衆議院

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第2号 令和6年12月18日(水曜日)

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令和六年十二月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井林 辰憲君

   理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君

   理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君

   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君

   理事 斎藤アレックス君 理事 田中  健君

      東  国幹君    石田 真敏君

      伊藤 達也君    小泉 龍司君

      田畑 裕明君    土田  慎君

      長島 昭久君    中西 健治君

      福原 淳嗣君    古川 禎久君

      牧島かれん君    江田 憲司君

      岡田  悟君    海江田万里君

      川内 博史君    川原田英世君

      階   猛君    末松 義規君

      長谷川嘉一君    原口 一博君

      水沼 秀幸君    矢崎堅太郎君

      萩原  佳君    村上 智信君

      岸田 光広君    中川 宏昌君

      山口 良治君    高井 崇志君

      田村 智子君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       加藤 勝信君

   内閣府副大臣       瀬戸 隆一君

   総務副大臣        冨樫 博之君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   厚生労働副大臣      仁木 博文君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   財務大臣政務官      土田  慎君

   厚生労働大臣政務官    安藤たかお君

   経済産業大臣政務官    加藤 明良君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   会計検査院事務総局第二局長            長岡 尚志君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)         北尾 昌也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 矢作 修己君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松林 高樹君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           松家 新治君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  屋敷 利紀君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  油布 志行君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    伊藤  豊君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   中山 光輝君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    土谷 晃浩君

   政府参考人

   (国税庁次長)      小宮 敦史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           佐藤 大作君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榊原  毅君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神ノ田昌博君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           武藤 憲真君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           勝野 美江君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 井上 主勇君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十八日

 辞任         補欠選任

  三角 創太君     川原田英世君

同日

 辞任         補欠選任

  川原田英世君     三角 創太君

    ―――――――――――――

十二月十三日

 確定申告書控え等への収受日付印の押捺に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六四号)

 同(志位和夫君紹介)(第六五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六六号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第六七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六八号)

 同(田村智子君紹介)(第六九号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第七〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第七一号)

 ガソリン税凍結、消費税減税、インボイス制度廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七二号)

 同(志位和夫君紹介)(第七三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七四号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第七五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七六号)

 同(田村智子君紹介)(第七七号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第七八号)

 同(本村伸子君紹介)(第七九号)

 同(田中健君紹介)(第一〇一号)

同月十六日

 消費税率五%への引下げに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三七号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第二三八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二三九号)

 同(田村智子君紹介)(第二四〇号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第二四一号)

 同(本村伸子君紹介)(第二四二号)

 確定申告書控え等への収受日付印の押捺に関する請願(田村智子君紹介)(第二七五号)

 ガソリン税凍結、消費税減税、インボイス制度廃止に関する請願(田村智子君紹介)(第二七六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

井林委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官北尾昌也君、内閣府大臣官房審議官矢作修己君、大臣官房審議官松林高樹君、地方創生推進室次長松家新治君、金融庁総合政策局長屋敷利紀君、企画市場局長油布志行君、監督局長伊藤豊君、財務省主計局次長中山光輝君、国際局長土谷晃浩君、国税庁次長小宮敦史君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官佐々木昌弘君、大臣官房審議官宮本直樹君、大臣官房審議官佐藤大作君、大臣官房審議官榊原毅君、大臣官房審議官神ノ田昌博君、大臣官房審議官武藤憲真君、農林水産省大臣官房審議官勝野美江君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、防衛省大臣官房審議官井上主勇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、会計検査院事務総局第二局長長岡尚志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中西健治君。

中西委員 おはようございます。自由民主党の中西健治です。

 私は、二〇一〇年の参議院当選以来、当時の民主党政権の野田財務大臣に始まり、以来、歴代全ての財務大臣に対して質問に立ってまいりました。財務大臣としての加藤大臣には初めての質問ということになります。どうぞよろしくお願いいたします。

 加藤財務大臣が就任され、所信を述べられた際の経済、市場の環境がこれまでの大臣のそれと決定的に異なるのは、日本銀行が金融引締めに動き、実際に金利が上昇し始めているということであります。

 私自身は、三十年にも及ぶ粘着性のデフレに苦しんできた我が国ですから、金融引締めは決して急ぐことなく、消費者物価や賃金に関するデータを一つ一つ確認した上で、いわゆるビハインド・ザ・カーブになっても構わない、ゆっくりと進めていくべきだと主張しているところであります。ただ、引締めのスピードの考え方に関する差はあるとはいえ、利上げ局面であることは変わりないだろうというふうに思っております。

 こうした中で、この金利上昇局面で財政を預かられている財務大臣としてはどのような対応をしていくのか、まずお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、今、デフレではない状況からいかにデフレを脱却できる、そういう、要するに後戻りしない状況にしていくのか、これが大変大事だと思っております。そういった意味においても、経済あっての財政という考え方に立って、まずは本格的な経済の成長に向けて取り組んでいくということ、これが政府全体としての基本だと思います。

 その中で、委員御指摘は、多分、国債の管理政策のことであるとすれば、まさに日銀の一連の政策が変わっていく中で、これから国債をどう確実にかつ円滑に発行していくのか、また、その中で中長期的な調達コストをどう抑制をしていくのか、こういったところに配慮しながら国債管理政策を運営していく必要があるというふうに思っております。

 金利の動向や投資家のニーズを見極めた上で、市場との対話、これを丁寧に行いながら、適切な国債管理政策の運営に引き続き、また、今おっしゃったように局面が変わってきたということもしっかりと認識しながら対応していきたいと思っています。

中西委員 国債管理政策という点では、金利が低いうちになるべく長く調達するというのが基本になるということだと思いますので、それは今まで財務省もしようとしてきたということではないかと思います。

 金利が変動する時代においては、やはり予期せぬ経済ショックに耐え得る財政運営が求められるだろうというふうに思っています。よく、財政健全化というのは何のために行うのということに対して、いや、財政健全化のためだという、何か半ばトートロジーのような問答というのがございますけれども、私は、財政健全化というのはリスクマネジメントだというふうに常々主張しているところでございます。何が起こるか分からないのでそのための財政余力というのは常日頃から持っていかなきゃいけない、それがリスクマネジメントだ、このように考えております。

 今、少数与党ということになりました。折しも、フランスでは、少数与党が緊縮予算を作ろうとして、結局、内閣総辞職。その上で、ムーディーズがフランス国債を格下げするという事態にまで発展してきております。

 市場の、内外の投資家などに聞きますと、やはり、これまで日本というのは、国民の担税能力というのは高い、これはよく分かっている、いざとなったら、もし財政が悪くなったら徴税を行うことができる、余力があるということで、格下げなどは避けられてきた、こういうふうに言われているわけですが、少数与党ということになると、その課税能力、徴税能力、こうしたものに対してもやはり注意して見ていかなきゃいけない、こんなことがよく返ってまいります。

 今後の、こうした状況を踏まえながら、財政健全化についてどのように考えるのか、そして、それをどのように市場にコミュニケートしていくのか、そこら辺、財務大臣のお考えをお聞かせください。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、まず、経済あっての財政ということで、持続可能な成長の実現に向けた経済構造の強化を進め、日本経済を新たなステージへ移行させる。同時に、経済、財政健全化の旗は降ろさず、財政に対する市場の信認を確保し、将来世代への責任を果たしていくことが重要だ。

 そうした観点に立って、予算編成においても、経済、物価動向等に配慮しながら、これまでの歳出改革の取組を継続する一方で、重要な施策の選択肢を狭めることがあってはならない、これは骨太の方針の二〇二四に明記をされておりますので、これを踏まえて、真に必要な事業への予算の重点化など、めり張りの利いた予算編成を行っていきたいというふうに考えております。

 そして、同時に、国債へ投資をされる海外投資家なども含めて、国債に対する信認、あるいは財政の動向、これをしっかり説明していくことは大事だというふうに思っています。

 実際、財政の動向は、予算や、今お話があった税制に係る政策判断、また経済情勢によって大きく変化をしていくわけであります。そのために、経済財政諮問会議において、足下の予算を反映した歳出歳入両面の対応や、直近の金利動向も踏まえた中長期の経済財政の見通しとして、年二回、中長期試算をお示しをし、これを踏まえて、金利上昇の影響など経済財政運営についての議論を行っていただく。また、財務省においては、財政制度等審議会において、各分野の予算の内容にとどまらず、長期的な財政の姿についても、例えば、金利上昇による利払い費の増加幅に関する試算をお示しするなどして議論をしていただいている。

 こうしたことも通じて、また、国会においてこうしたやり取りをさせていただく中で、国民の皆さんに分かりやすい説明に努める中で、財政に対する信認、しっかり引き続きいただけるよう努力していきたいと考えています。

中西委員 これは、政府のみならず、与野党問わず意識していかなきゃいけないことなんじゃないかと思います。もし格下げというようなことになった場合には、為替が円安に振れるということも起こり得るでしょうし、あと、ドルファンディング、銀行の海外でのファンディングが非常に厳しくなるので、それは、ひいては日系企業のファンディングがきつくなるということになりますので、そこは与党、野党問わず意識していきたい、意識していくべきであろう、こういうことを付言させていただきます。

 続きまして、外国人旅行者への消費税免税措置についてお伺いします。

 外国人の友人からは、日本に来て、安い、安い、安い、こういうふうに言われます。余り気持ちいいものではないですから、だったら、消費税を払ってでも買物するかと聞き直します。そうすると、買う、買うと言うんです、する、すると。消費税を払ったって安いものは安い、こういうことを言います。

 これは、為替の影響だけじゃなくて、長い間デフレが続いてきたので、国内での価格づけが、日本の商品のみならず海外の商品についても安く設定されているということも大きいのだろうというふうに思います。であれば、私は、いっそのこと消費税免税措置というのはやめてしまうべきだ、こういうことを党の税制調査会でも何度も発言をさせていただいていますし、近頃ブログを書いたんですけれども、そのブログをXに上げたところ、九十七万人の方が閲覧して、ほとんどの方がコメントで賛成だ、こういうことを書いてくれております。

 まず、事実確認を幾つかしていきたいと思いますけれども、二〇二三年、昨年の外国人旅行者の免税購入額をお伺いしたいと思います。

小宮政府参考人 免税購入金額でございますが、輸出物品販売場が免税販売を行う場合に国税庁へ購入記録情報を随時送信することとされておりまして、これを二〇二三年について機械的に集計いたしますと、免税購入金額は約一兆五千八百五十五億円となります。

中西委員 外国人の国内での消費額五兆三千億円に対して、一兆六千億円に近い金額が免税で販売されている、デパートですとかドラッグストアで販売されているということになりますけれども、その金額の約一〇%が消費税免税ということになりますから、千六百億円をお返ししているということになります。

 今年度、二〇二四年について言うと、訪日外国人の消費額が八兆円になる、こういうふうに予想されていますので、三割近いということになると二兆円を超える。三割そのままだとすると二兆四千億円。そうすると、二千四百億円もの消費税を免税としてしまっているということになります。この制度がこれまでインバウンド消費拡大のツールと位置づけられているのは認識していますが、なくても買うんじゃないか、こんなようには思っています。

 またお聞きします。一人当たりの免税購入金額一億円以上の出国者数と免税購入額をお伺いしたいと思います。

斎藤副大臣 お答え申し上げます。

 令和四年度から令和五年度、二か年における一億円以上の免税購入について申し上げますが、免税購入出国者数は六百九十人、免税購入総額は二千三百三十二億円となっております。

 これらの購入者に対する税関での検査状況でございますが、一億円以上の高額購入者の九割近くが捕捉できておらず、捕捉できたとしても、そのまた九割以上が免税購入品を所持しておらず、免税購入品を所持していない者に対し消費税の賦課決定を実施したとしても、ほぼ全てが滞納という状況になってございます。

中西委員 一億円以上の買物をする人が六百九十人もいる。本当は、一日当たり、同じ場所では五十万円しか買えないということになりますから、いろいろな場所で、何日にも分けて購入している。とても実需とは思えない金額です。

 この六百九十人の総額は、今あったとおり二千三百億円。一人に直して三億円以上購入しているということになります。そして、空港で捕まえても、結局、お金は持っていないんです。この人たちはいわゆる買い子ですので、税は払えない、そのまま出国しているということになるので、こうした不正、消費税を払わないで国内で転売するという不正が横行しているので、今回、システム対応、今までのやり方を変えて、デパートで免税するのではなくて、空港で確認した上で還付するという方式に改めるということですが、私はもう、そんなシステム対応をしてお金をかけて還付するということよりも、これは、航空会社などと話すと大変心配しています。結局、長蛇の列ができるんでしょう、そして飛行機に乗り遅れる、そんなことが起こるんじゃないのと。そうしたら、日本は税金を返してあげようとしているのに、買物袋を提げた人たちに日本政府が罵られる、悪態をつかれる、こういうことが目に見えているのではないかとも思うので、私は根こそぎやめるべきではないかというふうに考えています。

 もう一つお伺いします。外国人旅行者に対して消費税をかけない、還付するというのは、国際的なルールなのか、若しくは何らかの租税協定に基づくものなのか、教えてください。

斎藤副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、リファンド方式へのルール改正ということが今検討されてございます。

 この外国人旅行者向け免税制度自体につきましては、観光立国の実現に資する制度であると認識をしております。一方で、委員御指摘のとおり、不正利用の懸念があるということは事実でありますので、リファンド方式への見直しということをまさに今検討を進めているところでございます。関係各所と緊密に連携して対応していくことが重要と考えております。

 もう一点、免税制度は国際ルールかというお尋ねもございました。

 消費税も含めた消費課税全体につきましては、消費地で課税をするということが国際的に共通した取扱いでございますので、輸出取引については国際的に免税となってございます。

 一方で、この外国人旅行者向け免税制度につきましては、条約等でその導入が義務づけられているわけではございませんが、今ほど申し上げました、消費課税は消費地で課税をするということを踏まえて導入をしているものと認識をしてございます。

 国際的に見ますと、外国人旅行者向け免税制度を導入している国もあれば、そうでない国もあると認識をしてございます。

中西委員 日本では輸出という整理で免税になっているんですが、私の知る限り、アメリカは昔から還付していません。そして、イギリスはつい最近、三年前に、VATの国であるにもかかわらず、還付制度を廃止いたしました。決めの問題だというふうに思います。

 最後に、財務大臣にこの問題に関する御所見をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 外国人旅行者向け免税制度、一つは、観光立国という立場での議論がございます。昨年三月に閣議決定された観光立国推進基本計画で、その利用促進などによりショッピングツーリズムを推進すると示されておりますので、まさに観光立国の実現には資する制度だと思います。

 他方で、今委員御指摘のように、制度の不正利用が起きているというのは事実でありますので、こうした不正利用には対応していく必要があります。税関での持ち出しが確認できた場合に消費税相当額を返金するリファンド方式に見直すこととしています。

 ただ、新制度の実施に向け、今、いろいろとトラブルもあるのではないかと御指摘がございました。免税店の事務負担軽減や、外国人旅行者の利便性の向上、空港等での混雑防止に十分配慮していく必要があると考えております。引き続き、関係省庁、業界団体とも緊密に連携をして、具体的な実施に当たっていきたいと考えております。

中西委員 終わります。どうもありがとうございました。

井林委員長 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党のネクスト財務大臣、階猛です。

 今日は、加藤リアル財務大臣に質問したいと思います。

 まず冒頭、委員長に一言お願いがあります。

 今日、明日と日銀の金融政策決定会合が開かれていまして、本来であったら、その決定内容について我々も質問したいところだったんですが、日程の都合上、今日開催になっております。可及的速やかに、この金融政策決定会合並びに日銀の金融政策に関して、閉会中審査でも結構ですので、この委員会として集中審議を行っていただきたいと思いますので、よろしくお取り計らいをお願いします。

井林委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

階委員 その上で、加藤大臣、先日、私の事務所に財務省の幹部がレクにいらした際、ちょっと雑談したときに、最近はSNSで財務省は非常に誹謗中傷に遭って大変なんだということをおっしゃっていました。

 私も、ネクスト財務大臣という立場柄なのか、財務省と結託しているんじゃないかということで、いわれのない誹謗中傷を受けることがあるんですけれども、政治家は別にいいとは思うんですけれども、また、ここではそれ以上SNSの誹謗中傷対策について触れるつもりもないんですが、大臣に、通告していなくて恐縮なんですが、そもそも財務省がなぜここまで嫌われているというふうに考えるのか、率直なところをお聞かせいただけますか。

加藤国務大臣 財務省に対する批判は、今のネット上だけではなくて、いろいろな御批判をいただいておりまして、それにはいろいろな背景があるので、これだということは私はないと思います。

 ただ、大事なことは、その批判の原点にある問題意識、あるいは財務省に対する問題の指摘、これは私たち、しっかり受け止めて、それに対してきちんと説明すべきものは説明をしていく、また、直すべきところがあれば、その是正に向けて努力をしていく、こういう対応をこれからもしていきたいと考えています。

階委員 財務省というと、予算を削るとか国民の負担を増やすとか、どちらかというと国民が元気をなくするような話が多いわけなんですね。それは職責だからしようがないんですけれども、ただ、たまには国民が明るくなるような、希望を持てるようなこともやるべきではないか。その一つとして私が今日提案したいのは、記念硬貨の発行です。

 大谷選手、私も大学まで野球をやり、大谷選手と同郷、岩手の出身なんですが、彼の活躍は、ひいき目抜きで、とんでもないことをしでかしたわけですね。普通だったら投手としてリハビリ中の期間に、大活躍をして、投手として働けない分、今度は走塁で盗塁も何個もして、ホームランもばかすか打って、例のフィフティー・フィフティーという、いまだかつて誰も成し遂げたことがないような偉業を成し遂げたわけです。

 こうした国民にとって誇るべき偉業に対して、例えば、五十円硬貨を二枚セット、フィフティー・フィフティーにして記念硬貨を発行するとか、そういうことをやったら、たまには財務省もいいことをやるじゃないかということで、少し評判がよくなるのではないかと思うんですけれども、どうですか、やってみませんか。

加藤国務大臣 私も、大谷翔平選手、今年だけではなくて、大リーグにおけるすばらしい活躍をされておられますし、また、来年は投手としても活躍されるということも期待をしていきたいと思っております。

 また、今、財務省の評判を上げるということで大変ありがたいアイデアを頂戴したところでありますけれども、ただ、記念貨幣については、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律というのがございまして、国家的な記念行事として閣議の決定を経て発行するとされております。これまではということでありますけれども、国を挙げての取組、国民こぞってお祝いすべき事柄、歴史的な出来事などについて発行しております。

 特に、今、大谷翔平選手の記念貨幣ということでありましたが、これまで特定の人物をテーマとして発行した前例はなく、国家的な記念事業に該当し得るのか、記念貨幣の発行という意味においては、慎重な検討が必要ではないかと考えています。

階委員 昨日資料をもらったんですけれども、過去の記念通貨の一覧という中に、埼玉県が発行した記念通貨、埼玉県の何かの記念通貨というのがあって、そこでは渋沢栄一を取り上げていますよね。

 それと、私、今日持ってきたんですが、東日本大震災の復興事業記念の千円銀貨というのがありまして、これが発行されたのは平成二十七年、麻生財務大臣のときなんですけれども、復興は別に、国家事業なんでしょうか。被災地の方が頑張って成し遂げるものですし、また、この事業は、平成二十七年ということは、まさにまだ道半ばも道半ば、始まったばかりの頃ですよ。これを記念するのも記念事業というのであれば、かなり記念事業という幅は広いのではないかと思いますし、そもそも、この条文をちゃんと読むと、一ページ、国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行する貨幣とありますよね。これは、記念事業があるから発行するじゃなくて、発行自体を記念事業だというふうにも捉えられるじゃないですか。

 大谷選手のこの国民的な誇りとなるような業績に対して、国家的な記念事業として通貨を発行する、これは別に、条文上も読み込めると思いますので、過去の例にも照らして、全く私はやっておかしくない、むしろやるべきだと思いますが、もう一度答弁をお願いします。

加藤国務大臣 今のは埼玉県でしたかね。これは多分、地方自治法施行六十周年ということで、各県がそれぞれ主体的にアイデアを出されながらやられたのではないかな。ですから、基本は、地方自治法施行六十周年ということが記念事業ということだったというふうに思います。

 もちろん、記念事業として、今復興のお話がありました、ゴーイングコンサーンなものを取り上げるということも決してないことはないんだろうと思いますが、ただ、この場合、先ほど申し上げたように、特定の人物をテーマとしたもの、また、これまでの事例、こういったことを踏まえて、全く該当しないとは申し上げませんけれども、慎重な検討が必要なのではないかなというふうに思ってはおります。

階委員 全く該当しないとは申し上げないというのは、可能性はあるということですから、こういうことをやると、やはり財務省も評判は上がると思いますよ、国民の理解も進むと思いますよ。

 それと、東日本大震災のときもそうでしたけれども、額面、私の手元にある千円のものもそうですけれども、プレミアムをつけて発行しているんですね。これは、復興の財源を確保するという目的もあったと思うんですけれども、これだけ財政難だと財務省が言っているならば、国民に増税とかでお金を集めるよりも、まずこういう国民が喜ぶような形でお金を集めるということも考えていいんじゃないかと思うんですよ。大臣、どうですか。前向きに検討いただけませんか。

加藤国務大臣 記念貨幣の販売価格については、貨幣の製造に要する費用及び貨幣の額面価格を下回らないということですから、プラスアルファが出るということになるんだろうと思います。

 他方で、記念貨幣の発行というのは、まさに国家的な記念行事ということで……(階委員「行事とは書いていない。事業としか書いていない」と呼ぶ)失礼。記念事業として行うものであり、国を挙げた取組であるところ、国民に広く受容されるような形で発行することが重要ではないかと考えています。

 財政のために大変高額な販売価格を設定して財政収入を得るというのは、この法律の趣旨に鑑みると、どうなのかなというふうには思います。

階委員 別に、大変高額なとは言っていませんし、常識的な範囲でいいわけですよ。私が言いたいのは、むしろ、財源を確保することは主目的じゃなくて、国民に希望を与える、国民に喜んでもらうというようなことをたまには財務省もやるべきだということを申し上げているので、是非よろしくお願いします。

 さて、次の質問に移りたいと思います。

 ここからは財務省本来の仕事に関係してくるわけですけれども、先ほど自民党の中西委員からも御指摘があったように、やはり、これから国債の金利が上がってくるというリスクマネジメントですね、これは私も非常に大事だと思っております。

 今年の二月の二十八日ですか、お手元にお配りしている資料二ページ、これは、将来の利払い費等の機械的試算ということで、私が財務省に要請して出してもらった資料なんですが、足下、二〇二四年は、御案内のとおり、予算段階では九兆八千三百億だったんですが、補正予算段階で下方修正されて、このまま着地すれば八兆円余りで収まるんじゃないかというふうに見られていますが、ただ、この後金融が正常化してくるとなれば、どんどん金利が上がって、この当時の試算では、二〇三三年には二十七兆六千億余りというような試算結果になっています。

 ただ、私は、その後、異次元の金融緩和が終了し、また金利も引き上げられ、さらに国債の買入れ額も修正されて、六兆円だったのは、あと二年もたたないうちに三兆円ぐらいになるということですから、この段階でもう一回こういう試算をした上で、どういうふうに対策をしていくかということを検討すべきではないかと思っていますが、それをやるべきではないですか。お答えください。

加藤国務大臣 金融政策の運営で今後の長期金利等の与える影響について一定の見通しを一概に申し上げることはなかなか難しいんですけれども、債務残高対GDP比の高い我が国においては、金利が上昇し、利払い費が増加すれば、政策的経費を圧迫するおそれもあると考えております。

 利払い費の影響につきましては、先般の財政制度審議会に提出した資料において、後年度影響の試算の考え方に基づき、令和七年度以降、金利が一%上昇した場合の利払い費の増加幅を機械的に延伸しますと、九年後の令和十五年度には利払い費の増加が八・七兆円となるということなど、様々な分析もお示しをし、また、それを踏まえて、議員からの御指摘があったと聞いておりますけれども、インプライド・フォワード・レート、まさに、これからの予想した物価、市場に織り込まれた金利の将来予想を一定程度入れて試算をした数字も出させていただいたところでございます。

 これからの財政を考えるに当たっても、金利が上昇した場合の利払い費の影響などについて様々な分析をすることは重要でありますので、来年の予算審議に向けても、例年作成しております後年度影響試算に加えて、必要に応じ、その他必要な資料をお示しをし、いろいろな視点に立った御審議をいただけるように我々としても努力していきたいと考えています。

階委員 今の答弁の最後のところ、必要な資料というお話でしたけれども、ということは、今私が申し上げましたような利払い費等の機械的試算の最新バージョン、これを予算審議のタイミングで後年度試算と併せて出していただけるということでよろしいですか。

加藤国務大臣 今委員からそういう御指摘、あるいは当該委員会から等いろいろ御指摘、御要請があれば、それに応えさせていただけるよう努力していきたいと思っております。

階委員 では、私からこの場で要請しましたけれども、この委員会としてもお取り計らいいただきますよう、委員長、よろしくお願いします。

井林委員長 後刻、理事会で協議いたします。

階委員 それでは、次の質問なんですが、今、与党税調、あるいは国民民主党も交えて税制改正の協議が行われております。今、百三万円の壁の交渉が暗礁に乗り上げているようなことを報道で見ました。今後の来年度の税制改正のプロセスがどうなるのかということをまず教えていただけますか。

加藤国務大臣 来年度の税制改正大綱の議論、今やっているということでありますけれども、税制改正については、例年でありますと、税制改正要望を踏まえて与党税制改正大綱が取りまとめられて、それを踏まえて税制改正法案を政府として国会に提出し、御審議をいただく、こういう流れであります。

 現在の流れは、一方で、与党でももちろん議論しておりますが、併せて、自由民主党、公明党、国民民主党による税制協議が行われているところであります。そこから先行きについて、今、私がこうだということを、政党間の協議でありますから言うことはできませんけれども、我々としては、そうしていただいた税制改正大綱をしっかりと踏まえて法案にして、提出することになるんだろうというふうに考えております。

階委員 先日、補正予算の審議では、史上初めて補正予算の修正を国会で行ったわけですね。これから税制改正の法案も出されると思うんですが、国会の中で我々立憲民主党などからもいろいろな提案をしたいと思っておりますけれども、これも国会の審議の中で取り入れて、通常のプロセスとは違うと思うんですが、通常ですと、与党が決めたものをそのまま審議して可決するということになるんですが、これからは、少数与党による内閣だということで、審議の内容とかそれを反映するやり方とか、これは変わってくるというのが当然だと思いますが、大臣も同じ見解だということでよろしいですか。

加藤国務大臣 そもそも、制度としては、私ども、法案を提出させていただいて、国会で御審議をいただき、場合によっては国会における修正審議があったり、あるいはそのままで成立をしていただいたり、今いろいろなパターンが、これまでもあったんだろうと思っておりまして、その制度の仕組みそのものは変わるものではないんだろうと思っております。

 あとは、今お話があった国会の情勢、そういったことを反映した国会の運営がなされるんだろうと思いますが、国会の運営について、私は政府の立場でありますから、それは、国会のそうした御判断、これをしっかり踏まえて政府として対応させていただきたいと思っています。

階委員 大臣がおっしゃっていた過去の事例という中で、今日お持ちしたのは、三ページ目、昭和五十九年から六十年にかけての事例があります。

 昭和五十九年七月十一日に議員立法で租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出し、これは、今の百三万の壁にも関係すると思うんですが、給与所得控除の最低控除額を五十五万円から五十七万円に引き上げたというのがありました。これは、七月の二十日ですから、もう年度が始まって三か月ぐらい、三か月以上たってから成立しているわけですね。なおかつ、それを予算に反映させるために、翌年一月に入ってから補正予算を提出して、成立させたという事例があるわけです。

 法案を早く出して早く成立させたいというのは今までの与党の立場だったんでしょうけれども、我々は熟議と公開の国会を目指していますので、こうした柔軟な対応を取るべきだということで、私たちは、先週、大臣のところには提言を既に、立憲民主党の税制改正の提言もお持ちしているかと思います。

 この中には重要なテーマがいろいろ入っております。生命保険料控除の拡充であるとか、災害損失控除の創設であるとか、奨学金返還額の一部を所得控除する制度をつくるとか、あるいは、かねてから問題となっているインボイス制度の廃止とか、そうした様々な論点について提言をしております。

 これは、政府としても、時間が来たからもう議論打切りではなくて、新しい年度に入ってからでもちゃんと議論に参加して、そして必要なものは改正していくというスタンスで臨まれるのが正しいと思っていますが、その見解でいいのかどうか、もう一度御答弁お願いします。

加藤国務大臣 先日、御党の税制調査会長から御党の税制改正要望も頂戴をしたところでございます。

 その上で、国会の審議のお話でございますから、我々としては、いろいろなことを踏まえながら税法案を提出させていただいて、それに対してどういう形で審議されるか、これはまさに国会でお決めいただき、先ほど申し上げたように、それに対して政府としては真摯に対応していきたいと考えています。

階委員 是非、真摯に対応をお願いします。

 四ページ目に、先日、自民党、公明党、国民民主党の各幹事長が合意した文書、この写しを掲げさせていただいております。最初の一というところに、いわゆる百三万円の壁は国民民主党の主張する百七十八万円を目指して来年から引き上げるということで、いわゆる百三万円の壁という表現になっていますね。

 百三万円の壁というのは、次のページにちょっと私どもの党の資料をつけさせていただいておりますけれども、これは所得税の壁であります。その手前に住民税の壁というのもあるわけですね。

 これについて、今日は総務省が答弁に来ていらっしゃいますかね。そこでお聞きしたいんですが、この百三万円の壁、これを引き上げたとしても、論理必然的に地方税の課税最低限、住民税を始めとする地方税の課税最低限が論理必然的に引き上げられたり、あるいは地方税収がそれに伴って影響を受けたりということはないと私は考えておりますが、その理解で正しいかどうか、お答えください。

冨樫副大臣 個人住民税については、地域社会の会費的性格を有する税であり、より多くの住民に地域社会の費用を広く分担してもらう観点から、非課税となる金額について所得税と異なる水準としているところです。

 いわゆる百三万円の壁については、先週十一日、自由民主党、公明党、国民民主党の幹事長間で、いわゆる百三万円の壁は国民民主党の主張する百七十八万円を目指して来年から引き上げる、そして、各項目の具体的な実施方法等については……(階委員「聞かれたことにだけ答えてください。前段はいいです、もう分かっていますから」と呼ぶ)はい。

 そういうようなことで、一方、地方の首長などからは、個人住民税の税源による、地方財源や行政サービスへの影響を懸念する声が上がっていることも承知しています。

 いずれにしても、所得税の百三万円の壁が引き上げられた場合に、個人住民税の取扱いはどうするのか、地方税収への影響はどうなるのかといった御指摘の論点も含め、様々な論点について検討や協議が進められるものと考えており、総務省としても誠実に対応してまいります。

階委員 私も先週、予算委員会で答弁に立ちましたけれども、この程度のことを、紙を見ながら関係ないことをだらだらしゃべって時間を潰すというのは、本当に今、政権与党としてその場にいる資格があるのかなというふうに改めて感じます。

 私が伺ったのは、百三万の壁を引き上げたからといって、論理必然的に住民税の課税最低限は引き上がるんですかということを聞いているわけですよ。端的にお答えください。結論だけで結構です。

冨樫副大臣 お答えします。

 論理必然的ではございませんけれども、今後の地方税の取扱いについては、引き続き関係者間で協議が進められるものと考えております。現時点では、それ以上のコメントは差し控えたいと思います。

階委員 論理必然的には引き上がらないわけですね。ということは、地方税収には影響は及ばないということでいいですね。

冨樫副大臣 お答えをいたしますけれども、引き続き、同じ、繰り返しになりますけれども、今後の地方税の取扱いについては、引き続き関係者間で協議が進められるものと考えております。現時点では、それ以上はコメントは差し控えたいということです。

階委員 もう一回聞きますよ。端的に答えてください。

 先ほどの質問で、百三万の壁、これは所得税の壁ですけれども、これを引き上げた場合に、論理必然的に地方税の課税最低限は上がるんでしょうかという質問に対して、論理必然的に上がらないというお答えをされました。ということであれば、地方税収には影響はないですよねということを確認したかったんですが、影響があるかないか、イエスかノーかで端的にお答えください。

冨樫副大臣 所得税とは別途協議、引き続き関係者間で協議が進められるものと考えております。現時点では、それ以上のコメントは差し控えたいと思います。(発言する者あり)

井林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井林委員長 速記を起こしてください。

 階猛君。

階委員 いいですか。私は、イエスかノーかで答えてくださいと言いましたので。質問、先ほどのとおりですよ。論理必然的には地方税の課税最低限が引き上がらない以上、地方税収への影響はないですよねということに対して、イエスかノーかで答えてください。

冨樫副大臣 政党間合意の文書の文言の解釈については、政府から申し上げることは差し控えさせていただきます。

階委員 今更、話を元に戻されても困るんですね。先ほど、論理必然的に地方税の課税最低限は引き上がらないということを答弁されたわけだから、それを踏まえての私の更問いなんですよ。なぜ話を元に戻すんですか。前提に基づいて答えてください。ちゃんと答えないとまた止まりますよ。

冨樫副大臣 地方税の取扱いが決まっていない以上、コメントは差し控えさせていただきます。(発言する者あり)

井林委員長 じゃ、速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井林委員長 速記を起こしてください。

 冨樫総務副大臣。

冨樫副大臣 仮に地方税の取扱いに変更がなければ論理的には影響しないが、政党間の協議等について今進めておりますので、今私がそれに対して答えるということは差し控えたいというふうに思います。

階委員 論理的には影響しないんですよ。

 この文言、合意書は、あえて百三万円の壁というふうに限定しているわけですね。給与所得控除とか基礎控除とかというふうには言っていないんですよ。あえて、百万の壁とか住民税の壁とか、そういう用語を避けて、百三万の壁にしているというところが私はみそだと思いますよ。さすが、与党は知恵が働くなと思って見ましたよ。

 これを見ると、所得税は壁が上がるかもしれないんだけれども、住民税は壁が上がらない。すると、どういうことになるか。住民税の所得割一〇%、これが今までと同じ課税最低限になるということは、税収は確かに今までどおりでいいんですけれども、一方で、本来、インフレで、物価高で生活が苦しくなっているから低所得者の負担を軽減するというのが大きな、壁の引上げの眼目だったと思うんですけれども、低所得者の方は、この一〇%の方は見直されないで、所得税は低所得者は五%とかですからね、五%だけ減税になるということで、所得が高い人はもっともっと減税になるわけですけれども、住民税の課税の見直しはされないということになると、全くもって政策目的が達成されないということにもなります。

 与党の知恵、これはすばらしいなと私は見ておりましたけれども、果たしてそれでいいのかどうかということはじっくり議論をするべきだと私は思いますよ。

 むしろ、我々、税収には大きな影響を与えては駄目だけれども、低所得者、所得の低い人たちに対しては、本当に物価高で苦しんでいらっしゃるから、そこに手厚く所得を底上げするような対策を、手取りを上げるような対策をすべきだというのが立憲民主党の立場であるということを、ここで強く申し上げたいと思います。

 総務省、どうですか。今申し上げたとおり考えますか。

冨樫副大臣 繰り返しになりますけれども、政党間合意の文書の文言の解釈については、政府から申し上げることは差し控えさせていただきます。

階委員 そういう私どもの、立憲民主党の立場に立って考えているのが百三十万の壁対策でありまして、我々は、この百三十万の壁を越えても働き控えが生じないようにするということを考えて、手取りががくっと減らないような給付措置というのを考えたわけですね。

 大臣、ちょっと話を飛ばしますけれども、今の政府の百六万の壁を解消するという検討中のやり方、これですと、むしろ働き控えが増えるんじゃないかということを危惧していまして、多分それを考えてのことだと思うんですけれども、政府の方では、百六万の壁を越えて発生する社会保険料について、通常だと五対五の事業主と労働者の負担割合を、九対一とか、八対二とか、事業者側が多く負担するような仕組みもつくるようなことを言っているわけですよ。

 ところが、これは、今回の見直しによって、企業規模要件が撤廃されるということも併せて検討されているわけですけれども、ただでさえ物価高、それから最低賃金の上昇による人件費の高騰、それに加えて、社会保険料の負担が通常よりも多くなるということで、中小零細企業にとってはとんでもないことだと思いますよ。

 この百六万の壁を二十時間の壁に変えて、企業規模要件を撤廃するというのは、私は間違っていると思います。大臣の見解をお願いします。これは、時間がないので大臣、お願いします。

加藤国務大臣 ちょっと、社会保険料ということになると厚生労働省になるので、大蔵大臣として答弁するのは適当ではないと思います。

 ただ、一連の流れを申し上げると、まさに社会保険に入る方々を広げていこうということで、今、厚労省あるいは年金等で議論されているというふうに承知をし、ただ、そうすると、今御指摘のあるように、企業の負担あるいは本人の負担が増えるということ、そこをどういうふうに対応していくのか、それらも含めて、今具体的な議論がなされているものと承知をしております。

階委員 厚労副大臣、済みません、時間の関係で今日は質問できませんでしたが、今大臣がおっしゃったような、事業者への支援の措置とか、支援の規模とか、そういった議論もまた次回以降させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

井林委員長 次に、原口一博君。

原口委員 おはようございます。立憲民主党の原口一博でございます。

 私からも、冒頭、委員長に、今日、政策決定会合でございまして、日銀のこの間の植田ショックから今に至るまでのこと、それからトランプ政権に関わること、あるいは仮想通貨や様々な金利の上昇について、是非質問を、集中審議の時間をつくっていただきたいのと、また、巨大銀行の貸し金庫の問題や、今日ちょっと触れますが、農林中金の問題、金融の問題も山積していますので、是非、この会期中にでも、あるいは閉会中にでも審議をしていただきますように、よろしくお願いします。

井林委員長 後刻、理事会で協議いたします。

原口委員 そして、冒頭はお礼です。総選挙の中で、これから追及することについて、妨害を受けました。しかし、れいわ新選組の大石さん、あるいは、これは野党だけじゃなくて、もちろん立憲民主党の同僚もですけれども、与党の皆さんからも大変な御支援を賜りました。冒頭、この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。

 さて、大臣所信についての質問でありますが、名目の経済指標で前向きな動きがあると述べられておりますが、私は、加藤大臣とは財務では初めてですね。拉致問題とかではずっと御一緒してきたので、加藤大臣だったらこれから質問することがよくお分かりになると思いますが、今、階ネクストが言ったように、インボイス倒産やあるいは社会保険料倒産などが生じていて、実質賃金もプラスに転じてきません。だから、日本経済に果たして好循環が生じているのか。民のかまどから煙が上がっているのか。

 それから、今年度というか来年度のGDPの成長率は、内閣府によると〇・六ですね。他の国は三とか四とか五、どんどんどんどん回っているのに、日本だけがこういう状況。だから、現状認識を少し変えられたらどうですか。

 私は、今のような状況でインボイスは絶対やめるべきだと思うし、先ほど外国人観光客、千六百億円とあったけれども、インボイス、千七百億円ですよ。国民からお金を徴収して、しかも、何が起きているかというと、企業の倒産などを通じて、これは応能負担原則に反します。

 日本の伝統や文化を担っている方々、自民党の皆さん、今は少数与党に転落されていますが、インボイスに対する国民の怨嗟はすごいですよ。このまま来年のダブルでも選挙があったらもっとひどいことになる。中小零細企業、それから漁業者、農業者、もうこのインボイスでやめたいという人がたくさんいるわけですね。

 現状の認識と、このインボイス、加藤大臣のときにやめませんか。大臣の御答弁をお伺いします。

加藤国務大臣 まず、経済認識でありますけれども、やはりこの三十年間、日本経済はデフレに苦しめられてきた。その背景には、まさに名目値が増加しない、それが賃金や投資などの抑制につながってきた。また、それが、いわゆるコストカット経済といったものが日本の経済の中にまさにビルトインされてきた。

 ただ、所信でも申し上げましたように、その流れが、確かに名目というところではありますけれども、春闘での三十三年ぶりの高水準の賃上げや過去最高水準の設備投資、あるいは名目GDPなど、前向きな動きが私は見えてきたと思っています。

 ただ、これが、おっしゃるように、構造的な循環的な動きになっているのかといえば、そこに向けていかなきゃならない、そういったことで今般の経済対策をつくり、そしてそれにのっとった補正予算を先日成立をさせていただいた、こういうふうに考えているところでございます。

 それから、インボイスの話でありますけれども、売上げ時に消費者等から受け取った消費税額から、まあ、仕組みはいいですよね、これは差引き金額を複数税率の下でも正しく計算できるようにすることで課税の適正性を確保するといった観点から設けられた仕組みであり、これについて廃止することは考えておりませんが、今お話があった事業者の抱える課題等、こういったことはしっかりと我々も把握をし、そしてきめ細かく対応はしていかなければならないと考えています。

原口委員 インボイスでどうやってきめ細かく対応できますか。日本の文化やあるいは日本の強みを壊しているんですよ。

 消費税についても、目の前に伊藤元金融担当大臣がおられますけれども、僕らは松下政経塾で中曽根内閣のブレーンに教わりました。彼らのときに売上税を入れようとしたんですよ。これは日本弱体化装置で入れているんだと。加藤寛先生が、君たちがもし国会議員になったり、あるいは大臣になったら、この弱体化装置を外してくれということを言われましたよ。付加価値に税をかける、それがどんなことかというのはよほど考えた方がいい。

 予算の財源について言うと、税だけが財源だと財務大臣は思っておられませんよね。税以外にも財源は幾らでもありますよね。例えば、サウジアラビアやあるいは中国もそうですけれども、ソブリン・ウェルス・ファンド、今回、トランプ政権もソブリン・ウェルス・ファンドをやると言っていますね、タリフの分を財源にして。

 このことについての大臣の御見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 ソブリン・ウェルス・ファンド、これまでもたしか幾度か議論がなされたことがあったというふうに承知をしております。

 国が積極的に資産を運用すべきだということでありますが、一般に、国の保有する資産は国民の税金などを原資とするものであって、その運用を行うに当たっては、政策目的等の観点も踏まえ、安全性に配慮する必要があると考えております。

 政府としては、予算編成に当たって、おっしゃるように必要な財源の確保、これは税以外にも当然あるわけでありますから、そういったものにもしっかりと取り組みながら、効率的かつ効果的な予算の策定に引き続き努力はしていきたいと考えています。

原口委員 いや、税だけが財源じゃないので、そういうことを言うから財務省は嫌われるんですよ。よその国の財務省、好かれているところもいっぱいありますよ。だって、国民にいいことをやっているわけだから。

 じゃ、今、しっかりとした慎重な財政運営をするとおっしゃいましたけれども、なっていますか。補助金、天下り、ひもつき補助金、官製談合、随意契約、特殊法人、特別会計、ずぶずぶじゃないですか。今日ここに持ってきた皆さんのお手元の資料、予備費をたくさん積んで、三つも走らせて、一般予備費だけじゃなくて、ウクライナ予備費、コロナ予備費、どれだけ無駄をやっているんですか。

 それから、この基金。皆さんのお手元の一ページ目。六十五歳以上の方などを対象に新たなワクチン接種をやるわけですね、定期接種と言っていますが。

 それで、この資料を御覧になってください。けしからぬと思うのは、日付を見てみてください。令和六年三月十五日と書いてある。今年の三月十五日に、僕らは、ここの資料で、国会には一本当たり三千二百六十円のワクチン代ですという予算を説明しているんです。ところが、そのとき、自治体には何と言っているかというと、各メーカーが、意見を聞いたら、いやいや、それじゃ無理ですと。何と、八千三百円足りませんと。一本当たり八千三百円足して、そして、国会には三千二百六十円だと言いながら、その審議をさせておいて、そして地方自治体には、いやいや、足りない分は国が助成しますと。こんなことをやっているわけです。

 今日、公取の委員長にもお見えいただきました。昔、竹島委員長と激しい議論をやって、独禁法の改正をやりましたよ。委員長、御無沙汰しています。

 これは一般論で結構ですから、価格をそれぞれ談合してつり上げる、これは何と言いますか。企業がお互い示し合わせて価格をつり上げること、独禁法で何と呼ばれているか。そしてそれが、なぜ、社会や市場にどういう影響を与えるか。公取の委員長に御答弁いただきたいと思います。

古谷政府特別補佐人 お答えをいたします。

 あくまで一般論で答えさせていただきますけれども、御指摘ありましたように、事業者が共同して価格を引き上げる行為はカルテルと一般には呼ばれますけれども、独占禁止法上は、不当な取引制限というふうな規定をいたしております。

 この不当な取引制限は、事業者が相互に連絡を取り合って、本来、各事業者が自主的に決めるべきである価格や数量などを共同で取り決めるということで、競争を制限する行為でございます。

 特に、議員御指摘のように、企業がお互いに示し合わせて価格をつり上げるということは、価格という重要な競争手段を制限する行為でありますので、独占禁止法上、禁止をしているということでございます。

原口委員 おっしゃるとおりだと思います。だから、リーニエンシーの制度も入れて、内部告発をした企業については、それだけ懲罰を低くするという制度も入れました。

 そこで、厚労省に聞きたいんですけれども、何でこれは価格が上がっているわけですか。去年まで新型コロナは二類でした。非常時において三千二百六十円だったものが、メッセンジャーRNAワクチン、しかも、コスタイベ、レプリコンについては安く、効果的にできると言っていたのが、今度、定期接種、いわゆる平時において、何で一気に八千三百円も高くなっているんですか。

 さっき、財務大臣は財政運営の規律の話をされましたね。規律は利いているんですか。一本当たり八千三百円ですよ。これは皆さんのお金ですか。国民の税金じゃないですか。何で高くなっているのか、厚労副大臣、答えてください。

仁木副大臣 お答えします。

 新型コロナワクチンについては、昨年度までは特例の臨時接種として国が一括してワクチンの購入、配送等を行ってきましたが、今年度からは定期接種としてワクチンメーカーや販売事業者が必要な量の存在を確保した上で、実施医療機関や自治体が需要に応じてワクチンを購入する仕組みになっています。

 このワクチンは、ワクチンメーカーが自由に価格を決定するため、国はワクチンの価格決定に関与しておらず、その詳細については承知しておりません。

 そして、ワクチン価格においては、基本的に、薬価のように、国として公定価格を定めておるものではありません。自由競争市場において販売価格が決定されたものであり、厚生労働省として、価格設定に関与する仕組みになっていないということでございます。あらかじめ、ワクチンに対する助成額について、ワクチンメーカーと、お示し申し上げた事実はございません。

原口委員 仁木さん、私が聞いていないことまで答えないでください。何で高くなっているんだと聞いているんですよ。平時において、今は平時でしょう、三千二百六十円で国が供給できたものが、一万一千六百円に何でなっているんだと。あなたはワクチン代知らないと言ったけれども、これ、止めてください、知っているから八千三百円、書いてあるじゃないですか、あなた方は助成するんですよ。

 しかも、これはちょっと併せて言うと、三ページ目を御覧になってください、皆さんのお手元の資料。これが基金シートです。

 財務大臣、よく見ておいてくださいね。こんなのを認めたら、財務省はなくていいですよ。

 基金シートを見てみて、これは生産体制のためにあった基金ですよ。接種体制のためにやるんじゃないんですよ。

 四ページ目を御覧になってください。これは令和四年度の補正予算、予算でどうやってついたかというやつです。

 これは、財務大臣、五年度で終わる基金だったんですよ。終わる基金は全部国庫に返さなきゃいけないんですよ。七千三百億ぐらい余って、その分、ワクチンメーカーの皆さん、どうぞ、高くしておきますから、助成で国が払いますよとやっているようにしか見えないじゃないですか。

 五ページ目、財務大臣、見てください。これが令和六年度の基金シートです。これ、どこを見ても、今、仁木副大臣がおっしゃったようなこと、出てきますか。これ、国のお金を、七千三百億ですよ。財務大臣、お金を厚労省から取り戻した方がいいんじゃないですか。

 何で高くなったのか教えてください。それぐらい分かるでしょう。分からぬで、あなた、八千三百円、一本当たり、足しているんですか。

仁木副大臣 補足させていただきますが、一般的には、ワクチンの購入量や購入頻度、在庫管理や流通等にかかるコストが計上されていることから、それらが価格の設定に影響を与えるというふうに認識しております。

原口委員 答えません。止めてください。

井林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井林委員長 速記を起こしてください。

 仁木厚生労働副大臣。(発言する者あり)

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井林委員長 速記を起こしてください。

 仁木厚生労働副大臣。

仁木副大臣 当初の、定期接種前のワクチン価格につきましては、ワクチンメーカーの方に問い合わせた結果でございます。

 定期接種に至っては、ワクチンメーカーや販売卸業、先ほど答弁しましたけれども、ワクチンの安定供給に必要な量の在庫を確保した上で、実施医療機関や自治体が需要に応じてワクチンを購入する仕組みとなっておりまして、ワクチンメーカーが自由に価格決定をするため、国はワクチンの価格の決定に関与していない、その詳細については承知していないということでございます。

原口委員 だって、ここに書いてあるじゃないですか、各メーカーから聴取した希望小売価格、非公開と。第一三共さんは出していますよ、一万一千幾らと。ほか四社、公取、是非調べてほしいし、示し合わせて一本当たり八千三百円もでかくなっているんだったら、財務大臣、こんなことを認めていいんですか。お金を取り返してください、財務大臣。

加藤国務大臣 その経緯、当初の見込み三千、ちょっと済みません、手元にありませんが、三千幾らがそれくらい上がったのかについて、これは今厚労省からきちんと説明をさせていただきたいと思いますし、我々もその説明を受けた上でこうした判断をさせていただいているということであります。

原口委員 妥当な答弁だと思います。

 その上で、六ページを御覧になってください。これが、「期間中に終了予定時期を変更した場合、その経緯と理由」ということになっているわけですけれども、全く理由にも何もなっていない。ワクチンメーカーが、七ページですね、令和六年度基金シートによれば、一千八億円の国庫返納を行っているわけですよ。これは全額返納しなきゃいけない話なんですよ。

 そこで聞きますが、厚労省は、このワクチンについて、九百人以上亡くなっているにもかかわらず、このワクチン接種の安全性に関わる重大な懸念はないと昨日答弁していますね。これは治療法を確立していないんですよ。九百人亡くなっていて、重大な懸念はないと何で言えるんですか。

仁木副大臣 お答えします。

 まず、国民が死亡しているわけでございまして、死亡例を重篤というふうにした趣旨の発言ではございません。この発言の趣旨というのは、審議会の評価を引用しての発言でございます。

 そして、御指摘の予防接種健康被害救済制度は、幅広く救済を行うことを目的としておりまして、予防接種の健康被害の認定をする制度のため、その認定を受けた件数が直ちにワクチンの安全性の評価につながるものではないというふうに考えております。

 また、ワクチンの評価につきましてでございますけれども、死亡や重篤症例の報告を含め、ワクチンの接種後に発生した副反応を疑う症例に報告されておりますが、これを含め、収集した科学的知見に基づき、審議会において定期的に安全性の評価を行っており、現時点におきましてワクチン接種の安全性に係る重大な懸念は認められていないというふうにされております。

原口委員 財務大臣、いいですか。昔は、感染予防効果と言っていたんです。これもうそだった。水増ししていたんです。次は重症化予防効果。じゃ、重症化予防効果のデータを出せと言ったら、昨日夜中に出してきた、感染研と長崎大学のやつ。それは、病院に来た人、肺炎になった人、そして自分たちが検証できた人のデータなんですよ。イギリスも全データを出した。打てば打つほどひどくなるということが分かっている。私、自分自身もがんだったんですよ、それで。よくぞそんなことを言えるな、審議会がそんなことを言っていますからと。とんでもないですね。あきれましたよ。あなたには本当に失望した。

 今度は、農水省。

 農林中金、MeijiSeikaファルマの、明治ホールディングスの大株主ですね。企業は、御存じのように、本決算締切り後の約二か月後に申告納税をして、その次の時期の業績見通しを記者発表して、株主総会で議決をもらって配当を株主に送付します。業績が大きく見通しとぶれる場合は、今回、金融担当大臣、スチュワード・コードの改変、コーポレートガバナンスを徹底するとおっしゃっているけれども、スチュワード・コードに関連して、この農林中金、まさに機関投資家ですね、業績が大きく見通しとぶれる場合は事前に発表するルールがありますけれども、農林中金はいつ業績の説明を受けたんですか、明治ホールディングスの。どう説明されたのか、そして、その根拠に納得できたのか、検証したのか、株主としての企業との対話、これがスチュワードシップですね、ちゃんとやっているのか、お答えください、農水省。

勝野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の農林中金の投資に関する情報につきましては、個別金融機関の個別の取引に関する事項でございまして、農林水産省としてお答えをしかねる内容となっております。

原口委員 機関投資家ですからね。だって、大臣所信で、ちゃんとスチュワードシップ、強化しようとやっているので、その例を挙げたんですよ。

 ですから、農水省は答えられないと言いますから、農林中金そのものに来ていただいて、是非理事会で、委員長、お諮りください。

井林委員長 後刻、理事会で協議いたします。

原口委員 それと、もう一つ農水省に。

 私、この間、漁家の方から泣かれたんですよね、自分たちの土地を勝手に漁協に取られたと。その漁協が国に、オスプレイ基地にするというので、勝手に売り飛ばされたと。

 ちょっと農水省、これは答えられるでしょう。漁協は農地を取得できますか。

勝野政府参考人 お答え申し上げます。

 漁協と称する組織が、いかなる形態かによって判断が分かれるわけですけれども、漁業関連の事業を行いつつ、農地所有適格法人の要件を満たすというような法人であれば、取得の可能性はあるというふうに考えております。

原口委員 その要件を満たさなければ取得できないわけです。

 更に聞きますが、さっきの話に戻りますが、当該製薬会社の社長が、コロナワクチン、自分たちが売っているにもかかわらず、打つべきだとこの間言ったわけですね。

 厚労省、この打つべきだというのは、厚労省の姿勢と同じですか。これは薬機法に違反するんじゃないですか。

仁木副大臣 このことに関しましては、ワクチンを含む医療用医薬品については、一般人への広告を認めた場合は、不適切な使用により危害の発生のおそれがある、このため、医薬品等適正広告基準において一般的への広告は原則禁止されていますので、いけないことだと思いますが、今回のケースにつきましては、自社が販売するワクチンの接種について、勧奨を行う趣旨を広告することではない、雑誌の記事等の中で発言したというふうな形に捉えておりますので、顧客誘引性がないものであるというふうな感で捉えております。

原口委員 顧客誘引性どころの話じゃないんですよ。打つべきだと言っているんです。

 加藤大臣は、かつて雑誌で、打つもんかとおっしゃったか、おっしゃらないか分からないけれども、厚労大臣でしたからね、お気の毒に、打たざるを得なかったかも分からないです。そんなの、打つか打たないかは、厚労省は国民の判断だと言っているんじゃないですか。とんでもない答えですね。

 じゃ、会計検査院、一般論として、こういう基金、これは個別だから、個別については答えなくていいですよ、基金のお金の使い方として、当初の想定以外の目的に使用したり、スキームを変えてみたり、基金シートに書かれていないことを使用したりしてよいのか。財政規律、ぐちゃぐちゃじゃないですか。何のためにあの予算査定をやっているんですか。

 財務大臣、是非、財務省、予算をつけて終わりじゃないんですよ。最後の最後までアカウンタビリティー、これがどんな効果になったかと。基金とかになると、自分らの財布と間違ってこんなことをやるから、とんでもないことだと思うんですが、会計検査院に答弁を求めたいと思います。

長岡会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、これまでも、国が支出して設置造成させるなどしている基金につきまして検査を実施し、その検査結果を報告してきたところでございます。

 一般論で申し上げますが、基金の検査に当たりましては、事業の実施状況等の基金の使い方が法令、予算、こういったものに従っているかなど、多角的な観点から検査を実施してきているところでございます。

 引き続き、お尋ねをいただきました点を含めまして、念頭に置きながら、適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

原口委員 適切な検査を求めます。

 最後、公益資本主義についても、金融担当大臣、財務大臣と話をしたかったんですが、あした、ちょうど安倍内閣で八年間参与をされた原丈人さんが来られて、公益資本主義について御講演いただきます。日本が目指すべきはまさに公益資本主義であって、立憲民主党は、階ネクストを中心に、明るく温かい、育むマネーを大事にしているということを申し上げて、質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

井林委員長 次に、末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 加藤財務大臣とは初めて質問をさせていただきます。

 今日は、一応、石破総理が言われたように、この国の経済を引っ張っていくのに、賃上げとそれから投資によってこの国を、経済をよくしていこうという話でございますので、私も、元々、立憲民主党内で最低賃金アップ男と言われたように、ずっと最低賃金を数年間やってきまして、仲間とともに、研究の結果、立憲民主党で最低賃金千五百円、これを政治公約にさせてきたという自負があるわけでございます。

 そういった中で、加藤財務大臣も最低賃金アップについて非常に積極派だと、答弁を見ていてそう思うんですけれども、質問及び答弁を見て。元々、私、最低賃金をやることについて、やはり給料の底上げをすると、そうすると、ちょうどそこにおられる方々の大体一千万から一千数百万が底上げされると、最低賃金を上げれば、その最低賃金の人々だけじゃなくて、その上の方の賃金アップの上昇のうねりが出てきますから、それが今度は、買えなかった物が買えるようになり、受けたかったサービスが受けられるようになる。それをどんどん経済発展をさせていくと、これが非常に景気がよくなる、そうすると企業がもうかる、そうするとまた給料がよくなるという、善の循環というか、好循環を催して、GDPアップにも通じる。そうすると税収も上がっていくという意味で、この財務金融委員会でこれを論議する重要性は非常に高いと思って、今日は最低賃金についてお話をさせていただきます。

 まず、資料の一を御覧いただきたいと思うんですけれども、右の表で、下の方にブルーでコロナの厳しい時期と書いてございます。これは二〇二〇年一月から二〇二三年の六月、これがコロナが厳しい時期。そこで見てみると、例えばイギリスが、千百四十九円が二〇年一月だったのが、七百二十六円上がって二〇二三年には千八百七十五円になっている。フランスも千二百二十八円が約六百円弱上がって千八百二十円になって、ドイツも千百三十一円が千八百九十六円。そういった、ヨーロッパも大体、平均すると七百円前後上がっているわけですよ。それも、コロナが一番厳しい時期なんです。そうすると、国民が異常に厳しい状況になっていて苦労しているときに最低賃金を上げるということ自体が、私は愛のある政治だと思っているわけです。

 これに比べて、まあ、韓国も七百七十三円から千五十八円まで上がって、二百八十五円、韓国でさえ上がっているわけです。日本を見てください。二〇二〇年、九百二円、それが二〇二三年の六月に九百六十一円。たった五十九円しか上がっていないんですよ。これはひどいんじゃないか。もうこれが歴然としているんですね。

 そして、二〇二四年、今年の八月を見てみると、英国で二千五十九円だし、みんな大体二千円近く、スイスに至っては四千十二円、本当に最低賃金が高いんですよね。豪州もアメリカも二千二、三百円まで上がっているんですね。韓国は千八十五円ということで、当然日本を超えているわけですね。で、現在が千五十四円。まあ、結果値では千五十五円なんでしょうけれども。

 こう見ると、本当に私もショックを受けたんですね、何でこんなに最低賃金は日本は上がらないのと。元々最低賃金審議会の仕組みが悪いのか、こういうことなのか何なのか、あるいは政府にやる気がないのか、こう思うわけですよ。

 ちょっとこの左下のコメントを見ていただきたいと思います。この表は、私の方で国政レポートの中で九月に書いたことなんですけれども、例えば一万円を稼ぐのに、スイスでは四千円ぐらいなので、二時間半働いたら一万円がゲットできるんですね。英独仏では五時間働いたら大体一万円をゲットできる。その後の時間は、家族団らんの時間とか、自分を癒やす時間とか、デートの時間とか、趣味の時間とか、いろいろな人生を楽しむ時間に当てられるんですよ。

 でも、日本の場合、最低賃金は大体千円余ですから、一日十時間働かないと一万円をゲットできない。これだったら、やはり、若者や女性の希望を失わせて、日本経済が停滞して当然だなと思うわけでございますけれども、これを見てどういうふうに思うか。特に担当の、厚労省になるんですか、それをちょっと感想をいただきたいと思います。

安藤大臣政務官 今、先生から世界の賃金の状況、そしてまた韓国、そしてまた日本の状況もお話をいただきました。

 この最低賃金制度は各国によって相当異なっております。そしてまた、日本では全ての労働者に適用される一方、欧州の諸外国においては年齢あるいは適用除外がある国もございます。また、物価の水準や、また為替の影響もあることから、我が国と諸外国の最低賃金の水準を単純に比較することはなかなかできない状況だと思っております。

 その上で、先ほど御指摘があったように、イギリス、フランス、ドイツにおける最低賃金は、二〇二四年の十二月時点で日本円に換算して約二千円程度になっている一方、日本の地域別の最低賃金の全国加重平均は千五十五円と、大変、先進国に比べると低い状況になっているということは十分承知しております。

 我が国と諸外国における最低賃金の対象となる労働者の範囲、それからまた物価が異なることを踏まえまして、また重なりますけれども、単純に比較することができない状況ではないか、そう思っております。

 一方で、今後も、賃金の低い労働者の賃金の最低額を保障して、その労働条件の改善を図るためには、引き続き最低賃金を引き上げていくということが非常に重要だと認識をしております。

 このため、石破政権においては、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標を上げて、これに向けて努力をしているところでございます。

末松委員 だから、千五百円、石破総理が上げると言われたことはよく分かるわけですよ。

 私、昨年、財務金融委員会の出張で、八月でしたか、そのときに、ヨーロッパの各国の議員とか政策担当者に言われて、笑われたんですよ。それは、二〇三五年に最低賃金千五百円にするという、ちょうど岸田総理の発表があったときに、それを伝えたら、日本にまともな政治家はいないのか、何やっているんだ、賃金が上がらなくてどうやって経済が拡大するんだというふうに言われて、本当に恥ずかしかったことを思い出すんですね。だから、そこをちょっとこの国は本当に認識していないというのが、私の一番の率直な実感なんです。

 韓国を見てくださいよ。二〇二〇年では、日本が最低賃金九百二円、韓国は七百七十三円だった。それが、二〇二三年には、日本が九百六十一円で五十九円上がっていることに対して、千五十八円と、韓国に抜かされているんですよね。

 韓国は二〇一九年に、二九%、最低賃金を政府が上げて、そして、そこはいろいろな議論があったんですよね。経済が混乱するとかなんとかあったんだけれども、結局どうなったか。昨年、日本の一人当たりのGDPを、韓国の方が超えたんですよね。つまり、経済はよくなっているんですよ。これは、政府がきちんと決定をしていけば、それでよくなるという前例だと私は思っていますね。

 だから、そこを日本政府も、そこはしっかりと、ここでようやく石破総理が千五百円までと、これについてやったので、それは今すばらしいなと思っています。私自身は、更に最低賃金を二千円まで上げていかなきゃいけない、こういうことを感じているところなんですけれども。

 じゃ、ちょっと、最低賃金の千五百円のプログラムについてお話をしましょう。

 まず、二〇二〇年代の終わりに千五百円にすると石破総理は言われましたけれども、これは、二〇二九年までに、つまり、五年以内に千五百円にするということでいいですね。

西野大臣政務官 委員御指摘のとおり、二〇二〇年代というふうに申し上げておりますので、二〇二九年までに実現するという目標でございます。

末松委員 これは、春までにまとめるというんですが、春というのは大体三月か四月なんですけれども、それはどっちか分かりますかというのが一点。

 あと、それから、つまり二〇二五年から年平均で八十九円、最低賃金、平均すると、やられなければいけないというのが大体プログラムになると思うんですね。これは、閣議決定で最低賃金をしっかりとそういう形で、全体で計画が進んでいくしかないと思うんですけれども、そこはいかがですか。

西野大臣政務官 まず、前者の御質問でございますけれども、委員御指摘のとおり、最低賃金につきまして、先日、石破政権で初めて政労使の意見交換を開催させていただきました。その際に、石破総理から、赤澤大臣を中心に、来春までに対応策について取りまとめるように、関係閣僚に対して指示がなされたところでございます。

 今後も、政労使の意見交換を開催して、官民挙げて全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っておりますけれども、今の段階であらかじめ、来春の何月までに取りまとめますということは、そういう段階にはないというふうに思っておりますが、いずれにしても、石破政権挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。

 そして、後者の御質問だというふうに思いますけれども、後者の御質問につきましては、委員御存じだというふうに思いますけれども、毎年の具体的な賃金の上げ幅につきましては、最低賃金法に基づいて、公労使三者によって構成されております厚生労働省の最低賃金審議会で議論されます。

 その際には、労働者の皆様方の生活費、さらには賃金、そしてまた事業者の皆様方の賃金の支払い能力、こうした三要件を踏まえて決めることになっておりますので、この段階で具体的な上げ幅について私の方から申し上げるのは適切ではないというふうに思います。

末松委員 そこなんですよ。このガンは、最低賃金審議会が、労働者、あるいは使用者、そして公益委員、この三者で決めるんですよ。大体、ずっと私も議事録も読んできたけれども、労使で、みんな当然反発しますよね、決まるわけないんだ。だから、公益委員がいろいろな統計とかなんとかをやって決めていくんですね。

 でも、そのときに、政治決定で決められた実績があるんですよ。それは何かというと、安倍総理が賃上げを三%以上するというような形になってからですね。それまで、実は元々、表を見ればすぐ分かるんだけれども、数円しか上げられなかった最低賃金の額が、生活保護よりも上にならなきゃいけないというので、十五、六円ぐらいずっと上がってきたんですね。そして、安倍総理のときから、二十五円から三十円近く上がってきたんですね。これは、安倍総理が決定したからそういうふうな形になったんですよ。これは、政治主導というのが多分確立されていると思うんですね。

 だから、私が言ったように、政府が閣議決定をして幾らという、ここでいうと八十九円ぐらい年平均でやらないと、千五百円にたどり着かないんですよ。その辺はどう思いますか。

西野大臣政務官 繰り返しで恐縮でございますけれども、最低賃金の具体的な上げ幅については、先ほど申し上げたとおり、最低賃金法、さらには労働法等の関係法令に基づいて議論して決めるということになっておりますので、私がこの段階で八十円、九十円、百円上げるというようなことを申し上げるのは適当ではないというふうに思います。

末松委員 ただ、プログラムを決めるのに、五百円近く上げるんですよ。何年目かにぼんと三百円上げるとか、そんなことはできないんですよ。だったら、着実に上げていくしか論理的にあり得ないでしょう。

 それも、私たち、仲間でやっていたときに、結局、これは、最低賃金審議会の中で、政府の決定というものを資料を出して、そしてそれを参考にこの三者で決めていくという形になるのが適当というか、それしかないと思うんですね。そういった意味で、閣議決定が、やはり年々の計画を作っていかないと無理だということを私は指摘をさせていただきたいと思います。

 具体的にちょっと話をすると、大体、今年は五十円近く無理して上げたというか、かなり上げたんですけれども、大体三十円前後が自然の流れで企業の負担になるわけですよ。そうすると、八十九円まで大体六十円程度は上がっていかないと、年々八十九円にはならないわけです。

 そういった場合に、そこが一番の、全国民も知りたいところはそこなんですよ。つまり、石破総理が、企業の生産性上昇とか価格転嫁等とか、あるいはそういった具体的なところの中で、これは数字を持っていかないと結果にならないんですね。

 資料の三を見てください。

 これで、例えば、最低賃金を上げるための政府諸措置の、これは一部と書いていますけれども、中小企業は大体三百三十六万社あるんですよ。これは中小企業庁から聞きました。これで、財務省関係でいうと、賃上げに関する税制、所得拡大税制ってあるんですね。これが、大体十万件ぐらいあったのを、令和四年度は二十一万件まで上がっているんですよ。大体、適用金額が五千百五十億円、ここに書いているとおりなんです。これが、今までずっとやってきてほとんど効果がない、つまり、どれだけ最低賃金を上げたんですかという結果が分からないんですよね。

 そして、経産省関係に行くと、ものづくり補助金だとか、IT導入補助金だとか、持続化補助金だとか、事業承継・MアンドA補助金とか。これを見てくださいよ、ものづくり補助金で二千二百五十五件、IT補助金でも五万件、持続化補助金で一万件、事業承継で千三百件弱ですよ。

 つまり、これは、三百三十六万社あって、ほとんどが中小企業ですよね、大企業で最低賃金レベルというのは本当に外注以外はほとんどないと思う。でも、中小零細企業では本当に困っているから、これをどうやって上げるのかというのが一番のポイントでしょう。それなのに、この適用件数を見たら、いって二、三十万件あるかないかですよ。

 じゃ、あと、三百三十六万中小企業のうち、そのうちの半分ぐらいは、半分か三分の一か、まあ、半分ぐらいですかね、最低賃金レベルかそれ以下のというようなところで、これから上げていく上で、そこに追いついていけないような企業、これが半分で百七十万社くらい、これをどうやって上げていくんだよということが全く分からない、そこは。

 これについて、何かコメントはありますか。

西野大臣政務官 内閣府に対しては通告がございませんけれども、私、ある種、個人的な思いが入るかもしれませんけれども、おっしゃるとおり、賃金を上げるために、政府として、税制さらには補助金を含めて様々な施策を講じているところでございますが、なかなかこれまでは効果が上がってこなかった。

 しかし、今ようやく、三十年間のデフレ経済を脱却して好循環を生み出す、その千載一遇のチャンスをつかんでいるというところだというふうに思いますので、こうした施策を更にてこ入れしながら、さらにはソフィスティケート、磨き上げながら制度をつくり上げて、そして実際の賃金が上がっていくように、政府としてもこれからも全力を挙げて取り組んでいかなくちゃいけないというふうに思います。

末松委員 だから、石破総理が、これは英断だと思うんだけれども、千五百円を、元々は二〇三五年までと言っていたのが、二〇二九年までに、五年以内にやったという、数字目標をやったところに大きな違いが出てきているんですよ。数字でやったら数字で評価されますからね。そこをきちんとやらなければいけない。

 そこで、今までのような、何かいろいろなメニューは出して、これだけ頑張っていますよ、でも結果は問われませんよ、こんなことばかりやっていたら最低賃金の数字は達成できないんです。だから、皆さん、私はどうしても、そこで、政府の直接投資、私の方は、国庫補助金を使わないと絶対にそこはできないと思っているわけです。

 資料の二を見てください。これは、国家基本委員会の合同審査会で田村議員が言われたことなんですね。これが本当に、やはり最低賃金の大幅引上げのためには、ここは政府の直接支援が必要だということ。

 だから、間接的に、何をやりますというメニューばかりやっていたら、それは結局、全然効果が把握できない。

 だから、そこできちんと最低賃金を、私どもも計算をしましたよ、一年ごとに、五年以内に私たちも千五百円にするということをやってきた。一年目にどのくらいの予算を積めばいいか、二年目にどのくらい予算を積めばいいか、三年目にどのくらい予算を積めばいいかというのをずっと計算をして、そして千五百円になった。なった時点で、そこでぱっとはしごを外したらとんでもなくなるから、あと大体二割から三割ぐらいカットをずっとしながらソフトランディングに持っていくというところまで計算した上で、大体そこで、私の計算では十兆円、五年間でかかるというところまで、千五百円の場合はやったんですね。

 ただ、今の状況を見ると、もうこれは、物価が非常に高騰しているということもあるし、さらに、五年後に千五百円という話ですから、欧米は今二千円が、多分二千六、七百円には五年後になっているわけですから、そういうのを比べるし、また、今、生活維持費用というのは、ずっと調べていって、連合を含めていろいろ調べていって、やはり三十万近くかかっていっているので、五年後、想定すれば、やはり、五年後であれば、最低賃金二千円だと月収三十万円ぐらいになりますから、そのくらいまで高めていかなきゃいけないと私の方は思っているわけです。これはまた、立憲民主党の中でおいおい検討していくことになりますけれども。

 そういうことをきちんと数字で結果を出せなければいけないということを本当に認識してもらいたい。そのためには、政府の直接支援がどうしても必要になるということを申し上げたいと思います。

 時間がなくなりましたので、加藤大臣にその認識をちょっと問いたいと思います。一言で結構なので、時間がなくなってきたので。済みません。

加藤国務大臣 やはり、先ほど、兆しが見えてこれを本格的な循環にしていく、そのためには賃金であり、所得を上げていく、これは非常に大事なことだと思っています。それに向けて、先ほどちょっと、税の方で賃上げ税制の話もお触れいただきました。特に最低賃金については、石破総理からも、二〇二〇年代に千五百円、こういう目標も出しておられますので、そうした目標がしっかりと実現できるよう、我々としても努力をしていきたいと思います。

末松委員 もっと、実は、これは一応私の出だしの質問だということで、最低賃金について。

 時間がなくなってきましたので、事業承継の特例措置について一言申し上げたいと思います。

 事業承継の特例措置について、特例承認計画の提出期限が二〇二六年の三月末になっていて、特例措置の適用期限が二〇二七年の十二月末に迫っているんですよ。事業承継を促進する観点から、非常に役立っているこの特例措置を延期させるべきだと私は考えていますけれども、経産省はどう考えていますか。

加藤大臣政務官 御指摘いただきました事業承継税制につきましては、現在、令和七年度税制改正要望において要件の見直しについて要望を出しているところでございます。

 特例措置の延長につきましては、まずは周知徹底に努めることが、最大限の活用を進めることが重要でございます。引き続き、その後も中小企業の皆様方に真摯に耳を傾けながら、今後検討してまいりたいと考えております。

末松委員 これは本当に役立っていて、私の地元でも、本当に、これは何とか延期をしてくれと。ここは地元の法人会でもそういう要望をしていますし、全国でも要望していますので、そういった中で、本当は財務省にもこれは問うべき話ではあるんですけれども、今回質問通告していませんけれども、そこは是非強くお願いして、多分その方向になるというような感触も、感じは持っていますけれども、是非お願いして、私、末松からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井林委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 大臣、よろしくお願いします。委員長、与野党の理事の先生方、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、令和六年度の補正予算、昨日成立をしたわけですが、補正予算に、空母艦載機の移駐等のための事業に係る経費、いわゆる、私の地元であります馬毛島において進められております基地整備予算について、千三百七十七億円が計上されておりました。

 この予算について、金額についてお尋ねをいたしますが、九月に、この馬毛島基地整備については三年間、工期が延長されるよというふうに防衛省から発表があったわけですが、今般補正予算に計上されている千三百七十七億円というのは、工期の延長に伴う経費の増額ではなく、最近の人件費の高騰や資材費の高騰、物価の高騰等に伴うものであるという理解でよろしいかというのを教えてください。

井上政府参考人 お答えいたします。

 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえまして、馬毛島における自衛隊施設をできる限り早期に整備するために、歳出ベースで千三百七十七億円を令和六年度補正予算に計上しているところでございます。

 この補正予算には、本年九月に公表した、事業全体の完了が令和十一年度末の見込みとなったことによる追加的な経費は計上しておりません。

 防衛省としましては、引き続き、着実に馬毛島における施設整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。

川内委員 工期延長に伴う追加的経費はこれから計上されるということで、今、一兆円ぐらいかかっているんですけれども、どこまで膨らむのかということを早く教えていただきたいというふうに思いますが。

 それでは、工期が延長されるかもしれないという状況について防衛大臣に御説明をした日付、何月何日に説明をしたのかということを教えてください。

井上政府参考人 お答えいたします。

 木原前大臣へは、本年の七月十二日に、施設整備の完了時期が令和十一年度末となる可能性があるという初度的な報告をさせていただきました。

川内委員 初度的なという言葉は、一回目のという、広辞苑で引くとそういうふうに書いてあります。

 防衛大臣に、七月十二日に、工期が三年延長されるかもしれないということを報告したと。防衛大臣は、本年七月十八日に馬毛島を御視察いただいた後、翌七月十九日に、閣議後会見で工事の進捗について問われ、何とか着実に進んでいる、遅れているとかいう話は聞いておりませんというふうに発言しているんですね。

 七月に、工事が遅れるかもしれませんという報告を事務方からいただきながら、七月十二日に報告をされた、しかし、その後、十九日の閣議後会見では、遅れているとかいう話は聞いていないという閣議後会見をされた。この事実経過だけ、まず確認させてください。それでいいですよね。

井上政府参考人 お答えいたします。

 そのとおりでございます。

川内委員 いろいろ防衛省としては言い訳もするんでしょうけれども、私はやはり、国民に対していろいろなことを正直に御発言、説明されることが、国民からの信頼を、安全保障環境が厳しくなっていると殊更に言い立てるのであれば、必要だと。

 平成二十年の防衛省改革会議によれば、主権者である国民に対する説明責任を政府、防衛省が適切に果たすことが大事だ、正しい情報をより早く伝えることは極めて重要であり、そのための体制を平時、有事を問わず整備しておくべきであると、防衛省改革会議、防衛省自身が、なるべく早く国民に正しいことを伝えるよとおっしゃっているわけですから、大臣に説明しておきながら、その後、順調に進んでいますよという会見をさせるというのは、ちょっと苦言を呈しておきたいというふうに思います。

 防衛省はもうお引き取りいただいて結構です。

 続いて、最近の三菱銀行の貸し金庫問題、ちょっと繰り上げて聞かせていただきますが、これは私も驚愕をいたしました。びっくりしたという感じですけれども。

 三菱UFJ銀行が今回話題になっているわけですけれども、過去に、貸し金庫からの窃取事案というのが本件以外に金融庁に報告をされていたことがあるのだろうかということを教えていただきたいというふうに思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 銀行にとりまして、顧客からの信頼は、顧客の大切な財産を預かる銀行業を営む上で最も重要なことであると考えておりまして、日本を代表する銀行である三菱UFJ銀行におきましてこうした事案が発生したことは、大変遺憾に思っているところでございます。

 お尋ねの、過去、金融庁に同種の事案がという点でございますけれども、過去、貸し金庫の関係の不祥事が金融庁に届けられたことはございます。

川内委員 届けられたことはございますと。件数まで言った、もう一回。何件ですか。

伊藤政府参考人 今朝ほど先生から追加の通告をいただきまして、集計をしているところでございますけれども、今まだ私の手元に数字がございませんので、大変恐縮ですが、今は件数を申し上げることができません。恐縮でございます。

川内委員 件数を数えられないぐらいたくさん報告されているということですか。何を言っているの、今。

伊藤政府参考人 恐縮でございます。

 過去の不祥事件報告を見なければいけないということでございますが、全国の金融機関、五百を超える金融機関でございますので、先ほど申し上げたような御答弁になったということで、おわびを申し上げたいと思います。

川内委員 貸し金庫窃取事案というのは、じゃ、結構あるということなんでしょうかね。

 じゃ、三菱UFJ、これは合併前を含むそれぞれの銀行からの報告というのもあったのでしょうか、過去に。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 これも今朝ほど御通告をいただいたところで、過去五年間につきましては、こういう事案の報告は私どもに届いておりませんけれども、それを遡って更に合併前ということになりますと、これもちょっと、書類がどこまで、保存期間も過ぎておりますので、確認できるか分かりませんけれども、今この場でお答えすることができません。

川内委員 今、過去五年間は調べていると言ったじゃないですか。じゃ、過去五年間で、過去に貸し金庫からの窃取事案が本件以外に何件あったかというのはもう分かっているんでしょう、過去五年間で。五年間はもう調べたと言ったじゃないですか、今。ちゃんと言ってくださいよ、過去五年間。

伊藤政府参考人 今ほど申し上げましたのは、三菱UFJ銀行につきまして過去五年間でこの種の不祥事案はないということでございまして、それで、他の金融機関ということでございますと、先ほど申し上げたように数が多うございますので、今まだ、数が多いというのは金融機関の数が多いということでございますけれども、集計をしているところでございます。

川内委員 過去に何件あったかというのは、じゃ、後で教えてくださいね、ちゃんと。いいですか。教えますと言ってください。

伊藤政府参考人 先生に御報告させていただきます。

川内委員 金融庁として、貸し金庫から物が盗まれるというのは大変なことだと思うんですけれども、過去にそういう報告があったときに、金融庁あるいは銀行監督セクションとしてどのような対応をされたのでしょうか。

伊藤政府参考人 私どもとして、不祥事件一般についてということでもございますけれども、それぞれ原因それから真因を分析を求めまして、それでその後の改善対応を求めるということをやっております。

川内委員 過去のそういう事案の場合には、公表はされておらないということですよね。

伊藤政府参考人 これは公表されているものとされていないものがございまして、これは、不祥事案と不祥事の被害に遭われたお客様との関係でございますとか、貸し金庫事案といっても対応がいろいろでございますので、これは公表されているものと公表されていないものと両方ございます。

川内委員 公表されているものは、件数、公表されているのは何件です、それは分かっているんでしょう。公表しているとかしていない、えらい詳しく説明するじゃないですか。

伊藤政府参考人 今朝いただいてからの集計でございますので、五百以上の金融機関について、全ての案件を正確に調べることができていないということでございます。

川内委員 私が聞いているのは、金融庁として公表しているものがあるのかということを聞いているんですけれども。

伊藤政府参考人 金融庁といたしましては、業務改善命令に及べばこれは公表しておりますけれども、報告徴求命令だけの場合には、通常、金融庁の方から公表することはしておりませんので、ですから、不祥事件報告は金融庁に法律上の報告としていただいておりますけれども、それを全て金融庁が報告するということにはなっておりません。

川内委員 なっておりませんと。制度上のことを聞いているんじゃなくて、これまで公表はされておらない、金融庁としては公表していないんですねということを聞いているんですけれども。

伊藤政府参考人 金融庁としては公表しておりません。

川内委員 これは金融業界全体の、今大臣聞いていただいていても、五百数十行ある銀行全てに関わっていろいろな事案があるんでしょう。金融庁自体はいろいろなことを知っていました、だけれども報告徴求命令に至ったものについては公表しないんだ、業務改善命令に至ったものだけが公表されるんだと。だけれども、今般こういうことが起きて、これは大変なことだなと私は思うんですよ。大臣として、これは業界全体の問題だと思うんですね。ネットなどを読むと、いろいろな人がいろいろな書き込みをしていて、俺も取られたぜとか言っている人たちもいるようなんですけれども、大臣、業界全体を、本件事案を含めて、どう今後御指導されていかれるおつもりかというのを御発言をいただきたいというふうに思います。

加藤国務大臣 こうした貸し金庫等を活用される背景はいろいろあるとは思いますけれども、一つはやはり、自宅に置くよりは安全だということで金融機関を信頼して預けておられる。そのまさに信頼そのものを大きく毀損する事案ということで、まさに金融機関に対する信頼を毀損する事態、大変遺憾なものであるというふうに認識をしております。

 それで、具体的な対応については、今、各行に対しては、先ほど事務の方から説明したような対応をさせていただいていますが、金融庁としては、今回の事案を重く受け止め、三菱UFJ銀行においてはもちろんでありますが、各金融機関で管理体制を強化し、類似事案の発生を防止することが重要と考えておりますので、そうした銀行業界等に対しても、しっかりそれを徹底するように働きかけていきたいと考えています。

川内委員 働きかけていくということなんですけれども、先ほどの制度の御説明でいえば、報告徴求命令をかけただけでは公表はしないのだという制度になっておるということなんですが、私は、その辺の制度自体の見直しを含めて、金融庁が報告を求めたものについてはちゃんと公表するよというふうにして信用をつくっていく、積み上げていくということが必要なのではないかというふうに考えますので、その辺を含めて、大臣、検討されるという理解でよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 まず、先ほど申し上げたのは、団体等を通じてしっかりもう一回点検してほしいということ、これは徹底していく必要があるということをまず申し上げさせていただきました。

 その上で、今御指摘もございます、ちょっと公開基準をどうするかというのは、いろいろなことに関わりますから、ここですぐ、やりますとか、やりませんとかという軽々なことは申し上げられませんが、一つ御指摘を受けたものとして中で検討させていただきたいと思います。

川内委員 ありがとうございます。

 続いて、今日、階先生もここにいらっしゃるんですけれども、令和六年度の補正予算の審議で、半導体の基金事業について、六千億、令和六年度末で基金残高があるから補正予算に新たに四千億、五千億近いお金を積む必要はないのではないかということで、減額修正を私どもはしますよというふうに申し上げていたわけですが、それについて、公明党の先生とのやり取りの中で、いや、そんなことをされたら工事がストップするんだ、もう大変なことになるんだという経産省の局長さんの御答弁があったんですけれども。

 私は、それは非常に不正確で、それこそ、さっき原口先生から基金シートの話が出ましたけれども、この特定半導体基金の基金シートを見ると、令和六年度末は六千億の残高、補正予算を積まずとも令和七年度の残高が四千億ということで、普通にしていても四千億、まだ七年度、来年度の残高があるということで、工事がストップしてしまう、あるいは調達、設備投資ができなくなるという御答弁は、私は、非常に不正確な御答弁で国民に誤解を与えるものであるというふうに思うので、この場で御答弁を訂正していただきたいというふうに思います。

野原政府参考人 令和六年十二月十二日の衆議院予算委員会における福重隆浩委員の質疑におきまして、政府参考人である私から、特定半導体基金について、令和六年度末に見込まれる基金残高六千億円は、令和五年度以前の補正予算に基づいて認定したTSMC熊本の二号棟やキオクシアの四日市、北上の設備投資計画のうち、令和七年四月以降に精算払いのタイミングを迎える、計画認定時に既に約束している支払い分に相当するため、これを流用すると、TSMCの熊本二号棟は建設がストップし、キオクシアも設備投資ができなくなると申し上げました。

 一方、建設や設備投資の継続の可否は、民間事業者と施工業者との契約内容や事業者の手元現金残高等によって変わり得るもので、最終的には民間事業者自身の投資判断によるため、建設がストップしたり設備投資ができなくなると国が断定することは不正確でありました。

 今後は、そのような可能性があるとの説明にとどめるなど、政府参考人として正確な答弁を心がけてまいります。

川内委員 本当に、正確に答弁というかやり取りしないと、非常に誤解を生むので、今の御答弁も、その六千億の流用を求められたらということなんですよね。我々は、六千億は六千億で別に基金残高として使ってね、使っていいんだよということを言っていたわけですから、全くミスリードなことを予算委員会の場で御答弁されるというのは、今後、政府としてお気をつけいただきたい。

 これは予算案の審議に関する事柄ですから、財務大臣、政府参考人の答弁については十分今後、気をつけさせるということを、予算の責任者として御答弁いただいておきたい。本予算がありますからね。

加藤国務大臣 そうした御指摘といいますか、あったこと、政府として受け止めさせていただきたいと思います。

川内委員 それでは、今日は、もう一つ、資料をお配りしておりますけれども、政府は、マイナンバーを使ってください、使ってくださいと一生懸命おっしゃるんですが、高齢者の方とか、マイナンバー保険証はよく分からぬ、紙の保険証がいいよという声もいっぱいあるわけですよ。健康保険証は廃止になったけれども、資格確認書という名前の新たな紙の保険証がマイナ保険証を使わない人には配付されるわけですけれども、そのことが周知されていない。

 石破総理大臣は、周知はしますから、周知というのはみんなに分かるようにやることだ、こういうふうにおっしゃっているんですが、今日配った資料、これは病院の受付に貼ってあるんですね、マイナンバーカードで受付してくださいと。マイナンバーカードが、マイナ保険証がない人は資格確認書が発行されますよというのが下の方にちっちゃく書いてあるんですよ。ちっちゃく書いてある。何じゃこりゃみたいな。

 だから、厚生労働省に来ていただいているので、資格確認書が使えるんですよ、マイナ保険証で使うのが不安だよという人は資格確認書が使えますよ、発行されますよということを大きな字で書いたポスターを各病院の薬局の受付にこれから貼るべきだと。だって、ちゃんと予算が三百五十三億取ってあるんですからね。

 でっかい字で、このマイナンバーカードと書いてある字の大きさで、資格確認書も使えますよ、発行しますよというポスターを作って、各病院、薬局に貼りますからというのをちゃんと答弁していただきたいと思います。

榊原政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナ保険証は、本人の健康、医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するものであり、その利用を促進することは大事でございます。他方で、マイナンバー保険証、マイナ保険証をお持ちでない方もこれまでどおり保険診療が受けられることを、周知していくことが重要でございます。

 こうしたことから、最大一年間、発行済みの保険証が使用できること、マイナ保険証をお持ちでない方は申請によらず資格確認書を発行すること、資格確認書の交付対象でない方が医療機関でマイナ保険証を利用できなかった場合に円滑に保険診療が受けられる方法等について、保険者や医療機関等とも協力しつつ周知を図ってきたところでございます。

 また、御指摘もございました、私どもとしましても、改めて、マイナ保険証を持っていなくても十二月二日以降もこれまでどおりの医療を受けられる旨を記載した、ポスターとともに使用できるリーフレット、資格確認書も強調させていただいた上で作成しまして、患者の方々への周知に役立てていただけるよう、今月十二日に全医療機関、薬局に送付したところでございます。

 引き続き、国民の皆様の不安の解消に努めながら、マイナ保険証のメリット等も併せまして、更に必要な周知を図ってまいりたいというふうに思います。

川内委員 私が聞いたことに答えないで、長々と私の時間を奪わないでくださいよ。

 資格確認書も使えますとでっかい字で書いたポスターを作ってくださいね、そしてそれを全国に配布してくださいねということを言っているんですよ。それをやりますと、やるのかやらないのか、言ってくださいよ。めっちゃ、高齢者、不安なんだから。

榊原政府参考人 お答え申し上げます。

 ポスターとしましても使用できます、資格確認書でかかれるということが大きく書かれたリーフレットにつきまして、十二月二日に全国の医療機関、薬局に送付したところでございます。

川内委員 今後も、じゃ、でっかい字で書くと言ってくださいよ。でっかい、大きな字でポスターを作りますから、資格確認書と大きな字で書いてありますからと言ってくださいよ。

榊原政府参考人 お答え申し上げます。

 これからも、大きい字で資格確認書について書いたポスターを作成させていただきたいと思います。

川内委員 それで、何で健康保険証が廃止になったのかという議事録がない、記録がない、関係閣僚で集まって決めたんだと河野大臣はおっしゃるんですけれども、発議をしたのは河野大臣だと思うんですよね。

 加藤大臣は厚生労働大臣としてその場にいたと思うので、発議をしたのは河野さんだということを、この場で、ちょっと財務大臣としては、金融担当大臣としては答弁できないかもしれませんが、過去の厚労大臣として、今国務大臣になっていらっしゃる立場で、発議したのは河野さんだということを教えていただきたいというふうに思います。

加藤国務大臣 今ここに立っているのは財務大臣兼金融担当大臣ということでありますから、その限りでは、ちょっとその件に関して答弁するというのは差し控えたいと思います。

川内委員 だから、河野さんだと思うんですけれども、文書は作成しなきゃいかぬと思うんですよね、どっちにしろ、公文書管理法上。重要な意思決定が行われた会合なので、文書は作成しなければ、公文書管理法上、問題があると思うんですけれども、文書は作成しますか、厚労省。

榊原政府参考人 お答え申し上げます。

 保険証の新規発行の終了につきましては、政府全体としてマイナンバーカードの普及や国民の利便性向上に向けた対応を総合的に取り組む中で、最終的に、令和四年十月十三日に、関係閣僚において方針を確認の上、当時のデジタル大臣から発表したものと承知しておりまして、十月十三日の会合の記録を事後的に改めて作成することは考えてございません。

川内委員 もう終わりました。じゃ、またこの続き、来年の本予算のときにやらせていただきたいというふうに思います。

 質問できなかった項目については謝罪します。

 ありがとうございました。

井林委員長 次に、江田憲司君。

江田委員 どうも、江田憲司でございます。

 加藤大臣、よろしくお願いします。

 今日は、富裕層や超大企業への不公平な優遇税制の見直しについて議論をさせていただきたいと思います。私の思いとしては、これからどんどん増大をしていく社会保障の財源、医療や介護、年金、さらには子育て支援、そして現下の最大の課題の一つである経済、景気対策、そうしたものの恒久財源を是非とも生み出したい、こういう思いから議論をさせていただきたいと思うんですね。

 さて、最初は、一億円の壁。

 今、資料を配らせていただいた、余りにも有名になったグラフでありますけれども、これは御存じのように、岸田前総理が、二一年秋の総裁選のときに、一億円の壁、これを見直すんだと言って脚光を浴びたわけですが、私は、それを遡ること数年前から予算委員会でこのグラフを出して議論をさせていただいてまいりました。

 この赤い棒線、これは一億円ですけれども、壁ですけれども、これを超えると、見事にどんどんどんどん所得税の負担率が下がっていく。それは、この黄緑の線が急上昇しているように、大体一億円を超えるような年収の方はその年収に占める株取引による利益の占める割合が多いということで、そこに二〇%しか課税をされていない。ちなみに、所得税の最高税率というのは四五%、住民税を入れると五五%。これに比べると、はっきり言えば、勤労所得への課税の方が金融所得への課税の二倍以上だというね。しかも、私は本当におかしな国だと思うのは、お金持ちになればなるほど所得税の負担率が下がっている。

 こういう事態を財務省として、大臣は是とされているのかいないのか、端的にお答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 税の場合に、公平、中立、簡素という原則にのっとって議論されるべき。今の場合は公平というお話だというふうに思います。特に、経済力が同等の人が等しく負担する水平的な公平と、もう一つは、今お話があった、より経済力を持つ人はより多く負担すべきという垂直的公平、これは、この原則の中でも、公平というのは税制に対する国民の信頼の基礎として大変大事なものだというふうに考えております。

 金融所得課税については、これまでも税負担の公平性という中でも議論されてきました。ただ、他方で、今、貯蓄から投資への流れを引き続き推進し、一般の投資家が投資しやすい環境を損なわないようにするということ、この観点も重要であり、これらを総合的に勘案していく必要があると考えているところであります。

江田委員 大臣おっしゃったように、税というのは公平、簡素、中立という基本原則がありますよね。そのうちの公平というのは、私なりに言い直すと、やはり、担税能力、税を負担する能力の高い人ほど税金を払っていただく、そういう原則ですから、まさにこのグラフはそれに逆行しているということですね。

 誤解なきように言いますと、私も貯蓄から投資への流れは大賛成ですしね。金融所得課税の強化の議論をすると早速出てくるのが、中所得者層とか、NISAはどうするんだと。これは私も増税する気なんかさらさらありませんし、むしろ、NISAやiDeCoは拡充していく、非課税枠も恒久化していく。今年から政府も措置をされたと思います。ですから、本当に誤解なきように言いますと、私が議論しているのは、富裕層に対する金融所得課税の強化なんですよね。

 ですから、諸外国を見ましても、例えばアメリカ、これは州制度なので、ニューヨーク州でいくと、これが三四・八%、フランスでは三〇%、イギリスは、これは配当課税ですけれども三八・一%。私が少し調べただけでも、国際水準は、富裕層ですよ、富裕層に対する最高税率はやはり三〇%前後かそれを超えているということでございますから、財務省、政府は常に、口を開けば、財政が厳しい厳しい、財源につきましても、子育て支援のための健康保険料値上げ一兆円だ、防衛増税のための一兆円増税だとおっしゃっているんですから、やはり、それに代わる財源として、こういう担税能力の高い富裕層が応分の負担をされていないというところは、是非是正すべきだと私は考えている。

 例えば、非常にこれはモデストな提案ですけれども、今の二〇%の税率を国際水準並みの三〇%に引き上げるべきだと考えますけれども、大臣、お考えを示してください。

加藤国務大臣 私どもとしても、税負担の公平は重要だという観点から、御承知のように、令和五年度税制改正で、金融所得を含め、極めて高い水準の所得を対象として、令和七年分の所得から追加的に負担を求める措置を導入をするなど、一定の対応は図ってきたところでございます。

 今、引き上げてはどうかということでありますけれども、これについては、先ほどの答弁の繰り返しになってしまいますけれども、税負担の公平性とともに、今申し上げた貯蓄から投資への流れを引き続き推進し、一般の投資家が投資しやすい環境を損なわないようにすることも重要ということで、そうした点も含めて総合的に考えていく必要があるというふうに考えておりますし、現時点で金融所得課税の強化について具体的な検討をしているわけではございません。

江田委員 残念ですね。安倍政権時に、御承知のように、一四年でしたか、一〇%の税率を二〇%に上げたんですよね。ある意味で英断だったと思いますよ。

 ちなみに、この一〇から二〇に上げたときの増収というのはどのくらいですか。

加藤国務大臣 平成二十六年前後で比較をするということになると思います。配当税収は、平成二十五年の〇・四兆円が平成二十六年度一・〇兆円に増加をしたわけでありますが、一方で、株式譲渡税収については、平成二十五年の〇・七兆円から平成二十六年度の〇・六兆円に減少したということになっています。

江田委員 ちょっと信じられない。安倍総理もどう思われるか。増収を目指して本則に戻したわけですよね。後でちょっと検証させていただきたいと思うんですけれども。

 要は、株で損した場合はかけないんですから、当然。株で大もうけしたときに、財政が厳しいと言っているんですから、しかも公平性の原則に反しているわけですから、それを、国際水準並みですよ、私も四〇、五〇にしろとは言いませんよ、国際水準並みに上げて財源を確保しようというのは当然の選択だと思いますけれども。

 石破総理も、総裁選のときに、何か、やるんだとおっしゃって、この前の本会議場では、一切検討していない。これは、石破総理は変節が多々あるんですけれども、大きな象徴的な一つだと思いますけれどもね。

 こういう議論をすると、すぐ、岸田さんが言ったときも岸田ショックという言葉がメディアに踊ったんですよ。石破さんが総裁選に選出されると同時に、石破ショックという言葉も出てきた。石破ショックはともかく、岸田ショック。本当に岸田さんが当時、総裁選で一億円の壁に触れたから株が下がったのか。財務省、どう分析されていますか。

加藤国務大臣 岸田前総理が、これは令和三年の頃の話だったと思います、金融所得課税について言及しておられたこと、それが株価下落になったのではないかといった指摘があったことは承知をしていますが、ただ、株価は、御承知のように、内外の経済状況や企業の活動など様々な要因によって市場で決まっているわけでありますから、日々日々の動向について、その要因を一概にこれだと申し上げるのは難しいというふうに思います。

江田委員 それなら私が分析というか、私じゃなくて、お話しすると、これは東京証券取引所やいろいろな識者、学者の方々も分析して、この岸田さんのときは、これは、岸田ショックではなくて、日本の金融機関、季節売りが原因だったということになっているんですよ。皆さん、季節売りというのは御存じですか。大体、銀行や損保、生保等の金融機関は、大体半年に一回、投資先を見直すんですよ。見直すので一時的に引き揚げたところもあって、その影響で一時的に株は下がったんですけれども、この税制が影響したんじゃないということは、当時の資料を見れば明らかなんですけれども。

 税制が少しでも影響するかなという個人投資家は、当時、一千億円の買い越しだったんです、株は。

 だから、明らかに、ためにする、証券業界とは言いませんけれども、そういうところのプロパガンダというか、それにおじけづいたのかどうか知りませんけれども、岸田当時総理は、総理になってからこれを引っ込められた。石破さんも、総裁選で触れたのに引っ込められた。この辺に私はうさん臭さを感じていて。やはり、調べてみると、証券会社というのは年間三千万円以上、自民党に献金しているそうですよね。だから、加藤大臣も、ゆめゆめ、そういうところを、これは政治改革特委でもやりましたけれども、企業献金で政策がゆがめられていないとおっしゃるんだったら、しっかり。

 しかも、あなた方は、財源、財源、厳しいと言っているんだから。とにかく消費税だけは増税、増税と言うわけでしょう。そういう、要は、国民のための、税制改革でなくて、こういった、是非、税制改革をしていただきたいなというふうに思います。

 それから、一つこの点で最後聞きたいのは、G20、七月にありましたよね、リオデジャネイロで。そこの国際租税協力に関するリオ宣言というのが出て、そこで、こうした富裕層への課税強化という方向が打ち出されたと。これは、日本にも国内法の改正義務とか、それから、これは国際協調でやっていかなきゃ駄目ですからね。

 とにかく、こういう富裕層への課税強化を言うと、誰かが、どこかの人が言っていましたけれども、富裕層がどんどんどんどん海外へ逃げていくんだというような批判もすぐ出てきますよね。それにはいろいろな、出国税とか海外の利子には最高五五%税金をかけるとか、必ずしもタックスヘイブンに逃げられるわけじゃないんですけれども、そういう制約があるから私は疑問に思いますけれども、ただ、同じ問題意識でG20がこういった軽課税国への税逃れ防止のためにこういう宣言を出した。

 加藤大臣、これから国内対応が迫られますけれども、どういう方針でいかれるつもりですか。

加藤国務大臣 御指摘、本年七月の国際租税協力に関するG20閣僚リオデジャネイロ宣言において、効果的な累進課税政策の文脈の中で、超富裕層への課税その他の課題について取組を検討するとされたところであります。この文脈の関連では、先ほど御答弁をさせていただきましたが、令和五年度税制改正について一定の対応は図ってきたところであります。

 格差是正及び所得再配分機能の適切な発揮の観点からは、こうした措置の施行の状況なども見極めつつ、また経済の構造変化なども踏まえながら、引き続き検討していきたいと考えております。

江田委員 いずれにせよ、守らにゃいかぬわけですよね、大臣。

加藤国務大臣 宣言をということですね。ですから、宣言も踏まえて引き続き検討していきたいと考えております。

江田委員 検討というのは、富裕層の強化がもう明示されているんですから、その方向で検討していくということですね。

加藤国務大臣 既に、先ほど申し上げた、令和五年度税制改正においては一定の対応もさせていただきました。そうした施行の状況についてもよく見極めながら対応を検討させていただきたいということであります。

江田委員 令和五年の改正というのはミニマム税のことですか。対応したと言うけれども、これは三十億円以上の方が対象で、たった三百人、税収は五百五十億円。微々たるもので対応しただけで、これをもってリオ宣言を履行したとはとても言えないことは大臣よくお分かりだと思いますので、是非、担税能力に応じて税を負担していただくという原則を守って、不公平な富裕層への優遇税制を正していっていただきたいと思います。

 二つ目は、法人税ですね。

 今、二枚目、資料をお配りした、実際の法人税負担率、これは、私が数年来にわたって財務省に、とにかくデータを出せ出せと言って、やっと出てきたグラフなんですけれども、財務省さんなので、事務方でいいですからこれを読み上げていただけませんか。規模別に、何%、今、実際上の法人税負担があるかというのをちょっと読み上げていただきたいと思います。

井林委員長 政府参考人、江田先生のときは御用意していないので。

江田委員 じゃ、大臣、これを読み上げてください、財務省の資料なので。恐縮ですが。

加藤国務大臣 読み上げというのは、左から言っていけばいいですか。

 実際の法人税負担率、二〇一九年度の数字でありますが、資本金が一千万円以下については国税のみの負担率は一四・六〇%、一億から十億円以下については一九・八〇%、百億円超については一二・八〇%ということであります。

江田委員 大臣、恐縮でした。政府参考人でいいと言っておいたんですけれども。

 いずれにせよ、これは財務省のデータで、国税の中でも、法人地方税は抜いていますけれども、二三・二%が法定税率。にもかかわらず、資本金百億円超、超大企業が一二・八%の実際上の負担率ですよ。二三・二に対して一二・八の負担率。これは、一千万円以下の中小零細企業の一四・六%よりも税負担をしていない。これは明らかにおかしいんじゃないですか。

 なぜこんなことが起こるかというと、これは皆さん、釈迦に説法ですけれども、とにかく租特ですね、租税特別措置。とにかく、税制優遇措置、それを適用にして、結果的にどんどんどんどん税負担が下がって、大企業の場合には一二・八ということになるんですけれども。

 これも、先ほど申し上げた公平の原則、しかも、国民感情からいって、今、御承知のように、もう内部留保は六百兆円を超えたんですよ。内部留保は六百兆円。それで、賃金は上げない、設備投資も余りしないというね。今の、私は、最近の企業の経営者、ちょっと僕はおかしいと思っているんですよ。私は、通産省という役所にいて、昔、企業経営者の何人もおつき合いしましたけれども、その当時の経営者と比べてね。本当に株式配当はいっぱいするんですよ、六倍ぐらいになっている、でも賃金は上がらない、しかも税負担はしないというのは、国民感情からいっても本当に許されないことだと思うんですけれどもね。これこそに、財務省さん、財源がないと言うんだったら、切り込むべきじゃないですか。

加藤国務大臣 企業は収益を上げ、内部留保が積まれる一方で賃金引上げにつながっていない、その問題意識は私も共有させていただいております。

 その上で、その資料でありますけれども、租税特別措置とおっしゃったんですけれども、一番大きいのは、受取配当等の益金不算入制度、外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度。これは、国際的にも、二重課税を避けるため、一般的に取られている措置であります。ただ、実際これを適用できるのは大企業が多い、中小企業は決して多くない、その差分だけ落ち込んでいるということがこの背景にあるというふうに考えています。

江田委員 私も、通産省にいましたから、大体こういう租税特別措置は通産省が要求官庁になるのでよく分かっていますけれども、そこに合理性があるものも多く含まれることも私は分かっております。ですから、私の提案は、租特をどうするという議論はまた別途やらないかぬのですけれども、簡単のために、今の租特は全て残す前提で、企業規模別に一〇%から四〇%の累進税率を適用すれば、大企業、例えば百億円超は四〇%になりますけれども、しかし、結果的には、租特や優遇税制が適用されて、私は、ざっくり言うと二十数%の実際の負担率になる。一方で、一千万円以下の中小企業は一〇%になりますから減税になる。

 これで、我々が税理士の皆さんにちょっと試算していただいたざっくりした数字を言うと、大体十兆円前後の増収が見込まれる、そう思っているんですけれども、財務省として、法人税は所得税と違ってフラットな税制ですよね、まあ中小企業には多少、今、一五%ですか、軽減税率はありますけれども、累進税率を導入してこういった不公平感を是正していく、そういったお考えはないんですか。

加藤国務大臣 海外でも法人税で累進をしているところは余りないんじゃないかと認識をしております。

 その背景にあるのは、自然人というのは個人ですから割ることはできないんですけれども、法人の場合には、税負担を回避するため会社分割を行う等いろいろな可能性も指摘をされているところでありますので、単一税率が採用されているところだというふうに承知をしております。

 その上で、委員から法人税そのものの引上げのお話もありました。

 これについては、これまで累次引き下げてきたところでありますけれども、意図した成果、まさに賃金や投資を伸ばしていくという成果、必ずしも上げてこなかったというのは、昨年末の与党の税制改正大綱でも指摘をされているところであります。さらに、賃上げや投資に消極的な企業に大胆な改革を促し、減税措置の実効性を高める観点からも、レベニュー・ニュートラルの観点から、今後、法人税率の引上げも視野に入れた検討が必要であるとの指摘もなされているところであります。

江田委員 ほかに外国はないと言いますが、韓国は累進税率ですし、トランプさん以前の米国も、四段階、五段階の累進税率ですし、昨年四月、イギリスは、半世紀ぶりに、スナク政権でしたか、法人増税をして、実際上の累進税率を、大企業は一九%から二五%に上げていますよね。

 それから、国際潮流を見ても、OECD、これは御承知ですけれども、多国籍企業には一五%のミニマム税ですよ。要は、どんなにいろいろな優遇だ何だ適用しても、一五%を下回る場合は一五%取ると。それから、バイデン政権、これは、共和党の賛成を得て、もうアメリカでは一五%、ミニマム税を導入しましたから、日本のように、大企業が実際は三%しか、八%しか負担していないという事態はこれで回避されて、最低でも一五%取るということになっていますから。もう国際的には法人税下げ競争はとっくに終わっているということでありますしね。

 それから、よく言われるのが、法人税を上げると企業は海外投資するんじゃないかと言われますけれども、これは、企業というのは、税率だけで海外進出は決めないんですよ。そんな経営者がいたら失格ですね。やはり、相手国の市場、労働条件、労働環境、サプライチェーン、そういったものを総合判断して進出を決めるので。

 実際、ジェトロが昨年度、アンケート調査をやっていまして、要は、海外進出において一番考慮する要因としては、一番が相手国の市場規模、成長性、これが八割以上ですよ。税制面での優位性というのはたった四・四%。

 ですから、こういうまた法人増税の話をすると、大企業ですよ、常にそういった批判、本当にためにする批判があるので、それだけは違うということを申し上げて、残念ながら時間が来ましたので、私は質疑を終わらせていただきますが、是非、大臣、御検討ください。

 ありがとうございました。

井林委員長 次に、村上智信君。

村上(智)委員 日本維新の会の村上智信でございます。

 私は、今回が初めての当選になります。当選する前、今から九年ほど前までは経済産業省で働いておりました。二十一年間働いている中で私が考えていましたのは、いかに日本の経済成長を成し遂げるか、高い経済成長を実現するか、そういうことを考えて働いておりました。そして、同じ気持ちからこの財務金融委員会を希望いたしまして、所属をさせていただきました。公務員として国会には関わったんですけれども、しかし、質問をするのは今回が初めてです。不慣れな点もありますけれども、一生懸命に質問いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 加藤大臣におかれましては、先日の所信的挨拶の中で、貯蓄から投資へという話をされました。貯蓄よりも投資の方が大切という話、私もそれには賛同いたします。しかし、なぜ貯蓄よりも投資がいいのか。この理由、様々あると思いますけれども、私が特に強調して言いたいのは、日本の経済成長のためには投資が大切であるということです。貯蓄をして融資をすること、これも大事なんですけれども、これからの日本経済が大きく伸びていくためには、投資、特にベンチャーやスタートアップ企業、こういう企業に対する投資が大切であるというふうに考えております。

 日本に高い経済成長をもたらすためには、イノベーションが大切です。新しい技術によって、そして商品を開発し、その商品を広く日本社会に普及し革新を起こす、このようなことを通じまして、経済を高く成長させるべきだ、こういうふうな話があります。このように、投資を増やす、ベンチャーへの投資を増やす、この点におきまして、金融庁において、これまで取組をしっかりやってきたという話は存じております。しばらく前は、ベンチャー企業というとなかなか投資が集まらない、こういうふうな状況でしたけれども、直近の話を聞きますと、百億円以上のベンチャー企業への投資が集まるようになったという話を教えてもらいました。

 それに関連しまして、先日、新聞記事が出ました。十二月十一日、日本経済新聞、この中に書いておりますのは、「「プロ投資家」要件明確に」というふうに書いております。プロ投資家、これは、ベンチャー企業がお金を集めたいとき、投資を集めたいとき、証券会社に話をしまして、そしてその証券会社が、普通の投資家に言うと、余りにもベンチャー企業への投資、危険なものですから、そんなふうに普通の人には言えない。だから、プロ投資家にそのような投資を連絡する、投資を募るということをするんですけれども、このプロ投資家の要件は法令で規定されていまして、その限定的に規定されている方しかプロ投資家になれないということなんですね。

 どういうふうな要件がかかっているのか、内閣府令に書いているんですけれども、純資産で幾ら以上、金融資産で幾ら以上とか、あるいは年収、こういうことを書いております。幾つかの類型があるんですけれども、一番その金額が少ない方を見ていきますと、純資産で一億円以上、金融資産一億円以上、年収一千万円以上と書いておりまして、そしてさらに、特定の知識や経験を持つ人、こういう要件が加わっているんです。特定の知識や経験、この要件が今までは明確じゃなかったので、これを明確にしようということで、金融庁さんが年度内にパブコメをしますと。そのことがこうやって新聞に出ました。この要件、緩い方がお金が大きく集まりやすくて、ベンチャー企業も有利になってきますけれども、それを前提にお聞きします。

 ベンチャー企業への投資を増やすために、未上場株、当然ベンチャー企業は未上場株、未公開株ですけれども、未上場株への投資に関連して規制は緩い方がよいと考えますけれども、大臣の考えをお伺いいたします。

加藤国務大臣 まさに、我が国経済の持続的な成長に向けても、イノベーションを生み出す潜在的成長率を高める重要な存在であるスタートアップ企業に対して成長資金が供給されていく、これが非常に重要だと考えております。そうした中で、金融庁においても、昨年十二月に資産運用立国実現プランなども出させていただいて、それにのっとった対応もさせていただいております。

 今委員からお話があった個人がプロ投資家になるための要件の更なる明確化についても、現在検討を進めているところでございます。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 この要件ですね、特定の知識や経験を持つ人。その要件として、例えば公認会計士ですとか証券アナリスト、こういうふうな方がその知識を持つのではないかということで検討が進んでいるというようには聞いております。

 それはそういう面もあるのかもしれませんけれども、私自身、実は投資を少々やっておりました。経済産業省の役人、もしかしたら知識があるというふうに思っていただいてもいいのかもしれませんけれども、しかし、自分の経験を振り返ってみると、とてもとてもそうは言えない状況でして、最初は、やはり何も分かっていなくて損をする。そんなふうな経産省の知識が、先輩から見ると、先輩は違うと言うかもしれませんけれども、しかし、私自身はなかなか苦労したなというふうに思っておりまして、むしろ経験の方が大事かなというふうに思っておりますので、是非、この要件を考える際には広め広めに考えていただけたらというふうに要望いたします。

 次の質問に移ります。次は、国外の金融商品への投資に関係する質問です。

 国外の金融商品、日本の投資家、企業、団体などが国外、海外の金融商品、株とか外国債券、こういうものに投資することに関係することです。

 国内の投資家が国内の投資をする場合、この場合は、金融商品にもよりますけれども、株が上がっていけば、その株価が上がるので投資家がみんなもうけるということはありますけれども、みんな幸せを感じる世界で、それはいいんですけれども、一方で、投資の商品によりましてはそうはいかないんですね。

 金融先物、先物取引ですね、その世界では、売りから入る方、買いから入る方、両方いますので、一方がもうけたら一方が損をする、そういうふうなゼロサムゲームになっております。国内でそのゼロサムゲームをやる場合は、日本の富が、一方の投資家がもうけて一方はその分損をする、国内で富の移り変わりが移った、こういうふうな話だけで済むのかもしれません。しかし、海外については、同時に別のことを考えないといけなくなります。

 例えば、売りから入る、買いから入る、日本の投資家がかけて、そしてそこで損を出した。その分の富というのは、海外の方に富が移ってしまって、その分損をするという形になるかもしれないわけなんです。日本の富、国富が海外に移ってしまう、日本が損をするというふうなことを気にしなければなりません。こう考えたときに、まず、このような状況を把握し、そして、もし日本が明らかに著しく損をしているのであるならば、何か対策を取るべきではないかというふうに考えております。

 日本の国益を守る観点から非常に大切な論点だと思うんですけれども、まず質問したいのは、国外への金融投資について、国内の投資家の損失や利益の合計額、これを把握しているかどうか、政府参考人にお願いいたします。

土谷政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問いただきました国外への金融投資の損失や利益の合計につきましては、政府としては把握しておりませんが、財務省では、毎年五月に、前年末時点の日本の居住者の対外金融資産の残高を公表しております。

 その際、試算といたしまして、対外証券投資につきまして、前年末までの一年間の投資残高の増減から、一年間のネットの取引額と為替変動による影響額を引くという形で、その他調整という項目を計算し、公表しております。このその他調整項目は、一年間の株価、債券価格などの変動に伴う増減などを反映していると考えてございます。

 その上ででございますが、委員の御質問にございましたとおり、対外証券投資につきまして、過去五か年のその他調整項目の金額を申し上げますと、令和五年中は三十三兆円の増加、令和四年中は七十三兆円の減少、令和三年中は十三兆円の増加、令和二年中は二十九兆円の増加、令和元年中は三十七兆円の増加となっております。

村上(智)委員 大変ありがとうございました。

 この数字をざっと足すとプラスになっているかなというふうにも思いますけれども、ここ五年ですかね、五年ではプラスになっているというふうに思います。その分だけ日本の国富が増えたと思えば喜ばしいことだというふうに思いますけれども。

 しかし、これは五年だけで見るんじゃなくて、もっと長い期間で見るべきだというふうに思うんですね。この五年というのは、全体的には世界の経済というのは拡大して、アメリカの株価も上がったかなというふうに思いますので、そう考えますと、日本全体として増えていても、これだけで安心できない、もっと長い期間で見て、そして対応を考えるべきことかなというふうに思っております。

 これに関連するような新聞記事が出ておりました。農林中金におきまして、今年の六月の発表ですけれども、来年三月期に一兆五千億円の損失を出す見込みというふうになっておりました。これは外国債券への投資に失敗したためだと報道をされております。その報道の中では、六月末には二兆三千億円もの含み損になっていたという話も報道されておりました。大変大きな金額です。二〇二三年の日本の国際収支、経常収支は約二十一兆円の黒字ですから、それの一割くらいの損失を出したということです。農林中金一つだけでそれほどの赤字を出した。

 もちろん、日本全体で見ればいいことだと思いますので、農林中金だけを責めて、けしからぬという話じゃないと思います。むしろ農林中金に対しては必要な指導はするんでしょうけれども、しかし、日本全体としてこれは捉えて、そして国富を失っていないかどうか、こういうふうな目で見ることだというふうに思うんです。もしかしたら、農林中金以外にも、今後更に損失を重ねて、日本の経常黒字で、国際収支で稼いだ分をほとんど失うようなことになっているのかもしれません。長い期間の分析をして、そして必要な検討をするべきだというふうに考えます。

 そこで、質問いたします。

 国外への金融投資によって日本は得をしているのか損をしているのか、政府は把握して、その損失が著しければ対応を検討すべきだと考えますが、大臣のお考えをお願いいたします。

加藤国務大臣 先ほど事務局からも話をさせていただきましたように、政府として国外の金融投資の損失、利益の合計は把握していないわけでありますが、財務省として一定の試算は、先ほどお示しさせていただいたとおりであります。

 その上で、金融商品の価格変動など、投資には当然リスクが伴います。金融庁としては、特に個人投資家の皆さんには、平時より投資に伴うリスクなどについて正しく理解をいただくこと、また、御自身の資産状況やライフプランなどを踏まえて投資を行うよう促していくこと、これが重要だと考えております。

 特に、海外市場への投資ということになりますと、国内と比べて投資先の情報を把握することが難しいこと、また、為替の変動を受けるなど、国内投資にはないリスクがあること、こうしたことも理解をしていただいた上で対応していただくことが重要だと考えており、金融庁としては、引き続き、金融経済教育推進機構などとも連携をして、個人投資家に金融リテラシーを身につけていただくための金融経済教育の充実、また、リスクを全体として抑える手段としての長期、積立て、分散投資の重要性について、金融機関等も通じてしっかりとした周知、広報を行うなど、国民の皆さんが安心して資産形成に取り組んでいただける環境の整備に努めていきたいと考えています。

村上(智)委員 今の御答弁で、国内の投資家が著しい損を負わないように、そのためにそういう教育的なことをやるというのは非常に大切な論点なんですけれども、しかし、日本政府として、国益を守る観点で、是非、海外の金融商品への投資、これで損が出ていないかどうか、気にしていただけたら非常に助かるなというふうに思います。

 私自身は、経済産業省で働いている間に、やはり日本の産業競争力を強くして経常収支を増やそう、それが日本の国益になるんだというふうに考えて働いてまいりました。同じ意識から、金融商品でも日本が損を出さないように、是非前向きに考えて取り組んでいただけたらというふうに思います。

 それでは、最後の質問に移ります。

 最後の質問は、暗号資産に関係するものです。仮想通貨とも呼ばれております。現在、暗号資産の利益、投資家が投資して利益が出た場合、雑所得として累進課税を適用されます。しかし、累進課税、暗号資産でもうかる方というのは、何千万とか何億円ももうかる方がいるんですけれども、そういうふうにもうかっていく方は、累進課税なので四五%ほどの高い税率がかかります。

 これについて、ほかの、株とかの投資と同じように申告分離課税にしてほしいというふうな要望が既に届いていると思いますけれども、このような暗号資産の利益について、雑所得として申告することになっていますけれども、申告分離課税にすることを考えていないのか、質問をいたします。

加藤国務大臣 今御質問にありましたように、暗号資産の取引に係る所得については、外国通貨の為替差益と同様に、原則として雑所得に区分され、総合課税の対象となります。

 一方、上場株式等の譲渡益などについては、税制の中立性、簡素性、適正執行の確保などの観点のほか、貯蓄から投資への政策的要請を受け、また、一般投資家が投資しやすい簡素で中立的な税制を構築する観点から、二〇%の分離課税が採用されているところであります。

 暗号資産を税法上、上場株式と同様に一律二〇%の分離課税と扱うことについては、給与等の所得には最大五五%の税率が、これは地方税を含めてでありますが、適用される一方で、暗号資産による所得には二〇%の税率を適用すること、ここをどう考えるのか、さらに、家計が暗号資産を購入することを、国として投資家保護規制が整備されている株式や投資信託のように推奨することの妥当性、こういった観点からの議論が、検討が必要だというふうに考えており、こうした課題について丁寧な検討を行っていきたいと思っています。

村上(智)委員 今、大臣から丁寧な検討をしてまいりますという話をいただきました。

 この暗号資産について、いろいろな論点で議論は進めていくんでしょうけれども、私が一つその論点で強調しておきたいのは、是非、国益を考えていただきたいという話なんです。

 これは、先ほどの話にありましたけれども、やはり高い税率だと、この暗号資産でもうけるような方が海外に移ってしまうんですね。もう日本の高い税率は嫌だと言って海外に移ってしまう。実際、私の直接の知り合いですけれども、その方も暗号資産に投資をしているんですけれども、余りにも税率が高いので、もう海外に移りたいというふうに、そして海外で投資をしたいというふうに言っているんです。

 暗号資産でしたら、多分、それで日本人がもうかったら、その分だけ海外の富を日本で獲得している、そんなふうな構図になっていると思うんですけれども、日本の国益を増やせるような、そういう特殊な能力を持った投資家、これを日本にとどまらせるためにも、是非、この申告分離課税を考えていただけたらというふうに思います。

 以上のお願いをもちまして、私からの質問といたします。誠にありがとうございました。

井林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

井林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 日本維新の会の斎藤アレックスでございます。

 私の方からは、大臣に対して、我が国の今の財政状況に関して、少し大枠の話になりますけれども、本日はさせていただきたいと思います。

 まず、我が国の基本的な財政の状況について把握をするために何点か質問をさせていただきたいと思います。

 まず、これは財務省に宛てての質問でございますけれども、平成元年と令和六年、この二年間の国の租税の税収についての実額及びそれぞれのGDP比について教えていただきたい。平成元年については消費税が導入された年でございますけれども、平成元年と令和六年、国の税収はどうなっているのかということで。加えて、歳出に占める社会保障関係費の実額及び対GDP比、こちらも平成元年と令和六年、それぞれ教えていただきたいと思います。

斎藤副大臣 お答え申し上げます。

 まず、一般会計税収からでございますが、平成元年度決算における一般会計税収は五十四・九兆円、対GDP比は一二・六%となっております。令和六年度補正後予算における一般会計税収は七十三・四兆円、一一・九%となっております。

 続きまして、社会保障関係費の割合でございますが、平成元年度決算における社会保障関係費は十二・四兆円、対GDP比は二・八%となっております。令和六年度補正後予算における一般会計の社会保障関係費は三十八・六兆円、対GDP比は六・三%となっております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 税収に関しては、実額は増えているんですけれども、対GDP比では減っています。この三十年間、消費税は上がっていますけれども、所得税や法人税などトータルで含めた税金で見ると、経済規模に比べれば、税金をたくさん取るようになったということは、この国、決してないということでございます。

 一方で、支出の方を見ると、社会保障関係費は激増しているわけですね。実額で三倍になっているし、対GDP比、経済規模でも二倍以上に社会保障関係費は増えてしまっている。平成元年は税収に占める社会保障関係費の比率は二割にすぎなかったものが、今は税収の半分を社会保障関係費に費やしていると言うこともできると思います。実際は、税収では足りないので、赤字国債を毎年三十五兆円程度発行して、その一部も社会保障関係費に使っているというふうに考えられると思いますので、税収の半分ぐらいの規模の社会保障関係費を使っていて、税収だけでは足りなくて、借金でそれを賄っているというのが基本的な日本の財政の状況でございます。

 一方で、税は増えていない、経済規模で比べたときには増えていない一方で、国民の負担で増えているのが、税ではなくて、やはり社会保険料の負担になります。これは、個人の家計だけではなくて、会社、企業が負担する保険料という形でも日本の経済に負担を与えているわけでございます。

 次に、厚生労働省にお伺いしますけれども、先ほどと同じ期間、平成元年と令和六年、それぞれの社会保険料の総額について、実額及び対GDP比で示していただきたいと思います。

宮本政府参考人 お答えいたします。

 医療保険、年金保険、介護保険、労働保険など社会保障全体の保険料について、平成元年度決算においては、国立社会保障・人口問題研究所の社会保障費用統計によれば三十五・一兆円であり、対GDP比は八・四%でございます。また、令和六年度の当初予算ベースにおいては八十・三兆円であり、対GDP比で一三・〇%でございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 社会保険料の総額、実額で二・三倍にこの三十年間でなっている。対GDP比でも一・五倍増えているということになります。

 先ほどおっしゃっていただいたように、令和六年で八十・三兆円、企業と家計が保険料を払っていますので、これは当然ですけれども、先ほど教えていただいた一般会計の税収七十三・四兆円よりも多く今はなってしまっているわけでございます。家計にとっては、企業にとっては、社会保険料も税みたいなものでございますので、保険料が激増して、負担が増えて、それが家計の手取りを増やさない原因になって、また、企業はなかなか正規雇用や賃上げ、これを行えない最も大きな阻害要因になってしまっているということは、これは皆様御案内のとおりでございます。

 昨日、政治改革の採決ということで、本会議で私も賛成討論に立たせていただきましたけれども、日本の最大の課題は、間違いなくこの社会保障制度改革だと思います。社会保障制度をこのまま放置していると、更に国の財政では社会保障関係費が増えて、更に財政制約が強まってしまう。家計に対しても企業に対しても社会保険料がどんどん上がるような状態になれば、経済にも、また、当然ですけれども、個人の生活にも悪影響を及ぼすということになりますので、そういったことを放置していれば未来に対する投資もできないということで、しっかりこの社会保険料改革を行っていくこと、それがこの国の、この日本の政治の、国会の最大の課題だと、役割だと、私は、また日本維新の会もそのように考えております。

 今回、改めて、今のお話も踏まえて財務大臣にお伺いをさせていただきたいんですけれども、こういった状況を鑑みれば、日本の国家としての今取り組まなければならない最大の課題というのは社会保障制度改革だというふうに考えます。

 社会保障制度の所管は厚生労働省、一義的にはそうだと思いますけれども、これだけ、財務省というか、財政にも大きな負担を与えていて、国民の、また企業の、家計や財布にも大変大きな負担となっているわけでございます。一番の負担でございますから、これをしっかりと、国が一丸となって、財務省の方も、財務大臣も一緒にこの問題に取り組んでいく、社会保障の抜本改革を行っていくということが大変重要だと私は思いますけれども、財務大臣のお考えと今後の取組方針について御教示をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 委員から今御説明いただいたように、これまでの間も高齢化に伴って社会保障関係費が大幅に伸びてきたわけであります。また、今後を見ても、更に高齢化が進捗することが想定され、したがって、社会保障関係費の増加も見込まれている中において、社会保障制度をどう持続可能なものにしていくのか、そういった意味でしっかり議論していくことが必要でありますし、同時にそのことは、先ほどお話しいただいたように、全体の予算に占める社会保障関係費の大きさが非常に大きいということから考えても、財政の安定性確保、これにも直結する課題だというふうに考えております。

 社会保障制度については、必要な社会保障サービスの質を確保するとともに、次世代の保険料負担を抑制しつつ、負担能力に応じて全ての世代で公平に支え合う、まさに全世代型社会保障制度の構築に向けて取り組む必要がございます。

 当面取り組む改革項目については、昨年末に閣議決定いたしました改革工程に示されているところでありますので、その中において、関係省庁と連携しながら、まずは実現できるものから着実に実施をしていきたいと考えています。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 我々日本維新の会としましても、新体制の下で、社会保険料を下げる改革の会議、協議会というものを党内に立ち上げて、これからしっかりとした案を提示して、それは、ばらまき的なものではなくて、歳入の方にもしっかりと責任を持った形で、社会保障制度改革の案について、まずは医療保険制度、その次は年金保険制度について取りまとめをさせていただきたいと思っておりますので、まさにその点、これは本当に与野党の対立の火種にしてしまってはならないと思います。社会保障制度改革を実現できるとすれば、それは与党、野党が共に取り組んでいくときだけだと思いますので、我々からも提案をさせていただきますので、是非真摯に議論に向き合っていただきたいというふうに考えております。

 もう一つ、財政というか、社会保障制度関連で大臣に伺いたいということがあります。

 団塊の世代の方々、それを中心とする年代の方々、私の母は団塊の世代より少し若くなるんですけれども、もう間もなく、皆様、後期高齢者となられます。また、その後には就職氷河期世代が高齢者になるという時代ももう間もなく来るわけでございます。

 今年の七月に出された厚労省の財政検証では、過去三十年間を投影したベースケースということで、今後年金の所得代替率がどうなるかという推計が出されているわけですけれども、今後も五〇%を割り込みませんということで、一応、大丈夫です、目標値に達していますということで発表されていましたけれども、この厚労省の財政検証では、夫が厚生年金に入っていて妻が三号被保険者であるという、こういったモデルケースを基に数字を出しているということになりますので、国民年金だけの一号被保険者の方ではとても生活ができない、今でもそうですけれども、これから更にそれが苦しくなる、厳しくなるということになります。

 このベースケースの内訳を見てみますと、国民年金、基礎年金部分の所得代替率は一三・四%から一〇・八%まで更に減るということが既に示されているわけでございまして、どう考えても一号被保険者の方、国民年金だけ、基礎年金だけの方というのは、まともな生活はとてもじゃないけれども送れないということになります。これでは生活保護を受けるしかなくなるという高齢者の方が大量に出てくることは容易に想像できるわけでございます。

 それだけではなくて、私もこの前の選挙の直前、琵琶湖大橋という私の地元の大きな交差点のところで一人で街頭演説をしていたんですけれども、そこで私は、我々の政策である教育の無償化や未来への投資を訴えていたんですけれども、就職氷河期世代の方に声をかけていただきました。教育への投資、教育の無償化、未来への投資、大変重要なのは分かるけれども、私はもう、結婚していないし結婚できなかったし、余り実は関係がない、これまでずっと非正規雇用で働いてきて、これから先、あとちょっとしたら自分が生活保護になる未来しか見えてこない、そういったことも是非対処してほしい、取り組んでほしいという要望をいただきました。

 私の世代というのは、もう既に就職氷河期世代が終わっていましたので就職は問題なかったわけですけれども、少し上の世代の方は本当に就職氷河期で苦しんでいて、今もその苦しみが続いていて、もうすぐすると、もう高齢者になってしまう、年金で生活をしなければならない世代に来るけれども、一号被保険者だったり、あるいは二号に入っているけれども報酬比例部分は大変少ないとかということで、本当にこれから老後を迎える方々が不安を抱えているということを改めて、その方のお話を聞いて感じました。

 現行の社会保障制度のままでは、今の社会保障制度の問題、細かくこの委員会では申し上げませんけれども、やはり逆進性が高いだとか、あるいは貧困に対する救済というか分配機能が弱くて、貧困を解消する能力が低いという社会保障制度をそのまま放置していると、生活扶助の水準以下の所得の方がまた激増して、そして生活保護が増えて、もちろん生活保護を受けるべき年収の方はしっかりと安心して生活保護を受けていただくことが重要ですけれども、国家財政には大変な負担になるわけでございます。

 こういったところまで、粗い推計というか議論というか、そういうのは当然されていると思いますけれども、こういった想定をされる中で、こういった生活保護の増加、後期高齢者の増加、そして就職氷河期世代の高齢者時代に入るに当たって、どのような財政への影響があると検討されているのか。また、これは繰り返しになるかもしれませんけれども、これをどうしていくのか。そういったことを、少し財務大臣からお答えいただきたいというふうに思います。

加藤国務大臣 まず、今後の生活保護受給者数の見通し、また、それに伴う財政への影響について御質問がありました。

 それらについては、景気動向がどうなっていくのか、あるいは足下の人口動向がどうなっていくのか、様々な要素があるので、これはなかなか一概にお答えするのは困難であります。足下の状況だけ申し上げると、生活保護受給者数については緩やかに減少傾向にある一方で、高齢化に伴い、生活保護受給者の半数以上を高齢者が占めるという状況になっているところでございます。

 年金については、今のままだと基礎年金水準が大きく低下するという中で、今、年金等の議論が別途進んでいるというふうに承知をしています。それ以外に、社会保障制度においては重層的な支援があります。一つは、御指摘のあった生活保護制度で最低限の生活保障を行う。さらに、生活に困窮する方々に対しては、生活保護に至る前の段階で早期に就労や住まい等の支援を行うことで自立を図ることができるような必要な支援。さらに、就職氷河期世代の方々に対しては、関係省庁において、社会参加やリスキリングを含めた就労、活躍に向けた支援が講じられているところでございます。

 今後もこうした取組を通じて、高齢期の方々が生活困窮に陥らないよう、自立に向け、きめ細かい支援を送ることが重要であると考えておりますし、また、そうした対応をしていくことがひいては財政面の安定にもつながるものと考えております。

斎藤(ア)委員 是非、危機感を持って取り組んでいただきたい。

 景気がよくなるというか、我々も教育、科学技術にしっかりと投資を行って、賃上げを行って、そして景気をよくして経済を成長させていこうということを全力でやっていきたいと考えていますけれども、一方で、なかなか、既に五十代近く、五十代周辺になっている就職氷河期世代の方が、景気がよくなったからといって、急に手取りが増えたりだとか収入が増えたり、それで老後に向けて積立てだとか、iDeCoとかNISAとか、そういったことに回せるほどのお金が、余裕が生まれるかといえば、なかなか、それを期待するのもやはり違うんだろうなというふうに思いますので、やはり社会保障制度でしっかりと支えていくという考え方が必要になると思っています。

 現行の社会保障制度を少し改革するだけでは、やはりこれはどうにもならない問題だと思います。医療保険制度に関しては、どのようにして医療費を下げていって社会保険料負担を下げていくのか。また、年金についても、最低限必要な生活の水準、それに必要なお金というのは幾らで、それをどうやって担保していくのか、どういう制度がいいのかということを、これは今の制度にとらわれず、抜本的に考えていく必要があると思いますので、今着実に取組をされることは大変重要だと思いますし、是非続けていただきたいと思いますけれども、その先には、抜本的な改革なしにして社会保険料の負担を下げるということはできないというふうに考えていますので、そのことにもしっかりと向き合っていただきたい、我々も取り組んでいきたいというふうに考えております。

 次に、少し社会保障の話から外れますけれども、通貨に対する信認と、それが日本の財政や日本の国民の暮らしに与える影響について御所見を伺いたいというふうに考えております。

 本日から日銀の政策決定会合が始まっております。この十二月には利上げはないんじゃないだろうかという報道が大勢を占めていると思いますけれども、今後、利上げが進んでいくということになれば、国家財政の利払い負担が増えて、更に日本の国家財政の財政制約が増すことが予想されます。

 そうでなくても、既に日本の財政というのは世界最悪でございます。先進国、G7最悪とかではなくて、世界最悪でございますので、本当に惨たんたる状況でございますけれども。これが更に収支のバランスが悪くなると、更にばらまき的な政策を行うと、あるいは、歳入に対して責任感のないような、そういった政策を進めてしまうと、これは更に日本の通貨が円安になったり、あるいは、それどころではなくて、日本の通貨、経済に対する信用、信認が国際社会、金融市場から失われてしまって、これは大変大きな悪影響を国民生活であったり経済活動に及ぼしてしまうという危険性、これはかなり極端な例かもしれませんけれども、当然、国の財政運営、通貨の運営の上では重要だと思いますけれども、その点について、今財務大臣は日本の通貨に対する信認についてどういった認識を持たれているのか、また、今後どういったところに注意をして取り組んでいかれるかなど、御所見を伺えればというふうに思っております。

加藤国務大臣 円の信認については、経常収支や国際競争力など、様々なファンダメンタルズに支えられているものと理解をしており、財政状況の健全性もその一つ、重要な要素だと考えております。

 債務残高対GDP比が、今お話があった、世界最悪の水準にあるなど、我が国の財政は厳しい状況にあります。一たび財政の持続性に対する信認が失われた場合には、金利の急上昇などを通じて利払い費が大きく増加をし、財政の硬直化を招くおそれや市場からの資金調達が困難になる可能性があります。また、金利の急上昇や過度のインフレにより、国民生活に悪影響を与える可能性も否定できないと考えております。

 政府としては、今、経済あっての財政という考え方の下で、力強く経済再生を進めていく、そして、その中で財政健全化も実現し、経済再生と財政健全化、この両立を図っていきたいと考えています。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 先ほどの社会保障制度の部分にも関連するんですけれども、今、社会保障関係費が大変増えていて、その中で最も大きい支出というのは厚生年金になっているわけですから、財政赤字を、発行して、今の我々の生活を将来の負担で賄っているというふうにも言えると思いますので、そういったところに責任感のある財政運営をしていかなければ、それは行く行くは日本の財政全体に対する信認を失わせて、大変厳しい状況が生まれる、通貨に対する信認が失われるということも、これはかなりレアなケースかもしれませんけれども、あり得ないことかもしれませんけれども、しっかりと想定をして、財政の収支にも気を遣った政策運営がやはり必要なんだろうというふうに思います。

 よく、この問題に関しては、第二次世界大戦前のドイツの例が引き合いに出されると思います。ハイパーインフレーションが起きたということをもって、これは日本でも危険じゃないかという議論もあると思うんです。もちろん、当時のドイツの状況というのは極めて例外的な状況で、国内はほぼ内乱状態で、ラインラントにフランス軍が進駐して工業生産がストップをしてしまって、それで、大変、通貨に対する信認が失われ、パニックが起きてしまったということがあったわけですから。

 今の日本の状況でそれはなかなか想定しづらいのは当然そうなんですけれども、何があるか分からないわけでございます。際限なく国債を発行して、また収支のバランスに無頓着な、そういった政策を進めるようなことになれば、最近イギリスであった、イエレン・ショックのようなものが日本に起きても決して不思議ではないと思いますので、是非とも、こういった財政の収支にも責任感を持った、その一方で、将来、投資をするためにはやはり社会保障制度改革に取り組んでいかなければならないということを、我々日本維新の会としても全力で取り組んでいきたいというふうに思いますので、是非、財務省、厚労省の皆様にも引き続き御助力をいただきたいというふうに思っております。

 以上で終わります。ありがとうございました。

井林委員長 次に、岸田光広君。

岸田(光)委員 国民民主党の岸田光広です。

 今回、さきの衆議院議員選挙で初当選をさせていただきました。私自身、大学卒業後、七年間金融機関で働いておりましたが、その後離れて久しいので、今回また、初質問させていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

 先般の衆院選で、我が国民民主党は、国民の手取りを増やすという政策を掲げ、多くの方の御支援をいただきました。いわゆる百三万円の基礎控除等の壁、ガソリンの暫定税率の廃止について、自民党、公明党、国民民主党の三党間で今まさに協議が進んでいるところですが、時代に合わせた財政、金融、そして税制の改革のために私も尽力したいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 本日、三十分という限られた時間ではありますが、加藤大臣の大臣所信に対して、印紙税とそして暗号資産の二点につきまして質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 加藤財務大臣は、日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方において、財政については、少子高齢化、グローバル化等の経済社会の構造変化に対応したあるべき税制の具体化に向け、包括的な検討を進めるとともに、再分配機能の向上を図りつつ、公平かつ多様な働き方に中立的な税制を構築し、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を確保するため、引き続き税体系全般の見直しを進めていくと話されました。加藤大臣のおっしゃるように、経済社会の構造変化に対しまして不断に税体系の見直しを進めていくことは非常に重要なことであり、私としても意を同じくするところであります。

 まず、印紙税についてお聞きしていきたいと思います。この問題は過去にも何回も取り上げられていると思いますが、私なりの視点で質問させていただきます。

 印紙税の始まりは、一六二四年にオランダで戦争の資金の調達のために考案されたと言われています。ヨーロッパを中心にその後広がり、そして、イギリスでは一七六五年に印紙税が取り入れられ、当時植民地であったアメリカに対して、出版物、法律上有効なあらゆる証書、許可証、トランプのカード等にまで課税され、これがアメリカ独立戦争の発端になったと言われております。

 我が国におきましては、印紙税は、明治六年、一八七三年に地租改正とともに導入され、数度の改正を経て、現在に至るまで百五十一年続く税制となっております。直近では、二〇一四年から領収書等の対象金額が三万円以上から五万円以上に改正されたことが記憶に新しいところかと思います。

 まず、直近の印紙税の税収額、こちらについてお教えください。また、十年前、二十年前と比べて税収額はどのように変化しておりますでしょうか。また、ピークのときから何%減っているのか、またその要因につきましてもお答えください。

斎藤副大臣 委員の御質問にお答え申し上げます。

 直近の令和六年度予算における印紙税収は、二千五百五十億円を見込んでございます。ピーク時が、昭和六十三年度決算の八千五百億円でございまして、十年前、二十年前というお話でございましたが、長期的に穏やかに減少し続けてきて、現在はこういう見込みだということでございます。

 要因についても御質問がございましたが、先ほど委員が御指摘になりました金額の引上げですとか、様々な要因があるものと認識をしております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 次に、海外の動向ですけれども、印紙税の発祥国のオランダが既に廃止しているなど、主要先進国では、印紙税のある国は少ないというふうに聞いております。先進諸国における印紙税のあるなしなど、国際比較についてお教えください。

斎藤副大臣 お答え申し上げます。

 諸外国における印紙税の導入状況について、恐縮ですが、網羅的に、ちょっと把握しているわけでございませんで、把握している限りで申し上げますと、イタリア、韓国、シンガポールなどにおきましては、今現在も印紙税として様々な文書に対して課税を行っていると承知をしております。

 他方で、委員御指摘のとおり、アメリカやドイツのように、我が国の印紙税に相当するような国税が存在しない国もあると認識をしております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 印紙税は、先ほど述べましたように、明治六年、一八七三年に地租改正とともに導入されましたが、そもそもの印紙税の導入目的、こちらが何だったのか、また、印紙税の課税根拠につきましても併せてお答えください。

斎藤副大臣 印紙税が導入された目的でありますとか課税根拠でございますが、印紙税は、日本の税体系におきまして、所得税、法人税、消費税といった基幹税目を補完するという役割を有するものとして位置づけられてまいりました。

 具体的には、各種の経済取引に伴いまして作成される広範な文書がございますが、一定規模以上の経済取引が行われる以上は、その背後にある経済的利益に負担能力、すなわち担税力というものを見出しまして、これを課税根拠として御負担をいただいておるというところでございます。

岸田(光)委員 そもそも、印紙税の導入当時、農民に偏っていた税負担を商工業者にも求める政府の狙いがあったというふうに言われております。印紙税の対象となる文書の作成行為の、先ほど言われましたように、背後にある経済的利益に対して課税されるということですが、法人税などほかの税金も課税しているため二重課税ではないかというような意見もあります。この点につきましての御見解の方、お聞かせください。

斎藤副大臣 お答え申し上げます。

 経済取引には課税がされるところに更に税負担を求めるのでタックス・オン・タックスではないかというお尋ねでございますが、委員御指摘の、問題となるタックス・オン・タックスと申しますのは、取引の各段階で同じ趣旨の税が二重、三重、多重的に課されていく、これはタックス・オン・タックスではないかということであると理解をしております。

 その上で申し上げますと、例えば、消費一般に負担を求める消費税でございますとか、あるいは、特殊な嗜好品としての性格に着目して負担を求める、酒類等に対する個別の間接税でありますとかなど、印紙税とは課税の趣旨や根拠が異なる税もあり、そして、その上で印紙税も御負担をお願いするということにつきましては、タックス・オン・タックスとして問題となるものであるというふうには理解をしてございません。

岸田(光)委員 この税は、紙の取引文書にしかかからず、今、デジタル化の中で増える電子商取引、こちらで、例えば添付ファイルなどの形で交わされる電子文書については、印紙税の課税対象外となっています。

 例えば、数万円の印紙税が発生することも珍しくない不動産取引についてですが、昨今、電子契約が増えてまいっておりまして、こちらを行えば印紙税の方はかかってこない。また、五万円以上の買物、飲食、こちらも、現金払いでは領収書を発行した場合に収入印紙の貼付が必要となってくると思うんですが、クレジットカードなどで決済した場合というのは、印紙税というのはかかってきません。

 このように、契約の形式、支払い方法などによって、同様の経済行為でこのような差が出るということは、公平、中立、簡素という税制の基本原則の観点から非常に問題があるのではないかと考えております。

 所得税、法人税は対象を全て捕捉できていないので、消費税は土地や金融取引にはかかってこないということで、印紙税は、先ほどおっしゃられたように、これらの基幹税を補完する役割があるというふうに御答弁いただいているんですけれども、もしそうだとすれば、デジタル取引、こちらが非課税になる根拠も合理性に欠くと思います。

 課税根拠と実態のずれ、これが放置されたまま、ガソリン税に一リットル当たり約二十五円上乗せされている暫定税率、これが今般ようやく五十年ぶりに廃止の方向で今議論されているところです。

 印紙税については、各所から是正の声、私も要請でこれを聞いております。国民民主党でも、電子決済等の技術革新、社会のデジタル化に対応するため、この印紙税の廃止を公約の一つに掲げています。印紙税につきましても、漫然と継続するのではなく、これまで申し上げてきた問題点、また、発行コスト、流通コスト、収入印紙を実際に買ってきて貼るなどの事務コストも発生しております。時代の変化に合わせて、抜本的に見直す時期に来ていると思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

加藤国務大臣 印紙税は、先ほど副大臣からも答弁いたしましたが、日本の税体系において、所得税、法人税、消費税といった基幹税目を補完する重要な役割を担っております。実際、令和六年度予算における印紙税収の見込みも、二千五百五十億円と、厳しい財政状況の中では貴重な財源でもあります。

 印紙税の課税の在り方についてでありますけれども、そうした税収面のみならず、税体系における印紙税の役割、また、今お話があったデジタル化等への時代の変化、こういったことも踏まえながら、中長期的な観点に立って検討していく必要があるというふうに考えております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 先日、旧文通費の口座を党の方から分けるように言われて、それで、りそな銀行の衆議院支店に口座を作りに行ったんですけれども、その際、通帳を発行していただいたんですが、中を開けてみると、印紙税が納付されているというふうな記載があったんですが、調べてみると、預金通帳は一年ごとに二百円かかってくるとありました。これも、デジタル通帳であれば印紙税はかからないということになっておりますので、近頃、通帳発行に手数料がかかるようになってきましたが、こういう印紙税の負担というのも見逃せない側面があるのではないかと思っております。銀行にとってはコスト以外の何物でもないと思いますので、是非とも、廃止に向けて更なる御検討の方をよろしくお願いいたします。

 次に、暗号資産についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 先ほど村上委員の方からもこの問題について取り上げられておりましたが、私からはちょっと別の角度からお聞かせいただければと思います。

 国民民主党は、さきの衆院選に際しまして、国民民主党二〇二四重点政策、こちらの方を発表させていただきました。その政策集の中におきまして、この暗号資産につきまして、他の金融資産と同様、二〇%の申告分離課税の適用、そして損失の繰越控除、これを三年間適用すること、また、暗号資産同士の交換時に課税しないこと、また、レバレッジの倍率を二倍から十倍、個人の場合は五倍に引き上げること、そして、暗号資産のETFの導入の四点について、選挙戦で訴えさせていただきました。

 来年一月、米国では、暗号資産業界を支援する姿勢を最近鮮明にしていますトランプ大統領が就任されます。また、同様に、一月に、SECによる、ビットコイン上場投資信託、ETF承認により、主要な暗号資産であるビットコインの価格、皆さんも新聞等で御覧になっていると思うんですけれども、今、これが史上最高値を更新するなど、急上昇をしております。

 大臣は、国民の資産形成を後押しする資産運用立国の政策を推進していくと話されましたが、日本も、世界に遅れることなく、暗号資産のリスクを踏まえたルール作り、これを早急に作成する必要があると考えます。

 まず、日本における暗号資産の現状についてお聞かせいただきたいと思います。市場規模、口座数、また、どのような所得の層が口座を保有しているかについてお答えください。そして、もし分かれば、日本以外で口座を開設している日本人の口座数また保有金額についても、把握しておられればお聞かせください。

屋敷政府参考人 お答えいたします。

 暗号資産に関する市場規模に関しましては、二〇二四年十月時点におきまして、月間の国内取引額は約一・九兆円、日本における口座数は約一千百二十二万口座となっております。

 取引している利用者の所得層につきまして一概にお答えすることは困難ではありますけれども、一部の暗号資産交換業者では、暗号資産の少額積立てサービスを提供するなど、幅広い投資家層による暗号資産の購入が可能な環境となっていると承知しております。

 また、日本居住者による海外での暗号資産投資に係る状況につきましては、資金決済法に基づく登録を受けていない海外の事業者を通じた暗号資産の購入に関するデータは把握しておりませんので、一概にお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと存じます。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 金額の面からいうと、幅広い層、特に富裕層だけではなく、いろいろな層がこれを保有されているということなんですけれども、また、御回答いただきましたが、暗号資産の市場、今、急速に拡大をしています。投資家のような、専門家の方だけではなく、やはり今申し上げたように個人投資家、幅広い年齢層の方が投資を行っていらっしゃいますので、ウェブ3先進国にするとの国家戦略の観点からも、是非、しっかり、ルール作り等、暗号資産の取引環境、こちらの整備の方をスピード感を持って対応していただきたいと思います。

 一方で、暗号資産は犯罪との結びつきが指摘されており、脱税、またマネーロンダリングの手段として、ハッキングなど、犯罪組織の資金源になっているとも危惧されております。

 政府にお伺いしたいのですが、これまで我が国で暗号資産が流出してしまった事案、こちらの方を教えてください。また、冒頭申し上げましたように、日本においても暗号資産を保有する人がますます増えていくことが予想されますので、投資家保護、犯罪抑止の観点からも早急なルール作りが必要だと思いますが、これまでの取組について御回答の方をよろしくお願いします。

屋敷政府参考人 お答えいたします。

 国内の暗号資産交換業者において顧客からの預かり暗号資産が不正に流出した事案につきましては、資金決済法において暗号資産交換業の登録制が導入されて以来、四件、被害額は合計で約一千百六十億円確認されているところでございます。

油布政府参考人 暗号資産のこれまでの制度整備についてお尋ねがございましたので、お答えいたします。

 まず、G7サミット等におきまして、当時は仮想通貨と呼ばれておりました暗号資産でございますけれども、マネーロンダリング、テロ資金供与対策が求められたことを受けまして、資金決済法等を改正いたしました。二〇一七年の四月から、暗号資産の交換等を行う業者を登録制といたしました上で、本人確認義務等の導入、それから、利用者保護の観点から顧客に対する情報提供の義務づけ、こういった暗号資産交換業者に係る制度的枠組みを整備いたしました。

 その後、今御答弁申し上げましたけれども、日本の事業者による暗号資産の流出事案が発生したこと等を受けまして、資金決済法等を改正いたしました。二〇二〇年五月に、利用者資産につきましては原則オフライン管理を義務化するといったような措置を講じております。

 さらに、直近では、資金決済法等をまた改正いたしまして、昨年六月からは、暗号資産の移転の透明性を高める観点から、暗号資産交換業者に対しまして、送付人、受取人の情報を移転先の業者に通知する義務、いわゆるトラベルルールを適用する等の措置を講じております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 次に、税制面についてお伺いします。

 先ほども村上委員の方から少しあったんですが、国民民主党は、令和七年度税制改正に関する要望一覧におきまして、重点項目として、暗号資産取引に対しまして、現行の最大五五%の税率から、二〇%の申告分離課税の適用を要望させていただいています。

 日本では、現状、最大五五%の総合課税となっていますが、先ほども国際比較の方を聞かせていただいているんですけれども、暗号資産につきましても、米国を始めとしまして主要先進国では、今、暗号資産の取引についてどのような税制を持っているか、この点についてお答えください。

斎藤副大臣 お答え申し上げます。

 暗号資産に関する主要国の税制でございますが、例えば、御指摘の米国ですと、保有期間が一年以下の場合は総合課税、一年を超える場合は分離課税とした上で累進税率を適用、イギリスにつきましては、分離課税とした上で累進税率を適用、フランスでは総合課税と分離課税の選択制を原則としているというふうに承知をしております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 デジタル空間には国境はございませんので、投資家にとって日本を魅力ある投資環境にするためにも、御検討の方をよろしくお願いいたします。

 知り合いのお子さんの、余談なんですけれども、大学生が、NFTという技術を使ってデジタルアートを作成して、これを売却して、その対価を暗号資産で受け取っていたようなんです。本当に、NFTというと、私も聞いたときは何か分からなかったんですけれども、非代替性トークンと言われるもので、こういう無形のものに真贋をチェックできるようなデータを埋め込むようなものみたいなんですけれども、そのNFTの技術を使って販売した、その対価を暗号資産で受け取って、それをウォレットに入れていたみたいなんですけれども、それが全く盗まれてしまったと。大学生でも今こういうことをやっているということで、私自身も非常に驚いたんですけれども。

 私が本当に懸念しているのは、この暗号資産、一般化していく過程で、本当に急にマーケットが大きくなって、多くの方が損失を被るような状況が起きるのではないかというふうに非常に懸念をしています。株とか債券に比べまして投機性が非常に高いので、リスクの高い暗号資産、非常に正しい金融機関が必要になってくると思います。

 政府が貯蓄から投資へとかじ取りの方を進めている中で、このように知識、判断力が少ないことに起因して損失を被るなど、成年年齢の引下げもありまして、若年層への被害も懸念されます。また、御自身のライフステージに合わせて資産を形成していけるよう、国としてもしっかり後押しをしていく必要があると思います。二〇二二年度より金融教育が学校で義務化されておりますが、子供たちはもちろん、大学生、社会人、シニア層に向けても周知が必要になってくると思います。

 金融リテラシーを高める教育を更に加速させる必要があると考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。また、既に取り組んでおられる取組があれば、そちらについてもお教えください。

加藤国務大臣 貯蓄から投資への流れを更に進めていくために、御指摘のように、金融経済教育を充実させ、国民の金融リテラシーを高めていくことが重要と考えています。

 こうした観点から、金融庁では、国民の皆さんにより幅広く金融経済教育を受ける機会を提供できるよう、本年四月に、金融経済教育推進機構、通称J―FLECを設立をしました。このJ―FLECにおいて、金融経済教育に関する講義資料の作成、学校や企業等への出張授業の実施、認定アドバイザーによる個人へのアドバイスの提供といった取組を進めてまいりました。

 その中で、特に投資のリスクに関して、国民の皆様に、価格変動リスクや信用リスクなど投資に伴うリスク、長期、積立て、分散投資といったリスクを抑える手法の重要性についても御理解いただけるよう、周知、広報に取り組んでいるところであります。

 金融庁としては、国民の金融リテラシーの向上に向けて、こうした取組を更に進め、投資に関する知識を含め、幅広い分野の金融経済教育が広く浸透するよう、J―FLECを中心に、官民一体となった取組を進めてまいります。

岸田(光)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 このような暗号資産のような新しい技術また仕組みが広がっていくときには、いろいろな問題が発生しやすいと考えられます。ローリスク・ハイリターンがあり得ないということや、このことは十分周知されていると思いますが、学生また社会人につきましても、今まで余り金融教育等を受けてきていないと思われますので、こちらに対しましても更なる啓発の方を進めていただきたいと思います。

 J―FLECにつきましても、説明を事前に伺いまして、この取組は進めていっていただきたいと思うんですけれども、なかなか対象が広いと思いますので、例えば、対人でセミナーなども行っていくというふうに伺っているんですけれども、網羅性というのも大切なので、例えばウェブを使った教育とかそういうのも是非積極的に進めていただいて、できるだけ多くの方が投資について学んでいただけるような環境というのを是非つくっていただければなと思います。

 本当に、ウェブの展開なんですけれども、大学受験等、高校受験もそうですけれども、自己啓発等も、今、リスキリングの話題もよく出ますが、こちらでもウェブを使った教育というのは非常に広がっていると思います。投資は特にウェブとの親和性の高い部門だと思いますので、是非ともこんな点についても御検討いただきたいと思います。

 以上をもって私の本日の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

井林委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 今日は、加藤財務大臣の財政演説を踏まえ、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 財政演説におきまして、第一の柱ですが、これを日本経済、地方経済の成長としております。地方経済の成長という視点におきましては、地方の地元産業の育成や地方のブランド化、また観光産業など、こういったものをこれからどう支援して底上げを図っていくかということが極めて大事であるというふうに思っております。

 地方経済の活性化にとって起爆剤になるのが観光であります。コロナ後、訪日外国人旅行客、これが増え続け、今年は過去最高になっております。また、観光に付随をしまして、全国で千二百二十か所以上あります道の駅、これも好調のようであります。

 観光ですけれども、地域経済の活性化にとって大事なものでありますけれども、観光一本やりだと、労働集約産業でありますので、これだけでは稼ぎが出にくいという側面があるかと思います。観光客誘客のために、地域のブランド化とともに、地域でもう一つ柱がないと、単なる誘客だけに終わりまして、地域にお金が落ちないということになります。

 また、来年ですけれども、半島振興法の改正の時期を迎えますが、半島振興に目を向ければ、ブランド化によりまして認知度向上と販売促進を図ることで活性化につなげようとしております。半島ならではの観光資源として、事消費になるものが多く眠っている状態でありまして、物消費とともに事消費を掘り起こす作業、これが大事であるというふうに思っております。

 そこで、観光とともに、地域のブランド化を図る上でも重要な、今回の総合経済対策における新しい地方経済・生活環境創生交付金の重要性につきまして、財務省としてはどのような見解をお持ちでありますのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の自主性と創意工夫に基づきまして、地域の多様な主体の参画を通じた地方創生に資する地域の独自の取組を計画から実施まで強力に後押しするため、令和六年度補正予算にて新しい地方経済・生活環境創生交付金を創設し、一千億円を措置しているところでございます。

 これまでも、地方創生関係の交付金を活用しまして地域の実情に応じた様々な観光施策への支援を行っているところでございまして、例えば、世界一星空がきれいな村としての特色を生かしまして、スタービレッジ構想として、星空観察イベント等による効果的なプロモーションを実施したところ、年間十六万人もの観光客を集め、地域経済に大きく貢献した事例、これは長野県の阿智村の事例でございます。

 それから、そのほかにも、道の駅に観光戦略拠点施設を整備し、新たなアプローチで新しい層の観光客を獲得することで、観光を契機とした滞在による交流人口の創出、消費の増加を図り、地域全体の稼ぐ力を観光により創出する取組、こちらは長野県豊丘村の取組でございますが、こういった好事例が生まれているところでございます。

 これらにつきましては、単に観光客の増加だけでなく、目標値を上回る移住者の増加ですとか、目標値の約三倍となる道の駅の年間売上額の達成など、大きな波及効果をもたらしていると認識してございます。

 これまでも地方創生関係の交付金を用いて全国各地で様々な取組が行われておりまして、分野ごとの縦割りではなく、地方公共団体にとって使いやすい交付金として活用されていると認識しております。

 引き続き、こうした地域独自の取組を一層強力に後押ししていくため、交付金を活用しながら、地方の現場から上がってきたニーズにしっかり対応してまいりたいと考えてございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 今お話のあったとおり、今回の交付金も、地方が自由度の高い事業を行うことができるようにしておりますけれども、知見またノウハウで苦慮されている地方もあるかと思っております。

 結果的に、地域ブランドを磨いていきますと付加価値が上がっていくということでありまして、地域の産品の出荷価値も上げていく。そして、地域ブランド力の改善は、最終的にどうなってくるかといいますと、宿泊を見れば、宿泊施設の稼働率をプラスに上げていく、こういった面があるというふうに思っております。

 そういったことをどうやって展開していくかということでありますが、石破総理も、これまでの地方創生の取組を振り返ってきた中で、今後、地方創生については、国としての伴走型支援、これに力を入れていきたいということで、総理も表明をされております。

 そうした中で、実は、地方創生コンシェルジュというものがございます。これは、各省庁が選任をしまして、相談窓口を設置しておりまして、これは内閣府も、財務省からも選任をしていただいて、窓口を設置しているところでございますが、こういったものを是非強化する中で、伴走型支援に是非力を入れていただきたい、このように要望をしておきたいと思います。

 次に、財政演説の第三の柱としまして、国民の安心、安全の確保に取り組むとしております。

 御存じのとおり、災害が激甚化、頻発化しておりまして、能登半島では地震と水害の二重の災害に見舞われまして、被災地では今なお過酷な生活を強いられております。

 そこで、国土強靱化と防災、減災についてお伺いをさせていただきたいと思いますが、近年、頻発化する災害によりまして、多くの人命が失われ、また、インフラが破壊されるなど、経済活動が著しく停滞する事態が度々発生をしておりまして、このような災害に備えまして、国民の生命と財産を守るために、国土強靱化や防災、減災の取組を強化する必要はますます高まっております。そうしたことで、これまで、三か年、五か年と、事前防災に取り組んできたところであります。

 事前防災への投資ですけれども、これは、長期的な視点で見ますと、被害を大幅に軽減しまして、復旧費用を抑える効果があります。

 財務省として、こうした事前防災への投資の効果をどのように評価をされているのか。また、その評価に基づいて、財務省としての国土強靱化の考えをお伺いさせていただきたいと思います。あわせて、五か年加速化対策の次に行われます国土強靱化実施中期計画の重要性についても、併せてお伺いをさせていただきます。

加藤国務大臣 御指摘のように、激甚化、頻発化する自然災害への対応に当たって、事前防災は大変大事でございます。

 事前防災によって被害額や復旧に要する費用を大幅に抑えられるケースもあると承知をしておりますし、また、事前防災を展開する際には、ハードのみならず、ソフトの面も併せて対策に取り組むことが効果的だと考えております。

 こうした観点、こうした視点も加味しながら、事前防災による減災を行っていくことは極めて重要と考えているところでございます。

 また、昨日可決、成立していただきました令和六年度補正予算においても、減災・防災、国土強靱化に向けた五か年加速化対策関連予算としては約一・四兆円、これに緊急防災枠を合わせますと約一・七兆円の予算措置も行ったところであります。

 お尋ねの実施中期計画につきましては、策定作業の一環として、現在、五か年加速化対策の評価作業が進められるところであります。これまで以上に必要な事業が着実に進められるよう、実施中期計画の策定に係る検討を最大限加速し、早急な策定につなげていきたいと考えています。

中川(宏)委員 大臣、ありがとうございました。力強い御答弁をいただいたと思っております。

 また、既に御案内のとおり、我が国のインフラというものは高度経済成長期に集中的に整備をされまして、それが今、一斉に老朽化をしている。そこに今、気象変動が起きまして、気象災害が激甚化、頻発をしている。あわせて、社会経済情勢も、これまでと比べまして非常に変化をしてきている。幾重にも様々なものが重なってきている状況でございます。

 そうした中で、先ほど大臣からは、ハード、ソフト両面でしっかりやっていくということでありますけれども、財政面でどう裏づけしていくかということも非常に大事であるかというふうに思っております。

 こういった重層的な課題がある中で、そういったところも是非目配りをしていただきまして、応援をいただきたい、このように思っているところでございますので、よろしくお願いいたします。

 国民の安心、安全の確保という部分で、もう一つだけお伺いをしたいというふうに思います。それは、豪雪対策であります。

 今年の冬は、全国で大雪が予想をされております。令和四年十二月には、豪雪地帯対策基本法、これが見直しをされまして、要望しておりました冬期交通確保のための除排雪事業者の確保、また共助の排雪の体制の整備など、新たに新設をされたところでございます。これによりまして、今、地方自治体におきましては、ハード、ソフト両面の対策が進むと喜びの声もいただいております。

 今回の総合経済対策におきましては、先ほども言わせていただきましたけれども、国民の安心、安全の確保に取り組むと明記をされております。この中で、豪雪への支援といたしまして、具体的に、新たな地方創生施策の展開の中で、条件不利地域の振興による地域活性化とありまして、石破総理からも、関係都道府県防災会議に対しまして、降積雪期における防災態勢の強化についての通達を出して、災害に対して具体的に指示を出していただいておりまして、これから防災庁の設置を目指す石破総理の熱量、これも感じますし、非常に大事な取組だと私は評価をしております。

 この通達では、大雪、暴風雪等の発生に備えた災害初動体制の確立、また、除雪体制の整備等の取組についてきめ細かく指示をされております。これによりまして、全国的にはしっかりとした対応がこれからされていくと思料されるところでございますけれども、地震と水害で被災をしました能登半島の市町におきましては、今年の冬はそれぞれの被災自治体として対応することには限界もありまして、県や国の全面的な支援がなければ、雪により住民の皆様の暮らしに重大な影響が出ると予想をされます。

 そこで、更なるプッシュ型支援、これもしていただきたいと思うところでございますが、能登半島での雪の対策について、国としてどのような取組を考えていらっしゃるのか、最後にお伺いをさせていただきたいと思います。

松林政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、本格的な冬を迎えるに当たり、先月、中央防災会議会長であります内閣総理大臣から関係省庁、都道府県などに通知し、大雪等に備えた災害初動体制の確立、住民等に対する普及啓発、注意喚起、そして除雪作業中の事故防止に向けた取組等をお願いしているところでございます。

 また、能登地域の市道、町道の除排雪に対しましては、降雪状況等に応じた防災・安全交付金による除排雪費用の支援、そして、狭小幅員での除雪を機動的に行う小型除雪機の貸与などの支援を行うこととしております。

 さらに、仮設住宅等における暖房器具の確保を行うとともに、食料、水、燃料等の十分な備蓄を図ることなどにつきましても、石川県の馳知事も、県民に対しまして、その旨をお願いされているものと承知しております。

 能登半島は、一月の地震と九月の水害と二度にわたり被害を受けております。こうした状況も踏まえまして、大雪が予想される場合には、政府としても警戒態勢を構築するとともに、必要に応じてリエゾンを派遣するなど、自治体等と緊密に連携し、きめ細かく対応してまいりたいと思います。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 今お話のありました支援が確実に被災地に届くようお願いを申し上げまして、時間となりましたので、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

井林委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 れいわ新選組の高井崇志でございます。

 れいわ新選組は、さきの衆議院選挙で三議席が九議席に増えまして、この念願の財務金融委員会で議席を取れました。なぜ念願かというと、我が党は、結党以来、消費税の廃止、そしてその裏表ですけれども、積極財政、財政出動をもっともっとするべきだということ、これがもう日本経済を立て直す最大のポイントだということをずっと訴えております。

 そういう意味では、この積極財政、あるいは消費税廃止も、これをストップさせているのはやはり財務省なんですよ。だから、この財務省としっかり議論をして、もう論破していかなきゃいけないということで、私は特に、大臣ももちろんですけれども、官僚の、主計局のトップ、主計局長に今日は是非来てもらおうと思って通告したら、何とこの財務金融委員会では主計局長は答弁しないという驚くべき事実を知りました。

 私、十数年もう国会議員をやっていて、いろいろな委員会、やっていますけれども、大臣が出る主管の委員会に局長が答弁しないというのは、恐らくこの主計局長だけだと思います。ほかの局長は、さっきも局長が答弁していましたが、主計局だけがなぜか答弁しないんですよ。これは、国会の悪いところというか、事務次官には質問できないという慣習があるんですね、事務次官級の人には。これは、主計局長が答弁しないということは、事務局長級扱いしているということじゃないですかね。

 これはやはり、財務省も考えを改めた方がいいですよ。やはり、ほかの役所から見ると、財務省は一個上という存在になっちゃっているんですよ。それは具体的に何かと言うと、予算のヒアリングをするときに必ず一個上の人を呼ぶんです。課長補佐が課長……(発言する者あり)二つ上という声も経産省出身の江田さんからありましたけれども、課長補佐が課長を呼んだり、まさに部長を呼んだり。そして、課長は、主計官という人が課長級なんですけれども、主計官は部長か局長を呼ぶんですよ。そして、主計局長は事務次官としか話さないという。そういう、何か霞が関の中で一個上、そういうランクを作っている。

 それは、結果として、私はこの間予算委員会でも言いましたけれども、今、環境省や内閣府の事務次官、財務省出身者だし、ちょっと前までは復興庁の事務次官もそうでした。それから、さっき来ていただいた公取の委員長も財務省、それから人事院の事務総長も財務省。こういう、やはり何か官僚の中でそういうヒエラルキーを作っている大きな原因だし、ましてや、この国権の最高機関たる国会で主計局長が何か一個上みたいな、そういうのはやはり与党としても考えた方がいいと思いますよ。

 これは、大臣、もう大臣の指示で、そんなよく分からない慣習はやめて、もう次回から主計局長を答弁させると言っていただけませんか。

加藤国務大臣 今、政府参考人の話だと思いますが、政府参考人の招致については、理事会で協議の上決定され、それの決定に従って政府としては対応しているということであります。

高井委員 これは財務大臣が指示すればできると思いますので。

 じゃ、委員長、お取り計らいください。

井林委員長 後刻、理事会で協議します。

高井委員 もう一つ、与党の皆さんにも苦言を申し上げたいと思いますが、今日、この午後の開会、五分遅れましたけれども、定足数といって、半分集まっていなかったわけですよ。

 これは本当に、稲富筆頭理事は優しいからこれで済んでいますけれども、ほかの武闘派だったら野党全員退席ですよ。もう散会ですよ。そのくらいの重大事です。私、午前中見ていたら、野党はほぼ全員いました。自民党、十六人のうち六人しか座っていないときがありました。委員会というのは、与党が、政府・与党が法案とかを野党に審議をお願いする、そういう場なんです。ましてや少数与党なんですから、これは本当に緊張感を持っていただきたい、このことは強く苦言を申し上げたいと思います。

 時間が十五分しかありませんので、じゃ、質問に入りますが、まず百三万円の壁の問題から聞きたいと思います。

 これが今話題になっていますけれども、これは所得控除なんですよね。ところが、所得控除というのは、これは予算委員会でもやったんですけれども、財務省自身が二〇二二年十月の税制調査会の資料で、ゼロ税率、これはドイツとかフランスがやっています、それから税額控除、これはカナダがやっています、こういった制度よりも、所得控除というのは高所得者ほどより減税になる、優遇になるということを財務省も認めています。

 そして、ちょうど昨日の日経新聞に、八塩教授という京都産業大の教授がこういうことを書いています。基礎控除拡張による減税をやると、年間給与二千万円の人は三十二万円を給付するに等しいと。それから、年間給与一千三百万円の人には二十五万円を給付することに等しいと。年間給与四百万円の人だと十一万円給付する。つまり、二千万円の人には三十二万円給付しているのに、四百万円の人には十一万円しか給付しない。そして、税を払わない低所得者には一切給付はないという、まさに低所得者に恩恵がなくて高所得者にばかり恩恵がある、そういう制度なんですよ。

 ですから、これを本当に無理やり進めるよりは、我々は、まさに給付ですよ、今言った給付を、高所得者にそんな三十二万円も出すんじゃなくて、国民一律十万円給付をやった方がよっぽど経済としてはいい、公平公正であるというふうに考えますし、あるいは消費税減税ですよ。消費税、だって、財源は七、八兆円かかると言っているんでしょう。消費税三%分ですよ。これ、消費税三%減税した方がいいじゃないですか。財務大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 ちょっと幾つかの視点があったんですが、まず、所得控除方式と他の方式との話でございました。

 高所得者ほど税負担の軽減額が大きい所得控除方式と比較して、収入にかかわらず税負担の軽減額が一定となるゼロ税率方式や、税額控除方式の方が所得再分配の効果が大きいということは、そのとおりであります。

 他方、所得控除は、個人の様々な事情を踏まえた担税力の減殺に対するしんしゃくや各種の政策上の配慮を行うものでありまして、所得再分配効果の大小のみをもって一概に所得控除よりも他の手法がより公平公正というふうに評価できるものではないと考えております。

 また、日本では、所得控除方式を維持した上で、所得再分配機能を高める工夫として、基礎控除において控除を逓減、消失させる仕組みも設けているところであります。

 それから、消費税についてお話がありました。

 軽減税率制度によっていわゆる逆進性が緩和されていること、また、消費税財源が充当される社会保障給付等の受益はむしろ低所得者に相対的に手厚くなっていることから、必ずしも消費税負担が公平の原則に反するというふうにも考えておらず、御指摘のありました消費税の引下げを行うことも適当でないと考えているところでありますが。

 ただ、いずれにしても、負担や再分配の在り方については、公平、中立、簡素といった観点、経済社会の構造変化への対応など、様々な要素を踏まえ、幅広く検討していくべきものと考えています。

高井委員 これはさっき言ったように、財務省の税制調査会の資料でもうそう書いているわけですよ。ちょっと、だから、残念ですね。今、自公国でまさに協議しているから、政府として余り踏み込みたくないのかもしれませんけれども、明らかに所得控除というのはやはり高所得者優遇なんですよ。多分、国民民主党さんはそれは分かって公約に掲げているんですよ。

 説明は、よく、百三万円の壁が、もっと学生が年末働けるようにと言っていますけれども、あれはもう解決していますからね、特定扶養控除はもう取り除いたんだから。今、これからやろうとしているのは、まさに、中高所得者が恩恵の出る減税を一生懸命やろうとしている。

 国民民主党の支持層というのは、労働組合の正社員の人たち、大企業の社員が多いわけですから、まさにそこが喜ぶ政策を国民民主党は訴えているわけで、私は、そこはもっとちゃんと正直に、政府として、今私が言ったような話をきちんとすべきだと思いますし、我々とすれば、低所得者により厚い配分が来る現金給付、それから消費税減税、これに勝る政策はないということを申し上げておきたいと思います。

 それでは、消費税の話をしますけれども、まず、これも予算委員会で申し上げたんですけれども、日本が三十年間、経済がこんなに不況になった原因は消費税増税以外あり得ないということを、データに基づいて私は説明しました。

 予算委員会では配ったんですけれども、リーマン・ショック、あの二〇〇八年のリーマン・ショックが起きたときの消費の減少は四・一兆円です。ところが、消費税を八%に上げたときは十・六兆円、倍以上消費が減少している。それから、消費税を一〇%にしたときは、これはコロナの影響もあったとは思いますけれども、十八兆円、消費の減少が起きているんですよ。消費税を五%にしたときも七・五兆円です。

 つまり、百年に一回と言われたリーマン・ショックをはるかに上回る消費の減少が、一回、消費税を増税するだけで起きているんですよ。それを日本は三十年間で三回増税しているんですから、これで経済がよくなるわけがない。

 悪くなる最大の原因は消費税増税だということを、これはデータではっきり予算委員会でも示しましたが、財務大臣には答えていただいていないので、財務大臣、これは認めていただけませんか。

加藤国務大臣 まず、引上げのときの話でありますけれども、例えば、一九九七年の消費税五%に引き上げたときには、アジア通貨危機などといった景気を大きく冷え込ませる事象が発生をしている、また、二〇一九年の十月の引上げにおいては、十二月期のGDPの落ち込みが見られたものの、その要因としては税率引上げのほかに台風や暖冬の影響も挙げられたということで、消費税だけを切り出して景気への影響を論じることは必ずしも適当ではないというふうに考えております。

 また、実際、一九九〇年代のバブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレがございますが、これは、企業が賃金を抑制し、消費者も将来不安などから消費を抑制し、結果として需要が低迷し、デフレが加速するという悪循環が生じたものと認識をしているところでありますので、必ずしも、そうしたものに消費税の引上げがつながっている、また、消費税引上げが生み出したとは考えてはおりません。

高井委員 頭のいい財務官僚がどんな言い訳を考えてくれるかと楽しみにしていたんですけれども、全く理由になっていないですよね。台風とか暖冬と今言いましたよ。リーマン・ショックを超える消費の減少が、台風とか暖冬で起こるわけがないじゃないですか。そんなのしょっちゅう起こりますよ。

 しかも、リーマン・ショックのときは、回復までに一年九か月で回復しているんですよ。ところが、消費税八%のときは五年たっても回復しなかったんです、ついに。回復しない間に一〇%に上げちゃったから、コロナ、一〇%になったら、いまだに回復していないんですよ。これはどう見ても、データから見ても明らかに、消費税増税が日本経済三十年のデフレ不況、これを引き起こした最大の原因であるということは、財務省に反論のチャンスを与えたわけですけれども、今のような答弁だということは、これはもう紛れもない事実だと言わせていただきたいと思います。

 それでは、もう一つ、これも予算委員会で取り上げたんですが、これはれいわ新選組がしょっちゅう言っているんですけれども、消費税の増税で、平成元年、一九八九年から二〇二二年までに皆さんが払った消費税の総額というのは四百七十七兆円なんですよ。

 ところが、法人税、その年から今まで、本来だったら法人税が払ってきたものを、法人税を下げてきたことによって、法人税を払わなくてよくなった金額は三百八兆円なんですよ。つまり、払った消費税のうちの六五%は法人税減税の原資になってきた、大企業から減税するための原資になってきた。これはもう数字として事実ですから、これは認めていただけますか。反論はありますか。

加藤国務大臣 御指摘のように、法人税率を引き下げてきた、これは事実であります。これは、我が国の国際、企業の競争力強化などの面から対応してきたところでありますが、あわせて、租税特別措置を見直して、課税ベースが拡大されてきた。

 それから、今おっしゃった数字は、税率を引き下げたことだけではなくて、企業の収益、経済活動、こういったものが下がれば当然法人税収は下がるわけでありますから、それを一概に消費税との見合いで比較するというのは必ずしも適切ではないのではないか。

 実際、ピークである平成元年度の十九兆円には法人税の現状、届いておりませんが、直近の令和六年度の補正後予算では十八・一兆円という数字まで上がってきているわけでありますから、必ずしも穴というような状況でもないというふうに考えています。

高井委員 反論はいっぱいあるんですけれども、もう時間がないので、最後に一問だけどうしても聞きたいので。

 これも予算委員会で聞いたんですが、一般会計歳出の四分の一を国債費が占めていますね、日本の場合は。だから、国債費がこんなにあって大変だ、これ以上国債は発行できないと言うんですけれども、実は、国債費のうちの六四%は国債償還費なんですよ。

 ということは、四分の一の三分の二ですから六分の一、一五%、一般会計予算の一五%を国債償還費というのが占めているんですけれども、世界を調べたら、こんなのを計上している国はないんですよ。財務省に聞いたら、この間、予算委員会ではっきり答弁していただけませんでしたけれども、世界中調べてくださいよ。何で財務省が世界の国を調べられないんですか。調べない理由を教えてください。

井林委員長 財務省中山主計局次長、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

中山政府参考人 御指摘の債務償還費を計上している国についてですが、全世界の状況を網羅的に確認すること、これ自体は現実的でないと考えておりますが、他の主要先進国を見ますと、六十年償還ルールのような制度はないと承知しております。また、償還を行う際に債務償還費を計上している国もないと承知しております。

 いずれにしましても、国際比較に当たっては、こうした財政規律維持に関する枠組み全体ですとか、債務残高GDP比の動向、これらを見る必要があると考えてございます。

高井委員 時間がないのでまとめますが、最後に一言。

 これ、私も官僚をやっていましたから、政府にとって都合のいいデータだったら、世界中、あっという間に調べます。大使館とか使えば、もう一日で調べられます。それを調べられないということは、ないからなんです。

 ということを申し上げて、終わります。ありがとうございます。

井林委員長 次に、田村智子君。

田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。

 物価高騰が止まりません。暮らしを守る対策が緊急に求められていますが、政府の目玉施策である定額減税、給付金は、いまだに支給されていない人たちがいて、最も遅い場合、来年の五月、六月の支給になるというんですね。これはもう制度設計の失敗だと言わざるを得ないと思います。

 私は、そもそも、こういう場当たり的なやり方ではなくて、消費税減税など抜本的な政策転換に踏み出すべきだという立場ですが、定額減税、給付金は、政府自身が全ての国民を対象にしたというふうに言っているわけですから、届かない人を残してはならないというふうに思います。

 財務大臣、届け切るということでよろしいですか。

加藤国務大臣 昨年十一月の総合経済対策に基づき、定額減税については今年の六月、各種給付金については昨年末から順次開始をさせていただいております。

 定額減税について、多くの企業で今月に行われている年末調整の中で減税を受けられる方がいらっしゃるほか、来年三月の確定申告で減税を受けられる方もおられると認識をしています。

 また、給付金についても、年明け以降、不足額の給付を開始するものと承知をしております。

 関係省庁、自治体と緊密に連携しながら、引き続き、お一人お一人の減税ないし給付金が支給される、あるいは減税が行われるよう万全を期してまいります。

田村(智)委員 確認ですが、届け切るということでよろしいですね、全員に届け切る。

加藤国務大臣 支給できるように万全を期してまいります。

田村(智)委員 所得が少なくて減税し切れない約二千三百万人への調整給付金、今年七月から八月に、対象となるであろう方々に申請書が郵送されて、申請によって支給するという仕組みになっています。

 多くの自治体は、申請締切りを十月末としていました。申請期間が僅か三か月から四か月。しかも、制度は複雑。国民への周知は全く不十分。これで、どういう郵便物が来たのか分からなかった、それで申請していなかった。あるいは、仕事が忙しくて気がついたら締切りを過ぎていた。銀行口座など個人情報を書くことをけげんに思って返信しなかった、詐欺に注意しようとかといろいろ言われていますからね。などなど様々な理由で期限内に申請ができなかったという人たちがいます。

 ある自治体では、締切りを過ぎてしまったがという相談に対して、もう支給はしないと、門前払いをしていると言います。

 確認したいんですけれども、政府は、自治体が不足額給付金で支給するなど何らかの救済措置をすることを禁止しているんでしょうか。

松家政府参考人 お答えいたします。

 昨年の経済対策に基づく給付金と定額減税の一体措置における、いわゆる当初調整給付につきましては、委員からお話があったとおり、遅くとも本年の十月末までを目安として地方公共団体が設定した申請期限までに申請された方を対象とすることとしてございます。地方公共団体においても、対象となり得る方々に期限までに申請をいただけるよう、周知やフォローアップを行ってきたところと承知をしてございます。

 その上で、御指摘の未申請の方々につきましては、個別の事情を踏まえまして、地方公共団体の御判断により、例えば重点支援地方交付金の推奨事業メニューを活用するなどにより御対応いただくことは可能であると考えてございます。

田村(智)委員 そもそも、今年の収入が確定してから最終的に計算をし直して、必要な人に不足額給付金を支給することになっているんですから、やはり、申請を忘れちゃったという人も救済すべきだと思いますよ。対象者全てに給付金が支給できるように、政府からも自治体に働きかけを行ってほしいというふうに思います。これは要望しておきたいと思います。

 白色申告や青色申告の自営業者の家族、いわゆる専従者は、そもそも給付金の対象外とされていました。今年の四月、我が党の田村貴昭議員がこの問題を指摘をして、財務大臣が対応を検討すると答弁し、不足額給付金として支給することになりました。

 これも申請主義ですから、周知徹底をどうするかということが課題になります。専従者控除を使っている事業者に対して税務署が案内を出すとか、今年の確定申告の際に申請書を配布するなど、申請漏れがないように対応すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 定額減税の対象外とされた一定の事業専業者の方が不足額について給付を受けるためには、御本人から自治体に申請を行っていただく必要があるということは、委員御指摘のとおりであります。

 この申請の機会を確保する観点から、本件に係る周知、広報は大変重要であります。国税庁としても、内閣官房、内閣府を始めとした給付金関係部局と連携し、確定申告会場におけるポスターを掲示することにより周知、広報を行うほか、関係民間団体を通じ、事業主が雇用する事業専従者に対して不足額給付に関する案内を行うよう依頼するなど、周知、広報に努めてまいります。

田村(智)委員 もう一点、事実婚でパートナーの被扶養者となっている人も、税制上の配偶者ではないとして、給付の対象外となっています。選択的夫婦別姓の実現が阻まれている下での不利益が起きているんです。

 私は支給されないのでしょうかと、当事者からの相談が私どものところにも寄せられまして、私たちの方でも国税庁などに確認をするんですけれども、頑として支給の対象とすることを拒んでいます。

 大臣、これでいいということになるんでしょうか。

加藤国務大臣 今般の定額減税においては、源泉徴収義務者の皆さんの協力を得ながら実施するということを踏まえ、減税額の計算の対象とする配偶者等について、円滑な執行の観点から、既存の所得税法の定義に依拠することとしております。

 所得税法の適用において、配偶者は法律婚の配偶者に限るとされているため、事実婚のパートナーについては、今般の定額減税について、配偶者としては減税対象にはならないと認識をしています。

田村(智)委員 そうしたら全員にならないじゃないですか。ここは政治家の判断ですよ。加藤大臣、それでいいのかということを、是非検討を急いでやっていただきたいと思います。選択的夫婦別姓を阻んできているんですから、是非対象漏れのないようにしていただきたい。これも要望しておきます。

 ちょっと時間がないので、次に進みます。確定申告についてお聞きします。

 確定申告を提出したにもかかわらず、税務署から未申告だと申告催促の連絡が来た、こういう事例が各地の税務署で発生しているのではないでしょうか。

 財務大臣、こういう事例、こういう報告を受けておりますか。

加藤国務大臣 国税当局においては、申告期限後において申告の提出が確認できなかった方に対して、申告の提出を勧奨する等の対応を行っているところであります。

 その上で、今委員御指摘のありました事例、様々な要因によると思いますが、提出された申告書の情報が国税当局のシステム上で未入力であった場合には発生することがあると聞いております。

 そのような事例をなくしていくため、国税当局として、確定申告書の提出状況等の適切な把握、管理に努めてまいります。

田村(智)委員 これは、インボイスなどで確定申告が激増したというようなこともあると思います。しかし、率直に言えば、確定申告書の紛失という問題が起きているということです。

 鳥取県米子税務署から未申告とされたAさん、広島県広島西税務署から未申告とされたBさんの事例、私もお聞きをしました。

 税務署の収受日付印、受け取りましたという日付入りの判こ、これが押された申告書の控えを持っていたBさんの場合は、税務署が紛失を認めて、判この日付で、そして控えの内容の申告というふうになりました。しかし、この判こが押された控えを持っていなかったAさんは、所得税未申告にされてしまって、もう一度申告をやり直した。当該税務署は、収受日付印のある控えが申告の唯一の証明だというふうに説明をしています。

 ところが、来年一月から、デジタル化の促進だといって、この収受日付印の押捺が廃止をされます。

 紙で申告した人は、申告した日付、申告内容の証明となるものを受け取る権利があるはずだと思います。先ほど紹介した事例を見ても、廃止ということはあり得ないと思いますが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 国税庁では、納税者の利便性の向上等の観点から、税務行政の手続や業務の在り方等の抜本的な見直し、DX、デジタルトランスフォーメーションを進めております。

 令和七年一月より申告書等の控えの収受日付印の押捺を見直す、今押捺をすることを見直すということにしたものと承知をしております。

 なお、申告等の提出事実の確認は、収受日付印の押捺によらずとも、納税証明書など様々な方法で確認できるよう整備を進め、納税者の方々の利便性を高めていきたいと考えております。

田村(智)委員 さっき言ったみたいに、紛失の事例があるわけですよね。それでは、納税証明書なんか、取りようがなくなっちゃうじゃないですか。控えにちゃんと判こが押されて、それが証明となるわけですから。

 今、リーフレットがその代わりになるんだと言われているので、そのリーフレットのサンプルというものを資料として配付をいたしました。

 これを見ていただきたいんですけれども、申告の内容は全く分からないんですよね、これを渡されても。しかも、所得税の申告なのか消費税の申告なのかというのは、このサンプルによれば、本人が手書きで書くようになっていて、果たしてこれが証明になるんでしょうか。

 先ほど私が紹介をした鳥取県米子税務署のAさんの事例というのは、消費税の申告は税務署は認めているんですよ。だけれども、所得税の申告がないというふうに言い張ったんですよ。そちらは恐らく紛失したんだと思いますけれどもね。

 何の申告かというのは、このサンプルによれば、メモ欄に、備忘のため提出書類の記録等に御使用くださいだから、自分で書くということになりますよね。これで果たして、さっき言ったような事例が起きたときに、何の証明になるんでしょうか。どう考えても、申告控えに判こを押すという方が圧倒的に合理的だと思いますよ。

 これも、リーフレットに一々、税務署が手書きで日付を書くんですか。何とか税務署、何月何日。判こをぽんと押した方がよほど合理的で間違いがないというふうに思うんですね。

 東京青年税理士会など税理士からも、当面の間の存続を求める声が起きているわけです。

 リーフレットの一番上、当分の間交付するリーフレットと書いてあります。だったら、当分の間のリーフレットじゃなくて、当分の間、申告書控えの判こ、これでいいんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 一つは、税務行政においてもDXを進めていくということ、それからもう一つは、納税者から求めがあった場合に、書面申告書の控えに収受日付印を押捺し、返却、返送しているところでありますが、その際、現場において、本来収受すべき申告書の正本を誤返却してしまうなど、事務処理誤りが生じるリスクもあると承知をしております。その防止に係る事務負担も生じているところでありまして、こうしたところを踏まえて、今回の見直しは、こうした事務の不適切事案の防止にも資する、こういう観点からなされたものと承知をしています。

田村(智)委員 これはどう考えたって合理的じゃないですよね。さっき言ったように、紛失の事例があるということを認めたじゃないですか。これで紛失事例にどう対応できるのか。対応できないですよ。もう一回申告のやり直しをさせることになりますよ。

 元々、この収受日付印が押された確定申告書の控えというのは、融資を受ける際の納税証明にも使われています。公的な補助金申請の際の提出書類としても活用されています。外国人が経営ビザや就労ビザを申請する際の提出書類にも使われています。現に重要な証明書類として利用されている。

 今、デジタル申請のために判こをなくしていくんだと言いますけれども、デジタル申告にするのか、それとも書類で申告するのか、これは申告者の判断に委ねられるべきものです。

 デジタル化を聖域化させて強引に進める、それでは、トラブルや国民への不利益、これがもたらされることは必至だということを指摘をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

井林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十分散会


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