衆議院

メインへスキップ



第2号 令和4年3月2日(水曜日)

会議録本文へ
令和四年三月二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 義家 弘介君

   理事 橘 慶一郎君 理事 根本 幸典君

   理事 宮内 秀樹君 理事 山本ともひろ君

   理事 菊田真紀子君 理事 牧  義夫君

   理事 三木 圭恵君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    石井  拓君

      石橋林太郎君    尾身 朝子君

      勝目  康君    神田 憲次君

      木原  稔君    国光あやの君

      小林 茂樹君    塩崎 彰久君

      下村 博文君    田野瀬太道君

      高木 宏壽君    谷川 弥一君

      丹羽 秀樹君    船田  元君

      古川 直季君    松本 剛明君

      三谷 英弘君    山口  晋君

      荒井  優君    坂本祐之輔君

      白石 洋一君    吉川  元君

      吉田はるみ君    笠  浩史君

      早坂  敦君    掘井 健智君

      岬  麻紀君    山崎 正恭君

      鰐淵 洋子君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       末松 信介君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       堀内 詔子君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  十時 憲司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中村  賢君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  梶山 正司君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            尾崎  有君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     由良 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 安東 義雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   下間 康行君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            増子  宏君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         森  晃憲君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    串田 俊巳君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  武井 貞治君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     高木 宏壽君

  柴山 昌彦君     石井  拓君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     柴山 昌彦君

  高木 宏壽君     塩崎 彰久君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     尾身 朝子君

    ―――――――――――――

二月二十八日

 学費負担の軽減のための私大助成の大幅な増額に関する請願(寺田学君紹介)(第二二一号)

 同(牧義夫君紹介)(第二二二号)

 同(笠浩史君紹介)(第二二三号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第二二六号)

 同(三谷英弘君紹介)(第二二七号)

 同(荒井優君紹介)(第二二九号)

 同(松木けんこう君紹介)(第二六九号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(尾崎正直君紹介)(第二二四号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第二九六号)

 同(武村展英君紹介)(第二九七号)

 教職員の業務の見直し、定数増の早期実現等に関する請願(源馬謙太郎君紹介)(第二二五号)

 同(金子恵美君紹介)(第二六七号)

 コロナ禍の下、子どもたちの安全と安心、学びと発達を保障する少人数学級の実施を前倒しし、拡充を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三五号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二四〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四二号)

 同(宮本徹君紹介)(第二四三号)

 同(本村伸子君紹介)(第二四四号)

 豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(松木けんこう君紹介)(第二六八号)

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(米山隆一君紹介)(第二九五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

義家委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官十時憲司君、内閣審議官中村賢君、内閣参事官梶山正司君、金融庁総合政策局参事官尾崎有君、復興庁統括官由良英雄君、外務省大臣官房審議官有馬裕君、大臣官房審議官安東義雄君、文部科学省大臣官房長矢野和彦君、大臣官房文教施設企画・防災部長下間康行君、総合教育政策局長藤原章夫君、初等中等教育局長伯井美徳君、高等教育局長増子宏君、高等教育局私学部長森晃憲君、スポーツ庁次長串田俊巳君、文化庁次長杉浦久弘君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官武井貞治君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林茂樹君。

小林(茂)委員 皆様、おはようございます。自由民主党の小林茂樹でございます。

 本日は、理事の皆様、委員の皆様方、御配慮を得まして、このように質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。また、答弁をいただく末松大臣を始め政府参考人の皆様方、是非よろしくお願いいたします。私の今後の政治活動にしっかりと生かしてまいりたいと思っております。

 私、地元は奈良市、生駒市、これは奈良一区というところでございます。歴史、文化、古くからのそういった歴史的な建造物等々も現代に残っている、そういうようなところでありまして、文化に関すること等々も今日は触れたいわけでありますが、世界情勢、大変緊迫した中での限られた時間ということでもございますので、今まで私なりに温めていた文部科学行政に関する、中でも特に教育の分野、初等中等教育の分野、この辺り、私なりの思いをぶつけさせていただき、御回答を得たい、そのように思っております。

 質問に入ります前に、私の小学校時代の思い出でありますが、小学校一年生、二年生にかかるこの頃でありますが、五十年前が、ちょうど浅間山荘事件が起こった当時、五十年前の二月ということでありますが、私、一年生から二年生に、一年生の冬であったということであります。そして、学年が替わり、一九七二年の春に沖縄が日本に返還をされた、本土復帰ということでありまして、もう五十年もたったのかなと思うんですが、小学校一年生、二年生で、物心がついて、あんなことがあったなということをつぶさに思い返すことのできる、それがもう五十年前のことであります。

 浅間山荘、テレビの画面で、本当に目に浮かびます、今でも。貴い命が失われたということ、そして、人と人が国内で殺し合う、そのような凄惨な事件があったということ。

 そしてまた、沖縄でありますが、小学校二年生の授業で、担任の先生が黒板に沖縄返還と書かれた、このことは非常に克明に覚えております。果たして、これが漢字で書かれていたのか平仮名で書かれていたのか、また、その沖縄返還に続いてどのような説明をこの担任の先生がされたか、詳しくは覚えていないんですが、しかし、間違いなく、あの二年生五月に担任の先生はそう書かれたということであります。

 五十年後、同じクラスの仲間たちはそのことを覚えているのかどうなのか分かりませんが、私も比較的、小学校、中学校、目立たない、おとなしい、口数の少ない生徒児童でございましたけれども、今こうやって仕事をしているということも、多くのやはり先生方に指導を受け、期待をされ、育てられてきたのかなということを今思い起こしているところであります。

 今現在、世界情勢といいますと、一つはウクライナへのロシアの侵略ということでありますが、小学校は小学校なりに、中学校は中学校なりにこの状況を説明をされているのだろうな、適切に、その生徒に合った指導というものを、指導というか説明をされているんだろうなと。その説明を聞いた子供たちが二十五年後、五十年後、どのように思い出していくのか。

 しかし、気がつかないけれども、その子供たちの中に、このウクライナのこと、あるいは、明るい話題でいいますと、この冬に行われた北京オリンピックのこと等々も子供たちの心の中に刻まれているであろうということであります。

 末松大臣の所信は、教育、そして文化、スポーツ、このような順番で書かれているわけでありますが、イの一番にやはり教育、そしてその教育の中でも初等中等教育に触れていらっしゃるということで、私も、本日の質問の大半はこの初等中等教育の充実について触れてまいりたいと思っております。

 学校の要素、義務教育の要素。これはやはり学校、教師、そして授業。教育の三要素と言われるそうでございますが、その中でも、特に、昨今、例えば、教師の資質向上というような表現をされていますけれども、学校の教師。その時代、社会情勢が大きく変化する中で、学校の先生が果たしていく役割というものも、やはり変えるべき部分と、そうでない、基本に忠実にやっていく、変える必要のないものとに大きく分けられる、そのようにも思っております。ある意味、私が本日話題にすることというのが少々古い、昔の考え方にのっとったようなものなのかもしれませんけれども、御容赦いただきたいと思います。

 初等中等教育の充実について、質問に入ります。

 まず最初は、教師の地位向上、先ほどの資質向上のある意味対極にあるような考え方でありますが、社会的な地位、非常に低下をしているのではないかなという問題意識であります。

 小学校、中学校の将来就きたい仕事のランキングというものは、学校の先生、比較的上位に入っているということであり、いいことだなと思います、小学校、中学校。それでは、高校になるとどうなのか。高校生の将来就きたい職業のランキング。高校は男女共に教師が上位一位ということであります、調べ方によってまた若干ずれるところもあるとは思うんですが。このように、意外だなと。では、大学になったらどうなのか。これは恐らく、もうベストテンにも入らずに、もっともっと下位の方になってしまっているんだろうなというふうに思っております。

 本日、ちょっとお尋ねするんですが、教員採用試験はどのような倍率なのかなということであります。

 小学校、中学校の夢をそのまま温め続けて、そして教育大学に、あるいは一般の大学に進み、教員採用試験を受けていく。裾野が広くて、厳しい競争倍率の中を勝ち抜いてきた、そういうやる気のある優秀な先生、教壇に立っていただきたいなと思うわけでありますが、昨今の教員採用試験で競争率というのは一体どのようになっているのかということをまずお尋ねいたしたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 近年、大量退職、大量採用の影響もある中で、公立学校の教員採用選考試験の採用倍率の低下傾向が続いております。

 令和三年度の採用選考では小学校の採用倍率が過去最低の二・六倍となり、特に一部の自治体で採用倍率が著しく低くなっているという状況でございます。

 小学校について申し上げますと、採用倍率は、過去最高、平成十二年度に十二・五倍であったわけでございますけれども、そのとき、採用者数が三千六百八十三人という状況でございました。令和三年度においては、採用者数が約五倍の一万六千四百四十人、そういった状況の中で、採用倍率が二・六倍に低下しているという状況がございます。

 中学校につきましても、今、採用倍率が令和三年度で四・四倍、高等学校は六・六倍というような状況になっているわけでございます。

 そして、新規学卒者の受験者数という数字で見てみた場合に、小学校では、近年、横ばいから微減の傾向、中学校、高校では減少傾向にあるということで、厳しい状況にあると認識をしておるところでございます。

小林(茂)委員 ありがとうございます。

 十倍を超えていた時期もあったということであります。昨今、いろいろな事情もあって、三倍を切っているという状況でもあるそうでありますが、やはり先ほど申したように、目指す学生を、目指す若者を維持、増やしていって、そして、その中でも優秀な、その競争を勝ち抜いた若い人たちに教壇に立っていただきたいという思いは変わりません。

 教育は教師で決まる、そういう言葉もあるそうでありますが、やる気のある若者に教壇に立ってほしい。今、そのためには、若者がなりたいと憧れる職業、いま一度戻すことができないのかなというふうに思っておるんですけれども、少し漠然とした表現にはなるんですが、そのためにも教師の地位向上を図っていくべきではないかと思うわけでありますが、これについてはいかがでしょうか、末松大臣にお伺いいたします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、先生が、五十年前でありますけれども、まだ小学一年生、私は高校一年生でありまして、先生とは年の差が若干ございます。物で栄えて心で滅ぶ。繁栄と繁栄のひずみ両方をしっかり見てきたなというのが私の人生の実感でございます。

 三十年前に文部科学大臣をお務めになった先生と話をしておりましたときに、こういう言葉を言われました。人間は教育によって人間になる、ある動物に育てられた人間は、その動物のようになってしまうということを言われました。教育を受けることによって実際に社会に入っていく、いろんな知識とか、あるいは学校の教師から、経験から学んだものを教わるということであろうかと思います。

 そういう言葉を思い出したんですけれども、学校教育の成否というのは、まさに教師の資質、能力に懸かってございます。教師は、まさに子供たちの人生を変える存在であります。私も、小学校一年生から四年生まで横山一郎先生という大変立派な先生に教えていただきまして、今も、先生から教わったこと、あのときこう怒られたとか、いろんなことが一つの行動基準になってあります、六十を回りましても。だから、教師は物すごく大事な存在であるということを認識しております。

 そうした大きな役割を果たす教師でありますから、十分なやりがいがあり、人との関わり合いの中で自身が成長することもできる、大変魅力的な職業であると存じます。

 昨今の学校教育をめぐる様々な課題への対応のためには、優れた資質、能力を備えた教師の力が不可欠であると思います。

 文部科学省としては、多くの熱意のある学生に教職を志していただくために、高度専門職業人としての教師の地位を高め、教師が誇りを持って働くことのできる環境整備にしっかりと取り組んでまいります。

 さらに、現在の、令和の日本型学校教育を担う教師の養成、採用、研修、この在り方と、そして中教審で包括的な議論を、今そのことも含めて議論をいただいているところでございます。今後、その結論を踏まえまして、教職の魅力を感じさせ、質の高い教師を確保できるように、検討していきたいと思います。

 いずれにしても、私は、教師にはもう少しやはりゆとりが必要だと思うんです、忙し過ぎますから。ゆとりのない先生は、やはり子供たちに十分なゆとりを与えることができないと思いますので、改善を図りたいと思います。

小林(茂)委員 末松大臣、ありがとうございました。

 物で栄えて心で滅ぶという、薬師寺の高田好胤管長の言葉であります。ありがとうございます。

 教師には、国の将来を担う若い人たちを育てて社会に送り出していくという役割を持っているわけであります。価値のある仕事に見合う待遇とするべきではないかと思うんですが、例えば、給与改善によって教師を目指す優秀な若者をつなぎ止めておくことはできないであろうかと思うんですが、この辺り、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 教師の給与につきましては、給与上の特別な措置を定めることにより優れた人材を確保し、学校教育の水準の維持向上を図ることを目的として制定された人材確保法を踏まえまして、現状においても一般行政職を上回る傾向にありますが、一方で、教師の給与水準は、現在の長時間勤務の実態を踏まえると不十分との指摘もあるものと承知しております。

 文部科学省といたしましては、これまで推進してきた学校における働き方改革の様々な取組と成果等を踏まえつつ、令和四年度に改めて実施する予定の勤務実態調査におきまして、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定でございます。

 そうした結果なども踏まえまして、教育職員の給与特別措置法等の法制的な枠組みを含めた教師の処遇の在り方について検討してまいりたいと考えております。

小林(茂)委員 給特法の内容でありますね。じわじわとというか、抜本的に思い切ってという考え方もあるのではないかなと思うんですが、御検討ください。

 授業の話題であります。

 新型コロナを機に、GIGAスクール構想、これが前倒しで始まったわけでありますが、ICTを活用した新しい授業が既に始まっております。当初、学校にタブレットが配付されたものの、先生がその使い方を十分に理解をされていなかった、御苦労された。当初の運用上の課題も、現在では少しずつ解決をされていると聞きます。

 今後は、端末を活用したいわゆる個別最適化、習熟度に応じた個別最適な学び、また協働的な学び、こういったいい授業をしていくことにつながるのではないかと期待をいたしておりますが、現在のICTを使った新しい授業、この取組、どのようなものでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘をいただきました個別最適な学びと協働的な学びを実現する上で、ICTの活用は必要不可欠でございます。GIGAスクール構想により整備された一人一台端末などの充実したICT環境を大いに活用することが重要であるというふうに認識しております。

 具体的には、音声や動画などを含んだデジタル教材により子供たちの興味や関心を高めていくこと、あるいは、教師が一人一人の反応や考えを即時に把握しながらきめ細かな指導を行うこと、児童生徒の多様な意見や考えにそれぞれの児童生徒が触れたり、協働して学習に取り組んだりすること、さらに、不登校の児童生徒、病気療養児のオンライン学習などを効率的、効果的に行うことができるようになるというふうに考えております。

 文部科学省では、こうした一人一台端末の活用を促進するために、特設ウェブサイトなどを開設いたしまして、すぐに、どの教科でも、誰でも生かせる一人一台端末の活用シーンとして、各教科等の指導における活用事例について、小中高等学校の各教科等のポイントや各教科等の特質を踏まえた事例の紹介、横展開を図っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、こうした参考事例の発信など様々な取組を通じて、学校でのICT活用のイメージを具体的に現場と共有しながら取組を進めてまいりたいと考えております。

小林(茂)委員 授業のやり方によって、やはり学校の内容というのは、大きくその質が変わってくるということでありまして、この内容、十分掘り下げられないんですが、かつて、斎藤喜博さんという先生、カリスマ教師がいらっしゃったそうで、私の年代の先生たちは、こういった、競ってこの斎藤先生の授業のやり方というのを学び、それを共有して全国に広めていらっしゃったということがあるそうであります。

 最後の要素。教師、授業、学校、最後は学校であります。

 現在の学校、教師の働く場所として本当にいい環境と言えるだろうか。例えば、心に悩みを抱えて不登校になってしまった学校の先生もおられる、依然高止まりしていると思います。残業がつかない、長時間労働であるという問題も指摘されています、先ほどのもう少しゆとりをという言葉でありますが。原因の一つは、やはり教師が庶務、雑務に追われて本来やるべき授業に専念できないということではないかと思います。

 厚生労働省の施策によって一般企業には働き方改革というものは随分浸透したわけでありますが、学校における働き方改革、これは今どうなっているでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省において実施しております、教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査の結果では、時間外勤務は平成三十年度以降おおむね改善傾向にあるものの、そうした意味で働き方改革の成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続き、その取組を加速させていく必要があるというふうに考えております。

 教師の働き方改革は引き続き急務であるというふうに認識しておりまして、文部科学省としては、教師の負担軽減につながるよう、教職員定数の改善、支援スタッフの充実、部活の改革、学校向けの調査の精選、削減、好事例の展開など、引き続き、様々な施策を総合的に講じていきたいと考えております。

 特に、教師の負担軽減という意味で効果が大きく、教師が児童生徒の指導や教材研究により一層注力できる体制の整備に大きな役割を果たしている教員業務支援員につきましては、令和三年八月に学教法施行規則に位置づけ、配置を一層促進するとともに、令和四年度予算案におきましても配置を拡充するために必要な経費を盛り込んだところでございます。

 引き続き、国、学校、教育委員会が連携し、あらゆる手だてを尽くして取組を進め、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備できるよう、文科省が先頭に立って必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

小林(茂)委員 ちょっと質問の順番を入れ替えまして、最後に時間があれば、学ぶ学校の環境の整備、ハード面の整備、最後にちょっと触れたいと思いますが、次に、大きく話を移して、小学校、中学校、高校、ここまで初等中等教育、そして大学ということでありますが、この大学でありますね、大学の役割、地方経済における大学の役割というものも昨今大きく変わっているということであります。

 人口が全体に減少している、また、都市と地方の格差も拡大し続けているということであります。地方都市において人材確保というものは大変重要な課題でありますが、残念ながらといいますか、都市の大学を卒業した学生はそのまま都市に残って就職をする、こういうケースが多いわけであります。Uターン、Iターン、余り最近聞かれませんが、こういった政策も促進して、一旦地元を離れた、ふるさとを離れた若い人たちをもう一度呼び戻すことができなければ、都市と地方の格差、経済的な格差というものは更に拡大する一方ではないかなと思っております。

 大学の役割というものは、大きく分ければ、人材育成、そして研究ということになろうかと思うんですが、地方経済に人材を送り出していく、こういう役割もあるかと思います。

 大学自らが地方創生に取り組む事業というものがあるそうでありますが、知の拠点、知るという知、それから場所という意味の土地の地ですね、地の拠点、地(知)の拠点事業というものを募集され、そして実施をされたというふうに聞くんですが、余り私もこの部分を理解していなかったんですが、幾つかの成果が上がっていたこのCOC事業について、どこでどのような成果を上げているのかについてお尋ねしたいと思います。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、大学は地域における知と人材の集積拠点でございまして、地域経済の担い手となる人材を育成していく、そういう意味で非常に重要な役割を担っていると考えております。

 こうした観点から、大学全体として地域を志向した教育、研究、社会貢献を推進するため、先生御指摘の、平成二十五年度より大学COC事業等の取組を進める、そういうことで進めております。これによって、地域の拠点となる大学として地域の自治体や産業界との協働関係が構築されるなど、大学主導の地方創生モデルの創出につなげてまいったということでございます。

 また、こうした成果を更に進める観点から、文部科学省といたしましては、令和四年度予算案に、地域社会と大学間の連携を通じて既存の教育プログラムを再構築いたしまして、地域を牽引する人材を実施する地域活性化人材育成事業を新規に計上させていただいております。

 また、地域の他の高等教育機関や地方自治体、地域の産業界と地域の地域ビジョンに基づいて恒常的に議論するための地域連携プラットフォーム、このようなものを構築するためのガイドラインの策定なども取り組んでいるところでございます。

 こうした取組を通じまして、引き続き、地域社会と大学の連携による人材育成の推進に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

小林(茂)委員 ありがとうございます。

 以前に奈良女子大学もこのCOC事業をやっておられて、その当時は丹羽副大臣が奈良にいらっしゃるということで私も横へついていったわけでありますが、そのときにもう少しCOCを勉強すればよかったなと後悔をいたしております。最近では、墨田区に情報経営イノベーション専門職大学、縮めてiUというんですか、これが、大学のなかった東京都墨田区で、全員が起業する、会社をつくるという、事業にチャレンジをするというユニークな取組もあるようでありまして、全国各地にいろんないい事例が起こっていますので、これをしっかり応援いただきたいと思っております。

 大学に関する二つ目の質問、これが最後でございますが、少し話が飛びますが、私立大学の経営状況を話題にしたいと思っております。

 COC事業というのは国公私立問わず参画をいただいているようであります。教育と研究という本業に加えて積極的に地方創生に取り組む、こういった大学に感謝をしたいと思っております。

 地域貢献、期待される大学がある一方で、少子化や新型コロナの影響を受けて厳しい経営状況にある私立大学もあるというふうに推測をいたします。数字でいいますと定員割れの続く大学もあるということを思うんですが、今後こういった大学はどのようにして経営を続けていくのか。なかなか地域に貢献をする余裕もないだろうと思うんですが、文部科学省は、こういった私立大学の経営状況、悪化した大学に対してどのように支援をしていくのか、お尋ねしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 十八歳人口が減少局面に入り、大学を取り巻く状況が厳しくなる状況がございますけれども、そういった中にありましても、各大学が社会の変化やニーズを踏まえ、学生に選ばれる強みや特色を磨いていくことによりまして、自ら経営力を強化していく必要があると認識しております。

 そのため、文部科学省といたしましては、学校法人の自主的取組を促しつつ、経営悪化傾向にある学校法人に対しましては、私立学校振興・共済事業団と協力いたしまして、それぞれの法人において経営改善計画の策定や改善状況の確認など、経営改善に必要な指導助言を行っております。

 また、各大学単独の取組に加えまして、地域等での連携も重要な手段であることから、複数の大学間で人的、物的リソースを効果的に活用する大学等連携推進法人制度の創設でありますとか、先ほどの局長の答弁にありました地域連携プラットフォームの構築促進のためのガイドラインの作成などを行いまして、大学間の連携の取組の促進を促しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、各大学の経営力の強化に向けた取組を支援してまいりたいと考えております。

小林(茂)委員 ありがとうございます。

 先ほどの学校のハード面の施設整備のこと、質問でありますが、現場から随分要望の多い体育館のエアコン設置、これは今どういう状況になっているのか、最後にお聞きしたいと思います。

下間政府参考人 お答えいたします。

 公立小中学校等の体育館等への空調設置率は、令和二年九月一日時点で九・〇%となっております。学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であるとともに、災害時には地域の避難所としての役割を果たすことから、文部科学省としても体育館への空調の設置は重要な課題と認識しております。

 文部科学省では、安全、安心な教育環境と避難所としての機能強化を図るため、体育館への空調設置が進められるよう国庫補助を行っておりまして、今後とも各地方公共団体と連携しながらその取組をしっかりと支援してまいりたいと考えております。

小林(茂)委員 このような要望、教育委員会がしっかり吸い上げていただきたいと思っております。

 将来の学校の先生を目指す若い人たち、今もこうしてどこかで勉強しているわけでありまして、頑張っていただきたいなと思いますし、末松大臣も全国を、現場を回りたい、こうおっしゃっているわけでありますが、学ぶ意欲というのは若い人に限らず、いつまでたっても学びたいという人は多いと思います。奈良県には夜間中学校、充実しておりますので、またお訪ねいただきたいなと思っております。

 質問を終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 おはようございます。公明党の浮島智子です。

 本日は、大臣所信について質問させていただく機会をいただき、ありがとうございます。

 大臣所信の中には、様々な課題を抱えている子供たち誰一人取り残さず、可能性を最大限に引き出す学校教育、支援が必ずしも十分ではなかった子供たちへの教育機会の保障にこれまで以上に力を入れてまいりますということと、学びの場であり、災害時には避難所ともなる学校施設について、教育環境の向上と老朽化対策を一体的に進めますと大臣はおっしゃっていただきました。

 本日は、一人一人に光を当てた教育、誰一人取り残さない、置き去りにしない教育、また老朽化対策等について質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず初め、ちょっと順番を変えさせていただきまして、本日の新聞にも出ておりましたけれども、水際対策についてまず初めにお伺いをさせていただきたいと思います。

 昨日、三月一日からようやく外国人の入国禁止措置が解除されました。それにより、文化芸術、スポーツ、留学生等の入国が認められるようになりましたけれども、世界中で最も厳しい水際対策を行ったことは、オミクロン株が発生した当初は緊急的な避難の措置として仕方がない面もあったと思います。しかし、今はフェーズが変わってきております。

 新たな水際措置においては、一日の入国数は五千人を上限とし、入国できるのは準備が整った早いもの順ということを承知しております。留学生約十五万人を含めまして、全体約四十万七千人とも言われている待機者がいる中で、一日五千人ではいかにも少な過ぎるのではないかという声もたくさんいただいているところでございます。

 毎日の入国者のうち一割が留学生だとしても、全ての留学生が入国するには一年以上かかります。また、待機の留学生のみならず、四月以降の新学期に入国を予定している留学生、ここも速やかに継続的に入国をしていただく必要があります。

 外国人の受入れ開始と言いつつ、フライトが取れず、大勢の方が入国できずにいるのは、実質的には入国禁止措置と同じ状態になってしまい、国際的な不信を一層増長することになってしまいかねないと思います。

 また、留学生が入国できなかったことにより、アメリカの主要大学が、日本の留学プログラム、これが中止をされたり、日本の学生との交換留学、これが難しくなるなど、将来の外交にも影響を与えかねない状況が始まっているということも承知をいたしております。

 そこで、まず厚労省にお聞きしたいんですけれども、入国数の上限を五千人から大幅に拡充できないのは、空港の検疫体制が原因とも聞いておりますけれども、拡充するためのボトルネックとなっている課題を具体的に御説明をいただきたいと思います。

 例えば、国際空港である五つの空港、この体制が課題なのか、また、検査を行っている間に待っている空港内の待機スペースの問題なのか、また、ほかに課題があるのかをお伺いさせていただきます。

武井政府参考人 お答え申し上げます。

 空港検疫においては、海外からの変異株等の流入リスクに対応するため、入国時の検査や検疫施設での待機など、水際対策に必要となる検疫体制を整備してきたところ、今回の入国者総数の引上げについては十分対応できる体制を確保しているところです。

 今後、更なる入国者の増加に対応するためには、検査機器や人員の確保といった検査体制の整備、手続の簡素化、空港への到着時の待機時間の短縮や場所の確保などが課題になると認識しています。これらの課題に対して、空港検疫では、入国前にウェブ上で検疫手続、審査を行えるファストトラックの運用を開始しているほか、検疫所職員の確保や業務の一部の外部委託など様々な工夫を講じて手続の迅速化と体制の強化に取り組んでおります。

 今後、入国者総数の更なる引上げにも対応できるよう、引き続き、検査の迅速化を含めた検疫体制の強化に向けた取組を進めてまいります。

浮島委員 人が必要だということもおっしゃっておりましたけれども、入国する方々は、出国の七十二時間前にPCR検査で陰性が確認されています。また、到着時の検査を簡素化するとか自宅での検査を取り入れたりするなど、空港での検査の負担、これを減らすことが必要だと思いますので、このこともしっかりと考えていただきたいと思います。

 また、私は、先日の二月二十五日、公明党の文部科学部会において、この留学生等についての水際対策の部会を開かせていただきましたけれども、そのときに、私の方からは、留学生は別枠で入国をできるようにするべきだという提案をその二十五日にさせていただきました。

 そして、入国者の数の上限を拡充することのみならず、入国者の総数にかかわらず留学生を別枠で扱うことが必要であるということを、そのときにお尋ねをして、提案をさせていただきましたけれども、残念ながら、そのときの内閣官房の回答は、頭の片隅にも考えていないということでございました。私はその言葉を聞いて……(発言する者あり)これはみんなが言っておりますので。それで、私にもはっきりと、片隅にもないとおっしゃったので、私はその場で、片隅にないのであれば頭のど真ん中に入れて持って帰っていただきたいと申し上げさせていただいたところでもございますけれども。

 本日の新聞によりますと、入国、留学生に別枠案ということで、今日は大きく報道がなされております。これを見てお伺いをさせていただきたいんですけれども、留学生の別枠を考えているということで、検討されているということでよろしいでしょうか。

 また、制度の移行の措置については、既に二月中の、公益性、緊急性があるとして特段の事情で入国が認められた留学生がおりますけれども、この留学生のうち、三月一日以降に入国する方々は、入国時に新たな措置が適用されると考えていいのでしょうか。

 特段の事情で入国する場合は、待機施設の費用は、これまで、各大学あるいは教育機関あるいは学生本人の負担となっておりました。新たな措置では、指定国からの留学生は、他の入国者と同様に、国が指定する宿泊施設で国の費用により待機することができるということでよろしいでしょうか、お伺いをさせていただきたいと思います。

梶山政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、三月一日からの水際対策の段階的な緩和により、留学生についても、他の外国人同様、入国者総数の枠内で、受入れ責任者の管理の下、入国を認めることになっております。

 委員御指摘の入国者総数における留学生の扱いにつきましては、日本人の帰国者、外国人の再入国者、外国人留学生を含めた入国者の総数を見直し、三月一日より一日当たり五千人程度を目安にすることとしております。

 また、委員御指摘の待機施設について、特段の事情による入国を予定していた方についても、三月からの措置による入国手続を行った場合には、施設待機が必要となった際、検疫所が確保する施設で待機いただくこととしております。

 外国人留学生につきましては、外国との友好関係を構築し、我が国の教育研究力の向上や発展に極めて重要だと考えております。今後、内外の感染状況や日本人を含む入国需要の動向、検疫体制等を勘案し、留学生の入国を含め、段階的に国際的な人の往来を増やしていく考えでございます。

浮島委員 済みません、ちょっとよく分からなかったんですけれども。

 留学生を別枠で、今日の新聞にもありましたけれども、別枠案が検討されているということでよろしいでしょうか。

梶山政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人の留学生につきましては、先ほど申し上げたとおり、諸外国との友好関係を構築し、教育研究力の向上に極めて重要だと考えております。

 その上で、今後の留学生の円滑な入国を含めまして、段階的に国際的な人の往来を増やしていく考えでございます。この中で必要な対応を取ってまいりたいと考えております。

浮島委員 必要な対応ということで、私の理解させていただくところ、留学生枠をしっかりと検討していただいているということで了解をさせていただきたいと思いますので、是非お願いいたします。

 また、今のオンラインで手続をし直したら国費の施設を利用可ということもありましたけれども、これは手続したらいいということでございますけれども、申請者側から見れば手続のやり直しになることでありまして、その場合には、ビザの取扱いなど、可能な限り柔軟、迅速にするように配慮いただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 また、新たな措置の入国者の総数の問題はあるものの、昨日より新たな制度が始まったばかりですので、まずは、新たな制度の下で円滑に留学生を入れることが、受け入れることが重要だと思っております。

 そこで、新制度の円滑な運用について外務省にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、新たな制度の下で留学生が一刻も早く入国するためには、在外公館でのビザ、この申請を行う際に迅速な発給が期待されておりますけれども、これは速やかに行われるのでしょうか、お伺いさせていただきます。

安東政府参考人 お答え申し上げます。

 留学生に対するビザでございますけれども、今回の新しい措置によって、これまで、申請に当たっては、パスポート、申請書、在留資格認定証明書等の必要書類に加えて、新しく導入される入国者健康確認システムの受付済み証を提示していただくこととしております。

 在外公館は申請を受け付けますと審査を行いますけれども、申請内容に特に問題がないということであれば速やかに発給させていただきたいと考えておるところでございます。

浮島委員 是非とも、書類がそろっていれば速やかに申請を受け付けていただくように、発給ができるようによろしくお願いいたします。

 また、次に、文科大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども。

 日本への入国が可能となったことを一刻も早く留学生に伝え、留学生が見通しを立てることが何よりも大事だと思います。見通しを立てる、計画を立てることが重要だと思っております。大学や専門学校、日本語教育機関などへの周知、これは速やかになされているのか。また、手続に戸惑う学校へのサポート体制、これはしっかりしているのか。また、大学や教育機関への周知の際には、ただ新たな措置の内容を周知するだけではなくて、外国人留学生に分かりにくいところが予想される手続、丁寧に伝えることが円滑な入国のために必要だと考えます。そのようなきめ細かいフォローはなされているのか、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 大事な点を御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 二月十七日に、岸田総理が水際措置の見直しを発表されまして、三月一日以降、外国人留学生の新規入国が認められるようになりました。

 ただ、先生おっしゃいますように、留学生は相当枠を拡大しないと、難しい問題になると思ってございます。

 文部科学省といたしましては、見直しの発表以降、措置内容について、新たな情報を把握次第、分かりやすく周知するほか、大学、専門学校、そして日本語教育機関等に対して、今回の入国制度に関する説明会を実施をしまして、丁寧な説明を行ってまいりました。さらに、不明な点等につきまして、問合せの窓口として外国人留学生サポートセンターを設置し、日々の個別相談にも応じてございます。

 文部科学省といたしましては、こうした措置などを進め、これまで待機してきた留学生や四月に入学を予定している留学生が、可能な限り円滑かつ継続的に入国ができるように細かなフォローに努めたいと思います。

浮島委員 外務省の方もしっかりと書類がそろっていれば円滑に早くできるということでありますけれども、在外公館でのビザの発給に際しては、在留資格認定証明書のみならず申立て書というのが必要であることと、外国人留学生が申請窓口に行く際に間違えそうなこと、これをしっかりと事前にきめ細かく周知することが大切であると思います。

 また、昨夜遅くホームページにアップをされました、出入国管理庁からですけれども、在留資格認定証明書、これは四月の三十日までということで私たちは部会のときにお伺いを、延長するのは四月三十日までとお伺いをしておりましたけれども、昨夜ホームページに公表されたのも拝見をさせていただきますと、七月三十一日まで延長がなされた、有効であるということが分かりましたので、しっかりとこの点も周知をしていただくようにお願いをさせていただきたいと思います。

 また、現在の厳しいこの上限を踏まえまして、我々公明党といたしまして、二月十日に決議をして、そして、二月の十五日、官房長官、そして末松大臣のところにも申入れに行かせていただきましたけれども、留学生、文化芸術、スポーツ関係の入国に係る決議というのをお渡しをさせていただきました。

 大臣として、留学生はもちろんのことですけれども、あわせて、文化芸術関係者、スポーツなどの入国希望者の思いをどのように受け止め、今後どのように対応していくおつもりか、見解を聞かせていただきたいと思います。

末松国務大臣 先日陳情にお越しをいただきまして、恐縮をしております。

 せんだっての決議で御提言をいただきましたように、外国人留学生、そして、JET―ALT、研究者、文化芸術、スポーツ関係者は、外国との友好関係を構築し、我が国の教育、そして研究力の向上や文化芸術、スポーツ分野の発展に重要な役割を果たす存在です。私といたしましても、これらの方々が長期にわたり訪日できないことによる影響を大変憂慮をいたしてございました。先生と同じでございます。

 今回の水際措置の緩和というのは、入国実現への第一歩と考えてございます。全ての待機者が入国するにはいましばらく時間がかかると考えております。希望する皆さんが迅速に入国できるようにきめ細かな支援を行ってまいりたいと思います。

 具体的には、留学生へのきめ細かいサポートを行うとともに、入学が遅れた学生の方でも円滑に学修が開始できるよう、大学等に対して、四月以降の学事日程の柔軟な対応を促してまいります。また、文化、スポーツ関係につきましては、各分野の特性を踏まえ、関係者と連携して必要な対応を行っていきたいと思います。

 今後も、実際の入国状況を踏まえつつ、現場における課題を、今日おられますけれども、関係省庁の皆さんと協議しながら、入国を心待ちにしてくださっている方々に対して、少しでも円滑に入国できるように全力で取り組んでまいりたいと思います。まだ始まったばかりだと思います。

浮島委員 是非、大臣のリーダーシップの下、しっかりと進めていただくようによろしくお願いいたします。

 それでは、特別支援学校についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この特別支援学校は、令和三年九月に設置基準が制定されましたけれども、依然として多くの学校で教室が不足しております。教室の不足の解消に向けてどのように対応していくのか、これは重要な課題でございます。

 これまで、文科省としては、障害のある子供の教育の場である特別支援学校について、小学校などのほかの学校種も設けられている設置基準を策定してきませんでした。鰐淵政務官の下で検討を行い、令和三年九月、ようやく特別支援学校の設置基準を策定したことは、一つの進展として受け止めたいと思います。しかしながら、特別支援学校への教育環境の改善は道半ばであることを指摘したいと思います。

 今日の各紙の新聞報道でもありますけれども、公表した特別支援学校における教室不足の調査によれば、前回の令和元年度の調査から五百七十八教室が増加し、全国で三千七百四十教室の不足が発生している。教室不足の解消に向け、各設置者においてはより迅速に施設整備を進めていくことが求められています。

 公明党の大阪府議団の皆さんより現場をどうしても見てほしいという声がありまして、一月十四日、視察をさせていただきました。一九六七年に設立された特別支援学校、これは施設整備が全く追いついておらず、児童生徒や教員が大変厳しい環境の中で過ごしておりました。

 これまでも文科省においては各設置者に対して解消に向けての支援を行ってきていると承知はいたしておりますけれども、特別支援学校の教室不足の現状と増加の要因、そして解消に向けてどのように取り組んでいくのか、お考えを教えてください。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 日頃、鰐淵政務官からも御意見をよくいただいてございます。

 先生御指摘のとおり、近年の特別支援教育を必要とする児童生徒数の増加によりまして教室不足を生じていることは全国的な大きな課題であると受け止めてございます。

 このため、文部科学省では、特別支援学校の新増築等の施設整備に対しまして優先的な国庫補助を行ってございます。先生も御承知だと思います。特に令和二年度から令和六年度を集中取組期間と位置づけまして、教室不足解消に向けた集中取組計画の策定を都道府県に要請するとともに、既存施設の改修に係る国庫補助率を通常の三分の一から二分の一へ引き上げることで、各学校設置者に対しまして支援の強化を図っているところであります。

 さらに、昨年九月に公布しました特別支援学校設置基準におきましては、既存の特別支援学校についても施設や整備の水準を向上させる、これは努力義務を課しました。

 文部科学省としましても、今後こうした支援を継続するとともに、各学校設置者が定めました集中取組計画の進捗状況を細かくフォローすることを通じまして、障害者のある児童生徒が安心して学べる、そういう教育環境の整備に努めていきたいと思います。

浮島委員 是非よろしくお願いいたします。

 また、視察した特別支援学校では教室の不足だけではなくて老朽化が深刻であり、児童生徒も教員も本当に大変厳しい環境でした。よりよい教育環境の中で教育活動が行われるためには、学校施設の維持管理も含め、老朽化対策が大変重要であり、国としても積極的に支援をしていくべきと私は考えます。

 視察させていただいた学校は教室の不足だけではなくて、まず保健室の前を通ったら、窓は閉まっているんですけれども、先生方はみんなコートを着ていました。それで、何でコートを着ているのかと思ったら、保健室にちょっと入ってくださいと言うから入ったら、風が外から、窓は閉まっているんですけれども、隙間風が入ってきて寒くて耐えられないと。だから、子供が具合が悪くて保健室に行ったら余計具合が悪くなってしまう。また、撤去された非常口の蛍光灯のコードが天井からぶら下がっている。また、雨漏りがするんですけれども、その雨漏りをごみ袋で、天井からくっつけてそこに雨漏りの水を入れている。

 また、もっと驚いたのは、校舎と校舎、建て増し、建て増しで来たもので、校舎と校舎に移るのに歩くところがなかったんですね。そして、ちょっと間が空いていたんですけれども、これはやっとここを歩けるようになったんです、やっと仮設ですけれども造っていただきましたとおっしゃったんで、ここに仮設でもこれがなかったときにはどうやって向こう側に渡っていたんですかと言ったら、跳んでいましたと言うんです。私は本当に言葉が出ませんでした。跳んでいましたって、教材を持って向こうの校舎まで跳ぶんですかと言ったら、そうですと。三階なんです、それが。一階まで下りて反対の校舎に行くのが大変だ、時間がかかる、だから跳んでいた、でも今は簡易でもこういう渡り廊下ができたからありがたいと言っておりましたけれども、こんな状況の下でやっておりました。

 また、ガラスがあって、そこに危険、触るなと赤字で大きく書いてありました。私が、何で危険、触るなって、ちょっとこう手をやろうとしたら、やめてください、触ったらガラス全部落ちますと。でも、そんな環境の下で、子供たちはその中で学習をしている、私は本当に驚いたことでございましたけれども。

 文科省においては各設置者に対して日常的な点検、修繕、適切なタイミングでの改修等を実施するよう指導助言を行ってきているということは承知しておりますけれども、よりよい教育環境の中で教育活動が行われるためには、学校施設の老朽化対策に対する国の支援、これは大変重要だと考えております。国としても積極的に支援をしていくべきと考えますけれども、大臣の見解をお伺いさせていただきます。

末松国務大臣 現場を御視察されまして、雨漏り、隙間風、生々しいお話をいただきまして、大変勉強になりました、参考になりました。

 特別支援学校を含む公立学校は、昭和四十年代後半から五十年代にかけて建築されたものが大変多うございます。先生御指摘のとおり、現在、一斉に老朽化対策が必要な時期を迎えているものと認識をいたしてございます。

 学校施設につきましては、建物の日常的な点検や修繕に加え、適切なタイミングで改修を行うことで、よりよい教育環境を保つことができるだけでなくて、トータルの維持管理コストの縮減も可能となってまいります。逆に、適切な対応を怠った場合には、外壁や照明器具の落下が発生するなど、施設の機能面だけでなくても、安全面でも大きな問題を生じます。

 このため、文部科学省では、予防改修工事を含む学校施設の長寿命化改修に国庫補助を行ってございます。また、各自治体が施設の維持管理や更新を計画的に実施できるよう、優良事例をまとめた資料とかガイドラインを公表するとともに、全自治体の職員を対象とした講習会も、先生、実施をいたしているところでございます。

 文科省としましては、引き続き、特別支援学校を含む公立学校の施設の老朽化対策にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

浮島委員 是非全力で、学びの環境を整備するために、よろしくお願いいたします。

 次に、ちょっと順番を変えさせていただきまして、夜間中学について質問させていただきます。

 大臣の所信の中にもありました、夜間中学については、各都道府県、政令都市で一校以上という目標達成に向け、設置を促進してまいりますということでございました。これも、我々も全力でこの夜間中学というのを設置するべきだということで進めてまいりました。

 今回は、この四月に新たに札幌、相模原、三豊、福岡で新しく設置がされることになっております。ますます機運を高めていきたいところでありますけれども、現在、大阪市においては、二つの夜間中学の統合の話が持ち上がっています。天王寺中学の夜間学級と文の里中学の夜間学級、これを統合するという案でございますけれども、公明党の市議団の皆さんとこの学校に視察に行かせていただきました。

 天王寺の夜間学級というのは、一九六九年という歴史ある、五十三年という歴史あるところでもございます。授業を視察させていただいているときに、その生徒さんの一人が泣き出しまして、実は、ここにいる生徒はみんな、この学校がなくなってしまうということで、授業どころではない、どうにか、私たちを助けて、学びの場を取らないでくれという切実な声もありました。

 また、令和三年の一月二十五日の予算委員会では、我々公明党の質問に対しまして、当時の菅総理から、引き続き、夜間中学の教育活動を支援するとともに、今後五年間で全ての都道府県、政令都市に夜間中学が少なくとも一つ設置をされることを目指し、全国知事会や指定都市会長に協力を得て取り組んでいきたいと、総理の方からも当時、答弁をいただきました。

 夜間中学については、今御説明させていただいたように、各都道府県、政令都市で一校以上という目標達成、これに向けて設置をしていかなければならない、大臣の所信にもありましたけれども、このような中で、夜間中学の数を減らすということは、政府の方針に逆行することとなると私は思います。

 学校の統廃合の判断は設置者が地域の実情に応じて行うとはされておりますけれども、文科省として、この天王寺中学と文の里中学校の統合をして、新しく旧日東小学校の跡地に不登校特例校と併設型の夜間中学を新たに設置するという大阪市の方針に対してどのように考えるか、見解をお伺いさせていただきます。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 夜間中学、不登校など様々な事情によりまして十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方、我が国又は本国で義務教育を終了できなかった方など、教育を受ける機会を保障する重要な役割を果たしているものと考えてございます。

 私も江戸川区の小松川夜間中学へ行ってまいりまして、八十二歳のお年の方が一生懸命勉強される姿を見て、自分なりに感動いたしました。

 このため、文部科学省といたしましては、引き続き、設置を支援する予算を確保するとともに、予算委員会における総理の答弁のとおり、各都道府県、指定都市に少なくとも一校設置されるように、設置に向けた自治体の取組を促してまいりたいと思います。これはもうお約束のとおりです。

 なお、議員御指摘の大阪市において夜間中学を統合する方向で検討がなされているとはお聞きをしております。一方で、学校の設置、統合等につきましては、各設置者において、それぞれの地域事情に応じた最適な学校教育の在り方や学校規模を主体的に検討することが求められています。

 文部科学省としましては、各設置者の主体的な検討に資するよう、また、教育の機会を確保するためにできるだけ支障がないように必要な情報の提供に努めてまいりたい、そのように思います。よろしくお願いします。

浮島委員 是非、教育の機会が奪われないように、しっかりと文科省としても対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後に一問だけ。学校のICT化、GIGAスクールの構想について、タブレットの管理の仕方について現場から多くの声をいただいております。それはどういうものかというと、学校から情報端末を子供たちが自宅に持ち帰って家庭で充電してくるように、また、充電器を家庭で購入するようにと指示をされているというお声でございます。

 これは、一人一台時代に整備されたこのタブレットの管理の仕方、また充電を行う責任者は、基本的には学校にあると思います。そのための経費も国として措置をしているところでございます。

 子供のICTの機器の持ち帰りについて一定のルールを定めるよう、また充電保管庫の予算等、現場に周知するよう、文科省から教育委員会に通達を出していただきたいと思いますけれども、最後に大臣にお伺いさせていただきます。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 児童生徒の学びの保障の観点からも、GIGAスクール構想で整備されましたICT端末の持ち帰りというのは、学習を活用することには大変有効な策の一つと考えてございます。一方で、持ち帰りに関しては、先生御指摘のような懸念もあるため、学校と家庭のコミュニケーションを深め、理解と協力を得ながら進めることが大変重要だと思います。

 こうした考え方につきまして、これまでも周知をしてきたところですが、充電のみが持ち帰りの目的とならないように、端末を持ち帰ることの目的を保護者と共通理解を図ること、端末の利用にのめり込み、長時間画面を見続けないよう、三十分に一回は二十秒以上目を休めるなど健康上の留意事項を保護者、児童生徒に明確に示すことなど、持ち帰りのルール作りや健康面への配慮を含む端末活用のガイドラインを策定し、近日中にこれは公表する予定でございます。

 また、充電保管庫を含むネットワークの環境整備費用につきましては、令和元年及び令和二年の補正予算で措置をするとともに、単年度では千八百五億円、地方財政措置が講じられていることから、積極的に活用いただきたいと思います。

 文科省として、新たに作成をしましたガイドラインなどによりまして、全国での適切な端末の活用が進むように促してまいります。

浮島委員 しっかりと通知を出していただくようによろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 立憲民主党の牧義夫と申します。

 末松大臣に初めて質問をさせていただくわけでございますので、本来であれば、大臣所信に対して大局的、網羅的な質問をすべきところではございますけれども、文科行政に関わる案件でちょっと看過できない問題が幾つかございましたので、今日はそのことについて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まずは、福島第一原発、ALPS処理水の問題についてでございますけれども、ちょっとこれは皆様方にはお配りしておりませんが、文科省が出しております放射線副読本、これは小学生用と中高生用の副読本が編さんをされて、学校に配付をされているというものでございますけれども、この副読本に挟み込んでくれということで、復興庁、経産省の方から事務連絡が各学校に行って、学校の方は、教育委員会を通していなかったものですから、学校も唐突にこういうものを送りつけられて大変混乱をしているというお話が、結構、地元の、東北方面の新聞にも載っております。

 関係者の合意形成が不十分なまま、国民から理解を得るプロセスはまだ途上だという、ある市の市長さんの言葉もございますし、この処理水はデリケートな問題で、教育現場で指導することではないという意見も出ております。

 このことについて、大臣がどう御認識をされているのかということも含めて、今日は質問をまずはさせていただきたいというふうに思います。

 我が党としては、このALPS処理水については、まず、国民への説明と十分な議論を経た上での決定がなされるべきだ、海洋放出についてはですね。海洋放出、大気放出以外の処分方法を追求する、福島のみに負担を強いることのない処分方法を検討すべきだ、具体的かつ実効性のある風評被害対策、これらを求めているところでございますけれども、政府については、令和三年四月に国民的議論のないままに海洋放出を決定した方針を是非とも見直していただいて、さらに、情報発信の在り方についても丁寧な対応を求めるというのが我が党のスタンスでございますけれども。

 今日は、この副読本の中身そのものについて議論するつもりはございませんけれども、これに挟み込まれたチラシについて、ちょっとこれは看過できないなという観点から質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、このチラシを見ると、このALPS処理水というのは非常に安全なものだというふうにうたわれているわけですけれども、この処理水の安全性について政府としてはどのような認識を持っておられるのか、その点についてまずお伺いをしたいというふうに思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の処分に当たりましては、国際的な考え方の下で、従来から定められた国内の規制基準、これを厳格に遵守することとしており、こうした対応を適切に行う限り、人体や環境への安全は確保されるものと認識しております。

 ALPS処理水の処分に伴う風評の抑制には、何よりも、こうした安全性に係る内容について広く国民の皆様に分かりやすく伝えることが重要と考えており、御指摘のチラシにおいても、浄化処理し、健康に問題のない安全な状態で処分されることや、トリチウムは水素の仲間で、雨水、海水、水道水などにも存在するものであり、健康への影響は心配ないことなどを説明しております。

 引き続き、科学的な根拠に基づく正確な情報をできるだけ多くの方に分かりやすく伝える努力を重ねていきたいと考えております。

牧委員 政府としては、これは安全なものだという認識をしているんだということは分かりましたが、ただ、国民の皆さん方がそのように認識しているのかどうなのか、その点についての認識はどうでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年四月の基本方針の決定以降、地元の自治体や農林漁業者を始めとした様々な方々に対し、説明や意見交換を重ねております。これらの意見交換等では、安全性が本当に確保されるのか、風評の影響が大きくなるのではないかといった御心配の声も寄せられていると認識しております。

 こうした中、ALPS処理水の処分に伴う風評を生じさせないためには、消費者を始めできるだけ多くの国民の皆様に、政府の方針決定の背景や議論の経緯、処理水の安全性や風評対策の進捗等について情報提供する機会を適切に確保し、御理解を深めていただくことが大切だと考えております。

 このため、引き続き、様々な媒体、機会を活用しまして国民の皆様に正確な情報を発信するとともに、意見交換等の中でいただく疑問に丁寧に回答することなどを通じて、ALPS処理水への御理解を深めていただくよう取り組んでいきたいと考えております。

牧委員 つまり、風評風評とおっしゃいますけれども、やはり国民の中にはまだ懐疑的な意見を持っている方も大勢いらっしゃると。多分、そのことについての認識もあるからこそ、こうやってチラシを作ったんだというふうに思います。

 ちょっと文科省の方から伺いたいんですけれども、そもそも、この放射線副読本、この配付の目的というのは、何の目的でこれを配付したんでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の放射線副読本は、児童生徒が放射線に関する科学的な知識を身につけ、理解を深めることができるよう作成しているものでございます。現在まで数次の改訂を重ね、全国の小中高等学校等へ配付をしております。

牧委員 配付の手順は、どういう手順でやられているんでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 本年度分の配付に当たりましては、昨年七月に、文部科学省から各都道府県教育委員会及び市町村教育委員会等を通じて、学校ごとの副読本の配付希望を把握するための調査を実施いたしました。この調査に基づきまして、昨年十二月から本年一月にかけて、希望する学校等に対して放射線副読本を配付をいたしました。

 その際、十二月十七日付で事務連絡を発出し、放射線副読本を改訂し、希望する学校に送付したことを各都道府県教育委員会等に対して周知をしたところでございます。

牧委員 非常に丁寧に手順を踏んで配付をされたということは分かりました。

 これは、アンケートを取って、希望された学校というのは大体何割ぐらいなんでしょうか。

伯井政府参考人 割合というか、配付先数は約三万七千件、小学生用約二万件、中高生用約一万七千件でございます。

牧委員 件数じゃなくて、何割ぐらいと。

伯井政府参考人 小中高全体で四万校ありますので、そのうちの三万七千校でございます。

牧委員 文科省の踏まれた手順については理解をいたしましたが、今局長のお話にもあった十二月十七日付の事務連絡、これは皆様方のお手元にも配られておりました三枚目の紙でございますけれども、各都道府県の教育委員会にこの連絡をされております。

 同日付で、問題のこのチラシ、これを一緒にしてくれということで、それぞれ、各中学校、高校、それから各小学校宛てに直接この事務連絡が教育委員会を通さずに行っているわけですね。だからこれ、現場が混乱して、いろいろな声が一斉に上がったわけです。

 これは、文科省と経産省、復興庁がきちっと連携をして、このチラシを挟み込むことの合意の上でのこの十二月十七日の事務連絡だったんでしょうか。その確認をさせていただきたいと思います。

伯井政府参考人 御指摘のように、放射線副読本とともに、御指摘のチラシが直接学校に配付されております。これは、昨年八月に関係閣僚等会議におきまして、放射線副読本にALPS処理水に関する記載を追加し、文部科学省のホームページで公表するとともに、ALPS処理水について分かりやすく説明したチラシ等と併せて、関係省庁が連携して全国の各学校へ配付、周知するということを受けて配付されたものでございまして、副読本と一緒に配付されたというふうに承知しております。

牧委員 この文科省の十二月十七日付の事務連絡を見ると、このチラシのことについては全く触れられていないんですね。私は、ひょっとすると、文科省が全然知らない間に、勝手に各小中学校、高校にこのチラシが送りつけられたんじゃないかなと邪推するわけですけれども、そういうことはないんですね。だとすれば、ここにそういった旨を記載しなかったことは、文科省として非常に大きな落ち度だと思うんですけれども。私、文科省をかばうつもりでこれを言っているんですよ。どうなんでしょうか。

伯井政府参考人 ただいま説明いたしましたように、関係閣僚会議を踏まえて、そのチラシも併せて全国の各学校へ配付、周知したということで、これは我々も当然承知をしておりました。

 ただ、その際、各教育委員会等を通じずに各学校へ直接配付したということについては、丁寧さをやや欠いた配付の仕方であったということで、我々もそのことについては反省し、今後、より丁寧なやり方で周知をしていくべきではないかというふうに認識しております。

牧委員 ちょっとしつこいようですけれども、去年の七月に各教育委員会に連絡をして、その後の八月に関係閣僚会議があったわけです。この八月の関係閣僚会議のときに、このチラシを挟み込みますよということが合意されたという記録はないですね。私は、だから勘ぐるんです。

 この中身について、ちょっと後でまた大臣の意見も聞きたいと思うんですけれども、このチラシの中身を見ると、はっきりと、トリチウムは身の回りに、皆さんの手元に資料があると思うんですけれども、身の回りにたくさんあります、健康への影響は心配ありませんと断言をされております。この絵を見ると、コップで飲んでいる絵まで描いてあるんですね。

 これはちょっと、私はこれを見て衝撃を受けたんですね。これは本当に科学的に、全てが、安全性が確認されているものであるのかどうか、まだ懐疑的な学者もいる中で、こういったものを小学校、中学、高校に挟み込むということは、私はちょっと非常識だなというふうに思いますし、もう一度経産省の事務連絡を御覧いただくと分かるんですけれども、このチラシの活用に当たっての留意点と下の方にありますけれども、この放射線副読本にこれを挟み込むなどと書いてあります。それから、家庭でも放射線副読本と併せて活用してもらえるようにというふうに書いてありますけれども、そこまで教育の現場に介入してきたと私は言わざるを得ないというふうに思いますし、この内容が適切なものかどうか、大臣、これを御覧になっていかがでしょうか、このチラシ。

伯井政府参考人 まず、事実関係でございます。

 先ほど来御指摘いただきますように、放射線副読本に関しましては、希望した学校に送付をいたしましたし、送付の際の副読本の事務連絡につきましては、チラシについては言及をしなかったわけでございます。あくまで放射線副読本に関する事務連絡であったために、チラシについて言及をしていなかったわけでございますが、御指摘のとおり、確かに経産省あるいは復興庁ともう少しうまく連携が取れたのではなかったかというふうに考えているところでございます。

牧委員 堂々巡りになっちゃいますのでこの辺にしますけれども、ちょっと別の角度からお聞きをしたいと思います。

 そもそも、この放射線副読本、どうやって編さんされたのかというところにちょっと触れたいと思うんです。

 この後ろの方を見ると、作成に当たって御協力いただいた方々ということで、学識経験者等の名前が並んでいるのと併せて、協力して、復興庁、内閣府原子力災害対策本部ですとか経産省とか、出ているんですね。

 だから、この副読本そのものの編さん、編集がどういうふうにされたのかということをちょっと確認したいと思いますけれども、編集に当たっての最終的な責任者というのはどなたなんでしょうか。

伯井政府参考人 この放射線副読本は、文部科学省の責任で作成をしているものでございます。

 その作成の過程では、児童生徒が放射線に関する科学的な知識を身につけ、理解を深めることができるよう、学校関係者、それから放射線の専門家等の有識者の御協力を得ながら、さらに、御指摘にありました関係省庁の協力も得つつ、科学的な根拠に基づき、児童生徒の発達段階に応じて表現を工夫しながら作成をしております。

 今の形態となって発行したのは平成二十三年度でございまして、累次にわたり改訂をしながら、このような形態で発行しているものでございます。

牧委員 文科省の責任においてこれは編集をしたというお話ですので、ただし、大勢の方が関わっているんですね。

 これ、今すぐじゃなくていいですから、是非、この編集会議というか、議事録があれば見せていただきたいし、どんな意見が出て最終的にどういうふうにこの冊子がまとまったのか、その過程が分かるような資料を是非この委員会に提出をしていただきたいと思いますけれども、委員長、いかがでしょうか。

義家委員長 後刻、理事会で協議いたします。

牧委員 なぜそれを申し上げるかというと、さっき申し上げたように、この副読本の編さんに当たっては、復興庁も経産省も、もう既に絡んでいるんですね。絡んでいるにもかかわらず、後からチラシを作って、それで、具体的に、第二章の二の一のところにこれを挟み込んでくれということまで事務連絡しているということは、これは、実際この副読本を編集したときに、このチラシの内容はこの副読本には含まれるべきでないという意見もあって、そしてこの副読本ができ上がったのを、後からそこに、こそこそっと、何ページに挟み込んでくれというような形で学校に送りつけたと勘ぐられても私は仕方ないと思いますよ。いかがでしょうか。

伯井政府参考人 この副読本自体にもALPS処理水に関する記載部分というのもございます、御案内のとおりでございますが。

 そうしたことで、チラシについては、配付の経過については先ほど御答弁したとおりでございますが、その内容について、文科省として、チラシの内容そのものについては確認行為等は行っていないというものでございます。

牧委員 これ以上は言いませんけれども、私、文科省の立場で、文科省をおもんぱかってこういう質問をさせていただいているんですよ。文科省の責任において編さんしたものに、何ページに具体的に挟み込んでくれという、他の省庁から余計なことをされて、本来憤るべきなのは、私は文科省だというふうに思います。そのことだけ申し上げて、この編さんに当たっての議事録なり、その過程が分かるものがあれば是非提出をしていただくことを重ねてお願い申し上げます。

 次に、東京オリンピック・パラリンピックについて質問させていただきたいと思いますけれども、開催経費、組織委員会発表によると一兆四千五百三十億円ということになってございますけれども、この内訳をお聞かせをいただきたいのと、それから、招致したときの試算の、多分これはおよそ二倍ぐらいになっているんじゃないかと思うんですけれども、なぜ二倍になったのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。

堀内国務大臣 昨年十二月に組織委員会が公表した大会経費の見通しにおいて、東京大会における経費の総額は、先ほど御指摘のように、一兆四千五百三十億円となる見通しとされております。その内訳としては、組織委員会が六千三百四十三円、東京都が六千二百四十八億円、そして国が千九百三十九億円を支出する見通しとなっております。

 この立候補ファイルの額と最後の決算の額、これについての御下問が二問目にあったと思いますが、この立候補ファイルの大会経費は、立候補都市間の比較を容易とするために、競技場周辺の整備費や運営費等を計上しない形で提示することをIOCから求められていたものと承知しています。

 大会招致時には立候補ファイルの大会経費のみ公表されており、結果として、最初の包括的な大会経費の試算であるいわゆるV1、平成二十八年十二月に組織委員会が公表した予算公表後も、立候補ファイルの方の大会経費が参照され続けているものと承知しております。

 そして、この立候補ファイルの額を見れば、立候補ファイルの額と、そして最後の決算の額が乖離があるといったことを御指摘いただいているのだと思っておりますが、今後は、招致活動において、東京大会の大会経費に係る経費などを参考にしながら、包括的な大会経費の方も御参考にしていただければというふうに思っております。

牧委員 なぜ二倍になったのかについては、ちょっと合点がいかないんですけれども。

 いずれにしても、まだ決済が済んでいないものがあるわけで、これはもっと、この三月でこのオリパラ担当というポストがなくなっちゃうわけですけれども、これは引き続いてきちっと中身を検証して、これは国民の税金が入っているわけですから、中身を検証して、そしてきちっとつまびらかにしてもらいたい、いずれですね、いずれというか近いうちに。これはどこでやるんでしょうか。

堀内国務大臣 ただいま、まず、先ほどの答弁で一つ訂正させていただきます。組織委員会が六千三百四十三億円といった内訳でございましたが、そのとき億をつけずに円というふうに申し上げてしまいました。ここだけ一つ、まず訂正させていただきます。

中村政府参考人 御案内のとおり、オリパラ事務局につきましては三月で一旦閉じるような形になるわけでございますけれども、これは関係省庁で連携をしながら、今後の決算の精査についてはしっかり対応してまいりたいというふうに考えております。

牧委員 きちっと対応していただいて、あるいは会計検査院等も入るんでしょうけれども、きちっと詳細を国会の方に報告をしていただくようにお願いしたいと思いますし、そういうことがきちっとできないのであれば、今、二〇三〇年冬季大会に札幌市が名のりを上げておりますけれども、とてもこれはそういう曖昧なままでは賛同しかねるということもはっきり申し上げておきたいと思います。

 IOCのバッハ会長は、もう早々と、札幌には全てがそろっているみたいなことを、多分、よっぽどおいしい思いをしたんだろうなと思うんですけれども、札幌にもう目を向けているということですけれども、国民の税金を使って本当にやるべきものなのかどうなのかということは、私は、しっかり精査をすべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。

 新国立競技場の今後の利用計画と収支の見込み、年間の維持管理費等についてちょっとお伺いをしたいと思います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 国立競技場の利用計画等についてでございます。

 国立競技場につきましては、昨年夏に開催されました東京オリンピック・パラリンピック競技大会に使用するということで、同施設を設置、管理いたします独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSCから大会組織委員会に貸し出されているという状況で、現在はその復旧工事中にございます。三月中にはその復旧工事を終えまして、来月からいよいよ定常運営を開始する予定となっております。

 これまでの利用につきましては、東京大会終了後、少しでも多くの国民の皆さんに競技場に親しんでいただけるよう、JSCにおきまして、昨年十月からスタジアム外構の一般公開を先行して開催しているなど、取組を実施しております。また、年末年始の期間におきましては、既にサッカーやラグビーの選手権大会にも使用されたということでございます。

 今後の利用につきましては、本年四月以降は、年間を通じまして、サッカー、ラグビー、陸上など様々な国際大会や全国大会が開催される予定でございまして、我が国のスポーツ振興の中核拠点として最大限活用したいというふうに思っております。

 また、維持管理費についての御質問がございました。

 国立競技場の年間の維持管理費につきましては、新国立競技場整備事業の設計段階におきましては、電気、水道等につきまして約十一億円と試算されております。今後、年間の通常運営を行う中で、民間事業者の知見、提案なども集めながら、JSCとも協議しつつ、更に精査を進めてまいりたいというふうに考えております。

牧委員 今から七年前に、私、この委員会で質問をしたときに、この収支のことについては年間約三億円程度の黒字を見込んでいるという答弁をいただいておりますので、この答弁のとおりになるかどうか、しっかりこれから見させていただきたいというふうに思います。そのことだけ申し上げます。

 最後に、今これは国の所管じゃないんですけれども、神宮外苑の再開発について、今朝の新聞にもちょうど東京新聞一面で大きく出ていましたけれども、これは大変な私は文化的な価値のある森だというふうに思いますし、イコモス・ジャパンからも、是非ともこの外苑の森を守るべきだという指摘もされております。

 これは、国が意見を言える、形式的に言える話ではないのかもしれませんけれども、私は、国としての意見をはっきり言ってもいいだけのしっかりとした文化的な価値のあるものだというふうに思っております。

 これは超法規的かもしれないけれども、かつて、三十年ぐらい前かな、文京区の庁舎を、高層の庁舎を建てるときに、文化庁が小石川後楽園からの景観が悪くなるというふうに横やりを入れて、一時その計画がストップしたことがあります。こういうこともできるんですよね、やはり、やろうと思えば。

 私のかつての恩師である、今は亡き鳩山邦夫代議士が総務大臣のときに、東京駅の南口前の中央郵便局、あの建物を守るんだといって、守ることもできました。これはやはり、政治的な判断でやってやれないことはないというふうに私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

末松国務大臣 都市計画事業のことは先生も今お話しなさったとおりでございますし、私も地方議員のときには十年ほど、都市計画、当時は地方審議会委員と言っていましたんですけれども、務めました。理屈はもう先生のお話のとおりなんですが。

 お尋ねの神宮外苑地区のこの再開発事業につきまして、東京都が平成三十年に策定した神宮外苑地区のまちづくり指針等に基づきまして、歴史や景観に配慮した計画とすべく、東京都及び関係区が、関係事業者、三井不動産さんとか宗教法人明治神宮、伊藤忠商事、独立行政法人日本スポーツ振興センターですか、と協議しながら検討を進めてきたものでございます。

 去る二月九日に、関係事業者が提出をしました企画、提案に基づきまして都が作成した都市計画案が、東京都の都市計画審議会において賛成多数で承認されたものと聞いてございます。賛成多数ということですが、大体、割と全会一致が多いんですけれども、賛成多数だったんだと思いました。

 こうした中、二月七日に、一般社団法人日本イコモス国内委員会から東京都知事及び東京都議会議長に対して、神宮外苑地区の樹木を始めとした景観等が損なわれないようにすべきだというその提言がなされたと伺ってございます。

 新聞等は、今日の新聞は、先生、拝見していないんですけれども、この前の読売新聞を拝見をいたしましたです。東京新聞ですか、東京新聞を拝見しました。

 本件につきましては、今後、東京都及び関係区において、地権者を始めとする関係事業者と協議をしながら、適切に対処していくべきものと考えてございます。

 文部科学省としては、まず、先生、検討の状況は注視はさせていただきたいと思うんです、これについて。事業権者が東京都でございますから、そこに、どういう形にしましても、口や、国が意見を出すということは、それは大きな影響があるのかもしれません。権限はないんですけれども、影響を与えると思うんですけれども。そういうところもございますので、注視をしてまいりたい、そのように思ってございます。

牧委員 是非政治力を発揮していただきますようにお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

    〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕

山本(と)委員長代理 次に、笠浩史君。

笠委員 立憲民主党、笠でございます。

 今日は、末松大臣とは初めて質疑を行うということで、先般も大臣の所信を伺って、大きな思いは一緒だなというふうに思っております。

 そこで、まず最初に、大臣が所属しております今の岸田政権、岸田総理自身も、よく、この前の施政方針演説で、我が国の人への投資は、他国に比して大きく後塵を拝しているというようなことをおっしゃっております。

 つまり、人への投資、私自身も、本当に、やはり日本の将来を考えるときに、人づくりなくして国づくりなしということをもう十九年間訴え続けてきておるわけでございますけれども、大臣は、岸田総理のおっしゃっている人への投資というのは、教育関係のこの予算のことをおっしゃっているのか、それとも、文部科学関係の、例えばこの五兆円を超える予算のことをおっしゃっているのか。これ、具体的には何を指しているというふうに大臣は理解をされているんでしょうか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 昔、小学校時代から教師が言っておりました、日本は資源のない国だから、優秀な人が出てきて、いろいろなものを発明して、物を作って、それを輸出してやっていける加工貿易が中心なんだ、そう覚えておけということを言われたことがあったんですけれども、そうした人が立派なのかなと私は思ったことがございます。まさにそれは確かに、今につながる人材かもしれません。

 岸田内閣におきまして、人的資本のボトムアップや、成長分野への労働移動等の人への投資を図ることで、一人一人の能力が向上し、高まった力を発揮しながら、活躍できる社会となり、次なる成長の機会が生まれるという、成長と分配の好循環の実現を図ることとしております。

 この中で、文部科学省が担当する行政分野は、人を教え育み、そして人の英知や創造力を最大限に引き出すことにより、国民の人生を幸福で豊かなものにし、我が国の成長の源泉ともなる、極めて重要なものであると考えてございます。

 岸田内閣の掲げる人への投資の充実を図るべく、文科行政の一層の推進に努めてまいりたい、そういうふうに考えてございます。

 私、先生と同じ考えだと思うんですけれども。

笠委員 私が今、あえて大臣に確認したのは、予算委員会なんかでこのことを聞かれたときに、どうも何か、岸田総理自身が、オフJTの話を持ち出したりとか、十兆円の大学ファンドの話を持ち出したりとか。本来であれば、本当に誰一人、後ほどまた議論させていただきますけれども、取り残すことがない。

 やはり今、日本のこの人口減少、超少子高齢化、これはもう国家の安全保障です、本当に、関わる問題です。やはり、もはや日本が成長できない国になっているんじゃないかと言われる中で、この危機を乗り越えて、持続的な成長を図っていくためには、大臣もおっしゃるとおり、一人一人の力をしっかりと磨いていくしかないわけですよ、生産性を上げていく。そのためには、学校教育だけじゃありません、本当に生涯を通じて学ぶことができる環境をつくるためには、どうしてもこの財源の確保というのは、私は待ったなしだと思っています。

 多分、それは、この委員会に所属する、あるいは国会議員であれば全員がそういう思いを持って私は取り組んでいるんじゃないかというふうに思いますので、是非大臣、とにかくこの教育、人づくり、これに関する予算を大幅にしっかりと確保して、そのために財源をどう獲得していくのか、その点の大臣の思いというものを端的に伺いたいと思います。

末松国務大臣 ありがとうございます。

 せんだっての予算委員会で、ある委員から、今回、教育予算五兆二千八百十八億、それで満足なのか、もっと必要じゃないのかということを言われまして、年度予算の、当初の予算の審議でございますので、満足も不満足も言えませんというふうにお答えしたんですけれども、心は、それはもう充実させるために増やしていくべきだ、そのように認識をいたしてございます。

 先生、子供は国の宝でございまして、教育は国の礎です。人への投資は、新しい資本主義を起動しまして、成長と分配の好循環の流れを加速していくための鍵でもございます。

 こうした認識の下で、文科省としては、幼児教育、保育の無償化、高等教育の修学支援新制度などの経済的負担軽減策、そして、もう御承知のとおりのGIGAスクール構想や小学校の三十五人学級など、計画的な整備を着実に進めてまいりました。

 加えて、令和四年度予算では、小学校高学年の教科担任制を推進するなど、教職員定数の改善等を盛り込んだこともありまして、今後、更なる教育の質の向上を図っていかなければなりません。

 文科省としては、先生おっしゃるとおり、引き続き、教育予算を着実に確保するため、人への投資を通じて、成長と分配の好循環を実現するために頑張ります。

笠委員 是非、今ちょっと直接的にはお答えになっていませんけれども、本当に、消費税、目的税がいいのか、あるいは教育国債的なものがいいのか、やはり、ある意味では財源の確保ということも、またこれは別の機会に改めて議論をさせていただきたいというふうに思います。

 それで、一番大事なことは、先ほど、この少子化の中で、将来の担い手の子供たち、これが減っているわけですから、やはり、大臣も常におっしゃっているように、誰一人として取り残されることがない、そういう環境をつくるということは、本当にこれは重要なことだというふうに思っております。

 そのために、私どもも、ちょうど二〇一六年、平成二十八年には、教育機会確保法というものを議員立法で成立をさせました。

 ただ、現実には、今本当に、一人一人の個別最適な学習環境と同時に、やはり教育機会というものも、その多様化というものを推進していく必要があるわけで、多くの取組、フリースクール含めて、今、全国で広がっていっております。ただ、そこに対する国の支援が果たして学校同様のものであるのかというと、まだまだこれは道半ば、スタートしたばかりではございます。

 是非、大臣、こうした学校以外の場における学習活動というものを、経済面、財政面含めて支援を充実をさせていくというようなお考えがあるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 不登校等の児童生徒が、家庭の経済状況にかかわらず、学校以外の多様な場で社会的自立に向けた学習等に取り組むことができるよう、きめ細かな支援体制を整備すること、大変重要と考えてございます。

 こうした認識の下に、文部科学省では、今先生、話が出ました、フリースクール等との連携も含めた教育支援センターの機能強化やカリキュラムの弾力化など、不登校の特例校の設置も進めてございます。

 私も、就任してから、足立区にありますげんき教育支援センターというところへ行ってまいりまして、十八歳未満の方々がそこで一生懸命勉強されておられました。一階は児童相談室でした。

 こうしたことの、教育支援センターの機能強化とかカリキュラムの弾力化など、こういったこと、可能な、不登校の特例校も設置を進めていきたいと思います。

 また、困窮家庭の不登校児童生徒がフリースクール等で学ぶ際に、通所や体験活動に必要な費用を支援するとともに、そうした取組が社会的自立に与える効果の検証も進めているところでございます。

 文部科学省としましては、こうした取組の成果と課題を検証し、政策の検討を行ってまいりますので、よろしくまた御指導いただきたいと思います。

笠委員 今いろいろな取組が確かに進んでいるわけですけれども、今、特例制度の話もございましたけれども、これからは本当に大胆に、授業時間の弾力化あるいは学年を超えた学び、小学校であれば六年間の中で、例えば算数はなかなか三年生、四年生の段階で難しくなっているけれども、あるいは国語、社会は物足りないとか、いろいろなそれぞれの子供たちの能力に応じた形での学習機会をどう確保していくのか、一人一人にきめの細かい対応をしていくのか。あるいは、学校の在り方自体も、一条校の問題等々も、本当にこの議論をしていかないといけないという認識に立って、改めてまた大臣とも議論をさせていただきたいと思います。

 それで、先ほど浮島委員の方からも質問があったんですけれども、今朝も報道されておりますいわゆる障害のある児童生徒への対応として、特別支援学校の教室不足。

 令和二年度から六年度の五年間で、集中取組期間として、教室の不足を解消するということで今その半ばにあるわけですけれども、残念ながら、二年半前の調査から、今回、令和三年十月一日現在でまだ三千七百四十教室、前回調査よりも五百七十八教室も不足分が増加をしているというような結果が出ておるわけですけれども、これは、とにかくやはり、障害を抱えるお子さんたち、児童生徒の数がどんどん増えていって、それに施設の整備が追いついていないという傾向が相も変わらず続いておるわけですけれども、大臣、これは令和六年度までに解消できるんでしょうか。

    〔山本(と)委員長代理退席、委員長着席〕

末松国務大臣 先ほど、先生、私、教育予算と申し上げましたけれども、文科省予算五兆二千八百十八億の間違いでした。それと、げんき教育センターでもなくて、教育センターげんきの間違いでございました。訂正いたします。

 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、近年の特別支援教育を必要とする児童生徒数の増加によりまして教室不足が生じていること、大きな課題であります。先生が御指摘のとおり、令和元年から三年の間に五百七十八増えたということで、私も大変驚きました。

 このため、文部科学省では、特別支援学校の新増築等の施設整備に対して優先的に国庫補助を行ってございます。特に、令和二年度から令和六年度まで集中取組期間と位置づけまして、教室不足解消に向けた集中取組の計画の策定を都道府県に要請するとともに、既存施設の改修に係る国庫補助率を通常の三分の一から二分の一に引き上げることで、各学校設置者へその支援の強化を図っているところでございます。

 文科省としましては、今後こうした支援を継続するとともに、教室不足数が大きく増加した学校設置者を始めとして、集中取組計画の進捗状況をきめ細かくフォローアップすることを通じて、障害のある児童生徒が安心して学べる教育環境の整備を進めていきたいと思っております。努力をいたしてまいります。

笠委員 三分の一から国庫補助を二分の一に引き上げるなど、そのことを今取組をやっているのは分かっているんです。ただ、今回の調査でも、今、令和六年度までに解消が計画されているのは九百六十九室、僅か二六%ということが分かっているんですよ。ねえ、大臣、もう、すぐですよ、令和六年度って。

 今それだけの見通しが立っていないということは、例えば、じゃ、本当に新設の学校を造るのであれば、これが財源的な問題なのか、いろいろな事情はあると思います、土地の確保から。しかし、今、三分の一から二分の一へ引き上げているというけれども、じゃ、これを例えば耐震化のときのように緊急措置として三分の二まで引き上げていくようなことも含めて、追加の対策というものを是非検討していただきたい。

 それと同時に、今回、二年半ぶりの調査だったわけです。次も二年半後だと、もう令和六年の五月ですよ。ですから、間に合いません。来年、どういう状況か。この調査はそんなに負担がかかる話じゃないですから、ですから、毎年この調査を是非して状況を把握して、そして対策を講じていただくことをお約束ください。

末松国務大臣 温かい、厳しい御指摘をいただきました。

 御指摘の話でございますけれども、その重要性に鑑みまして、公立の特別支援学校施設の新増築事業につきましては、二分の一の国庫補助率で優先的に採択を行っているとともに、今申し上げましたけれども、令和二年度から令和六年度まで、この五年間は、特別支援学校の用に供するための既存の施設の改修に係る国庫補助率を三分の一から二分の一に引き上げてございます、先生。

 なお、その国庫補助率の更なる引上げについては、必要となる予算総額や事業採択数に直接影響することから、慎重な検討が必要であると思ってございます。

 ただ、先生おっしゃるように、六年はもう二年先やないかという話でございますので、いずれにしましても、この教室不足の解消の進捗状況を継続的に把握しつつ、国として必要な支援の在り方を是非検討させていきたい、そのように思います。

 やはり、パイが限られていますので、採択数を増やしたら補助は小さくなってしまいますし、一つに大きく投資をしたら件数は減ってしまうということがあるから、やはり全体的なパイを大きくしなきゃいけないということはよく分かるんですけれども、今そういうことで、必要な支援の在り方を検討していきたいと思います。

 それと、先生、調査のことなんですけれども、これは、毎年の悉皆で調査を実施することというのは、学校現場とか教育委員会の事務の負担の部分も多少あると思うんです。

 私、ちょっとフォーマットを見ましたんですけれども、文科省が出す、教育委員会が受け取る、で、学校現場へやはり送っていきます、どうなっているかと。それが単純に自動的、機械的にできれば、機械的にやるチェックだったらいいんですけれども、例えば、間仕切りをしたらこれは機械的に判断できないということもありますし、間仕切りをしたら声が聞こえるかどうかというようなことについてもきちっとアンケートに答えなきゃならない。今年の子供と昨年の子供とでは意見がやはり違ってきますから、アンケートに対する、調査に対する答え方が違ってくるということで、結構手間暇かかるみたいでございますので。

 いずれにしましても、文科省としましては、働き方改革の観点からもちょっと慎重な検討が必要かなということは思ってございます。

笠委員 大臣、それは工夫次第なんです。一々一々、一人一人の子供がどうだということまでの悉皆をやる必要はないんですよ。ただ、もう今、都道府県ごとに計画を作らせているわけでしょう。その計画すらができていないところがあるわけじゃないですか。学校の施設に関する責任はその都道府県の教育委員会にきちっと聞けばいいわけで、個々の学校でどういうふうに仕切るんだどうだということじゃなくね。ですから、細かいやつは別として、本当にきちんと、六年度までにどこまで解消されるのかという今の現実、状況というものを、やはり大枠を把握するということが大事なので。

 大臣、やはり、それと同時に、予算のことをおっしゃったけれども、確保しなきゃ、やる気があるところが出るんだったら。そうでしょう。自治体に聞いてみればいいじゃないですか。だって、子供たち、待てないんですよ。どんどん増えていっているんですよ。大臣、所信でおっしゃったじゃないですか、誰一人取り残さないって。だったら、きちっとした形で、もっと前向きに、我々も応援しますから、やってください。お約束してください。

末松国務大臣 努力を続けます。

笠委員 本当に、前回調査でも今回でもそうだけれども、なかなか実際には施設を新たに造ったり大幅な改修ができないから、今、先ほども大臣おっしゃったように、いろいろ、間仕切りをしたり、あるいは、理科教室、図書教室、そういうところを使ったり、私も行ったことがあるけれども、カーテンで区切られたり、そういった実は対応している、授業に支障が出るケース、これが、前回が七千二百余り、今回もまだ七千百ぐらいあって、まさに苦肉の策でそういうことをやっているわけですよ。

 でも、そこで学ぶ子供たちのことを考えたら、国はどうすれば本当にこの教室不足を根本的に解消できるのかということをしっかりやはり計画を立てて、そして、その状況をそのためには常に把握をしながら、自治体にも寄り添いながら、知恵を出し合って、是非やっていこうということでお願いを申し上げたいと思います。

 それで、もう一点、間もなく、あと一か月で新年度を学校も迎えるわけですけれども、ちょっと一点、裁判員制度のことを、ちょっと話題が変わるんですけれども、お伺いしたいと思います。

 大臣、この四月から、実は昨年の通常国会で、六月でしたか、五月か、改正少年法が成立したことに伴って、裁判員、それと、あと検察審査会の審査員、これも選挙権同様に十八歳以上に年齢が引き下げられたんですね。

 大臣、高校生、今の高校二年生、そして、来年度、四月から高校三年生になる子たちも、実は秋に裁判員の候補者名簿ができますので、秋にその候補者として名簿に載って、そして、実際には来年の一月以降、本人が学業を理由に、もちろん生徒、学生というのは辞退ができることになっています。しかし、やろうという子は、実は来年、裁判員としての活動をやることだってできるわけですね。そのことを、大臣、ちょっと伺いたい。高校生って、知っていると思いますか。

 大臣、私が今そういうことをあえて申し上げたのは、私も秋まで知らなかったんです。私の知り合いの弁護士の方から指摘を受けて、国会でも、調べたら、ほとんど法務委員会でもこのことを議論されていないんですよ。

 それで、それはだから、私、大臣が知らないからどうこうと言うつもりじゃなくて、私の周りの、やはり十八歳ぐらい、十九歳の子たちもほとんど知らない。選挙権のときはみんな自分が当事者なのでね、しかし、やはりごくごく一部でしょう。まさか、検察審査会の審査員になんていきなり選ばれましたなんて言われても、これはたしか、裁判員制度の方も、大体、裁判官を含めて九人ぐらいですから、一回の裁判。ただ、やはり、これは凶悪事件なんかを扱うので、裁判員制度、そうすると、やはり法教育の充実というものは物すごく大事だというふうに思っているんですね。

 まず大臣に一点、まず最初に確認をしたいことは、やはり、もしこういう機会があれば、是非、主体的にしっかりと経験をしてもらうということは、それは望ましい、あるいは、若い人たちの見方、そういう幅広く国民のいろいろな意見を反映させるという趣旨からすれば、この引下げというのは、私は、間違った方向じゃないと思うんです。

 ただ、大事なことは、じゃ、本当に来年、この一月ぐらいに十八歳で高校生がもし裁判員に選ばれたときに、大体、審理に平均七日間ぐらいかかるんですよ。これは欠席ですか。学校での出欠の扱いはどうされますか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 まず、先生から御指摘いただきましたように、本年四月から十八歳、十九歳の者も裁判員になることができるようになりまして、実際には来年から高校生が裁判員になる可能性があるため、文科省においても、法務省と連携して、必要な対応について検討を行っているところでございます。

 そして、在学中に裁判員として裁判に参加した場合、各高等学校において、欠席として取り扱わない、欠席扱いにしないということや、また、その場合の学習に遅れが生じないよう、補習をしっかり実施するなど必要な措置を講じていただくことにつきまして、これは改めて各教育委員会に対して今年度中に周知したいというふうに考えております。

笠委員 それは本当に、もう、すぐ新年度ですから、きちんとした形で周知をしてください。つまりは、きちんと裁判員として裁判に参加をしたとしても、今ありました、欠席扱いにすることはない、あるいは、それぞれの学校によって、必要であれば補習等々のきちっとした形での対応をするということで、局長、よろしいですね。そして、近く通知を出すということで。

伯井政府参考人 今年度中にしっかり通知で周知したいと考えております。

笠委員 今年度中ということは、もうあとこの一か月以内ということなので、それは迅速にお願いをしたいと思います。

 それと同時に、この四月からいわゆる新しい学習指導要領ということで、恐らくは、この法教育の充実については、高等学校の公民分野の新しい科目になる公共の中で指導をしていくことになるんじゃないかと思います。

 ただ、制度がどうですよということよりも、これはやはり、教員の方々の、特に担当する教員の方々と、それと法曹関係の皆さん方、その連携した中で、どういった教育をしていくのかということをしっかりこれは考えていかないといけないし、その協力関係、連携、協働の在り方というものをやはり文科省の方で法務省としっかり話をして、そして進めていただきたいと思いますが、その辺の、今調整というものはどのようになっているのかをお答えください。

伯井政府参考人 御指摘のように、この四月から順次実施される高等学校の新学習指導要領では、法に関する教育について、必履修科目、公共におきまして、法や規範の意義、役割、司法参加の意義について、現実社会の事柄、課題を基に指導するとともに、裁判員制度についても扱うというふうになっております。

 こうした法教育の一層の充実を図るためには、各学校現場で法曹関係者等の外部人材の活用を図っていくなど、教育関係者と法曹関係者が連携を図るというのが非常に重要というふうに考えておりまして、これまでも、文科省と法務省との連携の中で、法務省が実施している出前授業などについて文科省から各教育委員会にしっかり周知をして、充実するよう取り組んでいるところでございます。

 今後とも、法務省と緊密に連携を図りながら、法教育の更なる充実に向けて必要な取組を行ってまいりたいと考えております。

笠委員 法務省が、これはちょっと古いんですけれども、平成二十五年度に、法教育の実践状況ということについての調査研究、これはまた近々やるらしいんですけれども、そのときに、学校、法律家と、これは裁判官、検察官、弁護士等々ですけれども、それと連携した教育を行っているかどうかということで、その時点でも連携していないという回答が最も多くて、これが六〇%以上にも上っていて、連携でも一番多いのは、やはり身近な警察なんですよ。法曹三者ということになると、裁判所、裁判官五パー、検察庁、検察官二・一%、弁護士会六・八%。

 つまりは、これまでの法教育においても法曹関係との連携というのがやはり根づいていないというのが今の現実だし、なかなかこれ、学校単位で任されても、どこにどういうふうに、もちろん、例えば、弁護士会だ、あるいは検察あるいは最高裁等々でも、いろいろな、教育委員会を通じて出前授業等々行いますよというような通知等々は出ているんですけれども、もう少し、やはり私は、しっかりとした連携の必要性を。

 大臣、私、実は予算の分科会でも法務大臣とも、古川さんとも話したんだけれども、是非両大臣で、細かいいろいろなことは現場に任せればいいんだけれども、やはり、こういった裁判員制度の裁判員あるいは検察審査会の審査員にもう高校生が選ばれるかもしれない。やはり、高校段階での本当にこの学びというのが非常に、主権者教育、法教育、いろいろな観点から大事だと思いますので、そこがしっかりと現場同士が連携していくような、プラットフォームをつくっていくというような大方針を是非両大臣で出していただきたいんです。そして、やはりそのこともしっかりとそれぞれの自治体に周知をしていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

末松国務大臣 先生と法務大臣とのやり取り、分科会の会議録、拝見をいたしました。

 学校における法教育を充実するに当たりまして、教員等の教育関係者と法曹関係者等が連携を図ることは極めて重要でございます。法教育につきましては、現在も、学校現場における法曹関係者などの外部人材の活用を推進するなど、法務省とも連携しながら取組を進めてはございます。

 今後更に、御指摘にありました教育関係者と法曹関係者との連携、協働、先生は大方針とおっしゃいましたのですけれども、一層推進するために、話し合ってみたいと思います。

笠委員 是非よろしくお願いをいたします。

 若いときに、もしこういった裁判員に選ばれるようなときに、それを経験ができれば、やはり将来のこの国の担い手としての自覚あるいは責任、様々、そういった意味においても非常にいい機会であり、そういった、ある意味では主権者としての意識を培っていくということからしても、もし可能であれば、やはりそういったものを引き受けて、積極的に参加をしてもらえるような意識を若い人たちに是非持ってもらいたい、そういう思いを私は持っております。

 同時に、やはり、物すごい証拠の写真なんか、ちょっと目にしたくないようなものを見る機会もあると思うんですよ、引き受けたときに。ですから、そういったまた心のケアなんかも、一方でいうと必要になってくる場合もあるかと思いますので、是非その辺は、学校現場が非常に重要な役割を担うと思いますので、その点も含めてまた取り組んでいただくことをこれは要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

義家委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 今日は、コロナ禍における文化芸術活動への支援について主に質問をしたいというふうに思いますが、まず、その前に一言、内閣に対して苦言を申し上げたいというふうに思います。

 この文部科学委員会は、本当に久方ぶりに開かれます。ちょっと調べてみるというか、過去を見ますと、最後に文部科学委員会でいわゆる質疑をした、議論をしたのは昨年の六月九日です。実に九か月間、文部科学委員会が開かれなかった。私も、今年で国会議員十年目になりますけれども、こんなに長期間にわたって文部科学委員会が開かれなかったことはなかったというふうに記憶をしております。

 その間、何が起こったか。コロナの第五波そして第六波、学校現場は大変な思いで苦労しておられます。また、夏には東京オリンピック・パラリンピックも開かれました。議論しなければいけない課題が山積をしております。実は、これから質問する話もまさにその夏の間に起こっていたことでありまして、そういう意味でいいますと、この後、文部科学委員会、閣法も含めて議論されると思いますけれども、九か月間たまった課題、今日だけでは終わらないわけですから、是非、一般質疑、充実をお願いをして、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 まず、大臣にお聞きしたいんですけれども、この間のコロナで、多くの国民、大変な影響、被害を受けておりますが、文化芸術活動も例外ではないということだというふうに思います。

 大臣、コロナ禍において、日本の文化芸術活動はどのような状況に置かれていると認識されているのでしょうか。

末松国務大臣 昨年の十月にも、芸団協の方々、陳情にお見えになりました。劇団四季の社長さんもお見えになったことを記憶いたしてございます。

 新型コロナの影響によりまして、文化芸術活動、深刻な打撃を受けております。多くの文化芸術団体、大変厳しい状況に置かれているものと認識しております。

 民間シンクタンクの調査によりますと、二〇二一年のライブエンターテインメント市場の規模が、コロナ前の二〇一九年と比べて五五%を超える減少となっております。

 また、文化芸術分野は、飲食業、宿泊業と比べましても活動の落ち込みが大きく、八割を超える文化芸術団体が収入を五〇%以上減らすなど、最もコロナの影響を強く受けた分野の一つでございます。そのように理解しております。

 こうした現状を踏まえまして、文科省として、コロナ禍において大きな影響を受けた文化芸術活動を再興するために、活動を再開、継続、発展させる積極的な取組、アート・フォー・ザ・フューチャー事業等に支援をしてきているところであります。

吉川(元)委員 まさにそうでありまして、経産省のサービス産業の活動指数、この調査結果を見ますと、音楽・芸術等興行というところを見ますと、活動指数、コロナ前の五分の一にまで低下をしております。同じ期間の飲食業は七割程度に減少しているということと比べても、大変大きな影響を受けている。

 今大臣がおっしゃったアーツ・フォー・ザ・フューチャー、これについて少しお聞きしたいと思うんですが、まず、数字的なことをお聞きいたします。

 昨年、第一次、二次と募集が行われました。トータルの申請件数と事業の採択件数、そして交付総額について教えていただけますか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年実施されましたアーツ・フォー・ザ・フューチャー事業につきましては、一次募集、二次募集トータルで、申請件数一万一千二百件、交付決定数七千二十四件、交付決定金額約四百三億円となりました。

吉川(元)委員 次にお聞きしたいのは、文化庁のホームページを見ますと、その中で、これは昨年の話ですが、一次募集の交付決定の遅延のおわびと二次募集に向けてのお知らせという、そうした項目があります。

 一次募集は昨年五月三十一日が締切りだったと思いますが、全ての審査は六月中に終えるはずが、実はそうならなかった、八月の上旬までずれ込んだということですが、これは間違いありませんか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 一次募集は、令和三年八月十七日に審査終了でございます。

吉川(元)委員 第一次募集の審査が当初より二か月近く延びた理由は何ですか。

杉浦政府参考人 一次募集当初の四月下旬時点では、今委員御指摘のとおり、六月中に審査終了を予定しておりました。

 その後、緊急事態宣言が出まして、それに伴う無観客化の要請というのが出てまいりました。その無観客化の要請等を踏まえまして、募集期間中ですけれども、補助対象の方を見直しまして、キャンセル料支援、これを拡充したところでございます。

 このキャンセル料支援を拡充したということに伴いまして、募集期間のことも少し延ばさなければということになりまして、一次募集の期間を延長したということでございますが、その結果、想定をはるかに上回る五千三百六十八件の申請を頂戴したということでございまして、期間を延長して審査をするということになったところでございます。

 なお、申請の中には、同じ日時、場所で同じ演者の舞台なんですけれども、内容を少し変えて、別の事業という形で申請される、いわゆる二重申請というようなものも生じてきまして、こうした申請の実態を踏まえますと、二重払いといった誤った支給を避けて、少しでも多くの皆様、団体を支援するためにも慎重に審査するということも要請が出てまいりまして、時間を要したというふうに考えております。

吉川(元)委員 次に、この事業、見ますと、事務局、問合せ先というのが特定非営利活動法人映像産業機構となっておりますが、いわゆる交付の受付、そしてその審査、そして審査の結果を通知をする、こうした業務は、この法人に事務委託したということでいいんでしょうか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度第三次補正予算、アーツ・フォー・ザ・フューチャー事業の事務局運営事業の委託先は、特定非営利活動法人映像産業振興機構でございます。

吉川(元)委員 ちょっと、私が聞いたことがうまく伝わらなかったようですが、ここの機構が、長いですから今から機構と呼びますけれども、この機構が受付をして、審査をして、そして、交付の通知、不交付の通知を行って、問合せも受けたということでいいんですね。

 私が聞きたいのは、ここから更にまた別なところに事業が切り出されて、そこでやっていたということはないということでいいんですね。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 審査業務のやり方というか進め方でございますけれども、いわゆる再委託というのはございません。

 先生おっしゃっていることを丁寧に申し上げると、請負業務という形で、ウェブサイトの開設だとか、オンラインシステムの開発だとか、あるいは問合せの対応といったことでそれぞれまた専門のところに請け負うということはございました。ただ、この場合も、再委託という形で、そっちでお願いしますということだけではなくて、ちゃんと、先ほど申し上げた機構の方でしっかり管理する、監督するという形の下で、そういった業務でやっていたというふうに認識しております。

吉川(元)委員 もう一つ、これも併せてお聞きしますけれども、この機構への事務委託、どのような手続で行われたのかということと、それから委託料はどのぐらいの金額になっていたのか。この点、いかがですか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 この委託先の決定に当たりましては、約二十日間の公募を行いまして、外部審査による審査を経て決定されたところでございます。契約額は約十四億円でございます。

吉川(元)委員 二十日間の公募を行って、どのぐらいの数の応募があったんですか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 応募したところ、一つでございます。

吉川(元)委員 これについてはもうこれ以上今日はやりませんけれども、一次募集、先ほど、なぜ遅れたのかということで、キャンセル料の支援等々新しいメニューが増えたということもあって、あと、それに合わせてたくさんの応募があって遅れたということで、七月に審査人員を倍増したというふうにされておりますけれども、審査員、何人から何人に増やしたのか。これは事務局の、この機構で行う人数を増やしたという理解でいいんですか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 審査人員につきましては、昨年四月には四十名だったところを、七月には七十六名に拡充して審査の迅速化に努めてきたところでございます。増やしたところは機構の職員でございます。

吉川(元)委員 五千件を超える申請があって、四十人から確かに七十六人に大きく、率でいえば増やしていますけれども、果たしてこれで処理できるのかということはやはり疑問に思わざるを得ません。

 それで、次に、二次募集が九月十七日締切りで実施されたんですかね。二次募集の審査、いつ終了する予定で、実際に終了したのはいつ頃でしょうか。

杉浦政府参考人 お答えいたします。

 二次募集につきましては、募集開始が九月六日に行われまして、九月の十七日に募集締切り、審査終了が十一月の十二日で、その後、審査終了した、完全に最後まで終わったのが十二月の十日ということでございます。

吉川(元)委員 ちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、私、なぜこれにこだわっているかというと、実は、西日本新聞という新聞がありまして、その中で今回のアーツ・フォー・ザ・フューチャー、私自身はこれはすごくいい取組だと思いますし、もっと充実してほしいという思いで質問しているんですけれども、ただ、結局、審査がどんどん後ろに後ろにずれ込んでいく。一方で、例えば公演をしようという場合には、当然、劇場等を押さえなきゃいけないわけですよね。大体、特に第一次募集の場合は、六月いっぱいで終えますと言われているから、じゃ、例えば七月にやろうということで会場を押さえました。ところが、審査の結果が来ない。だけれども、多分交付されるだろうという前提で公演をやるわけです。そうしたら、その後に不交付の決定が来るわけです。

 今回、これは最大で二千五百万、いろんな、金額はそれぞれまた違うと思いますけれども、そういう支援が出る。特に、観客の人数を制限をされたりして、そういう意味でいうと、単体でやればそれはとても開けない、だけれども、この事業があるから、何とか芸術を届けよう、文化を届けようということで取り組むわけです。

 不交付にされちゃうとどうなるかというと、その分は自分たちがかぶることになってしまうわけです。実際、これは西日本新聞、今日はお配りしておりませんけれども、読みますと、いわゆるいろんなそういうものをやった後、公演をやった後に不交付の通知が来て、三百万円の借金をそれで背負うことになった方が、コロナで打撃を受け、国にとどめを刺された、劇場への支払いなど、次の公演なんて開催しようがない。見出しには、「コロナ禍の演劇「国がとどめ」」、こういう見出しが立っているわけです。

 もちろん、不正な申請をきちんとチェックしなければいけないというのは重々、それは私はその必要性は理解をしておりますけれども、そもそもこの事業自体は、目的として、活動の持続可能性の強化に資する取組ということで始められたものでありますから、そういう意味でいうと、逆にこれが、交付の決定が遅れたがゆえに、もうこれ以上続けられない、そういう状況が生まれているこの事態について、大臣、どのように感じていらっしゃいますか。

末松国務大臣 現場の厳しい実態、お話ししていただきまして、ありがとうございます。

 アート・フォー・フューチャーにつきましては、予想をはるかに、先生、上回る、数多くの皆様から申請をいただいてございます。

 交付、不交付の決定まで時間がかかる、そしてコールセンターの回答が統一されていないといった様々なお声を頂戴をいたしました。私のところにも陳情にお見えになった方も、そのことを触れられておられました。また、審査の長期化が、今おっしゃったように、公演の中止、延期の判断に影響を及ぼしたとの御意見があったことも承知をいたしております。

 そのような意見を踏まえまして、AFF2におきましては、審査体制の拡充による審査の迅速化、あらかじめ締切りを設けず随時申請することによる審査集中の回避、これを図るとともに、公演の実施可否の判断に資するよう、申請から原則一か月以内に交付、不交付、差戻しのいずれかをお知らせするようにということで、運営の改善に努めてございます。審査員も増やすことになっているはずでございます。

吉川(元)委員 もう一点、ちょっと今回問題だなと思ったのは、不交付の理由なんです。

 一次で募集をして、ところが不交付決定になりましたと。問合せ先、これが多分先ほどの機構だと思うんですけれども、不交付の理由を聞くと、その方は、団体と個人の区分をする監査体制が確認できないから駄目でしたと言われたそうです。それで、今度、二次募集に、この監査体制がきちんと分かるように書類を作って、そしてもう一回提出したそうです。そうしたら、今度、二次募集も落ちたそうです。なぜ落ちたんですかと言うと、先ほど言った監査体制の不備、不備というか、うまく書類に記載されていなかったということではなくて、別な理由を持ち出して、だから不交付ですというふうに言われてしまうと。

 これは何のためにやっているのか。落とすためにやっている審査なのか。当然、一次のときに同じように書いてあれば、ここが問題です、ここもこれはちょっと問題です、ここはこういうふうに直してください、せめてそういうことを言わなければいけないのに、一次のときにはAという項目が駄目、Aの項目を直して出したら、今度、いやいや、実はBも駄目ですよ。こういうやり方というのはちょっと不誠実なんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 アート・フォー・ザ・フューチャーの事業につきまして、一次募集では申請者に対して主たる不交付理由のみをお示しをしましたが、分かりづらいとの御意見をいただきまして、二次募集からは、不交付理由を網羅的に通知するよう改善を図ったところであります。このため、先生御指摘のように、一次募集と二次募集で異なる不交付理由が通知されている場合もあったと承知をいたしております。

 加えて、二次募集に向けて、一次募集で不交付となった団体に対して、審査担当者より具体的な不備内容を個別にお知らせするなど、より手厚い対応は行っているところでございます。

 なお、今後募集を開始する予定のAFF2におきましては、AFFに対する関係者の声も踏まえながら、申請の不備内容についてできる限り具体的にお知らせできるよう、見直しを図ってまいりたいと思います。

 二次募集の不交付理由分析ということで、一次募集のときにはこのカテゴリーだけ説明して、二次募集では理由、詳細へ変換したということなんですけれども、いささか先生の御指摘のとおりかなということで、その辺のところはきちっと対応できるようにしてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 是非お願いをしたいというふうに思います。

 それで、先ほどちょっと、審査体制を拡充するということでしたけれども、今度は何人ぐらいでやられるんでしょうか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 審査体制でございますが、これまで百十名の体制でございましたけれども、これを二百名以上に拡充する方向で今動いております。

吉川(元)委員 次に、運用改善は是非やっていただきたいんですけれども、申請に当たって、新たなハードルができているんじゃないかというのもちょっと気になるところです。

 2の方で、任意団体に対して、収益事業開始届出書の提出を新たに求めております。

 小規模なところ、いわゆる任意団体ですから小規模ですよね、法人登録していない。そういうところって、こういうことって、例えば行政上の手続なんというのは不慣れですし、しかも、ホームページに説明文書が載っているんですけれども、制度概要だけで八十五ページ、それから申請関連で八十八ページ、全部で百七十三ページもあるんです。読もうと思って打ち出そうかなと思ったんですけれども、とてもじゃないですけれども、これを、一方で自分たちの芸術活動、文化活動をやりながら、この膨大な書類あるいは文書を読んで、それを理解をしてやるというのは、これは非常にハードルが高いんじゃないか。

 新たなこの収益事業開始届出書、それからもう一つ、併せて聞きますけれども、2の方では、申請事業の収入規模が申請額の二分の一以上であること、これが新たな要件となっております。

 聞いたところ、小規模な団体では人件費の割合が高くなっていて、売上収入を補助申請額の半分以上にするというのはなかなか難しい、正直なところ。なぜこのような要件も新たに設けたのか、教えてください。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 この補助事業が対象といたします事業は、プロの文化芸術団体がチケット収入などを上げることを目的とした事業でございまして、このため、税法上の収益事業という分類となります。

 このため、収益事業開始後二か月以内に税務署に届け出なければならないこととなっております収益事業開始届出書、これの提出を要件とすることによりまして、申請のあった任意団体のプロ性ですとか実在性、こういったものを確認するということでございます。

 このようにした理由といたしましては、先ほども少し申し上げましたが、昨年の申請の中には、二重申請といったようなものとかが一千件以上もございまして、これについては、確認するとまたいろいろな手間や対応が難しいという非常に困ったことがありまして、それを解決するためには、今後、こうした既存の届出書で、申請される側も簡便に出して、かつ、受け取る側も簡便にプロ性だとか実在性を確認するといったような形のことが必要かと考えまして、この度、収益事業開始届出書の提出という形で簡便に進めたいというものでございます。

 それからもう一つの、収入規模の、申請額の二分の一以上という要件でございますけれども、これは、先ほど申し上げたように、この事業、プロの芸術団体がチケット収入を上げることを目的とした事業ということでございますので、ただ、しかしながら、昨年の申請の中には、例えば六百万円とすれば、六百万円の事業実施という申請でありながら、収入が実は数万円しかないというような案件なども見られまして、このため、文化芸術団体からの御意見を踏まえながら、プロ性、収益を上げるといったところの部分のところで、そこをしっかりと支援をさせていただいて、このコロナの危機を乗り切るといったことを考えますと、適正な収支計画の目安としては、やはり収入規模が申請額の二分の一以上という要件を必要とするのではないかということで、この要件を設けたところでございます。

吉川(元)委員 言わんとすることは分からないではないんですけれども、ただ、実際に私がお話を聞いた方は、ずっとそういう文化芸術活動を本当に小さな規模ですが続けてこられた方です。その方にお話を伺うと、二回落ちたということ、それから、新たな要件が取り入れられて、今年の補助制度に対して応募すべきなのかどうなのか、非常に悩んでいらっしゃいます。

 不正な受給を抑止するということは分かるんですが、その結果として、本来救わなければならないそうした団体や個人、フリーランスの方々が切り捨てられないように、悪貨が良貨を駆逐するようなことがないように、是非そこはしっかりとした体制をつくっていただきたいと思いますし、問合せを受けたときに、昨年は、とにかく、駄目です、なぜですかと言ったら、それだけですとがちゃっと切られるような、そういう対応もあったということでありますので、是非そこは丁寧に寄り添う形で、何のためにこれをやるのかと、我々も応援していますから、是非そこはお願いをしたいというふうに思います。

 次に、教員の働き方について少しお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、今年一月に公表された教師不足に関する実態調査、昨年五月一日時点で、小中高、特別支援学校を加えた教師不足、二千六十五人というのが出ておりましたが、まず、大臣、この調査結果、どういうふうに受け止めていらっしゃいますか。

末松国務大臣 最初に先生、冒頭の先生の御質問のときに、芸団協がお越しになった陳情の日にち、十月と申し上げましたが、十一月十七日の間違いでございました。

 お答えを申し上げます。

 臨時的任用教員等の確保ができず、学校へ配置する予定の教師の数に欠員が生じる教師不足が課題となってございます。このため、年度当初における全国的な実態を把握するため、今年度、初の全国調査を実施をしたところであります。その結果、令和三年五月一日時点で、今先生お話ありましたように、全国で二千六十五人、不足率〇・二五%の教師不足が生じているという実態が明らかになりました。この中には一時的欠員も計上されておりますが、中には小学校の学級担任を管理職が代替している例も見られたところでございます。その数、少人数指導の教師が学級担任をしているところが四百七十三と聞いております。懸念すべき状況と、危機感を持って受け止めております。

 こうした教師不足の要因として、近年の大量退職そして大量採用を背景としまして、臨時的任用の候補者が正規採用されたことによる教師のなり手不足の、減少、産休、育休取得者や特別支援学級の見込み以上の増加などが挙げられているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、文科省として、学校における働き方改革、教職の魅力向上、教育委員会における計画的な教員採用の促進等の取組を進めるとともに、現在中教審で行われております教師の養成、採用、研修等に関する包括的な議論も踏まえつつ、質の高い教師の確保に向けた検討を進めてまいりたいと思います。

 それと、四百七十三の数は言いましたけれども、管理職で、校長、副校長、教頭が教壇に立っている学校が全国で五十三校ございます。真剣に受け止めます。

吉川(元)委員 それと併せまして、ちょっとこの調査結果を見て驚いたんですけれども、もちろん、今言った、二千六十五人が不足しているということなんですが、その中でも、都道府県のうち十二の府県、政令市はちょっと取りあえず除きまして、指定都市を除いて、十二の府県で義務標準法で定められた定員の充足率が一〇〇%を下回っている、つまり、法律で定められた教員を配置できていない。ただ単に定数から不足しているだけじゃなくて、法律すら、それすら下回っている。

 私自身、これは法律違反なんじゃないか、違法状態なんじゃないかというふうに思いますし、また、そうしたことについての文科省やあるいは教育委員会の責任は大変大きいものだというふうに思います。

 それともう一点、もう一つ併せて聞きますが、養護教諭、栄養教諭、さらには学校事務職員、いわゆる一人職種、これについては今回調査の対象から除外されていますが、なぜ除外をするんでしょうか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 都道府県そして指定都市の教育委員会におきまして、義務標準法に基づき算定される教職員定数の標準を踏まえて教職員を配置する必要がございます。

 このため、文部科学省としては、これまでも、都道府県あるいは指定都市の教育委員会に対して、教職員定数の標準を踏まえた実配置がなされるよう改善を促してきたところでございまして、義務標準法を踏まえた配置を適切に行うよう、引き続き周知をいたしてまいります。

 また、教師の確保に当たりましては、任命権者であります各教育委員会の責任と権限において適切に行われるべきものと考えてございます。

 文部科学省として、学校における働き方改革、教職の魅力向上、教育委員会における計画的な教員採用の取り組み方の促進に努めていきたいと思います。

 まあ、法律違反かどうかといいましたら、これはやはり、ぴちっとその数を整えなきゃならぬと思います。国庫補助負担の算定の基準になってくるわけでございますのですけれども、先生のお言葉はしっかり重く受け止めたいと思います。

 それと、先ほど、本来の学級担任、代替している人数を言いましたけれども、四百七十三と申し上げましたが、四百七十四の間違いです。一つ間違えました。

藤原政府参考人 失礼いたします。

 先ほど、実態調査の対象についてのお尋ねがございました。

 今回の調査は、一部の学校現場において、小学校の学級担任を管理職が代替している例が見られるなどの指摘があったことを踏まえ、校長等管理職と主幹教諭、指導教諭、日常的に授業を担当する教諭等について、その不足の実態を把握する観点から全国調査を行ったものでございます。

 こうしたことから、今回、養護教諭、栄養教諭、学校事務職員については、新型コロナウイルス感染症の拡大や、それに伴う教育現場の負担を考慮しつつ、今回は対象外としたものでございます。

吉川(元)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、我々は、やはり、義務標準法を改正して、きちんと教員を配置せよということを求めています。なかなかそれは、いろんなことがあって進まないことはあります。ただ、せっかく作った義務標準法を下回るようなことは絶対あってはならない、そのことを是非文科省も重く受け止めていただいて、教員の確保をお願いをして、私の質問を終わります。

義家委員長 次に、吉田はるみ君。

吉田(は)委員 立憲民主党の吉田はるみです。

 本委員会では初めての質問となります。また、今日は午前最後の質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣所信の中に、経済事情に左右されず、誰もが質の高い教育を受けられるようにすることは大変重要だということをおっしゃっていただきました。また、様々な課題を抱えている子供たちを誰一人取り残さない、可能性を最大限に引き出す教育を実現するという大臣所信。まさにそれを実行していくということが私も大事だと思っております。

 ただ、ここで、経済格差が教育格差になる課題、また、試験の公平性という面で、とても私は疑問に感じることがございますので、質問させていただきたいと思います。

 まず、大臣に伺います。

 本年十一月二十七日に実施予定でございます、東京都立高校への入試、この中に英語のスピーキングテストが導入されること、御存じでしょうか。

末松国務大臣 先生おっしゃいますように、経済格差が教育格差にならないように、きちっとそのところは埋めていかなきゃいけないと思います。

 東京都教育委員会が中学校英語スピーキングテストを令和四年十一月に実施し、その結果を令和五年度の都立高校入学者選抜に活用する予定であることは承知をいたしてございます。約八万人受けられるというふうに伺ってございます。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 済みません、委員の先生方に今お配りした資料なんですが、ちょっと裏返しをしておいていただけますでしょうか。今見てしまうと、ちょっと、私がお伝えしたいことの意図が伝わらないので、ちょっと裏返しにしていていただければと思います。

 今大臣がおっしゃっていただきましたように、八万人の公立の中学三年生全員を対象にした、また都立高校入試者を対象にした試験でございまして、配点二十点となっています。

 初めて聞くなという先生方もいらっしゃるかもしれないんですが、この英語のスピーキングテストの音声、結果はフィリピンに拠点を置く企業の方に送られて、四十五日間の間に採点がされるというものです。事業主体は東京都の教育委員会、運営は民間企業という形になります。

 ここでこういう話をすると、あら、それは東京都の問題じゃないかというふうに御指摘されるかもしれないんですが、これは、東京都が端緒となって、英語のスピーキング能力、文科省の方でも英語の四技能というものを推進していますが、全国に広がる可能性のある問題でございますので、こちらで是非質問させていただきたいと思います。

 私自身も、今、東京八区選出の衆議院議員という立場をいただいておりますけれども、山形県の小さな町の出身で、人口二万人を切るようなところです。外国の方も見たことがないというような、そんな環境で高校まで公立の教育で育てていただいたその一人として、また、その後、シンガポール、イギリスで英語を使う仕事をしてきたという立場からも、この英語のスピーキング、大事だと思います。また、グローバル人材を育てていくということも、これも大事だと思います。ただ、その運用のところに今大きな疑問がありますので、質問させていただきたいと思います。

 大臣も御記憶にあると思うんですが、大学入学共通テストの英語民間試験の活用、それから国語、数学の記述式問題、これが見送りとなりました。この理由は、入試制度としての公平性、公正性に問題があるのではないか、疑問符がついたからというのが、私たちの記憶の中にも新しいことと思います。

 では、今回の都立の英語スピーキング問題は大丈夫なのかということなんですが、この疑問に対して東京都の国際教育推進担当課長は、前回の国の試験の問題は、事業主体が民間企業であったから問題だった、でも、今回の都立の高校に使う英語スピーキングの問題は、事業主体が東京都であるからこれは問題ないですよというようなことをおっしゃっています。

 文科省としては、この点、問題ないと考えられますでしょうか。大臣、お願いいたします。

末松国務大臣 大学入学共通テストにおける民間の英語資格検定試験の活用につきましては、試験会場の数等による地理的な差異や検定料に関する経済的な負担への対応が不十分であったことなど、様々な要因から活用を見送ったものでございます。

 一方、東京都の高校入試での、スピーキングテスト、これを活用することについて、実施者である東京都教育委員会は、民間事業者に委託はするものの、問題の作成や公平公正な採点の実施に定期的、継続的に関与することにより適正に実施する、中学生の自宅の近隣の会場において無償で実施するため、地域差とか経済的負担においては問題はない、そういう説明をしているように聞いてございます。

 高等学校の入学者選抜における実施方法等は、実施者である各都道府県教育委員会等が適切に判断し、決定するものでありまして、これは先生、今お話があったとおりです。文部科学省としては、東京都教育委員会において保護者等に適切に説明していかれるものと考えておるところでございます。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。

 経済的負担というところで私が問題にしたいのは、試験の費用ではなくて、その試験を受けるまでにどう学力を高めていくかというところで経済的な格差が出ているということをお伝えしたいところです。この後でその点、お話しさせていただきたいと思うんですが。

 都が適切にやっているので、文科省としてはそこにお任せしているというような形なんでしょうかね、今現在としては。ただ、大臣、この点は是非ちょっと、私もとても気になっているので、注視いただきたいんですけれども。

 この音声データ、一人十五分なんですよ。私もやってみました。一人十五分で八万人のデータがフィリピンに送られ、採点者は何人だという話なんですけれども、ここはちょっと明らかになっていないんです。どうも千人ぐらいではないかというような説明を受けているんですが、もし、東京都が事業主体であるから大丈夫だというのであれば、東京都は、じゃ何人の採点者で行っているか、これを明らかにすべきだと思います。

 また、この千人の採点をする人材というんですか、がどんな基準で選ばれているか、どんな有資格者なのか、こういった点もまだはっきりしていないというところがございますので、今、東京都に事業主体が行っているから適切に対応しているというお話なんですけれども、ここは是非、文科省としても注視をしていただきたいなと思います。

 もう今年の十一月から行われるわけなんですが、この音声が行くフィリピンの方に、コロナ禍になって、行けていないんですよ。当然、こういう試験を実施するときには、私だったら、現地で、どんな形で、どういう場所で、どんな手順でその音声データを採点しているか、見に行くべきじゃないかなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

末松国務大臣 高校の入学者選抜の問題というのは、地方議会ではよく問題になります。私も、県議会議員時代はずっとこういうことを議論をいたしてございました。

 したがいまして、東京都教育委員会においてこれは対応されていることでございまして、まずは東京都教育委員会がどういうことをされておるのか。先生おっしゃったように、確かに全国に広がっていくかもしれないということもございます。どう評価されるかということにつきましてもございます。こういった点について注視をさせていただくということ、そのように、まずできることはそれかなということを考えてございます。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。是非お願いいたします。

 私も実際、入学試験の担当をしたこともあるんですけれども、この音声データ、十五分のものを一人で一体何人できるんだという話なんですが、相当過酷な採点になります。これは、八万人といいますけれども、明らかになっているのは、一人の生徒の結果を二人で見ると言っているので、実際は十六万人分見る形になりますので、これは大きな点だと思います。是非ここは注視していただきたいと思います。

 では、運営自体は任せている、適切に行われているということを確認することが重要という点は明らかになったと思うんですが、もう一つの点です。経済格差になっていないか。これが、今、委員の皆様にもお配りさせていただいたところなんですが、ちょっとまだ開かないでください。済みません。

 その前に伺います。英語スピーキングテストをやるということは、当然、授業の中でそのテストをやるだけのことを教えているということになると思うんですが、まず、週に何時間、英語の授業があり、かつ、スピーキング、発話する時間は何分でしょうか。また、これは一クラス何人で行われているか、教えてください。

伯井政府参考人 事実関係だけお答えさせていただきます。

 まず、学習指導要領上、御指摘いただきましたように、英語で聞くこと、話すこと、読むこと、書くことの四技能を総合的に育成するということになっております。現在、中学校では、週四こま、指導要領上の週四こまの授業が行われており、また、これは、一クラスの平均の学級人数、全国ですけれども、約三十二人でございます。

 その中で、話すことの指導に関し、スピーキングの授業が具体的に何人で何時間程度行われているかにつきましては、そこまでは文科省としての把握はいたしておりません。

 コロナ禍におきましては、発声を伴うスピーキングの授業はなかなか実施しづらいという声も実際に教育委員会や学校から聞いておりますが、そうした中で様々な指導が行われているというところだと存じております。

吉田(は)委員 話すだけという授業をやるのは、本当に難しいと思います。

 昨日お伺いした中で、英語に割り当てられる年間の授業から割り出しますと、一年間の英語の授業が百十六時間でした。この中で、今、文科省の方針として出している英語の四技能、読む、書く、聞く、話す、満遍なく教えていますということなので、割る四にすると、年間、スピーキングにきれいに四分の一使ったとしても、二十九時間です。これ、三年間で十分なのかというのをこれから委員の先生に見ていただきたいと思うんですが、裏返ししたものを開いてください。

 これは実際の試験問題です。この問題を、四枚の絵がありますけれども、大丈夫です、先生方を試すわけではなくて、ちょっと感じていただきたいので、三十秒間この絵を見ていただいて、ストーリーを作らなければいけません。解答時間は四十秒です。三十秒で、先生方、ちょっと見てみてください。誰にも当てたりしませんので。ちょっと見てみてください。四枚の絵から、英語で四十秒話す内容を、先生方、考えてみてください。

 残り十秒です。

 はい、終了です。どうでしょうか。試験になれば、当然、今のこういう問題がばんとタブレットを使うところに出てきて、三十秒でこれを見て、ストーリーを作って、四十秒話せということ。これは中学三年生の問題です。私は、これは大変厳しいなと思いました。

 これは、今言った、学校の授業の中で、かつ、発話する、スピーキングする時間がこれだけ限られている中でできるような問題でしょうか。絶対塾に行かないと駄目だなと私は思いました。

 特に、今回、この十一月に受験する受験生は、二年前からコロナです。中学に入ってからずっとコロナです。話すことを奨励するどころか、静かにしなさいという中で、英語の授業の中でも、当然、発話する時間というのは減っていると思うんですよ。そんな中で、この十一月に試験をされるというのは、ちょっと生徒には酷なんじゃないかなと思います。プラス、塾にも行って、十分な準備をしなければこのような試験はできないと私は思うんですね。

 これは、大臣、まさに家庭の経済状況、そして住む地域によって、大きな差が出ている。英語は経済格差がもろに出る科目になってしまっているのではないかと私は思います。

 ここでちょっと、もう一つ、大臣にお伺いします。

 不公平な点というところなんですけれども、都立高校の受験生全員、これはもちろんなんですけれども、この試験の肝は、東京都の公立中学校の中学三年生全員です。都立高校を受ける、受けないは関係ありません、全員です。それが受験するということになっていますが、この点、大臣、文科省は御承知おきでしょうか。

末松国務大臣 吉田先生にお答え申し上げます。

 東京都教育委員会が実施を予定しております中学校英語スピーキングテストは、都立高校入学者選抜において活用するのみならず、英語四技能のうち話すことの能力を測るアチーブメントテストとして実施をし、その結果を小学校、中学校及び高等学校における英語指導の改善に活用する目的のものと伺っております。

 このため、都立高校を受験しない生徒も含めて、東京都内の公立中学校三年生全員を対象とするものと聞いておりますので、承知をいたしております。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 今、大臣の方からも、アチーブメントテスト、実際どれだけ英語のスピーキング力が高まったか、それを測る一つの指標として受験するんだという点は確かにあるのかなと思うんですね。

 ただ、この試験が実施されるのは十一月です。中学三年生です。もう卒業なんです。あなたの三年間の学びはここまででしたねなのか。通常、教育の現場では、そういった達成度を測ったら、そのお子様の次の教育につなげるための試験だと思うんですが、この位置づけ、大臣、どうなんでしょうか。また、この十一月に受けたお子様の学びの先につなげるものなのか、あるいは、もしかしてこれは別の意味で使われるものなのか、ちょっと不透明だなと思っているのですが、教えていただけないでしょうか。

伯井政府参考人 このテスト、今大臣が答弁させていただきましたように、アチーブメントテストとして実施し、その結果を、小学校、中学校、高等学校と英語教育を続けていく中での英語指導の改善に活用する目的というふうに伺っております。

 都立高校を受験する人については一定程度加点がされるということでございますが、そうでない生徒につきましても、その後の中学校における達成度と、その後の高等学校における英語指導の改善にも資するようにということで、東京都教委としては実施を予定しているのではないかというふうに考えております。

吉田(は)委員 その先の高校の授業にも生かすというところなんですね。

 ちょっと、ここは各論になりますので東京都が答えるべきところかと思いますが、どういうふうにその試験の結果が高校に通達されるのか、また新たな、ちょっと私も疑問が出てきたところです。

 私はやはりここが一番まずいなと思っているんですが、今ちょうどお話にも出ました、受けなかった場合の措置です。

 受けなかった場合、今、東京都の指針によりますと、昨日もこれはレクを受けながらお話をして、実際問題は、受けなかった生徒にどういうことが行われるかというと、不受験者の学力検査の英語の得点から、仮の、ESAT―Jという、これが試験なんですけれども、ESATの結果を求め、総合点に加算する。

 つまり、英語の学力検査は百点なんですね、満点。プラス二十点がこのスピーキングで課されるわけなんですが、この二十点、ないわけですから、百点から、例えば私が八十点取った、じゃ、八十点取る能力があるから、二十点の試験をしたらその八割取れるだろうというような見込みで加算されるんだと思うんですが、ここも不透明です。これは本当に、ちょっと、ちゃんと調査した方がいいと思うんですね。

 もし仮に、学力検査、私、八割取れる人です、なのでスピーキングテスト八割加算しますよというのが、一般的に考えて、公平なのかどうかは分かりませんけれども、一般的に考えてそこが落ち着きどころかと思うんですが、こうなると何が起こるか。

 今、保護者の皆様の間ではこんなことが言われています。いや、受けない方がいいじゃないと。スピーキングは苦手なので、学力検査では、私、八十点取れる、でもスピーキングをやったらもう半分も取れない、じゃ、受けないようにしよう、こういうことが発生します。必ず発生します。実際、受けた人は、何で、受けない人ずるいじゃない、だったら最初から受けないよ、何でこの試験するのという声が実際上がっているんですね。

 これは、最初に申し上げましたように、受験するのは公立の中学生です。私立の中学生で都立高校を受験する人は受けなくてもいいんですよね。だったら受けないわということが明らかになってくると私は思うんですが、この一定程度の、仮の結果を求めということ、大臣、問題があると思いませんでしょうか。大臣のお考えを是非お聞かせくださいませ。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 東京都教育委員会に事務方が確認をしましたところ、スピーキングテストを受けなかった生徒が高校入試において不利になることがないよう、代替措置として、学力検査の点数に基づいて得点を換算すると聞いておりますが、その具体的な計算方法についてはまだ検討中という話でございます。そのように承知をいたしております。

 いずれにしましても、高等学校の入学者選抜の実施方法等は、実施者であります東京都の教育委員会が判断をしますし、決定するものでありますから、換算の方法についても、東京都教育委員会が決定した上で、保護者に適切にやはり説明していく必要があると思うんですけれども、先生の今のお話を聞いていたら、何か釈然としませんですね。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。

 いや、本当に、検討中、もう十一月の話なんですよね。ここはやはりちゃんと方針を出していただかないと、また、受験生や保護者の方の間にも、スピーキングって、そんな、一か月でぐんと上がるものじゃないですから、今から準備、今からというか、もう一年生ぐらいから本気で準備されている方が多いと思うんですね。是非この点は明らかにしていただきたい。

 この東京モデルが本当にスピーキングの例えば全国モデルになっていった場合には、ここでやられたことがベースになって全国に波及していくと思いますので、とても大事な点だと思います。是非そこは、大臣も今おっしゃっていただいたように、注視していただきたいと思います。

 大臣、ちなみに、計算すると、私が百点満点で八十点取る人、二十点の英語を受けませんでしたとなると、これは十六点分になるんですね、二十点の八割ですから。そうすると、八十点と十六点を足して九十六です。これは元の数字からいったら一・二倍ですよね。なので、受けない人は自動的に一・二の係数がかかるような形になるんでしょうか。この辺もまだ明らかになっていないんですね。なので、是非ここは注視していただいて、本当に公平な試験にしていただきたいということをお願い申し上げます。

 そして、大臣、もう一点、公正な点という意味では、こうして話すことが難しいお子様もいらっしゃいます。吃音を持っていらっしゃるお子様、そして場面緘黙、ちょっとフリーズしてしまったり、ちょっとパニックになってしまったり、そういうお子様もいらっしゃいます。一定の配慮って一体何だろうというところなんですが、そういったお子様も含めて、このスピーキングテストをするその大義がちょっと私には分かりません。

 こういった障害を持っているお子様方、吃音を持っていらっしゃる人は百人に一人だそうです。実際、自分が持っていることを言えないという方も多いそうです。また、私の娘もそうでしたが、発達障害、これはなかなか、ボーダーラインにいる子は目に見えません。そういったお子様方にも配慮した形でこの試験が実施されるのか、是非注視していただきたいと思います。

 私は、英語を話せるようになるというのはとても重要だと思うんですが、これは試験があるから上達するものではないと思うんですね。授業の中で話をする機会をつくっていくこと。先ほど、三十五人ぐらいのクラスの中で発話するということでしたけれども、ちょっと無理だと思います。少人数のクラスで、周りのことをちゅうちょすることなく、試験されるという、画面の前で緊張するような、そんな状態ではなく、自信を持って子供たちにこの機会をつくるということが重要であり、ふだんの授業の中からグループディスカッションをしたり、ピア学習、お友達同士で学ぶ機会をつくったり、こういうカリキュラムの工夫の方が先ではないかと思うのですが、大臣、英語教育に関して、グローバル人材としては不可欠なところだと思うんですが、授業の充実、是非考えていただけないでしょうか。

伯井政府参考人 御指摘のとおり、英語の言語活動の充実については、クラス全員じゃなくて少人数指導の形で行ったり、様々な工夫を各教育現場で行っております。小学校の英語についても専科指導の充実などに取り組んでいるところでございますので、そういう授業改善につきましても、文部科学省として引き続き取り組んでいきたいと考えております。

吉田(は)委員 確実に今、英語ができるというのは、どれだけお金をかけるかということが絶対に今明らかになってきているところだと思いますので、誰一人置き去りにしないという大臣の所信、是非大事にしていただいて、英語は一度苦手意識がついたらどんどん離れていきます。子供たちの中に分断が生まれます。そうすると格差が生じます。是非そのようなことがないようにお願いしたいということを申し上げます。

 最後に、ごめんなさい、もう一つ質問をさせていただきます。

 大臣所信の中に、理数系教育を一層充実するという所信がございました。その一つに、STEAM教育の一つに挙げられますけれども、テクノロジーに関して、高等教育でどのような学科を想定されているのか。

 私自身は、金融工学、ファイナンシャルエンジニアリング、こういった学科を持つ大学、大学院を持つことが重要ではないかという問題意識があるのですが、現在、このファイナンシャルエンジニアリングを学べるような学科、大学院、ございますでしょうか。また、新設の計画はあるか教えてください。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の金融工学という言葉そのものを名称にした学部・学科というのは、令和四年度開設予定のものも含めて、ございません。

 ただ、例えば東京工業大学の経営工学系、あるいは大阪大学の数理・データ科学教育研究センターにおきましては、金融工学を体系的に学ぶ教育課程を設けている、そういう状況でございます。

義家委員長 お時間が過ぎておりますので、おまとめください。

吉田(は)委員 はい。

 ありがとうございます。

 今、大学十兆円ファンド、こういった運用も始まります。金融、投資のプロ、こういうところが今、日本の教育の中でできていないということを最後に指摘させていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

義家委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

義家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会、兵庫十区の掘井健智でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 本日は、ポストコロナと不登校児童生徒の教育機会の保障、そして、コロナ禍における児童生徒の自殺者数の急増、また、高校大学接続としての大学入試改革について質問をさせていただきたいと思います。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、ポストコロナと不登校児童生徒の教育機会の保障についてであります。

 コロナの収束の見通しがなかなか立っておりませんけれども、コロナ禍の中で、不登校児童生徒数が過去最多という報道もありました。では、不登校児童生徒の数と、その動向について、コロナの関係性も踏まえて、まず、文科省の見解をお伺いします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますれば、令和二年度、小中学校の不登校児童生徒数は、前年度より約一万五千人増加の約十九万六千人であります。八年連続で増加するなど、憂慮すべき状況というふうに認識しております。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響下における不登校児童生徒の増加の要因は、一様ではありませんが、令和二年度の調査によると、無気力、不安や生活の乱れ等などの要因が前年度より増加しており、例えば、外出自粛や臨時休業の影響により生活リズムが乱れやすい状況にあったこと、学校生活でも様々な制限がある中、交友関係を築くことが難しかった子供や、登校する意欲を持ちにくい子供がいた可能性があることなどが考えられるところであります。

掘井委員 コロナ感染症においてのこの生活習慣の変化が、それも関係しているのではないかなと疑われるんですけれども、いろいろ原因はあるんですけれどもね。今、この不登校は、どの児童生徒にも起こり得ることであるということであります。

 次の質問なんですけれども、まずは、公的な体制づくりとして、学校側のバックアップ体制、この支援が必要だと思いますけれども、文科省の見解を伺いたいと思います。

伯井政府参考人 教育機会確保法や、同法に基づく基本指針の趣旨も踏まえ、不登校児童生徒に対しては、多様な場で社会的自立に向けて学習に取り組むことができるよう、きめ細かな支援体制を整備することが重要であるというふうに考えております。

 文部科学省においては、不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程の実施、あるいは不登校特例校の設置促進に向けて、不登校特例校に関する効果的な取組事例の紹介や、好事例の展開、学校内の教室以外の別室における学習指導員等による支援の充実などの取組を図っているところでございます。

 また、学校外の公立の施設として、教育支援センターにおける相談、支援体制の強化について、自治体への支援を行っているところであり、引き続き、不登校児童生徒の多様な教育機会の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

掘井委員 ありがとうございます。

 まずは、その公的な体制づくりというのは必要なんです。しかし、個々の設置する今の適応指導教室などにも、やはりなじめない生徒がたくさん出てきておる。その中、フリースクールなど民間施設を活用するということは、不登校児童生徒のために、居場所づくりとして非常に必要であると考えております。

 そこで、質問なんですけれども、義務教育の不登校児童生徒がフリースクールなどで相談、指導を受けている場合にも出席扱いできる、これを、通知を出したということは評価できることだと思っております。

 では、実際にこの出席扱いされた児童生徒の数と出席扱いの要件とその動向について、文科省の見解を伺います。

伯井政府参考人 先生から御指摘いただきましたように、不登校児童生徒が学校外の機関において相談や学習を行うことは、将来の社会的自立を目指す上で重要であり、文部科学省では、一定の要件を満たす場合、指導要録上の出席扱いできることとしております。

 令和二年度にフリースクール等の民間団体で相談、指導等を受けて指導要録上の出席扱いとされた義務教育段階の不登校児童生徒数は、三千九十八人となっております。出席扱いとなっている児童生徒数は年々増加傾向にございまして、五年前の平成二十八年度から千八百十三人増加しております。

 また、指導要録上の出席扱いの要件でございますが、これについては、例えば、保護者と学校との間に十分な連携協力関係が保たれていること、民間施設における相談、指導が適切であることについて、校長が教育委員会と連携して適切に判断していること等を満たす場合としているところでございます。

掘井委員 ごめんなさい、ちょっと聞き漏らしておったかも分からないんですけれども、フリースクールに通っている人数というのは何人でしたっけ。

伯井政府参考人 令和二年度ですと、民間団体、民間施設、フリースクールを含めまして、そういう施設で相談、指導を受けた児童生徒数は七千六十六人でございます。そのうち出席扱いとなったのは、先ほど答弁した三千九十八人でございます。

掘井委員 出席扱いされぬと、なかなか難しいのかなと思うんですけれども、約半分ということでございます。

 こうやって、冒頭に約二十万人の不登校者がいるというお話でした。フリースクールに行きにくい原因、これだけおるんですけれども、まだごく一部しか行けていないということで、もちろん行かないという選択もあるんですけれども、これは行きにくい原因に経済的な理由もあると考えておるんですね。

 次の質問なんです。

 フリースクールの利用者数をやはり増やすべきだと思います。まず、教育機会の確保という点で、教育機会確保法の理念からしまして、出席扱いの児童生徒をもっともっと増やしていく。そのためには、フリースクールの質の向上でありますとか支援がやはり必要だと思っております。

 フリースクールの授業料と交通費、これがなかなか、自治体によってまちまち、経済的なここの支援を拡充すべきだと思うんですけれども、大臣の所見を伺いたいと思います。

末松国務大臣 掘井先生にお答え申し上げます。

 不登校児童生徒が、フリースクール等も含む学校以外の多様な場におきまして、社会的自立に向けた学習等に取り組む機会を確保すること、大変重要でございます。

 文部科学省といたしましては、学校や教育委員会とフリースクール等の連携が適切になされることが、支援の質の確保の観点から重要と考えてございます。教育委員会が連携を図る際に参考となるガイドライン等の作成、周知も行っているところであります。

 加えまして、予算事業におきまして、教育委員会とフリースクール等の関係機関の連携協議会の設置であるとか、あるいはフリースクール等と合同で行います教職員等向けの研修会の実施など、こういった点、支援をいたしております。

 また、先生御指摘の経済的支援につきましては、フリースクール等で学ぶ困窮家庭の不登校児童生徒に対しましては、通所、体験活動に必要な費用を支援しながら、そうした取組が社会的自立に与える効果の検証を進めているところでございます。令和三年度も、調査研究県が栃木県、愛媛県、川崎市などで行われております。

 文部科学省としては、引き続き、不登校児童生徒の社会的な自立を目指しまして、個々の状況に応じた多様な支援を行ってまいりたいと思います。

掘井委員 先ほど、大臣の答弁の中に、検証していくということがありました。経済的支援の検証と認識しておるんですけれども、その具体的な中身ですね、どんなことを検証されておるんでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 経済的に困窮した家庭への不登校児童生徒に対する経済的支援の在り方に関する調査研究という形で、先ほど大臣から答弁ありました、栃木県、愛媛県、川崎市、令和三年度はこの三自治体で行っております。

 保護者や本人、フリースクール担当者への聞き取りアンケート調査等をしながら、その効果、あるいは家庭への経済的負担の軽減がどうであるかとか、学ぶ意欲の向上がどうであるかとか、教育委員会とフリースクールとの連携強化がどうかといったことを検証しながら、一人当たり一定の支援額を負担しながら、そうした検証を行っているという事業でございます。経済的支援の検証事業でございます。

掘井委員 是非、検証していただいて、支援を拡充していただきたいと思います。

 次の質問です。

 不登校児童がオンライン授業には参加できるということもあるんですね。義務教育の不登校児童生徒が自宅でICTを使って学習活動を行った場合にも出席扱いできる、そんな通知を出していただいたこと、これを評価しております。

 では、実際に出席扱いされた児童生徒の数と動向について、文科省の見解を伺いたいと思います。

伯井政府参考人 不登校児童生徒が自宅等においてICTを活用して学習活動を行うということは、これは社会的自立を目指す上でも重要であるということで、御指摘いただきましたように、一定の要件の下、指導要録上の出席扱いできることとしております。

 令和二年度の調査によりますと、自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上の出席扱いとした児童生徒数は、国公私立の小中学校合わせて二千六百二十六人でございます。昨年度の六百八人と比べて、大きく増加をしております。

 この増加は、やはり新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、GIGAスクール構想が進展し、一人一台端末の整備、ICT環境が整ってきたことなども一因ではないかと考えておりまして、ICTを活用した学習が一層充実する中で、こうした出席扱いというのも今後増えてくるのではないかというふうに考えているところでございます。

掘井委員 ありがとうございます。増加しておるということでございます。

 こんな例をちょっと御紹介したいんですけれども、青森市立の中学校の全六十二校でオンライン授業をしたんですけれども、中学校では、不登校の生徒の七四・六%が参加しました。そのうちの九二・五%が、通常授業に切り替えたその学校に登校してきたというんです。やはり登校した割合が倍近く増えたということです。だから、是非進めていただきたいと思っております。

 そんな観点から、次の質問です。

 一人一台デジタル端末の有効活用の支援体制をやはり整備すべきであると思っております。GIGAスクール構想などICTの教育の一環として、子供がデジタル端末を利用するためのルール作り、今日の午前中の質疑の中にもありましたけれども、ガイドラインを作っていただくんですけれども、答弁の中に、ガイドラインを作るのか、通達するのかというような話がちらっとあったと思うんですけれども、再度確認したいと思うんです。

 ガイドラインを文科省が定めてほしいと思っているんですけれども、大臣の所見を伺いたいと思います。

末松国務大臣 先生からお話ありました、オンライン授業の不登校児童参加率七割以上、そのうち九割が登校、青森市教育委員会という記事、効果があるということはよく分かりましたわけでございます。

 GIGAスクール構想に基づきまして、一人一台端末の整備については、当初の四年計画を大幅前倒ししまして急ピッチで整備をした結果、おおむね全国の小中学校で整備が完了いたしました。

 この一人一台端末を利用しまして、不登校児童生徒の自宅等の学習環境を充実することによりまして、学校とのつながりが強化されるとともに、学習の遅れを軽減されることで社会的自立につながることも大いに期待をされております。文科省は、好事例の周知等を行っているところであります。

 また、一人一台端末の活用に向けました留意事項等を示したチェックリストを更新、充実し、不登校児童生徒へのICTを活用した学びに関する考え方も含む、今先生お話ありました端末活用のガイドラインを策定し、近日中に通知をする予定でございます。近日中というのは、できたら明日、あさってという意味でございまして、極めて近いということでございます。

 引き続き、端末を活用した不登校児童生徒へのきめ細かな支援を一層円滑に図れるよう、必要な取組を進めてまいりたいと思います。

掘井委員 御答弁ありがとうございました。期待しております。

 先ほど青森の件を挙げましたけれども、各自治体でやるんじゃなしに、全国的なルールや手法は文科省がやはり作っていただきたい、その思いで質問をいたしました。

 次の質問でございます。

 次は、コロナ禍における児童生徒の自殺者の急増であります。

 コロナ禍のこの期間中、自殺した児童生徒数が急増しております。コロナ禍で友人や先生と話す機会が減ってうつになったり、学校行事や部活の中止で生きがいを失ったり、こんなことが原因なんでしょうか、自殺が増えているんです。

 私の地元の兵庫県の教育委員会では、昨年九月から十月、小中高の学生に、約四万人、アンケートを実施しました。小中学生の保護者、約四千五百人を対象にしたんですけれども。むしゃくしゃしたり、いらいらしたり、かっとしたりするということ、この質問に対して、ほぼ毎日している、こんなアンケートがあったんです。

 児童生徒の自殺者数とその動向、コロナとの関係についてどのように分析されていますでしょうか、文科省の見解を伺いたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 令和三年の児童生徒の自殺者数は暫定値で四百七十三人となっており、ここ数年では増加傾向にありますが、特に、令和元年から令和二年にかけては児童生徒の自殺者数が百人増加するなど、極めて痛ましく、憂慮すべき状況というふうに認識をしております。

 昨年六月に取りまとめられた有識者会議の審議のまとめでは、児童生徒の自殺者数の増加の原因として、コロナ禍において、在宅ワークの増加等による家庭内の過密化や、家庭内葛藤等の家庭環境の不和が生じたこと、目標や夢、達成感等が得られる機会となる学校行事や大会などの中止等の学校環境の変化などが指摘されているところでございます。

掘井委員 自殺者を減らすための具体的な支援策、大臣の御所見を伺いたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 児童生徒が自ら命を絶つということは、本来あってはならないことでございます。児童生徒の自殺が増加する傾向にあることを大変重く受け止めてございます。

 昨年六月、有識者会議の審議のまとめでは、今後講じるべき施策として、SOSの出し方に関する教育を含む自殺予防教育の充実と、それに必要なマンパワーの確保、悩みや不安を抱える児童生徒の早期発見、対応へ向けたICTの活用、そして関連機関等の連携体制の構築などが挙げられております。とにかく、ハイリスクの子供たちを見つけるということが一番大事でございます。

 文部科学省では、このまとめから、スクールカウンセラー等の拡充を行う、そして、一人一台端末を効果的に活用した心身の状況把握に関する調査研究など、取組事例の普及などを取り組んでいるところでございます。

 先生御承知だと思うんですけれども、大阪の吹田市では、一人一台端末で自殺予防プログラムというのを使って、動画を配信して使うんですけれども、君だったらということで問いかけるわけですね。この動画コンテンツは大阪大学が制作したものですけれども、それによって、AIで確認をしながら、ハイリスクの子供たちがいるということを先生に警鐘を鳴らせるようなシステムがあるようでございます。成功例はまた詳しく御覧いただいたらと思うんですけれども、引き続き、効果的な自殺対策に全力を尽くしてまいりたいと思います。

掘井委員 そういった先進的な事例を横に横にずっと広げていただきたいと思っております。

 それで、やはり、これだけ増えておる、正直、僕はびっくりしましたけれども、大人がやはりアンテナを上げて、家庭で、また学校で、やはり察することが必要だと思いますので、それと同時に、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカー、これもできたら増やしていただきたいと思っております。

 次の質問です。

 高校と大学の接続、高大の接続についてであります。

 二〇二〇年度、新しい学習指導要領がまず小学校で施行されました。翌二一年度には中学校でも実施され、二二年度からは高校でもスタートしております。今、日本の教育は、指導要領を読んだら分かりますけれども、大きな転換期に立っていると私は認識しております。

 改めて整理したいと思うんです。どのような社会を想定されて、将来の日本を支える人をつくるために、どのような今学びが求められて、どのような方法で学習に取り組もうとしているのか。初等中等教育が求める姿について、まず文科大臣の御所見を伺いたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 学校教育を取り巻く環境が大きく変化している中で、全ての子供たちの可能性を最大限に引き出す令和の日本型学校教育の具体化に取り組んでいくことが重要でございます、中教審の答申にもありますけれども。

 この令和の日本型学校教育の実現には、個別最適な学びと、協働的な学び、この二つの言葉が代表的なんですけれども、一体的に充実させまして、新学習指導要領の着実な実施を図っていくことが重要であると思います。

 新学習指導要領では、子供たちに必要な資質、能力を、実社会で生きて働く知識と技能の習得、それと、未知の状況にも対応できるように思考力、判断力、表現力、これらの育成、そして、学びを人生や社会に生かそうとする、学びに向かう力とか人間性等の涵養という三つの柱を整理して、バランスよく育成することが大事であるというように思ってございます。

 また、実際の指導に当たりましても、児童生徒同士が対話を通じて学びを深める場面であるとか、実社会から問題を見出して解決策を考える場面を取り入れるなど、主体的で、対話的で、深い学びの実現に向けた授業改善を行うよう求めているところでございます。

 今後とも、全ての子供たちが、様々な社会的な変化を乗り越えまして、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となることができるように、初等中等教育段階で、まあ立派な話をしましたんですけれども、学校教育の活動の充実に努めていきたい、そのように考えてございます。

掘井委員 こうやって、実は、日本の教育の仕方が、これではいかぬということで、今変わろうとしておるんですね。この後また高等学校の学習指導要領も変わっていくんですけれども、これも、そこから反映されていくものだと思っております。

 この流れを受けて、大学教育の内容、最初の、この大学教育の内容はどう変わっていくべきなのか、文部科学大臣に御所見を伺いたいと思います。

末松国務大臣 お答えを申し上げます。

 予測不可能な時代の到来というのを見据えた今後の大学教育の在り方として、目標を明確に意識しつつ、主体的に学修に取り組む自律的な学修者を育てることが求められてございます。

 また、このような人材を育成するには、大学において、単に個々の教員が教えたい内容を教えるのではなくて、何を教えたかから、何を学び、身につけることができたのかという、学修者本位への教育へ転換することが重要と考えております。また、教えられている方も、何を知っているかという暗記的なものじゃなくて、それを使ってどうするかということが大事な時代になったと思うんです。

 そのために、中央教育審議会での議論も踏まえまして、平成二十九年四月から、卒業まで学生が身につけるべき資質、能力を示す卒業者認定・学位授与の方針、そして二つ目は、それを達成するための教育課程の編成、実施の在り方を示す教育課程編成・実施の方針、そして、これら二つの方針を踏まえて、学生を受け入れるための入学者受入れの方針から成る三つの方針、ポリシーを策定、公表することを各大学に義務づけたところであります。

 また、この方針を機能させるために、高等教育の専門家の議論を踏まえまして、各大学における教育面の管理運営の方法を示しました教学マネジメント指針を策定し、令和二年一月に周知をいたしたところであります。

 これらを通じて、入学から卒業まで一貫した、真に実りある大学教育が展開されるように、引き続き、大学教育の質転換に臨んでまいりたいと思います。

掘井委員 分かりました。

 それでは、初等教育から積み上げてきた高校の教育の学びを大学の改革につなげていくためには、先ほど御答弁ありましたけれども、つなげていくために、僕はやはり大学入試が変わる必要があると思っております。幾ら小中高と知力を養って、能動的に主体的な教育をやったとしても、大学入試がこれまでどおり知識偏重では、そこをやはり生徒は目指してしまうからなんです。

 文科省は、大学入試改革に向けてどのように取り組んでいくのか、また、どれくらいを目途に答えを出すのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。

末松国務大臣 大学入試が変われば、入試選抜の在り方が変われば高校教育も変わるということは確かだと思うんです。

 大学入試選抜は、各大学が、当該大学で学修し、卒業するために必要な能力あるいは適性を入口の段階で評価、判別する観点から、責任を持って主体的に実施するものである一方、高等学校以下の教育課程や指導方法に与える影響が大変大きいものと認識をいたしてございます。

 このため、大学入学共通テストにおいては、高等学校における主体的で対話的で深い学び、先ほども申し上げましたが、の実現に向けた授業改善のメッセージ性も考慮しまして、学習課程を意識した問題の場面設定を重視して問題作成を行っております。

 また、各大学の個別入試では、学力検査だけでなくて、高校での学びの履歴、活動歴、探求活動なども評価する多面的で総合的な評価も進んできております。文部科学省では、こうした取組を好事例として選定、公表することで、優れた取組の普及を図ってまいりたいと思います。

 文部科学省として、高校まで培った力を大学教育において更に向上、発展させるため、こうした取組を着実に前へ進めたいと思います。

掘井委員 ありがとうございます。

 やはり、この議論をしますと、各大学が主体となって作成される、試験の方で力を入れていくという話をよくされるんですけれども、今の大臣の御答弁でしたら、共通試験においてもやはり取り組んでいきたいというか、いかなあかんというお話だったと思うんです。ありがとうございます。

 それでは、これで終わりたいと思うんですけれども、やはり学校の教育の仕方が変わってきまして、小学校、中学校から、学校の先生は一生懸命学校を変えようとしております。それがやはり、一つの終着点になるのは、やはり大学が変わらぬと日本の社会や仕組みは変わらないというところでありますから、前回、入試の改革、いろいろ問題がありましたけれども、やはりそこを乗り越えて取り組んでいただきたい、このように思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 末松大臣には初めて質問させていただきますけれども、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、新型コロナウイルス感染症を経まして、子供たちにとって、いかに学校現場が大切で尊いものであったかということが改めて明確となったと思います。特に、現在、オミクロン株の感染急拡大によりまして学校現場に感染が拡大しており、現場では多くの御苦労がある中で子供たちの学びを守っていただいております。

 末松大臣の所信をお伺いをする中で、改めて、子供たちを取り巻く様々な深刻な問題や環境がある中で、我が国の文部科学行政に大変多くの重要な課題があると同時に、我が国が直面している課題の根幹に文部科学行政がある、特に、全ての問題、課題が教育に行き着くということを感じました。

 多くの課題がある中で、全て重要なものであるというふうに思いますけれども、特に大臣が喫緊の最重要課題として取り組みたいと思われていること、また、大臣自らの手で是非やり遂げたいと思っていらっしゃる課題について、大臣に是非御見解をいただきたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 グローバル化、あるいは少子化の進展、急速なデジタル化、コロナ禍での生活様式の変化ということで、子供を取り巻く環境というのは大きく変化をしてきてございます。

 こうした中で、文部科学省が何を重視して、どう取り組もうとしているかということをお示しするために、実は先日、二月二十五日に、教育進化のための改革ビジョンというのを公表いたしました。

 具体的には、先ほどから先生方から御指摘いただいておるんですけれども、「誰一人取り残さず個々の可能性を最大限に引き出す教育」、二つ目は、「教職員が安心して本務に集中できる環境」の二つの基本理念を挙げてございます。教員のことはやはり考えなきゃいかぬと思っています。そして、四つの柱としまして、三つ目、四つの柱として、「「リアル」×「デジタル」の最適な組合せによる価値創造的な学びの推進」、二つ目、「これまでの学校では十分な教育や支援が行き届かない子供への教育機会の保障」、そして三つ目は、「地域の絆を深め共生社会を実現するための学校・家庭・地域の連携強化」、コミュニティースクールなんかもその一つに入ると思うんですが。そして四つ目は、「教職員が安心して」、今申し上げた「本務に集中できる環境整備」を挙げてございます。

 さらに、高等教育の更なる改革も同様に重要と考えておりまして、学修者本位の高等教育への転換、世界と伍する研究大学の実現に向けましたガバナンス改革、そして三つ目、地域社会との連携による魅力ある地方大学の創出、そして、最後、四つ目は、オンラインと対面の組合せによる新たな学びの実現を目指して、不断の改革に取り組んでいきたいと思います。

 子供は国の宝、国の礎でございます。教育は国の礎です。私としては、できる限り現場に足を運んで、耳を傾けたいと思います。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に様々な、重要な課題がございます。その中で、我が国の現在の教育、科学技術予算につきましては、先ほど笠委員からもございましたけれども、我が国の今の予算の歳出の状況を見ますと、やはり、少子高齢化の中で社会保障関係費が大幅に増加をして、特例公債で賄われている現状の一方、文部科学予算については微増にとどまっております。

 また、これも随分以前から言われていることでございますけれども、教育機関に対する公的支出対GDP比も、OECD諸国の中で平均を下回り、依然として低い状況でございます。また、各国の科学技術関係予算を見ても、各国と比べて日本は各国が年々増加させている中で余り増加をしない、変わらない状況が続いております。

 また、世界大学ランキングにおいても、日本の大学は中国の大学が躍進をする一方で停滞をするというデータもございます。また、生まれた環境の経済状況が進学にも大きな影響を与えている、この教育格差も深刻な状況であると受け止めております。

 様々なデータが我が国の大変厳しい状況を示しておりますけれども、末松大臣がこの現状をどのように捉えていらっしゃるかということについてお尋ねをさせていただきます。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 我が国の教育に関する公財政支出の対GDP比、OECD諸国一位のノルウェー七・四%、OECD諸国の平均四・四%と比べて三・〇%、低いという水準であること、事実でございます。

 また、科学技術関係予算に関しましても、米国では、二〇〇〇年に十一・二兆円だったものが二〇二〇年には十七兆円になっている。中国では、二〇〇〇年に三・三兆円だったものが二〇一九年には実に八倍の二十六・四兆円になっているということで、高い伸びを示してございます。一方、日本では、二〇〇〇年に四・二兆円だったものが二〇二〇年、九・二兆円となっておりまして、GDP比で見れば見劣りしないものの、アメリカの伸び幅、中国の伸び幅に比べて大変劣っている、そのように感じてございます。

 成長と分配の好循環によります新しい資本主義に向けて、教育予算と科学技術の関係予算の更なる強化というのは不可欠でございます。

 文部科学省としましては、これまで幼児教育、保育の無償化、高等教育の修学支援新制度など経済的負担の軽減策であるとか、あるいはGIGAスクール構想、小学校の三十五人学級の計画的な推進などを着実に進めてまいりました。

 今後、さらに、小学校高学年における教科担任制、十兆円規模の大学ファンドの創設であるとか、それと文系、理系の枠を超えた人材育成ということも大きなテーマでございます。リカレント教育もあります。DXもございます。

 こうしたことを念頭に置きながら、成長と分配の好循環というものを頭に置いて、教育と科学技術予算を着実に確保していきたい、そのように考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 今大臣から、様々な課題がある中で教育予算も増やしていくという方針が示されましたけれども、現実問題としては、少子高齢化の中で、大変限られた予算の中で教育、科学技術予算を倍増するというのは大変困難な現実があるというのも事実でございます。

 国民民主党は、人づくりこそ国づくりという理念の下で、人への投資が我が国の最重要課題であるという認識の下、政策の中心の柱として教育、科学技術の予算の倍増というものを掲げております。

 今、人への投資というものを倍増していかなければならないという大変危機感の下で、財源論には様々な御意見があるというふうに思っておりますけれども、国民民主党としては、我が国が今必要としている科学技術予算を確保するために教育国債を発行して積極的に取り組むべきだということを提案をいたしております。

 このことについての末松文部科学大臣の御見解というものをもしお伺いできたらと思います。

末松国務大臣 答弁申し上げます。

 成長と分配の好循環による新しい資本主義に向けては、我が国の教育予算、科学技術の予算の更なる強化というのはもう不可欠でございます。

 先ほどの答弁とも重複するところがございますけれども、幼保、教育、保育の無償化であるとか、修学支援新制度の経済的負担軽減策もそうでありますし、三十五人学級もそうでございます、GIGAスクールもそうでございます。

 文部科学省としては、これらの取組を含めて、人への投資を通じて成長を生み、その果実を分配に充てることで更なる成長を生み出せるよう、教育、科学技術予算を着実に確保してまいりたいというふうに考えております。御党の代表の方からもそういう御指摘をいただきました。

 他方で、先生今おっしゃいました教育国債については、安定財源の確保とか財政の信認確保の観点から、慎重に検討すべき必要があると考えてございます。それは、過日、矢田わか子先生に対して総理が答弁なさっておりますので、私にとって上司がそのようにおっしゃっておられる面もございます。安定財源の確保あるいは財政の信認確保の観点から、慎重に検討する必要があるということでございまして、いろんなお考え、MMTのことをおっしゃる方も、いろんな方がおられます。そういう面もありますけれども、今のところ、総理はそういうお考えでございますので、総理とも直接向き合ってまた御指摘いただけたらというように感じておりますけれども。ありがとうございます。

西岡委員 あえて、やはり、少子化の今だからこそ、この教育、科学技術予算というものが大変重要だと思っておりますし、このままの状況を何年も続けていくと、それこそ、日本の国際的な置かれている状況、今以上に厳しいものとなると思います。

 この教育国債については様々な議論があることも承知をいたしておりますけれども、我が党としては今法案も準備をして取り組んでおりますので、また、文部科学大臣にも、法案ができました暁には是非御検討をいただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。

 引き続きまして、困窮する学生に対する経済的な支援についてお伺いをいたします。

 コロナ禍でアルバイトがなくなり、また保護者からの仕送りも厳しくなったために学問を諦める学生が多く今出てきております。また、休学される方も大変増えております。

 これまで、高等教育の修学支援金制度の要件緩和につきましては、我が党としても再三要望をしてまいりました。

 先日、予算委員会の質疑におきまして、秋葉委員からの質問に対して、岸田総理が、末松大臣と相談して要件緩和について検討するという向きの発言がございました。

 このことについて、大臣が総理とお話をされたのかどうか、また、今後の取組の方針について、もしお知らせいただけることがあればお伺いをしたいと思います。

末松国務大臣 お答えいたします。

 先般の予算委員会で、総理答弁、私も聞いておりまして、私としても、高等教育の修学支援新制度の実施状況というのを検証して、よりよい制度にしていくことは大変重要と考えてございます。令和六年に一旦検証するということを考えてございます。

 本制度、誠に、真に支援の必要な低所得世帯の学生に対して、令和四年度予算においても、安定財源を確保し、給付型の奨学金五十九万人分と授業料の減免五十九万人を実施する予定でございます。また、これ以外の幅広い学生さんに対しましても、貸与型奨学金として、無利子五十万人、有利子七十二万人を実施する予定で、さらに、修学支援新制度と貸与型奨学金それぞれにおいて、コロナ禍の影響を含めて、家計急変世帯には、コロナによる倒産とかいった場合ですけれども、この家計急変世帯には、直近の所得に基づいて採用判定を行うなど、きめ細かな支援を行っているところでございます。

 御提案の高等教育の修学支援新制度の要件緩和や対象の拡充につきましては、これまでの貸与型奨学金の拡充によりまして進学機会が開かれているということ、それと、高校卒業後の進路が多様であることを踏まえまして、進学せずに働く者との公平性に留意が必要があるということなどを踏まえまして、議論する必要があろうかと思います。

 令和三年十二月、昨年十二月に、教育未来創造会議におきまして、新たな時代に対応する学びの支援として、教育費の支援が論点の一つとして挙げられております。

 こういう点も踏まえまして、これから中間所得層における大学へのアクセス状況なども見極めつつ、その在り方を検討してまいりたいと思います。

 総理とは、分かっているねという感じでございまして、目と目できちっと話はというか、その辺のところはきちっと確認をします。あの後、終わったときにその話も交わしましたし、済みません。ありがとうございます。

西岡委員 誠実にそこの部分までお答えをいただいて、本当にありがとうございます。

 令和六年というお話がございましたけれども、先ほどもございましたけれども、学生にとっては今しかないわけでございまして、やはり、この要件緩和、公平性というのも大変重要なので様々な検討が必要かと思いますけれども、今の状況ですと、先ほどおっしゃった中間層を含めて、なかなか、今、特にコロナという状況がございますので、厳しい状況があると思いますので、是非、総理が大臣と相談して検討したいというお言葉が出ましたので、引き続き、大臣の方でも積極的に、このことは現場のお声も聞いていただいて、学生の方のお声も聞いていただいて、是非進めていただくことを要望をさせていただきたいと思います。

 続きまして、学校における学びの保障についてお尋ねをいたします。

 新型コロナウイルス感染症、オミクロンの急拡大によりまして、子供たちに感染が拡大し、また、休校や休園、子供たちが濃厚接触者となる事態が多く発生をいたしております。

 学校に登校できない場合や、臨時休校等によって、オンライン授業が可能な学校が、今現状どれぐらいの割合でそういう体制が整っているのかということをまずお伺いをいたします。

 その現状を踏まえて、子供たちの学びを保障して、誰一人取り残さないという文部科学省の大切な方針の下で、その体制づくりに今後どのようなお取組を続けていかれるかということをお伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 臨時休業等により、やむを得ず登校できない状況に至った場合にあっても、子供たちの学びを止めることのないよう、オンライン学習を含め、あらゆる手段を講じて、学びの継続をお願いしたいというふうに考えております。そのためには、オンライン学習の体制を整えることが重要であります。

 先般、文科省から、各教育委員会に対して、非常時の端末の持ち帰りに関する準備状況調査を実施いたしました。

 一月末時点で、全国の公立の小中学校等のうち九五・二%の学校において端末の持ち帰りの準備済みという回答を得ました。

 また、自宅等の通信環境が整っていないことがオンライン学習を推進する上での課題として挙げられるため、モバイルルーターの貸出しや、一部の児童生徒のみ登校といった代替手段を講じるよう指導助言しているところでもあります。

 このような中、各自治体においては、それぞれの感染状況等を踏まえ、適切な学びの環境を整えて取り組んでいただいているものと考えております。

 こうしたICT端末を活用したオンラインによる学習指導を含め、臨時休業期間中の学習指導等に関する具体的な取組状況を把握するということで、現在調査を実施しているところでございます。

 今後、これらの調査結果等も踏まえて、オンライン学習の充実を始めとして、新型コロナウイルス感染拡大の中においても切れ目なく学びを継続できるよう、懸命に取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 今、様々、端末についても九五・二%持ち帰りの体制ができているということでございましたけれども、今後調査を実施されるということですけれども、実際にそういう休校があったときに、実際にオンラインで授業やいろいろなことをすることによって子供たちの学びが保障されるかどうかという、その実際の状況を是非把握していくというのが大切だと思いますので、その調査結果を踏まえて、今後、しっかり取組を続けていただきたいと思いますし、もしその調査結果が出ましたら、私も、その調査結果を基にいろいろな今後のことも是非検討して考えていきたいというふうに思っております。

 続きまして、GIGAスクール構想についてお尋ねをいたします。

 今の質問と若干かぶりますけれども、本来、GIGAスクール構想、数年間で進める予定であったものが、新型コロナウイルス感染症拡大によって前倒しで実施された経緯がありまして、今おっしゃったように、一人一台端末という体制も、多くの皆様の御尽力で整ってきております。

 一方で、学校側の対応が追いついていない現状というものを現場からお聞きをいたしております。文部科学省として、その実態をどのように把握しておられるのか、また、その問題についてどのような取組、課題解決をしていかれる方針であるかということをお伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 GIGAスクール構想に基づく一人一台端末の整備につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の状況の中で、御指摘のように、当初の四年計画を大幅に前倒しし、急ピッチで整備を行いました。その結果、様々な関係者の御尽力によりまして、おおむね全国の小中学校で整備が完了いたしましたが、各学校にとっては初めての取組でありますので、今御指摘いただいたように様々な悩みや課題があるということは承知しております。

 文科省といたしましては、こうした学校現場の状況を把握するため、デジタル庁とも連携いたしまして、GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケート調査を実施したほか、端末の整備や利活用状況に関する調査の実施、あるいは、省内に設置しております特命チームによる定期的な現場との意見交換等を行っております。

 学校現場からは、主な課題として、指導者用の学習指導端末が古い、ネットワークがつながらないといったハード面の課題であったり、端末を活用するためのノウハウが乏しいといったソフト面の課題が挙げられております。

 文科省といたしましては、その指導者用端末の授業環境の高度化、ネットワークの点検など運用支援を行うGIGAスクール運営支援センターなどにつきまして、令和三年度補正予算におきまして予算措置したところでございます。

 また、ソフト面の対応といたしましては、様々な優れた活用事例の情報発信を行うほか、地方自治体を始めとする設置者等に対し、留意すべき事項、本格運用に向けて準備すべき事項等を整理したチェックリスト、あるいは、保護者との間で確認、共有していくことが望ましいポイントなどを作成、周知してきたところでございます。

 さらに、先ほどもございましたが、今年度中にも、今申し上げましたチェックリストを更新した端末活用のガイドラインを策定し、早急に現場に周知してまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 ガイドラインについては、早急な作成と、皆さんの下にしっかり届けていただくということをお願いをして、次の質問の一部、今お答えをいただいた部分がございますので、例えば、通信機器の保守ですとか機器の更新費、また光熱費などについても予算措置が必要だというふうに思いますけれども、このことについては今どのようなお取組になっているのかということをお伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 インターネット通信費用や、予備用の端末あるいは各教科等の学習活動に共通で必要なソフトウェアとしての学習用ツール等、学校のICT環境整備に必要な経費につきましては、教育のICT化に向けた環境整備五か年計画に基づきまして、単年度千八百五億円の地方財政措置が講じられております。

 光熱費については、別途、学校に要する需用費として地方財政措置を講じているところでございまして、これらを積極的に活用いただきたいというふうに考えております。

 また、今後の機器更新等に係る費用負担の在り方についてでございますが、これは非常に重要な課題であるというふうに認識しております。その検討を進めるためにも、まずは今般整備されたICT端末等を積極的に活用していただくことが重要であるというふうに考えております。その上で、地方自治体の意見等を聞きながら、関係省庁と協議し、検討してまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 是非、現場の声をしっかり聞いていただいて、今後進めていただきたいというふうに思います。

 一方で、家庭への持ち帰りという体制が整っていく中で、やはり、家庭においても通信環境を確保していくことや、そこでオンライン学習に必要な通信費というものが発生をしていく中で、子育て世帯の負担軽減という課題も発生をしてきております。

 また、このオンライン学習については、地域ですとか学校、家庭でやはり格差が生じているということもございまして、やはり、この格差というものを是正をしていくということも課題だというふうに思いますけれども、この課題につきましてのお取組について、末松大臣にお伺いをいたします。

末松国務大臣 学校の臨時休業等の緊急時におきましても、ICTの活用により家庭でも学習を継続できる環境を整備しておくこと、大変重要でございます。

 文部科学省では、令和二年度補正予算を始め、累次の予算措置によりまして、経済的に困難で通信環境がない家庭の児童生徒さんを想定しまして、貸出し可能なモバイルルーターの整備に係る経費を補助してきました。

 これに加えて、令和四年度予算案では、修学支援制度等における通信支援の増額を盛り込んでおります。厳密に言いますと、令和四年度予算案の端末持ち帰り等への対応に伴う通信費の増額、年額一万四千円を計上いたしてございます。

 引き続き、先生の御趣旨に沿って、GIGAスクール構想に基づき整備された一人一台端末を学校のみならず家庭でも活用できるよう、国と地方が協力して、積極的な支援に努めてまいりたいと存じます。

西岡委員 是非進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 このGIGAスクール構想を進めていく上では、ICT支援員の果たす役割というものが極めて重要でありまして、その配置については多くの要望がございます。

 また一方で、その人材を確保していくというところも様々な課題があるというふうに思いますけれども、現在の確保状況、これは令和四年度予算として盛り込まれておりますけれども、現在の確保状況と、今後、どのようにその人材を確保していく見通しであるのかということについて、文部科学省にお尋ねいたします。

伯井政府参考人 ICT支援員につきましては、教師が日常的にICTを用いた授業を行えるようにしていくための支援体制という意味で重要であるということでございます。

 これまで、教育のICT化に向けた環境整備五か年計画におきまして、地方財政措置を講じることなどを通じて配置を促進してきたところでございまして、令和三年三月時点で三千五百三十八名を配置しております。文部科学省としても、情報提供などを通じて配置促進に取り組んでおります。

 一方で、一人一台端末環境の利活用を進めるよう、運用面の支援を更に強化するため、学校への支援を広域的にワンストップで担うGIGAスクール運営支援センターを各都道府県等に整備するために必要な予算を令和三年度補正予算と令和四年度予算案に計上させていただいたところでございます。

 この事業の中におきまして、各自治体の判断にもよりますが、必要に応じて、ICT支援の人材育成あるいは技術者の現場への派遣などの運用支援等を行うことも可能となっております。

 文科省といたしましては、全国の学校におけるICTの円滑な活用が図られるよう、引き続き必要な支援策の充実に取り組んでまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 もう残り時間が大変僅かとなりましたけれども、令和四年度から取り組まれる小学校三年生の三十五人学級の実施について、現場からのお声として、加配教員をつけ替えるということではなくて、定数を是非確保してほしいというお声をいただいておりますけれども、このことについての文部科学省の御見解をお尋ねをして、これで私の質問を終わりたいと思います。

伯井政府参考人 小学校三十五人学級の計画的な実施に当たりましては、地方独自で既に実施している、小学校第三学年から第六学年までの三十五人学級に活用されている加配定数の一部の振替等を行うこととしておりますが、一方で、令和四年度におきましては、小学校三年生の三十五人学級の実施に当たり、三千二百九十人の基礎定数の改善を見込んでおります。

 また、地方の実情や児童生徒の状況に応じた支援も重要であるということですから、個々の教育課題に応じた加配定数を含め、必要な教職員定数を引き続き確保することが必要であるというふうに考えておりまして、このため、令和四年度予算案におきましては、小学校の三十五人学級等の改善に加えまして、小学校高学年における教科担任制の推進を始め、中学校における生徒指導体制の強化、小中一貫・連携教育への支援等のため、加配定数千三十人を計上しているところでございます。

 引き続き、充実に努めてまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。これで質問を終わります。

義家委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 今日は、コロナの下で経済的に困窮し、学業が続けられない学生が増えている現状を踏まえて、学費軽減と奨学金問題について大臣と議論したいと思います。

 まず、昨年四月から十二月で、コロナ禍による影響で全国の大学や短大、専門学校などで中途退学や休学をした学生は何人と掌握しておりますか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 文科省におきましては、今年度の四月から十二月までの全国の大学、短大における学生の中退、休学の状況を調査したところでございます。

 中退者数は二万九千七百三十三人、休学者数は六万四千七百八十三人となっております。これらの昨年度の数字につきましては、中退者が二万八千六百四十七人と、昨年度と比べ、今年度は僅かに増えております。休学者が六万五千六百七十人と、今年度は僅かに減っているという状況でございます。

 そのうち、新型コロナウイルス感染症の影響によるものだと回答があった中退者数は千九百三十七人、休学者数は五千八百五十五人となっております。これらの昨年度の値は、中退者が千三百六十七人と、昨年度と比べ、今年度は一・四倍、休学者が四千四百三十四人と、昨年度と比べ、今年度は一・三倍となっている状況でございます。

宮本(岳)委員 資料一を見ていただきたい。

 学生に何の責任もないコロナ感染の拡大によって、学業を断念、中断せざるを得ない学生が九か月間で七千八百人ですから、昨年の五千八百人に比べても二千人も増えております。

 文部科学大臣に聞きますけれども、大臣は、先日の所信で、幼児期から高等教育まで切れ目ない形で、教育の無償化や負担軽減を着実に実施すると述べられましたけれども、未来を担う学生や若者が、コロナ禍で経済事情や精神的なストレスによって学びの機会が奪われることがあってはならない、この立場に変わりはないですね。

末松国務大臣 それは、先生、全く変わりはございませんです。

 先生御指摘のとおり、コロナ禍にあって、学生等が安心して学ぶことのできる教育環境、それを確保することは大変重要でございます。

 このため、文科省では、高等教育の修学支援新制度や日本学生支援機構の貸与型奨学金において、コロナの影響等で家計が急変した世帯については直近の所得に基づいて採用の判定を行うなど、きめ細やかな支援を行うとともに、令和三年度補正予算で、コロナの影響で厳しい状況にある学生等の学びを継続するための緊急給付金の支給を行っているところでございます。六十七万人に対して、七二%相当に支給が完了しているはずでございます。

 また、各大学に対しまして、学生へのメンタルヘルスケア、これは細かく説明しませんが、確認をいたしました。いろいろやっておられます、大学も。学生から相談しやすい体制の構築、新入生を始め、学生生活に悩み、不安を抱えた学生の把握、カウンセラーや医師等の専門家との連携とか、学生に寄り添ったきめ細かな対応をお願いしているところでございます。

宮本(岳)委員 そういうことをこれから議論をしたいと思っております。

 国民の学習権の保障と教育の機会均等は、日本国憲法二十六条に定められた大原則であります。

 同時に、資料二を見ていただきたい。

 二〇一二年九月十一日、日本政府は、一九七九年に国際人権A規約を批准しながら、三十三年間も受入れを拒み続けてきた十三条二項(b)、(c)、中等、高等教育の漸進的無償化条項の留保の撤回を国連事務総長に通告をいたしました。

 外務省に確認をいたします。

 この留保撤回以降は、条約に定められた高等教育の無償教育の漸進的な導入に拘束されることになりますね。また、この無償教育の漸進的な導入は、全ての大学生が対象ということでよろしいですね。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、社会権規約の締結の際に付した留保を撤回した平成二十四年九月十一日から、同規約の高等教育に関する第十三条2(c)の規定に言う、「特に、無償教育の漸進的な導入により、」に拘束されることになる。また、これは全ての大学生を対象に含めている。含めております。

宮本(岳)委員 漸進的な導入ですね。

 今年は、留保撤回からちょうど十年目の節目の年であります。高等教育への無償教育の漸進的導入、つまり学費の無償化は、憲法など変えなくても、日本政府は既に十年前から国際条約上の責任を負っているわけであります。

 ところが、学費は下がっておりません。私学はもちろんのこと、国立大学でさえ、この間、五大学、大学院が授業料の値上げを行いました。三大学、大学院の一部の学部、研究科において、授業料の値上げが行われました。

 文部科学大臣、これでは国際条約に逆行しているのではありませんか。いかがですか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 特に私立大学の授業料につきましては、各学校法人の判断で設定されておりまして、近年緩やかな上昇が続いているのは事実でございます。

 また、国立大学の授業料につきましては、文部科学省令で標準額を定めておりまして、平成十七年度以降額を据え置いているものの、一部で、経済的支援の充実と併せて値上げをしている大学もあるのも事実でございます。

 一方で、令和二年四月から開始されました高等教育修学支援新制度におきましては、真に支援が必要と考えられる低所得世帯の学生に対しまして、確実に授業料が減免されるよう、大学を通じた支援を行うとともに、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給するものでございまして、全体といたしましては、支援の規模や金額が大幅に拡大しておりまして、高等教育の漸進的無償化の趣旨に合うものと認識しているところでございます。

宮本(岳)委員 真に支援というのはちょっとひっかかるんですね。全ての学生を支援するというのが国際条約の趣旨ですから、何か、学生の中には支援が必要ない人がいるかのように聞こえてしまいます。

 我が党は、これまで、日本の大学、短大、専門学校の学費は世界の中でも非常識に高過ぎると指摘をいたしまして、さきの総選挙でも、一、国が財政補填して、全ての学生を対象に、大学、短大、専門学校の授業料を直ちに半分ぐらいまで値下げするということ、そして二つ目には、入学金制度を廃止すること、三つ目には、本格的な給付型奨学金をつくる、この三つのことを訴えました。

 今日は、奨学金制度について聞きたいと思うんです。

 今年度予算で予定される奨学金の学生への支給計画は、大学、短大、専門学校等、対象となる学生数に対して、給付型、無利子、有利子、それぞれ何人分になりますか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度予算については、対象となる学生数三百六十八万人に対しまして、給付型奨学金は五十万四千人分、無利子奨学金は五十万九千人分、有利子奨学金は七十六万五千人分を確保しているところでございます。

宮本(岳)委員 学生数三百六十八万人に対して、合計で百七十八万四千人。今日の経済困難を反映して、約半数が何らかの奨学金を受けなければ学費が払えないという状況です。そして、漸進的無償化というけれども、給付型奨学金の恩恵を受けることができるのは、大学院生を除く三百三十万人のうち僅か五十万人余り、一五%ですよ。それも、全額措置されるのは、平均年収二百七十万円以下の住民税非課税世帯のみであります。それどころか、運営費交付金の基礎部分を減らすことで、大学独自の学費減免制度が削減されました。

 奨学金問題について、教育未来創造会議の第一回目に配付された資料の中に、奨学金に関するデータがございます。世帯年収四百万から八百五十万の世帯で、返済できるか不安として借りない選択をした学生のパーセンテージはどれだけになっていますか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お尋ねの点につきましては、令和元年度に実施いたしました高校生の進路に関する保護者調査によりますと、世帯年収四百万から六百五十万の世帯では二九・九%、世帯年収六百五十万円から八百万円の世帯では三〇・六%の世帯が、返済への不安を理由に日本学生支援機構の奨学金に応募しなかったと回答していると承知しております。

宮本(岳)委員 これも資料三につけておきました。中間層の三割もの学生が、返済に不安があるため奨学金の申請ができていない。これでは、中間層への無償化がむしろ後退しかねないと言わざるを得ません。

 私は、かねてから、有利子奨学金、金を貸して、元金だけでなく利子まで取るというような制度はおかしいと申し上げてまいりました。給付奨学金が始まった以上、せめて奨学金は無利子が当たり前というふうにすべきだと思います。

 有利子奨学金、今低金利ですよ、これを全て無利子にするために利子補給をするという場合、予算に幾ら積めば有利子を無利子に転換できますか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 有利子奨学金の利息収入は、日本学生支援機構の二〇二〇年度決算においては約二百六十七億円であると聞いております。無利子化を行うには、これを毎年度国費で賄う必要がございます。

 御指摘のとおり、国費により利子を補給する方法で有利子奨学金の無利子化を行うことについては、将来的に金利が上昇した場合に国の財政支出が増加する、そういう課題がございますので、慎重な検討が必要かなというふうに考えているところでございます。

宮本(岳)委員 金利が上がったらまた考えましょう。二百六十七億あればできるんでしょう。給付型奨学金に使う予算は五千二百億ですから、それぐらいのことはやるべきですよね。

 そして、貸与型奨学金の方は、依然として、三か月滞納すれば、個人信用情報機関、ブラックリストに登録し、九か月滞納すれば一括返還が求められ、法的措置に移行、最悪の場合は自己破産に追い込まれるという旧態依然の対応が続いております。

 今、無利子奨学金には所得連動返済型というものも導入されております。令和二年度の無利子奨学金受給者のうち、所得連動返済型を選択しているのは何人で、何%ですか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の令和二年度におけます無利子奨学金貸与人数につきましては、四十八万六千四百二十六人となっております。また、そのうち、所得連動返還方式の選択者数は七万八千百二十三人でございまして、選択率といたしますと一六・一%になっているものでございます。

宮本(岳)委員 返済できるかどうか不安だから借り控えるということがある中で、所得連動返済型、つまり、所得に応じて無理なく返済できるというのはよいことだと思いますけれども。

 ここでちょっとこの制度について聞くんですけれども、所得に連動して返済額も下がるというんですから、当然、所得がゼロならば返済額もゼロなのか、また、所得連動返済型で返還期間が延びた場合、定年退職して年金生活になっても年金から返還しなければならないのか。いかがですか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 日本学生支援機構の無利子奨学金におけます所得連動返還方式の場合、最低返還月額が二千円となっているところでございます。また、定年退職後も支払っていただく必要がございますが、経済的に困難な状態に陥った場合には、返済期間猶予制度などございますので、こういう制度を御利用いただくことも可能でございます。

 なお、奨学金をもらっている人が死亡又は精神、身体障害になった場合は返還免除ということになるのを申し加えます。

宮本(岳)委員 大臣、既に、給付型奨学金を五十万とか五十九万のレベルでやっているわけですね。一方では、給付されて返す必要のないという人が五十万人の規模で存在するときに、所得連動だといったって、収入ゼロでも二千円払え、定年になっても年金から払えと。これは私、制度の欠陥じゃないかと思うんですね。もちろん財政的な様々な検討は要るでしょうけれども、これぐらいのことはやはり改めて検討すべきではないですか、大臣。

末松国務大臣 先生御指摘の所得連動返還方式ですけれども、これは、卒業後半年たって、卒業後の所得に連動して返還月額が決定されることによって、所得が低い状況でも無理なく返還することを可能とする返還方式であり、平成二十九年度から無利子奨学金に導入しているものでございます。

 例えば、私立大学の自宅生で貸与月額五万四千円の場合、定額返還方式では返還月額一万四千四百円となりますが、所得連動返還方式ではその所得に応じた返還額となり、特に所得が低い場合、今先生お話あった件ですけれども、返還月額は最低で二千円となります。

 このように、返還者にとっては大幅な負担軽減となる一方で、所得の状況によっては返還に長期間を要することになるわけなんですね。

 この最低返還月額について、同制度を導入する際の、実は有識者の会議があって、私もなるほどなと思ったのは、返還に対する意識の継続ということがございます。

 話はそれるんですけれども、私、阪神・淡路大震災のときに、災害援護資金貸付金というのをお貸しをして、非常に、債務免除、最後は保証人も行方不明になったりとか、いろいろなことが出てきまして大変だったんですけれども、やはり最後は意識という問題がちょっと出てまいりました、神戸市長と財務省の間で。

 二つ目は、返還、回収の確保という観点から、所得にかかわらず、今言ったように二千円とすることが適当であるという報告をされたことを踏まえて設定したものでございます。

 先生御指摘ありました更なる制度の改善については、財源の確保の観点にとどまらず、定額返還方式を選択した方との公平性や、返還期限猶予等の救済制度が利用可能であることを踏まえて、慎重な検討も必要ではないかということであります。

 先生の御意見は承りたいと思います。

宮本(岳)委員 いや、今検討する必要が私はあると思うんですね。

 返済のための、返還に関する意識づけとおっしゃるんですけれども、借りたものは返せとか、返したお金で次の貸し付ける原資になるんだとか、もうずっと聞かされてきたんですよ。

 ただ、さっき申し上げたように、五十万人規模で、もらえる、給付される制度をあなた方はつくったわけですよ。つまり、返さなければ次貸せないから返せという論理は、この給付型についてはもう通用しないわけですね。

 一方で、そういう制度をつくっておいて、返せ返せと言うときだけは返還に対する意識と言われたら、いやいや、今始まっている給付はもらいっ放しになっているじゃないかと。

 いや、もちろん給付型奨学金に異論はないですよ。給付型奨学金をやれやれと言うてきたんですから、やっていただくのは結構ですけれども、それならば、論理が少し変わってくるでしょうと。本当に困窮している場合は、例えば定年退職までいったら、最終的には、もうその先、年金からというようなことはもうなくすとか、あるいはゼロの場合は、やはり所得連動という言葉に照らせば、ゼロにするとか、そういう制度の見直しを是非やっていただきたいというふうに思います。

 さて、たとえ給付型奨学金が入ろうが、所得連動返還型が入ろうが、取り残されているのは、既に奨学金を借り終わって、返還が始まった人たちであります。滞納すればブラックリスト、一括返還、法的措置、厳しい取立てが今も続いております。

 私は、この問題を二〇一四年三月十九日の当委員会で質問いたしました。吉田高等教育局長だったと思いますが、八年たっても改善が見られておりません。

 再度聞きますけれども、この一括返還の法的根拠というのは何なんですか、高等教育局長。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 日本学生支援機構法の施行令第五条第五項におきまして、学資貸与金の貸与を受けた者が、支払い能力があるにもかかわらず割賦金の返納を著しく怠ったと認められるときは、前各項の規定にかかわらず、その者は、機構の請求に基づき、その指定する日までに返還未済額の全部を返済しなければならない、そのように定められているところでございます。

宮本(岳)委員 施行令五条五項ですね。「支払能力があるにもかかわらず」、これが一つです。二つ目、「割賦金の返還を著しく怠ったと認められるときは、」、この二つの条件となっているわけです。

 ところが、卒業が近づくにつれて、返還が始まる直前に返還者に配られるこの「返還のてびき」、これを見ると、皆さんの資料にこの中のものをつけております、資料四、「督促にもかかわらず返還に応じない場合は、返還期限が到来していない分を含め、返還未済額の全額、利子および延滞金を請求します。(「期限の利益の喪失」)」とあります。

 しかし、ここには、督促しても返還しない場合はという言葉はありますけれども、支払い能力があるにもかかわらずという肝腎の条件は書かれておりません。

 奨学金を貸与する前から返還が始まるまでの間に、日本学生支援機構は、この施行令五条五項を明記した文書を貸与を受ける奨学生に対して示しておりますか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 奨学生に採用された際に配付しております「貸与奨学生のしおり」というものがございます。この百三ページにおいて明示はしております。

宮本(岳)委員 これが、その「貸与奨学生のしおり」というものでございます。

 七十九ページを見ますと、これは資料五ですね、下線部、法的手続では、長期にわたって滞納が解消しない場合には触れていますけれども、やはり、「支払能力があるにもかかわらず」という文言は七十九ページにはありません。どこかと思って探したら、今おっしゃったとおり、資料六につけておきましたが、全部説明が終わった後の資料編百三ページに、それは施行令がそのまま引かれていますから、そこには書いていますよ、五条五項は。施行令ですから。

 つまり、細かい字で最後のところにちょちょっと書いて、四行書いているというのがこの全てなんですね。私は、これは本当にひどいなと。

 金融庁、今日呼んでおります。

 貸金業法では、資料七にあるように、貸金業者は、契約締結前にも契約締結時にも書面の交付が義務づけられております。その内容は、その施行規則によって、下線部、「期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨及びその内容」と明定されております。

 一般論として、金融庁に聞きますけれども、貸金業者が期限の利益の喪失の定めの一部あるいは全部を隠して契約を結んだ場合、どのように対応することになりますか。

尾崎政府参考人 お答えいたします。

 貸金業法上、貸金業者は、貸付けに係る契約を締結しようとする場合には、当該契約を締結するまでに、貸付けの金額、貸付けの利率、返済期間、返済回数、期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨及びその内容などの契約の内容を説明する書面を契約の相手方となろうとする者に交付しなければならないとされています。

 その法令違反の有無や行政対応の要否、内容については、個々の事実関係に応じて判断する必要があると考えられます。

 監督手法としては、貸金業者向けの総合的な監督指針において、検査の指摘事項に対するフォローアップや、苦情等に係る報告徴収等の日常の監督事務を通じて把握された書面交付に関する課題等については、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて貸金業法第二十四条の六の十に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者における自主的な業務改善状況を把握することとする。

 さらに、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、貸金業法第二十四条の六の三の規定に基づく業務改善命令を発出することとする、また、重大、悪質な法令違反行為が認められるときには、貸金業法第二十四条の六の四に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとするとされております。

 いずれにしても、その法令違反の有無や行政対応の要否、内容については、個々の事実関係に応じて判断する必要があると考えられます。

宮本(岳)委員 いやいや、貸金業法という、普通の貸金業者でさえ、これだけ厳しく規制されているわけですよ。日本学生支援機構たるものが、奨学金の返還でこんな乱暴なやり方はありません。

 日本学生支援機構は、延滞が続いた奨学金貸与者に対し、民事訴訟法に基づく法的措置を行っておりますが、二〇一八年から二〇二〇年度まで、それぞれ毎年どれだけの支払い督促申立てを行っておりますか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 日本学生支援機構の貸与型奨学金の回収におきまして、支払いの督促申立てを実施した件数でございますが、二〇一八年度は八千六十八件、二〇一九年度は七千七百九十三件、最後、二〇二〇年度は六千六百五十二件と伺っております。

宮本(岳)委員 法的措置は毎年七、八千件に上っております。

 資料八は、日本学生支援機構が、ある奨学金貸与者を延滞を理由に裁判所に訴えた際の訴状でありますけれども、最高裁判所から提出を受けたものであります。独立行政法人日本学生支援機構法施行令第五条第五項により、割賦金の返還を怠った者に対しては、返還者が、指定する期日までに約定返還期日未到来分を含む返還未済額の全部を一括して返還させることができる定めであると説明しております。

 ここにも、施行令五条五項が定める「支払能力があるにもかかわらず」、この文言がありません。まるで施行令が、支払い能力の有無とは無関係に、割賦金の返還を著しく怠っただけで一括請求を許しているかのように説明しております。

 これは、裁判所を欺こうということですか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 決して、裁判所を欺くとかそういう趣旨ではございません。

 この第五条五項においては、返済者に支払い能力があるにもかかわらず割賦金の返済を著しく怠ったと認めるときに、返済未済額の全部の返済義務を負うというふうに考えているところでございます。

宮本(岳)委員 支払い能力があるかどうかは極めて重大な条件なんですね。

 資料九を見ていただきたい。これも、教育未来創造会議の第一回目に配付された資料です。

 奨学金返還者の年収分布は、四三%が三百万円以下ですよ。世帯年収三百万円以下といえば、今日では給付型奨学金の支給対象でしょう。日本学生支援機構の規定によっても、返還猶予が受けられる水準なんです。これは支援機構自身の調査結果ですからね。支援機構は、貸し付けている相手が四割程度は支払い能力がないと分かっているんです。

 大臣、少なくとも、日本学生支援機構は、この施行令五条五項に明記された文章、すなわち、支払い能力があるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠ったと認めるときはという二つの条件をあらかじめ丁寧に貸与を受ける者に説明しなければならない。また、その説明が不十分なまま法的措置に踏み込むのは余りにも不誠実だと思います。大臣、是非とも改善、せめて検討ということを御答弁いただきたい。

末松国務大臣 御提供の資料等を拝見させていただきましたし、昨日ちょっと目を通しましたら、確かに、本当に小さな字で、眼鏡をかけないと見えない字でああいうことを書いていましたから、やはり見る立場の方のことを考えなきゃいけないし、実際、あの中からあの文言を探せというのは難しゅうございます。そのことを感じております。

 返還困難時における救済制度や各種の法的手続について返還者にしっかり御理解いただくということが重要と考えておりますので、先ほど申し上げましたような機構からの連絡に加え、分かりやすい通知文書となるように努めたいということを思います。

 やはり分かってもらうことが一番大事でございますので、基本のキと思ってございますから、その点、よく念頭に置きます。

宮本(岳)委員 貸金業ではないんですから、丁寧な対応を是非しっかり検討して、改善していただきたい、このことをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

義家委員長 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会、早坂敦です。

 初めて本委員会の質問に立たせていただきます。心から感謝申し上げます。

 大臣所信に対する質問を行います。

 東京オリンピック・パラリンピック、北京冬季オリンピック、運動部活動改革について、また、学校体育の充実、第三期スポーツ基本計画について伺います。

 史上初の延期となった東京オリンピック・パラリンピック大会、その約六か月後には北京冬季オリンピックが開催され、コロナ禍で様々な制約もあり、選手の皆さん、もちろん関係者の皆様も大変だったと思いますが、大変多くの感動と、夢や希望を届けてくれました。

 大臣所信でアスリートの競技力向上とありますが、具体的な取組、予算配分について伺います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 トップアスリートの強化の関係でございますけれども、競技力向上事業というものがスポーツ庁の予算にございます。

 この事業におきましては、各競技団体が行います国内外の強化合宿、それらの日常的、継続的な選手強化活動や優秀なコーチ等の配置、さらには次世代アスリートの発掘、育成など、オリンピック競技とパラリンピック競技の一体的な支援を実施しているというところでございます。

 また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえまして、今年度からは、競技団体が行います感染症対策に対する支援も実施しておるところでございます。アスリートが安心して競技に打ち込めるような支援を行っているという状況でございます。

 事業の予算でございますけれども、このところ毎年度の拡充を図っているところでございまして、令和三年度の予算におきましては、スポーツ庁が設置されました平成二十七年度と比較いたしまして、一・四倍となります百三億円を計上しているところでございます。

 令和四年度の予算案におきましても今年度と同規模の百億円を計上しておりまして、今後も引き続きアスリートの国際競技力向上を支援してまいりたいと考えております。

早坂委員 ありがとうございます。

 予算約百億円のうち、オリンピック関連が七十四・九億円、パラリンピック関連が二十五・二億円というところですが、スポーツ先進国と比べてこの額は適正なのでしょうか。また、スポーツ施設の近代化や、指導者、スタッフの確保という点はいかがでしょうか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 競技力向上事業の予算につきましては、競技団体を統括する日本オリンピック委員会、それから日本パラリンピック委員会の要望を踏まえながら、近年の選手強化活動の高度化、専門化に対応するため、優秀なコーチ、スタッフの配置充実など、予算の拡充に努めてきたところであります。

 昨年開催されました東京オリンピックでは、おかげさまをもちまして、金メダル数、総メダル数共に過去最多を更新、東京パラリンピックでは、過去二番目となりますメダル数を獲得したという状況でございます。

 今般開催されました北京オリンピックにおきましても、過去最多でありました前回の平昌オリンピックを上回る十八個のメダルを獲得しておりまして、この競技力向上事業がこうした成果に貢献しているものと考えております。

 事業の予算につきまして、東京大会や北京大会に向けて拡充を図ってまいりましたけれども、両大会におけるアスリートの活躍を通じてスポーツの力を再確認したということもございまして、スポーツ庁といたしましては、東京大会が終わったからといって予算を縮小するということではございませんで、今後とも、アスリートが高いパフォーマンスを維持向上できるよう、引き続き予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

早坂委員 ありがとうございます。

 一・四倍かけた、そして、オリンピックのメダルも増えているということですね。

 そこで、スノーボードの、北京、この間の冬季オリンピックの件ですが、平野歩夢選手が、二回目の試技を判定不服としていましたが、三回目の試技でまた同じ大技で挑戦し、金メダルを獲得しました。そんな強靱な精神力を持った次世代のアスリートの発掘、そして育成を是非お願いしたいと思います。

 しかし、競技種目によって、環境の違いにより、どうしても練習の環境が整わない種目もあり、そこでまた、家庭環境や住む地域にもかかわらず、才能ある子供たちの発掘とそして戦略的強化についてどう進めていくのか、また、次世代のターゲットスポーツの育成支援について、併せて伺います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 次世代育成、極めて重要な課題かと思います。次世代を担うアスリートの育成につきましては、競技団体が策定いたします強化戦略プランにおきまして育成計画の作成を促進するということとともに、競技力向上事業におきまして、ジュニア世代の国内外の合宿など、競技団体が行うアスリート育成の取組を支援しているという状況でございます。

 また、将来メダル獲得が期待される競技につきましては、独立行政法人の日本スポーツ振興センターを通じまして、若手有望アスリートの海外リーグへの参戦など、質の高いトレーニング環境での育成の支援、それから、スポーツ医科学の専門家や優れた指導者などの知見を活用いたしまして、競技団体の特性に応じた育成強化環境の構築に向けた支援を実施しております。これらの取組を通じて、メダルを獲得できるアスリートの育成に取り組んでいるという状況でございます。

 東京大会の好成績を一過性のものとしないということが大事でございまして、また一方で、少子化が急速に進んでいくという状況にあります我が国において、持続的に国際競技力の維持向上を図っていくということが重要でございますので、より多くの優れた能力を有しますアスリートを早期に見出しまして、育成強化するといった仕組みを構築していくことが重要であります。関係団体と連携しながら、実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。

早坂委員 ありがとうございます。

 このコロナ禍の中で、経済難や、また教育変化の中で、子供たちには大変影響が出ている分析もありますが、次世代のアスリートは、技術だけではなく、多方面の支援を是非お願いしたいと思います。

 次に、ハード面について伺います。

 東京オリンピック新競技、スケートボードでは、日本は男女全四種目で多くのメダルを獲得しました。これは最近の話なので皆さんも覚えていると思いますが、スケートパークについてちょっとお伺いしたいんですけれども、私、宮城、仙台なんですけれども、そして、仙台の元気フィールドスケートパークという親子で楽しめるスケートパークが、余り過激じゃないスケートパークがあって、それはもう本当に大人気があり、親しまれていますが。そしてまた、スケートパークは全国に二百四十七施設ありますが、特に、茨城県の笠間市にある民間企業が運営しているスケートパークは、とても本格的な施設だと聞いております。

 日本全体で整備状況はどうなっているのか、また本格的な施設はどのぐらいあるのか。国の補助についても伺います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 スケートボード場の整備の関係でございますけれども、国内におきますスケートボードパークの数につきましては、民間団体の調査によりますと、国内に設置されている公共のスケートボードパークにつきましては、二〇二一年五月の現在で二百四十三施設と聞いております。

 地域におきますスケートボードパークの整備に関しましては、これまで、独立行政法人日本スポーツ振興センターが行いますスポーツ振興くじ、いわゆるtoto助成により支援を行っているところでございます。細かく申し上げますと、補助率は三分の二、それから助成の上限につきましては二千万円というふうになっております。

 スポーツ庁といたしましては、こうした助成の活用などに関しまして情報提供を行いますとかいたしまして、地方公共団体におけるスケートボードパークの整備を引き続き支援してまいりたいと思います。

 ビギナー向けの施設あるいはトップレベル向けの施設などあると思いますけれども、そういった状況を把握しながら整備してまいりたいと思っております。

早坂委員 ありがとうございます。

 国の補助がない、しかし、スポーツ振興くじの助成だったり、企業版ふるさと納税ということ。ただ、スケートパーク、二千万円ではなかなか造れないと思うんです。

 日本では、東京オリンピックで初めてスケートボードの競技を観戦した人も多いと思います。このスケートパーク、日本に来たのは、音楽とファッションを通じて、三十五年前に入ってきました。昔は、スケートボードをやる人たちは、きっと公園とか公道、本当はやっちゃ駄目ですけれども、本当にそういうところしかなかったんだと思いますが、もちろん、今、公道や公園で練習するわけにはいきません。そして、でも、環境は整えなければ、次世代の優秀なアスリートや指導者は育ちません。ただ、なかなか行政だけでも難しいです。PFIや第三セクターなど、活用が必要ですので、是非とも国からの御助力をお願いしたいと思います。

 先見の明を持たないと、スポーツも文化も後れを取ることがありますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。

 そして、次、このスケートボード、エクストリームスポーツについてちょっとお伺いしたいんですけれども、エクストリームスポーツ、Xスポーツとも言われています。過激で危険でありながら華麗さを併せ持つ、離れ技を売りにしているスポーツです。ファッション、近年では音楽、コラボレーションして、若者文化にも大きな影響を与えております。

 東京オリンピック大会では、正式種目では、BMXだったりサーフィン、バスケットボールのスリー・オン・スリー、ボルダリングなど、そんなような種目もエクストリームスポーツと言われています。そしてまた、二〇二四年のパリ・オリンピックでは、ヒップホップをダンスするブレーキングというスポーツも、それもXスポーツの部類に入ります。日本国内の競技人口も増加していると思います。

 そこで、Xスポーツの普及に関する取組状況と今後のオリンピック競技についての考え、また、ターゲット競技について、次世代のアスリート発掘、育成支援、戦略について伺います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 近年、エクストリームスポーツ、いわゆるXスポーツと呼ばれる競技が、オリンピック、パラリンピックの競技として採用しておりまして、こうした競技につきましては、スポーツ庁としては、競技力向上事業の対象といたしまして、ジュニア世代の国内外の合宿など、競技団体におきますアスリートの育成の取組を支援しているという状況にございます。

 このほか、東京オリンピック競技大会から追加され、パリ大会、ロス大会におきましても実施予定の自転車、BMX、スポーツクライミング、サーフィン、スケートボードにつきましては、既存の施設をナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点と指定いたしまして、スポーツ医科学サポートを含みますトレーニング環境を確保するといった支援を行うこととしております。

 さらには、マウンテンバイク、スポーツクライミングにつきましては、競技団体が地方自治体と連携してアスリートを発掘する、育成していくといった取組についても支援を行っているところでございまして、今後、ほかの競技につきましてもこのような取組が広がっていくように努めてまいりたいと考えております。

早坂委員 ありがとうございます。

 もう一点、Xスポーツについて伺います。

 エレクトリックスポーツ、eスポーツですね。ゲームの枠にとらわれず、近年では、専門高校や専門学校、また放課後デイサービスでもeスポーツを療育の現場に取り入れている例もあります。

 そこで、教育の一環として、eスポーツの普及に関する取組状況、今後オリンピック競技になり得ることも見据え、目標などありましたら教えてください。

串田政府参考人 お答えいたします。

 eスポーツについてでございます。

 いわゆるeスポーツについてでございますけれども、これにつきましては、いまだに単なるゲームにすぎないのではないかといった指摘がある一方で、既に、御指摘のとおり、eスポーツと銘打った様々な大会が国内外で開催されているということは承知しております。国内外において様々な見解が示され、議論が行われているのが現状かと認識しております。

 例えば、国際オリンピック委員会、IOCでございますけれども、IOCにおきましては、昨年三月の総会で採択されましたオリンピック・アジェンダ二〇二〇プラス五におきまして、いわゆるバーチャルスポーツには身体運動を伴うものと身体運動を伴わないものの二つの形態があり、これらをビデオゲームと区別することが重要であるということ、若者のスポーツ参加の促進の観点から、各国際競技団体がバーチャルスポーツとの連携を図ることに意義があるなどの見解が示されているという状況にあると承知しております。

 スポーツ庁といたしましては、このようなIOCを始めといたします国内外の議論やスポーツ団体の動向、それから政治レベルでも議論が進められておりますので、このような様々な議論を踏まえながら、また、関係省庁とも意見交換などを行いつつ、eスポーツの捉え方を含め、スポーツとバーチャルの関係について引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。

早坂委員 eスポーツでは、協力型ゲームはコミュニケーション能力を、対戦型ゲームでは瞬発力を、それぞれ高められると言っています。当然、負の側面もあると思いますが、我々日本維新の会も、政策提言としてeスポーツを推進しております。海外ではプロチームもできて、大会賞金が十一億円という大会もあります。選手発掘、育成、海外に遅れることなきようお願い申し上げます。

 また、今後、やはり子供たちがこれから育っていくためにも、新しいスポーツとかまだまだ出てきますので、是非とも御支援をお願い申し上げます。

 次に、セカンドキャリア形成と、ちょっと、次の東京大会後の施設のレガシーについては別にして、今回、二大会のオリンピック、多くのメダルを獲得しました。また、新しい競技も増え、スポーツは進化しています。史上初の延期になった東京オリンピック・パラリンピック大会、大変、コロナ禍で皆さん苦労したと思います。そして、閉幕して半年がたちました。この後に北京冬季オリンピックが開幕して、開会して、二週間前ほどに閉幕しました。

 それを踏まえて、大臣に、今振り返って、感想、反省、教訓などありましたら、お聞かせください。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 北京オリンピックにおきまして日本代表選手が過去最多のメダルを獲得ということで、大変すばらしい活躍を見せていただきました。これは第一に、選手の努力の成果でございます。JOCや競技団体の競技力向上の取組や、それらに対する国の支援が実を結んだものであると考えてはございます。

 一方で、御指摘のあったように、競技以外の部分で様々な批判や指摘があったことも事実でございます。こうしたことは大変残念に思っておりますけれども、判定の是非を含め、個別の事案については、これはもうコメントを差し控えておきたいと思います。

 その上で申し上げれば、鍛錬を積んでこられた選手の活躍に疑義が生じることのないように、国際的なルールの在り方について、我が国の中央競技団体が積極的に関与することの重要性というのを感じたところでございます。また、クリーンでフェアなスポーツの実現は重要でありまして、ドーピング防止活動は引き続き推進する必要があると思います。これらについては、現在議論をいただいております第三期のスポーツ基本計画におきまして、必要な施策を盛り込み、取組を強化していきたい、そのように思っております。

 以上でございます。

堀内国務大臣 早坂委員御指摘のように、東京大会については一年延期になりました。また、コロナ禍による様々な制約の中での大会となりました。けれども、関係者の方々の御尽力や国民の皆様方の御理解、御協力により、無事に大会を終えることができました。日本選手団の活躍に加え、対戦相手の健闘をたたえる姿、試合直後のインタビューでの支えてくれた方々に対する感謝の言葉など、勝敗を超えた先に、まさにみんなを一つにしていく一体感が醸し出され、改めてスポーツの持つ価値を確認できた大会であったと思います。

 大会期間中の感染防止対策については、防疫上の措置の徹底が図られ、結果としてクラスターとされた事例はなく、海外から入国した大会関係者などから市中に感染が広がったという事例も報告されておりません。

 私といたしましては、引き続き、大会を契機として創出されたレガシーについて、一過性のものとならないよう、大会組織委員会や東京都、関係大臣と緊密に連携し、継続的に国内外に発信できるように努めてまいりたいと思います。

早坂委員 大変ありがとうございます。

 二〇二四年にはもうパリのオリンピック、そして二〇二八年にはもうロス・オリンピックがあります。是非とも、またこのオリンピックでメダルを多く取れるように、よろしくお願い申し上げます。

 次に、運動部活動改革について伺います。

 私が学生時代、熱血先生が大変多い時代でした。部活動における熱血先生の指導には、評価される部分、問題視される部分があると思います。現代社会の変化に伴い、部活動改革は時代の要請なのかもしれません。

 そこで、まず、学校における教員の働き方改革を踏まえた運動部活動改革の現状について伺います。

 今、学校の先生の働く環境、置かれている状況はどうでしょうか。なぜ運動部活動改革が必要なんでしょうか。どう改革いたしていくんでしょうか、伺います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 学校におけるスポーツ活動を担います運動部活動につきましては、少子化の進展により、学校単位での活動が困難となっていること、指導に携わる多くの教師が競技経験を有しておらず、休日勤務の大半を部活動指導が占めている状況にあるなど、適切な指導体制の構築や教師の負担軽減といった面が喫緊の課題であると考えております。

 このため、文部科学省におきましては、平成三十年に部活動のガイドラインを策定いたしまして、この中で、活動時間と休養日の基準に沿った適切な部活動の実施、短時間での効果的な指導、学校単位で参加する大会の見直しを推進するとともに、教師に代わって指導や大会への生徒の引率を行います部活動指導員の配置を促進しているところでございます。

 加えて、令和二年九月に取りまとめました学校の働き方改革を踏まえた部活動改革におきまして、まずは令和五年度から、休日の部活動につきまして、地域主体のスポーツ・文化活動に段階的に移行していくという方針を示しまして、今年度から、全国各地域におきまして実践研究を実施しているところでございます。

 さらに、運動部活動の地域への移行を着実に実施するということを目指しまして、昨年十月に有識者やスポーツ関係者によります会議を設置いたしまして、地域における子供たちのスポーツ環境の整備方策や指導者の確保方策などの具体論について議論を行っているところでございます。

 この検討会議でございますが、本年五月を目途に提言を取りまとめる予定でございまして、文科省といたしましては、この提言を踏まえまして、まずは令和五年度以降の運動部活動の段階的な地域移行を休日におきまして着実に進めていくということで、子供たちにとって望ましいスポーツ環境の構築に取り組んでまいりたいと考えております。

早坂委員 ありがとうございます。

 先生たちの長時間勤務や休日勤務など、本当に激務です。また、保護者からのクレームの対応など、本当に苦労が多いと思います。指導経験の豊富な教師も大変だと思いますが、指導経験の浅い教師にとって、その負担は本当に重いものだと思います。それで辞めてしまう先生も多いものだと思いますが、部活動を学校単位から地域単位の取組にするのは改革の第一歩だと思います。

 この実現は、地域社会の理解が必要不可欠だと思いますが、どのような地域の理解を得るのでしょうか。受皿となる組織、そして団体、財政支援、費用負担はどうなっているんでしょうか、伺います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のありましたとおり、学校における運動部活動の地域移行を着実に進めるに当たりましては、地域や保護者の理解が不可欠でございます。また、一方で、指導者の確保など、様々な課題への対応が必要となってくると思います。

 そのため、今年度から、全国各地域におきまして、指導者や受皿の確保、地域の理解促進等の様々な課題に対応するための実践研究といったものを実施しております。

 また、地域への移行を着実に実施することを目指しまして、先ほど申し上げたとおり、十月には有識者によります会議を設置して、その中で、地域における子供たちのスポーツ環境の整備方策、指導者、それから地域スポーツにおける会費、保険といったものの在り方などについて具体的に議論を進めているところでございます。

 先ほど申し上げたとおり、この会議につきましては、五月を目途に提言をまとめる予定でございますので、この提言を踏まえまして、地域移行について着実に進めてまいりたいと思っております。

早坂委員 休日の部活動の、外部組織、団体に任せるとか、また、教師の不在の休日の部活動の評価とかはどうなるんでしょうかね。また、そして、休日の活動状況は先生にフィードバックされるんでしょうか。対外試合とかは土日が多いんですが、休日に行われることが多いんですが、また、平日の、学校の先生が指導しているのに、試合のときは外部組織、団体指導者が指揮を執る。平日の練習の様子や、生徒の指導や、試合のとき、精神状態、そして健康状態、仲間との連携よしあしをよく理解しないで試合に挑むのは、結構、大変勇気のあることだと思います。

 よっぽど密接に連絡、情報交換を行わなければなかなか難しいと思います。果たして可能なんでしょうか。子供たちのためになるんでしょうか。先生の負担は増えませんか。また、休日の部活動は、評価は学校の内申書に影響を及ぼすでしょうか、伺います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 地域移行に関しまして、先ほど来申し上げておりますように、十月に設置いたしました有識者会議において様々な観点から議論をしているところでございます。指導者などの議論もしておりますけれども、先日、大会の在り方とか引率の在り方なども議論したところでございますし、内申書の議論などにつきましても、次回以降、テーマとして取り上げることとしております。

 そうした全体的な課題を整理いたしまして、五月の提言に向けて更に詰めてまいりたいと思っております。

早坂委員 ありがとうございます。是非、子供たちを第一に考えていただきたいと思います。

 あと、次に、第三期スポーツ基本計画について伺います。

 第三期スポーツ計画について、その中間報告及び答申案を拝見しました。非常に、極めて細やかな施策、そして対策が書かれており、評価に値するものだと思います。

 最後に、今回、私たち、オリンピックの夏季大会、夏季にありました東京の大会、冬季の大会である北京オリンピック、続けて見る機会を得ました。選手、コーチ、スタッフ、頑張りはもちろんですが、国として、施策が、成果が史上最多のメダルにも表れております。第二期計画の成果、分析を基に、今後、日本が目指すべきスポーツの政策をまとめた第三期スポーツ計画を大臣はどう評価されるのか、最後に伺います。

末松国務大臣 いろいろ先生からスポーツについて御指摘いただきまして、ありがとうございます。

 スポーツは、その活動を通じて楽しさや喜びを得ることで、人々の生活や心を豊かにするとともに、地域活性化や健康長寿社会の実現、経済発展等に寄与するといった、大きく二つの価値を有していると思います。

 我々、こうしたスポーツの価値を、東京オリンピック・パラリンピック競技大会における選手たちの活躍、スタッフやボランティアが大会運営に尽力される姿、共生社会の実現に向けた大会ビジョン等を通じて、改めて確認することができたと存じます。

 文部科学省としましては、このかけがえのないスポーツの価値を更に国民や社会全体で享受できるよう、スポーツ審議会の答申を踏まえ、速やかに第三期スポーツ基本計画を策定し、本年四月以降、本計画に基づき、多様な主体によるスポーツ機会の創出を始めとする推進施策に全力で取り組んでまいりたいと存じます。

早坂委員 是非、スポーツの活性化で日本を元気にしていただきたいです。そして、スポーツには無限の力があると信じておりますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。

 これで終わりにします。ありがとうございました。

義家委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.