衆議院

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第13号 平成29年4月28日(金曜日)

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平成二十九年四月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 永岡 桂子君

   理事 上川 陽子君 理事 亀岡 偉民君

   理事 前田 一男君 理事 宮川 典子君

   理事 山本ともひろ君 理事 菊田真紀子君

   理事 坂本祐之輔君 理事 富田 茂之君

      あべ 俊子君    青山 周平君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      尾身 朝子君    岡下 昌平君

      門山 宏哲君    神山 佐市君

      木村 弥生君    工藤 彰三君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      下村 博文君    田野瀬太道君

      田畑 裕明君    谷川 とむ君

      馳   浩君    福井  照君

      船田  元君    古田 圭一君

      松本 剛明君    宗清 皇一君

      太田 和美君    後藤 祐一君

      高木 義明君    平野 博文君

      牧  義夫君    笠  浩史君

      樋口 尚也君    吉田 宣弘君

      大平 喜信君    畑野 君枝君

      伊東 信久君    吉川  元君

      長島 昭久君

    …………………………………

   文部科学大臣       松野 博一君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    田野瀬太道君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   新井  豊君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          有松 育子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           和田 純一君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  福井  照君     岡下 昌平君

  古田 圭一君     宗清 皇一君

  笠  浩史君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     福井  照君

  宗清 皇一君     木村 弥生君

  後藤 祐一君     笠  浩史君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     古田 圭一君

    ―――――――――――――

四月二十八日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(中山展宏君紹介)(第九九五号)

 同(松本文明君紹介)(第九九六号)

 同(柚木道義君紹介)(第九九七号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一〇七二号)

 同(田嶋要君紹介)(第一〇七三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇八三号)

 国の責任による三十五人以下学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善に関する請願(柚木道義君紹介)(第九九八号)

 学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(大平喜信君紹介)(第九九九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――

永岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省政策統括官新井豊君、文部科学省生涯学習政策局長有松育子君、初等中等教育局長藤原誠君、高等教育局長常盤豊君、高等教育局私学部長村田善則君及び厚生労働省大臣官房審議官和田純一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田和美君。

太田(和)委員 おはようございます。民進党の太田和美でございます。

 本日は、学校教育法の一部を改正する法律案について、本日、質問のトップバッターでございますけれども、法案の質問に入る前に一つだけ、先日の私の地元で起きましたあの痛ましい事件、我孫子での小学生遺棄事件のことについて、大臣に少しだけお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 文部科学省は、これまで、学校や教育委員会などに対して、地域全体で子供を見守る体制を整備するよう求めてきたというふうに認識をしております。しかし、今回の事件は、その地域で見守る体制の中で起きました。

 報道ベースではありますが、今回の事件に関して文部科学省は、本来は信頼される立場にある人による犯罪を警戒し、対策をとることは困難、このようにコメントされています。また、これまで実施してきた対策を継続し、子供の安全を守ってほしい、このようにコメントしています。このコメントは、新聞等を初めネットのニュースなど、多くメディアで報道されておりました。

 対策をとることは困難ということは、どうすることもできない、新たな策は特段打たないと言っているのと同じに聞こえます。文科省がこのような曖昧、かつ、どうすることもできないと言わんばかりの対応では、学校に子供を通わせている保護者、そして児童自身も不安を拭えません。

 今回の被害者の児童が通っていた小学校は、私の自宅から車で十分ほどの距離のところであります。そして、犯人が捕まった今でもなお、小学校にお子さんを通わせている親御さんたちからは、心配でたまらない、このような声が私のもとにも多く届けられます。また、今回の事件で、各地域で見守り活動を行っているボランティアの方々が、がっかりしたり疑心暗鬼になってしまうことも懸念されます。

 このような事件が二度と起こってはならず、そのためにも、文科省としての対応をきちんとコメントするべきではないかと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

松野国務大臣 まず、亡くなられた女子児童の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対して心からお悔やみを申し上げます。

 私も、娘を持つ父親として、大変心が痛い思いであります。

 本件につきましては、現在警察において捜査中の案件でございますので、まずは、引き続きその状況を注視してまいりたいと考えております。

 文部科学省としては、事件発生後の四月四日に、改めて、登下校中の防犯対策にかかわる注意喚起を各都道府県教育委員会に対して行いました。また、従来から、児童生徒の防犯意識の向上のための教材の作成、配付、防犯教育を担う教職員を対象とした研修会の充実等に取り組んできたところであります。

 引き続き、学校における児童生徒の安全を守るための防犯対策の推進に努めてまいりたいと考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 確かに、この問題は、本当に、非常に難しい問題であろうかというふうに思います。

 文部科学省には、国の機関として、所管する省として、二度と繰り返されぬよう策を講じていく姿勢を明確に国民に向けて発信していただきたいというふうに思います。文科省は困惑しているなどというふうに書かれている記事が目立ちました。このようなことがないように、しっかりと対応をお願いしたいと思います。

 今回の事件がきっかけで、私が心配しているのは、本当に疑心暗鬼になってしまって、地域のコミュニティーが希薄してしまうのではないかなというふうに思っています。これまで以上に、御近所との、学校とのつながりを大事に、そして自分自身の身は自分で守れるように、文科省としても、子供たちに対してもしっかりと指導をしていただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 では、法案の質問に入らせていただきたいと思います。

 本法律は、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関として、専門職大学及び専門職短期大学を制度化するものであります。大学の類型が新たに設けられるのは、短期大学が創設された一九六四年以来、五十五年ぶりであります。新しい学校種としては、専門学校が創設された一九七六年以来の四十三年ぶりです。これは本当に大きな改革であろうかというふうに思います。

 改正後は、設置基準を満たした専門学校などは専門職大学または専門職短期大学に転換し、ここに通う学生さんたちは、学士(専門職)または短期大学士(専門職)を取得することができるようになります。

 専門職大学は、第四次産業革命の進展による社会経済情勢の変化に対応できる人材を輩出するため、新たな価値を創造することができる専門職業人材の養成を行うことを目的の一つとしているというふうに理解をしております。

 確かに、変化の激しい社会において、その変化に対応できる人材養成は必要です。しかし、我が国における職業教育は、従前よりはその特色を生かして大学等で実施されてきているというふうに思います。また、短期大学は、地域産業の担い手となる職業人材の養成に貢献してきており、専門学校でも、産業界のニーズに即応した多様な職業人材の養成を行ってきていると思います。

 そこで、大臣に改めてお伺いをさせていただきたいんですけれども、既存の高等教育機関において既に職業教育が行われているにもかかわらず、この専門職大学という新たな学校を制度化する意義について、具体的に御説明をお願いしたいと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 既存の高等教育機関におきましても職業教育は行われており、大学、短大は、専門教育と教養教育や学術研究をあわせて行うという機関の性格から、比較的、学問的色彩の強い教育が行われる傾向がある一方、専門学校は、特定の職業、実務での即戦力として直接必要な実践的知識、技能の育成を主に行っています。

 近年、産業構造の急速な転換が進み、高度で実践的かつ創造的な職業教育の充実が喫緊の課題となっていることから、これまでの大学、短大の強みと専門学校の強みの双方をあわせ持った新しい職業教育の枠組みが求められているところであります。

 こうした要請を踏まえ、大学制度の中に位置づけられ、実践的な職業教育に重点を置いた仕組みとして、今回、専門職大学の制度を新たに創設することとしたものであります。

 なお、専門職大学の制度化に当たっては、各高等教育機関の役割や機能強化の方策につきましても中央教育審議会において検討を行っており、本年二月にまとめられた論点整理では、既存の高等教育機関がその特徴を生かして行う職業教育は引き続き重要であり、一層の充実を図る必要がある一方、新たな機関は、成長分野等を中心に業務の革新や新規分野を開拓する人材を育成することを目指すものであり、新たな選択肢を提供するものとして速やかに制度化する必要が高いと整理をされているところでございます。

太田(和)委員 今大臣から、新制度の創設の意義について御答弁をいただきました。

 社会の変化に即応できる人材を育成するために専門職大学等を制度化することについては理解をいたします。しかし、私が思うには、高等教育の全体のグランドデザインがまだ明確になっていない中で、この新たな学校種の創設については、やはり疑念を払拭できない部分があります。

 実際に、大臣も、二〇四〇年には十八歳人口が三分の二に減り、現在の百二十万人が八十万人に減少すると見られていることから、国公私立大学の役割分担や各高等教育機関の機能強化、そして学修の質の向上や学生への経済的支援等を検討するとして、二十年先を見据えた高等教育の将来構想を検討するように、この三月に中教審に諮問もしています。

 このように、十八歳人口は減少傾向にあります。一方、大学への進学率については五割程度であり、専門学校を含めた高等教育機関全体の進学率は、現在、八割程度を推移しています。そして、大学の収容力についてでありますけれども、平成四年時の一・六倍の九三・九%に達しています。十八歳人口が減っていく一方で、大学の収容力が現在約九四%といった状況について考えますと、本改正で新たに大学がふえていった場合には、近い将来、大学の収容力が限りなく一〇〇%に近づく可能性があります。今でも、大学は全入時代というふうに言われておりますけれども、そうなった時点では、全入どころか、完全に入学できる完入時代になってしまうかもしれません。

 そこで、大臣に確認をさせていただきたいんですけれども、大学の数がふえることで懸念されることは、大学の質の確保であろうかというふうに思います。このいわゆる大学の質の保証なんですけれども、少子化が進行していくとわかっているにもかかわらず、この改正によって大学はふえることが予想されますけれども、どのようにして質を確保していくのでしょうか。大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 専門職大学については、国際通用性を求められる大学の枠組みの中に位置づけられるものであることから、その設置基準について、実践的な職業教育を行う機関としてその特性を踏まえると同時に、大学教育としてのふさわしい教育研究水準を担保することが必要であります。

 また、専門職大学の認証評価については、通常の大学と同様の機関別評価に加え、教育課程、教員組織等について、専門分野の特性に応じた認証評価を受けることとしております。

 なお、実際には、専門職大学は既に各分野で教育に実績を有する専門学校等からの転換が主となると予想されるため、専門職大学制度の創設が高等教育全体の数や学生数に大きく影響することは考えにくく、現在の量的規模の中で質の充実につながるものと考えております。

 高等教育全体の規模や質の確保の問題については、引き続き、中央教育審議会における高等教育の将来構想に関する審議の中で検討を深めていきたいと考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 先日の参考人質疑において、小出参考人は、教育事業体は失敗が許されないというふうにおっしゃっていました。また、本田参考人は、新しい機関を創設するということの責任を担っているため、将来社会に出ていく学生あるいは保護者の立場に立った質の保証はどうしても必要であるというふうにもおっしゃっておりました。

 今回の新制度が成功するか否かは、この質の保証にもかかわっていると思います。よって、今後、設置基準を策定していく上では、慎重な検討をお願いしたいと思います。そして、何よりも、二十年先を見据えた高等教育の将来構想を早急にお示ししていただきたいと思います。

 次の質問に入りたいと思います。

 職業教育の位置づけについてお伺いをさせていただきます。

 我が国では、普通教育より職業教育が、学問教育より職業技能教育の方が一段低く見られる傾向があります。よって、大学に進学すること自体が社会的評価を受けられるとされ、スペシャリストを目指す生徒でも、技能教育を行う専門学校ではなく、学問教育を行う大学を目指す傾向があります。この理由の一つに、大卒か否かで生涯年収に数千万の差があると推計されています。実際に、同じように高等教育を四年間受けた新入社員でも、大卒か専門学校卒かで、多くの場合は処遇面でも区別されてしまうのが実情であります。

 昨年五月に公表された中央教育審議会の答申におきましても、この制度化の背景の一つとして、このような社会的風潮への対応が挙げられておりました。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいんですけれども、専門職大学の制度化により、このような、普通教育より職業教育が一段低く見られてしまう風潮、この風潮にどのような影響があるとお考えでしょうか。また、専門職大学創設により、企業などが処遇面では専門職大学卒と大学卒を今後は同等に位置づけると理解してよろしいのでしょうか。これまでの間、有識者や関係者等のヒアリングを行ってきた中で企業からの意見も聴取していると思いますが、どのような御認識かをお伺いさせていただきたいと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 平成二十八年五月の中央教育審議会の答申でも、ともすれば、普通教育より職業教育が一段低く見られがちな風潮を指摘したところであります。スペシャリスト志向の若者等にとって魅力ある進学先となる新たな高等教育機関の仕組みを創設し、その社会的評価を高めていくということが望まれるとしております。

 専門職大学は、実践的な職業教育に重点を置きつつ、大学制度の中に位置づけられ、修了者は学位も授与されるものであります。高校生等にとって新たな選択肢となるとともに、委員御指摘の風潮を変えていくきっかけになり得るものと考えております。

 なお、専門職大学は大学制度の中に設けられるものであって、その卒業生の企業における処遇については、既存の大学と同等に評価されるべきものであると考えております。この制度の周知に努めてまいりたいと考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 次に、専門学校、保護者と生徒、そして企業、それぞれの立場に立って質問させていただきたいと思います。

 まずは専門学校でありますけれども、私の地元のある専門学校に今回の改正について聞いてみました。そこの専門学校は、専門職大学、専門職短期大学には興味を持っておりました。実際に学生らの意見を聞いてみたところ、約半数の学生さんたちが興味を持ったというふうにおっしゃっていました。

 実際に、そこの専門学校では、多くの学生が短期大学士の取得を希望しているため、短期大学と現在、連携をして、単位の包括認定の制度を行っているということでありました。すなわち、短期大学士取得を希望する専門学校生が、短期大学にも通いながら、取得に必要な単位を取るといった制度です。このように、現行の制度を用いて学生のニーズには応えることができているようです。

 そういった中で専門職大学あるいは専門職短期大学に転換することに意義があるのか、メリットはあるのか、そして、設置基準がまだ定められていないだけに、現時点ではわからないことが多く、判断は難しい、このようにおっしゃっておりました。さらに、仮にメリットがあり転換を希望するとしても、企業研修の受け入れ先を安定的に確保することがとてつもなく困難である、そして、実際に現場で仕事をしている実務家教員を安定的に確保するといった課題も容易には解決できそうもないというふうにおっしゃっておりました。

 このように、研修受け入れ先企業の確保と実務家教員の確保は簡単に解決できない課題のようであり、設置基準も定まっていないため、多くの専門学校は様子見を現時点ではするのではないかというふうに想定されます。

 このような現場の声もあるわけでありますが、設置基準は本法案成立後に検討が開始されるというふうに伺っておりますが、いつごろ確定する見通しなのでしょうか。また、専門職大学への転換を希望する専門学校に対して、研修受け入れ先や実務家教員の確保に関して何らかの支援を検討しているのでしょうか。大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

松野国務大臣 専門職大学等の設置基準につきましては、中央教育審議会答申においてもその方向性が示されており、具体的には、教育課程について、教養、基礎教育及び専門教育を通じた必要な授業科目を開設するとともに、総合的な演習科目を設定すること、二年制課程で通算三百時間程度、四年制課程で通算六百時間程度の企業内実習を義務づけること、教員について、必要専任教員数のおおむね四割以上を実務家教員とすること等の内容を整備することとされております。

 今国会で法改正をお認めいただければ、この答申や国会での御審議も踏まえ、中央教育審議会での審議など必要な手続を経て、本年夏までには設置基準を策定、公表したいと考えております。

 また、御指摘がありました企業内実習の受け入れ先の確保でございますが、文部科学省としても、関係の産業界等に対し、積極的な協力をいただけるよう働きかけているほか、政府において、現在、クールジャパン人材育成検討会を初め、各省連携による人材育成の検討の場が設けられていることから、これらの場を活用して、関係省庁に対する協力の要請を行ってまいりたいと考えております。

 今後さらに、企業内実習の受け入れ促進のための具体的な支援策等について、関係省庁とも相談しながら検討してまいりたいと考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 次に、進学する生徒や保護者の立場に立ってお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の制度改正に至るまでの中教審や有識者会議での検討過程を見てみますと、大学関係者や民間企業などの産業界を中心に議論がなされてきたように見受けられます。そのため、今回の改正に関しては、大学関係者や産業界の意見などは聞かれますが、実際に進学する生徒や保護者の視点に立った意見は余り聞こえてきません。

 リクルートが行った調査では、専門職大学等が制度化されることについて認知している高校教員は六四・六%、うち、内容とも認知しているのはわずか二〇・九%でありました。また、専門職大学と現状の専門学校の違いがわからないというふうに答えた教員は、半数以上の五二・二%でした。この調査が行われたのは昨年の秋です。

 法案成立の際、本制度が開始されるのは、平成三十一年、二年後からです。すなわち、専門職大学等への転換を希望している専門学校は、これから二年間弱の期間で準備や申請などを行っていかなければなりません。また、専門職大学が創設された際の初年度の学生は、現在の高校二年生というふうになるわけです。生徒に応じて多少差はあるかと思いますけれども、通常は一年生の二学期ごろから進学の方向性を決めるのが一般的ではないのかと思います。しかし、このリクルートの調査からもわかるように、高校教員の半数以上が専門職大学と専門学校の違いを理解していません。先ほどお話ししました私の地元の専門学校でも、近隣の高校を回ったそうです、その中でも約半数の先生がこの新制度を御存じないというふうにおっしゃっていました。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、このように、専門職大学、専門職短期大学が創設されることが高校教員、保護者や生徒たちに十分に認知されていないのが実情でありますが、今後どのように、どういったスピードで周知を図っていくのでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 専門職大学については、高校生にとっても新たな選択肢となることが期待をされております。したがいまして、委員御指摘のとおり、高校生や保護者、進路指導に当たる教員等にその意義、特徴をよく理解していただくことが重要であります。

 これまでも、中央教育審議会等での検討の過程において、関係団体等への説明や広報メディア、各種シンポジウム等を通じての説明、情報発信を行ってきたところでありますけれども、今国会で法改正をお認めいただければ、制度の創設に向け、教育委員会や高校、関係団体等に対して丁寧に説明をし、理解を深めていく方針であります。

 なお、現時点で想定しているスケジュールとしては、本年秋を目途に設置認可の申請受け付けを行い、大学設置・学校法人審議会での審議を経て、来年夏を目途に答申を得る予定ですので、どのような申請がなされ、どのような専門職大学等が開設されるかはその時点で公になるというふうに考えております。

太田(和)委員 子供たちの進学に影響が及ばないように周知を図っていただきたいと思います。

 さて次に、どの程度の数の専門職大学または専門職短期大学が創設するかについて整理をさせていただきたいんですけれども、現在全国で二千八百十七校ある専門学校の中で、専門職大学に転換するのは一割にも満たない数であろうというような話をお聞きいたしました。

 先日の委員会でも、制度発足当初においては限定的な数になるのではないかといった答弁が政府参考人からもございました。その中で、どういう専門学校が専門職大学に転換するのかについて考えますと、先導的試行として職業実践専門課程の認定を受けている学校ではないかというふうにお聞きいたしました。その職業実践専門課程認定校は、現在九百二校あります。

 その九百二校がどういった専門分野かを調べてみましたら、まず工業関係、そして商業関係、農業関係、医療、福祉関係などで、最も数が多いのは医療、福祉関係の分野の学校で、次に多いのは工業関係であり、その次は商業関係でありました。

 一方、文科省の資料では、専門職大学の専門分野としては、農業、ITや観光を例に挙げておりました。また、報道等では、調理を専門とする学校が専門職大学創設に意欲を持っているなどというような報道もございました。

 ここでよくわからないことがあるのですけれども、職業実践専門課程認定校は現在九百二校でありますが、学科数では二千七百七十三学科あります。その中で文科省が例に挙げている農業分野だけをまず見てみますと、職業実践専門課程の認定を受けているのは全国でたったの十二学科しかございませんでした。

 政府参考人にお伺いをさせていただきたいんですけれども、今回の専門職大学というのは、限られた専門職の分野を想定しているのでしょうか。例えば、看護や保育などは専門職大学の分野として想定されているのでしょうか。お答えをお願いしたいと思います。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 専門職大学は、医学、歯学、六年制の薬学、獣医学の分野を対象外としておりますが、それらを除き、制度上、分野は限定していないところでございます。したがいまして、今御指摘の看護や保育についても、専門職大学の対象から除外されるものではございません。

 ただ、専門職大学は、現場のリーダーとして専門業務を牽引できる力や、変化に対応して新たな物やサービスをつくり出せる力の育成等を主眼とするものでございますので、資格取得のための教育に教育課程の大半が充てられるということではなく、それに加えて、関連分野の授業科目や総合的な演習科目を展開することなどを要件として考えております。

 企業内実習の時間などについては、昨年五月の中央教育審議会答申において、三百時間あるいは六百時間というようなことがございますけれども、一方、答申では、分野の特性に応じた検討も必要とされているところでございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 最後に企業側について質問させていただきたいと思いますが、昨年秋の経団連での説明会では、中教審委員から産業界に対しまして、教育課程を編成、実施する上での連携強化を要請しております。

 専門職大学への転換には、今お話がありましたように、四年間で六百時間、二年間で三百時間以上の企業内実習、そして三割以上の実務家教員を置くことが要件とされています。よって、転換を目指す専門学校は、安定的に学生を受け入れてくれる研修先企業等、そして実務家教員を確保することが課題となってきます。

 つまり、企業サイドは、学生を研修で受け入れ、実務家を専門職大学に派遣しなければなりませんが、研修の受け入れにはそれなりの準備等、手間もかかるかと思います。さらに、現場の実務家を教員として派遣しなくてはならないのですが、果たしてこれが現実的に、ビジネスの観点からも可能なのか、ここに不安が残ります。

 政府参考人にお伺いいたします。

 経団連の説明、意見交換会において、中教審特別部会委員らは協力を要請しましたが、文部科学省として要請は行っているのでしょうか。また、その際の産業界サイドの反応はどうだったのでしょうか。さらに、研修の受け入れや実務家教員の派遣については、企業側の負担をどのように認識されておるのでしょうか。お願いいたします。

常盤政府参考人 専門職大学が質の高い教育を行うためには、産業界との緊密な連携が不可欠であると考えております。

 文部科学省におきましては、これまでも、成長分野等における中核的専門人材養成等の戦略的推進事業において、教育機関と関係企業等との連携によるカリキュラム開発等を進めているところでございます。

 今回の制度化に当たりましても、観光、食、農業、IT分野の企業へのヒアリングや業界団体への要請を行ってきているところでございます。その中で、ヒアリングなどにおいて、現場実習を積極的に行うアイデアはよいことであるとか、あるいは、長期間であっても企業内実習の受け入れは可能であるといった前向きな御意見をいただいているところでございますが、他方で、企業側の負担の観点から、小規模事業所では企業内実習の受け入れ等は難しいといった課題についても御指摘をいただいたと認識をしております。

 これらを踏まえまして、要請を行う産業界の範囲を広げ、業界の実務を学生が直接経験することは産業界にとってもメリットが大きいといった企業内実習の長所について周知を図りますとともに、今申し上げましたような小規模事業所の負担などの課題に対してどのような工夫ができるのか、詳細設計をしていくわけでございますが、関係府省や関係業界とさらに意見交換を深めてまいりたいと考えております。

太田(和)委員 引き続き、この専門分野に関連して質問をさせていただきたいと思います。

 医療や衛生、社会福祉などの専門学校に通う学生さんたちは、一般的には、国家試験に合格し、国家資格を有して専門職につくことを目指しております。その国家資格を受けるためには、特に医療、福祉関係では最低実習時間が定められており、その最低実習時間が、専門職大学等に必要な六百時間よりも少ないものもあります。こういったことからも、本来であれば、分野、業種に応じて必要な実習時間が異なってもよいのではないかというふうに思います。

 政府参考人にお伺いしたいと思いますが、この専門職大学に課せられている六百時間、そして三百時間といった実習時間は、どのような考え方から定められたのでしょうか。本来であれば、その分野、業種によって必要な実習時間が異なってもよいのではないかというふうに思いますけれども、その点について、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 看護や保育の分野のことを念頭に先ほども御質問いただいたわけでございますけれども、先ほど申しましたように、それらの分野について、制度上、分野を限定しておりませんので、対象から除外されるものではございませんけれども、一方で、今お話がございましたように、資格の取得のための教育に教育課程の大半が充てられているということもございまして、専門職大学では、それに加えて関連分野の授業科目等を展開するということが、まず一つはございます。

 その上で、企業内実習のお話でございましたが、企業内実習につきましては、昨年五月の中央教育審議会答申におきまして、適切な指導体制が確保された企業内実習等について、一定時間、例えば、二年制課程で通算三百時間程度、四年制課程で通算六百時間程度以上の履修を義務づけることとされているところでございます。

 中教審では、この実習時間数を決める際の議論に当たりましては、新たな機関における企業内実習等、今申し上げましたような数字でございますけれども、これは議論の中で、ドイツの職業教育に関する高等教育機関の制度についての御紹介がございまして、そういうものも参考にしながらこの水準を示しているわけでございますけれども、ただ一方で、答申では、分野の特性に応じた検討ということも必要とされておりますので、適切な対応を検討してまいりたいと考えてございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 もう少し時間がございますので、最後に大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 本新制度は、企業にすぐに役に立つ教育といった側面を感じます。大学で学ぶべきことは何か。現場で六百時間過ごしたことが、社会人として人生をこれからスタートする学生にとって、長期的に考えて、よいことなのか。それで、みずから考え抜く力を育むことができるのか。本来であれば、社会が変化しても、技術が変化して変わったりしても対応できる力を学ぶべきではないかというふうに思いますけれども、大臣の御所見を、最後、お伺いさせていただきたいと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 太田先生からの社会の変化に対応できる汎用的な力を身につけさせるべきとの御指摘は、極めて重要な御指摘であると考えております。

 今回制度化しようとする専門職大学等は、大学という枠組みの中で、特に実践的な職業教育に最適化した新たな制度として創設しようとするものであります。

 専門職大学についても、平成二十八年五月の中央教育審議会答申において、養成すべき人材像として、専門的な能力とともに、変化に対応し、みずからの職業能力を継続的に高めていける基礎を身につけた人材を挙げており、その教育課程については、専門とする特定の職業の知識、技能に加えまして、例えば会計、経営など関連他分野の知識でありますとか、自立した職業人に必要な課題対応能力等、また外国語、ICTなど、学び続けるための基礎、教養等を身につけることとしています。

 制度化に当たっては、こうした観点を踏まえ、必要な基準を整備していく予定であります。これにより、変化の中でみずからのキャリアを主体的に切り開く、そういった人材が養成されることを期待しております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 まだまだ疑念は残るところでありますけれども、この制度が子供たちの将来にとってよりよい制度となることを御期待申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 民進党の坂本祐之輔でございます。

 冒頭、昨日の高校野球春季東京都大会における早稲田実業対日大三高の決勝戦の件についてでございますけれども、まずは、大変にすばらしい試合でございました。両校の選手の皆さんに、その健闘をたたえたいと思います。

 しかしながら、ナイターの試合でもございまして、終了時間が夜十時を過ぎていたということであります。

 私は、当委員会におきまして、学校部活動の問題点等につきまして、これまでもさまざまな観点から指摘させていただいてまいりましたが、昨日の試合につきましても、学校の部活動として、さらには応援の生徒のことも考えれば、学校活動の一環として、このような時間まで行うことが適切であったのか、検討が必要なのだと思いますが、昨夜のことでもございまして、質問の通告はしてございませんが、大臣の所見をお伺いさせていただきたいと存じます。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 まず、一義的には、高校野球の大会の運営につきましては、主催者である高野連において検討されるべき事柄でございますけれども、部活動は、学校の活動の中において、教育的効果も極めて高いものであります。その上で、これはもう従来から坂本先生からも御指摘をいただいているところでありますけれども、過度な部活動のありようということが、生徒児童の身体的側面への負担をどう考えるかということもございますし、教員の連続勤務の原因にもなっているということもございます。

 こういった観点も含めて、今後も、部活動のあり方につきましては、文科省としても今調査をしているところでございますし、これらの調査から得られたデータをさらに精査しながら、今後の対応を考えてまいりたいと思います。

坂本(祐)委員 ありがとうございました。

 まずはしっかりと勉強する、そして、スポーツを行いながら体を鍛え、強い精神力を身につける、そのような活動を子供たちにしていただきたいと思いますので、検討していただきますようにお願いを申し上げます。

 続いて、山本地方創生担当大臣の学芸員に関する発言についてお伺いをいたします。

 山本地方創生担当大臣は、今月の十六日の日曜日、大津市での地方創生セミナーにおいて、一番のガンは文化学芸員と言われる人たち、この連中を一掃しないといけないという発言をされました。不適切発言というより暴言であり、日ごろより、博物館法のもと、博物館資料の収集、保管、調査研究に御尽力をいただいております学芸員の皆様に大変失礼であったと遺憾に思います。

 このたびの発言につきまして、学芸員を所管する文部科学省としてどのようにお考えか、松野文部科学大臣にお伺いをいたします。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 本件につきましては、山本大臣は既に謝罪の上発言を撤回されたものと承知をしておりますが、学芸員については、博物館の資料の収集、展示、調査研究等を行う、博物館運営を支える専門的職員であり、地域や人類にとって大切な資料を取り扱い、人々の新しい知識の創造と普及に役立てるとともに、次代に継承するという極めて重要な業務を担っていると認識をしております。

坂本(祐)委員 また、今回の山本大臣の発言の中には、この連中は普通の観光マインドは全くないとの発言もありましたが、学芸員の職務やあり方について、また、観光の推進や経済活動と学芸員に求められる役割との関係について、ただいま大臣は重要な業務を果たされていらっしゃるとお考えをお述べになりましたけれども、文部科学省として改めて見解をお伺いさせていただきたいと存じます。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、博物館につきましては、博物館法第二条に基づいて、資料を収集、保管、展示し、来館者の学習やレクリエーション等に資するために必要な業務を行う施設とされております。

 その上で、学芸員の職務につきましては、博物館法の第四条によりまして、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究や、これと関連する事業についての専門的事項をつかさどるとされておりまして、博物館の使命に鑑みますと、その職務の遂行に当たっては、観光の推進等の観点からも、来館者のニーズに応える環境づくりに取り組んでいくことが重要であると認識をしております。

坂本(祐)委員 お答えをいただきましたけれども、この件につきましては、今後、学芸員の方々の仕事をしっかりと理解してサポートをいただくためにも、大臣の御所見をもう一度お伺いさせていただきたいと存じます。

松野国務大臣 学芸員の仕事の重要性につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。

 その中において、使命の一つとして展示というものも挙げられておりますが、この展示は、観光的側面からも極めて重要な資源となり得るものだというふうに考えております。今、海外からの観光客の方々も、日本の文化に触れたいということで多くの方が博物館を訪れていただいておりますので、そういった方々に対してもしっかりと日本文化の価値が伝わるように、そういった面での対応も含めて、これから学芸員の皆様の仕事はますます重要性を増していくというふうに認識をしております。

坂本(祐)委員 ここのところ、やはり与党の中におきましては、政権に対するおごりやあるいは緩みというものを感じてなりません。多くの国民の皆さんが、しっかりと日本の発展のために、まずは閣僚を中心として仕事を遂行していただきたいと願っておられるわけでございますので、大臣におかれましても、今後とも学芸員の仕事をしっかりと理解され、サポートをさせていただく、そして文部科学行政の発展に尽くしていただきたいと願っております。

 続きまして、先日の地方創生に関する特別委員会における我が党の宮崎岳志議員の質問で、文部科学省からの確認がとれていなかった点について、私から確認をさせていただきます。

 一点目は、松野文部科学大臣が九月六日に、加計学園の加計孝太郎理事長及び豊田三郎理事と面談をした際、国家戦略特区や獣医学部新設に関する話は出ましたでしょうか。大臣にお伺いをいたします。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 九月六日は、十分間程度でございまして、私の大臣就任への御挨拶をいただいたということでございます。

坂本(祐)委員 挨拶のみということでございますが、民間の利害関係者が大臣と面談するのは相当レアケースだというふうに思いますが、松野大臣が加計理事長、豊田三郎理事と会った経過はどのようなものか、誰の紹介があったのでしょうか。大臣にお伺いをさせていただきます。

松野国務大臣 八月三日に大臣に就任をいたしまして、八月中は、リオ・オリンピックの開会式、閉会式、また国際会議等で省にいる機会が少なかったものですから、九月のこの上旬の時期に、各大学関係の皆様でありますとか、またスポーツ団体、文化団体等の皆様等から大臣就任の御挨拶をいただいた、それが続いたということでありますけれども、御指摘の加計学園関係者との面談ということは、面談したい旨の連絡をいただきまして、事務的にセットをさせていただいたということであります。

坂本(祐)委員 大学、スポーツ関係者、さまざまの中に面談があったということでございます。

 それでは、続きまして、学校教育法の一部を改正する法律案について質問いたします。

 今回の法案では、すぐれた専門技能などをもって新たな価値を創造することができる専門人材を養成するための専門職大学、専門職短期大学を新たに制度化するとのことでありますが、現在、グローバル化の進展によりまして、我が国を取り巻く経済社会環境、産業環境、構造等が大きく変化をして国際競争力が激しくなっている中で、このような人材の育成の必要性は私も重要と考えております。今回の法案については、この目的を達成し得るものであれば、大変にすばらしい制度だと考えております。

 しかしながら、この専門職大学等の制度化に当たりまして、産業界と連携すること等を定める一方で、具体的な設置基準は法案成立後に検討し定めるとのことであります。

 この専門職大学等というものがしっかりとした大学としてできるかどうかはこの設置基準次第でございますので、設置基準が示されない中で法案の審議をと言われても、果たして十分な審議ができるのか。もちろん、設置基準は政省令で定めるということであれば、法案が成立してからでないと示せないということはわかっておりますけれども、十分な審議をということであれば、どのような制度を、設置基準を含めてパッケージとしてお示しをいただいてこそ、充実した審議ができるのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 専門職大学の設置基準で定めるべき事項につきましては、既に昨年五月の中央教育審議会答申において、教育課程、教員、教育条件等の基準の方向性が示されております。

 具体的には、例えば教育課程につきましては、教養、基礎教育及び専門教育を通じた必要な授業科目を開設するとともに、総合的な演習科目を設定すること、二年制課程で通算三百時間程度、四年制課程で通算六百時間程度の企業内実習を義務づけること、教員については、必要専任教員数のおおむね四割以上を実務家教員とすること等の内容を設置基準で整備することが答申の中で記述をされております。

 その上で、設置基準の詳細につきましては、国会での御審議も踏まえ、改めて中央教育審議会での御議論をいただいた上で定める予定であります。

 この法案審議において、設置基準の具体的なあり方等を含め、積極的な御審議を賜れればと考えております。

坂本(祐)委員 設置基準につきましては、今後ともしっかりとチェックをさせていただくつもりであります。我々も関係各機関も納得できるような設置基準を定めていただいて、若者が夢を実現させて、それが将来日本の発展につながるような制度にしていただきたいとお願いをいたします。

 続いて、職業教育はこれまでも、既存の各高等教育機関において、それぞれの特色を生かして行われてきています。

 平成二十三年には、大学、短大設置基準の改正により職業教育が義務づけられ、さらに、平成二十七年度には、職業実践力育成プログラムという制度も実施をされています。

 このように、大学、短大において職業教育がより一層推進されている中で、なぜ今回、新たに専門職大学等を制度化するのか。既存の大学や短大に職業教育についてさらなる取り組みを求めるということでもよかったのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 また、新たに専門職大学、短大として制度化するということでございますから、結局は既存の高等教育機関と変わらないということでは意味がありませんので、その違いを明確にすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 既存の高等教育機関においても職業教育が行われているわけでございますけれども、大学、短大は、専門教育と教養教育や学術研究をあわせて行うという機関の性格から、比較的学問的色彩の強い教育が行われる傾向があるというふうに承知しております。

 これらに対しまして、専門職大学は、大学制度の中に位置づくものではありますけれども、企業での長期実習であるとか、あるいは関連の職業分野に関する教育など、教育課程編成の面での特色もございます。また、教育課程の開発や専門分野別評価を産業界と連携して行う仕組みであることといった特徴を有しております。実践的な職業教育に重点化をいたしました高等教育機関として制度化することが効果的であると考えたものでございます。このことが、高校生に新たな選択肢を提供するものとなるということを期待しているわけでございます。

 具体的な制度設計については、設置基準等によりさらに明確化することとしたいと考えております。

坂本(祐)委員 既存の大学や短大に対する変わらぬ支援もしっかりと継続をしていただきたいと思います。

 続いて、今回の専門職大学等の制度化に当たっては、産業界や地域との連携が定められておりますけれども、企業や地方公共団体との連携がうまく行われるかが今回の制度化の重要なポイントになると考えております。

 企業や地方公共団体との連携につきまして、そのための環境整備や、協力をいただける企業や地方公共団体に対する支援なども必要だと考えますが、いかがでしょうか。

常盤政府参考人 専門職大学等については、産業界等と緊密に連携した実践的な職業教育を行うものであるとともに、地域産業の担い手育成など、地方創生等に資する役割も期待されております。企業等や地方公共団体との連携が重要であると考えております。

 このため、専門職大学への協力をいただけるよう、文部科学省から関係の産業界や地方公共団体に対し働きかけを行ってまいりたいと考えております。

 現在、政府におきましても、各省連携による成長分野の人材育成や地方創生の推進のための検討の場が設けられております。これらの場で、私どもの方から、しかるべき者が参画をいたしまして既に要請等を行っているところでございますけれども、引き続き、こういう場を活用し、関係省庁とも連携しながら、必要な支援策を検討してまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 さまざまな場を活用して、しっかりとした働きかけを行うということでございますので、連携がとれる環境整備を進めていただきたいと思います。

 続いて、今回の専門職大学等の制度化に当たりまして、新たに実務家教員が設置されるとのことでございますが、この実務家教員は、すぐれた専門技能などをもって新たな価値を創造することができる専門職人材を養成する、その上で最も重要な点の一つであると考えております。どのような人物が、具体的にどのような基準で採用されるのか、お伺いをいたします。

 また、平成二十八年五月の中教審の答申では、必要専任教員のおおむね四割以上は実務家教員で構成、さらに、専任実務家教員については、その必要数の半数以上は研究能力をあわせ有する実務家教員で構成とされておりますが、現実的に確保が可能なのでしょうか。実務家教員が確保できず、その採用基準が中途半端なものにならないように、しっかりと対応していただきたいと考えますが、御見解をお伺いいたします。

常盤政府参考人 実務家教員の基準等については、例えば、現在、実務家教員の仕組みは専門職大学院で既に設けられている部分がございます。専門職大学院では、専門分野におけるおおむね五年以上の実務の経験を有し、かつ高度の実務の能力を有する者と規定をされておりまして、専門職大学についてもこれと同様の規定を置くことが考えられるのではないかと思っております。

 既存の大学においても、企業等から毎年千五百人あるいは二千人の人が本務教員として採用されておりますし、また、専門学校の専任教員のうち、約六割が五年以上実務経験のある教員となっている現状がございます。また、専門職大学院ですと、約五割が実務家教員となっているという状況もございます。

 こうした現状に鑑みますと、実務家教員の確保は可能と考えておりますが、引き続き、関係の業界団体や関係省庁等に対し、専門職大学への連携協力を積極的に働きかけてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 先ほども我が党の太田議員から御指摘をしておりましたけれども、果たしてこういう基準で採用できるのか。実務家教員は実際にはもう働いていらっしゃる方々でございますので、こういった方々をどのように採用するのか。そして、採用された方がその技術力、技能力を持っていらっしゃったとしても、またそれは指導力とは違うわけでございまして、この採用基準もしっかりとしたものをつくっていただいて、すばらしい教員を採用していただきたいとお願いをいたします。

 続きまして、専門職大学等の教育課程につきまして、平成二十八年五月の中教審の答申におきまして、企業内実習の履修が盛り込まれておりまして、その時間数として、二年間で三百時間以上、四年間で六百時間以上という方針が示されています。

 この企業内実習につきまして、時間は示されておりますけれども、実習内容等、具体的内容はまだ示されていません。企業が学生の受け入れをしやすいよう実習内容や実習期間などについて指針を示すことも必要だと思いますが、この環境整備を行う必要についていかがお考えか、お伺いいたします。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 専門職大学では、長期の企業内実習を必修とすることを予定しております。

 企業内実習については、御指摘がございましたが、中央教育審議会の答申におきまして、実習の時間数が提言をされております。その際、それに加えまして、企業等との共同教育計画の策定、企業等における指導員の配置等、適切な指導体制を確保するとされているところでございます。

 また、これまでも、実は、専門学校におきまして、職業実践専門課程において、企業と連携した人材育成を行ってきたところでございますので、御指摘の実習内容や実習期間についても、これを充実していくというのは重要な観点であると認識をしております。

 こうした点を含めまして、企業内実習が適切に実施されるよう、その実施方法等に関して考え方を整理するなど、必要な取り組みについて検討してまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 企業内実習の履修は、これからの人生を歩む、あるいは経験を積み重ねるという意味では、現場での教育ですから、意義のあるものだというふうに考えておりますけれども、職種によって身につける内容等の時間も違うわけでございまして、教育課程に即した内容、それぞれの業態あるいは形態、種別というものがあると思いますので、そういったところがおろそかにならないような、時間をかければいいというものでもないと思いますけれども、実りある実習期間をしっかりとつくっていただくような提示をしていただきたい、取り決めをしていただきたいというふうに思います。

 この企業内実習につきましては、実習中の学生の労働安全衛生の面からも、労働基準法の適用のあり方や報酬等についても検討しなければならないと考えますが、明確な基準を定めるべきだと思いますが、この件につきまして、いかがお考えでしょうか。

常盤政府参考人 専門職大学では、長期の企業内実習を必修とするわけでございますけれども、企業内実習の実施に当たりまして、労働関係法令の適用の有無については、その実施方法や管理、手当など、個々の実態に即して、実習先企業と学生との間に使用従属関係が認められるか否かによって判断をされるということでございます。

 こうしたことでございますので、企業内実習が適切に実施されるように、厚生労働省とも連携をしながら、各大学等に対し必要な情報提供、指導を行ってまいりたいと考えております。

 この労働関係法令の適用につきましては、個々の実態に即して判断をされるために、一律の基準を定めることは難しい面もあるというふうに考えておりますが、学生が安心、安全に実習を受ける環境を確保することは重要であると考えておりますので、厚生労働省とも連携しながら、その適切な実施方法に関する考え方を整理するなど、必要な取り組みについて検討してまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 実習についてもさまざまな形態があろうかと思いますので、今お答えをいただきましたように、厚生労働省、関係省庁ともしっかりと協議をしながら、それぞれにしっかりとした基準を設けていただきたいと考えます。

 十分な情報提供を行うことにつきましては、先ほど太田議員からも御指摘がございましたので、この質問は省かせていただいて、次に移りたいと思います。

 職業教育の充実につきましては、今回制度化される専門職大学等だけでなく、既存の高等教育機関においても引き続き重要な課題であります。専門職大学あるいは短大の制度化後の既存の高等教育機関に対しまして、さらなる職業教育の充実に向けた支援を行っていくべきであろうと考えますが、いかがでしょうか。

常盤政府参考人 これまでも、大学等を初めとした既存の高等教育機関がそれぞれの強みと特性を生かして職業教育を推進してきたところでございまして、こうした取り組みの支援に努めてきているところでございます。

 例えば、これは先ほど委員からも御紹介がございましたけれども、平成二十七年度には、大学等における社会人や企業等のニーズに応じた実践的、専門的なプログラムを文部科学大臣が認定いたします職業実践力育成プログラムという認定制度を創設したところでございまして、認定を受けたプログラムは、厚生労働大臣の指定によりまして、教育訓練給付金の給付対象となる仕組みとしているところでございます。

 また、専修学校による地域産業中核的人材養成事業の取り組みの一つとして、専修学校、大学、大学院、短期大学等の教育機関、企業、業界団体その他の関係機関が協働し、地域や産業界の人材ニーズに対応した、社会人等が学びやすい教育プログラムの開発、実証も行っているところでございます。

 今後とも、引き続き、高等教育機関における職業教育の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 既存の高等教育機関も、ここで役割を失うというものではなくて、これからまた新たな役割を担っていくものだというふうに考えますので、今お答えをいただきましたように、今後の支援がなくなるようなことがないようにお願いをいたしたいと思います。

 次に、専門職大学等の制度化によりまして、私学助成の対象となる学校数が増加することが想定されます。教育の質を確保するためにも、私学助成の対象となる学校だけがふえて私学助成がふえないということはあってはならないと考えます。

 今回の専門職大学などの制度化に当たりましては、その分の予算を新たにしっかりと確保するよう対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、少子化の進展に伴って私立学校の経営も厳しさを増している中、専門職大学等を含めた私立学校のさらなる教育の質の向上と経営基盤の安定のために、私学助成関係予算の大幅な増額など支援をより一層強化していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 専門職大学は、大学制度の中に位置づけられるものでありますから、学校法人が設置する場合には、現行制度上、いわゆる私学助成の対象となります。

 専門職大学に対する財政措置については、中央教育審議会の答申におきまして、必要な財源の確保を図り、改革に積極的に取り組む既存の高等教育機関への支援が維持、充実されるようにしていくとともに、新たに制度化される機関に対して、実践的な職業教育を担い、専門職業人の養成を担う高等教育機関としてふさわしい支援を行っていくことが必要であるとされております。また、産業界や地域と密接に連携した実践的な教育を行う機関であることから、民間資金の活用が重要であり、地方公共団体等からの多様な資金を導入していくとされております。

 今後、中央教育審議会の答申も踏まえ、必要な財源の確保を含め、新たな機関にふさわしい支援に努めてまいりたいと考えております。

 また、我が国の七割を超える学生を支える私立大学等の果たす重要な役割に鑑み、文部科学省としては、私立大学等が社会や時代のニーズを踏まえた特色のある教育研究や学生の負担軽減を行えるよう、引き続き、私学助成の確保に努めてまいります。

坂本(祐)委員 新たな制度を設けるのであれば、当然そこには予算が先にあって事業が行われるわけでございますので、今後とも、教育の質の向上と経営基盤の安定を守らなければならないと思いますので、その支援をいただきますようにお願いを申し上げます。

 次に、専門職大学等の制度化によりまして、学生からすれば進学先の選択肢が多様になる一方で、少子化が進展する中で新たな大学、短大がふえることで、大学、短大の定員割れの拡大あるいは学生の獲得競争が激しくなっていくと思います。大学などの経営も厳しさを増すことが懸念をされますが、少子化が進展する状況下で、今後の大学の設置のあり方を考えなければならないと思います。質あるいは量、両面から、文部科学省としてどのようにお考えか、お伺いをいたします。

松野国務大臣 高等教育全体のあり方については、委員御指摘の、十八歳人口の大幅な減少を見据え、今後の高等教育の規模も視野に入れつつ、地域における質の高い高等教育の機会の確保について検討する必要があると考えております。

 このため、ことし三月に、中央教育審議会に対し、「我が国の高等教育に関する将来構想について」を諮問し、検討に着手したところであります。こうした観点から、高等教育改革を早急に進めてまいりたいと考えております。

 なお、今回制度化しようとする専門職大学は、既に各分野で教育に実績を有する専門学校等からの転換が主となると予想されるため、専門職大学制度の創設が高等教育全体の数や学生数に大きく影響するとは考えにくく、現在の量的規模の中で質の充実につながるものと考えております。

坂本(祐)委員 御答弁いただきましたように、現存する大学あるいは短大の支援も、これからも変わらずしっかりと行っていただきたいと思います。

 それでは、次に、先般の文部科学省の天下りあっせんの問題におきまして、大学への天下りあっせんが問題になったわけでございますが、このような問題が発生した時期に、あり得ないとは思いますけれども、新たな専門職大学等が新たな文部科学省の職員の天下り先あるいは再就職先になるということは、この制度本来の意義や理念をゆがめる結果になると考えます。さらには、仮に、明確な理由なく設置基準を緩めて新たな専門職大学等を開学させた上でそのようなことがあっては、単なる文部科学省の天下り先、再就職先の確保であったと受け取られることと思います。

 専門職大学などの制度化の後にこのようなことがないよう、しっかりとした対応を求めますが、文部科学省の見解をお伺いいたします。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 専門職大学は、教育再生実行会議の提言や日本再興戦略を踏まえ、中央教育審議会で議論した結果、変化の激しいこれからの社会が必要とする専門職業人材の養成強化のために新たな高等教育機関が必要との答申を得たものであり、その早急な実現は、今日の社会的要請に応えるために必要なものであると考えております。

 今回の再就職等問題について、文部科学省としては、三月三十日の最終まとめを踏まえ、今月十八日、法律やコンプライアンスの専門家などの外部有識者に参画いただき、再就職規制違反の再発防止策に関する有識者検討会における議論を開始したところであります。検討会における議論も踏まえ、国民に納得をいただける再発防止策の検討を進めてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 最終取りまとめ、そしてコンプライアンスをしっかりと守っていただく、このことを強く要望いたしたいと思います。

 いずれにいたしましても、今回の専門職大学等の制度化がうまくいくかいかないか、そして質をしっかりと確保できるかどうかというのは、この設置基準にかかっているというふうに思います。法案の成立後に検討し定めるということでございまして、この委員会では審議はできませんけれども、この委員会での審議や先週の参考人からの御意見や御懸念をしっかりと踏まえて検討していただきたいと思います。

 間違っても、その基準が明確な理由なく緩くなったりして、大学、短大としての質が確保できない、または既存の大学、短大等の設置基準における公平性が保たれないということがないように、そして誰もが十分に納得できる設置基準を定めるよう強く求めて、私の質疑を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、大平喜信君。

大平委員 日本共産党の大平喜信です。

 政府は、本法案で、専門職大学の制度化が必要な理由として、第四次産業革命の進展と国際競争の激化に伴い産業構造が急速に転換する中、すぐれた専門技能等をもって新たな価値を創造することができる専門職業人の養成が急務だ、だから、理論的にも裏づけられた高度な実践力を強みとして、専門業務を牽引でき、かつ、変化に対応しつつ、新たな物やサービスをつくり出すことができる人材を養成するとしております。そして、そのために、産業界との連携や実務家教員の積極的任用を行うというふうにしております。

 私は、この間の質疑、そしてこうした政府の説明を聞いておりましても、結局、どういう大学ができて、どんな教育が行われるのか、今の大学や専門学校、高専、その他の大学校などと何が違うのか、イメージが湧かないのであります。多くの人が恐らくそうではないでしょうか。先日の参考人質疑で来られた小出参考人も、同様の趣旨のことを述べておられました。

 先ほどもありました、設置基準が今後決まっていくということもありまして、文科省のこの間の答弁も、今後の議論でということを繰り返しておられます。なかなか漠然としかわからないという状況になっております。

 一つ一つお伺いしていきたいと思います。

 まず、専門職大学で行われる教育というのは、それぞれの職業分野、産業分野に直結をした、そこで必要となるスキルの教育が行われる、こういう理解で、大臣、よろしいでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 産業構造が急激に変化をする中、それぞれの職業分野で業務の改善や革新、新規分野の開拓が求められております。委員から御指摘をいただきましたとおり、高度な実践力と新たな物やサービスをつくり出す創造力を有する人材の育成が喫緊の課題であります。実践的な職業能力を養成するということを目的に掲げておりますので、御質問にありましたとおり、それぞれの産業における実務的な技術を身につけるということが主たる目的でございます。

大平委員 では、具体的に、今度の専門職大学では、どのような産業分野を文部科学省として想定されているのでしょうか。先日の参考人質疑では、すし職人とか、すしの研究だ、こんなお話もありましたが、局長、いかがでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 専門職大学は、制度上、医学、歯学、獣医学及び六年制の薬学を除き、対象の職業分野は限定しないこととしております。ただし、基本的な制度設計として、産業界との緊密な連携を要件とするものでございますので、おのずから実践的かつ創造的な人材へのニーズの拡大が見込まれ、その分野の人材の育成が強く求められる、いわゆる成長分野等が中心になると想定をされております。

 具体的には、例えば、観光、食や農業、ITコンテンツ等の分野が考えられるところでございます。

大平委員 産業分野は特定していないという御答弁でした。

 きょうは総務省にも来ていただいております。今、日本には幾つの産業種があるんでしょうか。御説明ください。

新井政府参考人 お答えいたします。

 現在、日本標準産業分類というのが定められております。この産業分類は、公的統計を産業別に表示する場合の統計基準でありまして、ここにおける産業とは、同種の経済活動を営む事業所の総合体でございます。

 平成二十五年十月に改定された当該分類におきましては、大分類で二十、中分類で九十九、小分類で五百三十、細分類で千四百六十となっているところでございます。

大平委員 大分類だけでも二十種類、細分類でいえば千四百六十、こういう御答弁でした。

 そこで、先ほど来ありますような設置基準について私もお伺いをいたします。

 先日の参考人質疑で、中教審の特別部会の座長でもあられた永田参考人は、設置基準について、とりわけ校地、校舎などハード面について問われたのに対し、次のように述べておられます。

 校地、校舎についてはいろいろな条件に鑑みて今後詳細を決める、それは、新しい産業構造、就業構造を考えていくという立場がそこにあるからだと述べられ、さらに、東京や地方など、地域によってもその必要性はさまざまだ、だから、そういうことも踏まえて設置基準を考える必要がある、こういうお話をされておられました。

 文部科学省としても、こうした産業分野ごとによって設置基準を決めていくというふうに考えておられるんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 専門職大学は、産業界と緊密に連携した実践的な職業教育に重点を置き、社会人の受け入れも主要な機能とするなどの特性を有しております。こうした特性を踏まえた設置基準とすることが必要であると考えております。ただし、産業分野ごとに設置基準を制定するものではないと考えております。

 また、専門職大学の設置基準につきましては、国際通用性が求められる大学の枠組みの中に位置づけられる機関として、先ほど御答弁をさせていただきましたとおり、主たる目的としての実践力を身につけることにあわせて、社会の変化に対応していく基礎力を身につけていただくということでございますので、既存の大学、短期大学の設置基準を踏まえつつ、ふさわしい教育研究水準を担保する必要があると考えております。

 このような考えのもと、設置基準につきましては、今後、中央教育審議会において改めて御審議をいただきまして、適切な内容を定めることとしたいと考えております。

大平委員 産業分野ごとではないという大臣の御答弁だったかと思いますが、まさに中教審の座長を務められた、そして今後の設置基準の検討の中心にもなってこられるんだと思います筑波大学長の永田参考人御自身が、今後詳細を決めるというお話の中で、それは新しい産業構造、就業構造を考えていかなければならない、地域の特性の必要性も加味しなければならないと御発言されていることと今の大臣の御答弁は、ちょっと私、理解できないんですけれども、もう一度お答えいただけますか。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 設置基準でございますけれども、学校の組織や教員、教育課程、施設設備等の諸条件がございます。各学校種ごとの設置基準において、その最低基準を定めているということでございます。したがいまして、大学であれば大学設置基準、短大であれば短大設置基準ということで、学校種に応じて設置基準は定められております。専門職大学の設置基準につきましても、産業分野ごとに定めるものではなくて、共通の基準である専門職大学設置基準を新たに制定したいというふうに考えてございます。

 ただ、先般、部会長のおっしゃった趣旨について、私がその具体的な中身までわかっているわけではありませんけれども、私が推測をいたしますに、この基準の中で、専門職大学の特色である企業内実習の必修化であるとか実習等の授業割合、実務家教員の割合等についても定めることとしているわけでございますが、これらについては、昨年五月の中教審の答申においても、分野の特性に応じた検討も必要とされておりますので、こうした答申の御指摘も踏まえて、分野の特性、あるいは、施設設備などでいいますと、社会人の受け入れの状況とかそういうことも関係してくるかと思いますが、そういう状況を踏まえながら、工夫をしながら、一本化されたものの中で定めていくということをおっしゃったものではないかと思っております。

大平委員 永田参考人は、校地、校舎についてはということをおっしゃっているんですね。ですから、先ほどの局長の答弁でいえば後半の話になるかと思います。カリキュラムとか教育内容の問題を私は聞いているわけじゃないんですね。

 そこで、具体的に伺っていきたいと思うんですけれども、現行の大学の校地、校舎、それから運動場、体育館、こうしたものの設置基準というのはどういうものになっているのか、御説明いただけるでしょうか。

常盤政府参考人 大学の校地、校舎等は、質の高い教育研究活動や学生支援、地域との連携などさまざまな活動のために必要なものであり、大学の重要な構成要素であると考えております。

 校舎面積については、学部の種類に応じ、標準的なカリキュラムを実施するために必要な教室等の積算をもとに基準面積を算出しております。

 他方、校地面積や運動場、体育館については、大学では、二十歳前後の学生が大半を占め、人格形成や生涯にわたる学習の基礎を培う機能が重要であること、このため、学生の多様な活動を可能とする空間を保持し、心身の健康の保持、増進等を図る必要があることから、校地面積の基準を学生一人当たり十平方メートルとするとともに、運動場や体育館を原則として設置するということとしております。

大平委員 大学の設置基準というのは、二十前後の学生たち、若者たちが、教育の内容はもとより、それだけではなくて、サークル活動やあるいは友達との交流、レクでは、お昼に外で、青空のもとで御飯を食べる、そんなためにも必要な敷地面積だ、こんな説明もありました。つまり、大学生活の全体を通して、人間として成長する、学生の全人的な人格形成を促すための基準だというふうな理解をしております。心身の健康の保持、こんなお話もありました。

 しかし、先ほどの御答弁、あるいは中教審の答申などを私読んでおりますと、専門職大学の設置基準については弾力化する、特性に応じたものをつくるということが盛んに強調されるわけなんですけれども、例えば今の校地面積、数値をおっしゃいませんが、十平方メートル、それ以下でもよいとか、あるいは運動場や体育館はなくてもよいとか、こういうものになってしまうんでしょうか。局長、いかがでしょうか。

常盤政府参考人 専門職大学の備えるべき施設や校地、校舎面積については、昨年五月の中央教育審議会答申においても、大学、短期大学設置基準の水準を踏まえつつ、質の高い職業人養成にふさわしい適切な水準を設定することが提言をされております。

 特に、校地面積や運動場、体育館については、専門職大学の教育活動の特性を踏まえるとともに、社会人への教育を主要な機能に位置づけた機関として、社会人学生の通学、利用の利便性についても考慮し、適切な立地、施設確保等が図られるよう弾力的な対応が可能な基準の設定を行うとされておりますので、今後、こうした答申の趣旨を踏まえつつ、適切な水準について検討してまいりたいと考えております。

大平委員 ですから、私、聞きました。校地の面積が十平方以下でもよいとか、運動場、体育館がなくてもよいということになってしまうんじゃないかということについての明確な御答弁はありませんでした。専門職大学も当然大学なわけでして、大学として学生の成長を支える責任がある、これは言うまでもないことだと思います。

 それからさらに、社会人の受け入れということが繰り返し、この質問をいたしますと強調されるわけですけれども、しかし、十八歳、二十前後の若者たちがこの専門職大学にも当然来るわけでありますし、あるいは反対に、既存の大学でも、今現在、社会人の受け入れを非常に重視もし、力を入れているところもある。しかし、既存のそういう大学でも、今の大学の設置基準をきちんとクリアして、きちんと設置をしているわけです。

 それを、専門職大学だからと、何だか社会人の入学が多いからだということが繰り返し答弁をされ、そういう特性に合わせて弾力化もしていくということは、社会人の受け入れを強調すればするだけ、この専門職大学に通う学生は、例えば、先ほど設置基準の御説明をいただきましたけれども、サークル活動など多彩な活動を可能にする空間、そのために今の設置基準があるという御説明でしたけれども、専門職大学に通う学生というのは、では、そういう多様な活動をしなくてもいいということになってしまうんじゃないか、こういう不安の声があるわけです。大臣、いかがでしょうか。

常盤政府参考人 先ほども申しましたように、校地面積や運動場、体育館については、専門職大学の教育活動の特性を踏まえる、あるいは社会人への教育を主要な機能に位置づけた機関ということでの要素等を考慮いたしまして、弾力的な対応が可能な基準の設定を行うとされているところでございます。

 同時に、中央教育審議会の答申においては、大学、短期大学設置基準の水準を踏まえつつということで、国際通用性が求められる大学の枠組みの中に位置づける機関としてのふさわしい水準ということも言っているわけでございますので、その両者の兼ね合いの中で適切な基準を定めてまいりたいというふうに考えてございます。

大平委員 大学は、先ほど来からありますとおり、カリキュラムとか教育内容、そういう、ソフトというんですか、教育内容の面だけではなくて、先ほどの校地や校舎の面、こうしたハードの面においても十分な教育条件を整えることで、その両面において学生たちの成長を支えている、それが大学だ、設置基準の御説明でもそうだったというふうに思います。どちらかが高ければどちらか一方が低くていい、こんな話にはならないのは当然だというふうに思います。

 設置基準の問題で、大臣に、最後に伺いたい。

 結局、大学の設置基準が、弾力的な対応とか、それぞれ産業ごとの特性に応じた対応だ、こういう名のもとに、永田参考人からもありました、産業ごとに合わせてとか、あるいは地域の特性も加味して、こういうことで設定をされるということになれば、この法案によって、専門職大学の設立によって、現存する大学の設置基準が緩和される、質の低下が起こるということになるんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

松野国務大臣 政府参考人からお答えをさせていただいたとおりでございますが、その中にもありましたとおり、基本的には大学、短大の設置基準を踏まえるということが挙げられております。その中において、専門職大学、専門職短期大学の特性に応じて弾力化をするということでございますから、当然、学生生活が十分に快適に送れるということは保証されるものであると考えております。

大平委員 先日の参考人質疑におかれましても、小出参考人や本田参考人もこの点での懸念の表明をされておられました。今度のこの法案で、先ほど来から議論が集中していることも、私はそういう反映だと思いますが、多くの大学関係者の皆さんが不安に感じておられます。

 もちろん、今の大学でも、分野ごとによっていろいろな幅がある、共通したものをつくった上で、学部ごとやそういうものによって幅があるということは私も承知しておりますが、しかし、これから検討される今度の専門職大学の設置基準は最低限の基準を下げることがあってはならないということを重ねて指摘しまして、次の質問に移りたいと思います。

 今、専門職大学の要件として比較的具体的になっていることは、例えば卒業単位のおおむね三割から四割以上を実習などとする長期の企業内実習を行うこと、また、必要専任教員の四割以上を実務家教員にすること、産業界等と連携をした教育課程の編成、実施、評価を行うことなどであります。

 産業界との連携を義務づけるというのは、大学の自主性との関係でどうなのかという思いはありますが、それはおいておいても、ここで挙げられていることは、私は全く新しいことではないというふうに思っております。

 参考人質疑の際も伺いましたし、先ほど来からの質疑の中でもありましたが、重ねて伺いたい。こうしたことは既存の大学などではできないと文部科学省はお考えでしょうか。

常盤政府参考人 大学は、専門教育と教養教育や学術研究をあわせて行うという機関の性格から、比較的学問的色彩の強い教育が行われる傾向にあります。

 一方、専門職大学は、特定職種における業務遂行能力の育成に加え、特に、企業での長期実習や関連の職業分野に関する教育等を通じ、高度な実践力や豊かな創造性を培う教育に重点を置く点で特色を有するものになります。

 大学においても各大学の判断で実践的な職業人材の養成は可能であると考えますが、社会の要請により的確に対応していくためには、実践的な職業教育に重点化した高等教育機関を制度化することが効果的であると考えております。

 専門職大学の制度化によりまして、既存の高等教育機関がそれぞれの強みと特性を生かして行う職業教育と相まって、専門職業人材の養成強化が図られるものと考えております。

大平委員 可能だという御答弁でした。現行でも制度として行えるというわけですから、それを行っている大学や専門学校などをどう支援していくのか、これが私は最も重要だというふうに考えております。

 その点で指摘をしなければならないのが、国の高等教育予算の少なさからくる財政的支援の不十分さであります。この点は参考人の方々も、専門職大学ができることで予算がさらに少なくなるのではないか、こうした危惧を含めて、現行の教育予算が全く不十分だ、このことへの怒り、憤りの思いを異口同音に語っておられました。ここを改善していくことこそ急務だと私は訴えたいと思います。

 そこでまず、私立大学の問題からお伺いしたいと思います。

 改めて確認ですが、一九七五年に制定をされた私立学校振興助成法の附帯決議では、私立大学に対する国の補助を速やかに二分の一にすると定めておりますが、現在、直近の数字で、私学に対する経常費補助率は何%になっているでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 私立大学等における経常費経費に対する、私立大学等の経常費補助の割合でございますけれども、直近の平成二十七年度の数字で九・九%でございます。

大平委員 わずか九・九%。二分の一、五〇%を目指す、速やかにしていくとしながら、とうとう一割を切っているというのが現状であります。

 そのもとで、私は以前の本委員会でも紹介をしましたが、この予算額の範囲におさめるためにということで、各大学の申請額に三割以上もの圧縮率を掛けてカットしているということさえ起きております。やはり私学助成を抜本的に引き上げて、大学がきちんと教育研究を行える環境をつくっていくことが何よりも求められていることだと思います。

 しかし、そんな中、今月の二十五日に行われた政府の経済財政諮問会議では、大学改革についてがテーマとなり、民間議員から、私立大学向けの助成金も成果に応じて配り、歳出を抑制する、成果の乏しい大学の淘汰を促すなどの提言、発言が行われたと新聞各社で報じられております。

 大臣、文部科学省もそのようなことを考えているんでしょうか。

松野国務大臣 四月二十五日に開催をされた経済財政諮問会議において、有識者議員から、私学助成について教育成果を反映した大胆な傾斜配分を行うなど仕組みの見直しを行うべきとの提案がなされたことは承知をしておりますが、報道にあるように、私学助成を抑制するということが議論をされたわけではありません。

 この会議において、私からは、高等教育システム改革、教育研究の質の向上、高等教育への格差の是正、これらの一体改革に取り組み、特色ある足腰の強い大学が質の高い教育研究を展開するとともに、意欲と能力ある全ての人が高等教育にアクセスできる社会の実現を目指すことを述べたところであります。

 このような高等教育改革を進めるに当たり、私立大学は引き続き重要な役割を果たすものであり、文部科学省としては、私立大学が社会や時代のニーズを踏まえた特色ある教育研究を実施するとともに、学生の経済的負担の軽減が行えるよう、引き続き、私学助成の確保に努めてまいりたいと考えております。

大平委員 発言されたことは承知をしているが、抑制について議論をされているわけではない、引き続き確保を目指す、これが文科省の立場だということで、今の御答弁だったというふうに思います。

 この間、傾斜配分といいますと、国立大学法人に対する運営費交付金の問題で既に傾斜配分が大きく進められている。そうした中で、各国立大学法人では、現状では、新年度に向けての人件費を見込むこともできない、人事の凍結などが現に起きている、将来の日本の研究力の維持発展にとっても憂慮すべき状況となっている、多くの方から危惧の声が寄せられております。

 高等教育の大部分を占める私立大学でも同様の仕組みが導入され、強まっていけば、そのマイナスの影響ははかり知れない、私は、こんなことは絶対に許してはならないというふうに思って読みました。

 さらに、この会議では、それだけではなくて、組織再編についても議論になったと伺っております。例えば、国公私立の枠を超えた経営統合や再編、あるいは国立大学法人が複数の大学を傘下に持てるようにする、そういう仕組みが必要だ、こういう提言もされました。

 大臣、これは、文部科学省は検討されようとしておるんでしょうか。

松野国務大臣 十八歳人口や経済社会の変化の中で、今後の成長を担う質の高い人材育成を進めるためには、今後の高等教育の規模も視野に入れた、地域における質の高い高等教育機会の確保のあり方について検討する必要があると考えております。

 このため、ことし三月に、中央教育審議会に対して、「我が国の高等教育に関する将来構想について」を諮問し、その中で、国公私の設置者の枠を超えた連携、統合等の可能性の検討をお願いするとともに、先日の経済財政諮問会議においても、改革の方向性の中でお示しをしたところであります。

 大学の連携、統合に関しては、国立大学の一大学一法人制度を見直すことや、複数の大学がネットワークを組んで連携して存立していくことなども含め、多様なあり方が想定されるところであり、今後、中央教育審議会において専門的な議論を進めていただきたいと考えております。

大平委員 国公私立の枠を超えた再編統合を検討しているという御答弁でした。

 歴史や経過も、あるいは役割も違うものを一緒くたにしてしまうというような、私、こういう議論は余りにも乱暴な議論ではないかというふうに思います。

 先ほどの御答弁にもありましたが、十八歳人口が減少し、地方の小規模大学を中心に定員割れも多くのところで起こっている。こういうのが、諮問会議に示された文部科学省の資料も私は読みましたけれども、詳細なグラフなども示しながら論じられておりますが、現状を追認するということであればそうですが、やはり文部科学省自身も、今よりも進学率を上げようということでさまざまな施策に取り組んでいる、そういう中において、減少するから、定員割れが起こるから統合再編だということは、私はどうかなと感じざるを得ない。

 進学率の問題、もう少し私は聞いていきたいと思いますが、今、都道府県ごとの進学率はどうなっているか。直近の数字で、大学進学率が最も高かった都道府県と最も低かった都道府県の進学率、県名を含めてお示しいただけますか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度の数字でございますけれども、都道府県別の国公私立を合わせた大学進学率について申し上げますと、一番高い数字が東京都で六四%、一番低い数字で申しますと、鹿児島県で三一%となっているところでございます。

大平委員 都心の進学率は高いが、地方に行けば行くほど低くなるという傾向であります。こうした地域間格差の是正も含めて、進学率を上げていくということが今非常に求められている。

 その点で、一つ、示唆的な数字がございます。

 この間、幾つかの経営困難な私立大学が公立大学へと移行をしております。私、これが必ずしもいいことだとは思いませんが、今現実に起きている。文部科学省の調べで、鳥取環境大学や高知工科大学など七校が私立から公立へと移行しております。

 そこでお伺いしますが、これらの大学の志願倍率が公立化前と公立化後にどのように変わったか、端的に、数字だけで結構です、七校、お示しいただけますか。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 私立大学から公立大学となった大学数は、平成二十九年度からの一大学がございますので、現在、八大学となっております。

 一般入試における、私立から公立に転換した大学の倍率について申し上げますと、公立化前年度の志願倍率と公立化後初年度の志願倍率で申し上げたいと思いますが、高知工科大学については、二・〇一倍が一九・五五倍となっておりますが、その後は平均すると約七倍という状況でございます。

 以下、公立化の前年度と公立化後の初年度について端的に申し上げます。

 名桜大学は一・二一倍が四・四八倍、静岡文化芸術大学は十・一一倍が十三・七一倍、公立鳥取環境大学は二・七三倍が十四・五四倍、長岡造形大学は四・七一倍が七・〇三倍、山陽小野田市立山口東京理科大学は九・九六倍が三十三・一九倍、福知山公立大学は一・八〇倍が三十七・三六倍、長野大学は四・〇三倍が二十四・八七倍となっております。

大平委員 軒並み大幅に上がっております。高知工科大学は九・七二倍になる、福知山公立大学では二十・七五倍も上がっている。この要因は何かと考えますと、私はやはりお金の問題、学費の問題が大変に大きいというふうに思います。

 各大学の授業料の変化について、これも端的に、数字だけで結構です、お示しください。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 私立大学から公立大学となった大学、先ほど申しましたように現在八大学でございますけれども、私立大学から公立大学となった八校についての授業料でございます。

 公立化一年目の授業料は、長野大学が五十八万円でございますけれども、その他は全て五十三万五千八百円でございます。ですので、公立化前の年がどうであったかということを申し上げたいと思います。

 高知工科大学九十四万円、名桜大学九十万円、静岡文化芸術大学五十三万五千八百円、公立鳥取環境大学八十万円、長岡造形大学九十七万六千円、山陽小野田市立山口東京理科大学八十万四千円、福知山公立大学六十九万円、先ほど申しましたように、長野大学は五十八万円が五十八万円ということでございます。

大平委員 授業料も軒並み下がっております。高知工科大学でいえば九十四万円が五十三万五千八百円、長岡造形大学でいいますと九十七万円が五十三万五千八百円と、約半額近く下がっている。これは授業料ですから、これにさらに入学金や施設整備費なども加えますと、総額で見ればさらにその下げ幅というものは大きくなってまいります。

 格差と貧困が大きく進む中で、大学を選ぶ上でのお金の面というのは、言うまでもなく、重要な判断基準となっております。実際に学費が下がることで入学希望者がふえるということがこうした実例から見ても明確に示されていますので、こんなことをしなくても各私立大学が額引き下げを行えるように、私学助成を抜本的にふやしていく、進学率の向上につなげていくということが今何よりも求められている方向だというふうに私は訴えたいと思います。決して、諮問会議で議論がされたような、私学助成の抑制とか経営統合などではないということを、私ははっきりと指摘しておきたいと思います。

 次に、専修学校、専門学校についてお伺いしたいと思います。

 専門学校は、実践的な教育から教養教育まで幅広く行いながら、同時に、特定の職業に直結する教育も行っております。高等教育段階における職業教育を担う重要な役割を果たしておられます。

 そこで、確認ですが、現在の専門学校の数、高校などからの進学率、高等教育学生のうちの専門学校生の割合をお示しいただけますか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 専門学校、すなわち専修学校の専門課程でございますが、この学校数は二千八百十七校、新規高等学校卒業者に占める進学率は一六・三%、そして大学等も含めた高等教育機関全体に占める学生数の割合は一六・四%となっております。

大平委員 大臣に伺いたいと思いますが、こうした専門学校の役割をどのように御認識されておられるでしょうか。

松野国務大臣 文部科学省では、昨年度、専修学校教育の振興策を検討するための有識者会議を開催し、その中で、専門学校の社会的な役割や機能についても確認をしたところであります。

 すなわち、専門学校は、昭和五十年七月の学校教育法の改正により制度化され、以来約四十年にわたり、その柔軟な制度的特徴を生かし、社会の変化に即応した実践的な職業教育により、地域産業を担い、実践的に活躍する専門職業人の養成を担ってきたところです。

 今後とも、その制度の特質を維持しつつ、職業能力の育成等を目指した実学の学校として、専門職業人の養成において重要な役割を果たしていくことが期待されるものと考えております。

大平委員 そもそも、今回の法改正も、大もとの出発点は、専修学校、専門学校の質向上、支援拡充の要求であったと私は理解しておりますが、今回の専門職大学に専門学校からの移行がどの程度見込まれるのか。先ほどの議論にもありました、その移行は極めて限定的だ、こういう答弁もありました。

 つまり、今回の法案は専門学校全体の質向上などにつながるものではありません。今回の制度設計は、私は、専門学校からの願いともずれているということも指摘しなければならない。しかし、職業教育の意義を確認し、充実させていこうと考えるならば、やはりここでもそうした教育を担っている専門学校をどう支援していくのか、これが必要だ、重要だというふうに思います。

 そこでお伺いしますが、専門学校の今の平均的な授業料と入学金について御説明ください。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 私立専門学校の平均的な授業料等の状況についてでございますが、平成二十六年度におきまして、授業料は平均で約六十一万円、入学金は約十七万円となっております。

大平委員 それに加えて施設整備費が約三十三万円とありますので、平均ですが、合計すると、初年度にはおよそ百十万円、それ以上かかるということになっております。国立大学の初年度納付金が約八十二万円、私立大学の平均が百三十万円ということですから、私立大学に近い額の初年度納付金、専門学校もそういうことになっております。

 一方、専門学校にはどのような学生たちが通っているのか。専門学校に通う学生の家庭の収入で年間三百万円に満たない世帯の学生というのがどのぐらいいるでしょうか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 専門学校生につきまして、家庭の年間収入が三百万円未満の世帯の学生数の割合でございますが、平成二十五年度におきまして全体の約一八%となっておりまして、低所得世帯が比較的多くなっているところでございます。

大平委員 三百万円以下の低所得者世帯から通う学生が約一八%、二割弱だという御答弁でした。大学で見ますと、これは七・九%ですから、専門学校に通うその割合は倍以上であります。専門学校は、まさにこうした低所得者層を含む多様な若者たちの受け皿になっているというのが現状であります。

 しかし、そんな中で、国からの専門学校への財政的支援は今どうなっているか。専修学校、専門学校への今年度の予算額の御説明をいただけますか。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年度の専修学校関係予算といたしましては、三十五・九億円、これは対前年度で約七千万円増でございますが、三十五・九億円を計上しております。

 具体的には、まず第一として、人材養成機能の向上という観点から、産学連携による教育プログラムの開発、実証に取り組むとともに、新たに、産学連携体制の整備や、Eラーニング等を活用しました学び直し講座の開設の支援、さらには総合的な留学生施策の推進に向けた支援、これが第一でございます。

 第二には、質の保証、向上の観点から、文部科学大臣認定制度であります職業実践専門課程における第三者評価の検証を行うとともに、新たな教員の研修体制づくりの支援。

 そして三つ目には、学習環境の整備の観点から、専門学校生への効果的な経済的支援のあり方に関する実証研究や、私立学校施設設備等の補助などを計上しております。

大平委員 専門学校は二千八百校ある、専門学校生は五十九万人いるという中での、こうした極めて乏しい予算となっている。

 最後に大臣にお伺いしたいと思いますが、職業教育は大事だ、専門学校の社会的認識を高めていくんだと。先ほど専門学校の役割というお話もありました。そうであれば、やはり何よりも、現行の大学、専門学校に対するより充実した支援の枠組みをつくっていくことこそ求められていると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 我が国の持続的な成長、発展や一人一人の豊かな人生を実現させていくためには、教育投資の充実により高等教育の質を向上させていくことが重要だと考えております。

 このため、平成二十九年度予算においては、大学の基盤的経費である国立大学法人運営費交付金等については対前年度二十五億円増の一兆九百七十億円を計上するとともに、私立大学等経常費補助についても前年度と同額の三千百五十三億円を計上しているところです。

 専門学校については、人材養成、質保証、向上、学習環境の三つの観点から支援を進めており、平成二十九年度予算としては、対前年度約七千万円増の三十五億九千万円を計上しているところであります。

 今後とも、各高等教育機関において質の高い教育が推進されるよう、必要な予算の確保に取り組んでまいります。

大平委員 日本共産党は、十年かけて学費を半減するという政策を掲げておりまして、こうした中には専門学校も当然入っている。今こそ、こういう方向にかじ取りを……

永岡委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、手短に。

大平委員 切りかえるべきだということを申し上げて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 本日は、学校教育のあり方という観点から質問をさせていただきたいと思うんです。

 最初にこの法案の説明を政府から受けましたときに、専門学校に進学される学生が普通教育を受ける大学等へ進学する学生より、私はそうは思わないんですけれども、社会では低く見られがちだ、専門職大学を創設し、専門学校の中にも専門職大学なるものが出てくればそのようなイメージもなくなるのではないかということを政府から伺ったわけですね。

 それであるのならば、例えば商業高校、工業高校、農業高校という専門高校の卒業生というのは、専門の資格やスキルを手にしていますので、卒業しましてすぐ就職されたとすると、社会の中では、実学という点では非常に重宝されると思うんです。反対に、普通高校の卒業生は、特に何もスキルを持っていないわけですから、社会に出てすぐ就職したとしても、実学という点では専門分野の知識や資格やスキルを手にしていないわけです。

 しかるに、今、社会の中では、専門分野の知識を有し、資格やスキルを手にしている人の方が本来は尊敬、尊重されるのに、この学業の世界ではそうなっていない。

 なぜこのようになってしまったのかということなんですけれども、それでは、私はそう思いませんけれども、文部科学省が指摘する、職業教育が普通教育よりも低く見られている社会的風潮をこの法案で実際、打破できるのでしょうか。文部科学大臣の御見解をお伺いします。

    〔委員長退席、宮川委員長代理着席〕

松野国務大臣 お答えをいたします。

 平成二十八年五月の中央教育審議会答申でも、ともすれば、普通教育より職業教育が一段低く見られがちな風潮を指摘し、スペシャリスト志向の若者等にとって魅力ある進学先となる新たな高等教育機関の仕組みを創設し、その社会的評価を高めていくことが望ましいとしています。

 専門職大学は、実践的な職業教育に重点を置きつつ、大学制度の中に位置づけられ、修了者には学位も授与されるものであり、高校生等にとって新たな選択肢となるとともに、このような風潮を変えていくきっかけになり得るものと考えております。

 文部科学省としては、専門職大学が実績を積み、社会からの評価を得ることで、職業教育に対する社会の認識が高まることを期待しております。

伊東(信)委員 後半にも質問しますけれども、学位という、そういった点では一定の評価は得られるのではないのかなという気はするんですけれども。

 例えば、高校専門学科から高等教育の進学先で、この法案では、主に専修学校専門課程、いわゆる専門学校を念頭に置いていると思います。午前中の皆さんからの質疑をお聞きしましても、数々の指摘があったんですけれども、進学先で専門学校中心という形では、たとえ学位がもらえようが、専門職大学という位置づけになっても、それほどの違いがやはり感じられないと思います。

 つまりは、この法案にある専門職ということを具体的にどう指すかということがとても大事だと思うんですけれども、それでは、今度は文部科学省、政府からの見解をお伺いいたします。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 専門職の範囲でございますけれども、この法律案におきましては、専門職大学は、医学、歯学、六年制の薬学、獣医学の分野を対象外としておりますけれども、それらを除きまして、制度上の分野は限定をしていないというところでございます。

伊東(信)委員 先ほどからずっと聞いている答弁どおりでございます。

 私は、医学、歯学、獣医学の中の医学、医学部医学科卒業なんですけれども、昨日、理化学研究所の百周年記念というのがございまして、松野文部科学大臣にもお越しいただきまして、特別講演で神戸大学医学部のラグビー部の先輩であられる山中伸弥教授のところに、僕、楽屋の方にお伺いして、ちょっと昔の思い出話なんかをしたんですけれども。

 我々、卒業後、大阪市立大学の大学院に行きまして、その市立大学の大学院の中で、看護専門学校からいわゆる医学部の短大の看護科になる、大学の方に、短大になる、そういった移行を我々は経験しましたねという話も出てきたんですね。

 この一つの基準ができて、一つの法律ができて、どんどんどんどん、年を追うごとに、基準を満たしているところ、もしくは手続の関係上、学校法人または専門職大学へ移行していくと思うんですけれども、将来的にどれぐらいの専門職大学の想定を目標とされているのか、そのビジョンをお聞かせください。

常盤政府参考人 専門職大学でございますけれども、当面は、既に専門職大学に求められる水準に比較的近い条件を備えて、教育課程の開発等においても実績を有する専門学校等が専門職大学を目指していくということが想定をされているところでございます。

 専門職大学の開設数をあらかじめ想定することはなかなか難しいところでございますけれども、実際に設置をするためには、教育内容の開発、編成、教員の確保や施設設備等の教育条件の整備、産業界との連携など、設置基準で定める要件を満たす必要があり、相応の準備を要すると考えられますので、少なくとも、制度発足当初においては限定的な数になるのではないかと考えております。

伊東(信)委員 あらかじめ数を設定することは難しいとおっしゃいましたけれども、設定というよりも、答弁の中に想定という言葉が感じられるわけなんですね。

 つまりは、これは我々が掲げている教育の無償化にもかかわってくることなんですけれども、教育自体が、やはり最終的に高等教育自体が社会に有益であるのならば、そういったことで専門職大学をふやすのであれば、少子化もありますし、そういったストラテジーというか戦略というのはしっかり立てられた方がいいのではないかと思います。

 今、少子化の話もしましたけれども、そういった高等学校もしくはいわゆる工業専門学校、農業高校といった専門高校以外にも、社会人から、一度社会人で働いている人がみずから、企業などの後押しで、スキルアップのために学業に戻ることも想定されているのではないかと思うんですけれども、専門職大学がそういった多種にわたるさまざまな学生を受け入れていくためにどのようなことを検討されているかということを、文部科学省のお考えをお聞きいたします。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 専門職大学が社会のニーズに即応した人材養成を行うという観点から、産業界との緊密な連携は不可欠だと考えておりまして、そのために、制度設計の中でもさまざまな仕組みを盛り込んでいるところでございます。

 特に、今御指摘がございましたのは社会人のアクセスということでございますが、そのための、社会人がアクセスしやすい学修機会を整備するために、四年制の課程であれば前期、後期に区分するということ、ですから、前期を学修されて社会に出られて、また後期に入ってくるというようなこと、あるいは、実務経験を勘案いたしまして一定期間を修業年限に通算できる仕組みを導入するなどのことも制度の中で、この法案の中に盛り込まれておりますので、こういうことによって社会人の学び直しにも資するというふうに考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。ある程度の配慮をされていることは、今のお話でわかります。前期、後期で分けるなど、単位の修得に関して修得しやすいということをやられているのもわかるんですけれども。

 私が神戸大学医学部に入学したときに、同級生に、御年齢は上の方で、つまり社会人からまた神戸大学医学部に入学された方で、具体的な会社を言いますと、塩野義製薬に働いておられた方がおられまして、加えて研究職でした。もちろん、京都大学の薬学部を卒業されたので、そのときに幾つかの課程を受けられていまして、私の記憶する限りは、幾つかの単位に対して優遇があったかのように思われます。

 また、これはちょっと話がかわりますけれども、大阪大学の医学部とかであれば、専門課程からの学士入学の場合は、明確に、そういった単位の、既にそれは十分取られているだろうということで、そういった措置があるんですけれども、この専門職大学、職種によってさまざまでありますし、それぞれの社会人としてのスキルも違うと思うんですが、専門職大学がこういった社会人の方を受け入れるときに、そういった具体的な単位に関して優遇するとか、今の話し合いの過程でも構いません、そういった検討はされているかどうか、お聞かせください。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申しましたように、専門職大学が、社会人がアクセスしやすい学修機会を整備するために、実務経験を勘案し、一定期間を修業年限に通算できる仕組みということは先ほど申し上げたところでございますけれども、今委員から御指摘がございましたのは、例えば、もちろん既存の大学でも、もう既に、他の大学、学部等で学修をいたしまして、その単位等を持った形で編入学をしてくるときに在学年限を短縮できるというような仕組みもございます。

 また、そういう点でのさまざまな、学校外での、こういう形で期間を短縮することができなくても、単位数を、卒業までに修得すべき単位の中に組み込むことができるというような仕組みもございますので、そういう点の制度の活用ということは考えられると思います。

 それから、先ほど申しましたが、実習時間なども含めまして、設置基準はもちろん一本で制定するわけでございますけれども、分野の特性に応じた工夫ということについては、今後ではありますけれども、考えてまいりたいというふうに考えてございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。今後、そういったこと、今の認識をお聞かせいただいたところ、検討されているし、十分そういったことも考慮していただけるということなんです。

 そういった、いわゆる企業とか、専門職大学の単位の考慮とかというのはあると思うんですけれども、それ以外に、そこの地域で働かれていた方、遠く、専門職大学以外の地域から来られた方もおられるかもしれないんですけれども、職によっては、そこの地域に根差した職種も想定されるかと思うんですけれども、そういった地域、地方公共団体との連携も検討されているかということもちょっとお聞かせください。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 専門職大学につきましては、平成二十七年の十二月に閣議決定をされました、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中におきましても、その制度化を推進すべきとされております。地域産業の活性化や地域で活躍する人材の育成など、地方創生にも大きく資するものと考えております。

 昨年五月の中教審答申におきましても、専門職大学の制度設計として、教育課程の編成、実施等について、地域と連携して行うこと、地方創生の推進において積極的な役割を果たすことにより地方公共団体等からの資金も導入をしていくことなどが提言をされております。

 こうしたことを踏まえて、文部科学省といたしましては、専門職大学と地方公共団体との適切な連携が図られるように、関係機関への周知あるいは働きかけ、こうしたものに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

    〔宮川委員長代理退席、委員長着席〕

伊東(信)委員 大学になれば、専門学校と違って、さらに地方公共団体との連携が必要になると思ってきますので、そのあたりのところはしっかりやっていただきたいとは思うんです。

 いわゆる専門職大学のもう一つの目的の中に、やはり労働力確保、そのために専門職を充実させたいということがあるということなんですけれども、いわゆる専門高校を卒業された方、社会人から入学された方、さまざまな学生を受け入れることになると思うんです。

 今の大学制度でも、海外からの学生の受け入れというのは留学などであると思うんですけれども、労働力の確保という観点から、専門職という視点で考えましたら、やはり海外からの学生受け入れは必須になるとは思うんですが、専門職大学における海外との連携、海外の学生の受け入れ体制をどのように想定されているか、お聞かせください。

常盤政府参考人 専門職大学は、観光やファッション等の成長分野が中心になると想定をしております。また、修了者には学位が授与されるということになりますので、こうした、特に観光やファッション等の成長分野について優秀な外国人留学生の獲得も期待されるのではないかというような議論もしているところでございます。

 また、専門職大学においても、既存の大学と同様、それぞれの教育方針等に従いまして、海外の大学との単位互換等を通じた教育プログラムの連携や学生の相互交流を行うことも有意義であるというふうに考えられるところでございます。

 多様な学生集団による質の高い教育を展開するために、文部科学省といたしましても、引き続き、専門職大学を含めた我が国の大学の国際展開、あるいはグローバル人材の育成ということを推進してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 今まで私が御質問させていただいたのは、特に社会人、海外から、そして専門高校からの意欲ある方々が専門職大学に入学して、スキルを身につけるだけでなく学位ももらえるということで捉えていることで、やはり意欲ある生徒を対象にしていると思うんですね。本当に大事なことは、不幸にしてドロップアウトされた方、不幸にして今の学業が自分に合っていないと認識し始めた方への指導とかということも、この専門職大学が救済になればと思っておるんですね。

 前回の一般質疑の中で、毎年二千五百名ほど歯学大学の卒業生がいまして、ところが国家試験に合格するのが二千名ほどで、毎年五百名もの卒業生が、専門知識を持っているんですけれども、資格を得られないので、社会に出ても、それが社会として活用されないという実態を訴えました。

 現実、大学によっては、はなから、国家試験が受からないであろうという生徒に対しては国家試験を受けさせない、そういった現状もあるようですし、そもそもの進学制度、入学した同級生が、卒業するころには留年、留年でもう半分もいない、そういった私立の歯科大学もしくは歯学部もあるというふうに前回質問させていただきました。

 こういったところの打開に関して、厚労省、文科省、それぞれからお聞きしまして、本日は、その打開については、その制度に関してはお聞きしませんけれども、例えば、前回もお話ししたんですけれども、口腔内のケア、歯科ケア、こういったところというのは、例えば内科における糖尿病の予防になったり、介護においても、やはりみずからの口から飲食できるというのは健康寿命もしくは寿命においても大事であるところは御指摘しているところなんです。

 こういった歯学科で学んだ経験のある学生、もしくは、入学当初、やはり自分には合っていない、学業的に無理がある、こういった学生において、例えば、医学にこだわるわけじゃないんですけれども、予防医学の観点から介護職へ、もしくはそこからの転科ということで、医学、歯学、今歯学の話になりましたけれども、こういったところから専門職大学の受け入れとかというのを検討されてはどうかと思うんです。

 ちょっと難しい質問になると思うんですけれども、この提案に関して、いかが思われますでしょうか。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 先般の質疑でもございましたが、文部科学省におきましては、歯学部につきまして、各歯学部に対して、入学定員の削減及び最低修業年限での歯科医師国家試験の合格率の向上、そして、歯科医師としてなかなかそこに向いていないという方について、進路変更を含む適切な指導等に係る取り組みの推進についてということで強く要請をさせていただいているということ、この点について、前回御答弁をさせていただきました。

 そして、今のお話でございますけれども、一つは、先ほど申しましたように、専門職大学について、もちろん医学、歯学等の分野は対象外ですが、その他は開かれているわけでございますけれども、特に医療関連の職種ということになりますと、現行の各大学の中において資格取得を目指したかなり確立したことがございますので、この専門職の分野にどれだけ転換してくるかということはあろうかと思います。

 ただ、そういうことを前提とした上で、委員御指摘のような歯学部の学生が培われた知識等を生かせるような専門職大学が仮に開設をされるということになりますと、当該専門職大学への進学ももちろん新たな選択肢の一つとなる可能性はあるというふうに考えているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 やはり我々医療系というのは、資格がない限り、当然のことながら、患者様、人体を扱うわけにはいかない。かつ、私の質問は、要は、医療の質の低下につながるような施策を目指しているわけではなく、ただ、どうしても合わない生徒さんに関しての早期の指導で、専門職大学自体が充実、すばらしいものであれば、そういった新たなる道も考えていただけるんじゃないかなと思います。

 とはいえども、一つのメジャーとして、物差しとして資格というものは大事なもので、先日、参考人質疑、二十一日だったと思うんですけれども、文部科学委員会に参考人としてお越しいただいた東京大学の本田由紀教授によりますと、NQF、国家試験フレームワークというのがございまして、ナショナル・クオリフィケーションズ・フレームワークという国家による公式な学位、資格レベル認定制度が、世界においては百四十二カ国が導入、もしくは導入を検討しているといいます。

 さて、日本といいますのは、日本はこの認定制度を導入していません。そして、日本と同じようにアメリカも導入せず、NQFのところから、もしくは学識経験者から言わせれば、ガラパゴス化している、そういった指摘もあるわけですけれども、このNQFの導入について検討はされたのでしょうか。厚生労働省からお聞きいたします。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のNQF、国家資格フレームワークにつきまして、厚生労働省では、平成二十五年度に、職業能力評価制度のあり方に関する研究会におきまして、このNQFの諸外国での導入状況につきまして有識者からのヒアリングを行ったところでございます。

 有識者の方からは、各国の職業教育制度や労働市場政策上の課題の違いもあり、NQFの導入状況も必ずしも一様ではない、例えば、イギリスでは、高校中退者等に相当する層がメーンユーザーであるといったような御報告、あるいは、学位が労働市場での職業能力水準の目安として機能しているかという点におきまして、諸外国と我が国との状況の違いにも留意が必要であるといったような御指摘も頂戴したところでございます。

 厚生労働省としては、このような御意見も踏まえながら、NQFに関する我が国企業、産業界のニーズ等も注視してまいりたいと考えておるところでございます。

伊東(信)委員 正確にお聞きすると、外国の事例で、学位がその職業に必ずしもマッチしていないというぐあいに聞こえたのであれば大丈夫なんですけれども、本来、専門職大学というのは、その専門職を持った、専門学校では今までもらえなかった学位が大学でもらえることになるということを目指していると聞いているわけなんですけれども、それだったら、日本でも、そういった学位というのは無意味だというのが厚生労働省の見解なんでしょうか。ちょっと誤解があったらいけないので、もう一度お聞きします。

和田政府参考人 失礼いたしました。

 言葉の足りないところもあったかと思いますが、当省、決して委員のおっしゃるような認識でおるわけではございませんで、そこは、各国の事情と日本との状況、あるいは企業、産業界の要望等々の状況をしっかりと踏まえた上で検討すべきというのが我々の考え方でございます。

伊東(信)委員 ちょっとNQFについてもう一つだけ確認なんですけれども、日本においてそぐわないという意味ではないということですよね。

 では、事例の中で、アメリカでは導入していないんですけれども、アメリカの導入されていない原因について、先ほどの答弁にはなかったと思うんですけれども、それは検討、比較されていますでしょうか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました研究会における有識者の方からの御報告においては、米国では基本的に州単位の教育制度あるいはこういう資格制度が基本であるところの上に、全米、連邦レベルでどのようにこういったNQFに相当するフレームワークを導入するかという試みがなされたものの、必ずしも十分に行き渡らず、五、六件の業界、産業界、業種単位で幾つか行われているという実態にとどまっているというような御報告がありました。

伊東(信)委員 アメリカの場合、いわゆる州制度ですので、合衆国ですので、そういった意味での、連邦政府においての相違があるというのは理解はできます。

 日本において、学位ありき、資格ありきでこの専門職という議論はされていくと思うんですけれども、いわゆる専門職ではなくても、我々の話とちょっとマッチするかわからないんですけれども、国家資格において医師免許というのはもらえますが、例えば整形外科であったり、私は形成外科の専門医を持っているんですけれども、形成外科の専門医というのは形成外科学会が認定をするわけで、いわゆる認定になるわけなんですね。

 認定資格で検定試験とかもあると思うんですけれども、検定試験といえば語学というところも浮かぶわけなんです。学校法人の資格を有している英会話スクールとか、例えば今、議連の中でも日本語を語学として捉えていこうという議連もございますけれども、私も入らせていただいているんですが、そういった日本語学校や英会話スクールも、今後、専門職大学に移行するというのは可能なのでしょうか。

常盤政府参考人 専門職大学は、現場のリーダーとして専門業務を牽引できる力や、変化に対応して新たな物やサービスをつくり出せる力の育成等を主眼とするものでございますことから、特定の職業に必要な知識や技能に加えて、関連分野の授業科目や総合的な演習科目を展開することなどを要件として考えているところでございます。

 このため、今委員から御指摘がございました、特定の言語の習得のための教育に教育課程の大半が充てられる語学学校が直ちに専門職大学に転換することは難しいのではないかと考えております。

伊東(信)委員 言語という観点でいうと専門職でないという観点はわかります。であれば、通訳とか翻訳家とかそういった専門職においてはあり得るのではないかと思うんです。いずれにしても資格の話になると思いますので、時間ももうなくなってきましたので、ここの点に関しては答弁は求めないんですけれども。

 いずれにしても、専門職大学がスタートしますと、やはり実習というところが非常に重要になってくると思います。学生にスキルを身につけてもらうには十分な実習をしていただくことが大事だとは思うんですけれども、一方では、ある程度の経験を積んで一定のレベルのスキルを持った人材がスキルアップのために専門職大学に進学した場合、実習の現場ではややもすれば即戦力とか労働力になるということも想定されます。

 あってはいけないと思うんですけれども、実習の現場では、それを、十分な即戦力、労働力となることはいいとは思うんですけれども、使い勝手のいい労働力として酷使されてしまうというのは、やはり私も心配ですし、あってはいけないと思います。実習だから労働ではない、労基法も関係ないと誤解されたり、長時間、働き手として実習を受けさせることが起きないかと心配しています。

 こういったことを申し上げているのは、昨日の質疑通告では、その点に当たって厚労省との連携がとれていないというような印象を受けました。

 放棄所得という言葉もありますけれども、こういった実習時間等の労働の問題、文科省はどのように検討されているかお聞きして、質疑を終わりたいと思います。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 専門職大学では、長期の企業内実習を必修とすることを予定しております。企業内実習の実施に当たりまして労働関係法令の適用が必要になる場合があるというふうに考えてございます。その適用の有無については、実施方法、管理、手当など、個々の実態に即して、実習先企業と学生との間に使用従属関係が認められるか否かによって判断をされるということでございます。

 こうした点を含めまして、企業内実習が適切に実施されるように、厚生労働省とも連携をしながら、各大学等に対し必要な情報提供や指導を行ってまいりたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 しっかりと連携してください。

 終わります。

永岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 少し通告しておりました質問の順番を変えて、最初に財政措置のことから伺いたいというふうに思います。

 現状、これはほかの委員からも指摘があったと思いますけれども、私学助成、あるいは国立大学でいいますと運営費交付金等々、財政措置は非常に大学機関にとっては厳しい状態にあるというふうに思います。この上、新たな大学の財政措置を行うとなると、既存の大学に与えるダメージ、これは非常に大きいんじゃないかというふうにも感じざるを得ません。

 私大連合会を初め国大協あるいは私立短期大学協会など、既存の大学、短大、関係機関のほとんどが、今の大学に充当されている予算を毀損しない、それとは別の財政措置を求めていますけれども、この点、どのようにお考えでしょうか。

松野国務大臣 お答えいたします。

 専門職大学は大学制度の中に位置づけられるものであることから、学校法人が設置をする場合は、現行制度上、いわゆる私学助成の対象となります。

 専門職大学に対する財政措置につきましては、中央教育審議会の答申において、必要な財源の確保を図り、改革に積極的に取り組む既存の高等教育機関への支援が維持、充実されるようにしていくとともに、新たに制度化される機関に対して、実践的な職業教育を担い、専門職業人の養成を担う高等教育機関としてふさわしい支援を行っていくことが必要であるとされております。また、産業界や地域と緊密に連携した実践的な教育を行う機関であることから、民間資金の活用が重要であり、地方公共団体等からの多様な資金を導入していくとされております。

 今後、中央教育審議会の答申も踏まえ、必要な財源の確保を含め、新たな機関にふさわしい支援に努めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 先週の金曜日の日に参考人質疑を行いました。その際、三人の参考人それぞれ、この問題について発言をされております。

 例えば小出参考人、別途の予算措置をもって支援をしていただきたい。さらに本田参考人、別途の財政措置というのが絶対に必要。そして、私は、これは非常に重要な発言だと思うんですけれども、永田参考人、今、中教審答申を受けてというお話がありました、まさにこの専門職大学をつくるに当たって中教審のこの案件の部会長を務められた永田参考人が、こういうふうに言われております。

 現状の法整備の中身を見ていただくと、項目の次に第二項、つまり、これは八十三条の第一項、それと第二項ということで、新たに第二項を起こしたんだとして、この新しい大学を考える項目が法制上できている、だとすれば、既存の大学とは違う範疇の財政支援が私は必要だというふうに参考人の質疑の際に述べておられます。

 既存の私学の助成とは別枠のことが必要なんだと、まさに中教審の部会長がそういうふうに言われているんですけれども、この点、いかがお考えですか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 中教審の中でも、まさに今大臣からも申し上げさせていただきましたけれども、専門職大学に対する財政措置については、必要な財源の確保を図り、改革に積極的に取り組む既存の高等教育機関への支援が維持、充実されるようにしていくとともに、新たに制度化される機関に対して、実践的な職業教育を担い、専門職業人の養成を担う高等教育機関としてふさわしい支援を行っていくことが必要であるとされているわけでございますので、そうした答申も踏まえて、必要な財源の確保も含め、新たな機関にふさわしい支援に努めてまいりたいということでございます。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、永田部会長が、新たに法律を第二項として立てたんだ、だとするならば、既存の私大の助成とは、また私学助成とは違う別途の措置が必要だというふうに参考人の答弁で言われているんですよ。それと食い違っていませんか。

常盤政府参考人 永田参考人の答弁されたことについて、私自身がどのような内容であるかということまで特定的に申し上げることは難しいということは御理解いただきたいと思いますけれども、趣旨といたしましては、私が推測をいたしますには、新たに法律を改正して新しい機関ができるわけでございますので、その機関にふさわしい支援を行っていくというところは中教審答申と同じであるというふうに考えております。

 そして、一方で、この機関、もちろん新しい項を立てるわけでございますけれども、やはり大学制度の中に位置づく機関でございますので、そういうことも考慮いたしました上で、財政の問題については、今後、具体化するに当たっては、引き続き考えさせていただきたいというふうに思ってございます。

吉川(元)委員 常盤局長も、あの参考人質疑の際は、たしかあちらの方に座って聞いておられたと思いますので、永田参考人が言われた趣旨というのは明確だというふうに思いますし、部会長がそういうふうに言っているということは、これは非常に重たい発言だというふうに言わざるを得ません。

 既存の私学助成の中で行うということでありますけれども、これは先ほど大平委員からも少し指摘があったかもわかりませんが、ちょうど今週の火曜日の日に経済財政諮問会議が行われまして、翌日の二十六日の日の新聞にもそれが報じられておりました。まだ議事録等々はできておりませんので、新聞記事、それから会議の後のブリーフィング等々を読ませていただきますと、果たして本当に私学助成はしっかり確保できるのかというふうに疑問を持たざるを得ません。

 この諮問会議の中で、ふえる大学を整理するとともに、成果に応じて配り、歳出を抑制する、私学助成を教育の成果に応じて配る、成果の乏しい大学を淘汰する、それから、東京の大学、学部の新増設は原則として抑制するというようなことが言われています。これは新聞報道のレベルですけれども、それを骨太の方針の目玉に据えて官邸主導で進める、こういう記事が出ております。

 松野大臣、まさにこの諮問会議に出られたということですけれども、専門職大学ができるのは再来年、二年後ですから、もちろん、ことしの、来年の予算についてということではないとは思いますけれども、この方向性というのは、明らかに、私学助成を絞り込もう、あるいは大学が多過ぎるんだ、淘汰しようというふうに言われている中にあって、新たな専門職大学をつくる、これは非常に矛盾しているというふうに思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

松野国務大臣 まず、経済財政諮問会議において、私学助成を抑制するということが議論をされたわけではございません。これは、さまざまな国公私も含めた連携によって、より効率的な財政上の運営ですとか研究等々が行われるのではないかという観点と、十八歳人口が減少するに当たっての今後の中長期にわたった大学のありようについて議論があったことと承知をしております。

 そして、その中の議論において、例えば、私学助成が単にアウトカムですとか定員の充足率だけで判断されるということになりますと、今地方の教育を支えている私学にも影響が出る、このことも十分に配慮しなければいけない旨、私からも発言をさせていただいたところであります。

 その中において、新たな専門職大学の意義でありますけれども、これはもう答弁をさせていただいているとおり、今、社会状況の変化の中において、実践的な職業能力にあわせて、社会の変化に対応する基礎力を身につけていただくためのものをあわせ持った、まさに大学、短期大学と専門学校のそれぞれのいい点をとりながら、新時代に向けての職業人養成を担うということでございますので、今日的な専門職大学、短期大学の意義は十分にあるというふうに考えております。

吉川(元)委員 設置基準のところで少し議論されたところだと思いますけれども、いわゆる社会人の学び直しも含めてやっていくんだ、だから設置基準については云々というお話が先ほどございました。

 社会人の学び直しということになりますと、最も働く人が多いところは東京、関東周辺、特に東京二十三区が多いと思います。当然、夜間も含めて学び直しに行こうと思えば、その周辺に設置されるということが学び直しを行う上で必要なんだろうというふうに思いますが、一方で、見ておりますと、東京二十三区の大学の学部、学科の新増設を抑制するというような意見が山本地方創生担当大臣から言われております。

 この点について、大臣、諮問会議の中でこうした意見が出たときに、専門職大学というのはどういうふうな設置基準なり、あるいは、例えば都心部に置かなければいけないということと、二十三区の中で新たな学部、学科はだめだというふうに言っていること、これはどういうふうに整合性がつくんでしょうか。

松野国務大臣 会議内で議論をされて、山本大臣の方から発言があった、二十三区内の大学の新増設の抑制ということでございますが、それに対しまして、私としては、この問題は、一つは、教育政策的な見地と社会政策的な見地をあわせて検討していくことが必要であるというふうに考えているところであります。

 専門職大学、短期大学の二十三区内の設置に関しては、そういった考えのもとに今後検討されていくということでございます。結論を得ている、また方向は確定をしているというような議論ではございません。

吉川(元)委員 二年後からスタートする、もう二年を切っているわけですけれども、そういう中で、東京二十三区にはつくりませんよというような話が一方で、もちろん文科大臣ではありませんから、ただ、地方創生担当大臣からそういう発言がある。

 これは、専門職大学をつくろうと考えている側からすると、本当に制度設計がどうなるんだというふうな疑問が出てくるんじゃないかと思いますし、財務大臣からは、私学の半数が定員割れ、財政支援ということにはならないというような発言もあったと聞いております。

 これ以上はここでは議論しませんけれども、新たな専門職大学ができる際に私学助成がその分だけ増額されないと、結果的に言えば、最低でもその分だけ増額されないと実質的なマイナスになってしまうということ、そのことを指摘させていただきたいと思います。

 次に、今回の専門職大学、そもそも需要があるのかという疑問をやはり私も持たざるを得ません。再来年の四月ということですけれども、教育内容も含めて、具体的な姿が判然としない印象であります。立法事実、実践的な職業教育を求める声、これは具体的にどういうものがあるのか、簡単に紹介してください。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 我が国の産業競争力の維持強化のために、成長分野等で求められる実践的な専門職業人材の育成を推進する必要があると考えております。複数の調査結果や関係省庁による推計では、例えば、IT、情報サービス、観光、農業等の分野で、今後の人材の需要が増大されることが指摘をされているところであります。専門職大学は、こうしたことを踏まえ、各分野で業務の革新や新規分野の開拓を担う人材の養成に最適化した新たな仕組みとして制度化するものであります。

 また、現状におきまして、大学や短期大学を卒業後に、職業に必要な能力を身につけるために専門学校に再入学する人も相当数に上っております。専門職大学は、大学制度の中で実践的な職業教育に重点を置いた枠組みとして創設するものでありまして、こういったニーズにも対応できるものと考えております。

 このような社会的ニーズを踏まえて、今回、高等教育における新たな選択肢として、専門職大学の制度化を図ることとしたものであります。

吉川(元)委員 参考人質疑の際にも少し紹介させていただきましたけれども、昨年四月十一日に開かれた中教審の特別部会第十四回会議で、日本経団連の産学官連携推進本部長が、産業界からのニーズなのですが、現時点では、どのような職業分野で新たな高等教育機関へのニーズがあるかは不明確だというふうに述べておられます。

 さらに、この委員の方は、従来から指摘されている大学議論と似ており、まず大学改革を完遂することが必要だと。私は、この経団連の言う大学改革がいいか悪いかということはあえてここでは言いませんけれども、会議の最後で、一番いい形は、既存の大学で今の人材需要に対応した教育ができれば一番いいというふうに言っておられます。

 こういうのを聞いておりますと、企業、経営側、いわゆる雇用する側が積極的に新たな大学機関の創設を求めているというふうには思えません。

 経団連が昨年十一月に公表した、二〇一六年度の新卒採用に関するアンケート調査結果というのが出ております。その中で、私は、逆にびっくりしたといいますか、選考に当たって特に重視した点というのを五つ選択ができる、複数回答ですね、その中で、専門性というのはわずか九・九%、一番多いのはコミュニケーション能力で八七%。五つ選択するそのアンケートに対して、一〇%を切るところしか専門性を重視したと答えなかった。さらに、前回調査、その一年前の調査と比べても、専門性というのは減っております。

 今大臣が答弁されましたけれども、こうした経団連の新卒採用に関するアンケートの結果、どういうふうに感じられるでしょうか。果たして本当に専門性というのは、その需要があるというふうに先ほどから言われていますけれども、これは、見れば見るほど、そういう話になっていないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 経済界の中にも、それぞれのお立場でさまざまな御意見があるかと思います。

 先ほど申し上げましたとおり、成長分野において、例えば、ITや情報サービスでありますとか観光分野において、即戦力としてこれらの実践的能力を持っている人が必要だということも、これも事実でございまして、そういった業界からは、実践的職業人の養成を進めていただきたいというような御要望もいただいている中において、私は、成長分野における、専門職大学が養成目的とする人材というのは、十分に受け入れられる、必要とされているというふうに考えております。

吉川(元)委員 少し関連しますけれども、次の質問に移りたいと思いますが、二〇〇三年度から専門職大学院がスタートして、現在、百六十を超える大学院が設置をされております。

 設置以来、十五年近く経過をしているわけですけれども、このうち、法科大学院は司法制度改革と相まって設置をされました。ただし、法科大学院で履修を終えたからといって、そのまま弁護士の資格を得られるわけではない。それだけでなく、率直に言って、司法試験の合格率も高いわけではありません。

 御承知のことと思いますけれども、日弁連は、統廃合も含め、法科大学院の一学年の総定数を大幅に削減すること、教育体制の整備が困難な法科大学院については学生募集の停止を求めております。要するに、法科大学院というのは法曹界の需要とマッチしなかった結果だというふうにも思います。

 制度設計、将来の見通し、これは見誤ってはならないというふうに思います。どの分野でどの程度の人材が必要なのかわからないまま専門職大学が設置されて、スタートを切った後に、実は需要がなかった、法科大学院と同じ轍を踏むことにならないか、そういう点を危惧いたします。

 今回、新たな大学機関をつくるわけですけれども、文科省は、専門職大学、短期大学から毎年どの程度の数の専門職業人が社会に送り出されるべきか、どの程度の数の学生数を受け入れるべきかという青写真を当然持っておられるというふうに思いますけれども、この見込みについてお答えください。

常盤政府参考人 専門職大学、専門職短期大学の当面の具体的な学生数、これをあらかじめ想定することは難しいところがございますけれども、専門職大学の一校当たりの定員規模について申しますと、企業等での長期の企業内実習など、産業界との連携により高度に専門的な人材を養成するという機関の性格上、既存の大学等に比べ、比較的小規模となる場合が多いのではないかと考えてございます。

 また、専門職大学等を実際に設置するためには、教育内容の開発、編成であるとか、あるいは教員の確保、施設設備等の教育条件の整備、産業界との連携など、設置基準で定める要件を満たす必要があります。そのためには、相応の準備が必要だと考えられます。したがいまして、少なくとも、制度発足当初においては専門職大学等の数は限定的な数になるのではないかと考えております。

 なお、法科大学院のことについて御指摘がございましたけれども、中教審の中でも、法科大学院が、設置審査の迅速化という当時の原則に即して、当初、七十四校が設置認可をされたということで、その後の経過は今委員から御指摘のあったとおりでございますが、そういうことも踏まえて、結果として縮小に転じたということがございます。

 そのため、新しい制度の設置認可に際しては、やはり教育体制や修了者に対する社会的ニーズなどについてもしっかりと審査していく必要があるというふうに考えております。

吉川(元)委員 それなりの準備が必要だということでありますけれども、だとすると、二年後、再来年の四月にスタートするというのは余りに拙速ではないか。設置基準もまだ決まっていない。教育課程の編成についても、その設置基準等々を踏まえた上で行われるわけですし、企業から協力も求めながらつくるというので、果たして二年後に開校できるのかどうか。私は、非常に拙速ではないかということを指摘させていただきます。

 次に、その位置づけについて伺います。

 既存の大学と何が同じで何が違うのか。中教審答申を読んでも、なかなかわからないというのが率直な感想です。先ほども少し財政措置のところで指摘もしましたけれども、学教法に新たに八十三条の二が加えられるということで、八十三条の一の内容については、これは御存じだと思いますが、「広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、」大学はそういうものだというふうに書いております。一方、新たに設置をされました八十三条の二は、「前条の大学のうち、深く専門の学芸を教授研究し、」ということで、「広く知識を授けるとともに、」という文言が落ちただけで、あとは同じ中身というふうになっております。

 ということは、わかりにくいんですよ、八十三条の一で、大学というのはこういうところですよということを書いておいて、前条のうちというふうになると、当然、その「広く知識を授けるとともに、」というのは、この八十三条の二にもかかるというふうに理解をすればよろしいのでしょうか。

常盤政府参考人 学校教育法第八十三条は大学の目的を定めた規定である一方で、新設する第八十三条の二は専門職大学の目的を定める規定でございます。

 八十三条の二においては、「前条の大学のうち、」と規定をいたしまして、専門職大学が大学の一種であるということを明らかにいたしますとともに、大学の目的の範囲の中で、専門職業人養成を特に重視した教育に取り組むということを規定しているところでございます。

 同条には、広く知識を授けということが八十三条の二自体には規定をされておりませんけれども、大学の目的は専門職大学にも適用されますので、専門職大学においても、基礎、教養教育は行われるものであるというふうに考えております。

吉川(元)委員 だとすると、現行の大学で修得する能力に加えて専門性が求められる、そういう能力を開発していくということになりますと、これは四年間で学生が修得できる内容なのでしょうか。四年制の専門職大学ではなくて、現存する専門職大学院の領域に近いのではないかというふうにも感じますけれども、いかがでしょうか。

常盤政府参考人 先ほど来お話が出ておりますように、今回の専門職大学については、現在の専門学校から転換していくところが多いのではないかというふうに推測をされるところでございます。

 このために、専門学校における実務を重視した教育というものがベースとなりながら、先ほど来御議論ございますように、より幅を重視いたしました関連分野の学習であるとか、総合科目の実施であるとか、そういうことが付加された形での教育課程が組まれることが想定をされますので、それに伴いまして、そのために必要な修業年限が、何年のものが適当なのかということで、制度をそれぞれの学校の中で設計されてくると思います。

 また、今御指摘ございましたけれども、現在、例えば大学教育の中で確立した専門教育が行われている分野などについては、より高い専門教育をやるということになれば、今お話がございましたような専門職大学院の活用ということになっていく、そういう分野もあろうかと思います。

吉川(元)委員 非常にわかりづらかったんですが、つまり、言わんとするところは、第八十三条の一の広く知識を授けるという部分は少し減って、より深く専門の学芸を教授研究する方に重点を置くということでよろしいんでしょうか。うなずいておられるので、そういうことだというふうに理解をいたします。

 そうしますと、専門職大学を卒業した人は、どういうものを担っていく人材となっていくのか。新たな産業を起こしていくというようなことも言われております。新たな産業を起こすときに一番必要なのは、異業種、異なる分野との結合、これが新たな産業をつくるわけで、そのために必要なのは、もちろん、そこの領域における専門的な知識もそうですけれども、広く、その他の分野、いわゆるリベラルアーツというふうに言っていいのかどうかわかりませんけれども、そうしたことがどうしても必要になってくるのではないか、新たな産業を起こすということになれば、より必要になるのではないかと思いますけれども、その点、いかがですか。

常盤政府参考人 先ほどのお答えでも申し上げましたとおりでございますけれども、この専門職大学は、例えば、専門学校で従来非常に重点を置いていた実務を重視した実践的な教育と、それから大学教育の中でのより幅の広い教育、その中でも、単なるその専門職の分野だけに閉じるのではなくて、関連した分野の教育であるとか、あるいは基礎教養教育、さらに総合科目というものも組み合わせることで、その両者の強みを組み合わせて、より幅広くて創造性のある人材を育成することを目指して制度設計を考えているというものでございます。

吉川(元)委員 だとすれば、最初の質問に戻りますけれども、四年じゃ足らないというふうに思います。四年でできるというのであれば、既存の大学でもできると私は言わざるを得ないと思います。

 余り時間がないので、本来でありますと、教育基本法の七条との関係、特に、産業界の協力を仰ぐということが、果たして大学の自主性、自律性を維持できるのか、毀損するのではないかというふうに感じておりますが、この点については、また別の機会に質問させていただこうというふうに思います。

 そこで、次に、高等専門学校との関係、もう余り時間がありませんが、そもそも高等専門学校との関係はどういうふうになっているのか。

 それから、関連して、専攻科というのがございます。今回の専門職大学の卒業者に対しては学士が授与される予定、短大については短期大学士が授与される予定と聞いております。他方、高専に関しては、五年を修了後、二年間さらに高度な教育を受けたとしても、学士の学位が授与されない。

 専攻科が高専に設置されてから既に二十年が経過しておりますけれども、今回の改正において、なぜこの専攻科を受けた人たちが学士という資格が与えられないのか。ちょっと不合理ではないかというふうに思いますが、この点、いかがですか。

常盤政府参考人 まず、専門職大学と高等専門学校との関係でございますけれども、高等専門学校は、中学校卒業後の生徒を受け入れ、中等教育段階から高等教育段階にかけて五年間の一貫教育を行うものでございますので、機関の目的として研究というものが含まれておりません。また、教授会を置くということもされておりません。こうした研究や管理運営のあり方等について、大学とは異なる仕組みとなっているところでございます。

 また、学位の問題でございますけれども、今申しましたように、高等専門学校は、研究や管理運営のあり方等について大学とは異なる仕組みとなっております。このため、専攻科修了生について直接に学位を授与することはできませんが、専攻科修了生には、現在、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に申請することによりまして、同機構から学士の学位を授与される仕組みとなっておりまして、その運用の円滑化等の改善を進めてきているというのが現状でございます。

 また、その学位授与の問題につきましては、昨年三月に有識者会議で、高等専門学校の充実について議論をしたところでございますが、その中でも、実は、今申しましたように、むしろ、大学体系に位置づけることで高等専門学校としてのよさが失われるのではないかなど、さまざまな意見がございまして、今後も引き続き慎重に議論を行っていく必要があるという提言をいただいているというところでございます。

吉川(元)委員 現状では非常に不合理であるということを指摘させていただきます。

 ほかにもまだ聞きたいことがありましたけれども、時間が来ましたので、終わります。

永岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。大平喜信君。

大平委員 私は、日本共産党を代表して、学校教育法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論します。

 本法案は、職業教育に特化した大学として、専門職大学等を制度化するとしています。

 質疑を通して明らかになったように、専門職大学等で行うとしている実務経験のある教員の配置や企業等との連携による教育は、現行の制度においても可能であり、既存の高等教育機関において既に行われています。現在行われている職業教育への支援を充実させることが重要であり、新たな職業教育機関をあえて制度化する理由はありません。

 むしろ、専門職大学等は、既存の大学よりも校地、校舎などの設置基準が緩和され、学生の学修や人間的成長を保障するための教育環境は劣化したものになります。教養教育も、既存の大学で行われている幅広いものではなく、職業に特化したもののみが行われることになり、大学教育の質の低下にもつながります。

 現在、経済財政諮問会議などで、設置者の枠を超えた経営統合や再編が可能になる枠組み、私学助成に大胆な傾斜配分を行う仕組みの導入など乱暴な改革議論が進められており、本法案で創設される専門職大学が、経営困難な地方私立大学を中心に、大学再編を進める手段ともなりかねません。

 政府が行うべきは、現在、職業教育を担っている専修学校への支援の抜本的な拡充、削減されてきた国立大学運営費交付金、私学助成など基盤的経費の増額、高額な学費負担の軽減などを進め、職業教育の充実に取り組む大学、専修学校の自主的な方策を支援することであることを指摘し、討論とします。(拍手)

永岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党を代表し、学校教育法の一部改正案に対し、反対の立場から討論を行います。

 今回の法改正により、専門職大学及び専門職短期大学が新たに制度化されます。短期大学の設置以来、実に五十五年ぶりに新たな大学を制度化する大改革でありながら、制度設計の詳細が不明確で、既存の大学、短期大学など多くの関係者から疑問や懸念の声が上がっています。その制度化に拙速感が否めないことが反対の第一の理由です。

 反対する第二の理由は、専門職業人材を必要とする産業分野、あるいは必要とされる専門職業人材の数が不明確なことです。

 中教審の特別部会でのヒアリングでは、日本を代表する経営団体の一つから、ニーズは不明確、既存の大学で人材需要に対応した教育ができれば一番いいという意見が出されています。専門職業人材の需要が不明確なまま、人材供給だけが進んだとしたら、困惑するのは専門職大学、短期大学を選択した学生たちということになりかねません。そのことを強く懸念します。

 反対の第三の理由は、教育課程等において、関係する企業や産業界の関与が過度に強まるのではないかという点です。

 教育基本法七条二項は、大学の自主性、自律性並びに大学における教育や研究の特性の尊重を保障しています。企業や産業界による教育課程編成等への協力を義務づけることは、教育基本法に抵触するか、そうでなければ、大学のありようを一変させることになりかねません。

 そのほか、実務家教員の定義を初めとする教員組織のあり方、専門職大学、短期大学への国からの財政措置のあり方など、不明確な部分は多岐にわたっています。

 今後、設置基準等の詳細の定め方によっては、既存の大学、短期大学や高等専門学校、さらには新たな大学で学ぶことを選択する学生たちに否定的な影響が生じかねないことを指摘し、討論といたします。(拍手)

永岡委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

永岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、前田一男君外三名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    学校教育法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 本法律案では、専門職大学及び専門職短期大学(以下「専門職大学等」という。)の教育課程の編成において産業界と連携すること等を定める一方、その具体的内容はすべて設置基準等の政省令に委ねることとしている。専門職大学等に係る政省令を策定するに当たっては、その理念の実現を図るとともに、既存の各高等教育機関の教育課程との違いが明確となるよう努めること。

 二 職業教育は、従前より既存の各高等教育機関においてその特色を活かして実施されてきたことを踏まえ、専門職大学等を含めた高等教育機関全体として更に充実した職業教育が行われるよう、必要な支援を行うこと。

 三 専門職大学等が、産業界及び地域から期待される高度職業人材を輩出することができるよう、企業や地方公共団体等と連携しやすい環境の整備や、これらの団体による支援が行われる体制の構築に努めること。

 四 専門職大学等の教育課程に導入する方針が示されている長期の企業内実習については、実習中の学生の実習時間、安全衛生、報酬等について、明確な基準を定めるとともに、企業等が学生を受け入れやすいよう、実習期間、実習内容等について指針を示すよう努めること。

 五 専門職大学等の制度化により、私学助成の対象となる学校数が増加することが予想されることから、専門職大学等を含めた私立学校の更なる経営基盤の安定化につながるよう、私学助成関係予算の大幅な増額を図ること。

 六 専門職大学等の制度化によって我が国の高等教育機関が更に多様化することから、各教育段階における児童・生徒・学生及びその保護者並びに学校関係者に対し、専門職大学等を含めた各高等教育機関の特色などについての十分な情報提供を行い、適切な進路選択が可能となるよう配慮すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

永岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

永岡委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。松野文部科学大臣。

松野国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

永岡委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

永岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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