衆議院

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第16号 令和3年5月26日(水曜日)

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令和三年五月二十六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 左藤  章君

   理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君

   理事 小渕 優子君 理事 神山 佐市君

   理事 原田 憲治君 理事 菊田真紀子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      安藤  裕君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    佐藤 明男君

      櫻田 義孝君    繁本  護君

      柴山 昌彦君    谷川 弥一君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      馳   浩君    深澤 陽一君

      福井  照君    古田 圭一君

      三谷 英弘君    村井 英樹君

      山本ともひろ君    斉木 武志君

      下条 みつ君    寺田  学君

      中川 正春君    谷田川 元君

      山内 康一君    吉川  元君

      笠  浩史君    古屋 範子君

      鰐淵 洋子君    畑野 君枝君

      青山 雅幸君    藤田 文武君

      白須賀貴樹君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    三谷 英弘君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  十時 憲司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  安中  健君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         串田 俊巳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       塩見みづ枝君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          瀧本  寛君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    藤江 陽子君

   政府参考人

   (文化庁次長)      矢野 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           横幕 章人君

   参考人

   (公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副事務総長)           布村 幸彦君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十六日

 辞任         補欠選任

  船田  元君     深澤 陽一君

  吉良 州司君     斉木 武志君

  藤田 文武君     青山 雅幸君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     佐藤 明男君

  斉木 武志君     吉良 州司君

  青山 雅幸君     藤田 文武君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     船田  元君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

左藤委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副事務総長布村幸彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官十時憲司君、内閣参事官安中健君、文部科学省大臣官房総括審議官串田俊巳君、大臣官房学習基盤審議官塩見みづ枝君、初等中等教育局長瀧本寛君、高等教育局長伯井美徳君、スポーツ庁次長藤江陽子君、文化庁次長矢野和彦君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君及び大臣官房審議官横幕章人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

左藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。原田憲治君。

原田(憲)委員 自由民主党の原田憲治でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入りたいと思います。

 間もなく、私にとりまして、大変、何というんでしょうか、痛ましいというか、あの事件が起こった日が近づいてまいって、毎年この時期になると本当に悲しい思いをいたしております。

 といいますのは、平成十三年、二〇〇一年六月八日、児童八名が亡くなって、十五名の、児童と教師二名が負傷するという、大阪教育大学附属池田小学校、私の母校でありますけれども、そこであの事件が起こりました。本当に、今思っても悲しい事件でありました。

 あのようなことが二度と起こってはならないということで、当時、様々な場所でその発言をしていただきましたけれども、残念ながら、その後も同様な事件があちらこちらで起こっております。

 子供たちにとって一番安全な場所でなければならない学校であのような事件が起こりました。この事件をきっかけに、大阪教育大学附属小中学校の敷地内に、学校安全推進センターというものが立ち上がりました。その活用が今どのようになっておるのか、まずお伺いをしたいと思います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 まず初めに、平成十三年六月に大阪教育大学附属池田小学校で発生いたしました痛ましい事件で犠牲となられました方々に対し、改めて哀悼の意を表したいと思います。

 大阪教育大学の学校安全推進センターでございますが、この痛ましい事件を受けて、平成十五年四月に設置されたものと承知しております。当センターにおきましては、国内外の教育研究機関と協力いたしまして、心的外傷を受けた児童生徒などの心のケア、トラウマなどの問題を抱えます児童生徒に対します心の教育、学校危機の予防や学校における安全管理と安全教育の推進方略などに関します調査研究や支援活動などを行いまして、その成果を当センター主催のシンポジウムやフォーラム等を通しまして、日本のみならず広く世界に発信しているものと承知しております。

 また、当センターにおきましては、学校安全の取組を組織的、継続的に実践するというセーフティープロモーションスクールの認証を行うなど、全国の学校におきます学校安全の取組を支援いただいていると承知しております。

 文科省といたしましては、今後とも、当センターが進めておりますセーフティープロモーションスクールの取組支援を含め、学校における子供たちの安全が守られるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

原田(憲)委員 ありがとうございます。

 是非、十分な活用をしていただきたい、このように思います。

 あの事件を受けまして、附属池田小学校は、校門を、正門を閉鎖をするのやむなきに至りました。

 本当に、改めて、亡くなられた児童、そしてけがをされた皆さんに哀悼の意を表しますとともに、一日も早くその心の傷も癒やされることを念願するものでございます。

 学校の中で本当にあのような事件が起こらないようにしていただきたいと思うわけでありますけれども、先ほども申し上げましたように、あの事件の後もあちこちの学校で同様な事件が起こってしまっております。

 今申し上げましたように、附属池田小学校の場合には、正門を閉めたり、対応を一応取ってきたわけであります、ガードマンの配置もいたしておりますけれども。その後、あの事件の後、各学校でも、全国各地の学校でもそのような対応が取られたと思います。

 その後、その措置を取った学校はどのように、今も続いておるのか、また元に戻ってしまったのか、その現状をお知らせいただけましたらと思いますが、いかがでしょうか。

串田政府参考人 事件後に様々な取組を学校が進めている状況がございますけれども、全国の学校におきまして、引き続き、安全の確保等に留意した取組が進んでいるものと認識しております。

原田(憲)委員 ありがとうございます。

 是非、今後もそのような対応を取っていただきたい、このように思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 大臣にも要望というかお尋ねをしたいんですが、あの事件は、生徒たちはもちろんです、今も心に深く傷を負ってしまった生徒さん、今は成人の方もおいでになります。いち早く現場に駆けつけた救急隊員、交通事故の現場とか事故の現場で活動する機会が多い救急隊員もPTSDに陥った。あと、しばらくしないと仕事に就けないというような救急隊員さんもおいでになったようであります。

 また、高槻市では、北大阪の震災のときに生徒が亡くなったりいたしております。

 先ほどから申し上げておりますように、一番安全なはずの学校で児童生徒の命が失われるということがあってはならないと思います。これからも、文科省として、しっかりと学校の安心、安全のための取組をしていただきたいと思うわけでありますけれども、大臣の御意見を伺えたらと思います。よろしくお願いします。

萩生田国務大臣 大阪教育大学附属池田小学校で発生した痛ましい事件から、来月で二十年が経過をしようとしております。犠牲となられた方々や御家族を始め、関係された方々に対して改めて哀悼の意を表したいと思います。

 先ほど答弁にもありましたけれども、学校安全推進センターは、セーフティープロモーションスクールの認証を行うなど、全国の学校における安全推進の取組を支援いただいており、その役割は、文科省としても大変重要であると認識しております。

 申し上げるまでもなく、子供の安全は学校教育の大前提であり、文科省としては、いま一度気を引き締め、学校管理下における死亡案件をゼロにするという目標の下、学校安全に係る取組を全国に推進してまいりたいと思います。

 私も、先生のお話を聞いていて思い出して、当時、私も若き都議会議員だったんですけれども、東京都内の公立学校は、ほとんど入構が厳しくなりました。それはああいう事件を受けたからやむを得ない判断だと思います。

 他方、そのことによって、学校が地域との隔たりというのをつくってはならない。今、コミュニティースクールを一生懸命進めておりますけれども、基本的には、開かれた場所で安全であるということが第一義だと思いますので、その上で不審者の侵入などをしっかり防いでいくという、あの事件をいつまでも忘れずに、教訓として、子供たちの安心、安全な学校、そして、地域の皆さんからも目を配っていただける、そういう施設であり続けるために、文科省としてしっかり取組を進めてまいりたい、そう思っております。

原田(憲)委員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃっていただいたとおり、かつては、学校は開かれた場所として、地域のコミュニティーの場としても活用されてきたわけです。あの事件があって、本当に、学校にとっても地域にとっても悲しい対応をしなければならないということになってしまったことは大変残念でありますけれども、しっかりとまた対応していただけるということでありますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、GIGAスクール構想についてお尋ねをしたいと思います。

 今、パソコンというんですか、端末を、児童生徒一人一台ということで各学校に配置をしていただいております。

 そこで、一つは、確かに児童が一人一台持つようになって、リモート授業というんですか、今このコロナ禍にありまして、自宅から学習をするという対応が取られておる学校もあります。

 そこで、お願いをするというかお尋ねをしたいのが、各家庭に端末を持ち帰って授業を受けるときに、WiFi環境、学校の方は大丈夫だと思うんですが、各家庭も、リモートワークとか、あるいは、生徒さんが一人ではないと思います、何人か兄弟で同じような環境でネット授業を受けるということになった場合に、そのネットの授業を受けるために、自宅もWiFiの環境を整備しなければならないと思うんですが、なかなかそこまでは対応が難しいのではないかと思いますけれども、その辺のところは、政府参考人として、文科省としてお答えをいただけたらと思いますが、よろしくお願いします。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 児童生徒の学びの保障の観点からも、GIGAスクール構想で整備されました端末を持ち帰りまして自宅等での学習において活用するということは有効であると考えております。

 その際、御指摘をいただきましたように、経済的な理由等で家庭での通信環境に格差が生じることのないよう、文部科学省としましては、WiFi環境が整っていない家庭に対する貸与等を目的といたしまして自治体等が行うモバイルルーターなどの整備を支援するとともに、通信に関する経済的な負担を軽減するため、要保護児童生徒援助費補助金等によりまして低所得世帯の通信費に対する支援を行っております。

 こうした取組を通じまして、引き続き、家庭における通信環境の整備の支援に取り組んでいきたいと考えております。

原田(憲)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いをいたします。

 GIGAスクール、この名前が、今、全国的に知れ渡っておりますし、そういう名前で呼ばれる学校も出てきました。

 私の地元能勢町にあります大阪府立の能勢高校、今、大阪府立の豊中高校の分校という位置づけでもありますけれども、ここは、GIGAハイスクールということで、全国というか世界とつながった授業もされておる学校であります。是非、その端末を利用して対応していただけたら、このように思います。

 そこで、大臣にお願いをしたいのは、パソコンというのは四、五年もすれば新しい機種が出てくるわけですよね。その対応をするときにお願いをしたいのは、各自治体が、なかなか予算が取れない、是非、国の方からも御支援をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 今回、向こう四年間で整備する予定だった小中学生の一人一台端末を一年間に圧縮して、GIGAスクールというのを環境整備をさせていただきました。おかげさまで、四月から、全国のほぼ全ての自治体で環境が整って、授業が始まったと思います。

 これはあくまで教育ツールでありまして、これが全てを代替するものではないということを改めて申し上げておきたいと思うんですが、その上で、機械は日進月歩で、技術もどんどん変わっていきます。また、どこの御家庭でもそうだと思いますけれども、一度買ったものが、電気機器でございますから、五年、十年、長く使えるというものではないので、当然、更新時期を迎えるということになります。

 今回、GIGAスクールの前倒しをするに当たって、全国知事会や市長会から様々な要望があった中で最も強かったのは、これは一過性のものにしないでもらいたい、将来、更新時期にも、国がやはり一緒に寄り添って支援をしてもらわないと困るということはきつく言われてまいりました。

 地方財政措置だけでは賄えない部分が絶対的にあるんだと思いますし、これは国が、令和の時代の学校のスタンダードとして位置づけをした以上は、責任を共有しながら環境整備を進めていく、このことを改めて、私の責任でしっかり財務当局にも申し上げていきたいなと思っています。

 ちなみに、間もなくデジタル庁なる新しい役所ができます。国全体がそういう方向に向くわけですから、今先生のお話があったような、家庭のWiFi環境がないと子供が勉強できないなんという国じゃなくて、日本中どこにいてもフリーアクセスができるような環境を、私は、日本が、国を挙げて整備をしていただくべきじゃないかと思っていまして、こんな点もまた委員会の先生方の後押しをいただければな、そんなふうに思っております。

原田(憲)委員 大臣、ありがとうございます。力強い御答弁をいただきました。どうぞよろしくお願いをいたします。

 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

左藤委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子です。よろしくお願いいたします。

 今、原田委員の方から、大阪教育大附属池田小学校の話がございました。私も、池田小学校には何度も視察に行かせていただきました。今、大臣の御答弁の中にもセーフティープロモーションスクールという言葉が出てきましたけれども、このセーフティープロモーションスクールは、なるべく広く広げていかなければならないと思っております。

 と申しますのも、大阪北部地震のとき、寿栄小学校でブロック塀が崩れ、貴い命が失われました。このときも私、その日に現地に入らせていただき、子供たちとも話をさせていただきましたけれども、自分自身反省したのは、ここにセーフティープロモーションスクールが認定されていたらと思いました。

 このセーフティープロモーションスクールというのは、もう御存じだと思いますけれども、学校と地域、ここが一体となって、子供たちが、小学校なら一年生から六年生までが縦でチームをつくって、そして、家から学校までの間でどこが危険かということを自分たちで探す。また、学校内はどこが危険かということを自分たちで探す。それをみんなが集まって一つのマップにして、それを近所の方々、地域の方々、そしていろんな方々にお配りをして、地域全体で子供たちの命を守る。

 この寿栄小学校のブロック塀のときも、私が行って子供たちの話を聞いていたら、子供たちは、毎日登校するのに、ブロック塀が途中から継ぎ足されている、子供の目線になると、私も子供の目線になって低くなると、子供の目線からになると、継ぎ足されているところから曲がっているんです。なので、子供たちは毎朝、これは危ないよねと言って通っていたそうです。でも、学校に入るとそのことを忘れてしまって、その危ないよねという声が誰にも届かなかったということがありました。

 なので、このセーフティープロモーションスクール、どうか文科省としても広げていくように、お願いをさせていただきたいと思います。

 本日ですけれども、五月の十二日の質疑の続きで、文化庁の京都移転についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 前回、芸術文化の支援策として、地方創生臨時交付金の活用、これをしっかりとしてもらいたいということで取り上げさせていただいたところ、早速その週末に通知を出していただき、ありがとうございました。少しでも文化芸術の方々を救えるように、これからも知恵を絞っていきたいと思います。

 今回の一連のコロナ対応では、文化芸術団体への対応や補正予算の執行などで芸文参事官がかつてない多忙な状況であり、東京オフィスの調整を担う企画調整課は、今回、自ら所管の博物館や美術館など文化施設の入場制限が問題となったため、それへの対応で手いっぱいになってしまったと伺っています。

 このため、どのように今回のコロナ対応に当たってきたかを文化庁に伺ってみましたが、元々、政策課の企画ラインは文化庁全体の、国会の連絡調整の担当が当たる一方で、担当課長補佐は既に断続的に芸文参事官の支援に当たっており、さらに、各企画官は京都移転の準備に追われていることから、今回は、芸文参事官や企画調整課に代わって課長が庁内外の調整の担当に当たるという事態が多かったと聞きました。

 もし政策課が京都に移っていたら、この四月、五月のコロナ対応は全く回っていなかったという状況だと私は思います。しかも、現在の体制でも、文化芸術関係者から、対応が十分でない、また遅いなどと言われており、文化芸術団体は、もう明日が見えないという大変厳しい状況になっています。今、文化庁として全力を挙げて支援すべきときであり、京都移転に人や時間を取られてしまってはならないと私は思います。

 このほか、調査機能の弱体化も見受けられます。

 文化庁は、二〇一八年の十月、京都移転を進めるために、従来の長官官房、文化部、文化財部、この部制を廃止いたしました。この結果、今国会で提出された文化財保護法や著作権法の改正でも要綱など誤字脱字等が多く見られたほか、政府内の調整や国会対応でここ最近ミスが多く目立ちます。

 加えて、最近の文化庁は、三の丸尚蔵館の名品を地方に貸し出す取組を宮内庁と連携して始めておりますけれども、これも、文化庁の担当課が京都に行ってしまったら、宮内庁との調整に懸念が生じます。現在、文化庁の行政は、文化観光や食文化など、他省庁との連携もどんどん増しており、これからも増えていくと予想されます。

 このように、喫緊の課題にしっかりと向き合わず移転準備にいそしんでいたら、文化芸術関係者はますます不安になると私は思います。文化芸術の灯を消さないためにも、明日が見えない文化芸術関係の方々への支援を全力で今は尽くすべきだと思います。

 移転によって人や時間が取られてしまうのは本末転倒だと思いますけれども、これからの文化庁の在り方について、大臣の御所見を伺います。

萩生田国務大臣 まず、今国会における文化庁提出法案に関するミスについておわびを申し上げたいと思います。今後、再発防止に万全を期してまいります。

 最近の新型コロナウイルス感染症への対応など、文化庁職員は今でも多忙を極めており、京都へ移転できるのかと私も心を痛めておりますが、また、御指摘のように、法案ミスや国会等の調整機能の弱体化、文化観光推進法の制定や文化財保護法改正など、他省庁との新たな連携も増えています。

 このように、移転決定時から状況が大きく変わっており、また、東京における機能強化も進めなければ、移転後、全体がうまく動かなくなるおそれがあります。

 他方、二〇一六年に閣議決定したまち・ひと・しごと創生基本方針二〇一六や文化庁移転協議会においては、国会、他省庁との調整は東京に残して京都移転することなど、基本的なことが示されています。

 こうしたことから、当面、東京側の体制強化などを早急に検討しつつ、あわせて、文化行政をめぐる最近の情勢、今先生からもお話があったように、このコロナを機に文化芸術の持つ力というのを国民の皆さんが改めて再認識していただいたし、また期待もしていただいているんだと思うんです。したがって、いろんな状況が変わってきましたので、私自身は、様々な状況を伺いながら、今後よく注視して考えてまいりたいと思っています。

 京都の皆さんもしっかり準備をしていただいていますから、移転は前提なんですけれども、今ある力を半分に割って、そして二か所で仕事をするということではなくて、倍になるような、力を発揮できるようなことを考えていかなきゃいけないと思っています。

 正直申し上げて、私も、あれ、何で東京にいるんだという場面がたくさんあって、国会対応などで、まだ呼ばれていないんですけれども、しかし先回りして東京へ上京してきておかないと先生方への説明ができないような状況もあって、結果的に、皆さん余り違和感なく感じているかもしれないんですが、それは逆に穴が空いているということなので。

 じゃ、リモートで済むかというと、リモートで全てを代替することはなかなかできないという点もありますので、ここは立法府の皆さんにもいろいろ考えていただきながら、どうしたら文化行政が充実できるのか、そのための体制はどういったものが必要なのかというのは、是非また御示唆をいただければありがたいな、そんなふうに思っております。

浮島委員 ありがとうございました。

 今大臣の方から、状況も変わってきているというお話もございました。また、半分半分ということではないというお話もありましたけれども、文化芸術の灯を消さないためにも現場の声をしっかりと聞いていただけるようよろしくお願いいたします。我々も力を尽くしてまいりたいと思います。

 また、文化芸術においては、地方創生も大切な、重要な観点になります。

 大臣は、四月七日の本委員会で私の質疑において、文化財修理に必要な人材、用具、原材料に関し、五か年程度の計画を策定すると答弁してくださいました。

 また、文化財の修理は京都を始め関西で行われていることが多いのが現状でございますけれども、このため、例えば、装こう師を始め、修理を担う方々の社会的認知度を高めるとともに、彼ら、彼女たちの力をかりて、文化行政を強化する観点から、修理調査員などと位置づけて、当面、文化庁の非常勤職員として力をかりていくべきと考えますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 文化財修復は、文化財行政の重要なテーマの一つであると考えており、用具、原材料の確保や修理人材の養成をセットで進めていく上で、修理の専門家の力を集めて協力いただくことは重要であると認識しています。

 文化財の修理技術者のうち、一定の要件を満たす者を文化庁の非常勤調査員として発令することにより、修理技術に関する調査研究や後継者養成の方針作成などをより円滑に進めていくことができると考えています。

 今後、文化財修理のための人材、用具、原材料確保に向けた五か年程度の計画を策定していくに当たり、委員御提案のとおり、文化財修理の専門家の協力を得ることも重要な要素として検討してまいりたいと思います。

浮島委員 是非ともしっかりと検討していただきたいと、再度お願いをさせていただきます。

 私も、京都博物館、参議院のときから視察に何度も行かせていただきました。そこで、修理、修復している方々とお話もさせていただきましたけれども、本当に、一本の線を引くのに一年間かかってされています。本当にすごい仕事だなと思いますけれども、ほかにアルバイトもできないというか、アルバイトをしていたら時間がなくなってしまうので、朝から晩まで一本の線をずっと引いている、そういうふうに鍛錬していかないと文化財は守れないという話がございました。

 気がついたらもう文化財がなくなってしまうとか、あれ、こんなはずじゃなかったとならないように、しっかりと対応していただきたいと、最後、強くお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、コロナの影響を受けた日本語教育機関、いわゆる日本語学校の支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策が強化され、海外からの入国は制限がされております。外国人の留学生の授業料で経営が成り立っている日本語学校への影響は甚大であり、日本語教育機関関係の六団体が調べたところによりますと、本年四月の一日現在の学生の在籍数は例年の三分の一程度まで落ち込んでおり、今後の見通しも全く立っておらず、まさに日本語学校は危機的な経営状況にあると言われています。

 現在、日本語教育推進法を受けて、公認日本語教師の資格の創設などに向け政府が検討している一方で、このままでは、経営の悪化により、そもそも日本語学校や日本語教師がいなくなってしまい、今後、留学生を迎える際の日本語教育推進にも深刻な影響が出かねないと私は思います。

 こうした深刻な状況を伝えるため、五月の十二日には、日本語推進議員連盟と日本語教育関係の六団体が一緒になって、加藤官房長官の元へお伺いし、私も同行させていただきましたけれども、要望書を提出いたしました。

 今直面しているコロナを乗り越え、日本語学校が今後も継続できるように支援をしていかなければなりません。日本語教育機関は、国内の大学や専門学校への進学において極めて大事な存在であり、また、多文化共生社会の構築にとって重要であり、現在の支援策だけでは対応できないと思います。

 日本語教育機関の振興と活用推進を図ることにより外国人受入れ体制の充実を図る必要があると考えますが、文化庁の見解をお伺いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 日本語教育の推進は、多様な文化を尊重した活力ある多文化共生社会の実現に資するものであり、日本語学校は、その推進に当たり重要な役割を担っておりますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、海外からの学生を受け入れることができず、厳しい状況にあると承知しております。

 政府全体の日本語学校の継続支援対策といたしましては、例えば、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主に対する雇用調整助成金や、新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化した法人に対する新型コロナウイルス特別貸付などが利用できる場合があるため、これら各種支援策を最大限まずは御活用いただければというふうに考えております。

 文化庁といたしましては、現在、超党派でつくります日本語教育推進議連とともに要望書を提出された日本語教育機関関係六団体から、具体的にどのような点で困っているのか、その現状をお伺いしているところでございます。

 例えば、教育の質を担保するため、在籍者が減っていてもクラス階層を維持する必要がある、教室最大定員二十名のところ、数名でもクラスを設置する必要があるため、在籍者数減に応じた教員の休業にも限界があるであるとか、あるいは、現在の学生数に応じて校舎、寮を縮小したくても、待機学生が入国制限解除の際すぐに入学してくることを想定して校舎、寮を確保しておく必要がある、コロナ後に備える必要があるということです、また、校舎については、一度縮小してしまうと、再拡大には告示基準上の手続があり、簡単に拡大できない、こういったような声が届いております。

 国の政策として、日本語教育機関の振興と活用推進を図ることにより外国人受入れ体制を充実させることは非常に重要でございまして、今後、日本語学校の継続のために、更にどのような支援が可能であるかについて検討してまいりたいと考えておるところでございます。

 以上です。

浮島委員 ありがとうございます。

 今、国の政策としてという言葉もありましたけれども、早急にしっかりと対策を検討し、そしてしっかりとした支援を強く要望し、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

左藤委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 斉木武志でございます。

 丸川大臣、布村参考人、よろしくお願いいたします。

 今日は、まず布村参考人にお伺いをしたいと思います。

 前回、会場運営、四十三会場、東京オリンピック・パラリンピック、指定をされておりますけれども、その会場運営委託の業務委託費、ちょっと人件費が高過ぎないかという妥当性について質疑をさせていただきました。東急エージェンシーさんの契約を例に質疑をさせていただきましたが、まず、そのときの契約書本体が、あの質疑の後、職員の方から、内部から提供を受けました。

 この委託契約書、東急エージェンシーさんと契約したもので、左上には日本政府発行の二十万円分の収入印紙と割り印が押されております。そして、委託者はオリパラ組織委員会事務総長武藤敏郎さんで印鑑が打ってあります。そして、受託者は、東京都港区赤坂四丁目、東急エージェンシー代表取締役執行役員社長と印鑑が打ってあるという、一見して非常に真正性の高い契約書なんですけれども。

 これも、やはり正確な質疑をするためには皆さんに御覧いただく必要があるということで、理事会で配付資料として今日も提出したんですが、前回に続いて今回も、配付はまかりならぬということで与党側の拒否に遭いました。

 これではやはり質疑の真正性が劣ってしまいますので、事前に昨日、内閣官房オリパラ事務局を通じて、組織委員会、内閣官房には、この二枚の契約書と内訳書はお渡しをしてあります。ですので、質疑通告という形でお渡しいたしましたので、それに基づいて質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 布村参考人にお伺いをいたします。

 二枚目の内訳書というのを見ますと、人件費が、毎日新聞が最初、最高三十万円ということを書いてありましたが、実は四十二万円だったというのが明らかになってまいります。

 本大会に向けての準備業務、ディレクターA、Bというふうに書いてあるんですが、単価三十五万円。これに、今、諸経費、管理費を、東急エージェンシーさんは、一五パーと五パー、合計二〇%請求していますので、四十二万円、組織委員会から、一人一日当たり請求して、もらっている。消費税込みで四十六万二千円です。

 一日四十二万円、月給に直せば、週休二日として九百二十四万円です。一千万近い月給をディレクターさん一人当たりに払うというのは、毎日新聞の報道でも驚きましたけれども、四十二万というのはさすがに高過ぎませんか。

布村参考人 お答えいたします。

 まず最初に、資料の件でございますけれども、昨日、資料につきましては、政府を通じましてお見せをいただきました。この資料につきましては、当組織委員会と民間事業者との間で締結された契約書の写しの一部ではないかと思われるところでございます。

 ただし、本契約書は、当組織委員会と民間受託事業者の両契約当事者の間のみの、適切に保管すべき契約書でございまして、仮に外部の方に流出していたとしましたら極めて遺憾であるという状況でございます。

 そういった意味で、契約書の内容の詳細につきましては、民間事業者との契約書であり、この場で述べさせていただくということは控えさせていただければと思います。

斉木委員 要するに、民民契約を盾に取って答弁拒否という御回答でしたが、この不誠実な、説明しないという姿勢が、大臣の虚偽答弁も招いているんですね。

 私、この件に関しては、四月十九日の決算行政監視委員会で丸川大臣と質疑をさせていただきました。この毎日新聞、三十万の報道を受けて、布村さん、この参考人招致を拒否されましたので、えんきょくに丸川大臣に、オリパラ事務局にお願いをして、これは何でこんな三十万とか高い人件費が設定されているんですかというのをお聞きしました。丸川大臣の答弁をお読みいたします。四月十九日の議事録より。

 私どもから、丸川大臣ですね、丸川大臣から組織委員会に伺ったところによりますと、各競技会場の設備の特徴を踏まえて、すごく詳細な分厚い運営計画というのをまずお作りになる、こうした運営マニュアルを策定するというのに大変な労力がかかるんだそうです。

 要は、こういった会場運営のための計画策定業務、これにすごく手間がかかるので、三十万という日給も妥当ですよというような御答弁を丸川さんはされている。その答弁を作ったのが布村さんということなんですね。

 でも、運営計画策定業務って別に書いてあるじゃないですか。三十万円、別にですよ。今の四十二万円が準備業務ですよ。さらに、運営計画策定業務というのがその上にディレクターは書いてあって、単価二十五万、二〇パーの諸経費、管理費を入れたら、ぴったし三十万円、別途、東急エージェンシーさんに上げているんですね。これは虚偽答弁をまさに誘発をしている。

 丸川大臣は、布村さんの御説明をそのまま繰り返されて、いやいや、三十万円という単価は、準備業務、計画書を作るのが物すごく大変だからかかると言ったのに、別途お手当を上げておきながら、問題ないなんという答弁を丸川さんに教えたのは問題じゃないですか。

布村参考人 お答えいたします。

 大会運営に関します準備あるいは運営業務委託につきましては、会場運営計画の策定ですとか運営マニュアルの策定など会場運営に関する業務全般を委託する契約でございまして、人件費単価で契約しているものではございません。

 そして、御指摘の内訳書についてでございますけれども、一般論として言えば、内訳書は契約締結の際の参考資料という位置づけで、契約内容は、あくまでも契約書やそれに包含される仕様書に基づくものとなってございます。

 さらに、記載の単価はございますけれども、当該業務を実施するに当たり必要な経費や、バックヤードでサポートする関係部門の費用を含むものであり、人件費単価そのものではないというふうに認識しているところでございます。

 以上でございます。

斉木委員 正面から答えていらっしゃらないわけですよ。

 丸川大臣が私に決算委員会でした答弁というのは、要するに、毎日新聞、三十万という高い日給は、こういう会場運営計画を設計するための込みの値段なんだから高くないんだとおっしゃったんですよ。でも、その会場設計費というのは特出しで更に三十万も上げて、合計七十二万円ですよ、一日一人で。

 私は元々テレビ局勤務でしたけれども、ディレクターのリーダーというのは両方やりますよ。リーダーが全体を分かっているから計画運営策定業務もするし、そして、部下に指示も出します。これがディレクターの仕事です。

 一人七十二万円も上げちゃう。三十万円って、虚偽答弁も誘発しておいて、一切答えない。七十二万円の妥当性。それと、こういった会場運営業務が込みだからしようがないと言ったのに、別で三十万つけている。

 こういう、説明責任を回避するような姿勢はいかがなものかと思うんですが、御自覚はありますか。

布村参考人 先ほどの答弁の繰り返しになるかもしれませんけれども、大会運営に関する準備業務あるいは運営業務に関する委託契約というものの中身として、会場運営計画の策定、これもテストイベントのものと本大会のものがあったり、運営マニュアルの作成と、それぞれ定められた期間で各担当者がやっていただく業務を想定しているものでございます。それらの業務全般を委託する契約となっているところで、人件費単価そのもので設定して契約しているものではないということは、これまでも御説明した内容でございますので。

 そこの内訳書レベルの話としては、先ほど申し上げましたように、人件費単価そのものではなくて、様々な業務がつけ加わったもので、内部的に検討された資料ではないかということを申し上げた次第でございます。

斉木委員 それは、組織委員会の武藤事務総長の名前で判こも打っておいて、その答弁はないなと私は思います。国民も非常にがっかりしていると思います。

 今も声がありますけれども、何で一日七十二万円も、人件費単価、渡すのか。七十二万だと月給一千五百八十四万円ですよ。月収千五百万円超のディレクターなんて私は聞いたことも見たこともないです。

 何でこんな単価が高いのかということ。四十三会場分、電通さん、博報堂さん、エージェンシーさん、ほかにも、ADKさん、セイムトゥーさん、いろいろ北から南まで契約されておりますけれども、全部随意契約なんですよね。業者の言い値だからこんなに、一日七十二万円なんという単価が上がってきてしまっている。

 何で、こんな七十二万という単価といい、全会場、随意契約で本大会を契約したのか、私は不思議だなというふうに思ったんです。それで、思って調べたら、ああ、なるほど、答えが見つかったんですね。

 会場運営を、四十三会場、支えるスタッフというのは、派遣社員とか派遣スタッフが多いんですけれども、その派遣元って一社に集中するシステムになっているんですよ。

 こちらが、これも内部資料ですけれども、東京二〇二〇パートナーカテゴリーというのがございます。これはいわゆるスポンサーですね、ワールドワイドのコカ・コーラとかトヨタとか、あとはアサヒビールであるとか、いろいろなパートナー、スポンサーがオリンピックには付随をしております。例えば、ソフトドリンクだったらコカ・コーラ社のものを使いなさい、ビールだったら、アルコール飲料だったらアサヒビールのものを飲みなさいという縛りがかかっております。

 人材サービス分野のパートナーって誰かというと、株式会社パソナグループ、それと株式会社リクルートホールディングス、この二社なんです。それで、肝腎の人材派遣サービスは、パソナにしか許されていないパートナー契約になっているんですね。要するに、四十三会場あるけれども、派遣社員を頼むときは全部パソナさんに出さなきゃいけないですよという契約になっている。

 その証拠が、今回のこの内訳書、契約書の末尾についておりました、契約の詳細を示す仕様書です。仕様書の十七条、スポンサー供給権の保護というのがうたってありますね。第四項、受託者、これは、今回の広告代理店、東急エージェンシーさんは、本委託業務を遂行するに当たり、本大会のマーケティングパートナーの製品カテゴリーに含まれる製品又はサービスを必要とする場合には、当該製品又はサービスの供給を受けなければならないと義務づけられているんです。

 要は、派遣社員サービスを受けようと思ったら、人材派遣というのは今大会においてはパソナにしか認められていない、だから、どの代理店が受託をしても、セレスポさんが受託をしたオリンピックスタジアムもそうだし、セイムトゥーさん、大広さん、ADKさん、エージェンシーさん、電通さん、博報堂さん、外部に派遣社員を求めるときには必ずパソナさんから入れなきゃいけないよという契約になっている。こうすると、要するに一社独占契約になるから、どうしても単価が上がってしまうという構図になっているんですね。

 布村さんにお聞きしますけれども、ほかにパソナさん以外から派遣社員を入れる場合には、事前に書面による承諾を組織委員会に求めていますね。人材派遣、派遣社員を入れる、四十三会場分受託した業者が外部から派遣社員を入れる場合には、組織委員会に許可を取らない限り、パソナさんから供給を受けなければならないということでよろしいですか。

布村参考人 お答えいたします。

 パソナさんは、組織委員会のパートナーとして御参加いただいております。例えば、組織委員会の職員であれば優先的にパソナさんに委託するということになりますけれども、これまで御議論をさせていただいた運営業務委託については、それぞれの分野の専門性が必要でございますので、契約当事者の方々がコントラクターを更に委託していく、そういう構造になっているところで、全てにわたってパソナさんのパートナーの権利が及んでいるという実態ではございません。

斉木委員 今の答弁はおかしいですね。

 ソフトドリンクはコカ・コーラ社を使わなきゃいけないんですよね、車両はトヨタのものを使わなければいけない、それが調達できない場合に限り、日産やスバルが使える、こういった契約になっていると思うんですが、違うんですか。

布村参考人 パートナーさんの権利の、一般論としてはそういう前提に立っておりますけれども、非常に幅広い業務、分野においての必要な専門性ある人材を確保するという意味合いでは、大会業務運営については、全てパソナさんに委託するわけではなくて、それぞれの受託先のところで必要な人材を確保していただいているという実態になってございます。

斉木委員 では、四十三会場分受託した業者は、事前に書面による承諾を得ないと、スポンサー以外からサービスを受けちゃいけないというふうに契約に書いてあるので、この四十三会場受託業者、東急エージェンシーも含み、電通さん、博報堂さん、大広さん、ADKさん、様々、この書面による事前承認を得て、パソナさん以外から人材を入れている会社もあるということですか。事前にそういう了解を与えたということでよろしいですか。

布村参考人 今、直接契約書そのものを見ているわけではなく、また実態の運営についても、具体的にどこまで調整をしているのかという面はあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げたように、パソナさんの人材派遣が、全ての業務、全ての人材に及んでいるわけではない実態でございまして、大会運営業務については、それぞれ専門性の高い人を受託業者の方々が選定しておられる、そういう実態でございます。

斉木委員 これは、でも、組織委員会自らが、パートナー、スポンサー供給権の保護を破っているとしか聞こえないような答弁なんですね。

 でしたら、またお聞きしますけれども、先ほど、組織委員会もパソナさんから人材派遣を受けているとおっしゃいました。それは、私が組織委の内部職員の方から聞いたことと符合します。ほとんどというか、ほぼ全てパソナさんからの派遣社員です、組織委員会は。

 パソナさんの派遣社員の割合というのは、全派遣社員の何割ぐらいを占めているんでしょうか。全てなのか、大概なのか、アバウトな数字でいいですから、お答えください。

布村参考人 組織委員会の組織は、今、正確に数字が出ませんけれども、多分四千人近い数字だったと思いますけれども、三分の一ぐらいは東京都庁から出向を求めています。また、残り三分の一ぐらいですと、国あるいは各地方公共団体、そしてスポンサー企業の方々から出向をいただいているということになります。出向で十分賄えないところにつきましては、パソナさんに委託をするという形になっているかと思います。

斉木委員 だから、やはり全部パソナさんじゃないですか。残りは、派遣社員は全部パソナさんとお認めになっているじゃないですか。

 ちょっと、どうなんですか、そう答えましたよ。

布村参考人 先ほど、お答えが、失念いたしましたけれども、組織委員会として、直接雇用として、極めて専門性の高いもの、あるいは過去のオリンピックの業務運営に携わっているもの、そういった専門性の高いものは直接雇用という形態も実施しているところでございます。

斉木委員 いやいや、直接雇用は派遣じゃないですよね。だから、要するに、それ以外の派遣の部分はパソナさんに、もう議事録が残っておりますので……(発言する者あり)

 ちょっと止めていただけますか。

左藤委員長 ちょっと速記を止めてください。

    〔速記中止〕

左藤委員長 速記を起こしてください。

 布村副事務総長。

布村参考人 お答えいたします。

 人材派遣という人数は、三百七十一名という数字が上がっています。ほとんどはパソナさんからの人材派遣になろうかと思いますけれども、それ以外のパートナーからの派遣も受けているというのが実態でございます。

斉木委員 分かりました。

 なので、専門性の高い不可欠な人材はほかのパートナーからも受けていますけれども、それ以外の大宗は全部パソナに依存しているということですね。

 やはり、それはまさにスポンサーで、パソナさんからも多分、億単位、若しくは数千万単位でスポンサー料をいただいているでしょうから、当然、パソナさんに仕事を発注する、そういう契約になっていると思います。

 パソナさんだって、これはビジネスですから、組織委員会のオフィシャルスポンサーになるということは、当然、それなりのビジネスのメリットを享受する目的でこのスポンサーに手を挙げていらっしゃると思います。

 更問いですけれども、これはだって、エージェンシーさんが受け取った、要は、広告代理店が受け取った契約の詳細、仕様書の十七条四項に明記してあるじゃないですか、そのサービスを、供給を受けなきゃ駄目ですよ、パソナさん以外から人材を入れるんだったら書面によって私たちに了承を取りなさいとまで書いてあるのに、いやいや、そういう仕組みにはなっておりませんというのはいかにも苦しい答弁だと思うんですが、それでもその御答弁を維持するつもりですか。

 私、これを素直に読めば、まさにスポンサーであるパソナに一義的に声をかけなければいけない、特段の理由がある場合には組織委の了承を得るとしか読めないんですが。

布村参考人 先ほど申し上げましたのは、四千人規模の組織委員会の職員について、一割が派遣になっており、そのほとんどはパソナさんから派遣をいただいているという実情、数字を御説明いたしましたけれども、大会運営業務委託については、より幅広い形の方々が派遣職員としてその業務に携わっていただいておりますけれども、そこにパソナの実際の派遣を受けた方々は少ないという実態だと思います。

斉木委員 布村さん、適当に答弁されるとまずいと思うんですけれども。

 布村さんは、各四十三会場分の代理店がどこに、じゃ、外部派遣会社を使っているのか、御承知なんですか、そもそも。

布村参考人 資料としては把握しております。

斉木委員 そこで一番多いのは、やはりパソナなんじゃないですか。外部委託、資料として把握されているということで、その中で一番パーセンテージが大きいのはパソナということでよろしいですか。

布村参考人 大会運営業務委託に関しては、どの業者が多いかというのは、実態として、今手元に資料はございません。

斉木委員 おかしいですね、把握していないことを答弁なされている。だんだん答弁が崩れてきているんですけれども。

 ちょっと、それはやはり国民感情とすると、当然、一社独占で、こういった人材派遣、派遣社員だったらパソナと言われたら、パソナさん、今、時給で千六百五十円、日給で一万二千円相当ですよ。この契約を見ても、最大二十万円の日当を渡していても、現場では一万二千円で募集している。中抜き率九五%というようなことも、前回の決算委員会でしたか、丸川大臣と質疑させていただいて、明らかになってまいりました。

 やはり、九五%抜いて、パソナさんが、日給一万二千円、時給千六百五十円で募集しているものが、なぜか二十四万円で業者に委託されていたりとか、これは余りにも、ちょっと、ボランティアもばかにしているし、国民もばかにしている放漫財政というふうに私は言わざるを得ないと思いますね。

 要は、やはり一社独占の弊害だと思うんですよ。オリンピックビジネスそのものの弊害なんですね、これは。一社独占にすれば単価が上がる、だから、一般競争入札がこの世界では当然です。でも、本大会は全部随意契約じゃないですか。要するに、人材派遣サービスはパソナと明記しちゃって一社独占を許したら、当然、派遣単価は上がる、だから一万二千円が二十万円に化ける。そして、全部随意契約になっているから、業者も、会場運営計画策定業務費、別途三十万円下さいみたいな、隠れた業務手当もついている。

 こういったことが、まさにパートナー偏重、スポンサー偏重のオリンピックビジネスの弊害そのものがオリンピック予算の膨張を招いているとしか見えないんですが、違いますか、布村参考人。

布村参考人 先ほどパソナの関係で申し上げましたのは組織委員会職員についての人材の派遣の話でございまして、大会運営業務委託の件でございますが、例えば、今分かったところでは、東急エージェンシーが受託をされている業務については、パソナとは違う人材サービス会社において募集をしていただいているという実態もございますので、大会運営業務委託についてパソナ一社が独占しているという形でおっしゃられますと、そこはちょっと事実と、実態とは違うという実情でございます。

斉木委員 ちょっとそれは、このスポンサー供給権の保護という契約書と矛盾する答弁。

 じゃ、実際にどこと契約されているんでしょうか、東急エージェンシーさんは。

布村参考人 パートナー契約の一般論と、それぞれ個別の業務委託契約においてどのような人材を集められるかというのは、大会運営業務の場合には、その専門性の高い業者の方々が、その関連する、今回、東急エージェンシーさんの場合にはパソナ以外の会社で人材の募集をされているということを申し上げた次第で、具体的な固有名詞は控えさせていただきます。

斉木委員 いや、言えないけれども分かってくれみたいな答弁はちょっと通らない、ここは国会ですので。正確に、事実に基づいて御答弁されるべきだと御忠告申し上げます。

 やはり、これを見てくると、組織委員会も、特殊な場合を除いて、みんなパソナさんに人材派遣サービスは丸抱えでやってもらっていますということをお認めになりましたし、そういうビジネスモデルが高騰を招いている。随意契約に基づいてパソナさんに、結局、私が思ったのは、前、サービスデザイン推進協議会という、私、経産委員会で、電通さんが五次下請ぐらいまで中抜きをしていた問題がありましたけれども、全くそれと同じに見えるんですよ。

 この表を見ると、四十三会場分、パソナさんのパの字もありません。でも、全部それが、こういうスポンサー契約で、人材派遣サービスはパソナさんを優先しなさいというようなことを、縛りをかけているとしたら、これはちょっと余りにも巧妙なシステムだし、予算の膨張を招くシステムだなというふうに危惧をせざるを得ません。

 最後に、丸川大臣に来ていただいておりますので、海外の、IOCの発言に関して、私、ちょっと言うべきだなと思っております。

 コーツ調整委員長は、緊急事態宣言が出ていても、オリンピックはアブソルートリー・イエス、絶対やるんだみたいなことをおっしゃっているし、バッハ会長も、オリンピック開催のためには幾つか犠牲を払わなければいけないんだみたいなことを言っていらっしゃいます。

 これは外国の、オーストラリアとドイツの方が、日本の感染状況も考慮せずに、アブソルートリー・イエスとか、絶対やるんだ、緊急事態宣言が出ていてもみたいなことを言うのは余りにも越権行為だし、大臣は、歯切れがいいから、この愚か者めがと昔叫ばれましたよね、なぜそういうふうにIOCに対して一喝されないんですか。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 バッハ会長の発言の原文については、私も手元に取り寄せまして、エブリワン・イン・ザ・オリンピックファミリー・ハス・トゥーということになっておりましたので、少なくとも、オリンピックファミリーのみんなは犠牲を払わなければいけない、こういうことで、日本国民に犠牲を払ってくれと言っているわけじゃないということは原文を見れば明らかなわけですね。

 そして、コーツ委員長の発言については、コーツ委員長自身が、テストイベントで日本国民の安全を守れたということに対する自信が非常に大きかったということで、できるという意味でおっしゃったんだと思います。絶対にやるという意味ではなかったというふうに私は解釈しております。

 いずれにしても、東京大会の在り方については、主催者であるIOC、IPC、大会組織委員会、東京都と、当然、国とで協議をして進めていくわけでございますので、前回の五者協議のときと同様に、私は、政府を代表する立場として、国民の懸念というのはしっかり伝えていきたいと思っております。

斉木委員 全く伝えていないから国民が怒るんじゃないですか。政府はIOCのしもべですか。我々の、国民の命と国益を守るのが政府の仕事であり、外国の方が頭ごなしに言ったら、もっと日本を勉強しなさいと叱るのが大臣の役目だと思うんですね。

 やはり、一社独占、随意契約の乱発、そして特定の社への発注の集中、こういったオリンピックビジネスモデル、それと、こういったビジネスを、お金を追求したい方々がやめられないんじゃないのかというのが今国民が思っていることですし、政府にも、言うべきことをまずは、まず実態を把握されて、組織委員会がどんなお金の使い方をしているのか、そして、きっちり外国の要人に対しても、しもべじゃないよ、我々が判断して開催は判断するんだぐらいのことは是非言っていただくことをお願い申し上げて、今日の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

左藤委員長 次に、谷田川元君。

谷田川委員 立憲民主党の谷田川元でございます。

 それでは、まず、布村大会組織委副事務総長にお伺いしたいと思います。

 皆さん、事の発端を思い出していただきたいんですが、四月七日の日に、私、毎日新聞が四月一日付で、オリンピック人件費単価三十万円、日給ですよ、日給三十万円、肥大化止まらずという、この見出しの新聞を皆さんにお配りして、これはおかしいじゃないか、こんな契約をやっているのか、そういう質問をしたんですよ。

 そのとき、オリンピック組織委員会は、この新聞に対する反論を組織委員会のホームページに載せました。そして、毎日新聞に対して、事実無根だ、おかしいと、訂正と謝罪を求めたんですよ。

 しかし、今、斉木議員が事前にお渡しした、この武藤事務総長と東急エージェンシーの渋谷さんとの契約書、これに付随する内訳書を見ますと、これはちゃんと、項目、ディレクター、数量、四十日、単価、三十五万円、一人、金額、一千四百万円、こう書いてあるんですよ。内訳と書いてあるんですよ。それでそういう契約がないなんてことはおかしいじゃないですか。

 私は、布村さんに事実関係はどうなのと言ったら、四月七日の委員会で、布村さんは、人件費単価を設定した資料に基づいた業務委託契約は、した事実はないと答弁されています。これはもう虚偽答弁ですよ。

 二つ伺います。

 毎日新聞の記事は事実だと思います。毎日新聞に謝罪すべきだと思います。そして、虚偽答弁をお認めになりますか。

布村参考人 お答えいたします。

 先生の御質問に対する前回の答弁でございますけれども、動画投稿サイトにおいて紹介された資料は画像が不鮮明で、明確には判断できませんでしたけれども、担当者が、予算の精査や価格の妥当性の検証に当たり、様々な内部検討用の資料を作成する中で、類似した資料を作成したことは確認しております。それと類似したものを見たことはありますけれども、それそのものが当該内部資料であるということをお認めした答弁ではございません。そこが一つございます。

 繰り返しになりますけれども、大会運営に関する準備・運営業務に関する委託契約は、会場運営計画の策定、運営マニュアルの策定など会場運営に関する業務全般を委託する契約となり、人件費単価を設定して契約しているものではないということは説明したとおりでございます。

 また、毎日新聞の報道に対しての抗議は、事前の取材に対して事実関係を丁寧に説明していたにもかかわらず、誤解を招く見出し、内容を報道されたことに対して抗議をしたということになってございます。

 以上でございます。

谷田川委員 委員長、ちょっと、今の答弁、不誠実だと思いませんか。

 もう一度聞きます。

 組織委員会が、御自身のホームページに、毎日新聞に対して厳重に抗議を行い、紙面及びウェブサイト上で謝罪、訂正を求めました、そして、「人件費単価日額三十万円をはじめとした、記事に記載のような契約をしている事実はありません。」、こうおっしゃっています、断定的に。だけれども、今の私が言ったことに対して、あの資料が内部資料ということであれば、契約書は本物ということであれば、間違いなく契約したんじゃないですか。おかしいですよ、今の答弁は。

 もう一度答弁をお願いします。

布村参考人 契約書そして仕様書は一体として契約そのものでございますけれども、先ほど斉木先生も御指摘いただいた内訳書については、あそこに記載された資料自体は参考資料というものでございますし、かつ、記載の単価自体は、当該業務を実施するに当たり必要な経費や、バックヤードでサポートする関係部門の費用を含むものというふうに推測され、人件費単価そのものではないと認識している旨、先ほどお答えさせていただいたところでございますので、それらの事実関係を丁寧に先ほども申し上げさせていただきました。(谷田川委員「いや、おかしいですよ、委員長、ちょっと止めてください、ちょっと理事で協議してください」と呼ぶ)

左藤委員長 止めてください。速記を止めてください。

    〔速記中止〕

左藤委員長 速記を起こしてください。

 布村副事務総長。

布村参考人 最初に申し上げますのは、毎日新聞への抗議の資料にも書いてございますけれども、人件費単価日額三十万円を始めとした数字は契約書には出てきていないということを毎日新聞に対しても申し上げております。

 先ほど、斉木先生、谷田川先生にも繰り返し申し上げておりますけれども、契約書と仕様書についてその単価が載っているわけではないこと、また、内訳書にはその数字的なものは載っておりますけれども、それは人件費単価そのものではないという数字だと推測しております。その中には、必要な経費、当該業務を実施するに当たり必要な経費や、バックヤードでサポートする関係部門の費用も含むものと推定されますので、人件費単価日額三十万円ということはございませんということを申し上げております。

谷田川委員 委員長、これは非常におかしな答弁ですよ。国会の権威をないがしろにする答弁ですよ。

 ひとつ与党の方にお願いしたいのは、斉木さんがこの委員会で内部資料を配付しようとして、理事会でそれを拒否されましたよね。この内部資料をよく見れば、今の答弁がおかしいのは一目瞭然ですよ。

 ですから、委員長、是非、斉木さんが提出しようとしたこの資料、つまり、武藤事務総長が判こを押した契約書とその内訳書、これをしっかり理事の方に見ていただいて、ああ、これは布村さんの答弁はおかしいんじゃないかというのをちょっと精査していただけませんか。

左藤委員長 理事会でちょっと協議させてください。

谷田川委員 それでは、後刻、理事会でしっかり協議してください。

 与党の皆さん、ひとつお願いしますよ。こんないいかげんな答弁を許していいんですか。国会の権威がないがしろにされますよ。是非、与党の皆さんの真摯な対応を求めたいと思います。

 それでは、次に、丸川大臣にお願いいたします。

 先ほど斉木議員も質問したんですけれども、IOCのコーツ副会長が、この間の記者会見で、緊急事態宣言であってもオリンピックを開催するんですかという記者の問いに対して、アブソルートリー・イエスなんですね、もう絶対、何の迷いもなく一〇〇%やる、そういう意味なんですよ。

 それで、非常に残念なのは、過去の予算委員会等で、野党が、是非、やはりオリンピックの延期か中止を検討すべきでないか、そう言っても、菅総理は、開催の可否はIOCが判断することですの一点張りなんですよね。

 そうなっちゃうと、じゃ、非常事態宣言が解除されようがされまいが、オリンピックをやるのはもう間違いない、中止とか延期をする選択肢はないと理解せざるを得ないんですが、そういうことでよろしいでしょうか。イエスかノーかで端的にお答えください。

丸川国務大臣 端的にというお話でございますが、もちろん国も、国としてどうあるべきかということを心の中に持ちながら、常にIOC、IPC、大会組織委員会、東京都と議論をして、大会の在り方というのを、今はまだ、どういうふうに水際をやるかとかいう議論ですけれども、一つ一つ重ねてきているわけです。

 そうした中で、先ほどの斉木先生ほど格好よくありませんけれども、私は私なりに、前回の五者協議でも、日本国民は非常に医療への負荷を懸念しているということで、特に大阪においては、一時的にベッドの数を感染者、特に重症の患者さんが上回っている状況だということまで子細にお伝えをして、ここのところをクリアしなきゃいけないというお話を申し上げました。三回にわたって申し上げたんです。

 結果的に、まず医療に対してIOCも一定の支援をするということ、前回の調整会議で出てきたわけですが、こういう形で議論しているわけなんですね。

 何度も言って恐縮なんですが、こうやって協議をして決めるんだけれども、最終的に決定するのは、IOCあるいは東京都、主催者ということになりますので、今ここで端的に答えられるような立場にないということだけは是非御理解いただきたいと思います。

谷田川委員 じゃ、端的にお聞きします。

 この間も同じような質問を私はしましたね。丸川大臣が、テスト大会も成功したから緊急事態宣言でもやれないこともないなというような答弁でしたよ。だから、コーツ副会長と軌を一にしているんだと私は思ったんですよ。だけれども、今のお答えでよく分かりましたけれども。ただ、あのときは、かなり、やはり医療体制が逼迫した中でやるのは、国民の理解を得るのは難しい、だから中止もあり得るかもしれないなと心の中で思いつつ答弁してもらったと私は思っています。

 改めて聞きます。

 じゃ、医療体制が逼迫しないように、全力を尽くすのは当たり前だけれども、仮にうまくいかなければ、中止もやむを得ないという判断はあり得るということでよろしいですか。

丸川国務大臣 医療体制の負荷ということは、私どもも専門家の先生方とお話ししておりますが、大変気にかけておられます。

 いかにそうならないようにするかということで、もう報道でたくさん出ておりますけれども、例えば、茨城県知事とか神奈川県知事とか、一般の国民の皆様と同じような形でコロナの対応を行いますと。

 それから、外傷ですね。新しい競技、例えば、バイク、モトクロスとか、スケートボードとか、ああいう外傷が多い競技に関しては、提携している、特にスポーツ外傷を診ておられるような先生にお願いをして病床の確保に努めているという状況ですので、少なくとも、選手の周り、大会の競技そのものということでいうと、かなり医療の体制はできてきたということは、組織委員会も触れているとおりであります。

 さらに、どのようにすれば国民の皆様に安心、安全を確保したと思っていただけるかということを踏まえて、共に、IOC、またIPC、組織委員会、東京都と協議を進めているところでございます。

谷田川委員 菅総理は、どうも今は、ワクチンとオリンピック、この二つしか頭にないんじゃないか、私はそう思っているんですよ。

 それで、おとついの読売新聞を私は拝見しました。河野ワクチン担当大臣と菅総理のやり取り。まあ、丸川大臣はお読みになったかどうか分からないけれども。

 一日百万回接種する、その数字を見たとき、河野大臣は、七十万回にしましょうよ、総理、とても無理ですよと。いや、やるんだ、もうやるんだと言って、それ以上もう止めることはできなかったと。その前は、河野大臣の暴走を菅さんが止めていたけれども、今は菅さんを河野大臣が止めようとしているなんて書いてありますよ、読売新聞に。

 私は、今、菅総理が暴走しているようにしか思えないんですよ。

 是非、丸川大臣、医療体制が逼迫したら、総理、ここはもう一緒に考えましょうと言っていただけますか、そのときは。

 大臣、いかがですか。

丸川国務大臣 あくまでも日本国民の安心、安全を守るということは揺らがないようにしたいと思います。

谷田川委員 緊急事態宣言も延長されそうですので、これによって感染が収束して、何とかオリンピックができるような状態になってほしい、そのことを念願したいと思っておりますが、ただ、心配なのは、昨日の朝のNHKニュース、CDCの勧告に基づいてアメリカの国務省が日本への渡航の中止勧告を行ったと。

 大臣、このニュースをいつ知りましたか。

丸川国務大臣 昨日の朝の閣議の後で、事務方から説明を受けました。

谷田川委員 閣議の後ということは、閣議は何時からなんでしょうか、済みません。(発言する者あり)

左藤委員長 ちょっと速記を止めてください。

    〔速記中止〕

左藤委員長 速記を起こしてください。

 丸川大臣。

丸川国務大臣 済みません。

 九時十分まで閣議で、九時四十分ぐらいに大臣室に戻っているということです。(谷田川委員「その時点では」と呼ぶ)はい。その後、一つ会議がありましたので。

谷田川委員 実は昨日、私は外務省の担当者を呼んで、前もってこのアメリカ国務省の発表は知っていたのかなということを聞いたんですよ。そうしたら、ええ、アメリカ政府から話がありましたと言うんですね。それで、いつですかと聞いたんですよ。それは言えませんと言うんですよ。本当に。いや、別に私は、誰が誰に言ったということは、そこまで聞かない、ただ、非常に大事なので、いつ外務省はその情報を把握したんですかと言ったら、言えませんの一点張りなんですよ。

 恐らく、これは私の想像ですよ、かなり直前だったんじゃないかなと思うんです。もしこれが三日とか、あるいは五日前だったら、堂々と外務省も言うと思うんですよ。多分直前だったと私は想像します。

 ただ、これはやはり、外務省、直前だったとしてもいい仕事したなと思うのは、すぐアメリカのNOCが、今回の事態は影響ない、そういう声明を出したんですよ。だから、ここは外務省も多分素早く根回しして、あの声明をすぐ発表させて、NHKのニュースが多分、六時過ぎのニュースで初めて私は見ましたけれども、八時五十何分の共同電でそのアメリカNOCの声明が出ているんですよ。だから、ある意味で、初期消火はうまくいったと思いますよ。

 だけれども、私もよく調べたんですけれども、アメリカのCDC、これはやはり世界的な感染症の権威なんですよ。このCDCもさることながら、アメリカの大統領首席医療顧問にファウチさんという人がいるんです、この人がかなりバイデン大統領に影響力を持っていると、いろいろ新聞等で書かれています。

 少なくとも、私が調べた限りにおいて、バイデン大統領が就任して以来、アメリカ政府の公式声明で、アメリカ政府は東京オリンピックの開催を支持する、そういう直接的な表現はしていないんです。安全な大会にするための日本政府あるいは菅総理の努力を支持する、大会を支持すると言わないで、その大会に向けた努力を支持すると。アメリカは、日本を応援しているようで、でも、大会をするかしないかは、最後は日本の判断ですよ、アメリカはそこまで一蓮託生ではありませんよと、何か距離を置いているような感じが私はするんですよね。

 ですから、是非、これはやはり、バイデン大統領は、科学に基づいて開催は判断すべきだとずっと一貫して言っているんですね、科学に基づいて。だから、今、日本政府あるいは組織委員会がやろうとしている東京オリンピック、感染状況はこうなっています、こういう見込みです、対策はこうですというのを、具体的なデータ、エビデンスに基づいて発信しないと、アメリカ政府始め各国政府は納得してくれないんじゃないか、私はそう思うんです。

 この発信は非常に重要だと思うんですが、大臣の見解を伺います。

丸川国務大臣 ニューイングランド・ジャーナルという非常に権威のある医学雑誌のパースペクティブというところに、論文と言っていいのかどうか分かりませんけれども、オリンピックに対する評価が書かれているんですが、これが、NBA、NFLで行っているような科学的な知見を是非生かすべきだということが書いてあるんですが、肝腎の我々がやっている対策、プレーブックで示した一番最新の対策について必ずしも把握されているようではないということがこれを読んで明確になりまして、例えば、毎日選手に対して検査をするということについて踏まえないでこの文章が書かれているわけなんですね。

 そういうことを考えますと、やはり、我々がどういう対策を取るのかということをもっと緻密にしっかりと世界に向かっても発信しなければいけないということを改めて感じているところですので、谷田川委員の御指摘のとおり、しっかりと努めてまいりたいと思います。

谷田川委員 それと、丸川大臣、やはりアメリカの政府が発表する前に外務省がその情報を知っていたにもかかわらず、オリンピックという重要イベントの責任者である丸川大臣のところに報道の前に話が行っていないというのは、ちょっと政府全体として問題があると思うんですが、そう思いませんか、大臣。

丸川国務大臣 どの段階で聞いたかというのはちょっと私もよく分かりませんけれども、このCDCの旅行健康情報は、アメリカ自身がレベル4でございまして、そもそも自分たちの国の中でもまだ大変な状況だというふうに判断をしているような中でありますから、渡航についていろいろな制限をかけるということは、アメリカの国として判断されていることだと思います。

 我々は、逆に、政府間の連携もさることながら、我々がしっかりと感染状況の改善に向かって政府を挙げて努力することが必要だと思っております。

谷田川委員 それでは、次の質問に移りたいんですが、お手元に資料は配られていますよね。

 これは、変異株に対応した追加的な対策ということで、感染症対策調整会議が四月の終わりに開かれた、そのときに配られた資料で、案になっていますけれども、その調整会議で承認されて、もう、これに基づいてやるということになっています。

 せんだっての委員会でも斉木議員が指摘していましたけれども、チャーター機を札幌から東京間、三機飛ばしている、それからハイヤーなんかも手配する。これは莫大な経費がかかっているんじゃないかなと思うんですよ。

 これは、よく見ていただけば分かるんですけれども、すごく綿密に、なるほど、ここまで徹底的にやれば感染はゼロに近くなるんじゃないか、そう思わせるぐらい徹底していると思いますよ。

 だけれども、はっきり言って、監視員もまだどうなるか分からないし、それから、一ページの(イ)、大会関係者のところを見ていただけますか。「原則、入国後十四日間宿泊施設で待機する。」となっているんだけれども、これは、原則というんだから、1、2、3とありますけれども、少なくとも原則は、入国した人の半分以上はこの1に従っていただけるという理解でよろしいんでしょうか。

 布村副事務総長、いかがですか。

布村参考人 コロナ対策につきましては、政府、東京都、組織委員会での調整会議でこのような報告を出していただいておりますので、それに沿ったコロナ対策を、組織委員会としても、各国のオリンピック委員会、パラリンピック委員会の方々など関係者と連携しながら、それぞれの行動管理、健康管理を徹底的に行うという体制で臨みたいと思っています。

谷田川委員 どうも聞くところによると、皆さん、入国してから十四日間宿泊待機するって大変な話ですよ。そんなのできないよ、何とか縮めてくれと言って、じゃ、三日間お願いします、三日間で何とかします、いや、三日も長い、すぐ働かせろと言って、一番下の3。こういう例がかなり多いんじゃないかと組織委員会の働いている人も心配しているんですよ。

 原則と書いた以上は、少なくとも、1の、入国後十四日間宿泊施設で待機するというのは、半分以上そうなるというふうにやれますか、どうですか。

 布村さん、答えてください。

布村参考人 お答えいたします。

 宿泊につきましても、安全、安心のため、アスリートの方々は選手村になりますけれども、それ以外の関係者については、基本的に組織委員会で用意をしたホテルにおいて、しっかりとしたコロナ対策の下、一人一人がコロナ対策としての行動管理、例えば、ソーシャルディスタンスを取る、食事については極力一人で食べていただく、マスクを着用、手洗いをするという前提で行っていただくということで、それを、一緒になって、確実に実施されていくことを確認していくという体制になると思います。

谷田川委員 いや、だから、私が聞いているのは、原則とあるんだから、原則が過半数以上にならないと原則じゃないじゃないですか、その辺の見込みはどうですかと。正直に答えてくださいよ。

 ちょっとこれは難しいのか、あるいはできるのか、どうですか。

布村参考人 昨年の十二月の中間整理からコロナ対策を段階的に具体的な対策にしてきているところでございますので、本来、関係者ごとにそれぞれの、例えばアスリート等の接触の度合いに応じて段階を分けてグルーピングをしてコロナ対策を講じておりますので、それを具体化するということでありますが、原則としてという言葉はありますけれども、極力この方針に沿って取り組んでいくという精神で取り組んでいます。

谷田川委員 だから、原則といっても、半分以上は何とかなるんですかと私が聞いても答えられないということは、実現は難しいんじゃないかと思わざるを得ませんよ。

 それで、大臣、バッハ会長は、東京大会を実現するためには、先ほども大臣、英語でおっしゃったけれども、我々は幾つかの犠牲を払わなきゃいけない、そうバッハ会長もおっしゃっているんだから、やはりこれは、IOCのトップが、この原則に従って十四日間宿泊待機してくださいと強く要請すべきじゃありませんか。そう思いませんか。

丸川国務大臣 基本的には、どのような人が真にすぐ活動しなければいけないのか、あるいは、大会の日程が決まっているものですから、やった場合に、何日前に入れるかというのはいろいろあるんだそうでございまして、それによるんだろうと思います。

 一方で、メディアの中には、東京で取材をしたいので、十四日間、前もって入られるというところもありますので、そうできる方はできる限り十四日間、前に入っていただいて待機をしていただきたいと思っております。

谷田川委員 私の質問に答えてください。

 私は、バッハ会長自身が率先垂範でやれば、バッハ会長がそこまでやるなら、じゃ、我々も我慢します、そうなるんですよ。だから、バッハ会長に要請しませんかと言っているんですよ。答えてください。

丸川国務大臣 バッハ会長がどのようなスケジュールで動かれるか私も把握をしておりませんので、できる限りしっかりとルールを守っていただけるようにバッハ会長にもお願いをしたいと思います。

谷田川委員 十四日は無理でも、少なくとも三日間は私もホテル待機しましたと。今はオンラインがあるんですから、少なくとも三日間はオンラインでやってくださいというぐらい強く言ってください。お願いします。

 それで、布村さんに聞くんですけれども、感染対策を万全にすればするほど金はかかるんですよ。チャーター機もそうだし、新幹線の一両借り上げもそうだし、ハイヤーもそうだし、糸目をつけずに何かどんどんどんどん金が出ているような感じがするんですよ。

 一体どの程度の予算を見込んでいらっしゃるのか、ハイヤーとチャーター機、この二つについて。あと、選手団の数を含めて大体このぐらいは最低かかります、そのぐらいでも言っていただけませんか。

布村参考人 お答えいたします。

 コロナ対策経費として、国と東京都の御支援をいただいて、九百六十億円という予算を昨年末に確定をいただきました。それを踏まえてコロナ対策に関する対策を具体化してきているという段階にあります。

 そういった中で、今先生お尋ねの輸送につきましても、極力公共交通機関を利用しないで、日本国民の方々への、安全、安心への心配がなくなるようにというルールが敷かれました。そういった意味で、テストイベントでもチャーター機を利用したり新幹線を隔離して利用しているところでございますけれども、今まだその費用の負担については関係者と調整中でございまして、今の段階で具体的な数字はお示しできないと。申し訳ございません。

谷田川委員 一応、コロナ対策費で九百六十億円が認められているけれども、それを超えることは間違いないですよね。それだけははっきり言ってください。

布村参考人 コロナ対策経費として、国、東京都の御負担で九百六十億円を確保いただいております。

 組織委員会としては、この九百六十億円を前提として経費の抑制に向けて取り組んでいくということとともに、コロナ対策は安全、安心が最優先であるため、この予算をしっかり生かす形で安全、安心な大会の準備に努めていきたいというふうに考えております。

 例えばということで、検査につきましても民間に委託をするという形で、できるだけ安い、かつ、安いけれども安全、安心な取組を進めていく、また、大会関係者を減らすということなどを通じて抑制にも努めておりますけれども、安全、安心は最優先で、しっかり対策として取り組んでいきたいと思います。

谷田川委員 もう時間がないので最後にしますけれども、先ほど来、私はこれで、今日、三回目なんですよ、布村副事務総長に質問するのは。具体的にお答えいただけないといつも思っているんだけれども、ほとんど正面から答えていただけない。本当に残念です。

 この委員会は、一応今日で終わって、あと会期末まで三週間ありますけれども、オリンピック開催の是非を含めて、どうあるべきかということは国民の最大関心事でございますので、是非、委員長、オリンピック、パラリンピックをテーマに、やはり集中審議を開いていただきたいということを申し述べたいんですが、お取り計らいいただけますでしょうか。

左藤委員長 はい。これも理事会で協議させていただきます。

谷田川委員 それじゃ、是非開催されることを心から期待いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

左藤委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 本日は、大変貴重な質問の機会、ありがとうございます。

 早速ですけれども、まず、私は、変異株に関する片面的かつ一方的な報道、これはちょっと日本を非常におかしな方向に導いている部分があろうかと思っているんですね。

 例えば、先ほども話題になっておりましたアメリカの渡航禁止、実は、世界の八割方の国は、既に渡航禁止、レベル4なんですね。海外からの観光客を受入れを再開したギリシャ、スペイン、イタリア、こういった国は、大体、ワクチンか、それともPCRの陰性証明だけで海外観光客を受け入れているんですね。そういったところも実はレベル4なんです。

 そうすると、報道だけ見ていると、何か特別なことが日本に起きたとか、そういうふうな印象を経て、どんどんどんどんオリンピックに対する恐怖をあおっているというような側面があるわけですけれども、落ち着いて見てみると、別にそういう事実はないわけです。

 同じことが、変異株に対する子供への影響、これにも大きく表れていると思っております。変異株について、よく報道されているのが二つございます。学校で子供が感染してきて家庭内に広がっていく、あるいは学校で子供に感染する割合が高くなっている、そしてもう一つは、子供も重症化する。この二つが、マスコミや、よく見ると、特段の根拠なく、一例、二例のお医者さんの体験を引いて報道されていることが多いわけです。

 今回も、本当は、配付資料にそれをつけたかったんですけれども、週刊誌の報道ということで配付資料として疑義があるというようなことを事前に言われたものですから、それはやめたんですけれども。そういう一例データを持ってきて言うことが多いわけです。

 ここで配付資料2を御覧いただきたいんですけれども。

 配付資料2は、これは非常に分かりにくいところに置いてあって、厚労省が毎週木曜日の午後六時くらいに発表している、新型コロナウイルス感染症の国内発生動向、年代別の重症者割合です。死亡割合も出ていますけれども。これを見ると、十歳未満の重症者はゼロ人、十代はゼロ人です。子供でも重症化するというのは都市伝説のような状況なわけですね。こういう状況。

 そして、もう一つ大事なのは、今、英国型の変異株というのが非常に話題になっているんですけれども、これは、その英国、まさに、本場と言うと失礼なんですけれども、イギリスで昨年の十月くらいからはやっているわけですから、イギリスのデータを見るのが一番早いわけです。

 資料3を御覧ください。

 これは、イギリスにおける年齢別の患者の割合です。これを作ったのが、厚生労働省の特別研究班です。ですから、非常にしっかりとしたところが作った資料です。これに大きく書いてあるとおり、「変異ウイルス出現後、小児の感染のみが明らかに増加した事実はない」ということなんですね。

 変異株、世界的に一致しているのは、イギリス型の変異株は感染力が強い、一・四倍とか一・五倍とか言っていますけれども、感染力が強くて患者が増えれば、特に特段重症化しやすいとかそういうことがなくても患者が増えるのは、ある意味当然ということになるわけです。

 ですから、特段に、変異株があったからといって子供に対して対策を、何か今までしていなかったことを特別に取るとか強化する必要はないわけですね。

 資料4を御覧いただきたいんですけれども。

 資料4は、これは私どもの事務所で、令和二年の十二月二十九日、これは英国株が日本にはほとんど入ってきていないときです、それから令和三年の五月十九日、これは今の割合です、まあ、大体、関西圏などは八割、九割、東京なんかでもかなり英国株に既に置き換わっているわけですけれども、感染のカーブを見て、大体同じ辺りを比べたわけです。これを見ていただいても、子供の陽性者の割合、一%とかそのくらい、〇・八%とか、本当に誤差のような数字の範囲で若干増えていますけれども、やはり、統計的データを見ると、変異株、子供で増えているというのはないわけですね。

 それから、もう一つ重要なのは、学校で特にクラスターが発生しているということもないわけです。今回、それをつければよかったんですけれども。先ほど紹介しました厚労省研究では、その十一ページに、子供の感染ルートで最も多いのは家庭内感染で、七〇%に上ると。学校関係は非常に少なくて、家族が三百七十に対して学校関係者十九なんですね。四%しか学校関係で感染していない。こういう実態があるわけです。家庭内感染が七〇%に上って、しかも、その半数がお父さんから子、こういうルートです。

 こういうのを見ると、学校で特段規制を強化する必要がないというのははっきりと分かるわけですけれども、非常に残念なのが、マスコミの報道に踊らされるように、やはり親御さんが、中には大変に恐怖される方もおられる。また、そういった圧力を受けて、教育現場、学校の管理者である管理職、校長先生、教頭先生、あるいは教師が規制を強める動きがどうもあるのではないかというふうに思っております。

 一番よく私のところに相談があるのは、体育の授業、特に持久走などのときにマスクを着けて走らされている。本当にもうこのところ蒸し暑くなってまいりまして、国会の中でも、私は今日ネクタイをしていますけれども、早くも半袖のかりゆしスタイルの方も出ておりますし、今日も、ノーネクタイの方、かなりの数おられます。ところが、子供にはマスクを着けて持久走をさせているわけですね。私もジョギングをやっておりますけれども、マスクなんか着けていたらとても苦しくて走れない。

 文科省は、私、非常に立派な省庁だと思っていまして、このコロナ禍の中で、最も客観的かつ中立的に、事実に基づいた対策を取っておられる。文科省のマニュアルの、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルも、非常によくできているといつも感心させていただいておるんですけれども。

 まず申し上げたいのは、今言ったような客観データがあるわけですから、マスコミが余りにもひどい状況になってきております、こういったデータをきちんと報道関係者あるいは学校関係者、マスコミに言ったってマスコミは改めそうもないので、学校関係者に今言ったようなデータなどをきちんと広報若しくは伝達していただいて、学校現場、それから親御さんなどの誤った認識を正していってもらえないか。

 その背景には、資料5にあるように、このままでは子供たちが余りにもかわいそうです、修学旅行を中止したり学業が遅れたり、さっき言ったように、下手すれば熱中症になる、そういうことがあるものですから、それをお願いしたいんですけれども、文科省、いかがでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 青山委員のただいまの御見解、御指摘については、全てそのとおりであると思っております。

 御指摘の変異株につきましては、文部科学省が作成をしております、先ほど御紹介いただいた衛生管理マニュアル、これは学校現場でも御活用いただいているわけですが、実は先月末に改定をいたしまして、変異株に関する内容を新たに盛り込みをさせていただき、学校や教育委員会等に周知するとともに、報道機関にも情報提供をさせていただいております。

 このマニュアルの中では、今日、青山委員が配付をされた、先ほど紹介をされた資料の2、あるいは資料の6など、厚生労働省のデータも掲載をさせて、紹介をさせていただいておりますほか、例えば、国立感染症研究所から、変異株への対策としては基本的な感染症対策を引き続き続けることを推奨するといった内容でございましたり、あるいは、日本小児科学会の関係委員会の見解、変異株が子供により重い症状を引き起こす可能性を示す証拠はこれまで得られていないといった内容についても引用させていただいて、紹介をさせていただいているところでございます。

 こうした情報につきましては、たまたま先週でございますが、オンラインで、全国連合小学校長会、それから全国中学校長会の会合がありました。あるいは、各都道府県の教育長協議会も初のオンライン会合ということで、私の方から、こうした点についても御説明、紹介をさせていただいて、それぞれの各都道府県の関係者の方々にもこうした正しい知識をしっかりと御紹介いただくようにお願いしますとともに、安易な臨時休校などはできるだけ避けていただけるようにお願いをさせていただいたところでございます。

 私ども文部科学省としては、引き続き、関係省庁等と連携をいたしまして、学校における感染症対策等に関する正しい情報を発信し、教育委員会や学校等を支援してまいりたいと考えております。

 以上です。

青山(雅)委員 ありがとうございます。大変積極的かつ正しい取組をしていただいていると思います。ありがとうございます。

 本当に、そういった取組で日本全国できちんとやっていけば、このコロナによって日本に与えられている消極的損害というか、直接的な損害よりも、むしろ間接的、消極的損害の方が多くなってきている状況が私は確実にあると思っております。今のような取組を不断に続けていただくことをお願いしておきます。大変ありがとうございます。

 次に、今、先ほどの話でも触れましたけれども、特に心配なのが体育の授業中のマスクでございます。

 マニュアルにはきちんと、体育の授業のときには基本的には着けなくてもよい的な書かれ方をしていますけれども、ただし、やはり当然ながら、密になるような場面では着けておく必要もあるというような書き方もなされていて、これは受け取り方によって、ある学校ではマスクを持ってくるのも自由、体育の授業中、着けるのも着けないのも自由というような取組をされている。ある学校では、持久走中にさえも、たまに接近することがあるということで着けさせているところもある。逆に言うと、着けておけというのは簡単なんです、何かあったときの責任回避になりますから。

 ところが、前に予算委員会でしたか、大臣にもお伺いしたときに紹介された富山市の事例だったと思うんですけれども、できるだけ着けさせたくないから、教師が巻尺を持って一生懸命努力して、着けさせないで卒業式をやったというような取組もあります。やり方次第で、同じマニュアルの表記でも、現場によっては真反対の方向性に行ってしまうわけです。

 そこで、特にこれから夏になります、私は健康被害がとても心配です。昨年ですかね、中国では、やはり運動中に子供たちが亡くなるという事例が何件か報告されております。是非、そういうことがないように、特に最近、非常に変異株のあおりのおかげで、世論というか、大変その方向性が少し強まっているところがありますので、着ける工夫ではなく、運動中の外せる工夫をすべきである、そういったことを改めて何らかの効果的な伝達を各学校にしていただきたいと思うんですが、これも文科省にお伺いしたいと思います。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 運動を行う際のマスクの着用についてでございますけれども、そうやって着用した場合に、十分な呼吸ができなくなるリスクですとか、あるいは熱中症によるリスクが指摘されているところでございまして、スポーツ庁では、昨年、児童生徒の間隔を十分に確保するなどの感染症対策を講じた上で、体育の授業等においてはマスクの着用は必要ない旨の通知を行い、委員御指摘の衛生管理マニュアルにも記載させていただいているところでございます。

 また、本年の四月にも、熱中症事故の防止に関する通知を出させていただきまして、その中におきましても、体育の授業や運動部活動におけるマスクの着用は必要ないことをお示しするとともに、教育委員会の担当者ですとか、あるいは指導主事等を集めた会議等でも、その旨を周知しておるところでございます。

 また、学校に限らず、運動、スポーツを実施する場合の熱中症対策、熱中症の防止とマスク着用の留意事項につきましても、地方公共団体のスポーツ担当部局に通知ですとか、あるいはチラシの送付、あるいはホームページやSNS等での発信など、周知に努めているところでございます。

 これから、まさに御指摘のように、暑い時期に向かう中、熱中症は命に関わる危険があるということを踏まえまして、体育の授業等においてマスクの着用は必要ないということ、その際には感染リスクを避けるための対策を講じることについて、引き続き注意喚起を行ってまいりたいというふうに考えております。

青山(雅)委員 ありがとうございます。引き続き、御努力をお願いします。

 今述べた二つの点につきまして、大臣、大変恐縮ですけれども、簡単に御所見をいただければと思います。

萩生田国務大臣 変異株への対応や、熱中症が懸念される場面でのマスク着用につきましては、これまでも衛生管理マニュアルや関連する通知等により、学校や学校の設置者に対して重ねて周知をしてまいりました。

 また、学校に求められている対応などについては、児童生徒や保護者、教職員等の学校関係者向けに、専門家のインタビューの動画の配信、具体的には、国際医療福祉大学で、よくテレビにも出られる和田先生ですとか、スヌーピーのネクタイをしていて有名な長崎大学の森内先生ですとか、非常に分かりやすく、いろんなワイドショーにも出て解説している先生との対談形式のユーチューブを配信しました。

 実は、その先生方は、テレビの中では適切な発言をしているんですけれども、どうしても言葉を切り取られて、そこだけがクローズアップされる場合があるものですから、そういう意味で、ある意味、恐怖心をあおるような報道が一部あったりすることは、私たちは残念に思っています。

 先生も御指摘いただいたマニュアルで、できるだけ現場の不安を取り除いて、きめ細かく、文科省としてはできる指示はさせていただいているつもりですし、私も、そういった意味では、別に変異株をばかにしているわけでも何でもなくて、正しく恐れようということで、そういう意味では常に恐れを持って接してはいますけれども、だからといって、そのエビデンスがないわけですから。

 そういう意味では、ここは通常の感染防止対策をしっかりやりましょうねということを全国に呼びかけておりまして、例えば、そういう中で、先日も記者会見で、去年からずっと同じことを言っているんですけれども、運動会などの学校行事の中止についてどう思うかと聞かれたものですから、修学旅行ですとか運動会ですとか学芸会というのは、子供たちにとってもかけがえのない学びの機会なので、直ちに中止を決定するんじゃなくて、可能性というのをしっかり模索してもらえませんか、各教育現場で是非考えてもらえないか、こう申し上げたら、タブロイド紙の夕刊紙で、私がこの状態の中で運動会をやれと言ったというような報道になって、また、それしか見ない人はそれに反応して、とんでもないという抗議が来たりするんですけれども、私、こういうときにはもう本当に皆さんが正しい情報をしっかり取りに行っていただくということが極めて大事だと思います。

 私、この感染状況の中で運動会をやれと言ったんじゃなくて、まだ新学期が始まって二か月しかたっていないわけですから、年間行事を見直す可能性はあるので、秋に先送りするようなことを考えてもらえないかということを申し上げたつもりなんですが、残念ながら正しく伝わっていない方がいらっしゃいます。せっかくの機会ですから、改めて触れさせていただきたいと思います。

 もちろん、変異株というのはどんどん変わっていく可能性があるわけですから、注視はしてまいりたいと思いますけれども、したがって、ゼロか十かじゃなくて、常にアンテナを高くしながら、子供たちも守りながら、できる学習の機会はしっかり確保していく、そのことに心がけていきたいと思っています。

青山(雅)委員 大臣がおっしゃったとおりだと思います。

 私も、大臣に関するそういった心ない中傷的な記事を読みまして、すぐさま反論をさせていただきました、私なりに。

 大変、文科省あるいは大臣のそういった御姿勢を評価する声も非常に高いのも、これもまた事実でございます。是非、今の客観的なおかつ根拠に基づく運営をこれからも続けていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、大学におけるオンライン授業の問題について触れさせていただきます。

 宣言後ずっとオンライン授業が続いているのも、私、若者の重症化率が非常に少ないにもかかわらずそういったことが行われているのがちょっと不要な対策だというふうに考えて、文科省にも何度か提言をさせていただきました。文科省の方からは、二度でしたか、できるだけ対面授業を再開するようにという、適切な通知が各大学になされていると承知しております。

 ところが、残念ながら、今回また緊急事態宣言等々で遠隔授業オンリーになってきたりとか、そういった流れが続いております。

 緊急事態宣言中はともかくとして、これが終わった際には、解除された際には、資料6を御覧いただきたいんですけれども、若者の感染率が高いのは、この感染症の特徴なんですね、別に若者が悪いわけではなくて。

 一方で、若者の重症化率というのは物すごく低くて、十代、二十代では〇・〇%なんですね、実は。つまり、ごくまれに、大変残念ながら、基礎疾患をお持ちの方とか、そういった方が重症化して亡くなることもゼロではないですけれども、この一年半余りで六人という、確率的に見れば大変に少ない数になっておりますし、重症率も非常に低い。これが、資料の2を御覧いただければお分かりのとおり、二十代でも重症者数、五月十九日時点ではゼロです。

 こういうのを見ると、やはりできるだけ若い人たち、大学生には、貴重な機会、対面を再開させてあげたいと思うわけですけれども、そういったことについて、緊急事態宣言が明けた折には速やかに対面授業再開を促すようにしていただきたいんですが、文科省さん、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省といたしましては、委員御指摘のとおり、コロナ禍の中にあっても、対面での授業あるいは実習への参加など、学生が様々な経験を得ることができる環境が重要であるというふうに考えておりまして、各大学に対して、学生に寄り添いながら、感染拡大の防止と、学生の学修機会の確保ということを再三促してまいったわけでございます。

 ただ、今御指摘があったように、今般の緊急事態宣言を受けまして、自治体からオンライン授業の活用について時限的な要請がなされている地域に所在する大学では、当該要請を踏まえ、オンライン授業の割合が増加しているということも承知しております。

 これはあくまで時限的な要請ということでございますので、文部科学省といたしましては、要請の期間終了後は当初予定していた対面授業を適切に実施するよう、各大学に対して通知等により周知しているところでございます。

青山(雅)委員 ありがとうございます。

 そして、これは余り実は注目されていないんですけれども、理系においては特に問題があるんですね。理系においては、当然ながら、実験や実習が行われているわけです。医療系の大学も同じです。

 実験は、単に実験の手技を見せればいいというものではなくて、自分が実際にやってみて、こうすると失敗する、でも、失敗の中からこういうことが学べる、あるいは、こういう過程が大事だということが肌で知ることができるわけですね。ここを省略されてしまうと日本の将来に極めて大きな禍根を残すことになる、そう思っております。

 また、当該学生たちも、もしこれがきちんとできなければ、自分が将来社会に出ても、あるいは研究生活に入っても、そこで大きなハンディを負うことになるわけですね。基礎的な素養が身につかないで社会に出てしまう、あるいは研究生活に入ることになるわけですから。

 そこで、この点については特に強く呼びかけをしていただきたいと思うんですけれども、これも文科省にできれば端的にお願いしたいと思います。

伯井政府参考人 実験あるいは実習、実技といった授業については、対面での指導、直接体験が特に重要であるということで、オンライン授業で完全に代替することが困難な場合が多いというふうに考えております。

 そのため、文科省においては、様々な工夫を講じた上でこれを行うこと、あるいは実施時期の後ろ倒しで、当初予定していた対面での授業を適切に実施することなど、配慮をお願いしているところでございますし、引き続き、各大学で実験、実習等を含む学修機会の確保と感染対策の徹底が両立されて、学生に寄り添った対応が十分に講じられるよう、好事例の情報提供とか、必要な助言をしっかり行ってまいりたいと考えております。

青山(雅)委員 よろしくお願いいたします。

 あと、時間の関係で、最後まで今日は質問したいものですから、二つまとめてお伺いします。

 資料7を御覧ください。大学生からのコメントを、ある大学で直接集めていただきました。

 一つ二つだけ紹介すると、若者は、大学生活も、大学の間にやりたかったことも全部我慢して、この一年おとなしく自粛していたけれども、社会では何もかも若者のせいという。若者は、スポーツ大会、体育祭など、おじさん、おばさんのGoToトラベルはオーケーで、若者は一年間様々なことを犠牲にしてきた。おじいちゃん、おばあちゃんはカラオケで楽しんでクラスターを起こしているが、若者は、給食や食堂では、警備員や先生に監視され、黙食をして、学校ではおしゃべりもしていない。

 別に若者は重症化しませんから、医療に負担もかけていないわけですね。そういう状況がある。

 それから、もう一点すごく気になっているのは、最近余り言われなくなってきたんですけれども、大学生の中でアルバイトで学費や生活費を工面している方は相当いるわけですね。今のように緊急事態宣言で飲食業とかが全部営業できないということになると、こういった方たちの収入が途絶えちゃって、学校をやめざるを得ない人がいるわけです。

 こういった若者の声、あるいは、そういった若者に何か金銭的な、経済的な支援ができないか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 冒頭、コロナ禍で、特に大学生を中心に、キャンパスに通うことができないで、本当に御苦労いただいている学生がいらっしゃることは承知しています。

 私も大学関係者の皆さんとも度々お話をさせていただいて、オンラインが決して悪いというふうに否定するつもりはないんですけれども、特に今御指摘のあった実習を伴う学科などは、やはりそれは画面上で分かることじゃないですから、現場に来て直接やらなきゃいけないということで、対面とオンラインのハイブリッドを是非進めてくれと、最低でも。基本は対面なわけですから。対面じゃなきゃ、通信大学なわけですから。

 そういったことをかなり厳しく申し上げてきて、この四月からかなり改善方は見えたんですけれども、再び緊急事態宣言になりましてからは、今オンラインにまた戻っている状況があります。これは、事態が好転しましたら是非対面授業を再開していただくように、改めて各大学にもお願いしたいと思います。

 あわせて、そのことを昨年一年間調査して、実は、やはり最高学府ですから、思考停止になってはならない、大学こそ工夫をして、感染リスクをゼロにすることはできないわけですから、その中で最高の教育を提供できるのはどういう方法があるかを考えてほしいということをお願いして、さっき局長から答弁させましたけれども、様々な工夫をしている大学はたくさんあります。

 したがって、そのことをグッドプラクティスとして紹介をしたり、あるいは、対面の比率などについてアンケートを取ったものを昨年の暮れに、十一月に発表したんですけれども、このときに大学関係者は、発表するな、しないでくれということを随分おっしゃいました。何でかなと思ったら、受験生である皆さんはすごく敏感で、やはりそういうことをよく見て、こういうコロナ禍にあると学校がどういう対応をするのか。例えば、授業料の一部返還をするとか、あるいは補助を出すとか、食堂をただで開放するとか、あるいは、一クラスを半分に切って、教授は大変ですけれども、授業を二回やっている大学などを紹介しましたところ、そういう学校は物すごく受験者が増えているんですよね。

 ですから、そういうことはすごく敏感なんだなということが分かりましたので、いい意味で、そこはしっかりこれからも横展開をしていきたいなと思っているところでございます。

 いずれにしましても、大学生がかけがえのない四年間、あるいは大学院を入れても六年間、こういう中で学校に来る機会がないということではならないと思いますので、これは関係者の皆さんにも御協力をお願いして、しっかりやっていきたいと思います。

 その上で、御指摘のように、アルバイトで生計を立てている学生さんがいらっしゃるのも事実でございまして、昨年一年間でパッケージをつくりまして、まずは高等教育の新支援制度、これは年度途中であっても家計の事情が変わった場合は手を挙げてください、使ってくださいということを申し上げましたし、また、給付型のみならず、授業料減免など、経済的に困難な学生への支援の拡充ということで、貸与型の奨学金、無利子のもの、それからワンショットのもの、ワンショットというのは、三か月間だけ取りあえず使って、バイトが再開したらその中からまた少しずつ戻しながら学生生活を続けたらどうですかという、そんなことも始めさせてもらいました。

 厚労省の方の新型コロナウイルス対応休業支援金・給付金で、学生アルバイトの休業も支援の対象となるんですけれども、これは経営者側が申し出ていただかないとなかなかできなかったわけですけれども、こういったものも、加えて、改めて緊急特別無利子貸与型奨学金、これは年度末で一回終わりにすることにしましたけれども、四月以降も今募集をさせていただいておりますので、こういったものを使っていただきたいなと思います。

 いずれにしましても、大学をやめるとかいう判断をしないように学校にも丁寧な対応をしていただいて、何としても中途退学者などが増えないように、また、休学する場合には復学ができるような仕組みも含めて、学校側とも今お話をさせていただいて、このコロナ禍で学修の機会を失うことのないようにサポートしていきたいと思います。

 最後に、東京も大阪も、今、大規模接種会場、国がやっているものにつきましては、防衛省の方で大変御協力いただいているんですけれども、もう既に報道にありますように、今、各大学のキャンパスを接種会場として使えないかというヒアリングをしておりまして、かなりの大学から協力の申出が来ています。自治体に合わせて協力する場合と、大学独自に施設を貸す場合と、大学のスタッフも含めて協力する場合と、この三つのカテゴリーに分かれるんですけれども、そこではアルバイトを失った学生の皆さんに是非誘導などのバイトに入ってもらおうということも今検討しているところでございまして、何があっても大学生の皆さんに寄り添いながら、しっかりサポート体制を強化していきたい、そんな思いでございます。

青山(雅)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 最後にもう一点だけあったんですけれども、時間がなくなりましたので、お願いだけしておきます。

 小中学生が、本当に大きな荷物を抱えて学校に通っております。これはすごく心配です。なぜかというと、動きがやはり鈍くなるので、交通事故など心配です。御答弁いただくお時間がないものですから、そのお願いと、またこの続きは、その点については厚労委員会で、子供の健康という意味で関係ありますので、御答弁いただきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

左藤委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 今日は、東京オリンピック・パラリンピックについて、それを中心にお聞きしようと思っておりますが、まずその前に、教職員あるいは教育関係者へのワクチン接種について大臣に尋ねたいと思います。

 もちろん、これは教職員、教育関係者のみならず、いわゆるエッセンシャルワーカーという方々にできる限り早くワクチンが接種できるようにしていただきたいという思いですが、ここは文部科学委員会ということもありますし、所管の関係もありますので、教職員、教育関係者へのワクチン接種についてお尋ねをしたいと思います。

 今回、第四波ということで、第三波までとはいろいろ違う面が指摘をされております。急速に症状が悪化するだとか言われておりますが、その中の一つに、従来株であれば、若い人、とりわけ十二歳とか十三歳、いわゆる小学生、中学生、あるいは未就学含めてそれほど重症化しないと言われていたものが、この第四波では少し様相が違ってきているという話がございます。実際、全国でも、いわゆる学校でクラスターが発生をして、そして休校になる、こういうことも現実には起こっておりますし、私の地元大分でも、幾つかの学校でクラスターが発生をして休校になるというようなことが起こっております。

 そういう中で、例えば、一旦感染者が出ますと、学校での教育活動は一時的に停止をしてしまう。消毒作業を行ったり、あるいは、PCR検査が学校で行われる場合は、二、三日は休校になる、教職員がその検査の手伝いをする、こういうようなことも言われております。

 是非、ここは大臣、以前にも一度、河野担当大臣ともお話しされたとは聞いておるんですが、いわゆるエッセンシャルワーカー、文部科学省が所管するとすれば、いわゆる学校、幼稚園ということになると思いますけれども、そこの教職員等々について、できる限り早いワクチンの接種をお願いをしたいというふうに思います。

 実際、これも報道ベースでしか知りませんけれども、福岡県ではもう今週末ぐらいから開始をするという報道もされておりますので、是非、その点について、大臣からの御答弁をいただきたいというふうに思います。

萩生田国務大臣 まず、ワクチンの優先接種については、重症化リスクの大きさや医療提供体制の確保といった観点も踏まえて、専門家の議論を経て決められているものと承知しております。

 一方、複数の市で教職員に優先的に接種する方針を示していることも承知しておりますが、文科省としても、学校で教育活動が円滑に行われ、保護者を含めた地域の皆さんが安心して働くためには、多くの児童生徒に日常的に接する教職員の感染を防ぐことが重要だということは考えております。

 以前ちょっとお話ししたかもしれませんが、自治体で学校を接種会場として開放できるように通達を出してくれというふうに河野大臣から言われたときに、その場合には、その学校の先生方が、やはり責任感があるので、出てくるんですよね、土曜日なども。

 ですから、仮にキャンセルがあった場合などは優先的に打つことを認めてくれないかと言ったら、それはもう、自治体と相談して、そうしてくださいということなので。例えば、私の地元などでは、今、二十会場ぐらい小学校の体育館などを使っておりまして、そういう場合には、先生方にも順次打っていただいております。

 また、さっきちょっと触れさせてもらいましたけれども、大学のキャンパスを開けようと、今準備をしています。この場合には、大学関係者や、もっと言えば、大学生や教職に携わる幼稚園の先生、小学校、中学校の先生方、是非打たせてもらいたいという気持ちがあるんですけれども。当初は、ワクチンの総数がまだ見通しがつかなかったり、打ち手の数の問題があったりして優先順位を決めてきたと思うんですけれども、高齢者が一通りめどがつけば、次のフェーズに入ると思いますので、私から、学校の先生方こそエッセンシャルワーカーなんだ、こう言ってさしあげたい気持ちはあるんですけれども、自分たちの所管のところをなかなかお互いに言いづらいところもあるんだと思いますので、冷静に考えていただいて、優先順位を上げてもらいたいと思っています。

 東京都などは、既に、消防士や警察官を別会場で打つということも決めましたので、どんどん動いていると思いますので、その中で、できれば教育関係者を先に打たせていただいて、先にといいますか、できるだけ早く打たせていただいて、安心を提供したいという気持ちに変わりはございませんので、政府全体でしっかり検討していくように声を上げていきたいと思います。

吉川(元)委員 是非よろしくお願いします。

 もちろん、エッセンシャルワーカーと言われる方々はほかにもたくさんいらっしゃいますし、また、その方々がコロナに感染して実際仕事ができなくなるようになると、社会がその日から麻痺をしてしまうような、あるいはその地域が麻痺をしてしまうようなこともありますので、その点はしっかり、政府内でもそれぞれ、まあ、自分のところだけ言いにくいというお話でございましたけれども、お互い率直に、これは必要なんだというようなことは出し合っていただきながら、お願いをしたいというふうに思います。

 次に、東京五輪・パラリンピックについてお聞きをしたいと思いますが、ちょっとその前に、先ほど同僚議員が東急エージェンシーとの委託契約に関して布村さんの方にお話を聞いたときに、ちょっとどうしてもよく分からないところがあったので、一点だけ、それをまず確認させてください。

 私もこれを同僚議員から見させていただきました。内訳書の中に、一日当たりの人件費として三十五万、実際にはこれは四十二万だというお話ですが、それ以外にも、スタッフが一日十万とか、スーパーバイザー二十万とか、こういう数字が出ています。これは非常に不自然な数字ですし、実際にこんなに払われるわけはない。払われているとしたら、それはそれでまた問題だとは思いますけれども。

 先ほどのお話を聞きますと、いわゆるバックヤード等々の費用がこの中に含まれているんだというお話でございました。

 この内訳書というのはまさに内訳を書いているわけで、もし仮に、バックヤード等々の費用がかかるんであれば、それはそれで内訳書の中に明らかにしなきゃいけないんじゃないんですか。そうしないと、要は、例えばディレクター、この方は三十五万ですというふうに向こうから言われて、もしかすると、そんなことはないと思いますけれども、言い値をそのまま、ああ、そうですかといって受けて契約しているんですか。その点、どうですか。

布村参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたが、委託契約書を資料として拝見させていただきました。また、それに伴う仕様書というものは契約書と一体となっている文書と認識しておりますけれども、お示しいただいた内訳書は、本当に参考資料で、当事者が自分の検討のために作ったものというふうに認識しており、一般的に、その数字の中には一人一人の人件費以外の、バックヤードの経費あるいは様々な経費が含まれているという認識を御説明申し上げたところでございますので、そういったことで、この内訳書については、直ちにそれが日額一人当たりの人件費ではないのではないかということを申し上げた次第です。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、仕様書等があるというわけですけれども、じゃ、その仕様書の中には、具体的にバックヤードは幾らかかっているとか、そういうものは出ているという理解でいいんですか。

 普通、一般的に考えれば、内訳というのは、例えば、これだけですと請求が来たとき、その内訳を見せてくださいといった場合には、より詳細なものがそこに記入されているのが世間の常識だと思うんですよ。

 仮に、バックヤードの費用が幾らかかるとかというのは、じゃ、それは組織委員会として把握をしているということでいいんですね。例えば、実際に払われる金額は、個人に払われる金額はこれだけ、バックヤードとしてこういうものが必要で、これについては幾ら、これについては幾ら、そういうものは全部持っているということでいいんですね。

布村参考人 先生御指摘のとおり、契約に当たりましては、内訳書をお互いに、受託者の方から提供いただいたりして、実際のそれぞれの個別の人件費などをある程度合意した上で契約をするという作業は実際行っているものと認識しております。

吉川(元)委員 じゃ、その資料を出してください。

 やはり、これは国民の疑念を招くんですよ。

 恐らく、この間の、今日の答弁、それから前回の答弁を聞いておりますと、いやいや、これはバックヤードの、ほかの費用もいっぱい入っています、この人だけの人件費ではありません、ちゃんとそこは、今、話はしているんだというようなこともされておりますから、じゃ、その資料はあるはずですから。

 全員出せとは言わないです。例えば、ここで三十五万と書かれている人、ここには実際にはこういう費用がこの中に金額として含まれているという、その資料はあるんですよね。それを出してください。

布村参考人 お答えいたします。

 先ほど来、仕様書の中身の話ですとか、どのような査定状況にあるのかという御説明はさせていただきましたけれども、民間企業との業務委託契約につきましては、原則守秘義務という形でお互いに契約しておりますので、その詳細について、具体的な数値について明らかにすることはできないということで御了解いただければと思います。

吉川(元)委員 先ほどから、民民の間の守秘義務を盾に取られて、何の答弁もされないわけですけれども、じゃ、国民に対する説明の義務はどう果たされるおつもりですか。

 少なくとも、こういうものが表に出ているわけですよ。しかも、これは実際に内訳だと。だとすれば、この中身について、国民の皆さんの疑念を晴らすような説明をすべき、またその説明を裏づける資料を国民の皆様に見せない限り、国民の疑念は深まるばかりですよ。

 私は、組織委員会のために言っているんですよ。これを明らかにしなかったら、あっ、一日三十万という話になりますよ。あるいは三十五万、四十二万という。

 大臣、どうですか、担当大臣。

丸川国務大臣 私もこの資料を拝見したんですが、これはパラリンピックに関わる部分ですと公費が関わってまいりますので、確実に、私どもは、この支出が国から組織委員会に対してなされるときに、中身はしっかり精査をさせていただくということになろうかと思います。

 組織委員会は公益財団法人ですので、通常、公益法人、財団法人に求められる情報開示というのがありますが、ここまでのところはそれを上回る形で情報開示を行っているということは承知をしております。ただ、日本国民の関心は非常に高い、しかも国際的な大会でありますので、当然、より高いレベルでの透明性が求められるということになろうかと思います。

 それで、組織委員会がパートナーからの協賛金などによって自ら収入を確保して行う事業については組織委員会しか明らかにできませんので、これは、組織委員会がしっかりと御自身のルールにのっとる形で御説明をしていただきたいと思います。

吉川(元)委員 結局、非常に疑惑の目で見られているんですよ。そのことは自覚されていますか、組織委員会として。ああいう報道が出て、抗議はされたということでしょうけれども。

 そうしたら、そうではないんだということを、それは、ここのやつを全部出せとは言わないですけれども、例えばという話で、こういうことで打合せをしております、決して、随契ではあるけれども、やらずぶったくりのような、そういう契約はしておりませんということを、それはやはり説明しないと、国民の皆さんになかなか納得していただけないですよ。

 是非資料を出していただきたいというふうに思いますし、委員会としても、資料の提出を是非お願いしたいと思います、委員長。

左藤委員長 理事会でまた協議させていただきます。

吉川(元)委員 それでは、通告をしておりました質問に入っていきたいというふうに思います。

 いよいよオリンピックの開会までもうあと二月を切りましたし、二日前から既に、サッカーやそれからソフトボールの試合も、もうオリンピックでスタートをするという状況になっております。

 ところが、残念ながらといいますか、本当にオリンピックを開けるのかと。私も地元を回っていろんな方にお話を伺うと、こういうふうに聞かれます。本当にこの状況でオリンピックやるんですか、やれるんですか、こういう質問が出されます。私も答えようがなくて、大変厳しい状況ですねとしか言いようがないんですけれども。

 実際、アンケート、各新聞社等々が世論調査しておりますけれども、そうしますと、大体六割ぐらいが、もう中止をすべきだというふうに言っておりますし、最近は余り質問が出ていないようですけれども、中止若しくは再延期、つまり、この夏のオリンピックはやるべきではないと答えられている回答が八割前後にまで上っております。

 あともう一つ、私もちょっとびっくりしたんですけれども、びっくりといいますか、まあそうだろうなと思ったんですが、いわゆるオリンピックを開く地元の、まさにこの東京都でも、先日、世論調査の結果が出ておりましたが、オリンピックについてどう思うか、オリパラについてどう思うか、これは東京新聞ですけれども、六〇・二%の方が、中止をすべき、中止するというふうに答えております。

 大臣、率直なところ、この調査結果をどう受け止めていらっしゃいますか。

丸川国務大臣 東京大会を開催することによって感染が拡大してしまうのではないかという不安を持たれている方が多くいらっしゃるということが、そうした調査に表れているのではないかと思います。

 どういう形で感染拡大するかということについては、一つは、外国から選手や関係者の方がやってくる中でそうしたウイルスを持ち込むのではないかという不安、もう一つは、観客の方が往来をする、競技場へ行く、また帰る、こういうことによって生じる人流によって感染者が増えていくんじゃないか、そういう御不安だと受け止めております。

 こうしたことに対して、私どもとしては、まず、大会関係者が持ち込まないようにというのはかなり厳格にルールを改めさせていただきまして、毎日検査するというのが、アスリート及びアスリートの周りで一緒に行動する方たち。また、国内の方々と決して行動範囲が交わらない形で、行動を厳格に管理するということの実効性を担保する作業を今詰めているところでございます。

 一方で、地域の医療への負荷ということに対しても国民の皆さんは御不安だと感じておりますので、地域医療に支障を生じさせないというために、スポーツドクターの方々に御協力をいただく形で必要な医療体制を整えていくということを、今、組織委員会が進めております。

 こうしたことの背景に、もう一つ、ワクチンの接種が十分に進んでいないということは大変大きくあろうかと思います。

 今、東京、大阪で、一日一万五千件を目指して、希望する方にワクチンをということをやっておりますけれども、更にこれを、地域を拡大していくことであったり、また、国として、医師、看護師以外の方にも御協力を仰いで接種を進めていくこと、また、医療機関の報酬を更に上乗せをしていくというようなことにも取り組みながら、全体として、まず感染拡大の状況をしっかりと抑えていくということに取り組んでいきたいと思っております。

吉川(元)委員 一年前にそういう答弁だったらまだ分かるんですけれども、もう二か月を切っているんですよ。

 ワクチン接種が進んでいないというお話がございました。七月の末までに六十五歳以上の方については二回の接種を終えるということを政府は目標にして今取組を進められていますが、恐らくそうはならない可能性の方が大きいというふうに思います。実際、私が聞いたところでは、同僚議員も含めてですけれども、六十五歳以上の方、一回目の接種が七月の終わり、つまり二回目は八月以降。

 そういう中で、これはもうスピードを上げようにも上げようがないわけで、ワクチン接種が進んでいないから理解が進んでいないんだったら、これは理解が進まないということですよ。今おっしゃった、ワクチン接種が進んでいないから皆さんが不安に思われているということは、大会までの間にその不安は払拭できないということになるんじゃないですか。どうですか、その点。

丸川国務大臣 ワクチン接種が進んでいないことも一つの背景だろうと思いますので、引き続き、国としてはしっかりワクチン接種に取り組んでいくということを申し上げた次第でございます。

 また、それ以外にも、さらに、人流対策ということについては、今現状、検討を進めているところでありまして、これは、東京都、そして組織委員会、また国、これが協力する形でしっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 私が聞いたのは、ワクチン接種が進んでいないから、オリンピックについて不安に感じられているその一つの要因だと。

 じゃ、この要因は解消できないですね、大会までの間に。それでいいですね。

丸川国務大臣 政府においては、一日百万件の接種を目指して、現在、打ち手の確保、また、各自治体での接種の更なる加速化に取り組んでいるところでございます。

吉川(元)委員 大臣がおっしゃったから言っているんですよ。オリンピックに対してなぜ理解が進まないのかといったときに、その一つの要因としてワクチン接種が進んでいないからと答弁されたんですよ。この不安は解消されないですねと聞いているんです。

 オリンピックがスタートするときには、最大のスピードでやったとして、六十五歳以上の人、希望者の、まあ多くは接種できるかも分からない。だけれども、それ以外の方はほとんどまだ接種できていないんですよ。ということは、ワクチン接種というのは、オリンピックが開かれるまでに、例えばイギリスだとかあるいはアメリカ並みにワクチン接種が進むことはないわけでしょう。それだったら、じゃ、不安は解消されないということでいいですね。

 そうやっておっしゃったから聞いているんです。

丸川国務大臣 七月の終わりまでに六十五歳以上の方たちにワクチンを、全て二回の接種を終えるということを政府は目標にしております。

 何%接種率になれば国民の不安が解消されるかというのは、実際そこまで進んでみないと何とも言えないことでございますけれども、できる限りワクチンの接種を進めていく。同時に、それ以外の不安に感じられる要因もしっかりと取り除いていくべく取組を進めていくということでございます。

吉川(元)委員 何%になったらどうという話じゃなくて、圧倒的多数の国民は、まだワクチン接種が終わっていないんですよ、七月末までには。今の、高齢者、六十五歳以上の方についての二回接種だって、かなり難しいというのが現状なんです。

 ということは、国民の理解が進んでいないというのは、ワクチン接種が進んでいないというのが一つの、一因にあるというふうに答えられる以上、そこに起因する不安については、残念ながらオリンピックの当日になっても解消されない、されていない、その部分についてはということでいいですねと聞いているんです。

丸川国務大臣 ですので、何%の方がワクチンを打てば安心だと感じるかということを今ここで私が何か申し上げることはできませんが、ただ、背景にはそういうこともあるのではないかと思っておりますので、政府を挙げてワクチン接種が加速するように自治体を支援し、また、国自らが接種会場を設けているということを申し上げております。

 それだけが要因ではないと思いますので、しっかり不安の払拭に努めてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 なぜこうやってしつこく聞くかというと、おっしゃっていることが人ごとなんですよ、聞いていると。自分たちの責任でもって、安心、安全の大会にするためにこういうことをやって、そしてこうなった場合にはこうします、こうなった場合にはオリンピックはやめます、そんなことは一言も発することなく、国民の不安を解消できるように頑張ります、こうやって言っているだけなんですよ。だから聞くんです。

 これは、同じ東京新聞の都民の意識調査ですけれども、菅総理の、国民の命や健康を守り、安全、安心の大会を実現することは可能、まさに今大臣がおっしゃっていること、それをもうちょっと広く言ったような言葉です、これについて納得できますかといったら、納得できない方が約七割いらっしゃるんです。

 それは、結局、今言ったような、例えば、ワクチン接種が進んでいないから大会について不安を感じている。だけれども、大会までの間にワクチン接種は劇的には進まないんですよ。だとすれば、それは不安が残ったまま大会に突入するということになる、私はそういうふうに思います。

 もう一点確認させていただきたいんですが、今年のこの常会のスタートの総理の施政方針演説の中で、これもほかでも指摘されていると思いますけれども、夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして実現をするという決意を表明されましたが、残念ながら、そういう状況ではないということでよろしいですね。

丸川国務大臣 まずは、政府としては、やはり感染拡大の防止に全力で取り組んでおります。その上で、新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと講じて東京大会を開催すべく、現在、関係者が一丸となって準備を進めているところでございます。

 新型コロナウイルスの克服に全力を尽くし、安全、安心な大会を実現する、まさに人類がウイルスに打ちかったあかしとして東京大会を開催できるように、内外の感染状況等を注視しつつ、引き続き、IOC、東京都、組織委員会等と緊密に連携して準備を進めてまいります。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、それも大会の一年前だったら、ああ、そうですか、頑張りましょうねと言えるんですよ。二か月前ですよ、今。打ちかったあかしと言っているんですよ。それはもう無理ですねと。

 それは、国内ももちろんですけれども、世界的に見ても、変異型が世界中でいろいろなタイプが出てきて、一日当たり何万、何十万という方が亡くなっているわけですよ。しかも、ワクチンに関しては、圧倒的多くは先進国、日本はその中では特異な部類にはなりますけれども、ほとんどの、多くのワクチンが先進国に集中していて、途上国には行き渡っていない。その中で行われる、仮に行われたとしても、これは、正直言って、コロナウイルスに打ちかったあかしではないでしょう、少なくとも。その点ぐらい認めたらどうですか。

丸川国務大臣 CDCがレベル4を出したということでニュースになっておりますが、実はヨーロッパも、イギリスを除いてほとんどレベル4でございます。

 そうした中で、各地で、三十か国、四十か国といったところから選手を招いてスポーツイベントが行われております。また、アメリカも、アメリカ自身レベル4でございますが、NFL、NBA、実際に行っているところでございます。

 このように、コロナウイルス感染症が拡大している中でも、それぞれに努力や工夫を重ねながら、スポーツを観戦する喜び、あるいは選手の努力を共有する喜びというものを、今、世界中、各地で分かち合っている。まさに、安全、安心な大会を実現するということ自体が、人類がウイルスに打ちかったあかしだということだと思います。

吉川(元)委員 ちょっとそれは余りにも無理があるんじゃないんですか、正直言わせていただいて。本気でそんなことおっしゃっているんですか。だったら、もう担当大臣を辞められた方がいいですよ。そんな方が担当大臣をやっていたら、本当に大変なことになりますよ。

 余りもう時間が残されておりませんので、ちょっと、ほかにもいろいろお聞きしたいんですが、大臣、ちなみに、私も見たんですけれども、このプレーブックは読まれましたか。

丸川国務大臣 プレーブックを作る側の作業をする側におりましたので、内容は承知しております。

吉川(元)委員 読ませていただきまして、ちょっとこれは日本語としていかがなものかと。

 昨日聞いたとき、ドラフトを作ったのはIOCだということですから、恐らく、英語なのかフランス語なのか分かりませんけれども、そこからいろいろ議論しながら日本語の訳も作ったんだろうと思いますが、非常に読みにくい日本語でありまして、その中には、例えば、これは意味が分からないんですけれども、「テレビ放送やかつてないオンライン取材の拡大により、この非常に困難な時期にトレーニングを続けてきたアスリートのパフォーマンスは、世界中の何十億もの人々に必要とされている前向きな姿勢と希望を与えるものとなります。」、何を言っているのかさっぱり分からないですよ。これはまあいいです。

 この中に、ちょっと気になるのが、結局、先ほど総理も安心、安全な大会を開く、開くというふうにおっしゃって、これはプレーブックにいろいろ書いています。その中に、「責任とリスク」というところに、「あらゆる配慮にもかかわらず、リスクや影響が完全に排除されるとは限らないため、オリンピック・パラリンピック競技大会へ自己責任で参加することに同意するものとします。」、こういうことでよろしいんですね。

十時政府参考人 お答えいたします。

 プレーブックについての御質問がございました。

 安全、安心な大会運営を確保するとともに、国内にお住まいの方々と交わらないようにするために、選手及び大会関係者については、用務先を宿泊施設や競技会場、練習会場等に限定し、それ以外の移動は禁止すること、宿泊施設は、組織委員会が管理するホテルや地元自治体と協議の上で登録したホテルに限定し、組織委員会が管理者を置くなど宿泊する関係者の行動を管理すること、ルールに違反した場合は大会参加資格を剥奪するなどの措置を講じることとしておりまして、具体的な管理の体制等については、組織委員会において個別に検討を進めているところでございます。

吉川(元)委員 ちょっとひどいですよ。私が聞いたのは、参加するのは自己責任ですと書いてあるから、例えば、何かあったときは全部自己責任ですよというふうにプレーブックに書いてあるけれども、これでいいんですねといって、私は大臣に聞いたんですよ。

左藤委員長 丸川大臣、答えられますか。(発言する者あり)

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

左藤委員長 速記を起こしてください。

 丸川大臣。

丸川国務大臣 参加は強制されるものではないということであったり、あるいは、リスクを評価するのは御自身であるという意味だと思います。

 他方で、何かそこで起きたという場合には、当然、主催者の側にも責任が生じますので、それは、その話とはまた別ということだと理解をしております。

吉川(元)委員 これは、よく読んできてください、大会二週間前から、よく読んでください、改訂版も出ますと。その中に、参加するのは自己責任です、これに同意しなさい、これを守らなかったら大会から追い出しますというようなことまで書いてあるんですよ。そんなことも知らない。自分でお作りになったと言われたじゃないですか。

 いやいや、大臣に聞いているんです。大臣は、読まれたし、自分もそこに参加したと言っているから、そういうことを聞いているんです。

丸川国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、参加するしないをお決めになるのは、御自分でまずリスクを判断してくださいということです。

 他方、そこで起きたことに対して、実際に参加したときに起きたことに対してどうするかというのとは、ここに書いてあることとはまた別の対応が必要になるものと承知をしています。これは主催者において判断をされるべきものであると考えております。

左藤委員長 申合せの時間が経過しておりますので。

吉川(元)委員 これは、例えば普通にオリンピックに参加して、競技中の事故で骨折をしました、捻挫をしました、それはそうだと思います。だけれども、今回はコロナという中で、コロナを感染拡大させない、しない、そういう中で作られている。そのために安心、安全な大会を開くとさんざん言ってきたじゃないですか。ところが、ここを見たら、かかったら自己責任です、これがプレーブックの中身ですよ、大臣が作るのに参加したと言われた。しかも、それをまともに答えられない。

 ちょっと私は、もう時間がないのでこれで終わりますけれども、非常に無責任だというふうに思います。

 以上で質問を終わります。

左藤委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 まず初めに、東京オリンピック・パラリンピック大会について伺います。

 IOCのジョン・コーツ副会長は、五輪東京大会の準備状況を監督する調整委員会の委員長でもありますが、組織委員会と調整委員会との三日間の合同会議後の五月二十一日の会見で、東京に緊急事態宣言が発令されていても大会は開催するかと問われ、絶対にイエスだ、緊急事態宣言下であってもなくても十分安全で安心な大会を開催できると助言を受けていると答えました。

 緊急事態宣言下でもオリンピック、パラリンピックをやるというのは、国民の健康、命よりもオリンピック、パラリンピックが大事だということではありませんか。日本政府も同じ考えなのか、丸川珠代オリパラ担当大臣に伺います。

丸川国務大臣 日本政府は、日本国民の安心、安全が第一です。

畑野委員 丸川大臣も、これまで様々な場で、地域医療に負担にならないようにしたい、医療現場に負荷をかけないことは前提だとおっしゃってこられました。こうしたこととも矛盾するこのコーツ氏の発言ですので、きちんとIOCに抗議すべきだと思いますが、いかがですか。

丸川国務大臣 今後、協議が続いていきますので、IOCにはしっかり私どもの考えをお伝えをしたいと思います。

畑野委員 しっかりと抗議をしていただきたいと思います。

 政府の基本的対処方針分科会メンバーの舘田一博東邦大学医学部教授は、五月二十一日、報道陣に対して、東京で緊急事態宣言が出されている状況でオリンピックができるとは思わないし、やってはいけないというのがみんなのコンセンサスだと指摘されました。五月二十三日のNHKの番組に加藤勝信官房長官とともに出演した際も、同様の発言をされています。

 組織委員会は、こうした政府の専門家の御意見を聞いているのでしょうか。

丸川国務大臣 組織委員会は、大会の運営のために講じる具体的なコロナ対策の助言をいただくために、東京二〇二〇大会における新型コロナウイルス対策のための専門家ラウンドテーブルというのを先月設置しました。この構成員の中に、政府のコロナ政策分科会、またコロナ対策調整会議のメンバーが含まれています。

畑野委員 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も、東京オリンピック・パラリンピックの是非について、大会期間中の地域医療への負荷を検証した上で判断すべきだと様々な場で発言をされています。

 そこで伺います。

 大会に必要な医療従事者を一万人から七割に削ったと聞きました。しかし、今、ワクチン接種でも、医師、看護師不足に対して各地で悲鳴が上がっております。私も、地元に行きますと、本当にどうなっているんだ、どこに行ったらいいんですかと、もう毎日訴えられるわけです。

 コロナ対応で医療崩壊となっている地域もあります。七千人の医療従事者であっても、それは日本の医療の負担になるんじゃないでしょうか。

 具体的に伺います。

 七千人の内訳として、医師、歯科医師、看護師、理学療法士、検査技師等、それぞれ何割なのか、お示しいただきたい。

 また、医師でも専門は様々あるんです。特に、こうした大会に必要な医師は、救急対応ができる医師が必要だと聞いています。こうした救急対応のできる医師の数について、組織委員会として、本来必要な人数はどれぐらいと見ているのか、今確保されているのはどのぐらいなのか、伺います。

丸川国務大臣 見直し前の内訳というのは分かっておりまして、医師、歯科医師がおよそ三割、看護師がおよそ四割、そして理学療法士がおよそ一割で、検査技師等が一割弱程度ということでございますが、組織委員会の中で相当見直しを行っておられて、数としては、当初計画の三割程度削減しました。そのうちの八割ですから、〇・七掛ける〇・八ということになりますが、そこは確保されているということなんですが、それがどういう分野を確保したかというのは私どもにはまだ明確にはお伝えいただいておりませんで、まだ削減できる余地があるのではないかという調整をしながら、一方で、スポーツ外傷、整形外科分野の先生方というか、スポーツドクターと言われる分野の先生方に御相談をしている。

 私どもの方からは、そういう先生方でも、地域医療の方から接種協力のお声がけがあったときには是非応じていただけないかということについては、お声がけしていただくようにということを申し上げております。

畑野委員 あわせて、組織委員会は、指定病院について、これまで都内十か所としていました。その後、調整委員会後の会見で、橋本聖子会長は、九つの病院に内諾を得たとおっしゃっています。うち、現在、コロナ患者を受け入れている病院は幾つですか。都外に設けるとしている二十の指定病院についても伺います。

十時政府参考人 お答えいたします。

 アスリートへの外傷等を中心とする治療に当たるため、大会指定病院を確保することとしており、現在、都内九か所の病院からおおむね内諾をいただいているほか、都外二十か所の病院とも組織委員会が調整を進めていると承知をしております。

 大会時のコロナ対応については、各自治体が行っている入院調整の仕組みの中で御対応いただくことを基本として、現在、組織委員会がそれぞれの自治体の意向も踏まえつつ丁寧に調整を行っているところと承知をしておりまして、コロナ対応を大会指定病院に限定せず、また、アスリート専用の病床の確保も求めるものではないというふうに伺っております。

 政府といたしましても、地域医療に支障を生じさせずに必要な医療体制を確保できるよう、引き続き、関係者と連携を図ってまいります。

畑野委員 ちょっともう一つ確認なんですけれども、これらの指定病院に合わせてどれぐらい病床確保を依頼しているのか、その数は分かりますか。

十時政府参考人 お答えいたします。

 ただいまも申し上げましたとおり、大会指定病院の確保に当たりましては、組織委員会が、現在、都内、都外、それぞれ調整を行っているところでございますが、アスリート専用の病床の確保というものを求めるものではないということで、こういった数字については、ないというふうに承知をしております。

畑野委員 尾身会長も、地域医療の負荷を検証した上で判断すべきとおっしゃっているわけですね。だから、今現に国内のコロナ感染の対応をしているのかどうかを含めて、これは必要な情報なんです。だから、組織委員会も政府に明らかにする責任があると思います。

 それで、こういった基本的な情報を明らかにしないで開催することは許されない。不安に思っている国民にも当然知らされるべき情報です。こういうことを知らされないまま、安心、安全な大会だと言われても、国民に不信が広がるのは当然だと思うんですね。私は、国民に理解されないオリンピック開催はあり得ないと思います。それは、競技する選手を不幸にすることにもなります。

 私たち日本共産党は、この夏の大会は中止以外にないと考えますけれども、早急に、国民的な議論をする上でも、こうした情報をしっかりと開示することを求めたいと思うんです。丸川大臣、どうですか。

丸川国務大臣 まだ作業しておられるということでもございますが、しっかり理解を得られるような情報というのは組織委員会が共有してくださるように、こちらからも御相談申し上げたいと思います。

畑野委員 是非、情報公開ということを、議論のベースですからね、どうなっているのかということですから、しっかりと示していただきたいということを求めておきます。

 丸川大臣、御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

左藤委員長 では、御退席どうぞ。

畑野委員 続いて、健康に関わって、児童生徒の歯科矯正に対する保険適用を求める声について、政府の対応を伺います。

 子供たちの健やかな成長、発達にとって、心身を健康に保つことは欠かせません。学校教育の中で行われている健康診断では、歯科健診も実施されています。

 全国保険医団体連合会の二〇一九年の調査によれば、歯科健診で要受診となった三二・〇%の子供のうち、未受診が五七・〇%にも上るといいます。今日、子ども医療全国ネット国会内集会で、「今こそ国による子ども医療費無料制度の創設を」と、御要望もいただいてまいりました。

 家庭に学校から届けられた歯科健康診断結果のお知らせという通知には、要受診の欄に、虫歯、歯肉の病気、検査が必要な歯、顎関節、歯列・咬合、歯石の沈着など、その他あるんですけれども、今日は、歯列・咬合について伺いたいと思います。

 歯科矯正治療の医療保険適用は、先天性疾患に起因する咬合異常について歯科矯正の必要性が認められる場合に限られておりまして、当初は唇顎口蓋裂に限定されていたと伺いました。

 その後、保険適用の対象範囲はどのように推移してきたのか。二〇一八年には三歯以上の永久歯萌出不全も対象になっていますが、その理由は何でしょうか。厚生労働省に伺います。

横幕政府参考人 お答えを申し上げます。

 医療保険制度でございますけれども、疾病や負傷の治療等に対して保険給付を行うということを目的としております。この中で、歯科矯正治療につきましては、審美的な要素も大きいため、原則は保険適用外というふうになっております。

 一方で、今御指摘いただきましたとおり、唇顎口蓋裂などの先天性疾患に起因する咬合異常、あるいは顎変形症などによる歯列の不正、こういったところが保険適用となっております。

 この保険適用となる疾患につきましては、二年ごとの診療報酬改定の際に、関係学会との議論を踏まえまして、重度の咬合異常を引き起こす可能性等を考慮して、その範囲の見直しを行ってきております。最近では、平成二十年度の診療報酬改定以降は二年ごとに適用の拡大を行ってきているという経緯でございます。

 また、これも御指摘ございましたとおり、平成三十年度の改定におきましては、前歯三歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常、これに対する治療につきまして適用拡大を行いました。これは、関係学会からの御提案を踏まえまして、中央社会保険医療協議会で審議をいただきましたけれども、三歯以上の永久歯萌出不全、これが著しい歯列の不正、あるいは咬合異常の原因となり、また、そしゃく機能の障害も引き起こす可能性が高い、こういったことを踏まえて保険適用されたものでございます。

畑野委員 歯並びを矯正するような歯科矯正は保険適用がないということで、初診料、検査診断料、装置装着料、治療費、保定装置料、保定観察料など、約五十万円から百万円かかるというふうに伺っております。

 文科省の学校保健統計調査によれば、直近の二〇一九年度と五年前の二〇一五年度を比較すると、学校健診で、歯列・咬合と診断された児童生徒は、小学校で四・三六%から五・〇四%、中学校で四・九九%から五・三八%、高校で四・〇二%から四・五三%と増加しているんです。にもかかわらず、経済的負担の大きさから、一人親世帯や低所得者世帯の場合、治療を断念することが多いと伺っています。

 歯科矯正治療の経済的負担を軽減しようと運動されている、保険適用拡大を願う会の調べでは、今年三月末日時点で、全国十五道県議会、六百五十六市区町村議会で、子供の歯科矯正への保険適用を求める意見書が採択されています。

 国としても、児童生徒の歯科矯正の保険適用を検討するべきではないでしょうか。厚生労働省、そして萩生田大臣、いかがでしょうか。

横幕政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校健診におきまして、歯並びなどのことで相談が必要として受診勧奨を児童生徒が受けて、これで歯科医療機関を受診した場合がございますけれども、対応は様々だと思いますが、矯正治療に至る前に、まず、こういった勧奨を受けて歯科医療機関を受診された場合、疾患や異常の有無を確認するための必要な診察、検査等、これは保険診療として行われております。また、この一環として、例えば、歯並びが悪くて磨き残しが多い部位があって、これに対する歯磨きをどういうふうに行うかといった指導、こういったものも保険診療の中で行われているということでございます。

 その上で、先ほど申し上げましたとおり、その先の歯科矯正治療につきまして保険適用となる疾患の範囲につきましては、二年ごとの診療報酬改定の際に、関係学会との議論を踏まえて、必要に応じて適用範囲の見直しを行ってきているところでございます。

 今後も、国民に対して適切な歯科保健医療を提供できるよう、関係者の意見をよく聞きながら、適切に取り組んでまいりたいと考えております。

萩生田国務大臣 歯科矯正に係る保険適用の範囲については、厚生労働省において定めているものと承知しております。

 委員御指摘の子供の歯科矯正については、厚生労働省によると、特定の疾患により歯科矯正が必要な子供に対しては健康保険が適用されるものと承知しております。他方、疾患によらず、審美的な要素も含まれる歯科矯正治療に健康保険を適用するかどうかについては、今御答弁がありましたとおり、健康保険を所管している厚労省において十分に検討されるべきものと考えております。

畑野委員 是非検討を進めていただきたいと思います。

 次に、教科書の適正価格について伺います。

 紙の教科書の定価の算定方法について、文科省は、前年の定価をベースに、物価指数等の変動要素を適切に反映して価格を改定していると言います。しかし、根拠とされる前年の定価自体が原価と大きく乖離したものであれば、物価指数などの要素を反映したところで、原価との乖離を埋め合わせるような改定にはなりません。これは昨年も質問をいたしました。元々、原価計算は一九六〇年頃に行われたままだ、過去十年間の引上げ率は毎年一%だということです。

 出版労連などからは、教科書価格がそもそも安過ぎるという訴えがあります。関連企業の多くは中小零細企業で、デザイナー、イラストレーター、校正者など個人の事業主も多く、教科書発行者同様、生活も脅かされ、撤退や廃業などが相次いでいるということです。文科省として、こういう声を聞いていますでしょうか。

 文部省が文部科学省に改組されたとき、それまで教科書発行者の意見を聴取する教科書価格小委員会が廃止されたと伺っています。

 価格決定のプロセスに発行者の意見を反映できるような仕組みを改めて設けるべきではないでしょうか。いかがですか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 教科書価格に関する御意見につきまして、労働組合などから直接にお話を伺ったことはございませんけれども、例年、概算要求前の時期に、一般社団法人の教科書協会から教科書価格に関する要望書を受領させていただいております。

 また、平成十三年の文部省から文部科学省への省庁再編までは、教科用図書検定審議会価格分科会におきまして定価改定につきまして協議を行っておりましたけれども、省庁再編に伴う審議会の整理、統廃合の後は、この分科会は廃止されております。

 その後は、毎年度、教科書発行者から製造原価に関する資料を文部科学省に提出いただきまして、それを基にした増減要素に加え、物価指数の変動を反映するとともに、学習指導要領の改訂時には、ページ数の増加に伴う製造原価の上昇を加味するなどして、定価の改定を行ってきたところでございます。

 今後とも、文科省として適正な価格の改定に努めていきたいと考えております。

畑野委員 関係労働者や中小企業など含めて聞いていただいて、そもそも教科書価格が安過ぎて、採択されても赤字になることを懸念して発行を断念せざるを得ない発行者もいるというふうに伺っております。現場の声を丁寧にすくい上げて価格決定をしていただきたいと申し上げておきます。

 最後に、歴史教科書問題について伺います。

 四月二十七日に送付された「従軍慰安婦」等の表現に関する質問主意書への答弁書は、一九九三年の河野談話を継承していると述べています。

 河野談話は、次の五つの事実を認めています。

 一つ、「長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。」二つ、「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。」三つ、「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」四つ、「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。」五つ、「戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。」とあります。

 内閣府に伺います。河野談話を継承するということは、これらの事実認定を継承するという理解でよろしいですか。

安中政府参考人 お答え申し上げます。

 平成五年八月四日の河野内閣官房長官談話におきましては、先ほど委員が御指摘いただいたようなことが記載されているところでございます。

 政府の基本的立場でございますけれども、この平成五年八月四日の内閣官房長官談話を全体として継承しているというものでございます。

畑野委員 大事な確認をさせていただきました。

 重大なのは、今回の答弁書で従軍慰安婦という用語の使用を不適切だとして、教科書を書き換えさせようとしていることです。

 そこで確認します。

 二〇一四年の教科書検定基準では、「(5)閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること。」とあります。

 大臣に伺います。

 政府の統一的な見解と最高裁判所の判例、どちらを採用するかは教科書会社の判断に委ねられるということでよろしいですか。

瀧本政府参考人 お答えを申し上げます。

 慰安婦についての政府の統一的な見解と我が国の最高裁判所の判例が異なるようなことについては承知をしておりませんが、申請図書の記述あるいは関係する政府見解、そして最高裁判所の判例の具体的な内容を踏まえる必要があるため、一概にお答えすることは困難だと思っております。

 いずれにしましても、教科書検定調査審議会において、欠陥のない記述となるよう、適切に判断がなされるべきものと考えております。

畑野委員 この基準の中に、「それらに基づいた記述」というのがあるんですが、基づいたというのはどういうことでしょうか。一言一句同じでなくても、内容を踏まえていればいいということですか。

瀧本政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、教科書検定基準の中では、閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合は、それらに基づいた記述がされていることが基準の一つとされております。

 これは、政府の統一的見解や最高裁判所の判例を必ずしもそのまま記載することまで求めるものではありませんが、それらの内容を踏まえた、それらに基づいた記述となっているかどうか、教科書検定調査審議会において確認をしていくことになります。

 以上です。

畑野委員 それでは確認ですけれども、最高裁の判決では、いわゆる軍隊慰安婦、又は軍隊慰安婦という用語をしているものがありますが、御存じでいらっしゃいますか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 最高裁判所の判決において軍隊慰安婦という言葉が存在をしていることについて承知をしているかということについてですが、済みません、私としては承知をしてございません。

畑野委員 そうなんですか。

 じゃ、内閣府、分かりますか。

安中政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御指摘に関してでございますが、私としても承知をしていないところでございます。

畑野委員 ちょっと、委員長、ここから先、議論が進まないんですが。

 それでああいう答弁書を書いているんですか。大丈夫ですか。ちょっと誰か答えられませんか。大臣は、この間御答弁されたんだから、お分かりなのでは。御存じですか、今の。

萩生田国務大臣 軍隊慰安婦というワードは存じ上げません。

畑野委員 いや、困りましたね。

 二〇〇四年十一月二十九日のアジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求訴訟の最高裁の判決で、そのように言われております。ですから、こういう事実があるんですよね。

 驚きました。

 それで、この教科書検定基準、皆さんが作ったんですけれどもね、文部科学省が。それで、大臣の答弁も、この最高裁というのは言わずに、政府の統一見解だけ言うんだけれども。この検定基準そのものは批判がいっぱいありまして、東京弁護士会から、もうこれは撤回しなさいという声も出ているんですよ。

 でも、あなたたちが作った基準の中に最高裁の判例というのが入っているんですから、それを知らないでいるというのは本当に問題ですよ。

 これはしっかりと調査して答えてくださるように、委員長、お願いします。

左藤委員長 調べさせていきます。

 理事会でも協議させていただきます。

畑野委員 それで、今回の答弁書の基になっている吉田清治氏の証言問題なんですけれども、これもとっくに決着がついていて、二〇一四年十月二十一日の参議院内閣委員会で日本共産党の山下芳生議員が、当時の河野談話に吉田証言は根拠にされていないということを当時の菅官房長官に確認しているんです。大臣も御存じだと思います。

 こう言っています。「国会で菅官房長官自身も、吉田証言と河野談話の関係性については、根拠にしていないということをお認めになりました。それは間違いないですね。」と質問して、当時の菅官房長官が「ええ、そこは認めております。」というふうに御答弁をされています。

 破綻済みの理屈を今更持ち出して、従軍慰安婦という用語は軍の関与や強制性があったと誤解を招くなどと言っても通用しないんです。

 紙智子参議院議員が質問主意書を出した答弁で、日本軍「慰安婦」問題に関して、慰安婦問題への日本軍関与を示す資料などを内閣府が二〇一七年と二〇一八年に新たに入手したことも明らかになっております。詳しく述べませんけれども。

 ですから、私、委員長にも資料を出してもらうようにお願いをいたしましたけれども、教科書検定基準、こういったものをやはり撤回すべきだと。そして、今回の答弁書で言われている、「単に「慰安婦」という用語を用いることが適切である」とした部分、これを撤回するように求めたいと思います。

 いや、驚きました。これでは駄目だと思います。

 以上で質問を終わります。

左藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十二分散会


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