衆議院

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第5号 令和元年11月12日(火曜日)

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令和元年十一月十二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橘 慶一郎君

   理事 池田 佳隆君 理事 上川 陽子君

   理事 白須賀貴樹君 理事 馳   浩君

   理事 村井 英樹君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      上杉謙太郎君    小此木八郎君

      大串 正樹君    神山 佐市君

      熊田 裕通君    櫻田 義孝君

      柴山 昌彦君    田畑 裕明君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      谷川 弥一君    出畑  実君

      中村 裕之君    福井  照君

      古川  康君    古田 圭一君

      宮路 拓馬君    吉良 州司君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      牧  義夫君    村上 史好君

      山本和嘉子君    吉川  元君

      高木 陽介君    鰐淵 洋子君

      畑野 君枝君    串田 誠一君

      笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    青山 周平君

   参考人

   (岐阜市教育委員会教育長)            早川三根夫君

   参考人

   (全国過労死を考える家族の会公務災害担当)

   (神奈川過労死等を考える家族の会代表)      工藤 祥子君

   参考人

   (全日本教職員連盟委員長)            郡司 隆文君

   参考人

   (日本労働弁護団常任幹事)

   (弁護士)        嶋崎  量君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  根本 幸典君     武井 俊輔君

  船田  元君     石崎  徹君

  宮路 拓馬君     古川  康君

  森  夏枝君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     船田  元君

  武井 俊輔君     今枝宗一郎君

  古川  康君     宮路 拓馬君

  串田 誠一君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     熊田 裕通君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

十一月十二日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(江崎鐵磨君紹介)(第一一一号)

 同(長尾敬君紹介)(第一一六号)

 同(長尾敬君紹介)(第一四八号)

 学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(池田真紀君紹介)(第一四五号)

 公立学校に一年単位の変形労働時間制を導入しないことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四六号)

 同(宮本徹君紹介)(第一四七号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第一五一号)

 教職員の定数改善と給与・待遇に関する請願(櫻田義孝君紹介)(第一五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、岐阜市教育委員会教育長早川三根夫君、全国過労死を考える家族の会公務災害担当・神奈川過労死等を考える家族の会代表工藤祥子君、全日本教職員連盟委員長郡司隆文君及び日本労働弁護団常任幹事・弁護士嶋崎量君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人七分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知ください。

 それでは、まず早川参考人にお願いいたします。

早川参考人 岐阜市教育長の早川でございます。

 資料に従って御説明させていただきます。

 働き方改革は、社会の理解を得ながら、それぞれの立場で総力で取り組むべき待ったなしの課題です。

 教育委員会も、教育の質を低下させることなく、アイデアを凝らし、できることから速やかに一つ一つ積み重ねていく努力をしております。時間外の留守番電話対応、データが処理できるタイムカードの導入など十六項目から成る教職員サポートプランを作成しました。特に評判がいいのは、スクールローヤーの導入です。

 その中の一つとして、十六日間の学校閉庁日を設定いたしました。平日の業務の縮小とあわせて、年間を通じた勤務時間の縮減を目指し、本市で働く先生にとって新たな魅力に位置づけようとするものです。

 本市は、平成二十六年から土曜授業を年十回実施しております。その分の勤務の割り振りが確実に実施できるよう、夏季休業中の八月五日から二十日までは行事を持たない期間として位置づけておりました。一方、お盆期間の三日間程度は、日直を置かない学校閉庁日を独自に実施している学校も既にありました。大胆な導入のように見えますが、そうした下地もあって、日直を置かず、前後の週休日も合わせて十六日間、学校閉庁日とすることにしたということです。

 実施に当たって事前に検討したこととして、緊急時対応は、保護者に市教委の二十四時間緊急対応電話番号を知らせ、内容を校長等に速やかに連絡する体制をとりました。事前に考え得る問題の全てに対する対応策は、校長、教頭などと何度も交流し、FAQにして、学校だけでなく関係者に事前に周知いたしました。

 例えば、全国大会のための部活動の練習は校長が認めれば活動可能、夏休みのスポーツ少年団の活動については今までどおり、その他、プールの実施、動植物の世話、郵便物の回収、改修工事、放課後児童教室など、PTA、自治会、警察署、消防署、教職員の組合などに趣旨を事前に説明し、理解を得ました。

 本市は中核市ですが、緊急電話があったのは資料表一のような件数で、二年間にわたって市教育委員会の対応で問題はありませんでした。

 事前検討が落ちていたこととして、学割が必要になったときの対応があります。学割は校長印が必要で、教育委員会では代行できません。JRには改善をお願いしたいと思っております。

 実際の教員の勤務状況に関しては、三、実施後のアンケートでお示しします。二年目となる今年度は、問題がなかったことから、調査物を減らすという意味でアンケートは実施しておらず、昨年度のデータでお示しします。

 教職員は、実質勤務日のうち、全く来なかった人は全体の約半数で、来た人は平均で二・四日出勤していることになります。休暇取得日数は平均で八・七一日、内訳はそのようになっております。

 私が心苦しく思うのは、年休を使用している先生が多いということです。近年特に多く任用している臨時的任用職員、本市では約二百人いますが、任用期間によっては年休が不足する場合があり、閉庁中の学校に勤務するか、教特法二十二条二項の勤務場所を離れた自主研修かの対応になります。七十七名が教特法を利用し、レポートを提出しました。もし変形労働時間制があれば、休むことができると思います。

 二ページ、(二)休暇の活用については、休養、自己研さんなどさまざまですが、注目すべきは、国内外合わせて、約二人に一人が旅行をしているということです。しかも、(四)の図一の海外旅行については、届け出ることになっているため教育委員会の手持ちデータで比較ができますが、取組が安定した二年目は、より長期の海外旅行がふえております。

 教職員の感想としては、気兼ねなく休めた、リフレッシュできた等、特に若い世代は歓迎の声を上げ、図四のように、ふだん気兼ねしている二十代は九七・二%の高い支持になっております。仕事と日常生活の境目が曖昧になりがちな先生にとって、めり張りをつけることができたという感想も多く、タイムマネジメントに効果をもたらすことが期待できます。出勤した者も、たまった仕事が整理できた、二学期の準備ができたなど、閉庁日の出勤は仕事がはかどるという多くの意見がありました。

 PTA役員や運営協議会からも九六%の支持を得ました。一般市民からとればもっと批判的でしょうが、日ごろから学校の事情をよく理解していただいている関係者から賛同を得たことは心強いことです。

 岐阜市は、二十四年から全学校コミュニティースクールになっており、だからこそ速やかな導入が図れ、支援を強く感じました。交番の警察官の巡回や見守り隊の方々の散歩コースに入れていただき、何時何分異常なしとポストに点検結果を投函してもらえ、動植物の世話を当番制にしていただいたところもあります。これを機会にともに地域の宝を育てる機運を高めていきたいと感想にあるように、教職員の働き方改革は、地域における学校のあり方を考えることだと言えます。

 変形労働時間制の是非がクローズアップされていますが、まず先生方に夏休みをきちんと休んでもらおうという本市の取組のように、導入にあっては、夏休み等を取得しやすい環境づくりとセットで考えていく必要があります。特に、任用期間の短いことにより年次休暇の日数が不足する臨時的任用職員の先生方には有効です。

 御心配されているように、このことを理由に平日の勤務時間がふえるということは、働き方改革に学校と教育委員会が心を一つにして取り組んでいる現状を考えれば、本市においては考えづらいことだと思っております。

 周辺の市町にも広がっております。二学期制をとっている隣接自治体は、キッズウイーク期間に十日間の閉庁日を設けました。先生たちには夏休みがあるということが職業の魅力になり、リフレッシュもし、視野を広げる機会になるものと考えます。

 働き方改革は多くの課題を抱えております。変形労働時間制のシングルイシューの論議だけでは完全ではありません。夏休み等の学校閉庁日、コミュニティースクール、変形労働時間制の三つが政策として響き合うならば、有効な手段となります。この期間にまとまって堂々と休みをとっていいという市民の理解を得れば、教職を目指す若い人にとって、魅力を高め、教員の希望者の増にもつながると期待しております。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

橘委員長 ありがとうございました。

 次に、工藤参考人にお願いいたします。

工藤参考人 全国過労死を考える家族の会公務災害担当、神奈川過労死等を考える家族の会代表の工藤祥子でございます。

 本日は、貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私は、遺族、元教員の立場として、教員の経験と、あと現場の声から、本法案に対する問題点と意見を述べさせていただきます。

 私の夫は、二〇〇七年六月に、クモ膜下出血で四十歳で突然他界いたしました。本日、随行席には、三十一年前に同じく中学校教師でお連れ合いを過労死で亡くされた中野さんです。

 夫は公立中学校の体育教師であり、生徒指導として心身ともに健康な教師でしたが、四月に転任した早々、新しい環境の中、生徒指導専任という過重、過密な仕事が集中し、長時間労働、休日出勤、持ち帰り残業が蓄積して体調を崩し始め、夏休みになったら病院に行く、休むからといって、六月に入りまして修学旅行も体調不良を押して引率しましたが、帰ってきたその日に強い頭痛を訴え、皮肉にもやっと行けた病院の待合室で倒れて、心肺停止のまま死亡いたしました。

 現在、家族の会で公務災害を担当し、多くの先生方の過労死と接した中で、私が把握した昭和五十三年から現在までの脳・心疾患の死亡事案三十五件中、夏休み前は六月が四名、五月が三名と、この二カ月間が年間で最も多い数になっております。随行席の中野さんのお連れ合いも、冬休み目前の十二月二十二日に倒れられました。長期休暇まで心身ともにもたないのです。

 一年単位の変形労働時間制では、この時期の勤務時間がふえることで確かに見かけの時間外労働は減る一方で、合法的に勤務時間がふえます。業務量が減らないのであれば、むしろこの時期更に長時間労働となり、過労死を促進してしまいます。

 夏休みのまとめどりに対しては、私は賛成です。先輩たちも、昔は夏休みがあって、のんびりできてよかったというふうによく言っていましたし、そんな時間が私も欲しいです。

 私は、この九月より、一年単位の変形労働時間制の撤回を求めるインターネット署名を現役の高校教師の西村祐二さんと始めたところ、何と三週間で三万三千百五十五筆の署名と六百六十五のコメントが集まりました。教職員や保護者、学生を中心とした大変な市民の声です。

 その中で寄せられた声は、ただでさえ夏休みに残業があり、有休もとれないのに、まとめどりができるのか、資料にもございますけれども、休息もとれないのに繁忙期に所定の時間が長くなれば過労死してしまう、今でさえ帰りにくいのに、子供のお迎えができなくなったら教員をやめる、子供を通わせる親として反対しますなどなど不安の声がいっぱいで、これがあと二年でクリアできるかどうかというふうにおっしゃっていました。

 私も元小学校の教師でしたが、多忙と夫の喪失感や子育ても重なって、倒れて、離職しました。朝、児童の登校前に出勤して印刷や授業準備、休み時間は連絡帳や音読を聞いたり、クラスの児童下校後は、高学年のクラブ活動や委員会の参加、集金などの事務作業、いつもは五時過ぎに会議が始まり、その後、授業準備、八時過ぎたら、職場に次女から、またきょうも一人で御飯を食べるのという電話があっても帰れずに、とても心苦しい毎日でした。

 一年単位の変形労働時間制は、一日単位、週単位の生活リズムが崩れ、家庭生活にも大きな支障が出て、また、一日で過労が回復できるかの問題点もあります。

 今回、上限ガイドラインが定められましたことで、青天井になっていた勤務時間の道筋ができ、出退勤が記録される方向になったことは大変な進歩だと思っております。ただ、今より業務が減った上でなければ、勤務時間を減らさず、見えない時間外労働がふえてしまいます。現在も、タイムカードを押してから時間外労働をするような時短ハラスメントの相談が多く寄せられており、この状況がふえてしまうと考えます。上司から命令されれば断りづらいです。

 必ず業務量を減らし、上限ガイドラインが実効性のあるものになるという担保を示してください。それが各自治体の教育委員会や学校が負荷なく責任を持って遂行できるようなものでなければ、今までと変わりません。労基署がない中、もし違法があった場合に全国の全ての先生が救済されるように、きちんと監督指導できなくてはいけません。

 十年たった今は、もっと多くの業務量を、足りない教師の数で担っています。一貫して現場からの声は、過重勤務防止に必要なものは、教員の増員と業務の削減です。もしこれが充実していたなら、夫は過労死しなかったかもしれません。子供たちは、もっと先生と話したり、しっかりと準備された授業を受けられるでしょう。これは未来を担う子供たちのためであり、社会全体の問題でもあります。

 国は教員の過労死を把握していないと、十一月七日の萩生田大臣の答弁にもありました。年間四百から五百人の教師の在職死亡者数、五千人以上の精神疾患離職者、多くの方が過労死ラインにいる業種として、過労死等の原因や実態を把握し分析することは欠かせず、これなしにして教員の業務改善はできないと思います。

 一年単位の変形労働時間制をこの短期間で成立させることに反対いたします。反対の多い現場の声を聞き、まずは業務量の削減、長時間労働の削減、それと、教師の質を保つため、正規の先生をふやし、持ちこま数を減らして業務改善をし、休日のまとめどりのみ検討すべきと考えます。

 衆議院文部科学委員会の議員の皆様へ切にお願いを申し上げまして、私の意見陳述を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

橘委員長 ありがとうございました。

 次に、郡司参考人にお願いいたします。

郡司参考人 改めまして、おはようございます。全日本教職員連盟委員長の郡司でございます。

 橘委員長を始め、文部科学委員の皆様には、このような機会を設けていただき、まことにありがとうございます。

 私たち全日本教職員連盟は、幼稚園、認定こども園から高等学校までの教職員等から成る教職員団体です。中でも義務教育段階の教職員が多数を占めております。本日は、そういった学校現場の声から、また、私自身、現在は休職専従ということでありますが、現職の小学校教諭であるという立場から、給特法改正案につきまして意見を述べさせていただければというふうに存じます。

 改めて言うまでもないことではありますが、現在、教職員の勤務実態は極めて厳しい状況にあり、一刻も早く手を打たなければならないという中で、中教審の答申が出され、それにのっとった形で本法案が提出されたものと認識しております。

 そこで、まず初めに、上限ガイドラインが指針に格上げされることについてですが、賛成であります。

 学校現場では、以前に比べると、勤務時間の把握について格段に実施率が上がっておりますが、いまだに不十分な地域や学校があります。指針に格上げされ、法的拘束力が担保されることにより、勤務時間の把握がしっかりと行われる。その上で、可視化された業務改善が行われなければならないと思っております。可視化されたというのは、中教審答申において例示されているように、例えば、○○をなくしたからこれだけ時間が何分間だけ削れるというような、数値をもとにした改善を行っていかなければならない、そういう意味でございます。

 次に、一年単位の変形労働時間制の選択的導入についてですが、こちらについても賛成であります。

 理由を述べます。

 一点目。現在、各学校では業務改善が進んでおり、成果も上がってきております。しかしながら、現時点では、通常勤務時間内で全ての業務が終了するということは現実的には不可能であります。そして、現在は、はみ出た部分については何の代替もございません。そこで、はみ出た部分についてはまとめどりをするということによって、自己研修、リフレッシュ等が可能になるということは、変形労働時間制の導入で直接的に業務が減るということではありませんが、働き方改革の方向性と整合するものであると考えるからです。

 二点目です。夏季休業等においても多数の業務があり、まとめどりができないとの指摘もございますが、だからこそ、その現状を変えるべく、夏季休業中の研修のあり方や、部活動、各種大会の日程等の見直し等、業務改善が進むのであって、この点において、一年単位の変形労働時間制の導入は、働き方改革、業務改善の起爆剤になり得ると考えます。

 三点目です。現在、教員養成学部を卒業しても教員採用試験を受けない学生がふえております。というか、そもそも教員養成学部志望の生徒、高校生も減っております。そのような中で、一年単位の変形労働時間制の導入により夏季休業等にまとまった休みをとれるということは、他業種にない教職の魅力の一つになると考えます。実際に、若手の教員にこの話をすると、ぜひそうしてもらいたいとの声が多数上がってきております。

 他方、懸念の声が上がっていることも承知しております。早く帰りたくても帰れない、帰りにくい雰囲気が生まれるのではないかとか、一年単位の変形労働時間制を選択する人としない人の間の分断を生むのではないかとの指摘です。

 これらについては、現状においても、さまざまな事情で定時くらいに帰る教員とそうでない教員がいます。その中で、上記のような、先ほど述べたような雰囲気あるいは分断がもしあるとすれば、それは一年単位の変形労働時間制のせいではなく、教員間個々の問題、若しくは管理職のマネジメントの問題であり、別の議論であるというふうに考えます。

 また、一年単位の変形労働時間制の運用が管理職等によって悪用され、かえって勤務時間が延びるおそれがあるとの指摘もあります。悪用を防ぐためには、また、本案の中身について誤解をしている方に向けて、しっかりと周知することや、もし別の懸念があるならば、それを防ぐための手段となる制度の確立や文部科学省の指導体制を向上させることこそ議論すべきであると考えます。

 そのような中でも、お願いしたいこともございます。一年単位の変形労働時間制の導入に際しての、学校又は教育委員会としての条件整備についてです。

 例えば、夏季休業中の五日程度のまとめどりを想定する場合、現状の学校閉庁日以外の五日間を休めるよう、行事、出張、研修、部活大会のない期間、期日をあらかじめ設定する等を行うことであります。

 最後になりますが、学校における働き方改革は、文部科学省、教育委員会、学校が主体性を持って、保護者、地域社会の理解、協力を得ながら、まさに総力戦で行わなければなりません。本法案はそのための重要な第一歩であると確信いたしております。

 また、その中で、我々教職員は、教育専門職として、学校現場の責任者の気概を持って、それぞれの学校において、新学習指導要領が子供たちに求めているのと同様に、主体的、対話的に議論し、提案し、実践していきたいと考えております。できない、無理だと嘆くよりも、どうすればできるかを我々自身もしっかりと考え、地道な努力を着実に実行していきたいと考えます。

 本法案の可決を心よりお願いいたしまして、私の意見陳述を終了いたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

橘委員長 ありがとうございました。

 次に、嶋崎参考人にお願いいたします。

嶋崎参考人 弁護士の嶋崎です。

 本日は、参考人として意見陳述の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私は、労働者や労働組合の権利擁護のために活動する、日本労働弁護団という団体で活動する弁護士であります。本日は、労働側の弁護士として意見を述べさせていただきます。

 まず、結論を述べたいと思います。七条関係、業務量の適切な管理に関する指針についての規定ですが、不十分な点、疑問点などはありますが、大まかな方向性には賛成であります。しかし、五条関係、一年単位の変形労働時間制の導入については強く反対をいたします。導入すべき必要性も許容性もありません。

 そもそも、この法案は、深刻化する教員の長時間労働の実態を踏まえて提起されたものです。その際に、まずもって念頭に置くべきは、いわゆる給特法の抜本的な改正であり、その点に目を背け、そこを抜きに改正をしても、長時間労働の是正は不可能であると考えます。

 公立学校の教員は、給特法により教職調整額を支給するかわりに、時間外労働手当などが支給されず、超勤四項目を除いて時間外労働を命じることはできないというのが建前であります。

 しかし、現実には時間外労働が常態化をし、にもかかわらず、これらは教員の自発的な行動であるとして、労働と取り扱われておりません。多くの教員の皆さんが子供のために情熱を傾けている、例えば部活動、これが労働ではないというのは、法律実務家からすると全くあり得ない、不可解きわまりない運用であると思います。

 そもそも、労働基準法がなぜ残業代の割増し賃金の支払いを命じるのか、その趣旨は、端的に言えば、長時間労働の抑制であります。使用者は、割増し賃金の支払いを避けるために、長時間労働削減に向けて真摯に努力をいたします。しかし、給特法では、残業代の支払い義務が課されず、使用者による長時間労働管理の意識が甘くなり、時間管理も曖昧になり、教員に過大な業務を命じることにためらいがなくなり、長時間労働が蔓延するという元凶になっております。

 この給特法の問題に切り込まずに、教員の長時間労働の是正はなし得ません。そこに手をつけなければ、将来改正をするんだという方向性すら明示せずに、その場しのぎのごまかしでは、将来に向けて禍根を残すと思います。

 以下、各規定について具体的な意見を述べさせていただきます。

 まず、七条関係。客観的な在校時間の把握を前提にし、そして、勤務時間に上限を設けようと設定された指針に法的根拠を与え、実効性を持たせよう、この方向性には私も賛成であります。

 しかし、この指針では、労基法では認められている罰則もなければ三六協定による歯どめもなく、さらなる実効化が必要だと考えます。

 また、ガイドラインでは、超勤四項目以外の業務は労働ではないという解釈には手をつけずに、労働ではないはずの部活指導などの時間も含めて勤務時間として管理するとしております。労働ではないはずなのに、ガイドライン上、勤務時間として在校等時間などという欺瞞的な概念で管理をすることは、本来取り組むべき給特法の改正に目を背け、そこに向き合う機運が失われるのではないかという危惧がございます。

 次に、五条の関係。一年の変形労働時間制の関係ですが、改正の狙いである休日のまとめどりには私は賛成です。教員に必要なのは、残業代、お金ではなく休日です。ですが、その目的達成の手段として一年間の変形労働時間制というのは合理性がありません。

 そもそも、休日のまとめどりを実現したいのであれば、地方公共団体においてそれを可能とする条例を制定する、その条例制定を促すような法律を国会で端的にダイレクトにつくればよいのです。

 変形労働時間制によって初めて休日のまとめどりが可能になるという理解は、法的には誤りです。しかも、必要性もなく導入される一年間の変形労働時間制は、憲法に由来する労基法が定める厳格な導入要件をゆがめて導入される危険が高いです。

 そもそも、この制度は、一日単位、一週間単位の労働時間規制の枠を取り払う、労働者の命や健康にとって危険な、例外的な制度であります。ですから、労基法は、詳細に定めた労使協定、そしてその協定の監督署への届出、そして、恒常的な長時間労働の職場では導入ができないというのが今の厳格な縛りであります。

 ですが、この法案は、労使協定もない、労働基準監督署への届出もない、教員職場は恒常的な長時間労働であり、導入すべきような前提条件を欠いております。

 多くの職場で既に導入されておりますこの一年の変形労働時間制、労働時間の削減ではなく、残業代を使用者が逃れようと、残業代を削減し、残業代不払いの脱法手段として今実務では悪用されております。

 しかも、給特法のある教員の場合は、そもそも残業代がゼロであります。残業代削減のために導入メリットはございません。にもかかわらず、あえて導入する狙いは、繁忙期における残業時間を見せかけ上減らし、見せかけの残業時間を削減することにあるとしか考えられません。

 その本音を隠し、見ばえのよい、休日のまとめどりを可能にするという点のみが強調され、労基法という大原則をゆがめて改正を通そうとするのは、政府の対応は余りにも無責任です。

 教員の仕事は、これは私ごとですが、私は両親が教員です。祖母も教員です。教員の仕事は今も昔も魅力的なんです。教員の志願者を失わせているのは、給特法により長時間労働を放置した職場環境の劣悪さです。

 現在の教員の皆さんの職場環境を固定化する、そして目をそらすようなことにつながる、さらには労基法の規定をもゆがめるこの一年単位の変形労働時間制には断固として反対いたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

橘委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

橘委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。白須賀貴樹君。

白須賀委員 自民党の白須賀貴樹でございます。

 まず初めに、早川参考人、工藤参考人、郡司参考人、嶋崎参考人、皆様方、お時間を頂戴して当委員会にいらっしゃっていただいたこと、心からまず感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 私は、今お話を聞いていて、工藤参考人のお気持ちはよくわかります。御自分の最愛の方がお仕事によって命を落とされたということ、そしてまた、さまざまな思いがあってその場に立たれていることに対して、深く本当に共感を持つところでございます。

 だからこそ、私たちは、今教員の方々に、地域の子供のことは全て学校でというこの風潮も少し変えていかなければいけないですし、だからこそ、先生方が担っているお仕事の量を棚卸ししていく。これはもう恐らくこの委員会にいるメンバー全員の思いでございまして、だからこそ、スクールサポートスタッフとか学習指導員、部活動指導員という形で、二万人以上の方々のための予算をつくって、そして先生方に対するサポートをしていく、これも来年に向けてまたますます拡充していかなければいけないし、それは政治の責務だと思いますし。

 そしてまた、学校の先生の仕事というのは物すごく特殊というか、例えば先ほど高校の生徒指導のお仕事……(工藤参考人「中学です」と呼ぶ)中学でしたね。指導されているという話もございましたから、逆に言うと、文化祭とかそういったときに、生徒さんが帰られなかったら、御本人がお仕事なくても、生徒が帰られるまで一応いなくちゃいけないというか、いて管理をする、管理というか、指導するという形も含めていらっしゃるということもあって、恐らく、業務としてなかなか言いにくいけれども、時間としては拘束されることはたくさんあるのが、私は学校の先生の世界だと思っております。

 だからこそ、先ほど、参考人にもいらっしゃいました早川参考人がやっている岐阜のように、五日間の年休と五日間のまとめどりによって、土日も含めて十六日間まとめてお休みをとるという、これは先生方にとって大変なリフレッシュになりますし、また、先ほど言ったように、余りにも先生方の業務がふえてしまったので、一つのことをやれば全て解決するということは多分ないんですね。だからこそ、さまざまな手段を講じて一つ一つ荷おろしをしていく、棚卸しをしていくという形にするしかないと思っております。

 そういった意味で、私は岐阜市のこの取組に関しては前回の委員会でも称賛をしたんですけれども、十六日間まとめてお休みをとれるということは、学校の先生方にとって本当にうれしいというか、希望であって、そしてまた、恐らく今回の法律を通しても、恐らくこれからの改善点としても、条例でしっかりとそれを書き込んでやっていっていただくという作業も必要になっていきますので、恐らくそういった面での現場の問題意識等もあると思います。

 だからこそ、まず最初に御質問させていただきたいんですけれども、早川参考人に御質問させていただきますが、画期的なこの十六日間の連休をとるに当たり、恐らく相当、教育長の思いとか、そういう方向性に対する強い思いがあったと思うので、その思いをまず教えていただきたいのと、導入した結果、教職員の方々はどのような感想を持ったか、その生の声、まずお聞きしたい。そして、三つ目の質問として、これは、データによると、半分近くの方が一度でも出勤しなければいけなかったことでありますが、これは恐らく何かしらの改善をすれば乗り越えられて、ほぼ一〇〇%の方が十六連休をとれる可能性があると思うんですが、そういった改善点等ございましたら御指導いただきたいと思います。よろしくお願いします。

早川参考人 三点御質問いただきました。

 まず、私の思いでございますが、委員御指摘のとおり、学校現場というのは大変多忙で、先生方の情熱を頼りに日々運営をされているわけでございます。そうした中にあって、少しでも先生方にリフレッシュしていただく期間がとれればいいなという思いもありました。

 御指摘のように、一つのことが全てを解決するわけではございませんし、我々も、教職員定数の問題とか給特法の問題とか、いろいろな問題がある中で、国に要望はありつつも、我々が今できることはきちんとアイデアを出して、できることがあるだろうということで、それを取り組んだ一つがこれでございます。

 都道府県教育委員会の場でも、市町村教育委員会の場でも、学校現場の中でも、そして教職員一人一人の中でも、それぞれのところで工夫、改善は少しでもやっていくということが大事だろうということで、我々、岐阜市教育委員会としては、こうしたことができるのではないかという思いでやってきたということでございます。

 それから二つ目の生の声でございますが、大変先生方はこれでリフレッシュできたということを盛んにおっしゃいまして、今後もこれは続けてもらいたいということや、周りの市町村にはちょっと申しわけございませんが、できれば岐阜市で働きたいというような声もたくさんいただいておりますが、周りの市町村にもこうした取組が広がりつつありますので、社会的なコンセンサスが得られるよう、我々もいろいろな場でこれから広げていかなければいけないというふうに考えております。

 それで、あと、部活動等で出勤される先生が多くてこれぐらいの人数ということでございますが、例えば、私の資料の三ページの職種別支持率というのが大きなヒントになっているかと思います。図五でございますが、この中で支持の低い職種がございます。例えば、主幹教諭とか栄養教諭とか事務職員とかでございます。

 これは、比較的支持が低い理由は、主幹教諭は、やはり突発的な生徒指導の問題があって来なければいけなかったことがあるということや、栄養教諭の皆さんは、従来のように教職員と一緒の研修もありますが、そうでない研修が多い場合は、別に期間を指定していただかなくても、その前後に十分休みをとることができたということで、かえって指定することが仕事を窮屈にしたことがあったということでございます。事務職員の皆さんは、メールのチェックをしに来なければならなかったということがあったようでございますが、そのようなことで、職種別でそうした事情があっておいでになった先生方がいたということで、二年目に関しましては、工事とか校舎改築とか会議とかそれから業者の納品とか、そうしたことも、周知されましたので、学校閉庁日の前後にしわ寄せすることなく、もっと満遍に計画的にやることができて、そうしたストレスは減ってきたというような報告は受けております。

 以上でございます。

白須賀委員 ありがとうございます。

 先ほどのお話の中で、通学定期が判こがない限り出なかったとか、そういうお話もございましたが、そういった、それ以外にも何かほかに、本来だったら改善できるはずだよねというようなものはございますか。

早川参考人 JRというか、学割は、特に遠方の葬儀が入ったときに対応しなければいけないので、事前にというのはやはりなかなかいかないということがわかりました。

 そうしたことで、何件かそうした不便はあったわけでございますが、それ以外には特に大きな問題はないというか、ああ、そういうことだったんですねということで、学校に来ても誰もいなかったから困ったというような話は特には聞いておりません。

白須賀委員 もう一度、早川参考人、今、五〇%近くの、半分の方々が一日、二日とかそういう形で出勤しなくちゃいけなかったものを、これを一〇〇%皆さんを休ませる状況に近づけることは可能だと思いますか。

早川参考人 全国大会の、中体連の大会とか、そういうのは練習せざるを得ないということは思いますが、できるだけそういうふうになっていくことが望ましいと思っておりますので、働きかけはしていきたいというふうに思っております。

白須賀委員 今の早川参考人のお話を聞くと、本当に教師に、皆様方に対する思いとか、休みの必要性とか、本当に心から思われているんだなということに感銘を受けました。

 一つだけ、ちょっと私、個人的に、前回の質問でも話したんですが、スクールローヤーの必要性というのをすごく考えているんです。

 なぜならば、私自身も幼稚園と保育園を運営しておりますが、一時、軽自動車が子供たちの列に突っ込んだ事件があったときに、保護者会の方々から緊急に開いてくれと言われて開きまして、全ての通学路の四隅に先生を立たせてくれという御要望があったんです。でも、そうしますと、今、保育園の配置人数、先生方の配置人数からしますと、どうやっても園の運営が不可能になりますし、そもそも保護者の方が基本的に、ちっちゃな子ですから、お連れになる内容ですから、四隅に立たせる理由が余り私わからないんですけれどもと保護者の方に言いましたら、一部の、本当に一部の保護者の方からつるし上げのようにお叱りをいただきまして。

 ですから、ある意味そういったことに対する、恐らく工藤さんの御主人も、生徒指導というか学生の指導に当たっていたというときには、恐らく物すごくそういったさまざまなストレスがあったんだろうなというのはもう本当に容易に想像できまして、だからこそ、学校でもない、生徒でもない、本当に中立の立場で、これが本当に必要か必要じゃないかを含めて、感情論じゃないジャッジメントをしていただく方が僕は必要だと思っていて、それも教員の働き方改革の一つになると思っております。

 先ほどスクールローヤー導入についてのお話が少しありましたが、軽く触れただけだったので、もしも思いがありましたら教えていただけたらありがたいです。

早川参考人 岐阜市はスクールローヤーを五人お願いしております。県の弁護士会に教育の分野にお強い弁護士さんをお願いして、年間三百六十件、昨年度の実績で、学校現場が相談いたしました。内容としては、職員に対する研修もありますし、もちろん、メールでの相談とか、直接会って相談と、いろいろございます。

 例えば、学校帰りに子供たちが石を蹴り合って帰っていたら、その石が車に当たって、その当たった責任は誰がとるのか、全体でとるのか蹴った子がとるのか、どうなのかということなどもございまして、それは全体で連帯責任があるということだったようでございますが、そのようなアドバイスをして、学校現場としては、大変自信を持って保護者に説明をすることができたというような事例もございます。

 学校現場は、今は、いろいろな問題は当然、個性豊かな子供たちがぶつかり合って成長する仕組みなので、いろいろな問題が起きるわけですが、そうした中で、教育的な措置だけで事が済むということは、ないわけではないですけれども、なかなか難しくて、保護者に説明するときにやはり法的な裏づけというのがどうしても必要で、法的な措置として問題を考えていかなければいけないという場面が非常にふえてきております。

 そうしたときに、弁護士さんに相談すると、これはこうですよとか、何なら私が直接親御さんに話してもいいですよとまで言っていただけるようなこともありまして、大変、我々は助かっておりますので、ぜひこの施策は今後とも引き続き拡大をお願いしたいというふうに思っております。

白須賀委員 ありがとうございました。

 私自身、実は二十のときから学校法人の理事長をやっているので、うちの父が他界してしまった結果なんですけれども、二十四年近く教育の現場に立っていたので、九九%の保護者の方というのは、やはりちゃんと御理解もいただいて、自分の子も人の子もみんな成長していこうという思いがあるんですが、本当に一部の方で、本当に先生方が精神的に追い詰められることが、私も本当、肌感覚でよくわかっておりますので、そういったものも含めて一緒にアイデアを出していきたいなと思っております。

 ちょっと話が戻ります。

 次、郡司参考人にお尋ねしたいんですが、済みません、岐阜市の資料で大変恐縮なんですけれども、岐阜市の資料、三の(五)の教職員の支持率で、二十代の方の支持率が九七・二%と物すごく高いんですね。

 これは私もよく肌感覚でわかるんですが、若い方たち世代というのは、やはり、趣味を持っていたり、家族を大切にして一緒に旅行に行きたいとか、さまざまな、いろいろな思いがあってお仕事をされている方が大分ふえてきました。だからこそ、二十代の方が九七・二%も支持をしているというこの現状は、非常に今回の法案の方向性に関しては、私、合っているんじゃないかなと。

 そして、先ほど、郡司参考人が、今回の法案には賛成ですと力強く言ってくださった。現場の方がそう言っていただいたことがすごくうれしくて、そして、逆に言うと、この法案が通らなかったらただの現状維持になってしまうので、逆に失望感を生んでしまうのかなと思っているところがございます。

 だからこそ、現場の郡司参考人にお尋ねしたいんですけれども、現場にいる感覚で、このまとめどりをするに当たっての今考えられる利点と欠点について、お時間をいただいてお話をしていただけたらありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

郡司参考人 御質問ありがとうございます。

 確かに、この二十代、若者というのはプライベートの部分を物すごく重視するということでこういう数字が上がっているのかなというのは、私の肌感覚の中でも納得するところであります。

 であればこそ、変形労働時間制の導入でまとめどりができるということになれば、例えば、英語の先生であれば、短期にでも語学留学というような形で英語を磨いてくるとか、あるいは歴史の教員であれば、史跡をめぐって、それを夏休み後に子供たちに還元するとか、そういったようなことができるというような、個人のリフレッシュに関してももちろんですが、そのようなことができるということが利点なのかなと思います。

 あわせて、先ほども申し上げましたが、現状においては、十六時四十五分という勤務の終了時刻に全ての教師が勤務を終了するということは、とてもとても不可能でございます。それをするにはよほど大きな変革をしないといけないのかなと。なかなかそれが現実的ではないということであれば、そこからはみ出た部分をためておいてまとめどりするというのは、非常に効率的なのかなというふうに思っております。

 ですから、欠点ということでおっしゃられましたが、余り欠点というのは私からは見受けられません。

 以上でございます。ありがとうございます。

白須賀委員 ありがとうございます。

 これからも郡司参考人には現場からの御意見としていただいて、今回の法案は、あくまで、先ほど最初に言ったように、これで全部よくなるんじゃなくて、まず一里塚であって、そしてまた、これからも教職員の方々の処遇改善、あと、仕事の棚卸しというのは、これは一緒に、こういうアイデアがあるよねという形で一個一個つくり上げていかなければいけないんじゃないかな、そう思っておりますので、これからも御指導のほど、よろしくお願いします。

 最後に工藤参考人にお尋ねしたいんですが、先ほどの岐阜市の取組等も含めて、さまざまなこういう、今私からの話も聞いて、工藤参考人が感じられたこと、そしてまた、こういう改善点はいかがかなとか、そういうアドバイス等がありましたら教えていただきたいと思います。

工藤参考人 御質問ありがとうございます。

 私からは、まとめどりにつきましては、私もとてもいいことだと思っております。

 一つ、今、岐阜市の方で、すごく画期的な夏休みのまとめどりが行われていますけれども、これは、今、変形労働時間制が導入されていない時点でも行われていることと理解しております。なので、どうしてもここに一年単位の変形労働時間制を入れる必要はどこにあるのかなというような疑問を、今お聞きしまして感じました。

 ただ、業務削減というのは本当に喫緊の課題ですので、それを確実にやるということは非常に大切なことだと思います。

 以上です。

白須賀委員 ありがとうございます。

 今現在、岐阜市ができているじゃないかという話ですが、この岐阜市の取組は、やはり早川教育長が物すごく英断をされたところがございます。だからこそ、このいいシステムを日本全国に広めていきたい。そのための条例づくりのための法的根拠として、今回の法案というのを私は考えておりまして、だからこそ、今回の法案はあくまで一里塚で、その一里塚によって、また問題点が恐らく出てきたり、いいところと悪いところが出てきたり、先ほど嶋崎参考人がおっしゃったように、悪用される方も出てくるとかいう可能性もゼロじゃないので、そういった意味で、一つ一つ問題点はまた見つけて改善をしていく。いきなりパーフェクトな法案というのは恐らくなかなかできないと思いますから、だからこそ一個一個改善をしていく。その改善こそが人間の英知だと思っておりますので、これからも御意見のほどをいただけたらありがたいと思います。

 私の質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

橘委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立国社、共同会派、社民党の吉川元です。

 本日は、四人の参考人の皆さん、大変お忙しい中にもかかわらず、貴重な御意見を御開陳いただきまして、まことにありがとうございます。私からも四人の参考人に御質問を少しさせていただければというふうに思います。

 まず、早川参考人にお聞きをしたいというふうに思います。

 今回、岐阜市の取組というものは非常に先進的であって、また、文科省も我々に、非常に先進的な取組なんだということで、御紹介を何度もいただいたところであります。

 実は、夏休みのまとめどり、これ自体、非常にすばらしいことだというふうに思いますが、今の現場の実態というのは、なかなかそうなっていないのが現状なんじゃないか。

 例えば、文科省を含め、いろいろなところで勤務時間の調査を行いますと、長期休業期間中でも、いわゆる超勤が現在実際に存在をしている。これは、小学校、中学校、高校、それぞれ学校の特色がありますから、例えば、小学校の場合、プール当番でありますとか、あるいは中学校であれば部活、あるいは高校であれば進学指導、そういう面で、いろいろな違いはあると思うんですけれども、実態としてはやはり、夏休みですら超勤が発生をしている。

 その中で、十六日間の閉庁ということでありますから、当然、夏休みの間の業務、これをどう縮減していくのか。例えば高校生で、今の高校の進学校であれば、夏休みの最初の一週間と最後の一週間は授業で、その次の一週間と一週間は補習で、こういうふうにもう既に組み込まれている。これをどう改善していくのかというのは大きな課題だというふうに思うのですが、この点、岐阜市はどのように取り組まれたんでしょうか。

早川参考人 御質問ありがとうございます。

 先生御指摘のように、夏休みにまとめどりしなければいけないにもかかわらず、その辺がとれていない先生方もいることはいました、今までは。それは、一番大きな理由は、学校の先生は、教員になってから、タイムマネジメントという概念が非常に弱くて、その必要性がなかったというか、とにかく子供たちのために全力を尽くしてやるということであるのが、その背景はいろいろもちろん皆さん御想像なさるとも思いますが、給与体系がそうなっているとか、それから、子供たちのためにとかいうこともございますので、自分の生活と仕事との境目が非常に低い、二十四時間子供のことを考えている、そうした生活ぶりがとうといとされてきた現場でもあったのは間違いないと思います。

 ですから、今、働き方改革の中で、タイムマネジメントができるということは、非常に大きな概念として現場に定着しつつあるというのは重要なことだと思いますし、同時に、そのためには、どうしても組織改編とか制度を変えていかなければならないということがあるわけでして、そのために幾つか、現場は知恵を絞っている段階の中で、夏休みのまとめどりということ、夏休みの十六連休を私ども考えてきたわけです。

 そうした中で、従来あったものをどこにどういうふうに整理するかという問題でございますが、高等学校の場合は、そうした補習があると思いますが、主に、やはり、小中学校の先生の場合は、研修でその期間を今まで使っていたということでございます。

 ところが、研修はもちろん必要なわけですが、研修をその期間に持たなくても、もっと夏休みの前後に割り振ったりすることによって、教育の質の維持はできるんだというところに、きちんと整理整頓した上での十六連休ですので、教育の質を低下させることによっての十六連休というのは、やはりあり得ないことだと思っております。

 昨年度は、その整理整頓が、まだちょっとしわ寄せがあったんですが、ことしはもう確実に最初からやるということでしたので、平常の勤務日に設けたり、この研修とこの研修は一緒にできるよねというようなことで整理整頓をすることによって、その期間を生み出すことができたということでございますので、やはり、ここは、市町村教育委員会、都道府県教育委員会が努力すべき重要なことだというふうに思っております。

吉川(元)委員 ありがとうございます。

 次に、工藤参考人にお聞きをしたいと思います。

 先ほど工藤参考人が、まさに、岐阜市でできるのであれば、年間を通じた変形労働時間を入れなくても、長期の休みをとることはできるんじゃないか。私も同じような感想を持っておりますし、全国の教育委員会が、ぜひ、岐阜市の教育委員会をしっかり学んでやっていければいいんじゃないかなというふうには思います。

 そこで、少し伺いたいんですが、事前にいただいた資料等々も見させていただきますと、やはり、人間というのは、一週間二十四時間ぶっ続けで働いて、残りの一週間寝たら生きていけるかというと、そういうわけではなくて、一日の、八時間労働し、八時間休養し、八時間家族とあるいは自分を高めるために自分の趣味の時間を持つというのが、これがやはり一番人間的な働き方だろうというふうに私自身は思います。現状は今、残念ながら、特に教員の現場においてはそうなっていない。

 そういうことでいいますと、確かに、まとめどりができるということはいいことだと思うんですけれども、それが逆に、例えば、学校があいている、生徒が来ているときにしわ寄せになってしまっては、これは非常に本末転倒なんだろうというふうに思います。

 そういう意味でいいますと、過労死が多発をする時期というのが当然あろうかと思いますけれども、この点と先ほどの年間を通じた変形労働時間との関係について、どのようにお感じになっていらっしゃいますでしょうか。

工藤参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、休日のまとめどりが体力を回復できないというお話でございますけれども、例えば、寝不足の後に寝だめをしてしまう、それがかえって逆効果だ、そういう統計もございます。一日の人間のリズムというのは二十四時間決まっておりまして、それが崩れることによってどんどん疲労が蓄積されてしまう、そういう統計もあり、また、十六時間起き続けていますと、アルコールを摂取して運転して捕まってしまうのと同じような精神状態になってしまうという統計もございます。

 もし導入をするとしたら、インターバルというのも非常に大切な、インターバル制、それがEUでは、十一時間とるということも効果が出ているという統計もございますので、そういうこともしっかりと見据えて、繁忙期であってもきちんとその時間がとれるという確信がなければ、この導入は大変、人間の体の蓄積、過労死等につながってしまう制度だと思っております。

 もう一つの御質問ですけれども、私は過労死等に多く接しておりまして、統計をしましたところ、やはり先ほど申し上げましたように、五月、六月、それから十二月、一月というのが非常に多いです。それは、五月、六月、十二月というのは一番行事が多い時期、それから四月に新学期等が始まりまして、環境の変化もあって、そこについていけない上に行事が多いということで、そこの疲労がとれずに他界してしまう、また精神を病んでしまうという例が非常に多いです。

 また、一月はなぜかということをいろいろと考えて、お話も聞いたんですけれども、やはり冬休みもとれないような業務の量。では、冬休みに休みをとればいいんじゃないかという話もありますけれども、二学期というのは非常に忙しくて長い時期です。その中で、また十月に勤務時間が長くなったとしたら、それをそこでまとめてとって、一月に、では、元気に復帰できるのかといえば、そうではないというふうに私は考えております。

 以上でございます。

吉川(元)委員 ありがとうございます。

 次に、郡司参考人にお聞きをしたいというふうに思います。

 私も、やはり教員の、学校の多忙化を解消していくためには、抜本的な改善策としては、やはり定数の大幅な改善、これなくして教員の働き方改革というのは本質的に改まっていかないのではないか、そういうふうにも感じておりますし、また、業務の削減というのも必要だろうと思います。私も、この間、文部科学委員会で、ずっと教員の定数改善について何度も繰り返し質問をしてまいりました。最近の定数改善の状況についてどのようにお感じになっていらっしゃるのか。

 それから、あともう一点は、小学校で英語が教科化をされ、また、三年生、四年生も外国語の活動ということで、これがこま数の増につながっていくのではないかというような危惧も持っておりますので、定数改善とそれから授業数、この点についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、教えていただければと思います。

郡司参考人 ありがとうございます。

 まず、定数改善のことについてなんですけれども、もちろん、多い方がいいに、これはこしたことはないんですけれども、例えば、近年でいいますと、毎年千数百人ということで、基礎定数、加配定数を含めて増加していただいているという現状で、とてもありがたく思っております。

 先ほども申しましたように、もちろん、もっと多ければ多いにこしたことはないんですけれども、国としての限られた財政の中では精いっぱい頑張ってくれているのかなというふうに思っております。

 ただ、学校数でいいますと、小中学校で三万校ございます。三万校の中で千何百人という数ですから、それはなかなか、実質的に全ての教員が現場で実感できるかと言われると、なかなかそれは難しいのかなと思う一方で、ただ、今のトレンドのままというか、もうちょっと前の、働き方改革なんて叫ばれる前のトレンドのままであるならば、何人配置されたとしても多分次の年には、入った年には、ああ、来てくれてありがとうなんていうことで、少し楽になったよねなんていうことになるかもしれないんですけれども、恐らく二年、三年とするうちに、またまた業務がたまっていって同じような状況になってしまうのかなと。やはり、定数改善も大切ですが、業務改善を強力に推し進めていかないと、結局、幾らふやしても足りないということにもなってしまいかねないのかなというふうに思っております。

 それから、二つ目のこま数のことに関してですけれども、英語の導入によってこま数がふえるということについては我々も当初から懸念しておりまして、それについては文部科学省等の方にも要望いたしまして、例えばこま数を少しでも実質的に学校で減らすような工夫ができるもの、例えば、総合的な学習についてのことであったりとか、あるいは英語専科についての加配を要望して、今年度も千人要望してくれているということで、もしそれが通れば合計三千人の加配ということになると思うんですけれども、そういうことで努力していただいているところで、我々も業務改善で更に力を合わせて現状をよくしていこうというふうに考えております。

 以上です。

吉川(元)委員 ありがとうございます。

 それでは、次に嶋崎参考人にお尋ねしたいと思います。

 先ほども少しお話しいただいたんですけれども、今回、年間を通じた変形労働時間制の導入ということで、問題点を御指摘いただいたというふうに思います。

 私も、非常に同じ感情を持つわけですが、民間において変形労働時間制を入れる場合に、労使協定、これはマスト、当然マストであるわけです。公務員の場合は、例えば給与に関していいますと、民間との均衡ということで、民間の賃金水準を参考にしながら、例えば国であれば人事院、地方であれば人事委員会が精緻に調査を行い、それとの均衡に基づいて賃金を決定していく、こういう仕組みになっているはずだというふうに思います。

 一方で、変形労働時間制というものは、先ほど嶋崎参考人が指摘されたとおり、労働時間の規制緩和、これはまさに働く人たちの命や健康を脅かしかねないものであるということに基づいて、労使の間での協定、これがマストであるというふうに労基法の世界ではなっているんだろうと思います。

 としますと、変形労働時間制、これを民間ではもちろん、先ほど、残業代を見かけ上なくすために、見かけ上といいますか、なくすために使われている、悪用されている面もありますが、あくまでそこは労使協定というものが当然ついているがゆえにぎりぎり許される範囲として設定をされているのではないか。つまり、民間でやっているから公務もできるんだということでは私はないと思うんです。その場合には、労使協定は必ずついていなければいけないというふうに私自身も感じます。

 今回の法改正の案を見ますと、これを全て条例に読みかえる、こういう話になっているわけでして、これは大きな問題があるのではないかというふうに私自身も感じております。この点についてもう少し詳しくお話をいただければと思います。

嶋崎参考人 御質問ありがとうございます。

 今御質問いただきました労使協定、極めて重要であります。この変形労働時間制、ただ導入するといっても、実際現場で、今、労基法の規定では、誰に、いつ、どの期間、どれぐらいの時間、細かく詳細に労使協定を、労使で、現場の実態を知っている。なかなか、御質問にもあったとおり、労使協定自体もうまく機能していないので、悪用もされているけれども、それでも、制度のたてつけ上は、きちんと労働者の意見が反映するのであるから、理想をきちんと目指せば、現場の声を無視したような協定は結ばれない。育児や介護の必要があるから、今、十時間所定労働にされたら生活が成り立たないということが、労働者代表を通じて防げるような制度設計、これがこの一年にもわたる長期の弾力化を許す最後の歯どめで、これがマストと御質問いただきましたが、必要的に入っております。

 ここがないままというのは本当に問題ですし、どうやったら、じゃ、現場の声を反映するのか。校長先生が現場の声を反映してくれという立法事実が今出てきているんでしょうか。校長先生のもとで、一生懸命、子供のために頑張っているけれども、現場の先生たちが長時間労働にあえいでいる声が、私も呼びかけ人になった、工藤参考人からお話があった署名では、多数上がっていらっしゃる。そこで、せめて、労働者側の代表の意見がないまま入れてしまうというのは極めて問題だというふうに思います。

 以上です。

吉川(元)委員 もう一点、嶋崎参考人にお聞きをしたいと思います。

 今回の法案のスキームといいますか、たてつけを見ますと、いわゆる条例主義ということで、先ほども言いましたが、条例に委任をしてしまうという形なんですが、ただ、この条例についても、県で、政令市は別ですけれども、通常、県で条例をつくるという形になってしまいます。

 そうしますと、今まさに参考人がおっしゃったとおり、個別の教員の実情とは関係なく、県という単位、県には当然その下に公立の小学校、中学校、高校が存在するわけですから、これが一律に県の条例によって委任されて、その条例で決定をされるというのは、これも大きな問題だというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

嶋崎参考人 前提として、条例に委任せざるを得ないのは、勤務条件を条例で決めるのが原則ですので、地公法の規定から。そこはやむを得ないとはいえ、まさに、御指摘があったとおり、現場の各学校ごと、各職場ごと、場合によっては各教科ごとの先生の皆さんの、各個人のそれぞれの事情がどうやってこれは反映できるんだろう。そこの学校の中での実情が、条例で、県単位で、到底反映ができない。しかし、その代替手段が、何か、校長先生に委ねる、教育委員会に委ねる、これでは現場の先生たちの不安はもっともであろうと私は思います。

吉川(元)委員 ありがとうございます。

 次に、工藤参考人にもう一度お聞きしたいというふうに思います。

 工藤参考人、過労死の問題に取り組んでいただいて、全国の教員の皆さんからの声をいろいろ聞いていらっしゃるというふうに思います。

 今、聞くところでは、年間を通じた変形労働時間のみならず、学校に対して、いわゆる在校等時間の縮減というものが、非常に、要は縮減をしろという指示が、県の教育委員会等々から各学校現場の校長先生を通じて入ってきていると。ところが、実態としては、先ほど時短ハラスメントというお話がありましたけれども、現実に業務量が目の前に残ったまま時間短縮だけが強く言われると、かえって問題が発生をしてしまうのではないかと感じますけれども、この点、いかがお考えでしょうか。

工藤参考人 御質問ありがとうございます。

 今おっしゃったとおりなんですけれども、全部の学校がそうだというふうに私は思っておりませんけれども、私がいろいろなところに回っていろいろな相談を聞く中で、例えば、何時になったからみんな一回タイムカードを押してとか、そういうふうな問題が多く起こっているということを実感で感じております。それを押してからまた仕事を始めて、そこからは無制限で、今までと同じという現象が起こっているのが現状かと思っております。

 全ての学校がということではないですけれども、そういう学校長のもとで新しい制度が始まるということは、私にとってはすごく危険なことだというふうに感じております。

 以上です。

吉川(元)委員 ありがとうございました。

橘委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子でございます。

 本日は、早川参考人、工藤参考人、郡司参考人、嶋崎参考人におかれましては、本当にお忙しい中、貴重なお時間をいただき、心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。大変にありがとうございます。

 私の方からは、まず、早川参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 平日十日を含む十六日連続の学校閉庁日を設けるために、教育長として、会議、そして部活動、研修等の業務をどう精選、そして時期変更に取り組み、成果を上げたのか、御苦労した点はどこかということをお聞かせ願いたい。

 また、今回の法改正におきまして、一時間単位で勤務時間を積み上げ、五日程度の休日のまとめどりを夏休みに確保できるようになりますと、岐阜市のような十六日間連続の学校閉庁日に取り組む自治体がふえるのではないかと思います。その点と、また、岐阜市において、十日の平日を休める教師が一〇〇%近くなるといった効果があるのではないかと私は思うんですけれども、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

早川参考人 まず、これを導入するに当たって苦労した点でございますが、十六連休することについて、教員はみんな大賛成でございますし、学校に近い運営協議会とか、それからPTAとかも、よく御理解いただいておりますので、そのあたりについては、大変な制度を導入したという評価をしていただいてございますが、実際にはそんなに苦労はなかったんです。皆さん、大変高い理解を示していただきまして、それはいいことだ、我々にもできることはあるからお手伝いするというのがあって、それはやはり、背景としては、コミュニティースクールという存在が非常に大きかったということは欠かせないことだというふうに思っております。

 あとは、特に、そうした中で反対の意見を伺うのが比較的多かったのは部活動でした。中体連が終わった後に新チームができるので、なるべく早く新チームでやりたいという子供の意識とか、それから、親御さんも新しいチームでということもございましたし、全国大会へ行くお子さんたちについては、引き続き、そういうことなので練習するなとは言えませんので、それはやっていただきましたが、新チームへの移行をどうスムーズにやるかということについては、実際、我々調査したところによると、お盆明けにほとんどの保護者会が立ち上がって、保護者会長が決まっていくということでしたので、実質的に、閉庁期間というのは保護者会は立ち上がっていないので、大丈夫だというふうに見たわけです。そうした中でも、子供たちの中には、最初、もう先輩のチームがいなくなったので、次は自分たちだというので、そこの意気込みを、早くやりたかったという、そこのところは、御理解いただくのに、苦労はいたしませんでしたが、そういう御意見は多少いただきました。

 それから、一時間単位で、変形労働時間制の場合、導入できるということで、使い勝手がいいのではないかということは、それは私もそう思います。特に、先ほど来御指摘があるように、正規教員については年休も積み重ねてありますし、いいんですが、本当に、臨時的任用職員の休みをとることについては特段の配慮が必要であったということでございます。

 そうした場合に、年休を無理やり使ってくださいというわけにもいかないし、そもそも不足している人がいるわけですので、そこでの配慮は、今、どこの市町村でも欠員というのはたくさん持っておりますので、私どもで二百人程度いますから、決して少ない数じゃないわけで、その方々に対する配慮という点では、変形労働時間制は有効に働くのではないかと期待しております。

 今後多くの自治体でこれが導入されることは多くの先生にとって非常にいいことになるんだということは思いますが、そのためには、やはり社会の理解というのがどうしても欠かせないことでございますので、学校の先生が楽してやっているんだということではなくて、ぜひ、それが有効に、皆さんに理解していただけるように、各自治体もそうですし、国挙げてそうした機運が盛り上がることを期待しております。

浮島委員 ありがとうございます。

 次に、郡司参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在の上限のガイドラインが法的な根拠のある指針となりますと、各自治体や学校において、この月四十五時間、そして年三百六十時間という上限目標を目指して働き方改革を進めようという意識改革が確実に進むと思いますけれども、郡司参考人はどうお考えかという御見解をお伺いさせていただきたいのと、あと、五日程度のまとめどりが夏休みにおける部活動や大会、そして研修などの業務を精選するための起爆剤になると先ほど御指摘がありましたけれども、私は、これは大いに賛同させていただきたいと思います。実際に、夏休み期間中の業務の精選に当たりましては、文科省、そして教育委員会、学校、それぞれにどんな取組が必要なのかということをお伺いをさせていただきたいと思います。

 また、三点目には、小学校の採用試験の倍率が低下をしている中で、先ほどお話にありましたけれども、夏休みに十六日間連続して学校閉庁日があることは、ほかの仕事にはない大きな魅力になると思いますけれども、現場の小学校の教師だった郡司委員長のお考えをお聞かせいただきたいということと同時に、四点目は、工藤参考人と郡司参考人、両方にお伺いをさせていただきたいんですけれども、先ほど郡司参考人の方からも、現場に周知することが大切であるというお話もありました。今、早川参考人の方からも、社会の理解というお話がございましたけれども、文科省の考えていることがなかなか教育委員会や現場にしっかりと伝わっていないという指摘もございます。この点、双方の意思疎通を図っていくためにどんなことが必要であるかということをお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いいたします。

郡司参考人 御質問ありがとうございます。

 まず最初に、指針に格上げされたときにどうかということなんですけれども、先ほど早川参考人もおっしゃられたように、現場の教員というのはこれまでタイムマネジメントという意識が本当にありませんでした。一生懸命やればやるだけ、それが熱心な教師と評価され、それが保護者の信頼にもつながり、子供たちからのフィードバックも得られということで、いわば勤務時間に関して言うと、負のスパイラルに陥っていたと言えるのかなと思います。

 そこを明確に、四十五時間、三百六十時間ということで区切っていただける。これを超えたらもうアウトだよと。もちろん、ここまでやれということでもないし、そこの線を一本引いていただけたということについては、我々もまだタイムマネジメントについてなかなかふなれな部分というのもあるかもしれないんですけれども、一つの目安として考えられるのかなというふうに思っております。

 それから、まとめどりについてでございます。文部科学省、教育委員会、学校がということなんですけれども、今、本当に、我々がこういう勤務状況で厳しいという状況になっていることについて、誰のせいですかと。こういう場ですから、ラジカルにあえて言わせていただくと、それは、文部科学省のせいであり、教育委員会のせいであり、学校のせい、三者のせいであるというふうに思っております。なので、やはり、それぞれがそれぞれの責任をしっかりと果たしていくということなのかなというふうに思っております。

 例えば、それを、我々は学校の教員なので学校の教員ということでいえば、こんなことがございます。例えば、学級通信なんというのを毎日出していたりする教師もございます。これは、最初は子供たちとのつながりを得たいなんということで始まっているものなんですけれども、それが周りからは熱心な教師であると評価がされる。そうすると、その後、保護者との関係もうまく保ちやすくなる。それに追従する教師がたくさん出てくる。そうすると、だんだん多くの教師がそれをやるようになる。そうすると、やらない先生が追い込まれていく。その間に、学校としての方針の中に、学級通信は少なくとも週に一回出しましょうなんということがはめ込まれてくる。

 このようなことが、学級経営、学年経営、学校経営の中で、至るところで見られております。よかれと思って始めたことなんですけれども、結局、結果として自分の首を絞めていってしまうというようなことがたくさんあります。学校としては、我々教員としては、そういうことを思い切って見直していくということをやっていかなければならないのかなと。そうなったときに、教育委員会あるいは文部科学省は、それこそ、そこで起きる地域、保護者との摩擦というものを、まさに前面に立って支援していただきたいなというふうに考えています。

 それから、閉庁日についてですけれども、先ほども申し上げましたように、さまざまその期間をその教師が、私は、教師という人間は、しっかり子供たちのために本当に一生懸命やっている人が大多数だと思います、そういう人たちがリフレッシュする期間や自分の研修に充てる時間を持てれば、それは必ず子供たちにフィードバックできるものだというふうに考えております。

 それから、周知についてですが、例えばこの法案が、何となくこんなのが出るよと周りに知れ渡ったときに、例えば夜六時から職員会議が始まるんじゃないかとか、何かそんなふうに言われたりすることもありまして、この制度自体、その中身、さまざまな歯どめがかかっておりますが、そういうものについて知らないという教員がたくさんおります。だから、そういうものを我々としてしっかり説明すると、ああ、そういうことなんだ、それだったらば全然大丈夫だねという声がほとんどでございますので、ぜひそういう周知をこれからさまざまな場を捉えて行っていただければというふうに思っております。

 以上でございます。

工藤参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、周知に対してなんですけれども、私も、現場を回ったり、現場にいたときの肌感覚といたしまして、例えば、教育委員会の方が学校にいらして校長とお茶を飲んで帰っていったとか話を聞いてくれないというような、そういう意見を結構多く聞きます。また、私も、ああ、またこれが、去年はこう言っていたのに、ことしはこう違うというような、また変えなきゃいけないんだというような、そんな実感もございました。

 そこに何が足りないかというと、やはり信頼関係ですとか、もっともっと現場におりてきて、文科省から、教育委員会から現場の教師、このつながりがどこかでとまっているのではないかというふうに感じております。そうではなくて、文科省の方が学校現場におりてくるというところまでやっていただかないと、なかなか、敵味方というふうなことを教育の中ではやってはいけないと思いますけれども、現状、今、敵味方という関係になってしまっているというのが大変私は残念だと思います。

 なので、もっともっと寄り添って、敵味方ではなく、同じ目標のもとという体制をぜひ上からもつくっていただきたいというふうに思っておりますし、現場もそういう聞く耳を持たなくてはいけないというふうに思っております。

 以上でございます。

浮島委員 ありがとうございます。

 今、郡司参考人そして工藤参考人の方から、三者の責任ということで、信頼関係、学校の現場と寄り添うというお話がございました。先ほど早川参考人にお伺いしたときには、苦労は何もなかった、皆さん理解していただいたということだったんですけれども、この三者の取組について何か御助言があればお願いいたしたいと思います。

早川参考人 この問題に関しましては、それぞれの立場でそれぞれがアイデアを凝らしてやっていかなければならない問題であるわけで、教職員定数の増を待っていては現場は疲弊してしまいますので、やれることはとにかくやらなければいけないということを思っております。

 私ども、今、どこの市町村教育委員会の教育長も、これだけ少子化の中で教育のありようというのが注目される状況下にあって、国や県がお考えになることはそれはそれとして、いかに自分のところが自分の市町村の教育に対して責任を持ってやっていけるかという気概は恐らく持っていると思うんです。

 ですから、自分のところがルールをつくって、それを広めていくぐらいの気持ちになって義務教育や市の教育施策は考えていく人が多い、そうするべきだということも思っております。ですから、自分のところでルールをつくる側になり、そして、そのルールがもしよければ広まっていくでしょうし、広まらなかったら、それはそれなりの理由があるんだろうということを思っておりますので、そうした気持ちを持って取り組んでいくということを、それをよく国が吸い上げていただいて広めていただき、また、我々としてもほかの先進的な市町村のやっていることを学んでいきたいという感じで行政はしております。

浮島委員 ありがとうございました。

 この給特法につきましては、私もまだ課題があると認識をしているところでもございます。三年後の勤務実態調査を踏まえてしっかりと見直す必要がある、また、していかなければならないと思っておりますけれども、この見直しの方向性について、早川参考人、工藤参考人、そして郡司参考人の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

早川参考人 給特法の制度設計が、もう既にかなり時間がたっているもので、現状にそぐわないということは、それはそのとおりでございます。しかし、かといって、では現状にそぐうように給特法を改正した場合どうなのかということも私ども承知しております。

 ですから、一番は教職員定数の問題だと思いますが、学級規模を減らすということについては、もう現場はそんなにニーズはないというふうに私ども思っております。むしろ、必要なのは、一番現場が必要だと、義務教育に関して言うならば、せめて週の持ち時間数が高校並みに、先生たち一人一人の持ち時間数をしていただきたいということです。そのための定数と、一番本当に助かるというのは、きょう子供が病気になったから、そのケアをしなきゃいけないから学校を休まなきゃいけないときに、ほかの先生に迷惑をかけちゃうよねという、その定数があると、私は現場は大変助かるというふうに思っております。

 あとは、もし給特法そのものをいじることが無理だとするならば、学級担任手当みたいなものを創設していただければ元気になるかなと思いますが、やはり本来、抜本的な見直しを期待したいとは思っております。

工藤参考人 御質問ありがとうございます。

 給特法の見直しにつきましては、私は詳しくは、専門家ではございませんので、私の経験からお話をさせていただきますと、きょうの資料にもありますけれども、夫が過労死をいたしまして、私たちが証明した時間外労働時間と認定された時間外労働時間について、六カ月で三百二十八時間十五分認められなかったという経緯がございました。

 これは、給特法によって残業代が支払われないなどの労務管理不足が原因だと思いますし、また、自主的、自発的な仕事という部分が多くて、これだけの労働が認められないということは、亡くなった本人にとっても非常に悔しいことだと思います。この労務管理をまずしっかりするということが、私は一丁目一番地というふうに感じております。

 以上でございます。

郡司参考人 ありがとうございます。

 給特法によって、我々、教職調整額ということで四%いただいているということでございますが、その給特法による教職調整額四%を含む人材確保法というものが根底にありまして、その人材確保法においては、教員にすぐれた人材を確保し、もって義務教育の水準の維持向上を図るという目的のためのものであるというふうに承知しております。我々教師が我が国の将来を担う子供たちの教育という極めて重要な職にあるのだという、まさに人確法というのはプライドに当たる部分であって、そこに含まれる教職調整額というものを我々はありがたく思っているところでございます。

 ただ、その実際的な数字等々につきましては、三年後に行われる教員勤務実態調査等をもとに、四という数字が適切なのかどうかというところで判断していただくのがいいのかな、それに向けて我々としても業務改善なりそういうものをしっかりとやっていく、そういうことなのかなというふうに思っております。

 以上です。

浮島委員 ありがとうございました。

 この法案は、終着駅ではなくて始発駅、第一歩だと私は思っております。これからも、現場の皆様のお声をいただきながら、教員の働き方改革、全力を尽くしてまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

橘委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 笠でございます。

 早川参考人、工藤参考人、郡司参考人、嶋崎参考人、本当にきょうはありがとうございます。

 今もいろいろと質疑があったわけですけれども、まず、私も早川参考人に伺いたいんです。

 ちょうど二〇〇四年にコミュニティースクール制度が導入されて十五年、私もコミュニティースクールには相当力を入れてきたんですが、まさにこのコミュニティースクール制度があったから地域の方々の理解と協力が得られたということで、それはやはり岐阜市が全ての学校をコミュニティースクール化しているという基盤があって、今回の十六日間連続の学校閉庁についてということをそう苦労なく、いろいろ御苦労が本当はあったと思うんですよ、ただ、おおむね理解を得ながらやられたということで、やはりこの制度を、今回の法案ということとはちょっと別にしても、きちっと全国に広げていくために、そのコミュニティースクール化というものも並行して進めていくメリットというか、その必要性ということについて少しお話をいただきたいと思います。

早川参考人 御指摘のように、コミュニティースクールの存在が非常に大きかったということは、導入するときにはほとんど考えておりませんでしたが、運営協議会で説明したりするときには、大変応援をしていただきました。

 コミュニティースクールを導入するときに、何か新しい仕事がふえたりイベントがふえたりというように地域は誤解することが多いわけですが、私としては、地域を教育の場として、地域の教育者として皆さん自覚をしていただくということで、そうした視点を持っていただくということが大変大事だということで、入り口のハードルは非常に低く設定して、学校に運営協議会をつくってくださいねということから始めたわけでございます。

 例えば、一つの大きな、大きなというか、変化としては、例えばラジオ体操を、朝、夏休み、やっているときに、コミュニティースクール以前は、何だ、中学生、あんなやり方で、あんなのは来ない方がいいとか、学校でどういう指導をしているんだというような、地域の方からお叱りをよく受けていたわけですが、コミュニティースクールになってからは、もうそれは俺たちが指導するべきものだろうということで、大変うまくいくようになりました。

 そのように、今の防災の拠点の問題もありますし、そうしたことで、地域の学校である、そして、少子化の中で、開かれた学校ですとか、多くの、社会とつながりを持っていくということでは、学校だけではロールモデルとしてはやはり不足していると思うんです。今、兄弟が少ない中、親戚が少ない中、適切なロールモデルをなかなかつくることができないということからも、地域の人たちが身近なロールモデルとなる可能性はありますし、地域の方々の生きがいにつながることもありますので、コミュニティースクールはぜひぜひ広く展開されることを私も主張していきたいということを思っております。

笠委員 やはり我々、文部科学行政に携わる、あるいは国会の委員会においても、教職員定数を本当に大幅に改善したいという思いはみんな、これは党派を超えて同じだと思うんですね。

 ただ、しかし、現実的にはこれが非常に難しい中で、やはり先生方の今の忙しさというものをどういうふうに解消していくのかということで、今回の、その一歩というか、いろいろな懸念もあろうかと思いますけれども、そういったところでの今回の改正だと思うんです。

 工藤参考人と郡司参考人と嶋崎参考人にお伺いしたいんですが、この法案がなくても、確かに岐阜のように、しっかりと教育長なり首長さんが本当に前向きに取り組んでいけば、夏季を活用した十六日間連続の学校閉庁等々のこういう取組が実際実現しているんですね。こういう取組についての評価というもの、必要性というものについてどのようにお感じなのかということをそれぞれお伺いしたいと思います。

工藤参考人 御質問ありがとうございます。

 取組に関しては、私も評価をしております。

 やはり、今資料を見せていただきましたけれども、海外旅行に行けるとか、二十代の支持が多いとか、そういうことは非常に大切なことだと思っておりますし、まとめどり、一カ所にここでまとめてとるということがいいのか悪いかは別としましても、でも、夏休みにまとめてとれるということは非常に魅力的だと思っております。

 以上でございます。

郡司参考人 ありがとうございます。

 岐阜市の取組についてですけれども、十六日間のまとめどりができるというのは非常に評価できることだと思います。

 ただ、そこの部分については私も承知しているんですけれども、それ以外の部分について、それ以外というのは、年間の、それ以外の部分との整合性という部分については、私、詳しく存じ上げないのでなかなか、だからといって手放しでいいとか悪いとかという、全て論評できる立場にないのであれですけれども、とりあえず、十六日間とれるという、そこだけについていえば、すばらしいなというふうに思っております。

 以上です。

嶋崎参考人 岐阜市の取組ですけれども、すばらしい取組だなというのが私の評価でございます。もちろん、詳しい教員の皆さんの実態の部分、私、把握ができませんけれども、しっかりと現行法上もこのような取組がなされているまとめどりは、教員の長時間労働の問題全てを解決するわけではないけれども大きな起爆剤になるというのは、まさにそのとおりであろうと思います。

 ただ、これを、変形労働時間制を入れることが、果たしてこの岐阜市のような取組が進むことになるかについては、大いなる疑問がございます。

 変形労働時間制は、まとめどりすることが主たる効果ではなく、平日の部分の所定労働時間をふやすかわりにまとめどりさせる部分です。その部分がどのように手当てをされるのか。端的に、例えば条例で、岐阜市のような制度を各市で条例をつくる、そのような条例を促す規定を、法律、どこの法律がいいのかはいろいろあるかもしれませんが、単純に職務免除をし、給料を支払う。五日なのか、岐阜市のようにこれだけ、十六日間までできるのかはさておき、そこを立法でダイレクトにしていただくことで何ら問題はないというのが私の法技術的な観点の理解でございます。

笠委員 今、郡司参考人から話があった点、私、大事なポイントだと思うんです。

 早川参考人にお伺いしたいんですけれども、確かに、この十六日間の学校閉庁についての評価というのはここで出ているんですが、まだ今、昨年、平成三十年そして令和元年ということなんですが、例えば、平成三十年の一年間を通じて、勤務実態が一年通じて改善されたりとか、あるいは、この十六日間連続の学校閉庁という制度を導入したことによって、ほかの忙しい時期、先生方の実態というのがどういうふうになっているのか、おわかりになる範囲で教えていただければと思います。

早川参考人 詳しいデータは、その辺、とっておりませんが、恐らく、十六連休あったからふだんの仕事が楽になったり大変になったりという影響はほとんどないものだというふうに考えております。

笠委員 できれば、教職員の皆さん方の通常の忙しさというものをどうやって解消していくのか、それはもう業務環境を改善していったり、国としての課題も多々あろうかと思いますけれども、それと同時に、こういう連続した休暇がとれることによって、みずからの精神的な、いろいろなリフレッシュであったり、あるいは、それぞれスキルアップにつなげていく、そういったいろいろな効果が、相乗効果があって初めてこの環境というものが改善されていくことにつながるのではないかというふうに思っております。

 それで、郡司参考人にお伺いをしたいんですけれども、先ほど、今回、この制度が新たに、もしこの法案が成立したときに、今後の課題として、やはり管理職のマネジメントが非常に重要になってくるんじゃないかというような御指摘があったわけですけれども、その点、少し具体的にお聞かせをいただければと思います。

郡司参考人 ありがとうございます。

 管理職のマネジメントというのは、この法案が成立する、あるいはしないにかかわらず、昨今の学校においては非常に重要なものだというふうに認識しております。

 さらに、変形労働時間制が導入されることによって、一年間の中でどこでそれを使うのか、あるいは、使う人、選択する人としない人というのが出てくるかもしれない、あるいは、本校自体は使うのか使わないかという選択も出てくるかもしれないという中において、校長がしっかりと学校現場を見据えて、あるいは、自分のやりたい、つくりたい学校のビジョンと整合させて、どうやっていくのかということについては、校長のマネジメント、管理職のマネジメントというのは非常に大きいのかなというふうに考えております。

 以上です。

笠委員 このマネジメントとも関連していくわけですけれども、やはり忙しい時期とか、夏休みは比較的、学校が休みのときは、その時期に比べれば暇ではないかと。しかし、部活動があったりとか、やはり、教職員の皆さん方の勤務実態というのは非常に把握が難しいということが一番基本的な問題としてあろうかと思います。

 やはり、今後、この勤務実態を正確に、本当に把握をしていく、そのために何が必要なのかということは、きちっと私どもも議論していかなければならないと思うんですが、それぞれの参考人の皆様方に、そのために必要なこと、あるいは課題というものを、もしございましたらお一人ずつお伺いをしたいと思います。

早川参考人 詳細な仕事の中身の把握と時間数というのは必要だと思います。しかし、それをやることによってかえって現場が忙しくなるという現状も片方にあるわけでございますので、どこか抽出的にそういうことをやっていただきまして、そこで、取り組むべき、我々が気がついて、課題というのはたくさんあると思います、恐らく。

 学校というのは、職員室がここにあって、授業はうんと遠いところまで行って、その動線なんというのは無駄なことが多いですし、調査によれば、実際に子供を指導している時間というのは学校の勤務時間の一部でしかないというような調査もございますので、そのあたりのデータをもとにした改善というのは今後待たれると思いますが、それを悉皆でやるとかということになると、やはり現場はかなり抵抗がありますが、いずれにしてもそうした取組は必要だというふうに思っております。

工藤参考人 御質問ありがとうございます。

 勤務実態の把握につきましては、今まで判こしかなかったものが、ICTなどの導入によって把握されるということは非常にいいことだと思います。

 ただ、先ほども申し上げましたように、時短ハラスメントというものが起きている現状がございますので、上限規制ができまして、ここまで短期間にやらなくてはいけないというようなことで、押すことのないような、先ほど管理職のマネジメントのお話もございましたけれども、そういうことも含めてやっていかないと、きちんとした勤務実態が把握できないかと思っております。

 以上でございます。

郡司参考人 勤務実態の把握を正確に行うための課題ということなんですけれども、勤務実態を正確に把握しようと思うかどうかというところで、つまり目的ですね、働き方改革、業務改善をしっかりしないと学校の持続可能性がないんだという危機感のもと、だから勤務実態をしっかり把握しようということになると思うんですね。

 そうなったときには、やはり管理職も含めた意識改革、そしてそれを、管理職も一般教員もあるいは教育委員会も全部でいわゆる総力戦をしようという意識を全員が共有できるかどうか、そこが重要なのかなというふうに思います。

 以上です。

嶋崎参考人 御質問ありがとうございます。

 勤務実態の把握は、働き方改革、教員に限らずですけれども、進める上で、やはりスタートラインだと思います。時間がわからなければ改善のしようがない。ただ、その時間がなかなかはかりづらい。

 いろいろな理由があると思いますが、教員職場の場合は、今までしっかり把握がされなかったし、その意識を変えていくというのはやはりまず避けられない点だと思います。そのためにも、必要性をしっかりと組織の皆さん全員に浸透させることが第一に必要だと思います。それなくして、なかなか浸透をしない。

 その上で、よく教員の職場の特殊性、自発性が求められるからとか、そういう理由で難しいという御意見も聞くんですが、把握がしやすい仕事ではないかもしれませんが、民間の他の仕事と比べて特段難しいのかというと、私はそれは違うだろうと思います。同じように、他のお仕事でも自発性が求められる、なかなか把握が難しい仕事はあり、民間企業であれば労働者の意識も労働時間把握にすごく前向きであるというのは、これは間違いで、労働者から把握されることに抵抗がある職場などは、これは幾らでもあって、労使で苦労しながら把握をされているんだという、民間のまさに状況もありますので、ここは学校で、労使双方で頑張っていただきたいなと思います。

 以上です。

笠委員 給特法自体が、もう本当に、半世紀たって、当時の教員の勤務実態と現在というのは本当にかけ離れ、むしろさまざま負担は大きいと思うんですね。

 先ほどもありましたが、今度英語の教育あるいはプログラミング、いろいろなことが学習指導要領で新たに規定される中で、教員の皆さん方の業務量というのは本当に増大し続けていると思うんですが、そういう状況において、皆さんにちょっと一言ずつお伺いしたいんです。

 先ほど来、給特法をもう抜本的に見直すべきではないかと何人かの参考人の方からもお話がありましたけれども、その方向性等々についてお考えがあれば、それぞれ参考人の方にお伺いをしたいと思います。

早川参考人 現実にそぐわないということは歴然たる事実でございますので、現実をしっかり見ていただきまして、給特法に頼るのか頼らないのかということもございますが、どういう方法があるかということはしっかり御議論いただければということは思います。

工藤参考人 ありがとうございます。

 給特法に関しましては、先ほども言いましたように、労務管理の不足ですとかいろいろなことが生じてきます。ただ、ここでこうという答えがないと思いますので、きちんと、労使ではないですけれども、みんなが、文科省から現役の新任の先生までがきちんと意見を言い合って、そういう意見を吸い上げながら変えていく必要があると思いますので、時間をかける必要があると存じております。

郡司参考人 ありがとうございます。

 先ほどの話と重複するんですけれども、やはり現状では、それこそみんなで総力戦をして業務改善を行い、勤務時間の縮減を図っていく。その上で、三年後、もう一度行う予定である勤務実態調査をもとに、四という数字が適切かどうかということで考えていくというのが我々の方向性でございます。

 以上です。

嶋崎参考人 御質問ありがとうございます。

 これはいろいろな考えがあると思うんですけれども、労働基準法の今の原則は、基本的には割増し賃金、お金で払うという形になります。給特法の抜本改正をしたときに、その原則にただ単純に戻すのがいいのかは十分検討するべきだろう。

 具体的には、お金ではなく休み、時間で返す、今回の休日のまとめどりも大きな方向性は私は同じだと思うんですけれども、労基法にもそういう規定もございますし、各国にもそういう立法例もございます。

 全てを時間で返すのか、一部はお金で返すのか、いろいろな調整が要ると思いますが、予算の問題もかかわってきます。一部、時間で返してもらう、その方向性はあり得ると思っています。

笠委員 きょうはありがとうございました。時間が参りましたので、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

橘委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 参考人の皆様、どうもありがとうございます。

 子供の教育というのは、質を高めるということによると、子供のその後の人生も大きく影響を受けるというのはデータでもたくさん出ているわけでございまして、そういう意味では、一番の視点というのは、やはり子供にとってどういう教育がなされていくのかが一番大事なのかなというふうに思っています。そのために、もし予算や人が必要であればもちろんそれに費やさなければいけないし、そうじゃない、必要もないような部分に関しては、それはある程度合理的にしていかなきゃいけないというようなことであります。

 まず最初に、早川参考人にお聞きをしたいんですけれども、今回のいろいろなまとまった休暇のとり方とかで、旅行も含めまして、若い教員には大変評判がよかったというような話もありますけれども、こういうような教員の問題が出たときにいつも思うのは、子供は一体どういうふうに思っているんだろうか。例えば部活動に関しては、時間を短くしても合理的であればいいんだとか、あるいは長い方がいいんだとかいろいろ議論はあるけれども、子供は一体どう思っているのかというようなことに関しての議論というのは余り聞いたことがないんですね。

 そういう意味で、学校の先生は、子供にとってはどういうつき合い方を子供は望んでいるのかというようなことを、調査なり実感というものをお聞きしたいと思います。

早川参考人 私もそのことは気になりまして、ある中学校の三年生に先生の一日の生活、一週間の生活を見せて、どう思うかと聞いたことがあるんです。アクティブラーニングをやりました。そうしたら、子供たちの感想は、もっと先生、僕らに任せてよということを言いました。朝、何も、朝の会へ来てというか、その前に教室にいて一人ずつに挨拶をして、それから朝学習をしっかり見てなんてそんなことは私たちができるので、そんなこと、先生、任せてくださいということを言いました。

 だから、今、いろいろなことを、あれもこれも教員がサービスをしなければいけない現状はあるわけですが、しかし、子供たちにとってみれば、それはやり過ぎですよということを思って、もっと自立している子供たちが、中学校三年生でしたけれども、あったということは、私は非常に新鮮でした。ですから、今の委員御指摘のような論点で子供たち自身にそういうことをぶつけていくと、子供たちが意外に解決方法を知っているのではないかということも期待したいということは思います。

 いずれにいたしましても、教員の働き方改革は、教育の質を下げることなくということが前提としてあると思いますので、そうした前提であったとしても、やるべきことは、手をつけるべきことはたくさんあると私は思っております。

串田委員 今お話を伺いましたが、子供はどう思っているのかという調査とか、子供の意見というものをもう少しこういう法案を考えるに当たって提案していただけると、考える道筋というのがもう少しできるのかなというのを私は日ごろから感じているんです。

 次に、嶋崎参考人にお聞きをしたいんですが、学校の教員の勤務の仕方というのはすごく難しいだろうなというふうに思っています。

 一般的に労働時間というのは、指揮命令下に置かれるということですから、自由を束縛されるという意味では労働者にとってはマイナスな要因というのがあるだろう。そういう意味で、時間外労働というのは、指揮命令下で行われることによって発生するという考え方の延長線であるとすれば、自発的だという評価をされてしまっているというのは御指摘のとおりだと思うんですが、一方では、やはり学校の先生というのは、みずから自発的に、自分の時間を費やしてでも子供のために仕事をしていくというのは、私は、国としては歓迎していかなきゃいけないんじゃないか、長い目で見れば、それは子供にとっては質のいい教育になるのではないかと。そうだとするならば、それについて、ちゃんと賃金も見合ったものに、やはりそれは対価として支払っていくべきではないか、私はそう思っているんです。

 ただ、逆に言えば、そういう教員が評価されればされるほど、その教員を見習えば長時間労働へとなっていってしまって、先ほどもちょっとほかの参考人の方からも意見がありましたが、そういう教員は父母からするとすごく評価されるので、そういうようにしていかないといたたまれなくなってしまって、それに合わせるという悪循環も発生するというような、非常に労働基準法を教員に適合するのは難しいという認識を私は持っているんですが、参考人としては、教員と労働基準法というのはどうあるべきかというのを、ちょっと御意見をお聞かせいただきたいと思います。

嶋崎参考人 御質問どうもありがとうございます。すごく本質的な御質問で、ありがたいなと思います。

 教員の皆さんの特殊性というものを実際に教員の先生たち若しくはその近しい皆さんに聞くと、必ず出てきます。多くの方は、私自身もそうですが、熱心な先生たちの指導によって今があります。本当に私生活をなげうって指導していただいた方、自分自身の個人的な体験でも見ましたし、職業上も見聞きしておりました。

 そのような自発的なというか、ここは給特法上の法的な評価ではなく、創意工夫のもと、熱意を持って、やりがいを持って先生がやっているものを奪うような改正である必要は全くないと思います。

 ただ、やりがいが、いつまでも誰もが続くわけではない。まさに御質問があったとおり、保護者の皆さんも評価する、子供たちもそれは喜ぶ、成長する姿もうれしい。この教員という仕事としてのやりがいから、働き過ぎを招き、言ったら評価ですね、学校内若しくは保護者の皆さんからの評価などを気にして働き過ぎてしまうというのは、まさに御指摘のとおりなんです。

 ただ、私は他の民間の労働者も多数見ておりますが、じゃ、これは果たして教員だけの問題なのかというと、他の労働者も皆さん、自分の仕事にやりがいや誇りを持ち、働いて過労死している方をもう山ほど見てきました。介護でも福祉でも、どこか一つ言うと言い足りないぐらい、どの皆さんも自分なりのお仕事にやりがいを持ち、それぞれ違うけれども。

 教員の皆さんは、すごくやりがいが、誰もが見てわかりやすいので、ちょっと普通の、聖職である、労働者ですらないかのような扱いを受けているけれども、そこは立派なお仕事だと。

 端的に法的な問題でいえば、私立学校の先生たちは労基法が適用されています。同じお仕事です。別に何の問題もない。そこを、すごく世間的にもわかりやすいやりがい、聖職的な部分があるがゆえに、だからといって、労働者としての保護が失われていいわけではないし、あと、民間の労働者でも、自分の社内上の評価、やりがいのため、もっと一生懸命頑張りたいんだ、労基法の上限規制は邪魔だという声は労働者の皆さんからたくさん出ていらっしゃるわけで、ただ、それは、社会全体として、特定の労働者が働き過ぎる、社内で評価が上がる、頑張れない労働者は逆に評価が下がる、家庭責任を負わざるを得ない労働者は、介護の責任、家事、育児の責任によって職場で逆に評価が伸びない。ジェンダーバイアスとも絡む問題です。

 ですから、やはりそれは社会全体の価値として、意欲ある方の意欲を押さえつけたりもしないようにしながら特定の先生が働き過ぎないようにするというのは意味があるし、御質問に端的に答えると、労基法とは十分成り立つものだと理解しております。

串田委員 非常に難しいところだと思うんですが。

 そうしますと、先生の判断で考えますと、労働時間の上限を徹底して、がっちりと何らかの形で区切っていくというのは一つの考え方の回答になるのかなというふうにちょっとお聞きしていると思ったんですけれども、果たしてそれでいいのかどうか。そして、それを実行していくためにはどういうような法改正というものが求められるのかというのをお聞きしたいと思います。

嶋崎参考人 御質問ありがとうございます。

 今回、七条の方で、上限のガイドラインを法的な、より実効性を高めるために、働き方改革の中で労基法に近づいたような基準が出ましたけれども、その方向性は私は賛成でございます。

 先生の今御質問いただいた点は、本当はすごく悩ましい問題で、上限規制は私はあるべきだと思います。ただ、現場現場では本当に、いや、でも子供のために頑張れと。本当に社会にもわかりやすい働く価値、子供の部活をもっと見てあげたい、もっと補習して、研修をちゃんと受けたい。ただ、長い目で見たとき、そういう先生が疲弊していく、そこにそこまで自分の時間を割けない先生たちが教員の職場から離れていってしまうことで、社会全体、立法政策として、労働政策としては全体がマイナスになる。

 ですから、やはりある程度の枠は決める必要がある。改革のスピードなどはいろいろ意見があるかもしれませんけれども、その意義自体がまだまだ浸透していないので、なぜ意欲をそがれるような上限規制なんかが入るんだ、これは本当に、繰り返しですが、民間の労働者もどこでも皆さん思っていらっしゃるところなので、その意義を広く伝えることが大事で、それは回りめぐって多くの子供たちを笑顔にするんだ、日本の社会の発展に寄与するんだ、私はそう信じています。

串田委員 私も、いじめ防止議連でずっとやっている中では、やはり学校の先生というのは大変だなというふうな思いがあるんです。

 次に、工藤参考人と郡司参考人にお聞きをしたいんですけれども、夏休みの前に亡くなられるという例が非常に多いという中では、私は、やはり新学期になって新しい生徒が出てくる、そして保護者もまた新しくなる。本当に学校の先生というのは、たくさんの状況を一遍に押しつけられると言うとあれですけれども、大量にそれを処理していかなきゃいけない業務というのは非常に大変じゃないかな。そういうものがちょうど新学期が始まってからずっと来ている中で、夏休み前、もう待たずに疲弊してしまうというのがあるんだと思うんです。

 お二人にちょっとお聞きをしようと思ったのは、先ほどずっと聞いている中で、工藤参考人は、見えない労働時間とおっしゃられました。逆に、郡司参考人は、可視化、数値前提というものがあるというお話があった。これは非常に背反しているような御答弁であったものですから、今回の法改正においても見えない労働時間というのが生まれる余地が出てきてしまうのかどうか、それに対して、可視化というものが実現するためにはどうしたらいいのかというようなことを、お二人の参考人から順次お聞きをしたいと思います。

工藤参考人 御質問ありがとうございます。

 見えない労働時間につきまして、やはり上限規制があったりですとか勤務時間が長くなることで残業時間、時間外労働が短くなるというところなんですけれども、結局、時間外労働を短くするということに重きを置き過ぎると、そこで、先ほども言いましたように、タイムカードを切った後の時間というのは見えなくなってしまうということが非常に懸念されます。

 例えば、やりたいことをやってしまうとか、業務がたくさん多くなってしまうとか、そういうことにつながるという点で見えない労働時間がふえるというふうに思いますけれども、そこはやはり可視化をしていって、何でこういうふうな労働時間で働かなくてはいけなかったのか、どんなことがあったのかというようなエビデンスを積み上げていくことというのが非常に大切だと思います。

 無駄がなかったかとか、この労働は必要だったのかとか、この授業準備は必要だったのかとか、いろいろな要因で長くなってくると思いますので、この見えない上限時間を、時間という区切りで区切るのではなくて、何をやったかという内容で区切っていくことが大切かと思っております。

 以上でございます。

郡司参考人 ありがとうございます。

 最初に、新学期というお話がございました。まさに私も自分で感じるところでございまして、新学期、新たな環境で行う、さらにそこに学校間の異動なんかが入ってくるともっともっと大変で、私もこれまで四校勤めておりましたが、異動するたびに、一年目というのは物すごく大変でしたということがあります。

 御質問なんですけれども、可視化ということで、先ほど工藤参考人からもあったことで、私も重複するかなと思っております。

 私が可視化と申し上げましたのは、つまり、今なかなか、勤務時間が非常に長い。それを、先ほどおっしゃられたように、教育委員会の方では少なくしなさいと命令が来たときに、校長が、うちの学校ではあれを削って、あれを削った、だから君たち、早く帰りなさい、五時に帰りなさいと。これでは話がおかしくなってしまう。

 だから、今、例えば平均で九時間である、九時間なんだけれども、大体三十分使っているこの会議をここで減らすから、その日は九時間じゃなくて八時間半で帰れるよねと。そういう積み上げを可視化することによって、七時間四十五分であったり、その中におさめるように努力するということが管理職に求められる。それがないままに早く帰れということは、先ほどおっしゃられたようにハラスメントにつながってしまうし、実質化しないし、それが持ち帰って家での見えない労働になってしまうということにつながるのかなというふうに思っております。

 以上です。

串田委員 最後に早川参考人にお聞きをしたいんですが、ずっと今聞いている中で、可視化というのは非常に大事である、一方で、見えない労働時間という、これは教員に限らないんですけれども、いわゆるサービス残業と言われている部分というのもあると思うんですね。これは本当にとんでもないことであって、サービス残業というものが認められてしまうと、上限なんてつくったって意味がなくなっちゃうわけですよ。

 これを現場で本当に徹底できるのかどうか。教育長の立場からどうやってこれを徹底させるのか、あるいは徹底できるという自信をどういうふうにお持ちなのか、ちょっとこれを最後にお聞きして終わりにしたいと思います。

早川参考人 徹底できるかどうかと言われると、徹底できるように努力いたしますということでございますが、先ほど来出ているように、遠いようで近道は、やはり管理職のマネジメント能力をつけさせるということだと思います。

 管理職になるのは、今までいい学級経営やいい教科経営をやっていた人が認められて、いい学校経営ができると思っているんですけれども、学級経営と学校経営というのはかなり実際には差がありまして、いい学級をつくっているからいい学校ができるというほど甘い状況には現在ないわけです。

 そのための学びが教員のキャリアパスの中にあるかというと、なかなかそうしたパスは、校長研修というのはもちろんやっていますけれども、それで身についていかないというわけで、民間ならば、いろいろそうしたポジションに、秘書課につけたり財務関係をやったりとかいろいろやってステップアップさせていくわけですが、教員の世界はフラットな世界でなされていますから、だからそこにどうマネジメント能力をつけさせることができるかというのは、私は、可能性としてはやはり教職大学院だというふうに思っております。

 ですから、そうした学びの場をきちんと設定して、遠回りのようですが、校長にそうしたタイムマネジメントや組織改編をできる能力をつけさせていくということが大事なことですし、そこに大きな期待をしていきたいというふうに思っております。

串田委員 長い目で見て疲弊してしまっては何にもならないというようなことを肝に銘じていただきたいというのがお願いとして、私の質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

橘委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝でございます。

 参考人の方々には、貴重な御意見を伺わせていただきまして、ありがとうございました。

 給特法改正案の一年単位の変形労働時間制導入の問題について特に伺いたいと思います。

 まず、工藤祥子参考人に伺います。

 私も委員会で取り上げさせていただきましたが、夫の工藤義男さんの公務災害認定、大変御苦労されたと伺っております。工藤義男先生は六月に亡くなられたということで、夏休みまで待てなかったのですという訴えでございます。公務災害認定で特に御苦労された点がございましたら伺いたいと思うんです。

 きょういただきました資料の中でも、やりたかった仕事、やり切った仕事の一方で、実際の仕事、つらいと言っていた仕事があります、夫一人に過重、過密労働が集中した、原因としては人員や人材不足などいろいろあったというお話が書かれております。

 また、体育教師であったので、健康が不可欠であると、毎年人間ドック、工藤祥子参考人も同行されて、三年に一度脳ドックを受けて健康管理もして、特に異状なく、他界一年前の脳ドックでは、将来クモ膜下出血を起こす可能性はほとんどないという所見を受けながら、クモ膜下出血で亡くなられたということです。

 今回の一年単位の変形労働時間制を導入すれば、こういった問題が解決できるのか。そうではなくて、お話しされていたように、平日の学期中の労働時間が長くなるということは、先ほど工藤参考人がおっしゃったように、人間の体というのは、一日あるいは一週間単位でやはりきちっと休みをとる、そういうものなんだという点に私は反するものではないかというふうに思っているんです。

 その点で、公務災害認定、あるいはこの間の全国の過労死遺族の会の皆さんの状況などを含めて伺わせていただけますでしょうか。

工藤参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、夫の公務災害認定についてお答えさせていただきます。

 まず、一番苦労した点というのは、とにかく時間の管理をしていないので、記録が全くございませんでした。その記録がない中、夫が何をしたのか、夫は中学校の教師であり、私は小学校でしたので、全くわかりませんでした。なので、まずどこから手をつければ、わからないという状況でした。

 そして、勤務時間なども全部遺族である私がヒアリングをして、それに協力を求めて回るという、勤務時間の把握だけでも一年くらいの年月を使うことになりました。そこに過重性があるのかないのか、これは本当に自主的な仕事なのかそうでないのか、そこまでさかのぼって証明していかなくてはならなくて、その結果、その証明したものに対して、六カ月間で三百二十八時間十五分が認定外となって、それは自主的、自発的仕事だということで片づけられてしまいました。

 その点につきまして、本当に大変苦労いたしましたし、最終的に我が家は、時間ではなくて校務の過重性、業務の過重性ということで認定されたので、よくはないんですけれども、認定されただけでもよかった。ほかの先生方は認定もされませんですし、申請すらできない、そういう現状もございます。多くが病死として扱われてしまうという現状がございます。

 また、本当にすごく健康に気をつけていたんですけれども、結局、多くの仕事が一人に降りかかるということが今も学校現場で起こっておりまして、過労死等が減ることは今もありません。統計上は出てこない氷山の一角で、たくさんの方が、いろいろなところに参りましても、あの先生は過労死だと思うけれども申請はしなかった、そういう声をたくさん聞いております。

 導入されたときに何が一番重要かといいますと、やはり人間のリズムをきちんと整えることですね。

 夫はすごく健康だったんですけれども、これだけの業務を与えられたら、どんなに健康でも疲弊してしまうのは当たり前ですし、健康回復という期間もございませんでした。六月に長時間の労働を課されたとしましたら、そこに健康回復する時間がどこにあるのか。夏休みまでどういうふうに過ごしたらいいのかということが非常に懸念されます。

 そして、脳ドックで大丈夫と言われて一年以内にクモ膜下を起こす可能性というのはほとんどないそうなんです。そういうまれなことが誰にでも起きる状況にあるということを、管理職の先生を始め、私たちというか一般の先生ももっときちんと考えるべきだと思っております。

 以上でございます。

畑野委員 そうしますと、全国を見ていらっしゃると思うんですけれども、学期中、お休みがとれずにずっと働いているという事例は多いのでしょうか。工藤参考人が院内集会で、工藤家の事案からの訴えということを昨年の十月八日に示されていらっしゃるんですが、脳・心疾患での死亡、発症月というのが六月とか七月とか十二月とか、そんなふうに多いという事例、あるいは、自死事案も六月が多いとか十月とかいろいろと出されているのですが、その点、いかがでしょうか。

工藤参考人 御質問ありがとうございます。

 死亡事案が六月、七月、十二月が多いというのは、先ほどもありましたけれども、新学期になってからの環境の変化のストレスに加えて、行事の多さというものが加わっているかと思います。

 また、精神疾患も、特に新任の若い方も非常に多いんですけれども、新しく仕事が始まって、先輩の先生が忙しくて助けてくれない中で、一人でやっていかなくてはいけないということに非常に苦悩して、六月ごろの一番忙しいときに発症して、結果的に夏休みが終わった後に自死してしまうという事案がとても多いというふうに感じております。

 亡くなられた先生や精神疾患を起こされた先生というのは、やはり、誰も相談できる人がいなかったりとか、過重、過密な労働を与えられたという方が多いです。

 あと、学校によっても違うという、これはすごく皮肉なことなんですけれども、我が家は、すごく大変でも、すごく理解のある学校にいたときは頑張れました。ただ、新しい学校になって、ちょっと管理職に恵まれなかったという点で、二カ月で命を落としてしまうという結果になりましたので、そういう、学校によっても違うということがあってはいけないというふうに思っております。

 以上でございます。

畑野委員 ありがとうございました。貴重な御意見をいただきました。

 次に、嶋崎量参考人に伺いたいと思います。

 一年単位の変形労働時間制は、教員の長時間労働問題を解決するどころか、学期中の労働を固定化し、また、長時間労働を助長するのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

嶋崎参考人 御質問ありがとうございます。

 現状の学期中の労働、長時間労働をまず助長するかどうかの点ですけれども、現在も超勤をしている方から見れば、それが夏休みに休みが回っても、現状維持のままかもしれません。

 ただ、今、全ての教員の皆さんが時間外が必ずしもあるわけではないし、今回、変形労働が、望まぬ方が対象にされ、その時期も、御本人が何らかの形で時間外勤務をしたくないと思っている時期に、これは労使の合意が必須の要件ではありませんので、現状を無視した形で対象が選ばれてしまえば、これまでであれば、この日は建前上は業務を命じられないわけですから帰れたものが、所定労働時間がふえ、超勤を命じられ、拒否ができない事態は法理論上あり得るし、それを恐れる声というのは全く現実に即したものだなと思います。これが助長の点でございます。

 固定化の点は、現状維持で休みがとれるだけならばという御意見もあるかもしれませんが、それによって現状から少し目が背けられる、休みがとれるからそれでいいんじゃないのということになれば、固定化してしまうのではないか。本来的な、超勤がある状態をどう解消するのか、抜本的な部分に目を向けていただきたいなという意味で、固定化するという危惧を持っております。

畑野委員 嶋崎参考人にもう一つ伺いたいんですけれども、先ほどもお話がありました、労使協定が必須の一年単位の変形労働時間制を、今回、条例で導入可能とするということについてなんです。

 憲法二十七条に基づいて労働基準法がありまして、その最低基準としての役割を今度の改正案は否定するのではないかと私は大変危惧しております。その点について、先生の御意見はいかがでしょうか。

嶋崎参考人 御質問ありがとうございます。

 憲法から解きほぐしての御質問、本当に的を得たものだと思います。

 建前上は、現在も確かに、労基法上の労使協定を条例で読みかえる規定がないわけではございません。確かに存在はしますけれども、今回の変形労働時間制は、労働時間の弾力化に伴う、しかもスパンが長い、一年という長い期間なので、現場の意見を聞かなければ混乱が生じる、望まない時期に超勤を強いられるということで、労使協定が必須となっているものです。

 命や健康、場合によっては生活時間も含めて、労基法がまさに憲法に由来する最低基準として大きく役割を期待されるし、ここ抜きにはこの変形労働は成り立たないものですので、条例を決めることと労使協定と、単純に意思決定権者も違いますので、合意抜きというのは、労基法で定められた要件、最低基準、御質問に即して言えば、憲法に由来する労働基準法で定められた最低基準を条例で許すことで、ここに風穴をあけてしまうものだというふうに理解をしております。

畑野委員 ありがとうございます。

 次に、早川三根夫参考人に伺いたいと思います。

 教育長さんは、昨年の十二月九日の岐阜のシンポジウムで御発言されていらっしゃると思います。岐阜市では、夏季休業中の十六日間の学校閉庁日ということで取り組んでいらっしゃるわけですが、その十二月九日のシンポジウムの中で、変形労働時間制を導入しなくてもこの期間の休暇はとれるということです、変形労働時間制を前提としてこれをやったわけではなくて、これは既にとれますよということですとおっしゃっていらっしゃることが大変私は大事だというふうに思っているんですが、その点について伺えますでしょうか。

早川参考人 十六連休を実施するに当たって、実際に先生方がどういう服務で休みがとれるかということについては、我々も十分に検討いたしました。

 前提としては、とれます。年休を使用していただくということですが、年休は、二十日、二十日、四十日ございますが、現場の学校の先生で実際使っているのは、私どもの市では、十日から十一日ぐらいでした。

 だから、余っているからいいよねということなんですけれども、しかし、考え方としては、余っているから使ってくださいねという話ではないので、それはやはり私どもとしては大変心苦しかったということです。どこかで御病気になったときに、病休をとる前に年休を使用していただくというのがあるわけなので、先生のお持ちの年休を使ってくださいということを前提にしてこれを導入することについては、ちょっと心苦しさは持ちつつも、それで数としてはカウントできるということです。

 ただ、繰り返しになりますが、臨時的任用職員についてはその限りではなかったということが問題点としてはありました。

畑野委員 早川参考人が、そのシンポジウムの中で、年休は一月から十二月になっているんだけれども、教員だけは九月から八月までとれるようにしてくださいと県にお願いしているというふうにおっしゃっていて、全国の中でもそういうのをやっていらっしゃるところはあるわけなんですね。そうすれば、八月最後に二十日間とか四十日とかまとめて年休も使えるじゃないかということなんですが、そうすると、そういうことは法律によらなくてもできるということになるわけですか。

早川参考人 私も、何度も県にそのことはお願いしておりまして、その都度はね返されておりますので、なかなか県の条例の方でうまくいかない御事情があるものだと思っております。

畑野委員 でも、教育長さんがおっしゃっているように、全国でもそういう県があるということであれば、これは大事な御指摘だというふうに思います。

 郡司隆文参考人に伺いたいと思います。

 先ほども、やはり教員をふやすこと、あるいは、こま数を減らすこと、これは私も国会の中で繰り返し質問をしてまいりました。

 私、心配なのは、一年単位の変形労働時間制で、学期中の仕事です、勤務時間です。これは、決められた時間が延びて、それで終わることができるのか。先ほど言ったように、持ち帰り仕事とか、あるいは、延びた、遅くなった定時を更に超えて仕事というのは残るようになるんじゃないか。そうしますと、遅い勤務終了時間が更に現実には遅くなるというふうになるのではないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

郡司参考人 御質問ありがとうございます。

 恐らく、一年単位の変形労働時間制というのは、先ほどもどなたかおっしゃられたように、これを導入したからといって、何か学期中の仕事がふえたり減ったりということはないんだと思うんです。

 今現場では、業務改善ということで、さまざま、本当にみんな努力して減らしているということでございます。しかしながら、多くの学校でそうなのかな、多少時間が違うところもあるかもしれませんが、十六時四十五分で全員が退庁できるようには、とてもとてもなりません。

 例えば、夜の六時、七時、八時まで残っている教員もたくさんいます。そうなったときに、これが、例えば十六時四十五分が十七時十五分で三十分延びたところで、はっきり言って何の影響もないんですね。何の影響もないんだけれども、でも、その部分を貯金しておけば夏休み中にしっかりとまとめどりができるということになれば、それは一つのいいことにつながるのかなというふうに思っております。今はそれが何もないという状況です。

 もちろん、前提として、勤務時間を縮減し、縮減し、勤務時間内に終わるというのがそれは一番ベストなのかもしれませんが、それには、先ほど申し上げましたように、大がかりな、制度的な、学校制度そのものを変えるような大変革をしないとなかなかそこにはならないというふうに思っております。

 なので、この変形労働時間制の導入というのは、我々教職員にとっては、マイナスはないけれどもプラスには働くのかな、トータルで考えたときに、そのように考えております。

 以上です。

畑野委員 平日の学期中の業務というのは多いままだというふうにおっしゃっていただいたと思います。

 嶋崎参考人に最後に伺いたいんですけれども、地方公務員の場合は、一年単位の変形労働時間制というのは導入されておりません。それは、やはり労働者保護という観点だと思います。これがましてや長時間労働の教員に導入されるということになればどういうふうになるのか、その点、加えておっしゃっておきたいことがあれば、お述べいただけますでしょうか。

嶋崎参考人 御質問ありがとうございます。

 現状、多くの教員の皆さんが実際に既に長時間労働をされているのだから、今まで自主的とみなされたものが一部所定労働になっても変わらないのではないか。それは確かにそうかもしれませんが、実際に、ただ、定時で帰れている方もいないわけではないし、その方たちに業務命令が明確に出せる、部活をやりなさい、受け持ちをしなさいと命令ができるというのは、これは重みが法的には全く異なります。それによって現状を追認することになっていくことなどが本当に恐ろしいなと思います。

 本当にそれを何とかしなければという機運が、一部休みどりがこれでできるようになる、これはすばらしいことだと思います、それによって、では現状の繁忙期をどうやったらなくせるのかという機運が、これから所定労働で説明がついてしまいますし、見せかけの残業時間、一部所定労働時間がふえることによって残業時間は数字上は減りますので、真剣に立法的な取組をする機運もそがれたりするのではないかというふうに思います。

 繰り返しですが、まとめどりは、私は賛成です。まとめどりだけを明確に規定した条例や法律をただつくればいいんです。そこを明確につくれば、何も、繁忙期の所定時間をふやすという変形労働の危険性をなぜセットにしなければならないのか、それならなぜガイドラインの上限だけ入れないのか、そのあたりが私は全く理解ができません。

畑野委員 参考人の皆さん、どうもありがとうございました。

橘委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 次回は、明十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十八分散会


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