衆議院

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第17号 令和元年5月31日(金曜日)

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令和元年五月三十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 亀岡 偉民君

   理事 大塚  拓君 理事 神山 佐市君

   理事 馳   浩君 理事 村井 英樹君

   理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君

   理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      上杉謙太郎君    小此木八郎君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      小林 茂樹君    佐藤 明男君

      下村 博文君    白須賀貴樹君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      福井  照君    古田 圭一君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      川内 博史君    中川 正春君

      初鹿 明博君    村上 史好君

      牧  義夫君    稲津  久君

      中野 洋昌君    畑野 君枝君

      杉本 和巳君    吉川  元君

      笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       中根 一幸君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君

   政府参考人

   (内閣官房教育再生実行会議担当室長)       串田 俊巳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高橋 一郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 福田 正信君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高田 陽介君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 生川 浩史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         瀧本  寛君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          清水  明君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     杉田 水脈君

  船田  元君     佐藤 明男君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     船田  元君

  杉田 水脈君     池田 佳隆君

    ―――――――――――――

五月三十一日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(池田道孝君紹介)(第一二一三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一二一四号)

 同(篠原豪君紹介)(第一二七一号)

 同(阿部知子君紹介)(第一二九八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

亀岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事木田幸紀君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房教育再生実行会議担当室長串田俊巳君、内閣審議官高橋一郎君、内閣府大臣官房審議官福田正信君、警察庁長官官房審議官高田陽介君、文部科学省大臣官房長生川浩史君、大臣官房総括審議官瀧本寛君、大臣官房審議官矢野和彦君、大臣官房審議官丸山洋司君、総合教育政策局長清水明君、高等教育局長伯井美徳君、高等教育局私学部長白間竜一郎君、スポーツ庁次長今里讓君、文化庁次長中岡司君及び厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。馳浩君。

馳委員 おはようございます。自由民主党の馳浩です。

 まず、登戸の通学路通り魔事件について質問します。

 全く罪のない犠牲者、被害者、御遺族に対し、心からお悔やみ、お見舞いを申し上げます。

 通学路の安全確保は行政の大きな責任です。想定外とも言える今回のような事件が二度と起こらないように、文科省としての対策を伺います。

柴山国務大臣 去る二十八日に神奈川県川崎市において発生した事件につきまして、亡くなられた方や御遺族の方に心からお悔やみを申し上げるとともに、負傷した方々の一刻も早い回復をお祈り申し上げます。

 事件を受け、一昨日、登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議が開催され、総理から、徹底した捜査による全容解明と関係省庁との情報共有、通学路の安全確保の徹底、不審者情報の共有と迅速な対応の徹底について早急に取り組むよう指示がありました。

 昨日開催された各都道府県の学校安全担当者を集めた会議においても、私から直接、登下校時を含む学校の安全確保に万全を期すよう、各自治体においても取り組むよう依頼をしたところです。

 今回の事件は、集団登校の集合場所で発生したという特異な事案であることも踏まえ、さらにどのような対策がとり得るのか、総理からの御指示も踏まえ、緊急的な対応、中長期的な対応の両面から速やかに検討して、関係省庁や自治体と連携しながら、二度とこのような悲劇を繰り返さないように取り組んでいきたいと考えております。

馳委員 自殺をした犯人は五十一歳。報道では、長らく引きこもりをしていたと言われております。若年者ばかりではなく、中高年の引きこもり対策についても、政府として実態把握やアウトリーチなどの支援の取組が必要と思われます。

 もちろん、引きこもりをしていた人、皆がこういうような事件を起こすわけではないというのはもちろん重々理解しておりますが、この対策といったものは今後関係省庁等も取り組む必要があると思っております。

 現状認識、課題、対策を伺いたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 内閣府では、引きこもり状態にある方の実態を把握するため、昨年十二月に、全国の満四十歳から満六十四歳の方を対象に生活状況に関する調査を実施し、本年三月にその結果を公表したところです。

 この調査結果についてお答え申し上げますと、引きこもり状態にある者の出現率は有効回収票の一・四五%で、推計数は六十一・三万人でした。

八神政府参考人 厚生労働省からお答え申し上げます。

 まず、今回の事件は大変痛ましい事件であり、二度とあってはならないものであるというふうに考えてございます。

 一方で、事件の詳細は現在捜査中でございますので、事件の背景も含めて事実関係が明らかでないという中で、先ほど委員もおっしゃられましたとおり、事件と引きこもりを安易に結びつけるということには極めて慎重であるべきというふうに私どもも考えてございます。

 その上で、一般論として、引きこもりの方への支援策、課題等について御説明をしたいと思います。

 今回の内閣府の調査結果からは、引きこもり状態にある方の高齢化、あるいはその期間が長期に及んでいるといったことがうかがえます。

 引きこもりの方への対応は、支援が必要な全ての方に必要な支援を着実に届けるということが原点でございます。それぞれの世帯や個人の状況に応じたきめ細かい支援を実施し、多様な社会参加を通じて社会とのつながりを回復していただくということが重要な柱であるというふうに考えてございます。

 このため、厚生労働省では、ひきこもり地域支援センターを全ての都道府県、指定都市に設置をし、年齢にかかわらず、引きこもり状態にある御本人あるいは御家族からの電話や来所による相談、家庭への訪問支援などを行い、早期かつ適切に関係機関につなぐ体制といったものを構築してございます。

 また、多様な社会参加、就労に向けた支援を更に拡充させるというために、生活困窮者自立支援制度に就労準備支援事業という事業がございます、ここにおきまして、訪問支援、アウトリーチなどによる早期からの個別支援を重点的に実施をする、また地域若者サポートステーションとのワンストップでの支援のモデル事業を実施する、またひきこもり地域支援センターによるバックアップの機能を充実するなど、相互連携を強化をしていく、また、市町村によります引きこもりの早期発見、支援につなげるための、居場所あるいは相談窓口の拠点づくりなどの取組を進めてございます。

 加えてでございますが、一昨日ですが、厚生労働省では、二〇四〇年を展望した社会保障・働き方改革本部の取りまとめを公表しております。

 その中で、まず、就職氷河期世代の方々の活躍の場を更に広げる。そのために、厚生労働省の支援プランというものを策定しまして、引きこもり状態にある方を始めとする社会参加に向けた支援、より身近な場所で相談を受けとめ支援ができる相談支援体制の構築、中高年の方に適した支援の充実などを掲げてございます。さらに、地域共生社会、この実現に向けまして、世帯の複合的なニーズですとかライフステージの変化に柔軟に対応できるような包括的な支援体制の構築、これに向けた方策を検討することとしてございます。

 こうした施策を組み合わせて、支援を必要とする方が社会とのつながりを回復できるように全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

馳委員 これは政府を挙げて、また地方自治体とも、また地域の社協とも連携しながら取り組む必要があるという認識を私も持ちましたし、この四十歳から六十四歳までのいわゆる引きこもりと言われる方々が六十一・三万人。六十五歳以降の方も含めると、恐らく百万人近くになるのではないか。

 外国人労働者を大幅に入れざるを得ない国策といいながら、一方では、こういう、我が国において百万人単位の引きこもりの方々が現状いる。その方々に対する支援、地域とのつながり、また就労への支援、ここはやはりより重要視していかないと社会問題化していくのではないか。たまたま今回は凶悪な事件ということでクローズアップされておりますが、そうではない問題としても、雇用の問題、また生涯教育の観点からも私は取り組む必要があるのではないかと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 今内閣府の方から答弁があったとおりではありますけれども、今御指摘があったとおり、これは、あらゆる世代において引きこもり等の対策ということが今大きく問われているというように思います。親御さんも大変お元気で長生きする事例がたくさん出てくる中でどのようなことができるのかということを、今の御指摘も踏まえて、しっかりと文部科学省としても検討していきたいと考えております。

馳委員 社会教育という観点、生涯教育という観点からも私はアプローチができるのではないかと思いますので、お願いいたします。

 次に、文科省のキャリア官僚が、覚醒剤、大麻の所持で逮捕されました。あろうことか、職場の捜索で注射器なども発見されたとのことです。天下り問題、裏口入学問題に続き、言語道断と言わざるを得ません。

 大臣の認識はいかがでしょうか。事実が明らかになり次第、本人はもとより、責任のある方々にも厳罰な処分が必要と考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。

柴山国務大臣 一連の不祥事によって国民の信頼を失った文部科学省において、このように再び行政に対する国民の信頼を失う事案を職員が引き起こしたことを、おわび申し上げます。

 現在、文部科学省創生実行計画に基づいて、私を本部長とする文部科学省改革実行本部において、組織風土改革、職員の意識改革など、信頼回復に全省を挙げて取組を進める中でこのような事案が起きたことは、まさに言語道断でありまして、五月二十九日に職員に対して、法令遵守の徹底について私からの訓示を伝えたところであります。

 文部科学省としては、捜査当局が行う捜査に全面的に協力するとともに、この事態を深刻に受けとめ、綱紀の粛正を徹底し、国民の信頼回復に向けて全力を挙げてまいります。他方、全職員を対象に、職員の抱えている公私を問わない悩みなどの相談を受ける体制の抜本的強化もあわせて行っていきます。

 委員御指摘の懲戒処分については、非違行為を行った職員本人への事情聴取も含め事実関係の確認を行うことが不可欠であり、確認がとれ次第、厳正に対処してまいります。

馳委員 次に、五月一日、ローザンヌのスポーツ仲裁裁判所、CASにおいて、陸上女子中距離選手のキャスター・セメンヤ選手の訴えを棄却するという事案が起こりました。DSD、性分化疾患に関する問題です。女子選手のテストステロン値を制限する国際陸連の新規定に対して異議を申し立てていた一件です。

 CASの裁定により、テストステロン値の高い女子選手は、今後、治療などで数値を下げなければ特定の大会などで女子選手として出場できなくなりますので、女子差別、人権問題と言わざるを得ません。

 この問題についてのスポーツ庁の現在の見解を伺います。スポーツ庁としても、来年の二〇二〇オリパラ東京大会を踏まえ、人権や女性アスリート問題として調査、情報収集、研究、広報、啓発活動を行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、女子選手のテストステロン値を制限する国際陸連の新規則につきまして、南アフリカのセメンヤ選手、それから南アフリカ共和国の陸上競技連盟がスポーツ仲裁裁判所、CASに訴えていた件につきましては、今ございましたように、五月一日にセメンヤ選手らの訴えを退ける判断が示されたことは承知しております。

 このスポーツ仲裁裁判所はスポーツ界における国際的な仲裁機関であり、その判断はスポーツ界に対して大きな影響力を持つと受けとめておりますけれども、一方で、セメンヤ選手らがスイスの連邦裁判所に対して、このスポーツ仲裁裁判所の判断についての異議申立てを行ったという報道もございます。

 スポーツ庁としては、この動きを引き続き注視してまいります。と同時に、性分化疾患、DSDにつきましては、特にアスリートについて出現率が高い、こういったデータもございます。スポーツ界においても適切に理解することが必要だと考えているところでございます。

 また、人権等の観点からも非常にこれは難しい問題だと捉えておりますので、セメンヤ選手らの申立ての動向も踏まえつつ、関係者に対する情報提供や啓発活動について検討していきたいと思っております。

馳委員 異議申立てがあったということですから、今後もフォローアップはまずお願いいたします。

 その上で、恐らくスポーツ医科学の分野における問題なので、我が国にもスポーツ医科学に関する学会等がありますので、そちらの方で、やはり文科省も、スポーツ庁としてもしっかりと予算づけをして、基本的な情報収集、調査研究、またエビデンスに基づく見解を我が国としても出せるように、また、今後、我が国の女子選手に対してもこういったような指摘がなされないとも限りませんし、現在でもこの問題に悩んでいる選手がいるかもしれませんので、そのことについてぜひ取り組んでいただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、もう一点、陸上競技の女子中距離選手の鉄剤注射問題について、ドーピングの疑いもあるのではないか、このように指摘されておりましたが、スポーツ庁としての現在の見解を伺います。

柴山国務大臣 昨年十二月に報道がありました、高校駅伝の強豪校など陸上競技の女子選手を中心とした不適切な鉄剤注射については、選手の健康を害する危険があり、重大な問題と認識しております。

 このため、本年一月十一日に、各都道府県のスポーツや学校の主管課、各競技団体等に不適切な鉄剤注射の防止に関する文書を発出するとともに、厚生労働省及び日本医師会とも連携をして、それぞれから関係者に対して周知を図っていただきました。

 また、日本陸上競技連盟においては、昨日、鉄剤注射に関するガイドラインを公表し、引き続き不適切な鉄剤注射の根絶に向けて取り組んでいくと伺っております。

 なお、世界ドーピング防止機構が定める世界ドーピング防止規程においては、鉄は禁止物質には含まれておらず、通常の鉄剤注射では禁止方法にも該当しないため、違反には当たらないということでございます。しかしながら、引き続き競技者が安全、安心に、健康を害することなく競技に取り組めるよう、日本陸連を始め関係者と連携を図りつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。

馳委員 この問題について、スポーツ庁の次長ではなく、大臣として見解を出し答弁いただいたことにまず感謝申し上げたいと思います。

 歴代文部科学省の副大臣は、WADA、世界アンチドーピング機構の理事を務めることになっていて、我が国は、とりわけアジアのリーダーシップをとって、検査体制への支援、人材の養成、配置など、大変貢献してきたことは言うまでもありませんし、また、この女子選手の健康問題、そして十代の選手が競技力を高めるために使っている、いや、使わされている、あるいは使わざるを得ない強迫観念に襲われるといった、競技力を高めるために鉄剤注射が利用されているといった側面があったことは否めません。だからこそ、日本陸上競技連盟においても深刻に受けとめて、ドーピングではないんだけれども放置しておくとドーピング的な、健康を害する事案、またルール違反を放置するような状況になるので、みずから規制に取り組んだ、こういうふうな認識をしております。

 改めて、いち早くこれに取り組んでいただいたことには感謝するとともに、スポーツ庁ばかりではなく、これは健康の問題でいえば厚労省もそうですし、教育の問題でもありますので、このことが十分に周知されるように、ぜひ取組をお願いしたいと思います。

 ちょっと時間は早いのですが、大体このあたりで時間となりますので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、義家弘介君。

義家委員 おはようございます。自由民主党、義家弘介です。

 本日、前回に引き続き質問をさせていただきます。

 まず、質問通告の順番をちょっと変えて、しっかりと確認しておきたいことがあるので、まずは通信制高校、広域通信制高校についての質問から行いたいと思っております。

 先般、日本じゅうが衝撃を受けて、そして悲しみに暮れた虐待死の事案を受けて、文部科学省は、ことし二度にわたって、小中高に在籍している生徒児童の緊急確認調査を実施しました。速やかな対応をしていただいたことに、私もかかわりのある者として心から感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、質問でありますが、この調査には広域通信制高校に通っている生徒は含まれていますか、いませんか。含まれていなかったら、理由も含めてお答えください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 通信制高校はこの緊急点検の対象には含まれなかったところでございます。

 通信制高校は、学校の性質上、登校が前提となっておらず、また、教職員が直接面会することが困難、例えば、設置基準では五人以上教員がいればいいということになっておりまして、一番大きな学校では二万人ほどの規模がございますので、教職員等が直接面会することは困難であるため、緊急点検の対象とはしなかったところでございます。

義家委員 前回の質問でも法改正の提案を行いましたが、そもそも、通信制、定時制高校は、戦後、勤労青年のための高等教育の受皿として発足しているわけです。つまり、当時のスタートの時点でいえば、職場に確認することができるわけです。学校にはどこどこに勤めているという資料があるわけですから、職場でしっかり働いていますかという確認をすれば、これは確認が可能だったわけですね。

 しかし、時代が変わって、今は、本当に多種多様な、障害、発達障害を持っていたり、いじめ、引きこもりの経験者であったり、あるいは、もしかしたらこの中には虐待等で悩んでいる、家から出られないような子供も含まれている可能性があるわけです。

 そもそも、二万人の生徒、全国に散らばる生徒たちを、本当に質の部分も含めて、量の部分は受け入れることができるかもしれませんが、質の部分を含めて担保することができるのかという根本的な問題がここに生じております。

 まず、私自身も副大臣時代に大変問題にしましたが、ある通信制高校、二〇一五年十二月八日、東京地検特捜部が、伊賀市が設置しているウィッツ青山高等学校が、就学支援金、これは生徒に行く年十一万八千八百円のお金でありますが、それを学校が代理受給するという仕組みになっていますが、この不正受給に関しての疑いで強制捜査が行われました。

 報道等が明らかにした資料を見ると、ちょっと驚くべき勧誘方法が書いてあるわけです。

 生徒募集マニュアル。必ず卒業できる(言い切ってください)。二番、通わなくていい、年に四日だけ、次回からは一泊二日にする。三番、レポート、テストはやれるところだけすればよい。基本的には高校中退者に高卒の資格を取ることを勧める。その際、年収二百五十万円未満であれば、加算支援金を年十七万八千二百円もらえる。さらに、奨学金四十二万円(東京都)、神奈川、埼玉では四十八万円貸与される。

 まとめると、条件、高校中退者又は中卒者、年収二百五十万未満、そして年齢十五歳から五十歳の人物を探す。知り合いであれば、ストレートにウィッツに入学しないかと誘う。条件が当てはまる人がしている仕事とし、男性は土木系、女性は飲食系が多い。土木系や飲食系をやっている知り合いがいたら、高校中退者はいないかを聞く。国籍は問わないので、中国人、韓国人、東南アジア人、アフリカ人でもオーケー。

 さらに、高校資格を販売するお手伝いをしませんか。勉強は必要ありません。ボランティア的に高校中退者や今の高校に合わない人を募集する。お礼五万円、生徒負担金ゼロ円、国の奨学金十四万、就学支援金十八万。ビジネスとして生徒を紹介する。お礼年三十万、生徒は奨学金を借りる、年四十二万、十二万は生徒に残る。

 このとんでもない問題が行われて、文科省では一斉点検も行っていったわけですが、ここでまず考えなければいけないことは、果たして、この広域通信制に通っている子たちの現状というのを今の制度の中で、例えば困難を抱えていたりなんだりしたときに把握できるのかということなんです。

 文科省にさらに質問いたします。

 文科省は、広域通信制に通っている生徒のうち、例えば年間一単位も取得していない生徒の数、一単位も取得していないということは教育を受けていないわけですから、何らかの事情が当然あるわけですね。その事情に対してサポートするということも教育機関として当たり前のことなわけですが、例えば、一単位も取得していない生徒の数やその理由を把握できていますか。あるいは、構造改革特区として株式会社立高校を設置した基礎自治体はそれらを把握できていますか。あるいは、国からの就学支援金を学校に支給している、代理受給させている都道府県はその実態を把握できていますか。お答えください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしまして、広域通信制に在籍する生徒のうち、年に一単位も修得していない生徒の数、その理由については把握しておりませんけれども、過去に実施した調査においては、これは狭域も含むものでございますが、通信制高校に在籍する生徒のうち、平成二十八年度中に一単位も履修登録を行っていない生徒は約二万六千人となっているところでございます。

 また、株式会社立の広域通信制高校の所轄庁である市町村においては、生徒個々の単位修得実態やその理由について、これまで十分な把握ができているとは大変残念ながら言いがたい状況にございます。

 このため、文部科学省におきましては、高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインにおいて、通信制高校において履修登録を行わない生徒や、添削課題への取組や面接指導への参加が困難な生徒に対しては、適切な指導又は支援を行うよう努めることとし、所轄庁である市町村等において必要な指導監督を実施するよう依頼しているところでございます。

義家委員 生徒たちに、学校に代理受給されている十一万八千八百円は税金なわけですね。国民からの税金を子供たちの学びに生かしていこうと。しかし、先ほど紹介したような実態が一部にある。一方で、通信制で学ぶ一人一人の生徒と大変きめ細やかに向き合っている学校もあるわけですけれども、やはり横串をしっかり入れて。

 見えにくいところに問題というのは発生するわけです。虐待も、家庭の中で行われているという見えにくさの中で、救ってあげられないというような事態が出てくるわけです。例えばアスリートなんかで広域通信制に在籍している生徒がいますが、そのアスリートは目的がはっきりしているわけですね。だから、確認のしようもありますし、目的もはっきりしているのでできるわけですけれども、さまざまな理由で、広域通信制で学んで何とか高校資格を取ろうという生徒たちに、具体的な支援、量の問題ではなくて、量と質というのはセットですから、やはり質というものをしっかりと責任を持っていただく環境をつくっていくことは極めて重要であります。

 今この段階でも、非常に深刻な運用がされている学校というのはあると思いますよ。学校の名をかたって、サポート校といって、親も、例えば引きこもっていたら大変悩むわけです。サポート校、高いところでは百万円近くのお金がするわけですけれども、何とかこの子を社会に出させたい。しかし、そのサポート校は学校ではないわけですよね。そういった違法な運用、適切ではない運用がなされているという闇もまた、まだこの株立も含めた広域通信制の中にはあるということを認識した上で、しっかりと質の確保を進めていっていただきたいと思います。

 その上で、ちょっとこれは、ただでさえ、自分で選択して、義務教育ではない高校でもこのような状況になっている中で、内閣府の規制改革会議、これはすごいことを議論しているんですね。私、驚きましたよ、本当に。公開ディスカッション議事概要が出ていますから、委員の皆さんはもうチェックしているかもしれませんが、ちょっと読んでみますね。

 通信教育のアップデートが全日制教育のイノベーションにつながるという議題で、社会・情操教育という点なのですが、いわゆる対面でないとできなかったと言われているものなのですが、これは、オンラインの家庭教師を提供している会社のアンケートですが、オンラインで家庭教師をやってみたがいかがですかというアンケートに対して、九一・五%がポジティブな反応を示した、そのうち四〇%が、むしろオンラインの方がいいという反応が出ていますと。

 これに対して、さらに、不登校にかぶせてきます。

 通信制ということで、学校に通うということと、あと通信制、残念ながら不登校という形でも湧き上がってきています、今後、エドテックを活用した個別学習というものを使って、まず、これは家庭でも学べるということになりますから、不登校が理論上なくなる、それを、通信制の中学、つまり義務教育でも通信制教育というものを当てはめていくべきだというような議論が行われているわけです。

 中根副大臣、きょう来ていただきまして、ありがとうございます。この改革、中根副大臣は文科政策、文教政策に大変精通している副大臣でございますが、これに対してどのような把握をし、どのような考えを持っているか、お聞かせください。

中根副大臣 ありがとうございます。

 御指摘の公開ディスカッションも含め、現在、規制改革推進会議におきまして、教育における最新技術の活用についていろいろと議論が行われております。議論の過程におきまして、有識者の方々より幅広く御意見をお聞きするとともに、文科省の方々等関係省庁の皆様からも御説明をお聞きしながら、今、義家先生が御指摘をいただいた、その有識者の一名から通信制の中学の開設検討について言及があった、このこと自体は事実でございます。

 しかしながら、この会議として、現行の通信制を義務教育に導入するといった方向で議論は進んでおりません。最新の技術を活用して世界最先端の教育を享受する、そういった環境を整備するための措置について議論が行われているものと承知しております。

 今後、規制改革推進会議からの答申を受けまして、関係省庁と、関係省庁というのは文科省また総務省でしょうが、よく協議して、政府全体としてしっかりとした規制改革実施計画の策定を行ってまいりたいと考えております。

義家委員 義務教育というのは、単に勉強する場所じゃないんですね、人間性、社会性の基礎を身につけるわけであります。例えば、先ほど、情操について、家庭教師のアンケートではオンラインがおおむねよかったという回答があった、そんなものが教育ではないわけですよ。失敗したり、集団の中で認めてもらったり、あるいはともに切磋琢磨して勉強したりスポーツしたり、その総合的な学びこそ勉強であり、この日本の義務教育が日本を支えていると言っても私は過言じゃないと思っているんですね。

 例えば、不登校に、オンラインで家庭で勉強するシステムをつくって、通信制中学校を認めていこうなんという流れになったら、こんな状況になって生徒たちがみんなそこに通ったら、虐待調査、把握できないじゃないですか。どこでどのように勉強して、どういう悩みを抱えているか。

 例えば不登校を持ち出すのであれば、我々が見詰めるのは、その子がなぜ不登校になっているのかという原因、これに一生懸命向き合って、そしてその原因をみんなで考えて解決していく、これこそが今の義務教育が持っている大変重要な役割なわけです。

 中には発達障害の傾向がある子もいるでしょう、中には、いじめられて、助けてもらえないと思いながら、学校に行きたくても行けない子もいるでしょう、中には学習障害の子もいるでしょう、それぞれ一人一人の課題を見詰めて、その課題に対してどんな支援ができるのかとやっていくのが本来の義務教育の使命でありまして、ただ勉強だけオンラインですればいいんだという価値観自体を持つことが、私は大変残念な議論だというふうに思いますよ。

 仮に日本の義務教育がずたずたになっているというなら変えていかなきゃいけませんが、今、OECDの調査では、一億人以上人口のある国で学力トップですよ。もちろん、いろいろな課題はあるんです。しかし、その課題にどう丁寧に向き合っていくかということを議論するならまだしも、課題があって、原因はまちまちだけれども、オンラインで勉強して中学に通っていたことにしようなんという議論、これは本当に、大変残念な話だと思っています。

 大臣、この議論について、私は、私も同感ですが、例えば離島なんかで教科外指導をしている、人員が配置されなくて、自分は社会の先生だけれども、古文の授業を、国語の授業をしなきゃいけないというようなものというのは全国的に過疎の影響であるんですね、現実に。だから、専門の先生が今ある最新のテクノロジーで授業をしていく、専門的に授業をしていくという、テクノロジーを利用したサポート、今ある現状に対してプラスアルファしていくというものはいいですけれども、今ある現状を取っ払って、オンラインで授業を受ければ大丈夫なんだという、このような傾向について、大臣の明確な意思をぜひ教えてください。

柴山国務大臣 ここはしっかりと整理をすることが私は必要だと考えております。

 学力や意欲、家庭環境などが多様な児童生徒が在籍する義務教育段階においては、教師が一人一人の特性や状況等をきめ細かに理解して指導を行うことが極めて重要だと考えております。また、AI技術が高度に発達するソサエティー五・〇時代に向けて教師が先端技術を活用しつつも、対話的、協働的な学びを実現することも私は極めて重要だと考えております。したがって、教師による対面指導や子供同士による学び合いの重要性が私はより一層高まっていくと考えております。

 こうしたことも踏まえますと、先ほど問題にされた通信制高校のように、義務教育段階にも同様に通学を前提としない通信制を導入することは、教師と子供、また子供同士が向き合う機会が限定され、義務教育の質の低下を招くものであることから、義務教育段階に通信制を導入することは適切ではないと考えます。ましてや、仮に今御指摘のような事態が生じるとすれば、むしろ極めて不適切だと考えております。

 文部科学省としては、昨年十一月に「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて 柴山・学びの革新プラン」を打ち出したところであり、病気療養や不登校など特別な配慮が必要な児童生徒への支援も含めた遠隔教育の推進や、これからの学びを支える学校ICT環境の整備など、先端技術を活用した質の高い教育の実現に向けた取組は強力に進めてまいりますけれども、今申し上げたように、ぜひしっかりと議論を整理をしていただきたいというように考えております。

義家委員 ありがとうございます。

 そもそも、よく子供のころ、学校は勉強するところで、おまえたちの仕事は勉強なんだという言葉をかけられた方もいますけれども、私は、子供たちの仕事は勉強じゃなくて、人間力や社会性の基礎を一生懸命、勉強も含めて、学び、成長していくことが子供たちの仕事というか、子供たちにとって最も大切なことだと思っているんですね。

 私、多くの学校にも足を運びましたが、驚くべき光景を時折都会では見るんです。一月、二月に小学校六年生の教室に行ってみると、クラスの大半がいないんですね。初め、私は田舎の人間でしたから、何でいないのか理解できなかった。生徒たちはどうしたんですかと言ったら、中学受験を前に風邪とかがうつってしまったら困るから、そして、学校に来る時間よりも、その時間、塾で受験に備えた勉強をした方がいいから、来ないと。これは大変驚きました、私、あの姿を見たときに。

 勉強至上主義じゃなくて、やはり教育とは何なのかということを考えていかないと、そのような風潮がどんどん広まれば広まるほど、私は子供たちに対して無責任な教育になっていってしまうだろうと思っています。

 例えばこんなものが、こんなものと言ったら変ですが、このような方法が制度化されたら、仮に、籍だけ学校に在籍して、就学義務がありますから、籍だけ中学校に在籍して、残りは学校に通わないで塾的な学びだけをして、そして進学していくというような義務教育が生まれてしまう懸念がある。つまり、積極的不登校。本来、行きたくても行けないんだという不登校の子たちの内面に向き合っていくのが大切ですが、いや、行ったら余り得しないから、自分の志望校に入るためならというような積極的不登校がどんどんふえていってしまったならば、これは我が国として取り返しのつかないことになるというふうに思います。

 中根副大臣においては、ぜひとも内閣府の中で、もちろん、民間議員がそれぞれの自由な発想で意見を述べることは大変重要なことだし、いろいろな視点から議論が行われることは重要ですけれども、背骨の部分だけは決して、ぶらしたり、あるいは曲げてしまったりすることだけはないように、最後、中根副大臣の思いも含めてお答えいただけたらと思います。

中根副大臣 義家先生の発言に私も大変同感するところがありまして、先ほどもお話ししましたが、義務教育に通信制を導入するかということは、これ自体いろいろな意見はありますけれども、しかしながら、これを導入するかといった方向の議論というのは全く進んでいないということでございますし、いずれにいたしましても、やはりこの先、柴山大臣がおっしゃっていたように、文科省の意見をしっかりと聞きながら、政府全体としてしかるべき意見をとるように行っていきたいと思います。よろしくお願いします。

義家委員 知徳体をバランスよく伸ばしてあげることこそ義務教育の大切な使命でありまして、その体、徳の部分、そういったものを軽んじるような教育にせずに、しっかりと、日本の核の部分、土台の部分は、文科省、責任を持って守っていただきたいと思います。

 質問は以上です。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 五月二十八日に、文部科学省の現職職員が覚せい剤取締法違反等の容疑で逮捕されました。先日の当委員会におきましても、大臣に対しまして、文部科学省が三月に策定いたしました文部科学省創生実行計画を踏まえまして、不祥事の再発防止策の徹底などを大臣にお願いをし、また決意を伺ったところでございまして、そのやさきにまたこういった事件が起きたということで、私も大変に残念に思っております。文部科学省に対しまして猛省を促したいと思います。

 大臣には、組織の先頭に立ちまして、文部科学省職員の法令遵守の徹底のみならず、職員の変化にいち早く気づき、心身の健康が確保されるような職場環境の構築にも努めていただきたいと思います。そして、一刻も早く国民の皆様の信頼回復に全力を挙げて取り組んでいただきたい。改めて、大臣の方に御見解、御決意をお伺いしたいと思います。

柴山国務大臣 一連の不祥事によって国民の信頼を失った文部科学省において、このように再び行政に対する国民の信頼を失う事案を職員が引き起こしたことをおわび申し上げます。

 今委員が御指摘のとおり、現在、文部科学省創生実行計画に基づいて、私を本部長とする文部科学省改革実行本部において、組織風土改革、職員の意識改革など、信頼回復に全省を挙げて取り組んでいる、まさにそのさなかにこのような事案が起きたことは断腸の思いでありまして、五月二十九日に職員に対し、緊急に、法令遵守の徹底について私からの訓示を伝えたところであります。

 文部科学省としては、捜査当局が行う捜査に全面的に協力するとともに、この事態を深刻に受けとめて、改めて綱紀の粛正を徹底し、国民の信頼回復に向けて全力を挙げてまいりますとともに、こちらも今委員が御指摘になられたように、全職員を対象に、職員の抱えている公私を問わない悩みなどの相談を受ける体制の抜本的強化もあわせて行ってまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 やはり、最初にこの件を伺ったときに、周りの方も含めて誰か気づく人はいなかったのかと、率直に私もそのように思いました。先ほども冒頭申し上げましたが、そういった職員の変化だったり、日常生活も含めて、そういったことにお互いに気をつけながら、また声をかけ合いながら、結果だけを出せばいいとか仕事だけをすればいいとか、そういったことではなくて、しっかりと、こういった、心身ともに健康が保たれて、それぞれが活躍できる職場の環境づくりを推進しながら使命を全うしていただきたいということを改めて申し上げたいと思いますし、今、代表で大臣の方からも御答弁いただきましたが、ぜひとも、全職員の皆さんも同じ思いで、決意で使命を全うしていただきたいということで、重ねてになりますが申し上げておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 これも前回の一般質疑でも取り上げさせていただきました登下校時の子供の安全確保ということで、前回は大津市の園児が事故に巻き込まれたという点で取り上げさせていただきましたが、今回は、神奈川県川崎市、通学中の児童が犠牲になるという大変に痛ましい事件が起こりました。改めて、亡くなられた方の御冥福を心からお祈り申し上げ、御家族の皆様にもお悔やみを申し上げたいと思います。また、負傷された方々の一刻も早い回復をあわせてお祈り申し上げたいと思います。

 何でこの事件が起きたのかということにつきましては、先ほど馳委員の方からもお話がございました。また、今回、登下校中の安全確保のための方策ということで集団登下校やスクールバスを実施している、そういった中でこの事案が起きてしまいましたので、そういった意味でも大変に衝撃が大きいものでもございました。

 今後、さまざまなケースを想定いたしまして、子供たちを守り、子供たちが事件に巻き込まれることがないよう何ができるのか、また何をしなければいけないのか。これも先ほど大臣の方からもお話がありましたが、今すぐできること、また中長期的に検討し取り組んでいかなければいけないこと、そういったことがさまざまあるわけでございますが、いずれにしましても、しっかりと関係者が力を合わせてやっていかなければいけないと思っております。

 政府におかれましては、先日、関係閣僚会議を開催し、登下校時の子供の安全確保に向け早期に対策に取り組むこととしておりますけれども、文部科学省としまして、これまでの取組に加えてどのような対策をとっていくのか、大臣の方にお伺いをしたいと思います。

柴山国務大臣 まさしく前回御質問いただきました大津市における園児死亡事故に加えて、今回、神奈川県川崎市において発生した事件につきまして、亡くなられた方や御遺族の方に心からお悔やみを申し上げますとともに、負傷した方々の一刻も早い回復をお祈り申し上げます。

 子供たちが被害に遭う事故や事件が近時続発しております。通学路や園外活動の場における安全対策の強化が喫緊の課題であると考えております。

 文部科学省といたしましては、関係省庁と連携して取り組んでいる通学路交通安全プログラムや、昨年度取りまとめられた登下校防犯プランに基づく取組に加えまして、関係省庁や自治体とも連携をし、交通安全、防犯対策、それぞれの面から、現場の意見もしっかりと踏まえ、対策を早急に取りまとめて、こうした悲惨な事故や事件が二度と起こらないよう取組を進めてまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 専門家の方がおっしゃっておりましたが、やはりこういった事件というものは弱い者を狙う、そういったこともおっしゃっておられました。絶対にこういった事件は、犯罪は繰り返されてはならないものでございますが、しかし、いつどこで起こるかわからない、そういったことを想定して取り組んでいくことが重要かと思っております。

 先ほども御答弁いただきましたが、関係省庁、皆さんとしっかりと連携をとりながら、意見を伺いながら対策をとっていただきたいと思いますし、また、今回の事案につきましては、ぜひともまた、学校また生徒へのケアを含めて、しっかりとこちらの方も対応をお願いしたいということで、重ねて要望させていただきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきたいと思います。

 五月十七日、政府の教育再生実行会議におきまして、「技術の進展に応じた教育の革新、新時代に対応した高等学校改革について」の提言が取りまとめられております。

 まず、本提言の趣旨及び内容につきまして、教育再生担当大臣である柴山大臣にお伺いをしたいと思います。

柴山国務大臣 先般取りまとめられた教育再生実行会議の第十一次提言では、今御紹介をいただいた、技術が進展する新しい時代における教育の姿や、ソサエティー五・〇を生き抜くことができる人材を育成するための高等学校改革について、幅広い観点から総合的な方向性をお示しいただきました。

 本提言では、人生百年時代の到来、技術の急速な発展などの社会の変化に対応し活躍できる資質、能力を育成する観点から、主な内容として、技術の進展に応じた教育の革新について、全ての小中高等学校等における遠隔教育の活用など新たな学びの推進、教育課程や教科書制度の弾力的な見直し、教師の資質、能力の向上、外部人材の積極的な活用、新たな学びの基盤となるICTの環境整備、そして、新時代に対応した高等学校改革について、普通科のあり方に関する類型の例示、特別な配慮が必要な生徒への対応、文系と理系科目の両方をバランスよく学ぶ仕組みの構築、そういったことなどが盛り込まれております。

 今後、総理のリーダーシップのもとで、関係省庁や民間関係者と連携をし、また、内容によっては中央教育審議会等においても御審議をいただきながら、提言の内容を着実に実現してまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今御報告いただきました教育再生実行会議におきまして提言がまとめられるということで、我が党におきましても教育改革推進本部というものがございますので、こちらの方で、富田衆議院議員が本部長でございまして私が事務局長をさせていただいております、この本部におきまして、私たちも、ぜひ提言に盛り込んでいただきたいということで、我が党独自でも提言をまとめさせていただきました。

 その提言を五月十五日に安倍総理の方に直接お届けをいたしまして、具体的に説明もし、また、安倍総理の方からも、さまざま御提案というかお話もいただいたところでございます。

 この我が党の提言の内容でございますが、簡単に御紹介をさせていただきたいと思いますが、障害者や不登校、日本語の不自由などにより教育を十分に受けられない子供たちがまだいらっしゃる、その一人一人が持つ個性と可能性を最大限に発揮できるように、社会の側にある障害を取り除いていくことが重要ではないか、そういった認識のもと、具体的に提言をさせていただいております。

 例えば、ICTの活用による個々の能力、適性に応じた学びの実現や遠隔教育の推進、外国につながる子供の高校進学前の日本語指導や高校入試での配慮、高校卒業者の一人一社制のよりよいルールづくり、また、生徒の中途退学の未然防止や中途後の再就学や進学、就労に向けた支援の必要性、こういったことを取りまとめまして、直接、安倍総理の方にも提言をさせていただきました。

 安倍総理の方からは、ICT活用の環境整備、まずこれにしっかりと取り組んでいかなければいけないのではないかということで、まず冒頭そういったお話もありまして、そのほか、大変に関心を持たれておりましたのが、高校中退者は毎年五万人おり、未然に防止することも含めて支援が大変に重要である、そういったこともおっしゃっておられました。

 お時間をいただきまして、安倍総理にも具体的に提言もさせていただきまして、我が党としてもしっかりと進めていきたいと思っておりますが、その中で幾つか質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、ICT環境整備の現状、課題をお伺いしたいと思いますけれども、飛躍的に進歩を遂げる技術の力を活用いたしまして、先ほども申し上げましたが、一人一人の能力や適性に応じた個別最適化された学び、これをしっかりと実現できるように研究も進めながら、全ての子供たち、その中でも特に、やはり私たち公明党としましては、障害を持っている子供、また外国人など日本語が不自由な子供、不登校の子供等がその成果を享受できる、そういった環境づくりをしっかりと進めていかなければいけないと思っております。

 そういった取組を推進するに当たりまして、言うまでもなく、このICT環境、これをしっかりと整備していかなければいけないと思っておりますが、この現状、学校のICT整備の現状、課題を改めて文科省の方にお伺いをしたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 ソサエティー五・〇の社会を迎えるに当たって、学校のICT環境整備は必要不可欠でございまして、そのために必要な経費については、単年度千八百五億円の地方財政措置を講じることとされているところでございます。

 しかしながら、学校ICT環境整備が十分に進んでいるというのはまだ言いがたい状況でございまして、また、地域間にも格差があるということは文部科学省としても危機感を持っているというところでございます。

 まずは、各学校の設置者が地方財政措置を積極的に活用し、計画的な環境整備を行っていくべきと考えておりますが、本年三月に公表いたしました、新時代の学びを支える先端技術活用推進方策の中間まとめにおきましても、学校ICT環境整備の推進を柱の一つとして、例えば安価な環境整備に向けた具体策の検討、安価なパソコン等の環境整備に向けた具体策の検討や、関係者の専門性を高める取組などについて進めることといたしております。

 今後、関係省庁や産業界とも十分連携しながら、具体策を検討、提示していくことにより、これからの学びを支える学校ICT環境の実現を図ってまいりたいと考えているところでございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 このICT環境整備がなかなか進まない要因ということで、さまざまあるかと思います。財源の問題ももちろんそうですし、また、それを活用していく上で、先生方の負担といいますか、先生方御自身が、活用できるのかという、そういった不安を抱えていらっしゃる先生もいらっしゃるとも伺っております。

 いずれにしましても、やはり一つ課題として気になりますのが、地域間格差があるということでございまして、このICTの環境の格差が将来的に教育の格差につながっては絶対にならないとも思いますし、そういった意味でも、まずしっかりと、国としてもこの環境整備の支援をいろいろな形でしていかなければいけないと思っておりますので、予算の確保も含めて、私たちもしっかりと取り組んでいきたいと思いますが、ぜひ国としても支援をしていくというその決意で取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 その上で、これも先ほども申し上げましたが、このICTを活用することによって、子供たち一人一人、それぞれ個性も能力もまちまちですけれども、それぞれが発揮できる、そういった教育を実現することが重要でございまして、その中でも、やはり、障害、また不登校により学校に通うことが困難な子供たち、またそのほか、医療的なケアの必要な子供たち、こういった児童生徒に対しまして、遠隔教育を活用して、教育の質を高め、学びの機会を確保していく、こういった取組が大変に重要でございますし、しっかりと進めていただきたいと思っております。大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

柴山国務大臣 遠隔教育は、教育の質を大きく高める手段であり、教師の指導や子供たちの学習の幅を広げることのみならず、御指摘のように、不登校や特別な支援が必要な児童生徒など、一人一人の状況に応じて学習機会の確保を図る観点から重要な役割を果たすと考えております。

 このような観点から、文部科学省では、小中学校段階において、不登校の児童生徒や長期間通学できない医療ケア児を含めた病気療養児について、遠隔教育を行った場合に校長は指導要録上出席扱いとできる制度を設けるとともに、入院中の児童生徒に対しまして、遠隔教育を活用した支援体制の構築を図るモデルを構築する事業を実施することなどに取り組んでおります。

 本年三月に中間まとめを公表した新時代の学びを支える先端技術活用推進方策におきましても、遠隔教育に関して、学校等がさまざまな支援、助言が受けられる環境の整備や、実証的取組を進めることを掲げさせていただいております。

 現在、最終まとめに向けた検討を進めているところでありまして、今後とも、この遠隔教育の効果的な活用を推進してまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 効果的な遠隔教育の活用ということで答弁いただきました。

 今、答弁の中でも大臣にも少し触れていただいておりましたが、こういったICTを活用して教育を実現していく、そういった中で、不登校児またそういった方々が自宅において学校と同水準の教育を受けた場合、児童生徒の学習成果を学校での成績として認めることができる制度があるということで、これも今大臣に触れていただきました。

 しかし、この制度自体が十分に活用されていないという実態があると思っております。この現状を踏まえまして、どの学校におきましても、またどういった児童生徒でありましてもこういった制度がしっかりと活用できるように、この制度のあり方自身をしっかりと検討して、取組を強化していただきたいと思いますが、御見解をお伺いをしたいと思います。

柴山国務大臣 御指摘の、指導要録上の出席扱いとできる、またその成果を評価に反映することができるという制度に基づいて実際に出席扱いとなったという児童生徒は多くはない。個々の不登校児童生徒の状況に応じた支援の推進の観点から、よりICT等を活用した学習活動を効果的に取り入れていくとともに、やはりこの制度の周知も図っていく必要があるのだろうというように考えております。

 そういうような状況も踏まえて、文部科学省といたしまして、本制度の要件、留意事項、実際の取組事例につきまして、会議等さまざまな機会を捉えて周知を図ることなどによって、本制度の活用を一層促進をしていきたいと考えております。

鰐淵委員 これも大臣からもありました、この制度はそれぞれの学校の校長の判断に委ねられているということでございまして、平成十七年に通知をされているものかと思っております。

 しかし、繰り返しになりますが、ほとんど実態がないということで、このままこれを再度通知をしていただいても、また徹底をしていただいてもこの仕組みは生かされないのではないかと思っております。

 なぜ活用されていないのか。そもそもICT環境が整っていない、そういった課題もあるかと思いますので、それもしっかりと進めながら、繰り返しになりますが、不登校の生徒がこういったICTを活用して学んで、それが学習成果に反映される、また出席扱いされることによって学校への復帰だったり卒業後の進路へ大きくつながる、これも期待されるわけでございますので、しっかりとこの制度が活用されるように、また、全国どの学校でもどの地域でもこういった制度がしっかりと生かされるように、そもそもこの制度のあり方自身をもう一度しっかりと見直す必要があると思っております。

 繰り返しになりますが、もう一度大臣の方に答弁をいただきたいと思います。

柴山国務大臣 不登校等の事例においても、さまざまなレベル、段階があるというように考えております。

 初めからICTにおける遠隔教育をフルに活用する意欲等の、あるいは今委員が御指摘になった設備等が恵まれているという事例ばかりではないというように思いますので、今私が申し上げたように、成功している事例ですとか、あるいはそのプロセス、例えば最初は手紙でのやりとりから始まって徐々に学びに対する意欲を回復するなど、恐らくさまざまなケースがあるのであろうというように考えております。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げたとおり、この制度の要件や留意事項ですとか実際の取組事例の展開、こういったことなどを実際にしっかりと、現場の意見も聞きながら取組を促進させるように頑張っていきたいというように考えております。

鰐淵委員 時間になりましたので、以上で終わります。大変にありがとうございました。

亀岡委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。

 柴山大臣、鈴木大臣、そして白須賀政務官にもお運びをいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いを申し上げます。NHKからは、専務さん、本当にお忙しい中、ありがとうございます。

 早速お聞かせをいただきたいというふうに思います。

 まず最初に、私からも、五月二十八日、川崎市登戸駅周辺で発生をした小学生等十九名に対する殺傷事件、大変痛ましい、あってはならない事件が起きたということで、お亡くなりになられた方、御遺族には心からお悔やみを申し上げたいと思いますし、傷を負われた子供たちには一刻も早い回復、そしてお見舞いを申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 本当に恐ろしい事件で、子供を持つ親御さんたちの不安というものは全国的にいかばかりかと想像するわけでございます。きょう朝からずっと与党の先生方からも質問が出ておるわけでございますが、総理指示もあった、大臣も学校の安全に関する会議で御発言をされたということでございます。

 まず、総理指示の詳細な内容をちょっと教えていただいてよろしいでしょうか。

柴山国務大臣 改めまして、今般の事件で亡くなられた方や御遺族の方に心からお悔やみを申し上げますとともに、けがをされた方々の一刻も早い回復をお祈り申し上げます。

 今御質問のございました、一昨日、登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議における総理からの指示でございますけれども、まず、徹底した捜査による全容解明と関係省庁との情報共有、それから通学路の安全確保の徹底、そして不審者情報の共有と迅速な対応の徹底について早急に取り組むよう指示がございました。

川内委員 今、総理指示の内容を詳細に教えていただきました。

 柴山大臣も、昨日になるんでしょうか、学校の安全に関する会議で御発言をされて、今、総理から御指示のあった内容等について、みんなで情報を共有し把握していこうね、対応していこうねという御発言をされていらっしゃるわけでございますが、私、総理指示の中に、一つ、傷つけられた子供たち、あるいはその学校に通っている子供たちに対する心のケアというものが入っていないなということを感じておりまして、柴山大臣の学校の安全に関する御発言の中にも、児童生徒に対する心のケアという文言が入っておらないものですから、その辺も含めて、関係者全員、大人全員で対応していくよという御決意をいただければというふうに思います。

柴山国務大臣 今御紹介をいただいた、昨日開催された各都道府県の学校安全担当者を集めた会議において、私から直接、登下校時を含む学校の安全確保に万全を期すよう、各自治体においても取組を依頼をさせていただきました。

 そして、今の心のケアについても、私が昨日の会合において、今般の事件を受けて、学校現場で不安ですとか動揺が広がっていないのか、また不足している支援はないのか、ぜひ、きょうお越しの、全国からお集まりの各御担当に、改めて確認をしてください、必要な対応を学校現場や子供たちのために図ってください、お願いいたしますということはその場で申し上げさせていただいたところであります。

川内委員 安心いたしました。

 とにかく、このようなことが二度と起きてはならない。事件の背景の解明は捜査に待たなければならないわけでございますが、今私たちができること、大人ができることを全員で力を合わせてやっていかなければならない。

 ちっちゃな子供たちの心の傷というものの大きさを思うと、本当に、全力を尽くして子供たちを守っていかなければならないというふうに思うところでございます。

 次に、ちょうど一年前、昨年の五月三十日に、本委員会の全会一致の決議で、今委員の先生方のお手元にも資料をお配りしておりますけれども、障害という言葉の漢字、害の漢字ですね、「害」、「碍」という表記、障害や障害者の表記について、「碍」の字を常用漢字表に追加することの可否を含め検討してくださいねということを政府に求める決議を、現在与党筆頭である元文部科学大臣馳先生の御指導のもとで、そしてまた、亀岡委員長は昨年理事でいらっしゃいました、亀岡委員長の御指導のもとで、全会一致の決議を本委員会がいたしました。

 本日の質疑では、この障害あるいは障害者の表記で「害」の字を使用することの可否について議論をさせていただきたいというふうに思います。

 資料を見ていただきたいんですけれども、一九三二年に救護法という法律が制定をされて、その法律の中には、「精神的または、身体的障碍のある者」ということで、「碍」の字が使われております。

 一九四五年のポツダム宣言、これは外務省が訳しておりますけれども、ポツダム宣言には、一切の障碍を除去すべしと、この障碍は「碍」でございます。

 戦争が終わって、一九四六年、当用漢字表が制定をされ、この当用漢字表で、「害」だけが採用をされて、「碍」は排除をされた。

 ところが、当用漢字表から「碍」は排除されたけれども、一九四八年、優生保護法、最近大変に話題になっておる優生保護法でございますが、この優生保護法の中でも、「碍」が障碍として使用をされている。

 この優生保護法というのは、ちょっと後で言及しますけれども、本当に、時代の空気というか雰囲気というのは恐ろしいなということを感じさせる法律になっているわけですけれども、それは後で言及するとして、その後、一九四九年に、身体障害者福祉法という形で「害」の字が法律に採用された。

 さらに、一九五六年に、文化庁が書きかえ指導という形で、「碍」の字を使った障碍という言葉は使わないでね、「害」を使ってくださいねということで、障害、「害」に書きかえてくださいということを指導する通知を出していらっしゃいます。

 さらに、一九五九年、石橋湛山先生が周恩来さんに手紙を書き、その中で、できる限り国境の障碍を除去しと、この障碍は「碍」を使って、できる限り国境の障碍を除去しと、「碍」を使って手紙を書き送っています。

 私、そもそも、一九四六年に、当用漢字表になぜ「碍」を外したのか、「害」しか使えないようにしていったのかということがすごく疑問なんです。なぜなら、「害」にいい意味はないからです。それこそ、殺すとか、傷つけるとか、害虫とか、害毒とか、害悪とか、そういう漢字。これは全部、馳先生の受け売りです、漢字一字で漢字は意味を持つと。その言葉が障害の漢字に当てられてきたわけです。そのスタートが一九四六年だ。

 これはなぜなんだということを文化庁にお尋ねをしたいというふうに思います。

中岡政府参考人 文化庁を御指名でございますので、私の方から御説明申し上げます。

 先生から御指摘ございました当用漢字表でございますけれども、昭和二十一年当時、漢字が複雑かつ無統制に使用されていたため、社会生活上、少なからぬ不便があり、文化の進展にも大きな妨げとなっていると考えられたことから作成されたものでございます。

 その際、千八百五十字が記載されたところでございますけれども、一字一字の記載理由については、資料が残っているかどうかも含めて、改めて調べてみたいというふうに考えております。

川内委員 ここが肝だと思うので、ぜひお調べをいただいて、御報告をいただきたいと思います。

 「害」を使うのか、「碍」を使うのか。これは、当時もやはり議論があったと思うんですね。

 そこで、先ほど申し上げた優生保護法という法律、五月二十八日にやはり憲法違反だと仙台地裁に認定をされた旧優生保護法が、これは議員立法として成立をしているんです。これも全会一致なんですね。全会一致で成立している、誰も異論を唱えなかった。

 この議員立法を主導したのが、谷口弥三郎参議院議員、医学博士で、現在の日本産婦人科医会の創設者、初代会長で、日本医師会会長も務めた立派な先生、これに社会党の福田昌子先生が協力をし、成立しているわけです。

 時代の空気というのは恐ろしいなと思うのは、このお二人が「優生保護法解説」というコンメンタールを書いていらっしゃって、この中で、「従来唱えられた産児制限は、優秀者の家庭に於ては容易に理解実行せらるるも、子孫の教養等については凡そ無関心な劣悪者即ち低脳者低格者のそれに於てはこれを用いることをしないから、その結果は、前者の子孫が逓減するに反して、後者のそれは益々増加の一途を辿り、恰も放置された田畑に於ける作物と雑草との関係の如くなり、国民全体として観るときは、素質の低下即ち民族の逆淘汰を来すこと火を睹るより明らかである。」、国民を優秀者と劣悪者に分けるという恐るべき差別と偏見の思想がこのコンメンタールの中にもういっぱい書いてあるんですよ。

 でも、この優生保護法を全会一致で成立させているんですね、当時の国会は。そういう中で、障害、障害者という言葉の漢字にどの漢字を当てるのかということが決められているわけです。「害」を使うんだということで決められている。

 「害」を障害あるいは障害者という漢字に使うんだということは政府としてお進めになられてきた、推奨されてきたということでよろしいですよね。施策として。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、昭和二十一年当時の状況といたしまして、漢字が複雑かつ無統制に使用されてきたということで、社会生活上、少なからぬ不便がある、それが文化の進展にも大きな妨げとなっていると考えられるという背景がございまして、千八百五十字に制限をしているというようなことをその当時したわけでございます。

川内委員 漢字文化圏というのは日本だけではなく、中国や韓国や台湾なども漢字文化圏でございますけれども、障害や障害者という言葉に「害」の字を使用しているのは日本だけである、他の国々では使用されていないということでよろしいでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 我が国で用いられております「障害」は、江戸末期の文献から見られ、明治期には一般にも用いられるようになったものでございますが、これまでのところ、文化庁といたしましては、他の漢字圏諸国での「障害」の用例は確認をしておりません。

川内委員 政府部内では、内閣訓令によって、常用漢字表にある漢字を使いなさいよと。だから、「害」しか使えないんですね。「碍」の字は常用漢字表にないので、使いたくても使えないというのが現在の状況であると、内閣訓令によって。

 内閣訓令によって、常用漢字表にある漢字を使いなさいというのは、もう例外は一切認められない、もう絶対だめだということなんでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 常用漢字表でございますけれども、その前書きというのがございまして、現代の国語を書きあらわす場合の漢字使用の目安であり、一般の社会生活と密接に関連する語の表記についてはこの表を参考とすることが望ましい旨の性格を規定しております。

 ただ、先ほど委員御指摘のように、国の公用文における漢字使用等につきましては、平成二十二年の内閣訓令第一号によりまして、常用漢字表の本表及び付表によるものとされるとともに、目安としての性格を規定している前書きの部分を除いております。

 このため、国の公用文における漢字は、常用漢字表にある漢字を用いる必要がございます。

川内委員 その内閣訓令の一番下のところに、ただし、読みにくい漢字等の場合には、振り仮名等を振ることはいいですよということが書いてあるはずなんですけれども、それを言ってほしかったんですけれども。

中岡政府参考人 難しい漢字だとか、そういったものにつきまして、例えば子供さんが読めない場合もございますので、そういった場合には、そういうような取扱いをするという考え方でございます。

川内委員 だから、内閣訓令では、常用漢字表にある漢字を使いなさい、公用文書であっても原則使いなさい、原則使いなさいということですよね。

 きょうはオリパラ大臣の鈴木大臣にも来ていただいていますが、ただでさえ、インバウンドがふえている。来年のオリパラに向けては、漢字文化圏からたくさんの皆さんがいらっしゃるわけですね。

 それで、鈴木大臣、この参考資料を見ていただくと、これは上海のバリアフリー通路の看板なんですけれども、「碍」の字が「障碍」、障害がない通路ですよということで、表示が出ているわけですけれども、来年のオリパラで、広報物とかオリパラの関係部局が出すさまざまな文書に、日本以外の漢字文化圏の人が見たことのない「害」がついた障害あるいは障害者という漢字を見ると、私はぎょっとするんじゃないかと。なぜなら、「害」には、有害とか殺害とかネガティブなイメージ、ネガティブな意味しかないわけですね。

 二〇二〇年の来年の東京オリンピック・パラリンピックにおいて、障害のガイに「害」の字はなるべく使用しない方がいい、それこそ原則使用しない方がいいんじゃないかというふうに思います。

 オリパラ担当大臣として、組織委員会などと御相談されて、さまざまに工夫をいただきたいというふうに考えますが、大臣としての御所見をいただきたいというふうに思います。

鈴木国務大臣 二〇二〇年東京大会で、たくさんの漢字圏からも関係者が来日されるということは御指摘のとおりだと思います。

 オリパラ事務局としていろいろ出す文書については、対外的なものもございますし国内的なものもございますので、使う表記につきましては、先ほど来川内先生から御指摘のとおりの、政府の方針に沿って「害」という字を使っているというのが現状でありまして、それは今のところの政府の方針でありますので、それに沿って表記することになろうかと思います。

 しかし、また一方において、先ほど、組織委員会等に話をしたらどうかというお話もございましたが、組織委員会のような民間の組織における表記については、昨年十一月の文化審議会国語分科会におきまして、それぞれの考えに基づいた表記を用いることが可能ということになっているわけでありまして、現在既に、日本パラリンピック委員会、JPCの母体であります日本障がい者スポーツ協会においては、平成二十六年より、「害」は「がい」というものを用いる用法に変更を行っており、これを踏まえまして、同協会及び日本パラリンピック委員会、さらには、御指摘の組織委員会においても、既にそのような平仮名を使う表記になっているところであります。

川内委員 平仮名は漢字文化圏の人には読めないので、その辺を、鈴木大臣のリーダーシップを発揮していただいて、検討いただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 きょうはNHKさんにも来ていただいております。

 二月の国会質疑では、放送用語委員会で検討するという御答弁をいただいております。放送用語委員会というのは六月に大体毎年開かれているというふうに聞いておりますけれども、六月に放送用語委員会が開かれて検討されるのか。

 この放送用語委員会という場所でどの漢字を使うのかというのをNHKさんは決めるわけですけれども、ヒアリングや調査を行うというふうにも聞いております。調査の際には、「害」の字を使う障害や障害者という言葉に対して、「害」の漢字を使うことに対するイメージというのもぜひ聞いていただきたいというふうに思っておりますけれども、NHKさんの御見解、そしてまた今後の方向性というものを教えていただきたいと思います。

木田参考人 お答えいたします。

 NHKでは、現在、固有名詞や団体名などを除き、障害という言葉には「害」の字を使った漢字書きを基本としております。

 漢字表記につきましては、常用漢字表を基本的なよりどころとしております。放送に使う言葉は、正確さと同時に、やはりわかりやすさが基本でありまして、専門知識を持たない視聴者にも理解してもらえるように配慮しているところであります。

 お尋ねの放送用語委員会の開催日につきましては、事前に公表しているわけではないんですが、まだ決まっておりません。

 この障害の表記につきましては、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、放送用語委員会で検討するために、現在、障害者団体などに対する聞き取り調査などを行って準備を進めているところであります。

 そのほかにもアンケート調査ということも検討しておりますが、どのような調査を、あるいは質問をするのか、そこのあたりはまだこれからの検討ということになるかと思います。

川内委員 ここはちょっと大事なので重ねてお尋ねをしますが、「害」という漢字、僕らは、障害あるいは障害者という漢字について「害」をずっと使わされてきているので、なれてしまっているわけですね。なれというのは恐ろしいことなんですよ。

 先ほど鈴木大臣からも御披瀝がありましたけれども、日本障がい者スポーツ協会は、ガイの字を「害」から平仮名に変えて、日本障がい者スポーツ協会に変更しているわけです。これは大変な勇気が必要だったと思うんですけれども、この協会のホームページに、当協会としては、たとえ少数であっても活字の「害」を不快に思う人に配慮するとともに、社会の意識を変える一つの誘因にもなるよう期待し、当協会の権限の範囲内において平仮名の表記に改めましたとホームページでおっしゃっています。

 その前段で、ただ、その表記を変えたことで差別や偏見が払拭されるとは思っていませんとも言っているんです。要するに、障害や障害者に対する差別や偏見があるんだと。今現にある、表記を変えるぐらいじゃそれは変わらない、だけれども、意識を変えるきっかけの一つになればいいということで決断をされていらっしゃるわけで、障害者権利条約、障害とは、旅人の行く手を阻む、道を塞ぐ石のようなものだと。障害者の外にあるんだと。それをみんなで取り除いてあげることがノーマライゼーションだよという障害者権利条約の趣旨にのっとれば、我々全員が障害や障害者に対するサポートをしていく、手伝いをしていく、それこそ道を塞いでいる石を取り除く手伝いをみんなでしていく、どんな細かいこともしていく、ちっちゃなこともしていく、その大きなきっかけとなるのが、要するに、障がい者スポーツ協会もおっしゃっているように、意識を変えるきっかけの一つになるのではないかということなんです。

 きょうはスポーツ庁にも聞きたいんですけれども、国民体育大会、これを国民スポーツ大会という名称に改めることになっているわけですが、国民体育大会と同時期に同じ場所で行われる全国障害者スポーツ大会、文部科学省が公益財団法人日本障がい者スポーツ協会や開催都道府県とともに三つの主催者の一つになっているわけですが、来年鹿児島でやるんですよ、国民スポーツ大会。鹿児島には全国障害者スポーツ大会の旗もいっぱい出ているんですけれども、「害」の字が使われているんですね。私、それを見るたびに何か気になって気になって仕方なくて、鹿児島県の方に聞いたら、だって大会の要綱でそうなっているんだもんとめちゃめちゃつれないことを言われて。結局、国が、文部科学省が、ああ、そう、ちょっと考えようねと言わない限り、なかなか変わっていかないんですよ。

 ぜひ、スポーツ庁として、他の主催者と協議して表記について御検討いただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

今里政府参考人 お答えいたします。

 全国障害者スポーツ大会の障害のガイの字、「害」を使っておりますが、法令で決まっている部分がございます。また、文部科学省が作成名義を有する文書につきましては、先ほど来お話のございますように、公用文における漢字使用等についての内閣訓令等に基づいて、「害」を用いてあらわすということが原則となります。

 他方、今先生からも御指摘のございましたように、大会運営は、スポーツ庁それから日本障がい者スポーツ協会、開催都道府県の三者の協議によって行っているところでございますので、先ほど申しました公用文など以外の掲示物、PRグッズなどについて、日本障がい者スポーツ協会、大会開催地の都道府県から、例えば平仮名の表記を用いたいとの御相談があれば、三者で、こういったPRグッズなどの性格に照らして、個別に検討していくこともあり得ると考えております。

川内委員 ぜひさまざまな工夫をしていただきたいと思います。

 最後に、柴山大臣、今、文化審議会国語分科会で害の字の表記について検討が進んでいるということですが、その審議会での検討を督励していただけますようにお願いをしておきたいというふうに思いますが、大臣から一言いただきたいと思います。

柴山国務大臣 六月七日に開催されます国語分科会国語課題小委員会から検討に着手をしていただき、しっかりと迅速に検討していただくことを希望いたします。

川内委員 それでは、残りの時間で、白須賀政務官、本当に済みません、私も聞きづらいことなんですけれども、ぜひお願いしたいと思います。

 ことし一月十二日十四時三十分ごろ、白須賀先生がお乗りになって秘書の方が運転していらっしゃる車が、移動中に対向車と接触したということでございますけれども、警察庁としてこの事件を把握しているかということだけ教えていただきたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 本年一月十二日昼過ぎ、千葉県松戸市内の市道において当て逃げ被害の通報があり、千葉県警察において所要の捜査を行っていることは承知しております。

川内委員 今当て逃げという言葉が出たんですけれども、要するに、道路交通法七十二条、交通事故の場合の報告義務に違反しているのではないかということだろうというふうに思います。

 同じく、道路交通法第七十三条には、同乗者は事故の報告を妨げてはならないということも規定しているというふうに聞いておりますけれども。

 これまで、国会での答弁で、政務官は、何かの接触、対向車と接触したとは思わなかった、農道の何かブロックに接触した、それでドアミラーが破損したというふうに思ったんだというふうに御答弁になられていらっしゃいますが。

 警察庁にもう一度確認。第七十二条の報告義務というのは、対人、対物に限らず、交通事故をすべからく報告をせよということになっておりますね。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 交通事故とは、道路交通法において、「車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊」と規定されております。車両等の交通によって物の損壊という結果が生じれば、自己が運転する車両のみに損壊がある場合であっても交通事故に該当すると考えますが、報告義務に関しては、一般論としては、道路交通法七十二条第一項の趣旨を踏まえれば、極めて軽微な物損事故のような場合も含めた全ての物損事故について課されているものではないと解されます。

川内委員 政務官、非常に微妙だと思うんですよ、今御答弁ありましたが。

 しかし、政務官というお立場とすれば、コンビニで、ドアミラーが壊れちゃいましたと言われたときに、じゃ、一応届けようねということをされるべきであった、そこがここまで問題を長引かせている政務官のミスであったというふうに思うんです。

 最後に、そこはちゃんとその時点で報告をさせるべきであった、それが法に忠実な立場であったということについてお認めになられますかということだけ御答弁いただけますか。

白須賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 一月十二日の接触事故におきまして、私も、秘書がドアミラーをぶつけたことに関して、一部の欠損だけでございましたから、私自身も余り対向車があったという認識がなかったことがまず一つ。そしてまた、そのことについてしっかりと秘書から報告をいただかなかったことに対しては、私のミスがあったと思っております。

川内委員 終わります。

亀岡委員長 次に、城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 本日もよろしくお願いいたします。

 早速ですが、先ほどの川内委員に続きまして、白須賀文部科学大臣政務官の在京当番時の不在の件について、引き続き御質問申し上げなければならないと思っています。大変残念でありますが、在京当番時の当て逃げについて、私も聞かざるを得ない状況であります。

 本年五月二十二日の文部科学委員会における私の質疑に対する白須賀政務官の答弁では、全くこの当て逃げが触れられなかった。この件について聞かなければなりません。

 おわびを政務官は口にされましたけれども、その前に、理解を深めていただきたいとおっしゃって、このたびの危機管理についての持論を述べられました。

 この際の質疑に当たっては、私からは、文部科学省から提供があった、不在だった在京当番日程の一覧の詳細を聞きますよということで、その日、質問通告をしておりました。例えばということで、忘年会や新年会に立ち寄ったとされる日時の詳細、飲酒の有無の確認を例示しておりました。詳細の確認でありますので、まずいことがあれば、その場で、おわびするときに報告をできたはずでございますし、今回の当て逃げについても報告できたはずであります。現に、そのときの質問で、まだ私から触れていなかった飲酒の確認の件についても、最初の説明の折に、していないと政務官は勝手にお答えになりました。さらに、白須賀政務官からは、隣県千葉の自分が文部科学省の危機管理を担っているかのような発言であった上に、当て逃げという違法行為には触れずじまいでありました。

 当て逃げの後の通報も許しがたいわけでありますが、衆議院の委員会答弁ではこの当て逃げを隠蔽して、週刊誌報道での指摘を受けて事実公表をした、こうした始末でございます。残念ながら、白須賀政務官、これ以上信用することができません。

 なぜ、当て逃げを隠したんですか。隠蔽したんですか。お答えください。

白須賀大臣政務官 お答えいたします。

 まず初めに、今般報道等でお騒がせしていることに対しては大変申しわけないと思っております。

 そしてまた、私自身は、政務におきましては、文部科学省のおおむね一時間というルールの上で政務を行っておりましたが、城井先生を始めたくさんの先生方の御指摘をいただきましたので、私の中のルールとして、前回同様、厳しくしていきたいと思っておりますし、その厳しい内容としましては、私は、二十三区の中で、在京当番の場合にはいるということを自分のルールで、今回お約束させていただきます。

 その上で、まず最初に、隠す必要は、私、全くございません。

 今回、本当に、接触事故でございまして、ドアミラー同士の接触でございました。私も、一月十二日という日にち自体も正直覚えておりませんでしたし、今回、週刊誌報道等で一月十二日と言われて初めて思い出したぐらいのその日にちのことでございます。ですから、全く隠す気もございませんし、また、今回、ドアミラーで、私、ぶつかったときには寝ておりましたし音楽を聞いていたので、全く気がつきませんでした。そして、その後、二月の二十六日に、修理に出した工場から、こういった事例があるんだけれどもという話をされたときに、何のことか全くわからなくて、そのときに私、秘書に確認をとったら、実は中央分離線のない細い道で車同士の、ドアミラー同士の接触がありましたという話を聞いたので、そこで私はすぐに、それはちゃんと出しなさい、警察に届けを出しなさいということで届けをさせました。

 ですから、全くもって隠すこともないですし、隠す必要もないことだと思っております。

 以上です。

城井委員 では、何で言わなかったんですか。

 実際に当て逃げがあって、そして通報を後にして、そして警察から事情聴取もあったわけですよね。そうすると、それが、在京当番時の行動を含め、そこで制限が当然かかってくるわけですよ。そうしたことも含めて、あのときにこうしたことがあったけれどもこういう対応だったということで説明しておけば、何ということもなかったかもしれない。そこは我々で判断すべきところですけれども。ただ、そこで何の説明もなかったという事実だけは揺るがないわけですよ。議事録を見ても間違いない。

 当て逃げの件については、先日の質疑への答弁では全く触れていないということをお認めになりますね。

白須賀大臣政務官 先ほど御説明したとおり、一月十二日に接触事故があったというその日にちすら、私はそれを覚えておりませんので、私が在京当番のときに、一月十二日の予定で、ぱっと見て、ああ、このときに接触事故だったんだなという記憶がございませんので、隠す必要もないですし、隠した事実はございません。

城井委員 警察からの事情聴取もあったという事実については、その事故、当て逃げをきっかけにして実際に行われたわけですし、たまたま私の質疑の答弁の機会が、その週刊誌報道の前の日だったんです。質問が終わった後に、永田町でもいわゆる早刷りなるものも回りながらということで、その情報が明らかになったのは大体お昼の十二時半過ぎという形だったかというふうに思います。質疑はたまたま午前中でございました。ということは、この週刊誌の報道が出る前に取材も受けているのではないかというふうに思うわけであります。

 つまり、この警察の事情聴取なども含めた、当て逃げの問題が非常に大きいことだということを認識するには十分なきっかけがこの質疑の時点ではあったというふうに判断ができるというふうに思うわけですけれども、そうした週刊誌の取材も含めての部分があったにもかかわらず、警察の事情聴取を含めてあったということをなぜ質疑への答弁で触れなかったのか、隠したのかということを確認しているんです。この点、もう一回お答えください。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

白須賀大臣政務官 何度もお答えいたしますが、一月十二日というその日にち自体が、私の中では、在京当番の日とうちの秘書がぶつけた日というのが全くリンクしていなかったので、隠す必要がないですし、隠しておる事実はございません。

城井委員 週刊誌報道の取材は、私の質疑における答弁の前に、週刊誌からの問合せなり取材なりはございましたか。

白須賀大臣政務官 ございました。

 そしてまた、週刊誌の記者さんからまず最初に連絡が来たのが、その接触事故によってうちの秘書が書類送検をされている、そして私自身が事情聴取を受けているという旨での取材でございました。そのときに、私自身は事情聴取を受けておりませんし、秘書が書類送検をされているという事実はございませんので、まずそちらの方の確認等はしておりました。

城井委員 取材まで受けておいて、答弁の中でその件を触れないというのはやはり違うというふうに思います。

 大臣、この文部科学委員会における答弁において今ほどのように、これまで問うてきたのは、在京当番時における不在状況はいかがかという部分の議論も当然ございましたけれども、そのやりとりの中で、そうした取材も受けながらのところで、在京当番時不在だったところの日程の確認の通告まであったにもかかわらず、今のように、警察の事情聴取のような内容に触れずに、答弁を逃げ切ろう、隠し切ろうというのはやはり違う。そうした違法行為で当て逃げを隠蔽した政務官を大臣としてどのように処するのか、特に、国会に対して事実の隠蔽をしない政務官にかえていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、お答えいただけますか。

柴山国務大臣 まず、本件は白須賀政務官の政務活動に関する問題であり、どのような説明を行うかについては、政治家としての白須賀政務官御自身が判断されるべきものと考えております。

 そして、その上でなんですけれども、前回、城井委員から質問要旨、通告があった内容としては、今委員御自身がおっしゃったとおり、これまで報道に指摘があった日程と所在地についての御質問だったかと思いますけれども、今の白須賀政務官の答弁をお聞きしていると、むしろ、当て逃げとされている事柄について事実関係の確認、しかも白須賀政務官の把握している事実とは違う内容の確認があったということでございまして、今委員自身がお認めになられているとおり、この質問通告があった時点ではその早刷り自身もまだでき上がっていないわけでもありますし、ただ週刊誌から事実と異なる内容の取材があったということだけをもって、城井委員からの質問に対して、その内容について、特にこの通告に対する答えとしてそういうことが表に出てこなかったというのは、私は別に隠蔽に当たるということは考えておりません。

 いずれにいたしましても、今般の委員会でのさまざまなやりとりを白須賀政務官としては真摯に受けとめ、適切に対応していくという意思を表明されているところでございますので、私といたしまして、白須賀政務官に対して何らかの人事的な対応をするということは考えておりません。

城井委員 この件、今後も、参議院などとも連動しながら、きちんと事実確認等も含めてただしてまいりたいと思いますので、ぜひ御対応よろしくお願いします。

 続いての質問に移ります。

 低所得者世帯の高校生のための奨学給付金の保護者による流用と代理受領制度についてお伺いいたします。この件は、大臣に何度かお伺いしようと思って通告をしていた件であります。

 平成三十年十月二十二日に会計検査院より文部科学省へ意見が示された一つに、低所得者世帯の高校生対象の都道府県の奨学給付金の一%が学校に納められていなかった問題というものがあります。これは、高校生対象に奨学給付金が渡されているけれども、いわゆる授業料以外でかかった学用品などのお金に本来は充てられてしかるべきなんだけれども、受け取っていながらその学用品に未納があった、こういうふうな話であります。

 本来ですと、それが、高校の実質無償化のように代理受領制度があって、直接学校にそのお金が入って充てられるという仕組みがあるならばそんなことは起きないわけでありますが、家庭を経由したときに、残念ながら一%はそのお金が学用品に充てられずという状況が起きている、こういう指摘であったわけであります。

 なぜ、高校の実質無償化と同様に代理受領が制度化されていないのか、事実認識とともに、制度化されていない理由をまず大臣にお伺いします。

柴山国務大臣 御指摘の問題は、低所得世帯の生徒の教育費負担を軽減するために都道府県が実施する高校生等奨学給付金について、学校の代理受領を認める規定が制度化されていない府県において、御紹介があった、受給者の約一%が授業料以外の教育費が未納であったということで、昨年度、会計検査院から、代理受領の制度化などの改善を図るよう指摘を受けたものでございます。

 代理受領が制度化されていない理由としては、高校生等奨学給付金は都道府県が行う事業であり、例えば、保護者が在住する都道府県と学校の所在する都道府県が異なる場合には、支給する都道府県が所管しない学校にまで代理受領を行わせるということとなることから、一律の実施が必ずしも行き渡っていなかったということが挙げられると伺っております。

城井委員 大臣のおっしゃるように、代理受領の制度自体は認められる、行うことができるけれども、都道府県が実施するという部分と、所管外を含めての対応がばらつきがあってというので各都道府県でも状況がさまざまだというのは私も認識をしています。ただ、そのときに、では、都道府県それぞればらばらでお任せしておいても大丈夫だという形で本当に放置できるか。

 制度の本来の趣旨としては、高校における教育費、授業料以外の部分が適切に納付をされるというのは、これは当然必要で、大事なことだ。更に言うと、奨学給付金の本来の目的というのは何でしたっけというこの二つに照らしたときに、今の制度運用の、ある意味ですき間にはまってしまったような部分のところを放っておいていいのか。

 一%を大きいと見るか小さいと見るかといったときに、一%も本来趣旨の制度運用ができていないというふうに見るべきだ。本来、代理受領制度が使われれば直接行くわけだけれども、もしその制度が難しいならば、そのほかの手だても含めて、今申した二つの目的の両立を図るような仕組みをやはり検討しなきゃいけないんじゃないか。難しいんですけれども、ここは国の知恵の出しようではないかと思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 はい。全く委員御指摘のとおりだと思います。

 したがって、昨年度の会計検査院の指摘も踏まえて、実は先般、都道府県の交付要綱等において代理受領の規定を設けるように通知をいたしました。あわせて、今後の対応について調査をいたしました。そうしたところ、全ての都道府県において、今後、代理受領等の規定を設けることは可能だという回答をいただきました。

 文部科学省としては、今後も、都道府県における代理受領の導入状況をフォローアップしていくなど、奨学給付金が学校の教育費に確実に活用されるように努めてまいりたいと考えております。

城井委員 交付要綱そして今後の調査についてということで、細やかな対応をありがとうございます。恐らく、質問できなかった間に対応いただけたのかなというふうに勝手に推測をいたしたいと思いますけれども、フォローアップが大事だということは大臣自身もおっしゃっていただきました。制度はあるが実際にそれがきちんと動いていくかどうかというところまで確かめるのが今回の問題のかなめかというふうに思いますので、ぜひ、細やかに、隅々までということでよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に参ります。

 大学入試共通テストの英語民間試験導入に係る懸念について今回もお伺いしたいと思います。

 この間も、NHKや朝日新聞、読売新聞などを含めて、今回の実施の要綱などが明らかになるにつれて、さまざまな懸念の指摘も大手マスコミからも出てきている状況であります。学校現場からも懸念の声はまだ消えていない状況であります。むしろ、この二年の準備でそれを振り払うようにと思いまして、この間も質問を繰り返してまいりましたけれども、まだまだだというふうに思っています。きょうは、幾つかその部分から御質問をと思います。

 まず、文部科学省がこれまでに公表してきた例外措置についてであります。この英語民間試験の導入に向けての文部科学省がこれまで公表してきた例外措置のガイドラインについてであります。

 この例外措置についてですが、使える生徒が、実際にこの例外措置の適用とできる生徒がどれぐらいいるかという声が上がっています。

 例えば、非課税世帯や離島、僻地といった不利な条件の中でこの例外措置の条件としてハードルを定めたのが、B2レベルとなっています。ここまで達する生徒が実際にどれくらいいるか、あらわれるか、これはなかなか重たい指摘だと思っています。

 なぜか。B2というのはどれぐらいということをそういう関係者、専門家から聞きますと、B2というのは東京大学の推薦入試レベルと思ってもらっていいぐらいですよ、こうしたアドバイスが来るようなことであります。そうなりますと、もともと地理的な不利を抱えながら勉強している学生、受検生が、東京大学の推薦入試レベルまでというところ、さあ、何人そこまで手が届くかというふうに考えるのは当たり前じゃないかというふうに思うわけであります。

 更に言えば、留意事項の部分では、英検の従来型や英検CBTの準一級、そしてGTECのアドバンストは対象外であるということが書いてありまして、こうしたテストによって運用が違うという点も不公平だというふうに思うわけであります。

 大臣、これはまずいと思います。どう改善していくか、ぜひ御所見を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 昨年八月に策定した大学入学共通テスト実施方針(追加分)において、非課税世帯であるなど経済的に困難な場合や、離島や僻地に居住、通学している場合で、CEFRのB2レベル以上の成績を有している者は、高校三年時の結果にかえて高校二年時の結果を活用することを可能とする例外措置を設け、本年三月、本例外措置の運用上のガイドラインを策定したところであります。

 このガイドラインで示す非課税世帯や離島、僻地に居住、通学している者のうち高校二年生でB2以上の英語力を有している者の割合は把握しておりませんけれども、平成二十九年度の英語教育改善のための英語力調査によりますと、高校三年生の英語力は、聞く、読む、話す、書くの四技能においてB2以上の割合はそれぞれ一%を下回る結果となっているということであります。

 ガイドラインでは、二〇一九年度に実施される試験で、二〇二一年度入学選抜において高校二年時の結果を活用する例外措置の対象となるものは、二〇二〇年度における参加試験と同種同名の試験とするという旨を定めておりますけれども、英検従来型及び英検CBTの準一級については、そもそも二〇二〇年度における参加試験ではありません。また、二〇一九年度に実施されるGTECのアドバンストについては、試験監督や採点に関する要件を満たしていないため対象外としており、公平性に課題があるとは考えておりません。

城井委員 例外措置についてもう一点、懸念を申し上げたいと思います。

 この例外措置は浪人生についても設けられましたけれども、現在の高校三年生はこの恩恵を受けることができません。入試センターが受検生と成績を関連づけるIDが来年一月ごろまでは発行されない、そして、今年度中に試験を受けたとしても成績が提出できないためだということであります。センター側のシステムの都合でしかなく、余りにも不公平だと思います。現在の高校三年生も今年度の試験を使う道を確保すべきだと考えます。大臣、御見解をお願いします。

柴山国務大臣 大学入学共通テストの枠組みで実施される英語の資格検定試験については、受検生の負担や高等学校教育への影響などを考慮いたしまして、現役生については、受検年度である高校三年の四月から十二月までの間の二回までの試験結果を活用することを原則としております。

 一方、既卒者につきましては、高等学校教育への影響がありませんので、受検年度の四月から十二月の二回までの試験結果とあわせて、大学の判断により、受検年度の前年度の試験結果も活用することができる。これはあくまでも例外措置を設けているところでございます。

 ただし、英語資格検定試験の活用に関しては二〇二〇年度から導入するものでありますので、現在の高校三年生が今年度、つまり二〇一九年度に英語資格検定試験を受検していたとしても、当該生徒が来年度、二〇二〇年度に行われる大学入学者選抜を既卒者として受験する場合には今年度の資格検定試験の成績を活用することはできませんけれども、このことは現在の高校三年生について一律の取扱いでありますので、公平性の観点から問題があるとは考えておりません。

城井委員 そこは、浪人になった場合というのも含めて考えるべきだという点は御考慮いただけませんかね。現在の高校三年生だけの横並びということでは、浪人まで含めた例外措置を準備した、その趣旨とは少しずれてくるんじゃないかと思うんですが、現在の高校三年生の取扱いについてもう一回御検討いただくことというのはできませんか。

柴山国務大臣 繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げた、既卒者については、これはあくまでも例外的に、大学の判断によって、受検年度の前年度の試験結果もさかのぼって活用することができるという措置でございます。

 これは、今申し上げたとおり、高等学校教育への影響がないということでそういった措置ができるということでありますが、現在の高校三年生については、これは一律の取扱いが求められているということですので、公平性の観点からは問題があるとは考えておりませんので、それが現時点における結論ということで御理解をいただきたいと思います。

城井委員 ぜひ現場の声を聞いていただきたいというふうに思います。

 もう一点、採点者の質の確保についてもお伺いしておきたいと思います。

 今回、国の共通テストであるにもかかわらず、何と、アジアなど海外の委託業者や学生のアルバイトなども採点者として認められている状況です。国の共通テストとして利用するならば、当然、採点者の資質がわかるデータを示すべきだと考えます。外国での採点などは質の確保や信頼性の観点で懸念があると、東京大学高大接続研究開発センターの南風原前センター長も指摘をされております。

 国として、実態確認と対策が必要であります。大臣、御見解をお願いします。

柴山国務大臣 採点者の質の確保、もちろん極めて重要だと考えております。

 この大学入学共通テストの枠組みで実施される英語の資格検定試験については、試験内容、実施体制等が入学者選抜に活用する上で必要な水準及び要件を満たしていることを大学入試センターが確認した試験を活用することとしております。各資格検定試験における採点者の選出基準など採点の質の確保の方策については、実施団体において適切に定め、大学入試センターにおいて毎年度の実施状況を確認することとしております。したがって、国として実態確認を行うということは予定されておりません。

 万一、参加要件を満たしていない可能性があると認められる場合には、大学入試センターが一定の手続を経た上で当該試験の参加を取り消す場合があるということとしておりますので、各試験団体は、こうしたことも踏まえて、万全を期して試験の実施及び運営に当たるものと考えております。

 文部科学省といたしましては、また、試験実施の公正性に関する懸念を払拭することが重要であると考えており、高校、大学関係者と試験実施団体を構成員とする会議を設け、試験活用に関する懸案事項について率直な意見交換を行わせていただいているところでありまして、引き続き、円滑な実施に向けて取り組んでまいります。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

城井委員 大臣、今回の件は、もう既に明らかになっている、試験実施前にわかっている問題でありますので、その点をしっかり確認をいただきたいということでの趣旨できょう御質問申し上げておりますので、ぜひ確認をいただきたいと思います。

 時間が参りましたので、最後に一点だけ短くと思います。

 ここまで御指摘申し上げたことに限らず、受検ID申請の五カ月前になっても、受検希望者全員が希望する試験を希望の時期にトラブルなく受検できることが担保されていない状況であります。日程や会場等についても多くが未定である旨もこれまで指摘をされております。ここまで高校現場が混乱し、受検生に不安が広がったならば、常識的には導入の延期を視野に入れるべきだというふうに考えます。大臣、最後にお答え願えますか。

柴山国務大臣 今御指摘になられたさまざまな日程等についても、実施団体に対し、可及的速やかに、遅くとも夏ごろまでに試験実施等の公表時期を示すとともに、その時点で公表できる情報はきちんと公表するよう要請しているところであります。

 いずれにいたしましても、既に大学入学者選抜で活用され一定の評価が定着している民間の英語資格検定試験を活用するということについて、万全の準備を行ってまいりますので、延期することは考えておりません。

城井委員 終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 初めに、五月二十八日、神奈川県川崎市で発生した通学途中の事件により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、負傷された方々にお見舞い申し上げます。

 今回の事件を踏まえ、スクールバスを待っている場所など登下校時に子供たちが集まる場所の安全対策や、安全対策に関する私立学校を含めた学校と地域との連携、さらに子供たちや保護者、現場に居合わせた教員などへの心のケアなどについて、文部科学省として今後どのように対策を進めていくお考えでしょうか。

柴山国務大臣 改めて、去る二十八日に川崎市において発生した事件につきまして、亡くなられた方や御遺族の方に心からお悔やみを申し上げますとともに、負傷した方々の一刻も早い回復をお祈り申し上げます。

 その上で、先ほども答弁をさせていただきましたけれども、一昨日、登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議が開催され、総理から、徹底した捜査による全容解明と関係省庁との情報共有、通学路の安全確保の徹底、不審者情報の共有と迅速な対応の徹底について早急に取り組むよう指示がありました。

 昨日開催された各都道府県の学校安全担当者を集めた会議においても、私から直接、登下校時を含む学校の安全確保に万全を期すよう、各自治体においても取り組むよう依頼をしたところであります。

 今回、事件は集団登校の集合場所で発生したという特異な事案であることも踏まえ、今委員から御指摘の心のケアも含め、さらにどのような対策がとり得るのか、しっかりと、緊急的な対応、そして中長期的な対応の両面から速やかに検討して、関係省庁や自治体とも連携をしながら、二度とこのような悲劇を繰り返さないように取り組んでまいります。

畑野委員 本当につらい思いをされている方々の心に寄り添って、子供たちの命を守るために取り組んでいただきたいと思います。

 その一方で、文部科学省においては、白須賀政務官の在京当番と、乗っていた車の接触事故、当て逃げの問題や、文部科学省職員の覚せい剤取締法違反及び大麻取締法違反の容疑による逮捕など、不祥事の問題があります。

 柴山大臣として、国民の信頼をどのように取り戻していくおつもりでしょうか。

柴山国務大臣 まず、今御指摘になられた二つの問題は、全く性質が異なるものであるというように考えます。

 現在、文部科学省創生実行計画に基づいて、私を本部長とする文部科学省改革実行本部におきまして、組織風土改革、職員の意識改革など、信頼回復に全省を挙げて取り組んでいる中で、今再び、行政に対する国民の信頼を失う薬物事案を職員が引き起こしたことはまことに遺憾であり、おわび申し上げます。私からは、五月二十九日に職員に対して、法令遵守の徹底についての訓示を伝えたところであります。

 文部科学省としては、捜査当局が行う捜査に全面的に協力するとともに、この事態を深刻に受けとめ、綱紀の粛正を徹底し、国民の信頼回復に向けて全力を挙げてまいります。また、全職員を対象に、職員の抱えている公私を問わない悩みなどの相談を受ける体制の抜本的強化もあわせて行ってまいります。

 なお、在京当番に関して申し上げれば、白須賀政務官は、国会での御議論も踏まえ、在京当番は政府の一員として非常に重要な責務であると認識をして、今般の御指摘を真摯に受けとめて適切に対応していくという意思を表明されているところであります。

 私といたしましても、こうした緊急事態対応については、遺漏なく万全を期すよう適切に対応していくという方向性を政務三役でしっかりと共有をさせていただいております。

畑野委員 子供たちや国民の命を守る、そうした責任を持つ立場に立って進めていただきたいと思います。

 次に、学校給食について伺います。

 ことし三月に改定された文科省の食に関する指導の手引第二次改訂版では、その第五章第一節の「学校給食とは」の部分で、一九五四年の学校給食法の制定によって、学校給食の法的根拠が明確となり、教育活動として実施されることになりましたと述べています。

 まさに学校給食は教育活動の一環として実施されているものだと思いますが、柴山大臣、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 学校給食は、学校給食法に基づき実施されるものであり、児童生徒の心身の健全な発達並びに食に関する正しい理解と適切な判断力の育成を図る上で重要な役割を担うと考えます。

 具体的には、学習指導要領において、特別活動の学級活動の内容として、「給食の時間を中心としながら、健康によい食事のとり方など、望ましい食習慣の形成を図るとともに、食事を通して人間関係をよりよくすること。」と示されており、まさに学校教育の一環として位置づけられているところであります。

畑野委員 文科省はこれまで学校給食実施状況等調査を行ってきましたが、昨年七月二十七日に、学校給食の無償化等の実施状況及び完全給食の実施状況を調査し、その結果を公表されました。

 こうした無償化についての調査というのは今回初めてだと思いますが、いかがでしょうか。無償化を実施している自治体はどれぐらいあったのか。また、無償化による成果として、各自治体からはどのような声が寄せられているのでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のございました、平成二十九年度に文部科学省が初めて実施した調査によると、調査を実施した千七百四十の自治体のうち学校給食費を無償化している自治体数は、小中学校ともに無償化を実施しているという自治体が七十六、小学校のみ無償化を実施しているという自治体が四、中学校のみ無償化を実施しているという自治体が二となっております。

 また、この調査によりますと、学校給食費の無償化を実施している地方公共団体は、これを開始した目的として、例えば、食育の推進、人材育成、保護者の経済的負担の軽減、子育て支援、定住、転入の促進、すなわち地方創生的な観点からでございますが、などを挙げております。

 これらの回答からは、各地方公共団体が、学校給食の無償化を通じまして、学校教育における食育の推進、児童生徒がいる家庭の支援、子供や人口の増加を期待した支援の充実を目指しているということがうかがえ、各地域のさまざまな実情を踏まえた政策の一環としておのおの取り組まれているものと受けとめているところでございます。

畑野委員 この調査が今回初めて実施されたということで、大変重要な調査だというふうに思います。

 どのような成果があったのかということが報告されていて、御紹介もありましたけれども、また資料にもつけさせていただいておりますが、中でも、児童生徒にとっての無償化の効果として、給食費が未納、滞納であることに対する心理的負担の解消というのが報告されているのは大いに注目すべきではないかなというふうに思っております。

 あるお母さんが、子供が昼休みに保健室に行っている、なぜかと聞いたら、給食費を滞納していて、つらくて保健室に行っているという報告から、無償化の自治体での取組が広がったという話も伺いました。

 実は、こういう調査をしていただいて、今も実態を御報告していただいたんですが、学校給食の無償化を求める強い住民の皆さんの声があるわけです。昨年の通常国会から現在までの一年間で見ても、全国各地の地方議会から二十二件もの学校給食の無償化を求める意見書あるいは国の負担で学校給食の無償化を求める意見書が寄せられております。無償化されていない自治体の多くは、国の支援があれば無償化したいという潜在的無償化自治体だと思います。

 私、今後、この調査結果を詳細に分析して、学校給食無償化に向けた具体的な施策に生かしていくべきではないかと思うのですが、文部科学大臣としていかがでしょうか。

 あわせて、公表資料では、調査票の問い六から問い十までの自由記述欄の内容は要約されたものが短く掲載されているのですが、実際に報告された自由記述の内容についてもぜひ公表していただきたいと思いますが、あわせて柴山大臣に伺います。

柴山国務大臣 文部科学省といたしましては、学校給食費の無償化につきましては、学校の設置者と保護者との協力によって学校給食が円滑に実施されることが期待されるという学校給食法の立法趣旨に基づきまして、各自治体等において検討していただくことがふさわしいと考えております。

 まず、小中学校における学校給食の実施率の向上など、学校給食の普及、充実に努めることが第一だというふうに考えております。

 今御指摘をいただいた本調査は、保護者負担の学校給食費を無償などとする自治体の具体的な取組について全国的な状況を把握することを目的としており、自治体が地域の実情を踏まえた政策の一環として無償化の検討を行う場合の重要な参考データになるというように考えております。

 委員御指摘のこの調査票の問い六から問い十までの自由記述欄、自治体が無償化に至った経緯ですとか、無償化を開始した目的など、またその成果なども尋ねたものでありまして、その調査結果は既に公表されております。

 ただ、問い六から問い十までの自由記述欄の個々の内容につきましては、個々の地方公共団体からの回答結果を取りまとめた形で報道発表資料としたところでありまして、この内容で私は、調査結果は適切に公表されているものというように考えております。

畑野委員 大臣の方から、こうした地方の議会、自治体の取組をぜひ参考にしてほしいという旨の御答弁があったというふうに思います。

 このように国が調査をしてくださるということは、地方自治体にとってみれば、そういう意識を持って国も見ているのだなというふうに思うと私も感じます。ぜひ、そういう点では、この地方の声に応えていただく方向で検討していただきたいというふうに思っております。つまり、国としてどういうふうにしていくのかということです。学校給食を無償化してほしいという声を寄せておられる地方の皆さんのその声にどういうふうに国として応えていくのかということを検討していただきたいということです。

 実は、一九五一年のユネスコ第十四回国際公教育会議、学校給食及び衣服に関する各国文部省に対する勧告第三十三号、きょう資料につけておりますが、義務教育ではできる限り家庭に補充的出費を負わせるべきではないとして、学校給食は、子供たちに与える栄養的並びに教育的利益のゆえに、差別なく全ての子供に与えられるべきであること、そして、学校給食の完全無償が不可能な場合には、父母による財政的負担が考慮され得ると述べています。この勧告を踏まえれば、学校給食は無償化の道に進むべきことは明らかだと思います。

 一九八一年四月二十二日の当時の衆院文教委員会で我が党の栗田翠議員がこの勧告について質問した際、柳川政府委員は、「この勧告の中で、学校給食につきまして、その意義、役割りの重要性が述べられております。これらは、やがて二十九年に学校給食法ができます、それへの大きな刺激になったものだというように受けとめております。」というふうに答弁をされております。学校給食法の根底には、このユネスコ勧告があるわけです。

 群馬県嬬恋村の村長さんは、ホームページで、憲法第二十六条第二項には義務教育はこれを無償とすると規定されていますといって、無償化に取り組まれているということも載っておりました。

 ぜひそうした方向で検討を始めていただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

亀岡委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳であります。

 私も、川崎市登戸駅近くで起きた通学児童殺傷、外務省職員殺害事案につきまして、亡くなられた方々に心から御冥福を申し上げ、また、けがを負われた方々にお見舞いを申し上げたく存じます。

 あってはならないことと言われるんですけれども、新しい令和の時代に入って、起きてほしくなかったなというのが率直な気持ちですが、残念ながら、二度と起きないようにといっても起きてしまうというような時代に入ってきてしまっているのではないかなという懸念を持っております。

 そういった意味で、ちょっと枕でまた幾つか申し上げるんですが、きのう、夜遅めの時間に、私、今さらながらなんですが、「万引き家族」という映画を見まして、大臣がごらんになったか、馳筆頭はごらんになったか、委員長はごらんになったか存じ上げないんですけれども。

 中身はよく知らなかったんですけれども、世の中のいわゆる実相を凝縮してあらわしているということで、私が感じ取ったのは、高齢化で、おばあちゃんがいて、そのおばあちゃんと血がつながっていないという問題がある中で、そのおばあちゃんの年金で暮らしている方々がいて、そして、そのおばあ様が亡くなって、葬儀を挙げるお金すらなくて家の中に埋めてしまう、死体遺棄というようなことになり、その後、年金を不正に受給するということがあるんです。

 また、一緒にいる家族が……(発言する者あり)しゃべっていいかどうかなんですが、これは本当に社会を凝縮していると思っているんですよ。既にごらんになった方が多いと思うのであえて申し上げているんですが、幼児、児童虐待の問題もあります。それから犯罪者の更生の問題もあります。あるいは雇用環境で、パート、アルバイトのような非正規の仕事をされる方が仕事をやめさせられるというようなこと、こうありまして、ある意味で本当に弱い立場の人たちを何とかしなきゃいけない、セーフティーネットというのは大事だと思います。また一方で、今も議論がありましたけれども、公費財政負担の限界みたいなものも我々は考えなきゃいけない財政の現状にあるということです。

 きょうは教育、文科、科学行政というテーマでございますので、その映画の最終的なテーマは人と人とのきずな、親子でなくても人と人のきずなといったものが大事であり、きょう並走しています環境委員会で動物愛護の、八週齢を始めとする議員立法が提起されました、動物の命も命でございますが、そういった命の大切さだとか、道徳、あるいは心の教育。こういったものをやはりもう一度、我々は少しずつでも改善をして、冒頭申し上げた事案が起きないような社会になるように皆様と力を合わせていきたいということを申し上げたく存じます。

 そんな中で、これまた私の行動をお話しして恐縮なんですが、先日、国立科学博物館を見学してまいりました。恥ずかしながら三十年ぶりぐらいに行きまして、旧建物をイメージして、入ったらすぐに恐竜の骨があってという印象があったんですけれども、そういうものはなくて、地球館と日本館というふうな形に分かれていました。

 それで、入場料はどうかという話をまずしますと、一般で六百二十円でした。近くの上野動物園は六百円です。これは世界標準で考えて、英国博物館はただなんですが、ちょっと水族館の例をお話しして恐縮ですが、オーストラリアのメルボルンの水族館は三千五百円から四千円取ります。という意味で、我が国はそれなりにお金は取るけれどもかなりお値打ちで、それこそ外国の観光客の方が国立科学博物館にもたくさんいらっしゃいましたし、子供たちもたくさんいました。上野動物園も同じ状況かと拝察します。そういった意味で、そういった施設というもの、独立行政法人ですけれども、非常にすばらしいということなので。

 ちょっと質疑の順番が逆になっちゃうかもしれませんが、国立科学博物館の中身で、これまた私の話で恐縮なんですけれども、鯨の歴史が書いてあって、鯨というのはもともと陸上動物であって、鯨は仲間でいくとイノシシとかあるいはオオカミの仲間で、イノシシのかかとの骨が鯨の骨と共有できる部分がある、それからオオカミの耳の残骸の形が鯨と似ているとか、そういうようなことがあって、恥ずかしながら、えっというような思いで、鯨が陸上から海に入っていったというようなことを学んだんですが、まさしく教材の宝庫というのが国立科学博物館で、宇宙の歴史みたいなところもありました。

 そんなことで、ぜひこの展示資料を、ICT等を使って遠隔地、それこそ五島列島の子供たちとかあるいは中山間村の子供たち、なかなか上野に行けるような機会がない子供たちも勉強してほしいし、教材に接してほしいと思っているんですけれども、これは政府委員の方で結構なんですが、ICT活用を、こういった国立科学博物館等と言いたいんですけれども、活用できないかどうか、お答えいただければと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 遠隔地を含む館外におきまして博物館のコレクションや研究成果を学校教育や社会教育に活用することは、委員御指摘のとおり、大変重要でございます。

 現在、国立科学博物館におきましては、常設展のデータベース、あるいはデジタル学習コンテンツなど、標本、資料等をインターネット上で活用できるシステムの充実に取り組んでおるところでございます。

 なお、地方の博物館などにおきましても、いろいろ工夫をいたしまして、インターネット回線を利用し、学校に対して館の職員が解説を行う遠隔授業を実施するなどの取組が展開されており、国立科学博物館としても各館の学校連携活動を支援している、そういう状況でございます。

杉本委員 活用してくださっているということなんですが、国会にいて、現場にいないとなかなかよくわからないので、大いに更に進めていただくことをお願い申し上げておきたいと思います。

 次に、英語の教育の関係を、残余の質問という形で続いていまして、先日も笠先生が、英語の受検のところで価格が高いんじゃないかという御指摘をされておられ、私もそう感じました。

 それから、先ほどは城井委員が、大学、三年生あるいは浪人になる子供たちの差があっちゃいけないんじゃないかみたいな御提起があって、おっしゃるとおりだというふうに感じました。

 そういった意味で、英語力はつけてほしいですけれども、受験生という立場の子たちに負担であったりあるいは不平等があってはならないという点で、英語の受検のところについては意を用いていただきたいと申し上げつつ、まず、二〇二〇年度から小学校の三、四年生は活動として週一こまということで走り出すということを何度も伺い、申し上げてもいるんですけれども、教科化して週二こまとする、これは韓国との比較で何度か質疑させていただいていますけれども、その見通し、予定は立たないものだろうか。

 希望的観測でも結構なんですが、何年後からできそうかというようなことも含めて、ぜひそういう強化ということをお願いしたいんですが、現状と展望を教えていただければと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がございましたとおり、小学校における外国語教育については、移行措置期間である今年度は、外国語活動として、年間で、第三学年、第四学年においては十五単位時間以上、第五学年、第六学年においては五十単位時間以上実施することとしており、令和二年度から全面実施となりますけれども、新しい小学校の学習指導要領では、第三学年、第四学年においては外国語活動として年間三十五単位時間、第五学年、第六学年におきましては外国語科として年間で七十単位時間を行うこととなります。

 第三学年、第四学年における外国語活動においては、音声面を中心とした外国語を用いたコミュニケーションを図る素地となる資質、能力を育成し、小学校高学年から中学校、高等学校へと一貫して、五領域、聞くこと、読むこと、話すこと、話すこと(発表)、書くことの資質、能力を育成していくことを目指しております。

 ということで、まずは新しい学習指導要領に基づく小学校の外国語教育が全国の学校で円滑に行われるよう、しっかりと支援していくということが重要であるというふうに考えておりまして、現時点で、教科として、今委員から御指摘のございました年間七十単位時間実施する予定、考えはないところでございます。ぜひ御理解を頂戴できればと思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 まずはしっかり行われる、現時点では教科というのはまだですよということなんですが、韓国、いろいろ議論がありますけれども、英語教育については先駆的、我々は学ぶところがあるのではないかと思いまして、かじの切り方がかなりドラスチックだったのが韓国だというふうに感じています。

 失敗があってはならないとは思いますけれども、やはり、まずはという状況としっかり等々、できたら大きくかじを切っていただいて教科化に向けて進めていただくことが、なかなか、勉強しろ勉強しろと言っても実感なんかつかなくて、必要が最大の、何というんですか、発明の母じゃないですけれども、生活上、観光客がいっぱい来て商売で対応しなきゃいけないから英語がしゃべれなきゃいけないというのが、実は一番しゃべれるようになることではないかとは思ってはいるんですが、その下地をつくる意味でも、教科化をぜひ進めていただきたいなということを申し上げさせていただきます。

 次に、専科指導教員の充実、千人増加という実績を伺っていますけれども、この実績の内訳を知りたくて、一番の免許状所有者、二番の二年以上のALT経験、三番の、CEFRと私は呼びたいんですけれども、セファールとお読みになるようですけれども、CEFRのB2相当以上の英語力、四番目が二年以上の海外経験等という分類分けがございますけれども、これは実際、何人ずつの実績なのかを改めて確認させてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 新学習指導要領における小学校外国語教育の授業時数の増に対応いたしまして、質の高い英語教育を行う観点から、加配定数を活用いたしまして小学校英語専科教員を配置する場合には、一定の英語力を有する教師を配置していただくということとしております。

 この加配を活用した専科教員につきまして、どの要件を満たす者を配置するかは、各都道府県、指定都市教育委員会が判断するものでございますが、それぞれの学校規模に応じ、複数の小学校の英語教育を一人の常勤の専科教員が担当する、あるいは、一人の教員定数の枠を活用して、いわゆる定数崩しというものでございますが、複数の英語専科の非常勤講師を配置するといった工夫をしながら活用されているところでございます。

 この結果、平成三十年度におきます実際の配置状況を見てみますと、まだこれは暫定値ではございますけれども、千五百十五人が活用されてございまして、一部複数の要件に該当する方がおられますけれども、お尋ねの要件別の内訳につきましては、中学校、高等学校の英語の免許状を有する者が延べ千四百三十三人、ALTの経験を有している者が延べ二十一人、CEFR、B2相当以上の英語力を有する者が延べ百八十九人、海外留学等の経験のある者が延べ七十七人となっているところでございまして、文部科学省といたしましては、今後とも専科指導教員の充実に努めてまいりたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 今伺ったところ、最後の海外経験者みたいなところをもっと、団塊の世代の方々なんかは、ちょっと御高齢になられるゾーンになるかもしれないんですが、そういった方々の活用もやはり考えていただけるんじゃないかなと、今伺いながら思いました。

 最後に、まとめて大臣に伺って終わりたいと思います。

 大学の英語入試のことなんですが、金額の問題、御指摘があったかと思います。あるいは高校三年生の、平等感という問題も御指摘があったと思います。

 私としては、さきの質問でもちらっと申し上げたかもしれませんが、年二回受検よりは三回、ベストスコア方式というふうに、今すぐということではなくても結構だと思うんですが、将来的にはしていく方向感を出していただけないかという点。それと、これは笠先生が指摘された受検料について、弱い立場で、余りうちにお金がないんだよという子供たちもやはり大学に行ってもらうためにも、受検料をサポートしてあげるというようなこと。それから、ちょっと試験の会社数が多過ぎるので、将来の絞り込み。

 こういった点について、ちょっとまとめて恐縮ですが、御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。

柴山国務大臣 まず、受検生の負担に関しては、経済的に困難な受検生への配慮など、適切な検定料であることを公表しているということを参加要件としております。

 また、御案内のとおり、試験実施団体に対しては検定料の低減を求めるとともに、受験料相当分も一定程度賄い得る給付型奨学金の大幅拡充についての法案を先般採決していただいたということもございます。

 それから、チャンスの拡大ということについてなんですけれども、さっき申し上げた経済状況、あるいは居住地による格差、こういったことも考えて、高校三年生の四月から十二月の間に受検した二回までの試験結果を活用する。最大二回分の試験の成績が大学の要請に基づいて提供されるわけですけれども、今申し上げたようなチャンスの機会をふやすという趣旨によれば、一回限りの試験では実力を発揮できない場合があるということに対応するということですので、各大学においては、通常、よい方の成績を活用していただくということが想定されるというように思います。

杉本委員 時間となりました。

 以上で終わります。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 前回に引き続き、まず私立大学の学部・学科の譲渡に関してお聞きしたいと思います。

 前回の質疑の最後に、設置者変更に伴って在学生の学費はどうなるのか尋ねました。学生の修学環境は変更しないから、基本的に授業料等について変更を加えるということではないと思うとしながら、最終的には各学校法人が決められるという答弁だったんですが、学生のあずかり知らないところで譲渡が決められてしまいます。加えて、授業料も勝手に引き上げるようなことは厳に慎むべきだ、文科省は法人にそうしたことを要請すべきではないか。これは指摘にとどめておきますが、ぜひ、これによって学生が学び続けられる条件がなくなるとかいうことは絶対に発生しないようにお願いしたいと思います。

 さて、この譲渡ですけれども、高い授業料を払っている一番大切なステークホルダーである学生が、賛否を含めた意見を述べる機会がありません。丁寧な周知をすべきというのが文科省のお考えのようでありますが、少なくとも、学生一人一人個別に、譲渡の理由、同一性が維持されるという教員組織やカリキュラムの内容、さらに授業料などの修学条件などについて書面で説明し、可能であれば合意を得る手続が必要だと思いますが、この点はどうお考えでしょうか。

柴山国務大臣 今回の制度改正は、学部等の設置者変更に関する規定を新設することによって、これまでの、既存学部を廃止して新たな学部を新設する場合と比べて、より簡素な手続による申請を可能としたものでございます。

 この手続によって学部等の設置者が変更された場合には、当該学部等の属する大学が変更されることとなり、在学生の所属大学もかわるということになります。したがって、今回可能となる学部等の設置者変更を行うに当たっては、まさしく今御指摘になられた教育課程などの修学環境などについて、書面による説明を含め、学生に対して十分な説明を行って同意を得ることが望ましいと考えております。

 ただ、では、全ての学生の同意が得られなければ、途中から発生したこういった設置者変更ができないのかというと、それはやはり、いかにも制度としては硬直的であろうかというように思います。譲渡先の大学において新たな学部を新設し、在学生が卒業後に既存の学部を廃止するという従前より規定された手続も可能であるという、この二つの制度、それぞれありますけれども、同意が得られないケース、どのケースにおいてどういうオプションを選択するのかということを、各法人において適切な形で御判断、申請をいただきたいというように考えております。

吉川(元)委員 ちょっと最後のところがよくわからなかったんですが、結局、もちろん学生全員が、いいです、同意しますというのであれば、それはそれでいきますけれども、一人でもといった場合には、それは学校がいろいろ判断をするということでありますし、例えばそれが二人だったら、あるいは譲渡される学部の半分の学生が同意しないとなったら、それも含めて、それでもやるかやらないか、どういう形でやるかというのは各学校法人が決める、そういう理解でよろしいんですか。

柴山国務大臣 学生にとって、この設置者変更というのは、自分の通っている大学の、名前というか大学がかわるという意味では大変大きなことでありますけれども、先般来議論をさせていただいているとおり、教授がかわったり授業料が変わったりというものではありません。したがって、どれだけの同意が得られなければこの効果が発生しないとか、そういうことを我々は定めてはおりません。

 したがって、同意が得られないケースについてどのような事態が生じるのかという御質問に対しては、各法人において適切な形で判断をいただく、それぞれのオプションがありますので。要するに、廃止プラス新設というオプションだってあるわけですから、そこは御判断をいただきたいという答えでございます。

吉川(元)委員 今、いわゆる教員、教授を含めてかわらないということでありますが、それについて、では、続いて質問したいと思います。

 今まさにおっしゃったとおり、教員組織については同一性を維持することが確認されております。

 会社法に基づく事業譲渡の際には、個別労働者に対して、労働契約についての合意が譲渡の手続として必要とされております。今回の学部・学科の譲渡の際の労働契約の承継手続、これはどのようなものになるのか。これは会社法と同じような理解でよろしいんでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度改正によって可能になります学部等の設置者変更についてですけれども、これまでも御答弁申し上げているとおり、教育施設、組織そのものの同一性を保持しつつ、その設置主体を変更するというものでございます。したがいまして、教員組織についても、通常想定される退職や採用に伴う異動を除きまして、同一性が保持されるという必要があるというものでございます。

 その際に、教職員の労働契約についてでございますが、これは、譲渡しの法人から譲受けの法人に承継をするということに当たっては、委員御指摘がございました民法の六百二十五条の規定に基づきまして、労働者である個別の教職員から承諾を得る必要があるものだというふうに承知しております。

吉川(元)委員 六百二十五条、「使用者は、労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができない。」、これに基づいて、労働契約について同意が必要であるというふうに理解をいたします。

 また、これは厚生労働省が出している事業譲渡についてのポイント、留意すべき点ということで、解雇に関しての留意すべき事項の中に、承継予定労働者が労働契約の承継に同意しなかったこと、労働者が従事していた事業が譲渡されたことのみを理由とする解雇等は認められないことに留意が必要というふうに留意点として書かれています。これも同じだという理解でよろしいんですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 労働法制についてのお尋ねではございますけれども、先生御引用になられたとおり、厚生労働省で出しておられる事業譲渡又は合併に伴うに当たっての会社等が留意すべき指針にはそのように書いてあるということでございますので、そのように承知しております。

吉川(元)委員 そうすると、非常に単純な疑問が生まれてくるんです。

 同一性の維持ですよね。一方で、実際にその学部の教授あるいは教員の方々の多くが、いや、自分は承諾しない、合意しないと言った場合には、それは行かないわけですよね。そうすると、同一性が維持されないということにならないですか。この点、いかがですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、そのような教職員の方が出てくるといった場合には、同一性が保持しているというふうには認められないということになろうかと思いますので、通常これまでもございましたような学部の廃止と設置という手続を踏んでいただくということになろうかと思います。

吉川(元)委員 了解いたしました。

 つまり、その学部の教授の方が、いや、私はこの譲渡には合意しないとなれば、それは、この譲渡のやり方は使えないという理解をいたしました。

 次に、譲渡に際し、先ほど少し最初に質問いたしましたけれども、学生や保護者への十分な説明を求めるということでありますが、この制度を使って事実上の合併が、関西の二つの大学間で来年四月一日に実施をされると報道されております。既に文科省に申請されているのかどうかわかりませんし、なくなる学部の生徒が納得しているのかどうかわかりませんが、発表から譲渡までの期間が約一年です。

 通常、申請から譲渡手続の完了までに要する時間はどの程度と想定されているのでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 学部等の設置者変更を行うに当たりましては、大学設置・学校法人審議会、ここにおきまして専門的、学問的な観点から審査をいただくわけですけれども、申請書類の提出から学部等の設置者変更が行われるまでは、おおむね一年程度の期間を要すると考えております。

吉川(元)委員 次に、あと、ちょっと、余り、こういうものというのはどうかなと思うんですけれども、今回、四月一日にこの制度を使って学部が譲渡される、される側が関西国際大学、する側が神戸山手大学で行われるというふうに聞いております。

 大学分科会将来構想部会制度・教育改革ワーキンググループ、実は、この関西国際大学の学長であり法人理事長である方がこのワーキンググループの委員を務めておられる。それで第一号の適用が自分のところだというのは、ちょっと、余り、見た感じどうなのかなということだけは少し指摘をさせていただきたいと思います。利害関係者とまで言えるかどうかわかりませんけれども、もちろん関係者を呼ぶのは構わないですし、参考人としてお話を聞くのも必要だと思いますけれども、いわゆる委員として選ばれる方については、やはりこうした利害関係者というのはできる限り外れていただいた方が、公平性、透明性、公正性に資するのではないか。この点だけは指摘をさせていただきます。

 次に、学部・学科の譲渡の際には金銭の授受が発生するというふうに思います。民間法人同士の売買関係ですから文科省が口を挟む余地はないのかもしれませんが、学生の授業料やあるいは修学条件にも関係する可能性がある重要な事項です。加えて、私学助成を通じて税金が入るわけですから、譲渡に際しては、あくまで合理的な契約が結ばれるべきであろう。

 そこで尋ねますけれども、譲渡に際し金銭の授受を伴う契約については、何かしら要件をつけるかどうか、また、売買額と算定根拠などについて、透明性を確保する観点から、公表を求めるお考えがあるかどうか、お聞かせください。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 設置者変更を行うに当たりまして、当事者間において、寄附とかいう場合もあろうかとは思いますが、土地、施設設備等を有償で譲渡するという場合が考えられるわけでございます。

 その金額については、現時点で認可の要件というふうにはなっておりません。しかしながら、当然、取引でございますので、これは適正な価格で行われるべきもの、このように考えております。

 また、現時点では、個別の取引額等の公表を求めるということまでは考えていないところでございます。

吉川(元)委員 私は、やはり公表を含めて、した方がよいのではないか。例えば、授業料は変わらない、基本的には変わらないということでありますけれども、もし仮に、あくまでこれは学校法人が決めることだという前回の答弁がございましたが、そこで少し上がる、何でなんだということもあろうかと思いますし、そういう点でも、やはり公表をぜひしていただきたいというふうに思います。

 次に、今度は教育再生実行会議の第十一次提言について少し尋ねたいと思います。

 今回の提言は、AIなど情報技術の革新に教育がどのように対応していくべきかが柱の一つになっております。提言の冒頭で、AI、IoTといった分野の研究開発、専門人材の育成などで日本は最先端の国々から大きく立ちおくれ、危機的な状況にある、こういう認識が示されているわけですが、まず、この危機的な状況、何を論拠にしているのか、説明をいただきたいと思います。

柴山国務大臣 今御指摘になられたAI、IoT、あるいはロボティクス、ビッグデータ、こういった技術が急速に発展をし、ソサエティー五・〇と言われる超スマート社会が到来しつつある中で、我が国が世界に先駆けてさまざまな課題を解決していく課題解決先進国にならなければいけないという理解でございます。

 しかしながら、例えば、二〇一三年以降の国別の機械学習などの人工知能技術に関する論文数では、日本は中国や米国、インド、英国、ドイツを下回るほか、ICTエンジニア数の国別比較でも、日本は米国、中国、インドに大きく差をつけられております。

 このような現状を踏まえ、教育再生実行会議においても、ヒアリングの場や複数の委員から、危機的な状況であるという旨の指摘がなされ、提言に記載がされたものと承知をしております。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。本来であれば、このAI、IoT、教員の働き方にどのような影響を与えるのか、どうもこの再生実行会議と中教審の働き方の議論との間にそごがあるのではないかという感じがいたしますが、これについてはまた次回質問したいというふうに思います。

 以上で終わります。

亀岡委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 柴山大臣、よろしくお願いいたします。笠でございます。

 まずもって、私も、この五月二十八日に発生をいたしました、これは実は私の地元でございまして、本当に許しがたい、そして本当に何とも言えない思いでございます。私も登戸駅には月に一、二回、駅頭に立つんですけれども、いつもカリタス学園の子供たちが本当に笑顔で手を振ってくれたり、そして、きちんと先生方も寄り添って集団登校されている姿を何度も見ておりますので、本当にいたたまれないわけでございます。

 まず冒頭、先ほどからありましたけれども、本当に、私からもまず、心から、亡くなられた方にお悔やみと、そして負傷された子供たち、何とか本当に一日も早く回復してもらいたいということを申し上げ、その上で、大臣に、先ほど来、緊急にやれること、あるいは少し中長期的にというようなお話がありましたけれども、改めて、政府としての、また大臣の、特に問題意識を持ってこういったことはきちんと対応したいというような思いをお聞かせいただきたいと思います。

柴山国務大臣 委員御地元ということもございますけれども、本当に、今回の事件、これほど日本全国に大きな衝撃を与えたということで、改めて、亡くなられた方や遺族の方に心からお悔やみを申し上げますとともに、負傷した方々の一刻も早い回復、そして、何よりも心の傷を負った児童生徒さんや親御さんの平穏の回復、心からお祈りを申し上げるところでございます。

 一昨日の登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議において、総理から、徹底した捜査による全容解明と関係省庁との情報共有、通学路の安全確保の徹底、不審者情報の共有と迅速な対応の徹底について、早急に取り組むよう指示がございました。

 昨日開催された各都道府県の学校安全担当者を集めた会議においても、私から直接、登下校時を含む学校の安全確保に万全を期すよう、各自治体においても取り組むよう依頼をいたしました。

 対策を早急に取りまとめて、こうした悲惨な事件が二度と起きないようにしてまいりたいと考えております。

笠委員 特に、やはり心のケアというのは、ちょうど二〇〇一年でしたか、池田小学校の事件、もう十八年ぐらいになるんですかね。いまだに、やはり当時の傷を負っておられる、苦しんでおられる方もまだまだおられるというようなことも伺っております。

 既に、カリタスの方では、神奈川県あるいは川崎市とも連携をしながら、スクールカウンセラー等々も迅速に、すぐにそういった体制をとって対応されているということも私も伺っておりますけれども、やはりそういった児童生徒、もちろんその現場におられた、あるいは実際に傷つけられた子供もそうですけれども、保護者の方の、本当に心の問題。

 あるいは、このカリタスの方は幼稚園から高校まであるんです。ですから、やはりその全てを対象に、今いろいろな形で対応されているということですけれども、ぜひとも、そういった点で、今やれること、そして中長期的にもしっかりとケアができるような体制というものを、ぜひ県や市とも、今回は主に神奈川県の方ということになろうかと思いますけれども、国としてもそういう体制づくりというものでの支援というものをお願いしたいと思いますので、その点について改めて、重ねて大臣にお伺いをしたいと思います。

柴山国務大臣 今回の事件で被害を受けた児童のみならず、学校全体の児童に対する心のケアについては、カリタス小学校においてスクールカウンセラーにより対応しているということは伺っておりますけれども、まさしく今委員が御指摘のとおり、児童に対する心のケアは継続的に取り組むということが非常に重要であると考えております。

 文部科学省といたしましては、所轄庁である神奈川県とよく連絡をとりつつ、スクールカウンセラーの活用に対する経費の国としての支援をしっかりと行っていきたいと考えております。

笠委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 また、この事件を受けて、先ほどの、中長期的に子供たちの安全、特に通学、登校時あるいは下校時の、どういうような形で本当に守っていくことができるのかということは、これは私立、公立問わずやはり万全を期していかないといけないと思いますので、またいろいろな提案もさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、きょうは、先ほども少しありましたけれども、ICT環境、いろいろな形で、二〇一八年からちょうど二二年度ですか、教育のICT化に向けた環境整備五カ年計画というものが今実際に動いているわけです。

 これは、何とか三人に一台、児童生徒にコンピューター、タブレット等々を持たせてしっかりとやっていこうということですけれども、今現在、予定どおりに進んでいるのか、この目標に対して現状がどうなっているのか、その点を伺いたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 ソサエティー五・〇の社会を迎えるに当たって、学校のICT環境整備は必要不可欠であり、そのために必要な経費については、ただいま笠委員からも御紹介がございましたとおり、単年度千八百五億円の地方財政措置を講じることとされております。

 しかしながら、平成三十年三月時点の公立学校における教育用コンピューターの整備状況は五・六人に一台となっているなど、学校ICT環境整備は十分に進んでいないということに加えまして、地域間にも格差があるということは、文部科学省として危機感を持っているというところでございます。このため、まずは、各学校の設置者が、地方財政措置を積極的に活用し、計画的な環境整備を行っていくべきと考えております。

 文部科学省としても、本年三月に公表いたしました新時代の学びを支える先端技術活用推進方策の中間まとめにおきまして、学校ICT環境整備の推進を柱の一つとして、安価な環境整備に向けた具体策の検討や、関係者の専門性を高める取組などを積極的に進めることといたしております。

 今後、関係省庁や産業界等とも連携しながら、具体策を検討、提示していくことにより、これからの学びを支える学校ICT環境の実現を図ってまいりたいと考えております。

笠委員 今ありましたように、一つには地域間の格差。私がいただいている資料でも、例えば、教育用のコンピューター一台当たりの児童生徒数というところでいうと、今、平均が五・六人に一台。佐賀県が一番進んでいまして、一・八人に一台。他方、一番最低になっているのが、大臣、申しわけないけれども、埼玉県がたしか七・九人に一台というような状況です。

 やはりこれだけ差が出てくると、子供たちの学習環境の格差ということにつながってくるわけで、そういったところを実際どのようにこれから埋めていく、その格差をなくしていくように、文科省として、これは地方財政措置なので、首長さんがきちっとした取組をしなければ、まあまあ、しっかりやってくださいよぐらいしかなかなか言えない点があろうかと思うんですけれども。

 どのようにその点の問題意識を持っておられるのかということと、先ほどもあったんですけれども、その理由としては、なかなか整備コストが高いということで、やはり児童生徒をたくさん抱えているとなかなか進めたくても進められない、あるいは、ほかに優先したいことがあるというようなことがあろうかと思いますけれども、そういった点についての対応、対策をお聞かせいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい学習指導要領では、情報活用能力というものをいわば読み書きそろばんと同一のものというように位置づけておりまして、何よりもその環境整備が重要だというふうに考えております。

 先ほど申しました中間まとめにおきまして、例えば調達方法として、自治体を超えた共同調達による大量一括購入によるディスカウント、あるいは、ハード、OS、アプリ、保守、サービスを分離して調達する、メーカー等から直接購入するコストダウン、あるいはシステム設計としてパブリッククラウドの活用とか、あるいは必要なソフトウエアの厳選、そういったものにより、海外より割高になっているような教育用コンピューターについて、もう少し安価に整備を図っていく。

 そういったようなことを自治体にしっかりと、更に具体的に示すというようなことを行いまして、他省庁を始めとした関係省庁と連携しながら、例えば学校へのハードやサービスの提供モデルの大幅転換などを期待したいというふうに考えております。

笠委員 本当に、このICTなどの最新技術というものも、先端技術というものがどんどんどんどん今進んでいます。先ほど、きょう一番に義家委員から、例の政府の規制改革推進会議の作業部会で、先般、これは五月二十三日だったですかね、最適化された授業を行うということで、要するに、活用することによって、義務教育に、学校に来なくてもいいじゃないかみたいな、そういう意見があったような懸念が示されました。私も同じような思いを持っています。

 ただ、大事なことは、今、例えば経済産業省で、未来の教室というようなことで授業をやっているわけですけれども、教室はやはり必要なんですよね、学校に来るということは大事なんです。ただ、その学校での学びの世界を、このICTを活用することによって、大きく、教え方とかがやはり変わっていく必要があるような点はたくさんあると思うんですね。

 ですから、何か文科省がそういったことに後ろ向きになって、極端な議論がぶつかり合うようなことがないように、例えば経産省の未来の教室という、エドテックというんですか個別最適化学習と、学び合いを主とするスタイルに変えていくというようなことと、どういうような形で連携をしていくのか。あるいは、一緒に、文科省も大いにかかわって、主体的にこういったことを進めていくというようなお考えがあるのかどうか、その点を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 教育分野におけるAIなどの先端技術の活用は、教育の質を高める上で大きな可能性を持つものであります。

 こうした取組を充実していくためには、御指摘の産業政策を所管する経済産業省のほか、情報通信政策を所管する総務省など関係省庁との連携を図っていくことが不可欠であると考えております。

 ことし三月に新時代の学びを支える先端技術活用推進方策の中間まとめを公表しましたが、その中でお示しをいたしました教師や学習者を支援する先端技術の効果的な活用、教育におけるクラウド活用の推進、安価な学校ICT環境整備に向けた具体策の提示などの施策を実施していく際も、今申し上げた経産省や総務省などと連携をして進めていくことを考えております。

 これと、先ほど義家委員からあった義務教育の中で通信制度を導入するということは、私は次元の異なる話だというように考えております。

 文部科学省としては、今後とも、関係省庁とも連携を図りながら、教育における先端技術の活用を積極的に推進し、子供の力を最大限引き出す学びを実現してまいりたいと考えております。

笠委員 改めて、やはり海外とつながる、あるいはさまざまな小規模な学校における遠隔教育の有効性、あるいは障害を持っておられる子供たちであったり、そういった点では非常に有効になってくると思います。

 同時に、やはり民間の皆さん方も、いろいろな先端技術も日々進んでおりますので、そういったことを、いい部分はどんどん取り入れながら、そして、新しい学びの形というものをぜひとも構築していくことができるように、また積極的に取り組んでいただけるように申し上げて、時間が参りましたので、終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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