衆議院

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第4号 平成30年4月4日(水曜日)

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平成三十年四月四日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 安藤  裕君 理事 神山 佐市君

   理事 亀岡 偉民君 理事 工藤 彰三君

   理事 鈴木 淳司君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      大見  正君    小林 茂樹君

      櫻田 義孝君    下村 博文君

      田野瀬太道君    高木  啓君

      津島  淳君    根本 幸典君

      馳   浩君    古田 圭一君

      牧島かれん君    松本 剛明君

      三浦  靖君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    宮路 拓馬君

      八木 哲也君    櫻井  周君

      日吉 雄太君    山花 郁夫君

      山本和嘉子君    源馬謙太郎君

      長島 昭久君    西岡 秀子君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      平野 博文君    畑野 君枝君

      串田 誠一君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       林  芳正君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     三浦  靖君

  船田  元君     津島  淳君

  宮内 秀樹君     牧島かれん君

  山本和嘉子君     山花 郁夫君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     船田  元君

  牧島かれん君     宮内 秀樹君

  三浦  靖君     高木  啓君

  山花 郁夫君     山本和嘉子君

    ―――――――――――――

四月三日

 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房長藤原誠君、生涯学習政策局長常盤豊君及び初等中等教育局長高橋道和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山花郁夫君。

山花委員 立憲民主党・市民クラブの山花郁夫でございます。

 きょうは、名古屋市立の八王子中学校での前川元次官の講演のことに関連いたしまして、質疑をさせていただきたいと思います。

 当初、報道で報じられまして、この件に関して、役所の方に御協力をいただきまして、ヒアリングを実施いたしました。三月十九日の時点では、中日新聞にて報道、これが端緒であったというふうに我々は説明を受けていたんですけれども、三月二十三日になりまして、その中日新聞にて報道があったんだけれども、赤池議員から官房長に情報伝達、確認依頼、十九日、池田議員から前教育課程課長が記事を入手、こういうことで、議員がかかわっていたということが後から明らかになるわけです。

 この赤池さんなんですが、ここのところちょっと報道でも出て、再びなんでしょうか、出ておりますが、二年前に「ちびまる子ちゃん」という映画がありまして、「イタリアから来た少年」という映画で、タイトルに「友達に国境はな〜い!」というのがあるんですけれども、これについてクレームをつけているという件があったようであります。

 御自身がブログで書いているのでそういうことなんだろうなと思いますけれども、このポスターを見た瞬間に思わずのけぞりそうになりましたというようなお話でありまして、文科省の担当課には猛省を促しましたというふうに御自身で述べられております。

 アエラが質問状を送ったところ、教育行政をつかさどる文部科学省として、子供向けとはいえ、国境はないといううそを教え、誤認させてはいけないというふうに答えられて、むしろ私の方がのけぞりそうになるような話なんですけれども、こういった事実があったのかどうかということについて、事実の確認を求めます。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、国民に広く国際教育に対する理解、普及を図るため、平成二十七年十一月に、映画「ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年」とのタイアップを行うこととし、「友達に国境はな〜い!」という啓発メッセージを掲載したタイアップポスターを作成して、全国の小学校等に配布いたしました。

 この「友達に国境はな〜い!」という啓発メッセージについて、ポスターの作成、配布後に、赤池議員のブログにおいて、文科省の担当課には猛省を促しましたと記載されていることは承知をしております。

 当時の担当者に確認したところ、詳細については覚えていない面もありますが、赤池議員から問合せがあったことは事実であり、議員の意見として承ったとのことでありますが、その指摘を受けて特段の対応はしていないと聞いております。

山花委員 ちょっと普通の感覚じゃないんじゃないかと思うんですけれども、例えば、私、宇宙飛行士の毛利衛さんが宇宙から地球を見たときに国境は見えませんというような発言に普通に感動を覚えましたし、また、別に、国境なき医師団というのが何かろくでもない活動をしているのかと言われれば、そんなことは全然ないと思うわけです。

 今ちょっとコメントがありましたけれども、猛省を促しましたということ、これは何か反省すべき点があるんでしょうか。

高橋政府参考人 あくまで、委員の意見として承ったということでございまして、特段、文科省としてそれについてコメントすることはないものでございます。

山花委員 それでいいんだと思うんですよ。つまり、いろいろな議員の方からいろいろな意見はあるんだと思いますけれども、それは必要ないという判断をすれば、意見として承りましたということでよかったのではないか。そして、このことは、今回の八王子中学校の件でも私はそうあるべきだったのではないかと思えばこそ、ちょっとお聞きをしたわけであります。

 その上で、前川さんに対する調査と称することが何で行われたかということについて、これまで文科省の御説明というのは、直近まで、文科行政の事務方の最高責任者として、その発言が教育行政に関して正当な根拠があると受けとめられる特別な立場にあったことから、影響力が極めて大きく、仮にその発言内容が学習指導要領と整合しない場合であっても、法令や学習指導要領の正しい解釈として受けとめられる可能性が高いこと、天下り問題等にかかわって、単に監督責任だけではなく、本人自身の違法行為をもって停職相当となった者であるから、特に心身の発達が途上段階にあり、必ずしも公正な判断を行う能力が十分に備わってはいない中学生に対して授業を行うことについて適切な教育的配慮が求められること、一部には、保護者の間でこういったことについてどのような影響があるかについて十分な考慮が行われる必要があることということを理由といたしておりますけれども、この答弁ライン、決裁をしたのはいつごろのことでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員から御指摘いただきました発言については、平成三十年三月二十三日や二十九日の参議院文教科学委員会、また三月三十日の衆議院文部科学委員会において私から御答弁したものでございます。

 ここで御答弁した内容は、今回の調査の実施を決定した時点からの問題意識ではございますが、国会での答弁に当たっては、通常は委員会審議の前夜にこういった答弁書をまとめておりますので、それを踏まえて答弁をさせていただいたものでございます。

山花委員 ちょっと後ほど議論させていただきたいと思いますけれども、いかにも後づけの理由のような気がいたしまして、実際の問合せ事項と全然合致していない事項も見受けられるということは、ちょっと後ほど議論をさせていただきたいと思います。

 ところで、平成二十九年三月三十日に文科省が調査報告をした天下り問題、再就職問題等に係る調査報告というので、事務次官経験者三名の方が処分をされておりますけれども、固有名詞を教えていただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 厳密に申し上げますと、既に退職をされていますので処分相当ということでございますが、そのうち、停職処分相当となりましたのが三人の元、前次官でございまして、清水元次官、山中元次官、それから前川前次官、この三名でございます。

山花委員 先ほどの答弁ラインですけれども、直近まで、文科行政の事務方の最高責任者として、その発言が教育行政に関して正当な根拠があると受けとめられる特別な立場にあった、影響力が極めて大きく、仮にその発言内容が学習指導要領と整合しない場合であっても、法令や学習指導要領の正しい解釈として受けとめられる可能性が高いというのは、これは三名とも言い得る話ではないでしょうか。

高橋政府参考人 今回のケースは、前川前文部科学事務次官という文部科学行政の事務方の最高責任者としての地位にあった者が、中学校という公教育の場で授業を行ったという事例であり、この点に着目して今回は調査を行ったものでございます。

 私ども、少なくとも現時点におきましては、先ほど申し上げました残りの二名の元次官、山中伸一氏、清水潔氏が、児童生徒を対象とした学校の授業を行ったという話は承知をしていないところでございます。

山花委員 いささかわかりづらい話なんですけれども、そうすると、今後、次官を退官された方は、中学校で授業をやることについては懸念があるという認識なんでしょうか。

高橋政府参考人 まず、今回は、次官経験者というだけではなくて、その次官経験者であった方が国家公務員法に抵触するということで、現役であれば停職に相当するなんという極めて重い処分を受けたということでございますので、次官OBであればということではないと考えております。

 それから、繰り返しになりますが、そういった方が公教育の場で授業を行った、そういう観点から、今回は調査を行ったということでございます。

山花委員 その停職処分を受けたということと、何か発言が学習指導要領と合致しない発言をする可能性があって誤解をされるおそれがあるということとは、関連性は極めて薄いような気がいたします。

 また、停職という程度の話、程度と言ったら怒られるかもしれませんけれども、違法性としては、ほかにもっと重たいケースでも、学校で授業をやっているケースというのはあるんじゃないでしょうか。つまり、既に有罪判決を受けて社会復帰をされて、そういった方々がいかに社会的に更生をしたのかであるとか、抽象的に言ってもあれですから、現に、例えば外務省の官僚だった佐藤優さんという方は、御本人が、学校で講演したことありますよということを言われておりますが、そういった方に対して調査をされたことはないと思いますけれども、それよりも、恐らく停職というのは、罪状と言っては言葉が適切じゃないかもしれません、違法性としては軽いと思うんですけれども、ちょっとバランスを余りにも失しているように思われますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 御答弁申し上げます。

 今回の事案につきましては、中学校の授業にて講演を行った前川氏が、先ほど申し上げましたように、一つは文科行政の事務方の最高責任者として直近までおって、その発言が教育行政に関して正当な根拠があると受けとめられる特別的立場にあったことから、影響力が極めて大きいこと、それから、いわゆる天下り問題にかかわって、単に監督責任だけでなく、本人自身の違法行為をもって停職相当になった者であることから、特に心身の発達が途上段階にあり、必ずしも公正な判断を行う能力が十分に備わっていない中学生に対して授業を行うことについて適切な教育的配慮が求められること、さらに、一部にはこれを不適切と捉える向きもあると考えられることから、保護者の当該学校に対する信用に与える影響について十分な考慮が行われる必要があること、こういったことを考慮して調査を行ったというものでございます。

山花委員 学習指導要領と合わない発言をするかもしれないというのは、これは一体どんなことを想定されているんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 講演を行った前次官は、これはことしの二月に発行されました一般の書籍でございますけれども、文科省が作成した道徳の教材である「私たちの道徳」について、当時、担当局長としてその作成にかかわったことを明らかにしながら、その内容について否定的な評価を行っております。

 前文部科学事務次官というその者自身の発言が教育行政に関して正当な根拠があると受けとめられる特別な立場にあり、かつ教材作成時の担当局長であった者が、公正に判断する力が十分に身についていない生徒が含まれる中学生に対し、小中学校の場において現に使用されている教材について仮に否定的な発言を行っているとすれば、学校における道徳の指導に対する生徒の信頼が損なわれる可能性が否定できない、こう考えたものでございます。

山花委員 それは、教育内容そのものについて調査をしようとしているということではないでしょうか。

高橋政府参考人 あくまでも、この前川次官の授業に際して教育的な配慮が行われていたか、そういった事実確認を求めたものでございます。

山花委員 この点についてですけれども、ちょっと質疑の通告をした後になってしまったというのは、きのうの夜のことなものですので、今、名古屋市長をされている河村たかし市長ですが、かつて衆議院に在籍をしていた折に別の委員会で筆頭理事を務められておりまして、私が次席としてお仕えをしていたことがございます。そういうこともありまして、立憲民主党の国対を通じて今回の件についてちょっと資料の照会をしたところ、提出をいただきました。

 文科省から出されていた経緯以上に、これは相当に執拗に聞いているんですよね。

 二月の十九日、文科省から出されている資料ですと、池田議員から前教育課程課長が記事を入手、教育課程課課長補佐から名古屋市教育委員会に電話で事実関係の確認、これは、読めば、一回だけそういうことがあったのかなと思いますけれども、名古屋市の側の記録によりますと、二月の十九日十三時三十五分、文部科学省初等中等教育局教育課程課課長補佐鈴木文孝氏より指導室へ電話があったと。そのときは指導室不在だったので、指導室から折り返し電話をいたしましたと。講演内容であるとか総合的な学習時間の位置づけ、対象学年、講演時間、マスコミへの広報がわかる資料を十六時めどに送付してもらいたいと。十六時十四分にメールで資料を送付したところ、十七時、また鈴木文孝氏より指導室に電話があって、笑顔いっぱい絆づくり推進事業の八王子中学校の応募時の企画書を送付してもらいたいと。PDFファイルにてメールを送付いたしましたということで、こうしたやりとりがあったということ。

 あと、何か後ろめたいということでもあったんでしょうか、いただいた経緯は、十二日に林大臣へ御説明で終わっているんですけれども、十四日の水曜日十五時に、また今度は、文部科学省初等中等教育局教育課程課課長補佐降旗友宏氏より指導室に電話がありましたと。NHKから取材があったことを報告いたしました。

 翌三月十五日、朝の八時十五分です、随分早い時間ですね、文部科学省初等中等局教育課程課第一係長カミハマ氏より指導室に電話がありました。NHKから具体的にどのようなことを聞かれて、どのように答えたのか。質問の回数だとかやりとりの方法だとか、分量、内容など。

 十五日十八時十五分、またカミハマ氏より指導室に電話があって、三月十五日の十九時からのニュースで放送される、ニュースの内容によっては聞きたいことが出るかもしれないので待機していてもらいたい、「ニュース7」であるとか「ニュースウオッチ9」であるとか「ニュースチェック11」などで報道される、こんなことがあったということです。

 また、三月十六日の朝九時五十八分、タカセさんという女性の方から電話があって、指導室と文科省のメールのやりとりを報道へ情報提供すると知らせたところ、文科省からは、報道提供する資料を送ってほしいとの依頼ということ。

 十六日にはまたやりとりがありまして、文科省の方で、局長の考えで、文科省と名古屋市教育委員会の黒塗りが違ってもよいというような話があり、十六日の十時半には、黒塗りの場所をそろえたいというようなやりとりをいたしております。

 名古屋市市長もちょっと御立腹でございまして、本文中の黒塗りは承服しかねると。つまり、行政的なことで、文科省もこれは正当なことだと言っているのにもかかわらず黒塗りをするというのはどういうことだということで、文科省は、そちらの判断でよい、こういうようなやりとりがあったということであります。

 これまで、何も悪いことはしていませんという話なんですけれども、例えば、せいぜい民間人の名前のところを黒塗りというのはわからないでもないですけれども、八王子中学校、これは公立の学校ですし、また、やりとりをしている課長補佐さんの名前なんかも消しているんですけれども、これはどういう基準でこういう黒塗りにしているんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、本件にかかわった文部科学省職員の氏名は、情報公開法第五条六号に規定する、公にすることにより、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものに該当すると認識をしております。

 文部科学省が行った情報開示は、情報公開法に基づく情報公開開示請求に係る開示ではないものの、今後、情報公開開示請求がなされることも想定しつつ、同法の規定の趣旨を踏まえ、職員の氏名を公開しないものとしたところであります。

 名古屋市教育委員会がどのような理由により文部科学省の職員の氏名を公表したのかは承知しておりませんが、文部科学省が職員の氏名を公表しないという判断は、名古屋市教育委員会の公表ということに影響を受けるものではないと考えております。

山花委員 私は、今回の、これまで表に出ていたことだけではなくて、こうした何かやりとりがあったりであるとか、そもそも最初の、これは三月一日十八時十五分に送られたメールですけれども、相当詳細なことを聞いているわけです。私たちは、今回のケースというのはこれはちょっと異例というか異常というか、こんなことは今までなかったのではないかという問題意識を持ってこれまでいろいろヒアリングをしてきたところ、いやいや、こういうことは間々あるんですよみたいな御説明をいただいております。

 ただ、これは、私自身が一番最初から、間々あるんだったら、過去にこういう例がありますというのが幾つかあればそうなのかなと思うけれども、全然出てこないじゃないかということを言っておりました。何か三つほどの例を挙げられて、こんなケースと言っているんですけれども、全然違うと思うんですよね。

 特に、一番最初の送っているので、最初からこれは更問いというか、もう一回聞くぞみたいな聞き方をしているじゃないですか。御回答を踏まえ、再度書面にて、直接御確認をさせていただく可能性がありますので、御承知おきくださいと。どういうつもりでやったのかという言いわけはいいんですけれども、受け取る方からすれば、これは相当威圧的に感じるというのは、常識的な方であればわかるんだと思うんですけれども、これでも、こういったケースは間々あるのだという答えを続けますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のような問合せはしばしばあると申し上げた趣旨は、生徒指導などではなくて、授業や教育内容にかかわって問い合わせるケースがあるかというような多分やりとりの中であったと思います。

 そのようなことは、今三つの事例も指摘いただきましたが、例えば、高校の数学の学習評価が不適切に行われていたとの匿名の保護者の方からの情報提供を受けて、これらの経緯や今後の対応等について確認をした事例でありますとか、高校の特別活動の授業で使用した教材内容に偏りがある旨の報道機関からの情報提供を受け、教材の内容等について確認した事例とか、あるいは、中学校の理科の実験中に複数の生徒が体調不良を訴えて病院に搬送されたとの報道を受け、授業の内容や生徒の状況、学校の対応について確認した事例、こういった三つの事例を御説明させていただいたものでございます。

 それから、やりとりの中で更に不明な点とか確認をしたい点があれば追加の問合せをするということは、これもあることではございます。

山花委員 いやいや、不明なことがあれば追加の問合せをすることは、それはあるでしょうけれども、例えば二回目のメールでも、今回の御回答を踏まえ、書面にて又は直接御確認をさせていただく可能性がありますので御承知おきくださいなんて、こんな、あらかじめこういう言い方をするというのはそうそうないのではないかと思いますし、ましてや、今回、講演録や録音データがありましたら御提供くださいなんと言っていますけれども、こんな、講演録や録音データの提供を求めたケースというのは過去にあるんでしょうか。

高橋政府参考人 まず、再三御指摘がありました全体の表現ぶりにつきましては、これは大臣に報告した折、大臣からも、やや誤解を招きかねない面があったので、このような事実確認を行う際には表現ぶり等については十分に留意するようになどといったことは、初中局が注意を受けたところでございます。

 それから、御指摘のような、録音テープの提出を求めたケースがあるかどうかについては網羅的に把握しておらず、直ちにお答えすることは困難です。現段階においては、今回の件以外には該当事例を今の時点では把握はしておりません。

山花委員 だから、現時点ではということですけれども、多分そうそうある話だとは到底思えません。

 それと、今回こういったことを行ったのに対して、そもそも事実関係の経緯からすると、政務官、副大臣、そして大臣への報告というのが後になっていますから、答弁ラインは後でつくったというのは、それはもうそういうことなんだろうなと思いますけれども、ただ、それにしても、いかにもこれは符合していないようなことをたくさん聞いているじゃないですか。

 今回の総合的な学習の時間における前川氏の講演を全校一斉総合として、保護者やマスコミ等にも開いた公開授業としたと承知していますが、一般的に、同校では総合的な学習の授業をこのような形で公開されるのでしょうか、また、今回公開した狙いや意図は何でしょうか、具体的かつ詳細に御教示くださいと。

 これは先ほどの、直近まで文部科学行政の事務方の最高責任者として云々、天下り問題にかかわって云々、一部には保護者の間でという、これはどこにひっかかるんですか。

高橋政府参考人 ただいまの御指摘につきましては、元次官で停職相当とされた方が授業を行ったということでございますので、授業の内容や狙い、あるいは要請をした経緯とか、そういったことについて、事実関係について広く確認するという意味で問合せをしたものでございます。

山花委員 前川氏を講師で招いた際の交通費や謝金の支出はあったかどうか、また、あった場合、その金額は幾らか、これは何の関係があるんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 二月十九日に名古屋市教育委員会から提供のあった資料において、この授業は名古屋市教育委員会が経費を支援する事業で行ったという事実が明らかになったものの、必ずしもこの事業から前川氏への謝金が支出されたかどうか、当初は明確ではなかったためにこの確認を行ったものでございます。

山花委員 いやいや、直近まで文科行政の事務方の最高責任者としての発言が云々という話、天下り問題等とか、そういう話と何の関係があるんですか。

高橋政府参考人 直近まで文科行政の事務方最高責任者を務めて、天下りで停職相当というような評価になった方の授業について、当初、教育委員会の事業として、経費を支援する事業で行っていた、そういったような御説明がありましたので、その中から経費が支出されているかどうかが明確に確認できれば、その事業の趣旨に基づいて行われた授業だったということが明らかになると考えて、今回確認をお願いしたものでございます。

山花委員 これ、五万円って市長の決裁なんですよ。名古屋市長もその点非常に御立腹でして、何でそんなことを言われなきゃいかぬのだということを言っているんです。

 もう一点、動員の有無について確認していますけれども、これも、さっきの要件からすると、何の関係があるんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 前川氏の講演は、学校の教育課程に位置づけられた総合的な学習の時間の中で行われたものであるため、当然ながら、この授業は同中学校の生徒に対する教育を目的に行われるものでございます。

 他方、新聞記事によりますと、この授業には、約三百人の生徒のほか、二百人の保護者等が参加していたという事実を確認いたしました。

 こうしたことから、この授業の目的が生徒の学びを中心に据えたものとなっているかどうか、保護者や地域の関係者に講演を聞かせることが目的となっていないかということについて確認が必要であると判断し、これに関する客観的状況を確認するため、問合せをしたものでございます。

山花委員 あと残りの時間、事実関係について少し詰めていきたいと思うんですけれども、先ほど、こういったケースはしばしばございますというので三つの事例を挙げられましたけれども、それぞれに、現場からの問合せであったりとか保護者の方からの問合せであったりとか、きっかけとなる、端緒となることは一般の方々だと思いますけれども、今回、赤池議員から官房長に情報伝達、確認依頼、十七日、これが端緒となっております。政治家が端緒なのは、これは初めてのケースではないでしょうか。

高橋政府参考人 私どもは問合せ別に分類をしておりませんので、直ちにそこは把握はできておりませんが、私ども、一般的には、保護者であったり、それから報道機関であったり、あるいは政治家の方だったり、さまざまなところからの情報をいただき、それに応じて、文科省の判断として、必要があれば調査をお願いするということでございます。

山花委員 二月の二十二日に初中局から池田議員へ状況の御説明とありますけれども、これについてはどのような説明をされたんでしょうか。また、そのときの反応はどのような反応だったでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 二月の二十二日に初等中等教育局担当審議官と教育課程課長が池田佳隆衆議院議員の事務所を訪れ、名古屋市教育委員会から確認した状況を説明いたしました。

 具体的には、教育課程課長から池田議員に対し、二月十九日に名古屋市教育委員会から提供のあった情報に基づき、二月十六日に実施された授業の概要や総合的な学習の時間における位置づけ等を御説明するとともに、今後、名古屋市教育委員会に対してさらなる説明を求めたい旨をお伝えしたところでございます。

 これに対して池田議員からは、更に詳細がわかれば教えてほしい旨のコメントがあったと聞いております。

山花委員 その後、二月二十二日から三月一日まで少し時間があくわけですけれども、この間、何をされていたんでしょうか。質問の中身について詰めていたということなんでしょうか。また、議員との接触というのはこの間なかったのでしょうか。

 全く、この私どもがいただいている経緯のところにはそこは触れられていないんですけれども、なかったということでよろしいんでしょうか。

高橋政府参考人 先ほど御説明しましたように、二月二十二日に池田議員に説明を行いました。その後、三月一日まで少し期間があいて見えますが、二月二十八日までで、その間土日もありますし、それから、その間に衆議院の予算委員会での分科会審査が二日ほど入ったということもありまして、この間は議員との接触ということはございませんでした。

山花委員 これは、もうそれで接触がなかったということ、もう一度ちょっと念を押しますけれども、課長補佐等に対しても一切なかったということでよろしいですね。

高橋政府参考人 二月二十二日に池田議員に報告をしてから三月一日に池田議員へ質問状の情報提供をするまでの間、本件に関しては、課長補佐も含め、文科省職員と池田議員とのやりとりはございませんでした。

山花委員 その三月一日に、文科省の初中局教育課程課の課長補佐さんから池田事務所にメールが行っておりまして、池田先生に御確認いただきました後、本質問状を名古屋市教育委員会に送りたく存じますと。

 これは、そもそも何で池田議員に相談されているんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 池田議員に事前に質問内容を情報提供した趣旨は、本件が池田議員の地元の話であること、また、議員の御関心が高く、二月二十二日に伺った折に、詳しいことがわかれば教えてほしいとも言われていたことなどから、丁寧な対応を行ったものでございます。

山花委員 この間から質疑を聞いていて、似たような答弁をされていたんですけれども、私、ちょっとひっかかることがあるんです。地元という表現がひっかかるんですが、御本人を前にして恐縮ですけれども、比例代表の選出の方だと思います、残念ながら私もそうなんですけれども。

 愛知三区というのは、近藤昭一議員が小選挙区では当選されておりまして、なかなか、わかると思いますけれども、比例の議員というのは地元でも、小選挙区じゃなくておたくは東京全体から選ばれているからねということで、割と業界的にもちょっと反応が違ったりとかあるんですけれども、文科省は、比例の方でも地元というふうに位置づけをされるんですか。

 もし、私は調布が住まいなんですけれども、調布の中学校で何かあったらいろいろ教えていただけるという認識でよろしいのか。また、もっと言えば、ずばりビンゴで、参議院でいうと、東京選挙区で日本共産党の山添拓さんというのが調布に住まわれていますけれども、それも地元という位置づけになるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 小選挙区と比例の関係、私どもとしては、その辺はちょっとよくわかりませんのでお答え申しかねますが、基本的には、池田議員は、私どもとしては、地元のお話で関心が高いんだろうな、そういう認識でおりました。

山花委員 愛知三区の近藤昭一議員にきのう聞いてみました、この点について文科省から何か報告とかあったかと。ないということでありましたけれども、ちょっとその扱いがなぜかというのが、説明するなとは言いません、言いませんけれども、理屈としてちょっと弱いのではないかと思います。

 もう一回お願いします。

高橋政府参考人 経緯を少しさかのぼって申し上げますと、まず、二月の二十日に、名古屋市教育委員会から電話で聞き取った内容につきまして、赤池参議院議員に御説明に伺いました。そのときに、赤池参議院議員から、この件は池田先生にもお話をしておくようにというような御指示がありまして、二月二十二日に伺って、そういう経緯がありましたので、三月一日にも情報提供をさせていただいた、そういう経緯がございます。

山花委員 では、なぜ赤池議員から指示があるとそういう話になるんでしょうか。先ほど、冒頭の「ちびまる子ちゃん」のケースだと御意見として聞いたということで済ませましたよね。何で今回はそういう反応をされたんでしょうか。

高橋政府参考人 「ちびまる子ちゃん」のケースとはちょっと違うと思いますけれども、一応、国会議員の先生からそういう要請がありましたので、その要請を受けて、私どもとして御説明に伺ったということでございます。

山花委員 だって、さっきの「ちびまる子ちゃん」のケースは猛省しろとまで言われたわけでしょう。それでも一意見として聞きましたということであって、今回の方がむしろ緩い話なのに、何でそこまで反応しなきゃいけないんでしょうか。

高橋政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、既にポスターが発行されていた「ちびまる子ちゃん」のケースと、今回説明をしておいてくれというような要請があったことは、ちょっと同列には論じられないのではないかと私としては考えております。

山花委員 このお二方が、与党の文科部会の例えば部会長さんだからとか部会長代理さんだからということで、そういう反応になったということではないんでしょうか。

高橋政府参考人 赤池参議院議員が今部会長であり、池田衆議院議員が部会長代理であることは御指摘のとおりでございますが、私どもとしては、別に部会としての指示ということではなくて、議員からの要請ということで対応したものでございます。

山花委員 我々も一度与党を経験しておりますので、役所の方が、部会長とかそういったポジションに対してどういった気を使われるのかというのは承知しているつもりですよ。かつて、鳩山政権のときに、私、環境委員会の筆頭理事をやっていました。当時、民主党政権というのは部会制を廃止しましたので、部会長というのはなかったんですけれども、事実上私が今でいうところのその立場にありました。

 役所の方も、つまり野党と違って、政権をとっていると、政府の側の代表というのはもちろん大臣とか副大臣でありまして、党の側の、党を代表するという立場は、自民党でいえば総裁であったりとか、ほかの党であれば代表かもしれませんけれども、現場レベルではやはり部会長なり、当時私は筆頭理事でしたけれども、そういう立場でしたから、全てを、何か決定をかけたものを申し上げるのではなくて、大体相場観としてこんな雰囲気よとか、それはいろいろなやりとりの中でそういう、何というのかしら、よきにつけあしきにつけ、やはり影響力があるのは間違いないというのはよくわかっているつもりですよ。

 単に一議員の方から言われたというのは、ちょっとそれはおかしいんじゃないでしょうか。もう一回答弁してください。

高橋政府参考人 もう少し申し上げますと、赤池参議院議員は部会長であります。これは当然、私も重々承知をしております。ただ、今回の案件については、別に部会で議論になったとか部会からの要請ということではなくて、部会長である赤池参議院議員からの要請ということで、私どもとしては、それを踏まえて御説明に伺ったということでございます。

山花委員 いずれにしても、そういった特定の方からの要請でこういった介入をしていくというのが、まさに不当介入ではないかと思うわけであります。

 あともう一点、ちょっと申し上げたいんですけれども、文部科学省というのは、かつて教科書裁判などをやっておりますので、検閲という概念には随分デリケートだと思います。

 ただ、憲法上の検閲概念というのは、これは税関検査事件というもので最高裁で確定した判例があって、行政権が主体となって、思想等の表現物について網羅的に事前に審査をした上で発表を禁止するものだ、正確な定義はちょっと違いますけれども、そういうふうに言われております。ただ、学説的には、非常に対象範囲が狭過ぎるという批判がある判例です。

 といいますのも、最近、「わろてんか」というNHKの番組でも、映画のフィルムが検閲されているというシーンが描かれておりました。ああいった、事前にやるというのが典型的な当時の内務省の検閲ですけれども、当時、検閲という制度は事前検閲だけじゃないんです。事後検閲もやっていたんです。だから、発禁本という言葉を聞いたことがあると思いますけれども、既に発行されたものを禁止することも実質的には表現の自由に対する侵害であるというのが一般的な理解だと思います。

 また、普通の教科書にも事前抑制の原則的禁止の法理というものが講じられておりまして、表現行為がなされるに先立ち公権力が何らかの方法で抑制すること及び実質的にこれと同視できるような影響を表現行為に及ぼす規制方法をいうというふうに一般的に講じられております。つまり、事後であっても、どんなことを言おうとしていたのかというようなことを調査したりとか、古くからの憲法の教科書にも書いてあることですけれども、例えば社会主義について書くと死刑に処するということは検閲と同じ言論抑制の効果を持つというようなことが論じられております。

 今回のケースは、いわば事後検閲のようなケースに当たりかねない話です。かつ、その文言についてちょっと言い過ぎたかなということを言っているようですけれども、言い過ぎるということによって、やっている側が幾ら適法だと言っても、受けとめた側が萎縮的効果を及ぼしたら、それは憲法上も大変問題があるということになります。

 ですので、済みません、私、当委員会の理事ではありませんけれども、こういったちょっと学者の方もお招きをして意見を伺ったらいかがかということを提案いたしまして、質問を終わります。

冨岡委員長 ただいまの提案については、理事会で諮らせていただきます。

 次に、城井崇君。

城井委員 希望の党の城井崇でございます。

 本日の教育現場の不当介入問題での集中的一般質疑ということで、事実確認と政治家のかかわり、そして名古屋市の対応、反応というところを中心に質問を申し上げたいというふうに思いますので、大臣、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、ここまでの質疑で明らかになっていない点からお伺いを申し上げたいと思います。どうして、この問題発生当初に文部科学省が政治家のかかわりを隠したのかという問題です。

 文部科学省が名古屋市教育委員会に調査をする前の段階で、複数回にわたって、自民党議員の情報照会及びそれに伴う調査内容の修正というものがあったわけであります。このことは、これまでにも明らかになってきたところでありました。

 しかし、この政治家の関与が報道で出てくる、示される、その前の段階で、野党におきましては六党での合同のヒアリングを行ってきた。特に、三月の十六日もそうでございましたけれども、この野党の合同ヒアリングの段階でもかなり丁寧に、政治家のかかわりはございますか、官邸の関与はどうですか、公安はどうでしたか、国会議員はどうですかということを、各野党からも随分と丁寧に確認し、お聞きしてきたところでございました。

 そのヒアリングの後にも、私を含めて野党議員からの情報照会のときにも、この政治家の関与はわかっていたはずであります。マスコミの取材にも幾度にもわたって答えてこなかったというのが実際でございました。大変残念なことであります。文部科学省は、どうしてこの政治家のかかわりを隠したんでしょうか。

 これまでの公式の答弁ですと、調査内容に影響はない、こういう御答弁でありましたけれども、影響はあったというのが私どもの立場でありますが、仮に影響はないという説明をするとしたならば、事実関係の説明でありますから、きちんとお示しをいただき、答えていただけるはずだ、答えられたはずだ、このように考えます。

 この政治家のかかわりを隠し続けた理由について、まずお示しいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のケースにおいて、名古屋市教育委員会に事実確認を行う必要があると判断したのはあくまで文部科学省初等中等教育局であり、外部からの問合せ等はこれに影響するものではなかったことから、この問題が報道された当初においては、初等中等教育局として、その点に関する情報提供は控えるとの判断をいたしたものでございます。

城井委員 局長、質問にお答えいただきたいと思います。政治家のかかわりをなぜ隠したのか、この点、お答えください。もう一回お願いします。

高橋政府参考人 文部科学省が種々の必要に応じて外部からの問合せを契機に調査を実施することはあり得るものであり、その契機が保護者からの問合せであったり報道等であったりする場合があると同様に、国会議員の問合せを契機とする場合もございます。

 しかしながら、外部からの問合せが契機であっても、実際に調査をするかどうかは文科省の主体的な判断によるため、問合せが誰からあったかについては基本的に調査そのものと関係がないことから、その情報提供については、国会議員に限らず、抑制的に取り扱っているところでございます。

 今回のケースにおいて、名古屋市教育委員会に事実確認を行う必要があると判断したのはあくまでも初中局であり、外部からの問合せ等はこれに影響するものではなかったことから、この問題が報道された当初においては、私の判断として、その点に関する情報提供は控えるとしたものでございます。

城井委員 局長、行政監視が仕事の一つの国会に対して、そしてマスコミを通じて国民に対してその物言いで通ずるかということは、もう一回考えてほしいと思います。行政監視が仕事の国会にその事実を伏せて出すということで、行政からの説明責任を果たしたとお思いですか。

 そもそもが、この事実を隠すというのを決めたのは誰ですか。

高橋政府参考人 先ほど申し上げましたように、直接影響するものではないということから、控えるという判断をしたのは、私、初等中等教育局長でございます。

城井委員 局長が隠せということで決めたと。

 審議官や担当課長が野党の合同ヒアリングに来て説明をするときに答えなかったわけですけれども、そこも局長の指示で答えさせなかったということでよろしいですね。

高橋政府参考人 報道の当初の時点におきましては、外部からの問合せ等はこれに影響するものではなかったことから、どなたからの問合せかについては差し控えるという判断は私がいたしましたので、審議官や課長がそのような答弁をしたのは私の指示によるものでございます。

城井委員 その局長が決定するまでの間に、政務三役や与党からの指示や相談はありましたか。

高橋政府参考人 私が決定をするに当たっては、与党なり三役からの指示はございませんでした。

城井委員 局長の決定ということで確認をさせていただきましたが、大臣、今回の件は極めて深刻だと思っています。

 どういうことかと申しますと、調査内容そのものに影響を与えた、そのきっかけともなった自民党議員の関与を、当初、国民にもマスコミにも、そして国会にも隠し続けたというのは極めて問題だというふうに思うんです。国民への説明責任を果たせていないということ、そして、国会の行政監視機能をないがしろにされたと言っていい事態だというふうに思っています。影響ないなら、事実は事実としてきちんと示すというのが筋だというふうに考えます。その国会の機能も考えますと、局長の責任は重大だと。

 大臣から注意ということでございましたけれども、この国会の行政監視機能をないがしろにしたことを考えますと、注意では済まないというふうに思いますけれども、大臣、この点、いかがでしょうか。

林国務大臣 今、局長から答弁がございましたように、一般的に、外部からの問合せ等は、端緒としてはなったということであろうと思いますが、判断については影響することではなかったということで、今局長から答弁いたしましたように、情報提供は控えるという判断をした。

 そのときに、私からは、問合せについての事実関係が十分整理していないようなので、いつ、どのように、誰から問合せがあったのかについて速やかに事実関係を整理するという指示をしておりまして、その後、事実関係の報告を受けまして、私から三月二十日の火曜日に説明をした、こういう経緯でございます。

城井委員 大臣、これは注意では済まないということは、これからの質問でも、また別口の観点からも申し上げたいと思いますけれども、これは深刻に受けとめていただいて、処分については再検討いただきたいと思いますが、続いての質問を申し上げたいと思います。

 この文部科学委員会の三月三十日の質疑でもございましたし、また、野党の合同ヒアリングの折にもございましたけれども、文部科学省から、この間の調査の法的根拠として示された地教行法に基づく調査の事例として示した過去三回の調査の内容が、事例については示されましたけれども、調査の内容の具体的な部分が我々に示されておりません。実際に教育現場等に向けてメールなどで具体的な質問を投げかけたか、その内容がどうだったかということ、その三つの事例それぞれに具体的にお示ししていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの具体的な事例については、これまで三件の事例を既に御答弁申し上げているところですが、一件目については、平成二十八年十月に、高校の数学の学習評価が不適切に行われているとの匿名の保護者の方からの情報提供を受け、これまでの経緯や今後の対応等について確認をした事例です。これにつきましては、匿名の情報提供についての事実確認を行うため、初等中等教育局から教育委員会に対して複数回確認を行いましたが、この教育委員会のやりとりについてはどのような方法を用いていたのかについては、現在確認を進めているところでございます。

 二件目は、平成二十九年二月に、高校の特別活動の授業で使用した教材の内容に偏りがある旨の報道機関からの情報提供を受け、教材の内容等について確認した事例でございます。これにつきましては、初等中等教育局から教育委員会に対して電話にて事実関係の問合せを行い、教育委員会からはメールで資料の提供を受けております。

 三件目は、平成二十九年五月に、中学校の理科の実験中に複数の生徒が体調不良を訴えて病院に搬送された旨の報道を受け、授業の内容や生徒の状況、学校の対応等について確認をした事例でございます。これについては、授業の内容、生徒の状況や学校の対応等について確認するため、初等中等教育局から教育委員会に対して電話とメールによりまして問合せを行い、教育委員会からはメールで情報提供を受けている、このような状況でございます。

城井委員 確認中の分については後ほど御報告いただきたいと思います。

 続いて、せんだっての私の質疑でも取り上げさせていただきましたメールの送信について、細かい確認をと思います。

 二〇一八年三月一日の十七時台に、二度の、文部科学省の課長補佐から名古屋市の教育委員会へのメール送信がございました。この至る経緯の詳細について確認をいたしたいと思います。

 一度目の池田議員へのメールの後、約四十分後に二通目のメールが送られております。余りにも短い期間、時間帯であります。この短い時間の間で、文部科学省内でどのような作業や確認、そして承認があって二通目に至ったのか。調査内容の修正にかかわる大きな部分であるというふうに思いますけれども、短時間でこれは可能かどうかということ、誰が最終確認したのかを含めて、状況を教えてください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一通目のメールにつきましては、三月一日の午後、教育課程課の職員が、まず質問状を紙で事務所にお届けして、その際、事務所の方から、後でよいので電子媒体でも送ってほしい旨の依頼があったことを踏まえて、十七時四分ごろにメールでも送付をしたものでございます。そして、多分時間的には十六時半から十七時の間ぐらいだったと記憶しておりますが、議員会館を訪れた私に対して、池田議員より二点コメントがあり、その内容について私から電話で担当課に連絡をして、私の判断で修正を指示いたしました。

 したがいまして、修正自体はそれほど大幅なものではございませんでしたので、その修正を受けて課長が確認したものを二通目のメールとして担当課から十七時四十四分ごろに池田議員事務所にまたメールで送った、そのような経緯でございます。

 なお、この修正は、池田議員から二点コメントはございましたが、あくまでも私の判断で最終的に修正を判断したものでございます。

城井委員 メールにはそのようには書いておりませんでしたので、その点は改めて指摘を申し上げたいというふうに思います。

 続いて、名古屋市教育委員会の調査についてお伺いします。

 調査の中で、再質問を文書にてお送りしておりますが、この理由は何か、そして誰が決めたのか、この点をお示しください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 本件は、初等中等教育局において、新聞報道の内容を確認した結果、調査の必要性があると判断し、今回の授業の趣旨や前川氏を招いた理由や経緯、授業の狙いの内容などの事実関係について、私が最終的に判断した上で質問を行ったものでございます。

 そして、この質問に対する回答を踏まえて改めて質問を行ったことは、十分に確認できなかった事項について事実関係を確認するためのものであり、これも最終的には私の方で判断をして行ったものでございます。

城井委員 その再質問で確認をしたかった内容を具体的に教えてください。

高橋政府参考人 一度目の質問で必ずしも十分でなかった前川氏を招いた理由や経緯でありますとか、その他関連の事項について再質問をさせていただいております。

城井委員 続いて、池田議員の要求に従って修正した内容について何点か確認をしていきたいというふうに思います。

 先ほど山花議員さんの質問の中でもございました謝金についての部分であります。この謝金の確認の意図は何か、そして、その謝金の手続まで踏み込んで質問をしているのはなぜか、この点についていま一度お答えください。

高橋政府参考人 まず、謝金関係の質問をした趣旨でございますが、二月十九日に名古屋市教育委員会から提供のあった資料において、本授業を名古屋市教育委員会が経費を支援する事業で行っていたという事実が明らかになったものの、必ずしも当該事業から前川氏の謝金が支出されたかどうかは明確でなかったため、その確認を行ったものでございます。教育委員会の事業の中から経費が支出されたということが明確に確認できれば、その事業の趣旨に基づいて行われた授業であったということが明らかになると考えたものでございます。

 それから、三月一日に池田衆議院議員事務所に情報提供を行いましたが、その後、私に対して池田議員より、交通費や謝金の支出について、出どころを聞いているのに金額がないのはなぜですかねというような趣旨のコメントがございました。このコメントをいただいて、改めて文科省としては、事実関係をより正確かつ詳細に把握する必要があると判断して、この点を追記したのでございます。

 しかしながら、池田議員からのコメントは修正を指示するようなものではなく、あくまでこれらを参考に文科省の主体的な判断で修正を行ったものでございます。

城井委員 今回のこの謝金の一件で、名古屋市長は記者会見で、前川さんには五万円払われていて、市長は教育の予算調製権を持っていると発言されておりまして、この今回の謝金は名古屋市の支出の範囲内であるということが明らかであります。また、角度を変えますと、名古屋市の税金の使い道の問題は、名古屋市議会や市民の監視の範囲内である。そういたしますと、文部科学省が口を出すのは明らかな越権行為だというふうに考えます。

 先ほど、名古屋市長は怒っているという感情的な話がありましたが、感情の話はこの際横に置かせていただいて、名古屋市における支出に関しての権限の確認として、ここは権限を越えているぞというふうに考えますけれども、大臣、この点いかがでしょうか。

林国務大臣 本件につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第四十八条に基づく指導、助言又は援助を行うかどうかを判断するために、同法第五十三条に基づいて調査を行ったということでございますので、具体的には、本件の謝金等が名古屋市教育委員会の事業として支出されたものかどうかも含めて、あくまでも事実関係について内容を確認したということでございまして、確認した内容に対して何らかの対応を求めたりしたものではないということだということで、そういう御指摘は当たらないのではないかというふうに考えております。

城井委員 そこは、大臣、認識が違うと思います。

 後ほどこの点についてはただしたいというふうに思いますが、もう一点、池田議員の要求に従って修正した内容、動員の部分についてお伺いしたいと思います。

 わざわざ動員という二文字を加えることになった、なぜ質問変更したのかという点について、局長、お答えください。

高橋政府参考人 池田議員より、授業に参加した保護者の数に関して、二百人と書いてあるけれども、動員とかなかったんですかねといった趣旨のコメントがございました。このコメントをいただいて、そのような見方もあるのかということを気づいた上で、事実関係を多角的に確認する観点から追記をしたものでございます。

 先ほども申し上げましたが、池田議員からのコメントは修正を指示するようなものではなくて、あくまで文科省の主体的な判断で修正を行ったものでございます。

城井委員 一回目の調査の質問で内容を確認できたのではないでしょうか。なぜ再質問までしたんですか。

高橋政府参考人 二回目の再質問では、動員についての再質問ではありませんが、名古屋市教育委員会より、保護者が約三十人、住民が約百人、教育に関心のある方が約四十人、いわば大人が約二百名参加したという回答がありましたので、そういった幅広い参加があったことから、その周知について、より詳細な経緯を確認するために行ったものでございます。

城井委員 文部科学省は、学校や市の教育委員会がいわゆる動員をする力があるというふうに考えての質問だったんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 この調査はあくまでも本事案の客観的状況を確認するために行ったものでございまして、学校や教育委員会が動員する力があるかないかといった点について、文科省として特段の考えがあったわけではございません。

城井委員 客観状況の確認でしたら、まず一番最初に確認すべきことがあるというふうに思いますし、その確認すべき内容は何かということを申し上げますと、それは、そもそもが、調査に入る前に、名古屋市教育委員会に、講師の前川氏について事前了解をしているか、実際にしていたわけでありますけれども、この点について確認をすべきだというふうに思うわけですが、講師の前川氏について事前了解を名古屋市の教育委員会がしていたという点については確認をされましたか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 二月の十九日に、まず電話によりまして初中局から名古屋市教育委員会に対して、前川氏の講演の内容や対象学年、総合的な学習の時間の年間指導計画の位置づけ等について電話での確認を行っております。その際、名古屋市教育委員会において前次官が管下の中学校の授業において講演を行うことについて事前に把握していたかどうかについてもお尋ねし、名古屋市教育委員会からは、事前に把握していたとの回答をいただいております。

城井委員 その事前の把握は、市教育委員会が了解していたという認識でよろしいですか。

高橋政府参考人 そのように認識をしております。

城井委員 三月十九日の名古屋市長の会見での名古屋市長からの見解について、次にお伺いしたいと思います。

 特に、今回の調査に関して、国が教育への関与と捉えるかというふうに記者から問われました。この質問に対し名古屋市長は、はっきり価値判断を示しているし、圧力を超えているんじゃないの、一つの価値判断を示したことだと思う、そう受けとめますと答えております。四月二日の名古屋市長の記者会見でも、道徳にまつわる一定の価値観を示されたと思いますので、お上がと発言されております。きのう四月三日のぶら下がり記者会見では、思想統制につながっていくとの受けとめも市長から示されております。

 これらの一連の市長からの御発言を見ますと、受けとめる側が圧力を超えるともおっしゃっておりまして、これは大変重たい認識だというふうに思うんです。大臣、この点、いかがでしょうか。

林国務大臣 まず、一般論として、文部科学省が必要に応じて教育委員会等に対して問合せや事実関係の確認等を行うことは通常のことであるというふうに考えております。

 本件については、担当の初等中等教育局において、新聞報道の内容を確認した結果、調査の必要性があると判断して、事実関係を把握するために行ったものでございます。

 ただ、このような事実関係の確認を行うに当たっては、教育現場において誤解が生じないよう十分に留意すべきことは当然であって、そのような観点から、今回の書面についてはやや誤解を招きかねない面もあったと考えられるために、今回確認を行った担当の初等中等教育局に対しては、こういう事実確認を行う際には表現ぶり等について十分に留意する必要がある旨を注意したところでありまして、また、このことにつきましては、先日、長島委員からの御指摘も受けて、四月二日月曜日、名古屋教育委員会に対して、質問に対する回答の中で、私からこういう注意があったということも伝えさせていただいたところでございます。

 こうした今回の事案の経緯も踏まえて、今後、省内の報告、連絡、相談をより密なものとするとともに、教育現場等に対して、より一層丁寧な対応を行うように努めてまいりたいと思っております。

城井委員 今、大臣からもございましたけれども、文部科学省初中局長名で名古屋市教育委員会へお送りしたメールがあったということは、私も伺っております。

 その上で、三月三十日付で、メールにて名古屋市教育委員会から調査の趣旨を問う質問状が文部科学省に送られているということを名古屋市長が四月二日の記者会見で明らかにしております。その後、四月の二日に初中局長名でメールにて回答を送ったとの報道に接しております。

 この名古屋市教育委員会側からの質問と回答について、具体的にお示しください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、去る三月三十日に、名古屋市教育委員会教育長から初等中等教育局長に対してお問合せをいただいたものと承知しております。

 そのお問合せの具体的な内容は大きく二点でございますが、一つは、二月十六日に行われた前文部科学事務次官による授業について、二月十九日以降、数回にわたって問合せを行った意図は何であるのか、二点目は、文科省として、今回の授業についてどのような考えを持っているのか、こういった点でございました。

 このお問合せに対しまして、月曜日に、初等中等教育局長から名古屋市教育委員会教育長に対して文書にて回答を行いました。

 具体的には、今回の調査は、名古屋市立中学校で授業を行った前文部科学次官が、いわゆる天下り問題等にかかわって、単に監督責任だけでなく、本人自身の違法行為により停職相当とされた方であり、こうした背景も踏まえ、授業の狙いや内容、前文部科学事務次官を招いた理由や経緯など、今回の件が適切な教育的配慮のもとで行われたものであったか等について確認する必要があると考えて行ったものであること。

 それから、二点目としましては、名古屋市教育委員会を通じて確認できている情報によれば、今回の名古屋市立中学校で行われた総合的な学習の時間が何らかの法令に違反するというような事実は承知していないこと、一方で、今回、学校が外部講師として招いた前文部科学事務次官は、いわゆる天下り問題等にかかわって、単に監督責任だけでなく、本人自身の違法行為により停職相当とされた方であるという事実関係を十分に調べることなく学校の授業の講師として招いたことについては、必ずしも適切であったとは言えず、もう少し慎重な検討が必要でなかったかと考えていること、こういった内容について回答いたしたものでございます。

 また、今回の調査は法令に基づき行ったものですが、その書面についてはやや誤解を招きかねない面もあったとして、文部科学大臣から初等中等教育局長に対し、このような事実確認を行う際には表現ぶり等について十分に留意する必要がある旨の注意があったことについても、あわせてお知らせをしております。

 回答においても触れているところでございますが、今後、文科省としては、今回の事案を踏まえ、教育現場に対し、より一層丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。

城井委員 大臣、名古屋市長がたびたび記者会見での発言でおっしゃっておりますが、今回の件はやり過ぎだったということを言っていただけると期待しているというふうな発言がありました。やり過ぎた部分があったということをこの場でお認めいただけないでしょうか。

林国務大臣 重ね重ねの答弁になってしまうかもしれませんが、調査自体は法令に基づいてやったことであったということは再々申し上げてきたとおりでございますが、表現ぶりについてはやや誤解を招きかねない部分があったという注意をしたということは、この間答弁申し上げたとおりでございますし、城井先生からこの間確認をいただいて、あらかじめそういうことがないということが確認できた場合はこういう調査は当然行わないということも確認をさせていただいたところでございまして、長島委員からの御指摘も受けて、この注意をした部分については、名古屋市教育委員会にも御回答の中で触れさせていただいたところでございます。

城井委員 その点はぜひ丁寧な対応をお願いしたいというふうに思いますけれども、実際に、各地域の教育委員会が名古屋市教育委員会と同様の疑問や懸念を持っている部分が出てきているのではないか。うちの地域ならどうか、うちの学校ならどうするかということを、この新学期の準備に向けても今進んでいる。

 そのことを懸念して、先ほど大臣からもお触れをいただきましたけれども、三月三十日の質疑で私から、学校現場への基本姿勢と、そして外部講師の選定についての今後の方針を確認させていただきました。この確認をさせていただいた内容について全国の各教育委員会に周知をすべきだというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 「教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。」とされておりまして、地方の自主性と現場の創意工夫を前提としつつ、適切な役割分担が重要であるというふうに考えております。

 その上で、今後は、外部講師の選任に当たって、授業の狙いや内容、講師を招く理由や経歴などについて学校や教育委員会において十分に検討され、適切な配慮がなされており、文部科学省においてもその確認がとれているという場合には、今回のような文書で問合せをすることはしないという方向で対応してまいりたいと考えております。

 こうした考え方は、文科省が行う教育委員会や学校現場とのかかわりについての従来からの基本的な考え方でございまして、文書等の形で改めて周知するということまでは考えておりませんが、文科省としても、今後とも、機会があれば、またそういうお問合せがあれば、このことをしっかりとお伝えすることを含めて、教育委員会や学校現場に対して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

城井委員 基本姿勢を貫いていただくということで、その点はぜひ徹底をいただきたいというふうに思いますが、今回のこの一連の問題の核心の一つは、適法であっても教育の不当な支配に踏み込み得るという実例の一つだという、この部分が大変重たい部分だというふうに考えております。この点を重々心得ていただきながら当たっていただきたいというふうに思います。

 続いて、文部科学省の元次官、その経験者について、幾つかお伺いをというふうに思います。

 まず、前川氏についてであります。

 教育現場での言動を今回以外でも文部科学省としてチェックをしていたのかどうか、教えてください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の名古屋市立中学校の件につきましては、新聞報道を契機として私どもがその情報を知り、必要な調査を行ったものでございます。

 初中局といたしましては、前川氏が本件以外で公立小中学校等において授業を行ったという情報は承知しておりませんので、名古屋市教育委員会に対する本件調査以外で前川氏に関して調査を行っているということはございません。

城井委員 ないということで確認をさせていただきました。

 それではということでありますが、前川氏以外にも、歴代の、例えば事務次官の方、おられるわけでして、文部科学省ということになりますが、その元幹部の教育現場での言動を逐一チェックしているのか。

 ここでは、例えばということで、歴代の事務次官、ここ最近五人ということに絞ってということでお伺いしたいと思いますが、この教育現場での言動を調査しているんでしょうか。

高橋政府参考人 今回の事案は、前文部科学事務次官という文科行政の事務方の最高責任者であり、いわゆる天下り問題にかかわって、単に監督責任だけでなく、本人自身の違法行為により停職相当とされた者が公立の中学校で授業をしたという事案であることから、事実関係を確認したものでございます。

 直近、歴代の、前川前次官も含めた五人の次官について、停職相当とされて、なおかつ公立の中学校で授業をしたという事案については、私ども承知しておりません。

 したがいまして、歴代次官についても調査をしているという事実もございません。

城井委員 そこがちょっとひっかかるんですよね。ダブルスタンダードではないかというふうに考えるんです。

 少し具体的に申し上げたいと思います。

 先ほど、山花委員さんの質問のときに、天下りの事件のとき停職相当になった元次官が三名、清水さん、山中さん、前川さん、こういうお話でありました。

 では、この清水さんと山中さんが、例えば、教育現場やその内容に影響力があるような立場にいるなら、そういうかかわりがあるならば、そこは調査対象に入るという認識になってしまうんではないかというふうに思うんですが、この清水元次官と山中元次官は、教育現場にかかわりがある部署に今役職等でおられますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 清水次官については、現在そのような役職についていることは承知をしておりません。

 それから、山中元次官につきましては、参議院の方での審議の中で、広島県の教育政策全体に対する助言を職務とする特別参与についているというような御指摘がありまして、確認したところ、現在、広島県の特別参与ということを確認させていただいております。

城井委員 今、山中元次官についてお話がありましたが、その広島県の特別参与というのは、教育現場に対して影響がある立場ではありませんか。

高橋政府参考人 山中氏は、繰り返しになりますが、広島県の特別参与として、広島県の教育政策全般に対する助言が職務であるということでございますので、教育にかかわっておられるということと承知をしております。

城井委員 教育現場への影響力があるという形でよろしいですね、今のお話は。助言をするという立場にあるということでよろしいですね。

高橋政府参考人 広島県からは、広島県の教育政策全般に対する助言が職務であるということを伺っております。

城井委員 それでは、清水元次官について伺いたいと思いますが、これまでに清水元次官が、退官後ということになりますけれども、例えば、明治大学研究・知財戦略機構特任教授でありますとか、早稲田大学教職研究科客員教授でありますとか、京都工芸繊維大学顧問でありますとかということで、教育現場にかかわりがある役職を経ておられますけれども、この点は認識されておりますか。

高橋政府参考人 もう退官された方の個人情報にかかわることでございますし、直接、初等中等教育局の所管ではございませんので、大変恐縮でございますが、答弁は控えさせていただければと思います。

城井委員 今私が申し上げた立場は、教育現場に影響を与え得る立場という認識でよろしいでしょうか。

高橋政府参考人 仮に、大学の教官であられたということと仮定すれば、それは、教育現場におられますので何らかの影響はあると思いますが、ただ、中学校と大学において大きく違うのは、中学校においてはまだ発達の途上の段階にある児童生徒を対象にしているところが大学とは違うのではないかと私どもとしては考えているところでございます。

城井委員 大学で一人前になっていればいいんですけれども、そこは成長の途上だという考え方は十分にあると思いますよ。

 大臣、今の元次官の取扱いのダブルスタンダードはやはり違うというふうに思うんですが、この点、大臣、いかがお考えですか。

林国務大臣 今局長から答弁がございましたように、今回の件につきましては、みずからの違法行為もあって処分をされておられて前事務次官であったという方が、中学の公立の義務教育だったということでございますので、それは、この方にとどまらずに、同じようなことがあって、そして同じような端緒があって、事実を知り得るようになったということであれば、この方だからということでなく、一般的に言ってそういうことは当然あり得るということで、一般論としてはそういうふうに考えておりますので、特に何かダブルスタンダードを用いたということではないというふうに認識をしております。

城井委員 ダブルスタンダードになってしまっているのが事実なので、困るなというふうに思って、この質問をしているわけであります。

 先ほど山花委員さんからも御質問にありましたけれども、佐藤優氏の例もそのことに当たると思っています。影響力がある点からいえば、例えば、ロシア外交に独自の人脈があり、そして知見もある元外務省分析官で文筆家の佐藤優さん、教育現場で講演などに立つことがあるということでしたけれども、この佐藤優氏について調査をしたことがあるか、そして、今後調査をするのかという点についてお答えください。

高橋政府参考人 御指摘の佐藤氏については、前川氏とは背景や立場が異なり、また、佐藤氏が小中学校で授業を行ったという事例も、現時点においては私どもは把握をしておりません。

 仮に明らかになった場合については、調査実施の可能性は一概には申し上げられませんが、一般的には、授業の狙いや内容等の兼ね合いでその必要性を判断することになると考えております。

城井委員 違法行為の有無で、先ほどの調査をするかしないかというところにダブルスタンダードが生じてしまっているというのは、やはりおかしいというふうに思うんですね。

 この違法行為のあった人の教育現場での取扱いについて、大臣、もう一回お話ししていただけませんか。

林国務大臣 必ずしも、違法行為があった方は授業をしてはいけない、こういうことではないということは申し上げておきたいというふうに思います。例えば、そういう経験があっても、その経験を生かして、その経験から自分はどういうふうに更生したかというようなお話を聞くというのは意味のあることだと、一般論でございますが。

 したがって、そういうことではなくて、今回は、先ほど来局長が説明しているような幾つかの要素を考えて、最終的には初中局で判断したということだと思っております。

城井委員 教育現場での創意工夫に萎縮をさせるようなことがないように、運用をぜひお願いしたいというふうに思います。

 最近も、テレビ番組でも、「しくじり先生」という人気番組がありまして、私はあれを見ながらみずからを振り返ることが多いわけでありますが、そうした機会が各学校現場でもつくられていくという部分になるのではないかというふうに考えますので、ぜひそういった御認識をいただきたいというふうに思います。

 では、最後に、今回の調査の法的根拠についてお伺いいたしたいというふうに思います。

 先ほど、謝金や動員についての指摘を申し上げました。これは調査内容としては違うのではないかというふうな趣旨で申し上げたわけでありますが、これを法律に照らしてみた場合に、素直に法律を読むならば、こうなるのではないか。法に照らすと、謝金や動員に関して、指導、助言、援助を行う前提として市教育委員会に必要な調査を文部科学省が行ったということになってしまいます。教育内容の確認のはずだったわけですが、目標が違うんじゃないか。そもそもが、調査対象とすべきこの部分が内容なのかどうか。実際には、不正や不公正もなかったわけであります。

 教育内容とはおよそ関係のない、謝金や動員という個人的な金銭への執着や、参加者数へのいわば邪推に近いもので調査を行うのが教育基本法や地教行法の趣旨にかなうのかということ、この点は大変懸念をいたしております。大臣、この点についての御見解をお述べいただきたいと思います。

林国務大臣 それぞれの部分については、今質疑の中でお聞きいただいて、局長から答弁をしたところでございまして、今回の事実を確認するという意味では、四十八条、五十三条に基づいて行われた正当な調査であるというふうに認識をしております。

城井委員 教育への不当な支配を恐れ、そしてその介入を許さないようにしていこうという戦後の努力は、それまでの経緯があったからこそ、慎重に慎重に、歴代の文部科学省の政務三役や職員の皆様が取り組んでこられたはずであります。今後の運用についても、基本姿勢を貫いて、厳に慎重にということでお願いしたいというふうに思います。

 質問時間が終わりましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 三月三十日の当委員会で、名古屋市立中学校の総合的な学習の時間の授業で行われた前川喜平前文部科学省事務次官の講演内容に関し文部科学省が行った調査は、憲法と教育基本法が禁じている国家権力による教育への不当な介入である、二度と繰り返してはならないと私はただしました。

 きょうは、文科省と名古屋市教育委員会の間で行われたメールのやりとりについて質問いたします。

 前回の委員会で、地教行法第五十三条に基づく調査の過去の事例は三例のみだということを確認いたしましたが、このうち、メールのやりとりが残されているものはありますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの三件の事例のうち、現時点でメールのやりとりが確認できているものは二件でございます。

 まず、一件目でございますが、これは高校の特別活動の授業で使用した教材の内容に偏りがある旨の報道機関からの情報提供を受け、教材の内容等について確認した事例でございまして、初等中等教育局から教育委員会に対して電話にて事実確認の問合せを行い、教育委員会から資料の提供をメールで受けまして、そのメールが残っております。

 また、二点目でございますが、中学校の理科の実験中に複数の生徒が体調不良を訴えて病院に搬送された旨の報道を受け、授業の内容や生徒の状況、学校の対応について確認をした事例がございます。これにつきましては、授業の内容、生徒の状況や学校の対応等について確認するため、初等中等教育局から教育委員会に対して電話とメールにて問合せを行い、教育委員会からメールで情報提供を受けておりますので、双方のメールのやりとりが残っているものでございます。

畑野委員 文科省がメールで送ったというものはこの理科の件だということで、きょうは資料のところに、一枚目、二枚目、三枚目とつけさせていただきました。文科省からいただきました。

 中学理科の実験中に、生徒二十一人が体調不良を訴えて病院に搬送された事例です。国は、報道を受けて調査を行いました。メールのやりとり全文。そこには、メールの日時、二〇一七年五月二日午後一時半前後、その日午後四時から、この件で市教委の記者会見が行われるという状況でした。一枚目の下の方にあるのが文科省のものです。二枚目は、市教委の最初の、添付ファイルのとおり送付しますということへの質問で、文科省から送られております。

 一枚目の下のところ、第一回目の文科省のメールです。ありがとうございます、大事には至らずよかったですと大変共感的です。そして、質問は二つだけ。今回いただいたものは、報道資料の案内資料という位置づけでしょうか、もう一つは、十六時の記者会見用の資料もできましたら共有をいただければ幸いですと、今後の情報共有のお願いです。

 一枚目の上の資料は、これは、誤字がございました、失礼いたしましたということで書き直したものですので、具体的には一回の質問のメールを送っているということです。

 大変共感的でシンプル、そして何より、生徒が病院に搬送されたという内容上の説得力があります。こういうメールだったら、皆さん誰もおかしいと言わないと思うんです。

 一方、今回の、三月一日、六日の二度にわたる文科省から名古屋市教委に対するメール、これについて林芳正大臣は、メールの文面がやや誤解を招きかねない面もあった、事実確認を行う際には表現ぶり等について十分に留意する必要があると注意をされたというんですが、この反省には、今回、質問項目が三十項目にも及び、内容も執拗な様態だったということを含んでおられますか。

林国務大臣 私が、メールの文面がやや誤解を招きかねない面もあった、事実確認を行う際には表現ぶり等に十分に留意する必要がある、こういうふうに申し上げておりますが、これは、二度にわたる書面全般についての印象でございまして、このような事実確認を行う際には、文科省からの圧力であるかのような誤解が生じないように、やはり表現ぶり等について十分に留意する必要がある旨を注意したところでございます。

 質問の、事実確認をしようとする、どこを確認するかとか、項目数について誤解を招きかねない要因となっているということではなくて、表現ぶり等のところでそういうことがあったというふうに注意をしたところでございます。

畑野委員 林大臣、もう少し反省されたらいかがですか。世間は、立て続けに三十項目ですよ、その執拗さにあきれているんです。

 市教委が、生徒や保護者はポジティブな反応だったと答えても、文科省は、ポジティブな反応は全くなかったと理解してよろしいでしょうか、御教示くださいと再質問しているんです。学校への無理難題の研究で知られている小野田正利大阪大学教授は、研究の知見から文科省の質問を、何とかしてエラーを探し出そうとする悪質クレーマーそっくりとしか思えないと書かれておられます。こういう批判に謙虚に耳を傾けた方がいいんじゃないですか。組織防衛はいいかげんにやめたらいかがですか。

林国務大臣 先ほど御答弁をしたとおり、例えばここにお示しをいただいている、四ページでございましょうか、この中でも、出会い系のバーのくだりがございます。

 これは報道によるものでございまして、前次官が処分を受けたということは文科省として確定をした事実としていることでございますが、このあたりのくだりは、やはり、報道などにより公になっていますというのは、ここまで詳細に言う必要があるのかなというような印象を受けましたので、そういうところの表現ぶりは注意すべきであったということでございます。

 それぞれの事実確認については、先ほど城井先生のときにもそれぞれの項目についてやりとりをさせていただきましたが、そういう項目を確認するということは必要であったというふうに考えております。

畑野委員 林大臣も、当初、言うのもためらわれるような言葉だと出会い系バーのことをおっしゃいましたね。私もそうですよ。何でこの委員会でこういう言葉を使わなくちゃいけないのか。でも、言い出したのは文部科学省ですから、これは問題にせざるを得ないわけです。

 出会い系バーの件について、子供の貧困の実態を、データでなく、その現実を知りたかったからだという報道もあったんです。前川氏御本人もそう述べられています。林大臣が注意したこの部分は、確認できていない一方的な報道に基づいた、個人についての正当性を欠く説明や評価と思うんです。

 正当を欠いていますか。イエスかノーかで、林大臣、お答えください。

林国務大臣 私も、その件に関する報道を全部つぶさに読んでおるわけでもございませんので、いろいろな見方をされておられたということでございます。私はその場に一緒に同席していたわけでもないので、本当のことというのはなかなか自分としてつかみ切れていないということかもしれません。

 したがって、書きぶりとしては、報道によってと詳細に書かずに書いても十分意は通じたのではないかなというふうに、そういう印象を受けましたので、そういうところについて、表現ぶり等について注意をするべきだ、こういうふうに注意をしたところでございます。

畑野委員 大臣が注意されたということで、正当な説明とは言えなかったということです。

 出会い系バーで何かいかがわしいことをしたのかと、子供の貧困を調べるためだったのかというのでは、天地の違いがあるわけですよね。あなた方は、行政行為の中で、確認できない一方的な報道に基づいて個人を誹謗中傷したんですよ。その重大さがわかっているのかということです。

 一般論として伺いますが、事実も確認せずに、一方的な報道に基づいて特定の人物を説明するということを行政はしていいんですか。大臣、いかがですか。

林国務大臣 これは初中局から報告を受けたところで、出会い系バーについての記述について、平成二十九年の五月二十二日の読売新聞や週刊誌における関係記事を参考にしたということでございます。

 二回目の追加質問については、一回目の質問に対して、バー云々については良心的な目的であったことが報道されていますという回答があったので、いわゆるこのバーに関する報道においては、教育行政のトップとして不適切な行動であることなどの報道、これは読売新聞でございますが、こういう見方も、先ほど申し上げたように、いろいろな見方がございましたので、一般にこれを不適切と考える向きも一部にあることが考えられることから、こうした状況について校長が御認識をされていたかという事実を確認するために質問状に記載した、こういうふうに聞いておるところでございますが、そうはいっても、この報道ぶりについて、もう少し留意をする必要があったのではないかという注意を私からしたところでございます。

畑野委員 今、大臣が御答弁されたように、一方的な一部の報道のみ聞いたということですよ。

 初中局長は、三月二十三日の参議院の答弁で、事実を文科省として確認できていない報道に基づいたことであったということで注意を受けとめていると答弁されました。三月三十日の当委員会で大臣は、名古屋市教育委員会には、これだけ国会で取り上げていただいておりますので、伝わっているとは思いますが、改めて、注意があったということを事務方からしっかりと伝えさせたいと長島議員に答弁されました。

 しかし、三月三十日に名古屋市教育委員会から文部科学省へ送られた質問状に対する文科省の回答には、この件については具体的に入っておりません。おかしいじゃありませんか。

高橋政府参考人 先ほど申し上げましたように、三月三十日に名古屋市から問合せのメールをいただきまして、そして四月二日に回答いたしておりますが、その中に、長島議員からも指摘があり、大臣が答弁したように、私が大臣から注意を受けた件については、その回答の中にあわせて付記したところでございます。

畑野委員 こんなことできちんと伝わりませんよ。私も四月二日の文科省の回答を読みましたけれども、このような事実確認を行う際には表現ぶり等について十分に留意する必要がある旨の注意がありましたと。本当にぼやかして書いている。不誠実じゃありませんか。

 文科省は、事実を確認できていない報道を根拠に、やってはいけない説明を市教委にやったということです、評価をしたということです。行政が個人に対してこのような、誹謗中傷という声も先ほど同僚議員から飛びましたが、本当にそうですよ、誹謗中傷となるような不適切なことを行った。

 名古屋市教委に伝えたのは、この部分はまずい部分だったと前川氏に謝罪すべきじゃないですか。最低でも、市教委に、そういうふうに注意を受けたということを伝えるべきではありませんか。大臣、いかがですか。

林国務大臣 先ほど御答弁したように、この件につきましてはいろいろな報道があったわけでございますので、どちらかが合っていてどちらかが間違っているということではなくて、一般に、一部にこれを不適切と考える向きもある、こういうことだということであろうというふうに思いますので、こういう状況になっているということについて認識をしておられたかという事実を確認した、こういうことだというふうに考えております。

畑野委員 しかし、そのことを注意したわけですよね。だから、大臣としてはそういうふうに、局長も答弁されましたけれども、事実によらないというふうに言っているわけですから、そういう言い逃れは許されません。

 私は、個人に対する名誉毀損になるような間違った説明をしても、注意をしたという事実すら伝えられないのかということを聞いているんですが、いかがですか。

高橋政府参考人 まず、四月二日に文科省初中局長から名古屋市の教育長にお返しした回答の中に、次のような記述をいたしております。

 なお、今回の調査は法令に基づき行ったものでありますが、その書面についてはやや誤解を招きかねない面もあったとして、文部科学大臣から、私、初等中等局長に対し、このような事実確認を行う際には表現ぶり等について十分に留意する必要がある旨の注意がありました、文部科学省としては、今回の事案を踏まえ、教育現場に対し、より一層丁寧な対応に努めてまいる所存です、このような文面をお送りしております。

畑野委員 等という言葉でごまかしちゃいけないということを言っているんです、局長の名古屋市の回答メールについては。

 私、もう一つ言っているのは、誹謗中傷というふうにされた前川氏についても、私は謝罪すべきだと思います。一方的な報道、事実に基づかないそうした説明をして回答を求めたということですが、少なくとも名古屋市教委に、そういうふうに注意をされたということを伝えたんだったら、前川氏に対してもそのことをちゃんと伝えるべきじゃありませんか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の私どものやりとりは、前川前次官と直接しているものではございません。名古屋市の教育委員会と行っているものでございますので、名古屋市の教育委員会に対しては、先ほど申し上げたような文面でお伝えしたところでございます。

 なお、私は、大臣から注意を受けたということは、これは真摯に受けとめまして、今後、教育現場に対する丁寧な対応に努めてまいる所存でございます。

畑野委員 こういう、個人の人権に関する問題ですよ、個人の尊厳にかかわる問題ですよ。そういうことを書かれた人はどういう思いをするか、そのことをまた次に質問しますから、きょうは時間がありませんが。

 次に行きます。

 先ほど林大臣が御紹介いただきました、資料の四枚目、文科省の一回目のメール、質問三と四を載せさせていただいております。質問三の後半、「こうした背景がある同氏について、」から始まる部分について伺います。

 この部分は日本語としてちょっと成っていない面があるので確認したいんですけれども、この部分というのは、前半のような背景がある前川氏を、道徳教育が行われる学校の場に、授業に、どのような判断で講師になってほしいと依頼したのかということを聞いているのでよろしいですね。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 出会い系バーのくだりにつきましては大臣から注意を受けたということは先ほど申し上げたところでございますが、この時点においては、こういった前半五行の背景がある同氏について、いわば、これは市民講座とか社会教育とかではなくて、まさに中学校という義務教育の場に呼ばれた理由についてお聞きしている、そういうものでございます。

畑野委員 つまり、背景のある前川氏が学校で講師をするということをはなから問題視しているということですね。

高橋政府参考人 文科省として、前川次官が学校で授業をすべきでないというような立場に立つものではありません。

 ただ、こういった背景がある方について、どういった教育的配慮が行われたか等を確認する一環として、今回こういった質問をさせていただいたものでございます。

畑野委員 そういうのを、はなから問題視しているというんです。

 処分歴のない人ならチェックを入れなかったでしょう。処分歴があるからチェックを入れた、処分歴があるから相当の教育的配慮が必要だと、まさに問題にしているじゃありませんか。この認識が価値観に踏み込んでいるんです。

 前川氏を講師に呼ぶことは、賛成の人もいるし、反対の人もいるでしょう。特別に問題がないという人もいるし、今回の質問騒動を引き起こした人のように、特別な教育配慮が必要だという人もいるでしょう。これは価値判断の問題で、行政が一方の立場に立って指導していいんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 前川前次官につきましては、文部科学事務次官という教育行政の事務方の最高責任者の立場にいた方でございます。その方が、国家公務員の天下り問題によって、監督責任のみならず、御自身が関与されたということで、停職相当と極めて重い処分を受けた方である、そういう方を義務教育の現場に呼ぶに当たってどのような教育的配慮が行われているかということを問い合わせることについては、私どもとしては、それが必要だということで行ったものでございます。

畑野委員 そういう一方の価値判断を行政がしていいんですかと聞いているのに、まともに答えなかったです。

 前回の委員会で平野議員は、前川氏のことを気骨のある男だと述べられました。また、文部科学大臣経験者の馳議員はブログで、前川さんについては、天下り関与行為で停職扱いとなり、不名誉な辞職をしたことは事実だが、だからといって公教育の現場で講師をしてはならないわけではない、むしろ、失敗をし、社会的制裁を受けた人の体験談は、主体的な学ぶ力、考える力を中学生が培うには意味のある教材ではないのかと前向きに評価をされています。

 前川氏が学校で講師をすることを禁ずる法律は、法規は何もない。後ろ向きの評価も前向きな評価もあり得る話です。そのときに、行政が一方の価値判断に立って問題視することは、教育の、行政の中立性を侵すものじゃありませんか、大臣。

林国務大臣 重々御答弁しておりますように、何らかの価値判断をしたということはございませんで、そういう、先ほど来局長から答弁しておりますような案件でございますから、事実の確認をする必要があっただろう、四十八条に基づく五十三条で。事実を確認いたしませんと、どういうことがあったかというのはわかりませんので、事実の確認をさせていただいたということで、その事実の確認に当たって何らかの価値判断をしたということはないというふうに考えております。

畑野委員 そもそも、だから、そういう質問をすること自身が、中立性、これを侵すものだと私は思いますよ。

 林大臣に伺いたいんですが、前川氏を講師にするのは大変適切で、意味がある、こういう価値判断をする自由、これは、多様性が保障されるべき民主主義の社会において当然じゃありませんか。大臣は、馳議員のような考え方をとるのは適切ではなく、国として、批判や指導の対象になるということはないですよね。

林国務大臣 繰り返しになりますが、価値判断をしておるわけではございません、事実確認をしたということでございますので、この件に限らずいろいろな件について、それぞれの方々がいろいろな価値判断をしたり見解を持つというのは当然のことだというふうに思っております。

畑野委員 事実確認をすること自身が、一方の価値判断を押しつけていくということになるんだということですよ。

 文科省が言うとおりの、前川氏は講師に適切でないという価値判断を押しつけた、ここに今回の不当な介入の誤りの根本があるということを私は指摘しておきたいと思います。

 最後に、政治家との関係について伺います。

 文科省は、二月十七日以降、赤池誠章参議院議員、池田佳隆衆議院議員と複数回にわたりやりとりをしております。こうしたやりとりは記録に残していないと言ってまいりました。

 お手元に配付をいたしました国家公務員制度改革基本法第五条第三項一号では、「職員が国会議員と接触した場合における当該接触に関する記録の作成、保存その他の管理をし、及びその情報を適切に公開するために必要な措置を講ずるものとすること。この場合において、当該接触が個別の事務又は事業の決定又は執行に係るものであるときは、当該接触に関する記録の適正な管理及びその情報の公開の徹底に特に留意するものとすること。」と規定しています。

 赤池、池田両議員の関与は、この「職員が国会議員と接触した場合」という法規定に当たりますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員制度改革基本法第五条第三項第一号においては、いわゆる口ききと言われるような政の官に対する圧力等を排除する趣旨で、事務をいたずらに膨大化させないことにも留意しつつ、職員が国会議員と接触した場合の記録の作成、保存などについて必要な措置を講ずることとされていると理解をしております。

 この趣旨を踏まえ、具体的な措置としては、平成二十四年に、「政・官の在り方」について閣僚懇談会で申合せが行われ、これにのっとり対応をしているところでございます。

 今回の両議員の関与については、「政・官の在り方」対応方針の一で示されているような、「国会議員又はその秘書から、個別の行政執行に関する要請、働きかけであって、政府の方針と著しく異なる等のため、施策の推進における公正中立性が確保されないおそれがあり、対応が極めて困難なもの」、こういったものには当たらないものと考えております。

畑野委員 申合せは守るが法律は守らないというのはだめですよ。

 もう一つ聞きます。

 地教行法第五十三条に基づく調査は、この国家公務員制度改革基本法第五条第三項一にある「個別の事務又は事業の決定又は執行に係るもの」に当たりますか。

高橋政府参考人 先ほども御答弁させていただきましたが、国家公務員制度改革基本法を踏まえて、具体的な措置としては、平成二十四年に、「政・官の在り方」について閣僚懇談会で申合せが行われ、具体的には、これにのっとりこの問題に対応をしているところでございます。

 今お尋ねの、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十三条に基づく文科省の今回の調査に対する両議員の関与については、この「政・官の在り方」の対応方針には当たらないものと考えております。

畑野委員 一般論として、この法律の解釈は当たるんですか。

高橋政府参考人 大変恐縮でございますが、私はこの法律を直接所管している担当局長ではありませんので、正確な法律の解釈については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

畑野委員 では、またこのことは続きで質問を行っていきたいというふうに思いますが、時間が参りました。

 地方教育行政法第五十三条の調査という、個別の事務ですよ、国会議員の関与が認められているのに記録を残さないということがあってはならないというふうに思います。法令の義務ですよ。これをやらなければ明らかな法令違反になるわけです。私は、この記録の提出を国会に出すように求めます。残されているはずですよ。

 そして、委員長、赤池誠章参議院議員、池田佳隆衆議院議員にも、資料が出てこないわけですから、この委員会で御説明をいただくように求めたいと思います。

冨岡委員長 理事会にて諮らせていただきます。

畑野委員 まだまだこの問題は質問を続けなくてはなりません。私は、また時間をとっていただいてこの質問をさせていただくということを申し上げまして、質問を終わります。

冨岡委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 教育行政に関しましても、国会のやりとりに関しましても、国民に不信を抱かせてはいけない、信頼を受けていかなければいけないという気持ちでございます。そういう立場から質問をさせていただこうと思うんですが、率直に申し上げまして、今回の調査というのは、調査という名前として行われたという点では、やはり到底納得が国民としてもできないのではないかということはあったと思います。

 まず一つ目として、今回の処分歴に関して調査が行われた、あるいは調査内容が長くなったということは間違いないことなんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 この授業を行った前次官は、いわゆる天下り問題等にかかわって、単に監督責任だけでなく、本人自身の違法行為により停職相当とされた方であり、このような事例について、初中局においても、こうした背景も踏まえて、授業の狙いや内容、前次官を招いた理由や経緯など、今回の件が適切な教育的配慮のもと行われたものであったかについて確認しようと考えて、問合せを行ったものでございます。

串田委員 天下りということが問題になるということは間違いないわけでありますが、これはあくまで人事のことでありまして、教育とどう関係があるのかというのはかなり遠いことなのではないか。

 そういう意味では、処分をされたということで、例えば駐車違反などの道路交通法違反を犯した講師も問題になるでしょうか。

高橋政府参考人 今回の天下り問題でございますけれども、昨年、大変大きな社会的な問題にもなったものでございまして、教育行政に対する信頼を損なわせたようなこともございます。

 そういった中で、停職相当というのは私ども国家公務員法の処分としては極めて重いものであると認識しておりますので、そういった観点から今回は調査を行ったものでございます。

串田委員 そういう観点から調査をするということになると、これから講師になられる方はそういうことの自己申告欄というものを記載しなければいけないんでしょうか、あるいは、教育委員会が講師を依頼するときには、その講師に対してこれまでのそういう違反行為というものをチェックする、あるいは検索する、調べるというようなことが行われていくんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど少し答弁が不十分でございましたが、直近まで文部科学行政の事務方の最高責任者でいたということは、その発言が教育行政に関して正当な根拠があると受けとめられる特別な立場にあり、その影響力が極めて大きい、仮にその発言内容が学習指導要領等と整合しない場合であっても、法令や学習指導要領の正しい解釈として受けとめられる可能性が極めて高い、こういったことがございますので、今回はこういった調査をさせていただいたということでございます。

串田委員 発言に影響力があるということであれば、どこかの講演を依頼されるということは、やはりそれなりに社会で活躍をされたということでありますので、大体、誰もが発言に影響力があるんだと思うんですよ。

 そういう意味では、どういうメルクマールでそれを、問題になる発言力があるかどうかというのはどういう尺度で考えていけばいいんでしょうか。

高橋政府参考人 社会において発言力のある方はあまたいらっしゃると思いますが、前事務次官の件につきましては、文科行政の事務方の最高責任者、いわば教育行政に関して極めて重い、発言の重みを持つポジションにいた、そういうような方であったということに今回は留意をして問合せを行ったということでございます。

串田委員 今の処分の程度とか発言力というのも極めて恣意的で、何の基準もない。その中で、誰かがそれを判断するという点では、この人はそういう意味でチェックをしなきゃいけない人、この人はそうでない人というのは、これからますます将来的には混乱を来すのではないかなと思います。

 そういう意味では、今回の調査というのは、やはりこれは調査方法としては間違いであったということを素直に認めていただいて、これからの四十八条、五十三条を正確に適用していただきたい、そういうふうに思っているんですが、大臣、そのことに関して所感をお伺いします。

林国務大臣 四十八条、五十三条は必要な条文であり、この仕組みに基づいて行政が適切に行われることは必要だ、こういうふうに思っております。

 るるここで御答弁を申し上げたところでございますが、当然のことながら、法律に基づき権限を行使する場合に当たっては、圧力を与えたというような誤解を招かないようにするということ、これは別にこの条文にかかわらず当然の原則であろうというふうに思っておりますので、そういう旨の注意をいたしましたし、その注意を受けてしっかりと事に当たるということは、局長からもここでお答えをしているとおりでございます。

串田委員 一方、今回のそういう問合せというものがどのようないきさつで行われていたのかということがほとんど報道されていないのではないかと私は思いますので、こういう点も、一方的なことではなく、今回は、この委員会においても、私としては私の立場でお示しをしていきたいなと思っているわけでございます。

 教育基本法の第十六条で、「教育は、不当な支配に服することなく、」ということなんですが、この不当な支配というのはどういうことなんでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 教育基本法第十六条第一項に規定をいたします不当な支配とは、国民全体の意思を代表するものとは言えない一部の社会的勢力が党派的な力として教育に不当に介入してくることをいう、法律の趣旨にのっとり、その定めるところにより適正に行われる教育行政機関等の行為は不当な支配とはならないというふうに解釈されてございます。

串田委員 例えば、教育現場に対する調査というのが今回のこの不当な支配というものに該当するということがあってはならないということでありますけれども、その教育現場で行われている教育もまた不当な支配と危惧されるという場面があることは否定できないと思うんです。

 そういう意味で、今回の名古屋市の公立学校についてのチラシ等を示していきたいと思うんですが、これが現実に配布されているチラシであります。ここに書いてありますのは、「これからの日本を創るみなさんへのエール」ということで、「誰もが安心して生きていける学校・地域・社会をつくるために」。一番下の方には、「自分らしく生きるとは? 自分らしく学ぶとは? これからの社会をみんなで創っていく上で大切なこと」というふうに書かれております。真ん中あたりに、「記者会見で「行政がゆがめられた」と発言し注目を浴びる。」というプロフィールとして書かれているわけであります。

 ところで、この二カ月前、ほぼ二カ月前の十二月十三日に、これはある市民団体でしょう、場所は京都大学ですが、ここで行われているチラシを次に示します。ここには、「これからの日本、これからの教育」というふうに書かれております。発言内容は前のものと比べますとかなり多くはありますけれども、こういう発言が行われたということと、タイトルとしては「これからの日本、これからの教育」ということで、今回の講演内容のタイトルとかなり近いのかな、そんなふうに思っております。

 パネルはございませんが、今度の四月二十八日に行われる講演、これからだと思いますけれども、「歪められる「道徳教育」」というタイトルで、ここには、文部行政が安倍政権によってどれだけゆがめられてきたかを語っていただくというような内容の講演であります。この、文部行政がどれだけゆがめられたかの前に「安倍政権によって」というのは、今回のチラシにはありませんけれども、「「行政がゆがめられた」と発言し注目を浴びる。」という点では、似たようなことが記載されているのかな。

 この十二月十三日の市民団体の講演でどのような発言というか講演が行われていたのかということですが、私、つぶさに調査をしたわけではなくて、前川喜平、スペースをあけて講演とユーチューブで検索すると、一番最初に出てきたのがこの十二月十三日の講演でありまして、時間は四分であります。それ以外にもたくさんの講演があるんですけれども、一番最初に出てきたので、そこの一部を抜粋させていただきました。

 文字起こしをしたのはうちの事務所の秘書にやってもらったわけで、何度も何度も、間違いをしちゃいけないと思って確認をしておりますので、ほぼ間違いはないと思いますし、どこか削除しているというような、このフレーズに関してはないつもりであります。それでも何かてにをはが間違っているとすれば、それは故意ではございませんので御容赦をいただきたいと思いますし、現実にユーチューブで検索をしていただければ最初に出てくる内容でございます。

 ここには、国を愛する心が大事だと確かに学習指導要領にも教科書にも書いてあるが、それを批判的に取り上げて、それを逆手にとって、国って何だ、国を愛するってどういうことなんだ、国を愛する心って本当に必要なのか、こういう批判的な取り上げ方もぜひ学校でやっていただきたい云々の中で、文部科学省の言いなりになる先生は本当に困る、危ない、自分で考えたら、君が代を歌わなくていいんじゃないかと思ったら、歌わなくていいと思うんですよね、こういう発言がなされているわけでございます。

 私は、民間団体の講演に関してどのような発言をされるのかというのには一向に、それは自由だと思うし、それこそ憲法の表現の自由であると思っています。問題は、この十二月と四月のゆがめられた道徳教育という間に公立学校の講演が行われていて、ほぼほぼプロフィールという欄が似たようなことであるとするならば、保護者や両親が、同じような話、例えば自分の子供に、国歌を歌いたくないんだったら歌わなくていいんだよというようなことが、それこそ文部省のトップであった人から聞かされてしまうのではないかという危惧を持つこともあるんじゃないか。

 これは、私はそういう方にお会いしたわけでもないし、じかに聞いたわけではありません。ですから、これは、こういうチラシだとかユーチューブを見たときに、そういう懸念を生じる方もいらっしゃっても、私は決しておかしくはないのかなと思うわけでございます。そのときに、地域の方から、どういう授業があったかちょっと確認してもらえないかと国会議員が尋ねられたときに、それを問い合わせるということがそんなに責められることなのかどうかというのは、正直言って、私としてはちょっと悩むところでございます。

 ちなみに、私はおととい、拉致特別委員会で質疑をさせていただきました。その席では、「めぐみ」というDVDのタイトルがなされているものが学校現場に配付をされておりまして、それで、若い人たちにこの事件を風化させないためにも啓発活動が必要であるということで加藤大臣等が所信で述べられていて、今度は、学校現場でそういうことをやっていらっしゃる教員を研修をするというような話も所信にあったわけでございます。

 そこで、大臣に、学校現場でどのようにDVDが利用されているんですかということを質問させていただいて、いや、まだ十分活用されていないようなんですというようなお答えがあったので、その点については、もう少し活用されていただくように働きかけていただけたらどうでしょうかと。あるいは、教員を研修として呼ぶ以上は、どういうことを行われているのかということを確認しないと研修プログラムもつくれないわけですから、そういう意味では、私は確認した方がいいんじゃないかと委員会で申し上げさせていただいたわけでございます。

 これは、たまたま拉致特別委員会を設置していただいたということで、非常にいい機会を与えていただいたわけですけれども、もしもそういうことがなかったのであれば、私は自主的に、このDVDの活用方法は、今学校はどんなことなんでしょうかともしかしたら問合せをしていたかもしれないと思っているわけです。

 この「めぐみ」というDVD、横田めぐみさんのことなんですけれども、日常生活の中で急にいなくなってしまった。今となっては、これは北朝鮮による拉致ということがわかったわけですけれども、当時は、一体どうしていなくなったのかと本当に御両親としては心を痛めたわけでございます。そういうことが非常にわかりやすいDVDになっておりまして、これはDVDを手に入れなくても、インターネットでアニメ、めぐみと検索をしていただければ、ダウンロードしなくてもその画面で見ることができるんです。

 拉致特別委員会では、めぐみ、動画という検索をちょっとお話ししてしまいましたが、ちょっと変なところも出てきてしまうようなので、アニメ、めぐみと検索をしていただけると非常にわかりやすい動画が出てまいります。文科委員の方々にはぜひ、もう皆さんごらんになっていらっしゃると思うんですけれども、再度見ていただいて、事件を風化させないようにというふうに思っているわけでございます。

 そのとき、私は委員会でもちょっとお話をしたんですが、国会議員が教育行政に問合せをしたということで何か問題にされているような、そういうメディアの扱い方もちょっとあったんじゃないか。そうすると、国会議員としては、教育行政に関しては一切問合せをすることができないのか。問合せをすることによって、教育行政に対し、国会議員が何か介入したというふうにすぐにマスコミに言われてしまうということになるとすれば、私は教育現場が萎縮するのではなくて、国会議員が萎縮してしまうのではないかというふうに思うわけでございます。では、どこまでが許されて、どこまでが許されないのかということを明確にしていかないと、私はこれはいけないと思います。

 前回の文科委員会においても女子レスリングの話をさせていただきました。伊調馨さんが非常に優秀、有能で、メダルを四つもとられて、国民栄誉賞もとられている。そういう意味では、栄和人監督がいろいろと言われているわけですけれども、本人が関与していない告発文がひとり歩きして、栄和人監督だけが今もずっとマスコミに行われているわけですけれども、一方的になってしまうということは、これはやはりちょっと注意をしないといけないのではないかということで、ですから、冒頭、調査というのは、私は到底納得のできない、行き過ぎであるとは思いますけれども、その問合せの過程というものもマスコミの方等も報道していただかないと、これはやはり一方的な報道になってしまうんじゃないかなと思うわけでございます。

 そこで、今回の問合せのメールに関しての起案者というのはどなただったんでしょうか。

高橋政府参考人 今回のメールでの二回の問合せについては、文書による決裁を行っているものではございませんが、担当課の方が案をつくりまして、私の方がそれを確認して、最終的に私の判断で問合せを行ったものでございますので、責任者は私ということになります。それを、実際には担当の課長補佐からのメールで名古屋市教育委員会の方に送らせていただいております。

串田委員 こういう、どんな授業がなされたのかということが地元から国会議員に回ってきて、国会議員が確認をしてくれないかといったときに、メールの作成そして決裁に当たって、国会議員が何かその起案に対して関与したという事実はあったんでしょうか。

高橋政府参考人 繰り返し答弁させていただいておりますけれども、あくまで、今回の質問については、文科省の判断として作成して問合せを行ったものでございます。

串田委員 それと、先ほどちょっと前に委員から質問がありましたけれども、こういうような学校の講演内容とかで国会議員とか政治家から問合せというものがあるものなんでしょうか。それとも、極めて珍しいことなんでしょうか。

高橋政府参考人 お尋ねの件でございますけれども、国会議員の方々からは教育行政については日々さまざまなお問合せをいただいております。

 そのうち、教育内容についてのものであるかどうかという視点での網羅的な把握というのはいたしておりませんので、直ちにお答えすることは困難でございますが、一般論として、文科省が種々の必要に応じて外部からの問合せを契機に調査を実施することはあり得るものであり、その契機は保護者からの問合せであったり報道等であったりする場合があると同様に、国会議員の問合せを契機とする場合もあると承知をしております。

 ただ、最終的にはそれは文科省の判断によって行われているものでございます。

串田委員 メールの修正とかというものも報道されているんですけれども、修正を指示された、あるいは何らかの圧力なりで修正をせざるを得なかったのか、最終的には文科省の判断で行われたのかという点はいかがでしょうか。

高橋政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたが、質問状については、丁寧な対応という観点から、事前に池田議員の事務所にお届けいたしまして、二点ほどコメントはいただきましたけれども、それは修正を指示するような内容ではなく、最終的には文科省の判断として質問状を作成いたしております。

串田委員 どういう方を講演者に頼むかというのと、また、それを受けるかというのはいろいろあると思うんですね。

 ちなみに、私の場合は、党も日本維新の会ということで憲法改正に賛成をしている党でございます。五月三日には、新しい憲法をつくる国民大会というところに党を代表して発言をさせていただくということでございます。

 恐らく、そこに集まっていらっしゃる方は、新しい憲法をつくろうということで集まっていらっしゃると思うので、私はそういう意味で、その方向で発言をさせていただければ、恐らく、何でこんな発言をするんだというようなことは余りないのかもしれない、逆に言えば、憲法改正に反対の立場に私は呼ばれることもないでしょうし、呼ばれれば恐らく非常にアウエーな感じが私はするんだろうなと思います。

 ただ、もしも公立学校で、例えば私が卒業した公立学校の校長なり関係者が、卒業生ということで憲法の話を中立的な立場で話をしてくれないかと頼まれても、私は恐らく辞退をさせていただくと思うんですね。どんなに中立的な話をしたとしても、何らかのことが加わっていくんじゃないだろうか。そういう意味では、たとえそれが本当に中立的な話であったとしても、PTAや学校の関係者は、何で日本維新の会の国会議員を公立学校で呼ぶんだ、そういう疑念を持たせてしまうということも私はやはり避けなければいけないと自分では判断しているわけでございます。

 そういう意味で、今回は公立学校として講演の依頼を受けたわけでございますけれども、恐らくそれは、この回答のように、中立的にずっとお話をされたんだ、私もそう信じたいと思いますけれども、一方で、いろいろな場面で、例えば憲法改正に反対の集会をメーンとするような集会で講演をされているということも調べてみるといろいろたくさん出てくる中で、やはり公立学校でどんなに中立的な話をしたとしても、疑念を抱かせてしまうんではないかというようなことはちょっと考えていかなければいけないのかな、こういう調査をしなければならなくなることも教育現場としてはやはり考えていかなければいけないのかなというふうには私は思っているわけでございます。

 端的に、これはいけないとかというようなことを申し上げるつもりはありませんけれども、冒頭述べましたように、教育行政だとかあるいはこういう国会のやりとりも、やはり国民が見て納得をし、そして信頼をするということが必要であるという意味では、少しの疑念でも教育現場としては配慮していかなきゃいけない、どんなに自由であったとしても、それは中立という社会の中で自由であるというような気が私はしているわけでございますけれども、林大臣、所感、もしありましたらお聞かせをいただきたいと思います。

林国務大臣 深い御見識というふうに今伺っておりました。

 この委員会の中でも、この件につきましてはいろいろな御議論をいただいておって、我々も真摯に答弁してきたところでございますが、先ほど畑野委員の御質問にお答えしたとおり、価値中立であらなければならないというのは、特に行政は肝に銘じていなければならない。

 一方で、国会議員の先生方は、私も党におるときはそうでございますが、一定の価値判断というか思想信条に基づいて志を同じくする者が党を結成するということが通例であろう、こういうふうに思いますので、その信念に従っていろいろやっていくということが大事であるし、それを実現していこうというのが政党であろう、こういうふうに思いますので、その政と官のあり方についてしっかりと、先ほど来御議論いただいているようなことを踏まえて、行政としては中立的にやっていくということが大変に大事なことだと改めてお答えさせていただきたいと思います。

串田委員 どうもありがとうございました。

 教育行政に関して私もちょっと、拉致問題としてのDVDの活用なども含めまして、これからやはり風化させないで、めぐみさんを含めた拉致被害者の全員にこの国へ戻ってきてほしいという思いを持っているわけでございますので、教育行政も現場もこの点を十分配慮して、今若い人たちは拉致問題を余り御存じない方もいらっしゃるというようなことも聞いておりますので、教育現場におきましても、何らかの機会にこのことを取り上げていただきたいと思います。

 そういう意味で、国会議員が不当に介入してはいけないとは思いますけれども、必要なときにはやはり教育行政に関しても何らかの御意見を言わせていただくということもあっていいのかなと思いますので、その点を申し上げておきたいと思います。

 少し早かったんですが、私の質問を終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日も引き続き、名古屋市の問題について尋ねたいというふうに思いますが、まず最初に、二日付で、先ほども少し他の委員からも指摘がありましたけれども、文科省の方からメールが名古屋市教育委員会の方に送られたということであります。その中身、どういった中身で送られたのか、ごく簡単に御紹介いただければと思います。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の事案につきましては、前文部科学事務次官という文科行政の事務方最高責任者としての地位にあった者が、中学校という公教育の場で授業を行ったという事例であると承知をしております。

 この授業を行った前次官は、いわゆる天下り問題等にかかわって、単に監督責任だけでなく、本人自身の違法行為により停職相当とされた方であり、このような事例について、こうした背景も踏まえて、授業の狙いや内容、前次官を招いた理由や経緯など、今回の件が適切な教育的配慮のもとで行われたものであったかということについて確認する必要があると考え、地教行法四十八条に基づく指導、助言、援助の判断のために、まず同法五十三条に基づいて調査を行ったものでございます。

吉川(元)委員 それがメールの内容なんですか。二日付で送ったメールの内容はそれだけなんですか。

高橋政府参考人 大変失礼いたしました。

 四月二日付で初中局から名古屋市の教育委員会に送ったメールでございます。これは、まず三月三十日に名古屋市の教育委員会から、今回の一連の問合せを行った意図は何なのか、それから文科省として今回の授業についてどのような考えを持っているのか、この二点について三月三十日に御照会がありまして、それに対して四月二日に回答したものでございます。

 具体的には、まず、今回の問合せを行った意図につきましては、今回の調査は、名古屋市立中学校で授業を行った前川前文部科学事務次官が……(吉川(元)委員「それはさっき話した話でしょう」と呼ぶ)といったような、先ほど申し上げましたようなことをまずメールには書いております。

 それから二点目の、今回の授業についてどのような考えを持っているのかということにつきましては、これについては二点でございますが、一つは、教育委員会を通じて確認できている情報によれば、今回の名古屋市立中学校で行われた総合的な学習の時間が何らかの法令に違反するというような事実は承知しないということ、もう一点、今回、学校が外部講師として招いた前次官は、いわゆる天下り問題等にかかわって、単に監督責任だけでなく、本人自身の違法行為により停職相当とされた方であるという事実関係を十分調べることなく学校の授業の講師として招いたことについては、必ずしも適切であったと言えず、もう少し慎重な検討が必要ではなかったかと考えている、こういったことを回答いたしました。

 また、今回の調査は法令に基づき行ったものですが、その書面についてはやや誤解を招きかねない面もあったとして、文科大臣から初等中等教育局に対して、このような事実確認を行う際には表現ぶり等について十分に留意する必要がある旨の注意があった、このこともあわせて付記をしております。

 そして最後に、この回答においては、今後、文科省としては、今回の事案を踏まえ、教育現場に対し、より一層丁寧な対応に努めてまいりたいと考えるということを申し上げて、これが四月二日のこちらから送らせていただいたメールの内容でございます。

吉川(元)委員 これは市長の言葉ですけれども、教育委員会ではなく市長ですけれども、そのメールに対して、問題ですよ、悪いと思っておらぬということだ、文科省が道徳とは何かと一定の価値判断を示して調査できることになれば思想統制につながる、教育基本法が禁じている不当な支配についてもそういうおそれが強い、このように市長は、これは恐らく会見か何かでおっしゃられているというのが記事に出ております。

 先般のこの委員会の中で、大臣に対して私質問をいたしました。やや誤解を招きかねないというやや誤解というのはどういう意味ですかと。そうしましたところ、大臣からは、相手が圧力と受けとめかねない、これが誤解の内容であるというふうに大臣は答弁をされております。

 だとするならば、これは仮に、これは相手の話ですから、相手側が圧力だと感じているとすれば、それは誤解なんだから、誤解を解かなきゃいけない。ところが、その努力を全くされていませんし、このメール、二日付のメールを受け取った市長の側は、悪いと思っておらぬ、文科省は、このように言っているわけです。

 大臣、これで誤解が解けた、あるいは誤解だったということを理解してもらえたというふうにお考えでしょうか。

林国務大臣 表現ぶりについてそういうところがあったので、表現ぶり等について留意をすべきだ、こういう注意をしたところでございます。その旨、今、注意をしたことも含めて局長から答弁いたしましたように、先方の御質問に答えて送らせていただいておりますので、もし不十分ということであれば、再質問なりいただくようなことになるかどうかわかりませんが、我々としては、真摯に今後も説明をしていきたいと思っております。

吉川(元)委員 再質問が来るか来ないかの問題じゃないと思うんですね。まさに大臣自身がおっしゃられた、圧力と受け取られかねない、これは非常に重要な問題なわけです。

 実際に受け取った市長の方からは、これは明らかに圧力だ、圧力だと感じている、そういうふうに記者会見で述べられているわけです。だとするならば、省を挙げて全力で、もし仮に誤解だと言うのであれば、誤解を解く努力をするのが当たり前の話なんじゃないんですか。まさか、次質問が来るまでほったらかしにしておくということで済ませるおつもりなんですか。どうですか。

高橋政府参考人 繰り返しになりますけれども、今回、その書面については誤解を招きかねない面もあったとして、私に対して注意があった。そして、今回の事案を踏まえて、教育現場に対して、より一層丁寧な対応をしてまいる旨を名古屋市の教育委員会の方には四月二日付で回答させていただいたところでございますので、今後も、必要に応じて、しっかりと真摯に説明をしてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 局長、じゃ、伺いますけれども、これで誤解が解けたというふうにお考えですか。やや誤解を招きかねないということで、当初大臣に注意をされたということですけれども、それは文科省の中で議論したときに、これはちょっとやり過ぎだろう、言い過ぎだろう、書き過ぎだろうということで、これだったら相手が誤解するかもわからない、だから今後気をつけなさいという話、それは文科省の中の話です。

 一方で、今回は、名古屋市教育委員会と文科省の間のやりとりが行われて、結果的には、名古屋市側、これは教育委員会ではありませんから直接ではありませんけれども、少なくとも市長は、これは圧力だというふうに受け取っているわけです。

 だとするならば、大臣が心配をしておられた、やや誤解じゃなくて、本当に誤解を招いているんです。だとするならば、それを解きほぐすために何をされるんですか。

高橋政府参考人 名古屋市の教育委員会の方からまだ具体的な、その点についてちょっと私ども連絡を受けておりませんけれども、名古屋市の教育委員会に対しては今後も誠実に対応してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 これは以前も、前回のこの委員会でもハラスメントの問題が出ましたけれども、誤解を与えたとすれば、誤解を与えた方が真っ先に、相手からの問合せがあろうがなかろうが、誠実に、メールでやりとりじゃなくて直接、それこそ局長クラスあるいは政務クラスが行って、大臣でもいいと思います、その誤解を解く努力をしないと、これは禍根を残す話になる。

 これだけ、集中審議ということで、きょうも時間をとりました。本来、もっともっと文部科学委員会として議論しなきゃいけない問題がたくさん山積をしております。私も、後ほど少し時間があればそれも質問したいとは思いますけれども、これは、だけれども、だからといって看過できない問題なんです。

 何度も言いますけれども、既に誤解は生まれたんです。生まれた以上は、それに対して何か聞いてきたら、もう一回、じゃ丁寧に説明しますという、そういう態度では、永遠にこの誤解は解けないし、そして今後の教育行政、教育そのものに対して大きな禍根を残す、そういう事案だということをまず指摘させていただきたいと思います。

 それで、今回のこの問題、地教行法の五十三条あるいは四十八条というような話が出てまいりました。

 ちょうど当委員会で四年前に地教行法の大きな改正が行われました。当時の、これは衆議院だけですけれども、議事録だけでも一センチを超えるような議事録が残っております。その中で、ずっと問題になってきたのは、まさに教育の政治的中立性、継続性、安定性、これをどのように担保していくのか、これが議論の中の大部分を占めております。全部とは言いませんけれども、その多くがこの問題に費やされておりました。

 そこで、伺います。

 実は、その際に、参考人も何度かお呼びをしてお話も伺いました。その中で、大津の市長から、要約すると、なぜ首長が教育行政にかかわれないんだ、国は政治家が大臣をやって、政治家がその意味では大臣、副大臣、政務官をやっている、それが教育行政にかかわれるのに、なぜ首長だけはかかわれないんだ、そういう指摘がありました。それに対して、当時下村大臣はどのように答弁されておられますか。

高橋政府参考人 恐縮でございます。ちょっと通告をいただいておりませんので、きょう、ちょっと大臣の答弁が、今議事録が手元にございませんので、これはまた至急調べてみたいと思います。

吉川(元)委員 では、大臣がどういうふうに答弁されているか。国は、学校教育法の制度の枠組みや学習指導要領といった全国的な基準を定める、あるいは教員給与等の財政負担を行う等を役割としている、だから、自治体のように教育委員会という機関をつくらずとも、文部科学省が教育行政にかかわれるんだ、教育の内容そのものに文部科学省が踏み込むことはない、だからできるんだ、こういうふうに答弁をされているわけです。

 そういう意味でいいますと、個別の授業内容について、これはもう独立した機関である教育委員会そして学校現場の創意工夫に委ねる、それによって教育の政治的中立性が担保をされているんだ、これが文科省の姿勢ではないんですか。

高橋政府参考人 基本的な国と教育委員会の関係は、今御指摘のとおりでございます。

吉川(元)委員 だとすれば、大臣に伺いたいんですが、教育課程、教育内容に対する文科省の関与というのは本来的にはあり得ない。例えば、先ほど三つの事例を挙げられました。例えば理科の実験で、実験中に子供が体調を崩して病院に運ばれる、それについて文科省が問合せをする、これは政治的中立性とは何の関係もない話であります。

 しかし、今回の事案は、まさに授業の内容、録音まで求めたというので私は愕然としたんですけれども、そういう授業の内容そのものに踏み込んで、そこでもって調査を行うと。これは明らかに地教行法の、先ほどの、当時の下村大臣の答弁とも矛盾するというふうに考えますけれども、大臣はどのように認識されておられますか。

林国務大臣 教育課程の編成や学習指導の実施など学校が行う教育活動、これは一義的には、学校の設置者である教育委員会若しくは学校の権限と責任において適切に行われるべきものである、これが原則だと思っております。

 こうした基本的な姿を前提としつつ、文部科学大臣は、各学校における教育活動等について、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四十八条に定める指導、助言、援助を行うため必要があるときは、同法五十三条に基づき必要な調査を行うことができる、こういうふうにされておるところでございます。

 学校教育の実施に当たっては、学校現場の創意工夫に期待するところが大きいということでございますので、こうした教育委員会への指導等を行うに当たっては、学校現場の創意工夫が十分に生かされるよう配慮する必要がある、こういうふうに考えております。

 今回の名古屋市教育委員会への事実確認については、文部科学省として法令に基づき適正に行った調査であり、学校の教育内容に対する過剰な関与というようなものではないと考えておりますが、書面については、これは何度も繰り返し申し上げてきたところですが、やや誤解を招きかねない面もあったと考えられますので、私から担当の初等中等教育局長に注意を行ったところでございます。

吉川(元)委員 先ほど一番最初に、名古屋市との間の二日のメールのやりとりのお話をさせていただきました。相手に誤解を与えてはならないという大臣の先日の答弁でしたけれども、実際に誤解を与えている。だとするならば、文科省はそういうふうに思っていないとしても、実際には、受け取った側は、これは文科省が教育の中身についていろいろなことを口を挟んでいるというふうにとられているわけです。

 私も、幾ら文科省がこれは法令に基づき云々というふうに言ったとしても、やはりこれは、授業の中身そのものに踏み込むようなことを調査という名目で教育委員会に対して行った、これは本当に大きな問題だというふうに思います。

 ちょっと、四年前のあの地教行法の議論の中で幾つか議論がされたことがございます。謝金の話も少し出てまいりました。この謝金については、総合教育会議において調整の対象となるものなのかどうなのか、いかがですか。

高橋政府参考人 済みません、調整というのは、どういう意味合いの調整でございましょうか。

吉川(元)委員 地教行法を所管する省であり、初中局長ですよね。総合教育会議における調整と協議、これについてはかなりの時間を費やして議論をいたしました。もう、すぐ出てこないようでありますので言いますけれども、謝金については、予算の執行権者である首長と、そして教育委員会で行う総合教育会議の場において調整の対象となり得るというふうに当時答弁をされております。

 一方、教育の、いわゆる教科書採択でありますとか、あるいは個別の教職員人事については、これは調整の対象にもならないし、協議の対象にもならないと。そしてさらに、学校の教育課程の編成についても、これも調整の対象にはならない。話をするのはあることはあり得るかもわからないけれども、調整の対象にはならないというふうになっているんです。これは首長と教育委員会との間の関係です。

 これだけ近い自治体、学校設置者等との間の中にあっても、これだけ教育の中身について首長が介入をしないように、させないようにしてきた。それが地教行法の四年前の議論でした。

 ところが、今回はそれとは全く反対のことを、簡単に言えば、こういう言い方をすると誤解を招くかもわかりませんけれども、首長すらできないようなことを文科省が進んでやった、そういう自覚はおありですか。

高橋政府参考人 済みません、通告がなかったので、ちょっと今明確な条文は手元にはございませんけれども、地教行法に基づく総合教育会議における首長と教育委員会の関係と、それから地教行法における文科大臣と都道府県、市町村の教育委員会との関係、これは基本的には全く異なるものでございますので、ちょっとそういうような形での対比での比較というのは難しいのではないかと思います。

吉川(元)委員 だとすれば、下村文科大臣が言った答弁、国は、簡単に言えば、いろいろな、学習指導要領だとかあるいは予算の確保をして、制度として教育環境を整えるのが自分たちの仕事なんだというふうに答弁されているわけです。そこから考えれば、明らかに今回のこの調査は行き過ぎである。調査しないとわからないというふうに先ほど大臣おっしゃられましたけれども、調査すべきものではないんです。それにもかかわらずこうした形で調査を行ったことというのは、これは本当に大きな問題だと改めて指摘をさせていただきたいと思います。

 そして、今回、五十三条一項に基づいて調査を行ったと。大臣も先ほどから言われておられますし、聞いてみないとわからない、確かにそうだと思います。聞いてみないとわからない。ただ、五十三条一項に基づいて聞くということは、五十三条一項というのは、四十八条の一項を受けての調査というふうになるわけでありますから、当然その先には指導、助言、援助というものが規定をされております。ただ単に、この間、前川さんを呼んで授業をやったのかというようなレベルじゃないんですね。その裏には、その後に場合によっては指導、助言等々に当たり得るというふうに判断をするからこそ五十三条の第一項に基づく調査が行われたというふうに考えるわけです。

 ですから、前回も聞きましたけれども、そういう可能性を文科省は認識として持っていたということですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、四十八条に基づく指導、助言、援助を行うことを前提としてというよりは、その四十八条に基づく指導、助言、援助を行うかどうかを判断するために五十三条に基づいた調査を行ったものでございます。

吉川(元)委員 いや、ですから、今回のこの前川さんの授業に関しては四十八条一項に当たり得る、可能性があるという判断のもとに行ったということですね。

高橋政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、四十八条に基づく指導、助言又は援助を行うかどうかを判断するために調査を行ったものでございます。

吉川(元)委員 いや、だったら、ほかの授業も全部そうじゃないですか。一々やるんですか、ほかの授業についても。そうじゃないでしょう。前川さんが講演をしたから、もしかすると四十八条一項にかかわってやらなければいけない可能性もあるから、だから聞いたんじゃないですか。

高橋政府参考人 今回の前川前事務次官につきましては、直近まで、文科行政の事務方の最高責任者として、その発言が教育行政に関して正当な根拠があると受けとめられる特別な立場にあったことから、影響力が極めて大きく、仮にその発言内容が学習指導要領等と整合しない場合であっても、法令や学習指導要領の正しい解釈として受けとめられる可能性が極めて高いこと、また、天下り問題にかかわって、本人自身の違法行為をもって停職相当となった者であることから、特に心身の発達が途上段階にあり、必ずしも公正な判断を行う能力が十分に備わっていない中学生に対して授業を行うことについて適切な教育的配慮が求められること、さらに、保護者の当該学校に対する信用に与える影響について十分な考慮が行われる必要がある、こういったことを考慮した上で、指導、助言、援助を行う必要があるかを判断するために調査を行ったものでございます。

吉川(元)委員 いや、ですから、長々と、何というんですか、罪状じゃないですけれども、この可能性がある、この可能性があるというふうに言われますけれども、だから、そういうことを考えて調査を行ったということでよろしいんですね。

高橋政府参考人 長くなるので繰り返しませんが、先ほど答弁申し上げたとおりでございます。

吉川(元)委員 いや、私が確認したいのは、四十八条一項の指導、助言、まあ、するかしないかはそれは調査してみないとわからないけれども、だけれども、今先ほど長々と答弁された、それに関して何らかの指導、助言が必要になるかもしれないという認識で、それでもって五十三条で調査を行ったということでよろしいんですね。

高橋政府参考人 先ほど私の方から主に三点申し上げましたが、そういった三点を考慮して、指導、助言、援助を行う必要があるかを判断するために調査を行ったものでございます。

吉川(元)委員 非常にわかりにくい言い方をされるんですが、結局、四十八条の一項の可能性が少なからずあるということで調査を行った、結果としては、四十八条一項に基づく指導や助言は必要ないというふうに判断をされたということでよろしいですね。

高橋政府参考人 私、少なからずとは先ほど申し上げませんでした。必要があるかを判断するために調査を行ったということでございます。そして、その調査の結果、授業内容については法令等に違反するものはないということを確認いたしました。

 その上で、講師が停職相当だったということについては校長先生は御存じなかったということでしたので、そういったことについてはもう少し慎重に検討されてよかったのではないかということを助言申し上げた、こういうことでございます。

吉川(元)委員 だとすれば、今言われたのは、四十八条に基づいて助言を行ったということですか。

高橋政府参考人 授業の内容そのものではなくて、講師を検討するに際してのところについてもう少し慎重な検討があってよかったのではないかということについて、四十八条に基づく助言を申し上げております。

吉川(元)委員 ちょっと今のは問題だと思いますよ。

 前川さんという方を講師として呼ぶことが指導の対象になるということなんですね。

高橋政府参考人 呼ぶことがということではなくて、呼ぶに当たって、前川前事務次官が本人自身の違法行為をもって停職相当であったということは承知されていなかったということでございましたので、そういう点について、もう少しお調べする必要があったのではないかというようなことを申し上げたということでございます。

吉川(元)委員 私自身はちょっと誤解をしておりまして、五十三条一項に基づいて調査を行った結果、指導、助言等々については必要がないというふうに判断をしたものだというふうに思っていたんですけれども、今お話を伺うと、まさにこの四十八条一項に基づいて、前川さんという人がどういう人なのか、あなた方はちゃんと調べていなかったでしょう、だからちゃんと今後は調べなさいよということを指導した、そういうことですね。

高橋政府参考人 指導ではなくて、助言ということでございます。

吉川(元)委員 もう時間が残りわずかになってしまいました。

 私自身、ちょっときょう、私はてっきり、指導、助言はしていないんだというふうに思っていましたけれども、四十八条一項でやはり、助言とはいえ、そういう形で法令に基づいて、教育委員会に対して前川さんの授業について助言を行った、それはまさに、私は大きな問題だと。前川さんという人をあなた方は知っていたんですか、知らないのに呼んだんですか、詳しく知っていましたか、調べていないですね、では、助言として今後調べなさいと。これはやはり明らかに教育に対する文科省の不当な介入だ、私はそういうふうに思わざるを得ません。

 そういう意味でいいますと、当初大臣は、今回、これは不当な介入ではないというふうに言っておられました。不当な介入ではないから教育基本法の十六条にも抵触をしないんだというふうにずっと答弁をされてきたわけですけれども、きょう聞いた話だとかほかの委員のお話を聞くと、まさにこの十六条に明らかに抵触をする、私は不当な介入であると思います。

 また、名古屋市教育委員会の方も、これは圧力だというふうに、先ほどからずっと言っておりますけれども、受けとめている以上、この問題について、やはり文科省として省を挙げて、なぜこんなことが起こったのか、そして、今のお話だと、今後も前川さんがどこかで講演する際に調査をずっと行うという、先ほど言いましたように、前川さんがどういうことをこれまで行ってきたのかについて、処分も含めてあなた方は知っていますかということをずっとやり続けるとすれば、これは明らかにやり過ぎ、介入だというふうに言わざるを得ません。

 もう時間が参りましたので、きょうはこれで終わりますけれども、この問題、非常に文部科学行政の根幹にかかわる問題でもあります。本来であれば、働き方改革を含めて、議論しなければいけない問題はいっぱいあります。通告もさせていただきましたが、きょうは時間の関係でできませんでしたけれども、ぜひこの問題、しっかりと内部でも調査をしていただき、そして、名古屋の教育委員会に私は出向くべきだ、出向いて、その誤解をとにかく解けるまで私自身はもう帰ってこなくていいと思いますよ、誤解が解けるまで。そのぐらいの問題なんだということを自覚をしていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

     ――――◇―――――

冨岡委員長 次に、内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。林文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 著作権法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 このたび政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国の著作権制度については、これまでも逐次整備を進めてまいりましたが、文化芸術立国、知的財産立国の実現に向け、その一層の充実が必要となっているとともに、著作権法制における国際的な協調の必要性が高まっているところであります。

 この法律案は、近年の情報通信技術の一層の進展に伴う著作物等の利用をめぐる環境の変化を踏まえ、情報通信関連事業、教育、障害者福祉又は美術館等にかかわる著作物等の利用に係る社会の要請に対応し、著作物等の利用の円滑化を図るとともに著作権等の適切な保護に資するため、必要な改正を行うものであります。

 また、この法律案は、印刷物の判読に障害のある者の著作物等の利用機会を促進するため、世界知的所有権機関において、平成二十五年六月に採択された、盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約の締結のため必要な措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、情報通信技術の進展等の時代の変化に柔軟に対応できるようにするため、著作物等の市場に悪影響を及ぼさない一定の著作物等の利用について、適切な柔軟性を備えた権利制限規定の整備を行うものであります。

 昨今の情報通信技術の急速な進展を背景に、ビッグデータや人工知能等をめぐる技術革新により、これらの技術を活用したさまざまな著作物等の利用方法が新たに可能になるとともに、将来においてもさらなる変化が予想されます。これらの技術を活用した著作物等の利用方法には、権利者の利益を通常害さないと評価できる利用形態や、社会にとって有意義であり、かつ、権利者に及び得る不利益が軽微な利用形態も多く含まれます。

 このため、このような著作物等の利用について、法の明確性及び予測可能性を適切に確保しつつ、将来の変化にも柔軟に対応することができるよう、著作物等に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用、電子計算機における著作物等の利用に付随する利用、電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微な利用等について、権利者の許諾なく行えるようにする措置を講じるものであります。

 第二に、教育の情報化に対応した規定の整備を行うものであります。

 学校等の情報通信技術を活用した教育における著作物等の利用の円滑化を図るため、学校等の授業の過程において利用できるよう、教師等が著作物等を公衆送信する行為等について、相当な額の補償金の支払いを条件に権利者の許諾なく行えるようにする等の措置を講じるものであります。

 第三に、障害者の情報アクセス機会の充実に係る規定の整備を行うものであります。

 障害者の書籍等へのアクセス機会の充実を図るとともに、盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約の締結に対応するため、肢体不自由等により書籍を持てない者のために録音図書を作成する行為等について、権利者の許諾なく行えるようにする措置を講じるものであります。

 第四に、アーカイブの利活用促進に係る規定の整備等を行うものであります。

 美術館等におけるタブレット端末等を用いた作品の解説や紹介のための著作物等の利用、展示する作品の所在に関する情報を一般に提供するための公衆送信、国立国会図書館による外国の図書館への絶版等資料の送付等について、権利者の許諾なく行えるようにするとともに、権利者不明等の場合の裁定制度の見直しを行うものであります。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。

冨岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十一日水曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る六日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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