衆議院

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第7号 令和4年4月6日(水曜日)

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令和四年四月六日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 義家 弘介君

   理事 橘 慶一郎君 理事 根本 幸典君

   理事 宮内 秀樹君 理事 山本ともひろ君

   理事 菊田真紀子君 理事 牧  義夫君

   理事 三木 圭恵君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    石橋林太郎君

      尾身 朝子君    勝目  康君

      神田 憲次君    木原  稔君

      国光あやの君    小林 茂樹君

      小森 卓郎君    塩崎 彰久君

      柴山 昌彦君    下村 博文君

      田野瀬太道君    谷川 弥一君

      丹羽 秀樹君    船田  元君

      古川 直季君    松本 剛明君

      三谷 英弘君    山口  晋君

      荒井  優君    坂本祐之輔君

      白石 洋一君    吉川  元君

      吉田はるみ君    笠  浩史君

      早坂  敦君    掘井 健智君

      岬  麻紀君    山崎 正恭君

      鰐淵 洋子君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       末松 信介君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          伯井 美徳君

   文部科学委員会専門員   但野  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  小林 茂樹君     塩崎 彰久君

  山口  晋君     小森 卓郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     山口  晋君

  塩崎 彰久君     小林 茂樹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

義家委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省総合教育政策局長藤原章夫君、初等中等教育局長伯井美徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松本剛明君。

松本(剛)委員 松本剛明でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案の審議ということでございますが、教育政策の第一義は子供たちのためということであろうかというふうに思っております。その子供たちのために教師の資質向上を図るということが、そもそもこの間、一貫した政策の目的であったというふうに理解をいたしております。

 その政策としての免許更新制については、先日の参考人質疑でも、一定の効果があったという評価もいただいたところでありますが、他方では、やはり、教員を補充する層などが、更新が遅れるなど、教員の確保に幾つか課題もあるということもあるということで、新たなステップへ進むというのが今回の法改正の位置づけだというふうに理解をいたしております。

 教師の負担ということも指摘をされているところでありますが、子供たちのためというふうに申し上げたように、子供たちと向き合う時間を確保し、また、教師の資質向上というのは最優先の課題であり、それに対しては負担を受けながらも前へ進んでいただき、他の負担を少しでもまたこれから我々もDXなどで解消することを考えていきたいと思っております。

 その意味で、教師の資質向上に向けて、今回の改正で前進になるというふうに理解をしたいと思っております。

 これまでの政策についても、ある意味では、政策のチャレンジ、もちろん全ての政策、効果のみで何らかのデメリットが全くないという政策はなかなか少ないわけですが、デメリットを解消しつつ次へ進むということだと思います。

 そのデメリットの部分だけを一部ではあげつらって批判されることがありますが、政策はやはり進めることが大事だというふうに思いますので、前へ進む意味で、今日も質問してまいりたいと思います。

 改めて、その意味で、今次改正の趣旨ということは、この免許更新制を解消するとか、免許法の方では、教職特別課程における修業年限の弾力化、隣接校種の免許状取得などに必要な要件の弾力化というのがありますが、何よりも、やはり、発展的に研修を充実をさせるということが一番の課題であろうと思いますので、本日はこれを中心に質問してまいりたいと思いますが、今次改正の趣旨は、免許更新制から、教師の資質向上に向けて、次のステップとしての研修の充実にある、こういう理解でいいかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 グローバル化や情報化の進展により、社会の在り方が急速に変化するとともに、教育をめぐる状況そのものの変化もスピード感を増しており、GIGAスクール構想など情報化への対応や、特別なニーズを有する児童生徒への対応の充実など、適時適切に対応することが求められております。

 また、平成二十八年の教育公務員特例法の改正以後、教師の資質向上に関する指標に基づく教員研修計画により、各地域の課題やニーズに応じた計画的、体系的な研修が進められております。

 また、新型コロナウイルス感染症への対応も契機として、オンラインの活用が急速に広まっており、地理的、時間的な制約を超えて、機動的に研修を実施することが可能となってきております。

 昨年末の中央教育審議会の審議まとめにおいては、社会の変化やオンライン化の進展等による研修環境の変化を受け、教師の学びの姿も変化することが必要であるとの指摘がなされております。具体的には、教師自身が学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、教職生涯を通じて探究心を持ちつつ主体的に学び続けること、一人一人の教師の個性に即して学校現場の課題に対応するための個別最適な学びを行うこと、単なる知識、技能の修得だけではなく、各学校において行われる校内研修等の教師同士の学び合いなどを通じて、教師としてふさわしい資質、能力を身につけられるような協働的な学びを行うことなどが求められております。

 このため、文部科学省といたしましては、個々の学校現場や教師のニーズに即した新たな研修システムによってこれからの時代に必要な教師の学びを実現させることとし、これに伴い、十年に一回の更新講習を義務づける現行の教員免許更新制を発展的に改正することとし、今国会に関連法案を提出したところでございます。

松本(剛)委員 私の理解と一致をしているというふうに考えました。

 政策を次へ進める段階という意味では、PDCAサイクルということで、これまでの教員研修計画の策定と実施状況をお尋ねをしようと思っておりましたが、ちょっと時間も限られておりますので、この点については、既に全国的に計画は策定をしていただいているということですが、他方では、この審議まとめと言われる部分で、研修の履歴管理はおおむね四分の三程度にとどまっているという指摘もありました。研修の重要性に鑑みれば、今後更にこの研修について国としてもしっかりと把握をし、またフォローし、また前へ進められるようにバックアップもする、こういうことでお願いをしていきたいと思います。

 具体的に、この履歴の管理に関して二つほど、まとめて伺いたいと思います。

 一つは、これも参考人の質疑の間でも出ていましたが、研修の受講者が当人の履歴を閲覧できるようにすることは可能なのかということでございます。

 先ほど申し上げた中央教育審議会の令和の日本型教育を担う教師の在り方部会の審議まとめというものでも、教師自らの振り返りといった言葉もありますので、恐らく可能ではないかと思いますが、確認をしておきたいということが一つ。

 それから、今回の特例改正法二十二条の五の第二項第四号で、「当該校長及び教員が行つた資質の向上のための取組のうち当該任命権者が必要と認めるものに関する事項」というのが少し幅広いのではないかという指摘がありましたが、この点について今後の方針というか考え方をお示しいただきたいと思います。

 以上二点、お願いします。

藤原政府参考人 二点御質問をいただきました。

 一つ目は、研修受講者が当人の研修受講履歴を閲覧、確認できるのかということでございます。

 今回の法改正は、一人一人の教師の個性に即して学校現場の課題に対応するための個別最適な学びを実現する観点から、教師の研修等に関する記録を活用した資質の向上に関する指導助言等を教育委員会に義務づけることにより、個々の教師の職責や経験、適性に応じた資質の向上を図ろうとするものでございます。

 研修受講の記録は、教師の適切な学びを進めるため、個々の教師の置かれている状況やこれまでの研修履歴等を踏まえて現状把握と目標設定を行う足がかりとなることから、教師個人が当人の研修履歴を閲覧、確認することは前提であるというふうに考えておるところでございます。

 それから、二点目でございます。

 この度の教育公務員特例法改正案第二十二条の五第二項第四号の規定でございます。

 こちらにつきましては、その他、任命権者が記録の必要があると認める事項というものを記録をしていくということを書いているわけでございますけれども、教育委員会の判断に資するように国がガイドラインを策定をしたいというふうに考えておりまして、その中では、市町村教育委員会が実施する研修や、あるいは教職員支援機構が実施をする研修、また、さらには、例えば、学校ごとに主題を設定した上で、年間を通じて組織的に行う研究活動のような一定の校内研修や研究授業、こうしたものなどにつきまして、教育委員会の過剰な負担とならないように留意しつつ、記録すべき事項について例示をしたいというふうに考えているところでございます。

松本(剛)委員 是非、そういった辺りも、誤解を招かないように進めていただけたらと思っております。

 次に、現職研修の更なる充実に向けて、国による指針、この改正について伺ってまいりたいと思います。

 まず、この指針の改正の時期、方向性、検討状況について御報告ください。

藤原政府参考人 今御質問いただきました指針でございます。こちらにつきましては、中教審で議論をされております教師に求められる資質、能力の再定義の議論を踏まえまして、学習指導、生徒指導等に加え、特別な配慮、支援が必要な子供への対応、ICT、データ利活用等を資質、能力の柱として明記をするとともに、社会の変化に対応した研修内容を設定することなど、それから、さらには、研修等に関する記録を活用した対話に基づく資質の向上に関する指導助言等の基本的な考え方、研修受講に課題がある教師への対応、研修の厳選、重点化を含む効果的、効率的な実施などについて新たに規定することを考えているところでございます。

 今後、法案審議における御議論や、関係者、関係団体の御意見などを踏まえつつ、中教審での専門的な検討を経た上で、本年夏には具体的な改正内容を示せるよう、指針の改正を検討してまいりたいと考えております。

松本(剛)委員 早期にやはり研修を次のステップへ行っていただくためにも、まず、とにかく指針の改定を早く示していただくということをお願いしたいと思いますし、また、研修に係る指針であるというふうに理解をしておりますが、今回も、令和の日本型教育ということで中教審でも御議論いただいたように、大きく時代が変わる中で、教師に求められる資質というのもかなり大きく変わってきている、増えてきているというふうに考えますので、このような部分に対応できるような、意識が分かるような形で指針のお示しをいただきたいと思います。

 関連して、ちょうど皆さんのお手元には、令和の日本型教育を担う新たな教師の学び方の実現に向けて、審議まとめ概要という紙を資料として配らせていただきました。

 Aの部分で、研修受講履歴は任命権者が管理するということで、これについては当事者も閲覧可能であるということは先ほどお話をいただいたというふうに理解をしておりますが、この研修受講履歴は人事評価に活用されるものではないと位置づけられているというふうに承知をしておりますが、研修の受講の成果として向上した資質は評価の対象であるという理解でよいか、この点、確認をしたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 研修受講履歴と人事評価の関係についてでございます。

 今回の改正により、教育委員会が行うこととされる研修等に関する記録は、校長等管理職が行うこととされる資質の向上に関する指導助言等の際に活用されるものであり、人事評価制度とはその趣旨と目的が異なるものでございます。

 教員の人事評価は、校長等の管理職が、日常の職務行動の観察を通じて得られた情報などを総合的に踏まえつつ、期末面談等の機会に、各教師が発揮した能力や上げた業績を確認した上で評価が実施をされます。

 研修等に関する記録自体や研修量の多寡そのものが人事評価に直接反映されるものではございませんが、研修を行った結果として各教師が発揮した能力や上げた業績については、人事評価の対象となるのは当然のことと存じます。

松本(剛)委員 ありがとうございます。

 是非、やはり子供たちのために、研修も含めて教師が資質向上に努力をし、その成果として子供たちに資する教育が行われるようになるように、また、そのモチベーションになるような評価をお願いしてまいりたいと思います。

 残念ながら、その逆の方というべきか、今の表のBのところに下線を引かせていただきましたが、この審議まとめでも、必ずしも主体性を有しない教師に対する対応の考え方ということで、特定の教師が期待する水準の研修を受けているとは到底認められない場合、職務命令に基づき研修を受講させることが必要ではないか、命令に従わないような事例が生じた場合は、適切な人事上、指導上の措置が必要ではないか、そして、このことについて、指針の中でこういったこと、要件などを明らかにすることを検討すべきではないかというふうにこの審議まとめにありますが、これについての考え方をお願いいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 校長等管理職が研修の受講についての指導助言を繰り返し行ったにもかかわらず、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合など、やむを得ない場合には、職務命令として研修を受講させる必要もあると考えております。

 このような基本的考え方を指針で示すとともに、具体的に、どのような場合に期待される水準の研修を受けているとは到底認められないと判断するべきかについては、教育委員会が適切に対応できるよう、今後、文部科学省でガイドラインを策定することとしております。

 このガイドラインでは、例えば、合理的な理由なく法定研修や教育委員会が定めた教員研修計画に基づき全教員を対象にした研修等に参加しない場合、あるいは、特段の支障がないにもかかわらず必要な校内研修に参加しない場合、あるいは、例えばICT活用指導力など特定分野の資質の向上に強い必要性が認められるにもかかわらず、管理職等が受講を促してもなお、相当の期間にわたり合理的理由なく研修を受講しない場合などにつきまして、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合として例示をすることを考えているところでございます。

 今後、法案審議における御議論や、関係者、関係団体の御意見などを踏まえつつ、中教審での専門的な検討を経た上でガイドラインを策定してまいりたいと考えております。

松本(剛)委員 私自身は、これまでも公務員制度改革にも取り組んでまいりました。その意味で、これから一層、公務員の評価については、どちらかというと、正の評価というかプラスの評価の部分がなかなかないのもあるんですが、先ほどモチベーションをと言ったのも、これからプラスをしっかり評価できるような仕組みをまた考えていただくことが極めて重要だと思いますが、問題に近い形のマイナスに対しては、今度は、恐れることなくしっかりとやはり対応していただくことが必要であろうというふうに思っております。

 ただ、やはり適切な人事上、指導上の措置などを講じるということであれば、その要件はある程度明らかにしておく必要があろうというふうに思いますので、そういった形で明らかにした上で、しっかりとプラス、マイナス、信賞必罰とまで強い言葉を使いませんが、やはり適切な人事管理が行われるようによろしくお願いをしたいと思います。

 次に、この審議まとめの中でCとして下線を引かせていただきましたが、研修受講の記録管理を行おうとしますと、これはやはりシステムで管理をしていく、DXの時代に必要であろうというふうに思っております。

 この研修受講履歴管理システム、これについて、独立法人教職員支援機構の参画が期待されるといったような形になっていますが、今の段階でのお考えをお聞きをしたいというふうに思っております。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 中央教育審議会の審議まとめにおいては、教師の新たな学びの姿を高度化する仕組みとして、研修受講履歴を記録する情報システムの構築が示されており、教職員支援機構はその構築、運用に参画することが求められております。

 文部科学省においては、令和三年度補正予算においてこれに関する調査研究費を計上するとともに、令和四年度の予算においてその構築費用を計上しているところでございますが、教職員支援機構とともに、まずは調査研究の実施により、備えるべき機能等を明らかにした上で、令和五年度中に試行的な稼働を目指して構築を進めていきたいと考えております。

 このシステムにおきましては、国がその構築を行い、任命権者である教育委員会の責任の下で研修履歴を記録していくことを想定しておりますが、新たな情報システムの構築に当たっては、都道府県等の既存システムとの連携や整合性に留意しながら、教育委員会等とも協議しつつ、検討してまいりたいと考えております。

松本(剛)委員 御案内のとおり、デジタル改革ということで、各地方自治体の様々なシステム、国が標準的なシステムを地方に提供し、もちろん今の既存のシステムの消却などがありますので一定の年限を区切ってでありますが、統一する方向で既に動き出してきております。そんな意味では、この研修受講履歴管理システムを一つの契機として、これにとどまらず、校務なども含めて、標準的なシステムというのを順次地方に提供しつつ、その利用を推奨するといったような形で、早くにシステムを統一することが今後の恐らく校務負担等の軽減にもつながるようなDXになろうかというふうに思います。

 DXというのは、デジタルトランスフォーメーションは、もう申し上げるまでもなく、今までやってきたことをある意味では思い切って根本的に変えるということでありますので、それについて、また当然、いわゆる人、物、金が必要になってくる部分については我々与党も支援をして確保していきたいと思いますので、是非こういう形で、標準的なシステムを全国的に使われるということで御検討いただきたいと思います。

 校務システムを標準化するということについて、もし何らかのコメントがあれば伺っておきたいというふうに思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の校務支援システムは、通知表や調査票の作成、あるいは健康診断結果の管理等の機能を有しており、特に、これらの機能を統合した統合型校務支援システムは、教員の業務の効率化、負担軽減を図る観点でより有効であると考えられ、令和三年三月現在、全国の公立学校の七三・五%で導入され、着実に導入が進んでいるところでございます。

 他方、この校務支援システムの現状について言いますと、インターネット接続されているものが四八・七%、教職員が自宅等から常時利用可能なものは四・七%という形で、課題がございます。また、校務系のネットワークが学習系や行政系のネットワークとデータ連携ができているケースは、少数にとどまっているという状況でございます。

 文部科学省といたしましては、統合型の校務支援システムの整備に必要な経費について地財措置を講じるとともに、昨年十二月より、校務支援システム等の校務の情報化における課題の洗い出しとその解決に向けて、GIGAスクール構想の下での校務の情報化に関する専門家会議を設置し、学校の働き方改革をより進めるための校務の情報化の在り方について議論を現在行っております。

 今後、更に取組を加速するため、専門家会議での御議論なども踏まえつつ、望ましい標準的な校務支援システムの在り方につきまして、御指摘のあったような、標準化の方向性を検討していくということを行いまして、そうしたことも踏まえ、各学校現場に周知し、全国の学校において校務の情報化、DX化が更に推進されるような、必要な施策を進めてまいりたいと考えております。

松本(剛)委員 先日、党の方でも、先進的な自治体の事例のヒアリングをして、お話をお聞きする機会がありましたが、先進的な市は、隣接、ないしは県の市とは、結局、システムはつながっていないといったような内容でありました。

 先ほど申し上げたように、国、地方の関係の中で、当然地方の自主性、自立性というのは極めて重要でありますが、このシステムについては、むしろ、全国的に標準化することで地方自身が力を発揮できるのではないかという整理の中で今デジタル改革を進めているという意味では、この教育に関するシステムについても是非ともそういった方向性を念頭にお進めをいただきたいと思っております。

 その意味で、ちょっと質問の順番が前後しましたが、この研修の制度、教育の水準という意味でも、全国的にやはり教員の資質の確保というのは、高い水準でそろえていただきたい。自主性、自立性はもちろん尊重するんですが、やはり、全ての国民はひとしく教育を受ける権利を有するという憲法の趣旨からしても、高いレベルで、その意味では、この新たな研修制度には国は積極的に関与していただきたいというふうに考えておりますが、お考えがあればちょっと伺いたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教師の研修については、文部科学大臣が定める教師の資質向上に関する指針を参酌して、任命権者である都道府県教育委員会等が教員育成指標や教員研修計画を策定し、これらに基づく研修を実施しているところでございます。

 これらに加え、本法案では、研修記録の作成や、資質向上に関する指導助言等を教育委員会に対して義務づけることとしております。

 文部科学省といたしましては、教育委員会が行うこれらの取組が確実に実施されるように、教師が身につけるべき資質、能力を明確化するため、教師の資質向上に関する指針の改定、研修受講に課題のある教師への対応に関するガイドライン等の作成、文部科学省、各都道府県教育委員会、教職員支援機構等を構成員とする協議会の立ち上げ、研修コンテンツの共同開発や共有化、さらには、各教育委員会で活用可能な基礎的な知識、技能を身につけるための標準的な動画コンテンツの開発などに取り組むとともに、これらの状況のフォローアップをしっかり行ってまいりたいと存じます。

松本(剛)委員 もう一問用意をしておりましたが、質問時間が迫ってまいりましたので、その問についてはお願いをさせていただきたいと思っております。

 今回のことも、冒頭でも教師の負担という課題がありました。しっかりと子供に向き合う、研修に邁進をしてもらうためにも、教師の負担軽減を進めるということには、私も是非とも取り組んでいただきたいと思っております。

 その上で、一つお願いをした上で、最後に大臣に所感を伺いたいと思っておりますが、ちょうど現場の教育委員会、教師と話をしていると、やはり支援が必要な子供たちへの対応というのはかなり大きな課題になってきているというふうに感じられ、また、そういうお話も多々いただいております。

 特にそういった支援が必要な子供たちには福祉的な対応が必要であるということで、既にスクールカウンセラー、ソーシャルワークができる人たちの配置など御尽力をいただいているようですが、私もこの課題についていろいろと調べてみると、これも具体的にお話を伺う機会があったんですが、滋賀県の事例では、県立学校の生徒への支援に関して、県と市町の福祉部局、教育部局を結ぶ連携協定というのを具体的に締結をしているということで、これによって組織的にも連携をされるということになって、早期で適切な支援が可能になる。

 実際に、先生方が福祉的な政策、サポートなどについても全部つないでいるということであるとなかなか大変になってくると思いますので、予算、人員なども確保しつつ、こういったことも、先進事例を参考に、新たな政策の御検討をお願いをしたいということを申し上げて、最後に大臣の、この法案改正の目的である教師の資質向上などに向けて、お考え、決意を伺って質問を終わりたいと思います。

末松国務大臣 松本先生にお答え申し上げます。

 先生からの、問い十一の福祉部局との連携のことを承りました。

 それをもって今の御質問でありますけれども、教育は人なりということをよく言われますんですけれども、学校教育の成否というのは、やはり教師の資質、能力に懸かっておると思います。教師は、子供たちの人生をまさに変える存在であります。そうした大きな役割を担う教師、十分なやりがいがあり、人との関わり合いの中で自分自身も成長を遂げるという、私は大変魅力的な仕事であるというように認識しています。

 昨今の学校教育をめぐる様々な課題への対応のためには、優れた資質、能力を備えた先生の力が不可欠でございます。今回提出をいたしました法案では、個々の学校現場や教師のニーズに即した新たな研修システムによって、これからの時代に必要な教師の学びを実現させるということ、これに伴いまして、教員免許更新制を発展的に解消することにいたしました。

 本案の成立の暁には、新たな研修システムが着実に実施されますように、そして、教師が身につけるべき資質、能力を明確化するための教師の資質向上に関する指針の改定、そして、新たな教師の学びの姿の高度化を、研修受講履歴システムの構築をする、そして、基礎的な知識を身につけるための標準的な動画コンテンツ、教職員機構の方では百七十二ありますけれども、もっと増やしていきたいと思っています、などに取り組んで、国が責任を持って、教師の資質向上に資する研究環境の整備を推進してまいりたいと思います。

 先生がおっしゃられました教師の資質向上でありますけれども、とはいうものの、ICT教育に非常に強い先生が求められますし、理数に強い先生も求められてくるだろうと思うんですけれども、やはり一番大事なのは、経験を大切にした先生かなと。私も松本先生も、そういう面では、スマホもインターネットもない時代からずっとおりましたので、そういう意味では、体験からくる、それを子供たちに授けることのできる先生が、やはりICTに強いとともに質の高い先生だというふうに思ってございます。それが私の考え方でございます。

 ありがとうございました。

松本(剛)委員 大臣のリーダーシップに大いに期待をしておりますので、御活躍をお願いしたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、勝目康君。

勝目委員 おはようございます。京都一区選出の、自由民主党、勝目康でございます。

 本日は、文部科学委員会におきまして初めての質問の機会をいただきまして、委員長、理事の皆様、先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。

 また、末松文部科学大臣を始め文部科学省の皆様におかれましては、予算委員会の第四分科会におきまして、文化庁の京都移転等、前向きで力強い御答弁を賜りました。本当にありがとうございました。本日も、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 質問に入ります前に、ロシアによるウクライナ侵略について、一言申し上げさせてください。

 先日、京都市の五十年来の姉妹都市であります首都キーウ、この近郊において、民間人に対して極めて凄惨な行為が繰り広げられていた、このことが明らかになりました。言葉を失うというのはまさにこのことであります。無辜の民間人の殺害というのは、明らかに国際人道法に反する行為であって、いかなる名目であれ、断じて許されないことであります。厳しく非難をいたします。

 この度の侵略によって犠牲となった全ての方に哀悼の誠をささげるとともに、政府には、国際社会と連携をして、これからも適時適切な対応をお願いしたい、このように思っております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 本日の案件、先ほど松本委員からもありましたが、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部改正法案であります。

 このうち、今般の改正により発展的に解消をされます教員免許の更新制につきましては、平成十九年の通常国会において、特別委員会も設置をされて、非常に充実した審議の末、成立したものでございます。

 当時の文部科学大臣は、三十八年の長きにわたって地元京都一区で国政を担ってこられた伊吹文明元衆議院議長でございました。その志を継ぐということを掲げて当選をさせていただいた私が、本日、こうしてこの法案に関する質疑に立っております。これも一つの巡り合わせだなというふうに感じております。

 この免許更新制の導入につきましては、国として、教員の質を確保するための制度的枠組みを創設するものでありまして、画期的な取組であった、このように評価をしております。実際、教師の学びの機会の拡大であるとか良質な学習コンテンツの形成、多様な主体が教師の資質、能力の向上に参画してきた。免許更新制なかりせば、ここまでの広がりはなかったんじゃないかな、このように感じております。

 その一方で、課題も多々指摘をされてきたところであります。十年でワンショットの講習で十分なのか、働き方改革が求められる中で教員の負担はどうなのか、教員の数の確保の面での妨げになっているんじゃないか等々、こういう課題もあってこの度の発展的解消に至ったもの、こう理解をしております。

 もちろん、これは教員の質の確保が要らなくなったということを意味するわけではなくて、むしろ逆ということであります。個別最適な学び、協働的な学び、この一体的な充実で、主体的で対話的で深い学び、これを実践していく、こういうことで、学習者の視点でまさに教育を捉え直した。これは、従来以上に教師の資質、能力に左右をされる、こういうことになるんだと思っております。

 教員の質の確保につきましては、三つの段階、すなわち、第一に、不適切な教員の是正であるとか排除、第二に、最低限備えるべき知識や資質の維持、第三に、より積極的な学びによる資質、能力の向上、このそれぞれにおいて対応が必要だというふうに考えております。

 免許更新制につきましては、今申し上げた第二の点、つまり最低限備えるべき知識や資質の確認というのがその導入趣旨であって、決して不適切教員の是正や排除、これを目的とするものではない、このように認識をしております。しかしながら、免許の更新という、いわばゲートがなくなることによって実際のところどうなのか、ここは気になるところであります。

 不適切な教員への対応については、平成十三年の地教行法の改正を契機としまして、指導力不足教員に対する人事管理の仕組みが構築をされまして、また、更新制の導入時に、指導改善研修といったものが法定をされたところであります。

 まず、事実関係といたしまして、指導が不適切とされた教員数の推移など、これまでの運用状況、これをお伺いをしたいと思います。

 また、指導不適切とはちょっと次元が異なるものでありますけれども、質の伴わない教員の排除という点で大きくは共通するものとして、この四月一日、先週金曜日に施行されたところでありますが、児童生徒性暴力等防止法、これがあります。この法律に規定をされております特定免許状失効者等データベースへの登録の対象であります、児童生徒性暴力を行い、懲戒免職となった職員数の推移、これがどうなっているのか、併せてお答えいただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 指導が不適切な教員につきましては、教育公務員特例法の規定に従いまして、各都道府県・指定都市教育委員会において、指導が不適切な教員の認定、そして指導改善研修等の実施などの仕組みが運用されているところでございます。

 このような仕組みの運用が始められました平成十二年以降、指導が不適切な教員として認定された教員の数は、延べ約四千七百人となっております。年間でいいますと、ピークは平成十六年の五百六十六人でございましたが、現状、平成三十年で七十人、令和二年で五十九人というふうに推移が示されております。

 一方、公立学校の教職員による児童生徒等に対する性犯罪、性暴力等による懲戒処分の状況につきましては、直近で、令和元年度は百二十一人、令和二年度は九十一人が懲戒免職というふうになっております。

勝目委員 ありがとうございます。

 指導不適切な教員への対応というのは、これはもう免許更新制導入前から取り組んでこられて、その事案というのはその前に大きく整理をされた、ピークが平成十六年ということでありますので、そのことがよく分かりました。

 しかし、現在も一定の指導不適切な教員が出ているということは、これは無視できないことだと思います。免許更新制を廃止することによって、指導不適切教員への対応がどうなっていくのか、これをお聞かせいただきたいと思いますし、また、児童生徒に対する性暴力による懲戒が二年連続で三桁前後というのは、これは驚くべき多さであると思います。本来、子供たちにとって安心できる居場所であるべき学校にあって、指導の中核を担う教員による非違行為、これは絶対許されないものでございます。こちらへの対応につきましても、方針をお聞かせいただければというふうに思います。

 また、先ほど松本委員からも質問ありましたけれども、講習の受講と免許の更新のリンクが切れることで、講習を受講せず学び直しをしない、こういう教員への対応につきましても併せてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教員免許更新制は、十年に一度、最新の知識、技能を修得することを目的に、三十時間の免許状更新講習を受け、修了認定を受けること等により教員免許状を更新するものでございまして、その趣旨は、今委員から御指摘もありましたように、不適格教員や児童生徒性暴力等を行う教員を排除するということを目的としたものではございません。

 指導が不適切な教員につきましては、これまでも、各教育委員会において、教育公務員特例法の規定に従い、指導が不適切な教員の認定、指導改善研修等の仕組みが運用されております。

 今後とも、教師の質の確保を図っていくことは重要でございます。指導が不適切な教員に対する対応についても更に充実するよう、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

 それから、児童生徒性暴力等への対応につきましては、四月一日に教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が施行されたところでございます。文部科学省といたしましては、こうした児童生徒性暴力を根絶をするという断固たる決意を持って取組を進めてまいりたいと考えております。

 こうした中で、文部科学省におきましては、三月十八日に、同法に定める施策を総合的かつ効果的に推進するための基本指針を策定したところであり、今後は、未然防止のための取組や免許状失効者に関するデータベースの構築など、法や基本指針に基づく取組をしっかりと進めてまいりたいと存じます。

 また、新たな研修の仕組みにおきましては、校長等管理職が研修の受講についての指導助言を繰り返し行ったにもかかわらず、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合など、やむを得ない場合には、職務命令として研修を受講させることを考えているところでございます。

 文部科学省としては、ガイドラインにおいて期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合を例示するなど、校長等管理職が行う資質向上に関する指導助言等が適切に行われるよう取り組んでまいります。

勝目委員 ありがとうございました。

 免許更新制が廃止をされましても、規律する制度を適切に運用することによって、質の伴わない、あるいは悪質な行為を行った教員については是正、排除、これは絶対に行っていくんだ、こういうことであります。

 絶えず質の向上に取り組んでいる教員がいる一方で、質の伴わない、中には極めて悪質な教員もいる、これが残念ながら現実でございます。子供たちにとっては、担任等自らを担当する先生がどうか、このことが全てであります。全体の傾向だけではなくて、個々の不適切教員の是正あるいは資質、能力の向上が図られるように全力を挙げていただきたい、このように思います。

 個々の、児童生徒にとっての教員の質という点に関しましては、事実であれば看過できないことが一つございます。SNSなど見ておりますと、指導力に劣る教員が支援学校や支援級に配置されてくる、そういう傾向があるんじゃないか、こんな話が飛び交っております。

 障害を持つ子供たちにとって、教師の理解不足からくる叱責やからかい、これは心理的な傷つきや精神的不調などを通じて、自己肯定感の著しい低下あるいは否定的感情の惹起といったいわゆる二次障害を引き起こして、問題が更に複雑化し、かつ長期化する要因になってしまう、このように言われております。

 障害の有無にかかわらず、一緒に過ごすインクルージョンが求められている現在、障害の特性や対応の方法などに関し、知識のある専門性を有した教員がむしろ配置されるべき、このように考えております。

 この課題につきまして、文部科学省の現状認識をお伺いをします。また、このようなことが起こらないよう、省としてどう取り組んでいくのか、お聞かせをください。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 障害のある子供の学びの充実のためには、教師や関係者が障害特性について十分に理解し、児童生徒一人一人に応じたきめ細かい指導を行うことが重要と考えております。

 しかしながら、特別支援教育に関わる教師については、各教育委員会等におきまして長期的な視野に立って計画的に育成、配置されているとは必ずしも言い難い状況にあります。

 現在、特別支援学校教員のうち、担当している障害種の特別支援学校教諭等免許状を保有している割合は八六・五%、特別支援学級の教師のうち、特別支援学校教諭免許状を保有している割合は三一・一%となっており、引き続きその専門性向上は喫緊の課題というふうに認識しております。

 文科省では、そうした教師の専門性の向上を図るため、免許保有率を向上させる取組に加えまして、国立特別支援教育総合研究所における研修コンテンツの充実や、あるいは新しい教職課程におきまして、特別支援教育に関する科目を必ず修得するような制度改正を行う等の取組を行ってまいりました。

 さらに、この三月三十一日に、特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議報告が取りまとめられ、特別支援教育に関わる教師の専門性を高めるとともに、全ての教師が特別支援教育を経験すること、このことの重要性につきまして、関係者に通知をもって指導を行ったところでございます。

 こうした報告にも基づき、引き続き、教師の専門性の向上を図り、障害のある子供への教育の充実に努めてまいりたいと考えております。

勝目委員 ありがとうございます。

 三月三十一日に報告書を取りまとめられたばかりということでございます。この報告書を踏まえた対応が現場レベルでもきっちりとなされるよう、文部科学省さんとしても責任を持って、各教育委員会、御指導いただきたいなというふうに思っております。必要であれば法制化ということも検討すべきというふうに考えておりますけれども、法律がなくともできること、やるべきこと、たくさんあると思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。また状況を随時お伺いをしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 さて、冒頭申し上げました中教審の令和三年一月の答申、個別最適な学び、協働的な学び、この追求というのは、今後の教育の在り方に関する極めて重要な方針でありまして、その実践には教育現場を担う教師の皆様の理解とそして努力が不可欠であります。

 今、三十五人学級ですとか、探究重視の教科書でありますとか、GIGAスクールの本格化ですとか、こういう動きがある中で、マスプロあるいは知識習得中心の指導方法からの脱却、これが強く求められているところと思います。こうした教師像を具現化するためには、研修を通じた知識や技能のアップデート、これはもちろん不可欠でありますけれども、研修のみでは十分とまでは言えない、このように思います。日々の実践、同僚や学校を超えたネットワークの中での相互の学び、そして任命権者や市町村教委、校長等による助言指導等、総合的に取り組む必要があると考えます。

 文科省として、どのようにこの全体像を取り組んでいかれるのか、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

末松国務大臣 勝目先生にお答えを申し上げます。

 令和の日本型学校教育を進めていく上で、教師は、子供一人一人の学びを最大限に引き出して、主体的な学びを支援する伴走者としての役割を果たすことが期待されております。そのためには、学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止めて、教職生涯を通じて学び続ける必要がございます。

 このような新たな教師の学びを推進する上では、勝目先生御指摘のように、総合的な取組が必要である。具体的には、主体的な学びや個々の教師のニーズ、課題に対応した個別最適な学びのほか、単に知識、技能の修得だけではない、教師間での協働的な学びや、地域や学校現場の課題に対応した多様なスタイルの学び方が必要だと思います。

 今回の改正案では、教師の職責や経験、適性に応じた資質の向上が図られるように、管理職等が一人一人の教師に対して資質の向上に関する指導助言等を行うこととしておりまして、これによりまして、これまでよりも幅広い多様な学びが実現されるものと考えております。

 文部科学省としましては、都道府県教育委員会や市町村教育委員会、校長などが、それぞれの役割を果たしながら適切な研修ができるように、教職員支援機構が作成するオンデマンド型の研修動画の更なる充実、全部で百七十二本ございまして、累計二百二十七万回再生されておりますけれども、私も拝見をいたしました、こうした研修コンテンツの共同開発や共有化を進めるとともに、働き方改革を進めて、校内研修、授業研究など、一層打ち込める環境整備に総合的に取り組んでいきたいと思います。

 二日前にも下北沢小学校の方に校内研修の様子を見てまいりましたが、なかなかのものでございます。

勝目委員 ありがとうございます。

 今回の法改正、免許更新制の廃止といったものに焦点が当たり過ぎて、代替措置としての研修がどうなのかという、そこばかりにクローズアップされることになってしまっては、資質向上に必要な取組の全体像、特に現場での実践であるとか研修以外の場での学び、この重要性を見落としてしまう、矮小化されてしまう、そういうことを懸念をしております。

 現場に、今回の法改正で求められることとなる教員の資質向上のための取組、これは決して研修の受講だけじゃないんだと、この全体像をしっかりお伝えいただきたい、このように思います。

 次に、研修の内容と質についてお伺いをしたいと思います。

 現行制度におきましては、更新時講習に必修領域あるいは選択必修領域というものを設けることで、受講すべき講習の内容につきまして一定の方向性を国としてお示しをする、このことが可能であるわけでありますけれども、新制度において、文科省さんとして、受講すべきその研修の中身、内容について、何らかの方針を示すのか、示されるのであれば、その時期とともにお伺いをしたいというふうに思います。

 そしてまた、先ほど松本委員からも質問がありました、改正後の法律の二十二条の五第二項第四号、資質の向上のための取組でありますけれども、これは事実上、教員任せになってしまうような場合でも記録するということは認められるのか、ちょっと具体的な想定をより深掘りしてお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教師の研修につきましては、文部科学大臣が定める教師の資質向上に関する指針を参酌して、任命権者である都道府県教育委員会等が教員育成指標、教員研修計画を策定し、これらに基づく研修を実施をしていくという形でございます。

 本法案では、研修記録の作成や資質の向上に関する指導助言等を教育委員会に対して義務づけるということにしているところでございます。

 文部科学省としては、教育委員会が行うこれらの取組が確実に実施されるように、学習指導、生徒指導等に加え、特別な配慮、支援が必要な子供への対応、ICT、データ利活用等を資質、能力の柱として明記し、社会の変化に対応した研修内容の設定などを盛り込んだ指針の改正を行うことを考えております。

 また、各教育委員会で活用可能な、基礎的な知識、技能を身につけるための標準的な動画コンテンツの開発などに取り組むとともに、これらの状況について、しっかりとフォローアップをしてまいりたいと考えております。

 また、こうした指針やガイドラインにつきましては、本年の夏には具体的な改正内容を示せるように検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 それから、二点目の、教特法第二十二条の五第二項第四号に関する御質問でございます。

 研修等に関する記録のうち、任命権者である都道府県教育委員会等が記録の必要があると認めるものとして何を記録するかは、教師の資質、能力の向上に対して責任を有している都道府県教育委員会等が個々の研修の内容に応じて判断することが基本であると考えております。

 その上で、文部科学省といたしましては、都道府県教育委員会等の判断に資するようガイドラインを策定することとしており、市町村教育委員会が実施する研修や教職員支援機構が実施する研修のほか、例えば、学校ごとに主題を設定した上で、年間を通じて組織的に行う研究活動のような一定の校内研修や研究授業などについて、過剰な負担とならないよう留意しつつ、記録すべき事項について例示をしたいと考えておるところでございます。

 資質向上のための取組には、教師同士の自主的な勉強会等も含め、多様な内容、スタイルの学びが想定されるわけでございますけれども、そして、このような自主的な勉強会を始め、勤務時間外の様々な学びも記録の対象から除外するものではありませんが、いずれにいたしましても、都道府県教育委員会の責任においてしっかりと判断をしていくことが必要というふうに考えておりまして、そうした基本的な考え方につきましては、ガイドラインにおいて示してまいりたいと考えております。

勝目委員 ありがとうございます。

 次に、休眠の免許保持者についてお伺いをしたいと思います。

 現場が逼迫する中で、有効でなくなった免許状を保有する休眠免許保持者に教育現場では活躍してほしい、このニーズは大きいものがあると思います。

 この有効でなくなった免許状の取扱い、新制度においてどのようになるのか、お聞かせをください。

 また、長く現場を離れていた休眠免許保持者が現場復帰するに当たりまして、今求められる教師像にアップデートしていただくために任命権者が何らかの研修を課す、このようなことについて、文科省さんとしての御見解を教えていただければと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる休眠状態となっている免許状を保有している者が学校現場に携わりたいという意欲を有するようになった場合などに、教師として活躍をしてもらうことができるようにすることは大変重要だと考えております。

 教員免許更新制導入前、すなわち平成二十年度までということでございますけれども、その導入前に授与された教員免許状、旧免許状の保有者で、修了確認期限において現職の教師ではなかった場合、その免許状はいわゆる休眠状態となり、更新講習を受講しなければ教師になることはできないものの、免許状自体は現に有効なものというふうになっているところでございます。

 本法案においては、七月一日に現に有効な教員免許状については更新講習の受講を必要とせず、教壇に立つことが可能となります。

 これらの休眠免許状保有者を教師として採用するに当たっては、任命権者において、新たな教師の学びの姿を踏まえ、必要に応じて研修を受講させるなど、教師として必要な資質、能力を有しているのかしっかり確認をした上で採用していくということが必要というふうに考えております。

 文部科学省としては、こうした免許状を保有している者が教師として活躍してもらうことができるよう、こうした法律施行後の免許状の取扱いについて分かりやすく周知、広報を行ってまいりたいと考えております。

勝目委員 ありがとうございます。

 休眠免許の保持者に復帰いただくに当たりましては、人員の確保と質の向上という、相反する要請に応える工夫を凝らしていただいて、現代の教育現場に求められていることをきちっとキャッチアップした人材が供給されるよう、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 今回の制度改正によって死活的に重要になるのが、研修受講履歴の記録ということであります。この具体的な方向について、まずお伺いをしたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 中央教育審議会の審議まとめにおいては、準備が整い次第取り組むべき事項として、研修の更なる高度化を目指す観点から、研修履歴を記録するシステム整備について提言がされているところでございます。

 基本的には、都道府県において電子的に記録が行われることを想定しているところでございますが、教育委員会による記録の現状を踏まえ、当面は、紙媒体を用いることも含めて、多様な方法で記録することも可能というふうなことを考えているところでございます。

 ただ、文部科学省としては、情報システムなど電子的な方法を活用して、効率的、効果的に研修履歴を記録することが望ましいと考えており、今後、実現に向けて、教職員支援機構や都道府県教育委員会等とも協議しながら、各教育委員会が活用可能な実効性のある研修履歴記録システムの構築に向けて、調査研究を進めてまいりたいと考えております。

勝目委員 どうもありがとうございます。

 これは、当面は法律で違法状態にならないために紙媒体もやむなしというのは重々分かるんですけれども、文科省さんも学校DX推進本部を置かれて、学校DXに取り組まれているということでありますので、システム化、これは必須だと思うんですね。

 その場合に、ベンダーロックイン、こうならないように、あるいは、情報セキュリティー、これを確保できるようにということで、クラウド始め、今ほど松本委員からも標準化の話がありましたけれども、こういう仕組みが不可欠だろうと思います。

 一点、このシステムにつきまして、国として、このシステム面、財政面共にしっかり責任を持って整備するべきだ、このように考えておりますけれども、文科省の方針をお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 研修受講履歴のシステムの関係でございます。

 文部科学省においては、教師の新たな学びの姿を高度化する仕組みとして、研修等に関する記録を活用した学校管理職等による指導助言等の実効性を高めるため、研修受講履歴を記録する情報システムを構築することとしております。

 このため、令和三年度補正予算においてこれらに関する調査研究費を計上するとともに、令和四年度予算においてシステム構築費を計上しているところでございます。

 まずは、調査研究において備えるべき機能や経費負担の在り方等についても明らかにした上で、速やかに構築に着手してまいりたいと考えております。

 このシステムにつきましては、国がその構築を行い、任命権者である教育委員会の責任の下で研修履歴を記録、管理していくことを想定しておりますけれども、実効性のあるシステム構築に向け、調査研究に当たっては、教職員支援機構や都道府県教育委員会とも十分協議をしながら、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

勝目委員 しっかり現場とコミュニケーションを取っていただいて、使い勝手のよいシステムにしていただければというふうに思います。

 これまでるる免許更新制の発展的解消について質問をさせていただきました。改めて、令和の日本型教育の実現のため不可欠な仕組みの構築ということだと思っております。

 最後に、先ほどの質問とやや重なる部分もありますけれども、この法案に込められました大臣の思い、そして現場へのメッセージについてお伺いできればと存じます。

末松国務大臣 勝目先生にお答え申し上げます。

 いろいろな御意見いただきましてありがとうございます。

 これまで日本型学校教育が世界に誇るべき成果を上げてきましたのは、子供たち自身の学びに対する意欲や関心だけでなく、やはり、子供のためであれば頑張るという教師の存在があったと私は思っています。

 一方、様々な分野で予測のできない、コロナにしても、今の世界、先生がおっしゃったウクライナの情勢を見ましても、世界情勢であるとか経済の不安定など、非連続的な変化が起こっていく中で、教師や学校が変化に背を背けるのではなくて、訪れる変化を前向きに受け止めることが大変重要だと思います。

 教師自身が継続的に新しい知識や技能を学び続けていくことで子供一人一人の学びを最大限に引き出す質の高い指導が可能となることに加え、教師自身が一層やりがいを感じて、教職生涯がより充実したものとなるものと考えてございます。

 今回提出しました法案では、個々の学校現場や教師のニーズに即した新たな研修システム、これによってこれからの時代に必要な教師の学びを実現させることとし、これに伴い、教員免許更新制を発展的に解消することといたしました。法律成立後には、改正内容も踏まえまして、新たな時代に適合した研修環境の整備を積極的に推進してまいりたいと思います。

 また、今回の法案提出と並行いたしまして、令和の日本型学校教育を担う教師の養成、採用、研修等の在り方につきましては、中教審で本格的な議論を今いただいておるところでございます。今後、その結論を踏まえまして、高度専門職業人としての先生の地位を高めて、先生方が誇りを持って働くことのできる環境整備を可能な限り整えていきたい、取り組んでいきたい、そのように思ってございます。

 よろしくお願いします。

勝目委員 子供たちの未来に、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

義家委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日も質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 今回の教育職員免許法の一部改正、特に免許更新制度につきましては、先ほど来、発展的解消ということが強調されております。この件について現場のお声をお聞かせいただく中で、大学の先生方の免許更新制への評価は二分しているように思います。

 よかった点につきましては、大学教員が現職の教員に対して講義を行う機会がほとんどありませんので、大学教員が教育現場のことを感じる機会となった、また、教員にとってふだん余り聞くことのない大学教員の話を聞くのはよかったのではないか、県の教育センターなどで賄えない範囲を大学が補えたのではないかと思っているというふうな御意見がありました。

 逆に、よくなかった面につきましては、全員ではないが、一部受け身で来ている意欲のない教員の講義態度が悪かったや、そもそも制度として大学の教員が教員の免許更新の判断を握る、これが一番おかしいことといったことなどが聞かれました。

 私は、子供たちに主体的、対話的で深い学び、また個別最適な学びを推し進めていく中で、また、教員の働き方改革が必要なこのときに、今回のような教員の主体的な学びを重視した変更に大賛成であります。

 そこで、発展的解消であるならば、今まで行ってきた免許更新制度のプラス部分の蓄積及び活用が重要であると思いますが、このことについて具体的にどのようなことを考えているのか、お伺いします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教員免許更新制は、教師の学びの機会の拡大、教師の資質、能力の向上に対する大学の関与の拡大、良質な学習コンテンツの形成など、一定の成果を上げてまいりました。これらの成果を踏まえ、教職員支援機構においては、免許状更新講習を継承した、大学等が開設する質の高い優良な学習コンテンツ、講習に関する情報を提供する一元的な情報提供サイトの構築を予定をしております。

 さらに、文部科学省においては、学習コンテンツをワンストップ的に収集、整理、提供するプラットフォームの構築を進めてまいります。このプラットフォームには、教職員支援機構や各教育委員会が開発するコンテンツはもとより、大学や民間事業者等が開発するコンテンツも含めて収集、整理、提供していきたいと考えております。

 これらの取組を行うことで、教員免許更新制の下で生み出された成果を、新たな教師の学びの姿を構築する上で、発展的に継承していきたいと考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 先日の意見陳述のときにも委員の方からございましたが、私もこの教員免許更新の最中におりましたけれども、やはり、よい研修は人気が高く、すぐに予約でいっぱいになります。受けた教員から次の教員にいいよと言って、それを受けた教員がまたよかったと実感して次につなげていく、これは、今後の主体的な学びにとっても非常に重要な要素であると思います。やはり、先ほど、プラットフォームの御構築、大変ありがたいなというふうに思います。

 そして、やはり、そういった研修をどんどん分かりやすく発信していただきたいなと思いますし、さらに、大学や教育委員会などが一体となって、実のある研修をこれからも更につくっていっていただきたいなというふうに思います。

 次に、令和の日本型教育を担う教師の在り方特別部会と教員免許更新小委員会の合同会議は、教員免許更新制の発展的解消として、教員と学校管理職が積極的に対話することを通して、学び続ける教師の実現を目指すとあります。この点につきましても、私はすばらしいことだなと思います。

 といいますのも、私も、四年前まで中学校の教員として、校長先生とともに教員の面接を行ってきました。今はどこの都道府県でも行っていると思いますが、高知県なんかでは、各教員が自分のキャリアやステージごとに、自己目標シートというシートに自分の目標を立てます。その年間目標に向かって、今年一年、どんな研修を受けながら、どんなことを学校の中で取り組んでいくのか、そういうのを大体年間三回ぐらい、各学期に一回ぐらい、校長先生と、そして私も横に同席させてもらいながら、そういった面接を繰り返してきました。実は、そのときに私が一緒に勤務していた校長先生は、今回の改正の趣旨に沿った、教員との対話を重視した育成をされておりました。

 先ほど研修のことについて聞きましたが、私は、やはり、教員の育成は、現場での実践と研修がうまくかみ合う、そういった点と、更にもう一つは人事配置、どういったポジションを与えるか、そういったことが一体となって教員の育成は進んでいくというふうに思います。実践の中で悩みながら、悪戦苦闘しながら研修を受け、そして、自分の殻を破っていく中で成長していく、そういったことが重要であるというふうに思います。

 例えば、私がいた学校のある教員の場合でいうと、彼がうちの学校に来まして、一年生の学級担任をしまして、二年生の学級担任をして、三年生の学級担任をして、持ち上がりで卒業させました。その頃には、その先生はうちの学校の担任の中ではエース級であり、管理職としても安心して学級担任を任せることができましたし、若い先生たちも、自然と彼のところに様々なことを聞きに行っていました。

 校長先生は、次に、学級担任として学年団を引っ張ってきた彼の頑張りをねぎらい、評価するとともに、次は、学校全体をリードしてもらうように、生徒指導主事のポジションを与えました。しかも、従来型の、何か問題が起こった後対処するタイプの生徒指導主事ではなく、子供たちの持っているエネルギーをそういったマイナス面に持っていくのではなく、いわゆる、高知県ではこれを積極的生徒指導と言っておりますが、日頃から、子供たちが自分の持っている力をプラス面に生かせるような、そういった活動をどんどん仕組んでいくために、その教員に、校長先生は初めて生徒指導主事と生徒会担当を兼務させました。

 彼は校長先生の期待に見事に応え、子供たちを主体にした、どんどん新しい取組をつくり、見事に生徒会と学校全体を活性化させました。そうやって学校全体を前へ前へと引っ張らせて、持っていく力を伸ばした後は、今度はもう少し横に広い視野を持って、ほかの先生への気遣いができるようにと、次は、彼を学年主任にすると決めておられました。実際には、彼は次の年に教育委員会に異動になり、学年主任にはなりませんでしたが、教育委員会においても持っている力を伸ばし、たまたま今年度より文部科学省に出向で来ております。

 ただ、これは一例であり、校長先生は、そういうことを、彼だけではなく、どういうポジションを与えてあげたら一番生き生きと力を発揮することができるのかを考え、人事を行い、そして面接では、励ましと、もう一歩頑張ってほしいところの指導を行い、そして、自分が持っている力を伸ばすためにはどんな研修をしたらいいのかということをアドバイスされていました。

 そこで、今回、対話を重視しながら教員の主体的な学びを大切にしていくとなると、校長の対話力を始め、マネジメント力が非常に重要になってくると思いますが、そういった部分が大変苦手な校長先生もおられますし、今後、新規で校長になる人のことも含め、その部分の校長の育成について具体的にどのようなことを考えているのか、お伺いいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正では、教育委員会に資質の向上に関する指導助言等を行うことを義務づけておりますが、実際は、校長等管理職が教員育成指標、教員研修計画を踏まえつつ、当該記録を活用して、所属校の教師に対し、資質の向上に関する指導助言等を行うこととしており、校長の役割は極めて重要でございます。

 このため、指針やガイドラインにおいて校長の役割を明確化し、教育委員会が定める教員研修計画に当該役割を踏まえた適切な指導助言等の方法を定めるようにすることや、教育委員会において校長に特化した育成指標を策定し、それに基づき、教育長等が校長への指導助言を行うこと、それから、国による新任校長向けの講習動画の配信やオンラインフォーラムの開催、全校長向けの研修動画を含む必要な情報等を集約した特設サイトの開設などにより、校長の資質の向上に努めてまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 本当に校長先生の力がまたより重要になってくると思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、ここも大変悩まれる校長先生が増えると思うんですけれども、なかなか、懸念されるのは、適切な研修を対話の中で言っても言っても受けてくれない教員への対応、指導であります。このことについても具体的にどのような対応を考えられているのか、お伺いいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 校長等管理職が研修の受講についての指導助言を繰り返し行ったにもかかわらず、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合など、やむを得ない場合には、職務命令として研修を受講させる必要もあると考えております。

 このような基本的考え方を指針で示すとともに、具体的に、どのような場合に期待される水準の研修を受けているとは到底認められないと判断すべきかについては、教育委員会が適切に対応できるよう、今後、文部科学省でガイドラインを策定することとしております。

 このガイドラインでは、例えば、合理的な理由なく法定研修や教育委員会が定めた教員研修計画に基づき全教員を対象にした研修等に参加しない場合、あるいは、特段の支障がないにもかかわらず必要な校内研修に参加しない場合、さらには、例えばICT活用指導力など特定分野の資質の向上に強い必要性が認められるにもかかわらず、管理職等が受講を促してもなお、相当の期間にわたり合理的理由なく研修を受講しない場合などを、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合として例示することを考えております。

 今後、法案審議における御議論や、関係者、関係団体の御意見などを踏まえつつ、中教審での専門的な検討を経た上でガイドラインを策定してまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 先ほども言いましたように、できるだけ全ての教員が前向きに受けれるような、これは校長先生始め皆さん方の教師への投げかけとも関連してくる問題だと思うんですけれども、是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、教員の主体的な研修の充実を考えた場合、これは大学の先生なんかが強く言っておられるんですけれども、やはり働き方改革とも連動して、オンライン研修の充実が重要であるというふうに言われております。

 今、教育現場は激しい世代交代のときであり、第二次ベビーブームのときに、我々が中学生だったときに大量採用された現在の五十代後半の先生方が退職しまして、逆に、それに伴って大量採用が行われています。それに伴い、数年後には、もう今も既に入っているんですけれども、子育てをしながら働く教員が増加しておりまして、本当に今、育休、産休も含めて、目に見えて大変な状況になっております。

 そういった教員を始め、オンライン研修は、行き帰りの時間も含め、研修の中身以外の部分の負担が非常に小さくて、本当に教員の研修の充実を考えた場合には非常にオンライン研修の充実が必要であると思いますが、大臣の御認識をお伺いいたします。

末松国務大臣 山崎先生にお答え申し上げます。

 新型コロナへの対応も契機としまして、オンラインの活用が急速に広まりまして、地理的、時間的な制約を超えて、機動的に研修を実施することが可能になってきております。働き方改革の観点からも、学校現場から離れずに充実した研修を行える環境が必要であり、先生御指摘のとおり、オンライン研修の一層の充実、極めて重要です。

 こうした中、教職員支援機構では、各学校において校内研修などに活用できるように百七十二の研修動画コンテンツを作成、公開しておりまして、現在、更なる拡充に取り組んでいるところでございます。私も、つくばの機構の方に行ってまいりまして、先生方が研修を受けておられたときにちょっと御挨拶させていただきました。非常に活発でした。今後、更に取組を進めまして、教職員支援機構において、基礎的な知識、技能を身につけるための標準的な動画コンテンツの開発を行ってまいりたいと思います。

 また、文部科学省、各都道府県教育委員会、教職員支援機構等を構成員とする協議会を立ち上げまして、オンラインを含めた研修コンテンツの共同開発や共有化を図っていきたいと思います。さらに、誰もが利用できる研修コンテンツを一元的に収集、整理、提供する機能を備えたプラットフォームの基盤を併せて進めたい、そのように考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 次に、主体的かつ個別最適に学び続ける教員を育成していくためには、やはり研修予算の充実が重要であるというふうに思います。

 例えば、私のいた高知県では、今から約十年ほど前に、先ほど言いましたように、今の五十代後半の教員の大量退職が予想されていましたので、次の世代、今の四十代後半から五十代前半というのは極端に採用人数が少なくて、管理職の登用が苦しくなることが目に見えていました。

 そこで、十年後、二十年後の高知県の教育界を担う人材を大きく育成していこうと、高知「志」教師塾というのが当時三十代後半から四十代前半の教員十二名で結成され、みっちりと研修に励みました。私も一期生として参加しましたが、この研修は、私の教員時代、一番の研修であったと言っても過言ではないほどのよい研修でした。

 何が違うかというと、スケールの大きさが違いました。法輪寺や薬師寺金堂の再建などを行った、日本を代表する宮大工である小川三夫さんや、社員の幸せを大切に、営業時間内に毎朝、全社員の人生の充実を目指しミーティングを行うなどの取組で日本経営品質大賞を受賞した西精工の西泰宏社長などの超一流の方に講師を務めていただき、私たちは、その講師の先生が書かれた書籍を課題図書として一か月前に渡されまして、それを全員が必ず読んで参加しました。

 最初の頃はみんなぶうぶう言っていたんですけれども、やはり実際にそういった先生方のをしっかり読んでその先生方の話を聞くと、ふだんの教師としての活動の中では絶対に聞くことのできない様々な話を聞くことができ、当時私も四十二歳でしたが、深い部分から揺さぶられるというか、大変大きな学びがございました。

 そういった人物を呼んでの研修でしたので、今までの高知県教育委員会が行っている研修とは予算も桁違いでありまして、そのかけられた予算と期待の違いは、我々受講者も肌で感じました。しかし、残念ながら、予算がかかるからとは直接的には言いませんでしたが、一旦なくなってしまいまして、やはり重要だからということで、昨年から、非常に予算を縮小して再開されております。

 私は、それが全てとは言いませんが、やはり今回、個別最適な学びで主体的な学びを教員に求めて、この国の将来をつくる教員を本気で育成していくならば、やはり、これから学校や各市町村や各都道府県教育委員会などに、研修予算の充実も必要であると思うんですが、その認識について大臣にお伺いいたします。

末松国務大臣 教員研修の充実のために、国と地方公共団体がそれぞれの役割分担の下で予算の充実を図っていくことは大変重要でございます。いろいろな場面で御意見をいただくことが多うございまして、その都度、充実をさせることを自分の思いとしておりますというふうに答えております。

 文部科学省におきましては、オンライン動画のコンテンツの充実など教職員研修の高度化であるとか、教職員支援機構の機能強化に係る経費を令和四年度予算に計上したほか、ここでは約十四億円ですね、現職教員が教職大学院で長期に研修する場合の教員の定数の措置を行っているところでございます。大学院に派遣する場合には、七百八十三人、抜ける方の加配の措置を行ったりもしてございます。そのほか、各地方公共団体に対しましては、教育センターで行う各種研修に要する経費や旅費など、地方交付税交付金として措置をされております。

 文科省としては、各教育委員会の研修を支援するための研修コンテンツの開発や、あるいは人材育成などについて、必要な財政措置を引き続きしっかり取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

山崎(正)委員 大臣、ありがとうございました。

 次は、先ほど大臣からも少し出ましたけれども、先日の参考人の意見陳述でも言いましたが、私は、教員の主体的な学び、また研修の充実を考えた場合、教職大学院での学びも重要であるというふうに思います。

 私自身も教員として主に生徒指導の分野を専門としてきましたが、最初の頃、平成十年頃までは、山崎と言って胸ぐらをつかんでくるような、いわゆるヤンキーと呼ばれる、委員長の前で恐縮ですけれども、済みません、ヤンキーと呼ばれる生徒たちの指導が多かったのですが、平成十年代、特に十五年ぐらいになると、ぐっとそういうタイプの生徒は減ってきまして、どちらかというと精神的に不安定というか、腹が立っていらいらし、不安定になって壁を殴ったりとか、時にはやはり自分を傷つけたりという生徒が増えてきました。

 ちょうどその頃、発達障害ということが注目を集め始め、教育界でも研修が始まりました。さらには、子供や保護者の方がうつ病を発症するといったことも続き、そういった子供たちの変化には発達障害や精神疾患等もあるのではないかと思い、鳴門教育大学の臨床心理士養成コースの大学院で二年間学びました。そこでは、臨床心理学を中心に、発達障害や、幼稚園から大人に至るまでの様々な発達に関する分野の学習はもとより、実際に不登校で悩む保護者の方のカウンセリングや精神科病院での実習等、多くのことを学ばせていただきました。

 そこで、教員の主体的な学び、また研修の充実を考えた場合には、やはり教職大学院での学びがこれから更に重要になっていくのではないか。やはり一人の教員を出すと、先ほど大臣からもお話があったように、相当な負担がかかりますので、そういった予算面との絡みはあると思うんですけれども、やはり今後は、充実を図っていく、主体的な学びを推し進めていくために充実を図ることも重要だと思いますが、大臣の御認識をお伺いします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 先生お話ありました教職大学院、高度専門職としての教員養成機能の中心を担うものでございまして、その充実を図ること、大変重要であると認識をしております。

 また、この度の法改正を契機としまして、新たな時代に即した教師の資質向上を効果的に進めていく上で、教職の高度化に向けた教職大学院と教育委員会との連携強化がますます重要になっていくものと考えております。

 教職大学院につきましては、平成二十年度より設置が開始されて以降、全国的に整備が進められております。設置数は、平成二十年度十九大学が、令和三年度、十三年たったら五十四大学になったということであります。特に、近年、教員養成を主たる目的とする国立大学・学部に設置される修士課程から移行する形で年々入学定員が拡大しておりまして、教職修士の学位や専修免許状を取得した後に、やはり、スクールリーダーですね、先生御存じのとおり、スクールリーダーとして活躍する有為な人材が多数輩出されているところでございます。

 また、教職大学院では、教育委員会が現職教員向けに行う研修の一部を教職大学院で実施する、また、在学生以外の現職教員等を対象とした履修証明プログラムを開講するなど、教育委員会と連携した取組も展開されているところでございます。

 今後も、教職大学院の学びの更なる充実を図るために、多くの現職教員が教職大学院の学びを経験できる取組を進めていきたいと思います。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 ここからは、今の学校現場で、不登校支援とともに、本当にもう二大で重要な問題となっている教員不足について少しお伺いしたいと思います。

 やはり、教員の養成と教員不足は一体だと思いますが、先日の参考人の意見陳述のときにも、私、キャリアチェンジというふうなことについてお聞きしました。

 これは本当に、教員をやっていた私たちには発想のないことで、その発想のないこと自体がそもそもやはり、教員になったら辞めてはいけないんだというふうなことが、もう固定観念が強いのではないかなというふうに思いましたが、やはり、これだけ大学生や若い方から教員を受ける人が少なくなってきている中におきましては、何としても、途中で辞めてもいいからとなかなかこの教員不足のときに言いにくいとは思うんですけれども、やはり、ずっとじゃなくてもいい、取りあえず教員を始めてみようというような形でのキャリアチェンジの発信や、また逆に、多様な人材からどんどんどんどんキャリアチェンジして教員に入ってきてもらう、このキャリアチェンジという考え方をしっかりと発信していくことも重要ではないかと思いますが、大臣の認識をお伺いいたします。

末松国務大臣 先生御指摘のとおり、多様な人材の採用、教師の質の向上の観点から、専門性を有する社会人に学校現場に携わるという意欲を持っていただきまして、先生のおっしゃるキャリアチェンジを経て、教師として活躍してもらうことができる環境を整えることが私は重要なことであると思います。

 文科省としまして、特別免許状の活用によります社会人などの多様な人材の活用、そして採用年齢の上限の撤廃ですよね、最近、かなり都道府県教育委員会が相当上へ上げていますので、四十七県市では制限なしとなっています。また、民間企業等の勤務経験を有する者に対する特別の選考といった各自治体の取組やその発信の充実を促しまして、民間企業等に勤める社会人の方が教職を志すために有益な環境整備にも取り組んでまいりたいと思います。

 双方向の話になりますのですけれども、よろしくお願い申し上げます。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 本当に、昨日も、教員不足で何とかしてほしい、特に今、四月の初めで教員を組んでおるものですから、深刻な状況があるんだと。本当に政治がしっかり取り組まないと、もう先生、倒れてしまうよ、死んでしまうよというようなことで、大変に強い期待と、叱責といいますか、頑張れというふうな激励をいただきました。

 何とか教員を増やせないのかということを言われます、シンプルにそこなんだということで。けれども、すぐに大学等で教職課程を取ってくれる大学生が増えるわけではございません。先ほど言いましたように、少子化が進んでいっていますので、今のこの大量退職を含めて、やはり、ちょっと細かい統計は分からないですけれども、ここから十年先ぐらいまでが一番の踏ん張りどころではないかなというふうに思います。

 そこで、なかなか、大学へ行ってきちっと教職課程を取っている人たちもいるので、そことのしっかりとした差別化は重要なんですけれども、例えば、今のこの窮状を、何とか先生方が倒れないためにも、窮状として、例えば学校には支援員さんという方が配置されています。本当に、不登校の子供さんたちをしっかりとサポートしてくれて、我々管理職も安心して任せられる、そういった支援員さんがいます。また、先日も行きましたけれども、フリースクールなどで不登校の支援を経験していたりとか、本当に、授業をやったりといった、すばらしい人材の方々もいます。例えば、そういった方々に、教員免許一種、二種ではなくて、三種免許とかと言っているんですけれども、これは仮なんですけれども、例えば十年時限とか、そこはちょっと細かいところはあれなんですけれども、今何とかして。

 誰でも入れていいということではないと思います。やはり、わいせつ教員の問題もありますし、子供たちの安全を守らなければいけない。しかし、先ほど言いましたように、そういった実績もあって、力もあって、安心して任せられる人たちを、今そういった免許法なんかを緩和して、そういった方々に教育現場を助けてもらう、そして、何とかこの大変な時期を一緒に乗り切ってもらう、そういったことも重要ではないかなと思いますが、そういった点についての大臣の御認識をお伺いさせていただきます。

末松国務大臣 先生の御指摘に対しては、いろいろな工夫や検討をしております。

 学校の教員組織は、絶えず変化していく社会のニーズに的確に対応していく上で、これまで以上に多様な知識や経験を持った人材で構成されることが望ましいという考えに立っております。

 こうした専門的な知識経験を有する人材を登用するために、もう先生御承知のとおりの特別免許状制度がございます。具体的には、社会的信望、教員の教務を行うために必要な熱意と識見及び教科に関する専門的な知識経験又は技能を有する者に対しまして、任命者等の推薦を経て特別免許状を授与することが可能でございます。

 一方で、特別免許状の年間の授与件数は、御存じだと思います、二百件程度にとどまっておりまして、教職課程を経て授与される普通免許状の授与件数が年間二十万件に比べて、極めて低調です。

 このため、文部科学省では、昨年の五月に特別免許状の授与指針を改正しまして、社会的信望、教員の職務を行うに必要な熱意と識見という要件を考慮する際に、学校における学習指導員等、またフリースクールでの経験も加味できることを明示したところでございます。あわせて、教科に関する専門的な知識経験又は技能を有する者と認められる勤務経験として、これまで示してきました企業等での勤務経験に加え、NPO法人等の勤務経験等も算入できることを新たに示したところでございます。

 そういったお話も今申し上げたんですけれども、今後とも、できるだけの努力をまた、人材活用できるように努めてまいりたいと思います。

山崎(正)委員 済みません、最後に、やはり教育には、教員の学び続ける姿勢が大事だと思います。それはやはり子供たちのモデルとして、例えば今日のテーマの教員の育成でもそうなんですけれども、先生になった人にどうして先生になったと言うと、やはり、憧れの先生がいたとか、あの先生がいたから私の人生は助けられたとか、そういったことが少なくありません。少なくとも、学校ということがその子たちにとっていい環境だったからやはり教員になってくれたかなというふうに思います。

 そういった意味において、教師こそ最大の教育環境であるとの自覚で、この国の未来をつくる職業との自覚を持って教員の皆さんに頑張ってもらいたいですし、文部科学省の強力な推進を期待いたしまして、本日の質問を終わりたいと思います。

 大変にありがとうございました。

    〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕

山本(と)委員長代理 次に、牧義夫君。

牧委員 立憲民主党の牧義夫でございます。

 今回のこの法改正については、先週、参考人の方々からも御意見を賜りました。いよいよこれから質疑に入るわけですけれども、我が党からは私を含めて四名が予定しておりますので、今日は基本的な、今後の進め方等々、その考え方についてお伺いをしたいというふうに思います。

 この今回の法改正、教員の身分だとか、あるいは働き方に関わる法改正なわけですけれども、考えてみますと、教員の身分、処遇、働き方や学校現場の環境に関わる法律というのは、教育基本法あるいは学校教育法はもちろん、地方教育行政法ですとか、あるいは今回の教育公務員特例法、教育職員免許法、ほか給特法ですとか地教行法とか、実に様々な法律があって、それらが有機的にいろいろ結びつく中で学校現場の環境が決まってくる、教員の身分あるいは働き方が決まってくるわけですけれども、今回、この二法がどのような議論の中で改正案が作られたのか、その辺のところをまずお伺いをさせていただきたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 教員免許法の更新につきましては、先生も御承知のとおりだと思います。

 令和二年の九月に、中央教育審議会の教員養成部会において、制度が導入されてから今日までの変化であるとか、あるいは文科省が行ったヒアリングそして調査等に基づきまして包括的な検証を行っていたところです。

 こうした検証の状況を踏まえまして、昨年の三月に、中央教育審議会に対して、令和の日本型学校教育を担う教師の養成、採用、研修の在り方について諮問を行った際に、そのときに、必要な教師の数の確保をどうするかということと、もう一つは先生方の資質、能力の確保をどうするかという、この両立、両方の面ですね、このことに対して、両立できるように、抜本的な見直しの方向性について先行しての結論を得ることを求めたところでございます。

 これを受けて、中央教育審議会で特別部会を設置するとともに、その下に教員免許更新制の在り方を検討します小委員会を設置をしました。委員長は加治佐先生であったと思います。

 合計八回にわたって議論を重ねた結果として、昨年末に、教員免許更新制の発展的解消をするとの提言に至りました。

 長くなって恐縮です。

 この昨年末の審議のまとめでは、社会の変化やオンラインの進展等によります研修環境の変化を受けまして、教師の学びの姿も変化することが必要であるとの指摘がなされております。具体的には、教師が学校を取り巻く環境の変化を前向きに受け止めて、教職生涯を通じて探究心を持ちつつ主体的に学び続けること、一人一人の教師の個性に即して、学校現場の課題に対応するため、個別最適な学びを行うこと、二つ目は、単なる知識、技能の修得だけではなくて、各学校において行われる校内研修の教師同士の学び合いなどを通じて、教師としてふさわしい資質、能力を身につけられるように協働的な学びを行うことなどが求められております。

 長くなりましたけれども、こういうことが背景にございます。

牧委員 大臣、長くなりましたがとおっしゃいました。質問項目、通告をたくさんさせていただいておりますので、なるべく手短にお願いを申し上げたいというふうに思います。

 今のお話を聞いて、発展的解消と、日本語には都合のいい言葉があるんだなと思った次第なんですけれども、先行して結論を出すよう求められたのは教員免許更新制を廃止するということだったというふうに思います。このことによって、私、今回、教員免許更新制そのものについては、元々我々は反対の立場を取ってきましたから、これは大歓迎なんです。大歓迎なんですけれども、今回の法案の中身を見て、ちょっと何となく、もっと本来はすっきりすべきところが何となくすっきりしない状況で今朝を迎えました。それは、発展的解消という言葉の中に一体どんなことが裏にあるのかなという一抹の疑念が残っているということだというふうに思います。

 結論から申し上げれば、私どもは、今回、この教育職員免許法の廃止だけでいいんじゃないかと。こちらを先行して、まさに先行して、これは中教審でも、養成、採用、研修ということを一体的に捉えて今後の在り方というものを多分答申するんでしょうから、そこまで待って、今後の研修の在り方についてはじっくりと様子を見ながら決めていくというのが私どもの考え方であって、今回はそういった修正も考えているということをあらかじめお話ししておきたいというふうに思います。

 これは本当に、もう一回聞きますけれども、今回、免許更新制の廃止と、そしてまた新たな、指導助言に基づく研修という、これはどちらが先にありきだったんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 この度の改正に至る経緯につきましては、先ほど大臣がお答えしたとおりでございますけれども、こうした時代の変化等を踏まえまして、新しい仕組みの中では、研修記録の作成や資質の向上に関する指導助言等の義務づけによって新たな教師の学びの姿を実現をしていく、そうしたことが提言されているわけでございまして、そうしたことによって、個別最適な学びなどをより効果的に進められる環境が整うということから、このタイミングで更新制を発展的に解消するということとしたものでございまして、どちらが先ということではございません。

牧委員 まあ、どちらが先とは言えないんでしょうけれども、じゃ、なぜこれは、まず先行して結論を出せというふうな話になったんでしょうか。

藤原政府参考人 令和三年三月に、中央教育審議会に対しまして、「「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」、諮問したわけでございますけれども、このうち、教員免許更新制の抜本的見直しについては、この諮問に先立って、令和二年九月から既に免許更新制や研修をめぐる包括的な検証が行われていたこと、また、臨時的任用教員の不足等が課題となっていることを踏まえ、早急に必要な教師数の確保とその資質、能力の確保の両立を図る必要があるということから、先行して結論を得ることとされたところでございます。

牧委員 ということは、この更新制を廃止しただけでは教員の質の担保はできないという判断だったということでよろしいんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教師は、絶えず研究と修養に努めることが求められております。そして、その資質の向上を図っていくことは極めて重要な課題だと考えているわけでございますけれども、そうした中で、この新たな研修制度、そうした履歴の記録、それから指導助言といった仕組みをつくっていく中で、より一層、教師の学びが深化をしていくということを考えているわけでございまして、そうしたものと相まって、教師の資質、能力の向上に対する研修制度が発展をしていくものというふうに考えているところでございます。

    〔山本(と)委員長代理退席、委員長着席〕

牧委員 何となく聞いていると言いくるめられちゃいそうなので、話、先に進みますけれども、元々、この教員免許更新制そのものがどういう経過で制定されたかということを振り返ると、これは、平成十九年、先ほど来お話出ておりますけれども、平成十九年の通常国会でこれを議論されたわけですけれども、当時のこの議論の記録を振り返ると、これは、国会に提出されて、本会議で質疑があって、特別委員会が設置をされております。

 このときは委員会で十回質疑が行われ、その間に参考人質疑も三回行われております。その上で、公聴会を開き、質疑終局。衆議院だけでこれだけの議論を重ねたわけですね。

 これだけ議論を積んだということは、一言で言えば、本当にこれは教員の身分に関わる問題ですから、これは非常に重たい改正だったということだと思います。

 繰り返しになりますけれども、これだけの議論を積んだ教員免許の更新制について、今回、この発展的解消という言葉一言で片づけられるというのは何か釈然としないんですね。もうちょっと丁寧に説明すべきじゃないかなと私は思っております。

 そもそも、この教員免許更新制そのものの立法段階で何が間違っていたのか、真摯に反省し、もっと丁寧にすべきだと思うんですけれども、この更新制そのものに、どこに問題があったのか、大臣の御認識を改めてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

義家委員長 藤原局長。(牧委員「大臣にお願いします」と呼ぶ)

 まずは藤原局長、その後、大臣、お願いします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教員免許更新制は平成二十一年度より導入されたわけでございますけれども、今御指摘がありましたように、導入に当たっては、有識者や関係団体の意見聴取を含め、様々な観点から検討を行った上でまとめられたものということで、制度導入当時に特段の問題があったというふうには考えていないところでございます。

 そして、免許更新制は、先ほどの答弁でも申し上げましたように、教師の学びの機会の拡大や、教師の資質、能力の向上に対する大学の関与の拡大、良質な学習コンテンツの形成など、一定の成果を上げてきたわけでございます。

 しかしながら、その後、様々な社会の変化があるわけでございます。グローバル化や情報化の進展などによって、大変、社会の変化のスピード自体が極めて速くなってきたということ、また、平成二十八年の教育公務員特例法の改正によりまして、体系的、計画的な研修の仕組みが整ってきたということがございます。

 またさらに、新型コロナウイルス感染症への対応も契機として、オンラインの活用が急速に広がってまいりまして、こうした研修を取り巻く環境が大きく変わってきた。

 そうした中で、教師の学び自体が新たな学びに変化していくことが必要という状況の中で、この度提案をしておりますような新たな研修システムを構築をいたしますとともに、免許更新制を発展的に解消する、こういった仕組みがより適切な研修制度になるのではないかということで、提案をしているところでございます。

末松国務大臣 藤原局長から、当時の問題とこの間の問題とのお話だと思うんですけれども、教員免許状の更新、私もいろいろと教師の知り合いがおりますので、いろいろなことを聞きます。教師の学びの機会の拡大とか、教師の資質、能力の向上に対する大学の関与の拡大であるとか、良質な学習コンテンツの形成など、そういう点においては、やはり、先生、一定の成果を上げてまいりました。これから議論される中で、受講してどうだったかという御意見もいろいろありますので。

 昨年十一月の中教審のまとめは、こうした変化を踏まえまして、研修等に関する記録の作成や資質の向上に関係する指導助言の義務づけなど、新たな教師の学びの姿に向けた方策を実施することを求めておるということでありまして、解消して、研修を行っていこうということで、教育基本法には、先生、やはり研修で教師は磨かなきゃならないということは書いてありますけれども、共に考えたいと思います。

牧委員 教師の学びの機会の拡大ですとか、資質の向上については、私も全く同じ意見です。

 ただ、私が聞きたかったのは、これが、新たな、教育公務員特例法を改正しなければできないのかというところが私はまさに論点だというふうに思うんですね。

 先ほど、藤原局長の話の中にも、いみじくも、平成二十八年、教育公務員特例法の改正もありというお話がありました。その現行の教育公務員特例法で、これじゃ不十分だということなんでしょうかね。局長、どうですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 現在も教育公務員特例法などに基づきまして様々な研修が行われているわけでございますが、この度の法案に関しまして、その一つ、研修等に関する記録を行うということがあるわけでございますけれども、こうした記録をしっかりと行うことによって、一つには、教師自らが、自身の学びを振り返りつつ、適切な目標設定と現状把握の下で、主体的で個別最適な学びを実現する上でのベースになるといった点。

 また、二つ目といたしまして、校長等の管理職が、教師のこれまでの研修履歴を客観的に把握した上で、教師が今後どの分野において学びを深めるべきか、学校で果たすべき役割に応じてどのような学びが必要であるかといったことなど、効果的な指導助言を行うことが可能となるということ。

 また、三つ目といたしましては、過去の研修履歴から、個々の教師の強みや専門性を把握した上で、校務分掌の決定や校内研修の役割といったことなど、その個々の教師の強みや専門性を生かした学校運営を行うことに資するといったような面があるものというふうに考えております。

 こうした点も含め、こうした新しい研修制度を導入することによって、より一層、教師の新たな学びに資する研修制度の発展に貢献できるものというふうに考えております。

牧委員 理屈と御飯粒はどこにでもくっつくといいますけれども、本当にいろいろな理屈がくっつくものだなと改めて感心をいたしました。

 ただ、そもそもこの更新制の目的というのが、さっきも話が出ましたけれども、当初、平成十九年、第一次安倍政権の教育再生会議の第一次報告から出てきたんですね。

 教育再生会議の提言というのは、不適格教員の排除だったわけです。その後、中教審で軌道修正されて、目的が教員の資質、能力向上に変わったわけで、これは当時、教育基本法が全部改正になって、その後、教育再生会議ができて、第一次安倍政権のある独特な価値観の下でこの議論が始まったわけです。そういった意味で、私、ちょっと、その当時から、教育再生という言葉自体にもやや違和感を持っていました。

 教育再生というと、もう教育が死んでしまっていたのかというような雰囲気もあったわけで、私、出発から何か思惑が違ったんじゃないかなというふうに今更のように思っているわけでございますけれども、何かその辺について大臣は御意見ありますか。

末松国務大臣 私はあの頃、当選したばかりのときでございましたので、部会等に行きましたけれども、殊更に、その時代の、私、記憶にあるのは、その不適格教員云々というのはそうたくさん飛び交っていなかったように記憶をいたしております。

 それから、先生、教育再生会議につきましては、死んでいたのかというわけではないと思うんです。全般的には、やはり、教育、柱になる、国の政策であるという点で幅広い議論が、まあ、私の党は議論がされていたように記憶をいたしてございます。

牧委員 それで、今回のこの更新制をやめるということについては、その理由の一つとして、教員不足の解消というのも挙げられていたわけですけれども、この教員不足の実態について、またその原因についてどのように認識をされているんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 臨時的任用教員等の確保ができず、学校へ配置する予定の教師の数に欠員が生じる教師不足が課題となっております。このため、年度当初における全国的な実態を把握するため、昨年度、初の全国調査を実施をいたしました。その結果、令和三年五月一日時点で、全国で二千六十五人の教師不足が生じている実態が明らかとなりました。この中には一時的欠員も計上されておりますが、中には小学校の学級担任を管理職が代替している例も見られたところであり、懸念すべき状況として、危機感を持って受け止めているところでございます。

 こうした教師不足の要因といたしましては、近年の大量退職、大量採用を背景として、臨時的任用の候補者が正規採用されたことによる教師のなり手の減少、産休、育休取得者や特別支援学級の見込み以上の増加などが挙げられるところでございます。

 こうした状況を踏まえ、文部科学省としては、学校における働き方改革、教師の魅力向上、教育委員会における計画的な教員採用の促進等の取組を進めるとともに、現在中教審で行われている教師の養成、採用、研修等に関する包括的な議論を踏まえつつ、質の高い教師の確保に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

牧委員 現在の教師不足の現状についての認識も伺い、併せてその原因についての認識も伺ったわけで、きちっと原因についての認識もされているわけですから、しっかり、こういうことを最優先にしかるべき手を打っていただきますようにお願いしたいと思います。

 それからもう一つは、採用の話も出ましたが、採用試験の応募状況、これも何か倍率がだんだん下がっているようなふうにも聞いておりますけれども、その辺の原因についてもちょっとお聞かせいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 近年、大量退職、大量採用の影響もある中で、公立学校の教員採用選考試験の採用倍率の低下傾向が続いております。

 令和三年度の採用選考では小学校の採用倍率が過去最低の二・六倍となりまして、特に一部の自治体で採用倍率が著しく低くなっているという状況でございます。

 このうち、小学校について申し上げれば、採用倍率、過去最高、十二・五倍であったのは平成十二年度でございますけれども、このときには採用者数が三千六百八十三人でございました。令和三年度では一万六千四百四十人ということで、採用者数が五倍近くに増加したわけでございますけれども、そうしたことの結果として、採用倍率が二・六倍となったという状況でございます。

牧委員 大変ゆゆしき状況だということは文科省も認識しているというふうに思います。

 それで、学校が本当に魅力のある職場になるために、学校の教職員が憧れの職業になるために、今、一体何が足りないというふうに大臣は認識をされておられますか。

末松国務大臣 何度か、牧先生の、近い質問も受けたことがございます。

 私は、やはり、教師は子供たちの人生を変える存在でありまして、本来、大変魅力のある仕事でなきゃならないと思っております。私も、もう六十六歳になるんですけれども、いまだもって、やはり、自分の行動していく基準あるいは善悪理非を教えてもらったのは、小学校一年から四年生まで務めてもらった担任の先生のおかげだというふうに、そのことに感謝をしております。

 一方で、教師という職業の社会的役割の重要性や大きなやりがい以上に、学校現場の勤務状況が非常に厳しいものと受け止められている面が私は一番大きな原因かな、そのように思っております。一刻も早く改善をしなければならないと考えております。

 現場の教師も、朝、授業に出ていったら、昼の休憩時間には、気になる生徒に声をかけなきゃいけないという。そうしたらチャイムが鳴って、トイレも行けていない。昼は給食指導に行って、お掃除ということで、ゆっくりと空き時間ができるのは少なくとも十五時三十五分以降という話も聞いたことがございます。そういう点を少しでも改善していくということが、やはり、ゆとりのある教師でないと、子供たちにゆとりを与えにくいんじゃないかなということを考えております。

 令和の日本型学校教育を担う教師の養成、採用、研修の在り方について、中教審でも包括的な議論をいただいているところです。今後、その結論を踏まえまして、高度専門職業人としての教師の地位を高め、教師が誇りを持って働くことのできる環境整備に取り組んでいきたいと思います。

牧委員 せっかくそういう御認識があるのであれば、もう少し具体的に、私も冒頭、いろいろ、教員の身分やら働き方に関わる法律、これだけありますよと申し上げましたけれども、例えばその中の給特法をこうするとか、何か、それを見直すとかいうお考えがあるのか、ないのか。その辺、一番重要な部分だと思いますので、教えていただきたいと思います。

末松国務大臣 給特法とか身分、処遇に関することについての先生の御質問と存じます。

 公立学校の教師の処遇を規定しております現在の給特法の仕組みでは、教師の職務は自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きくて、どこまでが職務であるのかを切り分け難いという特殊性を踏まえまして、時間外勤務手当を支給しない代わりに、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整額を支給しております。先生はもう百も承知のお話でありまして、済みません。

 一方、給特法制定から半世紀が過ぎまして、教師に求められる仕事の内容も変化しておりまして、平成二十八年度に実施をしました調査においても、法制定当時の想定を大きく超える長時間勤務の実態も明らかになっております。これらを踏まえて、令和元年に法改正を行いまして、教師の勤務時間の上限等を定める指針を策定するなど、学校の働き方改革に取り組んでいるところであります。

 今後は、こうした働き方改革の様々な取組と成果等を踏まえつつ、本年度に勤務実態調査を実施をしまして、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定でございます。その結果等を踏まえて、給特法等の法制的な枠組みを含めて検討していきたいと思います。

牧委員 よろしくお願いします。

 今回の教特法の方ですね、ちょっといろいろと懸念の声も現場からも上がっておりますので、ちょっと時間の関係で、まとめて幾つか申し上げますので、端的に答えていただきたいと思います。

 まず、指導助言、研修、それから研修等に関する記録作成、これ、何か、いろいろとがんじがらめにされるような、まさに、自主的、自発的な研修という言葉と相反する言葉が並んでいるわけですけれども、そういう中で、本当に自主的、自発的な研修が保障されるのかどうなのかということ。

 それから、勤務時間外の研修だとか、あるいは計画書、報告書の作成など、負担が増えないか。これは働き方改革と逆行するんじゃないか、そういう懸念。

 それからもう一つは、資質の向上に関する指導助言というのが、特定の研修だとか指導方法などの押しつけ、パワハラにつながることがないような対策が講じられているかどうか。

 ちょっと、この三点について端的にお答えいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教師は、職務の遂行のために絶えず研究と修養に努めることとされており、教師の研修については自主性が重要であることは言うまでもなく、このことは本法案によって変わるものではございません。

 本法案では、校長等の管理職が、教師自身の過去の研修等の記録を活用しつつ、今後能力を伸長させる必要がある分野などの研修について、一人一人の教師から相談を受けたり、情報提供や指導助言を行うこととしておるところでございまして、その中で、教師の自発的な学び、主体的で個別最適な学びが実現されるように努めてまいりたいと考えております。

 また、二点目、教師の負担増加という観点でございます。

 職務としての研修は勤務時間の中で行われることが前提でございます。各教育委員会が主催する研修や各学校において行われている校内研修は勤務時間の中で実施されているところであり、このことは本法案によって変わるものではございません。

 また、研修等に関する記録や指導助言自体が過剰な負担となることがないように、その点につきましても、しっかりと、今後、指針やガイドラインで示してまいりたいと考えております。

 それから、三点目でございます。指導助言がパワハラにつながらないのかということでございます。

 こうした指導助言の中では、教師が自らの学びを振り返りつつ、適切な現状把握と目標設定の下、自らの研修ニーズや学校の教育課程に対応した必要な学びを行っていくことが期待されるものであり、管理職等から一方的に指導するのではなく、対話の中で行われていくことが基本だというふうに考えております。

 したがって、このような指導助言等がパワハラにつながるものではないと考えております。

牧委員 あともう一点、これもちょっと教えていただきたいんですけれども、七月一日付で運用についてのガイドラインが出るというお話で、まだちょっと中身が見えないものですから、いろいろ心配の声も上がっております。

 もう一点挙げると、二十二条五の「研修等に関する記録」のところで、その四番目、「当該任命権者が必要と認めるものに関する事項」とあるんですね。「当該任命権者が必要と認めるもの」というのは、一体どんなイメージなんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 今御質問ありました四号でございます。これにつきましては、市町村の教育委員会が実施をする研修や教職員支援機構が実施する研修などのほか、例えば、学校ごとに主題を設定した上で、年間を通じて組織的に行う研究活動のような一定の校内研修や研究授業など、教育委員会の過剰な負担とならないように留意しつつ、記録すべき事項について例示をしたいと考えておりまして、こうした点をガイドラインに示してまいりたいというふうに考えております。

牧委員 ちょっとしつこく質問して大変恐縮なんですけれども、さっき申し上げたように、平成二十八年、教育公務員特例法の改正もありました。そういった意味で、今回の同法改正の意義がいま一つちょっと私も理解できないものですから、ちょっとしつこい質問で恐縮ですけれども、もとより、学校の先生というのは、各学校で実施する校内研修だとか授業研究及びこの特例法の二十二条二項に規定するような自主的な研修も受けているわけで、もっと、更に言えば、日々、毎日が、生徒たちと向き合うこの日々が研さんの積み重ねの日々であるわけですけれども、その上で、これは何が足りないのか、求められる資質向上のために何が足りないのかということを教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年の教育公務員特例法の改正により、全ての都道府県教育委員会において教師の資質向上に関する指標に基づく教員研修計画が策定され、教師の資質、能力の向上のための体系的、計画的な研修が充実をしてきたと考えております。

 その一方で、変化の激しい時代におけるこれからの教師の学びの姿としては、教師一人一人の置かれた状況に照らして、適切な現状把握と具体的な目標設定を行った上で、個別最適で協働的な学びが行われることが必要であるというふうに考えております。昨今では特に、例えば、特別な配慮、支援が必要な子供への対応やICT、データ利活用等、こうしたものにつきましては全ての教師が身につけるべき資質であるというふうに考えております。

 今回の法案では、教師と学校管理職等がこれまでの研修記録を活用しながらしっかりと対話を行っていただきまして、それを踏まえた研修の実施あるいは資質の向上に関する指導助言等を行う仕組みを設けることによって、こうした必要な研修がより一層進められていくものというふうに考えております。

牧委員 いろいろ、今日的な課題に対応するための研修が必要だということは理解します。

 ただ、私が言いたかったのは、何のための法改正なのか、その法改正をしなきゃそういうことが研修できないのかということが言いたかったわけです。そこをよく御理解をいただきたいというふうに思います。

 今回、ガイドラインが七月一日までに策定となっていますけれども、それが出るまでにちょっといろいろな不安、心配の声もあるので、ちょっと改めて確認をしたいと思います。

 令和の日本型学校教育を担う新たな教師の学びの姿という言葉が出てくるんですけれども、その令和の日本型学校教育を担う新たな教師の学びの姿とは一体何ぞやということが私にはちょっとよく理解できないので、大臣の言葉で教えていただきたいと思います。

末松国務大臣 先生にお答え申し上げます。

 近年、社会が急速に変化をしまして、学校現場でも様々な課題への対応が求められております。また、各地域の課題に応じた体系的な研修であるとか、オンラインの活用などが急速に広まるなど、研修の環境も変化をしてまいりました。

 令和の日本型学校教育を担う教師の学びの姿としては、このような社会や研修環境の変化を受けまして、この二つの前提がありますけれども、教師自身が学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止めて、教職生涯を通じて探究心を持ちつつ主体的に学び続けることや、そして、一人一人の先生、教師の個性に即して、学校現場の課題に対応するため、個別最適な学びを行うこと、また、単なる知識、技能の修得だけではなくて、各学校において行われます、先ほどから話が出ております校内研修等の教師同士の学び合いなどを通じて、教師としてふさわしい資質、能力を身につけられるような協働的な学びを行うことなどが求められていると考えております。

 少し、文章にしてしまったらぼやけているかもしれませんけれども、きちっと言葉は入っています。

牧委員 そういったものが求められているということは分かりますけれども、求められているのに応じられないから法改正するんだというような雰囲気が私には伝わってまいりますので、そこはちょっと違うんじゃないかなというふうに思うんです。

 同じようなことの繰り返しになって恐縮ですけれども、私が言いたいことを御理解いただけますでしょうか。

 私は、今回は、すっきりとこの免許更新制を一回見直すところで、一旦、全体をもう一回見直そうじゃないかと。教員の養成、採用から研修、一体のものとして、中教審の答申もしっかり待って、また、現場の声も聞きながら、一旦この免許更新制を止めた後で、一体何が弊害が出てくるのか、あるいは出てこないのか、そういったこともきちっと検証する必要もあろうかと思いますし、発展的解消という言葉でここをさらっとまとめられちゃうと、ちょっとまた、更に今後もう一回見直さなきゃいけなかったりするような事態になっちゃうんじゃないかなという懸念をしているものですから、そのことを御理解いただきたかったんです。

 いろいろ理屈はあります。理屈をつければ、それは必要だということになりますけれども、自主的、自発的な研修ということと、今回のこの指導助言、そしてまた、これを記録をつけるというようなことが果たして相入れるものなのかということは、私は強く申し上げておきたいというふうに思います。それについては、もう結構ですから。

 ちょっと手続的なことにも、質問があったものですからお聞きしたいんですけれども、現職の教員の免許状については、新旧免許状共に、手続なしに期限の定めのないものになるということでよろしいんですよね。その上で、では、失効している新旧免許状、休眠している免許保持者で、現在教職に就いていない人が復帰を考えた際、再授与への回復措置が必要だと思うんですけれども、この手続はどんなふうになりましょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教員免許更新制が導入された以降、すなわち平成二十一年度以降でございますけれども、に授与された教員免許状、いわゆる新免許状でございます、は有効期間の定めのある免許状でございまして、これは現在は、現職の教師であるかどうかの区別なく、十年に一度、更新を行わなければ失効するということになっております。

 一方、制度導入前に授与された教員免許状、旧免許状でございますけれども、これは、有効期間の定めのない免許状ではありますけれども、現職の教師の場合は、十年に一度、更新しなければ失効するということになっておりました。一方、現職の教師でない場合は、その免許状はいわゆる休眠状態となり、更新講習を受講しなければ教壇に立つことはできないものの、免許状自体は現に有効なものというふうになっているところでございます。

 本法案において、七月一日現在で現に有効な教員免許状につきましては、新免許状、旧免許状いずれについても、手続を取ることなく、有効期間のない免許状といたしまして、更新講習の受講を必要とせずに教壇に立つことが可能となります。

 一方、本法律の施行日前に更新を行わなかったことにより教員免許状が失効した場合、こういった場合であっても、教員免許状の授与に必要な単位等の修得状況を証明することで都道府県教育委員会から再授与を受けることは可能であると考えております。

 教員免許法上、再授与を含む免許授与の申請に必要な書類は都道府県教育委員会が定めることとされており、免許状の取得に必要な単位の修得状況など、審査を行う上で必要な書類を求めているものと承知をしております。

 文部科学省といたしましては、各都道府県教育委員会において、法律の施行後、円滑に再授与が行われるよう、都道府県教育委員会とともに検討を進めてまいりたいと考えております。

牧委員 是非都道府県教育委員会と進めていただきたいのは、その再授与に際しての手続の簡素化ですね。これは教員不足を解消する上でも、そこは大事だと思いますので、是非よろしくお願いをいたしたいというふうに思います。

 それで、ちょっとまたしつこい質問で恐縮なんですけれども、この中教審の審議まとめ。審議まとめについては、先ほど与党の質問にも出てまいりましたけれども、「特定の教師が任命権者や服務監督権者・学校管理職等の期待する水準の研修を受けているとは到底認められない場合」という言葉が出てくるんですけれども、この「到底認められない場合」というのはどういう場合なのか、教えてください。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 校長等管理職が研修の受講についての指導助言を繰り返し行ったにもかかわらず、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合など、やむを得ない場合には、職務命令として研修を受講させる必要もあると考えております。

 こうした、到底認められない場合といったものにつきましてはガイドラインでお示しをしたいと考えておりまして、例えば、合理的な理由なく法定研修や教育委員会が定めた教員研修計画に基づき全教員を対象にした研修等に参加しない場合、あるいは、特段の支障がないにもかかわらず必要な校内研修に参加しない場合、あるいはまた、例えばICT活用指導力など特定分野の資質の向上に強い必要性が認められるにもかかわらず、管理職等が受講を促してもなお、相当期間にわたり合理的な理由なく研修を受講しない場合などをお示しをしたいと考えております。

牧委員 ちょっと改めて確認したいんですけれども、今の説明、分かるんですけれども、期待する水準以下という言葉がちょっと私はひっかかっております。

 今、現行の教特法で定められている研修の種類、これ、ざっと見ると、初任者研修、中堅教諭等資質向上研修、これは二十八年改正のやつですね、十年研、指導改善研修、それから長期研修、長期社会研修、それから大学院修学休業制度、それから条例、規則等に基づく研修、その他、職専免研修、それから自主研修とあります。

 これだけやってもなお期待される水準以下なんでしょうか。端的にお答えください。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたように、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合など、やむを得ない場合には、職務命令として研修を受講させる必要もあると考えておりますけれども、そのようなケースが多数存在するものではないというふうに考えているところでございます。

 今委員御指摘のように、今の制度の中でも様々な研修制度があるわけでございますけれども、やはり、どういった場合にそうした職務命令としての研修が必要なのかということにつきましては、個別具体の事例に即して管理職等が適切に判断をするということが必要であろうというふうに考えております。

牧委員 ちょっと質問と答えがかみ合っていなくて大変残念ですけれども。要は、法律改正しなくても、今の法律にある研修をしっかり受けてもらえれば一定の水準以下にはならないわけですよ。そこだけ私は申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、教職という仕事が本当に学生さんたちから見ても憧れの職になり、学校現場というのが本当にいい環境になるような、そんな建設的な政策をしっかり前に進めることを優先させていただくことをお願い申し上げて、時間が来ましたので質問を終わります。

 ありがとうございました。

義家委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

義家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。笠浩史君。

笠委員 お疲れさまです。立憲民主党、笠でございます。

 大臣、先ほど、午前中の最後に、同じ会派の牧委員の方と、発展的に今回解消するというような議論、私も実はこのことを一番、本当になぜ発展的な解消なのかということが非常にひっかかっていまして、いろいろともうその理由は伺いません、先ほどおっしゃっていたので。

 一言で言うと、もはや、当初の、制度を創設をした、あるいは教員の十年ごとの免許制度をスタートしたときのいろいろな思いというのは、我々は反対はいたしましたけれども、目的はあったかと思います。ただ、十年ごとということも含めて、スピード感、あるいは時代にもう見合っていない。そういったことで、今回、教員免許の更新制をまずは廃止する、しかしながら、加えて、やはり研修制度というものもまた不断に見直しながら充実をさせていかなければならないというような形で恐らく整理をされているんじゃないかなと思うんです。

 ですから、私は、例えば免許制度、免許更新制は廃止をし、そして研修を更にしっかりと充実をさせるんだという言い方をされた方が非常に分かりやすいと思うんです。その点について大臣にお伺いをしたいと思います。

末松国務大臣 笠先生にお答えを申し上げます。

 平成二十八年、教育公務員特例法の改正がありまして、全ての都道府県教育委員会において、教師の資質向上に関する指標というのに基づく教員の研修計画が策定されました。教師の資質、能力向上のために、体系的、計画的な研修が充実してきたと考えてはございます。

 その一方で、今先生もおっしゃいましたけれども、変化の激しい時代におきまして、これからの教師の学びの姿として、教師一人一人の置かれた状況に照らして適切な現状把握と具体的な目標設定を行った上で、個別最適な、協働的な学びが行われることが必要であると考えてございます。

 このため、過去に教師が何を学んできたかという情報を客観的に記録することを義務づけ、これを基に校長先生、校長等が、管理職が教師の資質向上に対して指導助言を行うという役割を明確にすることを目的として教育公務員特例法を改正するものでございます。

 これが、今先生おっしゃった、きれいに自分の思いを並べたものがこういう文章になってしまいます。

 これにより、全ての学校において個々の教師の強みや専門性が明らかとなって、教師自身が更に資質、能力を向上する基礎となるほか、学校管理職が、個々の教師の強みや専門性を生かした学校運営が可能となるものと考えております。

 私の考えというのはこういうことでございます。

笠委員 いや、大臣、私が聞いているのは、教員免許制は役割を終えたんですよ。研修の充実というのは、これは常にやっていかないといけない、時代に合わせて。別に今回限りじゃないです。それはもう既に地方の自治体なんかでも、教育委員会なんかでも、それぞれ頑張ってやっているところが多いです、はっきり言えば国より早く。そういった皆さん、もう現場を預かっているわけだから。

 だから、今回、わざわざ発展的な解消というふうにしたことが、何か、もう役割を終えたんだから教員免許制は終わりますよ、廃止しますよ、その上で研修制度を前へまた進めていく、充実をさせる、その手段として、やり方として今おっしゃったようなことがあるわけですよね、今回の法案の。そのところを私は指摘をしておきたいと思います。

 恐らく、同じことを聞いても、そうですねとはおっしゃらないんだろうから。まあ、大臣も多分思いは一緒だと思いますよ。こんな、中教審が発展的に解消なんということを言ってきたからなのか、文科省が入れ込んだのか、僕は分からないけれども、そのことだけは指摘を強くしておきたいと思います。

 それで、今回、免許更新制をどのように、じゃ、大臣としては総括をされているのかということで、教師の、つまりは更新制なり研修を受ける立場からの更新制自体の評価というものは、どういう成果が具体的にあったのか。大学の立場とかじゃないです、実際に更新制を受けてきた、あるいは更新制の下で様々な研修も含めて受けてきた教員の人たちがどういったプラスがあったのかということ。あるいは、残念ながら、多忙だとか、いろいろな費用がかかるとか、時間がかかるとか、そういったことに比べると、成果というものは非常に少なかったのか。その辺をどう総括をされているのかをお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 先生がおっしゃったように、経済的、時間的負担がかかったというお話もよく耳にすることでもございます。

 教員免許の更新制は、教師の資質、能力の向上を目的としまして、十年に一度、三十時間の講習を受講することで教員免許状を更新する仕組みとして整備されました。二年二か月前から授業を受けれると聞いてございます、講習を受けることができると聞いています。こうした仕組み、教師の学びの機会の拡大には寄与したと私は考えております。

 文部科学省では、昨年の四月から五月にかけて現職教師に対して実施したアンケート調査によりますと、受講した講習の内容については、満足、やや満足が過半数、五八%を占めている一方で、不満、やや不満は合わせて一六%という結果であり、更新講習自体は一定の評価をされていると考えております。また、受講した講習は最新の知識、技能を修得できる内容であったかどうかという質問に対しても、過半数、五三%が、そう思う、やや思うと回答をされています。

 受講した講習が現在の教育現場で役に立っていないと考えている教師がおられることや、教師自身の、先ほど申し上げた時間的、金銭的な負担感などから、制度に対する総合的な満足度は高くないものの、一九%ですから、こうした調査を踏まえれば、教員免許更新講習は、教師にとって重要な学びの機会としては、一応、一定の役割を果たしたものと認識はいたしてございます。

笠委員 大臣は今、いい方の数字だけおっしゃったんだけれども、やはり、今ちょうどそこは数字をおっしゃらなかったんだけれども、総合的な満足度というのは、満足三・七%、やや満足一五・四%、合わせても二割弱。そして、一番大事なのは、受講した講習が現在の教育現場で役立っているか。役立っている七・二%、やや役立っているが二六%。つまりは三割程度なんです。もちろんゼロじゃありません。

 そういう意味でいうと、若干、少しは役に立ったと言えるけれども、やはり今の時代に見合っていないということが、最後の、今私が申し上げた結果からも。今の時代に合っていなければ、今現場でそれが役に立っていなければ、何のために講習するんだということなので、そういうことを、皆さん、現場の声、あるいは中教審で議論された委員の方々、やはりそういう問題点が余りにも多いということで、今回、この免許更新制というものについてはここで終わりにしようということで、私は恐らく、先行してこの点を先に決着をつけたんじゃないかというふうに思うんです。

 その中で、令和三年一月の「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して」といういわゆる令和答申の中で、令和三年三月、中教審に諮問した事項の中で、一つに、教師に求められる資質、能力の再定義、二つ目に、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方、そして三つ目に、教員免許の在り方、教員免許更新制の抜本的な見直し、そして四つ目に、教員養成大学、学部、教職大学院の機能強化、高度化、そして五番目に、教師を支える環境整備、その五つの中から、まさに今審議をしているこの教員免許更新制の抜本的見直しだけを先行して、結論を出すことを求めてきたわけですよね。

 私は、ここに、早くこれを見直すこと自体は、私は反対ではありません、これを廃止することは。しかしながら、一番大事なことは、本来ならば、やはり教師を支える環境整備こそが最優先されるんじゃないか。やはりこのことがきちんと整備をされなければ、どんなに研修メニューを充実させようと思っても、研修すら行う時間が今足りないというのが私は現場の状況だと思っています。

 先般、参考人質疑の中でも紹介されましたけれども、文科省の勤務実態調査でも、一日に校内研修は小学校で十三分、中学校で六分、校務としての研修十三分、中学で十二分というような、学びたくても学べない、余裕がない、それが今の私は実態だと思うので、やはり、教師を支える環境の整備をもっとスピード感を持って行うべきではないかというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。

末松国務大臣 中教審で教員免許更新制の抜本的な見直しの方向性について、先行して審議をいただきました。先生、諮問についてはその五項目、おっしゃったとおりでございます。

 教師の学びの振り返りを支援する仕組みについて併せて議論して、実は、昨年十一月、審議のまとめにおいても、全国的な、これからお話が出ますけれども、研修履歴のシステム構築なども提言をされておるんですけれども、一番、おっしゃるとおり、新たな教師の学びの姿を実現する上で、勤務環境を整えることは当然のことでありまして、教師が教師でなければできないことに全力で投球できる環境を整備する必要がございます。

 引き続き、文科省としては、その先頭に立って、教育委員会や学校と連携して、働き方改革を強力に推進していきたいと思います。

 先ほど、牧先生のときにちょっとお話し申し上げたんですけれども、教師、朝早く行かれて、授業の準備もございます、昼の休み時間も、気にかかる子供、生徒さんに声をかけてやらなきゃいけない、チャイムが鳴ってトイレも行けない、お昼は給食指導する、掃除をする、十五時三十五分ぐらいまで全く時間が、空き時間がないといった実態でありますので、そういう点もいろいろと聞くにつけて、働き方改革、同時並行的にいろいろなことをやっていかなきゃならないという認識をいたしております。

笠委員 今の働き改革については、ちょっと後ほど、また改めて伺わせていただきたいと思いますけれども。

 今回のこの改正によって、いろいろ、るるおっしゃっておるんだけれども、現場の先生方とやはりお話をすると、また何か、もう今でもいろいろな研修システム、履歴なんかのことも、やっているところはやっているんですよ、自治体。多分、四分の三ぐらいの教育委員会はやっているんじゃないですかね、そういったことをもう言わずもがなで、しっかりともう既に。ただ、やはり、まだやれていないところもあるというのも実態なんで、それを全国しっかりと義務づけていこうというのはいいんですけれども、何か過度のまた負担が増えるんじゃないかということを非常に懸念されているんですね。

 今後はいろいろな形で、ガイドライン、指針で示されると思うんですけれども、大臣、ちょっとお伺い、これは事務方でもいいんだけれども、一つ確認したいのは、今回の改正で、教師はもちろんだけれども、校長、副校長、教頭などの負担がいろいろな意味で増えるのではないかという懸念もあります。

 特に、副校長、教頭は、週の勤務時間が最も長い職種であり、そして、この方々が最もやりがいを感じる職務については、文科省の調査でも、教職員の育成ということ、これが最もやりがいがあるんだということを、調査でも圧倒的に多いんですね。しかしながら、残念ながら、もっと一方で人材育成に時間をかけたい、いろいろな事務作業とかいろいろな膨大な作業に追われて、なかなか、人材育成に力を注ぎたいんだけれども、手が回っていないというケースが多いということを実態として承知をしております。

 そこで、恐らく、指導助言等々、校長等、こういった教頭さんや副校長さんも関わっていくんじゃないかと思うんですけれども、今既にもういろいろな対話も重ねながらやっているわけですよ。何か、新たにこれをやらなければならないということで負担になることというのは想定されていますか、それは大丈夫ですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正では、任命権者である教育委員会が研修等の記録を行うとともに、校長等の管理職が各教師と対話を行いながら、資質の向上に関して指導及び助言を行うこととしております。

 研修等の記録の具体的な方法等については、教育委員会が教員研修計画において必要な事項を定めることを想定しておりますが、その際には、過剰な負担が生じないように、地域の実情や研修の態様に応じて、様々な方法で記録することを考えているところでございます。

 また、校長等の管理職が行う指導助言等は、これは今でも学校現場で行われております期首面談や期末面談の際に実施することを想定しておりまして、新たに大きな負担が生じるものではないというふうに考えております。

 国としては、記録や指導助言自体が過剰な負担となることがないように、都道府県等の判断に資するよう、今後、研修等の記録や指導助言等の基本的な考え方をガイドラインで示してまいりたいと考えております。

笠委員 今局長おっしゃったけれども、先ほど申し上げたように、もう既に、例えば、私なんかも川崎であったりするわけですけれども、東京都もそうでしょう、恐らく、もうかなりのシステムで、きちっとそういった履歴あるいは管理システムってできています。だから、そこにまた加えて何かをやれとか、そういったことではやはり全くないんですよ、だからそれは安心してくださいと。発展的な解消みたいなことを言うから、何かまた負担が増えるのかなみたいなことで。

 あくまでそういうことではなくて、ただ、今回、国としても、教職員支援機構などが中心になって、もちろん学習コンテンツもそうだけれども、この研修に関わるコンテンツ等々についても、共通の履歴管理のシステムを開発するなどして、むしろバックアップしていく、支援をしていく、使い勝手をよくして、むしろ負担を少しでもなくしていくような方向でこれからやはりその指針を作っていくんだということを、是非、大臣、その点をお約束をしていただきたいと思います。

末松国務大臣 これからの教師の学びの姿として、教師一人一人の個性あるいは身につけている能力の状況が異なることに加えまして、組織の中でも果たすべき役割が異なることから、学ぶ内容や量もそれぞれに応じたものになるものと想定をしてございます。

 このため、一人一人の研修の量が増えるかどうかは一概には言えませんが、オンラインの研修のコンテンツの活用などを含めて、より合理的で効果的に資質向上が図られるように、文科省としても、指針やガイドラインの策定、研修環境の整備に取り組んでいきたいと思ってございます。

 また、教師の負担を軽減するとともに、必要な研修を適切なときに受けることを可能にするため、文科省においては、今申し上げた働き方改革は進めていきたいと思っております。

 先生の御意見、しっかり頭に置きたいと思います。

笠委員 それと、これもちょっと午前中確認されていましたけれども、私の方からも改めて確認をしておきたいんですけれども、先般の参考人質疑の中で、幾つかの懸念の中で、やはりこの研修等に関する記録の義務化ということが、これが管理、統制のためではなくて、しっかり教員自らが主体的、自律的に学びが続けられるようにすることを目的としているんだということ、それでいいのかどうか。

 それともう一点は、そのことに伴って、履歴、この記録を残すことと評価というものは、これは全く別であって、研修を受けたか受けないかが評価の対象になるものではないということで理解をしていいか。

 その二点をお答えください。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教師は、職務の遂行のために絶えず研究と修養に努めることとされているわけでございますが、その教師の研修については自主性が重要であることは言うまでもなく、このことは本法案によって変わるものではございません。

 それから、この度の研修の履歴の記録と人事評価の関係ということでございますけれども、今回の法改正により、教育委員会が行う研修等に関する記録は、校長等管理職が行うこととされる資質の向上に関する指導助言等の際に活用されるものであり、人事評価制度とはその趣旨、目的が異なるものでございます。

 教員の人事評価は、校長等の管理職が、日常の職務行動の観察を通じて得られた情報などを総合的に踏まえつつ、各教師が発揮した能力や上げた業績を期末面談等で確認した上で評価を実施するものでございます。

 研修等に関する記録自体や研修量の多寡そのものが人事評価に直接反映されるものではありませんが、研修を行った結果として各教師が発揮した能力や上げた業績については、これは人事評価の対象になるというふうに考えているところでございます。

笠委員 研修を受けた結果、それぞれの教師、教員が能力を磨き、また発揮をし、スキルをアップしていくということを評価することは、これは当然だと思いますけれども、研修自体を受けたのかどうなのかということが直接の評価につながるということではないということを今明確におっしゃったので、そのことはしっかりと受け止めておきたいというふうに思います。

 それと、今回の公立の小中学校、公立の教員に対する研修ですけれども、今教壇に実際に立っている中には、臨時的な任用教員の方々がかなりおられます。公立の小中学校で、常勤講師と呼ばれ、正規とほぼ同じ仕事内容をする臨時的な任用教員が、大体このところ七%強で、全体の七%台ぐらいで推移しているかと思います。それと、加えて、時給制の非常勤の講師というものも、恐らく一・五%程度かな。合わせて一割ぐらいの方々がそういった形の、非正規雇用という形で教壇に立たれ、また、子供たちと向き合っておられます。

 こういう方々に対する支援、法的には多分対象になっていないと思うんですけれども、その辺についてはどういうふうに考えておられるのか、その方針をお聞かせください。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 現職研修の更なる充実に向け、臨時的任用教員や、また非常勤というお話もございましたが、そうした方々につきましても、いわゆる正規教員に準ずる形で研修の充実が図られることは重要だと考えております。

 今回の改正では、教育委員会に義務づける研修等の記録の作成と資質の向上に関する指導助言等の対象として臨時的任用教員等は含まれておりませんけれども、そうした方々も、その職責を遂行するためには絶えず研究と修養に努めなければならないということには変わりがないことでございまして、正規教員と同様に、こうした方々も実質上、対象にしていくということは考えられるところでございます。

 その際、臨時的任用教員等が基本的に一年以内の任期を定めて任用されるものであることを踏まえ、研修等に関する記録に関し、正規教員と異なる取扱いとすることも含め弾力的に運用されるよう、基本的な考え方等をガイドラインで示してまいりたいと考えております。

 また、臨時的任用教員等の方々が組織的な学びの場である校内研修等に参加することはもちろん、教育センターで実施される様々な研修への参加を認めていくことなど、研修機会の確保に配慮するよう各教育委員会を指導してまいりたいと考えております。

笠委員 こういった方々も、本当に大事な、学校の中ではチームのメンバーの一員でございますし、子供たちと向き合う直接の立場で、これはもう本当に正規か非正規かという枠ではなくて、しっかりお一人お一人がやはり研修しながら自らを高めていくことができる環境だけはしっかりと目配りしながら、国としても支援をしていただきたいと思います。

 それともう一点、今回、私立と国立の教員は、これはまた対象になっていないということになるわけですけれども、教職員の支援機構等々が構築をしていく、例えば研修受講履歴管理のシステムであるとか研修コンテンツとか、現在も恐らくはそれは活用させていると思うんですけれども、そういったところを、私立、国立についても活用等々しっかりとしていくことができるということでいいのかどうか、その点をお答えいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 国立学校や私立学校につきましては、設置者が自主性を十分に発揮しながら、所属の教師の資質、能力の向上に努めていくことが原則でございます。

 一方で、これらの学校でも、中央教育審議会の審議まとめで示された、研修の奨励を受けながら主体的に学ぶことができる環境づくりを進めていくことは重要であると考えております。

 このため、文部科学省では、国立学校や私立学校の設置者に対して、公立学校での取組内容等を情報提供し、研修の充実が図られるよう取り組んでまいります。

 また、教職員支援機構が公開しているオンデマンド型の研修動画コンテンツの活用や、大学等が開設する質の高い優良な学習コンテンツ等の情報を提供するサイトの活用を促すとともに、教職員支援機構が実施する各種研修への私立学校教師の参加を促進してまいりたいと存じます。

笠委員 その点もよろしくお願いしたいと思います。

 大臣、それでは、ちょっと働き方改革の話に少し戻りたいんですけれども、とにかく忙し過ぎるということで、やはり、子供たちが笑顔で学んでいくためには先生方が元気じゃないといけないし、先生方がゆとりがなければ子供たちもゆとりはできません。

 そういった中で、本当にこの長時間労働、今に始まったことじゃなくて、これはずっともう常態化していると思うんです。どんどんどんどんやることが増えていくので、じゃ、何かをその代わりにスクラップしているかというと、決してそうじゃない。やることだけがやはり増えていっているというのがこの常態化の一つの原因だと思いますけれども、なぜここまで教師の長時間労働というのが、もう本当に、これは世界で見ても日本はワースト記録です、国際的な比較でも。そして、日本においてもどんどんどんどん厳しい状況が、これが続いているということ。

 大臣は、その要因として、どういったことが原因だというふうにお考えでしょうか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 先生もよく御承知のとおり、平成二十八年度の教員の勤務実態調査等を踏まえ推計しますと、時間外勤務につきましては、よく出ている数字です、小学校で月約五十九時間、中学校で月八十一時間程度であり、教師の厳しい勤務実態があることを認識をしております。

 また、文部科学省の調査結果では、時間外勤務は、平成三十年度以降、一定程度改善の傾向にある、一定程度です。学校における働き方改革の成果は着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続き取組を加速していく必要があると認識をいたしております。

 今の教師の多忙の要因としては、学習指導に加えて、特別な支援を要する児童生徒や外国人児童生徒の増加等の学校の抱える問題の複雑化、困難化が進んでいること、二つ目は、中学校、高校の部活動や、小学校の通学路の安全確保対策とか、また、保護者の、地域の学校に対する期待が高まっていること、かなり父兄の方々も御相談が多いのは事実でございます。結果として業務に積み上がり、それが長時間勤務という形で表れている実態があると思っております。

 教師は、生徒が帰った後の安全点検もやらなきゃならない、修学旅行の見積りも取らなきゃならない、いっぱい仕事があることは私なりには承知をいたしてございますけれども、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境整備に努めていきたいと思います。

笠委員 今大臣がおっしゃったこと、いろいろなものが今、そのとおりだとは思います。

 どうしても、私も多くの教員の方々とおつき合いがありますけれども、やはり皆さん、とにかく一生懸命な先生ほど、どうしても長時間労働になってしまうんですね。やはり手を抜くことができないわけですよ。頑張って、そして使命感を持って、一生懸命に頑張られるから、例えば、学校から帰った後、自宅に帰ってからもまた授業の準備などをされる。

 しかし、一方でいうと、今、過労死であったり、あるいは精神的な、うつ病など疾患のために休職したり、あるいは辞めたりというような方々の数がどんどん増えていっているんですね。非常に高止まりしている。

 ですから、そういったことを考えると、何かやはりきちっとした形でこの勤務時間というものを管理していくということも、私は非常に大事じゃないかというふうに思っております。

 そして、やはり、特に教師の働き方というのは、時間管理なき長時間労働とも言われているわけですけれども、一つには、残業を含む勤務時間が管理されていない。そして、二つには、先ほど来大臣がおっしゃったように、休憩時間が、これが確保されていない。

 本当に、私も、この調査の、先ほどおっしゃった二十八年実態調査ですか、その中でも、小学校の教師の一日の平均休憩時間、大臣、何分かお分かりですよね。六分、平均。中学校で八分、一日のですよ。先ほど大臣、なかなかトイレにも行けない、膀胱炎の方も多いらしいです、本当に。あるいは睡眠不足、そういったことが文科省の調査からも明らかになっている。

 であるならば、やはりこれはもうそのまま放っておけないわけだから、そして、さらには、先ほど申し上げたように、仕事の持ち帰り、これ、皆さん、どれだけ持ち帰って、時間、働きましたかなんて、そのままを申告する人っていないですよ。そういうことを考えると、先ほど牧委員のときに、最後に質問ありましたけれども、やはり給特法の存在、これも非常に大きな私は要因だと思っています。

 ですから、大臣、是非、この給特法をやはり抜本的に見直す、廃止も含めて。それをやはりやらないと、なかなかこれは実態として変えていくことができないんじゃないか。これも大きな要因ではないかということについて、大臣がどうお考えなのかをちょっと伺いたいと思います。

末松国務大臣 もう昭和四十年代の法律でございます。

 公立学校の教師の処遇を規定している現在の給特法の仕組みでは、教師の職務は自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きく、どこまでが職務であるのか切り分け難いという特殊性を踏まえまして、時間外勤務手当を支給しない代わりに、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして今の教職調整額を支給をしております。

 こうした給特法の制度の下で、自発的な勤務は勤務時間管理の対象とならないという認識が生じていることなどが、学校における勤務時間管理の必要性の認識を希薄化させ、その結果、時間外勤務の縮減に向けた取組がなかなか進まなかった点も承知をしております。

 文科省として、学校における働き方改革を進めつつ、本年度に実施予定の勤務実態調査の結果を踏まえて、給特法の法制的な枠組みを含めて検討させていただきます。

笠委員 大臣、遅いと思う、それじゃ。これ、勤務実態調査、傾向は変わらないですって。

 先ほど、確かに、今文科省の方でも、二〇二〇年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査、若干の改善はしていますよ。しかし、令和二年に指針で上限を決めましたよね。一か月の時間外の在校等時間というのが四十五時間以内、一年間で三百六十時間以内ということで上限を決めたけれども、小学校で四七・三%、中学校で五七・七%がこの四十五時間を超えているというのが今の実態です、まだ。

 だから、まだまだそれが、一気に改善されるということよりも、恐らくは、常態化しているこの長時間労働の傾向というのは、今度の調査でも私は変わらないと思いますよ、若干改善されたとしても。

 だったら、もう待てないわけです。それを前提に、この給特法の見直しというのは、この調査と関係ないですよ。最終的に数字をどうするかというのは、そのときの残業時間等々を参考にしなければならないけれども、もうその一歩前で私は検討を始めるべきだと思っています。

 そこで、お伺いをしたいんですけれども、教職員給与特措法、この第一条の中に、この法律は、公立の義務教育諸学校等の教育職員の職務と勤務態様の特殊性に基づき、この給与その他の勤務条件について特例を定めるものと記されております。ここで言う教育職員の職務と勤務態様の特殊性とは、具体的にはどういうことを指すのか、お答えください。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の給特法第一条に言う教師の職務の特殊性とは、子供の人格の完成を目指す教育を職務とする教師が有している、極めて複雑困難、高度な問題を取り扱い、専門的な知識、技能を必要とされるなどの職務の特殊性のことを指すものと承知しております。

 より具体的には、教師の勤務態様の特殊性とは、通常の授業の学校内で行われるもののほか、修学旅行等の学校行事や家庭訪問など学校外で行われるものがあることや、夏休みのように長期の学校休業期間があることなど、一般の公務員とは異なる勤務態様の特殊性のことを指すものというふうに承知しております。

笠委員 今の特殊性、職務としての特殊性、そして勤務様態の特殊性、これが勤務時間管理になじまないということで、おっしゃったように、労働基準法上の時間外労働が適用されていないわけです。

 やはり、こういった、本当に全く他の職業とは違った形で特別に扱われるべき専門職として位置づけられていることが、この制度が始まったときには一定の意義があったこととは思いますけれども、やはり半世紀ですからね、大臣さっきおっしゃったように、どれだけこの間に環境が変わってきているのか。まさに今、僅か月給の四%で、この教職調整額が、あとは残業させ放題ですよね、働かせ放題という、それがずっと野放しにされてきた。

 やはり、そのことは我々も含めて反省して、きちっとこれは急ぎ、やはり見直していかなければならないと思いますけれども、当時、教職調整額が月給の四%とした根拠は何なのか。そして、それがどうしてこの半世紀の間、例えば四%という数字が見直されることがなかったのか。その点をお答えいただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 教職調整額の四%という支給率は、昭和四十一年度に行った教師の勤務状況調査の結果、年間の月平均残業時間が八時間程度となっており、この八時間分の時間外勤務手当の額が給料の四%に相当するということを考慮して決められたものでございます。

 一方、それがなぜ見直されなかったかということでございますが、昭和四十一年度から平成十八年度までは、服務監督権者である教育委員会が具体の勤務実態を適切に把握すべきという考え方から、そこまで文科省として調査をしてこなかったというのも事実でございます。

 そうした実態把握ということもやはり踏まえた議論が必要であるというようなことから、これまでこういう状況になっているものと承知しております。

笠委員 局長、二〇〇六年までやらなかったと。今言われている二〇一六年の前が、ちょうど十年前、この二〇〇六年調査というのが、本当に、四十年ぶりに行われた調査だったんだけれども、そのときにも、もう既に、持ち帰りの残業を含まず、たしか、多分、四十二時間ぐらいの残業、月のですね。

 一九六六年、昭和四十一年当時、月に八時間であったものが、これが四十年たって、四十二時間というようなところまで残業が増えて、それから更に増えていっているわけですけれども、例えば、これは二〇一六年の教員勤務実態調査の平均残業時間に基づいて換算をすると何%程度になるのか。仮に、給与法を廃止して、残業代を支払うようにした場合に、どれくらいの費用がかかるのかというようなことについてのもし試算があるのであれば、御紹介ください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 まず、前提といたしまして、教師の時間外勤務の給与上の評価につきましては、先ほど来答弁がなされておりますように、公立学校の教師は、どこまでが職務であるのか切り分け難いという教師の職務の特殊性等から、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整額が支給されていること、時間外の業務については、超過勤務命令に基づくものと、自主的、自発的なものが混在していることなどから、現状の勤務実態をもって直ちに教師の時間外勤務の給与上の評価を行うことは困難であるんですが、そうした上で申し上げれば、過去の中教審において、当時の担当課長が、必ずしも正確な数字ではないとした上で、平成二十八年度の勤務実態調査の結果等を基に推計すると、小学校は三〇%程度、中学校は四〇%程度が、要するに相当する割合、四%に対応した割合ですね、それが、小学校三〇%、中学校四〇%と回答したことはございます。

 これを所要額としてどのぐらいになるのかというお尋ねでございますが、現状の勤務実態をもって直ちに教師の時間外勤務の給与上の評価を行うことは困難であるというのは先ほど申し上げたとおりでございますが、これを、必ずしも正確な数字ではないとした上で、当時の担当課長が中教審で申し上げた数字でいいますと、平成二十八年度の勤務実態調査の結果等を基に推計すると、三分の一国庫負担ベースで三千億円、三倍すると、九千億円を超える金額が必要ということを回答したことがございます。

笠委員 全体として九千億円、あるいは、別の方が試算したところで、一兆円を少し超えるんじゃないか。それは、実際やれば、いろいろなあれですけれども、一兆円前後のやはり予算が必要になってくる。そして、国としては三分の一だけれども、都道府県の、この県費負担という部分にも影響が出てくるので、これは確かに大きな見直しにはなると思います。

 ただ、やはり、大臣、先ほど令和四年度の、今度、勤務実態状況調査を八月と十一と十二でしたかね、やりますよね、今年度。来年の恐らくゴールデンウィークぐらいにその速報値が出て、そして、令和五年度末ですから、再来年の三月ぐらいですか、だから、令和五年度末に、来年度末に、この分析等々も含めた最終結果が恐らく報告をされる、公表されるということで、これを受けてやろうということを、今、所要の措置を、今のような問題も含めて検討していくということなんだけれども、大臣、でも、この給特法、もう半世紀以上ですから、これを抜本的にやはり見直していく。

 この数値結果を受けて、最終的にどうするのか。先ほどあったような三〇%とか四〇%に置き換えていくのか、あるいは、残業代という形で、どういうふうな形で支払っていくのか、それはいろいろな考え方があると思います。ただ、少なくともこれは抜本的に見直していくという方向性は、大臣、是非政治的に出していただけませんか。

末松国務大臣 先生から今御意見をいただきました。

 平成十八年度の教員勤務実態調査以降、文部科学省においては、ちょっと話が戻るような感じはしますけれども、いじめ問題や特別支援教育であるとか、学校運営体制の強化など、子供と向き合う時間を確保するための教職員定数の改善であるとか、二つ目、退職職員とか経験豊かな社会人等の外部人材の配置支援であるとか、それと、コミュニティースクールの設置促進とかいった地域住民による学校支援活動の支援など、学校の組織体制を強化する取組を進めてまいりました。

 しかしながら、学校の抱える課題の複雑化、困難化、保護者の、地域の高まりの中で、平成二十八年度に実施をしました教員勤務実態調査においては、教師の厳しい勤務の実態が改めて明らかになったことを踏まえまして、学校における働き方改革を進めるために、令和元年に給特法一部改正をいたしたところでございます。

 この法改正に関する国会審議において、衆参両院によりまして、先生も御承知のとおり、三年後を目途に、めどに教職員の勤務実態調査を行う旨の附帯決議がなされて、文部科学省としては、教育委員会や学校と連携しながら、学校における働き方改革を集中的に進めてきたところでございます。

 現在、小学校における三十五人学級の計画的な整備であるとか、高学年における教科担任制の推進の教職員定数の改善であるとか、教員業務支援員を始めとする支援スタッフの充実であるとか、様々な施策も講じておりますので、全力で環境整備には取り組んでまいりたいと思います。

 ただ、先生の今話がございました件につきましては、しっかり、重く頭の中に入れさせていただきたいと思います。そこは、いろいろな数字もございますけれども。

笠委員 大臣、少人数学級、やらないといけない、これだって、でも、中学三年生まで終わるのに何年かかるんですかという話なんです。一気に、私もよく経験しているから、本当はもっと教職員を増やしたい、定数改善したいけれども、それは遅々として、なかなか財務省相手に進んでいくことができないという現実がある。教育予算を思い切って増やしていけるのかというと、その点もいろいろな壁はある。

 しかし、やはり、もう待ったなしで、特に今、今の先生たち、教師の皆さんの待遇もそうだけれども、実態を、環境を改善することもそうだけれども、教員になりたいという人たちがどんどん減っていっているわけじゃないですか。やはり、魅力ある仕事にしなければ、ブラック職場みたいな形であれしたら、若い人たち、本当にこれからも、教員になって子供たちのために頑張っていこうという人たちが夢を持てるような、そういった環境をつくるためには、大臣、本当にいろいろなことを、いいんです、最終的に決めるのは調査が出た後でも。また、調査が出てから慌てていろいろなことをやっても時間がかかるので、こういった準備は先行して進めていくことはできるので、議論は。

 是非大臣にはそういった点でのリーダーシップを、政治的なリーダーシップを発揮をしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

義家委員長 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会の早坂敦でございます。

 本日も質問の機会をいただき、感謝を申し上げます。

 質問の一部に重複する部分があるので、御配慮のほど、よろしくお願い申し上げます。

 初めに、新たな研修制度における資質の向上に関する情報提供や指導助言についてお伺いします。

 新たな研修制度では、指導助言者は、校長及び教員からの相談対応、資質の向上の機会に関する情報提供、また、資質の向上に関する指導助言とありますが、教員と校長が対話によって、どのような資質の向上に関する情報提供や指導助言を行うことを想定しておりますか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正では、教師の職責や経験、適性に応じた資質の向上が図られるよう、教師からの相談に応じること、研修等の情報を提供すること、資質の向上に関して指導及び助言を行うことを教育委員会に義務づけることとしております。

 具体的には、校長等の管理職が、教育委員会の指揮監督の下、期首面談や期末面談の機会を通じて、教師から自身のキャリアプランを踏まえて受講したい研修の内容について相談を受けるということが考えられます。また、教員育成指標や教員研修計画を踏まえつつ、教師自身の過去の研修等の記録を活用して、今後能力を伸長させる必要がある分野などの研修の受講について情報提供や指導助言を行うということになります。

 この指導助言等の方法については教育委員会が定める計画に基づき行うこととしており、文部科学省においては、教員研修計画に定めるべき内容を指針やガイドラインで示してまいりたいと考えております。

早坂委員 ありがとうございます。

 教員免許更新制が導入されて以来、幾度と見直し、そして取組が行われてきましたが、その多くが教員の負担増やミスマッチを解消するためでした。現在、教員の研修環境も大きく変化し、オンラインによる研修コンテンツも充実していると聞きます。当然、指導助言、情報提供など、オンラインも可能だと思いますが、オンラインでの指導助言などは認められるのでしょうか。また、今回、研修記録の作成や資質の向上に関する対面での指導助言などの導入により、校長など学校管理者や教育委員会の多忙化は解消されぬのではないでしょうか。伺います。

藤原政府参考人 新型コロナへの対応も契機として、教員研修においてもオンラインの活用が急速に広まっており、その一層の充実が重要な課題だというふうに考えております。

 オンラインの活用により、地理的、時間的な制約を超えて機動的に研修を実施することが可能となっており、例えば研修センター等の研修実施場所への移動時間がなくなるなど、多忙化の解消にも資するものというふうに考えております。

 現在、教職員支援機構においては、各学校の校内研修などに活用できるよう、約百七十の研修動画コンテンツを作成、公開をしておりまして、この拡充を更に図ってまいりたいと考えております。

 また、今後は更に取組を進め、教職員支援機構における基礎的な知識、技能を身につけるための標準的な動画コンテンツの開発や、誰もが利用できる研修コンテンツを一元的に収集、整理、提供するプラットフォームの構築などを通じ、オンラインも含めた質の高い豊富な学習コンテンツを提供するなど、研修環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

 今お話のありましたオンラインで指導助言を行うという話でございますが、管理職等と学校の先生方であれば、まず通常は学校の中で行いますので、対面で行うのが基本かなというふうには思いますけれども、様々な形ももちろん可能であろうと考えております。

 また、校長の多忙化といったお話もありましたけれども、今回の制度改正によって過剰な負担が生じることのないように、しっかりと、その点につきましては、今後、ガイドライン等で示してまいりたいと考えております。

早坂委員 ありがとうございます。

 やはり、オンラインが今、活用をもっともっとしていただきたいという思いです。それはなぜかというと、やはり、先生たちの大変仕事の量が多い、そして、先ほど委員が話しておりましたが、寝る時間や休み時間がないというので、しっかりとそこら辺は取り組んでいただきたいと思います。

 次、教員免許更新制の発展的解消における資質向上の具体策について伺いますが、まず初めに、教員免許更新制は、国公私立の設置者の別を問わず、教員であれば対象になっています。今回の新たな研修制度では公立学校の教員のみが対象となっていますが、この質問は、先ほど、さきの委員に答弁いただきましたので、これはちょっと飛ばさせていただいて、次の質問に行きたいと思います。

 先日、私、宮城県出身なんですけれども、宮城県の仙台市の公立小学校の教諭が、大声でどなったり、黒板を蹴ったりするなど、不適切な指導が問題になりました。市教委の対応の遅れもあり、児童の心に負った傷は大変大きかったと思います。

 今回の仙台の事例では、不適切な指導が長期間放置されていました。不適切な指導をした教諭本人も問題がありますが、校長始め周りの教員が気づかなかったんでしょうか。個人の問題というより、組織の問題、ガバナンスの問題であると思います。果たして新たな研修制度で資質の向上が図られるのか、疑問で残ります。

 具体的にどのような資質の向上が図られるか、考えておりますか。伺います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、校長等の管理職と教師が過去の研修等の記録を活用しつつ対話を行い、教師から校長等へ相談したり、校長等より教師へ情報提供や指導助言を行うこととしております。

 その際、校長等が、日常の職務行動の観察を通じて得られた情報を総合的に踏まえつつ、期首面談、期末面談の場を活用するなどして、学級運営や生徒指導も含め、指導に課題が見られる場合には、当該教師に対して、向上させるべき力やそのための研修受講について指導助言していくことが考えられます。

 また、各学校において、校長のリーダーシップの下、児童生徒の問題行動への対応なども含め、当該学校が抱える課題に対応して、教師間の協働的、組織的な学びである校内研修を活性化させていくことは重要だと考えており、学校組織全体での学びを通じて学校としての組織力を高めることにより適切な学校運営が実現できるよう、教育委員会を指導してまいりたいと考えております。

早坂委員 本当に、教諭の厳しい指導を見た複数の生徒が、児童が別室登校にもなっていたと、大変問題でありますので、しっかりと地方自治体にも国の方から指導をお願いしたいと思います。

 そこで、次に、主体性を有しない教員への対応、教育現場におけるコンプライアンスについてお伺いしたいと思います。

 必ずしも主体性を有しない教員について、職務命令を通じて研修を受講させることや、地方公務員法上、懲戒処分の対象になることも想定されますが、研修の受講と指導力の向上について、必ずしも結びつくものではないと考えます。

 著しく主体性を有しない教員や何度も職務命令に従わない教員について、どのような処分が想定されるんでしょうか。伺います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 校長等管理職が研修の受講についての指導助言を繰り返し行ったにもかかわらず、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合など、やむを得ない場合には、御指摘いただきましたように、職務命令として研修を受講させる必要があるというふうに考えております。そして、もちろん、職務命令に違反した場合には、厳正な措置を講じることも、個々のケースによってはあり得るということでございます。

 また、指導が不適切な教員につきましては、各教育委員会において、教育公務員特例法の規定に従い、指導が不適切な教員の認定、指導改善研修等の仕組みが運用されているところでございまして、このような仕組みの運用を始めた平成十二年度以降、指導が不適切な教員として認定された教員の数は延べ約四千七百人となっております。

 加えて、指導改善研修等も含め、必要な措置が講じられたとしても、なお児童生徒に対する指導が適切に行うことができないと認められる場合には、地教行法に基づき、教員以外の地方公務員の職として転任させることも可能というふうになっております。

 こうしたことは多く想定されるものではないと考えておりまして、文部科学省としては、まず教師に資質、能力向上のための研修の受講を促し、学校現場で活躍できるようにすることが重要であるというふうに考えております。

 様々な対応を重ねた上で、更に指導改善研修を終了した後でも、なお引き続き指導が不適切であると認定された教員については、今言った教員以外の職に転任させることも含めた人事管理上の措置を講じることなどについて、各教育委員会に対して適切な対応を求めることが必要というふうに考えております。

早坂委員 やはり、何度も何度も同じことを、事件を起こす先生たちはいるかもしれません。だから、そこをしっかりと、やはり、校長先生だったりほかの教員が本当に真剣に取り組んでいってもらいたい、そういう思いでございます。

 そして、仙台市教育委員会では、このようなコンプライアンスに関する資料を作成し、研修も行われておりますが、こういったコンプライアンスに関する研修は、全国の自治体で自主的に行っているんでしょうか。これは国からの指導なんでしょうか。教育現場のコンプライアンスの問題について、今後、国としてはどういう指導をしますか。大臣、お願いします。

末松国務大臣 早坂先生にお答え申し上げます。

 教職員が児童生徒の規範たる立場にあることに鑑みましたら、教員自身が法令に違反する行為を行うことはあってはならないことでございます。

 このため、文部科学省では、これまであらゆる機会を捉えまして、服務規律の確保を図るよう指導を行ってきたところであり、教育委員会でも様々な形でコンプライアンス研修が実施をされております。

 懲戒処分の件数は、令和二年度において全国で七百件程度発生しているところであり、更なる取組の徹底は必要と認識をしてございます。

 このため、文部科学省では、毎年度、各教育委員会に対して教育職員の懲戒処分等の状況調査を行いまして、その結果を公表するとともに、服務規律確保に係る通知の発出、各教育委員会の管理主事を対象とする研修会等を行いまして、十分な注意喚起を行うよう指導しておるところであります。

 教員の不祥事は、公教育への信頼を失墜させる行為です。文部科学省としては、引き続き、教員の法令遵守やコンプライアンスの意識の向上について、先生御指摘のとおり、あらゆる機会を捉えて指導を徹底してまいりたいと思います。

早坂委員 ありがとうございます。

 このコンプラ研修資料が悪いと言っているわけじゃなくて、やはり、こういうものは今の現代社会で、企業でも学校でもこういうものを作って、もう今の時代は必要なのかなというものでありますので、国の方から、作るように、是非とも進めていってもらえるようお願い申し上げます。

 もう一点、次に、今月、これはまた仙台市内の市立小学校で、ちょっと、児童がいじめを受けて不登校になったとされる問題があるんです。仙台市教委の対応に様々な指摘が相次ぎました。問題は、いじめ防止対策推進法の重大事態とする目安の一つとして三十日間の欠席を掲げていますが、その認定に時間を要することがあったということでした。三十日という長い時間、被害を受けた子供はどんな気持ちで過ごしていたでしょうか。

 この三十日という期間は適切なのでしょうか。もっと迅速に対応できるよう、法案を改正すべきではないでしょうか。

 教員の資質向上も大変大切なことです。同時に、いじめ対策の問題も進めてほしいという意見を多くいただいております。そこで、大臣、御見解をお願いいたします。

末松国務大臣 先生のおっしゃるとおりでございまして、いじめによりまして相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている、そういう疑いがある場合に、いわゆるいじめ不登校重大事態につきましては、いじめ防止対策推進法ではなく、いじめの防止等のための基本的な方針において、欠席日数が年間三十日であることを目安として示しております、これは。

 一方で、この基本方針においては、児童生徒が一定期間、連続して欠席しているような場合には、年間三十日という目安にかかわらず、学校、教育委員会等の判断で、迅速に調査に着手する必要があるともお示しをしております。

 いじめの重大事態につきましては、その疑いが生じた時点で対応することが重要です。個別の事案につきましては見解を差し控えたいと思いますが、文部科学省としては、引き続き、いじめ防止対策推進法や基本方針に基づいた適切な対応がなされるよう周知徹底を図るとともに、各教育委員会や学校現場の取組を支援していきたいと思います。

早坂委員 ありがとうございます。

 是非改正をしてほしいという思いと、実は、この認定に、仙台市のいじめの問題は三か月かかったんです。大変時間がかかって、三か月間、もしかして学校に行っていないのかもしれません。是非とも、国でもそうやってしっかりと地方自治体に、しっかりと法律で決めてほしいということです。

 そして、今のいじめの問題は、昔と違い、現代のいじめ、大人がちょっと想像がつかないほど陰険で、そして陰湿で、残酷であります。そして巧妙であります。前回、我が会派の岬委員がSNSの誹謗中傷で言っていましたけれども、だんだんいじめの、そういう体質が変わってきていますので、次、今度質問をさせていただきたいときは、このいじめの問題を是非やらせていただきたいと思いますが。

 本当に、先生の資質の向上、上げてもらって、小学生の子供たちが先生になりたいと。今、一番はユーチューバーですから。ずっと、先生というのはやはりリスペクトされるものです。厳しくもあり、そして優しくもあり、僕も、先生に叱られる方が多かったですが、しっかりと道徳と礼節を教えてもらって、強い心をつくらせていただきましたので、是非ともお願いしたいと思います。

 そして、質問を終わります。ありがとうございます。

義家委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 早坂議員に続きまして、質問をさせていただきます。

 本日は、教員免許法等の改正案について午前中から質疑が続いております。様々な質問が先生方から寄せられていますが、本日、午前中に、ヤンキー先生という大変懐かしい言葉が出てまいりまして、改めて、義家委員長の豊かな経験と知見をお持ちの中で、いま一度思い出したことがあります。

 恩師から、あなたは私の夢だからという言葉がありました、教育の道を歩もうと決意をされたというエピソードがございます。改めて、教員のすばらしさ、そして重要性を物語るエピソードではないかと思い、このお話をさせていただきました。その気持ちを忘れることなく、教員の重要性を感じながら質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、教員免許更新制度の廃止ということなんですけれども、講習の負担の軽減ですとか内容の充実などを図る、そして、オンラインでの受講を拡充するですとか費用を公費負担にするなど、いろいろな工夫で存続させることはできなかったのかなと少し残念にも思っております。また、更新講習が教育現場に役立ったという意見も約三割はございますので、必ずしも負の側面ばかりではなく、プラスの面もあったのではないかと思っております。

 さて、平成二十一年の教員免許更新制度の導入の背景には何があったのかと、いま一度復習をしてみました。教員の質の向上と併せまして、学校不信の払拭もあったかと思います。

 そこで、大臣にまずは質問をさせていただきます。

 この教員免許更新制度というものは、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ていく制度とうたっていらっしゃいます。まさに教員としての基本的また普遍的なものかと思いますが、この目的は達成できたのでしょうか。それとも、達成できなかったのでしょうか。達成できなかったから、今回、制度を変えていくのでしょうか。そのような疑問が湧いてまいります。

 影響を総括的な視点でどのように分析をされているのか、また、現状の認識を大臣に伺います。お願いいたします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 教員免許更新制、これは、資質、能力の向上を目的として、十年に一度、三十時間の講習を受講することで教員免許状を更新する仕組みとして整備をされました。先生のお話のとおりです。こうした仕組みというのは、教師の学びの機会の拡大には寄与したと考えてございます。

 具体的には、文部科学省で昨年の四月から五月にかけまして現職教師に対して実施しましたアンケート調査によりますと、受講した講座内容について、満足、やや満足が過半数、五八%を占めている一方で、不満、やや不満は合わせて一六%という結果であり、講習自体は一定度評価されていたものと考えております。ほかにもいろいろな調査もあったようでございますが。

 また、受講した講習は最新の知識、技能を修得できる内容であったかどうかということについての質問につきましても、過半数、五三%は、そう思う、やや思うという回答をいただいております。

 加えて、中央教育審議会におけるヒアリングにおきましても、校長会から、校長会の関係者の方からですけれども、更新講習が教師自らの指導に新たな視点を加える機会になっているということ、そして、改訂が行われた学習指導要領についても、講習の中にその内容が組み込まれているということなどの意義がありまして、教員免許更新制の趣旨である最新の知識、技能の修得には一定度の効果があったという意見が聞かれました。

 こうしたことを踏まえれば、教員免許更新制は、教師が定期的に最新の知識、技能を身につけて、その時々で必要な資質、能力を保持する上で意義があったものと考えておりまして、その結果として、教員が自信と誇りを持って教壇に立って社会の尊厳と信頼を得るとの制度の目的については、一定度の寄与をしたものと考えておるところであります。

岬委員 大臣、ありがとうございます。

 私も共感をしたいところではございますが、とはいっても、教員不足、大量採用されました団塊世代は退職という時代がやってまいりました。若返った職場ですと、今度は産休ですとか育児ということで退職をされる方もいらっしゃいます。慢性的な教員不足に陥ってしまったこと、また、様々な精神的な不安定さ、また多忙な状況から心を病んでしまって、お仕事に就けないという状況などございます。そういったことを踏まえまして、志願者が減少しているという背景もございます。

 教員は、その忙しさから、今やブラック職場と言われております。さきの答弁にもありましたけれども、二〇年度の採用の教員試験、公立小学校では倍率が過去最低でございます。二・七倍ということで、憧れ、そして、なりたい職業からはだんだん遠のいてしまっているのかなと、残念な現実が突きつけられております。

 午前中にも末松大臣は、子供の頃、一年生から四年生の間に人生の善悪の基本を先生から教えられた、今であってもその人生の指針が大きく影響している、そんなエピソードも教えてくださいました。子供にとって、人生を導く、そして人生を左右していくのが教職の皆様ではないかと思っております。

 とはいっても、教員の皆様が大変忙し過ぎて、時間が取れない、さらに気力も薄らいでいく、体力にも限界がある、そういったところで、どのようにしたら教員の疲弊を改善して、また、よりよい授業ができるのでしょうか。その辺りに、大変私、疑問を持っております。

 小学校では、令和三年度から五年かけて、さらに、四十人の学級から三十五人学級に移行します。ここでもさらに、教員不足が深刻でございます。一万三千人超えの教員が必要になると言われております。

 さて、皆さん、どうしたらこの教員不足を止められると思いますか。教員の負担を減らし、また労働環境の見直し、さらに待遇の改善も本腰を入れなくてはいけないのではないかと思っております。

 そこで、令和二年度に免許更新制高度化のための調査研究事業の結果が発表されております。そうしますと、教師の皆さんが、転職における問題点を挙げていただいたところ、教員の忙しさに不安がある、五八・八%、そして教員の処遇がよくないというのに四一・三%が挙がっています。つまり、免許更新の問題点ではないようなんですが、この辺り、どのように思っていらっしゃるんでしょうか。

 また、令和元年の給特法の改正によりまして、上限ガイドラインを法的根拠のある指針へと格上げもされました。

 昨年十二月に文科省から、令和三年度の教育委員会における学校の働き方改革のための組織状況調査の結果も発表されました。これは、実際には、改善傾向は微増であるという見解を示されていますが、先ほど申し上げたように、どうしたら教員不足に歯止めができるのでしょうか。また、具体的な効果はどのようにあったと文科省としてはお考えでしょうか。教えてください。

伯井政府参考人 令和元年度の給特法改正における効果についてお答えをさせていただきます。

 文部科学省におきましては、教師の負担軽減を図るため、令和元年の給特法改正によりまして、教師の勤務時間の上限等を定める指針を御指摘いただきましたように策定するとともに、教職員定数改善、教育業務支援員を始めとする支援スタッフの配置促進など、学校における働き方改革を集中的に進めてきたところでございます。

 そしてまた、これも御指摘いただいた令和三年度の働き方改革のための取組状況調査結果では、時間外勤務が月四十五時間以下の教職員の割合は、令和元年度と比較して、小学校において四八%から六四%に約一六ポイント増加、中学校は三四%から四七%に約一三ポイント増加、さらに、ICカード、タイムカード等を活用した客観的な方法による勤務実態把握を実施している自治体の割合は、都道府県・政令指定都市では一〇〇%になるとともに、市区町村においては令和元年度の四七から八六%に増加しているなど、成果は着実に表れています。

 しかしながら、これで十分とは当然言えないわけでございまして、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続き、先ほど言った教員の勤務環境の改善あるいは働き方改革の更なる推進、これはDXも含めましてですね、取組を更に進めていく必要があるというふうに考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、長時間勤務ですとか多忙過ぎる業務ということが問題になっているわけです。実際に、二〇二一年十月二日の朝日新聞の朝刊によりまして、こちら、さいたま地裁の判決が出ております。このときは棄却ではございましたけれども、裁判長から、給特法がもはや教育現場の実情に適合していないのではないかと指摘がありました。また、給与体系の見直しなどを早急に進め、教育現場の勤務環境の改善が図られることを切に望むとも述べられています。

 そのとき、昨年十月四日には、萩生田大臣ですけれども、司法から改善を求められたこと、重く受け止めたいと述べられました。

 そこで、大臣に質問でございます。

 この給特法の四%、実態にはそぐわないまま放置されてきたという現実がございます。もはや教育現場での実情に適合していないということは認識されていると思いますけれども、末松大臣、受け止めはいかがでしょうか。

 また、令和元年の改正の具体的な効果をお聞きしたいと思っております。十分に反映されていたのでしょうか。教育現場に反映できていたのか、その辺りも含めてお願いいたします。

末松国務大臣 岬先生にお答え申し上げます。

 公立学校の教師の処遇を規定をしております現在の給特法の仕組みでは、教師の職務は自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きく、どこまでが職務であるかを切り分け難いという特殊性を踏まえまして、時間外勤務手当を支給しない代わりに、先生も御承知のとおり、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整額を支給してございます。

 一方、給特法制定からもう半世紀が経過をしまして、教師に求められる仕事の内容も随分変化しております。平成二十八年度に実施をしました調査においても、法制定当時の想定を大きく超える長時間勤務の実態が明らかになっております。これらを踏まえまして、令和元年に法改正を行いまして、教師の勤務時間の上限を定める指針を策定するなど、学校の働き方改革に取り組んでいるところでございます。

 今後、こうした働き方改革の様々な取組と成果等を踏まえつつ、本年度に勤務実態調査を実施しまして、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定です。その結果等を踏まえまして、先生もお話ありましたとおり、給特法の法制的な枠組みも含めた検討を行ってまいりたいと思っております。

 それと、令和元年度の改正に効果があったかどうかということにつきましては、一概に効果があったという、そういう表現はしづらい側面もございますので、改めてそこにつきましては内部で検討したいと思ってございます。

岬委員 大臣、ありがとうございます。

 そうですね、こちら昭和四十一年でございますので、何と五十五年もたつわけですね。おぎゃあと生まれた子が五十五歳、私もそこに近いわけですけれども、それだけの間何の改正もないというのは余りに放置ではないかと思ってしまうのは自然ではないでしょうか。

 では、次の質問です。

 令和四年度に勤務実態調査の実施をして、その結果を踏まえてとおっしゃっていますが、調査の結果を待つのではなく、早急に進めるべきではないかと思っております。

 こちらに関しては、二〇二一年十二月七日の朝日新聞朝刊にも記されておりますが、大体、試算によりますと、この財源、四%から引き上げた場合どれくらいの財源が必要かといいますと、約七千億から一兆数千億ということで、大変財源が必要となります。その辺りも現実的に捉えて、どのようにしていくかという検討も必要ではないかと思うわけです。

 また、人材不足についてですけれども、中教審によりますと、令和三年一月、令和の日本型教育の構築を目指してというところにも教師の人材確保が書かれております。教員の免許状を持っていても教職への道を諦めた方、途中で断念している方などいらっしゃいます。

 また、就職氷河期世代も円滑に学校教育に参画できる環境整備が必要ではないかと思います。実際、こちらの就職氷河期世代の支援につきましては、二月の予算委員会におきまして、私自身が岸田総理に直接質問をいたしました。是非とも、一度は教職の道を諦めてしまった方々に、何とか学校での夢を実現する、チャレンジができるような取組を進めてほしいと強く願っております。

 また、令和三年三月におきまして、「「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」では、社会人等の多様な人材活用についても触れられています。しかしながら、現場を離れた者にとって、いきなり現場に立つというのは大変ハードルが高く、難しいかと思う方々が多くいらっしゃると思います。先生のまずサポートですとか、事務方から入ってもらいながら、実際仕事をして空気感に慣れて、教壇に立つ準備を進めてもらうのがよろしいかとは思いますが、教員免許を持っている方をうまく活用していくということで、是非とも積極的に戻れるような環境を整えることが大事だと思います。

 具体的な取組や成果、今後の計画などを教えてください。

伯井政府参考人 まず、私から、教員勤務実態調査の結果を待たずして具体の検討をすべきということにお答えをさせていただきます。

 教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境の整備が重要であるということは、大臣も先ほど来答弁申し上げているところでございます。

 文部科学省といたしましては、小学校における三十五人学級の計画的整備や高学年における教科担任制の推進等、教職員定数の改善、あるいは教員業務支援員を始めとする支援スタッフの充実など、様々な施策を総合的に講じているところでございまして、文科省としては、こうした学校における働き方改革を進めつつ、やれることはできるだけ実施しつつも、やはり勤務実態の把握、エビデンスを求めるということも一方で不可欠でございますので、本年度に実施予定の勤務実態調査の結果等を踏まえまして、給特法等の法制的な枠組みを含め、検討することといたしておりますが、必要な情報収集など検討のための部内の準備はしっかり進めてまいりたいと考えております。

藤原政府参考人 失礼いたします。

 就職氷河期等の御質問がございました。

 就職氷河期世代には、教員免許状を持つものの、高い教員採用試験倍率の中で教職への道を諦めざるを得なかった方が一定数いらっしゃるものと承知をしております。また、出産や育児等で離職した方が教壇に戻ることなく、そのまま教職を離れたといった方もいらっしゃるものと考えております。

 文部科学省としては、意欲と能力のあるこうした方々が民間企業での経験等を経て学校現場に参画することは、多様な教職員集団を構築する上でも重要であると考えております。

 このため、令和四年度予算において、教員免許を保有しているものの教壇に立ったことがない方、いわゆるペーパーティーチャーに対して、教壇に立つに当たって必要な知識、技能を刷新する機会を提供する学習コンテンツを開発するための経費を計上しているところでございます。

 また、各教育委員会においては、公立学校教員採用選考試験において、採用年齢の上限の撤廃や引上げ、また民間企業等の勤務経験を有する者に対する特別の選考といった取組を行っているものと承知をしております。

 文部科学省としては、引き続き、これらの自治体の取組やその発信の充実を促すほか、現在中教審で行われている教師の養成、採用、研修等に関する包括的な議論を踏まえつつ、多様な人材に教職を目指していただけるよう検討を進めてまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 文科省も様々な取組を行っております。教師バトンプロジェクトというものを皆さん御存じでしょうか。ツイッターのハッシュタグを見ていただきますと、教師バトンというもので出てきます。何と、二〇二一年十月二十四日の朝日新聞の朝刊には、五十四万件に達したとございます。大臣、見たことはございますでしょうか。ここは悲痛な叫びや訴えが投稿されているわけですが、是非とも、建設的なコミュニケーションの場であってほしい、また、教師が欲しい情報、必要な情報をどんどん発信し合う場になっていただけたらと思います。

 それでは、時間になりましたので、最後、大臣にお願いしたいと思います。

 教員は、人を育てるという大変やりがい、かけがえのない仕事だと皆が認識をしていると思います。是非とも、このやりがいの仕事を行うために、これからの待遇の改善ですとか労働環境の改善、具体的に、そして迅速的に行っていくべきと考えます。最後に、大臣の見解と意気込みを教えてください。

義家委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。

末松国務大臣 先生にお答えを申し上げます。

 教師の魅力を高めて優れた人材を学校教育の場に確保していくためには、教師が教師でなければできないことに全力投球できるその環境整備が一番大切だと思います。

 文部科学省では、令和元年に法改正を行いまして、教師の勤務時間の上限を定める指針を策定するとともに、先ほどからお話が出ていましたように、三十五人学級であるとか、教員業務支援員など支援スタッフの充実であるとか、あるいは部活動改革など、いろいろなことを進めてまいりました。教師の負担の軽減につながる様々な施策を総合的に講じているところでございます。

 今後は、こうした働き方改革の様々な取組と成果を踏まえつつ、本年度改めて実施をします予定の勤務実態調査におきまして、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定でございます。その結果を踏まえて、給特法の法制的枠組み、改めて検討してまいりたいと思います。

 いずれにしましても、学校の働き方改革、最優先課題の一つでございます。しっかり取り組んでいきたいと思います。

 時間制限されていますので、答弁はこれで終わります。

岬委員 末松大臣、お時間いっぱいまで御答弁、誠にありがとうございます。

 是非とも、今後の教員の皆さんの働きに、活躍に私たちも期待し、後押しをしたいと思っております。

 今日はありがとうございました。

義家委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 大臣、若干重なる質問があるかと思いますけれども、お許しいただきまして、どうぞよろしくお願いいたします。

 第一次安倍政権時に導入されました教員免許制度が、今回の法改正によりまして、十二年で廃止されることとなりました。

 当時、安倍総理は教育再生会議を設置をして、学力向上対策、教員免許更新制度の導入、学校評価制度の導入等に取組をスタートされました。当時、国会におきましても、私も議事録を読ませていただきましたけれども、様々な問題点を指摘する声、また議論が多くありましたけれども、私の感覚としては、官邸主導で導入された制度であったという私自身は認識を持っておりました。

 導入後も、教育現場からは解消を望む声が多く上がっておりました。今回、十二年を経て廃止をされる方向ということでございますけれども、この制度、現制度の何が問題であり、また、今回の廃止という結論に至ったのか。この十二年間、教育現場に与えた影響というものも含めて、私は、やはりしっかりとした検証が必要不可欠であると考えております。

 先般からの大学入試共通テスト、英語民間試験、また記述式導入断念という事態も発生をして、政策決定プロセスの在り方が問われております。その中で、現状、現場においては、教育公務員特例法第二十一条、第二十二条に規定をされている研修の機会というものが実際には十分に確保されていない現状もあるという現場の声も多くある中で、今後、現場の声を十分に反映をさせ、その中で今後の研修制度の在り方を考えていくべきだと思っております。

 先般からガイドラインを作成をするということを話があっておりますけれども、今後どのような形で現場の声をしっかり反映をした制度としていくのか、末松大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 教員免許更新制の導入に当たりましては、平成十六年十月から平成十八年七月にかけまして、有識者や関係団体の意見聴取も含めまして、様々な観点から検討を行った上でまとめられた中央教育審議会の答申も踏まえて制度設計を行ったものであり、当時、適切なプロセスを踏まれたものと考えてございます。

 今般の教員免許更新制の見直しに当たりましても、令和二年九月より、中央教育審議会において、制度導入後の変化や、校長会や教育委員会からのヒアリング等に基づきまして、計六回にわたりまして包括的な検証も行いました。その上で、令和三年三月の諮問後も八回にわたる丁寧な審議が行われ、その結果を踏まえて本法案の提出に至ったところでございます。

 本法案では、個々の学校現場や教師のニーズに応えることができるよう、個別最適な学びや協働的な学びなどを実現する新たな研修システムを確立することを目指しております。法案成立の暁には新たな研修システムが着実に実施できるよう、先生からいろいろな御意見が今出ましたが、教育委員会や学校現場の意見を十分伺いながら、誰もが利用できる研修コンテンツを一元的に収集、整理、提供するプラットフォームの構築、また、教職員支援機構における、基礎的な知識、技能を身につけるための標準的な動画コンテンツの開発などを通じまして、国が責任を持って教師の資質向上に資する研修機会の充実に努めてまいりたいと思います。

 また先生の意見をいろいろとお伺いしたいと思います。

西岡委員 今、質問の中でお答えをいただいたわけでございますけれども、これまでのいろいろな政策を決定をする過程の、検証していくということについて、大臣としてどのようにお考えでいらっしゃるかということを重ねてお伺いをしたいと思います。

末松国務大臣 今、お答えの中に一応含まれてはおりましたのですけれども。

 導入して既に十数年になりますよね。今回、発展的解消という言葉の中で、いろいろな御意見を頂戴をいたしておりますけれども、少なくとも、一つ取り上げても、十年に一回の更新の意味という意味におきましては、いろいろなツールも出てきておりますし、果たして、そこに集まって、大学が講座を開講していただいておりますけれども、その場所に行って、しかも、自分が望むところがいっぱいのときは入れませんから、そういうことの状況においてでも果たして効果があるのかどうかという意味において、随分前提が変わってきたとは思ってございます。

 そういうことを、あらゆる点において少し検証は、私なりの頭でしておりますのですけれども、まさに今回は発展的解消というところでその考え方をまとめたものでございまして、御評価、御理解をいただきたいというように思ってございます。

 幾つか理由はまた述べる機会があろうかと思います。

西岡委員 ありがとうございます。重ねてお答えいただき、ありがとうございます。

 やはり、教育に関する政策というのは、その間、子供たちが直接、様々な私どもが決めていく政策がそのまま教育現場、子供たちに影響をするという中では、大変教育政策というのは重要な、特に重要な政策だと私は思っておりますので、是非、現場の声や子供たち、当事者の様々な思いというものもしっかり受け止めながら、今後の政策を是非、末松大臣にはこれから取り組んでいただきたいということをお願いを申し上げ、次の質問に入りたいと思います。

 これまでのいろいろな議論の中でもあっておりますけれども、新しい研修制度については、発展的な解消の中での新しい研修制度ということでございますけれども、研修については、本来、勤務時間内で行うということが大原則であるとともに、教員が自主的また自律的に学ぶことのできる時間的なゆとりを確保するということが大変重要だと思います。

 その意味では、教職員の長時間労働の是正ですとか働き方改革、また、持ちごま数の上限を設定するなどの業務の削減、また、教職員の定数の改善等、大変環境整備というものが急務であると考えておりますけれども、これまでの答弁でも、大臣の御答弁あっておりますけれども、改めて、このことについての末松大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

末松国務大臣 今回の法案で提案申し上げております新たな研修の仕組みが円滑に運用されるためには、教師の負担軽減や、必要な研修を適時に受けることを可能にするための環境整備が大変重要でございます。

 文部科学省としましては、令和元年に給特法を改正しまして、教師の勤務時間の上限を定める指針を策定するなど、学校の働き方改革は推進しております。

 時間外勤務は平成三十年度以降一定度改善傾向にあり、学校の働き方改革の成果が着実に出つつはございますけれども、依然として長時間勤務の教職員が多く、引き続き取組を加速させていく必要があると認識をいたしております。

 また、各地域や学校の実情を踏まえる必要があることから、一人の教員が担当する授業時数に一定の上限を設けることにつきましては慎重な検討が必要であると考えておりますが、令和四年度予算では、小学校高学年における、先生御承知のとおりの教科担任制の推進のための教職員定数の改善によりまして、持ち授業時数の軽減を図っているところです。

 これに加えて、小学校三十五人学級の計画的整備等のための定数改善や、教員業務支援員を始めとする支援スタッフの充実なども図っております。

 引き続き、研修時間の確保のために、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境には努力をしたいと思います。

西岡委員 ありがとうございます。

 引き続き、是非、お取組を強化をしていただきたいと思います。

 また、この研修については、教師の勤務時間内で行われるということも大変大事な原則だと思っておりますので、ここはしっかり踏まえた中での運用をお願いをしたいと思います。

 続きまして、本改正に盛り込まれました研修受講履歴の管理システムの導入についてお伺いをいたします。

 このシステム構築の本来の目的というものは何であるのか。また、なぜ義務づけられているのか。

 また、次の質問については、これまでの質疑で、教員自身がそのデータを閲覧して、今後の有効な研修受講のために活用できるのかというふうに問わせていただくつもりでございましたけれども、これについては、先ほどからお答えをいただいて、そのデータを閲覧して活用することができるという答弁がございましたけれども、今申し上げた目的、なぜ義務化されたのかということなど、現場の懸念の声に対して一つ一つ明確に方針を示していく項目というものもあるというふうに思っておりますけれども、今後の有効な研修制度を確立していくために、今お尋ねさせていただいたことへの末松大臣の御見解というものをお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 本法案では、校長等の管理職と教師が過去の研修等の記録を活用しつつ対話を行いまして、今後能力を伸長させる必要がある分野の研修について、教師から校長等へ相談することや、校長先生から、校長等から情報提供や指導助言を行うことを想定をしております。

 この仕組みにおいては、研修等の記録は、一人一人の教師が自身の学びを振り返りつつ、現状の把握と適切な目標設定を行うために必要不可欠なもの、いわば学びの足跡でございます。

 先般、ここでもちょっと答弁でお話しさせていただいたんですけれども、下北沢小学校に行きましたけれども、やはり、研修主任は、自分たちが学んできた足跡って知っておきたい、常に見れる体制でありたいということはおっしゃっておられました。学びの足跡であり、主体的で個別最適な学びを実現する上でのベースとなるものでございます。

 このように、管理職と教師との対話の基礎となるものであり、研修受講の記録は教師個人が閲覧、確認できることが前提と考えております。これは今お話が出ました、先生からも。

 加えて、校長等の管理職におきましても、過去に教師が研修で何を学んできたかという客観的な情報に基づきまして、教師が今後どのような分野の学びを深めるべきであるか、また、学校で果たすべき役割に応じてどんな学びが必要かということにつきまして効果的な指導助言が可能となります。また、個々の教師の強みや専門性を把握した上で校務分掌を決定するなど、効果的な学校運営を行うことが可能になりまして、児童生徒への教育の充実につながるものと期待をいたしてございます。

 以上のような考えに基づきまして、今回の法案で研修等につきまして義務づけるという、このことを、法案を提案をさせていただいているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 続きまして、次の質問は先ほども質問があっておりますので後に回させていただいて、一つ先の質問に入らせていただきます。

 先日の委員会において、参考人三名の方から大変貴重なお話をいただいたわけでございますけれども、その参考人からも、できる限り、教職の魅力を高めるために多様な研修が認められるような制度にしてほしいというお話がございました。加えて、制度は廃止をされますけれども、これまで免許更新制度において積み重ねてこられた有効なカリキュラムですとか研修内容というものは存在すると思っております。

 この大変積み重ねられた研修内容というものも十分これからも活用していくということは、大変私は重要なことだと思っておりますけれども、今後新たな研修制度を担う独立行政法人教職員支援機構の体制強化も含めまして、これからの取組について、文科省にお伺いをいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 中央教育審議会の審議まとめにおいては、教職員支援機構の果たすべき役割として、先進的な学習コンテンツの開発、提供のほか、研修受講履歴記録システムと学習コンテンツをワンストップ的に収集、整理、提供する仕組みなどの一体的な構築など、新たな教師の学びの実現を支えるための取組を中心となって進めていくことが示されております。

 これを踏まえ、教職員支援機構においては、免許更新講習を継承した、大学等が開設する質の高い優良な学習コンテンツや講習を提供する一元的な情報提供サイトの構築や、各教育委員会で活用可能な標準的な動画コンテンツの開発などを行うこととしております。

 令和四年度予算において、教職員研修の高度化や教職員支援機構の機能強化等について協議を行うため、機構及び教育委員会や大学関係者等から成る新たな協議体の構築に係る費用を機構の運営費交付金の中で新たに計上したところでございまして、今後、こうした取組を、教職員支援機構等と一体となって、しっかりと進めてまいりたいと存じます。

西岡委員 ありがとうございます。

 大変重要な役割を今後、支援機構が果たしていくというふうに思いますので、その在り方については、文科省の方でも、これからの取組については、しっかりと支援、また助言を含めてお取組をいただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 これまでの免許更新制度におきましては、多忙な業務の中で研修の時間を確保することが大変困難な場合が多かったことや、また、研修費用三万円を自己負担するということも大変教員の方にとっては負担となっていたという多くのお声をお聞きをいたしました。

 新しい研修につきましては、教員の費用負担をどのように考えておられるのでしょうか。また、研修に付随する交通費ですとか宿泊費、教材費等の支援の在り方について、文部科学省にお尋ねをいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教育委員会が実施する研修は、職務として行う研修であり、現在も教師個人の費用負担が生じない形で実施をされていると考えておりますが、新たな研修制度においても同様に考えているところでございます。

 他方、教師が受講する研修の中には、様々な主体が提供する有料の研修も含まれると考えられますが、自主的に取り組む当該有料の研修は、自らの判断により自己負担で受講することもあると考えます。

 いずれにいたしましても、こうしたものについて管理職等が強制することがないよう、周知徹底をしてまいりたいと存じます。

西岡委員 あらゆる意味で、様々、教師の方が研修を受けていくための予算措置というものも必要になってくるというふうに思いますので、今後もお取組、また、その研修を支える体制というものについては是非御検討いただきたいと思います。

 続きまして、今、大変、学校教育の中で、様々な経験を有している外部人材の活用、そして活躍をしていただく取組が進んでおります。

 一方で、教員免許を持っておられたけれども、例えば失効している事情で、教育の現場に立っておられない先生方もおられます。今後の貴重な教育界の人材として職場復帰していただくためにも、既に失効している免許状について、再授与申請時の手続というものをやはり簡略化をするということが必要だと思っております。

 大変、またその申請手続が複雑であれば、そのことにちゅうちょをされる先生方も多くなってくるというふうに思いますので、その簡略化につきまして、文科省の見解をお伺いいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、免許状が失効した者が再び学校現場に携わりたいという意欲を有するようになった場合に、教師として活躍してもらうことができるようにすることは大変重要でございます。

 本法律の施行日前に更新を行わなかったことなどにより教員免許状が失効した場合であっても、教員免許状の授与に必要な単位等の修得状況を証明することで都道府県の教育委員会から再授与を受けることは可能であると考えております。

 また、教育職員免許法上、再授与を含む免許授与の申請に必要な書類につきましては都道府県教育委員会が定めることとされており、免許状の取得に必要な単位の修得状況など、審査を行う上で必要な書類を求めているものと承知をしております。

 文部科学省としては、各都道府県教育委員会において、法律の施行後、円滑に再授与が行われるよう、都道府県教育委員会とともに検討を進めてまいります。

西岡委員 是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、これまで様々な議論があっておりますように、教員の自主的な、また自律的な研修というものを担保しながら、より実効性の高い研修制度が求められている。その大前提としては、児童生徒の学びに有効な研修制度にしていかなければいけないという本来の大前提の大変重要な課題があると考えておりますけれども、先生方の研修を児童生徒の学びに大変有効なものとしていくということについての末松大臣の御見解というものをお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 本法案では、教師が自律的に学ぶという主体的な姿勢を発揮しつつ、個別最適な学びを学校組織全体として実現できるように、校長等の管理職と教師が過去の研修等の記録を活用して対話を行っていただきまして、今後能力を伸ばす必要がある分野などの研修について、教師から校長へ相談したりとか、校長先生から情報提供や指導助言を行うことなどを想定しています。私もキャッチボールが必要だと思っています。その際に、単に知識、技能の修得だけではなくて、教師間での協働的な学びなども重視する必要があると思います。

 このような教師の個別最適な学びとか協働的な学びの充実を通じまして、主体的で対話的で深い学び、よく使われる言葉ですけれども、これを実現することは、教師自身が児童生徒の学びのロールモデルになることを通じて、児童生徒の主体的、対話的な深い学びの充実につながるものと確信をいたしてございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃったことは大変重要な御指摘だと思います。また、先生方の学びがしっかり子供たちにも同じようにロールモデルとなって伝わっていくということ、是非、今後の教育現場でそういう場面が大変多く出てくるような研修制度にしていくということについて、また引き続き、大臣にはお取組をお願いをしたいと思います。

 続きまして、次の質問も先ほど質問があった項目ではございますけれども、再度私の方からも質問をさせていただきます。

 教員免許更新制の対象は全ての教員、これは臨時任用教員も含まれて、全ての教員に対しての制度でございましたけれども、新たな研修制度については公立学校の教員のみが対象となっております。そういう意味では、国、また私立学校の教員や臨時任用職員に対しては今後の新しい研修制度というものは直接に遡及しないわけでございますけれども、国、私立学校の教員や臨時任用職員の方々の資質向上というものをどのように図っていかれるのかということを文科省にお尋ねをしたいと思います。

 また、これは、私の方からは通告をいたしておりませんけれども、逆に言えば、私立学校の先生方が既に行っていらっしゃる研修の在り方というものも今後参考になる部分も逆にあるのではないかという問題意識は持っておりますけれども、私からの質問についての文科省のお答えをお願いいたします。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 国立学校や私立学校については、設置者が自主性を十分に発揮しながら、所属教師の資質、能力の向上に努めていくことが原則であると考えております。一方で、これらの学校でも、中央教育審議会の審議まとめで示された、研修の奨励を受けながら主体的に学ぶことができる環境づくりを進めていくことは重要であると考えております。

 このため、文部科学省では、国立学校や私立学校の設置者に対して、公立学校での取組内容等を情報提供し、研修の充実が図られるように取り組んでまいります。

 また、教職員支援機構が公開しているオンデマンド型の研修動画講座の活用を促すとともに、機構が実施する各種研修への私立学校教師の参加を促進することを検討してまいりたいと存じます。

 また、今先生からお話のありました私立学校での取組といったものも十分参考にさせていただきたいというふうに存じます。

 また、臨時的任用教員についてでございます。こちらの方は直接の対象となっていないわけでございますけれども、いわゆる正規教員に準ずる形で研修の充実が図られることは重要だと考えております。

 したがいまして、こうした臨時的任用教員につきましても、法的な対象ではございませんけれども、運用として対象としていくことが考えられるところでございます。

 その際、臨時的任用教員が基本的に一年以内の任期を定めて任用されるものであることを踏まえ、研修等に関する記録に関し、正規教員と異なる取扱いとすることも含め弾力的に運用されるよう、基本的な考え方等をガイドラインで示してまいりたいと存じます。

 さらに、臨時的任用教員が組織的な学びの場である校内研修等に参加することはもちろん、教育センターで実施される様々な研修への参加を認めるなど、研修機会に配慮するよう各教育委員会を指導してまいりたいと存じます。

西岡委員 時間となりました。一問残してしまいましたけれども、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

義家委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 教特法及び教員免許法の一部改正案について質問をいたします。

 四月一日の参考人質疑で、免許更新制の廃止について、佐久間亜紀参考人は、多くの教え子たちから、もう待ちに待っていました、やっとですかという声が聞かれましたと発言されました。また、兵庫教育大学学長の加治佐哲也参考人も、免許更新制が、正直申し上げて、ここまで評判が悪いとは思っていなかった、そうおっしゃいました。

 我が党は、教員免許更新制を導入した二〇〇七年、教員免許法及び教特法の一部改正案に対して、一つ、一九六六年のILO・ユネスコによる教員の地位に関する勧告に反すること、二つは、免許更新制は、世界先進国の中でもアメリカの州で実施されているだけで、他の国では実施されていないこと、そして三つ目に、何よりも、教員の力量を向上させるというのなら、教員を増やし、教員に自主研修時間を保障することこそ求められており、それをせずに官製研修を上から押しつければ、教員の資質の向上につながらないばかりか、ますます自己研修を困難にするという理由で反対をいたしました。

 我が党の反対を押し切って導入され、二〇〇九年から実施されてきた教員免許更新制は、いよいよ破綻したと私は思います。免許更新制の破綻を文部科学省はお認めになりますか。

末松国務大臣 宮本先生にお答え申し上げます。

 教員免許更新制は、教師の学びの機会の拡大であるとか、教師の資質、能力の向上に対する大学の関与の拡大、あるいは良質な学習コンテンツの形成など、一定の成果を上げてきました。

 一方で、社会の変化や、教師の研修を取り巻く環境は大きく変化をしております。

 昨年の十一月の中央教育審議会の審議まとめでは、こうした変化を踏まえまして、研修等に関する記録の作成や資質の向上に関する指導助言等の義務づけなど、新たな教師の学びの姿に向けた方策を実施することを求めております。

 あわせて、これらの方策により、個別最適な学びや協働的な学びなどを一層効果的に進めることが可能になることから、教員免許更新制を発展的に解消することが提言されております。

 したがって、単純に、教員免許更新制に課題があるからこれを廃止するというものではないと考えております。

 今後、例えば、教職員支援機構を活用しまして、大学の良質なコンテンツを全国の教師が受講できるようにするなど、教員免許更新制の下で生み出された成果を、新たな教師の学びの姿を構築する上で、継承してまいりたいと思います。

 昨年十一月に中教審の渡辺会長と、小委員長は加治佐先生がお見えになりまして、そのときは加治佐先生は一定の成果をということをおっしゃっておられましたけれども、これは御意見として頭に置きます。

宮本(岳)委員 配付資料一を見ていただきたい。文部科学省がみずほリサーチ&テクノロジーズに委託して行った、この調査研究事業の事業報告書五十六ページであります。

 制度自体を廃止すべき、免許更新制に意義を感じないが半数。そのコメントも、研修がたくさんあるので必要ないと思う、経済的な負担、時間的な負担、受講内容の有効性など様々な問題がある免許更新制は即刻廃止すべきだと考えるなどの声が寄せられ、次いで、受講料の支出(交通費含む)が負担、受講料が高い、これは約二割。多忙の要因、負担増の要因。時間、肉体的、精神的な負担などが列挙されております。まさにここにも、加治佐参考人が、正直申し上げて、ここまで評判が悪いとは思っていなかったとおっしゃるとおりの結果が示されていると思います。

 破綻をお認めにならないわけですけれども、教員免許更新制によって教員確保に影響が出ております。その一つが、うっかり失効と言われるものですね。

 この審議まとめの四十一ページでも、うっかり失効が、教育職員としての地位の喪失に加え、公務員としての地位にも関わる事態を招くことについて疑問視する意見があったとし、所定の免許状更新講習を受講、修了しなかった現職教員の免許状が失効することは、教員免許更新制の根幹に関わる部分であるが、関係者が課題を感じていることは深刻に捉えることが必要であると。これは、この審議まとめの中に出てまいります。

 こうした事態を文部科学省はどのように考えておりますか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありましたような、うっかり失効といったものも一定数生じていたものと承知をしております。

 いわゆるうっかり失効ということかどうかを問わず、本法律の施行日前に更新を行わなかったことにより教員免許状が失効した場合、自動的に復活するということはございませんけれども、教員免許状の授与に必要な単位等の修得状況を証明することで都道府県教育委員会から再授与を受けることは可能であるというふうに考えております。

宮本(岳)委員 最近の報道で、本法案が施行される二〇二二年、今年七月以前の四月から六月に免許更新期限を迎える教員が必要な講習を受けられない可能性があるとして、文部科学省が期限の大幅緩和を容認した、こういう記事がありました。

 お尋ねしたところ、二月二十五日付の通知が届きました。これはどういうことですか。御説明いただけますか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 通常、教員免許状の有効期限は年度末となっているわけでございますけれども、産休や育休などにより有効期限が延期されたことで、本年の四月一日から六月三十日までに有効期限を迎える方が一定数いらっしゃるという状況であると承知をしております。

 通常は、有効期限の二か月前までに免許状更新講習の受講等が必要であり、多くの対象者は三月末までに必要な講習を受講したということが想定されるわけでございますけれども、一方で、中には受講が完了していない方もいると認識をしております。

 文部科学省において調査を行ったところ、免許更新に必要な三十時間の更新講習を受講できる人数、通例であれば、昨年度は約二十万人分の講習が用意されておったわけでございますけれども、本年度につきましては約三万人の受講者人数しか予定をされていないということでございまして、更新講習の開設数が大幅に減少するということが明らかになったわけでございます。こうしたことから、教師本人のニーズに合致した更新講習の受講が困難な状況が生じることが想定をされたところでございます。

 このため、本年二月二十五日に通知を発出し、更新講習の不足をやむを得ない事由として、本人の申出に従って、各都道府県教育委員会が有効期限の延期を行うことができる旨を周知したところでございます。

宮本(岳)委員 様々なところで制度の綻びが出ているわけですね。こういうこと自体が、制度が破綻している証左だと私は考えます。制度の破綻は明白であり、教員免許更新制は直ちに廃止するべきであります。それを発展的解消などと強弁し、更新制と引換えに、研修の在り方を見直す教特法の改正を行おうとすることが問題なんですね。

 先日の参考人質疑でも、自由で自主的な研修をしたくても、時間的、体力的余裕がない、研修の時間すらない等々の現場の実態が述べられました。

 配付資料二を見ていただきたい。全日本教職員組合、全教の青年部が行ったアンケートの結果です。持ち帰り仕事はしていますかという問いに、小学校では五六・八%、中学校では四八・四%、高校で四一・八%、特別支援学校では三二・三%がしていると答えております。休日出勤をしていますかという問いには、小学校で四五・三%、中学校で七五%、高校は六九・六%、特別支援学校では二一・九%の答えであります。部活の少ない小学校でも四割以上が休日出勤をしております。

 佐久間参考人は、文科省二〇〇六年勤務実態調査の時点で既に、小学校教員は授業一時間当たりの準備時間は約十四分、中学校は約二十分しかなかったと公述されました。二〇一六年の勤務実態調査に引き当てれば、これはそれぞれどうなっておりますか、文科省。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度、二〇一六年度教員勤務実態調査によりますと、小学校では、一週間当たり授業時数が二十時間四十四分、授業準備の時間が六時間五十一分、中学校では、一週間当たり授業時間が十五時間三十一分、授業準備の時間が七時間三十六分となっております。これを授業一こま当たりの単位時間に換算いたしますと、小学校では一こま四十五分に対し約十五分、中学校では一こま五十分に対し約二十四分が授業準備に充てられるということとなります。

宮本(岳)委員 配付資料三、四は、先日の参考人質疑で日本教職員組合の瀧本司参考人が紹介した、文科省の勤務実態調査の二〇一六年の結果であります。教員の長時間労働は深刻であること、そして、研修の時間すらないことがここには示されております。

 文科省に聞くんですけれども、二〇一六年調査で、教諭の一日当たりの学内勤務時間の内訳で、平日では、校務としての研修時間というものは、小学校、中学校、それぞれ何分となっておりますか。

義家委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

義家委員長 速記を起こしてください。

 伯井局長。

伯井政府参考人 先生の配付資料にも出ておりますが、十三分と六分でございます。

宮本(岳)委員 そういう状況なんですね。

 それで、どんなに研修研修というふうにおっしゃっても、この実態のままでは、新たな教師の学びの姿などは望むべくもないと言わなければなりません。

 そもそも、文科省は、教職員定数の積算に際して、授業一こまにつき同程度の準備時間は必要であるということを想定していたはずであります。

 初等中等教育局長に確認しますけれども、二〇〇二年五月二十三日の参議院文教科学委員会で、我が党の林紀子議員に、例えば一時間の授業、四十五分一こまの授業をするためにどれぐらいの準備時間が必要と考えているかと問われて、当時の矢野重典初等中等教育局長は、一時間の授業につきましては一時間程度は授業の準備が必要ではないかというふうに考えていたところでございまして、それをベースに昭和三十三年の標準法制定当時の教職員定数を算定したという経緯がございますが、その考え方につきましては、少なくとも教職員定数を積算する場合においては、現在においてもこれくらいの時間が必要ではないかというふうに考えておりますと明確に答弁をいたしました。これは間違いないですね。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点でございますが、当時の矢野初等中等教育局長からそのように答弁したことは承知しております。昭和三十三年のいわゆる義務標準法の制定当時、教員の指導時数は勤務時間の半分程度を充て、残り半分程度の時間は授業準備などの校務に充てることを想定したものと認識しております。

宮本(岳)委員 冒頭述べたように、我が党は、二〇〇七年の教員免許更新制導入に際して、教員の力量を向上させるというのなら、教員を増やし、教員に自主研修時間を保障することこそ求められている、それをせずに官製研修を上から押しつければ、教員の資質の向上につながらないばかりか、ますます自己研修を困難にすると主張いたしました。実は、この教職員定数増と処遇改善こそ一番求められていると思います。

 先日の参考人質疑でも、加治佐参考人は、負担の問題ですけれども、私自身も、やはり、働き方改革は絶対必要だと思っています、増やせるものなら、もう是非教員を増やしていただきたい、給特法を廃止して、残業手当をちゃんと出していただきたい。

 瀧本参考人。やはり、先生たちが、研修をしたい、自分たちで学びたいという余裕を是非つくってもらいたいと思います、研修の側面からも、どんな制度をつくっていただいても、その時間の余裕がないというのは非常に致命的だと思います。

 佐久間参考人。OECD参加国の多くは、教員の資質や専門性を向上させるために積極的な財政出動を行っています、教員の質を上げたいなら、処遇も上げなければならないというのが、世界で今一般的な教育政策の方向性となっています、なぜなら、子供たちのために、優秀な志願者を教職に、特に公立学校の教職に引きつけなければならないからです。

 こう述べられました。三人の参考人、様々意見の違う部分もありましたが、全員が一致したのはまさにその点でありました。

 午前中の質疑でも、大臣は、ゆとりのある教師でなければ子供たちにゆとりある教育を与えることはできないと答弁されました。まずやるべきは、大臣、このことではありませんか。

末松国務大臣 やるべきは、私は、大きなその一つだと、私は、そういうふうに、先生のおっしゃるとおりだと思っております。働き方改革の中の一つは、やはり教職員を増やすこと。年末の財務省の折衝も、やはり教員を増やす話が一番のテーマでもございました。

 今回の法案で提案申し上げている新たな研修の仕組みが円滑に運用されるためには、やはり、先生も今御指摘のとおり、教師の負担軽減や、必要な研修を適時に受けることを可能とするための環境整備が重要である。研修は、先生、後ろに下げておられますけれども。

 文部科学省において実施している調査の結果では、時間外勤務は平成三十年度以降一定度改善傾向にありまして、学校の働き方改革の成果は着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員が多い。そして、引き続き取組を加速していく必要性があることを十分認識をしております。

 このため、令和元年に法改正を行いまして、教師の勤務時間の上限を定める指針を策定するとともに、文部科学省では、教師の負担軽減につながるように、もう先生ずっとお聞きになっておられるとおり、三十五人学級のことであるとか、教員業務支援員のスタッフ充実であるとか、部活動改革や、教師用の端末整備とか、こういったことを整備をいたしてまいりました。

 今後は、やはりこうした働き方改革の様々な取組と成果を踏まえて、令和四年度に実施予定の勤務実態調査において、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定でありまして、その上で、給特法など法制的な枠組みをしっかり含めて検討していきたいと思ってございます。

宮本(岳)委員 給特法の見直しも必要だと、もちろん思います。ただ、やはり先生の数を、教職員定数を改善するということが何よりも大事だと私は思うんですよね。

 それで、私は、はっきり申し上げて、ボタンのかけ違えがあるんじゃないかと。

 教員免許更新制は、当初、不適格教員の排除を目的に導入が検討されました。しかし、その理由では無理だということになり、教員として必要な資質、能力の保持、刷新を理由に、強行的に導入されました。根底には、教員の管理、統制をしようという意図が、これは否めないと思います。それが免許更新制の下での講習受講でありましたけれども、それがついに私たちは破綻したと思います。

 ボタンをかけ違えたのならば、もう一度、一旦全部を外さなければならないんです。最初のボタンは、免許更新制や研修の強化からではなく、教職員定数の増や自主研修時間の保障から、もう一度始められなければならないと私は思います。

 このボタンのかけ違えを、幾つかボタンを外しただけで、またかけようとするから誤るのであって、私たちは、もう一度、二〇〇七年、この制度が始まったところまでボタンを外して、何が間違っていたのかを検証する必要があるというふうに思います。

 そこで、自主的、自律的と言われている研修について質問いたします。

 二〇一六年十一月二日、衆議院文部科学委員会での畑野君枝議員の質問に、藤原誠初等中等教育局長は、教育の本質は教員と児童生徒の人格的な触れ合いにあり、単なる知識、技能の伝達にとどまらないものであることから、公教育の担い手である教育公務員には絶えず研究と人格的修養に努めることが求められており、この意味において、一般の公務員と比べて研修の必要性が高いものであると認識しておりますと答弁をいたしました。これは間違いないですね。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教育の本質は教員と児童生徒の人格的な触れ合いにあり、単なる知識、技術の伝達にとどまらないものであることから、公教育の担い手である教育公務員には絶えず研究と人格の修養に努めることが求められており、このことは、今御指摘のありました教育公務員特例法改正の審議の際から、引き続き、変わるものではございません。

宮本(岳)委員 まさに地方公務員法にも研修というのはあるんですけれども、とりわけ教育職員にとっての研修の重みというのは、まさにこの人格的な触れ合いという教育の条理にその本質を持っている、こういうことだと思います。

 それは決して、正規の、常勤の先生方だけではありません。非常勤の講師の先生方についても、そういった研修権が保障されねばならないと思います。

 先ほども議論がありましたけれども、教育公務員特例法上、非常勤講師も教育公務員として位置づけられていると思うんですね。法第二十二条第一項には、研修の機会が与えられなければならないとありますけれども、これに非常勤講師は含まれますね。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 含まれるものと考えております。

宮本(岳)委員 非常勤講師の方々も、児童生徒の発達を保障する専門職としての教員であります。しかし、職場によっては、非常勤講師が校内研修などを受ける機会が保障されていない実態も聞きます。教職員に必要な研修は、常勤講師、非常勤講師を含め、研修のための給与も含め、全ての教職員に研修権が保障されなければならない、これは私、申し上げておきたいと思います。

 しかし、それはあくまで自主的、自律的、主体的なものでなくてはなりません。それは審議まとめでも強調されているとおりであります。これは文部科学省も、この自主的、自律的、主体的なものでなくてはならない、同じ認識でございますね。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 教員の研修が自主的、主体的に行われるべきものは基本であるというふうに考えております。

宮本(岳)委員 当然のことだと思います。

 研修は、教員が自主的、自律的、そして主体的に行うものとされる。その一方で、指導助言者が研修受講履歴を活用し、対話と奨励を行うとされております。

 お伺いするのですけれども、この対話と奨励というのは、どういう場で行うことを想定しておりますか。

藤原政府参考人 今回の改正では、教師の職責や経験、適性に応じた資質の向上が図られるよう、教師からの相談に応じること、研修等の情報を提供すること、資質の向上に関して指導及び助言を行うことを教育委員会に義務づけることとしております。

 具体的には、校長等の管理職が、教育委員会の指揮監督の下、期首面談や期末面談の機会を通じて、教師から自身のキャリアプランを踏まえて受講したい研修の内容について相談を受けるということが考えられます。また、教員育成指標や教員研修計画を踏まえつつ、教師自身の過去の研修等の記録を活用して、今後能力を伸長させる必要がある分野などの研修の受講について情報提供や指導助言を行うということが考えられるところでございます。

宮本(岳)委員 期首面談、期末面談を想定していると。まさに人事評価の面談と一体に行うことになります。

 二〇一六年の教特法改正時の附帯決議によりますと、「教育委員会等が策定する指標については、画一的な教員像を求めるものではなく、全教員に求められる基礎的、基本的な資質能力を確保し、各教員の長所や個性の伸長を図るものとすること。また、同指標は、教員の人事評価と趣旨・目的が異なるものであることを周知すること。」とされております。

 今回の法案は、この附帯決議をほごにして、指標を基に人事評価をするということですか。

藤原政府参考人 今回の法改正により教育委員会が行う研修等に関する記録は、校長等管理職が行うこととされる資質の向上に関する指導助言等の際に活用されるものであり、人事評価制度とはその趣旨と目的が異なるものでございます。

 教員の人事評価は、校長等の管理職が、日常の職務行動の観察を通じて得られた情報などを総合的に踏まえつつ、各教師が発揮した能力や上げた業績を期末面談等で確認した上で評価を実施するものでございます。

 研修等に関する記録自体や研修量の多寡そのものが人事評価に直接反映されるものではありませんが、研修を行った結果として各教師が発揮した能力や上げた業績については、これは人事評価の対象になるというふうに考えております。

宮本(岳)委員 いや、だから、同じ場でやるわけですよね。研修の多寡が評価に直接結びつかないと言うんですけれども、実態として行われることは、人事評価を行う場、すなわち期首面談や期末面談の場で指導助言を行う。これはもう事実上同じ場所でやるわけですから、研修履歴を見ながら、先生、ここが足りていないですねと言われれば、これはなかなか拒否することは難しいだろうと私も想像いたします。

 どうやって人事評価と、対話と奨励ですか、切り離すんですか。

藤原政府参考人 人事評価における期首面談、期末面談の場面など、人事評価に関する一連のプロセスの中で、個々の教師が自らの職務行動を振り返り、効果的で主体的な能力開発につなげられるよう、教師の状況を多角的、客観的に把握するための情報の一つとして、研修等に関する記録を参照することはあり得るものと考えております。

 他方、研修の記録自体や研修量の多寡そのものが人事評価に直接反映されるものではないというふうに考えております。

宮本(岳)委員 切り離すといっても、切り離し得ないと思います。人事評価の面談の場での対話と奨励も、また、懲戒処分を背景とした職務命令に基づく研修、こういうものは自主的、自律的とは真逆のものだと言わなければなりません。

 二〇二一年十一月十五日に開催された中教審「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会と初等中等教育分科会教員養成部会の合同会議で、国立大学協会会長の永田恭介筑波大学学長は、どうしても視点が管理や制限など先生を縛ることを目的として書かれているような論調に見えます、先生は尊敬されなくてはならず、その尊敬を感じさせるような先生にならなくてはいけないわけですが、このような書き方では先生は縛られているような印象を受けます、今回の方向性の前段の方では、自らの人間性や創造性を高めると書かれていますが、本当にそれができるのかどうかが分からないような内容になっていると思いますと述べられました。

 大臣、この指摘をどう受け止められますか。

義家委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

末松国務大臣 永田先生がそういうようにおっしゃられたわけでございますが、それは意見としてお話を承りたいんですけれども、やはり、先生、教師は、先ほどから議論も聞いておりますのですけれども、職務遂行のために絶えず研究と修養に努めることとされておりまして、教師の研修については自主性が重要であることは言うまでもなく、このことは法案によって変わるものでもありませんし、教育基本法に書いてございます。もう先生はよく御承知のとおりだと思います。

 したがいまして、本法案では、校長等の管理職が、教師自身の過去の研修等の記録を活用しつつ、今後能力を伸ばす必要がある分野などの研修について、一人一人の教員から相談を受けたり、情報提供や指導を行ったり、助言を行ったりすることを想定しております。

 これによりまして、教師が自ら学びを振り返りつつ、適切な現状把握と目標設定の下で自ら必要な学びを行う、主体的で個別最適な学びが表現されると考えておりまして、教師の研修履歴の記録というのは教師を管理するためのものではないと思います。

 私も現場に行きましたけれども、やはりいい授業をしたいと先生方はおっしゃっていました、先生。やはり高みを目指したいということをおっしゃっておられますので、それと研修とは一致している部分もあるんだなということはつくづく感じたわけですけれども、いろいろな先生方の意見はお聞きをしたいということは私の考え方です。

宮本(岳)委員 時間ですので、今日はこれで終わります。

義家委員長 次回は、来る八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十三分散会


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