衆議院

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第4号 令和2年11月20日(金曜日)

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令和二年十一月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 左藤  章君

   理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君

   理事 小渕 優子君 理事 白須賀貴樹君

   理事 原田 憲治君 理事 菊田真紀子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      安藤  裕君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    遠藤 利明君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      神山 佐市君    黄川田仁志君

      佐藤 明男君    齋藤  健君

      櫻田 義孝君    繁本  護君

      柴山 昌彦君    杉田 水脈君

      谷川 弥一君    中村 裕之君

      丹羽 秀樹君    馳   浩君

      福井  照君    船田  元君

      古田 圭一君    三谷 英弘君

      山本ともひろ君    青柳陽一郎君

      吉良 州司君    下条 みつ君

      寺田  学君    中川 正春君

      谷田川 元君    山内 康一君

      吉川  元君    笠  浩史君

      古屋 範子君    鰐淵 洋子君

      畑野 君枝君    串田 誠一君

      藤田 文武君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       橋本 聖子君

   文部科学副大臣      高橋ひなこ君

   文部科学副大臣      田野瀬太道君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    三谷 英弘君

   政府参考人

   (内閣官房教育再生実行会議担当室長)       池田 貴城君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  勝野 美江君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局次長)       渡邊 厚夫君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小野 日子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         串田 俊巳君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          瀧本  寛君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            生川 浩史君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    藤江 陽子君

   政府参考人

   (文化庁次長)      矢野 和彦君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     遠藤 利明君

  根本 幸典君     黄川田仁志君

  船田  元君     佐藤 明男君

  古田 圭一君     齋藤  健君

  谷田川 元君     青柳陽一郎君

  藤田 文武君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  遠藤 利明君     丹羽 秀樹君

  黄川田仁志君     杉田 水脈君

  佐藤 明男君     船田  元君

  齋藤  健君     古田 圭一君

  青柳陽一郎君     谷田川 元君

  串田 誠一君     藤田 文武君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

十一月二十日

 教職員の定数改善と給与・待遇に関する請願(大岡敏孝君紹介)(第七七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件

 スポーツ振興投票の実施等に関する法律及び独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案起草の件

 スポーツ振興投票の実施等に関する件


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     ――――◇―――――

左藤委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房教育再生実行会議担当室長池田貴城君、内閣審議官勝野美江君、内閣府知的財産戦略推進事務局次長渡邊厚夫君、出入国在留管理庁在留管理支援部長丸山秀治君、外務省大臣官房審議官小野日子君、文部科学省大臣官房総括審議官串田俊巳君、総合教育政策局長浅田和伸君、初等中等教育局長瀧本寛君、高等教育局長伯井美徳君、研究開発局長生川浩史君、スポーツ庁次長藤江陽子君及び文化庁次長矢野和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

左藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中川正春君。

中川委員 おはようございます。こうして時間をいただいたこと、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 きょうは、ウイズコロナあるいはポストコロナで、コロナ関連の質疑を三問ほどやらせていただいて、その後、私の課題でもあります日本語教育の推進関連でやらせていただきたいというふうに思います。

 まずコロナの関連で、課題として浮き上がってきた、あるいはどうしても実現しなきゃいけないというものは、少人数学級だと思うんです。今の臨時的にそれぞれの現場で工夫をしている状況を、ここをきっかけにしてこれから少人数学級の体制につくり上げていくということ、これについては、大臣もその思いを持って、今模索をしておっていただくんだろうというふうに思うんです。

 その上で、幾つか聞いていきたいんですが、まず、政府内での議論ですね、それに対して大臣がどのように手を打っておられるかということから聞いていきたいと思います。

萩生田国務大臣 政府内ということであれば、教育再生実行会議において、本年七月から、ポストコロナ期における新たな学びのあり方について議論を行っております。

 新型コロナウイルス感染症を経験する中で、今後どのような状況においても子供たちの学びを保障するとともに、ICTを活用した個別最適な学びを実現することができるよう、新しい時代の学びを支える環境を整備することが重要だと思っています。

 こうした中で、同会議の初等中等教育ワーキング・グループにおいて、本年九月、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備等を進める方向で議論するとの方向性を確認し、現在、鋭意検討を進めていただいております。

 私としては、こうした議論も踏まえつつ、できるだけ早い時期に考え方を整理し、方向性をお示ししていきたいと考えております。

中川委員 本来は、教育再生会議に話を持っていくまでもなく、文科省として体制をつくるということだと思うんですが、この体制をつくるための方法として、予算要求から始まって、定数の中に計画的に削減をしていくことを盛り込んでいく計画を文科省のものとして確定させるということもありますけれども、もう一つは、法制化をしていくということがあると思うんですよ。

 そこのところについて、文科省は法律を提出をしていく意思をお持ちかどうかということですね、確認をしていきたいと思います。

萩生田国務大臣 新たな感染症の発生など、今後どのような状況においても子供たちの学びを保障するとともに、ICTを活用した個別最適な学びを実現することが必要です。

 また、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備は、地方六団体を始め学校現場において高いニーズがあります。

 特に、GIGAスクール構想のもと、一人一台端末を活用した、個に応じた指導が可能となります。教育のさらなる質の向上を図るためにも、子供たち一人一人の特性や学習定着度等に応じたきめ細かな指導を行うことが教員には求められることから、学級編制の標準の引下げも含め、しっかり検討してまいります。

 学校におけるICTの活用と、その効果を最大化する少人数による指導体制は、まさに車の両輪だというふうに思っております。先生御指摘のように、当然のことながら、法律できちんと位置づけをして前に進んでいきたいと思っています。

中川委員 その具体的なスケジュール、これは我々もそれを目指してやって、なかなか法制化できずに、予算化の中で工夫をして削減をしてきたという経緯があるんですね。

 今、これは与党も野党も、あるいは、特にこの委員会でここに出席している皆さんというのは、これは少人数化を進めていくということについてはしっかりコンセンサスはできているんだと思うんです。

 だとすれば、文科省は、みずから法制化をして、いつまでに出しますよということをはっきりさせるということ、これであればそれでいいんですけれども、そうじゃなくて、まだその目星がつかない、いつ出てくるかわからないということであるとすれば、私たち自身がアクションを起こすことができる、そういうこともあるんですよね。

 これは、大臣を応援する意味でもという意味でのアクションなんですが、具体的には、議員立法で私たちがつくっていったらいいということ、これは委員長提案でやったらいいわけで、委員長、ここについての可能性もぜひ検討していくべきだというふうに思うんです。そこのところ、これは委員長。

 そして、もう一つは、国会決議ということもあると思うんですよ、あるいは委員会決議という手段。それを今このタイミングでアクションを起こしていくということが、我々にとっても大切なんだろうというふうに思うんです。

 そこについて、大臣はどう思われますか。

萩生田国務大臣 まずは、省内できちんとしたコンセンサスを得て、王道を歩んでまいりたいと思いますが、さまざまな困難も予想されます。そういう中で、同じ志を持つ各党の皆さんがそれぞれの立場でさまざまな応援をしていただくことは大いに歓迎したいと思いますし、御心配いただくことはありがたいと思います。

 他方、議員立法を今からやるとか決議をするとかというのは、これはもう国会のお決めになることでございますので、委員会の中でぜひ御議論をいただいて、最適な方法があれば、それは委員会の御判断として前に進んでいただいたらいかがかなと思います。

中川委員 委員長、ぜひ、これは検討をしていただきたいと思いますし、両党の筆頭にも、何ができるか、私たちのできることは、これだけコンセンサスが整っているんですから、やるべきだと私も思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 次に、ちょっとこれは事前に通告はしていなかったんですが、一つ加えて、デジタル化ですね、ICT。

 GIGA構想で、一挙にこのコロナでハードは整備ができてきたということなんですけれども、現場でこれを使いこなしていくというところまでいっていない、そのままでいったわけですね。そうすると、そこのところの現場の教師の水準を上げていくことと、それからもう一つは、メーカーのペースになっていかない、我々がそれこそ主体的なGIGA教育能力というか、そういうものがつけられる体制というのをつくっていくというのが最大のこれからの課題になると思うんです。

 その体制をつくるのに、今の文科省の体制でいいかどうかということになると、私は大きく危惧をしています。恐らくだめだろう、このままではというふうに思うんです。専門の指導員に入ってもらうのに予算をつけますよという、それだけではだめなんだというふうに思うんですよ。

 教育研究所や何かも引っ張り込んで、各大学も引っ張り込んで、主体的にこちらでアプリをつくるような体制をつくっていくと同時に、それぞれの現場でそれを使いこなす、そういうノウハウというんですか、あるいはネットワークというか、そんなものも含めて体制づくりをしていく、それで教育もしていくということになると、これは専門の教育推進部局、ICTの教育推進部局というのを、そういうところも含めた、チームで進めるという体制を文科省の中につくらないといけないというふうに思うんですが、その問題意識をどう大臣は受け取っていただけますか。御答弁いただきます。

萩生田国務大臣 皆さんの御支援で、今年度中に小中学生一人一台端末という見通しはつきました。

 しかしながら、今先生御指摘のように、じゃ、指導体制や何かも十分に整って、ハード、ソフト両面で完璧な状態で四月以降授業ができるのかと問われれば、今までももちろん学校現場でパソコンなどは使って授業をやってきましたけれども、全ての教員のスキルが一定程度期待ができるものがあるかと言われれば、そこはやはりさまざまだと思います。したがって、今後、教員研修などで充実をして、使いこなしができる授業、しっかりとした授業をやっていきたいと思います。

 あわせて、ハード面でいいますと、今回のこのGIGAを進めるに当たりましては、メーカー、ハードのメーカーやOSのメーカーなど業界団体の皆さんにも入っていただいて、さまざまな協力のお願いをしてきました。それから、文部科学省だけではやはり知見が足りないということで、経産省や総務省の専門家の皆さんにもいまだ入っていただいて、チームを組んで取組をしております。

 私、企業の皆さんにはすごく失礼なことを申し上げたんですけれども、今まで学校現場では随分もうけたでしょう、ですからここは還元してほしい、そういう意味では、子供たちが教育ツールとして使うことに企業としての社会的な協力をしてくれないかというお願いをして、私は、多くの企業の皆さんもそれに賛同していただいていると思います。

 したがって、今までのように、現場がわからないだろうといって、高いもの、難しいものを押しつけられて、それを買い取ってしまうようなことのないように、しっかりとしたガイドラインもつくりたいと思いますし、もちろん民の力も活用しなきゃなりません。政府と民と、この勉強会のような形を続けながら、いいアプリなどの開発は一緒にやっていくという必要があると思います。

 最後に、デジタル庁を設置する予定でございますので、先生の御懸念は文科省だけの話ではなくて、政府全体でやはり専門性高いそういった役人を育てていって、横串を刺して、こういった教育現場によりよい環境を与えられるような、そういうスペシャリストはしっかり養成していきたいな、そんなふうに思っています。

中川委員 先ほどの話のように、デジタル庁が片方にできるという中で、文科省の体制としても、いわゆる専門部局を立ち上げていくべきだ、そうでないとなかなか追っついていかない、民間ベースになってしまうという懸念、これをお話を申し上げたいというふうに思います。

 次に、これはまず内閣府の関連なんですが、デジタルアーカイブ、そんな中で、特に、ジャパンサーチというのが二〇一九年の二月から走り始めています。

 これは、最終的にどういうふうな構想になっていくのか、何を最終段階として目指していくのかというのを、まず説明をしていただけますか。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のデジタルアーカイブ、これは、社会が持つ知識、文化的、歴史的資源を効率的に共有し、現在のみならず将来の知的活動を支える基盤的役割を担っているというふうに認識をしております。

 そういう中で、私ども、関係府省及び国立国会図書館が連携いたしまして、委員御指摘のジャパンサーチというものを、試験版を二月に公開して、八月に正式版を公開をしたところであります。これは、デジタルコンテンツのタイトルであるとか作者名、所在などに関する情報をまとめて検索できる統合ポータルサイトということでお示しをしたものでございます。

 デジタルコンテンツにリーチする有力な手段としてのこのジャパンサーチの活用によって、デジタルコンテンツが、教育、学術研究、観光、地域活性化、防災、ヘルスケアなどのさまざまな分野で利活用をされていくことを期待しております。

 私どもとしては、このジャパンサーチができるだけ多くの全国のデジタルアーカイブというものと密接に連携をして、どこにどんな情報があるかというものを示すことでデジタルアーカイブ社会の実現というものを図っていきたいというふうに考えております。

中川委員 本格的にこうしたポータルサイトが打ち上げられて、恐らく、日本国内以上に海外からの日本に対するアクセスの窓口になっていく、あるいはそのネットワークをつくっていくという体制ができたということなんですが、一方、国立国会図書館のデジタル化というのは非常におくれていまして、まだまだ六割かその辺だということと同時に、著作権について早く整理をしていかないと、これが追っついていかないということ。

 同時に、こうしたものを使うときに、いかに多言語化ができているかということがもう一つ課題になるわけですね。日本語で幾ら整理しても、海外からアクセスしたときにそれが理解できないという状況というのが、今、日本の国としてあるんですね。それをいかに多言語化していくかということ、これがこのジャパンサーチが生きるかどうかということにかかわってくるんです。

 本来は、著作権の整理と、それから、いわゆる図書館、国立国会図書館だけじゃなくて、文科省の管轄している図書館と、それから、デジタルでアクセスするときには、今のところ、国立国会図書館は地方のそれぞれの図書館までのアクセス、こういうことになっているんですけれども、それが恐らく将来は、個々の、個人から直接アクセスをしていく体制になっていくんだろう。そこのところの整理を、図書館のあり方としてどうしていくのか、あるいは著作権との関係でどうしていくのか。

 これは、早いところ整理をしないと、せっかくこのジャパンサーチがこうした形で本格稼働してくる中で、今、限界がそれぞれ見えているということなんです。これも、恐らく世界感覚からいったら、何周おくれかという話になっているんだろうと思うんですが。

 その点について、文化庁なりの対応を今しているんだろうと思いますが、その問題意識と、それからこれからどうしていくのかということについて、これは詳しくは、申しわけない、事前に通告していなかったんだけれども、そこのところを文科省として答弁いただけますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 ことしの十一月十三日に取りまとめられた文化審議会のワーキングチームにおける報告書におきましても、図書館資料のメールなどの送信を可能とする際の条件といたしまして、権利者、出版社の権利の保護のためにさまざまな措置を講ずることが示されるものと理解しております。

 具体的には、権利者、出版社の懸念点に対応して、正規の電子出版社の市場を阻害しないよう、厳格な要件の認定を行うことやデータの流出防止を講ずること、権利者や出版社の損失利益を補填するなど、個別かつ十分な水準の補償金による対価還元を行う、そういったことにおいて図書館の権利の制限の見直しを拡大していく。今まで図書館内でのみコピーが許されていた、それを例えば図書館に公衆送信を依頼して、それを許諾する。そういったようなことを現在検討しておりまして、今のような対策をとることによって制度を改善してはどうかというような、そういう今検討をしておるところでございまして、引き続き、権利者、出版社の皆様に御理解いただけるような、丁寧に御相談しながら具体的な制度設計を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。

中川委員 この問題を提起したのは、改めて、ちょうど国立国会図書館がコロナで閉まってしまったときに、大学の図書館も全部閉まってしまったんです。研究者が、じゃ、どうやって課題にアクセスできるのかというときに、全くお手上げになってしまって、そこのところの状況を考えると、いかにデジタル化した図書、あるいは学芸図書なんかも含めた日本の文化そのもののコンテンツといいますか、それがデジタルでこれからの世界に広がっていく、そこの体制というのをしっかり考えていくときだということですが、その問題提起をした上で、いろいろシステムとして、あるいは特に著作権、あるいは図書館のあり方等々についてこれから整理をしていかなければいけないところがあるということを指摘をしておきたいというふうに思います。

 最後に、コロナは最後なんですが、学生の就職が課題になっております、文科省として、今どういう対応をしておっていただくか、それだけ確認をしておきます。

萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症の影響などにより、令和二年度大学卒業予定者の十月一日現在の就職内定率は、昨年の同時期から七ポイント低下をして六九・八%となっております。調査開始以降最低だった五七・六%、これは平成二十二年、リーマン・ショックの後ですけれども、そこまでにはいっていませんが、予断を許さない状況にあると認識しています。

 文科省としては、これまでも関係省庁と連携し、経済団体を通じて、企業における新卒者の採用について中長期的な視点に立った採用をお願いしているところですが、先月には、内閣官房、厚生労働省、経済産業省とともに、新卒者等の採用維持・促進に向けた取組を取りまとめ、これに基づいて、経済四団体に対して要請を行いました。特に、希望した職業へのチャレンジすらできないで落ち込んでいる学生もいるという話を伺っていることから、同要請においては、卒業・修了後少なくとも三年以内の既卒者は新卒予定者の採用枠に応募できるように、改めて柔軟な対応をお願いしました。

 加えて、大学団体を代表する学長との意見交換を行いまして、就職活動中の学生が不利益をこうむることなく存分に力を発揮できるよう、各大学に対しても丁寧な対応をお願いしました。

 文科省としては、前途ある学生の皆さんの就職機会を守るため、引き続き、今後の動向を注視していくとともに、関係府省と取りまとめた新卒者等の採用維持・促進に向けた取組を踏まえ、大学と新卒応援ハローワークのさらなる連携による新卒者への支援の強化、大学の特色ある就職支援の取組を広く展開することによる各大学での取組の促進、ミスマッチ防止のための、各府省と連携して学生のオーダーメード型の就職支援に資する有益な情報を集約、提供するなどを通じて、第二の就職氷河期世代をつくらないよう、引き続き全力で取り組んでまいりたいと思います。

中川委員 ただ項目を並べるということだけじゃなくて、後のフォローアップというか、これが本当に生きているのかどうかということをしっかりチェックをしていただきたいというふうに思います。

 特に、三年間は新卒扱いにしてくださいと、私もここが重要な部分だと思うんですが、これを各業界団体がそれぞれに徹底して、そのような意思表示がそれぞれの企業からあるのかどうかということ、そこまでチェックをしていかないとなかなか効果は出てこないということだと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 さて、次は日本語教育の方に入っていきたいと思うんです。

 推進法をずっと課題として持っていただいて、順次、その中身について実現、進めていただいておるということ、私もしっかり応援をしていきたいというふうに思います。その中で、幾つか、大臣としての意思を確認をしていきたいと思うんです。

 まず、その一つは、この法律の中に、地方自治体の推進計画を作成していきなさいという条項があるんですけれども、これは事務方からでいいんですけれども、実態が今どうなっているか、そしてその課題というのはどこにあるのかというのを、恐らく進んでいないという答えだと思うんだけれども、その問題はどこにあるというふうに把握をしているのか、答えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 日本語教育の推進に関する法律の第十一条におきまして、今委員御指摘のとおり、地方公共団体は、同法第十条に定める国の基本方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針を定めるよう努力義務が課されております。

 本年六月に、日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針が閣議決定されたことを踏まえ、文化庁から各都道府県知事に対して通知を発出し、地方公共団体における基本的な方針の策定を含め、国の基本方針を踏まえた取組の実施に努めるよう求めたところでございます。

 その次に、ことしの八月に、各都道府県に対して、基本的な方針の策定状況について私どもで調査を行ったところ、策定済みや策定準備中の都道府県は八県、一七%となっておるところでございますが、未策定の自治体でも、七割以上の県において策定の検討を行っているという回答を得ているところでございます。ただ、策定予定なしというところが九県ということでございまして、文部科学省として、今後、都道府県等を対象とした会議等において改めて周知し、この報告書、今の報告、出たばかりでありますので、今後、検討が進んでいない地域に対しては個別に働きかけを行うとともに、地方公共団体が地域の実情に応じた日本語教育の施策を実施することを支援するための補助事業等を通じて、地方公共団体における基本的な方針の策定を促進してまいりたいと考えております。

中川委員 頑張っていただきたいと思います。

 それで、特に、文化庁がコンタクトをしていく知事部局あるいは教育委員会、あるいはまたほかのところかもしれませんが、これまで文化庁として関係のある部局とは違った分野へ向いてコンタクトをしていかなきゃいけないということ、ここに一つ問題があるんじゃないかなという私の推測であります。

 同時に、県というレベルだけじゃなくて、本来はこれは市のレベルできめ細かく対応をしていかなきゃいけない。既に集住都市会議あたりはその問題意識の中でずっとやってきたということでもありますので、その辺のノウハウもしっかり把握をしていただきながら、ネットワーク化していくような形でこれを進めていただければありがたいというふうに思っていまして、さらなる奮起を期待をしたいというふうに思います。

 同時に、次の課題なんですが、一つは、日本語教育推進の法律をつくり、その中に、まだまだ課題として、日本語教師の国家資格をつくっていかなきゃいけないねということであるとか、あるいは、質の保証というのをはっきりしていくためには日本語の熟達試験、これが幾つもあるんですけれども、これが標準化をされた形で、外から見てこの学校で教えているこのレベルのものというのは標準化した中で評価ができる、具体的にはCEFRの標準化を日本語教育の中に入れていく、こういう分野もあります。

 同時に、もう一つの課題として、日本語学校というのをどう整理していくかということがあって、これまではどちらかというと入管が日本語学校の管理をしてきたということなんですが、これは教育機関としては、やはり文科省が直接、教育機関としてそれの管理をしていくという体制に持っていって、私の塾ではないんだ、しっかりした体制の中で教育機関として育てていくんだ、そういうことにしていきましょうというのが法律の趣旨であって、その条項というのは法律の中にあるということなんですが。

 こういうことを考えていくと、今、文科省では文化庁の国語課の中の日本語ということになっているんですけれども、その体制で法律をつくることができるのか、あるいは、法律をつくった後、この管理、特に日本語学校の運営というのは見ていけるのかどうかということになると、これはちょっとニュアンスが違うんじゃないか、誰が見てもそういうことなんだと思うんですね。

 これは、教育の分野へ向いてその体制をつくる、そこから文科省の中のネットワークと、それから文科省だけじゃなくて、ほか、特に法務省、経産省、あるいは、建設関係の外国人労働者ということになるとこれは国土交通省まで、省庁を超えたネットワークを文科省が管理をしていかなきゃいけない、そういう体制をつくるということが前提なんだと思うんですね。

 ということで、私はこれまで、そこのところを教育分野でしっかり部局を置いてやったらどうかということを言ってきたんですけれども、ここについては、大臣、どのように判断をされて、省内の体制をつくろうとしておられるか、もう一度ここを確認をしていきたいと思います。

萩生田国務大臣 文部科学省内の日本語教育に関する一元的な窓口は、現在、文化庁の国語課が担っているところです。

 昨年六月に施行された日本語教育の推進に関する法律は、文部科学大臣と外務大臣を主務大臣とする法律であり、文化庁は、国内における日本語教育の取りまとめの観点から、同法律に係る事務を所管をしております。

 また、本年六月には、法律に基づき、日本語教育の推進の基本的な方向や具体的施策等について定めた、日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針が閣議決定をされましたが、その検討に当たっては、文化庁が関係省庁や省内関係部局と連携しながら取りまとめを行ってまいりました。

 現在、日本語、文化庁の国語課が担当しておりますが、これはただ単に、文化庁だけで狭い視野でということじゃなくて、今先生が御披露いただいた、関係各省との連携をとりながら事務的な役割を果たしている、そういう状況です。

中川委員 あえてこの時点で私がこの話を出させてもらったのは、それが十分にできていないということ、あるいは、できていないというよりも、文化庁の中の国語課で各省庁をまとめていけということ自体が無理な話なんです。そこのところをもう一度検証をして、教育部局の中で体制、チームをつくって、文科省としての教育マターとしてこれを捉えて進めていくことが大切だということ、これは改めて申し上げたいと思います。

 これからの法律の手だてが上がってくるわけですけれども、それでまた支障が出てくるということであってはならないので、あえてここで改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 ここのところについて、ちょっと、しっかり目を入れ込んでいただけませんか。関心を持って、今何が起こっているかというのを見ていただきたいというふうに思うんですが、大臣、どうですか。

萩生田国務大臣 多分、先生の御懸念は、文化庁のその一局で大丈夫なのかということを心配されていると思うんですが、これらのさまざまな検討状況には、総合教育政策局や高等教育、初等中等教育、あらゆる局、指導者を養成する団体での局も入ってやっておりますので、もちろん予断は許さず、新しい政策ですから、過ちのないように、失敗のないように、しっかり目配りはしていきたいと思いますが、現在、文化庁の方では鋭意努力をしておりますので、そのことはぜひ御理解をいただきたいと思います。

中川委員 改めて、これからの仕事の進みぐあいを見ながら、この考え方、体制づくり、切りかえてもらうようにお願いをし続けていきたいというふうに思います。

 それから、次に、さっきの、国家資格と、それからCEFRで標準化をしていく話についてなんですが、これはしっかり法制化をしていくということ、それから、CEFRで標準化をしていくということについては、今歩み出していただいているようですけれども、いつまでにどういう形で法律としてまとめていくのかというのを御答弁をいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 日本語教師の国家資格については、昨年六月に施行された日本語教育の推進に関する法律におきましてその仕組みの整備が規定されているほか、本年三月に文化審議会国語分科会において取りまとめられた報告書におきましても、日本語学習者に質の高い日本語教育を提供するための新たな資格制度を設計することが適当であるとされたところでございます。

 現在、その制度設計に当たり、文化庁では、法律や報告書、さらには、新型コロナウイルスの感染拡大の社会状況の変化も踏まえながら、有識者会議の開催や関係機関との意見交換等を行い、課題や論点を整理しながら、制度の詳細について検討を進めているところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、国家資格化を視野に、早期の制度化に向けて、関係機関とも連携しながら、検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

中川委員 国家資格にしていくということ、これについては、そうしていくというふうに解釈していいわけですね。はい。

 次に、在留外国人の、日本語を習得していく分野で、日本語を勉強したい、あるいは習得しなければならないというインセンティブというのが、動機づけというのかな、それが必要なんですが、各受入れ分野で日本語の習得についてどのように制度化されているか、あるいはどうすべきかということですね。これについて、ちょっと入管庁の考え方というのをまず聞きたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人の在留資格に係る審査におきましては、特定技能、介護職種に係る技能実習、留学、特定活動の一部につきましては、在留資格認定証明書交付申請時等におきまして、日本語能力の試験に係る証明書を求めるなどして、日本語能力を確認しております。

 なお、これらの在留資格のほか、高度専門職でポイント加算の対象として申告があった場合や、日系三世等の定住者の在留資格で在留期間五年を決定する場合も日本語能力を確認しており、また、技能実習では、入国後の講習におきまして日本語の学習を行うことを義務づけており、外国人技能実習機構における実地検査において当該講習の実施状況などを確認しております。

 このように、各在留資格について、その性質に応じた対応を行っているところでございますが、法務省としましては、外国人の日本語教育の充実が共生社会の実現のため極めて重要な要素であるということを踏まえまして、まずは関係省庁と協力して、外国人が日本語を学習する環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

中川委員 習得を、あるいは学習を義務づけている部分もあるんですけれども、中には、全くフリーで入ってきて、何も条件づけがないという人たち、これが特に日系という枠組みで入ってきている人たちがいて、それが地方自治体でも、集住都市会議、その地域地域でつくって、その対応を地方自治体がやっているんですよ、こういう話なんですね。

 ここについて、例えばドイツあたりでは、入ってくる、特に単純労働を目的にして入ってくる人たちについては、一定のドイツ語を習得、いわゆる、入ってきてから勉強しなさいよ、それをビザの条件としますよというような、そういう制度をつくりながら、ドイツ語の習得についてインセンティブをつくっているということなんですが。

 日本でも、やはりそういうことを前提にして推進法ができたわけですけれども、その推進法の意図としては、全般に日本語教育というのを外国人が入ってくるときのインフラとして位置づけなさい、そういう意図があるんですが、そんな議論はぜひ入管庁の中でやっていただきたいというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘につきましては、やはり、要件にいたしますと、入国を認めないとか在留の延長をしないということともかかわってくることもあろうかと思いますので、まずは日本語教育が十分、日本でできるということを、整備を図りながら、引き続き検討してまいりたいと思います。

中川委員 だから、読み書きができないままで入ってきている人たちがたくさんいて、それがそのままになっているという状況に対して具体的に何をするのかということなんですね。これを考えていかないといけないということ、これを指摘をしておきたいというふうに思います。

 最後に、時間が来てしまったんですけれども、さっきジャパンサーチの話をしましたが、多言語化ですよね、日本語ということではなくて、日本語を多言語化して、日本のコンテンツを海外へ向いて展開をしていくという戦略ももう一方で必要なんじゃないか。

 実は、多和田葉子さんの「献灯使」であるとか柳美里さんの「JR上野駅公園口」、これが全米図書賞翻訳文学部門で入賞したと大きなニュースになっていました。タイム誌の必読書百選に日本の女性作家、作品、四人が載っているというふうなことも最近出てきました。

 これは英語ですけれども、本来、これが戦略的に多言語化で翻訳されていけば、恐らく日本のコンテンツというのはさまざまなところでいろいろな評価が出てくるんだろうと思うんです。

 これ、実は韓国では韓国文学翻訳院という形で、いわば翻訳のインフラ組織ですね、だから、言い方をかえたら多言語化推進機構みたいなものだと思うんですけれども、そういうものを国として戦略化してつくって、日本のコンテンツを世界に持っていこうとしている。

 こんな国家戦略なんですが、やはり日本でもこれは必要じゃないかということで、私も、関係者の皆さんと相談しながら立ち上げようとしたんですけれども、なかなか、国の方が音頭をとらないと、あるいは国が戦略をつくった中でそれを動かさないと、物になってこないという現状があります。大臣、つくりませんか、これを。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省といたしましても、外交政策の非常に重要な柱といたしまして、世界各国における対日理解の促進、親日層の拡大を図るために、日本のコンテンツを通じた日本文化の紹介も含めて、文化外交の推進に努めているところでございます。特に、御指摘いただきましたさまざまなコンテンツを多言語化して海外で発信するということは、世界各国における対日理解の促進、親日層の拡大のためにも非常に重要であると考えております。

 実際のところ、今御指摘ございました書籍に関しましては、例えば国際交流基金が翻訳出版助成プログラムというような実施を通じまして図書の海外での翻訳出版を支援したり、また、放送コンテンツにつきましても、さまざまなスキームを通じまして、日本のコンテンツが放送されにくい国、地域を中心に、その番組などの音声や字幕を現地語化して無償で提供して、海外の一般の市民の方々の対日理解の促進、親日感の醸成に努めているところでございます。

 先生御指摘のお考え方に関しましては、やはりコンテンツに関する著作権の整理といったような問題もございますので、政府全体の取組の中で検討すべき課題であるというふうに考えております。

中川委員 ありがとうございました。

 文科大臣、やりませんか、これを。ネックになっているのは著作権なんです。これを整理をしながら、さまざまなものを突き合わせてネットワークをつくって、それで翻訳を進めていくという、そのインフラみたいなものなんですけれども、この構想を持っていただけませんか。よろしくお願いいたします。

萩生田国務大臣 今突然の御提案だったので。

 しかしながら、日本のさまざまな文化を海外に展開をしていく上で、多言語化をしていくというのは極めて重要な視点だと思いますので、よく勉強してみたいと思います。

中川委員 ありがとうございました。

左藤委員長 午前十時五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時四十七分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時五分開議

左藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、東京オリパラへの感染症対策について、まず橋本担当大臣にお伺いをしてまいります。

 十六日、菅総理は、来日中の国際オリンピック委員会、IOCのバッハ会長と会談をされました。大臣もお会いになったと伺っております。来年夏のオリパラ開催予定を確認した、そして、欧米や日本国内で新型コロナウイルスの感染が再拡大をしているわけですけれども、感染対策を徹底して大会を実現するということが確認されました。

 会談後、記者団に対して菅総理は、観客の参加を想定したさまざまな検討を進めているという趣旨のお話をされたと伺っております。IOCのトーマス・バッハ会長は記者会見で、新型コロナウイルス対策として、参加する選手のワクチン接種費用をIOCが負担するという意向を表明されております。

 一方で、今、製薬会社各社が新型コロナウイルスの予防ワクチンの開発を進めておりまして、それも大詰めを迎えていると承知をいたしております。

 この実用化が進んでいけば、今株価も上がっているようですけれども、経済の活性化にもつながるということで、期待は大きいものがございます。効き目、効果と安全性にさらなる検証を加えまして、今後は輸送また接種の体制を整備していくということも急務であると思っております。

 まず初めに、この新型コロナウイルスワクチンにつきまして、アスリートそれから大会運営スタッフ、ボランティア、報道関係者等への接種のあり方についてどのようなお考えを持っていらっしゃるか、御見解を伺います。

橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の世界的な制圧に向けてワクチンが果たす役割は大変大きなものであると理解しておりますが、先日来日されたバッハ会長は、ワクチン接種を大会参加の条件にはしないというふうに述べております。

 今後、アスリートそして関係者、関係には、コーチや監督やスタッフといった選手団と、そしてメディアの関係の方もいらっしゃいますし、あるいは大会に来られる観客の方もいらっしゃるというふうに思いますけれども、政府といたしましては、引き続きIOCや大会組織委員会、東京都などと緊密に連携して、安心、安全な大会実現のために、このワクチンに関してもどのように準備をしていくべきかということをしっかりと今調整会議の中で議論をしているところであります。

古屋(範)委員 ぜひ、安全な競技の環境を整えて、また、国民も安心できるような体制をつくっていただきたいと思っております。

 続きまして、この新型コロナウイルスワクチン以外のワクチンについて伺ってまいります。

 この新型コロナウイルスのワクチン以外にも、スポーツを行う場なので、感染症が拡大をするというものがございます。その一つが、侵襲性の髄膜炎菌感染症、IMDであります。

 この侵襲性の髄膜炎菌感染症といいますのは、髄膜炎菌が原因で起こる感染症で、この菌は、健康な人の鼻や喉、粘膜などにも存在をして、人から人にうつる、鼻や喉、気管などの粘膜に感染をしていきます。さらに、これが血液また髄液に侵入して全身に広がると、敗血症、また菌血症、髄膜炎、髄膜脳炎などを引き起こします。この進行はとても早くて、重症化をして死に至ることもありまして、注意が必要です。

 このIMD、日本においては発症数が少なくて、医療関係者でも認知度が極めて低いのが現状です。しかし、世界に目を向けますと、年間五十万人が発症いたしまして、うち約五万人が死亡しております。欧米においても、大学、寮、スポーツイベントなどでアウトブレークが発生をしております。昨年開催されたラグビーワールドカップでも、来日したオーストラリア在住の男性がこのIMDを発症しております。これに関してもぜひ感染予防を講じておく必要があるのではないかと思います。

 また、風疹も五年ごとの流行というのが抑制できていません。また、麻疹も今制圧はできておりません。接種率が低くなる中で、WHOも接種を呼びかけております。また、B型肝炎も、血液、汗を介して感染するリスクがありまして、これも、海外の専門家は、過去のオリンピックに際して接種を強く推奨しているところでございます。

 来年のオリパラに向けまして、髄膜炎菌ワクチンをぜひ、アスリート、大会運営スタッフ、またボランティアへ無料接種、また国民への注意喚起を行う必要があると思います。また、麻疹、風疹など予防接種の推進について、大臣の御見解をお伺いいたします。

橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 アスリートや大会関係者における感染症対策については、大会組織委員会において、侵襲性髄膜炎菌感染症、B型肝炎等も含めて、それぞれの感染症のリスクに応じて必要な対策が講じられているものと承知しております。

 具体的には、例えば風疹、麻疹については、昨年八月に策定した二〇二〇年東京オリパラ競技大会に向けた感染症対策に関する推進計画に基づきまして、我が国の大会関係者等に対する予防接種の取組など、感染リスクを低下させるための特別な対策を講じているところであります。

 引き続き、政府として、IOC、大会組織委員会、東京都など、緊密に連携して、しっかりとした安心、安全な大会の実現に向けて準備をしてまいります。

古屋(範)委員 新型コロナウイルス感染症、これも最大の課題でありますけれども、そのほかこうした、それ以外の感染症についてもしっかり体制をつくっていただきたいと思っております。

 この髄膜炎菌感染症につきまして、国内でもアウトブレークの事例がございます。余り知られていないかもしれないんですが、二〇一一年五月、宮崎県の高校で集団感染が発生いたしまして、寮生一人が死亡しております。また、二〇一三年、三重県の全寮制高校の校内で髄膜炎菌性髄膜炎が感染を拡大をいたしました。また、二〇一七年、神奈川県内の全寮制の学校で発生したIMDに関しましては、十代の男子学生が死亡しているという案件がございます。学校関係者、濃厚接触者が四十二名いた中で保菌者が十名おりました。ですので、こうした髄膜炎菌の感染症、国内でもこうした感染の拡大が確認をされているところでございます。

 学校保健安全法の中には、学校において予防を努める感染症について、髄膜炎菌性髄膜炎が第二種の感染症と指定をされております。

 この髄膜炎の感染症、発生が少ないので認知度が低いわけなんですね。しかし、発生した場合、治療を行わないと致死率がほぼ一〇〇%に達するという重大性を考えますと、特に寮生、また児童生徒、学生等へ、疾患について知らせておく必要があるのではないかと思います。

 これから学校におきまして周知啓発が重要と考えます。鰐淵文部科学大臣政務官に答弁を求めたいと思います。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。

 髄膜炎菌感染症は、集団生活で感染しやすく、先ほど古屋委員からも御紹介いただきましたが、過去に十代の死亡例も出ている感染症であり、学校において予防すべき感染症として、学校保健安全法上に規定をされております。

 文部科学省では、髄膜炎菌感染症を含めた、学校において予防すべき感染症の解説のための冊子を作成し、全国の教育委員会等の関係者が集まる会議の場で周知徹底を行っているところでございます。

 また、先ほど委員の方からも御指摘がございました学生寮等における感染症対策につきましては、国内の学生寮において新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生しましたことを踏まえまして、文部科学省が作成しております衛生管理マニュアル、これを本年九月に大幅に充実をしたところでございまして、引き続き、こうした内容を学校現場にしっかりと周知徹底を図ってまいりたいと思っております。

 また、来年度は、オリンピック、パラリンピックの開催に伴いまして、訪日外国人の増加などが見込まれることから、関係省庁ともしっかりと連携をとりながら、感染症対策に引き続き全力で取り組んでまいります。

古屋(範)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

左藤委員長 午前十時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時十七分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時三十分開議

左藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 きょうは二本立てで、まずはアニマルウエルフェア、そして学校行事に関して質問させていただきます。

 東京オリパラのことに関しまして、外国人選手が今、選手村での食事について要望をしている。東京オリパラとアニマルウエルフェアと検索をしていただきますと、たくさんページが出てくるのでごらんいただけると思うんですけれども、外国人選手が、ケージフリーの卵、そして妊娠ストール、要するに、豚が飼育されるときに狭いおり、ストールというのは狭いところに押し込めるという意味なんですが、そういうような形で飼育をされている肉は出さないでくれと。

 EUは、この妊娠ストールあるいはケージに関する卵は禁止になっています。アメリカも、二〇二五年、マクドナルドもこれは使わないということで、全米的にもケージフリーの卵が今率先されているわけです。

 オリンピックに関しましては、リオにしてもロンドンにしても、このような、ケージフリー、あるいは妊娠ストールの肉を使わないというようなことで、オリンピックが行われるごとにどんどんどんどんとアニマルウエルフェアが進んでいるというふうに言われていますが、東京オリパラに関しましては、このオリンピックにおいてアニマルウエルフェア、更にここが進められるんだ、何かそういうようなものがあったら説明をしていただきたいと思います。

勝野政府参考人 お答え申し上げます。

 選手村で提供する食事につきましては、海外のオリンピアンから、ケージフリーの卵や妊娠ストールフリーの豚肉の提供を求める意見が出ていたというふうに承知をしております。

 東京大会では、組織委員会が策定をしました持続可能性に配慮した調達基準、畜産物について、卵や豚肉を含めて基準が定められております。この調達基準では、食品安全、環境保全、労働安全とあわせまして、アニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針、これに照らして適切な措置が講じられていることというのを要件として求めております。

 東京大会では、これらの要件を満たしましたJGAP、グローバルGAP、GAP取得チャレンジシステムといった認証、これらを満たした食材が調達されるということになっております。

串田委員 今回答をいただきましたが、要するに、選手村では世界的な標準であるアニマルウエルフェアに準拠した食事は提供しますよということですけれども、それでは国内はどうだろうかという点に関しましては、いまだかつて、今ででも、ケージでの飼育、そして妊娠ストールは九〇%以上と言われています、日本はそのような状況にあるということでありますので、私は、オリンピックを契機として、国内全体がやはりアニマルウエルフェアを推進していく、そういうことが必要なんじゃないだろうかと。

 今、ページを見ていただきますと、外国人選手が署名されているんですけれども、恐らく署名されていなくても、選手村でケージフリーとケージの卵というような表示があれば、どの選手も大体、もうEUなんかは禁止されていますから、ケージフリーの卵の料理になるでしょうし、妊娠ストール、狭いところで閉じ込められた豚肉と広々と開放的な豚肉とどちらですかと言われれば、それは快適な、いわゆる五つの自由を保護されている豚肉になるんだろう。日本の選手も恐らくそういうふうになるということで、このオリパラを契機にして、日本のアニマルウエルフェアがかなりおくれているというようなことが世界に発表されてしまうことが私はとても残念であります。

 そういう意味で、来年までまだ時間がありますから、何とか、国としてもアニマルウエルフェアを東京オリパラに関しては更に進めるんだ、国内でも進めるんだ、そういうような意思発表をしていただきたいなというふうに思っております。

 そういう意味で、学校教育の時点からアニマルウエルフェアを更に進める必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 現在の子供たちは、生命のとうとさやかけがえのなさに心を揺り動かされるような直接経験が少なくなっておりまして、生命のとうとさを理解し、かけがえのない自他の生命を尊重するといったことについて学ぶことはますます重要になってきているというふうに考えております。

 そのため、新学習指導要領におきましては、生命の尊重に関しまして、例えば、小学校の生活科におきまして、動物を飼ったりする活動を通しまして生き物への親しみを持ち大切にしようとすること、また、小学校、中学校の特別の教科、道徳におきまして、生命のとうとさを理解しかけがえのない自他の生命を尊重すること、また、小学校、中学校の理科におきまして、生命を尊重することなどを扱うこととしております。

 文科省といたしましては、引き続き、学校の教育活動全体を通じまして、生命の尊重について指導してまいりたいと考えております。

串田委員 最近では、動物虐待の動画とかが自由に見られるというようなこともあります。ユーチューブというようなものがどんどんと過激になっていくにつれて動物虐待の動画も多くなっていくというようなことで、大変痛ましい状況でございます。

 外国におきましては、こういうような動画の配信を禁止しているというところもあるようでございます。これを見た子供の精神的なショックというようなものを考えると、文科省としても、この動物虐待の動画に関して、やはり何らかの規制なりあるいは考え方を示していく必要があるのではないかと思うのですが、その点について確認させてください。

浅田政府参考人 御指摘のように、動物への虐待のような残酷な場面を子供たちが目にすることが子供たちの心に大きなショックや傷を与えるであろうことは、想像にかたくありません。

 お尋ねの、動物虐待の動画が子供たちに及ぼす悪影響、それに特化して文科省として検討したり指針を示したりはしておりませんけれども、常識的に考えても、教育上好ましくないということはもう言うまでもないことだと思います。

 少し関連すると思われる調査研究としては、平成二十八年に、国内外でのメディアによって表現された暴力、残虐表現等が青少年に与える影響に関する実証研究の動向について委託調査を行って、その結果を各自治体に周知したことがございます。

 その分析では、例えば、一般に幼児や小学生など低年齢の子供の方がメディアの影響を受けやすい、あるいは、全ての子供が同じように影響を受けやすいわけではないといった分析例が示されております。また、この分析結果や有識者からのヒアリングを踏まえた対応策として、メディアリテラシー教育の推進、家庭におけるルールづくりなどの保護者のかかわり、フィルタリングなどの対応策や、メディア側、情報を発信する側ですね、メディア側のコンプライアンスの遵守などが挙げられております。

 文科省としては、子供たちが使用する情報機器についてのフィルタリングの利用の促進や、学校、家庭での教育などを通じてインターネットの適切な利用に向けて取り組むことが重要と考えております。

串田委員 今答弁にありましたような、メディアのコンプライアンスというのも一番大事なのかなというふうに思っておりますので、そういう動画に関しては、メディアの側が自主的に規制していくというようなことも期待をさせていただきたいと思います。

 一方で、現在、学校で小動物を飼っているというところがかなりあるわけでございますが、これに関してかなり批判的な意見もございます。最近では新型コロナによる休校というようなこともありますし、一体誰が面倒を見ているのかというようなことも取り上げられているわけですけれども、学校の、小動物を飼うことになったいきさつ、あるいは面倒を見ている人等の説明をしていただければと思います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 学校内で小動物を飼うようになったいきさつでございますけれども、小学校の学習指導要領、生活科におきまして、動物を飼う活動を通しまして生き物への親しみを持ち大切にしようとする資質、能力を育成することとしております。

 この生活科につきましては、平成元年の学習指導要領におきまして新設されたものでございますけれども、そこにおきましては、児童が直接自然環境に触れたり、そこから感じ取ったりする機会が少なくなっている、そうした状況を踏まえまして、児童が生命あるものへの直接的な接触により、その成長、変化などにじかに触れて、生きるということを実感できるようにしたところでございます。

 また、どういった方が世話をしているのかということでございますけれども、動物の飼育につきましては、そういった活動を行う意義を踏まえまして、各学校の実態に応じて行われているところでございます。

 都道府県の教育委員会の指導主事の先生方への聞き取りをしたところによりますと、例えば、飼育委員会などの委員会活動を行う子供たち、あるいは担当の教員、それから学校の近くに住んでいる児童や保護者、あるいはまた地域のボランティアさんたちと協力を行いながら飼育しているというふうに承知しております。

串田委員 例えば、ウサギが飼われている学校が多いと思うんですけれども、ウサギに関する適正な環境、気温というものをお調べになったことはございますでしょうか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 ウサギを飼う場合の適正な気温についての御質問でございますけれども、文科省の立場といたしまして、一概にそういった気温をお示ししていることはございませんけれども、文科省が委嘱いたしまして作成した教師用の手引、学校における望ましい動物飼育のあり方におきましては、ウサギは暑さに弱く、夏には十分な注意が必要であり、水分を十分に与え、日陰で飼うようにすることなどについて留意点を具体的に示しているというものでございます。

串田委員 アニコム損保会社の調べによりますと、適切な気温というのは十八度から二十四度、今の答弁でも暑さに弱いというのがございました。

 ところで、最近は非常に気温も上がってきまして、猛暑日、いわゆる三十五度というような日にちが一体どのぐらいあるのかといいますと、東京では五回、大阪十四回、名古屋十六回ということでありますし、最高気温の平均気温は三十四度という状況なんですね。

 ですから、ウサギの外飼いというのは、十八度から二十四度というのは到底、十度以上の隔たりがある中で、猛暑日の中でウサギというのは飼われていると。

 要するに、一九六八年、五十年前は、東京、大阪も一度も猛暑日がなかったんですね。そのときに触れ合いが大事だということで小動物を飼うというのはわからなくはないんですけれども、気温が上がっているのに前例に従ってずっとその状態で外飼いをし続け、そして非常に夏に弱いウサギを外飼いのままにしている、それを子供が見て、果たして動物愛というものを育むということになっていくんだろうか、むしろ虐待に近いという声というのも非常にあるわけですよね。

 今のようなこういう状況を踏まえた上で、動物に対する直接の触れ合いというのをやはり教えていくということは大事だと思いますけれども、今までやっていたから小動物をそのままにしている、そして、小動物がどのぐらい死亡しているのかというのも通告レベルでは調べていないというようなお話でありました。

 私は、そういうような状況を子供が見続けているということ自体が、決して教育として喜ばしいとは思わないのですが、大臣、学校で小動物を飼うというようなことに関して、今、ペット、犬や猫も、残念ながら今はもう家の中ではエアコンをつけないと昼間はいられないというような状況が常識化している中で、学校で暑さに弱いウサギも外飼いになっているというようなことをそのまま漫然と続けていいのだろうかという声が非常に高まっているということを大臣としても考えていただきながら、今後、小動物に関する学校での飼育、どんなような方向性をお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 どのような動物であったとしても、学校において飼育するに当たっては、生命のとうとさが実感できるような適切な環境で飼育がなされることが大切であると考えております。また、学校においてどのような動物を飼育するかは、各学校の実態に応じ、適切に飼育することができる動物を選択することが大事であると考えております。なお、教師用手引において、学校における望ましい動物飼育のあり方について具体例を加えて示しているところです。

 文科省としては、引き続き、学校教育全体を通じて生命の尊重について指導していくとともに、各学校において適切な動物飼育が行われるように、環境省の動物飼育に関する最新の動向を注視しながら、各都道府県教育委員会等に対し、望ましい動物飼育のあり方について周知してまいりたいと思います。

 今先生から御指摘のあった、真夏日に小さなウサギ小屋で風通しも悪い中で仮にウサギが飼育をされているとすれば、やはりそういったものは時代の変化とともにしっかり見直していかなきゃいけない、そんなことを感じたところでございます。

串田委員 学校飼育だけでなくて、例えば、今、新型コロナによって、犬や猫を飼う人が非常にふえてきたということもあります。

 その中で、昨年、環境省の動物愛護管理法が改正され、数値規制が今、年内で取りまとめられているところでございますけれども、一番問題となっている一つが、帝王切開によって計画的に子供の犬や猫を、犬が多いんですけれども、産ませているということがあって、これに対しても、やめてもらいたいという声が非常に強いんです。

 その原因としては、非常に今、小型化ブームというのがあります。どんどんどんどん動物の小型化がブームになっていくと、結局、これは自然分娩でできなくなってしまうんですね。頭が産道を通れなくなって、それで帝王切開がふえてきているというのが現実にあるわけです。

 そういうような部分で、私は、子供のころから、小型化をしていくとお母さん犬や猫が大変なんだというようなことで、自然分娩の犬や猫というものも大切にしていこう、あるいは保護犬や保護猫がたくさんいる中で、そういったようなものを選んでいくというようなことも学校教育として進めていただきたいというふうに思っているんですが、大臣、この点について積極的な、そういう推進をお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 御指摘の小型犬の出産のあり方、小型犬を求めずに自然分娩の犬種の繁殖につなげること等については、さまざまな議論があって、所管の省庁において検討されているものと承知しておりますので、私からコメントすることは差し控えたいと思います。

串田委員 環境省が中心になるんだとは思うんですけれども、やはり、学校におけるそういうアニマルウエルフェアや動物に対する教育というのも私は大切だと思いますので、ぜひ、そういう縦割りの部分を乗り越えて、アニマルウエルフェア、動物愛護というものを進めていただきたいと思っております。

 それでは、次に、学校行事に関しての質問をさせていただきたいと思うんです。

 きょうも、先ほどテレビでやっておりましたが、共同で養育をするというようなことが子どもの権利条約に定められているんですけれども、日本は世界にもまれな単独親権制度ということで、離婚のときには親権者が一人になるというようなことであります。そのことで、学校行事、いろいろな、例えば運動会だとか演芸会だとかに関して、親権者ではなくなっていた者に対する連絡やあるいは問合せ、参加などでいろいろと問題が起きているということでございます。

 子供の権利に関して日ごろから活動されている三谷政務官にお聞きをしたいんですが、この学校行事に関する子供の養育のあり方、子どもの権利条約等も含めまして、どのようなお考えであるか、お聞きしたいと思います。

三谷大臣政務官 串田委員の質問にお答えいたします。

 まず、このアニマルウエルフェアですとか子供の権利、本当に、みずから声を上げられない、あるいはなかなか声を上げにくい、そういった立場の方々に寄り添う活動をされていることに関して、まずは敬意を表したいというふうに思います。

 その上でお答えさせていただきますと、子供の学校行事に関して、なかなか問い合わせてもそれについて答えてくれないというような現状があるということでございますが、一般論といたしまして、離婚後に単独親権になった場合や婚姻中に別居した、そういった場合におきましては、父母の双方が適切な形で子供の養育にかかわるということは、子供の最善の利益を確保する観点から極めて重要であるというふうに考えております。

 その上で、学校行事ということでございますけれども、現状、民法七百六十六条において、父母は協議離婚の際に面会交流等の子の監護に必要な事項について協議で定めるということになっておりまして、協議が調わないときや協議をすることができないときは家庭裁判所がこれを定めるということにされております。民法七百六十六条は、父母が婚姻中に別居をしている場合にも類推適用されるというふうに解釈されているものと承知をしております。

 学校行事に関しては、もちろん、子供の監護に関して定められた内容において、学校行事、運動会に出られますとか、そういったことを具体的に定めているということであれば、そういった対応が可能な範囲において、子供に寄り添いつつ、尊重して取り扱うということになっていく、そういったことが望まれるわけですけれども、そういった定めがないという場合には、民法七百六十六条の趣旨を踏まえまして、父母間での協議また家庭裁判所の審判等により、学校の実態も踏まえて具体的な内容を決めるよう求めるということが考えられます。

 以上です。

串田委員 民法七百六十六条の話がありましたけれども、一方で、今、養育費の不払いという問題があります。これに対する子供の貧困というものも問題となっていますので、養育費に関しての支払いというのはしっかりとしていくということが大事だというふうに私は思っているんですが、一方で、養育費を払うということは、親であるから払うということでありますので、例えば、子供の運動会を参観するとか演芸会に参加するというようなことは、当然、これは親としての権利であり、子供もやはり親にそういう姿を見てもらいたいという気持ちもあるかと思うんですけれども、その点で、今、諸外国から大変日本は批判されている部分がございます。

 そういう中で、学校自体としては、子どもの権利条約を遵守するような形で学校行事というものを進めていく必要がある。もちろん、最善の利益に合致しない場合には、それは制限することが必要だとは思うんですけれども、どうも、その原則と例外というものが非常に混同してしまって、個々の学校によっても対応が違うというふうに感じているんですけれども。

 三谷政務官、この点に関しては何らかのガイドラインなんかを示す必要があるのではないかと私は思うんですけれども、諸外国の情勢と今の学校行事との兼ね合いに関してお考えをお聞かせいただきたいと思います。

三谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、父母の双方が適切な形で子供の養育にかかわるということは極めて重要である。

 養育費の問題に言及していただきましたけれども、もちろん、その養育費の支払いというのも重要であるということは当然のことでありますが、それと同時に、しっかりと面会交流を行っていくということも、実は、これは一般的に大事だと言われているだけではなくて、国連において、対日審査総括所見ということで、非同居親との人的な関係及び直接の接触を維持するための児童の権利が定期的に行使できることを確保するということが日本に対して求められておりますし、そういったことが必ずしも遵守されていないということで、EUからの非難決議がなされているということは理解をしております。

 その上で申し上げさせていただきますと、現状ではございますけれども、離婚後の父母間において子供との面会の実施等をめぐってトラブルが生じ、子供が巻き込まれることも考えられることを踏まえますと、学校としては、子供への安全上の配慮等の観点から、親権を有さない親からの要求について慎重に対応する現状があるということは認識をしております。

 具体的には、学校行事への参加等、親権を有さない親と子供が面会する場合には、父母間の協議が調っているということを前提にしたり、また、子供の学校の様子や居住地等の情報提供については、個人情報保護条例等の関係法に基づき対応することなどの観点での対応が行われているということは理解をしております。

 さはさりながら、串田委員からの、本当に子供の最善の立場に立って、どのような対応が最も適切かということに関しては、よい問題提起をいただいたというふうに理解をしております。

串田委員 この運営に関しては、どちらかといいますと父母の調整というものがかなり前面に出ていて、諸外国は子供の権利だという部分を強く日本に訴えてきているのに対して、日本側は子供の権利というものに対する認識が私は大変少ないのかなと。

 調整、調整というようなことで、例えば七百六十六条に言われながらも、家庭裁判所での調停の平均期間というのは九カ月もかかるわけですね。その間に、子供は一方の方にだけいて片方の親に会えないというような状況でありますので、真の意味での子供の発言というものも得られない中で、大人だけの議論が進んでいるのではないかというふうに思っているわけでございますけれども。

 大臣、要するに、子どもの権利条約を守っていないと世界から非難されているのは、これは事実だと思うんですよ。昨年の国連の勧告、そしてことしの七月のEU決議、米国もオーストラリアもカナダも、大使館を通じてずっと言われ続けている。

 この子供の権利を守るというのは、まず文科省からスタートすべきではないだろうか。そういう意味では、学校行事も子どもの権利条約に即した進展をしていくんだということを文科大臣として明確に意思表示をしていくということが、私は、日本が世界から批判されていることに対して、それを、かじを変えていく一つの原動力になるんだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 父母が離婚をした後であっても子供にとっては父母のいずれもが親であることは変わりはないことから、一般論としては、父母の離婚後も父母の双方が適切な形で子供の養育にかかわることは、子供の利益の観点から重要であると考えています。一方で、離婚後の父母間において子供との面会の実施などをめぐってトラブルが生じ、子供が巻き込まれることも考えられることから、学校としては、教育委員会や福祉部局等と連携しながら、子供の安全を第一に考え、適切に対応することが必要と考えています。

 今先生おっしゃった例はよくわかるんですけれども、学校側は親権者から提出された個人情報しかわからないわけですから、言うならばもとの御主人あるいは奥様がどの方なのかとかいうことはわからないわけですよね。あるいは一緒に来ている方が内縁の関係にあるとか、そういうのはわからないわけですから。

 私はやはり、わかりますよ、わかるんですけれども、きっちりとした離婚協議をしていない人たちが学校行事の現場に来て、そのお子さんのみならずほかのお子さんにも迷惑をかけるような対応は、正直、文科大臣としては迷惑な話だなと。学校の先生たちが多忙をきわめている中で、子供たちの安全を守るのに必死で頑張ってるのに、その人が、誰だかわからない人が自称親と名乗って、部屋に入れろとか、こういうようなトラブルは、本当に常識で考えていただいて、そういうことがないように離婚をしてもらいたいな、こう思いますよ。

 ですから、条約そのものの大切さというのは私は理解しますけれども、良識ある大人だったら、子供の教育現場に来て、親の権利だけで、見せろとか入れろとかということで学校の先生たちに迷惑をかけるのは、正直言って、私は、大変現場も困惑して大変だと思いますので、法務省を中心に今議論をしているさまざまなあり方について、文科省として必要なことはしっかり連携してまいりたいと思いますけれども、できればしっかりとした話合いの上で、やはりそれぞれがみんな親なんですから、責任を持った行動をとってほしいなと思います。

串田委員 そういう、いろいろ問題がある場合もあるかと思うんですけれども、そうでない場合にも、親権者じゃなくなってしまうという法制度、世界にもまれな、恐らく日本だけと言ってもいいぐらいな制度の中で、親権者じゃなくなった者を、どうやって証明するのかというよりは、それはやはり原則としては親権者のまま、問題があるときには親権を制限する、奪うというようなことで、世界が行われているというようなことを、まずは法整備、大臣のお気持ちもよくわかりました、これは法務省として法整備していかなければならないと思いますけれども、当事者としては、親であるということは間違いございませんので、ぜひ子供と会わせてあげたいというふうに思っております。

 質問を終わります。ありがとうございました。

左藤委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 無所属になりました吉良州司であります。

 きょうは、萩生田大臣を中心に、二〇五〇年カーボンニュートラルの目標と環境技術、核融合技術についてという大きな柱、そして二番目、外国人児童生徒に対する取組、そして、時間が押すかもしれませんけれども、人材立国、科学技術立国への道というような柱で質問させていただきたいと思っています。

 まず、二〇五〇年カーボンニュートラルというのはかなり野心的な目標だと思っていますけれども、これに反対する人はいないと思っていますし、私自身も推進すべきだ、そして、国を挙げて推進すべきだと思っています。

 まずお聞きしたいのは、この野心的な目標達成、また広くは環境・エネルギー問題の解決のために、文部科学省はどのような役割を担い、そして貢献していくのか、また貢献できるのかについて、できれば萩生田大臣に。そして、その上で、文部科学省の、特に科学技術部門は基礎研究そして基盤技術研究が主な役割だと思っていますけれども、現時点で、先ほどのこの野心的な目標を達成するために具体的にどのような取組をしているのかについて、大臣又は政府参考人から伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 経済成長との両立を図りながらカーボンニュートラルを実現するためには革新的な技術が不可欠であり、革新的環境イノベーション戦略においても、温室効果ガス削減に向けた革新的技術の確立が挙げられています。

 文科省としては、環境・エネルギー分野において、従来の延長線上にはない技術の創出など、基礎・基盤的研究に取り組んでまいります。

 具体的には、全ての政策の基盤となる気候変動に関する予測情報の創出や、次世代蓄電池、大幅な省エネを可能とする革新的なパワーエレクトロニクス技術、また、水素製造を始めとした多様な熱利用につながる高温ガス炉、核融合エネルギー技術などの研究開発などを推進してまいりたいと思います。

 今後とも、関係省庁と連携しつつ、カーボンニュートラル実現に向けた研究開発等の取組を一層加速したいと思います。

吉良委員 ありがとうございます。

 今、具体的な取組として挙げていただいたことについては、こうやって新しい時代の新しいシステムをつくっていくときは、きょうからあしたに一遍に変わるわけじゃなくて、ある意味、長方形があったとすれば、その長方形を斜めに切って、今あるシステムが少しずつ減っていって、その間に新しいシステムをつくり始める、技術を開発して実用化していく、そうやって併存期間があると思っています。

 今、萩生田大臣が答弁していただいた技術の中で、私の認識としては、核融合というのはある意味ではもう二〇五〇年ぐらいからの重要な電力源、そして、それ以外のことで触れていただいた技術については、ちょうど今言った、古いシステムと新しいシステムが併存する中で新しいシステムをより推進していく、そういう位置づけだというふうに思っています。

 きょうは、この場は経済産業委員会ではないんですけれども、私は、さっき言ったように、この二〇五〇年カーボンニュートラルは極めて大事だと思っている一方、エネルギー安全保障という観点からすると課題も多いと思っています。だからこそ、将来的なエネルギーとしての核融合発電、これをどんどん進めてほしいというお願いをしたいと思っていますが、その課題ということについての私の問題意識をちょっと披露させていただきたいと思っています。

 多くの国民、政治家も多いと思いますけれども、再生可能エネルギーを、蓄電池だったりバッテリー機能を含む電気自動車だったり、これを組み合わせていけば日本の必要な電力需要を賄っていける、再生可能エネルギーというのは気まぐれな要素がありますので、それを蓄電池、バッテリーで補っていけば何とかなる、このように思っている人が多いというふうに思っています。

 そして、再エネを語る専門家の多くの方が、例えばドイツの場合はこうだという先進事例を披露します。ただ、私は、ドイツをある部分は参考にしてもいいけれども、日本の特殊事情を考えたら、正直言って参考にならないと思っています。

 一つは、地理的、地形的問題です。それからもう一つは、例えば、日本は化石燃料を事実上産出していない、それから電力系統が他国とつながっていない、そして近隣諸国がEUとかとは違って必ずしも友好的な国ばかりではない、こういう特殊事情があると思っています。

 地理的、地形的なことでいいますと、六年前か七年前になりますけれども、オーストリアのウィーン、ザルツブルクと来て、スイスのチューリヒに向かうときに、ずっと列車で行っていました。そうすると、左側、要は南側ですけれども、まあ、大きな林、場合によっては森と見えるぐらいの風力発電の設備、風車が並んでいるわけです。本当に驚くべき数です。皆さんもヨーロッパの地図を思い浮かべていただければいいんですけれども、オーストリアは、あんな内陸にあって、何十、何百という風車が回るだけの北海側から来る西風がそこまで届くんです。

 再生可能エネルギーを普及させるためには、主に太陽光、風力、風力も洋上風力も含めて推進していかなければいけませんけれども、例えば日本の場合は、人口一億二千万、国土が三十七万平方キロメートルですかね、その中で、いわゆる人が住める可住面積は二七%しかありません。これに対して、イギリスは、半分の六千二百万人、国土面積は三分の二ぐらいの二十四万平方キロ、人が住める可住面積は八五%です。フランスは、同じく人口は六千三百万、それから、日本より大きな五十四万平方キロメートルで、七二%。よく例に出されるドイツは、人口は三分の二、八千二百万で、ほぼ面積は同じ三十五万平方キロメートルですけれども、六七%、三分の二が人が住める地域です。

 考えていただければいいんですけれども、日本の場合は、これだけ狭いので。そこに住居地があり、市街地があり、農地があり、そして工業地帯がある。

 ですから、私自身は、西ヨーロッパというのは特に再生可能エネルギーの最適地だと思っているんですけれども、日本の場合は、今言ったように、地形的に非常に難しい問題がある。これ以上太陽光を広げていこうとしても、なかなか適地がない。風についてもなかなか難しい。もちろん、それだけに洋上風力というのは期待できるわけなんですけれども。

 それともう一点。

 環境問題を克服するために再生可能エネルギーをふやしたいということなんですけれども、例えば、私の大分、空港と大分市を結ぶ間、車で走っていますと、かつては、春は山桜、秋は紅葉で美しかった山が、いつの間にか太陽光パネルでぴかぴか光り始めているんです。この状況は、万葉の昔から、自然をめで、自然と共生してきた日本人の、自然とまさに共生したいという日本人の心根に果たして合うことなのかという問題意識があります。

 これを解決しようとすると、実はもはや、一軒家の屋根の上に、もうほぼ全戸につけていくというようなことしかなくなってくる。けれども、それには、バッテリーというか蓄電池と合わせればコストが二百万、場合によっては三百万かかります。それを一人一人負担できるのか。総論は、カーボンニュートラル賛成だけれども、じゃ、二百万負担してくださいなといった途端に、それは、そんなこと考えていなかったということに陥るのではないかというふうに思っています。

 あと、ごめんなさい、繰り返し、経済産業委員会ではないんですけれども、プラス、ドイツは、例えば天然ガスにしても石油にしても、ロシアから来るパイプラインが、ドイツを含めてヨーロッパじゅう張りめぐらされています。そして、電力系統がつながっているので、水力発電由来のノルウェーから電気を買うことができる、原子力発電由来のフランスから電気を買うことができる。

 ところが、日本は、まさに隔絶され、電力系統もつながっていない。繰り返しますけれども、じゃ、例えば電力系統をつないでいこうにしても、近隣諸国は必ずしも友好的な国だとは限らない。

 それから、長くなって恐縮ですけれども、さらに、私が一番この問題を取り上げている最大の理由は、今回、コロナに直面しました。実は、南米チリに世界最大の露天掘りの銅鉱山、チュキカマタ銅鉱山があります。私も二十六歳の冒険旅行をしたときにそこを実際訪れていますけれども、それはどでかい露天掘り銅鉱山です。その銅鉱山が、ことしの六月、操業を停止しました。労働者たちがコロナにかかったからです。クラスターが起こったからです。

 そのことを考えたときに、不幸中の幸いという表現が適切かどうかわかりませんが、コロナというのは感染力は極めて強いけれども、弱毒性なので致死率は極めて低い。ところが、このコロナは、いつ変異をしたりして、場合によってはエボラ出血熱並みの、エボラは二五%から時によって九〇%ぐらいの致死率があって、平均でも五〇%です。二人に一人が亡くなるというようなパンデミックになった場合には、実は、中東を始め世界各国の化石燃料の輸出がとまる。つまり、日本からしてみると輸入途絶が起こる。

 この輸入途絶もそうですけれども、トランプさんが大統領じゃなくなったので、中東でのイラン絡みの紛争というのは少し減じたと思っていますけれども、それでも中東でいつ紛争が起こらないとも限らない。あそこで紛争が起これば、輸入途絶が起こることに加えて、化石燃料が三倍、五倍に高騰してしまう可能性がある。日本経済はもうひとたまりもない状況に陥ります。

 さっき言った再生可能エネルギーというのは、バッテリーがあれば、蓄電池があれば何とかなると思っている方が多いんですけれども、例えば、石油は百八十日間の備蓄がありますが、電気は、御承知のとおり、備蓄できる限界があります。

 これだけの気候変動が当たり前になってくると、日本において、六月は一度もお日さまが出ませんでした、太陽が顔を出しませんでしたという状況があり得る。そうすると、仮の話として、一日当たりの電力需要を賄うだけの蓄電池を全部日本がそろえたとしても、肝心の蓄電池に電気をためるための電気をつくることができないという状況もあり得るわけです。先ほど言いました、カーボンニュートラルを目指していくときに再生可能エネルギーの普及促進というのは絶対条件ではありますけれども、一方で、それだけを頼りにして、ある意味、日本の長期にわたる需要を賄っていくことには限界がある、これが私自身の認識です。

 そういう意味では、先ほど挙げていただいた技術の最後の核融合施設、核融合を炉とした核融合発電というのは、我が国にとってまさに生き死にのかかった、生きるための絶対条件、必要不可欠な技術であり、発電源になるというふうに私は思っています。もちろん、もう一方、原子力というのもその機能を持っているわけですけれども、福島第一原発以来、国民の理解がなかなか得られない。ただし、今言ったリスクがある以上は、当面は原子力も使わざるを得ないと私は思っていますが。

 将来的には、核分裂に比べて融合というのは人体に及ぼす影響が極めて軽微、かつ、マネジャブルといいますか、制御がきく技術でもありますので、私は、この核融合というものを、段階的に、この結果がよければ次に、この結果がよければ次にということではなくて、今回の二〇五〇年のカーボンニュートラルという目標を設定した時点で、二〇五〇年には必ずこの核融合技術を使って発電までやるんだというような意気込みで、意気込みというよりか、もうそのことを決めて、この施設に対する投資をしていただきたいと思っています。

 ちなみに、私自身は、先日、茨城県の那珂市にある核融合研究所を視察してきました。その前には、ことしの一月には、世界的な七つの国というか地域で今実験炉をつくろうとしていますITER計画、日本がその中の主要部品を輸出したんですけれども、その初輸出にも立ち会わせてもらいました。さっき言った問題意識があるからです。

 視察して私が思ったのは、まだ夢の技術だとか言っていた過去の話ではなくて、もう夢じゃなくて、これは実現し得る、実用化し得るという確信を持ってきたんですね。

 話が長くなって恐縮でありましたけれども、この核融合技術を、先ほど言いました、段階的に、これが終わったら次のステップ、これが終わったら次のステップではなくて、二〇五〇年の発電というところまで目指して投資をしていく、推進していくということについて、ぜひ、私の今の問題意識に対するコメントも含めて、萩生田大臣の答弁を求めたいと思います。

萩生田国務大臣 先生御指摘のように、太陽光パネルというのが世の中に出てきたときには、こういう電力の生み方があるんだというふうに、日本じゅう、皆さん感心して、あちらこちらの屋根の上につけました。

 太陽光で原発一基分の平均的な電気を生み出すのにどうするのか、いろんな計算の仕方があるそうなんですけれども、六十平方キロメートルの面積を比較的良好な天候が続く前提で整備して初めて一基分。じゃ、六十平方キロメートルはどのぐらいかといったら、山手線の内側全部を太陽光で埋めて、それでも原発一基にしかならないということがよくわかりました。

 加えて、蓄電技術が、吉野先生に大変頑張っていただいて、さまざまな技術が出てきましたけれども、いまだ十分な蓄電ができるという環境にないわけですから、それを考えると、新たなエネルギー政策というのは並行して頑張らなきゃいけないと思っています。

 決して太陽光や風力発電がいけないということじゃなくて、蓄電池技術も更に研究は進めてもらいたいと思いますけれども、先生御指摘の核融合も大きなツールの一つになってくると思います。二酸化炭素の排出を伴わずに、カーボンニュートラルの実現に向けて重要な役割を果たすと期待されます。

 このため、政府においても、例えば、本年一月に決定した革新的環境イノベーション戦略において、脱炭素社会を実現するまさに革新的技術として核融合を位置づけをさせていただきました。

 このため、文科省としては、世界七極の国際協力により、先生も御視察をいただいたということですけれども、ITER計画を進めるとともに、ITER計画の補完、支援や、核融合原型炉のための技術基盤の構築を目的とするBA活動を日欧協力により進めているところです。

 ITER計画やBA活動は、核融合の科学的、技術的実現性を検証するものでありますが、我が国としては、国際的にも関心の高い核融合による発電に向けた研究開発を進め、ぜひ実用化を目指したいと思います。

 今後とも、カーボンニュートラルの実現に向けて重要な役割を果たす核融合エネルギーの実現に向け、研究開発を着実に進めてまいりたいと思います。

吉良委員 ありがとうございます。

 マスコミにも問題があると思うんですけれども、今、太陽光の、六十平方キロメートルという話がありましたけれども、六月二十日、二十一日ぐらいに雲一つない状況で照らされて百万キロワット、原発一基分の発電ができるのであって、雲が出たり、夜は一切発電ができませんので、平均すると一二%ですね、効率は。それでも普及はしなきゃいけないんですけれども、その問題、課題、限界というものをきちっと理解しながら、やはり、エネルギー安全保障というのは電気供給の安全保障と考えていかなければいけないというふうに思っています。

 それと、もう一点だけ指摘させていただくと、やはり、原発事故以降、かつて人気学科だった原子力への人材がなかなか集まりづらくなっています。一方、こうやって核融合という新しい技術に取り組まなければいけない。一方、廃炉であるとか、今回、北海道、町村が手を挙げてくれましたけれども、核の最終処分場をどうしていくのか。こういうところについてもやはり原子力の専門家が必要になってきます。

 そういう意味で、やはり、人材をきちっと確保し、そして育成していくという観点からも、その最先端を行くこの核融合技術についての取組をお願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、外国人児童生徒に対する取組ということについて質問をさせていただきたいと思っています。

 まず、外国人児童生徒、中には日本国籍だけれども日本語に不自由な生徒もおります、その方々も含めて、外国人児童生徒への教育に対する現在の取組についてお伺いします。

浅田政府参考人 外国人の子供たちが基礎的な学力あるいは日本での生活の基礎を身につけるためには、適切な教育の機会の確保が必要でございます。

 我が国では、外国人の子供たちが公立の義務教育諸学校に就学を希望する場合には、国際人権規約等も踏まえて、日本人の児童生徒と同様に公立小中学校に無償で受け入れているところでございます。

 公立の学校、小中高それから特別支援学校等について申し上げれば、現在、公立学校に在籍する日本語指導が必要な子供たち、先生おっしゃるとおり、実はそのうちの約二割ぐらいは国籍は日本でございますが、この子たちは、一番新しい調査、平成三十年五月一日時点では約五万一千人でございます。これは、前回の二年前の調査と比べると一六%増、十年前と比べると約一・五倍にふえているということで、まだ地域的にはかなりばらつきもございますが、近年急速にふえていることは間違いございません。

 これらの児童生徒の中で、日本語指導などの特別な指導を受けている生徒が約八割でございます。各学校に、特別の教育課程による指導を実施していない場合、そういう学校について理由を尋ねましたところ、例えば、担当の教員がいない、あるいは教育課程の編成が困難である、そういったものが主な理由として挙げられます。

 文科省としては、帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業というのをやっておりまして、この事業を通じて、学校における日本語指導等の体制整備を支援しているところでございますが、大変、各市町村からもニーズが、期待が強いものですから、今後とも、この事業を含めて、外国人児童生徒等の教育の充実に一層取り組んでいきたいと思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

 少し情緒的な話をさせてもらうと、技能実習生が自殺したり失踪したりという非常に困難な状況にあるというようなことを見たら、本当にもう涙が出てくる思いです。

 一方、私ごとで恐縮ですけれども、私がニューヨーク駐在をしていたときに、娘が三人いまして、そのうち長女、次女は、向こうのESLという、英語がしゃべれない子供たちのために、一年間もうみっちり、ほぼマンツーマンで指導してもらって、二年目からは何とかアメリカの普通の授業に加われるようになりました。

 そういう意味で、トランプ以前のアメリカではありましたけれども、すごくおおらかで、そうやって外国の子供を受け入れてくれたということに物すごく感謝をしています。やはり恩返しをしなければいけないというふうに思っています。

 ちょっと資料を見ていただきたいんですけれども、文字がずらっと書いてあるところの二番目に、平成三十年十二月二十日の、当時の天皇陛下、現上皇陛下が、最後の天皇誕生日に合わせての会見で、メッセージを発しておられます。

 その中で、ちょうど下線をつけていますけれども、その前からいくと、「そして近年、多くの外国人が我が国で働くようになりました。私どもがフィリピンやベトナムを訪問した際も、将来日本で職業に就くことを目指してその準備に励んでいる人たちと会いました。日系の人たちが各国で助けを受けながら、それぞれの社会の一員として活躍していることに思いを致しつつ、各国から我が国に来て仕事をする人々を、社会の一員として私ども皆が温かく迎えることができるよう願っています。」と。

 やはりこれは、当時の陛下、現上皇陛下が、先ほど言いました、技能実習生とか外国人労働者の実態を見て心を痛められ、日本がまだ貧しかったころに海外に出ていった日系人の苦労と、その後、苦労は本当にしたと思いますけれども、受け入れられて、二世、三世、四世、ブラジルなんかもう五世にもなっていますけれども、それぞれの国で活躍している、そういう意味で、受け入れた国々、人々に対して感謝をしている、今度は自分たちの番だということを述べられたのだというふうに思っています。

 そういう意味で、私自身も、誰一人本当にいじめに遭うことなく、日本に来てよかったと子供たちも思い、親御さんたちも思える、そういう教育環境をどう整えていくのかということに大変大きな関心があります。特に、異文化であったり、もちろん母語が違うわけですから、子供たちは大変苦労するというふうに思います。

 先ほど言いました、私、うっかりしたことを言って娘に物すごく怒られたことがありまして、何と言ったかというと、おまえたちはお父さんがアメリカに連れていって学校で英語で学んでいたからもう英語に不自由しないだろうと言ったら、娘二人が物すごく怒り始めて、お父さんは何にもわかっていない、本当にわかっていないんだねと言われて、その心はというと、最初、学校に行き始めたころは、何にもわからないし、何にもしゃべれないし、友達もいなくて、どれだけ苦労したと思っているのと。そういうことがあって、それもわかっていないのということで私は怒られたんですけれども。

 そういう意味で、やはり、今日本に来ている、また、来る外国人の子供たちというのは相当寂しい思いをしている、苦労していると思っています。

 そういう意味で、先ほど、取組について触れて、人数がふえるに当たって、文科省としても、また各自治体としても、その受入れ体制を拡充しているということは理解しているんですけれども、私は具体的な提案をしたいと思っています。

 提案しようと思っているのはなぜかというと、実は、これは文科省がつくっている「外国人児童生徒受入れの手引」という本で、すばらしい本ですね。ありとあらゆる課題、問題を網羅して、それぞれ、国が、地方自治体が、教育委員会が、各学校が、校長が、そして担任が、また日本語指導に携わる教師、それからそれを補助する支援員というのが、どういうことに注意しながら、どう対応していけばいいということが本当に網羅されていて、これがそのとおり、全ての外国人児童、子供たちがいるところで実行されれば、今言った、子供たちが寂しい思いをしたり苦しい思いをしたりすることはないと思います。

 ただ、残念ながら、まず、質と量において追いついていないというのが私自身の認識です。繰り返しますけれども、文科省としては問題意識を持ってやろうとしているけれども、まだ量的に、特に量的に追いついていない。

 そういう中で、一つの提案です。

 まず、教育学部の必修科目として、外国人児童、子供たちに対する対応、科目の名称はともかく、それを専門にする、専門というか、卒業の必修単位としてこのことを学んでもらう。ですから、教員免許を持っている人たちは、ある時期からは、全ての教員が少なくともこの知識を持っていて、どうしなければいけないかという問題意識を持っている、自分も研修の中で自己研さんしている、そういう状態をつくる。

 そして、もっと十年、二十年、三十年という先を考えたときには、もうその専門の学科をつくる。といっても、理想論を言えば、ただ単に、外国人の子供たちに対応できるという教師だけではなくて、プラス数学だったりプラス英語だったりということでないと、潰しがきかないというか、外国人がいないところに転勤になったりしたら大変なので、そういうことが必要だと思いますけれども、そういう将来的なことを考える。

 これは、日本が、私、もう詳細は語りませんけれども、問題意識としては、将来、移民を受け入れなければだめだと思っていますので、その移民の子供たちを教育していく際に、やはりこれに特化した人たちを育てていくべきだと思っています。

 この卒業の必修単位にするということと、将来的に、将来のことを考えて専門学科をつくっていくということについて、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

浅田政府参考人 先ほども申し上げましたが、日本語指導が必要な児童生徒、これは国籍を問わずですが、近年、大変増加傾向にございます。こうした子供たちへの教育の充実は、既に各学校、地域で大きな課題となっております。

 このため、教師がそういった児童生徒等に対応できる能力を身につけるということは極めて重要でありまして、大学の教職課程でこうした児童生徒等への対応に関する教育を充実していくということは、今や必須だと思っております。

 こうした背景も踏まえまして、教育職員免許法等の改正によりまして、平成三十一年度から、特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解というのが必修科目となっております。これについて文部科学省が策定した教職課程コアカリキュラムというのがございますが、そこでは、この科目で取り組むべき内容として、母国語の問題その他特別の教育的ニーズのある児童生徒等の学習上又は生活上の困難や組織的な対応の必要性といったことも示しているところでございます。

 さらに、昨年度、こうした児童生徒等の教育を担当する教師の養成、研修内容などを体系的にまとめたモデルプログラムを開発して、これも各大学等に周知をしております。

 大学にどういう学科を設けるかというのは、最終的にはもちろん各大学の判断ということになりますけれども、文科省としては、引き続き、こうした取組を通じて、こうした子供たちへの教育に関する教師の資質、能力の向上に努めていきたいと思います。

 現状として、さっき申し上げたように、まだ地域によって、学校によってかなりばらつきはあるのですが、例えば、多くの都市部などの学校では、どこの学級にも外国籍の子供たちがいるというのも割と当然のようになっています。

 したがって、それを専門にするというよりは、私は、例えば、教育におけるICTの活用であるとか、発達障害、学習障害についての基本的な理解であるとか、こうした日本語指導を必要とする子供たちへの対応といったものは、専門というより、これからの時代、いわば全ての先生方に必要になってくる能力であろうかなと思っております。

吉良委員 全ての先生に必要な知識だということについては同意しますけれども、ICT活用云々というのは、先ほど中川先生からもありましたけれども、言葉は非常に大事なんですけれども、特に、やはり異文化の地から来た子供たちというのは、単に言葉の問題ではなくて、よく言われる、共感、安心というものをどう提供できるかなんですよね。

 これもちょっと手前みそになりますが、つい最近、お父さんが日本で生まれ育って、ブラジルに渡って、ブラジルのお母さんと結婚して、そこで生まれたいわばハーフの方が訪ねてきてくれまして、その方が九歳のときに、お父さんがどうしても日本に連れていって日本語も日本の文化も体感してほしい、学んでほしいということで、日本に来まして、ただ、その方も、最初のころどれだけ苦労したかということについて聞かせてもらいました。

 ちょっと一点披露すると、そのとき、ずっといじめられ、疎外感を持ち続けたときに、ある日から突然変わった、それは、校長先生が体育館の中で壇上に上げて、この子は、そういう意味では、ブラジルから来て、ブラジルという全く違う文化の国から来ているんだということで、みんなも彼女の言葉を学びましょうとか、彼女の国について学んでいきましょうという話をしたんだそうです。そうしたら、それまで、今言った、疎外だ、いじめを受けていたんだけれども、それが終わった後は、友達がばあっと寄ってきて、ブラジルのことを聞いたり、ポルトガル語のことを聞いたりというような経験があるんだそうです。

 これも手前みそになりますけれども、私、ブラジルに留学していたことがあって、そのとき、ミナスジェライス州という州にいたんですけれども、たまたま、そのマリアさん、まあ、名前を言いましたけれども、その方のお母さんがそこ出身で、かつ彼女もその州で育ったということで、それでもう一挙にまた話が弾んで。

 それで、何が言いたいかといいますと、商社マンだったり、建設会社だったり、メーカーだったり、いろんな立場はあろうかと思うんですけれども、その国に駐在したことがある、住んだことがあるというような人たちはたくさんいると思うんですね。現役だとなかなか難しいかもしれませんけれども、そのOBがいらっしゃる。その方々というのが、今言ったように、共感というか、ちょっと、ああ、あの町知っているよとか、言葉でこう言うんだよねとか、そういうだけで一挙に子供たちがリラックスできて疎外感から解放されるというふうに思っていまして、外部人材の有効活用というのは、一つは、そういう在外経験のある人を在外の子供たちが多いところにできるだけ有効活用する。

 もう一つは、日本人学校の先生です。例えば、サンパウロ日本人学校に行っていたという先生が、ブラジル人の子弟が多いところに行けるようにする。ただ、今、それが何が弊害かといえば、大分県で採用された教員がサンパウロ日本人学校に行きました、帰ってきたときに大分、でも、大分でポルトガル語を必要とするというか、ブラジル経験は生きません、群馬県なら生きますというときに、じゃ群馬県で手伝おうとしても、一旦大分県をやめなければいけないというような壁があるというふうに聞いています。

 ですから、そういう壁を取り払って、今言った外国人の子供たちを温かく迎え入れるために、持っている資源、人的資源を最大限有効活用する、そのためのもろもろの規制を一切取り払っていくということが大事だと思っていますけれども、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 先生、上皇陛下のお言葉を引用されて、これからの日本の姿勢といいますか、目指す国家像の一助になるようなお話をしていただきました。

 実は、さっき局長から答弁をさせましたけれども、確かに、国際人権条約を批准していますから、外国のお子さんを公立学校に入れることは十分できるんですけれども、じゃ、今まで丁寧にやっていたかといったら、やっていなかったから未就学児が二万人以上いたということが去年初めてわかったわけですね。

 去年からことしにかけて、文科省も協力して、総務省とも連携しながら、要するに住民基本台帳のひもづけをして、そういう権利を皆さんは有していますよ、この年齢になったら小学校に入れますよ、中学校に行けますよということを、各自治体が国内に居住の外国のお子さんに連絡ができる環境がやっと整いました。したがって、少しずつ今の御懸念は解消の方向に行けるんじゃないかと思っています。

 それから、先生方の御協力もいただいて、夜間中学を一県に一つはつくっていこうと。これは本来の目的と違うかもしれませんけれども、やはり、語学に不自由な皆さんが、夜間中学で語学の補習などもしながら社会に出る準備をさまざましていただいている、そういう実態もございます。

 こういった総合的な力で、やはり日本に住む外国の皆さんに、ぜひ不安を取り除いて、日本のことを信頼していただいて、ともに生活をしていただける共生社会をつくっていかなきゃいけないと思っています。

 その中で、今御指摘のように、確かに、学校の先生はこれからはそういう国際化も視野に入れなきゃいけないんだから、大学の教育学部の履修期間にそういうものをマストにしたらどうだという先生の御指摘は一理あると思うんです。ところが、私は、例えば、さっき御質疑の中でも申し上げましたけれども、今度新しい学校環境が整って、ICT教育が始まります。こういったことも覚えなきゃいけない、あるいは、メディアリテラシーについても子供たちにちゃんと教えていかないといけない。

 時代の変化とともに先生が果たす役割というのはどんどんどんどんふえているにもかかわらず、減っているものが全然ないんですよ。したがって、大学四年間で学ぶべきことがどんどんふえてしまって、スクラップ・アンド・ビルドじゃなくてビルド・アンド・ビルドで子供たちは教職を目指さなきゃならない。そういうことも、実は、教育課程に進む、言うならば教師になるというインセンティブをおとしめてしまっているんじゃないかという、そんな心配があります。

 これは私案なので、例えばなんですけれども、議員立法でつくった、介護実習、学校の先生になるためには、一週間、介護現場に行かなきゃいけない。確かに、介護現場を知ることは決して悪いことじゃないと思います。しかし、教員になるわけですから、どちらかといえば、特別支援の必要な子供たちの施設ですとか、あるいは今お話のあった、外国人で非常に困難をきわめている、そういう人たちの施設などで研修を積んだ方が教員になったときには大きな役に立つんじゃないかと私は思っていまして、どこかでこんな点もまた国会の皆さんに御相談をしたいなと。

 介護が悪いわけじゃないけれども、一週間の介護実習を義務づけるんだったら、もう少し違うものに変えていくということも必要だと思います。そういう中で、グローバルな感覚を持った教員をぜひ現場に出していくという努力をしたいと思います。

 あわせて、教師免許がなくても、海外での経験を生かして特別免許で働いていただける民間出身の方もいらっしゃると思うので、もう本当に社会総がかりで、そういう人たちにもお手伝いいただいて新しい日本の形というのをつくっていく必要がある、こう思っておりますので、しっかり検討してみたいと思います。

吉良委員 もう時間が来ましたので。

 おっしゃるように、一方で、教員の働き方改革といいますか、負担軽減というのも大事な要素なので、大臣の答弁の趣旨もよく理解をしたつもりであります。そうであれば、最後に言ってもらったように、外部人材を利用しながら、国としては、外国人の移民労働者、そして子供たちを温かく迎えていく、それが最大の外交だとも思っていますので、ぜひそのことをお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

左藤委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 前回の一般質疑に引き続きまして、文化芸術、スポーツの問題についてきょうは質問をいたします。

 前回も申し上げましたけれども、その続きから始めますが、もう一回確認です。

 この間、文化芸術関係者の皆さんは、感染防止に社会的貢献をしているにもかかわらず、損失補填はされずに収入もなくなってしまった、しかし家賃や人件費など固定費だけはかかり、まさに文化芸術の存続の危機に直面をしておられます。新型コロナウイルス感染症の新規感染者は、きのう二千三百八十八人と過去最多になっております。一層の取組、支援が必要だというふうに思います。

 二次補正予算に文化芸術活動の継続支援事業が盛り込まれましたけれども、自己負担がないと申請できないとか、手続が煩雑で何回も修正や差戻しが指示されるなど、申請が伸び悩んでいると思います。

 こうした中で、我が党としても、九月十一日に、実施期間を九月末で終了とせず延長すること、採択などの事務処理のスピードを上げること、申請要件の緩和など制度内容を抜本的に見直し簡易な手続にすることなどを政府に申し出てまいりました。

 そこで、前回質問した際に、日本俳優連合や、セーブ・アワー・スペース、全日本商工団体連合会が十月七日に行った国への要請の中で、文化芸術活動の継続支援事業の申請期日を二〇二一年二月末まで延長してほしい、そして補助上限額の引上げや自己負担金の軽減、廃止などを求めているということを紹介して、政府としての対応はどうなっているかと伺いました。その続きです。

 それで、御答弁がありましたのは、事業の実施期間については二〇二一年二月二十八日まで延長する、これは大事なことなんですが、新規募集は十一月二十五日から十二月十一日まで実施するとなっておりまして、団体の皆さんは、来年二月二十八日まで、あるいは、この間、ウイ・ニード・カルチャーの皆さん、十月十四日に、これも政府に要望書を出しておりまして、演劇緊急支援プロジェクトとセーブ・アワー・スペースとセーブ・ザ・シネマの皆さんがつくられているウイ・ニード・カルチャーという皆さんですが、その皆さんは、実施期間についても二〇二一年三月三十一日までにしてほしい、こういうことなどを求めているのです。

 それで、実施期間は二月二十八日まで延びたということなんですが、申請期間は十二月十一日までというと、もう本当にすぐ来ちゃいますよね。これでいいんでしょうか。これも含めて検討し直す必要があると思うんですが、お答えいただけますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員今の御指摘の点でございますが、先ほど十一月二十五日から十二月十一日までというお話がありましたけれども、これまでも大体これぐらいの期間で募集を行っておりまして、しかも、大体、最終日、最終日前日ぐらいにばっと来てというようなパターンでございますので、今までの申請行動というか、それを踏まえたものと今回させていただいたところでございます。

 二月二十八日、確かに三月三十一日までにしてはどうかというお話がございましたが、これは今年度の事業でございますので、やはり出納整理期間というものが一定期間必要だということで、そのぎりぎりのところの二月二十八日に私どもとしてはさせていただいた、こういうことでございます。

畑野委員 その理屈でいったら、十二月十一日までやって、それで駆け込みの申請があるとおっしゃるけれども、それでもなおかつ要望があった場合はどうされるおつもりですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今までの執行状況からすると、第一回目が一万一千件余り、第二回目の募集が一万一千件、三回目が三万一千件余り。第四回目の今回、一回しか応募はできないわけでございますが、今まで二十万円の要望をされていた方が、残りの百三十万円までは要望できるということにしておりますので、私どもとしては、これまで、手続の簡素化を図ったり、いろんな改善を図ってきたところでございますので、三回目のその三万一千件ぐらいの採択のペースを考えると、大体この残りの予算は執行できるんじゃないかと今考えているところでございます。

畑野委員 そうしますと、これだけ新型コロナ新規感染者がふえる中で、文化芸術の皆さん、一層困窮すると思うんですよね。それはもちろん、ある予算を使い切るというのは大事なんだけれども、それならなお一層、その先どうするのかということも見通す必要があるんじゃないかというふうに思います。

 それで、この間、ライブハウスの方に伺いましたら、いや、申請していないと言うんですよ。今までそういうことをしたことがないですからとにかく手続が大変で、本当に困っていらっしゃると。だから、そういう方たちにもこういう制度があるよというのが伝わっていないわけです。それを文化庁さん先頭に、伝えたら、それは応募は来るじゃないですか、申請の。そういうことをしっかりと見通して、つまり、何か申請が多いとか少ないとかいう問題じゃなくて、困っている実態があるならばそれに応えていくという。

 萩生田光一文部科学大臣も、繰り返し、やはり文化芸術の灯を消すなとおっしゃってくださっていらっしゃいます。もう何回も言っていただいている。本当に大事なことだと思うんですが。これはいよいよ消えそうな状況の中にあるというふうに、私はそういう第三波の状況であると思いますので、そこはぜひ実態を見て再検討していただきたいということを申し上げたいんですが、いかがですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました継続支援事業につきましては、令和三年度概算要求においても要求しているところでございまして、まさに現在その事業について財政当局と協議しているところでございますので、今後、今先生から御指摘のあったような、文化芸術の灯を消さないというような事業にしてまいりたいというふうに考えております。

畑野委員 ぜひ予算をしっかりと確保して進めていただくように求めておきたいと思います。

 それで、使い勝手の問題なんですが、幾つか確認をさせてください。

 例えば、事業に必要な物品購入費、消耗品の支援が一品に当たり十万円までとなっているんですが、例えば、コロナ感染予防として距離を保つために、今後ライブ配信など、高性能のマイクを買おうとすると十万じゃとても買えない、五十万円、六十万円すると。

 ですから、こういうものはちゃんと購入できるように上限額を引き上げるべきじゃないかということが要望として出されているんですが、まずそれを先に伺います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、現在、文化芸術活動の継続支援事業における物品の購入につきましては、事業を遂行する上で必要不可欠な物品の購入費として、一点当たり十万円未満のものを補助対象としております。

 御指摘のような要望は存じているわけでございますが、これまでの申請者との公平性の観点から、それを変更するというのは私どもとしては困難であるというふうに考えております。

畑野委員 そうしましたら、例えば、五十万円のものを十万円未満単位に分割して、五つで買うということは可能なんですか。

矢野政府参考人 それは現在の運用としてはできないということでございます。

畑野委員 わかりました。

 スポーツの継続支援の方はそういう基準はないわけですよね。なぜならば、スポーツジムなどではとても十万円では機器は買えないということで、そういう縛りはないというふうに聞いているんです。

 だから、それは実態に合わせてやらないと、せっかくこうした支援をつくっているのに使われないと、かえって逆効果だ、使えないのかと。本当にもう最後の命綱として、この支援事業に皆さん期待を寄せているわけです。

 そして、その理由とされた、ほかの人たちにはそういうふうに十万円未満としてきたからと。改善すればいいじゃないですか、今まで出さなかったけれども。スポーツでも、今まで申請が無理だったのを、ちゃんと申請してやっていただいていますよ。文化芸術の方もそういうふうにやったらいいというふうに、よく調整していただきたいと思います。

 それから、もう一つ確認したいのは共同申請ですね、十団体まで、あるいは個人十人まで。共同申請ができる際に、とてもじゃないけれども事務ができる人がいない、体制がないということがあります。それで、取りまとめ団体、事務をやってくれる、そういう団体にお願いするとしたら、その報酬はどうなるのか。必要になると思うんですけれども。私はその分は、百五十万円までの支援が、そこから何%か出すとなると受け取る分が少なくなってしまうので、ちゃんと国で支援した方がいいと思うんですけれども、どうですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御質問は多分その百五十万の外枠でということになっていると思うんですが、補助上限が百五十万と決まっておりますので、御指摘の内容は困難だというふうに考えてはおりますが、現在、例えば十者で千五百万円の申請を行う場合、窓口団体はその一〇%の百五十万を上限として事務手数料として受け取るということができますので、事務負担の軽減に資するものというふうに考えております。

畑野委員 そのときの、ちょっと確認なんですけれども、共同申請で行われる事業費を支払うことができる、そういう基準というようなものはあるんですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、窓口団体の内部でそういう契約にしていただく、十者で申請するなら十者間で契約していただければ可能でございます。

畑野委員 いや、文化庁から、きのう、共同申請で取りまとめをしている団体への報酬の支払いの件について聞きましたら、共同申請で行われる事業費の一〇%を上限として対象経費として計上の上、団体に支払うことを可能としている、また、取りまとめの団体については、文化芸術団体であれば規模を問わず窓口団体となることが可能であり、従業員がおおむね二十人以下の小規模団体に限らないというふうにお答えいただいているので、それでよろしいですか。確認です。

矢野政府参考人 そのとおりでございます。

畑野委員 ありがとうございます。

 何でこんな細かいことをやっているかというと、統括団体に入っているところもよくわからないんだけれども、さっきのように、ライブとか、そういう個人でやっているところは、コールセンターに電話してもつながらないわけですよ。だから、こうやって一つ一つの具体的なことを、私もお知らせして、今見ていただいていますけれども、そういうことをやらせていただいているんです。新しい制度ですから、皆さんよくわかっていないということは、それぐらい丁寧にやっていただきたいというふうに思います。

 それで、PCR検査の問題です。

 今、文化芸術団体は、公演の際に、鑑賞団体や劇場、ホールからPCR検査を求められています。文化庁の助成金では、この文化芸術団体へのPCR検査について、どのように支援されていますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文化芸術活動の継続支援事業におきまして、事業の実施期間内において、例えば合同練習の前にPCR検査を受け、本番の前にも検査を受ける、こういった場合に、必要に応じて、複数回の検査について支援を受けるということも可能となっているところでございます。

畑野委員 そういう点からも、予算を本当にふやしていくことが必要だというふうに思います。

 次に、ライブなど、観客数を五〇%以下に制限する措置について、それぞれやはりライブでも違うというんですね。だから、よくその現場を見て、科学的な検証を踏まえて適切に見直すべきではないのかと。それから、ミニシアターも、やはり高齢者の皆さんに支えられてきたところがあって、若い人にも来てほしいんだけれども、全席オーケーになったんだけれども、なかなか戻ってこないという問題もあるんですね。だから、そういうことも含めて徹底していく必要がある、安全性の支援をしていく必要があると思うんですが。

 私は、やはり、十三日に質問したときに、自己負担金の軽減、廃止という要望があることについてお答えがなかったんです。ライブハウスやミニシアターなど、入場制限で生じる営業損失については国が補填をして、出演者や関連事業者にまで行き届くようにするべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 自己負担の軽減、廃止、つまり、損失の補償ということでございますけれども、これは、政府全体の方針として、個別の損失の補填、補償は困難であるというふうに考えております。

 また、自己負担の軽減ということになりますと、例えば、補助率十割の補助金ということだというふうに理解しておりますけれども、これは予算書におきまして、補助率について三分の二、四分の三ということが明記されておりますので、御指摘の点は非常に困難であるというふうに考えております。

畑野委員 ちょっと確認ですけれども、この事業ですが、現時点での申請総数、採択実績、交付決定額はどうなっていますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 九月三十日で第三次の申請の期間を終了した、その数字でございますが、これまで五万四千件の申請をいただいておりまして、十一月十三日時点で三万二千百七十件の採択、交付決定額については百四十七億千八百四十三万円となっているところでございます。

畑野委員 事務費などがありますからね、そこから引くと、実際に交付されている率は三四・二%というふうになると思うんです。七月一日に制度がスタートいたしましたが、五カ月たとうとしている時点で、半分以下の交付ですよね。

 日本俳優連合の調査を八、九月というので見せていただきましたけれども、回答した百八十六人のうち未申請が六割に上り、その理由に、自己負担金がないと申請できないからというのを挙げています。

 そういう点では、この間も本当に自己負担金の軽減、廃止が要望されています。しかし、全く変わらない答弁を繰り返している。もう成り立たないということですから、その損失の補填、補償を行わないという考え方、改める必要があると思うんですけれども、何かそういう検討というのはされようとしているんですか。

矢野政府参考人 大変繰り返しになりまして恐縮でございますが、政府全体の方針として、個別の損失の補填、補償は困難であるというふうに考えております。

畑野委員 だから、新型コロナでこれだけ大変な状況の中で、いや政府がと言ったって、文化庁から言わなかったら、この文化芸術の団体の皆さんの実態、言える人はいないんじゃないですか。

 個人の財産形成に資する公的資金投入は行わないというこの間の政府の答弁、政府の立場ですけれども、しかし、変わってきましたよね。災害対策の分野です。被災者生活再建支援法をめぐる議論の中でもこれは繰り返し出てきたけれども、たび重なる大災害から被災者を支援するために、不十分ながら、できないと言ってきた壁を乗り越えてきたのが今の到達点です。

 新型コロナ感染症は第三波です。きのうは過去最多です、新規感染者は。こんな深刻な状況で、文化芸術活動の再開も今後どうなるのかと。もう、きのう、おとといの時点でこういう事態に、新たなフェーズに入っております。

 ですから、そういう点ではもう本当に、文化芸術の分野でも、できないとされている、この前例主義を乗り越えるべきだと思います。

 十月三十日には、国際俳優連合事務総長、国際音楽家連盟事務総長などが連名で、日本の芸能界と文化芸術に携わるフリーランス芸能従事者の絶望的な状態についてというコメントを発表いたしました。

 その中で、このパンデミックにおいて、カナダ、米国、英国及びほとんどのEU諸国を含む世界じゅうの多くの国が、全ての労働者に包括的な福祉と収益の保護を提供するため大胆かつ前例のない措置を講じ、独立請負業者と従業員に同等のサポートを提供しています、不安定な状況にもかかわらず、この平等なサポートが少なくとも窮迫した状況を救うことができたことは日本と大きく異なりますと指摘しています。

 そして、世界の団体からも、日本政府に支援措置を求める声が出ております。

 この間は、十月二十日に、ユニオン出版ネットワーク、日本俳優連合、日本ベリーダンス連盟が、フリーランスの皆さんへの傷病手当金、休業手当、失業給付、未払い賃金立てかえ払い制度などの拡大運用あるいは準じた制度を創設してほしいと、これは厚生労働省ですけれども、ぜひ、こういう声も、文化庁からも、一緒になって、政府を挙げてやる必要があると思うんです。

 そこで、萩生田光一大臣の出番だと思うわけです。今こそ助成ではなく補填、補償をと、あのアンテルミタンのようなフランスの失業保険制度を大臣も御存じだとおっしゃっていただきましたけれども、こういう方向に進むべきだと思うんです。

 それで、文化芸術の分野でいえば文部科学省、文化庁でいえば、日本芸能実演家団体協議会を始めウイ・ニード・カルチャーも求めているような、国が出資する恒久的な文化芸術復興基金を創設しようと。超党派議連でも一千億円と申し入れてまいりました。我が党も、数千億円の出資を国がしたらいいんじゃないかという提案もしています。助成でなく、補填、補償ができる、こういう穴埋めの制度、文化芸術復興基金を検討するべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

萩生田国務大臣 今般の第二次補正予算では、文化芸術活動の再開に向けて、我が国の文化を支える担い手である実演家や技術スタッフの方々や文化芸術団体に対し、その活動継続や技能向上に向けた積極的な取組や収益力を強化するための取組などへの大規模な支援を行っております。

 先ほど次長ともやりとりをしていただきましたけれども、もともとの概念が、個人の損失あるいは補填などに直接現金を給付するというのは、政府としては、現段階では望ましくないという前提で制度をつくらせていただきましたので、給付金とは若干性格が違うというふうに思います。

 ただ、フリーランスの文化に携わる人たちを何としても助けなきゃいけないというこの思いは皆さんと同じでございまして、確かに、手続が煩雑だとか、用意しなきゃならない資料が多過ぎるとか、そういう意味では、当初何となく、困っている人たちに寄り添う制度じゃなくて、申請してきて条件をクリアしたら認めてあげるかのような制度でスタートしましたので、本当になかなか数が上がってこなかったんですけれども、ここへ来てやっと皆さん少しずつ御理解いただいたと思いますし、また文化庁もきちんと説明を続けてきましたので、今その四回目の募集をしようとしています。

 先ほどやりとりがあったように、まだ補正予算の、お認めいただいた予算を持っていますので、十二月十一日という期限は、どこかで一回は切らなきゃならないんですけれども、仮にその後、また申請者が多く、また手持ちの予算についても十分対応できるようでしたら、これは丁寧な対応をしていきたいということは、まず私の責任で約束をしておきたいと思います。

 その上で、参議院でも言われて、文化芸術の復興のための基金を国もお金を出してしっかりつくったらどうかということなので、私は、この経験を踏まえて、将来はそういうものがあった方がいいと思います。ただ、今、文化芸術復興創造基金というのを芸文振の方でつくって、七百十一万円の寄附が集まっています。七百十一万円は心のこもった寄附ですからありがたいですけれども、これでどうやって文化団体を救うんだ、文化人を救うんだと言われれば、配ることもできない状況にあります。

 今、文化関係の皆さんにもお話をして、とにかくこのコロナをしのいで何とか越えていこう、その暁には、やはり皆さん方も御協力して自分たちも協力して稼ぎ出す、そのかわり、政府としても、国としてもそれに対して一定のおつき合いをするような形でぜひ新しいスキームというのは検討してみたい、こう思っているところでございます。

畑野委員 萩生田大臣から大事な御答弁をいただきました。将来が近い将来になるようにぜひ頑張っていただきたいと思います。

 最後に、スポーツ活動継続支援補助金について伺います。

 時間がないので、まとめて二問聞かせてください。

 本年七月八日から募集が始まったこの制度ですが、交付状況はどうなっているかということと、それから、九月二十五日に新日本スポーツ連盟がスポーツ庁に要請に行かれまして、声を届けて、いろんな改善をされたと思います。月例マラソンで、密を避けて参加者が列をつくり、一人一人がバーコードリーダーにバーコードをかざしてスタートするぱらぱらスタートが交付対象外だったものが対象になったり、申請受け付け期間が十月三十一日から十一月三十日に一月延長されたり、ありました。

 しかし、到達点はまだまだ少ないと思います。私が計算しても、交付は七・四%となっていると思います。これは事務費を引いてですね。

 ですので、十一月三十日では、ウインタースポーツが入らないんですね、これから。それで、スキーの指導研修も行われますし、冬山のシーズンも始まるなど、補助金のニーズも出てくるので、予算を使い切れていないのであるから、事業期間と申請期間の延長をぜひしてほしいという声が出ていますが、いかがでしょうか。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、スポーツ活動支援継続補助金の今の実績、交付状況でございますけれども、十一月十九日現在で二千八百三十九件の申請を受け付けておりまして、このうち、五百七十三件について交付決定をしているところでございます。

 この補助金につきましては、通常の活動だけではなくて、指導、大会のオンライン化ですとか、あるいはホームページの刷新など団体運営の高度化ですとか、あるいは、委員も先ほど御指摘いただきましたけれども、機材の購入といったものにも活用できることから、御指摘のウインタースポーツ関係団体を含めたさまざまなスポーツ関係者から申請をいただいているところでございます。

 また、未申請の団体への働きかけに際して意見を聞く中では、補助金制度があることを知っているけれども今年度の支出についてはまだ少額であるですとか、あるいは、今後も特段の計画がないということで補助金を必要としていないなどの声も多いために、補助対象期間を延長することは現時点では予定していないところでございます。

 申請期間につきましては、先ほど御指摘いただいたように、当初の期間を一カ月延長して十一月末までとしたところでございまして、いまだ申請を受け付けているところから、更に多くの団体等に申請をしていただけるよう、周知等に努めてまいりたいと思います。

 なお、御指摘いただきましたように、交付の決定というところがまだまだ少ないという御指摘もいただいておりまして、先ほど申し上げたような状況でございますので、困って申請をしてきている団体への交付決定、支払いを一刻でも早くできるように、迅速な審査に努めてまいりたいというふうに考えております。

畑野委員 時間が参りましたので、大臣に申し上げて終わります。

 そもそも、二月二十六日の文化、スポーツの自粛要請から始まった大変な皆さんの御努力だと思いますので、ぜひ関係者の声に応えて、文化芸術、スポーツへの支援をしっかりと財政措置を含めてやっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

左藤委員長 次に、スポーツ振興投票の実施等に関する法律及び独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、遠藤利明君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・社民・無所属、公明党及び日本維新の会・無所属の会の四派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、スポーツ振興投票の実施等に関する法律及び独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。遠藤利明君。

遠藤(利)委員 スポーツ振興投票の実施等に関する法律及び独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 平成十年に議員立法として成立したスポーツ振興投票の実施等に関する法律によって、平成十三年、スポーツ振興投票制度、いわゆるtotoが創設されてから二十年を迎えようとしております。制度創設以来、スポーツ振興投票によるスポーツ界への支援の総額は二千八百億円を超え、我が国のスポーツ振興を支える非常に重要な財源確保策の一つとなっていることに加え、昨年度までに、収益のうち一千億円近くを国庫に納付いたしました。

 昨年、アジア初のラグビーワールドカップが開催され、また、来年は半世紀ぶりの夏季大会となる東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えるなど、我が国におけるスポーツ振興に対する機運が高まっている中、オリンピック、パラリンピックのレガシーとしてスポーツ立国を実現するため、その方策を可能とする中長期的な視点に立った財源を確保することが求められております。

 他方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、プロ、アマ問わず、多くのスポーツ大会等が中止や延期され、スポーツ施設も閉鎖されるなど、トップアスリートから青少年まで、練習や運動の機会が失われ、スポーツ界は深刻な危機に直面しております。

 スポーツ界が未曽有の危機に直面している今こそ、スポーツを愛好する国民一人一人の自発的な寄附によってスポーツを支えるというスポーツ振興投票制度の強化を図り、感染症対策も含めた迅速な支援を実施することが喫緊の課題となっております。

 本案は、このような状況を踏まえ、スポーツ振興投票の実施等に関する法律等を改正しようとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、スポーツ振興投票の目的が、スポーツを支える者の協力のもとに、スポーツを行う者の心身の健康の保持増進及び安全の確保等を図り、もってスポーツの振興に寄与し、国民の心身の健全な発達、明るく豊かな国民生活の形成、活力ある社会の実現及び国際社会の調和ある発展に資することであることを明らかにしております。

 第二に、スポーツ振興投票の対象競技にバスケットボールを加えるとともに、単一試合投票、すなわち一の試合の結果を対象とするスポーツ振興投票及び順位予想投票、すなわち競技会の経過又は結果を対象とするスポーツ振興投票を実施することができるようにしております。

 第三に、スポーツ振興投票の収益の使途の拡大について規定しております。すなわち、スポーツを行う者の安全の確保に資するために必要な設備の整備、地域におけるスポーツ活動、医療従事者等の派遣、スポーツ団体の運営基盤の強化にも収益を充てられることを定めるとともに、感染症等が発生した場合における選手の支援事業にも収益を充てられることを定めております。

 第四に、日本スポーツ振興センターは、対象試合等の計画的かつ安定的な開催に資するため、スポーツ振興投票対象試合開催機構に対し、費用の一部について支援することができることを定めるとともに、機構は、この支援を受けて業務を行うに当たっては、チームを保有する社員その他の関係者の意見を聞かなければならないことを定めております。

 第五に、独立行政法人日本スポーツ振興センター法において、国際的な規模のスポーツの競技会の我が国への招致又はその開催が円滑になされるようにするために行うスポーツ施設の整備等であって、特に必要があるものとして文部科学大臣が財務大臣と協議して定める業務を特定業務とするなどの改正をしております。

 最後に、本案は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ御賛同くださいますようよろしくお願いいたします。

    ―――――――――――――

 スポーツ振興投票の実施等に関する法律及び独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

左藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、これを許します。畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 スポーツ振興投票法等一部改正案について伺います。

 まず、提案者に伺いたいのは、第一条のスポーツ振興投票の性格についてです。

 お手元に資料を配らせていただきましたけれども、スポーツ庁からいただいた資料の中に、「ギャンブルではなくギフティング」と書かれております。これは正しくないというふうに思いますが、確認です。

 スポーツ振興投票と刑法百八十七条との関係について説明を求めます。

齋藤(健)委員 お答えいたします。

 まず、このスポーツ振興投票は、当せん金の払戻しの割合が売上金額の二分の一以下と低く定められているということ、それから、残りの収益についてはスポーツの振興等のために充てられるなど、寄附的な性格が強いものであるということであります。

 そういった意味では、次から次へと金銭をつぎ込んで、生業をなげうってまでのめり込んでしまうようなギャンブルではありません。夢や楽しみを買って、スポーツの振興のために寄附をしてもらうというギフティングの性格が強い制度であると認識しております。

 スポーツ振興投票を法律の根拠なく行えば、これは富くじを禁じる刑法百八十七条に抵触するおそれが当然あるわけでありますが、スポーツ振興投票は、試合での不正防止策を講じ、運営においても公正性を確保するなど、刑法の規定を除外するに足る十分な合理的な制度として行われるものでありまして、法律で規定されたものであります。

 これによりまして、刑法三十五条の正当行為として違法性が阻却され、実施することが認められているものであります。

畑野委員 かつても、サッカーくじはギャンブルでなく宝くじと類似していると言ったんですね。しかし、宝くじも刑法で禁止されている富くじの一種なんですよ。だから、違法性を阻却していると言うんだけれども、もともとはこういう、ギャンブルじゃないですか。それをギャンブルじゃないという、こういう欺くようなことをやっちゃいけませんよ。

 しかも、教育基本法は、勤労を重んずる態度を養うと書いてあるんですよ。文部科学省ですよ、担当は。私は、全く今の御答弁は不誠実だというふうに言わなくてはならないと思います。

 次に伺います。

 法の第二条、単一試合投票の導入を今回初めて行います。今までやらなかったんです、さすがに。なぜ行わないことにしていたのかということを伺いたいのと、本改正案では、サッカーとともにバスケットボールも加えて、広げるというんですね。バスケットボールが加わるだけじゃなく、サッカーも含めて、単一試合投票は初めて入るんです。物すごく広げる。

 これに対して、射幸心をあおり、また八百長など不正行為の問題が広がるんじゃないかという指摘の声がありますが、どうですか。

浮島委員 お答え申し上げます。

 スポーツ振興投票法の制定に当たりまして複数の試合を対象とした理由は、我が国においてスポーツ振興投票というこれまでにない仕組みを導入するに当たりまして、当せん確率を過度に上げないことによる射幸性の抑制、そして選手による不正行為のリスクの軽減といった観点から、慎重な検討そして判断がなされたことということでございます。

 また、他方、スポーツ振興投票法が施行されて約二十年がたち、スポーツ振興投票が社会に定着し、Jリーグ等におきましても、これまで不正行為事案等は発生していないことが事実でございますし、また、商品の設計等におきましても、適切な配慮を行うことにより、射幸性の抑制と不正行為の防止を担保しつつ売上げの向上を図ることが可能であると判断をし、単一試合の投票の導入を盛り込んだところでございます。

 また、射幸性の抑制に関しましては、単一試合の投票は、払戻し率は売上金額の五〇%以下に決まっておりまして、当せん者も多いことが見込まれるために、特定の購入者に多額の利益が生じにくい。また、Jリーグ、Bリーグとも、特定のチームの試合は一日一回でありまして、次の試合まで数日から一週間程度の間隔があき、この冷却期間が置かれることから、次から次へとお金をつぎ込むことは生じにくいといった理由から、そもそもの仕組み上、射幸心を過剰にあおらないものと考えているところでございます。

 また、不正行為の防止、これに関しましては、単一試合の投票は、特定の購入者に多額な利益が生じにくく、また、具体的なスコア等まで、特定の予想、結果を合致するような、相当数の選手等を買収するなどして試合結果を操作することは困難性が高いといった理由から、不正行為を起こすインセンティブは少ないものと考えています。

 この点、今回の改正では出場選手の数が五人であるバスケットボールも対象競技に追加いたしますけれども、バスケットボールは選手の交代の回数の制限がなく、頻繁に行われることから、試合結果を操作するような不正行為が困難であるという実情は、サッカーと変わるところは何もありません。

 以上です。

畑野委員 ここにわざわざ、この資料にもありますけれども、単一試合投票の導入に関する留意事項に、一、射幸心を過剰にあおらないような商品設計、販売、二、不正行為の防止、選手の安全の確保等と書かれているということ自身が、そういうことの危険性があるということじゃありませんか。

 いろいろ言ったって、あの韓国のプロサッカーリーグでも八百長事件が発覚しました。韓国のくじは、スポーツ庁によると、一口十円だということなんですね。いろんな仕組みは違うでしょうけれども、金額の多寡にかかわらず、くじを導入したから八百長が起きている。売上げをふやそうと対象試合数をふやす、そういうのは日本と同じですよね。対岸の火事じゃないと思います。

 Jリーグでもモニタリング会社から指摘された。不正はなしとされたけれども、サッカーだけでも、スペイン、イングランド、イタリア、ベトナム、ドイツ、マルタ、ギリシャなど、多数の国でこういう事件は起きています。日本でも、古くはプロ野球球団の黒い霧事件がありまして、法制定当時のプロ野球コミッショナーだった川島広守さんも懸念をしていたわけですよ。そして、何とおっしゃっているか。スポーツ振興というのは、本来、国や自治体によって担われるべきものですと。本当に私は正論だと思うんですね。

 しかも、子供たちの大好きなサッカーに、更にバスケットボールなんですよ。しかも、今SNSです。どれだけの多くの選手や審判や関係者が巻き込まれるか、想像にかたくないです。

 そこで、時間が余りありませんので、まとめて提案者と萩生田光一大臣に伺います。

 スポーツ振興センター法附則八条について、提案者は、かつて法改正のときに、国立競技場などのスポーツ施設の整備は国費が基本だと御答弁されましたが、今回もその認識でしょうかと確認と、それから萩生田大臣にも、このスポーツ振興センター法附則八条について、そういう点では、国費による財源を確保しつつ取り組むことが望ましいと当時の文科大臣が答弁されていますが、萩生田大臣もその認識でよろしいのか。そして、大臣には、スポーツ振興投票に対して青少年への悪影響を懸念する声に応えて、スポーツ基本法に基づく国民の権利としてのスポーツ予算を抜本的に増額するよう求めたいと思いますが、お願いいたします。

遠藤(利)委員 お答えいたします。

 平成二十五年の法改正では、貴党の宮本岳志委員から御質問をいただきました。そのときにも、国立競技場など独立行政法人日本スポーツ振興センターが保有するスポーツ施設の整備については、国費により財源を確保しつつ取り組まれるべき性格のものであり、その上で、国立競技場の改築等に係る財源を調整する中で、やむを得ない場合にはスポーツ振興くじの売上げの一部を活用することも考えると申し上げました。今回の法改正にあってもその認識は変わっておりません。

 なお、国際大会の招致については、大会のために常に新たな箱物をつくるということではなくて、既存施設を計画的に整備して対応するということが国際的なトレンドになっております。こうしたことを踏まえ、今回の改正は、附則第八条の三の文言を「緊急に行う必要があるもの」から「特に必要があるもの」に改めるものであります。御理解をいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、日本スポーツ振興センターが保有する施設の整備等の財源については、国立競技場など独立行政法人日本スポーツ振興センターが保有する施設の整備等喫緊の課題については、基本的には国費による財源を確保しつつ取り組むことが望ましいとの認識は変わっておりません。

 また、これと同時に、例えば、PFI事業ですとかコンセッションですとかネーミングライツですとか、やはり多様な財源を確保するという観点も同時に持ち合わせていかなくてはいけないというふうに思っておりまして、こういう点も考えは持たせていただきたいと思います。

 子供たちにとって悪影響をというふうに先生おっしゃいましたけれども、totoが法制化されて以来、子供たちを取り巻く事件、事故というのは一つも起きていません。どういう悪影響があるか私には理解できませんけれども、いずれにしましても、スポーツの振興のための予算はしっかり確保していくことは頑張りたいと思います。

畑野委員 それは皆さんの努力があったからじゃありませんか。三百三十四地方議会からも懸念の声が出たと、私、当時の資料を見ましても、四百ぐらいいったんじゃないでしょうかね。そうやってみんなが、いけないというふうにやってきた。

 私は、だから、本当に、国が真剣にスポーツ振興の予算を拡大させていくということが本筋だということを申し上げて、この法案には断固反対の意思を表明して、質問を終わります。

左藤委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

左藤委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

左藤委員長 この際、遠藤利明君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・社民・無所属、公明党及び日本維新の会・無所属の会の四派共同提案によるスポーツ振興投票の実施等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。青柳陽一郎君。

青柳委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    スポーツ振興投票の実施等に関する件(案)

  我が国においては、東京オリンピック・パラリンピックの開催を控える等、スポーツ振興に対する機運が高まっており、オリンピック・パラリンピックのレガシーとして「スポーツ立国」を実現するための方策を実現できる、中長期的な視点に立った財源を確保することが求められている。他方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、スポーツ大会等の中止・延期、スポーツ施設の閉鎖により運動の機会が失われる等、スポーツ界は深刻な危機に直面している。

  このような状況を踏まえ、スポーツを愛好する国民一人ひとりの自発的な寄附によってスポーツを支えるというスポーツ振興投票制度の強化を図り、感染症対策も含めた迅速な支援を実施するため、スポーツ振興投票の対象の追加、単一試合投票及び順位予想投票の導入、収益の使途の拡大等を主な内容とするスポーツ振興投票の実施等に関する法律等を改正する法律案を起草する運びとなった。

  政府は、「スポーツ振興投票の実施等に関する法律及び独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律」の施行に当たり、次の事項に留意し、その運用について万全を期すべきである。

 一 スポーツ振興投票の寄附的な性格について理解の促進を図り、売上の向上に努めるとともに、スポーツ振興のための予算措置について、今後もなお一層その充実を図ること。

 二 独立行政法人日本スポーツ振興センターによるスポーツ振興投票対象試合開催機構(以下「機構」という。)の業務に要する費用に係る支援の一部について、機構からチームを保有する社員に対して、一の試合を対象とするスポーツ振興投票(以下「単一試合投票」という。)のチームごとの売上を踏まえて配分することができるよう、機構に対して必要な規程の整備を促すこと。

 三 海外リーグの試合については、単一試合投票の導入当初においては、対象として指定しないこととし、単一試合投票の実施状況や購入者に対する影響等を踏まえて、単一試合投票の対象とすることについて検討を行うこと。

 四 スポーツ振興投票の公正な運営を確保するため、機構に対して、チームの選手、監督及びコーチ並びに審判員等に対する不正行為の防止等に係る研修の充実、アンチドーピング活動の充実、相談窓口の整備及び周知等に取り組むことを通じてスポーツ・インテグリティの向上を図るよう促すこと。

 五 単一試合投票について、特定の結果に極めて多数の投票が集中するなど、通常想定されない投票が行われた場合、独立行政法人日本スポーツ振興センターにおいてこれを探知し、機構と情報共有を図る仕組みを構築すること。

 六 単一試合投票について、過去の試合結果等に基づき、当せん倍率が過度に高くならない投票パターンを設定するよう留意すること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

左藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

左藤委員長 起立多数。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。萩生田文部科学大臣。

萩生田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

左藤委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十二分散会


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