衆議院

メインへスキップ



第7号 平成29年3月22日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十九年三月二十二日(水曜日)

    午後二時五十分開議

 出席委員

   委員長 永岡 桂子君

   理事 上川 陽子君 理事 亀岡 偉民君

   理事 前田 一男君 理事 宮川 典子君

   理事 山本ともひろ君 理事 菊田真紀子君

   理事 長島 昭久君 理事 富田 茂之君

      あべ 俊子君    青山 周平君

      池田 佳隆君    岩田 和親君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      門山 宏哲君    神山 佐市君

      木村 弥生君    工藤 彰三君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      笹川 博義君    下村 博文君

      田野瀬太道君    谷川 とむ君

      中川 郁子君    馳   浩君

      福山  守君    古田 圭一君

      堀井  学君    松本 剛明君

      太田 和美君    坂本祐之輔君

      高木 義明君    平野 博文君

      牧  義夫君    笠  浩史君

      樋口 尚也君    吉田 宣弘君

      大平 喜信君    畑野 君枝君

      伊東 信久君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       松野 博一君

   財務大臣政務官      杉  久武君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    田野瀬太道君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 佐野  太君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     福山  守君

  小林 史明君     木村 弥生君

  福井  照君     中川 郁子君

  船田  元君     笹川 博義君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     小林 史明君

  笹川 博義君     船田  元君

  中川 郁子君     福井  照君

  福山  守君     堀井  学君

同日

 辞任         補欠選任

  堀井  学君     岩田 和親君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     安藤  裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 文部科学行政の基本施策に関する件

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案起草の件

 独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営する災害共済給付制度に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

永岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房長佐野太君、初等中等教育局長藤原誠君及び高等教育局長常盤豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木義明君。

高木(義)委員 民進党の高木義明でございます。

 独立行政法人日本学生支援機構法案、いわゆる給付つき奨学金法案についてお尋ねをしてまいりたいと思います。

 本題に入る前に、少しただしたいことがございます。

 一つは、天下りあっせんについてですが、言うまでもなく、文部科学省というところは、全国の幼稚園、小中高、大学の統括官庁でありまして、今日まで文部科学行政を指導監督してきたところでございます。この文科省が、ことしの一月、組織ぐるみで天下りあっせんを行っておった、大学との口裏合わせをしていた、また隠蔽工作をしていた、こういう報道が流れました。これは文部科学省への信頼を大きく傷つけるものである、このようなことで、私も憂慮いたしています。

 幼児教育から高等教育まで、まさに高校、大学の接続、あるいは切れ目ない支援、また学習指導要領の改訂、こういった意味では、我が国の文部科学行政の新たな変革期にあると言っても言い過ぎではない、こういうときに、教育の中身と質を変える財源ということが何よりも重要になってくるわけでありますが、そのためには国民の理解と大きな支援をいただかなければならない、このときにこのようなことが出てきた、これは、まことに私は、国民の目は厳しくなるばかりであろうと思っております。

 私も、文科省に籍を一時置きました一人として、これは人ごとではありません。もし文科省の体質にそのようなことがあるならば、今回、抜本的な改革をして出直す。また、今月末には最終調査結果報告が出されると聞いておりますが、国会と国民に納得のいく説明責任を果たすのは当然でございます。

 こういう状況の中にあって、文科大臣として、信頼回復のためにどう取り組もうとしておるのか、その所見、決意をお伺いしたいと思っております。

松野国務大臣 教育をつかさどり、法を遵守する立場にある文部科学省の職員が国家公務員法に規定する再就職等規制に違反する行為を行ったこと、さらには再就職等監視委員会の調査に対して隠蔽を図ったことは、国民の文部科学行政に対する信頼を著しく損ねるものであり、省を挙げて猛省するとともに、文部科学省の責任者として、心よりおわびを申し上げる次第であります。

 本事案については、二月二十一日に中間まとめを公表させていただきましたが、まずは、中間まとめで十分に確認できなかった事案を含め、三月末までに行う最終報告に向けて、全職員や退職者を含む徹底的な調査を進め、全容を解明し、厳正な処分を行うとともに、実効的な研修の実施など再発防止策をしっかりと検討し、着実に実行をしてまいります。

 また、これにあわせて、国民からの疑惑が払拭できる体制を構築するまでの間、退職者の大学等への再就職の自粛を要請しているところであります。

 このような取り組みを通じて、一刻も早く文部科学行政への国民の信頼を取り戻すことができるよう、省を挙げて全力で取り組んでまいります。

高木(義)委員 次に、森友学園をめぐる一連の問題については、真相は依然明らかになっておりません。これは、あすは証人喚問が行われますため、本日はこのことについては控えさせていただきたいと思います。ただ、教育上、メディアを通じて映し出されたあの映像は極めて衝撃的でした。国民の間に大きな波紋を呼んでおります。

 折しも、幼稚園教育要領が平成二十八年度末までに改訂をされることになっております。私学の教育理念あるいは教育目標、それぞれ尊重されなければなりません。また、私学をつかさどる都道府県行政でありますので、これはこれとしてその役割分担を尊重することが大事でありますが、国の責務も私は大きいものがあろうと思っております。

 人格の形成において重要な幼児教育、決定的に将来の判断基準、教育に対する大きな影響があるそういう年代、これについて、文科大臣、あの異常な状況を見てどう思われるのか、御所見を伺っておきたいと思います。

松野国務大臣 私立学校における教育についても、教育基本法第十四条二項に違反する政治教育を行ってはならないこと等、関係法令を遵守して行うことが必要であります。

 森友学園塚本幼稚園における教育活動については、国会でさまざまな指摘がなされているところであり、文部科学省では、御指摘をいただいた点に関する事実関係について、大阪府に状況の確認を行ったところであります。

 大阪府による森友学園に対する調査に対し、同学園からは、運動会の選手宣誓については、教育の政治的中立性については今後十分に配慮したい旨の回答があったものの、幼児に対する虐待が行われている事案については、多くの項目についてその事実を否定する回答がなされたと聞いており、大阪府としては引き続き事実関係を確認していくと聞いております。

 幼児教育は、教育基本法にも規定されているとおり、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、仮に不適切な指導が確認されれば、所轄庁である大阪府において適切に対応すべきと考えます。

 文部科学省としては、今後、大阪府において、確認した状況を踏まえ適切な対応がなされるものと考えており、その対応状況を注視してまいりたいと考えております。

高木(義)委員 あえてもう追い求めはいたしませんけれども、この問題は大変大きな課題を抱えておると思います。ある意味では、この機会に全国的な調査もしなければならないのではないかとも思います。

 これを含めて、ぜひひとつ、文科大臣としてしっかり胸におさめて、また改めてこういう議論の場があればと私は思っております。

 さて、本題の給付型奨学金の創設に対する質問をいたしますが、言うまでもなく、これまた、憲法二十六条及び教育基本法四条には、国民の教育を受ける機会の保障及びその実現のための国の責務が定められております。今回の法案は、これらの規定を受けて、教育の機会均等などの実現を図ることに寄与するものとして認識をしております。

 実は、民主党政権時代にも、給付型奨学金制度の創設を一度予算要求したことがございます。しかしながら、残念ながらそのときは、財源の確保が課題となりまして、実現はできなかったものであります。今回、こうして給付型奨学金制度が実現できるということについては、私どもは率直に評価することであります。

 その上で、予算編成において、大臣折衝あるいはこれまで至った中での道のり、また、貸与型奨学金に加えてこの給付型奨学金を創設しなければならなかった意義について、文科大臣としての考え方を示していただければと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 平成二十四年度の予算要求において、平成二十四年度概算要求時は高木大臣当時であったかと承知をしておりますけれども、民主党政権下で、経済的に困窮する学生等の修学を支援する観点から給付型奨学金の要求がなされたことは私も承知をしております。

 今回の給付型奨学金は、一億総活躍社会の実現に向けた重要政策として昨年閣議決定をしたニッポン一億総活躍プランに盛り込まれ、また、未来への投資を実現する経済対策において、「平成二十九年度予算編成過程を通じて制度内容について結論を得、実現する。」との方針が示されました。これを受け、文部科学省内でも検討チームを設置し、有識者の参画も得ながら半年にわたり議論を重ね、また与党内での御議論も踏まえ、制度設計を行いました。

 その結果として、大変厳しい財政状況の中にありながら、関係者の後押しをいただき、昨年末の予算編成過程の中で、大臣折衝を経て、我が国として初めての返還不要の給付型奨学金の創設に至ったものであります。

 給付型奨学金は、意欲と能力がありながら、経済的理由により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするために創設することとしました。貸与型奨学金ではどうしても卒業後の返還を負担に思われる方がいらっしゃいますが、給付型奨学金を利用していただくことにより、この負担を大幅に軽減することができると考えます。

 この給付型奨学金と同時に大幅に拡充する無利子奨学金とをあわせて活用することによって、経済的に困難な状況にある子供たちの大学進学を大きく後押しできるものと考えております。

高木(義)委員 私どもは、人への投資に重点を置いた政治を進めなきゃならない、そういう意味で、高校無償化、これは大学に行く前の段階としての教育でありますが、川端元大臣のときに高校無償化を実現してまいりました。その後も、教育の無償化という施策は形を変えておりますが、今日では、幼児教育から高等教育までの切れ目のない支援が言われるまでになってまいりました。大変うれしいことでございます。

 今回の給付型奨学金制度の創設については、高校無償化の実現を受けて、教育の無償化という施策の流れに位置づけられておるものと認識をしております。

 そこで、これまでの高校授業料の無償化という施策について、大臣はどのように評価をされているのか、改めてお聞きをしたいと思いますし、また、これらの施策によって、高校生の修学の状況あるいは学力の維持向上についてどのように評価しておられるのか、また検証されておるのか、この点についてもお考えを聞いておきたいと思います。

松野国務大臣 誰もが家庭の経済事情に左右されることなく希望する質の高い高校教育を受けられることは重要であると考えております。

 このため、高等学校等の授業料については、平成二十二年に、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律が施行され、経済的理由による中途退学者の減少や生活保護受給世帯と一般世帯における高校進学率の差の縮小等、一定の効果があったものと考えています。

 一方、依然として、低所得世帯における授業料以外の教育費負担が大きいことや、公私間教育格差等の課題がありました。

 このため、平成二十五年に、所得制限を設けることによって財源を捻出し、低所得者への給付型奨学金の創設や私立高校に通う生徒の加算措置の拡充等、制度改正を行った結果、さきに述べた効果を含め、教育の機会均等をより一層推し進めたものと考えております。

 あわせて、高等学校等就学支援金制度は、高等学校における教育に係る経済負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的としており、学力の向上を直接的に目的とするものではありませんが、一方、個々の生徒に着目すれば、経済的理由によって高校での学びを断念することなく、卒業まで安心して教育を受けられ、一人一人の希望する多様な進路の実現にも資するものと考えております。

高木(義)委員 さて、私どもは、不要不急の事業を抑えて、またリスクを恐れず、刺激的なキャッチフレーズ、コンクリートから人へのかけ声のもとに、高校授業料の無償化、そして小学校一学年における少人数学級の実現をしてまいりました。しかし、これはまだまだ不十分であります。

 この数年、国家予算に占める文部科学省予算の割合はどのように推移しているのか、この点について明らかにしてほしいと思います。

佐野政府参考人 お答え申し上げます。

 国の一般歳出に占める文部科学省の当初予算の割合は、平成十三年度の省庁再編以降平成二十一年度予算まで、一三・八%から一〇・二%で推移してきたところでございます。

 民主党政権におきまして高校実質無償化を創設した平成二十二年度予算では、その割合は一〇・五%でございます。また、平成二十三年度予算では一〇・二%、平成二十四年度予算では一〇・五%になっているところでございます。その後、ここ数年まで九%台で推移しているところでございます。

高木(義)委員 やはり教育行政については、この給付型奨学金もそうですが、まさに財源をいかにして確保するか、これが非常に重要なことであるというのは論をまちません。

 教育政策をめぐって各政党各会派がそれぞれ競い合って政策を深化していく、このことは私は非常に重要なことだと思っております。まさに党派を超えて切磋琢磨して、いかに国家予算の中で教育予算を確保していくか、これは私たち一人一人に課せられた大きな使命だと私は思っております。

 民進党は、近々、教育無償化法案を提出することを準備しております。どうぞひとつ、各党各会派がこの時期にしっかり政策の競い合いをすることが非常に大事だ、私はそのように思っております。

 教育予算をしっかり確保して、もっと大きな規模で給付型を行うことはできなかったのか。中所得世帯であっても、三人とか四人の子供さんを持つ家庭が大学まで行かせるのは並大抵のことです。給付額も二万円から四万円ということでありますが、これは決して実態と国民に沿ったものではない、私はそのように考えております。

 既に多くの国民からは、規模や額が不十分である、こういった大きな声も届いております。法案には五年後の見直し規定がございますが、それを待たずに速やかに対象規模を拡大し、低所得世帯にはより高い金額を給付するとともに、中所得世帯にまで恩恵が行き渡るようなそういう制度に移行していくべきだ、私はそのように思っておりますが、この点についての大臣の御見解をお伺いします。

松野国務大臣 給付型奨学金の対象者については、無利子奨学金の基準に照らし、より経済的に厳しい世帯を対象とする観点から、現在の小中高等学校で行われている給付型支援制度で基準として広く用いられている住民税非課税世帯を対象とすることとしたものです。

 給付型奨学金の給付額については、学生生活費の実態を踏まえ、国公私立といった進学先や、自宅、自宅外といった通学形態の違い、また、対象とならない世帯との公平性等を考慮の上、月額二万円から四万円と設定しております。

 加えて、児童養護施設の退所者など社会的養護が必要な学生については、入学金相当額として二十四万円の一時金を追加給付することとしています。

 さらに、新たに創設する給付型奨学金とあわせ、来年度より大幅に拡充する無利子奨学金を活用いただくことにより、おおむね必要な学生生活費を賄うことができると試算しており、大きな進学の後押し効果があると考えています。

 無利子奨学金については、本年度より、残存適格者を解消するとともに、負担を大幅に軽減する所得連動返還型奨学金制度を導入することとしており、中所得世帯も含めた進学の後押しができると考えています。

 なお、給付型奨学金について、まずは制度を安定的に運用し、定着を図ることで、進学の後押し効果を十分に発揮することが重要であります。

 引き続き、高等教育の負担軽減を進めるべく、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。

高木(義)委員 この制度ができますと、当然に周知徹底の話が出てまいります。貧困世帯の子供たちは、高校に入った時点で、もう大学への進学を諦めている子も多いんです。このため、高校段階は言うに及ばず、私は、中学校の進路指導、生徒指導の段階から今回の給付型奨学金を含め大学進学のための各種の教育支援策を周知させて、そして、夢を諦めないようにすることが大変大事であろうと思っておりますが、この点についての大臣の御所見を伺います。

松野国務大臣 高木先生御指導のとおり、新たな制度も含め、奨学金事業について生徒や保護者、教員等にしっかりと周知を図ることは大変重要なことであると認識をしております。

 このため、平成二十九年度予算案においては、資金計画を含めた奨学金の利用について教師や生徒等の理解を促進するための経費を計上しており、具体的には、大学等への進学のための資金計画について、返還を含めた適正な奨学金の利用への理解を促進するスカラシップアドバイザーを派遣すること、生徒等が進学費用のシミュレーションを行うことができるウエブサイトを開設することを新たに実施することとしております。

 また、中学や高校といった早い段階から大学進学を含む進路について考えておくことは非常に重要であり、奨学金を含む教育費の支援策を理解していくことはとても大切なことと考えます。

 このため、例えば、給付型奨学金について、その制度や各高校で定める推薦基準を高校入学時に生徒に周知することを各高校に促すなど、高校等とも連携しながら、奨学金事業の周知、広報を進めてまいりたいと考えております。

高木(義)委員 きょうは財務省にも来ていただいております。高等教育への公財政支出についてであります。

 これまでもこの話は言われ尽くした感がございます。OECDの調査では、高等教育に対する公財政支出が加盟国で最低レベルである。本会議では、麻生大臣からは、初等中等教育も入れれば平均を上回るとの答弁がございました。初等中等教育はしっかり公財政を支出しておりますからこそ、国際学力調査でも世界のトップレベルではございます。

 これが証明しているように、やはり高等教育も、この際、人材こそが最大の我が国の資源である、厳しい財政状況にあっても我が国の国力の源である、こういう考え方で、決してこの投資は国にとって惜しんではならない、私はそのように改めて思うわけであります。高等教育にもOECD平均を上回る公的財政支出をして、大学の教育研究体制の基盤を安定的に向上させる。

 高等教育予算の拡充について、財務当局、どうぞ、きょうは財務大臣来られませんので、ひとつしっかりお答えいただいて、よろしくお願いします。

杉大臣政務官 お答え申し上げます。

 高等教育段階における在学者一人当たり財政支出につきましては、OECD諸国の中で低水準であるとの指摘があることは承知をしております。一方で、初等中等教育まで含めますとOECD諸国の平均を超えていること、国民負担率はOECD諸国の中で最も低いレベルであること等を踏まえますと、数値を単純に比較できるものではないと考えております。

 その上で、高等教育に対する国からの財政支援につきましては、平成二十九年度予算においても、国立大学運営費交付金等の充実、また、無利子奨学金の拡充、返還不要の給付型奨学金の創設、国立、私立大学授業料減免の拡充など、公的支援をふやしているところでございます。

 以上です。

高木(義)委員 時間が限られておりますからこれで最後といたしますが、二〇一二年の九月、当時の平野大臣、ここにおられますが、野田内閣のときに、既に御承知の国際人権A規約の高等教育無償化の漸進的導入の部分の留保を撤回いたしました。日本は、高等教育の無償化に取り組んでいくことを国際的にもこの時点で明らかにしたことになります。

 高等教育無償化の流れは党派を超えて大きな国民の声になっていると私は思っております。最優先の課題として取り組むべきと考えますが、大臣の決意をお伺いします。

 最後に、改めて、この給付型奨学金制度ができますと、当然ながら、日本学生支援機構の役割がこれまで以上に大きくなってまいります。この体制の強化にもひとつどうぞ万全を期していただきますことを申し上げ、この点についてもあわせてお答えをいただければと思います。

松野国務大臣 意欲と能力のある学生等が経済的理由により進学を断念することがないよう、安心して学ぶことができる環境を整備するため、学生の経済的負担の軽減を図ることは重要と認識をしております。

 このため、文部科学省では、これまでも、授業料減免を充実するとともに、給付型奨学金の創設や無利子奨学金の大幅な拡充を図ってきたところであります。

 高等教育の無償化については、教育費の家計負担の軽減策全体の中で、総合的な観点から、優先順位をつけながら検討することが必要と考えております。今後とも、高等教育の費用負担軽減について、財源を確保しながらしっかりと取り組んでまいります。

 あわせて、日本学生支援機構の体制につきましては、平成二十九年度から給付型奨学金を含む新たな奨学金制度を円滑に実施できるよう、平成二十九年度予算案において必要な経費を計上しているところであります。具体的には、日本学生支援機構において、業務を行う職員を増員し、新しい制度に対応する担当者を配置するとともに、システムの改修等、必要な基盤を整備することとしております。

 給付型奨学金については、平成二十九年度先行実施分として約二千八百件の申請があることに加え、本格実施となる平成三十年度進学者の予約採用では二万人程度の申請があることを想定しており、これに十分対応できるよう、体制をしっかりと整えてまいります。

高木(義)委員 給付型奨学金の対象者、そして額、これを拡大していただきますように改めて申し上げまして、終わります。

永岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 給付型奨学金の質問に入る前に、緊急に伺いたいことがあります。

 八日の文部科学委員会の私の質問に対して、初等中等教育局長から、就学援助制度の入学準備金前倒し支給の補助対象が、中学校入学前は可能である、小学校入学前は鋭意検討を行っているという答弁がありました。

 早速、大きな反響がありました。準要保護は市町村の制度になりますが、国から補助をする要保護の要綱を参考にしながら各自治体では進められています。

 松野文部科学大臣に伺いますが、ぜひこの答弁内容を各自治体へ通知し、周知をしていただきたいと思います。金額の引き上げの通知とあわせて、速やかに徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、新入学児童生徒学用品費等の単価引き上げにつきましては、平成二十九年度の予算成立後に速やかに関係各方面に通知する旨、三月八日の本委員会において私の方から答弁申し上げた次第でございます。

 この費目につきましては、単価の引き上げだけではなく、小学校に入学する前の者について国の補助対象にできるよう、要保護児童生徒援助費補助金の交付要綱の改正を検討している点も御答弁申し上げたとおりでございます。

 交付要綱を改正した際には、現在補助対象となっております中学校の入学前の者だけではなくて、小学校に入学する前の者も補助対象にできる旨を都道府県教育委員会に対して通知を発出し、都道府県教育委員会を通じて市町村教育委員会への周知を図ってまいりたいと考えております。

畑野委員 松野大臣、そういうことで、ぜひ徹底していただきたいと思いますが、確認させてくださいますか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 新入学児童生徒学用品等については、小学校に入学前の者についても国の補助対象にできるよう、要保護児童生徒援助費補助金の交付要綱の改正を検討しております。前向きに対応したいと考えております。

畑野委員 全国から本当に待たれていることですので、ぜひ速やかにお願いしたいと思います。

 それでは、日本学生支援機構法改正案にある給付型奨学金の問題について質問いたします。

 対象者の選定についてです。

 法律案第十七条の二は、「特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難があるもの」としています。所得基準については、現在の小中高等学校で行われている給付型支援制度で基準として広く用いられている住民税非課税世帯を対象にしたと、先ほどからも説明をされてまいりました。

 そこで、対象人数について質問いたします。

 文部科学省より、住民税非課税世帯の高校生一学年十五万九千人のうち、大学等進学者は六万一千人、そのうち、二〇一八年の本格実施時の給付型奨学金の対象は二万人と伺っております。非常に少ないのではないかと思うんです。この根拠をお示しください。また、基準としている人数があれば、説明をしていただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 給付型奨学金につきましては、教育的な観点及び働く者の理解を得るという観点から、学生の努力を促す制度とすることが重要だと考えております。また、貸与型の奨学金以上に説明責任が求められるものでございますので、一定の学力、資質を考慮の上、対象者を選定することが適当と考えております。

 今回創設いたします給付型奨学金につきましては、住民税非課税世帯の大学等進学者のうち、給付型奨学金を支給するのにふさわしい学生を対象にするという観点から、無利子奨学金よりも高い学力・資質基準を課すことといたしまして、二万人を対象としているということでございます。

畑野委員 そうしますと、確認ですが、住民税非課税世帯の無利子奨学金受給者は何人になりますか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 来年度からの非課税世帯の生徒の無利子奨学金対象者というお尋ねかと存じますが……(畑野委員「現在の」と呼ぶ)現在のでございますか。現在は、非課税世帯の中で無利子奨学金を受給している者は二・五万人でございます。

畑野委員 二万五千人だと確認をいたしました。

 それで、今お話しされようとしていた、来年度、二〇一七年度からなんですが、その無利子奨学金の住民税非課税世帯の学生等に係る成績基準が撤廃されるというふうに伺っております。そのことによって、住民税非課税世帯の無利子奨学金の受給者数はどれぐらいになる見込みなのか。あわせて伺いたいのは、なぜ非課税世帯の無利子奨学金の成績基準を撤廃することになったのか。伺います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 従来の実績に基づきますと、一学年当たり、非課税世帯の無利子奨学金貸与者は、先ほどお答えいたしましたように、二万五千人でございます。また、今回の成績基準の撤廃の対象者といたしましては、約二万人を見込んでいるところでございます。

 来年度からは、給付型奨学金、そして新所得連動返還型奨学金制度など、ことしとは事情が異なってくるわけでございますけれども、仮にこれまでの実績ベースで積み上げますと、合わせて、計約四・五万人程度の方が無利子奨学金の対象となるものと見込んでおります。

 それから、もう一点、お尋ねがございました。無利子奨学金について非課税世帯の成績基準の撤廃を行った理由ということでございます。

 大学等奨学金事業につきましては、有利子から無利子への流れを加速するという観点から、これまでも無利子奨学金の拡充を図ってきたところでございます。

 こうした中、一億総活躍社会の実現に向けた検討の中で、低所得世帯の子供の進学を後押しする方策といたしまして、無利子奨学金について、低所得世帯の子供に係る成績基準を大幅に緩和することが、昨年六月に閣議決定をされましたニッポン一億総活躍プランに位置づけられたところでございます。

 さらに、昨年八月に閣議決定をされました未来への投資を実現する経済対策におきまして、低所得世帯の子供たちに係る成績基準を平成二十九年度進学者から実質的に撤廃し、必要とする全ての子供たちが受給できるようにすることとされまして、これに基づいて、来年度進学者から実施するということとしたものでございます。

畑野委員 そうしますと、先ほど、今までの制度でいうと、住民税非課税世帯の無利子奨学金の人数は二万五千人だと。それを基準として、今後やる給付型奨学金の対象人数というのは二万人にしたんだという話だったわけですね。

 しかし、来年度からこの無利子奨学金を受給する人数、非課税世帯でいうと推計で四万五千人になるということなんですが、これは広がっているわけですね。一年後の二〇一八年度に本格実施するということなわけですが、この給付型奨学金も対象人数をさらに広げていく、今御答弁があったように、進学のチャンスをさらにふやしていくべきではないかと私は思うんです。

 そこで、さらに、大学等の進学率について伺います。

 全世帯の進学率が七割、非課税世帯は三割にとどまっていると伺っております。文部科学省として、非課税世帯の進学率を上げていくということについてどのようにお考えでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 給付型の奨学金を創設することによりまして、非課税世帯の生徒で、従来であれば高等学校卒業後に就職をしていたが、給付型奨学金があれば進学しようと考えていた、そういう生徒も対象として想定されることとなると思います。

 その進学の後押し効果でございますけれども、進学の後押し効果は見込まれるところでございますけれども、制度の対象となる者の中で具体的にどのような者を推薦するかということについては学校に委ねられているところでございますので、具体的な進学率の向上ということの数値を見込むことは難しいと考えております。

 また、給付型奨学金制度の創設に加えまして、二十九年度の進学者からは、非課税世帯の生徒を対象に無利子奨学金の成績基準を緩和するということ、これは先ほどお答え申し上げました。これに加えて、所得連動返還型制度を導入するというようなことで奨学金制度全体を改善いたしますので、その点での進学の後押し効果も期待されるものと考えております。

畑野委員 そうしますと、全世帯の進学率が七割、非課税世帯は三割、この差というのは、この差を縮めていこう、どれぐらいの方向にしていこうという方向で何かお考えですか。確認です。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 給付型奨学金の創設によりまして、先ほど申しましたように、従来であれば大学に進学せずに就職をされていた方が、この給付型奨学金を利用して進学しようということで、そうした方々の進学の後押しをしたいということが我々の政策としての目的でございますが、具体的な進学率の向上という点で数値をお示しすることは難しいわけでございます。

 文部科学省といたしましては、この奨学金制度の改善によりまして、意欲と能力のある若者が経済的理由により進学を断念することがなく、今申しましたように進学を後押しすることが可能となるように、高等学校等の現場においても、非課税世帯の生徒の進学の後押しを促進するような取り組みがなされるように、高等学校等にも働きかけをしてまいりたいというふうに考えてございます。

畑野委員 非課税世帯の高校生は、先ほど申し上げましたように十五万九千人いるわけです。例えばその半分、五割と考えても、約八万人の進学者というふうになるわけですね。ですから、今回、給付型奨学金二万人というのは本当に給付の対象としては少ないと思うんです。これをさらにふやしていく、二万人をさらにふやしていく、見直していくということは考えていませんか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の給付型奨学金は、意欲と能力があるにもかかわらず、経済的理由によって進学を断念せざるを得ない者の進学の後押しということで、我が国として初めて、学生向けの返還不要の奨学金制度を日本学生支援機構において創設するわけでございます。

 また、先ほども申しましたが、従来、無利子を借りておられた方についても、今回、成績基準の実質的な撤廃ということが行われますので、無利子奨学金を借りることができるということになるわけで、これも進学の後押しにつながるものというふうに考えているということをまず申し上げたいと思います。

 その上で、給付型奨学金については、今申しましたように、我が国として今回初めて制度化するものでございますので、まず、制度を当面安定的に運用いたしまして、その定着を図ってまいりたいというふうに考えてございます。その中で、進学の後押し効果を十分に発揮していくことが重要であると考えております。

 高等教育の負担軽減ということにつきましては、必要な財源を確保しながらしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

畑野委員 ぜひ、引き続き、毎年のように見直しを進めていただきたいというふうに思います。

 それで、成績基準についても伺います。

 法文上の「特に優れた者」の内容として、各学校の教育目標に照らして十分に満足できる高い学習成績をおさめている者か、教科以外の学校活動等で大変すぐれた成果をおさめ、各学校の教育目標に照らしておおむね満足できる学習成績をおさめている者を学校長が推薦していくというふうに伺っております。例えば、学校によっては一人から数人というところもあるわけですが、これは本当にハードルが高いと思うんですね。

 この間の参考人質疑でも、児童養護施設を出られている、公益財団法人あすのば理事の久波孝典参考人からは、苦しい環境で生活する子供は、初めから努力が報われることを知らない子も中にはいる、努力することすら思いつかないというお話がありました。

 実態に合った対応をする必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 推薦ガイドラインの学力・資質基準の設定におきまして、私どもといたしましては、これは文部科学省の給付型奨学金制度検討チームの議論のまとめでこの推薦基準について考え方を示しているところでございますけれども、一つは、今お話ございましたように、各学校の教育目標に照らして十分に満足できる高い学習成績をおさめている者ということ、それから、教科以外の学校活動等で大変すぐれた成果をおさめ、各学校の教育目標に照らしておおむね満足できる学習成績をおさめている者ということでございますが、その対象者につきましては、各学校が推薦をするということになっておりますので、各学校において、当該学校におけるさまざまな学習活動の成果を踏まえて学力、資質が評価され、推薦をされるということでございますので、各学校においてそれぞれの教育目標を踏まえた推薦の基準を定めていただきたいというふうに考えております。

畑野委員 生徒の成長過程に着目するなど、対応も必要だというふうに思うんです。

 一方で、これは選定が大変だと思うんですよね。中央労福協事務局長の花井圭子参考人からも、非課税世帯の生徒の中には、教科以外の学校生活に参加できる時間的、経済的余裕のない生徒もたくさんいるという紹介もありました。レポートなどを採点しても集団的な判断が必要でしょうし、そういう中で推薦していくというのは本当に学校現場も大変だと思います。

 ですから、そういう矛盾を解決していくためには、給付型といいながら経済要件、成績要件などを課して狭めるのではなくて、希望すれば全ての学生等に給付できるような予算措置をとって広げていくことを求めてまいりたいと思います。

 先日、神奈川の学生の皆さんが国会に来られまして、給付型奨学金の創設と学費値下げの署名を緊急に集めて届けてくださいました。ある学生は、バイト時給千円、週二、三回深夜まで働き、月六万円、このバイトをしないとやっていけない、有利子奨学金をもらっているけれども、この有利子奨学金はやめてほしい、奨学金なのに利子を取るのはおかしいのではないか、そして、何よりも学費を下げてほしいという切実な声でした。

 私、最後に二つ伺いたいんですが、松野文部科学大臣に伺いたいと思います。

 まず一つは、二〇一五年度時点の利用実績は、無利子奨学金で四十八・七万人、有利子奨学金で八十三・七万人と、有利子の方が約四割も多いんです。これを、有利子から無利子への流れを加速するという点で、どのように進めていかれるつもりなのか。

 もう一つは、あわせて、学費の値下げです。国立大学運営費交付金の増額、私学助成の抜本的拡充あるいは公立大学への支援などで学費を引き下げていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

松野国務大臣 日本学生支援機構の貸与型奨学金においては、有利子から無利子への流れを加速すべく、これまでも無利子奨学金の拡充を図ってきたところです。

 平成二十九年度予算案においては、住民税非課税世帯の子供たちに係る成績基準を実質的に撤廃し、希望する全ての方への貸与を可能とするための増員二万人、貸与基準を満たしているにもかかわらず貸与を受けることができなかった残存適格者を解消するための増員が二万四千人、合わせて対前年度比四万四千人増となる五十一万九千人に拡充することとしております。また、卒業後の所得に返還月額が連動する新たな所得連動返還型奨学金制度の導入や、減額返還制度を拡充することとしております。

 文部科学省としては、まず、給付型奨学金を含む奨学金事業の改善策を安定的かつ着実に実施をし、その効果などを十分に把握、検証してまいりたいと考えております。引き続き、学生の教育費の負担軽減を進めるべく、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。

 あわせて、国立大学の授業料につきましては、最近十一年間は値上げをしておらず、来年度も授業料標準額の引き上げを行わないこととしています。

 また、平成二十九年度予算案では、授業料減免の対象者について、国立大学では二千人の増員、私立大学では一万人の増員を計上するなど、教育費の負担軽減に努めております。

 御指摘の、大学の授業料そのものを引き下げることについては、必要な財源の確保などの観点も含め、総合的な検討が必要であると考えています。

 一方、必要な財源を確保しつつ、大学等奨学金事業や授業料減免の充実など、今後とも教育費の負担の軽減に努めてまいります。

畑野委員 終わります。

永岡委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久です。

 本日は、奨学金のあり方というかあるべき姿に関して、その方向性について提案も含めて質問をしていきたいと思っております。

 さて、今回の法改正、給付型奨学金制度創設のためで、一部とはいえども給付型奨学金が導入されたということは、教育の機会の公平を担保する上では大きな前進だと思いますし、我が党の目指す教育無償化に関しましてもやはり前進だとは思っております。

 ただ、各党、各議員の皆さんがおっしゃるように、月額二万円から四万円の給付額では抜本的な解決になっておらず、現状、貸与型と併用しなければなかなか高等教育への進学は難しいと考えております。

 さまざまな事情で奨学金を申請する生徒というのは多いと思うんですけれども、やはり何名かの生徒というのは、制度そのものとか、奨学金を受けて進学し、卒業後、どういった対処をしなければならないということを真剣に検討していない生徒もまだまだ多いのではないかと思うんですね。奨学金制度を受ける、受けないにかかわらず、奨学金制度そのものについての啓蒙はとても大事なことだと認識しております。

 といいますのは、やはり、残念ながらといいますか、貸与というのは借りるということですので、借りたものに関しては返さなければいけない、これは当然のことだと思います。こういったことも含めて、どういった啓蒙をしているか、どのような広報活動をしているか。先ほどの各議員の先生からの質問にもありましたけれども、改めて教えていただければと思います。

松野国務大臣 貸与型の奨学金事業については、返還金を次の奨学金の原資として活用することにより、限られた財源の中で奨学金を希望する学生を幅広く支援しており、貸与を受けた奨学金については返還していただくことが基本であると考えています。

 このため、平成二十九年度から、奨学金制度をわかりやすく解説したガイドブックを作成し、奨学金申込者に必ず配付する奨学金案内に封入するなどの取り組みを新たに実施することとしております。

 また、申し込み時や貸与を継続する意思を確認する際に、返還に関するシミュレーションの利用を促すとともに、自身の貸与予定総額等の状況を確認できるシステムを提供するなどにより、必要以上の額を借りることの防止に努めています。

 さらに、高校進学段階から、奨学金を含む教育費の支援策を理解しつつ、進路について考えておくことが非常に重要であり、来年度からは、進学のための資金計画について、返還を含めた適正な奨学金の利用への理解を促進するための助言を行うスカラシップアドバイザーを各高校等に派遣する取り組みも開始することとしております。

 引き続き、学生が奨学金制度の理解を深めるとともに、返還意識が醸成されるよう、大学等とも協力して必要な取り組みを進めてまいります。

    〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕

伊東(信)委員 予定総額のお話をしていただきました。

 月々二万円借りたとして、年間で二十四万円だと思います。私が第二種の日本育英会の貸与型の奨学金、利子つきのものを受けたときも、二万五千円だったわけなんですね。

 私の父親は、船会社、タンカーに乗っていまして、その会社が不幸にして倒産いたしまして建築会社に行ったんですけれども、そもそも専門じゃなくて、そのまま出向になって、まずは祖父母と同居するということで私は大阪から神戸に引っ越しをしたんですけれども、七人家族で、私が大学進学するときには手取りが三十万で、なかなか厳しい状態でして、それで奨学金を受けたわけなんですね。

 私自身も、さらなる高等教育を受けたいということで、大学院に行きまして、大学院では何と十万円ほど、今度は一種で受けることができました。ただ、医学部六年間、大学院四年間で、十年間も奨学金を借りると総額は何と六百万になりまして、二万円ずつ返済計画をしていますとどうなるかというと、いまだに返しておるんですね。だから、明細を見ると、それは医療の通帳の方に載っているんですけれども、五十三歳ですけれども、いまだに返して、そろそろ返し終わるんじゃないかと思っておるんです。

 やはり、今のインターンの学生さん、うちでも二十名ほどいてるんですけれども、東大、早稲田、慶応、法政、駒沢、立教、中央と、さまざまな大学はいてるんですけれども、八割ぐらいの学生が受けていると答えました。使い道を聞くと、悪気はないと思うんですけれども、ほとんどがお小遣いと答えました。では返済はどなたがするのと聞いたところ、多分親という答えが全員でした。有利子か無利子なのか尋ねても、六割がわからないと答えました。

 教育ローンのように保護者が奨学金を受けるようにさせている事例も多数見られて、あくまでも何人かの例なのかもしれないけれども、奨学金の本来の姿を考えますと、保護者が教育ローンのように利用している実態ということも実在しているのかということなんですけれども、そのことに関して文部科学省の見解はいかがでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からもお話をさせていただきましたように、奨学金事業につきましては、その返還金が次の奨学金の原資として活用されるということでありますので、貸与を受けた奨学金について、やはり本人が自覚のもとにしっかりと返していただくという基本的な構造について、これは早い段階から理解をしていただくということを、まず周知という観点から行っていくということが重要だというふうに考えてございます。

 それから、もう一点、実際の奨学金の運用の仕方でありますけれども、貸与型の奨学金につきましては、学生本人が申込者として契約をいたします。そして、学生個人の口座に振り込むということになっております。そういう観点からも、学生本人において管理、使用するということが原則であるというふうに考えております。そのために、卒業後、学生本人が返還をしなければいけませんので、そういう点についての、真に必要な額に限って借り入れるというようなことの指導もやはりしっかりとしていかなければいけないというふうに思ってございます。

 そして、今の御指摘の事案でございますけれども、さまざまな背景があることが考えられますが、今申しましたような、学生が奨学金を借りて学業を行い、そして次の世代にまたそれを返還して原資にするというような、大きな意味での教育的な意義もあるわけでございますので、さまざまな背景の中で親が借り入れ管理を行うという事例もあろうかと思いますけれども、やはり原則としては、本人が見通しを持って借り入れ管理を行うという方向で我々もこの制度の理解を促進していくということに努力をしていきたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 私自身、今、大阪大学の大学院の方でも、会期末、越えて、特別授業とか講義とか、もしくは休みの日に講義もさせていただいたりとか、ちょっと前まで専門学校で教えていたんですね、医療専門学校なんですけれども。例えば理学療法士だとか柔整師とかで、当事者同士が、学生同士が結婚して、それぞれが三百万円の貸与型の奨学金をもらうと、結婚すると一家庭で六百万、また私と同じぐらいの金額になるわけなんですね。そうすると、また三十年間ぐらい返し続けるということなんです。

 奨学金を受ける前に人生設計といいますか、ただ、借りて、その後、やはり人生というのはどうなるかわからないわけですね。卒業後の返済計画も大事なんですけれども、やはり勉強に対する意欲を失うというのは非常に問題なんだと思います。

 ですので、先ほど在学中のスカラシップの話を教えていただいたんですけれども、そのスカラシップがどれぐらいのフォローを、カバーしているのか。もしくは、成績優秀者、例えば卒業論文のできであったり、我々は卒論がなくて卒業テストだったんですけれども、その成績なり、成績優秀者に対して何らかの減免なり免除制度など、やる気をアップするための方策というのは文部科学省では考えられていますでしょうか。

松野国務大臣 今回の給付型奨学金は、意欲と能力があるにもかかわらず、経済的理由によって進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするとの趣旨で創設するものであります。

 進学を後押しするためには、みずからが給付の対象になることについて、大学等の入学前の時点で予見可能とすることが重要であります。このため、今回は、入学後に免除が確定する返還免除ではなく、進学前に給付を受けることが予見できる渡し切りの給付型制度といたしております。

 一方、毎年度、学生の学業の状況等についても確認することとし、学業成績の著しい不振等が明らかになった場合には給付の廃止等の措置をとることとしており、御指摘の、学生が学業に励むという観点についても一定の留意をしております。

 スカラシップアドバイザーの派遣については政府参考人の方から説明をさせていただきます。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 奨学金につきまして、高等学校の段階から奨学金のあり方あるいは中身ということについて理解をし、進路について考えるということで、来年度からスカラシップアドバイザーという制度を導入したいということで、予算案の中に盛り込ませていただいております。

 具体的には、その中で私どもが目的として考えておりますのは、高校生が大学進学に向けた検討を行うに当たりまして、進学後の経済的な状況についての不安を払拭したいということが一つ。それから、生徒が安心して奨学金を利用するために、奨学金を利用する意味であるとか活用方法ということについての生徒の理解を深める。それから、生徒にみずからのファイナンシャルプランを意識させて、返還や寄附等によって社会貢献の意識の涵養を図る。

 こういうような目的を持って、このスカラシップアドバイザーの派遣という新しい事業を組み立てていきたいというふうに考えてございます。

伊東(信)委員 奨学金に関して言いますと、今の貸与型に関しては、やはりそういった意識を持つことで社会勉強の意味もあるということ、そして、先ほどの大臣の答弁にありましたように、これから本当に手助けの必要な、経済的に困難だけれども学業意識のある生徒さんにとっては非常に大事なことだと思います。本当に、ぜひとも制度を充実させていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、私が今ここにあるのも奨学金のおかげなので、奨学金制度に感謝申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございます。

山本(と)委員長代理 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 今回の法改正で給付型奨学金制度が創設されることになりました。正直申し上げて、制度の設計にはいま少し時間がかかるのではないかというふうにも危惧をしておりましたが、これも、給付型奨学金制度の創設を求める世論の高まり、また、それを受けとめた関係者各位の御努力によるものというふうに思います。今後、制度の拡充に向けて文科省の皆様には一層の御努力をいただきたいというふうに考えております。

 とはいいつつも、日本の高等教育、課題は山積であります。そこで最初に大臣に尋ねますが、高等教育の充実、これは誰に利益をもたらすものだというふうに考えておられるのか、お聞かせください。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 高等教育は、高等教育を受けた本人の能力を向上させ、本人への便益をもたらすだけではなく、将来の経済成長や税収増、さらには雇用の安定等にも貢献するなど、社会全体にも便益をもたらすものと認識をしております。

 文部科学省としては、一人一人の豊かな人生の実現と我が国社会の発展に貢献するため、今後とも高等教育の一層の充実に努めてまいります。

吉川(元)委員 大臣が答弁されたとおり、最終的な受益者、これは本人だけではなくて社会全体だ、私も全く同じ考えであります。

 文科省の学生への経済的支援の在り方に関する検討会、二〇一四年の八月の文書、「学生への経済的支援の在り方について」という中でも、「高等教育の受益者は学生等本人であると同時に、我が国の将来の社会、経済、文化の発展を支える人材育成という観点からは、社会全体が受益者である。」と指摘をしています。社会全体が受益者であるということは、逆に言えば、社会全体で高等教育を支えなければならないということでもあります。

 そのように考えますと、今回の給付型奨学金の制度が創設されるものの、日本の高等教育が果たして今社会全体で支える構造になっているのか、根本的にはここが問われているというふうにも思います。

 OECDの教育に関するカントリーノートの二〇一六年版を見ますと、日本は、高等教育段階での授業料がOECD加盟国の中で最も高い国の一つでありながら、高等教育機関に対する教育支出の五一%は家計負担によるもので、これはOECD平均二一%の二倍以上に達していることが指摘をされています。逆に、高等教育機関に対する在学者一人当たりの公的支出が少なく、OECD平均は日本よりも四〇%以上高いと記述されています。

 社会全体が受益者、社会全体で高等教育を支えるという考え方とは裏腹に、高等教育が社会ではなく家計で支えられているというのが現実だというふうに思わざるを得ません。この点についての大臣の御認識を伺います。

松野国務大臣 吉川先生の方からお示しをいただきましたとおり、OECDが公表しているデータでは、我が国の高等教育機関への教育支出は、OECD加盟国平均に比べて公財政支出の割合が低く、私費負担の割合が高いという結果になっています。

 文部科学省としても、家計の教育費負担軽減を図ることは重要と認識をしており、必要な財源を確保しつつ、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

吉川(元)委員 高等教育費、今回は奨学金ということでありますけれども、もう一つ大きな問題は、これは先ほども他の委員が指摘をされておられましたが、やはり授業料の高騰です。

 昔は、私の時代ぐらいまでは、私立大学の授業料、入学金というのは一般的に国立大学より高い、だから何とか国立大学に入りたいというか、入らなければならないというのが一般的だったような気がいたします。私も、まさにそういう家庭でありましたので、どんなことがあっても国立大学に入らないと、私立はとても無理だというふうに思っておりました。

 ところが、今、授業料を見ますと、国立大学の授業料、これは安いという感覚はほぼありません。一九七五年に三万六千円だった国立大学の授業料は、二〇一五年度で、約十五倍の五十三万五千八百円に達しております。ちなみに、国立大学の入学料は二十八万二千円。これは、私立大学等の平均入学料約二十六万円を上回っている。つまり、私立よりも国立の方が高いというところも生まれております。いずれにしても、一九七五年から二〇一五年、四十年の間に授業料が十五倍に達した。

 一方で、国税庁の民間給与実態統計を見ますと、その間のいわゆる普通に働いている人たちの年収は二倍程度にしかなっておりません。まして、民間労働者の年収は、一九九七年が四百六十七万円でピーク、それ以降減り続けて、二〇一五年度では四十七万円減額になっております。率にしてちょうど一割、給与が減っている。その間も、九七年以降も四回にわたって授業料が値上げをされている。家計が悪化しても授業料が上がり続ける構造が、この間生まれていたわけであります。

 高等教育を社会で支えるというのであれば、奨学金ももちろんでありますけれども、高い授業料、とりわけ国立大学の授業料の水準を引き下げることがやはりどうしても必要だというふうに私は思いますけれども、大臣の認識を伺います。

松野国務大臣 国立大学の授業料については、最近の十一年間は値上げをしておらず、来年度も授業料標準額の引き上げを行わないこととしています。

 また、平成二十九年度予算案では、国立大学の授業料減免について、対前年度十三億円増の三百三十三億円を計上し、免除対象人数を対前年度二千人増の六・一万人に増員するなど、教育費の負担軽減に努めているところであります。

 御指摘の国立大学授業料の引き下げにつきましては、国立大学の運営に当たって必要な財源の確保や受益者負担のあり方などから慎重な検討が必要と考えております。

 一方、必要な財源を確保しつつ、大学等奨学金事業や授業料減免の充実など、今後とも教育費の負担の軽減に努めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 十一年間引き上げていないというふうに胸を張って言われているわけでもないと思いますが、この十一年間というのはデフレだったんですよ。デフレの中で、まあインフレ、デフレに合わせて授業料をどうこうというのもおかしな話ですけれども、だったら、本来、下げなきゃいけなかったんじゃないんですか。

 それから、あと、大臣は受益者負担というふうに言われましたけれども、最初に大臣は何というふうに答弁されたか。益を受けるのは、もちろん本人もそうだけれども、社会全体が受益者なんだということになれば、受益者負担の原則からいえば、当然、社会全体で授業料を下げるということは必要だというふうに思うんです。最初の答弁と少し何か言い方が変わったような気がするんですが、その点、いかがでしょうか。

松野国務大臣 冒頭の質問にお答えをさせていただきましたとおり、高等教育、その便益者は誰かという御質問でございましたが、これは二つの側面からお答えができるかと思います。

 一つは、本人の能力を向上させることによって本人への便益がある、もう一つは、将来の経済成長、税収増等で社会全体に便益をもたらすということでありまして、要は、本人に対する便益と社会全体に対する便益のバランスを持って考慮されるべきものであるかと考えております。

吉川(元)委員 そういうことであれば、今、五十三万五千八百円、十五倍も上がってしまっている、これはそのバランスが私は崩れているというふうに思います。

 やはり授業料の引き下げということを検討していかなければいけないと思いますし、もし仮に私が今十八歳だったら、多分、大学進学は諦めざるを得ません。ちょうど私が入学したときが一九八五年ですから、当時の私大が平均で四十七万から四十八万ぐらいの授業料です。今はそれよりも国立大学は高くなっていますから、大学進学は諦めざるを得なかったというふうに思います。奨学金の充実も必要ですし、同時に、やはり授業料の引き下げの議論をしっかりしていただきたいというふうに思います。

 次に、給付型奨学金制度についてお聞きをいたします。

 先ほども少し出ておりましたが、私も、二万人というのは少な過ぎるのではないか、非課税世帯などの対象者のうち、大学等への進学者六万一千人、その三分の一ということでありますけれども、新しい制度ができれば、当然、今まで諦めていた人も、よし、進学してみようと思う方もふえるのではないかというふうにも思います。

 今、二万人でスタートしたということですけれども、今後、この枠をやはり広げていく必要があると思いますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。

松野国務大臣 まず、給付型奨学金の対象につきましては、より経済的に厳しい状況にある方へということで、小中高生の、同種の奨学金の対象になっております住民税非課税という方々を対象とさせていただきました。

 そして、これからの拡大はという御質問でございますけれども、給付型奨学金については、教育的な観点、また働く方の理解を得るとの観点から、学生の努力を促す制度とすることが必要であると考えております。貸与型の奨学金以上に説明責任が求められることであるから、一定の学力、資質を考慮の上、対象者を選定することが適当と考えております。

 今回創設する給付型奨学金につきましては、住民税非課税世帯の大学進学者のうち、給付型奨学金を支給するのにふさわしい学生を対象とするという観点から、無利子奨学金よりも高い学力・資質基準を課すことを想定し、二万人を対象としております。

 また、来年度からは、住民税非課税世帯の子供たちに係る成績基準を実質的に撤廃する、これで、これまで無利子奨学金を借りられなかった全ての学生が無利子奨学金を借りられるようになるということもあります。

 加えて、無利子奨学金について返還負担を大幅に軽減する所得連動返還型奨学金制度を導入することとしておりまして、これらの一連の施策を一体的に進めることにより、確実に子供の進学を後押しすることが可能になると考えております。

    〔山本(と)委員長代理退席、委員長着席〕

吉川(元)委員 今、説明責任というお話がございましたので、それに関連して少しお聞きをしたいというふうに思います。

 現在の給付型奨学金のスキーム、これは高校の教員に非常に大きな負担をかけるのではないかというふうな危惧を持っております。

 二万人の振り分け、一人別枠で、あとはその実績に合わせて人数を各学校ごとに割り振っていく。誰を、どの子を給付型の奨学金にするかというのは、枠の中におさまっていればいいんですけれども、例えば、推薦枠は二つで、そして非課税世帯で大学進学を希望する生徒が三人いた場合、誰を推薦から外すのか、この判断を高等学校の先生が行う。これは大変酷ではないかというふうにも思います。場合によっては、これを受けられるかどうかで本人は大学に行くかどうかを判断する場合も当然これから出てくるわけで、そこを高校の先生に、押しつけるという言い方がいいかどうかわかりませんけれども、判断させるということはやはり問題があるのではないか。

 どうしても学校側で推薦の判断ができない場合というのも出てくると思います。そういう場合には、やはり学校ではなくて機構側が判断する、そういうケースがあってもいいのではないかというふうに思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 給付型奨学金につきましては、進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しする奨学の考え方を基本としつつ、生徒の努力を促すという観点から育英の考え方も取り入れた制度ということで制度設計をしているわけでございます。

 文部科学省の検討チームにおきましては、送り出し側の高等学校関係者の御意見、それから高等学校長会からの推薦を受けた現職校長からのヒアリングなども行いまして、対象者の選定に当たって、育英の観点からの学力、資質の評価方法の検討を行ったわけでございます。

 その結果、昨年末の議論のまとめでは、高等学校段階での生徒の学力、資質の評価を行うに際しては、やはり高等学校教育を通じて継続的に当該生徒の評価を行ってきた在籍学校において推薦を行うことが最も適切なのではないかということで、このような形での制度の設計ということをしたわけでございます。

 文部科学省といたしましては、各高等学校における推薦等の事務が円滑に行われるように努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。

吉川(元)委員 大臣、今、例えば第一種、第二種の奨学金があります。この事務を誰がやっているか御存じですか。高校の先生です。これは大変なんです。

 昔であれば、大学進学者もそんなにいなかったですし、また、その中で奨学金を受ける人も今よりもはるかに率的には少なかったので、できたのですけれども、今、場合によっては三年生の三分の二が奨学金を受けたいという意向、これは給付型ではなくて貸与型でありますけれども、その一人一人から、例えば所得証明の書類であるだとか、提出書類、間違っちゃいけませんから、全部チェックをしていかなきゃいけないわけです。ある意味でいうと、奨学金制度というのは高校の先生に物すごく負担をかけながら今までもやってきた。

 先ほど、確かに、子供の教育の状況だとかを一番よく知っているのは学校の先生であるから、それは事実ですし、そういう先生方がこの子をぜひという思いというのはもちろんわかりますが、ただ一方で、枠が決まっているとなると、枠をはみ出た、枠の中におさまらなかったときの説明責任というのは一体誰が問われることになるのか。また、そのために、ただでさえ忙しい学校の先生方にさらに負担を押しつけることになるのではないか。この点についてどのようにお考えですか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたように、検討チームにおきましては、やはり高等学校において継続的に当該生徒の評価を行ってきた在籍学校の推薦ということでございます。

 その推薦に当たりまして、実際の私どもの議論の中でも、推薦に当たってどういうふうに順位をつけるのかというようなことについてさまざまな議論がございました。その中で、学校推薦に当たって各学校で推薦基準を設定する際に、例えば、成績による選考が公平と考える学校において、もちろん、その成績を基準とするということを妨げるものではございませんけれども、今、初等中等教育局の方の議論でございますように、学力は必ずしも成績だけではなくて、いわゆる三要素というものもございますので、そういうものをもって各学校の責任で適切な基準を定めて運用できるという学校においては、その主体性、個性に基づいて設定を行っていただきたいということでございます。

 それから、その点について、私どもといたしましては、給付型奨学金の実施に当たって、推薦等のまた業務が発生するということは認識をしてございます。これが貸与型の奨学金の予約採用と同じスケジュールで行うなど、高校等の業務負担ができるだけ過大とならないようなスケジュール感も考えたいと思っております。また、実際に、我々として、この点での高等学校への人員措置ということは予定をしていないわけでございますけれども、先ほど御説明いたしましたようなスカラシップアドバイザー、外部から派遣をするというようなことで、できる限り学校におけるこういう周知の部分でのサポートというようなことも考えさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

吉川(元)委員 一方で、教員の多忙化の問題について、さきの義務標準法の改正の際にも議論させていただきました。新たな業務、ただでさえ今すごく忙しいんです、先ほど言ったとおり、奨学金の業務というのは本当に大変ですから、間違えると、その子の一生にかかわりますから。ですから、その点について、人員の配置も含めてしっかり考えていただきたいと思います。

 余りもう時間がないので、最後に一問、奨学金の返済のあり方について。

 日本学生支援機構が、以前、未返済率を大学、専修学校別に公表するというようなことを検討していたと承知しておりますけれども、なぜこんなことをしようとしたのか、今後どうするおつもりなのか、最後にお聞かせください。

永岡委員長 時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。

常盤政府参考人 はい。日本学生支援機構の奨学金事業につきましては、先ほど来のお話にございますように、返還できる方についてしっかりと返還してもらうということが重要でございます。

 返還金の回収率の向上という観点から、現在機構が実施している回収の取り組みに加えまして、各学校において学生等への貸与段階から返還意識を涵養することが重要でございますし、この点について周知を各大学にもお願いしてきているところでございます。このため、各大学等におけるこれらの取り組みを促すことを目的といたしまして、学校ごとの奨学金返還等の公表を行うということを検討しております。

 今回の措置によりまして、奨学金の返還が促進されるとともに、真に困窮する返還者が救済措置を適切に受けることができる、そういう条件をむしろ高めていきたいというふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、借りるときには高校の教諭の力をかりて、返すときには今度は大学、これはやはりおかしいというふうに思いますし、機構をしっかり充実させることを要望いたしまして、私の質問を終わります。

永岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 この際、本案に対し、畑野君枝君外一名から、日本共産党提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。畑野君枝君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

畑野委員 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。

 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。

 修正案提案の理由及びその内容について御説明申し上げます。

 我が国の高等教育は、高学費の上に、奨学金も貸与制、ローンの制度があるのみで、学生、保護者に多額の負担を強いています。特に近年、家計収入が減少する中、学生、保護者の負担も限界を超え、進学を断念する人も少なくありません。また、卒業後の雇用、収入は不安定で、貸与制の奨学金の返還ができない人が増加し、社会問題にもなっています。

 給付型奨学金の創設は、我が党も長年にわたりその創設を求め、実現を迫ってきたものであり、本法案は、学生、保護者の粘り強い運動と国民世論の高まりを反映したものと言えます。

 しかし、本法案は、給付型といいながら、支給対象、選考方法、返還規定、財源などさまざまな問題があり、不十分なものとなっています。

 給付型奨学金の創設を機に、貸与から給付が中心となる奨学金制度にしなければなりません。日本国憲法第二十六条は、全て国民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有すると定め、国際人権規約においても、高等教育を受ける権利の保障として、漸進的な無償化条項があります。我が国は長年にわたってこの条項を留保し続けてきましたが、二〇一二年にようやく留保を撤回しました。今や、高等教育の無償化のための具体的措置をとることが求められています。

 そこで、新たに創設される給付型奨学金制度の法文上の問題点を修正するとともに、貸与奨学金制度の改革を求める修正案を提出するものです。

 次に、修正案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、学資貸与金について、利息つきの学資貸与金を廃止するとともに、対象について、学業成績に関する要件を削ること。学資貸与金の貸与に当たっての保証人の保証の要求、延滞金の徴収、一括返還請求についてそれぞれ禁止すること。相談体制の整備の規定を追加すること。

 第二に、法案で創設される学資支給金の対象について、学業成績に関する要件を削り、経済的理由により修学に著しく困難がある者と修正するほか、学資支給金の返還に関する改正規定を削除すること。

 第三に、既存の返還者に対しても、延滞金の徴収、一括返還請求についてそれぞれ禁止することなどの措置を講ずる等の経過措置を設けるとともに、その他所要の規定の整理を行うこと。

 以上が、修正案提案の理由及びその内容でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をいただけますようお願い申し上げまして、提案理由の説明を終わります。

永岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、畑野君枝君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

永岡委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

永岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、宮川典子君外六名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。菊田真紀子君。

菊田委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 政府は、給付型奨学金制度を継続的かつ安定的に運用できるよう、必要な財源の確保に努めるとともに、基金に対し個人及び企業等からの寄附が促進されるよう、教育資金に係る寄附文化の醸成に向けた広報活動や税制改正の検討に努めること。

 二 高等教育機関へ進学を希望する者に対し、教育を受ける機会が均等に確保されるよう、給付対象の拡大及び給付額の増額に向けた検討に努めること。また、給付対象の大学院生への拡充についても検討に努めること。

 三 政府及び機構は、学生・生徒、保護者及び学校関係者等へ丁寧な説明を行い、貸与型奨学金制度を含めた奨学金制度全般の周知徹底に努めること。また、スカラシップ・アドバイザー事業(仮称)が十分な効果を発揮するよう、積極的な支援を行うこと。

 四 政府は、各学校が推薦を行うに当たり、公平性・公正性が保たれ、推薦を受ける当該生徒のプライバシーや名誉が守られるよう、各学校現場に対し必要な支援を行うこと。

 五 国立大学に進学した者が授業料減免を受けた場合の「給付額の調整」による減額については、給付型奨学金制度の「進学の後押し」という制度趣旨が没却されないよう、受給者の経済事情等に十分配慮して行うこと。

 六 機構は、給付型奨学金制度の創設に伴い業務量の増加が見込まれる中においても同制度が円滑に実施されるよう、その体制の整備に万全を期すこと。

 七 給付を廃止し、又は返還をさせる場合については、その判断基準や具体的な実施方法をあらかじめ明確にするなど、学生ができるだけ安心して学業に専念できるよう、慎重な運用を行うこと。

 八 政府は、本法附則第四条による施行後五年の見直し時期以前であっても、必要に応じて給付型奨学金制度の在り方について検討を行い、必要があると認める場合には、早期に対応を図るよう努めること。また、見直しに際しては、検討過程に関係者の参画を図るとともに、情報公開の充実に努めること。

 九 教育を受ける機会を保障するという奨学金の制度趣旨に鑑みれば、貸与型奨学金制度は無利子であるべきことを踏まえ、有利子奨学金が事業費・貸与人数ともに無利子奨学金を上回っている現状を改善し、有利子から無利子への流れを更に加速すること。

 十 平成二十九年度から導入される新たな所得連動返還型奨学金制度については、より柔軟な制度設計に向けた更なる制度の見直しを行うとともに、有利子奨学金への適用の検討を加速化し、その実現に努めること。また、既に返還を開始している者に対する返還猶予制度等の救済制度の改善にも併せて努めること。

 十一 「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」において、我が国が平成二十四年に留保を撤回した「無償教育の漸進的な導入」の実現に向け、政府は、高等教育段階の無償化を視野に入れた教育費の負担軽減策に取り組むこと。

 十二 我が国が引き続き成長・発展を持続するためには、未来への先行投資である教育の充実が何よりも重要であることに鑑み、政府は、給付型奨学金制度の創設を契機として、教育費負担の在り方について、地方公共団体、学校関係者及び企業等と一体となって検討を行い、国を挙げて次世代を担う人材の育成に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

永岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

永岡委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。松野文部科学大臣。

松野国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

永岡委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

永岡委員長 次に、文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、かねてより各会派間において御協議いただいておりましたが、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営する災害共済給付制度は、幼稚園、小中学校、高等学校、認可保育所、認定こども園等の管理下で発生した児童生徒等の災害に対して給付を行うものであり、全国の約千七百万人の児童生徒等の万一の事故の際の安心にとって不可欠なものです。

 専修学校高等課程については、職業に必要な能力の育成等を目的とする教育施設として、学校教育法上は高等学校と別に規定されているところですが、高等学校と同様に、学校保健安全法に基づく安全管理が行われていることに加え、中学校を卒業した者の進学先として、高等学校に準ずる教育活動を行っております。

 また、平成二十八年度から、子ども・子育て支援の提供体制の充実を図るため、事業所内保育業務を目的とする施設の設置者に対して国が財政支援する企業主導型保育事業が開始されております。保育の受け皿となる施設として企業主導型保育事業を安心して利用していくためには、施設の安全対策を促すとともに、事故が発生した場合の公的な補償制度が必要であります。

 さらに、現在、認可外保育施設については、災害共済給付制度の対象外となっておりますが、国として認可外保育施設に対し、質が確保されている認可保育所等への移行を促進している中で、認可保育所等と同等の質を確保している施設も存在することと認識しております。

 そこで、本案は、専修学校高等課程の管理下における生徒の災害について、災害共済給付の対象にするとともに、企業主導型保育施設及び一定の基準を満たす認可外保育施設の管理下における児童の災害について、当分の間、災害共済給付の対象にしようとするものであります。

 なお、本案は、平成二十九年四月一日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

永岡委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

永岡委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 この際、宮川典子君外四名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党、日本維新の会及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営する災害共済給付制度に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。宮川典子君。

宮川委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえたいと存じます。

    独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営する災害共済給付制度に関する件(案)

  子供たちが学校等において毎日を安心して過ごすためには、施設の安全対策が徹底されるとともに、万一事故が発生した場合の公的補償制度の整備が不可欠である。その公的補償制度として、独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営する災害共済給付制度により、学校等の管理下で発生した事故に対して給付を行っている。

  今般、企業主導型保育事業を行う施設や一定の基準を満たす認可外保育施設等の管理下における児童の災害についても、災害共済給付の対象にしようとする「独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案」を起草する運びとなった。

  政府は、同法の施行及び災害共済給付制度の運用に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。

 一 改正後の独立行政法人日本スポーツ振興センター法附則第八条第二号及び第五号の規定による設備及び運営が認可保育所等に係る基準に準ずるものとして文部科学大臣及び厚生労働大臣が定める基準の設定に当たっては、認可外保育施設等における安全対策などにより一定の保育の質を確保しつつ、制度加入施設が拡大されるよう努めること。また、居宅訪問型保育事業、子育て援助活動支援事業、一時預かり事業、放課後児童健全育成事業を行う施設等についても、加入対象となるよう、引き続き検討を行うこと。

 二 平成二十七年度から災害共済給付制度の加入対象となっている家庭的保育事業、小規模保育事業及び事業所内保育事業を行う施設の加入率が低迷していることから、施設の早期加入による子供の事故に対する公的補償の必要性が利用者から指摘されていることを踏まえ、加入対象である全ての施設が制度に加入するよう、制度の周知徹底に努めるとともに、年度途中であっても加入が可能となるよう、独立行政法人日本スポーツ振興センターの体制整備を前提として、制度の見直しを検討すること。

 三 改正後の独立行政法人日本スポーツ振興センター法附則第八条第二号及び第五号に規定する保育所、家庭的保育事業、小規模保育事業及び事業所内保育事業を行う施設に準ずる保育の質を確保している施設が加入から漏れることのないよう、制度の周知徹底と加入促進に努めること。また、認可外保育施設指導監督基準を満たしている施設についても、加入対象となるよう、引き続き検討を行うこと。

  右決議する。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

永岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

永岡委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。松野文部科学大臣。

松野国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

永岡委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.