衆議院

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第3号 令和元年11月5日(火曜日)

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令和元年十一月五日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 橘 慶一郎君

   理事 池田 佳隆君 理事 上川 陽子君

   理事 白須賀貴樹君 理事 馳   浩君

   理事 村井 英樹君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      石川 昭政君    上杉謙太郎君

      小此木八郎君    大串 正樹君

      神山 佐市君    櫻田 義孝君

      繁本  護君    柴山 昌彦君

      田畑 裕明君    高木  啓君

      谷川 弥一君    出畑  実君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      船田  元君    古川  康君

      古田 圭一君    吉良 州司君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      牧  義夫君    村上 史好君

      山本和嘉子君    吉川  元君

      高木 陽介君    鰐淵 洋子君

      畑野 君枝君    森  夏枝君

      笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    青山 周平君

   参考人

   (日本私立中学高等学校連合会会長)

   (学校法人富士見丘学園理事長)

   (富士見丘中学高等学校校長)           吉田  晋君

   参考人

   (全国高等学校長協会会長)            萩原  聡君

   参考人

   (株式会社ベネッセコーポレーション 学校カンパニー長)          山崎 昌樹君

   参考人

   (京都工芸繊維大学教授) 羽藤 由美君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月五日

 辞任         補欠選任

  福井  照君     繁本  護君

  宮路 拓馬君     古川  康君

同日

 辞任         補欠選任

  繁本  護君     福井  照君

  古川  康君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 文部科学行政の基本施策に関する件(高大接続改革)


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件、特に高大接続改革について調査を進めます。

 本日は、本件調査のため、参考人として、日本私立中学高等学校連合会会長・学校法人富士見丘学園理事長・富士見丘中学高等学校校長吉田晋君、全国高等学校長協会会長萩原聡君、株式会社ベネッセコーポレーション 学校カンパニー長山崎昌樹君及び京都工芸繊維大学教授羽藤由美君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人七分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知ください。

 それでは、まず吉田参考人にお願いいたします。

吉田参考人 失礼いたします。ただいま御紹介いただきました日本私立中学高等学校連合会の会長の吉田でございます。本日、このような機会をいただきましてありがとうございます。

 まずもって、はっきり申し上げまして、突然の中止に、準備してきた生徒たちに申しわけないなという気持ちが最優先で起こっていることが事実でございます。

 ただ、けさも朝礼で、十一月一日付で大臣から、「受験生をはじめとした高校生、保護者の皆様へ」の中で、高校生にとって、読む、聞く、話す、書くといった英語の四技能をバランスよく身につけ、伸ばすことが大切なことは変わりがありませんとはっきりと言っていただいていることを伝えまして、現在の準備している自分たちの四技能を、更に活用して生かしていくように話をしてきたところでございます。

 そもそも論に返りまして申しわけないんですが、この高大接続改革における大学入試改革というのは、平成二十四年八月に民主党政権下の中教審において、大学入学者選抜の改善を図るとする高校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策についてというものが当時の平野文科大臣から諮問されたのが始まりでございました。

 そして、その後、二十五年五月の政府の教育再生実行会議の第三次提言、これからの大学教育等の在り方を受けました二十五年十月の第四次提言、高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方についてによって、この試験改革が本格的にスタートいたしました。

 その後、二十七年一月に高大接続改革実行プランが文科大臣により決定されまして、高大接続改革に向けた工程表が発表されたところでございます。そして、二十八年三月には、高大接続システム改革会議最終報告が提出され、英語四技能、そして、入試は大学が決めるものであるということ、大学入試が変われば高校教育が変わるということがはっきりと打ち出されたわけでございます。そして、二十九年七月、大学入学共通テストの実施方針が出たところでございます。

 私ども私学といたしましては、この間にさまざまな意見を述べさせていただいてきました。実際に二〇二〇年の大学入試のあり方というのは、主体性を持って問題に取り組み、答えを生み出し、新たな価値を創造していくことのできる人間を育てることを目指す、これは、全く当初のスタートでございます。そして、学力の三要素、知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性という、この三つをいかに伸ばしていくかというのがこれからの教育に必要である、日本がおくれていることであるということで始まったわけでございます。

 そして、第三次提言の中で、大学は、大学入試や卒業認定におけるTOEFL等の外部検定試験の活用、英語による教育プログラムの実施等の取組を提言なさいまして、そして、第四次提言では、完全に、国際バカロレアやそういったものを使った段階的評価というような言葉も出てきたところでございます。

 そして、二十七年の高大接続改革実行プラン、そして、接続システム改革会議ができまして、二十九年の七月十三日のことでございますが、大学入学共通テストの実施方針というのが決まりました。このときに我々はまた大きく申し上げたんですが、まず英語の四技能については、高等学校学習指導要領における英語教育の抜本的改革を踏まえ、大学入学者選抜において読む、聞く、話す、書くの四技能を適切に評価するため、共通テストの枠組みにおいて、現に民間業者等により広く実施されている、一定の評価が定着している資格の試験を認定するということが言われました。

 そして、そういう中で、検討の経緯の中で、この英語の四技能試験については、A案として、平成三十二年度以降、共通テストの英語試験を実施しない、英語の入学者選抜に認定試験を活用するという案と、B案として、共通テストの英語試験については、制度の大幅な変更による受検者、高校、大学への影響を考慮し、三十五年までは実施し、各大学の判断で共通テスト、認定試験のいずれか、又は双方を選択利用することをやるということになりました。

 ここにおいても、私どもは、中途半端なことをやるぐらいなら、逆に言えば、三十二年なんて言わないで、まだ準備の段階がかかるので、新学習指導要領の採用される二〇二四年から正式に四技能に持っていって、二技能を完全にセンターでやめるのがいいのではないかということを言ったんですが、全国高等学校長協会は、四技能を評価することは総論として賛同するが、B案としつつ共通テストとしての英語試験の継続実施を強く要望すると。また、国立大学協会等も、共通テスト英語試験の廃止は、認定試験の実施、活用状況を検証した上で判断すべきということで、このB案が採用されたわけでございます。

 そこで、B案が採用されるに当たって、では、この英語四技能試験がどういうふうになっていくのかなということを我々は見守ってきたわけですが、その後に出てきたものが、実施方針というものが出たわけですが、そこで四月から十二月ということが出たわけです。

 この四月から十二月については、高大接続改革の方で、三十年八月十日に、大学入試センターが利用大学に提供する英語四技能試験の試験結果は、現役生については、高校三年生の四月から十二月の間に受検した二回に限ることにしました。高校三年生に受検期間を限定した理由は、大学入試センターが結果を提供する試験は、実質的に大学入試の一部として活用されるものであり、一年生や二年生の試験を使えることとした場合、特に英語について、大学受験が早期化してしまう心配があるためです。受検回数を二回に限定した理由は、住んでいる地域、家庭の状況などにより、何回も試験を受けられない人が、大学入試で大きく不利にならないからということです。高校生の中には、地方自治体からの補助などを得て、一、二年のときに受検をしたのに、その成績は使えないのと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。例えば、日本私立中学高等学校連合会は、学習指導要領に沿って英語四技能の学習を続けてきた高校生のために二年時までにおける参加試験での一定以上の試験は全て利用可能とするのが当然との意見というふうに、我々はこれを、資格検定試験というものと入学試験というものをはっきりと分けていただきたかったんです。

 と申しますのも、アメリカのSATやインターナショナルバカロレア、IBを利用しようとしている試験で段階的評価をしようというときに、なぜこの資格試験を使わないのか。

 特に、平成二十七年度から国家公務員試験が変わりました。そして、この国家公務員試験では、二次試験の英語で、TOEFLiBT、TOEICLアンドR、IELTSそして英検でCEFRのB2ぐらいのレベルを持っている方は、二十五点プラス、十五点プラスとなっております。

 そして、それが私が何とも納得できませんのが、実は過去五年間なんです、大学四年生のときのものまでが認められています。これは、実際にTOEFL、IELTS、TOEICは二年間しか有効期限がありません。にもかかわらず、大学四年のものが許される。そういう状況で、何で高校生だけが入試に変えられてしまうのか、それが私は不思議でしようがありませんでした。

 時間が来ちゃいましたのであれですが、実際に、今、都道府県によっては、二年生、一年生で、県がお金を出して受けさせてくれている子供たちもたくさんいます。それから、公平公正という意味でいえば、大学がどこの試験を使うと言ってくだされば。私は、試験それぞれの種類は違うと思っています。体重をはかる試験であり、身長をはかる試験かもしれません。でも、それは大学が選ぶことであって、高校生が選べるものではありません。

 ですから、それをはっきり出していただいて、そして、子供たちが、四技能は現行の教育課程においても、中学校卒業時に英検三級以上、高校生が卒業時に準二級以上を五〇%以上にするというのが現教育課程の目標です。その目標をはかるのに使えるのは英検しかないわけですね。その英検で実際にどうかといえば、高校三年生で準二級以上は二二%しかいません。つまり、この数がふえる、つまり試験をどんどん受けさせる人がふえれば、試験会場もふえるし、費用も減る、そういう状況にもなると思いますし、私はより公平なものになっていくのではないかと思っています。

 何しろ、これからの時代に英語四技能をしっかりと身につけた子供がいない限り、このグローバル化社会で我が国が負けていくことになると思います。ラグビーワールドカップもそうだったと思います。英語がわからなければ試合もできません。ぜひそういう子供たちをしっかりと育てる我々の教育に先生方に御理解をいただきたいというふうに思っておりますので、今、ここで突然に中止にしたことによる子供たちのショックを和らげるための方策をぜひよろしくお願い申し上げます。

 長くなりまして済みません。ありがとうございました。(拍手)

橘委員長 ありがとうございました。

 次に、萩原参考人にお願いいたします。

萩原参考人 私は、今年度、全国高等学校長協会、略して全高長と呼んでおりますけれども、その会長を務めております、東京都立西高等学校長の萩原でございます。よろしくお願いをいたします。

 まず、私ども全高長というのは、国公私立高校長が加盟している各都道府県の校長協会の全国組織でございまして、現在約五千二百名の会員を有している、そういう団体ということになります。

 私ども全高長は、高大接続改革は必要なことであると考え、その方向性についても基本的に賛成してきております。英語教育につきましても、高等学校において生徒に英語の四技能を身につけさせることは極めて重要であるというふうにも考えており、各学校において英語教育の改善充実に積極的に取り組んでいかなければならないということをさまざまなところでお話をしてきているところでもあります。

 今回の大学入学共通テストの枠組みの中での英語四技能評価につきましては、全高長は、大学入試センターが一元的に作成する共通テストで英語四技能評価をするのが理想だというふうに主張してきました。しかし、二〇二〇年度からのスピーキングテストのシステム開発は困難であるとのことなので、民間の資格検定試験を活用するのはやむを得ないと判断をしておりました。同時に、学習指導要領との整合性の確認や、経済格差、地域格差の解消にしっかりと取り組んでもらいたいということも一貫して主張し、そのことを文部科学省、大学入試センターの方々にも御理解をいただけているものというふうに考えておりました。

 しかし、昨年三月末に大学入試英語成績提供システムに参加する検定実施団体が決まり、準備が始まっても、実施時期や場所などの具体的な情報はなかなか明らかにされず、私たちが求めている、生徒が希望する検定を、希望する日時に希望する場所で受験できる条件が整備され、検定実施団体の実施状況や大学の活用状況が明らかになってから、生徒個人が自分に合った試験を選択し、受験できる状況にはほど遠いという状況が続いていました。

 時間がどんどん経過し、多くの校長たちの不安が高まる中、ことし七月八日に各都道府県の協会長が集まる研究協議会を開催いたしました。この会議では、英語の四技能に向けた各地での取組状況、不安や課題、円滑な実施に向けて望むことなどをまとめてもらい、これをもとに六グループに分かれた分散会において協議しました。

 その結果の集約として、今お手元にお配りしておりますが、七月二十五日に文部科学大臣宛てに「大学入試に活用する英語四技能検定に対する高校側の不安解消に向けて」と題する六点の不安解消を求める要望書として提出をさせていただいたところです。

 しかし、その後も状況に進展が見られない中、八月二十二日に大学入試室長が同席して大学入試センターと意見交換を行いました。その後、日本英語検定協会などと意見交換を私どもしてきましたが、懸念している不安や課題の解決にはほど遠い状況であり、このまま事態が推移すれば大混乱は必至であるということを実感しました。

 また、この夏に私ども全高長の大学入試対策委員会が行った調査でも、中止や延期を求める声が約七割と多数を占めたということもありました。

 その後、八月二十七日に文部科学省は大学入試英語ポータルサイトを立ち上げましたが、本質的な状況は改善されておりませんでした。

 このような状況から、九月九日に臨時の都道府県協会長会議を招集し、四十三都道府県の協会長さんらに御出席いただき、その後の状況に改善が見られないことを確認し、もうこれ以上待てないということで、お手元の二枚目の資料になりますが、十日に文部科学大臣宛てに、二〇二〇年四月からの大学入試英語成績提供システムを活用した英語四技能検定の延期及び制度の見直しを求める要望書を提出するということになった次第です。

 それからほぼ一カ月後の十月二十一日に、文部科学省、大学入試センターを始め、実施団体の皆様に集まってもらい、現在の状況や今後の見通しについて話してもらうとともに、全国の校長から寄せられたさまざまな疑問や意見に可能な限りお答えいただきたいと考え、シンポジウムを企画いたしました。しかし、安心できるような発言は得られず、各学校では、さまざまな不安を抱えたまま、英語成績提供システム共通ID発行申請など、具体的な準備に向けての生徒への指導を行わなければならないという状況になっていました。

 こうした中、去る十一月一日に文部科学大臣から延期の決定が発表されました。私はこのとき、全国普通科校長会総会・研究協議会で福井におりましたけれども、閉会式で、発表直後の大臣メッセージを先生方、校長先生方に伝えました。参加されていた校長先生方の多くは、共通IDの申請が開始される直前に延期の決定がされたことによって、高等学校にこれ以上の混乱を招くことが防げたというふうに受けとめられている方が大変多かったという印象を持っております。

 文部科学省には、今回課題となった経済格差、地域格差の解消や公平性、公正性の確保などの解決に向け、制度の抜本的な見直しに取り組んでいただくことをお願いします。全高長としても、引き続き大学入試で英語四技能評価を正しく評価できるシステムの構築にぜひとも協力をしていきたいというふうに考えております。

 以上で全高長からの意見陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)

橘委員長 ありがとうございました。

 次に、山崎参考人にお願いいたします。

山崎参考人 ベネッセコーポレーションで学校事業の責任者をしております山崎と申します。

 本日は、貴重な機会をいただきまして、まことにありがとうございました。

 なお、文部科学委員会の事務局様より、本日は、GTEC大学共通テスト版の準備状況を説明するように御指示をいただきました。よろしくお願いいたします。

 皆様のお手元に、先週発表いたしましたGTECの準備状況資料を置かせていただいております。

 まず、資料を一枚めくっていただきまして、三ページ目の一、基本方針をごらんください。

 弊社は、認定を受けた六団体の一つとして、重視するべき方針を掲げておりました。全国の受験生が、受検したい受検日に、受検したい地域で受検できる環境を整備し、負担や格差をなくしたい。離島、僻地も含め、地域に配慮した実施を目指しておりました。そして、受験生にとって負担の少ない環境を実現するため、以下のことを決定しておりました。

 一つ目は、経済的な負担の軽減です。

 三の検定料については、負担を少しでも軽減するため、六千八百二十円という低廉な検定料を設定し、また、経済的に困難な方に対しては、減免措置として受検料を二割減額するということを決めていました。さらに、四、受検日につきましては、受検回数を二回に制限することで、経済状況によって受験生の受検回数が異なり、有利、不利が生じないことを目指しておりました。

 二つ目は、障害のある受験生への配慮です。

 弊社では、特別な配慮を希望する受験生のための会場を全都道府県に設置。一番最後の六ページをごらんください。字が大変小さくて恐縮なんですが、配慮事項について、こちらは障害者団体の方々に御相談、御指導いただきながらその対応を決めておりました。

 そして三つ目が、地方、地域に対する対応です。

 全都道府県に受検会場を設置する試験団体が少ない中、移動負担を少なくし、住む場所での格差が生じないよう、離島、僻地も含めた実施に向け、準備を進めていきました。

 一枚戻っていただきまして、五ページをごらんください。十月末で決定をしておりました受検地一覧ですが、既に百六十一地区が確定しておりました。都市部などは一受検地で複数の会場を設置いたしますので、会場数では約三百五十会場のめどが立っており、さらに、来年の申込みの三月までには、各地域の皆様と相談の上、受検地を拡充させるべく努力を続けておりました。

 受検地については、地方部の教育委員会様、校長会様から、離島、僻地を含め、地域の実情に沿った受検地を何とか設置してほしいとの御要望を強くいただいていました。弊社としては、このような地域のお声に真摯に耳を傾けることが、地方の受験生にとって我々が取り組むべき大切なテーマだと認識しておりました。

 このことを実現するために、四ページの八、地域別対応をごらんください、お声をいただいた都道府県と会場や実施運営等について協議をさせていただき、その結果、地方部を中心に、十月末で十五県の御協力をいただけることが決定しておりました。この十五県については、地域のニーズを踏まえた会場の設置が実現し、地方の受験生の受検機会を拡充することが見通せていました。更に十県以上の県とお話を続けておりましたので、年内中には三十県前後での御協力をいただけることを見込んでおりました。

 これまで、実施に向け多大なる御尽力と御決断をいただきました各県の教育委員会様、公立校長会様及び私立中高連の皆様には、この場をおかりして深くお礼を申し上げたいと存じます。本当にありがとうございました。

 最後になりますが、私たちは、学校教育の課題でも、英語の四技能の力を育成することは大変重要なテーマであると認識をしています。

 高校の学習指導要領でも、授業は既に四技能を総合的に育成することが導入されながら、文科省の調査では、授業において話すと書く両方の評価を行っている学校は約三〇%にとどまっています。大学入試において四技能を評価することは、英語教育が充実し、更に改善されていく大きな契機になると考えております。

 日本の英語教育を改善されてきた現場の先生方と、実施に向けて準備を進めてきた受験生のために、滞りなく実施できるように、社員一同全力で取り組んでまいりました。その過程で、生徒さんのために力を尽くされている先生方や教育委員会、地元の方々の教育への思いに触れる機会を多くいただきました。

 今回の延期の決定後、地方の県から次のメールをいただきました。延期の決定を受け、正直複雑な思いです、ベネッセが、私たちの県の生徒のために、私たちが希望する全ての受検地に会場を設定していただいたことについては、教育委員会にいる我々、そして私たちの県の全ての校長が感謝しているところです。このメールのようなお声を金曜日から多数頂戴いたす中で、弊社も教育に対する思いを新たにいたしております。

 今、日本の英語力は、世界規模の英語能力統計によれば、百カ国中五十八位、年々低下をしている危機的な状態です。未来からの留学生である今の日本の子供たちに、よりよい教育の実現に少しでも貢献できるよう、今後も、社員、関係者一同、一層努力を重ねていきたいと思います。

 以上で弊社からの御説明とさせていただきます。御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)

橘委員長 ありがとうございました。

 次に、羽藤参考人にお願いいたします。

羽藤参考人 京都工芸繊維大学の羽藤由美と申します。よろしくお願いいたします。

 私も、英語四技能及び英語で話す力は極めて重要と考えています。実際、勤務している大学では、独自の英語スピーキングテストを開発し、AO入試の一部でも利用しています。本日は、このような実績を踏まえて意見を述べさせていただきます。

 まず、今回、共通テストへの英語民間試験導入の延期の決断がここまで遅くなったことによって、受験生、高校現場、民間試験団体、そして文部科学省の皆さんが大きな痛手を受けることになり、極めて残念に思います。本制度の実現が困難であることは、複数の民間試験を利用する方針が固まった二〇一七年五月の時点でほぼ見えておりました。それ以来、関連分野の多くの研究者が問題を指摘してまいりました。しかし、耳を傾けていただくことなく、ここまで来てしまいました。

 今回、萩生田文部科学大臣は、二〇二四年に向けて、大臣御自身の下に検討会議を設け、今後一年をめどに結論を出すと発表されました。どうか、再度同じことが起こらないように、広く専門家や現場の教員の意見を聞き、結論ありきではない、現実的かつ緻密でオープンな議論をしていただけますようお願いいたします。今回の騒動に失望した若者たちがいます。その若者たちの信頼を回復できるような結論の導き方をしていただきたいと思います。

 さて、ここからは、その検討の際に御留意いただきたいこと、言いかえれば、今回の挫折の原因になったことについて述べさせていただきます。

 まず、民間試験団体は営利で成り立つ事業者であることを前提にしなければいけません。試験団体にとっては、利潤の追求とテストの品質や公正性、公平性の向上との間には、トレードオフ、言いかえれば、あちらを立てればこちらが立たずの関係があります。

 例えば、一回の受験料が二万五千三百八十円のIELTSと、六千八百二十円のGTECが同じ品質のテストであるとは考えられません。採算に合ったことしかできないんです。

 例えば、スピーキングテストの採点についても、機械採点が得意とする問題を多く使えばコストは下げられますが、しかし、現在のAIの技術ではテストの質が落ちます。一方で、すぐれた資格を持つ採点者を雇い、十分な訓練をして丁寧な採点をすれば、コストがかさみます。

 そのほかでも、複数回の試験の結果を比較可能なものにするための標準化、あるいはトラブルや不正の防止、障害のある受験生への対応など、どの面をとっても、質を高めようとすれば費用がかかるのは当然です。

 今回、GTECや英検などが最後まで具体的な試験会場を確定できなかったのも、採算を考えたからです。顧客、つまり受験者の数が予想できないのに、会場設営、パソコンやサーバーなど大きな投資はできません。幾ら費用をかけてもよいのなら、どの試験団体もすぐに会場を確定できたでしょう。

 このように申し上げると、この試験会場の問題を国の支援で解決すれば、今回の制度のマイナーチェンジで二〇二四年度を迎えられるとまだ考える方がいるかもしれません。しかし、それは不可能です。同じことの繰り返しになります。

 民間試験団体は、一方では、絶対数が決まっている受験者、それも今後は必然的に数が減っていく受験者を、みずからの生き残りをかけて奪い合わなければなりません。そして、もう一方では、大学入試としての公正性、公平性、セキュリティーを求められます。その上に、今回は文部科学省から、検定料を上げるな、むしろ下げろと求められました。

 すると、必然的に起こるのは、試験の質を下げることです。実は、既にそういうことが起こっていて、一部の試験では採点の質の担保や標準化が危うくなっているのではないかと懸念しています。実は、多くの専門家が同じような懸念を共有しています。しかし、今回の制度では、ブラックボックスとなっている試験の作成や品質管理の実態をのぞき込む権限を、文部科学省も大学入試センターも持っていませんでした。今後も、企業秘密の保持の関係で、査察や監査をすることは難しいと思われます。

 ですから、複数の民間試験に大学入試を丸ごと委ねる制度では、試験の質や公正性、公平性を担保することは困難です。その結果、大きな問題が発生したり、逆にトラブルが隠蔽されたりする可能性が極めて高いです。事業者が悪いのではありません。そうせざるを得ない制度なのです。

 さらに、民間試験を利用するという今回の制度では、内容や目的の異なる試験の成績を比べるという無理難題が生じます。

 今回資料として提出させていただいた各試験、検定試験とCEFRとの対照表は、極めてでたらめな手続を経て文部科学省から発表されたもので、目的や内容の異なる試験の成績を比べるという致命的な誤りを隠蔽するためにつくられたものと言っても過言ではありません。

 ならば、一つの民間試験に絞れば共通テストとして使えるだろうと思う方がおられるかもしれません。決してそうではありません。やはり英語以外の科目と同様に、最低でもテストのデザイン、つまり、何をどこまでどのようにはかるか、そしてその品質については、大学入試センターなどの公的機関が管理する必要があります。

 ラーニング・アンド・アセスメント・ゴー・ハンド・イン・ハンド、指導と評価は手を携えてとよく言われます。指導と評価が適切にかみ合ってこそ学習の成果が上がります。評価を民間に投げてしまったのでは、そういう工夫をする手だてが一切なくなってしまいます。

 ここまで、複数であっても単数であっても、共通テストを民間試験に丸ごと委ねることはできないこと、それから、今回の挫折の原因がこのことであったこと、それから、仮にスピーキングテストやライティングテストを加えるとしたら、必ず大学入試センターなどの公的な機関が中心的な役割を果たす必要があることを申し上げました。

 なお、新聞報道によれば、今回の導入延期を受けて、いらっしゃいますけれども、柴山前文部科学大臣は、既に大学の三割が民間試験を使っており、今回の導入によって更に三割ふえる、受験生にとってはありがたい制度だとおっしゃられたそうです。

 揚げ足をとるようで恐縮ですが、これまで三割の大学が民間試験を利用して、それによって期待した効果が得られたのでしょうか。二〇〇三年の「英語が使える日本人」の育成のための行動計画から十六年、民間試験の活用を推し進める政策を続けた結果、大学の三割が利用するようになりました。それによって期待した効果は得られたのでしょうか。効果を裏づける十分なエビデンスはあるのでしょうか。もし期待する効果が出ていないなら、そのやり方を見直す方が先のはずです。

 英語四技能の育成は重要です。しかし、教育のインフラとも言える共通テストを民間に委ねるということは、国にとって重大な判断です。それによって得られるものと失うものの大きさの比較検討が一切なされていません。

 財や名をなした素人が、どこか高いところに集まって個人的な経験や感想を言い合い、その中で決めた現実味のない教育政策が、推進に無批判に協力するごく少数の研究者や教員を利用する形で、そのまま現場におりてきます。この現状こそ、どうぞ改善してください。

 この国には、英語教育、言語テスト、テスト理論など、能力の高い研究者がたくさんいます。教育現場にも、地道に研さんを積み、着実な成果を上げている先生方がいらっしゃいます。どうか、その人たちの専門知を結集して、入試に頼らない教育のあり方も含めて、実現可能な最適解を探す努力をしてください。今回の検討会議がそういう会議となるような御配慮をお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

橘委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

橘委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中村裕之君。

中村(裕)委員 自民党の中村裕之です。

 参考人の皆様におかれましては、大変な方針転換がある中で、こうして率直な御意見をいただきましたことを感謝申し上げます。

 そして、四人のお話を聞いて、四技能をバランスよく学ぶ英語教育の重要性を皆さんがお訴えになりましたし、それをはかる試験をできるだけ公正なものに、いい形で行うために、これまでも大変な御努力をいただいてきたということがよく伝わってまいりました。心から敬意を表する次第です。

 私自身、今回の延期の判断は大変残念に思っています。それはなぜかというと、これまでの英語教育、四技能をバランスよく伸ばす英語教育、学校教育等がなかなか効果が目に見えてあらわれていない中で、現状のままではいけない、明確な目標を生徒さんや先生方に示して、そしてしっかりとその目標に向かって努力をしていただいて、それを適正にはかっていくことが重要だと考えておりましたので、この撤回、延期は本当に私自身は残念に思います。

 しかし、そこで立ちどまるわけにはいきません。何といっても、この延期の判断によって、少なからず生徒さんには動揺が生まれているんだと思います。二〇二〇年度の大学受験に向けて、生徒さんらが動揺せずにしっかりと学習をし、受験に挑戦をしていく、そういう環境をつくるのがまず第一だというふうに思っております。

 そういった視点から、それぞれ、校長会ですとか私学連ですとか、いろいろな責任ある立場にあられるわけですけれども、それぞれの組織や団体として、これから取り組んでいかなければならないと思っていること、そして、その際に、文部科学省にこういう対応を求めたいというのがあろうと思いますので、その点についてお伺いしたいと思います。

 吉田先生と萩原先生と山崎参考人、三人の参考人にお伺いしたいと思います。

吉田参考人 私ども私学といたしましては、はっきり言って、この四技能をしっかりと身につけさせるということは国の方針ですので、しっかりとやっていきたい。

 そして、現実に今、私立学校だから、お金があるから四技能試験を受けられているみたいに思われている部分がございますけれども、決して私立学校に通っている生徒の所得が多いわけではございません。そしてまた、地方においては、はっきり言って公立学校の補完校的な要素もあって、非常に英語力の低い生徒がいる。そういうところで一生懸命生徒の力を上げているという状況にございます。

 この方向性は、ぜひ私ども、やはりこれから先のことを考えても必要だと思いますので、この四技能教育をしっかりとしなきゃいけないということで、日本私学教育研究所という私どもの外部団体も利用しての研修その他を加えて、しっかりと続けていっているところでございます。

 また、大学入試に関しましては、本当に大学さんが方向性を出していただければ、それで何とでも変わりますので、どの試験を使えといえばそれをやりますので、その形だと思っております。

萩原参考人 私どもも同じですが、今、文部科学省の方の初中局を中心にしてということで、高等学校でも、英語の四技能の試験、力をつけさせていくためにということで、各都道府県ではかなりアセスメント、要するに、英語の四技能の力がどのぐらいついているのかということで、例えば、今お見えになっているベネッセさんのGTECをアセスメントという形で使われている学校さんが結構あるというふうに思っています。そういうふうな形で、今、かなり各都道府県の学校の方も四技能に力を入れてやってきているというふうに思っています。私どもの方も、そういう形でそれを支援していくということで話を進めていきたいというふうに考えております。

 今後というところでは、先ほどもちょっとお話をしましたが、この四技能をうまく測定できる、正確に測定できる、どの子についても公正公平の中で測定ができるような形のものにぜひとも枠組みとしてしていっていただければというふうに考えております。

 以上です。

山崎参考人 先生方、お手元の、私がお配りしたこちらの資料を見ていただきまして、一枚めくっていただきまして、裏側にデータを少しつけさせていただいております。

 上側は、文部科学省が調査をしたデータになります。これは何をしていますかといいますと、高等学校様に、話すこと、書くことのいわゆる発信技能、こちらのテストを、評価をしていますかということを問うたものです。左は中学校です。八割近い学校がされています。高等学校におきましては、やはり三割程度ということで、まだ非常に少ないということが現状でございます。

 ただ、これは以前のデータでございますので、実は、今回の四技能入試におきまして、高等学校におけるいわゆる発信型、話す、書くという御指導が非常にふえているという実感を思います。先ほどお話がありましたように、吉田先生それから萩原先生も同じようなことをお話ししておりましたが、私どもも、学校現場に伺う中で、それを非常に感じております。

 この本当にいい流れを、ぜひ今回の延期によってとめないようにしていただきたいということを心から願っております。民間ですので、それに対して我々が何も申すことはないんですが、このいい流れを本当にとめないようにということが強く願っていることでございます。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 三人の皆さんからは、この流れをとめないようにというお話でございました。

 吉田参考人の御指摘にあった、大学が英語試験をどのように実施していくかということが非常に鍵になるんだと思います。その把握を、この延期が決定した後に、大学がそれぞれ大学の自治に基づいて判断をしていくことになろうと思いますが、それがおくれればおくれるほど生徒の不安は大きくなるんだろうと思いますので、こうしたことの把握ですとか、また、事務的なことでいうと、三千円をもう既に予約金で払ってしまった学生さんもいますので、そうしたことも含めて、文部科学省の対応がさまざまな面で必要になるんだろうというふうに思っております。

 ベネッセさんにちょっとお尋ねしたいんですが、民間事業者として大学入試センターとの協定を結んでいらっしゃいますが、協定書の第二十四条には損害賠償の規定もあるわけです。このあたりの考え方について、現時点での考え方をお伺いしたい。

 また、先ほどの資料にもあった低所得者世帯の検定料の割引ですとか試験会場の拡大ですとか、そうしたことも今度は大学それぞれが行う試験というふうになりますので、そうしたことについて今現在お考えがあればお伺いしたいと思います。

山崎参考人 どうもありがとうございます。

 まず、損害賠償ということについてでございますが、こちらの方は、実は私ども聞いたのが金曜日の早朝というか、朝、新聞で見ましたものですので、まだ正直検討ができていないというのが実態でございます。これが今の考えということでございます。

 二つ目についてなんですが、低所得者の対応というところと会場ということなんですが、GTECの方は、既に検定という形で、非常に多くの学校様で御受験をいただいております。こちらの方は、本当に全国各地、きょうお話しした以上のエリアで御実施をしていただけておりますので、会場という面では非常に生徒様にとっては利便性のいい形になろうかと思います。かつ、値段の方は、今回、認定試験ということでなくなりましたので、ちょっとまだ認定試験自身としての実施は考えておりませんので、もう少し検討をさせていただきたいというふうに思っております。

 ただ、低所得者の方々に関しての配慮というのは、実は今でも我々がやっているアセスメントでも実施をしておりますので、しっかり前向きに検討していきたいというふうに思っております。

 以上です。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 既に三割の大学が何らかの形で民間試験を入学者選抜試験に活用しているという状況で、今回の一連の流れの中で、四年制大学でいうと七割が活用するという表明をされたわけですが、今後、この文部科学省の方針転換によって、それぞれの大学がそれをどうするかということを検討し、発表することと思います。

 しかし、そういったことであっても、少なくとも、二〇二〇年度から二〇二三年度までの間に受験する皆さんについては、より公平性を保つために二回までというふうに回数を制限していた、その部分の格差是正策がとられないという実態があります。

 今、GTECさんからお話がありましたとおり、低所得者世帯の検定料についても、これから全体のことが、多分受験生の数字、数を見ながらいろいろなことが決まってくるんだと思いますが、文部科学省が実施する上でさまざまな皆さんからいただいた地域格差また経済格差の是正策というのが二〇二三年までなかなかとられない心配が出てくると思います。

 その点について、先ほどの三人の参考人からお話を聞きたいと思います。

吉田参考人 ありがとうございます。

 私は、基本的には、資格検定試験というものはやはり個人の資格テストですから、それは個人が負担すべきものだとは思っております。

 ただ、現実に所得の低い方がいらっしゃることも事実ですので、それはやはり都道府県その他各地域において、特に優秀な学力のある人であれば更に上の試験を目指さなければいけないと思いますし、今非常に海外への留学が減っているというお話もありますけれども、これも、実は大学でいまだに、まあ企業さんの入社試験がそうだからかもしれませんが、TOEICの二技能というのが進学要件になっているような大学がたくさんございます。TOEICさんも、実際、最初はこの試験の中に入っていたわけですけれども、SアンドWを追加しても受験生が少ないということで、途中で八月に突然やめてしまいました。

 大学は、TOEICさんの安いIPテストという過去問をやるような試験を使って能力を伸ばさせたりしてやっていますけれども、高等学校においては、やはり子供たちがしっかりとやっているものをまずGTECさんなりでしっかりはかり、そして、その次に、レベルが上がってきたら、じゃ、次はこういう試験ね、こういう試験ねといって上がっていくものだと思います。

 ですから、資格という試験と入学試験というものを一緒に考えられるということは、私はおかしいのではないかと。資格を持っているから、入試の、ある程度その資格とするということでいいのではないか。

 それから、先ほどの羽藤先生のお話で私は非常に疑問を感じますのは、そこまで言うんだったら、何で大学が自分たちで試験をやらないのか。センター試験をつくった目的と大学独自試験との問題があるのではないか。あそこまで責任を持ってと言うのであれば、各大学がやればいいのであって、英語四技能も、各大学が文科省の指令どおり、指示どおり四技能試験をつくって、それで受験をさせていただければ私はいいと思っております。

 とりあえず以上です。

萩原参考人 今回話が出ているのは、大学入学共通テストの枠組みの中で行う英語四技能の評価のためのということでずっと言っていたわけであって、従来も、大学の方で使っているのは、民間の検定試験の結果をということで言っておりますので、その部分については私ども何ら言うということでもありませんし、これは従来どおり続けていくということは重要だろうというふうに思います。

 また、いろいろ配慮をすべきということについても今後あるかもしれませんが、その部分につきましては、文部科学省さん等でぜひとも御配慮いただけると大変ありがたいかなというふうに思います。

 以上です。

山崎参考人 現在、GTECの方は、今全国で高等学校が約五千校というふうに言われておりますが、実は既にもう二千校で御利用いただいております。

 こちらの方は、本当に先生方、英語の御指導のプロフェッショナルでございますから、その先生方がしっかり判断をいただいて、高等学校の先生方が、これがよかろう、これが子供たちの英語の力をはかるのにはよかろうということの御評価をいただいて、現在、二千校で御採用いただいておりますし、また、悪かったからやめるよということはそれほど今起きていない、非常に毎年受けていただいているということがございますので、こういった流れを今回の延期ということでとまらないようにすればいいなというのが本当に願いでございます。

 以上です。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 最後に、参考人皆様にお伺いしたいと思います。

 二〇二四年度の受験に向けて、文部科学省では、大臣のもとにきちんとした組織をつくって一年以内に結論を出していく、方向性を出していくということでありますけれども、二〇二四年度の実施に向けて、文部科学省にこれだけは求めたいということがあろうと思います。それぞれから御意見を賜りたいと思います。

吉田参考人 これにつきましては、四技能は絶対に外せないと思いますが、五十万人が一斉に今の枠組みの大学入試センターの中でやるということは不可能だと思いますので、根本的にその部分を変えて、資格試験に依存するのか、センターで新たな試験をつくるのか。としても、一日、二日ではできないことになると思いますので、そこが問題になってくると思っています。

萩原参考人 先ほどもお話をしておりますとおり、制度の抜本的な見直しに取り組んでいただくということが重要かというふうに思っております。

 引き続き、大学入試で英語の四技能評価を正しくできる、そういう形のものにぜひともお願いをしたいというふうに思っております。

山崎参考人 英語の四技能、スピーキング、特にライティング、この二つをはかるということは、これからの英語教育を考えれば必ず必要なことであるということは、もう全ての方が御同意をされているんだ、多くの方が御同意をされているんだと思います。

 その中で、今回このように不幸にも延期という形になりましたが、いろいろな形でステークホルダーの方々が御協力をすることによって、必ず、日本ならではの四技能をはかるということが、私は実施に向けて可能だというふうに信じております。

 やはり、できないことより、やるためにどうすればいいかということを、みんなで知恵を絞っていけたらと。もしそこに呼ばれることがありましたら、私どもも協力を全力でさせていただきたいというふうに思っております。

羽藤参考人 私はきょう、現場の代表というか、大学独自にコンピューターベースのスピーキングテストをつくり、学内で定期実施し、AOにも使っていて、汗と涙のところから出てきたつもりなんですけれども、今までのお話を伺っていて、まだ何となくこのままいくつもりなのという感じがしていて、ああ、そうか、こういう話をこういうふうに議員の先生方が聞かれたら、こういうふうにいけば何となくグローバル人材が育つんじゃないのかと思われてしまうんだなというのを、伺いながら感じておりました。

 本当に、現場の者からすると、上から降ってくる政策はどれも乱暴で、指導と評価のあり方について、地に足をつけて真剣に検討しているとは正直私には思えない。本当にやっているんですから、私はつくっているんですから、難しさも知っているし、効果も知っているし。でも、その人間からしたら、今の話は、何か全然関係ないところの話のような、非常に空虚な気持ちになったんですけれども。

 まず、例えば今回のCEFRの対照表で六段階に分けるんですけれども、あんな六段階に分けるぐらいだったら、本当に数個のタスクをさせれば、そんな手の込んだ、あんな表をつくってめちゃくちゃなことをしなくても。それが専門知なんですよね。数個のタスクをやらせれば、六段階にぐらい簡単に分けられるじゃない、それでできないんだったら、高校の先生にそれを簡単にやってもらって。とにかく、今回、その六段階で、大学に来るデータなんてそれぐらいなんですから、やってもらって、それをどこかで、最初、そういうことが難しいのであれば。

 ましてや共通テストですから、今、吉田先生がおっしゃっているのは、大学入試と検定試験を混同されているんですけれども、今まで各大学が三割とか、さっきおっしゃっていた。あれは検定試験として受けているわけで、生徒さんが検定試験として受けたものを大学が使っているというシステムなんですよね。

 それは能力診断テストなので、非常に緩い形でされていても別に構わなかった。大学の側も、そういう資料として扱ってきたわけです。でも、そのテストが、今までやってきたから、実績があったから、実績があったからとおっしゃるんですけれども、でも、それが共通テストに使われた段階で、大学入試になるわけですよ。

 業者さんは同じテストをやっているつもりかもしれないけれども、受ける側は検定試験として受けた。あるいは、大学の側も、どうして大学がこれだけちゅうちょしたかというと、大学入試だからですよ。共通テストになったから、英検だ、GTECだと考えられなくなったんです。センター試験あるいは共通テスト、そこのところの受ける側の納得度というか、そういうものにはしっかりしてほしいと思います。

 結局、幾らでもやり方はあります。もっと、例えばTOEFLみたいなものをセンター、あるいはセンターじゃなくても何らかの公的機関でするとか、あるいは今のGTECさんのようなものも、私たちはやっているわけですから、ちょっと技術開発したらできるでしょう。

 何がだめなのかというと、民間ありきで来たわけですよ。そこで、とにかく国じゅうの専門家が、六年も五年もずっと反対してきたわけです。一人や二人じゃないです。数名の研究者以外は全員反対している。全員じゃないかもしれないけれども、圧倒的に反対の者が多いです。

 そういう専門知を一切使わずに来たわけです。そこのところをぜひ改善して、ゼロベースでもう一回真剣に考えていただいて、最適解は絶対あると思いますので、よろしくお願いいたします。

中村(裕)委員 参考人の皆様、ありがとうございます。

 まずは、今の高校生が二〇二〇年度の試験に向けて動揺しないように、動揺しないような環境がつくれるように、文部科学省にしっかりと対応していただくことを求めてまいります。

 そのことを申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございます。

橘委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 おはようございます。野党共同会派、立国社を代表して質問させていただきます菊田真紀子です。

 本日は、参考人の皆様の貴重なる意見陳述を聞く機会を得ることができまして、心から感謝を申し上げます。

 英語民間試験について、我々野党は早くから、余りにも課題、問題が大き過ぎるということを、当委員会の質疑やそれぞれ党の部門会議などにおいて厳しく指摘してまいりました。時間がどんどん過ぎていくのに、いつまでたってもずさんな制度設計や不備は改善されず、全国の受験生や高校関係者の不安は高まっていきました。

 私たちは、経済的、地理的格差を容認するような制度を子供たちに押しつけてはならない、このような思いのもとで、立憲、国民、衆院会派の社保、社民、共産の野党として、十月二十四日に英語民間検定試験の導入を延期する法案を衆議院に提出したところであります。

 その後の萩生田大臣の身の丈発言は、ある意味、制度の本質を言い当てていたと思います。大臣の発言によって、受験生のみならず多くの国民が拙速に導入されようとしている英語民間試験の問題に気づき、反対の声を上げ、行動した結果、土壇場ではありましたが、実施見送りになったのだと思います。

 しかし、これで終わりではありません。なぜこのような混乱が生じてしまったのか、国会として、国会議員としてしっかりと検証し、責任はどこにあったのか明確にした上で、今後の新たな制度においては、受験生が、経済状況や居住地域にかかわらず、平等に安心して試験を受けられるように、公平性や公正性がしっかりと担保されるものにしていかなければならないと考えております。

 それでは、質問に入ります。

 まず、ベネッセコーポレーション、山崎参考人にお伺いをいたします。

 十一月一日の延期を受けて、ベネッセコーポレーションは、受験生の皆様方が安心して受験に臨めるように準備を進めてきたので、非常に残念に思っています、このようなコメントを出されました。他方、萩生田文科大臣は、延期を表明した会見において、こう述べています。文部科学省としては、大学入試センターを通じてということもあり、民間試験団体との連携、調整が十分でなく、各大学の活用内容、民間試験の詳細事項等の情報提供不足等、準備のおくれにつながることとなりました。

 また、萩生田大臣は、団体任せにしていた点も反省しなくてはならないと謝罪されています。つまり、文科省としては、試験実施団体に対して命令する権限はなく、さまざまな課題や問題を御社など試験実施団体にお願いすることしかできなかったというのです。

 しかし、当然のことですが、民間ですから、ビジネスチャンスがなければ参入しないでしょうし、赤字になるような運営はできないでしょう。あくまで利益を求めていくのは当然です。

 したがって、全国津々浦々、学生人口が少ないところにまで受験会場を確保したり、受験生の経済的負担を軽減するために受験料を安く設定しますというのは、幾ら文科省から強く要請されたとしても、ビジネスとしては限界があり、そもそも無理な話なのではないでしょうか。いかがでしょうか。

 それと、もう一点、先ほど萩原参考人の陳述にもありましたが、十月二十一日に全国高等学校長協会がシンポジウムを開催し、民間試験実施団体のうち、唯一ベネッセコーポレーションだけが出席しなかった。報道によれば、校長会としては、ぜひ出席をしてさまざまな疑問や不安に答えてほしいと再三お願いをしたけれども、出席をされなかったとあります。

 なぜ出席されなかったのでしょうか。真摯に対応することが試験実施団体として果たすべき務めであり、このような対応によって、残念ながら、関係者に対してより不安や不信感を与えてしまったのではないかと考えますが、見解をお聞きしたいと思います。

山崎参考人 それでは、御回答申し上げます。

 準備を進める中で、課題、問題は何だったのですかということだったと思います。

 こちらの方は、やはり一番は会場の確保と実施運営体制、これを全国津々浦々、先生もおっしゃっていただきましたが、受験生の負担がないように運営するためにはどうするかというところが、非常に我々としては最後まで調整が必要だったということでございます。

 どうしても、大きな人数の場所を確保するというところは、東京とか都市部であればある程度可能なところもありますし、都市部中心には私学の会場ということもございましたが、本当に、地方に行けば行くほど会場がなかなかないというところは事実でありまして、それが大きな課題であったということであります。

 あと、もう一点の御質問は、シンポジウムに欠席したということについての理由ということでございます。

 こちらの方は、我々にとっても本当にぎりぎりの判断だったということです。当然、全国校長会様というのは、私どもベネッセというか、教育をやっている会社にとってはある意味本当に重要な会でございますので、そちらへの欠席というのは、本当に私どももなかなか厳しい決断だったということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 それに対して理由が一つあるのは、シンポジウムが二十一日でございました。発表に向けて、十月の末、三十一日までにいろいろなものを公表しなさいということを御指示いただいておりましたので、その準備の最終段階であったというか、そこに向けて非常に、まだ決まっていないものもあったということは事実でございます。

 その中で、やはり二十一日の段階でいろいろ御質問をいただいても、検討中ですとしかお答えできないことが多々ある中で、受験生へ無用な不安、混乱を与えてしまう。検討中ですということを答えることが、我々としては、この事業を進める上でむしろマイナスになるのではないかというふうに思っています。

 GTECの方は、実はことしの五月の段階でいち早く、検定日であったり金額であったり、ほかの検定団体に先駆けて発表しておりますので、そこを踏まえて、三十一日、きょう皆様方にもお配りさせていただきましたが、もう数日でしたので、こちらの方にさせていただいたということがございます。

 こちらの方が一つ事情であるということをお答えさせていただきます。

菊田委員 ありがとうございました。

 都市部では確保できるけれども、地方ではなかなか難しい現実があった、地域間格差を埋めるのは非常に難しかったというお話でありました。そしてまた、本当にぎりぎりまで準備に追われていて、なかなか具体的なことにお答えできるという状況になかった、こういうお話であります。大変な御苦労もあり、また混乱もあったんだろうということが今ほどのお話でよくわかりました。

 続きまして、羽藤参考人に二点伺います。

 先ほどの陳述の中で、資料にある各試験、検定試験とCEFRとの対照表は、極めてでたらめな手続で、致命的な誤りを隠蔽するためにつくられた、このように述べられましたけれども、これは一体どういうことなんでしょうか。もう少し具体的にお話を聞きたいと思います。

 もう一つ、民間試験団体が行う試験の中には、採点の質の担保が危うくなっているというような御発言もありましたが、この点についても、採点の現場で何が起こっているのか、お聞きしたいと思います。

羽藤参考人 ありがとうございます。

 本当に吉田先生がおっしゃるようなとても大きな話も大事と思いますけれども、本当に大事なのはできるかどうかですので、そこのところをぜひ先生方に意識していただければと思います。きれいなことは幾らでも言えますので、できるかできないかというのが本当に問題だと思います。

 今、先生方に資料としてお渡ししているものがその対照表なんですけれども、試験はそれぞれ、はかる能力が違います。異なる試験の成績を比べることはできません。例えば、五十メートル走とマラソンのタイムを比べて、走る能力はどっちが上とかと言えないわけです。

 ですので、GTEC、同じことですね。英語力といっても、テストによってはかるものは全然違いますので、それも本当に何をはかりたいってテストはつくるんですから、違います。そういうふうにつくっていないテストはむしろ間違いだと思いますけれども。なので、GTECと英検の成績を比べて、どっちが英語力が高いというのはなかなか言えないわけですよね。

 そのことは、今回の政策決定の過程で活躍された研究者の数名の先生方も、二〇一五年あたりには、非常に早い時期に公然と、できないとおっしゃられていました。それが、なぜかこういう形で進んできたわけですけれども。

 この対照表を見ていただいたら、右肩には文科省の名前が入っていますし、それこそ受験生、お墨つきの、絶対大丈夫な、誰が考えてもGTECのA2はこれだから英検と同じだよねと思うかもしれないけれども、例えば、英検とGTECの間の関係というのは一切されていないわけです。

 ここで言われているのは、各試験団体がそれぞれCEFRのこの六段階に対応づけた。その対応づけ自身もすごく、論文を一つずつ読みましたけれども、世界に出せばどうなのというような論文ですよね。皆さん、名前も書かないで、誰の責任なのかもわからないで、ただ出しましたみたいな論文が多いわけですけれども。とにかく、それぞれがついているわけです。だから、ケンブリッジと英検の関係というのはわからないわけです。そういう致命的な欠陥のある表なわけです。これでは試験はできないですね。

 だから、むしろ、そういうものです、共通テストはそういうふうな緩い枠でいいかげんにしますよと言えばよかったと思うんですよね。それでみんなが合意すればよかったわけですけれども、だましたんですよ、これははっきりと。文科省の名前を書いて、こんなものでやりますという形で出した。こういう姿勢が共通テストを成り立たなくしたんだと思います。そこは改めるべきだと思います。

 これをオーソライズしたのが、文科省にある英語の資格・検定試験とCEFRとの対応に関する作業部会というところです。その作業部会でこれを完成させて、最終的に各試験団体が申告してきた対応づけを確認してこの表を完成させたんです。その会の構成員が、研究者が三名いるんですけれども、主査は吉田研作先生という上智大学の教授ですけれども、この中のTEAPというテスト、英検協会が運営していますTEAPというテストの開発者です。東京外国語大学の根岸先生と投野先生というお二人がいらっしゃいます。その三人が、柴山前大臣は研究者の科学的検証を経たとおっしゃいましたけれども、その二人の方はGTECの対応づけをされた方です。まさしくオウンゴール、自作自演です。あとの五人は、それぞれ民間試験団体の代表者です。つまり、CEFR、この表を確認した、科学的検証をしたと文科相がおっしゃる会に、第三者は誰も入っていなかったんです。

 それを見て、これで試験を受けなさいと言われる受験生。文科省が絶対こんなことをしたらだめだと思います。もうちょっと成り立ちを、しっかりと本当のところを説明すればまだ理解する人も出たかもわからないですけれども、こういうある種の詐欺みたいなことはしてはいけないと思いますので、この表で入試をすることはもう絶対できないと思います。

 もう一つの方、一部の採点の担保、標準化が危うくなっているということですけれども、例えば、今回共通テストにおいて使われる英検については、三つの実施方法と五つの級の組合せで、合計十三種類のテストが使われることになっていたんです。その十三種類のテストが、いろいろな日に、いろいろなところで行われます。

 だけれども、それでも、同じ能力の人だったら、どの級をいつどこで受けても同じ成績が返ってくるようでなければ、その試験を合否判定に使うことはできません。その統計的な作業を標準化とか等化とかいうんですけれども。ところが、今回共通テストとして使われる予定だった日本の試験の多くは、二〇一八年の三月にどの試験が参加するというのは決まったんですけれども、その後から仕様を変えたりとか、むしろ、その後から始まる、まだしていない、二〇二〇年から始まるテストもあったんです。

 なので、専門家から考えたら、これでどうやって標準化できるの、どんな資料があるの、魔法を使っているのと思うような、そこのところに入るシステム、いや、魔法があるのかもしれませんよ、それは私にはわかりませんけれども、少なくとも、中に入るシステム、あるいはもうちょっと緩いものだというようなことで、資格試験として使っていくとかそういうようにしないと、片や本当に日本の今までのセンター試験は、公平、公正性の追求ですよね、どこまで公平にできるかというのを追求しているわけですよね。片や緩い。この整合性のなさが今回の破綻につながったと思います。

 まず、国は正直であるべきだと思います。

菊田委員 ありがとうございました。

 残り五分を切りましたので、ちょっとスピードアップでお願いします。

 全国高校長協会の会長、萩原参考人と、ベネッセコーポレーション、山崎参考人に伺います。

 今回、英語民間試験については見送りとなりましたが、大学入学共通テストで新しく導入される国語、数学の記述問題について、これも課題、問題が多いのではないでしょうか。

 入試改革を考える会は、十一月一日に、萩生田文科大臣に対する緊急声明で、記述式問題を採点することのできる採点者を十分に集めることが困難であり、採点の正確さや公正さに不安があること、受験生が自己採点を正確に行うことが容易ではないことなどの問題を指摘しています。

 萩原参考人には、学校現場にはどのような懸念、不安があるか、お伺いしたいと思います。

 そしてまた、山崎参考人にも伺いたいんですけれども、国語、数学に導入される記述式問題の採点は、大学入試センターの委託を受けて、ベネッセホールディングスの子会社であります学力評価研究機構が採点業務を行うことが決まっています。

 今、私たち野党議員のもとにはさまざまな不安や懸念の声が届いておりまして、短期間で五十万人分もの採点が公正にできるのかといった疑問や、一万人とも言われる採点者は教員免許の有無や大学生、大学院生といった属性が条件にされていないので、例えば学生アルバイトとか主婦が採点者になったりするのではないか、採点の質は本当に担保されるんだろうか、こういう不安の声です。この点どうなるのか、お聞きしたいと思います。

萩原参考人 私ども全高長としては、英語のように、都道府県協会長会議において意見の集約はこれまで行っておりません。共通テストの国語、数学の記述式に関してはということです。

 ただ、この夏に全高長の大学入試対策委員会が行った調査によりますと、記述式問題が適切に採点されるために必要なこととして、民間事業者の採点訓練が必要だというふうに回答した校長さんたちは八八%、それからあと、機密保持と回答したのが六八%でした。その他として、採点体制、採点基準、公平性などについての懸念ということでの指摘がありました。また、自己採点の精度を高める一層の工夫をしないと精度は上がらないだろうというふうに回答した校長さんたちが七三%いたということで、御報告します。

山崎参考人 御質問いただいた前に、先ほどの少し追加をさせていただきたいんですが。

 非常に会場を獲得するのは地方では困難だということをお伝えしたんですが、きょうお配りしたこの表を見ていただけたらわかっていただけるとおり、ある意味、地域の教育委員会様とか学校様と一緒に協力をすれば、こういったような形で、非常にセンター試験以上に子供たちの近い地域で御実施をできるようなことも可能だったということはございます。これは、確かに困難をきわめたことではあるんですが、いい方向に向かっていたということはお伝えをさせていただきたいと思います。

 それから、今度の記述試験についてなんですが、御指摘のとおり、弊社のグループ会社がこの十月に受託をさせていただいたということは事実でございます。

 ただ、その内容面に関しましては、これは受託でございますし、あともう一つは、これはテスト、しかも、よく言っていただくセンター試験の後継ということでございますから、なかなか私ども受託業者の方からお答えすることは非常に難しいということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 あともう一つ、採点する質、どういう人が採点するんですかというところもあると思うんですが、こちらの方は、これもある意味、受託業者ですので、どういう人ですよとかいうのはちょっと御容赦をいただきたいというふうに思います。

 ただし、私どもは、通常のテスト、アセスメントを記述採点含めて実施しております。そちらの方の採点者に関しましては、これは、教科ごとに高い学力レベルを有する方々をしっかり選抜し、そして、その後研修をし、かつ、本当に長い期間、この採点ということに真面目に取り組んでいただいている方々です。

 採点というのをもう一つお伝えすると、済みません、長くなるのであれなんですが、この採点ということに関しては彼ら彼女たちはプロフェッショナルですので、本当にそういう意味では、何かこれに対して御指摘をいただくということは、私の方としては何とも、何というんでしょうか、採点を一生懸命やっている人たちに対して申しわけないなという思いも込めて今お話をさせていただいたところです。

 以上です。

菊田委員 終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 参考人の皆様、本日は連休明けのお忙しい中、わざわざ国会までお越しいただきまして大変にありがとうございます。

 先週金曜日、萩生田大臣から、令和二年度からの大学入試英語成績提供システムの導入を見送るとの突然の発表がございました。参考人の皆様も、それぞれのお立場でさまざまな思いを抱えていらっしゃって、また、きょうも短い時間ではございましたが、御意見また御要望を頂戴することができました。

 私自身も、文部科学委員会の一員としてしっかりと受けとめさせていただきました。大変にありがとうございました。

 文部科学省におきましては、これまでシステム導入を前提に準備を進めてこられた高校生や保護者、学校、実施団体など関係者の皆様に対しまして心からおわびを申し上げていただき、また、丁寧な説明を行っていただきたいと、今回の事態につきまして深く反省を促していきたいと思っております。

 子供たちがますますグローバル化する社会で生き抜いていくために、また、活躍するためには、豊かな語学力やコミュニケーション能力、また、異文化への理解等を有することが求められてまいります。そのために、読む、聞く、話す、書くという英語の四技能をしっかりと身につけることが重要でございまして、これは、四人の参考人の皆様も同じ方向性だと思っております。その上で、まず生徒第一の視点で、改めて参考人の皆様からも御意見やまた御要望を伺ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、そもそもの話になりますが、高等学校におきまして、いかに英語四技能を指導するかということにつきまして、四人の参考人の皆様にそれぞれのお立場から御意見を伺いたいと思っております。そもそも、英語四技能を大学入試で評価する以前の段階といたしまして、初等中等教育において四技能をどのように指導するのか、また、学んでいくのか、こういうこともしっかりとあわせて考えていかなければいけないと思っております。

 高等学校における英語指導につきましては、教員の資質、指導体制、ICTなどの学習環境など、さまざまな課題があるかと思いますが、どのような姿が望ましいのか、現状に照らして何に力を入れていかなければいけないのか。吉田参考人、萩原参考人には、現に高校教育の現場に携わっていらっしゃいますので、そういった立場から御意見をお伺いしたいと思います。山崎参考人につきましては、教育産業にかかわるお立場から御意見を頂戴したいと思います。羽藤参考人には、教育学に関する学術の観点から、それぞれ皆様に御見解をお伺いしたいと思います。

吉田参考人 ありがとうございます。

 英語四技能教育につきましては、何といいましても、やはり生徒たちのやる気、自分たちが、英語の必要性というものをまず感じてもらうことが第一と思っています。

 そういう意味では、今、国の方でやっていただいておりますJETプログラムによるALTの採用とか、それからネーティブ教員というものをふやすことによって、そして、そのネーティブ教員たちと従来の日本人の英語の先生との協力というものが一番大事な部分で、この英語四技能というのは伸びているものというふうに私は思っております。

 私どもの学園におきましては、着実に伸びていることが事実でございますけれども、今、私が一番懸念していますのは、中学校から高等学校の六年間を考えたときに、実は、英語で英語の授業をやるということは学習指導要領の中に入っております。ただ、実際に、中学校あたりでは八〇%を超しているものが、高校三年生になると三〇%も英語の授業がなくなっちゃうんです。それは何かというと、大学入試がいまだに二技能だからなんです。ですから、英語の大学入試が四技能に変わることに伴って英語教育も大幅に変わってくるものと思っています。

 ですから、そういう意味でも、やはり、きちっとした国の方向性に合わせてみんなで協力していく、努力していく、そういう姿勢でなければいけないと思いますし、大学が本当にその四技能というものを入試で採用してくれるという覚悟を決めていただかない限りは、私は、下の方も変わっていかないんじゃないかなという一抹の心配をしているということが事実でございます。

 とりあえず以上でございます。

萩原参考人 私の方は、英語教育そのものが、各段階、要は、小学校、中学校、高校段階でどのレベルを求めているのかということが大きいかというふうに思っております。小学校では、英語になれるとかという部分。中学校では、多分、日常英会話を中心に、それがきちっとできるかどうか。高校の段階では、英語で自分の考えを発信していく、書いたり、それから話したり、その能力を高めさせていくということが重要だろうというふうに考えております。

 そのためにも、大学でどう使うかということが、やはり、大学に入ってからも、そういう高校生が伸ばしてきた力、読む、書く、自分の考えを発信していく、そういう力を大学でもぜひとも伸ばすような、そういう一貫した英語教育に関しての検討を含めてやっていただければというふうに思っております。

 以上です。

山崎参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、こちらをもう一度見ていただきたいんですが、お配りした資料の二ページでございます。

 やはり、いろいろな先生方の御努力でこの英語のいわゆる四技能ということは進んでいることは確実でございます。ただ、この読む、聞く、書くという、四技能につきましては、教育指導要領ではもう十年前から、高等学校では既に、この四技能をするべしということが明確にうたわれているんですね。でも、今の現状はこれだということです。

 そういう流れの中で、これは全ての高等学校の先生のお言葉ではないということは前提に一言お話をさせていただきますと、やはり、高等学校現場は、これまで、大学入試が変わらない限り高等教育は変えることが難しいということはいろいろな場面で御指摘をいただいていたということは、これは事実だと思いますし、吉田先生からもそれに類するお話もあったと思います。ですから、やはり、中高接続であったり高大接続という節目のところで、しっかり指導要領でうたわれているもの、指導要領に書かれている指導をちゃんと図っていくということも必要だと思います。

 あと、民間という立場のこともあってお話をさせていただきますと、民間、いわゆる学校外の学習であればあるほど、これは塾もそうかもしれないです、全てのことかもしれないですが、どうしても子供たちというのは大学入試というものを強く意識いたしますので、そのあたりも、やはり、今の教育というのは、学校だけの教育ではなくて、塾、予備校に行かなくても、いわゆる学校外での学習ということも非常に子供たちの学力向上には必要なことでございますから、そこへのモチベーション、動機づけということも考えると、一つ選択肢としてはあるのだろうというふうに思います。

 あともう一つは、やはり留学等の充実であったり、今回のようなスポーツの大会の中でも、世界で戦っていく中ではとか、世界に出ていくためには、英語のコミュニケーション能力というのは必要不可欠でありますので、そういったものを、子供たちが今回のワールドカップであったりオリンピックといったようなものを見るにつけ、そういうモチベーションということも高まっていくんだろうというふうに思います。それを私どもとしても何らかの形で後押しをしていければというふうに思っております。

 以上です。

羽藤参考人 研究者の立場からとおっしゃいましたので、ちょっと学術的なことを話させていただこうと思いますけれども。まず、テストで教育を変えるという考え方が先ほどから何回も言われているんですけれども、少なくとも、私はスピーキングの習得が専門なんですけれども、テストを入れて、テストでスピーキングの意欲が伸びたというようなデータはないです。プラス、じゃ、スピーキングは、話す力は、非常に多くの方が勘違いされているんですけれども、話す能力は話す練習によって伸びるのではないです。

 例えば、文法とかは学ぶことができますし、明示的な知識というのを、時間があれば、書くときとか読むときに使うこともできますけれども、話すというパフォーマンスは即時的なものですので、本当に自分の中に育つ能力なんですよね。

 その能力は何で育つかといったら、主にインプット、読むことと聞くことから育ちます。いっぱい読んでいっぱい聞くということですよね。それは日本のこの環境では非常に難しいので、どうしても話す能力が落ちてくるということです。本当に、自然に言語を習得するのであれば、いっぱい、本当の意味で読むということです。内容をとるために読むあるいは内容をとるために聞くという。文法の練習のためじゃなくてですね。そういう作業が全然できていないんですけれども。

 そこでテストが入りますと何が起こるかというと、例えば高校の先生方が、GTECの模擬テストみたいなものでばんばんスピーキングの練習をしたりとか英検の練習をしたりとか、そういうことをなさるかもしれないですけれども、それでは話す能力は伸びません。ですので、話す練習で話す能力が伸びるということは根本的に違いますし、じゃ、スピーキングテストを入れたらモチベーションが上がるかといえば、上がらないとも言えないんです、データがないわけですから。でも、少なくとも、画期的にみんながスピーキングをやる気になったとかというようなデータはないです。

 だから、入れて悪いことはないし、もしかしたら少しいいこともあるのかもしれないですけれども、現実的に考えなくちゃ、失うものを考えなくちゃいけないというのが一つ。

 もっと言えば、先ほど言いましたように、本当に伸びるような、使うことを意識して読むとか、使うことを意識して聞くとか、あるいは話すときも、その練習として、ハロー、例えばアイ・ウエント・ツー・カナダ、アメリカにかえて、アイ・ウエント・ツー・アメリカとかやっていたんじゃ全然話す力にならないわけで、本当に、そこのところの根本的なところの、伸びる理念の共有みたいなことをまずしないと、テストだけ変えたんじゃ空回りすると思います。

 繰り返しますけれども、専門知をどうぞ使ってください。お願いします。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 きょうの参考人質疑は、高大接続に関する参考人質疑ということで、先ほど申し上げましたが、初等中等教育の英語教育のあり方も大事になってくるということで、それぞれのお立場から貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。この点も引き続き重要な観点だと思いますので、またしっかりと御意見を伺いながら進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 では、次の質問に入らせていただきますが、これも先ほどから答弁もしていただいておりますが、英語四技能をどのように評価していくのか、公平公正にどのように評価をしていくのか、そういったシステムを構築していただきたいということで、皆様からも御意見を頂戴しております。

 繰り返しになるかもしれませんが、改めて、この点につきましても私の方から確認をさせていただきたいと思っております。

 今回見送りとなりましたシステムでは、そもそも、センター試験のような一斉に行われる試験では、全ての受験生を対象として、話す、書くという技能を評価することが困難であるということを前提として、仕組みづくりが行われておりました。

 そこで、参考人の皆様にそれぞれ、大学入学者選抜においてどのように四技能を評価することが最も望ましいとお考えか、改めて伺いたいと思います。そもそもやはり、全国一斉で四技能を評価することは現実的に不可能なのか、不可能である場合は、経済的格差や地域的条件に左右されない公平性確保の観点などを踏まえて、どのような実施方法が望ましいのか、あるいは、むしろ各大学の個別入試において四技能を評価していく方向を目指すべきなのか、こういったことを含めて、改めて御見解をお伺いしたいと思います。

吉田参考人 ありがとうございます。

 私どもといたしましては、もうこの四技能評価に関しましては、あくまでも、今回の高大接続の共通テストにおいて、スタートが、先生がおっしゃったように、五十万人が一斉にできないということから始まった問題であって、その入試の問題と四技能資格検定試験というものがある意味一緒になってしまったことが、最大の今回の問題だったと思っております。

 ですから、そういう意味では、先ほども言いましたが、二年前に何でこの話が出てこなかったのかというのが、私は不思議に思っております。

 そして、実際にスタートいたしました。スタートした中で、三年生の四月から十二月というのは、私は不公平だと思っております。それはなぜかといえば、やはり、先ほどもこれも申し上げましたように、国家公務員が高校三年時の試験を入省試験に使えるのに、何で高校二年生、一年生でとった自分たちの成績は認められないのか、子供たちが疑問に思うのは当たり前のことだと思います。

 そして、そこに今度は機会という公平公正さ、それから帰国生が有利だとか、いろいろな周りからの声が入ってきますけれども、どれをとっても、本当に公平公正ということをいうんだとしたら、大学入試ということを考えるのであれば、もう各大学が入試をやるしかない。

 それからもう一つは、先ほども、これもあれですけれどもCEFRの表も、確かに、突き詰めていったら、どれが正しい、どれが正しくないというのは多いと思います。ただ、実際にEU統合時にでき上がったこのCEFRの評価の仕方、それに当てはめて各業者が本当に検証しているかどうかといったときに、検証できていないのかもしれませんけれども、その中で、一応の目安としてどこのレベルかなというのがわかっていて、それを見て各大学がどの試験を自分たちの学校は使おうかといって、大学入試はあくまでも大学が決めることであって我々高校サイドや文科省が決められることではありませんので、各大学がしっかりとそこを取り入れてくだされば、いくのではないかと。

 ただ、今回の新テストにおいては、五十万人が一斉にできなかったということが発端であるということを、もう一回考え直さなければいけないんじゃないかと思っております。

 ありがとうございました。

萩原参考人 現在でも、国公立の二次試験等では、ライティングは二次試験の中で実際にやらせている大学がほとんどです。ただ、スピーキングに関してはなかなか実施できていないという部分があるというふうに思っています。

 今回の四技能のところでは、確かにその五十万人がというところで、どうしていくかというところでの話から、今回の形、いろいろ動きが出てきているという部分だというふうには思っておりますけれども。

 私どもとしては、一斉にできる限りやれる方向、当初、考えていたときからすれば時代がかなりまた進んできているということもありますので、何らかの形で一斉にやっていくとか、そういうことができないかどうかということも含めてまた検討いただく、それができないということであれば個別入試等々で考えていただくということも一つかというふうには思います。

 以上です。

山崎参考人 御質問ありがとうございます。

 先生からもお話があったように、やはり、今の段階で五十万人が一斉受験するということは、なかなかこれはハードルが高いということは事実だと思います。

 あともう一つは、やはり採点期間の問題が多うございます。どうしても、ライティングであったり、いわゆるスピーキングという発信技能のところは、これはもうAIとかで今はできませんので、どうしても、AIとかをかけつつ、最後は人でやはりやらねばならない。

 そうなりますと、現在のセンター試験、一月の中下旬にあり、それを二月の頭には提供して大学は判定に使うということを、このスピーキングテストで、その段階でやるというのは非常に不可能だというふうに今の段階では思います。

 ですから、今回のように、いわゆる民間の業者が、GTECであれば、例えば、前年の、三年生の段階で四回のスケジュールを設けて、そこで実施をしていくということで、私どもは実現に向けてやっていきたいというふうに思っておりました。

 ただ、やはり、とはいえ、四回に分けたとしても、これは民間、私どもだけでやり切るというのは、これはなかなか難しいものがございます。やはり厳正な入試ということを非常に言われておりますので、ここはどうしても、これは、国、そして大学、そして高等学校様、そして民間、これが協力することで必ず、協力すれば実現できるというふうに考えております。

 以上です。

羽藤参考人 私も同じようなことなんですけれども、一斉にするには、やはり、AIの限界がありますので、問題の質をかなり下げていかないと、AIが採点しやすい問題にしていかないといけないと思うんですけれども、現にそういうことが民間テストで起こっているということもお話ししておきたいと思います。

 確かにそういう点で、一斉は今の段階では難しいのかもしれないですけれども、もうちょっと頑張ればできるようになるかもしれない。逆に言えば、常時やるTOEIC方式とか英検方式の、要するに、一年じゅうあけておいてやるんだったら、別に国が何でできないのという感じがします。常に採点者は必要なわけですから、雇用できるわけですから、そこのところのイニシアチブをとって、運営は民間の方にやっていただいてもいいですけれども、受験料を取ってやるんだったらどこが難しいの、先ほどもお話ししましたけれども、何種類も使うより、国がイニシアチブをとってやれば、同じことだからできるでしょうという感じがします。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 きょうは、四人の参考人にお越しいただきまして、貴重な御意見をいただきました。大変に限られた時間ではございましたが、しっかりと皆様の意見を受けとめて、また、きょうお越しでない方もさまざま、いろいろな思いをお持ちかと思いますので、関係者の皆様の声をしっかりと受けとめた上でよりよいものにしていく、それを私もお誓い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日は大変にありがとうございました。

橘委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 本日は、吉田晋参考人、萩原聡参考人、山崎昌樹参考人、羽藤由美参考人の皆さんから貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほどからお話がありますように、十一月一日、大学入試共通テストへの英語民間試験の導入、そのための英語成績提供システムを来年度から見送るという発言が萩生田大臣からございました。

 私は、この英語民間試験の導入と、加えて、今新たな問題になっている大学入試共通テストの記述式問題、国語、数学の問題についてもあわせて伺いたいと思います。

 まず、吉田参考人に伺います。

 英語民間試験の導入にもろ手を挙げて賛成しているわけではないという意見書を出してこられた理由として、経済的、地域的な不公平さが解消されていないということを挙げてこられました。

 現状としてはどうでしょうか。また、記述式試験の導入についてどのようにお考えになるでしょうか。

吉田参考人 ありがとうございます。

 まず、地域間格差というか、その公平公正という部分で申し上げますと、はっきり言って、地域によって人口の問題とかそういう部分がございますので、これはもう本当に何らかの形で国が手を打たない限りは不可能だと思っています。

 それとともに、やはり受験者数がふえればふえるほど、そういう意味では会場をふやせる。今も実際に、センターテストの会場一つとりましても、県によりましては二カ所か三カ所しかなくて、みんな泊まりがけじゃなきゃ受けられないという状況がありますので、この英語民間試験だけでそれは言われることではなくて、やはり全体を考えなければいけないんじゃないかなというふうに思っております。

 それから、記述式の問題に関しましては、我々も実は柴山文科大臣に意見書を出させていただいたことがあるんですが、本来の今回の新テストの目的というのは、最初に申し上げましたけれども、一点刻みの入試から脱皮して段階別評価をしていこうということがメーンの目的でございました。そういう中で始まって記述式という部分が出てきたんですが、やはり記述式でも、先ほど来出ていますように、模範解答というか自己採点の問題というのが出てきております。

 ただ、アメリカのSATとか国際バカロレアといったものは、そういう解のある問題というよりも、正解なき問題というか、それをみずからのいろいろな、三つの学力の要素で考えてつくっていくものを判断する試験になっていると思うんです。

 ですから、私は、この記述式の採点については、本来であれば、各大学がそこの部分ぐらいは、自分の大学に入れる学生なんですから、記述式の部分ぐらいは採点は各大学でやったらいかがなんですかと。そうすれば、公平公正も何も、その大学の必要な学生がとれるんじゃないか。本当はこっちの解答が正しいかもしれないけれども、こういう解答の子がおもしろいね、こういう子をとりましょうよというのが入試じゃないかというふうに思っておりますので、そういう意味では、何かこう記述式も何も、全てがパーフェクトな解答があるというのに疑問を持つということが実態でございます。

畑野委員 ありがとうございました。

 次に、萩原参考人に伺います。

 七月二十五日に文部科学大臣への要望を出されまして、「英語民間検定試験の公平、公正に対する不信が払拭されていない。 特に、英語民間検定試験の実施方法について、採点の方式、結果の周知時期、事故対応等の経験・実績のない実施団体があることなどにより、生徒も教員も不安を募らせている。」とおっしゃられておりました。その点について具体的に伺いたいのと、あわせて、先ほど質問もさせていただきました、国語、数学の記述式問題の点について伺いたいと思います。

萩原参考人 私どもが七月二十五日の要望書で出した、今のお話は、多分、六項目のうちの四点目の部分かというふうに思います。

 我々としては、例えば、別々の検定試験の結果をA1からC2までのCEFRのレベルに置きかえていくというやり方で、本当に妥当な評価ができるのかどうかという部分の不安。例えば、大学が応募資格として少なくともCEFRの幾つと言っているのであれば、各団体ごとあるかもしれませんけれども、それを点数化するといったときに、違うテスト同士でどうやって点数化して加点をしていくというところで使えるのかどうかというところが、また、大学もそこのあたりを明らかにしていないというところもあって、やはり不安だという部分が一点ありました。

 それからあと、運営面に関してなんですけれども、実施団体ごとにこれまでに検定を実施した経験、実績が異なるという部分。例えば、今回の大学入試、この共通テストのということで、新たなシステムを開発している、そういう団体さんがあります。それについては、まだ現在も実施していなくて、来年度稼働させて初めてとかというような形のところがあるということで、ですから、そうすると、生徒の方も事前にどういう形で出題されるのかが全くわからないというような部分。

 それからあと、例えば、CBTタイプと言われているコンピューター・ベースド・テストの場合についてですと、ライティングについてはキーボードで直接英作文を打ち込むというような形になっているというふうにも言われているんですが、そうすると、英語とは別の能力、キーボードを操作できる能力、そのあたりが求められるのではないかとかというようなことで、そうすると子供たちの方は、やっぱり従来型のペーパーに書く方式がいいんじゃないかとか、やはりそういう部分での心配という部分ですね。

 それからあと、運営面でというようなところでは、模擬試験とか何かを、要するに、団体で実施しているというよりも、今まで、学校を会場にして先生方に監督をお願いしてというふうな形で実施していた団体さんが、今回、大学入試の一環としてということで、高校を会場にしない、それから教員を監督者にしないといったときに、そこのところでうまく実施ができるのかどうかというような問題があるということから、不安ということでお話をしてきました。

 共通テストにつきましては、先ほどもお話ししていますように、私どもとしては、協会長会議で意見の集約は行っておりませんけれども、採点、訓練の問題であるとか機密保持とかというようなことで、やや不安というか、今後の課題ということがあるというふうには認識はしております。

 以上です。

畑野委員 ありがとうございました。

 続きまして、山崎参考人に伺います。

 株式会社ということですので、今回の影響がどのようにあるのかということについてまず伺いたいと思いますが、いかがですか。

山崎参考人 御心配をいただきまして本当にありがとうございます。

 ただ、先ほどもお話をさせていただいたんですが、金曜日の朝に私も初めて知りましたので、これは当然なんですが、まだ、本当に実施に向けてもう全力で社員一同やってきておりましたので、まだそこまで考えが及んでいないというのが正直なところでございます。

畑野委員 山崎参考人に幾つか伺いますけれども、まず英語民間試験の点です。

 採点者なんですけれども、スピーキングやライティングについて、アルバイトとか、あるいは海外の事業者などを採用するということはお考えになっていらっしゃるんですか。

山崎参考人 英語のGTECについての採点者はどうなのかという御質問だったと思います。

 GTECの採点者に関しましては、現段階で、アルバイトという形ではなく、これは雇用した形でやっております。そして大学生ということもございません。

 あともう一つ、海外でということもありましたが、GTECは海外で実施をしております。主に英語を公用語、あるいはネーティブとして話されている国ということでやらせていただいております。

畑野委員 そうしますと、アルバイト、例えば学生のアルバイトを雇用するということはないのですね。大学入試への導入についてということです。

山崎参考人 GTECに関してはございません。

畑野委員 では、共通テスト、国語、数学の記述式問題についてあわせて伺いたいと思います。

 この採点者はアルバイトを採用される予定ですか。

山崎参考人 これは先ほどもお話をいたしましたが、しっかりとした学力、あるいは採点をなし得る、テストというか試験をして、かつ、その後研修をして、やっております。こちらの方は、恒常的にしていただいている方もいらっしゃいますが、アルバイトということも当然いらっしゃいます。

 ただ、アルバイトといっても、本当にそれを瞬間的にやるということではなくて、一年間、二年間、三年間、数年間を通して、この採点という業務を真摯にやっていただいている方々ですので、アルバイトだからどうとかというのは少しというか、そういうことではないということをお話をさせていただきたいと思います。

畑野委員 確認ですけれども、学生のアルバイトも採用される予定ですか。

山崎参考人 先ほどもお話をいたしましたが、いわゆる立場、学生なのか社会人なのか、あるいは国籍なのかということは、私どもとしては問うておりません。しっかりとしたいわゆる学力テスト、あるいは採点者たり得るいわゆる技能ないし能力があるかということを見させていただいて、採点者の方になっていただいているということでございます。

畑野委員 学生のアルバイトもあるということでしたが、相当な人数を採点するということになりますと採点者の数も必要だと思いますが、何人の規模を見込んでいるんでしょうか。

山崎参考人 まず、人数のところに関しましては、私ども受託事業者でございますので、特に入試ということの機密性を考えまして、なかなかお答えすることができないということは御理解をいただきたいというふうに思いますが、ただ、それだけで済ますということも、せっかくこの場をいただいて、いけないので、お伝えをさせていただきますと、現段階で、何度も申しておりますように、いろいろなテストを実施してその採点をしております。その採点の方々は約二万人いらっしゃる。御登録をしていただいて、私どもと一緒に働いていただいているということでございます。

畑野委員 採点業務で得た情報の目的外利用、利益相反行為の心配が出されていますけれども、その点はいかがでしょうか。

山崎参考人 ありがとうございます。

 そのようなことは一切ありませんし、もしそういうことが、株式会社で、かつ教育に、ベネッセというものは六十年間ずうっとこの教育の仕事を真面目にさせていただいていました。そういうことはありません。

畑野委員 データ漏えいの問題がかつてありましたので、確認をさせていただきました。ありがとうございました。

 羽藤参考人に伺わせていただきます。

 先ほどのお話の中で、指導と評価を適切にかみ合わせることで学習の成果を上げる工夫ができるとおっしゃられました。そして、共通テストを、その評価を民間試験に投げてしまったのではそれができないというふうにおっしゃっていましたが、その点についてもう少し伺えますでしょうか。

羽藤参考人 ありがとうございます。

 本当に指導と評価って一体のものなんです、教育において。その評価だけが、ある種、何社かが競争するところにぽこっと投げられた。それも、共通テストというのはある種のゴール的なものになりますよね。それが、大学へ行く生徒たちだけじゃなくて、日本じゅうの生徒たちの英語教育にも影響を及ぼすわけですよね。さっきも、テストは大事、テストは大事って、私はそういう教育になってほしくないけれども、現実はそういうことだから、そういうふうにおっしゃるんだと思いますけれども。

 実際、一体のものの片方は独走で、全然コントロールがきかない状態というのは、非常によくないと思いますよね。本当に、さっきもお話ししましたけれども、ソフトにもっとやることってできると思うので、もう一回繰り返しますけれども、例えば、六段階の情報が欲しいのであればですよ、高校の先生方に評価してもらうようにすれば、高校の先生方が、ああ、スピーキングを評価するというのはこういうふうなことなんだなとか、こういうふうなものを目指して私は教えればいいんだなとか、そこにはこういう理念があるんだなとか、そういう評価を通して国がその先生方のある種の間接的な研修みたいなこともできるかもしれないですよね。

 だから、それは、例えばとても典型的なことをお話ししますと、今回、国は、文科省は、四技能均等ということを民間試験に求めているんですよね。四技能均等というのは、四技能全部同じ配点をしろということですよね。非常に乱暴です。

 というのは、例えば私どもの大学では、かなりスピーキングも力を入れていますけれども、それでもTOEICのリスニング、リーディング、要するに普通のTOEICです、リスニングとリーディングではスコアが、TOEICというのはスコア九百九十点が満点なんですけれども、四百点レベルの低い学生から九百点レベルまで、こう幅広い。要するに、それがもうある種、正規曲線で、そういうふうに高い方から低い方にいるわけですよね。私ども、スピーキングをやっていますけれども、スピーキングをやると八〇%が真ん中に重なります。突出した、とても苦手な人ととても得意な人、そういう状態って何か別の機会があったんですね、こういう人たちは帰国だったりとか、ほかの英会話学校へ行っていたりとかする。そういう形になるわけですよね。

 そういうところで四技能を均等にすると、要するに、今までと違う、例えば四技能を均等にすることによってリーディングが物すごく軽視されることになりますよ。こっちは能力差がないわけですから。こっちは歴然とした能力があるのを、四技能を均等にしてしまうと、むしろその差があるものが軽視される、そういうことももう全然考えていないわけですよね。とても、看板的に四技能、四技能と皆さんおっしゃるけれども、現実にはそういうことが起こっているわけで、やはりそういうことも細かく考えながらやっていくのが、評価と指導のあり方じゃないかと思います。

畑野委員 続いて、最後なんですが、共通テストに国語、数学の記述式問題を入れることについて、大学の側から、羽藤参考人、どのようにお考えになるでしょうか。

羽藤参考人 私は、国語の記述式、数学の記述式については勉強不足で、大したことは言えませんけれども。例えば、うちのスピーキングテストであるとか、あるいは入試の採点ももちろんしていますけれども、大学の教員がやっても、途中で、例えば、非常に吟味してやっても、御存じの方はあれなんですけれども、本当に一年かけて必死でつくってやるんですけれども、それでも、ああ、これははかれていなかったねというような問題も出てくるわけです。

 そうしたら、途中でちょっと配点を変えて、ここははかれていないから、ちょっと配点を低くしようかというようなことも正直あります。大学が配点を公表したくない理由の一つは、そういうある種の善意というか、最初から識別力の高いテストをつくれればいいんですけれども、テストは外に出してつくれないんです。それは民間試験も同じですけれども、大学でもそうで、受けてみてもらうわけにいかないわけです。ですので、やりながら、これは識別力がないのでちょっと下げようかとか、そういうこともあるぐらい難しいです。

 だから、多くの大学では二人が並行してやっていると思いますけれども、例えば、うちはスピーキングテストを二人で並行してやっています。音声解答を二人が聞いてやるんですけれども、徹底的に訓練しても、やはり三割ぐらいはスコアが外れたりとかしますよね。それで、途中で介入して、あなた、ずれているのでと。それは採点者、うちも、それこそうちの非常勤の先生方がされているんですよ。途中でちょっと介入して、あなた、ちょっとずれているよと言ってしまうと、怖くなって真ん中に集まるんです。

 要するに、採点者を評価すると、二人でされているところが多いと思うんですよ、二人でするというと、あなた、ずれているよと言ったら、アルバイトの人とかは、安全なので、真ん中につければいいですよね。そういうこともあるので、採点者の管理というのはすごく難しいですし、自分たちが採点していても、まあ、失敗したと言ったらあれですけれども、もうちょっと考えればよかったなということは正直にあります。難しいです。

畑野委員 どうもありがとうございました。

橘委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日は、お忙しい中、四人の参考人の先生方に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 この高大接続改革については、受験生の人生を左右するものですので、大学入試というのは公平公正が大変重要ですが、英語入試の必要性につきましては、ここにいらっしゃる委員の先生方も、本日お越しの四人の参考人の先生方も同じで、四技能を伸ばす、子供たちがこれからグローバル社会においてこの四技能をしっかり伸ばしていくということが大切であるということについては、皆さん、共通認識かと思います。

 本日は、まず吉田参考人から質問をさせていただきます。

 吉田参考人は、延期をすれば混乱をする、準備をしてきた学生に混乱を招くといった思いをお持ちだったと思います。実際にこの延期を受けて、率直にどのように思われているのか、現場の声を、実際の声をお聞かせください。

吉田参考人 ありがとうございます。

 本当に、十一月一日、ID登録の段階で始まりましたので、はっきり言って混乱していると思っております。

 ただ、現実問題として、子供たちはこの四技能に向けて勉強が進んでおります。ですから、そういう意味では、こういう言い方をすると変ですけれども、これから、センター入試を利用した受験者がもしかしたら減るかもしれない。逆に、今回、センター試験で四技能試験のことを採用していただくといった六割強の学校さんが、今までの四月から十二月のIDじゃなくてもその四技能試験を認めるよというような大学が出てくれば、そういう方に流れていくとか。

 やはり、やってきた子は自分のやってきたものをやりたいと思うのは当たり前だと思いますし、私たちは逆に、今、文科省にぜひともお願いしたいのは、そのやってきた子たちの救済。

 つまり、IDをとる、とらないの問題、四技能試験がおかしい、おかしくないの問題は別にして、四技能をやってこさせられた学年なんです。もう中学校一年生のときには、彼女たちは、彼らたちは、暗記しなくていいんだとよく言われた世代です。それを、そうじゃないんだよ、やはり基礎学力が必要な上で、そこで判断力とか表現力とか思考力とかいうものが必要になってくるんだよということを教えてきて、そして英語に関しては四技能が必要なんだよということで教えてきて、そうやって進んで、高校二年生のこの十一月まで来たところで、突然、四技能は必要ないと言われることは、やはり、子供たちが迷子になるのは当たり前のことであって、それは何があっても本来避けなきゃいけなかった。

 でも、決まってしまった以上はやむを得ませんし、大臣もあそこまでのお言葉を残していただいているわけですので、ぜひ、文部科学省が中心になって、やってきた子たちを救済していただきたい、そういう思いがございます。

森(夏)委員 吉田参考人に引き続きお伺いしますけれども、ショックを受けている子供たちもいるというお話で、子供たちのショックを和らげる対策をお願いしたいというようなお話も先ほどありましたけれども、具体的にどういったものがあるのか教えてください。

吉田参考人 ありがとうございます。

 ショックを受けた子と、ショックを受けていない子もいるのも事実です。ただ、私に言わせていただければ、ショックを受けていない子というのは、言われたとおりに四技能をやってこなかったか、学校がやってこなかったか、どっちかだと思いますけれども。

 救済策ということでいえば、やはりこれは、IDの、四月から十二月の二回ということに縛られていたものが、今の通常の一般入試、AO入試、推薦入試等では、それに構わず、高校二年生のデータを使ったり、許されているわけです。その辺の縛りはどうなるかわかりませんけれども、何らかの形で、今までどおり、四技能試験のデータを、各大学さんが示した使い方、新しい大学入学希望者テストを利用した場合の英語四技能試験の利用の仕方、それに合わせて使っていただけるようにしていただきたいというのが本音でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 一番は子供たちのために何ができるかだと思いますので、我々もしっかりと今後見守っていきたいと思います。

 次に、山崎参考人に伺います。

 ベネッセでは、全国の受験生が検定日に受験したい地域で受験できる環境を整備するために、離島、僻地も含め、地域の実情を踏まえた試験の準備を進めていただいてきたと思います。

 羽藤参考人からのお話の中で、検定料が六千円台のものから二万五千円台のもので、やはり同じ質にはならないというような御意見も伺いました。

 そこで、伺いたいと思います。

 受験生にとっては検定料が安いというのは助かる、大変よいことだと思いますが、四技能をはかる上での質の担保というところと、スピーキングテストについて少し詳しく教えていただきたいのと、このテストが話す能力が伸びるテストであるのかという点について教えてください。

山崎参考人 御質問ありがとうございます。

 値段というところでお伝えをさせていただきますと、二万五千円から六千円ぐらいまであるということで、GTECは非常に安い金額の中でやらせていただいています。

 我々としては、これを安易に上げるということは、全国校長会の先生方からも、価格ということに関しては随分御要望もいただきましたので、それにしっかり応えたいということが一つありました。それが一点です。

 あと、やはり価格というところでは、例えばTOEFLさんとかIELTSさんというのは海外の会社様でありますので、そのあたりの、そこが、利益がどうなっているかとか、その辺の価格の決定というのはちょっとわかりませんが、やはり日本でやっているか否かというのもあるんだとは思います。

 ただ、一つ、安かろう悪かろうといったようなことがきょうもあったんですが、そんなことは、私としては一切ないということはお伝えをさせていただいています。それについて、私がないですということを言うのもなんなので、ちょっと一例でお話をいたしますと、やはり今、学校現場、高等学校の御指導をされているプロフェッショナルの英語の先生方が本当にGTECというものを広く受け入れていただいて、学校の指導の中で使われています。これが本当によくないものであれば、採用されて、使うということは、これはもうありません。

 特に値段というところでもう一つ言うならば、例えば、いろいろな補助金であったり、文部科学省のいろいろ研究事業というところで、テストの費用は負担をしますという、研究校に対してですね、こういう事業はいろいろあります。

 一番大きかったのは、スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールという、もう数年前のものでありますが、これは全国百八十校ぐらい、最終的には使って、英語の先進的な事例を高等学校は研究をしていく、三年間ぐらいやっていくわけなんですが、その中で、英語力の評価ということも、一つ、当然そうです。文部科学省がお金を出して、国がお金を出して指導力の改善ということをやる研究事業ですので、しっかり、どういう指導をやってどういう成果が出たかということをずっと研究されるのが、全国百八十校の高等学校でありました。ここにおいては、アセスメントというのは予算の中でやっておりました。

 そのときに、最終的にGTECを御採用いただいたのは、八割近い、八五%近い学校様で御採用いただきました。そのときは、いろいろな高いテストもある中で、先生方がそれを選んでいただいたということでありますので、テストの信頼性というところでは何ら、私としては胸を張って言いたいですし、今使っていただいている高等学校の先生方のことも、それは否定することになるのではないかなと、選んで使っていただいた先生方にとってもあるんだとは思います。

 以上です。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 もう本当に、皆さん御努力をされて、子供たちがこのグローバル社会でしっかりと英語を使って外国の方々との仕事なり進めていけるように、皆さんの御努力は本当に理解をしているつもりであります。

 次に、羽藤参考人にお伺いします。

 スピーキングの能力を伸ばすというのは大変重要なことだと感じております。テストだけ変えても意味がないというのは、お話がありましたし、それは多くの方も理解はされていると思います。このスピーキングの能力を伸ばすということについて御意見を伺えますでしょうか。

羽藤参考人 話す力を伸ばす、例えば安河内さんとか、いろいろな方が全国を回って教員研修に近いようなことをされていますけれども、それを見ても思うのは、ある種のハイテンションで、はい、みんな、はい、みんなしゃべってというようなことを、ふだん、三十人とか四十人のクラスで一年じゅう続けることができるのかといったときに、やはりもう少し根本的な、クラスの人数を下げるとか、そういうことをしていかないと、さっきも言いましたけれども、ある種、グローバルとかというような、描いているような授業がなかなかしにくいと思うんですよね。

 ですので、そこの部分をやはり、さっきも言いましたけれども、両輪ということで、御質問が、テストで、GTECはスピーキングが伸びるテストですかとおっしゃいましたけれども、伸びないですよ。テストははかるものですから、伸びることなんかもともとは考えていなくて、ここがどこまで伸びているかを調べるものが、はかるものがテストですので、そのある種の波及効果を期待してテストを導入するということ自身が、ある意味、邪道だと。

 テストは本当に能力をはかるためのものですので、頑張ったのがもったいないという、何で、頑張って伸びたんだったら、それが一番じゃないと私は思うんですけれども。そこの、テストというものに対する、ある種の、もう何十年もでしょうけれども、大学入試が悪いからスピーキングが伸びないんだというような思い込みみたいなものも、やはりもうちょっとエビデンスに基づいて検証してみることが必要と思います。

 以上です。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 確かに、英語の能力をはかるものであって、テストが能力を上げるものではないというお話、そのとおりだと思います。

 大学受験だけが大事だと私も思っておりません。大学に進学しない子たちもたくさんおりますし、そういった子たちも英語が必要です。

 私も京都の選出なんですけれども、京都におりまして、外国の方々がたくさんおられますので、本当に仕事はたくさんありまして、大学に行かなくても就職先はたくさんある状況で、英語を使う機会も大変多いので、本当に小学生、中学生から英語をしっかり学んで、話せる英語というのを身につけるというのは大変重要なことと思っております。

 この英語の試験で今議論になっているもので、七つの試験で評価をするというのが大変難しいことと思っております。

 羽藤参考人にお伺いをしたいのですが、共通の試験があればいいと。もちろんつくれることならばそう思いますし、五十万人が一度に受けられて採点ができるようなものが、もちろんあればいいと思いますが、教育現場でそういう試験に携わってこられた経験を踏まえて、実際に英語力、英会話力を測定する試験というものをシステムとしてつくり上げるのにはどのぐらいの年月がかかるとお考えでしょうか。そういったものは可能でしょうか。お伺いさせてください。

羽藤参考人 ありがとうございます。

 先ほどお答えしたことと重なると思いますけれども、今、民間試験で今回やろうとしているぐらいのことは、今の技術で、TOEFLと同じ、英検と同じシステムを国がつくればいいだけですから、すぐに、すぐじゃないかもしれないですけれども、覚悟をすればできると思います。一斉にやるかというと、やはり技術開発が必要だと思います。

 ただ、できないと結論づけた会議というのはどこなんですかというのが私にはわからないんですけれども、できないことになったらしいんですけれども、どこを探しても、どこで民間試験に、一斉にやることを諦めて、あるいは、一斉にやらなくても、今、民間試験でこんなにたくさんの中でこれだけ混乱するのであれば、一つの試験を国のイニシアチブでなぜ、二万五千円取るよりは、六千円でできるはずです、国がやれば。六千円じゃないかもしれないけれども、利益は要らないわけですし、できるわけですよね。

 だから、今、民間試験で、今回のことをもうちょっと発展させて、国が保証してやろうとしていることぐらいは、本気になればすぐにできると思います。ただ、やはりゼロベースで考えることは必要だと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 次に、萩原参考人に伺います。

 現場の声というのをお伺いしたいと思っております。

 やはりこの検定料に関しては、経済的な問題、子供たち、保護者の声、不安の声はこれまでにもあったと思います。延期になったとはいえ、今後もこの英語試験については、英語教育については変わっていくものですので、皆さん勉強をしていかないといけません。

 やはり、英会話を伸ばそうと思うと、裕福な家の子は、休みのときに留学をしたり、外国人の先生を家庭教師につけたり、そういったこともできると思います。なかなか検定料だけの問題にはならないと思いますが、スピーキングの能力を伸ばすという教育について、現場の声というものをお聞かせ願います。

萩原参考人 検定料に関してはいろいろというふうにも思いますが、ただ、実際、受験できる場所と検定料とが両方リンクしているという部分はあるかというふうに思います。

 現場の声としてという部分ですが、今、例えば、国の方の補助等ということで、オンライン英会話というようなものを授業で取り入れている、そういう学校も出てきています。ですから、学校にいるとタブレットで相手と一対一でスピーキングをやっているというような授業、やはりそういうようなものを体験する。ですから、それは地域格差をだんだんになくしていく、今度のICT化を進めていくことによって、例えばそういう部分も身近になってくる部分があるのではないかなというふうには思います。

 ですので、今後、ICT化とかいろいろな部分を使いながらということで、英語の授業を含めて変わってくる、また変えていっていただきたいというふうに思います。

 以上です。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 オンラインに関しても大変重要だと私も思っております。試験だけじゃなくて、本当に、離島であったり、地方の地理的に不利な学生にとっては大変重要ですし、やはり英語の先生も、皆さん語学が、スピーキング能力が、得意というわけではないので、海外からつなぐことも可能だと思いますので、そういったことも今後ぜひお願いしたいと思っております。

 時間があと三分ほどになってまいりました。

 四人の先生方に、参考人の方々に最後に一言ずつお伺いをしたいと思っております。この延期につきましてどういった思いでいらっしゃるか、時間がなくて申しわけないですが、一言ずついただけたらと思います。

吉田参考人 同じ繰り返しですけれども、延期されようがされまいが、やってきた子供たちをちゃんとしっかりした形でフォローしていただきたいです。

萩原参考人 今回、文部科学大臣の方がこういう英断をしていただいたということについては、大変ありがたいことだなというふうに思っています。

 今後の対応については、私どもも協力して組み立てていきたいというふうに思っております。

山崎参考人 私も本当に、受験生、子供たちをやはり第一に、特に学習をされてきた子供たちを、しっかり何らかのフォローが必要だなということは思いますし、あともう一つは、やはり英語教育の四技能というのは、これは確実にこの一、二年で進んでいることは間違いないですので、それをぜひ、きょういらっしゃる先生方も含めて、とまることのないようにしていただきたいことが、私はすごい重要かなというふうに思っております。

羽藤参考人 ありがとうございます。

 さっきもお話ししましたけれども、この制度が破綻するものであること、必至であることは、非常に多くの研究者が、決まったときから言ってきたことで、悔しいですよね、なぜもっと早くとめられなかったのかということがあります。洞穴に声を叫び続けているような日々でしたけれども、もう一回同じことにならないようにぜひしていただきたいと思います。このままマイナーチェンジでいくのであればまた同じことになりますので、そこのところはゼロから考え直していただきたいと思います。

森(夏)委員 貴重な御意見、ありがとうございました。

 以上で終わります。

橘委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 無所属の笠でございます。

 きょうは本当に、参考人の先生方には、何といっても突然の延期の決定である、そういった事態を受けて、本当にいろいろと対応しないといけないことも多々ある中で、こうして国会においでいただきましたことに、心から感謝をまず申し上げたいと思います。

 今、いろいろな論点からの話がありましたけれども、実は私も、この三連休というんですか、地元で、私のところは実は川崎の都市部になりますので、例えば会場の話とか、そういったことというのはやはり地域性があると思うので、余り懸念というのはなかったんですが、子供さんたちとちょっとお話を何人かさせていただいたときに、とにかく、詳しい制度設計とか、そういうことって子供たちはよくわからないんですよ。そうじゃなくて、何でこのタイミングでまた制度を変えられるんだと。要するに、私もお叱りをいただきました。国は何をやっているんだ、文部科学省は何なんですかというような、やはりそういう思いは、それぞれに今、生徒さん、高校生の皆さん、持っている方はたくさんいると思います。

 まず一点は、そういうような子供たちに対する対策をどういうふうに講じていくのか。もちろん、この制度の見直し自体は、大臣がおっしゃっているように、これから一年かけて抜本的に見直していく、そして二〇二四年度から新たな制度をスタートさせる方向でということをおっしゃっているんだけれども、当面の課題として、改めてちょっとお伺いをしたいんです。

 吉田参考人と萩原参考人は、今それぞれに高校の現場を預かる責任者として、この準備をしていた子たち、この子たちに対して、例えば文科省あるいはこの国会においても議論をしつつ、制度設計の話とは別に、今我々がやらなければならないこと、あるいは文科省に求めることということで、対策あるいはお考えをまずお話をいただきたいと思います。

吉田参考人 ありがとうございます。

 まず、あってはいけないことは、この四技能をしっかりとやってきた子たちが不利になるとか、やっていなかった子が有利だ不利だというようなことにならない、そういう、これからの、まず高校二年生への対応だと思っています。これがしっかりとやっていただけなかったら、せっかくやってきた子供たちが四技能の勉強というものをしなくなってしまいます。

 今、先ほど来いろいろ、試験の種類のお話がございますけれども、TOEFL、IELTSという試験は世界的に認められている試験であって、極端な言い方をしたら、本校からも海外の大学に直接留学する子が、ここ数年、この二年間で十四名の子が海外に出ていきましたけれども、その子たちはみんなTOEFL、IELTSです。それを受けていなければ入れません。

 しかし、その試験も公平な試験ではないというふうになるんだとしたら、私はもう四技能試験というのは国で開発する以外は全くなくなってしまうのかと。ただ、その国で開発した四技能試験が、そういった海外に出ていこうという子供たちに通用する試験になってくれるのかどうか。

 子供たちは、できる限り、そのときそのときに合った合理性のあるものを受けていけるようにしてあげなければいけないのではないかなというふうに思っておりますので、やはり私は、今の制度は確かに強引だった部分がかなりあったと思います。ただ、国で決めたことなんだったら、国で責任をとって、それができるようにしていただきたい、そのようにお願いしておきたいと思います。

萩原参考人 英語については無駄にならない。今まで、これまで四技能をしっかりやってきた子にとって、うちの学校の生徒にも話をしていますけれども、英語を学んできて決して無駄にならないし、この先使っていくことになる、ツールとして使うことになっていくんだからという話はしています。保護者の方にも、これによって、確かに予約金の三千円はどうなるんでしょうなんという話はありますけれども、実際に英語はこれからも必要なことですよというふうに話をしております。

 私としては、やはり、大学がどういうふうにこの後、今の二年生の子供たちが来年受験するに当たって、どういうふうな形になっていくのか。一回ここで、十月に文科省の方で取りまとめたのが出ておりますが、それがどういうふうな形で変わっていくのか。それをそのまま利用するような形になっていくのかどうか。そのあたりが今後、文科省の方で大学さんとうまく決めていっていただければ、子供たちにとっても不幸なことにはならないかなというふうに思います。

笠委員 今、萩原参考人がおっしゃったこと、私も実は非常に同感でございまして、少なくとも、今回、もし予定どおりにこの制度が導入されるということになっていたら、一千六十八校中六百二十九校ぐらいがこれを活用するということで、その仕方もさまざまでございますよね、出願資格なのか、あるいは合否判断に反映させるのか。

 ただやはり、各大学が、どういう形でこの二〇二〇年度の大学入試に臨んでいくのかという方針を早く決めないと、独自にこれを使うことだって、結果を提出してもらって使うことだってあるわけでしょうし、あるいは独自に大学側が何らかの試験を行っていくということもあるのかもしれません。

 そういった点については、吉田参考人にも、その辺の必要性。それと、大学の現場から、きょうは羽藤参考人がこの中では唯一でございますので、その点の、今後求められる、とにかく当面の、受験生へ向けた大学側の対応ということについての要望等々、あるいはこうすべきではないかという御意見があればお願いをいたします。

吉田参考人 全く先生のおっしゃるとおりで、大学が、この四技能をしっかりと育てた子供たちの力を更に伸ばしてもらえるようにしていただけるようにしていただきたいと思います。

羽藤参考人 私が勤めております京都工芸繊維大学は、多分、日本で唯一、自力で、SGUの支援、スーパーグローバルの支援を受けておりますが、コンピューターベースのスピーキングテストをつくって、それを一年生全員に、毎年一年間の。理系の大学ですけれども、主に英語というのは、大体一年、二年で終わるわけです、授業というのはとってしまうわけです。その一年間の最終試験として、自力の、CBTの、かなり大がかりなスピーキングテストを入れている大学です。

 それをやってみて、要するに、一つは、全部、言えばお金ですよね。しろしろと言うんだけれども、全部の大学にSGUを当ててくださるのであればできるかもしれないです。スーパーグローバル、もうすぐ終わりますので、大学から言われているのは、自走化だと言われているんですけれども、これはどうやって自走すればいいのという、今局面に。ここまで開発してきて、自分で走らなきゃいけないんだったら、何か稼ぐ方法を教員で考えようよとかと、うそじゃない、本当に真面目に、そういう状況の中です。

 よその大学には物好きだと言われて、それこそ、大学で今勤務時間をつけさせるんですけれども、つけたらみんな何かもうアウトになるのでつけられないぐらい働かないと維持できないので、大学がやれやれというのは、あれですけれども、千人とかというのを。今うちは六百人でやっているんですけれども、六百人、SGUの支援をもらって、実際の教員で本当にぎりぎりです。それがうちの、個別に入れるんだったら一回で千人を超えるわけですけれども、ずっとSGUをもらって、教員が今の倍働いたらできますけれども、そんなに個別に入れるということは簡単じゃないです。

 そこら辺の、本当に、机上の空論じゃなくて、お金の話とか時間の話とかをしていかないと、本当に無駄なことがずっと繰り返されると思います。

 どう責任をとるかという話がありましたけれども、これはもう、大学が本当に、今回については、恥を知れと言うのは行き過ぎかもしれませんけれども、非常に深刻に捉えるべきだと思います。非常に受験生を苦しめたと思いますね。

 要するに、例えば出願資格に使った大学の多くは、別にそれを入れなくても、同じような非常に低いレベルを求めているわけですから、受ければいいという感じにしたわけです。加点法に使った大学も、非常に低い比率で使っているんですよね。

 なぜそうなのかといったら、やはり自分たちがその制度に自信がなかったわけで、大学側もちゃんと入れていこうというような自信がなかったわけで、そのことは国大協の会長も認めているんですけれども、その結果これですから、その辺のことはもうしっかり大学が反省しなきゃいけないと思います。

 では、具体的にどう責任をとるかというのを、今、吉田先生がおっしゃるように、では共通テストで使わないことにしたので、突然、来年受ける学生の成績を受け取って、どう使えというのも、それもすごく現実的に考えないと、CEFR対照表と同じものを各大学につくれというんですかということですから、同じことを大学内でするには大学にも覚悟が要るでしょうから、やはりもう少し現実的に考えることが必要だと思います。

笠委員 山崎参考人にお伺いをしたいんですけれども、先ほど、これまでいろいろな準備を進めてこられた中で、恐らく、タブレット端末を用意したり、会場手配のためのいろいろな、さまざま御苦労もあったかと思うんです。損害賠償等々については、余りにも突然のことで、これからだということでございましたけれども、ちなみに、どれくらいこれまで投資をされてきたんでしょうか。

山崎参考人 ありがとうございます。

 ちょっと、今手元に資料がありませんですし、少し、そこはちょっと控えさせていただけたらなというふうに思っております。

笠委員 私がそれを伺ったのは、これから一年かけてどういう制度設計にしていくのかというときに、例えばそれが本当に、確かに、この民間試験を、これから活用しながらこういった形で制度設計していきますよというときに、事業者の立場からすると、この二〇二四年という、これからまだまだ先なんですよ。その二〇二四年度というところまでずっとモチベーションを持って準備を進めていくことができるのか。あるいは、株主なんかもいるわけですよね、当然。もし損害賠償にかかわるようなお金が、やはり大きな金額になれば、そういったところに会社の、当然、経営者としては、たえ得るだけの説明責任も果たしていかなきゃいけない。

 そういった事業者としての立場から感じるところというか、スケジュール感というのが本当にこれでいいのかどうか、そういったところを、もし御示唆があれば教えていただきたい。

山崎参考人 ありがとうございます。

 二四年というところに関しましては、この一年間をかけて大臣の下で検討するということですので、どのような形になるかということも、恐らくゼロベースでお話しになるということだと思いますので、そこに対して私どもが何か言える立場でもございませんので、そこは、そこで、一年間の検討期間の中で決められたことを見させていただいて我々も考えていきたいなというふうに思います。

 今回の民間試験の導入に関しましても、こういう四技能を大学入試に使うこと、そのために、やはりセンターであったり国立大学様であったりではなかなか実現が非常に厳しいので、民間としてそこに参画できる気があれば、その要件の中で手を挙げてくださいということをいただいて準備をしてきたということがございます。

 費用とかそういうところに関していえば、私どもとしましては、本当に受けたい日にちに受けたい場所で、全国でできるだけ格差なくできるということを念じて今までやってきておりましたので、そういう意味では、御希望にたえ得る準備は着々としていたということだけお伝えさせていただきます。

笠委員 きょうもいろいろなお話の中で、やはり今回、私、一番反省しなければならないことは、本当だったら一年前ぐらいにもうこの議論をしておかなきゃいけなかったんです。私も、実はこの前の国会、六月四日の日にこの問題を取り上げたんですけれども、しかし、それだって逆に遅過ぎるぐらいで、一年前にこういった話をしていれば、もっともっといろいろな対策が恐らく打てたと思うんですね。

 ただ、先ほど来あったように、やはり同じことを我々繰り返すわけにいきません。果たして文科省が、ある意味では丸投げの形になってきた点、あるいはそれぞれの関係者といろいろなコミュニケーションはとっている中でも、なぜこういう事態に、こういう、要するにぎりぎりの段階になったのかということの中に、いろいろと反省を生かしていかないといけないんですけれども、私は、ある程度やはり国がしっかりと関与し、リーダーシップをとって、極端な話、もう国で、先ほど羽藤さんからは、国で本当は制度設計してもいいんじゃないかと。

 ただ、やはり大学のこの共通テストというものを、まだ受ける人数が五十万人、その中で、その倍ぐらいの方々はこのテストを受けないという中で、じゃ、税金を全てそこに投入することができるのか。現在も運営費交付金というのは入っていないわけですから、ほとんどがその受験料でやっているという、実際、現実の問題もございます。

 そういう中で、今後の国の関与のあり方、こういうような形で、国がもう少しきちっとした形で責任を持った体制にすべきだというところを、それぞれの参考人の方々から一言ずつ要望をお伺いしたいと思います。

吉田参考人 ありがとうございます。

 私どもといたしましては、基本的に国が、やはり教育再生実行会議のもと、中教審で決めた方向性、その方向性は正しいということで行ってきたんだと思いますので、その方向性に合わせるために一体周りが何をしなければいけないか。それは、文科省であり、財務省であり、総務省であり、いろいろなところが、各都道府県も絡んでくると思いますけれども、やはり子供たちに、この二十一世紀のグローバル化社会を担ってもらう子供たちに、よりよき教育環境というか、力をつけさせて、そして社会に出す、そのためにチームとして協力していただきたいという思いがございます。よろしくお願いいたします。

萩原参考人 私どもは、今年度に入って二回、要請を文部科学省の方にお出ししています。できたら文部科学省の中で一生懸命、次の改革をどういうふうにしていくのかということで考えていただきたいということから、特に国会とか何かというような形でなくてというふうに当初考えておりました。

 ただ、この現実、今のこの状況の中で、文部科学省だけではなかなかやはり動けない。今、予算的な面もいろいろあるというふうには思います。ですので、国の、政治の力も使いながらということで、ぜひともお願いをできればというふうに思います。

 最終的には、子供たちにとって、英語力をきちっと身につけて将来日本を支える、そういう子供たちを育てるということが重要なことだろうというふうに思っておりますので、その線でぜひとも御協力いただければというふうに思います。

山崎参考人 ありがとうございます。

 いずれの形でも、やはり国、そして大学、そして高等学校、そこに民間がかかわるのか否かというのはまたこれからだとは思いますが、これが本当に子供たちのために、こういう、教育のためにテストをやらねばならぬのだ、四技能をはからないといけないんだという、ある意味不退転の決意で進んでいくこと、そのために、本当にできるために何をすることがいいのかという協力体制ができれば、四年後であればできるでしょうし、今回でも私は実現できたというふうに思っております。

羽藤参考人 ありがとうございます。

 二つあります。

 まず、先ほどから被害に遭った生徒たちにという話がありますけれども、それを言うのであれば、彼らが本当にかわいそうだと思うのは、四年間の受験生だけがセンターがつくる共通テストの英語と民間試験の両方を受けなくちゃいけなかった、それが決まった段階で受験生たちの人権を言うべきだったと思います。そんなことってあり得ないと思います。それより前の人はセンターだけ、それより後の人は多分二四年からは民間試験だけという意図の中で、真ん中で、不確実だから両方受けさせようという、それが決まった時点でもう人権じゅうりんです。私が受験生だったら怒ると思います。

 ですので、やはり丁寧に、国にお願いしたいのは、そういうことを始めるんだったら、例えばオプションから始めるとか。そうですよね、不確かだったら、オプションで出してみて、使える大学はというような形ですればよかったんだけれども、国大協は全部に課すというような、受験生全員に課すというような基本方針を決めたりとか、すごくごり押し感が強いというか、民間ありき、二〇二〇年ありきで進めてきた結果の破綻だと思います。

 ですから、もう一回お願いしますけれども、丁寧に、やり方を考えていただきたいというのが一つ。

 それはまさしく次にお願いしたいことと同じなんですけれども、今回、延期も一晩で決まったようですけれども、延期の解決が、一年間で方向性を決めて、二四年から導入、新しくするということですけれども、もし国がつくるとかというようなことがそこに入っているのであれば、できないですよね、二四年に。

 さっきもお話ししましたけれども、TOEICとか英検方式だったら国でできると思いますし、全額しなくても、検定料を取ればいいだけですので、現実的にどのぐらい国が負担しなきゃいけないのか、受験料がどのぐらいになるのか、現実的に考えて、さあつくりましょうとかいうときに、二四年でできるわけがないですよね。もうそこの段階で無理が来ているわけですよ。

 やはりそこは現実的に、本当に生徒本位だったら、生徒本位のやり方があると思うんですよね。それが物すごく、今回の制度は、最初から受験生を犠牲にする形で進んできたんですね。国も、文科省も犠牲にしたし、大学も犠牲にしたし、それはいかぬと叫び続けた人たちも犠牲になったし、最後はみんな犠牲になったわけですよ。

 こんなこと、もうやめましょうよと言いたいです。お願いします。二四年というゴールを切ってまたやるんですかということ、同じことになりませんかということを、民間ありき、ゴールありきの、もう一回繰り返しですか、やめましょうとお願いしたいです。

笠委員 終わります。ありがとうございました。

橘委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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