衆議院

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第9号 平成29年4月7日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十九年四月七日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 永岡 桂子君

   理事 上川 陽子君 理事 亀岡 偉民君

   理事 前田 一男君 理事 宮川 典子君

   理事 山本ともひろ君 理事 菊田真紀子君

   理事 長島 昭久君 理事 富田 茂之君

      あべ 俊子君    青山 周平君

      安藤  裕君    池田 道孝君

      池田 佳隆君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    大西 宏幸君

      門山 宏哲君    神山 佐市君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    笹川 博義君

      下村 博文君    田野瀬太道君

      谷川 とむ君    馳   浩君

      福井  照君    松本 剛明君

      宮路 拓馬君    青柳陽一郎君

      太田 和美君    坂本祐之輔君

      高木 義明君    平野 博文君

      牧  義夫君    笠  浩史君

      樋口 尚也君    吉田 宣弘君

      大平 喜信君    畑野 君枝君

      伊東 信久君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       松野 博一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君

   財務大臣政務官      三木  亨君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    田野瀬太道君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  石田 高久君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 堀江 宏之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策評価審議官)        中川 健朗君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          有松 育子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       伊藤 洋一君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            関  靖直君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            田中 正朗君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    高橋 道和君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本 尚子君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      大村 哲臣君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君

   参考人

   (国立研究開発法人日本原子力研究開発機構理事長) 児玉 敏雄君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     宮路 拓馬君

  船田  元君     池田 道孝君

  古田 圭一君     大西 宏幸君

  笠  浩史君     青柳陽一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     船田  元君

  大西 宏幸君     古田 圭一君

  宮路 拓馬君     笹川 博義君

  青柳陽一郎君     笠  浩史君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     あべ 俊子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

永岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として国立研究開発法人日本原子力研究開発機構理事長児玉敏雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官石田高久君、総務省大臣官房審議官堀江宏之君、文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策評価審議官中川健朗君、生涯学習政策局長有松育子君、初等中等教育局長藤原誠君、高等教育局長常盤豊君、高等教育局私学部長村田善則君、科学技術・学術政策局長伊藤洋一君、研究振興局長関靖直君、研究開発局長田中正朗君、スポーツ庁次長高橋道和君、厚生労働省大臣官房審議官山本尚子君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監大村哲臣君及び原子力規制部長山田知穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安藤裕君。

安藤委員 おはようございます。自由民主党の安藤裕でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、大学改革について伺いたいと思います。

 大学改革の一環として、大学ランキングで上位を目指すということが政策目標として導入をされました。まず、その目的とするところと、大学ランキングについて、文科省で、ここは問題だなと思っている部分もあるかと思うんですけれども、そのあたりについての見解をお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 国際的な大学ランキングについては、その評価尺度の中に、大学の教育研究を高度化する上で考慮すべき要素を含んでいます。また、世界的に学生、教員、研究者の流動性が高まっている今日、これらの方々が大学を選ぶ際に参照することができる重要な情報の一つとなっていると考えられます。一方、大学ランキングには多様なものがあり、評価指標もさまざまであることから、それぞれの大学ランキングの特徴を理解しながら活用することが重要です。

 したがって、大学ランキングについては、我が国の大学の課題等を把握する手がかりとして捉え、これを参考として我が国大学の教育研究力や国際性を高めるなどの大学改革を進めることが重要であり、その結果として大学ランキングの上昇につながることが期待されているところであります。

安藤委員 ありがとうございます。

 きょう、私は、この「世界大学ランキングと知の序列化」という本がありまして、ちょっとこの本を参考にしながら質疑をさせていただきたいと思っているんですけれども、この本の中にこういう指摘があるんですね。

 二〇一〇年のタイムズ・ハイアー・エデュケーションは、それまで大学ランキング作成のパートナーであったクアクアレリ・シモンズ社、いわゆるQSという会社ですね、との提携関係を解消して、トムソン・ロイター社とともに新たな世界ランキングを発表した。

 変更に伴う手法の改変は、日本の大学の順位に大きな影響を与えた。例えば、世界の上位二百校入りした国内大学数が前年の十一校から五校に減ったこと、アジアの大学の最高峰にあった東京大学が香港大学に抜かれたことなど、メディアは日本の大学の凋落として大きく報道したが、そこでは、THEランキング、タイムズ・ハイアー・エデュケーションランキングが、前年までのタイムズ・ハイアー・エデュケーション、クアクアレリ・シモンズ社ランキングとの連続性を欠き、方法とアプローチを一新した事実は無視をされた。

 タイムズ・ハイアー・エデュケーションはその後、二〇一五年にも、研究評価に使うデータベース会社を変え、手法を改定し、その結果、東京大学がシンガポール国立大学と北京大学に抜かれるなど、日本の大学の順位が大幅に再下降したことは記憶に新しい。

 かくして、二〇一〇年以降、毎年発表される世界大学ランキングの成績動向が注目されるようになっている。結果が悪ければ識者や政治家などから嘆きの声、厳しいコメントが相次ぎ、よくも悪くも、世界ランキングと日本の大学の国際的な存在感が広く社会で注目をされるようになった。

 要するに、ランキングのつけ方の手法は変わっているにもかかわらず、その変わっていることについては全く議論がされず、ただその結果に大変右往左往していることについて憂慮しています。

 そして、こういったことも言っているんですね。

 これは、既にランキングが大分注目をされているイギリスの事例ですけれども、英国のエクセター大学は、二〇〇四年にイギリス国内で三十位台だったランキングを、二〇一二年にはトップテン入りを果たすまでに引き上げるという、ランキング順位を大躍進させた希有な大学の一つであるが、同大学のマーケティング・コミュニケーション部長は大躍進の舞台裏を次のように明かす。我々はランキングというものがどのように機能しているか苦労して理解し、大学のパフォーマンスを向上させるためにランキングの測定基準を意識して用いる方針を実施したと。

 要するに、ランキングを上げるためには、そのランキングがどうつけられているかということをよく理解して、それに対応することをやっていかなくてはいけない。

 院長たちは、カリキュラムや成績分布、あるいは教員の論文刊行戦略に関する学術的な意思決定を行う際、それらの決定によって自校の数値やランキングにどんな影響が及ぶかを勘案して決定を行っていることを認めている。重大な決定や予算配分を行う場合であれ、取るに足らない詳細にまでわたる精緻な記録をとる場合であれ、ロースクールの関係者たちは、営利目的のランキング企業からの注文に細心の注意を払うことを快く思っていない。しかし、細心の注意を払わなかった場合に受ける処罰は重い。失敗すれば、ロースクールのランキングが低下をし、学生の募集にも、徴収できる学費にも、スタッフの解雇にも影響が及びかねないということが指摘をされているわけですね。

 それで、次の質問に移りますけれども、結局、このランキングの問題点として大きな課題だと思っているのは、論文の数とか引用数とか数値化できるものについては評価対象になりますけれども、数値化されないもの、あるいは数値化できないものは、今評価が大変難しい状況になっているんだろう。

 特に、理系は英語での論文発表がある程度当たり前になっているようですけれども、文系についてはそういったことが余りなく、英語で発表されることも少ない。そうすると、ランキングで評価されないがゆえに、予算や人員の配置の上で不利益をこうむるということがないのでしょうか。

 このあたりについて、数値で評価できないものについてどのように評価をしていくべきなのか、文部科学省の見解をお伺いしたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 大学においてどのような教育研究を行うかにつきましては、建学の精神やミッションに基づきまして、各大学が自主的、自律的に判断するものでございます。その中には、教育の質など、単純に数値化することの困難な価値を持つものも多く含まれているものと認識をしております。

 こうした数値化の困難な内容の教育研究については、大学がその定める目的に基づき大学内部で適切な点検評価を行うとともに、外部の専門家による評価などを踏まえながら適切な資源配分を行い、その質の充実に取り組むことが重要と考えております。

 その上で、例えば国立大学法人評価におきましても、中期目標は各大学が設定をいたしまして、その目標の達成状況を評価するという仕組みにしております。そしてその際、教育研究の定性的な側面に留意いたしますとともに、例えば戦略性の高い目標につきましては、プロセスや内容も評価するなどの工夫を盛り込んでいるところでございます。

 文部科学省といたしましては、大学政策を推進するに当たりまして、このような大学の取り組みについても十分に留意をしてまいりたいというふうに考えております。

安藤委員 ありがとうございます。

 ぜひ、数値化できないものに対する評価のあり方というものは検討していただきたいと思います。

 そして、この本の中ではこういう指摘もされております。

 資金がランキングの数値指標と結びついて配分をされれば、高等教育はエリート層の利益のために再編をされ、ヘーゼルコーンという学者が指摘をするように、資源は最も豊かな大学に集中をし、エリートと大衆教育との間の溝が広がる、いわゆるマタイ効果がますます顕著になる。

 このマタイ効果というのは、社会学者のロバート・マートンという人が言っているらしいですけれども、聖書のマタイ伝の言葉で、持つ者はさらに与えられ豊かになり、持たざる者は持っているものまで奪われるという言葉を踏まえて、累積的な優位性について説明をした用語であるということですけれども、まさに今、日本の大学の予算の配分も、こういったランキングの上位を目指すというところには重点的に予算の配分がされつつあるのではないかというふうな気がいたしますし、そういった数値化されないものに対して正当な評価をした上でその分配がされているならまだしも、ころころ評価基準が変わるような、そういったランキングを指標にやっているようだとこれはかなり問題ではないかなというふうに思いますので、ぜひ、よくお考えの上、実行していっていただきたいというふうに思います。

 それから、大学ランキング、この大学改革というものも、世界的なグローバル競争の中で大学も勝ち抜いていかなくてはならない、国際的な競争で勝ち抜いていかなきゃいけないことがよく言われ、そしてそのためには英語による教育も充実をさせていかなくてはいけないということがよく言われております。

 そういったことに対する改革も各種行われていると思いますけれども、その目標とするところについて教えていただけますでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、現在のグローバル化の進展ということを踏まえまして、徹底した国際化と大学改革を進める大学を、これは予算事業でございますけれども、スーパーグローバル大学創成事業ということで支援をしております。

 その中で、例えば英語による授業などを通じて、留学生を引きつける魅力ある大学づくりということが一方でございます。また同時に、優秀な留学生と切磋琢磨する環境の中で、日本人学生も専門的な事柄を英語で考えて発信する機会を得ることができるというような観点から、グローバル化する社会において国内外で活躍できる人材の育成に資するというようなことで、グローバル化対応という観点での取り組みを行っているという状況でございます。

安藤委員 ありがとうございます。

 そういう答えが返ってくると思ったんですけれども、英語による授業というものを拡張していくことによって、では、日本の科学技術の水準あるいはさまざまな研究の水準が上がるのかということについて、少し私は疑問を呈しておきたいと思っています。

 寺島隆吉さんという英語教育研究者、元岐阜大学の教授の方が言っておられる話です。

 東京帝国大学の授業が英語で行われていたのは明治時代の話だ。高額で外国人を雇い、学生も全国から選ばれたエリートだけ。教科書もなく原書で学ぶほかなかった。しかし、夏目漱石が英国留学から帰国し、経済や工学のみならず文学までも日本人が教授できるようになって、ついに、英語で授業は終わった。明治の先人たちは、翻訳を通じて存在、自然、権利、自由などといった学問、思想の基本用語を苦労してつくり出し、そのおかげで、今や最高レベルの学問成果まで母国語で学べる。このような国は欧米圏以外ではほとんどない。母国語で深く思考できることが日本の優位性であり、だからこそ日本から次々とノーベル賞の受賞者が誕生しているのだ。

 東京帝国大学の教壇に立った漱石は、英語で授業について次のように言っている。独立した国家という点から考えると、かかる教育は一種の屈辱で、あたかも英国の属国インドといったような感じが起こる。日本のナショナリティーは誰が見ても大切である。英語の知識ぐらいと交換のできるはずのものではない。したがって、国家生存の基礎が堅固になるにつれて、以上のような教育は自然勢いを失うべきが至当で、また事実として、ようやくその地歩を奪われたのであるというふうな指摘がされているわけです。

 そして、松野大臣は早稲田大学の出身だと思いますけれども、早稲田大学の創立のときの東京専門学校の開校の辞を述べた小野梓という方がいますけれども、この方が言った学の独立というのが、早稲田の校歌になっているわけですよね。

 この方はどう言っているかというと、余は本校に向かって望む、十数年の後にようやくこの専門の学校を改良前進し、邦語をもって、要するに日本語をもって我が子弟を教授する大学の位置に進め、我が国学問の独立を助くるあらんことを。要するに、日本語で学問ができること、これが学の独立につながるということを言っているわけです。

 したがって、私、申し上げたいのは、英語で授業をするということは、今までの日本の歴史、学術的な、学問的な地位を世界的に高めたものに対して逆行しているのではないかということを思いますし、留学生を引きつけるために英語の授業をふやすというのはむしろ本末転倒で、日本で世界最高水準の勉強ができるから日本で勉強したいという留学生が来てくれるんだったらいいんですけれども、日本でもアメリカと同じような授業が受けられるから来るんだというのだったら、それは一流の優秀な学生は当然アメリカを目指すわけで、アメリカに行けなかった二番手、三番手の人たちが日本に来るという現象を起こすと思うんですね。

 そういった立場を日本が目指していいのかということに対しては、私は甚だ疑問を感じるわけでありますけれども、ぜひ、大臣の御感想をお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 今の御議論は、常々安藤先生が御主張されていることは承知をしております。

 まず第一に、その大学においてどういった手法によって教育がなされるかは、すぐれてその大学の自治に関するものでございます。第一義的に大学が判断をするということでございます。

 その上において、語学の授業、また授業を英語等を初め外国語で行うことも各大学の選択でございますが、要は、英語を初めとする外国語だけでやるとか日本語だけでやるとかそういった問題ではなくて、研究に必要な最も効率的な語学が何であるか、そして、その語学を、世界に向けてしっかりと主張していく、発表していく上において必要なツールはどうあるべきか、そういった総合的なバランスの上に成り立つ御議論なのかなという感想を持っております。

安藤委員 ありがとうございます。ぜひ、日本がこれからも世界最高水準の研究開発ができて、そして世界でやはり尊敬される立場であり続けられるような、そういった学術研究の場というものをこれからも考えていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移りますけれども、最近、ネイチャーという科学雑誌で日本特集をしておりまして、日本の科学研究がこの十年、大変失速しているという指摘がされております。このことについて、文部科学省の把握をしている、そしてまた認識をしているあたりについてお伺いをしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の方から今、ネイチャーインデックス二〇一七ジャパンのお話がありました。

 文部科学省の科学技術・学術政策研究所におけます報告書においても、ネイチャー誌と同様に、日本の研究者の論文数が近年横ばい、あるいは世界に占めるシェアが低下傾向にあるというデータが示されてございます。

 ネイチャー誌におきましては、その要因といたしまして、人口減少やそれに伴う研究者の減少でございますとか、科学技術関係投資の伸び悩み、こういった点が要因として考えられるというコメントが紹介されているところでございます。

 文部科学省といたしましては、世界全体で国際共著論文が各国大きく伸びている中で、我が国の国際共著論文の伸びが相対的に低い、こういったことも要因の一つではないかというふうに考えてございます。

 こうした危機感を背景といたしまして、文部科学省といたしましては、次世代を担う若手研究者の育成でありますとか、世界トップレベルの研究拠点の形成など国際的なネットワークの強化に取り組むとともに、第五期の科学技術基本計画、閣議決定されましたこの基本計画にございます、政府研究開発投資目標である対GDP比一%、試算で申し上げますと五年間で総額二十六兆円でございますけれども、その達成に向けて関係省庁と連携して取り組んでいるところでございます。

安藤委員 ありがとうございます。ぜひ、この予算をしっかりと獲得していただいて、日本の科学技術研究の水準ももっと高めていただきたいというふうに思います。

 続いて質問させていただきます。それに関連をいたしますけれども、どうしても今、短期的に結果が出るような研究に対しては予算がつきやすくて、それから、何をやっているんだかよくわからない、結果が出るんだかよくわからないような研究に対してなかなか予算がとりにくいというような話も聞いております。

 やはり、日本の科学技術を世界からも本当に尊敬される立場にしておくためには、結果が出ないような、よくわからないような研究に対してもしっかりと予算を確保できるような体制をつくらなくてはいけないと思いますけれども、そのあたりについての御認識をお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 文部科学省としては、イノベーションの源である多様で卓越した知を生み出す学術研究、基礎研究が重要と考えており、中長期的な視野に立ち、その振興を図ってきました。

 具体的には、科学研究費助成事業による独創的で質の高い多様な学術研究の支援や、世界最高水準の成果を生み出すための戦略的な基礎研究の支援等を行ってきたところです。

 さらに、昨年十一月に文部科学省内に基礎科学力の強化に関するタスクフォースを設け、学術研究、基礎研究を支える研究費の確保、充実、若手研究者が安定かつ自立して研究できる環境の整備を含め、基礎科学力強化に向けた方策を検討しているところであり、今後とも、学術研究、基礎研究の振興に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

安藤委員 ありがとうございます。ぜひ、しっかりと取り組んでいただいて、そして、よくわからないものに対しても研究費がつくようにお願いをしたいと思います。

 それで、きょう、皆様のお手元に資料を配らせていただいております。

 一枚目が、国立大学の運営費交付金の予算の推移であります。平成十六年からずっと減ってまいりまして、平成二十九年は微増をしたものの、なかなか厳しい大学の運営費交付金ということになっております。それから、もう一枚めくっていただくと、科学技術関係予算に関する国際比較、この左側を見ると、二〇〇〇年度を一〇〇とした場合の各国の科学技術関係予算の推移、中国は何と、二〇〇〇年を一〇〇とした場合に一一二一と、十一倍にもふやしています。韓国も四倍、アメリカ、ドイツ、イギリスも、一・五倍、一・六倍ということになっておりますけれども、日本は残念ながら横ばい、ほぼ一の状態ですね。

 それから、もう一枚めくってもらうと、我が国のトップテン補正論文数の推移も、研究費が横ばいになっているのと軌を一にするのかどうかわかりませんけれども、ずっと横ばいになっています。こういったことを見ていくと、やはり予算の獲得というものがかなり大きな問題になってくるのかな、キーになってくるのかなというふうに思っております。

 そうすると、予算の獲得をするには財務省から金を出していただかなくてはいけないわけですけれども、なかなか日本も財政が厳しいと言われておりますが、皆様のお手元にお配りをした資料の一番最後の、大分前に、日本の国債の格付が落ちたときに外国の格付会社に対して意見書を財務省が出しているものですけれども、これの内容を今ちょっと説明していただきたいと思うんですね。

 まず、一の(一)で、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」デフォルトは考えられないと言っていますけれども、このデフォルトは考えられないということについて、まず御説明をいただきたいと思います。

三木大臣政務官 まず、委員にただいま御指摘いただきました意見書と申しますのは、日本国債の格下げの理由につきまして、より客観的な説明を格付会社の方に求めたものでございまして、日本の財政健全化の必要性を否定したものではないということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、日本の財政の状況につきまして申し上げますと、意見書が提出された当時に比べまして、国及び地方の長期債務残高はさらに増加しているなど、年々その厳しさを増す状況にございます。こうした中で日本国債が購入されているのは、日本国債の返済能力に対する信認が前提となっておりますので、仮に市場の信認を失う事態が発生いたしますれば、金利の上昇を通じて市場からの資金調達が困難になるというふうな可能性も考えられます。したがって、引き続き、財政に対する市場の信認を確保できるように、経済再生と財政健全化、この両立を目指すことが非常に重要だというふうに考えております。

 以上でございます。

安藤委員 ありがとうございます。

 続いて、二番目の、「格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。 例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。」三つの点を挙げていますけれども、「マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国」、「その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている」、そして、「日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高」という三つの例を挙げておりますけれども、この三つの点について、現状を御説明いただけますでしょうか。

三木大臣政務官 日本におきましては、経常収支黒字を維持いたしまして、世界第一位の対外純資産、また世界第二位の外貨準備高を保有していることなどを背景に通貨の信認が維持されていることや、また、預金等の潤沢な国内の家計金融資産が存在することを背景に、日本国債の約九割が国内で保有されていること等により、安定的な国債の消化につながっているというふうに承知いたしております。

 ただし、先ほどの繰り返しになるので恐縮でございますけれども、日本の財政が厳しい状況にある中、仮に市場の信認を失うような事態が生じますれば、金利の上昇を通じて市場からの資金の調達が困難となる可能性もございますので、したがって、引き続き、財務省といたしましては、市場の信認を確保できるように、経済再生と財政健全化の両立を目指してまいりたいと思います。

安藤委員 ありがとうございます。

 私も、別に、野方図に金を出せと言っているわけじゃないんですけれども、ただ、予算の推移の数字とそれから論文数の推移、また、各国と比べて順位が落ちているという状況を見ると、やはりこういった将来に対する投資をしっかりやっていかないと、日本の科学技術立国としての地位が低下をしているのではないか。

 やはり、今の日本の経済の基礎的な条件は、まだまだ世界の中でも物すごく強いものを持っているわけですね、今御説明いただいたとおり。物すごく強いものを持っているにもかかわらず、将来いつ起こるかわからない、国債の信認が落ちるかということばかりを気にして、やるべき投資が行われていないのがこの国の今現状ではないかと思うんですね。

 こういったことをけちっていることによって、日本の科学技術の力が落ちていって、本当にこの日本が世界の最先端の科学技術研究ができる地位から落ちていってしまうのではないか、そのことを私は大変に懸念をしております。

 そして、日本人が物すごく今勘違いしているのは、日本という国が債務国だと思っている日本人は物すごく多いと思うんですよ。政府の借金が一千兆円もあって、一人当たり八百万円も借金を背負わされていますよという宣伝をずっとしていますから、そういったことをずっと聞かされて、日本の国は債務国なんだなとみんな思っているのではないかと思うんですけれども、違いますよね。日本の国は債権国です。世界最大の債権国です。物すごい力を持っている国なんだ。

 私は、このことについて日本人はもっと自信を持つべきだというふうに思いますし、これで、債権国、この強みを生かして将来に対する投資を怠っているからこそ、いろいろなところに疲弊が起きている。

 そしてまた、給付型の奨学金も今般創設をされることになりましたけれども、国立大学の学費も随分上がりましたよね。私たちが学生のころは、二万とか三万とか、年間そんなレベルだったのが、今、五十八万円ということで、物すごい金額になっているわけです。

 結局、国が本当にこれだけ力強い経済力を持っているにもかかわらず、本来投資すべきところに投資をしないで、それを若い人たちにツケ回しをしている。これがツケ回しというんじゃないかと私は思います。

 やはりそういったものを、しっかりと使うべきところは国が使う、そして余りにも不安をあおらないということが大事なのではないかと思いますし、そのように、きちんとバランスをとって、使うべきところに使う、そしてめり張りをつけるところはめり張りをつける、そういった財政運営をぜひ財務省にはお願いし、そして、ぜひ文部科学省の予算をしっかりとつけていただきますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 民進党・無所属クラブの坂本祐之輔でございます。

 まず初めに、教育勅語についてお伺いいたします。

 政府は、憲法や教育基本法などに反しないような形で教材として用いることまでは否定されることでないとする答弁書を閣議決定いたしましたが、昭和二十三年の衆議院での教育勅語等排除に関する決議や、同年、参議院での教育勅語等の失効確認に関する決議を踏まえると、また、教育勅語が国民主権など現行憲法の精神と相入れない天皇中心の国家観を含むものであると考えると、不適切であると思いますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 御指摘の質問主意書に対する答弁書におきましては、学校において、教育勅語を我が国教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切であるが、憲法や教育基本法等に反しないような形で教育勅語を教材として用いることまでは否定されることではないこと等について答弁しており、衆参両院の決議に反するものではないと考えております。

 なお、この答弁書の趣旨は、全ての教科書等の教材に共通する考え方として、文部科学省は基本的に各学校における個別具体的な教材の是非について判断する立場にないことを前提としたものでございます。

坂本(祐)委員 政府の答弁については、国会を軽視しているのではないか、国会の決議に従って対応すべきであると私は考えております。

 それでは、森友学園にかかわる小学校の設置認可についてお伺いいたします。

 森友学園にかかわる小学校の設置認可につきましては、既に不認可の決定が出ておりますが、当初は、廃棄物が埋まっているのがわかっていながら土地の取引が行われ、学校の建設が進められておりました。廃棄物が埋まっている土地に建設された小学校に通って不利益をこうむるのは、小学校に通う児童たちであります。財務省は廃棄物が埋まっているから売ってはいけないという規制はないとしても、大阪府の私立小学校の認可基準に土地の汚染や廃棄物の有無が盛り込まれていないとしても、廃棄物が埋まっている土地は、教育を受ける児童の環境としてはふさわしくないのではないか。

 文科省の定める小学校設置基準は、校舎や土地の広さについて定めておりますけれども、安全性については、同基準七条に、「小学校の施設及び設備は、指導上、保健衛生上、安全上及び管理上適切なものでなければならない。」と一般的な規定があるだけです。この小学校設置基準は、今回の事案には対応できていないのではないか。また、大阪府の私立小中学校の認可基準には、周辺に風俗営業施設が多くないことを認可基準に盛り込んでいますが、敷地の安全性の項目はありません。

 私立小学校の設置認可、校舎建設など一連のプロセスを経て、今回のように、廃棄物が埋まっている国有地が払い下げられ、小学校が建設をされました。誰もストップをかけないまま、結局、入学予定の児童にとっては、入学直前に小学校が認可されないという結果が生じたのでありまして、こういう結果が今後生じないように、教育を所管する文部科学省は検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 森友学園の小学校の設置認可に係る大阪府におきます審査及びその経緯等につきましては、今後、大阪府私立学校審議会として検証を行うとともに、大阪府においても審査方法の厳格化等について検討を行う予定であると聞いてございます。文部科学省といたしましても、大阪府の対応状況を注視し、状況の確認を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 なお、先生から御指摘がございました、土地の汚染や埋設物に関してでございますけれども、文部科学省として、ガイドラインでございます小学校施設整備指針を定め、その中には、建物、屋外運動施設等を安全に設定できる地質及び地盤であるとともに、危険な埋設物や汚染のない土壌であることが重要である旨を記載し、学校設置者等に周知しているところでございます。

 私立の小中学校の設置認可につきましては、これは地方自治法上の自治事務でございまして、認可権者である地方公共団体が行う事務については尊重されなければならないと考えているところでございますけれども、文部科学省といたしましては、各都道府県の審査の方法、基準等につきまして情報収集を行い、各都道府県がよりよい形で審査を行っていただく上で参考としていただけるよう、情報の提供を行うなどの取り組みについて検討してまいりたいと考えているところでございます。

坂本(祐)委員 状況の確認を行っていくということでございますので、しっかりとした指導をしていただきたいと考えております。

 続きまして、幼稚園における不適切な教育、体罰、虐待について質問をいたします。

 森友学園が運営する塚本幼稚園において、園児が殴る蹴るの暴行を受けたり、トイレの回数を制限されたりするなど、子供への虐待行為の疑いがあったとして、元園児の保護者が大阪府の私学課に調査、指導するよう要請しております。また、四月四日には、愛知県岡崎市のやはぎみやこ幼稚園で、職員が男児の手足を粘着テープで縛ったり、口を塞いだりしていたとの報道がありました。

 文科省の塚本幼稚園に係るこれまでの対応状況を見ていると、文科省は、私学の幼稚園に対して調査、指導を行うことには消極的であることは明らかであります。都道府県に丸投げの姿勢をとっておりますけれども、この二事案を見ても、氷山の一角ではないかと思われます。これまで調査、指導に消極的だった分、もしかしたら、ほかの幼稚園でも不適切な教育、体罰、虐待が発生しているかもしれません。

 幼児期は、子供の成長にとっても人格形成の上でも最も重要な時期であります。このときに不適切な教育、体罰、虐待は絶対にあってはいけません。文科省は都道府県と協力して全国的に調査を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 体罰につきましては、小中高等学校においては、法令上の規定として学校教育法第十一条で禁止されているところであり、これまでもその根絶に向けた取り組みを進めてまいりました。

 一方、幼稚園については、学校教育法においても、そもそも幼児に対し懲戒を加えることを認めていないため、体罰を禁止する直接の規定はありませんが、当然認められないものと考えております。

 幼稚園においては、幼児の発達段階を考慮すると、小学校以降のように子供に対するアンケート調査等によりその状況を把握することは困難であると考えられますが、決してあってはならないことであり、文部科学省としても、幼稚園における不適切な指導が行われないよう、設置者や所轄庁に対して周知徹底してまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 また、塚本幼稚園では、トイレに行かせない、さらには漏らしてしまうという、虐待とも言える行為があったと疑われております。

 トイレの問題につきましては、虐待、体罰としつけ、または授業等の関係もありまして、この線引きが難しい点もあると思いますけれども、その分、子供に対しては我慢を強要してしまうケースが多いのではないかと思っております。

 幼稚園だけでなく小学校でも同じような問題があると考えておりますが、トイレを我慢するのはつらいものであります。生理的なものでもありますし、腹痛等病気のケースもありますので、我慢を強要させることのないよう全国の幼稚園、小学校に対し適切な対応をとるよう、文科省としてもしっかりと対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 小中高等学校における体罰に関しましては、平成二十五年の三月に、懲戒と体罰の区別、体罰防止に関する取り組みなどについての通知を発出しております。

 この通知におきましては、学校教育法第十一条に規定する児童生徒の懲戒、体罰に関する参考事例といたしまして、児童がトイレに行きたいと訴えたが、一切、室外に出ることを許さないことなどを示しているところでございます。

 幼稚園につきましては、学校教育法でそもそも幼児に対し懲戒を加えることを認めていないため、体罰を禁止する直接の規定はありませんが、こうした不適切な指導が幼稚園においても行われないよう、また小学校についても同様に、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、設置者や所轄庁に対して周知徹底してまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 周知徹底を図っていただけるということでございますので、ぜひお願いをさせていただきたいと存じます。

 それでは次に、学校における運動部活動についてお伺いをいたします。

 先月二十七日、那須のスキー場で高校生七人、教員一人が亡くなる雪崩事故が発生をいたしました。学校部活動の一環の中で起こった大変残念な事故でございました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対し、心からお悔やみを申し上げる次第でございます。

 この件につきまして、スポーツ庁は、高校生以下は原則として冬山登山は行わないよう指導する通知を毎年出していたが、徹底されているか一度も確認していなかったのは事実でしょうか、またそのことによる瑕疵はなかったのでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 まず、栃木県那須町で起きた雪崩事故におきましてお亡くなりになられました方に心から御冥福を申し上げますとともに、けがをされた方、また御家族、御遺族の方々に対し、お見舞いを申し上げる次第でございます。

 文部科学省においては、毎年、本格的な冬山シーズンが始まる前に、各都道府県知事及び各都道府県教育委員会等を通じて、冬山登山の事故防止についての通知を発出し、事故防止の徹底を図ってきたところであります。その中で、冬山登山は、自然現象の影響を受けやすく、しばしば悲惨な事故を招いており、事故防止について万全の措置が必要であることを強調するとともに、高校生等以下については原則として冬山登山を行わないように指導してきたところであります。

 これまで、文部科学省としては、冬山登山の実施状況等に関するフォローアップ調査等は実施していないところでございますが、今般の重大な事故を受け、三月三十一日付で、各都道府県教育委員会及び各高等学校等に対し、高校生等の冬山、春山登山の実施状況や、冬山、春山登山を行う場合に安全対策として講じた取り組みについて、緊急の実態調査を実施しております。

 文部科学省といたしましても、二度と同様の事故を起こさないためにも、今回の調査を通じて実態を的確に把握するとともに、栃木県教育委員会が設置する検証委員会の検証状況等や有識者等の意見も踏まえながら、再発防止の徹底を図ってまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 これまでもこの委員会で学校における部活動のあり方について指摘してまいりましたが、やはりもう一度よく考え直すべき状況にあるのではないでしょうか。

 このような中で、本年一月六日に、文部科学省から部活動の適正化に向けて部活動の休養日を設定するよう求めていただいたことは評価ができるところであります。しかしながら、現場では既に、休養日を設定しても、休んだ分を他の平日や土日に振りかえたりして、トータルの活動時間は全く変わらないよう部活を行っている学校も出てきているという話を聞いております。

 一部の学校に文科省の通知の趣旨がしっかりと伝わっていないものと考えておりますが、学校自体が本来の学校の役割やあるいは学生の本分を忘れてしまっているのではないかと危惧をいたしてもおります。

 休養日の設定の通知を出すだけでなく、同時に、学校現場の運動部活動に対する意識、考え方も変えていかなければならないと考えますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 スポーツ庁では、昨年四月から七月にかけて、中学校における運動部活動に関して、生徒の一週間の活動時間や休養日の設定状況等について初めての全国悉皆調査を行ったところであります。その結果、例えば、学校の決まりとして一週間のうち休養日を一日も設けていない学校が二二・四%、あるいは、一カ月の土日の中で一日も土日の休養日を設けていない学校が四二・六%あることなどが明らかとなりました。

 このため、委員に今御指摘いただきました、ことしの一月の通知で、各都道府県教育委員会等に対して、学校の決まりとして休養日を設定すること等を通じて、運動部活動の適切な運営を図ることを要請したところであります。

 また、本年三月には、部活動指導員の制度化を行いました。この制度化に伴う指導通知におきましても、部活動指導員による指導の場合であっても、適切な休養を伴わない行き過ぎた活動は生徒にさまざまな無理や弊害をもたらすことから、練習時間や休養日を適切に設定することを重ねて要請したところでございます。

 スポーツ庁としては、今年度においても、昨年度と同時期に活動時間や休養日の設定状況について同様の調査を行うこととしております。この調査によりまして、各学校の改善状況等についてしっかりと把握し、そしてまた、その状況を都道府県教育委員会に周知するとともに、今後の対策に生かしてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 この件につきましても、しっかりとした調査を行って現状把握をしていただけるということでございますので、まず、現場がどうなっているのかということをしっかりと見ていただきたいと存じます。

 部活動は学校教育の一環であります。しかし、学校教育の中での正規の課程ではありません。学校はいわば子供たちが社会に出る準備をするところでございまして、子供たちが部活動を通じて亡くなってしまったり体を壊しては本末転倒であると考えます。

 運動部活動の状況を考えると、部活動を通じて何かのけがをしている子供、あるいは、けがをして整形外科や整体等に通いながら部活をしている子供が多いと感じます。部活動で膝を痛めた、腰を痛めた、あるいは肩を壊した、こういったけがが、その子供のその後の人生にも影響するかもしれません。そのような状態で社会に送り出してよいのでしょうか。

 先日、中学、高校で陸上部に所属をし、長距離競走をしていたお母さんからこのような話を聞きました。

 長距離競技をしている女の子は、体の中の鉄分が不足して貧血になりやすいそうです。そのため、鉄分を補給して貧血を治すために鉄剤を服用することがあるとのことであります。しかしながら、それだけでなく、速く走るため、鉄剤を注射で直接投与する子もいるとのことであります。体重を落とすと体が軽くなるので速く走れる。しかし、体重を落とすと貧血になりやすくなります。そこで、鉄剤を投与するということだそうであります。

 調べてみたところ、日本陸上競技連盟のウエブサイトの中に、日本陸連栄養セミナー二〇一六「陸上選手の貧血について考える」というセミナーの報告が掲載されておりまして、その中の陸連の尾県専務理事の挨拶で、特に女子長距離、マラソンで、痩せれば走れるといった間違った考え方から、食べることを拒んで、ローエナジーアベイラビリティー、利用可能なエネルギー不足に陥り、骨粗鬆症や疲労骨折、スポーツ障害、貧血などが生じているケースが多いこと、その中で貧血の対処法として、過剰摂取すると内臓に大きなダメージを与える危険のある鉄分の服用や注射が中高校生年代にも波及していることを挙げて、現在、中高校生の長距離レベルは極めて高いが、シニアレベルで活躍できているかといえばそうではない、そこには、強化の問題だけでなく、こうした鉄の摂取にも問題があるのではないかと危機感を持っているとありました。

 また、ほかにもよく言われていることですが、筋肉をつけるためにプロテインを飲む。プロテインは飲み過ぎると肝臓に悪影響があると言われておりますが、肉体改造するなど、部活動の現場では勝利のためにさまざまなことが行われているのではないか。

 必ずしも専門的知識があるとは言えない部活動の現場の中で、成長期にある子供たちがこのようなことをして子供たちの体は大丈夫なのか、大人に向けて体を健康的に鍛えるべき部活動の場で体を壊してしまっては一体何のためのスポーツなのか、教育の一環である部活動の枠を完全に飛び越えてしまっていると考えております。

 このような体を壊す可能性がある行為、そしてこれを認める、または容認する行き過ぎた部活動の現状については、文科省として改善に向け取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 委員御指摘の、運動部活動において無理な体の鍛え方や体に負荷がかかるような肉体改造をしていることの具体的な事例を承知しておりませんが、適切な休養を伴わない行き過ぎた活動は、生徒にさまざまな無理や弊害をもたらすものと考えております。

 文部科学省では、平成二十九年度において、スポーツ医科学の観点を取り入れた、生徒の発達段階や学校生活への影響を考慮した練習時間や休養日の設定に関する調査研究や、教員、生徒、保護者を対象とした部活動に関する総合的な実態調査を実施することとしています。

 これらの調査研究の中で得られた知見やデータを各都道府県教育委員会等に提供するとともに、これらの結果を踏まえた運動部活動の総合的なガイドラインを本年度末を目途に策定し、部活動の適正化に努めてまいります。

坂本(祐)委員 ぜひ、総合的なデータを各都道府県の教育委員会あるいは体育関係者にも通知をしていただければ、知らせていただければというふうに考えております。

 続きまして、我が国の部活動を考えたときに、以前も現在も、勉強と部活動との両立、文武両道がしっかりと行われているのか、残念ながら、そうではない状況があるのではないかと考えております。

 このことについて、昨年十一月二十一日の日経BPネットに、スポーツ庁の大学スポーツの振興に関する検討会議タスクフォースの座長を務めている江戸川大学の小林至氏の、日本には文武両道がない、スポーツ選手のセカンドキャリアを考えるというテーマの記事が掲載をされております。

 その中で、小林氏によりますと、アメリカにはNCAA、これは全米大学体育協会でありますが、このNCAAという組織がありまして、部活動と勉学を両立せざるを得ない規則を課している、NCAAが、練習時間、休息日、成績まで、細かい基準を設定している、そして、それを守らないと出場停止など罰則を適用する権限も有している、さらには、NCAAは学業優秀な学生アスリートを表彰する制度も設けておりまして、この賞の受賞者は社会的に非常に高い評価を受けるなど、文武両道に対しての社会的評価も非常に高いのがアメリカの特徴であると述べられております。

 一方で、日本は、スポーツに秀でた者は部活さえしていれば全てのことを大目に見てもらえた、競技において一流のパフォーマンスを発揮できれば、推薦で有名大学に入学できたとおっしゃってもおられます。

 現在、まさにスポーツ庁でも日本版NCAAを創設するべく議論されていることと思いますが、中学や高校でも行き過ぎた部活動に歯どめをかけ、学生が本来やるべき学業をしっかりとするようにするためにも、部活を続けたり公式戦に出場するに当たって、練習時間や休息の設定だけでなく、学業成績の基準を設けるなどの仕組みをつくることも一案かと思いますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 米国のNCAAにおいては、委員御指摘のように、大学生の練習時間、学業要件などを定めております。ただ、日本と米国では取り巻く環境やあるいは大学と高校以下といった違いもございますので、その大学の運動部活動の基準をそのまま日本の中高校の運動部活動に適用するにはやや難しい面もあるものとは考えております。

 スポーツ庁では、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、本年度実施するスポーツ医科学の観点を取り入れた調査研究において、国内外の文献調査、海外でのヒアリングなども検討しております。

 こうした成果を踏まえつつ、日本の実態に応じて、生徒の発達段階、また学業を初めとした学校生活の影響を考慮した運動部活動の総合的ガイドラインを策定して、学校現場にこれをしっかりと周知していくように取り組んでまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 現実の問題として、学校でスポーツを学んでいく、あるいはクラブでも活躍をしていく、そして、トップアスリートになるわけでもございますけれども、そのトップアスリートになれるのはごく一部の学生でございまして、トップアスリートになっても、長い人生を考えたら、選手として活躍できる期間はあっという間の期間であろうと思います。

 子供たちの将来のためにこそ、学業をしっかりと行って、現役を終えた後でも自分で考えて行動ができる自立した人間に成長させていくことが重要なことだというふうに考えております。また、それは大人になってからでも遅くはないと思いますので、そのような制度や仕組みをぜひ御検討いただきたいと思います。

 続いて、学校における英語教育について質問いたします。

 中学校における英語教育についてですが、本年二月十日の京都新聞におきましては、京都府教育委員会は九日、京都市を除く中学校の英語科教員で、本年度に英語能力試験TOEICを受験した七十四人のうち、府教委が目標として課した英検準一級に相当する七百三十点以上を獲得したのは十六人で、約二割にとどまることを明らかにした、最低点は二百八十点で、五百点未満も十四人いたという、府教委は英語科教員の資質が問われかねない厳しい状況だと話している、この記事がございました。

 また、一昨日、文科省より二〇一六年度英語教育実施状況調査の結果が公表されまして、成果目標である英検準一級以上に達した中学の英語教員は三二%ということでございました。

 文科省は、次期学習指導要領におきまして、中学の英語については、互いの考えや気持ちなどを外国語で伝え合う対話的な言語活動を重視し、授業を外国語で行うことを基本としとありますけれども、中学の英語科教員がこのような状況で、現実的に次期学習指導要領に沿った授業を行うことは可能なのでしょうか、お伺いいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の新しい学習指導要領のもとで英語教育を適切に実施するためには、教員の英語力、指導力を担保し向上させることが重要でございます。そのため、各教育委員会におきましては、教員の英語力に係る国の目標を踏まえた都道府県ごとの目標の設定を行った上で、英語力向上に向けた集中研修を実施するなど、教員研修の充実に努めているところでございます。

 また、委員御指摘の京都府の事例でございますが、京都府の教育委員会は結構頑張っておりまして、できるだけ多くの教員にTOEICの試験を受けさせる。結果として、目標を達成している教員の比率がその受験者の中では低かったんですけれども、トータルとして、教員全体として見ると、目標達成率は全国平均よりも京都府の場合高いという頑張りを見せているところでございます。

 文部科学省といたしましては、各地域の中核となる英語教育推進リーダーの養成や好事例の周知、教員養成課程におけるコアカリキュラムの策定などによって、教育委員会と連携しながら、教員の英語力、指導力を確実に担保し向上させていきたいと思っております。

坂本(祐)委員 また、小学校の英語教育につきましても、次期学習指導要領におきまして、五、六年生で教科化、三、四年生で外国語活動として位置づけられました。

 しかしながら、中学校と異なり、小学校では英語の専門でない先生方が教えなくてはいけないという状況で、現場からは、英語を習うのは早い方がよいというものの、教科化することで小学校の段階で英語が嫌いになってしまった場合にどうするのか、そのような不安の声も聞いております。

 現実的に英語を教える体制が整えられるのか、学習指導要領に沿った授業ができるのか、お伺いをいたします。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 小学校英語の早期化、教科化に向けて、児童が質の高い英語教育を受けられるようにするための環境整備が不可欠であり、効果的な新教材の開発や、研修、養成、採用の一体的な改善、専科教員等の学校指導体制の充実など、総合的に支援することが必要であると考えております。

 具体的には、ICTの活用も含めた平成二十九年度中の新学習指導要領に対応した教材の開発、配付、研修、教職課程の充実等による教員の指導力や専門性の向上、専科指導のための教職員定数の充実やALT等の外部人材の活用支援等に取り組んでいます。

 文部科学省としては、各学校においてしっかりと準備が進められるよう、教育委員会とも連携しながら、教員の指導力向上、指導体制の構築に努めてまいります。

坂本(祐)委員 しっかりと教員が研修をする、時間も、多忙化しておりますので大変なこととは思いますけれども、将来を担う大切な子供たちのために、教員がしっかりと子供たちを指導できるような体制をとっていただければと願っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時三分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時五十八分開議

永岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。平野博文君。

平野委員 民進党の平野博文でございます。

 一昨日に続いて質問の機会をいただきました。大変ありがたく思っていますが、きょうはなかなか空席が目立つ委員会でありますが、力強く質問をしたい、かように思います。

 さて、天下りの最終報告、まとめとして出てまいりました。文科省におけるそれぞれの方々が一生懸命調査をされたんだろうと思うんですが、なかなか、本質論というんでしょうか、外形的あるいは物証的なところは出ているんでしょうけれども、本質的なところというのは、本当にこれからしっかりとしていかなきゃいけないんだろうと思います。

 きょうは時間が三十分ということでございますので、政府参考人並びに大臣におかれても、簡潔に御答弁をいただいたらいいと思います。

 特に私、今回の問題で、一番やっちゃいけないことというのは隠蔽行為だったんだろうというふうに思えてなりません。したがいまして、この隠蔽行為について、調査の結果が余りにも、深く掘られた調査結果になっていない、文章としてはなっていない。しかし、文科省省内ではしっかりそのことはつかんでおられるのか。我々のメンバーの中には十分にそのことについて納得できていない部分があるので、それに合わせて、きょうはちょっと質問をしたいと思うんです。

 今回、一番発端となったのは早稲田大学の事案からでございますが、監視委員会の調査の過程において、人事課の職員による口裏合わせや隠蔽工作が行われた、こういうことでありました。しかし、最終報告において、この点についての新たな処分者がない、こういうことでございました。

 私は、一月の時点で、室長級以下が隠蔽を行い、人事課長はそれを認知したが黙認したにとどまるとの認定であったが、最終報告においても同じということで、事実認定の部分においては変更がない、こういうふうに理解をいたしました。

 しかし、監視委員会からの質問に組織として対応せずに、課長にも報告をしない、あるいは虚偽の報告をするということは、その人個人の判断でやるというのは私はなかなか理解しがたいのであります。

 別にこの人が悪いとか云々ということではありません、が、名前を出さない室長級以下の職員に責任が押しつけられているということは本当にないんでしょうね。この点、大臣、イエスかノーかでいいですから、答えてください。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 早稲田大学事案にかかわる隠蔽行為につきましては、一月二十日の再就職等監視委員会の報告書において、再就職等監視委員会の行った本件関係者への証人喚問の結果、なされたものでございます。

 短くということであれば、以上でございますが。

平野委員 一方、平成二十七年三月時点の人事課の引き継ぎメモというのが、この調査報告の十ページに実は出ているんですね。再就職等監視委員会対応として、細かい実践的な内容が記載をされています。そこには例として、声をかけた者としては嶋貫氏以外の名前を用意する、架空の面接日程を再就職者本人と調整しておくなど、明らかに隠蔽工作を指示する信じがたい記述も実は十ページにございます。これが人事課の組織的対応ではなくて、任用計画官の職位におられる個人の責任において行われていたという信じがたい結果が実は出ているんですね。これはレポートを出しているんですね。

 調査班は確信を持って幹部の関与なしとしたのか、証拠がなかったからそういうふうにしているのか、この点については、政府参考人にお答えいただきたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の、引き継ぎメモ二に見られる再就職等監視委員会対応の内容からは、御指摘のとおり、嶋貫氏を介した再就職あっせんの仕組みにつきまして、監視委員会から隠蔽しようという意図が読み取れる、吉田元局長の事案における人事課による隠蔽行為が行われた要因には、このような人事課内における組織的な土壌が根底にあったと考えられ、構造的な問題が既に存在していたと考えられるとされています。

 このようなものも含めて、人事課OBである嶋貫氏を介した再就職あっせん構造の仕組み、この隠蔽を生み出すような仕組み全体として、誰か特定の個人が一貫して構築したのではないですが、関係した事務次官を初め文部科学省幹部により組織的な関与の中で構築、形成されてきたと判断されているところで、これをもとに処分等もされたというふうに理解してございます。

平野委員 そうすると、逆に確信を持って幹部の関与があったということで、そういう理解でいいんですか。

中川政府参考人 吉田元局長の事案のように、個別の事案で隠蔽があったという事案、こういうものは、新たに確認されたものはございませんでした。

 一方、このようなメモにも残っているような、これは最終報告の中にも、省内にそういった身内意識、内輪意識がもたらされ、こういったものが隠蔽を行ってしまった遠因になるという分析をしておりましたので、このあっせん構造そのものに問題があるということは、最終まとめの中で、隠蔽を生み出すようなもの、構造そのものについて構造的な問題が存在していたというふうに明確にしているところでございます。

平野委員 ということは、組織的にしていたというふうに私は理解をします。

 このメモの最後に、ことしは十五人程度、こちらで状況を把握して全員分の経過を作成して了解を得た、こういう言葉があるんですね。

 中川さんに聞きたいんですが、この十五人について、監視委員会に提出した回答に、虚偽や本人の口裏合わせをしたという可能性は本当にないんですか、これが一つ。調査報告書の六十二案件の中に、この十五人というのは入っていますか。簡潔でいいですよ、次に行きますから。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のものは十ページの引き継ぎメモの例というところに書かれたものかと思います。これはあくまでも一つの引き継ぎメモ、担当官のもので、この十五人が何を意味するか、これは定かではございません。一方、今回の六十二件、六十二事案について、これは、全職員、OB、退職者全体を当たったもの、それから、その他のメール調査、ヒアリング調査、こういったものを重ねてやったものでございます。その違反事案それぞれについての中で、その調査の過程で、隠蔽というものは見当たらなかったということでございます。

平野委員 したがって、十五人というのは、この六十二人の事案の中にあるんですね。内数ですか。

中川政府参考人 この十五人そのものが、このメモの当該十五人がどれであるか、こういった資料がたくさんございますので、それが六十二の内数かどうか、これは定かではございません。

平野委員 当然これは、十五人、出しているんですから、これが内数か、内数であれば僕は理解しますが、では、さらに口裏合わせをしていたら、これは隠蔽していることになりませんか。

 ここはよくわかっていないところだと思うんですが、どうなんですか。

中川政府参考人 より調査を、まさに全体としてやるために、この十五人にとどまらずに、OB職員については、改正法以降の全職員についての調査をいたしております。そして、そこでのものについて、必要なヒアリング調査、これを双方向でやるといったことでやっておりますので、そうやって違反事案をやっていったというものでございます。

 そのヒアリング調査においては、この前申し上げましたが、当事者から聞くだけでなく、その関係する方、上司とか関係者から聞くというふうに相互にやって、例えば記憶が曖昧なもの等もあるわけでございます、あるいは記憶違いのものもあるわけでございます。そういったものの証言合わせというようなものもしていった上、それも、文科省がやるのではなくて、第三者、弁護士の方々がやっているヒアリングの中で、今度はここを聞かないとこちらは怪しいぞとか、こちらは正しくないぞと、こういったものを潰していく。そういった過程で、もし明らかに供述を変えたとか隠している部分があれば隠蔽と思われるんですが、そういうものがなかったということでございます。

平野委員 いやいや、だから、正直に答えてくれたらいいんですよ。内数なのか、外数なのかということを答えてくれたらいいんですよ。

 監視委員会に報告しているのが十五。それぞれこういう、ことしは十五人程度、こちらで状況を把握して全員分の経緯を作成して了承を得た、こう書いておるわけですよ。したがって、内数に入っているんだったら、私は、その中にあるというふうに理解しますが、内数から外れた領域にあるのかどうか、これはチェックしたらすぐわかるんじゃないの。

中川政府参考人 この十五人は、口裏合わせをした人数ということではなくて、監視委員会からヒアリングを受けた人数ということでございますので、違法行為を隠蔽した行為を行う者として書かれたものではないと理解しております。

平野委員 いやいや、だから、監視委員会から指摘を受けた十五人について、役所の方で、それぞれ、今回こういうふうに、監視委員会にかわって、みずから、本人の、口裏云々関係なく、提出して了解を得ましたというふうになったら、これは隠れているんじゃないですか。この点を明確になぜしないんですか、こういうことなんですよ。

中川政府参考人 この十五人が誰と特定、今ちょっと手元に持ち合わせておりませんので、その関係は、調べればわかるかもしれません。

 今ちょっと手元に持ち合わせず、申しわけございません。

平野委員 決して中川さんを責めておるわけとちゃうからね。その点、誤解のないようにね。

 それで、大臣に聞きたいんだけれども、そういうことが出てこないので私も次の質問に入りにくいんですが、もし、とっさのことで、役所の方でこの十五人についてはこういうことでこういうふうにして監視委員会に報告しましたみたいなことになると、虚偽の公文書を勝手に作成している、こういう疑念も出てくるんですね。したがって、ここをもうちょっとやはり明確にしないと、これは逆に、大臣、刑事告発等々の問題だって起こってくるので、ここが何でこういうふうにブラックボックスに、かんでしまっているのかなというのが非常に危惧されるんですね。

 したがって、ここはぜひしっかりと出してもらいたい、こういうふうに思います。

 また、この問題というのは、通常の違法なあっせんを繰り返したということも、やはり基本的な問題はあるんですけれども、隠蔽というこの行為というのは、違法なあっせんをした行為とまた違う次元の事案だと僕は思うんだけれども、大臣、どうでしょうか。

 この点、簡潔に。

松野国務大臣 この隠蔽行為に関しましては、平野先生から御指摘のとおり、教育をつかさどる文科省においてこういった行為がなされたことが、一連の再就職等規制違反に加えてこの隠蔽行為が、国民の皆様からの信頼を著しく失った要因であると考えております。

平野委員 したがって、この問題は、先ほども言いましたように、そういう事実がないのかどうかということをやはりしっかりしておかないと、その隠蔽のところについては何かブラックボックスに入っているんですね。組織的関与はあった、では誰がどういう指示のもとにこの隠蔽工作が行われたというところが全容解明になっていない。この点は、私、一番、文科省にとって、国民の信頼回復を得るについては、こういう事実であったからこういう問題が起こったんだというところを、監督責任、実際の責任者等々を含めて、ここははっきりしてもらわないと、みんな、多分、そのところについては疑念を持っているんだろうというふうに思います。

 教育行政という、やはり国民の皆さん、未来ある子供たちに隠蔽してもいいんだよみたいなことになっちゃうと、これはもう中央で教育行政をやる文科省の資格がなくなるとも思うものですから、ここだけはしっかりと解明をしていただきたいと強く要望をしておきたいと思います。

 二点目でありますが、調査が本当にし尽くされたのか、こういう視点で見たときに、引き継ぎメモ三のところに、文科省職員のOBが再就職している顧問ポストの経過を書いた資料があると記載をされています。

 つい先日の委員会でも、きょうはちょっと手元に出していますが、ほとんどがブラックボックスのこの資料しか配付をしてもらっておりません。これではもう全く、誰がどこへ行っているのかということがよくわからない。こういうことで、ここで少し質問をしたいと思います。これも簡潔にお願いします、次の質問がありますので。

 特に、改めて問いたいが、文科省OBが顧問ポストを持っている保険会社はどことどこなのか、名前を挙げてもらいたい。また、報酬は幾ら取っておられるのか。この点についても、簡潔に御報告をお願いします。

中川政府参考人 今手元に、そちらにお出ししましたように、こちらで違法が認定されたもの、あるいは再就職の届け出がされているもの、それについては把握されておりますが、全体で何社あるとかそのようなものが、公開情報で今手元にはちょっとございません。恐れ入ります。

平野委員 きょう、多分委員の皆さんに配付をしていると思うんです、配付されていますよね。これを見て、皆さんはどう思いますか。ほとんど、前任者云々。私は何が言いたいかというと、今回、違法であるかどうかという御議論のもとに隠れている部分があると思うんですね。今まで、私が政府にいたときもそうでございましたけれども、天下りというのは、指定ポストになっておれば、これは明らかに天下りなんだ、こういうことを認定するんですよという経過であったんですね。

 今回、言われておる部分が違法でないから、これをブラックボックスにして、違うんです、こういうことを言っておりますけれども、明らかに、黒塗りの資料のポストについても指定ポスト化しているというふうに私は理解をしていますが、指定ポスト化していませんか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 特定のポストに代々文部科学省のOBがついていることが問題ではないかという御指摘かと思いますが、生命保険会社等が、今回御指摘の、現職の国家公務員の関与なく、各会社の判断によりまして、文部科学省、どの省でもそうですが、OBを再就職させることそのものは問題はないと理解しております。

 今回の事案では、文部科学省による組織的な関与によって生命保険会社等の顧問ポストに職員OBが継続的に再就職していた点が、やはり組織的な関与、あっせん行為をしたという法違反行為をやることによってついていた点が問題だということでございますので、法令に違反しない再就職が代々続いたとしても、現行法令上は問題がないと認識をしております。

 いずれにしろ、今回の事案の重大性に鑑み、そういったいろいろな違法の疑いのようなものについては、しっかり誤解がないよう対応していく必要がある、こういうふうに考えているところでございます。

平野委員 ちょっとそこは違う。

 過去の、我が政権のときには、私はちょうど官房長官でいました。そのときに、天下りのあり方について、天下りとはどういうことなんだということで、法令的には違っても、道義的には事実上天下りと一緒ではないか、それはいわゆる指定ポストだったんです。

 この黒塗りで見ていると、実態がわからないから、指定ポストなのかどうかというのは見えませんが、高い報酬で明らかに文科省が定例的にこのポストについている、これは事実上天下りなんですよ。それについてもっと解明をしてもらわないと、これは理事会で、私、要求をいたしましたが、委員長、どうだったんですか。

永岡委員長 これについての議論というのはまだなされておりませんが、引き続きまして、理事会にて協議をさせていただきます。

平野委員 委員長、ぜひこれは、ここにはオープンにさせられないというのであれば理事協議の中だけでもいいけれども、明らかにしないと、このままでは非常にグレーな状態があるように私は思えてなりません。提起しておきます。

 それでは、もう時間がないので、次に行きます。

 きょうは、余りこの委員会でも科学技術のことについてやらないものですから、たまには問題提起をしておこうかなと思って、無理やりお願いをいたしました。

 機構並びに規制委員会の田中委員長、お忙しい中、ありがとうございます。改めてお礼を申し上げながら、質問をしたいと思います。

 特に、今回問いたいのは、サイクル政策と高速炉開発と「もんじゅ」との関係について質問をしたいと思うんです。

 高速増殖炉「もんじゅ」は、我が国の核燃サイクルの政策においては根幹を担う施設であったと私も思っておりました。私も、大臣当時、「もんじゅ」の問題についてもいろいろな思いを持っておりましたけれども、高速炉として核種変換あるいは廃棄物の研究等々を行うということで、長い間研究に携わってきた知見あるいは成果を刈り取ろう、こういうことでありましたが、今回の決定は、「もんじゅ」を廃止措置に移行しつつ、高速炉開発、核燃サイクルは継続をするという、この点であります。

 政府からは、「もんじゅ」を廃止しても別のプロジェクトで実証炉の研究開発を進めているので問題はないという趣旨の説明をいただきました。私も、議員活動、さらには担当大臣となったこういう流れの中で、耳を疑いました。実際のプラントである「もんじゅ」を廃止して、原型炉であります「もんじゅ」をフルスロットルで運転もしない、そういう中で次の実証炉に進めるという説明は、私、閣僚にいたときにもそんなことは聞いたことがない。

 マイナスの影響がない、こういうことで進めるという結論を政府が出したということですが、事務方並びに機構の責任者、本当に大丈夫なんですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 「もんじゅ」を運転再開しまして一〇〇%出力の連続サイクル運転を行った場合には、高速炉発電システムの安定性、信頼性の実証、高速増殖炉の運転、保守、規制対応等に関するノウハウの獲得等によりまして、次期実証炉の高度化、安定運転、安全評価、コスト低減等に活用されるデータの獲得が期待されていたところでございます。これらのデータは、主に、今後の実証炉の開発のコストの低減に寄与することが期待されるものでございます。

 これらについて、「もんじゅ」の再開に要する期間や費用、今後の不確実性等に鑑みれば、「もんじゅ」再開によらない新たな方策によって獲得を図る方が合理的であるというふうな結論に至りました。

 その上で、新たな方策によって獲得できないものについては、実証炉の設計裕度の拡大や実証炉の設計、建設、運転の過程で獲得していくこととし、実証炉の開発へ進むことは可能であるというふうに考えているところでございます。

平野委員 質問に答えなさいよ。マイナスの影響はないんですか、こういうことですよ。今、関係なくやれますよという答弁じゃないですか。それは、今まで言ってきたことと、今答弁していることと違うと思うよ。

 機構の理事長、どうですか。

児玉参考人 マイナスの影響はないのかという御質問ですけれども、マイナスの影響がないように今努力をしていくということでございます。

平野委員 それは、機構の理事長としての御答弁としては百点だと思います。

 明らかにマイナスになるんですよ。マイナスにならなければ、何で、研究炉、原型炉、実証炉、商用炉としてこのプロセスを経ていくんですか。

 今回、途中でスキップしても大丈夫なんですという答弁に苦労されている役所に言ってもしようがないです。しようがないんだけれども、明らかに、そんなことは研究開発をしていくプロセスの中でやっちゃいけないことだと、私は強く、やはり担当組織としても担当役所としても、これは政治問題として対処しなきゃいけない問題だと思いますよ。

 したがって、なぜ「もんじゅ」が失敗をするかというと、今のような答弁が出てくるから失敗するんですよ。失敗をやはり正面から見据えることのできない現場の責任者の問題あるいは監督官庁の問題なんですよ。それに加えて、そのことを担当している政治の力のなさなんですよ。これが私、大きな原因が、この「もんじゅ」の失敗の結果だと私は思っています。開発期間の無駄な長期化を生んできた、失敗をもたらした原因はそこにあるんだと思います。したがって、「もんじゅ」を廃止することのマイナスも直視できないこんな答弁が出てくることが一番大きな問題だと思うし、今後の高速炉の開発については、しょせんこれは絵に描いた餅になっていくだろうというふうに私は強く危惧をしております。

 大臣に聞きたい。「もんじゅ」を失うことのマイナス面というのはないですか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 平野先生の御指摘のとおり、当初、文科省といたしましては、「もんじゅ」の再開を目指しておりました。「もんじゅ」の再開によって知見を蓄積して次の段階に移るべきだという考えのもとに準備を進めていたわけでございますが、あの東日本大震災が発災をいたしまして、それによりまして、さまざまな、例えば耐震の基準の問題も含めて環境が変化をいたしまして、当初文科省として考えた、原子力機構として算定をしていた予算よりも大幅な最終的な予算がかかるという状況変化がございました。

 その上において、また、ASTRIDを初め国際関係において進展があったということでございまして、それらを総合的に考えて、期間の面また予算の面を考えたときに、「もんじゅ」の再開を選択するよりも、他の案件によってその知見を蓄える方が合理的であろうかという考え方の上において今回の決断がなされたということでございます。

平野委員 いや、「もんじゅ」を廃止して核燃サイクル並びに高速炉はやめるというんだったら、私はある意味、政治判断だと思うんだけれども、「もんじゅ」を廃止して高速炉の開発ができるんだと、フランスのことを述べられました。フランスだって、これはわかりませんよ、フランスが前向きに進んでいるというふうに思いますか、私はそうは思いません。

 したがって、私は、このことが、原子力の問題を含めて、将来的に人材を失っていくことにつながっていくということに対する危機感を実は持っております。したがって、「もんじゅ」の廃止措置等々については、やはり利活用という政府の方針もあります。機構においても、「もんじゅ」以外に多数の廃止すべき施設がたくさんあるわけであります。したがって、この予算をやはりしっかり確保するということと同時に、人材をいかに確保するか、少しでも研究の成果を回収する、こういうことに努めていくというのは松野大臣も発言をされておられました。

永岡委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

平野委員 了解しました。あと一言だけ。

 きょうは、規制委員長、田中委員長に来ていただいています。田中委員長には、私、一年前にここで、新しい運営主体を示すよう勧告ということを質問いたしましたが、規制委員会としてののりを越えておるんじゃないかということを申し上げました。

 後日の記者会見の場で、選択肢として除外されないという修正した記者会見が実はあるんですが、事実関係はどうなんですか。

 もう一度簡潔に。いいですか、委員長。ごめんなさい。

永岡委員長 手短にお願いいたします。

平野委員 はい。規制委員会がその勧告をしたときに、のりを越えて「もんじゅ」の廃炉を求めるのかということを、私、この委員会で一年前に聞いたんですね。ところが、そんな廃炉を求めるという立場にはありませんと言われたけれども、委員長は、その判断を、後日の記者会見の場で、選択肢としては除外されないと修正された、こういうふうに聞いたものですから、ここでの言われた答弁と食い違っているんではないかということなんですが、その真意は、委員長、どうなんでしょう。

永岡委員長 申しわけございません。時間が来ておりますので、手短によろしくお願いいたします。

田中政府特別補佐人 まず、「もんじゅ」についての勧告のことですけれども、「もんじゅ」に限らず、原子力施設を預かる事業者は、保安検査をきちっとやって安全確保をするということは最低限の義務です。そのことが繰り返し繰り返しできないということで、それでその資質、原子力事業者としての資質を問うたのが勧告の趣旨です。

 私どもとしては、できるだけ科学的、中立的にいろいろな審査を進め、規制を進めていますけれども、そういう観点から見て、今のままでは、原子力機構は、「もんじゅ」という非常に大きな、試験研究開発段階の炉とはいえ、発電炉に匹敵するような、かつ高速増殖炉という非常に潜在的なリスクの大きなものを運転していくことについて、私どもは、国民から負託された安全確保の義務を果たすことができないということで勧告に至ったものであります。

 ですから、それを踏まえて、文部科学省、経済産業省等でいろいろ議論していただいて、政府の見解として廃炉に至ったものというふうに理解しております。

平野委員 ありがとうございました。

 ちょっとこれはまた議論を私はしたいんですが、終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 次に、大平喜信君。

大平委員 日本共産党の大平喜信です。

 教育勅語についてきょうは伺いたいと思います。

 まず、文部科学省の教育勅語についてのそもそもの立場について確認をしたいと思います。

 一九四八年の六月十九日、衆議院本会議で全会一致で可決をされた、先ほどもありました教育勅語等排除に関する決議について、この間さまざまな場で取り上げておられますが、文科省はそれを承知しているということを繰り返しておられます。

 そこで伺いたいのは、この本会議で同決議が可決したことを受けて、森戸辰男文部大臣が発言をしております。その冒頭で何と言っておられるか、御紹介いただけますか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 読み上げさせていただきます。

 昭和二十三年六月十九日の衆議院本会議におきまして、当時の森戸文部大臣は、

  敗戦後の日本は、国民教育の指導理念として民主主義と平和主義とを高く掲げましたが、同時に、これと矛盾せる教育勅語その他の詔勅に対しましては、教育上の指導原理たる性格を否定してきたのであります。このことは、新憲法の制定、それに基く教育基本法並びに学校教育法の制定によつて、法制上明確にされました。本院のこのたびの決議によつて、あらためてこの事実を確認闡明せられましたことは、まことにごもつともな次第であります。この際私は、この問題に関しまして文政当局のとつてきました措置と、本決議に含まれた要請に処する決意とを申し上げたいと存ずるのであります。

と発言をしております。

大平委員 大臣に伺います。

 今読み上げられたこの内容は、今日においても同様の立場だということで間違いありませんか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 教育勅語については、昭和二十三年六月十九日の衆議院本会議において、当時の森戸文部大臣が、「教育勅語その他の詔勅に対しましては、教育上の指導原理たる性格を否定してきたのであります。このことは、新憲法の制定、それに基く教育基本法並びに学校教育法の制定によつて、法制上明確にされました。」と発言しているとおりであると考えております。

大平委員 今も同様の立場だと確認いたしました。

 森戸大臣は、敗戦後の日本は、国民教育の指導理念として民主主義と平和主義とを高く掲げ、これと矛盾せる教育勅語を否定してきたと述べました。

 大臣に伺います。

 つまり、当然、教育勅語は現行日本国憲法とは相入れないものだということ、この理解で間違いありませんか。

松野国務大臣 教育勅語については、日本国憲法及び教育基本法の制定等をもって、法制上の効力が喪失をしております。学校において、教育勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切でございますが、憲法や教育基本法等に反しないような形で教育勅語を教材として用いることまでは否定されることではないと考えております。

大平委員 例の答弁書を大臣は読み上げられたというふうに思いますが、法制上の効力が喪失しているということは先ほど伺いましたが、現行日本国憲法とは相入れないものだというこの理解で間違いないかということを聞いております。

松野国務大臣 先生の相入れないという表現が、どういった趣旨に理解すればいいか、ちょっと私の方でも整理がつきませんが、文部科学省としての立場は、教育勅語において、日本国憲法や教育基本法の制定をもって法制上の効力が喪失をしている、法制上の文章ではなく一般的な文章であるという認識であるということでございます。

大平委員 衆議院で全会一致で可決された決議では、教育勅語の根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている事実は、明らかに基本的人権を損ない、かつ国際信義に対して疑点を残すものとなる、よって憲法九十八条の本旨に従い、これを排除すると述べておられます。そして、それに答えて、森戸大臣も、「本決議に含まれた要請に処する決意とを申し上げたい」、先ほど局長に読み上げていただいたこのことを述べた。そして、それは今も同様だという大臣の御答弁でもあったと思います。

 私は、当然、現行日本国憲法と教育勅語というのは相入れるものではないことは明らかだというふうに思います。

 さらに、森戸辰男大臣は、発言の中で続けて、次のようにも述べております。「教育勅語は、教育上の指導原理としては、法制上はもちろん、行政上にも、思想上にも、その効力を喪失いたしておるのであります。」

 大臣、ここで森戸大臣が言われている、教育勅語は、法制上はもちろん、思想上にもその効力を喪失いたしておるというのは、どういう意味だということでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 当時の森戸文部大臣は、御指摘の衆議院本会議において、「思想的に見まして、教育勅語は明治憲法を思想的背景といたしておるものでありますから、その基調において新憲法の精神に合致しがたいものであることは明らかであります。」と発言をしており、このことを指しているものと考えております。

大平委員 新憲法に合致しないものだということだという御答弁でした。

 この間、政府は、教育勅語は、日本国憲法及び教育基本法の制定等をもって法制上の効力が喪失していると、先ほども大臣おっしゃられました、繰り返し答弁をされていますが、先ほどもあったとおり、森戸文部大臣は、法制上はもちろん、それだけではなく思想上においても効力を喪失していると述べ、その意味は、今大臣が御説明があったとおりだというふうに思います。

 法制上も効力を失い、思想上も効力を失って、国民主権を掲げる日本国憲法の精神とは全く相入れないものであるということが、こうした森戸大臣の発言からも何重にも語られているのであります。

 そこで伺います。

 それにもかかわらず、松野大臣は、四月三日、我が党の宮本徹議員が、教育勅語の中にどこか一カ所でも憲法に反しない部分があるのかと質問したのに対して、どの部分が憲法に反するか反しないかに関しての判断を文部科学省においてするものではないというふうに答弁をされました。

 教育勅語は現行憲法に全て反すると私は思うわけですが、これが衆議院の決議と、そして森戸大臣の発言の趣旨ではなかったかと思うわけですが、大臣の御答弁との整合性、どういうことなんでしょうか。

松野国務大臣 御指摘の答弁の趣旨は、教育勅語は日本国憲法及び教育基本法の制定等をもって法制上の効力が喪失をしておりますので、既に法制上の効力を持たない教育勅語のどの部分が憲法に反するか反しないかは、文部科学省において判断するものではないという趣旨で答弁をさせていただいたものでございます。

大平委員 なぜ判断しないんですか。

 森戸大臣も、繰り返しになりますが、はっきりと、敗戦後の日本は、国民教育の指導理念として民主主義と平和主義とを高く掲げ、これと矛盾せる教育勅語を否定してきたと述べており、そして、文部科学省としても今もその立場だと、今大臣、答弁したではありませんか。はっきりお答えいただきたい。

松野国務大臣 先般の政府の答弁書並びに私が繰り返している答弁の趣旨は、文部科学省として、または政府として、教材として用いる対象について適切な対応の仕方であれば否定するものではない、ポイントは、その教材をもっていかなる教育がなされるか、どんなことを伝えるためにこれが用いられているか、そしてその伝える内容が憲法や教育基本法の趣旨に反していないかどうか、これをもって適切か否かを判断するということの趣旨において答弁をさせていただいたものでございます。

大平委員 その問題は、私、また後に伺いたいと思っているんです。

 つまり、文部科学省としての立場として、教育基本法、憲法に反するのか反しないのかといったときに、これまで確認してきたように、森戸大臣も、現行日本国憲法の精神と矛盾する教育勅語を否定してきたと述べている。なぜこれが松野大臣の口から確認がされないのか私はわからないんですけれども、明らかに矛盾しているというふうに思うんですね。

 さらに伺いたいんですが、二月の二十三日、衆議院の予算委員会の第一分科会で、民進党の辻元清美衆議院議員の質問に対する文部科学省の藤江審議官の答弁では、教育勅語の内容の中には今日でも通用するような普遍的な内容も含まれていると述べています。

 これは、大臣、先ほどの四月三日の宮本議員に対する、質問で述べた、憲法に反する反しないは文部科学省として判断しない、これは、藤江審議官の答弁は判断しているんじゃないですか。矛盾していませんか。

松野国務大臣 お尋ねの藤江審議官の発言は、教育勅語の中にある、夫婦相和し、もしくは朋友相信じなどが今日でも通用する内容、これは学習指導要領の中においても言及をされている内容の方向であるという趣旨で答弁をされたものと考えております。

大平委員 まさにその点に、私は、今多くの国民の皆さんの疑念や不安、そして反発が広がっているというふうに思うわけです。

 藤江審議官は、さらに続けて、次のように述べています。先ほども大臣からありましたけれども、こうした内容に着目して適切な配慮のもとに活用していくことは差し支えない、こういうふうに述べています。

 加えて、この間、菅官房長官も、四月三日の記者会見におきまして、次のように述べております。

 教育勅語には、親を大切にするとか、兄弟、姉妹が仲よくするとか、友達はお互いに信じ合うなどといった項目もあることも事実でありまして、憲法や教育基本法に反しないような適切な配慮のもとで取り扱うことまで否定することはないというふうに述べています。

 そして、先ほど大臣もおっしゃった、三月三十一日、政府答弁書の閣議決定で、「憲法や教育基本法等に反しないような形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されることではない」という答弁書を閣議決定いたしました。

 これが国民の大きな波紋を呼び、例えば読売新聞の四月六日付の社説でも、道徳などで教育勅語を規範とするような指導をすることは厳に慎まなければならないと述べられているように、この閣議決定によって、全国で教育勅語の乱用が起こるのではないか、あの森友学園の幼稚園で行われたような教育勅語の暗唱などということまで含めて容認をされ、乱用が起こるのではないか、こういう国民の大きな不安や疑念が広がっているというふうに私は思います。

 大臣はこの間、先ほどの答弁でもありました、この政府答弁書、閣議決定の趣旨は、教え方、扱い方がポイントだと繰り返されておられます。そうであるならば、国民の不安や疑念の大もとになっている、例えば藤江審議官の先ほどの発言や、あるいは菅官房長官が述べた、教育勅語には今日でも通用する内容があり、配慮すれば、それを教えるのに活用することは問題ない、こういう趣旨の発言は撤回すべきじゃないかというふうに私は思うわけですが、大臣、いかがですか。

松野国務大臣 先ほど申し上げたとおり、個々の藤江審議官が挙げた内容に関しては、教育勅語の中にあってということよりも、この個々、単体の考え方、思想として、家族観の問題、また友情に関する問題、こういったことは今日の学習指導要領においても言及をされていることだという点において述べられたものであるというふうに認識をしているところであります。

大平委員 大臣は、個々の中に述べられてあることを取り上げて言っているものだと思う、そういう趣旨の御答弁だったかというふうに思います。

 そこで伺います。

 教育勅語の中にある友情とかあるいは家族とか、そういうことに関する部分を取り出して教材に活用するというやり方が本当に通用するのか、許されるのかというこの問題を、歴史に振り返りながら私は質問していきたいというふうに思います。

 きょう、私、ここに、戦前、一九三七年に文部省が編集、発行した「国体の本義」という書物のコピーを持ってまいりました。私も今回、改めてその内容を学ばせていただきました。国体とは何かということが詳細に書かれてあるものであります。その中で、教育勅語についてどのように述べられているか。

 政府参考人、教育勅語についてというところを読み上げていただけますか。

有松政府参考人 私、「国体の本義」について、手元に持っておりますけれども、忠についてということのお問い合わせをいただいておりましたので、忠について、「国体の本義」におきまして、忠は、天皇を中心とし奉り、天皇に随順する道であるということを申し上げたいと思いますけれども、ちょっと教育勅語の部分については、この中で探してみたいと思います。

大平委員 四十一ページの、「畏くも「教育ニ関スル勅語」に示し給うた如く、」という部分ですよ。そこを読み上げていただきたい。

有松政府参考人 大変失礼いたしました。その部分を読み上げさせていただきます。

 「忠は、国民各自が常時その分を竭くし、忠実にその職務を励むことによつて実現せられる。畏くも「教育ニ関スル勅語」に示し給うた如く、独り一旦緩急ある場合に義勇公に奉ずるのみならず、」云々ということでございます。

大平委員 「国体の本義」では、今読み上げていただきました「畏くも「教育ニ関スル勅語」に示し給うた如く、」から始まり、「父母に孝に、」と、いわゆるこの間言われております十二の徳目を紹介した上で、「皆これ、大御心に応え奉り、天業の恢弘を扶翼し奉る所以であり、悉く忠の道である。」と述べております。つまり、列挙をされた徳目は全て、ことごとく忠の道そのものであるということが、この文部省の「国体の本義」の中で書かれてある。

 ここで言う忠の道ということは何を指していますか。これもはっきり書いております。御紹介してください。

有松政府参考人 大変失礼いたしました。

 その忠について、「忠は、天皇を中心とし奉り、天皇に絶対随順する道である。」と記載されております。

大平委員 つまり、この文部省の「国体の本義」の中では、親を大切にするとか、兄弟姉妹が仲よくするとか、友達はお互いに信じ合う、こういうことを言った徳目は全て、ことごとく忠の道、先ほど政府参考人から紹介していただきました、忠の道とは、天皇に絶対随順する道であるという、ここにつながる。

 そういうものとして教え込まれてきたから、もう一度、冒頭に紹介をした一九四八年の排除決議の趣旨に戻りたいと私は思うんですが、その趣旨弁明に立った松本議員は、その痛苦の経験を踏まえて、部分的に取り出して活用することも許されない、この立場で、趣旨弁明の中において次のように述べたのであります。

 「教育勅語の内容におきましては、部分的には真理性を認めるのであります。それを教育勅語のわくから切り離して考えるときには真理性を認めるのでありますけれども、勅語というわくの中にあります以上は、その勅語そのものがもつところの根本原理を、われわれとしては現在認めることができないという観点をもつものであります。それが憲法第九十八条にも副わないゆえんでありまするので、この際この条規に反する点を認めまして、われわれはこの教育勅語を廃止する必要があると考えざるを得ない」、このように松本議員は述べたのであります。

 いわゆる部分的評価論についても厳しく否定をしたのであり、それを受けて、冒頭紹介しました森戸文部大臣も、「本決議に含まれた要請に処する決意とを申し上げたい」と答えたのであります。

 松野大臣、改めて、こうした歴史を踏まえれば、教育勅語全体はもちろん、部分であっても、肯定的に活用するなどということは決してあってはならない、いかがですか。

松野国務大臣 私がこれまで答弁をさせていただいたことは、部分として取り上げればいいとか、全体がだめだとか、そういった議論をしてきておりません。

 もちろん、私から委員に反問権がないのは重々承知をしておりますが、より議論を整理して、私の方も正しく答弁をさせていただくために事例を挙げさせていただきますと、例えば、中学校や高校の歴史、公民、倫理等の教科書において、既に、もちろんこれは検定を終えた正式な教科書でございますが、それが今、学校現場で使用されております。これをもってどう捉えるかということもあります。

 これは当然、今までも繰り返し答弁させていただいておりますが、何を教材として選択するのか、これは学校教育法上において、一義的にその教師と学校長の当然の裁量に委ねられるものだというふうにあるわけであります。

 ですから、私が今まで申し上げたものは、教育勅語の精神を教えるために用いるとか用いないとかということではありません。一つの教材を取り上げて教師がどういったことを伝えようとするかに関しては教員の裁量に委ねられるべきものだ、そして、それが憲法や教育基本法の精神に照らし合わせて適切でないという判断をするのは所轄庁や所管庁であるということを再三繰り返し申し上げているとおりでありまして、先ほど来先生の方でお話をいただいている、趣旨を子供たちに伝えるためにこれを使っていいとかいけないとかという議論をしているわけではないということは御理解をいただければと思います。

大平委員 三月三十一日の政府の答弁書が出てから、国民の皆さんの中に大きな不安、疑念、反発が生まれております。

 先ほどの大臣の答弁もありました。私は、一般的な教材であれば、この間繰り返し大臣がおっしゃっておられます、どの教材を使うのかは学校教育において学校現場の責任と判断だ、そういう趣旨の答弁を大臣はおっしゃっておられると思います。あの趣旨は、私も、その点、一般的な教材であればそのとおりだというふうに思います。しかし、事は教育勅語です。私は、決して一般論で済ませられる話ではないというふうに思うわけですね。

 きょう一つ一つ確認してきたように、日本国憲法に相反し、法制上も思想上も効力を失っている。国会で全会一致で明確に排除されたものだ。大臣、これを一般的な教材と横並びに扱うことは私はできないんじゃないかと思うわけですが、いかがですか。

松野国務大臣 私が先生のお話をよく理解していないのかもしれませんが、先ほど申し上げたとおり、もう既に、中学校、高校においての教科書において、教育勅語は全文またはその一部、要約の形等々で教材として使用されているわけでございます。

 委員のお話から私が推測するにということであれば、この教科書は使用ができないということになるのかもしれませんが、例えば歴史教育であるとか、そういった教育以外の部分においても、一定の教材を提示して、その教材自体が憲法の趣旨に反する内容を書いてあるものであっても、それを教師が教材と提示して、これは現行憲法の例えば基本的人権であるとか主権在民であるとか、そういったことに反している内容が書かれているけれども、これについてどう皆さん方が考えるか、そういった教育のしようはあるんだろうというふうに思います。

 そういったことまで教員が用いて教えてはならないというようなことを文部科学省として申し上げる立場にないということを繰り返しお話しさせていただいているわけでありまして、決して、私や政府が、道徳等の教材に教育勅語を推奨しているというようなことは全くございません。

大平委員 私は、今の大臣の答弁の趣旨でいいますと、教育勅語で子供たちに伝えるべきは、例えば、歴史や公民の授業などで、教育勅語というのは、その内容そのものですけれども、一大事が起これば一身をささげて皇室国家のために尽くせということが書いてあるんだというこの事実。あるいは、それを戦前子供たちに教え込んで、戦争へと駆り立てていったそういう歴史の事実。そして、冒頭確認をしましたけれども、それが戦後の日本において、戦後の日本社会は、それを明確に排除した日本国憲法のもと、国民主権、基本的人権、恒久平和主義という新しい原則が確立をされて再出発されたというこの歴史の事実。そういうことに教育勅語はあったんだということを教えるということは私は理解しています。

 この政府答弁書の趣旨はそういうことを言っているということは間違いないですね。

松野国務大臣 先般来、また本日も繰り返し答弁させていただいているとおり、政府答弁書、また私の答弁においてお話をさせていただいていることは、その教材自体がどうかということではなくて、その教材を通して何を伝えるかということが重要である。ですから、教室現場においていかなる教材を用いようとも、そこから導き出される教育の目的が憲法や教育基本法の原則に反するものであれば、それは当然適切でないという考え方でございます。

大平委員 親を大切にするとか、兄弟姉妹が仲よくするとか、友達はお互いに信じ合おうということ、こういうことを子供たちに伝えよう、教えようと思えば、教育勅語以外でも幾らでもそのことを伝える資料や教材がありますよね。例えば道徳の教科などでそれを伝えるのに、教育勅語である必要は全くない、どころか、きょう、ずっと歴史もたどってきましたけれども、そもそも、日本国憲法に相反するこの教育勅語を、憲法に反しない形で肯定的に扱うということがあり得るのかと私は思うわけですけれども、いかがですか、大臣。

松野国務大臣 例えば、先ほど来先生の方から戦前の教育のありようについて言及がありました。そして、その戦前の教育のあり方の根本原理として用いられたのが教育勅語であります。そういった戦前の教育に関する、先生は、戦前の教育に関してこういった問題点があるというお話をされたんだと思いますが、その内容を理解するために、その根本原理とされた教育勅語がこういったものであったということを教材として使用することは、私は全く問題がないというふうに考えております。

大平委員 私は、教育勅語の教材としての活用の仕方というのは、今大臣がおっしゃった、あるいは例示として私が今紹介しました、そういう形で紹介する以外にあり得ないというふうに思うわけです。

 この間、菅官房長官も記者会見でおっしゃいましたし、それが今、国民の大きな不安や疑念の原因になっているわけです。道徳の教科においてこういう徳目を取り出して教えるということなどがあってはならないということが、大きな国民の不安や批判の的になっているわけです。

 私は重ねて申し上げたい。日本国憲法に反する教育勅語、国会で全会一致において決議をされた、そうした趣旨からも、そしてそれに答えた文部省の、大臣の御先輩である森戸文部大臣からも、この決議の趣旨に、その実行に資する決意だ、こういう高らかな決意が語られた。

 法制上も思想上も効力を失った教育勅語をそういう形で、学校において、教育現場において活用するということは決してあってはならないということを私は重ねて申し上げまして、きょうの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

永岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

永岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久です。

 本日は、教育無償化についてから質問させていただきます。

 くしくも、本日、日本維新の会に教育無償化PTが立ち上がりました。そもそも教育無償化に関しましては、我が党は憲法の、我々が提唱している改正要件の三項目の中の一つとして教育無償化を挙げているわけなんですけれども、今回は、憲法改正の議論は文科委員会なのでしませんけれども、何のためにPTが立ち上がったかというと、やはり所要額や財源のことをきちっとそろそろ議論する時期だろうということです。

 そこでまず、現在文部科学省が進めている教育無償化の現状についてお伺いします。

 現在の無償化の範囲と今後の見通しについて、所要額や財源など議論で決まっていることがあればお教えください。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 誰もが家庭の経済事情に左右されることなく希望する質の高い教育を受けられることは大変重要です。

 このため、幼児期から高等教育段階まで切れ目のない形での教育費負担軽減として、平成二十九年度予算においては、特に、幼児教育無償化に向けた取り組みの段階的推進、高校生等奨学給付金の充実、大学等における授業料減免等や給付型奨学金の創設を含めた大学等奨学金事業の充実等に必要な経費を盛り込んでいるところであります。

 今後とも、必要な財源を確保しつつ、教育費負担軽減に向けた取り組みをしっかりと進めてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 大臣の御答弁の中にもやはり財源の話もありましたし、幼児教育から高等教育まで進めていくことに政府も与野党との意見の違いはないかとは思っております。どの段階で、どの程度のステップで無償化を実施していくかという違いだけだと思うんです。

 我々、地方自治と国全体でしたらやはり規模も違うとは思うんですけれども、仮にゼロ歳から大学院まで、高等教育というのは大学院までということで解釈しているんですけれども、そういった場合、授業料を無償化すると、やはり五兆円の財源が必要になってくる。この五兆円をいかに確保するか。

 また大阪府の話に戻りますけれども、大阪府では、高校の授業料の無償化制度を実現いたしまして、私立高校を無償化した。しかしながら、やはり無償化の範囲にもキャップを設けまして、学校の授業料は年間五十八万円までとして、それを超える部分については有償、そういう制度設計になりました。

 加えて、大阪府でなく市では、幼児教育の無償化に取り組みまして、平成二十八年度より五歳児の無償化を実施し、二十九年度からは四歳児を対象にして、認可外施設に通う幼児も対象にして、無償化を実現しました。

 やはり規模の違いがありますので、五兆円の財源で、我々は、もちろん身を切る改革を実行して、いわゆる行財政改革を行うと主張しているんですけれども、公務員の皆さん、地方公務員の皆さんの給料削減となると、各首長さんもいてはるわけで、なかなかそう簡単にはいかない。しかしながら、いわゆる増税という、そういった方法をとるべきでないというのが我々の主張なんです。

 くしくも、二日前、天下りに関する最終報告に対しての質疑があったわけなんですけれども、もう一つの財源確保の方法として、天下り法人への交付金、補助金の削減も検討すべき時期ではないかというところですね。

 質疑時間の関係もありまして、五十分の質疑時間で、最終的な我々の提案というのは提案し切れなかったんですけれども、やはり問題は、今回天下りで処罰されたのはあくまでも現役の国家公務員でありまして、組織ぐるみで不当な天下りが明らかになっている大学などへの私学助成金もまた見直すべきじゃないか。こういった天下りに関しての規制を財源を確保する上で考慮するというのも、やはり処罰を受けた人、受けていない人がいる不公平感もなくなり、国民に理解をしてもらう、また再発防止の大きな抑止力にもなり得ると考えております。

 こういった提案というのは日本維新の会の幾つかの提案の一つなんですけれども、こういった教育無償化の完全実施の提案に関して、大臣にもう一度、ちょっと踏み込んだ御答弁をいただければと思います。

松野国務大臣 無償化全般に関してというお話でございますか。

 先ほど、現状の文部科学省の取り組み、平成二十九年度予算についてお話をさせていただきました。教育費負担を軽減することは極めて重要なことだと考えておりますし、何よりも、それぞれの家計収入によって子供たちの学ぶ権利が制限されることがあってはならないと考えております。

 無償化につきましては、これはもうかねてより申し上げていますとおり、財源との関係がございますので、まず国民の皆さんに、教育は未来への先行投資である、そして、もちろん個人の人生を充実させるためでもありますが、社会全体に対しても大きな貢献をし得る投資となるということを御理解いただくためにも、国会において各党各会派で御議論をいただき、その設計でありますとかまた財源の問題であるとかも引き続き活発な話し合いをしていただければと考えております。

伊東(信)委員 大臣から財源の確保が必要ということを強調していただきましたので、我々の党の教育PTも本日始まったばかりで、こういった財源の問題もいろいろ検討、提案させていただきますので、ぜひとも与野党超えて、政府一丸となってこの問題を解決していければと思います。

 それでは、残された時間でアンチドーピングに関して、ドーピング違反に関してお話をさせていただきたいと思います。

 さて、くしくも、本日午前中に坂本祐之輔議員の方から、青少年の行き過ぎたトレーニングのお話をされていました。実は、こういった問題も、ひいてはドーピングとかこういったことにもつながっていくのではないかなと感じました。

 坂本議員は、いわゆる長距離とか持久力を必要とするアスリートが鉄剤を飲んだりすると。実際は、この鉄剤自体は、そんなにも効果としては、持久力の向上にはつながりません。鉄欠乏性の貧血にのみ効くような薬剤ですので、こういった間違えたうわさというか、間違えた考えが青少年の中に、青少年のスポーツ選手、スポーツを楽しむ選手から一流選手まであるというのは本当に悲しいお話です。

 そこで、やはり思い出すのは、今ドーピングのワーキングチームができておりまして、その中でも話が出たんですけれども、同じく持久力を必要とするプロの自転車選手のタイラー・ハミルトンさん、二〇〇四年ではアテネのオリンピックの金メダリストでしたけれども、この方がドーピングにひっかかってしまいました。

 実は、エリスロポエチンという物質がありまして、これは人間の体の中にもございまして、造血剤、つまり血をつくるための、完璧なるホルモンというわけじゃないんですけれども、それに近い物質でして、もちろんエリスロポエチンを使うというのはドーピング違反にかかります。

 このハミルトン選手がどういった方法を使っていたかというと、まず、エリスロポエチンを服用して血液の量をふやして、自分の血をとって、ふえた血液を輸血しているわけです。だから、自分の血液だからドーピング検査にひっかからなかったんですね。そのときにエリスロポエチン自体の残留が出なかったわけです。

 ハミルトン選手が果たしてそんな知恵などあろうはずはありませんね。つまりは、私自身、このドーピング検査のことをなぜに、自分自身がドーピング検査員だったからというのもあるんですけれども、やはりドーピング違反を厳しく取り締まるのは、厳しくすると選手がかわいそうだという間違った考えもあるわけですね。これは選手自身の体を壊す結果になるというのは、午前中の坂本先生の話にもだんだん派生していった話だと思うんですけれども。

 例えばお金の問題とか、やはりオリンピックというのはテレビとかいろいろなところで宣伝もされますし、ワールドカップとか国際試合もそうです、こういったところで周りの人間がこういったことをするわけです。このハミルトン選手も、チームの医師が関与して、ドーピングするスケジューリングまで調整したそうです。

 こういった選手の周りの人間をアントラージュという言い方をします。昨年のリオ・オリンピック、二〇〇八年の北京オリンピックの四百メートルリレーの金メダルが剥奪になるという残念な事例もございまして、日本の二〇一九年のワールドカップ、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックではこのようなことが決して起こってほしくないという思いも込めまして、アントラージュというのはどのような方々が該当するのか、まずスポーツ庁より御説明をお願いいたします。

高橋政府参考人 今先生から御指摘いただきましたアントラージュ、フランス語で取り巻くという意味でございますが、世界アンチ・ドーピング規程においてはサポートスタッフのことを指しておりまして、「スポーツ競技会に参加し、又は、そのための準備を行う競技者と共に行動し、治療を行い、又は、支援を行う」、具体的には、「指導者、トレーナー、監督、代理人、チームスタッフ、オフィシャル、医療従事者、親又はその他の人をいう。」と定義をされております。

 現在文部科学省におきましては、日本アンチ・ドーピング機構、JADAに委託をいたしまして、アスリートのみならずサポートスタッフが参加できる研修会を実施するとともに、サポートスタッフを対象としたリーフレットを作成するなど、アントラージュに対するアンチドーピング教育も推進しているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 このようにかなり広範囲なんですよ。私のように医療従事者もおれば、医師もおれば、いわゆるトレーナーもいてる。そして、学校に所属していれば、その学校の先生もおれば、親兄弟、親戚もいるわけで、かなり広範囲の人を対象にしなければいけないわけです。つまりは、ドーピング違反を未然に防ぐ抑止力とするためにも実は取り締まりに関する法律が必要なんですけれども、こういった法律が今の日本にはないのが現状なので、私は本当に危機感を感じているわけなんです。

 余り取り締まりという言葉を言葉に出すと、対象のスポーツ選手に対してそれはどうかというような意見も出るとは思うんですけれども、これはあくまでもスポーツ選手じゃなくて周りの人間を抑止するということで考えていただきたいわけなんですけれども、そういった上では、行政機関の情報共有というのは必要でございます。しかし、共有を認める根拠という法律がないため、この対策が現在の日本ではとれていません。

 それで、総務省にお伺いするんですけれども、行政機関から行政機関へ保有している個人情報を提供する際の規制といいますか、その要件を御説明ください。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 行政機関個人情報保護法上、行政機関が保有個人情報を利用目的以外の目的のために第三者に提供することは原則として禁止されております。ただし、例外的に他の行政機関に提供できる場合が、同法の第八条で三つほど定められております。

 一つは、法令に基づく場合。すなわち、他の法令において特定の目的のための行政機関間の情報提供について定められている場合。これが一つでございます。次に、本人の同意がある場合。それから三番目に、保有個人情報の提供を受ける行政機関が、法令の定める事務または事業の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、その個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。この三つの場合に、例外的に他の行政機関に保有個人情報を提供することが可能となっております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 本人の同意がある場合というのは、ドーピング検査の場合、本人に関しては、いわゆる契約というのがなされているわけでして、団体との契約をしている。その団体がドーピング検査をするということに同意をしてもらっているわけなんですね。問題になるのは、三番目の要件の中にもありましたけれども、情報の取り扱いというところが問題になるわけです。

 つまりは、こういったことを突き詰めていくと、個人情報は一体どうなるのか、その個人情報が万が一漏えいした場合はどうなるのかという話になります。

 以前、この文部科学委員会での質問の中で、丸川オリパラ大臣に、リオのオリンピックに対して、いわゆるTUE、治療使用特例というのがありまして、例えばぜんそくでどうしてもステロイドの吸入が必要な場合、それを事前に医師の診断書に基づいて申請をする、そのTUEの情報が、個人情報が流れてしまったという質疑をさせていただいたわけなんですけれども、その情報を管理しているのが、WADAが管理しているADAMSというシステムなわけなんです。このADAMSは、自分たちの居どころ情報も登録しているわけなんですね。自分たちの居どころ情報も登録しているし、TUEという自分の医療情報も登録している。

 ビッグデータが進んでいったりとかクラウドのシステムが進んでいくと、どうしても一元管理になるということで、これは、サイバーセキュリティーという問題では、サイバーテロで大会を妨害する事案も想定されるわけなんですけれども、その対策の進捗状況や対応の重要度に対して丸川大臣から御説明をお願いいたします。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 前回、委員に御質問いただいて、我々も改めてWADAと連携をとることは非常に重要だという認識を持ちまして、御承知のとおり、ADAMSを管理しているWADAが海外に本部がありますので、我々が直接法律でどうというようなことはできないのですが、どういう連携ができるかということについて今いろいろと検討している段階でありまして、いずれかの形で、大会開催国としてしっかりWADAと連携をとって、情報セキュリティーの高度化が図れるように取り組んでまいりたいと思っております。

 加えて、JADAに関して言えば、JADAのみならずJOCまたJPCとも情報セキュリティーの関係について状況をお聞かせいただく機会を持ちまして、今後さらに、情報共有また対処体制への参画も念頭に、各団体における対策の現状確認を進めさせていただきたいという意思を我々は持っております。専任の職員を配置するなどのアドバイスもやっていければと思っておりますので、引き続き取り組んでまいります。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 実は、今回、御認識の点で確認しておきたかったことは、この情報自体はWADAが管理している、プラス、それとは別組織として日本のアンチ・ドーピング機構、JADAがある。このWADAとJADAの区別自体をちゃんと対策としてわかっておられるかということをお聞きしたかったことも一つです。

 といいますのは、ロシアのハッカー集団が、例えばシモン・バイルスという体操女子選手がいてるんですけれども、そのTUE情報をハッキングして得たわけなんですね。

 それとは別に、JADAの検査のシステムとして、我々が抜き打ち検査をするときに、そのADAMSを見て、例えば、きょうだったら、きょうの昼の三時から四時には必ず合宿所にいてるという情報がそこに載っているわけなんです。いわゆる検査対象登録リストアスリート、RTPAというんですけれども、これはJADAへ提出するわけなんです。

 こういったことを一つ一つ個別の例として、セキュリティー対策というのが、今後、オリンピック・パラリンピックでも大事になってくると思いますので、ラグビーワールドカップに関しては松野文科大臣と関連していると思いますので、またそういった点も、これは通告していませんので質問しませんので、よろしくお願いいたします。

 私がもとやっていたドーピング検査員というのは、本当に検査をするだけなんですね。ただ、その検査の厳密さというのが大事なので、二年間の研修期間と試験を受けるわけなんですけれども、もちろん、私自身、国会議員になって二年間の研修が確保できないので、今その資格を失っていまして、個人情報も全く入ってこない状態になっております。いわゆるIDから何から全部変えられていますし、全てのものを没収されております。

 しかしながら、逆に、二〇二〇年大会に必要とされる検査員の確保及び質の向上というのは、これからのドーピング検査に向けて、オリパラに向けて非常に大事だと思うんですけれども、検査員の確保及び質の向上に対して、今の進捗ぐあいというのを教えていただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、ドーピング検査員の資格を有する者は国内に約三百十名おります。東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けては、組織委員会と日本アンチ・ドーピング機構により、さらに百五十名の増員が必要ということで、その増員の計画が行われております。

 この人材確保の計画を進めるために、今年度から本格的にこの計画を実行することとしていまして、その育成の主体となる日本アンチ・ドーピング機構、JADAにおいては、専門職員を配置して体制を強化したと伺っております。

 文部科学省といたしましても、計画どおりにこの人材確保が進むように、平成二十九年度のアンチドーピング関連予算、その中での人材育成部分につきましては、二十八年度の約二千九百万円から約六千六百万円、二倍以上に増額をして、その支援をすることとしております。

 今後とも、東京大会がドーピングのないクリーンな大会となるように、組織委員会、日本アンチ・ドーピング機構と十分連携して、ドーピング検査員の確保とその質の向上に取り組んでまいります。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 しっかりと百五十名増員して、それに向けての専門職員、そして予算措置もしていただいているのもわかるんですけれども。

 実は、ジャマイカのリレーの選手が、北京オリンピックの事例が九年たってわかったというのは、検査の向上というのがあるわけなんですね。検査の向上に向けて、我々は検査をするだけの人間と言いましたけれども、検査方法も変わっていまして、尿検査だけではわからない、そういったドーピングの方法もふえていますので、血液検査を行う機会もふえています。

 私自身医師ですので、私自身も採血もできますし、私自身が立ち会いでなければ血液検査も行われなかった時代もあったんですけれども、それであると医師の確保の作業がまた大変なんですね。

 看護師のみで採血ができるようになっている状況もあるというんですけれども、今の現状というのを教えていただけますか。

高橋政府参考人 委員御指摘のとおり、保健師助産師看護師法の規定によれば、看護師が採血を行う場合には、医師等の指示のもとに行わなければならないということとされております。

 そして、実際にドーピング検査において看護師が採血する場合の医師等の指示のあり方についてでございますが、これについては、検査主体である日本アンチ・ドーピング機構が、平成二十七年に、国内ドーピング検査における採血に関する指針を取りまとめております。

 その指針におきましては、看護師は、血液検体採取を実施するに当たり、その開始、実施、終了までの各過程において、電話または電子メールにより常時医師と連絡をとることの可能な状態を確保し、情報の共有化を図らなければならないこととされております。

 したがいまして、このような状態が確保されていれば、必ずしも医師がその場にいなくてもよいという取り扱いとなっております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 私自身は、医師免許を持つ人間として、現場を見ている人間として、柔軟な対応だと思います。

 ところが、これもちょっと現状の確認なんですけれども、この間の一般質疑のときに、花園ラグビー競技場を含む各競技場の医務室の届け出の状態とかもお聞きしたんですけれども、検査において、血液検査という医療行為をすると位置づけられているこういった検査室としては、厚労省にお聞きしたいんですけれども、診療所の届け出というのは果たして必要なのでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 医療法上、医師が公衆衛生または不特定多数の者に医業を行う場所については、診療所の開設手続を行っていただく必要があるということになっております。採血行為は医業に当たりますから、ドーピング検査室において採血行為を行う場合には、一般的に診療所の開設手続が必要になります。

伊東(信)委員 そうなんですよね。結局、血液の採血は、医師の立ち会いが不要だ、医師の指示であれば可能だということと、私も開業しています医療法人の理事長なので余り言うとあれなんですけれども、やはりJADAのスタッフから、こういった現場の状況というのを鑑みてほしいと。スポーツ庁の中でも、その都度、検査室を診療所として届け出をしていることを知らない方も、残念ながらおられたわけなんですよ。

 実際、診療所の開設を申請して、その場合は、施設管理者から図面を用意して、そして管理者としての医師を探すなどの事務作業がまず要って、それで開設許可を出して、診療所開設の届け出という形になります。

 自治体によっては立入検査もあったりするわけですけれども、例えば、地方において、ドーピング検査が必要な国際大会とか全日本レベルの大会というのは、一日だけしか開催されない大会もあって、そんなところで一カ月以上前から準備が、それまで何度かスタッフが訪問しないといけない状況もあったりするわけです。

 つまりは、私が申し上げたいことは、開業届に関する費用はもちろん、スタッフや人件費、交通費を考えると、こういったことは簡素化ができないかということなんですね。管理者となる医師も、ほかで開業していれば、重ねての登録はできないわけなんです。自治体によっては、大会期間中にはやはり医師が駐在することも義務づけられているときもありまして、そうなると、先ほどの、血液検査の採血の場に医師は不要なのに、医師が常駐していないと検査室では採血ができないという理屈とは、ちょっと矛盾を感じると思うんですね。

 二〇一九、二〇二〇年の大会で、もしも日本が対応できないとなったら本当に大変なことになると思いますので、こういった法整備というか、こういったところを一旦整理していただいて、診療所としての届け出を簡素化するなり、この煩雑な事務作業の状況の対応策というのは、これは法律の世界で考えられたり議論できることだと思うんですけれども、オリパラ大会に向けてこういった検討はされているのかどうか、どちらの省庁でもよろしいのでお答えください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 スポーツ庁といたしましては、現在、そのような検討はしていないところでございます。

伊東(信)委員 厚労省からもよろしくお願いします。

山本政府参考人 先生御指摘のように、適切でかつ円滑な、大会を成功に導くということで、各省庁知恵を絞るということと、法律できちっと、特に患者さんの安全性、採血される側の安全性を鑑みてできている制度をどうやっていくのかということはございますけれども、例えば、競技会場で医務室とドーピング検査というのは多分別々の施設になるわけですが、それを一体として見られるのかどうかというのは、個別具体的に、一貫して対応できているかどうかというようなことも検討する必要があると思います。

 また、診療所の開設手続は都道府県知事が行うということになりますけれども、法律の趣旨にも照らしながら、かつ大会がきちっと成功できるように、関係省庁連携してやってまいりたいと思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 私自身は、今厚労省の方がおっしゃっていたことはすとんと落ちておりますので、ありがとうございます。全ては選手を守るためですので、皆様、よろしくお願いいたします。

 終わります。

永岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、午前中も少し議論されましたが、まず、教育勅語に関して質問をさせていただきたいと思います。

 三月三十一日に、政府は、教育勅語について、「憲法や教育基本法等に反しないような形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書を閣議決定いたしました。私自身は非常に危惧を感じざるを得ません。

 危惧を感じているのは私だけではございません。自民党の船田元議員はブログの中でこういうふうに書かれております。

 ある閣僚から教育勅語の内容を肯定する発言があり、また、政府答弁書でも、憲法や教育基本法に反しない形で教材として使用することは否定しないと述べているが、私はいささか違和感を覚える。勅語は天皇が臣民に与えた性格を持ち、戦前の軍部や官憲による思想統制の道具とされてしまったことは言うまでもない。だから衆参両院において排除、失効したのである。憲法や教育基本法に反しない形で教育勅語を教材に使えるのだろうか。また、ここに述べられている徳目は、数多くの逸話や昔話などの教材によって、既に道徳教育の中に生かされている。殊さら勅語を教材とする理由が見当たらない。

 こういうふうに述べられています。私も全く同感であります。

 そういう教育勅語でありますけれども、今回の政府答弁書では、憲法や教育基本法に反しない形で利用することまでは否定できないということでありますが、加えて、四月四日の菅官房長官の記者会見、それから、三月八日、私が質問した際にも松野大臣が答弁されておりますが、そこでは、憲法や教育基本法に反しないような適切な配慮のもとでの教材利用までは否定しないといったように、適切な配慮という言葉が登場しております。

 この適切な配慮というのは具体的にはどういうことなんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 これまでの私の、現行の学校教育法上の学校において教育勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切であります、また、憲法や教育基本法等に反しないような適切な配慮のもとで取り扱うことまで否定するものではないと考えております等の答弁について説明をさせていただきたいと思います。

 そもそも、学校教育法第三十四条第二項の規定に基づきまして、学校における教科書以外の教材は、法令等に従った有益適切なものである限り、校長や設置者の判断と責任で使用され、学校の創意工夫により指導されるものとされております。

 そのため、文部科学省は、これらの教材の適正な取り扱いについて、法令等の趣旨に従っていることなどの留意点を示し、校長や設置者が教材について適切な取り扱いを行うよう指導を行っていますが、基本的に、各学校における個別具体的な教材の是非について判断する立場にはありません。

 学校における教育活動や使われる教材が適切であるかどうかに関しては、所轄庁、設置者である教育委員会において対応すべきものと考えておりますが、私の答弁はこのような趣旨で申し上げたところでございます。

吉川(元)委員 その適切な配慮というのが何を指しているのかお答えいただけなくて、大変残念であります。

 では、例えば、教育のかなめとして教育勅語を使う、これは明らかに適切な配慮が行われていないというふうに考えてよろしいんでしょうか。

松野国務大臣 教育勅語を我が国の教育における唯一の根本として戦前のような形で学校の教育の中に取り入れて指導するなど、法令等の趣旨に反するものであれば適切でないと考えております。

吉川(元)委員 今、教科のかなめという言葉を使いましたけれども、これはまさに森友学園が使った言葉であります。

 ただ、どうやら森友学園はかなり考え方を変えられたようでありまして、新しく理事長になられた籠池町浪さん、名前は町浪さんという方だそうですが、その方が、理事長より皆様へという文書を出しておられます。ホームページにも出ておりますので、どなたでもごらんになれるものだというふうに思いますけれども、ここでこういうことを言われております。

 マスコミ等、報道や御批判にありますように、ともすると、愛国教育、国粋主義と捉えられ、具体的には、教育勅語を暗唱させる幼稚園、自衛隊行事に参加する幼稚園との御指摘を受け、社会問題化するに至りました。これらは全て、教育基本法が平成十八年、二〇〇六年に改正された際に新たに設定された、我が国と郷土を愛する態度を養うとの教育目標を幼稚園教育の現場に生かそうとした前理事長なりの努力と工夫の結果であると理解しております。

 しかしながらということで、二〇〇六年改正の教育基本法に基づく前理事長の教育理念と方針及び指導法を批判的に総括をし、幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を養う重要なものであるとの基本的な認識に立ち返り、我々の教育内容を再検討いたしましたというふうに書かれております。

 今後は、教育基本法、これは改正されたものではなくて、昭和二十二年、一九四七年に制定された際に示された、我らは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及徹底しなければならないとの指針を常に念頭に置きつつ、内容、カリキュラムを柔軟に見直してまいります、こういうふうに、かなりといいますか、大きく教育方針を変えられているようであります。ぜひ、そうした方向で教育方針、カリキュラム等を見直していただければというふうには思います。

 今回の政府答弁書に対し、私もそうですし、それから自民党の船田先生もそうですけれども、なぜ多くの人が懸念を持つようになっているのか。憲法に反し、排除されたはずの教育勅語、実際に憲法九十八条によって排除されたものはこの教育勅語以外にはないというふうに、衆議院の法制局に確認しましたところ、そういうお答えをいただきましたが、そうした教育勅語そのものの復権が進められようとしているのではないかということにあるのではないでしょうか。

 例えば、先ほども少し例を出しましたが、教育勅語の精神が道義国家にあり、教育勅語に流れている核の部分は取り戻すべきだと考えているでありますとか、教育勅語自体が全く誤っているというのとは私は違うと公然と教育勅語を評価する閣僚が存在をする、そういう中で、私は、国民の多くが疑念を持っているというふうに思います。そういう点からいっても、この教育勅語、やはり私は学校現場では使うべきではないということを指摘させていただきます。

 次に、一昨日の本委員会、再就職あっせん問題について質疑をさせていただきました。時間の関係で、全てのお呼びした参考人に質問することはできませんでしたが、きょうはちょっと、藤江元人事課長に質問しようと準備していたものについて、何点かお聞きをしたいと思います。

 今回、最終まとめでいいますと、文部科学省の調査を通じて判明した再就職等規制違反事案についての事例二十五と二十六、これは他省庁ですね、元外交官の東京外語大学それから旧経済企画庁OBの新潟大学への再就職あっせん事案で、当時の藤江人事課長や人事課職員が規制違反に該当するものとされたものです。結局、大学などの研究機関への天下りは文科省が一手に引き受けていた、大学に行くんだったら文科省、そういう印象といいますか懸念を抱かせるような事案であります。

 そこで尋ねますけれども、最終的に規制違反になったのはこの二件だということですけれども、それ以外に、他省庁の職員やOBの大学等研究機関への再就職について、事例二十五、二十六以外に調査の対象となった事案はあったのかどうか、それを確認させてください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の調査に当たっては、三千名以上の全職員調査、再就職規制導入以降の全退職者六百名以上の調査等、徹底的な調査を行い、その結果、文部科学省の職員が外務省職員や内閣府職員の再就職のあっせんを行っていた、この事例が明らかになりました。これは、ただいま委員御指摘のとおり、事案の二十五というものと事案の二十六。

 一つは、外務省職員をあっせんしていた事案。もともと現職職員の人事交流を企図し、東京外国語大学から大使等の経験者を求められていたところ、当時の人事課長が外務省職員との雑談の中で適任者を聞いた、そして紹介したという事案でございます。適任者を聞いたという事案でございます。

 また、内閣府職員をあっせんした事案は、新潟大学が経済分析にすぐれている者を探しているということを聞いた当時の人事課長が、旧経済企画庁出身者が適任ではと考えた事案でございます。

 このほかには、他省庁の職員の再就職のあっせんを行っていた事案は確認されておりません。

吉川(元)委員 再度確認なんですけれども、この調査というのは文科省の職員に対して調査が行われたということでありますが、恐らく、他省庁の方で今言ったような大学あるいは研究機関等に再就職をされている方、まさか、全省庁でたった二人だけしか大学等々に行っていないというのはちょっと想像しにくいということもありますので、実際に各大学に、例えば他の省庁からこの二人以外に行かれた方について、その部分についての調査というのは行われたんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の調査は、文科省職員が何かあっせんをしたと再就職等監視委員会からいただいた宿題についての調査でございます。

 一方、恐らく、各省庁からいろいろな形で、大学に出向されている方あるいは再就職されている方というのは、再就職の公表された資料を見れば出てくるかと思いますが、それについて調査をしたわけではございません。

吉川(元)委員 先ほど指摘させていただきましたけれども、これは前回の委員会でも表現させていただきました。私の表現ではありませんけれども、大学というのは文科省の植民地、そういう言葉が与党の議員の中から質問の中で出されております。

 今回の二つの他省庁の再就職あっせんに関して言いますと、やはり、大学等々に対しての再就職あっせんというのは、実は文科省が全部取り仕切っていたのではないか、その疑念というのは、今の答弁では私は払拭できないのではないかと。三千人規模の大変大規模な調査であります。ですから、必要な条件といいますか、必要ではあるけれどもまだ十分な調査が果たしてできていたのかというのは、私、疑問に思わざるを得ません。

 関連して、これは報道で知ったんですけれども、元外交官と旧経済企画庁OBの大学への再就職の同じ時期に、山中元文科省事務次官がブルガリア大使に、それから板東元文科省審議官が消費者庁長官、経済企画庁はもともと内閣府ですし、消費者庁も内閣府ですから、消費者庁長官に就任しているとして、省庁間で再就職先の取引があったのではないかという報道もされております。

 慣行として再就職先の取引やバーターが省庁間で行われている、そうした事実または疑いというのは今回の調査の対象とされたのでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の調査で明らかになった、外務省職員をあっせんした事案あるいは内閣府職員をあっせんした事案のいずれについても、それぞれの大学のニーズを考慮して行ったものでございまして、何か定常的な業務として行っていた、あるいは、省庁間でそういった組織的、構造的に再就職をあっせんしていたという事実は確認されておりません。

吉川(元)委員 まあ、そういう答弁だろうと思いますけれども、余りにも時期が非常に一致をしているということで、やはり疑い、疑惑の目が向けられているんだろうというふうに思いますし、これは文科省だけの調査ではなかなか明らかにならないところでもあろうかというふうには思いますが、この点、今後の内閣府で行っている全省庁調査等々もしっかりと見ていかなければいけないというふうに思います。

 さて、一連の天下り問題、嶋貫参考人と文科省が組織ぐるみで違法な再就職あっせんを行っていることが明るみになったわけです。この後、先般の委員会でも指摘させていただきましたけれども、再発防止をどうしていくのかというのが、これが一番重要な課題なんだろうということだと思います。

 調査班からも再発防止に向けての提言が行われておりまして、それを見ますと、「現職職員と職員OBの関わり方について改めて見直し、ルール化するなどの検討をすべきである。」というふうにされております。この提言を踏まえて、職員とOBとの関係についてどのようなルールを講ずべきか、その点について今どのようにお考えでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 今回の最終まとめにおいては、調査を通じて考え得る再発防止のあり方として、硬直化した人事慣行や組織体制の見直し、身内意識の組織風土の改革、職員の遵法意識の醸成の三点が挙げられているところです。

 このような最終まとめの指摘を踏まえ、本日、法律やコンプライアンスの専門家など外部有識者に参画をいただき、文部科学省における再就職等規制違反の再発防止策に関する有識者検討会を設置いたしました。本検討会において、文部科学省のコンプライアンスを確保するための組織のあり方を含め、具体的な再発防止策をまとめていただきたいと思っております。

 御指摘をいただいた点については、最終まとめにおいて、「現職職員と職員OBの関わり方について改めて見直し、ルール化するなどの検討をすべきである。」と指摘されており、このようなことについても有識者検討会で検討していただきたいと考えております。

吉川(元)委員 改正国家公務員法による再就職規制では、OBによる再就職あっせんそれ自体は規制の対象になっておりません。それゆえ、今回の一連の事案でも、OBである嶋貫参考人を媒介にした再就職あっせんの仕組み、これが形成をされてきたものと考えます。

 この際、OBが退職に係る情報を職員から入手し、その情報をもとにして受け入れ側の企業、団体からも情報を求め再就職を依頼することそのものをやはり私は規制せざるを得ないのではないかというふうにも思います。もちろん、これは文科省だけの問題ではありません、文科省以外の各省庁、先ほども言いましたが、再就職に係る調査、今どのぐらいの進捗状況になっているのかまだ私自身よくわかりませんが、また、いつごろまでにこれが出てくるのかもわかりません。

 ただ、OBとの関係については、文科省でいえばOBが再就職あっせんの中心を担っている今の現状、こうした仕組みそのものをやはり変えていくことが必要だ。今回大きな問題を起こしてしまった文科省が、その先頭に立っていただくことを強く期待したいと思います。

 さて、調査班が提案する再発防止策で、外部の有識者から成るコンプライアンスを確保するための組織を設けて、再就職規制に関する業務が適正に行われているか定常的に調査すべきというふうにもされております。今回の調査も、大臣は当初、外部の有識者や弁護士を抜きにして内部だけで調査を行うことを示唆しておりましたが、結果として、識者や弁護士に参加してもらったことにより、ここまで調査を進めることができたというふうに考えます。

 そうであるとすれば、外部の方々が加わった監査組織、これは今後も必要ではないかというふうに思いますけれども、文科省の受けとめをお聞きします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 最終まとめにおいては、人事課から再就職等規制にかかわる業務を分離するとともに、今委員御指摘のとおり、外部の有識者が参画する形で文部科学省のコンプライアンスを確保するための組織を設け、再就職等規制に関する業務が適正に行われているか定常的に調査を行う、こういうことが指摘されております。

 今後、このような最終まとめにおける指摘を踏まえ、先ほど大臣からお話し申し上げました、本日設置されたこの有識者検討会におきまして、法律やコンプライアンスの専門家など外部有識者の御意見もいただきながら、具体的な再発防止のための方策を取りまとめたいと考えておりますが、その際には、まさにこの最終まとめに御指摘のありました定常的な調査あるいは組織、このあり方についても検討してまいりたいと考えているところでございます。

吉川(元)委員 今回の最終まとめの公表に当たって、大臣が談話を発表されておられます。私も読ませていただきました。

 この中で、ちょっと、あれっというふうに思った点があります。今回違法性が問われているのは文科省の現職職員らであって、それ以外に今回公表した個人、団体には違法性はなく、これは大臣の言葉ですけれども、「結果として、風評等が生じる事態を招いてしまっていることについて、お詫び申し上げます。」とわざわざ述べている部分があります。天下りの受け入れを求めた大学などに対して、極めて低姿勢だというふうに感じました。

 確かに、この間の一連の事案において、受け入れ側の大学その他の団体は、再就職規制に抵触するものではありません。しかしながら、法に抵触しないからといって、受け入れを求める大学側に問題なしとして、文科省と大学の関係を現在のままにしていいのかということを私自身は問題意識として持ちます。

 高等教育行政のあり方、もちろん、大学設置や学部新設などの許認可権、それから運営費交付金や補助金の分配、さらには、最近は大学改革などを通じて資金の分配に競争的な要素が強くなっております。

 大学運営に関して国の権限、国の裁量が強まる中、大学側に、文科省職員をとにかく安易に受け入れよう、そういう気配が強まっているのではないか。そういう意味でいいますと、大学の自治、学問の自由というものとの関係で果たしてどうなのかという懸念を持ちます。

 それに加えて、全国八十六の国立大学法人に、これも前回指摘させていただきましたが、二百四十人を超える文科省職員が、副学長、理事、幹部職員として現役出向する仕組み、これも私は非常に大きな問題だというふうに思います。

 まるで、これでは文科省と国立大学法人が、それぞれ独立した組織ではなく、同一組織内で人事交流をしているようにすら見えてしまいます。これでは大学運営で文科省の影響力が強まるばかりで、また、各大学法人においては、大学運営に秀でた専門性を持つ職員も、これはなかなか育たないのではないか。

 天下り問題で明るみに出た文科省と大学の関係についても、これは識者を交えて検討して見直すべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 文部科学省から国立大学法人への出向は、国立大学協会の申し合わせを踏まえ、任命権を有する各学長の要請に基づき行われており、文部科学省から推薦された職員を実際に採用するか否か、出向者を学内でどのように配置、活用するか等については、各学長がそれぞれの人事戦略に基づき判断をしています。

 また、各学長が、みずからの人事戦略の一環として、大学改革や機能強化といった各国立大学法人が抱える諸課題に対応するため、豊富な行政経験により専門的な知見及び全国的な視野を培った文部科学省職員を学内管理職ポストに活用したいとの要請をされているものと承知をしております。

 文部科学省、国立大学法人の間の人事交流は、国立大学法人にとっては、文部科学省経験者が行政で培った知見や広い視野を生かして大学運営に貢献すること、文部科学省にとっては、大学での実務を通じて現場感覚を養い、その経験を将来文部科学省や他大学で生かすことがそれぞれ期待できるため、双方にとってメリットがあると考えております。

 このため、文部科学省としては、学長から要請があれば引き続き適切に対応してまいりたいと考えますが、無用な誤解が生じることがないよう、プロセスにおける透明性の確保等に努めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 前回と全く同じ答弁でありまして非常に残念でありますが、だとすれば、行った大学で、先ほど言いました、幹部職員ではないところに文科省の職員が出向して実際の現場を見る、これは私もあり得る話だと思いますし、あと、一日だけ本省に戻ってきて翌日退職する、こうした制度というのは、今大臣が説明されていたお話とはそごが出てくるというふうにも思います。

 こうした点をしっかり改めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

永岡委員長 次回は、来る十四日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十六分散会


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