衆議院

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第14号 令和3年5月14日(金曜日)

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令和三年五月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 左藤  章君

   理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君

   理事 小渕 優子君 理事 神山 佐市君

   理事 原田 憲治君 理事 菊田真紀子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      安藤  裕君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    櫻田 義孝君

      繁本  護君    柴山 昌彦君

      谷川 弥一君    中村 裕之君

      根本 幸典君    馳   浩君

      福井  照君    船田  元君

      古田 圭一君    三谷 英弘君

      村井 英樹君   山本ともひろ君

      吉良 州司君    下条 みつ君

      寺田  学君    中川 正春君

      谷田川 元君    山内 康一君

      吉川  元君    笠  浩史君

      古屋 範子君    鰐淵 洋子君

      畑野 君枝君    藤田 文武君

      白須賀貴樹君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    三谷 英弘君

   国立国会図書館長     吉永 元信君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  植松 浩二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  益田  浩君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       塩見みづ枝君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文化庁次長)      矢野 和彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小笠原陽一君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)


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     ――――◇―――――

左藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官植松浩二君、内閣審議官益田浩君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官塩見みづ枝君、高等教育局長伯井美徳君、文化庁次長矢野和彦君及び経済産業省大臣官房審議官小笠原陽一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

左藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 今日は、私、当選してから、朝一番で質問させていただくのが初めてで、ちょっとペースがいまいちつかみにくいんですが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本日は、今回の法案、著作権法の改正を幾つか確認させていただいて、そして後半は、著作権法の全体、法体系や、またフェアユースについて少し議論をしたいと思います。

 まずは法案についてです。

 図書館等の公衆送信補償金の制度が整えられるわけでありますけれども、指定管理団体が設定する補償金の設定方法につきまして、図書館関係者を始め様々なプレーヤーから意見を聴取するというような仕組みになると思われますが、この図書館関係者の意見を十分に反映するための手順が私は大事だというふうに思います。

 この手順について、どのような手順を踏むのが適切であるとお考えか、まずは確認したいと思います。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 補償金の決定手続におきましては、まず、指定管理団体が料金体系や金額の案を作成しますが、その際には、あらかじめ図書館等の設置者団体の意見を聞かなければならないことが要件とされております。その上で、指定管理団体が文化庁長官に対して認可の申請を行い、文化庁長官が文化審議会に諮った上で認可の判断を行うこととしております。

 具体的な金額の設定に当たっても、国内市場における使用料の相場や、諸外国における同様のサービスの相場を参照するほか、図書館等における事務負担、円滑な運用への配慮といった点も加味しながら、総合的に検討されるものと考えております。

 こうした点を踏まえ、図書館関係者を含む幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら対応してまいりたいと考えております。

藤田委員 同じく、これは補償金自体の話、そして、指定管理団体も手数料を取るわけでありますけれども、この手数料の設定基準とかの考え方等があればお示しいただけたらと思います。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 補償金関係業務につきましては、図書館側の事務負担軽減を図るとともに、権利者への対価還元を確実に行うため、文化庁が指定する指定管理団体が一元的な窓口となって行う仕組みとしております。

 この指定管理団体が補償金関係業務を開始しようとするときは、業務執行規程を定め、文化庁長官に届け出なければならないこととしており、当該規程には、補償金関係業務に要する手数料に関する事項を定める予定でございます。

 指定管理団体の手数料の設定に当たっては、当該団体が非営利であることを指定の要件としておりますので、その額は、基本的に業務の執行に必要な合理的範囲にとどまるものと考えております。

 また、文化庁長官は、補償金関係業務の適正な運営を確保するため、必要があると認めるときは、指定管理団体に対して報告や帳簿等の提出を求めることができ、さらに、執行方法の改善のために必要な勧告をすることができることとしております。

 必要に応じて、これらの措置により、指定管理団体の業務執行が適正になされるよう対応してまいりたいと考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 事前にもちょっと議論させていただきましたが、これは非営利ということが原則ですが、実際に、実費、非営利みたいな原則があると思うんですが、手数料については、手数料一個一個が実費という解釈ではないと思うんですね。団体としての、いわゆる経費において、総合体として非営利ということは、例えば給与の額、また外注費用とかというものが余りに高過ぎると、これは手数料に跳ね返ってくるというところなので、そういったことはしっかりと注視していくべきだというふうなことを、事前にもお伝えしましたが、質問にはいたしませんが、よろしくお願いをしたいと思います。

 先行事例について少し聞きたいと思います。

 授業目的公衆送信補償金制度というのがあって、指定管理団体としてSARTRASが既に走り出しているわけであります。SARTRASが管理団体として運営開始されているわけでありますけれども、この補償金制度におきまして、教育関係者や権利者側の協議、そういう具体的な制度設計に二年以上時間を要したというふうにお聞きしているわけであります。これの理由と、それから、これは前倒しで始まったというふうに認識していますが、そのときは三年の猶予期間があったわけですけれども今回は二年ということで、このあたりについて、先行事例を踏まえて御意見をいただきたいと思います。

矢野政府参考人 今委員から御指摘のございました授業目的公衆送信補償金制度は、長年にわたる教育関係者と権利者との意見調整を経て創設した仕組みでございまして、準備や周知に要する時間を考慮し、平成三十年の改正法では、公布後三年以内、すなわち本年五月までに施行するということとされておりました。

 この制度では、補償金支払いのワンストップの窓口となる指定管理団体を設けるに当たり、幅広い分野の権利者団体が存在している、個別の利害を超えてまとまるというのはこれが初めてのケースだったということでございます。また、補償金額や制度の運用指針等を定めるに当たり、教育関係者と権利者団体が、利害の対立、そういったものを乗り越える必要があったということで、丁寧な議論を重ねるという必要がございました。などから準備に時間を要しておりますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響に迅速に対応するため、前倒しで昨年の四月二十八日から施行したところでございます。

 今年度からは有償の補償金額による本格運用が開始されていますが、これらの準備におきましては、著作権やこの制度について、制度内容についての教育関係者の理解を得る必要がございました。それを、理解を深めるということや、教育機関の設置者における補償金負担の軽減を図り、保護者等への転嫁を抑制する等、そういった課題があったと考えており、一定の時間を要したと考えておりますけれども、引き続き、丁寧な周知と必要な支援に努めてまいりたいと考えております。

藤田委員 もう一点、授業目的の方で、著作物の一部メール送信等には、著作権者の利益を不当に害することとなる場合には送信を行うことができない旨の規定を設け、具体的な内容についてはガイドラインを作成するということ、それから、SARTRASの運用においては、授業で必要と認められる範囲においての使用に当たるかどうかは、状況に応じてガイドラインの例を基に現場判断ということになっています。

 これは、割と現場でも混乱が、少し見聞きするわけでありますけれども、ランダム調査で授業目的に当たらない使用があった場合は追加で徴収するというようなガイドラインのようです。

 実際に、この辺の、現場においての運用状況、使いづらさや理解の浅さみたいなものについて認識しているところがあれば、お答えいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 授業目的公衆送信補償金制度の運用指針は、教育関係者と権利者団体等により構成する著作物の教育利用に関する関係者フォーラムにおいて策定したものでございますが、今委員から御指摘のあったような課題が現場から我々のところにも届いているところでございます。

 御指摘の、必要と認められる限度については、法の適用に関する基本的考え方をお示しするとともに、例えば、著作物の複製部数が教員や履修者等の数を超える場合、あるいは、誰でも見られるような状態で、授業と直接関係ない著作物を含めてアップロードする、こういった場合は該当しない旨などが具体的に示されております。

 文化庁といたしましても、教育現場において円滑に著作物が利用されるよう、関係者フォーラムとともに連携し、教育現場における理解の醸成を丁寧に図ってまいりたいと考えております。

 今回の改正による図書館資料の送信サービスに関するガイドラインの策定に当たっては、これまでの経験を踏まえ、当事者間の検討に文化庁とししてより一層積極的に参画し、できる限り明確なものとなるよう努力してまいりたいと考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 法案関係について質問させていただいたんですが、最後に現場の話をお聞きしました。

 実際、この著作権法の下で現場で動かれる方々というのも、ある程度そういうレギュレーションというのを理解した上でやっていかないといけない。これは次の話に続くんですが、運用がちゃんと適正に行われることによって、やはり権利者が守られ、そして利用者の利便性が上がるというのを両方達成しないといけないわけです。なので、法律のたてつけというのは非常に重要だなというふうに思うわけで、後半は、この著作権法の法体系やフェアユース等の考え方についての見解をお聞きしていきたいと思います。

 フェアユースというのは、一定の要件を満たした公正な利用の場合には、著作権者の許諾なく著作物を利用しても著作権侵害にはならないとする考え方で、アメリカ等で運用されているわけでありますけれども。

 日本の著作権の法体系は、原則NGで、個別例外規定を設けていく、ビジネス環境や状況の変化によって例外規定をどんどんどんどん足していくというような法体系。一方で、このフェアユースという考え方は、個別のシチュエーションは限定せずに、包括的な例外規定という形で、例えば、利用の目的や性格、使われる著作物の性質又は使われる部分の量、重要性、そしてオリジナル作品に対する悪影響などの要素を重視している考え方であります。

 これらの考え方を基に、ちょっと何問か個別に聞いていきたいと思います。

 まず、著作権法と社会のデジタル化の関係性についてお聞きしたいと思います。

 著作権法第三十条では、私的使用目的の複製の自由というものを規定しているわけでございますが、この意味がデジタル化によって徐々に徐々にやはり変わってきている、徐々にというか、相当なスピードで変わってきている。

 例えば、素人であっても、プロフェッショナルのクリエーターではない素人の人が新しい著作物を作って、世界に、もう次の日にアップロードして拡散していくということが自由な時代になったわけでありますけれども、つまり、プロフェッショナルが、従来の、予想される流通ルートに乗らずに、しかもマーケット志向を持たずに拡散されていくということも出てきているわけであります。そういったものから新たな発想やイノベーティブなものが生まれていくということも多く起こっているわけであります。

 例えば、こういった特質のものは、無料でもいいからいろいろ拡散してほしいとか、そういうことによってバリューを生み出すというビジネスモデルも出てきていますし、そういったものが著作権法的な独占権という考え方になじまないんじゃないかというような本質的な指摘もございます。

 これについての御見解をいただけたらと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、今委員から御指摘のあった時代認識については共有しているというところでございますが、著作権制度につきましては、これまでも、権利の適切な保護と著作物の利用円滑化のバランスを考慮しつつ、著作権法の見直しを随時行ってまいりました。

 近年のデジタル化、ネットワーク化の進展により、誰もがクリエーターやユーザーとなり得る時代が到来し、多種多様な著作物が創作される一方、これらの著作物の中には、ユーザーがクリエーターにアクセスすることが困難な場合があるなど、権利保護や利用の在り方が多様化していると認識しております。

 文化庁といたしましては、今後とも、このような国民の意識や社会状況の変化を的確に捉え、著作権等の適切な保護と著作物の利用の円滑化のバランスを図りつつ、新たな、デジタル時代に対応した著作権制度の在り方を不断に見直していくことが必要であるというふうに考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 私は、フェアユースの考え方は、後で聞きますが、結構いいなと思うわけでありますが、それは観点によると思うんですね。

 時代の変化のスピードに、どんどんどんどんイノベーティブについていくということか、又は非常に保守的に守っていくかということの設計思想の違いかなというふうに思うんですが、不断の見直しというところで、根本論としても是非考えていただきたいなというふうに思います。

 これは一つの立法事実としても挙げられるんじゃないかと思うのは、法体系の複雑性の問題があります。

 日本の著作権は、先ほど申し上げたように、包括的な例外規定を設けずに、個別具体の例外規定を列挙していき、条文も長くなる。覚えるのがほぼ不可能で、専門家からも全部は把握できないという指摘がありまして、例えば著作権法の大家である中山信弘先生なんかもそうおっしゃられている。中山先生が無理だったらみんな無理だろうというふうにもやゆされるわけでありますけれども。

 著作権法は、かつては、恐らくプロフェッショナルとそのプロフェッショナルが使っているルートがあって、それに対して、悪意を持って商業利用するというものを規制するというのが多分本来の出発点だったと思いますが、今、もう万人が運用に関わってしまっている、意識、無意識関係なく関わる。つまり、万人が広く日常で関係するルールであるのに、専門家すら理解が難しいというふうな複雑性の問題が挙げられると思います。

 これに対して、やはりこの法体系を抜本的にもう一度、いい悪いは別にして、そして結論はどちらにせよ、考え直さないといけないんじゃないかという問題意識がございますが、これについての御見解をいただけたらと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 著作権法は、広く国民一般に関係する法律でございまして、日常的にもかなり関係する場面がございます。こういった法律でございますので、国民の皆様にとって理解しやすい表現が望ましいと考えておりますけれども、近年の著作権法の改正においては、条文が長文、複雑となっており、分かりにくいという御指摘があることは承知しております。

 これは、著作権法が、国民の権利やその権限、罰則規定を定めるものでございまして、適用範囲において疑義が生じることのないように、明確かつ正確な表現が求められているということに加えて、最新のビジネスや技術動向等を的確に反映する改正を、近年、ほぼ毎年のように行ってきたことにより、複雑な条文もあるというふうに考えております。

 法律の条文の検討に当たっては、誰もが日常的に接するルールであるということを踏まえ、可能な限り平易な表現に努めるとともに、国民の皆様に対して、引き続き、趣旨や規定内容について分かりやすく説明、周知を行うことにより、理解の促進を図ってまいりたいと考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 くしくもおっしゃっていただいたように、毎年改正していくみたいなことを本当にやるんですかというのは、やはり一つの問いだなというふうに思います。

 今度は、ビジネスとの関係性。

 著作権法が現実問題としてビジネスの足かせになるということはあります。ビジネスのスピード感に法整備が合っておらず、法運用が現実離れしているということがあります。

 数年前に改正されたときにも、検索エンジンの話がありました。実際にこういう、日本の国内では検索エンジンが著作権法的に難しいということで、後れを取ってしまった。検索エンジンやAIの話は乗り越えられたわけでありますけれども、でも、乗り越えるまでに、さっき言ったような、法整備を整えるということまでのタイムラグというのがビジネスにおいては非常に致命的です。

 ですから、こういうイノベーティブなものを起こしにくくなっている、足かせとなっているという問題を重く受け止めないといけないというふうに思いますが、ビジネス環境と著作権法との関係性について見解をいただきたいと思います。

矢野政府参考人 著作権法につきましては、デジタル化、ネットワーク化の進展等による社会状況の変化に的確に対応する観点から、近年は、先ほど御答弁申し上げましたとおり、毎年のように改正を重ねてきております。

 その中では、ビジネスの実態や変化に対応する観点からの改正も行ってきておりました。直近の改正でも、例えば、イノベーションの創出等を促進するための柔軟な権利制限規定の創設、これは平成三十年でございます、スマートフォンの急速な普及や動画投稿配信プラットフォームの発達等に対応するための、写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大、これは令和二年でございます、など、ビジネスにおいて著作物等の利用を円滑に行う上で重要な措置を講じてきておりまして、今回の改正案におきましても、放送番組のインターネット同時配信等における著作物等の利用円滑化についての措置を講ずることとしております。

 また、制度的な対応とは別に、著作権等の管理事業者による権利の集中管理の促進や、著作物等の利用に関する契約上の工夫によって、ビジネスにおける著作物等の利用を円滑化することも重要と考えております。

 文化庁といたしましては、今後とも、ビジネスの実態や変化に速やかに対応できるように、著作物等をめぐる社会状況の把握と必要に応じた制度や運用の改善等に努めてまいりたいと考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 もう一つ、個別の事例を少し取り上げながら、最適な権利保護水準というような考え方についてお聞きしたいなというふうに思います。

 情報財というのは、ある程度の曖昧さというものをもって権利保護運用されれば最適水準の権利保護に落ち着くということが認められるわけでありますけれども、現在の著作権法の運用は、個別制限規定のように個別具体の例外以外は全てNGというのが原則でありますから、そういう法運用が前提となっています。

 先日来世間でも注目されていますJASRACと音楽教室の問題、音楽教室内において演奏することに著作権が発生する、そういう問題が、今係争中ですので、これに関しての是非というのは、私は、どちらがいいとかというのは申し述べる立場にありませんが、これは、JASRAC側がたたかれたり文句を言われたりするわけですけれども、JASRAC側の方は、法にのっとった徴収業務を頑張り過ぎているというか、頑張っているということで、その徴収に頑張った人を責めるのはちょっとかわいそうだと思うんですね。

 一方で、音楽教室側からすると、それはないだろうという心情も分かりますし、実際にそれを演奏したりすることで子供が知り、そして、その子供がその音楽に触れて、その音楽が更に広く伝わっていくということを考えれば、権利者が著しくマイナスになっているかというと、そうでもない、こういうところがあって、両者に正義がある。

 だから、私は、いわゆるこの法体系、非難されるべきは、最適水準以上の保護、保護水準をえぐってしまっているんだと思うんですね。保護水準以上の保護を可能にしているいわゆる著作権の法体系にやはり瑕疵があるんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、このことについて、御見解、一般論としてお聞きできたらと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 著作物の利活用に当たっては、著作権法に基づき、権利制限規定に該当するなどの一定の場合を除き、利用者が権利者に許諾を得る必要がございます。これは大原則でございます。

 一般的に、どの程度の利用についてどの程度の対価でライセンスするかは、権利者が利用者のニーズ等を踏まえて判断するのが通常でございまして、一定の著作物の利用について、運用上、権利者が権利行使をしないこととしているケースもあると承知しております。

 御指摘のございました音楽教室の事例については、こうした著作権者から管理委託を受けたJASRACと利用者との間で合意が成立せず訴訟に発展したものと考えておりますけれども、基本的には、権利者と利用者双方が納得の上、著作物の円滑な利用が行われることが望ましいと考えております。

 文化庁では、例えば、法の解釈、運用に係る当事者間協議に基づくガイドラインの策定に関与し、利用の円滑化に向けた取組を行っているところでございます。

 著作権法制度の見直しについては、これまでも、あらかじめ権利者と利用者との調整を図ることで著作物等の公正な利用と権利保護のバランスを図ってきており、引き続き、関係者の御意見を踏まえながら、文化庁としても適切に対応してまいりたいと考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 これは、似たような事例がたくさん起こってくると思うんですね。

 もう一点、例えばユーチューブ。例えば、素人の人でも、原曲をカバーして、非常に歌がうまかったり演奏が上手というもので閲覧数を伸ばして広告収入を得るというモデル、ユーチューバーみたいなものが一般的になってきていますけれども、これの権利処理というのは今現在どうなっているかということと、それから、事前にちょっとやり取りしたときに、音楽とかだったら権利処理がなされているとちらっとお聞きしたんですが、音楽じゃない部分、例えばコスプレとか、そういう、権利処理が全体的に集中管理されていないものについてはどのようにカバーされているかということを、分かる範囲で御答弁いただけたらと思います。

矢野政府参考人 個人がユーチューブなどの動画投稿サイトにおいて他人の音楽を利用する場合、基本的に、作詞家、作曲家などの著作権者の許諾を得る必要がございます。

 本来であればこれらの許諾は利用する個人が行う必要がありますが、音楽の著作権を管理している日本音楽著作権協会などの著作権管理事業者に対しては、ユーチューブ等の動画投稿サイトの運営事業者が包括許諾契約に基づき広告収入の一定割合などを支払っている場合が多いことから、実際には、個人が利用許諾手続を行わずに投稿することが可能でございます。

 このように、インターネット上での著作物の利用円滑化を図る上で、著作権等管理事業者が、プラットフォーマー、ユーチューブ以外にも包括契約を広げることは有意義であると考えておりますので、文化庁といたしましては、こういった動きが広がるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 これは今回質問にはしませんが、プラットフォーマーがある程度、権利保護のために動いていくということが起こると、プラットフォーマーが集中管理者になり得る未来もあるんじゃないかなというふうに思ってくるんですよね。そうすると、やはりまた法整備も考えないといけないし、これは非常に複雑です。先ほど来申し上げているように、万人が発信者になり、万人が利用者になるという、その上で、やはり法体系について根本的に議論を続けなければいけないというふうに思います。

 ここで、政務官、お越しいただきまして、フェアユースの考え方について、今日させていただいた議論も含めまして、現時点での最新の見解、御答弁いただけたらと思います。

三谷大臣政務官 お答えいたします。

 著作権法が新たな技術革新やビジネスの進展等により発生する課題に対しまして速やかに対応していくことは重要なことと考えており、文部科学省といたしましては、これまでも、関係者の御意見を丁寧に伺いながら、必要な法改正を行ってまいりました。

 御指摘の米国型フェアユース規定については、新たな著作物の利用行為に柔軟に対応できるメリットがある一方で、行為の適法性が司法判断により初めて明確になるなど法規範の予測可能性というものが低下するなどのデメリットがあるというふうに言われております。

 この点、平成二十九年四月の文化審議会著作権分科会報告書では、司法による解決に委ねるフェアユース規定ではなく、明確性と柔軟性の適切なバランスを備えた複数の規定の組合せによる多層的な対応が我が国では最適との考え方が整理され、平成三十年の著作権法の改正により対応してきたところです。

 今後も権利の保護と利用の円滑化のバランスの取れた望ましい著作権政策の在り方を検討してまいりますというところではあるんですけれども、フェアユースの考え方については非常に重要なことだと考えておりますし、どういうふうに権利を円滑化していくかということを考えていくのは非常に重要なことだということで、そこは意見が一致しているというふうには考えております。

 ただ一方で、やはり日本は日本の法体系の下で、裁判をした場合の、負けた側が裁判費用を負担する敗訴者の費用の負担制度というものがないということですとか、あとそれから、いわゆる懲罰的賠償といったものがないことから、これは、使ったら使った側が非常に、裁判で、起こされなければ使った者勝ちですし、負けたところで使用料だけ払えばいいというような形から、日本の法体系上、フェアユースというものを導入するというのは、利用の円滑化と、生み出す側の、クリエーターの側の利益の保護、これをバランスさせるのはなかなか難しいというところがまず挙げられるかと思います。

 それからもう一点、どうしても、今の著作権制度、著作権法が非常に複雑で解釈しづらいと、先ほど中山先生のお話も引用して質問いただいておりましたけれども、一方で、このフェアユース規定というものについては、確かに法律自体は非常にあっさりとした規定になるんですけれども、それに基づいて様々な裁判で法規範がつくられていくということでもありますので、その一つ一つの事例に基づいて、それがどこまで及ぶのか検証していかなければいけないということから、それはそれで複雑な検討過程というものも必要になってくるということでもありますので、一長一短あるかなというふうに思っております。

 いずれにしても、速やかに法改正を行うことで現場のニーズにお応えしていく、これが一番今大事なことかと思っておりますので、その方向で頑張っていきたいと思います。

藤田委員 ありがとうございます。

 三谷政務官、結構今までも取り組んでこられて、お詳しいというふうにお聞きしていますので、また個人的にもいろいろディスカッションしたいなと思います。

 今日挙げさせていただいた、デジタル化社会のスピード感、それから法体系の複雑性、ビジネス環境の足かせになっているんじゃないか、又は最適な権利保護水準をえぐってしまうということが往々にして起こっているということと、それから、さっきユーチューブ等の例で少し問いましたが、結局、この著作権法を厳密に当てはめれば違反なんだけれども大目に見ていて見過ごされている、つまり、実態的にはフェアユース的に運用されているという問題も事実上あるわけです。私たちはこれを、大阪出身なので阪神高速道路問題と呼ぶんですけれども、阪神高速道路は法定速度で走っている車はありません、でも、止められたら必ず罰金を取られます。

 こういう曖昧さ、逆に、リスクを負っている曖昧さ、それから法で規定した曖昧さを認めて、先ほど言われた、判例で積み重ねていって最適解を生み出していくかというこの設計思想の違い、非常に重要な論点だと思いますので、今後も、私自身も取り組んでいきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。

左藤委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 おはようございます。公明党の浮島智子です。

 本日は、ただいま議題となりました内閣提出の著作権法の一部を改正する法律案についてお伺いをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ソサエティー五・〇と呼ばれるサイバー空間の拡大による社会の構造的な変化は知っていても、多くの国民の日々の生活においては人ごとでした。しかし、ウィズコロナで、オンラインの授業やテレワークに直面していく中、このような構造変化に真正面から向き合うことが今求められております。

 例えば、コロナの前には、図書館は開館して当たり前、そして、紙の本を借りて読むのは当然でした。しかし、今、公立の図書館は閉館しているところも多く、また、国立国会図書館には絶版図書等がデジタル化して保存されているにもかかわらず、それを見ることができないといった課題が生じております。

 他方、感染症の感染防止のためにステイホームが求められる中で、自宅においてインターネットを通じて動画を見る機会は大変増えましたけれども、実は、放送番組には多様で多量の著作物が含まれており、迅速、円滑な権利処理ができないと、その映像のインターネット同時配信などが円滑にできないという課題もより顕在化をしてきました。

 デジタルトランスフォーメーション、DXの時代と言われている中、ウィズコロナの下、それを加速させるべきにもかかわらず、デジタル化を十分に生かせていない現状を打開すべきと提起されたのが、この著作権法の改正案だと理解をしております。

 私ども公明党は、この改正案について、文化や出版、芸術、映像に関する団体の皆様からヒアリングを行い、貴重な御意見をいただきました。その際、改めて認識しましたのは、この問題において重要なのはバランスだということです。

 私たちの生活が、DXにより、一層豊かに、知的に、便利になることは大変大事なことですけれども、そのためにも、作家、演出家、俳優、作曲家、作詞家などのクリエーターの権利が適切に保護され、そのことによりまた新たな文化が創造なされることが重要であると思います。つまり、私たちの知的で文化的な生活と、クリエーターの創造性を支える基盤のバランス、この両立を図らなければならないということは言うまでもないと思います。

 そこで、まず、図書館におけるデジタル図書の活用についてお伺いをしたいと思います。

 今回の改正案では、絶版等で一般に入手困難な資料については、国立国会図書館によるインターネット送信、ウェブ掲載を可能とし、一般に入手可能な資料については、補償金の支払いを前提に、一定の図書館等で著作物の一部のメール送信等を可能とすることが柱とされております。

 今回の改正案において、国立国会図書館から直接利用者に対して絶版図書等の送信ができるようになりますけれども、利用者がそのデータをダウンロードすることは可能なんでしょうか。また、利用者がプリントすることは可能とお伺いをしておりますけれども、仮にプリントアウトのためのダウンロードを認めるのであれば、目的外の不正な利用が行われないよう十分な措置を講ずるべきではないかと思いますけれども、文化庁の見解をお伺いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、絶版等資料のインターネット送信に当たって、利用者がそのデータを不正に拡散させるなどの違法行為が行われ、権利者の利益が不当に害されることのないよう、ダウンロードを防止し、又は抑止するための措置を講じることを求めております。

 一方で、利用者の利便性の観点から、自ら利用するために必要と認められる限度においてプリントアウトすることは可能にしております。

 このプリントアウトに際しては、ダウンロードの防止又は抑止するための措置や利用規約等の運用を通じて、目的外の不正な利用がなされないよう十分な措置を講じていく必要があると考えております。

 具体的な措置の運用につきましては、幅広い関係者の意見等を十分に踏まえながら適切に行ってまいります。

浮島委員 不正な利用が行われないように、十分に措置を講じていただきたいと思います。

 次に、図書館資料の利用者へのメール送信についてお伺いをしたいと思います。

 今回の改正案の第三十一条第二項ただし書において、図書館の資料の利用者へのメール送信、これについては、著作権者の利益を不当に害することとなる場合には送信ができない規定となっております。

 この具体的な解釈や運用に関して、文化庁の関与の下、関係者によるガイドライン、これが策定されることと承知をしておりますけれども、このガイドラインの策定は、著作権者や出版権者等の関係者の事情に即して、その意見をしっかり踏まえて行われるように、文化庁として責任を持って対応すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 本法案においては、著作物の種類や電子出版等の状況に照らし、著作権者の利益を不当に害することとなる場合には送信ができない旨の要件を設け、民間事業を阻害しないように担保することとしております。

 他方、この要件を設けることにより、どのような場合に図書館資料の送信が認められるのかが不明確になることや不適切な利用を招くおそれもあることから、この要件の対象となる資料の範囲がより明確になるよう、文化庁の関与の下、幅広い関係者や中立的な第三者を交えて、この要件に関する具体的な解釈、運用を示すガイドラインを作成する予定としております。

 このガイドラインの作成に当たっては、著作権者や出版権者を含めた各関係者の実情を踏まえた御意見を丁寧に伺う必要があると考えておりまして、これらの意見を踏まえて合理的なガイドラインを作成するよう、文化庁としても適切に対応してまいります。

浮島委員 今、丁寧にというお言葉もいただきましたけれども、しっかりと関係者の実情に即して行うよう、よろしくお願いいたします。

 また、同じ第三十一条の二項の柱書きについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この柱書きにおいては、著作物の一部分について、メール送信などの公衆送信を行うことができるとされています。しかし、現在の、紙の本をコピーするのと同じように、著作物の半分までメール送信をする等のことを認めることとなれば、二回に分けて請求することにより、当該著作物の全部を入手してしまうおそれがあります。

 そのような運用が行われないようにすべきと考えますが、お考えをお聞かせください。

矢野政府参考人 現行の紙の複製におきまして、著作物の一部分は著作物の少なくとも半分を超えないものを意味すると解釈されており、今回の改正案におけるメール送信等においても、法律上の解釈としては同様の解釈になるというふうに考えております。

 一方で、今回の改正案では、別途、著作権者の利益を不当に害することとなる場合には送信ができない旨の要件を設けており、この要件との関係で、一部分の要件を満たす場合であっても送信が認められない場合や、一部分よりも狭い範囲での送信となる場合があり得ると考えております。

 また、補償金額の設定の仕方によって、御指摘のような行為を防止することも考えられます。

 このような要件の具体的解釈、運用については、今後、文化庁が関与しながら、中立的な第三者を交えて、関係者としっかり協議してまいりたいと考えております。

浮島委員 是非その方向でよろしくお願いいたします。

 そこで、次に、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますが、この改正案においては、図書館等の設置者が作家や出版社など権利者に補償金を支払うことでメール送信等を行うことができることとなっております。

 文化的な創造の土壌を絶やさず、文化に、新しい若い担い手が次々と文化的な創造の世界に加わるという好循環を創出するためにも、補償金は権利者の逸失利益を補填できるだけの水準とすることが重要だと思います。

 その金額の水準について、対象となる出版物の価格や、諸外国における同様のサービスの相場等を参考に、出版物の安定的な発行が困難にならないように設定されるべきだと考えますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 補償金の額については、指定管理団体が図書館等の設置者団体の意見を聞いて案を作成し、文化庁長官が文化審議会に諮った上で許可の判断を行うこととなります。

 現時点では、権利者の喪失利益を適切に補填する観点から、個別の送信ごとに課金する料金体系とすること、著作物の種類、性質や、送信する分量等に応じた細かな設定を行うことなどを想定をしております。

 また、具体的な金額については、委員から御提案いただきましたように、国内市場における使用料の相場や、諸外国における同様のサービスの相場も参照しながら、総合的に検討されるものと考えております。

 このような点を踏まえ、幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら、合理的な基準が策定されるように対応してまいりたいと思います。

浮島委員 是非、対象となる出版物の価格に準じた補償金額が設定されることが必要だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 そして最後に、放送番組のインターネット同時配信等における権利処理の円滑化についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 令和三年の二月三日の文化審議会著作権分科会の報告書のとおり、今求められているのは、一元的な権利処理の推進と、権利保護、権利者への適切な対価の還元のバランスを図り、視聴者、放送事業者、クリエーターの全てにとって利益となるような措置にほかならないと思います。

 これに対して、一部の放送事業者は、今回の改正案は、放送番組の同時配信、追っかけ配信、一定期間の見逃し配信を、放送と同等の権利処理を目指すものであり、同時配信、追っかけ配信、見逃し配信について、追加して使用料を支払う意思はないと明言しているともお聞きしておりますけれども、しかし本当にそれでいいのでしょうか。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいのは、今回の改正案は、第一に、初回の同時配信等の許諾を得た場合、再放送の同時配信等について、一定の映像実演について通常の使用料額に相当する報酬を支払うことで、事前の許諾なく利用することができる、そして第二に、初回の同時配信等の許諾を得ていない場合で、一定の措置を取っても実演家等と連絡がつかない場合、文化庁長官の指定する著作権等管理事業者に通常の使用料額に相当する補償金を支払うことで、事前の許諾なく利用することができるようにするものであります。

 この仕組みにおいて権利処理が円滑化される同時配信等に当たって、放送事業者から権利者に対して適切な対価が支払われることが文化的創造のためにも重要だと思いますが、基本的な考えと対応についてお願いいたします。

萩生田国務大臣 著作者等の権利者に適切な対価が還元されることは、将来にわたって良質な著作物を継続して生み出す環境を維持するものであり、我が国の文化の発展に寄与する重要なことと考えております。

 今回の改正では、新たに、同時配信等に関して権利制限を行う実演について、放送事業者から権利者に通常の使用料額に相当する報酬や補償金を支払うことを義務づけています。この報酬や補償金は、同時配信等の対価に相当するものであり、放送に係る対価とは別途支払う必要があります。

 放送事業者からは、今回の改正内容を検討する過程において、適切な対価還元を行う旨が表明されておりまして、この方針に沿った運用に努めていただけるものと認識しております。

 文科省としては、放送事業を所管する総務省とともに、実演に関する対価の支払いについて、放送事業者と権利者の協議が円滑に行われるように努めてまいりたいと思います。

浮島委員 是非、円滑に行われるよう、よろしくお願いいたします。

 これで終わります。ありがとうございました。

左藤委員長 次に、安藤裕君。

安藤(裕)委員 自民党の安藤裕でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 今日の議題は著作権法等の一部を改正する法律案ということでございますけれども、冒頭に、オリパラ関係について一問だけ質問をしたいと思います。

 今回、オリンピック、パラリンピックが一年延長されたということによりまして、休日が変更されております。先日も、私の地元のある方から質問がありまして、今回、休日が変更になっているのは分かっているけれども、いろいろ今、オリンピックをやるのかやらないのかみたいなことが取り沙汰されている中で、これから休日の扱いはどうなるのかということで、仲間の間で結構話題になっているんだという話がございました。

 法律で決まっておることなので、何があっても今回は変更後の休日で休日は決まっているんだということを周知徹底する必要があると思いますし、今、カレンダー等も、やはり印刷が間に合わなくて、旧の、昔の休日のまま印刷をされて、それが国民の間で広く使われていますから、それが変更されているんだということを改めて周知徹底する必要があると思うんですけれども、今の政府の対応方について御説明をお願いをしたいと思います。

益田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月に公布されましたオリパラ特措法等の一部改正により、今年の海の日が七月第三月曜日から七月二十二日に移動するなど、今年の祝日の特例措置が定められております。しかしながら、今年のカレンダーにおきましては必ずしもこれらの変更が反映されていないことから、政府といたしましても、その周知が重要だと考えてございます。

 そのため、これまで、新聞広告やインターネット広告を活用した広報のほか、大会組織委員会や関係省庁等による業界団体等への周知及び広報協力の依頼等の取組を実施してまいりました。

 しかしながら、先生の御指摘のとおり、今年の祝日が変更されていることをまだ御存じない方もおられると考えておりますので、今後予定しております政府広報等の機会を捉えて、引き続き積極的に周知を図ってまいりたいと思います。

安藤(裕)委員 改めてやはりこれは周知徹底していただかないと、うちの有権者の方から御質問があったのは、夏の、これからの会社の休日とか、あるいはいろんな、旅行の予約とかをどうしたらいいのかというので我々はすごく混乱しているという言葉がありましたので、改めて周知徹底していただいて、今年の休日はこれなんだということを、国民の間で迷いなくいろんな行動が取れるような、そういった周知徹底を是非よろしくお願いをしたいと思います。

 それで、著作権法の改正のことについて入っていきたいと思います。

 今回は、例えば、コロナで図書館が閉館になっておりまして様々な資料等の入手が困難になっていることであるとか、またあるいは、放送とインターネットの同時配信、こういったものについての著作権についても今の現状では様々な障害がある、これを円滑に放送できるようにというふうな配慮があると思いますけれども、改めて、今回の著作権法の改正の趣旨とそれから概要について御説明いただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、図書館関係の権利制限規定の見直し、放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化の二つで構成されております。

 一つ目の、図書館の権利制限規定については、従来から、デジタル化、ネットワーク化に十分対応できていない部分があるとの指摘がなされてきたところ、今般の新型コロナウイルス感染症の流行に伴う休館等により、インターネットを通じた図書館資料へのアクセスなどのニーズが顕在化した、そういったことを踏まえて今回の改正を行うこととしております。

 具体的には、国立国会図書館が、絶版等で一般に入手困難な資料のデータを図書館等だけではなく直接利用者に対しても送信できるようにするとともに、図書館等が、現行の複写サービスに加え、一定条件の下で、著作物の一部分をメール等で送信できるようにすることとしております。

 これによって、コロナ禍のような予測困難な事態への対応、地理的、物理的制約にとらわれない国民の知のアクセスの向上、持続的な研究活動の促進等に資するものと考えております。

 また、二つ目の、放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化については、視聴者の利便性向上やコンテンツ産業振興等の観点から、同時配信、追っかけ配信、一定期間の見逃し配信について、放送と同等の円滑な権利処理を実現するため、権利制限規定の拡充、許諾推定規定の創設、レコード・レコード実演の利用円滑化、映像実演の利用円滑化、裁定制度の改善という五本柱で総合的な対策を講じることとしております。

 これによって、多岐にわたる課題が解決され、視聴者、放送事業者、クリエーターの全てにとって利益となることが期待できるものと考えております。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 やはり、今までメールとかネットというものがなかった中での著作権法の規定を、これからメール等、ネット等が使える中で改正していくというのは非常に有効なことだと思いますし、是非進めていただきたいと思います。

 一方で、今の御説明にもありましたとおり、図書館資料のメール配信等を行う場合に、図書館等の設置者が権利者に対して補償金を支払うこととしております。そして、この補償金の額は、権利者の逸失利益を補填できるだけの水準にする想定であると伺っておりますけれども、この権利者の逸失利益をどのように決定していくのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。

三谷大臣政務官 お答えいたします。

 補償金の決定手続は、指定管理団体が図書館等の設置者団体の意見を聞いて案を作成し、文化庁長官が文化審議会に諮った上で認可の判断を行うこととしております。

 そして、その額につきましては、図書館資料のメール送信等がされることによる権利者への影響の大きさに鑑みまして、基本的には権利者の逸失利益を適切に補填できるだけの水準とすることが適当であろうと考えております。

 このため、現時点におきましては、著作物の種類、性質や、送信する分量等に応じたきめ細やかな設定を行うこと、年額などの包括的な料金体系ではなく、個別の送信ごとに課金する料金体系とすることとしております。

 また、具体的な金額については、国内市場における使用料の相場や、諸外国における同様のサービスの相場を参照するとともに、図書館等における事務負担、円滑な運用への配慮といった点も加味しながら、総合的に検討されるものと考えております。

 このような点を踏まえまして、幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら、合理的な基準が策定されるよう対応してまいります。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 適切な合理的な金額を算定するということですが、非常にこれは難しいと思うんですね。適切な金額って、じゃ、幾らなのかというのは相当大変な算定になってくるんだろうと思います。

 それから、この補償金の徴収や分配は、文化庁の長官が指定する団体が行うこととされていますけれども、今、現時点でどのような団体を指定することを想定しているのか、お答えいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 補償金の徴収、分配については、図書館側の事務負担軽減を図るとともに、権利者への対価還元を確実に行うため、著作権法の既存の制度と同様に、今委員が御指摘になったとおり、文化庁が指定する指定管理団体が一元的な窓口となって行う仕組みとしているところでございます。

 指定に当たっては、図書等の著作物の公衆送信権を有するものの団体や電子出版権を有するものの団体から構成すること、これらの権利者のために補償金関係業務を的確に遂行するに足りる能力を有するなどを要件として検討することとなります。

 この指定管理団体については、現時点で具体的な団体を決めているわけではございませんけれども、出版関係団体を始めとする各関係者の御意見を丁寧に聞きながら検討してまいりたいと考えております。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 この団体を指定するのも、これもなかなか大変だと思います。やはり、権利者の皆さん、それから放送事業者、あるいは図書館の皆さん、そしてまた国民の皆さんが納得できる団体の指定の仕方というものが必要だと思いますし、また、おかしな既得権団体みたいな誤解がないように、そこもしっかりと考えて指定していただきたいと思います。

 それから、やはり一番心配なのは、今回の改正でインターネット同時配信等が円滑に実施できるようになることによって、そこで得られた利益が、例えば放送事業者が独占してしまって著作権者にきちんとした利益が分配されないとか、正当な対価が払われない、そういったことが一番心配されるわけです。

 やはり、権利者、著作権者とかあるいは俳優の皆さん、せっかく自分の努力で作ったものが、放送することは同意したけれども、それ以外のネット配信とかに対する対価までは同意していないとか、今回、それも同意したとみなすということになっていますけれども、それに対する対価はちゃんと払われないのではないか、こういったことに対する懸念は相当強く持っておられると思いますし、やはり、強いのは一遍放送した側で、弱いのは、それをせっかく努力して作った権利者ということになると思います。

 やはり、権利者の皆さんにしっかりと正当な対価が払われるかどうか、ここの担保というか、そこに対する政府の考え方をお答えいただきたいと思います。

三谷大臣政務官 お答えいたします。

 安藤委員御指摘いただいておりますように、この利用の円滑化とともに、クリエーターに対してしっかりと対価が支払われる、そういった仕組みをつくることは極めて重要だというふうに考えております。

 まず、今回の改正におきましては、新たに権利制限規定を設けるレコード及び実演に関しては、事前許諾を不要としつつも、放送事業者から権利者に対して、通常の使用料額に相当する報酬、補償金を支払うことを義務づけています。この報酬、補償金は同時配信等の対価に相当するものであり、放送に係る対価とは別途支払う必要があります。

 放送事業者が同時配信等を行うに当たっては、権利者に対して適切な対価還元が行われ、放送事業者と権利者の双方にとって有益となることが重要であると考えておりまして、放送事業者においても同様の理解に立っているものと認識しております。

 また、一方で、著作物が利用される際に支払われる対価の額については、一般に当事者の間での協議で決定されますけれども、例えば、今回の改正で創設される許諾推定につきましては、権利者に支払われた対価の額が今までの放送のみの水準ということであるとすれば、これは、許諾の範囲が広がったのにもかかわらず同じ対価なのかというような疑念も当然ながら出てくるわけですので、この許諾推定というものが覆り得る事情として考慮される場合があるというふうに考えております。

 文部科学省としては、こうした事情も考慮しながら、総務省とともに、対価の支払いに関する放送事業者と権利者の協議が円滑に行われるよう努めてまいります。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。是非、著作権者の皆さんが安心できるような体制づくりを改めてお願いをしたいと思います。

 そして、今回の改正を契機に、放送事業者においては同時配信等のサービスが本格的に運用されることが予想されております。今の様々なお答えの中でもありましたとおり、法施行後も様々な状況の変化が予想されますし、適正な対価であるとか、あるいはこれを管理、徴収して分配する団体の指定であるとか、いろんな課題がこれから出てくると思います。

 そういった課題が明らかになることによってどう対応していくのか、文科省のこれからの対応の方針についてお伺いしたいと思います。

三谷大臣政務官 お答えいたします。

 今回の法改正につきましては、現時点で放送事業者から挙げられている課題に対応するものでございまして、今回の改正により、著作権法に起因する放送番組のインターネット同時配信等に係る課題は基本的に解消されるものと考えております。

 同時配信等のサービスについては、現在、試行的に行われているものが多く、今後本格化していくことを踏まえると、御指摘のとおり、放送事業者にとって予見できない権利処理上の新たな課題が生じたり、サービスが拡充していく中で権利者へ適正な対価還元の課題が生じたりするなど、新たな課題が明らかになることも考えられます。

 このため、今回の改正法の附則においては、施行後三年を目途として、同時配信等の実施状況や権利者への報酬等の支払いの状況などを勘案し、フォローアップを行う旨の規定を設けております。

 今後、この規定に基づき、運用状況の点検を行い、状況に応じて速やかに必要な措置を講じていきたいと考えております。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 これから5Gの時代を迎えて、ネットの環境も相当変わってくると思いますので、是非、時代に即した対応をしていただくようにお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

左藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時休憩

     ――――◇―――――

    午前十時十五分開議

左藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中川正春君。

中川委員 中川正春です。

 質問の機会をいただいて、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 今回、この著作権法の改正が上がってきまして、先ほども図書館の館長さんとお話をしていたんですが、十年前を懐かしく思い出しておりまして、その頃、長尾さんという図書館長が、デジタル化の時代に向けて、これからの国立国会図書館の構想といいますか、何をしていかなければいけないかということも含めて、非常に意欲的なプランというのを打ち出されました。

 その当時は、それこそ現場にとっては革命みたいな、そんな受け止め方をされまして、あちこち物議を醸し出して、それで終わってしまったというような、そんなことがあったんですけれども、今回、こうして改めて、それぞれ、それこそステークホルダーというか、関係者の調整がそれだけ難しい案件であったということだと思うんですが、これだけ時間をかけたということ、これには悔いを残すんですけれども、しかし、一つ一つまとまってきて、動き始めてきたということだと思います。

 心から歓迎をしたいし、まだ最終的には解決しなければならない大きな課題、恐らく、国立国会図書館あるいは図書館の役割といいますか、図書館というのは一体何なんだろう、これから先はということに対して、しっかり夢のあるというか納得感のある構想というのを打ち出して、そこへ向けて図書館自体も進んでいこうという話にならないと、また同じような混乱が引き起こされるんじゃないかということだと思うんです。そこが最大の課題として残っているということだと思います。

 そのときそのときに出てきた問題をパッチワーク的に著作権の中で整理をしていくというのは、これは逆に時代というものに対してついてはいけないし、そういう意味では、海外の例からいうと大きく遅れていってしまうというようなことになるのではないだろうか、その危惧を今でも実は持っております。

 それだけに、早いところ、デジタルの時代に図書館というのをどう定義していくかということ、ここについてまとめていただきますように、冒頭改めてお願いをしておきたいというふうに思います。

 そんな中で、ちょっと懸念されるところだけを質問をしていきたいというふうに思うんです。

 まず、図書館のデジタル化の進捗についてなんですが、これは蔵書をデータベースとして見た場合のその進捗ということなんですけれども、今、どれほどの量があって、電子化するものは、どのジャンルのものを電子化していこうとしているのか。そして、そこから省いていこうとしているものがあるとすれば、その理由の中でどういうものがあるのか。あるいは、最終、電子化するものの冊数とその割合というのはどれぐらいのものと、いわゆる目標として考えておられるのか。それから、その上で、現状の予算と、それをベースに考えていくとあと何年で全体がデジタル化されるということになっていくのか。

 まとめて図書館の方から説明をいただきたいというふうに思います。

吉永国立国会図書館長 お答えいたします。

 国立国会図書館では、資料の保存と利用の両立を図るため、図書や雑誌の所蔵資料のデジタル化を行ってきました。現在、二百七十六万点のデジタル化資料を提供しておりますが、このうち絶版等資料百五十二万点を図書館等に送信しております。とりわけ、図書につきまして、一九六八年までに刊行されたものを対象として約九十七万点のデジタル化が完了しており、このうち図書館等に送信している絶版等資料は約五十五万点となります。

 現在は、図書館等に加え、今回の法改正により個人への送信が期待できる絶版等資料が多く含まれると目される、一九六九年から二〇〇〇年までに国内で刊行された図書約百七十万点のデジタル化に注力しております。

 今般策定いたしました国立国会図書館のビジョンにおいて、この五年間で図書百万点以上のデジタル化を行いたいとしている一方で、ここ数年の資料デジタル化の予算は年間二億円余でございました。しかし、令和二年度の補正予算におきまして四十四億円余のデジタル化予算を認めていただきました。これを足がかりにデジタル化を飛躍的に進め、今般のコロナ禍で高まった利用者のデジタル化資料へのニーズに応えていきたいと考えております。

 また、これまで課題となっておりましたデジタル化資料の本文検索につきましても、同じく補正予算で本文テキストの機械的な作成のための予算も認められましたので、来年度中の提供に向けて準備を進めております。

 以上でございます。

中川委員 私も、このコロナ禍で、図書館をデジタル化していかなければならないということが認められて、補正予算がこういう形でついてきたということについては了としたいんですけれども、ただ、通常でいくと二億円レベルでこれは推移をしていたということなんですよね。

 これはまた、文科省の予算ではなくて議会の予算であるということだけに、そこのところの、クレパスというか、いろんな議論の中の谷間に入ってしまって、この問題の重要性というのが議院運営委員会の中でどこまで理解がされるかということで、いつも図書館が四苦八苦してきたということだと思うんですよ。

 その結果、例年の予算のつき方というのは二億円程度でしかなかった、さっきの説明では。ここが非常に気になるところでありまして、トータルでこうやって進み始めてきたデジタル化というものを更に、ビジョンの中で進めていこうと思うと、さっきの館長の答弁では、また二億に戻ってしまいそうな気がするんですよ。だから、そこを支援してもらうことがあるとすれば、それは文科省、文化庁なんだというふうに思うんです。

 ここのところが、議院運営委員会に対して、その必要性と、それからトータルな形でこれをデジタル化していくことが、早く達成されることが求められるということだと思うので、そこの連携といいますか、必要性というのをまず文科省が把握をすべきだというふうに思います。

 これは特に答弁を求めないと思っていたんですけれども、ちょっと文化庁次長の顔を見ていると、改めて、その心意気というか、その使命というか、そんなものをしっかり把握をしてもらうためにも、答弁を一言してください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の著作権法の改正案について執行していくためには、当然、今国立国会図書館からお答えになりました絶版等資料のデジタル化というのが必要不可欠でございますので、文化庁としましても、必要な支援、そして注視をしてまいりたいというふうに考えております。

中川委員 改めてしっかり連携をしていただいて、その中で具体的な事業化を進めていくと。中身がなかったら何もできないということなので、その事業化を進めていくということを努力をしていただきたいというふうに思います。

 次に、各図書館の方に移っていきたいと思うんですが、ちょっとその前に確認をしておきたいんです。

 各図書館等による図書館資料のメール送信等という部分での、直接のメール送信に関する法律改正の中で、この各図書館には、私は、国立国会図書館も、それからJSTなんかを含む研究機関や大学図書館も入っていると解釈しているんですが、これは小委員会の中ではそのような前提で議論をされてきたというふうに理解はしているんですけれども、それでいいんですね。

矢野政府参考人 御指摘のとおり、公立図書館、大学図書館等についても含まれるというふうに考えております。

中川委員 そのことも含めて、最初に整理をしなきゃいけない。これは整理ができているんだと思うんですよね、審議会の中での議論では。

 これは十七条との関係なんですが、図書館のインターネット送信と、それから図書館法の十七条との関係なんですけれども、「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない。」と決められているんですよね。

 これまでは、コピーのいわゆる実価格というか、コピー代だったということで説明をされているんですけれども、この「図書館資料の利用に対するいかなる対価」と言われるものをどう解釈したらいいのかということですね。

 ここについて、改めてどのように整理をしたのか、説明をいただけますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 補償金の支払い義務者につきましては、著作物の送信主体である図書館等の設置者を法律上の義務者と位置づけているところでございます。一方で、実際の運用に当たっての補償金負担は、基本的に、送信サービスの受益者である図書館の利用者に御負担いただくことを想定しております。

 御指摘の図書館法の公立図書館の無料公開の原則との関係について申し上げれば、図書館の基本的なサービスは図書館資料の閲覧、貸出しであって、これについては無料ということが維持される一方、今回の改正によるメール送信につきましては、あくまでも付加的なサービスであること、当該送信に係る補償金は、現行の図書館資料のコピー、郵送サービスにおける印刷代、郵送代と同様、実費として捉えられるということなどから、特段の問題は生じないものと考えております。

 この点を含めて、補償金負担を図書館利用者に御負担いただくことについて、図書館法を始めとする関係法令との関係で問題になるようなものではないというふうに捉えております。

中川委員 憲法九条解釈と同じようなもので、解釈改憲なんだというふうに思うんですよね。

 ちょっと気にかかるのは、そのときの一つの論拠として、補完的なものという定義の中で、だから補償措置だ、対価ではないんだというふうに理論づけているわけですけれども、私は、これから将来を見ていくと、補完的措置にはなっていかないんだろう、やはり本体業務の中で定義をされるべきものなんだろうというふうに思うんです。そうしないと、今の時代背景の中では、また、図書館って何なんだろうというふうに問われるということになっていきます。それだけに、逆に図書館法そのものを合理的に見直していくということが必要なんだろう。

 それで、図書館法を合理的に見直していくときに必要なのが、デジタル化を前提にして個別配信に至っていくこの過程の中で、図書館の定義というか、図書館ってそういう意味でどういうものなんだろうということを定義していかないといけないんだろう。

 だから、そこの作業を早くやらないと、何かこじつけみたいな形で補完的なんという話をしていると、それこそ権利者あるいは周辺のステークホルダーがそこで迷い込んでしまうということになるんですけれども、この基本をまず整理をするという作業が必要なのではないかという指摘をしておきたいと思うんですけれども、文化庁はどう考えますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル化、ネットワーク化社会の進展によって、図書館の在り方やサービスについても、委員から今御指摘のあったとおり、変化していくことが考えられます。

 いずれにしても、時代の変化に合わせた図書館の在り方は必要に応じ検討すべきものというふうに考えておりまして、もしこれが本体業務ということになれば、今、実は、無料の原則ということに対しても、著作権者側からは一定の批判と申しますか、著作権の、権利を侵害しているんじゃないかという声もあることも事実でございますので、そういった、やはりトータルな視点で図書館の在り方を検討していく必要があるというふうに考えております。

中川委員 これは私の勝手な想像なんですけれども、恐らく、絶版あるいは著作者が分からないオーファンを含めて、この辺は、無料配信を公的に続けていくというか、そういうふうな設定の中でいけるということだと思います。これは積極的にいっていいんだろうと思うんですよ。

 ところが、有料物については、それは市場で販売されているものですから、それに対して図書館がどう調整されるかということになると、補償金という話で整理をしても、結局は、図書館で本を販売しているのと同じような形になっていくんだと思うんですよね。恐らくその値段の設定も、市場で販売されているもの以上のものにして、それで、それぞれ関係者にその利益というのを還元をしてほしいという、それは権利者の当然の思いだと思うんです。

 というような形で整理をしていかざるを得ないのかなという私の勝手な想像なんですけれども、そうした整理をした上で、じゃ、図書館というのは何なんだ、どういう機能をこれから持っていこうとするのかということを、改めて、割り切った形で、図書館機能そのものの未来というのを描いていくということが必要なんじゃないかということを思うんです。

 それと同時に、この補償金の上乗せなんですけれども、これはコピー代金が今かかっていますよね。このコピー代金というのは白黒A4一枚で二十六・四円というふうに示されていますけれども、この価額そのものが市場で販売されている本の価額よりも相当高いんですよね。例えば二百ページの本であるとすれば、これはコピー二百ページやったら五千円を超えてくるんですよ。

 このこと自体が、もう既に、それでいいのかという話でもありますし、それに、絶版以外のもの、いわゆる市販されているものについては、このコピー代に改めて補償金を上乗せしていくわけでしょう。

 これは、研究者やその辺の、いわば必要とする、本来こうした資料にアクセスして、そこからいろんな情報を取ってこなければならない、それで研究が進む、あるいは様々な活用がそこから生まれてくるという人たちにとっては耐えられない価額になってくるんだと思うんですよ。

 そういう意味も考えると、このコピー代そのものも含めて、どこまで公的な部分でまたこれもカバーして適切な料金というものに持っていくかというのは、補償料の話だけじゃない、使う方からしたらトータルな議論をしなければならないんだというふうに思うんですね。

 そんなことも指摘をさせていただいた上で、具体的には幾らぐらいでどういうシステムにしようとしているのか、これを、法律を作る前にやはりイメージとして周辺の人たちには説明しておくべきだというふうに思います。

 実は、小委員会でも、出てきた報告書には、そうすべきだというふうに脚注のところで書いています。

 これは今、逆さまなんですよね、法律が先に出てきて、そういう具体的な話で関係者がイメージをつくるというのが後になってきている。だから、いろんなところで不安、どうなっていくんだろうという不安が出ているということだと思うんです。

 そこのところを改めて答えていただきたいと思います。

矢野政府参考人 補償金の決定手続は、指定管理団体が図書館等の設置団体の意見を聞いて案を作成し、文化庁長官が文化審議会に諮った上で認可の判断を行うこととしております。

 その額につきましては、図書館資料のメール送信等がされることによる権利者への影響の大きさに鑑み、基本的には権利者の逸失利益を適切に補填できるだけの水準とすることが適当であろうというふうに考えております。

 このため、現時点では、著作物の種類、性質や、送信する分量等に応じたきめ細かな設定を行うこと、年額などの包括的な料金体系ではなく、個別の送信ごとに課金する料金体系とすることなどを想定しております。

 また、具体的な金額につきましては、国内市場における使用料の相場や、諸外国における同様のサービスの相場を参照するとともに、図書館等における事務負担、円滑な運用への配慮といった点も加味しながら、総合的に検討されるものと考えております。

 このような点を踏まえ、幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら、合理的な基準が策定されるよう対応してまいりたいと考えております。

中川委員 何回も言いますけれども、そういうことであれば、なかなかイメージとして幾らぐらいだというのは湧いてこないので、これは本当にやり方が逆さまだと。現場に対して丁寧にそこのところを納得をしてもらう形でつくっていっていただきたいというふうに思います。

 ちょっと残った時間をいただいて、コロナ対策の中の一つに言及をしていきたいと思うんです。

 実は、日本語学校なんですよね。これは、留学生が全部止まってきていまして、ここ一年、二年ということになってきている。その中で、それは一時的に受け入れるということもあったんですけれども、このままでいくと、倒産をしていく、いわゆるばたばたとこけていく日本語学校が出てくる可能性があるということが言われています。

 その上で、今のところ、入管が告示基準で管理しているということが中心になっていて、一体、この日本語学校という、トータルな日本語教育機関をどこが主管しているのかということがはっきりしていなかった。だから、今の法律の中で、いわゆる今できた日本語教育の推進法の中で、これを文科省の、今のところ国語課になるわけですけれども、そこで主管をしていくということをはっきりさせていったということで、そういう体制をつくっていただいているわけなんだけれども、トータルでこれを動かしていくのに国語課がそれができるかというと、そこが今課題になっているということ。

 この日本語学校というのは、授業料を先取りするんですよ、半年から一年、一人について七十万から百万円。ちょうど、在留資格認定証明書を本人に送るという条件の中で、デポジットみたいなものですね、一年間の入学料金というのを取っているんです。このままいって、例えば倒産していけば、これが返却できない。学生が来ることができないという中で返却もできないということになると、ただ日本語学校の体系そのものが崩れていくということだけじゃなくて、国際問題に発展をしていく可能性もあるということ、このことが危惧され始めてきました。

 そんなものですから、ここは何とか支えていくということが必要だと思うんですよ。

 そこについて、それこそ、担当省庁の文科省として、何とかこの下支えの策というのをつくり出していただきたいという思いで、改めて質問をさせていただきたいというふうに思います。

萩生田国務大臣 先生も触れていただいたとおり、日本語教育、日本語教育の推進の責任者は文部科学省であり、文化庁で一義的に対応することは事実なんですけれども、世の中に様々ある日本語学校と言われているもの、これは、御承知のように、学校法人が経営している場合もありますし、また一条校の指定は取っていないけれども専門学校のような形態でやっているものもあれば、株式会社立や有限会社、あるいはNPOなどが運営しているものも数多くありまして、それは法務省の告示、日本語教育機関ということで指定をして、くくって、日本語学校と呼ばれているものが存在しています。

 コロナの状況で留学生が来られないものですから、例えば実習生たちも来られないものですから、本来学ぶであろうと予定していた人たちが来ないことによって、特に民間の営利法人である日本語学校が非常に影響を受けていることは承知しております。

 その上で、例えば、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主に対して雇用維持の取組を支援する雇用調整助成金や、営利法人である日本語学校が新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化した場合、日本政策金融公庫による新型コロナウイルス特別貸付などが利用できる場合があるため、まずはこれらの各種支援策を最大限に御利用いただきたいなと思っております。

 おっしゃっていることはよく分かるんですけれども、その考えでいうと、例えば、じゃ、音楽学校をどうするんだ、コロナで学生たちが来られないじゃないか、株式会社でやっている、いわゆる私塾みたいなものも中にはありますし、あるいはスポーツクラブはどうするんだということにもなりますので、文科省だけで決断ができない部分もありますので、問題意識を共有しながら、政府全体として、何らかの支援を講じていかなきゃならないと思います。

 アフターコロナを考えたときには、あっていただきたい、残っていただきたい施設の一つであることは申し上げるまでもないわけですから、そういった検討をしっかりやっていきたいなと思っています。

中川委員 この特殊な部分というのは、留学生で、学生が皆止まっているということなんです。全面的に入れないということなんです。そこが、さっき大臣が指摘されたほかの学校とは違うところだということで、ここのところを認識していただいて、かつ、これは破綻したら、さっき言ったように国際問題に展開していってしまうという、そのリスクも含めてちょっと認識していただいて、しっかり問題を掘り下げていただければありがたいというふうに思います。

 以上、終わります。ありがとうございました。

左藤委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田学です。

 お時間いただきまして、ありがとうございます。

 基本的には政府参考人にお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 著作権法の改正ということで、人間、日常的に暮らしていると、そんなに直接的に著作権に関して習得するというか学ぶ機会もないものですから、今回、こういう法律の改正の審議を踏まえて、様々、視野を広げて勉強させてはいただきましたけれども。

 当然ながら、著作物の利用の円滑化をしなきゃいけないというてんびんの片方とともに、著作権者の利益をしっかりと保護するということが守られて初めていい循環が生まれてくるということは、十分理解をしております。

 まさしく、去年からコロナのこういう厳しい状態があって、教育の環境を含めて、様々、皆さん苦労、私も親ですけれども、苦労しながらやっていますけれども、いろいろ調べる中で、教育のDXをするという意味で、授業目的公衆送信補償金制度というものの前倒しの運用であったり、そういうことの制度が進められていることを恥ずかしながら十分知っておりませんでしたので、非常に、こういうような、ワンストップで、著作権の使用権利をまとめてくれ、かつ、聞くところによると、去年は、著作権者の方々の御厚意という話なのかもしれませんが、無償でそういうことを使えることになってきたということも聞きました。

 今後、これから三十分使って、いわゆる教育分野、オンライン、著作権、そういうことの関連を議論をさせていただきたいなと思うんですが、今申し上げた授業目的の公衆送信の補償金制度で、去年は、申し上げましたけれども、無償で使うことができたと。

 どのような経緯、過去の経緯と、今年の様子、そして今後の方向性をお話しいただけたらと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 授業目的公衆送信補償金制度は、平成三十年における著作権法改正で創設され、当初、公布後三年以内、すなわち本年五月までに施行するということとされておりました。しかし、昨年の新型コロナウイルス感染症の影響により、オンライン教育における著作物利用のニーズが急激に増加したことに迅速に対応するため、準備を前倒しし、昨年四月二十八日から施行しました。

 制度の施行に当たっては、権利者団体の配慮により、補償金額を令和二年度に限り特例的に無償として開始され、指定管理団体であるSARTRASに対して制度を利用する旨を届け出た教育機関は一万五千件、これは大体二七・八%でございますが、一万五千件を超えております。

 今年度からの有償補償金額による本格運用に向けて、SARTRASから教育機関の設置者団体等への意見聴取を経て、文化庁長官に対して補償金額の認可申請が行われ、文化審議会への諮問を経て、昨年十二月に補償金額の認可を行いました。

 SARTRASにおきましては、教育機関の設置者からの利用申込みの受付を本年四月から開始したところでございまして、九月までの間に申込みがあり次第、順次、利用契約を進めているところでございます。

 以上でございます。

寺田(学)委員 昨年は御厚意によって無償にはなりましたけれども、当然ながら、その御厚意に甘え続けることはできないと思うので、何かしらの補償をするべきだとは私も思います。

 昨年はコロナで、具体的には、コロナというよりも、一斉休校という物すごく強い措置がしかれたものですから、半ば強制的にオンラインを模索しながら各学校がやっていたので、具体的に著作権の問題に行き当たる部分があったので、そういうニーズの声というか登録というのは増えたと思いますが。もちろん、今年になって感染は収束しておらず、一層厳しい部分はありながらも、まだ対面の授業が続けられていることに安心感はありながらも、一方で、オンラインの教育を進めていく上でのドライブというのは、実は去年に比べてかかっていないのかなというふうに私は感じます。

 今、御説明をいただきましたけれども、私は、オンラインの授業というものを進める上で、この制度自体は非常に有効なものであると思いますし、導入する初年度というか立ち上がりの段階こそ、一層その恩恵というものを感じてもらうためにも、使いやすい環境を学校側に提供する必要があると思っているんですよね。

 そういう意味で、昨年は、お金の面に関しては無償ということでハードルは下がりましたけれども、今年からはそういう形でなくなりましたので、ハードルは上がっていると思うんです。未来永劫、別に、そういうことを何かしら、御厚意なのか、国での援助なのかということに頼る必要はないとは思うんですが、立ち上がりの段階は、私は、余るほどのサポートをしてあげないと、いろいろな業務に追われ、いろいろな支出に追われている学校側としても、オンラインの中においての、こういう貴重な、価値のある著作物を使った有効な授業というのはなかなかできないと思うので。

 今年の話は、大体、レクの話、御答弁の中で聞きましたが、今後、別にずっととは思いませんけれども、財政的な支援を行うべきだと思うんですけれども、どのように考えていますか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 本年度から本格的に運用されます授業目的公衆送信補償金制度の利用に当たりまして、地方自治体など学校設置者が負担する補償金経費につきましては、学校の管理運営に要する経費ということで、本年度から新たに地方交付税措置などの財政措置を講じさせていただいております。

 本年四月から、GIGAスクール構想によりまして一人一台端末環境の本格運用が始まった中でございますので、本制度の利用に係る経費につきましては、来年度以降も引き続き必要な財政措置が講じられるよう、関係省庁と調整していきたいと考えております。

寺田(学)委員 まさしく物理的な意味で、いわゆる端末が子供たちに配付された年に今年度はなっていますけれども、昨年は本当にコロナの急激な拡大と一斉休校という強い措置によって強制的にではあったんですが、助走期間を踏まえて、今まさしく多くの子供たちに端末が渡されて、いよいよ本当の意味でのGIGAスクールというものが、車輪が回っていく段階にあると思うんです。

 昨日、レクの段階なんですけれども、実際、私、昨年度、どれぐらいオンラインによる教育というのが行われたと文科省として把握しているんですかという話を聞いたところ、突然聞いたこともあったかもしれませんけれども、余り的を得たような話がなかったものですから。

 昨年度、文科省としては、皆さんの所管する学校においてどれぐらい、もちろん件数という具体的なことを求めているわけでもありませんけれども、どういうようなオンライン授業の環境があったのかというふうに、どのように把握されていますか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年度のオンライン教育全体の実施状況につきましては、文部科学省として把握できておりませんけれども、昨年の臨時休業期間中の学習指導の状況につきまして、昨年六月に行った調査におきましては、同時双方向型のオンライン学習指導を通じた家庭学習を実施した学校設置者の割合につきましては、一五%という状況でございました。

寺田(学)委員 ここからいろいろ議論があるんですけれども、一斉休校の間にどのような形であったかというのは今御提示されたようなお話だったと思うんですが、まさしくGIGAスクールというものは、コロナを前提とせず、端末を皆さんに配付し、オンラインの授業ということも踏まえて学習環境を整えたというのが国としての政策の趣旨だと思うんです。

 かつ、私自身として、不登校及びフリースクールのことに取り組んでいますけれども、一斉休校のときに実際のところオンラインはありましたけれども、やはり不登校の方々もそのときにオンラインで授業に参加して、非常に考え方というか気持ちが変わって、いい方向に動いたということも結果としてありました。

 ですので、オンラインの教育の環境を整えることは、コロナを前提としたものではなく、いわば平時というか、一般的な教育の基本的なインフラとして備わっているものだと私は思うんです。なので、是非、去年の様子も、一斉休校のとき以外も捉えなきゃいけないと思いますし、まさしく今年は物理的な端末が配られているわけですから、どれぐらいオンラインの教育が行われているのか、行おうとしているのかということを私は省として把握してほしいと思うんです。

 これもレクのときだったんですけれども、そもそも文科省としてオンラインの教育は推進しているんですよねという話をしたときに、余り気持ちが通じませんでした。できる限り、できるところはやってもらうとか、強制はしませんとか、そういうような話だったんですけれども。

 基本的なことなんですけれども、文科省として、オンライン教育は推進するんですよね。いかがですか。

 どっちでもいいです。

萩生田国務大臣 これは私が答弁した方がいいと思うんですけれども。

 先生おっしゃっているように、GIGAスクールは、オンラインにも利用できる環境を整えたんですけれども、オンライン教育を目的として整備をしたわけではありません。まさに学校教育の中のツールとして、子供たちの理解度を高めるために、デジタル教材を使って様々な情報を取りながら、あるいは、時には立体的にとか、こんなことで利活用していただくことのために整備をしました。その延長として、確かにオンラインでの教育もできますから、例えば病気療養中の子供たちですとか、何らかの事情で不登校になってしまった子供たちの救済策として利用することも十分可能だと思います。

 あるいは、実はさっき発表したばかりなんですけれども、七月にはISSから星出飛行士に一斉授業をやってもらうということにしました。ところが、時差があって、本当はうまく授業時間にはめたかったんですけれども、夕方五時からしか通信ができなかったものですから、四年生から六年生を対象に、手挙げ方式で教育委員会や学校で手を挙げていただいて、まさに宇宙との通信の授業をやろう、オンラインだからこそできるこういったことをやっていこうと思っています。

 可能性はたくさんありますから否定はしませんけれども、ややもすると、GIGAスクールイコールオンライン授業というふうに誤解をされている一面がありますので、ここは一つのツールとして使いこなしていくというためのGIGAスクールだと御理解いただきたいと思います。

寺田(学)委員 今御披露されたこと、非常にすばらしいですね。そういうことが可能になるということ自体が、インフラのポテンシャルというものを子供たちにとっては認知するいいきっかけになると思うので、頑張っていただきたいと思います。

 言葉の問題だと思うんですけれども、オンライン教育もできるということで、私も理解します。ただ、私が懸念しているのは、そういう並列のときに、どうしても大多数の方々、オンラインもとなると、オンラインで授業を受けることも用意され、もちろん、オンラインじゃない形でも端末を使うということがあっていいと思うんですけれども、どちらかというと、オンラインもできるというと、オンラインはやりたい人だけやればいいよというような捉え方に、どうしても現場は忙しいのでなってしまって、結果、オンラインもできるといいながらも、実質的には用意されないような環境になることをすごく懸念しているんです。

 GIGAスクールの話で、いよいよ子供たち、うちはどうだとかあそこはどうだといろいろ話を、仲間のところでも、地域をいろいろ、複数のところから聞いてみると話があって、やはりまちまちです。

 地域によってばらばらだということ自体を一概に私は否定するつもりはありません。もちろんそれは地域の事情によって、できること、できないこと、今回のワクチン接種とかもそうですけれども、あると思うので、一概に申し上げるつもりはないんですけれども。

 ただ、地域の実情に合わせて進捗が変わってくるのは仕方がないと思いますけれども、利用の在り方が地域によって違う、言い方を変えると、制限の在り方が地域によって変わるということに合理性がない限り、私は、国としてお金まで出して進めているこの施策をやる上では、しっかりと国としてのリーダーシップをその部分においては発揮しなきゃいけないと思っているんです。

 やはり、まだ検索サイトとか動画サイトへのアクセスを制限させたり、エドテック教材へのアクセスの制限だったり、ファイル共有を駄目と言ったり、あとは電子メールとカメラの禁止。私もこれは学校らしいなと思ったんですけれども、全ての学校に端末が配られない限り、その自治体として利用を開始しないとか。皮肉を込めて言いますけれども、やはり学校らしいというか教育委員会らしいなというのがあるし、まだ自宅の持ち帰りの禁止があると。

 大臣も、丁寧に、地域の実情を踏まえてとか、学校それぞれの事情があるのでと言いながらも、実態としては、合理的でない制限が、その文科省からの、地域の実情に合わせて、学校の事情に合わせてということで、十分な活用がされていない現状が起こっているのがまた事実だと私は思います。

 これは参考人の方でも結構ですけれども、例えば電子メールやカメラを禁止するということ自体が、地域によって実情が変わるとは思わないんです。秋田県であれば、地域のことを考えたら、カメラは使わない方がいいとか電子メールは使わない方がいいということは、どういう理屈でも何とも成り立たなくて。もちろん、進捗に関して、導入の速度に関して、開始のタイミングに対して、そういうこと自体は地域の実情に沿って強制をしないというのはあると思いますが、こういう、機能を使う使わないに関して、私は地域の実情に沿った合理的な判断というのは余りないと思うんですね。

 これは参考人に聞きますけれども、検索サイトや動画サイトとか、使用を禁止したり、カメラや電子メールを禁止すること自体が、地域によって何か実情が変わるようなことというのはあるんでしょうかね。どうですか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 この四月から一人一台環境を本格的にスタートをしたわけでありますけれども、御指摘のように、一部の自治体等におきましては、関係者に不適切な理由などを適切に説明することが十分にないままに、おっしゃったような、例えば表計算ソフトであるとかカメラであるとかいった学習ツールの使用を一部制限している事例があるということを我々も承知しております。また、端末の持ち帰りにつきましても、やはり取組にばらつきがあるということも承知をしております。

 我々としましては、先ほど申し上げましたような学習用ツールにつきましては、GIGAスクール構想の中で、しっかりうまく学校教育の中で使っていくということを前提に、整備していただきたい端末の標準の仕様の中にもお示ししているところでありますので、御指摘いただきましたとおり、子供たちに使い方であるとか、あるいは家庭との共通理解であるとか、そういうことをしっかりと確保した上で、できる限り早く、やはりどの学校でも使っていただくということが大切だというふうに思っているところでございます。

 このために、我々としましても、本格的な運用に向けた留意、準備すべき事項等を整理したチェックリストでありますとか、あるいは、保護者等との間で事前に確認、共有することが望ましいポイントといったものも文科省から示しまして、各設置者等において、家庭も含めて端末を安全、安心に利用できる環境づくりというものを早急に進めてほしいということをお願いしているところでございます。

寺田(学)委員 新しいことをやる上で様々なリスクというのは懸念されますし、それが時として顕在化するとは思うんですよね。今回のコロナのワクチンの件とかも見ていますと、やはりお国柄というのが非常に出ているなと思っていて。

 利益を最大化するために、及び、そのタスクというか、やらなきゃいけないことを最も早くこなすために多少のリスクを冒す、リスクは甘受して突き進むというところなのか、とにかくリスクを最小化するために、結果として目的、利益も物すごく最小化する国かというので、今のこの立っている現状と、マスクをしている現状が違うとは思うんですよね。ワクチンなんて本当にそうですけれども。

 例えば、悪平等と言ったらおかしいのかな、自治体に配られるワクチン量が物すごく制限されている中で、本来であれば、地域であったり年齢であったり、もちろん、それが何でそういうふうに絞られるんだと言われたときに答えようがないかもしれないけれども、絞って配付券を出していれば、ここまで、徹夜で並ぶとか、我が家もやりましたけれども、親のためにみんなインターネットの前に座ってクリックするという作業をしなくても済んだと思うんですけれども、やはりそこは平等という名の下に全員に配ったせいで獲得合戦が始まってしまった。

 なので、今回のGIGAスクールで端末を配ることに関しても、いや、電子メールとかカメラをやったら何か起きるかもしれないですけれども、ただ、利便性も相当上がるんですよ。渡しているからには、様々それを使わせることによって子供たちへの可能性を広げるんですよね。

 なので、学校というものとか教育委員会というものが物すごく、親からのクレームであったり地域からのクレームとかを恐れる慣習というか、今までの地域を取り囲む環境は分かるんですけれども、そこにある程度、言い方は悪いですけれども、文科省が盾になってあげて、いや、文科省が言っているんだよというので取りあえずまず導入した上で、利用というものも促進させて、利益を最大化させるというのが私は大事だと思うんです。

 参考人の方でも結構ですけれども、電子メールとかカメラの禁止とかって地域事情は関係ないですよ。それは原則認めるべきだと思いますよ。通知をいろいろ出していただいていますけれども、やはりどこかに地域の実情に合わせてという言葉を混ぜちゃうせいで、そこにみんな依拠している部分があると思うんです。

 一個一個言うのも何か本当にはばかられますけれども、じゃ、取りあえず、電子メールとカメラの禁止という、基本的にはいいですよね。

萩生田国務大臣 先生おっしゃっていることは本当にありがたいし、私も同じ思いなんですけれども、他方、初めて全ての小中学生に一人一台端末を配ります、全額国が保障します、通信環境も国庫補助でやります、ここまで言って、用意ドンでスタートして一年間時間があったにもかかわらず、この四月一日にやはり間に合わなかったという自治体があれだけあったことは、私、ちょっとびっくりしているんですよ。

 事情は様々なんですけれども、誤解を恐れず申し上げますけれども、やはり行政能力、それぞれ違うんだということも受け止めていかなきゃいけないと思います。

 そこで、せっかく配った機能を、手足を縛って、これはやっちゃいけない、これも使っちゃいけない、これも駄目なんだというネガティブなリストを作って、授業の中での最小限の使い方しかしないんだというんだったら、これは面白みも何ともないからこそ、持ち帰りもしてもいいですよ、持ち帰ればそれはゲームをやりたい子供たちの衝動があるわけだから、では、そこは、時間を、ルールを決めましょうねというようなことで、少し、そこまで言う必要があるかなというぐらい、ガイドラインの中では細かいことを今通知をしながら、練っているという状況なんですね。

 私たちも、本当だったらこの四月一日からスタートダッシュでいろんなことをわあっとやろうと思ったんですけれども、ここはスモールステップでしばらくいこうと。少なくとも一学期は、ちょっと自治体の皆さんに、あおるようなことはやめて、できるだけ、いい、グッドプラクティスをちゃんと示して、そしてそれを横展開していくように、夏休みの研修などで使ってもらうようにしようということで、今、いろいろ感じていることはあるんですけれども、なるべくあおらないで、ここはもうとにかく使い始めてくださいねという状況だということは是非御理解いただきたいと思います。

 将来にわたって、メールは駄目だとか、写真機能やカメラ機能があるのに使っちゃならぬということを前提にしていません。

寺田(学)委員 いいですね。文科委員会に属して、僕は大臣の先入観というのがどんどん変わっているんですけれども。

 僕も学校で苦労した方なんですよ。学校の先生たちが、ミスが起きないように管理をしよう、管理をしようという、背骨に入ったDNAが、僕みたいな悪餓鬼がいたせいであるのかもしれないですけれども。

 ただ、やはり、うちの国の教育水準というか、世界がこれから、当然グローバル化している中において、人間としての様々な自由度とかそういうものがどんどん他の国に比べると乏しくなってくる中で、かなり思い切ったことを今回やったわけですよね、文科省も含め、経産省もやりながら。なので、そこは本当に、大臣が言うとおり、十分に使いこなしてほしいと思うし、これでこけちゃうと、数年後、もう大ごけした政策になってしまうのだけは避けたいと思うんです。

 じゃ、今はとにかく仏の顔をして待っているわけですよね。しっかり、どういう案件がネックになっているかというのは聴取しているわけですよね。優しく優しく、できる限りのことを言いながら、夏休みが明けて二学期に入るときにはこれぐらいできているんだろうなという、別に脅すつもりはないんです、様々なことをどんどん利用させることを、余り地域事情とかに、逃げるという言い方をすると失礼になるんだろうな、甘えることなくやっていけるようになるんだと信じています。

 そういう意味でいうと、本当に、学校現場、親もそうですし、いっぱい聞いてみてください。僕も、様々なこと、細かい、信じられないような変なルールができますし、校則とかもそうですけれども、意味不明の非合理的なルールができていたりするので、そこを丁寧に是非とも聴取をしていただきたいというふうに思います。

 著作権に戻りますけれども、そういう意味で、様々な形で、インフラさえ整えば、その中で流通するもの自体は、著作権等の処理をしっかりと整えた上で有効に利用していくべきだと思うんですが、今後とも、様々、これだけ大きな仕掛けをするわけですから、現場からコンテンツの利用に関しての問合せがどんどん来ると思うんです。

 著作権に絞ってお伺いしますけれども、オンラインをやっていく上での今後の課題等も含めて、あれば教えていただければと思います。参考人の方で結構です、どうぞ。

矢野政府参考人 オンライン教育を行う上で、例えば、国会でも取り上げられたことがございますけれども、児童館等におけるボランティアの絵本等の読み聞かせをインターネット配信するときに著作権法三十五条が適用されるのか、あるいは、著作権法三十五条につきまして、学校その他の教育機関における複製等に関する権利制限について、どういう範囲の教育機関がこれに当たるか、そういったような課題もあるというふうに認識しております。

寺田(学)委員 僕がちゃんと聞けばよかったんですが。

 今お答えいただいたとおりなんですけれども、コロナに限って言うと、今、港区でも児童館が使えなくなっています。やはり、この中でも、子育てをやられている方になると、三時以降、四時以降どう子供に時間を潰してもらうのかというものが仕事をする上での最大の悩みですし、仕事をしないで家にいたとしても、ずっと話を聞いているのでつらいので、どこかで何かに夢中になっていてほしいと思うものなんですけれども、ことごとく、サッカースクールは駄目になりましたし、レゴとかのスクールも施設が駄目になると使えなくなったり、児童館に行って時間を潰すということもできなくなってきて、やはりオンラインに頼るというところになるんですが。

 どうですかね、コロナがもちろん未来永劫続くとは思いませんけれども、まだしばらく様々なことで警戒しながら、制限を受けながらやっていくと思うので、教育機関というものの解釈自体、児童館とかで読み聞かせをしてあげている動画とかを、著作権の壁で立ち止まることなく、コロナの間だけでも、児童館が閉まる可能性があるうちだけでも、何とかそこら辺は、去年、御厚意で一年間無償になったりもしましたので、何とかならぬものですかね。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 学校その他の教育機関における複製等に係る権利制限の規定については、非営利の教育機関の授業の過程における著作物の複製や公衆送信等について、権利者の許諾なく利用できることを規定しております。

 非営利の教育機関とは、学校教育法上の学校のほか、組織的、継続的に実施される非営利の教育機関が含まれると考えておりまして、どういった方がやっておられるのか、非営利なのか、そういったことを基に判断されるものというふうに考えております。

寺田(学)委員 いや、様々あると思います。

 もう時間なので終わりますけれども、知っているお父さんだったり、知っているお母さんが読んでいる絵本というもの自体への子供の吸引力というのはすごく強かったりしますので、何とか、コロナの間、もうそろそろコロナが収束してほしいと願いますけれども、子供を育てる親たちにとってみても様々なネックがありますので、是非とも検討はやめずに進めていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、やめたいと思います。ありがとうございました。

左藤委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 立憲民主党の下条みつでございます。

 こういう機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 特に、文科大臣もお忙しいんですが、丸川オリンピック担当大臣、いろんな意味で御苦労なさって調整されている、また、それにサポートされている政府委員の皆さんも、本当に大変なときにお呼び立てしました。

 ただ、私としては、いろんな意味で、どうしてもちょっと議題に上げたいということで、今日、二つに分けてオリンピックの質問をしたいと思います。

 一つは、どうしてもやらなきゃいけない場合の、こうしたらいいんじゃないかと提案させていただければと思います。もう一つは、本当にやって大丈夫かなと。これは本当に、こういう点が幾つか出てきてどうなのかなというのを提案させていただいて、御意見を拝聴したい、こういう形で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、同僚議員からも質問があった件ではあるんですが、オリンピックの選手団の関連の方だけで何万人、これは、大臣もおっしゃっていただいた監視人を置いたりして、出ていったり出ていかなかったり、それをしっかりしろよ、二週間ちょっとだぞという話は、それはそれでいいと思うんですね。

 ところが、一方で、元々、日本でボランティアでやる方が、実を言うと八万人と聞いております、これは前後するとは思うんですけれども。やはりその八万人の方々の管理というのが一番大事じゃないかと僕は思っているんです。

 ここに、その方々への説明のチラシが打ち出されてあるんですけれども、外出制限とか、対策を、ワクチン、PCR検査とかなっていますけれども、私は、ここが難しいところで、国民の皆さんがほとんど打っていない、数%しかワクチンを打っていない中で、ボランティアの人だけワクチンをどんどん打っていけと、これはなかなか難しいんじゃないかと思います、いろんな意味で。国会議員も打てないですからね。

 ですから、そういう中で、じゃ、どうやってこの八万人の累積のボランティアの方々の生活と、それからボランティアの内容を、感染に触れないようにチェックしていくか、これは物すごく難しいんじゃないかと思うんですよ。

 私がお聞きしたところによると、選手団のサポーター、つまり関係者というのはきちっと管理できているんですけれども、このボランティアは、どうも、どこかの一定の宿舎にいるんじゃなくて、全部自宅から通勤してくると。

 そこで、私はお聞きしたいんですけれども、これは政府委員で構いません、どういう形でそれを管理して、つまり、ボランティアはボランティア同士で全く触れないのか、それとも、そういう選手団に、例えば、マラソンだ何だかんだ、北海道、いろいろあると思いますけれども、そういう方々に触れていくときに、戻ってきた後は一切合切チェックできない状態になっているのか、そこをまずお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

植松政府参考人 ボランティアに関してお答えいたします。

 ボランティアにつきましては、委員今御指摘ありましたとおり、アスリートや大会関係者への接触が想定される役割の方々もおられるわけでございますが、そういった方々に対しては、まずは必要な頻度で、アスリート同様に検査を実施することとしております。

 また、その詳細な取扱いにつきましては、ただいま組織委員会におきまして、詳細なガイドラインの作成、あるいはボランティアの役割に応じた感染症対策の検討が進められておりまして、研修等を通じて周知されると聞いております。

 大会ボランティアの方々が安心して大会に参加できるよう、政府としては引き続き、安全、安心な環境を確保することを最優先に、関係機関と緊密に連携して準備を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

下条委員 大体そんな回答が来るとは思いました。

 僕がなぜこれを重要視するかというと、もし仮に、今、適当な間隔で検査をすると言いましたけれども、嫌な言い方をすると、偽陰性もあるし、偽陽性もあるし。一つの、ボランティアの方が何か感染したことが分かったと同時に、その競技は止まりますよね、その人が接触している競技。だから、そういうことを考えたときに、これは本当は、選手団の関係者と同様ぐらいな重要性を持っているんじゃないかと僕は思っているんですよ。

 じゃないと、せっかくの祭典が、僕は今、こちらの、積極的にやる側の方のプレゼンを今しています。もしやるとしたら、そこの部分をきちっと、なぜかというと、家から電車に乗りました、私も、去年、ずっと厚生労働委員会でワクチンまたコロナ、やっていましたけれども、一番危険なのは、実を言うと、会食したり、慶応病院でもありましたよね、マスク取って会してみんなうつっちゃった、換気扇からうつっていったりとか、いろんな不測があるんです、一般の人には。

 だからそれを、今から僕が提案しているのは、もしこれを怠ったときに、競技が全部止まってしまいますよ、せっかく世界中から来ても、日本がやっている部分がストップしてしまいますよという警鐘でございます。これを言っておきます。

 じゃないと、極端な話、中国なんかは、医療従事者も、陰性でも二週間別棟にいた後、家に帰すぐらいの状態を、毎日、近辺だと家から通っていく人が。そして、ついせんだって、博物館の部分を都知事と文科大臣がやられたときに、しゃべらないからいいよと言ったのは、実を言うと、動線とか人の流れによって多くそこに集まるから駄目だよという前提になっていましたよね。これは、逆に言うと、ボランティアの人だって同じように競技場に行くわけです、動線を使って。

 だから、私は、この部分というのは物すごく重要な、また隠れた危険性のある部分だと思っているんですよ。誰もが、全部、全ての、二十四時間の体制を本当にこの紙で言うとおり管理できているのかなというところに、僕は実を言うとクエスチョンを持っているので、もし積極的にしたい場合のプレゼンとして、今提案しております。

 そこをきちっとやっておかないと、嫌な言い方ですけれども、陸上の百メーターとか、そんなボランティアがいたら、そこに陽性が出たら、それは止まっちゃいますよということです。そうすると、せっかくの祭典や競技が台なしになってしまう可能性がありますよという提案をさせていただきました。大臣には質問していませんが、一応、こういうような重要な状態になっていることを申し上げています。

 それから次に、僕は、もしやられるとした場合の一番の国民の目線というのは、私たち、簡単に言えば、ワクチンを打っていないよ、私の旦那は、がんの手術をする予定が、ワクチンの方に占領されて、がんの手術が延びてしまったよ、こういうような状態の原因というのは、医療従事者不足と、それから箱の不足と、その二つだと思うんですね。

 それを考えたときに、私は単純に、この間ちょっと政府委員に言って、これは大臣に返答していただきたいんですけれども、海外から、例えば一番多い選手団というのはアメリカじゃないですか。アメリカの人が来るときに、こちらで、確かにホスト国だからお医者さんを用意しておくということも、それはそうなんだけれども、だけれども、もうこれだけ逼迫していて、今の、七割、下手したら八割近く、サイレントボーターも本当にやるのというぐらいな状態のときに、これからどんどん情勢がよくなっていくのか、そうするといいと思うんですけれども、僕はそうは思わないんですね。

 やはり、ワクチンの接種率がどんどん、三割、四割、五割ぐらいになってくると少しずつ安心していく、そういうときに、お医者様を日本からだけ頼むんじゃなくて、海外の、アメリカ団の人たちとか、イギリスでもドイツでも何でもいいんですけれども、その人たちに、こういう情勢なんだから、どうしても開きたいので、お医者様をそちらから、看護師さんも含めて、今までの定員以上に準備してくれないか、こういう提案をしていくべきときに来ているんじゃないかと僕は思うんです。

 これはやりたい側の話です。やりたい側の私のプレゼンの話。やるとしたら、全部日本で準備するんじゃなくて、例えば、僕は分かりません、アメリカの選手団が何人いて、どのぐらいの医療さんがいるか知りませんが、そうすれば、例えばその人たちは英語もしゃべれるし、当たり前ですよね、準備もできる、よく分かっている。単なるスポーツドクター、けがだけじゃなくて、いろんな意味でそこにサポートに入れるんじゃないかなという気がしているんです。

 だから、これは、やはり大臣とか、それから都知事とか、それから総理からでも言っていただいていいんじゃないですかね。そのぐらい言うときに来ているんじゃないかと。つまり、日本でこれだけ困っている医療体制を更に逼迫させるのではなくて、やるんだったら、相手の国に、申し訳ないけれども頼むということは、どうですか、大臣。

丸川国務大臣 ありがとうございます。非常に重要な御指摘をいただいたと思って受け止めをさせていただきます。

 先ほど、まさにチームドクターという話がありましたが、やはり大きい選手団は大体皆さんチームドクターを連れておいでになります。どこの国とは言えませんけれども、検査チームを連れてくる国もあります。ですので、かなり御自身たちの選手を守るためという意識はそもそも強くていらっしゃるということはまず前提にございますので、しっかり受け止めさせていただきたいと思います。

 加えて、実は、開催都市契約を結んだ時点、つまりオリンピックが来るということになった時点から、そもそも地域の医療に負担をかけない形でオリンピック、パラリンピックの医療を確保しますということは、ベースラインとして実は約束をされていることでございますので、ここは揺らぎのないように、しっかりとこれを貫いてまいりたいと思っております。

下条委員 開催国が決まった時点では、大臣、このコロナというのはなかったとは思うんです。ですけれども、今日本が置かれている状態、国民の気持ち、実態の姿、これを見たとき、やはり、今おっしゃっていただいたことを貫いていく以上に、御要請をしていただければ。

 あと二か月ですから、やるとした場合ですよ、僕はやるとした場合の話を今していますから。二か月なので、これは向こうで、何かあったとき、つまり、二百人とか二百八十人が応募に来たとか、何かいろいろ話はあります。それ以外に、看護師さんの話もある。僕は、看護師さんというのは、ある意味で一番重要かもしれません、日々に、その選手の体調、熱、また、今回はある意味で相当ストイックに、言いにくいですけれども、体が元気な人を全部閉じ込めなきゃいけないような状態になったときに、精神的なプレッシャーとかいろんなものが出てくると思うんです。

 そういうときに、もちろんドクターもそうですけれども、それに対して日々のヒアリングをする看護師さんも、日本からではなくて、海外が、こういう状態で来るのであれば、開くのであれば、丁寧に説明をして、今まで以上に要請をしていくことをつけ加えさせていただきたい。よろしくお願いいたします。

 次に、私は、これは積極的に進めるのではなくて、どっちかというと難しいんじゃないかなという場合のプレゼンをさせていただく。

 その一つに、私は、オリンピックというのは、今回生まれたコロナだけではないと僕は思っているんです。それ以外に、例えば七月の二十三からでやれば、八月の上旬までの間というのは、これはどう見ても温度が高い。異常に温度が高くなります。今コロナだけの話をしたが、そうじゃない。

 この日本国は、三年前にも、大臣御存じかあれですけれども、別にこれは質問通告していないのでぱらっと言っちゃいますと、三年前は九万人以上の人が熱中症で救急搬送されています。九万人です、九万人ですよ。つい最近でも、やはり六万、七万人が熱中症で救急搬送されている。

 そういうときに、私のところにある厚労省のデータによりますと、重症と中等症、搬送したらやはり入院しなきゃいけない、点滴を打たなきゃいけない、そして体がドライになっているのもケアしなきゃいけない。そのために、確実に入院が必要なのは四割と出ています。今これだけコロナで切迫している病棟、病床、医療従事者の下に、四割の人が入院しなきゃいけない可能性があるんですよ。

 今度、この七月から八月でいきなり温度が二十度になるのか、それは知りません。ただし、私の田舎は結構涼しいんですけれども、大臣は暑いところにお住まいで、涼しいところも行かれていると思いますけれども。だけれども、そういうのを考えたときに、この熱中症の問題というのは、この日本丸を含めて、非常に大きな課題の一つになると思うんですね。

 だから、僕は、これはあえて質問しませんが、この数字だけを言っていきますと、これだけの人が、今逼迫している医療体制、医療従事者の中に救急搬送されなきゃいけないという、この事態を絶対日本の国会議員は忘れちゃいかぬと思うんです。ですから、これはあえてつけ加えさせていただく。

 その一方で、今日のいろんなところのデータによりますと、東京以外で八自治体が、オリンピック用の医療確保ができない、こう宣言していますね。だから、この状態で本当に大丈夫ですかというのが僕のネガティブの方のプレゼンです。これを言っておきます。

 これは所管ではないかもしれませんが、大臣、コントロールするタワーの中心の人間として、これだけあるということは、今の段階ではないですよ、政治は、今の段階はもちろんですが、この先どうなるかを見ながら、読んでいかなきゃいけない。

 その後、二つに、僕が思うのは、夏というのは、これだけ異常気象があると、各地区で異常な環境になると思うんです。例えば、豪雨になる、台風が来る、それから川が増水してあふれる。そういうときに、また病院、頼らなきゃいけない、オリンピック、自衛隊の皆様、そういうのも出てくるわけですよ。

 だから、目がコロナだけじゃないんです。また地震があるかもしれない。それを、コロナがないときは、いや、それも一括して何とかなるんじゃないのと。僕は暑いと思ったんですよ、実を言うと。一九六四年は十月からですからね、オリンピックが。これは七月なので。私もアメリカでしたね、大臣もアメリカにいましたけれども、アメリカの言いなりになり過ぎたなとは思っています。ただ、持ってきたのは偉いと思う、そう思っているので。

 この七月に、今言った、まず熱中症の問題、そして、異常気象によってどこかで破裂する、どこかで地震がある、これがあったときに、半端じゃない人たちを病院に運び込まなきゃいけない可能性もあるわけですよ。これは分からない。全然、からっぱれで、何も起きなくて、温度も二十度かも、それは分からない。ただ、先読みをしたときに、コロナだけが大臣の頭に入っているか分かりませんが、違うことも入っていることが僕のプレゼンです。それを申し上げています。

 それから三つ目は、私も防衛省にいましたけれども、やはりテロ問題ですよ。やはり一番狙ってくるのは、いろんな国があります、どこの国かは申し上げないけれども、いろんな人もいる。その中で、やはりテロというのは、人々がそこに向いちゃっているときに、足下が浮くじゃないですか。これは警戒もそう、自衛隊もそう、警察もそうです。そのときにぱっと出る可能性があるから、日々準備しているわけですよね。まあ、今日はこの辺は余り詰めないようにしますけれども、ちょっと時間の関係もあるものですから、済みません。

 だから、その辺を含めたときに、本当に、さっき言ったオリンピック用の病床も確保できない状態で、まためちゃくちゃに暑くなるかもしれない、そしてワクチンの問題がある、その中で、僕は、このネガティブの方のプレゼンというのは、慎重に考えていくしかない。大臣、大分があがあ言われてきていますけれども、僕は慎重に判断していただきたいと思います。

 なぜかというと、最後にもう一つ申し上げます。

 やはり、オリンピックの開会というのは天皇陛下がなさるわけですよ、天皇陛下がなさる。世界中の何十億人という方々に天皇陛下が開会宣言をする、その平和の祭典で、日本の大臣若しくは皆様が誤った判断をして、何千年続いた、言いにくいですけれども、陛下の顔に泥を塗るような、東京コロナの発信をしてはいけないと僕は思っているんです。

 ですから、ここで、恐らく安心、安全とおっしゃるかもしれないし、僕はなかなか答えにくいプレゼンをしました。最初の方は、やった場合の話。今は、僕はネガティブ、消極的な部分の。なぜかというと、実を言うと、いろんな問題が目を外れた部分にあるわけですよ。それを僕はプレゼンをして、そして、さらに、名誉総裁は天皇陛下であるということです。我々の象徴です。その方に何か泥をかぶせるようなことがあってはいけないという、私の、中止の意味でプレゼンをさせていただきます。いかがですか。

丸川国務大臣 非常に様々な論点を御指摘いただきまして、一つ一つ本当に大切な御指摘だと思っております。

 専用の病床ということについては、実は、そもそも専用の病床を取っておいてくださいというお願いは組織委員会の方からしておられませんで、茨城、神奈川、それから千葉についても、コロナの患者さんがもし選手から出た場合は、一般の県民の皆さんと同じような形で調整をしますということをおっしゃっておられるというふうに認識しております。

 その上で、実は私、熱中症対策議連の会長を党の中で務めておりまして、モニタリングの強化を今進めているところであります。と同時に、全ての会場に避難をする部屋というのを設けていただいております。これは、クーラーを利かせておいて、少しでも兆候が見られる方はすぐそちらの方でまず体温を落としていただく、コントロールできる状態に戻れるかどうかというのを見た上で、現場で判断をして、必要なら救急車を呼ぶという形、あるいは医療機関に連れていくという形を取りたいと思っております。

 いずれにしても、医療の確保もそうですし、災害、こうしたことは、そもそも、どういう状況であってもきちんと対応できる体制が取れていなければいけないと思いますので、いま一度しっかりと体制を点検をしまして、慎重な上にも慎重な準備をし、判断をした上で、この大会が決して大変なことになってしまったということにならないように進められるかどうかをつぶさに見てまいりたいと思っております。

下条委員 なかなか、答えられる範囲だったと思いますけれども。私が言っている熱中症は、もちろん選手もそうなんですけれども、一般の方の搬送が何万人というところだということですね。

 だから、一般の方が、例えば最初言ったように、手術を受けられないとか延ばさなきゃいけない要因がコロナになってしまっている。その逼迫状態に含めて、熱中症の問題とかいろんな問題が出てきたときに、その部分の余裕が、本当に取っておかないと、今年も恐らく何万人の方が熱中症で搬送されると思います、嫌ですけれども。嫌ですけれども、これは私の個人的な意見です。だけれども、それというのは取っておかなきゃいけない大切な、それはオリンピックで四兆円損するのもそうですけれども、この日本の名前が損したら、それは何十兆、何百兆、何百年に関わります。それを私は注視したいということで提案させていただきました。

 どうか頭の隅に、野党のこんなやつがそんなことを言ったということで、もしか総理大臣とか都知事と会うときに、表に出なくてもいいから、そういうだけの問題があるということを勇気を持って、担当の大臣として調整していただければと、これはお願いベースでございます。立場とか自民党とかいろいろあるかもしれません。これはもう、国の、国民を守るという意味で、名を残すかどうかの話ですから、是非御了解していただきたいと思います。

 では、もう大臣、ここまででございます。ありがとうございました。よろしくお願いします。

左藤委員長 では、御退席どうぞ。

下条委員 ちょっと、時間がどんどんたっちゃっていまして、次に、本来の、この著作権の問題なんですけれども、これは、私に言わせると、著作権というのは、元々今の出版業界というのは、もうみんなデジタルで打ちまくっているので、本来それを納本すればいいなと思っていて、それについて御質問させていただきたかったんですが、時間が余りなくなってきてしまいましたので。

 うわさというか、あれによると、三月の終わりに納本制度審議会によって、今後については、納本も、法案を上げてくるという話ですね、デジタルで。そこのところだけちょっと聞かせてください。お願いいたします。

吉永国立国会図書館長 当館では、図書の形のある出版物を網羅的に収集する納本制度と併せて、形のない電子情報を収集する制度も運用しております。

 このうち、私人がインターネット等で出版する電子情報で図書又は逐次刊行物に相当するもの、いわゆる電子書籍、電子雑誌等については、平成二十五年の七月から、オンライン資料収集制度により収集しております。現状では、無償で、かつ無制限の複製、利用を防止する技術的制限手段、すなわちDRMが付されていないものに限り収集しておりますが、有償又はDRMが付されているものを収集することにつきまして、先ほど先生がおっしゃられました納本制度審議会において長らく検討してまいりました。

 令和三年の三月に、審議会の方から、有償又はDRMが付されているものも収集すべきとの答申をいただいたところでございます。それを踏まえ、今後、広く出版社等関係者への説明を行い、理解を得られましたら、国立国会図書館法を改正いたしまして、オンライン資料の全面的な収集を開始したいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

下条委員 大変いい話だと思います。元々、もう出版は、前みたいにバチャンカチャンカチャンという印刷ではなく、デジタルでやっていますから、それでどんどんやれば、税金を出して、それを納本した後にデジタルに換える、その無駄な費用もなくなるということですから、非常にいい話だと思いますから、どんどん進めていただければというふうに思います。

 次に、海賊版のことについて質問をしたいと思います。

 CODAという、著作権侵害のことを取り締まる、守っていったりチェックするホワイトハッカーがいますけれども、CODAは、私に言わせると非常に重要な位置を占めていて、今の、個人の情報の管理とかいろんな問題があって、プロバイダーの部分がなかなか難しいときに、このCODAにもう少し予算をつけて、今、CODAには大体三億の予算が行って、海賊版のチェックについては六千万前後と何かヒアリングで聞きました。

 これをもうともかく急いで、要するに、海賊版によって少なくとも年間三千億ぐらいのマイナスになっているという話も一部の試算で出てきていますよね。この部分を是非、CODAの部分の、海賊版のチェック機能に対する予算をもうちょっと増やしていただいたらどうかなと私は思っているんですが、いかがでございましょうか。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のCODAでございますが、従来より、違法コンテンツが掲載されているサイトに対して削除要請ということを行っていることに加えまして、昨今、海賊版サイトの運営者が匿名性の高い防弾サーバーというようなことを活用することによってサイト運営者やサーバーの特定が非常に難しくなっている、そういったことを踏まえて、新たな実証事業ということも立ち上げたところでございます。そういったことによりまして、特に、最近、ベトナム系の海賊版サイトを主な対象として、ホワイトハッカーを活用し、サイト運営者を特定するための実証事業といったところを行っておるところでございます。

 経産省といたしましても、こうした事業の成果に大変期待しておりまして、今申し上げた実証結果の成果も踏まえまして、今委員御指摘のとおり、関係省庁及び民間事業者とも密に連携しながら、こういった海賊版の軽減ということに積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

下条委員 是非、日本発で、いろんな方が、民間含めて資金を出していただいている取締りです。大体、三千億もやられていたら、その一割を購入していたら三百億円だけんね、購入する、資金になりますから、そうなれば、相当税金も助かるし、出版業界もそれによって助かってくるということですから、これは急いでいただければと思います。

 もう時間が来てしまいましたので、最後に、ちょっとオリンピックで時間が取られちゃって済みません、全然話が変わるんですけれども、今、医学部で、授業の中の必須に、医療保険制度の教育というのがあるんですね。それは、医学教育モデル・コア・カリキュラムにおける指示として、各医学部、医療従事者、歯科医でもそうです、私大も国立も、その保険制度の教育の部分について、実を言うと濃淡があるということが、私の現場のヒアリングで発覚してきています。それは何かというと、医学部の卒業生の、医学試験の方に余り出ないんですね、保険医制度の細かい話が。

 そうなると、私もお医者さんの卵だったら、余りそういうのは勉強しないで、実体の方の、これこれこれこれ、そっちの方を勉強すると思うんですけれども、そのために、一旦医学部を卒業した人たちが、合格した後にお医者さんになったときに、余り知らないため、保険医機関の指定を取り消されたり、それとか保険医の登録を取り消されたりという事例が、これは、厚生労働の方、今ちょっと時間がないので出せませんが、こういう資料が来ています。相当数出てきていると。

 これは、せっかく医学部を卒業して、試験を受けて、お医者さんになったのに、この保険医の勉強の濃淡があると私はレクで聞きました。つまり、濃淡は各大学の医学部に任せちゃっている、大臣。だから、そうすると、医学部としては、試験に余り出ないのは、とんとことんとこ一時間とかで、ぱっと一つの文書で終わってしまう場合もあると。

 せっかくそこまで勉強して医学部を卒業したのに、この保険医制度の細かいところを知らないために、これは必須にはなっているんですけれども、授業で余りやらないんですよ。これは現場の、ある大学の教授からも私はヒアリングしています。そういうところがちょっともったいないから、これは濃淡を少し濃いめにしてもらいたいと、私、最後の依頼でございます。

 つまり、保険医制度についての医学生の勉強の濃淡の淡の部分をもうちょっと濃くして、保険医制度で失敗して登録を消されるのが、年間随分いらっしゃるんです、お医者さんで。これを減らしていきたいなという、これはプレゼンでございます。

 大臣、いかがでございますか。

左藤委員長 萩生田大臣、申合せ時間が経過しておりますので。

萩生田国務大臣 文科省では、大学医学部における医療保険制度の学修は必要と認識しており、医学生が卒業時までに身につけるべき能力などを示した医学教育モデル・コア・カリキュラムにおいて、医療保険、介護保険及び公費医療を説明できること等を学修目標に設定しておりますが、今先生おっしゃったように、学校によってその授業の濃さというのは、濃淡があることは事実だと思います。

 大学医学部における医療保険制度に関する教育がしっかり実施されるように、各機関を通じて好事例を紹介するなど、この機会ですから、取組をしっかり促してまいりたいと思います。

下条委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。

 ちょっと長くなりまして済みません、オーバーしまして。

 時間が来ましたので、以上にさせていただきます。ありがとうございました。

左藤委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 著作権法改正案について質問します。

 まず、図書館関係の権利制限規定の見直しについて伺います。

 この法案は、第三十一条第二項を新設し、特定図書館等が、図書館資料の複製、その複製物の公衆送信、メール送信を可能とするものです。提供できるのは、非営利、調査研究目的、著作物の一部分とされています。

 メール送信されるデータは、受信先でのダウンロードと不可分であり、著作物の一部分、二分の一未満とはいえ、現に販売されている書籍が利用者にデータで所有されることになりますから、正規市場との競合を回避する措置が焦点となります。

 この点で、法案は、ただし書を設け、著作物の種類、用途、公衆送信の態様に照らし、著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、複製や複製物の公衆送信ができないこととしています。

 ただし書の具体的内容は、幅広い関係者により作成するガイドラインで定めると聞いていますが、関係者の中には、当然、出版社や権利者が含まれるべきだと考えますが、いかがですか。

矢野政府参考人 委員御指摘のとおり、改正案におきましては、著作物の種類や電子出版等の状況に照らし、著作権者の利益を不当に害することとなる場合には送信ができない旨の要件を設け、民間事業を阻害しないよう担保することといたしております。

 この要件の対象となる資料の範囲が明確になるよう、文化庁の関与の下、幅広い関係者や中立的な第三者を交えて、具体的な解釈、運用を示すガイドラインを作成する予定でございます。

 このガイドラインの作成に当たっては、今御指摘のありました出版社や権利者を含めた関係者から、実情を踏まえた御意見を丁寧に伺う必要があると考えており、文化庁といたしましても、適切に対応してまいります。

畑野委員 コロナ禍で、メール送信など、本当にありがたいという声もある一方ですが、出版関係者、権利者の方の要望も出てくるわけですから、しっかりとガイドラインの中に加えていただきたいと思います。

 図書館等による図書館資料のメール送信については、新たに図書館等公衆送信補償金制度が新設され、相当額の補償金の支払いを図書館等に求めることとしています。補償金は、指定管理団体、権利を有する者の利益を代表すると認められるものが、一、図書館等の設置者の代表から意見聴取し、二、補償金額案を決定し、三、文化庁長官に認可申請を行う、四、文化庁長官は、文化審議会への諮問を経て、五、適正な額であると認めるときは補償金の認可を行うというプロセスが考えられていると聞いています。

 指定管理団体が決定する補償金額案は、具体的にどのようなものが想定されているのでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 補償金の決定手続については今委員から御紹介のあったとおりでございますが、補償金の額につきましては、図書館資料のメール送信等がされることによる権利者への影響の大きさに鑑み、基本的には権利者の逸失利益を適切に補填できるだけの水準とすることが適当であるというふうに考えております。

 具体的には、年額のような包括的な料金体系ではなく、個別送信ごとに課金する料金体系とすること、一回当たりのような一律の料金体系ではなく、著作物の種類、性質や、送信する分量等に応じたきめ細かな設定を行うことなどを想定しているところでございます。

畑野委員 補償金の額について、著作権分科会法制度小委員会の報告では、権利者の逸失利益を補填できるだけの水準とすることが適当としています。図書館資料の利用促進と権利者の利益を保護することとのバランスを考えれば、こうした考え方は極めて重要だと私も思います。

 一方、支払い主体、実質的な負担者としては利用者が想定されるわけですが、公立図書館の無料公開の原則、図書館法第十七条との関係も当然考慮されなければならないと思います。

 その点で、補償金の料金体系や金額についてどのように考えていますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な金額の設定に当たっては、先ほど御答弁申しましたとおり、著作物の種類や性質や送信する分量のほか、送信形態や利用者の受ける便益、国内市場における使用料の相場、諸外国における同様のサービスの相場を参照するとともに、図書館等における事務負担、円滑な運用への配慮といった点も加味しながら、総合的に検討されるべきものと考えております。

 もちろん、今委員から御指摘のあったとおり、利用者というものの観点も当然必要でございまして、幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら、合理的な基準が策定される、著作権と利用のバランスの取れた判断が必要だというふうに考えております。

畑野委員 逸失利益の補填、そして利用者の状況、是非、全体的、総合的によく勘案していただきたいと思います。

 次に、放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化について伺います。

 現行では、放送で著作物等を利用する場合、権利者から放送の許諾を得る必要があります。また、同時配信等を行う場合にも許諾が必要です。

 しかし、この法案では、権利者が同時配信等への特段の意思表示をしていなければ、放送の許諾を得ることで同時配信等への許諾も行ったものとみなす規定、許諾推定規定を創設するとしています。

 このような規定を設ける趣旨、立法事実はどういうものでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正内容に関する文化審議会の検討におきまして、放送事業者から、放送番組に用いられる多様かつ大量の著作物につきまして、放送までの限られた時間内で異なる相手と利用条件等についての詳細な交渉を行うのは極めて困難であり、同時配信等の権利処理に当たっての負担となっている旨の御指摘がございました。

 このような現状における課題を踏まえ、放送番組に用いられる著作物等の権利処理を円滑に進め、放送と同時配信等の権利処理のワンストップ化を図る観点から、本法案の許諾推定の規定を設けることとしております。

畑野委員 放送の許諾と一緒に同時配信等の許諾を得れば済む話なのではないかということもあります。

 この規定では、許諾をしていないことを権利者が証明する必要があるというのが法案の内容だと思います。同時配信まで許諾したつもりがなかったのに勝手に配信されても、権利者がそれを覆すのは非常に困難になるわけです。権利者の利益よりも、放送事業者の都合が優先されかねないということもあると思います。

 著作権法は、著作物の利用に関して著作権者の許諾を得ることが大原則になっておりますから、許諾推定規定の創設によって、こうした通常の権利処理がゆがめられてはならないと考えますが、その点はいかがでしょうか。

矢野政府参考人 全く御指摘のとおりでございまして、著作物の利用に際して著作権者の許諾を得ることは、著作権法の大原則でございます。

 今回新たに創設される許諾推定規定は、例えば、時間的な制約により同時配信等の具体的な契約を交わすことができなかった場合や、同時配信等の可否を明示的に確認できないような場合など、同時配信等の権利処理が困難な場合に利用されることを想定した規定でございます。

 このような事情がない場合には、御指摘のとおり、同時配信等で用いることを明示した契約を明確に締結していただくという原則に立ち返ることが重要であるというふうに考えております。

畑野委員 実演家に伺いますと、演技をしているその休憩時間にどうですかみたいな話で、とてもゆっくり考える暇がない、そもそも紙の契約もされないと。この間も少し取り上げましたけれども、そういう状況で今の契約が行われているわけですね。

 だから、急にとかと今おっしゃったんだけれども、そもそもの原則が十分にちゃんといっていないという実態があるということも申し上げておきたいと思うんです。

 そこで伺いますが、許諾推定規定の運用に当たっては、関係者間で具体的な適用条件等に係るガイドラインを策定すると聞いています。この策定に当たっては、放送事業者は、放送番組出演の際に、同時配信等の許諾が原則であることを明記するなど、権利者の不利益にならないよう十分配慮されるべきだと思いますが、いかがですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 許諾推定規定につきましては、不意打ちや不利な契約を助長するのではないかと、権利者側の懸念、今委員から御指摘のあったとおりでございますが、そういった懸念を払拭しつつ、放送事業者による安定的な利用が可能となるよう、放送事業を所管する総務省と連携いたしまして、関係者間で具体的な適用条件等について定めるガイドラインを策定する予定でございます。

 放送番組への出演の際に適正な契約を締結するといった配慮事項については、この規定を円滑に運用する上で重要な観点と考えておりますので、ガイドラインにおいてその趣旨が反映されるよう、関係者の御意見を丁寧に伺いながらガイドラインを作成してまいりたいと考えております。

畑野委員 そもそもの著作権法九十四条、放送のための固定物による放送は、実演家の放送に関する許諾を得て、録音、録画されたものを放送する権利を放送事業者に認め、同条第一項第一号では、初回放送に関する許諾があれば再放送に関する許諾は不要とする一方で、この場合に、実演家の報酬請求権、第九十四条第二項を規定しています。

 現行法上、報酬請求権が付与されている映像実演の再放送については、パブリックコメントでも、既存のリピート放送に係る報酬については集中管理されておらず、必ずしも実演家に対して相当な報酬が支払われているか確かではない、リピート放送に対する相当な額の報酬として、実演家に対し適切な対価が確実に支払われるような制度(集中管理を含め)を検討すべきだと、芸団協実演家著作隣接権センターからも指摘されています。

 こうした指摘をどのように受け止めておられますか。映像実演の再放送に関する適切な対価が実演家に支払われる仕組みを検討する必要があると思いますが、いかがですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 映像実演の利用に当たっては、再放送の報酬も含め、適正な対価が実演家に還元されることは、将来にわたって良質な作品を継続して生み出す環境を維持する観点も重要であると考えております。

 委員から、実演家の方々からそのような意見がある、御指摘があったことについては私どもも聞いておりまして、今回の改正により、同時配信等について、報酬の徴収、分配が、より実効的に行うことが可能になりますので、まずは、今回の改正に伴う対価の支払いについて、放送事業を所管する総務省とともに、放送事業者と権利者の協議が円滑に行われるよう、私どもとしても努めてまいりたいと考えております。

畑野委員 そこで、少し話を進めたいんですけれども、映像実演に関する実演家の権利を考える上で、映画の著作物に関する著作権法上の規定の問題を考えたいと思います。

 著作権法第九十一条は、実演家が、実演に関する、映画の著作物への録音、録画を許諾すると、原則として、当該映画の二次利用、映画のビデオソフト化、DVD化、テレビ放映等について、実演家の録音権、録画権、放送、有線放送権、送信可能化権等が及ばなくなるんですね。いわゆるワンチャンス主義と言われる規定です。また、同第二十九条では、映画の著作物の帰属が映画製作者とされています。

 伺いますが、なぜこのような規定が設けられているのか、その理由は何でしょうか。

矢野政府参考人 著作権法第九十一条は、第一項で、実演家の録音、録画権について定めるとともに、第二項において、いわゆるワンチャンス主義、委員御指摘のとおりでございますが、定め、映画の著作物の制作時に実演家が自分の実演を録音、録画することを了解した場合には、例えば、DVD化やテレビ放送、ネット配信等のその後の実演の利用について、原則として権利が及ばないということとなっております。

 また、著作権法第二十九条は、映画の著作物の著作権の帰属については、原則として、監督等の著作者から映画製作者、映画会社や製作委員会等でございますが、に帰属することを定めている、これも委員御指摘のとおりでございますが。

 映画の著作物については、多数の関係者が制作に関与するとともに、多額の投資が必要であるということ、多数の関係者が制作に関与するので、なかなか権利処理が、その後、例えばDVD化とかテレビ放送、ネット配信、非常に権利処理が難しくなるということと、多額の投資を映画製作会社がしている、投資が必要であるということで、円滑な流通の確保、投資回収等の観点から、このような規定が設けられたと承知しております。

畑野委員 そうおっしゃるんですけれども、しかし、今や状況は大きく変化しています。映画制作のほとんどは製作委員会方式に移行して、多数の会社の出資により制作が行われているというのが、多く行われている実態だと思います。

 今おっしゃった規定が設けられた一九七〇年代というのは、映画会社が専属契約で俳優や監督を管理していたわけです。ところが、今や、俳優も監督もフリーランス化している状況が広がっています。

 一九七〇年代当時は、映画大手企業の協定で、テレビ放映は制限されるという状況もありましたが、今や、地上波での放送、ビデオ化、BS、CSでの放送、カラオケ、CMなどでの部分利用、インターネット配信、ゲーム化など、これだけでも二次利用の内容というのは多様化していますし、増大しているんですね。そして、今、コロナの中で多くの人がこうしたものを利用するということです。

 にもかかわらず、実演家には、録音権、録画権、放送、有線放送権、送信可能化権等がそもそも認められていない。驚く状況だと思うんですね。それで正当な対価が還元されないというのが実態です。

 レコード実演や放送の実演に認められている実演家の権利と比較しても、劇場用映画の実演家の権利は余りにも現状にそぐわないと思いますが、どのように認識されていますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 やや繰り返しになって恐縮でございますが、映画の著作物については、いわゆるワンチャンス主義を採用しておりますけれども、これは、映画の著作物は多数の関係者が制作に関与するとともに多額の投資が必要であり、円滑な流通の確保、投資回収等の観点から、法律上、映画製作者に権利を集中するとしたものでございます。

 これは、実演家が最初の録画の際にその後の二次利用も含めて対価を得ることを前提とした制度でございますが、実演家の方々からは、適切な対価が支払われていないのではないかという御意見があることは承知しておりまして、まずは、我が国の契約慣行であるとか著作権に関する意識啓発などにより、実演家に適切な対価が支払われるような取組を進めてまいりたいと考えております。

畑野委員 御認識はあるということですよね。

 今回の法改正は、放送番組をインターネット配信する際の権利処理を、放送のルールに合わせ利用を拡大しようというものです。

 しかし、実演家にしてみれば、利用の拡大そのものは歓迎すべきことだとしても、放送番組のリピート放送に認められている報酬請求権も十分機能していない、映画についてはワンチャンス主義で、権利がほとんど保障されていないという現状をどうにかしてほしいという声があるわけです。利用拡大に見合った対価の還元をしっかりやってほしいという気持ちではないかと思います。

 日本俳優連合などからは、映画の二次利用に関して、実演家に適正な利益還元が行われるよう著作権を改正してほしいとの要望も出されています。

 先ほど日本映画のことについてお話がありましたが、アメリカやイギリスでは映画製作者の団体と俳優団体の協約によって、また欧州各国では法律によって、映画の二次利用に係る報酬が実演家に還元されるようになっていると聞いています。

 日本も批准している視覚的実演に関する北京条約は、第十二条(1)で、実演家が許諾した場合、実演家の複製権、譲渡権、貸与権、利用可能化権、放送及び公衆への伝達権の権利は、映像実演の製作者に移転することを定めることができるとしていますが、同時に、同第十二条(3)では、こうした権利の移転に関わりなく、実演家に対し、実演の利用についてロイヤルティー又は衡平な報酬を受け取る権利を、国内法令又は個別の、共同の若しくはその他の契約によって与えることができるとしています。

 視覚的実演に関する北京条約の趣旨を踏まえ、映画の著作物に係る実演家の置かれている現状を改善していくことは重要な課題だと考えますが、いかがですか。

矢野政府参考人 事実関係について、全て委員御指摘のとおりでございます。

 北京条約の規定では、実演家が報酬を受け取る権利を国内法や契約によって与えることができると定められております。

 我が国におきましては、多くの映画が現在のルールの下で作成されている現状や、映画製作者、実演家といった関係する権利者が多数に上ることなどを踏まえると、まずは、契約慣行や著作権に関する意識啓発などにより、実演家に適切な対価が支払われるような取組を進めてまいりたいと考えております。

 文化庁におきましては、今年度予算におきまして、芸術家等の活動基盤強化及び持続可能な活動機会の創出という事業を開始しておりますけれども、この中で、芸術家等の契約等に係るひな形、ガイドラインの調査、策定、アーティストや関係者の持続的な活動機会を促進ということで、まさに、今の我が国文化芸術界の契約慣行についてどう見直していくか、フリーランス等に対する支援をどうしていくか、そういったことをしっかりと文化庁としても考えていきたいというふうに考えております。

畑野委員 文化庁としても考えていくと。すごく大事な御答弁だと思うんですね。

 是非、こうした条約があるわけですから、それについて国内の整備もしっかりとやっていく必要があると私も思います。

 萩生田光一大臣、最後に伺います。

 この間ずっと、大臣も文化芸術の支援に取り組まれてこられました。

 この間、実演家の方から、先ほどの再放送の報酬の問題なんですけれども、例えば、プロダクションが移ると、もうその報酬を支払うというところのリストから、載らなくて、本当に、いつの間にか自分が出たものが再放送されているという状況があるんですというお話も伺ったんです。

 ですから、これはいろいろな体制を強化していく必要があると思うんですけれども、映画の著作物に関する実演家の権利を、先ほど文化庁も考えていかなくちゃいけないというふうにおっしゃっていただいたんですが、再検討していくという上で、実演家の権利処理を委託されている権利者団体や実演家の協同組合など、関係する団体からの意見を十分酌み上げることが大事だと思うんです。

 あわせて、私も伺っているんですけれども、実演家の皆さん、そういう方からも直接実情や要望を聞くことが必要だと思っております。この間も、ウィー・ニード・カルチャーのお話をいたしました。俳優や映画やライブの皆さんなど、それぞれの分野でやっていらっしゃる方、あるいは音楽家の方たちとか、いろいろな方たちからのお話を聞いています。

 芸能従事者の方からのお話、古典芸能などを含めての方々からのお話も伺っておりますけれども、是非、そういう実態を文化庁としても聞いていく、そういうものを強化していただきたいと思うんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

萩生田国務大臣 今回、コロナを経験して、特に文化芸術に携わっている皆さんが、家計を支えるだけの収入を得るような、本業としてその分野にいる人から、本当に、幾つかかけ持ちしながら、しかし、結果として日本文化を下支えしていただいているポジションで働いている人まで、多様な労働形態があることがすごくよく分かりました。

 今のお話は、将来的には法律をきちんと整備していくことは更に必要だと思うんですけれども、逃げて言うわけじゃないんですけれども、要は、日本のしみついた業界のルールみたいなものがあって、それは、今お話ししたように、所属事務所が変わることによって非常に冷ややかに扱われてしまったりとか、若いうちは、そんな自己主張よりは仕事に呼んでもらうということの方が将来の仕事を広げる上でのチャンスだということで、きちんとした契約行為に基づかないで、監督さんから電話一本あれば飛んでいって、ちょい役でも何でもやるというような人たちが結果として日本の芸術を支えてきたのも事実だと思いますので、業界の方もやはり意識改革をしていかなきゃいけないんだと思います。

 したがって、ここに携わる、文化に携わる人たちが適正な報酬を将来にわたって安定的にしっかりもらえることになれば、よりよい作品を作っていくというマインドにもつながると思いますので、まさに、我々行政側も、あるいは業界側も、一人一人の俳優さん、演者さんも、ここでこの法律が変わることで、また、コロナを経験したことでいろいろ浮き彫りになったことがありますので、その辺を含めて、みんなでいい方向に向かってしっかりと一歩を踏み出していく、そういう法律にしていきたいなと思っております。

畑野委員 以上、是非進めていっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

左藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

左藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

左藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

左藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十九分散会


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