衆議院

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第15号 平成30年5月30日(水曜日)

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平成三十年五月三十日(水曜日)

    午後零時三十二分開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 安藤  裕君 理事 神山 佐市君

   理事 亀岡 偉民君 理事 工藤 彰三君

   理事 鈴木 淳司君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      大見  正君    神谷  昇君

      小林 茂樹君    櫻田 義孝君

      下村 博文君    田野瀬太道君

      高木  啓君    根本 幸典君

      馳   浩君    藤井比早之君

      船田  元君    古田 圭一君

      本田 太郎君    松本 剛明君

      三ッ林裕巳君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    宮路 拓馬君

      八木 哲也君    櫻井  周君

      日吉 雄太君    山本和嘉子君

      伊藤 俊輔君    西岡 秀子君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      金子 恵美君    畑野 君枝君

      串田 誠一君    吉川  元君

      笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       林  芳正君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  邦彰君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  源新 英明君

   政府参考人

   (国家公務員倫理審査会事務局長)         池本 武広君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         竹内 芳明君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            佐伯 浩治君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     三ッ林裕巳君

  小林 茂樹君     神谷  昇君

  田野瀬太道君     藤井比早之君

  高木  啓君     本田 太郎君

  平野 博文君     伊藤 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     小林 茂樹君

  藤井比早之君     田野瀬太道君

  本田 太郎君     高木  啓君

  三ッ林裕巳君     池田 佳隆君

  伊藤 俊輔君     平野 博文君

    ―――――――――――――

五月二十八日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(田畑毅君紹介)(第一二八三号)

 同(松本文明君紹介)(第一二八四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一二九四号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第一三〇二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三〇三号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一三〇四号)

 同(宮本徹君紹介)(第一三〇五号)

 同(北村誠吾君紹介)(第一三一二号)

 同(阿部知子君紹介)(第一三七八号)

 同(田中和徳君紹介)(第一四〇六号)

 同(藤原崇君紹介)(第一四〇七号)

 家庭教育支援法の制定に関する請願(斎藤洋明君紹介)(第一三四四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件

 スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律案起草の件

 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律案起草の件

 スポーツ基本法の一部を改正する法律案起草の件

 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案起草の件

 スポーツへの障害者の参加の更なる促進のため「障害」の「害」の表記について検討を求むるの件


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、国家公務員倫理審査会事務局長池本武広君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、文部科学省大臣官房長藤原誠君、生涯学習政策局長常盤豊君、初等中等教育局長高橋道和君、高等教育局長義本博司君、高等教育局私学部長村田善則君、研究開発局長佐伯浩治君、スポーツ庁次長今里讓君、文化庁次長中岡司君及び農林水産省大臣官房審議官小川良介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 林大臣、よろしくお願いいたします。

 日大のアメフト部の問題や、あるいは、ずっと続いております加計学園の問題等、私立学校をめぐるさまざまな問題については、本委員会としてもしっかりと、その問題点が何なのか、どういうふうにすれば、子供たちの育ちや、あるいは若者の学び、研究というところが十分になされるのかということについて、しっかりその方策を委員会としても示していかなければならないというふうに思うんですが、そのためにも、ケーススタディーとして、個別の事案について、しっかりと事実を国民の前に明らかにしていくという責務が委員会にはあるのではないかというふうに私としては思います。

 そこで、加計学園のことについて、まだまだ謎が、あるいはわからない部分が、あるいは事実がどうなのかということが国民に示されていないので、きょうも聞かせていただきたいんですけれども、まず、先ほど理事会で、平成二十七年の四月二日に、愛媛県文書によれば、柳瀬当時の秘書官が、首相官邸に加計学園の方々や愛媛県、今治市の方々の来訪を受けて、獣医学部の新設についての会合を持ちましたよということが愛媛県文書に記載をされている。

 そのときには、柳瀬秘書官の参考人質疑での御答弁によれば、当時、文部科学省から首相官邸に出向していた内閣官房内閣参事官が同席をし、その後明らかにされた愛媛県文書の中では、発言もしていらっしゃるわけですね、発言をしたとされているわけです。

 本委員会の委員長のお取り計らいで、文部科学省に対して、この平成二十七年四月二日の会合の前後、文科省から内閣官房、官邸に出向していた内閣官房内閣参事官から事前の報告メールあるいは事後の報告メールあるいは報告の文書等があったのではないかということで、網羅的に調査をすべきであるということで、理事会から文科省へ依頼をさせていただき、そして文科省がそれを受けて追加的な御調査をいただいたというふうに思いますが、先ほど理事会では御報告があったわけですが、本委員会所属の委員の先生方にも、文部科学省としての調査の結果をまず御報告いただきたいというふうに思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 去る四月二十日に公表いたしました「愛媛県等が官邸を訪問したとされていることに関する事前連絡等の有無及び当該連絡に関する文書の存否についての確認について」に関しまして、先週の本委員会の理事会での協議を踏まえまして、個人ファイル等について文部科学省として補足的に確認を行いました。

 具体的には、平成二十七年四月二日に愛媛県等が官邸を訪問したとされていることに関する文部科学省への事前連絡及び事後連絡に関する文書の存否につきまして、去る四月二十日に公表した調査の対象となっております十二名に加えまして、当時の大臣官房長、官房総括審議官、官房総務課長、この三名を加えた合計十五名を対象といたしまして、個人ファイル、個人フォルダ、メール、それから共有ファイル及び共有フォルダに関連する文書があるか否かにつきまして、現在の官房総括審議官、総務課長、その他関係官で構成される調査チームによって確認をしたところでございます。

 その確認の結果でございますが、平成二十七年四月二日に愛媛県等が官邸を訪問したとされていることに関する文部科学省への事前連絡及び事後連絡に関する文書につきましては、その存在は確認できなかったところでございます。

川内委員 愛媛県等が官邸を訪問したとされていることに関する事前連絡等の有無及び当該連絡に関する文書の存否についての確認について、追加的な調査を行ったと。

 この愛媛県等の等には、加計学園は当然入っているんですよね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、愛媛県等の等につきましては、加計学園も含まれているところでございます。

川内委員 官房長は初代内閣官房内閣参事官として官邸に御出向をされていらっしゃったわけですから、仕事のやり方というのはその人それぞれいろいろあるんだろうというふうに思うんですけれども、重要な事柄については、本省にこういうことだよと報告を普通はするんじゃないかなというふうに思うんですけれども、文科省から官邸に出向されている出向参事官というのは、官邸参事官というのは本省に報告しないものなんですか。全く報告もせず、野放しで勝手なことをしているんでしょうかね。どうなんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、当時角田参事官が所属しておりました官邸連絡室でございますが、私は小泉政権の当初在職していたという事実はございます。

 そのときの仕事のやり方についてのお尋ねでございますが、私としてはいろいろなやり方で必要に応じて本省との連絡をとったという事実はございますが、その私のやり方と角田参事官のやり方については、ちょっと、角田参事官が具体的にどういうふうにしていたかについては承知していませんので、比較はできないということでございます。

川内委員 文部科学省にとっては獣医学部の新設というのは非常に重大な関心事項である、さらに、これは予算委員会等でも文部科学省から答弁がなされているわけですけれども、官邸に出向している官邸参事官というのは本省との連絡調整を期待されているということですから、この柳瀬秘書官との会合について、加計学園等との会合について、私は、報告をしないなどということが普通の常識では考えられないのではないか、したがって、どこかにその痕跡が残されているのではないかということを想定するんですが、現状まで、調査していただいたら、存在を確認することはできないということなんです。

 これは、後日、追加的な調査の調査結果を文書で出していただいて、さらに、本委員会としても吟味をさせていただきたいというふうに思うところでございますが、今回、追加的調査をしていただいた調査手法等を含めて文書でお出しいただけますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の今回の調査について紙で取りまとめる件につきましては、これから準備させていただきたいと思います。

川内委員 官房長、済みません、何回も何回も同じようなことを尋ねて大変恐縮なんですけれども、御調査をいただいたのは、四月二日であろうとされる会合の事前あるいは事後の報告、あるいは連絡について網羅的に調査をしたよということなんですけれども、この四月二十日の文部科学省の調査報告書に出てくる概要とか、その他の文書があるわけですけれども、四月二日のこの会合に関連するであろうと思われる文書、何一つない、存在を確認できない、出てきたのは唯一、一通、このメールだけです、これだけなんですわという、文部科学省としては今そういう状況なんでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 四月二十日、それから先ほど官房長が答弁しましたように、更に個人ファイル、個人フォルダについても調査させていただきまして、見つかりましたのは、委員御指摘のとおり、当時内閣府に出向した職員の方から文科省の方に送られてきたメール一通でございます。

川内委員 今、高等教育局長にメール一通でございますと断言されると、非常に寂しいみたいな思いがするわけですけれども、財務省の方では、ない、ない、廃棄したと局長が四十三回答弁をし、財務大臣も十一回廃棄したと答弁をした応接記録が九百五十何ページ出てきているわけですね、やはりありましたと。その応接記録も改ざんされているのではないかということが、きのうあたりから報道で言われておりますけれども、加計学園問題で提出されているこの愛媛県文書、地方自治体や地方公務員には記録がちゃんとある、記憶もある。他方で、政府あるいは国家公務員には記憶もなければ記録もないという。

 私は、霞が関といえば、一般の国民からすれば、ねえ、委員長、仰ぎ見るような存在じゃないですか。めっちゃ優秀な人たちがお国のために頑張っているところだねと、そういう場所だと思いますよ。それが、いや、ありません、ありません、記憶もないんですという、普通の常識で考えたらあり得ない事態がずっと続いている。

 まさに、国家的な危機ではないかというふうに思いますが、真実を解明するためには、とにかく記録をまず見つけていただくしかない。そこを、私たち本委員会に所属するメンバーは記録を取っかかりに議論をしていかないと、何か水かけ論とか決めつけだけしていてもしようがないので、きょうは事実関係を淡々と聞かせていただきます。

 この愛媛県文書の十七ページに、平成二十七年三月三日の加計学園関係者と愛媛県との打合せ、ここに今、二月二十五日に総理と加計学園理事長が十五分面談したよという記述があるわけでございまして、これは加計学園も総理も、いや、そんなことはありません、会っていませんというふうに否定をしていらっしゃるわけですが、もしかしたら、この加計学園と、加計孝太郎さんと安倍総理大臣の面談に、文科省、農水省から出向していた内閣官房内閣参事官が同席していたんじゃないかなというふうに思うんですけれども、農水省、それから文科省、それぞれお尋ねをいただいておりますので、回答していただきたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 愛媛県から参議院予算委員会に提出された文書、先ほど先生御指摘の文書に記載のある平成二十七年二月二十五日とされる総理と加計理事長との面談については、総理が二月二十五日に加計理事長と会ったことはないと国会で答弁されているというふうに承知しております。

 なお、この面談につきまして、当時文部科学省から内閣官房に出向していた内閣参事官に改めて確認いたしました。その結果、平成二十七年二月二十五日とされる面談については覚えがないとの回答をいただいているところでございます。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 五月十日に、内閣官房からの指示を受けまして、農林水産省から当時官邸に内閣参事官として出向していた職員に対して直接確認を行ったところでございます。

 その結果、まず第一に、日にちは記憶が定かではないということですが、平成二十七年四月の官邸での会合については、当時の柳瀬秘書官からの求めに応じ自分も同席したと記憶しておりますが、その他の面会につきましては同席した記憶はないとのことでございました。

川内委員 さらに、この面談の記述のところを読みますと、柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示があったので、早急に資料を調達し、提出する予定というふうに記述がございます。

 柳瀬秘書官はこの会合に同席をしたんじゃないか、平成二十七年二月二十五日ですね。同席をして、そして資料の提出を求めたんじゃないかなというふうに思うんですが、内閣官房に、柳瀬さんに御確認をいただいて御回答くださいというふうにお願いをしてございます。聞き取った結果を御報告いただきたいと思います。

村上政府参考人 特区制度の運営にかかわることということで、内閣府の方で本人に確認をしてまいりましたので、お答えを申し上げます。

 報道でも、ある、ない、話題になっている会議でございますが、柳瀬元秘書官に確認をしたところ、まず、同席はしていない、それから、面会について総理から話を聞いた覚えもなく、指示も受けていない、したがいまして、こうした面談を踏まえて資料の指示をしたということもございませんという回答が改めてございました。

川内委員 さらに、愛媛県文書二十ページ、平成二十七年三月二十四日、「首相官邸において、柳瀬首相秘書官らと加計学園関係者(田丸相談役、渡辺事務局長)との間で、獣医師養成系大学の設置について協議」という記述がございます。

 「柳瀬首相秘書官ら」、こう書いてあるんですね、三月二十四日。「ら」というのは複数だということですから、これも柳瀬秘書官に御確認をいただいておりますけれども、まず、加計学園関係者は、田丸相談役、渡辺事務局長で間違いがなかったかということを確認していただきたいと思います。さらに、「ら」というのは誰なんですかということも教えていただきたいと思うんです。

村上政府参考人 内閣府の方で確認した結果をお答え申し上げます。

 柳瀬元秘書官に確認をしたところ、具体的にどなたがおられたかということを明確には覚えていないということではありますが、恐らく事務局長の方はいらっしゃったんじゃないかというふうに、そういう気がいたしますというふうに回答を得ております。

川内委員 秘書官側はどなたがいらっしゃったかは覚えていらっしゃらないということなんでしょうか、この三月二十四日の会合については。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 国会でも本人が御説明していたと思いますが、二月、三月ごろお会いしたということについては覚えているようでございますが、詳細については記憶のあやふやなところもございまして、官邸側の同席者が誰かということについても明確な記憶はないということのようでございます。

川内委員 この面会、協議の際の愛媛県文書によれば、柳瀬首相秘書官のコメントとして、県や今治市と一緒に内閣府の藤原地方創生推進室次長に相談されたいと発言が書かれておりますが、柳瀬秘書官は、この三月二十四日の会合において、藤原さんに相談するといいよというふうにアドバイスをされたという記憶はあるのでしょうか。

村上政府参考人 お尋ねのとおりのポイントで本人に確認をいたしましたところ、どのタイミングかはっきりと覚えているわけではないようでございますが、国家戦略特区の担当は、内閣府に事務局があり、藤原次長であるという旨の説明はしたということを覚えているようでございますけれども、それに対しまして、藤原次長の方に直接連絡をしたり依頼や指示をしたということはないということでございました。

川内委員 同じくこの二十ページに、加計学園から内閣府の藤原次長との相談日程が四月二日十一時三十分に調整できたとの連絡があったと今治市から報告があった、要するに、藤原次長との面談のセットは加計学園がしたと。それで、それを今治市に連絡して、今治市が愛媛県に、何かセットできたらしいから一緒に行きましょうというふうに連絡をしたんでしょうと。

 したがって、藤原次長の、四月二日とされる国家戦略特区の説明会合は加計学園がアポをとってきたというふうに思われるんですけれども、今までの説明では、誰がアポをとってきたかわかりませんわという説明だったんですけれども、こういう愛媛県文書も出て、藤原さんも更に記憶が戻られていらっしゃるのではないかというふうに思います。

 四月二日とされるこの会合は、加計学園側からアポイントが入ったということでよろしいかというのを確認してくださいと言ってあるんですけれども、どうでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、前後関係もございますので、四月二日かどうかということでありますけれども、本人は引き続き明確に日付について記憶はないようでございますが、これまで出てきた文書等を見ますと、四月のころお会いしていたということは前から御説明していると思いますが、そういうことであれば四月二日であろうと思うということでございました。

 その上ででございますけれども、実は、アポイントメントにつきましては部下に任せていたということでございまして、本人はいずれにせよ、通常そういう形をとっていたようでございますが、誰から具体的にアポイントメントがあったかどうかは部下でないとわからないということのようでございます。

 そこで、当該スタッフの方に改めて確認を申し上げました。そのところ、スタッフの方も、今治市、愛媛県、加計学園、この三者が来るということについては明示的に認識をしていたようでございますが、恐縮でございますが、この時期は多数の自治体の来訪と日程調整を同時にこなしていたものでございますから、この今治市、愛媛県と彼ら自身が思っていた面会について、いつ誰がどのような形でアポが入ったかは思い出せないと。逆に言えば、加計学園である可能性も否定はしていないということではございますが、そこは正直よくわからないということでございました。

 いずれにせよ、藤原元次長もスタッフも、これまでの構造改革特区の流れから、当然、これまでに内閣府に特区提案をされ続けている提案者であり、今治市等の自治体の方々たちが中心だと、若干先入観もあったのかもしれませんけれども、そういうふうに認識していたということもあって、アポにつきましてもそういう流れなのかなということを推測していたのかもしれませんが、実際のところは、今回確認をしてみたところ、正確には、アポを受け入れたスタッフ本人が、済みません、そこのところは思い出せません、こういうことでございました。

川内委員 なるほど、だんだんわかってきました。

 そうですよね、アポなんというのは、大体、その方が直接やるわけではなくて、スタッフの方が、部下の方がおやりになられる。何月何日の何時に誰それが来るということを確定させていくわけですね。

 四月二日を確定させる方法、私、今わかりました。そのスタッフの方に、愛媛県、今治市、加計学園、要するに、面談のアポを確定させたそのスタッフの方に、四月二日でよろしいかと、平成二十七年四月二日でそのアポイントはよかったかと、あなたの記録の中にそれが残っているだろうということを確認して、教えていただけますか。

村上政府参考人 お答えを申し上げます。

 当時のスタッフが絶対誰かということはわからないわけでございますが、恐らく、当時、文科省から出向していた方ではないかということで、本人には昨晩もう一度確認をしてみました。

 本人は、明示的に、今回の愛媛県の新文書も読んだ上で、どうですかということでお尋ねを申し上げましたけれども、もともと、先ほど御指摘をいただいたメール、これが文科省さんの方からの調査では出てきておりまして、そのときにも本人に対して調査をさせていただいているわけでございますが、基本的には印象は同じようでございまして、はっきりと記憶はないが、こういうふうにはっきり残っている以上、私がつくったメールであろうと思うと。

 愛媛県の新文書に関して言えば、名刺も残ってございますので、恐らく私もいたんだろうと思いますと。

 そういうことであればそうなんだろうということは、はっきり本人も言っておりますけれども、やはり、アポがどうだったかとか、それが誰だったかということについては、ちょっと思い出せないということでございました。

川内委員 だから、まだこの四月二日の会合については、政府としては会合として認めていないということですよね、要するに。世間でそう言われているからそういうものなのかなと政府としても思っているというだけの話で、政府としてまだ事実認定をしていただいていない。

 これ、委員長、どう思います。大変なことだと思うんですよね。これだけの大問題で、政府として事実を確定させないわけですからね。こんなことがあり得るんだろうか。

 次へ行きましょう、ちょっと時間もないので。

 愛媛県文書十九ページには、加計学園が、平成二十七年三月八日、山本順三参議院議員を励ます会に出席した下村文科大臣と面談との記載もございます。本委員会にも下村大臣も所属していらっしゃいますし、お聞きするのは忍びないんですけれども、愛媛県文書に出ていますので、とにかくこれは、一個一個、全部事実確認しないといけないと思いますので、聞かせていただきます。

 下村大臣は、山本順三参議院議員を励ます会に御出席されたとき、加計学園と面談をされたのでしょうか。

義本政府参考人 事実関係の有無について、文科省として承知しておりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

川内委員 さらに、同じく十九ページに、平成二十七年三月十五日に今治市役所で行われた今治市と加計学園関係者との協議で、加計学園から、文部科学省の動向についてとして、文科省から獣医学教育の改善、充実に関する調査研究協力者会議委員に対する意見照会を実施している模様、二月二十五日に学園理事長と総理との面会時の学園提供資料のうち、新しい教育戦略に記載の目指すべき大学の姿に関する部分を抜粋したアンケート形式の資料を示して、短期間での回答を求めている、アンケート結果は、柳瀬総理秘書官との面会時に、学園に対し、情報提供されるものと推測、なお、委員からの評判はおおむねよいとの情報を得ていると報告があったと記載されている。

 めっちゃ具体的なんですよ、この愛媛県文書、二月二十五日の面談について。面談していなきゃ、ここまで具体的に書けないですよ。

 文科省に、この獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議委員に対するアンケート、そしてアンケート結果、そしてそれを柳瀬総理秘書官に渡したのか、ここの部分の事実関係について御説明をいただきたいと思います。

義本政府参考人 今、先生御指摘されました愛媛県の文書、文科省の調査研究協力者会議の委員に意見照会ですとか、あるいは、アンケート形式の資料を示して、その結果を学園に対して情報提供するものと推測というふうな記載がございますが、これらの点については、その資料も含めまして、今現在確認をしているところでございます。確認ができ次第、その状況について御報告したいと存じます。

川内委員 確認をしていただくのはもう最近の霞が関の得意わざですから、確認をしていただけばよいというふうに思うのですが、この獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議委員に対する意見照会というのをこの時期していたという事実はあるんですね。

義本政府参考人 お答えいたします。

 愛媛県、今治市からは、平成十九年以降十五回にわたりまして、獣医学部の新設について構造改革特区の提案がありまして、文科省としては提案に対して対処方針を検討しているというふうな状況でございました。

 その中で、愛媛県から獣医学部を新設した場合の取り組むべき事項について提案がございましたので、専門的な知見からの意見を伺うべく、平成二十七年の三月ごろでございますが、文部科学省の有識者会議でございます、今御指摘がありました獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の委員等に対しまして意見照会を行ったところでございます。

川内委員 平成二十七年三月ごろですか。時期としては符合するわけですね、愛媛県文書と。意見照会は実施していた。意見照会をしたときの紙は、資料は残っているわけでしょう。

義本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の件につきましては、愛媛県文書に記載された内容につきまして確認を進めている中におきまして、平成二十七年三月ごろに愛媛県から獣医学部を新設した場合の取り組むべき事項について御提案があったために、専門的な知見からの意見を伺うべく、今申し上げました調査研究協力者会議の委員等に対しまして意見照会を行ったというふうな情報に接したところでございます。

 その資料等全体につきまして、今全体を確認中でございますので、確認ができ次第改めて御報告させていただきたいと存じます。

川内委員 行政が行政として仕事をしたということはお認めになられたわけですから、そのときの資料がないなんということはないわけですね。資料はあるわけですね。資料があるのか、ないのか。

義本政府参考人 提案をいただいたことについては事実でございますが、その全体の資料も含めまして、その形式あるいは意見照会した内容等全体について、しっかり把握した上で確認し、御報告する必要があると思いますので、その確認が全体でとれ次第御報告をさせていただきたいと存じます。

川内委員 そんな時間がかかることとは思えないんですけれどもね。

 優秀な方たちがそろっていらっしゃるお役所ですから、この愛媛県文書が参議院予算委員会に提示された五月二十一日以降すぐお調べになられて、もう資料等については整っているのではないかというふうに思いますが、いつまでに我々に提供してもらえるんですか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 文科省の中での資料も含めましてでございますが、関係者に確認し、あるいは調査協力者会議等の委員の方々にもその事実関係についての状況を全体として確認する必要がございますので、それができ次第速やかに御報告させていただきたいと存じます。

川内委員 当時のこのアンケート結果は、柳瀬総理秘書官に提供されたんですか、高等教育局の方から。

義本政府参考人 お答えいたします。

 その点につきましても、確認させていただいた上で御報告させていただきたいと存じます。

川内委員 なるべく早くお願いしますよ。

 さらに、愛媛県文書二十六ページには、農水省から出向の青山内閣官房内閣参事官の発言として、「状況は常に本省にも説明している。企画書ができれば農水省にも説明を。」という記述がございます。

 農水省に御確認をいただきたいということで申し上げてございますが、青山さんがこのような発言をされたのか否かということについて御確認をいただきましたでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 五月十日に内閣官房からの指示を受けまして、当時、農林水産省から官邸に出向していた職員に直接確認したところでは、三年も前のことであることから、具体的なやりとりについて記憶に残っていないということでございました。

川内委員 三年前に会合でどんな発言をしたか覚えている人は、多分、超記憶力のいい人ぐらいのもので、我々も多分覚えていないですね。だから記録をとるんだ、メモをつくるんだというふうに思うんですけれども、そのメモがない、こうおっしゃっているわけですね。

 平成二十七年四月二日の会合には、柳瀬総理秘書官の秘書官付の事務官という方が同席をしていらっしゃったそうでありますが、この人はさすがにメモをとったんじゃないか、メモを残しているんじゃないかというふうに思うんですけれども、官房に御確認をいただいておりますけれども、いかがだったでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねにつきましては、先般、五月十日の参議院予算委員会において柳瀬参考人から、引用させていただきますと、当時のスタッフに対して私から確認をしましたところ、そのスタッフは、そのような打合せでは通常メモをとっておらない、その日の面会についてもメモをとっていないということでございましたと答弁があったものと承知しております。

 また、衆議院内閣委員会のお求めに応じまして、内閣府において、出向元の経済産業省を通じて当時の付スタッフ本人に調査を行っており、五月二十五日の同委員会理事会において、そのような打合せでは通常メモをとっておらず、その日の面会でもメモはとっていないと確認した旨、内閣府から説明があったものと承知してございます。

川内委員 誰もメモをとっていないと。多分、子供たちでも、そんなことがあるんでしょうかと、誰も信じないと思いますけれどもね。異常な状況ですよね。公務員が公務員として会合して、その会合のことについて、後で、どういう会合だったんですか、誰がどんな発言したんですか、どういう資料が提出されたんでしょうかと聞いても、誰も、わかりません、記憶していませんと。これは、そんなことあり得るんでしょうか。

 では次に、内閣府藤原次長の出張における加計学園からの便宜供与について質問をいたします。

 国家公務員倫理審査会、国家公務員倫理規程では、利害関係者から供応接待を受けることは禁止をされております。違反の疑いがある場合の調査、懲戒の手続について御説明をいただけますか。

村上政府参考人 制度所管部局ではございませんので、我々どもで把握している限りを御説明申し上げます。

 これまでも御答弁申し上げてきたとおり、移動手段の一部に民間事業者が管理運営する業務用車両を用いた可能性を推認するに至ったということで、内閣府として調査を開始いたしました。

 この調査は、そのやり方、方法等について、まだ端緒の報告の前という状況ではございますが、公務員でありましても、めったやたらと疑いのない者のプライバシーを追いかけることはできませんので、推認できる状況が至ったということで、倫理審査会の事務局に御相談申し上げまして、その上で、内閣府としての調査をしてございます。

 この御相談をしているプロセスで、もしも倫理審査会の方から、これは端緒の報告をすべきであるという事案に該当するんじゃないかというふうに、相談結果、御回答いただきますと、私、任命権者、これは経済産業省になりますけれども、調査も今一緒にやってございますが、そちらから正式に公務員倫理審査会の方に端緒の報告を行い、その上で、法的な手続の上にのっとって、また指導いただきながら調査をし、その上で、倫理審査会本体に御相談、御判断を必要な状況に応じていただくというような手続が、これは違反の有無にかかわらず、一般論としてでございますけれども、あるというふうに内閣府としては承知をしてございます。

川内委員 村上さん、藤原次長と同行者二名、この平成二十七年八月五日、六日の御出張ですね、加計学園から飲食の提供も受けましたかというのをちょっと御本人たちに聞いて御報告くださいということを申し上げてあるんですけれども、御本人たちに聞いていただいていると思うんですが、飲食の提供を受けたか否か、それだけです。それが倫理審査規程に照らしてどうなのかというのは、また行政の中で御議論をされることだというふうに理解をしております。

 飲食の提供を受けたかどうか、本人たちの証言をここで私どもに御報告いただきたいというふうに思います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 私たちが今把握している限りにおいては、そうした事実はございません。

 この調査の仕方が正しいかどうかも含めて、改めまして、倫理審査会に御相談をしながら、この点も含めて調査をするという状況でございます。

川内委員 把握している事実という言葉の中には、飲食の提供を受けたかということを聞いたということが含まれているということでよろしいですか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 事前確認の段階で、私ども、御本人たちに伺った限りにおいては、飲食がどのような形態で行われていたか、例えば、前日の晩は三人で食べているとか、じゃ、移動中はどうしたんだとかということの事実関係は聞いておりますが、その時点では、提供があったという事実は確認してございません。

 この聞き方がよかったかどうか、それから、その他の関係者も含めて証言を照合する必要があるんじゃないかといったようなところにつきまして、今、御相談をしながら改めて調査をしているということで、基本的に、我々の知る限りではないということでございます。

川内委員 倫理審査会から端緒の報告をした方がよいと言われたら調査報告をするというふうな御答弁をされたんですけれども、倫理審査会はそんなこと言わないですよね。あくまでも、原局というか、審議官の方で、これは端緒の報告をし、正式な調査を開始した方がいいねという判断をしたら公務員倫理審査会に報告するという手続だというふうに理解しますが、よろしいですか、それで。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 正式には、今、任命権者は、出向中の職員も含めて経産省になりますので、私がお答えするのが適切かどうかわかりませんが、私どもが制度一般論として理解しているというところでは、まさに相談という言葉を用いさせていただいておりますが、最終的にはそれぞれの任命権者が判断すべきものということでございます。

 ただ、やはり法の運用をしております専門部局の御意見も伺わないと、私どもだけで判断し切れないところもあるものですから、そこは逐一丁寧に御相談をさせていただいている、こういう趣旨で相談と申し上げてございます。

川内委員 きょう、さまざまにお聞かせをいただいたんですけれども、何一つ事実として確定するものがないんですよね、こっちは事実を聞いているだけなのに。

 行政として、事実を聞いていることに対して、記憶がない、記録がないで、何一つ確定させられないというのは、これはゆゆしき事態だというふうに言わざるを得ませんし、だからこそ、国民の皆さんから政治や行政に対する疑問の目が向けられているということを申し上げて、残念だけれども終わらせていただきます。

冨岡委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただいて、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、通告とちょっと順番が変わっておりますけれども、まず初めに質問をさせていただきたいと思います。児童生徒の登下校の危機管理についてお尋ねをいたします。

 近年、児童生徒が登下校中に連れ去られるという事件が多発をいたしておりまして、凶悪犯罪に巻き込まれるリスクというものが大変高くなってきております。その中で、先般、新潟で大変痛ましい事件が起きて、本当に無念の中に、多くの可能性に満ちた本当にとうとい生命が奪われてしまいました。

 現在も、子供を守るための取組が、学校、保護者そして地域の皆様の御協力のもと、一体となって取り組まれていると承知をいたしておりますけれども、改めて、この事件を受けまして、文科省として再度、この取組についての決意を含めて、お話をお聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 登下校時の防犯対策として、児童生徒等を極力一人にしないという観点から、安全な登下校方策の策定実施、児童生徒等の登下校を地域全体で見守る体制の整備等が重要です。

 文部科学省では、児童生徒等が登下校中に犯罪被害に遭わないために、登下校時に緊急事態が発生した場合の対応について記載した学校の危機管理マニュアル作成の手引や、児童生徒等が危険を予測回避し安全な行動をとる力を育むための教材等の作成、配付、また、登下校時の児童生徒の見守り活動に対する支援、そのほか、学校における防犯教室等の講師となる教職員を対象として都道府県教委が実施する講習会の支援、こういった取組を行っておりまして、学校だけではなく、警察や家庭、地域と連携した取組を推進してきたところでございます。

 また、先日、登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議が開催され、官房長官から関係閣僚に対し、三点指示がありました。その三点は、新潟市で発生した事件の被害状況を踏まえた再発防止、そして、通学路の安全点検の徹底と不審者情報への迅速な対応、さらに、子供に対する安全対策の強化、こういった三点でございます。

 文部科学省としては、この指示も踏まえ、登下校時の児童生徒等の安全確保について、引き続き、関係省庁とも緊密に連携しながら取り組んでまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 今ほど申されたように、改めて、本当に痛ましいこの事件を受けまして、二度とこのようなことが起こらないために、あらゆる方策と申しますか、子供たちを守る方策にぜひ引き続きお取組をお願いしたいと思っております。

 それでは、幼児教育の無償化について質問をさせていただきます。

 従来、政府は、人づくり革命として、二兆円規模の政策パッケージということで発表をされておりました。その中では、二〇一九年の四月から無償化を先行実施して、二〇年から全面実施をするという方針でございました。

 先般、この幼児教育、保育の無償化というものを前倒しされて、一九年十月から全面実施をされるという方針が発表になったというふうに認識をいたしております。六月の骨太の方針、経済財政運営と改革の基本方針の中に盛り込まれる方向となったというふうに伺っておりますけれども、その概要についての御説明、そしてまた、この政府の方針を受けまして、文科省として今後どのようにこの無償化に取り組んでいかれるのかということについてお尋ねをいたします。

林国務大臣 平成二十九年の十二月八日に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおきましては、「広く国民が利用している三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化する。」こういうふうにされまして、その実施時期でございますが、「消費税率引上げの時期との関係で増収額に合わせて、二〇一九年四月から一部をスタートし、二〇二〇年四月から全面的に実施する。」こういうふうになっております。

 幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等については、ことしの夏までに結論を出すこととされまして、現在、内閣官房のもとに設置されました専門家検討会において、関係府省も参画しながら、幼稚園における預かり保育も含めた無償化の取扱いについて検討が進められているところでございます。

 これらについてまだ引き続き検討されているところでございますので、その内容や全面実施の時期の変更について、現時点で決定された方針があるというふうには承知をしておらないところでございます。

 文科省としては、パッケージに示された方針の具体化に向けまして、引き続き、関係府省と連携しながら検討を進めてまいりたいと思っております。

西岡委員 今大臣からございました、正式な時期の変更というものはないということでございますけれども、報道等で前倒しになったということでお聞きをしておりますので、この六月に発表される骨太の方針の中で時期についても発表があるものではないかというふうに思っております。

 今、ちょっと大臣の方からもございました、幼稚園における預かり保育もその対象になるということでございましたけれども、これはちょっと通告をいたしておりませんが、預かり保育として無償化の対象になる要件というものが今検討をされているようにお聞きをしておりますけれども、もしこのことを少し御説明いただけるのであれば、お願いをいたします。

高橋政府参考人 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、幼稚園の預かり保育につきましては、現在、内閣官房のもとに設置された専門家検討会において、関係府省も参画しながら、また、関係団体からもヒアリングなどをしながら、現在、鋭意その扱いについて検討が進められているところでございます。

 まだ、現時点においては決定された方針があるとは承知しておりませんので、今後とも、文科省としては、引き続き、関係府省とも連携しながら、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 やはり利用者の皆さんのニーズに沿った、本当に効果のある形での幼児教育の無償化というものをぜひ取り組んでいただきたいと思っております。

 今、幼児教育についてお尋ねをいたしましたけれども、無償化の議論に関連をいたしまして、高等教育の無償化についてもお尋ねをいたします。

 多分これも正式な方向性はまだ出ていないということになるかと思いますけれども、二〇二〇年から高等教育の無償化を導入するという中で、住民税の非課税世帯だけではなくて、年収三百八十万円未満の世帯についても段階的に支援をする方針であるというふうに聞いております。

 これもこの六月の骨太の方針に書き込まれる予定であるというふうに伺っておりますけれども、これもまだ確定をしていないというお答えかもしれませんけれども、高等教育の無償化についての文科省としての見解、また今後の取組についてお尋ねをいたします。

林国務大臣 少子高齢化が進む中で、我が国が持続的な成長を実現する、そのために、人材への投資を拡充することによって、人材の質を高めて生産性を向上させていくということが重要だと考えております。

 我が国の高等教育、現状を見ますと、やはり所得が低い世帯ほど大学進学率が低く、また逆に、学歴により生涯賃金に大きな差が生じている、こういう指摘がございまして、格差がいわば固定化されるおそれというのが指摘されているわけでございます。政府の調査結果によりましても、夫婦が理想の子供の数を持たない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからと回答した者がやはり一番多くて、高等教育を含む教育費の負担、これが少子化の原因の一つになっているということでございます。

 人材の質の向上による持続的な成長、それから格差の固定化の防止、さらには少子高齢化への対応を目指す上で、高等教育は大変重要な役割を担っていると考えておりまして、昨年十二月に新しい経済政策パッケージを閣議決定いたしまして、こうした考え方に基づいて、意欲さえあれば大学等に進学できる社会へと変革するために、低所得世帯について、授業料の減免措置と給付型奨学金の大幅拡充を行うということになっております。

 今、まさに文部科学省で専門家会議を設置して検討を行っているところでございまして、引き続き、具体的な制度設計と円滑な制度実施に向けた準備に取り組んでまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 高等教育の無償化に取り組むに当たりましては、国公立大学と私立大学の格差の是正という視点もやはり大変重要であるというふうに思っております。

 特に私立大学におきましては、保護者の家計に占める負担が大変重いということが挙げられるというふうに思いますけれども、この無償化に際しまして、国公立大学と私学の大学の格差の是正という視点での文科省の見解、取組についてお尋ねをいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 私立大学につきましては、建学の精神に基づきまして、社会や時代のニーズを踏まえた、個性、特色ある教育を実施するとともに、我が国の七割を超える学生の教育を支えるなど、高等教育において大きな役割を担っているところでございます。また、その収入につきましては授業料が多くを占めているという状況でございますし、委員御指摘のとおり、その教育費負担については課題になっているところでございます。

 その点を踏まえまして、新しい経済政策パッケージにおきましては、私立大学の授業料の減免につきましては、国立大学の授業料に加え、私立大学の平均授業料の水準を勘案した一定額を加算した額まで対応を図るということとされているところでございます。

 また、特に私立大学等につきましては、授業料以外にも、例えば施設整備費とかいうふうな、いわゆる学校納付金の費用負担が行われているという現状に鑑みまして、先ほど大臣から御答弁申し上げました専門家会議におきましても、私立大学等の在籍者に限って、給付型奨学金の対象経費として、授業料以外の学生納付金を勘案するといった観点からの議論も行っているところでございます。

 今後、専門家会議での議論を踏まえまして、高等教育の無償化の制度設計を進めるとともに、私学の果たす役割を踏まえて、改革に取り組む私立大学等への支援に努めてまいりたいと存じます。

西岡委員 今おっしゃいました減免措置について、学生納付金も対象とすべきという検討が行われているということでございましたけれども、大変重要な視点だと思いますので、引き続き十分な御議論をいただきたいというふうに思っております。

 一方、大学につきまして、支援対象の要件を課すということをお伺いいたしております。この要件についてはどのようなものであるかということについてお尋ねをいたします。

 この要件につきましては、私立大学等からさまざまな御意見が寄せられているというふうにお聞きをいたしておりますけれども、このことも含めましてお尋ねをいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 新しい経済政策パッケージに基づきます支援措置につきましては、大学での勉学が就職に結びつくことにより格差の固定化を防ぎ、支援を受けた子供たちが大学でしっかり学んだ上で、社会で自立し、活躍できるようになるということを目的としております。

 そのために、支援の対象となる大学につきましては、急速に変わり行く社会で活躍できる人材を育成する上で、学問追求という観点とともに、実際の社会のニーズに対応した、経験に基づく実務の観点を踏まえた教育の実施ということが求められておりまして、そういう観点から、政策パッケージにおきましては、実務経験を有する教員による科目の配置が一定割合を超えていること、外部人材の理事への任命が一定割合を超えていること、成績評価基準を定めるなど厳格な成績管理を実施、公表していること、法令にのっとりまして財務、経営情報を開示していることというような、対象となる大学等についての満たすべき要件を提示しているところでございます。

 この要件の具体的内容につきましては、現在、専門家会議において議論しているところでございます。引き続き、大学関係者、関係団体の御意見も伺いながら、しっかりした結論を出すべく検討を進めてまいりたいと存じます。

西岡委員 私立大学の方から今寄せられております御意見について、差し支えがもしなければ、少しお聞かせいただきたいと思います。

義本政府参考人 私立大学の関係団体からもヒアリング等を通じまして意見を求めておりますけれども、その中でも特に、建学の精神を重んずる大学において、その要件を定める場合においては、例えば実務経験を有する教員の科目の配置ですとか外部の人材の理事ということについては、大学の自主性、自律性を十分踏まえた上で考えていただきたいという点についての御意見をいただいているところでございます。

 この点につきましては、この専門家会合だけではなくて、中央教育審議会においても、大学改革の観点からの御議論もいただいておりまして、その中でも、大学の社会とのかかわりをより深くし、大学の改革を進めていく観点から、例えば外部理事の任命を一定の数を確保していくとか、あるいは実務経験を有する教員、あるいは実践的な教育を実施するための一定の考え方についての議論をいただいておりますので、そういう点も含めて関係者にお話しして、しっかりした協議をした上で結論を出していきたいと存じます。

西岡委員 今述べられました要件につきましては重要な視点があるというふうに思いますけれども、高等教育の無償化というものは、経済的な、家庭の経済理由にかかわらず、志を持っている子供たちが勉強できるという機会を拡大するという趣旨にのっとりまして、この要件が、子供たちが学んでいく、そして大学を選んでいくときに制限というふうにならないようなことというのは、やはり大変必要なことだというふうに思いますので、過度に対象校を限定したりですとかそういう形で、子供たちが希望する大学に行くことができないということがないように、そのあたりについては十分御配慮いただくことというふうに思いますけれども、改めて、そのことについてはぜひ十分な御配慮をいただきたいというふうに思っております。

 続きまして、高等教育に関連をいたしまして、大学教育についてお尋ねをいたします。

 少子高齢化の中で、現在百二十万人いると言われている十八歳人口は今後も減少していくということが予想される中で、持続可能な大学、また高等教育のあり方というものが今後大変重要な課題となるというふうに思っております。

 この厳しい状況の中で、例えば、現在、国公立大学を中心とした連携、統合の流れというものが活発化をいたしております。

 例えば名古屋大学につきましては、複数の大学を一緒に運営していくアンブレラ方式という方式で今連携が進められているというふうに聞いておりますけれども、このアンブレラ方式、これは、傘下の大学の管理部門を統合、そして合理化することによって、それで得られた経費を研究機能の強化ということに充てていくという方針であるというふうに聞いておりますけれども、今のこの大学の連携、統合化の流れ、そしてアンブレラ方式という統合のやり方、このことについて少し御説明をいただけたらと思います。

林国務大臣 今委員がお話しなされましたように、十八歳人口が大幅に減少するというふうに見込まれる中で、将来の我が国の成長を担う質の高い人材を育成するためには、やはり高等教育の規模を視野に入れて、地域における質の高い高等教育機会の確保のあり方、これを検討する必要があると思っております。

 去年百二十万人だった十八歳人口、二〇三〇年には百三万人、二〇四〇年には八十八万人、こういうことでございまして、大学進学率を推計いたしまして掛け合わせた数字が二〇一七年がピークである、二〇一八年問題とちまたで言われておるようですが、そういう時代に入ってきている、こういうことでございますので、こうしたことを踏まえて、昨年の三月に、中教審に我が国の高等教育に関する将来構想についてということで諮問をいたしまして、その中で、今委員がお触れいただいたような、国公私の設置者別の役割分担や、国公私の設置者の枠を超えた連携、統合等の可能性、この検討をお願いしておるところでございます。

 この諮問を受けまして、中教審の大学分科会の将来構想部会におきましては、地域における大学、地方自治体、産業界の連携を強化する、それから国立大学の一法人複数大学方式、それから、私立大学の学部単位等での円滑な事業譲渡の方法や、経営困難な学校法人に対して撤退を含めた早期の経営判断を求める踏み込んだ指導、こういったこと等について御議論いただいておりまして、昨年末に、今後の将来像の提示に向けた論点整理が取りまとめられておるところでございます。

 引き続き、中教審において、国公私の役割分担も含めて専門的な議論を進めていただきまして、秋を目途に答申をいただく、こういうことになっておりますので、文科省としても、その結論を踏まえて適切に対応してまいりたいと思っております。

西岡委員 特に、地方におきましては、中小規模の私立大学が果たす役割というものも大変大きいものがあるというふうに思いますし、国公立大学と私学の連携、統合という面では、いろいろなそれぞれの地域における問題点もあると思いますし、さまざまな問題点があるというふうに思いますけれども、この今の大変厳しい状況を踏まえた中で、文科省がその調整役といいますか、よりよい大学のあり方、そして適正配置、また全国でどこにいてもやはり子供たちが学んでいける体制というものを維持しながら、連携そして統合についてもぜひお考えをいただきたいというふうに思っております。

 今の大変厳しい財政状況というものも大学を取り巻く環境の中にあるというふうに思いますけれども、特に国立大学については、運営交付金が削減される中で、財源の確保というものも大変大きな課題であるというふうに思います。

 その中で、今後、やはり大切な財源を求めていく上で、寄附金というものも大変重要な視点というふうになると思っております。

 これはちょっと通告をいたしておりませんけれども、大学に対しての寄附金ということについて、少しもしお話ししていただけることがあれば、現状も含めてお願いいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、やはり大学の予算の確保とともに、大学の財政基盤を強化するためには、寄附金などの外部資金を含め、財源の多元化を図るということは非常に大事でございます。

 文科省としましては、寄附等に関する税制改正、あるいは外部資金の獲得に向けた規制緩和に取り組んでいるところでございます。

 税制改正について御紹介させていただきますと、これは平成二十八年度でございますけれども、国立大学法人につきましては、これまでは認められておりませんでしたけれども、修学支援を目的としたいわゆる寄附の税額控除を導入したりということがございましたりとか、それから、大学に対しては、いわゆる株式ですとかいろいろな評価性資産の寄附というのがございますけれども、そのみなし譲渡所得の非課税の承認を受ける規制緩和をし、より寄附をしやすいような環境を整えたところでございます。

 また、大学におきましても、しっかりした体制を整えて寄附を募っていくということが非常に大事でございますので、海外の事例なんかも参考にしながらその取組を紹介するなどということを、国公私を通じまして今取り組んでいるところでございます。

 文科省としましては、今後とも、必要な予算の確保とともに、寄附を含めました外部資金の獲得に向けた取組を各大学で促進されるように支援してまいりたいと存じます。

西岡委員 ありがとうございます。

 海外に比べまして、卒業生も含めた大学への寄附ということがまだまだ日本では進んでいない状況があるというふうに思いますので、このこともぜひお進めをいただきたいというふうに思います。

 それでは、関連いたしまして、大学教育の質の向上、そして体制の強化についてお尋ねをいたします。

 先般、朝日新聞の方に掲載をされておりましたけれども、朝日新聞と河合塾が行った、大学の教員の先生方に対する調査というものがございました。

 その調査によりますと、大学の教員の約半数が非常勤の教員であるということが、このデータから示されております。常勤の教員の四分の一が特任や特命などの任期つきの雇用となっているという実態もございます。

 その意味でいいますと、専任の中には任期つきの専任教員も含まれているので、全く任期がない常任教員というのは全体の三六・九%にとどまるというデータが出ております。

 その要因としては、研究分野が細分化をしていること、また、教育課程の弾力的な運営をしていくという側面もあるというふうに思いますけれども、やはり非常勤の教員の先生方が大変多数を占めているという今の大学の状況につきまして、その現状の認識についてお尋ねをいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 まず、学校基本調査、二十九年度でございますけれども、大学教員のうち、本務者が実数で十八万五千三百四十三人、兼務者が、延べの人数でございますけれども、十九万七千百七十五人になっております。

 教育研究の実態につきましては、この河合塾の調査でも少し触れていただいておりますけれども、大学の規模とか特色、あるいは学問分野がさまざまでございまして、常勤、非常勤といった教員の構成について一概に論じるということはなかなか難しいところでございますが、一般論で言えば、主要授業科目については専任教員により実施するなど、教育研究上の必要な教員体制をしっかり確保した上で、委員御指摘のように、大学の特色に応じた少人数の教育の実施ですとか、授業内容の改善等のため追加的に非常勤教員を採用するということについては、問題とは言えないというふうに考えているところでございます。

 いずれにせよ、各大学において、それぞれの特色や教育研究、教育の内容に応じた適切な教員体制を整備いただくことが重要であると考えております。

西岡委員 やはり数校かけ持ちをされている先生方も大変多いというふうに聞いておりますし、常勤の先生との格差の問題、特に、若い教員の方々のキャリア形成、そしてキャリアを安定化していくという課題も大変大きいというふうに思いますので、さまざまな結果を踏まえて、ぜひ、教育研究の安定という観点から、大学の教員の体制というものを進めていただきたいというふうに思います。

 あと一点、関連いたしまして、リカレント教育の推進というものがこれからより重要になってくるというふうに思います。

 特に、女性の立場で申しますと、子育てや介護で一度離職した女性が再就職をするときに、リカレント教育というものが、女性にとっても、これは女性に限りませんけれども、今後大変重要になってくると思いますし、人生百年時代を迎えて、やはり学び直し、さまざまな年齢層の皆さんが再度学問を学んでいくということは大変重要なことだと思います。

 今のリカレント教育の推進の体制、取組について、御説明をお願いいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、人生百年時代におきましては、個々人が人生を再設計し、一人一人のライフスタイルに応じた形でキャリア選択を行い、新たなステージで求められる能力、スキルを身につける機会が提供されるということは非常に大事でございます。

 文部科学省では、これまでも、社会人が学び続けられる環境を構築するために、企業等との連携によりまして、実践的、専門的なプログラムに対して大臣認定を行いまして、リカレント教育の推進に取り組んでいるところでございます。

 さらに、このリカレント教育を充実するために、人生百年構想会議等の議論も踏まえながらでございますが、特に、掲げられておりますプログラムの供給の抜本的な拡充ということを図る観点から、全国展開のための拠点となる大学を複数整備して、オンライン教育、オンライン講座も含めまして、産業界あるいはいろいろな社会のニーズを踏まえたプログラムを先行的に開発していくというふうなことですとか、特にそれを教える実践的な教育を行える人材の確保ということは、これも課題でございますので、この観点から、実務家教員の研修プログラムを開発、実施し、当該研修修了者の情報を登録して、それを大学等にマッチングさせる仕組みを構築することなど、大学がリカレント教育を円滑に実施するための必要な体制整備について検討を行っているところでございます。

 文部科学省としましては、引き続き、人生百年構想会議等の議論を踏まえまして、関係省庁とも連携しながら、社会人が学びやすい環境の整備のため、リカレント教育の一層の推進に努めてまいりたいと存じます。

西岡委員 ニーズに沿ったリカレント教育、ぜひ、また一層推進をしていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がございません、最後の質問になるかと思います。

 先般、気候変動適応法が衆議院を通過いたしました。

 文科省におきましても、従来から、気候予測そしてまた災害予測につきましてさまざまなお取組をいただいているというふうに思います。防災科学技術研究所と一体となって、これまで、地震、津波の観測を含めて、また、都市部における激甚災害の軽減化プロジェクト、また、地域防災対策支援研究プロジェクトというものを行って、地方公共団体の災害計画の策定や、被害の軽減に資する地震、防災研究の推進に取り組んでいただいております。また、海洋研究開発機構におきましてもさまざまな取組を行っていただいているところでございますし、さまざまな災害の発生確率、そして危険性の評価の観点から、被害の軽減に資する地震、防災研究推進に取り組んでいただいております。

 この気候変動適応法が成立をいたしまして、また文科省でのさまざまな取組、知見が大変重要になるというふうに思います。現在、環境省におきまして、気候変動適応プラットフォームというものが構築をされまして、この中にも文科省のこれまでの知見、積み重ねのデータというものが含まれて、盛り込まれているというふうに思います。

 この法律の施行を見据えての、今後の文科省としてのより一層の取組につきまして、お尋ねをいたします。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 気候変動は、将来の生活や経済活動などに大きな影響を与える可能性があり、政府全体でその対策に取り組む必要がございます。

 文部科学省では、全ての気候変動対策の基盤となる気候変動メカニズムの解明や、より正確な地球温暖化の将来予測、地域における将来的な気候変動への適応策の立案、評価に必要な近未来における気候予測の詳細化などの技術開発、こういったものに取り組んでございます。その成果はこれまでも、先生が御紹介されました、環境省の気候変動適応情報プラットフォームを通じて広く活用されるなど、密接な連携を進めているところでございます。

 気候変動適応法案におきましては、国の責務といたしまして、気候変動等に関する科学的知見の充実及びその効率的かつ効果的な活用を図ることとされております。

 文部科学省といたしましては、今後とも、気候変動対策の基盤となります予測技術などの研究開発を進めるとともに、環境省を始めとする関係省庁あるいは地域自治体と連携いたしまして、効果的な適応策の策定に貢献してまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 時間となりましたけれども、各省庁、気候変動適応法につきましては、さまざまな分野についての影響を考えていかなければいけないので、さまざまな省庁との連携というものが大変重要になってくると思いますので、引き続き、お取組をお願い申し上げます。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 質問に入る前に、加計学園の問題については、しっかりと調査をされ、そして、国民の皆様が真実を知りたいと強い思いを持っていらっしゃる、その思いに応えていく、そういう姿勢をお見せいただきたいということを申し上げます。よろしくお願いいたします。

 きょうは、共生社会をつくるための特別支援教育について御質問させていただきたいと思います。

 我が国は、二〇一四年一月二十日に国連の障害者権利条約を批准しました。この条約には、インクルーシブ教育システムの理念が示されています。このシステムは、障害のある子供たちとない子供たちがともに学ぶ仕組みであります。障害のある子供たちが教育制度一般から排除されないということを示しています。

 また、障害者基本法の十六条の一項には、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒とともに教育を受けられるよう配慮するという内容があります。

 そこで、きょうは、改めて、障害のある子供たちの学ぶ機会をしっかりと保障していくというのは国の責務であるというふうに考えますので、そういう観点から、この教育の機会均等をどのように進めていくのか、お伺いしたいというふうに思っています。

 国は、切れ目ない支援体制構築のための特別支援教育の推進という言い方をして、障害のある児童生徒等の自立と社会参加の加速化に向けた取組の充実を図り、障害のある児童生徒等が十分な教育を受けられる環境を構築するといって、予算もしっかりととっていらっしゃることだと思いますが、平成三十年度予算は二十四億三千五百万円、これが十分なのかというと、恐らくそうではないというふうに思います。

 ぜひ、私は、応援団の立場からして、頑張っていただきたい、本当にともに学んでいける、全ての子供たちがともに学んでいける、そういう機会をしっかりと支えていく、つくり上げて、そして支えていく、それをしていただきたいと思います。

 障害のある幼児児童生徒の学ぶ権利をどのように守り、そして、インクルーシブ教育を含めた特別支援教育をどのように進めていくのか、お伺いします。

林国務大臣 障害者の権利に関する条約、これに基づきますインクルーシブ教育システム、この理念の実現に向けまして、文科省としては、障害のある子供と障害のない子供が可能な限りともに教育を受けられるように条件整備を行うとともに、障害のある子供の自立と社会参加を見据えまして、一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できますように、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校、こういった連続性のある多様な学びの場の整備を行う、これが必要であると考えております。

 このため、文科省においては、特別支援教育に関する教職員の資質の向上、それから、発達障害などの障害のある子供に対する指導方法に関する調査研究、それから、特別支援教育に必要な教員定数の確保、子供の学習活動上のサポート等を行う特別支援教育支援員の配置に係る支援、これに取り組んでおるところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じまして、特別支援教育のさらなる充実を図ってまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 今、大臣から、それぞれの子供たちのニーズに合わせた形でということで、通常学級、通級、そしてまた特別支援学級、特別支援学校、そしてまた特別支援教育の支援員のお話までトータルして御説明をいただいたわけですけれども、我が国が目指す教育というのを、改めてどういうものかというのを確認させていただきたいというふうに思うんです。

 切れ目ない支援体制整備充実事業があります。これを通した形での取組がまずなされているのですけれども、それについて御説明いただきたいと思います。

宮川大臣政務官 文部科学省におきましては、特別な支援を必要とする子供への就学前から学齢期、そして社会参加までの切れ目ない支援体制を整備するために、各自治体に対する補助事業を実施しておりまして、昨年度までは三十地域であったものを、平成三十年度予算においては六十地域を対象にするということに予定をしております。

 昨年度実施された自治体におきましては、各ライフステージで支援が円滑に行われるよう、各関係機関で情報を共有できる体制の構築、支援に係る情報や相談窓口が一目でわかるような保護者向けのハンドブックの作成、乳幼児期に支援してきた保健師さんによる小学校への訪問支援などの取組が行われているところであります。

 こういう取組を通じまして、これからも特別な支援を必要とする子供たちへの支援の強化、そして取組を進めてまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 この事業ですけれども、今おっしゃっていただいたように、三十地域から六十地域に拡充ということなんですが、実際に、子供たちの就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制というものを整備していくということですので、縦割りとなっているような、教育部局と福祉、保健、医療というものをばらばらに考えるのではなくて、そこはしっかりと横串を刺しながらも、連携した形で、障害のある、あるいはニーズのあるお子さんを成人するまでしっかりと支える、そういう仕組みだというふうに私は理解をしています。

 ただ、残念ながら、それをやるのが私は当たり前の社会にしていかなくてはいけないんだと思うんですが、三十地域が六十地域です。これはモデル事業なんですか。

宮川大臣政務官 これはモデル事業ではなく補助事業でありますので、積極的にその地域が意欲を持っていたときの補助でございます。

金子(恵)委員 私は、ここで申し上げたいのは、全ての自治体でこれをしっかりとやっていかなくてはいけない、それがやはりインクルーシブ教育というものを目指す上で必要なんだというふうにも思いますし、改めて、インクルーシブ教育というのは、宮川政務官、教員でもいらっしゃったということで御存じでいらっしゃるわけですけれども、障害のあるなし関係なく、一緒にまずは教育をしていくということでありますけれども、実際に、教育という場面だけではなくて、一生涯、ニーズのあるお子さんも、あるいはないお子さんも、大人になるまで一体となって行政がしっかりと支える、こういう社会じゃなくちゃいけないというふうに思うんです。

 私は、ですから、インクルーシブ教育の部分というのは入り口にすぎない、そして、その上で、本当の意味での共生社会をつくり上げるためにこういう流れというものが必要だというふうに理解しているんです。それでよろしいですか。

宮川大臣政務官 私の考えでもありますけれども、まさに金子委員と同じで、ずっと長きにわたってしっかりと能力の開発、維持というのができるような環境をつくりながら、その人たちに必要な支援ニーズということをしっかり把握していくことが重要だというふうに思っております。

 しかし、その中で、行政だけがやるわけではなく、それぞれの、同じインクルーシブ教育を受けた世代の人たちがともに支え合うような社会というのが本来の共生社会だというふうに思っておりますので、行政のみならず、お互いが支え合う社会をどうやってつくるかということを私たちは念頭に入れた上で、インクルーシブ教育に力を入れていかなければいけないと思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 政務官おっしゃったとおり、当然、行政だけではなくて、地域社会も一体となってこれを進めていかなくてはいけないということだというふうに思います。

 そうであるのであれば、これは今回は補助制度だということでありますけれども、もうこの社会が当たり前ということで、しっかりと支えていく大きな仕組みづくりというのをしていかなくてはいけないというふうに思うんです。

 ぜひ、そのように、これは三十地域から六十地域だとか、そういう小さな目標ではないものを私は御検討いただきたいというふうに思います。お願いいたします。

 それで、この切れ目ない支援体制整備充実事業は、実は二十九年度まではインクルーシブ教育システム構築事業という名称でした。それが、この言葉を使わずに、名称が変更された理由というのは何でしょうか。

宮川大臣政務官 平成二十八年度に実施いたしましたインクルーシブ教育システム推進事業におきましては、各自治体が看護師や理学療法士などの専門家の配置を行う場合に経費の一部の補助をしておりました。

 一方で、平成二十九年二月に総務省の発達支援に関する行政評価・監視が公表されまして、その中において、今引用を申し上げますけれども、発達障害を持つ児童生徒が切れ目なく適切な支援が受けられるよう、保育所、幼稚園から大学、就労先までの各段階において、発達障害が疑われる児童生徒に対する必要な支援内容等が文書により適切に引き継がれるよう、都道府県等に対し周知することとの勧告がなされました。

 これを受け、専門家の配置に対する補助事業に加えて、平成二十九年度から新たに、特別な支援を必要とする子供への就学前から学齢期、社会参加までの切れ目のない支援体制整備事業を追加することとし、その事業名を切れ目ない支援体制整備充実事業と変更いたしました。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 インクルーシブ教育というものを進めている人たちはたくさんいらっしゃいます。今、私たちはそれは目標だというふうに思って信じてやまないんですけれども、このインクルーシブ教育システム構築事業が、切れ目ない支援体制整備充実事業というものに看板をかえたということがどういう影響を与えるのかということを大変懸念している人たちもいるということを御理解いただきたいと思うんです。つまりは、我が国はインクルーシブ教育を進める、それがゴールにはなっていないんじゃないかということです。

 そもそも、例えば国連障害者権利条約で言うインクルーシブ教育は、同じ場でともに学ぶという大きな目標があるわけです。それが前提になっている。ただ、文科省の言うインクルーシブ教育システムというのは、能力を最大に発揮させるというのは前提になっているけれども、その能力に応じて場を分けたりする、そういう特別支援教育を行っているのではないかということで、国連の障害者権利条約の言っているインクルーシブ教育とは違うのではないかという議論があるのを宮川政務官も御存じだというふうに思います。

 我が国はどういう方向でどちらの方向に向いているのか、ちょっとここを確認させていただきたいと思うんです。大きな目標というのは、ともに学ぶ、そういう場をつくり上げるということでよろしいでしょうか。

宮川大臣政務官 先生の御指摘の件に関しては、私もしっかり承知をしているつもりでございます。

 我が国が世界で規定をするようなインクルーシブ教育から外れるというわけではなくて、我が国独自の、独自性も出していかなければいけない。私たちは、障害のある子供も障害のない子供もともに可能な限り一緒に学ぶという環境整備を続けていくのと同時に、その条件整備とともに、障害のある子供たちが自立をしていくこと、そして社会参加をしっかりできるような環境整備をしていかなければいけないと思います。

 その場合には、そのときによっては、もしかしたら、ともに学ぶよりも専門的な教育を受けることが必要かもしれないということも考えられますので、その教育的なニーズに最も的確に応えられる指導を提供できるように、連続性のある多様な学びの環境整備、そしてその場の提供をしていきたいと考えております。

金子(恵)委員 ニーズに対応するというのは通常学級の中でもでき得るということは御理解をいただきたいというふうに思いますし、もちろん選択肢はあってもいいと思うんです。

 ただ、今、現状問題になっているのは、残念ながら、当事者の方々あるいは保護者の方々の意思と違った形で特別支援学校に行くことになってしまうという方々もまだまだいる。そうであってはいけない仕組みになっているはずですけれども、やはり意思が尊重されていないということだと思うんです。そうであってはいけません。

 ですから、もし選択肢が現状あったとしても、それでも私は、最終的には、やはりともに本当に学んでいける、そういう場をしっかりとつくり上げていく、ゴールには向かっていく。その段階において、今それぞれの、先ほどあったように、特別支援学校、特別支援学級、そして通級もあるということでいいんだ、そういうふうになっていただきたいという思いも込めて今質問させていただいております。

 そこで、先ほどお話がありました、通常学級で学んでいながらニーズのある子供たち、しっかり支えていかなくてはいけない、そして、合理的配慮をしっかり提供するということで特別支援教育支援員の配置というものがなされているわけですけれども、特別支援教育支援員の果たす役割というものを改めてお伺いしたいと思います。

林国務大臣 この特別支援教育支援員でございますが、幼稚園、小中学校、高等学校におきまして、担任の先生等と連携をしていただいて、日常生活上の介助ですとか健康、安全確保、発達障害等の幼児児童生徒に対する学習支援、こういう役割を果たしておられると承知をしております。

 文部科学省としては、こうした特別な支援を必要とする幼児児童生徒が増加傾向にございまして、特別支援教育支援員の活用が一層重要となっておりますことから、必要な地方財政措置が講じられ、引き続き適切な支援がなされるように努めてまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 大変重要な役割を担っているということは御認識をいただいております。

 平成二十九年度は、全国で、幼稚園では六千九百人、小学校、中学校では四万八千六百人、高等学校で五百人ということで、全体で五万六千人の支援員の先生方が活動をしているということであります。

 経験を積んだ人がなかなか育ちにくいのではないかという御指摘があったり、あるいは、配置に係る経費は、都道府県、市町村に対して必要な経費は措置されているということ、地方財政措置がなされているということでありますけれども、残念ながら、その支援員の雇用条件は、例えば一つの県内においても市町村では大きく異なっていたり、いろいろな課題があるようです。

 教育の現場で、公正公平に、しっかりと合理的な配慮というものも提供できるような、ニーズのある子供たちのための重要なサービスだというふうに思っていますので、こういう、雇用が例えば大変不安定であるというようなことはあってはいけないというふうに思うんですけれども、この件についてはいかがでしょうか。

宮川大臣政務官 特別支援教育支援員の雇用状況や雇用環境に関しましては、委員御指摘のとおり、地域によって異なりまして、詳細はいまだちょっと把握できていないところもありますけれども、非常勤職員や外部委託、ボランティア、ボランティアといっても、無償のボランティアと、有償のボランティアというのは正確な日本語かわかりませんが、ボランティア等の雇用形態があると我々承知しております。

 そのうち、非常勤職員が約七割となっておりますが、例えば、時給千円の介助員の方もいれば時給千五百円の学習指導員の方もいるなどと、地域やその勤務内容等によりさまざまであるというふうに認識をしております。

 文部科学省としては、引き続き、特別支援教育支援員の活用により、特別な支援を要する幼児児童生徒に対する適切な支援がなされるように努めていきたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 実態調査、まだまだ十分ではないという今のお言葉だったと思うんです。ぜひやっていただきたいと思います。

 とても重要ですし、そしてまた、さらには、後ほどちょっと質問もさせていただこうと思ったんですけれども、高等学校の通常学級の中でニーズのある生徒の方々がふえているということで、その部分についてもやはり支援員の方々の配置が更に必要になってきているということでありますけれども、そういう、子供から、そして大変感受性豊かな、ある一定の年齢に達したお子さんたちに対しては、やはり専門性の高い知識を持った支援員の方も必要になってくるということで、単なるボランタリーな形での雇用あるいは賃金の低い形の雇用では成り立たなくなってきているというふうに思うんです。

 ですから、新たな仕組みを考えるか、支援員の方々の立ち位置といいますか地位というものをもう少しきちんと確立していくということも含めてお考えいただきたいというふうに思います。

 もう一度申し上げます。これは、実態調査というのはこれからされるということでよろしいですか。

宮川大臣政務官 これからまた細部にわたってしっかりと調査をしてまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 調査をしていただきましたらば、やはりそれに対応するというその次の段階がありますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、心のバリアフリーについて大臣にお伺いしたいと思うんです。

 インクルーシブ教育に向かうために、現段階においても、できるだけ、とにかく障害のある子供たちとない子供たちが一緒に学ぶ機会、一緒に過ごす機会というものをつくり上げていかなくてはいけないわけです。その中で大切なのは、やはり互いに理解をし合うことということです。これがなければ、最終的に共生社会をつくり上げることはできないということであります。

 学校における交流及び共同学習を通じた障害者理解の推進事業があります。これをどのように活用し、取組をしているのか、お伺いしたいと思います。

林国務大臣 学校における交流や共同学習を通して、児童生徒等が心のバリアフリーについて学んで、多様性を受け入れて、お互いに共同する力を身につけるということが極めて重要であると思っております。

 平成二十七年度からモデル事業を実施しておりまして、この事業においては、例えば、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が一緒になって、ゴールボールなどのスポーツ活動、それから折り鶴、こういった造形、文化芸術活動が行われておるところでございます。

 また、少し前になりますが、スペシャルオリンピックスのユニファイドチームの試合というのを見に行きましたけれども、こういうところでも、障害をお持ちの方とお持ちでない方が一緒に、バスケットでしたら五人ですが、三人、二人でチームを組んで試合をする。私も見ておりましたけれども、どなたが障害がある方でどなたがない方か、見分けがつかないぐらいガチで試合をしておられまして、私、すばらしいなと思ったのは、それをたくさんの若い方が会場で見ておられる、こういうことがあったわけでございます。

 こうした活動をより活性化されますように、心のバリアフリー学習推進会議におきまして、ことしの二月にその推進方策について提言が取りまとめられたところでございまして、これを受けて、文部科学省では、都道府県教育委員会等に対して積極的な取組を促す通知を発出したところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じまして、学校教育における障害者理解のより一層の推進に努めてまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 今御説明いただきました障害者理解の件なんですが、心のバリアフリーの推進事業というのは、平成二十九年度は二十三件採択されているんです。ただ、そのうち、大学が受託してこの事業を行っているという件は七件あるんですね。二十三件のうち七件も結局大学、国立大学が受けているということで、私、これは本当に地域に根差した事業になっているか、そうではないという懸念を実は持っています。

 ですので、せっかくいい推進事業というものはある、私、中身はいいことだと思っていますので、もっと多くの方々に、自治体に手を挙げていただけるような、そういう発信の仕方もしていただきたいというふうに思っております。

 時間が参りましたのでこれできょうは終わりたいと思いますけれども、スポーツを通した心のバリアフリーというもの、これをしっかりと進めていくこと、これからオリンピック、そしてパラリンピックに向けて、多くの方々が本当に期待を込めて頑張っていらっしゃるわけですので、そういう障害のある方々、そしてまた、ない方々、一緒にスポーツを楽しむことができる、そういう環境づくりを更に進めていただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

冨岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 きょうは、学校教育における部活動のあり方について質問いたします。

 この間、中教審の教員の働き方改革中間まとめなどで、部活動のあり方に関する見直しが提起されてまいりました。スポーツ庁は、ことし三月に、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを策定し、適切な休養日の設定について述べられました。既に、一九九七年十二月には、運動部活動の在り方に関する調査研究報告書が文部科学省から出され、部活動に適切な休養日を設けることなどが示されてまいりました。

 ことし三月の今回のガイドラインと一九九七年の調査研究報告書は、この休養日の設定についてどのように違うんでしょうか。また、今回のガイドラインの実効性について伺います。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の平成九年に出しました運動部活動の在り方に関する調査研究報告書、これでは、休養日等の設定の例という形で、週当たり二日以上の休養日を設定することなどが示されておりました。そして、当時文部省でございましたけれども、同報告書を参考に適切な指導をすることを各教育委員会等に要請していったという形になっていたものでございます。

 そして、本年三月のガイドラインでございますけれども、これは、週当たり二日以上の休養日を設けるという点で、その点は同じでございますけれども、それを基準という形にいたしまして、この国の基準に基づいて学校や教育委員会においても方針を策定して、運用を徹底するということにしてございます。

 このように、例示にとどまらず基準として示しているということが、平成九年の報告書における取組と今回のガイドラインにおける取組との違いでございます。

 実効性の観点からも異なるというふうに考えてございますが、今後、休養日の設定や方針の策定の調査、教育委員会からのヒアリング等、定期的にフォローアップを行うことで、さらなる実効性の担保を図ってまいりたいと思います。

畑野委員 一九九七年の例から、今回は基準ということで、フォローアップも行って周知徹底を図るということです。

 それで、林芳正文部科学大臣に確認をさせていただきたいんですが、文部科学省としては、そもそも学校教育における部活動をどのように位置づけておられるのでしょうか。

林国務大臣 中学校、高等学校の学習指導要領の総則におきまして、部活動は、教育課程外の学校教育活動とされておりまして、生徒の自主的、自発的な参加により行われるものとして、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質、能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるように留意すること、こういうふうにされております。

畑野委員 林大臣からも御答弁がありましたが、生徒の自主的、自発的な参加だというお話でございました。

 一方で、部活動は、指導が過熱したり土日も休みなく練習するなど、生徒にとっても、また教員にとっても大きな負担となっているという現状もあります。

 部活動のあり方を改善していく際に大事なことは、部活動の目的とは一体何なのかということをいま一度明確にすることではないでしょうか。

 二〇一三年五月に文部科学省が出した運動部活動での指導のガイドラインでは、生徒が主体的に自立して取り組む力の育成の重要性が強調されています。ここではどのような内容が示されておりますか。

今里政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の運動部活動での指導のガイドライン、これにおきましては、生徒が主体的に自立して取り組む力の育成といたしまして、個々の生徒が、技能や記録等に関する自分の目標や課題、運動部活動内での自分の役割や仲間との関係づくり等についてみずから設定、理解して、その達成、解決に向けて必要な内容や方法を考えたり調べたりして、実践につなげる、また、生徒同士で、部活動の方向性や各自の取組姿勢、試合での作戦や練習に係る事柄等について、筋道立てて話し合う活動などにより目標達成や課題解決に向けて必要な取組を考え、実践につなげるというような生徒が主体的に自立して取り組む力を、指導者は、指導を通して発達の段階に応じて育成することが重要とされているところでございます。

畑野委員 個々の生徒の取組あるいは生徒同士の取組、今おっしゃったように、生徒が主体的に自立して取り組む力を、指導者は、指導を通して発達の段階に応じて育成する、これは大事なことだというふうに思います。

 先ほど大臣から、部活動は生徒の自主的、自発的な参加によるものというお話でしたが、この指導のガイドラインの指摘というのは、まさにそういった力を培っていこうと。言いかえれば、自治の力を育む取組だというふうに言えるのではないかと思います。

 教員の働き方改革や生徒の身体的負担の軽減という観点はもちろん重要なんですが、この指導のガイドラインの指摘を踏まえるならば、部活動とは、あくまで生徒の自主的、自治的活動として大切にされるべきものではないかと思います。

 今後、部活動の見直しに当たっては、こうした自治的、自主的な活動という視点を土台に据える必要があると思うんですが、林大臣の御認識を伺います。

林国務大臣 学習指導要領に示されておりますように、今、委員からもお話がありました、学校の部活動は、生徒の自主的、自発的な参加により行われるものであって、教育課程との関連を図りながら、生徒が多様な学びや経験をする場、みずから興味や関心を深く追求する機会として充実していくことが重要でございます。

 こうした考え方のもとで、運動部活動ガイドライン、三月に策定いたしましたが、運動部活動について、体力や技能の向上を図る目的以外にも、学習意欲の向上とか自己肯定感、責任感、連帯感の涵養に資する等、生徒の学びの場として教育的意義が大きい、それから、生徒の自主的、自発的な参加により行われることを重視すること、これを明記させていただいております。

 学校や教育委員会には、本ガイドラインにのっとって適切な対応を行うように通知をしておりまして、まさに、生徒の自主的、自発的な学びの場である運動部活動について、生徒に望ましいスポーツ環境の充実、こういう観点に立って改革の取組を進めていただきたいと考えておるところでございます。

畑野委員 今回のガイドラインもそうですし、かつての指導のガイドラインの御説明もスポーツ庁からありましたけれども、やはり生徒自身が、作戦とかいろいろなことをお互いに確認し合ってみんなで決めていく、この自治的な活動というのが今後大事になってくるのではないかという大事な指摘だというふうに私も申し上げたいと思っております。

 実は、二〇一三年の運動部活動での指導のガイドラインの、御説明いただいたそのすぐ上に、「科学的裏付け等及び生徒への説明と理解に基づく指導の実施」ということが述べられておりまして、私、これも大事だなというふうに思ったので、私の方から少し紹介をさせていただきますが、次のように書かれております。

 「運動部活動での指導の内容や方法は、生徒のバランスのとれた心身の成長に寄与するよう、科学的な根拠がある又は社会的に認知されているものであることが必要であるとともに、運動部活動は生徒の自主的、自発的な参加によるものであることを踏まえて、生徒に対する説明及び生徒の理解により行われることが必要です。 このため、指導者は、活動目標、指導の方針、計画、指導内容や方法等を生徒が理解できるように適切に伝えることが重要です。また、日常の指導でも、指導者と生徒の間のコミュニケーションの充実により、練習において、誰が、何を、いつ、どこで、なぜ(どのような目的で)、どのように行えばよいのか等を理解させていくことが重要です。」指導にかかわる大事なポイントを述べているということで私は御紹介をさせていただきました。

 さて、この中学校、高校の部活動のあり方、林大臣も今お話をされましたが、これは、その後の大学における運動部活動のあり方にも重要な関連が出てくるというふうに思っております。

 そこで、大学における運動部活動のあり方について伺います。

 アメリカンフットボールの日本大学と関西学院大学の五月六日の定期戦で、日大の選手が関学大選手に悪質なタックルをして負傷させた問題、このことを考える上でも非常に大事になっていると指摘させていただきたいと思います。

 まず伺いますが、特に大学の部活動における教育的な観点の重要性について、どのように認識しておられますか。

今里政府参考人 中学、高校はもちろんのことでございますけれども、大学における運動部活動、これも課外活動として教育活動の一環に位置づけられているということは申すまでもございません。

 特に、大学スポーツにつきましては、高等教育機関として社会的諸課題への解決を求められる大学、こういった存在でございますので、運動部活動等に期待される役割は大きく、教育的価値、すなわち他者を尊重し協同する精神、公正さと規律をたっとぶ態度、実践的な思考力を育むなど、人格形成に寄与するものであるというふうに考えてございます。

畑野委員 そのようにこれまでも言われてきた、そのように進められてきたということだと思います。

 それでは、大学の部活動における教育的な観点を考える上で、指導者に対して、スポーツの本質的な価値であるフェアプレーと自立した競技者を育成するという点での研修などが必要ではないかと思います。この点については、どのようにお考えですか。

今里政府参考人 先生から御指摘をいただきましたとおり、スポーツの指導の場面では、競技技術の向上のみならず、スポーツの価値を脅かす体罰ですとか暴力、こういったものを行わず、かつ、アスリートの人間的成長を促す指導、これが重要であると考えてございます。

 スポーツ庁におきましては、このような資質や能力を有するグッドコーチを養成するためのモデルとなるカリキュラムの開発を行ってきたところでございます。現在、本カリキュラムを日本スポーツ協会が実施するスポーツ指導者養成講習に導入する取組や、大学等へ普及する取組が進められているところでございます。

 また、スポーツ庁におきましては、大学スポーツにおける大学横断的かつ競技横断的統括組織、いわゆる日本版NCAAの今年度中の創設を目指しておりまして、ここの組織での当初から取り組むべき対策として指導者の意識の向上というのを掲げているところでございます。

 スポーツ庁といたしましては、これらの取組を通じて指導方法の改善に努めてまいりたいと考えております。

畑野委員 そこで、ちょっと今の御答弁を確認させていただきたいんですが、いろいろな手だてを考えていく上で、先ほど言った大学での教育的な観点、これをどういうふうに徹底していくのかということで、具体的な何か内容的なものがございましたら御紹介していただけますか。

今里政府参考人 指導者の養成ということになりますと、やはりそこでのカリキュラムということが重要になってくるかと思います。

 ただいま御説明いたしましたグッドコーチの育成ということでございますけれども、これにつきましては、モデル・コア・カリキュラムというものを開発してございまして、簡単に申し上げますと、今までは、指導者養成のカリキュラムにつきましては、知識や技能、実際のスポーツの技能ですとか技術を教えるというようなことが非常に多くを占めているという実態がございましたけれども、例えば、思考力、判断力ですとか態度や行動といった、人間力と仮に名前をつけておりますが、こういったものをバランスよく教えるといったカリキュラム、こういったことを普及していく取組によりまして指導者の資質の向上を図っていきたいと考えているところでございます。

畑野委員 部員の自主性やあるいは自治の確保など、環境整備こそ私は重要だというふうに思っているわけです。

 それで、きのう、関東学生アメリカンフットボール連盟の規律委員会の調査結果が出ました。それを踏まえた理事会が行われました。その後、理事の方が昨夜スポーツ庁を訪れて内容を御報告されたというふうに伺っておりますが、どのような御報告だったのか説明していただけますか。

今里政府参考人 先生御案内のとおり、昨夜、日本アメリカンフットボール協会、そして関東学生アメリカンフットボール連盟、この両者がスポーツ庁を訪れまして、関東学生アメリカンフットボール連盟の理事会に設置されている規律委員会の調査結果の報告などを受けたところでございます。

 同連盟からは、その規律委員会による調査では、日大のアメリカンフットボールの井上前コーチがクオーターバックを潰せという指示をしたということでございますし、これにはけがをさせてしまえという意図が込められているということで、日大の側では、危険タックル行為を行った日本大学選手とそれからコーチ等の認識に乖離があるんだという主張をされていたわけでございますけれども、規律委員会の調査結果といたしましては、ここの認識に乖離はない、つまり、けがをさせるという意図が井上前コーチの方からきっちり込められていたということ、それから、クオーターバックを潰せという内田前監督からの指示もあったということなどを認定したということが一つございました。

 それから、処分につきましては、既に報道もされているところでございますけれども、内田前監督及び井上前コーチの除名、森コーチの無期限資格剥奪、反則行為をした日本大学選手それから日本大学アメリカンフットボール部にシーズン終了までの公式試合の出場資格停止、こういう処分が下されたとの報告がございました。

 加えて、同連盟からは、再発防止策に取り組む旨報告があったところでございます。

畑野委員 この点について伺いますけれども、スポーツ庁としての受けとめ、そして、今後どんなふうに進めていこうと思っていらっしゃるか、その方針というか今後の考え方についてありましたら、御説明ください。

今里政府参考人 スポーツ庁としての受けとめということでございますけれども、今ほど御説明いたしました事実認定につきましては、まず、限られた時間の中で可能な限りの調査を行い、監督やコーチからの指示の有無について、指示があったと認定がされたということだというふうに受けとめてございます。

 今後の取組といたしましては、大学としても、本件の原因究明や、それを踏まえての実効性ある再発防止策、これらが策定、実施され、抜本的なチーム改革や組織改革が実行されることを強く期待するとともに、スポーツ庁としても必要な対策を講じてまいります。

畑野委員 今御説明いただいたんですが、林大臣に御所見を伺いたいと思います。

 こういう一連の問題、この間も伺わせていただきましたけれども、大臣としてはいかがでしょうか。どのように受けとめられ、今後の対応を進めていかれるおつもりか、伺います。

林国務大臣 前回も、事実がしっかり究明されること等々が必要であるということを、先週でありましたが、事務方を通じて、来られました日大の方に伝えさせていただいて、その旨を金曜日の会見でも申し上げたところでございます。

 きのうの関東学生アメリカンフットボール連盟の理事会で処分が下されたということでございます。この処分を下す根拠となる事実認定について、今答弁が次長からありましたが、やはり可能な限りの調査を行って、監督やコーチからの指示の有無について、ヒアリングをやった上で指示があったと認定がされたというふうに考えておりまして、大学側としても、今後は、本件の原因究明、これは大学としても第三者委員会をつくると言っておられますので、大学として原因究明していただいて、それを踏まえて実効性のある再発防止策が策定、実施されて、抜本的なチームの改革等が実行されることを強く期待しておるところでございます。

畑野委員 林大臣を始め、御答弁があったこと、大事だというふうに思います。

 日本大学自身の第三者委員会による真相究明、これは本当に大事になってくると思います。日大自身がみずから真相解明と再発防止策を講ずることが大事だと私も思います。

 中学、高校の部活動のあり方から、今、大学を含めた部活動のあり方、その連携を含めた教育における問題点というのが明らかになり、それをみんなで力を合わせて解決していこうという状況だと思います。

 これは実は、その後の社会人になってから、また就職との問題、そういうこともかかわってくる問題であるというふうに思いますので、スポーツ基本法にも言われている、一生を通じてスポーツにかかわる、ただみずから運動をするだけでなく、見る、あるいは応援する、スポーツを楽しむ、人権として保障される、こういう社会になっていくようにまた力を合わせて頑張ってまいりたい、そのことを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時開議

冨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 先ほど一年半ぶりの党首討論が行われておりましたので、本委員会も休憩ということになりました。

 ちなみに、討論という言葉を辞書で調べますと、一定の議題について意見を闘わせることと。ところが、日本維新の会に与えられた時間は五分間でございまして、意見を闘わせるということであったのかどうか。我が代表のカタオカ委員から一回質問があって、総理から一題質問をいただきましたけれども……(発言する者あり)片山代表。済みません、時間が短かった討論だったものですから、名前もちょっと。

 代表からの質問がありまして、非常にそういう意味で、私ごときに委員会で二十五分も、各党、特に筆頭の川内先生の御配慮で二十五分間もいただいておりますので、ぜひ、これからの党首討論に関しましてはもう少しお時間もいただければと思っております。

 きょうは、博物館について、前回の委員会でもちょっと質問が途中になりましたので、続きといいますか、博物館について中心的に質問させていただきたいと思うんです。

 博物館の、今回文化庁に統合されるということに対するメリットを教えていただきたいと思います。

林国務大臣 昨日の衆議院本会議で可決をいただきました文部科学省設置法の一部を改正する法律案で、博物館全般に関する所掌、これを文部科学省の本省から文化庁へ移管するということになりまして、博物館に関する行政をより総合的、一体的に推進する体制を整備することとしております。

 文化庁が一元的に博物館行政を担うということになりまして、これまで美術館、歴史博物館を所管してきた、これが実際数は多いんですけれども、知見を生かしながら、分野を横断した博物館の連携でございますとか、それから学芸員の資質の向上、さらには、文化振興や観光の拠点としての博物館施設の支援等の施策を通じて、博物館全体の振興を推進してまいりたいと思っております。

 例えば、これまでは生涯学習政策局において、これは本省ですが、学芸員全体の養成研修というのを行って、文化庁の方は、この約八割を占める美術館と歴史博物館に関する学芸員の教育普及に関する研修を行っている、こういうことになっていたわけでございますので、博物館が文化庁に移管されることで、こうしたことも含めて、全ての分野の博物館を対象とした、より総合的、一体的な研修を実施できる、こういうふうに考えておるところでございます。

串田委員 いろいろ、動物園もそうなんですけれども、時代によって随分変わってきていると思うんですが、博物館は、時代によって求められているもの、あるいはそのあり方というものは変わってくるかと思うんですけれども、そのような変遷というものはあったんでしょうか。

常盤政府参考人 お答えをいたします。

 日本における博物館でございますけれども、これは御案内のように、ヨーロッパでは元来、王侯貴族が美術品をコレクションしていたものが市民革命によって一般民衆に公開されるようになった、そういう流れの中で近代的な美術館というようなものができてきたという経緯があるわけでございますけれども、我が国においては、そういう美術館あるいは博物館という仕組みをいわば明治の時期に導入したということになってございますので、そういう点で、ヨーロッパ諸国などと比べると比較的新しいということになります。

 そして、特に戦後は、やはり経済成長とともに博物館の数も、実は戦後の初期に博物館法という法律が制定されましたけれども、その後、どんどん博物館自体が普及して、数も増加して今日に至っているというふうな状況でございます。

串田委員 その博物館なんですが、利用者の年齢層とか、あるいは金額の決め方といったものに何かルールというか、そういうものがあるんでしょうか。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 博物館について、その利用者の実態について全体としてどうなっているかということをちょっと今ここでお答えする材料を持ち合わせてございませんけれども、例えば国立科学博物館について申し上げますと、一般あるいは大学生といった大人が全体の約六五%、それに対して高校生以下の子供が約三五%というふうになっております。ただ、国立の科学博物館はかなりお子様たちにも非常になじみがあるものでございますので、一般の博物館、美術館になりますと、これよりは子供たちの占める割合というのは低いかなというふうに思ってございます。

 それから、博物館の料金の決め方ということでよろしゅうございましょうか。

 博物館法においては、公立の博物館につきましては、入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならないというふうに定められております。ただ、一方で、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合には必要な対価を徴収することができるということになっております。

 全国の博物館において、これは全体の状況を把握しておりますけれども、入館料を設定していない館が約四〇%ございます。一方で、入館料を設定している館が残り六〇%ですが、ただ、そのうちの約九割の博物館は何らかの減免措置をとることによりまして、いろいろな、例えば子供たちであるとか、年配の方とか、あるいは障害をお持ちの方とか、そういう方々に対する減免措置などを通じて利用の促進を図っております。

 いずれにしても、社会教育施設としての性質に鑑みた入館料の設定をしていただいているというふうに考えてございます。

串田委員 ますます博物館を利用していただきたいわけなんですが、展示物がずっと一緒であるとすると飽きられてしまうというようなこともあると思うので、博物館に展示するものを選択する何らかの基準といいますか、タイミングといいますか、そういったようなものはあるんでしょうか。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 展示物の選択ということでございますけれども、博物館の運営につきましては、博物館の設置及び運営上の望ましい基準というものがございまして、その中で、博物館資料を展示するに当たって、利用者の関心を深め、当該博物館資料に関する知識の啓発に資するための留意事項を示し、適切な展示ということを促してございます。

 各博物館の例ということで、これも国立科学博物館の例で申し上げますと、常設展示においては、館内の職員、研究者も含めた職員の方を中心として構成される常設の展示委員会というものが設置をされておりまして、こうした合議制の機関によって展示内容を決定しているわけでございます。

 常設展示については、例えば東京国立博物館の例ですと、やはりそういう平常の展覧会というのは展覧事業の中核であって、博物館としての特色を十分に発揮した体系的、通史的なものとする、そして、最新の研究成果をもとに日本及びアジア諸地域の歴史、伝統文化の理解の促進に寄与する展示を実施するということで、展示物の入れかえなども行っている。

 それから、企画展について申しますと、担当する学芸員の方が中心となって企画を練ってテーマを設定し、そのテーマに基づいて、みずから所蔵する資料と、それから、他の博物館からお借りをする、そういう資料もございますので、そういうものを組み合わせて特別の展示を行うというような形で行っているということでございます。

串田委員 時には外国の展示物というようなものを見たいということもあると思うんですが、なかなか海外旅行に行けないという子供もいるでしょうし、いろいろそういう意味で、エジプト館とかそういったのもあると思うんですけれども、外国の展示物あるいは日本の展示物を交換するとか、貸し借りが行われるとか、そういったようなことは行われているんでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 博物館における展示物についての外国の博物館との貸し借りでございますけれども、これは相当程度行われているというふうに承知をしております。特に国立の博物館でございますと、最近の企画展を見ましても、海外からの博物館資料の借入れというものを積極的に行っているという状況にあるというふうに思ってございます。

 また、外国の博物館と共同して企画展を行うというようなことも試みられております。相互に博物館資料を貸借する。例えば、東京国立博物館等におきまして平成二十九年度に開催をされました「タイ 〜仏の国の輝き〜」という展覧会がございました。これは、タイの国立の博物館等における所蔵品をお借りして展示をする、他方、タイ王国のバンコク国立博物館においても、東京国立博物館等から国宝とか重要文化財など百点以上の資料を貸出しをし、展示をしていただいたというふうに伺っております。

串田委員 今お伺いしまして、いろいろ常日ごろから努力をされて交換しているのかな、そういう意味では、交渉とか品物の運搬とか、非常に貴重なものでございますので、大変な御配慮というか御努力をされていらっしゃるんだろうなと。

 そういう中で、これから博物館を魅力あるものにしていくためにも、ぜひそういったようなことをこれからも積極的にやっていただきたいと思うんですが、そういう努力の中で、博物館に対する苦情とか要望とかというものがあるとしたら、例えばどんなことが挙げられるのか、御説明いただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 これも国立科学博物館の例で御紹介をさせていただきたいと思います。

 国立科学博物館におきましては来館者の調査をしてございまして、全体の満足率ということで申しますと、大変満足あるいは満足という比率が全体の九八%ということでございますので、基本的には来館していただいている方に御満足いただいている、高い評価をいただいているのかなというふうに思ってございます。

 ただ一方で、もちろん、御意見も寄せられているところがございます。例えば、館内の動線が複雑ではないかとか、あるいは、特に休みの日に非常に混雑するということであると思いますけれども、レストラン等の混雑についての御不満の御意見というものもございます。

 そして、これはその他の国立博物館の例でございますけれども、例えば、展示室の照明が暗いといったような御意見が寄せられることもございます。これは美術系のものを展示している場合でございますけれども、やはりどうしても、熱や光に弱い素材で制作された作品を保護するという観点から、作品の素材とかあるいは性質に応じて光の量の調整を行う必要上、どうしても場合によっては暗くなってしまうということもあるということ、こういう状況もございますので、そういういただいた御意見に対して、今のようなことをホームページで御紹介をして御理解を賜るというような努力もさせていただいているという状況でございます。

串田委員 そういったようないろいろなことの中で、以前、浮島委員の方から、点字の本ですか、字じゃなくて絵とか、そういったようなものが視覚障害の方に非常に使われているということで、大変すごいなというふうに思ったんですけれども、博物館においても、障害者の方が来られるというようなことがあると思うんです。それが視覚障害のこともあるでしょうし聴力の場合もあるでしょうし、いろいろな部分があると思うんですが、そういう方々も楽しんでいただける博物館というようなものが現在日本の中にあるのか、あるいはそういったようなことを積極的に取り入れる計画があるのか、教えていただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 文化芸術活動に触れられる機会を、例えば聴覚や視覚の不自由な方などに生涯を通じてあらゆる地域で容易に享受できる環境を整えるということは、大変、委員御指摘のとおり、重要なことでございます。

 このため、障害者の方が博物館を利用しやすくなるように、例えば、国立美術館、博物館におきましては、障害者御本人及び介護者一名を無料としているほかにも、施設のバリアフリー化の推進だとか、身体障害者補助犬の入館、職員による筆談対応や、手話のできるボランティアスタッフの配置等に取り組んでいると承知しております。

 障害者の方が博物館を利用する機会がこれからもふえますように、文化庁に博物館が移管されるということが十月以降になるわけでございますが、博物館行政を総合的、一体的に担うことで、文化芸術推進基本計画に述べられておりますが、「包摂的環境の推進による文化芸術の社会的価値の醸成」というようなことで掲げられております、それに資しますよう、博物館全体のさらなる振興を推進してまいりたいと考えております。

串田委員 その博物館に勤めていらっしゃる方なんですが、学芸員というのをちょっと聞いたこともあるんですけれども、博物館で勤務をされている方はどんな人たちがいて、それがどんな試験で、どのようなことを博物館で行われているのか。

 これは、子供たちが夏休みにちょっと宿題のために行ったりとかいろいろなこともあると思うんですけれども、そういったようなことに、いろいろな相談を受けてもらえるのかどうかとか、いろいろアドバイスもしてもらえるのかどうかとか、そんなことも含めまして、博物館で働いている方々の仕事内容などを説明していただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、学芸員になるためにどのようなプロセスを通って学芸員になるのかということでございます。

 学芸員の養成につきましては、大学において所定の科目を修得するということで資格を取る、こういう方が大半でございます。具体的には、例えば博物館概論あるいは博物館資料論、幾つかそういうジャンルが指定をされておりますので、そうした所定の科目を修得することで資格を得るということが大半でございます。ただ、そのほかにも、文部科学省の実施する資格認定という道もございます。その上で、学芸員になるためには、地方公共団体等の博物館の設置者に任用されるということが当然必要になってくるということがございます。

 その上で、学芸員の方々のお仕事ということでございますけれども、学芸員の方の業務といたしましては、博物館法に定められておりますけれども、博物館に置くこととされている専門的職員でございまして、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業を行うというふうにされてございます。とりわけ、業務の中でも、展示の企画あるいは実施、それから教育普及活動などに力を入れておられる方が多いのではないかというふうに認識をしてございます。

 そういう意味で、博物館で、子供たちが特に夏休みなどを利用して博物館を訪れたときに、これは各博物館においてのいろいろな企画ですけれども、自由研究などの夏休みの宿題に役立つ取組というようなことも行われておりまして、これも国立科学博物館の例で恐縮でございますけれども、これは平成三年から続いているものでございますけれども、高校生までの子供たちを対象といたしまして、実験とか観察とか工作などの科学を体験させる事業ということが開催されております。その中で、自由研究のテーマであるとか方法の検討に結果として役に立つというようなことも、そういう企画もあるということでございます。

串田委員 思った以上に博物館に行けばいろいろなことが、アドバイスも受けられるというようなことなのかなとは思っているんですけれども、その学芸員の数は、例えば博物館も、大きい博物館もあるでしょうし、そうでもない博物館もあるんでしょうけれども、学芸員の数というのは、何か基準で適正な数というのは決められているんでしょうか。

常盤政府参考人 お答えをいたします。

 博物館におけます学芸員でございますけれども、その適正な人数ということについて、何らかの法令上の規定があるわけでもございませんし、また、博物館の規模あるいは活動状況により異なりますので、一概に申し上げるのはなかなか難しいということがございます。

 私どもの方で調査をしてございまして、社会教育調査というものを行ってございますけれども、平成二十七年現在、全国で七千八百二十一人、博物館一館当たりの平均数では一・四人ということになってございます。

 学芸員の方々は、先ほども仕事の中身を御紹介させていただきましたけれども、博物館において極めて重要な役割を担っております。また、学芸員に期待される役割というものも多様化し、また高度化しているということもございますので、これはもちろん設置者の判断ということになりますけれども、その適切な配置が求められているというふうに考えてございます。

串田委員 先ほど動物園の例をちょっと挙げさせていただいたんですけれども、動物園もいろいろな工夫で、子供たちが非常に見やすいという、今までの、何というんでしょう、ゲージに入っている動物を見るだけというところではなくて、いろいろな工夫というか、動物が動く状況というものを非常に工夫しながらやっているというようなことがあって、そして、それを契機としてたくさんの入場者数が集まっているというようなこともあるんですけれども、博物館におきましても、このような動物園の工夫というようなものを取り入れるというような流れというか、そういったようなことが現在は行われているんでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の動物園の工夫というようなことで有名なものがございますけれども、旭川市の旭山動物園が、従来の形態展示以外にも、動物たちの自然な姿が見られる行動展示などを取り入れまして、日本を代表する動物園の一つになったと承知しております。

 博物館全体の話でございますけれども、国立文化財機構の国立博物館におきましても、子供たちの鑑賞体験を深め、歴史や文化の理解促進や伝統文化への興味、関心を高めることを目的に、教育普及活動にも力を入れておりまして、平成二十八年度の実績では、体験型及びスクールプログラム等を延べ三千八百三十三回、参加者約二十四万人を実施したところでございます。

 例えば、上野公園にございます、東京国立博物館、国立科学博物館、恩賜上野動物園の三施設がございますけれども、毎年、実物の動物と絵画に描かれている動物を比較できる連携企画でございます、動物めぐりを開催しているところでございます。

 全国の博物館、美術館におきましてもさまざまな取組を実施していると承知しておりますけれども、文化庁においても、子供たちの教育普及活動等の企画、実践力を高めるミュージアムエデュケーター研修等の機会を通じた先進事例などの発信を行いまして、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。

串田委員 今お話をいただいた体験的なというのは、非常に魅力的な感じがいたしました。動物と絵画を比較するというのは、本当におもしろそうだなと思うんですけれども、そういういろいろな博物館が各種あるわけなんですが、入場者数によって大体わかると思うんですけれども、人気のある博物館と、そうでないというか、こういったような企画をやると人気が出たというような、何かそんなような傾向があれば教えていただきたいと思います。

中岡政府参考人 人気があるかないかという話につきましてはさまざまな視点があるとは思いますけれども、例えば入場者数という観点で見ましたときに、全国で四館ございます国立博物館の総入場者数は四百八十二万人と、前年度と比べましても百十五万人の増というようなことでございます。

 これはまさにそういう努力をしているということで、国立博物館の展示内容の充実とか施設環境の改善に取り組んでまいった成果でございますが、特に言えることは、平成二十八年度から、日本語と英語に加えまして、中国、韓国の四カ国語による展示案内とか作品解説の多言語化というものに取り組むとともに、これまた開館時間という観点からでございますけれども、夜間開館ということで、夜間延長を金曜日、土曜日という形で拡大しているというようなことも一因と考えております。

 東京上野国立博物館は、連日の多くの外国人観光客、これは目視による推計になるわけでございますが、おおむね二割の方がいらっしゃっておりますが、常設展示全体で見ますと、入館者数は、独立行政法人化された平成十三年度の二十四万人から、昨年度初めて年間百万人を突破することができました。これは先ほどの多言語化とか夜間開館もそうなんですけれども、それ以外にも、ユニークベニューの取組だとかいうことで、例えば映画上映を夜の段階でやるとかいって、いろいろな入館者をふやす努力をしております。そういったことも含めまして、今後も、観光振興も視野に入れました取組のさらなる充実改善に努めたいと考えております。

串田委員 時間になりました。

 せっかく文化庁のところで統合するということですので、ますます魅力のある博物館にしていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は私学助成中心にお話を伺おうと思っておりますが、まず冒頭、昨日の夜、関東学生アメリカンフットボール連盟が記者会見を行いました。日大アメフト部の問題について、事実認定、そしてそれに基づく処分、これが発表されております。大変ショッキングな中身でありますが、まずこれについての大臣の所感を伺いたいと思います。

林国務大臣 昨日、関東学生アメリカンフットボール連盟の理事会が開催されまして、内田前監督及び井上前コーチの除名、森コーチの無期限資格剥奪、反則行為をした日本大学選手及び日本大学アメリカンフットボール部にシーズン終了までの公式試合の出場資格停止の処分がそれぞれ下されたと承知しております。

 また、この処分を下す根拠となる事実認定につきましても、限られた時間の中で可能な限りの調査を行い、監督やコーチからの指示の有無について、指示があったとの認定がされたものと考えております。

 今後、大学としても、本件の原因究明や、それを踏まえての実効性のある再発防止策が策定、実施され、抜本的なチーム改革、組織改革が実行されることを強く期待するとともに、文部科学省、スポーツ庁としても必要な対策を講じてまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 やはり、大学における、運動部を含めて、学生の自治活動の一環だというふうに私自身は理解をしております。

 今回の問題、非常に私ショッキングだったのは、そこで行われていたこと、例えば、徹底的に追い込むでありますとか、干すでありますとか、あるいは、とてもこれは指導とは言えないようなものを通じて、監督が絶対的な権限といいますか権力というものを持つに至る、黒を白と言えるような、そういうものになっていってしまった。これは、非常に恐ろしい、とても教育とは呼べないようなもの、中身なんだろうというふうに私は思います。

 こうしたことに非常によく似たことでいいますと、これはもう、かつて戦前の日本の軍隊が初年兵に対して行っていた、しごきといいますかリンチといいますか、初年兵教育という名のもとで行われていた、人格を破壊するような、そうしたことが実際に行われていた。

 特に、アメリカンフットボールというのは、私自身は非常にファンでありまして、試合があれば、テレビでたまたま見る機会があれば、ひいきのチームでなくても、大変興味深く、そして楽しく見させていただいておりましたが、その戦略、戦術、あるいは作戦を含めましてさまざまな分析が行われて、そういう意味でいうと非常に科学的なスポーツであるにもかかわらず、そこで行われていた行為が非常に野蛮な、指導とは言えないようなことが行われていたということは、私は非常に深刻だというふうに思っております。

 問題は日大のアメリカンフットボールの問題にとどまらず、昨今、スポーツ関係でいいますと、レスリングにおけるパワハラの問題でありますとか、また、かつてこの委員会でも議論させていただきましたけれども、体罰によって生徒が自殺をするでありますとか、そういう意味でいうと、運動、スポーツのあり方自身が問われる中身がたくさん含まれている。

 そういう意味でいいますと、この問題の処理については、それぞれ連盟でありますとか、あるいは大学でありますとか、そうしたところがしっかり当たっていただけるというふうに私も信じております。ただ、一方で、スポーツが置かれている今の状況について、やはり、所管する文部科学省としても、そうしたことがないように、本来のスポーツの価値が損なわれることがないように、きちんとした取組を進めていただきたいというふうに思っております。

 それでは、通告いたしております私大助成のあり方について、何点か尋ねたいと思います。

 昨年の骨太方針、教育成果に基づく私学助成の配分の見直しが打ち出されて、今年度の予算編成に関する財政審の建議、昨年の十一月末に出ておりますが、そこでは、高等教育について、定員割れの大学や赤字経営の大学への単なる経営支援にならないようにするという方針が示され、私立大学への助成措置について、選別、格差づけを進めることが示唆されております。

 今年度の文科省の予算を見ますと、その中の主要事項で、私立大学等経常経費補助、今年比で一・五億円増ということでありますが、三十一億五千四百万円について、一般補助における定員未充足に対する調整係数や、経営、財務情報の非公開による減額強化、特別補助の審査方式、調査項目等の見直し、交付対象校の重点化を実施と注意書きがされております。新聞紙上では、五年程度の連続赤字の場合には助成金を削減することなどが報じられておりますが、一般補助や特別補助の見直し、重点化について、その具体的な内容について教えてください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 私立大学の支援につきましては、教育の質的転換や自治体、産業界、他大学との連携に組織的に取り組む大学に重点的に支援するなど、従来よりめり張りある私学助成の配分を行ったところでございます。

 平成三十年度からは、教育の質向上や経営力強化を一層促進するための配分方法の見直しを行うことといたしてございます。

 具体的には、一般補助につきましては、財務情報を公開していない場合の減額措置の厳格化、そして定員未充足による調整の強化、そして教育の質に係る客観的指標によります調整措置の先行導入といった見直しを行い、特別補助におきましては、私立大学等経営強化集中支援事業や私立大学等改革総合支援事業における審査方式の改善や対象校の絞り込みなどの見直しを行うこととしており、具体的な取扱いについては現在検討中でございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも、私学の果たす役割を踏まえ、めり張りをつけながら、改革に取り組む私立大学等への支援に努めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 今、答弁の中で、教育の質というお話がございました。これは、骨太やあるいは財政審の建議の要請に伴って導入をされたものだというふうに思いますけれども、この教育の質、この客観的な指標というのは、具体的にどういう内容を想定されているのか、また、その指標に基づいて助成金をどのように分配することになるのか、これを教えてください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 人口減少でございますとか情報化、グローバル化等の進展によりまして社会が急速に変化する中で、全国の七割を超える学生の学びを支える私立大学全体の教育の質の保証を行っていくということは、大変重要な課題と考えているところでございます。

 こうしたことから、文部科学省におきましては、平成二十五年度以降、私立大学等改革総合支援事業におきまして、改革意欲のある私立大学等の教育の質的転換に係る取組を促してきたところでございます。

 こうした事業において一定の改革が進んでいるというところではございますけれども、今先生からお話がございましたとおり、平成三十年度以降、私立大学等の全体の質保証に向け、これは今、改革総合支援事業において用いてきた評価項目を参考にしながら、例えば学生の学びの保証体制でございますとか、全学的な学生の教育の質についてのチェック体制、あるいはカリキュラムマネジメントの体制、こういったことは既にこの事業で用いてございます。そういった項目も参考にしながら、客観的な指標を用いて配分することを予定しているものでございます。

吉川(元)委員 その教育の質というのが、今の答弁だとよくわからないんですよね。教育の質というのは一体何なんですかと。それは、捉え方によっていろいろと、あるいは価値観によっても変わってくるものであって、それは客観的な指標となり得るものなのか。

 例えば、学生に対していわゆる教授や講師を含めた数の問題でありますとか、そういうものはある程度客観的な指標としては出せるというふうには思いますけれども、一般に教育の質と言われても、これはなかなか、何をもって教育の質が高いのかとか低いのかだとかいうのが一概に言えるのかどうなのか。今の答弁を聞かせていただいても、なかなかそこら辺が釈然としないところであります。

 もう余り時間がありませんので次に行きますけれども、今まさに答弁でもお話しになられたとおり、私立大学というのは、学校、学生の数ともに日本全体の七割を占めておりまして、日本の高等教育において大きな地位を占めております。確かに、言われているとおり、少子化が進む中で経営環境が非常に厳しいものがあることは事実ですし、実際に、昨年度の数字でいいますと、定員割れの私立大学は全体の三九%、それから短大では六七%がそうなっているということで、大変厳しい状況にあるということは理解をしております。

 今回の骨太方針などの政府の意思に基づく助成金の配分の見直し、これは、厳しい経営環境にある私立大学を淘汰していこうという考えに立っているというふうな理解でよろしいんでしょうか。

林国務大臣 私立大学は、今、先生からお話がありましたように、全国の約七割を超える学生の学びを支えておりまして、我が国の高等教育に大きな役割を果たしておって、私立大学が社会や時代のニーズを踏まえて特色ある教育研究を行うということは全国的にも大事でございますし、それぞれの地域において、高等教育の進学機会の確保とか、その地域での知の拠点、こういう役割からも重要であると考えております。

 一方で、今後の十八歳人口の減少を踏まえますと、やはり経営力の強化に最大限の取組を行ってもなお経営困難な状況に陥る私立大学が生じる可能性、これは避けられないものと考えておるところでございます。

 これまでも、財務状況等の調査をしたり、経営改善に必要な指導助言ということを行うなど、経営力の強化に向けた取組を進めてきたわけでございますが、さらなる十八歳人口の減少を見据えて、大学設置・学校法人審議会、いわゆる設置審ですが、大学を設置しております学校法人が今の経営状況に応じて適切な判断を行うために中長期の計画をつくってもらう、それから私立大学の連携、統合を促進する、また経営困難な場合に撤退を含めた早期の経営判断を促す指導の実施のあり方、こういうことを議論いただいておりまして、その内容も踏まえまして具体的な方策を講じて、私立大学の経営力の強化を支援してまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 ちょっと関連して伺いますけれども、私立学校振興助成法があります。この第一条、ここには、私立学校への助成の目的として、私立学校の教育条件の維持向上、私立学校に在籍する学生に対する負担軽減を行うことで私立学校の経営の健全性を高め、もって私立学校の健全な発達に資することを目的とする、このように明記をされております。

 私立学校の経営基盤の安定を図ることはあっても、助成金の配分をもって私立学校の淘汰、選別を進める、そういうことはこの助成法には書かれていないわけです。まして、その助成法の第四条、ここには、国が私立大学に対し経常的経費の二分の一まで補助できる旨の規定がございますし、国会の附帯決議でも二分の一の私学助成が目標に掲げられております。

 ところが、実際どうなっているかといいますと、経常費への補助割合、一九八〇年度の二九・五%をピークに低下の一途をたどっていて、二〇一五年度以降は一〇%を割り込む状態になっております。

 もちろん、少子化という、そういう社会全体の問題、課題があるということはわかりますけれども、明らかに、私大への補助の割合の目標としている二分の一にはるかに届かない状況、当然、そうなると私大は大変ですよね、経常費の一〇%しか補助されていないという中で、その中で、経営が不安定だからといって更に補助金を減らす。それは、最終的には撤退を求めるような、結果としてそういうことになっていくのではないか。これは、まさに助成法の趣旨、目的に、私は合致しないんじゃないかというふうに考えますけれども、この点はいかがですか。

林国務大臣 先生が今御紹介していただいたように、私立学校振興助成法には、私立学校の役割の重要性に鑑みて、教育条件の維持及び向上、修学上の経済的負担の軽減、私立学校の経営の健全性の向上、こういうことが書かれているわけでございます。

 このたびの私学助成の配分方法の見直しというのは、私立学校が、さらなる人口減少や情報化、グローバル化の進展等によって社会の急速な変化が起きますから、この変化へ対応しながら、先ほどの条文にもあったように、教育の質の保証や経営力の強化を実現して、かつ、引き続き、社会や時代のニーズを踏まえた特色ある教育を行えるよう支援をする、これが目的でございます。

 今後とも、この私立学校振興助成法の趣旨を踏まえて、私学助成の確保、これに努めるとともに、改革に取り組む私立大学等へのめり張りある支援に努めてまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 めり張りという言葉を聞くと、一見するとよさそうに聞こえるんですけれども、今の現状でいうと、目標の二分の一どころか、一〇%、一割しか、一割も割り込むような状態になっている。そこを根本的に変えずして、お金がふえないから、頑張ったところには厚く、そして、頑張っているけれどもなかなかそうなっていないところには減らすというようなことは、これはやはり、私はおかしいんじゃないかというふうに言わざるを得ません。

 次に、これは他の委員も少し質問しておりましたけれども、高等教育の無償化についてもお尋ねしたいと思います。

 昨年十二月八日、総理の肝いりで、二兆円規模の新しい経済政策パッケージ、ここで高等教育の無償化が打ち出されました。中身的に、これが果たして高等教育の無償化と呼べるのか、高等教育全体を無償化、軽減するのではないこのパッケージが果たしてそうなのかというふうに私は大変疑問に思っております。

 それはとりあえずさておいて、このパッケージでは支援措置の対象となる大学等の要件が示されておりまして、一つ目に、実務経験のある教員による科目の配置、二つ目として、外部人材の理事への任命が一定割合を超えていること、三つ目、成績管理を実施、公表していること、四つ目、財務、経営情報を開示していること、こうしたことが挙げられております。

 無償化の対象となる学生というのは既に絞り込みが行われており、さらに、支援措置を受けられる大学をこれもまた限定をする、これで果たして国民全てに開かれた高等教育の無償化というふうに呼べるのか、なぜ支援対象の大学に条件をつけなければならないのか、この点、いかがでしょうか。

林国務大臣 昨年末に取りまとめられました新しい経済政策パッケージに基づく支援措置でございますが、大学での勉学が就職に結びつくことによりまして格差の固定化を防ぎ、支援を受けた子供たちが大学でしっかりと学んだ上で、社会で自立して活躍できるようになることを目的としておるところでございます。

 そのため、支援の対象となる大学等については、社会で自立し活躍できる人材を育成するというこの支援措置の目的に鑑みまして、学問追求と実践的教育のバランスがとれた機関とするために、実務経験を有する教員とか、外部理事の登用など、一定の要件を満たす、こういうことが必要になってくるわけでございます。

 このことを新しい経済政策パッケージにも明記をされているところでございまして、現在、文科省の専門家会議で更に具体的な要件について検討を行っているところでございます。

 この高等教育の負担軽減と一体として、大学改革による質保証の取組を進めていくことも重要だと考えております。

 昨年、中教審に、我が国の高等教育の将来構想について、これを諮問いたしまして、現在、学修成果の可視化ですとか、それから、シラバスの活用等による教育課程、指導方法の改善、それから、学修に関する評価の厳格な運用など、大学教育の質の向上、多様な人的資源の活用としての実務家教員や外部理事の登用、さらに、各地域における十八歳人口の将来推計や、それを踏まえた地域における質の高い高等教育機会を確保するための大学間の連携、統合のあり方等々について、抜本的、総合的な検討を行っていただいております。

 この審議会では、昨年末に今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理が取りまとめられておりまして、引き続き、人生百年時代構想会議での議論と並行しながら、制度改正を含めた具体的な検討を進めてまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 今の大臣のお話の中で、やはり、私、疑問に思うのは、就職に結びつくということと学問をきわめたいという思いと、そのバランスが大切だと言われるかもわかりませんが、だとするならば、例えば就職に直接結びつかないような学科や学部については、じゃ、それはもう無償化の対象から外すんだというお話にも聞こえてまいりますし、果たしてそれが、憲法二十六条に定める教育を受ける権利、私は、これに抵触するような話なんじゃないかと。あるいは就職というお話なんて、簡単に言えば産業界に役立つ大学や学部以外はだめですよという、これは余りにも子供の学ぶ権利を侵害しているのではないかというふうに思います。

 現在も議論が続いていることではありますけれども、新しい政策パッケージを見ると、例えばとしながら、実務経験のある教員が年間平均で修得が必要な単位数の一割以上の単位に係る授業科目を担当するものとして配置されること、これを要件としております。

 わかりづらいんですけれども、簡単に言えば、必要な授業の一割以上は実務家教員が行っていなければならない、そういうことになるんだろうというふうに思いますが、なぜ実務家教員が配置されていないと無償化の対象にならないのか、また、実務家教員による授業が一割以上必要という根拠は何なんでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから大臣が答弁させていただきましたように、政策パッケージに基づく支援としましては、大学での勉学が就職に結びつく、これは、民間企業だけではなくて、アカデミアの中で活躍するということも含めてでございますけれども、格差の固定化を防ぎ、支援を受けた子供が、大学でしっかり学んだ上で、社会で自立し、活躍できるようになるということを目的としているところでございます。

 このような目的に鑑みまして、支援対象となる大学等におきましては、学問追求のみならず、実践的な教育を一定のまとまりを持った形で受けられる環境ということで、例示としまして、年間平均で修得できる単位数の一割程度、これは大体、一科目程度、三単位か四単位ぐらいになりますけれども、授業科目を担当するというものとして配置されることが挙げられていることでございます。

 ただ、委員御指摘のとおり、学問の分野にもいろいろな特性がございますので、例えばでございますが、理学とか人文科学への適用の可能性などにつきましては、学問分野の特性にも配慮することとされることで、パッケージにも盛り込んでいるところでございます。

 この政策パッケージの記述を踏まえまして、具体的内容につきましては、現在、専門家会議において検討を行っておりますけれども、その議論の中においては、実務経験のある教員が授業を担当しない場合であっても、例えば、オムニバス形式で授業の一部を実務家が担当しているとか、あるいは、学外でのインターンシップや実習あるいは研修を授業の一環として位置づけている場合など、社会のニーズを踏まえた実践的な教育と考えられるものにつきましては、このような場合についても対象にするということについての議論をしているところでございます。

 引き続き、大学等における実態も踏まえながら、大学関係者や関係団体の御意見も伺いながら、検討を進めてまいりたいと存じます。

吉川(元)委員 では、伺いますけれども、いわゆる実務家教員と言われる教員ですけれども、定義は決まっていますか。

義本政府参考人 いわゆるアカデミアの御出身で教員になられた方以外の社会的な経験をなさった方ということでございまして、必ずしも民間企業だけじゃなくて、例えば地方自治体とかNPOも含めて、いろいろな形での経験を背景として持った方が授業をなさるというふうなことを想定しているところでございます。

 先ほど申しましたように、このポイントとしましては、実践的な教育をしっかり社会のニーズを踏まえて行うということでございますので、実務経験のある教員自身が担当するということ以外の場合でも、例えばインターンシップですとか実習形式も含めて考えるものでございます。

吉川(元)委員 文科省自身が、実務経験のある教員の配置について調査結果、調査をしたはずですけれども、数字を示せていないんじゃないですか、今。それは、その定義も曖昧ですし、大学によってその捉え方もさまざまで、数字でもって、ここは何人、ここは何人という数値が示されない、示すことができない。そういう中で、一割以上実務教員と。

 これは、時間がありませんのでもう質問を終わりますけれども、以前つくられました専門職大学、これは四割以上が実務家教員だというふうなことでつくられておりますけれども、これに対する誘導なのではないか、そういう疑念も持たざるを得ません。

 そういう意味でいいますと、この外部理事の任用も含めまして、大学の自治、学問の自由の観点からいっても、これは大変問題のある制度だということを指摘させていただいて、質問を終わりたいと思います。

 以上です。

     ――――◇―――――

冨岡委員長 引き続き、文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、政府参考人として内閣官房内閣審議官源新英明君及び総務省総合通信基盤局電波部長竹内芳明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律案起草の件、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律案起草の件、スポーツ基本法の一部を改正する法律案起草の件及び国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律案起草の件につきましては、馳浩君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会及び日本維新の会の六派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が、また、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、馳浩君外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本維新の会及び社会民主党・市民連合の七派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が、また、スポーツ基本法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、馳浩君外七名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本共産党、日本維新の会及び社会民主党・市民連合の八派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、スポーツ基本法の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が、また、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、馳浩君外七名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本共産党、日本維新の会及び社会民主党・市民連合の八派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が、それぞれ提出されております。

 提出者から順次趣旨の説明を求めます。馳浩君。

馳委員 スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律案及び平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律案の両起草案につきまして、提案者を代表して、趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 まず、スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律案の起草案について御説明申し上げます。

 我が国においては、平成三十一年ラグビーワールドカップ大会及び平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の開催を控え、ドーピングのないクリーンな大会を実現するべく、スポーツにおけるドーピングの検査体制の整備が急務となっております。

 ドーピングは、日々競技力向上に励むアスリートの努力を踏みにじるものであり、アスリートに重大な健康被害をもたらすものであります。また、公正な環境のもとでスポーツが行われていると信じる社会の信頼を裏切るものであり、公正さと規律をとうとぶ態度や克己心を養う必要がある青少年に悪影響を及ぼすものであります。さらに、社会の発展に多様な形で貢献するスポーツの価値を損なうものであり、絶対に許されるものではありません。

 そこで、本案は、スポーツ基本法及びスポーツにおけるドーピングの防止に関する国際規約の趣旨にのっとり、ドーピング防止活動に関する施策を総合的に推進するため、ドーピング防止活動の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにするとともに、基本方針の策定その他の必要な事項等を定めるものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、ドーピング防止活動の推進に当たっての基本理念として、スポーツの多様性に配慮しつつ、スポーツにおける公正性、スポーツを行う者の心身の健康の保持増進、ドーピングの検査における公平性、透明性、スポーツ競技会運営団体の自主性、自律性がそれぞれ確保される旨を定めることとしております。

 第二に、国際競技大会等出場スポーツ選手及び同選手の支援等を行う者による不正の目的を持ったスポーツにおけるドーピングを禁止するとともに、国は、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じた上で、ドーピング防止活動の推進に関する施策を総合的に策定、実施する責務を有することとしております。また、独立行政法人日本スポーツ振興センターは、国や日本アンチ・ドーピング機構と連携し、ドーピング防止活動の中核的な機関として積極的な役割を果たすものとすることとしております。

 第三に、スポーツ競技会運営団体の努力、関係者相互間の連携、協働及び地方公共団体の努力義務について定めることとしております。

 第四に、文部科学大臣は、ドーピング防止活動に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針を定めなければならないこととしております。

 第五に、ドーピング防止活動の推進に関する基本的施策として、人材の育成及び確保、研究開発の促進、教育及び啓発の推進、関係機関との情報の共有、国際協力の推進等の施策を講ずることについて定めることとしております。

 第六に、附則において、政府は、この法律の施行後速やかに、スポーツにおけるドーピングの防止のための対策についてスポーツにおけるドーピングに関する国の関与のあり方を含めて検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする検討条項を定めることとしております。

 最後に、本案は、平成三十年十月一日から施行することとしております。

 次に、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律案の起草案について御説明申し上げます。

 平成三十二年に開催される東京オリンピック競技大会及び東京パラリンピック競技大会につきましては、国有財産の無償使用等の特別の措置が講じられております。また、平成三十一年に開催されるラグビーワールドカップ大会につきましても、寄附金付郵便葉書等の発行の特例等の特別の措置が講じられております。

 これらの特別の措置は、大会の円滑な準備及び運営に資する観点から講じられたものであります。

 本案は、円滑な準備及び運営のさらなる充実のため、国際オリンピック委員会等からの求めや、近年のオリンピック競技大会・パラリンピック競技大会における対応状況を踏まえ、特別の措置を追加するものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法の改正であります。

 具体的には、電波法の特例として、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会については、無線局の免許、登録申請等の手数料及び無線局の電波利用料に係る電波法の規定について、適用除外とすることとしております。

 また、あわせて、東京オリンピック競技大会の開会式前日等について、国内外要人や大会関係者の安全、円滑な輸送及び警備と経済活動や日常生活の両立を図るため、国民の祝日に関する法律の特例として、平成三十二年に限り、海の日を七月二十三日に、体育の日を七月二十四日に、山の日を八月十日にすることとしております。

 第二に、平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の改正であります。

 具体的には、電波法の特例として、ラグビーワールドカップ二〇一九組織委員会についても、無線局の免許、登録申請等の手数料及び無線局の電波利用料に係る電波法の規定について、適用除外とすることとしております。

 第三に、本案は、公布の日から施行することとしております。

 なお、本案施行による減収見込み額は、約三十一億円と見込まれております。

 以上が、両起草案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律案

 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

冨岡委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 スポーツ基本法の一部を改正する法律案及び国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案の両起草案につきまして、提案者を代表して、趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 まず、スポーツ基本法の一部を改正する法律案の起草案について御説明申し上げます。

 スポーツは、世界共通の人類の文化であり、全ての人々が自発的にスポーツに取り組むことで、自己実現が図られ、スポーツの力で輝くことにより、前向きで活力ある社会を実現することが目指されてきております。

 そのような中、世界じゅうのあらゆる人々がスポーツのために我が国に集う平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会を好機と捉え、スポーツの価値を世界の人々と分かち合い、スポーツを通じて、世界各国と協調していく観点から、世界的に広く用いられているスポーツの語を基本的に用いることが望ましいとされているところであります。

 そこで、本案は、国民体育大会の名称を国民スポーツ大会に改めるとともに、現在の実態に合わせ、公益財団法人日本体育協会の表記を公益財団法人日本スポーツ協会に、財団法人日本障害者スポーツ協会の表記を公益財団法人日本障がい者スポーツ協会に改めることとしております。

 なお、本案は、国民体育大会の名称の変更については平成三十五年一月一日から、公益財団法人日本体育協会及び財団法人日本障害者スポーツ協会の表記の変更については公布日から、それぞれ施行することとしております。

 次に、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案の起草案について御説明申し上げます。

 近年、スポーツは、個人の健康の保持増進や人格形成に寄与するのみではなく、人と人との交流促進による地域社会の活性化や経済の発展など大きな社会的影響力を有するようになってきております。

 世界的に見ても、国際オリンピック委員会のオリンピック憲章において、オリンピック精神の目的がスポーツを人類の調和のとれた発展に役立てることとされているなど、スポーツは、個人の営みの範疇を超え、社会をよりよく変えていく原動力として捉えられています。

 他方、国民の祝日である体育の日は、これまで五十年余りにわたり広く国民の間に定着し、国民がスポーツに親しむ契機となり、我が国のスポーツ振興に大きな役割を果たしてきたところであります。

 このような中、平成三十二年にオリンピック競技大会及びパラリンピック競技大会が東京で開催され、世界じゅうの人々がスポーツのために我が国に集うこの好機に、スポーツの価値を世界の人々と分かち合い、世界各国と協調していくことが期待されております。

 そのような観点から、学校教育としてのイメージの強い体育の語を用いている体育の日の名称について、世界的に広く用いられているスポーツの語を用いて、スポーツの日と改めることが望ましいとされているところであります。

 そこで、本案は、体育の日の名称をスポーツの日に改めるとともに、スポーツの日の意義について、スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願うものとすることとしております。

 なお、施行期日は、平成三十二年一月一日とすることとしております。

 以上が、両起草案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 スポーツ基本法の一部を改正する法律案

 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 各件について発言を求められておりますので、これを許します。畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 まず、ドーピング防止法案について伺います。

 提案者の馳浩議員にまず伺います。

 アンチドーピング体制の構築強化について、政府のタスクフォースや議連の議論では、法的措置の検討に当たっては、アスリートファースト、選手の基本的人権の制限は抑制的であることが前提と言われてきましたが、選手の人権はどのように保障されるのでしょうか。

 また、平素は現行法で対応できるが、東京オリンピックの際には多量のドーピングに関する情報の処理が必要として、オリンピックのときに限定した時限立法と言われてきたものが、なぜ恒久法となったのか、伺います。

馳委員 アスリートの人権保障については、アンチドーピング法は、スポーツ基本法前文のスポーツ権の趣旨にのっとっていることと、この法律第三条第一項において、ドーピング防止活動は、スポーツにおける公正性及びスポーツを行う者の心身の健康保持増進が確保されることを旨として推進されなければならないとしていることから、アスリートファーストに配慮した人権保障が図られるものと考えております。

 なぜ恒久法になったかについてですが、立法の過程でドーピング違法化の規定を盛り込むこととなりました。時限立法では、二〇二一年以降、合法となり、整合性を欠くからであります。二〇二一年以降も、ドーピング防止の教育、啓発、研究、国際協力、検査体制充実など、継続的な取組が必要なので、恒久法といたしました。

 以上です。

畑野委員 このドーピング防止法案第十五条二項は、ドーピング防止のため、文部科学大臣は、関係行政機関の長に対し、資料又は情報の提供その他の必要な協力を求めることができるとされています。この条項によって、選手らの個人情報を本人の同意なく提供できるといいますが、個人情報の漏えいや目的外使用などの歯どめ、濫用の防止はどう担保されるのか、林芳正大臣に伺います。

林国務大臣 本法案の第十五条第二項の規定に基づきまして、文部科学大臣が関係行政機関の長に対しまして選手等の情報の提供を求めた場合には、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第八条第一項における「法令に基づく場合」、これに該当いたしまして、当該行政機関の長は、本人の同意なく個人情報を提供できると承知しております。

 文部科学省が保有することになる個人情報につきましては、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づき取り扱うことになりまして、具体的には、第六条に基づきまして、行政機関の長は、個人情報の漏えい、滅失、毀損の防止などの適切な管理のために必要な措置を講じるとともに、第七条に基づきまして、個人情報の取扱いに従事する行政機関の職員等は、個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、不当な目的に利用してはならない、こういうふうになっております。

 また、第五十四条には、不正な利益を図る目的で提供した場合等における行政機関の職員等に対する罰則も規定されておりまして、個人情報の漏えいや目的外使用などの歯どめや濫用の防止については、既存の法律によって担保されていると考えております。

 なお、独立行政法人日本スポーツ振興センターや公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構等が保有することとなる個人情報の取扱いや罰則については、それぞれ、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律、個人情報の保護に関する法律において同様の規定が定められており、この部分でも既存の法律によって担保されている、こういうふうに考えておるところでございます。

畑野委員 議連のワーキンググループの議論のときには、個人情報の取扱いの覚書を示すという話もありました。立法段階で運用の指針は示されていないんです。ですから、こういう議論のときにそういうものを示してもらわないと困るんですが、そういうのを出していただけますか。

冨岡委員長 どなたか。

畑野委員 出ないということが確認されました。これでは本当に困ります。

 副大臣が座長のタスクフォースで検討されたものなんです。文科省が責任を持たずに、議員立法に丸投げするというやり方は、私は無責任だと言わなくてはなりません。

 この間、説明をしてきた中で、WADAは、各国政府にアンチドーピングのための情報共有、インテリジェンス体制の具体化を求めているんですけれども、やり方は各国に委ねていて、法制化が義務づけられているわけではありません。アンチドーピングのための法律はイギリスはないと聞いておりますし、フランスやドイツには法律はありますけれども、そのインテリジェンス体制をスポーツ庁の資料や国会図書館から私も見ましたけれども、これは明確に取扱いを規定して、扱える個人情報の範囲を限定しております。こういうことをきちっとやらずに進めるのは、私は問題があると申し上げておきたいと思います。

 次に、オリパラ及びラグビーの特措法案における電波法の特例措置について伺います。

 そもそも、国際スポーツ大会においては、無線局の開設に伴う登録申請の手数料や電波使用料については、開催地負担、ホスト負担が慣行として踏襲されております。具体的には、開催国の各大会の組織委員会等が、海外から集まる各国メディア等の手数料、利用料を肩がわりして負担しております。

 総務省に確認しますが、一九九八年長野オリンピックや二〇〇二年日韓サッカーワールドカップなど、我が国で開催された国際スポーツ大会でも、各組織委員会等が無線局開設の手数料、電波利用料を一貫して負担してきたということでよろしいですね。

竹内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの無線局免許申請等手数料及び電波利用料については、これまで一貫して、各大会の組織委員会において負担されてきたものでございます。

畑野委員 そのように、これまでの国際スポーツ大会に関する特措法で電波法の特例措置をとったことは一度もありません。

 なぜ、今回は組織委員会に新たな優遇措置をとるのでしょうか。内閣官房に伺います。

源新政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年八月に開催されましたスポーツ議員連盟、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会推進議員連盟、ラグビーワールドカップ二〇一九年日本大会成功議員連盟の合同総会におきまして、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会及びラグビーワールドカップ二〇一九組織委員会から、電波法の特例として、無線局関係の手数料等を免除するための法整備に関する要望が提出されました。

 その後の御検討を経まして、本年四月に開催されました同議連の合同総会におきまして、近年のオリンピック・パラリンピック大会やラグビーワールドカップ大会における諸外国の対応状況等を踏まえ、今回の対応を御判断されたものと承知しております。

畑野委員 オリパラ事務局は、ロンドンやリオには立法があるなどと、今お話があったように、近年の大会では各国が立法措置を講じているように言われるんですけれども、実際、内閣官房のペーパーを見ても、海外からの放送事業者に無料になるように措置されているということで、各国、やり方、それぞれ違うんですよ。従来どおり日本では組織委員会が負担すれば済むことで、特例法をつくる根拠にはなりません。

 ラグビーワールドカップ二〇一九組織委員会の要望では、無線局関係手数料等の免除について、ラグビーワールドカップにおいても適用があると効果的と言っているにすぎないんです。ですから、そういう点では、二〇一五年のイングランド大会では減額、二〇一一年のニュージーランド大会ではそれぞれ既存の法律でやっているということです。本当に具体的な資料も出されないまま来ております。

 日本の電波法は、手数料などの免除措置は災害などの場合に限定しております。これまでの対応で十分だと言わなくてはなりません。

 最後に、鈴木俊一東京オリパラ担当大臣に来ていただいておりますので、一言、アスリートファーストについて伺って終わります。

 オリンピックなどで、テレビ放映の都合による変則的な競技時間が選手の負担となるようなことがあってはならないと思います。どのようにお考えになるか、伺います。

鈴木国務大臣 競技日程につきましてはまだ決定をされておりませんが、今後、大会組織委員会が、関係する国際競技団体等との調整を経て、IOC、IPCの承認を受けて決定をされることになります。

 委員御指摘のとおり、競技日程を決める上でアスリートファーストを重視すること、これは大変重要であると思っております。大会組織委員会としても、選手の負担やモチベーションの維持を考慮して、関係の国際競技団体等と競技日程の交渉を行っていると承知をしており、今後の動向を注視してまいりたいと考えております。

 その上で、政府といたしましては、競技スケジュールそのものを決定する立場にはないわけでありますけれども、大会の確実な成功に向けて、参加する全てのアスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、平成二十七年十一月に取りまとめましたオリパラ基本方針に基づいて、円滑な輸送のための措置、暑さ対策、さらにはセキュリティーの万全と防災、減災等の安全、安心の確保等の施策を総合的に推進する中で、アスリートファーストの運営が実現されるよう努めてまいります。

畑野委員 終わります。

冨岡委員長 これにて発言は終わりました。

 この際、各起草案中、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律案の起草案について、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。鈴木東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣。

鈴木国務大臣 本法律案の御提案に当たりまして、委員長及び委員各位の払われました御努力に深く敬意を表します。

 本法律案については、本来、公平に受益者が負担すべき電波法に定める手数料等を免除するものでありますが、平成三十二年に開催される東京オリンピック競技大会及び東京パラリンピック競技大会並びに平成三十一年に開催されるラグビーワールドカップ大会が大規模かつ国家的に重要なスポーツの競技大会であり、その円滑な準備及び運営に資するため、特別措置法を定めていることに鑑み、両大会の公共性、公益性や諸外国における取扱い等を踏まえ、政府としてはやむを得ないものと考えます。

 御可決された暁には、その御趣旨を踏まえて適切な運用に努め、両大会の成功に向けて関係府省庁が密接な連携をとりつつ、円滑な準備を進めてまいります。

冨岡委員長 お諮りいたします。

 まず、スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律案起草の件につきまして、お手元に配付しております起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次に、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律案起草の件につきまして、お手元に配付しております起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次に、スポーツ基本法の一部を改正する法律案起草の件につきまして、お手元に配付しております起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 次に、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきまして、お手元に配付しております起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、各法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 この際、安藤裕君外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本維新の会及び社会民主党・市民連合の七派共同提案によるスポーツへの障害者の参加の更なる促進のため「障害」の「害」の表記について検討を求むるの件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。川内博史君。

川内委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    スポーツへの障害者の参加の更なる促進のため「障害」の「害」の表記について検討を求むるの件(案)

  今般、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会を好機とし、世界各国と更に協調するため、「スポーツ」の語を基本的に用いることとし、「国民体育大会」の名称を「国民スポーツ大会」に改める等の改正を行う「スポーツ基本法の一部を改正する法律案」を起草する運びとなったところである。スポーツを通じた共生社会の実現を図る観点からは、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「心のバリアフリー」を推進することが期待されている。

  このような中、我が国の法令において、「障害者」の表記に、「害」の字が用いられていることが問題との指摘もある。

  戦前においては、「碍」の字が用いられる場合もあったものの、戦後、当時の使用実態に基づき当用漢字表等において「害」の字のみが採用されたことを踏まえ、政府は、法令における「障碍」の語を「障害」に改めてきた。その後、当用漢字表の後継として、常用漢字表が定められたが、「害」の字のみが採用され、状況に変化はなかった。平成二十一年以降、政府においては、障害者制度改革の審議を開始し、「障害」の表記の在り方についても審議がなされた。しかし、様々な表記がある中、特定の表記に決定することは困難であり、国民、特に当事者である障害者の意向を踏まえ、今後において検討することとされたところである。

  「害」の字を、人に対して用いることが不適切であるという考え方もあり、中国、韓国、台湾等の東アジアの漢字圏においては、「害」の字は用いられておらず、我が国が障害者政策の面でリーダーシップを発揮するに当たっても、早急な検討が必要である。

  今般の「スポーツ基本法の一部を改正する法律案」においても、「財団法人日本障害者スポーツ協会」の表記について、実態に合わせ、「公益財団法人日本障がい者スポーツ協会」に改めることとしている。この点について、同協会が交ぜ書きを採用した理由としては、活字の「害」を不快に思う人への配慮と社会意識変革の誘因となることへの期待が挙げられている。

  政府は、「心のバリアフリー」を推進し、スポーツへの障害者の参加の更なる促進を通じた共生社会の実現を図るため、「障害」の「害」の表記について、障害者の選択に資する観点から、「碍」の字の常用漢字表への追加の可否を含め、所要の検討を行うべきである。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

冨岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。林文部科学大臣。

林国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

冨岡委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る六月一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十分散会


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