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第16号 平成30年6月1日(金曜日)

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平成三十年六月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 安藤  裕君 理事 神山 佐市君

   理事 亀岡 偉民君 理事 工藤 彰三君

   理事 鈴木 淳司君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      石川 昭政君    上杉謙太郎君

      小田原 潔君    尾身 朝子君

      大見  正君    小寺 裕雄君

      櫻田 義孝君    下村 博文君

      田野瀬太道君    高木  啓君

      津島  淳君    根本 幸典君

      馳   浩君    古川  康君

      松本 剛明君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    宮路 拓馬君

      八木 哲也君    高木錬太郎君

      日吉 雄太君    山本和嘉子君

      西岡 秀子君    平野 博文君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      金子 恵美君    畑野 君枝君

      串田 誠一君    吉川  元君

      笠  浩史君

    …………………………………

   参議院議員        福岡 資麿君

   参議院議員        山本 博司君

   参議院議員        中山 恭子君

   参議院議員        松沢 成文君

   文部科学大臣       林  芳正君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    宮嵜 雅則君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     小田原 潔君

  小林 茂樹君     小寺 裕雄君

  船田  元君     津島  淳君

  古田 圭一君     古川  康君

  櫻井  周君     高木錬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     池田 佳隆君

  小寺 裕雄君     小林 茂樹君

  津島  淳君     船田  元君

  古川  康君     古田 圭一君

  高木錬太郎君     櫻井  周君

    ―――――――――――――

五月三十一日

 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案(参議院提出、参法第七号)

 国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律案(参議院提出、参法第八号)

同日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(笠浩史君紹介)(第一四三七号)

 同(初鹿明博君紹介)(第一四七二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案(参議院提出、参法第七号)

 国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律案(参議院提出、参法第八号)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 参議院提出、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案及び国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律案の両案を議題といたします。

 発議者から順次趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員山本博司君。

    ―――――――――――――

 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本(博)参議院議員 ただいま議題となりました障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案につきまして、その提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。

 文化芸術を創造し、享受することは、障害の有無にかかわらず、人々の生まれながらの権利であります。文化芸術は、人々の心に直接的に訴えることにより、障害の有無による分け隔てなく、深い共感や相互理解をもたらすものであります。

 近年、文化芸術の分野においては、アールブリュット、生の芸術等の呼称で、専門的な教育に基づかずに人々が本来有する創造性が発揮された作品が注目されてきております。既成の概念にとらわれないこれらの作品の特性は、文化芸術の発展に寄与しておりますが、その中心となっているものは障害者による芸術作品であり、とりわけ、我が国の障害者による作品は、国際的にも高い評価を得ております。

 現在、平成三十二年の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会に向けて、文化プログラムが実施されておりますが、両大会の開催を契機として、障害者による文化芸術活動の推進に関する機運を高めていくことが重要であります。

 本法律案は、このような視点に立ち、文化芸術基本法及び障害者基本法の基本的な理念にのっとり、将来にわたって障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって文化芸術活動を通じた障害者の個性と能力の発揮及び社会参加の促進を図ろうとするものであります。

 以下、本法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、基本理念として、障害者による文化芸術活動の推進は、文化芸術の鑑賞等を含め、障害者による文化芸術活動を幅広く促進すること、障害者による芸術上価値が高い作品等の創造に対する支援を強化すること、住民が心豊かに暮らすことのできる住みよい地域社会の実現に寄与することを旨として行わなければならないこと等を定めております。

 第二に、障害者による文化芸術活動の推進に関する国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、政府は、必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならないとしております。

 第三に、文部科学大臣及び厚生労働大臣は、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本計画を定めなければならないとするとともに、地方公共団体は、基本計画を勘案して、当該地方公共団体における計画を定めるよう努めなければならないとしております。

 第四に、基本的施策として、国及び地方公共団体は、障害者による文化芸術活動に関し、文化芸術の鑑賞及び創造の機会の拡大、文化芸術作品等の発表の機会の確保、芸術上価値が高い作品等の評価及び販売等に係る支援、権利保護の推進等の必要な施策を講ずるものとしております。

 第五に、政府は、文化庁、厚生労働省、経済産業省その他の関係行政機関の職員をもって構成する障害者文化芸術活動推進会議を設け、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るための連絡調整を行うものとすること等を定めております。

 以上が、本法律案の提案の趣旨及び内容の概要でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

冨岡委員長 次に、参議院議員松沢成文君。

    ―――――――――――――

 国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松沢参議院議員 ただいま議題となりました国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律案につきまして、その提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。

 現在、世界には、美術のオリンピックとも称されるベネチア・ビエンナーレに代表されるように、国際的に大きな影響力を有する文化芸術の祭典があります。我が国においても、そのような世界レベルの国際文化交流の祭典を実施していくことは、世界の文化芸術の発展に貢献するものであり、国内の文化政策の観点に加え、我が国の国際的地位の向上等の観点からも重要な課題となっております。

 また、近年、日本各地において、地域の歴史や風土等を生かした各種の国際文化交流の祭典が実施されており、これらは活力ある地域社会の実現につながるものであります。

 本法律案は、このような視点に立ち、国際文化交流の祭典の実施を推進するために必要な事項を定めようとするものであります。

 以下、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、基本理念として、国際文化交流の祭典の実施の推進について、国際文化交流の場の提供により我が国に対する諸外国の理解の増進等を図ること、世界レベルの祭典の実施を目指すこと、全国各地において多彩な祭典が実施されるようにすること等を定めております。

 第二に、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、政府は、必要な財政上、税制上の措置等を講じなければならないとしております。

 第三に、政府は、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、基本計画を定めなければならないとしております。

 第四に、基本的施策として、国は、世界レベルの祭典及びこれを目指す大規模な祭典について、継続的かつ安定的な実施、国際的な評価の確立及び向上等に必要な施策を講ずるとともに、地域の祭典を含む幅広い国際文化交流の祭典について、その企画等に関し専門的能力を有する者の確保、祭典の実施の支援等に必要な施策を講ずるものとしております。また、地方公共団体においても、国の施策を勘案し、地域の実情に応じた施策を講ずるものとしております。

 第五に、政府は、文部科学省、外務省、経済産業省、国土交通省等の関係行政機関相互の調整を行うことにより、国際文化交流の祭典の実施の総合的、効果的かつ効率的な推進を図るため、国際文化交流の祭典推進会議を設けるものとしております。

 以上が、本法律案の提案の趣旨及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

冨岡委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長宮嵜雅則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、これを許します。畑野君枝君。

畑野委員 おはようございます。日本共産党の畑野君枝です。

 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律案について伺います。

 まず初めに、林芳正文部科学大臣に伺います。

 文化芸術基本法の前文には、文化芸術の振興を図るためには、文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し、文化芸術活動を行う者の自主性を尊重することを旨とすると規定しています。

 基本法の審議の際に、私は、各地の美術館や公民館などで、創作物の発表を不当な理由で拒否するなど、表現の自由への侵害が相次いで、創作活動の萎縮も懸念される中で、基本法に表現の自由が明記されたことに意義があると評価いたしました。

 この点、林大臣はどのように認識されていらっしゃいますでしょうか。

林国務大臣 文化芸術活動におきまして、表現の自由は極めて重要でございまして、我が国の憲法第二十一条で保障されておるところでございます。

 今お話がありましたように、昨年六月に改正されました文化芸術基本法においては、改正前においても文化芸術活動を行う者の自主性の尊重について繰り返し規定されておりましたが、改正後は、「文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し、」という文言が新たに追加をされるなど、改めてその必要性について明文化されたところでございます。

 文部科学省としては、障害者の文化芸術活動や国際文化交流の推進に当たりまして、この文化芸術基本法の理念を踏まえて、文化芸術活動を行う者の自主性と表現の自由を十分に尊重した施策を推進してまいりたいと思っております。

畑野委員 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案について、発議者に伺います。

 基本理念として、第三条第一号の趣旨について御説明ください。

福岡参議院議員 お答え申し上げます。

 第三条第一項第一号につきましては、文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑みまして、障害者の方々による文化芸術活動を幅広く促進するとの理念を規定させていただいております。

 障害者の方々は、文化芸術活動に際してさまざまな障壁がございまして、その実情に寄り添った支援が必要だというふうに考えております。そして、その支援につきましては、文化芸術の鑑賞、参加、創造のいずれの場面を問わず、また、その作品の芸術上の価値などを問わず、幅広いものであることが必要だというふうに考えております。

 この号では、こうした考えを規定させていただいているところでございまして、その重要性に鑑み、基本理念の第一として規定をさせていただいているところでございます。

畑野委員 この法案の基本理念が障害者による文化芸術活動を幅広く促進するものであるということを確認いたしました。

 続いて、同法案の第三条第二号の趣旨について伺います。

 特に、「専門的な教育に基づかずに人々が本来有する創造性が発揮された文化芸術の作品が高い評価を受けており、その中心となっているものが障害者による作品であること等」とは、具体的にどういうことでしょうか。

山本(博)参議院議員 お答えいたします。

 近年、障害者の方々の作品等が、すぐれた作品等として高い評価を受けるようになってきております。しかし、そうしたすぐれた作品等についての支援は十分ではなくて、それらが世に出ないままとなっていたり、販売、公演等の事業化が円滑に進まない等の状況がございます。

 そこで、障害者による芸術上価値が高い作品等についての支援を強化するために、この号を規定したところでございます。

 先ほどお尋ねいただきました第一号においては、まず、芸術上の価値にかかわらず幅広く支援することを規定した上で、特に、すぐれた作品等につきましては、この第二号でさらなる支援を規定することとしておりまして、この二つの号が相まって、この法案の支援の考え方を明らかにしているところでございます。

 お尋ねの表現のうち、「専門的な教育に基づかずに」から「障害者による作品であること」までの部分に関しましては、この第二号を定めることとした背景事情の一つを定める部分でございまして、一つには、近年、いわゆるアールブリュット、生の芸術などと呼ばれる作品が高い評価を受けているということ、二つには、そうした作品の中で、我が国においては、特に、障害者の方々がつくられた作品が注目されていることを規定しております。

 ただし、障害者の方々による作品等が評価を受けるのは、必ずしもこのようなケースだけではございません。例えば、専門的な教育に基づいてすぐれた作品等を創造されている障害者の方々もいらっしゃいます。当然のことですけれども、こうした方々への支援も重要でございますので、そのことを示すために、「障害者による作品であること」の後に「等」をつけることとしております。

畑野委員 第三条第一号で障害者による文化芸術活動を幅広く捉えている一方で、今おっしゃったような、専門的な教育に基づかない障害者の作品に高い芸術的価値があるなど、特定の概念、呼称のもとで行われている活動に限定するような規定を置くということについては、私は違和感を覚えました。そのことを指摘させていただきたいと思います。

 なお、発議者からは、それだけではないのだ、幅広いものなんだということがございましたので、ぜひこの点についても留意をする必要があるというふうに思います。

 障害者の芸術活動への支援を推進するための懇談会中間取りまとめでは、障害者の芸術活動への支援は、どのような概念、呼称のもとで行われているかを問わず、支援の対象として考えるとしています。こうした捉え方が重要だと思います。この中間取りまとめの議論の経緯について伺いたいと思います。

 さらに、障害者の芸術活動への支援のあり方について、林大臣の御認識を伺います。

林国務大臣 平成二十五年に文化庁、厚生労働省が共同で開催いたしました障害者の芸術活動への支援を推進するための懇談会、ここにおいては、アールブリュットの呼称のもとで評価される障害者の芸術活動や、それ以外の呼称で障害者が生きがいづくりとして行うなどのさまざまな文化芸術活動が大きな意義を有するのではないか、こういう議論がなされております。これを受けて、中間取りまとめにおきましては、障害者の芸術活動としての意義を有する活動については、どのような概念、呼称のもとで行われているかを問わず、支援の対象として考えていくとされたものと認識をしております。

 文科省としては、この考え方に基づきまして、これまでも、障害者による文化芸術活動の国内外での公演、展示の実施及び支援、映画作品のバリアフリー字幕や音声ガイド作成の支援、特別支援学校の子供たちに対する文化芸術の鑑賞、体験機会の提供など、全ての人が文化芸術に親しみ、才能を生かして活躍することができるよう、障害者による文化芸術活動の充実に向けた取組を進めてきたところでございます。

 引き続き、厚生労働省など関係省庁と連携して、こうした取組を充実させてまいりたいと思っております。

畑野委員 大臣が、全ての人がというふうにおっしゃいました。ぜひその方向で進めていただきたいと思います。

 この中間取りまとめの指摘は、大臣も御紹介されましたように大変重要だと思います。ここでは、障害者の芸術活動に対する具体的な支援のあり方として、相談支援の充実や作品に関する権利保障などさまざま提起されています。

 現在、この中間取りまとめに基づく施策に取り組まれていると思いますが、特に、障害者芸術活動支援センターの設置の取組について、厚生労働省に伺います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員からお尋ねのございました懇談会の中間取りまとめにおきましては、障害者、その家族、支援者等に対する支援のあり方、すぐれた芸術作品の展示等を推進するための仕組み、関係者のネットワークの構築など、障害者の芸術活動への具体的な支援のあり方について取りまとめられたところでございまして、厚生労働省では、この中間取りまとめを踏まえ、平成二十六年度から、民間団体を障害者芸術活動支援センターとして採択し、芸術活動への支援方法や著作権保護に関する相談支援、芸術作品の発掘や芸術活動の支援を行う人材の育成、芸術活動を普及発展させていくための関係者のネットワークづくりなどを行う障害者の芸術活動支援モデル事業を実施してきたところでございます。

 さらに、昨年度、二十九年度からは、このモデル事業で培った実績を踏まえ、障害者芸術文化活動普及支援事業を新たにスタートさせまして、より多くの地域に障害者芸術文化活動支援センターを設置することによりまして、障害のある方々が芸術文化活動に触れ、表現や創作活動を行える環境づくりを進めているところでございます。

 今後とも、本事業の実施等を通じまして、障害のある方の芸術文化活動の支援を推進してまいりたいと考えております。

畑野委員 次に、国際文化交流祭典の実施の推進に関する法律案について伺います。

 第二条の国際文化交流の祭典とはどのような祭典をいうのか、発議者に伺います。

中山参議院議員 お答え申し上げます。

 本法律第二条では、「「国際文化交流の祭典」とは、国際文化交流のために行われる複数の公演、展示等からなる文化芸術に係る国際的な催しをいう。」と定めておりまして、文化芸術に係る催しのうち、国際文化交流を目的とし、その内容が複数の公演、展示等からなるものであれば、規模の大小を問わず、地域で行われる中小規模のものも国際文化交流の祭典に当たると考えております。

畑野委員 規模の大小にかかわらず、そして地域のものもということで確認をさせていただきます。

 同法案第八条では、国が大規模祭典の継続的かつ安定的な実施を図るため必要な施策を講じることとしていますが、この大規模祭典とは、第三条第二号の国際文化交流の祭典、そしてこれを目指して実施される大規模な国際文化交流の祭典としております。具体的にどのようなものを想定していらっしゃるのか、そしてそれは現在日本に存在するのかどうか、発議者に伺います。

中山参議院議員 お答え申し上げます。

 第三条第二号の国際文化交流の祭典とは、ベネチア・ビエンナーレやカンヌ国際映画祭などのように、独創的な内容の企画、すぐれた芸術家の各国、各地域からの参加があり、海外からの多数の来訪者があるなど、世界レベルの祭典が想定されています。残念ながら、我が国にはまだそのような祭典はありません。

 しかし、これを目指して実施される大規模な国際文化交流の祭典は、例えば横浜トリエンナーレなどを始めとして、今の日本に幾つもあります。

 そのような祭典を大規模祭典と想定しております。このような祭典を応援し、日本が国際文化交流の場となり、世界に貢献できたらと願っております。

畑野委員 今後目指していくということでありました。

 最後に、法案に言っている大規模祭典あるいは地域における国際文化交流祭典について、具体的に、この法案が通りましたらどのように支援をしていかれるのか、林大臣に伺います。

林国務大臣 我が国の文化芸術活動を推進していくに当たりましては、地域の文化芸術を活用した多彩な取組を振興していくことはもとより、地域創生や経済効果が見込まれることから、国際文化交流の祭典の実施を推進していくことが重要であると考えております。

 文部科学省においては、これまでも地域の文化芸術資源を活用した芸術祭や音楽祭等に対して支援を行ってきております。

 また、平成三十年度より、国際文化芸術発信拠点形成事業を新たに開始いたしまして、大規模な芸術祭等を中心に、訪日外国人、インバウンドの増加、活力ある豊かな地域社会の実現に資する国際発信力のある拠点形成の支援をしているところでございます。

 引き続き、これらの施策の充実に努めていくとともに、本法案が成立した際には、法律の趣旨に基づき、関係省庁と連携して適切に対応してまいりたいと考えております。

畑野委員 既に、文化芸術基本法に、国際的な交流及び芸術祭その他の文化芸術に係る国際的な催しの開催又はこれへの参加など、十五条で規定がされております。

 この基本法から、国際交流祭典、特に大規模な祭典を、国として必要な措置を講じると特に取り出して法律にしていく、そういうことは必要ないのではないかと私は思います。

 以上をもちまして、私の質問を終わります。

冨岡委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、参議院提出、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 次に、参議院提出、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党を代表して、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律案に対する反対討論を行います。

 国際文化交流祭典の実施については、昨年、全会一致で成立した文化芸術基本法の第十五条に「必要な施策を講ずる」とした規定があり、新たに法律をつくる必要性はないと考えます。

 文化芸術においては、表現の自由、芸術家の自主性は最大限尊重されなければなりません。

 ところが、本法案は、国際文化交流祭典の実施を推進することを政府の責務とし、閣議決定により基本計画を定めて推進する仕組みとなっています。つまり、どのような祭典を実施、推進するかは、そのときの政府の決定次第となっています。政権の恣意的な判断や政策が文化芸術の場に持ち込まれないかという懸念は払拭できません。

 議連での議論では、既存の大規模祭典のレベルアップや国際化を図っていくとして法案化したとされています。したがって、その運用によっては、国が具体的な大規模祭典を選定することになり、その内容が経済成長の起爆剤とされ、また、既存の大規模祭典を文化芸術のオリンピック等の祭典にレベルアップするなど、国策に沿った文化芸術ばかりがもてはやされることが懸念されます。

 昨年成立した文化芸術基本法の審議において、私は、法案の前文に「表現の自由の重要性」が明記されたことを評価し、賛成しましたが、その際、同法の基本計画で政府が文化芸術の目標などを定めることとなっている規定等について、文化芸術の振興において国との連携は必要ではあるが、文化芸術の創造、享受は国の施策とは関係なしに行われるべきだとの見地を表明しました。

 日本国憲法のもとで文化行政は、戦前への反省から、国は金を出しても口を出さないことを原則としてきたことを重く受けとめるべきです。

 以上、討論といたします。

冨岡委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これより採決に入ります。

 参議院提出、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

冨岡委員長 次回は、来る六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時三十分散会


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