、基礎控除の引下げや最高税率の引上げといった見直しを行ってまいりました。

 こうした累次の対応により、税負担の公平性確保に向けた一定の対応が図られているものというふうに認識しております。

鈴木(隼)委員 今御説明もいただきましたけれども、やはり格差是正の観点からは、資産所得課税を強化をするといったことが私は重要ではないかというふうに思っております。そしてまた、それを財源にして低所得者支援策を充実をさせていくということが方向性として大事なのではないかと思っています。

 先ほどの御答弁の中で昨年の金融所得課税についての御説明もいただきましたけれども、局長からも極めて高い水準の所得が対象だというお話をいただきましたけれども、本当に、対象となる所得水準が高過ぎて、国内で一体何人その税制の対象になるんだというぐらい、昨年の金融所得課税は実効性が足りなかったのではないかなという問題意識を私は抱いております。

 その辺りについて、財務省としてどうお考えか、お考えをお聞かせください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました、極めて高い水準の所得について最低限の負担を求める措置でございますが、いわゆる一億円の壁との指摘があるように、所得が一億円を超える層の負担率が低下していることに加えまして、かなりの程度の高所得層では負担率の低下が著しくなってございますといった状況を踏まえまして、令和五年度改正におきまして、税負担の公平性を確保する観点から、極めて高い水準の所得を対象として追加的に負担を求める措置を導入することを決定したものでございます。

 この措置につきましては令和七年から施行されることとなってございますので、こうした措置の効果をよく見極めつつ、必要な対応を引き続き検討していきたいというふうに考えております。

鈴木(隼)委員 今、御説明を伺っていても、何でそんな高い水準になったのかという辺り、御説明いただけなかったと思いますし、それがどれほど格差是正に資するものなのかということも十分な御説明をいただけなかったと思いますので、改めてもう少し丁寧な御説明をいただきたいと思います。

青木政府参考人 極めて高い所得につきまして、大体、平均的な方ですと三十億を超えるような水準で最低限の負担を求める措置が発動されるということになっておりますが、この根拠でございますが、まず、所得が一億円を超えた辺りの所得層では負担率がそれほど大きく低下しているわけでない一方、それを上回るかなりの程度の高所得層では負担率の低下が著しい状況でございます。こういった事情でございますとか、譲渡所得は長期間の価値上昇の効果を一時に発生させる面がございますので、その平準化効果も勘案して、一定の基礎控除を置いて、譲渡所得のみを稼得するような場合ですと、約十億円を超える水準で追加的な負担が生ずるという仕組みにしております。

 その結果、おおむね平均的な水準として約三十億円を超えるような極めて高い水準の所得を対象として、最低限の負担を求める措置としたところでございます。

鈴木(隼)委員 あと二分なんですが、もう一問、スルガ銀行不正融資事件に関する御質問をさせていただこうと思っていたんですが、これは質問して御答弁いただくと多分二分を超えちゃうと思うので、若干、ほんのちょっとだけ残しますけれども、以上とさせていただきます。

 ありがとうございました。

津島委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久です。

 通告に従って順次質問させていただきます。

 まず、所得税の定額減税から伺っていきたいと思います。

 今回の定額減税では、減税の対象にならない低所得世帯に対しては給付を行う、それから、納税額が少なくて定額減税の恩恵を十分受けられない、こうした方々には減税額との差額を給付する。これは、私は、公平性、それから、きめ細やかな制度設計になっている、このように評価をしたいと思っております。

 ただ一方で、実施方法や仕組みが煩雑じゃないかとか、実施する企業とか自治体の事務負担が大きい、こういう声も聞かれます。

 この事務負担を軽減する方策について、政府として何ができるのか、確認も含めてお聞かせいただきたいと思います。

赤澤副大臣 今般の定額減税及び給付金については、各企業や自治体の事務負担に配慮する観点から、企業が減税開始後に雇用した方について、前職において減税を受けたか否かについての確認を不要とすることにしております。

 それとともに、自治体が給付対象者を判定するために必要な税務情報等を他の自治体等から入手できるようにする特定公的給付の指定について、自治体による個別申請ではなく、国が全自治体分を包括指定するなど、制度設計や執行上の工夫を行っております。

 その上で、企業や自治体が早期に準備に着手できるよう、パンフレットやQアンドAなどを策定、公表してきたところですが、引き続き、企業や自治体が事務を円滑に実施できるよう、丁寧な対応を行ってまいりたいと思います。

稲津委員 ありがとうございました。是非、丁寧な対応をしていただきたいと思います。

 次の質問も、これは確認の意味を含めてなんですけれども。

 今回の定額減税というのは、やはり物価高、これに苦しむ国民の負担を軽減しようという、これが目的の一つであるというふうに思っておりますし、その上で、これは仮にという前置きですけれども、来年も物価高が続いて、物価上昇を上回る賃金上昇が見込まれない、仮にそうした状況が発生した場合は、来年も同様の定額減税の実施をするといったことも含めて、必要な家計支援を検討する余地が私はあるのではないかなと考えておりますけれども、大臣、どのようなお考えなのか。これまでもその辺のことについて触れていただいていると思いますけれども、改めて確認の意味で質問させていただきます。

鈴木国務大臣 政府といたしましては、令和六年度は、賃上げが物価高に追いつくことができるかどうかの端境期に当たると認識をいたしております。今年、定額減税を実施することで、賃金上昇と相まって、所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくり、デフレマインドの払拭と好循環の実現につなげたいと考えております。

 この点、先月に閣議決定いたしました政府経済見通しのみならず、民間エコノミストが見込む令和六年度の賃金上昇率は物価上昇率にほぼ追いつく姿が描かれており、更に定額減税等が加われば、今年、所得の増加が物価上昇を上回る状況をつくるという、政府が期待をする効果を十分に発現できると考えております。

 その上で、今年の賃上げや所得増を来年以降にもつなげ、物価上昇を上回る持続的で構造的な賃上げが行われる経済の実現に向け、各種施策を講じることとしておりまして、定額減税を複数年にわたって実施することは想定しておりません。

 ただし、与党大綱におきましては、「今後、賃金、物価等の状況を勘案し、必要があると認めるときは、所要の家計支援の措置を検討する。」と記載されていると承知をしておりまして、政府としては、今後とも、必要な場合には所要の家計支援を検討していくものと考えております。

稲津委員 当然、持続的な賃上げ上昇を、これは政策を総動員してやっていくということが大前提なので、それをまず進めていく必要があると思います。もちろん、今御答弁いただいたように、与党の政策大綱の中については、この中で必要な家計支援を行うということは明記されておりますので、そうなったときのことなんですけれども、やはりしっかり対応していただきたいなと思っています。

 もう一問、定額減税のことについて質問したいと思います。

 今回の定額減税によりまして、国民の可処分所得がその分増えることで経済的負担が軽減される、こうした一定の効果があるということについて、私も先ほども認識をさせていただきましたけれども、今回の定額減税では、納税者本人及び扶養親族等一人につき、所得税、住民税合わせて四万円を減税する、このようになっております。

 この点について、所得の多い少ないにかかわらず、世帯構成や扶養親族の数によって減税額が決まるというのは不公平ではないかという声も聞かれておりますが、扶養親族に対しても納税者本人と同等の一人四万円の減税を行うこととされた、その理由についてお伺いします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の所得税、住民税の定額減税は、賃金の上昇が物価高に追いついていないことによる国民の御負担を緩和し、デフレマインドの払拭につなげることを目的としたものでございます。

 現下の物価高騰は、納税者御本人に限らず、国民の皆様に影響を与えているということを踏まえまして、納税者本人に加え、配偶者、扶養親族も含め、一人当たり四万円の減税を行うこととしております。

稲津委員 定額減税についてはこの程度で終わらせていただきたいと思っておりますけれども、いずれにしても、この定額減税、これをしっかり速やかに実行していく中で、今私が申し上げたような効果を最大限発揮できるような、そういう取組を是非進めていただきたいというふうに思っております。

 次は、住宅ローン減税でございます。

 公明党は、これまでも、少子化対策、これは児童手当の拡充、もちろん、児童手当の創設から関わってきた党でございますので、こうした児童手当のみならず、少子化対策については切れ目のない支援をすべきだということを一貫して訴え続けてまいりました。

 今回の改正案では、子供を産み育てることを経済的理由で諦めない社会、これを実現する政策の一つとして、子育て世帯等に対する住宅ローン減税、これを拡充するということが盛り込まれております。

 具体的には、子育て世帯を対象にした借入限度額の引上げ措置を講じる。そして、近年、住宅価格が高騰する中で、今回の措置は、子育て世帯を経済的に支援するという観点から一定の効果がある、私はそのように思っております。

 ただ、ここでちょっと落ち着いて考えていかなきゃいけないのは、一方で、子育て支援策というのは、ある程度長期間にわたって続けていかなければ、要するに、継続しなければより大きな効果は得られない、このように思っております。

 今回の措置について、単年度ではなくある程度長期間の措置とすることも考えられると思いますけれども、この点について大臣の所見をお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 昨年末に決められました与党の税制改正大綱におきましては、子育て支援税制としての住宅ローン控除の拡充等について、令和七年度改正において検討し、結論を得ることとされました。

 その上で、令和六年度税制改正では、令和六年限りの措置として、子育て世帯等に対する借入限度額の上乗せ等を先行的に対応することとしたところであります。

 一般的には、租税特別措置には期限がある、期限を限って行うものでありますが、子育て支援税制としての住宅ローン控除をどの程度の期間措置すべきかについては、子育て世帯の住宅購入に係るニーズや負担の状況といった観点からの検討が必要であると考えます。

 いずれにいたしましても、令和七年度税制改正プロセスにおいて、与党税調において議論されるものと考えております。

稲津委員 これは、是非、継続的な対応が必要だと思っておりますし、これからも質疑の中でいろいろと意見を申し上げておきたいと思っています。もちろん与党税調の中でも議論させていただきたいと思っています。

 次は、賃上げ促進税制の強化についてということでお伺いしたいと思いますが、昨年の九月、岸田総理は、経済対策を実施する方針を表明した上で、その中で、この賃上げ促進税制の強化、これが重点項目として挙げられたわけでございます。そして、今回のこの改正案では賃上げ促進税制の強化が盛り込まれた、こういう手順で来たんですけれども、令和五年の春闘の賃上げ率は御存じのとおり三十年ぶりの高水準となったということで、これもまた一過性のものに終わらせるのではなくて、少子化対策にもつながるような、構造的、持続的な賃上げ、これを実現することがやはり肝要だというふうに思っております。

 今回の見直しに当たって、政府では、これまでの賃上げ促進税制の政策効果について統計的、計量的な分析を行って、それを踏まえて今回の改正の議論になった、このように承知をしております。

 この分析の結果が今回この法案にどのように反映されたのか、また、それによって政策効果がどういう影響になることを期待しているのか、この点についての考えをお聞かせいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 御指摘がありましたとおりに、今般の賃上げ促進税制の見直しに当たりましては、現行の税制の政策効果につきまして、令和四年度の申告事績に基づき、統計的、計量的な分析を行ったところであります。

 その結果、賃上げ率の要件について、現行では、大企業向けは三%及び四%の二段階を設けているものの、ほとんどの適用企業が四%の要件を満たしていること、教育訓練費に係る上乗せ特例については、適用対象となる大企業であっても、活用しているものは三割にとどまっていることといった結果が認められたところであります。

 こうした結果は、今般の改正において、賃上げのインセンティブ強化の観点から、一定の大企業には新たに七%までの更に高い賃上げ要件を創設するとともに、教育訓練費に係る上乗せ特例について、その活用を促し、人への投資を促進する観点から、適用要件の増加率の緩和を行うといった形で反映をしています。

 今般の統計的、計量的な分析結果を踏まえた見直しにより、賃上げや人への投資の加速に向けたインセンティブが強化されることになると考えておりまして、強化された賃上げ促進税制を活用して、物価上昇を上回る持続的な賃上げが実現することを期待をしているところであります。

稲津委員 時間が来たようなので、次の、これ以降の質問はやめます、終わりますけれども、やはりインセンティブをどういうふうにつけていくのかということが非常に大事だと思っていますので、賃上げだけじゃなくて、働き方そのものにもやはり一定の効果が出る、そうしたプラス要素の税制措置の考え方も今回反映されているんじゃないかなというふうに思っていますので、そうしたことも含めて、よろしくお願いをしたいと思います。

 以上で終わります。

津島委員長 これにて稲津君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十九分散会


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