衆議院

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第8号 平成31年4月10日(水曜日)

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平成三十一年四月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 亀岡 偉民君

   理事 大塚  拓君 理事 神山 佐市君

   理事 馳   浩君 理事 村井 英樹君

   理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君

   理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    池田 道孝君

      池田 佳隆君    上杉謙太郎君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      小林 茂樹君    下村 博文君

      白須賀貴樹君    鈴木 隼人君

      高木  啓君    中村 裕之君

      中山 展宏君    根本 幸典君

      福井  照君    古田 圭一君

      宮内 秀樹君    宮路 拓馬君

      八木 哲也君   山本ともひろ君

      川内 博史君    中川 正春君

      初鹿 明博君    村上 史好君

      吉良 州司君    牧  義夫君

      稲津  久君    中野 洋昌君

      畑野 君枝君    杉本 和巳君

      吉川  元君    笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  宏彰君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 住澤  整君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   神田 眞人君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          清水  明君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     山本ともひろ君

  船田  元君     鈴木 隼人君

  宮川 典子君     中山 展宏君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 隼人君     池田 道孝君

  中山 展宏君     宮川 典子君

  山本ともひろ君    小此木八郎君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     船田  元君

    ―――――――――――――

四月八日

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六七九号)

 同(笠井亮君紹介)(第六八〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六八一号)

 同(志位和夫君紹介)(第六八二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六八三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六八四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六八五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第六八六号)

 同(藤野保史君紹介)(第六八七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六八八号)

 同(宮本徹君紹介)(第六八九号)

 同(本村伸子君紹介)(第六九〇号)

 同(井出庸生君紹介)(第八〇〇号)

 国の責任による三十五人以下学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善に関する請願(池田佳隆君紹介)(第六九一号)

 同(小川淳也君紹介)(第六九二号)

 同(岡本あき子君紹介)(第六九三号)

 同(阿部知子君紹介)(第七二七号)

 同(稲富修二君紹介)(第七二八号)

 同(吉良州司君紹介)(第七二九号)

 同(高井崇志君紹介)(第七三〇号)

 同(吉川元君紹介)(第七三一号)

 同(大西健介君紹介)(第八〇二号)

 同(熊田裕通君紹介)(第八〇三号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(北村誠吾君紹介)(第七二三号)

 同(高井崇志君紹介)(第七二四号)

 同(高橋ひなこ君紹介)(第七二五号)

 同(吉川元君紹介)(第七二六号)

 同(大西健介君紹介)(第七九七号)

 同(川内博史君紹介)(第七九八号)

 同(階猛君紹介)(第七九九号)

 教育の無償化を目指して全ての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(井出庸生君紹介)(第八〇一号)

は本委員会に付託された。

四月九日

 国の教育予算を大幅にふやし、三十人以下学級の早期実現、教室、体育館への空調設備設置を求めることに関する請願(第六三号)、国の責任による三十五人以下学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善に関する請願(第二八三号)及び専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(第六八八号)は「宮本岳志君紹介」を「穀田恵二君紹介」にそれぞれ訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 大学等における修学の支援に関する法律案(内閣提出第二一号)

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

亀岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、大学等における修学の支援に関する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、両案に対し、城井崇君から、国民民主党・無所属クラブ提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。城井崇君。

    ―――――――――――――

 大学等における修学の支援に関する法律案に対する修正案

 学校教育法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

城井委員 ただいま議題となりました大学等における修学の支援に関する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、国民民主党・無所属クラブを代表して、順次その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、大学等における修学の支援に関する法律案に対する修正案について申し上げます。

 本法律案においては、支援措置の財源を本年十月一日に予定されている消費税率引上げに係る増収分によって確保することとしていますが、政府は、予定どおり消費税率を引き上げるかどうか、リーマン・ショック級の出来事がない限りとの留保を付し、いまだにはっきりさせておりません。消費税率を引き上げるかどうか、本法律案による支援措置が実施されるかどうかは、政府の判断によるというような、不安定な財源だけに頼るべきではありません。

 また、現在各大学が行っている授業料減免においては、その独自の取組により中間所得層の学生等も対象となり得ている一方で、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の者のみを対象とする本法律案の施行によって、大学等における授業料減免が新制度に統一され、現行の授業料減免が縮小、後退してしまう懸念があります。柴山文部科学大臣は、新制度の施行による影響を把握し精査する旨を御答弁されていますが、影響があらわれてからでは手おくれです。影響があらわれないよう事前に措置することが必要であります。

 さらに、本法律案による支援措置の対象範囲は住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の者に限られており、不十分です。対象範囲の拡大を検討していくべきであります。

 このような点を踏まえ、我々国民民主党・無所属クラブは、本法律案に対する修正案を提出することといたしました。

 第一に、附則第四条の「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律附則第一条第二号に掲げる規定の施行により増加する消費税の収入」に「等」を追加して、財源として消費税の増額分以外の財源も活用するようにすることとしています。

 第二に、この法律の運用に当たっては、各大学等による学生等の経済的負担の軽減を図るための主体的な取組を阻害することのないよう配慮しなければならない旨の規定を追加することとしています。

 第三に、政府は、大学等における修学の支援の対象とする学生等の範囲の段階的な拡大等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行う旨の規定を追加することとしています。

 次に、学校教育法等の一部を改正する法律案に対する修正案について申し上げます。

 私立学校が社会から信頼され支援を受けるにふさわしい存在であり続けるためには、学校法人のガバナンスの改善を国として促進する必要があります。

 本法律案では、私立学校法を改正し、学校法人の役員の職務及び責任に関する規定の整備等の措置を講ずることにより学校法人のガバナンスの改善を図ることとされており、一定の評価ができるものであります。昨今の私立大学における不祥事、不正問題等を踏まえれば、私立学校の自主性や建学の精神を尊重するとしても、学校法人内における自浄作用をより高める必要があります。

 しかしながら、本法律案においては、学校法人の理事長の選任方法については改正事項に含まれず、現行法のまま、当該学校法人が定める寄附行為によることとされており、理事長が不正を行った場合等に学校法人内で理事長の解職を進める手続等については法律上担保されておりません。学校法人内における経営に対するチェック機能を強化し、自律的に運営体制を改善するための仕組みを構築するため、理事長の選定及び解職については理事会の権限とすることを法律上明確に規定することが必要であります。

 そのため、本修正案は、理事長の選定及び解職に係る規定を追加し、理事長の選定及び解職については理事会の権限とすることとしております。

 以上が、両修正案提案の理由及びその内容でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をいただけますようお願い申し上げまして、提案の理由を終わります。

亀岡委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 この際、お諮りいたします。

 両案及び両修正案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原宏彰君、財務省大臣官房審議官住澤整君、主計局次長神田眞人君、文部科学省総合教育政策局長清水明君、高等教育局長伯井美徳君、高等教育局私学部長白間竜一郎君及び厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 これより両案及び両修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。菊田真紀子君。

菊田委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの菊田真紀子です。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、私立学校法改正案についてでございます。

 学校法人の公共性を確保する上で、理事会に対する監事の牽制機能が強化されることについては一定の改善というふうに考えますが、問題は、その実効性が本当に担保されるかどうかということであります。

 このことに関し、三日の委員会で、我が会派の初鹿委員が、監事は評議員会の選任にすべきとただしたのに対し、柴山大臣は、監事の選任は評議員会の同意が要件になっていることで、理事長が自分の息のかかった者を選べる仕組みになっていないと答弁をされましたが、その一方で、次のようにも発言をされています。仮に評議員会で選任決議をすると改めても、その案を理事長が提出すれば第三者性が担保されない事態となることも予想し得る、このように答弁をされました。つまり、理事長の息のかかった者が選ばれる可能性があるということを、大臣自身も実は懸念をされているわけであります。

 それならば、いっそ評議員会が監事候補者の選定も含めて責任を持って監事を選任するように改正した方がいいと考えますが、大臣の見解を伺います。

柴山国務大臣 今の菊田委員の御意見は傾聴に値するとは思います。

 ただ、先ほど御紹介をいただいたとおり、平成十六年の私立学校法改正において、それまでは選任に関する定めがなかったところを、監査される側の者のみで選任することがないように評議員会の同意を得るということを要件としたことから、評議員会が同意しない者を監事として選任することはできないという仕組みにすることによって監事の牽制機能が確保されるという仕組みとされたことを、我々としては評価をいただきたいというように思っております。

 このことを含めて、監事に関する制度の趣旨の周知や指導を、今回の法改正をきっかけとしてしっかりと行ってまいりたいと考えております。

菊田委員 関連して、同じく初鹿委員が、私立学校法上、理事長がその配偶者や家族を監事に選任することは可能ですか、このように質問をいたしました。これに対して大臣と私学部長が答弁されましたけれども、どうも不明瞭だったので、再確認をさせていただきたい。

 理事長が自分の配偶者や親族を監事に選任することは可能ですか。

柴山国務大臣 私立学校法においては、学校法人の同族経営を制限するため、学校法人の個々の役員について、理事及び監事という役員の種別を問わず、その配偶者又は三親等以内の親族が一名を超えて含まれてはならないこととされております。

 このため、この規定の範囲内においては、理論的には理事の配偶者や親族が監事となることは可能という仕組みであると考えております。

菊田委員 可能だということを確認いたしました。

 そうなんです。前回は、可能だとはっきりおっしゃらなかったんですね。これは大変な国会軽視だというふうに言わざるを得ません。

 可能だということであれば、二人置かなければならないと規定されている監事のうち一人は、理事長の身内、配偶者を選任することさえ可能ということであります。監査される者が監査する者を選ぶということだけにとどまらず、監査される者の親族を監事にできるというのは、明らかに法の不備ではありませんか。

 大臣は三日の委員会で、必要とあらばまた引き続きぜひ検討させていただきたいというふうに答弁されていますが、即刻規定を変えるべく、速やかに検討を開始すべきと考えますが、いかがですか。

柴山国務大臣 監事については、従前から、親族か否かにかかわらず、監事の職務として、学校法人の業務に関する監査、不正を発見した場合には所轄庁への報告を行わなければならない旨が規定されております。

 さらに、今回の改正において、監事を含む役員の学校法人や第三者に対する損害賠償責任を規定するなど、監事の責任の明確化をあわせて図ることとしております。また、委員からも少し御紹介をいただいたとおり、監事が一人ということにはなっておりません。

 いずれにいたしましても、監事の牽制機能の強化が今回の法改正を通じて図られると考えておりますし、監事がその職責をしっかりと果たすよう、その人選のあり方を含め、制度の趣旨を含めた周知、指導をしっかりと行っていきたいと考えております。

菊田委員 私は、文科省は抜け道を認めている、そして明らかに法の不備を放置しているということを厳しく指摘したいと思います。

 修学支援法について質問いたします。

 この間の法案質疑を通して、懸念が二つあります。一点目は、高等教育の漸進的無償化の今後の道筋が非常に不明瞭なことです。そして二点目は、現在の授業料減免制度が縮小あるいは後退するのではないかという危惧です。

 柴山大臣は、今回の授業料減免制度の創設や給付型奨学金の拡充も高等教育の漸進的無償化の一環として進めているというふうに答弁はされていますが、他方で、これから先、具体的に、いつ、どういうスケジュールと予算で無償化を進めていくのかという点については全く答えておりません。ほかの委員との質疑を聞いても、大臣の答弁は終始曖昧でした。給付型奨学金、授業料減免の中間所得層へのさらなる拡大については、無利子奨学金の充実を進めてきたなど、これまでの実績は述べられるんですけれども、終始極めて慎重な答弁でした。さらに、高過ぎる授業料の値下げについても、各大学が決めることというふうにそっけない答弁に終始をしています。有利子奨学金を無利子奨学金に変えていくことについても否定的で、遅延利息の三%への引下げぐらいしか前向きに検討できないというような答弁でした。

 改めて、今後の漸進的無償化の方策について柴山大臣のお考えをお聞かせください。

柴山国務大臣 今委員が御紹介をいただいたとおり、今回の法改正については、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなどを踏まえ、真に支援が必要と考えられる低所得者世帯に限って実施をするものでありまして、無利子奨学金の充実ですとかきめ細やかな救済措置という形でこれまで文部科学省が取り組んできたこととあわせて、この漸進的無償化にも資するというように私どもとしては考えております。

 文部科学省としては、これらの施策を始めとする教育費の負担軽減策を着実に実施することにより、家庭の経済事情にかかわらず、安心して学べる環境の整備に努めてまいりたいというように考えております。

 なお、更に負担軽減を進めるべきではないかという御指摘に対しては、低所得者世帯以外は貸与型奨学金の拡充により進学機会が開かれていること、また、高校卒業後の進路が多様であり、進学せずに働く者との公平性に留意をする必要があることを十分に踏まえ、今後、慎重に議論、検討をしていくべきだと考えております。

菊田委員 日本学生支援機構の学生生活調査二〇一六、ちょっと古いんですけれども、この調査によりますと、奨学金受給者の割合は家庭の年収が六百万円から七百万円、この層が最も多く、中間所得者の世帯も支援を必要としているんですね。家計だけで賄えないほど学費負担が重いから、やむなく、仕方なく奨学金を借りて進学するのであって、貸与型奨学金で進学の機会が確保されている、こういうことを言うのは全く見当外れな答弁だと思います。

 大学等は借金を背負って進学するところなんでしょうか、大臣。

柴山国務大臣 だからこそ、給付型奨学金を、今回、所得の住民税非課税世帯あるいはそれに準ずる世帯も含めてしっかりと拡大をしていく、それから、それとあわせて授業料の減免も行っていくという仕組みをつくったわけであります。

 これら中間所得者、つまり住民税非課税世帯に準ずる世帯にもこういったことを確保していくということによって、また、先ほど申し上げたように、貸与型の奨学金についても免除等の仕組みをしっかりと運用を強化していくことによって、そういった要望にも着実に応えていきたいというように考えております。

菊田委員 極めて極めて限定的な対象者に限られているのに、安倍総理始め大臣も高等教育の無償化、無償化と言うから、あたかも全ての高等教育に進む人たちが無償化になるんだというふうに、皆さんそういうふうに受け取っていますよ。

 新制度の創設について、国立大学等が独自に行っている現行の授業料減免制度がどうなるのか、これも大問題だと思います。

 各大学で授業料減免を受けている学生が、新制度の移行によりどのような影響を受けることになるんでしょうか。文科省は、各大学の状況、取組を把握し精査していきたいという答弁を続けていますが、精査できたでしょうか。衆議院で、きょうは質疑とその後には採決ということでありますので、ここは大事なところです。誠実にお答えをいただきたいと思います。

柴山国務大臣 ここはちょっと分けて考えたいというように思います。

 まず、新制度の創設によって、現行の各国立大学の減免を現に受けている在学生についてどうなるかということについて、まず申し上げますと、既存のさまざまな各国立大学におけるそういった措置、これを、真に支援が必要な住民税非課税世帯及びこれに準ずる世帯の学生に対して行うという、統一的な基準による支援という形で、私どもとしては実施をするということになります。

 そうなると、各国立大学が既に行っている授業料減免の基準は新制度のもとでどうなるかということについては各国立大学で御検討をいただくことになりますけれども、現在授業料減免を受けている学生で新制度においては対象から外れるという学生が理論上生じ得るところでありまして、当該学生の学びの継続を支援する観点から、現に支援を受けている学生については、減免の事由や家計基準の実態や国立大学における減免基準の考え方などを見きわめつつ、何らかの配慮が必要かどうか、今まさに検討をさせていただいているところであります。

 次に、現行の国立大学の減免制度では対象となるが新制度では対象外となる、今後の新入生の支援についてはどうなるかという問題についてでありますけれども、一部の学生が国の支援対象とならない新しく入学をされる方々も、先ほど申し上げたように、理論上あり得ると考えておりますが、こちらについても、各国立大学において、新制度を踏まえてどのように対応するかをそれぞれ検討することが必要となります。

 新制度については、真に支援が必要な学生に対して確実に授業料等が減免されるよう、大学等を通じた支援を行うとともに、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給するものでありまして、全体としては、当然のことながら、規模や金額が大幅に拡大することで支援が広がっていくものと考えておりますが、では、そういった新しい制度との関係がどうなるかということについては、これは、今後、各国立大学の状況を把握して、適切に対応してまいりたいと考えております。

菊田委員 新制度創設によってカバーできない学生があり得るということを明言されながら、では、その方々に対してどうするのかということについては、今後何らかの配慮をしていくとか、大学とのまたいろいろな協議をしていくということで、非常にいいかげんだと、無責任だというふうに指摘をしたいと思います。

 当然、現に対象になっている在校生が途中で減免を打ち切られるようなことがあってはならないわけでありますので、その分の予算を財務省に対してしっかりと概算要求していかれますよね。大臣、いかがですか。

柴山国務大臣 繰り返しになりますけれども、学生の立場を踏まえて、しっかりと我々として財務省との折衝に臨んでいきたいというようには考えております。

菊田委員 それから、新たに進学する学生についても、これはやはり、これまでどおり各大学の基準で減免が行われるように、運営費交付金等で財政措置をしていかなければならないというふうに思いますが、いかがですか。

柴山国務大臣 この新しく入学される方々についても、新制度が始まる二〇二〇年度予算の概算要求を行うことし夏までには、新制度を踏まえた各大学の対応見込みなども踏まえ、各大学に調査するなどして、より詳細な状況を把握し、対応していきたいと考えております。

菊田委員 確認ですけれども、新制度がスタートをしたら、新制度のもとで大学の基準が統一されていくわけですよね。ということですから、各大学の減免基準は現行よりも下がるということですね、これをはっきりおっしゃってください。あるいは、下がる可能性があるということをおっしゃってください。

柴山国務大臣 繰り返しになりますけれども、理論上そこには乖離が生じるということは、先ほど申し上げたように、私もあると、あり得るというようには考えておりますが、では、そのすき間をどうするかということについて、各大学に対して調査をしっかりと行っていきたいと考えております。

菊田委員 大臣、ごまかさないでほしいんですね。これは、各大学も、学生さんも大変混乱をするというふうに思います。学生に対しても周知をしなきゃいけないわけですので。

 これは本当に、大臣の言う高等教育無償化法案なんでしょうか。にせ看板の法案じゃないんですか。低所得者世帯の学生の授業料を無償化するかわりに、そのほかの世帯の授業料が負担増になってしまう高等教育有償化法案なんじゃないかと、議論すればするほど思います。

 国際人権規約の高等教育の漸進的無償化に逆行することになるというふうに私は考えますが、大臣はどう考えますか。

柴山国務大臣 先ほど少し触れさせていただいたとおり、国連人権規約との関係で申し上げれば、新制度は、真に支援が必要な学生に対し確実に授業料等が減免されるよう大学等を通じた支援を行うとともに、学生生活の費用をカバーするためにほぼ十分な給付型奨学金を支給するものでありまして、全体として規模や金額は大幅に拡大することで支援が広がっていくと考えておりますので、高等教育の漸進的無償化の趣旨にもかなうと私どもとしては認識をしております。

菊田委員 大学等に対しても財政的な裏打ち、保証がないのに、こういう見切り発車で、言ってみれば、中間層は今までよりも更に困難な状況になってしまうということでありますので、このような法案を拙速に出してきた、しかも今回の法案の提出の仕方ですね、これだけ重い法案を二つ一緒に出してきて、そして、その一つの方、学教法の方は四つも法律がありますよね、こういうのをまとめて出してきて、そして、早く審議しろ、早く通してほしいという姿勢は、全くでたらめだというふうに思います。

 認証評価制度について一点確認をしたいと思います。

 既に本法案の審議中でありました先月二十六日、不正入試を理由に東京医科大学の認証評価が適合から不適合に変更されたとの報道がありました。不正入試が理由であれば、文科省の調査で判明した、例えば東京医大同様に、女性差別や年齢差別の不正入試をしていた順天堂大学や北里大学、特定の者を優先的に合格させたほか不正入試以外でもコンプライアンスが問題視された日本大学など、こういう大学は直近の認証評価で適合というふうに評価されていますが、これらの大学に対して再調査は行われているんでしょうか。まずお聞きします。

 また、再調査の結果不適合に変更されなければおかしいというふうに私は思いますが、文科省の見解を求めます。

柴山国務大臣 今触れていただいた認証評価制度ですけれども、我が国の大学における質の保証のシステムの一つとして、文部科学大臣の認証を受けた第三者機関、認証評価機関が、客観的な立場から大学開設後の教育、研究等の状況について定期的に評価を行う制度であります。

 東京医科大学の平成二十九年度における認証評価については、平成二十五年度から三十年度の大学入試における不適切な事案について、大学みずからが行った調査報告書などを踏まえ、認証評価機関の判断により自主的にこの認証評価機関が再調査を行った結果、御紹介をいただいたとおり、適合から不適合へ変更されたものと承知をしております。

 今般の大学入試の不正問題が発覚したことを受け、東京医科大学以外の他の大学について認証評価を再度行うか否かにつきましては、認証評価機関の判断によるものと考えております。

 なお、認証評価は、認証評価機関が主体性を持ってみずからが定める大学評価基準に従って大学の教育、研究等の総合的な状況等について評価を行うものでありまして、国として個別の評価についていろいろと指図をするという仕組みにはなっておりませんが、しかるべく対応していただけるものと考えております。

菊田委員 再調査するのかどうか、再調査しているのかどうかということに関して評価機関に確認してほしいと、文科省に昨日お願いをしております。

 ここで、その回答について、先ほど私、具体的な大学名も挙げましたけれども、お答えをいただきたい。はっきり答弁してください。

伯井政府参考人 今般の大学入試の不正問題が発覚したことを受けて、東京医科大学以外の他の大学について認証評価を再度行うか否かというのを認証評価機関に確認をしたところ、再評価の実施に向けて検討している機関もあるということでございます。

菊田委員 私の質問に答えてください、ちゃんと。具体的に、さっき大学名を言いましたよ。

 これは、社会的に大変関心を集めた事案ですからね。

伯井政府参考人 現在、再評価の実施に向けて検討中ということでございますので、具体的な大学名まで伺っておるものではございません。

菊田委員 要は、文科省としては、認証評価機関の自主性に任せている、こちらから口を出す話ではないという姿勢なんですけれども、これだけさまざまな問題が出てきていて、しかも、認証評価機関がきちんと客観的な判断をしている大学、認めている大学でこういう不祥事が出ているわけですから、今のままの状況で本当にいいんでしょうか。これは見直す必要があるのではないかというふうに考えますが、大臣、いかがですか。

柴山国務大臣 非常に理のある御指摘だというように考えます。

 仕組みとしては、先ほど申し上げたとおり、個別の評価について文部科学省が指図をするという仕組みにはなっておりませんけれども、今の委員の思いとそれから御指摘は、しっかりと各評価機関に伝わるようにしたいというように考えます。

菊田委員 時間が来たので質問を終わらせていただきますけれども、これは、東京医大と同様に不正入試をしていたにもかかわらず、不適合の烙印を押されるのは東京医大のみというのは、私は二重基準だというふうに思います。

 認証評価制度の信頼そのものが今疑われているということを指摘して、質問を終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。

 法案の前提というか、政府の姿勢そのものにかかわることを、私、十分時間をいただきましたので、前回に引き続いて質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 一人親家庭の大学進学率の上昇について、総理の施政方針演説の英語訳、内閣官房の広報室が英訳をしているわけですが、質問させていただきます。

 まず、先生方のお手元にも資料を配付させていただいておりますが、施政方針演説の「児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、ひとり親家庭の大学進学率は二四%から四二%に上昇し、」というふうに総理は演説をされたわけでありますが、この三つの事実、児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設、大学進学率の上昇、この三つの事実を時系列で並べると、一人親家庭の大学進学率調査、そして児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設という形で、時系列になっております。

 この日本語自体が、私、非常にわかりにくい、誤解を招きやすい表現であるというふうに思うんですけれども、この部分について、説明責任のある厚労省、わかりにくい表現だね、誤解を招きやすい表現だねということについては認識をしていらっしゃいますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 「児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、」という箇所でございますけれども、これは、前後の因果関係を示すものではなく、施政方針演説に事実誤認はないと認識をしておりますけれども、わかりにくい表現であるというふうな御指摘については承知をしているところでございまして、政府としても、今この場で御答弁申し上げていることも含めまして、引き続き丁寧な説明を心がけてまいりたいと考えております。

川内委員 厚労省は今、わかりにくい表現であるということを認識しているというふうに御答弁されました。

 英語訳を担当した内閣官房に質問します。

 英語訳では、アズという接続詞で、児童扶養手当の増額と給付型奨学金の創設を、アズ児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設、そして一人親家庭の大学進学率ということで、接続詞アズを文頭に用いた複文表現を使われていらっしゃいます。

 文部科学省は、せんだっての委員会で、これは多くの教科書に用いられている一般的な用例ですけれども、一般的にはこの用例は同時期に起こる出来事や因果関係をあらわす場合に用いられることが多い、アズAコンマBという場合に、BがAよりも先という用例は、教科書の記述からは直接的に確認ができないというふうに御答弁をされました。大体、アズA、Bという場合は、AがあってBがあるということだということであります。

 内閣官房にこの前聞いたら、今探しているということでしたけれども、正式に御回答いただきたいと思いますが、アズAコンマBという場合に、BがAよりも先だという用例は見つかりましたでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の用例につきましては、委員のお考えに十分沿ったものではないとの御批判はあるかと思いますけれども、例えば、アズ節と主節の前後関係を明確にせずに一般的な形で両節を結びつけているものといたしまして、ケンブリッジディクショナリー、オックスフォードディクショナリーといった英英辞典におきまして、アイ ワズ レイズド アズ ア カソリック イン ポーランド バット アズ アイ グルー オールダー アイ スターテッド ツー クエスチョン シングス、アズ シー グルー オールダー,シー ケプト モア ツー ハーセルフ、ヒー ゲッツ モア アトラクティブ アズ ヒー ゲッツ オールダーといった用例が挙げられてございます。

 また、大修館書店のジーニアス英和辞典第五版におきましては、アズ アイ エンタード ザ ルーム,アプローズ ブローク アウトという用例がございまして、実は、この辞書の注釈におきまして、まだ完全に部屋に入っていなくてもよいという説明が付されていることから、アズ節の、私が部屋に入るという動作よりも、主節の、拍手が起きたことが先に発生しているということが理解されるわけでございます。

 このように、アズ節において発生している出来事の時制と主節で説明されている出来事との時制や前後関係につきまして、さまざまな形で結びつけてアズを用いる例が存在をするわけでございます。

 施政方針演説の英訳の業務は、正文である日本語の内容を忠実に翻訳することでございます。今回は、この和文や当該箇所に用い得る英語表現を検討いたしまして、総合的に判断した上でアズを用いたものでございます。

 したがいまして、あくまでも演説の原文である「中で、」という表現を訳出する上で、シンスやビコーズを用いずに、一般的な形で二つの節を結びつける表現であるアズの用例が適当と考えてございます。

川内委員 今、内閣官房の広報担当の原さんが、でたらめな説明をしたわけですね。

 文部科学省は英語の教科書を検定するわけですが、子供たちに教えるアズという複文表現において、BがAよりも先という用例はないということを、文法として答弁されたわけですけれども、今、原さんは、あるんだと言い張ったわけですね。

 きのうのレクの段階では、ないと、きょう答弁するという約束をしていたんですよ。ない、それはありませんと答弁すると約束していたんです。それを、この場で、きのうのでたらめな説明を、それは違うでしょうと指摘をして、違います、やはりありませんと答弁しますと言っていたことを、またここで同じように時間をだらだら使って言いわけする。これが今の政府の姿勢なんですよ。

 柴山大臣、これは、文科省の教科書の検定で子供たちに教えていることと全く違うことを広報官がおっしゃる、広報室の方がおっしゃるというのは、これは私は政府としての見解が相違しているということですよ。

 これは事務方じゃどうにもならないんですよ。要するに、施政方針演説どおりに訳したんだと言っているわけですから。施政方針演説どおりに訳したらこんな英語になりましたと。厚労省も、わかりにくい表現でした、それは認識していると言っているわけです。では、それはどうするのということに関しては、きちんと政府として見解を統一してもらわないと、これはどうにもならないですよ。

 柴山大臣、大臣として、これはどういうふうに処理するのかということをきちんと、この前は大臣は部門で適切に対応すると思っているよとおっしゃったわけですが、できないわけですよ。自分たちででたらめな解釈をして、新しい文法をつくり出しているわけですよ。世界じゅう誰も使っていない、こんな説明を平気でこの場でするようになったら、もう政府はおしまいですよ。

 政務として、これはきちんとどうするのか、きょうどうするということは言えないでしょうから、次の私の質疑までに、どうするか、対応策をきちっと閣僚として考えて、対応策を答弁すると約束していただけますか。

柴山国務大臣 先ほど官房の方から、大修館書店のジーニアス英和辞典に書かれている注釈についても触れられたかと思います。

 いずれにいたしましても、内閣広報室の判断において適切に対応がとられるべきものというふうに考えております。

川内委員 それでは、内閣広報官長谷川榮一君の参考人としての出頭を求めます。これは、責任者は内閣広報官になりますから。その人が頑として変えないと言い張っているわけですね、ここでうそをつけと言っているわけです、多分、原さんに。

 自分は隠れていて、こんなでたらめな答弁をこの国会の場でさせるというのは許しがたいことですから、内閣広報官の長谷川榮一君の参考人としての出頭を委員長に取り計らいをいただいて、次に私が質疑に立つとき、長谷川君を呼んで、ここで長谷川君とやらせていただきたいというふうに思います。

 委員長、お願いします。

亀岡委員長 理事会で協議いたします。

川内委員 終わります。

亀岡委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 おはようございます。

 法案の質疑に入る前に、ちょっと新聞記事で見た内容について、若干、先に質問させていただきたいと思います。

 きのうの新聞なんですけれども、私大研究ブランディング事業について。

 これは、当初、最長五年間の継続支援をするという計画だったはずですけれども、それを途中で打ち切るということを決めたという。これは三月に決まったらしいんですけれども、きのうの新聞で初めて気がついて、大変驚いた次第でございます。

 これは簡単に打ち切れるような話なのかどうなのか、この制度そのものの趣旨を、まず簡単に説明していただきたいと思います。

柴山国務大臣 私立大学研究ブランディング事業は、私立大学の機能強化を促進するため、学長のリーダーシップのもと、大学がみずから行う特色ある研究を基軸として全学的な独自色を大きく打ち出す取組を行う私立大学に対しまして、私立大学等経常費補助金を一定額措置するものであります。

 なお、個々の研究に対する事業費として措置するものではありません。

牧委員 この法案に直接関係ないと私は申し上げましたけれども、私立大学の基盤強化という意味では、非常に関係の深いものだと思います。

 なぜ計画の途中で打ち切ったのか。先ほど東京医大の話も出ましたが、東京医大だけの話じゃなくて、この制度そのものを打ち切ってしまう理由についてお聞かせをいただきたいと思います。

柴山国務大臣 平成二十八年度及び平成二十九年度に私立大学研究ブランディング事業に選定された大学に対する支援については、平成三十一年度予算に盛り込んでおります。

 ただ、それとともに、教育、研究そのものの質の向上に対する支援を優先するという考え方のもとで、支援期間を平成三十一年度までとする見直しをさせていただきました。

牧委員 ちょっと今の大臣の答弁、解せないのは、教育の質の向上ですとか研究の向上そのものに資するという観点からこれを切ったという話です。

 では、そもそもこのブランディング事業というのは、研究の内容等の向上にはつながらないけれども、ただ単にブランドイメージを上げるためだけの、文字どおりのそういうものだったというふうに理解してよろしいんでしょうか。

柴山国務大臣 さっき紹介をさせていただいた私立大学等経常費補助金については、私立大学等の改革総合支援事業において、教育の質向上に向けた特色ある教授、学習方法の展開を通じた教育機能の強化への取組の支援など、平成三十一年度予算において対前年度比五億円増の三千百五十九億円を計上する一方で、先ほど紹介をさせていただいたブランディング事業について三十一年度までとする見直しをしたところであります。

牧委員 いつまでも言っていてもしようがないんですけれども、ただ、ここで打ち切るということで、大学等は大変困惑しているという報道がございます。

 ただ、今回のこの打切りに関しては、これは報道で知る限りですけれども、財務省から、ブランドイメージではなく教育、研究の質の向上に資する事業を優先すべきだとして予算減額を迫られたという報道があるんですけれども、財務省はそういう考えのもとで文部省にそういう要求をしたんでしょうか。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省といたしましては、納税者の理解を得るため、私学助成につきましても、使い道の透明性、質、そして納得感、こういったものを高めていくことが大変重要であると考えてございます。

 また、財政制度等審議会におきましても、昨年秋、私学助成につきまして、「大学に通常期待される内容や大学が本来取り組むべき内容を要件としているものを助成することのないよう、厳しく精査すべきである。」との建議もなされたところでございます。

 委員御指摘の私立大学研究ブランディング事業につきましては、具体的な使途を見たところ、専用ホームページの開設、フォーラムの開催、リーフレット作成やロゴ制作など、本来各大学の自助努力で実施すべき経費に充てられるなど、国として補助すべき必要性や優先度が必ずしも高くないものも多いこと、また、こうした点も含め、採択の適切性、こういったものにさまざまな厳しい御指摘があったことを重く受けとめまして、国民の信頼を確保していく必要があることなどから、その見直しにつきまして、文部科学省ともよく議論をさせていただいたものでございます。

 もとより、私立大学における質の高い研究を適切に支援していくことは、私ども財務省といたしましても極めて重要であると認識してございます。実際、三十一年度予算におきまして、先ほど柴山大臣もおっしゃいましたが、私立大学研究ブランディング事業は経常費助成を上乗せするものでございますけれども、この経常費助成について対前年度比五億円増の三千百五十九億円に増額するとともに、私立大学の研究者も対象となるいわゆる科研費、科学研究費助成事業につきまして、対前年度比八十六億円増の、近年にない大幅な増額を行い、若手研究者への重点配分も推進するなど、研究力の強化に努めている次第でございます。

牧委員 その財務省の意見を文科省としては全面的に受け入れたという理解でよろしいんでしょうか。

 そもそも、このブランディング事業の趣旨というのがあったはずです。そしてまた、このブランディング事業委員会も今回の決定については大変遺憾だというふうにおっしゃっておりますし、大学関係者等は、東京医大の不祥事について我々全体が連帯責任を負わされるのかというような声も出ております。

 そのことについて、大臣からのお考えをしっかりお聞かせいただきたいと思います。

柴山国務大臣 冒頭答弁をさせていただいたとおり、独自色を打ち出す私立大学に対する補助金の一定増額というのが今回問題となった私立大学研究ブランディング事業でありましたけれども、今財務当局から答弁があったとおり、教育、研究の質の向上に対する支援を優先するという考え方は私どもとしても共有をさせていただいているところであります。

 各法人においてしっかりと対応してほしいというように思っておりますけれども、我々文部科学省として、もちろん、雇用等についてしっかりと対応することを見守っていくのはもとより当然かというように考えます。さまざまな財源を活用して教育、研究を自律的に行っている各法人ではありますけれども、雇用のあり方を含め適切に対応していただくべきというように考えております。

 私どもといたしましても、本事業の支援期間の短縮に関する大学からの相談などには丁寧に対応するとともに、経常費補助金の安定的な確保を引き続き財務当局としっかりと協議をしていきたいと考えております。

牧委員 今の大臣の御答弁を聞いておりますと、後はもう各大学の対応に任せる、一言で言うとそういう話で、実際に雇用が奪われる方もたくさんいらっしゃるわけですし、私はもうちょっときちっとした配慮が必要だと思います。そのことをとりあえず申し上げさせていただきたいと思いますし、国のそういった支援計画がころころ短期で変わるというようなことになると、例えば就職か研究かということで悩んでいるような若手はそういう場からどんどんどんどん離れていくというふうに言わざるを得ないわけで、これは文科省がもっとしっかりしていただかないと。

 大臣、よろしいですか。ここにいる人たちはみんな、与野党を問わず文科省の応援団なんですから、財務省の言いなりにならずに、そこはしっかりと頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。この件については、きょうはそこまでにしておきたいと思います。

 法案について質問したいと思うんですけれども、修学支援の方から入らせていただきます。

 高等教育の無償化への第一歩だという発言がございましたけれども、これは、いわゆる国連人権規約における漸進的な無償化というものに向けての第一歩だともしおっしゃるんだとすれば、これは我が国の高等教育無償化のスタートそのものが、本当にいびつな形で、まさに暗い出生の秘密を抱えて生まれ出た制度みたいな、そんなように言わざるを得ない、そういうものだと私は思います。

 これまでいろいろ私も含めて何人かの方が質問されてきたことと、あるいは重複する話が多々あろうかと思います。重複せざるを得ない。きょう、この議論も終局だというお話ですけれども、また振出しに戻らざるを得ないほど、そもそものところに戻らざるを得ないほど、この法案の目的そのものが私にはよくわかりません。

 何度もお聞きしますけれども、まず、この修学支援の法律の目的は、端的に一言で何なんでしょうか。

柴山国務大臣 端的に本法案の目的を申しますと、真に支援が必要な低所得者世帯の方に対して、社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等における修学の支援を行い、その経済的負担を軽減することにより、子供を安心して産み育てることができる環境の整備を図り、もって我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与することであります。

牧委員 最初の前段の部分は、何か取ってつけた修飾語だと思うんですね。私が端的にお答えくださいと言ったのは、まさに大臣が最後におっしゃった部分、少子化対策だというふうに聞き取れます。

 これは、少子化対策ということであれば、この法律を通して、出生率というのは本当に上がるんでしょうか。進学率も八割という前提でいろいろな予算的な部分も計上されているようですけれども、まず、私、前に質問したときも申し上げたんですけれども、出生率と高等教育への進学率というのは、比例よりもむしろ反比例というか、これは、誤解を恐れず申し上げれば、例えば女性の進学率、高いところになればなるほど出生率は下がってきます。これは、だからどうしろという話じゃなくて、これはもう統計上の事実なんですね。そういうことを考えても、これは出生率と結びつけるというのは非常に、元来無理がある話だと思います。

 少子化対策というのも、少子化しているから子供を産めよふやせよというのが少子化対策なのか。あるいは、もう社会現象として少子化の流れを、とめられればいいんだけれども、今こういう現状なんだから、じゃ、この少ない子供たちをいかに大切に育てるのかというのも、ある意味少子化対策だと思います。

 その意味でいうと、大臣のおっしゃったのは前者の、産めよふやせよの少子化対策だというふうに聞き取れるんですけれども、では、果たしてこの法律が通れば出生率って上がるんでしょうか。何か根拠があるのであれば、それを例示していただければと思います。

柴山国務大臣 例えば、国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査、二〇一五年度によれば、予定子供数が理想子供数を下回る夫婦に対して、その理由を尋ねたところ、三十歳未満では七六・五%、三十歳から三十四歳では八一・一%が子育てや教育にお金がかかり過ぎるからということを挙げています。内閣府の結婚・家族形成に関する意識調査、平成二十六年度では、どのようなことがあればあなたはもっと子供が欲しいと思うと思いますかという質問に、複数回答でありますけれども、アンケートで確認をしたところ、将来の教育費に対する補助が六八・六%となっております。

 このようなデータから、子育てや教育にかかる費用が少子化の要因の一つと考えられ、低所得者世帯に対して、大学等における修学への経済的負担を軽減することは、経済的理由から進学を断念することなく、希望に応じて質の高い大学などに進学できるという見通しが立つことにつながることから、先ほど申し上げた少子化の進展への対処に資するというように考えた次第でございます。

 では、具体的に出生率はどれぐらい上昇すると見込んでいるかということについてでありますけれども、出生率にはさまざまな要因が複雑に影響していることから、個別の施策による出生率の変化を一概にお答えすることは困難であるというように考えております。

牧委員 時間がありませんので、先に進みます。

 修正案の趣旨について提案者にお聞きをしたいと思います。

 提出者は、高等教育修学支援と少子化対策、今大臣から説明ありましたけれども、多分次元の異なる別物と捉えているというふうに思います。改めて、そういった観点から、財源の確保に係る規定について修正を加えた理由についてお聞かせいただきたいと思います。

城井委員 お答え申し上げます。

 政府案では、修学支援の財源について、消費税の増額分を財源として活用することと定めておりますが、消費税の増額分は本来少子化対策に充てられるべきものであります。もし用いるならば、消費税の使い道に教育も加えるべきところであります。加えて、景気後退局面との分析も専門家から出ている状況もあり、消費増税が本当に行われるか確定的でないというのが今回の質疑でも明らかになったところであります。

 しかしながら、家計が苦しくなるときこそ修学支援は役割を発揮するものというふうに考えています。そこで、今回の修正では、「消費税の収入」に「等」の一文字を加えることといたしております。修学支援の財源については、消費増税の増額分以外の財源も活用することとしたところであります。

 これによりまして、これまで、例えば、国立大学運営費交付金等で授業料減免等の予算確保をしてきたことも踏まえることができるというふうに考えます。

牧委員 ありがとうございます。つまりは、高等教育無償化に向けて、更に対象範囲も今後広げていくという前提のお話だというふうに思います。

 続いて提出者にお聞きをしたいんですけれども、新たに運用上の配慮に係る規定を追加した理由について、まずお聞かせください。

城井委員 お答え申し上げます。

 現在、各大学が独自に行っている授業料減免の取組の中には、修学支援法が支援の対象としている、想定している世帯年収よりも高い年収について、五百万円か六百万円ぐらいが多いわけですが、授業料減免を行うといった取組も相当数ございます。中間層を想定してのことであります。

 本日の質疑でも明らかになりましたように、この法律の施行により、大学等における授業料減免が新制度に統一され、各大学における主体的な取組が後退あるいは縮減しないように政府に対して配慮を求めることとしたものであります。

 例えば、国立大学でも、運営費交付金の裏づけがあって初めて、これまで減免対象だった中間層を含めた授業料減免の着実な実施が図られるものというふうに考えます。

牧委員 今、修正案提出者からお話があったように、これまでの各大学独自の取組というのがあるわけで、ちょっと手元の資料を見ると、例えば収入が七百十四万円以下というような基準のところさえあるわけで、さまざまございます。三百万円台のところもあれば、四百万円台、五百万円台というところがあります。

 こういうところで今までそういった給付を受けていた人たちに対して、今回の新たな制度がどのように働くのか、この人たちのこれまでの既得権が失われるような話になってしまうのかどうなのかということについて、これは大変学校によってまちまちでありますから、今の提出者の答弁に対して、政府としてもきちっとこの辺の配慮について具体的な形をぜひお示しいただきたいと思うんですね。善処しますとかそういう話じゃなくて、どのように整理をしていくのか。減免、免除、あるいは寮費を無料にするとか、そういうところもありますし、いろいろな形があります。

 これは具体的な、各学校の自主性を生かしつつも、今回のこの立法がミニマムであるということを徹底すべく、何かガイドラインみたいな、そういったものというのは発出されるんでしょうか。

柴山国務大臣 現行の各大学等における授業料減免は、それぞれが定める認定基準に基づいて、まさに委員が御指摘のとおり、多様な形で行われておりましたけれども、新制度のもとでは、各大学における授業料減免への公的支援は、国公私を通じ、全国で統一的な基準によって、真に支援が必要な住民税非課税世帯及びこれに準ずる世帯の学生に対して重点的に行われることになるというように考えております。

 今後、新制度のもとで、各大学が授業料の減免の基準はどうするかということについて検討をしていただくことになりますけれども、現在授業料減免を受けている学生で新制度においては対象とならない学生なども理論的に生じ得るところでありまして、当該学生の学びの継続を支援する観点から、現に支援を受けている学生については、減免の事由や家計基準の実態や大学における減免基準の考え方などを見きわめつつ、何らかの配慮が必要かどうか、まさに今検討をさせていただいているところでございます。

牧委員 ぜひ綿密に検討していただいて、漏れのないようにお願いをいたしたいというふうに思います。

 次に、これまでの議論の中で、あくまでも政府案というのは低所得世帯向けという理解をさせていただいております。つまりは、社会権規約の高等教育の漸進的無償化の理念とは私は別物だという理解をさせていただいております。時間がないのでそこについてはあえて問いませんが、私の理解はそういう理解です。

 そこで、提出者の方が新たに検討条項を加えた意図、多分この辺に絡んでくる意図だと思うんですけれども、その意図についてお聞かせをください。

城井委員 お答え申し上げます。

 委員からもございましたように、政府案は、いわゆる低所得者世帯向けの施策だということであります。しかし、社会権規約の高等教育の漸進的無償化の理念に沿うならば、段階的に修学支援の対象となる学生を拡大し、将来的には全ての学生が修学支援の対象となることが望ましいと考えています。

 この間、質疑においても、大臣からは、中間層には貸与型奨学金で支援といった説明がございましたけれども、貸与型奨学金はあくまで本人責任の借金であり、無償化ではないというふうに考えます。

 そこで、将来的には、世帯の年収にかかわらず、全ての学生が修学支援制度の対象となることを目指して、政府は、大学等における修学の支援の対象とする学生等の範囲の段階的な拡大等について検討を加え、その結果に応じて所要の見直しを行う旨の規定を追加することとしたものであります。

牧委員 ありがとうございました。

 私立学校の情報公開についてちょっと伺いたいと思うんですけれども、今回の改正の条文の中に、寄附行為、財産目録、収支計算、事業報告、貸借対照表、役員名簿、監査報告、役員報酬等の支給基準を、在学生その他利害関係者から請求があった場合、「正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならない。」というふうになってありますけれども、ここで言う「正当な理由」というのは一体何なのか、ちょっと具体的に例示をしていただければありがたいと思います。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 この「正当な理由」ですけれども、例えば、休日や業務時間外の請求、また業務を遅滞させることを目的とする請求など、明らかに不法又は不当な目的である場合ですとか、また、公開すべきでない個人情報が含まれている場合、こういったものが想定されるということで現在も考えているところでございます。

牧委員 学校経営の透明性をしっかり担保していただけるような仕組みにしていただけるようにお願いをいたしたいと思います。

 時間がないので、最後に。

 同じく、学校法人のガバナンスに関して、提出者に伺いますけれども、学校法人の理事長の選定及び解職を理事会の権限とした理由についてお尋ねをいたします。

城井委員 お答え申し上げます。

 政府案では、学校法人の理事長の選定及び解職については、現行法のまま、寄附行為によるとしています。しかし、今回の私立学校法の改正が学校法人のガバナンスの改善を図るものであることに鑑みれば、理事長が不正を行った場合等に学校法人内で理事長の解職を進められるよう、法律上措置することが望ましいと考えます。

 そこで、今回の修正では、他の民間法人、社会福祉法人等のルールも鑑みながら、学校法人の理事長の選定及び解職を理事会の権限としたものであります。

牧委員 時間が来たので、終わります。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 まず、学校教育法等改正案にかかわって、四月三日に引き続き質問いたします。

 二〇一四年の学校教育法、国立大学法人法改正に伴って出された二〇一四年八月二十九日の施行通知では、「私立大学における学長、学部長その他の人事については、今回の法改正の対象ではなく、」としながら、ただし書きで、「学長の選考については、私立大学においても、建学の精神を踏まえ、求めるべき学長像を具体化し」等と、学長選考方法の再点検、見直しが指示されています。

 施行通知のこの内容に強制力はあるのですか。端的に、あるか、ないかでお答えください。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の施行通知上の記載につきましては、私立大学における学長選考について、学校法人みずからが学長選考方法を再点検し、学校法人の主体的な判断により見直していくことについて求めているものでございまして、指示というものではなくて、いわば指導ということでございます。

畑野委員 指示ではないと。

 このように現場に混乱をもたらすようなものは撤回すべきだと言っておきます。

 四月三日の私の質問に、学長選考の方法も含めて理事会が任命権者として責任を持って決定すべきとの答弁がありました。私立大学の学長選考に関し、その選考方法も含めて、決定権限が理事会にあることを明文で規定した法律はあるのですか。あるかないかだけ、端的にお答えください。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような、私立大学の学長選考の方法について具体に定めた法律の規定はございません。

畑野委員 法律規定はないということでした。ないのですから、前回の御答弁は認められないというふうに、重ねて指摘をしておきます。

 四月三日の質問で、学長選挙を廃止したり、教授会の審議を年四回、一回一時間に制約するなど、この施行通知を根拠に理事会や理事長の権限を強化する大学の例を紹介いたしました。

 こうした現状があるもとで、私立学校法二十四条の規定が理事会や理事長の権限を法的に担保し、専断的な大学運営が拡大するのではないかという危惧の声が出されているんです。二十四条は、理事会や理事長の権限を強化するという趣旨なんですか。

柴山国務大臣 私立学校法改正案第二十四条の規定は、今回の法案における私立学校のガバナンス強化方策の全体の趣旨、内容を踏まえて学校法人の責務を規定するものでありまして、理事会や理事長の権限を強化する趣旨のものではなく、理事長と学長との権限関係に変更を加えるものでもありません。各学校法人においては、理事会を中心とする法人側と学長を中心とする大学側とが、法律に基づく相互の役割分担を理解し、協力し合いながら学校運営を行っていくことが重要であると考えております。

畑野委員 続いて、私立学校法四十五条の二で法人が策定を義務づけられている中期的な計画は、認証評価の結果を踏まえて作成しなければならないとされています。

 認証評価の結果が具体的にどのように活用されることになるのですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の条文に基づきまして、今回の法案では、中期的な視座に立った安定的な経営が行えるように、中期的な計画作成を義務づけることとしているところでございます。

 御指摘の中期的な計画作成に当たっては、客観的、第三者的な視点から実施される認証評価の結果を踏まえるということにしておりまして、具体的には、認証評価において、例えば、改善を指摘された教学、人事、施設、財務等の事項がある場合には、それらの改善事項を踏まえて、中期的な計画を作成することが必要になってくる、このように考えているところでございます。

畑野委員 しかし、認証評価は、今回の学校教育法改正で適合認定が義務づけられて、不適合となった大学には文部科学大臣が報告や資料提出を求めるなど、大臣が関与を認める仕組みが盛り込まれているわけですよね。認証評価を通じて、私立大学法人の中期的な計画にも大臣が関与できるということになる。私は、これは問題だと思います。認証評価はあくまでも大学の自主的、自律的な制度であるべきものだからです。

 そのことをちょっと指摘して、時間がございませんので、次に、修学支援法案にかかわって伺います。

 三月二十二日の当委員会で、国立大学と私立大学の初年度の入学金と授業料を比較して、学費負担が家計に重くのしかかっていることを示しました。

 私立大学には、初年度納付金として、入学金、授業料のほかに施設整備費があります。これを合わせた金額で計算をいたしますと、世帯所得の平均が六百六十四・二万円のピーク時の一九九四年では、私立大学の平均で入学金二十八万八百九十二円、授業料七十万八千八百四十七円、施設整備費十八万三千七百二十五円の合計百十七万三千四百六十四円で、世帯収入に占める割合は一七・七%になるんです。

 これが二〇一五年、これは比べられる数字ですが、世帯収入が五百四十五・七万円で百十八・八万円減少しているにもかかわらず、私立大学入学金二十五万六千六十九円、授業料八十六万八千四百四十七円、施設整備費十八万四千四百四十六円の合計で百三十万八千九百六十二円で、十三万五千四百九十八円も上がっているんです。家計に占める割合は二四%にもなります。

 さらに、直近の数字でいうと、二〇一七年度の私立大学入学金二十五万二千三十円、授業料九十万九十三円、施設整備費十八万千二百九十四円の合計百三十三万三千四百十八円と、更に上がっているわけです、平均額でもですね。

 それで、きょう資料におつけしましたけれども、東京私大教連が先日調査結果を発表いたしました。首都圏の私立大学の学生への仕送りが月八万三千百円で、過去最低になったということです。仕送りから家賃を差し引くと、一日の生活費が平均六百七十七円だと。とても生活できない。入学費用の借入金は百九十九万円で過去最高。九割以上の家庭が入学費用の負担を重いと感じている、九割以上の学生が重いと言っているということです。

 ここで伺いますが、文科省の高等教育段階における負担軽減方策に関する専門家会議の報告では、「今回の支援措置の対象となる学生等に対して、大学等がやむを得ない理由がなく授業料・入学金等の値上げを行うことは不適当であり、今回の支援措置の趣旨に反すると認められる値上げがなされる場合には、必要に応じて指導・公表を行うなどの措置を講じる。」としています。

 「今回の支援措置の趣旨に反すると認められる値上げ」とは、どのような値上げなのですか。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の支援措置は、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなどを踏まえ、真に支援が必要と考えられる低所得世帯に限って実施するものでございます。このような趣旨を踏まえ、例えば、支援対象となる世帯のみの学費の値上げなどは、今回の支援措置の趣旨に反すると認められる値上げになると考えております。

 いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、合理的な範囲を超えて、教育の質の向上を伴わないなどの学費の値上げが行われることのないよう、今回の支援措置の趣旨の周知に努めてまいりたいと考えております。

畑野委員 消費税増税を理由にした学費の値上げは、今回の支援措置の趣旨に反すると認められる値上げに当たるのですか、当たらないのですか。

伯井政府参考人 大学等の授業料、入学金等の学費に対する消費税は非課税となっておりますが、学校法人が経費を支出するに際しては、人件費等を除き、消費税を支払う必要がございます。

 このため、消費税増税を理由とした学費の値上げにつきましては、実際の支出増を反映し、当該値上げが合理的な範囲にとどまる場合には、今回の支援措置の趣旨に反すると認められる値上げには該当しないというふうに考えております。

畑野委員 実際、消費税増税を理由に、私立大学の値上げもこの四月一日から始まっているんですよ。増税はまだ決まっていませんけれどもね。

 しかも、確認大学になるためには厳格な成績管理が求められて、それに対応した経費負担の増加や新たな人員配置の必要性など経費の増加が見込まれている、こういう話も聞いているんです。つまり、消費税増税を財源とする修学支援制度が学費値上げを誘発するということになりかねないじゃありませんか。

 さらに、国立大学協会では、消費税補填不足による附属病院の経営への深刻な影響を指摘しています。四年間で七百四十八億円の補填不足をみずから負担してきたけれども、税率一〇%ではさらに年間百億円を超える負担増になる、こういうことです。

 東海地方のある大学ではこう言っています。二〇一九年十月に予定されている消費税率の改定は直接的な財政負担を本学に及ぼすことになるとして、安定的な財源確保のため四月一日から六万円学費を引き上げたというふうに伺っております。高等教育の無償化と政府はおっしゃいながら、消費税増税で学費が上がることは仕方ないというのならば、これほど無償化に矛盾することはありません。

 実際、支援対象になる学生も、私学の場合は全額出ませんよ。国立大学との平均をとって出るわけです。負担はあるわけです、もともと。全額無償化じゃないですよ。全額支援じゃないですよ。

 柴山大臣に伺いますけれども、消費税増税で学費が値上げされることについてどのようにお考えになりますか。

柴山国務大臣 先ほど高等教育局長からも話をさせていただいたとおり、大学の学費は各大学がそれぞれの教育・研究環境を勘案しながら適切に定めるべきものと認識をしております。

 消費増税を理由とした学費の値上げについては、まさしく合理的な範囲を超えたものとならないように、各大学において説明責任を果たしていただくことが重要であると考えております。

畑野委員 つまり、消費税増税で学費が値上がることはやむを得ない、便乗値上げみたいなそんなのはだめだけれども。そういうことでしょう。そうですよね。

柴山国務大臣 必ずしも、便乗値上げということについて以外の、消費税の値上げの場合に、各大学の授業料等の値上げを全面的に禁止をしておりませんけれども、ただ、一点申し上げたいのは、本年十月より消費税率が引き上げられる予定ですけれども、平成三十一年度予算においては、国立大学の授業料の標準額の引上げの対応は行っていないところです。

畑野委員 高等教育の無償化を消費税で賄おうとするからこういうことになるんです。

 我が党は、大企業の法人税を中小企業並み一八%に引き上げれば四兆円、富裕層に応分の負担をしてもらえば三兆円、合わせて七兆円の財源が生まれる、消費税一〇%への増税の二%分の税収五兆円規模を上回る税収が確保できる、消費税増税とは別の道を進もうと呼びかけております。

 教育に係る経費の財源は消費税に頼らない、こうした方向で確保するべきだということを申し上げ、そしてまだまだ議論したいんです、国立国会図書館が「諸外国の大学授業料と奨学金」第二版というのをつくったんです、世界の状況をよく見て、こんなやり方はやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

亀岡委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳であります。十五分間よろしくお願いいたします。

 先ほど牧代議士が言われた私大支援事業、ブランディングの関係の、研究ブランディング事業、三年前から始めて、五年間支援するということの変更というのが、私も報道があって存じ上げているわけです。牧代議士の指摘どおり、政策がしょっちゅう変わるというのはやはり好ましくないということですので、この点はやはり問題があるという点と、逆に、私は文科省の味方でもありますが、財務省の味方でもあるつもりでございますので、神田主計局次長が言われた研究力の強化とかあるいは質の向上という点については、私どもは意を用いるべきではないかということで、金額的には八十六億増ということで言われていましたので、そういった意味で、質という点に私は着眼点を強めるべきであるというふうに申し上げさせていただきます。

 また、いつも枕が長くて申しわけないんですけれども、きょうは、法案についての質問も当然させていただくんですけれども、ちょっと英才教育の絡みを少しだけ触れさせていただきたいと思います。

 御案内の方もいらっしゃると思いますけれども、フランスを例にとりたいと思うんです。

 独自の教育機関で、理念としては、社会発展に直接寄与する高等専門職業人の養成ということで、マクロン現大統領ほか歴代の大統領、これはドゴール大統領とサルコジ大統領を除いてほとんどの方が高等教育を受けて大統領に着任されているということで、また、例としてはよくないことになるのかもしれませんが、裁判はこれからということだと思いますが、ゴーンさんも、ゴーン氏と言った方がいいかもしれない、ゴーン氏もこちらを出ているというのは、高等教育がフランスでは展開されているということなんです。

 大臣にちょっとだけ聞いておいていただきたいんですけれども。

 どんな形で子供たちがその高等教育に入っていくかということで、修業年限は大体、平均的には三年ということのようなんです。日本は四十七都道府県ですけれども、フランスはおよそ九十の県があって、それで、その各県の中で近隣三県ぐらいが一つのくくりとしてまとめられて、五十人ぐらいがこの人は非常に優秀であるということで絞られる。そして、その五十人ぐらいが寄宿生活をして、二年間みっちり勉強をする。科目は数学、歴史、哲学、英語、ラテン語、あと、口頭試問で最終的に決まるということなので、口頭試問対策というようなこと。五十人のうち、最終的に受験を認められるのが五人程度ということ、そして、合格するのは最後は三人というようなところです。

 規模は、五十名を切るような学部というか学校もあるようですけれども、少数精鋭の、マス教育ではないような形で英才教育をしているということで、具体名でいくと、国立グランゼコールと言われ、今申し上げた大統領ほか出ておられるのが、行政学の、ENAと言われる国立行政大学院。日本の形と匹敵するかどうかは、違うと思うんですけれども、日本の博士後期課程的なところである。科学技術では、エコール・ポリテクニク。教育学というか、高等専門学校というような、師範学校というのがエコール・ノルマル・シューペリウールというようなものとか、国立土木学校なんというのもあるそうでございます。

 こういった、私どもも本当に、先ほども議論がありましたけれども、人口減少の中で我が国がいかに生き残っていくか、あるいは衰退をできるだけ遅くするか、維持、あるいは最後は上向きにしたいですけれども、そういう変化をつけていくためには、この英才教育といった点にも意を用いていただく必要があると思います。

 それでは、法案の質問ですけれども、高等教育の方について幾つか質問させていただきます。

 改めて問合せをさせていただきたいですが、最終的なゴールは、国の話ばかり、他国の話をして恐縮ですが、スウェーデンのような、やはり大学は無償だというようなのが三十年以上前から私は認知させていただいていますけれども、高等教育の完全無償化を目指すのかどうかという、この辺の御意向を大臣に伺わせていただければと思います。

柴山国務大臣 高等教育の無償化でありますけれども、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなどを踏まえて、真に支援が必要と考えられる低所得者世帯に限って実施をしております。

 文部科学省においては、これまでも、希望者全員に対する貸与の実現など、無利子奨学金の充実を進めてきたところでありますし、また、経済的理由から奨学金の返還が困難となった方には、返還の期限を猶予したり、将来の収入に応じて返還できる制度を導入したりするなど、きめ細かな救済措置を講じて、高等教育への進学の支援の充実を図ってきたところであります。

 これらの施策を始めとする教育費の負担軽減策を着実に実施することによって、家庭の経済事情にかかわらず安心して学べる環境の整備に努めてまいりたいと考えておりますし、これ以上給付型の対象を拡大するということにつきましては、低所得者世帯以外は、今紹介をさせていただいた貸与型奨学金の拡充によって進学機会が開かれていること、高校卒業後の進路が多様であり、進学せずに働く者との公平性に留意する必要があることなども十分に踏まえて、慎重に議論する必要があると考えております。

杉本委員 踏み込んだ御発言はなかったという理解なんですけれども、働く方々とかはいらっしゃいますし、全てが全て大学に行きたい人が行っていいかどうかという問題も私も感じておりますけれども、やはり大学に行って勉強される方は、本当にこの国のために、最終的に日本国のためにいろいろな形で働いていただくということを理想としたいと思いますので、ぜひ、私ども維新としては、高等教育の完全無償化を目指して引き続き提案をさせていただきたいと思っております。

 それで、この間も申し上げたかもしれませんが、我が国がしっかり再浮上していくためには、人口減少に対応する部分での、生産年齢人口の方々を中心に、生産性の向上をさせていく必要があるというふうに考えております。

 さきも取り上げましたリカレント教育、これは大学、大学院等についてお伺いしたいんです。

 現政権は、閣議決定等で、人づくり革命を進めるための方策ということで、アクセス機会の確保と大学改革を一体的に進めることを位置づけるというような方向感でいるとは存じ上げていますけれども、改めて、生産性の向上という観点から、いかに今回の法案の意義があるかを大臣にお伺いできればと思っております。

柴山国務大臣 人生百年時代の到来、また、技術革新の進展ということを背景に、職業に必要な知識やスキルを生涯を通じて身につけ、キャリアアップ、キャリアチェンジにつながる社会を構築することが重要であります。

 そのため、今、人づくり革命についてもお触れをいただきましたけれども、昨年六月に取りまとめられました人づくり革命基本構想において、「より長いスパンで個々人の人生の再設計が可能となる社会を実現するため、何歳になっても学び直し、職場復帰、転職が可能となるリカレント教育を抜本的に拡充する。」、「リカレント教育は、人づくり革命のみならず、生産性革命を推進するうえでも、鍵となるものである。」という指摘がなされているところであります。

 私としても、ことし二月に取りまとめさせていただきました高等教育・研究改革イニシアティブ、柴山イニシアティブと呼ばせていただいておりますが、重要課題の一つとしてこのリカレント教育を位置づけさせていただいたところでありまして、関係省庁と連携してこのリカレント教育を推進することによって、職業能力を向上させ、我が国の生産性を高めていきたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 本当に、生産性の向上というのが、人口が減っていくという中で極めて重要ということで思いますので、ちょっと私はそこに、先日も申し上げたかもしれませんが、力点を置きたいと思っています。

 先日は、厚生労働行政に当たるかもしれませんが、最低賃金を引き上げるというケースでイギリスがかなり成功したということがありましたので、ちょっと申し上げさせていただいたかと思います。そのイギリスですけれども、次は財源論をちょっと確認させていただきたいというか、御提案というかなんですけれども。

 今次無償化等は消費税引上げによる財源ということで、かくかくしかじか、いろいろ議論がありますけれども、申し上げたイギリスでは、デンマーク的な生産性向上を目指して、デンマークを研究し、二〇一七年から、税金の一つの仕組みとして、職業実習賦課金制度という仕組みを始めたようでございます。

 これは労働政策というよりも、生産性を上げるための経済政策の一環として、いわゆる働いている方々の社員教育の仕組みですけれども、ちょっと高等教育とはまた一つ違うかもしれませんが、そして、その財源は、一種の税財源として、年間人件費が三百万ポンド以上の企業に対してこの賦課金を求める。具体的金額は、社員の再教育、トレーニングのために、年間人件費の〇・五%から一・五万ポンドを差し引いた額を徴収している。この納付金は、二年以内に人材トレーニング、教育を実施するとそのコスト分だけ払戻しが受けられ、かつ、一割分を付加して国が返す、御褒美をつけて返すという仕組みになっているということで、広い意味でのリカレント教育だと私は認識していますけれども、人材教育を強化して生産性を上げようとしているというのが、イギリスの税を絡めた制度でございます。

 こういった観点から、将来的には、消費税を財源とするということにかかわらず、生産性の恩恵を受ける企業や産業界などからも、大企業はけしからぬとかそういう意味で私は申し上げているのではなくて、相応の負担をしてもらうことも視野に入れる必要があるというふうに感じますけれども。

 こういったような海外事象を参考に、生産性向上のための広い意味でのリカレント教育、社員の再教育、この財源の確保について、いかなる御見解か。何か産学連携プログラム等を実施しているやに聞いていますけれども、このような言い方をするとあれなんですけれども、企業内研修は経産省、職業訓練は厚労省というようなくくりでくくってしまうと、生産性といったものがどうしても省庁縦割りになってしまうと思いますので、やはりここは、中心は文科省さんの、今次法案もありますけれども、担っていただく必要が私はあるのではないかと思っています。

 この産学連携のプログラムのようなものがあると伺っていますが、この点を含めて確認させていただければと思います。

柴山国務大臣 社会人が働きながら新たに必要となる知識やスキルを身につけ、不断に能力を向上させていくということは極めて重要であります。

 今御指摘の省庁縦割りを排除するということは極めて重要でもありますし、文部科学省、私どもといたしましても、産学がともに人材育成に主体的に参画する環境を整備するために、ぜひ貢献をしていきたいと考えております。

 例えば、大学、専修学校における産学連携による実践的なリカレントプログラムの開発促進や、社会人向け短期プログラムに対する大臣認定の促進などに努めさせていただいているところであります。

 なお、財源について御指摘をいただきました。生産性向上のための社員教育とその財源の確保について、我が国では、雇用保険制度において、労働者の能力の開発及び向上等を促進する取組も行われているというように承知をしております。

 いずれにいたしましても、繰り返すとおり、厚労省等の関係省庁や産業界と連携して、我が国のリカレント教育を総合的に推進していきたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 最後の質問というか、ちょっと重複質問になるかもしれないんですけれども、終身雇用というのは崩れつつあるという認識を私は持っておりまして、そういった意味では、本当に会社が存続しなくなってしまうというケースも出てくるでしょうし、ある意味で、いわゆるキャリアアップという意味での、職業をかわる、分野をかわるということは今後は大いにあり得ると思っていますので。

 改めて、先ほどの、冒頭申し上げた研究ブランディング事業の見直し等でも質という意味をおっしゃっていましたので、リカレント教育の質の向上といった点で、現在の大学等の教育の質という点を含めて、この質の向上といった点で御所見を伺えればと思います。

柴山国務大臣 まさしく、先ほど柴山プランについても言及をさせていただいたとおり、そのための大学改革だというように考えております。

 昨年十一月に中教審において取りまとめられた二〇四〇年に向けた高等教育のグランドデザインの答申において、今後、高等教育機関は、十八歳で入学する日本人を主な対象として想定するという従来のモデルから脱却して、社会人や留学生を積極的に受け入れる体質転換を進める必要があるという指摘がなされております。

 我々文部科学省としては、関係省庁と連携し、社会人の多様な学習形態に対応した学び直しができるよう、先ほど紹介をさせていただいた産学連携による専門的、実践的なプログラムの開発や、実務家教員養成システムの構築、短期間やオンラインなどの受講しやすい環境の整備、企業等における学習成果の適正な評価の促進などに取り組んで、質の向上にも貢献していきたいと考えております。

杉本委員 今次法案は、一歩前進というか前進、あるいはルビコン川を越えると私は言いたいと思いますけれども、という法案かと認識させていただいております。引き続き、完全無償化に向けて私ども努力しますので、また提案させていただきます。

 以上で終わります。

亀岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 先般の委員会で、二〇一四年の学教法、国立大学法人法の改正後に出された施行通知の問題を最後に扱いましたが、それに関連して何点か、まず確認をさせてください。

 答弁では、柴山大臣それから私学部長も、この施行通知は学校法人の理事長と設置される大学の学長の権限関係に変更を加えるものではないことは明示されているとしています。変更を加えるものではないと言いますが、そもそも、私立大学の理事長と学長の関係について規定した条文などは、学校教育法それから私立学校法どちらにも存在しておりません。私立大学の理事長の権限と学長の権限について、ごく簡単に説明してください。

柴山国務大臣 私立学校法においては、理事長を含む理事により構成される理事会は、学校法人の業務を決し理事の職務の執行を監督することとされており、理事長は学校法人を代表しその業務を総理することとされております。また、学長については、学校教育法において、校務をつかさどり職員を統督するとされております。

 これらの規定に基づいて、学校法人の意思決定機関は理事会である一方、学長は教育・研究活動全般について責任を負うということが読み取れるかと思います。

吉川(元)委員 私立学校法は、まさに大臣が非常に強調されていた学校法人の運営について定めたものであり、その学校法人を代表し業務を総理するのがまさに理事会、理事長と。一方、学術の中心としての大学の運営、自治のあり方は、これは国立、私立を問わず学校教育法に定められ、校務をつかさどるのが学長であると。したがって、その設置者である学校法人は私立学校法によって設立されるが、設立された私立大学は学校教育法に沿って運営される。平たく言うと、経営は学校法人、そして教務、校務は大学、そういう関係なんだろうというふうに思います。

 また一方で、私立学校法の三十八条、学長、校長を理事にすると定めておりますけれども、これは、やはり学校の意思を尊重して経営に当たるという意味だと考えるのが私は自然な解釈なんだろうというふうに思います。

 それで、もう一点、関連をいたしまして、学校法人の業務を決し、理事の職務の執行を監督するのが理事会で、その学校法人を代表するのが理事長、これが私立学校法の規定であります。一方、校務をつかさどり総督するのは学長、これは学校教育法の規定です。私立学校においても、今言ったとおり、学校法人の運営と学校校務の運営においては別建ての法律で、権限も分離をしている。

 ところが、この点、先般の委員会で、私も聞き漏らしたんですけれども、私学部長が答弁で、学校の意思決定機関は理事会というふうな答弁がされました。恐らく言い間違いだというふうに私自身は思うんですが、やはりこれは正確には、学校法人の意思決定機関は理事会ではないかというふうに思います。その点、訂正をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 前回の文部科学委員会におきまして、理事会と学長の権限関係についてお尋ねがあった際に、学校法人の意思決定機関は理事会であると答弁をすべきところ、速記録には学校の意思決定機関は理事会であるとの答弁が記載されているところでございます。

 学校法人の意思決定機関は理事会であるということを意図して発言したものでございますので、おわびして訂正させていただきます。申しわけございませんでした。

吉川(元)委員 ありがとうございます。

 非常に重要なところで、まさに最初に大臣が学校法人と力を込めて答弁されていたのが非常に印象に残ったんですけれども、そこは違うんだということはしっかり押さえていただきたいというふうに思います。

 関連して聞きます。

 私立学校法に新設される二十四条について、学校法人すなわち理事会が教育の質の向上にまで責任を負うことになると、理事会を大学の上位に置くことにならないかと質問したところ、私学部長は、理事会を中心とする法人側と学長を中心とする大学側とが、本法律に基づく相互の役割分担を理解して学校運営に当たると答弁をいたしました。

 先ほど、大臣かどちらか忘れましたけれども、同じようなことを答弁されていたと思いますけれども、今回の法改正で役割分担を規定する条文などは見当たらないように思います。本法律に基づく相互の役割分担というのは一体何なんですかということが一つ。

 それから、教育の質について、法人側が責任を負うべきは財務やあるいは教育施設の充実などであって、教育課程の編成など校務にかかわる部分は大学側である、そういう理解でいいのかどうか、確認をいたします。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、法律に基づきます理事会と学長の役割分担についてでございます。

 まず、理事会については、私立学校法の規定に基づきまして、理事会が学校法人の意思決定機関であるということとされております。また、学長については、学校教育法の規定に基づきまして、大学における教学面の事項について学長が職務権限を有するということにされております。

 具体的に申し上げますと、例えば学校教育法において学長が決定することとされている学生の入学、卒業や学位の授与、こういったことについては教学面の事項であるというふうに考えられます。一方で、キャンパスの整備ですとか学校運営にかかわる基本方針など、学校法人全体の経営にかかわる事項については理事会において決定すべき事項である、このように考えており、いずれにしましても、理事会が大学において行われる教育、研究の個別の内容について決定することができる権限関係とはなっていない、このように考えております。

吉川(元)委員 指摘してきたように、私立大学制度は国立大学と異なり、学校法人と大学という二つの組織から、それぞれ別の法律に沿って運営をされております。ですから、施行通知が言う、理事会が最終的な意思決定機関というのは、あくまで学校法人の運営という側面に限ったものだと理解するのは自然だろうというふうに思います。

 そこで、関連してお聞きしますけれども、学教法そして私立学校法、そういう側面から見た場合に、私立大学の場合、政府などの権力だけでなくて、大学を経営する学校法人からも、学問の自由、大学の自治というのは保障されるべきものだと考えますが、どのように解釈をしておりますか。

柴山国務大臣 今まさに委員が整理をしてくださったように、学校法人の意思決定機関が理事会、そして、学長は、大学の全ての校務について包括的な責任者としての権限を有するとともに、大学運営について最終的な責任を負うものとされております。

 今回の私立学校法の改正案によって、役員の職務及び責任の明確化、そして監事の牽制機能の強化を図ることとしておりますけれども、これは理事会と学長の間の権限関係に変更を加えるものではありません。このため、今回の改正案によって、理事会が大学において行われる教育、研究の個別の内容について決定できるようにするものではありません。

 いずれにしても、理事会を中心とする法人側と学長を中心とする大学側が、法律に基づく相互の役割分担を、先ほど私学部長がお話をしたとおり、双方が理解し協力し合いながら学校運営を行っていくということが重要であると考えております。

吉川(元)委員 そうやって答弁をいただくんですけれども、正直言って、本当にその後の施行通知を含めて大丈夫かというふうな疑念を私は実は持ち続けております。

 学術の中心としての大学、その校務をつかさどるのが学長であると、学校教育法九十三条の三は規定しております。したがって、私立大学の場合、まさに大学の教務や自治には理事長以下理事会が介入することはない、もちろん設置者としての義務はありますけれども、そういう余地はないんだというふうに思います。

 ところが、施行通知では、理事長が私立大学の最終意思決定論者であると位置づけ、そして、二〇一四年の法改正とは全く関係のない私立大学の学長選挙のあり方にまで言及をしております。これは文科省、すなわち国による私立大学の自治に対する私は介入なんだというふうに言わざるを得ません。

 理事長、理事会の権限強化を意図的にミスリードするようなこの施行通知の結果、他の、畑野委員ももう既に指摘をしておりましたけれども、幾つかの大学、例えば東洋大学あるいは工学院大学あるいは名古屋芸術大学、こういったところで、この法改正とその後に出された施行通知を理由にしながら、一方的に学長選挙を廃止して理事会が選任できるようにする、こうした変更が行われております。

 この間、私も何度か言ってまいりましたけれども、理事長トップダウンのガバナンスは、この間の私立大学のさまざまな不祥事の大きな原因の一つでありまして、施行通知の裏づけをするがごとく、今回の法改正で、学校法人、すなわち理事会に教育の質の向上や中期計画の作成を求め、理事会の権限を更に高めようとしているのであれば、これは大学のガバナンスの側面からも私は誤りだというふうに言わざるを得ません。

 そこで、二〇一四年に出された施行通知、そういう意図はなかったと言うかもわかりませんけれども、結果的にはミスリードして、先ほど言ったような、理事会が一方的に学長選挙を廃止するだとか、そうしたことが現実に行われてきたわけです。それについては、きちんと私は正さなければいけない、施行通知を取り下げて、あるいは訂正をすべきだというふうに考えますが、この点いかがですか。

柴山国務大臣 前回も申し上げたとおり、この法改正後に発出された施行通知は、法律改正の趣旨、内容及び留意事項について、これに関連する国会における質疑も踏まえて、行政府の責任で作成、発出するものであります。

 二十六年の学教法の改正に係る施行通知は、この平成二十六年の中教審大学分科会の審議まとめにおける御提言、それから法案審議の過程における、私立大学の学長の資質や選考方法についても公明性、公平性、透明性が求められるものであって最低限規定するべきだという国会議員の御指摘を踏まえて、その周知方策について大学関係者を含む有識者会議において御議論をいただき、適切に策定、周知されたものであるというふうに考えております。

 今般の法改正に係る施行通知に関しても、法律の趣旨、内容及び留意事項、さらには国会における審議の内容も踏まえて、行政府の責任で適切に対応していきたいというように考えておりますし、この二十六年の通知が、おっしゃったようなことに直接つながるものということは私どもとしては考えておりません。

吉川(元)委員 いやいや、直接つながっているんですよ。まさにこの施行通知に基づいて、今、先ほど例を挙げましたけれども、学長選挙を廃止するだとか、そうしたことが行われているんです。

 それは文科省が意図していないことという理解でいいですか。

伯井政府参考人 先ほども答弁いたしましたが、御指摘の施行通知上の記載でございますが、これは私立大学における学長選考について、学校法人みずからが学長選考法を再点検し学校法人の主体的判断により見直していくことについて、指導という形で求めているものでございます。

吉川(元)委員 いや、法改正していないでしょう、それは全然。私立学校法だとかそういうものについて何も変えていないじゃないですか。何でそれが施行通知に入ってくるんですか。

 それで、私、このやり方もおかしいと思うんですよ。法律の改正成立後に有識者会議を開いて、そこで施行通知について検討する、じゃ、この場は一体何なんですかという話にもなるわけです。

 そして、その有識者会議の議事録を見せていただきました。大変大部なものですから、全部きちんと理解しているわけではありませんけれども、その中で、ある委員が、この施行通知の原案的なものが文科省から示されたときにこういうふうに言っているんですね、この法律改正と余り関係のないようなこともたくさん書いてありますと。こういうふうに民間の委員からも指摘をされるような施行通知、これだと、国会軽視、国会の審議、ここで何のために議論しているのかということが全くわからなくなってきてしまいます。

 先ほど、二〇一四年の施行通知について撤回する意思がないようでありますので、だとするならば、今後、恐らく、今回の法改正に基づいて施行通知が出されると思います、その際に、我々が議論したこと、あるいは意図せざることが、このように委員が指摘するように、関係のないようなことをたくさん書いているということがあってはならないわけでありますから、施行通知を発出する前に国会に提出をしてください。いかがですか。

伯井政府参考人 先ほど大臣も御答弁されましたが、法改正後に発出される施行通知は、法律改正の趣旨、内容、留意事項について、国会におけるこれに関連する質疑も踏まえ、行政府の責任で作成、発出するものでございますので、行政府の責任で作成させていただきたいと考えております。

吉川(元)委員 ですから、それが、国会審議と関係のないものも含めて、じゃ、我々が今質問していることを全て盛り込むんですか。では、全部盛り込むということでいいんですね。

柴山国務大臣 我々といたしましては、施行通知は、法律改正の趣旨、内容及び留意事項について、国会におけるこれに関する質疑も踏まえ、今委員が御発言されたことも踏まえて、行政府の責任で作成、発出するというように受けとめていただきたいと思います。

吉川(元)委員 もう時間が来たので終わりますけれども、正直言って、法律をつくった後に、ごそごそごそごそ自分たちのやりたいことを施行通知に盛り込むというやり方は余りにこそくですし、立法府を軽視していると言わざるを得ないというふうに思います。そのことを指摘して、質問を終わります。

亀岡委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 未来日本の笠でございます。

 この法案については最後の質問というふうになりますので、幾つか、最後、改めて確認をまずさせていただきたいと思います。

 きょうもございましたけれども、今回の、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対する支援措置、これはあくまで、これが終わりではなくて、高等学校の無償化へ向けた第一歩であるという位置づけでよろしゅうございますか。

柴山国務大臣 何度か答弁をさせていただいているとおり、今回の法律改正は、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低いという状況にあることなどを踏まえて、真に支援が必要と考えられる低所得世帯に限って実施をするものでありますけれども、今後、更に負担軽減を進めるべきかどうかについては、低所得世帯以外は、貸与型奨学金の拡充により進学機会が開かれていること、高校卒業後の進路が多様であり、進学せずに働く者との公平性に留意する必要があることなども十分に踏まえて、慎重に検討していきたいと考えております。

笠委員 大臣、慎重に検討したいとか慎重に議論していくとか、今も、真に支援が必要な低所得者以外はというところを常に強調されてきているんだけれども、先ほど畑野委員の質問でもあったように、例えば、首都圏私立大学に通わせる親御さんの平均的な年収が、例えば九百二十九万八千円ぐらいの保護者の年収があったとしても、先ほどのような非常に厳しい状況に置かれているという現状があるわけです。

 ですから、低所得者あるいは中位所得者というか、そういったところにも広げていくというようなことは、もちろん財源論というものはありますから、一歩一歩かもしれないけれども、将来的にはしっかりと、真に支援が必要な学生に対する、真の高等学校の無償化を私はきちんと実現をしていきたいんだという思いを、やはりこの委員会の最後に当たっては大臣にしっかり御答弁いただきたいんですが、改めて問わせていただきます。

柴山国務大臣 先ほど畑野先生からも、今おっしゃった仕送りの厳しい状況について御指摘をいただいております。御指摘の調査結果については、重く受けとめたいと思います。

 一方で、日本学生支援機構が実施をした平成二十八年度学生生活調査、こちらにおいては、家庭からの仕送りが前回調査より月額約千円の減少となっており、また、アルバイト従事者の割合が九・二ポイント増加をしているという報告もあります。ただ、その一方で、家庭からの給付のみでは修学が不自由だと回答しているアルバイト従事者の割合は一ポイントの増加にとどまっているという報告もあります。

 仕送り額が減少していることをもって、一概に生活が、苦しい生活が全てそれに対応するということまでは言えないと考えられることから、引き続き各種調査における要因分析などについてしっかりと注視をしていきたいと考えておりますし、今後の教育費の負担軽減策も、しっかりと、現在我々が提案させていただいているその方策をまず着実に実施すること、そして、それ以降、またどのようなことができるかということを真摯に検討していきたいと考えております。

笠委員 今大臣がいろいろと調査のことをおっしゃったけれども、やはり、実質賃金が伸びていない中で非常に厳しい状況に置かれている。あるいは最初から、本当に、例えば地方で、後ほどちょっと最後に確認しますけれども、地方にやはり大学もあるわけで、もちろん地元の大学に行くということも大事でしょう、魅力ある大学にしていくという。しかし、こうやって首都圏、あるいは逆に首都圏から地方に行くことだってありますけれども、やはり親元を離れてひとり暮らし、下宿をする、あるいは学生寮等々で生活をするということは、それだけでも負担になるわけだし、私は、家計にかかわらず、選択肢というものはきちっと誰にも、意欲がある学生に対しては公平に与えられるということが大事だと思いますので、しっかりとその点は行っていただきたいと思います。

 先般も、ちょうど川内委員もおっしゃっていましたけれども、今度、参議院で審議が、恐らく、きょうこの衆議院を通過すれば、参議院に舞台を移していくことになるわけですけれども、その提案理由の説明の中では、将来の高等教育の無償化に向けてのこれが第一歩だという位置づけを、しっかりと検討されるということをこの前おっしゃっていましたので、そのことを私はきちっと注視をさせていただきたいと思います。

 そして、次に、今後の大学等高等教育機関をどのようにしていくのかということで、昨年十一月二十六日に、二〇四〇年に向けた高等教育のグランドデザイン、中教審の答申が出されております。

 私は、二〇四〇年というのは、これから二十二年ぐらいということは、恐らく、ちょうど今生まれてきたお子さんたちが大学を卒業するとか、あるいは入学して大学を卒業していく、そういうようなところなのかと思いますけれども、私、実は二〇四〇年だったら、戦後百年に当たる二〇四五年ぐらいのグランドデザインをというのが、私自身、ずっと議員になって以来の課題として考えているんですけれども。

 二〇四〇年あるいは二〇四五年、本当にどういうふうな社会になっているのかということをしっかりと考えながら、では、そのために人づくりのための高等教育機関のあり方を議論しておく、これは本当に非常に大事なことだというふうに思っています。

 その答申の中で、今後の検討課題として、地域連携プラットフォームの立ち上げに向けた各高等教育機関への助言、地方公共団体等との意見交換の実施と、議論すべき事項についてのガイドラインの策定というものが検討課題として提言をされておるわけですけれども。

 本当に、地域の高等教育機関というものが地域社会の核となっていく、あるいは産業界そして地方公共団体等とも、将来像の議論や具体的な連携あるいは交流のあり方をしっかりと進めていくということは、もう現に今そういったことをやっている中規模の大学だって結構あるわけですよね、うまく取り組んでいる。そういったことを全国に広げていかなければ、やはり大学も生き残っていけない。

 そして同時に、やはり地方創生に寄与するような、大学がその一つの中核となるような町づくりは私は大事だというふうに思っておるんですけれども、この地域連携プラットフォーム等々の立ち上げ、具体的にこれはいつごろ、どういうふうな形で、あるいはそれを何か義務的に立ち上げさせるのか、そこあたりを、どういうふうな今お考えがあるのかをお聞かせいただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 今後の社会全体の急速な変化を見据えまして、各地域における高等教育が地域のニーズに応えるという観点から、それぞれの地域で高等教育のあり方について対話する場が必要というのは御指摘のとおりでございます。

 昨年十一月の中教審答申におきましても、今まさに御指摘いただきましたが、地域の複数の高等教育機関が地域社会の核となって、産業界や地方公共団体とともに地域社会の将来像や連携、交流の方策などについて議論する地域連携プラットフォームの構築が提言されております。

 文部科学省としては、今後、本プラットフォームにおいて議論すべき事項に関するガイドラインを策定していくということで、各地域において地域連携プラットフォームの構築に向けて取組がなされるよう支援をしてまいりたいというふうに考えておりますが、これは高等教育機関あるいは地域でそれぞれ自主的に連携を深めていくということを期待しておりますので、これを議論する、しなきゃならないというような義務化までは考えていないものでございます。

笠委員 局長、ガイドラインはいつぐらいを大体めどに、文科省としては取りまとめをする予定なのかをお聞かせください。

伯井政府参考人 今年度中には議論して、しっかりまとめていきたいと考えております。

笠委員 それに連携してなんですけれども、今国会のこの委員会で、今回、国立大学法人の、一つの法人に統合するという、まさに今この法案の審議をして、国立大学の統合ということはできるようになりますし、あるいは、私学同士のいろいろな連携というものも今幾つか進んでいるわけですけれども、私は、やはり国公立と私立というのも、特に地方においてはもう一つ踏み込んだ連携をしていくということも必要なんじゃないかというふうに思っております。

 今、伯井局長からあったように、地域連携プラットフォーム等々でそういったこともいろいろな議論になってこようかと思いますけれども、ただ、やはり国公立と私学が本格的に連携をしていくということになると、例えば学校法人の統合であれば私立学校法等の規定があるわけですけれども、国公立大学と私立大学を連携するためには、将来、法改正も含めて踏み込んでいく必要があるんじゃないか、その法規定というのは今ないんじゃないかと思うんですけれども、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

伯井政府参考人 御指摘いただきましたように、国公私の枠組みを超えて強みや特色を生かした連携を進めていくということが必要であると考えておりまして、中教審答申では、国公私立の枠組みを超えて大学等の機能の分担や教育、研究などの連携を可能とする大学等連携推進法人、仮称でございますが、その導入について提言がされております。

 これは、国公私の設置形態を超えて複数の大学等によりまして、共同教育課程の複数実施であるとか、入試業務の共同実施といった事務の共同実施、あるいは教職員の人事交流等の連携を図ることを想定しておりますが、文科省においては、今後、本制度の導入のため、制度の枠組み、認定する際の基準の内容、連携を推進するための制度的な見直し、これは、例えば単位互換などに関連して、全ての科目を自大学で開設するという現行の設置基準の緩和といったような制度改正も含めて検討を進めてまいりたいと考えております。

笠委員 今、よく言われることは、十八歳人口というものがどんどんこれから減少をしていく。大学進学率は、もちろん多少、もっと上がっていく必要もあるんですけれども、それでも、やはりこの超少子高齢化の中で、その減少はなかなかとめることができない。

 そういった中で、四割ぐらいの私学が今定員割れというような状況があることがいろいろと言われているわけですけれども。ただ、だからといって、私は、大学を何か整理統合していくという方向ではなくて、特に地方において学びの拠点というものは、先ほども申し上げたように、やはり地域の活性化等々、あるいは地域の、地産地消じゃないけれども、人材をしっかりと育成していくための、あるいは先ほどもありましたリカレント教育、人生百年時代、常に、幾つになっても学ぶことができる、そういう場として大学の活用というものが本当に欠かせないというふうに思っておりますので。

 ぜひ、大臣の方には、今局長から答弁があった大学連携推進法人制度ですか、仮称でございますけれども、そこをしっかりと、どういった形で連携をしていくことが一番いいのか、あるいは、そのための国としての支援ですよね、こうせい、ああせい、あるいはこういうふうにした方がいいですよということだけじゃなく、やはりそのための、特に地方の公共団体もそれぞれの財政力が違いますから、そういったところでどういうふうな形で国が支援をしていくことができるのかということを、しっかりとリーダーシップを発揮してやっていただきたいと私は思います。

 大臣、何か御所見があれば、ぜひともその決意をお聞かせいただきたいと思います。

柴山国務大臣 今るる答弁をさせていただいたとおり、検討すべき課題がたくさんございます。どのような制度あるいは法制にすれば今御指摘になられたようなことが進むのかということについても、しっかりと検討を進めて、あるべき姿を構築していきたいというように思います。

 なお、参議院での趣旨説明について、川内先生からも御指摘いただいた点につきましては、国会での先例などについてもしっかりと調査をした上で、対応を検討したいというふうに考えております。

笠委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 これにて両案及び両修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 この際、ただいま議題となっております両案中、大学等における修学の支援に関する法律案に対し、畑野君枝君から、日本共産党提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。畑野君枝君。

    ―――――――――――――

 大学等における修学の支援に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

畑野委員 ただいま議題となりました大学等における修学の支援に関する法律案に対する修正案について、日本共産党を代表し、その趣旨について御説明いたします。

 本法律案は、修学を支援する大学等に要件を課し、確認を受けた大学等のみを修学支援制度の対象としています。これは、政府の進める大学改革と学生個人に対する修学支援を結びつけるものとなっています。

 本来、修学支援は、学生個人に着目し、みずから選択した大学で学ぶことができるよう支援するものであるべきです。したがって、設置認可の段階で一定の基準を満たしている大学等に対して更に要件を課すことは問題です。

 また、法案が、学資支給及び授業料等減免に係る財源を消費税増税分を活用して確保するとしていることも問題です。低所得者世帯の学生に対する修学支援について、低所得者に負担の重い消費税を財源とすることは極めて不当であり、許されません。

 以上から、本修正案は、第七条の大学の確認に係る規定及び修学支援の財源を消費税増税分で確保する旨の附則第四条を削除することとしています。

 何とぞ委員各位の御賛同をいただけますようお願い申し上げます。

亀岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 これより両案及び各修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 私は、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して、大学等における修学の支援に関する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。

 まず、両法案に対する反対理由を述べるに先駆けて、大学等における修学の支援に関する法律案と学校教育法等の一部を改正する法律案という、全く目的も内容も異なる二つの法案を一括して審議を行うこと自体、大変に遺憾なことでありました。

 大学等における修学の支援に関する法律案は、真に支援が必要な低所得者世帯の学生の修学に係る経済的負担を軽減することを目的とする法律であり、他方、学校教育法等の一部を改正する法律案は、大学等の管理運営の改善等を目的とする法律案であります。

 政府は、両法律案を一括で審議することについて、人づくり革命のために一体的に進めるべきものであることをその理由としていますが、委員会での審議が進むにつれ、その目的も内容も全く異なるものであるということが徐々につまびらかになってまいりました。

 両法律案は、ともに大変重要な法律案であります。それを一括して審議を行うことにより、それぞれの法律案について議論が深まらない上に、審議の日程も連動せざるを得ず、充実した法案審査とはほど遠い状況にあると言わざるを得ません。このような乱暴な提案を行う政府に対し憤りすら覚えるということを、まず申し述べさせていただきます。

 次に、各法律案について、反対の理由を申し述べます。

 初めに、大学等における修学の支援に関する法律案についてであります。

 本法律案は、平成二十九年十二月に閣議決定された新しい経済政策パッケージにおいて、貧困の連鎖を断ち切り格差の固定化を防ぐため、所得が低い家庭の子供たち、真に支援が必要な子供たちに限って高等教育の無償化を実現するとして、授業料の減免措置の拡充及び給付型奨学金の支援額を大幅にふやすこととされたことをきっかけとして国会に提出されたものです。

 高等教育を無償化しようという方向性は評価できますが、本法律案では、授業料そのものの引下げには触れておらず、国際人権規約で定められ我が国も批准している高等教育の漸進的無償化の導入にはほど遠いものとなっています。また、教育は、希望する子供たち全てに機会が与えられるべきであって、支援の必要な子供たちを国が線引きして決めるべきではありません。支援措置の対象範囲を住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯と限定している本法律案には賛成できません。

 また、支援対象とする大学等に要件を設け、政府の方針に従わない大学等を選別し、支援対象から排除できることも問題です。成績評価や大学運営に関する大学自治を侵害するものと考えられます。

 さらに、本法律案による支援措置の財源は、まだ最終的な決定がなされていない消費税引上げによる増収分を当て込んでおり、しかも、少子化対策予算として内閣府に計上することとしています。安定的な財源を教育予算として文部科学省に計上するというのが筋であることは論をまちません。

 なお、立憲民主党・無所属フォーラムは、本法律案による支援措置の財源に消費税率引上げの増収分を充てること自体に反対いたしますので、消費税率引上げの増収分以外も財源として活用するとする国民民主党・無所属クラブの修正案についても賛成することはできません。

 次に、学校教育法等の一部を改正する法律案について、反対の理由を申し述べます。

 本法律案と大学等における修学の支援に関する法律案が一括審査とされていることの問題点はさきにお示ししたとおりですが、さらに、本法律案は、学校教育法、国立大学法人法、私立学校法及び独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法等を一括して改正する、いわゆる束ね法案となっております。

 それぞれの法律において重要な改正内容が盛り込まれており、本来であれば、別々の法律案としてしっかりと審議を行う必要があるものです。当委員会においても一つずつ丁寧に議論を積み重ねていくべきものであるにもかかわらず、質疑時間も十分に確保されない中、採決を行うことは、与党による責任放棄であると言わざるを得ません。

 個別の改正内容についても、関係者から懸念の声が上がっています。例えば、学校教育法の改正では、大学の認証評価における不適合大学に対し、文部科学大臣は報告又は資料の提出を求めることとされていますが、これでは、文部科学大臣による大学の教育、研究に対する事実上の介入を認めることになるのではないかとの指摘です。学問の自由、大学の自治の侵害は決して許されるものではありません。

 国立大学法人法の改正による一法人複数大学制度の導入に関しても、国立大学において経営が教育と研究よりも優先される状況をつくり出すものではないかと危惧されます。

 また、私立学校法の改正についても、学校法人のガバナンス強化を図るにしても、私立学校における個性豊かな教育、研究を担保する仕組みとするためには、理事長の解職や監事の選任に対して評議員会が果たす役割、グループ法人に対する規制のあり方など、まだまだ深めなければならない議論が多分に残されております。

 さらに、本改正では、学校法人理事長が大学教育や研究等の内容にまで介入してくるおそれがあり、教学の自主性が奪われるとの懸念の声が私学関係者から上がっていることもつけ加えさせていただきます。

 なお、国民民主党・無所属クラブの修正案では、私立学校法に関し、学校法人の理事長の選定及び解職について理事会の権限とすることとしております。立憲民主党・無所属フォーラムとしても、理事長の解職について何らかの規定が必要であるという問題意識は共有しておりますが、選任については、学校法人の自主性や建学の精神を重視し法定化すべきでないと考えており、賛成することはできません。

 以上の理由により、立憲民主党・無所属フォーラムは、大学等における修学の支援に関する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律案並びに各修正案に反対することを申し上げ、討論を終わります。(拍手)

亀岡委員長 次に、城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 国民民主党・無所属クラブを代表して、大学修学支援法案並びに学校教育法等改正案について、国民民主党修正案に賛成、政府原案に賛成の立場から討論を行います。

 私たちは、経済状況や生まれた環境に左右されず、希望する全ての子供たちが学ぶチャンスをつかめる日本にしたいとの観点から、慎重に法案審議に臨み、審議を通じて懸念事項を確認しました。

 大学修学支援法案については、新制度による授業料等減免の対象範囲が、各大学が制度をつくり、国が国立大学運営費交付金や私学助成で補助してきた減免範囲よりも狭いことによる従来制度の打切り、後退の懸念を大臣答弁で何度も確認しましたが、精査するなどとの答弁に終始しました。従来の制度対象範囲をカバーすることを明言いただけず、懸念を払拭するに至っていない残念な状況です。これまでの先進的な授業料等減免制度が打切り、後退することがないように、法律上も配慮を明記すべきです。

 また、このたびの新制度の財源について、リーマン・ショック級の事態が起こったときなど、消費税の引上げが行われない場合の新制度の扱いを文部科学大臣より明確にしていただけませんでした。国の経済状況が厳しいときこそ、給付型奨学金や授業料等減免といった機会の均等を保障する制度、政策はその役割を発揮します。厳しい状況を勘案しながらも新制度を確実に行うことができる、妥当性と公平性のある財源の確保について法律で明記すべきと考えます。

 高等教育無償化の漸進的実現と少子化対策の関係についても、当委員会で議論となりました。二〇一二年に国際人権規約、いわゆる社会権規約の留保撤回を行い、高等教育無償化の漸進的実現の義務を負っている我が国として、今回の新制度は高等教育無償化の漸進的実現の一里塚としてしっかり位置づけ、対象拡大を含めたさらなる高等教育の無償化を図っていくことが重要です。本法案についても、さらなる高等教育無償化に向けた検討条項を明記すべきと考えます。

 学校教育法等改正案については、私立学校の不祥事が続く実態を踏まえ、学校法人における自律的なガバナンスの改善に資する仕組みを構築するためには、医療法人や社会福祉法人など他の民間法人が具体的な規定を持っているのと同様に、学校法人の理事会の権限として理事長の選定及び解職の規定を追加すべきと考えます。

 以上申し述べたとおり、政府案には懸念事項が残ります。大学等修学支援法案については、政府案では対象がごく限られるという問題があります。しかし、全ての子供と若者たちに夢とチャンスを与えるため、教育費の負担軽減を提案してきた国民民主党としては、たとえ小さくとも一歩を踏み出すべきと考えます。

 学校教育法等改正案については、私立学校のガバナンス改革を推進するに当たっては、私立学校の自主、自律を基本とする学校法人制度の趣旨を十分に尊重すべきであり、これを踏まえた改正部分は必要性を理解できます。

 以上を踏まえ、政府案に賛成することとし、よりよい内容にするため、懸念点については修正案を提出させていただきました。

 委員各位の御賛同をお願い申し上げ、討論を終わります。(拍手)

亀岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 私は、日本共産党を代表し、大学等における修学の支援に関する法律案及び学校教育法等改正案に反対の討論を行います。

 修学支援法案の最大の問題は、修学支援の財源に消費税増税分を充てるとしていることです。経済的理由により修学が困難な低所得者世帯の学生を支援するとしながら、そうした世帯ほど負担の重い消費税をその財源とすることは許されません。既に消費税増税を見込んで学費を値上げする大学が生まれるなど、高等教育無償化に逆行する事態が起きています。消費税一〇%への増税を国民に押しつける口実として修学支援を打ち出したことは極めて不当です。修学支援の財源は、消費税増税に頼らない別の財源に求めるべきです。

 修学支援は本来、大学で学ぶ学生の権利保障であるにもかかわらず、法案が支援を受ける大学に要件を設けることも問題です。実務経験のある教員による授業科目が標準単位数の一割以上や、法人の理事に産業界等の外部人材を複数任命との機関要件は、大学教育の質とは無関係なものであり、設置認可の段階で一定の要件を満たしている大学に更に要件を課す必要がどこにあるのでしょうか。学生がみずから選んだ大学で学ぶことができるよう支援することが求められているのであり、大学に要件を課し、学生が進学先を選ぶ自由を奪うことは許されません。

 次に、学校教育法の改正は、認証評価に適合認定を義務づけ、不適合となった大学に対して文部科学大臣が報告又は資料提出を求めるようにするものです。これは、従来、大学関係者が各大学を評価する自律的な制度とされてきた認証評価制度のあり方を大きく変え、文部科学大臣による不適合大学への介入に道を開くものであり、認められません。

 また、国立大学法人法改正は、一法人複数大学方式において、理事長が教育・研究現場の審議機関である教育研究評議会に評議員として出席することとしています。これは、教育・研究内容を経営優先にゆがめることにつながる懸念があります。

 私立学校法の改正は、学校法人の責務を新たに規定し、運営基盤の強化や運営の透明性だけでなく、設置する私立学校の教育の質の向上を義務づけています。これは、法人の理事会による教育内容への介入を招きかねません。さらに、私立大学法人等に中期的な計画の策定を義務づけたことは、認証評価制度と相まって、文部科学大臣による私立大学の教育内容への介入を招く危険性があり、認められません。

 なお、国民民主党提出の修正案は、立場が異なるため、賛成できません。

 以上、討論を終わります。

亀岡委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳です。

 私は、党を代表して、両法案に賛成の立場から討論いたします。

 維新は、憲法改正の一項目として教育無償化を提案しています。国民の皆さんの教育を受ける権利に関し、経済的理由によって教育を受ける機会を奪われてはならないという強い思いのもと、法律に定める学校における教育は全て公の性質を有するものであり、幼児教育から高等教育に至るまで、全ての教育は無償であるべきと考えるからであります。

 教育は国家百年の計であります。全ての国民の皆さんが、その適性に応じてひとしく教育を受ける機会が与えられるよう、権利が拡大されることを主張します。

 また、教育は、個に属するばかりではなく、国という観点から鑑みれば、将来に対する投資であります。教育を充実させることは、個人の人格形成を進めるとともに、強く成長力のある国づくりであり、基礎科学から先端技術に至るまで世界各国がしのぎを削る現代においては、教育への投資は、人口減少、少子化、財政危機という大きな課題に対する、また、生産性向上という観点から見ても、大きな解答であります。

 本法律案により、国として、全国で高等教育に関して給付型奨学金が拡充されるとともに、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯に対する大学進学へ道が開かれることは、幼児教育無償化とともに、教育無償化への第一段階の歩みではありますが、ルビコン川を渡るような、大きな意義深い一歩であると考えます。

 また、リカレント教育による人材の養成も、生産年齢人口の減少のただ中にある日本全体の生産性の向上に直結するものであります。大切なことは、学生を受け入れる側である高等教育に携わる大学などの側の質の充実と実務に直結するようなプログラムの提供であります。それゆえに、大学の統合等を可能にする改正法案も極めて重要であると認識しております。

 私ども維新は、私立高校の無償化や幼児教育の無償化を、国に先駆けて、地域である大阪・関西で実施してきました。ゆえに、同じ方向を向いているという観点からも、一部でも高等教育が無償化されること、及び、その施策が全国へ展開される姿勢を評価いたします。

 維新は、さらなる無償化の進展が図られるように、身を切る改革の有言実行、徹底行革により財源を捻出し、先駆的な事例となる施策を提案、実施していくことをお約束して、賛成の討論といたします。

亀岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党を代表し、大学等における修学支援法案並びに学校教育法等の改正案について、反対の立場から討論を行います。

 修学支援法の制定で、住民税非課税世帯の子供たちに手厚い支援が開始されます。しかしながら、余りにも高額な大学授業料が中所得世帯層の家計も直撃している現実を踏まえれば、授業料引下げの道筋も明確にすべきです。

 また、今回の学費減免措置が、大学が独自で実施する授業料減免措置にどのような影響を与えるかについても強く危惧するところです。

 さらに、修学支援に関する大学の機関要件として実務家教員による授業や理事の外部人材の割合を条件に付すことは、大学の自主性、自律性の尊重を明確にした教育基本法に反するものと言わなければなりません。

 以上の点などを踏まえると、法案に反対せざるを得ませんでした。

 なお、今回の措置によって給付型奨学金の規模も大きくなりますが、保証人制度が社会問題になっていることなどを踏まえ、奨学金返済のあり方や無利子奨学金の拡大などについて早急に対応していくことを求めます。

 学校教育法等改正案については、全ての大学に認証機関による適合認定を義務づけ、認定されなかった場合に、文科大臣が報告や資料提供を求めることになります。国の基準で合否判断をし、報告を聴取するような手法も、大学の自主性、自律性を大きく損ねることになりかねません。

 また、私立学校法の改正で、情報公開や監事機能を強化する点は評価できますが、新設する二十四条で大学法人イコール理事会の権限を強化しかねない点は、大学の自治の尊重の観点から評価できません。

 以上の点から、学教法等の改正案にも反対します。

 また、共産党提出の修正案には賛成、国民民主党提出の二つの修正案に対しては、趣旨は十分理解できるものの、法案の根本的な問題の解決に至らないことから、反対することとします。

 なお、文科省が発出する施行通知について、現場をミスリードする、法改正と関係のないものまで含まれることがないよう強く求め、討論といたします。(拍手)

亀岡委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 これより採決に入ります。

 初めに、内閣提出、大学等における修学の支援に関する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、畑野君枝君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

亀岡委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、城井崇君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

亀岡委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

亀岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、村井英樹君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本維新の会及び未来日本の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。牧義夫君。

牧委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    大学等における修学の支援に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」における「無償教育の漸進的な導入」の実現に向け、政府は教育費の負担軽減策に取り組むこと。

 二 政府は、本支援制度の安定的運用及び更なる高等教育における教育費の負担軽減策を講じることができるよう、安定的な財源の確保に努めること。

 三 大学等の確認要件を文部科学省令で定めるに当たっては、大学の自治等への過度な干渉とならないよう、十分配慮すること。

 四 各高等学校等において本人の学習意欲や進学目的等を確認するに当たっては、公平性・公正性が確保され、学校によって運用にばらつきが生じないよう、判断基準等についてガイドライン等により各学校へ示すこと。

 五 学生等に対する支援の継続を判断するに当たり、相対評価による学業成績の判定においては、必ずしも本人の努力不足による成績不振とは言えない場合があることを踏まえ、低所得世帯の者の修学の支援という本法律案の趣旨を没却することがないよう、斟酌すべきやむを得ない事情がある場合の特例措置を適切に講じること。

 六 本法附則第三条による施行後四年の見直し時期以前であっても、必要に応じて本法の規定その他学生等への経済的支援制度全般の在り方について検討を行い、必要があると認める場合には、早期に対応を図るよう努めること。また、見直しに際しては、検討過程において関係者の意見を聴取するとともに、情報公開の充実を図るなど、できる限り学生等のニーズに応えた制度設計が図られるよう努めること。

 七 政府及び独立行政法人日本学生支援機構は、本支援制度の実施により、学生等への経済的支援制度が複雑化することを踏まえ、学生等、保護者及び学校関係者等へ丁寧な説明を行うなど、貸与型奨学金制度を含む支援制度全般の更なる周知徹底に努めること。

 八 独立行政法人日本学生支援機構が行っている貸与型奨学金について、所得連動返還方式の対象者の拡大、返還期限の猶予、延滞金の賦課率、返還負担軽減のための税制など、返還困難者の救済制度の在り方の検討に努めること。

 九 教育を受ける機会を保障するという奨学金の制度趣旨に鑑みれば、有利子奨学金が事業費・貸与人数ともに無利子奨学金を上回っている現状を改善し、有利子から無利子への流れを更に加速するための施策の検討を行うこと。

 十 貸与型奨学金における人的保証については、奨学生及び保証人の負担が大きく、保証能力にも限界があることを踏まえ、保証機関の健全性を前提としつつ保証料の引下げをはじめとした負担軽減策を講じることにより、機関保証制度の利用促進に努めること。

 十一 独立行政法人日本学生支援機構は、本法の施行に伴い業務量の増加が見込まれる中においても本支援制度が円滑に実施されるよう万全を期すとともに、国は、そのための人員の拡充を行うなど、同機構の体制強化に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

亀岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

亀岡委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。柴山文部科学大臣。

柴山国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 次に、内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、城井崇君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

亀岡委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

亀岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、村井英樹君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本維新の会及び未来日本の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。牧義夫君。

牧委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 大学が自ら改革を実践し、その役割と使命を果たすことができるよう、大学に関する制度的枠組みや国による支援の在り方について継続的に検討するとともに、我が国の大学の国際的な競争力・研究力を下支えする基盤的経費の確保に向けた今後の財政的支援の在り方について検討を行うこと。

 二 大学に対し学生や社会が適切な評価を行うことができるよう、大学における教育研究の内容やその成果、経営状況等に関する情報公開を一層促進するとともに、学校法人による不祥事や不正等について速やかに公表するための仕組みについて検討を行うこと。

 三 認証評価における、大学評価基準への適合が認定されなかった大学に対する文部科学大臣からの資料提出要求については、当該大学の学問の自由、大学の自治への干渉とならないよう十分に留意すること。

 四 認証評価など類似の複数の評価制度が大学等の負担となっている現状について、「評価疲れ」を指摘する意見があることを踏まえ、大学評価の仕組みをより効率的なものとするため、評価に係る事務の簡素化や類似制度の整理統合について速やかに検討すること。

 五 国立大学における一法人複数大学制度の導入に当たっては、個々の国立大学における教育研究の多様性が損なわれることのないよう留意するとともに、法人全体の責任者である理事長による経営方針と各国立大学における教育研究への取組が相反することなく円滑な運営が図られるよう必要な措置を講ずること。

 六 学校法人が、その設置する私立学校の教育の質の向上を図るに当たっては、学校の経営状況や教学上の方針について教職員と十分に情報を共有するなど、経営と教学の連携に努めるとともに、とりわけ文部科学省所轄学校法人においては、憲法で保障されている学問の自由及び大学の自治の理念を踏まえ、私立大学の公共性を担保する観点から、その設置する大学の教育・研究や運営に過度な干渉をすることがないよう、特段の留意を払うこと。

 七 学校法人における監査の実効性や客観性を高めるため、理事長又は理事と親族関係にある者の監事への就任を禁止するなど、監事として適切な人材の在り方について検討を行い、必要な措置を講じること。

 八 学校法人における監事については、理事長・理事に対する第三者性・中立性を確保し、監事の牽制機能が十分に発揮されるよう、その選任の透明性・公平性を担保する必要な措置を講じること。

 九 学校法人における自律的なガバナンスの改善に資する仕組みを構築するため、理事長の解職に関する規定の追加を検討するなど、社会の変化を踏まえた学校法人制度の在り方について不断の見直しに努めること。また、学校法人の不祥事が繰り返されることのないよう、より実効性のある措置について速やかに検討すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

亀岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

亀岡委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。柴山文部科学大臣。

柴山国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

亀岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


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