第11号 令和7年3月14日(金曜日)
令和七年三月十四日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井林 辰憲君
理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君
理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 斎藤アレックス君 理事 田中 健君
東 国幹君 石田 真敏君
伊藤 達也君 上田 英俊君
田中 和徳君 土田 慎君
長島 昭久君 中西 健治君
根本 幸典君 福原 淳嗣君
古川 禎久君 牧島かれん君
松本 剛明君 江田 憲司君
岡田 悟君 海江田万里君
川内 博史君 下野 幸助君
末松 義規君 長谷川嘉一君
原口 一博君 水沼 秀幸君
三角 創太君 矢崎堅太郎君
萩原 佳君 村上 智信君
岸田 光広君 中川 宏昌君
山口 良治君 高井 崇志君
田村 智子君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
財務副大臣 斎藤 洋明君
財務大臣政務官 東 国幹君
財務大臣政務官 土田 慎君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房審議官) 向井 康二君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(財務省関税局長) 高村 泰夫君
政府参考人
(農林水産省農産局農産政策部長) 山口潤一郎君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
―――――――――――――
委員の異動
三月十三日
辞任 補欠選任
牧島かれん君 後藤 茂之君
同日
辞任 補欠選任
後藤 茂之君 牧島かれん君
同月十四日
辞任 補欠選任
階 猛君 下野 幸助君
同日
辞任 補欠選任
下野 幸助君 階 猛君
―――――――――――――
三月十四日
消費税率五%以下への引下げとインボイス制度の廃止に関する請願(篠原孝君紹介)(第三六三号)
同(白石洋一君紹介)(第三六四号)
同(田村貴昭君紹介)(第四六二号)
ガソリン税凍結、消費税減税、インボイス制度廃止に関する請願(田村貴昭君紹介)(第四六一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
――――◇―――――
○井林委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局官房審議官向井康二君、外務省大臣官房審議官小林出君、財務省関税局長高村泰夫君、農林水産省農産局農産政策部長山口潤一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井崇志でございます。
今日は関税定率法の改正ですけれども、関税は今まさにアメリカのトランプ大統領就任によって日本にとっても非常に大きな注目の的になっていますけれども、本来ならもっと充実した審議、実は櫻井理事が理事会では何度も、充実した審議をと言いましたけれども、僅か二時間程度で採決というのは大変残念だということをまず申し上げておきます。
今日は、法案の中身もさることながら、やはり、トランプ大統領による関税の影響、これを議論しないわけにはいかないので、それを質問したいと思います。
トランプ大統領は、ヨーロッパの付加価値税、日本でいえば消費税は関税と同じようなものだ、そういう発言もしています。それから、トランプ大統領自身ではないですけれども、かつてから、共和党の方々あるいは今の政府高官は、消費税が持つ輸出還付金という制度、これがある意味非関税障壁になっている、これは事実上の輸出補助金じゃないのかということを問題視していて、これは早晩、トランプ大統領も言ってくると思います。これは、実は我々も、れいわ新選組もかねてからずっと言い続けている、あるいは立憲民主党やほかの党の一部の方も言い続けている話ですが。
そもそも付加価値税というのは、一九五四年にフランスで始まったとされています。それは、そのときに、ガットで輸出補助金というのは禁止をされているわけですけれども、それをかいくぐるためにこの制度を入れたと言われています。
どういうことかというと、海外で輸出したものに対しては消費税をかけられないわけです。しかし、国内でそれを仕入れるときにそこの分には消費税を払っているから、その分を還付してあげようと。一見するともっともな制度なんですけれども、しかし、国内で支払ったとされる仕入れ分の消費税をきちんと払っているのであれば還付されてしかるべきなんですけれども、現実には払えていないんじゃないかと。特に大企業が下請企業に対して、取引をする場合には、適正に消費税分を払っているのかというのは大いに疑問であり、だからこそ、輸出補助金に事実上なっているんじゃないかと言われているわけですけれども、この辺、財務大臣、そういう位置づけにはならないんですか。
○加藤国務大臣 まず、全体として、我が国の消費税を含む付加価値税は、御承知のように、財・サービスの消費が行われる消費地国で負担を求めるということでつくられている税であります。したがって、輸出国側では免税とした上で、輸出企業において実際の仕入価格に含まれる仕入れ時に支払った消費税額が控除し切れなければ、その分を還付する、還付を受ける、こういう仕組みになっています。これは、国産品と輸入品との間で税負担に差を設けないという観点から、いわば国際的に共通した取扱いとされているところであって、決して輸出企業を優遇するものではないというふうに考えております。
その上で、委員御指摘のような消費税分の不当な値引き等のケースについてでありますけれども、不当な値引きを強いることで消費税の適正な転嫁を妨げる行為に対しては、公正取引委員会において、独占禁止法や下請法に基づいて厳正に対処されるものと承知をしております。
また、こうした問題、まさに不当な値引きは、輸出企業であろうが国内向け企業であろうが、不当な値引きを求めれば生じ得るという問題であり、付加価値税制自体の問題ではないと考えております。
○高井委員 実態として消費税の値引きというのはやはりあるわけですよ、特に大企業と下請企業という間には。そこを前提で考えた場合に、制度が元々はらんでいる内在的な問題だと私は思います。
今日、公正取引委員会に来ていただいています。もう時間がないので二問まとめて聞きますけれども、大企業が下請企業に対して、消費税分をまけてくれ、そういう実態、件数は把握されているかどうかということ、それから、そういった行為をきちんと厳格に取り締まることは可能なんですか。二点、お答えください。
○向井政府参考人 お答えします。
御指摘のような事例につきましては、いわゆる下請法が適用される取引におきましては、発注事業者が発注時に、通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金を不当に定める、こういうものは買いたたきとして禁止をされておりまして、消費税分を上乗せして代金を設定しないという場合には問題となります。
そして、発注後に、下請事業者の責任がないのに、発注時に決定した代金、これにつきまして減額をするということも、減額として禁止をされておりまして、例えば支払い時に消費税分を減額をするという行為は問題となります。
このような買いたたきや減額につきまして、消費税を理由として行われたというものについては集計はしてございませんが、令和五年につきましては、買いたたきについては八百七十九件、減額につきましては千九十件の指導をしておるところでございます。
このような問題行為につきましては、公正取引委員会では、事業者からの情報提供を受け付けたり、大規模な書面調査を行うということを通じまして情報収集に努めてきておりまして、違反被疑行為がありますと厳正に対処しておるというところでございます。
○高井委員 僅か二千件弱ですよね、これだけ会社があって。しかも、その把握する方法は事業者からの情報提供、それから書面調査ですか。全然、全体を把握しているとは到底思えません。まず、大企業に下請企業が、そんなのを申告するはずがないじゃないですか。泣き寝入りがほとんどですよ。そういう実態を考えると、相当な件数がある。
そして、その分が事実上の輸出補助金になっている、還付されている。その額は、推計ですけれども六兆から七兆と言われています。これは、消費税の実に五分の一ですよ。二〇%以上ですよ。それだけを、消費税、皆さんが払った分が、輸出企業というのは大企業が多いですからね、輸出企業に六から七兆円が還付されている。
やはりこの制度はおかしいですよ。消費税を導入したときに、私は、そういう意図を持って入れたんだ、特に経団連なんかが消費税の引上げを盛んに主張するのはやはりそういう意図があると言わざるを得ません。
財務省と話すと、いや、そういうのを書いている文書を見ますけれども、そういう文献は、正式なものはあるんですかと言われます。確かに正式なものは残っていないですよ。しかし、逆に言えば、じゃ、財務省こそ、消費税を導入するときにそういう目的ではなかった、輸出補助金という目的を持って入れたのではなかったと証明できる何か正式な文書が残っているんですか。財務大臣、お答えください。
○加藤国務大臣 まず、さっき委員がおっしゃった還付額六から七兆円というのは、多分、全体の還付額ではなかったかというふうに記憶をしておりますが。
その上で、今、フランスのお話がございました。消費税創設に当たって、あるいは各税の議論に当たっては、これまでの日本の歴史に加えて、諸外国においてどうなっているか、こういったことも勉強しながら制度を構築していくということであり、消費税の創設に当たっても当然そうした議論がなされたものと承知をしております。
消費税については、昭和六十三年の政府税制調査会の中間答申でも明らかにされているように、所得水準の上昇を背景とした直間比率の是正、本格的な高齢化社会の進展に伴って見込まれる社会保障給付の急増への対応の必要性などを勘案し、税体系全体を通じた税負担の公平を図るべく導入されたものであります。
御指摘のように、事実上の輸出補助金として導入された、こういう事実はございません。
○高井委員 六から七兆の推計の中でも、輸出大企業二十社にだけ限っても一・九兆円。これは、税理士さんが一生懸命調べて、輸出大企業二十社の決算書から推計して、これはほぼ合っていますよ。それだけの二兆円近いお金が輸出大企業に、トヨタ一社だけでも五千億とか六千億とか還付をされているわけです。そういったことを考えれば、やはりこの制度には大きな問題がある。そして、大企業がなぜ消費税を増税したがるのか、この理由にもなりますので、今大臣が答えたのは全く私の質問には答えていません。それは、お題目では、消費税はそういうものでつくったに決まっていますけれども、裏の意図としてそういうことがあったんじゃないかという我々の予想に対して、何ら証明するものはないということをお答えになったと思いますので、引き続きこの問題は取り上げてまいります。
ありがとうございます。
○井林委員長 次に、田村智子君。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
三月十一日、アメリカ、ホワイトハウスのレビット報道官は、アメリカの農産品に対する各国の関税を例に挙げ、日本が米に七〇〇%の関税を課していると発言をしました。
このようにフェイク情報がアメリカ政府の報道官から発せられることに私はあきれますし、怒りを覚えます。日本は、ミニマムアクセス米として毎年七十六・七万トンも無税で輸入しており、そのうち約半分、三十五から三十八万トンがアメリカからの輸入です。
加藤大臣、この米国報道官の発言をどう認識されたでしょうか。政府として公式に米国政府に対して抗議若しくは訂正の申入れを行ったのかどうか、お答えください。
○加藤国務大臣 そうした米国政府関係者の発言があったことは承知をしておりますが、従前から申し上げておりますように、各国政府の関係者の発言一つ一つについてコメントすることは差し控えているところでありますが、引き続き、米国政府と丁寧な意思疎通を図っていくことは重要と考えております。
その上で、今の米の関税についても、事実関係等もしっかり含めて説明していく必要があるんだろうと考えております。
○田村(智)委員 どういう姿勢で米国トランプ政権に臨むかということが今本当に問われていると思うんです。
農水省にもお聞きしたいと思います。
ミニマムアクセス米は二〇〇〇年度から毎年七十六・七万トン輸入していますが、その間に米の需要は大幅に減少し、農水省は日本の農家に減反、米の減産を求めてきました。米を作りたいという農家には減産を強い、一方で、需要はお構いなしに七十六・七万トンの輸入を続け、農地も農家も激減していく、挙げ句、米不足が起こる、こんな政策をいつまでも続けるのかが問われています。
確認します。そもそも、七十六・七万トン、これは義務ではなく、輸入量をどうするかは政府の判断ではないですか。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
ミニマムアクセス米につきましては、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意の際、米のミニマムアクセス導入に伴う転作の強化は行わないという閣議了解を行いまして、ミニマムアクセス米が国産米の需給に悪影響を与えないよう、国家貿易で管理をしてございます。
ミニマムアクセスにつきましては、WTO協定に基づく法的義務、この内容は、一定の数量について国が輸入機会を提供するということでございますが、米は、先ほど申し上げましたように、国家貿易品目として国が輸入を行う立場でございますので、平成六年の政府統一見解のとおり、輸入機会を設定すれば、通常の場合には当該数量の輸入を行うべきものと考えてございます。
○田村(智)委員 確認します。義務ではないですよね。七十六・七万トン輸入しなければならないではないですよね。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
義務の内容は、国が輸入機会を提供することでございます。その一方で、国家貿易品目として国が輸入を行う立場にございますので、通常、この輸入機会を設定すれば、当該数量の輸入を行うべきものと考えてございます。
○田村(智)委員 義務ではないんですよ。ミニマムアクセスでその量を輸入しているなんていう国は、ほとんどないですよ。異常なんですよ。しかも、米国産の米を高く買って、そのほとんどは安い飼料米として応札となるので、毎年、ミニマムアクセス米は大幅な赤字です。二二年度は六百七十四億円もの赤字になった。赤字でも七十六・七万トンの輸入を続け、日本の農家は減るに任せる。自動車を始め工業品の輸出を守るために、主食の米まで米国に差し出したというような政策です。今も、自動車などへの影響を恐れて、米の輸入を減らして日本の生産体制を強化するという判断もしない。こういう米国言いなりでいいのかということが問われていると思います。
昨日、農水省にも来ていただいて、七十六・七万トン、政府の判断で減らすことだってできるでしょうというふうに聞きましたら、そうしたら、ほかの製品に対する影響がどうなるか、そういうこともあるのでなかなか難しいという説明をされていきましたけれども、こういうアメリカの顔色をうかがうようなやり方でいいのかということは、トランプ大統領の下でいよいよ問われています。
今、自動車への二五%の関税といういわば脅しがトランプ政権によって行われていますが、これは余りに横暴な脅しと言わなければなりません。
二〇一九年十月、安倍総理とトランプ大統領は日米貿易協定に署名しています。その概要文書には、自動車・自動車部品、関税の撤廃に関して更に交渉と協定に明記、協定の誠実な履行中は追加関税を課さない旨、日米共同声明に明記、首脳間で確認というふうに書かれています。
当時、安倍首相は、記者会見で、日本の自動車あるいは自動車部品に対して追加関税を課さないという趣旨であることは私からトランプ大統領に明確に確認し、大統領もそれを認めた、こう述べています。
この協定は今日も有効な政府間の協定ではないんですか、外務省。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、二〇一九年九月の日米首脳共同声明において、両国は協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らない旨、明記されてございます。
そして、これが日本の自動車・自動車部品に対して米国が追加関税を課さないという趣旨であることは、当時の首脳会談において安倍総理からトランプ大統領に明確に確認したと承知をしておるところでございます。
○田村(智)委員 そうすると、確認しますが、二五%の関税を一方的にかけるというやり方は、この日米貿易協定違反になるということでよろしいですか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
米国から自動車・自動車部品に対する追加関税を課された場合、それはどういうことかというふうにお尋ねかと思います。大変恐縮でございますが、仮定の質問にお答えすることは差し控えたいと考えてございます。
その上で申し上げますと、自動車関税については、米国政府に対して、我が国が対象となるべきではないという旨を申し入れているところでございます。今朝、G7のマージンで日米外相会談が行われましたが、その場でも岩屋外務大臣からルビオ国務長官に対して申し上げたところでございます。
今後の対応につきましては、引き続き日米で緊密に協議をしていくことになっておりまして、政府としては、我が国の自動車産業の重要性を踏まえ、引き続き必要な対応を粘り強く行ってまいるところでございます。
○田村(智)委員 繰り返しますが、日本政府の姿勢がやはり問われているんですよ。協定違反だ、新たな協定がないままに一方的な二五%の課税なんてあり得ないという立場で交渉しないでどうするかということだと思います。
自動車・自動車部品の輸出を守るために農作物の大量の輸入を推進してきた自民党の政治、我が党は厳しく批判してきました。米について、輸出で農家が稼げるようになどという政策も、国内自給率が四〇%を切っている国がやることではないです。まずは、自給率向上のために、義務でもないミニマムアクセス米の輸入量を見直すべきだということを強く求めますし、やはり、政府間の協定違反、これを許さないぞという立場で、トランプ大統領の顔色をうかがうのではなくて、交渉をしていくことが必要だ、このことを強く求めまして、質問を終わります。
○井林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○井林委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。矢崎堅太郎君。
○矢崎委員 おはようございます。立憲民主党の矢崎堅太郎です。
私は、立憲民主党・無所属を代表して、政府提出の関税定率法等の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論をいたします。
現在、四百十一品目に適用されている関税の暫定税率については、その全品目について、財務省が所管省庁にヒアリングの上、延長の適否を検討しているとのことですが、政府の答弁や提出資料からは、実際に十分な検討が行われていることを残念ながら確認することができませんでした。こうした事実に鑑みれば、毎年惰性で適用延長が行われているものと判断せざるを得ませんが、これにより年間約一千四百億円もの関税収入が失われており、このような怠慢は到底許されるものではありません。
また、現在、アメリカでは、トランプ大統領の下で関税の引上げが行われ、日本経済に対する影響も懸念されているところでありますが、主な輸入相手国がアメリカである品目に適用される暫定税率については、本来、日本側の交渉カードともなり得るはずです。しかしながら、現在、財務省において、相手国の不当な関税引上げを阻止するための貿易交渉に不可欠な情報が十分に収集、管理されていないことが、本委員会の質疑や財務省へのヒアリング等で明らかになりました。このようなことでは、そうした機動的な対応は望むべくもありません。
現在、国際環境が大きく変動する中にあって、政府がこのような惰性に満ちた姿勢を取り続けていては、国益を損ないかねません。政府には強く猛省を求めるものであります。その上で、今後、政府の対応が改められない場合には、次回以降、反対を含め、厳しい態度を取ることも念頭に置きながら、従来、我が党として本法案に賛成してきた経緯等に鑑み、今回については賛成といたします。
今回の我々の判断は、いわば政府にイエローカードを突きつけるものであり、今後の対応次第ではレッドカードを突きつけざるを得ないということをゆめゆめお忘れなきようお願い申し上げ、私の討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○井林委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○井林委員長 これより採決に入ります。
関税定率法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○井林委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、大野敬太郎君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。矢崎堅太郎君。
○矢崎委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 関税率の設定に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国民経済的な視点から国内産業、特に農林水産業及び中小企業の利益を十分に配慮しつつ、国民生活の安定・向上に寄与するよう努めるとともに、過度な恩恵を相手国に与えず調和のとれた対外経済関係の強化を図ること。
二 関税の基本税率を引き下げるための暫定税率については、その恩恵の規模や産業等について適用実態の公開を進めた上で、国内産業保護、消費者等の利益確保、国際交渉上の必要性等を具体的に考慮し、真に必要かつ合理的と認められるものに限り、適用期限の延長措置を講じること。
三 自由貿易が人類の繁栄と世界の平和をもたらすとの基本的な考えに基づき、自由で公正・公平な経済秩序の維持・強化を推進するため、我が国の関税制度を不断に見直すとともに、保護主義的な政策が広まらないよう、諸外国及び国際機関との連携を強化すること。
四 最近における社会のデジタル化の進展等の技術革新、厳しさを増す安全保障環境など、税関を取り巻く経済・社会情勢が急速に変化する中で、適正かつ迅速な税関業務の実現を図り、また、覚醒剤等の不正薬物、銃器、金地金、知的財産侵害物品やテロ関連物品等の密輸を阻止するとともにロシア等に対する輸出入規制や経済安全保障へも対応し、水際において国民の安全・安心を確保しつつ、本年開催される大阪・関西万博におけるテロ対策や展示物等の的確かつ迅速な通関等を通じ安全かつ円滑な開催に寄与するため、高度な専門性を要する職務に従事する税関職員の定員の確保、処遇改善、機構・職場環境の充実、取締検査機器等を含む業務処理体制の整備及び安全管理の徹底等に特段の努力を払うこと。
以上であります。
何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○井林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井林委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣加藤勝信君。
○加藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○井林委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○井林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前九時二十七分散会