衆議院

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第3号 平成31年3月15日(金曜日)

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平成三十一年三月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 亀岡 偉民君

   理事 神山 佐市君 理事 馳   浩君

   理事 宮川 典子君 理事 村井 英樹君

   理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君

   理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    泉田 裕彦君

      小此木八郎君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    大塚  拓君

      大西 宏幸君    木村 次郎君

      小寺 裕雄君    小林 茂樹君

      佐藤 明男君    下村 博文君

      白須賀貴樹君    杉田 水脈君

      高木  啓君    高橋ひなこ君

      中村 裕之君    中山 展宏君

      根本 幸典君    福井  照君

      古川  康君    古田 圭一君

      穂坂  泰君    本田 太郎君

      三ッ林裕巳君    御法川信英君

      宮内 秀樹君    宮路 拓馬君

      八木 哲也君    川内 博史君

      中川 正春君    初鹿 明博君

      村上 史好君    山本和嘉子君

      吉良 州司君    牧  義夫君

      稲津  久君    中野 洋昌君

      畑野 君枝君    杉本 和巳君

      吉川  元君    笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       櫻田 義孝君

   法務副大臣        平口  洋君

   文部科学副大臣      浮島 智子君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 横山  均君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           佐伯 修司君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          清水  明君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          永山 賀久君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     三ッ林裕巳君

  池田 佳隆君     古川  康君

  上杉謙太郎君     木村 次郎君

  小此木八郎君     御法川信英君

  尾身 朝子君     杉田 水脈君

  船田  元君     佐藤 明男君

  宮内 秀樹君     小寺 裕雄君

  宮路 拓馬君     大西 宏幸君

  八木 哲也君     中山 展宏君

  初鹿 明博君     山本和嘉子君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     宮路 拓馬君

  木村 次郎君     泉田 裕彦君

  小寺 裕雄君     宮内 秀樹君

  佐藤 明男君     船田  元君

  杉田 水脈君     尾身 朝子君

  中山 展宏君     八木 哲也君

  古川  康君     石崎  徹君

  三ッ林裕巳君     高橋ひなこ君

  御法川信英君     小此木八郎君

  山本和嘉子君     初鹿 明博君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     池田 佳隆君

  泉田 裕彦君     本田 太郎君

  高橋ひなこ君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     穂坂  泰君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     上杉謙太郎君

    ―――――――――――――

三月十四日

 大学等における修学の支援に関する法律案(内閣提出第二一号)

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

亀岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大西証史君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、総務省大臣官房審議官横山均君、統計局統計調査部長佐伯修司君、文部科学省総合教育政策局長清水明君、初等中等教育局長永山賀久君、高等教育局長伯井美徳君、スポーツ庁次長今里讓君、文化庁次長中岡司君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官土田浩史君、大臣官房審議官八神敦雄君及び子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。菊田真紀子君。

菊田委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの菊田真紀子です。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問に入ります。

 昨日、文科省から著作権法改正案の今国会への提出を断念したと説明を受けましたが、改めて、その経緯や理由について、大臣に説明を求めます。

柴山国務大臣 今般の著作権法の改正案について、文部科学省としては、深刻な海賊版被害への実効的な対策を講じつつ、一般国民の正当な情報収集等に萎縮を生じさせないという、この二つの課題を両立すべく慎重に配慮して制度設計を行ってきたところでありまして、丁寧に御説明を行うことで国民の皆様の御理解をいただけるものと考えておりました。

 しかしながら、法案の提出期限まで時間がない中で、さまざまな慎重な御意見をいただき、結果としては、現時点に至るまで十分な御理解を得る見通しが立たない状況でありまして、与党審査において自民党から再検討の御指示もいただいたことから、ぎりぎりの調整の結果、今国会への法案提出を見送ることとさせていただいた次第でございます。

菊田委員 関係者の理解すら得られていない法案を拙速に提出しようとしたが、参院選を控えて、悪影響を懸念する自民党の了承を得ることができずに、異例の差戻しになったということでしょう。

 それによって、出版業界だけでも被害額が四千億円以上に上ると推計される海賊版への対策が先送りとなってしまいます。このような結果を招いたことは大臣にとっても不本意なことだったとは思いますが、御自身の責任についてどのように考えていますか。

柴山国務大臣 まず、今委員が参議院選挙ということについて御言及をされましたけれども、今回の法案の取りやめは、与党審査における指示を重く受けとめ、文部科学省として判断したものであり、参議院選挙が私どもの判断に影響したということではないことを冒頭申し上げたいというように思います。

 その上で、著作権法改正案が提出見送りとなったことに関します私の責任はどうかということなんですけれども、率直に言って、重く受けとめております。

 特に、ダウンロード違法化について、私どもとしましては各方面に丁寧に説明をしてきたつもりではありましたけれども、不安の声や反対の意見が示されたということについて、しっかりと、もう一度仕切り直しという形で検討をさせていただきたいと思います。

 ただ、今委員が御指摘になられたとおり、海賊版対策は喫緊の課題でもございますので、そうした懸念を丁寧に伺いながらも、しっかりと対応をしていきたいという決意でございます。

菊田委員 与党自民党の了承さえ得られない生煮えの法案を出そうとしたこと自体、私は国会軽視のそしりを受けるというふうに思っておりますので、大臣、しっかりその責任をかみしめて、次はこのようなことがないように対応していただきたいというふうに思います。

 続きまして、次の質問ですが、柴山大臣のお膝元であります埼玉県議会において、自民党の県議団が、県立学校教員の勤務時間を把握するためのタイムカードを導入するための予算を凍結する附帯決議案を提出し、賛成多数で可決したと報道されていますが、大臣は承知されておられますか。

柴山国務大臣 埼玉県議会の予算特別委員会での平成三十一年度埼玉県一般会計当初予算の審議において、県立学校にタイムカードによる勤務管理システムを導入する県立学校教職員負担軽減検討事業について、効果的な対策による教職員のトータルケア体制を確保できるまで予算の執行を停止することとする内容を含む、事業の執行に適切な対応を求める附帯決議が可決されたということは、報道等を通じて承知をしております。

菊田委員 実は、昨年も自民党県議団の反対によって予算が凍結され、今年度の導入ができなかったということです。

 報道によりますと、反対している理由について、自民党の議員が、残業代がないのにタイムカードを押して何になるのかなどと語っていたようです。また、予算凍結の附帯決議では、管理職及び教員の業務負担が増加をし、働き方改革に逆行することが懸念されると指摘しているそうですが、私は全く理解に苦しみます。

 教員の長時間労働が問題となり、中教審が教員の働き方改革の答申をまとめ、一月二十五日には柴山大臣に手渡されています。

 そして、この日、文科省は、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインを提出し、時間外勤務の上限を定めるとともに、勤務時間を客観的に把握するために、タイムカード等で計測をするよう求めています。

 この件に関して、大臣の考えと御地元の自民党県議団は認識が不一致ということですか。自民党県議団と話し合われたことはありますか。

柴山国務大臣 御指摘の埼玉県議会議員の皆様の御認識については必ずしも詳細には承知をしていないところでありますけれども、一方で、働き方改革推進法による改正後の労働安全衛生法体系において、事業者は、同法に定める面接指導を実施するため、タイムカードによる記録、パーソナルコンピューター等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法によって、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない旨が規定されたところであります。

 今御紹介をいただいたとおり、中教審の答申においても、学校における働き方改革を進める上では勤務時間管理の徹底が必要であることや、勤務時間管理に当たって事務負担が極力かからないよう、自己申告方式ではなくて、ICTの活用やタイムカードなどにより勤務時間を客観的に把握し、集計するシステムを構築する必要があるということについて御指摘をいただきました。

 こうしたことを踏まえて、このたび文部科学省が策定した公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインにおいても、在校時間はICTの活用やタイムカード等により客観的に計測することとしているところであります。

 なお、このたびの埼玉県議会予算特別委員会における附帯決議においては、教職員の出退勤時間を把握するだけでは教職員の勤務状況は改善しないとして、教職員の負担軽減や、産業医との面接などの心理的なケアの実施など、効果的な対策による教職員のトータルケア体制の確保が重要とされたというように伺っております。

 この点については、中教審の答申においても、ガイドラインを踏まえた在校等時間の適切な把握を契機とした学校や教師の業務の明確化、適正化のほかに、産業医による健康管理やいわゆるストレスチェックの実施等、労働安全衛生管理体制の充実が必要であるというように指摘をされております。

 そこで、文部科学省としても、例えば、教育委員会に産業医などを置いて、選任義務のない学校の教職員の健康管理に当たらせるなどといった、先進事例を把握して周知するなどの取組をぜひ行っていきたいというように考えておりますし、こういった取組も含めて埼玉県の教育委員会を支援させていただいて、県議会の皆様の御理解をいただいて、教師の労働時間の状況や在校等時間を適切に把握する責務をぜひ果たしていただけるように努めていきたいと考えております。

菊田委員 学校における働き方改革推進本部の本部長を務める大臣のまさにお膝元で、教員の働き方改革の実効性が危ぶまれているのではないかと私は指摘したいと思います。

 教員の働き方改革を進める上で、今いろいろおっしゃいましたけれども、タイムカードの導入はまずその第一歩です。これまで教員の長時間労働が放置されてきたことの大きな理由の一つは、タイムカードで勤務時間を管理さえできていない、民間企業では全く考えられないような実態があるということは、ここにいらっしゃる委員の皆さん、皆承知であります。大臣の地元の県議会議員を説得できないということでは、大変心もとないと言わざるを得ません。文科省が全国の教育委員会に向けて号令をかけたところで、説得力や重みがありません。

 大臣、この状況は絶対に看過できない状況であり、予算凍結の撤回を求めて自民党県議団をみずから説得されたらどうですか。文科省の小松弥生教育長が県議会の理解を得る努力をされているようですから、大臣がバックアップしてくれたらこれほど心強いものはありません。大臣の見解を伺います。

柴山国務大臣 おっしゃるとおり、ガイドラインであるとはいえ、県議会の理解を得て、教師の労働時間の状況や在校等時間を適切に把握する責務を果たそうとしている埼玉県教育委員会をしっかりと支援していきたいと考えております。

菊田委員 ぜひ頑張ってください。

 二〇一四年に当時の下村文科大臣の肝いりで始まりました官民協働海外留学支援制度、トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムについてお伺いします。

 「トビタテ!」は、留学する日本人の学生に対し、奨学金、授業料などを支援し、その原資は民間から広く寄附を集める制度になっていますが、改めてこの事業の目的、目標を確認させてください。その上で、実績と、文科省としてどのように評価をしているか、お尋ねをいたします。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 今御紹介をいただきましたトビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムは、民間からの二百億円を目標とした寄附金を財源として、二〇一四年度から二〇二〇年度までに一万人の高校生及び大学生などを海外に送り出すことを目標としたプログラムであります。これまでに約六千人の若者を支援してきております。

 このプログラムの特色等なんですけれども、プログラムの設計や学生等の選考、事前事後研修等を官民共同で実施する取組であること、インターンシップなど産業界の要請を踏まえた実践的な留学を支援すること、帰国後に学生等にみずからの留学経験を踏まえた留学の意義を発信する役割があることなどの特色を有しております。

 このプログラムの評価なんですけれども、多くの若者がさまざまな困難を乗り越えて、技術開発の現場で研さんを積んだり起業を果たすなど、海外での経験を積み、自信をつけて帰国してきており、企業からも、自分の意思を持って突き進めるグローバルに活躍できる人材が育っているなど、よい評価をいただいております。

 これまで二百三十六社から約百十七億円の御寄附をいただいておりまして、支援企業、団体等の皆様の御協力にこの場をおかりして感謝をするとともに、目標としている一万人の送り出しに向けて、引き続き尽力をしていきたいと考えております。

菊田委員 これまで民間企業等から協力してもらい集まったお金は約百十七億円と今ほど御答弁をいただきましたが、当初の目標は、二〇二〇年までに二百億円だったというふうに承知をしております。目標の六割にしか達していないということであります。留学生の派遣人数は、六千人支援してきたということですけれども、目標の一万人は恐らくほぼ達成できるのではないかというような説明を受けております。

 しかし、それは集まった寄附金の枠内で調整された結果の人数であって、仮に目標どおりの寄附金が集まっていたとすれば、もっと多くの学生に門戸を広げることができたのではないでしょうか。

 現状では、大学生の応募者数が約三倍、高校生の場合は約四倍の倍率で選抜をされているという実情ですけれども、この点について見解を伺います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣からもありましたように、これまでに二百三十社を超える多くの支援企業から約百十七億円の御寄附をいただいており、これにより、二〇二〇年度までに一万人を派遣するという目標に向けまして、プログラムを順調に進捗させているところでございます。

 文部科学省としては、御指摘のとおり、より多くの学生が本プログラムに参加する機会が与えられるよう、引き続き、より多くの企業、団体等に御支援を賜るための尽力をしてまいりたいと考えております。

菊田委員 初年度の二〇一四年度から二〇二〇年までの七年間で目標の二百億円を集めるには、単純計算すれば、年平均三十億円近くの寄附をいただかないと達成できません。

 お手元に資料を配らせていただきましたが、残念ながら、初年度の二〇一四年度は三十三億円の寄附が集まっていますけれども、二年目の二〇一五年度は十八億円に減っています。二〇一六年度は十五億円、二〇一九年度の見込み額が十一億円、そして二〇二〇年度の見込み額が九億円とされており、だんだん尻すぼみに減ってきています。寄附した企業の数についても同様の傾向で、二〇一四年度に百二十四社から御寄附をいただきましたが、二〇一五年度では一気に四十六社に減っており、二〇一八年度は十社のみとなっています。

 これは一体どういう理由でしょうか。下村大臣が張り切って肝いりの事業としてスタートしたんですけれども、その後の大臣は、率先して寄附金集め等、企業を回られるなど、どれだけの努力をされたのか、お聞きをしたいと思います。(発言する者あり)

柴山国務大臣 今、馳大臣が、俺は頑張ったというふうにおっしゃっていただきましたけれども、先ほど申し上げたとおり、確かに今、民間企業からの寄附金の額が少し右肩下がりになっているという御指摘をいただいたんですけれども、その民間企業からは、冒頭私が紹介をさせていただいたとおり、大変有為な人材を輩出してくださっているというふうに評価をしていただいております。

 単一の支援企業から継続的にずっと寄附をいただくということは確かに難しいことかもしれませんけれども、より多くの企業にやはり賛同いただき、寄附金を確保していくということがこれからは重要になってくるというように考えております。

 現在、私どもといたしましては、幹部職員及び民間企業等出身者を構成員とする官民協働海外留学創出プロジェクトチームを設置をいたしまして、特に率先して幹部職員が、企業、団体への寄附の協力依頼を行っているところであります。

 また、本プログラムの派遣学生の壮行会ですとか帰国後の報告会などの機会に、支援企業の幹部をお招きして派遣学生と接する機会を設けておりまして、私も含めた、今、馳元大臣からもお話があった、歴代の文部科学大臣ですとか副大臣や政務官も出席して、支援企業への感謝を伝えるとともに、引き続きの御支援をお願いしているところであります。

 さらに、先日、文部科学省のクロスカルチュラルコミュニケーション大使、CCC大使に御就任をいただきました古坂大魔王さんの協力もいただきながら、海外留学の魅力を社会に向けて幅広く発信するなど、社会全体で留学を後押しする機運の醸成に更に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

菊田委員 大臣、幹部職員は頑張っていると思いますけれども、やはり寄附を集めるというのは相当大変な仕事ですよね。私たちも同じ、政治家も大変ですけれども。

 馳元大臣はどれだけ頑張って回られたのかわかりませんが、ぜひ、看板倒れに終わらないように、大臣が先頭に立って努力をしていただいて、成功させていただきたいというふうに思います。

 大学生向けコースの支援期間について伺いたいと思います。

 留学期間は二十八日以上から二年となっていて、主催者としては三カ月以上を推奨しているようですけれども、これまでの実績を見る限り、実際には七カ月から十二カ月の留学生が六割を占めています。十三カ月から二十四カ月、つまり一年以上留学した学生は全体の七%、二百八十八人しかいません。高校生についても同様の傾向でして、一カ月以内の留学生が七割となっています。全体の半数以上は二週間ないし三週間の短期留学となっています。

 これは学生のニーズをあらわしているものと思いますが、文科省としてはこれをどう評価しているんでしょうか。今後は一年以上の長期留学生をふやしていくための方策を打つんでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムは、学生がみずから留学計画を作成するとともに、海外留学の一部にインターンシップなどの実践活動を含むこととしているなど、さまざまな体験を積むことを求めております。

 本プログラムでは、そのうちの六割が、御指摘いただきましたように、留学期間が七カ月から十二カ月となっているというものでございますが、留学計画を、海外留学の中で実践活動を含む多様な経験を積むプログラムとしていることで、仮に短期間であっても、グローバルに活躍できる人材を育成することにつながるんじゃないか、素地が育成されるんじゃないかというふうに考えております。

 本プログラムにおきましては、今申し上げましたように、学生みずから留学計画を作成することを重視しておりまして、必ずしも長期の留学をふやすという方向を持たせることは考えていないものでございます。

菊田委員 「トビタテ!」の認知度は、留学したいと考えている大学生の間では六割を超え、一定の成果を上げているとは思いますけれども、社会一般の人がどれだけこの事業を知っているかといえば、文科省からいただいた資料でも、まだ一割程度の認知度しかありません。

 先ほど来私が指摘してきた、協賛企業の寄附額が減少していること、それから、グローバル人材というのであれば、二週間とか三週間の短期留学ではなく、しっかりと海外での経験を積んだ人材を育てるべきだというふうに思いますが、実態は短期間の留学にとどまっていること、これはやはりいま一度原点に帰って、知恵を絞って内容を充実させる必要があると思いますが、見解を伺います。

 あわせて、二〇二〇年度以降、この事業をどうされるのか、継続していくのか、お答えいただきたいと思います。

柴山国務大臣 確かに、長期留学によってよりグローバルな人材が育成されると思うんですけれども、このトビタテ!留学JAPANでさまざまな実践的体験を積み、そして非常に大きな人生の財産を得た学生たちが、さらなる海外へのチャレンジを志してもらう、あるいは、企業に就職した後、海外勤務などを通じてより大きく成長してもらうという、私は、呼び水的な効果を持つプログラムとして、これからもその意義は持ち続けていくんじゃないかなというように考えております。

 それとの関係で、二〇二〇年度以降についてのお話でありますけれども、先ほど申し上げたとおり、二〇二〇年度までにおおむね目標である一万人の送り出しができる見込みでありますし、また、現在、本プログラムに参画する企業、大学等から成るグローバル人材育成コミュニティ協議会において、これまでのプログラムを振り返りつつ、二〇二一年度以降のあり方についてまさに今議論を行っていただいているところであります。

 ただ、文部科学省としては、社会全体でグローバル人材を育てるという観点から、引き続き民間企業などへの協力を呼びかけて、今後とも率先して取り組んでいきたいというように思っております。

菊田委員 もう時間がないので、最後に、野田市の十歳女児死亡事案について伺いたいと思います。

 実の父親から虐待を受けていた女児は何度かSOSを発していたけれども、残念ながらその幼い命を守ることはできませんでした。いろいろ問題がありましたけれども、その一つに、父親から暴力を受けていると女児が学校に提出したいじめに関するアンケートのコピーを、よりにもよって野田市教育委員会が父親に渡してしまった。これを機に、父親が更に女児につらく当たり、暴力がひどくなったということは容易に想像できます。

 文科省としては、これまで教育委員会等に聞き取りを行っていると思いますが、具体的にどのような反省点、問題点があったと考えているかお答えをいただきたいということと、どれくらい教育委員会に聞き取り調査を行っていますか。その点についてもあわせてお答えいただきたいと思います。

浮島副大臣 小学校、教育委員会の反省点、そして問題点、そしてどのくらいの調査を、聞き取りを行っているかという点でございますけれども、本事案におきましては、アンケートの写しを父親に渡した野田市の教育委員会の対応は適切ではなく、極めて遺憾と考えており、野田市等において、この点も含めた適切な検証を適切に行っていく必要があると考えているところでございます。

 また、アンケートの写しを父親に渡す際に、児童相談所等への、関係機関への事前の相談等がなされず、速やかに事後報告そして情報共有もなされなかった等の関係機関との連携不足、これについても問題があったと認識をしているところでございます。

 また、文部科学省といたしましては、学校における児童虐待への対応に当たりまして、児童相談所を始め、警察、そして弁護士等の関係機関としっかり連携をとり、すき間がなく対応していくことが重要であると考えておりまして、本年二月二十八日、内閣府、厚生労働省と連名で通知を出させていただいたところでございます。

 今回のような悲劇を二度と繰り返すことのないよう、今後、さまざまな機会を捉えまして、本通知の趣旨を徹底するとともに、引き続き、実効性のある、子供たちの命をしっかり守っていくという観点から、厚生労働省ともしっかりと連携しつつ、再発防止に取り組んでいく決意でございます。

菊田委員 もう時間が来ましたのでやめますけれども、この女の子が亡くなったのは一月二十四日で、既に一カ月半がたっていますけれども、いまだに、この父親がどうやって学校がアンケートを行ったということを知り得たのかというのが文科省として把握できていないということです。これは一日も早く真相を明らかにして、そうでないと、次、必ずこういう事件というのはやはり起こり得るということを肝に銘じていただきたいというふうに思います。

 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 本日も、柴山文部科学大臣に現場の声を伝えながら、真剣議論でいきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 さて、本日はまず、教育機会確保法にまつわる課題と問題点、特にフリースクールの質の確保について、大臣にお伺いしてまいりたいと思います。

 日本の引きこもり問題は、五〇二〇問題、つまり五十歳代の親が二十代の子供を見ているという状況から、八〇五〇問題、八十代の親が五十代の子供を見ているという状況に今移行しつつあります。不登校段階での早目の国の真剣な取組が求められているというふうに考えています。不登校問題を解決できないことは、日本の義務教育制度を揺るがす問題だと認識すべきであります。

 以上の認識に立ちまして、以下、質問いたします。

 まず一つ目です。

 大臣、そもそもフリースクールに対する公的な財政支援の状況、国や地方、さまざまあると思いますが、どのように把握をされていますか。

柴山国務大臣 都道府県教育委員会が独自に、フリースクールで学ぶ不登校児童生徒の経済的支援を行っている事例がありますので、そういった事例を網羅的に把握しているわけではありませんけれども、例えば、京都府では、京都府教育委員会認定フリースクールを指定いたしまして、当該フリースクールに通う子供たちの体験活動費について補助しているというようなことを伺っております。

 文部科学省の取組ということで申しますと、平成三十年度予算において、学校以外の場における教育機会の確保等に関する調査研究、この調査研究といいましても、実際の人件費補填などの予算計上もさせていただいておりまして、フリースクール等で学ぶ、経済的に困窮した家庭の不登校生徒に対しまして、通学や体験活動に必要な費用を支援するなどしております。その予算額としては、一・六億円というふうに承知をしております。

城井委員 今御紹介いただいた事例は承知されていると。ただ、網羅的には把握していないというお話だったかと思います。

 大臣からお話のあった調査研究は、あくまでモデル調査だというふうに考えています。その意味では、全国津々浦々にフリースクールがたくさんございますが、そこをまだ国としてもうまく捉えられていないという状況かというふうに思います。ここはきっちり把握をすべきだと思います。フリースクールへの予算の分配の公平性という観点からであります。この公平性は国が担保すべきだというふうに考えます。

 財政支援が、実は各地域でかなりばらばらな状況があります。この現状をぜひ捉えていただきながらと思いますけれども、そうした現状について、大臣、いかがお考えでしょうか。

柴山国務大臣 文部科学省としては、先ほど申し上げたとおり、都道府県による財政支援の実態を網羅的に把握しているわけではありませんけれども、実は、このフリースクールというのは、法的規制や行政上の指導監督に服することなく、それぞれ民間において自由に設置、運営されているものでありまして、まさしくその規模や活動内容がさまざまであるということが特色なのかなというように考えております。

 ということで、各地域によりその財政支援に差が生じているということでありまして。ただ、確かに、不登校児童生徒の支援に係る差が、その不登校児童生徒への十分な対応を妨げているということになってはいけませんので、まずは都道府県における財政支援の実態の把握を今後していきたいというように考えております。

城井委員 ぜひ実態把握をお急ぎいただきたいと思います。

 民間設置だというのは、確かにそうなんです。ただ、ニーズが高くなっていますので、税金投入は今後広がってくるだろうという部分がありますのと、じゃ、そのフリースクールが、いわゆる義務教育の一端の部分を担う、あるいは義務教育にかわるものとして計算するということが今後見込まれる部分があるわけです。そういたしますと、単に、民間だから民間の発想で、ルールで、自由でということにはならない。つまり、公的教育の一端の部分にフリースクールも入ってくるという状況になるということをぜひ考慮いただいた上で、調査を急いでいただきたいというふうに思います。

 そもそも、フリースクールはかなり場所が偏在をいたしております。存在しない地域も多くあります。地域に存在する場合でも、認知されていないケース、あるいは個々の児童生徒にとって適切な支援の場か判断をする情報が乏しいケースが間々あります。こうした実態調査や認知度向上、そして情報提供について、国の見解を聞かせてください。

柴山国務大臣 教育機会確保法及び同法に基づく基本指針において、児童生徒やその保護者などに対しまして、不登校児童生徒に対する支援を行う機関等、必要な情報の提供、助言などを行うものとされております。

 文部科学省といたしましては、現在、不登校児童生徒の支援に係る実態調査を、先ほど申し上げたとおり実施をしておりますし、また、全国の教育委員会向けの会議などにおいても、同法及び基本指針の内容等について、不登校児童生徒等への情報提供の必要性も含め、周知を行っているところであります。

 引き続き、不登校児童生徒の支援の強化とあわせて、教育機会確保法及び基本指針の内容等について、さまざまな機会を捉えて周知徹底に努めてまいりたいと考えております。

城井委員 フリースクールの実態についても少し触れておきたいと思います。

 理科室や体育館などの設備がないフリースクールがあるという事実を国として把握をしていらっしゃるでしょうか。例えば、京都のフリースクールは、近隣の学校に出向いて理科の授業を教員から受けている、こうした事例もありました。過去には、居酒屋として使われていた店舗を借りて昼間にフリースクールを開いていたという例もあります。

 児童生徒の安全と健康を守る教育環境を備えているか、調査を行っていないのではないか。先ほどの、公的な教育の部分を一部担う可能性が高いのに、こういう状況だということであります。このことを大変危惧をいたしております。

 これらのような、受皿としてのフリースクールの質の上での格差が各地域で生じておりますが、これは放置できないと考えます。大臣のお考えをお聞かせください。

柴山国務大臣 フリースクールは、NPO法人などの多様な主体が設置しているものでありまして、その施設もさまざまであります。どのような設備を設けるかということについては、設置主体が判断をし、そして、今御紹介をいただいたように、さまざまな工夫をされることとなるかと思います。

 文部科学省としては、先ほども紹介をさせていただいた、学校以外の場における教育機会の確保等に関する調査研究において、フリースクール等の相互評価のあり方について調査研究を行うなど、フリースクール等における活動の質の向上に資する取組を行っております。

 この調査研究で得られた成果を分析、普及することでフリースクール等における活動の質の向上を促し、もって不登校児童生徒への支援体制の充実を図ってまいりたいと考えております。

城井委員 調査研究、モデル調査の部分での確認をということでございますが、税金投入がふさわしいか、公教育の担い手としてふさわしいかという点は、今後のフリースクールに対するかかわり方のその手前の話ではないか、義務教育の基本に照らしたときにどうかということかというように思いますので、その点はぜひ分けて考えていただきたいというふうに思います。

 なぜこうしたことにこだわっているかという点を、もう一点触れたいと思います。

 フリースクールへの子供の通学が家庭の判断になるというのが、民間設置というところである一つの危険性であります。子供のフリースクールへの通学を家庭が判断することの危険性、この判断、どこが判断して責任を負っていくべきなのか。

 もし、家庭の判断に任せました、でも民間設置で質の内容よくわかりませんとなったときに、じゃ、ふだんは、文部科学省としては公教育の一環で学校でその質を確保していますということは責任がとれる、でも、教育機会確保法によって、フリースクールの中でも、公教育、国が保つべき教育の質の確保の一端、そこにも入ってくるとしたならば、もしそこで、家庭の判断でしたということで触れないとしたときに、結局、その子供がそのまま育っていって何の資質や能力もつかないということが起こったときにどうか、この点を心配しています。

 大臣、いかがでしょう。

柴山国務大臣 大変難しい問題だと思います。

 今委員から御紹介をいただいた教育機会確保法の第十三条においては、不登校児童生徒の休養の必要性ということを踏まえて、「必要な情報の提供、助言その他の支援を行うために必要な措置を講ずるものとする。」ということが書かれているわけです。

 ただ、いじめられている児童生徒などの緊急避難としての欠席が、この条文を理由に弾力的に認められてよいというように考える一方で、そのような場合には、学習に支障がないことなどへの配慮をすることが必要でありまして、不登校児童生徒の社会的自立を目指す観点から、当該児童生徒や保護者の意思を尊重しつつも、学校がまさしく個々の不登校児童生徒の状況等について把握をし、適切な支援策を決定するということが重要であるというように考えております。

 今申し上げたような方針は、平成二十九年三月に文部科学大臣が策定をした基本指針においても明らかにしているところでありまして、引き続き、本指針の趣旨について、さまざまな機会を捉え周知徹底していきたいと考えております。

城井委員 学習に支障がないということで、その点を重視している旨を今触れていただいたかと思います。

 もともと、公教育では、学校施設、教育内容、そして教員、この三つでもって、教育の質の担保、つまり学習に支障がないようにということをやってきているはずで、そこを今回のフリースクールにどう照らしていくかということ。フリースクールだから特別扱いでその三つは外してもいいよという話にはならないのではないか、税金投入があり、そして公教育の一端を担うならばということであります。

 その上で、今大臣からお触れいただいた、教育機会確保法にございます、休養の必要性を踏まえてという一言が、少し違った形でボールがはねていってしまっているんじゃないかというふうに感じておりまして、この点を質問したいと思います。

 休養の必要性を踏まえてということで、休ませるのだからと、教員のアウトリーチ、つまり家庭訪問が減ってしまっているのではないかということを大変心配しています。

 もちろん、子供に対して結果的に登校を強制するような形になってしまうような家庭訪問では問題です。不登校の要因は百人百様だと考えています。休養が必要な場合と、休養させることが子供の不利益になる場合があります。追い詰めるような家庭訪問にならないように、教員の側の勉強も必要なのは言うまでもありません。義務的な訪問も逆効果だと思います。

 ところが、この休養の必要性を踏まえてという文言について、学校の先生が子供に、不登校の子供は学校に行かなくてもいいという法律ができたと説明するケースも生じています。現場で聞きました。この文言の持つ問題をどのように考えるか。

 以上を踏まえて、大臣、不登校の子供たちに対する教師による家庭訪問による状況把握がなされているか、今後どう対応していくか。せんだっての委員会での質問では、機会を捉えてという大臣答弁でしたが、この休養の必要性を踏まえてという文言の誤解が生じているならば、大きな問題だと思います。改めて、大臣、見解を聞かせてください。

柴山国務大臣 委員御指摘のとおりであります。

 不登校の要因、背景は本当にさまざまなんですけれども、効果的な支援を行うためには、そうした不登校のきっかけや継続の理由、当該児童生徒が学校以外の場において行っている学習活動の状況について、これを継続的に把握することが必要であると考えております。

 そのため、先ほど申し上げたとおり、個人のプライバシーの保護ですとか、また不登校児童生徒や保護者の意思を尊重しつつも、家庭訪問による把握を含めた学校や教育委員会による状況把握を行うことが重要と考えます。

 先ほど申し上げた、平成二十九年三月三十一日の文部科学大臣の決定等もございます。各学校において、家庭訪問などによって、個々の不登校児童生徒の状況の把握及び状況に応じた効果的な支援が行われるよう、そうした考え方の周知徹底にしっかりと、委員の御指摘のとおり、努めていきたいと考えております。

城井委員 ありがとうございます。

 家庭訪問は極めて重要だと思います。

 私が申し上げている趣旨は、休養の必要性を踏まえてということについての誤解によって家庭訪問が遠のきますと、例えば発達障害ですとか、先ほどの質疑でもありました、虐待の早期発見などを行うことができないのではないか、この点が家庭訪問をしなかったら見つからないかもしれない、ここを極めて心配をしています。

 まず、発達障害から伺います。

 この発達障害的傾向が見られる児童生徒は、その特性を早期に発見するのと同時に、個別具体的な指導、支援、相談体制が求められます。休養の必要性といって、もし放置をしていると、症状が進んでしまい、早期対応が間に合わないケースがあります。通級指導教室の充実や校内設置など、特に小学校への具体的支援対策をどのようにお考えか、この点について、大臣、お聞かせください。

柴山国務大臣 発達障害のある児童生徒はどの学校にも在籍する可能性があり、各学校において適切な指導や必要な支援を受けられるようにしていくことが必要です。

 特に、障害の早期発見については、適切な支援につながることで、自己肯定感の低下を防いだり、まさしく今委員が御指摘のような不登校などの二次的な課題を防いだりすることにつながるわけですから、非常に重要であると認識をしております。

 そのための対策ということなんですけれども、文部科学省では、平成三十年三月に、就学児健診における発達障害の発見の重要性や具体的な取組方法について、また、健康診断結果を就学先に引き継ぎ、小学校入学後の支援につなげていくよう努めることについて新たに明記するなど、就学時の健康診断マニュアルの改定を行うとともに、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所、久里浜にありますけれども、ここにおいて、指導的立場にある特別支援教育の担当教員を対象とし、不登校などの二次的な課題に対する支援を含む研修を実施するなどの取組を行っております。

 また、発達障害を含め、障害に応じた通級による指導を受ける児童生徒の数が増加傾向にあるということを踏まえまして、平成二十九年に義務標準法を改正し、これまで加配定数として措置してきた小中学校における通級による指導に係る教員定数の一部について、対象となる児童生徒数等に応じて算定される基礎定数化をいたしまして、通級による指導の専門性を高めるためのモデル事業の実施や、通級による指導の方法、内容のガイドの作成の検討を行うなど、各自治体における取組を支援しているところであります。

 今後とも、文部科学省としては、発達障害のある児童生徒の早期発見及び一人一人のニーズに応じた支援の充実、これらを図るために努力をしていきたいと考えております。

城井委員 次に、虐待対応についても触れておきたいと思います。

 休養の必要性に依拠し過ぎて教師による家庭訪問が減りますと、虐待を受けている子供を見逃すケースもあります。休養の必要性とともに、教師の働き方改革が強調され過ぎる余り、必要な家庭訪問まで行わない教師がふえているのではないか。痛ましい虐待事案が次々発覚しています。救えたはずの命は必ず守る。日本の国力を支えてきましたのは、日本人の勤勉さや真面目さや緻密さです。その教育を担ってきた学校への信頼が問われています。

 大臣、休養の必要性を踏まえるということは大事なんですが、そこと同時に、先ほどの発達障害やあるいは虐待対応を念頭に置いた学校での家庭訪問の重要性、改めて、しっかりやるべしということで現場に対しても御指示をいただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。

柴山国務大臣 家庭訪問による、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフとの連携、分担も含めて、そうした児童の状況把握をしっかりと行っていくということを我々としては後押しをしていきたいと考えております。

 なお、今御指摘になられた児童虐待のリスクということが、今回の野田市の案件もそうですけれども、大変重要な課題としてクローズアップをされてまいりました。

 家庭訪問をする中で児童虐待のリスクが見つかることもあるわけですから、そういった場合、速やかに市町村や児童相談所等関係機関に情報共有や通告が行われるものと考えておりますので、そういったことも含めて適切な早期対応がなされるよう周知徹底をしなければいけないと考えておりますし、まさしく、ことし二月八日の関係閣僚会議の決定に基づいて全国の小中高等学校及び教育委員会に対して緊急点検を行った際に、二月一日以降一度も登校していない児童生徒などを対象に、学校の教職員等が面会を行うということを通知をし、その点検活動を三月八日までに完了して、その結果を、昨日、三月十四日までに文部科学省に報告することとしております。

 この結果は、今集計中でありますので、また改めて報告をさせていただきたいと思います。

城井委員 緊急点検での結果は、ぜひ御報告をお願いしたいというふうに思います。その上で、家庭訪問での子供をやはり直接確認をしてということの重要性を引き続きしっかり御指示をいただきながら、取組をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 続いて、大学入試における英語の民間試験及び記述型試験導入の懸念について、改めて大臣にお伺いしてまいりたいと思います。

 当委員会の質疑におきましても、これまでに、経済的な不公平や地理的な不公平、運営の不公正など、多くの問題があることを指摘してまいりました。一方で、現時点で、英語民間試験の受検を求めない、あるいは、必須としないとしている大学が出てきております。北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学などであります。

 民間試験を必須とするとした国立大学協会の方針は、既に有名無実化していると考えた方がよいと思います。このまま実施を強行いたしますとどのような問題が更に広がるかということを、改めて御指摘を申し上げたいと思います。その上で、大臣には、少なくとも、二〇二〇年度、立ちどまって見直すという方策をぜひとっていただくことを強く要望して、以下、質問をいたします。

 まず、各民間試験の検定料の二〇二〇年度予定価格を確認しました。現時点で、多くの受検者が受けると見られるのは、英検の準二級以上及びGTECであります。それぞれ、六千九百円以上、六千七百円程度から九千七百二十円となっています。

 これらを高校三年のときに二回受ければ、一万四千円前後から二万円弱となります。これだけで、今やっているセンター試験の検定料、三教科以上受験する場合は一万八千円、二教科以下の受験でも一万二千円でありますが、これに匹敵をするわけです、一科目でです。

 すなわち、共通テストの枠組みで民間試験の受検が必要となれば、それを含めた共通テスト全体の検定料は約二倍にはね上がります。さらに、二回の正式な試験のほかに、高校三年のとき、あるいはそれ以前に練習のために受検をするケースも多いと考えられますので、受検者にかかる負担はそれ以上になります。事前の教材購入や講座受講などを考えれば、更に上がるということになります。

 また、大学によっては、CEFRのC1やC2を取ることによって相応の加点がなされますが、英検など、これらの高いレベルを認定する試験は、それだけ検定料も高くなっています。したがって、より高い加点を狙うとしたら、試験によっては更に検定料がかさむことになります。

 以上のように、練習受検を含め、検定料の負担が大きくなると、経済的に豊かで何度も受検できる者が有利になるという不公平。経済的格差が生じる点は、大臣、無視できません。

 この経済的不公平、以前の文部科学委員会の質疑でも御指摘申し上げ、改善を要請いたしましたが、その後どのように改善されているか。以上のように、現状を見る限りでは、いまだ改善されていないというふうに考えます。大臣、改善をすべきです。御見解をお願いします。

柴山国務大臣 大学入学共通テストの枠組みで実施される民間の英語資格検定試験については、受験生の経済的負担に配慮するため、受検時期、回数を、高校三年の四月から十二月までの事前に登録された二回までに限るということとしております。

 また、昨年八月に策定した共通テスト実施方針、これは追加分ですけれども、非課税世帯であるなど経済的に困難な状況である場合で一定の試験成績を有している者は、高校三年時の結果にかえて、もし既にそういったテストを受けている場合には、高校二年時の結果を活用することを可能とする例外措置を設けております。

 さらに、法案を提出している高等教育無償化において、低所得者層に対しては、受験料も勘案した給付型奨学金によって負担軽減措置を講ずることとしているとともに、昨年、全国の高等学校に対して実施した受検ニーズ調査を踏まえ、試験実施団体に対して検定料の配慮を求めたところであります。

 引き続き、こうした形で検定料負担の軽減に取り組んでまいりたいと考えております。

城井委員 大臣、受検回数ではございませんで、私の指摘は、検定料を含めた共通テストのコスト、受験生のコストが二倍以上になってしまう、手元から出ていくお金がこれまでの二倍以上になってしまうぞ、この点を申し上げているわけです。

 更に申し上げると、せんだっての質疑でも、この検定料の配慮を試験実施団体に対して要請している、こういう話はおっしゃっていました。ところが、おっしゃっていて、あれから何カ月かたつ中で、二〇二〇年度のこの実施要領が出てきて、さあ検定料は幾らかというので計算したのが先ほどの金額なんです。つまり、試験団体は、文部科学大臣の要請を踏まえていないのではないか。

 この二倍以上になっている、もう英語一科目でセンター試験に匹敵するようでは、これは踏まえていると言えますか、大臣。配慮しているというふうに言えますか、大臣。いかがでしょう。

柴山国務大臣 私どもといたしましては、試験実施団体に対して、検定料の配慮を以前から求め、そして今回、今委員から御指摘があったような状況であるということですので、引き続き、極力、検定料負担の軽減をどうするかということを考えるとともに、特に、先ほど紹介させていただいたとおり、高等教育無償化において、一定の所得階層の方についての、受験料も勘案した給付型奨学金によって、何とか負担軽減措置を講じていきたいというように考えております。

城井委員 受験料を勘案した給付型奨学金の話がございましたけれども、あの給付型奨学金は、世帯の年収目安が限られています。税金を納めて保険料を支払って、手取りが残らず貯金がないというその御家庭には、真面目な納税者の世帯には、届かないわけであります。そういう方々のお子さんたちがこの受験に立ち向かったときに、センター試験よりも二倍以上の負担を強いられる状況になっていて、なおかつ、大臣が配慮を要請したにもかかわらず、そのことを無視して、この金額設定で今強行しようとしているんです。

 大臣、この受検料の引下げについての要請を再度行っていただけますか。

柴山国務大臣 昨年六月に委員からこの受検料の問題について御質問いただいたときから、更にニーズ調査の集計を行って、試験実施団体に対して試験会場の追加ですとか検定料の負担軽減などを求めてまいりましたし、また、実施方針の追加分も含めて、経済的に困難な事情を抱える家庭や、離島、僻地の受験生等に関する例外措置も定めております。

 そしてまた、関係者による意見交換の場を設けて、課題や不安感の解消に向けた議論を実施しているなどの新たな取組をさせていただいておりますので、今委員から御指摘のとおり、そういったことも踏まえて、さらなる努力というものを求めていきたいと考えております。

城井委員 さらなる努力を求めるというのは、再度、引下げの要請をいただけるという理解でよろしいですか。

柴山国務大臣 引き続き要請してまいります。

城井委員 ぜひよろしくお願いします。

 これだけのコストをかけて何が得られるかということを考えるわけです。受検料が二倍以上になって、さあ、どうか。現状では、CEFRのA2レベル以上を出願資格としている大学が多い状況です。高いコストをかけて民間試験を受けて、A2レベル以上と認められることで得られるのは何か。それは、希望する大学に出願することができる資格だけです。これまでですと、誰でも出願することはできました。そこにやっとたどり着くだけなんです。

 大学によっては、加点方式を採用するとしているところもあります。例えば静岡大学の場合、共通テストの英語二百点、民間試験五十点という配点で、受験者が多く分布すると予想されるA1、A2レベルではそれぞれ八点、十六点という加点、該当者が非常に少ないと思われるC1、C2レベルだと四十点、五十点という加点になります。実際には、英語の合計二百五十点のうち、八点の加点か十六点の加点か、もう少し上の二十四点の加点かという、わずかな点差の競争です。もちろん英語以外にも受験科目があるので、総合点の中での民間試験の配点は、受験にかかるコストに比べて非常に小さくなります。

 このように、単に出願資格を得られるだけ、あるいはごくわずかな点差を生むだけの民間試験を、共通テストの検定料を倍増させてまで導入する必要が本当にあるのか、甚だ疑問であります。大臣、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 今、これまでの受験と比べてどれだけのメリットがあるかということについて御指摘をいただきました。

 ただ、私ども文部科学省としては、今の高校の英語力は、とにかく、話すこと、書くことに課題があることが明らかだというように考えております。

 大学入学者選抜において、この四技能を評価をしていくことが我が国の英語力の向上のために重要であるという観点から、教育振興基本計画において、高等学校卒業時点でCEFR、A2レベル、英検準二級相当以上を達成した高校生の割合を五割以上にするということを目指しております。そして、話す、書くでこのA2に達している者の割合は今二割に達していないわけです。ということからすれば、このA2を出願基準とすることですとか、あるいは加点により差を設けるということ自体に私は意義があるというように考えております。

 ただ、今おっしゃったとおり、では、そのメリットが少ないではないかということはおっしゃるとおりでありまして、大学入学者選抜において英語四技能評価をどのように活用するかということは基本的に各大学の判断ではありますけれども、文部科学省といたしましては、現在でも活用されている英語四技能評価、この一層の活用促進に向けて引き続きしっかりと広げていきたいというように思っております。

城井委員 大臣、英語の四技能の教育の充実は私も賛成なんです。

 でも、四技能の教育の充実のときに、では、この民間試験導入という入り口がその四技能教育の充実の入り口なのかといったときに、今申したような、経済的な不公平の話を今申していますが、そういうさまざま問題がある中で、では、英語技能の教育そのものを充実する方が先なんじゃないか。試験のハードルの上げ下げや道具を変えるということが四技能の教育の充実なのか。

 つまり、四技能の教育に資するかどうかという議論はまた別途の部分でありますが、ここで申しているのは、試験そのものの不公平がありますよ、ここを正さなきゃということを申しているので、そこは大臣、ぜひきちんと分けて御議論いただけたらというふうに思います。

 さて、この経済的不公平に加えて、地理的な不公平の話も御指摘を申し上げています。試験会場から遠隔の地域に住む受験者には、交通費や宿泊費の負担もかかります。地域的格差の問題も生じるという地理的不公平について、これまでも御指摘申し上げてまいりました。

 これも、大臣、問題解消していただく方向に当然していただけますよね。これまでの取組を御説明いただけますか。

柴山国務大臣 大学入学共通テストの枠組みで実施される民間試験については、今御指摘になられた受験生の負担に考慮して、原則として、毎年度、全都道府県で実施することなどを参加要件としております。

 また、昨年八月に策定した「共通テスト実施方針(追加分)」においては、離島や僻地に居住、通学している場合で、一定の試験成績を有しているものは、高校三年時の結果にかえて、高校二年時の結果を活用することを可能とするという例外措置も設けております。

 さらに、昨年、全国の高等学校に対して実施した受検ニーズ調査の結果を踏まえて、試験実施団体に対して、実施会場の追加を求めているところであります。

 以上、引き続き、受験生の受検にかかる負担の軽減に努めていきたいと考えております。

城井委員 今の御答弁ですと、昨年、委員会質疑で伺った内容から前進が見られていないというふうに思います。

 一体、会場は幾つふえたのか。特に、車やバスなどの一時間以上かかるような移動で会場に行ってしまうというような、地理的な不公平もあろうかというように思いますし、離島の件でも、結局、交通費や宿泊費を含めてかかるというのは学年では変わらないわけでありますが、そうしたこれまでの改善状況という意味では、どの点が変わったかというのを改めて御答弁いただけますか。

柴山国務大臣 先ほど申し上げたとおり、受検ニーズ調査の結果を踏まえて、まさに、試験実施団体に対して、実施会場の追加を求めているところであります。

 今おっしゃったように、昨年と同じじゃないかということなんですけれども、まさしくその会場の追加を求めているところでありまして、しっかりと試験実施団体に対して、その結果を明らかにしてくださいというように要請をしたいというように思います。

城井委員 ということは、増加した会場の部分の確認はとれていないということでよろしいんでしょうか。

 ということは、変わっていないということになりますね、大臣。もう一回、お願いします。

柴山国務大臣 これは当然、再来年の三月、四月に実施ということになりますけれども、来年の夏までにはしっかりと明らかにしてくれということであります。

 失礼しました。ちょっと一年、間違えました。

 ことしの夏までに明らかにしてほしいということです。済みません、ことし、もう年が改まりましたので来年の四月から。失礼いたしました。

 ことしの夏までには、少なくとも、しっかりと明らかにしてほしいということを要請してまいります。

城井委員 もう一点、懸念をお伝えしながら質問させてください。

 受検を希望する者全員が、事故なく受検できるかというのもいまだ心配です。

 以下、具体的な点を確認させてください。

 民間試験のうち、英検とGTECに受検者が集中する見通しです。それが、特定の実施下に集中した場合、会場、監督者、スピーキングの面接者や録音機器、これはタブレットが想定されますが、こうしたものを十分な数、調達できるかという最も基本的な点について保証が得られていないのが現状です。

 大学入試センター試験の場合は、各地区の受験者数の予測に基づいて各大学に通知があり、各大学はそれに基づいて教室や監督者等の準備を進めますが、民間試験の場合は、受検者数の予測そのものが難しいことや大学による実施が予定されていないことなどから、不安要素が非常に多い状況です。

 文部科学省は、昨年、全国の高校にニーズ調査をしました。先ほど大臣からも触れていただきました。ただ、その結果の概要の発表がございましたが、各大学の方針が公表される前の段階での調査であったこともありまして、方針公表後の現在では、このニーズ調査は、実は、確たる情報とは言いがたい状況だというふうに考えます。

 これらの最も基本的な点について、国として保障できるか、大臣、明確にお答えいただけますか。

柴山国務大臣 試験実施団体に対しましては、今お話をいただいたとおり、昨年、全国の高等学校を対象に実施した受検ニーズ調査結果を踏まえて、これまで実施してこなかった地域ですとか時期の実施、また受検希望人数を踏まえた会場数の追加を求めたところであります。

 また、さまざまな大学の状況がその後明らかになってきたということもありますので、各実施団体において、現在、実施会場やスケジュールを調整しているところですけれども、高等学校関係者の御意向を踏まえつつ、私どもといたしましては、再度、受検ニーズ調査の実施を検討するなど、実施会場などの不足がゆめゆめ生じることのないように、各試験実施団体と調整を図り、会場の確保にしっかりと取り組んでいきたいというように考えております。

城井委員 もう一点確認させてください。

 大学入試センター試験では、リスニングの機器のふぐあいが少数ながら発生をしています。再試験などの方策がとられています。スピーキングを録音する試験では、リスニングとは比較にならない頻度でトラブルが発生すると予想されます。正確に録音されていなかったことが、試験終了後、受検者を帰した後に判明した場合には、どのように対応するのか。資格検定試験として用いる場合は、後の実施回での再試験でも大きな問題はないと思いますが、入学者選抜の共通テスト、一発勝負です。ここで用いる場合はそうはいきません。大臣、お答え願います。

柴山国務大臣 リスニングに比較にならないほどふぐあいが発生するというようなお話でしたけれども、私どもといたしましては、機器のやはり技術進歩等により、ほとんどそういうことがないというようには考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、民間の英語資格検定試験の実施に当たり、仮に、スピーキングを録音する試験において、正確に録音されていないなど、試験機器のふぐあいが生じた場合には、速やかに再試験を実施するなどの受検生保護の措置がとられるものと承知をしております。

 なお、各試験実施団体においては、受検生本人による試験実施前や試験実施中の音声チェックをしっかりと行ってもらうなど、録音等によるトラブル発生に備えて万全の体制が整備されるものと伺っております。

 それで、仮に、十二月の最終回のスピーキングにおいて、じゃ、再試験の必要が生じたらどうなるんだ。これは、今委員が御指摘になったような懸念かと思いますけれども、仮に、最終回において再試験の必要が生じた場合には、更に追試験を実施する、裏を返せば、その追試験ができるタイミングによる十二月の試験にしてもらうなど、万全な体制をとる予定と伺っております。

城井委員 大臣、一度スピーキングのテストの現場を見ていただければと思います。受検生が並んで、タブレットに向かって一斉にしゃべります。隣の声が聞こえたりします。タイミングがおくれて、後から小さな声でぼそぼそしゃべったりします。そんな受検生の置かれている状況も含めて、ぜひ直接確認をいただきたいというふうに思います。

 今、以上申し上げたように……(発言する者あり)そうですね。確認いただけますか。

柴山国務大臣 実際に現地で確認をしたいと思います。

城井委員 経済的不公平、地理的不公平、そして現場での事故の可能性、さらには記述型の試験も導入されるものですから、共通テスト全体のコストも上がってくるだろう、検定料も上がるんじゃないか、こんな心配もあります。こうしたことを考えますと、二〇二〇年度の実施は立ちどまって考え直すということをぜひお願いしたいと思います。最後の質問にします。

柴山国務大臣 予定どおり実施できるよう、遺漏なきよう万全を尽くしてまいりたいと思います。

城井委員 終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。両大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 ことしの一月二十八日、安倍総理大臣の施政方針演説が行われたわけですけれども、その中で、委員の先生方のお手元にもそのときの御発言をお配りさせていただいておりますけれども、「児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、ひとり親家庭の大学進学率は二四%から四二%に上昇し、悪化を続けてきた子どもの相対的貧困率も、初めて減少に転じ、大幅に改善しました。」という文章がございます。

 総理のこの部分の施政方針演説というのはどなたが起案をされたのかということを、まず確認をさせていただきたいと思います。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の施政方針演説につきましては、先生御指摘のように一月二十八日でございましたけれども、閣議において決定をされたものでございます。すなわち、内閣として起草をしたものということでございます。

川内委員 内閣として決定したのは、閣議決定されているのでわかっているんですけれども、起案したのは誰かと私は聞いたんですけれども。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 特定の職員が執筆しているものではないため、どこの誰がということをお答えすることはなかなか困難でございます。

川内委員 いや、どこの誰がを。

 済みません、こんなことで時間を使いたくないんですよ。どのセクションが起案したんですかということを聞いているんですから。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 特定の職員が執筆しているものではございませんけれども、演説を閣議決定をするに当たりましては、内閣官房としまして閣議に付議をする、案を提出するということを行っております。

川内委員 官房が起案したと。

 では、「児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、ひとり親家庭の大学進学率は二四%から四二%に上昇し、」というこの文章について御説明をいただける方はどなたですか。どのセクションですか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 演説は、各大臣が出席した閣議の場におきまして検討が行われた上で、最終的に政府として閣議決定をしたものでございます。それぞれの内容につきましては、それぞれに所管の大臣、省庁が説明責任を果たすということになると考えております。

 先生が今読み上げになられた、資料でも提出をいただいておりますけれども、その部分につきまして申し上げましたら、児童扶養手当につきましては厚生労働省、給付型奨学金につきましては文部科学省、また、一人親家庭の大学進学率や子供の相対的貧困率につきましては厚生労働省が、一部内閣府ということもあるかもしれませんが、説明責任を有しているというふうに考えてございます。

川内委員 では、「進める中で、」という文言について説明してくれる人は誰ですか。

大西政府参考人 基本的に厚労省ということになろうかと思います。

川内委員 厚労省さんに来ていただいているので御説明をいただきたいと思いますが、児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で一人親家庭の大学進学率が上昇したというこの文章なんですけれども、大学進学率、平成二十三年の二四%、平成二十八年の四二%。児童扶養手当の増額も給付型奨学金の創設も、平成二十八年の後であるというふうに思います。

 したがって、この文章については事実関係に誤りがあるのではないかというふうに思いますが、御説明をいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 児童扶養手当の増額や給付型奨学金の創設、こういったものを進める中でというふうに施政方針演説の中で触れられていることにつきまして、厚生労働省といたしましては、進学に役立つ施策として例示をされたものというふうに理解をしてございます。

亀岡委員長 川内博史君、どうぞ、質問。もう一度しますか。(発言する者あり)

 藤原子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長、もう一度答弁をお願いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 総理の施政方針演説で触れられている施策の実施時期は、委員御指摘のとおり、児童扶養手当の増額については、平成二十八年八月分、十二月の支給からというふうになっております。

 文科省所管の給付型奨学金、私どもから申し上げるのは適切ではないかもしれませんが、こちらも二十九年度からかというふうに承知をしているところでございます。

 ですので、この児童扶養手当の増額や給付型奨学金の創設という言葉は、進学に役立つ施策として例示をされたものというふうに考えているところでございます。

川内委員 いや、どちらも、一人親家庭の大学進学率の調査とは時期がずれているということで、「進める中で、」という言葉については事実関係に誤りがあるのではないかということを申し上げているわけです。そこをお認めくださいということを申し上げております。

藤原政府参考人 この触れられている施策と大学進学率の上昇との関係ということでございますけれども、我々、一人親家庭の大学進学率の伸びにつきまして、一義的に要因を分析することは困難でございますけれども、景気回復による母子世帯の就労収入が改善していることですとか、母子世帯の進学に対する意識が向上していることなど、さまざまなことが影響しているのではないかというふうに考えております。

 そういった中で、児童扶養手当の増額や給付型奨学金の創設については、施策として例示をされたものというふうに理解をしておりますので、いずれにせよ、今般の一人親家庭の大学進学率の伸びは、先ほど申し上げましたような、景気回復による就労収入の改善ですとか進学意識の向上など、さまざまな要因が影響しているものではないかというふうに考えておりまして、あくまで、こういった施策の例示ということで述べられているものというふうに理解をしているところでございます。

川内委員 いや、だから、施策として例示をされたものと考えているというふうに御答弁されたわけですけれども、そもそも、ここで述べられている一人親家庭の大学進学率の上昇とこの施策、例示として出された施策とは関係ない、時系列的に時期がずれている、直接的な要因ではない、事実誤認であるということを認めますかということを聞いているんですけれども。

藤原政府参考人 この施政方針演説では、児童扶養手当の増額や給付型奨学金の創設が直接の因果関係というふうに書いているものではなく、児童扶養手当の増額や給付型奨学金の創設を例示として書かれているというふうに理解をしております。(発言する者あり)

 「進める中で、」という文言の解釈だろうと思いますけれども、進める中で、例示として、あくまでも例示として書かれているというふうに思っておりますので、さまざまな要因によって進学率が向上しているということですけれども、こういった児童扶養手当の増額や給付型奨学金の創設をしっかり進めてきたということを述べているものというふうに理解をしております。

川内委員 委員長、創設を進める中でという言葉が、あくまでも例示として述べているだけなんだと。こんな国語が認められるのであれば、政府は今後何を言ってもいいんだということになりますよ。こんな答弁を、委員長、認めるんですか。

 いや、間違ったら間違ったということをきちんと認めることが大事じゃないですか。

藤原政府参考人 たびたび何度も同じ答弁になって大変恐縮でございますが、厚生労働省といたしましては、大学進学率の上昇につきましては、その要因を一義的に分析をするということは難しいというふうに考えております。

 その中で、景気回復による母子世帯の就労収入が改善しているとか、母子世帯の子供の進学に対する意識が向上していること、そしてまた、この間、政府としては、奨学金制度の充実などさまざまな施策を講じていること、こういったことが総合的に影響しているというふうに考えております。

 ですので、そこは、平成二十八年の施策については、進学に役立つ施策として例示をし、そういったことを進める中でということで、例示として示しているというふうなことでございます。

川内委員 いや、ですから、児童扶養手当の増額は平成二十八年十二月から実施をされているわけですね、平成二十八年十二月から。給付型奨学金は平成二十九年から実施をされている。一人親家庭の平成二十八年の進学率の調査は平成二十八年十一月に行われているんですよ。

 児童扶養手当の増額はその一カ月後から、給付型奨学金はその翌年からということで、時系列的に、例示される施策として間違っていますよね、事実の誤認がありますよねということを申し上げているわけで、直接的な要因ではないことを例示として出しているということを認めますかと聞いているんですよ。

藤原政府参考人 たびたび同じ答弁になって恐縮ですけれども、児童扶養手当の増額や給付型奨学金の創設は確かに二十八年八月分あるいは二十九年度から実施でございますので、そういったことを進める中でというふうに書いた上で、書いた上で、大学進学率の向上ということで、それを直接的な原因というふうに書いているわけではないということで、進学に役立つ施策の例示として書かれているというふうなことだと思っております。

亀岡委員長 ちょっと、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 速記を起こしてください。

 川内博史君、もう一度質問をお願いします。

川内委員 この児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で一人親家庭の大学進学率が上昇したというのは、時系列として、施策の例示として事実誤認がある、直接的な要因ではないことを例示として挙げているということをお認めになられるかということを聞いているんです。

亀岡委員長 藤原総合対策室長、もう一度説明をしてください。

藤原政府参考人 児童扶養手当の増額や給付型奨学金の創設を進める中で、さまざまな施策がかかわり合って、結果的に上昇しているというふうなことがこの施政方針演説から読めるというふうに考えております。

亀岡委員長 川内委員、もう少ししっかりと後で説明を受けてください。

 もう一度。(発言する者あり)

 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 速記を起こしてください。

 川内博史君、もう一度質問をお願いします。

川内委員 いや、もう一度質問って、私の時間を奪わないでください。これはまだ冒頭ですからね。

 総理の施政方針演説の中の、児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で一人親家庭の大学進学率が上昇しというくだりについて、前段の部分、児童扶養手当の増額あるいは給付型奨学金の創設というのは、時系列的にこの一人親家庭の進学率の調査の後行われた施策であり、事実誤認である、直接的な要因ではないということをお認めになられるかということを聞いております。

藤原政府参考人 改めて御説明の機会を設けさせていただきたいと思いますけれども、厚生労働省といたしましては、児童扶養手当の増額や給付型奨学金の創設は確かに平成二十八年、二十九年度からでございますけれども、それまでにも、奨学金制度の充実や母子父子寡婦福祉貸付金制度の充実などをやってまいりました。

 ですが、進学に役立つ主なものとして例示をしているということでございますので、そういったことが総合的に、一義的に要因を分析することはできませんが、さまざまな要因で大学進学率が上昇している。

 また一方、児童扶養手当の増額や給付型奨学金の創設、こういったことを事実上してきたということは事実でございますので、こういったことを事実として、事実として進めてきたということを書いているということだと思っております。(発言する者あり)

亀岡委員長 ちょっと速記とめてください。

    〔速記中止〕

亀岡委員長 速記を起こしてください。

 もう一度、川内委員……(川内委員「いや、もう答弁させてくださいよ」と呼ぶ)

 では、藤原総合対策室長、もう一度事実について確認をした上で答弁をしてください。

藤原政府参考人 児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で大学進学率が上昇していると書いてございますので、この「創設を進める中で、」ということが因果関係というふうな形では解釈をされないというふうに思っておりまして、こういった施策を、創設を進めてきたという事実をここで申し上げているということで解釈をしております。

 そのように御理解いただければありがたいと思います。

川内委員 だから、因果関係はないということでいいですね。

藤原政府参考人 こういった施策を進めてきたという事実をここに書いているということでございます。

 ですので、「創設を進める中で、」という言葉は因果関係を直接示すものではないというふうに理解をしております。

川内委員 因果関係を示す言葉ではないとおっしゃったけれども、因果関係はないということでいいんですね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 「進める中で、」という言葉は因果関係を示すという意味ではなく、事実、進学に役立つ施策をやってきたという事実を例示として述べているというふうに解釈をしております。

川内委員 平成二十八年の一人親家庭の大学進学率四二%というのは、児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設というのは直接的な要因ではないということでよろしいですね。

藤原政府参考人 大学進学率の伸びにつきましては、さまざまな要因が関係しているというふうに考えております。一義的に要因を分析するということは難しいですけれども、さまざまな要因がかかわっているんだろうというふうに考えております。例えば、景気回復で母子世帯の就労収入が実際に伸びていると……(川内委員「聞いていないことまでべらべら答えられても、時間をすごく食っているので、困るんですけれども。聞いたことに答えてくださいよ」と呼ぶ)(発言する者あり)

亀岡委員長 答えてください。

藤原政府参考人 はい。

 収入が改善していることですとか母子世帯の子供の進学に対する意識が向上してきていること、また、この間政府として奨学金制度の充実やさまざまな支援施策を講じていること、こういったことが総合的に影響をしているというふうに考えております。

川内委員 いや、私が聞いているのは、平成二十八年度の一人親家庭の大学進学率の調査結果と児童扶養手当の増額あるいは給付型奨学金の創設というものに直接的な因果関係はない、直接的な要因ではないということでよろしいですねということを聞いております。

藤原政府参考人 直接的な要因ではないと考えております。

川内委員 こういう文章の書き方ということ自体が、安倍内閣の姿勢、政治姿勢というか不誠実さというものを私は想起をさせてしまうのではないかというふうに思いますよ。間違ったら間違ったで訂正すればいいだけの話ですからね。

 では、やっと本論に入るわけですけれども、この一人親家庭の大学進学率、二四%から四二%に上昇したというのは、これは、どういう調査でこういうふうに数字を出したのかということを教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十三年度及び二十八年度の一人親家庭の子供の大学進学率につきましては、厚生労働省全国ひとり親世帯等調査から特別集計をしたものでございます。本件は、平成二十三年度及び二十八年度のそれぞれの調査に対する回答から、十九歳の子供に関する回答の全てを対象として集計をしているものでございます。

 具体的には、十九歳の子供の数を母数として、そのうち大学又は短期大学に在籍していると回答した数の占める割合を算出をして出しております。

川内委員 平成二十三年、平成二十八年のそれぞれのサンプル数、実数字を教えていただけますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的なサンプル数でございますが、平成二十八年度は、十九歳の子供全体のサンプル数が二百五十八、そのうち大学、短期大学に在籍している子供のサンプル数が百八ということで、百八に対する二百五十八に占める割合という意味で四一・九%、約四二%でございます。

 それから、二十三年度は、十九歳の子供全体のサンプル数が百九十七、そのうち大学、短期大学に在籍している子供のサンプル数が四十七ということで、割合として二三・九%というふうな数字でございます。

川内委員 サンプル数が非常に少ないわけですけれども、総務省に来ていただいていますので、この統計の確からしさを示す指標というのは、どういう指標があるのかということを教えていただきたいと思います。

横山政府参考人 お答えします。

 統計調査の結果には、真の値からのずれがあります。その程度をあらわす指標として、全数調査を行わずに標本調査を行ったことにより生じ得る標本誤差と、それから調査の未回答などによる非標本誤差があります。

 このうち、標本誤差につきましては、一定の推計ができることから、多くの統計調査におきましては、標準誤差のほか、標準誤差を更に推定量で割った標準誤差率で示されるというふうに承知しております。

川内委員 標準誤差率というのは統計の確からしさを示す数字であると。

 では、総務省がみずから調査する労働力調査において、年平均の就業者数の標準誤差率、更に年平均の失業者数の標準誤差率はそれぞれ何%かというのを、もう端的に答えてください。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 総務省が実施している労働力調査の二〇一八年平均結果について、標準誤差率を見ますと、就業者数では〇・四%、完全失業者数では一・〇%となっています。

川内委員 〇・四、一・〇というのが労働力調査における標準誤差率であると。数字がちっちゃい方が恐らく確からしいんでしょう。

 では、一人親家庭の平成二十三年、平成二十八年の子供の大学進学率の標準誤差率を教えてください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の推計値について申し上げると、平成二十八年度においては標準誤差率は約七%、平成二十三年度においては約一三%となっております。

川内委員 非常に、標準誤差率が統計の確からしさを示す数字であるとすれば、労働力調査などに比べて随分大ざっぱな統計であるということが言えるのではないかというふうに思いますが、ほかにも、統計というのはあくまでも推計値ですから、その数字がどれほど確からしいのかということについて、有意差をはかる有意差検定というのもあるそうなんですけれども、一人親家庭の大学進学率については有意差の検定をしていらっしゃるのかということを教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、統計学上の検定というものは行っておりません。

 ただ、本件の二つの推計値を比較をすることに意味があるのかどうかというふうな観点からの御指摘ではないかと思いますけれども、そのような観点からであれば、標準誤差の考え方を用いて、次のようなことが言えるのではないかと考えております。

 今回の推計値の標準誤差でございますが、平成二十三年、二十八年、いずれも約三%でございます。この意味するところは、九割以上の確率で本来値のプラスマイナス約六%におさまるということを意味いたします。

 ですので、例えば二十三年の本来値……(川内委員「わかっています。僕は知っているからいい」と呼ぶ)ええ。九割方の確率で最大でも約三〇%、平成二十八年の本来値は九割以上の確率で最小でも約三六%となるということでございますので、二十三年から二十八年にかけて……(川内委員「わかりました、もういいから」と呼ぶ)上昇傾向にあると思っております。

川内委員 いや、だから、その説明の確からしさが、標準誤差率が高いことによって、その説明自体が確からしくなくなってしまっているわけですよ。だから有意差検定をしてくださいと言っているわけですね。

 文部科学大臣、お疲れのところ大変恐縮ですが、まだ手を挙げなくていいですけれども、こういう、国民を誤解させるような閣議決定文書の書き方というのは、私は非常に問題があると思いますよ。非常に不確かな統計の数字をピンポイントで挙げて、さらに、全然関係のない、因果関係のない政策を前に持ってきて、いかにも政策の効果であるかのごとくに述べるというこの閣議決定された施政方針演説については、閣議に参加した大臣として、これはちょっと問題があると私は思いますわと、ちょっと訂正した方がいいと思いますぐらい、僕は、柴山文科大臣であれば、国語を担当する大臣としておっしゃるべきであるというふうに思いますが、いかがですか。

亀岡委員長 柴山文科大臣、時間が来ております、手短にお願いします。

柴山国務大臣 はい。

 私も署名をした責任が当然あります。一般論として言えば、閣議決定をされる文章においては、誤解がないように極力正確な表現を用いるべきだというように思います。

川内委員 いや、誤解がめちゃめちゃある表現になっているので。

 きょう、ここからが本題だったんですけれども、時間が来て大変残念ですが、また次に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 前回の三月十三日の当委員会では、教員の定数改善について取り上げました。きょうは、教員の働き方改革を進める上で、授業時数そのものの見直し、削減が急務だという問題について質問いたします。

 昨年五月十八日の当委員会で質問をした際、標準授業時数と実際の授業時数が一致している小中学校は三割程度という答弁でした。その際、小学校一年生から六年生まで標準授業時数を一律二十時間上乗せさせている横浜市の例を取り上げ、このもとで月百五十時間も残業させられている教員のことを紹介いたしました。

 二〇一八年三月から、横浜市は、小学校、中学校、特別養護学校の全教員の勤務時間の記録をとっています。

 例えば、二〇一八年四月は一万五千八百二十七人が提出をし、そのうち月四十五時間以上残業を行った教員、毎日二時間程度残業は九千五百九十九人、六〇・六%。このうち、八十時間以上、毎日四時間以上残業は三千六百五十一人で、提出者全体の二三・〇%です。また、そのうち、百時間以上、毎日五時間以上残業は一千八百二十人、提出者全体の一一・四%という実態でした。

 二〇一七年度に現職で亡くなったのは四人。休職者は百六十八人で、そのうち精神疾患が百二十一人で七二・〇%。

 この横浜市の状況は、全国の比率六五%よりも高いということです。過剰な授業時間の削減は、待ったなしだと思います。

 文部科学省は、二〇〇三年十二月二十六日付の通知、「小学校、中学校、高等学校等の学習指導要領の一部改正等について」では、指導内容の確実な定着を図るため、必要がある場合には、指導方法、指導体制の工夫を図りながら、学校教育法施行規則に定める各教科等の年間授業時数の標準を上回る適切な指導時間を確保するよう配慮することとしています。

 結果、この通知が必要以上に過大な年間授業時数を学校現場に求める圧力になっているのではないか。教員の働き方改革が求められている今、この通知の考え方をそのままにしていいとは思えません。この通知は撤回すべきではないかと思います。

 この通知の取扱いについて、文科省はどのように考えておられるのですか。柴山大臣、いかがですか。

柴山国務大臣 平成十五年の通知で示したように、児童生徒の学習状況などの実態に応じて、各学校が指導内容の確実な定着を図るため、必要がある場合には、やはり私は、適切な授業時数を確保するように配慮するということは今なお重要であるというふうに考えております。

 ただ、今御指摘のとおり、「標準を上回る」というこの文言が、十分に指導体制を整えないまま、いたずらに標準授業時数を大きく上回った教育課程を計画し実施をするということにつながってしまっては、学校における働き方改革を進める上で極めて問題であるということは、御懸念の部分かと思います。

 そこで、文部科学省においては、昨年の二月、標準授業時数を大きく上回った授業時数を計画している場合には、指導体制の整備状況を踏まえて精査をして、教師の時間外勤務の増加につながらないように配慮することについて、各教育委員会に宛てて通知をさせていただいたところであります。

 ということで、今後とも、各学校における適切な教育課程の編成、実施が進められるように、私どもとして取り組んでまいりたいと考えております。

畑野委員 今の大臣の御答弁で、昨年二月九日の通知によって二〇〇三年通知の内容は今日的には変えられているということを確認させていただきたいと思います。

 教職員の働き方と同時に、子供たちにとっても過大な負担になっているということを申し上げておきたいと思います。徹底をしていただきたいと思います。

 次に、きょうは資料をお配りさせていただきましたが、スポーツ施設の問題について伺います。

 スポーツ基本法に基づく第二期スポーツ基本計画では、今後五年間に総合的かつ計画的に取り組む施策として、スポーツ参画人口の拡大を掲げています。こうした目標を考えても、住民の身近に気軽に利用できる公共スポーツ施設があることはとても大切だと思います。

 スポーツ庁として、公共スポーツ施設の果たす役割について、どのようにお考えになっていますか。

今里政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、スポーツ基本計画では、国民誰もが日常的にスポーツに親しむ機会を充実する、こういったことを目標としているわけでございます。公共スポーツ施設を含めた身近なスポーツの場を確保することは重要と考えております。

 と申しますのは、スポーツの実施状況等に関する世論調査を行っているわけですが、その中で、運動やスポーツをしない要因として、調査を行っているその一位は、仕事や家事が忙しいからというものでございますけれども、スポーツをする場所や施設がないという回答も相当数あるところでございます。

 スポーツ庁といたしましては、引き続き、身近なスポーツの場の確保に努めてまいりたいと考えております。

畑野委員 その公共スポーツ施設の数が、近年大きく減少しています。

 公共スポーツ施設は、一九九六年から二〇一五年までの間にどのように推移をしているでしょうか。また、そのうち、公立社会教育施設等に附帯するスポーツ施設の数の推移はどうなっていますか。

今里政府参考人 公共スポーツ施設の推移は、一九九六年から二〇一五年まで継続して減少傾向となっているところでございます。九六年の約六万六千施設から約五万三千施設に減少しているところでございます。

 お尋ねの、公立社会教育施設等に附帯するスポーツ施設、これを見ますと、約二万四千施設から約五千施設に減少しているところでございます。

畑野委員 お答えいただいたように、資料の中にありますけれども、社会体育施設と公立社会教育施設等に附帯するスポーツ施設、合わせて公共スポーツ施設というふうにおっしゃっているわけです。それで、それが減っている。特に、社会教育施設等に附帯するスポーツ施設が四分の一以下に、この二十年間で減っているというお話でした。二万三千五百三十一施設から五千百八十三施設と、一万八千三百四十八施設減っているということですね。

 それで、伺いますけれども、この社会教育施設に附帯するスポーツ施設は、スポーツ庁として、なぜ大きく減少しているのか、その原因はどのように分析されておりますか。

今里政府参考人 スポーツ庁といたしまして、この公立社会教育施設等に附帯するスポーツ施設、ここに特化して大きく減少している原因、恐縮でございますけれども、分析はできてございません。

 ただ、施設の老朽化ですとか厳しい財政状況、こういった中で利用できなくなるスポーツ施設がふえてきたのではないか、こういうふうに考えているところでございます。

畑野委員 平成の大合併も含めて、統廃合などがされてきたというふうに思います。スポーツ施設の量的、質的整備をどのように進めていくのか。

 スポーツ庁は、昨年三月に、スポーツ施設のストック適正化ガイドラインをつくっています。これは、どのような位置づけですか。

今里政府参考人 先ほどの、お答え申し上げましたように、日常的にスポーツに親しむ機会の充実、そのための身近なスポーツの場の確保は非常に重要でございます。

 ただ、一方、施設の老朽化ですとか財政状況の悪化の中で、安全な施設の提供が困難になることが想定されております。また、少子高齢化社会を迎え、地域ごとに求められるスポーツ施設の量や質が変化していくことも想定されているところでございます。

 お尋ねの、スポーツ施設のストック適正化ガイドラインにつきましては、今申し上げました、さまざまな施設の老朽化それから人口構成の変化、こういったものに地方公共団体が計画的に対応して、そして、安全で多様なスポーツ環境が持続的に確保できるように個別施設計画を策定する、その手順等を示したものという位置づけでございます。

畑野委員 二〇一三年にインフラ長寿命化基本計画が、この年の閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針の中で、「インフラの老朽化が急速に進展する中、「新しく造ること」から「賢く使うこと」への重点化」という方針を受けて、策定されました。

 その指針の中で、公共施設の数や延べ面積について言われていまして、例えば、数値目標を設定しよう、こうすると、削減という方向になるのではないか。また、PPP、PFIの積極的な活用がうたわれているんです。

 今お答えになったような問題でいうと、スポーツ庁の言うスポーツ施設のストック適正化ガイドライン、これもそういう流れと軌を一にするのではないかという懸念があるんですが、スポーツ参画人口をふやそうという目標を持っているときに、公共スポーツ施設を減らそうというふうになると、これは大きな矛盾になると思うんですが、その点の考え方、ちょっと、加えて伺わせてください。

今里政府参考人 委員御指摘のように、先ほど申し上げました地方公共団体が策定する個別施設計画、これは、インフラ長寿命化基本計画に基づいて策定されるという中でその流れをくむものではございます。

 ただ、スポーツ施設の、この私どものストック適正化のガイドラインが、施設を減らしていくのか、そういうことかということでございますと、私ども考えておりますのは、このガイドラインは、先ほど申し上げました老朽化、人口構成の変化等に対応した施設の総量、これをコントロールしていくことで地域全体で持続的にスポーツ施設を確保する、このための一つの手段として示しているということでございます。

 したがいまして、一律にスポーツ施設を減らすよう求めている、こういう性格のものではございません。

畑野委員 二〇二〇年の四月から、神奈川県立体育センターが県立スポーツセンターの名称になり、県の教育局からスポーツ局の所管になるということなんです。

 この神奈川県立体育センターというのは、地元の方がおっしゃるには、全国初の、健康増進、県民の運動参画のためにつくられたと。大変歴史と伝統があるセンターだということなんですが、今回の県立スポーツセンターにかわることによって、県直営なんですが、企業の複合体である特別目的会社をつくり、PFIでの整備で施設管理まで担うことになるというふうに伺っているんです。

 その中で、利用料金の値上げが検討されていて、それに対しては、高齢者や障害者への減免を求める声が上がっております。

 聞いた計画によりますと、例えば、今まであったトレーニングセンターは無料だったんだけれども、かわると、高齢者でも一回五百円、三時間ということになる。一回出ると、またもう一回、五百円払わなくてはならなくなる。これはもう大変だという声や、テニスコートも、五百円から千円に上がるということ。確かにコートはよくなるということなんだけれども、高齢者もたくさん使っている。それから、障害者の方の利用料というのはこれまで無料だった、駐車場も無料だったというふうに伺っているんですが、これは規則で決められることになるので、これはどうなるのかという声も上がっています。

 ここはパラスポーツの拠点にしたいというふうにも言われているんですね。

 それで、私は、こういういろいろなことを含めて、もっともっと地域の住民の声を聞いていく必要があると思うんです。

 公共スポーツ施設を含め、公共施設というのは、そもそも、地域社会、コミュニティーの核で、住民のライフサイクル全体を通じて福祉の増進を図る、社会経済活動を営む基盤をつくるために自治体が税金で設置した施設、いわば地域住民の活動の拠点です。

 スポーツ基本法は、第十二条で、スポーツ施設の整備に関し、国と地方公共団体は、国民が身近にスポーツに楽しむようにするとともに、競技水準の向上を図ることができるよう、スポーツ施設の、スポーツの設備を含む、整備、利用者の需要に応じたスポーツ施設の運用の改善、スポーツ施設への指導者等の配置その他の必要な施策を講ずるよう努めなければならないというふうにしております。

 そういう点では、住民参加の丁寧な合意形成を図って進めていくべきだと思いますが、いかがですか。

今里政府参考人 先ほど、ストック適正化ガイドラインは、施設個別計画、地方自治体がつくります、これの手順を定めたものというふうに申し上げました。

 そのストック適正化ガイドラインの中で、スポーツ施設の個別施設計画を策定する際に、先ほど、その施設の老朽化ですとか人口構成のお話を申し上げましたけれども、同時に、そういったことや機能性、経済性だけではなくて、地域住民のニーズ等を踏まえて方針を決めていただくということを、具体的に、スポーツ施設の環境に関する情報の例として盛り込んでいるところでございます。

 したがいまして、各地方公共団体において、こういったガイドラインを踏まえての計画が策定、実行されるときには、地域住民のニーズ等が反映されて、する、見る、支える、いずれの側面においても住民の満足度が向上するようなスポーツ環境をつくってもらいたい、このように考えているところでございます。

畑野委員 いろいろなところで伺ってまいりまして、例えば、川崎市高津区の市営四方嶺住宅跡地が、川崎市最大の未利用地だったんですが、二〇一六年に、市の基本方針として市有地の四分の三を民間に売却するという計画が出されました。これに対して住民運動が起こり、民間に売却しないでほしい、避難場所、保育園、スポーツ公園をつくってほしいと四千五百筆もの署名が集まり、地元十八町会、自治会からも市へ要望が出されました。こういう中で、二〇一八年八月に基本方針が見直され、土地売却が中止になったということです。

 見直し案は、特別養護老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅など、福祉の施設とともに、避難機能も検討するし、広場スペースも五倍に広がる計画になっているんですが、一方、もともとあったグラウンドが壊されて、民間の有料スポーツ施設を建設することが明らかになり、十四の団体が使っているグラウンドが壊されてしまう、少年野球、ソフトボール、サッカーなどができなくなるのではないかという心配の声が上がって、引き続き運動が続いているということです。

 もう一つ。横浜市の港南区では、五十年前の地域開発の際に市が公用地として確保して以降、住民が少年野球やサッカーを始めさまざまなスポーツ、レクリエーションを楽しむ場として使われてきて、年間利用者は三十数団体、三万五千人。これも、マンション建設用地として売却するという計画が出ましたが、地域の連合自治会などが対策会議をつくって、市への要望や署名は一万六千人分集まって、働きかけを行う中で、売却計画をやめたと。引き続き、水はけの改善や女子トイレの設置などを求めているということなんですね。すごく大事だと思うんです。

 柴山大臣、最後に伺いますが、スポーツを通じた地域活性について所信でも述べられました。スポーツ施設の整備について、地域住民の要望を反映することが大切だと思いますが、いかがですか。

亀岡委員長 時間が来ております。短目にお願いします。

柴山国務大臣 御指摘のとおりであります。

 今、次長からお話があったとおり、地方公共団体によるスポーツ施設の個別施設計画策定の促進に当たって、まさしく、今お話があった地域住民のニーズをしっかりと踏まえて検討するとともに、地域の活性化につながるスポーツ施設をしっかりと確保していくことが重要だと考えております。

畑野委員 よろしくお願いします。

 終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳であります。

 また建設的な質疑をさせていただければと思っておりますが。

 きょうはまたちょっと順番を変えさせていただいて、最初に、いじめと虐待の問題をちょっと取り上げさせていただきたいと思いますが、適宜、大臣、もしお手洗い等ありましたら抜けていただければと思います。

 ちょっとまた過去の話をして恐縮ですが、一九九〇年代、パパ・ブッシュからクリントン大統領にかわるようなタイミングのアメリカで、チャイルドアビューズという表現がありました。それとプロライフ、プロチョイスという表現があって、この二つが結構アメリカの政治のテーマであったんですけれども。

 前者のチャイルドアビューズがまさしく児童、幼児虐待であり、それが月日を経て、二〇一九年の日本に、今まさしく。三十年近いタイムラグを感じるんですけれども。もっと前から起きているとは思いますけれども、やはり注目される事件が多発してしまっているというか、起きてきているというのが日本の虐待であり、あるいは広い意味でのいじめということにつながっていると思います。もう一つのプロライフ、プロチョイスというのはアメリカの政治のあり方で、共和、民主の立ち方で、出産をするか、中絶ができるかというような選択がアメリカにあったと思います。

 しかし、そのアメリカで、UCLA始め名門校で裏口入学の話が出てきたということで、日本の医学部の問題が昨今あったわけでありますけれども、アメリカでも似たような問題で、しかも金額の単位が億単位、しかも有名芸能人がかかわっているというようなことがあって。

 教育という問題は本当に国家の根本でありますので、アメリカを逆に他山の石として、あるいは自分たちの失敗もしっかりと糧として、我々は国家百年の計をしっかりとつくっていく必要があるというふうに感じております。

 そこで、御答弁は政府委員にいただくことになるかと思いますが、きのう実は、名古屋をメーンにしている地域政党の減税日本さんと私ども維新が、統一地方選挙に向けての政策を確認し合うというような作業をさせていただく中で、名古屋市長の河村たかしさんが、子供の幸せのために、いじめであったり、あるいは幼児、児童虐待、これに対する対策を緊急的にやらなければならないという部分でも政策的な合意をさせていただきました。

 御案内のとおり、まことに残念なんですけれども、群馬県の高校一年生が電車の人身事故で亡くなるという事案が起きました。そして直近では、私の地元の愛知県の豊田市で、小学校六年生のお二人がマンションの上の方の階から飛びおりて亡くなるということが起きております。私ども維新、あるいは減税さん、ともに子供の幸せのために、とにかくきちっと学校に、カウンセラーというのか、そういった人を配備していく必要があって、そんな意味から、愛知、名古屋は少し先駆的に歩ませていただいているのではないかということで、きょう言わせていただきます。

 名古屋市教育委員会の事務局のHさんによると、名古屋市内でも重篤な案件もあって、市長ともども心を悩ませていた、そんなときに市長がアメリカでの支援制度を見つけと言うんですが、ちょっとこれを説明すると、名古屋市とロサンゼルスが姉妹都市になっておりまして、そんな関係で、ロサンゼルスの成功例というようなことで、その成功例を、アメリカでの支援制度を見つけたので取り入れることにした、アメリカではカウンセラーが日常的に子供や学校の状態を見ており、いざ何か起こってもすぐに対応できる制度になっていて、日本との違いを物すごく感じたというのが事務局の担当の方の発言であります。

 それで、ちょっとさかのぼるんですが。今、百十校全部にカウンセラーを設置するということで、来年度いっぱいに完了する目途になっているようなんですけれども、ちょっと先駆けた段階の二〇一四年の四月から、十一の中学校でこういったカウンセラーを置くことを始めたところ、千八百件の相談があって、そのうちの生徒の八五%が、相談して気が楽になったという答えをしたということであります。

 子供の中には、人間関係をつくりづらい、社会的な生き方がなかなか悩ましいという子もいて、いじめなどのことをほかの人に言えないということも多い。それで、カウンセラーのアプローチは、何でもいいから話してごらん、こういう接し方をして、気軽に相談室に遊びに来てもらうということが大切だ、毎日学校にいることで、カウンセラーがその雰囲気をつくり、子供たちの小さな変化を見逃さないようにしたということで、そういったことを聞かせていただいています。

 この名古屋市、これは中学校でまず百十校ということですが、将来的には小学校や幼保にもそういう方々が専門のスタッフとして手配できるような、そうすると予算の問題とかあるいは人の手配の問題とか、乗り越えなきゃいけないことはあるのはわかっているんですけれども、この名古屋の問題を大臣に聞きとどめていただきながら、文部科学省としてどう受けとめ、評価されているかをちょっと確認させていただければと思います。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

永山政府参考人 名古屋市がスクールカウンセラーを常勤で全ての市立中学校百十校に配置をしまして、子供たちとふだんからかかわりながら、教員とともに問題の未然防止、早期発見や個別支援を行い、学校を支援する体制づくりを推進する計画を打ち出しておられることについては、もちろん承知をいたしております。

 文科省では、いじめや不登校等で悩む子供たちが相談しやすい環境づくりといった観点から、児童生徒の心理に関する専門的な知見を有するスクールカウンセラーの配置につきましては、ニッポン一億総活躍プラン等に基づきまして、平成三十一年度までに全公立小中学校への配置拡充を図ることとして、地方自治体への財政支援を行っているところでございます。

 そういう中で、子供たちが日常的に相談できるよう、配置時間の増加等、教育相談体制の充実を図ることが重要であると考えておりまして、名古屋の全市立中学校に常勤のスクールカウンセラーを配置しようとする、こういった取組は、全国的に見ても大変先駆的な取組であるというふうに考えております。

杉本委員 あわせて、名古屋だけちょっと自慢するのもおこがましいというか、私は一宮市というところとか江南市、岩倉市というのが地元なんですが、ほかにもやはりいい例が日本広しということであるのかなとも思うんですが、ほかの地域で、こんなところが実は結構進んでいますというような例があれば教えていただきたいんですけれども。

永山政府参考人 私どもとしましては、名古屋市以外では、常勤のスクールカウンセラーを全公立中学校に配置している、そういった事例というのは把握はしておりませんけれども、ただ、例えば、配置校の一部で週五日の配置を行っている事例というのは見られるところでございます。

 例えば、滋賀県の教育委員会では、一部の中学校において、四校なんですけれども、各校三名のスクールカウンセラーがそれぞれ担当する曜日に常勤の形で勤務をする、そのことによって週五日配置を実施している。これによって継続したカウンセリングがより円滑にでき、事案に対してタイムリーな対応ができる、そういった成果があったとの報告を受けております。

 文科省といたしましては、名古屋を始めスクールカウンセラーの配置に係る先進事例、これを把握いたしまして、好事例として全国の教育委員会関係者に周知を図るなど、教育相談体制のさらなる充実に向けて地方自治体を支援してまいりたいと考えております。

杉本委員 今、局長の御答弁、最後のワンセンテンスですね。ぜひ名古屋の例、地元の地域の話をして恐縮ですけれども、子供たちの幸せのためということの観点からも、ぜひ大いに進めていただきたいですし、大臣には、ぜひ新幹線に乗って、お時間、忙しいのはわかっていますけれども、現場を見ていただくということが非常に効果があるのではないかと思いますので、ちょっと御要望だけさせていただきたいと思います。

 次に、ちょっと英才教育というか。

 最近のニュースで、東大の文1が文2と比較して、最低合格点が文2が上になっちゃったということだとか、だから、いわゆる東大法学部、財務省、こういう日本のエリートのパターンがだんだん風化していって、それこそ、優秀な子が日本の高校を出て海外の大学に行ってしまうとかいうような流れの一つを感じるんですけれども。

 これはちょっと、非常に御無礼な言い方かもしれませんが、日本の財政危機は本当に私は危機だと思っています。しかし、その一方で、税収六十兆で百兆を超える予算を組んでいるというのが現在の実態ですけれども、ここに歯どめがかからないのは、政治家の責任でもありますし、高級官僚の皆さんの責任でもあると私は思っています。

 それで、これは他国の例を引いて申しわけありませんけれども、例えばフランスだったら、あるいはドイツだったら、博士号を持った人間が政治の世界にいて、そして、官僚でも博士号を持った人間たちが、本当に職を賭して、自分の出世なんか顧みずに、本当の本質のところの議論をして、例えば財政の拡散をとめているというのが実態ではないかと思っています。

 きょうは日経新聞に、アメリカの、財政赤字を拡大しても構わないみたいな議論が始まっているということで、アメリカは参考にならないと思いますけれども、私は、フランスやドイツやイギリスからは学べるようなところがあって、そこには、やはり本当に優秀な人たちを、しっかりと国内の学校なり、あるいは海外に行って帰ってきてくれてもいいと思うんですけれども、重要なポストにつくということがとても大切だと思います。

 例えばシンガポールなんかでも、国家の運営で、国のお金の運用というようなことでは、シンガポール通貨庁というのがあって、非常にうまいお金の運用の仕方をして国家のお金が膨らむような形になっていますけれども、シンガポールの政治家も、シンガポールの通貨庁の役人も、本当に優秀な人が国を動かしています。

 日本は本当に大丈夫なんだろうか、自分はさておかせていただいて、私は、本当にゆゆしき事態と、しょっちゅうここの委員会の部屋で、財金だったり、あるいは厚労だったり、文科だったり、ゆゆしき事態という単語が並ぶような国のあり方というのは非常に残念に思っています。

 そんな意味で、私は、均等な教育とか教育機会の均等、とても大切だと思う一方で、日本の長い将来を考えれば、優秀な人たちを本当に大事に我々は伸ばしていって、その人たちに日本をしょってもらうという国のあり方が必要ではないか。前も申し上げたかもしれませんが、重ねてそう思っています。

 そんな意味で、英才教育について、飛び級、これも御説明があったかもしれませんが、あるいは海外のいいプログラムに行くとか、海外の本当に優秀な、本庶佑先生ではありませんが、国内にいらっしゃいますけれども、そういうような先生につくとか、あらゆる分野で、そういった先駆的に日本をしょって立ってくれるであろう子供たちを、財政的な面にかかわらず、あるいはいい先生を紹介するというような形をもって、優秀な人材をとにかく大事にしていく。

 金太郎あめみたいな、優秀な東大法学部ですということ、東大法学部出身の方には御無礼かもしれませんが、そういう立て方で国家運営していくと、ちっともこの国はまともになっていかないという意識を私は持っていますので、そんな意味での英才教育について、お考えがあればお聞かせいただければと思っています。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

清水政府参考人 お答えいたします。

 すぐれた生徒を伸ばしていく、海外のプログラムへの派遣などを通じて更に伸ばしていく取組についての御質問でございますが、社会のグローバル化が進展する中で、生涯にわたって、子供たち一人一人の可能性とチャンスの最大化に向けた教育環境の整備を行うことが一層重要になってきております。

 文部科学省におきましては、若者を海外留学に派遣するプログラムとしては、国費による海外留学支援のほか、官民共同でのトビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムによる支援を実施しております。

 この中で、高校生コースでは、海外の高校、あるいは一部海外の大学で、外国語を用いてさまざまな科目の学習を行う留学でございますとか、大学生、大学院生のコースでは、理系の分野や複合・融合系の分野、そういったところで世界トップレベルの大学、また研究者のいる研究所への留学といったことも支援しているところでございます。

 また、国内におけるグローバル人材の育成の取組といたしましては、高校段階では、ワールド・ワイド・ラーニング・コンソーシアム構築支援事業やスーパーグローバルハイスクール、大学の段階では、徹底した国際化と大学改革を進める大学を支援するスーパーグローバル大学創成支援事業等を推進しておりますので、こういった取組を通じて、優秀な生徒を更に伸ばすといった取組を着実に推進してまいりたいと考えております。

杉本委員 優秀な人材といって、また恐縮ですけれども、ちょっとイージス・アショアの話をして恐縮ですが、アメリカとの関係上入れざるを得ないという方向かなという認識もしているんですけれども、例えばメルケルさんが、例えばクイーンのブライアン・メイさん、宇宙物理学であったりあるいは物理学を専攻されている方々が、政治だったりあるいは音楽の世界で活躍されているわけですが、彼らにイージス・アショアを入れるかと聞いたら、入れないという判断をする可能性があると思います。

 そういった意味で、本当に、判断をする人間に、物理の知識であったり、あるいは別の分野でもすぐれたものがあれば、一つの座標軸になると思いますので、今御説明いただきましたけれども、本当の意味での英才教育というのをやはり考えていくことをお願いしたいと思います。

 時間がなくなってきました。最後の質問になると思いますが、総理がよく言います、基本的価値、あるいは普遍的価値、法の支配、こういう言葉をよく使われますけれども、それを子供たちにしっかりと、我々は指導というか勉強してもらっているんだろうかというふうに私は感じます。

 イギリスでは、政治学という切り口ではなくて社会科学という切り口の中で、いわゆる一般教養的なところで、ポリティカルアイデアというような表現で、ルソーだとかロックだとかホッブスだとか、そういう名前が出てきて、その基礎的な勉強をさせる。そこによって、価値観というか、機会均等の大切さであるとか、あるいは所有権の問題、あるいは生命財産を守ることの大切さ、こういったことをしっかりと教えているようなプログラムが存在していますけれども、我が日本国の場合、この普遍的価値の教育をいかに行っているのか、あるいは今後更に拡充していくのか、このあたりの御答弁をいただければありがたく存じます。

清水政府参考人 お答えいたします。

 まず、法律上のことからでございますけれども、教育基本法におきましては、第一条で、教育の普遍的な目的として、人格の完成を目指す、こう規定しているわけでございますが、さらに、この目的を達成するための重要な事項について、第二条において、教育の目標といたしまして、幅広い知識と教養を身につけ、真理を求める態度を培う、個人の価値を尊重し、自主性及び自律の精神を養う、正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずる、生命や自然を大切にする態度を養う、そして最後が、伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うといった規定がなされているところでございますので、文部科学省としては、この教育基本法に定める教育の目的と目標を踏まえて教育行政に取り組んでいるところでございます。

 学校段階別に具体的に申し上げますと、初等中等教育段階におきましては、学習指導要領におきまして、一人一人の児童生徒が、豊かな人生を切り開き、未来社会のつくり手となるために必要な資質、能力を育むことを目指して学習指導要領の改訂を行っております。

 また、高等教育段階におきましては、大学設置基準におきまして、各大学は、教育課程の編成に当たり、幅広く深い教養及び総合的な判断力を養い、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮しなければならないといったことを位置づけているところでございます。

 教育基本法の理念を踏まえて、さらなる取組を進めてまいりたいと考えております。

杉本委員 バリューという言葉がありますが、本当に価値というそのものなんですけれども、しっかりと、今御説明ありましたけれども、本気で取り組んでいただければと思います。

 以上で終わります。

亀岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 一昨日に引き続いて、教員の働き方改革について何点か尋ねたいというふうに思います。

 これは他の同僚委員も質問されておりましたけれども、私も標準授業時数を大幅に超えるような授業数が行われているということに大変問題意識を持つわけでありますが、なぜ授業時数が標準授業時数をかなり上回っているのか、その原因について、文科省としてどのようにお考えなんでしょうか。

柴山国務大臣 例えば、平成二十七年度の公立小・中学校における教育課程の編成・実施状況調査においては、各小中学校で、各学年において標準授業時数を平均四十単位時間程度上回る授業時数で教育課程が計画されていたところであります。

 一方、例えば、小学校第五学年において、標準授業時数を百五単位時間、こうなりますと、週当たり三単位時間を超えて上回る教育課程を計画した学校も二〇・一%あったということであります。

 この標準授業時数を上回った理由について、個別に調査はしておりませんけれども、一般的には、児童生徒の負担に配慮しつつ、災害や流行性疾患などによる学級閉鎖等の不測の事態に備えて枠を広げ、そしてその計画どおり、実際にそういった学級閉鎖などがなくてもそれをこなしてしまうですとか、指導内容の確実な定着に必要な授業時数を確保してそれを実施するですとか、そういったようなことが背景にあるということを伺っております。

吉川(元)委員 確かに、インフルエンザ、あるいは最近は毎年のように大きな災害が起こったりして、学級閉鎖、学校閉鎖等々も、それにも対応できるようにということで、若干の余裕を持って授業時数が設定をされているというのは理解しますけれども、大臣もおっしゃったとおり、さすがに百時間を超える、一日六時間として、百時間といったら、それは十日じゃきかない、十五日ぐらい余計にあるわけで、さすがにそんなに長い期間学校が、あるいは学級が閉鎖をされるということはまず考えられないというふうにも思います。

 これは教育課程の編成ということでありますけれども、これは各学校、校長のもとで教育課程の編成は行われているわけでありますが、実は、一昨日ですか、文科委員会で英語のことについて少し質問した際に、永山局長の方から、まさにこの教育課程を、標準授業時数を超えて教育課程を編成している学校というのがある、そういうところについてはそれを見直すことで、六千人必要なのが四千人に。足らないじゃないかという中でこれを取り上げていたんですけれども。

 これというのは、実は財政制度審議会の分科会かの中で財務省が主張している内容と全くうり二つだというふうに感じるんですけれども、その財務省の理屈といいますかに文科省はくみしているんですか。

永山政府参考人 御指摘は、多分、昨年十一月の財政制度等審議会の建議の中での主張だと思います。

 そこでは、新学習指導要領に基づく授業時間は、英語の授業時数の増加により、小学校において現行の学習指導要領の九百四十一こまから九百六十四こまに増加するけれども、文科省の調査によれば、既に新学習指導要領の授業時数九百六十四こまを上回る授業が行われており、今般の学習指導要領改訂に伴う英語の授業時数の増加に対しては、必要な授業時数を上回って実施されている授業の英語への振りかえ等を通じて対応していくべきである、そういった主張だったかと思います。

 これに対しましては、私どもとしては、先ほどは調査と申しましたが、これは正確には、公立小・中学校における教育課程の編成・実施状況調査、平成二十七年度でございますけれども、その授業時数というものは次年度の計画を調査したものでございまして、それこそ、先ほど御指摘ありました台風による休校ですとかインフルエンザによる学級閉鎖への対応ですとか、あるいは、学力の定着に向けた充実した授業を実施するための時間をあらかじめ計画しているものであるために、実際に実施された授業時数を調査したものではない、そういったことから、現行学習指導要領においても既に新学習指導要領以上の授業が行われていると言い切ることは困難であるといった旨の主張をしているところでございます。

吉川(元)委員 そうしますと、一昨日、局長が答弁をされました工夫の例として、先ほど言いましたけれども、英語の教員、単純に電卓をたたけば六千人必要だけれども四千人、それで十分やっていけるんだといったときの一つの工夫としてということで、標準授業時数を大きく上回って教育課程を編成している学校がございます、ほかの教科も含めた全体の授業時数を見直す、そういう中で、英語教育に関する指導の分を確保するというふうに答弁されているんですよ。

 それは、先ほど、まさに財務省が言っていた中身と違うということでいいんですか、認識としては。

永山政府参考人 先ほど申し上げましたのは、計画時点での数字だということで、必ずしも財務省の主張とは相入れないということを申し上げたんですが、他方で、財政審の主張とは別に、学校における働き方改革の観点から、各学校の指導体制を整えないままに標準授業時数を大きく上回った授業時数を実施すること、これは教師の負担増加に直結をするということになりますから、教育課程の編成あるいは実施に当たっては、教師の時間外勤務の増加につながらないよう十分配慮する必要がある、これはそういうふうに考えてございます。

 このために、実際に、計画上、標準授業時数を大きく、大きく上回って教育課程を編成している学校については、他の教科等も含めた全体の授業時数を見直す中で、小学校における英語教育に関する指導を実施していただくといったことも必要であるというふうに考えております。

 なお、学校における働き方改革に関する中教審答申、ことし一月ですけれども、そこでは、小学校の教科担任制の充実、年間授業時数や標準的な授業時間等のあり方を含む教育課程のあり方の見直し、あるいは、教員免許のあり方や、圏域における地方公共団体の協力関係の進展状況を踏まえた教育的観点からの小規模校のあり方、そういった検討等の提言がなされておりますので、今後、一体的に検討を行ってまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 これも大臣が一昨日答弁されていたんですけれども、スクラップ・アンド・ビルドをしっかりやっていくということでおっしゃられました。

 そういたしますと、今お話ありましたが、いわゆる標準的な授業時間、これは見直しを含めて検討していくということでありますから、これについても、スクラップという言い方が適切かどうかわかりませんが、先ほども言いましたとおり、教育課程の編成そのものは校長のもとで各学校が行うものであって、例えば文科省が各学校について教育課程の編成について口を挟むことはできないことだというふうに私自身は認識をしておりますが、だとするならば、標準時数そのものについて文科省として見直していく、そういうことでいいのかどうか。

 そして、今回、英語の教科化ということで、先ほど、大きく上回っているところがある、実態として、計画ではなくて実態としてある、それについてもという話をされましたけれども、これはまさに各学校の教育課程の編成にかかわる問題ですから、だとするならば、その基礎となっている標準時数そのものを変えない限り、これはどうしようもない。

 一昨日、私が大臣に申し上げたのは、各学校で工夫してくれというのはやめてくれ、もうそれは限界まで来ているんだ、だとするならば、文科省が率先してスクラップをしていく、その中にこの標準的な授業時間というものは含まれるという認識でよろしいんでしょうか。

柴山国務大臣 授業時間について、今、スクラップ・アンド・ビルドという形でおっしゃったわけなんですけれども、ことし一月の中教審の答申は、小学校における効果的な指導と教師の一人当たりの指導時間の改善、これを両立させることが必要だというように指摘をしているところであります。

 今、永山局長からもお話があったとおり、小学校の教科担任制の充実ですとか年間授業時数や標準的な授業時間等のあり方を含む教育課程のトータルとしてのあり方の見直しが提言をされているところでありまして、私どもといたしましては、この答申を受けて、今後、小学校の教科担任制の充実、指導体制のあり方の検討もあわせて、年間授業時数を含む教育課程などの教育制度の改善についてしっかりと検討していくとともに、そこで得られた成果をしっかりと現場に周知をしていく。

 スクラップ・アンド・ビルドという言葉を使うまでもなく、そういった創意工夫を、現場にお任せということでは、今おっしゃったようになかなか出てくるものはないわけなんですけれども、我々としてしっかりと展開をしていきたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 たくさん説明いただいたんですが、ちょっとよくわからないんですけれども。

 標準時間数について、これは見直す、最終的にどうなるかはこれからの検討課題だということだけれども、少なくともそれは検討の対象になっているということでよろしいんですね。

柴山国務大臣 ですので、標準時間も含めて、教育課程などの教育制度の改善について総合的に検討していくということを申し上げました。

吉川(元)委員 まあちょっと、非常に持って回ったような言い方であれなんですけれども。

 やはり、先ほども言ったとおり、教育課程の編成そのものは各学校が行うわけですから、その基礎となる標準の部分について文科省がさわらない限り、各学校に対して、標準時間を超えているんだからそこはちょっと何とかしてよというのは、これはまさに現場に工夫を求めている。これはこれでちゃんとやっていかなきゃいけない話ですけれども、一方で、その基礎となっている標準時間数について、やはり文科省としてしっかり、見直しを含めて検討いただきたいというふうに思います。

 続いて、ガイドライン、長時間労働のガイドラインについて質問したいというふうに思います。

 さきの秋の臨時国会でも少し議論をさせていただいて、いろいろ議論はありましたけれども、在校等時間を勤務時間管理の対象としたということは、これは半歩前進だろうというふうに私自身も思っております。

 月四十五時間、年三百六十時間、これを上限として、さらに、中教審では、その法定化を含めて答申が出されています。それも一歩前進、半歩前進ということなんですけれども、非常に根源的な問題として、給特法の中で四%の調整給ということで、時間数にすると今だと七時間半ぐらいかな。給特法ができたときはたしか八時間だったと思いますが、その分しか実は超過勤務ということでは扱われない。その一方で、法定化で四十五時間、三百六十時間ということになると、これはただ働きをいわゆる合法化していくことにつながるのではないかという危惧を持つんですけれども、文科省としては、この点、どのようにお考えでしょうか。

柴山国務大臣 まず、今委員が御指摘になったことは二つの異なるフェーズのことが入っていると思いますので、ちょっと整理して答えさせていただきたいと思うんですけれども。

 いわゆる給特法は、時間外勤務命令をいわゆる超勤四項目に限定した上で、時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しないかわりに、勤務時間の内外を問わず包括的に評価して、今御指摘になられた教職調整額を支給する仕組みだということになっておりまして、そもそも、所定の勤務時間を超えて学校で教育活動を行っていたとしても、違法なただ働きとは言えない仕組みになっております。

 他方で、この仕組みによって、所定の勤務時間外に行われる超勤四項目以外の業務が、みずからの判断で自発的に働いているというふうに整理されてしまって勤務時間管理の対象にはならないという、これは確かに誤解に基づくものであり、当然のことながら、そこにしっかりとした管理のメスを入れないというのは間違っているということであります。

 ですので、超勤四項目に関する業務以外のものが多くを占めているという実態をまず整理する、超勤四項目以外の業務を行う時間を含めて在校等時間とした上で勤務時間管理の対象にすることを明確にし、その上限の目安時間を示したというのが、このたびの公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインでございます。

 そして、もう一つの側面なんですけれども、中教審の答申とか今のガイドラインにおいても、この上限の目安時間まで、いろいろと中身はあるんですけれども、ここまで教師等が在校等することを決して推奨する趣旨にとられてはならないということを明確にしておりまして、このガイドラインを契機として、むしろ逆に、あらゆる手段を講じて、学校や教師の業務の明確化、合理化、適正化を図っていくことが重要であるというように考えております。

 中教審の答申において、このようなガイドラインの実効性を高めるために、その根拠を法令上規定するなどの制度的工夫を図り、学校現場で確実に遵守されるよう取り組むべきと指摘されていることから、要すれば、ただ働きの合法化ではなくて、学校においてこのガイドラインの趣旨というものをしっかりと誤解のないよう定着させ、実効性を高めていくための努力を我々文科省が率先して行っていきたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 給特法の場合、これも以前から言っておりましたけれども、一九六六年の調査で大体このぐらいだということでやられたわけです。それからもう既に半世紀が経過をして、教員の実態というのは、過労死ライン、中学校でいうと六割、それから小学校でも三割を超える人が過労死ラインの中にいる。それを縮減していくということは当然だというふうに思いますし。だけれども、前々から言っているんですけれども、これは林大臣の時代に聞いたときも、非常に難しい問題だという答弁をその当時はいただきました。中教審の中で検討していくというお話でしたけれども。

 今度、これは法律で四十五時間、三百六十時間という、ガイドラインであればまだしもですけれども、法律で書くということは、それに対する対価としての賃金が出ていないにもかかわらず、法律でそれを明記してしまうというのは、それは一里塚というか、半歩前、一歩前ということで積極的に理解もできますけれども、それは逆に、法律上、賃金が出ない、対価の出ない労働時間を法律に書き込むということになるのではないかという危惧を持っているんですけれども、この点、いかがですか。

柴山国務大臣 今御指摘になられた法的根拠を持つということの意味合いだと思うんですけれども、このガイドラインについて、中教審の答申において、その実効性を高めるため、その根拠を法令上規定するなどの制度的工夫を図り、学校現場で確実に遵守されるよう取り組むべきというふうに指摘をされているその意味は、例えば、給特法にこのガイドラインを文部科学大臣が指針として策定する旨を規定することも考えられるのかなというように思います。

 いずれにいたしましても、その答申の内容をしっかりとそしゃくし、省内で検討を開始したところでありまして、今後、どのような制度化をすれば現実に教師の方々の働き方改革が進むのかということについて検討していきたいと考えております。

吉川(元)委員 ちょっと、きょうもまた時間が来てしまいまして途中で終わるんですけれども。

 もちろん、給特法を見直せば長時間労働が是正されるというふうには私自身も考えておりません。ただ、一方で、長時間労働が蔓延する一つの要因として給特法があったことも、これもまた私は事実だろうと。その中で、ガイドラインを設けるということも理解をいたしますし、ただ、一方で、ガイドラインを設けたからといって、実際に目の前にある仕事、あるいは、子供たちが目の前にいるわけです。ガイドラインで決められたから月四十五時間ですよと言われたって、それは、無理なことをまた現場に求める。

 そういう意味でいいますと、先ほどのこま数の問題も含めまして、また別の機会に質問いたしますけれども、全体の勤務労働条件、そして検証も含めた見直しをしっかり取り組んでいただくことをお願いして、きょうは質問を終わりたいと思います。

亀岡委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 どうもお疲れさまです。未来日本の笠でございます。

 私も、一昨日に引き続きまして、外国人の児童生徒の不就学、外国人の子供たちの問題について幾つか質問させていただきたいというふうに思います。

 現在、二〇一八年の六月末段階で、日本国内に恐らく在留するゼロ歳から十八歳というのが大体二十九万四千人ぐらいに上っているという、これは法務省の方で調査をまとめられておるわけでございますけれども。この背景には、本当に今どんどん子供たちはふえているんですね。これはもちろん、一九九〇年の入管法の改正で増加した外国人のお子さんやお孫さんができたことも背景にあると思います。

 そして、この四月からはいよいよ改正入管法が施行されて、外国人労働者の受入れが拡充される。そして、当然、外国籍の子供は更に増加していくことが予想されるわけですけれども、特に、家族を帯同して就労できる特定技能二号の創設が盛り込まれておりますから、日本語がわからないまま日本に来る子供たちの数が更にふえていく可能性もあるわけでございます。

 こうした子供たちがふえていく状況を考えたときに、もちろん、学校に在籍しているのかどうかということを今度文科省が初めて全国的な調査を行うということで、このことはしっかりやっていただくことは大事なんですけれども、さらに、もう少し、就学前の段階等々も含めながら、今外国人の子供たちがどういう状況にあるのかということをしっかりと、丁寧に我々は把握をしていく必要がある。やはり、この状況を把握しなければ、そういった子供たちに対する支援、何が必要なのか、その優先順位も含めてそういった対策が講ずることができないんじゃないかという、私は問題意識に立って質問させていただきたいと思います。

 きょうは法務省の方から副大臣にも来ていただいております。済みません、お忙しい中。

 法務省の方が各省の一つの窓口になって取りまとめを、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策というものを昨年十二月二十五日に発表され、もちろん文科省や厚労省と協力をしながらいろいろな対応をこれからしていくということなんですけれども。

 まず法務省の方にお伺いをしたいのは、就学前の段階の子供たちがどういう状況にあるのか。これは当然、厚労省や文科省と協力しながらそういった状況を把握していくということになると思うんですが、厚労省の方からレクを受けたんですけれども、やはり、保育園などにどれくらいの外国人の子供が在籍をしているのか、そういう全国レベルでの実態調査はまだこれまでやっていないんだ、自治体によってはそういったことを把握しているところもあるんですけれども、政府としてそういった、要するに把握、調査はやっていないということですけれども。

 まず、ちょっと文科省の方で、幼稚園等についての把握というものはできているのか、あるいはそういう調査をやっているのか、お答えください。

永山政府参考人 文科省におきまして、幼稚園における外国人幼児の在籍状況等について全国的な状況を把握したというものはございませんけれども、ただ、平成二十八年度、委託調査研究というのをやっております。

 その結果を見ますと、外国人居住率が高い地域の幼稚園、これは約五百園、五百の幼稚園を対象としたものだったんですけれども、その結果ですが、二園に一園、半分は外国人幼児が在籍をし、在籍人数の平均は七・五人であること、それから、約七割の園が過去三年の間に外国人幼児を受け入れていること等の実態については把握をしてございます。

笠委員 今、そういった一部調査はあるけれども、やはり実態の把握、全国的な状況を把握するには至っていない。

 ですから、私は、きょう、平口副大臣、先ほどの総合的対応策、これは法務省が中心になるわけですから、やはりそういった文科省あるいは厚労省と協力して、政府として、その実態がどうなっているのかということを把握するための調査をぜひやっていただきたいと思うんですけれども、ちょっと副大臣の御見解を伺いたいと思います。

平口副大臣 お答えをいたします。

 就学前の子供たちがどのような環境に置かれているかについて、例えば子育てとか医療とか、それぞれの分野に応じて、各所管省庁がその実態の把握に向けて対応されているものと承知をいたしております。

 もっとも、外国人の受入れ環境の整備については、昨年末の関係閣僚会議で総合的対応策というものが取りまとめられているところ、法務省はこの総合的対応策について総合調整機能を担うこととされているため、例えば施策の内容をより一層充実したものとしていく等の観点から、必要に応じて、他の関係省庁に対し、実態の把握に向けた取組を促す場合もあり得るものと考えております。

 また、この総合的対応策においては、法務省が実施すべき施策として、外国人が抱える生活上の問題点を的確に把握し、外国人の受入れ環境整備に関する施策の企画立案に資するように外国人の基礎調査を実施するということとされているところでありまして、法務省といたしましては、関係省庁が今後それぞれの関連施策を企画立案し、実施していく上での必要性等も考慮しつつ、外国人の在留の実態把握に資する調査についても検討していく所存でございます。

笠委員 検討していくということなので、本当にこれはやっていただかなければ、外国人の労働者を幅広く受け入れていくということは、これからもこの流れというのは、もうずっと、これは更に広げていかなければならないわけで、やはり子供たちの問題というのは、本当に一番、その中でも支援は大事なことなので、ぜひ、副大臣、よろしくお願いします。これは法務省が中心になってやっていかないと、責任を持たなきゃいけないので、文科省、厚労省も協力をしながら取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そこで、ぜひ柴山大臣にも、先ほど申し上げたように、日本語がわからないまま日本に来る子供たちの数、更にこれからふえていきます。当然ながら、小さい子であればあるほど一緒に来る可能性が高いわけで、そういった点からも、大臣の実態を把握していくことへ向けた御決意を伺えればと思います。

柴山国務大臣 実際にそういった外国人の幼児に対する施策を検討するに当たって、どういう数が、どういうところでいらっしゃり、生活をしているかということの把握は不可欠の前提だというように考えておりますので、御指摘のとおり、法務省等関係機関と連携をして、しっかりと状況把握のために努めてまいりたいと考えております。

笠委員 よろしくお願いします。

 平口副大臣、もうここで結構でございます。ありがとうございました。

 それで、次に、一昨日、高等学校の進学率がかなり低いんじゃないかということで、このことについては、しっかり今度の全国調査の中でやっていく、進学率がどれぐらいなのかということを把握することについて検討していくという答弁をいただきましたので、それは了としたいと思いますけれども。

 なぜ、在住外国人生徒の高校進学率が、日本人九八%に対して、一説には五割ぐらいじゃないかというような民間等々の調査があるわけですけれども、その原因についてどのように考えられているのか、お答えください。

清水政府参考人 お答えいたします。

 先日の答弁の中で、高校進学について、これまでの日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査、隔年の調査でございますけれども、対象になっていなかった、今後実施する調査については、調査の対象に追加する方向で進めていきたいと思っているところでございます。

 そして、進学率の状況でございますが、今は文部科学省の調査に入っておりませんけれども、先生からお話があったとおり、あるいはそれぞれの実態を聞きますと厳しい状況が見られるところで、それは、やはり言語の問題と、言語が起因するところの学力の問題と、実際にはあるんだろうと思っているところでございます。

 文部科学省としては、日本語指導が必要な外国人児童生徒に対する支援の中で、在籍する小学校、中学校等において、日本語で学校生活を営む、それだけではなくて、日本語でもって学習に取り組めるようにしていくということが大事だと思っておりますので、施策といたしましては、平成二十六年の学校教育法施行規則の改正によって創設された特別の教育課程等を通じまして、児童生徒一人一人に応じた日本語指導計画の策定、評価を実施することでありますとか、それぞれ在籍する学校における取り出し指導といったようなことを実施することを進めていきたいと思っております。

 また、進路という点に関しましては、外国人の生徒、保護者が進路を適切に判断できるように、それぞれの学校において、本人、保護者の日本語能力等を考慮しながら、より丁寧、詳細な進路指導を行うということが大事だと思いますし、各自治体が、外国人の生徒、保護者を対象に、多言語による説明、先輩の体験談を行う進路説明会を行うという取組も進められているところでございますので、文部科学省として、そういった取組を支援しているところでございます。

 あと、高等学校への入学者選抜において、各地域、特別定員枠の設定でありますとか、受験教科数の軽減等の配慮措置を講じている都道府県もございますので、更にこういった取組が進められるということが望まれると思っております。

 さまざまな取組がございますけれども、引き続き、高等学校への進学を希望する外国人の生徒、また保護者の御支援を進めていきたいと考えているところでございます。

笠委員 例えば、公立の高等学校に入れても、今もありました、やはり日本語がわからずに授業についていけずに、途中で学校に行かなくなる生徒さんや、あるいは生活文化、いろいろなことがやはり違いますから、相当心理的なストレスというのもたまっていく可能性もあるわけです。

 あと、保護者がちょっと非常に不安定な状況に置かれて、もちろん、収入が低収入であったり、あるいは転居を繰り返したり、そういうふうに保護者の生活が不安定だと、当然、子供もそこに巻き込まれていくということになるわけで、やはりそのためにも、きちっときめの細かい、子供たちがどういう状況かということを我々は把握しながら、その支援というものをやっていく必要があるんじゃないかと思います。

 先ほど就学前と言ったのは、やはり日本語ということ、あるいは、これは当然ながら、日本語のみならず母国語も、両方満足に身につけられないというダブルリミテッドの問題等々もあるわけですけれども、実は、小学校に入ってからというよりも、就学前の段階でもいろいろな形でその対応というものを、だから、年齢も少し就学前の段階まで広げて、そして、それぞれの段階に応じてやはりきめの細かい対応ができる体制をしっかりとしいておく必要があるというふうに思っています。

 その点で、あとは、もう一つお伺いしたいのは、ちょうど二〇二六年度、日本語指導が必要な児童生徒十八人に対して一人の教員が基礎定数として措置される義務標準法の改善を推進していくということになって、これは二〇一七年度からスタートして、今は二十一・五人に対して一人のものを、二〇二六年度には十八人に対して一人という加配措置をとっていくということなんですけれども。

 大臣、私はこれは前倒しした方がいいと思うんですよね。今、この十年計画でやっていくけれども、やはりこれから、先ほど言ったようにどんどんふえていきますから。日本語の指導に当たる教職員の数というのは、いろいろな加配の対象はあるわけだけれども、やはり優先してこれをふやしていくということをぜひやっていただきたいというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 まず前段の、就学前の外国人幼児に対する日本語指導の件でありますけれども、委員御指摘のとおり、就学前の時期から日本語ですとか日本の生活習慣に触れるようにするなど支援を行うということは、我々、幼児教育の重要性ということについて認識を深めているわけですけれども、そういった面でも非常に重要だというように考えております。

 平成二十九年三月に改訂された幼稚園教育要領においては、外国人幼児などの幼稚園生活への適応について新たに項目を設け、幼児の実態に応じ、指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うこととしているところであります。

 こうした記載を踏まえ、各幼稚園では、教師が幼児の母国語、母語を使ったりしながら幼児との信頼関係を築くとともに、他の幼児と生活する中で、外国人幼児が自然に日本語が身につけられるよう配慮を行っているところであります。

 また、帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業の中で、小学校入学前の外国人幼児への日本語指導や保護者への就学ガイダンス、就学相談など、各自治体が行う取組に対して支援を行っているところであります。こういった取組をしっかりと進めていきたいというように考えております。

 それから後段の、加配ではなくて基礎定数化を行うということについての計画の件でありますけれども、委員よく御案内のとおり、平成二十九年三月に、義務標準法の改正によって、二〇一七年度から十年間で計画的に基礎定数化をして、二〇二六年度には日本語指導が必要な児童生徒十八人に対して一人という教員が基礎定数として配置されることとなっております。

 ただ、前倒しということなんですけれども、この基礎定数化による教員定数の充実、日本語指導だけではなくて、発達障害の生徒などに対する通級指導のための教員定数も含めて一体的に計画をしているところでありまして、この両者の基礎定数化を十年かけて段階的に実施することによって、日本語指導や通級指導が必要な児童生徒数に応じて確実に教員が配置をされて、安定的、計画的な採用、研修、配置が行いやすくなるということであります。しかも、予算も限られているということもあります。ですので、非常に、前倒しということをちょっと申し上げることは難しいのかなというように思っております。

 他方、仮に予想された以上に各年度の日本語指導が必要な児童生徒が増加した場合には、当然のことながら、その年度の対象児童生徒と教員定数の割合、この数字そのものが変わってきて、基礎定数が増加をするということも想定し得るわけですから、いずれにいたしましても、我々はあくまでもこの方針に従ってしっかりと日本語指導を行っていきたいと思いますし、また、日本語指導の補助者ですとか母語支援員の活用など、教員以外の支援員の専門人材等の活用促進もしっかりと充実させていきたいと考えております。

笠委員 ちょっと何か回りくどいというか、なかなか歯切れがいい答弁ではなかったんですけれども。

 ただ、やはりこれは確かに基礎定数化に係る経過措置だけではなく、いろいろな形の支援をやっていただく、そういう総がかりで体制をとっていくということが大事だというふうに思いますので、ぜひその点も含めて対応をしていただけるようにお願いして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

亀岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

亀岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。義家弘介君。

義家委員 自由民主党の義家弘介です。水曜日に続いて、虐待死及びその虐待の対応についての質問をさせていただきます。

 まず、先般もお話ししましたが、幼児教育団体とのヒアリングの際、団体側から、幼児教育の現場は虐待の疑いを察知しやすい環境である、しかし、明らかに虐待が疑われる場合、通報も行っているが、その後、通報を受けた保護者が、通報したことを嫌って園児を退所させてしまう場合があり、そうなると継続的に子供を見守ることができないという現状があるという実情が届けられました。

 今後始まる幼児教育の無償化により、転園、転所の間口はより広くなり、教育方針や幼児への対応の差も拡大します。また、福祉部局との連携も複雑化いたします。しかし、一方で、無償化の対象となるためには申請が必要となります。情報さえ共有できれば、継続的に見守っていくことも可能であろうというふうに考えております。

 虐待から子供を守るためには、幼児教育の分野で、都道府県、市町村の福祉部局、児童相談所、無償化の対象となる全ての幼児教育施設が連携する必要がございます。また、そのためには、文部科学省、厚生労働省、内閣府の省庁の垣根を越えての連携が必要不可欠となります。柴山大臣にはぜひその先頭に立っていただきたいというふうに思っておりますが、御決意をお願いいたします。

柴山国務大臣 委員御指摘のとおり、今般の幼児教育の無償化によって、幼稚園、保育所、そして認可外保育施設等の利用に係る保護者負担が軽減される中で、どのような施設に通っても子供たちの安全や生命を守るという取組が確実に行われるようにしていくことがますます重要となってきます。

 そこで、二月八日の関係閣僚会議においては、要保護児童等の情報の取扱いや関係機関間の連携についての新たなルールを設定することなどが決定されたところでありまして、これを受けて、先日、二月二十八日には、文科省、厚生労働省、内閣府の連名で二通の通知を発出いたしまして、児童虐待の早期発見、早期対応に向けた関係機関間の連携の強化や、定期的な情報共有の徹底などについてお示しをしたところであります。

 今後とも、文部科学省として、現場の教育、福祉部局や関係機関が垣根を越えて連携し、幼児期の子供を虐待から守ることができるように、緊密に連携しながら取り組んでまいります。

義家委員 ありがとうございます。

 虐待の発見は、多くの場合、教育現場で察知することが多くなります。しかし、対応は児童相談所や福祉部局という形になりますので、ぜひ柴山大臣のリーダーシップで、子供たちの命をしっかりと守れる体制を構築していっていただきたいというふうに思います。

 千葉県野田市で今般発生した虐待事案でも、さきの幼児教育団体から聞き取った声を裏づける経緯をたどっております。

 最初に妻へのDVと児童への虐待の疑いが行政、学校、そして児童相談所に届けられたのは、平成二十九年七月、沖縄県糸満市で児童が暮らしていたときです。糸満市と児童の父親が家庭訪問を二度にわたり約束いたしますが、直前に父親の都合で延期をされています。そして、翌月には、父親と当該死亡した児童は、千葉県野田市に転居いたしました。児童はこうして転校することになったわけであります。また、学校のアンケートにより虐待が発覚したということがわかった二日後には、児童を更に別の小学校に転校をさせています。まさに、聴取した現場の声と同様の軌跡をたどっております。

 では、連携が全くできていなかったかといえば、そうではありません。例えば、糸満市は、千葉県野田市に対して、正確にとまでは言えないものの母子健康情報の提供を行っており、結果として、児童と一歳の妹は、二十九年十月、要支援児童として野田市に登録されております。

 また、翌十一月六日に小学校が行ったアンケート、いじめアンケートで、少女は虐待を訴えました。一昨日の質疑でも申し上げましたが、アンケートで把握後、すぐに小学校が野田市に対して虐待通告を行ったこと、翌日、野田市職員が少女と面会し、深刻な虐待が発生している可能性があると柏児童相談所に送致したこと、少女の一時保護がこうして開始されたわけであります。

 ここまでは、行政として、学校として、責任ある対応がなされたというふうに思っておりますが、問題は、この後の対応、そして崩れた連携にあります。

 十一月から十二月にかけて、児童相談所は累次にわたりこの保護者と面談し、暮れも押し迫った十二月二十七日に、父親の親族宅で生活する、父親と一対一で面談させないなどの条件を付して、一時保護が解除されます。そして、継続指導がスタートいたします。翌年一月十二日、今度は、ここで唐突な動きがあらわれるわけですが、唐突に、少女の保護者と野田市教育委員会、小学校の協議が実施されることとなります。

 再度、文科省に伺います。この保護者と学校、教育委員会が行った協議とは、何について、どのような協議を行ったものと認識していますか。

永山政府参考人 平成三十年一月十二日に行われました両親、学校、市教育委員会の三者会談では、本件女児の一時保護が解除されたことを受けて、今後の対応についての話合いがなされた、また、この協議の中では、父親は、一時保護について親族一同大変憤慨しており訴訟を起こす用意があると発言し、ボイスレコーダーを机の上に置いたと、市教育委員会から報告を受けております。

義家委員 さて、ここで問題になるのは、一時保護を判断したのは、野田市福祉部局であり児童相談所であるわけです。学校は、虐待の疑いを察知し、正当な手続に基づいてそれを報告したにすぎないわけですね。

 この協議の場には、一時保護の解除と継続指導の開始を決定した児童相談所、並びに学校から虐待通告を受けて児童相談所への送致を決定した野田市は同席していましたか。厚労省、お答えください。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 平成三十年一月十二日に実施されたこの協議の場におきましては、児童相談所、野田市ともに同席していなかったもの、そのように承知をしております。

義家委員 なぜ、送致、一時保護、一時保護の解除を決定した当事者が同席せずに、虐待を認知した学校、教育委員会のみで対応することになったのか。また、それが適切だったと考えるかどうか、副大臣、お願いします。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 詳細な事実関係については今後検証されるべきもの、そのように考えておるところでございます。

 いずれにしましても、保護者との協議の場に市や児童相談所が同席したか否か、この点も含めまして、保護した子供の保護者への対応につきましては、まずは学校、教育委員会、児童相談所、市町村などの関係機関が対応方針を共有すること、そして、保護者が話合いをしたいという希望があった場合にどのような機関がどう対応するのかを協議し、それに基づいて対応すること、まさにこれら連携することが必要であると考えておるところでございます。

 児童相談所あるいは市町村がこうした対応を十分とれていなかったことがやはり課題と認識しておるところでございまして、また今後、どのように連携体制を構築していくか、まさにこれらを含めて検証されるべき、そのように考えておるところでございます。

義家委員 今後検証なんという話じゃないんですよ。ここが一番の問題なんですよ。

 いいですか。保護者は、協議の際、小学校からの虐待通告が虐待が露見した発端になると、既にこの時点で認識しているわけです。

 では、文科省に伺います。これまでの聞き取りで、そのことを保護者に伝えたのはどの機関だと聞き取っていますか。

永山政府参考人 本件女児の一時保護に当たって、その経緯について、学校から野田市に連絡があり、更に野田市から柏児童相談所に連絡があり、頬にあざが発見されたため一時保護することになった旨を児童相談所から保護者に対して伝えたと承知をしております。また、野田市において同様の内容を伝えたと承知しております。

義家委員 先ほど政務官は、今後検証と言っていますが、これはもう明らかになっていることであって、これがなければ、野田市は、関係が悪いから同席したくないと言っているんですよ。児童相談所は、日程が合わないと言って逃げたんです。そして、学校と教育委員会、保護者のみで、つまり、学校がこの虐待を露見する発端となっているということを伝えてしまっているんです、保護者に。

 これは一体どういうことを意味するかというと、学校が虐待通報の発端になったということは、この少女が学校に伝えたことが発端になったということになるんですよ。つまり、父親の一方的な、理不尽な怒りが少女のみに向かうきっかけとなったわけです。

 これはとんでもない対応でありまして、まさに、先般の質疑でもしましたが、とりわけ幼児は、家庭と学校という二つの世界に守られながらしか生きられない、世界の全てなんです。家庭で虐待されて、そして、学校でも、自分が言わない限りは露見しないわけですから。つまり、学校というところに助けを求めても助けてもらえないような状況になってしまった。せっかく保護された児童相談所も、そして自分を守ってくれるはずの野田市も、親の圧力に屈したのかどうなのか、情報の発端は学校ですと言ってしまっている。

 まさにこれは救えた命だったんですよ。この部分を厚労省が検証して、しっかりと児童相談所や福祉部局に指導しない限り、第二、第三、同じことが起きていく可能性があるわけです。

 この協議の翌日、校長は、情報開示を実施する旨の念書を父親に提出させられています。そして、翌日、野田市教育委員会は、死亡した児童が当時記したアンケートのコピーを父親に渡すことになりました。ここから少女にとっての真の地獄は始まったわけです。

 つまり、虐待の発覚の発端が学校であると伝えていたならば、十二月二十七日に一時保護を解除しちゃだめなんです。絶対にだめなんです。だから、先般も、まさか、年末、仕事納め、そしてお正月、これは閉められるために、そのときに判断したなんてことはないなと言ったけれども、その疑念というのはそこから生まれてくるわけですよ。

 現在の制度では、里親登録している方たちに、年末年始を家庭的に子供に過ごしてほしいといって、一時的に預かっていただく等々の措置だってあるわけですね。あらゆる措置を講じることができたわけです。しかし、学校が発端になった、すなわち、少女が学校に伝えたことが発端になったということを伝えているにもかかわらず、一時保護を解除してしまった。大変不幸な判断だったわけです。

 そもそも、児童虐待防止法第七条では、児童相談所等が通告を受けた場合、通告した者を特定する情報を保護者等には漏らさないことが規定されております。児童相談所、野田市が保護者との面談の際、その事実を仮に漏らしたとしていたら、これは明らかに児童虐待防止法七条違反になると考えますが、厚労省の見解をお示しください。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 この児童虐待防止法第七条、これは一般論を申し上げればですけれども、児童相談所又は市町村が児童虐待に関する通告を受けた場合、その職務上知り得た事項であって通告をした者を特定させる情報を漏らしてはならない旨を規定しているところでございます。

 検証に当たっては、一つ一つの事項に関する事実把握のほか、子供を守るため、児童相談所、市町村が、関係機関と連携しながら十分に対処できていたのか、また、ケース全体を通じて、関係機関全てが子供の声をきっちり反映したケースワークができていたのか、こういう観点から再発防止に資する検証がまさに必要である、そのように考えているところでございます。

 今回の事案につきまして、現時点で詳細なコメントをすること、これは差し控えたいところでございますけれども、子供の福祉という観点から見たとき、やはり、児童相談所や市の保護者への情報の伝え方については、子供に与える影響を十分に検討できていなかったのではないかという点で、非常に課題があったと考えているところでございます。

義家委員 二月二十六日、児童相談所が家庭訪問をした際、実父から、お父さんにたたかれたのはうそです等の内容の、少女が書いたとされる手紙も示されたそうです。もうこれだけで胸が痛みますよ。二日後の二月二十八日、児童相談所は、何と、今度は継続指導を解除して、父母宅にこの少女を戻す判断をしておりますが、この少女が書いたとされる手紙が児童相談所の継続指導に何らかの影響を与えたのかどうか、厚労省はどうお考えでしょうか。

新谷大臣政務官 これは、千葉県が行った二月五日の記者会見によるところになりますが、御指摘の手紙について、児童相談所は、心愛さんからの手紙ということで見せられたものを、基本的にこれは父親に書かされた可能性が高いと認識しておりまして、書かせたことに対して、これはリスク要因と考えていたと承知をしているところでございます。

 こうした要素をその後の対応方針に生かせていなかった、このことは非常に課題であると考えておりまして、今後、このようなことがないように検証が必要と考えているところでございます。

義家委員 でも、この二日後に帰したんですよ、保護者宅に。帰しているわけですね。

 当時の聞き取りの中では、親族宅の体調もあって、一時保護を再び行うかという声もあったけれども、その後、虐待の再発は認められないとして、父母宅に戻す決定を児童相談所は行っています。そもそも、児童はこのとき父母と暮らしておりません。当時は親族のもとで生活していたわけでありまして、そして、しっかりと見守られている最中でありますから、そもそも、虐待の再発が認められないことは当然といえば当然だったわけです。ここで虐待まであったら、これは一体、児童相談所の判断というのは一体何なのかという話になるわけです。

 しかし、じゃ、ほかにどのような事実を根拠として父母宅に戻すと児童相談所は判断したと厚労省は聞き取っているか、ぜひ教えてください。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 これも、あくまで二月五日の千葉県が行った記者会見によればということになりますが、児童相談所では、虐待の再発が認められないと判断した理由につきまして、まずは、学校で身体的な傷、あざが認められなかったこと、そして、欠席なく登校し、学校での適応状態がよかったこと、そして、父親も、一定期間、保護解除時の約束を守り、二カ月間父と分離できていたこと、これら等を総合的に判断した、そのように承知をしておるところでございます。

 ただ、実父母宅に戻る際の判断を行うに当たって、児童相談所は調査を十分に行っていたのか、不十分だった点はどこなのか、これはしっかり検証が必要と考えております。

義家委員 学校等で虐待等の痕跡が見られなかったこと等を答えているということですが、もうこの子は違う学校に転校しているんですよ、この時点で。つまり、個人の情報や少女のプライバシーの問題もあるので、それら全てを教師たちが共有しているわけではないんですよ。

 そもそも、虐待というのは、目に見えるところに傷をつける、これはもう大変な状況のときでありまして、目に見えない服に隠れた場所とか、そういったところが身体的虐待の攻撃の対象となることから、だからこそ、発見したときはしっかりと守らなければならないし、十歳の少女に裸になって傷があるかどうか見せろなんてことはできるわけないわけですから。

 つまり、このときの判断もまた、大変申しわけない話ですが、少女にとって申しわけない話ですが、完全に誤っていた、それが結果的に、エスカレートした父親の怒りの矛先が全て少女に向かっていくような状況になっていったんだろうと。そう考えると胸が痛くなります。

 この事件、悲しいとか胸が痛いだけで終わらせるんじゃなくて、児童が精いっぱいの声を上げたときに、我々がどうやって虐待から彼らを守っていくのかということの本当の教訓にしなければならないというふうに思っております。

 特に、児童生徒の命を守るためには、悪質な虐待に対して、あるいは恫喝する保護者等に対して、福祉部局や児童相談所、学校、教育委員会だけではなく、警察と連携することが極めて重要であると私は考えています。

 例えば、私も高校の教師をしていましたが、中高の教員だと、生活指導連絡協議会等々がありまして、少年課や警察とさまざまな連携をしているので、困難があったとき、非常に相談しやすい環境にあります。しかし、小学校現場の場合は、警察といえば、交通課の警察官等々とのかかわりはありながらも、なかなか警察に相談するということは難しい、児童相談所を通してしか判断できない場合が多々ございます。

 そういった意味でも、警察との連携というものをしっかりと行っていく必要が重要であり、実際、警察当局が虐待を疑われる事案への関与、生命の危険などを理由に警察が緊急保護した子供は、昨年、過去最多の四千五百七十一名、そして、児童相談所からの援助要請を受けて家庭訪問に警察が同行したケースが三百三十九件と、前年より六十五件ふえています。

 仮にそういった、テープを持ってくる、もちろんスクールローヤーも必要かもしれませんが、現実に来るわけですから、そのときにしっかりと対応するためにも、虐待というのは明らかな暴行罪ですから、警察というものに相談しながら連携することは極めて重要だと思いますが、法律の専門家でもある柴山大臣の見識と今後の方向性、お願いいたします。

柴山国務大臣 全くおっしゃるとおりです。

 今回の事案を踏まえ、二月八日の関係閣僚会議の決定において、新たなルールとして、保護者が威圧的な要求などを行う場合には複数の機関で共同対処することなどを示したところであります。

 これを受けて、文部科学省としても、厚労省と連名で通知を発出し、保護者から学校等及びその設置者に対して威圧的な要求などを行う場合には、速やかに市町村、児童相談所に加え、警察等の関係機関や弁護士などの専門家と情報共有することとし、関係機関が連携して対応することなどを示させていただいております。

 文部科学省としては、学校及び教育委員会において、情報の取扱いや児童虐待の早期発見、早期対応について、市町村、児童相談所、警察等と連携した対応が図られるように、この通知の趣旨を周知徹底するとともに、関係機関と連携しつつ、実効性ある再発防止策をしっかりと進めていきたいと考えております。

義家委員 柴山大臣のリーダーシップに期待するとともに、政務官も厚労省でリーダーシップを発揮して、これだけ明らかになっているものがまだ受け身の報告のみになっているという現状に対して、リーダーシップを発揮して、二度とこのような問題が起きない、とりわけ、来月から新年度を迎えますけれども、転校等々が多くある時期でもありますので、リーダーシップをとっていただきたいと思います。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、神山佐市君。

神山委員 自由民主党の神山佐市でございます。

 質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 まずは、実習や実験等を重視した、即戦力となる人材の育成を目指す目的で設置される専門職大学、専門職短期大学についてお尋ねをいたします。

 平成三十一年度専門職大学、専門職短期大学の開設には、全国から十七校の申請があり、当初は高知県の高知リハビリテーション専門職大学一校の新設を認めるような答申がされ、高知リハビリテーション専門職大学の開設が認められたわけであります。最終的には、継続審査となった国際ファッション専門職大学及びヤマザキ動物看護専門職短期大学が認可されたと理解しております。

 そして、大学設置・学校法人審議会大学設置分科会の吉岡知哉会長は、大学教育としての内容が不十分で、社会的な使命を果たすことが難しい申請内容が多かった、審査意見に対する対応が適切でないケースもあり準備不足が否めなかったとのコメントを発表しております。

 そこで質問ですが、十七校のうちわずか三校のみの認可、認可されなかったわけですけれども、認可されなかった主な要因についてお聞かせください。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十一年度開設に係る専門職大学等の設置認可につきましては、十七校の申請があり、大学設置・学校法人審議会において、専門的、学問的な観点から、専門職大学の特性を踏まえた審査が行われたわけでございます。

 審査の結果、三校について認可を可とする答申がなされ、その答申を踏まえ文部科学大臣が認可を行いましたが、審査の過程において、申請の取下げが十四校ございました。

 審議会からの答申とあわせて、今御指摘いただきました大学設置分科会長からのコメントが公表されております。これによれば、認可に至らなかった多くの申請案件につきまして、専門職大学の特色である実習の内容等が不十分、理論の教育が不足しているなど、大学教育の内容、体系性が不十分、研究を行う施設設備が整備されていないなどといった課題が指摘されております。

神山委員 認可となった専門職大学及び専門職短期大学ですが、三校とも遵守事項及び助言事項が掲載されておりました。

 高知リハビリテーション専門職大学を例に幾つか挙げておりますけれども、「作業療法学専攻における「福祉」を冠する展開科目については、科目の概要及び科目区分を踏まえた科目名称に改めること。」とありますが、その意図を詳しくお示しください。

 また、マンガ基礎実習については成績評価方法が課題提出のみとなっているため授業の到達目標を適切に確認する評価方法を設置することとありますが、遵守事項よりも是正事項とすべきではないでしょうか。

 いずれにしても、せっかく鳴り物入りでできた専門職大学制度でありますけれども、設置する側の基準についての理解も不足しているのではないかというふうに考えております。御見解をお聞かせください。

伯井政府参考人 まず私の方から、御指摘のありました高知リハビリテーション専門職大学についての指摘事項等についてお答えを申し上げます。

 御指摘のあった高知リハビリテーション専門職大学の作業療法学専攻の展開科目のうち福祉を冠する各授業科目の内容は、展開科目の定義を踏まえた認可相当の水準と判断されたものの、授業科目の名称につきましては、作業療法学専攻の学生に医療職の関連分野である福祉関連の科目を学ぶ趣旨、意義が明確に伝わるよう、大学設置・学校法人審議会の答申におきまして、授業科目の名称の修正を求める附帯事項が付されたものと承知しております。

 また、御指摘のマンガ基礎実習につきましては、高知リハビリテーション専門職大学リハビリテーション学部の言語聴覚学専攻の展開科目として配当されているものでございます。

 当該科目につきましては、科目の成績評価が課題提出のみで評価されるという計画になっていたため、単に漫画制作を学ぶだけでなく、漫画を用いたコミュニケーションを体験するという科目の目的に照らして、より適切な学習成果を評価できる方法を設定するよう、大学設置・学校法人審議会において、認可に当たって御指摘のような附帯事項が付されたものであります。

 一方で、教育課程全体としては認可相当とする一定の水準に達していると審議会において判断されたことから、当該科目の個別の課題については附帯事項で指摘し、大学開設までに修正を求める遵守事項とし、大学開設後の設置計画履行状況等調査において対応状況を確認することとされたものであります。

浮島副大臣 設置する側の基準について理解も不足しているのではないかという御指摘でございますけれども、御指摘のとおり、設置初年度の開設審査の状況を踏まえますと、文部科学省として、設置申請を検討している学校法人また自治体の方々に向けて、専門職大学制度の趣旨や設置基準の内容等について理解が一層深まるよう、きめ細やかな対応が必要であると考えているところでございます。

 このため、昨年十一月には、専門職大学等の設置に関する説明会、これを新たに開催させていただいたほか、本年一月には、専門職大学の設置の計画、検討に際し留意すべき点をわかりやすくまとめた設置構想のポイント、また、臨地実務実習の手引きというのを公表するとともに、学校法人から個別の相談について、設置の構想段階から親身に対応するというふうにとらせていただいているところでございます。

 さらに、専門職大学につきましては、高校生やその保護者、高校関係者などの認知においても課題があると考えているところでありまして、全国の高校にポスターやパンフレットを配付したほか、制度説明の動画を作成いたしまして、年度内に文部科学省のホームページに掲載の予定でございます。

 文部科学省といたしましては、専門職大学等が、産業界や地域社会の人材の養成のニーズを踏まえまして、さまざまな職業分野、地域において開設され、成長分野における人材育成や地域創生に貢献できるよう、一層丁寧な説明そして相談体制、これをしっかりとやっていくように周知に取り組んでまいりたいと思います。

神山委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 次に、いじめや暴力行為などの問題行動、児童虐待、不登校などの件数は増加傾向にあるわけであります。特に、児童虐待対応件数は大幅に増加していると聞いております。また、相対的貧困率より算定した貧困線も依然として高い傾向にある現状におきまして、心理的あるいは経済的に困難を抱えている児童生徒が増加していると考えられます。児童生徒のこうした困難をできる限り軽減、緩和できるよう、児童生徒の教育相談の充実についてお尋ねいたします。

 一昨年一月に、文部科学省におきまして、「次世代の学校・地域」創生プランが策定されました。このプランの中には、「教員が、多様な専門性や経験を持った人材と協力して子供に指導できるようにするとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの職務等を省令上明確化し、配置を充実する。」とあります。

 そこで、お尋ねしますけれども、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーのそれぞれの担う職務についてどのように想定しているのか、教えてください。

浮島副大臣 平成二十九年の一月に、文部科学省に設置をいたしました教育相談等に関する調査研究協力者会議、ここにおきまして、今後の教育の相談のあり方、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーに求める職務内容等についての報告を取りまとめさせていただいたところでございます。

 この報告では、具体的に、スクールカウンセラーの職務内容といたしましては、心理に関する高度な専門的知見を有する者として、不登校、いじめや暴力行為等の問題行動、子供の貧困、児童虐待等の早期発見や、学習面、行動面で何らかの困難を示す児童生徒及びその保護者へのカウンセリング、教職員の助言、援助を行う等が求められております。

 また、スクールソーシャルワーカーの職務内容につきましては、児童福祉に関する専門性を有する者として、不登校、いじめや暴力行為等問題行動、子供の貧困、児童虐待等の課題を抱える児童生徒の修学支援、健全育成や保護者への支援、学校や関係機関への働きかけ、これを行うこととしているところでございます。

 なお、両者の職務を明確化するために、一昨年に学校教育法施行規則を改正いたしまして、法令上位置づけたところでございます。

神山委員 ありがとうございます。

 ただいまの説明から、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーについて、その職務及び勤務形態が特殊であり、かつ専門性が求められると思いますが、それぞれに求められる能力及び必要資格について、ふさわしいと思われるものがあれば教えてください。

永山政府参考人 先ほどの副大臣の御答弁にございました報告におきまして、具体的に申し上げますと、スクールカウンセラーの能力といたしまして、学校に適した心理学的な技法を開発する能力、心理、健康的側面の査定能力、カウンセリング面接やグループ面接等の種々の技法を用いた対処能力、教員への心理学的見地からの助言に加え、学校組織への支援を行う能力等が求められています。必要な資格としては、心理の国家資格である公認心理師、臨床心理士、不登校や問題行動等の未然防止や集団に対する取組を主な職務とするガイダンスカウンセラーの実績等を踏まえた上で、ふさわしい資格を判断すべきとされております。

 それから、スクールソーシャルワーカーに求められる能力及び必要な資格でございますけれども、社会福祉士又は精神保健福祉士有資格者が適当とされますが、これらと同等の知識や技術を学ぶ職能団体や学会等の講習会を修了した者も適当であるとされております。

神山委員 ありがとうございます。

 それでは、配置形態として、単独校方式、小中連携の拠点校方式、小小連携の拠点校方式、派遣方式、巡回方式といった形態で配置されていると思いますが、現時点で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置状況を教えてください。

永山政府参考人 スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカーの配置の状況につきましては、御指摘いただきましたとおり、さまざまでございますけれども、人数等につきまして、平成二十九年度、文科省の事業で配置されたスクールカウンセラー八千七百八十二名が二万六千三百三十七カ所の学校に対応いたしてございます。また、スクールソーシャルワーカーにつきましては、二千四十一名のスクールソーシャルワーカーが一万五千四百八十五カ所の学校に対応いたしております。

神山委員 最終的には全ての必要な学校や教育委員会などに勤務のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置することが理想でありますけれども、同専門職から助言、指導を受けることができない場合も多々あると容易に推測できるわけであります。これに対して、課題を抱えた児童生徒に対するアセスメントの妥当性について助言、さらなる専門的資質の向上を促すことができる者として、社会福祉士又は精神保健福祉士の有資格者で、一定のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの経験を持つスーパーバイザーを教育委員会に置くことが必要だと思いますけれども、この点について、考えを教えていただきたいと思います。

永山政府参考人 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに対する助言、指導や資質の維持向上のためには、スーパーバイザーは有用である、有効であると考えます。

 このため、スクールソーシャルワーカーにつきましては、スクールソーシャルワーカー活用事業において、スーパーバイザーを配置するために必要な経費を計上しているところでございます。また、スクールカウンセラーについても、その専門性を生かした教育相談が行われているかについて、スクールソーシャルワーカーと同様の助言、指導が行われることが望ましく、こうした取組により、教育相談体制の充実が図られることは重要であると考えております。

神山委員 ありがとうございます。

 次に、夜間中学についてお尋ねいたします。

 夜間中学は、戦後の混乱期には、昼間に働くことを余儀なくされた学齢期の子供たちが学ぶ夜間学級として各地の中学校に付設され、一九五五年ごろには全国で八十校以上あったそうでありますけれども、その後の経済成長で国民が豊かになるにつれ、当初の役割を終え、数も減って、今日に至っております。

 実は、夜間中学が役割を終えたと言われるようになった一九六六年、行政管理庁は夜間中学早期廃止勧告を出したことがあります。しかしながら、現在は、潜在的な対象は別として、未就学者が十二万八千人以上いると言われております。それで、公立も八都府県に三十一校しかない状況であるわけであります。

 文部科学省は、二〇一五年、一六年と続けて、不登校で十分な教育を受けられないまま卒業した形式卒業者及び不登校の学齢期生徒についても公立夜間中学は受け入れるよう、各地の教育委員会に通知し、圧倒的な多数は外国人という、生徒の顔ぶれも姿を変えていく状況であるわけであります。

 そして、文部科学省は、二〇一六年に成立した教育機会確保法をきっかけに、公立の夜間中学を各都道府県に一校は設置できるよう、自治体への財政支援などに乗り出していると伺っておりますが、その内容について教えてください。

永山政府参考人 文科省におきましては、いわゆる教育機会確保法及び第三期教育振興基本計画を受けて、全ての都道府県に少なくとも一つは夜間中学が設置されることを目標に掲げまして、設置促進に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、まず、夜間中学新設準備に伴うニーズの把握や設置に向けた準備のため、また、夜間中学の設置など就学機会を提供するための都道府県、市町村による協議会の設置、活用のための自治体向けの調査研究費を三十一年度予算案に計上しております。

 このほか、都道府県や政令市の担当者向けに夜間中学の趣旨や重要性を周知するための説明会を開催したり、自治体からの相談に個別に応じ、助言しているところでございまして、引き続き、これらの支援により夜間中学の設置を促進してまいりたいと考えております。

神山委員 大変ありがとうございました。

 質問を終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 それでは、通告に従いまして質問させていただきます。

 きょうは、今、神山先生からも御質問のありました夜間中学について、順次お伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、最初の質問は、夜間中学の新たな設置状況についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほども御説明等、答弁もありましたとおり、平成二十八年に教育機会確保法が制定されました。きょういらっしゃる各委員、また理事の議員の皆さんや、また浮島文科副大臣始め多くの理事者側の方々にも御協力いただいて、大変すばらしい法律ができたというふうに認識しております。

 そういう中で、今、夜間中学の開設等の動きが大変活発になってきている、このようにも認識していますが、現在のところは、八都府県の二十五市区、三十一校。もちろん、自主夜間中学もこのほかにございます。

 こういう状況の中で、今新たに、これも御案内ですけれども、埼玉県川口市それから千葉県松戸市で、二校の夜間中学が開設をするという状況を伺っております。

 埼玉の川口の方は、初年度は百二十人程度ということで、この川口の町には、もう御存じの方も大勢いらっしゃると思うんですけれども、約三万五千人ほどの外国籍の人々が暮らしている。こういうことで、ここには自主夜間中学もございますけれども、この自主夜間中学と共存という形で、これから生徒に合わせていろいろな施策も進められていく、このように承知をしています。

 千葉県の松戸市の方は、ここは、形式的には中学校を卒業した不登校の経験のある子供たち、それ以外の方々も含めた幅広い層からの入学を今予定している、このように伺っているところでございます。ここも市内に自主夜間中学があるということで、そういう意味では、関係者の方々の思いも大変強くて、また、これまでも夜間中学に対する取組が進んできた地域の一つと思っています。

 それから、私の地元の北海道の札幌市。この札幌市では、二月の十八日に、北海道初の公立夜間中学を札幌市内中心部に開設する方針を固めたという報道がありました。不登校、引きこもりの生徒への対応はもちろんのことですけれども、先ほど申し上げましたように、外国人の子弟等の受入れも今後拡大していくだろう、こういうこともありまして、そういう意味で大変期待も大きくなっている。

 二月の十八日の札幌市議会の本会議で、教育長がこう答弁をされました。札幌市として、公立夜間中学の設置に向けて前向きに検討する。事実上、この開設をすることに着手する、こういう答弁だったと思います。

 北海道内には、民間の自主夜間中学、遠友塾といいますけれども、これが札幌、旭川、函館、釧路、各市に一カ所ずつありまして、教員の方々は、教師は大半がボランティアで対応していますけれども、教員のOBの方ですので、大変積極的に取り組んでいて、私も、この遠友塾の実施者の方々から、長年にわたって公立の夜間中学の設置の要請というのを受けてまいりました。そういう意味で、これまでも、私自身も、既に開設している公設の夜間中学を視察したり、さまざまな意見交換も進めてまいりました。

 そういったことを踏まえて、ちょっと前置きが長くなりましたけれども、夜間中学の新たな設置状況について、今後の方向性も含めてお伺いしたいと思います。

永山政府参考人 文部科学省といたしましては、全都道府県に少なくとも一つという大きな方針を考えておりますけれども、当面の動きといたしまして、御紹介がございました、この四月の開校、川口市、松戸市、それから、お話のありました北海道札幌市。

 それ以外の動きといたしまして、徳島県で、県の教育長が、二月議会において、二〇二一年四月をめどに全国初めての県立の夜間中学を設置したいと表明をされております。それから、茨城県の常総市におかれましても、二〇二〇年四月を目指して夜間中学を設置することを明らかにされておられます。

 このほか、設置時期は明らかでありませんけれども、神奈川県の相模原市、それから静岡県においても、設置に向けた具体的な検討が開始されると承知をいたしております。

稲津委員 今御答弁いただきましたけれども、新たな設置に向けての動きも加速化している、このようにも伺いました。

 そういう中で、この夜間中学を取り巻く関係者の努力というのも大変すばらしいものがありまして、これは兵庫県内の夜間中学ですけれども、県内には三校ある、神戸市内に二校と尼崎に一校ということで。これまでは各市に在住している者に限って入学を認めていた、こうありましたけれども、今回から要件緩和をして、早ければ二〇二〇年度からのスタートと伺っていますけれども、他市町村の在住者でも入学できるようにする。さらに、県の教育委員会は、二〇一八年の十二月の下旬から、夜間中学に関する、いわゆる電話相談の窓口ですとかホームページでの広報活動も展開している、こういう状況です。

 よって、今一部紹介させていただきましたけれども、新たな開設等について、あるいは環境整備について大変大きく前進してきている。こうなったことも、いろいろな外的な要因はあるかもしれませんけれども、やはり法整備ができたというのが大変大きなことだというふうに思います。

 そこで、これから後の質問は、幾つかの抱える問題点についてお伺いしていきたいと思いますけれども、まず一点目は、習熟度別授業など、生徒のニーズに合わせた授業を行うための教員の加配措置ということについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 現行の制度のもとでは、通常の教員の配置基準、これが適用されることから、公立の夜間中学で想定されている一定の習熟度別指導への対応が難しいのではないか、こういうことも言われてまいりました。

 その一方で、文科省として、二〇一九年度の予算として、学校における働き方改革、複雑化、困難化する教育課程に対応するための教職員の定数を千四百五十六人改善する、こういうお話もありました。もちろん、この中身の大宗はやはり小学校の専科指導の充実ということが挙げられるんですけれども、ただ、もう一方で、こうした外国人児童生徒に対する日本語の指導教育の充実というところにも少しウエートを置いていただいているので、ここは非常に関心があるところでございます。

 そこで、この夜間中学への教員の加配措置についてお伺いしたいと思います。

浮島副大臣 習熟度別授業の、生徒のニーズに合わせた少人数の指導等を行うための教員の加配措置は可能なのかという御質問でございますけれども、公立の夜間学級、いわゆる夜間中学が置かれている中学校におきまして、習熟度別の授業のために加配を活用することは、この夜間学級を国として支援する際の一つの重要な、大きな方策であると思っております。

 具体的には、夜間学級が置かれる中学校の学級数に応じて措置される基礎定数とは別に、特に必要がある場合に教職員定数を措置する加配教員のうち、児童生徒支援加配につきましては、平成三十年度、全国では七千八百人おりますけれども、任命権者である都道府県、政令指定都市、教育委員会の判断により、夜間学級が置かれる中学校の習熟度別授業を行う際、加配教員として活用が可能でございます。また、実際に、平成三十年度におきまして、六県市で十五人の加配定数が夜間学級の生徒のために活用されているところでございます。

 また、加配定数とは別に、基礎定数についても、夜間学級を分校に開設する場合、この場合は本校に夜間学級を開設するよりも多くの教職員定数が算定される場合がございます。

 また、引き続き、それぞれの都道府県、指定都市の事情や要望を丁寧にお聞きいたしまして、きめ細かく対応してまいりたいと思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 今、副大臣から、大変わかりやすく、また予算措置も含めてしっかりした御答弁をいただきましたので、ぜひその方向でまた御検討いただきたいと思います。

 このことに関連して、もう一つ、養護教諭などの定数配置についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 私も、この公立夜間中学、幾つか視察をさせていただいたり、あるいは学校長、教職員等の教育関係者とも意見交換をこれまでも重ねてまいりました。その中で要請として出てきたのが、実は養護教諭のことでございました。

 今この夜間中学が置かれている課題というか環境について幾つかあったんですけれども、一つは、外国人の生徒がふえてきているということから、こうした生徒への生活指導とか進路指導、ここがやはり大変重要なところに来ている。言葉の問題ですとか、生活習慣や文化の違い、もちろん家庭の置かれている状況、それは外国人の生徒でなくてもそれぞれそうかもしれませんが、日本に来て、やはり置かれている環境は相当違いますので、そうしたこともある。

 それから、既卒の生徒の対応ということで、生徒のかなりの数の中に、やはり、中学時代に不登校であったということだけではなくて、一部、精神の疾患ですとか、あるいは発達障害などを抱えていることもあるということ。

 それからもう一つは、これはずっと一貫して夜間中学の中で言われてきていますけれども、やはり高齢者の方がいらっしゃって、そこもむしろふえている現状もあるということなんです。

 そこで、養護教諭のことなんですけれども、やはり常勤の養護教諭がいることが望ましい、そういうことを関係者の方々から強く要請されているところでございます。

 この点についても、今後の方向性も含めて、御答弁いただきたいと思います。

浮島副大臣 稲津委員におかれましては、現場のお声をいただいていることに心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 今、養護教諭の定数の配置についての御質問をいただきましたけれども、文部科学省におきましては、平成二十八年十二月に成立したいわゆる教育機会確保法の附則を受けまして、昨年十一月に有識者会議を設置させていただきました。夜間中学の設置、充実を図る観点から、夜間中学における現状と課題、この把握を今現在行っているところでございます。

 この会議におきまして、夜間中学には、今御指摘がありました高齢者、また不登校など、さまざまな事情により十分な教育を受けられなかった方も通っていること等から、養護教諭などの専門スタッフの配置、この必要性については、委員からもさまざま、いろいろな方から御指摘をいただいているところでございます。

 文部科学省におきましては、平成三十一年度の政府予算案に、夜間中学における教育活動の充実に係る調査研究費といたしまして、非常勤の養護教諭などにも活用できる経費を計上しているところでございますけれども、今後、有識者会議などの御議論や、夜間中学の実態、そしてニーズを更に精査させていただきまして、夜間中学に対する支援のあり方について、引き続きしっかりと検討してまいりたいと思います。

稲津委員 ありがとうございました。

 ぜひ、この養護教諭の配置についても、今御答弁いただいた方向で進めていただきたいと思いますし、先ほど申し上げましたように、多くの教育関係者の方々からの強い要請もありますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後の質問ですけれども、夜間中学の全県配置についてということで、きょうは大臣はいらっしゃいませんけれども、これは浮島副大臣に、大臣と同じ思いに立って、その決意をお話しいただきたいと思うんです。

 今、この夜間中学の設置の必要性の大変大きなところには、何といっても、外国人の児童生徒がふえているということに対する対応というのがやはり急務だと思っています。

 日本も批准をしています国際人権規約に、全ての人に教育に関する権利を認めておりまして、初等教育は、義務的なものとし、全ての者に対して無償とする、こういうふうにうたわれていまして、そういったことを考え合わせていくと、やはり今の我が国の教育現場の中で、この夜間中学の必然性というのは私は大変高いものがあるというふうに思っております。

 そういう意味で、全県に最低一校は設置をするという方針も決めて進んでいるわけですから、ぜひそうしたことを全国的に進めていくべきだ、こう思っています。

 文科省としての今後の取組、また御決意についてお伺いしたいと思います。

浮島副大臣 夜間中学には、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校などさまざまな事情により十分な教育を受けられないまま中学を卒業した方、また、本国又は我が国において義務教育を修了できなかった外国籍の方などがいらっしゃいます。そんな中で、義務教育を受ける機会を実質的に保障するためのさまざまな役割がこの夜間中学には期待されていると思っているところでございます。

 平成二十二年の国勢調査によりますと、義務教育を修了していなかった方は全国に少なくとも約十二万八千人いることがわかっておりますけれども、ことし四月には先ほどお話がありました川口市そして松戸市に新たに夜間中学が開校することも含めましても、現時点においては、全国九都府県、そして二十七市区、三十三校の設置にとどまっているのが現状でございます。

 このことから、文部科学省におきましては、平成二十八年十二月に成立したいわゆる教育機会確保法や第三期教育振興基本計画などを踏まえまして、引き続き、全ての都道府県に少なくとも一つは夜間中学が設置されるように取り組んでまいるということを大臣とともに共有させていただいておりますので、全力で取り組んでまいります。

稲津委員 ありがとうございました。

 大変力強い御決意をいただきましたので。これから先、各県あるいは政令市等に、また文科省の方からもいろいろな情報を提供しながら、開設に向けてのそうした考え方を促していただきたいというふうに思います。

 これは正確なデータではないかもしれませんけれども、文部科学省の各種統計から推測していくと、数字的なことはきょうは私も断定できません、言えませんけれども、外国の子供で、我が国で生活をしていて日本の小中学校にもあるいは外国人学校にも通っていない、いわゆる不就学の子供というのは相当数いると思うんです。そこにどのようにして政治の光を当てて、また手を差し伸べていくのかというのは大変重要なことだと思っていますので、そうしたことも勘案しながら進めていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 午後三時めどに再開いたすこととし、この際、暫時休憩いたします。

    午後二時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時十八分開議

亀岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 次回は、来る二十日水曜日午前八時四十分理事会、午前八時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十九分散会


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