衆議院

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第1号 平成29年11月15日(水曜日)

会議録本文へ
本委員は平成二十九年十一月二日(木曜日)議長の指名で、次のとおり選任された。

      あべ 俊子君    安藤  裕君

      池田 佳隆君    石田 真敏君

      石原 宏高君    尾身 朝子君

      門山 宏哲君    神山 佐市君

      亀岡 偉民君    工藤 彰三君

      櫻田 義孝君    下村 博文君

      鈴木 淳司君    田野瀬太道君

      谷川 とむ君    冨岡  勉君

      永岡 桂子君    馳   浩君

      福井  照君    船田  元君

      古田 圭一君    松野 博一君

      松本 剛明君    宮川 典子君

      義家 弘介君    川内 博史君

      櫻井  周君    日吉 雄太君

      山本和嘉子君    吉田 統彦君

      城井  崇君    源馬謙太郎君

      西岡 秀子君    牧  義夫君

      浮島 智子君    中野 洋昌君

      鰐淵 洋子君    平野 博文君

      畑野 君枝君    串田 誠一君

十一月二日

 冨岡勉君が議院において、委員長に選任された。

平成二十九年十一月十五日(水曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 安藤  裕君 理事 木原 誠二君

   理事 工藤 彰三君 理事 鈴木 淳司君

   理事 橘 慶一郎君 理事 川内 博史君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      大見  正君    神山 佐市君

      亀岡 偉民君    小林 茂樹君

      櫻田 義孝君    下村 博文君

      高木  啓君    馳   浩君

      福井  照君    船田  元君

      古田 圭一君    松本 剛明君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      八木 哲也君    義家 弘介君

      逢坂 誠二君    櫻井  周君

      日吉 雄太君    山本和嘉子君

      今井 雅人君    城井  崇君

      源馬謙太郎君    西岡 秀子君

      山井 和則君    中野 洋昌君

      鰐淵 洋子君    平野 博文君

      畑野 君枝君    足立 康史君

      串田 誠一君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       林  芳正君

   内閣府副大臣       松本 文明君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   外務大臣政務官      堀井  巌君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   国土交通大臣政務官    簗  和生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  邦彰君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         中川 健朗君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任

  吉田 統彦君

同日

            補欠選任

             吉川  元君

同月十日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     大見  正君

  石田 真敏君     橘 慶一郎君

  石原 宏高君     宮内 秀樹君

  門山 宏哲君     八木 哲也君

  田野瀬太道君     小林 茂樹君

  谷川 とむ君     高木  啓君

  永岡 桂子君     石川 昭政君

  義家 弘介君     上杉謙太郎君

同月十五日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     義家 弘介君

  日吉 雄太君     逢坂 誠二君

  城井  崇君     今井 雅人君

  源馬謙太郎君     山井 和則君

  串田 誠一君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  義家 弘介君     亀岡 偉民君

  逢坂 誠二君     日吉 雄太君

  今井 雅人君     城井  崇君

  山井 和則君     源馬謙太郎君

  足立 康史君     串田 誠一君

    ―――――――――――――

十一月十五日

      安藤  裕君    木原 誠二君

      工藤 彰三君    鈴木 淳司君

      橘 慶一郎君    川内 博史君

      牧  義夫君    浮島 智子君

 が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の互選

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 このたび文部科学委員会の委員長を拝命しました冨岡勉でございます。

 今日、教育、科学技術、文化芸術、スポーツなどに対する国民の関心は大変高く、その充実を図っていくことは、重要な国政上の課題であります。

 特に、次世代を担う子供たちが、その能力、希望に応じた細やかな教育を受けられることはもとより、学ぶ意欲のある若者、成人等が質の高い教育を受けることができる社会の実現を目指すことは、国に課せられた重要な課題でございます。

 また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を確実に成功させることが必要であります。

 このような状況において、当委員会に課せられた使命はまことに重大であり、委員会として活発な議論を積み重ね、国民の期待と信託に応えていかなければならないと考えております。

 委員長といたしましては、委員各位の御協力を賜りまして、公正かつ円満な委員会運営に努めてまいりたいと思っております。

 何とぞよろしくお願い申し上げます。

     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより理事の互選を行います。

 理事の員数は、議院運営委員会の決定の基準に従いその数を八名とし、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に

      安藤  裕君    木原 誠二君

      工藤 彰三君    鈴木 淳司君

      橘 慶一郎君    川内 博史君

      牧  義夫君    浮島 智子君

をそれぞれ指名いたします。

     ――――◇―――――

冨岡委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 文部科学行政の基本施策に関する事項

 生涯学習に関する事項

 学校教育に関する事項

 科学技術及び学術の振興に関する事項

 科学技術の研究開発に関する事項

 文化芸術、スポーツ及び青少年に関する事項

以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

冨岡委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、文部科学省大臣官房長藤原誠君、大臣官房総括審議官中川健朗君、高等教育局長義本博司君、高等教育局私学部長村田善則君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、農林水産省大臣官房審議官小川良介君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官青木由行君及び大臣官房審議官眞鍋純君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。義家弘介君。

義家委員 おはようございます。

 十一月九日、大学設置・学校法人審議会が専門的かつ厳正な審査を重ねた上で、国家戦略特区の、愛媛県今治市が長年の悲願として国に提案し続けてきた獣医学部の新設について、学校法人加計学園の新学部設置を可とする答申が全会一致で出されました。その答申を受け、昨日、林文部科学大臣が設置認可を許可されました。

 私は八月七日まで文部科学副大臣を務めておりまして、これまでの経緯を細かく把握している立場にございますが、文部科学省の組織的な天下りあっせんに自身も関与を指摘され引責辞任をされた前川前次官、恣意的な報道を繰り返してきたマスコミの皆様、また、野党議員による、根拠はないが結論はありきといった姿勢の追及に対して、じくじたる思いを抱いてまいりました。本日の質問では、冷静に、具体的に、時系列に沿って質問させていただき、設置認可までどのような経緯で一つ一つが決定していったのかを明らかにさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、戦後、教育の政治的中立、この観点から主に五つの制度がつくられました。

 一つは、首長部局から離れて教育行政をつかさどる教育委員会制度、二つ目は、教育の政治的中立をうたった、教員の地位を利用した政治活動を禁止する教育公務員特例法の規定、三つ目は、子供たちを政治活動に利用することを禁止した義務教育諸学校の政治的中立を確保するための臨時措置法、四つ目は、教科書内容が政治的意図やイデオロギーによって恣意的に書きかえることを防ぐための教科書検定制度、そして五つ目が、政治によって恣意的に学校がつくられたりすることのないように、静ひつな環境で専門家が学術的、専門的見地から議論を行い、可否を判断するという大学設置・学校法人審議会制度、この五つでございます。

 まず質問いたしますが、学部設置認可の判断に関して、我が国の制度では、野党やマスコミが声高に叫ぶ総理の意向や、あるいはもっとわかりやすく言えば、教育行政を所掌するトップである文部科学大臣の意向は及びますか。お答えください。

義本政府参考人 お答えいたします。

 大学設置・学校法人審議会におきます審査は、学問分野の専門家や大学運営に関する有識者に参画いただき、あらかじめ定められた基準に基づきまして、教育課程、教員組織、施設設備等が学校教育法や大学設置基準等に適合しているかについて、学問的、専門的な観点から行われるものでございまして、外部からの意向が及ぶようなことはないというふうに考えております。

 なお、このことに関連しまして、平成二十四年の設置認可におきまして、大学設置・学校法人審議会から可の答申が出された後に、当時の文部科学大臣が答申とは異なる判断を行う方針を表明したことがございましたが、その後、種々の御議論がございまして、最終的には、大学設置・学校法人審議会の専門的な判断が尊重され、答申どおり認可した事案がございました。

義家委員 大変丁寧かつ具体的な答弁をありがとうございました。

 この大学設置認可の判断というのは、政治が介入するのではなく、しっかりとエビデンスを示した審議会の答申を受けて、それを最大限尊重していくという制度であるということをまず確認しておきます。

 まず、こういった前提を理解していないと議論になりません。政治の場から離れ、専門家による審議会でその可否を議論していた最中に今回の騒動があったわけでありまして、答申が出たのが、繰り返しになりますが十一月九日、林大臣により設置が認可されたのが昨日なんです。

 本来、政治的な影響から一線を引いて、静ひつな環境で専門的審議が行われるはずの設置審は、図らずも連日の報道や国会での喧騒に巻き込まれてしまったと言っても過言ではありません。報道も質問も、最低限制度を理解した上で行っていただきたいと切に願っております。

 しかし、そのような喧騒の中にあっても、委員の皆様は責任ある議論を行っていただきました。そのことに改めてここで敬意を表したいと思っております。

 続いて、国家戦略特区で獣医学部の新設が決定するまでの経緯について質問をさせていただきたいと思います。

 御承知のとおり、省庁をまたいだ政策決定プロセスで激論が交わされることは自明のことです。何も交わされずに政策が進んでいくなんということはありません。例えば、今回のケースでいえば、とにかく規制改革をスピーディーに進めたい内閣府、大学設置認可に責任を負っているため石橋をたたきながらしっかりと進めていきたい文部科学省、新たな獣医学部新設に異を唱えてきた獣医師会及び獣医師行政を所掌する農水省と、その立場は全く異なります。

 私も、担当課から連日報告や相談を受け、内閣府、農水省との折衝において、さまざまな指示や助言、調整を行ってまいりました。担当課は本当に誠実に汗をかいてくれました。しかし、副大臣として大変疑問に思っていたのは、内閣府との折衝において、局長の顔は見えましたが、事務方のトップである次官の顔が、失礼ながら、全くと言って見えなかったことでございます。

 そこで、文部科学省に具体的に質問します。

 文科省では、当時の馳大臣の際にも、また松野前大臣の際にも、省として重要な決定や懸案を共有するために開かれる省議、並びに、定期的に開催している、馳大臣のころは毎週開催しておりましたが、両大臣のもとで私も出席してきた政務三役会議、及び、さらに自由な意見交換を行う政務三役懇談会が随時開かれ、さまざまな議論が行われているところであります。次官が司会を務めます。

 このような席で、行政がゆがめられた等の発言をされている前川前次官が問題視している一連のやりとりが議題に上がったことは、次官が退職時まで一度もなかったと私は記憶しておりますが、事実関係を、文科省、お答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 馳大臣の御就任以降における文部科学省の省議それから政務三役会議、その議題について改めて確認いたしましたところ、お尋ねの国家戦略特区における獣医学部の新設に関する議題を取り上げたことは一度もございませんでした。

義家委員 総理が言えないから私が言っていると言われた。これは総理の意向だと言われた。官邸の最高レベルが言っている。仮に、このようなことを直接間接に言われているのだとして、当時文部科学省はこの問題についてさまざまな調整や議論を行っていましたが、そのようなことを退職してから言う。本来、省議の場でも政務三役懇談会の場でも、そのような、言ってみれば、私にしてみたら、総理が言えないから私が言っているなんて、とんでもない発言ですよ、あったとしたら。それを、議題にさえ上げずに、おやめになって半年してから御発言される。これは到底理解できないものであろうというふうに思っております。

 この時期は、内閣府の再就職監視委員会が文部科学省の天下り問題に疑義を持ち、そして実際に調査に着手していた時期と重なりますが、仮に、御自身もかかわった天下り問題があったために、強く主張しにくかった、または心ここにあらずだったのだとしたら、極めて無責任だったと指摘せざるを得ません。

 そのような中にあっても、局、担当課の頑張りで、一つ一つ、国家戦略特区における獣医学部の条件が、省庁と調整のもとで積み上がっていきました。

 十一月九日、まずは、広域的に存在しない地域という要件で、ようやく内閣府、文科省、農水省の三大臣が合意して、一つ前進いたしました。十一月十八日、設置審が可とすることをあくまでも前提とした上で、開設は最短となる平成三十年開設という要件を内閣府と文科省の両大臣が確認しました。最終最後まで農水省との調整が行われましたが、当時私もカンボジアに出張しておりましたが、十二月、その際にも担当課長から何度も何度も電話で相談を受け、指示、助言、調整を行いましたが、十二月二十二日、パブリックコメントで慎重な意見も多数寄せられたことも踏まえ、一校に限るという要件追加をし、内閣府、文科省、農水省の三大臣合意がなされるに至ったわけでございます。

 つまり、一校になったのは、総理の意向ではなく、寄せられた国民の声を受けて三省庁で議論をして、最終的にこのような決着を見たわけでございます。

 既に御承知のとおり、国家戦略特区での獣医学部新設に手を挙げていたのは、今治、加計学園と京都府、京都産業大学でした。国会でもメディアでも決定プロセスは加計ありきだったと繰り返されましたが、もう一つの京都産業大学は、結果的に学部設置の新設を断念しましたが、それはどのような理由からだと発表しておられるでしょうか、お答えください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 京都産業大学からは、京都府との共同で、二十八年十月に詳細な御提案をいただき、内閣府も候補の一つとしてヒアリングを行わせていただきましたが、本年七月十四日、お尋ねいただいたとおり、獣医学部の新設を断念するとの会見をお開きになられました。

 確かに、獣医学部の新設申請を緩和した今回の規制緩和は、まずは一校に限ったものではございましたが、そのときの状況でも、総理から国会で御説明いただいているとおり、特区制度の趣旨に照らし、二校目、三校目の要望があればしっかりと対応してまいる、こういう所存であったわけでありますけれども、京都産業大学の記者会見の発表によれば、一月四日に制定された共同告示で三十年四月の設置とされたことに対し、現状の、そのときの状況に照らしまして、国際水準の獣医学教育に足る十分な経験、質の高い教員を必要な人数確保するのは困難と判断し、断念されたと伺っております。

 なお、あわせて、その会見の際、質問に答える形で、広域的に獣医養成大学が存在しない地域に限り新設可能、三十年四月開設、一校に限りといった特区プロセスで付された条件については、いずれもそれによっていわゆる京産大外しになったとの認識はないとの認識を示され、他学との動きとは関係なく、私たちは間に合わなかったゆえの断念であり、納得できない部分は特にないと御説明されていると承知してございます。

義家委員 ありがとうございます。

 これが正確なところでございまして、このことが議論されずに、国会で、まさに加計ありき、京都産業大学外しということが延々と議論された。極めて遺憾に思います。京都産業大学は排除されたのではなく、御自身の学内で議論をし、判断されて、学部新設から既存学部再編へと方向転換をされたわけでありまして、改めてここで確認をしておきます。

 一部の野党議員やメディアの皆さんが、あたかも加計学園の開設が決まったかのように断定して質問したり報道したりしていましたが、しかし、この時点においても、加計学園の設置、獣医学部新設が決まったわけではありません。あくまでも、特区プロセス、構想の確認が終わったということにすぎませんでした。学部の設置に際しては、文部科学省の学部設置認可申請を行って、設置審で専門家による厳正な審査を経て可と判断され、その上で、文部科学大臣が許可しなければ新設はできません。

 三月三十一日、加計学園から学部新設認可申請が提出され、文科省はこれを受理しました。ここで確認しておかなければならないことがあります。

 前川前次官は、国家戦略特区における議論で設置要件として出された、いわゆる四条件などへの適合を再確認すべきではないかという趣旨の疑義を示されております。確かに設置審は、特別な条件への適合を加えて議論する場所ではありません。しかしながら、これまでの全ての議論をリセットして、一般的な学部新設と同様のプロセスで進めるだけでは無責任ですし、もしそうだったのなら、疑義を示されることも当然であろうというふうに思っております。

 そこで、文科省に質問いたします。

 学部設置認可申請の際のその内容について、文科省は、特区プロセスで認められた加計学園構想についての確認をしっかりとした上で受理したのか、それともそうでなかったのか、お答えください。

義本政府参考人 お答えいたします。

 今回の国家戦略特区におきます獣医学部の新設につきましては、これまで国家戦略特区を所管する内閣府を中心に、段階的にそのプロセスが進められてきたところでございまして、いわゆる四項目につきましては、昨年十一月九日の追加規制改革事項の決定の際に、関係省庁において四項目が満たされていると確認を行ったところでございます。その四項目が満たされているという前提のもとに進められた国家戦略特区のプロセスにおきまして、加計学園の構想自身が追加規制改革事項に適合すると認められまして、設置認可の申請に至ったものでございます。

 文科省におきましては、国家戦略特区のプロセスの適合性を確認するために、設置審議会の審査とは別にでございますが、設置認可申請の内容自身がこの特区プロセスで認められました加計学園の構想に沿っているものと確認いたしまして、その上で獣医学部の設置を認可したものでございます。

義家委員 ありがとうございます。

 つまり、この構想がしっかりとこの申請の中に盛り込まれた上での設置審での議論であったということを確認いたしました。

 さらに、もう一つ、義本局長にお尋ねしたいんですが、設置認可を大臣が認可しただけで終わりませんよね。その後も、どのようにして、その新しく設置された学部を文科省は見ていくのかということについても重ねてお答えください。

義本政府参考人 設置審議会につきましては、認可を可とする答申にあわせまして、いわゆる留意事項としまして改善していただきたい点を明らかにし、開設後におきましてその履行がしっかりやれているかどうかについて、いわゆる履行状況調査として、設置審議会自身が審査をし、そのフォローアップをするというふうなプロセスを持っているものでございます。

義家委員 ありがとうございます。

 つまり、設置を認可して終わりではなくて、しっかりとその構想にうたった教育が行われているかどうか、これからもずっと見守っていくというシステム、これが学校法人設置審議会のあり方であるということを改めて確認させていただきます。

 さて、続きまして、この間、あったものをなかったものにされたなどと繰り返し指摘され、報道されてきた隠蔽等についての指摘について伺わせていただきます。

 文部科学省は、再就職等規制委員会からの指摘を受け、外部有識者の参画も、文部科学省内のチームの中に参画もいただきながら、文部科学省再就職調査班を発足し、徹底した真相究明を行い、さらに、かつて例のないほど子細な情報公開を行いました。

 その際、職員は国会対応の傍らで、ピーク時五十名を超える職員が三交代、二十四時間で調査に当たりました。

 副大臣を務め、ともに作業に当たっていた私からしたら、少なくともこの一年間の文部科学省は、これほど隠蔽という言葉とほど遠い、姿勢のない省庁であっただろうというふうに断言できます。

 そこで、質問させていただきます。

 天下り問題究明のために実施したヒアリングの回数、実施した者の数及び組織、団体の総計、処分者、重さ等についてお答えください。また、最も大きな責任はどこにあったと結論づけられたのかもお答えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、再就職等問題の調査につきまして、平成二十九年一月、調査班を設置いたしまして、外部有識者である特別班員四名の指導、判断のもとで調査方針を決定するとともに、調査班員として十五名の弁護士の方々にも参画をいただき、三千名以上を対象とした全職員調査、再就職等規制導入以降の全退職者六百名以上を対象とした退職者調査、そして、外部有識者が主導して、合計約百九十名、二十五団体に対して行いました三百回以上に及ぶヒアリングなど、徹底的な調査を行い、三月三十日に最終まとめを公表しました。

 最終まとめにおきましては、組織的なあっせん構造の全容を解明するとともに、違法行為が確認された事案が六十二件ございました。

 この最終まとめ等を踏まえ、四十三名の処分等を行い、文部科学省として、再就職等に係る構造を断ち切るために厳正に対処いたしました。

 特に、文部科学省の再就職あっせんの構造の構築、運用に関与した事務次官以下、幹部職員等の責任は厳しく問われるべきものとされ、三人の事務次官経験者を停職相当とするとともに、歴代人事課長にも重大な責任があり、原則減給処分とするなど、事務次官以下、幹部職員に厳正な処分を行ったところでございます。

義家委員 ありがとうございます。

 まさに前線に、先頭に立たれていた中川さんからの答弁、非常に重みがありますけれども、非常に重く受けとめながら、職員それぞれが汗をかいて真相究明を行って情報開示を行ったということを改めてここで確認させていただきたいと思います。

 法律に違反する再就職等のあっせんには弁解の余地はありません。しかし、その罪は消えませんが、徹底した調査と速やかな情報公開、作業に当たったメンバーの使命感、責任感に対しては誇らしく思っております。また、積極的に参画いただいた外部有識者の皆様にも、この場をかりて改めて感謝を申し上げたいと思います。

 では、国家戦略特区における獣医学部の新設について、報道機関や野党議員に指摘された個人メモ等を含む文書について伺わせていただきます。

 情報開示請求がなされた場合でも、例えば、国の機関等の内部または相互間における審議、検討等に関する情報であって、公にすることにより意思決定の中立性等が不当に損なわれるおそれがあるものなどは公開しない場合がございます。行政機関相互の率直な意見交換が損なわれるおそれもあるためです。また、個人メモや備忘録等は行政文書に含まれる性質のものではございません。個人の意思、思惑、個人の主観あるいは創作にすぎないものが政策に影響を与えたと解されることにもなりかねないからでございます。

 しかし、最初に、黒塗りではありましたが、NHK、そして翌朝の朝日新聞の報道を皮切りに、文部科学省で作成されたとされる複数の文書の存在が明らかになり、存否、内容の真偽が問われました。明らかになった文書は本来公表すべき性質のものではありませんでしたが、国民の疑念に応えるという松野前大臣のリーダーシップで、獣医学部設置を担当する専門教育課の中にある国家戦略特区についての共有フォルダの調査や、直接関係者のヒアリングを実施し、結果、五月十九日、該当する文書の存在は確認できなかったという調査結果を発表いたしました。

 しかしながら、その後も、前事務次官の発言や、さらなる文書やコピー等までも入り乱れ、国会も報道も過熱の一途をたどりました。そこで、安倍総理大臣よりさらなる徹底調査の指示があり、松野大臣は、調査対象をさらに大きく広げて、徹底した再調査を指示しました。

 そこで、伺います。

 文部科学省は六月十五日、追加調査の結果を公表しましたが、この際、調査を行ったファイル数を教えてください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 六月十五日に結果を発表いたしました追加調査では、関係課の共有ファイルの調査を行いましたが、具体的なファイル数は、高等教育局企画課大学設置室が約二十七万、高等教育局専門教育課が約九十二万、高等教育局私学部私学行政課が約四十八万、大臣官房総務課行政改革推進室が約三十二万、これだけのファイル数について調査を行いました。

義家委員 ありがとうございます。

 これだけ膨大なことをしているわけです。なかったもの、あったものをなかったにしているんじゃなくて、徹底した調査と情報公開を速やかに行ってきた、これが現実でありまして、そのことも改めて指摘しておきたいと思います。

 かつてない規模で行った特例的調査であったと認識しておりますが、では、加えてお伺いいたします。調査の結果として、指摘された文書の存否についての概要をお答えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 六月十五日に発表した追加調査の結果といたしましては、対象の十九の文書のうち、十四の文書につきましては、調査対象となった課室の共有フォルダまたは個人フォルダ、及びメールボックスにおいて、同趣旨の記述のある三つの文書を含め、同内容の文書の存在を確認いたしました。二つの文書については、存在を確認できませんでした。三つの文書については、法人の利益にかかわるものであり、慎重な対応が必要であることから、現時点では、存否を含めて明らかにできない、これが六月十五日の結果発表です。

 ただし、その最後の、存否を含めて明らかにできないとした三つの文書につきましても、その後、学校法人加計学園から当該文書を開示することに意見がないという確認がとれましたので、文部科学省として精査した結果、文書の存在が確認されたという旨を七月二十五日付で公表しております。

義家委員 ありがとうございます。

 この中で、当時私が副大臣として大変大きな危機感を抱いたことがありました。

 それは、まず一つは、その中に、同じ内容の文書であっても、様式、書式、構成等が異なるものが複数存在するということ。つまり、恣意的に打ちかえて作成し、意図的に共有フォルダに入れられた、あるいは逆に、意図的に打ちかえられたものが外部に流出させられたという疑念が払拭できないということでございます。

 また、もう一つ、個人が作成したメモや備忘録が機械的に複数で共有されるという、ずさんな文書管理の慣習があったということであります。

 例えば、示された文書の中で、義家副大臣レク概要などの、私の名前が入った文書もありました。前述しましたが、当時、私は担当課と最前線で調整に当たっており、名前があって当然です。しかし、記されている個別の記述を行政文書として共有されることを確認されたことは一度もございません。

 例えば、行政の会議における議事録は、各委員に確認してから行政文書として公表する、これは行政の鉄則であります。もし仮に、全く確認せずに行政文書になるのだとしたら、扱われるのだとしたら、官僚は自由に政務三役の言葉を捏造し、自分たちに都合のいい政策だけを政務三役を外して進めることができてしまうということが可能になってしまうわけであります。

 これらの文書管理のずさんさについては、当時の副大臣として率直に認めて、そして新たなルールづくりを積極的にこれからも応援させていただきたいと思っております。

 最後に、公益通報者保護制度と国家公務員法についてお尋ねいたします。

 野党の皆さんとマスメディアは、前川次官を英雄であるかのように持ち上げました。同時に、誰かわからないけれども、勇気を持って告発した職員を守るんですか、守らないんですかといった扇情的な質問を国会の中で繰り返しました。

 そこで、質問いたします。

 確認された文書に違法性はありましたか。

 公益通報者保護制度により守られる対象になるのは、どのようなケースでしょうか。

 国家公務員法は、公務員として知り得た情報の取り扱いについてどのように定めていますか。

 それぞれお答えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 追加調査で存在が確認された文書に違法な内容は記載されてございませんでした。

 また、公益通報者保護制度でございますが、文部科学省の現役職員が公益通報者保護制度の対象となるためには、その通報の内容として、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる特定の法律に規定する刑罰規定違反に関する事実が含まれていること、もしくは職務内の法令違反行為の事実が含まれていることが求められているところでございまして、当該通報の内容が具体的にどのような法令違反に該当するのかを明らかにすることが必要でございます。

 また、国家公務員法でございますが、御指摘の、国家公務員として知り得た情報の取り扱いにつきましては、国家公務員法第百十条におきまして、職務上知ることのできた秘密を守る義務、これが課されてございます。また、一般的に、秘密に該当しない情報につきましても、国家公務員として知り得た情報については適切に取り扱うべきものと考えているところでございます。

義家委員 そもそも、先般の調査は、総理及び文部科学大臣の指示に基づいて実施された調査でありまして、資料がありましたと提出しても、むしろ指示に対して対応したというものであって、守るとか守られないとか、そういう性質の調査ではありません。処分するとか処分しないとか、そういう性質のものではなかったわけでございます。

 公益通報者保護制度や国家公務員法について、答えなければ答弁拒否、抽象的ならごまかし答弁、最大限丁寧に、誠実に答えようとして一般論としての法律の解釈を説明したら、副大臣が処分に言及、これには驚きを禁じ得ませんでした。

 ゆがんで、隠蔽して何かを進めてきたわけではなくて、一つ一つ手続にのっとって、その手続の決定プロセスにおいてはさまざまな調整を必要としましたし、議論の平行線になる場面も多々ございました。しかしながら、一つ一つ文部科学省の専門家が汗をかきながら積み上げてきた先で、今回の設置認可があった。つまり、ゆがめられた行政ではなくて、きちっと手続を踏みながら歩んできたということを改めて確認しておきます。

 最後になりますが、大臣、五十二年ぶりとなる獣医学部設置、農水大臣も務められてまいりましたが、これに対しての所感と、また、加速度を上げて変化する時代の中、文部科学大臣としての改めての決意をお聞きして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

林国務大臣 ありがとうございます。

 先ほどの答弁で国家公務員法百十条と言ったのは百条でございますので、まず訂正させていただきたいと思います。

 その上で、文部科学省としては、今回認可された獣医学部における教育が申請内容のとおりに確実に実施されることは当然のことでありますが、国家戦略特区として新設が認められたことの前提である先端ライフサイエンス研究や地域における感染症対策など新たなニーズに対応する、そういう獣医師の養成が行われるように、それにふさわしい教育及び研究活動が適切に実施されることを期待しております。

 引き続き、獣医療行政を所管する農林水産省とも連携をしながら、質の高い獣医師を養成し、安定的に確保していくための取り組みを進めてまいりたい、こういうふうに思っております。

義家委員 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、橘慶一郎君。

橘委員 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 今ほど義家議員の方から、加計学園の獣医学部設置認可申請に至るさまざまな時系列のお話、また大学設置認可の趣旨等についてお話がありました。

 私の方は、今の質疑を踏まえまして、具体的にこの認可申請の中で審査されたこと、そしてまた、これから開学された後の課題になること、こういったことを順次お聞きをさせていただきたいと思います。

 まず、この設置認可に当たっては、教学面、学生の指導という教育の部分と、それから学校の管理運営の部分、こういったところの二点についていろいろと審査をするわけでありますが、教学面の認可基準の中に、人材の養成等の目的が社会の要請等を十分に踏まえたものであること、こういう項目がございます。

 そこで、今回設置認可に至った獣医学部の特色についてまずお伺いをいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 岡山理科大学獣医学部の設置認可の申請書におきまして、この獣医学部の人材養成上の目的といたしまして、複雑な生命現象を動物個体レベルで統合的に把握する力を身につけ、ライフサイエンス分野の研究に貢献できる研究者の養成、二つ目は、家畜越境感染症、人獣共通感染症等の拡大リスクが高まる中、国際的な防疫体制にかかわる知識を有し、さらに食の安全、安心にかかわる分野で活躍する獣医師の養成、三番目は、加齢性疾患等、人に類似した疾病構造をとる伴侶動物を用いて、人や動物の新しい予防医療や医療機器開発等の分野におけるイノベーション創出に貢献できる臨床獣医師の養成などを挙げているところでございます。

橘委員 そこで、最初に五月に第一次審査意見というものが出ているわけでありますが、ここでは、今ほどお話のあったような獣医学部に対する社会的な人材需要、また、この学部が設置されます四国地域における人材に対する需要ということについての、それは大丈夫なのか、こういう審査意見があったわけであります。

 これにつきまして、六月の補正申請でそこは確認をされているわけでありますが、どういうふうに確認されたのか、お伺いいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 大学設置・学校法人審議会におきます審査の過程、これは五月の第一次審査意見としてあらわしたわけでございますけれども、大学が掲げるライフサイエンス研究分野、公共獣医事分野、医獣連携獣医分野に即した人材需要に関する説明の根拠として事業所アンケート調査を行いましたけれども、その三分野に即した分析が不十分であるとの審査意見が付されたものでございます。

 これに対しまして、大学の方から六月に提出しました補正申請書におきましては、大学が掲げる三つの分野の人材像に基づきまして、この三分野別に就職先として想定される事業所へのアンケート調査や、四国地域におけます公務員獣医師の将来的な需要動向の分析、これは主に農水省が行いました調査等を活用していますけれども、それを示しまして人材需要の説明がなされたところでございます。

 これらの説明については、審議会における審査におきましても、一定の合理性がある説明があったという評価がなされたものと承知しております。

橘委員 続きまして、八月に二次審査意見が出まして、そしてさまざまな是正意見というのがございました。それについていろいろ改善を施した上、今回の認可が適当という答申に至った、こういうことであります。

 その際に、答申には留意事項というものが付されております。もっとも、これはそれぞれの学部申請されたものにほとんど留意事項というものがつくわけでありますが、この留意事項というものはどういう趣旨であるのか、そして申請者である学部側では今後どのような対応が必要になるのか、まず原則論をお伺いいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございました留意事項とは、設置審議会が答申を行うに当たりまして、認可を受けた者が設置計画を履行するに当たって留意すべき事項として付されるものでございます。

 申請者は、学部等の開設後、完成年度、開設年度に入学した学生が卒業するまでの年度でございますが、その完成年度までの間、留意事項への対応状況を含めた設置計画の履行状況について、文部科学省に毎年報告することが義務づけられているところでございます。

橘委員 そうやって一つ一つ確実に実行されることを確認されるということだと思いますが、その中で、幾つか留意事項のことで具体的にお伺いをいたします。

 一つは、学生の実習の質的、量的な充実を図ることという留意事項がついているわけであります。この実習がうまく適切に行われるかどうかということについてかなりのいろいろなやりとりがありまして、入学定員を百六十人から百四十人に絞ったり、あるいは教員の充実を図ったり、さまざまな手だてを講じられて改善を見ているわけでありますが、この実習関係につきまして、審査の過程において、主たる改善点が何であって、残されたこととして何を気をつけなければいけないのか、こういうことになったのかということについてお伺いをいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 加計学園の設置計画につきましては、八月の時点で、実習時間数の不足や短期集中型実習の課題など、実習計画の実現可能性に関する是正意見が付されたところでございます。

 その後、加計学園から提出され、修正された申請書におきましては、必修の実習時間を増加する、五単位でございますけれども増加しまして必要な実習時間数を確保する、さらには実習指導に当たる教員を数多く配置し学生への指導を充実させる、それから個別の科目の授業内容や授業スケジュールを改善するなど、適切な対応がなされたと審議会で判断されたところでございます。

 一方、総合参加型臨床実習、これは病院で行います実習でございますけれども、定員が大きい規模でございますので、時間割の組み方を工夫しまして、同時に実習を行う学生の数を分散するなどして、密度の濃い実習を行う形に工夫するなど、実習効果を高める取り組みを求める留意事項が付されておりまして、開設以降に改善を求めることが妥当であると評価がされたところでございます。

橘委員 附属病院において、そういった実習に適当な数の患畜数、そういったものを確保したりとか、また、今お話あったように、具体的なプログラム、どういうふうに進んでいくかということについては、履行状況の確認の中で、逐次行って改善を求めていくということに理解をいたしました。

 それから、病原体を取り扱う実験室につきましても、留意事項としては、安全に配慮した適切な運用に努めること、こういうことが一つ書いてございます。これについても、ひとつ具体的な内容について、どういうことに気をつけなきゃいけないのか伺います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 病原体を取り扱う施設、いわゆるBSL施設でございますが、このBSL施設としての適合性につきましては設置審議会が直接審査する役割を有しておりませんけれども、岡山理科大学獣医学部の設置計画では、実習において病原体を取り扱うことが予定されておりまして、具体的には、申請書類におきまして、BSL施設はバイオセーフティーに詳しい国立研究機関の専門家及びバイオセーフティー機器、施設の専門家等の意見を聞き設計していること、二番目は、BSL3施設について、陰圧管理区域、廃棄設備等を整備し、病原体管理規程を定めることが記載されまして、法令に基づく適切な対応を行おうとしていることが確認されたところでございます。

 その上で、留意事項といたしまして、開設以降、病原体を取り扱う際には法令に基づく適切な対応をとることを大学に求めたものと承知しております。

橘委員 もう一点だけお伺いをしたいんですが、専任教員数の年齢の割合が比較的高いという指摘があるわけであります。入学者が六年次を迎える、完成年度と言われるわけですが、六年後に退職年齢を超える専任教員数が多い、こういう指摘があるわけですが、具体的に、七十五人の専任教員のうち何人、どの程度がそういうことに該当していて、申請者、学部の方はどのように対応するというふうに説明をされたのか伺います。

 あわせて、この指摘事項については、実は今回認可がされたほかの三校にも同じような指摘があるわけでありまして、これは大学設置認可の審査の中で最近割合出てくる指摘事項であるのかということについて確認をさせてください。

義本政府参考人 お答えいたします。

 加計学園の設置計画におきまして、完成年度前に退職年齢を超える専任教員数は七十五人中十九名が該当いたしまして、完成年度以降退職する教員の後任補充をして教育研究の継続性を担保するため、完成年度の前年度から教員採用手続を開始する計画であると説明されているところでございます。

 なお、同様の留意事項につきましては、先生御指摘のとおり、加計学園だけに特別に付されたものではなく、教員組織全体につきまして、定年年齢を超える教員の割合が一定以上の場合、これは二〇%としておりますけれども、定年年齢を超える教員の割合が一定以上の場合につきましては一律に付されるものでございまして、開設以降に改善を求めるものとされているところでございます。

 今回におきましては、加計学園のほか三校について、同様の留意事項が付されているところでございます。

橘委員 半世紀ぶりの新設ということで、限られた研究者、教員の中から選任をしていくわけですから、どうしてもこういう傾向が最初出るんだろう、後はやはりうまく補充をしていくということでそれを補っていくというのはほかの大学にもあることなのかな、このように今聞いて感じたところであります。

 そして、この留意事項を踏まえてこの後この学校が適正に運営されていって、質の高い教育に努めていくということは、そこで志を持って入学されてくる学生さんにとっても大変大切なことであろうと思います。

 先ほど義家議員の質問に対しても履行状況調査の話等もございましたが、具体的にこの審議会としてのモニタリングはどういうふうに行われ、それはどういった形で、その履行状況について審議会として確認という作業を行っていくのか。また、その際に文部科学省としてのかかわり方についてもお伺いをしたいと思います。

 事案の性質上、今後も透明性ということは期待されることだと思いますので、ここについて詳細にお答えをいただきたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 学部等の開設後、完成年度までの間、設置審議会におきまして設置計画の履行状況を調査し、留意事項への対応状況について確認しているところでございます。

 具体的には、毎年書面によります報告を求めるほか、必要によりまして施設設備の整備状況を確認する実地調査や面接調査を行っているところでございます。

 調査の結果、履行状況に課題が生じている場合には、調査結果として毎年公表した上で、必要な指導を行い、速やかな改善を文科省としても求めているところでございます。

橘委員 そういった委員の現地派遣ということもあるということでありますし、その際、当然また職員の方も一緒に行かれる、そしてまた、必要があれば適宜指導も行う、こういうふうに、これは全ての大学、学部の新設について同じではありましょうが、このように理解いたしました。

 国家戦略特区との関係についても幾つかお伺いをしておきたいと思います。

 これは、先ほどの義家議員の質問にもありましたように、大学設置認可申請の審査の対象ではありませんが、構想としての段階で整合性が確認をされた、こういうお話もございました。

 まず、この規制改革事項の中で、今回のこの学部に期待されることとして、創薬プロセスにおける多様な実験動物を用いた先端ライフサイエンスの研究の推進、そういった研究を推進するということが挙げられております。教学面の審査でどういう方が教員になるかといったことも確認をされたところでありましょうし、この大学として、こういった研究の推進に期待できるところについてお伺いをいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 今回の国家戦略特区におきます獣医学部の新設につきましては、これまで国家戦略特区を所管する内閣府を中心に、段階的にそのプロセスが進められてきたところでございまして、国家戦略特区のプロセスの中で、関係法令に基づきまして、関係省庁の合意のもとに適切に進められてきたところでございます。

 このプロセスの中で、学校法人加計学園の獣医学部設置の構想が、先生御指摘の追加規制改革事項に沿いまして、先端ライフサイエンス研究の推進や地域の水際対策など新たなニーズに対応するものであることが確認されまして、設置認可の申請に至ったものでございます。

 大学設置・学校法人審議会において可とされました設置認可申請書におきましては、創薬科学などライフサイエンスの分野の科目に対し、製薬企業等における創薬開発の経歴や、医学系研究所等における先端ライフサイエンス研究にかかわる経歴を有する方を配置するなど、担当教員の充実が図られております。

 今後、本獣医学部の取り組みによりまして、実験動物の研究成果を人の治療につなぐ、いわゆるトランスレーショナルリサーチ分野で活躍できる人材が養成されることが期待されるところでございます。

橘委員 もう一点、地域での感染症に係る水際対策というのが挙げられているわけでありますが、こちらについてのこの大学としての果たせるところ、期待されるところについてもお伺いをしておきます。

義本政府参考人 お答えいたします。

 国家戦略特区における追加の規制改革事項におきましては、「人獣共通感染症を始め、家畜・食料等を通じた感染症の発生が国際的に拡大する中、創薬プロセスにおける多様な実験動物を用いた先端ライフサイエンス研究の推進や、地域での感染症に係る水際対策など、獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的需要に対応する」と述べられているところでございます。

 大学設置・学校法人審議会への加計学園の設置認可申請書におきましては、国際動物疾病学や人獣共通感染症学実習などの科目に対し、感染統御分野の研究者を専門教員として配置することとされております。

 文部科学省としましては、今回認可されました獣医学部におきます教育が申請の内容のとおり確実に実施されることを期待しております。

橘委員 英語をかなり用いて教育をするということもありますし、こういったところで国際的なそういう役割を果たす人材の育成ということに努めていただく、こういうことだと思います。

 もう一つ、今度は、広島県・今治市国家戦略特別区域会議構成員応募資料ということで、ことしの一月十二日に確認をされたものにおきまして、校舎の面積でありますけれども、約三万六千平米ということで構想となっておったわけであります。

 最終的に、申請書におきましては二万五千三百六十五平米になったわけでありますが、これについて問題はなかったのか確認をさせてください。

義本政府参考人 委員御指摘のとおり、ことし一月の加計学園の構成員応募資料、いわゆる加計学園の構想でございますけれども、その中におきましては校舎面積は約三万六千平米であったものが、設置認可申請書におきましては約二万五千三百六十五平米となっているところでございます。

 申請者に確認いたしましたところ、応募資料、加計学園の構想での応募資料でございますけれども、この中におきましてはクラブハウスなど大学設置基準上校舎面積に算入されていないものを含めて三万六千平米と記載したところ、申請書におきましては設置基準上校舎面積に算入されているもののみの面積を記載したため、このような差異が生じているというふうに伺っております。

橘委員 それでは、教育とか研究とか、本来この大学が果たすべき役割の部分についての面積としては、それはもう最初から予定されたとおりそれが確保されて問題はない、こういうことの御説明だったと理解をいたします。

 こういった形で、国家戦略特区との関係についても、幾つか大きなテーマがあったわけですけれども、そういったことについていろんな確認がされている、このように見ましたけれども、全体としてこの獣医学部が国家戦略特区のプロセスで認められてきたこととの整合性がとれているのかどうか、最後に確認をしておきます。

義本政府参考人 お答えいたします。

 設置審議会におきまして可というふうな判断とするところとは別に、文部省としまして、国家戦略特区プロセスで判断されました加計学園の構想に沿って、補正後の設置認可申請書が沿っているものかどうかについて文部科学省において確認させていただいたところでございます。その上で大臣が認可したものでございます。

橘委員 あえて一通り、今回の三月の申請から五月の第一次審査意見、八月の第二次審査意見、そして留意事項、認可に至るプロセスについて、順番に、指摘されたこと、そういったことについて一通りあえてお伺いをさせていただきました。その中で、この審査が、一つ一つの問題について丁寧にいろんな意見が交わされて、そして、それぞれについて一つ一つそういう対応がとられているというところ、それを明らかにさせていただきたかった、こういうことであります。

 そして、これが昨日、大臣のもとに設置認可ということになったわけでありますから、今度はこの大学、学部が生まれて育っていくということになります。その中では、当然、先ほど申し上げたとおり、志を持った学生さんがやってきて、そこで大いに頑張っていただくということも大事でしょうし、また、国家戦略特区ということでありますので、やはり地域に対して貢献をしていくということも大事だと思います。それは、獣医学を学んだ方を、人材を提供するということもありますが、もう一つ、今、文部科学省さんで非常に力を入れておられる、地域の拠点、センター・オブ・コミュニティー、COCという形で、それぞれ地域の、地方創生ということもありますが、地方の活性化とかそれからその地域の、いい意味での地(知)の拠点ということで大学を活用していくということはあちこちで行われていることでもあります。ぜひ、そういった形で、新しい大学、学部でありますが、発展をしていくということが期待されるところだ、このように思います。

 そこで、これは文部科学省さんとしては、そういったことについてはまたいろんな補助金とかあるいはいろんな事業もお持ちでありますので、そういったものの活用もされるということも含めて、この大学についての大臣としての対処方針、COCとしての対処方針について、最後にお伺いをいたします。

林国務大臣 今回の獣医学部につきましては、その設置に係る構想が国家戦略特区のプロセスの中で先端ライフサイエンス研究の推進、地域の水際対策など新たなニーズに対応するものであることが確認をされまして、設置認可の申請に至ったところでございます。

 この申請書におきまして、まさに今お話のあったような、地域封じ込め対策に基づく危機管理、感染症、食品安全に対応する国際獣医事等の公共獣医事に関する教育研究を推進する、こういう旨が期待されておりますとともに、四国において活躍する獣医師の供給を目的として、四国入学枠も設けておるところでございます。

 文科省といたしましても、今回認可された獣医学部における教育及び研究活動が申請内容のとおり確実に実施されて、今お話のあったセンター・オブ・コミュニティーということですが、四国地区を中心とした獣医事の学術的拠点となることを期待しておるところでございます。

橘委員 どうもありがとうございました。

冨岡委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 本日は、昨日設置が認可をされました加計学園の岡山理科大学の獣医学部、これについて質問をさせていただきます。

 加計学園につきましては、今までの国会でもさまざま議論がなされてきたところでございます。国家戦略特区の中で、まず獣医学部の新設というのが認められるのか、こういう議論を国家戦略特区のプロセスの中でもさまざましてこられましたし、そして、今回は、その特区のプロセスは終了して、議論の場が文科省の方に移りまして、大学設置の審議会で議論をされて、答申が出て、それで認可をされた、こういうことであるというふうに理解をしております。

 私の方からは、今回、新しく場を移して議論をなされた設置審での議論を中心に、果たしてこれが適正なものであったのか、果たしてこれが瑕疵がなかったのか、このような点について質問をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、大臣の方にお伺いをしたいんですけれども、この設置審、先ほどの質問でも、かなり独立性が高い、こういうふうな御指摘もございましたけれども、そもそも、この設置審は何をチェックすることとなっている機関なのか、この設置審の中でどういった審査の基準があって、どういうものに適合をしていればこれは可として認められるのか、基本中の基本ではございますけれども、まず冒頭、この点について確認をさせていただきたいと思います。

林国務大臣 文部科学大臣が大学等の設置を認可する場合、学問的、専門的な知見が必要となる大学設置認可に関する行政処分の慎重、公正を期するために、大学設置・学校法人審議会に諮問し意見を聞く、こういうふうになっております。

 この審議会は、大学運営に関する有識者や各学問分野の専門家により構成をされておりまして、教育課程や教員組織、施設設備、財務状況などが学校教育法及び大学設置基準等の法令に適合しているかにつきまして、学問的、専門的な観点から公平公正な審査を行うということになっております。

中野委員 学問的、専門的な観点からということでございます。

 私も詳細についてお伺いをしました。教学上のカリキュラム的な観点から、これが果たして申請を実現するために必要な計画となっているのか、こういうこともチェックをされると伺いましたし、また、大学の法人経営という観点からも、これが果たして適正なものなのか、こういうことについて確認をされる、このようなことをお伺いいたしました。

 他方で、今回の岡山理科大、加計学園の獣医学部につきましては、特区のプロセスを経て認められたものについて審査をされる、こういう状況でもあるというふうに伺っております。

 先ほどの設置審のそもそもの成り立ちから考えますと、そもそも、国家戦略特区において、こういうものであれば特区として認めるというふうな中身がまずあったわけでございまして、加計学園の構想が特区の条件に適合しているのか、こういうものについては国家戦略特区のプロセスの中でまずは判断をされる。その上で設置認可申請が出てきて、この設置認可申請については設置審の方で学問的、専門的な観点から判断をされる、このように理解をしております。

 そこで、内閣府の方に確認をしたいんですけれども、この加計学園の構想が、特区の条件としては、新たなさまざまなニーズに対応する獣医学部である、こういうことが条件になっているというふうに理解をしております。これに合致をしているのかどうか。これについては、一体国家戦略特区のプロセスのどの段階で確認をされていることになるのか。この手続について内閣府に確認をしたいと思います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 先端ライフサイエンスでございますとか地域の水際対策の強化でありますといった新たなニーズに対応する獣医学部であるかどうかといったことも含めまして、四条件その他累次の決定についての適合性につきましては、ことしの一月に、加計学園が提出した応募提案の内容について獣医学の専門家を交えて審査し、適合性を確認してございます。

 具体的には、一月十二日の今治市分科会で、文科省、農水省はもとより、文科省推薦の獣医学の専門家も交えて審査するとともに、一月二十日の区域会議で、文科大臣、農水大臣にも御出席をいただきまして異論なく了承いただき、同日の諮問会議、総理認定に至っている。

 このように、節目節目で関係大臣が合意の上、法令にのっとって適正に手続が進められ、確認をされてきたものということでございます。

中野委員 先ほど内閣府の方からもお話がございました。区域計画の認定もございましたし、加計学園の構想が規制改革の事項について適合しているかどうか、こういうことについて特区の一つ一つのプロセスの中で確認をされてきた、こういう御説明であったかというふうに思います。

 そうしますと、まず、加計学園が特区の条件を満たしているかどうかというものは、特区のプロセスの中で一つ一つしっかり確認をされている、こういうことだと理解をいたしました。その上で、今回の設置審では学問的、専門的な観点から判断をされている、こういうふうに理解をいたしました。

 そうしますと、大臣、ここで一つ確認なんですけれども、この国家戦略特区の中で加計学園の構想というものが、特区のプロセスの中で、確かに特区の求めているものと合致をしているものだということが確認をされた、それが今回大学設置審の申請ということで出てきたということでございますけれども、設置審の中で出てきた計画が特区の中での議論と果たして整合しているものなのかどうなのか、これについては大学の認可のプロセスという意味ではどのように確認をされたのか、これをお伺いしたいと思います。

林国務大臣 今回の獣医学部の新設につきましては、今お話をしていただきましたように、国家戦略特区を所管する内閣府を中心にそのプロセスが段階的に進められてきたところでございまして、このプロセスの中で、関係法令に基づきまして、関係省庁の合意のもとで適切に進められてきたところでございます。

 今お話のあった加計学園の獣医学部設置の構想については、このプロセスの中で、先端ライフサイエンス研究の推進や地域の水際対策など新たなニーズに対応するものであることが既に確認をされまして、それで設置認可の申請に至ったわけでございます。

 我々としては、今お話しいただいたように、設置認可のプロセスでは、設置審において専門的、学問的観点から御審査をいただくとともに、これとは別に、学校法人加計学園の設置認可申請の内容が国家戦略特区のプロセスの中で認められた加計学園の構想に沿っているということを確認したところでございます。

中野委員 設置審の審査とは別に、特区の中で求められていたことと、今回の申請の審査の整合性についても別途確認をされた、こういうことでございます。

 では、ちょっと事務方に具体的に確認をしたいんですけれども、その具体的な確認の結果、今回認可された加計学園の獣医学部は、国家戦略特区の議論における一連の計画と具体的にどのように整合性がとれていたのか、これについてもう少し具体的にお伺いをしたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 今回の設置認可プロセスにおきましては、文部科学省におきまして、加計学園の設置認可申請書の内容が国家戦略特区のプロセスの中で認められました加計学園の構想に沿っているかどうかについて確認したところでございます。

 具体的には、申請書と構想を比較しましたが、構想におきまして入学定員を百六十名、専任教員を七十名とされていました体制につきましては、申請書におきましては、入学定員百四十名、専任教員七十五名と体制が充実されていることがございます。

 さらには、構想にありましたライフサイエンス分野、国際獣医事分野、臨床獣医分野といった三分野から構成されるアドバンスト科目につきましては、申請書では、構想段階の教育内容を具体化するとともに、科目数や担当教員の充実を図っていることを確認いたしました。

 さらには、国際対応ができる獣医師養成に向けた取り組みにつきましては、設置認可の申請書におきましては、専門分野における英語教育が具体化され、海外での教育研究経験を有する教員二十四名の配置や、具体の海外の大学との連携についても予定されていることが確認されたところでございます。

 さらに、その他、施設整備につきましても、構想の段階から大きな変更がなく整備される見通しであるということが確認できましたため、これらを踏まえまして、申請書の内容が構想に沿っているものと判断したところでございます。

中野委員 先ほど、加計学園の構想と比較をして、一つ一つこれに合致をしているという御説明をいただきました。

 この加計学園の構想というのは、国家戦略特区プロセスの中で、二十八年度に加計学園の方から出てきました具体的な計画だというふうに理解はしておるんですけれども、もう少し具体的に中身を伺いたいというふうに思います。

 例えば、国家戦略特区における追加の規制改革事項、平成二十八年の諮問会議の決定でございますけれども、これにはどのようなことが書いてあるかといいますと、「先端ライフサイエンス研究や地域における感染症対策など、新たなニーズに対応する獣医学部の設置」、こういうことで書かれているわけでございます。

 それでは、例えば、獣医師が新たに取り組むべきニーズに対応する獣医学部である、こういう観点から見ると、今回の加計学園の教育というのはどのような計画がこの部分に合致をしているのか、どういう点で特色がある教育であると考えているのか、これについてさらにお伺いをしたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 今回新たに設置される加計学園の獣医学部の特徴としましては、全国に今現在十六の獣医学部がございますけれども、そこでの共通のコアカリキュラムに加えまして、ライフサイエンス分野、国際獣医事分野、臨床獣医分野といった三分野から構成されるいわゆるアドバンスト科目を三十五科目、手厚く体系的に設定して構成しているということが一つございます。

 さらには、国際対応ができる獣医師養成に向けた取り組みとしまして、専門分野における英語教育や海外での教育研究経験を有する教員二十四名を配置し、さらには、海外の大学との連携が行われているという点が挙げられるところでございます。

中野委員 ありがとうございます。

 既存の獣医学部がやっているコアカリキュラムに加えて、アドバンストカリキュラムということをさらに取り組まれる予定である、そしてまた、英語の教育であるとか海外大学との交流であるとか、そういった観点が獣医師が新たに取り組むべきニーズに対応している具体的な中身である、こういうふうな御説明であったかというふうに思います。

 続きまして、設置審の具体的な審査の中身が適切だったのか、こういう点についてお伺いをしたいというふうに思います。

 設置審の議論というのは、先ほどの質問でございましたけれども、もともと、ある程度専門的に、そしてかなり独立的にということで議論をしていると理解をしております。内容も、もともとはかなり非公開の部分が多かったのではないかというふうに思います。

 この設置審、今回、特に加計学園ということで非常に注目もされておりますし、やはりわかりやすく国民に透明性を持って情報の伝達をしていかないといけない、こういうふうな思いは私も持っておりますけれども、たしか、ことしから審査プロセスの透明化も高められているということで、中でどういう議論があってどういう指摘があったのか、こういうことも公表されているのではないか、このように承知をしております。

 この設置審の審査プロセスの透明化についてどのような取り組みをされているのか、こういうことについて現状の取り組みというのを伺えればというふうに思います。よろしくお願いします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 大学設置・学校法人審議会には、学問分野の専門家や大学運営に関する有識者が参画しまして、三段階の会議で審議を行うなど、慎重かつ公正公平に審査を行っているところでございます。

 大学設置認可という行政処分に係る審査を設置審が行うということですから、審査中につきましては、公平公正な審査に影響を及ぼすおそれがあることから、審議の状況については非公開というふうにしているところでございますが、答申後につきましては、大学の申請の具体的内容や最終的な審査意見に加えまして、今年度から、新たに審査過程で指摘いたしました審査意見につきましても公表するということを決めたところでございまして、透明性の確保を図っているところでございます。

中野委員 そういう意味では、今回、どういう指摘がなされてどういう対応をしているかということがある程度透明に見えてきているような審査であるというふうに私は理解をしておるんですけれども、これを拝見させていただきますと、一次、二次ということで、かなり多くの指摘がなされております。それについて一つ一つここで確認することはいたしませんけれども、例えば実習の体制について本当にこの人数でできるのかであるとか、さまざま指摘がなされているというふうに思います。

 最終的な設置審の審査のプロセスにおいて、この計画というのが果たして指摘どおり適切に改善がなされていると考えているのか、この点についてもお伺いをしたいというふうに思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 学部等の設置審査におきましては、申請者の設置計画に対しまして、設置審が問題点や不明な点を指摘しまして、申請者が審議会の指摘を踏まえまして修正、改善を行いまして、補正申請提出というプロセスを経て、最終的に基準に適合しているかどうかを判断いたしまして、可とするというものでございます。

 加計学園から申請のございました今回の獣医学部の設置計画につきましても、一次審査、これは五月に行います、それから二次審査、これは八月の対応でございますけれども、実習時間数の確保などさまざまな指摘がなされているところでございまして、指摘を踏まえまして、補正申請等を通じまして適切な対応がなされたと審議会で判断した結果、可と答申がなされたと承知しているところでございます。

中野委員 設置審の審査の中で十分に改善がなされた、こういうこともお話をしていただきました。

 ただ、私は、今回、答申の方で一応可ということになってはおりますけれども、引き続き、留意事項というか、さらに指摘事項もかなり残っているかというふうに承知をしております。これにつきましては、大学の設置審がしっかりとフォローアップをしていくというか、毎年しっかりと対応ができているかということを確認していく、こういう具体的な取り組みもやっていくんだ、こういうことも伺っております。

 やはり、今回の加計学園の設置審の議論というのはかなり注目がなされた議論でもございますし、文部科学省の大学行政というものが果たして適切になされているのか、こういうことについて、かなりいろいろな意味で、国民の皆様からいろいろな御指摘をいただいたのだというふうに思っております。

 そういう意味では、こうした審査でいろいろな指摘もなされた事項についてさらにしっかりと改善がなされていくのかどうか、こういうことについても今後引き続き取り組まれる、こういうふうにお伺いをしておりますので、しっかりフォローアップをしていって、この獣医学部について設置審でいろいろな指摘があったことがしっかりと反映をされていくように、文部科学省としても取り組んでいっていただきたい、これはお願いを申し上げたいというふうに思います。

 さまざまお伺いをいたしました。この加計学園の審査の中では、国家戦略特区プロセスにおいてどのような議論がなされたのか、こういうことも議論をなされてまいりましたし、今回は設置審の審査ということでございますので、その中でどういうものが審査をされたのか、そしてどういう結論になったのか、こういう一つ一つのプロセスについてしっかり透明性を持って説明をしていく、これがやはり何よりも大事なことなんだろうというふうに思います。

 最後に、大臣に一点お伺いをしたいんですけれども、今回、国家戦略特区という制度の中で獣医学部の新設というものが五十二年ぶりに認められた、私はこれは大変によかったことなんだろうというふうに思います。他方で、今回、この獣医学部の国家戦略特区での議論を通じまして、いろいろな指摘があったということも事実だと思います。

 文部科学省は、今まで獣医学部については抑制をする、大学、学部の新設については抑制をするという立場でずっとやってきたわけでございますけれども、例えば、今治市が長年規制緩和の要望をずっと求めてこられました。そして、実際にニーズが逼迫しているのかどうか、こういう点につきましても、例えば産業界の産業獣医のようなところではニーズがあるのではないかとか、地域的な偏在があるのではないかとか、いろいろなことが指摘をされまして、そして、今回、特区という形で獣医学部の新設を認める、こういう結果になったわけでございます。

 国会の議論の中でも、ある意味、ゆがんだ行政が正されたんだ、こういうふうにおっしゃっておられた方もいらっしゃった、こういうふうに理解もしておりまして、獣医学部の新設が長い間抑制をされてきた、今回こういう国家戦略特区という形で新しく新設がなされた、こういうことについて、私は、文部科学省としても、もう一度、大学行政のあり方というか、こういう流れがあったということを受けとめて、どのように評価するのか、これをしっかり考えていかないといけないというふうに思うんです。

 それについて、最後に、大臣はどのようにお考えかということを御答弁いただきたいというふうに思います。

林国務大臣 今お話がありましたように、現在、文科省の告示におきまして、獣医師の養成に係る学部等の新増設を抑制しておるところでございますが、これは各所管省庁における人材需要の見解を踏まえた上でこの方針をとっておるところでございます。

 御案内のことですが、この分野では、人材供給の規模というのは国家試験により管理を獣医学というのはされておりますが、獣医学部を修了することにより受験資格が付与されるというものでございますので、国家試験を受験する者の質が、社会において、当該分野で活躍する人材の供給に直接影響するということになりますので、受験者の質と規模についても一定程度の水準を維持するということが必要だと考えております。

 また、獣医学の分野の人材育成には相当の時間を要し、多額の公費の投入を伴うものでもございますので、こういうことから、各所管省庁の人材需要に係る見解を踏まえて、昭和五十九年以降、獣医師養成の学部の新増設については抑制を行ってきたところでございます。

 今回の獣医学部の新設については、国家戦略特区のプロセスの中で、関係法令に基づいて、関係省庁の合意のもとで適切に進められてきたところでございますので、そのプロセスの中で今回の獣医学部が新たなニーズに対応することが認められて設置認可の申請に至った、こういうふうに理解をしております。

中野委員 最後に、この問題を通じまして痛感いたしましたことは、やはりプロセスの透明性、そしてわかりやすさ、しっかりとした説明、こういったものが文部科学行政にも求められていくわけでございまして、大臣におかれましては、引き続き、国民に対してわかりやすい説明、疑念の持たれないようなしっかりとした説明責任を果たしていただきまして、文部科学行政に邁進をしていただくことをお願い申し上げまして、私、中野洋昌の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二でございます。それでは、きょうはよろしくお願いいたします。

 早速質問に入りたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

 まず、大臣、前提条件を確認させていただきたいんですが、今回の加計学園の大学の設置申請ですけれども、これは、特区の認定がなければ設置申請はなかったもの、特区の認定が前提になっていて設置申請が行われた、そういう理解でよろしいでしょうか。

林国務大臣 先ほどの御質疑でもプロセスについてお話がありましたが、告示でもって新設の学部の抑制をしております。その告示に対する、ある意味では規制緩和といいますか、例外を認めるということで特区が位置づけられておりますので、そういう意味では、委員がおっしゃったように、特区として認められた、その結果申請がなされた、こういうふうに理解しております。

逢坂委員 それから、もう一点、大臣に前提を確認したいんですけれども、今回の加計学園の問題に対して総理や官邸が何らかの肩入れをしたのではないかとか関与をしたのではないかというふうに言われているわけですが、総理や官邸が加計学園の問題に肩入れをする、関与をするということについては適切なことだと思っておられるでしょうか、それとも不適切だというふうに理解されているでしょうか。

林国務大臣 プロセスにつきましては先ほどお答えしたとおりでございますが、加計学園と総理のかかわりについては総理が国会で御答弁をされているとおりである、こういうふうに承知をしておりますし、また、松野前文科大臣が、総理、官邸から私、私というのは松野前大臣のことですが、に指示があったことはないということで、獣医学部の設置に関して総理から文科省に対して指示はなかったというふうに承知をしております。

 そういうことがあったとすれば、それは適切ではないというふうに認識しております。

逢坂委員 最後に御答弁いただきましたけれども、そういうことがあったとすれば適切ではないという御認識だというふうに理解をいたしました。

 さてそこで、今度は長坂政務官にお伺いをしたいんですが、これまで内閣府の皆さんとは事務方と随分いろいろやらせていただいたんですけれども、どうも事務方の答弁では判然としないものですから、きょうは政治家としての答弁を聞きたいということでお越しをいただきました。

 まず、一昨年の六月のいわゆる石破四条件、これは閣議決定されたわけでありますけれども、この閣議決定というのは今も有効だという認識でよろしいでしょうか。

長坂大臣政務官 お答えいたします。

 そのように考えております。

逢坂委員 もう一点、前提条件を確認させてください。

 今回の加計学園の特区認定の前提になるのは、石破四条件のクリア、これが前提になっている、石破四条件のクリアがなければ特区認定の前提は成り立っていないということでよろしいですか。

長坂大臣政務官 そのように考えております。

逢坂委員 そこでなんですが、私は、この間、事務方からいろいろ話を聞いているんですが、石破四条件がクリアされたというふうには全く思えないんですよ。どこのどの時点でどうクリアされたのか、きょうはそれを明確にしていただきたいと思います。

 これは非常に大事な問題だと思います。全ての前提がここにあるわけでありますので、石破四条件がクリアされている、そのことを長坂政務官にはしっかり政治家として説明をしていただきたいと思います。

 まず、お伺いします。

 石破四条件の一つ、現在の提案主体による既存の獣医養成ではない構想が具体化しというふうにございますが、現在の提案主体というのは一体何なんでしょうか、誰なんでしょうか、どこのことを指しているんでしょうか。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 現在の提案主体とは、獣医学部の新設を制度上可能としようとする際に現に提案している主体のことを指すものでございます。

 したがって、新潟県、今治市、京都府のいずれも現在の提案主体に含まれるものであり、いずれを排除するものではございません。

逢坂委員 長坂政務官、本当にそれでよろしいですか。現在の提案主体と言っている現在というのは平成二十七年六月三十日です。その時点で京都産業大学は提案をしておりません。それでも京都産業大学は入るということですか。

長坂大臣政務官 京都は二十八年の三月というふうに伺っておりますが。

逢坂委員 今の答弁の意味がちょっとよくわかりません。整理してください。

冨岡委員長 長坂内閣府大臣政務官。(発言する者あり)

 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 起こしてください。

 長坂内閣府大臣政務官。

長坂大臣政務官 失礼いたしました。

 先生御指摘のとおり、平成二十七年六月三十日は今治市と新潟でございます。

逢坂委員 それでは、再確認ですけれども、石破四条件の第一番目の、現在の提案主体による構想が具体化しということは、新潟県と今治の構想が具体化をする、こういうことでよろしいですね。(発言する者あり)

冨岡委員長 では、とめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 では、起こしてください。

 長坂内閣府大臣政務官。

長坂大臣政務官 現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化し、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり、かつ、既存の大学、学部では対応が困難な場合には、近年の獣医師の需要の動向に考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行うということは、二十七年六月三十日でございます。

逢坂委員 私が聞いたのはそういうことではありません。

 私が聞いたのは、現在の提案主体というのは新潟と今治、二つなんだ、であるならば、石破四条件の第一番目の構想が具現化するというのは、新潟と今治の構想が具現化することが四条件のまず一番目ですねという質問をしているんです。

冨岡委員長 答えられますか。(発言する者あり)

 では、とめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 では、起こしてください。

 長坂内閣府大臣政務官。

長坂大臣政務官 何度も失礼いたします。

 現在というのは、先生御指摘の六月三十日現在を指すわけではございませんで、現在、過去、未来という意味での現在でございますから、御理解をいただきたいと思います。

逢坂委員 全く意味がわかりません。

 六月三十日時点で現在という閣議決定をしている。だがしかし、その現在という言葉は六月三十日という時点を指すものではない、現在、過去、未来の中での現在だと。どういう意味なんですか、これは。

冨岡委員長 いいですか。(発言する者あり)

 では、もう一度時間をとめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 起こしてください。

長坂大臣政務官 私の申し上げ方が不明確であったと思いますが、現在というのは、要するに、過去に出したけれどももう取りやめてしまったものは入りませんし、現在というのは、これから未来に向けて出てくるということを前提にした現在ということでございます。

逢坂委員 これは六月三十日の閣議決定なんです。六月三十日の閣議決定で現在の提案主体によると書いてあったら、普通、日本語を解釈するものは、現在の提案主体だから現在提案されているものだというふうに読むのが通例だと思います。もしこれに将来も含むということであれば、現在及び将来とか、これからとか、そういう言葉がなければおかしいんじゃないですか。

 いや、何もこの点を私は問題にしたいわけじゃないんですよ。議論の出発点として、どこが対象になっているのかをただ確認しているだけなんです。

冨岡委員長 よろしいですか。(発言する者あり)

 では、とめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 では、起こしてください。

 長坂内閣府大臣政務官。

長坂大臣政務官 恐れ入ります。こちらの理解は、判断する時点での現在ということだと思います。

逢坂委員 わかりました。わかりましたというのは、それを納得したというわけではなくて、判断した時点での現在だ、そういう解釈だということなんですね、そちらの言い分は。わかりました。

 それでは、具体的な質問に入りましょう。

 この既存の獣医師養成ではない構想が具体化した、この四条件の一番目がクリアされたのはいつですか。どの構想によってクリアされたんですか。しかも、それはどの会議の場でそれが確認されたんですか。

長坂大臣政務官 内閣府による確認は、昨年十一月の諮問会議取りまとめに当たりまして、今治市や京都府からの提案、特区ワーキンググループ等における民間有識者や関係省庁間の発言、製薬業界等からの要望書、獣医師数等に関する統計資料をもとに段階的に行ってまいりました。

 諮問会議の取りまとめが四項目に合致することは、最終的には、取りまとめの文案の事務的な調整に際し、関係府省庁において確認をされております。その後、十一月九日の特区諮問会議で、文科、農水両大臣の御出席のもとに文案が原案どおり了承されたものと考えております。(発言する者あり)

冨岡委員長 一応とめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 では、起こしてください。

 長坂君。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 既存の獣医師養成ではない構想が具体化であるとの点を含め、四項目との関係で問題がないことについては、内閣府としては山本前大臣が確認し、文科、農水両大臣もこれに異論を唱えることなく、昨年十一月九日の諮問会議で、両大臣の御出席をいただいて本件の制度化を決定いたしました。

逢坂委員 大臣が確認をしたと。

 だから、私が聞いているのは、具体的にどういう事実を確認したのかということを聞いているんですよ。ただ大臣が確認したでは、確認した根拠がわからないんですよ。こういう構想の提案があった、これが具体化されたもとなんだ、根拠なんだ、それを言ってもらわなかったらわからないですよ。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 今治市の平成二十七年六月の提案書では、ライフサイエンス分野、例えば医療、創薬、医療機器における連携研究や食品貿易の安全確保のための人材育成、さらに越境感染症の防疫のための人材養成に、従来にない教員規模で臨むものとしておりました。

 また、京都府の平成二十八年十月の提案書では、既存の獣医学部にないライフサイエンス分野に精通した獣医師の輩出を期待するとして、創薬分野における病理学、実験動物学、薬理学などのさらなる充実を図ることといたしております。

逢坂委員 長坂政務官、今、今治と愛媛の構想のことについて話をされましたが、それが提出されたのは六月五日なんですよ。閣議決定は六月三十日なんですよ。

 だから、要するに、これは事務方にも確認しているんですけれども、六月三十日の時点では、構想が具現化したものはあるのかないのかという話をしたら、それはないであるかのような発言なんですよ。だからこその閣議決定なんですよ。六月五日に提案されていて、それが具体化しているんだったら、こんな閣議決定をする必要はないんですよ。構想はもう具現化しているわけですから。

 五日に提案されて、それがまだ十分ではないという認識だから、六月三十日に閣議決定したんじゃないですか、構想が具現化しという。いかがですか。

長坂大臣政務官 ただいま申し上げましたのは、二十八年十一月九日に制度化を決定したときのことを申し上げております。

逢坂委員 ならば、どの構想が具現化したというふうに判断したんですかということを聞いているんです。

 私は、京都府の提案というのは、石破四条件も念頭に置いた非常に丁寧な提案だなというふうに読ませていただきました。ところが、六月五日の今治の提案というのは必ずしも具体性に及んでいるものではない。

 だから、その意味でいうと、まさか、よもやこのままを構想が具体化したというふうに判断しているのかどうか、その点、いかがですか。

長坂大臣政務官 一つには、ヒアリングを通じていろいろ確認をしておりますし、先生も御承知だと思いますが、構造改革特区のときからの積み重ねがございますので、総合的に判断をしたということでございます。

逢坂委員 六月五日の今治、愛媛からの提案以降、公に開かれた場で構想の中身についてきちんと聞いている場面はございますか。

長坂大臣政務官 六月五日のワーキンググループの会議でしっかりと自治体からのお話は聞いているということでございます。

逢坂委員 だから私は言っているんですよ。六月五日の時点で聞いている構想が具体化しているんだったら、逆に、何で六月三十日に、特区を認める要件の一つに構想が具現化する、具体化するということを入れるんですかと。既に構想が具体化しているんだったら、そんなものを入れる必要ないじゃないですか。

 六月三十日の時点では構想が具体化していない、そういう判断なんじゃないですか。

長坂大臣政務官 ワーキンググループのお話と四条件のことは並行して進んでいるわけでございまして、それを条件にしているわけではございません。

逢坂委員 四条件とワーキンググループは並行して進んでいる。だから、四条件に、今、最後、何とおっしゃったんですか。

長坂大臣政務官 六月五日のワーキンググループで聞いたことを直接の条件にしているわけではございません。

逢坂委員 極めて奇異な答弁ですね。

 では、何を条件にして石破四条件の一番目をクリアしたと判断したんですか。六月五日の構想は四条件の対象範囲外だというふうに今答弁をしたわけですよね、それを考慮したわけではないと言ったわけだから。

 では、何を、どの構想を見て石破四条件の一番目がクリアされたと判断したんですか。(発言する者あり)

冨岡委員長 とめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 では、起こしてください。

 長坂内閣府大臣政務官。

長坂大臣政務官 恐れ入ります。日にちの問題もきちっと精査しなきゃいけませんので。

 二十八年の十一月九日の制度化の決定に際しまして、前年の六月三十日に設定されました四条件の充足性を確認したわけでございます。

逢坂委員 充足性を確認した。

 だから、私は、充足性を確認したという言葉は、それは結果としてはそうなんでしょうけれども、何を見て、どういうことだから、具体的にこれこれこういうものを見て充足されているなという判断をしたかということを聞いているんです。しかも、それは公開の場で行われているのか、それとも、公開しないで、事務方がそれはそれで充足されていますねと判断したのか。

 今回のことはプロセスの透明性ということが非常に強く求められているんですよ。だから、具体的な事実に基づいて誰がどう判断したのかということを聞いているんです。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 既存の獣医師養成ではない構想が具体化であるとの点を含め、四項目との関係で問題がないことについては、内閣府としては山本前大臣が確認し、文科、農水両大臣もこれに異論を唱えることなく、十一月九日の諮問会議で、両大臣の御出席のもとに本件の制度化を決定いたしました。(発言する者あり)はい、申し上げます。

 内閣府といたしましては、既存の獣医師養成でない構想が具体化であるとの点について検討した点は次のとおりでございます。

 昨年十一月の諮問会議取りまとめにもあるとおり、先端ライフサイエンス研究や地域における感染症対策など、獣医師が新たに対応すべき分野に係るニーズが一層顕著になっている。具体的には、OIE、国際獣疫事務局が提案する家畜の越境感染症のゾーニング対策における四国の学術支援拠点として、地域の迅速な危機管理対応を支援するといった点で新たなニーズに応えるものでございます。

 このように、既存の獣医師養成でない構想が具体化との判断は、内閣府でも問題ないことを確認しつつ、三府省でしっかり合意、確認したものと承知をいたしております。

逢坂委員 それは公開されている議事録に残っておりますか。

長坂大臣政務官 その判断は、ワーキンググループ等により段階的に積み上げていった、判断をしたということでございます。

逢坂委員 ワーキンググループ等により段階的に判断をした、議事録には残っていない、公開されていない、それでよろしいですか。

冨岡委員長 議事録について。

長坂大臣政務官 失礼いたしました。お答え申し上げます。

 議事要旨はホームページにも載っております。公開されております。

逢坂委員 議事要旨に、石破四条件の第一番の条件が確実にクリアした、そういう要旨は残っておりますか。

長坂大臣政務官 ワーキンググループの中ではその四条件に対する御異論がないという趣旨のことは載っていると思いますが。異論がないという中での議論をしているということでございます。

冨岡委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 起こしてください。

 長坂君。

長坂大臣政務官 議事要旨は公開されているわけでございまして、そこには、四条件に対する異論が出ていないことは載っているわけでございます。

逢坂委員 後に理事会にその議事要旨を御提出いただきたいと思います。

 それから、異論がないことがわかるということでありますけれども、異論がないということは、議論していないことも異論がないことの一つなんですよ。議論されているかどうかの痕跡はありますか。

長坂大臣政務官 規制改革の基本的な考え方について申し上げますが、自治体や民間から提案が寄せられたときは、できない理由を探すのではなく、どうしたらできるかを前向きに議論すべきであるということでございます。

 これは平成二十六年二月に閣議決定した国家戦略特区の基本方針だけでなく、構造改革特区や総合特区の基本方針として閣議決定したものでございます。

 特区の基本方針は、規制を所管する省庁が改革は困難だと判断した場合には、その正当な理由の説明を適切に行うことを求めております。その説明がなされない場合は、提案に基づく規制改革を進めていくべきだと考えております。

逢坂委員 四条件の一番目がクリアされたかどうかの答弁には全くなっておりません。

 構造改革特区、国家戦略特区の基本的な考え方が今おっしゃったようなことであることは私も多少は理解しています、それが適切であるかどうかは、私は相当異論がありますけれども。

 それでは、聞き方を変えましょう。

 法律、国家戦略特区法の八条第七項三号に、実は、構想の実現性、具現性についての言及があるんです。実現可能性が必要だということがあるんです。法八条第七項三号、円滑かつ確実に実施されると見込まれるものでなければ国家戦略特区では認めませんよと言っているんです。だから、もっとわかりやすい言葉で言うと、単に提案者が言っているとか、言葉の羅列があるとか、ライフサイエンスが書いてあるだけではだめなんですよ。

 では、この実現性について、構想の具現化の段階で、専門家から話を聞くとか、実現性を検証しましたか。(発言する者あり)

冨岡委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 では、起こしてください。

 長坂君。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいました八条七項は翌年の一月二十日に係る話で、今先生が前段でおっしゃっているのは十一月九日のことでございますので、それには係らないというふうに考えておりますが。

逢坂委員 それでは、石破四条件のうちの一番目の、既存の獣医養成でない構想が具体化しという、この具体化しというところについては、円滑かつ確実に実施されると見込まれるというようなことは加味しなくてもよい、言葉の羅列でよい、そういう意味ですか。

 私は政務官が答弁しているのを十分理解しているんです。この八条七項というのは国家戦略特区の構想に係るものだということは、条文上明らかなんです。だがしかし、そうはいうものの、それの出発点になる提案そのものに具現性がなければ、一月二十日の構想だって具体化できるはずがないんですよ。

 だから、石破四条件をチェックするときに、具体性があるかどうか、具現化できるかどうか、チェックしていますかと聞いているんですよ。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 十一月九日の段階では、具体的にどの地域とか、そういうところまでは要件を求めておりませんので、できる見込みということで進めているわけでございます。

逢坂委員 十一月九日の段階では、具体的にどこの地域だということは想定はしておらないと。

 それでは、ここで言う石破四条件のうちの一番目の、獣医師の養成でない構想が具体化しの具体化は、極めて曖昧な具体化。できるかもしれませんね、できないかもしれませんね、とりあえず、言葉の羅列、それを受けとめたという理解でよろしいですか。

長坂大臣政務官 一月二十日のそういった段階では、そこのところはしっかりと確認をいたします。

逢坂委員 今の答弁は極めて大事な答弁ですよ。一月二十日の段階では、もう一つに絞られているわけですから。

 実は、十一月九日の段階、それから十一月十八日のパブリックコメントの段階、この段階で京都産業大学が徐々に徐々に申請できないような状況に追い込まれていくわけですよ。

 二十日の段階で具現性を見る、そうじゃないでしょう。十一月九日の判断をするときに、どちらが具現性があるのだというようなことをちゃんと判断しなければ、この条件をクリアしたことにはならない。そこを曖昧にしてパブリックコメントをやるなんというのは、できレースじゃないですか。これはちゃんと答えてくださいよ。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 お言葉ではございますが、十一月九日の段階で、どこかのところを特定したような判断はございません。

逢坂委員 それでは、繰り返しますが、石破四条件の一番目、現在の提案主体による既存の獣医師養成ではない構想が具体化し、この閣議決定が間違っているということですか。もし今のような答弁をされるのであれば、既存の獣医師養成ではない構想が具体化しというなら私はまだわかります。提案主体というところまで踏み込んでいるんです、この閣議決定は。この閣議決定に反するんじゃないですか、今の答弁は。

長坂大臣政務官 変わっているとは思っておりません。それは特定しているわけではございませんし、この四条件にたがえているとは思っておりません。

逢坂委員 私は、この間、事務方から四条件の達成状況についていろいろ話を聞いたんですが、全く理解できないんですよ。それで、最終的には政治の判断ですから、政治家である副大臣でも政務官でもどちらでもよろしいですから、答弁できる方に来ていただきたいという話をしたんです。

 きょうは、ここは文科委員会の場でありますけれども、林大臣が申請を受け付けるその前提になっている条件、石破四条件がクリアされているかどうか、そこが曖昧だったらこの話は全て御破算なんですよ。だから、まず、入り口のイの一番の第一番目、構想が具現化しているかどうか、具体化しているかどうか、それを誰がどういう事実に基づいて確認したんだということを聞いているんですよ。今まで三十分近くやりましたけれども、全く明らかにならないじゃないですか。出発点がそもそもおかしい。私はそう思いますよ。

 まだ質問していません。

 もう一回聞きます。

 石破四条件のうちの一番目、現在の提案主体による既存の獣医師養成ではない構想が具体化、これは、どういう事実に基づいて、誰がどの場で判断をしたんですか、明示ください。

長坂大臣政務官 恐れ入ります。

 もう一度申し上げますが、十一月九日の制度設計の段階では、四条件と同じように、具体性は対象となる事業に求められております。

 そして、今おっしゃいました、例えば、既存の獣医師養成でない構想の具現化ということは、先ほど申しましたが、昨年の十月下旬の段階で、今治市や京都府からの提案書に獣医師が対応すべき新たな分野や新たなニーズが明記されるなど、既存の獣医師養成大学と異なる、獣医師が新たに対応すべき分野に重点を置いた教育構想が示され、また、さらに検討を加えることにより、こうした構想がより一層具体化していくものと認められると判断したわけでございます。

逢坂委員 今の答弁の最後、より一層具体化していく。では、その時点では具体化していないということを答弁したかったんですか。

長坂大臣政務官 提案がより一層具体化していくというふうに見込まれると判断をしたわけでございます。

逢坂委員 今の答弁は矛盾していませんか。

 十一月九日に決めたことというのは、一月四日に共同告示になって出ていくわけですよ。そこからは、今度は、単なる獣医養成の新たな構想ではなくて、具体的な獣医学部の設置に対する申請の前段階になるものなんですよ。だから、もうその六月五日に提案された構想が具体化していくという段階ではないんですよ。さらに次の段階へ入っていくわけですよ。

 それでは、ちょっとまた聞き方を変えましょう。

 六月五日に今治と愛媛から提案があった後、その構想を深化させるための提案というのは具体的にどこでございましたか、十一月九日までの間に。

冨岡委員長 長坂君、いいですか。少し時間をとりますか。(発言する者あり)

 では、とめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 起こしてください。

 長坂内閣府大臣政務官。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 九月二十一日の今治市分科会等で議論をしております。

逢坂委員 多分その答弁をされるだろうと思って、そのペーパーを手元に用意してあります。これで構想が本当に具体化しているでしょうか。

 これは、今治商工会議所の特別顧問である加戸さんという方、前の知事さんでありますけれども、が提案をしたものです。でも、私から見れば、これは構想は何も具体化していない。ただ単に目指す目標を羅列しただけ。基本コンセプトを書いてある。そして、既存の大学のことについてはアドバンス教育はほとんどできていないということが書いてあるだけ。これで構想が具体化したと言えるんでしょうか。これは二枚のペーパーです。

 もう少し言いますと、私は薬学部の出身です。それで、研究職を目指していました。一昨日の夜も、国立大学法人の遺伝子の専門家、教授と意見交換をさまざまさせていただきました。そういう経験を持つ私から見て、この加戸さんのペーパーでさらに構想が具体化したと判断するには相当に危ういんじゃないでしょうか。

 では、もう一回、別な聞き方をします。

 これらの構想について専門家からきちんと意見聴取しましたか、構想の実現可能性を含めて。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 関係省庁で会議を重ねていくに当たっては、各界専門家や製薬業界の要望をいただきながら判断を行っております。

逢坂委員 二点。要望を聞いたということと、出されている構想の中身をチェックすることは別です。

 それともう一点。今おっしゃったことは議事録などに残っておられますか。残っておられないとするならば、だから、判断が恣意性があるんじゃないか、密室なんじゃないかと勘ぐられるんですよ。

 いかがですか、二点。

長坂大臣政務官 要望に関しましては、要望書をいただいております。

逢坂委員 要望を受け付けることと、提案されている構想の中身をチェックすることは別です。

 私の質問は、提案されている構想の中身を専門家によるチェックを行っておりますか、そしてそれは公開されておりますか、この二点です。

冨岡委員長 長坂内閣府大臣政務官。(発言する者あり)

 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 では、起こしてください。

 長坂内閣府大臣政務官。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 今おっしゃいました一つ一つの詳細は残っておりませんが、その会議の結論は当然残っております。

冨岡委員長 ちょっと待ってください。

 一応、速記停止七分を含めて持ち時間が経過しておりますので、最後の質問にしてください。よろしいですか。

 逢坂誠二君。

逢坂委員 個別のことは残っていないけれども結論だけ残っている、その答弁は、だから結果ありきだと批判されるんですよ。

 きょう明らかになったのは、石破四条件の第一番目の条件すらクリアされていない、これが明らかになったんじゃないですか。私はこの後、石破四条件の二番目、三番目、四番目、さらにたくさん質問しなければならない。これが明らかにならないから、国民の皆さんはおかしいと思っているんですよ。きょう何にも答弁できないじゃないですか。

 以上申し上げて、終わります。

冨岡委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 希望の党の今井雅人でございます。

 二十分しかありませんので、ちょっと細かいことは聞きませんので、大枠だけお伺いしたいと思います。

 まず、大臣、今の質疑を聞いておりまして、本当に、内閣府のその四条件のところがいかにいいかげんだということがよくわかったと思います。

 きょうも私もその話をしようと思いましたが、四条件のうちの三番目に、既存の大学では対応困難な場合にはと書いてありますが、これまでの質疑の中でも、内閣府は既存の大学にヒアリングすらしていないという答弁です。だから、既存の大学でできないということが立証されていないんですね。今の一番目も立証されていません。こんな状態で設置審に送られてきたんですよ。

 先週の金曜日に答申が出ました。私は事務方に聞きましたけれども、これは大臣はすぐ判断をしなきゃいけないのかということを言いましたら、必ずしもそうじゃありません、一般的には一週間程度ですという答弁でした。私はそのときに、事務方の皆さんに、大臣にお伝えください、少なくとも国会で説明責任をちゃんと果たす前までは正式に認可をおろさないでいただきたいと。今の質疑でもわかるとおり、土台すら揺らいでいるわけです。そんな状態で、国民がちゃんと理解しないうちに正式に認可をしないでくださいということを申し上げたんですが、驚くことに、昨日、正式に認可を出されました。

 どうしてこれはもう少し待って、こういう審議をした後、正式な認可を出すという手続をとられなかったんですか。

林国務大臣 文部科学省としては、これは行政の手続でございますので、相手方もあることでございますから、適切に進めてきたというふうに考えております。

 一方、国会の日程、委員から国会で説明した後でというお話があったというふうに聞いておりますので、これは国会で日程をお決めになるわけでございますので、きょうもそうでございますが、お求めがあれば真摯に対応してまいりたいというふうには考えておりますけれども、行政の手続としては、やはり決められた手順に従って適切に進めてまいりましたし、これからもそうしていきたいというふうに思っております。

今井委員 答申が出てからわずか二日なんですよ、土日を挟んでいますけれども。もう少し待つことはできたと思いますよ、少なくともこの委員会が立つということは予定されていたんですから。そこまでどうして待てなかったんですか。

 この審議が終わるまでは最低、どうして待てなかったんですか。それより前に認可を出したというその判断を、私は政治的判断としてお伺いしたいと思います。

林国務大臣 繰り返しになるかもしれませんが、我々としては、行政の手続でございますので、適切に進めてまいりましたし、これからもまいりたいと思います。そのことと、国会の日程を国会でお決めになった場でしっかりと行政として説明するということは、別途、しっかりとその責を果たしていきたいというふうに考えております。

今井委員 私は、しっかりと説明責任を果たしてから認可をおろすべきだったと思いますから、今回の判断は私は間違っていると思います。

 その上で、設置審のことをちょっとお伺いしたいんですけれども、設置審の方には文科省の事務方が入っていると思いますが、一番最初に議論の整理をされると思います。

 ある報道では、文科省の事務方の方から、設置審では、この四条件というのはもう内閣府の方で審査が終わっているので、このことは検討外だということを最初に事務方から説明があったというふうに報道もありますけれども、この辺の事実確認はどうですか。

林国務大臣 岡山理科大学の獣医学部につきましては、国家戦略特区の認定を経て設置認可申請がなされたものでございまして、事務局から、設置審の委員に対しましては、特区認定がなされた経緯を説明するとともに、設置審では特区構想との整合性について審査する役割を有していないということを説明したというふうに聞いております。

今井委員 今の答弁は、設置審では四条件に合致しているかどうかを審議する必要がない、そういう説明をしたということですか。

林国務大臣 申し上げましたように、設置審では特区構想との整合性について審査する役割を有していないということを説明したというふうに聞いております。

今井委員 資料の二枚目を見ていただきたいんですが、これが文科省の皆さんが説明しているものの三枚紙の一番頭です。「大学の設置認可制度について」ということで基準が書いてありまして、その基準のとおりに審査をしましたので、特区かどうかということは、その四条件は審査していませんという説明でしたが、私はそもそもそれがおかしいと思うのは、この審査の基準の一番最初の1のところ、丸の五つ目、「医師、歯科医師、獣医師及び船舶職員の養成に係る大学等の設置でないこと。」こう書いてあります。つまり、この基準を満たしていないわけですね、今回の獣医学部の新設は。

 ですから、この時点でこの基準はもう使えないということなんですよ。だって、ここに書いてあるものは既に認められていないわけでしょう。特区だからということで四条件を満たしてきているので、今回この基準は採用しませんということじゃないですか。

 であれば、その四条件に合致しているかどうかというのをしっかり審査するのは当然だと思いますよ。いかがですか。

林国務大臣 冒頭に申し上げましたように、特区認定がなされた経緯を説明するとともに、設置審では特区構想との整合性について審査する役割を有していないことを説明したということでございます。

 したがいまして、特区認定がなされた経緯を説明しておるということで、一般的に、設置認可制度になっております今御指摘のあった部分については告示で今まで抑制的な対応をしておったということでございますが、その告示で抑制するということに対する特例措置としての特区認定がなされたということを申し上げておりますので、したがって、ここの部分は、これは一般則でございますが、今回の審査に当たってはここは外れるということも含めて特区認定がなされた経緯を説明した、そういうことだと思います。

今井委員 それはおかしいですよ。やはり、今回、新しい分野というところでの新しい獣医学部でしょう、それにちゃんと合致しているかどうかというのを審査するのは当然じゃないですか。

 実際、この資料をいただきました、そこでの委員の皆さんの意見を聞いていると、例えば一番最初に、ライフサイエンス研究分野、医獣連携獣医分野、公共獣医事分野の社会的な人材需要の動向が不明と言っています。つまり、需要があるかどうかがわかりませんよと委員が指摘しているわけです。第一の条件を満たしていないんじゃないですかという意見が出ているわけですよ。

 委員の皆さんは、実質的にはこの四条件を満たしているかどうかに疑問を持っていらっしゃる。そういう意見を出していたんじゃないですか。いかがですか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 大学設置・学校法人審議会につきましては、大学設置基準等の法令に基づきまして、教育課程、教員組織、施設整備等について、あらかじめ定められた審査基準にのっとりまして、学問的、専門的観点から審査を行うことになっているところでございます。

 申請された計画が国家戦略特区の要件を満たしているかどうかについて審査する役割は有しておらず、それは先ほど答弁させていただいたとおりでございますが、四条件の中の需要も含めまして、国家戦略特区のプロセスに係る議論はなされておらないところでございます。

 個別の委員についてのコメントについては差し控えたいと思います。

今井委員 NHKの報道でこういうのがありました。そこで委員の一人の方がインタビューに答えておられまして、定員に対しての施設が根本的に小さい、教員も年齢が高くて退職された方が新たにというような方と非常に若い方で、学位のない方であったりとか、教育の水準にしても他大学に比べてかなり劣っているということも共通の認識であった、こういう発言をされていますが、設置審の中でこういう議論をされましたか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 設置審におきましては、教員組織の問題についても議論しているところでございまして、五月の一次審査意見の中におきましては、特に臨床系の教員につきましては、年齢層の偏りが見られ、実習の補助等を行う立場の助手がいないことから、カリキュラムの実現可能性に疑義があるため、十分な教員組織が整備されていることを改めて説明するか、教員配置を見直しすることというふうな審査意見を出したところでございます。

 それを受けまして、加計学園の方が六月に補正の申請書を出しまして、定員につきましては百四十人に変更しまして、獣医学科が重視する能動的な学び等の目的、内容を明示して、実施する教員の実績を示すことで十分な教員組織が整備されているということについて説明し、さらに、新たに三名の助手を採用し、実習科目として担当と配置する。さらには、家畜衛生を専門とする専任教員を補充する。それによりまして、専任教員の数につきましては七十二名から七十四名へ増員するというふうな形での対応をしておるところでございます。

今井委員 今、教員の話がありましたけれども、教員のところでは、年齢層が高過ぎる、あるいは非常に若い人が、経験のない人が多いという指摘があって、今、増員をされたというふうにおっしゃっていますけれども、確かに三月の時点では七十二名専任教員がいました。それを九月の補正で七十五人にしています。

 中身を見ますと、七十二名のときは、うち定年規程、年齢の高い方です、定年規程を上回る職員は十四名でした。三名ふやした七十五人、この段階、九月の段階では、うち定年規程を上回る教員は二十名です。何と六名ふえています。年齢的には後退しているんですよ、補正した方が。余計年齢層が高くなってしまっています。このことは問題にならなかったんですか。

義本政府参考人 設置審の議論におきましては、主に臨床系の教員、実習する担当の教員が高齢者の者が多く、対応すると十分に言えない。助手の役割につきましては、その役割を明確にするということにつきまして、八月の時点の審査意見で設置審から出したところでございます。

 それを受けまして加計学園の方が九月に出しました補正におきましては、開設時と完成年次の年齢構成を比較しながら、完成年次にかけて年齢のバランスを改善し、指摘を踏まえて三十代の教員を補充する。さらには、新たに採用した助手につきましては、臨床参加型臨床実習の資格を有する教員を採用し、ローテーションしているというふうな対応をとっているということについて、それを評価したわけでございます。

 一方、これは臨床の教員でございますが、最終的には、設置審におきます留意事項としまして、完成年次に、今御指摘がありましたように、定年規程が定める退職教員を超える教員の割合が比較的高いことから、定年規程の趣旨を踏まえた適切な運用に努めるとともに、教員組織の将来構想につきまして着実に実施すること。これは、先ほど来から答弁させていただいていますように、この加計学園だけではなくて、一般的に年齢が高いところにつきまして、ほかの大学も含めまして、留意事項として指摘したところでございます。

今井委員 私が申し上げたいのは、これだけ年齢の高い方がたくさんおられて、どうして新しいサイエンスの分野ができるのかということなんです。既存の大学にできないことがどうしてここはこの教員陣でできるのかということです。そこは非常に重要な問題なんです。

 ですから、今までにないことをできるということは、少なくとも教員と、そして施設です。今までにない施設というのが必要なわけですね。しかし、この施設は審査していませんね。ちょっと時間がないから私の方から申し上げますが、審査していません。BSL3の施設が少なくとも必要ですが、これもまだ厚労省は依頼を受けて審査もしていません。そして、設置審は、それだけの施設になっているかと、施設のところもチェックしていません。何もやっていないんです。

 それで、もう一個お伺いしたいんですけれども、報道の中にある、こういう議論があったか。委員の中から、法令違反がない中、認可を先延ばしにすれば、学校側と訴訟を含めたトラブルになる可能性があるという声が出て、もうこれは認めざるを得ないという意見になったというふうに報道でありますけれども、こういう議論はありましたか。こういう発言はありましたか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員会での個別の発言に関するコメントは差し控えさせていただきます。

 なお、設置審の審査につきましては、大学設置基準等の法令に適合しているかどうかを精査するものでございまして、不認可とする場合は、訴訟が提起される可能性も踏まえて、明確な法令違反の根拠を示す必要はございます。

 設置審査においては、そのような客観的な……(今井委員「聞いていません、そんなこと」と呼ぶ)厳正、厳密な指摘ができるかどうか精査して、審査意見を決定していく必要があるところでございます。(発言する者あり)

 今回の審査意見につきましても、このような観点を踏まえて大学の設置構想の内容が精査されましたが、審議会の指摘に対応して、実習時間数の増加や教員配置の充実、カリキュラムの改善などの配置計画の修正が行われました結果、残された課題も不認可には相当せず……

冨岡委員長 簡潔に答えてください。

義本政府参考人 改善を求めることが妥当だという評価をして、審議会の総意としてなされたことでございます。

今井委員 短い中でそんな関係ない答弁されるのは、妨害ですよ、それは。本当にやめてください。

 大臣、もう時間がありませんから、最後、ちょっとお願いです。

 私は、これはこの間のヒアリングでも申し上げたんですけれども、今回のケース、どういう議論がされていたかということはとても重要なんですね、設置審の中で。この第一の条件を満たしていない、つまり需要がはっきりわからないという意見まで出ている、そういう中でどういう議論がされたか私たちは知りたいんです。

 ですから、ぜひ議事録を公開していただきたい。議事要旨ではありません。議事要旨は途中でまずい部分とか削除できてしまいますので、議事録を公開していただきたいんです。それを見て我々は、どういう議論がなされて、正しいプロセスが行われたのかということをチェックしたいと思いますから、それをぜひやっていただきたい。これは政治判断でできるはずです。ぜひお願いします。

林国務大臣 この設置審は、設置認可という行政処分の前提となります内容を取り扱う審議会であります。個々の委員の発言や見解を明らかにすることで、委員の率直な意見の交換が阻害をされ、公平な議論が妨げられるおそれがあるというふうに考えておりますので、個別の議事録は作成しておりませんで、審査会、分科会の議事要旨を公開するということとしておりますが、これらとあわせて、審査意見や答申を公開することをもって、審査過程の透明性が図られているものと考えております。

今井委員 時間が来ましたので終わりますけれども、議事要旨をつくるためには議事録があるはずです。個々の人たちの発言が困るんであれば、そこの名前を消してください。それで出せば、それは十分担保できますので、ぜひお願いしたいと思います。

 引き続き、私はずっとこの議事録の公開を要求してまいりますので、大臣の英断をお待ちしております。

 質問を終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、山井和則君。

山井委員 質問の機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 二十分間、今後の認可取り消しの可能性について、質問をさせていただきたいと思っております。

 安倍総理は、丁寧な説明をすると言いながら、結果的に認可されるまで逃げ続け、丁寧な説明をされているとは国民は全く納得をしておりません。おまけに、疑惑隠しとも言われる解散を六百億円もの税金を使ってやった、そういう批判すら出てきております。

 その意味では、国民が一番知りたいのは、四条件のこともありますけれども、安倍総理のお友達だから認可されたんじゃないんですか、そのことの疑念が払拭されていないんです。無償の土地の譲渡も含めたら、約二百億円、国民の税金が使われる可能性がある。二百億円あるならば、獣医師じゃなくて、もしかしたら、保育士さんや介護職員さんの養成、あるいは子供の貧困対策に税金を使った方がいいんじゃないかという国民の声もあるわけです。そんな中で質問をさせていただきたいと思います。

 元文科省の官僚である寺脇さんは、認可の取り消しに関してこうおっしゃっておられます。審議会の審査について、高校入試や大学入試でいえば二次試験なわけですよね、もし一次試験である国家戦略特区の認可が不正に行われていたことがはっきりした場合には、当然、二次試験の合格、つまり大学設置審議会の合格も取り消される、こういう発言をしておられます。

 そこで、文科大臣にお伺いしたいと思いますが、一般論として、諮問会議での議論、公平中立であるべきその議論が公平中立でなかったことが明らかになる、何らかの不正が明らかになれば、認可取り消しの可能性もあるということでよろしいですか。一般論でお答えください。

林国務大臣 先ほど逢坂先生の御質問にお答えして、特区のプロセスによって申請がなされたというふうに申し上げたところでございまして、合意のもとで適切に進められてきた、こういうふうに思っております。

 したがって、それに基づいて申請が行われておりますので、特区そのものにどういった瑕疵があるのかということがわかりませんと、それに基づいてどういうことをするのかというのは、ちょっと仮定のお話にお答えするのは難しいかと思います。

山井委員 私がお聞きしたいのは、例えば総理大臣の関与、そういうことであります。

 一般論としてお聞きしますが、どのような瑕疵かがわからないと答えられないということですが、しかし、国民が納得しないような瑕疵が明らかになった場合には、認可取り消しもあり得るということでよろしいですか。

林国務大臣 国民が納得しないような瑕疵というのは具体的にどういう瑕疵かということがわかりませんと、仮定のお問い合わせにはお答えがなかなかしかねるということでございます。

山井委員 何かよくわからない答弁ですね。瑕疵が明らかになっても認可取り消ししないということですか。国民の税金が百億円、二百億円使われる可能性があるんです。

 例えば、この写真、お見せいたします。国家戦略特区基本方針という資料があります。ここにはどう書かれているか。ここにありますように、「利害関係を有する議員については、当該事項の審議及び議決に参加させないことができることとするなど、諮問会議における調査審議が公平かつ中立的に行われるよう留意する。」つまり、利害関係者は審議や議決にかかわってはならない、ある意味で当たり前のことが基本方針に書かれているわけです。

 しかし、この特区の審議会の議長である安倍総理大臣、ここの写真にもございますように、加計理事長と夕食を食べたりゴルフをしたり、そういうことを重ねておられます。第二次安倍政権三年間で、ここにありますように、ゴルフ、会食、十四回されておられるんです。

 さらに、今回のコメントの中で、加計理事長はこうおっしゃっているんですね。加計孝太郎理事長は、十三年以上にわたって構想実現に取り組んできたと。つまり、十三年以上取り組んでこられた。

 普通に考えて、十四回、ゴルフ、会食を加計理事長と安倍総理がされている、この三年間で。腹心の友とまで呼んでおられる。安倍総理も、加計理事長が獣医学部をつくりたいと思っておられたことは当然御存じだったんじゃないかなと思いますが、文科大臣、いかが思われますか。

林国務大臣 総理の認識につきましては、総理御本人が答弁されたとおりだというふうに思いますし、また、国家戦略特区諮問会議の基本方針というのを今示されておりますので、この利害関係を有する議員についての定義等々につきましては、担当しておられます内閣府にお聞きいただければと思います。

山井委員 いや、利害関係を有するって、大の親友で、お友達で、総理大臣になってから、ゴルフ、飲食を十七回もやっている。これはかなり深い関係ですよ。

 それで、安倍総理は、この十四回のゴルフと飲食の間、一回も獣医学部の話題は出なかった、知ったのは、この十四回の飲食、ゴルフが終わって、加計学園が認可された後に初めて知りましたとおっしゃっているんです。そのような安倍総理の答弁の直後の世論調査でも、八割以上の国民は加計学園についての疑念は晴れていないとおっしゃっているんですね。

 このことについて、七回、安倍総理は出席しています、この獣医学部の議論に。四条件の議論にも参加しています。ことし一月二十日の決定のときにも、参加しているどころか、議長ですから、責任者ですから。その方が加計理事長から獣医学部をつくる相談にもし乗っておられたということになったら、公平中立じゃなかったと国民が思うのは当然だと思うんですね。そのような新たな事実が明らかにもしなれば、公正中立でなかったという疑念が高まれば、今回の認可の取り消しもあり得るということでよろしいですか。

林国務大臣 繰り返しになるかもしれませんが、特区そのものが、今おっしゃられたようなことが仮にあったとして、どういう扱いになるかということも含めて、内閣府の方で所管をされておられますので、内閣府にお尋ねいただければと思います。

山井委員 そんな無責任な答弁でどうするんですか。認可をしたのは文科大臣じゃないですか。認可をしたのは、文科大臣、あなたですよ。内閣府に聞いてくれと。これは文科省の問題じゃないですか、設置審は。

 先ほどの与党の方の質問でも、大学の選定、新設が政治的な力やそういうものによってゆがめられることは絶対あってはならないと与党の議員さんおっしゃっていたじゃないですか。ねえ、林大臣、今もうなずいておられますけれども。

 だから、改めてお伺いしますが、万が一ですよ、もし、加計理事長と安倍総理が、こういうおつき合いの中で、実は獣医学部の話の相談も乗っていた、その方が議長であった、そういうことであれば、認可の取り消しの可能性もあり得るということですよね。大臣、いかがですか。

林国務大臣 繰り返しになってしまうかもしれませんが、今回、我々、申請を受け付けた、設置審で告示の例外措置として受け付けたという前提が特区として認められた、こういうことでございますので、今委員がおっしゃっていることが、まずこの特区の基本方針に比べてどうなのかというようなことの判断も含めて、特区がどうなるのかということが前提にございますので、特区がどうなるかということについては、特区を所管しておられる内閣府にお聞きをいただきたいと申し上げております。

山井委員 私は認可を出した文科大臣に聞いているんです。特区の選定に中立公平でなかったという点があれば、やはりそれは設置審以前の前提が崩れるんです。寺脇さんもおっしゃっておられますよ。高校入試や大学入試でいえば二次試験なわけですよね、もし一次試験である国家戦略特区の認可が不正に行われていたことがはっきりした場合には、当然、二次試験の合格、つまり大学設置審議会の合格も取り消される。

 ということは、何ですか、認可された文科大臣としては、このように安倍総理が加計理事長と獣医学部の相談に乗っておられたということが明らかになっても、認可は取り消さなくていい、国民は納得するというふうにお感じになられているということですか。

林国務大臣 我々といたしましては、行政の手続として、告示の例外措置を認めるための特区というものが適切な手続を経て認められているという前提でこの申請を受け付けて、そして設置審に議論していただいた結果でございますので、特区の方でどういうことがあってどういうふうになるのかと、仮定のお話でございますから、仮定の事柄についてお答えは差し控えたいと思います。

山井委員 仮定のことについてお答えできないということは、そうしたら、もし、国民が納得しないような不正、そういうものが明らかになったら認可が取り消される可能性があると、否定されませんからね、あるというふうに受け取ってよろしいですね。否定はされないんですか、そうしたら。

林国務大臣 繰り返しになって恐縮ですが、仮定の事柄についてのお答えは差し控えたいと思います。

山井委員 わかりました。

 否定はされないということで、では、特区で公平中立でないという不正がもし明らかになった場合には認可が取り消されることは別に否定をされない、可能性はゼロではないというふうに受け取らせていただきます。

 きょうは内閣府にもお越しをいただいております。

 この基本方針、利害関係を有する議員は審議及び議決に参加させないという基本方針ですから、この基本方針に、もしかして議長である総理大臣が反していて、十七回のゴルフや会食の中で、総理はおごってもらったこともあるとおっしゃっていますからね、加計理事長から食事かゴルフをおごってもらったこともあるとおっしゃっています。もし、そういう中で仮にそういう話題が出ていたとしたら、公平中立というこの原則を崩すことになるというふうに思われませんか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 この基本方針で言う利害関係人には、私的な交友関係は含まれないという理解でございます。

 それから、いずれにいたしましても、山本前大臣、民間議員、皆さんが御説明されているとおり、ボトムアップで、節目節目に関係大臣の合意を経ながら、そのコンセンサスを積み上げてきたものでございまして、そのプロセスにおいては、総理御自身も御説明をされているとおり、個別事案について一切話をしたこともなければ指示をしたこともない、山本大臣も指示を受けたこともない、このように事実関係を理解してございます。

山井委員 私、驚きました。その答弁で本当にいいんですか。

 私的な交友関係は含まれない。ということは、お友達と安倍総理が十七回ゴルフや食事をして、私的にゴルフ、飲食して、その中で、実は獣医学部、十三年間の悲願なんですよ、何とか頼みますよと、私的なゴルフ、飲食の中でそれを議長である総理大臣に言っても、これはこの基本方針に反しないということですか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点は、私的な交友関係の有無の問題ではなく、総理が実際にこのプロセスにおいて、個別の案件について実際に話をされる機会があったかどうかということが問題なのではないかというふうに拝承しております。それにつきましては、総理御自身が国会で御答弁をされているとおりというふうに内閣府としては理解しております。

山井委員 ちょっと、答弁を変えられたんですか。

 先ほどは、私的な交友関係だったら別に獣医学部とかの話をしても問題はないという答弁だったとさっき受け取りましたけれども、私的な交友関係であっても、もし、加計学園獣医学部、こういう利害関係者と話を議長がしたら、この基本方針に反するということでよろしいですか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 特区基本方針で申し上げている利害関係人のルールという問題と、個々に総理が個別事案についてお話をされるかされないかというのは、別の問題というふうに理解をしております。

 利害関係人であった瞬間に、利害関係人については閣議決定のこの基本方針のルールに従い、それとはまた別に、個別事案についてのそんたくがあるかないか、こういう話になろうかと思いますが、その点についての事実関係は総理が国会で御答弁されているとおりというふうに認識しております。

山井委員 いや、国民は全く納得していないと思いますよ。総理大臣だったら何をやってもいいんですか。

 こういう議論になるから、ぜひお願いしたいのは、白黒はっきりつけましょうよ。

 なぜこういう議論になるのかというと、総理大臣と加計理事長と、国会に出てきていただいて、本当にこういうことはなかったんですかと。

 ことし一月まで親友である加計理事長が獣医学部をつくるということを知らなかった、はっきり言って、この言葉、国民は安倍総理の言っていることはほとんどの人が信用していません。納得していません。だから、今回の加計学園獣医学部の認可も、六割以上の方が納得していないんですよ。納得していないのに、用地取得も含めて二百億円ぐらいの税金が使われる可能性がある。これはおかしいと思います。政治の私物化です。

 ついては、大臣、安倍総理、加計理事長を呼んで、きょうで幕引きするんじゃなくて、しっかり審議して、それまでこの認可決定を一旦取り消してください。安倍総理や加計理事長を呼んで、国民に疑念を持たれないように、しっかりもう一回審議すべきだと思います。大臣、いかがですか。

林国務大臣 国会、委員会等の持ち方については、国会でお決めになることと承知をしております。

山井委員 では、ぜひとも早急に、安倍総理と加計理事長、そして内閣府の担当大臣も来ていただいて、早急に文科委員会で加計問題の集中審議を行うことを要求します。

冨岡委員長 理事会にてお諮りいたします。

山井委員 いや、これは文科省の歴史的な汚点を残すことになりかねませんよ。これをジャッジする、判断するのは国民ですからね。少なくとも国民は納得はしていませんから。林文科大臣、国会のことは国会でとおっしゃいますが、では、本当に加計理事長が安倍総理に相談をしていないのか、しているのか、そういうことも含めて、国民はやはり疑念を持っているんですよ。もし潔白だったら、なぜ加計理事長は記者会見もされないんですか。もし潔白だったら、なぜ安倍総理は正々堂々と臨時国会を開いて、認可されるまでに予算委員会で身の潔白を証明されなかったんですか。この間の経緯を見たら、安倍総理は何かやましいことがあるかのように私には思えるんです。

 ついては、文科大臣、認可されたわけですから、私は反対ですけれども、加計理事長と会って、安倍総理とこの相談をしたことがあるのかを初め、記者会見するように、文科大臣、加計理事長に言っていただけませんか。国民の税金を使う以上、私は国民の納得を得るのは当然だと思います。

林国務大臣 我々行政を預かる者としては、公平中立に、ルールに従って行政をやってまいらなければならないと思っておりますので、委員のお考えはお考えとして承りましたけれども、現在において、そういうことをルールに従ってやるという考えはございません。

冨岡委員長 質問時間が終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。

山井委員 林大臣、委員のお考えじゃないんです。国民が疑念を持っているんです。今回の決定に六割以上の人が納得していないんですよ。二百億円あれば、国民の最優先事項は獣医師をふやすことじゃなくて、保育士をふやすとか介護職員さんをふやすとか、子供の貧困に二百億を使えという方もおられると思います。その意味では、ぜひとも強く、安倍総理と加計理事長を呼んだ審議を求めますし、幕引きは絶対に許しません。不正があったということが明らかになったら認可を取り消す、当たり前のことです。その意味で、これからもしっかりと国会で審議をしていただきたいと思います。

 以上です。

冨岡委員長 次に、平野博文君。

平野委員 無所属の会の平野博文でございます。

 林大臣とこういう場面で質疑をできるということは思っておりませんでしたけれども、大変きょうはうれしく思っております。

 大臣、きょうずっと各委員の質疑を聞いておりましたが、私もずっと文教が長いんですが、きょうの委員会の質疑のあり方を見ておられて、所管大臣としてはまずどう思いますか。通告しておりませんよ、もちろん。

林国務大臣 平野先生のようなこの分野のスペシャリストで、かつ、大臣としては先輩でいらっしゃいますので、平野先生と御議論ができますこと、大変うれしく、光栄に存じておるところでございます。

 文科委員会で初めて答弁に立たせていただいておりますので、今までとの比較というのはなかなか難しゅうございますが、しっかりとそれぞれの問題意識に従って御質問をされておられるというふうに伺っております。

平野委員 それでは、少し基本的なところを御質問させていただきたいと思うんです。

 私、この委員会でも申し上げておりましたが、特区という仕組みに教育の分野を持ち込むということについては、ずっと私は疑問を感じてきたところでございます。特に、私がなぜそう言うかといいますと、文科大臣のときに、規制緩和をして株式会社立を随分起こしてきた経過がありまして、そのときにいろいろ後始末が私のときでございました。したがいまして、特区で起こして成功した事例が本当に私は少ないと思いますし、ほとんど皆無に近いんだろうというふうに思っています。

 そういう意味で、今回、この加計の問題については、特区という特別な枠組みの中で新設をする、こういうことでありますから、私にとりましては、これまた大きな問題が起こるのではないかという疑念をずっと持ちつつ、この委員会で、また委員の皆さん方の質疑を聞いてまいりました。改めてきょう、確かに文科の立場で申し上げますと、大臣の部分では、審議会にかけた、その結果を、答申を受けて、その答申を尊重して許可をした、こういうことでありますが、先ほど同僚の議員も含めて質疑の一番の前提は、そこに行き立つまでの間が余りにも不透明である、こういうことなんだと私は思うんですね。

 したがって、所管は文科でありますから文科委員会でやるということについてはいいと思うんですが、これは内閣との連合審査をしっかりとしていくことが私はもっと中身がよくわかることになるんだろうと思いますので、まず、きょうは開いておりますけれども、委員長に、連合審査をぜひ申し上げておきたいと思いますし、その計らいをぜひしてもらいたいと思います。

冨岡委員長 理事会にて審議いたします。

平野委員 それでないと、先ほど内閣府の政務官が来られましたが、あれだけぶっちぎりの答弁をされますと、何をやっているのかよくわからない、これが素直な気持ちであります。したがって、これは筆頭にもお願いしておきますが、そこで真相を究明してもらう、こういうことをぜひお願いしておきます。

 さて、何点か申し上げます。質問時間が二十分しかないということでありますので、基本的なところだけを質問したいと思うんです。

 まず、安倍総理が通常会閉会後に突然に、獣医学部の新設を速やかに全国展開する、こういうことを言い出し始めました。

 大臣、そういう発言があったということは御記憶ありますか。

林国務大臣 当時私はこの席におりませんでしたので、報道で聞いた記憶はございます。

平野委員 確かに林大臣は当時は大臣でなかったわけでありますが、特区を前提として物事が進んでおる中で突然に、速やかに全国展開をする、こういう発言が実はあったんですね。何を言っておるんだろうと。一校に限りますとか、四項目、四条件を挙げて抑制的に仕組みをつくっておられるのに、全国に展開をする、こういう発言まで安倍さんはされたんですよ。これは物すごく論理矛盾を逆に起こしているのではないか、これは非常に私は奇異に感じました。その点についてはまず指摘をしておきたいと思います。

 実は、総理の発言は半分は僕は正しいと思っているんですよ。全国展開する、二つも三つもやはりつくっていくんだ、こういうことは、行政のトップであります総理の発言というのは、半分は私は正しいと思っているんです。

 すなわち、どういうことかというと、もし今までの制度に問題があるんだったら制度をやはり改める、こういうことだと思うんですね。妙に特区という抜け穴をつくってやっていくということではなくて、根本的なところに問題があるんだったら改めていこうということの方が私は正しい筋だと思うんです。

 したがって、制度全体を改めていく、これは、例えば、文科大臣、大臣の所管で考えられることですか。

林国務大臣 まず、総理の御発言についての御指摘がございましたので、ことしの七月二十四日の衆議院の予算委員会での総理の答弁で、「意欲ある提案が出てくれば二校目、三校目」ということで、現行の特区制度を前提にされて答弁をされておられるということも申し添えさせていただければというふうに思います。

 まず、そこでの総理の答弁にもございますように、今回の獣医学部の新設は、戦略特区の枠組みの中で、内閣府が中心となって、農林水産省との調整を経て認めることになったということでございますから、さらなる新設を認めていく場合には、従来どおり、内閣府を中心に、農林水産省及び文科省が連携して、需給の動向も考慮しつつ、国家戦略特区の枠組みの中で検討を行うということがまずあると思っております。

 さらに、今先生から御指摘がございましたが、文部科学省としては、今お話があったように、獣医師の需給の観点から抑制を行ってきておりますので、需給を所管する省庁において判断が行われれば、告示の扱いも含め検討を行う必要があるというふうに考えております。

平野委員 しからば、これだけの問題が起こってきたわけでありますから、需給の問題を含めて、特に、医者でありますとか教員でありますとか、計画的に人材を養成していくところについては、林大臣のもとで、告示としては抑制をしていく、十分に考えてやっていくんだということで今日まで来ましたが、これからどうあるべきかという議論を、特にこれだけの問題を起こしているわけですから、制度自身もこれから考えていく、こういうお考えはございませんか。

林国務大臣 まさに委員から御指摘がございましたように、需給に関する見解というのは獣医療行政を所管する農林水産省から出されておりまして、そういう見解を踏まえて、昭和五十九年以降、抑制してきたところでございます。

 したがって、この需給について、まずは所管省庁の御判断というものがあるんだろう、こういうふうに思っておりまして、それを受けて、所管省庁の方で問題ないというふうに判断すれば、先ほどちょっと申し上げましたように、告示の扱いも含めて検討を行う必要があるというふうに考えております。

平野委員 この委員会でも、農水の役人の方が来られて、需給の部分については、足りないという判断は農水はしていませんよ。あるんだけれども、特区でやられるから、その部分の制度設計の中での御議論ということになっているんですよ。

 したがって、私は、そこをやはりしっかりと、これだけの問題を、やはり国民的疑念を持ったテーマだと思っていますから、改めて私、大臣に、関係省庁とあわせて、この問題のてんまつをやはりしておかないといけない。

 また、今大臣がおっしゃったように、特区の考え方で、もし改めて出てくるならば特区という制度でやるということですが、私は教育に特区なんてやはり使ってもらいたくないんです。したがって、もう一度、制度上の問題があるのであれば、制度を見直すという視点に立ってこの政策変更をされるべきだと私は実は思っております。

 そういう視点で、もう一点。特に、需給の調整、私は絶対大事だと思っています。したがって、当然、抑制をする、こういうことについても、社会的コスト等々を考えるならばそういう判断というのは一方であるんですが、官房長官が会見で、文科省が獣医学部の参入規制を設けてきたことについてということで、抵抗勢力だと、文科省をですね。岩盤規制だ、こういう指摘もしているわけですよ。

 このような発言は私は絶対誤りだと思うんだけれども、大臣、どう思います。

林国務大臣 ちょっと今手元に官房長官の発言の詳細は持っておりませんが、先ほど申し上げましたように、所管省庁である農林水産省の需給の判断に基づいて抑制をしてきたということで、具体的に抑制をしている告示は文科省のものであるということでそういう御認識につながったのかなと思いますが、もちろん、官房長官におかれても、農水省との関係というのは御承知の上で、具体的に告示というところを捉まえてそういうことをおっしゃったのかなというふうに推察はされます。

平野委員 さて、時間が押してきましたけれども、先ほどの議論がありましたが、「日本再興戦略」改訂二〇一五という、四つの閣議決定項目があります。その中で、やはり私、気になりますのは、既存の大学、学部では対応困難な場合、こういうことがございました。

 既存の大学というのは、十六校ほど大学がありますよね、獣医学部の、養成しているところが。この大学は、設立したときの構想をもって、それ以外の、時代の変化に対応した獣医師の養成をしていないということを前提にしたような言い方をしておりますが、今の全国にある獣医学部のカリキュラム並びに獣医師の人材養成の変化について、大臣、文科省は調べて、大臣の方へ報告を上げていますか。

    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

林国務大臣 先ほど、前半の御質問の中でフォローアップというお話もありましたが、随時、必要に応じて、認可をいたしましたカリキュラム、申請に応じてやっておられるかということは、この把握に努めておるところだというふうに思っております。

平野委員 ちょっと大臣、違うんですよ。

 要は、各既存の大学の獣医学部の獣医師の養成の中に、コアのカリキュラム、さらにはアドバンスという言い方をしておられましたけれども、既存の獣医学部であっても、アドバンス的な、新たな時代の変化に対応する獣医師さんを養成する、こういう方針を出されてやっておられるのではないでしょうかということを言いたかったわけです。

 その点についてはどうですか。

林国務大臣 各大学におかれまして、モデル・コア・カリキュラムに基づいて関連する教育研究を実施しているということは我々としても申し上げてきておるところでございますので、その後、実はこのプロセスの中で、内閣府において、例えば感染症が発生時に国際的な協調を図りながら水際対策のできるグローバル対応可能な獣医師を重点的に養成しようとする点で、既存の学部と異なる等々の御判断がありまして、文科省としても、その考え方を理解したということでございます。

 このモデル・コア・カリキュラムの中にはいろいろなものが入ってございますが、それをこのコースだ、アドバンストコースだというふうに分けて、集中的にそういう人材を育成するということでは必ずしもなくて、学生の選択に応じてそういうカリキュラムを用意しているということでございましたので、今回は、そういうものをしっかりとアドバンスト科目というふうに位置づけて、その需要に対応できるようにしようというところで、既存の学部との違いというのがあるのではないかというふうに理解しております。

平野委員 私は、ちょっと大臣、違うんです。

 私も、気になるものですから、何校かやはり聞きましたよ。聞きますと、その学部の元教授とかそういう方々に聞きましたけれども、こんなもの、各大学校が時代に応じて獣医師を養成しないと、大学自身が取り残されてだめになるんだと。当然だと思いますよ。したがって、この四条件の、既存の大学、学部では対応困難なんという項目自身が、これは何を意味しているのか、ここが非常に私は奇異に感ずるんですね。

 したがって、ほとんどの大学では、今、これからの新しい獣医師さんのあり方、国際関係を含めて、当然やっているんです。そういう中で、改めて、既存の学校ではできないという項目を入れている。こういうことですが、今回の加計については、既存の大学ではできない、そういう獣医さんを養成する、こういう旗を上げておりますが、全く私、今の既存の大学の方がすぐれた獣医師さんを養成していると思うんですが、大臣、そう思いませんか。

林国務大臣 先ほど少し申し上げましたとおり、各大学のそれぞれのカリキュラムの中でこういう、加計学園においてはアドバンストというふうに位置づけられたようなものは、部分的に実施をされておるということは先生おっしゃるとおりでございますが、この三つの分野について重点的にカリキュラムを構成するということには必ずしもなっていないということで、さらに申し上げますと、各研究室の個別の取り組みに参加して指導を受ける、こういう形が多いというふうに伺っております。

 そういうところで今回のようなことを仮にやろうといたしますと、学部段階のアドバンスト科目の開設を含むカリキュラムの抜本的な見直し、さらには、それに対応して教員の大幅な入れかえ等が必要になってまいるということで、既存の組織で対応することは一般的には困難である、そういうふうに考えております。

平野委員 私は、アドバンスという、これはやはり大学院、ドクターコースを含めてつくっていってこそ、そういうところに展望がある。今の加計については、そういう発想もまだないわけですよ、できていないんですよ。そういう中でこの議論が、空転しているような議論をしているような気がしてなりません。

 したがって、現実的な大学改革を私も進めてきた立場ですから、そこはやはりしっかり文科省としても見届けないと。政治的に特区をつくる、その中に、文科はもうやむを得ない、特区をつくられるんだったらやむを得ないみたいなことじゃなくて、文科省は人材を養成していく所管の役所でありますから、そこはやはりしっかり、これは絶対だめだと抵抗してでも、我が国の人材を養成していく役所として誇りを持って、だめなものはだめだと言える役所になってもらいたい、こういうふうに思っております。

 もう一つは、もう時間が押してまいりましたが、加計で、今治でどんどんどんどん校舎ができ上がっていくんですな、テレビ等々あるいは現場を見ていますと。しかし一方、国会の方では、本当に認可されるんだろうか、されないのにあれだけどんどんつくっていくということは、国会で議論、行政の手続の、そこと関係なく進めていっている光景を見ると、国民一般の人は、国会で何やかんや言っても、必ず認可されるんだろうというふうに映るんですよ。

 この委員会は一体何なのか。行政の大臣が認可もしていないのに建物がもう八分どおりでき上がっている、来年の四月には開校する、学生に募集をかけている。これは明らかに、僕は行政上の不備だと言わざるを得ないと思うんですね。今までは、確かに指導しながらやってきた、こういう経過はありますが、これだけ問題が起こった事案についても、同じようなプロセスで進めていっている。こういう行政のあり方について、私は、やりかえないと、国民から見たら、幾ら議論したってでき上がっていくんだ、こういうふうに思えてしまうんです。

 したがって、最後になりますが、大臣、改めて原点に戻して、大学の設置審あるいは大学の許可については、許可がおりてから建物をつくっていく、学舎をつくっていく、生徒の募集をしていく、こういうふうに変えないと、許可もおりていないのに、生徒の募集の案内、募集要項ができ上がっている、建物はどんどん工事、発注してでき上がっていく。これは奇異に感じませんか、大臣。

    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

林国務大臣 これは先生も大臣として携わられたので、そこからの問題意識というふうにお聞きをいたしました。

 国家戦略特区であるかないかにかかわらず、ほとんどの大学や学部等の新設の場合は、申請前に校舎等の整備を開始いたしまして、開設したいという申請でございますので、開設までに施設の利用が可能となるように準備を進めるということで、そのことに特に問題があるというふうには考えておらないことでございます。

 これは、開学に間に合うように、申請者の責任と判断で行われるのが校舎等の建設であるというふうに理解をしております。

平野委員 時間が来ましたからいいんですが、ただ、経営をされる加計の問題だということには私はならぬと思うんです。きょうの議論もありました、税金を使いますから。税金を使わなければ私はいいと思うんですが、公金を使って助成をしていくわけですから、ここはもう一度、大臣、原点に返して、あり方についての議論をぜひお願いしておきたいと思いますし、最後に、再度、連合審査、内閣府との連合審査を強く求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 林文部科学大臣は、きのう、十一月十四日、加計学園獣医学部の認可を行いました。ところが、大学設置・学校法人審議会がつけた審査意見を見てみますと、当初、加計学園の提案には警告というものがつけられておりました。

 大臣に伺いますが、警告というのはどういう意味でしょうか。

林国務大臣 加計学園の獣医学部の申請につきましては、大学設置・学校法人審議会からの第一次審査意見、これは五月でございましたが、警告が付されております。

 警告というのは、設置計画全般あるいは設置申請の根幹に係る是正意見が付されるなど、申請内容を抜本的に見直す必要があり、このまま審査を継続すれば不可となるおそれがあると認められる場合に、申請者にその旨を伝達することでございます。

 一般的に、審査において、第一次審査意見の際に警告が付される例は年間数件程度存在をしておりまして、その中であっても、適切に改善が行われれば認可されるということは通例でございます。

畑野委員 大臣から、根本的な見直しをしなければということがありました。それをしなければ獣医学の教育などできないという厳しい意見がついたわけです。

 国家戦略特区として、当時の山本幸三担当大臣は何と言っておられたか。京都の提案よりも今治市の提案の方が熟度が高いと判断したと言ってきたわけです。

 文部科学大臣にお伺いしますけれども、今治の提案は熟度が高いという説明と、今回の大学設置審議会が抜本的見直しが必要だと最初から言っている、この指摘というのは矛盾するのではないかと思いますが、どう説明されますか。

林国務大臣 お尋ねのありました国家戦略特区のプロセスの中では、学校法人加計学園の獣医学部における、動物を用いた基礎研究の成果を人の治療につなげる新しい動きに対応する教育研究の推進、感染症の防御など危機管理のできる獣医師の育成、こういった獣医学部において実施される教育の趣旨、目的、それから、ライフサイエンス分野、国際獣医事分野、臨床獣医分野という三つの分野に係るアドバンスト科目といった獣医学部の特徴というものにおいて、国家戦略特区により新設するものとしてふさわしいかどうかを検討されてきたところでございます。

 その結果として、今回の獣医学部については、その設置に係る構想が、国家戦略特区のプロセスの中で、先端ライフサイエンス研究の推進、地域の水際対策など、新たなニーズに対応するものであるということが確認をされ、設置認可の申請になったということでございます。

 一方、大学設置・学校法人審議会、設置審における審査は、あらかじめ定められた設置基準に基づいて、教育課程、教員組織、施設設備等が学校教育法や大学設置基準等に適合しているかについて、学問的、専門的な観点から行われております。

 したがって、設置審では、特区プロセスにおいて認められた構想に基づいて大学が作成しました設置計画につきまして審査を行ったものでございまして、その審査過程において、実習計画の実現可能性等について種々の意見が付されて、大学の方におかれまして計画を補正されました結果、最終的には設置を可とするという答申がなされたということでございます。

畑野委員 大臣、説明になっていないですよね。

 つまり、これは鳴り物入りでやるというふうに言ってきたわけですよ。ところが、大学設置審の方は、抜本的な見直しと。では、今までどういう熟度が高いと言える計画があったのか。獣医学部の教育などできないというふうに言われているわけですから、設置審が警告、もう是正意見が次々出る、七つも出るというのは、国家戦略特区で今治を選んだプロセスそのものの根拠もでたらめだったということじゃありませんか。

 山本大臣は当時、今治の提案が熟度が高い点を何点か挙げられました。専任教員の確保、鳥インフルエンザなどの感染症などの水際対策などです。今回の大学設置審が教員組織について第一次審査でどういう意見をつけているのか、審査意見の二十四ページの教員組織等十五の是正意見についてお述べください。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の箇所の是正意見でございますが、

  百六十名の入学定員というこれまでにない規模の獣医学科を設置するにあたり、「体験に基づく学修を重視し」「能動的な学びが成立するよう配慮している」とあるが、とりわけ臨床系の教員については高齢層に偏りがみられることや、実習の補助等を行う立場の助手が全くいないことなどから、カリキュラムの実現可能性に疑義があるため、十分な教員組織が整備されていることを改めて説明するか、教員配置を見直すこと。また、家畜衛生を専門とする専任教員が一名しかおらず、当該教員に対して過度な負担となり現実的な教員配置計画とは言えないと思われることから、家畜衛生を専門とする専任教員を補充すること。

と記載されております。

畑野委員 大変な内容ですよね。カリキュラムの実現可能性に疑義があると、本当に重大な指摘がされたわけです。このままの教員体制ではおよそ獣医学の教育ができないということですよね。

 林大臣に伺いますが、これまで、当時の山本大臣は、今治の提案が熟度が高い理由として、「教員の確保の道筋が立っている」と、六月十三日、我が党の田村智子参議院議員に答弁をされておりました。このままの教員体制ではカリキュラムの実現可能性に疑義があると、今回、しょっぱなから大学設置審が指摘をした。教員の確保の道筋が立っているというそれまでの政府の説明と矛盾しているじゃありませんか。いかがですか。

林国務大臣 構想がしっかりと具体化をしていくという見通しのもとに判断が行われたということでございまして、その中で、申請が具体的に出てまいりましたので、先ほど申し上げましたとおり、設置基準等に照らして審査を具体的にやっていきましたところ、先ほど局長から読み上げさせていただいたような指摘があったということでございますから、その指摘に基づいていろいろな対応がなされたというふうに承知をしております。

畑野委員 つまり、熟度が高いというのはうそであったということですよ。これまで今治、加計学園に決めた理由として熟度が高いと言っていた政府の評価を、大学設置審の指摘は否定している、そういう結果です。

 水際対策についても伺います。

 大学設置審は、水際対策に対して加計学園に重大な是正意見を出しております。鳥インフルエンザのような人獣共通感染症を学ぶ体制について、大学設置審はどう指摘しておりますか。審査意見の三十ページ、第二次審査意見の教育課程等三についてお述べください。

義本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の箇所でございますが、「人獣共通感染症に関する内容を学ぶ実習がないため、設置の趣旨を踏まえて当該科目を必修科目として開講すること。」と記載されております。

畑野委員 これも重大な内容です。人獣共通感染症に関する内容を学ぶ実習がない。実習がない。どうやってやるのか。熟度が高いなどとなぜ言えるんですか。林大臣、御説明ください。

林国務大臣 審査意見に対する回答といたしましては、獣医学教育モデル・コア・カリキュラムの対応科目でもある医動物学実習や獣医微生物学実習等の中で人獣共通感染症に関する内容を実施する計画であること、新たにアドバンスト科目として人獣共通感染症学実習を開講し、当該科目においても人獣共通感染症に関する内容を扱う、こういう説明をされておられます。

 審議会としては、これらの対応により指摘に対する一定の改善が図られた、こういうふうに判断したというふうに承知しております。

畑野委員 熟度が高いと言って、今のは二次審査ですよ。何回やってもこういうことが出てくる。最初からだめ、次もだめということじゃありませんか。つまり、政府が言ってきた国家戦略特区としてお認めになった理由も根拠も大学設置審でことごとく否定された、そういうことです。

 当時、山本大臣は、水際対策について、京都側は今治よりも不十分で薄い、こんなことまで言ってこられた。地方自治体との連携、水際対策について、それでは、実際、京都はどうだったのかということです。

 私は、入手したこの文書「京都産業大学総合生命科学部、鳥インフルエンザ研究センターが獣医学領域及び畜産業界に果たしてきた実績」というものを読みました。京都産業大学は、二〇〇六年に鳥インフルエンザ研究センターを立ち上げて、関西広域連合で鳥インフルエンザ・口蹄疫等対策専門部会にも参加をしております。大阪、京都、兵庫、鳥取、各自治体の家畜防疫の会議に委員を出して協力しています。

 内閣府に伺います。こうした京都産業大の実績について調べた上で比べたのですか。

松本副大臣 先生御指摘でございますけれども、内閣府は、特区制度の中で、特区に獣医学部を開設するということ、この制度の中でそのことを始めるかどうかということを審査したわけでございまして、その中で比べたときに、総合的に今治の方がすぐれているという判断を当時されたわけであります。

畑野委員 京都について調べたのかというふうに伺っているので、それをお答えください。

松本副大臣 当時、京都産業大学が手を挙げていただいていたという中では調べましたけれども、調べたというか、精査される前に京都産業大学の方が辞退をされたということがあるものですから……(発言する者あり)いやいや。ということでございます。

畑野委員 京産大学が辞退したのは後の話です。(発言する者あり)

冨岡委員長 ちょっと、質問者の声が聞こえないので、静かにしてください。

畑野委員 比較検討するときに、当時の山本大臣は、水際対策で今治の方がよい、すぐれていると言っていたわけです。ということは、京都についても具体的にそれは調査をしなくてはならないと思いますが、したのですか。もう一回お答えください。

松本副大臣 水際対策について、今治市は、感染症の発生時に、蔓延前に四国ゾーンでの封じ込めに向けて四国知事会等が要望するなど、広域的な対策を強化する具体的なアクションを既に起こしていらっしゃるという状況がありました。

 他方で、京都府などは、獣医学部のある大阪府との連携が必ずしも確保されていないという状況などで、不十分という評価をせざるを得なかったというのが実情であります。

畑野委員 大阪などともやっているということを含めて、この実績の資料を私はお示ししたわけですから。それについて調べたんですか。

松本副大臣 今ここに、手元に資料を持っておりませんけれども、当然のことながら、ワーキンググループ等々で検討をされたと承知をしております。

畑野委員 ワーキンググループでは、私も読んでいますけれども、そういうのはありません。ですから、あるというんだったらちゃんと出してほしいけれども、ないわけですから、調べていないというふうに言わなくてはなりません。

 感染症の水際対策や地方自治体との連携で京都産業大学が劣っているとはとても言えないと私はこれを読んで思います。つまり、今治市が熟度が高いなどというのはうそだったということではありませんか。

 京都と今治の提案の比較も今伺いましたけれども、調査についてまともにやったという答えもない、事前に比べて決めたというのもでたらめだ。初めから加計ありきで、加計学園が選定されたんじゃないですか。

 私は、林文部科学大臣に申し上げたいんですが、このような認可は取り消すべきだと思いますよ。いかがですか。

林国務大臣 今まで御説明を申し上げてきましたとおり、プロセスを踏んで申請がされまして、そして、設置審でしっかりと審査をしていただいて可とするというものが出ておりますので、それに基づいて認可をさせていただいたという考えでございます。

畑野委員 全く納得できないですね。

 審議は、初回に是正を求める意見が相次いだために、二次で終わらなくて、異例の三次までもつれ込んだわけですよ。設置審のある専門委員の方はこうおっしゃっています。設置審の審査は答えを教えながら何回も試験をするようなものだ、要するに設置基準を満たせばいいだけ、だから第三次の最終答申では合格に至った、じくじたる思いだというふうに言っているんですよ。最初から結論ありきということではありませんか。

 私は、この問題は最初の国家戦略特区の認定のプロセスから間違っていると言わなくてはなりません。加計ありきで今治の提案が熟度が高いなどとされて、こんなうそまでついて行政がゆがめられた、国政の私物化は許されないという国民の声を聞くべきです。真相を究明するためには、加計学園理事長である加計孝太郎氏に国会で証言をしていただく必要があります。

 委員長、加計孝太郎氏の証人喚問を求めます。

冨岡委員長 理事会にてお諮りいたします。

畑野委員 大学行政史上かつてないことです。文部科学行政に汚点を残してはなりません。きょうは二十分です。引き続き、この審議をやらなくてはならない。私は、文部科学省から加計学園の申請書をいただきました。これも全部見なくちゃいけません。議事の内容がどうだったのか、このことも徹底して明らかにしなくてはなりません。

 国民は見ている。そして、そこで学ぼうという学生たちの未来がかかっているんです。そういう点では、私は、この問題を引き続き審議することを重ねて申し上げまして、質問を終わります。

冨岡委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 私も二十分ですので、早速質問に入りたいと思いますが、きょう、先生方、委員の皆さんの質疑を拝聴していまして、希望の党がどなたかもちょっとよくわからないんですが、希望の党に私が持っていましたかすかな希望がきょうついえたということで、大変残念な思いでございます。結局、総選挙の前の民進党時代と余り何も変わっていないなということで、残念に思っています。

 その上で、私は、きょう、加計学園、あるいは森友学園、いろいろな学校法人について議論がありますが、大変奇異に感じるのは、いや、私も、安倍総理はわきが甘かったと思います。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 私は、それは安倍総理には重々反省をしていただきたい、こう思っているわけですが、━━━━━━━━━━━━安倍総理あるいは政権与党に対して追及をしている人たちが、━━━━━━━━━━━━━献金をもらっているんですよ、獣医師会から。━━━━━━━━━━━━━━━━献金をもらっているんですよ。献金をもらって、仮に請託を受けてあっせんをし、あるいはそういうことで国会質問をしていれば、普通に考えれば、お金をもらってあっせんをすれば、あっせん利得罪、あるいはあっせん収賄罪、あるいは、何らかの権限がある、━━━━━━━余り深いことはやめますが、受託収賄、さまざまな疑惑が取り沙汰をされています。すなわち、━━━━━━━━━━━言いませんよ、私は━━━━━思っていますけれども、個人的には。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━周りを取り囲んで非難しているというのが私は今の国会だと思いますよ。━━━━疑いがありますよ。

 よく、TPPの関係でいろいろな議論があったときに、民進党の皆さんは、あっせん利得罪のど真ん中の真っ黒けということをおっしゃいました。その方は、元大臣は、今、既に不起訴ということで白であることが司法判断としてはっきりしたわけですね。

 ところが、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━これは全くスクリーニングを経ていません。だから、私、やはり彼らにもちゃんと答弁してほしいんですね。今の国会は、そういう疑惑のある国会議員を追及する場がありません。

 委員長、しっかり、━━━━━━━━━━━━━━どうするかはちょっとようわかりませんが、一回、自由討議でもいいですから、私たちがそういう野党の議員についても質問し、答弁を得る、そういう場をちょっとセットしていただくように検討いただけないでしょうか。

冨岡委員長 足立君に申し上げます。

 ここは文科委員会の席でございますので、しかる委員会等に御提案、私見は私見として伺いますが、しかるべきところで議論して、提案していただければと思います。

足立委員 いや、加計学園に係る、獣医師会に係る議論ですよ。学校法人ですよ。何で文科委員会じゃないんですか。

 私は、委員長に改めて、それら私たちが質疑をすることができない者に対して質疑をする機会をつくっていただきたい。検討いただけませんか、理事会で。

冨岡委員長 一応理事会で検討させていただきます。

足立委員 ━━━━━━━━テレビ等で、私が今申し上げた点を追及され、いや、時間がたっているからいいんだ、五年たっているからいいんだ、こうおっしゃっています。

 法務省、五年たっていればいいんですか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねのありました犯罪の成否につきましては、法と証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

足立委員 そうなりますので、だからこそ、私は、国会の責任としてしっかりとそうした討議の時間、これをセットすべきだと。要は、国会が政府だけ追及していたらだめなんですよ。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━追及をしているというこの茶番劇、これを明らかにすることは今の国会ではできません。だから委員長に先ほどお願いをしたわけであります。

 さて、今回の加計問題は、資料でお配りをしていますこの朝日新聞の五月十七日の、この総理の意向という、こういう捏造報道から始まっています。朝日新聞はこれは捏造報道です。

 具体的にここに写真で出ている文科省の文書、これについては、総理の意向と確かに書いてありますよ。総理の意向と書いてあるけれども、これは加計学園についてじゃないんです。規制改革についてなんです。そうですね。これは文科大臣に通告していますね。

 文科大臣、私は五月十七日の朝日新聞は捏造であると思いますが、いかがですか。

林国務大臣 国家戦略特区における規制改革全般に関しましては、平成二十八年の九月九日の国家戦略特別区域諮問会議の席上、安倍総理から、残された岩盤規制や特区での成果の全国展開についても実現に向けた検討をこれまで以上に加速的、集中的にお願いしたいとの御発言があるなど、安倍総理は常々、国家戦略特別区域会議で岩盤規制改革全般をスピーディーに検討すべき旨を発言されておる、こういうふうに承知をしております。

 この総理発言は、文部科学省が出席をいたしました平成二十八年九月十六日の国家戦略特区ワーキンググループにおいて、獣医学部新設に係る関係省庁ヒアリングが行われた際も内閣府から紹介をされるとともに、両府省間の事務的な調整が行われた際も引用されるような場面はあったものというふうに聞いております。

 内閣府は、特区制度のような、省庁間の対立が先鋭化し調整が困難な局面で、時として強い口調を使用することがあると聞いております。文部科学省では、先ほど述べたような事実関係がある中で、スピーディーな対応を強い口調で要請されたことも加わって、結果として、あたかも獣医学部の設置の時期について総理の意向があると内閣府から伝えられたと受けとめられるようなメモが作成されてしまったものと推察をされます。

 いずれにしても、これまでのプロセスにおいて、総理からの直接の指示や特定の事業者を優遇する意向が働いたというようなことはないというふうに理解しております。

足立委員 まさにこの文書をちゃんとみんな読んでくださいね。「総理のご意向」という文字はありますよ。でも、その前にかぎ括弧がついていますね。規制改革については最短距離でやりなさいと、今文科大臣から御紹介があったような総理の規制改革に関する大きな方針、それが書いてあるだけですよ。それを朝日新聞が切り取って。

 なぜ、朝日新聞が意図的に捏造したと私が言えるかといえば、この紙の三パラ目を見てください。諮問会議の決定という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないかと書いてあるんです。総理からの指示ではないが、こういう形にすれば総理からの指示があったように見えるよねと書いてあるんですよ。これを見た朝日新聞社がこういう記事を一面で出すというのは、これは捏造というんですよ。

 ちょっともう一言、大臣、捏造と言ってください。

林国務大臣 私の考えは先ほど御答弁したとおりでございますので、特定の報道について何か断定をすることは控えさせていただきたいと思います。

足立委員 大臣はお立場がありますから。私は余り立場がありませんので、言うべきことは言わせていただきました。

 さて、加計学園、本当に来春に向けてしっかり頑張っていただきたいと思いますが、大変な風評です。きょうもこれは風評大会ですよ。きょうのこの文部科学委員会は風評拡大大会ですよ。しっかりと、こういう風評、広がった風評を正して、是正して、払拭して、来春の開学に向けてしっかり支援をしていく、文科大臣の御決意をお願いします。

林国務大臣 大学設置・学校法人審議会には学問分野の専門家や大学運営に関する有識者に参画をいただきまして、三段階の会議で審議を行うなど、慎重かつ公正公平に審査を行っております。

 また、具体の審査については、大学設置基準等の法令に基づきまして、教育課程、教員組織、施設設備等について、あらかじめ定められた審査基準にのっとって、学術的、専門的な審査が厳格に行われておりまして、審査過程において詳細な意見が付されておりますように、申請内容を精査し、公正公平な審査が厳正に行われているところでございまして、今回の学校法人加計学園の獣医学部は、このような審査を経て認可に至ったものであります。

 文部科学省としては、今回の結果について全ての審査意見や申請書類を公表するなど、さまざまな機会を通じて適正なプロセスや手続の説明を今後ともしっかりと行ってまいりたいと思っております。

足立委員 朝日新聞の捏造報道については、この加計学園にとどまりません。有名なのは慰安婦です。ちょうど、吉村洋文大阪市長が今ずっと交渉してきたサンフランシスコ市、きょうの未明にサンフランシスコ市の本会議でこの慰安婦像の公共物化が議決を、決定をされてしまいました。

 きょう、外務省に来ていただいています。二問通告していますが、ちょっと時間がないのであわせてでお願いしたいんですが、一つは、この慰安婦像設置が決まったことについての日本政府の見解、それからもう一つは、これまでこの設置を撤回させるために日本政府として米国政府等にどのような働きかけを行ってきたか、御答弁をお願いします。

堀井(巌)大臣政務官 まず、御指摘のとおり、現地時間の十四日、サンフランシスコ市議会において慰安婦像の受け入れに係る決議が採択されたと承知をいたしております。

 本件を含めまして、米国などにおける慰安婦像の設置は我が国の立場と相入れるものではございません。極めて残念なことだと考えてございます。我が国政府は、このような考えを繰り返し明らかにし、また、さまざまな関係者に説明をしてきております。

 我が国の取り組みでございますが、個々の取り組みを明らかにすることは差し控えさせていただきますけれども、今申し上げましたように、さまざまな関係者に説明はしてきております。難しい状況もありますけれども、これまでの我が方の働きかけにおいて、実際に関係者の理解を得て動きがおさまった例も複数存在しております。引き続き適切な対応を求めていきたいと存じます。

足立委員 本当に、本件は、私が大変強い言葉で朝日新聞を非難している理由の一つであります。

 慰安婦像が、設置が、特にサンフランシスコ市の公共物としてセットされる、これはもう日本にとって大変な問題だし、特に、サンフランシスコ市というのは韓国系じゃないんですね。中国系です。だから、この問題は、もっともっと政府・与党も問題意識を持っていただきたい。━━━━━━━━━━━━━━━━━ぜひ、国会の自民党の先生方は深い御理解をいただけると私は信じております。

 さて、時間がないので、あと一点。

 それから、きょう、堀井政務官においでをいただきましたが、堀井政務官においでをいただいたのは、外務省の中でも堀井政務官が最もこの問題に御尽力をいただいてきたということを私は聞いておりますので、あえてきょうは堀井政務官にお出ましをいただいたということでございます。本当にありがとうございます。引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 それから、最後、加計学園よりも問題なのは森友学園であります。

 森友学園については、詐欺の疑いで今捜査が、今どうなっているかは存じ上げませんが、籠池夫妻が補助金詐欺ということで動いているわけです。

 ただ、結局、籠池さんのような補助金詐欺を行政は見抜けなかったんですね。見抜けなかったことに対して、大阪府は、やはりこれは問題だということで、大阪府下の保育園と幼稚園を対象に、同じような、人繰りをごまかして補助金を詐欺して取っている、補助金を取っている事例がないかということで点検をしました。

 まだ点検中でありますが、少なくとも一つ、八月に、一千五百九十万円の返還請求をするような事案が出てきた。大阪府でもそうやってあるんですね。

 私は、文科省として、改めて、大阪府の取り組みも参考にして、全国でこういう同じような、要は、学校法人というのは性善説でやってきています。だから、チェックしていないんですよ。大阪府もしていなかった。だから、総点検をしています。ぜひ全国的に文科省のリーダーシップをとって、そういう学校法人の補助金詐欺の問題が、それは籠池さんの問題なのか、それは文科省、学校法人の問題なのか、ぜひ点検をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 今お話があったように、私立幼稚園等に対する私学助成、これは所管庁でございます都道府県が実施主体で、国は、助成を実施した都道府県に対して補助を行うということでございますので、個別の学校に対する私学助成の配分や検査については都道府県が行っておるということでございますので、今お話のありました点検、調査につきましては、基本的には助成主体である都道府県において対応を判断することになると考えております。

 国から都道府県に対しては、同様の事案が発生しないよう周知を図っておりまして、引き続き補助金の適正な執行について周知徹底してまいりたいと考えております。

 具体的に今回の事案について大阪府からも状況を聞き取った上で、全国の都道府県に対して具体的な留意点を示して注意喚起するとともに、必要に応じて実態調査等を行うよう促すなど、適切に対応してまいりたいと思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 この森友学園の詐欺の問題、これは、いわゆる幼稚園、保育園の問題だけじゃありません。建設費の問題がありましたね。三つの契約書というのです。森友学園について三つの契約書があった。この辺、野党はやらないんですね。無責任野党たちはやりません。加計学園ばかりやっています。何で森友学園をやらないんですか。━━━━━━━━━━かかわっているからじゃないですか。

 だから、ぜひ、なぜ野党が加計ばかりやって森友をやらないのか、マスコミはしっかり追及してくださいよ、追及を。━━━━━━━━━━生コンに係る疑惑、野田公園に関する疑惑、これも私はこれからも追及をしていきたいと思いますが、なぜ、三つの契約書、これについて真ん中の十五億円がどうも真正だということがわかったかといえば、建設業法に基づく工事経歴書、これを見ればわかるんです。国交省の中には、どの数字が正しいか、あるんだけれども、点検、チェックしていないんですね。

 これは、国交省、改めて森友学園以外のさまざまな建設工事について、同じような、同様な契約書の偽造、これがないかどうか、点検する必要があるんじゃないですか。

簗大臣政務官 ただいま御指摘の話につきましては、サステナブル建築物等先導事業についてというふうに承知をいたしております。

 ただいま委員より、建設業法に基づく工事経歴書を活用して、過去に補助金を交付した案件の総点検を行うべきとの御指摘がございました。

 御指摘のとおり、補助金の支払いについては適切に審査することが大変重要であると考えております。

 ただ、工事経歴書には必ずしも全ての工事が記載されていないことなどから、補助金が適正に支払われたかどうか網羅的に点検する手段としては一定の限界があると考えております。

 補助金の支払いに当たりましては、領収書等の支払いの金額が確認できる根拠書類を確認することが適正な事業を行う上で有効であると考えております。

 このため、本事業においても、補助金の支払いに当たっては、平成二十八年度末より、領収書等の根拠書類の提出を求め、確認することを徹底しておるところでございます。

 また、本事業で過去に補助金を交付した案件の点検についても、根拠書類の確認作業を既に開始しておるところでございます。

 いずれにしても、今後とも、補助金の執行の適正化には鋭意取り組んでまいりたい、そのように考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので終わりますが、こうやって具体的な問題を指摘し、具体的に問題を解決していくのが国会審議ですよ。ちゃんとやってくれよ、しっかり。

 それで、最後に申し上げますが、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━これについては引き続き追及していくことをお誓い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

冨岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、加計学園による獣医学部新設について何点か質問をさせていただきたいと思います。

 時間が二十分しかないということでありますので、通告した順番を少し変えて、また、途中はしょる質問もあろうかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。

 まず初めに、少し具体的なお話から聞いていきたいと思います。

 今回、可という答申が出ておりますが、その際、八件の留意事項がついております。見ますと、実習における学生の実技経験の質的、量的充実を図ること、さらに、総合参加型臨床実習についても、外来患畜数を確実に確保し、実習効果を高めるような時間割の組み方などを工夫せよ、こういう留意事項がついております。

 既存の大学でできない新しい分野に対応する学部でありながら、その非常に重要な根幹をなすであろう実習による実技経験を質的にも量的にも確保せよ、こういう条件がつけられているというのは、これは現段階では極めて不十分な研究環境にあるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 大学設置・学校法人審議会の審査の過程におきまして、申請者の設置計画に対してさまざまな意見が付されておりますけれども、審議会からの設置計画に関する問題点や不明の点の指摘に対しまして、申請者が修正、改善を行い、補正申請を行うというプロセスを経て、最終的に基準に適合していると判断し、可とするものでございます。

 加計学園の設置計画につきましては、五月の一次審査、八月の二次審査において、実習時間数の不足や短期集中型実習の課題など、実習計画に関する実現可能性に関する是正意見が付されておりますけれども、その後、補正された申請書におきましては、実習科目を五単位分増加して、必要な……(吉川(元)委員「委員長、留意事項について聞いているんです」と呼ぶ)はい。実習時間の確保、それから、教員を確保して指導体制を充実させていく、スケジュールの変更等をしたわけでございますけれども、適切に対応がなされたと判断されまして、結果、総合参加型実習につきまして、留意事項として出されたわけでございます。

 その中で、特に、定員規模が大きいということもございまして、より質の高い実習ができる形で、参加する職員の配置を工夫したりとかいうことも含めて対応を求めたりとか、あるいは、病気にかかった治療の対象とします患畜数についての確保をしっかりやるということについて留意事項を付したものでございます。

 この点につきましては、これまでも答弁させていただきましたように、設置審みずからが、履行状況につきまして設置以降モニターする中において、その改善の取り組み等について見ているところでございます。

吉川(元)委員 委員長、ぜひ答弁を簡潔にするように指示をお願いしたいと思います。

 私が聞いているのは、新しい分野に対応する学部、既存の大学ではできない、ある意味でいうと、非常に水準の高い研究をしていくんだ、あるいは教育をしていくんだ、そこの実習が質的にも量的にもまだまだ不足していますよ、最低限はクリアしたかもわかりませんが、まだ足りていませんよと、留意事項としてついているんですよ。第一次審査、第二次審査の話をしているんじゃないんです。既存の大学ではできない新しい分野ということで、それで、果たして、こういう留意事項がついて、十分な体制に現段階でなっているのかなっていないのかを聞いているんです。

 大臣、答えていただけますか。

林国務大臣 今局長から答弁いたしましたように、設置の途中においていろいろな意見がございましたので、それに対応して修正を申請書でやってきておるということで、実習科目を五単位分増加して必要な実習時間数を確保するですとか、実習指導に当たる教員を数多く配置して学生への指導を充実する、個別の科目の授業内容や授業スケジュールを改善して、週四日二週間というのを週二日四週間に変更する、こういうことで適切な対応がなされたということで、審議会で判断した結果、残された課題については、不認可には相当せず、開設以降に改善を求めることが妥当であるという評価が審議会の総意としてなされたということでございますので、今後は、認可された実習計画を確実に履行していただいて適切な実習体制を構築する、これが必要でありますので、開設以降も大学設置・学校法人審議会が設置計画の履行状況をしっかりと確認していく、こういうことになります。

吉川(元)委員 大臣の答弁もちょっと長いですね。

 私が聞いているのは、最低水準をクリアしているという話ではないんですよ。ある意味でいえば、国際水準、非常に高い水準を求めているのに、今の段階では、答申、可とした段階では不足をしている、だから留意事項がついているんでしょう。そうじゃないんですか。

林国務大臣 申し上げましたように、いろいろな対応がなされたわけでございますので、まず審議会で適切な対応がなされたという判断があるわけでございまして、残された課題は不認可には相当しないということで、これは一般的に大学の設置において行われることでございますが、認可をした上でその後の履行をしっかりと見ていこうということは一般的にあることでございますので、そういう対応が審議会によってなされたということでございます。

吉川(元)委員 いや、留意事項がつくのは一般的にあるということは承知をしております。

 ただ、これは鳴り物入りで国家戦略特区として出されてきたものであって、非常にレベルが高くなければいけない、そういう大学、学部なわけです。ところが、見てみると、最低水準はクリアしましたよ、さらに、では、この後、留意事項でもうちょっとやってくださいね。これが最高水準だと言えるのかということを聞いているんです。

 もう時間がありませんので、そういう面でいいますと、八件の留意事項は、今後、開学から六年間、確実に履行されたかどうか監視が続くわけですけれども、ちょっと聞きたいんですが、仮に履行されていないとなった場合、どういうふうな扱いになるんですか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 完成年度まで獣医学部は六年でございますけれども、開学以降、計画の履行の状況、それから留意事項をつけました事項についての改善状況についてしっかり確認して、大学の方からは、毎年度、その状況についての報告をいただくことになっているところでございます。

 仮にその取り組み自身が十分でない場合については、大学に対してペナルティーを付するということも、指導した上ででございますけれども、手段としてはあるところでございます。

吉川(元)委員 具体的なペナルティーの内容についてちょっと教えてください。

義本政府参考人 お答えいたします。

 仮に、課題が見つかった大学に対して改善を求めるとともに設置計画の履行状況が著しく不十分な場合においては、その大学の学部等の新設を認可しないなどのペナルティーを科すということもございます。

 さらには、法令違反が判明した場合は、学校教育法第十五条に基づきまして、必要な措置をとるべく勧告し、なお改善されない場合については、変更命令など、段階的に措置を行うというふうな仕組みがございます。

吉川(元)委員 次に、いわゆる四要件にかかわることでお聞きをしたいというふうに思います。

 第一次審査で、大学等の設置の趣旨、必要性についての是正意見が出されています。これは国家戦略特区として獣医学部を新設する際に設けられた四要件に関係する極めて重要なもので、既存の大学、学部ではできない新たに対応すべき分野の需要、入学定員に見合った獣医師の需要を明らかにせよ、それがその内容になっております。これについてどういうふうな対応がとられたんでしょうか。

義本政府参考人 失礼いたします。

 審査の過程において、当初の申請に対し、大学が掲げるライフサイエンスの研究分野、公共獣医事分野及び医獣連携獣医分野に即した人材需要に関する説明の根拠として事業所アンケート調査を行いましたけれども、三分野に即した形の分析が不十分であるというふうな審査意見、これは五月の一次審査意見でございますけれども、付されたところでございます。

 これに対して、大学からの補正申請におきましては、大学が掲げる三つの分野の人材像に基づきまして、分野別に就職先として想定される事業所へのアンケート調査、さらには四国地域における公務員獣医師の将来的な需要動向の分析と人材需要の説明がなされ、それについて審議会として評価したものでございます。

吉川(元)委員 先ほど他の委員からも指摘があった四要件、そのときは第一項目の部分でずっと議論がされましたが、ここで言うと第二ですか、具体的な需要が明らかになったと。これが明らかになっていないというのが第一次の審査のときに出てきたということですよね。出てきているものでは不十分だと。だから是正意見がついたわけで。

 そこで、内閣府の方にお聞きいたします。

 その四要件、先ほど満たされているということで進んできたわけですけれども、これは非常に問題だと思うんですが、設置の趣旨、必要性、これがまさに大学の設置審の中で議論になっているということは、四要件はクリアをされないまま戦略特区の中で一月二十日の日に決まったということになるのではないでしょうか。この点はいかがですか。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 設置審による御指摘は、あくまでも、三月末に提出された申請書の内容が設置許可を出すには是正、改善を要するというものでございます。是正意見につきましては、その後の補正申請により全て改善したと伺っております。

 いずれにせよ、内閣府といたしましては、審査過程や指摘の理由の詳細を承知しておりません。設置審は所管外であるため、設置審の指摘についてのコメントは控えさせていただきます。

吉川(元)委員 設置審で専門的な見地から検討して、その結果として需要等々が明らかになっていないと。これは、本来は一月二十日の段階できれいにクリアしていなきゃいけない問題なんじゃないですか。それがクリアされていないというふうに設置審では言われているわけで、一体どんな検討をされたんですか。政務官、お答えください。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 その上で申し上げますと、特区プロセスで行った四条件の確認は、民間有識者が主導する透明なプロセスを通じて、当時の加計学園の構想を対象に四条件への適合性を適切に判断した上で、関係省庁が異論なく了承したところでございまして、この旨は、山本前大臣が責任ある立場から繰り返し申し述べているとおりでございます。

吉川(元)委員 例えば、毎日新聞がアンケートをとっています。既存十六大学のうち九大学で回答があったんですけれども、これは四要件でいうと三つ目ですか、既存の大学の学部では対応が困難な場合。困難ですかと聞いたら、六大学はできるというふうにアンケートに答えています。これも実は四要件をクリアしていないわけで、そもそもきちんと調べたのか、この点についていかがですか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 規制改革本来の趣旨からいえば、合理的な説明責任は関係省庁が負うべきということではありますが、今般は、五十年以上実現に至らない難しい改革事項だったということで、内閣府自身も検討、議論を山本大臣のもとでしてございます。

 そのうち、御指摘のありました既存の大学、学部では困難という点につきましては、確かに、お話をいただいたとおり、既存の大学でも全くできないということはないだろうという議論ではございましたけれども、やはりある程度新たなニーズに特化をしたカリキュラムということになりますと、大学の現状は、基礎科目のところでもなかなか教員の数が足りないといったように苦労しておられる状況でございまして、抜本的なカリキュラムの組み直しが必要になるのではないかということがいろいろな諸事例から推察をされました。

 したがいまして、加計のケースにつきましても、そういったところの大胆なカリキュラムの提案の方向性を出していただきましたので、申請を緩和するための構想としては十分ではないか、かように判断したところでございます。

吉川(元)委員 つまり、既存の大学でもできるという話があったということでよろしいんですね、今の答弁だと。簡潔にお願いします、簡潔に。

村上政府参考人 一定の対応はできるであろうという議論はございましたが、この四条件で求めるような新たなニーズに特化したカリキュラムということでいえば、困難であるという判断をさせていただいたというふうに認識しております。

吉川(元)委員 ここに書いてあるのは、既存の大学、学部では対応が困難な場合と書いてあるんですよ、四要件は。今聞いたら、それはいろいろ課題はあるけれども、できないことはないということでしょう、つまりは。今の答弁はまさにそういう答弁だと思いますよ。今の答弁だと、四要件がもう完全に崩れているんじゃないかというふうに思います。

 もう時間がないので進めますけれども、そういうふうに非常に新たなニーズに特化をした大学と言いながら、設置の審査の基準の中ではぎりぎりのところしかできていない。例えば、見ておりますと、今回の文科省の発表でいいますと、新たな学部を開設する予定の学校というのは六校あって、見ておりますと、第一次、第二次、それぞれ意見が出ております。中には、加計学園以外にも警告が出ているところがあります。ただ、その量は圧倒的に加計学園が多い。一次でも二次でも五ページ半、六ページ近く、警告、あるいは是正、あるいは改善、こうした意見が出ているわけであります。

 その中で、見て驚いたのは、第二次の審査の際に、獣医解剖学実習について、牛の解剖がない。これは一体どういうことなんですか。例えば、口蹄疫。牛の解剖も実習もないまま口蹄疫に対応する、それが非常に高度なレベルでできるんだ。全くそうなっていないじゃないですか。

 その後、是正して、直してクリアしたというふうに言うかもわかりませんが、最初の段階で出してきた申請では全くクリアできていない。そうすると、新たな分野に特化をした大学にもなっていない。簡単に言えば、英検一級の実力がありますよというふれ込みで入ってきて、では試験をしましょうといって試験をしてみたら、アルファベットもまともに書けなかった。先生が横について、こうやって書くんだ、こうやって書くんだと教えてもらってようやく何とか及第点をとった。これがどこが高い水準の新しい学部なのか、甚だ疑問です。

 最後に一点だけ。これは通告をしていないんですが、文科省がつくられた審査意見への対応状況というものがあります。その中で、学校法人分科会による審査意見の中に、設置経費の財源である借入金の償還の見通しについて説明することというのがあります。これについて申請者はどのように答えているんでしょうか。

義本政府参考人 御指摘の審査意見について、中長期的な経営の見通しを踏まえつつ、借入金の償還の見通しについて説明すること、これは五月の一次審査意見としてついたものでございますけれども、大学においての説明、これは七月にいただきましたけれども、中長期的な計画の策定に既に着手し、その中で入試政策とか学生募集を含めた改善をしているところでありまして、借入金の償還につきましても、獣医学部の学納金の収入から償還できる見込みであるというふうな御説明をいただいたところでございます。

 なお、先ほどいただいた中において牛の解剖の話をいただきましたけれども、これは、大学の考え方としましては、近年の国際的な動向としましては、実際上、生身の動物に対してメスを入れるのではなくて、シミュレーションをするというふうなこともありますので、そういう中で、そういう対応、考え方をとっていましたけれども、御指摘をいただいて、実際上の牛の解剖も実習として入れたという内容でございます。

吉川(元)委員 聞いていないことも答えていただきましたが、公務員獣医師、まさに口蹄疫等々の防疫の体制も整えなきゃいけない、それも開学の大きな理由の一つでありまして、シミュレーションで済むんですか。では、お医者さんは人体解剖をせずに手術してもいいということですか、それは。おかしな話でしょう、それは。

 今言われました借入金の償還については、獣医学部の学納金収入から償還できる見込み。つまり、これは、来年四月に開学ができなかったり、あるいは開学が不可であった場合には、これだけ読みますと、借入金を返済できないという財務状況にあるという認識でよろしいんですね。

 これを最後に一点だけ確認して、終わります。

義本政府参考人 お答えいたします。

 今、詳細な資料を数字として持っておりませんけれども、大学法人全体としては、財務状況については健全性を維持しているというふうに理解しておるところでございます。

吉川(元)委員 これで質問を終わりますが、明らかに、大学から、新しく獣医学部を開設して、そこで入学金や入試のお金、それから授業料、それで借金を返すというふうに申請者がみずから答えているんですよ。これが健全な財務状況にあるという学校法人と言えるのか、私は非常に疑問であります。

 引き続き、この問題については当委員会で質疑を重ねていきたいと思います。終わります。

冨岡委員長 これにて審議を終了いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十九分散会


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